【涼宮ハルヒ】谷川流 the 10章【学校を出よう!】
1 :
ジャン・ジャック:
あ?何なんだ、いきなり。
え?スレの説明?
何で俺がそんな事やらないかんのか。
おいおい。
そんな意気揚々と母親の買い物に付いて来て、何も買って貰えなかった子供みたいな顔で凄むなよ。
表情と言動が一致してないぞ、お前。
朝比奈さんも可愛い顔でこっちをチラチラ見ないでくれ。たまらん。
古泉も一緒になって急かすんじゃない。調子に乗るな。
長門も長門でじっとこっちを見るな。
早くしろ?
あーもう!
書いてください!読んでください!
これでいいか?
…素晴らしくハレ晴れな笑顔だな、ハルヒ。
2 :
ジャン・ジャック:2006/06/02(金) 00:10:31 ID:SSQQuEQT
犬な
ルソー氏乙!
次回の
>>1のネタも募集。
そろそろ別のが読みたい。
もれも考えてみるか。
>>1 乙です
6月に入ったばかりなのに、既に各地で30度を越す夏日和なこんな日に、
ちょっと速いですが、海の話を投下したいと思ってます。ただちょっと
長めになりそうなので、あしからず。
12 :
8-343:2006/06/02(金) 00:40:04 ID:VNxUcipl
海水浴 プロローグ
はてさて、ハルヒのエンドレスサマーを知らずに過ごしていたある日だ。
プールに行く前の話になるのだが、
ある日、我がSOS団団長のハルヒは突然電話をかけてきた。
「明日は海水浴へ行くわよ!!薄汚い太平洋っ側を泳ぐんじゃなくて、泊まりで日本海っ側を堪能することになったから、ちゃーんと泊まりの用意して、いつも通り
駅前に来なさいよ!!いいわね!」
そう用件だけ言うと、プツっと携帯は切れ、切れたと共に俺の口から溜め息が漏れる。
そしてすぐ思い当たる人物にかけ直す。本当はかけたくもないんだが。
どこぞの店や会社の応対のように、3.5コール目で相手が出る。
「おい、これはどういうことだ古泉」
早速俺は、どう考えても泊まるアテを作れる、背後に『機関』を持つスマイリー古泉に電話をかけた。
すると受話器の向こうの人物は、ふふっと笑い、「あなたからの電話がそろそろかかって来ると思ってましたよ」と言い、続けて
「あなたの御察しのように、今回の事はすべて僕が提案したものです」
おい、まさかまた多丸兄弟や新川さん、森さんを使って、推理ゲームでもするつもりか。
「いえ、今回はそのようなことはいたしませんよ。僕の知り合いにあたる人が海沿いに別荘を持っていまして。涼宮さんの退屈しのぎとして、そこへ宿泊しに行くのですよ」
またあいつのためか。よくもまぁ色々とやるな、お前も。
「ええ、あの空間へ行くより、こういったことをしていたほうが我々としては、ありがたくこの上ないことですからね」
で、今回も新川さんや森さんは来るのか?
多分来るであろう、あの人たちの顔を思い浮かべながら聞いてみた。
が、受話器の向こうから聞こえた声は予想を大いに裏切ってくれた。
13 :
8-343:2006/06/02(金) 00:40:52 ID:VNxUcipl
「いえ、今回は我々SOS団のメンバーのみでの旅行ですよ。あ、正規団員ではないですが、
涼宮さんからの提案もあって、鶴屋さん。そしてあなたの妹も招待することになりましたよ」
何だって?じゃああれか。自炊とか俺たちでしないといけないのか。
「ええ。食材や調理機器は我々が先に調達しておいてますので、心配はいりませんよ」
いや、食べ物に心配する前に、まだ大人になってもない青い少年少女達だけで、お泊りを
するっていうのも・・・・・・大丈夫なのか?
「大丈夫ですよ。あなたがしっかりしてさえいればね」
何か癪に障る一言だな。おい。
「では、僕はこれからその旅行に関しての準備が少々ございますので、この辺で。また明日逢いましょう」
「ああ」
そう言って、通話が終了した。
海水浴・・・・か、そういやここしばらく海なんて行ってねぇなぁ。記憶だと最期に行ったのは小学五年生くらいか。
その後俺は妹に旅行を行くことを伝え、喜ぶ妹を尻目に母親にも説明をし、一発オッケーをもらった俺は、はしゃぐ妹を置いといて、朝比奈さんの水着姿に大いに期待を寄せつつ、明日への準備にかかった。
どうか、どうか何も起こりませんように。
ただ、ただ俺はそう願うのだった。
14 :
8-343:2006/06/02(金) 00:43:00 ID:VNxUcipl
とりあえず、エピローグです。続きはまだ執筆中ですが、梅雨みたくキョン×SOS団キャラ
絡みを書いて行こうと思ってます。
エロは無いです、というか書けません。あしからずorz
15 :
8-343:2006/06/02(金) 00:43:40 ID:VNxUcipl
エピじゃないプロだ。死にたいorz
17 :
8-343:2006/06/02(金) 00:50:49 ID:VNxUcipl
>>16 ええ、どろどろや裏キャラな感じにするつもりはないです。
いつも通りのハルヒ達でいくつもりです
>>13 >>どうか何も起こりませんように。
本当に何も起こらなくてエピローグという型破りな展開を期待w
とは言わないが、続き超期待してます
期待してます!
