卓上ゲームエロパロ総合スレ11

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1名無しさん@ピンキー
カードゲーム、ボードゲーム、TRPG……
この世にある全ての卓ゲーには影に隠れ淫靡にまみれし恥部があった!!

ここは卓上ゲームを元ネタとするエロパロを総合的に扱うスレッドです。
元ネタ及び表現するジャンルは不問! 小説、イラスト、コミック、あるいは18禁リプレイやら生身やら。
遊戯中にとめどなく妄想を始めて人知れず股間をすり合わせるヒマがあるのなら! さあ! カキたまえ!!

前スレ
卓上ゲームエロパロ総合スレ10
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1144983956/l50

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青い小鳩亭 inソードワールド 9号店
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1138714551/l50
ロードス島戦記のSS3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142255852/l50
2名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 08:46:30 ID:aVOiIOQt
朝から乙
3名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 08:57:54 ID:umqX6FLA
>魔×夢
GJ&スレたて乙。
4名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 09:50:36 ID:Qc92jfKl
乙。
5名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 17:30:27 ID:hzlBIrEP
乙、エロパロ板ってかBBSPINKは即死判定死んでるんだっけ?
それとも、本家2chとは管轄別なのかな?
6名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 18:54:14 ID:DK8iEYsT
>>1乙とは単なる声にすぎない
だが>>1に乙を捧げる事で、良スレが立つのであれば、僕はいくらでも大きく叫ぼう。
7名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 22:33:06 ID:UpP3OS3M
>>1
きみは素敵だ。
8ドルフ☆レーゲン:2006/06/07(水) 00:42:40 ID:jv/+8Nsz
           三[フレア]  三⊂パトス⊃ 三◎ イロイロドゾー
 《番長力》 三∈合 気∋  三◎ 三⊂パトス⊃  ズドドドドドドドド
⊂パトス⊃ ヽ ) ノ     三⊂パトス⊃   三[フレア]     ドドドドド 
      <=†= >  三[フレア]   三《番長力》   三◎
[フレア]⌒//゚д゚) ノ  三◎  三∈合 気∋ 三[フレア]  三⊂パトス⊃ ドドドド >>1
        /. ( ヽ 三◎ 三[フレア] 三∈合 気∋   ドドド
   ∈合 気∋   三⊂パトス⊃  三◎   三【熱血カード】
                三∈合 気∋ 三[フレア] ドドドド
9名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 01:06:41 ID:s7B43Nqn
>1への乙の合計と同じだけの[民の声]を得る。
10名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 02:29:34 ID:1E3K5Lrw
>>1
乙かれさまです。
11名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 20:54:04 ID:Tl+4XkMg
>>1 乙・|
12名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 21:48:13 ID:msqKgo6H
>1乙。

ところで先生×夢って普段のプレイはきちんとした女の子同士だよね?ね?
131:2006/06/08(木) 14:32:24 ID:lucmx7BS
 即死はすっかりないつもりでいたのだけれど、よく考えたら俺も確たる事は知らないし、今度立てる時は気をつけないと。
 と、思いました。反省。今度があったら、なんか小ネタでも用意してから立てよう。

>>12
「…ワタシはセンセだけだから、どういうのが『きちんとした女の子同士』なのかよくわからないけど。でも、おかしな事はし
てないと思うよ」
「例えば、ここをこうしたり」
「あっ!?」
「ここをこんなふうにしたり」
「ふぁっ」
「それからこんなコトしちゃったり」
「ゃ、ん…っ」
「あとはふたりで、こんな具合で」
「セ…ンセ、ダメだよ。こんなところで…」
「ま、いつもは魔術もインチキもなしでこんな感じ?」
「うー…」
 って言ってました。ついつい可愛がり過ぎて、気がつくと腕の中でぐったりさせちゃってるとかなんとか。
 まあ真面目な話、「生やして頑張らせなさい」というリクエストを以前いただいたので、今回のはそれに沿う形で書いてます。
 だから普段は普通にそんな感じじゃないんでしょうか。ああでもこのふたりを出した最初のSSだと、先生が生徒を触手責めし
てた。深く考えたら負けだっ。
14名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 16:49:17 ID:gHmaONkf
ヤバすぎる、アマアマだ!
15いつふた%マルチレス:2006/06/09(金) 22:08:47 ID:qx7tgyvj
>1
 つ【愛】
 つ【AGP】
 つ【座布団ポイント】

>>13
>なんか小ネタでも用意してから
 そういうことはいつふたに申し付けてください。たとえ手持ちに適当な物が
なくても、貴方のためなら一日で一作書き上げてみせます。

 だから『魔物使い×夢使い 2』の外伝の作成許可をください。土蜘蛛さん
のSSが書きたいです。
 てか、もう書いちゃった。てへ。
 投下しちゃうよ? 早く返事をくれないと、勝手に投下しちゃうよ? うり
うり。
16いつふた:2006/06/09(金) 22:10:09 ID:qx7tgyvj
ゲーム:真・女神転生200X(メガテンX 8本目結の章)
レス数:14+1
 分割:起承転結の結の章。
エロ度:和姦。キス程度。
17メガテンX 8本目結の章 1/14:2006/06/09(金) 22:11:26 ID:qx7tgyvj

 イヨマンテをガミガミ叱るアンクの声をどこか遠くの方で耳にしながら、拳
司は非常につらい沈黙のさなかにあった。
 怒鳴りつけてくれればいいのに。罵倒してくれればいいのに。叩いてくれて
も、殴ってくれたって構わないのに。
 和泉は何も言わずに、ただじっと拳司を見つめているだけなのだ。怒りの表
情も、嫌悪の表情もなく。
 和泉は、拳司からの謝罪の言葉を待っているのかも知れない。ようやくその
ことに思い当たるまでに、彼の主観で数時間が経過していた。勿論、実際には
10分も経っていないのだろうけど。
 とにかく謝ろう。そう思った。
 が、何と言って謝ればいいのかわからなかった。
 悪魔に囚われたこと。その誘惑に乗せられたこと。彼の失態が和泉達の危機
を呼び、ついには一人の少女を殺してしまったこと。
 たまたま彼女は生き返ったが、それとてただの蘇生ではない。大きな犠牲を
彼女に支払わせてのことだ。
 ――ああ、あの子にもあとで謝んなくちゃなぁ……。
 謝ったところで許されることではない。どうやって償うか、それを考えなけ
れば。
 廊下の固定電話でどこかと連絡を取っていたカムドが応接間に戻ってきたと
き、入れ替わりのように、目線で和泉が拳司を廊下へと誘った。
 きっぱりと彼に向ける背中が、拳司には、越すに越せない壁のようにも見え
た。のろのろと重い足取りで彼女のあとを追う。
 廊下。応接間の扉を閉める。玄関に通じているせいか、部屋の中より少しば
かりひんやりしているように感じた。そのまま手近の扉。あけるとダイニング
だ。
 和泉は、電灯を点けようともしない。常夜灯が灯っているから全く見えない
わけではないが、薄暗い室内は、ますます彼の気分を暗く淀ませた。
 沈黙に、とうとう耐えかねて拳司は口火を切った。
「和泉、……」
 いつの間にか、自分が彼女を下の名前で呼び捨てにしていることに気づき、
慌てて信太と言い直す。
「しの……」
 何が起きたのか、咄嗟に把握しきれなかった。
 和泉が、彼の胸に飛び込んできたのだ。ぎゅっと抱きつき、肩を震わせて。
耳に届く声、これは、嗚咽?
「わ……わたし……最低です……」
 涙声、途切れ途切れに彼女は言う。
「イヨちゃんがあんなことに、なのにわたし……っ」
「お、おい、どうしたよ? 何を泣いてるんだ?」
18メガテンX 8本目結の章 2/14:2006/06/09(金) 22:13:00 ID:qx7tgyvj
 おろおろしながら、拳司は彼女の両肩を掴む。自分とは比べものにもならな
いほど、薄くて、細くて、頼りない身体。
「わたしホッとしてるんです! 殺されたのがイヨちゃんだったことに、あな
たじゃなかったことにホッとしてるんです!」
 泣きながら叫ぶ、痛いくらいに、それは悲鳴だ。
「あ、あなたが無事で、生きていてくれて、ホッとしてるんです。イヨちゃん
のことなんて何にも考えられなくて、あなたが帰ってきてくれたことにホッと
してるんです」
 ぼろぼろと、大粒の涙が両頬を伝って落ちる。
「わたし……最低です…………っ!」
「ち、違うだろうっ!?」
 大慌てで拳司は彼女の肩を揺さぶった。
「あの子があんな目に遭ったのは、全部俺のせいじゃねぇか! 何でお前が、
そんな責任を感じることがあるんだよ!?」
「あなたが……いなくなることを考えただけで」
 和泉が再び、拳司に縋りついた。
「あなたがどこかへ行ってしまうって、考えただけで、わたし、怖くて」
 あれは、膝から全身の力が抜けるような喪失感だった。失うことへの恐怖感
だった。戦いのさなか、“運命の少年”をどうしようもないほどただの少女に
してしまったのは、最愛の少年に対する恋情だった。
 ひねくれた言い方をすれば、それは彼に対する執着心であったのかも知れな
い。彼を奪った娘に対する嫉妬心であったのかも知れない。
「失いたくないんです。あなたを失いたくないんです。傍に、ずっと傍にいて
欲しいんです。そんなことしか、考えられないんです……っ」
 俺は、……少年は困惑する。俺は、喜んでいいんだろうか。
 ここまで想われていることを、喜んでいいんだろうか。
 俺みたいに情けない男を、彼女のような人がここまで想ってくれていること
を、ただ素直に喜ぶだけでいいんだろうか。
 そんなわけはねぇ。少年は唇を噛み締める。
 お前にそこまで言わせるほどの価値なんて、俺にはねぇよ。
 今の俺にはねぇよ。
「お前さ、」
 少年は静かに、少女を抱きしめた。
「俺がお前んとこ行ったとき、俺のこと馬鹿って怒鳴ったろ? 何であの子を
置いてきたんだって、怒ったじゃねぇか。お前は全然最低なんかじゃねぇよ。
ちゃんと正しいことを、当たり前のことを考えてる」
 最低なのは俺だ。お前を泣かせて、悲しませている俺だ。
 だけどこのまんまじゃ済ませねぇ。
 死んでもこのまんまでは終わらせねぇ。
19メガテンX 8本目結の章 3/14:2006/06/09(金) 22:14:30 ID:qx7tgyvj
「今日のことは、その、上手く言えねぇけど、御免な。許してくれなんて言わ
ねぇけど、もう少し、俺に時間をくれ。お前が俺のこと想ってくれてるぐらい、
俺も、お前のこと大切にするから。俺以上にお前のことを大切にできる奴はい
ねぇって、胸を張って言えるぐらいの男になるから」
 もっと、もっと。もっともっともっと。
 お前に相応しい男になるまで、俺は。
「ありがとう。俺のこと、好きでいてくれて。本当に、ありがとう」
 ふと、少女の柔らかな視線が、少年の瞳を射抜いた。
「拳司くん……って、呼んでも構いませんか?」
 願ってもない申し出に、少年は力強く頷く。
「拳司くん」
 少女は囁きかける。
「幾らCHARMされてたからって、わたしはああいうこと、絶対に許しませ
んから」
 その台詞が夜魔リリムとの痴情に満ちた交わりを差していると察し、う、と
少年は息を詰まらせた。
「……悪ぃ。弁解の余地もねぇ」
「だからね、もしもまた、あんなことがしたくなったら」
 少女には精一杯の、
「そのときは、わたしと……してください」
 誘惑。
 魔神トールの雷を喰らっても、これほどの衝撃ではないだろう。少年は、理
性も知性も粉々に吹っ飛びながら、かろうじて少女への愛情で人間性を持ちこ
たえた。さもなくば、脇目も振らずにこの場で彼女を押し倒していたはずだ。
「んっ……」
 少女の吐息が、少年の口内に呑まれた。
 彼女の頭と背中を自分に押し付けるように抱いて、少年の、それは狂おしく
も激しい口づけ。呼気を止められ、空気を求めて身動ぐ彼女を何度も捕らえて、
そのたび彼女に深く割り込む。
 離れたくない。手放したくない。少女が彼への熱い想いを口にしたように、
少年も彼女への熱い想いを、その唇で、顕わにした。
 暴力にも似て強烈な口づけに、それでも少女は、懸命に応える。
 絡めあう舌。絡まる唾液。それは物理的には口腔粘膜の接触でしかないが、
けれど今、彼らの心は間違いなくつながっていた。絡み合っていた。
「おい」
 冷静な声がする。
 反射的に振り向けば、視界に入る、あけっぱなしのドア。
「これはどこに置けばいいんだ?」
 宅配ピザの入った紙箱を両手に抱えた桃谷剣也が、二人をジト目で睨んでい
る。
20メガテンX 8本目結の章 4/14:2006/06/09(金) 22:16:03 ID:qx7tgyvj
 マンガみたいなバッド・タイミング。少年少女は抱き合ったまま、暫く呆然
と彼を眺めていたが。
 やがて真っ赤に照れて、ぱ、と互いにその身を離したのだった。

 ダイニングの6人掛けテーブルを5人で囲む。夕食は出前のピザ、インスタ
ントスープ、冷蔵庫に入っていたイチゴの砂糖掛け、それからティーバッグの
紅茶。物の見事な手抜きメニューである。
 身に着けていた制服を下着一式ごと失った伊予は、今は晶が貸し与えた彼の
服を着ていた。長袖のTシャツとトレーナーの重ね着、それからジーパンであ
る。晶は大柄な方ではないが、伊予が小柄な方であるため、サイズにはかなり
の余裕があって、ぶっちゃけぶかぶかだった。袖は長すぎ、肩は落ち、襟ぐり
が下がって、彼女のほっそりした首筋をより細っこくみせている。
「幾ら何でもこんなみっともない格好、伊予ちゃんが可哀相でしょう?」
 和泉が晶を窘めた。
「先に言ってくれたら、わたしの服を出して来たのに」
「済みません、次があったら気をつけます」
 素直に謝ってから、当然のように付け加える。
「でもね、ぼくはただ、暗がりでイチャつくカップルを邪魔したくなかっただ
けなんですけど」
 和泉がボッと赤くなる。あの光景、この従弟にも見られていたのだ。
「それにほら、カノジョに自分の服を着せるってシチュエーション。何と言う
かこう、グッとクるものがありませんか? ねぇ今宮先輩?」
「俺に振るなよっ」
 和泉の視線に怯えながら拳司が大きく身を引いた。
「……下着もおまえのか」
 ボソリと剣也が訊くと、まさか、と晶は首を横に振った。
「サイズ的にどうもね。とりあえず、綿地の短パンで代用しましたが」
 サイズの問題ではないような気もするが、剣也はその点にはツッこまなかっ
た。
「上の下着はどうした」
「上の下着? ああ、ブラジャーのことですか」
 剣也が婉曲に表現した言葉を直截に換言し、晶は誇らしげに断言した。
「大神に侍るガニュメデの如き美少年性を有するイヨに、そんな物は必要ない
のです!」
「……何のこっちゃ?」
 拳司の疑問に剣也が答えた。
「要するに、胸が小さいと言いたいんだろう」
 胸が小さい。聞いて拳司は、思わず伊予の胸と和泉の胸とを目測で比較して
いた。
21メガテンX 8本目結の章 5/14:2006/06/09(金) 22:17:22 ID:qx7tgyvj
 去年の秋、Aカップだと自己申告していた和泉の胸元は、気のせいか、幾分
大きくなったようにも見える。
 一方、伊予の胸元は。
 小さいというより、平たいと言うべきであった。
 晶は心の底から幸せそうに、芝居がかった大袈裟なポーズで力説した。
「小さくてもいいんです! いやむしろ小さいのがいいんです! ねぇ今宮先
輩?」
「だから俺に振るなって言ってんだろうが!」
 貧乳微乳は和泉のNGワードだ、矛先が自分に向く前に、拳司は晶を殴って
おこうかと考えたが。
 がたん。
 音を立てて和泉が立ち上がり、満面の笑顔で、
「晶くん、ちょーっとこっちへ」
 従弟の耳を引っ張って、廊下に連れ出し、ドアを閉める。
「セクハラはいけませんよ」
 諭す声。それと同時に。
 鈍く重い音が聞こえた。
 何事もなかったかのように和泉はダイニングに戻ってきて、席に着き、夕食
を再開。
 廊下に倒れ伏して晶は、身体をくの字に折り曲げ、鳩尾の辺りを押さえて、
のたうち回ることもできずにヒクヒク痙攣していた。
「だっ……大丈夫ですっ……」
 苦しい息の中から、晶が更に何事かほざいた。
「イヨの胸なら、たとえスイカよりデカくたってぼくは愛せますからっ」
 ぐ、と親指を立ててみせる。
 がたん。
 再び音を立てて和泉が立ち上がり、ドアの閉められた廊下の向こう、恐らく
晶は、絶叫一つ上げさせてもらえないほど過酷な折檻を受けている。
 ――可愛くて、よく気がついて、大人しいのに芯が強くて、……。
 拳司の恋人は、“運命の少年”たることを自ら選んだ救世主候補。そして。
 彼氏の前では、多分思いっきりネコ被ってる。
 拳司は、惚れ直す勢いで彼女に恐怖した。
 ところで伊予は、熱いスープをふーふーしながら、先ほどまでの会話が一切
耳に入らないほど一心不乱にこくこく飲んでいた。
 ――おれは、せめてBカップくらいはあって欲しいと思うが。
 少女の胸元にちらりと視線を走らせて、
 ――今後の成長に期待、ってとこだな。
 剣也の心の呟きは、勿論、誰にも届かなかった。
 さて、バカ話はバカ話として、まともな話もしておく必要がある。腹が膨れ
た頃合いに拳司は伊予に向き直り、両手を膝の上に置いて、潔く頭を下げた。
22メガテンX 8本目結の章 6/14:2006/06/09(金) 22:18:54 ID:qx7tgyvj
「済まねぇ、俺のせいで、こんなことになっちまって」
「何が? あ、お手拭き取って欲しいな」
 指先についたピザソースを舐めて、伊予がきょとんと問い返す。彼女に濡れ
布巾を渡してやりながら拳司は言った。
「俺が間抜けだったから、お前、1回死んじまって……」
 あろうことか、人ではないモノとして甦った。
 伊予は平然と応えた。
「別にいーよ、殺されて覚醒して生き返って、って、伊予、これで2回目だも
ん。2度あることは、あと1回くらいあるんじゃないかな」
「あってたまるかっ」
「あってたまりますかっ」
 隣の席の剣也と、廊下側からゾンビのように復活してきた晶とが同時にツッ
コミを入れた。伊予は不服そうに言い返す。
「でもでも、“愚者”から“異能者”でしょ? “異能者”から“覚醒者”で
しょ? だったら次は“覚醒者”から“超人”……って、あれ? 人修羅は次
の覚醒段階って、あれあれ?」
 指折り数えていくうちに混乱する。そういった知識は己のマガタマから得ら
れるはずだが、人修羅初心者の伊予には未知の分野であるらしかった。
「何だかわかんなくなっちゃった。イヨ、あと何回ぐらい殺されられるの?」
 言ってから、殺されられる、という自分自身の言いように、更に混乱して頭
を抱えた。言いたい意味は、「殺されることができる」なのだが、よく考えれ
ば、それもまたメチャクチャな日本語である。
「うー、人修羅って難しいよぅ〜」
「いや難しくないですから。全っ然難しくないですから。てか人修羅になって
そーゆー悩み方をするのって、多分きみぐらいのものですからっ」
 和泉相手だとツッこまれ側の晶が、伊予を相手にツッコミ側に回っている。
「なあ」
 話についていけなくなった拳司は、椅子ごと和泉に近寄って、彼女に尋ねた。
「どうすれば、俺はあの子に許してもらえると思う?」
 許すも許さないも、そもそも伊予は事態を全く気にしていない。が、拳司の
言いたいことはそういうことではない。和泉は小首を傾げて思案し、答えた。
「もう取り返しはつかないんです。何をしたって許されるものではないのかも
知れません」
 返す言葉もなく意気消沈する彼に、くす、と笑って彼女は囁く。
「だからあの子のためにできる精一杯のことを、これから二人で、考えていき
ましょう」

 結局、伊予、拳司、剣也が信太家を辞したのは、夜も9時に近い時刻だった。
剣也のみならず、晶も伊予を送っていくというので、このままでは暫く和泉は
家に一人きりになる。
23メガテンX 8本目結の章 7/14:2006/06/09(金) 22:20:58 ID:qx7tgyvj
「今宮先輩は、ぼくが戻ってくるまでここに残っていた方がいいんじゃないで
すか? さっきのことがありますから、和泉ちゃんを一人にしておくのは無用
心ですよ」
 お言葉に甘えてそうしようか、と考えてから、ハッと気づいて、
「てゆーかお前が残ってりゃそれで済むんじゃねぇか、ここに住んでんだから
よ」
「安心してください、先輩」
 晶は拳司の肩をポンと叩いて、力強く請け負った。
「ぼく、最低でも2時間は戻ってきませんから」
 その手を振り払って拳司は。
 グッと握り返し、
「心の友よ!」
「おまえら、明日学校サボる気か?」
 このやりとりにツッこんだのが剣也一人で、和泉が彼らを全く咎めなかった
のは、彼女が伊予を『まともな服』に着せ替えていたからである。
 和泉は活動的でシンプルな衣服を好むため、中学生の頃、親戚のおばちゃん
からもらったフリフリレースのワンピースがタンスの肥やしとなっていた。サ
イズがちょうどよかったので、イヨちゃんにあげる、と押し付けてしまう。つ
いでに、頭におっきなリボンを飾って、唇にカラーリップを塗って、爪にキラ
キラシールを貼って、と遊び放題に遊んでから、玄関に伊予を連れていった。
「お待たせ〜」
 どうだこの出来栄え! と自慢げに和泉は伊予を少年達の前に押し出した。
 拳司は、興味なさそうにふ〜んと眺めた。
 剣也は、こういう格好も悪くないと頷いた。
 晶は、これではイヨの美少年性を殺してしまう、と悩める芸術家のように苦
悶した。もっとこう、胸元の平べったさを強調するよーに、たとえばチューブ
トップとショートパンツの組み合わせとかっ! どうしてもこういうドレス系
の衣服をというのなら、せめてネコ耳カチューシャとネコ尻尾アクセサリーを
付属品でっ!
 ……とりあえず晶の脳天を殴っておいてから和泉は、もう暫く居残ることに
決めた拳司と共に、伊予、剣也、それからオマケの晶を見送った。
 少年と少女は玄関に戻る。ドアを閉め、誰憚ることなく、そっと交わす口づ
け。
「和泉……」
 ――もしもまた、あんなことがしたくなったら。
 ――そのときは、わたしと……してください。
 今、してぇよ。
 俺は、今すぐしてぇよ。
「拳司くん」
「お、おう」
24メガテンX 8本目結の章 8/14:2006/06/09(金) 22:22:17 ID:qx7tgyvj
「2階に、上がってください」
 彼の想いが通じたか、彼女は自室へと彼を誘う。
 少年の予想以上に、少女の部屋はきちんと片付いていた。彼女が来るからと
前日大急ぎで掃除した彼とは違い、少女は常日頃から整理整頓に気を配ってい
るのだろう。茶色と白とを基調にした温かみのある室内には、学習机、本棚、
パソコン、ミニコンポ、それから……。
 真っ白なカバーに覆われた、ベッド。
 ごくり。自分の喉が生唾を飲み込む音が、耳の底でやけに大きく響いた。
 どか! 部屋の中央に折畳式のテーブル。
 ぽいぽい! その傍に置かれる2つのクッション。
 ばさばさばさ! テーブルの上に英語の教科書、英和辞典、それからルーズ
リーフの束。
「…………へ?」
 何すんだ? と和泉を見返した拳司は、まるきり当然の口調で彼女に促され
た。
「さあ、さくさく予習をしちゃいましょう」
「よしゅう?」
 単語の意味が脳味噌に染みるまで数秒。
「拳司くん、明日はグラマーの例題が当たってるでしょう? たまには、わた
しのノートの丸写しじゃなくて、自力で解いてみるべきですよ」
 全くの正論であった。
「わたしも手伝いますから。ね?」
 ああこの笑顔。この笑顔の前に、彼の欲ボケた獣性など、何の力を持つだろ
う。
 体奥に劣情を抱えたまま、トホホな気分で少年は、少女にあれこれ教わりつ
つも、どうにかこうにか英文法の問題を解いた。

 晶の思惑を余所に、伊予は和泉にもらったワンピースが気に入ったらしい。
信号待ちのたび、スカートの裾が広がるように、身体を左右に回している。
 平凡な、どこにでもいそうな女の子。
 けれど彼女は人修羅で、人間でもなければ悪魔でもない。
 いつか自分のコトワリを啓き、新たな世界を創造するモノ。その目的のため
に、今の世界を打ち壊すモノだ。
「制服以外でスカートなんて、久しぶりだな。ね、人修羅になったら、もう防
具は着けなくていいんだよね?」
 着けなくていい、というよりは着けても意味がないのである。人修羅の肉体
に含有される強大な魔力が内圧として防具に作用し、その防御能力を有名無実
化させてしまうためだ。
「イヨ」
「なーに?」
25メガテンX 8本目結の章 9/14:2006/06/09(金) 22:23:23 ID:qx7tgyvj
 晶がとんでもないことを言い出した。
「スカートを穿くのはいいですけど、スカートの下には何も穿かないでくださ
いね」
「おぱんつも?」
「ああ、そうですね。それも穿かないでいいです」
「いいわけないだろっ」
 剣也はツッコミを入れるしかない。晶は残念そうに、
「パンツは仕方ないとして、」
「『仕方ない』とは何だ」
「スパッツとかショートパンツとかブルマとかはスカート下に穿かないでくだ
さいね。そういうのを穿くときは、是非、スカート無しでお願いします」
「お願いするなっ」
 誰かツッコミ役を変わってくれ、と剣也は内心で嘆いた。
 伊予は小首を傾げた。
「けーぱんもダメなの?」
「ケーパン? 毛糸のパンツ? ならOK!」
「どういう切り分けなんだ」
 剣也には理解不能だったので、理解できる話題に強引に転換する。
「そんなことよりイヨ、きみも人修羅になった以上は、最終的には創世の力を
手に入れることになるんだろうけど」
「うん」
「きみはどういう世界を創りたいんだ?」
「普通の世界」
 即答だった。
「普通の世界?」
 救世主を必要としない創世を望む人修羅にも、ただ一人の少女のための創世
を望む人修羅にも、新たに生まれた人修羅が望む創世の意味は掴みかねた。
「普通の世界って、どんな世界だい?」
「だから普通。善いものも悪いものも、要るものも要らないものも、ぜーんぶ
入ってる普通」
 ぜーんぶ、のところで大きく両腕を広げる。
 まるで世界を、ぜーんぶ受け止めるように。
「要らないものも?」
「どんなものでも、無いよりは在った方がいいよ。だって、イヨには要らなく
たって、他のひとには要るかもしれないでしょ?」
「それは……そうかも知れないけれど」
「普通が一番、刺激的だよ。そうは思わない?」
 少年の姿の人修羅達は、胸を突かれたかのような衝撃を覚えた。
 ――善いものも悪いものも、要るものも要らないものも、ぜーんぶ入ってる
普通。
26メガテンX 8本目結の章10/14:2006/06/09(金) 22:24:43 ID:qx7tgyvj
 理性的なビジョンでもなく、感情的なビジョンでもなく、いっそ投げやりに
も見える、無為自然なビジョン。
 ――普通が一番、刺激的だよ。
 光と闇。混沌と秩序。それらの狭間の、針ほどにも細い中庸の道を、かつて
これほどわかりやすく表現した者を彼らは知らなかった。
「……だったら、今の世界と何にも変わらないんじゃないですか?」
 動揺を押し隠しながら晶が問うと、
「うん、だからね、“運命の少年”か誰かが、偏った変な世界を創っちゃった
ら、そのときはイヨ、世界を壊して創り直すよ」
 少女の姿の人修羅は、再び大きく両腕を広げる。
「この世界を、ぜーんぶ、ね」

 伊予の家は、住宅地に建つ古びたマンションの一室。少年二人は、今夜はド
アの前まで少女を送った。
「ただーいま」
 ドアをあけると、奥から長暖簾を掻き分けて、妖精ジャックフロストのJが
出迎えた。
「おかーえりホ〜。遅かった……ホ?」
 丸く大きな頭を、おやおや? と傾げた。
「イヨちゃん、ホ? ホントにイヨちゃんホ?」
 勘のいい悪魔であった。
「何か違うホ。何が違うホ?」
「これが違うホ〜」
 仲魔の疑問に答えるかたちで、伊予は人修羅イヨマンテの正体を顕わにした。
「ホ〜〜〜〜〜ッ!? イヨちゃんが人修羅になっちゃったホ〜〜〜ッ!」
 魂消る悲鳴。ムンクの『叫び』めいて縦長に伸びる大ショック。
 人修羅アンク、人修羅カムドと、Jは人修羅を散々恐がっていたのだ。人修
羅イヨマンテが例外であるはずもない。仲魔に拒絶されて、イヨマンテは傷つ
き悲しむだろう。それをどうフォローするかが、少年達の課題であった。
 そして妖精は、まるまるした両手でイヨマンテの両手を取り、ぶんぶん上下
に振った。
「可愛さ倍増だホ」
「ありがとー」
 ……取り越し苦労だった。
 剣也と晶は肩透かしを喰らいながらも、内心でホッと胸を撫でおろした。

 イヨマンテにおやすみなさいを告げて、少年二人はマンションをあとにした。
別れ際、晶は少女におやすみのキスをしたがったが、彼を引っ張って、剣也が
外へと引きずり出したのである。
「性急過ぎるぞ。昨日の今日で、それはないだろうが」
27メガテンX 8本目結の章11/14:2006/06/09(金) 22:26:38 ID:qx7tgyvj
「正確には今日の今日ですけどね。折角の両想いだというのに、キスの一つも
しないのは恋人関係としてどうかと思いますが」
「彼女にはまだ早すぎる」
 道端の自動販売機。適当に缶ジュースを購入して、傍目には夜遊びで駄弁っ
ている少年達。
「ひょっとして、きみは本命のカノジョとは清く正しく美しいオツキアイをし
ておいて、溜まった性欲を他の女で鬱憤晴らしするタイプですか?」
「……否定はせんが」
「生憎、ぼくはあの子一筋でしてね。浮気相手に割く時間があったら、あの子
と本気の付き合いをしますよ」
 ――大切なひとと、大切な時間を、大切に過ごすことができるなら。
 ――これ以上の幸せなんて、どこにもないよ。
「軽く調べてみたんですが、あの子は十年ほど前に両親を亡くしています。で、
両親が死んだ経緯というのが……先ほどあの子が話していたでしょう、以前に
も殺されて覚醒して生き返った経験があると」
「ああ。悪魔にでも襲われたのか?」
「あの子を殺したのは、あの子の実の両親です」
 剣也は押し黙った。
「あの子は目覚めたばかりの能力で、咄嗟に自分の身を護った。即ち、あの子
が召喚した悪魔が、あの子の両親を殺した。……その頃から、あの子の召喚具
はクレヨンだったそうです。“式神使い”としては、異端の能力ですよ」
 クズノハが手がけた事件でしてね、まず間違いはありません。と晶は補足し
た。
 施設に預けられたその子は、クズノハが引き取り、サマナーとして正式な訓
練を受けさせるはずだった。だが、他の事件との兼ね合いでクズノハが後手に
回ってしまい、子供は全然無関係の家庭に引き取られ、そのあと、たらい回し
のように引き取り手が変わって、やがて、行方がわからなくなった。今、こう
して姿を現したところを見ると、どこかで悪魔が連れ去ったのに違いない。
「何故、悪魔が彼女を?」
「さてね、そこまでは。何かに利用するつもりなのか、利用したあとなのか。
でもまあ、ちゃんと愛されて育ったのには違いないでしょう。今のあの子の様
子を見る限りでは」
 ふと、剣也は己の両親を思った。二人も息子を“亡くした”父と母とを。人
間でさえなくなった家出息子を、高校に通わせる親心を。
 晶は言を継いだ。
「これほどまでに凄絶な人生を送ってきた彼女を、ぼくたちはこれから護って
いこうというんですよ。護って、その上で幸せにしようというんです。それが
どんなに大変なことか、きみにだってわかるでしょう?」
 悪魔のような家族を殺し、家族のような悪魔と育ち、仲魔と戯れ、異界での
冒険を好み、“運命の少年”を巡るトラブルに自ら首を突っ込んでくる。
28メガテンX 8本目結の章12/14:2006/06/09(金) 22:27:52 ID:qx7tgyvj
 一筋縄では、いかない彼女。
「あの子のためになるのなら、どんなことでもぼくは躊躇わない」
 少年の手の中で、空き缶が紙コップのように潰れた。
「それはもう、あの子を介してきみと穴兄弟になるのも辞さない覚悟です」
「いきなり何なんだっ!?」
 思わず剣也は声を荒げてツッコミ。晶はアハハとお軽く笑った。
「いやぁ、きみの顔があんまり深刻だったんで、つい」
「深刻にもなるだろうが、そんな話を聞かされれば!」
「もっと深刻な話がありますよ。あの子がぼくたち二人を一遍に恋人と認めた
こと。あれは前世の因縁があるからだ、と思いますか?」
「……違うのか?」
「多分それもあるのでしょうが、あの子は妖精系の悪魔に育てられているよう
でしてね」
 彼女が持っていたアセイミィナイフ。妖精郷に何か関係があるのかも知れな
い。だとすればマガタマ“ヒフミ”の手がかりが……と剣也の思考が逸れたと
き。
 晶は続けざまに言った。
「妖精といえば多情な連中。あまつさえあの子は八方美人の天秤座。細かいこ
とを気にしないO型。しかも悪魔をナンパして仲魔にするサマナー。『友達百
人できるかな♪』ってなノリで『恋人百人』を目指しても不思議はない」
 わー、なんかありそうでヤだなー、とジト汗を垂らして剣也は思い、それか
ら慌てて、ンなわけあるかっ、と思い直した。
「てかおまえ、何でそこまで彼女の個人情報に詳しいんだ」
「そんなことはどうでもいいでしょう」
 さらっと流して、
「あの子の幸せのため、そしてぼくたちの幸せのために、二人であの子をがっ
ちりガードしていきましょう! 手始めに明日の朝、登校前にあの子を家まで
迎えに行って、」
 そこまではよかったのだが。
「早速、おはようのキスなどを」
「彼女にはまだ早いと言っているだろうがっ!」
 剣也の繰り出した顔面ストレートは、晶に易々とかわされた。
「あの子が傍にいるわけでもないのに、きみとどつき漫才をする気はありませ
んよ」
 不意に晶が拳を固めて、
「それから、これは夕食前に一発、頭を殴ってくれたお返しです」
 斜め下からの一撃が、剣也の顎に飛んだ。

 新緑が目に染みる桜並木を見下ろして、焦茶色の店構え、坂の上のオープン
カフェ。
29メガテンX 8本目結の章13/14:2006/06/09(金) 22:29:11 ID:qx7tgyvj
 白いテーブルに2脚の椅子。向かい合う男と女。
 運ばれてきたコーヒー。女はブラックで飲み、男は口もつけない。
 よそよそしく、二人の距離は赤の他人並み。まるでたまたま相席をしただけ
のよう。
 立ち昇る湯気が少し薄くなった頃、女は言った。
「どう責任を取るつもり?」
 男は質問を返した。
「何の責任だ?」
 女は、コーヒーを冷ますふりをしてカップの中に溜息をついた。
「貴方の選択が、どういう結末につながったか。ちゃんとわかっているの?」
 男は応えない。
 彼の表情、微妙なそれを、彼女は目敏く読み取った。
「何があったの?」
「何が、とは?」
「いやに嬉しそうだわ」
「そう見えるか」
 男が、ようやくコーヒーを口にした。そして言う。
「どういう心境の変化か知らんが、剣也の奴が……あいつの弟が、家に戻った
そうだ。夕べ、親父さんが電話で報せてくれた。親父さんは、俺が説得して剣
也を連れ戻してくれたと思い込んでいるようだったが」
「それで?」
「俺の選択は、間違っちゃいなかったということさ」
 女は、隠しもせずに溜息をついた。
「そのために、女の子が一人、犠牲になったわ」
 男は繰り返した。
「俺の選択は、間違っちゃいない」
「……そう、ね。間違っちゃいないわね」
 女は無意味にカップの中身を掻き回す。
「宿命よね。彼女が人ではなくなったのも」
「そうかも知れん」
「宿命よ。彼女が覚醒に近づいたのも」
 男は訝しそうに問うた。
「彼女、とは?」
「だから人修羅になった女の子よ。あの子も悪魔の転生体なの」
「そんな情報、俺の耳には入っていない」
「街の噂じゃないわ。魔界の噂よ」
 女は、しかし、ふと微笑んでみせた。
「あの子は最も始末に悪い魔物よ。伝説にいわく、かの有名なパンドラの箱に
封じられていた魔物のひとり」
「だったら、何故お前はそうして笑っている?」
30メガテンX 8本目結の章14/14:2006/06/09(金) 22:30:40 ID:qx7tgyvj
「最も始末に悪く、けれど最もか弱い魔物だから。あの子はひとりじゃ生きて
いけない。他の誰かの傍にいて、初めて意味をなす魔物なの」
「つまり、……どういうことなんだ?」
 女はコーヒーを飲んだ。彼女がコーヒーを飲み干すまで、男は辛抱強く待っ
た。
 やがて女は語り始める。
「あの子がいるせいで、人も悪魔も、自ら苦しみの中に生きる。あの子がいな
ければ死んで楽にもなれるのに、誰もがあの子を手放したがらない。現世では
男の子が二人、あの子の魅力に取り憑かれているようだわね。それとも魔力、
かしら?」
「だからどういうことなんだ」
 “私立探偵”に急かされ、
「あの子の正体はね」
 “ウィザード”は答えた。
「“希望”よ。パンドラの箱の底の底、その弱さのゆえ人間の手元に残った、
最悪の災厄」
 誰もが希望を胸に抱く。己の世界を得るために。たとえば“運命の少年”に
よる救世。たとえばコトワリを啓いての創世。だが、仮に誰かが希望を叶えて
しまえば、他の誰かは絶望に陥り、あらゆる希望が意味を失う。
 ――だからね、“運命の少年”か誰かが、偏った変な世界を創っちゃったら、
そのときはイヨ、世界を壊して創り直すよ。この世界を、ぜーんぶ、ね。
 “希望”は世界のリセット・ボタン。始まり、続き、終わって、始める。世
界の輪廻。世界の転生。終わらない希望の物語。裏を返せば繰り返される絶望。
それすらも多分、光と闇と秩序と混沌と、それらの狭間に僅かに通じる、一本
の細い細い中庸の、“道”。
「……なんて、ね」
 女が茶目っ気たっぷりに片目をつむってみせた。
 常にない彼女の陽気さに、男が気おされ、珍しがる。
「おいおい、冗談なのか? お前こそ、何かあったんじゃないのか?」
「別に」
 女は桜並木を遠く眺めた。
「ただ、そんなお話もあったっていいんじゃないかなって、そう思っただけ」
 風はもう、初夏の香りを含んで。
 少年達が、少女達が、若葉の下を歩いていく。
 どこを目指すか、どこへ着くのか、それも彼らの希望のままに。
31メガテンX 8本目:2006/06/09(金) 22:32:05 ID:qx7tgyvj
 ・・・・・おしまい。

 以上、たまには男が強姦されろ、というお話でした。
 それにしても、どんどんカムドが壊れてくなぁ。どんどんアンクが喰われて
くなぁ。どーした主人公。影が薄いぞ主人公。しかもこのシリーズ、いつふた
の頭ン中では『イヨちゃんシリーズ』と命名済み。だから誰が主人公なのかと。

 あと、>前スレ403にて「でもきっとこの子、ナチュラルに悪女」と言われた
とき、心底ギョッとした、てのは内緒。


―――チラ裏
 ネーミング解説。相変わらずの某死霊課センス。てか某死霊課のネーミング
センスって要するにいつふたのネーミングセンスではないかと絶望に打ちひし
がれてみる今日この頃。

 信太和泉(運命の少年):葛の葉の親戚だから、信太と和泉はデフォかと。
 阿倍野晶(デビルアームズ→カムド):葛の葉の親戚だから、阿倍野は以下
省略。晶は魔晶剣の晶。
 今宮拳司(妖獣拳士):今宮は阿倍野駅の近くで語呂がいい駅名を探した結
果。拳司は拳士の同音。
 桃谷剣也(剣士→アンク):桃谷は阿倍野駅の近くで以下同文。剣也は剣士
だから「剣やー」ゆーて。
 D(ピクシー→中略→ルサールカ):デビルのD。って作中に明示。
 J(ジャックフロスト):ジャックフロストの頭文字。
 玉造伊予(式神使い→イヨマンテ):玉造はマガタマ(勾玉)に引っかけて、
桃谷、今宮と同じ路線にある駅名から。イヨはどっかの耳から怪光線なウサギ、
ではない。言うまでもなくイヨマンテのイヨちゃんである。ちなみにうちの旦
那のお里が伊予。

 作中では書いてないが私立探偵の名字は関目、ウィザードの名字は高殿とい
う設定。いや別に、千林と大宮、太子橋と今市でもいいけど。意味のわからん
人はスケジュール手帳あたりを広げて大阪の地下鉄路線図を見たまい。紫色の
線のとこ。
 そのうち野江内代さんという名前を【出さんでええ】
 没ったエピソードにはブラウニーの茶々、キキーモラのモーラ婆ちゃんいう
のもおった。
32名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 23:19:37 ID:1wcrjx35
>31
い〜よ〜い〜よ〜平面い〜よ〜

ところで駅名シリーズ、喜連瓜破は?(右から読む)
33名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 18:22:32 ID:0Um9fGDM
>13
GJ
あまーい
34名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 04:00:01 ID:2/1amYrq
例のアレ目当てにサンクリ行く奴何人いるんだ?
俺は地方だから・・・あーあ
35名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 05:58:33 ID:ekxvn3FS
>>15
 一日で書き上げられると言えるその速度が憎いのです。
 ちくしょう意地でも頼むもんか! こ、小ネタくらい自分で仕上げてやるっ。
 そんな戯言はともかく、とっとと応答しやがれという事なので外伝の作成許可なんてのに関して。
 俺の書いたのが創作意欲の薪になるというのなら、こんな喜ばしい事はありません。遠慮なくがんがん書いてしまってくださ
い。がんがん。むしろどんな話になっているのか楽しみで仕方がありません。

 そして一緒にメガテンX8本目の感想。
 くっ、この和泉拳司組の展開はこちらでだったか! 勇み足を踏んだぜ! と思ったら肩透かしをくらった俺。焦らし上手め。
 あと元兄、壊れすぎ。いい具合過ぎ。当初は伊予と剣也の仲を応援していたはずなのに、いつの間にか兄派の俺。いい生き様
だ貴様。或いは転生して吹っ切れたのか。
 伊予。めっちゃニュートラルルートだな。そしてやはり悪女だったのだな。
 …ガニュメデの如き美少年性か。平面か。あ、なんだそのヘンなひとを見るような目は!?
 さて、俺もちゃきちゃき書かねェと。
36いつふた:2006/06/11(日) 11:02:58 ID:8wP+1H/i
ゲーム:ナイトウィザード(使い×使い2外伝)
 形式:小説形式(三人称)。
レス数:6+1
 分割:なし。
エロ度:強姦。挿入無し。女性同士注意。
連続性:『魔物使い×夢使い 2』外伝。
 時節:本編に準じる。
 終幕:同上。
37使い×使い2外伝 1/6:2006/06/11(日) 11:04:32 ID:8wP+1H/i
◇蜘蛛

 彼女は蜘蛛だった。
 ただの、小さな、蜘蛛だった。
 その日その日を淡々と、懸命に生きている蜘蛛だった。
 あるとき、一人の人間が、彼女の巣を壊し、彼女を地に叩き付け、彼女を踏
み潰した。
 それは無慈悲な戯れ。生きていくために、ではない。単なる、気紛れの、暇
つぶし。
 こうして、彼女は命を落とした。
 あんなにも一生懸命生きてきたのに、至極簡単に命を落とした。
 哀れな小さい蜘蛛だった。

 悲しげな呟き声。
「可哀相に」
 彼女の亡骸を、そっとすくいあげた掌。
「もっと生きていたかったでしょうに」
 優しく彼女を撫でる指。
「……いいえ、貴方には、まだまだ生きる権利があるわ」
 大慈大悲の微笑み。
「行きましょう、私達の世界へ。生きましょう、私達と共に」
 血臭。腐臭。涌きあがる無数の蛆。飛びまわる数多の蝿。

 侵魔――土蜘蛛。
 ウィザードならば、今の彼女をそう呼んだだろうか。
 強く気高く苛烈なる、美しくも恐ろしい蝿の女王に、『新たな命』を与えら
れ。
 最初に喰ったのは、彼女を殺した人間だった。
 襲う。引き裂く。啜る。喰らう。
 プラーナ。それは侵魔の糧たる人間どもの生命力。
 恐怖と絶望、最期の最期に、極限まで高まる生命力の、なんと美しく、なん
と輝かしく、なんと美味しいことか。
 彼女は咆哮をあげる。
 狂喜の咆哮をあげる。

 だが、彼女は無益な殺生を好まなかった。
 戯れに、意味もなく、命を奪うなど、考えただけでもゾッとした。
 彼女は被害者だったから。
 彼女も辛い目に遭ったから。
 だから、生きていくために。
38使い×使い2外伝 2/6:2006/06/11(日) 11:06:04 ID:8wP+1H/i
 彼女が生きていくためだけに。
 人間を襲った。人間を引き裂いた。人間を啜った。人間を喰らった。
 その恐ろしげな姿をわざと見せつけ、一気に殺さずじわじわと痛めつけ、正
気と狂気の狭間で、限界の限界に追い詰め。
 極限に達し、壊れる間際の人間から、彼女はプラーナを搾り取った。
 そうすれば、一人の人間から得られるプラーナの、質も量も、各段に高まる。
 二人を即死させて得られるプラーナと、一人を嬲って得られるプラーナと、
その総量が同じなら、奪う命が少ない方がいいではないか。
 当然、獲物となった人間は、死ぬより苦しい地獄の責め苦を、死ぬまで味わ
うことになるけれど、それは仕方のないことだろう。弱肉強食。捕まった当人
が不運だったのだ。
 運が悪い。それは弱いということ。
 かつて彼女が、『運悪く』、人間に殺されてしまったように。

 人間に与えるべき、恐怖、絶望、無力感。生かさず殺さず、絶妙の匙加減で
マイナスの感情を煽る。
 一つでも、奪う命を少なくするため。一人の人間から、高質多量のプラーナ
を得るべく。
 彼女は努力した。懸命に努力した。
 だが、それはとても難しいことだった。
 手緩すぎてはプラーナは、人間が長生きする分、量はあっても質が上がらな
い。
 激しすぎてはプラーナは、人間がすぐに死ぬ分、質は高くとも量が得られな
い。
 強いマイナスの感情は、多くの場合、人間を無抵抗にしたけれど、意思の力
か本能か、暴れて手がつけられなくなる者も、少なからずいた。
 侵魔とは比べ物にならぬほどか弱い人間の身、とはいえ、文字通り必死の抵
抗は、彼女を疲れさせ、彼女の身体に傷をつけることもしばしば。
 疲れを癒し、傷を治すためには、その分だけ余計にプラーナを得なければな
らない。
 結果、彼女が生きていくために、多くの命を絶たなければならなくなる。

 やがて彼女は思考に至る。
 苦痛に抗いきれる人間はいても。
 快楽に耐えきれる人間はいない。

 中学校。高校。――少年少女の集まるところ。
 少年。少女。――性に貪欲な命。
 彼女は学校に巣を張った。
 生徒の一人や二人。
39使い×使い2外伝 3/6:2006/06/11(日) 11:07:39 ID:8wP+1H/i
 こっそりさらって喰ったところで、取り立てて大きな騒ぎにはならなかった。
 不安定な年頃。家出でもしたのだろう、……と、勝手に解釈してくれた。
 プラーナを奪い尽くしてしまえば、彼らの存在自体、世界から抹消される。
 実際、彼女はとても上手くやっていたのだ。
 遅まきながらウィザードどもが、彼女の気配に気づく頃には、彼女は次の学
校へと狩場を移しているのだから。

 夕刻。
 窓辺の赤い光。
 床板をきしませて歩く、廊下の薄暗さ。
 制服姿の少女は、校則違反の腕時計にちらりと目を落として、急がなくちゃ、
と足を速めた。
 夕焼けの赤さが、ふと、目を射す。
 少女は顔を上げた。
 窓の外。今日の夕日は、なんて赤く、なんて大きいのだろう。
 こわいほどに。
「……って、え? あれ……?」
 街のかたち。黒々とシルエット。太陽ならば、その背後。
 夕焼け空に、煌々と三日月。
 では、あれは一体?
 あの赤い、大きな天体は、一体?
 ……するり。
 天井から少女の首もとへ。
 情愛にも似たなめらかな動きで、少女を掻きいだく真っ白な繊手。

 そこは教室に似た空間。
 現実の教室に折り重なった空間。
 侵魔が創り上げた、月匣の一室。
 扉はある。廊下へ続く扉。
 窓もある。廊下側の壁にも、中庭側の壁にも。
 けれどもそれらを、銀色に粘つく丈夫な糸が、まるで目張りのように固めて
いて。
 きっとあかない。あけられない。たとえどんなに力を込めても。
 バリケードのように、無秩序に積み上げられた机の山。椅子と一体型で、今
にも崩れて落ちてきそうだ。そしてそれらにも、粘着質の糸が複雑に絡んで、
奇怪なオブジェを形づくっている。
 少女は、割れた繭のような、厚いハンモックのような、船型の虚の中に全裸
で横たえられていた。
「……殺さないで……」
 少女は哀願する。
40使い×使い2外伝 4/6:2006/06/11(日) 11:09:34 ID:8wP+1H/i
「殺さないで、お願い……何でも、するから…………っ」
 侵魔は満足げに頷き、少女に向けて自分の手を差し出す。
 ねっとりと、緑色透明の粘液――毒の八手。
 少女は意向を伺うように、侵魔の顔を見上げる。目線で命じられて、少女は
おずおず、侵魔の指先に舌を伸ばす。チロリ。舐めあげる。
「ん……ん、ん…………」
 最初は、嫌々ながらであった。強請されて仕方なく、であった。
「……は……はぁ……っ…………ぁ、……ふ、…………ぅ」
 やがて息が荒れ始める。もっと舐めたいと、もっと舐めていたいと、少女自
身が望み始める。
 毒の効果と、…………口唇奉仕の淫靡な刺激と。
 べっとり、少女の口の周りに緑色の粘液。
 濡れて光って、上目遣いに侵魔を見詰める少女の瞳。
「……欲しいのかい?」
 侵魔は囁く。静かに。辱めの言葉を。少女の頬が赤く上気する。
「どうしたんだい? 言わなければわからないよ?」
 少女は視線を逸らす。逸らしきれずに、ちらちらと侵魔を眺めやる。
「欲しいのだろう? 私が欲しいのだろう? 身体の奥が濡れているのではな
いかい? 疼いて疼いて、たまらないのではないかい?」
 言葉責め。羞恥に悶える少女のプラーナは、ピンク色に染めたわたあめみた
いに、可愛らしくて、美味そうだ。
「正直にお言い、さあ……私に、どうして欲しいんだい?」
 すい、と軽く首筋に触れてやる。それだけで少女はビクンと跳ねる。昂ぶる。
 少女はまぶたを閉じた。侵魔に自分を差し出した。
「キス…………して、ください」
 にんまり笑って、美麗な唇。重ねる、少女の可憐な唇。
 自身の毒を舐め取る動き。苦い。辛い。熱い。冷たい。
 甘い。
 肉欲の虜、二人。淫らに鋭敏に、身体中が性の感覚器官。
 一人は侵魔が化けた白皙の美女。完成された女のたおやかな裸身。
 一人は平凡な人間の少女。成長途上の危うい身体が、未熟ななりにも蕩ける
ようなエロスを秘めて。
 絡まりあう肌に、緑の粘液。ぬるぬると、それは官能を高めあう艶かしさ。
「死ぬわけではないのさ」
 侵魔は言った。愛おしさすら込めて。
「お前は、この私と共に生きるのだからねぇ」
 だがその台詞を理解するだけの理性を、少女はもう、残してはいない。

 何時間。いや、何日。
 少女は侵魔に奉仕していただろう。
41使い×使い2外伝 5/6:2006/06/11(日) 11:12:27 ID:8wP+1H/i
 どれだけ喘いだことか。何度叫んだことか。声がかすれて、嗄れるほどまで。
 今や少女は自ら侵魔の下で、腰をくねらせていた。尻を振りたてていた。快
楽を求めて。ただただ快楽を求めて。更に強い快楽を求めて。
 自分に快楽を与えてくれる者――侵魔の女に、身も心も、生も、性も、あり
とあらゆる彼女の全てを、ゆだねて、譲って、預けきって。
 胸の幼い膨らみを、己の掌で掴み、揉みしだき、その尖端を捻る。
 淡い茂みに宿る露。花弁を掻き分け、花芽を弄る。
 命の限りにプラーナを燃やし、侵魔の女に捧げて、尽くして。
 そうして、…………最後の、最期の、絶頂を迎えた。
「ああああーっ!」
 最高の、遥か高みの果ての果て。
 少女の死に顔は、とろとろの至福に満ちていた。
 苦しむ、どころか。
 歓喜に満ちて、少女は逝った。

 侵魔は――彼女は。
 殺した少女の身体を、そっと抱き寄せた。
 蒼褪めた唇に、優しくキスを落とした。
 喰う者と喰われる者の、一瞬の交錯。
 その様子は、まるで慈愛の天使の黙祷。
 餌に対する、捕食者の、それは哀惜、であるのかも知れなかった。

 そうして幾つの学校を巡り、何人の少年少女を貪り喰っただろう。

 『運悪く』。
 彼女は狩場を移す直前、その一瞬の油断をつかれて、ウィザードからの攻撃
を受けた。
 致命的なまでに深い手傷を負い、ようよう逃げ込んだ新しい学校。急場凌ぎ
の月匣を形成し、手当たり次第に3人、貪り喰らった。
 済まないねぇ。彼女は獲物たちに謝った。こんなふうに殺すつもりなんてな
かったのだよ。本当は。
 勿論、そんな悔悟、……獲物とされた少年少女には、何の慰めにもならない
ことではあったが。
 とりあえず瀕死の状態からは脱したものの、3人分のプラーナを吸い上げて
なお、彼女の傷は癒えきらなかった。仕方なく、彼女は更に2人をさらった。
 急がなければ。彼女は焦る。
 このままでは、先日のウィザードに追いつかれてしまう。奴は強い。強すぎ
る。この2人を吸い尽くしても全快とまではいかないだろうが、場所を移すこ
とならできるはずだ。
42使い×使い2外伝 6/6:2006/06/11(日) 11:13:37 ID:8wP+1H/i

 『運悪く』。
 その学校には、既にウィザードがいた。
 二人も。

 彼女は敗れた。
 弱肉強食。彼女は生存競争に負けたのだ。
 痛みは、もはやなかった。苦しさも。
 むしろ、生きようと足掻く必死さから開放されて、清々しい心持ちでさえあっ
た。
 ああ。終わったのだ。
 終わったのだ。
 ――死ぬわけではないのさ。
 かつて彼女はこう言った。
 ――お前は、この私と共に生きるのだからねぇ。
 でも、それも、ここで、おしまい。
 ――済まないねぇ。
 彼女は、誰とも知れぬ相手に詫びる。
 ――お前たちの命、……そう永く、生かしてあげられなくて。

 侵魔としての彼女は、世界結界にはじかれて、異界へと還った。
 蜘蛛としての彼女は、まだそこに転がっていた。
 コロンと小さな、彼女の残骸。
 明日にでも、誰か掃除当番が、紙くずや土埃と共に箒で掃き集め、無造作に
ゴミ箱へと捨てるのだろう。
 薄汚れた床。
 今はまだ、彼女はそこに転がっていて、教室の中で痴態を繰り広げる女ウィ
ザーども二人を死者の目で眺めている。
43使い×使い2外伝:2006/06/11(日) 11:16:22 ID:8wP+1H/i
 ・・・・・おしまい。

 以上、スレ埋め補助用に何か短いSSを、と思ったことから書き始めたお話
でした。でも現時点で前スレ488KBだし、埋め企画が進行しているようだ
から、こちらに落としておきます。

>>35
 いつもいつも軒をお借りして済みません。でも安心してください、流石に母
屋まで乗っ取りはしませんから。多分。て多分かよ。
 で、まさか、……この蜘蛛さんにも裏設定があるとか、そーゆー話は……な
いですよね? ね、ね?

 それにしても、こんなに早くレスがもらえるとわかっていたら、今朝はもっ
と早起きしたのに。
 ……って無理か、夕べは真夜中過ぎまで旦那と【別板に引きずられていく】

―――チラ裏
 一日一作SS、というのは我ながら流石に吹きすぎ。このお話も執筆開始か
ら完成までに2日掛かっているし。投稿前の最終校正も含めれば3日。ちなみ
に着想時は、先生が大怪我して気絶してから、次に目が覚めるまでに、夢使い
ちゃんが土蜘蛛さんに何をされていたか、というお話だった。
44名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 09:51:28 ID:2ROxrgmq
グッジョーッ
45名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 13:33:59 ID:kZEc/GYT
ラジオ更新…
なぜベルがいない!?と思った俺は、ここに毒されてますか?
46名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 13:38:02 ID:lllM3QqK
>45
逆に考えるんだ。本編で絡みまくりだから安易な争奪戦に出場する必要はないと考えるんだ。
47名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 01:35:09 ID:IhnzJpN3
>センセ×夢使いの人
1乙。そして相変わらずラブいなコンチクショウ。
夢使いはNWサンプルでイの一番に萌えたキャラだけに、神々しく見えやがります。

>いつふたの人
相変わらずの投稿ペースもさることながら、マガタマと初代の設定を上手く活用しますな。
イヨと和泉のダブルヒロインは強い女の子ってぇ感じで色々勉強になります。
3、積みっぱなしだなー。久しぶりにやろっかなー。

ところで夢見る人形の続きをワクテカと待っている俺。
それはそうと、ようやっと幾分まとまったので続きを投下。短くてスマソ。
48渇きの主妄想:2006/06/15(木) 01:36:34 ID:IhnzJpN3
 二週間ほど遡った、夜のこと――

「はぁ……ふぅ……」
 薄明かりの中で細い背中が揺れるのを、少年は見つめていた。
 控えめな喘ぎに耳をくすぐられながら、四つんばいになった少女を責めていた。
 肉付きの薄い尻を掴んで腰を打ち付けるたび、「ぁっ」と短い息が漏れる。
 疵一つない真っ白な首が、しきりに仰け反る様がいやらしい。
 薄く汗の浮いた背に、長いブラウンの髪が幾筋か、ほつれて張り付いている。
 彼女が光を纏うとき、その髪が静電気を帯びてふわりと広がる光景を、少年は見知っている。ブラウンの髪が
彼女自身の放つ燐光でプラチナブロンドに染まり、緩やかに宙をたゆたう様は鳥の翼に似ている。
 フラッシュバックのように脳裏に閃く光景と、それを組み敷いている現実のギャップが行為を加熱させる。
 乱暴に突き込まれる肉を、柔い秘肉が受け止めてひしゃげた。しきりに往復する、薄膜越しの濡れた感触。
 色白の少女の肌は薄桃色に上気し、それ以上に白い少年の体は紅潮というより血液の色を透かした風になって
しきりに蠢いている。巨大な白蛇が生け贄を貪るような一種倒錯した幻灯の中、卑猥な音と少女の吐息が響く。
「はぁ……ぅっ……!」
 ふる、ふる、と震えながら体を強張らせ、少女は絞り出すように低い嬌声を上げた。
 強張った媚肉に尚も数度突き込んで、少年は頂きの快美を貪った。
 避妊具を被せたモノを引き抜いて、少年はうつ伏せにくずおれた少女を無理矢理ひっくり返す。
 小作りな面立ちを仄かに紅潮させて、ぼぅっと宙を見つめている。
 覆い被さって唇を軽く重ねると、彼女は少しだけ目元を緩めた。

 チルドレン、とはUGNが“ホーム”と呼称される施設で養育したレネゲイド発症者のことであるが、その実
態は諜報員ないし実験体の養成に他ならない。そのことに異を唱えるものも少なくはないが、レネゲイドが関連
する一切合切において法的な主導権はUGNが掌握しているわけであり、少なくとも表立って弾劾されたことは
今のところない。また、UGNスタッフを始め非正規協力者に至るまでの関係者筋は、概ねがチルドレンの有用
性と必要性を理解しており……結局のところ、“こちら側”でもなし崩し的にその存在は受け入れられていた。
 実験も兼ねて最新理論に基づいた能力訓練を施され、数々の医療処置で体質調整を計られ、望まれる専門分野
において決して表沙汰にはできない類の技能の修得に明け暮れる彼らは、要するに存在そのものが機密事項の塊
に等しい。
 しかし意外と言えば意外なことに、男女交際は特段禁じられていない。
 無論、最低限の節度を遵守することは求められる。避妊は絶対厳守で、結婚にも審査と許可がいるらしい。と
はいえ、今のところチルドレンの入籍というのはないらしいが……まあ、もう数年もすれば分かるまいし。
 この点は妙にサポートが充実しているそうで、申告すれば各種避妊具や医薬品も支給して貰えるとか。
(巨大なお世話だこの野郎)
 行為の後始末を済ませると、少年は少女を抱えるようにして、狭いベッドで寄り添い合った。
 少女の部屋は小綺麗で、必要最低限の家具しかない。掃除を欠かしていないのだろう。どこもかしこも清潔で、
今し方ベッドに染みついた汗の臭いさえやんわりと受け止めてしまうようだった。
 UGNチルドレン――登録名“白き閃光”は、少年の左腕を枕に目を細めている。
 互いの素肌がくすぐったかった。
「お前、普段から体温高いよな」
 ぽつりと少年が言う。腕の中の熱さは、秋夜の冷えには心地良かったが。
49渇きの主妄想:2006/06/15(木) 01:37:18 ID:IhnzJpN3
「……基礎代謝が高いから」
 ふわふわした寝惚け声で、彼女が答えた。
「あン?」
「発電細胞の維持。安静状態でも、同体型の普通人より消費カロリーが高い」
「ふゥン……なんか電気毛布みたいだな、お前」
「……?」
 “ホーム”に電気毛布はなかったとみえて、この図抜けた世間知らずは訝しげに小首を傾げた。説明をしたら
したで、今度は「電熱線の発熱とは原理が違う」などと細かいことを口走り始めたので、キスで口を塞いだ。
 “白き閃光”は顔を僅か赤らめて、瞬きを数度。抗議するように、俯き気味に少年を睨む。
「……いきなりは、やめて欲しい」
「慣れろよ、いい加減」
「……」
 付き合って二ヶ月になるが、相変わらず免疫がないらしい。
 寝床を共にした回数はそろそろ両手の指に余るものの、行為そのものもまだ苦手なようだった。
「……わァった、悪かったよ。だから睨むなって」
「……ウン」
 肯いて、彼女はそっと腕枕に手を添えた。それくらいの触れ合いが彼女には丁度良いのだろう。抱いている時
は強張っていた体が、くつろいで弛緩していた。
 ボゥっと呆けた少女の両眼はとろとろと重そうになっていって、ほどなく寝息が聞こえてきた。
 そう言えば、甘ったるい睦言を交わした覚えもないな、と少年は思う。
 お互いそういうのが得意なたちではないから、それはそれで構わないのだが。
 呑気な寝顔が乗っかった左腕の血流を確保しておいて、彼女が起きないようにそっと頭を抱き寄せた。
 一応合意の上の筈なのだが、まるで子供を騙してベッドに引きずり込んでいるようでいたたまれない。
 手を繋いで一緒に寝るくらいで、この少女にとって男女交際は必要十分なのだ。
 しかし……
「俺にゃ足りねぇンだぞ、コンチクショウ」
50渇きの主妄想:2006/06/15(木) 01:40:09 ID:IhnzJpN3
……今夜はここまで。お粗末。
51名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 05:28:12 ID:oT97wz5b
 魔物使い×夢使いの続きをおいていこうかと思ったら、先を越されてたので一先ず待機だ。感想とかだけ置いていきます。

 サンクリ。いよいよ今週ですが、実は日曜休みじゃなかったりする俺。赴いたひとびとの報告を期待して待つ。
 あと俺は強化氏と保管庫管理人氏の出会い(そしてキックオフ)をそこはかとなく後押しするものです。頑張れ。ファイト。

>>36
 むう、綺麗にまとめられた。まず思った事。最初から母屋を貸しておけば、庇くらいは残るかもしれない。
 土蜘蛛には何の設定もありゃしませんのでご心配なく。むしろこういう設定だったのか、というかこういう設定ならこの辺り
でこう色々もうちょっと出来たな、とか思ってしまうのが俺の話の長くなる要因か。
 39の「夕刻。」から始まる拉致部分の一連のくだりがすげぇ好きです。俺も月匣展開シーンを気張ってかけばよかったと思っ
たくらい。すっと手が伸びてくる情景とか、映像としてぱっと浮かぶものなぁ。
 あと意地になってネタと死体とを拾いました。
 …ふと気付いたが先生生徒にとっちゃ、このエミュレイターが結びの神って事になるのか。

>>48
>子供を騙してベッドに引きずり込んでいるようで
 正しくそんな感じの物知らず具合。そして生真面目具合。とても真っ直ぐそうな閃光が、とても可愛らしいと思いました。
 疾風、こんな何にも知らんよーな子に手を出して誑かしてやりたい放題か。
「そ…そんな事……する、の?」
「馬鹿お前、これくらい今日日常識だぞ、じょーしき」
「本当?」
「ああ、ホントホント」
 むしろヤりたい放題だな。でも足りないと申すか。君、体育館裏までちょっと来なさい。いいから来なさい。

 そしていつもながら、俺が書いたのにレスを下さった方々に感謝を。
 0時ちょいには帰って来れるはずなので、投下もまあ多分それくらいに。
52名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 21:05:32 ID:QMkiJ1TK
>>36
だれがちょっといい話にしろと。GJ

>>48
エローイ。
実験とか言ってチルドレン同士に生推奨させそうな支部もあるんじゃ・・・・・・おお、それだ。
【何がだ】
53感想 1/2:2006/06/15(木) 21:16:27 ID:7ZBMgpDx
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
>>51がさ、『体育館裏までちょっと来なさい』って言ってるんだけど」
「ああ」
「旋風くんを体育館裏に呼び出したところでさ、旋風くんてばオーヴァードで
不良なんだし、>>51がお説教したら『差し出た口を叩くな』とか何とか怒鳴ら
れて殴られてあっさり返り討ち、てあたりが関の山じゃないかな」
「そうだな。
 >>51を『モラル派気取りの一般人』と仮定するなら、な」
「というと、>>51は実はオーヴァード!?」
「しかも『ちょっと呑気っぽくオチャメな喋り方をするけれど、それは韜晦ゆ
えのポーズであって本当はバリバリに頭がよく、良識派ぶったりえっちな話を
恥ずかしがったりするのも自分をお軽く見せないための演技だという、ナイス
バディでフェロモンにあふれた悪女系の妖艶なおねーさん』」
「仮定しすぎだ、おいっ!
 って、ちょっと待って。>>51は一人称『俺』だったりするし、なんか行動パ
ターン的に男の人だろうって気がするんだけど」
「ネットなのだから、性別や実生活を誤魔化すぐらいは幾らでもできる」
「な、なるほど。
 納得していいものかどうかわからないけれど、とりあえず可能性はゼロでは
ないよね」
「旋風を体育館裏に呼び出した>>51。ケンカでも売られるのかと肩をいからせ
てやってきた旋風に、いつものオチャメ口調で話し掛ける。
 毒気を抜かれた旋風が油断したそのとき!
『そんなに精力があり余っているのなら、彼女の代わりに俺が慰めてやっても
いい。てゆーか是非に慰めたい。とりあえず今すぐ慰めさせなさい』と」
「ぅわーっ!?」
「ここで>>51のシンドロームは、」
「はいっ! 定番のソラリス/エグザイル!」
「お前もノるなぁ。だがそれではダメだ。
 場所は学校、しかも屋外、校内には閃光をはじめとする他のオーヴァードが
存在し、そのため手早く事を済ませねばならんという状況下、ソラリス/エグ
ザイルでは旋風を堕とすのに時間が掛かりすぎる」
「え、じゃあ、どうすれば?」
「そうだな、簡単なところでキュマイラ・ピュアブリードなんてどうだ」
「とゆーと?」
54感想 2/2:2006/06/15(木) 21:18:16 ID:7ZBMgpDx
「隆々たる《一角鬼》を股間に生やした>>51が《獣の力》を重ねた《グラップ
ル》で旋風を羽交い絞めして後門にガツン!
 話は一瞬で終わる」
「一瞬過ぎるわっ! てか受け攻めが逆だろ!?」
「ちなみに二人とも服は着たまんまでな。キュマイラ・ピュアブリードの膂力
なら、二人分の服をイチモツで突き破るくらいは朝飯前だ。即ち更なる時間の
短縮に寄与する」
「短縮すりゃいいってもんじゃないでしょぉ!?」
「問題は、破れた服をどう誤魔化して帰るか、なのだが。>>51の方はスカート
をめくりあげてヤりゃあいいとして、旋風の方は……」
「ちーがーう、問題はそこじゃなーいーっ!」
「なに、付き合いだしてたったの2ヶ月で10回以上、即ち週平均1回以上も
閃光とヤってる旋風にはいい薬だ。
 ……こっちなんてここ数年来、ずっと月1なのに……畜生、羨ま憎い……」
「だからって無関係な旋風くんにやつあたりするなよ」
「そこはそれ、入れられる立場を味わうことで、旋風は大人の階段を昇り、視
野がひらけて、閃光との付き合いに関しても幅が広がろうというもの」
「ん、まあ、相手の立場になって考えられる、というのは大切なことだね」
「そうして旋風は、手ずから閃光にペニバンを着けてやり、戸惑う彼女に向け
て自分の尻を差し出すのだ」
「それは相手の立場になって考えてることにならない!」
「ともあれ男女入れ替わりで楽しめば、付き合いの密度は単純計算で倍になる。
よもや旋風も二度と『俺にゃ足りねぇンだぞ、コンチクショウ』なぞとは口に
すまいさ」
「旋風くんが『俺にゃ足りねぇンだぞ』って言ったのは、おててつないでラン
ランラン程度のお付き合いでは物足りないという意味であって、現状のイチャ
イチャでは飽き足らないという意味ではないと思う」
「まあ、結局、何が言いたいかというとだ」
「うん」
>>50、GJ」
「……最初からそう言え最初から……」
55いつふた:2006/06/15(木) 21:20:50 ID:7ZBMgpDx
ゲーム:ナイトウィザード(夢オチ注意)
 形式:小説形式(三人称)。
エロ度:和姦。挿入あり。
レス数:1+1
 終幕:夢オチ。
 注意:本日作成。
    まとめサイトでの保管は不要です。>管理人様
56夢オチ注意 1/1:2006/06/15(木) 21:22:30 ID:7ZBMgpDx
 夏の初めの、待ちに待ったる海開き。
 柊蓮司は、赤羽くれはと連れ立って、南の海へと遊びに来た。
 明るい陽光のもと、水着姿ではしゃぐ幼馴染の――恋人の、眩しさ。
 ちなみにくれはの水着は紺色を基調とした大人しいデザインのワンピース。
スク水ではない、念のため。
 ちーさいちーさいと散々に言われながらも、水着一枚の薄着姿になってしま
えば、くれはの胸元はそれなりに形よく膨らんでおり、17歳の少年はドギマ
ギする。思わずプイッと視線を背けて「先に行って泳いでくらぁ」とか何とか
海へ飛び込んでしまう照れくさがりよう。そんなこととはつゆ知らず、笑って
手を振り、見送るくれは。

