【俺の】結婚&新婚萌えスレッド【嫁!】

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673とある新婚さんの話
人生ってのは本当にわからないものだと思う。
大学卒業を間近に迎えた時期に付き合っていた彼女から振られて、これ以上の苦しみはないってほどに
へこまされたと思えば、四月に入社式という新社会人の儀式を通過したときには
嬉し恥ずかし新婚さん。
時間――日数にしてみれば三週間余りの間の出来事。
狐につままれたというのは、今の自分の状況を言い表すのに的確なものだと思う。
朝はおはようのキスで起こされ、出勤時にはいってらっしゃいのキスでお見送り。
昼食に持たされている弁当には、お約束のごとくハートマークが白米の上に鎮座しており、ダイスキ!
というメッセージももれなくついてくる。
そして、左手薬指に輝くは白銀の指輪。

まあ、ここまで現実的なことが起こっているわけだから受け止めなきゃしょうがない。
674とある新婚さんの話2:2007/05/07(月) 23:08:05 ID:Pf6VwBec
その日。三日前に付き合っていた彼女から振られておれ――松中智仁(まつなか ともひと)は、
これ以上の苦しみがあるのだろうかっていうぐらいの絶望感を味わっていた。

――早い話が不貞腐れていた。

そこへ現れたのが早瀬紗奈(はやせ さな)。小さいころによく一緒に遊んでもらっていた三歳年上の
幼馴染の女性で、今は二十五になる。
大きくなれば――もう少し年が近い幼馴染だとお互いの関係が照れくさくなったりして遊ばなくなった
りするんだろう。やや年が離れていたためか彼女はおれにべったりといっていいほどに
世話を焼いてくれた。
お互いが一人っ子であったため、彼女から見れば弟、おれから見れば甘えられる姉が欲しかったんだと
思う。
それからも疎遠になることはなく、よく一緒に遊びにいく仲の良い姉弟といって差し支えのない関係が
続いていた。

振られてへこんでいたため出かけるのを渋るおれを強引に引張り、卒業祝いと称して飲みに連れ出して
くれた。
亡くなったおじさんとおばさんから受け継いだ莫大な遺産を運用して、実業家としてばりばりに活躍
しているらしい紗奈姉ちゃんは、大学生のおれが見てもわかる高そうな料亭へと入ろうとした。
先祖代々の庶民的でごく平凡な家庭にて生まれ育ったおれは当然のようにびびって、飲み会で行き着け
にしていた居酒屋を代わりに提案していた。
675とある新婚さんの話3:2007/05/07(月) 23:09:26 ID:Pf6VwBec
「……というわけなんだ。ひどいだろ。紗奈姉ちゃん」
おごりだから遠慮なくやるようにと言われていたものの、結局、いつもの安い焼酎をロックだの水割り
だのお湯割りだと飲んで、いい具合に出来上がっていたおれは彼女に散々愚痴っていた。
始めは上品にワインを飲んでいた姉ちゃんは、おれが飲む焼酎に興味を惹かれたのかしばらく前から
同じものを注文して黙々と飲み干していった。
「ねえ、姉ちゃん。おれの話聞いてる?」
確認しようとしたところ、ちらっと視線だけ向けてきたと思えば、手元のグラスへと意識を戻しその中身を
喉の奥へと流し込んでいく。
ややあって、ダンっとテーブルに叩きつけられたグラスからなかの氷が飛出そうとしてくる。隣の
サラリーマンのおっさんたちが陣取る机からは迷惑そうに見られていた。
「姉ちゃん、どうしたのさ?」
おっさん連中に愛想笑いつきで軽く会釈しつつ、どうも様子がおかしい彼女の俯けられた顔を覗きこんだ。
「……ひどい」
「えっ? ああ、さっきのおれの話のこと? だろ? 本当にひどいよな、彼女……」
「違うっ! ひどいのはトモくんよっ!」
「……うんうん、ひどいのはおれ……ってなんでおれなの!?」
「だってそうじゃないっ。他の女の子にばかり手を出して、いつになったらお姉ちゃんに振り向いてくれるのっ」
黒曜石のような綺麗な瞳にじわりと涙をためて紗奈姉ちゃんはおれのことを非難してくる。
おれとしてはまったくの不測の事態でありおろおろするだけだった。
「お姉ちゃんはトモくんのことがこんなに好きなのに……ひどいトモくんはいつまでお姉ちゃんに
放置プレイをかます気なのっ!?」
「ほっ、ほっ放置プレイっ!?」
いやらしい――性的なこととは無縁だと思っていた姉が顔を真っ赤にして訴えてくる。さっきのおっさん
連中や、近くの席からはおれと同じ大学生風の男女が好奇の目でこちらを見てくる。
視線の色がどうも怪しい。
紗奈姉ちゃんが、お姉ちゃんと連発してくるので、もしかしたら近親相姦一歩手前のいけない姉弟だとでも
思われたりしているのかもしれない。
「ひどい……。お姉ちゃんはトモくんのことが小さいころからずっと好きだったのに疑うの……?」
「いっ、いや好きって……姉弟愛みたいなもんでしょ……?」
予期せぬ人に予期せぬ場所で予期せぬタイミングで告白される。処理できる容量を大幅に超えてしまった
のだろうか。どうも頭が追いついてくれない。
姉の端整な顔に一筋の涙が通ったかと思うと、注意しにきたらしい店員に迷惑料込みですと言って
最高紙幣を十枚ほど握らせるとおれの手を引いて出て行った。
676とある新婚さんの話4:2007/05/07(月) 23:11:10 ID:Pf6VwBec
「ちょっ、姉ちゃん、痛いって! どこに行こうっていうのさ!」
「…………」
なおも無言で通す姉は駅前にて携帯電話でハイヤーを呼び出し、おれを強引に車内へと押し込んだ。
「……ホテルまでお願いします」
「えっ……? ちょっと!?」
その手の話はまったく知らないおれだけど、そこが最高級のホテルだってことはわかった。確か外国から
来る政府要人や偉い金持ちの人などVIPな方々が利用するようなところだ。
後部座席のかしましいやりとりを気にすることもなく、運転手はおれたちを無事送り届けると
何事もなかったかのように去っていった。

目の前にそびえ立つホテルを見て、何階建てなのかな……などとバカなことを考えていたおれは手を引かれて
連行されていく。
紗奈姉ちゃんはフロントにて短く名前だけを告げてキーを受け取ると、エレベーターへとおれを押した。
やがて部屋につくと、訳がわからず借りてきた猫のようにおとなしくしていたおれをフカフカのベッドへと
突き飛ばしたお姉ちゃんはこう宣言してきた。
「トモくんを……お姉ちゃんがどんなに愛しているのかってことを、たっぷりと理解させてあげる……」