>>14 ほのぼの系、期待してます。
だからそれくらいの間違いで死なないでー!
『鶴屋さんの観察』
やっほーっ! みんな、元気かいっ?
今日はあたし、鶴にゃんがSOS団のみんなを紹介するっさ。
キョンくんだと身内への遠慮が入るからねっ。
SOS団をよく知ってるごく普通の一般人であるあたしにおまかせ!
「おっはよーん、みくるっ、今日もがんばってるかい?」
「あ、鶴屋さん」
教室に入ったらみくるがいたから、最初はみくるから紹介するっさ。
朝比奈みくる。あたしのクラスメイトのめがっさかわいい、抱きしめたくなるような女の子っ。
「わふっ、ひゃっ、つ、鶴屋さん、もまないでええ」
「あははっ、軽いスキンシップスキンシップっ」
ちっこい体に見合わないおっきな胸を持ってて、そこをハルにゃんに買われてSOS団に勧誘されたんだよねっ。
最初の頃はあたしに泣きついたり愚痴ってたりもしてたけど、いまは楽しい毎日を過ごしてるみたいだ!
親友のあたしとしても、悲しそうなみくるはみたくないからね。ほっとしてるのさっ。
まっ、いろいろとコスプレされることに関しては、いまだに愚痴ってるんだけどね。
「あっ、そだ。みくる、今日終業式のあとでクリパやるんだって?」
みくると体育館へ移動しながらキョンくんのことで盛り上がってたら、思い出した。
すっかり忘れるところだったさっ。
「うん、なんで知ってるの?」
目をまんまるくするみくる。
「ハルにゃんに誘われちゃってさ。あたしも参加させてもらうよっ」
「わあ、鶴屋さんがいっしょなら、もっと楽しくなりそう」
手を合わせてうれしそうにしてるみくるを見てるだけで、あたしもうれしくなっちゃうよ。
「あっはは。そういうわけでさ、授業が終わったらいっしょに部室まで行こうっ」
「うん。あとは成績表の中身さえ良ければ、楽しいパーティになるんだけど……」
たまに高校生らしいこと言ってるけど、棒読みなんだよねえ。
でも、本人はそう思ってない気がするから、あたしも指摘はしないっ。
「みくるなら大丈夫! あたしが太鼓判を押しちゃうよ」
みくるは優等生ってタイプじゃないけど、努力家なのはよーく知ってるからね。
おやっ。体育館の入り口が見えてきたと思ったら、向こうから見覚えのある顔が歩いてきてるね。
相手もこっちの姿を認識したのか、にこやかな笑みを浮かべてるっさ。いつもそうかもしんないけどっ。
手をぶんぶん振って、呼びかけちゃおう!
