あずまんが大王のエロいのないんかねぇ-11-

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776名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 23:19:40 ID:XO9R/6LL
榊と大阪のかみ合わなさがそれっぽいw
777名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 20:31:02 ID:lsNIO7KI
眠気から覚めたんで続きを書いてるんだけど、みんなに質問

大阪の二人称って「あんた」でいいかな?
778つづき:2007/04/08(日) 21:05:24 ID:lsNIO7KI


はたから見れば満面の笑み、私から見れば明らかに変化した顔。
「ひみつどうぐー、ふるえるなまこちゃんや」
それと裏腹に純朴そうな発言には、いつも飛びぬけたセンスが感じられる。
やっぱり、本当は頭が良いのではないか? でなければ、この高校には入っていないはず。
少なくとも博識であるのには間違いない。
「あの、私はどうすれば」
「まあまあ、じっくり見て感じとき。にゃも先生の言うことより勉強になるで」
被験体という言葉が浮かぶ。
こんなにかわいい二人の研究対象になるのは構わない、むしろ進んで希望するけれど、
私が持っている心からの愛情には応えてくれるだろうか。
「榊ちゃん、安心せえな。 わたしが責任持って、思いっきり気持ちよくしたる」
言い方が悪いかもしれないけど、こんな時に限って頼りになりそうな春日さんも不思議だ。
「それにしてもなー。はるうららのすいかっぷ、これは週刊誌でも見られへんなぁ」
きっと、ある程度その方面について知っている人ならば、セクハラだと言えるのだろう。
でも私は知らない。
せめて人の話に付いていきたかったから、先生達の体験談を近くで聞こうとしたときもあった。
けれど、男性との行為は自分にはとうてい理解できるものではなかった。 後悔も反省もしている。
私は愛玩すべき動物に惹かれる感情などと同様に、やはり心底、むしろ肉体の底から
あどけなさを残す女の子を欲していたことに気づいたのだ。
「榊さん、大阪さん、楽しみですね」
ふたりの
「榊ちゃん、外したる!」
かわいい声。
はっきりと言ってしまうと、耳にするだけで全身が疼く。
いつも触れ合っている声なのに。
いつも近づき合っている体なのに。
いつも通じ合っている感情なのに。
……私は他人と全く違う、と改めて自覚できた。

779名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 21:06:47 ID:lsNIO7KI


「あともう少しや」
思考を巡らせているうちに、春日さんの手が私の背中に回ってきていた。
肩や首筋、腰周りはとっくにはだけている。
手つきが慣れているのは女の子同士だからなのかどうか。
「ちよちゃんの家ならなんでもできるやろ」
「えー?そんなことないですよ」
確かにそうだ。無駄に高い身長の私を含めた三人が姿勢を乱せるほどに
この個室でさえ広いのだから、家が全体としていかに大きいかが伺える。
「ほんまおっきいなぁ」
そう、大きい。
「榊ちゃんのおっぱい」
え?
「わたしにもちょっと分けてくれへんかな」
あっ、いきなり揉むのはやめて。
「これ、どうするんですか?」
振り向けば、ちよちゃんが私の胸に付いていたものを両手に持っている。
もちろん全裸で。
「試しにつけてみ?大人に近づけるんやないか」
「はい」
だめだ、まだこういう場面での判断力は成長しきっていないみたいだ。
この間に、指先が私に手を加えはじめた。
赤い先端に触れられた瞬間、不意に声が漏れてしまった。我慢しないと。
「ここがおっきい子は全身成長が早いんやろな。下も期待しとるで」
「ひあ、だ、そんなに……まわさ、ないで」
「ええやろ」
「ダメ」
「え、でもこの」
「ダメ」
反射的に口に出してしまった拒絶の言葉に、春日さんは軽く返した。

「ふふ。榊ちゃん、初めてやな?」
聞いた途端に赤面する私自身。
「あんたみたいんならけっこーもてそうやけどなぁ」
「そ、そんなこと」
言えない。君たちのような人にしか興味がないなどと、この場で言ってはいけない。