その夜のことでおれが覚えていることは、夜景が綺麗だったということ。それと紗奈姉ちゃんのおれへの
深い愛情だった。
677とある新婚さんの話5:2007/05/07(月) 23:12:33 ID:Pf6VwBec
朝起きると広大なサイズのベッドにはおれひとりしかいなかった。
「……姉ちゃんにこのホテルに連れてこられて、やたら積極的だった姉ちゃんとエッチ……いや、
逆レイプみたいな感じで犯されたんだっけ……。そいうや、姉ちゃんは……」
やや離れた場所からガチャリと扉が開く音がした。スラリとスタイルの良さが際立つ肢体をバスローブ
にて包んだ紗奈姉ちゃんが出てきた。
瞳と同じ黒い髪にまとわりついた水分をとるためにタオルを当てている。
――ヤバい……風呂上りの女の人って色っぽい……。
朝の現象によって半ば起きていた息子は、完全に起きだしてきたようだ。昨夜も結構な回数をこなした
はずなのに少しばかりの睡眠だけでスタミナは十分回復したらしい。
ぼけっと姉ちゃんに見入っていたおれ。おれが起きていることに気付いた彼女は微笑を浮かべつつベッド
へと上がってきた。
「んー。トモくん、おはよ♪」
重ねられてきた唇を受け入れて口付けを交わす。ちゃっかり姉ちゃんの頭と背中に腕を回して抱き寄せて
いたりしている。今の状況を確認すべくいろいろと聞かなきゃいけないのだが、そんなことは
お構いなしにキスを楽しんでいた。
やがて満足したのか姉ちゃんがエヘへとかわいらしく笑って唇を離した。
「えっとね……確認したいことが少しあるんだけど、いい?」
「なーに?」
横へと移動してきた彼女は、おれの肩へと頭を預けて腕を組んでくる。
「えっと……姉ちゃんとおれは昨夜エッチしたよね? というか強姦?」
「……恥ずかしかったけれど、がんばったんだもん。鈍感なトモくんがお姉ちゃんの気持ちにいつまで
たっても気付いてくれないから、こうやって迫るしかなかったんだもん。
愛がある行為だからレイプとかじゃないもん……」
「姉ちゃんは……おれのことが好きなんだよね?」
「好きじゃなかったらセックスなんかしたりしないっ。それに……」
かけ布団をめくってくる。ちょうど腰の位置辺りに血痕が見える。
「もしかして、姉ちゃんはバージンだったの?」
おれの言葉にコクリと首肯してくる。
「好きなひとがいるのに、ほかの男の人とそういうことをしたりしないよ。本当は結婚して初夜のとき
までは我慢しなきゃいけなかったんだけれど……モタモタしていられなかったから。
きっと父様も母様も怒っていると思う。でも、ここでやらなきゃトモくんは一生
手に入らない気がしたから」
678とある新婚さんの話6:2007/05/07(月) 23:14:14 ID:Pf6VwBec
「結婚っ……!? 初夜っ……!?」
なんというか驚愕の連続でどう反応したらいいものかわからなくて、ただ驚くばかりだった。
「そう。わたしとトモくんは結婚するの」
「えっ!? だっておれはまだ学生……」
「トモくんは今月の下旬には大学を卒業して社会人になるでしょーが。それにとっくに十八歳を超えて
いるんだから結婚はいつでもできます」
「だって経済力とかまだ伴っていないよ……」
「自慢じゃないけれど、わたしは早瀬グループの最高経営責任者なんてものをやっています。トモくん
のひとりやふたりどころか何人でも養えます。お姉ちゃんの経済力を舐めないでほしいな」
「…………」
もはや何を言ってもあっさりと返される気がしてきて絶句してしまっていた。
「それにね……。約二十年間にわたってお姉ちゃんの気持ちをスルーし続けてきたトモくんは、責任を
もってわたしと結婚しなきゃいけないの。もし断ろうものなら……」
「……断ろうものなら?」
「トモくんがわたしのことを強姦したって訴えます。知ってる? この手の犯罪は冤罪だとしてもまともに
取り合ってくれない場合がほとんどなの。男性性犯罪者に対する世間の目ってものすごく厳しいんだよ。
わたしに無理やりお酒をのませてレイプ。だれも女のわたしが逆レイプに及んだなんて思わないだろうしね。
裁判で勝つ自信も百二十パーセントある。うち……わたしは優秀な弁護士の先生方と契約しているから」
「そんなことをすれば紗奈姉ちゃん自身に傷がつくんじゃ……」
深く考えれば、まったく無実の罪を被せられて刑務所行きなわけで怖いことこの上ない話だが、頭に
浮かんだ疑問を口にする。
「別に構わないもの。真実を知っているのはわたしとトモくんの当事者ふたりだけ。他人がなんと言おうが
気にしないわ。たとえ刑期を終えて出所してきても何らかの手を打ってまた刑務所に入ってもらうわ。
大好きなトモくんを他の女になんて絶対にあげない。
わたしがトモくんを手に入れることができないなら、トモくんには一生塀の向こうで過ごしてもらうわ」
選択肢はふたつ用意されているようだが、実質ひとつだけのようだ。
「……ということはわたしだってしたくない。だからトモくんはお姉ちゃんを選んで?」
狂気じみてドロドロとした愛情ってものを垣間見た気がしたが、ここは敢えて無視。
そういえば、愛情と狂気は紙一重なんて言葉もあったっけ……。
考えてもみれば、確かに幼いころからの姉弟ベタベタは愛情があったればこそだったんだろうなって思う。
でないと、中学→高校→大学と進んでも弟みたいなものだとおれは考えていたとはいえ、頻繁に遊びに
来ていた姉ちゃんの行動は説明がつかない。
幼いころから変わらず向けられていた深い愛情。
それをスルーし続けてきた自分が悪人に思えてきた。
それに小さいころから実の姉のように慕ってきた女性。そしてここまで思いつめるほどにおれのことを
深く愛してくれている。
――うん。この想いに応えよう。
「その、何一つ紗奈姉ちゃんに釣り合っていないおれだけど、姉ちゃんをおれのお嫁さんにしたい。
結婚しよっか」
おれの返答を聞いた紗奈姉ちゃんは本当に嬉しそうで輝いていた。
679とある新婚さんの話7:2007/05/07(月) 23:15:33 ID:Pf6VwBec
それからの彼女の行動は迅速だった。おれの実家へと電撃訪問。結婚する旨を両親へと伝えた。
突然の話だったので父さんも母さんも反対か渋るかなと思っていたのだが、あっさりと了承。
それどころか熱烈な歓迎をしてきた。
どこぞの氏素性も定かではない女に騙されそうなおれのところに、こんな素晴らしい女性が来てくれた。
それに小さいころから知っている紗奈ちゃんだから安心して息子を任せることができると諸手を上げて
の賛成ぶりだった。
……そういえば息子のおれよりも、娘が欲しかったとかなんとかで紗奈姉ちゃんのことを猫可愛がり
していたんだっけ……と、あまり嬉しくないことを思い出してへこんでいた。

三月末の卒業式で四年間を過ごした学び舎に別れを告げたおれは迎えにきた紗奈姉ちゃんと、
おじさんとおばさんが眠る霊園を訪れ墓前にて報告。その足で役所に婚姻届を提出しにいったのだった。


こうしておれたちの新婚生活が始まった――。
680672:2007/05/07(月) 23:17:26 ID:Pf6VwBec
まずは結婚に至るまでの話を投下させてもらいました

続きは近日中に投下します

失礼しました
681名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 09:22:25 ID:naFkomwe
おお!神々が舞い降りてきた!

>545氏、無理に1話にまとめずに、何回かに分けた方がキャラがたったかもしれませんね。
たぼだぼTシャツに萌えました!

>672氏、ちょっと腹黒い策略家なお嫁さんは大好物です!是非に続きをお願いします!
682名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 22:35:28 ID:NVHhFBS9
さな姉が裏から手を回して彼女を放逐したに1票
683名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 22:48:39 ID:gLuDW1Fi
>>682
違うな、その元彼女もさな姉が仕込んでたんだよ。
で、フラて傷ついた智仁を慰めて物にしようと企んでたんだよ。
684名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 22:57:58 ID:pAgS+Ffw
ちくしょう、なんで自分には面倒見のいい異性の幼なじみがいないんだ。
685672:2007/05/09(水) 23:05:30 ID:yCRFBN6U
どうも672です

なか一日しか経っていませんが、投下にやってきました

それでは、とある新婚さんの話2
を投下します
686とある新婚さんの話2:2007/05/09(水) 23:07:22 ID:yCRFBN6U
特急電車に揺られること三十分と少し。ようやく今月から住居にしているマンションがある町まで戻って
きた。

地下駐輪場にとめてある相棒――大学時代に趣味で購入したマウンテンバイクを受け取りにいこうと
したところ、薄暗い闇のなかに面倒な音が響き渡ってきた。
「うえー、マジかよ。朝の予報では大丈夫だって言っていたのに……」
すでに本降りとなってきている空を恨めしく見上げる。雨が降るのは夜中になってからという情報であった
はずなのに、雨粒がアスファルトへとぶつかる音はやかましいものになってきている。
電車内にいるときは、ぱらついている小降りの状態だから大丈夫かと思っていたが、これではそうも
いかなくなった。
仕方なく自転車に乗って帰るのはあきらめて駅の構内へと戻っていく。

バスの時刻表へと目をやっていると、スーツの胸ポケットにある携帯電話から着信音が響く。
慌ててカバンを小脇に挟んだところで肩をポンと叩かれていた。
「もーダメじゃないっ。社会人になったんだから公共の場では電源を切る。どうしてもっていうとき
だけマナーモードって話したばかりなのに」
振り返るまでもなく声だけで確認できた。
そこには結婚しておれの奥さんとなった女性がいた。
身長は180cmあるおれよりも少し低いぐらいで女性としてはかなりの長身。肩より少し長いぐらいに
揃えてある艶やかな黒髪が美しい。
妙齢の女性らしく、あくまでも品よくされた薄化粧。別にしなくても十分綺麗なのになんでするのか
わからなかったりするが、それは大人の女として当然のことよ――と返されたんだっけ。
春物の薄いセーターと濃紺のパンツで手足の長い肢体を包んでいる。