「おーい、古泉くーん」
あたしの呼びかけに近寄ってきて、如才ない笑みのまま口を開く古泉くん。
「鶴屋さん、おはようございます。朝比奈さんも」
古泉一樹くんはSOS団の副団長さんなんだよね。
学年はあたしたちよりひとつ下の1年生。笑顔がトレードマークの色男っ。
たしか春先に転校してきたんだったかなあ。うちの女子がキャーキャー騒いでた気がするっさ。
見た目はいいのに、前に出ることがあまり好きじゃないないばーで、縁の下の力持ちって感じだねっ。
そこんところが奥ゆかしいとか紳士的とかで、隠れファンもそこそこいるらしいよっ。
あたし? あたしは、あはは。
「おはようっ、一樹くん、今日もいい男だねっ」
元気よく言うあたしとは対照的に、みくるったらかしこまっちゃって、
「古泉くん、おはようございます」
「ちょいと、みくるぅ、もうちょっと先輩らしくしなよー」
みくるはSOS団唯一の上級生なのに、腰低すぎ。
そんなんだからハルにゃんにおもちゃにされるのにね。
「ふえっ、え、えと、古泉くん、お、おはよ」
みくるにしてはがんばったほうかなあ。
古泉くんはそんなあたしたちのやり取りをほほえましく見てたけど、あたしのほうを向いて、
「そういえば、鶴屋さん、今日はよろしくお願いします」
「ほいほい。みくるといっしょに向かわせてもらうにょろよっ」
あたしと古泉くんの会話を聞いたみくるは不思議そうな顔をして、
「あれ、古泉くん、なんで鶴屋さんが来ることを知ってるんですか?」
古泉くんが返事をするより先にあたしが答える。
「みくる、いつか合宿のこと言ってたしょ。そいであたしが一樹くんに別荘空いてるよって打診したのさっ」
「それを僕は渡りに船と思い、鶴屋さんを伴って涼宮さんに話したわけです。涼宮さんは大変喜んでいました」
ナイスフォローっさ、古泉くん。
「そしたら名誉顧問の腕章とともに、クリパにご相伴預ることになったってわけっ」
さらに付け足す。
「だからさ、合宿も参加させてもらうよっ。楽しみだねー」
不思議そうな顔から納得げな表情になって、笑顔に移る様は見てて楽しかったっさ。
終業式はクラスごと、男女ごとに整列しないといけないから、古泉くんとは入り口でお別れっ。
おしゃべりしてた分、遅れちゃったみたいで、もうほとんど整列しちゃってるなあ。
みくると急いで並んでから、きょろきょろと見回す。
いたっ。長門っち、有希っこ、どっちでもいいけど立ちながら本を読んでるからわかりやすいっ。
長門有希ちゃんに関しては、あたしあまり知らないんだよね。
1年生で古泉くんやキョンくん、ハルにゃんとはまた別のクラスにいて、趣味はたぶん読書っ。
たまにあたしが部室に乱入しても、いつも本を読んでるっさ。
小柄で寡黙、表情もそんなに動かない感じで、笑った顔や怒った顔を見たことないねー。
あとは意外と足が速かったりして、ハルにゃんが「有希は万能選手」って言ってたっけ。
なんとなく、キョンくんにホの字なのかなって思ってるけど、これは読みすぎかも。
次にめっけたのはハルにゃん。周囲の誰ともおしゃべりせずに腕を組んで前を見据えて、っていう
傲岸不遜な態度を取ってる女子なんてハルにゃんしかいないっ!
涼宮ハルヒちゃんはSOS団の団長さんで、普段はなんだか難しい顔をしてるっさ。
かなりかわいいだけに、もったいないなあってあたしなんかは思うんだけどね。
性格はどんどん前に進んでいくタイプかなっ。春先から色々騒動を起こしてたから
学校中にハルにゃんの名前は変人として知れ渡ってるけど、実際付き合ってみたら行動や言動が
突拍子なだけで、中身は常識人を地でいくような人だと思ったねっ。見てて飽きないのは確かっ。
ハルにゃんなくしてSOS団はありえないね。団員もみんなハルにゃんのことを心の拠り所にしてるっさ、たぶん。
ハルにゃんの後姿を観察してたら、頭が横に動いた。どっかを見てるみたい。
ははーん。あたしにはその視線の先に何がある、いや誰がいるのかわかっちゃった。
だってハルにゃんの横顔が、どことなく優しそうに見えたからっ。
その先にいたのは、SOS団最後の団員、キョンくん。何回か会ったことのある友達とだべってるね。
キョンくんは、言っちゃ悪いけど古泉くんほど美形でもないし、みくるのような愛嬌もないし、有希っこみたいに
ミステリアスは雰囲気を背負ってもいないし、ハルにゃんと肩を並べる変人ってわけでもない、普通の男の子。
かわいい妹くんがいるからか、気の優しいお兄ちゃんって感じるときもあるけどね。
でも、キョンくんはSOS団のみんなから慕われてる。見てるこっちがうらやましくなるぐらいにっ。
自分では気付いてないかもしれないけれど、果報者だよ、キョンくんは。