780断続的に投稿するかも:2007/04/08(日) 21:07:54 ID:lsNIO7KI


「おーさかさん、これ、大きすぎて抜けちゃいます」
「神楽ちゃんのよりもサイズ上やもん。しゃあないな」
春日さんが手を施す所にあった下着のひもがあの子の手に、そして胸に。
不釣合いな豊かさを持つ布を目にして、私自身も恥ずかしくなった。
「そう、やんっ、いう……かすが、さんは」
「私も初めてやで。榊ちゃんのために」
「あう、わ、わたしのお、ため?」
「狙っとったんよ」
「大阪さんだけずるいですー!」
「ちよちゃん、んぅ!」
経常的に加えられていた刺激がより強まる。
片方の乳房、その端はもはや口腔に含まれきっていた。
「ほ……ほんとぉに、は、じめて?」
「へんひゅうはしほっはへほは」
解せない発音。
「え、練習ってできるんですか」
さすが天才と呼ばれるだけあり、言語処理はやはり速い。
指と舌によって伝えられる高揚感と、成長しきっていない二人に身を晒そうとする背徳感が私を襲う。
もう脳を思考に使えるほどの余裕、かろうじて残っていた理性のかけらさえ完全に失われつつあった。
春日さんが胸から頭を離した。
「ほな、ちよちゃんもやってみ」
「どうやって……?」
「さっきの秘密道具、貸したる。実践に勝るものはあらんのやね」
春日さん自身も、私を前にして何か納得したような表情だった。


781名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 23:11:52 ID:gn4xSqsB
大阪の二人称は「○○ちゃん」がしっくりくるかな。個人的に。
782名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 23:56:49 ID:lsNIO7KI
>>781

すみません
一行だけ「あんた」使ってみましたが
現行のまま(ちよちゃん、榊ちゃん、etc...)でいきます
783名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 22:07:25 ID:I8i1UleW
楽しみにしてます
784名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 14:37:42 ID:qhHY9wBo
目がみえないんです勘弁してください
785名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:48:00 ID:UbOuL2/5
うまい!!!楽しみ
786名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 22:03:35 ID:c51bqSJY
今後の展開に期待
787他人の設定を使うN ◆jHCuM/6C1s :2007/04/12(木) 09:29:36 ID:NHMDVi12
>>574
なに自分の事つらつら書いてるんだこの馬鹿w
788名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 23:44:46 ID:In3dOc/u
 久しぶりに来たけど、
「ちょくれつつなぎ」の話といい、「どんたこす」の話といい、
その後で来た3Pの話(大阪攻めまくり)といい、最近は佳作が多いね。
 良きかな、良きかな。
789名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 21:51:20 ID:NrCsvtBB
百合スレの方もここ数週間でいきなり良スレになってる
790名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 12:21:45 ID:LRLe/lKb
>>787
よぉ、元気かカンピロバクター
791名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 22:13:45 ID:NiSHjALN

たった二点を刺激されつづけるだけでもこんなに呼吸が苦しいのに、
もう一人加わったらどうなってしまうだろう。
ましてや、その「もう一人」が、私が一番守りたいと思う何歳も年下の子供だったら。
「震えてますけど、このボタンで調節するんですね?」
「せやな。いろいろと試せばわかるで」
小さい手のひらに動いたままのそれを握り、私の腰に跨ってくる。
「ほんで、わたしは下のほう」
春日さんの言葉に驚きは隠さなかった。素直にどういう意味か問いかけた。
けれども、彼女から返ってきたのはやはりそのままの答えでしかなかった。
誰にも見せないところを開くことにはさすがに戸惑ったが、どうしようもない。
恥ずかしいことに、私自身も多少期待していたから。
「ねここねこー」
あ、忘れてた。今更すぎて説明する気にもならないが。
今は二人が与える快感を何も考えずに受けていたい。
「榊ちゃん、かわいい物が好きなんよね。思い出したわ」
ただただ頷くだけの私。
おもむろに下着を脱がしていく春日さん。
胸にあれを近づけるちよちゃん。
「ねこはかわええ。けどな、榊ちゃんはもっとかわええんや」
「そんなことないよ、君たちのほうが」
「その榊ちゃんが一番かわええんや。今晩は最高の猫になってもらうで」
どうしてだろう、いつもはもっと強く否定しているのに、これ以上言葉が出てこない。
「榊さん、今日はいつもより笑顔ですね」
なんだ、私ってば嬉しいんだ。
自分の感情がようやく分かったので、隠さずにまたもう一度頷いた。
「ここもまだきれいな色でかわええな」
でも、さすがに直接的すぎる言葉はちょっと
「さっきまでので濡れとるけどな。いただきますー」
ちょっと、だめ、まだ用意が
「私も右胸からやってみます」
そんな、そんなに……!
「ひなりむねがさびひいやろうから、ほっちもぺろぺろやっとき」
「はーい」
え、ちよちゃんまで舌でやったらだめ、
「気持ちいいですか?」
聞かないで、お願い。
792名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 22:14:33 ID:NiSHjALN