 さて、水しぶきも高くザンブとプールに飛び込んだ柊蓮司。水面に頭を出し
てみると、プールサイドに腰をかけ、高く足を組んだ少女――異界の魔王、蝿
の女王ベール=ゼファーがそこにいた。水着は黒地に派手な花柄のワンピース。
青き水と空とに白く輝く艶かしい脚線美。
 でも胸は平たい。
 魔剣を置いてきたせいで咄嗟に攻撃ができない柊蓮司に向け、ベルは淫らな
秋波を送りつつ、誘惑の甘い言葉を紡ぐ。

 そうして柊蓮司はくれはと二人きり、シーサイド・ホテルの一室で過ごす、
初めての、夜。
 白いシーツに扇形、ふわりと広がる長い黒髪。
 少年に組み敷かれた裸身は薄桃色に上気して、にじむ汗の肌、しっとりと馴
染む。
 互いに深く、つながって……少女の瞳に浮かぶ、喜びの、涙。
 ところが。
 魔王ディングレイの器たるくれはと絶対不幸少年柊蓮司とが結ばれることで、
世界を滅ぼす大異変の引き金が引かれた! 唐突なる天変地異。荒れ狂う風雨。
波は高く打ち寄せて、窓から下を見てみれば、既にホテルの1階を海水が洗っ
ている状況。
 果たして二人の運命や如何に!?
57夢オチ注意:2006/06/15(木) 21:23:57 ID:7ZBMgpDx
 ・・・・・おしまい。

 以上、今朝方いつふたが見た夢のお話でした。
58名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 22:21:18 ID:KXzoPELH
王道の幼馴染展開に萌え、そんな初々しい夢を見るいつふた氏にも萌えた。
59名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 00:44:20 ID:lvLSGale
 授業をサボってる疾風の一撃。ふとかかる声。
「君、体育館裏までちょっと来なさい。いいから来なさい」
 相手はUGNの民間協力者。コードネームは…なんといったか、覚えていない。シンドロームも。ソラリスか何かだ。
 ただ同じ学校の先輩で、自分を俺と呼ぶ妙な女とだけ認識。
 場面を変えて、人気のない体育館裏。白き閃光の話。
「あの女じゃ物足りなかったりするんだろ? どう見たってまだお子様だ」
「あァ? 何が言いてェんだよ?」
「俺がガス抜きに付き合ってやるって言ってるのさ」
 抗いがたき言葉、熱狂、錯覚の香り、等々。ソラリス/モルフェウス。疾風をペトリファイで拘束して指遊び。
「今のところ俺も相手はいないし、だからといって、そのへんのどうでもいいのとしたいとは思わないからな」
 止まらずの舌で言葉責めとか? やがて拘束を逃れて主導権逆転。
「なンだよ。人の事言うだけ言っておいて、自分もこんなじゃねェか」
「あ…や、やめ、待って……っ」
「今更だろ、そんな台詞」
 行為が済んで。
「随分サディストだな」
「うるせェ」
 どこか済まなげに。不良ぶっているが、根が悪党ではない。だから閃光も好意を抱いたのだろう。
「それに、随分溜まってる。君なら、またしてやってもいいぞ」
 赤い瞳がじっと見返す。赤い瞳をじっと見返す。
「俺のにしてやっても、いいんだぞ?」
「流されちまったけどな。オレが惚れてんのはアイツだ。アイツだけだ」
 視線が逸れた。拒絶だと判った。それで、終わりだと。
「悪ィ。借りはいつかきっと返す」
 背中を見送りながら、忘却の記憶。
「あーあ、フラれちまったか」
 剽けた仕草で肩を竦める。煙草の一本もあればよかったのに。
「結構、本気で盗ってやろうと思ったんだけどな」
 誰も見ていたいのを確認して。それから、少し泣いた。

 >53-54を読んでこんなプロットが即座に出来上がった。
 でっち上げてやろうかと思ったが、何か大事なものを失いそうなのでやめた。
 あと夢オチというからどこの誰の夢なのだろうと思っていたら、いつふたのひとの夢かよ!
 ベルに秋波を送られた後、くれはとふたりになるまでの間の展開が気になって仕方がない今日この頃。
 んじゃま、使い×使いの続きをおいていくですよ。
60魔物使い×夢使い 2:2006/06/16(金) 00:46:18 ID:lvLSGale
 耳に届く雨音は、だんだんと激しさを増していくようだった。ぼんやりとそれを知覚しながら、あたしは気だるい満足感にた
ゆたっている。腕の中には華奢な身体。あたしに体重を預けきっているのだろうに、まるで重いとは感じなかった。
 ふたりを繋げていた仮初めの部分は、彼女が意識を手放すのと一緒に消失していた。あたしをべとべとにしていた白濁も、同
時にその痕跡を消している。夢は、解けたみたいだった。髪なんかはひどい事になりそうだったから、その点においてはまずひ
と安心する。
 まだ明晰にならない頭が、朧に周囲を認識していく。
 世界はすっかり夜の帳に包まれているようだった。
 生徒達のいなくなった校舎はとても静かで寂しくて。雨以外に届くのは、ふたり分のささやかな呼吸音と、それから彼女の小
さな心音だけ。重ねた肌身の感覚が、ひどく心地いい。ここが居心地のいいベッドの中なら、すとんと眠りに落ちてしまいそう
なくらい。
 でも実際は教室の床に奪われてやがて体の熱は冷えてきて、まだぼんやりとした頭ながらも、このままじゃ風邪を引くな、な
んてふうに思う。
 起きなきゃ。今何時だろう。少しだけ上体を起こして、あたしは壁時計を見やる。
「ん…」
 その小さな身じろぎが、弱く目覚ましの代わりになったようだった。まだ寝惚け眼の寝起きの顔で、まるで甘える仔猫のよう
に、彼女が頬を寄せてくる。
「おはよ」
「ん……センセ…? あっ!」
 おはようって言うには、ちょっと変な時間だけどね。
 そんな暢気な感慨交じりの挨拶に、彼女はびっくりするくらいに過剰反応。ぽっと頬を染めて、返礼とも言い訳ともつかない
何事かを口の中でごにょごにょと。それからはっと気付いて身体を離して、そこで生まれたままの格好なのを認識して、今更な
がら胸元を覆い隠したりなんかしたりして。
 その一連の仕草はどこか小動物を連想させる。
「あの、センセ、えと、あの」
「何はともあれ、服、着よう? このままじゃ体冷えるばっかりだし」
 慌てふためくそのさまをたっぷり堪能してから、あたしはちょっと冷静に大人の提案。
 かくして本日二回目の、お互い他所を向いている間に身支度をしようの時間がやってきたわけだけれど。
「……」
「……」
 正直、さっきに倍して気まずい。なんかもうあたしやりたい放題で、その上途中から毒がどうこうなんてなんてあんまり関係
なくなってたような。あたしの煩悩の赴くままだったような。
「…うーん」
 どーんと罪悪感がきた。
 よく考えたらあたし、教え子の初めて――女の子だけど、一応アレも“初めて”だよね?――を奪っちゃったわけで。相当駄
目教師な気分。というか人間として駄目な感じかも。
 あたしは本気で猛省する。
 責任取らなきゃ、と思考するのは簡単だけれども。この場合、何をどうしたら責任を取った事になるんだろう。この事態、人
生において想定したアクシデントの予想量を斜め上に軽く3倍は飛び越えている。
61魔物使い×夢使い 2:2006/06/16(金) 00:47:12 ID:lvLSGale
 困った困った。
 上を羽織ながらちらりと見やると、丁度彼女のこっちを窃視するように眺めていて。お互いの視線がかちあって、とんでもな
く気恥ずかしくなってばっとふたり顔を背ける。
 うわ、頬が熱い。なんであたしまでこんな思春期みたいな反応しなきゃならないのさ。
「……」
「……」
 またすとんと沈黙が落ちる。衣擦れが聞こえなくなったから、彼女も着衣を終えたんだろうけど。
 えーと、こういう時はどうするんだっけ。手のひらに人人人って、この状況でも有効かな。
「…センセの方が」
 どう切り出したものかと悩み果てていたら、彼女がぽつりと切り出した。振り向けば、ちょっと俯き加減の上目遣い。解けた
ままの髪がまだ少し乱れて首筋や肩にかかって、醸し出される妙な色気に、あたしはまた一瞬どきりとする。
「センセの方が、エミュレイターよりえっちかも」
「あ、う、えーと……ごめんなさい」
 君があんまり可愛かったから、とか君が可愛過ぎるのが悪いとか。そんなのは下手な言い訳どころか、間抜けな口説き文句に
しか聞こえないだろう。
 あたしが大人しく非を認めると、彼女はくすりと笑った。
 怒ってないのかな?
「もー。センセはしょうがないんだから」
 ちらりと確認すると、ひどくリラックスした感じの笑顔。あ、怒ってはないみたい。でもそれっても一度襲われちゃっても文
句の言えない可愛らしさだと思いますよ先生は。
 などと思ってしまったところで妄想停止。思考開始。
 ……なんかあたし、本格的に駄目人間かも。
「センセ、どうしたの?」
「大丈夫、なんでもないなんでもない。ちょっと自己嫌悪のモラトリアムというか」
 きょとんとして尋ねる生徒にぱたぱたと手を振る。適当を並べたところでちょこり小首を傾げられて、ああもう何かなこのコ
のやたら無防備な小動物的可愛らしさは。
 ドツボに嵌まりそうになったあたしを、相棒の鳴き声が救った。見やれば教室の入り口に戻ってきた甲虫の姿。
「おかえり」
 労ってやると、目的を達成した相棒は誇らしげに顎をもたげる。
「見つけた? ご苦労様。でもまあキミは目立つからね。戻って」
 合図と同時に、というよりもあたしの考えにぴったり添う速度で、相棒はあたしの月衣に滑り込んだ。空間にかすかな波紋の
ような揺れが広がり、すぐに消える。
 またしばらくは窮屈だけれど、こればかりは我慢してもらう他にない。
「さっき席を外してもらった時に、ついでに頼んでおいたんだ」
 また怪訝そうな顔の彼女に、今度はきちんと解説する。
「月匣が消えたんだから、どこかに戻ってきてるはずでしょ。行方不明のコが、ふたりさ」
「あ!」
「今、それを見つけたって報告に来たから、じゃあ後は任せときなさいって応えたトコ」
「すごいんだね、その子」
 相棒が消えた辺りを見ながら呟くので、
「ま、頼れる大事なあたしのパートナーだからね」
 うちの子自慢でそう言うと、何故だか彼女は若干不満めいた顔をした。
62魔物使い×夢使い 2:2006/06/16(金) 00:48:34 ID:lvLSGale
「じゃ、行こうか。命に別状はないみたいだから、軽く治癒魔法でも施術しておけば、あとは自分で気が付くでしょ」
 あの蜘蛛にたっぷり搾り取られてたみたいだけど、奪われたプラーナも戻ったはずだし、若いんだからきっと大丈夫。何せ何
より、あたしたちは夜闇の魔法使い。衆目には現れずが望ましい。
「あ、センセごめんなさい。ちょっとだけ待って」
「ん?」
「急がなくても平気なら、髪だけ、まとめちゃいたいから」
 長いし量も多いし、そのままにしておくのは大変だろう。
「貸して」
「?」
「解いちゃったのはあたしだしね。やってあげるよ」
「え、でも…」
「いいから」
 逡巡する手から、半ば強引に髪留めを受け取る。よっこいせ、と後ろに回る。
「万一痛くしたらごめんね?」
「大丈夫だよ」
 即座に返る言葉。そこはキミが保証するトコじゃない気もするけど、でも全幅の信頼を置かれてる感じは悪くない。
 ひとつ気合をいれて作業開始。
 彼女はといえばちょこんとお人形さんのように行儀良く椅子に腰掛けて、さらさらの髪をあたしに委ねて。なんか、抱き締め
たいかも。
 …って、だから待ちなさいってばあたし。
 雑念を振り払って、手先に集中。分量を同じくらいに分けて束ねて、
「はい、出来上がり」
「ありがとー」
 肩越しに振り返って、にこーっと満開の笑顔。ふにゃっとあたしの中のどっかが蕩けた気がした。
「――あ」
 彼女がそこで声を上げなかったら、本当に抱き締めるくらいはしてたかもしれない。でも現実にはそうはならなかった。幸い
にも、か残念ながら、か。つける枕には迷うところだけれど。
 何か思わぬものを発見したらしい彼女は、椅子を立って数歩先の床から何かを拾い上げる。
「どうしたの?」
 問うたあたしに、手のひらの上のものを提示する。それは小さな女郎蜘蛛の死骸だった。
「あの、エミュレイターの…?」
「うん。多分」
 そうしてふたり、しばらく押し黙った。
「――どうして生きていたいのか。なんの為に生きているのか。そんなふうに訊かれて、即座に答えられる奴なんてそういない
って、あたしは思ってる」
 あたしだって、そんなのよく判らないしね。
 心中にひとりごちながら、頭を整理して続ける。
「逆に言えばさ。生きたいから生きてるでどうしていけないんだ、ってね」
 死んでしまえばそこでおしまいだけれど。生きていれば、何かあるかもしれない。昨日も今日も最悪でやりきれなくても、で
も、明日はいい日かもしれない。
63魔物使い×夢使い 2:2006/06/16(金) 00:51:06 ID:lvLSGale
 楽天家、楽観主義と言われてしまえばそれまでの事。
 でもあたしは今生きてるから、それだからここでこのコの支えになってやれたと思う。
 それにあたしは正義の味方なんかじゃないから、エミュレイターだって理由で相手を悪だなんて決められない。相棒だって、
区分で言うならエミュレイターなのだ。侵魔だから殺していいなんて道理は、それこそ少しも思わない。
「そいつも、死にたくなんてなかったろうし。ここに転がしっぱなしで誰かに踏まれたり、掃除のついでにゴミと一緒に捨てら
れたりってのはちょっとぞっとしないよね」
 こくんとひとつ、でも強い肯定での頷きが返ってくる。あたしはちょっと微笑んだ。
 お墓を作ってあげようとか、殺した相手の事は忘れないとか、そういうセンチメンタリズムは好きじゃない。そもそも今回は
天秤がたまたまあたしたちに傾いた。ただそれだけの事。
 その傾きがもし逆だったなら、あの蜘蛛は当然あたしたちを殺していたろう。
 あたしが死にたくないから、死なせたくないから殺した。ただ、それだけの話。
 それこそお互い様で、なら恨みっこなしのはずだった。
 蜘蛛の屍を包むように、球状の空間を作って手のひらを重ねる。そのままプラーナを巡らせると、その隙間に光と熱とが満ち
た。
「荼毘に付すくらいはしてやろうと思うんだけど、できる?」
「やってみる」
 プラーナを破壊の力に転換するなんていうのは、ウィザードなら誰でも出来る初歩的技法。すぐに彼女の手も光熱を宿して、
異なる属性を持つふたりのプラーナが互いに干渉しあいパチパチを爆ぜては揺らめきあって、しばし幻想的な光源を作り出す。
 侵魔と魔法使い。二者は世界結界を揺るがしうるこの世の常識外という点において、同種である。世界の理の外に居るあたし
たちだ、ならばその埒外の力で送るのがらしいように思った。
 あたしは苦く笑った。これはあたしたちの気が楽になるからやってるだけの事で、あの侵魔があたしたちに送られたいかどう
かなんてもう知る術もない。まあ死人に口なしだ。もし嫌だったら、あたしが死んだ後、死後の世界とやらでに文句を言ってく
ればいい。でも、悼むのは悪くないはずだった。いつかあたしにだって、死ぬ時が訪れるから。
 こんな魔術事件で死ねば、一般人の記憶からどころか、世界からあたしの痕跡そのものが消える。憶えて泣いてくれるのは、
きっと彼女のようなウィザードだけだ。忘れられてしまうのが、寂しくないと言えば嘘になる。
 そこで唐突に湧いたイメージに、あたしはもう一度苦笑した。
 あの蜘蛛は、どう考えても天国から糸を垂らしてくれるタイプじゃない。
「……センセ?」
 気遣う響きで投げられた声に我に返る。死骸は既に消失していた。
「なんでもないよ。大丈夫」
 頑張って生きなさいとこのコを励ましたばっかりだっていうのに、自分が弱気になっててどうするのさ。
 感傷を振り払って、あたしは笑んで見せる。死んだ者の事よりも、まずは生きてる者をなんとかしよう。
「じゃ、行こっか」
「うんっ」
 ぽん、と頭に手を乗せると、安心したふうに彼女が微笑む。
 一度だけ振り返り、それから教室を出て、ふたり並んで歩く。相棒から位置を聞いたあたしが先導する形、なのだけど。随分
と距離が、気持ちの位置が近い気がして、あたしはひとり赤面なんかしたりする。
 雨はまだ、校舎を包み込んで降り続けている。少し、強くなってきたようだった。
64名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 00:52:35 ID:lvLSGale
 今回はここまで。
 ちょっと遅れ気味なのはW杯の所為っす。俺は全然悪くない。責任を外に求めてはいけません。
 でも開催期間中は更にスローペース化が進む予感がしなくもない。
 んじゃまた、続きが出来たら。
65いつふた:2006/06/16(金) 00:58:32 ID:uzMexvB4
>64
 ぐ……ぐっじょぶ。
 起きて待ってた甲斐があった……。
 寝オチ寸前の頭で一つだけ。

>59
 ひとのコトとやかく言えた執筆速度かや。
66名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 21:07:58 ID:/QRRZ9T4
あれ、サンクリって今日だっけ?
67名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 21:17:12 ID:F8zTcHAa
うむ。前スレで埋めがてらに話題になってるから見てみるといいよ。
68名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:54:46 ID:Ull+jVOS
ところで「QuickStart」はこのスレでいいのか?
69名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:57:59 ID:jWjM6jGs
ここでいいだろう。
けうま先生も喜ぶ。
70名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 05:03:02 ID:CVih6uNw
見てんのか?
71名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 16:44:09 ID:I/HPddTz
ま、可能性はある罠。けうまのことだし。
72名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 17:12:39 ID:NaVNqthI
遅ればせながら59にGJを飛ばしつつ、
このところ静かだなァ。
73黒いつふた:2006/06/22(木) 20:57:25 ID:EqUoQJjY
>>72
 それは私に対する召喚呪文と受け取った。
74いつふた:2006/06/22(木) 20:58:15 ID:EqUoQJjY
ゲーム:テラ:ザ・ガンスリンガー(テラガン1本目)
 形式:小説(三人称)
レス数:11+1
 分割:なし。
エロ分:全年齢対象。
連続性:単発。
 時節:とりあえず真夏ではない。真冬でもなさげ。
 終幕:ハッピーエンド。
 備考:サンプルキャラクター使用。
75テラガン1本目01/11:2006/06/22(木) 20:59:56 ID:EqUoQJjY
◇線路は続くよどこまでも

 がたたん。ごととん。
 がたたん。ごととん。
 大陸横断鉄道。鋼鉄の巨体が、夜の荒野を力強く走っていく。
 ぴぃ、ぴぃー!
 高く汽笛が鳴った、かと思うと車体がぐうんと左に傾く。
 真っ直ぐ。ただその一点を目標に西へ西へと伸ばされている線路が、珍しく
カーブを描いているらしい。
 少女は、灯りの反射する窓を大きく開けて、外を見やった。手の届きそうな
ほど、針葉樹の間から月光にきらきらと波立つ水面が見えた。
 海? 一瞬そう思い、すぐさま頭に浮かんだ大陸の地図がその可能性を否定
する。湖だ、きっと。彼方には水平線。海とも紛うほど広大な。なるほど、こ
れでは線路も迂回せざるを得まい。
 ややあって、汽車は姿勢を立て直した。右手に湖を配したまま、夜闇の奥へ
奥へと突き進んでいく。
 夜風に体温を奪われてブルッと震え、少女は窓を閉めた。
 ここは二等客車の補助席。四人掛けのボックスキャビンは寝室も兼ねている
から、夜間に、例えば読書をしようと思った乗客はこの補助席に移ることにな
る。少女はそのうちの一つを陣取って、一冊の日記帳を取り出した。
 絹糸めいた白銀の髪、宝玉めいた真紅の瞳、闇の中で繊細に磨かれた大理石
のような頬。少女は、まだ幼い娘でありながら、《神の恩恵》ともいうべき美
貌をその身に有していた。何が楽しいのか、唇の端に淡い微笑みが浮かんでい
て、しかし、その笑みなくば少女の容貌は、見る者の心胆を寒からしめるほど
妖しく整いすぎているのだった。あの子は“貴族”だよ。仮に誰かにそう囁か
れたら、思わず納得してしまうほどに。
 少女の膝の上で、パラパラと真ん中辺りが開かれる、これは決してページの
尽きない日記帳。きゅぽ、とキャップが外される、これは絶対にインクの切れ
ない万年筆。
 今頃、三等客車の一隅では、黒い髪の男の子が父親と毛布を分け合ってくー
くー寝息を立てているだろう。一等客車の一郭では、金の髪の女の子が母親と
一緒のベッドですやすやと眠り続けているだろう。
 おやすみ。おやすみ、二人とも。また明日、遊ぼうね。
 あたたかな思いで彼らのことを考えながら、少女は真新しいページの一番最
初に、今日の日付を記した。
 手洗いにでも行くのか、キャビンの一つから足音が出て来た。見れば一目で
プリーチャーだとわかる、質素な紺色の聖衣。若く、活き活きとした美しさの
女性で、神に身を捧げているのが勿体無く思えるほどだ。
「まあ、リラ」
 静かな、それでいてよく通る声で、彼女は少女をリラと呼んだ。
76テラガン1本目02/11:2006/06/22(木) 21:01:35 ID:EqUoQJjY
「まだ起きているの?」
「こんばんは、シスター・リリィ」
「あら、日記?」
「うん。明日はマザータウンに着くから、今日のことは今日のうちにと思って」
「それは良いことね。でも、あまり遅くならないようにね」
「はーい」
 素直な返事にシスター・リリィは一つ頷き、穏やかな物腰で歩み去った。
―〜―〜―
「あの子達とは遊んじゃダメだ」
 父ちゃんと母ちゃんがオイラを怒るンだ、とダンデリオンは不貞腐れた。
「何かあったとき、弁償だの賠償だの言い出されたら困るだろう」
「お友達は選びなさい」
 お父様とお母様がワタクシを叱るのですわ、とプリムラは拗ねた。
「人とお付き合いをするときは、家柄や格というものを考えなければ」
 強くて弱いが大人や世間、弱くて強いがボーイズ&ガールズ。三等客車の貧
乏人、一等客車の赤石成金。出自はどうあれ、子供達には関係ない。目と目が
合って、にっかり笑えば、その瞬間から友達だ。
 一方、リラは二等客車の放浪者。親のくびきがない分だけ、自由で不自由な
イモータル。見た目に見合って中身も子供、無論正体はバレておらず、彼らと
行動を共にするのに何らの支障も弊害も無かった。
「今日は何をして遊びますの?」
「図書館で隠れ鬼しようよ。あそこは移動書架が迷路みたいになってて面白い
の」
「しょ、しょかって何だ?」
「本棚のことですわ。そのくらいの単語、お勉強なさいな」
 一等客車と二等客車の間に設けられた生活車両。車掌やメイド、他の乗客達
の隙間を鮮やかに縫って、黒髪のダンデリオンと金髪のプリムラ、そして銀髪
のリラが図書館へ駆けていった。
「だけど図書館では、静かにしないと怒られますわよ?」
「そ。だから、静かーにやるのがルール。追いかけるときも逃げるときも歩く
の。走るなとかうるさいとかって怒られた人は、その時点で鬼決定ね」
「なるほど、それは面白そうですわ」
「えーっ? オイラ静かにするのって苦手だよぉ」
 ガラ、と横開きのドアを開く。乾いた紙と埃の匂い。明かり取りの窓から、
柔らかな朝の光が室内を満たしている。
「言い出しっぺだから、最初はリラが鬼になるね。10数えるよ、いーちっ」
「わーっ」
「きゃーっ」
 ひそひそ声で騒いで、二人は室内へと駆け込んで、もとい、歩き込んでいっ
た。
77テラガン1本目03/11:2006/06/22(木) 21:03:13 ID:EqUoQJjY
 そして小一時間後。
 白髪頭の初老の男と眼鏡をかけた若い男が、二人がかりで子供達の首根っこ
を引っ捕まえて、図書館の外へと放り出した。彼らは調べ物をしていたスチー
ムメイジと魔道書を読んでいたサモナーであり、ガキどもに目の前をうろちょ
ろされるのは目障りだから追い出した、という次第なのだが、子供達にはどう
でもいいことだ。重要なのは、無粋な大人達のせいで、折角の遊び場を失った
ということである。
「今度やるときは、誰もいないの確かめてからにしような」
 代表で頭をゴチンとやられ、オイラ殴られるのなンて慣れてらぁとばかりに
にかにか笑っているダンデリオンの提案に、女の子二人は面目なさそうに頷い
た。連帯責任なのに、彼だけ痛い目に合わせてしまったのが申し訳ないのだ。
「んで、これからどうする? 探検ごっこでもすっか?」
「だったら三等客車がいいな。あそこは歩き回っているだけでも面白いよね、
なんかもうヤバそげなイベント満載って感じで」
「え〜っ? ワタクシは嫌ですわ、だってあそこは……」
 生活車両から隣の二等客車に移って、三人組が通路をてくてく歩いていると、
青い髪をした一人のメイド、もとい一体のオートマータがひょいと窓枠を乗り
越えた。
「「「えっ!?」」」
 列車は走行中。しかもここは3階。まさか、飛び降り!?
 慌てて駆け寄ると、オートマータはまだそこにいた。
 それも道理、彼女は縄梯子にぶら下がっていたのだ。危なげなく登っていき、
すぐに見えなくなる。やがて縄梯子が、するすると引き上げられていった。
「な、なんですの、あれ?」
 プリムラが驚き呆れると、ダンデリオンが得たりとばかりに話し出した。
「ルーフウォーカーさ」
「ルーフウォーカー?」
「大陸横断鉄道はパスがないと乗れないだろ? だけどどうしても乗りたくて、
屋根の上にテント張って、ええと無賃乗車? してる連中がいるンだ。そうい
うズルっこい連中のことをルーフウォーカーっていうンだぜ」
「い、いいんですの、そんなことして?」
「知らないよぉ。けど、三等客車にゃ窓の外に何本か縄梯子が垂れ下がってる
ことがあるから、別にいいンじゃないかな?」
「多分、水とか食料とかの実費は鉄道会社側に払ってるんだよ。あるいは乗客
から買ってるか。もしもルーフウォーカーがそういう物を盗むなら、特に水泥
棒は重罪だから、もっと厳しく取り締まっているはずだもの」
 窓から半身を乗り出して、屋根を見上げながらリラが言った。
「付け加えるなら、落ちずに暮らせるほどの設備が屋根の上にはあるってこと
だね」
「行ってみっか?」
78テラガン1本目04/11:2006/06/22(木) 21:04:26 ID:EqUoQJjY
 気軽な口調でダンデリオンが提案した。
「三等客車からなら登れるぜ、きっと」
「ええええ〜っ?」
 プリムラが反対した。
「列車は走ってるんですのよ? 屋根って高いんですのよ? 危ないですわ」
「多少の安全策は嵩じる必要があるね」
 リラが顎に指を当てる。
「たとえば、三人の腰をお互いにロープで結んでおいて、特に危険な、屋根へ
の昇り降りは一人ずつ行なう。残りの二人は、柱か何かにロープを巻きかけて、
そこでしっかり足を踏ん張っておく。これなら、仮に一人が足を滑らせても、
二人で支えてやることができる」
「おお〜! リラ、あいかーらず頭いいな〜!」
 ダンデリオンの惜しみない拍手を浴びながら、更にリラは追加する。
「欲を言えば、本当に足を滑らせてしまったときのために、誰か力の強い大人
が一人はいた方がいいんだけど」
 こんな大冒険に協力してくれる物分りのいい大人には、三人とも心当たりは
無かった。
「いないモンはしょうがねーや。じゃ、テキトーにロープ探すか。行こ」
「い、行こって、どこへ?」
「三等客車」
 ダンデリオン、そしてリラは、やめようよと言い出す者が出るなんてこれっ
ぽっちも予想していない目で、プリムラをじっと眺めている。
 プリムラの足はすくんだ。危ない。怖い。叱られる。
 でもそれ以上に、仲間外れは嫌だった。
 何より好奇心が、冒険心が全てにまさった。
「来ないの?」
「行きますわよ。行くに決まってますでしょう?」
 つん、と、ちょっと怒ったように。
「アナタたち二人だけで、なんて、危なっかしくてしょうがありませんもの。
マーチ家の子女は、決して友を見捨てない。それが我が家の家訓ですのよ」
―〜―〜―
 子供達が探すと、不思議なもので、大概の物は見つかったりするのだ。ある
いはそれは、エーテルがもたらす《ギフト》の力。何故かその辺に放り出して
あったロープを命綱にして、真っ先にダンデリオンが縄梯子を駆け上がった。
それはもう、猿とも見紛うすばしっこさだった。
「ダンデリオ〜ン。上でしっかり踏ん張ってる〜? プリムラが行くよ〜?」
「オ〜キド〜キ〜」
 風で途切れ途切れの返答が戻った。
「さ、頑張って」
 ぽん、と背中を叩かれて、プリムラはごくりと喉を鳴らした。
79テラガン1本目05/11:2006/06/22(木) 21:05:38 ID:EqUoQJjY
 腰に結わえた命綱。一方はリラの腰に続き、もう一方はダンデリオンの腰に
続いている。万が一のことがあっても、大丈夫、きっと大丈夫。
「遅いぞ〜。ま〜だか〜」
 ダンデリオンにできたのですもの、ワタクシだって!
 意を決し、エナメルのブーツを窓枠にコツンと置いて、縄梯子に手を伸ばし
た。
 ぎゅ、と握る。
「手元と足元に気をつけて」
 リラから注意が飛んだ。
「そ、そんなの一遍には無理ですわっ」
「うん、だからね、手元に注意して手を動かして、それから足元に注意して足
を動かすの。右と左を一つずつ動かすの。一度に何もかもやろうとしちゃダメ
だよ」
「え、ええ」
 窓枠から、縄梯子へ。ぎしぎしと風に揺れる。怖い。だけど。
「マ、マーチ家の子女は、」
 必死で家訓を口走る。
「出来ないことを出来ないままにしてはならないのですわっ」
 それは、たとえば読み書きとか手芸とか、そういうものを対象に、母親が彼
女に教えた言葉であったが。
 多分、この場合にも有効なのだ。
「縄梯子は登るためにあるんですもの」
 自分自身に言い聞かせる。
「ワタクシに登れないわけがありませんわ」
 一段。一段。ゆっくり、でも着実に登っていく。
 やがて屋根の上に頭が出て、対ダーク用の砲台に命綱を巻き掛け、その砲台
に両手足でがっちり抱きついているダンデリオンと目が合った。
 にか。笑う。にか。笑い返す。
 あとは簡単だった。屋根の上には何故かロープが何本もわたしてあって、そ
れを手がかり足がかりに、四つんばいで登ればとても楽だった。
 最後にリラが、ダンデリオンよりも危なっかしく、プリムラよりは素早く、
縄梯子を登ってきた。
「うわあ……っ」
 大陸横断鉄道、汽車の屋根から改めて眺め渡す西部の光景。
 青い青い、どこまでも青く広がる天空。
 遠い遠い、どこまでも遠く広がる大地。
 白茶けた土の色。ほこりっぽい深緑。赤みを帯びた三角の岩山。頂上にかか
る白い雲。背後には東部と西部とを分ける大自然の境界、ザ・マウンテン。
 いつも窓から見ている景色と全く同じなのに、窓から見ている景色とは全然
違う。
80テラガン1本目06/11:2006/06/22(木) 21:07:12 ID:EqUoQJjY
 お日様の光が眩しくて、陽光に目の弱いリラはちょびっと後悔したが、そん
なことを気にしていられないぐらい素晴らしい風景がそこにはあった。
 屋根の上は、主に砲台場として使われているようだった。ただし、わざわざ
後から追加したとしか思えない小さなアンカーが幾つも幾つも溶接してあった。
アンカーの先端には、大人の足首ぐらいの高さに張り巡らされた網目状のロー
プが挿通してある。足を滑らせたとき最後に掴む命綱なのだろう。また、この
アンカーは、テントを設営するためにも使われているようで、予想より多くの
テントが三々五々と立てられていた。嵐の日なんかどうしてるんだろう? と
余計なお世話の心配もしたくなった。
 太陽を吸って屋根は熱く、これが真夏ならきっと火傷をしていたことだろう。
今の時期は風の冷たさと相俟って、逆に気持ちのいい暖かさだった。
「あっちにも行ってみようぜ!」
「ちょ、ちょっとダンデリオン!」
 冒険心に逸るダンデリオンを、悲鳴混じりにプリムラが止める。流石の彼女
も、屋根の上を立って移動する気にはなれなかった。だからって、四つんばい
で這って行くのはみっともなくてもっと嫌だった。
 リラがプリムラに助け船を出す形で、ダンデリオンに言った。
「ダンデリオン、今日はここまでにしとこうよ。そんな一遍にあっちもこっち
も行ったら勿体無いよ。ウエストエンドに着くまでは、どうせまだ何日も掛か
るんだから、またの機会にしよう」
「そぉだな」
 ダンデリオンは立って。リラは砲塔にもたれて。プリムラは縄網をしっかり
と握りしめて。
 三人は真っ直ぐ前、列車の進む方を見やった。
「ウエストエンドかぁ。あとどのくらいで着くんだろうな?」
「さーて、26週間か52週間か、ひょっとしたら13週間かもね」
「それって本当ですの?」
「ううん。古い古いジョークだよ」
 と、リラは肩をすくめた。古すぎて、地球時代にまで遡るほどの。
「大陸横断鉄道で先発した人達が、今現在もなお線路を伸ばしつづけているん
だから、時間が経てば経つほどウエストエンドは遠くなるよ」
「ウエストエンドに着いたらさ、オイラ達も街を創って、そいで線路を伸ばす
んだろ?」
「そうやって、いつかは大陸の果ての果てに着くのですわね。そうしたら、海
を越えて、もっともっと西に行くのですわ」
 もっと遠くへ。ずっと遠くへ。メイフラワーズ4万人の移民者、彼らの子孫
達は、祖先の思いを受け継いで、もっと遠くへ、ずっと遠くへ。
 エンタープライズ13人の移民者の一人は、常々の疑問を口にしてみた。
「独立戦争のときに“貴族”達が逃げた先でもあるのに、どうしてみんな西へ
行きたがるの?」
81テラガン1本目07/11:2006/06/22(木) 21:08:25 ID:EqUoQJjY
「もうっ、怖いこと言わないでくださいなっ」
「“貴族”は、そりゃあ怖いけどさ。西部には赤石の大鉱脈とか、ロステクの
埋まった遺跡とかがい〜っぱいあるもンな。金とか鉄とかもた〜んとあるって
父ちゃんが言ってたぜ」
「大平原に牛や羊を放牧することもできる、トウモロコシや小麦の大きな大き
な畑を作ることもできる、ってお父様が仰ってましたわ」
 西部の広さは夢と希望の大きさでもある。そこに何があろうと、何が待って
いようと、人間達は止まらない。まだ見ぬ大地がある限り、決して止まること
はないのだ。要するに欲深いのである。
 つまるところ、とリラは思った。その意味で、同じなのだ。人間も、そして
“貴族”も。
「線路は続くぅよ、どこまでもぉ」
 ダンデリオンが調子っぱずれに口ずさみ、
「野を越え山越え、谷越えて」
 プリムラが続いて唱和する。
「「遥かな町まで僕達の楽しい旅の夢つないでる」」
 二人の歌を耳に楽しく聴いて、リラは最後に、もう降りよう、と提案した。
「そろそろお昼の配給じゃないかな」
「そうだった! これ逃したら、オイラ食いっぱぐれちまう」
「ワタクシも戻らないと。お母様が心配なさる頃ですわ」
 お昼からは家庭教師が来ますし、とつらそうに溜息。一方、ダンデリオンは
うきうきと嬉しそうだ。
「オイラ、シスター・リリィに字を教えてもらう約束なンだ〜」
「ううう、羨ましいですわっ。シスター・リリィはお優しいのですもの」
「でも知ってっか? シスター・リリィは、ああ見えて実は拳銃使いでもある
ンだぜ?」
「勿論、存じてますわっ。すっごくカッコいいんですの!」
 ひとしきりシスター・リリィの噂話で盛り上がってから、
「登るより降りる方がずっと危ないんだから、うんと注意してね?」
「オッケ〜イ」
 ダンデリオンは、しかしリラの警告にもかかわらず、ただの階段を降りるく
らいの足取りで、たったか縄梯子を降りていった。まあ、それでも足を滑らさ
ないのだからいいけど、と、屋根の上の二人は顔を見合わせ苦笑い。
 そのダンデリオンが、びっくりするほど勢いよく屋根に戻ってきた。叫ぶ。
「ひ、人殺しだぁっ!」
 今、そこで、通路で、人が、ナイフで、グサッて! じたばた、両腕を振り
回して喚く、そしてようやくリラが事態を理解した。彼は、戻ろうとした通路
で殺人現場を目撃したのだ。ならば犯人が、彼を追いかけてくる可能性がある!
「ダンデリオン! 縄梯子を引き上げて!」
82テラガン1本目08/11:2006/06/22(木) 21:10:47 ID:EqUoQJjY
 時間を稼いで、さっき二等客車に吊り下がっていたような別の縄梯子から車
内に戻れば。その作戦は、ダンデリオンでなくプリムラが咄嗟に引っ張った縄
梯子が、びくともしないばかりか下から引っ張り返された時点で水泡に帰した。
「逃げるよ、二人とも!」
「逃げるって、どこへ!?」
「とりあえずあっち! どこか他に、縄梯子のある場所まで!」
「待ってくださいな! 屋根の上なんて歩けませんわ、そんな!」
 涙目で怖がるプリムラをダンデリオンとリラとが両脇から支えて、とにかく
立ち上がらせる。こんなときに限って、風がやたらと強く感じた。
「早く!」
 歩き始めてから、リラは更に考えた。行く手にあるルーフウォーカー達のテ
ント。あそこへ飛び込んで彼らを巻き込んでやれば、たとえば先ほどのオート
マータが楯代わりになるかも知れない。優先すべきは大切な友達の身の安全。
他の連中の事情など、知ったことではない。
 しかし、そこまで辿り付けるかどうかも怪しくなった。薄汚れたテンガロン
ハット、下卑たカウボーイ風の髭面男が、屋根の上に姿を現したのだ。手には
銃。ホルスターから抜いている、その時点で意図は明らかだ。
「下衆が。我らに指一本足りとも触れさせるものか」
 呟き、キッ、と睨み据えた真紅の瞳。《畏怖》の眼差し、“闇の貴族”の強
烈な威圧感。ヒッと顔を歪めて髭面男の頭が大きく仰け反り、そのまま落ちて
しまうがいい、とリラは内心で毒づいた。しかし。
 がう〜ん。
 風下から流れてくる銃声。
「きゃあっ!」
 反射的に頭を抱えてうずくまるプリムラ。
「……っ!」
 ドッ、ダンデリオンが倒れた。
「「ダンデリオン!!」」
 足を抱え込んで屋根に転がる、彼の細いすねにドクドク流れる真っ赤な血液。
痛みに顔中をしかめるダンデリオンを二人がかりで助け起こし、なんとか運ぼ
うとしたが。
「ガキどもがぁ。ナメた真似をぉ」
 怒り心頭、といった風情の髭面男が大股で近づいてくる。再びリラが眼光で
威圧したが、男は僅かにたじろいだに過ぎず、それどころか二発目の銃弾が彼
女の頬を擦過して髪を一房千切った。
 再びハンマーを起こす指。ぐるりと回るシリンダー。ガンメタルブラックの
死神。
 奴の銃の腕はあまり良くないようだ。だが、近づいて来られたらどの道おし
まいである。銃でなくとも、大人の足で蹴り飛ばされれば、子供の一人や二人、
簡単に屋根から落っこちて…………死ぬ。
83テラガン1本目09/11:2006/06/22(木) 21:12:09 ID:EqUoQJjY
「逃げて!」
 リラが二人を庇って立った。“貴族”の特殊能力《イモータリティ》。この
力がある限り、自分だけなら一度や二度の死など何らの痛痒も感じない。だが
庇ってから、しまったと思う。結び合った命綱。解くのも切るのも時間が掛か
る。なんてこと。こんなときに邪魔になるとは。
「ダメだ、リラ!」
「危ないですわ!」
 そのリラを、ダンデリオンとプリムラとが、逃げるどころか更に庇おうと必
死になる。
「クソが、まとめてブッ殺してやる!」
 がうぅぅぅ〜ん。
 やけに長く、銃声が響き渡った。
「え?」
 髭面男の手から銃が落ち、屋根を滑って下方へ消えた。自分の肩に開いた風
穴を、信じられないといった顔で見詰める男。何度か手で撫で、指先に付着し
た血糊を確認して。
「ぐぎゃああああ〜!?」
 傷口を押さえて転げまわった。
 髭面男がその場に崩れたお陰で、その後ろの光景が子供達にも見えた。
 屋根の上。片膝立ちでコルトネービーをしっかりホールドしている、彼女に
向けて子供達が歓声を上げた。
「「「シスター・リリィ!」」」
 《白馬の王子》。友の無事を願う心がエーテルを動かしたか。尼僧でありな
がらガンスリンガーの技能も有する聖職者が、彼らを助けてくれたのだ。
 続いて、屋根にUSマーシャルが上がってくるのも見えた。
「ほ、保安官ッ!」
 髭面男は慌てふためき、子供達を押しのけて屋根伝いに隣の車両へ移ろうと
して。
 足を滑らせた。
「うわあ!」
「だめっ!」
 飛びついたプリムラ、彼の襟首を掴む。助けの手は、しかしながら一瞬遅く、
敢え無く屋根からズリ落ちた大人の体重に負けて彼女もつんのめりそうになっ
た。それでもプリムラはエナメルのブーツをアンカーに引っ掛け踏ん張って、
ほとんど同時にリラとダンデリオンがプリムラに結わえられた命綱を引っ張り、
特にダンデリオンは足の怪我から更に血が流れ落ちるのも構わず、屋根の縄網
や砲台にしがみついた。
 腰の命綱が三人を固く結んで、プリムラと、それから髭面男を支えた。その
分、子供達の手に、足に、命綱の巻かれた胴体に、酷い負担が掛かる。
84テラガン1本目10/11:2006/06/22(木) 21:13:38 ID:EqUoQJjY
「何をしてるのプリムラ、手を離して!」
「頑張れプリムラ、手を離すなぁ!」
 リラとダンデリオン、正反対の声を受けて、プリムラは歯を食いしばって男
の襟首を掴み続けた。間もなくシスター・リリィとUSマーシャルが到着し、
髭面男を無事に屋根の上に引き上げ、子供達三人を痛みに満ちた重労働から解
放した。
 ぜえはあ息を継ぐ子供達。よかった、とシスター・リリィが彼らを抱き寄せ
た。保安官は髭面男を厳しく引っ立てる。
 ひとまず落ち着いたところで、
「ばかっ、何であんな奴を助けたの!」
 リラに怒鳴られ、プリムラは怒鳴り返した。
「だって! 落ちたらあの人、死んでしまいますわ!」
「たかが犯罪者のために、プリムラが死んじゃったら意味ないでしょ! リラ
やダンデリオンまで、巻き添えで落ちるかも知れなかったんだよ!? ダンデ
リオンまで死んじゃうかも知れなかったんだよっ!?」
「だからって放っておけと仰いますの!?」
「状況を考えてって言ってるの!」
「そんなこと! いちいち考えてたら間に合いませんわ!」
 弾かれたように髭面男が振り向いた。保安官にこづかれて、それでも歩みを
止めて。
「おい、ガキども!」
 黒髪の子が驚きの、金髪の子が怯えの、銀髪の子が蔑みの目を、彼に向けた。
「……ありがとよ」
 フン、と鼻を鳴らして、男は保安官と共に去っていった。
「けどさぁ、凄ぇよなぁ、プリムラ」
 にっかり笑って、ダンデリオンが彼女を褒め称えた。
「勇気あるぜ。オイラ、あんなマネ絶対にできねぇもン。怖くて」
「あのね、リラもね、プリムラが勇敢だってことは認めてるの」
 リラが懸命に彼女を説得した。
「だけど怖いから、プリムラが怪我したり死んだりしたら嫌だから、そういう
ことはあんまりしないで欲しいのっ」
 プリムラは、少しの間、何となく呆けていたが。
 やがてぽろぽろぽろぽろ、涙をこぼしはじめた。
「お、おい、泣くな、泣くなよプリムラぁ」
「な、泣いてなんかいませんわっ。マーチ家の子女は、いつだって毅然とっ」
 白いハンカチが、リラからそっと手渡されて。
 ようやく恐怖が頭の芯に染みたのだろう。ハンカチを顔に当てたプリムラは、
シスター・リリィの胸に抱かれて、思い切りわんわん泣いた。
―〜―〜―
85テラガン1本目11/11:2006/06/22(木) 21:14:32 ID:EqUoQJjY
『ダンデリオンの傷は出血が酷かったので、シスター・リリィが奇跡の力で治
療をしてくれた。その他は、三人とも痣だの擦り傷だのをたくさん作ったが、
いずれも軽傷だった。
 屋根に登ったのは、犯人に追いかけられたせい、ということになった。だか
らダンデリオンもプリムラも、お父さんとお母さんに叱られなかった。
 犯人は捕まって、牢屋に入れられたらしい。明日、次のマザータウンで降ろ
されてしまうそうだ。肩の傷は、骨も折れていないという。シスター・リリィ
が的確に急所を外したのだろう。』
 そこまで書いて、リラは暫く万年筆を宙に浮かせていたが。
 最後に、こう締めくくった。
『世界が滅びようとしている、とマリアは言う。嘘か本当かはわからない。だ
けど、人間がいる限り、世界は滅びないと思う。
 人間がいるのに、世界が滅びてはいけないと思う』
 紙面の乾きを確かめてから、ぱたん、と日記帳を閉じ、リラは自分の寝泊り
しているボックスキャビンへ歩いていった。
86テラガン1本目:2006/06/22(木) 21:15:23 ID:EqUoQJjY
 ・・・・・おしまい。

 以上、テラガンで書いてみようと思って書いたお話でした。

 確信犯ですので、保管庫での保管は不要です。>管理人様。
87名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 21:55:26 ID:2Hz4ZrV4
GJ
88名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 21:58:59 ID:JN6JSeao
いいなぁ、子供らしい好奇心と純粋さがヨゴれた大人には甘美な毒でスヨ。
89いつふた:2006/06/23(金) 20:40:50 ID:G36SQEYU
ゲーム:ウィッチクエスト(WQ4本目)
 形式:小説(猫一人称)
レス数:8+1
 分割:なし。
エロ度:強姦。挿入なし。女性同士注意。
連続性:1本目(『恋に染まる蜂蜜』)に関連。
 時節:不詳。
 終幕:命辛々。
 備考:2本目と3本目は未投下。
90WQ4本目 1/8:2006/06/23(金) 20:42:17 ID:G36SQEYU
◇塔の中の姫君

 姫君は、単刀直入に言った。
「恋がしたいの」
 ……かつて、小さな王国があった。
 王国の姫君は、その優しさ、美しさで近隣諸国に知られていた。
 ある日、悪魔がやってきて姫君を拉致し、その花を散らした。
 勇敢なる騎士が悪魔を退治し、姫君を救い出したものの、既に悪魔に穢され
ていた姫君を、誰も、真の意味で救おうとはしなかった。悪魔に穢された女に
関われば、自分もまた穢れを受けると信じられていたから。そんな国、そんな
時代であったから。
 神の赦しあるときまで、彼女は高い高い塔に幽閉されることになった。
 入口もなく。出口もなく。呪われた塔に、穢された姫君が一人で。
 それは昔々の物語。伝説でのみ知られる姫君と塔のお話。
 だから、そのとき彼女が何を思ったか。
 それから彼女がどうなったのか。
 伝承には、何も語られていない。
「燃えるような恋でも、切ない片想いでも、何でもいいわ。とにかく、恋がし
たいのよ」
「はあ」
 クラフトは困ったように頷いた。
 抽象的な注文に困っていたわけではない。むしろこの手の注文は、少なくな
いと言えるだろう。
 クラフトは23歳の魔女。アタシ、チャームはクラフトのパートナーたる魔
女猫だ。実年齢11歳、人間換算60余歳。ちなみに肉体年齢は2歳、人間換
算23歳。
 昨日までの土砂降りが嘘のような快晴、と言ったら本当に嘘になる、今日は
ただの晴れ時々曇り。
 いつものようにほうきに乗って、滅びた王国、古代の遺跡、石造りの廃墟に
ふらりと立ち寄ったとき、窓一つ無い、どこも風化した様子がない、不可解な
塔から、クラフトを呼ぶ“声”が聞こえたのだ。
『魔女殿? そこにいらっしゃるのは魔女殿でしょう? この中に、塔の中に
入っていらして。わたくしのお願いを聞いていただきたいの』
 商売人の勘が働いたクラフトは、喜び勇んで中に入ろうとあれこれ頑張った
のだけれど。
「……チャーム」
 ぜいぜい息を吐きながら、クラフトはアタシを呼んだ。
「何?」
「《猫の穴》を使ってくださいますか」
 なんか敗北したらしい。
91WQ4本目 2/8:2006/06/23(金) 20:43:17 ID:G36SQEYU
 しかし、《猫の穴》ですら“声”の主がいるはずの塔の中へは入れなかった。
クラフトの魔法を併用して、ようやく“道”が通じたのだ。
 どさっ。
「あいたっ!」
 落ちたのは、ふかふか豪奢な絨毯の上。
 目の前に、天蓋付きの大きなベッド。子供が十数人、取っ組み合いしたって
誰も落っこちやしないだろう、そのくらい広い。
 シャンデリアは繊細な光を室内に投げかけ。
 壁紙の精緻な絵画は、幾つもの壮大な物語を描いていた。
 椅子、テーブル、どの調度品を取っても、素人目に、てか猫の目にだって、
最高級品だとわかる。
 そこで待っていたのは、贅沢な部屋の様子が、いっぺんで色あせてしまうほ
ど美しいお姫様だった。
「神様にお赦しいただけるまでここから出られないことは、もう諦めているわ。
だけれどわたくしは恋がしたいの。魔女殿、どうかわたくしの願いを叶えてく
ださらないかしら」
 クラフトの目配せに応じて、アタシは魔法を使った。《目ひっかき》。《猫
の瞳は真実の瞳》。お姫様の言葉に嘘偽りはなく、また、お姫様は、普通の人
間だということもわかった。
「先に、お客様の生活環境を、少し調べさせていただけませんでしょうか」
「構いませんわ、どうぞご自由に」
 依頼とは直接関係ないことなのに、クラフトは好奇心に負けて頼み、疑うこ
となくお姫様は承諾した。
 塔の中には、この寝室以外に何もなかった。お風呂もシャワーもトイレもな
い。台所も食料庫も併設されていない。完全密室、ほぼ密閉。
「ちなみに何か、生活面でご不自由な点は……?」
「特に何も。強いて言えば、恋すべき相手がいないということかしら」
 お姫様は、何の問題もなく暮らしているようだ。てか、どういう暮らしをし
ているのか、アタシには想像もつかない。
 クラフトは、猫と相談しますから、とお姫様に背を向けて、アタシに話しか
けた。
「魔女と魔女猫だから、助かったのでしょうね」
「って、何が?」
「さもなくば、ここに来た時点で窒息死していたはずです。姫君は勿論、あの
シャンデリアの、尽きずに燃えるロウソクが空気を汚し続けているというのに、
ここには換気口すらないのですから」
「ひえぇぇぇ」
 毛皮の下で、鳥肌が立った。
「魔法、いいえ、呪いの産物ですよ」
 クラフトは、こめかみを指で押さえながら頭を横に振った。
92WQ4本目 3/8:2006/06/23(金) 20:44:15 ID:G36SQEYU
「生きているとは言い難いのに、死んでいるわけでもない。普通の人間であり
ながら、普通の人間と同じように生活せずとも、死ぬことはない。いえ、死ね
もしない。しかもその不幸に、本人が気付いていない。それゆえ敢えて呪いを
解こうとも思わない。……最悪の呪いです」
「助けてあげられないの?」
「魔女とは困っている人を助ける存在です。誰も困っていないのに、『助けて
あげる』力はないのですよ」
 今更のことを、クラフトは口にする。
「魔女にできることは幸せ探しのお手伝いであって、幸せを探そうとしていな
い人に、望んでもいない幸せを探し出してあげても、それはその人の幸せでは
ありません」
「よくわかんないけど、……それって、いいこと?」
「哀しいことですよ」
 クラフトは溜息をつき、とっとと用事を済ませて出てきましょう、というこ
とで、話はまとまった。商談開始である。
「恋をするというからにはお相手が必要なわけですが」
「ええ」
「どのような方がお好みでしょう。頼れる年上の殿方、可愛い年下の男の子、
屈強な戦士、腕のいい職人、明晰な学者、信心深い牧師……」
「恋できるなら、どなたでも」
「でしたら、これなどは如何でしょう?」
 軽くて小型、魔法のトランクから、手品のように取り出した商品は、分厚い
書物だった。
「この本の読み手は、本の世界に引き込まれて、登場人物の人生をそっくり体
験することができます。恋するヒロインは勿論のこと、彼女のお相手にも、恋
に破れるライバルにも、彼らを見守る脇役にも、彼らとは無関係に自分達の生
活を続けるチョイ役にもなれるのです。本を閉じればいつなりと止めることが
でき、途中のページを開けば続きを読むことができ、最初から読めば、同じ人
物、あるいは違う人物として、一から始めることができるのです」
 お姫様はふんふんと聞いている。
「こちらは『愛の物語』というシリーズになっておりまして、初恋、純愛、不
倫、愛憎、二股、四角関係、不特定多数などなど、息つく間もない波瀾万丈な
ストーリーから、退屈なほど平々凡々なお話まで、古今東西ありとあらゆる恋
愛のパターンが網羅されております。お客様の嗜好を満たす本が、必ずや見つ
かることでしょう」
「でも、それには終わりがあるのよね?」
「は?」
「物語なのだから、ハッピーエンドにせよそうでないにせよ、終わりがあるの
でしょう?」
「それはまあ……そうですが」
93WQ4本目 4/8:2006/06/23(金) 20:45:06 ID:G36SQEYU
「終わりのない、永遠の恋というものはないのかしら?」
 ふーむとクラフトは考えた。
「こちらなどは如何でしょう」
 その小さなトランクに、どうやって入っていたのか疑問をいだかずにはいら
れない、大きな大きな姿見を取り出す。
「『ナルシスの鏡』。永遠に愛すべき存在、自分自身と恋を語らうための鏡で
す」
「ふうん?」
「ああ、迂闊に覗き込まないでくださいませ」
 クラフトは慌てて鏡面にカバーを掛ける。
「鏡に映った自分を深く愛しすぎて、身動きが取れなくなりますよ。こちらに
取扱説明書がございますから、一読していただいて、諸注意を守っていただく
必要があります。簡単にご説明いたしますと、」
 クラフトの台詞を、お姫様は遮った。
「相手はどなたでも、と言いはしたけれど、自分以外の誰かを大切に想ってみ
たい、というのは我侭なのかしら?」
「それは……自然な欲求と言えますね」
 クラフトは鏡を片付けて、次に、人間大の人形を取り出した。のっぺらぼう
の丸坊主、服は着ておらず、乳首も性器も付いていない。関節部分が稼働する
ようになっている、ポーズ人形みたいだ。
「『理想の恋人』。自分が理想とする者のイメージを投影することによって、
この人形に“命”の息吹を吹き込んでいただきます。あとはお客様が愛を注ぎ、
彼、又は彼女と恋を語らうだけで、永久にお客様に愛し、お客様と恋を語らう
最高のパートナーとなるのです。ああ、勿論、お客様の理想が変われば、彼、
又は彼女も、その理想に追随して変わっていきますよ。まさに理想の、永遠の
恋人です」
「でも、わたくしは……」
「ええ、恋の相手に対するイメージが漠然としているお客様の場合、これだけ
では少々役者不足です。そこで先程ご紹介しました、『愛の物語』のシリーズ
や、『ナルシスの鏡』が生きてくるのですよ。つまりは、数多くの書物の中で
様々な人物と、あるいは実際にご自分と、恋に落ちてみて、理想とする相手の
イメージを膨らませ、その上で、この人形をお使いください。きっと、ご満足
いただけることかと存じます」
 わ、流石。上手いこと言って、全部買わせる気だ。
 お姫様は思慮深げに小首を傾げていたが、
「他の物はないの? もっと色々とお話を聞いてみたいわ」
「では、こちらなどは如何でしょう?」
 熱心な商品説明が更に続けられた。
94WQ4本目 5/8:2006/06/23(金) 20:46:15 ID:G36SQEYU
 やがて眠くなってきたアタシは、暫くうとうとしていたらしい。腹時計の具
合からして、もう半日近く、クラフトはお姫様相手に商品の説明をしている。
どれを出しても、何を勧めても、のらりくらりとかわされて、ちっとも手応え
がないのに、だ。
「……もう、商品はおしまいなの?」
「い、いえ、まだまだございますが……少々、お休みをいただけたら、と」
 そりゃ疲れるよねぇ。声がしわがれて、顔色も青い。
「急ぎませんわ。ゆっくりしてらして」
 お姫様の許しを得て、クラフトは椅子に座り、呪文を唱えた。
「《魔女にはお茶。猫にはミルク》」
 マグカップがクラフトの手に、ミルク皿がアタシの前に。ん、美味しい。ク
ラフトは、多分紅茶なのだろうが、一口すすって、生き返ったぁ、という顔を
している。
「ああ、失礼。お客様も、何かお飲物は如何でしょうか?」
「いいえ、わたくしは結構。それよりも魔女殿」
 お姫様の微笑みが、アタシには何だか、悪魔のほくそ笑みに見えた。何だろ
う、嫌な感じだ。
 クラフトは、だけど気にしていないようだ。魔女だから平気、とはいえこん
な空気の汚れた部屋で、ず〜っと喋らされて、疲労の極致で他人の様子を気に
するどころじゃないのかも知れない。そういえば、客を気遣うより先に、この
子は自分のお茶を出して飲んだのだった。……らしくない。
「惚れ薬のような物はないのかしら。使い方が簡単で、永遠に効き目があるよ
うな」
「ございますよ」
 クラフトは、最早条件反射でトランクから香水瓶のような小瓶を取り出した。
「こちらの商品は、相手にシュッと一吹きするだけで、」
 アタシが反応するより、お姫様の方が早かった。ぱっ、とクラフトの手から
小瓶を奪い取り、シュッ、とクラフトに向けて惚れ薬を一吹きしたのだ。
 《うばってダッシュ!》、アタシの猫魔法は、確かに惚れ薬を奪い返したけ
れど、そのとき既に、遅かったのだ。
 ばしゃん! マグカップが落ちて、床に紅茶が広がる。
「クラフト! 《もういちどチャンス》の魔法を使って!」
 5分だけ、5分だけ時間を巻き戻してくれれば、今度こそ惚れ薬を使われる
前に小瓶を取り戻してみせる。だけど。
 アタシの声は、クラフトにはもう、聞こえていないようだった。
「姫……君」
 ふらふらと、おぼつかない足取りでクラフトはお姫様に近づき、
「魔女殿」
 跪き、差し伸べられた繊手を恭しく捧げ持ち、その甲にキスを。
 そして、掌に、キスを。
95WQ4本目 6/8:2006/06/23(金) 20:47:12 ID:G36SQEYU
「クラフトぉ!」
「チャーム……」
 振り向いたクラフトの瞳は霞がかかったようで、星空色が、曇天色に変わっ
てしまっていた。
「邪魔を、しないで……」
「く、くらふとぉ」
 泣きそうになる。でもどうすることもできない。クラフトを連れて逃げよう
にも、《猫の穴》は誰かに見られていては使えず、そもそもここに入るとき、
この子の魔法の補助がなければ入れなかったのだから、出るときもきっとそう
だろう。
 お姫様の許しがあるまで、アタシもこの子も、ずっとこの塔に……。
 冗談じゃない!
「……暫く、待っていて、ください……」
 えっ?
 今の、台詞は?
 訊き返そうにも、クラフトは姫君に招かれるまま、寝台に歩み寄っていくと
ころだった。
 他にできることもない。アタシはクラフトの言葉通り、暫く待つことにした。
 信じて、待つことにした。
「嬉しいですわ。魔女殿」
 クラフトの頭を掻き抱いて、かの姫君が、妖婦の顔で舌なめずりをする。
「わたくしのために、こんなにも心を砕いてくださった。貴方と恋に落ちてこ
そ、わたくしは幸せになれる」
「はい、ワタシは、アナタのために……」
「……何だか棒読みね? あのお薬、本当に効くの?」
「咄嗟に、息を、止めてしまいましたので、ほとんど、吸い込んでいないので
す……。そのため、今は、不完全にしか、効果を、発揮していませんが、時間
が、経てば、完全に、効を、奏します……」
「そうですの」
 毒婦は鷹揚に頷き、自ら胸元をはだけた。真っ白なデコルテ。眩しいほどに
美しく、……吐き気がする。
「さ、魔女殿。わたくしと、恋を語らいましょう。お互いの身体で、ね」
「ありがたき、幸せ……」
 お姫様。アンタは伝説には、美しくも優しい女性と謳われていたのに。
 悪魔に穢されたせい? 塔の呪いのせい?
 それともそれが、アンタの本性?
 クラフトは、姫君のお許しをいただいて、トランクの中から綺麗な桃色の全
身用マッサージ・ローション、『恋に染まる蜂蜜』を取り出した。のろのろと
女のドレスを脱がせ、コルセットも、下着も剥ぎ取って、大理石の彫刻めいた
素裸に、とろり、それを流しかけていく。
96WQ4本目 7/8:2006/06/23(金) 20:48:19 ID:G36SQEYU
 1本、全部を彼女に使って、ポイ、と放り捨てるガラス瓶。商売物なのに、
勿体ない……。
 クラフトは両手を使って、女の肌を桃色に塗り上げていく。最初は手指。そ
れから足。首筋、耳。おなかに背中。心臓に遠いところからマッサージしてい
く。全身の性感を、高めていく。
「ん、はあ……いいわぁ……」
 女の声に喘ぎが混ざる。
 クラフトは、背中側から腕を回して、女の乳房を揉み上げる。
「あっ、は、あっ、あっ、んああっ!」
 女の嬌声ははしたないほど高く、まだ触れられてもないのに、太ももを摺り
合わせて腰を使っている。男を知った、女の動き。期待に濡れそぼつ動きだ。
 ぬるり、ローションを指いっぱいに絡ませて、クラフトは女の口に差し込ん
だ。
「んんっ……」
 くちゅ、くちゅり、女がクラフトの指を、手を、舐めしゃぶる。クラフトの
指が女の口を蹂躙し、唾液の糸を引いて、ゆっくりと抜き取る。
「ね、……キスは?」
 女がねだると、クラフトは、畏れ多い、と俯き、首を横に振った。
「ふふ、遠慮することなどありませんのに」
 腰を捻って振り返り、挑みかかる女の唇、クラフトに触れる寸前、
「ひあっ!?」
 女が仰け反り、離れた。クラフトの手が、女の狭間に到達したのだ。しゅ、
しゅ、指先を数回往復させただけで、女はたちまちとろけてしまった。
「あっ、そんな、凄い、すご、あ、ああ、ん、く、はあああ!」
 右手は深く。左手は浅く。多分、右の方が指を中に突っ込んで掻き回し、左
の方は雛尖をいじっている。ぐちゅ、ぐちょ、ぬちゅちゅ、イヤらしい水音、
アタシの鼻にも届いた、ムッとするほど濃厚な雌の匂い。
「ひぃ!? イヤ、いいえ、もっとよ! そう、そこ、そこを、そこぉぉ!」
 女の腰は必死に、そして滑稽なほどに踊る。
「ひあ、うあ、ぐあ、があっ!?」
 よっぽどタマっていたのだろう。もう体裁を取り繕えないほど感じて感じて
感じまくって、女は、もはや獣の顔だ。
「がっ、ぐはぁぁぁ!」
 物凄い絶叫。びゅびゅ、と股間から飛び出す液体。潮吹き、ってやつだろう。
 白目を剥いて、女はガクンと首を曲げ、そのまま横に倒れた。
「ふぅ〜っ」
 大きく息を吐いて、クラフトはローションまみれの手をシーツで拭き取り、
それから額の汗を拭った。
「思ったより早くイッてくれましたね」
97WQ4本目 8/8:2006/06/23(金) 20:48:59 ID:G36SQEYU
 ひらり、ベッドから飛び降りて、出しっぱなしの商品を手早く片づけ、トラ
ンクとほうきをまとめ持つ。
「って、クラフト、アンタ!?」
「こんなこともあろうかと、商品ごとの解毒剤は一通り飲んであるのですよ」
 わ。アタシの顔がパッと明るくなったのが自分でもわかる。
「そーゆーことは早く言ってよ!」
「今まで言う機会もありませんでしたからね」
 クラフトは辺りを見回し、ナイフを取り出して、椅子の背もたれに飾り付け
てある巨大な宝石を一つ二つ抉りだした。
「ま、代金としてはこんなものでしょう」
「てゆーか、最初っから正気だったのなら、どうして《もういちどチャンス》
の魔法を使ってくれなかったの?」
「解毒剤はね、常に効果を発揮しているわけではなくて、意識的に起動しない
とダメなのですよ。ですから解毒作用が身体全体に回るまでに時間がかかった
のです」
 それに、とだらしなく気絶しているお姫様を見やる。
「他の誰も『見ていない』場所でなければ、《猫の穴》は使えませんしね」
 アタシは《猫の穴》を。クラフトは《猫の穴》補助の魔法を使って、アタシ
達は塔から脱出した。
 人気のない遺跡、暮れなずむ空の下。
 新鮮な空気を胸一杯に深呼吸して、助かったことを実感し、それからほうき
に乗った。
「《速く飛ぶ》」
 もう、一秒だってこんな場所にはいたくない。
『魔女殿。ああ、魔女殿』
 陶酔しきったお姫様の“声”が、塔から追い掛けてくる。
『お慕い申し上げておりますわ。永遠に愛しておりますわ。わたくしの想いを、
わたくしの恋を、どうかどうか、お受けになって……!』
「御免こうむります」
 おぞましさに身を震わせながらボソリと呟くクラフト。
 ほうきの後ろで、古代の王国、石造りの廃墟、呪われた塔、穢れの姫君が、
あっという間に小さくなって、消えた。
 持ち出した宝石は意外と高値で売れたけれど、惚れ薬とローションの代金を
除いて、残りをクラフトは適当な教会に寄付してしまった。
98WQ4本目:2006/06/23(金) 20:49:50 ID:G36SQEYU
 ・・・・・おしまい。

 以上、一度は没にしたSS、しかも1本目が全く無反応だったSSのシリー
ズをゾンビのように甦らせたお話でした。
99名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:18:05 ID:IBviF0yU
何この速度。
GJ!
100名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:52:34 ID:Fqi748y/
WQとしては年齢が高すぎる!!w

でも好きなシステムだし百合だしで超GJ
101名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:50:34 ID:PmzDOXPi
ウィッチクエスト未体験の俺。
超やりたくなった。ルルブ探そうかしら……

しかしWQがハードボイルドで渋いゲームだと誤解しそうだw
102名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:55:20 ID:Fqi748y/
魔女の会でぐぐれ。

ただまあ、PCは必ず13歳の魔女の女の子or1歳の猫 の2人1組固定だけど
103名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:21:36 ID:ED3XGq2M
GJ!
WQかぁ・・・ゲーム自体は知っているけど一度もやった事ないなぁ。
大分前に明石の方のドラゴンで見た事があるくらいでそれ以後は見た事ないや。
104名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:22:33 ID:ED3XGq2M
猫役の人がいない場合はGMが代行するルールがあったはず。
105名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:24:50 ID:nyowGKCl
WQは何度かしています。
その中で百合プレイをしました。ざんげします。
106いつふた:2006/06/24(土) 00:44:04 ID:nYFI/BMj
ゲーム:ギガントマキア(ギガま! 1本目)
 形式:小説形式(三人称)。
レス数:6+1
 分割:なし。
エロ度:和姦←強姦。挿入あり。女性同士注意。フタナリ注意。
連続性:単発。
 時節:不詳。
 終幕:物語のプロローグに相当。
 注意:本日もとい昨日即席作成。
107ギガま! 1本目 1/6:2006/06/24(土) 00:45:04 ID:nYFI/BMj
◇再会

 それは、懐かしい友の急を報せる手紙だった。
 彼女は先日の地震に被災して瀕死の重傷を負い、今は街の病院で手当てを受
けているという。
 手紙には、宛名として少女の名前が書いてあったが、差出人の名前は書かれ
ていなかった。
 悪質な冗談、という可能性もある。否、むしろ冗談であってほしい……。
 胸騒ぎと。一縷の望みと。
 少女は手早く旅装を調え、その日のうちに、故郷の村をあとにした。

 少女は、兎状の耳を頭部に有するライカンスロープ。
 友人は、猫状の耳を頭部に有するライカンスロープ。
 彼女は、土石流で壊滅した他部族の僅かな生き残りだった。両親を亡くし、
多くの仲間と死に別れて、たった一人、この村に引き取られてきた。
 明るい笑顔の、快活な彼女。不幸な身の上など、微塵も感じさせないほど。
 ただ、独りきりでいるとき、彼女はよく、声を殺して泣いていた。

 彼女の強さを知っている。
 彼女の脆さを知っている。
 だから少女は、彼女が大好きだった。
 大切だった。
 ……それなのに。
 少女はただただ、静かに泣きじゃくる彼女を物陰から見守ることしかできな
かった。慰めの言葉一つ浮かばない。友の傍らに寄り添い励ますことすらも。
 無力な自分が悔しくて、少女は彼女に隠れて泣いた。
 流した涙の分だけ少女は、大切な友を、より大切に想った。
 彼女の悲しみを癒すためなら、何でもしてみせると心に誓った。

 長じて少女は、村の掟に従い、成人の儀を済ませた。
 そして天賦の舞の才を買われ、部族の神を奉じる巫女として選任された。
 名誉あることだ。少女は、巫女は自分が誇らしかった。
 何より嬉しかったのは、自分の舞が友を幸せにできるということだった。
 神に間近い身であればこそ、巫女は村全体の平和と繁栄とを祈る。自分が懸
命に舞うことで村人全てが幸福となるなら、延いては彼女にも幸せが訪れるは
ずだ。
 巫女は心を込めて神職を務めあげた。
 務めに励めば励むほど、滅多に友人と会えなくなるのが、少し、否、とても
淋しかったけれど。
108ギガま! 2本目 2/6:2006/06/24(土) 00:46:15 ID:nYFI/BMj

 かの手紙が届く、半年前のこと。
 誰かの失火か自然発火か、村外れの森を完全に焼き尽くすほどの大きな火事
が起こった。村は辛うじて無事だったけれど、たった一人、彼女だけは、これ
以上ないほど険しい表情で、空を見上げて焼け跡に立ち尽くしていた。
 時を置かずして、彼女は旅に出ると言い出した。
 理由は、しかし、一言も話さなかった。
 村人達の誰しもが彼女を引き止めた。最後まで彼女を引き止めたのは、勿論
巫女だった。
 けれど、頑ななまでの彼女の決意を、覆すことはできなかった。
 ――せめて、わけを聞かせて。
 巫女の頼みに、彼女は眦を決して、遥か遠くを見据える眼差しで、これ以上
ないほど真摯な面持ちで。
 何も言わず、ただ、首を横に振ったのだった。

 半年間。短いようで、それはなんと長い時間だったことだろう。
 巫女はずっと、彼女の帰りを待っていた。
 あれは、きっと何かの間違い。彼女は戻ってきてくれる。そうして、以前と
変わることなく、この村で一緒に暮らしてくれる。
 手紙を受け取ったとき、だから、巫女の心は僅かに躍った。傷が治れば、彼
女は村に戻ってきてくれるかも知れない。他の誰でもない、自分が行けば、彼
女を連れ戻すことができるかも知れない。