ただ、ひとつだけ不思議なのは、キョンくんの本名をあたし知らないんだよね。こればっかりは謎だっ。
「いこっ、みくる」
「うん」
放課後、といってもまだ午後にもなってないけど、みくるといっしょに部室へ。
成績はどうやらあまり悪くなかったらしいっ。よかったよかった。
部室のドアを開けたら、有希っこが椅子に座って読書をしてた。
有希っこの頭に三角帽子がのっかってるのを見て、クリスマスなんだなあ、って思っちゃった。
「やっほー、有希っこ、みんなはどこだいっ?」
有希っこは顔を上げ、あたしのほうを見て首を上下させてからぽつんと、
「買い出し」
「買い出しか! あたしもうおなかぺっこぺこっ」
あたしがおなかを押さえる仕草をしていると、ゆるゆると有希っこの視線は本に戻り、また読書を始めた。
もう慣れっこだけど、この態度がダメって人もいるかもしんないなあ。
合間を見計らったかのように、みくるがかばんを置いて、
「それじゃ、あたしは服を着替えて準備しなきゃ」
メイドさんの衣装に手をかけるみくるに、あたしは後ろから近寄って抱きすくめちゃった。
「手伝うよっ。さあさっ、脱いだ脱いだっ」
「えっ?」
そう言って、おもむろにみくるを脱がしにかかる。ふふふふん。
「わわっ、つ、鶴屋さん、手伝ってもらわなくてもあたし自分で」
「まあまあ、厚意は受け取っておくものだよっ」
コートを剥ぎ取られたみくるは手をばたばたさせながら、抵抗してるけど、ムリムリっ。
「こんなのは、涼宮さんだけで十分なのにー」
「ハルにゃんはオッケーであたしはダメだっていうのかいっ?」
わざといじわるく聞いてみる。スカートを脱がされまいと手で抑えていたみくるは半泣きで、
「そうじゃないけど、そうじゃないけど……」
「そんならあたしにまかせなさいっ」
「ひえええっ」
みくるの悲鳴も、聞く人がいないと意味ないなあっ。
「さて、まずお皿を並べるのかなっ?」
「ううっ、鶴屋さん、ひどい……」
髪を少しほつれさせたメイドみくるがよろよろと机に寄りかかる。すると読書をしていた有希っこが、
「食事は後」
読書を続けながらもあたしの言葉を聞いてたみたい。
「後?」
「そう」
「じゃ最初に何すんのっ?」
ページをめくりながら有希っこはあたしの疑問に一言で、
「芸」
「誰が?」
「あの人」
それで誰のことかわかったけど、味気ないなあ。
「あの人ってどの人?」
あたしの言葉に有希っこはやや間を置いて、
「……涼宮ハルヒとクラスメイトのSOS団員」
ちょいと有希っこがかわいく思えてきた。
「それって誰さ?」
「古泉一樹ではないほうの男子SOS団員」
「って?」
「わたしと図書館に行ってくれた男子生徒」
「わたしの部屋に上がった男子生徒」
「わたしを案じてくれた人」
「わたしが重要視する人」
ぽろぽろ暴露してくれるのに、肝心なことは答えてくれない。あたしはついに聞いてみた。
「つまり、名前はっ?」
有希っこは、じっとあたしを見てた目線をずらし、視線を泳がせる。
「……」
こんな有希っこ初めて見た。そのまましばらく時間が流れたあと、
「……キョン」
恥ずかしいのか、ぽつりとつぶやいた。
もうちょっとからかってやりたかったけど、買い出しに行ってたハルにゃんたちが帰ってきたので見合せ。
この二人だけといっしょだと、いたずらしたくなっちゃうなあ。鶴にゃん反省っ。
「ん、鶴屋さん?」
ハルにゃんをハイタッチで出迎えたあたしを見て、買い物袋を提げたキョンくんが疑問符を上げる。
「やあ、キョンくんっ。今日はあたしも参加させてもらうよっ」
「ああ、そうなんですか」
「芸してくれるんだって? 楽しみにしてるにょろよっ」
芸≠ニいう言葉に有希っこがぴくりと反応したのが、またかわいいっ。
キョンくんはというと、苦いコーヒーを飲んだような顔で、
「ええ……」
あらら、あまり自信がなさそうな返事だね。
同じく買い物に行ってた古泉くんが荷物を置きながら、
「僕も楽しみにしていますよ。あなたの芸などそうそう見る機会がありませんし」
「期待すんな」
ぶっきらぼうに答えるキョンくん。
ハルにゃんはハルにゃんでにやにやしながら、
「なに言ってんの。今日のパーティはあんたのジョークが唯一の出し物なのよ。精々がんばんなさい」
「プレッシャーもかけんな。あと精々とか言うな。これでも昨晩はどうするか散々悩んだんだぞ」
「あはははっ」
やっぱ楽しいね、このメンツはっ。
みくるがめげずにいそいそと準備してくれてたおかげで、パーティの準備は万端っ。
「メリークリスマス! かんぱ〜い!」
ハルにゃんの音頭で、しゅわしゅわ音を立てる液体入りのコップを打ちつけあう。
「んぐ、んぐっ、ぷはーっ、うまい!」
一気飲みしたあたしのグラスにすぐさまみくるがついでくれる。