――モデルさんとか似合うだろうなぁ
687とある新婚さんの話2-2:2007/05/09(水) 23:09:05 ID:yCRFBN6U
夫の贔屓目があるかもしれないが、本当にそう思う。なんていうか、主婦にしておくのがもったいない。
でも、こんな美人を独り占めしているんだから、これは幸せなんだろう。きっと。
「あー、そうだっけ。ごめん。紗奈姉ちゃん」
「…………」
「いひゃひゃっ!」
切れ長の目をスッと細めて頬を抓ってくる奥さん。もしかしなくても、これは怒っている。
「悲しいなぁ、わたし。愛しの旦那さまが予報外れの雨に困っているだろうなって思って、お迎えに
来てあげたのに……。その旦那さまは昔の他人行儀な呼び方で冷たくて……ご褒美にぎゅっと
抱きしめてもくれない……。悲しいなぁ」
「いや、他人行儀って先月まで普通につかっていた呼び方だし……いたっ!」
お気に入りのサンダルでおれの足の甲を踏みつけてくる奥さん。これは早々にご機嫌を取らねば。
「あー、その紗奈。わざわざ雨のなかありがとね」
「……っ♪」
にっこりと満面の笑顔を見せてくれる紗奈姉ちゃん。背の高い女性にありがちな冷たい美貌という
ところはなく、心がほっとするような笑顔を見せくれる。
ぎゅっと抱きついてきた彼女は、ややあって不満げに見上げてきた。
「ねえー……ぎゅってしてくれないの?」
「えっ?」
「ねえってば」
「いや、その人目が……ね」
「…………」
じーっと上目遣いに見詰めてくる視線に耐え切れずに要求に屈することとした。考えてみれば、雨の
しかも忙しい夕方時に迎えにきてくれたのだ。これぐらいで済むものなら安いものだろう。
「……っ♪ ねえ、ただいまのキスは……?」
すりすりとおれの胸に頬を寄せていた紗奈がとんでもないことを言ってくる。ただでさえ見目麗しい
美女を抱きしめているというだけで好奇と嫉妬の目を集めているのに、
これ以上のバカップル行為は慎みたいのだが。
「あははっ、冗談よ、冗談。さすがにわたしもそれは恥ずかしいから」
ほっと一息ついたところに爽やかなアルトの笑い声。背中を伝っていた冷や汗もおさまってくれた。
「でも……強引に情熱的に唇を奪ってくれる旦那さまのほうがポイント高いかしら。さてと、
帰りましょうか」
差し出された一本の傘を当然のように相合傘にするよう命じられて有料駐車場へと向かうのだった。


688とある新婚さんの話2-3:2007/05/09(水) 23:10:33 ID:yCRFBN6U
高級国産車の助手席にておれは、運転席から出されるおれの今日の出来事について質問されていた。

紗奈は結構な資産家であったりする。数年前に亡くなった両親の遺産――ホテル事業を継続しつつも
抜本的な見直しを断行。
採算が合わない――苦しい地域からは潔く撤退し、ここしばらく観光性が有望視されてきている南の島
へと進出を決行。積極的に地元の人間を登用し閉鎖的な彼らのハートをがっちりと掴んでしまった。
その他の事業においても将来性の高い分野へと日々積極的に買収を続けて拡大してきている
早瀬グループは、正に飛ぶ鳥を落とす勢いという華々しいものであった。
アメリカでエム……なんとかの資格を取得してきている姉ちゃんの経営手腕を経済紙も高く評価
しているらしい。

とまあ、そんなわけで奥さんはお金持ちなわけだ。それもとんでもなく。
そんなにお金があるのなら外車でも買えばいいだろうにと以前話したことがあったのだが、彼女曰く、

『外車ディーラーのお高くとまった商売姿勢が気に食わないの。わたしたち商売人は腰が低すぎだと
思われるぐらいでもそれ以上に低くしなさいって、父様から口をすっぱくして言われてきたから。
だから、尚更あの上からの物言いが引っかかるのよね。
それにあんな車に乗っていると、自分はお金持ちなのよって、みっともなくアピールしているように
見えるから嫌いなの』

という具合に話していた。
庶民根性の染み付いたおれからすれば、国産車でも最高級のクラスを乗り回しているのだから大差が
ないのではと思ったりしている。
――もちろん、口には出さないけど。
689とある新婚さんの話2-4:2007/05/09(水) 23:11:56 ID:yCRFBN6U
「……で、そろそろ考えてくれたかしら?」
「えっ、何を?」
「お仕事やめるっていう話」
ダッシュボードへとしたたかに頭を打ち付けていた。どうしてこんなとんでもないことを言い出すのか。
就職したばかりの夫に退職を勧める妻。
――うん。どう考えても異常だ。
「あっ、あのねぇ……」
「えーっ。だって言っては悪いと思うけれど、わたしとトモくんの収入ってどれぐらい差があるか
分かっているかしら?」
「うっ……」
痛すぎるところをつかれる。その差は天と地どころか、日本からはるかお空の彼方のお月様までも
ありそうなぐらいだ(いや、もっとか……)。
かたや全国展開している総合グループのトップ。
そして大学を卒業したばかりのぺーぺーの新入社員――ルーキー。
……いかん、比べること自体が間違っていたんだ……。
「つまらない会社勤めはやめて、毎日わたしと面白可笑しく暮らそうよー」
仮にも大企業のトップに立つ人間が、会社勤めはつまらないだなんて何てことを言い出すんだ……。
「いやね、定年退職を数年後に控えた年ならわからないこともないけど。さすがにこの若い身空で
ヒモ同然の男にはなりたくないっていうか……。むしろ愛する奥さんには社会人一年目で奮闘する
おれを応援してもらいたいなーって」
「……っ♪ そっか、そうだよね。結婚してずーっと一緒にいられるわけだから、そんな焦ること
なんてないよね」
少し膨れていたのだが、愛する奥さんというフレーズを聞いた姉ちゃんは目に見えて上機嫌となる。

紗奈がハンドルを軽快に操りながらふたりが暮らす家へと車は滑るように走る。
ちょっと話題が途切れて静かになった車内。ふと思いついたおれは、晩御飯のメニューを聞いていた。
「おっ、よくぞ聞いてくれました。昨日の夜から寝かせて準備していたハンバーグよ」
小さいころからよく作ってもらっていた紗奈姉ちゃんお手製のハンバーグ。ずーっと刷り込まれてきた
せいか、その言葉を聞いただけで口の中では唾液があふれてくる。
「おおー。久しぶりだよね。紗奈姉ちゃんのハンバーグ。結婚してからは初めてだっけ……」
「…………」
ぺらぺらと褒め言葉を並べ立てていったのだが、姉ちゃんの反応は芳しくない。むしろ怒っている
ような節さえある。
「……また姉ちゃんって言った」
「あっ……」
「わかった、もういい。いつまでも姉ちゃんって言って弟気分の抜けないトモくんは、納豆ご飯に
メニュー変更」
「いっ!? あっ、そのごめんっ」
別に納豆が嫌いってわけじゃない。どちらかといえば好きなほうだ。
でも、何が悲しくて大好物の姉ちゃん特製ハンバーグをおあずけされて納豆ご飯のディナーに舌鼓を
打たねばならないのか。
どうやら、おれをわざと困らせて楽しんでいるようなところもある。これもひとつのコミュニケーション
の形なのかもしれないなーっと思ったおれは、手を頭の上で合わせて大仰に謝罪してみせていた。

――本当に納豆ご飯の刑だったとしたら、その時はその時だ。我慢するさ……

690とある新婚さんの話2-5:2007/05/09(水) 23:13:28 ID:yCRFBN6U
マンションへと着き、最上階フロアの部屋へと戻りふたりで夕飯を済ませると、促されるままに
バスルームにて汗を流していた。

――ちなみに納豆ご飯の刑はなんとか回避することができた。

「このフロア……全部買い取っちゃったんだもんなぁ……。だからおれたちふたりだけしかいない空間。
金持ちってホント分からないな……」
湯船にて、持ち込んだタオルを何気なしに膨らませて遊んでいる。
この部屋と隣室の壁をぶち抜いてひとつにして、おれたちの住居に。残った部屋は壊すなり改造する
なりして、紗奈姉ちゃん専用のオフィスにするんだって言ってたっけ。
『トモくん。湯加減はどうかしら?』
脱衣所から声がかけられる。曇りガラスにはシルエットが浮かび上がっていた。おれは顔を軽く洗う。
「うん。ばっちり。ご飯と同様に文句のつけようがないないよ」
『そう。ねえ、わたしも入るね』
何の脈絡もなしの言葉に思わず頭を浴槽のふちにぶつけていた。痛みのため、歓迎も制止もする間も
なくガラスが開け放たれて浴室内へと外気とともに姉ちゃんが入ってくる。
「――どうしたの?」
「ああ、タオルつきね……」
「えっ?」
「ん、いや。なんでもないから気にしないで」