急に羞恥心が呼び戻されたのは、知らなかったその感覚があまりにも強いものだったから。
仰向けになりなすがままの私に馬乗りになったこの子に喘いだ顔を見られたくない。
希望に反して、ちよちゃんは片胸から口を離してまた問いかけた。
「気持ちいいんですね?顔でわかります」
「い、わ……ないでぇ」
「榊さんが嬉しいなら、なんでもします」
「やぁ、そんな、うれしく」
「ええやろ?」
弾けそうな意識の中で頷きつづけるしかなかった。
何も分からないかと思えたちよちゃんですら、口内で乳房の先端を丁寧に扱きながら
リモコンを操作してもう一方の動きを変化させてくる。さすが天才というべきか。
春日さんはより激しく、私の声に出して言えないところを攻めたてる。
絡み合う二つの舌からたまらない程に温かさが感じられる。
「次は回しますよー」
思考の読みづらい春日さんならともかく、ちよちゃんがこんなに積極的だったとは。
勢いよく刺激され、気を確かに保てなくなってゆく。
目の前で、さっき裸になったばかりの、行為を知るには早すぎる幼女が
よりにもよって胸を舐め回しながら器具を押し当てている。
「榊ちゃん、全身があったかくなっとるし、ここももっとつやつやしてきたで」
ああ、やっぱり恥ずかしいけれども、抗えない……間違いなく幸せだから。
「お豆さんも固くなって、やっぱりええんやな」
言葉を発する時を除いて、常に下半身に甘い感触が伝わってくる。
道具を扱いながらも夢中で胸を吸い上げるちよちゃんが
だんだんと赤ちゃんのように見えてきて、ますますかわいく思えてくる。
私は幸せだ。
初めて知った行為が、こんなにも理想的な形で実現されて、本当に幸せだ。
この二人にならもう何をされてもいい、私の身体を全部預けてしまおう。
「いい表情ですね。いつもそんな風にしてくれたらいいのにな」
あとは考えることをやめ、ただ喘ぎつづけた。私は幸せだ。
「もういきそうやろ?」
793名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 22:23:11 ID:NiSHjALN


一体いくらほどに時間が経過しているのかもわからないが、いっこうに気にならない。
被験体でも飼い猫でも、もっと言えば奴隷でもいい、快楽が続いていれば。
私は全てを解放する。
ひた隠しにしていた愛情を、他の介入を拒絶していた身体を、頂点へ向かって遠のいていく意識を――


「あれ?榊さん、体が震えてますね」
「もうあっちの方にいってまったんやな」
「初めて見ました」
「早すぎてもよくないことはないで。勉強になったやろ」
「そうですね」
「でも、わたしたちもあっちにいきたいんやけどなぁ」
「どうしましょう?」

「次は……榊ちゃんに、やってもらう番やな」


戻ってきた意識の中で見たものは、飛ぶ前と少し変わっていた。
仰向けの私に、跨っているちよちゃん。でも、あれを持っていない。
春日さんはさっきまでと同じように視界に入ってこない。
まあ変わっていないといえば変わっていない、けれども。
「楽しみです」
上の体がより大きく目の前に迫る。
「申し訳ないですけど、お願いします、ね、榊さん?」
「あー、わたしも我慢できひんから、自分のに入れてまうわ」
「大阪さん、先じゃなくていいんですか」
「経験は大事やから、もっと触れあっとき」
ちよちゃんの顔が見えていない。その代わりに、細く未発達な両足の付け根と……
「いいですか」
「……え?」
まだ誰も受け入れていない、小さな花びらがあった。
794名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:21:52 ID:MDFf47Di
やば、これはエロい
795名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 21:14:01 ID:VJI26arX
うんエロ医
796名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 21:21:51 ID:h/RPnQlZ
eroi
797名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 20:34:07 ID:zFRPuz7U
nemui
798名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 21:05:41 ID:FYCbKU5A
799名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 22:05:48 ID:eYwB7OAg
断続投稿好きじゃないが、文が十分エロいしな、まあいいや、もうこっちは過疎ってるし