「みくる、悪いねえ、あたしがこんな体じゃなけりゃもっと楽をさせてやれるのに、ごほっ」
「さっき無理矢理脱がせたくせに……」
ほかの人には聞こえないように、こそっと毒を吐くみくる。
「あははっ、それは言わない約束だよみくるー」
「わははっ、いやー、キョンくんのトナカイ芸は面白かった!」
「鶴屋さんだけですよ、笑ってくれたのは」
情けない顔をしながら言うキョンくんを見てたら、また笑いそうになっちゃった。
キョンくんがやった芸はあらかじめトナカイに扮してする芸と決められてたらしく
トナカイの着ぐるみを着たキョンくんが、右往左往しながら慌てふためく芸だったっさ。
ちなみに一応ストーリーがあったらしく、サンタさんに使われてたトナカイが
ある日サンタさんがいないことに気付いて、サンタさんを捜し求める、というものっ。
「しっかし、あちこち探したのに、すぐそばにいたってのは傑作だったねっ」
「仕方ありません。トナカイと縁のない場所だったんですから」
んー? 妙に感慨深げに言ってるけど、
「あれってもしかして実話?」
「さあ、どうでしょ」
なにげなく言ってたけど、あたしは見逃さなかったね。
キョンくんがSOS団のみんな、特にハルにゃんと有希っこを見たのをさっ。
「ふーん、へーえ、ほーお。ま、そういうことにしとこっか」
キョンくんの肩をばんばん叩いて、この話はこれで切り上げる。
「それより鍋、なべっ、ハルにゃんまだかいっ?」
メインディッシュは鍋とのことで、机の上にはぐつぐつ煮立った鍋がおでましっ。
「そろそろかしら……うん、いいみたいね。どうぞ!」
鍋奉行という腕章をつけたハルにゃんが、肉を串でつっついたりしてから、オーケーサインを出した。
そしたら突然、空気を切り裂くような速度で箸が動き、あっという間にアンコウさんをお椀に移し変え
その次の瞬間にはアンコウさんは口の中へ消えてたっさ。
「……」
もぐもぐと口を動かしているのは、有希っこ。相変わらずの無表情だけど、なんだか使命を
成功裏に果たし終えたあとのような、いい表情をしてるようにも見えるっさ。
ハルにゃんも、ちょっとびっくりしてたけど、あたしにも衝撃的だった。
そう、鍋は戦場だということを、あたしはすっかり忘れてた。
「有希っこ、あたしは負けないっさ!」
箸を右手に、お椀を左手に、あたしの戦いが始まった。
なーんてねっ。
「はぐっ、むぐっ、これめちゃウマっ! ハルにゃんいい料理人になれるよっ」
鍋は楽しくみんなでつつくのが一番なのさっ。
有希っこも、アンコウを最初に食べたかっただけみたいで、そっからはぼちぼち箸を動かしてた。
「キョン、これできてるわよ」
「すまん」
ハルにゃんは楽しそうに鍋奉行を務めてるみたい。キョンくんのお椀に白菜を移して
また鍋を監視してるね。こういう役が向いてるんだろうなあ。
「みくるちゃん、お野菜の追加お願い!」
「はあい、すぐに入れます」
みくるは鍋奉行の補佐。ハルにゃんの指示にてきぱき応えてる。
なんだかそうやってるときがいちばん幸せそうに見えるね、みくるは。
「古泉くん、ちゃんと食べてる?」
「ええ、これほどおいしいものを遠慮する人間ではありません、僕は」
古泉くんもいつもよりリラックスしてる気がする。
いっつも笑ってる古泉くんだけど、笑ってる下の苦労を少し知ってるだけに、ちょっとね。
別荘提供するよって提案したときに見せたほっとした顔は、忘れられない思い出さっ。
「有希、もっと野菜も食べなさい!」
「……そう」
有希っこは、最初に会ったときからいちばん変わったと思う。
ハルにゃんみたいにわかりやすくないけど、それだけにちょっとした変化が新鮮だ!
キョンくんのことだって、鍋のことだって、新しい有希っこの一面を見れてうれしかった。
「こらー、キョン、それはまだできてないの! こっちにしなさい!」
「そうか」
キョンくんは、さっきから有希っこを気遣ってるみたいなんだよね。
どうしたんだろ。ハルにゃんは敏感だから、あまり見てばっかりだと文句言われるぞっ。
「鶴屋さん、楽しんでる?」
「モチのロンだよっ!」
ハルにゃんの鍋をつつきながらの質問に、あたしは笑顔で答えた。
あっという間に鍋も空っぽになって、お開きの時間になっちゃった。
「鶴屋さん、あたしたち有希の家で二次会するんだけど、来ない?」
ハルにゃんが申し出てくれた。
うれしいんだけど、そういうわけにもいかないねっ。
「ごっめーん、あたしさ、どうしても抜けらんない実家のパーティがあるから、パスっ」
実家のパーティはほんとだけど、別に抜けられないってことはなかったんだよね。
でもさ、合宿にもあたし同行させてもらうんだし、団員だけで過ごす時間があってもいいじゃない、ねえ?