 村から街へは、どんなに急いでも丸二日はかかる。巫女は、知り得る限りの
近道を通った。そんなわけだから、途中、宿などあるわけもなく、巫女は湖畔
で、独り、夜を過ごすことになった。
 焚き火を起こし、寝ずの火の番。月が陰り、ついついうとうとしていたとき。
 草を踏む、乾いた音で目を覚ます。
 巫女が顔を上げると、……そこに彼女がいた。
 懐かしい、彼女がいた。

「大した怪我じゃなかったのよ」
 明るく笑う、快活な声。不運な身の上など、微塵も感じさせない。
「向こうで知り合った人が、ちょっと大袈裟な人でね。もう手紙を出しちゃっ
たって言うから、心配させたら悪いと思って、慌てて飛び出てきたんだけど、
とても間に合わなくて……。びっくりさせちゃった? ゴメンね」
 巫女は、ホッと胸を撫で下ろした。
「ううん、いいの。あなたが元気だったら、それで」
 あたたかな気持ちで、首を横に振った。
109ギガま! 1本目 3/6:2006/06/24(土) 00:47:24 ID:nYFI/BMj
 彼女は、村の近況を知りたがった。巫女は語った。村は相変わらず平和で豊
かで、誰もが幸せに暮らしている、と。それを聞いて、彼女は本当に嬉しそう
に微笑んだ。
「そっか。じゃあ、あたし、頑張った甲斐があったんだ」
「今まで、何をしていたの?」
 巫女の問い掛けに答えて彼女は、とっておきの内緒話をするかのように囁い
た。
「世界を守って、戦ってたの。神格機兵――大きな大きな“神様”に乗って」
 彼女が何を言いたいのか、巫女にはさっぱりわからなかった。ふざけている
わけではなさそうだったが、それにしては、荒唐無稽な話だった。
「でも、もう戦わなくていいの。あたしの役目は、終わったから」
 嫌な予感がした。取り急ぎ巫女は、一番重要なことを尋ねる。
「村へは、帰ってきてくれるんでしょう?」
 彼女は、暫く言い淀んでいたが。
「あのね」
 真っ直ぐに巫女を見詰めて、言った。
「あたし、あなたのこと好きよ」
「……え?」
「だから、これからはあなたの傍にいたいの。ずっと一緒にいてほしいの」
 それは願ってもない言葉。パァッと顔を輝かせて、巫女は応じた。
「私も、あなたのことが好き……。ずっと傍にいてほしい。あなたと一緒にい
たい」
「本当? 嬉しい!」
 彼女が巫女に飛びついて、二人は草地に倒れた。

 初めての口づけは甘く、切なく、……涙の苦味。
 大好き、という気持ちは、友達として、だと思っていたけれど。
 驚くくらい積極的に舌を絡めてくる彼女の様子に、巫女はようやく、自分の
内なる感情に――友情を超えた想いに気づいた。
「ゴメンね」
 彼女が申し訳なさそうに眉根を寄せる。
「……あなたと、こうしたくて……もう、我慢ができなかったの」
「ううん、わたしも……わたしこそ……」
 吐息の中で、名前を呼び合う。応え合う。
 上着が肩から滑り落ちる。下着を解く。
 互いの胸の膨らみ。先端が擦りあわされて……ふわふわした刺激。
 涼しい夜気に、互いの体温が、こんなにも心地よい。
「気持ち、いいね」
「うん……気持ち、いいね」
110ギガま! 1本目 4/6:2006/06/24(土) 00:48:47 ID:nYFI/BMj
 肌身を、ただ合わせているだけなのに、そこから情感が高まる。
「ゴメンね」
 また、彼女が謝る。
「あなたが欲しくてたまらない」
「きゃ!?」
 巫女は小さな悲鳴を上げた。
 獣が獲物を貪るように、彼女は巫女を蹂躙する、優しく。
 胸元、噛み付くように。吸う、舐める、転がす。そのたび巫女は、甘やかな
鳴き声を漏らす。
 顔を見合わせ、……キスを交わすのはこれで何度目?
 彼女の真似して、今度は巫女が、彼女を優しく蹂躙する。胸元、噛み付くよ
うに。吸う、舐める、転がす。そのたびに彼女が漏らす甘やかな鳴き声が、巫
女をこの上なく興奮させた。
 彼女の乳房の間には、不可思議な十字の形の、痣とも刺青ともつかない模様
が刻まれている。巫女の記憶にない物だった。
「これは、どうしたの?」
 彼女はそれには答えずに、イタズラっぽく笑って、ガバ、行動を起こした。
「あっ、ダメ、そこ……!」
 巫女は真っ赤になって、彼女を押し戻した。
「ダメなんて言わせない」
 彼女は半ば無理矢理、巫女の両脚を広げて、その真ん中に陣取った。
「あたしのものよ」
 左の太もも。内股に、ツクンと痛み。強い愛咬。
「あなたはあたしのもの」
 巫女は、彼女に求められているのだ。狂おしいほど、求められているのだ。
 なんと幸せなことか。
「そう……よ」
 深い吐息を漏らして巫女は、彼女の言葉に酔いしれる。
「私は、あなたのものよ。あなた、だけの、ものよ……」
 神に仕える身にあるまじき、自分の言葉に酔いしれる。
 巫女も、彼女も、全ての衣服を脱ぎ捨てた。二人の間にそんな物、必要ない
のだから。
「あなたが欲しい。全部、欲しいの」
 彼女の股間に、不思議な隆起があった。男性自身。若い娘に似つかわしくな
い、たぎりたつ赤黒さで。
 そんなはずはない。そんなバカなことはない。巫女は混乱した。どういうこ
となのだろう。訊いてみなければ。
「……嫌?」
 彼女に切なく見詰められて、……巫女は彼女を受け入れた。
 彼女のものなら、受け容れられると思った。
111ギガま! 1本目 5/6:2006/06/24(土) 00:50:00 ID:nYFI/BMj
 そして、……灼熱の痛苦。
 絶叫に近い悲鳴を上げながら、それでも巫女は、両の手足で彼女の身体を、
強く激しく抱きしめた。初めて開花する女の狭間を、彼女の“男”に擦り付け
た。
「動く、よ」
 切羽詰った声で告げ、彼女が腰を使い始める。巫女が感じる肉体的な苦痛を、
精神的な悦楽が超越するまで、そう長くは掛らなかった。
「嬉しい、嬉しい、ああ、嬉しいの……好き、大好き、好き、好きぃ……」
 呪文のように、うわ言のように、繰り返しあう言葉。
 やがて意味のないうめきに、それらは取って代わられる。
「う、あ、あっ、あっ、」
「ああっ、あぁ、あああっ」
「「あーっ!」」
 最高潮の絶叫が重なって、彼女の爆発を全身で受け止めたとき、巫女は、現
実の光景がガラスのように打ち砕かれるのを見たと思った。

 夜明けの露が、巫女の頬を濡らした。
 夜空は白々と明け染めている。素裸を自覚して巫女は恥じらい、急いで衣服
を手繰り寄せた。
 彼女は、……いない。
 どこにも、いない。
 なのに喪失感はなかった。寂しさはなかった。
 心の中は今までになく満ち足りて、至福に基づく、熱さがあった。
 巫女の狭間に、とろりと白い粘液。あれは夢ではなかったのだと、主張する
かのように。
 ツクン、と左の太もも。内股に、痛み。
 見れば、そこには不可思議な十字の形の、痣とも刺青ともつかない模様――
彼女の胸に刻まれていたそれと同じ物が、はっきりと浮かんでいた。
 それは誓いのかたち。ずっと、あなたの傍に。ずっと、あなたと一緒に。
 巫女は立ち上がり、空を見上げた。
 そこには巨大な船が――鋼の方舟が、最初の陽光に照らし出されて、堂々た
る威容を顕わにしていた。

 彼女が今まで、どこで、何をしていたのか。
 自分がこれから、どこで、何をするのか。
 今、巫女は全てを理解していた。

 “操鋼の戦巫女”。
 少女は、歴史の陰にその名を残す者となる。
112ギガま! 1本目 6/6:2006/06/24(土) 00:51:07 ID:nYFI/BMj

―〜―〜―

 ――ようこそ。
 ――『本当の』世界へ。

「先代のフュージョナーが戦死し、入れ替わりで新たなフュージョナーが覚醒
した、というわけですか」
 “麗しき闇”ジゼル・ミュートは、嫌味な薄笑いを浮かべた。
「それはそれは……なんとも美しい、愛の物語ですわね」
 “刻む者”デューン・ナルサスは、皮肉な運命を悲しむ素振りを作った。
「それは二人の絆を示しているようだけど、現実は違う」
「と、申しますと?」
「“操鋼の戦巫女”が覚醒したのは、野宿の際、山賊に強姦されたショックだ
よ。自らに降りかかった不幸が、クルースニクとしての才を彼女から引き出し
た。《縮地》の能力が、まさにその発現さ。彼女は自分を犯す暴漢から逃げる
ための力を得たんだ」
「では、“操鋼の戦巫女”の前に、先代が現れたというお話は?」
「“巫女”が自分の心を守るために、無意識のうちに紡ぎ出した『嘘』だよ。
事実を糊塗する、自分だけの『真実』」
「己の記憶を書き換えるとは……素晴らしい精神力ですわね」
 その声には、呆れを通り越して感嘆すらもが混じっていた。
「道理で僕や君の生み出す人魔たちが彼女に敵わないわけさ、それほどまでに
『心の強い』者なのだから。…………でも、ねえ、ジゼル?」
「はい、デューン様」
「心の強さは、心の脆さ。もしも彼女が『事実』を突きつけられたら……あの
夜、真に彼女を『抱いた』男が、人魔となって彼女の前に立ちはだかったとし
たら……?」
 二人はニヤリと笑いあう。
「美しき愛の物語。その最終章を、僕たちで演出してあげよう」
「仰せのままに」
113ギガま! 1本目:2006/06/24(土) 00:52:09 ID:nYFI/BMj
 ・・・・・おしまい。

 以上、『デモンベイン』を観たら『ギガま!』を書く気になったので書いた
お話でした。ちなみにネタ自体は『ギガま!』のルールブックを読んで真っ先
に思いついた代物です。お手持ちのルルブ、覚醒表46〜51の横一行をご確
認くださればご理解いただけることかと存じます。
 ただし、6レス目の内容は純粋に本日^H^H昨日の思いつき。

―――チラ裏
 『デモベ』4話目まで観た。
 絵がヘチャいのを差し引いても、割と面白い。
 とりあえずナイアの一人称が「ニャルラ」、語尾が「〜ニャルラ」でメイド
さん、ではなかったことだけが、残念といえば残念である。
11472:2006/06/24(土) 01:58:38 ID:uXpV9orW
うおおおおっ!? なんかえらいのを召喚してしまったッ!?
読むのもGJも追いつかぬーッ
115名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 22:53:29 ID:V5VpXmm6
>>113
それなんてひでぼんの書?

それはそれとしてギガま!は欝展開の似合うゲームですな。
GJ!
116名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:04:11 ID:3n8srXTq
>>113
GJ

実はナイアさんはメイドはやってたりする(小説版機神胎動)
流石に語尾は無いがw
117いつふた:2006/06/25(日) 08:30:14 ID:PGtnEVpg
ゲーム:真・女神転生 覚醒篇(覚醒篇 1本目)
 形式:小説形式(男性一人称)。
レス数:11+1
 分割:なし。
エロ度:和姦。挿入あり。
連続性:単発。
 時節:春の終わりから夏の初めぐらい。
 終幕:ハッピーエンドの可能性も無きにしも非ず。
118覚醒篇 1本目 1/11:2006/06/25(日) 08:31:27 ID:PGtnEVpg
◇恋文

 旨い話に 落としあな
 甘い誘いに 恋のわな

―〜―〜―

 最近よく見る顔だ、とは思っていた。
 近所に住んでいるのだろう、ぐらいの認識だった。
 いつも本を借りに行く図書館。待ち合わせの時間潰しに入った喫茶店。閉店
間際を狙って駆け込んだスーパーマーケット。たまたま乗り合わせた飛行機の
中。
 俺が借りようとしていた本を、丁度彼女が返すところだったり。
 俺が座っているカウンター席の横に、あとから彼女が腰を掛けたり。
 半額シールの付いた惣菜のパックに、同時に手を伸ばして譲り合ったり。
 チケットに指定された廊下側の座席を見つけたとき、窓際の席で、既に彼女
がうとうとしていたり。
 単なる偶然。誰かにそう言われれば、そうだろうなと納得せざるをえないほ
どの頻度で、俺と彼女はたびたび出逢った。
 今にして考えれば、しかし、彼女ならば『偶然』を装うことなど造作もない
ことだ。
 例えば図書館のサーバで俺の貸出履歴を検索する。
 例えば定点カメラの映像を入手し、俺の行動パターンを解析する。
 例えば旅行会社のチケット購入データと航空会社のフライトプランとを付き
合わせる。
 例えば幽体離脱して、魂だけの状態で俺をストーキングする。
 COMP使いの悪魔召喚師。守護霊の加護厚きチャネラー。彼女なら、『偶
然』を演出して至極自然に俺と出逢うことなんて、実に簡単な話だろう。
 彼女のさりげない仕草がやたらと俺好みなのも、だからきっと、彼女の演技
に違いないのだ。

 ファミリーレストラン。向かい合わせに座って、注文した料理を待つ時間。
「ラブレターなんぞ、生まれて初めてもらった」
 俺がそう言うと、彼女は少々不機嫌顔になった。
 モバイル型パソコン、キーボードをカタカタ叩いてから、彼女は画面を俺の
方に向ける。
『幼稚園のときにもらった憶えは?』
「あったかも知れんが、そんな物はカウントされんだろう」
 彼女の不機嫌顔は膨れっ面になった。一体、何が気に入らないのか、俺には
さっぱりわからなかった。
119覚醒篇1本目 2/11:2006/06/25(日) 08:32:50 ID:PGtnEVpg

 当時、俺は自分の名前の平仮名もロクに読めない阿呆だった。
 だから白い便箋にカラフルなペン字で、俺の名前と、その子の名前と、それ
から大きく『だいすき』などと書かれた手紙なんて、ただの紙くずに等しかっ
た。
 手渡されたそれを、俺はクシャクシャ丸めて自分のロッカーの中に放り込ん
だ。俺としては、むしろゴミ箱に捨てなかったことを褒めてもらいたいくらい
である。
 卒園のときにお袋が俺のロッカーを片付けるまで、手紙は埃にまみれてロッ
カーの奥底。事情を察したお袋が手紙の送り主を探してくれたが、その子は、
もう引っ越してしまっていたそうだ。
 ……実家に帰れば今でも語り草にされる、子供の頃の笑い話。
 あの手紙は、結局どうなったのだろう。俺には全く憶えがない。今度実家に
帰ったとき、それとなくお袋に訊いてみようかと思う。

 放置の憂き目に遭ったラブレターの祟りか、以来二十数年間、俺の人生は、
惚れた女にフラれフラれのドン底街道まっしぐらであった。
 星の数ほど片想い。告って玉砕、十指に余る。フタマタを掛けられたことも
あったし、ミツマタを掛けられたこともあったし、寝取られたこともあれば、
付き合って三日で「飽きた」と宣言されたこともあった。
 不幸中の幸い、俺はド貧乏ゆえのドケチであり、金品目当ての女に騙される
ようなことだけはなかったが、逆に言えば、俺に幾ばくかの資金力と、それを
使う意思とがあったなら、何とか上手くいっていた恋もあったかも知れない。
 ことごとく、想いは俺の一方通行。
 まさか棚から牡丹餅が降ってくるとは。
 カモがネギ背負ってやってくるとは。
 これっぽっちも思いはしなかった。
 在りえない、と断言してもよかった。

 彼女が手紙で告白してきた理由は三つ。
 一つには、俺が難聴であること。
 補聴器を着けてはいても、聞き取れない音や言葉は決して少なくない。
 もう一つ、彼女が喋れないこと。
 発話が不可能であるため、会話はほとんど筆談に限られる。筆談でなければ、
パソコンに打ち込んだテキストを、読み上げソフトに音声出力させる手もある。
俺もそうだが、世の中には手話が理解できない奴の方が多いのだから。
 残る一つは、彼女の『夢見る乙女心』ゆえ。
 …………などと信じている、信じたいと思っている俺は、なんとおめでたい
男なのだろうか。自分でも呆れ果ててしまう。
120覚醒篇1本目 3/11:2006/06/25(日) 08:33:49 ID:PGtnEVpg

 誕生日のプレゼントと称して彼女が俺に贈ってくれたのは、ユニセックスの
ジャケットだった。
 図書館から程近いファースト・フード店で手渡されたのは、平べったい紙の
箱。つやつやの青いリボンを解き、大手有名デパートのロゴが入った包装紙を
バリバリ破いて、蓋をあけると、中に薄紙。それをひらいてようやく、きっち
りと折り畳まれた上品なジャケットにご対面した。
 まさか俺如きにこんな高級な代物を買って寄越すとは。
「高かったんじゃないのか? 幾らだ?」
 質問というよりは、下手をすると非難の口調だったかも知れない。なんて勿
体無いことを。普段使いのジャケットなんて、量販店のバーゲン品で充分だろ
うに。
 彼女はフフンと鼻を鳴らして、誤魔化す気か、と思いきや、領収書兼用のレ
シートを俺の眼前に突きつけた。
 ……両の目玉が飛び出そうになった。俺の常識の十倍の値段だ。
「一桁間違ってるぞ、これ!?」
 彼女はクックと喉で笑い声を立てた。俺の掌に指で一文字ずつ書いていく、
少しくすぐったい、筆談。
『と』『き』『ど』『き』『か』『し』『て』『ね』
 ――時々貸してね。
 唖然とした気分で彼女を見返すと、にっこり浮かべる満面の笑顔。
 俺の誕生日プレゼントの名目で、ユニセックスのジャケットを奮発して、実
際に着るのは、さて、誰なのか?
 俺は彼女を睨めつけ、宣言した。
「俺が毎日着倒して、すぐに着潰してやる」
 以来そのジャケットは、俺の愛用品だ。流石にそろそろ暑くなってきたから、
秋までタンスの肥やしだろう。と、その前に、クリーニングに出しておかねば
なるまいが。

 俺はクズノハの悪魔召喚師である。
 クズノハの悪魔召喚師は、原則として、チャネリングや魔界魔法に長けた巫
女とペアで行動する。そういえば、彼女は悪魔召喚師にしてチャネラーなのだ
から、葛葉の男に生まれていれば、ワンマン・アーミー並に重用されていたか
も知れない。
 ……『葛葉の男に生まれていれば』。
 “クズノハの悪魔召喚師”を名乗ることが許されるのは、葛葉の男子に限ら
れる。葛葉の血脈に限らず、他家から葛葉家の養子に迎えて“クズノハの悪魔
召喚師”となすこともある。
121覚醒篇1本目 4/11:2006/06/25(日) 08:35:11 ID:PGtnEVpg
 だが女子は、たとえどれほど悪魔召喚能力が高くても、葛葉直系の血を引い
ていたとしても、“クズノハの悪魔召喚師”ではなく、“クズノハ系列の悪魔
召喚師”という、ぶっちゃけ一段格下の扱いになる。現代の価値観でいえば女
性差別に相当しようが、一千余年の歴史に根ざす、これも一つの“文化”なの
だ。おいそれと変えるわけにもいくまい。
 それはともかく、クズノハの悪魔召喚師と巫女とが、肉体関係も含む深い仲
となるのは珍しくない、というかデフォルト設定のようなもので、俺も最初は
わくわくと期待に胸を膨らませていたものだ。嗚呼、若かった……。
 が、俺と最初に組んだ巫女は、俺の実の妹だった。がっかりである。
 一年ほどして、妹は、悪魔に襲われたところを助けてやった農家の青年と電
撃結婚、円満無事に寿退職。今は旦那とメロンの水耕栽培に精を出している。
 以降、何人かの巫女と組んではみたものの、深い仲、ならぬ不快仲。一年ど
ころか数ヶ月ともたずに、何故か彼女らの方からコンビの解消を“上”に具申
し、すったもんだの挙句、結局は受理される、ということが何度も繰り返され、
今では俺は、クズノハの悪魔召喚師としては例外的に、単独行動を強いられて
いる。
 ちなみに戦力不足が予想される場合は、他の退魔師仲間数人――勿論、男ど
も――を誘って一時的にパーティを組む。
 とまれこうまれ、全くもって、俺の人生には女っ気というものがないのだ。

 すわ、宗教の勧誘か?
 馬鹿高い英会話の教材でも売りつけるつもりか?
 幼稚園時代のアレも数えて2通目のラブレターを、俺は猜疑心と懐疑の念と
に凝り固まって読んだ。
 そこには、俺と一緒にいると楽しい、もっと色々な話がしたい、というよう
な文面が、上手ではないが読みやすい丁寧な字で、訥々と書かれてあった。
 好きだの嫌いだのいう直截な表現ではない、遠まわしな愛の告白。
 正直、今でも読み返す。実物を見ずに筆跡まで真似して手書きで偽造できそ
うな気になるぐらい、何度も何度も読み返している。

 彼女の誕生日が、俺の誕生日と全く一緒だと知ったのは、俺の誕生日が過ぎ
てから一ヶ月もあとのことだった。
 てゆーか誕生日プレゼントをもらった瞬間に訊いておけ、俺。
 お返しをしなければ、という意思はあったが、何をお返ししていいのかは全
然わからなかった。
 花束? アクセサリー? 洋服? 何か可愛らしい小物?
 恥を忍んで妹にそれとなく尋ねたら、答えはあっさり返ってきた。
「本人に訊けばいーのよ」
「そういうわけにいくか、みっともない」
122覚醒篇1本目 5/11:2006/06/25(日) 08:37:03 ID:PGtnEVpg
「兄貴のくせして見栄なんか張るんじゃないの。どうせカッコ悪いんだったら、
プレゼントを選ぶのに失敗して変な物を贈っちゃうカッコ悪さより、前もって
欲しい物を教わるカッコ悪さの方がまだマシよ」
 カッコ悪いの前提かい、とツッコミを入れたくなったが、どうにも妹の言う
ことが正しそうだ。
 早速、俺は彼女にケータイ・メールを出した。
『誕生日のプレゼントに、何か欲しい物はあるか?』
 即座に返信があった。『別にないよ』。俺は焦った。
『行きたい場所は?』
『別にないよ』
『食べたい物は?』
 やはり即座に、『別にないよ』の返信。
「じゃあ、どうして欲しいんだ?」
 4本目のメールを送信してから、新しいメールを受信するまで、小一時間の
間が空いた。
 やっと届いたメールには、
『二人で一緒に歩くとき、手をつないでほしいな』

 いっぱし普通ぶったデートコースは、あいにく俺には縁がなかった。映画だ
のコンサートだのドライブだの高級フランス料理店だの、女の好みに合わせて
無理に背伸びして、何度コケたか知れない。
 その点、彼女と一緒にいるのは非常に気が楽だった。
 ソフトクリームを食べながら公園をブラブラ散歩したり。
 星座早見盤を片手に大口をあけて夜空を眺めたり。
 やれシルクロード特集だ、SL特集だと騒いで民俗博物館だの交通科学館だ
のをハシゴしてみたり。
 今時中学生でも、こんな健全一辺倒のデートはしないだろうと思うのだが、
俺と彼女はそれが自然体で、楽しくて。
 夏祭りの縁日、屋台を冷やかして回るうち、彼女がじっと俺のことを見詰め
ているのに気づいた。
 何の用かと訊いても答えない。ただじーっと俺のことを見ている。
 なんとなく思い当たる節があって、俺は彼女の手を取った。
 ――二人で一緒に歩くとき、手をつないでほしいな。
 彼女の嬉しそうな、恥ずかしそうな笑顔。

 最初はしこたま照れ臭かったのに、今では手をつないで歩かない方が、淋し
いというか、落ち着かない。彼女と隣り合えば、どちらからともなく、すっと
手を取る。握り合う。
 そうしたら、水が低きに流れるみたいに、ストン、と腑に落ちる感覚。
 多分、俺たちには、これが一番しっくり馴染む形態なのだ。
123覚醒篇1本目 6/11:2006/06/25(日) 08:38:25 ID:PGtnEVpg

 俺は、今まで何人かの女達と付き合った。
 けれど、あいつらの声を、あいつらの言葉を、『聴いた』ことなんて、一度
もなかったのかもしれない。
 難聴を理由に。聞こえにくい耳を言い訳に。
 俺は、あいつらと話をしようとしていなかったのかもしれない。
 声がない分、彼女は俺に、一生懸命『言葉』を投げかけてくれる。
 だから俺もそれを受け取って、下手くそなりに、俺の『言葉』を返してみる。
 それが『会話』になって。
 少しでもわかりあえて。
 お互いに歩み寄れて。

 彼女の素性を調べて、疑念は確信に変わった。
 彼女は道摩一族の末裔。
 それも本家の一人娘。
 葛葉家が、その始祖に安陪晴明を戴くように。
 道摩家は、その始祖に芦屋道満を戴く。
 陰陽師、破戒法師、呪殺師、外法師、……、その呼び名は数あれど、芦屋道
満とは、呪術合戦で、あるいは権力闘争の末、安陪晴明に敗れ、恨みを呑んで
死んだのち、自ら魔界に堕ちたと伝説にいわゆる魔人である。
 推測の域を出ないとはいえ、最近、自衛隊の転送実験に乗じて復活を遂げた
との噂があり、吉祥寺の辺りでその姿を見たとも聞く。
 魔人ドウマンが現世に舞い戻った、それに前後して、道摩の女が葛葉の男に
近づいた。
 目的は、あからさまにも明白だ。
 俺の戸惑いは、彼女への怒りに変わった。

 ならば俺も同じことをしてやればいい。
 彼女に利用されるフリをして、彼女を利用してやればいい。
 親しい友達のような顔で。情愛深い恋人のような態度で。
 彼女が俺を騙す分だけ、俺も彼女を騙してやるのだ。

 俺は短気で、彼女は頑固で、ケンカの数なぞ憶えてられない。酷いときには
週に1回。最悪、3日と空けずにいがみあった。
 声に出して話せたら。もっとはっきり聞き取れたら。きっと、その回数は激
減したに違いないけれど。
 だからこそ俺達は、遠慮なく我を張り合った。
 独善。押し付け。自己中心。高速で回転する独楽と独楽とがガチンガチンと
ぶつかるように。
 罵倒。皮肉。説教。反論。泣いたり怒鳴ったり睨み合ったり。
124覚醒篇1本目 7/11:2006/06/25(日) 08:40:11 ID:PGtnEVpg
 ただ、諦めることだけはなかった。
 どんなに伝えにくくても、たとえ伝わらなくても、伝わらないとわかってい
ても。
 貪欲に伝え合った。
 伝えることを、諦めなかった。

 仲直りの儀式は、手をつなぐことから始める。
 次は彼女が俺の腕に抱きついて頬擦り。
 それから俺が彼女を抱き寄せて、耳元で低く御免と囁く。
 最後にお互い顔を見合わせ、何よりも心を伝える微笑みの雄弁。
 そう、ここにはぬくもりも、痛みすらもあるのだから。
 二人で分け合うぬくもりが。
 自分をぶつけ合える痛みが。

 ……自覚がないわけではなかった。
 彼女が俺を騙す分だけ、俺も彼女を騙してやる――それは怒りの感情よりも、
自暴自棄に近いものである、と。
 誰よりも俺が嫌悪したのは、彼女の好意を信じられない自分。
 俺が彼女を騙すのだ、と、俺を騙している俺自身。

 こんなにも深く落ちてしまった恋から、逃れるすべなど俺は知らない。
 たとえ、いずれ手酷く裏切られるのだと、わかっていたとしても。

 初めての夜は俺の部屋。
 居酒屋で、タバコの煙に死ぬほど燻され、咳き込み苦しがる彼女を、
「うちで休んでいくといい」
 などと口実めかして連れ込んで。
 確信犯。彼女がタバコの煙に弱いことも、あの店の常連にヘビースモーカー
が多いことも、俺たちの座ったテーブルが風下にあたることも、俺は知っての
上だったのだから。
 それでも、無理強いだけはしない心積もりだった。
 温かいお茶と喉あめで一息ついて、彼女がホッと一安心の表情。
 密着距離で、触れ合う唇。繰り返しのキス、深め合う。絡まる舌に、喉あめ
の味。
 俺の視界の中、とろんと甘い色の瞳。細い首筋を指先でくすぐってやりなが
ら、俺は時計に目線を向けた。
「もう大丈夫そうだな。そろそろ送っていくよ」
 わざとらしく立ち上がろうとすれば、きゅ、と俺のシャツを掴む手。
 うつむきがちのためらいと。
 上目遣いの誘惑と。
125覚醒篇1本目 8/11:2006/06/25(日) 08:41:03 ID:PGtnEVpg
「帰らないのか?」
 俺は尋ねる。意地悪く。
 彼女は答える。声のない声。
『か』『え』『り』『た』『く』『な』『い』

 帰らせるものか。
 手放すものか。
 抱き寄せた身体が熱いのは、酒のせいではないのだから。

 彼女も覚悟は決めていたのだろう。シャワーを浴びて、出て来た姿はバスタ
オル一枚。風呂上がり、Tシャツに短パン姿をした俺の方が躊躇いを着込んで
いるかのようだった。冗談じゃない。脱ぎ捨てる。彼女のタオルも一気に剥ぎ
取る。
 俺一人でもいっぱいいっぱいのシングルベッド。そこに横たわる彼女。まぶ
しい裸身を覆い隠すように、この俺がのしかかる。
 ぎしり、みしり、二人分の体重を受けてスプリングが嫌に軋む。
 常夜灯の光、オレンジ色に薄暗く。なのに彼女の素肌だけが、仄明るい白さ
で俺の網膜に焼きつく。
「悪いな、狭くて」
 彼女が少し腕を動かすと、壁にコツンと突き当たった。そのまま俺の背中に
投げかけて、指先の筆談。
『だ』『ぶ』『る』『の』『か』『お』『う』『か』『?』
 ――ダブルの買おうか?
 ダブルベッドを買ってあげようか、という意味だとわかった。
 クズノハと違い、道摩一族は濡れ仕事も厭わず引き受けるという。後ろ暗い
依頼なら、礼金も目玉が飛び出るほど高いに違いない。彼女が金銭に頓着しな
いのは、多分、そういう理由で実家が裕福なせいだ。
 お金持ちのお嬢様。きっと、何不自由なく蝶よ花よと育てられてきた。欲し
い物、必要な物があるのなら、惜しまず買えばいい。恐らく、そんな思考回路
の持ち主。

 ――二人で一緒に歩くとき、手をつないでほしいな。

 その割に、これといった物欲が彼女にないのは、少々不思議な気もした。
 ひょっとしたら、いつでも何でも買える気でいるから、逆に、今これが欲し
い! という確固たる意識が持てないのかも知れない。
 けれども、もしも、仮に、万が一。俺と結婚なぞしたら。
 彼女は貧乏暮らしに耐えられるだろうか。
 俺との貧乏暮らしに耐えられるだろうか。
「お前が買わんでいい。要るんだったら俺が自分で買う」
126覚醒篇1本目 9/11:2006/06/25(日) 08:42:00 ID:PGtnEVpg
 そう? と彼女は何の気なしに頷く。

 明日は生体エナジー協会に行ってこよう。最近はCPに余裕があるから、幾
らか現金に引き換えれば、ダブルサイズの蒲団ぐらいなら、俺にだって買える
はずだ。
 ダブルベッドは、……まずはもっと広い部屋に引っ越さないとな。

 しっとりした濡れ髪を指で梳く。
 俺に頭を撫でられて、子猫みたいに目を細めた隙。
 桜桃めいた乳房の先、唐突に吸い上げる。
「……っ!」
 鋭い吐息の感触。
「痛いか?」
 俺の質問に、彼女は困ったような顔をして。
『す』『こ』『し』『き』『つ』『い』
 ならば、と、裾野の方から優しく揉みあげてやる。やがて彼女がうっとりと
瞼を閉じたところで、もう一度、先端を吸い上げる。
「……っ」
 今度の吐息は、柔らかい。
 俺は穏やかな刺激を繰り返す。んっ、くっ、と息を呑む、彼女の震えが俺の
身体に伝わってくる。
「次は、どうして欲しい?」
 俺の問い掛けに、彼女は恥じらい、顔を背けた。可愛い。
 声でコミュニケーションできない以上、彼女にヤラしいことを言わせて楽し
もうったって、そうはいかない。だから、俺は彼女の手を取って、直接、俺を
握らせた。ひくっ、と彼女が身を縮める。カァッと赤くなるのがわかる。
 代わりに、俺の手を彼女に沿わせる。そして。
「俺がするように、お前もしてくれ」
 囁きかける。
「もしも痛かったら、俺のも痛くしていい。もしも気持ちよかったら、」
 彼女が、そっと俺を盗み見る。
「俺のも、気持ちよくしてくれ」
 潤んだ瞳は黒目がち。彼女が、おそるおそるといった具合に頷く。
 真っ先に俺は、彼女の襞の中、わざと皮を剥いて突付いた。
「っ!」
 これは痛いだろう。痛くはないまでも相当キツいはずだ。彼女はどうするだ
ろう、俺のイチモツに爪でも立てるか、それとも。
 彼女は、俺の胴部をぎゅうっと握った。俺の身体に気を遣いながらも、ふれ
あいの相互関係に同意してくれているのだ。
 自分一人で抱え込まずに、俺に『返して』くれているのだ。
127覚醒篇1本目10/11:2006/06/25(日) 08:44:07 ID:PGtnEVpg
 胸の熱さは、嬉しさだった。
 そうして俺は、自分の指先を唾液でたっぷり湿らせ、それからゆっくり、彼
女をなぞりはじめた。
 1枚1枚、丁寧に。
 固い蕾を、この俺が開花させていく。
 彼女の掌から力が抜けた。もう、痛くはないのだろう。
 ところが。
 そこで彼女が俺を少し押しのけた。待って、と言いたげに。
「どうした?」
 何が不快な思いでもさせてしまったのだろうか? 俺が不安になったとき。
 彼女は指先で、俺の腕に文字を書いた。
『ど』『う』『し』『た』『ら』『き』『も』『ち』『よ』『く』『で』『き』
『る』『?』
 ――どうしたら気持ちよくできる?
「俺を、か?」
 こくん、頷き。またしても俺は胸が熱くなる。
「こうやって、」
 俺は彼女の手首を取り、そっと導いてやった。
「上下に扱いたり……ここを、掌で撫でたり、ここを、指でくすぐったり……」
 彼女は真剣な表情で何度か頷き、それから俺の教えの通りに、俺を気持ちよく
し始めた。
「つまり、」
 俺は尋ねる。ニヤニヤしながら。
「さっきのは、気持ちよかったんだな?」
 今更ながらに彼女は照れて、ばか、とか何とか書く代わりに、俺の肩をカプ
リと噛んだ。

 俺が彼女の中に入る頃には、俺も、多分彼女も、身体の芯からもうトロトロ
で。
 挿入。その行為自体に、意味なんかなかった。
 絶頂の放出。最果ての痙攣。
 それは儀式の一段落を告げる、ただのフラグ立てに過ぎず。
 裸のまま抱き合う汗ばんだ肌。
 次第次第に緩やかに、鼓動が二人の夢うつつを揺らす。

 嘘も、事実も、真実も。
 俺たちが今、ここにいる。その現実には打ち克てないから。

 何の前触れもなく実家に帰ると、途端、物置の整理を言いつけられた。
128覚醒篇1本目11/11:2006/06/25(日) 08:45:53 ID:PGtnEVpg
 俺の自室だった部屋が、今では物置状態で、そこに寝泊りしようと思えば、
まずは部屋に放り込まれた荷物を物置に入れねばならず、そのためには乱雑な
物置にスペースを確保せねばならなかったのだ。
 とりあえず手前に積んである中身不明のダンボール箱を奥へ奥へと運び込ん
でいくうち、ふと、お袋の字でアルバムと書かれたダンボール箱を見つけた。
 好奇心から蓋をあけてみると、……ぎっしり、子供の頃の俺と妹、二人分の
思い出。
 一番手前のは俺が生まれてすぐの物で、ページをひらいた途端、でぶでぶの
赤ん坊がバァっと顔を出し、なんだか面映いようなくすぐったいような気分に
なった。
 二冊目は幼稚園の頃の…………っと。
 卒園写真の隣のページに、色あせた1枚の便箋。
 上手ではないが、幼稚園児が書いたにしては読みやすい丁寧な字で、訥々と
書かれた直截な愛の告白。『だいすき』。
 その上には宛名、俺の名前が平仮名で。
 その下には差出人。
 彼女と同じ名前が、平仮名で書かれてあった。
129覚醒篇1本目:2006/06/25(日) 08:46:51 ID:PGtnEVpg
 ・・・・・おしまい。

 以上、私的な思い入れを色々と放り込んだせいか、かなり難産だったお話で
した。
130名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 10:01:56 ID:wIoNMkci
 感想書いて行こうと思ったら、新しいのまで到着してるし!
 相変わらずの仕上げの速さに敬服ですよ。
 
>線路は続くよどこまでも
 いい雰囲気だな、と思った。子供にとっての大冒険とかそういうの。汚れちまった悲しみに。
 
>塔の中の姫君
 俺も単刀直入に。この姫君怖ェよ。泥のように恐ろしいよ。魔女よりもよっぽど魔女だよ。
 WQがどんなルールなのか気になった俺も、魔女の会でぐぐってくる。

>再会
 え、何、ギガントマキアってこんな鬱展開を楽しむゲームなのか。
 あといつふたのひとはマイナールール普及委員会か何かなのかと。

>恋文
 ああ何か幸せになって欲しいふたりだな。幼稚園の頃からの悉くが策謀で策略なわけはないと信じたい。
 だが最近のいつふたのひとは読み手を惑わす悪女な気がするから油断がならない。
 1本目、って事は続きありっすよね?
131いつふた(偽):2006/06/25(日) 10:03:00 ID:wIoNMkci
「突然だが!」
「突然だな」
「るるぶとインドを買ってきた!」
「どこへ旅立つ気だ。涅槃か? そうか、なら手伝ってやる」
「……カオスフレアのルールブックとインペリアルジェイドを買ってきた」
「判り易くかつ大人しく最初からそう言え」
「ん〜、で、いくつか思考実験してみたわけだ」
「思考実験?」
「判り易くぶっちゃけるとエロパロ板用のプロットを考えてみた」
「……」
「なんだその生ゴミを見るような眼差しは」
「別に」
「とまれだ。まず王道。界渡りの戦士×剣の聖女。表紙からしてベタついてくれよってからにこいつらは」
「すると被害・欠如を与えられた聖女が戦士の手助けを得てダスクフレアに対抗、打ち破って後に…その、ごにょごにょとい
う展開だな?」
「その通り。疫病蔓延辺りで引き起こされる病なんかが直接目に見える形で痛々しく望ましいな。聖女は『邪魔なカオスフレ
アめ』って事でダスクフレアの手先に狙われて、そこに颯爽とバイクに跨った少年の登場だ」
「言葉も出ないくらいに王道だな」
「この時若干手傷を負わされて肌が露出していたりして、お互い異性を意識しておくのがよい。当然移動は戦士の二輪にタン
デムだ。ここではあくまで『気恥ずかしいながらもつかまらねばならない』という描写を入れておく。あと、手を貸してもら
わなければ座席に座れない、という線も伏せる」
「だがその正道展開だと、戦士はダスクフレアを打ち破って元の孤界に帰って終わりだろう」
「そこは考えてある。参照すべきは闘争表の呪いだ。死に際のダスクフレアから死の呪いを受けるのだ。それをふたりで分か
ちあって発動を遅らせるべく、行為に及ぶ。無論義務感だけじゃないふうに印象付ける。呪われててもこういう時は元気なの
はお約束だ。ラストは再び二輪に跨る戦士。当然のように、『手、貸して下さい』だ」
「ついてくるのか。寝惚れか」
「効力ハーフになってもいずれ死ぬ呪いだからな。解呪の為にもふたりで旅しよう、という話だ。同乗して走りながら詫びた
りなんだりで言葉が途切れて静かになって、そこで不意に腕が回されて聖女の方が抱きついてくる。頭上には青い空。戦士の
オートバイが砂埃を巻き上げながら遠く小さくなっていって、幕」
「普通だな」
「王道だからな」
「オーソドックスが悪いとは言わないが、もう少し捻りがあった方がよくないか」
「そこで変化球だ。アジ・ダハーカ×白き鳳凰」
「いきなり理解し難いところに投げ込んできたな」
「皆大好き陵辱ものだ」
「ダウト。確実にそれはない」
132名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 10:03:02 ID:gJV6KybP
ぐっじょーぶ!!!
ええなぁ、雰囲気アマアマなネタ。

ところで「俺」が今まで女運がなかったのも実は「彼女」の仕業で呪いとか
かけてたんじゃないかなーとか考えたらダメですか?
133いつふた(偽):2006/06/25(日) 10:03:43 ID:wIoNMkci
「致命的な作戦ミスで地位と権限とを奪われる白き鳳凰。彼女の龍皇軍は、一時的ながらアジ・ダハーカの指揮下に入る事に。
『俺の言う事を聞くなら、お前の可愛い部下たちは無傷で返してやろう。だが従わないなら、奴らは最前線の死地に枕を並べ
る事になるだろうなぁ?』。誇り高い鳳凰は、しかし部下たちの為屈辱的な言いにもただ従うのみでだな! そりゃもういい
ように!」
「人の話を聞け。興奮するな。鼻息を荒げるな。嘆かわしい」
「駄目か」
「駄目だ」
「じゃあアムルタートつながりで、皆大好きいるるんだ」
「いるるん言うな」
「世界的愛称らしいぞ?」
「大嘘をぬかすな」
「絡むのにいいキャラが思いつかんので、ここはオリジナルキャラのフォーリナーだ。〆のラインとして絵描き志望という要
素を添付」
「そんな芸術的要素にアムルタートが惹かれるか?」
「当然惹かれまい。金ピカは好きそうだけどな。あと性格づけとしては軟派っぽく軽め。口が達者」
「絶対的に相性が悪いだろう」
「しかしフォーリナーの方はいるるんに一目惚れだ。出会うなり口説きにかかる。綺麗だ、可愛い、大好きです。勿論そんな
言葉が通る相手じゃない。だがアムルタートの女王としてはこう考える。『これは御しやすいマーキュリーの所持者ではない
か?』」
「まあ、ないとは言えないだろうな。最大の障害は、取り込めさえすれば最大の戦力に早変わりだ」
「そうしてエヌマ・エリシュへ。ここでフォーリナーは数日姿を消す。小うるさいくらいつきまとってたのがいなくなれば当
然気になる。ちょっと調べてみると、ダスクフレアの手下と交戦中。戦ってる様を見て、なかなかの使い手だと感嘆する」
「最初のマイナス分、そこで評価が上がるわけだな」
「『お主、戦っておる様はなかなかよいな』『そう? でも喧嘩は嫌いだな。殺し合いなら尚更。好きな女の子と手を繋いで
る方がよっぽどいい』ここで手を差し出して、『馬鹿か、お主は』と叩かれる」
「それもある意味陳腐じゃあないか?」
「昔の人はこう言った。有効だからこそ使い古されて陳腐になるのだと。ん〜、とまれ意識の違いを垣間見てイライラするい
るるん。何故苛立つのか判らなくてもっといらつく。そこにダスクフレア登場。同時に呼び出されたエネミーの処理で龍皇軍
は手一杯。いるるんが前に出る覚悟を固めたその時、颯爽と現れるフォーリナー」
「さっきも界渡りの戦士が颯爽と現れてた気がするが?」
「気のせいだ。そして言う。『あれを倒す為に呼ばれたんだし、あれを何とかしないと皆がひどい目に遭うらしい。だからオ
レ、死ぬ気で戦ってくる』『…』『で、最後になるかもしれないから頼みがあるんだ』マーキュリーを準備して、歩き出しな
がら『眉間のしわを緩めて、にっこり笑ってくれ。んで頑張ってって言ってくれ。男ってのは馬鹿だからそれだけで頑張れる。
オレはもっと馬鹿だから、それだけで勝利してこれる』ここで歩みを止めて、肩越しに、けれど真摯にいるるんを見る。『あ
の程度に手こずるな愚か者。手早く排除して必ずわらわの元に戻ってまいれ。それから、』咳払いして、そうして幾分強張っ
た微笑みを見せた。『その……頑張れ』『OK、そうする』」
134いつふた(偽):2006/06/25(日) 10:04:29 ID:wIoNMkci
「そしてフォーリナーがダスクフレアを打ち破って、その後にごにょごにょという展開か。…これもさっき言ったような気が
するが?」
「気のせいだ。んで戻ってきたフォーリナーにご褒美が欲しいだのなんだの言われて、なんとした気の迷いか唇を許してしま
う冥龍皇。そのまま流れ流され雲雨幾度。朝、目を覚ますとベッドを抜け出たフォーリナーがなにやら描いている」
「そこで最初の付加要素か」
「うむ。クロッキーのいるるんの寝姿だ。『ずっと寝顔を見ていたのか!? …無礼者』『綺麗で可愛いと思ったんだ』」
「どうでもいいがそのフォーリナー、元の孤界でも二股くらいはしていそうだな」
「そこで真っ赤になったいるるんに、差し出される絵。『はい、どうぞ』『…いらん』『そっか。残念』『もう一枚、描け』
『ん?』『わらわの為に、お前自身の肖像を描けと言ったのだ!』」
「私の発言はスルーか」
「やがてダスクフレアを倒す為だけに呼ばれたフォーリナーは、元の孤界に強制送還される。それぞれの絵を、それぞれ思い
出の品として常備化。その後アムルタートでフォーリナー召喚の研究が何故だか盛んになるが、それはまた別の話、というオ
チ」
「大分趣味に走ったようだが、まあ及第点じゃないか?」
「後はだな」
「まだあるのか!?」
「しろがねの女神と放浪の魔王」
「ちょっと待て。その組み合わせはどうなんだ」
「これもまたお約束だ。百合はウケがいい」
「…お前の趣味だな?」
「ああ、オレの趣味だ」
「……」
「なんだその不燃ゴミを見るような眼差しは」
「別に」
「自我を得て間もないしろがねの女神を拾った放浪の魔王。最初は興味半分、便利に使ってやるやるつもりだったのだがいつ
の間にやら情が移る」
「結局語るのか」
「女神にしてみれば、自分を一個の人間として見てくれる大事な相手。魔王にしてみても、久方ぶりにちゃんと自分と向き合
って触れ合う存在だ。この二者間に特別な感情が生まれて何の不思議があろうか。いや、ない」
「異議あり」
「却下します。ある日ふたりで居る時に、バカップルがキスしているのを見る。『あれはどういった意味を持つ行為なのです?』
『んむ、好きあう者同士が、その愛情を確認する為のものじゃ。だが人前で…んっ』にっこり微笑む女神『ななな何を…!?』
『ふたりの愛情を確認しました』『かかかか帰るっ』」
135いつふた(偽):2006/06/25(日) 10:05:35 ID:wIoNMkci
「そしてダスクフレアを打ち破って、その後にごにょごにょする展開だな」
「なんか投げやりになってないか君。だがこの話にダスクフレアは登場しないのだ。出るのは魄桂英。美食と京劇と色(男女
を問わない)を好む、とインドに明記されたおねーさんだ」
「まだその流行りそうもない略称を口にするか」
「ああともよ。ちなみにコントラストサイドは根菜だ。流行らせとけ。ま、それはともかく。その後妙に自分の面倒を見てく
る女神に、どうもどぎまぎしてしまう魔王。そんな中、情報収集の必要があって魔王は街に赴く。一緒に行くと言い張る女神
をおいてけぼりにして。訪れた先は青幇の息のかかった場所で、お決まりのオクスリを嗅がされて、哀れ魔王は魄桂英の毒牙
に。っつーかあの右手はヤバイ。そうとうエロい事になってる」
「ほーほー、左様か」
「息も絶え絶えに弄ばれる魔王。あわや、というところに現れる女神。その横顔を見て、安堵して意識を失う。次に目を覚ま
した時はどこかの宿のベッドの上。すぐ傍に自分を見守る瞳。双方拗ねたような沈黙の後、魔王が謝罪。『悪かった』『……』
『怒っているのか』『……』『…き、嫌いになったか』『――いいえ、大好きです』そのままふたり、自然の成り行きの為す
がまま」
「で、以上か」
「一読したところではこんなモンだな。ああいや、グリシーナも使えそうに思った。通称ぐりぐり」
「そんなたわけた通称、誰がつけた」
「オレ」
「……」
「なんだその産業廃棄物を見つめるような眼差しは」
「もういい。逝け。死んでしまえ。彼岸へ渡れ。速やかに六道の辻を踏め」
「そんな事より、グリシーナのアレが気になる。頭のアレが」
「リボンじゃないのか」
「ネコミミという説は譲れん」
「譲れ」
「断る」
「……」
「そんな目をしてももう無駄だ。慣れたからな。だが今のところ彼女に関しては、面白げな展開が思いつかないので保留だな」
「三千世界のどこかで、ほっと胸を撫で下ろした事だろう」
「ところでだな!」
「なんだいきなり」
「実はこの話オチがない」
「ここまで引っ張っておいてか」
「ここまで引っ張っておいてだ」
「物も言わずに三度死ね」
136名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 10:06:27 ID:wIoNMkci
 というわけで、カオスフレアのキャラ作ったりカオスフレアのキャラ作ったりカオスフレアのキャラ作ったりしてました。セッ
ション自体は今度の水曜なんだけどな。
 ルールブック読んで色々思いついたけれどその全てを書き上げる時間は到底なく、ならばプロットのみでも語っちまえという思
いつき。読みにくくても気にしない。
 そしてすまねぇ132。変なところに挟み込んじまったぜ。
 あとはあれです、いつふたのひとが笑って許してくれればオールオッケーです。リスペクトだからインスパイアって言えば大丈
夫だってどっかの偉い人が言ってました。あ、えーと。ごめんなさいっ。(←脱兎の如く)
137名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 10:17:42 ID:5rSpyexC
>>131
GJ
だが、もうちょっと先輩、後輩風に言ってくれ
138名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 15:37:57 ID:rcULpi6N
信長は使えないと申したか。

…………周りジジイばっかだもんなぁ。
とりあえずGJ
139名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:57:23 ID:OXOQl54W
カオスフレアのフォーリナーって元の世界に返る術は知られていないんじゃなかったっけ?
R&Rの記事にそう書いてあったが。

それはそれとしてGJ。
唯一の問題はハッタリゲーに対してふたなりと言う要素を絡めるのを忘れていることぐらいか。
140名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 18:47:54 ID:SSQE6hSM
公式シナリオでは、NPCフォーリナーがクライマックス終了後に元の世界へ送還されてたな。PC1が一緒に戻るかどうかも選択肢があった。
つまり、方法は知られてないけど偶発的に帰れないわけじゃないってことかしらん?
……あれ、まるで本スレのよーなレスを。

それはそれとしてGJ。
唯一の問題は(以下略)
【馬鹿は真似をしてごまかそうとした】
141いつふた:2006/06/25(日) 19:07:09 ID:/qrv17BE
>136
 おや、珍しい御仁が珍しい時間帯に珍しい書式の珍しい雰囲気でご登場です
な【←使い×使いシリーズは完結したんだったかな? とログを辿りながら】
 前スレ>>20で「俺はコメディテイストが書けなかったりする」と仰っていた
御当人のSSとは到底思えないコメディテイストが素敵です【←真綿にくるん
だ針で突付くが如き口調で】
 GJ!【←とってつけたよーに嫌ほど友好的な笑顔、&サムズ・アップ】

>眉間のしわを緩めて、にっこり笑って(中略)それだけで勝利してこれる
 この部分がストライクでした。なんかうちの旦那を連想して【←一人でほれ
ぼれしている】

>物も言わずに三度死ね
 あと、この台詞。いつかパクらせてもらいますね。


 それはそれとして、「百合」はプラトニック寄りと旦那に教わったのですが
ゴニョゴニョ展開するのも「百合」言いますのん?>ALL
142名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:11:20 ID:6csfQUS4
R&R20号の記事では
「マーキュリーのパワーが臨界を越えたとき、
 地球へのゲートが開く現象が開く現象がいくつか報告されている。」
「そのゲートはあまりにも小さく、通過できるのはフォーリナーが一人だけ」
「天命を終えたフォーリナーを世界が元の家に返すのだといわれている」
との記述が。

それはそれとしてIJ・・じゃなくてGJ
唯一の問題点はエラッタで13歳と明らかになったアル(ry
143名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:24:37 ID:v5MlPkxw
しっかり決まっていないが、帰還させたければさせとけ、程度の文章だろ。
144名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:32:18 ID:a70GpKNT
>>142
それなんてオーラ(ry
145名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:45:46 ID:rcULpi6N
フレアロードといいなさい。エレガントに。
146名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:18:24 ID:zk7SAlha
フレア農土が開かれた〜
147名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:18:17 ID:eb3XNjXl
インドと根菜にワロタ
いるるんかわいいよいるるん
148名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:18:23 ID:D9qH7+kd
>>146
おいしい根菜がとれそうだ
149名無したん(;´Д`)ハァハァ :2006/06/26(月) 05:16:00 ID:i/ToX+HR
種蒔く姿胸を打つ〜
150名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 15:49:06 ID:d7ZSjZzF
>>141
>プラトニックなのが百合と〜ゴニョゴニョ展開するのも「百合」
純愛系でもエロゲにはエッチシーンが有るものだ。
エロエロでもエロ無しでもラブラブ甘甘砂糖菓子なら百合でしょう。



……あ、でも愛が有っても触手やSMに行くとなんか違うかもー。
151名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 17:47:11 ID:v+htKeNU
そういえば、使い×使いは触手から始まったんだっけな…
152名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 18:26:02 ID:WdTHTG2+
純愛チックだが手がオナホールになってその上触手を生やす人造人間幼女とかいたな
153名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 19:39:13 ID:E74gMkuu
SMはともかく純愛で触手はありだと思ってしまう俺ガイル
154名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:06:17 ID:XLz3UKsL
>>153
>触手で探偵を責める小猫
まで読んだ。
155名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:54:05 ID:+zfnDdbs
>裏で剣道娘の触手縛りを猫に依頼するアイドル娘
まで読んだ
156いつふた:2006/06/26(月) 22:30:36 ID:+R2N3otd
>>72
 にぎやかになったよ。よかったね。

>150
>エロエロでもエロ無しでもラブラブ甘甘砂糖菓子なら百合
 理解しました。教えてくれてありがとう。

>155
>裏で剣道娘の触手縛りを猫に依頼するアイドル娘
 裏(N◎VAのストリート)で剣道娘(天鵬院悠羽)の触手縛り(オメガG
REENによるイモビライズ相当)を猫(“輝ける闇”ブラック・キャット)
に依頼するアイドル娘(“レトロ・アイドル”結城あや)

 こうですか? わかりません!

 ……N◎VA−Rは遠くになりにけり。今は何人が生き残ってるのかなぁ。
157名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 22:43:43 ID:qhjpUCfL
強化ry氏のベル本が、虎通販で速攻売り切れている件について
158名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 22:54:52 ID:wt1iE/pp
N◎VAはヒロイン年齢に厳しい世界だからのう。
五年も経っちゃあ引退ですよ。
159名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:52:01 ID:TFLlCjDH
悠羽は今がエロい盛りではないかと妄想
160名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:54:04 ID:wt1iE/pp
悠羽はR時代にハッタリが散々フタナリにして弄んだからなぁ……
161名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:38:21 ID:KLPM0ykm
>>157
mjk
部数少ないから注文入れば売り切れるのは解るとして、
一体何人ROMがいるんだここ
162名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 03:48:43 ID:/N4vd1uV
カウントでもしてみるかー?
まず俺ー、通販既に売り切れてて購入出来ませんでした、と。
163名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 05:09:58 ID:bkr9zLPZ
ノ 知り合いに購入依頼してゲッツ報告(ただしまだ手元には無い)
164名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 10:17:44 ID:ooFrWFLS
ノシ
店頭で見つけようと思ってるが本当にゲトできるか心配になってきた。
165名無したん(;´Д`)ハァハァ :2006/06/27(火) 11:28:47 ID:47VoZ6P/
ちょっと待て!
委任するという話はきいていたが、もうしてたのか!?
「したよー」って報告待ちだったのだが……
 
ああ、うん。確認した。
全スレまだ生きてたんだな。
OK俺が悪かった。ガッツが足りなかった。
166名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 14:13:23 ID:C2IpyQ/K
ノ イベントで買いましたって人は?
167名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 20:24:10 ID:+yqrV984
JGCの時に秋葉店で探そうと思っている俺は夢追い人。
168名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 22:57:23 ID:sXZL4suT
ノ サンクリで買ったよー。

ブースの場所がわからなかったから、端から虱潰しに歩いて回って見つけたー。

169名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 23:41:12 ID:kBcXuCuc
ノシ イベント組でござんす。
最初に入ったホールが強化(ry氏のいるホールだったんで即効ゲットできた。
170名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 23:48:10 ID:PAesh5HQ
新宿のとらに毎日通ってるが入荷した気配はない・・・
他のサンクリ本は続々入荷してるのに。
やはり秋葉まで行かなきゃダメかな。
171名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:01:49 ID:t06juZun
あんな怪しげなグラサン兄ちゃんだとは思わなかったw
俺が行ったときスケブ描いてたけど、こう言っちゃなんだがマンガより即興イラストのが全然よかった
172名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:03:30 ID:wE9OsYri

オレもサンクリでゲット。

>>169
Dホールって男性向け専門じゃん。そこに一番に行ったとは、このエロ魔人め。
……オレもだ。
173名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 10:38:13 ID:/rwWndsd
>>171
まえがきに曰く一発書きの表紙も可愛いしなあw
174名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:27:12 ID:37vwuKz/
うわあ!いいなぁ・・・もう手にれられない?
175名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 21:55:57 ID:fIun6ZRQ
>>154
>触手で探偵を責める小猫
十三:…それはそうとこの触手は細いから尿道にも入るんだ(つぷッ)
タッシャ:だ、射精してです〜!!
見ていたアキラ:そ、そんな特殊なプレイに目覚めちゃ駄目ー!!

あとかなでの《再生液射出》はこんな風に出てくれると嬉しい
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi41931.jpg.html
176名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:43:17 ID:/2DGN6lU
みんなー、前スレ埋めないか。
177名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 12:26:22 ID:qHpOfvC8
《再生液射出》っつったら…なあ?

かなで「もうす…ぐっ、出るからっでりゅからっ、飲んでっ! あ゛っ…」
178名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 13:45:30 ID:fEpVbrHw
とらのあな秋葉原店にはまだ『べる本』の在庫がありました。初書き込みなのでまずいことしてたらすみません。
179名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 13:51:37 ID:oWP2b3re
>>177
弘文「う゛ッ!?うぅぶッ!…(こくんこくん)…ふぅ、ママが言ってたよ『零さず飲み干せ』ってね」

しかしかなではヴォージェと言う事を考えるとやっぱり犬や馬みたいな獣っぽいのですかね?
180名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 15:56:38 ID:pnUMCe9q
猫のように逆棘がついているため、抜く時にそれが引っかかり、
主に後ろ側に使うと効果的というところまでは予想した。
181名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:29:29 ID:BuiL6D8+
唐突だが、宏文のママは既に死去もしくは入院生活だとベタな予想をしてみる。
182名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 00:06:57 ID:5mk2eNAx
オレ的には宏文が初めてキャプチャーした相手がヴィシャス化したママと見るね!
ちなみにママもヴォージェだったので宏文きゅんのアナル処女はママに奪われました。
183名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 05:20:12 ID:XmH2j4e9
 デモンパラサイト流れをぶった切って、使い×使いの続きを置きに参りました。

>【←使い×使いシリーズは完結したんだったかな? とログを辿りながら】

 141のこの台詞が致命傷でした。だくだく。寸鉄人を刺すとはこの事よ。医者はどこだ。
 なので気張って続きを書いてきましたさ。この話は次でおしまい。

 あと先日、カオスフレア面白ェ、と叫んできました。絶対防御でがんがん行動済みになってた俺の光翼騎士アムルタートは、
星詠みコラプサーの小娘に同乗状態にしてもらって一緒に移動していた。なんとなく下っ端気分。
 あと聖騎士フォーリナーが549点ダメージとか叩き出しててそりゃもうびびった。今度は俺がGM。なんとなく小ネタも仕入
れてきたぜ。
 んじゃ、準々決勝に囚われなければ、多分また明日。その他色々もまた後日。
184魔物使い×夢使い 2:2006/06/30(金) 05:21:25 ID:XmH2j4e9
 外傷なし。体温も正常。呼吸、脈拍共に異常なし。あたしが受け持った生徒の命に、もう別状はないと見えた。あの侵魔に抜き取
られたであろうプラーナも、きちんと戻ってきているようだった。
 念の為でもう一度治癒魔法を施術してから、
「そっちはどう?」
「ん……大丈夫みたい」
 彼女も詠唱を終えたところだった。担当してもらった男子の胸はゆるやかに上下していて、顔にも血色が戻ってきている。あちら
も問題ないようだった。
 しかし。あの蜘蛛、結構面食いだな。
 どっちも運動部系の、ある程度鍛えられた体つき。顔立ちも女の子の黄色い声援には不自由しない感じだった。校内で素っ裸で倒
れてるのが発見されて、明日から彼らの評価がどうなるかは、あたしの関知するところじゃないけど。
 素っ裸のこのふたりに上掛けなりなんなりをかけていってやるのが親切なのかもしれないけれど、彼らは行方不明として捜査され
てる身分だし、あたしたちはナイトウィザード。残すに手がかりは少ない方が後々面倒に繋がらない。
 というわけで、このままで放置に決定。
 ま、それなりににいい思いもしたんだろうし、本来なら死ぬところを風邪くらいで済むんだから、差し引きで考えれば問題ないに
違いない。
 さ、起きないうちに帰ろう。そう声をかけようとして、あたしは彼女がじっと黙っているのに気付いた。少し頬を赤らめながら、
ふたりの一部を注視している。
「えっと……?」
 物言いたげなあたしの視線を察して、彼女は大慌てで手を振った。湯気が出そうに頬を染める。
「ち、違うのセンセ、えと、あの……今後の参考になるかな、って……」
 ……しなくていいからっ。
 

 しかる後、教室を離れて、ようやく下校するべく昇降口へ。外はいつの間にか土砂降りだった。強くなってるとは思ってたけど。
「傘、持ってる?」
「こんな遅くなるって思ってなかったから……」
 予報では夜から雨と言っていたらしい。なんというか、諸事万端でしっかりしたコだ。
 …あたしは天気予報なんて見てなかったけど。
「家、近く?」
 問われて彼女が告げた住所は、正直大分遠い。徒歩なら軽く数十分だ。うーん、とあたしはちょっとだけ懊悩。さっきのアレがあ
るから、変な誤解を生じちゃうかもな、なんて思いつつも、やっぱり言う事にする。
185魔物使い×夢使い 2:2006/06/30(金) 05:22:21 ID:XmH2j4e9
「うちにおいで。傘貸してあげるから」
 そのまま帰らせたんじゃ、あの男子ふたりよりも確実に熱を出しそうだし。不便極まりない事にうちの学校周りにはコンビニがな
い。ちょっと傘を買って行くって訳にもいかない。何より今のこのコの制服が、濡れて透けたりしたらそれこそ色々よくない。
 あたしが今借りてるワンルームは彼女の家とは正反対の方角だけれど、幸いな事に所在は校門から徒歩で約5分。
「ま、うちまでは濡れて走る事になるんだけどさ」
 あたしは自分のシャツをつまんで見せて、
「でもそこそこ濡れてれば、血痕なんかも目立たなくていいかな、ってね」
「あ、でも……」
 途端に彼女は躊躇う素振り。けれどそれは嫌がってるとかの雰囲気じゃなくて。一体何を遠慮する事があるのだろうと不思議に感
じて、そして思い至った。

 ――ああ、単に甘え下手なんだ。
 
 あたしはそっと笑う。
「もー、遠慮しないの」
 俯き加減の彼女に、少しかがんで目線を合わせて。丸まりかけた背中をぽんと鼓舞する。それからわざと伝法に、
「友達だろ?」
「あ……」
 ぱっと顔が上がる。ひどく嬉しそうに口元をほころばせた。あたしの顔を見つめたまましばし考えて、何か言葉を紡ごうとする。
 でも、改まってお礼を言われたりするっていうのは、柄じゃないし気恥ずかしいし。殆ど反射のように、あたしは咄嗟の行動に出
た。
「セン…ひゃう!?」
 言いかけたやわらかなほっぺを、両側からにゅーっと引っ張る。狐につままれたように目をぱちくりさせた彼女が我に返ったその
時には、あたしは身を翻して驟雨の中に飛び出している。
「もうセンセ、子供みたいな事しないでよっ」
「ほらほら、おいてっちゃうぞー?」
 抗議の声もどこ吹く風。雨粒に打たれるままになりながら、あたしは手を振って見せたりする。あはは、なんかあたし、に妙には
しゃいじゃってるかもね。
「あっ、ズルいっ」
 さっきの逡巡なんてまるでなかったみたいに。彼女もまた仔犬めいて、あたしを追って雨の中へと走り出す。
186魔物使い×夢使い 2:2006/06/30(金) 05:23:31 ID:XmH2j4e9
 シャワーの音が聞こえる。雨音に水音が混じる。
 あたしも取り急ぎで着替えて、体だけざっと拭って。散らかり放題の部屋のままじゃあ先生としての威厳もへったくれもありゃし
ないから、目に付くところだけでも手早く片付けてわずかなりとも見栄えよくする。
 ベランダからはガタゴトと洗濯機の稼動音。取り急ぎで放り込んだ彼女の制服だけが、その中で回転している。雨に濡れただけだ
ったらまだしもだったんだけど、ところどころに血痕が付着しちゃってるんだから仕方ない。
 その制服の中身はといえば、今は浴室の中。遠慮とはにかみとで辞去しようとするのを殆ど無理矢理に押し込んだ。
 脱衣所なんて気の利いたものはないから、ドアのところに当座で用意した着替えとタオルを籠に入れて置いておく。あたしのだか
らサイズは合わないだろうけど、裸のままじゃなんというか、ねぇ? なんというか、今日は着たり脱いだりが忙しい。
 そんなこんなでひと段落。ソファーに腰を下ろして煙草を咥えて、ちょっと考えてから火をつけるのを止めて。
 そうしてぼんやりとあたしは自分以外の立てる様々な音に聞き入っている。
「……」
 不意にほっそりとした肢体を幻想してしまって、あたしはぶんぶんと頭を振る。
 そんな趣味はない。ないない。ちゃんと男と付き合ってた事だってあるんだし、そもそもあたしと彼女は教師と生徒の立場なわけ
で。

 ――でも。

 でも、綺麗な体だった。女性としてはこれから成熟を始めようとする、まだ未熟な果実。
 それに。ふと自分の唇を指でなぞる。ついさっきに、幾度となく交わしたくちづけを思い出す。
 随分と、やわらかかった。
 って、違う。ちょっと待ちなさいってあたし。こんなんじゃ駄目教師駄目人間から更に格下がって教師失格人間失格だからっ。
 頭を抱えかけたところに、浴室の戸が開く音。
 かなりどっきりしながらも振り返ると、細く開いた隙間から覗くあのコの顔。
「あー、洗濯まだだから、悪いけどそこに出したの着ておいて。タオルも一緒に置いてあるから。下着は新しいヤツだから気にしな
いでいいから」
 こくこくと頷いて、手だけ伸ばしてバスタオルを取って、また浴室の中に引っ込んでしまう。
「終わったら声かけてね。次、あたしが入るから」
 きっと恥ずかしいのだなと解釈して、あたしはテレビの音量を上げた。
 がっくりうなだれる。人間失格確定。
 湯上がりの頬、上気した細い腕から、目が離せなかった。もっと見たい、全部見たいって思ってた。自分の感情の成分表はどうに
もはっきりしないけれど、でもあのコをもの凄く意識してしまっているのが確かだった。
「うーん……」
 ぐしゃぐしゃを髪をかき回してため息をつく。
 あれこれ理由と理屈はつけたけれど。
 うちにおいでなんて言ったのは、多分あたしが、あのコともっと一緒に居たかったからだなのかもしれない。職員用の置き傘だと
か、あたしだけちょっと行って傘を持ってくるとか、他にもまあ色々とやりようはあったんだから。
187魔物使い×夢使い 2:2006/06/30(金) 05:24:36 ID:XmH2j4e9
「センセ、どうしたの?」
「ん、なんでもない。大丈夫、だいじょ…」
 応じる途中であたしは絶句。何故って長い髪からタオルで水気を抜いている彼女の格好が格好だったから。
 襟立ちがちょっと気に入りのレディースシャツ。それ一枚を羽織ったきりで。
 サイズが大分違うから、七部袖は長袖くらいになってるし、下もまあなんとかミニくらいには隠してるけど。えと、上下ちゃんと
用意しといたよね? そりゃあたしはパンツルックがいつもだからスカートの予備なんてなかったし、その分丈が合わないと履きに
くいのかもしれないけどっ。その格好は、その、なんというかっ。
「拭いたけど体、まだ湿ってるし、あんまりセンセの服汚しちゃいけないと思って…」
 硬直したあたしを見て、叱られたかのようにしゅんとする彼女。
 時々見せる生真面目さからすれば、このコはできるだけ迷惑かけないようにと考えて、それで着るのを最小限に留めたって事なん
だろう。
 だけどちょっとした仕草でにちらりと覗く華奢な鎖骨とか、腕を上げた拍子に際どく捲れてしまう裾とか、あられもなく露出して
るふとももとか。
 ここにいたのが男だったら、間違いなく襲われてるから。誘惑されたって言われてもおかしくないから。女同士だからいいと思っ
てるのかもしれないけど、今のあたしは駄目だから。
「あの、センセ?」
 はっと気付くと、彼女の顔がすぐ近くにあった。
「そ、そんなの気にしなくてよかったのに! と、とにかくあたしもちょっとシャワー浴びてくるからっ! タオルは使ってていい
し、ドライヤーはそこね! それから飲み物欲しかったら冷蔵庫の中のを適当に漁ってていいから!」
 ソファーを立って、脱兎の勢いでその場を離れる。自分用のタオルと着替えを浴室の前にセットして、逃げ込むようにその中に。
「…うっわー…」
 おかしいくらいに狼狽して動転してた。きっと怪訝に思ったろうなぁ。
 些か乱暴に服を脱いで、ぽいぽいと外へ放り出す。シャワーカーテンを引き直して、少し熱めに湯を調節。水流があれこれを押し
流していくように思えた。
 今日は色々ありすぎた。きっと頭が飽和しちゃってるんだ。
 出たらしゃっきりしよう。明日だって実習の続きがあるんだから。もう遅いから、あのコだってちゃんと家まで送ってあげないと。