とりあえず百合板のスレは2007年にして神
800名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 22:26:34 ID:llBdUJ9Q
>>799
すまん。百合スレに半ば移住したw
ここも見てるけどね。
801名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 08:36:04 ID:1dFbm9tB
reimu
802名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 02:52:25 ID:cZeiA3XI
hakurei
803名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 20:11:13 ID:iTQqPwSS
東方かよ
804名無しさん@ピンキー:2007/04/25(水) 20:05:01 ID:bjDKE3wk
静かになったな
805名無しさん@ピンキー:2007/04/26(木) 21:26:58 ID:6bejNCXF
落ち着いたと言ってくれ
806名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 05:10:08 ID:XVH2P7x8
落ち着いたな
807名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:40:18 ID:ScT29253
 榊は愛猫マヤーと戯れていた。その光景は、獣医を志す女子大生としては特別奇異な
ものではない。その猫が特別天然記念物であることを除けば。迂闊に外に出すわけには
いかないので、榊は殊更マヤーとの時間を大切にしている。外に出してあげられない分、
自分がかまってあげなければならないと。もちろん友人のことも大事にしているから、
友人の頼みを断ることはしない。だから、かねてからの予告通り、今日自分を訪ねてきた
神楽を快く招き入れた。神楽になんとなく元気が無いことを気にしながらも。
「お、マヤー元気か」
 さっきまで榊がしていたように、神楽がマヤーと戯れる。だが、そんな神楽の様子に、
榊はどこか白々しさを感じずにはいられなかった。神楽はよく榊を訪ねてきていた。なぜ
来てくれるのかという問いに、神楽は『来たいんだからいいじゃん』というシンプルな
一言だけで返した。榊はそんな素直に振るまえる親友を好きだったし、尊敬もしていた。
それだけに、今の神楽の態度には何か引っかかるものがあった。約束をとりつけてまで
訪ねてきたからには、榊本人に用があるはずなのだが……。
「何かあったのか……?」
 その言葉に、神楽が動きをピタリと止める。マヤーが神楽から離れていった。
「私の勘違いならそれでいい。だが私に話せることなら話してほしい。君は私に何でも
話してくれたじゃないか」
 それでも神楽は答えようとしない。榊は待ち続けた。神楽が黙秘しようとしているの
ではなく、一生懸命口を開こうとしていたことがその様子から伝わってきたから。
「そ、そうなんだよな。お、俺が榊に会いにきたのは……」
「……俺?」
 完全に予想外の単語に、さしもの榊も目を丸くした。
808名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:41:10 ID:ScT29253
「やっぱりおかしいよな、私が俺って言うなんて」
 罰が悪そうに目をそらしながら弁解する。
「友達がさ、『神楽さんは俺って言いそうな感じだね』なんて言うんだ」
「……私から見ればおかしいが、初めて会った人なら印象は違うかもしれない」
 何と答えていいかわからず、思ったことをそのまま言葉にした。最も無難な答えとも
いえる。
「そんなことはどうでもいいんだ。それでな……」
 再びしばしの沈黙。『俺』云々のためにここまで来たのではない、と神楽は自分に言い
聞かせ、しかしそれでも自分がここに来た目的を口に出すのは躊躇われ、視線を巡らせる。
 ふと、その視線がある一点で定まった。そこにあったのは鏡台と、その前に並べられた
化粧品の数々。神楽には何をどう使えばいいのかさっぱりわからない品々。
 ――榊には、化粧した姿を見せる相手がいるのか――
 神楽の胸に湧いた疑問。それと同時に、別の感情が湧いたような気がした。
「化粧の仕方がわからない……?」
 神楽の視線を察した榊が尋ねる。煮え切らない態度の親友に、榊なりに気を使ってやった
つもりだった。以前の私にはできなかっただろうな、と過去の自分を振り返る。
「そ、そうなんだよな。ほら、私って水泳部だからそんなに化粧するないじゃん。なんか
周りが色々言ってるんだけど何やったらいいかさっぱりわかんなくてさー」
 神楽が一気にまくしたてる。顔が少し赤くなっていて、動揺がはっきりと伝わってくる。
 確かに、化粧に関する頼みごとなんてやり辛いだろう――榊は勝手に肯いて、もう一言
付け加える。少しはこの親友の積極性を見習ってみようと。
「化粧、してみようか……よかったら、私がやってあげよう」
「……へ?」
 今度は神楽が目を丸くした。
809名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:42:39 ID:ScT29253
 断る理由もなく、神楽は鏡台の前の椅子に座った。鏡の前に数本の容器が並んでいるが、
これらの内容物にどんな違いがあって、それぞれどのように使用するのか、神楽には全く
想像できなかった。
 神楽は鏡を見つめ、自分の後ろに立っている榊の姿を確認した。榊とはそれなりに長い
つきあいだけど、こんな位置関係になったのは初めてかもしれない――そんなことを神楽は
考えていた。神楽と榊の位置関係。神楽と榊の関係。親友といって間違いないが、全てを
知り尽くしたわけでもなく、全てをやり尽くしてもいない。ましてや化粧など初体験だった。
 初体験。その単語に、神楽の体がわずかにこわばる。
「そんなに緊張しなくていい」
 いつのまにか神楽の肩に手を置いていた榊がそれを察し、やんわりと諭した。
 榊に任せてしまえばいい……神楽は落ち着いて肩の力を抜く。
「本当は普段からスキンケアするべきなんだけど、今日はメイクから始めよう」
 榊は並んだ容器のうちの一つを手にとって、もう片方の手にスポンジを持った。
「まずはファンデーションだ。『基礎』を意味するように、しっかりやっておかないといけない」
 榊は後ろに立ったまま始める。その右手にもったスポンジが神楽の頬に優しく触れた。
自分の頬に柔らかいものが触れる感触に、再び神楽の体がこわばる。しかし、これをやって
くれているのは榊なのだと自分に言い聞かせて、緊張を解く。
「こうやって伸ばしていくんだ」
 榊の言うこうやってがどうやってなのかは神楽にはわからない。だから神楽は、榊の
手つきを堪能することにした。スポンジごしに伝わってくる榊の指使いはとても優しく、
心地よかった。この指になら――この指を持つ榊にならば、全てを任せてしまってもいい
と、心からそう思えた。
 やがてファンデーションが顔全体に伸ばされてゆく。その結果、どう変わったのかは
自分ではわからなかったが、少なくとも榊を見る目つきは変わっていると自覚していた。
810名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:44:47 ID:ScT29253
「次は、頬紅をつけようか」
 スポンジを置いて、今度は刷毛のようなものを手に取った。
「もちろん、これも頬から塗るんだ」
 ファンデーションのときよりも気を使うのか、単に榊の流儀なのか、神楽をもっと近くに
見れるように、少し前に身を乗り出した。結果として、後ろから神楽を抱くような形になる。
同時に、その動作に榊の長く艶やかな黒髪がなびいて、その柔らかい匂いが神楽の鼻を
くすぐる。
「あっ……」
 不意を突かれた神楽は、緊張しないかわりに心拍数がはね上がった。急に近くなった榊の
存在、そして榊の匂い。――他人の匂いを気にしたことも始めてだった。
 榊がどんなシャンプーを使っていようと、そんなことは関係なかった。どんな香料を
使ってもこの香りは出ない。これは榊の匂いなのだと、そんなことを考えていた。
 そして、もう一度それが香ってくることを心待ちにしていた。もう一度髪をなびかせて
くれないかと。もう一度その匂いを私に届けてくれないかと。
 榊が刷毛で何をしてくれたのかなど、全く覚えていなかった。