「えっ、鶴屋さん、来れないの?」
「うん、ごめんよう、みくる。合宿最初に日にどうだったか報告しておくれっ」
きっと、楽しい報告になるだろうね。
あたしは、それを聞ければ、満足だよっ。
「残念ですね。鶴屋さんとこの楽しいひとときをもっと共有したいと思っていましたので」
「あははっ、それは合宿のときに、ね? 古泉くん」
「そうしましょうか」
古泉くんとは、お互いに笑みを交換する。
「鶴屋さん、別荘に押しかけることになってしまって済みませんね」
「いいんだよ、キョンくん。あたしもみんなと遊べるほうがうれしいっ」
これは本当さっ。
「……合宿で」
「有希っこも、楽しんできなよっ」
自発的に声をかけてくれただけでもありがたいっ。
「それじゃ、鶴屋さん、合宿の日にまた会いましょう。今日はありがと!」
「こっちこそ誘ってくれて大感謝だよっ。ハルにゃん、またねー」
両手を振って応える。ハルにゃんを筆頭に、SOS団のみんなは手を振りつつ、坂を下っていった。
みんなが見えなくなって、急に寂寥感が沸いてくる。
いまから走っていって、やっぱり参加させてって言ったら、喜んで迎えられると思う。
でも、それだと団員と変わらないよね。団員になったときの楽しさもあるんだろうけど
こうやってちょっぴり離れたところから、みんながわいわいやってるのを眺める楽しさもあるしょっ。
あたしはたまに参加させてもらうのがいいなっ。
最初に会った頃のキョンくんならどうかな、あたしの意見に賛同してくれたかも。
いまのキョンくんは、してくれるとは思わないけどねっ。
「さーて、帰りますかっ」
みんなっ、SOS団のこと、少しでもわかってくれたかな?
こんなに楽しい人たちと知り合えて、あたしは幸せものだっ!
(おわり)
GJ!!
GJ!!
鶴屋さんはこう見てるのね…
ぐっじょぶ
鶴屋さんかわいいよ鶴屋さん
こんなに楽しい人鶴屋さんを読めて、あたしは幸せものだっ!
なんだか癒された。GJ!!
GJ!すばらしいすばらしすぎる
ここ数日も良作目白押しだったが、個人的にはその中で最高級でした。
長門とのやり取りとか、みくるが鶴屋さん相手だと、少しくだけた感じなところとか
本当に感じが出てた。GJ!
GJ!
最近忙しくて前スレ全然読んでねー
38 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 02:56:44 ID:n54z8MIw
>>21-29 GJ、秀作でありますっ。
>「……キョン」
>恥ずかしいのか、ぽつりとつぶやいた。
これでご飯3杯はいけるなっ!
GJ!!!
凄い!です。鶴屋さんってこんなにカワイイ人だったんだよね。
見直した! オレも鶴屋さんで何か書きたくなってきたよ!
さらに鶴屋さんが好きになった!
超GJ!