 湯浴みを終えたら、大分すっきりしたような気がした。彼女ほど量はないけれど、あたしも実はそこそこ長髪だったりもする。ぎ
ゅむぎゅむと水分を抜きつつ用意しておいたカジュアルに着替えて。
 ひょいと見やると、彼女はソファーに座ってきちんと膝の上に手を乗せて、よく躾けられた犬みたいにぴっとしてそっぽを向いて
いる。犬みたいにと表現した直後にあれだけど、その様は耳だけでこっちの様子を窺ってる猫のようにも思えた。体は関係ないとこ
ろを見ているけれど、全身でこっちを意識しているのだ。
 片付けたばかりのテーブルの上には何もなし。テレビもあたしが点けっぱなしていったニュースのまま。
「お待たせ。ドライヤー使い終わった?」
 着替え終えたと言外に告げると、ぱっとこっちを振り向いた。その様も、仔犬が飼い主に気付いて尻尾を振り回すのに似ていた。
「うん。はい、センセ」
 問いに応じて、わざわざ持ってきてくれる。
188魔物使い×夢使い 2:2006/06/30(金) 05:25:33 ID:XmH2j4e9
「それから、お湯、ごちそうさまでした」
「いえいえ」
 律儀に頭を下げられたので、こちらは冗談めかして答礼。
「喉渇いてない?」
「えと、ちょっと」
「何か飲んでればよかったのに。冷蔵庫漁っていいよっていったでしょ?」
「でも……」
 あたしはぺちん、と指で彼女の額を弾いた。
「遠慮するなって、さっき言ったばっかりだよ。って言っても、お茶かコーヒーしかないけど。どっち?」
「えっと、じゃあ、お茶をいただけますか」
「今度からしゃちほこばったり慇懃すぎたりしたら罰金ね」
「ええっ!?」
 そんな冗談口を叩きながら、コップふたつを用意して、彼女に渡して先にソファーに戻らせて。あたしは冷えた緑茶のペットボト
ルを引っ張り出して後を追う。
 どうぞ、と隣から注ぐと、早速彼女は両手で包んでそれを呷る。
 こく、こく、と嚥下するその喉の動きを盗み見てしまうあたしはきっと悪い大人だ。
「ところでさ」
 ばつの悪さから、あたしはちらりと時計を確認。
「こんな時間だけど、家のひとに連絡入れなくて大丈夫?」
 髪を乾かしながら、一応教育者の卵として訊いてみる。すると彼女は微かに笑って首を振った。
「お父さんもお母さんも、家にいないから。それぞれ別の男のひとと女のひとのところに泊まってて、帰って来ないから」
 ひどく透明で、そして寂しそうな笑みだった。あたしは硝子細工を連想する。その危うさと脆さとを。
「だから平気。ワタシの事なんて、誰も気にしてないから」
 平気なわけがなかった。ただでさえ彼女くらいの年頃にとって両親というのはとても大きなもので、だからこそ逆らう対象になっ
たりもするわけで、あたしも痛いくらいにそれを知っている。
「…ごめん」
「ううん」
「でも、ごめん。またやな事訊いたね」
「いいんだ。もう、全然平気だから」
 そうして。ふっとまた微笑んだ。
「だってワタシの事なら、センセが心配してくれるんでしょ?」
 もう一度見せたその笑顔を、あたしはたまらなくなって抱き寄せた。どうしてか、あたしの方が泣きそうな心地だった。
「あ……セン、セ?」
「遊びにおいで。実習終わったらここは引き払っちゃうけど。でもこっちに勤められるようになったら、またこの辺りに家を借りる
から。そうしたら寂しい時は、いつでもあたしのトコに遊びにおいで?」
「もー、そんな子供じゃないよぅ」
 抱き締められてぐしぐし頭を撫でられて、彼女は一旦は頬を膨らます。けれどそれから、そっと確かめるように、
「ホントに、いいの?」
「うん」
「ホントにホント?」
「本当」
 ぎゅっと向こうからも腕を回してきた。甘えるように頬を擦り寄せる。
189魔物使い×夢使い 2:2006/06/30(金) 05:26:57 ID:XmH2j4e9
 ピー、ピー、ピー、ピー。

 どれくらいそうしていたろうか。脱水の終了を告げる無粋な電子音が聞こえてきて、あたしたちはおずおずと抱擁を解いた。
「…」
「…」
 でも。ばっちりと沈黙が落ちたまま、どちらもどうにも動けない。寄り添ったまま、この形を崩したくない。
「洗濯、終わったみたい」
「うん」
 言うわずもがなを言って、また静寂。テレビだけがたんたんと明日の天気を予報している。お互いもの凄く意識しあっちゃって、ど
うしたらいいんだろう、この空気。えーと、とにかく話題話題。
「――そうだ。おなか空いてない? ゴハンでも食べてく? 何か頼むよ?」
 立ち上がろうとしたあたしの袖がついと引かれた。
「……センセ、ひょっとしていつも店屋物?」
 咎めるような彼女の視線。その先にあるのは宅配ピザの容器とか、返す前の出前の食器とか。さっき手が回らなくて片付かなかっ
たシロモノたちが鎮座ましましていて。
「あ、えーと……」
「ちゃんと食べなきゃ駄目」
 言いよどんだら、幼い子にするみたいに、めっ、という感じで怒られる。
「ごめんなさい」
 面目丸つぶれだなぁ、なんて思いつつ謝ったら、彼女は小さく吹き出した。
「センセは、魔法使いみたい」
「そりゃだよ。ウィザードだもの」
「ううん、そうじゃなくて……」
 少し考えて、それから、ふふ、と小さく笑った。今度は、幸福そうに。
「やっぱり、なんでもない」
「なんだかなぁ。気になるよ、それ」
「ワタシだけの秘密にするから、秘密」
 声は。今のこの声は。
 このコの、ちょうどいいところから出ている。一番あたたかなところ。きっと心のすぐ近くから。
 どうしてか不意にそんな気がした。
「――」
 気がついたら、あたしは彼女を見つめていた。
 ちょっと照れたように、困ったように横を向いて、ふいとまた視線を戻して、にこっと微笑む。
 ふにゃっとあたしの中のどっかがまた蕩けた。うわ、やっぱかわいいなぁ、このコ。
 ひどく不思議な感じだった。あたしは、無用心に見えて結構垣根を作る方だよね、なんて結構言われたりする。
 ウィザードだなんて理由もその垣根の理由ではあるけど、根本として、自分は警戒の強い部類の人間なのだと思ってた。なのに、
なんでだろう。そう長く付き合ったわけでもないこのコに、自分の中のやわらかい部分を委ねてしまっている感じだった。
「……」
「……」
 自分が生唾を飲み込む音が、やたらと大きく響いた気がした。なんだってこのコは、ここで頬を赤らめてますか。それになんだ
ってあたしも、こんなにドキドキしてますか。
 うわついたような落ち着かないような、それでいて、それなのに、浮き立つようなそわそわとした居心地の良さ。
 空気に耐え兼ねたのか、落ち着かい素振りで彼女が身じろぎした。それで、バランスを崩した。腰を抱くように腕を回す。
「あ…」
 まだ少し濡れた髪。湯の温度を残して、あたたかな身体。ふんわりと鼻先をくすぐる石鹸の香り。
 あたしに身を預ける格好になって、彼女は不意に抱き上げられた仔猫みたいに固く体を竦めている。
 とく、とく、とく、とく。
 伝わってくる。伝わっていく。しんぞうのおと。
 胸の中から、もの問いた気に彼女が見上げた。
 顎先へ。すくい上げるように、指を添える。
 誘うように。ゆっくり彼女が瞼を閉じた。
 外からはまだ優しく密やかに、雨音が聞こえていた。
190名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 05:33:35 ID:XmH2j4e9
 今回はここまで。
 そして埋まってたので、ぼそりと前スレ514話。夢使いと魔剣使いを侮っちゃいけないと思うのです。
 前者は偽りの記憶とか、ぐるくるとか、夢語りとか、傀儡糸とか。用意周到です。敢えて用法は語りませんが。
 後者はサトリとか魔技とか生命の刃とか。本番向けです。何を魔器指定してるのかは謎ですが。
191いつふた:2006/06/30(金) 20:26:40 ID:V8WN0kG6
 どうにも体調が芳しくないため、使い×使いの続きが来ているかどうかだけ
確認しようとパソコンを起ち上げた。
 幸運にも使い×使いは新着していたが、目が活字の上を滑ってしまい、内容
が頭に入らない。
 こりゃもうダメだ、と、サイドバーを動かして>190まで画面を持ってきた。

>前者は(中略)用意周到です。敢えて用法は語りませんが。
>後者は(中略)本番向けです。何を魔器指定してるのかは謎ですが。

 なんか元気出た。

>190
 感想は後日申し述べます。今はただ乙とだけ言わせてください。

 でもって折角もらった元気パワーで投下もしておく。もう蒲団は敷いた、投
下のあとはブッ倒れるのみ!
192いつふた:2006/06/30(金) 20:27:20 ID:V8WN0kG6
ゲーム:真・女神転生200X(メガテンX 9本目前編)
 形式:小説形式(原則三人称)。
レス数:9+1
 分割:前後編の前編。
エロ度:自家発電。
連続性:8本目(『運命の少女』)の続編。
 時節:四月。
 終幕:君らホンマにそれでええのかと小一時間。
193メガテンX 9本目前編 1/9:2006/06/30(金) 20:28:31 ID:V8WN0kG6
◇三者三様恋模様

 玄関先で、悪魔が言った。
「面会謝絶だホ」
 青い頭巾の雪だるま。少年二人の来訪に、片掌を突き出し、きっぱり言った。
 魔都東京の片隅の古びたマンション、その一室。ドアプレートには『玉造』
と書かれている。
「面会謝絶? 風邪でも引いたんですか?」
 少年の一方、阿倍野晶が尋ねると、妖精は答えた。
「イヨちゃんは熱を出したホ。今、Jがブフで冷やしてるホ」
「ブフで冷やしてどうするっ!」
 少年の他方、桃谷剣也がツッこんだ。
 Jとは、この家の住人である玉造伊予の仲魔、妖精ジャックフロストのこと。
ブフとは、言うまでもなく氷結属性の攻撃魔法である。氷結魔法に対する耐性
があるならともかく、そのダメージは決してバカにならず、間違っても熱さま
しに使うものではない。
 悪魔はあくまで冷静に応えた。
「冷やしているのは濡れタオルだホ。氷嚢代わりに使うホ」
「最初からそう言え、紛らわしい」
「……フー。何とか誤魔化せたホ」
「今何て言った!?」
 病人のいる家の玄関先で喋繰り漫才をするのは非常識である。剣也は更に怒
鳴りつけたい気分を押さえて、抑制の効いた声で、二足歩行の雪だるまに問う
た。
「病院へは?」
「まだ連れてってないホ。てゆーか今のイヨちゃんを普通の病院に連れてって
いいものか、みんなで協議してるとこだホ」
 悪魔が、人修羅を、人間の病院に連れてっていいものかどうか協議。
 やたらとシュールな状況だった。
「ここへ連れていってあげてください」
 ぴ、と生徒手帳の1ページを千切り取り、晶が妖精に手渡した。剣也がチラ
リと盗み見たところ、鉛筆書きの線で、略地図のようなものが描かれていた。
「神宮系列の回復道場です。何か訊かれたら、ぼくの名前を出してくれて結構
ですから」
「回復道場」
 矯めつ眇めつメモを眺めながら、悪魔が呟いた。
「ここもサービス期間中だといいホ。イヨちゃん喜ぶホ」
「それにしても、イヨには仲魔に二体もジャックフロストがいるのだな」
 誰にともなく言った剣也の言葉を聞きとがめ、
「アタイはジャックフロストなんかじゃないホ」
194メガテンX 9本目前編 2/9:2006/06/30(金) 20:30:10 ID:V8WN0kG6
 自称・ジャックフロストじゃない雪だるまは、胸を張って堂々と名乗った。
「アタイは妖精ジルフロストだホ。ジャックフロストの上位種だホ」
 察するに、ジャックフロスト=霜男に対する霜女=ジルフロストという位置
付けなのだろう。
 しかしながら、見た目で区別は全くできなかった。
「どこがどう違うんです?」
 すると、ジルフロストは目を吊り上げて、子供みたいにプンプン怒った。
「見てわからん者は聞いてもわからんホ!」

 晶の従姉である信太和泉の家が異界化され、中で“運命の少年”達が人修羅
マロガレとの死闘を繰り広げて、その翌日。
 人修羅アンク――剣也と、人修羅カムド――晶とは、かっちり申し合わせた
わけでもないのに、ほぼ同時刻に玉造家を訪れた。勿論、人修羅イヨマンテ、
即ち『彼ら二人の恋人』であるところの伊予を迎えに来たのである。
 だが、彼女は発熱により学校を休むとのこと。仕方なく、男二人連れで登校
することになった。
「おまえも学校を休んで、彼女の看病をするとか言い出すかと思ったがな」
「正直、それは考えましたが」
 剣也の台詞に、晶は何の衒いもなく返す。
「なにせ昨日が大変でしたからね。熱ぐらい出しても不思議はありませんよ。
今はゆっくり休んでもらって、放課後お見舞いに行くぐらいが丁度いいんじゃ
ないかと」
「なるほどな」
 二人は、別段一緒に学校へ行きたいわけではない。そのうち、晶は仲のいい
クラスメイトを見つけて親しげにタッと駆け寄り、剣也は一人で通学路を辿り
続けた。

 見舞いに手ぶらは拙かろう。放課後、晶はデパートへと足を向けた。
 女の子に贈るとなれば、甘い物が定番。そう考えて晶は、洋菓子和菓子の店
がひしめく地下2階に降りた。
 ショーケースに飾られた色とりどりのケーキたちが、わたしをたべてと自己
主張している。ふくふくしたイチゴ大福。どっしりしたタイ焼き。黄な粉たっ
ぷりワラビ餅。どれをとっても捨てがたく、ついつい目移りしてしまう。
 ――でもなぁ、熱を出してるときにこういうのって欲しがるのかなぁ?
 記憶の糸を手繰って手繰って、幼稚園の頃まで手繰って、ようやく彼は、風
邪で寝込んだときに母親が食べさせてくれた桃の缶詰がとびきり美味しかった
ことを思い出した。
 ――てか、ここまで遡らないと熱を出した思い出がないのかぼくは。
 自分の健康優良児さ加減がちょっぴり恨めしい阿倍野晶16歳であった。
195メガテンX 9本目前編 3/9:2006/06/30(金) 20:31:57 ID:V8WN0kG6
 地下1階、食料品売り場。店員に尋ねて缶詰のコーナーに案内してもらう。
白い缶に白桃と筆書きの黒字が印刷されているだけの素っ気ない桃缶。値札に
目を落とし、仰天した。
 ――2000円っ!?
 これが相場なのかと思いきや、ほんの百数十円や数百円の桃缶も置いてある。
ラベルで内容量を確認したが、値段と量とが正比例していなかった。
 ――何がどう違うんだ。
 晶にはさっぱり理解できなかったが、デパートで売ってて、しかもお高いの
だから、美味しいには違いないと当たりをつけた。昨日の戦闘で魔っ貨を稼い
だから、幸い財布には余裕がある。
 2000円の桃缶入りレジ袋をぶらさげて、晶はデパートをあとにした。

 見舞いに手ぶらは拙かろう。放課後、剣也はデパートへと足を向けた。
 お見舞いの品といえば、花か果物が相場。花には全く造詣が深くないため、
彼は地下1階の食料品売り場で果物コーナーを探し当てた。
 今時の季節ならイチゴ。しかしイチゴは昨日も食べた。ビワ、は美味そうだ
が病人が食べるには面倒だろう。メロン。彼は病床で食って、汁を蒲団にぶち
まけた記憶がある。スイカ。ハウス物だな、酸っぱいに違いない。…………。
 店頭で悩んでいると、店員がこちらに近づいてくる気配がしたから、剣也は
知らん顔してその場をあとにした。店員に相談すれば、予算に応じて適当に見
繕ってくれるはずだが、そういうのが何となく気恥ずかしい、桃谷剣也17歳
の砌。
 ――やれやれ、兄さんならこんなとき……。
 如才なく適切な見舞いの品を選ぶのだろうな、と考えて、人修羅マロガレの
顔を思い出し、彼は暗い気分になった。
 ぶらぶらしていても店員が寄ってこない場所は、剣也には書籍売り場しか心
当たりがなかった。書棚に目を向けると、新刊なのだろう、そこに立て掛けて
あった絵本が、まるで彼を手招いているように見えた。
 小さい女の子がお供の妖精を連れて色々な花の国を訪れるという、冒険物と
いうにもほのぼのとした内容。何よりその絵の子は、ワンピースを着た夕べの
伊予にどこか似ていた。
 これなら剣也にも理解できる代物だった。何より一応は花に関係している。
レジへ持っていくと、ご進物用ですか、と問われた。頷くと、丁寧に包んでリ
ボンを掛けてくれた。
 2000円を支払い、剣也はデパートをあとにした。

「あ」
「う」
 階段で上がってきた晶と、エレベータで上がってきた剣也とがばったり出く
わしたのは、『玉造』とドアプレートの貼られた部屋の真ん前だった。
196メガテンX 9本目前編 4/9:2006/06/30(金) 20:33:15 ID:V8WN0kG6

 案内の妖精ジルフロストはダイニングキッチンを抜けて、突き当たりの襖を
スラッとあけた。
「イヨちゃん、アンちゃんとカムちゃんがお見舞いに来てくれたホ」
「ほえ?」
 そこがイヨマンテの私室であるようだった。
 畳敷きのド真ん中に蒲団。その傍らでは赤、青、黄色の妖精ミニフロスト達
が人生ゲームを囲んでいる。
 緑と白のしましまパジャマ、髪は寝癖でピンピン。蒲団の上にペタンと座っ
ていたイヨマンテは、あいた襖の入口に立つ制服姿の少年二人を認めて、
「わ、ダメっ!」
 大慌てで頭から毛布を被り、雪ん子みたいな格好で、
「お着替えするから、そこ閉めてっ」
 出てけ出てけと腕を振る。
「1、2、3っ。ホ〜、宝くじが当たったホ、イヨちゃんイヨちゃん!」
 そのくせ、青い頭巾のミニフロストにせっつかれると、
「はいはい、幾ら?」
 おもちゃの紙幣を手慣れた仕草でぱっぱと配る。
「熱で学校休んだ奴がボドゲして遊ぶなっ!」
 剣也が怒ってミニフロストどもを追い散らす。3体の小悪魔達はキャ〜ッと
嬉しそうにも聞こえる悲鳴を上げて、広げたままのゲームボードを手分けして
抱え持ち、別の部屋へと退去した。
「え〜っ、イヨ遊んでないもん〜」
 潤んだ瞳――どう考えても熱で潤んだ瞳――で少女が抗議。
「銀行してただけだもん〜」
「言い訳にもなってないぞっ」
 晶は無言でイヨマンテの額に手を当てた。
 更に無言で、枕元の電子体温計を彼女の口に突っ込んだ。
 待つこと1分。ピピッピピッ。液晶表示を読み取ると。
「8度5分」
 剣也が彼女から毛布をひっぺがした。
 晶が小荷物みたいに彼女を吊り提げ、敷布団の上に転がした。
 剣也が毛布と、それから掛け布団を彼女に被せた。
「寝てろっ」
「寝てなさいっ」
 二人の叱責が重なった。
「でもでも暇だよぅ〜退屈だよぅ〜」
 今にも泣き出しそうな目でイヨマンテはじだばた暴れた。
「回復道場のサービス期間も終わっちゃってたしぃ〜」
「サービス期間?」
197メガテンX 9本目前編 5/9:2006/06/30(金) 20:34:29 ID:V8WN0kG6
「なんかね、不評だったんだって。だから打ち切りになっちゃったんだって。
つい昨日、ゴールデンウィークまでやってるって言ってたのに、嘘つきっ」
 剣也と晶には、何のことかすら知る由もない。
「そんなに暇なら、これでも眺めているといい」
 剣也が見舞いの品を手渡した。それが綺麗にラッピングされているのを見て、
レジ袋まんまの晶は、しまった、と内心で舌打ち。
「わー、ありがとー。あけてもいい?」
「一寝入りしてからな」
 手渡した包みを再び取り上げて、畳の上に置く。
「さっきまで起き上がって遊んでいたんだ、発熱ハイで自分じゃわからないん
だろうけど、今はかなり疲れているはずだよ」
「そんなことないのにー」
 むー、と唇を尖らせ、せめて中身を見るだけー、と我侭を言ってみる。
「単なる絵本だよ。逃げも隠れもしやしないんだから、あとでゆっくり読むと
いい」
「……ん、わかった」
 渋々、イヨマンテは頷いた。
 絵本とは考えたな、と晶はまたもや内心で舌打ち。ぼくも形に残るお見舞い
品にすればよかった。
 缶詰1個をゴロンと出すのもみっともない気がして彼が躊躇っていると、剣
也の視線が、おまえは手ぶらか、と晶を責めているような気がした。気のせい
なのだろうが、……耐えられなかった。
「お口に合うといいんですけど」
 仕方なく晶はレジ袋のまま桃缶を差し出した。イヨマンテ本人に確認させる
わけにもいかないから、自分で中身を取り出して、彼女に見せる。
「桃缶だ!」
 イヨマンテの表情がパァッと輝いた。蒲団の中から両腕を出して、晶から桃
缶を受け取り、恭しく捧げ持つ。
「これ美味しいんだよー。でもすっごく高いの。うっわー、ありがとーっ」
 料理が得意、と言っていただけに、物の価値も値段も把握しているらしい。
これにしてよかった、晶は胸を撫で下ろし、それから、今後は下手な食べ物を
持ってこれないな、とも自戒する。
 一方で剣也は、おれもわかりやすく食い物にしておけばよかった、と悔やん
だ。それともちゃんと中身を見せてやっていれば、こんなにも大喜びする姿を
目の当たりにすることができただろうか。
「粗茶ですホ」
 ジルフロストが和風の辞儀に適った仕草で客人二人に日本茶を出した。お茶
請けは煎餅である。剣也と晶は、おまえはホントにダヌー神族の妖精かとツッ
コミを入れたくなった。
 イヨマンテはジルフロストをJJと呼んで、こう頼んだ。
198メガテンX 9本目前編 6/9:2006/06/30(金) 20:35:32 ID:V8WN0kG6
「この桃缶、お見舞いにもらったの。3つに分けてきて欲しいな」
「ホ、これはいい物だホ。早速あけてくるホ」
 まさか気を遣って今ここで自分たちに出すつもりかと晶は慌てた。かといっ
て、要らないと遠慮するのもあれこれと難儀な話だ。
 ピン、と妙案が浮かんだ。
「冷やしてから食べた方が美味しいんじゃないですか?」
「それもそうだホ。どうするホ、イヨちゃん?」
 これで桃缶は冷蔵庫に直行するはず、と彼はほくそえんだ。が。
「んー、じゃあ、マハブフで急速冷凍して」
「凍らせてどうするっ!」
「凍らせてどうするんですっ!」」
 少年二人のツッコミが綺麗にハモった。
 イヨマンテははにゃはにゃっと笑った。
「大丈夫だよ、ブフより威力が弱いから」
「そういう問題じゃないっ!」
 剣也が再ツッコミし、晶はジルフロストに、桃缶を冷蔵庫へ入れてくれるよ
うお願いした。台詞内容は依頼であったが、語調は命令だった。
 こうして見舞い品を渡した以上、彼らは即行帰るつもりであったが、
「ヤだヤだ、もっとお話するぅ」
 イヨマンテがゴネたので、お茶を飲んで煎餅を食べてしまうまではここにい
る、というあたりに互いの妥協点を見出した。
「そういえば、イヨ。ジャックフロストとジルフロストの外見的な違いって、
どこにあるんだ?」
 剣也の疑問を耳にして、イヨマンテは両目をぱちくりさせた。
「あれ? わかんない?」
「わからないから、訊いているんだよ」
「晶おにいちゃんにもわかんない?」
「ええ、わかりませんね」
 何で晶『おにいちゃん』なんだ、と問いたそうな剣也の目顔を無視して晶。
「教えてあ〜げない」
 イヨマンテはつーんとそっぽを向いた。
「イヨが治るまで教えてあげないよ」
 先ほどゲームを中断させられた意趣返しのつもりであるらしい。
 晶は、いたずらっぽく頬を緩めた。
「そりゃ困りましたね。じゃ、イヨには早く良くなってもらわなくちゃ」
 油断していた剣也に、止める暇などあらばこそ。
 晶は少女を軽く抱き起こし、その愛らしいおでこにキスを落とした。
 きゅう〜っと、体温の数値上昇音が聞こえてきそうな勢いで、少女が真っ赤
に上気する。
「え? え? え? あの……っ」
199メガテンX 9本目前編 7/9:2006/06/30(金) 20:36:44 ID:V8WN0kG6
 嬉しいのか恥ずかしいのかどう反応していいのか、焦ったり慌てたり半ばパ
ニックの可愛らしい態度。
 晶は事もなげに告げた。
「元気になるおまじないです」
「お、おまじない?」
「そ。おまじないです」
 今すぐ晶の首根っこ引っ掴んで怒鳴りつけてやりたい気持ちでいっぱいの剣
也。病人の、それもイヨマンテの前だから、どうにかこうにかギリギリ自制し
ている。
 彼の視線に気づいたか、晶が目配せを送ってきた。話はあとで聞く。そんな
表情。
「そか。おまじないか」
 照れ照れしながら、それでもイヨマンテは納得をした様子で、
「じゃあ、じゃあさ、」
 掛け蒲団の端で顔を半分隠して、遠慮がちに、でも大いに期待を込めて。
「……剣也先輩の、おまじない、は?」
 是非もなし。
 おやすみのキスも早すぎるとか言ってたくせに、という晶のニヤニヤ顔を背
中で受け止めて、剣也は。
「あ!?」
 仰天する晶の声などどこ吹く風で。
 少女を軽く抱き起こし、その柔らかな唇にキスを落とした。

 頭から蒲団を被って丸まり、何を話し掛けても応えなくなったイヨマンテを
ジルフロストのJJに任せて、剣也と晶とは玉造家を辞した。
 バス停までは、同じ道のり。
 二人して不貞腐れたような歩調。
 結局、何の会話も交わさず、さよならの挨拶も無しに、二人は別れた。

 イヨの心臓、壊れちゃった。どきどきばくばくしてちっとも治まんない。胸
が爆発しそうに痛い。頭が熱くてぐるぐる回る。身体が震えて動けない。どう
しよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。
 蒲団の中におこもり中のイヨマンテを、ジルフロストがゆすゆす揺すった。
「イヨちゃん、おかゆができたホ」
「……要らない」
「ちょびっとでいいから食べるホ」
「要らないの。JJ、食べて」
 霜女はやれやれと溜息をついた。
「アンちゃんとカムちゃんが来て、大騒ぎしたからだホ。今度からお見舞いに
来てくれてもお断りするホ」
200メガテンX 9本目前編 8/9:2006/06/30(金) 20:37:54 ID:V8WN0kG6
「ダメっ」
 ば、と蒲団を跳ね飛ばして起きる。
「アンクもカムドも悪くないよ、だからっ」
 その先を言わせず、妖精は枕元の電子体温計を少女の口に突っ込んだ。
 待つこと1分。ピピッピピッ。液晶表示を読み取ると。
「7度9分」
 イヨマンテは驚いた。さっきまでなんかよりよっぽど熱いのに、熱は下がっ
ているのだ。
「アンちゃんカムちゃんのお蔭かホねぇ」
 にやにや、からかうように笑う女悪魔。
「さ、起き上がる元気があるなら、おかゆさん食べるホ」
「…………ん」
 頷いてイヨマンテは、一人前用の土鍋にレンゲを突っ込み、……。
 レンゲを一旦置いて、自分の唇に指を当てる。
 いつものように御飯を食べる唇と、キスをした唇とが全く同じものだという
ことが、何故だか不思議な、新鮮な気持ちがした。
 ――また……してもらえるかな?
 自分の考えに自分で赤くなって、少女はそれを誤魔化したいかのように、大
急ぎで白粥を食べ始めた。

 従姉でもある“運命の少年”身辺警護の任を負い、人修羅カムド――阿倍野
晶は彼女に家に下宿して同じ高校へ通うよう命じられている。
 だがこの平和な夜、自室に戻った彼は、ただの一人の少年だった。
 彼の机の前には3枚の写真が貼られていた。1枚は、入学式の集合写真。も
う1枚は、写真部が新入生勧誘パフォーマンスに数人の一年生女子を撮ったも
の。最後の1枚はあからさまに街中の隠し撮り写真。どの写真にも必ず、玉造
伊予が写っている。いつ、どういうツテで手に入れた写真なのか、アンクあた
りが見たら根掘り葉掘り訊きたがることだろう。
 机の上には教科書とノートが広げられているが、そこに何かを書き込むべき
シャープペンシルは、もう10分ばかり、彼の指の上で無駄にクルクル回転し
続けていた。ぼんやりと、視線は写真に向けられているものの、焦点はどこか
遠くに結ばれている。
 ぽい、とシャーペンがノートの上に投げられた。
 空いた手。その指先が、自然と自分の唇に触れる。
 あたたかな、少女の額の感触。まざまざと思い出し、気持ちが昂ぶる。
 もう一人の誰かに抜け駆けされたことなど、今は彼の頭になかった。
 緑と白のしましまパジャマを着て、想像の中の、否、妄想の中の彼女は、晶
のベッドの上にぺたんと座っている。潤んだ瞳で彼を見詰めて、触れなば落ち
ん風情で。
 晶の手が、パジャマのボタンを一つずつ外していく。
201メガテンX 9本目前編 9/9:2006/06/30(金) 20:39:21 ID:V8WN0kG6
 そっと脱がせると、慎ましやかな胸が顕わとなる。白い肌は柔らかく、すべ
すべしていて、彼の手に、しっとりと馴染むに違いないのだ。
 一度は完全に死した伊予が人修羅イヨマンテとして蘇生した折、晶は彼女の
全裸を見ている。勿論、邪な目で眺め回したわけではないし、すぐにアンクの
上着が幼い裸身を隠してしまったが、それでも思い返してみれば、こうして瞼
の裏に焼き付いているほど、それは鮮烈な美しさだった。
 あの身体が、晶の腕の中に。疾走する興奮。強く抱きしめ、口づける。
 額も、頬も、唇も。首筋、胸元、乳首の先まで。
 かり、と少年は自分の指先を噛んだ。少女の感じる尖端を、キツめに甘噛み
するように。
 無意識のうち、もう一方の手は自分の股間に降りていた。すり、とまさぐり、
ベルトに戻って器用にそれを外す。ホックを外し、ファスナーをあけ、それ以
上我慢できずに下着の中で握り締める。
 これを。いつか。あの子の中に。
 病床の少女は、彼の前世の妹を想起させた。日に日に衰弱していくいのち。
死ぬとわかって、彼女を抱いた鬼畜の兄が前世の自分だ。
 二度と繰り返したくはないことなのに、思い返すたびゾクゾクする。自分の
中に、正視できぬほど嫌らしくも野蛮な獣。
 たまらない。あの子をメチャクチャに貫きたくて。
 その光景を思い描いて、彼は自分を扱きたてる。
 現実にはできないから。そんなこと、死んでもしたくはないから。
 想像の中であの子を犯す。たとえば、かつてあの子が、前世のあの子が、大
勢の男達に強いられていたように。
 捕らえて、縛って、打ち付けて。逃げられないように。逃がさないように。
 組み伏せて強姦する。這いつくばらせて陵辱する。
 喘ぐがいい。泣くがいい。悲鳴を上げるがいい。苦痛にうめくがいい。
 ドロドロに汚されて。グチャグチャに穢されて。
 ぼくの顔しか見えないほど。ぼくの声しか聞こえないほど。ぼくのことしか
考えられないほどに。
 壊れてしまえ――――!
「は…………ぁっ」
 ティッシュペーパーはギリギリ間に合って、どうにか下着を汚さずに済んだ。
「ああ、もうっ!」
 隣室の従姉に憚って小声で叫び、ノートに突っ伏す。
「ヤりたいなぁ。ヤりたい。きみとヤりたいよ、……イヨ」
 大事に大切に、掌中の珠。彼の全てをぶつけて、割ってしまっては元も子も
ないから。
 絹布で優しく磨くように、明日からも、きっと。
202メガテンX 9本目前編:2006/06/30(金) 20:39:56 ID:V8WN0kG6
 本日はここまで。
 次回投下の予定は未定。
203名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 21:09:03 ID:l4ahstrS
乙ーー。
もうアンクが主人公だった頃が見る陰もないのう。
なんか微妙に動かしにくそうな……?
204名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 09:48:20 ID:oOfLFomi
両者、乙&GJ。

……しかし最近ストーリー重視のまろやか風味が続いたせいか、
無性にエロが読みたいな。満たされた故の贅沢か。
取り敢えず追従してNW特技の妄想を垂れ流してみる。
聖職者♀:対魔法術式印 肌を晒した時恥ずかしがる(ォ
使徒♀:癒しの翼or光翼 翼で抱擁プレイ、ないし翼を鎖拘束。
     ちょっと痛めに杭で打ち付けて拘束、のちに陵辱トカ。
強化人間♀:動体視力 行為の最中に感覚が暴走し、じわじわと襲ってくる異様な快楽に悶える。
人造人間♂:パニッシャー マニアックに電撃SMプレイ
205名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 16:08:33 ID:92DQe1IO
秋葉原のとらでベル本げと。
見本用の最後の一冊を売ってもらったぜ。
206名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 00:11:07 ID:1ecAWix2
俺も今日ベル本ゲトー

俺が買ったときはまだ5〜6冊あったんだけどな。
207名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 00:46:29 ID:5vSoxY/9
間に合わなかったか・・・ひさびさに難民状態ですよorz
208名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 01:56:15 ID:T9l02cmV
何部用意したかは知らんが、結構いい感じにはけてたっぽ?
209名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 02:12:53 ID:HByMngbF
いい加減スレ違い
210名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 05:49:01 ID:2nFxSVPX
 ベル本流れをぶった切って。

>メガテンX 9本目前編
 お前ら実は仲いいだろとか、ジルフロは茶を持って融けないのかとか、お前ら見舞いに行って病人の熱をより上げてどうするとか、
晶君は一歩間違えれば(間違えなくても)ストーカーだろうとか。
 色々ツッコみたい事はありますが、まずはいつふたのひとに調子が悪い時はちゃんと寝てなさいと。あとあんなモンで元気になる
なと。それはバッドハイだ。

>「見てわからん者は聞いてもわからんホ!」

 ちなみにこの台詞がツボに入りました。黙れ雪だるま。雪玉一個追加して三頭身にすんぞこらとかそんな感じ。
 とまれ、お大事にしてください。

>204
 実はそのエロメインのショートを書こうと思ってでっち上げたのが、使い×使いの最初のヤツだったりするのですが。
 すっかり長くなってしまったブツを見つつ、がっくりうなだれる今日この頃。飾り立てるだけがデコレーションじゃないと毎度言
い聞かせつつも、ついプロット考えると長くなってしまう俺の性よ。すまぬ。
 

 ま、そんなこんなで、使い×使いの最終回を置いてゆきます。ブラジル対フランスは録画だぜ。
 実は夢使いのコネクションが執事とメイド完備なのに今気付いた。忍者な爺ちゃんとかちょっと美味しかったかもな、と思いつつ。
211魔物使い×夢使い 2:2006/07/02(日) 05:51:16 ID:2nFxSVPX
 電話を終えて玄関口から居間に戻ると、もう彼女は制服姿になっていた。脱水終えたのにアイロンをかけて、どうにか着れるくら
いに仕立てたのがついさっき。
 さすがにもう遅いからタクシーを呼ぶ事にして、0-Phoneを引っ張り出したところにタイミングよく電話が入って、あたしが一旦
席を外した格好だった。
 残念ながら、着替えは見損ねてしまったみたい。
 ……もういいよ、駄目人間で結構。言い訳、弁解の余地共になし。侵魔も毒も魔術も、なんの介在の余地もないところで手を出し
ちゃったから。このコ以外何にも見えなくなって、それでキスしちゃったから。
「センセ、誰から?」
 手持ち無沙汰そうにしていた彼女は、通話を終えたあたしを見るなりちょっと不安げな面持ちで。
「学校から。『行方不明の男子生徒二名が見つかりました』ってさ」
「…よかった。恋人からかと思っちゃった」
「大丈夫、そんなのいないから」
 手を振ってみせると、うんっ、とよいお返事。あんまり可愛げ見せると、今夜帰れなくなっちゃうぞ? なんて半分は冗談で思っ
たり。
「ま、ちょっと行ってこないと。何か出来るだろうし、何かあるといけないし」
 シャワー浴びてくつろぐ気分のところでもう一度出るのは鬱だけれど、できるだけ見つかった二名の面倒も見てやらないとならな
い。およそ平気だろうと判断はしてるけど、万一何か後遺症でもあったら、魔術絡みに理解のある病院なりなんなりを紹介してやら
ないと。
 外着をセレクトしていると、
「センセ、あの、お願いがあるんだけど」
「ん、何?」
「髪、もっかい結んで欲しいな」
 なんとも屈託のない甘えだと思った。あたしは微笑む。
「お安い御用だよ」
「ありがとー」
 やわらかな笑顔を浮かべる彼女を座らせ作業に取り掛かって、そこでふと気付いた。
「絆創膏、いる?」
「え、平気だよ。別に怪我なんて……」
「そうじゃなくて、ココ」
「ひゃんっ」
 何気なく首筋を撫でたら、妙に艶っぽい反応。ちょっと調子に乗って、わざと耳元で囁いてみる。
「キスマーク隠し」
 茹でた様に真っ赤なった。
「――もうっ」
 ぽかぽかと痛くない拳で叩かれる。
212魔物使い×夢使い 2:2006/07/02(日) 05:52:00 ID:2nFxSVPX
「ほら、暴れないの。うまく結べないでしょ」
「うー……」
 そんなふうにじゃれながらふたりともに身支度を終える。
 一応で折り畳み傘を持たせて、部屋を出てエレベーターを待つ傍ら、あたしは彼女の手に一葉女史を押し付けた。
「はい、タクシー代」
「え、でも…」
「いーから。こういう時は大人を頼っておきなさい」
「センセ、ごめんなさい。今度ちゃんと返しに来るから」
「はいキミ罰金」
「えー!?」
 エレベーターのドアが閉じて、密室になると。
 そっと彼女が身を寄せてきた。窺うような視線に笑って頭を撫でてやると、ぷいと目を逸らしながら、そのくせまたくっついてき
ていたりして。
 いつもは昇降の遅いポンコツだと思うのに、今夜は下までが随分と早い。
「センセ、ちゃんと先生になって戻って来るんだよね?」
「ここが採用してくれればね。でも今はどこも不況だから」
 車はまだ来ていなかったので、郵便受けの立ち並ぶ屋根あり部分から、通りを覗きつつそんな雑談。
「センセがワタシの担任になってくれたら、嬉しいな」
「じゃ、努力してみましょう」
「うん!」
 本当はあたしの思惑だけでどうこうできる事じゃないのだけれど、こんなに期待してくれるなら、ま、頑張ってみましょう。
 と、そこへ雨を抜けてヘッドライトの光がやってきた。
 名残惜しいけど、今日はこれでお別れ。
 黙ってあたしが傘を差すと、彼女がするりとその中に潜り込む。
「じゃ、気をつけて帰りなね?」
 囁いてあたしが離れようとすると、
「センセ!」
「ん? 何?」
「えと、ガンバって」
 笑って頷いてみせる。ドアが閉まる。
 照れ隠しの苦笑で見送っていると、彼女は車が走り出してからも、後部座席から振り向いて、ずっとあたしを見守っていた。
 遠ざかって見えなくなるまで。切なくなるくらいに、ずっと。
 傘をくるりと手の中で回して、あたしは夜を歩き出す。
213魔物使い×夢使い 2:2006/07/02(日) 05:52:47 ID:2nFxSVPX
 結局、その数ヶ月後。あたしは無事に本採用を獲得していた。
 行方不明者が見つかった例の騒ぎの時に、あれこれとうまく立ち回って見せたのが好印象だったらしい。まあ、これは慣れてるか
らねぇ。言わずもがなながら付け加えると、生徒に手を出しちゃったのがバレなかったっていうのが一番大きいのだろう。
 彼女に経緯を見守ってもらったところ、助かった男子ふたりはまず後腐れなしの健康体。しばらくは時の人だったとの報告だった
けれど、これも75日で下火になって、後は普通の学校生活を送っているとか。
 彼女との仲というか、関係というかは、今も続いている。
 電話やメールでウィザードとしての鬱憤や他愛ない愚痴やなんかを言ったり言われたり。カラオケに付き合わされたり、ゴハンを
食べに行ったり、ゴハンを作りに来てくれたり。
 そういうデート――デートと言って差し支えないと思う。少なくともあたしはあのコが好きだし。それにキスを拒まれた事は今の
ところない――を幾度か繰り返している。
 でも、最近は顔を見ていない。
 あたしが卒業試験やら論文やらで忙しかったのもあるけれど、彼女の両親が正式に離婚したのだそうだ。今は彼女の親権でごたご
たともめているのだそうで。どっちが引き取るかじゃなくて、どっちに引き取らせるかが問題の焦点だというのがなんとも救われな
い。
「子供と子供が結婚して、子供の面倒を見れるものじゃないよね」
 彼女はさらりと言ってのけたけれど、そうできてしまう強さを、あたしは少しだけ悲しく思ったりもする。
 というかなんというか、じゃあこのコあたしが貰うけど、キミたちそれで文句ないわね? って感じだ。
「――」
 そんな思考を巡らせつつ、頭の後ろで手を組んで、あたしはごろんと寝転がる。
 場所は学校の屋上。空に一番近い場所。
 視界一面真っ赤な夕焼け。あたしはソフトパックを振って煙草を軽く飛び出させ、それから思いとどまって箱ごとポケットに押し
戻した。最近喫煙者は肩身が狭い。あちこちで灰皿も撤去されてるし。
 でもまあ、能動的に何かする側が、状況に配慮するのが本当なんだろうとも思う。
 騙すやつと騙されるやつ、どっちが悪いかなんて論議がある。あんなの、騙す方が悪いに決まっているのだ。騙す輩がいなければ、
騙された被害者なんて出ないのだから。それと煙草も大体同じ事だってふうに、あたしは思ってたりもする。
 実は今日は始業式だったのだ。
 全校での式やら担任としての初HRやらを消化して気分的には高揚しているけれど、体はやはり、ぐったりと疲れていた。なんと
いうか、エミュレイターとの戦闘とはまるで別種の緊張感がある。
 そりゃまあ受け持ちの生徒の名簿に名前を見つけて、心の中で快哉を叫んだりもしたけど。
 あたしはぼんやりと視線を巡らす。茜色の空。夕陽に染まる校舎。
 あの日と同じような夕暮れ。夕焼け。
 あの日とは場所が違う。時間だって違う。
 それに、別に約束があるわけじゃない。
 だけど。
 予感がなかったと言えば嘘になる。
 ふっと。転がるあたしの体に影が差した。陽光の残滓を背負って、逆光の姿。
「センセ」
 でも、顔が見えなくったって判ってた。か弱いとさえ思うくらいに、細いソプラノ。
 一歩寄って来て、覗き込むような格好になって、顔が見えた。
 ふんわりと。花がほころぶような満開の笑みで。
「――おかえりなさい」
214名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 05:53:56 ID:2nFxSVPX
 というところで、この話はおしまいです。
 最後まで読んでくださった方に、衷心よりの感謝を。あと宣言より一日遅れてごめんなさい。
 んじゃまた、そのうちに。
215いつふた%マルチレス1/2:2006/07/02(日) 14:33:38 ID:S5Q10U9y
>214
 てーい駄目教師だの駄目人間だのと煩悶している暇があったらとっとと開き
直ってラブれー! とじれったく思っていたあたりがラストですっきり解消さ
れて大満足。ナイス焦らしプレイ。GJ。
 あと、勉強熱心な夢使いちゃんに萌え。これからもセンセに色々と教え込ま
れて、鮮やかな大輪の薔薇の如く、麗しい女性に花開くことでしょう。
 おっと、薔薇じゃなくて百合でしたな。
【馬鹿は上手いこと言ったつもりでいるらしい】

 とにもかくにも、長期連載お疲れさまでした。
 朝晩「続きは来たか、続きはまだか」とスレを覗く日々ともこれでお別れか
と思うと、読み手としては寂しくもありますが。
 明日からは「新作は来たか、新作はまだか」とスレを覗き続けることでしょ
う。
 控え室48号室の>521にあった
>「長生きしてもらったほうがたくさんの作品が残るか、
>それとも健康を犠牲にしてでも執筆してもらった方がたくさんの作品が残るか」
 このジレンマを噛みしめながら、再びのご来訪を心よりお待ちしております。
216いつふた%マルチレス2/2:2006/07/02(日) 14:35:05 ID:S5Q10U9y
>210
「見てわからん者は聞いてもわからんホ!」
「黙れ雪だるま。雪玉一個追加して三頭身にすんぞこら」
「三『頭身』の意味が違うホよ」
「うをっ、フロスト如きにツッこみ返された!?」
 こんな光景が目に浮かびました。なんて爽やかなんだ【どこが】

 体調の方は、お陰さまで徐々に。洗濯機を仕掛けてきたらお昼寝でもします。

>204
>無性にエロが読みたい
 まだエロくございませんかorz

 あいにく手元には現状レベルの代物しか存在しませんので、暫く投下は控え
ます。ですので、今度の参考に、どういう内容が『ストーリー重視のまろやか
風味』でない『エロ』かつ『卓ゲのパロ』なのか、是非ともご教授くださいま
せ。
 そのぐらい書き手が考えろと仰られる向きもあるかと思いますが、その辺を
きちんとおわかりの方に教えていただいが方が絶対的に早く確実であると考え
ます。
 ヒントの断片でも結構ですから、どうかよろしくお願いします。
217名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 19:12:06 ID:5vL2zS2t
>>204
横レスだが、現在は「いかにしてそこに至ったか」を疎かにしない、
人間関係の構築から丁寧に書いてあるってことだと。
そういう話はもちろん面白いけど、ヤローの本能は時としてその辺の
手続きをすっ飛ばしてまさに宴たけなわ!なシーンも読みたい、
とゆーことかと。


それはそれとして唐突だが。
ルージュの大首領の中の人は、実は跡目を継いだ先代の一人娘で、
まだ歳若い自分が表に出ても部下が従わないだろうと考えていつもの
大首領フェイスを通して指示を下してて、実は皆をだましている自分に
疑問を抱きつつでも引き継いだ責任とで板ばさみになり、そんな中で
組織のために献身的に働いてくれるトランにほのかな恋心を抱いてる、
という電波を受信したのだがどうだろう?
218名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 20:01:34 ID:sgbfZR5D
大丈夫だ、気をしっかりもて! 俺にも見えた!
219204:2006/07/02(日) 20:32:56 ID:CY/d1mmL
>>217
実に適切な横レスをありがとう。つーか返事の文面で悩んでたのに、お前は俺か。
……とまあ、そういうことで一つ。
エロしかねェェェッという、例えるならケンタッキーフライドチキンの味わいも恋しいというか。

ところでその大首領は実にいいな。
220名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 21:17:47 ID:nSLNQJ9N
>>217
「大首領」と言われただけで三つ目の骸骨しか頭に浮かばないマガジンZ読者
の俺には無理だった。
>>218>>204後は任せた。
221取り急ぎコピペにて。:2006/07/02(日) 22:57:06 ID:5vL2zS2t
少女「うーん、今朝もいい天気。楽しい一日になりそう!」

少女「きゃっ! また痴漢さんだ。どうしよう、恥ずかしい……
    や……ダメ……ッ!」

少女「うん、我ながらおいしいお弁当。
    でもダイエットしようかなあ。
    腰が細くても胸やお尻ばっかり大きくなってくるんだもん」

少女「あの……先輩……ごめんなさい。
    私、今恋愛とかには興味なくて。
    もっと夢中になっていることがあるんです」

少女「さあ、シャワーも浴びたしお茶とケーキも用意した。
    それでは張り切ってお仕事お仕事!
    ギルドのみんな、頑張ってくれてるかなー」



大首領「よくぞ来た、トラン=セプターよ!」
222名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 23:13:21 ID:CDSlUHbe
まて何だそのコピペww
223名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 23:18:41 ID:zv+zAc36
大首領萌えネタといえば戦うヒロインスレとかにあったような気がする
224名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 23:26:27 ID:+Nn7lmjv
>>217
ノエルと三角関係とか希望! 蝶希望!
225名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 00:24:44 ID:unaYbYB0
>>217、224
実はエイプリルの双子の妹だったとか
これなら懲役2千年の訳も説明できそうだ
226名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 00:38:21 ID:BwNP/vdZ
実はガーベラさんの上に居るのが萌え大首領。
227萌え大首領の流れに乗って:2006/07/03(月) 02:23:15 ID:boy69SPT
「お爺様、では、行って参ります」
 私はいつものように、机の片隅に飾られたオブジェにそう挨拶した。
 別段深い意味はない。お爺様の遺品のオブジェに挨拶してから、もう一つのお爺様の遺産へと向かう。
 出勤の前の、いつもの儀式だ。
 本当に深い意味などないのだけど、お爺様からあの遺産を引き継いだ時から、なんとなく続けてきた、
ちょっとしたおまじない。
 こうすると、なんとなく在りし日のお爺様に、力を分けてもらえるような気がするから――なんてのは
言いすぎか。
「――よっし」
 まとめておいた荷物を手に部屋をあとにした。
 今日も一日、頑張るぞっ!

「こんにちは、メアリおばさま!」
「あらこんにちは。今日も元気だね」
「はい! あ、コンラッドさんこんにちは!」
「お、こんにちは。今日のパンのできばえは格別だよ?」
「ホント? じゃあ、あとで寄らせて貰うね! あ、ジョーンズさんもこんにちは!」
 職場に向かういつもの道を通りながら、道行く人に挨拶も忘れない。ウチみたいな零細は、地域住民の
皆々様のご理解とご協力は必要不可欠。こうしてこまめにコミュニケーションをとるもの大切なのだ、うん。
 ほどなく、職場にたどり着く。
 入り組んだ路地裏の、さらにわかりづらい扉の奥。ここが私の職場。
 ――でも、私はその扉を素通りした。こっちの扉は、いわば一般用(と、いうのもなんだかオカシイケド)で、
私の仕事部屋には別の建物から入らないといけないのだ。
 辻向こうの建物に入り、その奥の部屋の片隅の階段を下りて地下室へ。そしてそのまま地下を通って
職場の方へ戻ると、私の仕事部屋につく、というわけだ。
 私は覗き窓から職場を覗きこむ。まだ、人影もまばらだ。もちろん、まだ勤務時間前だから当然なんだケド。
……あ、あの人この間もこの時間に見かけたな……頑張ってくれるのは嬉しいけど、それで体壊しちゃ
元も子もないし、今度それとなく注意しておこう。
 とりあえず私は時計を見、だ余裕があることを確認して部屋に備え付けてあるキッチンでお茶の用意をする。
家から手製のクッキーも持ってきてあるので、こちらもお皿にあける。お茶の香りが漂って来たころあいを
見て、茶葉を引き上げる。――うん、いい感じ。そのお茶を保温ポットに移し変えると、ひとまず準備は終了。
 もう一度職場を覗きこむと、先ほどより大分賑わいを増していた。まだ勤務時間の前だというのに、みんな
頑張って働いてくれる。こんないい人たちに支えられてる職場を誇りに思い、同時に私は改めて、お爺様から
引き継いだこの職場を守る使命を新たにする。
 そろそろ頃合だろう。
 私はおもむろに仕事机に備え付けられた魔法装置を起動、そこに私の声を吹き込む。
 本格的に仕事を始める前に、まずは職場の皆にご挨拶をするとしよう。
『諸君、朝早くから任務ご苦労』
 魔法装置を通すと、私の声は低く威厳のある、声に変わる。
 そしてその声を聞いて、職場の皆が仕事の手を休め、こちらに向かって右手を高く差し上げる忠誠の
ポーズをとる。
「「「我らがダイナストカバルに栄光あれ!」」」
『うむ、諸君、今日も任務に励んでくれたまえ』
「「「我らが大首領閣下に栄光あれ」」」
 ――そう、私がお爺様から引き継いだ職場、それがこのダイナストカバルであり、私は生涯を謎の大首領
として真っ当したお爺様からそれを人知れず引き継いだ、秘密の二代目大首領なのだ――
228萌え大首領の流れに乗って:2006/07/03(月) 02:23:59 ID:boy69SPT
 ポットからお茶を注ぐと、それを片手に私はまずたまった報告書にざっと目を通す。
 ――正直、頭が痛い。各支部から寄せられたどの報告も、わりと切迫している我が職場の現状を具体的に
示す、あるいはさらに切迫させるものばかりだからだ。やはり、神殿という巨大な組織を敵に回しての活動
には何かと障害が多い。
 でも、と私は先ほど見た職場の光景を思い出す。こんな弱小で日の当たらない職場で、でも頑張って
働いてくれる人たち。彼らの頑張りを、無駄にしてはならない。
「――よし」
 私は気合を入れなおすと、報告書一枚一枚に仔細に目を通し始めた。
 ――予算申請、か。なんとか融通してあげたいけど、ウチに余裕のある部署なんてないし……でもこの
部署は、いま頑張って新支部設立のために奔走してくれている。しばし考えて、私はそれに受領の印を押す。
新支部が立ったら、回収すればいい。きっと回収できる。回収できるといいなぁ。
 ……まぁ、ちょっとは覚悟しておこう。

 ――活動報告書。こちらは一見、何の問題もない。でも、この「一見」というのが曲者だ。
 というかはっきり行って、我が組織の活動が問題なくいったためしなどないのだから。私は報告書を一度おくと、
過去の報告書のファイルブックを取り出し、情報を照らし合わせる。
 ……あった。やっぱりこの地区では、最近神殿の活動が活発になってきている。それを押し隠して、こんな
やせ我慢の報告書を送ってきて……私はすぐさま、救援指示の命令書を用意する。
 間に合ってください、お願い――。

 次の報告書を見て、私の心臓が一度強く高鳴った。『被害報告』、そう記された報告書を見て。
 私は一度深呼吸し、大分冷めてしまったお茶を一口含んでから、その報告書に目を通し始める。
『―につき、任務達成を報告す。その際、隊員ラドル・クェンター殉職。』
 あまりにもそっけないその文章に、しかし私は心臓は不吉に高鳴る。ラドル……たしか採用3年目で、
幼い弟・妹たちを抱えてたはずだ。
「俺が稼がないと、アイツらが食えないから」
 そう言って、年齢に比してあどけない笑顔を浮かべていたのを、覗き見た記憶がある。
「のう、大首領とは、冷酷であらねばならぬ。部下を死に追いやる命令も下さねばならんし、作戦の中途で
失われた人員にも心惑わされてはならん」
 そんなお爺様の言葉が思い出される。お爺様の言うことはいつも正しいから私は頷いたけど、でもその
言葉には納得し切れなかった。
「でもお爺様、もしお爺様が死んでしまわれたら、私はきっと泣いてしまいます」
 だけど、そんな私の不満をたちどころに見抜いたお爺様は、すぐに優しい表情でこう続けた。
「お主は優しいの……なに、心惑わされてはならんとは言ったが、それが他人にばれなければ言いだけの
話じゃ。他人が見ているときは、毅然と振舞え。だが1人きりになったら存分に泣くといい」
 そう言って私の髪を撫ぜてくれたお爺様の手の感触を思い出しながら、私はしばし不幸なラドル氏の冥福を
祈った。
 さて、残された家族への配当をどこから捻出しようか……。
 そろそろまた冒険に出て稼いでこないとダメかな。
229萌え大首領の流れに乗って:2006/07/03(月) 02:25:23 ID:boy69SPT
 そんな風に報告書の一つ一つに手間取りながら、なんとか処理していく。傍らのカップに手を伸ばし口を
つけて、それが空になってることに気付いた。あー、そういえばさっきも同じことを思ったなぁ。あの時は
報告書の処理にキリがついたら、と思って後回しにして、そのまんまにしちゃったんだっけ。
 まぁ、丁度いい休憩か。私は立ち上がると、保温ポットからお茶を一杯注ぐ。保温ポットから注がれたお茶は、
淹れ立ての時と変わらない湯気を上げている。保温性能が高いのはもちろん良いのだが、やや猫舌な自分と
しては冷めるのをまた少し待たねばならない。それを考えて、早めにカップに注いでおくべきだった。
 お茶を一口飲むまでは休憩、と勝手に決めて、でも何気なく次の報告書に目を走らせたとき、私の胸は
先ほどとは別の意味で高鳴った。改めて、確認する。
 確かに――間違いない。
 私は逸る心を抑える様に、カップに手を伸ばしお茶に口をつけ……その温度に思わずカップを取り
落としてしまう。
「あ、あっ!」
 ……そのあとは大惨事だった。
 お茶に浸された報告書、慌てて立ち上がろうとして足をぶつけ、机を拭こうとして報告書を破き、なんとか
報告書を復元してふと気付くとお気に入りのワンピースについたお茶のシミは既に取り返しのつかないことに
なっており。
「あの、大首領?」
 そのドタバタが一般職場にも漏れ聞こえたのだろうか? そんな疑問の声が聞こえてきた。
『どうかしたか?』
 精一杯の自省を込めた声でそう何気なく返事をしたのだが……さて、魔法装置を通した声までも、涙声に
なっていなければいいが。


 そんな1人コントが一段落したところで、改めて原因となった報告書を見る。
 やや色づいているが、内容に問題はない。改めてもう一度、報告者の名前を確認する。
 報告者:極東支部長、トラン=セプター。
 その名前を確認すれば、私の胸はまた高鳴った。
 ダイナストカバルの幹部の1人で、つまりは私の部下の1人。
 私たちの関係を正確に示せば、それだけのことだ。
 だが、いつの頃からだろうか――私のほうが、彼に対してそれだけの存在だと思えなくなったのは。

230萌え大首領の流れに乗って:2006/07/03(月) 02:26:58 ID:boy69SPT
 トラン=セプター。ダイナストカバルの技術で生み出された人造生命体だ。創造の段階で刷り込みが行われて
おり、組織に対する忠誠は折り紙つきだ。
 そして、我らの技術の粋を集めて創造された彼は実に優秀な人材であり、その忠誠もあって身を粉にして
働いてくれている。優秀な者の、献身的な活動。彼の組織に対する貢献度は計り知れない。そんな彼の姿に
私は惹かれたのではないか、と自分ではそう分析するのだが、正直なところよく分からない。いつ、
何をきっかけに彼のことが気になりだしたのか、自分でも良く覚えていないのだ。ただ確かに言えることは
貢献度の高い彼は私と直接(と言ってもカモフラ越しだが)会う機会が多く……いつしか私は、その時を
いつも心待ちにするようになった、ということだ。
 報告書の内容に目を通す。
 ノエル殿とともに、武器集めも順調。先日などは名高いダブラルの冒険者大会で見事優勝を飾ってくれた
とのコトだ。
 相変わらず、よく働いてくれているようだ。私はそのことに……いや、変わらずに息災でいてくれることに
喜びを覚える。
 私はその報告書をしばし胸にかき抱き、一息つく。
 ――さて、報告を受けたからには、こちらからも新たな指示を出さねばならない。やや浮き立つ心を
抑えながら指示書をしたためようとして、はたと気付く。
 指示として出すことが何もない。
 現時点で、彼の任務に役立つ追加情報はない。そして彼らも、次なる目的地も目的もはっきりしている。
 しばし指示書を前に脂汗を浮かべ……結局、単に任務達成を催促するだけの文面をしたためた。
「〜〜〜〜〜〜」
 その文面を前に、しばし苦悶する。彼が頑張ってくれているのは良くわかっている。伝説の武具は順調に
あつめ、しかもそのうちの一つを真っ先に託されるほどの信任を得ているのだ。
 その彼に対し、有用な情報も何もない只の催促とは……あまりに薄情すぎやしないだろうか?
 彼がこの指示書を見て、落胆したりしないだろうか?
 自分が信用されてないと、勘違いしたりしないだろうか?
 一度湧き上がった不安は、容易には打ち消すことができなかった。
 いっそ、彼の働きに対するねぎらいの言葉を並べてしまいたかった。
 いかに、彼の働きがダイナストカバルの支えに……いや、私の心の支えになっているかを。
 だが、それはできない。自分は大首領であり、彼は単に部下の1人に過ぎない。
 そんな彼だけに、親しい言葉を投げかけるなど、組織を運営するもとしては許されない行為だ。
 許されない行為だ。
 許せない行為だが……。
 でも――これくらいならいいよね?
 誰に言うまでもない言い訳を考えると、私は先ほどの指示書に一文を付け加える。

 『――追伸。風邪など引かぬよう、自愛せよ』


                                                  (おしまい。)
231名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 02:49:09 ID:mZxB3Yha
GJ
大首領のイメージが俺の中でがらっと変わったw

232名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 03:28:34 ID:XMSJ1Hbg
なにこの超絶萌えキャラ。
あの一文の威力が500%増し(当社比)じゃないかw
233名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 03:57:44 ID:0iagC5rT
真面目な話、FEARに送ってみないかこの設定。
「ごついスキンヘッドオヤジ」
「性格悪い美青年」
「萌え健気少女」
は凄くよくバランスとれると思う。
ともあれGJ。
234名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 04:32:15 ID:Q5d/U/TZ
この萌え美少女設定で、だいなしのカバがトラベルガイドに掲載されるわけですな?w
235名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 09:19:26 ID:P5yHPlXb
うーむ…。
てっきりマティアスさんちの双子の弟とかそんなのを想像してたが、こんな作品出されちゃ認めるしかないじゃないかw
続編期待してますw

…つーか、普通に凄く『いいひと』だよなー…。<遺族給付とか。
表(?)の顔の冒険者の方で、ギルメンからすっげぇ慕われてそうだ。顔はあまり出せないのに。
たまーに出た冒険のときは稼ぎを全部くれそうな勢いで。むしろいない間の取り分取っといてくれてるとか。
ば、バカヤロー!
こんなんされたら、俺のPCは禿げ親父神殿を裏切って、ダイナシのカバに走るしかないじゃあないか!
>>227GJ!!
237名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 16:14:15 ID:8YnGzEsL
ところでここはリプレイに登場したなどの理由で、ある程度有名なキャラじゃないと、
キャラに名前付けてはいけないのですか?
職名やクラス名、種族名がそのままキャラ名になっているSSばかりなので、そういうルール
でもあるのかなと思ったのですが。
238名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 16:36:22 ID:ux68r2gL
特にそういう決まりは無い。サンプルキャラ萌えが盛り上がったときの名残みたいなものかも。
239名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 19:41:46 ID:frlNrsSA
サンプル妄想は実質、外見と設定の片鱗借りた半オリキャラだからなあ。
オリキャラに傾かない方が読んで貰いやすいかと思って、漏れは名前つけんで書いてたな。
あと短い話だとキャラ名覚えて貰うより、そういう代名詞の方が通りがよさげではあるし。
240名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 20:09:18 ID:AF3YQzqD
まあ、サンプルキャラ名使えば外見と表面的な性格はわかってもらえやすいわな。
イメージがぱっと浮かぶのは便利でいいと思う。
241名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 20:28:40 ID:9xRlifno
逆にサンプルキャラに名前つけられてもいまいちピンと来ない気はする。
242名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 20:36:47 ID:C4WnMHm6
二人しか登場人物が出ない事をいいことに「少年」「少女」で済ませたり。

多人数が出るSSだと固有名詞が無いと辛いっす。読むほうも書くほうも。
243名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 20:40:07 ID:frlNrsSA
だなァ。大概のサンプルSSって二人くらいしかメインキャラいないしな。
保管庫を眺めてみると脇役には名前がついていることが多い不思議。
244名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 22:07:25 ID:lW8Kg2N7
>萌え大首領SS
GJ!全然エロパロじゃないけどwww
でもGJ!是非FEARに送ろうぜ。むしろお前が送らぬのなら俺が送る!

【それは盗作だ】
245名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 22:30:04 ID:9xRlifno
萌え大首領の参加してる表のギルド名が「台無しのカバ」だったりして・・・
246名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 00:26:05 ID:HiRk9TQZ
ダブクロだとコードネームで呼ぶことで逆にそれっぽさが出てたと思う。
247名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 01:21:00 ID:6YyKlWmV
全く関係ない話だが、シャドウランやってて思ったんだ。
両腕を機械式の義腕にした女の子がベッドで相手に甘える時ゃ、
抱きつくだけじゃ相手が冷たくて味気ないから胸を擦りつける感じになるだろうか、とか。
……ちと趣味が狭過ぎるか?
248名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 01:35:27 ID:wNAB0uI3
>>247
すごい高尚なご趣味だと思います!
249名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 02:46:54 ID:ic9DuKE5
そんなコンプレックスをもってる普段は強気な女の子が健気に擦り寄ってくるなんて
想像しただけでおっきしちゃうお
250強化人間劇場@車道ラン:2006/07/04(火) 08:55:34 ID:m+b6jI4A
 僕らは依頼を終え、巣穴にしているアパルトメントへと帰ってきた。
「終わったね、無事に」
 僕は両腕で彼女を抱きしめる。
 僕より少し背の高い彼女。
 機械化したその両腕は、サイバー義手というよりは重作業用のマニピュレータに近かった。
 そのごつい腕を、遠慮がちに僕の背中に回してくる。
「ゴメン。冷たいよね、私」
 そんなこと気にしなくていいのに。
「分かってる。自分で生腕落す決断したんだもの」
 また始まった。
「あの時は……こんな気持ちになれるとは思わなかった」
 それは、彼女の傷痕。
「女だてらにサムライ名乗ってさ、いっぱい血を浴びて」
 そんなの僕も変わらない。
「でも……みんな殺されて……独りになって……」
 これは仕事を終えるたびに繰り返される儀式。後悔ではないのだ。
 ただ、過去が、悲しいだけ。
 とある名家の令嬢だった彼女。企業間の抗争により、暴力的な手段で全てを失うことになった。
 『不幸にも』独り生き残った彼女は、家が隠していた財をかき集め……復讐のために、その手に銃を取った。
 その温かい身体を、冷たい鋼に置き換えて。いびつな力をその手に宿した。
「そうだね」
 と、一言だけ僕は言う。これで十分なのだ。
 だって、そんなの僕も変わらない。肉親も何もかもを失い、力に手を染めたのは僕も同じなのだ。
 その強力な油圧で敵を握りつぶす、【バイス】という二つ名すら持つ彼女。
 気の力を身に纏い、無慈悲な拳で相手を文字通り『打ち抜く』、【バンカー】と呼ばれる僕。
 何が違うというのか。
251強化人間劇場@車道ラン:2006/07/04(火) 08:58:08 ID:m+b6jI4A
「そうだね」
 この一言だけが全て。彼女を肯定する一言。
 この言葉を彼女にかけていいのは僕だけだという自負がある。
「君は僕と同じだね」
「……うあーん!」
 感極まった彼女が、涙目で僕に身体を擦り付けてきた。
 なかなか豊かな双丘が、僕の胸に押し付けられてむにむにと形を変える。
 背に回された腕と違って、やたら温かい。
「ふみぃ〜〜〜」
 ああもうなんでそんな可愛い泣きかたするかな。
 ぐ、とかけられる彼女の体重。機械の分、かなり重い。
 これを上手く誘導し体勢を入れ替え、ポフ、と彼女をベッドに横たえた。
 ――不謹慎だね、僕は。いや、僕らは、かな。
 今日もまた何人もの命を奪ってきたというのに、もうこんなことをしている。
 ――まあでも彼らと僕らと何も違うところはないよね。
 両者共に明日をも知れない商売をしているのだ。覚悟は……できていないにしてもそれが当然という世界。
 ――だったら、生き残ったなら御褒美を貰っても問題ないよね。
 柔らかい彼女の胸に顔を埋め、手早く衣服を脱がせながらそんなことを考えていた。
「みぃ〜〜〜〜」
 まだ泣くか。舌で彼女の涙を掬い取る。
 恥ずかしそうに、くすぐったそうに顔を背ける仕草が可愛らしかった。
252強化(ry:2006/07/04(火) 09:08:23 ID:m+b6jI4A
うん、えち本番描写まではいかないんだ。
思いつきだけで書いたんだ。すまない。
キャラ的には、

「彼女」
 21歳。身長173cmくらい 体重100kg(含メカ)くらい
 荒んだ目。ロングヘア。乱暴な言葉遣い。
 おしとやかにしていれば、日本人形のような美女。顔立ちは少し幼い。
 「僕」の前でだけ素の口調に戻る。
 接近戦が得意。義腕で圧殺。重機関銃も使えるよ。

「僕」
 18歳。身長163cmくらい 体重50kgくらい
 すらっとした体型。顔立ちはやたら幼い。
 貫通打撃。ピッコロ大魔王のお腹を貫くが如くだよ。

そんな感じ。
あとベル本関係のレスはスレ違いだし控えてくれると有難かったり。
本人も控えますのでどうぞ宜しくお願いいたします。
253強化(ry:2006/07/04(火) 09:09:36 ID:m+b6jI4A
忘れてた。
彼女:ストリートサムライ
僕:フィジカルアデプト
ということで。
254247:2006/07/04(火) 11:59:28 ID:1v18Sd9n
をを。早速乙&GJ。
まとめよーかとも思ったけどキャラがいないんで諦めてた。
良いコ作りますね、この、この。

……サイバーアームって、他のサイバーウェア以上に“機械頼り”の印象強いのが萌え要素だよな。
ことにシャドウラン最新版では自分の能力値と無関係に腕自体の能力値があるんで、
素質と経験の下地の上で体を強化したプロというよりは、よんどころない事情で金にあかせて力を手に入れた、
いびつな力のにわかランナーというキャラ造形がより容易に。
というわけで元お嬢様とかは非常にベネ。
255名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 20:35:54 ID:IFzSrL4b
>>253
グッジョブ。
そういえば、車道欄こそアーキタイプ萌の発端!(明らかな嘘です)

>今日もまた何人もの命を奪ってきたというのに、もうこんなことをしている。
いやほら、古事記に習って減らしたぶん増やすって事で【BLAM!!BLAM!!BLAM!!】

>>254
女性の顔にゴーグル型サイバーアイとか萌えませんか?
俺だけですか、そうですか。
256名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 21:02:48 ID:6dhxyK2U
美少女ゴーグル萌えは古くは記憶屋ジョニィまで遡るわけだが、それはともかく。
俺はミラーシェイドか取り外し式のが好きかなァ。
257名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 13:21:36 ID:lQq69WtH
今が旬の卓ゲエロってなんだろう。
やっぱデモンパか?
258名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 15:02:44 ID:57blag4L
>>257
っつーか、エロ追加ルールも簡単にできそうだし、アレ。
三大欲求の残り一つを追加して衝動を下げるかわりに、金もしくはエナジーが減るとかなw
ショーテルキャラが、ディスガイズとって、一日中人間の姿で、相棒と――とかも妄想できるから、ネタ的にも色々できそうだ。

ちなみに、ショーテルの概要を見たとき真っ先にコ○ネコのナ○が思い浮かんだのは秘密だ。
259こんな感じでしょうか>>255:2006/07/06(木) 20:16:27 ID:uNLcyN55
「あれ?なに書いてんの?」
「なにって、履歴書」
東京のランナーであまり見た目にこだわらない連中がよく飲みにくるところ。
ここはそんな居酒屋だ。見た目にこだわる立派なランナーはこんなところにはこない。
立派なランナーはバーに行って難しい名前のカクテルとかぴかぴかのラベルのバーボンとかを
危険な雰囲気を漂わせつつ静かに飲んで、胡散臭いカンパニーマンの依頼に傲然と
「安すぎる、俺に頼むなら五倍は持って来い」とか言ったりするんだろう。
だからこんなところで焼き鳥をつまみに青りんごサワーを飲んでいる僕は立派なランナーじゃない。
「え?まだ再就職諦めてなかったの?」
「何で意外そうに言うんだよ」
当然僕の隣に勝手に座り、カシスソーダを飲みながら僕の焼き鳥に勝手に手を出す彼女も立派なランナーじゃない。
「えー、だって無理でしょ。依願退職ならともかくリストラされた企業工作員なんて」
「リストラされてない!研修終わったとたん会社が倒産しただけだ!」
「大差ないでしょ」
「う゛〜」
唸る僕を尻目に彼女はケタケタ笑う。目は笑ってない。というか笑えない。
両目のかわりに細めのゴーグル型サイバーアイをインストールしているからだ。
260しまった少女でもない上にエロもないや:2006/07/06(木) 20:18:13 ID:uNLcyN55
なんでも昔、フラッシュグレネードに目を灼かれたときに入れたんだとか。エッセンスを減らしてまでランナーを
続けたいのかって聞いたら当然とか答えてた。
アブナイ人だ。
「ねーねー、そんなことより今夜はあんたのとこに泊まるから」
「確定事項なの?」
「うん」
そう言ってブロンドの頭を僕の肩に乗せてくる。すりすりと寄ってくる彼女から、ほのかに硝煙の匂いがする。
「もしかして仕事帰り?」
「うん。だから我慢できなくって」
こそこそと僕の股間に伸びる手を軽くつねって追い払う。彼女は時折こうなる。
なんでも、人間が火の精霊に焼かれている姿を見ると我慢できなくなるらしい。
アブナイ人だ。
「ランで組んだ連中誘えばいいじゃん」
「だって人間いないんだもん」
人間主義者の彼女にとってはデミヒューマンを一夜の恋人にするのはダメらしい。でも仕事で組むのは平気らしい。
彼女に言わせると仕事に私情をはさまないのがプロだとのことだが、人間焼くためにランナーやっているような彼女が言うと説得力がない。
「やっぱり焼くのもヤるのも人間に限るわ」
そう言って胸を腕に押し付けてくる。ふにゃっとやわらかい感触と服の上からでもわかる固くなった先端が僕を誘う。
でも彼女の頭の中では人間が焼け悶える光景が映っている。
アブナイ人だ。
「・・・しょーがないなあ」
そういって僕はクレッドクリスをデバイスにかざし支払いを済ませる。
なんだかんだいって、僕はそんなアブナイ彼女が嫌いではないのだ。
261名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 20:24:05 ID:uNLcyN55
>>258

中盤の戦闘後

十三「いかん、意外にてこづったからエナジーも衝動も余裕がない」
タッシェ「でも今日はもう食事のボーナス使っちゃったですよ?」
十三「・・・・・・しかたない。ここは睡眠を取るか。まだ昼だが」
タッシェ「私も寝るです〜。近くに眠れる所ありますか?」
GM「ご休憩は5000円消費して下さい」

そんなでもんぱ。
262名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 20:40:04 ID:0zs4GL60
>261
お前、アタマいいな
263いつふた%感想マルチレス:2006/07/06(木) 22:56:04 ID:g/AWQ9NA
>227
 実は今月のセッションで、アリアンロッドのPLをやる予定です。
 万が一GMが大首領を出してきたら、自分一人だけ萌え転がりそうな勢いで
す。
 ……そうか、GMにもこれを読ませておけば【大惨事必至だ】

>250
>強化人間劇場@車道ラン
 例の三人娘がシャドウランめいたサイバーパンクに挑戦するのか、それとも
『車道を走って車道ラン』という駄洒落で〆るのかとわくわくしながら読みま
した。
 ……めちゃめちゃ良い意味で裏切られました! アデプト×サムライ萌え〜!
GJ!