紗奈は風呂イスを出すと、手に持ったスポンジを熱心に泡立てていく。その様子をなんとなく見入って
いたおれへと視線が向けられてきた。
「……よし、できた。ほら、こっち来て。トモくん」
「えっ、おれはもう身体は流したし頭も洗ったんだけど」
「いいから」
「いや、だから……」
「わ た し が 背 中 を 流 し て あ げ た い の」
一字一句区切って幼児へとよく言って聞かせるべく噛んで含めるような感じ。押し問答を続けても
意味がないし、ここは厚意に甘えることとする。
「〜〜っ♪」
楽しくて仕方がないとばかりに鼻歌交じりで、ゴシゴシと背中をこすってくる。適度に
力が込められており、これはなかなか心地よい。
時折背中に当たる乳房――おっぱいの感触も気持ちいい。おっぱいは揉むのも楽しいけど、
こうやって当てられるだけでも気持ちよくなるものなんだと新たな発見。
ふと股間にて盛り上がってきたテントを慌てて押しとどめる。

――ヘイ、マイサン。おまえさんが活躍するのはもうちょい先だ。今は押さえ気味で頼むぜ。
691とある新婚さんの話2-6:2007/05/09(水) 23:15:10 ID:yCRFBN6U
「……えっとね」
「うん?」
「あの、おっぱいあまり大きくなくてごめんね」
「……どうしたの、急に?」
「だって大きい――その巨乳の子が好きなんでしょ?」
「…………」
これは一体全体どういうことだ。確かにおれは巨乳フェチのきらいがある。だが、これは極秘中の極秘
――トップシークレットのはずだ。

ただ、おれが愛好していたのはあくまでも巨乳の枠に収まる乳までだ。
爆乳? 垂れること間違いなしの将来性のない乳には興味ない。
巨乳だったら――エクササイズとか頑張れば重力への挑戦はクリアできる……はずだ。

「……『巨乳浴衣娘〜境内にて朝まで祭囃子〜』……『巨乳ブルマ〜いけない体育倉庫〜』……」
ぼそっと呟かれた声が拡声器でもって耳元から怒鳴られたみたいに入ってくる。
おかしい。
あの秘蔵中の秘蔵DVD――あれはおれの部屋にある段ボールへと厳重に封印されていたはず。
「あっ、誤解しないでね? わざとじゃないの。お掃除していて、片していない段ボールのなかに
ひとつだけ色が違うものがあってどうしても気になって……。それでつい……」
なんという凡ミスだろうか。そりゃあ、奥さんは掃除で入ってくるに決まっているじゃないか……。
だが、誤解しないでほしい。あれ――いや、彼女たちは切り捨てられなかったんだ。
おれへの夜の貢献度bPの座を巡って凌ぎを削っていた二枚――いや、ふたり。
言わば大学時代の独り寝の寂しかった時期のよき思い出。他は処分してきたんだが、これだけは切れ
なかったんだ……。
「…………」
いかん。ここは押し黙っている姉ちゃんのためにもなにか答えなければ。
紗奈姉ちゃんはほんの半月前までバージンだった。こういうエログッズに偏見があるやもしれん。
意識していないのだろうが、姉ちゃんはひしっとおれの背中に抱きついてきている。ということは、
ダイレクトにおっぱいの感触が伝わってきているわけで。

――やれやれ。もう待てないってのか? 今は何気に新婚夫婦の危機だってのに、おまえさんは
本当に空気の読めない困ったちゃんだぜ……。

全開で自己主張してきている自分の分身に、心中でため息をつく。
692とある新婚さんの話2-7:2007/05/09(水) 23:16:57 ID:yCRFBN6U
(んっ? ああ、これでいいじゃん)
「……えっ?」
胸へと回されていた姉ちゃんの両手を股間へと導く。マイサンはおれ以外の手が触れてきてご機嫌だ。
「……あっ、熱い」
「言い訳はしないよ。確かにおれは巨乳が好きだった」
「…………」
「でもね、おれは紗奈と結婚――あのときのホテルでエッチしてから、紗奈の美乳に鞍替えしたの」
「……びにゅう?」
「そう。紗奈の形の綺麗なおっぱい。それだけじゃなくて感度もいい。おれ専用のかわいいおっぱい」
「……っ」
ぎゅっとおれの一物を握る力が強まる。どうやら琴線に触れるセリフがあったらしい。
――うん。微妙に痛いけど、ここは我慢さ……。
「わかる? 紗奈が好きだから……欲しいから、こいつはこんなに熱く大きくなっているんだ」
ふにふにと当たっていた乳房が背中でムギュっとつぶれる感触。
「わたしが一番なの?」
「もちろん」
「わたしが一番なのよね?」
「う、うん」
念入りに繰り返される確認。なにをこんな丁寧に聞いてくるのか。
「わたしが一番ということは――他には何もいらないということよね。それじゃあどうして
あのいやらしいDVDがこの家に存在しているのかしらねぇ……?」
「えっ……」
これはいい雰囲気? 初めてのお風呂エッチに突入できるか? いや待てよ。ソープランドごっこ
もありか? などと展開していたピンク色の妄想が一気に吹き飛んだ。
なんなの? この聞いたことのない声音による頭と腹に響いてくる低いボイスは……。
「いいいいい、いやだからね? あれは青春時代のよき思い出っていうかね? なんていうの……
シークレットメモリーってやつ? 触れるな危険っていうか、男には隠れた趣味があるんだよ
っていうか……」
「……ぷっ」
「あれっ?」
「あっはははははっ! おっかしいの、トモくん本気で焦ってるー。かわいいっ♪」
ムギュッと頭を抱きかかえられていた。
「もしかして……怒っていない?」
「もちろん。わたしも大人の女よ。男の子がそんなのを持っているなんてわかっているから」
「はぁ……」
安心したらなんだか力が抜けてきた。風呂イスの上でちょっと脱力し、ほっと息をつく。
「でも……」
「うっ……」
スポンジの泡をつけた右手でおれのあそこを弄んでくる。ヌルヌル感がたまらない。
「これから射精するときは……わたしのアソコでなきゃイヤよ? ダ・ン・ナ・さ・ま」
ふぅーっと耳へと吹きかけられる息でゾクゾクしてくる。ちょっとでも気を抜けば射精して
しまいそうである。
「さっ、紗奈っ」
振り向いて押し倒そうとしてきたおれの額をピンと人差し指で弾いてきた。
「ダメ。ベッドで待っていて。身体ちゃんと洗ってからいくから」
「えっ……別にここでも」
ジト目で睨むこわい奥さんからぎゅーっと頬を抓られていた。
「わたしが嫌なのっ。ちょっとは奥さん心理を理解しなさいね」
「いひゃい、いひゃい!」

こうしておれは風呂場から追い立てられていった。腹に反り返らんばかりに盛り上がっていたマイサン
も憔悴気味であった。
まあ、気分を損ねてはどうしようもない。
気持ちに整理をつけたおれは、寝巻きを身に纏うと寝室へと足取りも軽やかに向かうのだった。
693672:2007/05/09(水) 23:21:47 ID:yCRFBN6U
今回はこれで切らせてもらいます

次回でエロ&完結となります

投下予定は早くて今週末、遅ければ来週でしょうか
時刻は1と今日落とした2と同じく夜の11時です

それでは失礼します
694名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 23:55:39 ID:6c/oxKzk
これは…、蛇 の 生 殺し だ!! 一日も早い続き、ぷりーず!!
695名無しさん@ピンキー:2007/05/10(木) 00:01:04 ID:dl1ghni2
ドキワクしながら待ってます。
696名無しさん@ピンキー:2007/05/10(木) 22:44:36 ID:3kMZS9ag
>>662
女性視点の切ない感じがすごくいいです。
こういう感じなの個人的なツボなんで楽しませてもらいました。
続きもwktkしながら待ってます!!