「次は……アイブロウかな。眉の形で人の印象は結構変わってくるんだ。神楽はそんなに
いじらなくていいと思うけど……」
 また別な道具をとると、今度は神楽の前に回りこんできた。そのとき、榊の髪の一房が
神楽の唇を撫でた。
 ぞくっ。
 未知の感覚が神楽を襲った。
 今のはなんだろう。
 人間の唇はそういう感覚を持っているということを、初めて意識した。
 なぜ恋人はキスをするのか、その理由を始めて理解した気がした。
 気がつくと、榊の顔が急激に迫ってきた。
「お、おい……」
「動かないでくれ。私もするのは初めてなんだ」
 あくまで真剣な榊。しかし、神楽は自分の顔が熱くなるのを感じていた。なにせ互いの
息がかかるほど近くにいるのだから。
 今の神楽には、眼前にいる榊しか見えなかった。榊の眼差しは真剣そのもの。その眼を
向けられるたびに気分が高揚していたことを思い出す。高校時代の青春の一ページ。
 そして、顔が眼前にあるということは、唇も眼前にある。一度榊のそれに視線を合わせる
と、もうはずせない。榊の唇を見つめながら、さっきの感覚を思い出す。ほんの一瞬、髪で
撫でられただけでもあんなになるのなら。
 唇と唇を触れさせたら……?
「神楽、目を閉じてくれないか」
811名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:46:14 ID:ScT29253
「え、え、うぇ?」
 あまりの動揺に、まともな言葉を紡ぐことすらできない。
「アイラインを引くんだ。目を閉じるのは不安かもしれないけど……」
「あぁ、そ、そ、そ、そうだよな」
 言われるままに神楽は目を閉じた。榊からしてみれば言ってることとやってることが
食い違っているように見えたが、神楽が自分に身を任せてくれるならば、自分も神楽が
求めているものを与えてやらなければならない、とより一層顔を引き締める。
 目を瞑った神楽にそれが見えるはずもなく、瞼の裏で想像だけが一人歩きする。榊が
次の瞬間、何をしてこようとも対応できない。何をしてこようとも……。
「ちょっと、ごめん」
 榊の左手が神楽のあごにかけられ、くいっと顔を上げる。神楽は、自分が榊の顔を見上
げる形になったことを悟る。そして、その動作は自然とある行為を連想させた。さっき意識
したばかりのその行為を……。
「終わったよ、目を開けていい」
 残念だったような、安心したような、そんな複雑な気持ちを抱えたまま、榊の言われた
とおりにする。その目は、普段の勝気な性格からは考えられないほどうっとりしていて、
化粧とはまた違った理由で、神楽の外見の印象を変えていた。見る者に怪しい倒錯感を
覚えさせるほどの……。
「……やっぱり、目を閉じててほしい」
 神楽はそれに素直に従った。榊に全てを任せると決めていたから……。
「……ルージュを引く」
 鈍い神楽でもわかった。その口紅を榊は使ったことがある。それを神楽にも使うという
ことは……。
 神楽の唇に、柔らかい何かが触れた。
812名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:48:04 ID:ScT29253
 それは指なのだと、すぐにわかった。口紅のスティックそのものではないことになぜか
がっかりし、しかし自分の唇を榊の指が触れているという現実は、その数倍の高揚感を
もたらした。
 あんなにも長くてしなやかな榊の指。不器用で生傷が絶えないけど、綺麗な指。それが
今、神楽の誰にも触らせたことのない場所に触れている……。
 指はピンク色のそこを丁寧になぞる。そこは特別に敏感に反応するように出来ていて、
指に柔らかく刺激され、神楽に未知の感覚をもたらす。正確には、ついさっき知った
ばかりの、女を虜にする感覚。ある種の感情と直結する感覚。
 全てを任せると決めた、その指を神楽は求める。しかし甘美な時間は永久に続くことは
なく、指が離れた。名残惜しげにその余韻に浸る。なぜ榊が指を使ったのか、その理由を
考えることもなく。
「一応これで終わったけど……どうかな」
 神楽自身の感覚では、これが他人にどういった評価を受けるのかは計り知れなかった。
しかし、自分が明らかに変わったということだけは理解できた。顔に多少の色をつけた
だけでこんなにも変わるのかと驚くほどに。
 顔の造詣とか陰影など本質的な問題ではなく、最も劇的な変化があったのはその目
だった。あどけない少女が大人になったがゆえの目。
「なんか……よくわからないけどすげえ」
「今回のは私のやりかただったから……自分なりにやってみるといい」
 その言葉に、少し前に浮かんだ疑問が再浮上し、思わず問いかける。
「なあ、榊には化粧してみせる相手がいるのか?」
 あまりにストレートな質問。回りくどいやりかたは、神楽には思いつかなかった。
「いや……親が勝手に送ってきたんだ。もうそういう年頃だからって。獣医志望の私と
してはあまり化粧するわけにもいかないのだが……」
「ぷっ」
 神楽の笑い声がそれに続く。静かだった部屋が突然騒がしくなり、マヤーがわずかに
警戒した。
「何がおかしいんだ」
「いや悪い、私の勘違いだったんだなって」
「……?」
 怪訝そうな顔の榊にかまうことなく、神楽は言葉を続ける。
「でもよかったよ。これで躊躇いなく話ができるからな」
「話? 化粧のことを話しに来たんじゃないのか」
「え? 私はそんなこと言ってないぞ」
 話がかみ合わず、両者ともに頭の中に疑問符が浮かんだ。
813名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:48:46 ID:ScT29253
「私が来たのは、ちょっと話を聞いてもらいたかったんだ。……恋愛相談ってやつだ」
 その手の話題がどうにも苦手で、二人とも目を合わせようとしない。榊はマヤーを抱き
ながら、親友の話に耳を傾けた。
「後輩の女の子に告白されたんだ。さっきは友達って言い方したけどさ。……体育会系
ではそういうことが結構あるらしいんだけどな。お前って結構女子にモテてたじゃんか」
「そういう人たちに言わせれば私はかっこいいらしいが……私にそんなつもりは全く
なかったんだ。私にそういう面を求められても困る……」
 君だけは違うけれど、と胸中で付け加える。
「そうなんだよ。その子も私のことをちゃんと見ているのかわからなくてさ。だから
まともに返事もできやしねえんだ」
「つまりその後輩は君の男性的な面だけを見ているのではないかと……?」
 榊にとっては身につまされる思いだった。他人が自分を正しく見ているのかと不安に
なってしまう。榊は、そのせいで無意味に周囲に壁を作ってしまった時期があった。
「だけど榊のおかげでなんとかなりそうだよ。これからその子に会ってくる」
「……今すぐ、か?」
 自分が神楽の力になれたことを嬉しく思う一方で、そんなデリケートな問題に自分が
関わっていいのかと不安になる。
「まず確かめなきゃどうにもならないからな」
「そうか……それなら、もう一度座ってほしい」
 榊は櫛を手に取る。素直に座った神楽の後ろに立って丁寧に髪を梳いた。
「私の髪なんか……」
 毎日プールに入り、ろくに手入れもしていない。榊のそれにかなうべくもなかった。
「少しでもいいから、髪は優しく扱うものだよ」
 言葉通り、榊は優しかった。一房一房丹念に櫛を通すと、ぼさぼさだった髪が少しだけ
艶を帯びてきた。榊の指が髪をかきわける。全てを任せると決めた指が。榊がもたらして
くれるその多幸感はどうにも手放し難く。
 神楽の返事はすでに決まっていた。
814名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:50:11 ID:ScT29253
「その……結果次第だけど……もしメイクを落とすなら、またここに来てほしい。
ちゃんとクレンジングしないといけないから……」
「ありがとな。世話になるぜ」
 榊に見送られて歩を進める。その視線を背中に感じながら考える。榊はメッセージに
気づいてくれただろうかと。私はまたここに来るのだと。
 あの子は大事な後輩で友達とも思っている。これから泣かすと思うと気が重い。
「私だって、何でも喋れるわけじゃないんだよ……」
 誰も聞いていないはずだと確信して、ひとりごちた。だが、可愛い後輩を振ってしまう
からには、私も勇気を出さなきゃいけないと自分に言い聞かせる。
 それなりに罪悪感もあるが、はっきり断る決意を固める。神楽にとっての本番は、
榊にメイクを落としてもらってからのこと。
 そのときこそ、榊に本心を打ち明けるのだ。素顔の自分を見てもらうために――