>259
>焼くのもヤるのも人間に限るわ
 この狂いっぷりが可愛いと思いました。
 でも身近にはいてほしくない。そんな感じ。
264いつふた%コピペ改変:2006/07/06(木) 22:57:25 ID:g/AWQ9NA
タイトル:初めてのセックス
 ベール=ゼファーとの戦闘を終え、ヴィオレットはファー・ジ・アースから
ミッドガルドへ帰ってきた。そして、対奈落艦“レーヴァテイン”で、シャワー
を浴びた。
 ヴィオレットは風呂場の中でオナニーをした。
「アン! イッチャウ!」
 数分後、ヴィオレットは風呂から上がり、1人エッチを開始した。
「アン・・気持チイイワ!コレナラゴ主人様トセックスデキル!」
 その時、男が部屋に侵入した。
「空賊だ!・・・おう!」
 シドはヴィオレットの裸を見て感激した。
「こんな可愛い子の裸をみれるなんて生きていてよかった。よし!」
 シドはヴィオレットの眼前で全裸になった。
「何シテルンデスカ!?」
「決まってるだろ!?セックスするんだよ!うりゃ!」
 シドはヴィオレットの膣の中にペニスを突っ込んだ。
(このHPの挿し絵をはって下さいttp://www.fear.co.jp/alshard/alcff04.htm
「キャ!?」
「出すぜ!」
「止メテ!私ニハ好キナ相手ガイルノ!・・アア!ダメ!イッチャウ!アン!
アアン!!」
 シドはヴィオレットの膣に大量の精液を流し込んだ。そして、ヴィオレット
はシドと永遠にセックスをし続けた。
「モット!モット!!出シテ〜!!」
「分かった・・」
 シドはヴィオレットを妊娠させてしまった。
―――
 思いついたからやった。今はちょびっと反省している。
 ちなみに原文はこちら↓
  http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151634440/6

 まさかとは思いますが、間違っても保管庫に保管しないでくださいませ。
>管理人様
265いつふた:2006/07/06(木) 22:58:48 ID:g/AWQ9NA
 原作:くいっくすたーと!!(裏くいすた1本目)
元ネタ:ttp://tenra.net/keumaya/KUISUTA01.html
 形式:小説形式(三人称)。
レス数:3+1
 分割:なし。
エロ度:強姦。女性同士注意。
    エロシーンの分量が、それ以外の分量以上である。
連続性:単発。
 時節:高校一年一学期の中間考査の前。
 終幕:フミちゃんにはハッピーエンド。
266裏くいすた 1本目 1/3:2006/07/06(木) 23:00:08 ID:g/AWQ9NA
◇サチぴょん危機一髪

「サチさんて、こっちの経験点は少ないんですね」
「ちょ……、ゃ……」
 フミの左手がサチの右胸、色づく尖端を指で弄る。
 フミの右手はサチの下肢、花咲く狭間を指で嬲る。
 力加減は軽く、浅い。だが、強く挟まれるより、深く突かれるよりもむしろ、
サチの感じる刺激の度合いは大きなものだった。
 どうして。どうしてこんなことに。混乱する思考がサチの抵抗力を殺ぐ。
 フミは、床に座ったサチの脚の上にのしかかり、体重をかけることによって、
サチの逃走ルートを封鎖している。だが、フミは小柄な少女だ。サチが精一杯
身をよじれば、簡単に跳ね除けられたことだろう。
 それなのに、何故だかそうできない。
 サチの右手は自身の上体を懸命に支えている。この手を離せば、彼女は床に
倒されて、フミに組み敷かれてしまう。
 サチの左手はフミの広いおでこに触れている。傍目には、彼女を押し返そう
としているようにも見えようが、その手は添えられているだけに等しい。
 サチの視界の中、フミの頬はほんのり上気して、両の瞳は甘くとろけている。
唇の端に浮かんでいるのは微笑み――天使のそれに似た、悪魔の微笑みだ。
 ここは桃子の私室である。
 TRPG関連の書籍や小道具のみがぴしりと整理整頓され、それ以外は名状
し難き灰色の混沌状態という、嫌ほど極端な部屋だ。
 GM桃子、PLはサチとフミ。このメンツでまたセッションをしようと桃子
の家までやってきたのが二十分前。
 TRPGに関しては用意周到な桃子が、珍しく「キャラクターシートが足り
ない!」と大騒ぎを始めたのが十五分前。
 パソコンを起ち上げ、ダウンロードしてあるデータをプリンタで印刷しよう
としてインク切れに気づいたのが十分前。
 買い置きのインクカートリッジが見つからず、「近所のコンビニで買ってく
る!」と飛び出していったのが五分前だ。
 その直後だった。フミがサチの唇を奪ったのは。
 電光石火の早業だった。
「いいなぁ、サチさんの。こんなに大きくて」
 乳首と股間の二点攻めを終えて、フミはサチの胸元を大きくはだけた。まろ
びでる白い双丘が、彼女の遠慮ない視線に曝される。
「それに、ほら、こんなに柔らかい」
 フミの両掌が、サチのふくらみをゆっくりと捏ね上げた。
 心地よい、と言ってよいほど、その仕草は優しくて、サチは思わず瞼を閉じ、
悦びを意味する深い吐息をついた。
「はぁ…………っ」
267裏くいすた 1本目 2/3:2006/07/06(木) 23:01:03 ID:g/AWQ9NA
「でもここは、」
「うぁ!」
 充分に勃起した尖端をチュッと吸い上げられて、サチは大きく背を仰け反ら
せた。今や両腕を背中側に突いて、それで何とか体勢を保っている状態だ。
「ふふ……固いんですね」
 大きな果実の小さな種を、舌先だけを突き出してフミは、わざと見せつける
ように転がし始めた。舐めたり、突付いたり、そのたびにサチは、
「あっ、やぁっ、ふ、あ、あっ、あっ!」
 切ない喘ぎを強要される。
 指による直接の誘惑が失われてなお、サチの狭間からちゅくちゅくと滴る官
能の花密。上昇する体温が、彼女の匂いを艶かしく立ちのぼらせていく。性に
不慣れな少女の理性を徐々に徐々にと狂わせていく。
「ダメ……あ………………モモ…………っ」
 至極自然に、その名が口をついてでた。
 む、とフミの眉根が寄せられる。
「私より、モモさんの方がいいんですか?」
「ひあっ!?」
 きり、と歯を立てられて、サチはビクリと跳ねとんだ。
 痛いのに、痛いはずなのに、悲鳴というよりその声は。
 快楽の……。
「ち……が……ぅ」
 身体の奥から湧き上がってくる、不可解な、いとおしいほどの痺れを自覚し
ながら、息も絶え絶えにサチは言った。
「モ……モ…………戻っ……てく…………」
「そうですね。モモさんが、さっき来がけに見たコンビニに行ったのなら、そ
ろそろ……」
「っだいまーぁ!」
 桃子の元気一杯な声が、玄関先から聞こえてきた。
 ぱ、とフミが身を離す。そして、何事もなかったかのようにルールブックを
読み始める。
 なんて変わり身の早さ、と呆れる暇なぞあらばこそ。サチは大急ぎで着衣を
整えた。ズリ上げられたブラの位置を戻し、外されたブラウスのボタンを留め、
めくられたベストをおろし、横にズラされたパンツを穿き直し、そしてスカー
トの裾を……。
「ゴメンゴメン、お待たせ〜!」
 部屋の扉がバンとあいたのと、サチが姿勢を正して座り直したのとが同時。
「お、おう、お帰りぃ」
「よかったよかった、インク売ってたよー」
 ギリギリセーフ。どうやら桃子に見咎められることはなかったようだ。
「あれ?」
268裏くいすた 1本目 3/3:2006/07/06(木) 23:01:57 ID:g/AWQ9NA
 ふんふん、と桃子が鼻を鳴らした。
「なんか変な臭いがする?」
 ぎょ、とサチの心臓が飛び跳ねた。
「じ、自分の汚部屋の臭いだろっ!?」
 裏返った声でツッコミを入れると、
「じゃあ、窓でもあけましょうか」
 にこにこ、いつもの柔和な笑顔でフミが提案し、立ち上がって窓を全開にし
た。爽やかな風が、まるで嘘だったかのように淫臭を消し飛ばす。
 細かいことなど気にもせず、買ってきたばかりのインクカートリッジをプリ
ンタに装着した桃子は、手際よくキャラクターシートを出力、配布し、
「んじゃまず、今回よこーく」
 シナリオが書かれたA4サイズの紙束を片手に今回予告を読み上げ始めた。
シリアスな雰囲気に即した口調。GM百戦錬磨の底力だ。
 身体の真芯がトロトロのまま、サチは桃子の声を聞く。
 ――ダメ……あ………………モモ…………っ。
 あのとき思わず呟いた名前。
「サチ? 聞いてる?」
 真正面から桃子に覗き込まれて、サチはドギマギと返事をする。
「あ!? 何、ハンドアウトっ?」
「違うだろーっ。もう一回だけ言うからな、よく聞いとけよー」
 相も変らぬ飾り気のない桃子の態度に、何故だろう、サチはフミに火をつけ
られた身体の熱が、激しく疼き出す心持ちがした。
 そんなサチの様子と、桃子の横顔とを等分に眺めながら、
 ――モモさんは、サチさんと二人で……っていうのがいいですよね。
 フミは密かにほくそえんでいる。
 ――その前に、サチさんをたっぷり『馴』らしておかないと…………。
 彼女の『プレイ』は、これから始まるのだから。
269裏くいすた 1本目:2006/07/06(木) 23:02:43 ID:g/AWQ9NA
 ・・・・・おしまい。

 以上、『エロしかねェェェッ』SSを書こうと最大限努力した結果のお話で
した。
 なお、イラストでは両人どう見てもベッドの上です。
 あと『1本目』と書いてありますけど『2本目もある』という意味ではあり
ません。単にいつふた個人の文書整理の都合で付け加えている物です。

>217
 わざわざのご教授感謝します。

>204>219
 余計な記述が多いSSばかり投下して申し訳ありませんでした。
 次回からまたストーリー仕立てのエロが薄い代物を投下する予定ですので、
どうかスルーをよろしくお願いします。
270名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 23:07:43 ID:02NDPnPy
GJ!
ストーリー楽しいですよー自分は
あと、謙虚も過ぎるといやみですぜ大将w
これからも楽しみにしとりやす。
271204:2006/07/07(金) 01:54:42 ID:FlhuoZhF
>>259
サイバーっぽいサイバーっぽい。GJ。
……なんかシャドウランネタに反応してくれる人、以外と多いノネ。

>>269
GJ! 実にベネ。
……や、言い出しておいてなんですが、一応断っておきますと、
ストーリー重視のまろやかなSSも大好きやねんで?
ただ無性にエロ重視の作品が恋しくなったと言いますかッ。
つーわけでこれからも投下楽しみにしとりやス。
272名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 08:04:12 ID:32h5Fy6p
 えー、朝からアレだが、昨日初めて遊んだデモンパラサイトでGMがいきなり

『性欲充足による衝動回復ルール』

 なるハウスルールを作ってきやがったので、ここに晒してみる。
(本スレでもいいかとは思ったけど、ネタがネタなんで一応ここに)
273名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 08:06:58 ID:ko0hXGp8
ネタとしては既にあちこちで言われてるが、
実プレイでやっちまうのはどうなんだw
……参加者の評判はどーだったん?
 食欲、睡眠欲同様、性欲を充足させることによっても衝動は減少する。
 性欲は自分自身で行うか、他者にしてもらうことにより
充足することが出来る。
 更に対象の性欲を満たすことで衝動を下げてあげたり、
お互いに欲望を満たし合うことで双方が衝動を下げる事も
可能である。
 以下にそれぞれの場合におけるルールを記述する。
 なお、性欲充足による衝動の減少は、1日(24時間)に
つき1回しか行えない。
 また、性欲充足によって衝動を減少させた場合、その後
24時間は食事による衝動減少が出来なくなる(エナジーは回復する)。

・自分で満たす
 自分で自分に対して【精神】または[魅了]の判定を行い、
その達成値によって減少する衝動とエナジーが決定する。
 後述の一覧表を参照すること。
 また、行為の前に消耗品「補助具」を消費すると【精神】
[魅了]判定の達成値にボーナスが得られる。
 行為には2d×2分の時間がかかる。

・相手に満たしてもらう
 自分以外の誰かに満たしてもらう方法。当然相手と場所が
必要で、配偶者などがいるならともかく、そうでないならば
相手を調達することから行う必要がある……が、ルール上は
所持金を減らせば相手は見つかり、かつ【精神】や[魅了]
の各値も決定されるものとする。
 ただしGMは自分の判断で金額を減らしてもよい。
(適切なロールプレイや判定に成功すれば半額が目安)
 基本的には、消費した所持金によって決定された相手の
【精神】や[魅了]を基準値として行われた判定の達成値に
応じて衝動とエナジーが減少する。
 後述の一覧表を参照すること。
 この判定は基本的にGMが行うが、GMが許可するならば
PLが判定してもよい。
 その場合、衝動による振り直しも可能。また「補助具」を
使用することも出来る。
 PCにしてもらう場合は次項「相手を満たしてあげる」を
参照すること。
 行為には2d×5分の時間がかかる。

・相手を満たしてあげる
 PCは他のPCやNPCに対して【精神】または[魅了]
の判定を行うことで、達成値に応じた値の衝動とエナジーを
減少させることが出来る。相手を満たしてあげる場合は必ず
対象の同意が必要で、同意のない場合は行為をしたとしても
衝動は減少しない。
 また、行為の際に消耗品「補助具」を消費すると【精神】
[魅了]判定の達成値に修正を得られる。
 行為には2d×5分の時間がかかる。
 PC同士の場合、「相手を満たしてあげる」行為を互いに
行う事で複数のキャラクターが同時に衝動を減少させる事も
可能。その場合、かかった時間は参加者全員の中で最も長い
ものを採用する。
 なお、PC同士の場合は補助具を使用しない限り基本的に
金銭を必要とはしないが、GMは状況により場所の確保等の
ために金銭が必要であるとしてもよい。必要な金額はGMが
決定すること。
・補助具一覧
 500円:達成値+2
1000円:達成値+4
1000円:達成値+1d
2000円:達成値+6、行為にかかる時間決定時のダイス目−1(最低1)
4000円:達成値+8、行為にかかる時間決定時のダイス目−2(最低1)
8000円:達成値+10、行為にかかる時間決定時のダイス目−3(最低1)
以後、値段が倍になるごとに達成値+2

・相手一覧
 8000円:【精神】1d(最大4)、[魅了]技能なし
16000円:【精神】2、[魅了]初級
32000円:【精神】3、[魅了]中級
64000円:【精神】4、[魅了]上級
消費する所持金は様々な出費を総合的に表したもの。
PCが相手の場合、所持金を消費する必要はない。

・達成値に応じた減少する衝動とエナジー一覧
[魅了]10:衝動1点、エナジー1点減少
[魅了]12:衝動2点、エナジー2点減少
[魅了]16:衝動3点、エナジー3点減少
[魅了]20:衝動4点、エナジー4点減少
[魅了]24:衝動5点、エナジー5点減少
[魅了]28:衝動6点、エナジー6点減少
276名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 08:20:36 ID:32h5Fy6p
>273
うん、ルールとしては食事の効果と引き替えだったんで、割とバランス良かった感じだ。
お陰でセッションでは小型猫ショーテルだったPCが引っ張りだこだった。
「猫ちゃんや、猫缶あるからこっちおいで」
「ばっかおめー、こっちは1缶2000円の高級猫缶だぜ!」
「寝るときにぬくもりが欲しいにゃー」
と小型猫大人気。
もちろん性的な意味で。
277名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 08:25:48 ID:04orrUxZ
Σフツーに遊んでやがるし。けっこうなツワモノ揃いと見えよるわ。
小型猫つーとあれか、一時間以内か。
278272:2006/07/07(金) 08:42:11 ID:32h5Fy6p
>277
大丈夫、みんな1時間以内でイナフだった。
でも一部「俺猫のままでいいよ」と言い放った奴がいたことは秘密だ。
そして俺は大型犬ブリガンダインだったんで、
「くっ、連戦で衝動がやばい……しかしここで猫に頼むのは犬としてのプライドがっ……!」
と思い悩んだ挙げ句、
「すいません、人間形態でお願いします」
と、土下座してお願いしたのも内緒だ。内緒ったら内緒だ。
279名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 08:56:40 ID:JG0wxxG8
>>278
君は当然、

犬 形 態 の ま ま だったんだよね?

【バカは壊れている】
280272:2006/07/07(金) 09:19:32 ID:32h5Fy6p
>278
犬形態ですとも。
悪魔化して人間形態になった小型猫ショーテルに従属のポーズ取らされた挙げ句、
御主人様(女子中学生モリオン)の目の前でイカされましたが何か。
てかさ、今文字起こししてるんだけど、ナニこの俺様恥辱プレイ。
御主人様も「じゃあ後学のために見てます」とか言ってんじゃねえ。
281名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 09:44:03 ID:9RWzCElI
で、その女子中学生はどんなエロい目にあったんだ?(真顔
282名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 10:32:24 ID:2+tWUrOL
>>272
そんなおまいが大好きだ。
283272:2006/07/07(金) 11:24:23 ID:32h5Fy6p
ちょっと休憩。文字起こしのあとの修正が大変だわ、リプレイって。
で、さっきGMにここのこと話したら、俺がやられたあたりだけなら晒してもおkと許可でたんで、
そこだけ抜粋して晒す〜。

ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi43020.txt.html

ここの「ダウンロード」って書いてあるところをクリック汁。

あと、俺の「ブリガンダイン犬」は鳥取判断で許可されたものです。
(ブリガンダインはPCとしては人間専用の悪魔寄生体)
初手からルール無視した俺困ったちゃん。
284名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 11:35:12 ID:0eCOmufo
前後の展開が気になるじゃねェかァーーーーーーッ
285名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 15:50:18 ID:J0UxHZtU
すばらしい。でぃもーると!
ああ、ああ、ありがとうw
あと、できたらほか(ご主人と子猫とか)も公開希望w
286名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 18:25:18 ID:f+Km2zZR
それより普通にリプレイの書き起こし上手いな。
ちと羨ましいぞ。
287名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 19:03:14 ID:IDVmnepm
オンセなんじゃないか?
288名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 19:21:30 ID:yZPaXXCa
コンビニに行って云々とかあるから、多分オフセじゃあるまいか。
289名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 00:38:06 ID:mWbjdY28
オフセっぽいな。「漢字の方」とか「&」とか「一同」とかは、オンセではあまりないし。


オフセでそんなセッションが出来るおまいら大好きすぎだ。
290名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 00:43:45 ID:mWbjdY28
ついでに、「人間専用」と「動物専用」のデモンパラサイトの違いは、
「動物でも人間の言語を解す事が出来る」能力が有るか否かだと思うとか思わんとか。
291名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 01:02:17 ID:lVUhSMbZ
>>290
専用のものも、軽くアレンジ入れるだけで使えそうではあるけどね。
292名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 01:26:30 ID:B8BRfJxp
クレイモア犬とかいるけど知力がプラスされないからPCに出来ないそうな。
人間ショーテル作って触手でうにょうにょなエロキャラやりたいな。
293名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 01:54:22 ID:yHm4zhKc
実際の描写はせずに、こういう行為で衝動減らしたっていうことを想像するだけでも良い感じだ
294名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 19:03:53 ID:rcTncRa4
オフセのほうがゲラゲラ笑いながら気楽に出来るとおもわなくもない
295名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 10:44:01 ID:tKm8JIJT
微妙に静かだなァ。
ところで夢見る人形の続きマーダー。
296名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 13:12:37 ID:IV/afag4
>>283
あたまわりいいいいいいいいいいいいいっ!!(超誉め言葉)

ところでリプレイにするって事は同人誌でつか?絵も入るのでつか?
297272:2006/07/09(日) 21:09:15 ID:ntFVjP1d
泊まりがけでデモンパラサイト遊んでた俺が帰ってきましたよ。
みんなレスありがとう。
ちなみに俺はこの土日で例のGMのもとシナリオ2本こなし、
3レベルにまで成長しました。
ついでにPC関係も錯綜してきてもうどうすればいいやら。
まあ、ゲーム内時間の関係でご主人と俺がお互い【精神】で
判定して衝動を下げあったら学生が凹んだり、毎回別のPCとの
関係を表で振っていたら仔猫が俺に憧れていることになって
探偵の中の人から「なんで犬だけがモテるんだ」と突っ込まれたり
した程度なんだが。
しかし、仔猫とご主人の中の人は3レベルの成長でどちらも
《動物交友》取ったりしてるあたり、俺巻き込んでのPC内三角関係を狙ってそうで怖い。
(動物知能しかない俺とルール的に会話可能になるため、って理由ももちろんあるが)

だいたい犬と猫と女子中学生との三角関係ってどんなんだ。

そもそも仔猫、俺の悪魔的特徴「独特の芳香を漂わせている」に
「マタタビ臭」と勝手に書き加えるのやめてくれ。
憧れた理由ってそれかよ。それと睡眠取る時必ず俺の小屋に来て
「犬さんをベッドにして寝る」と宣言するのもなんかむず痒いんですが。

あとご主人も仔猫と絡んでるときに
「私のファーストキス……これがキスだって自覚もって、最初にしたのは犬君だよ?」
とか言うのやめてください。死ぬほど痒いです。

>287-289
オフでやってる。
先輩の家が会場だったりするんで、けっこうみんな普通にシモネタとか
痒い台詞とか煮えた台詞とか使ってるよ。酒入ることも多いしな。

>290-291
うちのGMは「知能は犬のまま、基本的に他PCとの会話は不可ってことを
弁えてロールするならおk」って裁定だった。
その辺厳密に扱って、PLレベルでも行動制限するGMだと辛いだろうな。

>296
うちのサークルには、「初めて遊ぶシステムのセッションは
リプレイに起こして会報に載せる」という伝統があるんよ。
GMはそういうの苦手なので俺がやることに。
まぁ同人誌っちゃ同人誌だがサークルの面子以外には非公開
なんだ、すまん。

つかご主人と学生の中の人から「リプレイうpるの全面禁止、
プレイを元にキミがSS書くのはおk」と言われてしまった罠。
確かにそうしなきゃ、このレス含めスレ違い気味なのは確かなんだが。
298名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 21:21:08 ID:tKm8JIJT
>「リプレイうpるの全面禁止、プレイを元にキミがSS書くのはおk」

ナイス、中の人。
……では頼んだぞ相棒(272の肩を叩く
299名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 22:18:00 ID:4R8V6Koc
ふと頭の中で思い浮かんだネタ

風邪を引いた柊、『他の魔王の邪魔をするために彼の力が必要』と言う事で、
見舞いに来たベル。ポンチョを裸エプロン代わりにして料理を作る。

で料理を出してから「料理を先に食べる?私を先に食べる?」と柊に迫ってくる。

エロゲーみたいな選択ネタで、

柊がベルに黒ソックスで足コキされながら、
「こんなに大きくして……変態なの?私に見とれた?」
自分が変態と答える→「だったら変態らしくもっと気持ちよくしてあげるわ」
ベルに見とれた   →「うふふ、正直ね。御褒美たくさんあげなきゃ」
答えない       →「あら、黙りこくって恥かしがり屋さん」

SS脳が最近働かないよママン。
300272:2006/07/09(日) 22:35:50 ID:ntFVjP1d
>298
……書かなきゃ駄目ですか?

>299
まて、黒ソックスで足コキされるのは確定なのか。
その前の「料理を先に食べる? 私を先に食べる?」で選択肢はないのか。
具体的には魔王盛り(料理)とか押し倒す(ベル)とかで。
どちらも選ばなかったりベルに突っ込んだりする選択肢を選んだ時じゃないのか、
「あら、柊蓮司のクセにそんなこと言うの?」とか言われてベルにのしかかられ、
パンツごとズボンずり下ろされて黒ソックス足コキされるのは。
もちろん両脚の角度を微妙に調整して、柊には自分のナニの向こうにベルの股間が
ちらちらと見えたり見えなかったりするんだ。絶対。
「おっおいっ」
「ふふ……どうしたの柊蓮司? こんなコトされるの、初めて?」
「いや、まぁ俺嗜好はノーマルだし……じゃなくてっ! ベルお前……」
「……なに?」
「……その……まだ生えてないの、な……」
「……(しゅこしゅこ……にぎっ)」
「うおぉぉぉっ!? あっ、足の指で握るんじゃね――ッ!?」
301夢見る人形の中の人:2006/07/09(日) 22:38:23 ID:3JILJDbk
ごめんなさい、まだ書き上がってませんorz

近日中に、近日中には!!
(仕事で突撃行進歌中なのでいつになるかはわからないけど)
302298:2006/07/09(日) 22:57:48 ID:tKm8JIJT
>>300
デキレバ。

>>301
そういうことならのんびり待っとるで、無理せんようにナー。
303名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:31:53 ID:R85X4OAR
>301
どこかの誰かの未来の(SSの)ために、戦わなくていいから死ぬな。
あと健康も損ねないそうに。
304名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:49:20 ID:I5c11p3F
>297
>犬と猫と
ワイルドハーフか……ッ
305名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 12:52:06 ID:8ieYlShz
《三角木馬亀甲縛(ウーンア・ブノー・マル)》
306名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 21:10:45 ID:HaaULn11
どらはーですか
307名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 22:00:48 ID:quo/mp8e
デモパラの絵師って、かなで×アキラをかなり意識してるよなぁ
ゲヘナもラシーダ×ジェスを意識してるし
SNEって百合ブーム中?
すばらしい
308名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 22:49:12 ID:pEb2lqgM
さなえがでもんぱのリプレイ書いたら一気に薔薇になるんだろうけどな。
309『Diptera』:2006/07/12(水) 10:37:41 ID:ftdFym4N
ふと、思った。

マティアス様と大首領ちゃんと皇帝が同じパーティー。

ギルドマスターはガーベラ様。
310名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 22:51:07 ID:dykKkBx7
ガーベラ ⇒ウォーロード
マティアス⇒パラディン
大首領たん⇒ウィザードかソーサラー



ゼダン⇒エクスプローラー
大首領と逆にすべきかと思ったがこの方が何故か笑える。
311『Diptera』:2006/07/12(水) 23:41:21 ID:ftdFym4N
>310
そうか!
大首領『ちゃん』ではなく大首領『たん』か!これは失礼した!

ガーベラ様はウォーリア/サムライからウォーロード/ドラグーンですかねぇ。
マティアス様はアコライト/ウォーリアからパラディン/モンク?
312名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 23:56:33 ID:3QxiR/r6
ようやっと3レス分ほどまとまったので投下失礼。
ちとキャラ多め、かつ黒描写注意。
313名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 23:58:23 ID:3QxiR/r6
 彼女の体温を抱いて、小一時間ほどとろとろと微睡んでいただろうか。
 頭の芯を炙っていた残熱も冷め、意識がようやく素直に眠りへ落ちようとした拍子、彼は不意に寝室隣のリビ
ングから鳴り響いた電話で叩き起こされた。
 寝惚け半分の頭をのそりと持ち上げ、常夜灯で枕元の置き時計を確認する。午前1時だった。
 起きて出るか、無視して眠ってしまうかと迷っている間に、彼女が目を覚まして電話を取りに行った。
 手短な遣り取りの後、すぐに戻ってくる。薄闇に白い肢体が浮かぶ。
 クローゼットから衣類を取り出して身支度を始めるが、
「あの……あまり見ないで欲しい」
 彼は無視した。
 彼女は諦めたように服を着る手を早めた。
「仕事か」
「ええ。イリーガルにもすぐ招集がかかると思うから……」
 言ってる傍から彼の携帯電話が鳴った。
 出ると、耳慣れた玲瓏な声が彼の名を呼んだ。
『“疾風の一撃”、イリーガル契約に基づき貴方に依頼があります。
 迎えの車を向かわせますが、御在宅ですか?』
「あー、えっと」
 少年――UGN非正規エージェント“疾風の一撃”は、頬を掻き掻き、
「今、“閃光”のマンションッス」
『……』
 一瞬、えらく気まずい類の間が空いたのは気のせいだろうか。
『分かりました。では彼女と同行して下さい。詳細は後ほど』
 さっさと言うことを言うと、電話は切れてしまう。
 見れば、彼女はとっくに服を着終わっていた。白いブラウスの上にデニム生地のジャケット、ゆったりとした
厚手のスカート。ジャケットから髪を掻き出して、気まずそうに押し黙る。
「俺も来いってよ」
「…………じゃあ、早く服を着て」
 学校帰りに直接来たので私服がなく、“疾風”は制服を着て出ることにした。目元をまだショボショボとやっ
ていたが、顔を洗っていつものバンダナを締めると、どうにかまともな顔付きになる。
 間もなくマンションの前へ迎えのセダンが到着し、二人はその後部座席へ乗り込んだ。
 運転席にはよれよれの背広を着込んだ男が、助手席には上品なスーツ姿の少女が座っていた。

「UGチルドレン、登録ナンバーB903329“白き閃光-WhiteWash-”、勤務に戻りました」
 彼女が言い、
「イリーガル、登録ナンバーCA06032“疾風の一撃-SonicEdge-”、ンと、契約に基づき、ただいまより任務終了
までUGNの指示に従いやす」
 彼が言った。
 助手席の少女が振り返り、「ご苦労様です」と言ってから、
「A30392、マネージャー“水晶の瞳-SacredEyes-”、両名を確認しました。――出して下さい」
 と、車を発進させた。
314名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 00:00:31 ID:o+YIBDCL
 UGN・市内管理責任者“水晶の瞳”。
 年齢は二人と同年代だが、怜悧な青い双眸、静謐な微笑みは、名の通り予言者の水晶を思わせる。
 ノイマン・シンドローム発症者であり、地方都市とはいえUGNから支部一つを任せられる才媛だ。
 “白き閃光”からすれば雲上人、“疾風の一撃”には得体の知れないお偉いさんというところで、対面すると
自然と背筋が伸びてしまうような相手である。
 存外可愛らしいところがあるのも、支部内の一部に知られているが。
「手配中のオーヴァードが市内に潜伏していることが判明しました」
 資料を開いたPDFを後ろ手に手渡しながら、“水晶の瞳”は切り出した。
「コードネームは“パイパー”……笛吹きと呼ばれています。14件の重犯罪容疑がかかった指名手配犯です」
「するってぇと、ハヌマーンッスか」
「いえ。目標の能力については後でまとめて御説明します。
 情報を入手したのが昨日20:36。同刻、イリーガル“気高き守護者”に確認調査を依頼しました。
 しかし33分前、“守護者”が襲撃に遭い、負傷。
 病院へ搬送したバックアップチームが断片的に情報を聞き出しましたが、直後に意識を失ってしまったため、
状況把握は十分ではありません。しかし襲撃者が“パイパー”であることは確認できました」
「“守護者”の姐さんがやられた?」
「命に別状はありませんが、一週間は入院が必要とのことです」
 “疾風”は眉根を寄せた。イリーガルエージェント“気高き守護者”――本業は刑事だ――は、単独戦闘向き
の能力者ではないが、UGN登録オーヴァードの中でも上位に位置する防御能力の持ち主だ。そうおいそれと手
傷を負わせられるものではない。
「これより目標の拠点と思われる地点を対オーヴァード部隊で包囲します。あなた方は現地警備に当たっている
“紫紺の華”と連携し、目標の確保に当たって下さい。
 目標は既にジャーム化している可能性が高いため、抵抗の意志が見られる場合は抹殺を第一に。
 次に、情報から推察される目標のシンドロームですが……」


 駅裏から通りを一つ横切れば、街は途端、暗い姿を見せ始める。いかがわしい雑居ビルが建ち並び、けばけば
しいネオンが点々と瞬くストリート。たむろする酔漢達も、どこかぎらついた目をしている。
 最近ではどこの街にも、こんな風に饐えた臭いのする暗がりがある。
 近年の凶悪犯罪増加と治安情勢の悪化、それに追従する形での法改正は、裏側から染み入るように、都市の姿
を変貌させつつある。まだ多くの人間が、世界に決定的な変化が起きたことを知らずに過ごしているが、しかし、
崩壊は確実に影を落としていた。
 緩慢だが、マトリクスシフトのように破滅的な変化。
 裏側から成り代わられていく街。
 今日日、安っぽいホラーでもやりやしない。
 それが今更現実になっているのが可笑しくて、イリーガル“紫紺の華”は密やかに嗤った。
 いつもの白衣にハイネック、タイトスカート。張り付けたような曖昧な笑み。
 闇と溶け合うように黒い髪が、夜風でうねり靡いている。
315名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 00:02:20 ID:o+YIBDCL
 閉店したスナックの前でボゥと佇む姿は、三日月と遠い街灯で、幽鬼めいて浮かび上がっていた。
 一体に人気はない。既に女の縄張りだからだ。練り歩いて《ワーディング》を散布してある。
 踏み入ったオーヴァードは街並みの一切が明暗反転し、モノクロに染まっているような錯覚を覚えるだろう。
 対ワーディングマスクをつけた武装中隊が辺りを取り囲んでいる他に、人間が立ち入る余地はない。
 耳に差し込んだ通信機のイヤホンから連絡が入ると、“紫紺の華”は無造作に歩き出した。
 左手の角に入って三軒進んだ、緑色の壁のビル――以前は小さな百貨店だったらしいが、随分昔に閉店し、今
は五階に飲食店が入っているだけの物寂しい建物だ。
 自動ドアを抜けると、埃っぽい空気が鼻を突く。左手、五階へ行くエレベーターの周りだけが蛍光灯に照らさ
れていて、手狭なホールには濃い影が落ちていた。
 右手に進むと、百貨店の名残を残す幅広の階段があった。上階と地下へ別れる階段を地階へ下ると、踊り場の
辺りで視界は完全に影に飲み込まれる。
 折り返した先にはシャッターがあり、左脇に非常口が見えた。目は利かないが、女の髪はソナーの働きをする。
自ら振動して音を放ち、反射音を読みとって、肉眼以上の精度で周囲を把握できる。
 階段を下りる“紫紺の華”の髪が、別の生物のようにしなった。のたうちながら大きく伸び、虫の羽音に似た
唸りを帯びて躍動する。
 金属が破断する、壊音。
 女の髪に打ち据えられたシャッターが大きくひしゃげ、裂け目を開けていた。
 広がった髪がその裂け目に絡みつき、左右に押し広げて主人の道を拓く。
 私が完全に人間を捨てたら、この多芸で優秀な髪が全身に成り代わるのだろうな、と女は思う。今の自分など
よりよほど素直で愛らしい生物になるに違いない。
 壊れたシャッターを潜り抜けた“紫紺の華”を、生暖かい湿り気が迎えた。
 ホールへ踏み込んだパンプスが、柔らかい感触を捉える。タイル張りの床に芝が生じているのだ。この上に寝
転んだらさぞや心地良いだろう。
 蠢く小さな影達が、卑猥な音を立てている。
 髪は全てを抱擁するように、その光景を捉えていた。
 しなやかで幼い肢体は、二十を数えるだろうか。いずれも十代の少年少女……気ままに寝そべり、指を絡ませ、
口付けを交わす。一糸纏わぬ体を擦りつけ合い、自涜に耽る。
 ―― くす、くす、くす……
 飛沫のように弾け、溶け合う嬌声。
 犯し合う少年達がいる。互いの肌に舌を這わせる少女達がいる。一人の少女を貪る少年達が、一人の少年に群
がる少女達が。或いは思い合う恋人同士のように、抱き締め見つめ合う少年少女が。
 ―― あぁ……っ!
 “紫紺の華”の一番近くにいた少女が、仰け反って切ない悲鳴を上げた。跨られ、仰向けで彼女を犯す少年も
また、喉を鳴らして悦楽に浸る。飽きたらず、震えながら泣きながら、律動に没頭する。
 指名手配オーヴァード“パイパー”のコードネームの由来は、音を使うからではない。
「連続誘拐犯、ハメルンの笛吹き……誰かは知らないけど、センスの悪いネーミングだこと」
 ひとりごちた女の声に、少女の一人がとろけた貌を向けた。朧に赤く光る双眸。誘うように両手を差し伸べて
くる。その細首に、髪がしゅるりと巻き付いた。
 振動波が鈍い音と共に頸骨を破砕し、恍惚とした顔のまま、少女はくずおれる。
 倒れた骸の口元から、ズタズタになった醜い肉塊がまろびでた。痙攣するそれを、一顧だにせず踏み潰す。
 秘め事に耽っていた幼い人形達が、一斉に赤い瞳を女に向けた。
316名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 00:03:14 ID:o+YIBDCL
 薄く開いた彼らの口から、ちろちろと触手状の機関が這い出てくる。
 “パイパー”はブラム=ストーカー・シンドローム発症者だ。
 誘拐した被害者に自身の血液を与えてジャーム化させ、《従者》を仕込み、従順な人形に仕立て弄ぶ。
 “気高き守護者”は、子供の喉に潜んだ従者で不意を打たれた。
 正面突入の陽動役――本当なら適任は“不確定な切り札”か“疾風の一撃”だが、“切り札”はバックアップ、
“疾風”は“白き閃光”と共に“パイパー”本体の奇襲役に就いている。
 幾らかの修羅場を踏んでいるとはいえ、まだ高校生の二人……特に割り切りが下手な“切り札”などは、詰め
を誤る恐れがある。最悪、自身を危険に晒すかも知れない。
 だから今回、“水晶の瞳”はこのポジションに“紫紺の華”を置いた。真正面から敵にぶつかるこの役、最も
多く被害者の子供を殺すことになるこの役目に。
 全く適任であると、“紫紺の華”は思った。唇の両端を薄く吊り上げながら。
 異形に憑かれ、変貌した子供らを見ても。何の咎もない被害者の命を奪っても。
(ほら、私は何も感じない)
 或いはあの少年らに余計な重荷を背負わせたくないと、“水晶の瞳”は考えたのかも知れない。それは人材を
管理する責任者としてか、それとも――いや、下衆の勘繰りというものか。
 しかしそれでもいいと女は思う。こんな腐れた役は、自分のように壊れた人間がやればいい。
 人形達の口から突き出た触手が、高圧の液体が迸らせた。全身十六箇所に点々と穴が穿たれる。構わず、女は
髪を大きく薙ぎ払った。柔い骨を砕く手応え。
 本体はとうに逃げ出しているだろうが、本命の二人は上手くやるだろう。
 だからあの二人が本体をどうにかしてしまうまでに……
(きっちり全員、この子達を死なせてあげないとね……)
 女は、笑った。
317名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 00:09:13 ID:o+YIBDCL
……以上、今回はここまで。随分間が空いてしまってスマソ。
もう2,3回くらい付き合い願えるとうれし。

他の職人さんへのGJはいつも名無しで飛ばしとるんですが、
以下、私信を2つほど。

>>51
誰がちょっといい話にしろt(ry
51の二人には不覚にも萌えた。つーか、あーた書きませんか。

>>53
感想で人を笑わせ殺すつもりですか。つーか久々のいつふたがそれですか。
エロいエロくない問わずSSは楽しみにしとりやす。あと、いつふたも(ォ

……長々と失礼。お粗末。
318名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 00:32:18 ID:o+YIBDCL
……連投失礼。タイトル入れ忘れた。
『渇きの主妄想』の続きでよろしく。
319名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 11:09:05 ID:85fr2DYm
デンパのるるぶを見てて気がついたがアキラの進化系では"再生効果のある体液を噴霧"するという『再生火炎』が取れないとは!
これではアキラとかなでで「お互いに飲ませてあげる」ってシチュができないじゃないか!!
こうなったらタッシェに"触手で包む"という『触手修復』をとってもらって―
十三「ロールミー!」
タッシェ「ロールユー!」
なプレイを。
320名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 11:13:58 ID:o+YIBDCL
なんでそう、いちいちデモンパの回復系はエロいんだ。
……因みに天使っぽいのの回復ワザはどんなの?
321名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 12:43:57 ID:5z1HJYea
悲しいことにただのビームなんだ
322名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 12:46:30 ID:o+YIBDCL
つ、つまらんっ! 翼で包み込んで(以下略)とかじゃないのくわ。
323名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 13:05:44 ID:y6Tv5E99
それは前に出てたハウスルールでおk。
324名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 20:03:10 ID:W0f3Mt3m
えっと服を剥いで身体の隅々から茂みの暗がりまで残さぬよう、
じっくりと舐るように丹念にビームをあてつくせばいいんじゃないかな?
325名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 20:30:24 ID:gRgtixlq
デモパラのエロい能力と言うと……こんな所か?

クレイモア・レベル1:《生体武器》フィジカルウェポン(実はどこからどんな武器が生えるか決まってない)
ヴォージェ・レベル3−1:《再生液射出》リジェネレイトエキス(説明不要)
ブリガンダイン・レベル1:《誘引香》アロマテンプテーション(フェロモン)
ブリガンダイン・レベル4−1:《外格蟲》クラスタービット(テニスボール大の小型生物を生み出す)
ブリガンダイン・レベル4−3:《粘糸射出》ウェブショット(読んで字の如し)
ファランクス・レベル1:《開錠触手》アンロックローパー(細かい作業用の触手を指先から出現)
ショーテル・レベル2ー1:《触手》ローパー(ちなみに出るのは2本)
ショーテル・レベル2ー2:《幻覚芳香》ファンタズムアロマ(幻覚を見せる)
ショーテル・レベル5ー2:《触手修復》ヒーリングローパー(>>319
ウォーコイト・レベル1:《人形使い》パペットマスター(1体人形を作れる)
ウォーコイト・レベル4−3:《人形使い+1》パペットマスター+1(作成上限数が1増える)
ウォーコイト・レベル5−3:《身代わり人形》コピーパペット(人形が能力使用者の姿に変化)
326名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 22:50:31 ID:V6ZKctsU
多いなーエロ活用の可能な能力。

どうでもいいけどブリガンダインで暴走したらドロドロのネチョネチョでかつ全裸になるのか?
どう見ても陵辱後だ。
327名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 23:02:29 ID:JNym0iLU
>>325
ウォーコイトLV1, マインドコントロールは?

>>326
いや暴走しての変身終了後に全裸で体液まみれになるんじゃないか?
328マルチレス:2006/07/14(金) 01:57:56 ID:Qh9o3dH0
 流れも読まんとマルチで感想とか。遅いけどな!

>>227
 エロいな。何がって、主にIDが。ネタはアリアンロッドリプレイなのかしらん? 実は未読だったりするのさ。
 そして知らぬながらも、非常にフレンドリーかついい子の大首領に萌えた。ラストのその一文だけ、なんか丸っこい女の子らしい
文字で書かれてたりするのだと幻視した。

>>237
 超遅レスだけれども。書くなら全然名前つきオリジナルキャラでも構わんと思うのですよ。確か保管庫のアリアンロッドにも、オ
リキャラ話があったと思った。俺は「既にイラストがあって共通のイメージを出しやすい」「データも決まっててイメージを膨らま
せやすい」って理由でサンプルで書いてたり。機会があったら、オリジナルでやってみるべかな、と今思った。

>裏くいすた
「うわ、エロ!」と叫んでおくのが、書き手の意を汲んだ最大の賛辞になるのだろうか。っつーかエロいな!
 一本目表示で続きを期待してしまった俺は奈落の底へ叩き落とされた。あれ、するってぇとそれならば、前の女神転生もひょっと
して続編なしなのか。終わりなのか。おれさまちょうしょんぼり。 
 そして264の元ネタを見て戦慄した。世界って色んな意味で広い。

>>272
 君の活躍に期待している。とても。全く、楽しそうな面子で羨ましいぜ。

>渇きの主妄想
>「今、“閃光”のマンションッス」
 これは気まずい。とても気まずい。むしろ「邪魔すんな」と怒られたような心持ちにすらなれる気がした。あと「ジャケットから
髪を掻き出して」ってな描写が実はツボだった。あの仕草に妙に色気を感じる俺。変な目で見るな。
 そして紫紺の華の様々な“慣れ”っぷりにぞくりとした。
 あと書きませんよ! 書いたら俺の楽しみが減るじゃないか。君の続きこそを楽しみにしているというのに。
329にせふた:2006/07/14(金) 01:58:54 ID:Qh9o3dH0
◆カオスフレア(愚)考 その2

「突然だが!」
「突然だな、先輩」
「…君こそ藪から棒な年功序列制度だな後輩」
>>137に先輩後輩っぽくと言われたので、一応考慮してみた」
「っつーか君の場合、基本の問題点は女の子である事すら気付かれないであろうその口調なのではなかろうか。もうちょっとものや
わらかい言葉を使ってみたらどうであろうかとオレは思います。まる」
「無理だ」
「無理か。って速攻だな!?」
「例えば、お前は今後無駄口を叩くな洒落も捻るな大事な事だけ熟慮の後に口にしろ、と言ったら、そうできるのか」
「無理だ」
「無理だろう?」
「っつーかそもそも君とオレは先輩でも後輩でもないじゃないか。むしろ主従関係だ。尊敬しろ」
「君、君たらざれば、臣、臣たらずだ。努力しろ」
「へい」
「ところでまだ続けるのかこの形式」
「仏の顔も三度、という言いを知っているか。つまり二度もまでは何をしても怒られない」
「……」
「なんだその宇宙人を見るような眼差しは」
「別に」
「ならよし。とまれまずは信長だ」
「なんだその出だしは」
「前回>>138に怒られたのだ。だがなんというか、使いにくいのは確かだ」
「『周りジジイばっか』だからか」
「いや違う。例えば富嶽青年との身分違いの恋でも、送り込まれたネフィリムのスパイでも、それこそどころか宇宙怪獣アムルター
トやであろうとも、珍奇好みの信長に対しては彌介めいた形をとれば、なんらアクセスを持てない理由にはならない。つまり周りが
あれでも出会いを入れる余地はいくらでもある」
「なら何故使いにくい」
「いやなんつーか、心的リミッターがな。色々とな。ま、ここはひとつ、富嶽の真面目な御家人青年相手の話をでっち上げてみよう。
草鞋取りってスタート地点から出世させてもいいが、それはちょっとイメージが限定されすぎる。なので無難に御家人。三十俵三人
扶持、兄弟は皆他家に出たりなんだりで片付いて、最後のひとりの残りものだ」
「…それも大分イメージが限定されないか。かたてわざ持ちか」
「最後は他愛無い冗談だ。だが首切り仕事をしてるってのはちょっと面白いかもしれんな。とまれちょっとした騒動の結果信長に出
くわし、その結果の褒章と知遇とを得る。ますます忠勤に、と行きたいところだが、どうも気に入られたらしく、『お前は他の連中
とはなんか違うな』『何が、でしょうか?』『ん? …いや、ま、何か、だ。物が見えてる感じだな』『はあ』『それはそうと面白
そうな話を聞いた。ちょっと付き合え』などと信長に振り回されて苦労する日々」
「乗り気ではない顔をすると、むんずと手を掴まれて引っ張っていかれたりするのだな? あとで『随分と華奢な、やわらかな手だ
った』などと回想して、ぶんぶん頭を振ったりするわけか」
「ん、なかなか分かってるじゃないか。そして当然お家争いで現れる柳生の刺客。信長を背に庇って、『俺は名もないただの一人。
されど上総殿、貴方様は富嶽の柱石にございましょう』『馬鹿言うな。あたしは…ただのうつけだ』。それににっこり笑み返して、
『物が見えていると。俺をそう評されたのは上総殿にございましょう。その俺の目は、貴方を立派な将器と見受けております』」
「死に台詞めいているな。その言葉が後の星威大将軍を生んだのだった、とでも結ばれそうだ」
330にせふた:2006/07/14(金) 02:00:37 ID:Qh9o3dH0
「安心しろ、死んだらアレコレできないじゃないか。とまれなんとか柳生忍軍を退けて、信長の無事を確認して、深手に倒れる」
「そういう理由で死なないと言い切るのはどうかと思うが、それで?」
「勿論絶対安静。勝ち栗食いまくれとか言っちゃ駄目だ。多分LPダメージだ。で、それが差し支えないくらいに快復して、そろそ
ろ出仕しようかという頃合、事件から大分経ってから見舞いに信長が顔を出す。その間、御家人は布団の中で拗ねてるんだ。きっと
俺から興味は失せたのだろう。或いは連れ出す間に合わせが他にも居るに違いない。そんな風に煩悶している」
「顔を合わせなくなって、そこで自分の心情が整理されて気がつくわけか」
「その通り。『なんだその顔は。怒ってるのか?』『いえ』『じゃあ拗ねてるんだな』『違います』『あたしは、怒ってる。あたし
のものに手を出されるのは好かないんだ。この件に関しては、絶対に貸しを取り立ててやる。その為の下準備も済ませてきた』『…
はあ』『だから、その……来るのが遅れたのはその所為だ。悪かったな』。鼻の頭を掻いて、珍しくバツが悪そうな顔をする。付き
合いは長くなったから分かる。きっと顔を出しにくかったのだ。だが何を言うよりも先に、『それはそうと、お前、存外に弱いな』
『不甲斐なくて申し訳ありません。平手殿に倣って腹でも切ればお気に召されますか』『だから拗ねるな。もっと強くなってもらわ
ないと困るって話だ。あたしが安心して守ってもらえないだろ』『……』『そこで押し黙るな。気の利かない奴め』『申し訳ありま
せん』『あのな。ちょっと困った事に、あたしはお前が好きなんだ。でもこの恋を成就させようと思ったら、星威大将軍くらいには
ならないといけない。市の例を見ても分かるだろうが、婚姻は重要な手札だからな。相当のわがままが言える立場にならなきゃ、好
きにはできそうもない。ああいった柳生の輩とも斬り結ばなけりゃならないだろう。その為にもっと強くなれ』『……』『何固まっ
てるんだ』。ぐいっと襟首をひっ掴んで唇を奪って、『まじないだ。きっと効くぞ。早く治して出て来い。船をくれてやる』」
「部屋住みの身分から、一躍城持ちか」
「だが断るのさ。出仕して、『船は、要りませぬ。叶うならば側居として使っていただきたく。俺が目を離したら、どこぞのうつけ
の姫君がどこで何をなされるか、知れたものではありませぬ故』『…将器、などとおだてなかったか』『未完と付け忘れましたかな』
『言うようになった』。双方小さく笑み交わす。『平手がふたりに増えたような気もするが』。帰って、その日の夜。寝室に人の気
配がして、御家人ははっと目を覚ます。誰何しようとした口に人さし指を添えて、静かにするよう合図する信長。『こ、こんな時分
に一体何を!?』『何って、夜這いに決まってるだろ。何の為に下見に来たと思ってるんだ』『よ、よば…』『あたしの事、キライ
じゃないだろ? なら、あたしのになれ』」
「見舞いではなくて下見であった、と。策士……なのか?」
「一流の照れ隠しかもしれんな。で、ラストはやっぱり御家人自宅。縁側でごろごろしてる信長と、執務に戻るよう注意する御家人。
『上総殿』『信長』『……』『信長』『……信長、さま』『堅物。まあいい、当座はそんなところで勘弁してやる。ところで先日、
ちょっと面白い話を聞いたんだ』『またですか』『まただ。ついて来い』。ぐいと手を取って引っ張って、そしてふと足を止めて。
『一生だ』『――はい。承りました』。連れ立ってのどけき光の中へ駆け出すふたりって図で終わり」
「普通の話じゃないか。どこがやりにくい」
「プロットだけ眺めりゃな。こういう具合にラブストーリーっぽくは仕立てられはする」
「仕立てられるならそれでいいだろう」
「られはするのだが、しかし結局エロくならんのだ。信長があっけらかんとし過ぎてる感じで、肝心の房事がものっすげェ淡白にな
る。柳生一族と斬り合いを続ける一代記にはなるかもしれんが、エロパロ板としちゃ駄目だろ。あと今思ったが、御家人にブラコン
だが良識派の妹なんぞを配置しておくとラブコメっぽくておいしいかもしれんな。妹も昨今じゃあある意味基本だからな!」
「……」
「なんだその二足歩行する魚類を見るような眼差しは」
「別に」
331にせふた:2006/07/14(金) 02:01:10 ID:Qh9o3dH0
「まあそういう理由で、エニア3世、ユミナ、キリン、サクラ辺りは使いにくい」
「ユミナ、サクラ辺りは取っ掛かりが少なくて、確かに持ち出しにくい印象はあるな。だがエニア3世のアイスクリームが好きとい
う一文は『ローマの休日をやれ』というメッセージだろうと思ったのだが。それにキリンは『酒どころでキリン? ああ、そういう
事か!』などとフォーリナーに栂尾から貰った名前を爆笑されて最初は悶着するけれど、その後……という展開は私でも思いつくぞ」
「それは普通にボーイミーツガールでよさげなんだが。ロマ休もありと言っちゃあありなんだが」
「なんでも略すな」
「気にするな。しかし彼奴らは結局ほのかな慕情や見ているこっちがもどかしくなる関係というのが似合うっぽい連中であって、オ
レ思考ではエロに続いて行かないのだ」
「む」
「っつーかぶっちゃけアイツら使ってエロいの書くとか無理だな無理、無理無理無理。まずありえない。いやマジで」
「随分強気で言い切るのだな?」
「ん〜、とか言っとくと、意地になった誰かが書いてくれるかもしれないじゃないか」
「どれだけ他力本願だ」
「そうそう、他力本願と言えばふたなり分。実はオレには誰に生やせばいいのかさっぱり分からない。いっそアレグレット王子を狙
うか」
「本気か? むしろ正気か? というかそれはありなのか? どうなんだ?」
「どうだろう。さっぱりだ。しかしあの王子は、あれは浅井長政役なのか。柴田勝家は絡んでくるのか。結局富嶽オリジン間の同盟
は駄目になるのか。なんか流れとしてお市の方様はダスク化しそうだな」
「別に日本史通りに事が運ぶとは限らないだろう。平蜘蛛も無事だし、信長だって妻帯していない。…まあ濃姫の性別も不明になっ
てくるのだがな」
「それだ」
「どれだ」
「信長と濃姫。ふたなり分はそこに押し込んでおけばオッケー」
「さっきの御家人との恋物語はどうした」
「SSにファイナルアンサーなどあるものか」
「……」
「なんだそのザブリスカのフォンテマを見るような眼差しは」
「別に」
「もうひとつ思い出した」
「またろくでもない事か」
「決め付けるな。こないだは完全は猪突系悪役としてオレ脳内で処理されていたのだが、実はアジやんとは友情を育んだ方がおいし
いと気付いたのだ」
「アジやん言うな」
「世界的愛称らしいぞ?」
「……。もう、いい」
「やっぱり初登場時は憎まれ役系なのだ。同行するアムルタートが居れば『人間なんざとつるむとは、腑抜けたもんだなぁ? ああ?』、
フォーリナーやオリジン辺りが話かけようもんなら『人間如きが俺と対等に話そうとは、いい度胸じゃねぇか』。『激流を遡り切っ
た鯉は龍になる。そんなおとぎ話があるらしいな。だがそいつは嘘だ。龍になった鯉なぞ見た事があるか? 動物園のサル山の猿が
人間に進化するか? 答えはノーだ。モンキーが人間に追いつけるかーッ! お前ら人間は、このアジやんにとってのモンキーなん
だよフォーリナァァァーーッ!!』。そんなスタンス。『一体何人の生命をその傷のために吸い取った!?』『貴様は、今まで食べ
た米粒の数を覚えているのか?』。そんな感じ」
332にせふた:2006/07/14(金) 02:02:15 ID:Qh9o3dH0
「知っているのか、サル山」
「3つの孤界を灰燼に帰せしめたほどの猛者だからな」
「途中、何か不穏当な吸血鬼が混ざったように思えたが。気のせいか」
「気のせいだ。とまれそんな半敵対関係から、幾度か共同戦線を張るうちに、『へっ、人間にしてはなかなかやるじゃねぇか』って
雰囲気に。ラストバトル前には『おい、人間。名を名乗れ。憶えておいてやる』、『人間は弱っちィからな。死ぬんじゃねぇぞ。無
事生き残ったなら、オレの配下に引き抜いてやる』。そんなちょっといい話に展開だ。だが無論ながらエロには発展せん」
「別に人間と呼ばれる側を女性にして、アジや…アジ・ダハーカ×そのキャラでもいいだろう」
「駄目だ。オレのアジやんが穢れる」
「どういう趣味だお前は」
「そういう趣味だ。あとアムルタート絡みだと、サンプルの竜戦士×オリジナルの厨師でなんてのも考えたんだが」
「厨師とは珍しいな」
「暁帝国と霊宝薬膳が今回のキーだ。舞台は暁の町。日も落ちて夜の帳の降りかけたそこを、悠然と歩くアムルタート」
「街中を闊歩して平気なのか。確か蜥蜴扱いされてはいなかったか」
「大丈夫だろ。孟徳の配下にも居るらしいし。なんつったってあれは破格のひとだからな! その下っ端にいるのだから安心!」
「妙に崇拝気味のその理由もどうなんだ」
「商店街めいた雑踏の中、ふと耳に届く騒ぎ。肩がぶつかった、ぶつからないの言い争い。片方はごろつき崩れの三人組。もう一方
は大荷物を抱えた夜目にも麗しい娘で、ごろつきどもの下卑た笑みを見るまでもなく、その目的は知れる。丁度干した酒瓶を投じて、
のそりとと割って入る。『酒が切れた。存知か。龍は酒精が切れると腹を空かすのだ。手近よりひとを取って喰うようになる』。低
く呟き、龍はその牙を剥いて笑う。気圧されて数歩退くリーダー格。軽く立ち回って追い払って、『大事無いか』。ぽかんと呆けた
娘に問うと、はっと彼女は我に返ってじりじりと後退。『わわわわたしなんか食べても、ちっともおいしくないですよっ!?』。龍
は怪訝な面持ちをし、しかる後に自身の先の言を思い返して破顔した。『臆するな。あれは冗談口だ』『…へ?』。そんな出会い」
「それもまた王道めいた流れのようにも思うが?」
「うるせぇ好きなんだよ趣味を貫いて何の悪い事があろうかいやないどーせリリカル過剰投与な甘味処さこんちくしょう」
「逆上するな。書き手自身のノイズを混ぜるな。情けない」
「とまれ小娘の方は礼を言って、『ついてきてください。何かごちそうします。これでも厨師なんですから』。えっへんと胸を張り、
それから小さく、『…見習いですけど』などと己の身分を明らかに。警戒と屈託のなさにどうも戸惑うも、書に曰く“竜は飢えを感
じるのは遅いが、いったん感じだしたら、ちっとやそっとではおさまりがつかない”生き物。押し切られるように厄介になる」
「書に曰くというか、確実にゲドだな?」
「はっはっは。多島海とかあるからな。あれをアーキペラゴと脳内ルビ振った奴は多いはずだ。とまれ小娘の言う事にゃ、本日実は
試してみたい料理の素材集めの買い物をしていたとかで、件の大荷物になったのだとか。物語的に好都合な事に独り暮らし。色々あ
って家族が死んだ際に厨師を志す事になったというようなエピソードが入るがここでは割愛」
「なんというか、何か、ものすごく駄目な発言を聞いた気がする」
「そしてメインディッシュ。試作の皿。即ち霊宝薬膳。『どうですか? 味を見た時は、かなり上手くいったと思ったんですけど…?』
『大層に、いい腕だ』『よかった』。笑み交したところで、龍戦士に異常が起きる』
「どんな異常だ。あ、いや、いい。なんとなく判った。味見したというのもそういう事か」
「そういう事だ。っつーかいや君、そりゃもう皆まで言わせるなって感じですよ? 理性を押し流したのか知性を蕩かしたのか本性
を解放したのか。詳細は知れぬながらも見習いの霊宝薬膳が珍妙な効果を発揮するわけですよ。しかもダメージ属性は根源に変更さ
れている。執行者の魂魄破壊のトコを見てみるといい。根源属性の攻撃というのは、つまりそういう事だ。魂への直接攻撃だ。しか
もダメージ+Lv×10だぞ? もうめろめろのとろっとろだ。あああと小娘とは言ったが、何千何万生きるらしいアムルタートか
ら見りゃ大抵は小娘だ。イメージは各人趣味に合わせてヨロシク。
333にせふた@SSモード:2006/07/14(金) 02:03:23 ID:Qh9o3dH0
 引き裂くように服を剥いだ荒っぽさとは裏腹に、龍の愛撫は繊細で、巧緻だった。
「ひ……っ、や…ぁ…なん、で…こんな……?」
 抗いは既に無駄と悟らされていた。細い手首は仰向けに引き倒されたその頭上でまとめて一手に握りこまれ、鋼鉄の万力の如き拘
束を振り解く術など彼女にはない。
 頬を涙が伝った。どうして、と繰り返さずにはいられない。とても大きなひとだと思った。あったかなひとだと思った。その感覚
が記憶の中に微かに残る父の記憶を呼び起こして、ひどく楽しい心持ちだったのだ。さっきまで。なのに。
「…ん、やっ……やです、お願い、やめ、…」
 ごつごつとした感触のてのひらが、無遠慮に身体を這い回る。腹を撫で、思う様に尻を摩り、固く閉じた足を割って内腿までもを
陵辱する。龍の肌の触感が、微細ながらも確かな刺激として知覚される。
「は…っ、ふ……んっ……ん、んッ」
 白い乳房を舌が嬲っていた。ひとのものよりもずっと長くて冷たくして、そして微細な動きをしてのける舌が。ふくらみの麓から
先端までを舐め上げ、降って谷間を蠢き、また這い登って硬く尖り始めた先端をちろちろとくすぐる。やがてそこには飽いたのか、
たっぷりと時間をかけて首筋まで移動。更に肩口、脇を通って二の腕までをも侵略し始める。
 穢れを知らぬ彼女の柔肌が、べたべたとたっぷりの唾液をまぶされていく。
「おね……お願いだから、もう……許して…」
 哀願する声には、何故だろう、甘い響きが入り混じっていた。音にならないような、熱っぽいあえぎ。
(――どうして? こんな、無理矢理にされてるのに、わたし、どうして…)
 ぞくぞくと、戦慄にも似たおかしな感覚が彼女の身体を苛んでいた。どうしたって漏れそうになるそれらは決して零してはいけな
い気がして。彼女はぎゅっと口を結ぶ。けれど。
「ん…や……やだぁ……んっ、んー……んっ!」
 じっくりとと上半身を犯し抜いた舌が、頑なな唇を割って口内に潜り込んだ。同時に龍の指先が、泉の入り口に辿り着く。
 ざら、ざらり。竜指の腹が、秘裂に沿って動いた。ほじり出された敏感な真珠が過剰な刺激を伝え、声も出せない彼女はただ身を
くねらせる。
「ぅんっ、ん、んぐ…っ…は、はぁっ」
 流し込まれる大量の唾液を、必死に嚥下する。思う存分支配していった舌が抜け、速い呼吸で酸素を貪る。
(嫌なのに。そのはずなのに。どうして、こんなに身体が熱いの?)
 白磁のその肌はもうすっかり欲情に染まり、とろとろと蜜が滴せているのが、自身にも誤魔化しようがなく判っていた。さっきま
で身をくねらせていたのは、男から、雄から逃れようとしての事だった。でも今逃れようとしているのは、身体の奥から湧き上がる、
どうしようもない快楽からだった。
(どうしてこんなに……気持ち、いいの?)
 ふと頭を過るものがあった。あの薬膳。ようやく料法の秘伝書を垣間見る事を許されたあれが不完全だったなら。思わぬ効能をも
ってしまったものであったなら。
 彼の突然の変貌と、自身の身体の異常が同根より生じたものだとするならば、この事態に説明がつかなくもない。
(でも、どうすれば)
 どうすれば、治まるのだろう。龍は、既に雄としての本能しか持たないようだった。
「あ、きゃっ!?」
 唐突に、手首が解放された。すっかり力の抜けた肢体を龍はくるりと半回転させる。うつ伏せにさせられて、腰を高く持ち上げら
れた。
「やあっ、やめてくださいっ!」
334にせふた@SSモード:2006/07/14(金) 02:04:23 ID:Qh9o3dH0
 逃れようとしたところで、やはり力で敵うはずもなかった。鼻面を突き込むようにして、あの舌が彼女の中へと侵入する。
「あ、え……やぅっ! あ、ああ…っ、う、そ……こんな、こんなの…!」
 入ってくる。潜りこんでくる。奥の、奥まで。じゅるじゅると愛液を啜りながら、それは内側で自在に動いた。襞のすみずみまで
を丹念に、丹念に愛撫し、渦を巻くように出入りして、彼女の意識を真っ白に染めてしまう。
「あっ、あんっ、あう……だ、だめ……あぁっ」
 信じがたい奔流のような官能から逃れようと、彼女は無意識に身もだえする。だが無駄だった。がっちりと尻は掴まれて固定され、
快楽に焼かれる以外の選択を許さない。更には這いこんだ龍の指が、ぷっくりと充血した彼女の芽を、またも擦り始めていた。
「あっ……あんっ! っ……んく……んっ! あぁっ……」
 溢れ出す蜜が膝までもぐっしょりと濡らす。腕は自身を支えきれなくなって折れて、ふたつのたわわな果実が床との間で形を変え
て潰れていた。もう隠しようも堪えようもない嬌声を上げていた彼女が、くぅっと四肢を強張らせた。やがて張り詰めた何かが抜け
て、その身体がくず折れる。
「はっ……ん…、わたし……」
 だが、余韻に浸る間もなかった。一時解放されて落ちかけた尻が、再度ぐいと持ち上げられる。
「う……あっ」
 そのまま。獣の姿勢で、後ろから捻じ込まれた。
 あまりの圧迫感に、声も出なかった。それが唯一の耐える方法だとでもいうように、彼女はきゅっと拳を握り締める。肺の中の空
気が、全部吐き出されてしまったかのようだった。
 そんな彼女には委細構わず、雄はじりじりと腰を進める。その速度は女を思い遣ってはなく、自身の制服の悦びの為こそだった。
「あぁっ! うぁっ、あぁーっ! ぅく、んああっ!」
 舌とは比べ物にならないくらいの存在感。無理矢理にされているのだという認識。なのにそれが、たまらなく身のうちの炎を掻き
たてる。官能の炎の薪となる。
「あ、熱くて…は、っ……大きくて……だめ、や、やです……ぁうっ!」
 ずん、と一番深いところに到達した感触があった。やはりゆっくりと、思い知らせる速度で抜けていく。
「うあっ、やっ、動か、ない…でっ……動かれたら、わたし…っ」
 目に涙を溜めて懇願したところで、考慮されるはずもなかった。先端のみを収めた状態になるまで引き抜いて、今度は一息に最奥
まで突き込む。ごりごりと龍が、押し広げ、擦りあげていく。
 ぐちゅぐちゅと湿った音が結合部から零れる。速いリズムで肉のぶつかりあう音が響く。
「くぁっ、あっあっあっ…激、し……くぅ、ああっ、あぅっ」
 胎内のものは、一刺しごとに熱を増すかに思えた。何もかもが判らなくなって、されるがまま甘い声を放ち続ける。やがて、それ
が膨らみ、そして弾けたような気がした。
「あ……やぁ……中に…」
 腹の中に広がる、大量の熱。精を放たれたのだと悟って、彼女は絶望と安堵の入り混じった表情になる。深いところに挿しこんだ
まま、龍は数度震えて最後の一滴までをも注ぎ込む。
 ずるりと抜け出していく感覚。同時に手を離され、支えを失って綿のような身体がくたりと床に転がる。
(やっと、済んだ……?)
 これで解放されると思った。けれど、誤解だった。
335にせふた@SSモード:2006/07/14(金) 02:05:38 ID:Qh9o3dH0
「最前、自分を食べても美味くはないと言っていたが」
 聞こえた声に、彼の理性が戻ったのかとも思った。だがそれも淡い期待だった。
 ぐるり。また身体が回転させられた。仰向けに戻されて、またも足を割り開かれる。
「どうしてどうして。極上の美味よ」
 雄の剛直は、放ったばかりだというのに、天を衝いて隆々とそそり立ったままだった。
「やっ…やです! やだっ! もう許して……ゆるしてください」
 てらてらと濡れ光る剛直を入り口に押し当てられて、彼女は震えた。
 慄きと、怯えと――そして、期待とに。
「やぁぁ……あっ、あぁぁっ!」
 どろりと溢れる愛液と精液を潤滑油にして、スムーズに彼女は龍を飲み込んでいく。未体験の快楽に酔い痴れる身体は、思いとは
裏腹にわなないた。
 両の胸を一時に掴まれた。すっぽりと掌に収めて五指を蠢かし、望むがままに形を変えさせて揉み転がす。
「い、痛っ…んぁうっ!」
 強すぎる握力に制止を求めようとした途端、ぐい、と腰を動かされた。悲鳴染みた声で仰け反るけれど、気付いてしまっていた。
それが痛みだけではない事が。痛みではない事が。
「何も考えられないようにしてやろう。この事以外はな」
 痕が残るほど強くされていた胸が解き放たれる。その感触がなくなった分、交わりから生まれる愉悦に感覚は集中した。溺れてい
く。
「あっ、ああっ、あんっ、すご…くて…んぁっ」
 突かれるたび、まぶたの裏で火花が飛ぶ。繰り返して、幾度も幾度も幾度も。貫かれ続けてまた昇り詰めそうになった時、ふっと
律動が止んだ。
 覆いかぶさる格好で腕を回して、繋がったまま、床に胡坐をかく龍の上に抱き上げられる。
「良いのだろう?」
「あ…え…?」
 与えられ続けていた快楽に未だ陶然としたまま、すっかり蕩けきった表情で彼女は龍を間近に見返す。
「言ってみろ。気持ち良いのだろう?」
 逡巡の間もなく、こくりと頷いた。やめて欲しくなかった。もっと続けて欲しかった。少しでも刺激を得ようと、無意識に自ら腰
を揺すっていた。
「は、い。いいです…気持ち、いいです……んっ」
 あの舌にまた口を犯された。今度は自分から舌を伸ばして応える。男の方には、まだ余裕があるようだった。最前までとは異なる
ゆったりとしたペースで女の身体を突き上げる。
「う……ぅんっ……あん…………」
 いつしか彼女は、自ら龍の首に腕を絡めて抱きついてた。されるがままに身を任せ、うっとりと目を閉じている。
「料理が良かったのか、それともお前の身体が良いのか。或いは双方であるのかもしれんな」
 欲望に満ちた瞳で雄が嘯く。股間の蛇は、萎える事など知らぬように精気に満ちていた。
「う……ぁっ、くっ……ぅぅんっ…ん、やぁぁ……あぁっ、あぁぁっ!」
 そのまま朝まで延々と責め続けられて、彼女は龍が多淫であると思い知らされる事になる。
336にせふた:2006/07/14(金) 02:06:31 ID:Qh9o3dH0
 …って感じだな。どうした、顔赤くして」
「うっさい。随分力を入れたなと思っただけだ」
>>204に捧ぐってトコだな。しかしオチはない」
「ないのか」
「翌朝正気に返って、さてどうしたものかと悩む龍戦士に何事もなかったかのように朝食の支度をしてのける厨師。用意された皿が
片付いた後、『ご馳走するもの、まだもう一品、あるんですけど』とやわらかく艶っぽく笑んで卓に腰掛ける。『こちらは、あなた
好みに味付けしてください』。なんてご都合主義っぽく終わって納得が行くか?」
「蓼食う虫も好き好きというからな。ご都合主義だろうがなんだろうが、惚れあったのならまあいいのじゃないか? 元々暁帝国は
竜の子孫だ。周辺の理解も得られるだろう。多分」
「ん〜、まあ封神演技も混ざってるし、原点通りなら判ってる女は宝貝に惚れるらしいからありなのかもしれんなぁ。土行孫と蝉玉
がくっつく世界だからな。しかしあの展開は教育上色々とヤバいだろうと思わなくもないのだがな」
「しかしアムルタートの生態は謎だな。ハーフの白き鳳凰にはヘソがあるし。卵生なのかどうなのか」
「話逸らしっぽいが乗ってやろう。その辺りは確かに微妙だな。エネミーデータの龍人の項には『身体の各所に鱗がある人間といっ
た出で立ち』ってなってたりするから、竜体でないものもいるようだ。普段は人型で、覚醒してドラゴンアウェイクが発動した時の
み竜体を現すとか言うと竜種の四兄弟のようだな。ところで偽龍を作る際に、その身を裂いて自分の分身を作る、という記述もある
し、実は単性生殖可能だったらどうする。(ピー)ッコロ大魔王ふうに口から卵を吐き出すいるるんとか」
「いるるんファンに刺されないよう気をつけろ」
「気をつけよう。ファンクラブにして秘密結社の一社二社はありそうだ」
「というよりももういっそ、竜と人は元はひとつだった、でいいだろう。『わがはらからは踊っているよ/もひとつほかの風に乗っ
て』、だ」
「ゲドか」
「ゲドだ。私も好きな話だからな。…何を微笑っている」
「いや、別に」
「……」
「ところでだな!」
「なんだいきなり」
「MT相当の倍力袈裟に身を包み、荘厳な行軍歌ふうにアレンジされた般若真教をバックに進軍する機甲羅漢という素敵光景が頭か
ら離れん。ガトリングに装填されるのは無論ナウマクサンマン弾」
「いいから黙れ。脳を経由しない脊髄反射で喋るな」
「やるならやはりマルチで暁帝国か。だがグレズにしてユニゾン系特技を使って『本尊起動準備よし! 有線結集! 三、ニ、一、
三昧!』『本尊開眼!』とかぶっこくのも捨て難い。ああ悩ましい。どうしたものか」
「脳髄ごと投げ捨ろ、そんな妄想」
337名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 02:07:31 ID:Qh9o3dH0
 おしまい。
 懲りずに思いつきだけでそんなネタ。毎度ながらあれです。いつふたのひとが笑って許してくれるかどうかが最大の関門です。
 そこはかとなくアムルタートネタが多いのは仕様。何故って俺は竜人好きだから。…不審げに俺を見るなッ!
 そして信長様と土方さんに関しては、どうもリミッターがかかります。司馬遼太郎信者にして燃えよ剣がバイブルの俺には、特に
後者のダメージが計り知れない。これで長谷川平蔵まで女性だったら俺は膝から崩れ落ちる。そんなか細い神経で世の中渡っていけ
るものか。
 んじゃまた、何か思いついたら。
338名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 02:17:20 ID:Qh9o3dH0
 直したつもりが直してなかったので、一点訂正。
>アーキペラゴと脳内ルビ
 ルールブックにもちゃんと振ってある。そもそも我に返ればarchipelagoは普通に英語。
 まあそんだけっす。
339名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 11:34:10 ID:AG2m4Tcv
GJ。
>「うっさい。随分力を入れたなと思っただけだ」
に萌えた。しかしついでに「終わった後、赤い顔でそそくさとトイレあたりへ急ぐツッコミ役」が頭に浮かぶのはどうなんだ俺。