>>672
な ん た る 生 殺 しw
姉さん女房が好きなんで楽しませて楽しませてもらいました(*´∀`*)
次の本番の期待してます

それにしてもこのスレ、レベル高杉!!w
697名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 07:31:16 ID:7+Uo2K1c
>>693な ん と い う 寸 止 め ク オ リ テ ィ !
神GJ!世界一!
698672:2007/05/13(日) 23:19:23 ID:I1hZUwSL
どうも672です

とある新婚さんの話、最終話を投下にやってきました

ただPCがちょっとご機嫌斜めなため最後までいけるか少し不安だったりしますが……

とりあえずやってみます
699とある新婚さんの話3:2007/05/13(日) 23:20:52 ID:I1hZUwSL
バスルームから追い出されたおれは寝室へと入る前に、自分の部屋へと寄ることとした。それはもちろん、
明日の準備をしなければいけないから。
とはいっても、新入社員のおれはまだ仕事を与えてもらっているわけでもなし。だから準備といえども
たいしたことはない。
机の上においてあるものに目がいく。
『巨乳浴衣娘〜境内にて朝まで祭囃子〜』 と 『巨乳ブルマ〜いけない体育倉庫〜』 の二枚だ。
なんていうか恥ずかしい。母親に隠していたエロ本をわざとらしく机の上におかれる……。
あれと同じぐらいの精神的ダメージだ。
……メモ用紙が貼り付けてある。

『……スケベ……by紗奈』

「返す言葉もないです……」
おれは苦笑いを浮かべていた。

待てど暮らせど紗奈は来ない。時計に目をやる。――既に十時を回っている。おれが風呂をあがってから
一時間と少し。女性は長風呂のひとが多いということはよくわかっていたつもりだけど、また姉ちゃんも
その例外に漏れていないということも理解しているけど、焦らされているのではと勘ぐってしまう。

今か今かと紗奈を待っているのはおれだけではなく、下半身の分身も首を長くしている。

――すまない、相棒。奥さんはまだバスタイムを満喫されているようだ。

さっき自室のクローゼットへと密かに隠してある 『マムシ&スッポン ゴールデンコンビ』
という強力な精力剤を飲んできたのだ。
このためマイサンは既に臨戦態勢であった。
一本八千円という代物。友人と遊んだときに勧められたもので、ありえない効果を発揮するから買ってみなって
話だった。まあ、値段が張るものだから敬遠していたのだけど、物は試しということで購入していたのだが。
これを飲むのはおれが先月末大学を卒業した際――姉ちゃんと入籍したときの初夜に服用して以来だ。

あのホテルでの逆レイプから姉ちゃんと肌を重ねたことはなかった。紗奈姉ちゃんが忙しかったという
こともあったが、それともうひとつ。
700とある新婚さんの話3-2:2007/05/13(日) 23:22:26 ID:I1hZUwSL
『あのときは特別だった。わたしもお酒をかなりのんでいたからね』

結婚するまでは厳禁。初夜にて旦那さまに純潔を捧げること――という、おじさんとおばさんとの約束を
破ってしまったことをかなり気にしていたらしい。
それで入籍の日――晴れて夫婦となった夜に初夜をやり直すことになったというわけだ。
おれもなんていうかその……我慢をした。姉ちゃんに約束を違えさせて申し訳なく感じていたおれも
付き合うことにした。紗奈に手を出さないということと、オナニーの禁止だ。
卒業前から今のマンションに引越し自体はしていた。即ちふたりで同居。姉ちゃんは忙しいとはいえ、
朝も夜もご飯はしっかり作ってくれたし、目が合えばキスも照れながらもする。
もちろん、同じベッドで一緒に就寝。
でも、エッチはダメ。ほんの数日だけのことでしかなかったんだけど、あれはめちゃくちゃ長く感じた。
そして卒業の日に、あのホテルに宿泊して初夜を迎えることとなった。
そのときに知ったことだけど、ここは姉ちゃんの経営するホテルのひとつだったらしい。

最上階のロイヤルスウィートにて迎えた初夜でおもいっきり紗奈を堪能させてもらうべく、半ば忘れていた
『マムシ&スッポン ゴールデンコンビ』 の力を借りることにしたのだが、これが誤算だった。
いや、精力剤としての効果は抜群だった。胡散臭いと疑っていたことを製薬会社に土下座して謝りたいと
思うほどに。かつてないほどの勃起力と何回戦でもいけそうなタフさをもたらしてくれたのだから。
一回戦が終わっておれがコールド勝ちを収めたときに事件は起こった。姉ちゃんが眠ってしまったのだ……。
前夜は目が冴えて眠れなくて、極度に緊張している……と言われたおれは能天気にもこう思った。
『大丈夫。そんなかわいい嘘をつかなくても、おれが濃厚に愛してあげるからね』
とかおおはりきりだったのだけど、照れ隠しの嘘でもなんでもなく本当だったらしい。

結局、疲れているところを起こして無理やりするという最低なことは考えもせずに、不完全燃焼のまま
初夜を終えてしまった。
その夜は、ギンギンにフィーバーしていたマイサンが、話が違うと暴動を起こして勃起が収まらず、
おれはなかなか寝付けなくて涙目になって悶えるはめとなったのだった。

それ以降もほぼ毎日身体を重ねていたが、バージンを卒業したばかりの姉ちゃんに気を使っていたので、
男としてやり遂げたという満足感は得られていなかった。
とはいっても、嫌がるかもしれない彼女を強引に犯してセックス恐怖症にさせてしまってはいけないし、
夫としてはやっぱり一方通行の快楽ではなくて奥さんにも気持ちよくなってほしいわけで。
紗奈をすみずみまで征服したいというオスとしての欲求と、夫として妻を労わらなきゃというふたつの
矛盾した思いを抱いていたおれは、どうもすっきりできなかった。

だが、今日はなんだか期待できるような気がしていた。だって姉ちゃんが一緒に風呂に入ってくることは
今までなかった。それと、ちょっと嫉妬が混じった言葉。

『……わたしのアソコじゃなきゃイヤよ? ダ・ン・ナ・さ・ま』

――お言葉に甘えて今夜は紗奈を堪能させてもらうとしよう。

701とある新婚さんの話3-3:2007/05/13(日) 23:24:12 ID:I1hZUwSL
扉がノックされる音がする。いやらしい妄想ででれっと緩んでいた顔を引き締めて在室を伝える。ややあって
ドアが開いたのだが、紗奈はなぜか遠慮がちに顔だけで覗くようにしている。
「ごめんね。……待ったよね?」
「う、うん。でもほら、おれのために綺麗になってくれるんだから……」
「えっ!? あ、うん……。そうなんだけれど……トモくん、なんだか目が怖いよ?」
「そ、そうかな?」
寝巻きのズボンの下では分身がすでにいきり立っている。ドリンク剤の効果は今夜もばっちり。極度の興奮
からか目が血走っているようだ。

――そりゃあ奥さんがわざわざ焦らすような真似をするからさ。

「ところで、なんで入ってこないの?」
「えっと、笑わないでね?」

――もしかして何か大胆なお楽しみがあるのか?