−終わり−
815名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:52:11 ID:ScT29253
直接的な行為なしにどれだけえっちぃ表現をできるか
試してみた一作……と思いきやメイク以外のシーンが
長くなっちゃったり。
スレの容量が間に合うかヒヤヒヤでしたw
816名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 07:00:17 ID:Tdgfudkr
>>815
乙彼様でした。
エロいというより、考えさせられるような話だった。
化粧シーンは後書きの通り長く、その結果として、神楽の榊さんへの
想いという主題がぼやけてしまったように思える。
エロさを求めないならば、二人、特に榊さんの描写が細やかで、冴え渡るような
的確な文章に好感がもてた。
817名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 22:48:19 ID:VEU6F3nj
>>816
読んでいただいてありがとうございます。
やりたいことを詰め込んだ結果、テーマが
ふらついてしまったかもしれません。反省。
(さかぐらかどうかはともかく)普通にエロな
ものを書いてみようかと思う今日このごろ。
818名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 23:05:37 ID:2jaeQ8i6
素顔のままで。GJ。
819sage:2007/04/29(日) 19:36:35 ID:FOuwu2nd
GJ!
読んでてドキドキさせられました
820名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 21:03:41 ID:8n1wfaZE
濃厚だけど、これは百合スレ向きかな
でもGJ