>>29 リズムの良い文章でアップテンポな鶴屋さんがGJです
42 :
nac:2006/06/02(金) 11:03:25 ID:43IYGi5u
へたれ物書きと名乗るのも憚られますが
なんというか勢いで書いたSSを載せます
お目汚しかもしれませんが、ご容赦のほどを
一応キョン×ハルヒです
43 :
nac:2006/06/02(金) 11:04:28 ID:43IYGi5u
〜if story〜 キョンの告白
#6『すべてが終わったときに〜』……
俺は、きっと最後の指令であろう朝比奈さん(大)の手紙をポケットに入れ自転車走らせていた
あの日、八日後の未来から来た朝比奈さん(小)と駆け回った日々を思い出しながら俺は考えていた
合計で三回も行かされた鶴屋さん所有の山と石の事
空き缶で作った悪戯で怪我をした男性の事、花壇に落ちていた(いや正確には拾われていたが)記憶媒体の事
池に落としてすぐ拾い上げた亀と少年の事……うぅぅむぅぅ……
さっぱり解らん。やはりこんな一高校生風情では及びもつかない事情があるんだろう……きっと
……まあ、いいさ。これからそれをはっきりさせに行くんだからな
これから話を聞いて、後は明日の四時十五分に朝比奈さんを過去に送れば、すべて終わる
と、まるで将棋で「必至」を取った気持ちでいた、失敗しなければ次の「王手」で「詰み」のはずである
しかしこの時俺は手紙の違和感にまだ気付いていなかった
あれだけ「時間」と「場所」の指定だけは、きちんとしていた(内容はこの際置いておく)
最後の手紙に「場所」だけしか書かれていなかったことに……
こうして、最後のチェックポイントである長門のマンション近く、公園ベンチに着いた俺は辺りを見回した
当然公園は無人で、ベンチにも先客はいない、どうしたものかと思ったが構わずベンチに座り
「そこにいるんでしょう……朝」
と虚空に声を掛けたその瞬間、後ろからガサガサと音を立て…………
……涼宮ハルヒが現れた……
44 :
nac:2006/06/02(金) 11:05:42 ID:43IYGi5u
……ちょっと待て、なぜここにハルヒが居る?ハルヒの家は別方向だし、時間が時間だ
こんな夜に無人の場所に潜伏して何かやらかす……奴だったなこいつは。
いやしかし待て、よしんばハルヒがここで何かしようとしていたとしてだ
ハルヒとの接点が全くないこの場所で、俺と偶然にも遭遇する確率はいかほどのものか……
俺の無言の間をどう解釈したのかわ知らないが、ハルヒは非常にバツの悪い顔をしている
まるで小学生が出来の悪かったテストを必死に隠している正にその時に母親に出くわしたときの顔だ
しかし忌々しくもこいつは成績優秀なんだからこんな比喩使っても理解できないかも知れんな
とか思いつつ、俺は至極当然な質問をハルヒにぶつけた
「なぜここに居る?」
すると、ふんっと横を向いてからハルヒは答えた
「いちゃ悪い?今有希のマンションからの帰りよ」
ハルヒの説明によるとこうだ
俺たちのチョコを作った折に後片付けまで手が回らなく、長門のキッチンはそのままにして来たらしい
そしてチョコを渡し終わってから、長門の部屋に再集合、キッチンの整理を行ったというわけだ
しかし流石に連日の疲れに慣れない作業が堪えたのだろう、有希に少しだけ休んでも良いかと尋ねると
「こっち」とだけ言い、以前俺と朝比奈さんが三年間時を過ごした(といっても体感は一晩だが)あの部屋に
布団を一組しき、ハルヒと朝比奈さんは仮眠をとったそうだ
そしてさっき目を覚ますと、横にはすやすやと寝息を立てる朝比奈さん、その寝顔はあまりにも気持ちよさそうで
起こすのが憚られた、それで有希に後のことをお願いして部屋を出た、とはハルヒ談
解る、解るぞその気持ち。あの方の寝顔はそれはもう天使のようなオーラを纏っているからな
そこで、すこし口を挟んだ
「お前も長門の部屋に泊まれば良かったんじゃないのか?」
「最初はそれも良いかなと思ったけど、有希は一人暮らしじゃない。もちろん布団も一組だけ」
あぁなるほど、確かにあの布団なら二人は余裕だが三人入るには少し手狭だ、しかもすやすやと眠る朝比奈さん付き
「そういうこと、有希も「別にいい」って言ってくれたけど体力も回復したし、あの子も表には出さないだけで
きっと眠かったに違いないわ!」
あの長門が眠たそうな表情を出すとは思えないが、ハルヒがそう思ったのだからそういうことにしておこう
なるほど、諸所の事情は大体掴めた、確かに納得できる内容だったしな
45 :
nac:2006/06/02(金) 11:06:25 ID:43IYGi5u
「だが、部屋を出たお前が、なぜベンチの裏に潜む必要がある?」
と俺が聞くとハルヒはまた先ほどのバツの悪い顔を見せ、しばらく俯いた後小声で
「……だって……あんたが……こっちに向かう姿が…………見えたから……」
「するとお前は、俺に姿を見せないようにしないとまずい事でもあったのか?」
「だって、こっちには有希の部屋くらいしか、あんたの行きそうな場所がないじゃない!てっきり有希の部屋に向かうんだって」