「う、うん。笑ったりしないよ」
扉を後ろ手に閉めつつ姉ちゃんが寝室内に入ってきた。
「似合うかな……?」
「…………」
おれは少しの間絶句――気落ちしていた。だって普通のパジャマ姿だったんだもの。相変わらずの盛り上がり
を見せているマイサンはお構いなしみたいだけど……。
「ねっ、かわいいでしょ? 前から通販のカタログ見ていていいなぁーって思っていたんだけれど、
思い切って買っちゃったの♪」
すっかりご満悦状態の紗奈姉ちゃん。デフォルメされたかわいらしい羊が何匹もプリントされたデザイン
のものだ。やっぱり姉ちゃんも女の子ということだろうか。かわいいものに目がないというのは
どの女性も同じことなんだろう。
「……ふーん? トモくんはご不満みたいね……」
「えっ!? いや、そんなことはないよ……」
褒め言葉をなにひとつ口にしていなかったのがまずかったようだ。目に見えて不機嫌そうになる紗奈を
目にして少し慌ててしまう。
「うふふっ……スケベな旦那さまは……こちらのほうがお好みかしら?」
弁解する前に紗奈姉ちゃんはパジャマのボタンを開けていく。
いつもなら――綺麗なおっぱいが現れるのだが、姿を見せたのは実に扇情的な意匠の黒いブラジャーだった。
「……っ」
702とある新婚さんの話3-4:2007/05/13(日) 23:25:30 ID:I1hZUwSL
男を誘惑するための下着。胸の頂があともう少しで零れ落ちてきそうなところを見て思わず息を呑む。
「……もう、ホントにスケベなんだから……」
おれの股間の膨らみを目にして艶やかな笑みを浮かべている。
「下はこれなの……」
姉ちゃんの手の動きがとてつもなくスローモーションに見えて早くしろと思いつつも、もっと見ていたい
とも感じる相反した心境。ストリップを見に来た客ってこんな感じなのだろうか。
「……っ!」
ようやくのことで姿を現したそれに目を大きく見開いていた。
女性の脚線美をさらに美しく見せるための小道具。
――ガーターベルトだ。
色は下着と同じ黒。背の高い紗奈姉ちゃん。相応に足も長くて実によく似合っている。
「何日か前、わたしが本社に出向いたときにスカート姿だったでしょう? そのときにパンストを履いて
いたけれど、家に帰ってきたトモくんはじーっと足を見てきたわよね……?」
「……気付いていたの?」
「もちろん。いやらしい目で今にも触りたそうな顔をしていたから……ね。でも、パンストでは味気ない
気もするし、もっとセクシーに見せようと思ってこれを用意したの」
くるっと優雅に一回転して全身を見せてくる。おいしそうなお尻を見て生唾がこみ上げてきていた。
「どう、気に入ってもらえたかしら?」
「……うんっ」
今、気付いた。かわいいパジャマの下にセクシーランジェリー――羊の皮を被った小悪魔という演出
だったのか。
わざとこちらが冷めるように仕向けていて、一気に劣情を煽ってきたわけだ。悔しいけど、フェイントに
見事に引っかかってしまった。

紗奈がこちらに近づいてくる。ベッドのはしに腰掛けていたおれの足元にペタンと座り込むと、ズボンと
下着を脱がせて一物を解放してくる。
「ふふふっ……。いつもより大きいみたい。喜んでもらえたみたいね」
「くうっ……」
反り返る亀頭をピンと指で弾かれる。少し痛さも感じるのだが、それがいい。
「今日は……この立派なオチ○チンを舐めてあげる」
「えっ、いいの?」
思わず聞き返してしまっていた。紗奈にとってフェラチオは初体験となるからだ。
「いつもわたしばかりしてもらっていたから。初めてだから、上手くできないでしょうけれど、そこは
我慢してね?」
上目遣いに、小首を傾げるようにしてフェラチオをする許可を請う妻。
703とある新婚さんの話3-5:2007/05/13(日) 23:27:29 ID:I1hZUwSL
彼女からのご奉仕は初めてということもあるし、いつものお姉さん然とした姿とのギャップと相まって
とても新鮮に思えていた。
「んちゅっ……」
まずはご挨拶とばかりに赤黒く充血している亀頭へと口付けをしてくる。舌を出してチロチロと切れ込みに
這わせてくる。
「んっ……あふぅんっ……ちゅ……ぴちゅん」
丹念に汚れを落とし清めるようにして亀頭周辺を舐めまわすと、今度は裏筋へと向けてくる。
「レロっ……んふっ……はむン……」
「うぅっ……」
棹の部分へと上下にゆっくり舐めながら、手は大事な袋を揉んでくる。やわやわとむず痒くなる刺激のため
腰が浮かび上がりそうな感覚を覚えていた。
「ちゅぷっ……んっ。さあ、わたしのお口のなかに入りましょうね……ダンナさま」
普通にセックスするのとはまた違う口の感触。絡み付いてくる舌、口腔内のあたたかい唾液がたっぷりと
塗されていくと気持ちよさだけではなくて、愛しさがこみ上げてくる。
確かに初めてということでテクニックはまだまだだろう。それでも、おれを気持ちよくさせなきゃという
一生懸命になっている姿に、心にグッとくるものがあった。
「んぐっ……レろ……ちゅっ……あはふぅ……っ」
気持ちいいということをどうにかして伝えたくて、そっと右手で姉ちゃんの頭を撫でることにした。
風呂上りということでサラサラとしたいい感触が増している。美しく艶やかに輝く黒髪をすくっては
撫でていく。
「……んーっ♪ くちゅっ……ぴちゅっ……っ」
「うぅっ……紗奈、そろそろヤバいかも……」
彼女はちらっと視線を上げてきたが、特に構うこともなく舌と手の動きを加速させていく。
「ずちゅるるるっ……ちゅぷん……じゅるるる……っ」
「ダメっ……出しちまうっ……もういいから……」
口のなかはもちろん、顔に出して汚すようなこともしたくなかった。紗奈の頭を掴んで上げさせようとする
ものの、逆に手で払われてしまっていた。
「ふぅん……はぁふ……くちゅるっ……ちゅるるる……っ」
「くっ……!」
「……んんっ!?」

どくっどくっどくっ……ビュルルルっ!

とうとう限界を超えて精液を紗奈の口内に放出してしまっていた。
あまりの気持ちよさのため半ば放心状態に陥っていたところ、はっと気付いて脇に用意していたティッシュ
を手繰り寄せて渡そうとしたところ。
704とある新婚さんの話3-6:2007/05/13(日) 23:28:48 ID:I1hZUwSL
「……っ。……ごくっ」
「えっ、のんだの!?」
姉ちゃんは口いっぱいに頬張っていた精液を喉の奥に流し込んでいた。
「うーっ……おいしくない……」
ちょっと眉根を寄せて渋そうな顔をしている紗奈を見詰めていた。こちらに気付いた姉ちゃんも顔を上げて
視線をあわせてくる。
「どうしたの?」
心底不思議そうな顔。おれが何に驚いているのかまったく見当もつかないと言わんばかりだ。
「いや……だって、精液のんでくれるなんて……」
「……? のむものじゃないの?」
「人によっては……というか、のむのは嫌いな人が多いらしいから。喉にからみつく独特な味わい
らしくて気持ち悪いものだって」
「あーっ、喉にからみつくっていうのはわかった。確かにこれはちょっと慣れないときついかも」
「…………」
どうなっているのか正直わからなかった。確かに紗奈姉ちゃんはフェラ初体験のはずで、本人もそう言って
いたし、だとすれば咳き込んで吐き出してしまうはずだろうし……。
「えっとね、今日のお昼は家事も仕事も早く片付いてしまって、暇だったの。それで午前中のお掃除のときに
見つけたトモくんのDVDを思い出して見てみることにしたの」
「えっ……」
「それを見ていてフェラチオを知ったの。DVDのなかの男の人すごく気持ちよさそうだった。……わたしも
トモくんにアソコを舐めてもらって気持ちよくしてもらっていたよね。
自分がしてもらって気持ちいいことはパートナーにとっても気持ちいいはずだから……」
「はあ……それでフェラチオしてくれたんだ……」
コクリと紗奈は首肯してくる。どことなく得意げな笑顔がかわいらしい。
それと、褒めて褒めてというオーラを感じる。お礼に優しく頭を撫でてあげることとした。
「……っ♪ ……でもあのDVDは嘘つきだね。女の人はおいしいって言っていたのにおいしくなんか
なかった」
「あれは……なんていえばいいのか、男の欲望に都合よくあわせて作ったものだから」
「都合よく……?」
「うん。もっと簡単にいえばオナニーで抜くためのオカズってことかな。盛り上がって見ているところで
おいしくないとかまずいとか言われたら興醒めしちゃうんだよ」
「ふーん? そういうものなんだ……」
どことなくまだ納得のいかないというような顔をしている紗奈を、強引にベッドへと引き上げて抱き寄せる。
「きゃっ」
「今度はおれが気持ちよくしてあげるから」
705とある新婚さんの話3-7:2007/05/13(日) 23:30:24 ID:I1hZUwSL
ベッドにそっと紗奈を横たえて潤んだ瞳で見詰めてくる彼女の額へとそっと唇をおく。
「あっ……」
そこじゃないと言いたげな姉ちゃんを焦らすように、今度はプルプルな耳たぶを甘噛みして息をそっと
吹き込んだ。
「んんっ……。そ、そこもいいけれど……」
「わかってる……」
まるで特別にあつらえたかのような絶妙な厚さの唇に吸い付いていく。上下ともに優しく舐めて、
そして――深く、深く押し入っていく。
「んっ……くちゅん……あンっ」
そっと紗奈の舌をすくって丁寧に絡ませる。先ほどまでおれの分身を気持ちよくするためにがんばってくれた
それ。そのお返しに、口腔内をくまなく舐め尽していく。
「はぁんっ……あくっ……んん……っ」
深いキスはそのままに、セクシーなブラジャーへと手をやって上から軽く撫でていく。びくっと身体を震わせる
紗奈の反応に気をよくしたおれは、外さずにそっとたくし上げるだけに留めておいた。
「んっ……。ぬ、脱がすんじゃないの……?」
「せっかく盛り上げてくれた衣装だからね。もったいない」
「くうっ……トモくんのこね回してくる手……ふぅん……感じちゃう」
ゆっくり周囲から揉み解すようにしていく。頂に位置するかわいらしい宝石に目を奪われがちとなって、
そこに手を、舌を這わせてくなるがそこはまだ我慢。
お楽しみは少しでも先にとっておくほうが、おれにとっても、もちろん紗奈にとっても快感が増すのだから。
決して乳首には触れずにかといって快感を与えないというようなこともせずに、微妙に揉みかたの強弱を
つけていく。
一旦、紗奈の魅力的な唇とは別れて頬、首筋、浮き出た鎖骨へと唾液で線を引いていく。
「あぁふぅ……こ、今夜のトモくん、なんだか……んっ。ねちっこいよ……?」
「んー? フェラチオに挑戦してくれた奥さんにご褒美を……ね」
「くっ……んンっ」
ようやくのことで指の腹で乳首に刺激を与える。少し乱暴に押してみたり、その興奮のために大きくなって
きたところを親指と人差し指でキュっと摘んで弄ぶ。
「あっ……そ、そこがいいの……」
やはり待っていたんだろう。どことなく控えめながらも、期待の眼差しでおねだりしてくる。
「……わかった」
「はぁん……いいのっ。もっとぺろぺろして……っ」
ご要望に応えて右の乳首へと吸い付き、残ったほうは手のひらで揉み転がす。
「あはっ……気持ちいいけれど……トモくん、かわいい。赤ちゃんみたい……」
「…………」
「ひぐ……っ!?」
照れ臭さを隠すためにコリッとした先端を痛すぎない程度に軽く噛む。
そりゃあ、おっぱいが嫌いな男なんていない。これが嫌いなんて変人がいたら説教してやりたいぐらいだ。
「くはぁあああ……っ」
手の愛撫のみで待たせていたほうの乳首に狙いを移す。ピンピンに期待して立っているところを
かわいがっていった。