…後、重箱の隅になるが1巻確認したら「ナウマクサマン弾」だった。
340204:2006/07/14(金) 13:34:48 ID:NP0l7MY4
GJ。つか間のSSがエロイ。リキ入りまくり。

どーでもいいけど、NWルールブックのカラーページ、久々に読み返してワラタ。
あかりんでなくても強化人間は真顔ボケで、柊でなくても魔剣使いはツッコミなのな。
341名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 20:45:03 ID:tg4/wfmO
>>337
GJ。超GJ。もっとやれ。
342人造×吸血:2006/07/15(土) 01:51:06 ID:ZzY4WSqD
誰も居ない。途中まで上げるなら今のうち。
いつぞやの人造人間×吸血鬼の続き? 見たいなモノです。
しかし前半、人造人間の見せ場は無いのでありました。
343人造×吸血 :2006/07/15(土) 01:52:08 ID:ZzY4WSqD
 ある土曜日。キッチンから漂うバターの香りで少女が目を覚ましたのは、昼に差し掛かる前の事であった。
「……おはよ」
「お早くないよ。もう昼だ」
「早寝早起きの吸血鬼なんて居ないわ」
「寝たのは僕と同じ時間じゃないか」
「人間も言ってるでしょ、『寝る子は育つ』って」
「子って……君は『永生者』なんだろ? 僕よりずっと年上のくせに」
 人造人間の少年は昼食のオムレツを作りつつ思う。習慣となったこのやり取りにもすっかり慣れた。少し前はこんな

軽口を交わす相手も、同居人の存在すら想像もしなかったというのに。
 少年が住んでいるのは通っている中学校の寮の一室。小学校から高校までエスカレーター式のこの学園は、ウィザー

ドの組織下に作られたもので、ウィザードの生徒に対して何かと便宜を図ってくれる。例えば人造人間は身体機能の調

整の為に定期的に行う処置があるのだが、そのための設備を格納する為に二人部屋の寮を一人で使わせて貰ったり……

といった具合だ。
 そんな折、学園近辺で起きたエミュレイターがらみの事件が起きる。そしてその解決の為に彼に指示が下り、そのパ

ートナーとして組んだウィザードがこの少女だった。
 その際兄弟という名目で少年と同居する事になったのだが、何故か任務終了後も居座り続けている。
「ご飯食べる? パンとオムレツとサラダとオニオンスープとオレンジペコ」
「頂くわ」
「んじゃお皿出して」
「はいはい」
 少女はまだ眠気が残っているのか、あくび交じりの返事を返すとのろのろと食器棚へ向かっていった。少年はオムレ

ツをひっくり返し、同時に横目でスープの鍋を見る。
「はい、お皿。持ってきたよ。サラダ切ろっか?」
 切りかけのレタスとトマトを指で転がしながら少女は言った。
「いいよ、僕がやる。座って待ってな」
「サラダぐらい作れるわよ」
「寝ぼけ眼で包丁握らせるわけに行かないよ。それより出来た料理から運んじゃって」
 焼きあがったオムレツを皿に乗せ、再度フライパンに集中する。二つ目のオムレツのためにバターを引き、片手で卵

を割った。軽く混ぜてから熱フライパンに投下。バターと卵の焼ける匂いが空腹を刺激する。
 目線を上げると、少女が鼻歌を歌いながらサラダの取り皿とスープ、フォークとナイフを並べていた。薄手の寝巻き

姿で、髪は寝癖で少し跳ねている。テーブルに大きく身を乗り出した際に寝巻きの胸元が垂れ下がり、奥には滑らかな

肌と膨らみ皆無の胸、桜色の突起が二つ――
「どうかしたの。さっきからわたしの事じろじろ見て」
「いや何も」
 言わないほうが自分の身の為だと、少年は思った。 
「……ってフライパン! オムレツ焦げてる!」
「え、うわっ」
344人造×吸血 :2006/07/15(土) 01:53:59 ID:ZzY4WSqD
「そうだ、あなた今日休みよね」
「土曜日だからね。でなきゃ昼に寮になんか居ないよ」
 食事中、少女が唐突にこんな会話を切り出した。
 ちなみに焦げたオムレツは少年が食べている。
「じゃあさ、お買い物に付き合ってくれない?」
「要するに荷物持ちでしょ」
「むぅ、まあ平たく言えばそうだけど。でも、たまには腕とか組んで外歩いたりしたいじゃない」
 少女のフォークがトマトを突き刺した。少し力が篭っていたから、少年の言い草に拗ねているのは気のせいではないだろう。
「デートなら兎も角、タダの買い物だろうに」
 第一腕を組まれては満足に荷物持ちも出来やしないだろう。
「勿論デートよ。だって恋人同士でしょ、私達」
「へ?」
 いつから恋人になったのか。
 少年の端整の顔は、思わず聞き返した時に大きく崩れた。
「……い、いつからそうなったんだっけ?」
「だって……えっちしたから」
 答える少女は目線を逸らし、顔とほのかに赤くしながら上目使いで少年を見つめ、言った。
「えっちな事とかするのって恋人同士だけなんでしょ?」
 それから少しして。
 駅に向かう人の流れの中に、嬉しそうに少年の腕にしがみつく少女と、過去の過ちの為に魂の抜けかけている少年の姿がありましたとさ。


「ってここ何?」
 少女の案内でついた先は大通りから少し横に逸れた、雑居ビル群の一角。黒地にピンクの文字で店名が書かれた看板が明らかに怪しい。
 少なくともデートで来る場所ではないだろう。
「こういうお店って『あだるとしょっぷ』って言うのかしら? ウィザード向けのお店だって言うから私たちの年でも大丈夫よ」
「……誰の入れ知恵か聞いても良いかい?」
「探偵のおじさん」
 ああ、あの工藤●作に似てる龍使い(サンプルキャラクター参照)か。
 今度事務所で自爆してやる。
「じゃ、行きましょ」
「いやいやいや。当然のように入ろうとしないで」
 余りの展開に脳がついていけず、引っ張られた腕をとりあえず引き戻した。
 何が悲しくて初デートがアダルトショップなのか。 
345人造×吸血:2006/07/15(土) 01:58:44 ID:ZzY4WSqD
「何で? お店に入らないと買えないじゃない」
「いくつか質問してもいいかな。駄目って言われてもするけど」
「何かしら」
「一体このお店で、どんな品物を何の為に為に買うのか」
「何の為って……私たちの為に」
 町名の吸血鬼らしく表情には余裕があるように見えるが、その顔色は沸騰しそうなほど真っ赤になっている。少年の腕を掴んでいる小さな掌も、じっとりと汗ばんでいるのが感じられた。
「だ、だって、あれから一度もしてないし、最初があれだったから普通のことしても物足りないし……そもそも、初めての私にあんな事しておいて、後になって知らない顔なんて酷いんじゃない?」
「あ、いや、確かにそうなのかも知れないけど、でもさ」
「言い訳無用。私をこんな女の子にしたの、あなたなんだからね」
 小悪魔のような笑みと上目遣い。ここに入るまでは梃子でも動かないだろう。
 少年は観念して周囲を見回す。幸い裏通り、しかもまだ日も高いせいかアダルトショップの前に人はいないが、立ち止まるのは得策ではないようだ。
「わかった。入ろう……人が来る前に」
 盛大なため息と共に、細く薄暗い階段に一歩踏み込んだ。左に少女の手を引いて、その足取りは重く、緩慢な動作で段を上っていく。
「一つ聞き忘れてたわ」
「なに?」
 もう諦めたように少年が答える。
「あなたどんなプレイが好み? 前にしたときは結構サドっ気有ったみたいだけど」
「……普通でいいです。超ノーマルです」
「そう。そんな感じには見えないけどね」
「……」
 何か釈然としないような、言われても仕方ないような気分を抱えながら、異様に長い階段を上り続ける。恐らくはウィザードしか入れないような、何らかの魔術的な仕掛けが施されているらしい。
 店に入る前からこの調子である。恐らく魔術を利用した性具もあるんじゃないだろうか。
 魔道技術の無駄遣いだと心底思う。
「あ、あのドアかしら」
「そう見たい、だね」
 優に五分以上階段を上り続けようやく見えてきたのは、小さな貸事務所のような安っぽいドア。「アダルトショップ」の札が掛かっているから間違いない。最も間違えるような階段の分岐は無かったのだが。
 ドアノブを引いてゆっくりと引き開けると、
「いらっしゃいませー!」
 場違いなほど元気な女性の声が響いた。
「にゃ、カップルでご来店ですか。これまた可愛い彼女さんです〜見た目どおりのお年じゃないですよねぇ。出ないとお店は入れませんから」
 出迎えたのは高校生ぐらいの少女である。顔はかなり童顔で可愛らしく、胸は皮のビキニのような物のみ、下半身はジーンズをギリギリまでカットした、これまた下着のようなズボン。そして頭頂部には猫とも犬ともつかない一対の耳。
 細い腰もすらりとした脚も丸見え、さらに上下どちらの服も身体に行ったり張り付いているのでボディラインははっきりと判る。胸も尻も絶妙な肉付きで歩くたびにかすかに揺れるので目のやり場に困る。
 まあ店の内容を考えれば露出程度で恥ずかしがっていては駄目なのだろう(何が?)。
「お客様初めてですね〜、倦怠期ですか、それとも単なる好奇心? どちらにせよここならお悩み解決、今晩から毎日が楽しくなる事間違い無しです。何をお求め?」
 何からと聞かれても、何が売っているのか念頭もつかない二人は答えに詰まった。少年は一通り周囲を見回すが、何に使うのか大体判るもの、使い道がよく判らない物、その他薬瓶やら縄やら羽箒やら首輪、手錠、目隠し……
 少女もやはり目移りしすぎて目標を定められなかったらしい。素直に店員に向かって口を開いた。
「私達こういうお店初めてなの。道具とか、その、初めてだし……お勧めとかあるのかしら」
「はいはい、初めてのお客様でしたらこちらにど〜ぞ。比較的マイルドなものが揃ったコーナーがありますので。何なら実際にお試しいただけますよ?」
「でも私使い方とか……」
「手取り足取りご指導して差し上げますとも」
 少女は店員に導かれるまま、店の奥へ入っていく。
 ふと横の棚を見ると、少女と関係を結ぶきっかけとなった雑誌の最新号が平積みになっていた。
 他にも『エレンディル・トラベルガイド:ないとば〜じょん』『Venus in ミッドガルド』『煉獄愛欲彷徨』『亜侠の選ぶ風俗100』『マス掻きの前と後にSirと言え』『ワーディング野外プレイお薦めスポット(売り切れ!)』など。
 何だか対象者のよく判らない本もかなり含まれていた。明らかに異世界の本だろこれ。
346人造×吸血 :2006/07/15(土) 02:01:03 ID:ZzY4WSqD
短い上に濡れ場なしですが、とりあえずここまでです。

実はコピペ中に操作ミスで文章の半分ぐらい消えちゃいまして……
出来るだけ早く続きを出しますので堪忍してください。
347名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 03:15:11 ID:z7SU474T
待ってましたァーーーーッ! GJ!
348名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 04:17:20 ID:ecgOfm/i
おっきした。しかしお預けかっ、でも半分でもGJ!
後半をワクテカしながら待つっ。
ていうかエロいな可愛いな吸血鬼娘。

あと最後の異世界雑誌にワラタ
349名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 05:23:52 ID:e9fYBKgW
> ああ、あの工藤●作に似てる龍使い(サンプルキャラクター参照)か。
> 今度事務所で自爆してやる。

ココで大爆笑しました。
さすが人造人間。
350名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 06:11:08 ID:SBcRsaSg
「ノエル(ブレカナのほう)は死ぬよりも不幸のズンドコで生きてるほうがらしい、記憶と片腕失ってどっかのスラムで体売ってるとか」
とかほざく鳥取の女性PLを何とかしてください、どーしてくれるんだ、その設定で抜いたじゃねーかw
351名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 06:48:43 ID:WkPfk0Yj
前半は正しいが、後半は良くない。記憶失ってるより、やむにやまれぬ事情で、のほうがいい。
記憶を失うなんて幸福、ノエルには似合わんよ。

しかしうちの鳥取ではありえん話だな。ノエル激ラブなヤツがいるんで、そんなことになったらきっとお持ち帰りしてるだろうなぁ。
352名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 09:53:49 ID:o5zL4HIG
>>346
ようじょかーいーよ
かーいーよちゅうがくせい
353名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 11:41:06 ID:pZJCLQsO
萌えなヤツが投下された後でアレだが、思いつきを一本。
使徒(♀,能力はサンプル準拠)×人造人間(レベル上がってハードボディ取得)
ネタは204。4レス分。そいじゃちょっと通りマス。
354癒しの翼妄想:2006/07/15(土) 11:43:07 ID:pZJCLQsO
 紅い月が昇っている。
 閑静な新興住宅地は前後左右のどちらを向いても似たような景色で迷宮めいているが、今この時、この空間に
あっては、本当に迷宮だった。
 一切の目印がない。行けども行けども同じ光景が続く升目の路。天頂・直上の紅い月。
 方向感覚どころか時間の感覚さえ最早薄い。
 これで各所に転送装置まで仕掛けられているのだから、全く本当に、この月匣のルーラーはよほど底意地が悪
いに違いない。
「……みんなとはぐれちゃいましたね」
 ぽつりと少女が言った。純白のワンピースに、腰まである長い髪。丸みを帯びた愛らしい面立ち。年の頃は中
学生というところか。しかし単に女子中学生と称するのは躊躇われる。
 普通の中学生は、大きく開いたワンピースの背中から、大きな翼を生やしていたりはしないだろう。
 眩しいくらいの純白の羽。柔らかな輝きを帯びてさえいる。
 どんな人間でもある種の神聖さを感じずにはいられない、無垢の白色。
 “使徒”と呼ばれる存在だ。
「いやはや、ランダム転送装置三連発とは恐れ入るね」
 その傍らに立っているのは、まるで正反対のモノである。
 総身、金属光沢を帯びた甲殻が張り付いている。
 シルエットは中世の騎士に似ているが、擬人化した甲虫のようでもある。
 どこまでも無機質で機械的で、しかし歪に生物めいている。
 唯一甲殻に包まれていない顔は少年のそれを象っているが、異様に白く、穏やかな微笑が不気味でさえある。
 甲殻のところどころが破損し、白い液体を垂れ流していることが、辛うじて彼の生命を証明していた。
 常識に抱かれし者(イノセント)が見たならば、間違いなく彼をこう呼ぶだろう。怪物、悪魔と。
 そのおぞましい姿を、人が人を守るために創造した走狗、“人造人間”などとは思いもすまい。
「とにかく、ボクと君が孤立しなかったのは運が良かった。慎重に合流を目指そう。
 他のみんなは単独でもそう簡単にやられそうにないから、焦ることはないさ」
「そうですね。それじゃあ、取り敢えず傷の手当てをします」
「お願いするよ。しかしこの体、魔法にてんで弱いのはなんとか改善できないものかな」
「向き不向きがありますよ。……あれ?」
 虚空に右手を突っ込んでごそごそとやっていた使徒の少女が、不意に素っ頓狂な声を上げた。
「……困りました。予備の水がもうありません」
「え?」
「さっき落としたペットボトルが最後です」
 というのは、水属性の回復魔法、〈キュア・ウォーター〉のことだ。
 水属性の治癒は総じて効果的が著しい反面、水を触媒にする必要がある。
「それは……少し参ったね。まあいい、敵との交戦を最小限にして進もう」
「あ、いえ……なんとかできなくはないんですけど」
「?」
「座って、目を閉じて頂けますか」
 あまりに変わらぬ物腰でそう言われたものだから、人造人間の少年も素直に従うことにした。
355癒しの翼妄想:2006/07/15(土) 11:43:51 ID:pZJCLQsO
 従ってから、座るのはともかくどうして目を閉じるのだろうとようやく怪訝に思ったのは、出血と疲労のせい
で注意力が幾分か散漫になっていたせいかも知れない。
 ともかく律儀に目を閉じたまま「どうして」の「ど」の字を口にしようとした瞬間には、時既に遅く。
 ふわりと全身を包んだ暖かさ、唇に押し当てられた柔らかな何かに、彼は硬直してしまったのである。
「んんっ、ふぅ、ん……」
 ぞくりとするほど艶めいた息遣いが、間近にあった。
 混じり合う息の甘さを感じる暇もなく、力の抜けた唇を割って、するりと濡れた何かが滑り込んでくる。
 ハッ、と目を開く。
 見慣れた筈の仲間の瞳が、見たこともない光を宿して驚くほど近くにあった。
 ぺろりと人造人間の唇をなぞって、使徒の舌が離れていく。
「目を閉じてって、言ったじゃないですか……」
 少年の冷たい首に絡みついた細腕が、きゅっと力を強める。息が詰まるほどではないのに、酷く息苦しい。
 傍らへ膝をついて、彼女はほんの少し上から少年の顔を覗き込んでいた。
 僅かに触れ合うだけのこそばゆい距離で、白い翼が彼女もろとも少年を包み込んでいた。
「傷の、治療、なんです……そのためなんですから……やましいこと……ないん、です」
 一息ごとに言葉が震える。微かに上気した頬。
 何が、何が起きているのだろう? 少年の頭脳は混乱の極みにあった。突然の仲間の豹変。未経験の状況。対
処、対処法は……いや、しかし彼女は治療行為と言っているのに。けれど治療行為と断じてしまうには、これは、
あまりにも何かがマズイ。
「ちょっと、ま」
 待たなかった。おかまいなしだった。
 初撃とは打って変わって、柔らかさなど微塵もなかった。力強く、執拗に、絡みついてきた。
 粘性の音が口腔をくすぐる。絡みつく使徒の少女の舌は、得体の知れない動きでぐちゅりと唾液を混ぜ合わせ、
少年の口内のあらゆるところへ擦り込んだ。甘い。流し込まれてくる彼女の唾液を為す術なく受け入れ、喉を鳴
らして飲み込みながら、座れと言ったのはこういう理由でか、とどこか他人事のように納得する。
 腕と翼の抱擁は舌が一つ蠢くたびに熱っぽさを増していくようで、意外にふくゆかな胸元が胸部の装甲へ押し
当てられてふにゃりと潰れた。これは本当に良くなかった。皮膚の上に纏っているものと見えて、その実、生体
装甲は皮膚が変異したものなのだ。感覚神経だって痛覚以外はちゃんと通っている。むしろ普通の人間より高い
精度で触覚を捉えられる。例えば下着をつけていないらしい彼女の胸元の尖端だとか。
(と、とがって、る……?)
 アダルト雑誌で得た知識が、ソレの状態をそう判別した。……涼しげな面立ちのせいで彼(および彼と同型機
達)はよく勘違いされるのだが、人工とはいえ人体を正確に再現した肉体は立派に性欲も持ち合わせているし、
それで悶々と悩んだりもする。エロ本くらい購読して何が悪い。
 ……などと誰に向かってか分からない言い訳を脳裏が過ぎる間に、重なった口元の周りは互いの唾液ですっか
りべとべとになってしまっていた。追い打ちをかけるように、最初は横手に揃えて膝立ちになっていた筈の使徒
の脚は、いつの間にか少年の腰をまたぐような形で落ち着いていた。
 実に良くない。密着度が全然違うし、ワンピースのスカートを押し広げて脚を開いた姿勢の際どいと言ったら
ないし、このまま腰を押し当てられでもしたらうっかり腰回りの戦闘態を解いてしまうかもしれない。
356癒しの翼妄想:2006/07/15(土) 11:44:42 ID:pZJCLQsO
 繰り返すが、彼の甲殻は皮膚の変異物である。
 装甲が通常の形態に戻れば、要するに。
「んんっ、はぁ、ん……ぁ、あふぅっ、は、ふっ……」
 どんどん淫らめいていく少女の息遣いは、合間に濡れた嬌声すら漏れた。
 しきりに揺れる胸元は疑いようもなく乳房を押し付け、少年の甲殻で己からこね回していたし、ふわふわして
いたはずの翼さえしっとりと濡れたような感触で背中や肩を擦っている。
 甘い蜜に濡れていて、すっぽりと包み込んできて、溶かされてしまいそうな。
 食虫植物に補食される虫はこんな気分なのだろうか。
 純白にして無垢。使徒とはそういうものだと思っていたのに。
 それが、この豹変はなんだろう? この艶めいた乱れようは、この媚態はなんだろう?
 初撃の衝撃から立ち直り、硬直がゆっくりと溶けてくると、染み出てきたのは興奮だった。
 おそるおそる、彼女の腰元に腕を回す。嫌がる素振りがないと確かめると、今度は掌をゆったりと臀部に這わ
せた。ワンピース越しでも確かに感じる柔らかな肉、とろけるような体熱が、硬い掌の中でふにゃっと潰れた。
「ぁあ……」
 ぴくり。腰を震わせ、使徒の瞳は歓喜に潤んだ。
(喜んでる……)
 そうなったらもう、夢中で尻肉をこね回した。がむしゃらだ。
 痣を刻むほど強く、千切れてしまうくらいに指を押し込め弄ぶ。
 びくん、びくんと何度か大きく痙攣して、ぷは、と彼女はキスを中断した。
 切なげに手を少年の背中へ回し、すがりつき。
「んやぁあぁああっ、ひあ、あぁぁぁっ!」
 か細い悲鳴を上げながら、繊細な全身が収縮した。そのたび、汗でラインが露わになった腰がびくびくと震え
た。もう、彼女の肌は服越しでも火傷しそうなくらい熱かった。
 そのままどれくらい、使徒の荒い息遣いを聞いていただろう。
 いかなる時も冷静に対処することを望まれた戦闘機械の少年は、生涯初めてであろう放心状態で、ただ彼女の
乳房越しに聞こえる鼓動を感じていた。
「アは……」
 骨が融解してしまったような挙措で、彼女は首を持ち上げた。また、互いの顔を覗き合う姿勢。
 白の少女は微笑していた。綺麗な肌を首まで桃色に染め上げて、例えようもなく艶やかに。
「初めて……初めて、です、こんなの……今の、凄く、あまくて……おかしくなりそう、で……」
 細くて白い指が頬を這う。そう言えば、蜘蛛の糸だって白い。
「ねえ、原罪なき人。貴方は欲しくないですか? 私のこと、欲しくありませんか? ……私は欲しいです。
貴方を食べてしまいたいです。使徒だって……ねぇ、使徒だって、誰かを求めることはあるんですよ? 使徒、
だからって……あは……えっちなこと、考えないわけじゃ、ないんですよ?
 ……ねぇ、おしりだけじゃ嫌です。キスも、キスもちゃんと応えて下さい……お願い」
 少年はさっきから散々潤されている筈なのにカラカラに渇いた唇で、「うん」と言うのが精一杯だった。
 彼女は底抜けにあまやかな笑顔を浮かべてキスしてきて、彼はそれを迎え入れて。
 なりふり構わず絡め合った舌も、押し付け合った胸も、互いに掌でまさぐりあう相手の肉も何もかも、溶け合
ってしまうようだった。
 完全に時間の感覚が吹っ飛んでしまって、それから先はもう、覚えていない。
357癒しの翼妄想:2006/07/15(土) 11:45:13 ID:pZJCLQsO
 終わって我に返ってみたら。
 月匣内とはいえ往来の真ん中であんな行為に耽っていたというのも大概アレだが、クリーチャーやら何やらだ
っていつ出て来てもおかしくなかったわけで。
 それでなくとも同じようにこっちと合流しようと動いている筈の仲間達に見つかっていたら。
 全くもってゾッとしない話である。
「ち、違うんです、違うんですっ!」
 彼女は服を直しながらしきりに、首を振って「違うんです」を連発している。
「あの、水がないから口移しで魔力を……っ! その、体液は水属性の触媒として親和性がありますし……
 翼を密着させて増幅させればって思って……ッ」
「……う、うん」
 まあ、確かに傷は癒えたが。
「へ、ヘンな気分になっておかしなことしちゃいましたけどっ! あ、そうです、エミュレイターのせいですっ、
ここの空気にあてられちゃって、その……っ!」
 真っ青になったり真っ赤になったりしながら、使徒の少女は半泣きでまくしたてている。
 あのゾッとするような淫の色はどこにもない。
 ひょっとしたら夢だったんじゃないかさえ思うが、半狂乱で言い訳を続ける彼女の声が違う、そうではないと
証明してしまっていた。
 どっちが本当の顔なんだろう、とか悩んでみたりする。
(これからどうしよ……)
 鮮烈に焼き付いたあの感触はもう忘れられそうにない。
 というか、こういう場所でなければ稼働一年の若さに任せ、物陰へ引きずり込んで押し倒してしまいたい。
 ……きちんと踏み進むべきステップを思いっきりワープしてしまった気がする。
(ワープ……ああ、そうだそうだ)
 忘れそうだったが、こんなことしている場合じゃあない。
「その、取り敢えずボクらの今後の関係については後でジックリ話し合うとしてね」
「こ、今後って……」
「いや、赤くならないでよ。ボクだって恥ずかしいし。
 えと、それよりホラ」
 ン〜、と虚空をくるくる指で掻き回して言葉を探し。
「取り敢えず世界、守ろ?」
358名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 11:46:57 ID:pZJCLQsO
以上。
天使娘萌えとして使徒がどーして女の子ではないのか、という怨念を込めて書いた。
正直スマンカッタ。
359名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 15:51:38 ID:o5zL4HIG
GJ!
360名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 23:13:32 ID:nPiPhh2l
>>346
『煉獄愛欲彷徨』『亜侠の選ぶ風俗100』にワロタw
361名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 00:06:46 ID:iomy2z7N
そいや、ゲヘナもエロネタが多かったよーな。
リプレイ読んだから余計にそう感じるのかもしれないが。
362むげふぁん:2006/07/16(日) 05:07:41 ID:BhaeDpMC
むげふぁんリプレイ第3話掲載記念!!!
とか銘打ってぷちぷち書いてたら、完成前に4話公開されちゃって登場人物に脱退者がでたり団長の苦手なものとかが判明して今書いてるものと矛盾が出たり何だりといろいろ不都合がでてしまったがもったいないので早めに投下してしまおうという訳で今に至る。
まだ途中だけどご容赦。
「悠久のパストラル」ペンタゴン×エレナの感情暴走イベントネタです。

*感情暴走とは*
ある判定を行うことでキャラ間で設定された感情レベルが上がっていく。
そのレベルが10になった時、その感情が暴走し自制が効かなくなってしまうというイベントが起こる。
割とえぐい暴走イベントが多い。

例:【純愛】 思い詰めるあまり相手に殺意を抱く。

ペンタゴンのエレナへの感情は 【片思い】
エレナのペンタゴンへの感情は 【信頼】

というわけでパラレルな感じですが投下です。
後半は多分陵辱風味。
363むげふぁん:2006/07/16(日) 05:08:27 ID:BhaeDpMC
************************

それに遭遇したのは、故郷を出て一人旅をしている最中の事だった。
「つけあがりやがってこのガキィ!」
「痛い目に遭わなきゃわかんねぇみたいだなぁ?」
そんな下卑た声が道の向こうから聞こえてくる。厄介事はゴメンだと想いながら、自然と足はそちらに向かっていた。
人をかき分けのぞき込むと。
そこで数人のチンピラと対峙していたのは小さな女の子だった。
「悪いのはそっちでしょ。謝れば許してあげるわ!」
その少女は一歩も引かず、むしろ挑発的に胸を張った。
そんなことを言われてチンピラ達が謝るわけもなく。眼前ではいきり立つチンピラと少女の一触即発の言い合いが続いている。
「なんつー無茶な」
あまりの怖いもの知らずな少女の態度に呆れたが、放って置くわけにもいかない。
自分も腕には覚えがある。チンピラ程度に遅れは取らないだろう。
他に止める奴が出てこないので野次馬の垣根から出て彼らの間に割って入っていった。
少女の前にすっと立ち、余裕の笑みを浮かべて腰の剣に手を掛け。
「事情は知らないが、こんな小さい子供に大人数とは大人げないな。それ以上は…」
「誰が小さいですかッ誰が!!」
ファーストヒットは背後からの衝撃波だった。
「な、なん…!?」
なし崩し的に乱闘になり、何がなにやら分からないままそれに巻き込まれ…
最初の一撃が庇ったその少女からの攻撃だったと理解したのは全てが終わった後だった。


「ご、ごめんなさい、助けに入ってくれたのに」
「いやまぁ…大丈夫だし、いいんだけどさ」
乱闘の末、冒険者としてその場を力ずくで納めたのちの宿屋で彼女の治療を受けながら、お互いの事を語り合った。
子供だと思ったけど自分とは1つしか年が違わないこと。(それを聞き出すまでに一回吹っ飛ばされた)
喧嘩のそもそもの理由は絡まれていた女性を助けたからであったこと。
冒険者になった理由は、世界を平和にしたいから。

「でもダメね、やっぱり強くなきゃそんなことできないわ。町のチンピラだって一人じゃどうしようもないのに」
「まぁ、それはそうかもなぁ」
正直、甘いとペンタゴンは思った。世界を平和にするなんて。
戦争の続く町で地獄を見て育ったペンタゴンにしてみれば、普通の女の子でなくてもそんなことを言うのはただの夢想家なだけだ。
「強くなれば、困ってる人助けてあげられるかな?」
そう言ってペンタゴンをのぞき込む。
「…そりゃ、今よりかは、多分」
吸い込まれそうな紫の瞳に至近でじっと見られ、ペンタゴンは慌てて目をそらした。
頬が熱い。
「じゃあ、最強になれば、世界を平和にすることだって出来るはずよね!」
強い決意を込めて言う彼女に、なぜか「無理だ」とは言えなかった。
「…えぇっと…名前、エレナ…だっけ」
「そうだけど?」
「これから、キミのことは団長って呼んでいいかな」
「え?それって…」

これがペンタゴンとエレナとの出会いだった。
彼女と出会って、自分は最強を目指すことを決意したのだ。
彼女を守るために。

*************************
364むげふぁん:2006/07/16(日) 05:08:58 ID:BhaeDpMC
「俺はついに感情が10レベルに…じゃなくて団長への想いが頂点に達したわけだが」
「…いきなりだでなぁ、ペンタゴン」
「気にするな」
エンドレスピース旅団が結成されてから、ずいぶんと経った。多くの冒険をこなし最強を目指して邁進してきたが、最強への道はまだ遠い。
そんな旅半ばのことだった。
場所は宿の一室、男部屋。ここにいるのは同じ旅団員のペンタゴンとギンの2人。
鎧武具の手入れを終えたペンタゴンが、唐突にギンに切り出した。
ギンは師匠がくれたぼろぼろになった「サムライ奥義指南書」と書かれた本から顔を上げた。
「そりゃあ、そのまんま心の内に留めとくのはつれぇなぁ」
「まったくだ」
重騎士ペンタゴンが医術師の団長、エレナに惚れていることは、旅団員の誰もが知るところである。当の団長以外は。
周囲は生暖かく2人を見守ってきたが、何の進展もないままここまで来てしまっていた。
「団長は鈍感だでな、このままじゃあうまくいきっこねぇだよ?」
これからすべき事を暗に示しながら、ギンはペンタゴンを見やった。ペンタゴンは真面目な顔でうなずきながら、決意を宣言する。
「だから俺は告白をすることにした」
「うんうん、ファイトだでよ〜」
「おう。というわけでこれから町の外の森まで団長を呼び出そうと思う」
「うんうん、町の外……ん?…なんでそんな所まで?」
相づちを打ちかけて、ふと疑問を口にする。相も変わらず真面目な顔でペンタゴンが答えた。
「うまくいかなかった時のための保険だ」
「保険?」
首をかしげるギンに、ペンタゴンはさも当然というように。
「押し倒すときに人がいたら困るだろ?」
ギンはしばし言われたことを反芻し吟味し。
「……それは人としてかなりダメだでよ?」
至極当然な忠告をしてみるが、感情が暴走しているペンタゴンには通じない。
ペンタゴンがテーブルに拳を打ち付けてギンを睨める。
「邪魔するつもりか、ギン!?」
一瞬の静寂。
ふうと小さく息をついて、ギンはペンタゴンを見た。…かわいそーなものを見るような目で。
「…もう何を言っても無駄なところまで来てしまったんだでな?」
「そのとーりだ!この俺のたぎる想いは誰にも止められねぇ!」
微妙にかみ合わない発言を残し、ペンタゴンは勇んで外へと出て行った。
残されたギンはというと。
「…まぁ…なるようになるだぁな…うん」
虚空を見やり、多少団長に同情しながらも全てを投げ出して、再び読書に戻ったのだった。
365むげふぁん:2006/07/16(日) 05:09:29 ID:BhaeDpMC
「どこまで行くの?ペンタゴン」
「ん、もうちょっと。人がいたらできな…じゃなくて言えないことだからさ」
「ふぅん?」
華奢な少女が小首をかしげた。しかし疑う気など欠片も無いようで無防備にペンタゴンの後を付いてくる。
エレナを連れ出すのは簡単だった。話がある、と言ったらすんなり事は運んだ。
警戒すべきは忍びのサクヤだけだったが、なにやら気を利かせてくれたナーシサスがサクヤを引き留めてくれたので簡単にクリアできた。
しかし正直、ペンタゴンは不満だった。
ギンへの宣言通り、ここは月の光も届かない森の中。人目に付かない場所としては絶好の場所だったが、エレナが掛けた魔法の光によって足下どころか周囲半径30mが明るく照らされている。
おかげで「誰の目にも止まらない場所」を求めて森の奥へと分け入らねばならなくなってしまった。
鬱蒼と茂る森の中で「きゃあっ、ペンタゴン怖いっ」などとお化け屋敷よろしくエレナが抱きついてくれることすら期待していたが、完全に当てがはずれてしまった。

「でもあんまり奥に行くと危なくない?鎧も置いて来ちゃったし…」
きょろきょろと辺りを見回しながら、エレナが問う。2人の武装は、ペンタゴンが腰にはいた剣のみ。
彼女の魔力を増大させるためのオーブも無い。
「大丈夫だって!俺が付いてるだろ?」
自信満々に振り返ると、エレナがクスリと笑った。
「そうだね。頼りにしてるわよ、ペンタゴン」
元々不安そうな様子も無かったが、そう言って向ける笑顔にペンタゴンは辛抱たまらなくなってしまう。
(団長が、団長が俺のことをー!)
暴走する感情のなせる技か、それとも元々か。ペンタゴンは急浮上し立ち止まった。
今しかない、と。
随分と森の奥へ入ってきたし、頃合いだ、とも。
366むげふぁん:2006/07/16(日) 05:09:59 ID:BhaeDpMC
ペンタゴンが足を止める。振り向いた彼の表情は静かながら張りつめていて、エレナもそのただならぬ雰囲気を感じて神妙に見つめ返した。
葉擦れの音すら聞こえなくなるかのような、えもいわれぬ緊張感。
「団長」
エレナはこくんと頷き先を促す。
「団長。俺、団長の事が…いや。エレナ、お前のことが…好きなんだ!」
ただ1つの想いを込めて、ペンタゴンは声を張り上げた。
草木が2人の心情を物語るように風に揺れる。
そして、暗い森に吸い込まれていくように沈黙が下り。
(言った。ついに言ってしまった。でも、これでようやく俺はエレナと!)
顔を上げ、ペンタゴンはエレナを見た。
そこにいたのは、呆然とペンタゴンを見返すエレナ。
「エ、エレナ…?」
声を掛けられて、ようやく事態が飲み込めたのか、一気に顔を朱に染め、エレナの挙動が不審になっていく。
「え?…え?だってなんか深刻そうだから、私てっきりナーシサスの食事代が所持金を上回ってしまったとかそういうのかと」
「金勘定の話をこんなとこまで呼び出してするかーっ!?」
「私一応団長だし」
「理由になってねぇ!!俺の一世一代の告白がなんでこんな事にっ!?ナーの奴め、後で殺す!」
半泣きでわめくペンタゴンだった。緊張感もなにもかもが失せた彼をちらりと見て、エレナはそっと熱を持った自分の頬を押さえた。
一人でぎゃーぎゃーわめく様を見る。ペンタゴンの恨み辛みはなんだか無関係な所まで飛び火し今や告白がどうのということからは離れたただの愚痴になっていた。
それを見て、エレナは安堵した。

「…今はまだ、そんな時じゃないでしょ」
腕を組み、照れを隠して精一杯の虚勢を張る。エンドレスピース旅団の団長として。
油断すれば顔がにやけてしまいそうで、ペンタゴンから顔を背けた。
「私たちは、最強を目指しているんだから。恋愛とか、まだ…その。早いわ」
自分たちは最強を目指して冒険を続け、いままだ道半ばだ。このセリフが嘘な訳ではない。
だが、本心は戸惑いだった。
好きだなどと言われたのは初めてだった。
もちろんペンタゴンが相手で嫌なわけはない。
が、予想だにしなかった。今までの関係が続くと思っていたから。
ペンタゴンの告白を受け入れたら…この関係は、旅団はどうなるのだろう?
恋人同志になった自分たちをエレナは想像ができない。

それと同様に、ペンタゴンを失う可能性があることすらも、想像が出来なかった。
いつまでも、この関係が続くと思っていたから。変化することなど有り得ないと。

「だから、この事は…聞かなかったことにする」

自分が残酷なことを言っているとも気付かずに。
367むげふぁん:2006/07/16(日) 05:10:47 ID:BhaeDpMC
拒絶だと思った。
受け入れて欲しかっただけなのに。
自分がエレナのことを好きなのだと。守りたいのだと。知って欲しかっただけなのに。
エレナが欲しいのは偽りようがない本心だ。でも。

「…なんでだ?」
「え?」
ペンタゴンの声に底冷えするような違和感を感じ、エレナは言葉を止めた。
「俺のこと、嫌いか?」
一歩。
「そ、そんなわけ…ないわ」
踏み寄られ、エレナは違うと返しながらも無意識に半歩下がってしまう。
「じゃあ、なんで受け入れてくれない?」
また一歩。
「ぺ、ペンタゴン…?」
また半歩。
「俺のこと、好き?」
また一歩。
「わ…」
どん、とエレナの背中が後ろの木にぶつかった。今や距離は至近。
怖いほど真摯な目が、エレナを見下ろしている。それから目をそらせず、しかし普段とは違うペンタゴンに恐れを感じずにはいられなかった。
「わから…ない…」
上擦った声で、恐れに満ちた目で、返す。
ペンタゴンは口の端に笑みを浮かべた。今までエレナが見たことがないような凄絶な笑みを。
「じゃあ、わからせてやるよ」
言うが早いかエレナの顎を取り、顔を上向けて唇を奪った。
逃げられないように幹と自分の体全体で圧迫し、強引に唇を割って歯列をなぞり口内をまさぐり舌を絡め取る。
エレナの口を大きく開かせ、貪った。
368むげふぁん:2006/07/16(日) 05:11:19 ID:BhaeDpMC
「んんっ、ふ…ぅっ」
エレナが苦しげに呻き、もがく。が、ペンタゴンの腕も体も指も舌も、エレナの自由にはならない。びくともしない。
口内で2人の唾液が混ざり合い、くちゅくちゅと音を立てて翻弄する。
「ん、ふぁ…」
両の手で頬を押せて顔を固定して、舌を絡め唾液を啜り唇を甘噛みし、たっぷりと味わう。
混乱も手伝って呼吸すらままならないエレナが息も絶え絶えになる頃、ようやく唇を解放した。
エレナは直ぐさま濡れた唇を大きく開いて空気を求め、次いで涙目でペンタゴンの腕の中で彼を睨んだ。
「…っはぁっ、ぺ、ペンタゴンっ!!」
「大丈夫か、エレナ?」
何事も無いかのように平然と問うペンタゴンに、先ほどの恐れを忘れてエレナは怒りに頬を染めた。
「大丈夫かじゃないわよ!怒るよ!?初めてだったのにっ…こんなのっ、私は」
「やっぱ初めてなのか」
「わ、悪い!?」
「まさか。すげー嬉しいよ」
ペンタゴンが微笑む。
ぞくりとした。今、目の前にいるのは本当にペンタゴンなのだろうか?
「じゃあ、こんな事されるのも初めてなわけだよな?」
ペンタゴンの手が、ストールの留め具をはずして体を隠すものをはずしにかかる。
慌ててエレナは攻撃姿勢をとった。
いつものように、魔力を込めた拳をペンタゴンの腹にたたき込む。肉体的な力を使わないため予備動作もいらない。
「や…やめなさいって、言ってるでしょ!!」
衝撃波が、狙い過たずペンタゴンの体にぶつかった。
いつもなら、それで終わりになるはずだった。
今、彼女に武装はない。オーブがなければ素のダメージなど雀の涙。
旅団一の体力の持ち主であるペンタゴンにしてみれば、軽い平手打ちでもされた程度だ。揺らぎもしない。
「…エレナ」
低い声で名を呼ばれる。びくりとして顔を上げると、泣きそうな顔でペンタゴンが見下ろしていた。
「そんなに嫌か?」
衝撃を放った右手の手首をつかみ、それを瞬時にエレナの頭上、木の幹に押しつけた。
「いた…っ」
「俺はこんなに好きなのに」
「…やめ…て、ペンタゴン…」
エレナは震える声で懇願した。でも、それは全て逆効果にしかならない。
「イヤだ」
即座に言い捨て、シャツの留め具を引きちぎって首筋に吸い付いた。
369むげふぁん:2006/07/16(日) 05:17:10 ID:BhaeDpMC
すまん、ここまで。
気恥ずかし同盟(覚えてる奴いるのか?)を脱退できるように俺がんばる。

あぁえっと一応補足。
無限のファンタジアの公式サイトで連載されてるリプレイのエロパロだー。
370名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 08:09:04 ID:Arf8yAXU
>>361
ターリヤとかエロかったな。

>>369
続きをワクテカして待つ。
371名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 16:32:01 ID:x80McX5Y
>>361
アザゼル編で「平らな獣甲」ってのがあったけど、逆に言えば「生えてる獣甲」
ってのがあっても不思議じゃないと思うんだ。
で、ジェスの可愛さに辛抱たまらなくなったラシーダが"かわいい"獣甲を…
372名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 23:10:27 ID:DM1ePMuZ
>>371
百合?
373名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 23:14:41 ID:nQpftdg6
>>372
新ゲヘナリプもでもんぱもユリがデフォだ。
ホモがデフォのさなえに対抗するつもりらしい。
こうなると新六門がどっちの方向に行くかが問題だ。
374名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 00:33:31 ID:Nt5pNYvY
志村ー、新じゃなくてWー!!

でも、百合ってわけじゃないが、ローシィのニムやルシエラさんへの態度見ると
そっちもいけるっぽい気がしなくも無いなあ。
ルイス先生にもときめいてるところ見ると、惚れっぽすぎるだけかもしれんが。
あとは一角騎士団がらみかのう。
375名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 14:16:08 ID:3B8eIfHt
      _,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ `ヽ、
     ,r'"           `ヽ.
 __,,::r'7" ::.              ヽ_
 ゙l  |  ::              ゙) 7
  | ヽ`l ::              /ノ )
 .| ヾミ,l _;;-==ェ;、   ,,,,,,,,,,,,,,,_ ヒ-彡|
  〉"l,_l "-ー:ェェヮ;::)  f';;_-ェェ-ニ ゙レr-{   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ヽ"::::''   ̄´.::;i,  i `'' ̄    r';' }   | 久々にカキコ
 . ゙N l ::.  ....:;イ;:'  l 、     ,l,フ ノ   | 百合は確かにモアスタンダートだが
 . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ.  /i l"  < SNEの場合センスが周回遅れや
   .| ::゙l  ::´~===' '===''` ,il" .|'".    | 逆走してるのが困る
    .{  ::| 、 :: `::=====::" , il   |     \________
   /ト、 :|. ゙l;:        ,i' ,l' ノト、
 / .| \ゝ、゙l;:      ,,/;;,ノ;r'" :| \
'"   |   `''-、`'ー--─'";;-'''"   ,|   \_
376名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 01:11:00 ID:EkEx8L/y
オリキャラでもいいんだっけ
377名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 01:44:42 ID:ea3aCTkx
その作品の世界観と矛盾しなければおkだと思う
378名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 01:47:27 ID:EkEx8L/y
イラスト欄スレで上げたキャラのエロ絵をあげたいんだけど
ぱっと見何のゲームかわからんから微妙なところ
379名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 02:32:46 ID:+NgpxQW2
>>376
キャラメイクの要点書くなら全般的にOKかと
でなきゃ>>250のシャドウランとかNGになっちゃうし
380名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 03:09:07 ID:EkEx8L/y
デモンパのキャラでデータはこんなん
ttp://taku_kanban.at.infoseek.co.jp/cgi-bin/img/678.jpg
腐った能力値と腐った性格で仕事についても続かず現在無職
異常な食欲をまかなう糧と溢れる衝動を処理するために
こういうこともしています

ttp://akm.cx/2d/src/1153159692473.jpg
381名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 11:13:51 ID:ktdi0V8q
昔、某所で書いたものの焼き直し。
382名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 11:14:53 ID:ktdi0V8q
       御 よ 御 「   富 な  本
       賞 り  笑  ア     る 作   お
       味 一 覧  リ  士 前 品   客
    ※  い 層  さ  ア     に  を  様
 下 電  た 美  れ  ン 見    お   へ
 さ  子  だ 味  ま  ロ        楽
 い  レ  け  し   す  ッ  書     し
      ン  ま  く  と   ド        み
    ジ   す       リ  房   に
    は           プ
    使           レ  刊
    用          イ
    し           」
    な           1
    い          |
    で           3
               巻
               を
383名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 11:20:41 ID:ktdi0V8q
 それは、月明かりも眩しいある夜の事、『のっとぎるてぃ』の一行は森で野宿をしていた。
 寝ずの番をしている戦士にしてパーティーリーダーのエイジと焚き火を挟んだ向こう側では、彼の幼馴染であり、盗賊にして錬金術師(最近、軍人の訓練も受けた)でもあるアムが、何やら怪しげな薬の調合をしている。 
「なあ、アム、僕等はさ……」

 ボンッ!

「けほっ、ああびっくりした……何?エイジ」何か調合を間違えたのか煙の中から這い出してきたアムが、ぺたんとエイジの隣に座る。 
「あ、いや、何でも無い……」急に近寄ってきたアムに内心どぎまぎしつつはぐらかす。 

 例えつるぺたでケチで乱暴でk
「あ、暴発した(タ――ン)」……事故の振りして作者の人を狙撃するなと何度言えば……!(ターンターン)

……とにかく、幼馴染の女の子に零距離まで擦り寄られて何も感じないほどエイジは木石ではない……よな?
「え?ちょ、ちょっとアム……そんなくっついて……」ずり……ずりずり……
「エイジ、エイジはさ、ウェルチの事ホントはどう思っているの?」彼が幼い頃に生き別れた(最近その存在を知った)エイジの妹の事を持ち出すアム。
「どうって……妹だけど?」「じゃあ……私の事は?」さらに畳み掛ける。
「アムは……幼馴染でパーティーの一員で……その……」妙な雰囲気に赤くなってどもるエイジ。
「はいこれ」唐突に渡された水筒を、エイジはつい勢いで飲み干す。
「ぷはっ。
 ええと、だから……そのあの……」どんどん赤くなるエイジ。だが彼は、自分の体の奥で妙な感覚が湧き上がるのを感じていた。
384名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 11:29:50 ID:ktdi0V8q
「利いてきたみたいね……」そっとエイジの腕を取るアム。
 ここでエイジ、一服盛られたと気が付く。 というかここまで来れば誰でも気がつく
「あ、アム!一体何を…………!」アムがエイジの手をそっと自分の股間に押し当て……

……エイジは、そこにある膨らみが脈動しているのを感じる。 エイジ、SANチェック失敗。

「って!その股間にあるのは一体全体何がどうなって!」
「ちょっと……調合間違えちゃって。てへっ」
 アムの股間には間違えようもなくある筈の無いもの……脈打つ肉棒がそそり立っていた。
 
 アイデアロールに成功してしまい、怯えたように後ずさるエイジ。だがその体は彼の思うように動かなくなっていた。

「エイジはね、アムのものなの。その事をまず、エイジの体に刻み込もうと思って」
「い、今調合間違えたって言ったじゃないか!」
「そうだっけ?まあいいや」「良くない!」「いいの!結果よければ全てよし!」有無を言わせず(心理的にも物理的にも)エイジの口に肉棒を押し込むアム。
「ふ!ふぐが……」「歯を立てたら、駄目だよ?」エイジの頭を抱えてゆすり、彼の口腔を思う存分に犯していった。
「う……ああ、いく、いっちゃうよぉっ!」迸る白濁は彼の口の中のみならず顔中を白く汚す。

「ふふ、エイジ、どう?私の味は」頬を摺り寄せ、自分の出した物を舐め取り、口移しで飲ませる。

「ふぅ……さあ、次はいよいよお待ちかね♪」呆然とするエイジを手際よく四つんばいにし、ズボンを下ろして菊門に狙いをつけるアム。
 どろりとした薬液を取り出すとそこに満遍なく塗りつけて準備完了。
「ヒャア!あ、アム……まさか……」
「エイジ……あたしたち、いよいよ一つになれるのね……」ずぶり、一撃。そして律動。
「ぎゃあ!あ、アム!痛いよ痛いよ……」涙ぐむエイジと目の据わったアム。
「エ、エイジッ!アンタは!あたしの!物なの!」息を荒げつつアムはエイジの腹腔を蹂躙する。
 最初は痛みしか感じなかったエイジだが、徐々にそれと違う感覚が彼を支配する。
「こ、これは……はぅうん……」そのうめき声がどんどん悩ましくなる。頑張れ矢薙直樹。
385名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 11:37:41 ID:ktdi0V8q
「ふっふっふ、媚薬が利いてきたみたいね……」
 その細い体のどこにそんな力が、と思うほどに力強く、アムはエイジの尻を貪っていた。
 エイジの目はとろんとし、彼の股間の肉棒もまた爆発寸前のレベルまで膨張する。
「はぅう……アムぅ、ぼ、僕もう……」
「うう、え、エイジ……あたしももうすぐ……一緒に、いっしょにぃい!」

 一筋の白濁が夜空に舞い、もう一筋は直腸を満たす。二人は、ほぼ同時に果てたのである。

「エイジぃ……えへ、もう一回ね」エイジの背中にしがみ付き、全身を摺り寄せるアム。
「ああ、……アムのが僕の中で……また大きくなってきている……」
「そのうちエイジにやらせてあげるから、もうちょっと我慢してね?」
「あぁん……」

 朝。

「おーっすおはよう!……て、お前らいったい何やってたんだ……」
「二人とも……一晩中?」
「な……何があったんでやんすか?」
 巨漢の侍祭、シグ。銀髪の女魔術師、フェルシア。三下犬娘、ベネット。
 アムに一服盛られて一晩中眠りこけていた三人の視線の先には、

 妙に肌のつやつやしたアムと、げっそりと燃え尽きたエイジがいた…………合掌。
386名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 17:14:51 ID:xI0dejWN
GJ。ワラタ、激しくワラタw
特に2レス目最終行。
387名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 20:06:21 ID:NSwmOqza
エロより小ネタに激しく噴いた。
388名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 20:17:52 ID:ioHR3R2H
>>380
禿萌え、そして自キャラでエロ妄想してるの俺だけじゃなかったんだなと安心

>>382-385
一瞬本気でエイジに萌えた、どーしてくれるw
389名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 20:58:11 ID:+NgpxQW2
頑張れ矢薙直樹wwwwwwwwwwww
390名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 21:13:58 ID:ktdi0V8q
おお、受けてる。

最初は頑張れさやさやだったんだけど、さやさやアムだからなぎーにした。
さやさやの一人芝居でも良かったじゃないかと反省しているが賠償はしない。

後、読点の付け忘れとか、「ぬふぅ」忘れてたな、とか。
>387
他所の物(一つはTRPGですらない)も幾つかあるけど分かった?
>388
最初から萌えキャラじゃないか。
391名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 21:48:56 ID:6Rcbjkst
>390
…あれ?どうしてだか知らんが今一瞬ウェルチとエイジがプリキュアやってるイメージがよぎった

…どうしよう俺w
392名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 12:02:02 ID:jVMnB8Gd
そう言えば今更ながらアリアンロッドを買った。

「じっとしててくださいね、すぐよくなりますから」

聖女たんのセリフに不埒な妄想をしたオレは誰なヤツだろうか。
393名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 13:25:43 ID:/BOqm66G
たいへん不埒なのでSSを書くと良い
394名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 14:25:57 ID:/R3SwNnK
シグ×妖精、そんなことを考えていた時期が俺にもありました。

あと[護りの聖者+精霊の具現者+遺跡の探索者]×未来の英雄の逆4pとか
395名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 14:59:45 ID:6rTiBm2p
……逆?
前の三人は>>382のアムの薬で全員フタナリでそれで未来を(ry
396人造×吸血:2006/07/22(土) 01:41:38 ID:zTFNomiV
二回目。続き逝きます。
ちなみに一回目は342〜346です。
397人造×吸血:2006/07/22(土) 01:42:24 ID:zTFNomiV
「まずは定番ですけどこれ。リモコンを操作すると小刻みに振動するんです」
「あ、本とかで見たことあるわそれ」
「エーテル光素を利用したリモコンですから何万sq先でも操作が届きますし。リモコンだけ彼氏に渡してプチ羞恥プレイとか出来ますヨ」
 アダルトグッズの定番、ローターと呼ばれる奴である。振動部分は鶉の卵程の大きさがあり、局部に押し付ける、或いは中に挿入して使用するものとして標準的な大きさであろうか。
 しかし女性というのはあのような異物を体内に入れて気持ちよくなれるものなのか、ここに来てやっと空気に慣れ始めた少年はそんな事を考えていた。
「初心者の方にも使いやすいですし、応用効きやすいのでお薦めですね。お安くしときますよ」
「あ、そういえば」
「あら、どうしたの?」
 少年があることを思い出し声を上げた。そして少女に問いかける。
「いや……君さ、お金持ってたっけ?」
「持ってるわよ」
 さも当然というように少女は返した。
「ウィザードの仕事があるんだし、貴方と同じで相当の報酬は貰ってるわよ」
「……でも家計は全部僕が出してるよね?」
「何けちな事言ってるのよ。私たちの収入からしたらたいした事ないじゃない」
「そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ」
 彼女が来てからというもの、ゴミ箱を見るとほぼ毎日スナック菓子の袋があったりする。吸血鬼は新陳代謝が起こらないゆえ、食べても太らないというのがそれに更なる拍車をかけている。
 そのため、少年宅のエンゲル係数は少女が来る以前と比べて数倍に跳ね上がっている。といっても家計が苦しいかと聞かれるとそうでもないので、特に責める気も起きないのだが。
 美味しそうに食べる少女の顔を見ていたいと言うのも、少し、あるのだが。
「ま、怒ってるわけじゃないし。でもここの買い物は自分で出してよ?」
「判ってるわ。あ、これ頂くわ」
「毎度〜。で、お幾つ?」
「え、そうね……」
 少女は自分の体を見下ろし、ひい、ふう、みいと指折り何かを数え始めた。
「8つ」
「8つ!?」
「ローター8つお買い上げ〜」
「そんなにどこにいくつ使うんだよ!」
398人造×吸血:2006/07/22(土) 01:43:34 ID:zTFNomiV
 少年達が両手に無地の紙袋(無地であるあたりが店の気配りなのだろう)を下げて自室に戻った時、太陽は既に傾き、空は赤く染まり始めていた。
 店員が次から次へと取り出していく見慣れないアイテムを、少女が二つ返事で買い上げていくさまはまさに圧巻であった。
「さて」
 主に荷物を持っていたのは少年のほうで、少女といえば元気なものである。今まで荷物を運び終えた少年は床に座り込むと、少女がおもむろに口を開いた。
「脱いで」
「は?」
「は? じゃないわ。これからいっぱい楽しむつもりなんだから」
 そういって、少女は少年の上に覆いかぶさった。
「ちょ、い、今すぐ?」
「そうよ」
「せめてお風呂は言ってからとか」
「駄目。だって」
 ワンピースの裾を持ち上げ少年に見せ付ける。
「もうこんなになってるんだもの。いまさら我慢なんて出来ないわ」
 薄いピンクのショーツはに染みどころではない、むせ返るような女の匂いが漂い、股間から太ももに至るまできらきら輝く露で濡れていた。
「電車の中で大変だったのよ。帰ってきてからの事を考えると、それだけで体か熱くて……ここが痺れてくるの」
 びしょ濡れのショーツに指を引っ掛け持ち上げる。細い紐のようになって食い込み、愛液の雫が滴った。
 視線が釘付けになった。そんな少年の姿を見て、少女は熱を持った瞳で艶然と笑って見せた。
 布地越しに分かるほど充血した淫核に自分の指を添える。ざらついた布の感触が快楽となって身体を走った。
「あなたが寝てる、となりで……あっ……こうして、あなたの事考えて……たのに」
 少女の告白は続く。その間も、目の前で繰り広げられる淫靡な指の動きは止まらない。
「ほんとは、あなたに触っ、っん……欲しかった……の、あ、ああぁっ」
 突然声が乱れる。
 見ているだけだった少年の唇が、少女の淫裂に口付けした。
「してあげるよ。僕にこうして欲しかったんだろ」
「えっ、あっ、ん、吸っ、ちゃだめ……ぇ」
 ショーツを横にずらし、舌を差し込んだ。そのまま容赦なく奥を目指して舌を差し入れる。
「いや、あ、っそんな急に……んんっ、激しす、あっ」
「目の前であれだけ挑発してくれたんだ。何言っても止めないよ」
 少女の腰を抱き寄せ自分の上に重なるように引き倒す。少女はされるがまま、少年の胸に顔を預ける形になった。
「何も言わないわ」
 潤んだ瞳で少年の顔を見上げ、微かな声で言った。
「……私、貴方にされることなら、何でも嬉しいから。酷い事も、えっちな事も、恥ずかしい事も……いっぱいして」
399人造×吸血:2006/07/22(土) 01:44:57 ID:zTFNomiV
 わずかな微笑を浮かべ少年の首元に頭をすり寄せる。甘える子猫のようなその仕草、視線や声の全てが、少女への愛情で満たしていった。
 だから、ほんとは最初にして置きたかった事を、今することにした。
「目、瞑ってて」
「……うん」
 何の疑いも無く両目を閉じる。それを確認してから顎を少し持ち上げ、一気に唇を奪った。
「ぅん、あむ……」
 唇の端からわずかな吐息が漏れた。その呼気すら逃すまいと舌を口内に割りこませると、少女の柔らかな舌と触れた。迷わず絡ませる。たっぷりと唾液を乗せた舌同士が互いを味わうように蠢く。
 歯の裏を舐め回し、お互いの唾液を混ぜ合わせ、飲み下す。唾液の一滴が溢れ、少女の顎から首筋を汚していく。
 少年の舌がその雫を追う。その過程で少女の首筋を丹念に舐め、音がするほど強く吸い上げた。後には赤い後が残る。
 その間に腕はアダルトショップの紙袋を漁っていた。やがて数個のローターのパッケージと一瓶のローションを掴み取る。
「……脱がすよ、いい?」
「うん……でも」
「でも?」
 あのね、と前置きしてから、少女は言った。
「ゆっくりだと恥ずかしいから、早く脱がしてほしいの」
「恥ずかしがってる顔も絶対可愛いと思うけど」
「……意地悪」
「何してもいいんだろ」
 とたんに顔を真っ赤にして無言で頷く。
「ほら、今凄く可愛い」
「……ばか」
 何とも弱々しい抗議であった。
 少年はワンピースのボタンを手早く外し、方からそっと滑らせた。最初に華奢な両肩が現われて、次に胸、子供の身体ながら細い腰……そして腰を浮かせてすべて脱がした。
 その肢体は全て一点の曇りすら無い滑らかな肌と柔らかな曲線、女の子らしい甘い香りで構成され、体温によって薄い桃色に色付いている。
「最初はちょっと冷たいかも知れないけど」
「あ……それ、どうやって使うの?」
「知らないで買ってたの? でもすぐに判るよ」
 ローションの瓶を開け、甘ったるい匂いの液体を掌に開ける。そしてゆっくりと少女の胸に塗りたくった。
「んっ、冷た……」 
「ちょっと我慢してて」
 粘液に包まれた小さな胸を絞り出すように弄ぶ。そうすると最初は弾力のあった突起が、少しずつ硬くなり始める。
「ふあっ、ああ……あ、い、息が掛かって……」
「凄いなこれ。息が掛かるだけで感じちゃうんだ」
 試しにその桜色の突起めがけて、強めに息を吹きかけてみる。
「あ、あうっ、あ、あああぁッ!」
 まるで皮膚を染み透って吐息が届いたような感触。余りに強い感覚に体を反らせた時、少年の唇に直接突起が触れた。
 それが偶然だと判っていながら少年は意地の悪い解釈をした。
400人造×吸血:2006/07/22(土) 01:45:30 ID:zTFNomiV
「舐めて欲しいの?」
「え? あ、い、ち、違……」
 答えを待たず口に含んだ。キャンディのように強く唇に挟み、先端を小刻みに舌で舐める。
「ひあっ、す、吸っちゃ、駄目、ぇ……っ」
 さらに強く吸い上げる。吸う強さに比例して少女の声が大きくなっていく。開いた左の手はもう片方の乳首に対しローションを塗りこむようにマッサージする。
 体の痙攣がさらに強くなる。
「あ、あぅ、う……ん、ひぁ、あ、ああ、あああっっ!」
 最早声にならない悲鳴を上げて、絶頂が近い事を示している。
 そしてその声が最高潮に達するその瞬間、少年は口で強めに甘噛みすると同時にもう片方を抓り上げた。
「いぎ、い、か、あ、ああぁぁぁっっ!」
 絶頂に更なる追討ちが加えられ、その証として少女の股の間から二種類の液体が噴出す。片方は透明の、もう片方は薄い黄色の液体。
「っはぁ、はぁはぁ……」
「またお漏らししちゃっんだ」
 呼吸が落ち着いてきた今までも断続的に身体を震わせ、そのたびに短く失禁する少女を見て、満足そうに笑った。
 同時に少女の死角ではローターが開封され、そのうちに二つが手に握られた。ひそかに少女の蜜壺に狙いを定める。
「だ、出したくて出してるわけじゃないわよ……」
「判ってるよ。だからお漏らししないように、少し練習しなきゃね」
 反論を待たずに唇を重ねる。そうやって視界を塞いでから、絶頂を迎えたばかりの身体に二つのローターを押し込んだ。
「んっ、んむ、んんんっ! 」
 予期しなかった異物の感触に躊躇う。構わず親指を触手に変形させ、届く限り奥まで押し込む。
 そして、間髪いれずにスイッチを入れた。
401人造×吸血:2006/07/22(土) 01:47:17 ID:zTFNomiV
絶望した! 一週間にこれしか書けない自分に絶望した!

筆の遅い自分が恨めしいです。皆様ご迷惑おかけしてます。
あと1ラウンドぐらい続きますんでもうしばらくお付き合い下さい。
402名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 03:19:20 ID:hmPVRQSd
歓喜した!まだまだ次があることに歓喜した!

ええ、いくらでも待ちますとも。待たせていただきますとも!
403名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 06:14:56 ID:ezNDiqtE
GJ!!!!!1111!!!!!
人外ロリがしとどに股を濡らして少年を求めるというシチュ素敵すぎるwwww
404名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 12:24:26 ID:mVrU80cL
ルージュP139にて
メイジちゃんが《タクティクス》を使用、アコちゃんが《ウィークポイント》を使用
で行動値+6、ダメージに+6とあり、《タクティクス》の効果は[SL]×2を行動値に+、
つまりメイジちゃんは《タクティクス:Lv3》となり、ライフパス【人工生命】を考慮
してもレベルアップが必要、章末の経験点計算で

ベート  2
ギーメル 1

となっているから2レベルなのはベートの方なので

メイジちゃん=ベート
アコちゃん=ギーメル

となる。ベートはボクっ娘。しかもけなげ。

名前も判明したので誰かエロいSSプリィィィィズ!!
405名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 12:49:06 ID:I0OlkVlv
ガーベラに濃厚に可愛がられてるとこしか思い浮かばんなあ。
しかし、ですます口調でやたら強い女剣士ってなんか苦手だ。

それはそれとして、401、果てしなくGJ。
406『Diptera』:2006/07/22(土) 12:52:50 ID:Vmm+v+4O
>404
じゃあ何か、そうやって突き止める楽しみを提供する為に二人のレベルを揃えなかったのか!
407名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 16:22:33 ID:lr2tEx/T
>>404
卓ゲのアリアン本スレでセフィロトの樹のパスの名前がベート(魔術師)とギーメル(女教皇)だから
ベートがメイジ、ギーメルがアコライトだ、って話が有った。
408名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 18:27:57 ID:vdoTZbO7
リインフォースの某エネミーを見てネタを思いついたんですが、サンプルキャラ×エネミーはありでしょうか?
というか、今までそういうネタはありましたか?
409名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 19:36:52 ID:Tqq3iyG3
でもマッスルームだけは勘弁な。
410名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 19:59:54 ID:I0OlkVlv
アリだと思うぞ。エネミーにもよるが。
……でも触手×ドゥアン男とかは勘弁だ!
411名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 20:06:07 ID:+YvfiZEC
>>410
何!?じゃあメデューサの髪の毛攻撃とかも駄目なのか?
石化の魔眼で自由を奪い、髪の毛による触手愛撫と淫毒で逞しいオノコを嬲るエロメデューサ。
どうだ!これでもダメか?
412名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 20:14:31 ID:mX47wgik
寧ろメデューサたんが自らの蛇を使っての拘束&自慰ショー
413410:2006/07/22(土) 20:31:43 ID:I0OlkVlv
>>411
俺が悪かったァァァッ!!
【男泣き】
414名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 20:47:00 ID:iahgBoip
むしろエネミー×エネミー。ウンディーネ×ドライアドとか。
ストーリー思いつかん。

そのうちARAサンプルキャラも書いてみたいとは思う。
ガンスリンガー×ダンサーとかセージ×忍者とか。
415名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 21:17:41 ID:mJYLsGJ2
剣の伝承者×未来の英雄とか読みたくなった
416名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 22:11:52 ID:igWIMPdv
>410->413
ドゥアンがショタっ子だったら何かマズイのか?