821名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 21:09:35 ID:40SuQs3+
あずまんがの場合、このスレと、百合スレは単に板が違うだけで
内容はほとんど一緒だな〜
822名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 05:03:50 ID:qNGhmwv8
違う内容も掛けるのがここの強み。
823名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 19:14:49 ID:DDWZtAzR
しかし向こうも十八禁だしな
824名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 14:51:25 ID:PM6khJTN
643 :他人の設定を使うN :2007/05/03(木) 00:01 ID:sdjatKjI
ひきこもりの原因となる学校でのイジメなどは絶対にあってはならないことですが、
ひきこもり自体についてはぜいたくな行為だと思っています。働くことやそれに伴う
つらい事は親に押しつけて、自分は心地よい空間に閉じこもっている訳ですから。
だから、ひきこもっている人には、それがぜいたくな行為だと自覚して欲しい。
親御さんには、せめて時には突き放す勇気を持って欲しい。
こういう発言には抗議めいたものもあるでしょうけど、ひきこもっている部屋そのものも
親 が 家 賃 や ロ ー ン を 払 っ て 提 供 し た も の です。
ひきこもっている当人は「親=他者」という意識が十分でないと。
親は他者であり、親にも彼ら自身の生活や将来があります。
そういう他者の負担と献身があってはじめてひきこもりが成り立っていることを
「ぜいたく」と表現しました。「他者」の負担を自覚することが、
ひきこもりを克服しようという意思につながるはずだと考えるからです。
親が「他者」であることを見えにくくしている一因は、親の方にもあるでしょう。
親がいつまでも黙って注文を受け入れ、身の回りの世話をつづけていては、
子供に自分の分身と思われてしまいます……。