さて、相棒も恥ずかしいぐらいに先走り汁を垂らし始めてきていることだし、姉ちゃんの股間へといく。
ショーツの上から中指でちょんっと軽く触れたところ、
706とある新婚さんの話3-8:2007/05/13(日) 23:31:48 ID:I1hZUwSL
――もうたっぷり濡れてる? まだオマ○コにはまったく触れてもいないのに?

ちょっと意地悪したい気がしてきたおれは、手はそのままにショーツの上から弄りながら姉ちゃんの顔を
覗き込んでいた。
「紗奈……すごく濡れているけど、これっておれが愛撫しはじめてからって量じゃないよね? もしかして
おれのチン○ン舐めているときから興奮して濡らしちゃってた?」
「んっ……そうかも……ぅんっ……しれないけれど、でも……」
「……でも? ……んっ!?」
余裕たっぷりな様子を装おうとしていたおれの口に姉ちゃんの柔らかい唇が当てられていた。両手でおれの
後頭部をがっちり抱え込んでの強引なキス。
目を白黒させているおれを見ている紗奈姉ちゃんの瞳が細められて――笑っていた。
「んっ……ちゅぷっ。はぁ……トモくんのことがダイスキだから……だよ」
「……っ!」
なんという男心を狂わせるようなことを口にしてくるのだろうか。このひとは。
「あー、そのありがと」
「うふふ……」
自然と出る感謝の言葉。なんだかなーと思う。セックスのときぐらいは主導権を握りたいものなんだが。
どこまで一枚上手でいく気なんだろうね、紗奈姉ちゃんは。

気を取り直して黒のショーツを脱がす。そして紗奈の女性としての大事な部分に手を滑り込ませて
親指と人差し指でぐいっと開いた。
発情しきった女性器。濡れそぼったそこからは淫らな液がトロリと溢れてくる。何度見ても息を呑んでしまう
光景。そっと姉ちゃんの顔に視線を向けるが、恥ずかしげに背けたままだった。
「れろっ……」
「んん……っ」
股間が痛いほど疼いているが、自分自身に自制を言い聞かせるようにして熱心に舐めしゃぶる。
ひくひくと物欲しげに蠢いている膣穴めがけて唇ごと吸い付く。
「あぁあああぁっ……ダメっ。そんないやらしい舐め方しちゃダメなの……っ」
吸っても吸っても絶え間なく分泌されてくる愛液。しばらくの間、夢中になっておれは紗奈姉ちゃんの
オマ○コにしゃぶりついていた。


「と、トモくん……。わたし、もうトモくんが欲しい……」
「おれもそろそろ我慢が利かなくなってきたところだったんだ。……いくよ?」
卑猥な音をたてて紗奈の胎内へと潜り込んでいく。
「くうぅぅぅんんん……っ」
お互いの股間がくっ付き合う。ザラザラとした内部の壁がおれのモノを溶かそうとするかのように愛液を
浴びせかけて包み込んでくる。
「……動くよ」
「くっはあぁ……当たってるっ! トモくんのオチ○チンがわたしの膣内でゴツゴツしてくる……っ!」
おれの背中へと腕を伸ばして抱きしめようとしてくる紗奈に応える。おれは頭を抱いて艶のある黒髪を梳きながら
口付けていった。
「んんっ……はむン……あはふ……ふぅっ……くちゅ……っ」
決して単調な動きにはならないように、かといって暴走をするわけでもなく、緩やかにほんの少しだけ激しく
リズムを変えて腰を振る。
「ぷはっ……そ、そんなにいやらしく動いちゃダメっ! わたし……おかしくっ……なりそう……っ」
707とある新婚さんの話3-9:2007/05/13(日) 23:33:03 ID:I1hZUwSL
今のところまだ余裕がある。これまでは正常位一辺倒だったけど、今夜からは違う世界も見てもらうと
しようか。
「……えっ? な、なに……っ?」
そっと姉ちゃんの上半身を起こして持ち上げ、お互いの肌を密着させた。
「う、うそ……。な、なにこれ、深いよ……っ」
座った――座位の姿勢となって、おれは紗奈の細い腰に腕を回して上下させていく。
「や、やだ……。いつもと違う……こわいよ」
「大丈夫。ほら、こうすれば抱っこしているみたいでしょ?」
そっと滑らかな背へと腕を回して落ち着かせる意味を込めて優しげに撫でていく。
「紗奈は抱っこ好き……?」
「はぁぁん……っ。うっ、うん……抱っこ好きぃ……」
少し不安だったのか。ほんのちょっと零れていた涙をそっと舌ですくう。
「それに……ほら、これだとキスも好きなだけできる……」
「くちゅ……んっ……はぁあぁあ……。キスも好きなのぉ……もっとしてぇ……」
上の唇も下の唇も、それぞれが口付けを楽しんでいる。おれと紗奈姉ちゃんの舌が奏でる音と、性器同士が
放つ淫らな水音。それは否応にもおれの男としての本能を呼び覚ましていく。
「くふぅぅんっ……や、やだ……トモくん、は……激しすぎるよ……っ」
「……っ」
おれは何も応えずに、ただひたすらに姉ちゃんの腰を持ち上げては落としておれのモノを深く咥え込ませて、
下からは突き上げていく。
「あっ……あはっあはあ……いっ、いやっ! こんなのっておかしい! やめてほしいのに、でも切なくて
……身体が……カラダが……もっともっとって……っ!」
しこり切った乳首を口に含んでたっぷりと唾液を塗す。それと同時に探り当てた陰核にも刺激を与えていた。
「だっ、ダメっ! そこは敏感すぎ……感じすぎちゃうからっ……はああぁああ……っ!」
「……っ」
ぎゅっと膣の力が強まってくる。どうやら最期のときが近いみたいだ。
「いっ……いやっ! と、トモくん……ダメだって言ってる……はぁあ……のに、ああっ!」
ちょっぴり可哀相になって唇を重ねてあげる。
「くうっ……あはっぁああ……っ! だ、ダメ……やめてっ」
それでも腰の動きは止めてあげない。いや、止まらない。
「きゃふぅっ……い、やだ……こんなのって……あはぁああっ……こんなのって……っ!」
焦点の合わない瞳を潤ませて叫んでくる紗奈姉ちゃんが引き金となった。
「……出るっ!」
「……っ!? はぁあぁんっ……熱いのが熱い精液が……くはぁああっ……流れ込んできて……わ、わたし
……もうっ! いやぁぁあああ……ああぁああぁあ……っ!」
たっぷりと姉ちゃんの膣内に流し込んでいく。なんとやっても飽きないこの女の胎内へと自分のものだと
いう証をつけていく行為。