【馬鹿は大真面目に言っている。】
417名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 23:38:33 ID:I0OlkVlv
>>416
ドゥアン的ショタっ子は身長180cmくらいじゃあないのか。

ところでアリアンロッドと言えば、今更だがノエル一巻、P174。
ノエル:あ、あぅー……う……お、おっきぃ……。
418鋼の爪牙×?? 序章:2006/07/23(日) 02:59:48 ID:C/GgqsCk
許可が下りたようなので、サンプルキャラ“鋼の爪牙”×某エネミーネタを書かせて頂きます。
前フリ長い上に、今回尻切れトンボですが、出来ればお付き合いお願いします。


「はぁ……はぁ……」
少女は、逃げていた。どこかの谷間の、浅い川を、足下の水を撥ねながら。
服はあちこち擦り切れ、披露で体が鉛のように重い。
しかも、一人ではない。彼女は、一人の女性を必死に背負って歩いている。
その女性は、更にひどい有様だった。元は淡い青だったであろう服は、所々が血で赤く染まり、気を失っているのか目を閉じたまま身動き一つしない。
『追っ手』からはだいぶ離れた…はずだ。だが、もはや体力は限界に近づいている。
不意に、苔でも踏んだのか、少女は足を滑らせた。小さな体が水面に叩きつけられ、しぶきが上がる。
必死に起きあがろうとするが、披露と、背負った女性の重みで動けない。
涙が出た。悲しくて。悔しくて。情けなくて。身を呈して守ってくれた姉を、守ることが出来ない自分が。
そうしていると、突然日が遮られ、風を叩く羽音が聞こえた。
何とか首だけを動かし、空に目を向けると、巨大な影が映った。
“自分たちとよく似た”コウモリのような翼を拡げた影が。
『それ』の口には長く鋭い牙が並び、腕らしき部分に先には、同じく鋭い爪が伸びている。
そして、『それ』はゆっくりと、だが力強い羽ばたきで彼女の前へ降りたつ。
「ひっ…!」
少女は、その圧倒的な存在感と、凶悪な外見に恐怖し、声にならない悲鳴を上げた。

『それ』が再び飛び去った後、そこに彼女たちの姿は、無かった。
419418:2006/07/23(日) 03:03:34 ID:C/GgqsCk
誤字った…しかも二ヶ所とも…orz

披露→疲労 です
420名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 03:13:31 ID:MwWmGSOY
なァ、sageようぜ。
421鋼の爪牙×?? 1:2006/07/23(日) 03:57:18 ID:C/GgqsCk
その日、俺はマーレスという小さな町に立ち寄っていた。
特に用事があったわけじゃない。もとより、俺が個人的な理由でどこかへ行くことなど滅多にない。
冒険者として各地をまわった俺は、常に剣を振るっていた。それしか、出来ないからだ。
受ける依頼も「どこそこで暴れてる化け物を退治してくれ」だの、「山賊を退治してくれ」だの、血なまぐさい仕事ばかりだ。
俺にとっては、命を奪うということは特別な事じゃない。相手が人間だろうが化け物だろうが、金になるなら関係ない。
そう、俺にとっては、他の命など自分を生かすための肥やしでしかなかった。

そうやって、ただ剣を振れば済むような仕事だけを求めて歩いていた俺がこの、水の綺麗さだけが取り柄の町に来たのは、全くの気まぐれだった。
とりあえず、最近ゆっくりと休息を取っていなかったので、のんびりしようと宿屋に荷物を置き、町を散策に出た。もっとも、相棒の魔剣だけは背負っていったが。
ここは穏やかな所だ。水が綺麗なおかげか、住人の顔はみんな明るく、殺伐としたところがない。
と、思っていたのだが…。
「おいおい、ぶつかっといて挨拶もなしかい?」
下品な男の声に振り返ると、一人の娘が、数人の柄の悪い男たちに囲まれていた。
片手にバスケットを持ち、今にも泣き出しそうな顔でオロオロしている。
ttp://www2.spline.tv/bbs/marujyuu/?command=GRPVIEW&num=6221
「嬢ちゃん、一人か?お兄さんがいいところに連れってやろうか?」
男の中の一人が言うと、他の連中もげらげらと笑う。
娘はただどうしたらいいか分からないというように、男たちを見上げているだけだ。
ああいった連中は何度も見てきたが、どこにでもいるものだと少々感心してしまう。
ともあれ、せっかくのいい気分を壊されて少々腹が立った。
俺は軽く首を鳴らすと、ゆっくりとそちらへ歩いていった。
422鋼の爪牙×?? 2:2006/07/23(日) 04:03:26 ID:C/GgqsCk
「へっへっへ…ん?なんだてめえ…は…………?」
俺の接近に気がついた男が凄みかけるが、背中に背負った大剣にびびったか、声が尻すぼみになる。
「真っ昼間から大の男がこんな子供を口説いてるなんて、みっともないと思わないか?」
気には入らないが、一銭にもならない喧嘩などする気はないので、出来るだけ穏やかに話す。
「はぁ?何でてめぇにそんなこと言われ…」
「お、おい、ちょっと待て。こいつ、もしかして……『鋼の爪牙』の…!」「な、何だと?!」
一人が狼狽した声をあげると、他の男たちも焦り始めた。どうやら、俺の名を知っている奴がいたらしい。
奴らはしばらく顔を見合わせていたが、俺の二つ名を言い当てた男が進み出て、へりくだった口調で言ってきた。
「へへ、失礼しました。まったくアンタの言うとおりでさぁ。それじゃ、俺らはこれで」
それだけ言うと、男たちはそそくさと立ち去っていった。
そしてそこには、バスケットを抱えてぽつんと立っている娘だけが残された。
423鋼の爪牙×?? 3:2006/07/23(日) 04:09:00 ID:C/GgqsCk
とりあえず、俺は娘の方に視線を移し、一通り観察する。
年齢はヒューリンから見れば14、5といったところだが、銀髪で耳の先端が長く尖っているので、エルダナーンかもしれない。
小柄で華奢な体格で、大きな碧色の瞳は、活発さよりはおとなしさを感じさせるが、今は少し怯えたように震えている。
服装は淡い青色の詰め襟と、膝より少し上までの白いスカート。飾り気はないが、額に巻かれた紺色の布がアクセサリーと言えなくもない。
はっきり言って、美しいといって差し支えないだろう。まぁ、この場合は愛らしい、の方が適切か。
別にこれ以上関わる必要もないのだが、なんとはなしに彼女の方へ歩を進める。
びくりと身体を震わせ、瞳に怯えの色が濃くなった気がするが、無視して顔を同じ高さへ持っていく。
「この町の子か?」
俺の問いかけに一瞬固まったが、彼女は間をおいてふるふると首を横に振る。
「一人でここに来たのか?」 またもや横振り……まさか、この年で迷子か?
「連れはどこにいるか、分かるか?」 またまた首は横に振られた。やはり迷子のようだ。
俺は深くため息をつき、考え込む仕草をした。彼女は不安そうにこちらを見上げている。
「そうだな……じゃあ、お前が歩いてきたところを逆にたどってみるか。そんなに広い町でもないし、運が良ければすぐに見つかるだろう」
俺がそう言うと、彼女はまた驚いたような顔をしたが、やがて意を決したように頷いた。
「よし、なら行くか。そういえば、名前はなんと言うんだ?」
今度の問いには、きちんと返答があった。だだ、蚊の鳴くような小さな声で一言。
「……リリ…」
424鋼の爪牙×?? 4:2006/07/23(日) 04:16:52 ID:C/GgqsCk
リリのとなりについて歩いていると、ふと今更ながら俺の頭に一つの疑問が浮かんだ。
(何で俺はこいつに付き合っているんだ?)
この臆病な娘とは、つい数分前に知り合ったばかりで、義理も何もない。
なのに、気がつくと自然に付き添ってやっている自分がいる。
そんなことを考えながら彼女に視線を下ろすと、不意に目が合ってしまった。やはりというか、慌てて目を逸らされてしまったが。
その様子が、人間に見つかると飛び上がって逃げ出す小動物のように見えて、思わず頬が緩んだ。
どうやら、この娘が気になるのは、そういった小動物に対する愛護心に近いものらしい。
そう思うと、俺にも動物を慈しむような心があったのかと、自分の事ながらおかしくなってくる。
苦笑しながらもう一度リリを見ると、今度は彼女が手に提げているバスケットが目に付いた。
中に入っているのは、パンなどの食料品と、包帯などの医療道具だ。ポーションと思しき数本の瓶も見える。
口べたなこの娘から可能な限り聞き出した話では、この町の郊外に住んでいるらしいが、姉が怪我をしてしまったので、グレイという男と共に治療に必要なものを買い出しに来たらしい。
 素直に神殿に連れてくればいいと思うのだが、命に関わるほどでもないのでそこまでしなくていい、と言われたそうだ。
 そして薬と包帯を買い、果物屋で好きな果物を選び、パン屋でグレイがパンを買いあさっている内にうっかり外に出て町を追いかけていたら、自分がどこにいるか分からなくなっていたという。
 あんまりといえばあんまりな理由に、苦笑いしか出てこなかったが、医療具を買ったという神殿経由で果物屋とパン屋の場所を聞き出し、グレイを探し回った。
 しかし、それらしき人物を見つけることはできなかった。
425鋼の爪牙×?? 5:2006/07/23(日) 04:20:22 ID:C/GgqsCk
「ふぅ、やれやれ……意外と、見つからないもんだな」
結局、俺とリリは一通り町を回ってみたものの、連れ合いのグレイとやらはどこにも見あたらない。
広場のベンチに座ってしょんぼりとしているリリがいたたまれなくなり、俺は近くにいた露店で飴を買ってきて渡してやった。
 最初は何か分からない様子で、「これ、食べれるの?」とおそるおそるポメロの形をした飴を見つめていたが、口に入れてみると、途端にこれ以上ないような幸せそうな顔になった。
「美味いか?」 「…うん」
 飴を頬張りながら、満面の笑みを浮かべるリリ。初めてみるその笑顔に、俺も不思議な安らぎを覚えると同時に、何故か悲しいような、複雑な気持ちにもなった。
 と、その時。
「リリィィィィィィィ――ッ!!」
 叫び声と共に、俺たちの座るベンチの方に一人の男が突進してきた。
 男は俺の方には見向きもせずにリリを抱きしめ、物凄い勢いでまくし立てた。
「リリ!どこに行ってたんだ!?心配したんだぞ!!物凄く心配したんだぞ!!無事でよかった!!本当によかった!!お前に何かあったら、アゼリナに何て言えばいいか―――!!」
「ぐ、グレイ…苦しいよ」 「…っと、すまん…」 リリの抗議に、男は慌てて腕を離した。
 「…で!お前は誰だ!?リリをどうする気だったぁ!!?」
 そして、その男はたった今俺の存在に気付いたかのように俺の方を見ると、今にも掴みかからんという勢いでこちらに身を乗り出してきた。
どうやら、この男がリリの連れのグレイらしい。前髪を真ん中で分けた黒髪と夜の闇を封じたような漆黒の瞳に、切れ長の鋭い目。身長180を越える俺よりも更に頭二つ分ほど背が高く、簡素な服から伺える肉体は、一分の無駄もなく鍛え抜かれている。
 これまた美形と呼んで差し支えない容姿だが、かなり気が動転しているお陰で、すっかり台無しだ。
「いや、これはだな……」
「待って、グレイお兄ちゃん……。この人は…わたしを助けてくれたの…」
 俺が言い訳を始める前に、リリがグレイの裾を掴み、制止してくれた。その一言で、グレイは大人しくなり、非礼を詫びた。しかし、何故か俺を見る視線から、敵意は消えていなかった。
「…リリを助けてくれたことには礼を言う。だが、もう近づくなよ」
 ぶっきらぼうにそう言うと、グレイは「さ、帰るぞリリ。姉ちゃんが心配する」とリリに声をかけて歩き出した。
 リリは、迷ったように俺とグレイを交互に見ていたが、俺の方にすたすたと歩み寄り、スカートのポケットから、澄んだ青い石がはめ込まれたアミュレットのようなものを取り出した。
「……ありがとう。助けてくれたのと、一緒に探してくれたのと、キャンディーの、お礼」
 俺がそれを受け取ると、にっこりと微笑んで、彼女はグレイの後を追いかけていった。
「………やれやれ、何だったんだろうな」
 俺は、遠ざかるリリの背中を見送りながら、言い知れない満足感と、ほんの少しの虚脱感を感じていた。
426鋼の爪牙×?? 5:2006/07/23(日) 04:27:59 ID:C/GgqsCk
とりあえず、今回はここまでです。我ながら下手やのう。
アレなシーンは後ほど…書けるといいなぁ(弱気

420<失礼しました
427よげんしょ:2006/07/23(日) 13:15:12 ID:3OCteGrJ
電波ゆんゆんのナイトウィザードの未来の預言書ネタ。山無し意味無しオチなし

その預言書の欠片がくれはと柊の前に落ちてきたのは帰り道の事だった。
くれはは何気なくそれを見て絶句した。
自分が柊の物を舐める事、柊が自分の腕を縛る事……。
柊と自分の赤裸々な事がそこには書かれていた。
「おい、くれは!どうしたんだ?」
ひょこっと、柊が後ろから声をかける。
「なっなんでもない!」
そう言ってごまかすが、慌てたせいで後ろ向きに倒れてしまう。
「はわっ!」
慌てて柊の服のすそを掴むが、その勢いで柊が覆いかぶさるように倒れてきた。
体が一瞬強張るが柊が頭の後ろを庇うように抱えてくれたため、それほど痛くは無かった。
「大丈夫か?」
「柊……」
そう言って、くれははじわりと涙を流しながら言う。
「ここじゃだめえええええええっ!」
菩薩掌が数発柊のほっぺたにぶつかり、腫れさせた。

「いっ一体なんだよ……」
泣きながら走っていったくれはを見ながら、柊はくれはの落とした預言書を見つけた。
「なっ!」
自分がくれはを犯す。その行為自体が信じられなかった。
「………あやまらねえと」
0-PHONEにかけるが、何故かエーテル波の届かない所にいますと言われた。

くれはの家に行ってもまだ帰ってきてないと答えられた。

町中を探し回る。幸い、くれはの行きそうな場所は一通り回ってみた。
いなかった。くれはは何処にも居なかった。

しょうがなく家へと戻る。姉は現在ちょっとでかけるから留守番お願いと言われてた。

「お帰り、遅かったね」
そう、声がした。姉は出かけてるはずなのに。
「くれは?良いのか?」
そうたずねる。自分に犯されても良いのか?そう聞いた。ゆっくりと抱きしめる。
「……うん」
そっと柊はくれはを抱き上げる。いわば『お姫様だっこ』と言う奴だ。
「やさしくして」

ごめん。ここまで。
428名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 18:06:58 ID:MwWmGSOY
乙。もちょっと纏めてから落としたほーがいいかも。

ところでノエルの格好って微妙にきわどいよな。ハーフパンツのラインとか。
アリアンロッドでエロ活用ができるスキルってなんだろ。
429名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 18:10:43 ID:2G1v1UDj
ルージュ二巻より、ノエル変な語録集。

「お、おっきい……ですね……」
「あ、やあっ」
「ゃあだ……もう……ぅ」
「ト、トランさん―――っ! もうっ、もうっ……ほんとにもうっ……!」
「くるっ……きます……ぅ」

なお細部は若干変更、所により削除してます。
どう見てもトラン×ノエルです。
430名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 18:17:30 ID:MwWmGSOY
素晴らしい。「素でおいしい人」の看板に偽りなしだな。
431名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 21:13:24 ID:a408TPYU
バカヤローもうそうとしか見えなくなった
責任とってトラン×ノエルの萌えエロSSを書くように
432名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 22:57:46 ID:RUdzr8iX
>429
素晴らしいっ! すばらしい英知です!
433名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 23:31:30 ID:k4npWLnR
つーか、某木葉楓の出演作品からぼやんとしたヒロインの声集めれば(ry
434名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 00:16:55 ID:CAhagSyO
いや、普通に東鳩2やローゼン等の力丸の仕事だけでいける。
435名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 00:25:23 ID:PVgkKknn
そういや力丸氏はXrateedでは声当ててないよな?
公式調べてもCV紹介が無かったんだが。
436名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 00:31:42 ID:CAhagSyO
スッタフロールにもキャストの部分はないので誰だかわからないのです。
えぇ、本当に誰だかわからないのです。

【馬鹿は人差し指をぐ〜るぐ〜るしながら言った】
437名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 00:32:22 ID:TUyU0Wqo
当ててるよ
438『Diptera』:2006/07/24(月) 01:00:27 ID:waLhjB2G
アム「当ててんのよ!(ドギューン)」
439名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 10:49:07 ID:TZKQ44D9
ヒント:PS2版とXrated版で聞き比べる
440名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 14:03:27 ID:g5sxkOLT
そうか〜って事は力丸ボイスで
「もっと○○○○する」発言が聞けるのか。すげえや。
441名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 15:04:17 ID:jfPAMIJR
狙ってるのか! と問い詰めたくなるほどでしたな。

・・・・頭の中で、大首領とトランとノエルの三角関係勃発。
当然、大首領は萌え美少女の方で!

・・・・なんかもー、色々と腐ってるような。
442名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 18:11:07 ID:0Po7SdIJ
>440
それ主人公の台詞だぞ
443名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 19:14:04 ID:gcYN2lOd
調べてみたら、スイートリップの中の人もノエルだったんだな。
しかしノエルは実に良いキャラだが、話題がこれだけというのも寂しい。
何かホットでエロい卓ゲネタは何かないものか?
444名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 20:59:46 ID:aoRNMCz/
いまシーンをにぎやかしていると言えば焼き肉全裸・・・・・・じゃなかったデモンパだが、
あえて六門Wでとか言ってみる。
445名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:27:21 ID:js5eZXfZ
>>443
じゃあNW魔王ズの話でもしようか
446名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:08:53 ID:cqMmFyFN
そんなことよりもコミケの話をしてくれよ
447名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:13:38 ID:2FpSgcwi
シャイアラ「わーん、久しぶりだよマロウしゃんの!ちゅー、ちゅーっ、ぷっは〜。
       うーん、これこれ、この味〜!!」
      「は〜。美味だったわ。やっぱりマロウのが一番おいしい。」

いろいろ問題発言はあるんだがなぁ。やはり中の人がなぁ。
いのりに萌える気にならないのと同じ原理だよなぁ。
448名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:48:11 ID:JDJkz1rw
>447
中の人がヒゲオヤジだろうが金三角だろうが普通に萌えられるが…‥
449名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 02:23:18 ID:JDwgpez9
NEXTかー。単独スレがあるからこっちじゃ余り話題にならないが、
取り敢えず猟奇趣味に目覚めたクレスポはヤバかった。

……あ、でもちょっと猟奇気味なのっていいなあ(何
450名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 03:21:28 ID:KFo6sTLD
ではカオスフレアの公式シナリオ『イオニアの秘宝』で
『命に別状はないが激しい尋問』をされたマリア博士なぞどうか
451名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 04:16:27 ID:Bslli3g+
マリア博士と言えば臍だと思うんだけどどうよ?
452名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 04:48:49 ID:KFo6sTLD
>>451
黒髪で獣耳でポニーテールでシャツでタイトで博士で臍だな

きっと酒呑むとエロエロなんだぜ!
453名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 10:44:48 ID:hSW30sYJ
>450
射精できぬまま寸止めされたり、
逆にローターつけたまま放置でイかされまくったり…
454名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 10:51:07 ID:JDwgpez9
カオスフレア持ってないんだが、
そのマリア博士とやらについてより詳しくと拷問云々の前後の状況をタノム。激しくタノム。
455名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 11:01:54 ID:hSW30sYJ
ネタバレの無い範囲で解説するなら、とりあえず捕まってて
助けに行くとこう描写されるだけ。

“基地の奥深くに、マリア・カスタフィオーレ博士は博士はつながれていた。
 ひどい尋問を受けたようだが、どうやら命に別状はなさそうだ。キミたちが来たのに気づいた〜”以下云々

あと、つながれてるイラストで服とかボロボロだったり臍が出てたり(こういうファッションのようでもある)
いやあ、妄想の余地がありまくりですねえ
456名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 11:37:49 ID:9WTIdpyn
しかも先日のR&Rの記事で再登場した際に
『明るく元気でマッドなお姉さん』キャラになっていたのでファン急増。
457名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 14:13:50 ID:KFo6sTLD
でもって科学の信奉者
完全無公害の夢の動力機関を発明し
それによって動くMTつう人型兵器を開発した

情熱型の天才肌とかなんとか
458名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 00:41:42 ID:Z6CU6uK1
顔とか腿とかの傷跡見るに鞭で打たれたようでもある
459名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 03:02:04 ID:/cFVaSDu
ソードワールドには昔から「電撃バリバリのおねーさん」というものがあってだな……。
460名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 16:35:28 ID:aUUz8gYS
そういやBBNTの表紙のキャラ、地球ドミニオンの守護者っぽいとは判るんだけど、
性格とかいろんな詳しい設定ってどんなのなのかな。
凄まじくエロい表紙だと思うのだが(w
461名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:43:18 ID:leGUmoq3
あれは確か旧BBのリプレイ(なぜか平野耕太が参加したヤツ)の
ヒロインNPCだったはずだが>地球ドミニオンの守護者
462名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 18:35:13 ID:asAA95Az
    精神
女性・力 男性・知性  ←BBNTの表紙はこういう
    物質         (魔術的な意味合いを持たせた)組み合わせだって地平で言ってた。
463名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:02:53 ID:Vglzqa9U
そういえばそのリプレイはどこに載ってたんだっけ…先輩ンとこで読んだ覚えはあるんだが。
どっかの雑誌か、それともサプリのミレニアムか……知ってる人、教えてくださいm(__)m
464名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 20:41:35 ID:897EFz4f
>>463
サプリのミレニアムじゃよー
465名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 21:52:04 ID:FEQ1sUHz
アリス=ハイロドフィールド博士(だっけ?)ってのを思い出したのだが>マリア博士
466名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 03:35:36 ID:h8QJTZdh
>>465
誰が『夜桜忍法帖』のNPCなんて憶えてるんだとかガタガタ(ry
467名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 03:37:50 ID:ic21lZje
>>462
  タイトル(?)
巨乳   貧乳
   骸骨
とゆー事か。
巨乳と貧乳か百合百合な関係に見えてならない。
468名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 05:05:50 ID:OVM/ql2M
あれはおとこのこだろ。百合にはならないよ(ぐるぐる眼)。
469名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 08:45:21 ID:1ZTH87b3
>464
thx
…手にはいらねぇよ(つДT)
470名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 13:55:39 ID:ULiGw+qE
残念賞
471名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 03:46:09 ID:1qMtvH8v
ミレニアムは今も売ってるぜー?
472名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 08:57:18 ID:DmU8PuZr
>>453
>「射精」にだれもツッコミを入れないあたりがライフパス7番クオリティ
473名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 09:46:11 ID:Cwt3BrOC
あったりめえじゃろ? [なんでだよ]
474名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 11:19:48 ID:0BD4O8nx
科学的興味ではやしちゃったところ、
はまってしまったマリア博士の日常を所望
475名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 15:35:36 ID:4HfCNl8v
保管庫のNWSS『聖夜点描(9-627)』が読めないのは私だけ?
476名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 15:56:01 ID:u0iqkiQh
そーいえば読めないな。リンクミス?
管理人殿、多忙のところアレだが、カキコに気付いたらヨロシク。

……ところでパワーオブラブを聞き返してて、
寡黙な無骨者だけどレンに誠実な想いを向けているくれは(♂)と、
明るい笑みの裏に淫蕩さを隠し持ち、虎視眈々とレンを狙うグィード(♀)、
そしてなーんも気付いていないレンの微妙な三角関係という妄想が浮かんだ。
477名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 10:42:35 ID:zSpmTiZu
週末だっつーのに微妙に静かだな。
478名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 17:38:00 ID:9SivrP1x
実プレイ中では
479名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 21:59:15 ID:zSpmTiZu
くそ、みんな遊んでるわけか。いいなあこんちくしょう。
480人造×吸血:2006/08/01(火) 17:38:04 ID:vWngvGTo
諸事情により遅くなりました、短いですがこれで最後です。
481人造×吸血:2006/08/01(火) 17:38:46 ID:vWngvGTo
 そして突如襲い来る、突き上げるような快楽の波。
 少女の体にとって二つのローターによる圧迫感は並大抵ではなく、その振動は膣全体を揺るがすように少女を追い詰める。
 しかしこれで終わらせるつもりは無い。少年は少女の体を床に押し倒し、両腕をその頭上に押さえつけた。そして口付けしたままの唇を一度開放した。
「ん、あんっ、駄目、これ出してぇっ! まだイったばっかでっ、また、またイっちゃうぅっ!」
「まだイっちゃ駄目だよ。僕もそこに入るんだから」
「……? っ! いや、これ以上何も入らないよぉ!」
 涙目の訴えは無視された。開いている腕でズボンのベルトを外し、チャックを下ろす。真っ白な肌に包まれた少年のそれが露になる。
 その大きさに少女の顔が恐怖で引きつる。もう声を発する事も無く、ただ顔を横に振るだけだ。
「……行くよ」
 洪水と表現してもよい程潤んだ処女の膣口に先端を宛がう。
「や……やだぁ……」
「煩いな、僕がすることなら何でも嬉しいんなら……少し黙ってろよっ!」
 冷たく言い放ち、手で口を塞ぐ。そして少年は、自分の欲望を一気に突き刺した。
 少女の純潔だった事を証明するかのように、一筋の血が零れた。
「……っ」
 ただでさえ狭い上痛いほど締め付ける少女の柔肉。それでも中で蠢くローターを押しのけながら、少女の体内に深く潜り込む。 
 少年の恐慌を一身に受ける少女は、もう何も喋らない。ただ硬く目を瞑り、非情なほどの快楽と苦痛に耐えるだけだった。
 腰を前後に揺らすたびに少女の蜜が溢れる。それが潤滑剤になり動きがさらに激しくなる。
 少年の体格と比してもかなりの大きさである。少女にとっては全部飲み込むのも難しいだろう。だが少年は最奥に叩きつけるように動き続けた。
 腰が数往復するごとに少女が絶頂に震える。その度に少年の肉棒が強く締め付けられ、それが更なる快楽を呼ぶ。そして少年の動きもますます激しくなる。
 少女とって天国とも地獄ともつかない循環が続く。少年は口をふさいでいた手を離し、少女の上に四つんばいになるように身体を支えている。
 少女はもう動かない。ただ口からと息が漏れるだけで、閉じていたまぶたも開かれウツロな視線で少年を見つめている。
 愛液がかき混ぜられて泡になるほど動き、少女が肉棒を締め付けるだけの肉塊と成り果てた頃、少年は最初の恍惚の時を迎えようとしていた。
 発射の瞬間、今までで一番深く腰を密着させた。
「くぅっ……だ、出す、よ……っ!」
 欲望が放たれる。少年は身体を強張らせ、しかし一滴でも多く注ぎ込むように腰を動かす。
 凄まじい快楽と開放感が少年の頭を支配していた。そして一拍おいて感じるのは震えるほどの征服感。
「あ……」
 絶頂の連続と身を裂くような苦痛で正気を失った少女の頭は、もはや体内に染み込む少年の熱しか認識していなかった。
482人造×吸血:2006/08/01(火) 17:39:51 ID:vWngvGTo
「はぁ、はぁ、はぁ……」
 少年の荒い息遣いが響く。
 少女は動かない。小さな胸が上下し、息をしていることが判るだけだった。
 少女の名前を呼ぶ。反応は無い。
 もう一度呼ぶ。答えない。
 ただ感情の無い瞳が少年を、いや、少年の向こうにある天井を見ていた。
 そこまで来て始めて自分のした事を思い出した。
 処女であり、幼いままの身体を何の手加減も無く快楽の道具にしたこと。
 心地よい疲労感は全て凍りついた。代わって圧し掛かるのは罪悪感と恐怖。
 大声で名前を叫んだ。肩を掴み揺さぶるが、それでも反応は無い。
 今から過去に戻って自分を切り刻んでやりたい衝動に駆られた。そしてその衝動すら免罪符にならないことに気がついた。
 もうあの無邪気な笑顔が見られないのかもしれない。そう思うと、自然と涙が零れた。
 一度溢れた涙は止まらず、少年の頬を濡らしていく。雫は少女の柔肌を濡らした。
 少女の体を掻き抱き、嗚咽を隠すこともせず子供のように泣き続けた。
 不意に、頬に暖かい感触を感じた。
 それは少女の掌の温度だった。
 少女の顔を見る。彼女は笑っていた。
「泣いちゃ、やだよ。わたし、うれしかったんだから」
 声が出なかった。
 少女はただ優しく笑っていた。
「少し痛くてびっくりしただけだから……そんなに泣かないで」
 少女の指が涙を拭った。もう涙は流れない。
「だいすきだから」
 少年の胸に顔を寄せながら、少女が言った。
 全身が暖かさに包まれたように少年は感じた。その暖かさを逃がさないように強く抱きしめた。
「だいすき、だよ」
 少年に答えるように少女の腕も背中に回された。
 少年は最愛の人の言葉に答えなければならない。
「僕も」
 情けないほど涙声だ。でも言わなければならないと思った。
 人造人間の少年にとって、かつて自分は世界を守るための道具だった。
 人を守るのは当然のことで、自分の価値は常に他人より下だった。
 しかし今の少年には、自分の生い立ちや用意された存在意義の全てがどうでも良かった。
 自分の意志で決めた守るべき人を見つけたと確信していた。
「大好きだよ」
「……うんっ!」
 少女が笑った。
 先ほどの包み込むような優しい微笑ではなく、子供らしい無邪気な笑顔だった。
「ところで」
「?」
「いい加減、んっ……抜いて、くれない、あんっ、かなぁ? ローターも……」
 少年は少女と繋がったままだった事に、今頃気がついたのだった。
483人造×吸血:2006/08/01(火) 17:41:25 ID:vWngvGTo
 翌日。
「御飯まだ?」
「今作ってるよ」
 例によってあまり起きるのが早くない少女は十時過ぎに目を覚まし、素肌に毛布一枚と言う格好で朝食の催促をする。
「手伝いたいのは山々なのよ?」
「……」
「でもね、腰が動かないのよ。誰かさんが予想以上に元気だったせいで」
 実はあの後二人でシャワーを浴びようとしたのだが、少年の行為が激しすぎたのか腰を痛めたらしく。
 かくして少女はベッドの中で日がな一日ごろごろしており、少年はその世話を焼いているのだった。
 自分の所為だと言うのは分かっているのだが……少年はフライパンを動かしながら、密かにため息をついた。
 同時に、今日が日曜日で本当によかったとも思った。
「出来たよ」
「あら美味しそう」
「ここ置いておくからね」
「食べさせて」
 少年、お盆をサイドテーブルに置いたまま硬直。
「あーん」
 雛鳥が餌を待つように口を開ける少女。シーツは膝の上に掛けられたのみで、なだらかな胸も下腹部も少年の目に晒されている。
「あ〜ん」
 仕方なくスクランブルエッグをフォークで突き刺すと、
「口移しよ。親鳥がやるみたいに」
 どうやら本当に雛鳥のつもりだったらしい。
「でなきゃ食べないもん」
「……」
「あ――――――ん」
 少年は観念して、卵を口に咥える。
「んっ……」
「――――これで良い?」
 満足そうに頷く。
「次スープ」
「もしかしてスープも口で?」
「当然ね」
 全部食べきる頃には朝食が昼食になっているだろう。
 それでも、今は彼女のお願いをため息交じりで聞いていたい気分だった。
「これ食べ終えたら……」
「食べ終えたら?」
 スープの器に口をつけながら少年は聞き返した。
「昨日の『続き』、しましょう? 次はそんな痛く無いと思うし、もっと頑張れると思うの。それにね……」
 少年の顔を見上げて、楽しそうに微笑みながら。
「今度は私が、あなたのこと気持ちよくしてあげたいの」


 結局、月曜も学校を休む事になった。
 寝室で、居間で、風呂場で。
 『気持ちよくしてあげる』宣言に偽りは無く、幾ら人造人間でも……弾切れが無いわけではなかったである。
484人造×吸血:2006/08/01(火) 17:45:23 ID:vWngvGTo
前編一気に書き上げないとやっぱ辛いっすね……
何かぶつ切りな終わり方になっちゃったし。
お目汚し失礼しました。


もしALSffでメロウのサンプルが乗ったたらそいつでなんか書きたいのう。
まあその前にルルブ買わなきゃならんのだが……今度は強くなってるんかなぁ、メロウ。
485名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 18:11:54 ID:9dbPushf
素晴らしくGJ。人造人間君きちくー。
486名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 19:50:46 ID:FUN5Tlck
GJー。
激しくラブいー。

あと、名前を出さずに色々書く手管を勉強させていただいた。
487名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:38:37 ID:LfbM1u/7
ttp://game9.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1139902171/505-506

これ、絶対506がだんだんと擦れて気持ちよくなったために止められずにすりすりぐねぐねと動き、
505は寝たフリで対応してたが、さすがに止めた方がいいよなって思って声をかけると、
お漏らししながら506がイっちゃうって展開だよね。
488名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 03:32:51 ID:0hD7WQnG
ここの住人の妄想力は異常
489名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:11:37 ID:Stlvepmy
>>488
鍛えてますから。
490名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 13:30:56 ID:LOWPZahD
>>489
夏だから更に鍛えないといけないな。
491名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 15:08:19 ID:vdTa3erj
>>490
メシア教徒がそれをいうか
492いつふた%マルチ感想レス1/2:2006/08/06(日) 07:59:36 ID:o8wQM1sU
 遅ればせながら、保管庫の管理人様、更新お疲れ様です。

>227
 トランのファンと称する知り合いの女性PLにこれを読んでもらったところ、
大首領たんの良い子さ加減に感銘を受けたらしく、
「おじいさま、何で犯罪集団なんか作ったんだよぅ」
 と嘆いていました。

>283
 でもんぱ知らないけど楽しませていただきました。いい仕事してますねぇ。

>312
 “紫紺の華”の描写がゾクゾクするほど丁寧で綺麗で、特に、
>私が完全に人間を捨てたら、(中略)愛らしい生物になるに違いない。
 ここが一番彼女らしいと思いました。婉曲にして的確な表現というか。
 いや、ルルブ不所持なんで、地下スレで仕入れた“華”のイメージで言って
いますが。

>328
>おれさまちょうしょんぼり
 済みません、今のところ覚醒篇の続編は、どうしても納得のいくものが書け
ないんです。裏くいすたの方なら書けたのですが。

>あと書きませんよ!
 >>51はまだしも、>>59は貴方以外に完成させられる書き手はいませんよ。
 大丈夫、一つ壁を乗り越えれば吹っ切れますから【何が】

>337
 コメディテイストの長大なSS、乙&GJです。

>346>401>484
>嬉しそうに少年の腕にしがみつく少女と、過去の過ちの為に魂の抜けかけて
>いる少年
>今度事務所で自爆してやる。
>魔道技術の無駄遣いだと心底思う。
>「そんなにどこにいくつ使うんだよ!」
>弾切れが無いわけではなかった
 いつふたはここらで吹き出しました。
 この二人、微笑ましくて可愛いなぁ。と、ほのぼのしながら読んでいたら、
>398からの展開がとてもエロぅございました。
493いつふた%マルチ感想レス2/2:2006/08/06(日) 08:00:32 ID:o8wQM1sU
>358
 うわぁ、いきなりだけどエロいなぁ、うわぁ、うわぁ、と思っていたら、

>稼働一年の若さに任せ、
 ちょっと待てぃw
 『若さに任せ』はともかく、『稼働一年の』て、あーたw

>取り敢えず世界、守ろ?
 それと、この台詞がとても可愛いです。

>369
 暴走しててもペンタゴンの想いは報われない方向で切ないと想いました。
 悪い奴ではないと思うので、幸せな最後だといいなぁ。
 あ、いや、SSの最後がね、ハッピーエンドだったらいいなぁ、と。
 あと、気恥ずかし同盟でも悪くないと思うので。

>383
>エイジは木石ではない……よな?
 この辺りから笑いっぱなしでした。勘弁してくださいw

>妙に肌のつやつやしたアム
 いや普通、出した方はゲッソリするもんじゃないのかと。
 それとも、あとでエイジからたっぷりと搾り取ったのか【何を】

>426
>ポメロの形をした飴
 “鋼の爪牙”というサンプルキャラ自体は知らないのですが、文面から硬派
な快男児とお見受けします。彼がどんな顔をして、女の子のためにポメロ飴を
買ったのかと思うと微笑ましく思いました。

>427
 柊×くれはは個人的に好きです。よかったら、続き、頑張ってください。
494感想(?)いつふた1/2:2006/08/06(日) 08:02:13 ID:o8wQM1sU
◇突っ込みにツッコミ

「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「>481の展開なんだけどさ」
「ああ」
「なんかこれ、すっげー怖いんだけど」
「何がだ?」
「>397に『ローターと呼ばれる奴である。振動部分は鶉の卵程の大きさ』って
書いてあるよね。
 吸血鬼ちゃんは小学校の低学年か中学年くらいの小柄な体格みたいだし、だ
としたら、こんなの一つ突っ込まれただけでも大変なことだよ? 実際、『少
女の体にとって二つのローターによる圧迫感は並大抵ではなく』って書いてあ
る」
「そうだな」
「その上で、人造人間くんのアレまで突っ込まれるんだよ? 『少年の体格と
比してもかなりの大きさ』って形容されるモノを。まあ、人造人間くんも小柄
な方だとしたって、ひょっとしたら、成人男性の標準サイズぐらいはあるかも
しれない」
「そう考えても特に差し支えはないな」
「そんなのをぜーんぶ吸血鬼ちゃんの中に突っ込むんだよ? これって怖くな
い? てゆーか想像するとすっげー怖いよ」
「フッ、甘いな」
「甘い?」
「ああ。たとえローターが鶏卵並み、人造人間のイチモツがフランスパン並み
であったとしたって無問題だ。怖くも何ともない」
「どうして?」
「相手が吸血鬼だからだ」
「相手が吸血鬼だと、どうして?」
「少しは自分で考えろ」
「んー…………中が物理的限界を超えて鬼のよーに広いから、とか?」
「中が広いと仮定した場合、それは吸血鬼がユルユルのガバガバという結論に
達するだろう。だとすれば、『ただでさえ狭い上痛いほど締め付ける』という
表現はありえない」
「えーっ? 吸血鬼ちゃんの中が普通に狭いんなら、どうしてあんなにいっぱ
い突っ込めるわけぇ?」
「それはな。
 拡張性が高いのだ」
「かくちょ−せぃ」
495感想(?)いつふた2/2:2006/08/06(日) 08:03:41 ID:o8wQM1sU
「そう。突っ込まれれば突っ込まれるほどグイグイ広がる拡張性。たとえるな
らばゴムのよーな」
「ンなアホな」
「吸血鬼はウィザード、イコール非常識な存在だからセーフ」
「またその論法かっ」
「人狼が店員やってる例の店では、案外、無類の拡張性を誇る特殊生体ゴムを
膣および腸に標準装備した人造人間が、『“前”も“後ろ”も貴方のサイズに
ジャストフィット!』てな謳い文句で売っているかもしれんぞ」
「売っててたまるか!」
「…………そうだな。
 どーせなら全身を特殊生体ゴム製にして、小は憑かれしものとなったハムス
ターのちんちんから大はネフィリムの逸物まで受け容れ可能という代物を」
「何でやねん。てかエミュレイター限定かよ。あと『憑かれしものとなったハ
ムスター』って何だよ。つぶらな瞳が可愛すぎて攻撃できないよ」
「ハムスターは小さいちんちんの一例として出してきた。ネズミなだけに繁殖
力が強いので、中出しされて絶頂しながら『赤ちゃんできちゃうぅ!』と叫ぶ
人造人間娘、という孕ませシチュが楽しめる点も見逃せない」
「どういう理屈だよ! それ以前の問題として、混血可能なのか、おい!?」
「さて、そろそろ話を『人造×吸血』に戻そう」
「誰が脱線させたんだよ、ったく。
 ……えーと、突っ込むこと自体に関しては、拡張性とか何とかでとりあえず
納得するとしてもさ。
 あんなふうに、ローター突っ込んでから男の子のを突っ込んだら、ローター
が奥の奥まで行っちゃって大変だよ? 取り出すのにすっごく苦労するよ?」
「安心しろ。きっとその点は考慮されている」
「そうなの?」
「そうとも。
 >482-483の甘々展開を読めば一目瞭然。鬼畜物と見せかけてアフターケアは
万全。>484の深謀遠慮は物語の隅々にまで及ぶ。小道具として用いたローター
も、当然、例外ではない」
「とゆーと、具体的にはどうなってるの?」
「あのローターは、奥の方まで突っ込みすぎてもリモコン一発で外に出てくる
自走式なのだよ」
「やたらと余計な機能だな!? めっちゃ怖いわンなローター!」
496いつふた近況@アリアンロッド 1/3:2006/08/06(日) 08:07:52 ID:o8wQM1sU
 本年7月15日。
 いつふたもついにアリアンロッドの基本ルールブックを入手した。

GM「次回のセッションはアリアンロッドをやろう」
イツフタ「ルールブック持ってへんから嫌〜」
GM「買え」
イツフタ「別に欲しないから嫌〜」
GM「しゃあない、俺が買うたる」
イツフタ「ならやる〜」

 という『今年の牡丹』みたいなやりとりの末、セッション前日、二ヶ月以上
早い誕生日のプレゼントと称して真新しいルールブックを手渡されたのである。
 が。
 買い置きを頼んでおいたGFやら立て替えてもらった食事の代金やらを清算
するどさくさに紛れてアリアンロッドのルルブ代もいつふたに支払わせるとは
どういう了見だゲームマスター。

 ともあれ、結局自腹で購入したルルブのページをめくり、…………。
 考えることは>392と一緒。

 そしてセッション直前。上級ルールブックをGMから借りて見る。
 期せずしてルアたんの元ネタと御対面。

「違うっ! こんなのルアたんじゃないっ!」

 あとでGMに前スレ>453をコピペしてメールで送りつけてやったところ、彼
は、いつふたとの電話でしみじみこうのたまった。
「あれ(ルアダン)見て、これ(ルアたん)思いつくなんて、人間やないな」

 地下スレ住人、ぶっちぎりの人外扱い。

 ところで、『紫外線』は『ウルトラバイオレット・レイ』。
 なら『人外』は『ウルトラマン』なのか?

 さて、セッション自体はキャラメイク時点から大騒ぎ。プレイ風景は爆笑に
次ぐ大爆笑。PCは勿論、敵も含めて出てくるNPCは皆、まるでスレイヤー
ズ(外伝)の登場人物が如し。いつふたのPCが一番マトモな人材だった、と
いう時点で他キャラのブッ飛び具合が推察可能であろう。
 そんな中、アコライト二人が一つの聖印を回復魔法のために貸し借りし、他
の全員から、「聖職者として、それはどーなんだ」と思い切りツッコまれた。
497いつふた近況@アリアンロッド 2/3:2006/08/06(日) 08:09:48 ID:o8wQM1sU
 この出来事を踏まえて、数日後、パッと脳裏に浮かんだ場面は、“護りの聖
者”が自分の聖印を、聖印未所持の“神々の使徒”に『貸してあげる』光景。

―〜―〜―

「な……っ、何を、する気だ…………!?」
 思わず知らず、彼の声が上ずる。
 神殿の片隅、冒険者達に無料で貸し出される宿泊施設の一室。
 鎧戸の隙間から月光が差し込む窓辺。
「だって、貴方が聖印を持っていないと仰るから、わたしのをお貸ししようと
思って」
 聖職に就くヒューリンの少女が、夜の明るさに包まれてゆったりと浮かべた
表情は、慈悲深い微笑みに似ていた。
 だが、“神々の使徒”は安心できなかった。彼は“護りの聖者”に追い詰め
られたようなものだったから。
 必死で声を振り絞る。
「そんな物、要らないっ!」
「『本当に』、要らないと仰るの?」
 言葉の上での抵抗は、あっさり彼女に見破られてしまった。
 一部の隙もなく着込んでいた彼のローブは、少女の手によってさらりと床へ
落とされた。アンダーシャツも、ズボンも、下着すらも。
 ギルドの仲間の少女の前で、彼は今、両手を壁に突かされて、ほとんど全裸
で立ち尽くす。
 神の道を説き、そしてまた、自ら神の道を実践する自分が、どういう理由で
“護りの聖者”の淫らな誘いを力尽くででも断らないのか。
 “神々の使徒”は混乱するばかりだった。
 何故なら認めたくなかったからだ。これから行なわれるであろうことを、彼
自身、待ち望んでいるという事実を。
 本当はこうなりたかったのだという、心の奥底の欲望を。
 少女の掌――少女の指――きめ細かな彼の素肌に触れる、少女の妖しい体温。
「ぅ……く…………っ、うっ…………」
 彼は歯を食いしばって耐えた。
 何に耐えているのか、自分でもよくわからないままに。
 じれったいほどゆっくりとした少女の動きが、やがて、彼の秘められたる部
分に到達する。
 彼女の繊細な指先が、硬く閉じられた菊華を程よく解し、和らがせてゆく。
「……ぁ…………ふ、ぅわ…………!」
 “神々の使徒”の頑なな態度は、“護りの聖者”の絶妙な愛撫によって、瞬
く間に蕩かされてしまった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
498いつふた近況@アリアンロッド 3/3:2006/08/06(日) 08:11:56 ID:o8wQM1sU
 エルダナーンの白い裸身が艶かしい汗にまみれて、隠しようもなく紅潮して
いる。吐息は喘ぎ。彼が一身に受ける快楽の強さを如実に示す。
「そろそろ……構いませんよね?」
 彼女は目尻を熱く上気させて、問い掛けるかたちの独り言を漏らす。
 そうして彼女は、豊穣の道祖神を象った長太い聖印を銜え、うっとりと舐め
しゃぶった。
「ん……っ」
 それを口から吐き出す。粘つく銀糸の橋絡。濡らした物を彼に見せ付けなが
ら、彼女は底抜けの期待に満ちた台詞を囁いた。
「じっとしててくださいね、すぐによくなりますから」
 ひたりと目的地に押し当てられる、冷たい剛直。
 無慈悲な優しさで、彼の後門が抉じ開けられた。
「あっ…………あああああ……………………っ!」
 穢れを吐き出すべき穴が、神に仕える者の証を貪欲に呑み込んでいく。
 奉じたてまつるべき聖印の威力が、彼の理性を完膚なきまでに打ちのめす。
「……い……痛い……い、た、……い…………!」
 苦痛に大きく見開かれた両眼から絶望の涙が止め処なく流れ、衝撃に硬直し
ていた身体は“護りの聖者”の手になる抽送が始まった途端、ビクンビクンと
大きく弓形に跳ねた。
「あ…………く、ぁっ!」
 喉から迸る、かすれた悲鳴。
「……い、……いっ…………いた……いぃ……」
 しかしながら彼の股間のモノは、自らの臍に触れんばかりに屹立し、先走り
の汁をしとどに垂れ流して快楽を顕わにしているのだ。
「心地よいでしょう?」
 少女は尋ねる。肯定を確信した口調で。
「貴方もアコライトなのですもの。聖印を“装備”して、法悦を感じないはず
がありませんわ」
 やがて“神々の使徒”は、間断なく与えられるリズムに乗って、自らの意思
で腰を振りつつ、途切れ途切れの声で叫び始めた。
「……いぃ……いい……いいよぉ……いいよぉっ!」
 堕ちた言葉を紡ぎ出す唇から、たらりと唾液が糸引き、落ちた。

―〜―〜―

 我と我が身を省みて、――嗚呼。確かに人間辞めてるかもしれん――と自覚
に至るいつふたであった。

 スペシャル・サンクス>以前、「『装身具:聖印』を装備して戦う護りの聖
者たん希望でゴザル」とベネットに言わせた貴方
499名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 10:25:41 ID:ExeBEuiH
>いつふたのひと。
変態だ、変態がここにいるっ。
そうか使徒は受けだったのか、その発想はなかった。むしろ総攻めだとばかり。

ところで。エリンディルウォーカーによりPCvsPCの戦闘が可能になった昨今、
うちの鳥取では現在のギルドメンバーがコロシアムでのみ専用のギルドを作り、
ギルドメンバーも新規キャラ作成して揃えることになった。
コロシアムではPCvsPCやったりステージ攻略したりしつつ、通常のシナリオでは
ギルドマスター達が集まり元のギルドとして活動することになった、のだが。

「俺のギルドメンバーは全員俺が錬金術と魔法で産み出した人工生命ってことで」

と言って女の子イラスト付きサンプルキャラを片っ端から登録しやがったプリーストに
我々他のギルドメンバーはどう対処すればいいのだろう。

やはり、PvsPで勝ったらおいしく頂いたりコネクションを結んでやったりするべきか。
まぁ、アリアンロッドの関係表にはエロに使えそうな関係ほとんどない気がするが。
500以前言わせた俺:2006/08/06(日) 11:06:41 ID:Lv3HmJQb
>>498
いいものをみせていただいた。
書いた甲斐があった。
ありがとう。
501名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 21:16:13 ID:i6WX7eB0
>>481
うわーい。少年外道ー この後の(夜の)生活も非常に興味が尽きない。
でも個人的には甘いのがいい。いや、中学生だろ君ら?!
あ、人造人間と吸血鬼って時点で年関係ねえや…
>>495
無粋にも突っ込みのさらに突っ込みですが、
んな特殊なローターでなくとも少年は指を触手に変えられたんでは
で、取り出すときにもう一戦とかやって(妄想)
>>496
…その発想にしびれました。GJ
いやもうこれしか癒えないデスよ。

蛇足
そーか、聖印って形状も、神によってどう違うとかも、
ましてやそのアコが仕える神が何かてーのも書いてありませんな…
聖女は神、使徒は七大神とあるだけで。
つまり、聖女ちゃんの一晩かけた激しい『説得』によって使徒さんは改宗。
はれて道祖神の聖印を身に着けるにいたったと…
502名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 22:06:53 ID:Kwym8OV+
>>501
「私たちはいつでも神の愛を受けているのです。
 足の間から振動音が聞こえる? 幻聴ではないでしょうか?」
503『Diptera』:2006/08/06(日) 22:49:02 ID:bpz1tUUE
マティアス様の股間から振動音が?
504名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 00:28:18 ID:P7bnU35L
そういえば、さっきシグに会ったんだけど、何か顔が赤かったなあ。風邪だろうか。
505名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 01:02:25 ID:SXasdbJ6
右も左も道祖神教徒!?w
506『Diptera』:2006/08/08(火) 09:55:28 ID:CIaWQsw1
>505
ああ、ウェルチ以外全員な。
507名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 12:03:06 ID:JZBmyU07
>506
ああ、ウェルチはエイジの生道祖神しか使わないからな。
508名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 15:25:54 ID:yJ9HIAmW
むしろ股間に道祖神ついてるから使う側かな [エイジに]
509名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 22:30:21 ID:pUIZVhiz
クリスのなかにマティアスのたくましい聖印が

まで読んだ

ところでエイプリル総受けのSSまだー?
510名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 02:07:01 ID:ArFDfMux
おまえらは ほんとうに エイジ受けが すきだな
511『Diptera』:2006/08/09(水) 08:56:08 ID:od7y69Yi
>508
よくぞしでかした、ヴァンデル。悪いぞ貴様。
てっきりウェルチはフィストファックする宗派だと思ったんだがなぁ。

ウェルチ(実の兄にフィストファック)「喰らえ、エイジ兄さんパーンチ!」安川君パンチじゃないんだから。
512名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 20:30:33 ID:Z3Sn5dMi
ココまでの流れから、旧大首領は孫娘の貞操を道祖神から守るために
ダイナストカバルを設立したんではないかなーと妄想。
513いつふた:2006/08/09(水) 23:23:51 ID:6ebr4jI4
ゲーム:真・女神転生200X(メガテンX 9本目後編)
レス数:7+1
 分割:前後編の後編。
エロ度:和姦。挿入あり。
    エロシーンの分量が、それ以外の分量未満である。
514メガテンX 9本目後編 1/7:2006/08/09(水) 23:25:33 ID:6ebr4jI4

 四辻には半月の光。
 常にない靄が辺りを包んで、半ば異界化しかけた夜道。
 すたすたと自分の歩調でそこを歩く少年は、無表情のようでいて、微かに笑
顔を浮かべていた。
「首尾よくトゥイーティーを食い終えたシルベスターみたいッスね」
「何のことだ?」
「別に」
 ぷい、と赤いスカートの女の子が顔を背けた。
 少年の姿の人修羅アンクは、使い慣れた刀を手にし、悪魔が出ると噂のある
場所を訪れていた。
 彼に付き従う女の子は、人の姿を借りた仲魔の妖精ルサールカ。彼女がまだ
ピクシーだった頃からの付き合いだ。
 アンクをアニキと呼び、彼が探し続けていた少女をアネさんと呼んでいた妖
精娘は、そのアネさんが玉造伊予なるちんちくりんと知って、二度とアネさん
とは呼ばず、チビッコと呼ぶようになっている。
 時計の針は0時を回った頃。
 自動車の音は聞こえているのに、近づいてくる物は1台もない。四辻の中心
に彼は立ち、静かに待つ。
 フフ――――ウフフ――――クフフフ――――。
 含み笑い。深夜の空間、こだまが響き、まるで何人もの女がすぐ傍にいるか
のよう。
 曲がり角からスッと姿を現したのは、1体の女悪魔だった。
 夜魔エンプーサ。“式神使い”イヨマンテの仲魔にもいる、地獄の牝犬。
 イヨマンテの仲魔はスレンダーボディの持ち主だったが、こちらはダイナマ
イトバディというべき巨大なバスト、くびれたウエスト、パンと張り出す見事
なヒップ。ぽってりと熟れた赤い唇、秋波を含んだ垂れ目に泣きボクロが付随
して、身をくねらせる媚態はあからさまに少年を誘っていた。
 アンクは内心で頷いた。
 ――なるほど。男を食う悪魔、か。
 頭に犬の耳、尻に犬の尾、髪から背中、両手両足、肩のあたりに滑らかな金
の毛皮。人型に似せた犬娘。
 一見しただけでも化物だとは明白。なのに男たちは彼女にむしゃぶりついた
という。はずむ乳房を持ち上げて、濡れた股間を見せ付けて、男に服従するか
の眼差しで見詰める女悪魔に、男たちこそが我先にと隷属したのだ。
「D」
「あいッス」
 その名を呼んで、人修羅アンクは刀を仲魔に渡した。妖精娘は心得たように
それを受け取る。
 街灯の電光が靄に反射して、闇の中、ここだけが白く切り取られたかのよう。
515メガテンX 9本目後編 2/7:2006/08/09(水) 23:28:04 ID:6ebr4jI4
 犬娘が瞬いた。
「あら? 貴方、人間じゃないのね?」
「悪魔でもないがな」
 少年の返しを夜魔は気にせず、彼へと両腕を投げかける。
「そんなことどうでもいいわ。ね、遊びましょ?」
「いいだろう。少しばかり楽しませてくれ」
 女は笑う。嫣然と悩殺。キスを求めて、
「小細工は要らん。後ろを向け」
「あ、あら」
 虚を突かれ、エンプーサは戸惑った。今日まで、彼女の朱唇の餌食となって、
泣いて口づけを懇願する男すらいたが、男の方から断られたのは、これが初め
てだったのだ。
「キスは嫌いなの?」
 問い掛けながらも言われた通りに後ろを向いて、電信柱に手を突き、少年に
向け尻を突き出す。割れた谷間に沿って、既に滴り落ちるほどの果汁。
 前戯も何もなし。出会って間もないのに少年のそれは女悪魔が驚くほど硬く
たぎっており、一気に奥まで貫き通され、彼女は高い高い喜声を上げた。
「ああんっ、すっごぉいっ!」
 自らの分身を女の胎へと沈めながら、アンクは片手の指で、自分の唇に触れ
ていた。
 あのぬくもりを、思い出す。
 僅か数瞬の、甘い口づけを思い出す。
「や、やだっ、中で、大きくっ!?」
 夜魔が焦りの声を上げ、主導権を得ようと必死に腰を使った。だが、無駄な
ことだった。
 少年が女の尻を捕らえて、浅く深く突く、抉る、打ち付ける。
「あっ、あぅ、あくぅっ、ああうっ!?」
 こんなはずではなかったのにと、混乱、そのくせ淫乱。
「ああん、もっと、もっと、もっと、あん、もっとぉ!」
 その声に、その姿に、自分自身を重ね合わせて妖精ルサールカは激しく興奮
する。アンクの刀を立てて持ち、自ら脚で挟んで、女の狭間をその鞘にこすり
つける。
「ああ、アニキ、わたいを、抱いて、んっ、可愛、がって……ぇ!」
 大人の女の嬌声。幼い娘の喘ぎ。肉と肉とがぶつかり合う湿った音の連続。
「んっ、あ、イくっ、イくぅっ!」
 女悪魔の嬉しそうな嬌声。途端、少年はわざとらしく動きを鈍らせた。
「どうした、もう『それ』なのか。このおれを楽しませてくれるんじゃなかっ
たのか?」
 エクスタシーから一気に引き剥がされたエンプーサは、涙すら浮かべて背後
を振り返った。
516メガテンX 9本目後編 3/7:2006/08/09(水) 23:29:17 ID:6ebr4jI4
「だって、だって、」
 女が口にしかけた言い訳を、少年は封じた。犬娘の尻尾を握り、もう一つの
穴へと捻じ込んだのだ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 悲鳴は、驚喜にしか聞こえなかった。
 突き出された双丘に穿たれている上の穴。だらだらと愛液を滴らせ続ける下
の穴。その二つともが、異物を押し込まれ、引き出され、強く、弱く、リズム
に乗って。
 両穴からの強い痛みが、女の驚喜を狂喜に変えた。
「たっ、たまんないっ、貴方、貴方サイコーよっ!」
 熱く潤う洞の中、少年の物も壁向こうの塊に刺激されて、いつも以上の快感
が背中へと駆け抜ける。
 その感触を暫く味わったあと、冷め切った声音で、少年は問い質した。
「流石にそろそろ限界、か?」
「げん……かい、ですっ。もう限界ですぅっ」
 女の言葉遣いが少年に盲従している。
「お願いします、イかせてくださいぃぃっ!」
 少年は、傍らの仲魔に視線を送った。
 妖精娘は自慰に耽りながらも、人修羅の少年が送る目配せを見落とすことは
なかった。何故なら彼女は失敗できないからだ。失敗して、嫌われて、捨てら
れてしまったら。彼女はひとりで、たったひとりで、どこへ行けばいい?
 少年の探し求めていた少女が見つかってしまった今だからこそ、どうしても、
その不安感からルサールカは逃れられないのだった。
 ――アニキ。わたい、役に立つでしょ? あんなチビッコなんかより、ずっ
と、ずぅっと、役に立つでしょ?
 ――愛して。愛して。わたいを、愛してッ。
 恋慕に満ちた瞳で、鞘から刀を抜き、柄の方を向けて彼に差し出す。仲魔の
無言の告白を、想いを。知っているのか知らない素振りか、人修羅は白刃を女
悪魔の背中に突き立てた。
 ギャアアアアーーーーー!
 断末魔の絶叫は、最高潮の絶頂でもあった。反り返り、引き付けを起こした
かのような肉体の中央、ぎゅうっと引き絞られる女の深部。少年のそれが強く
刺激され、勢いよく迸る生命の白濁。
 その全てを受け止めて、だらしなくヨダレを垂らした顔で、夜魔エンプーサ
はマグネタイトの塵と化した。
 後始末。新手の無きを確認。異界化の解除を見届けてから、刀を肩に担ぎ、
アンクはDに告げた。
「帰るぞ」
 仲魔は、ぼんやりと彼を見上げている。
「あ……アニキ……」
517メガテンX 9本目後編 4/7:2006/08/09(水) 23:30:03 ID:6ebr4jI4
 ぺたんと地面に座り込む妖精娘の体勢が、病床にある愛しい少女の姿を連想
させた。情欲に潤んだ悪魔の瞳の上目遣いが、熱に潤んだ恋しい少女の瞳を想
起させた。
 上気した頬、脚の間を手で押さえるようにして、もじもじ、全身くねらせて
いる。ほかほかと湯気でも立っていそうな、もうすっかりと出来上がった様子。
「……わたいにも…………して」
 ――アンク。
 ――剣也先輩。
 ――……イヨにも…………して。
 言うまでもなく、それはアンクの妄想だったが。
 妖精娘に重なり見える、抗しきれない、甘やかな少女の誘惑。
 本物の彼女には決してできないことを、少年は幻の彼女に、妖精ルサールカ
の化身たる童女にぶつけた。
「アニキは……っはぁっ、アニキは、あんなチビッコ、相手しないッスよね?」
 夜魔の淫液にまみれた少年の剛直を、根元から先端まで丁寧に舐め清めなが
ら、彼を愛する仲魔は懇願じみて尋ねる。
「あのチビッコじゃなくて。わたいを、抱いてくれるンスよね?」
「ああ。そうだな」
 アンクは頷いた。
 彼女には、こんなことさせられないから。
 させてみたい、して欲しい。望めば望むほど、その気持ちにブレーキがかか
るから。
「彼女とは……ヤりたくない」
 抱きたくて抱きたくない。矛盾に満ちた、正直な気持ち。
 大事に大切に、掌中の珠。彼の全てをぶつけて、割ってしまっては元も子も
ないから。
 絹布で優しく磨くように、明日からも、きっと。

 翌、金曜日。
 彼女はきっと、大事をとって今日も休んで、この週末に完全に治す心積もり
だろう。少年達の予想は大当たりで、玉造家の玄関、2体の雪だるま――多分
片方はジルフロストだ――が、今日もイヨちゃんはお休みだホ、と伝えた。
「わざわざのお出迎えかたじけないホ。これからもイヨちゃんを、どうぞよろ
しくホ」
 ぺこりと頭を下げた方がジルフロストであろうと思われた。上位種なだけに、
精神年齢はジャックフロストより高いようだ。イヨの姉か、母親代わりなのだ
ろうな、と彼らは思った。
「お大事に」
 そう言い残して、剣也と晶とが家を出ようとしたとき。
「剣也先輩。晶おにいちゃん」
518メガテンX 9本目後編 5/7:2006/08/09(水) 23:31:01 ID:6ebr4jI4
 長暖簾に半ば隠れて、こっそりとイヨマンテが立っていた。
「昨日はお見舞いに来てくれてありがとう。それから、あの、…………」
 赤くなって、俯いて。すぐさまパッと身を翻してしまった。
 が、剣也と晶の耳に、イヨマンテの言葉はちゃんと届いていた。
「元気になっても、またあのおまじない、してね」
 その後、晶は全身の空気を抜くかのように、長い長い溜息を吐き。
 しみじみと、こう述懐した。
「ぼく、今の台詞だけで軽く三杯飯はいけますよ」
「いっぺん死んで来いっ」
 剣也の拳が晶の後頭部を捉えて、少年達は小突き合いながら学校への道のり
を急いだ。


--注意:以下、狙って書いたエロ描写はない--

◇後日談

 翌週土曜日の夕方、剣也と晶は二人揃って例のマンションへとやってきた。
 ――お見舞いのお礼にごちそうを作るから、是非食べに来てね。
 伊予のお誘いを、彼らが断るわけもなく。
 気を遣わないで手ぶらで来てねと念を押されたが、剣也が母親に、晶が叔母、
即ち和泉の母親に、それぞれ持たされたブドウジュースの瓶やクッキーの箱が
あった。どちらも一見して高級品で、それこそ「気を遣」っているのが丸バレ。
こんなことなら「夕飯を御馳走になりにいく」と正直に言わずに「友達と遊ぶ
から外で適当に食う」ぐらい言うんだった、という、二人ともそんなうんざり
顔だ。
 もうすっかりお馴染みになった玉造家の玄関。内びらきにドアがあけられた、
途端に凄まじく香ばしい匂いが辺り一面に立ちこめる。
「いらっしゃーい」
 それは、出迎えたイヨマンテのにこにこ笑顔が霞むぐらいの物凄さであった。
「……ニンニク、か?」
「うんっ」
 間違いであってほしい、と祈らんばかりの剣也の問いに、淡い水色のエプロ
ンを着けたイヨマンテは、元気いっぱいに頷いた。
「こないだ熱を出したときにね、回復道場で、もっとスタミナつけなきゃダメ
だって言われたの。だからニンニク」
 ナイスな短絡思考であった。
「もーちょっとでできるからね、上がって待ってて」
 長暖簾をはね除け中へと戻っていく、イヨマンテの後ろ姿。
 晶は無念そうに呟いた。
519メガテンX 9本目後編 6/7:2006/08/09(水) 23:31:42 ID:6ebr4jI4
「惜しいな、割烹着だったらよかったのに」
 何やら妙なフェティシズムがあるようだった。
 ダイニングキッチン、4人掛けのテーブルに、イヨマンテは所狭しとお皿を
並べていく。
「何かお手伝いしましょうか?」
「今すぐ食べないと死ぬー、っていうのじゃなければ、座って待ってて欲しい
な」
「えっと、母さんから手土産を持たされたんだけど……」
「えー、気を遣わなくていいって言ったのにー。でもありがとー」
 イヨマンテは楽しそうに、手早く食事の支度を済ませた。その待ち時間、約
10分。
 この場で人間の姿を取り繕う意味はない。人修羅の姿で、いただきます、と
手を合わせ、少年二人は片端から料理に手をつけていった。
「……美味いっ」
「……美味しいですよ、これっ」
 掛け値無しの賛辞が極自然にアンクとカムドの口から漏れて、少女は満足げ
に相好を崩した。
 御飯物は、刻みニンニクたっぷり炒飯。
 メインディッシュは、おろしニンニクが山盛りになっている鶏肉の酢醤油煮。
ちなみに煮玉子付き。
 スープはトリガラ出汁の中華風。ニンニクとニラとが満杯に詰まった水餃子
がぎっしり浮いている。
 野菜サラダにはカリカリのガーリックチップがざらざらと乗せられており、
極めつけの一品はニンニク丸ごとバター蒸しである。
 ……一つ一つの料理に非の打ち所はない。ないが、しかし。
 カムドは叫んだ。
「ぼく、これほどまでに容赦のないニンニク料理を食べたのって、生まれて初
めてですよ!」
 アンクは無言で同意。
 イヨマンテは実に嬉しそうに笑った。
「こういうのって、週末じゃないと食べられないよねぇ」
 週末であろうがなかろうが、『こういうの』は食べない。
 ふつー、ここまでのものは食べない。
 夕食が済む頃には、少年達は身も心も脳髄までもがニンニクでぎゅうぎゅう
詰め。食後のジャスミン・ティーが五臓六腑にしみじみとしみわたる。
「そういえばイヨ、今日は仲魔たちは?」
「んー、なんかね、匂いが凄いからって、魔界に避難しちゃった」
 かるーく言ってのけるイヨマンテ。
「アンクもカムドも、帰ったら、おうちの人がさぞびっくりするだろーね」
520メガテンX 9本目後編 7/7:2006/08/09(水) 23:32:19 ID:6ebr4jI4
 彼女には笑い事であったが、実際、それぞれの家に帰った剣也と晶が、鼻を
つまんだ家人に風呂へと追いやられたのは、……まあ、ご愛嬌の域と言えない
こともなかった。
「アンクがくれたあの絵本のね、イヨ、同じ作家さんの別の絵本、自分で買っ
てきたんだよ」
「そんなに気に入ってくれたのか」
「うん。色とか雰囲気とか、すっごく好き」
 アンクは、件の絵本を見つけたときのことを思い出し、買い物にも巡り合わ
せというものがあるのだな、と温かい気持ちになった。
 帰り際、少年達に手渡されたプラスチックの密封容器は、中身が桃かん――
白桃の寒天寄せであった。カムドが持ってきた桃缶がイヨマンテの手によって
化けたものである。
「もうおなかいっぱいでしょ? 持って帰って食べて」
 こういうお返しの仕方は洒落ていていいな、とカムドは嬉しくなった。が。
「……あのぅ、イヨ?」
 恐る恐る尋ねる。
「まさかこれにもニンニクが、」
「とーぜん入ってるよ」
「「何ーっ!?」」
 少年二人は仰天し、
「ウ・ソ・だ・よ」
 可愛らしいくすくす笑いのオチまでついて、至れり尽くせりの夕食会は終わっ
た。


 さて、残る懸案事項は一つ。
「結局、ジャックフロストとジルフロストの違いって何なんだ?」
「あのね、ジルフロストのフロスト頭巾をじーっと見てたらわかるよ」
 イヨなんかノーヒントで解いたよ、と自慢げ。
 青いフロスト頭巾。
 額の黄色いにこにこマーク。
 ジルフロストのそれには、おめめにちょみっとマツゲが生えていた。
「間違い探しクイズかっ!?」
「それも難易度99レベルですねぇ」
 アンクが激しくツッコミを入れ、カムドは疲労満杯、嘆息した。
521メガテンX 9本目:2006/08/09(水) 23:33:21 ID:6ebr4jI4
 ・・・・・おしまい。

 以上、お見舞いでちゅーネタ、男のひとりHネタ、及び、わんこ娘にシッポ
突っ込みネタの三本立て融合、後日談付き、というお話でした。

―――チラ裏。
 ヒロインが破壊的な料理の腕前というのはベタなので、料理上手だがお献立
が狂っているというあたりに萌えを模索。
 カムドが目立ちすぎなので、エロシーンに関してはアンクに重点的に行数を
割いてみた。少しは復権したか、主人公?
 書きながらDの片想いが可哀相になってきたのは内緒。
 あと、自分で書いててジルフロスト姐さん萌え。
522名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 20:14:41 ID:KdOBUMUX
圧倒された。GJ。
523名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 20:41:51 ID:QkqAIEUi
GJです。
524いつふた:2006/08/10(木) 22:20:44 ID:+6fzqXv+
ゲーム:真・女神転生200X(メガテンX10本目前編)
 形式:小説形式(原則三人称)。
レス数:12+1
 分割:前中後編の前編。
エロ度:和姦及び強姦。挿入なし。児童虐待注意。
    エロシーンの分量が、それ以外の分量未満である。
連続性:9本目(『三者三様恋模様』)の続編。
 時節:主に四月末。
 終幕:不幸に気づいていない子と、不幸を甘受している奴らと。

◇業務連絡
 どうにも接続状況が悪いので、万一投下が途絶したらごめんなさい。
525メガテンX10本目前編 1/12:2006/08/10(木) 22:23:40 ID:+6fzqXv+
◇イヨマンテ

 殴る、蹴る、物理的な暴力。
 無関心、育児放棄、精神的な暴力。
 性的な暴力まで加わって、それが小さな彼女に与えられた世界の全てだった。
 母親という生き物は、常に彼女に背を向けていて、声を掛けても応えてくれ
ず、近づけば振り払われるという、とてもとても遠い存在だった。
 父親という生き物は、鬼のような形相で彼女を床や壁に叩きつけ、かと思え
ば不気味な笑顔で彼女を素裸にして、太い指、ぬめる舌を幼い身体に這わせる
という、とてもとても不可解な存在だった。
 窓の外、ガラスの向こうは、彼女の知らない場所だった。彼女と同い年くら
いの子供が優しそうな大人に連れられて、にこにこ笑っているのがとてもとて
も羨ましかった。
 ――あの子は『いいこ』だから。ああやって褒められるんだね。
 ――あたしは『わるいこ』だから。こうやって叱られるんだね。
 いつ、誰に買ってもらったのか。
 一箱のクレヨンだけが彼女の友達だった。
 チラシの裏や古新聞に、赤色、青色、黒、白、黄色、とりどりの色を塗りつ
けては孤独な心を慰めていた。
 ――これは『いいこ』のあたし。
 ――これは『優しいママ』。これは『優しいパパ』。
 ――それからこれは、……。
 夢の中の記憶めいてぼんやりと、とても懐かしい誰かが約束してくれたのを
憶えている。必ず、きみを護るから。そう誓ってくれたのを憶えている。
 ――……『素敵な恋人』。
 護ってくれるひと。助けてくれるひと。褒めてくれるひと。可愛がってくれ
るひと。あたたかく抱きしめてくれるひと。頭を撫でてくれるひと。いつでも
傍にいてくれるひと。いっぱいお話をしてくれるひと。
 愛してくれるひと。

 風呂の中、夕べの残り湯に頭から突っ込まれて、入浴剤の色をした水の中、
大事なクレヨンが散らばっていく。
 テーブルに落書きしたから。そんな理由であったらしい。躾と称した折檻の
末、父親が彼女を殺し、母親がそれを眺めていたのは。
 痛くて、恐くて、苦しくて。
 そのときの彼女は、自分が一旦死に、“覚醒”によって偶然蘇生したのだ、
とは理解していなかった。
 ただ、死の間際、あるいは再生の間際に、彼女は気づいた。
 自分は悪くないのだ、と。
 理不尽な仕打ちを受けているのだ、と。
526メガテンX10本目前編 2/12:2006/08/10(木) 22:24:17 ID:+6fzqXv+
 怒るべきなのだ。抵抗すべきなのだ。
 戦うべきなのだ。
 彼女は『助け』を呼んだ。右手と左手、最後までしっかりと握り締めていた
黒と茶色のクレヨンで、風呂桶に『模様』を描いて。
 頼もしい『おばけ』が『わるいやつら』をやっつけてくれて、彼女は快哉を
上げた。解放感。満足感。心の底から嬉しいと思えた初めての瞬間。
 ありがとうと礼を言うと、親しげにニヤリと笑って消えていった『おばけ』
が、地霊コボルト、悪魔と呼ばれるモノであると彼女が知ったのは、更に暫く
あとのことだった。
「遅かったかっ」
 家の中、知らない大人が土足で駆け込んできて、『わるいやつら』の死体を
見遣り、そして彼女を見下ろした。
「君が殺ったんだな」
 その語調に、痛ましさと、非難とが込められていて、彼女は小首を傾げた。
「悪魔の力を、こんなことに使っちゃいけないんだ」
 叱られている。そう感じて、彼女は悲しく呟いた。
「……あたし、悪くないもん……」
「何だって?」
 そんなわけないだろうと否定する意味での聞き返しに、彼女は苛立ち、憤然
と抗議した。
「イヨ悪くないもんっ」