646 :他人の設定を使うN :2007/05/03(木) 00:16 ID:sdjatKjI
ひきこもる人々が心地よさを全く感じていないと言うつもりはないが、
青春時代の長期間を友も恋人もなくただ孤独に過ごす事がそれほど心地よいこととは想像しにくい。
仮に仕事に行かなくてよくて親がごはんを出してくれるとして、
家の中で本を読んだりチャットしたりしているだけで心地よく過ごせるのは何日までか、
を論議してみるといいかも知れない。私は自分なら数日でリアルの友達に会ったり
外食に出かけたり、散歩に出たくなったりすると重う。
825名無しさん@ピンキー
643 :他人の設定を使うN :2007/05/03(木) 00:01 ID:sdjatKjI
ひきこもりの原因となる学校でのイジメなどは絶対にあってはならないことですが、
ひきこもり自体についてはぜいたくな行為だと思っています。働くことやそれに伴う
つらい事は親に押しつけて、自分は心地よい空間に閉じこもっている訳ですから。
だから、ひきこもっている人には、それがぜいたくな行為だと自覚して欲しい。
親御さんには、せめて時には突き放す勇気を持って欲しい。
こういう発言には抗議めいたものもあるでしょうけど、ひきこもっている部屋そのものも
親 が 家 賃 や ロ ー ン を 払 っ て 提 供 し た も の です。
ひきこもっている当人は「親=他者」という意識が十分でないと。
親は他者であり、親にも彼ら自身の生活や将来があります。
そういう他者の負担と献身があってはじめてひきこもりが成り立っていることを
「ぜいたく」と表現しました。「他者」の負担を自覚することが、
ひきこもりを克服しようという意思につながるはずだと考えるからです。
親が「他者」であることを見えにくくしている一因は、親の方にもあるでしょう。
親がいつまでも黙って注文を受け入れ、身の回りの世話をつづけていては、
子供に自分の分身と思われてしまいます……。

646 :他人の設定を使うN :2007/05/03(木) 00:16 ID:sdjatKjI
ひきこもる人々が心地よさを全く感じていないと言うつもりはないが、
青春時代の長期間を友も恋人もなくただ孤独に過ごす事がそれほど心地よいこととは想像しにくい。
仮に仕事に行かなくてよくて親がごはんを出してくれるとして、
家の中で本を読んだりチャットしたりしているだけで心地よく過ごせるのは何日までか、
を論議してみるといいかも知れない。私は自分なら数日でリアルの友達に会ったり
外食に出かけたり、散歩に出たくなったりすると重う。