――やばい……止まらない……。

数十秒は経過しているはずなのに、二発目だから精液の量自体が減っているはずなのに、おれの分身は
紗奈姉ちゃんの胎内へといまだに精液を送り続けていた。

708とある新婚さんの話3-10:2007/05/13(日) 23:34:17 ID:I1hZUwSL
「ぐすっ……ううっ……ひく……っ」
「だから……ごめんね?」
おれはあまりの快感のため気付くのが遅れていたのだが、紗奈は気を失っていた。正直焦ったものの、胸へと
耳を当てれば心臓は確かに鼓動を刻んでいたので一安心だった。
――のはずだったが、意識を取り戻した彼女は黒曜石のような瞳の涙腺を決壊させて、ポロポロと綺麗な
涙を流していた。

ふたり繋がったままで、おれの胸で泣く紗奈姉ちゃんを抱きしめて頭を撫でてあげている。

「と、……ぐす……トモくん。わ……わたしが……ひっく……やめてって……うぅっ……お願いしたのに
……うぅっ……無視した……っ」
「うぅ……本当に申し訳ないです」
「わっ……わたし……ぐすっ……ホントに……ひっく……こわかったのに……それでも……うぅっ……
トモくん……やめてくれなくて……っ」
紗奈姉ちゃんと出会って二十二年。思えば、彼女を泣かせてしまったのは初めてなわけで。
どうしたものかわからずただオロオロするばかりだった。
紗奈を堪能したはいいが、一方通行の快楽を貪ってしまった。夫として妻を労わる――もっとも守らねば
ならないことを破っての暴走。反省して謝罪の言葉を述べるしかない。
それでもおれの男の本能はバカとしかいいようがなく、紗奈姉ちゃんの膣内で立派に勃起していた。
普段の積極的にリードしてくる彼女とはまったく違う、守ってあげなくてはいけないという空気を
紗奈は醸し出しており、おれの分身はそれに興奮してしまっているらしい。
「ひくっ……と、……ぐすっ……トモくん。き、キス……っ」
今のおれには紗奈姉ちゃんの命令に背くことはできない。

――まあ、普段もだけどさ……。

「ちゅっ……うぅ……っ」
軽く唇同士が触れ合うだけのバードキス。ややあって放してきた姉ちゃんは、おれの頭をがしっと掴んでくる。
充血した両の瞳。赤く染まった頬。いまだにしゃくりあげながら、ゆっくりと口を開いてきた。
「ひく……っ。も、もうダメなんだからね? お姉ちゃんを泣かせるような……ぐすっ……無理やりな
エッチは……うぅっ……ダメなんだからね……っ?」
「はい。本当にごめんなさい……」
「本当に……ぐすっ……反省してる……っ?」
神妙な面持ちで首肯する。最近――結婚してから使っていなかったお姉ちゃんを口にしている。
口調もいつもと違って幼い印象を受けた。
もしかしたら軽い幼児退行でもしてしまったのだろうか。
「じゃあ……いいよ……っ。許してあげる。……それでまだエッチするの?」
思いがけない誘いがきて返答に詰まってしまう。
「だって……わたしのお腹のなかでまだ大きいもの……」
「……いいの?」
「でも、優しくなんだからねっ!? また変なことしたら、おじさまとおばさまに言いつけるんだからねっ!?」
やっぱり幼児退行してしまっているようだ。
おれの両親のことは結婚してから、お義父様とお義母様って呼んでいたのに以前の呼び方に戻ってしまっている。
それに、言いつけるって小学生みたいだし。
まだ、不安定な姉ちゃんが寝付くまで優しく抱きしめてあげるのがベストなんだろうけど、精力剤のおかげで
依然として高い闘志を保っているマイサンが納得してくれなかった。

おれはそっと紗奈姉ちゃんを横たえて、優しく唇を重ねていった。

709とある新婚さんの話3-11:2007/05/13(日) 23:36:54 ID:I1hZUwSL
結局、五回も射精したところで落ち着いてくれた一物を引き抜いてティッシュで拭い、おとなしい姉ちゃんの
股間にも同様の後始末を行った。
紗奈はどこか虚ろな瞳で掛け布団を深くかぶると、こちらに背を向けてしまった。
短くおやすみと告げておれも眠りにつこうとしたのだが、しばらくして背中にピタッと張り付かれていた。
「トモくん……わたしをレイプしたの……二回目」
「レイプって……。確かに今夜のはやりすぎたと反省しているよ。でもあとはちゃんと……」

――そもそも先にレイプしたのは姉ちゃんじゃないか

などとは言えなかった。うん。口がさけても言えない。
「やっぱり覚えていない……わかった。思い出させてあげる」


あれはわたしが八歳でトモくんが五歳のとき。
いつものようにトモくんの家に遊びに来たら、お義母様は買い物に行かれるということで、お留守番を
任されたの。お留守番の間、トモくんにお気に入りの絵本を読んであげてって頼まれていたわ。

『――こうしてお姫さまと王子さまは幸せにくらしましたとさ。なに? トモくん、どうし……んっ!?』
読み終えた絵本を閉じようとしたときに、わたしの膝の上にいたトモくんが突然振り返ってキスしてきたの。
『……ちょ、トモくん……ど、どうして?』
『あのね。きのうのよるにおとーさんとおかーさんがね、ちゅーしてたの。なんでよるにちゅーするのって
きいたら、おとこのひととおんなのひとはどっちもだいすきどうしなら、ちゅーするんだって』
『ちゅー……』
『ぼくはさなねーちゃんがだいすきだからちゅーしたの。さなねーちゃんはぼくのことだいすき?』
『えっ、ええ。トモくんのこと大好きよ……』
『よかった! あしたもいっぱいちゅーしようね!』
『えっ……ええ。わかったわ……』


「もちろんその前からトモくんのこと好きだったけれど、それでもっと好きになったのよ……」
「……あのさ、紗奈。それってレイプ……なのかな? 幼児のたわいもない悪戯っていうか……」
喋り終える前に、間髪置かずに後ろから首を絞められる。
「純真無垢な乙女のファーストキスを奪ったんだから、正真正銘のレイプでしょうが……っ!」
「ご、……ごめん! おれが悪かった!」
おれは解放された喉元を擦りながら咳き込んでいた。
「あれで将来の結婚相手はトモくんって決めたのに……。トモくんは次の日にはキスしたこと忘れていたし
……。挙句の果てには、中学生になって色気づいたのかなと思えば別の女の子に手を出していくように
なって……一番近くにいたわたしは放置プレイ……」
沸々と憤怒のオーラが寝室内に充満していくのを肌で感じる。その、背中を伝う冷たい汗がとまらない。
そしておれは、強引に紗奈姉ちゃんのほうへと振り向かされていた。
首に激痛が走ったけど、今余計なことを口走れば、確実に生命が危うくなる。
「……でも、それは済んだことだから、もういいわ……。トモくんはわたしと結婚して、わたしのものに
なったんだもの……。ねえ、トモくん……。わたしを裏切ったりしたら……イヤよ……?」
紗奈姉ちゃんは微笑を浮かべていたのだが、目がまったく笑っていなかった。
おれは痛みも忘れて何度も首を縦に振っていた。
「それじゃあ、夜も遅いしもう寝ましょうか」
「は、はいっ」

この晩は姉ちゃんから抱き枕にされたため、ろくに睡眠をとることができなかった――。
710とある新婚さんの話3-12:2007/05/13(日) 23:38:07 ID:I1hZUwSL
正直なところ、おれは自分に過ぎたる――分不相応なお嫁さんをもらってしまったと思う。
でも、こう思い直したんだ。
おれのことを純粋に愛してくれる彼女、紗奈姉ちゃんに相応しい男に少しでも近づいていこうと。

いつの日か、堂々と肩を並べることができる、そんな立派な夫をおれは目指していく――。



後日、たまたまリビングに置かれていた紗奈姉ちゃんの給与明細を見て、激しく落ち込まされて
失意のなかも涙目で誓いを立て直したというのは本編とは関係ないお話。


                                       (おしまい)