―〜―〜―

「興味深い精神構造ですわね。歪んでいるのか真っ直ぐなのか、よくわかりま
せんわ」
 サイコダイバーでもある退魔巫女は、一人の少女に対するサイコ・ダイブの
結果、そのような結論を出した。
「色に喩えるなら、何色にでも染まる純粋な白。と同時に、どんな色にも染ま
らない純粋な黒。限りなく悪魔に近い人間。安定感のある不安定さ。触れれば
壊れそうなのに、どう壊せばいいのかわからない」
 ここは神宮の森に連なる国津神系神社の一つ。阿倍野晶、こと人修羅カムド
が、玉造伊予、こと人修羅イヨマンテを連れてきて、“精神鑑定”を受けさせ
たのである。
 神宮の森は、非公式ながら“運命の少年”信太和泉を支援している。それゆ
え明治神宮の姫巫女は、和泉の従弟であり、神宮所属の人修羅でもあるカムド
を、和泉の身辺に配して護衛となした。
 彼の使命は、“運命の少年”に関わる無用のトラブルを未然に防ぐこと。今
は、新たに生じた人修羅イヨマンテが“運命の少年”に関わるトラブルとなり
うるのかどうかを検分している最中である。
527メガテンX10本目前編 3/12:2006/08/10(木) 22:24:52 ID:+6fzqXv+
 イヨマンテは、カムドの姉と名乗った退魔巫女の難しい顔をきょとんと眺め
ていたが、そのうち退屈してきたらしい。
「もう終わり?」
「ええ、“鑑定”自体はもう済みましたわ」
「じゃ、お庭を見てきていい?」
「どうぞ」
 神社の中に、一般人は一人もいない。イヨマンテは誰憚ることなく人修羅の
正体を表したまま、部屋を出て廊下をぱたぱた走っていった。
 退魔巫女は言を継ぐ。
「まあ、サイコダイバーによる精神鑑定とはどういうものなのか、理解した上
で平然と受け入れるひとが、普通の神経の持ち主なんかであるわけがございま
せんわね」
 サイコダイバーは心の侵入者。彼らの“ダイブ”を受け入れれば、表層意識
も無意識も、みな読み取られてしまう。また、意識の中身を傷つけられれば、
それは精神崩壊の引き金ともなりかねない。精神疾患の治療のためとか、自ら
の精神世界を侵す悪魔を退治してもらうためとか、そういうメリットがあるの
ならば、それらのデメリットも敢えて受け入れ得ようが、イヨマンテの場合は、
平たく言えば「敵だと疑われて心を読まれる」という、実に非友好的な理由。
百害あって一利なしだ。
 それを、彼女は「いいよー」の二つ返事で、
「だってイヨ、何にも悪いことしてないもん」
 えっへんぷい、と断言したのである。
 何も悪くない。その点は間違いがない、と退魔巫女は思う。
 何の後ろめたさも後ろ暗さも感じていないことが、「悪くない」という言葉
の意味であるならば、だが。
 自覚のない悪は最悪の悪だ。イヨマンテが、その素直さのゆえに、最悪の悪
に陥る可能性も十二分にある。その悪が“運命の少年”に、そして世界に重大
な影響を及ぼす可能性も、彼女が人修羅である以上、決して無視できるもので
はなかった。
「それで? 神宮としては、あの子を危険分子と判断しますか?」
 カムドが姉に尋ねる。退魔巫女は暫し黙考し、やがて口をひらいた。
「『要観察保護処分』。今後もあの子から目を離さないように」
「そうですか」
 姉の台詞に思わず喜色を浮かべてしまったカムドは、
「と言えば、貴方は喜ぶのでしょう? 和泉ちゃんの警護を放り出してあの子
の傍に入り浸る、立派な大義名分ができるのですからね」
 返す言葉もなかった。
「人修羅は特異な存在ですわ。貴方自身も『要観察保護』の立場にあります。
くれぐれも神宮を、姫様を裏切るような真似をしないように」
「やれやれ、信用がありませんね」
528メガテンX10本目前編 4/12:2006/08/10(木) 22:25:42 ID:+6fzqXv+
「信じているからこそ、こうして全てを話しているのですわ。新たに現れたと
いう人修羅――マロガレの方はともかく、もう一人、」
「アンク、ですね」
「彼の『観察保護』も、精々怠りなく」
「心得ました」
 慇懃に一礼して、神宮の人修羅は退魔巫女の御前を辞した。
 部屋に残った彼女は、小さく息を吐く。
「本当に、恋は人を変えるのですわね」
 どんなに楽しそうでも、どんなに冷静そうでも、物心ついた頃からずっと、
彼女の弟は何かに飢え渇き、焦燥感に駆り立てられていた。だから、今ほど精
神的に満ち足り、落ち着いている弟を、彼女はかつて見たことがなかったのだ。
 彼らの前途に、幸多からんことを。
 彼の姉として、神宮の巫女として、彼女は大和の神々に祈った。

「おべんと持って大冒険!」
 それが伊予のゴールデンウィーク計画だった。
 駅前のファーストフード店。同じ学校の制服が半ばを占める二階席。壁を背
に玉造伊予、出入口が見通せる側に桃谷剣也、窓の外が見渡せる側に阿倍野晶
という布陣である。
「惑わしの里に“ヒフミ”を探しに行くんだよ」
「「はあ!?」」
 少年二人は大口をあけて驚いた。
「一人で!?」
「うん。うちの家族はみんな用事があって、ホントはイヨもそっちへ行くはず
だったんだけど、試しにお願いしてみたら、マガタマ探しに行ってきてもいい
よって言ってもらえたから」
「てゆーかその前に、きみは惑わしの里がどこにあるのか知っているのか?」
「知ってるよ。だってイヨ、妖精郷にコネがあるもん」
 彼女の護身武器はアセイミィナイフ。妖精郷に貢献した者が妖精族から賜る
逸品である。
 妖精郷は、実は一つの魔界ではない。幾つもの小さな魔界の集合体、いわば
連合王国だ。その一つが惑わしの里。妖精郷全体の統括者は妖精王オベロンと
妖精女王ティターニアであるが、惑わしの里を支配するのは妖鳥の女王モーリ
アンである。
「モーリアンさまがね、惑わしの里の試練を受けて、無事にマガタマを見つけ
出すことができたら、“ヒフミ”は持ってってもいいって。一日二日で攻略で
きるほど惑わしの里は甘くないから、ゴールデンウィークを使い潰すぐらいの
心積もりで遊びにおいでって」
529メガテンX10本目前編 5/12:2006/08/10(木) 22:26:28 ID:+6fzqXv+
 アミューズメントパーク主催の宝探しゲーム。伊予の口調はそういうノリ。
事情を知らない者が傍らで聞いていたら、本当にそういうイベントがあるのか
と誤解するに違いない。
 『惑わし』の里、というだけに、その属性は“トリップ”と聞き及ぶ。幻惑
に満ちた精神攻撃の罠が待ち構えているのは明白で、バッドステータス攻撃に
弱いマガタマ“カムド”の宿主は、想像するのも嫌なのだろう、頭からテーブ
ルに突っ伏して身悶えしている。
 一方、マガタマ“イヨマンテ”は精神無効属性。ドルミナー、プリンパ、悪
しき輝き、ハッピーステップ等、精神に作用する魔的な外乱をシャットアウト
して宿主を護る代物だ。
「試練といっても実力と器量とを見極めるためのものだから、きちんと対応す
れば命の危険はないようにしておく、って。だからイヨ一人でもヘーキ」
「平気じゃないだろう。命の危険だけが危険というわけじゃあないんだ」
 性的な類いの危険を連想しながら剣也が諭す。
「おれは精神攻撃に対してノーマルだから大きな問題にはならないし、ただの
異界じゃなくて本格的な魔界へ行くともなれば、戦力的に、こいつ」
 テーブルの上で身悶えしている誰かさんを目線で指して、
「も外すわけにはいかない。おれのパトラとイワクラの水とがあれば、何とか
凌いでいけるはずだよ」
「そうかも知れないけどさ」
 伊予は戸惑っている。
「それとも、必ず一人で来るよう指定されたのかい? まさか、おれたちが一
緒だと困ることでも?」
 剣也自身そうとわかるほど、ややキツい口調になった。
「そういうわけじゃ、ないけど……」
 彼女にしてみれば、と剣也は思った。ゴールデンウィークに一人旅するの、
と、世間話方々ちょびっと自慢したかっただけなのだろう。それが剣也と晶と
をどれほど心配させるか、考えてもみなかったに違いない。
「……イヨの試練だから、イヨ一人で行きたいなぁって……」
 そしてまた、今の彼女は、一人旅を楽しみにしていたところへ道連れを強要
されているようなもの。かといって、一人で行くもん、と強弁できるほど彼女
は強引な性格ではない。だからもごもごと言い淀むしかないのだ。
 そのうちピンと思いつき、
「あ、ほら、剣也先輩はおうちに帰ったばっかりだし、晶おにいちゃんだって
実家に帰りたいだろうし、せっかくのお休みなんだから、家族水入らずで過ご
したいでしょう?」
 剣也は優しく、だがきっぱりと首を横に振った。
「おれたちのことは気にしなくてもいいんだよ。マガタマの入手はおれたちの
目標の一つで、間接的には任務の一環でもあるんだから」
530メガテンX10本目前編 6/12:2006/08/10(木) 22:27:15 ID:+6fzqXv+
 “運命の少年”信太和泉を警護するため、役立つ力はあればあるほど良い。
無論、それは少年達の建前でしかないが。
「おれたちも、きみと一緒に惑わしの里へ行くよ。いいね?」
 念押しのように語りかける剣也。
 伊予は悩んで悩んで、三人の方がきっと楽しいよね、と自分に言い聞かせた。
「ん。わかった。一緒に行く。剣也先輩と晶おにいちゃんの分も、お弁当作っ
ておくね」
 その意思を確認されるまでもなく同行すると決め付けられている晶は、当然
確認されるまでもなく同行するつもりではあったが。
 テーブルに突っ伏したまま、一人でにまにま脂下がっていた。
 ――イヨの手作りお弁当かぁ。今度は、まさかニンニク尽くしってこともな
いだろうし、楽しみだなぁ。
「いつまで死んでる気だ? 出るぞ」
 軽く頭を叩かれてバッと顔を上げると、剣也が席を立ち、伊予は空になった
トレイをトレイ置き場に片付けているところ。晶は、氷が溶けて水っぽくなっ
たアイスティの残りを取り急ぎズズイと吸い上げて、食べ散らかしたハンバー
ガーの包み紙を丸めてゴミ箱へ捨て、階段を1階へ降りようとしている二人の
あとを小走りに追いかけていった。

 GW初日の早朝、玉造家のダイニングキッチン。
 惑わしの里への入口は、赤色の模造紙に白く描いてあった。
 詳述すれば、市販の赤い模造紙が壁に貼り付けられ、そこに実物大のドアの
絵が白いクレヨンで描いてあるのだ。ドアの周りには複雑な魔術紋が描かれて
いて、絵に描いた餅ならぬ絵に描いたドアを、実物のドアのように開閉可能と
していた。
 剣也、ならぬ人修羅アンクは、パーカー1枚を羽織った無難な開襟シャツと
スラックス姿。片手には愛用の菊一文字。いつも胸元に提げられていた勾玉の
ペンダントは、もう無い。
 晶、ならぬ人修羅カムドは、半袖のTシャツにジーパンを穿き、トレーナー
の袖を首に巻いて背中に羽織った格好。まだ少し涼しいこの時節に長袖を着な
いのは、右手に埋め込まれた魔晶剣の出し入れに邪魔だからである。
 伊予、ならぬ人修羅イヨマンテは、中学校の名称が刺繍されたジャージの上
下に、同じく中学校の校章が刺繍されたナップザック。どこ行くねん、中学校
の遠足かいなとツッコミ入れたくなる様相。勿体無いから使い潰しちゃおうと
思って、とはイヨマンテの弁。
 なんて色気のない、とカムドは泣きそうな顔をしている。動き易い服装なの
はわかるが、もう少し、こう、何とかならなかったのか。ジャージだから悪い
のではない、このジャージのもっさりしたデザインが悪い。ナップザックを背
負っているせいで胸元の生地がひっぱられて、彼女の美少年性――ぶっちゃけ
ド貧乳――が強調されていることだけが、彼の心の慰めであった。
531メガテンX10本目前編 7/12:2006/08/10(木) 22:27:57 ID:+6fzqXv+
「あれ? 今日はDさんは?」
 アンクの仲魔の妖精ルサールカの名を出すが、
「奴は来ない」
 短く回答。
 連休中ぐらい、わたいがアニキを独り占めしたかったのにっ、とヒステリー
を起こして、ついて来たがらなかった、とは言っても詮無いことである。
「そっかぁ。残念だなぁ」
 イヨマンテはDの分のお弁当を冷蔵庫に収めた。
「でね、これはアンクのお荷物。こっちはカムドのお荷物」
 弁当、水筒、おやつにビニールシート、折り畳み傘など、やからどこ行く気
やねん、遠足に行くんとちゃうんやぞとツッコミ入れたくなるザックを二人に
渡して、
「しゅっぱーつ」
 模造紙に描かれた二次元のドアを押し開ける。
 そうして彼らは惑わしの里――魔界へと足を踏み入れた。

―〜―〜―

 緑。彼らの目に最初に飛び込んできた色は、様々な緑であった。
 木々の枝には萌えいずる春の若葉。大地には木洩れ日の踊る芝生。古木の幹
に重厚な苔。絡み合う蔦。広がる羊歯。細長い草。
 明るい。あたたかい。心の安らぐ雰囲気。
 薫風は新緑の香り。さえずりあう小鳥達の鳴き声。美味しい空気。
 それこそ裏山に遠足に来た気分。ここが魔界だなどと、誰が信じることがで
きようか。
 だがそれは、五感が受ける印象だった。
 人修羅達の第六感は、間違いなくここは魔界である、と本能的に察知してい
た。違うのだ、似ているようでも人界の景色とは根本からして何かが違うのだ。
 道らしい道はない。ただし、踏み分けられた細い筋が何本か通っている。
「どちらに向かう?」
 誰にともなくアンクが訊くと、当たり前のようにイヨマンテが指差す。
「真っ直ぐ前」
「どうして?」
「曲がる理由もないでしょ?」
 論拠でも何でもなかった。が、今は勘の他に頼るものもない。
 ドアの形に切り取られた空間が視界から消え去る前に、イヨマンテがクレヨ
ンで手近の木の幹に矢印をキュッと描いた。
「やめてくださいましっ!」
 ぴしゃり、叱られた。イヨマンテは首をすくめ、アンクとカムドが殺気立つ。
 つむじ風に木の葉が舞い、ライトグリーンの美しい娘が怒りも顕わに現れた。
532メガテンX10本目前編 8/12:2006/08/10(木) 22:28:32 ID:+6fzqXv+
「わたくしの“兄弟の木”に、落書きなんてなさらないで!」
 アンクは注意深くアナライズした。妖精ドリアード。樹木のニンフ、森の乙
女だ。
「あー、ごめんね」
 イヨマンテは申し訳なさそうに謝った。
「でも、イヨたち森の中で迷子にならないように、目印をつけておかなきゃい
けないの」
「そうでしたの」
 素直に謝罪したためか、妖精の態度が軟化した。
「折ったり削ったりというのではないのですから、まあ、大目に見てもよろし
いのですけれども」
「何か代償が必要?」
「そう、ですわね」
 ちろりん、と享楽的な視線を、三人を舐めるように投げかける。
「優しい口づけ、とか?」
 カムドが無言でアンクを押し出した。冗談じゃない、とアンクはカムドをこ
そ押し出す。そうして揉み合いになった。
 ――キスくらい、きみには軽いものでしょ? お任せします。
 ――何故このおれに押し付ける。おまえがやっても構わないはずだ。
 ――何を言ってるんです。あっちこっちで何人もの女のひと達とあれやこれ
やヤってるくせに。
 ――何でおまえがそんなことを知っている。てか、それとこれとは話が別だ、
どうして彼女の前で他の女とっ。
 ――ぼくはイヨ一筋だと言ったでしょう。あの子の前だろうと後ろだろうと、
他の女のひととなんて絶対に嫌ですっ。
 少女や女悪魔の耳には届かない音量のヒソヒソ話は、実に心温まる譲り合い
であった。
 その間にイヨマンテがドリアードとの交渉を進めて、
 ちゅっ。
 赤くて小さなハートマークが一つ散った、そんな感じの可愛らしい接吻。
 ギョッとした少年達が振り向いたとき、それはお姉さんめいた女悪魔と、妹
めいた人修羅との、ほのぼのとしたライト・キス。
 緑の妖精はほんわり頬に朱を昇らせて喜んだ。
「では仲魔達にも伝えておきますわね。くれぐれも、落書き程度にとどめてく
ださいますよう、お願いいたしますわ」
「うんっ、ありがとう悪魔さん」
 人修羅イヨマンテにバイバイで見送られ、妖精ドリアードは速やかに退去。
「いいひとだったなー。昔は邪教の館の合体事故で、あのひとが出て来たなん
て信じられないよ。って、あれ?」
 少女は少年達を等分に眺めて、きょとんと小首を傾げた。
533メガテンX10本目前編 9/12:2006/08/10(木) 22:29:22 ID:+6fzqXv+
「どしたの、アンク、カムド?」
「……そーゆーことを……きみは……平然と……」
 アンクは瀕死寸前の脱力状態。
「イヨが、ぼくのイヨがっ」
 カムドはマジ泣き中であった。
「今の交渉、何か問題あった? イヨ、対応悪かった?」
 サマナー的なイヨマンテの疑問に、カムドが涙ながらの叱責で応じた。
「知らない人とちゅーなんかしちゃいけませんっ!」
 “式神使い”は眉を八の字にした。
「え〜? 知らない人じゃないのにー」
「知らない悪魔だ、なんて口答えをするんじゃないでしょうね?」
 カムドは予防線を張ったが、彼女はふふんと自慢げに鼻を鳴らした。
「ちゃんと《見鬼》したから、知ってるドリアードさんだよ」
「じゅーぶん口答えです、それはっ!」
 何で怒られているのかわからなくて、イヨ悪くないのにーと地団駄。
「女の子同士だもん、ちゅってするぐらい別にいいでしょお?」
「女の子同士だって問題です。それはもう120%問題ですよ。第一、合体の
結果ドリアードになった男性格の悪魔だったらどうするんですかっ」
「でもでも、」
 更に反論しようとするイヨマンテに対し、脱力していたアンクが不意に、
「イヨ、ベーってしてごらん」
 そう促されて、イヨマンテは目をぱちくりさせた。カムドも虚を突かれて、
思わず言葉を失う。
「何?」
「こうだよ。ベー」
 アンクは彼女に向けて、舌を出してみせた。
「こう?」
 わけもわからないまま、イヨマンテはチロリと舌を出す。
 素早く、少年の舌先が少女の舌先に、ちょん、と。
「っ!?」
 びっくりして舌を引っ込め、慌てて口元を押さえるイヨマンテ。
 半ばPANICして、ちかちか星が散っているような少女の瞳。その視線の
先に、イタズラっぽい、けれどどこか強い感情を押さえた風情の笑顔があった。
「驚いた?」
 アンクに問われて、口元を押さえたままイヨマンテはこくこく頷いた。
「こういうのもキスの一種だよ。憶えておいて」
 少女の体温は一気に沸騰。彼女自身、自分が今どのぐらい赤くなっているか、
鏡を見なくともわかるぐらいに。
「って何をしてるんですかきみはーっ!?」
534メガテンX10本目前編10/12:2006/08/10(木) 22:30:00 ID:+6fzqXv+
 右手がすっかり魔晶剣。剣呑極まりない鈎爪を顕にしてカムドがアンクを怒
鳴った。
 アンクはしれっと、
「別に。唇同士じゃさっきの悪魔と間接キスになると思ったからさ」
 カムドに応えておいてからイヨマンテに向き直り、真っ赤な顔でまだ口元を
押さえてふるふる震えている彼女の髪を手櫛で梳くようにさらりと撫でて、
「あんまり妬かせると、もっと凄いコトするから。……自重して?」
 それは微笑みの脅迫。
 イヨマンテは、恥じらいと期待とが8:2くらいの眼差しで上目遣いにアン
クを睨んで、…………小さく首を縦に振った。
 ――この手の女あしらいは、
 カムドは頭痛を覚えた。
 ――ぼくではアンクに敵いませんね。
 右手を人型に戻すと、
「なんだ。殴りに来るかと思ったが」
「生憎、ぼくは理性的な男でしてね。この場で仲間割れする愚を犯すつもりは
ありませんよ」
 優位に立つ者の目で自分を眺めるアンクに、カムドは悔しさ混じりの笑いを
返した。
「その代わり、帰ったら思う存分決着をつけさせてもらいますから」
「望むところだ」
 少年達は、こうしてギリギリの協調関係を保った。

 次に出会ったのは地霊スダマであった。山林の怪物、石木の妖怪。子供じみ
た大きさ、枯れ木のような茶黒い身体を木の幹のうろに潜り込ませて、上まつ
げの間から、ジロリとこちらを睨み上げる。
「人修羅けー? 1人で来るちゅうて聞いとったけー」
「そのつもりだったんだけど、結局、みんなで来ようってことになったの」
「そうけー。じゃあ気を付けるがええけー」
「何に?」
「1人ンときと、1人でねぇときとで、森の試練は違ってくるけー」
「どう違うけー?」
 魑魅の口癖が移った口調でイヨマンテが尋ねると、
「タダじゃあ情報やれんけー」
 ニヤニヤ、皺深い幼児めいた顔が醜く笑う。自分の口元を枯れ枝みたいな指
で差して、
「先に報酬が欲しいけー。さっきお前さん、森乙女にやっておったけー」
 じゃきん。と鉤爪が伸びた。
 一方的に交渉を決裂させて、人修羅カムドが不意打ち。事実上やつあたりを
された地霊スダマは瞬く間にマグネタイトの塵。
535メガテンX10本目前編11/12:2006/08/10(木) 22:30:42 ID:+6fzqXv+
「あ〜あ」
 イヨマンテが悲しそうに残念がった。
「折角、何かいいこと教えてもらえそうだったのに」
 せめて一言、カムドに文句をつけようとして、
「行きますよ、イヨ」
 ぜーはー荒い息を吐いて目を血走らせる少年の殺気に、少女は身を震わせて
黙り、彼のあとに付き従った。
 やれやれ、と肩をすくめてアンクは更にそのあとを歩いた。

 やがて森がひらけて、惑わしの里の光景に、深い青色が加わった。
 対岸まで走って渡れそうなほど凪いだ湖水が陽光を反射する様に思わず目を
奪われる。溜息が出るほど美しい景色だ。
 水鳥の大群が降りてきた、かと思いきや、それは妖鳥コカクチョウの群。女
性の身体に鳥の翼。人間の男に羽衣を奪われて結婚を強いられるという伝説が
ある一方、人間の男に恋をして自ら羽衣を捨てるという伝説もあり、一般には、
人間の女の子を連れ帰って羽衣を与えることで自分達の仲魔を増やすといわれ
る。概ね仲魔想いで愛情深い女悪魔達。
 下半身が自分の糞で汚れているといわれる空中の簒奪者・妖鳥ハーピーなど
とは自ずから異なり、その人品は卑しからぬ風体。彼女達の鳴き声は耳に心地
よく、音楽的な響きすらある。
「絵になるなぁ」
 指で四角を作ってそこから覗き、あの構図、この構図、ととても楽しそうな
イヨマンテ。彼女を見ている方がよっぽど楽しいと言いたげに、アンクとカム
ドも微笑む。
「あっ」
 目敏いカムドが、素早く少女を両掌で目隠しした。
「さあ、先を急ぎましょうっ」
「何? 何なに? 見えないよぅっ」
 見えないようにしたのである。
「こっちだ、イヨ」
 アンクが彼女の手を引いた。
 そうして、少年二人が少女を半ば無理矢理に森の中へと連れ帰る。
 彼らが少女から覆い隠したのは、美麗な湖畔で繰り広げられる、女悪魔達の
乱れた姿だった。
 コカクチョウ同士が情欲の口づけを交わして、熱い吐息を漏らしている。
 互いの乳房の尖端を触れ合わせて、甘い歌声を上げている。
 羽衣を脱いで人間形態になった一羽が、半人半鳥の一羽を背中から抱きかか
えて、まるで大切な楽器を扱うかのようにその胸元を揉みこね、切ない喘ぎを
演奏している。
536メガテンX10本目前編12/12:2006/08/10(木) 22:32:03 ID:+6fzqXv+
 かと思えば両者とも人間形態になり、足を絡めて女同士の狭間を擦りつけあ
い、腰の律動に合わせ、艶やかな法悦を合唱している。
 所詮、ここは魔界。
 妖鳥達の饗宴はこだまめいて、森の木々の間を抜け聞こえていたが、やがて
涼風に拭き千切られて、静かに消えていった。
「もーうっ。ちゃんと説明してくんなきゃわかんないようっ」
 彼らの剣幕に圧されながらも、イヨマンテはぷんぷん怒って両腕をばたつか
せた。
 目隠しが取られる。
 解放された視界の中、目の前のアンクが、何の断りもなく少女のジャージの
ファスナーを下ろした。
 背後のカムドが、ジャージとナップザックとを一気に彼女の腕から引き抜く。
「何? 何? 休憩?」
 暑いから上着を脱げ、休むから荷物を下ろせ、そういうことなのかとイヨマ
ンテは思った。それはまずまず常識的な判断であった……彼らのことを疑いも
しない者の考えとしては。
 二人の様子がおかしい、と彼女が気づいたのは、カムドの手がシャツをズボ
ンから出して捲り上げ、アンクの手がズボンの腰に掛かって下へと引き下ろし
たときだった。
「だ、ダメぇっ!」
 身体を捩り、彼らの手から逃れる。だが、それはほんの一拍、事態を遅らせ
たに過ぎなかった。
 湖における淫らな光景から少女を守ったばかりの手。
 その手が4本とも、彼女に襲い掛かった。
「やだーっ!」

―〜―〜―

 これは夢だ。
 これは夢なんだ。
 これは夢なんだから。
 ――何をしても、いいんだ。
 惑わしの里は、幻惑に満ちた妖精郷。
 その当人にすら気づかれぬほど僅かずつ、侵入者達の精神を侵す魔的な刷り
込みが、精神攻撃に対する耐性を持たない少年達を完全に掌握するまで、
 ――ふむ。存外に時間が掛かったな。
 黒羽の女悪魔は、宙空に結ばれたその“幻像”を、興味深げに見遣った。
 ――さて、どうするね? 我らが愛し子、小さな“希望”よ。
 “幻像”の中、下着姿の小柄な少女が、少年達に組み伏せられて、緑の芝生
に白く横たわった。
537メガテンX10本目前編:2006/08/10(木) 22:32:45 ID:+6fzqXv+
 本日はここまで。
 次回投下の予定は未定。

 何故だろう。投下を始めたら接続状況が一気に好転した。
538聖印貸した人:2006/08/10(木) 22:57:31 ID:BM6+zK8t
>>496
超遅レス失礼。
一言付け加えておくと、
聖印貸したキャラ:勘違いナルシー系暗め美青年
聖印借りたキャラ:生意気系ペット依存美少年
でした。(表現美化150%)

ってか、いつふたさん、こんなにたくさん書いてたんだ……。
まだ一部しか読んでないけど、きっとどれもGJに違いない。
539名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 01:07:04 ID:FbHm5rgA
GJ!
やっぱイヨちゃんかわいいです。
Dもかわいいのでちゃっちゃとイヨを認めて二人でアンクを襲ってくれw
540名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 16:57:22 ID:HHLjikV6
幼女ばかりが割りを食ってる気がするのは俺だけ?
541名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 19:22:08 ID:U1R1HmBV
有明一日目より帰還。
到着時には完売してたネコミミ先生卓の、コピー本表紙と思しきサンプル夢使い絵に悶死。
あれは確かにサンプル魔物使いのセンセも一撃だねと。

思わず使うアテも無いPCエンブレムシール買ってまったい。夢使い目当てに。
542名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 23:28:37 ID:VwzoWe0O
イヨがたまらなくエロ可愛いと同時に、メガテンが急にやりたくなってきた。
でもルールブックねぇよ……orz
543名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 19:18:53 ID:V4k7dLac
>>541
そのサンプル夢使い絵についてkwsk
544名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 11:52:11 ID:+5DDvm2m
あのイラストは、トラン×ノエルってことなのか?
深読みドントコイなのか?
545名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 14:20:53 ID:DVl4ieyT
トランの帽子だが大首領と書いてあるところをみると
実はノエルが大首領たんだったのだよーッ!
546名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 15:51:15 ID:VHRc+IlJ
>>545
な、なんだってー!
547名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 16:31:40 ID:OuSDC/on
秀逸なエロSSは多けれど、最近絵が少ないなあと思うわけで。
何故だろうと思ったら、コミケがあった。多分コミケの為だ。きっとそうだ。

http://vista.xii.jp/img/vi5554052747.jpg
コミケも終わったし、絵師降臨祈願貼り。一応アンゼロットですよと。
548名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 18:06:02 ID:+4qchBRh
遅ればせながら537GJ。続くエロシーンにも大期待。

ところで544、クワシク。
549名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 22:16:00 ID:uyoHBCqd
>>548
佐々木あかね氏本人のサイトに行って見れ。
550名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 00:29:58 ID:2JUAUYCf
そっちか。アリアンロッド公式を探し回ってたわ。ありがとさん。
551トラン×ノエル:2006/08/16(水) 01:19:27 ID:NnyJckqO
「あたしは、みんなと旅する事をー望みます」
その言葉は再び繰り返された。
最初の時と違うのは、ノエルの目前にいるのはただ一人である事。

「私はその時まであなたの側にいますよ。あなたが望むままに仲間として、あるいはあなただけの・・・」
ダイナストカバルの誇る人工生命体、トラン=セプターはノエルの頬にそっと手を延ばした。
じんわりとした温もりが、何故か涙を誘う。
「あたしが選んでも・・・・・・いいんですか?」
自分の手をノエルの手の平に重ねる。
脅える子猫のように自分を見上げるノエルにトランはわずかに笑みを返す。
「あたし、ぜったいこう・・・・・・と、トランさん!」
顔を赤く染め、必死に言葉を探すノエルの唇にトランのそれが重なった。

「トランさん!?」
驚いて距離を取ろうとするノエルの腕を横に流し、強く抱き寄せる。
「ちょっ・・・ちょっと待って・・・ちょっ・・・」
腕の中で慌てふためく少女を愛しく思いながら、トランの舌がノエルの唇を割り口内に侵入する。
小さな歯を軽くなぞり、脅えたように縮こまる柔らかなノエルの舌を撫でる。
「ん、んむぅぅぅぅううぅうう・・・」
トランはノエルの舌と口内を心ゆくまで蹂躙し、ようやく唇を離す。
「う、ううー・・・、トーラーンーさーんー・・・」
息苦しさかあるいは細緻に顔を真っ赤に染めたノエルが、しかしそれでも恨めしそうに上目使いに見上げる姿に、トランは人造の体に愛しさがあふれるのを実感する。
「・・・可愛いですよ、ノエル」
「と、トランさん・・・・・・そんなとこにっ」

****************
>429のネタを形にしてみた。
えー、お気づきとは思いますが、ノエルの台詞は全部史実どおりです(笑
気がむいたら、エロシーンに続く。

<当てにならない次回予告>
「初めて・・・」
「あーっ、あーあーあー!」
552名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 04:14:19 ID:O3mm0Yz7
ktkr!!GJGJ!!
是非気が向いてくれ!続きが見たいぞ!
553名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 09:52:49 ID:PYYiN0e1
何か、携帯大首領を通して音声だけ聞いて身悶えしてる萌え大首領が脳裏で熱い紅茶を盛大にぶちまけて行った。
554名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 12:05:17 ID:PC6QF9L7
>>553
ばかものぉ!
大首領たんはなあ、紅茶で汚れた服(下着含む)を脱いでだなあ
そのままトランにされたいあんなことやこんなことを想像して(ry
555名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 22:18:56 ID:eip3+BqD
音声中継を聞きながら一人で悶々とする大首領・・・

謎は全て解けた!
556いつふた:2006/08/16(水) 22:31:31 ID:plMryoS1
>551
>当てにならない次回予告
 済みません、あてにしちゃいます。がんばれ〜。
557いつふた:2006/08/16(水) 22:32:09 ID:plMryoS1
ゲーム:ダブルクロス(DX2ヴァリアント)
 形式:いつものふたり。
エロ度:エロネタギャグ。
レス数:4+1
 備考:リプレイ『消え去りし楽園』ネタ
558DX2ヴァリアント 1/4:2006/08/16(水) 22:33:19 ID:plMryoS1
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「DX2リプレイ・ヴァリアントの『消え去りし楽園』を読んだんだけどさ」
「ああ」
「意表をついて、『消え去りしガクエン』って読んだりしないよね?」
「プリズナー集めて第九でも演奏する気か」
「それはともかく、GF10−4の22世紀RPG研究所イラストギャラリー
で小笹吾郎氏のマンガが投稿されてるでしょ? 『京城月影抄』の後日談」
「ああ。
 時は現代、ただの古びたチェインメイルとして、骨董品屋の店先で埃をかぶ
る嵯峨童子、ことサー・ガウェイン。未だ聖杯を探し当てられず、長き年月の
間に当初の情熱も薄れ、自らが立てた誓いの言葉も色褪せたまま、今はゆるゆ
ると、魂の消え果てる日を待つばかり」
「いやそこまで詳細な記載はなかったかと」
「そこへ偶然立ち現れる十六夜姫、ならぬ、十六夜姫の遠い子孫の少女、十六
夜」
「うんうん、劇的な邂逅だ」
「彼女は嵯峨童子であるところのチェインメイルに何となく心惹かれるところ
がありながらも、友達の呼び声に応えてその場を離れる。
 そして嵯峨童子は、懐かしい友との“再会”により、かつての友誼と己が志
とを思い出し、ゆっくりと活動を再開する……。
 余情漂う、短いながらも名作だな」
「しみじみ、いい未来予想だよ」
「イラストでは十六夜はセーラー服を着ているようだから、恐らく十六夜姫と
同い年くらい、せいぜい中学生と見たが、どうだ」
「そんな感じだね」
「……やはりそうか。では仕方がないな」
「仕方がないって、何が?」
「そんな子供を手篭めにするのは俺としては気が引けるのだが」
「はあ!?」
「おっと、手篭めとは言ったが、何も無理矢理に、ではない。強姦なぞかまし
て清廉潔白な騎士様でなくなれば、嵯峨童子は聖杯を見つけられなくなるでは
ないか。
 ゆえに、両性合意の上で」
「ごごご合意ってあんた!」
「そう、現代的価値観では中学生との合意なぞ成人が関係を強要したに等しい。
ゆえに手篭めと称したまで」
「いやだからちょっと待てってば。
 嵯峨童子×十六夜(子孫)!? 何をどーしたらそうなるんだ!?」
559DX2ヴァリアント 2/4:2006/08/16(水) 22:34:40 ID:plMryoS1
「我らが祖国、日本は世界に冠たる日記文化の国。
 十六夜姫は『あなたの恩を語り継ぎ、忘れはしません』と言っている。恐ら
くは光の君の事件、殊に嵯峨童子が如何に強く、如何に優しく、如何に親切で、
如何に頼り甲斐のある快男子であったかを、微に入り細にわたって日記に書き
綴ったに違いない」
「ま、まあ、それは確かにありそうなんだけど」
「そうして日記は子々孫々に伝えられる。尤も、百年も経てば日記の内容は、
ご先祖様が創作した空想科学小説だと捉えられるようになるだろうが」
「何で平安時代に空想科学小説なんだ」
「『竹取物語』」
「は、SFです」
「十六夜(子孫)も幼い頃から日記の内容を母親に読み聞かされていた。中学
生に成長し、あれは御伽噺だと理性では判断しつつも、彼女は日記の中の嵯峨
童子に、亡き父親を恋い慕うような憧れをいだいている」
「うわー、萌えを入れてきたしー。
 てか、勝手にお父さん殺してるしー」
「十六夜(御先祖)なぞ、父親のロイスをタイタスにして昇華さえしているぞ」
「ああ、父親との別離までも子々孫々に伝わるのね。って呪いかそれは?」
「そのうち十六夜(子孫)は嵯峨童子と対面する。最初は驚いたものの、話に
聞いていた通りの人であると嬉しく思い、更に、またも起こった物の怪がらみ
の事件を経て、憧れはいつしか深い愛情に」
「あああっ、悲恋の予感がっ!」
「ちなみにその事件とは、骨董品の憑喪神が引き起こしたものだ。情報収集の
ために街の古道具屋で話を聞く際、十六夜(子孫)は嵯峨童子とペアのリング
を買ったりなんかして、親交を深めるわけだな」
「ちょっと待て。
 嵯峨童子って、外見は要するに『動く鎧』なんだけど、ンなもんの指に指輪
なんか着けてどうする」
「伏線だからいいのだ」
「やけにメタな理由だな」
「ともあれ、事件解決ののち、再び聖杯探索に単身旅立とうとする嵯峨童子を
暫し引き止める十六夜(子孫)。せめて一夜の思い出を、とセーラー服を脱ぎ
捨てて、未成熟な裸身を一人の男の前に惜しげもなくさらす」
「あわわわわっ! そ、そうだ、ここでスレの変更を超☆希望! 卓ゲ地下ス
レから『女性の求めをエロカッコ良く押しとどめろ!』スレに!」
「ん? 何か問題でもあるのか?」
「十六夜ちゃんは中学生だよっ!」
「そうまで言うなら年齢設定を高校生に引き上げよう」
「え、えと、えと、だから嵯峨童子は鎧だしっ。実体は霊体だしっ」
「妙な日本語だな。実体なのか霊体なのかはっきりせんか」
560DX2ヴァリアント 3/4:2006/08/16(水) 22:35:51 ID:plMryoS1
「『本体は』霊体だしっ! だからどーやってそーゆーことをしろってゆーん
だよ!?」
「その点は大丈夫だ。
 なにしろ、時は平安の御世から一千年を数える現代。
 レネゲイドの神秘により、変幻自在な生体組織がいつの間にやら嵯峨童子に
生えていたことにすれば、全ては丸く収まるさ」
「生やすなーっ! てか、何もかもレネゲイドのせいにすなーっ!」
「ではこう言いなおそう。
 物の怪なのだから、性交可能なイチモツの一本や二本」
「きゃぁぁっかします!」
「その却下を却下する。
 騎士は貴婦人に純愛を捧げるものだし、結婚は本来神聖なものなのだから騎
士の品格を貶めるものではない。
 二人は例のペアリングを互いに交換し、永遠の愛を神に誓って終生の夫婦と
なり、熱い契りを交わすのである」
「……イマイチ納得いかないー……」
「イチモツで駄目なら、ピリピリした軽い電撃で刺激を与えてイかせるとか。
《達人の技》あたりを併用して」
「あー、もうその話題はいいっ。
 ともあれ、十六夜姫の子孫は現代の十六夜ちゃんで途絶えるわけだな?」
「別に、人間の婦女子が物の怪の子を孕むなんて、怪異譚では普通だろうが」
「中高生が妊娠するのは色々とマズい! 法律的には未婚の母で、あまつさえ
父親不在、かてて加えて父親が妖物、なんつったら世間的にも大変だし、何よ
り子供がグレかねんぞ!」
「仮に、十六夜(子孫)がそのあと子供を産まずに一生を終えたとしても、十
六夜姫の血統が絶えるとは限るまい。たとえば十六夜(子孫)の姉妹とか従兄
弟とかが子孫を残せばいいわけだからな。
 時は西暦28世紀、宇宙時代の十六夜が、嵯峨童子と愛を交わし、手を取り
合って聖杯探索に旅立ったとしても何ら不思議はないだろう。人間と物の怪の
寿命差は、たとえば抗老化剤の服用や、十六夜のクローン体に対する彼女の記
憶の移殖、などで補うことが可能だ」
「嵯峨童子、現代の十六夜ちゃんの夫じゃなかったのか? 騎士が浮気をする
なよ騎士が」
「嵯峨童子は、十六夜姫の子孫の十六夜という名前の女性を、全員同一人物と
認識するから平気だ」
「ないないないない、絶対ないない。
 ……あ、でも、それはそれで、未来の十六夜ちゃんが過去の十六夜ちゃんに
ヤキモチを焼くという定番エピソードに繋が……。
 …………って。
 嵯峨童子、28世紀にもなってまだ聖杯見つけてないんかい!」
561DX2ヴァリアント 4/4:2006/08/16(水) 22:37:12 ID:plMryoS1
「それはそうと、『True World』。こちらの方もなかなか良い」
「そうぉお〜? MMO知らないせいか、どうにも楽しめなくってさぁ」
「まあ、普通一般のファンタジーだ、と認識をすりかえようにも、それを妨げ
るような独特の用語が頻出するからな」
「だから折角の爆笑リプレイなのに、素直に笑えなかったよ。なーんか悲しい」
「そんなことよりオルド×ワカバだ」
「…………は?」
「オルド×ワカバ。ブラボー。マーベラス。ファンタスティック」
「何でまた。ひょっとして、巨体の親切漢と被保護者の女の子っつー取り合わ
せがツボとか?」
「そんなことではない。いや、そんなことはないことはないが、そんなことで
はない」
「どっちなんだ。で、そんなことない、のなら、何なんだ」
「オルド×ワカバは男側の死にオチなので、悲恋物に仕立てるには、これほど
好都合の組み合わせはない。しかもワカバの方は、彼を恩人として見ていただ
け。即ち、男の想いの一方通行だ。
 自分の本心に気づいてくれなかった女を庇って、人知れず死んでゆく男。最
期の台詞が、『畜生、ここまでか……ワカバ、お前だけでも生き延びて、現実
へ帰るんだぜ…………』」
「うわーん、悲しすぎるよぅー!」
「こういう台詞でもいいな。『畜生、ここまでか……こんなことならワカバ、
無理にでもお前のこと、一度は抱いておくんだったなぁ…………』」
「そ、それはそれで切ないっ!」
「勿論、一度か二度は夜を共にした、という設定であっても構わないのだが。
オルドは情愛をこめて女を抱き、しかしワカバは、ほんの一瞬でも不安を忘れ
させてくれる相手としてのみ男を見ている」
「やめて〜。どんどんオルドが浮かばれなくなってくるぅ〜」
「だが、三度目の情交はなかった」
「え、どうして? ……って、そうか、その前にオルドが殺されたから」
「いいや、そういうことではない。ワカバのためを思ってのことだ」
「とゆーと?」
「何しろオルドだからな。
 一ヶ月に3回ヤると孕んでしまう」
「『オルド』違いだ馬鹿野郎! あとそれ『蒼き狼と白き雌鹿』やってないと
わからんわっ!」
562DX2ヴァリアント:2006/08/16(水) 22:39:20 ID:plMryoS1
 ・・・・・おしまい。

 以上、北条政子ちゃんが可愛かったので、てゆーか、ぶっちゃけ彼女以外に
好みの女の子がいなかったので、世界編で源頼朝ばっかりやっていた、という
お話でした。
 ……クリアできた試しはないけど。
563名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 21:04:52 ID:zo791KIr
ALSガイアリプレイ。
百合分の少なさにちょっと絶望。

SSネタになるかと思って買ってきたのに……
564いつふた:2006/08/17(木) 23:20:57 ID:dw9RbjWa
 原作:くいっくすたーと!!(裏くいすた2本目)
元ネタ:ttp://tenra.net/keumaya/KUISUTA01.html
 形式:小説形式(三人称)。
レス数:6+1
 分割:なし。
エロ度:和姦と言っていいものやら。女性同士注意。
    エロシーンの分量が、それ以外の分量以上である。
連続性:1本目(『サチぴょん危機一髪』)の続き。
 時節:高校一年一学期の中間考査の直後。
 終幕:フミちゃんにはハッピーエンド。
565裏くいすた 2本目 1/6:2006/08/17(木) 23:22:01 ID:dw9RbjWa
◇サチぴょん危機一杯

 ちゅっ……ぐちゅ、ちゅっ…………。
 濡れそぼつ身体の奥深くをえぐられるたび、
「んっ……んっ、んっ…………!」
 サチは喉の奥で喘ぎ声を噛み殺す。
「我慢しなくていいんですよ?」
 うっとりするほど清げな笑顔で、フミがサチの瞳を覗き込んだ。
「声を出した方が楽になりますよ?」
 くちゅ、ぐちゅり!
 密壺の奥から大量の花蜜をキツく掻き出されて、咄嗟にサチは両手で自分の
口を押さえた。
「ん、んんっ!」
 半日授業の土曜日、午後の校内。
 中間考査の成績が悪かった桃子は、昼からの補習授業に強制参加させられて
いる。彼女の『お勤め』が終わったら、3人で遊ぶ約束なのだ。
 学食で昼食を済ませたサチが、一緒にいたフミに誘われ、ちょっとした冒険
気分で、まだ一度も授業で使ったことがないLL教室を覗いた、のが運の尽き。
 カチリ、内側から閉められる鍵。
 シャッ、と引かれるカーテン。
 サチはホワイトボードの脇の壁に背中を軽く押し付けられた。
 フミ主導、淫らな1on1セッションの始まりである。
「サチさん。いつもみたいにしてください」
 フミの『お願い』を聞いてサチは頬を赤く染めながら、ベストを胸の上まで
めくり、ブラウスのボタンを1つ2つ外して、これも胸の上までめくり、ブラ
のホックを外して、そのカップを胸の上までズラした。
 巨乳と称して差し支えない乳房を惜しみなく露出させた状態で、スカートの
中に手を入れ、パンツを脱ぎ、ポケットの中に押し込む。そうして、自分で自
分のスカートを、おずおずとめくりあげた。
 つい昨日の夜のこと。サチは、大事な処女を、フミの手で奪われた。
 血色に汚された自分の姿を大きな鏡で見せ付けられて、あんなにも悲しく、
あんなにも悔しく、あんなにもみじめな思いで、涙を流したのに……。
 どうして今日もまた、フミの誘惑に乗ってしまったのか。サチはもう、自分
がわからなかった。
 わかるのは、ただ、……フミから与えられる快楽を、自分の身体が欲してい
ること。飢えたように、渇いたように、悩ましい刺激を求めていることだ。
 豊かな乳房を揉みしだかれて。
 女の狭間をもてあそばれて。
 甘く痺れる。熱くとろける。どうにでもして。もっと、もっと。
566裏くいすた 2本目 2/6:2006/08/17(木) 23:22:56 ID:dw9RbjWa
 それでも、最後に残った僅かな理性――あるいはプライド――が、フミの指
責めに対して懸命に抵抗していた。悦びの声を上げることを拒んでいた。
「この部屋は防音だそうですから、大声を出しても外には聞こえませんよ?」
 フミの囁きに、サチは必死で首を横に振る。
 散々にねぶられ、尖らされた乳首に歯を立てられても。
「――――!」
 潤々たる愛液にまみれて充血した雛先に爪を立てられても。
「――――――――!」
 苦痛の悲鳴に紙一重、悦楽の快哉を、サチは何とか呑み込んだ。
「サチさんてば、本当に強情なんだから」
 ぷー、とフミが膨れっ面を作った。
 小さな女の子の他愛無い我儘みたいに、とてもキュートな表情だった。
「なら、私にも考えがあります」
 フミは鞄の中から紙製の小箱を取り出した。蓋をあければ色とりどりのビー
ズ・アクセサリが詰まっているんじゃないか、そんな予想をさせる可愛らしい
彩りの箱。
 その中から現れたのは、……綺麗なピンク色の、バイブレーターだった。
 フミがコントローラーのスイッチを入れると、男性器の形状を模した部分が
低い唸りを上げて振動を始める。
 本能的に怯えるサチに、フミが優しく微笑みかけた。
「心配しないでください。初心者向けのマイルドなやつですから」
 そして、一気に貫いた。
「……………………ぁ!」
 肉体的精神的な衝撃のあまり、全身が硬直するサチ。そんな彼女のポケット
からパンツを引っ張り出して、フミはサチの足を片方ずつ上げさせ、穿かせた。
サチに挿入されたバイブが、下着によって固定される。
 更にフミは、バイブのコントローラーを、周到に準備してあった粘着テープ
で下着に貼り付けた。
「…………ぁ…………ぁ、ぁ……………………!」
 サチの身体の内側に、強制的、かつ間断なく、強い快楽を汲み出す塊。文字
通りの機械的な動きに、サチの限界が急激に近づいてきた。
「さ、サチさん」
 フミがLL教室の扉をあけた。
「モモさんの様子を見に行きましょう」
「…………え?」
 フミの『お願い』を理解するのに、サチはかなりの時間を要した。
 そして、理解したからこそ、驚愕した。
「そ……そんな…………!」
「ああ、じゃあ、私はここで待っていましょうか?」
 天使の顔で、悪魔が二者択一を強いる。
567裏くいすた 2本目 3/6:2006/08/17(木) 23:23:50 ID:dw9RbjWa
「一人で行きますか? それとも二人で?」
「ふ、た……りで」
 サチには、そう答える以外になかった。どんなことであれ、自分一人でさせ
られるよりはマシに思えたからだ。
 LL教室は1階。桃子のいる教室はLL教室の真上。 
 ただし、3階。
 LL教室の横手にある階段を、サチは1段、また1段と昇っていく。
 いつもなら二段飛ばしでさくさく駆け上がる場所を、まるで1歩ずつ確かめ
るかのように昇っていく。
 フミに突き入れられたバイブは、クリ刺激のないタイプの単純な構造だった。
もしも彼女の過敏な花芽に直接的な振動が与えられていたら、サチはとっくに
達していたはずだ。
 だが、内側からの間接刺激が彼女の雛尖を酷く疼かせる。イきたい、足りな
い、イきたい、足りない、イきたい、足りない、イきたい、イきたい…………。
 ――……ダ……メ……。
 ――こんな……ところで、イく、わけには……。
 耐えがたきを耐え続けるサチは、自己の現状をほとんど自覚していなかった。
フミの目線に命じられるまま、足を動かすのが精一杯だった。
 はあ……はあ……と苦しげに荒れる息。
 虚ろな熱っぽい瞳。
 あからさまに上気した頬。
 よたよたと危なっかしい歩み。
 階段を下りてくる生徒や、あとから追い抜かしていく教師が、サチの様子を
見て不審がる。体調が悪いのか、大丈夫なのか、と。
 そのたび、フミがていよくあしらい、誤魔化した。大丈夫です、あとで保健
室に連れていきますから、と。
 もしも自分一人だったら。サチはぼんやりと思った。上手く受け答えできず、
学校でこんなことをしているのがバレて、大変なことになっていたに違いない。
 恐怖にも似たその思いが、この異様な状況下で奇妙に歪んでゆく。
 フミのせいでこんなことに。
 フミのお陰でこんなことに。
 フミがいたから……『助かった』。
 フミに感謝する思い。フミを信頼する思い。
 フミに傾倒する気持ち。
「フミ……」
 彼女を名を呼ぶと、フミは満足そうに、大きく頷いた。
 フミに褒められた。フミに認められた。ああ……嬉しい…………。
 サチは頑張った。そうして、3階まで踏破した。
568裏くいすた 2本目 4/6:2006/08/17(木) 23:24:50 ID:dw9RbjWa
 更に少し歩けば、廊下側の窓が開け放たれていて、そこから桃子の姿が垣間
見えた。
 桃子は真面目な顔つきで、ノートにシャーペンを走らせている。
 が、黒板の方に全く目を遣らないことからして、どうせがところ、新しいシ
ナリオでも書いているのだろう。ひょっとしたら、今日の分を作っているのか
も知れない。
 ――モモ。
 はふう、とサチが深い吐息をついた。
 平凡で平穏な、あたりまえの日常に生きている桃子が、とても眩しく、愛し
く思えた。
 慕情か憧憬か、それとも恋情か。あたたかな眼差しを浮かべるサチの横顔。
 あたりに人目がないことを用心深く確認したフミは、サチの表情をじっくり
と観察しながら、素早く彼女のスカートの中に手を突っ込み、コントローラの
スイッチを切った。
「あ…………っ」
 虚脱するほど、大きな喪失感。
 サチの瞳に哀願が潤む。いや、やめないで、もっと…………!
「戻って、『これ』を外しましょう」
 下着の上から、停止したバイブをコツンとはじく。たった1度の小さな振動
が、サチを再び舞い上がらせる。
「それとも、モモさんに見てもらいますか? ……サチさんが、『こんな物』
を挿れて大喜びしているところを」
 まんざら冗談でもなさげな口調。『仕方なく』、サチはフミに従った。LL
教室に戻り、何も指示されないうちから、軽く足を広げて自分のスカートを大
きくめくりあげる。
「ああ、もう、べちょべちょですねぇ」
 サチの中から湧き出した粘っこい清水は、バイブを伝ってパンツをぐっしょ
りと湿らせていた。
 フミはサチのパンツを脱がせて、それからおもむろに、バイブを抜き取った。
『栓』を失った蜜壺から花密があふれてくるのを、フミは舌を突き出してねっ
とりと舐め取り、美味しそうに飲み干した。
 そうして、すっかり勃起したサチのクリトリスに口淫を。
「ご褒美ですよ。サチさん」
 舌と唇との巧みな動きが、ギリギリまで追い上げれられていたサチを一瞬で
エクスタシーに導く。
 もはやサチには、声をこらえることなど全くできなかった。
「あーーーーっ!」
 びくびくびくっ! と彼女の身体が、雷に撃ちのめされたように飛び跳ねる。
 意識の空白。倒れそうになるサチをフミが支えて、壁にもたれさせた。
569裏くいすた 2本目 5/6:2006/08/17(木) 23:25:34 ID:dw9RbjWa
「ちゃんとイきました?」
 サチは呆然とフミを見返す。
「答えてください。サチさん?」
 ノロノロと口をあける。
「イ……ッ……た…………」
「気持ちよくなれました? 欲求不満は残ってません?」
「ん……」
「それはよかった」
 サチの体温の移ったバイブレータを、フミはサチに差し出した。
 一瞬の躊躇い。そののち、サチはピンク色の男性器に絡みついた白っぽい粘
液を丹念に舐め清めた。
 そのバイブをタオルにくるんで鞄の中に仕舞い、改めてフミはサチに尋ねた。
「今日の『プレイ』はどうでした? 楽しかったですか?」
 サチは恥ずかしげに、だが、確かに頷く。
「また、やりたいですか?」
 再び、こくんと頷く。
「今回の経験点を生かして、……次回は、別のプレイヤーをお招きしましょう
か」
「モ、モモはダメ!」
 思わずサチは叫んでいた。
「モモだけは……」
 蒼褪める彼女。桃子だけは許してほしい。許してやってほしい。
 何も知らぬまま。無垢なまま。
 あのままの彼女でいてほしい。
「そう。そんな我儘を言うんですか。サチさんは困ったちゃんですね」
 フミはクスクスと笑う。そして、重く湿ったサチのパンツをコンビニのレジ
袋に入れて、これも自分の鞄に仕舞った。
「ちょ……返して!」
 サチが手を伸ばすと、フミは意地悪く鞄を遠ざける。
「洗って返してあげます。今のまんまじゃ穿けないでしょう?」
「でも……!」
 ないよりはマシ、とサチは目顔で懇願する。だから返して、と。
「その様子じゃ、替えの下着を持っていないんですね」
 フミは、更に愉快そうに笑った。
「『プレイ』の続きです。『次の』セッションは、そのままでいてください」
 サチの脇腹に、嫌な汗が浮かんだ。
 『次の』セッション。それは即ち、桃子の家でTRPGをして遊ぶこと。
 そのあいだ、ずっと……ノーパンでいろ、と?
570裏くいすた 2本目 6/6:2006/08/17(木) 23:26:47 ID:dw9RbjWa
「新しいのを買ってくる!」
 フミの返事も待たずに、サチはLL教室を飛び出した。
 どちらにせよ、新品のパンツを手に入れるまで、彼女がノーパン状態である
ことには変わらない。誰かに見咎められやしないかとドキドキしながらコンビ
ニ辺りを歩き回るサチの姿を想像して、フミはますます愉快そうに笑った。
571裏くいすた 2本目:2006/08/17(木) 23:27:22 ID:dw9RbjWa
 ・・・・・おしまい。

 以上、フミサチ×サクラコの直前という設定のお話でした。

―――チラ裏
 結局2本目も思いついたから書いた。1本目よりもエロ分を多めにするとか
レス数を増やすとか、更に努力してみた。誰が褒めてくれるわけでもないこと
だから自分で自分を褒めておく。偉いぞいつふた、よく頑張った。
 あと、モモちゃんを襲っちゃダメだなと思った。何にも知らない桃子の横で、
サチだのサクラコだのに羞恥プレイを強要するフミちゃんってのが最強ではな
かろうか。でもサクラコは乳首を摘ままれたらすぐに堕ちるから、あっさりフ
ミサチに調教されて、自分の快楽と引き換えに姉を売るかも知れない。ところ
が意外にモモちゃんが、フミすら及ばぬ超☆攻めキャラで【以下延々】
572名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 23:33:44 ID:4oeXF8nQ
>>571
えろいのぉ兄ちゃん、えろくて脳髄とろけそうじゃぁ。ギギギ

最近百合分が足りずに所謂レズ物に手を出しそうになって、現物みてやっぱ百合じゃねぇ!と憤ってみたり。
【自分勝手にも程が有ります】

そんな状況でこのSS。ありがとうありがとうと云う気持ちは(ry
思わずリアルタイムで書き込まれていくのを更新しつつ追い掛けてしまいましたよ?

そしてモモは蚊帳の外でこそモモだと思う次第。
573いつふた:2006/08/17(木) 23:37:53 ID:dw9RbjWa
>571投下時点で486KB表示。
次スレの季節です。
あいにく、いつふたには立てられませんでしたので、どなたかお願い致します。

以下、テンプレート案。
------
卓上ゲームエロパロ総合スレ12
カードゲーム、ボードゲーム、TRPG……
この世にある全ての卓ゲーには影に隠れ淫靡にまみれし恥部があった!!

ここは卓上ゲームを元ネタとするエロパロを総合的に扱うスレッドです。
元ネタ及び表現するジャンルは不問! 小説、イラスト、コミック、あるいは18禁リプレイやら生身やら。
遊戯中にとめどなく妄想を始めて人知れず股間をすり合わせるヒマがあるのなら! さあ! カキたまえ!!

前スレ
卓上ゲームエロパロ総合スレ11
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149545629/

過去スレや過去作品のまとめはこちら
2ch卓上ゲームエロパロ総合スレまとめサイト
ttp://trpg.h.fc2.com/

関連スレなど
卓上ゲーム板
http://game9.2ch.net/cgame/
名称募集中 ソードワールド 10号店
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150525441/
ロードス島戦記のSS3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142255852/
574名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 00:44:51 ID:qHFX44Y0
卓上ゲームエロパロ総合スレ12
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155829391/l50

ほい。
575名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 22:40:59 ID:e3caJMCj
>>574
お疲れさまです。
576いつふた:2006/08/18(金) 23:11:29 ID:2rcewCO/
>574
 スレ立て有り難うございました。

 適当に地鎮祭を執り行いましたので、あとは皆々様でよろしく。>新スレ
577いつふた%埋めモード:2006/08/18(金) 23:12:26 ID:2rcewCO/
 原作:くいっくすたーと!!(表くいすた1本目前編)
元ネタ:天日録06年07月20日
 形式:小説形式(三人称)。
レス数:4+1
 分割:前後編の前編。
エロ度:全年齢対象。
連続性:単発。
 時節:7月20日。
 終幕:ハッピーエンド。

 保管庫での保存は不要です。>管理人様
578表くいすた1本目前編 1/4:2006/08/18(金) 23:13:18 ID:2rcewCO/
◇ときかけくいすた

   『時かけ』と『くいすた』を見て思ったんだけど

   脳裡に浮かぶ

   [紺野真琴]+[TRPG分]−[タイムリープ能力]=[モモ]

   という数式。

―〜―〜―

 というわけで、桃子は自在にタイムリープできる能力を手に入れた。
「こ、これは、つまり……っ!」
 わなわなと拳を震わせて、桃子は独りごちた。
「あのころ存在すら知らなかったボックスタイプのシステムや絶版ルルブを、
それも新品を! 買うことができるってわけだな!」
 桃子は喜び勇んで、1985年にタイムリープすることに決めた。
 目指すはD&D――日本上陸直後の、記念すべき第1作!
「だぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!」
 桃子は全力で跳んだ。

 …………だが、彼女は。
 まだ生まれていなかった…………。

 仕切りなおし。

 自分が生まれていて、しかも、なるべく昔。その条件で桃子は、とりあえず
15年前にタイムリープした。
 ゴロゴロゴロゴロゴロ、ガツッ!
「っつ!」
 桃子は盛大に転がりつつ部屋の中に出現し、挙句、後頭部を何か硬い物体で
打った。
(っつ〜。……えーと。どこだ、ここは?)
 そこは、確かに見知っている、はずの部屋だった。
 でも、何故だろう。何かが違う。根本的に違和感がある。
 桃子が頭を打ったのは、モモサク姉妹が小学生の頃に、もう要らないからと
捨てられたはずの、白いベビーダンスだった。
 時間的には、恐らく真夏の昼下がり。
579表くいすた1本目前編 2/4:2006/08/18(金) 23:14:03 ID:2rcewCO/
 部屋の中央にはタオルケットが敷かれていて、その上で、幼い桜子が、すー
すー寝息を立てている。もこもこのロンパース姿が、とても愛らしい。
 換気のためか、部屋の扉はあけられているけれど、勝手に出歩いて階段から
落ちたりするのを防ぐためだろう、茶色い木製の柵がきちんと閉められていた。
これは、モモサク姉妹が幼稚園に通い始めた頃に全面撤去された安全柵だ。
 そういった、小さい時分の懐かしい家具が存在する代わり、使い慣れた学習
机やクローゼットなんかがどこにもなかった。
(そっか。今は15年前だから)
 15年前は、…………桃子は1歳だから。

(お小遣いももらっていないのに、買いに行けるわけがないよっ!)
 てゆーか一人で出歩ける状態ですらない。
 桃子は泣く泣く現代にタイムリープした。

―〜―〜―

   タイムリープして何度も何度も同じセッションを楽しむモモ。

   (奴はきっと周知プレイ上等なはず)

―〜―〜―

 バン! とドアが開け放たれた。
「…………ぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 ゴロゴロゴロゴロゴロ!
 桃子は盛大に転がりつつ部屋の中に出現し、ドア側から室内を横切って壁際
へ突進。そこに積んであったガラクタの山――部屋の主たる桃子当人すら、も
はや何が何だかわからない代物――へと華々しく突っ込んだ。
 ドバサァッ!
「きゃ!」
「うわ!?」
「げっ!」
 フミ、サチ、桜子が驚いて身を引く。その動きは、むしろ桃子がぶつかるこ
とによってモワッと盛り上がった埃や白煙から逃げるためのものだった。
「あわわわわっ」
 奇声を発しつつフミが急いで窓を開け、
「ったくもう!」
 舌打ちした桜子はドアから出て廊下の窓を開ける。
「っぃしょ!」
580表くいすた1本目前編 3/4:2006/08/18(金) 23:14:47 ID:2rcewCO/
 サチは、ガラクタの中に突っ込んだままピクリとも動かない桃子を、右手で
引っ掴んで引きずり出した。勿論、左手で鼻と口とに忘れずハンカチを当てて
いる。
「きったな〜。し、か、も、くっさ〜。モモ、何を溜め込んでんだよ一体?」
「あ、あははは、さーて、何だったかなー?」
 桃子は埃まみれの顔で、力なく誤魔化し笑うのみだ。
「てゆーかモモ!? お前どーやってこんなとこに突っ込んだ!?」
 ようやく不可解さに気づいて叫ぶサチ。
 確かに変だ、と頷くフミサク。何故なら桃子は部屋の中央に置かれたテーブ
ルの、ドアとは真反対の位置に、ほんの一瞬前までちゃんと座っていたのだか
ら。
 それなのに、どうしてドアから飛び込んで来たのか?
「そんなことより、セッション始めよーぜセッション!」
 桃子に促されるまでもなく、『そんなこと』よりセッションが大事。
 ここは桃子の私室。桜子は24時間居残っていられるが、フミやサチには門
限というものがあるのだ。
「え? あ、そうですね。じゃあ、今回予告を読み上げます」
 GMのフミが、手元のメモを取り上げた。
 もう37回も同じ文章を聞かされている桃子は、フミが読むより先に暗唱で
きそうな気分である。
 桃子は、こっそり眉をひそめた。
(しっかし……周知プレイも37回やれば、大概飽きてくるよな)
 普通は、もっと早くに飽きる。
(どうせやり直せるんだから、……たまにはわざと困ったちゃんプレイをして
みるか!?)
 幸い、GMはフミ。なかなか筋がいいとはいえ、所詮彼女はまだまだ初心者。
サチと桜子という歴戦のゲーマーが傍についているが、明確な悪意をPLの立
場で喰い止めきれるものではない。
(ふふっ……このセッション、もらった!)
 こうして、桃子のセッションブレイク大作戦が始まった。

 桃子はPC1のハンターを選んだ。ハンドアウトは、誘拐された少女の奪還
を、彼女の父親から依頼されるというもの。そしてオープニング、フミが状況
を説明する。
「酒場の奥から、依頼人の男性が出てきました。彼が言うには……」
「斬り殺す」
 桃子は嬉々として言い放った。
「エキストラだから即死だろ?」
「えっ!?」
「おいっ!」
581表くいすた1本目前編 4/4:2006/08/18(金) 23:15:32 ID:2rcewCO/
 サチと桜子が色めき立つが、桃子は頭から無視である。
 フミは一つ頷いた。
「では依頼人は血を流しながら最後の息で、『先週出発した馬車が……』」
 む、やるなフミ。桃子は追い討ちを掛けた。
「口が利けないように頭を踏む」
「そうすると依頼人の幽霊が出てきて、『その馬車にはワシの娘が乗っておる
んじゃが……』」
 桃子は慌てて言を継いだ。
「教会でホーリーシンボルとか買ってきて幽霊を追い払うっ」
「彼の消えたあとの床に、血文字が浮かびます。『報酬は……』」
「水ブッ掛けて消すっ!」
「そこからダゴンが湧いてきて文字を書き直しました。『どうかワシの娘を…
…』」
 ついに桃子は悲鳴を上げた。
「ダゴンってアルシャードにはいないだろっ!?」
 フミはゆったり微笑んだ。
「いますよ。この店で飼ってる名状しがたきネズミのダゴンちゃんです。で、
『馬車のルートは……』」
 サチと桜子は腹を抱えて大笑いしている。
「っく〜〜〜〜〜〜っ!」
 悔しさのあまりに歯噛みした桃子は、
「グッジョブだフミ! だがこれしきのことで私は負けないぞ!」
 そう賞賛&宣言するなり、窓から外へとダイブした。
「だぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「…………ぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 ゴロゴロゴロゴロゴロ!
 桃子は盛大に転がりつつ部屋の中に出現し、高校の教科書も中学の教科書も
一緒くたに積み上げられている学習机に顔面からぶつかった。
 10点台、20点台のテスト用紙が、ヒラヒラと物悲しく舞い散った。
582表くいすた1本目前編:2006/08/18(金) 23:16:30 ID:2rcewCO/
 本日はここまで。
 次回投下は、また折りを見て。
583名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 23:26:33 ID:56IuLdrG
ダゴンふいたw
584名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 09:39:09 ID:yup+W2ZJ
ダゴンおそるべし。
てゆうか、フミ、恐るべし。ホントに高校以前にGM経験がないのだろうか。
それともシナリオのあの分厚さはトラブルシューティングなのだろうか。

http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/151.txt

言い訳その一
途中で視点が一人称から三人称に変わっているのは、エンジェルハウリングをふと読み返したせいです。
つまり、ボクのせいじゃありません。秋田のせいです。

言い訳その二
「上になったり下になったり」も書こうと思いましたが、ボクには力が足りません。
ジャバウォックにも聞いてみました。「力が欲しい」「あげません」そうですか。

言い訳その三
ドキュメントファイルで書いて、テキストに修正してそのまま出してます。
読みにくかったら、Ctrl+Aでコピペしてテキトーなエディタに貼り付けて下さい。
585いつふた:2006/08/19(土) 11:40:09 ID:jNDwCYti
>584
>『ノーブラ濡れシャツは、全裸よりもエロい』
>「その結果がボクだ、とも言ってた」
 是非、宏文くんのお母様にお会いしてみたいと思いました。
 ……少し考えて、やっぱコワイからイラネと思いました。

 GJです。エロさ加減を堪能するより先に、まず大笑いしました。

----
 つまんないこと言うようですが、ダゴンの件は困ったちゃんスレに元ネタが
ありますので。
586名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 16:11:52 ID:zG3Ib5HQ
>>578
>>584
グーーーーッジョブ。そして地鎮祭乙。
終わり際に良いモン見せてもらった。
587埋め隊:2006/08/19(土) 19:02:44 ID:yup+W2ZJ
>>585
>是非、宏文くんのお母様にお会いしてみたいと思いました。
>……少し考えて、やっぱコワイからイラネと思いました。

だって「金曜日は容赦するな」(リプレイ中の発言。原文ママ)とか子供に教育する方ですよ?
588名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 23:33:27 ID:IGvBH3Ce
タイムリープは「経験する時間の並び替え」だから、同一セッションを何度も経験するのは
不可能と言うのは無粋な突っ込みでしょうか。
589名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 21:37:31 ID:kTse1GYN
土日に菩薩の心で安らぐために金曜日は修羅と化すのですよ
590名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 06:08:35 ID:V4tBklH3
588よ「時をかける少女」を観てきてくれ。
今は全国でも12館しか上映してないがな……。
http://www.kadokawa-herald.co.jp/official/tokikake2006/jouei.shtml
591名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 13:43:56 ID:gSBv1gd+
588はひょっとして、明日は昨日なタイムリープを言っているのか。
592名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 17:00:01 ID:rR9OBI7F
そっちは「SHORT TWIST」と呼ぶ方が通りがいいんじゃねえかな。
593名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 19:28:01 ID:QtF3bxpC
埋め行為
594名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 19:32:09 ID:QtF3bxpC
あげあげ
595名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 19:34:29 ID:QtF3bxpC
んめ
596名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 20:36:27 ID:QtF3bxpC
んめ
597名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 20:48:35 ID:QtF3bxpC
んめ
598名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 21:03:39 ID:QtF3bxpC
んめ
599名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 21:25:56 ID:QtF3bxpC
んめ
600名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 21:27:45 ID:QtF3bxpC
んめ
601名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 21:29:56 ID:QtF3bxpC
んめ
602名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 21:39:51 ID:QtF3bxpC
んめ
603名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 21:49:10 ID:QtF3bxpC
んめ
604名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:00:27 ID:a3dx3vMg
まだ埋まりきってないぞ
605名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:05:53 ID:QtF3bxpC
んめ
606名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:08:31 ID:QtF3bxpC
んめ
607名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:09:04 ID:QtF3bxpC
んめ
608名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:09:34 ID:QtF3bxpC
んめ
609名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:10:04 ID:QtF3bxpC
んめ
610名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:11:12 ID:QtF3bxpC
んめ
611名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:12:45 ID:QtF3bxpC
んめ
612名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:13:53 ID:QtF3bxpC
んめ
613名無しさん@ピンキー
んめ