「だから最初は公園であんたをやり過ごして、後ろから尾行して、有希にちょっかい出そうとした瞬間に飛び出そうと……」
しかし、実際はそうではなかったと
「そうよ、・・あんたはまるでここが目的地みたいに減速し出したから、びっくりして思わずベンチの後ろに隠れたわ」
しかし俺はあたかも、お前の場所を知っているぞと言わんばかりの行動を取った、ように見えたんだろうなこいつには
「だから、始めからあんたも私を見つけてたんだと思って出てきたわけ。違った?」
ここで、「いや実は朝比奈さん(大)と待ち合わせていた」なんて口を滑らせることはしない
というか、長門ならまだしも、ハルヒがこの場に居ると、例え朝比奈さん(大)が近くに居たとしても出てこないだろう
すると『すべてが終わったときに〜』とは何時になるんだ?……と考えていたが……
ハルヒが若干瞳を震わせてこっちを見詰めている「どうなの?」と言いたげな瞳だ。
……やばい、まじで可愛い、普段の笑顔も十分魅力的だが、こんなふと見せる顔もやばいくらい魅力的だ
「いや、お前を見つけたから公園に入った」そう答えると
「……じゃあ、もし私を見なかったら、有希の部屋に向かってたの?」
ハルヒは困惑とも疑問ともつかない口調で聞いてきた
俺の意図とは全く違うのだが、何とか誤魔化さなくてはならない、しかもハルヒも納得するような形で
先ほどまで、別のことで頭をフル回転させていた事が、功を奏した、俺は瞬時にこの場を切り抜ける案を思いついた
「実は、さっき長門から電話を貰った」
「ふぅん……やっぱり……」
ハルヒの目が俯く、明らかに暗くなっていくのが解ったが、ここは話を続けることを選択した
「続きを聞け、その内容だが、お前もてっきり泊まるものだと思っていたが、予想を覆し、部屋を出て行った」
「だって布団が……」
「聞け、あいつの部屋のど真ん中に鎮座しているのは何だ?」
「…………コタツ……」
「そう、あいつは自分はコタツで眠るつもりだったと言っていた、すぐ追いかけて説明しようとしたが、お前は長門に頼んだ」
「……みくるちゃんをよろしくって……」
こちらの言葉を読み取ったのか先に言われたが、まあいい
「それで自分は動くことが出来ないがお前のことも心配だから、見つけてくれ、きっとまだ近くに居るって内容だ」
「それで公園に差し掛かったところで、見つけたわけね」
流石に頭の切れがいい、と感心しつつ、俺は携帯を取り出し電話を掛け始める
「どこに掛けてるの?」
「決まってるだろ、長門の部屋だ、俺は お ま え を探してたんだぞ、きっと長門も心配してまだ起きているはずだ」
「そ、そうよね……後で良いから私にも替わってね、自分の口で謝りたい」
「それがいい」
と答えつつ、俺は内心焦っていた、全く事情を知らない長門にハルヒの目の前でぼろが出ないかと。
と二回ほどコール音が聞こえた後、それが杞憂に過ぎないことを理解する
46 :
nac:2006/06/02(金) 11:07:14 ID:43IYGi5u
「大丈夫、理解してる」
長門から発せられた第一声がこれだ、つくづくあいつに不可能なことはないんじゃないかと思えてくる
しかし、ハルヒの居る手前、さも状況説明しておかないと、後が困ると判断した俺は
「ああ、長門か……うん、大丈夫だ……気にするな……解ってる……あぁあとハルヒに替わる」
受話器の向こうの長門は俺の一人芝居に一切突っ込まなかった、いや突っ込まれても困るのは俺だが、しかし替わる直前
「頑張って」と一言
今更何を頑張れと言うのだろう?この宇宙人端末は、表情も見えれば、推測も出来たがいかんせん電話だ
「うん、有希ごめんね……、でもごめん心配掛けて・・・………」
ハルヒが謝っている横で考えたが、流石に俺の脳みそも連続使用に限界が来たらしい、深く考えないことにした
「はい、終わったわ」
と電話をつき返してくるハルヒ、ほんの少しだが明るさも戻ってきてるように見える
「よし、それじゃあ帰るぞ」
「ふぇ?」
「お前なぁ、ここに来て、じゃあねって別れたら、俺が来た意味無いだろ」
俺は続ける、後で思い返すと、ここからの俺はいつもの俺じゃなかった
「こんな夜遅くにお前みたいな可愛い奴見たら俺でも襲うぞ、全く……あっ」
しまった、と赤面しつつハルヒを見ると、ぽかんと口を開けて、放心しているようだ、
もしもーしハルヒさん?
47 :
nac:2006/06/02(金) 11:08:01 ID:43IYGi5u
どのくらい待っただろう、やっとハルヒが口を動かすと
「今……キョン……私のこと可愛いって……」
そっちかよ……しかしお前にはたまに「面がいいから〜」とか言っていただろうに
まあ、もちろん本人の目の前で「可愛い」とは言ったことが無いが、、、
半分照れ隠しだが、2月の夜だ、やはり寒い、早く動き出そうと俺はハルヒをせかした
「行くぞ」
「う、うん」
それからしばらくハルヒと二人で夜道を歩いていると、先ほどまで黙っていたハルヒが口を開いた
「ねぇ、キョン……聞いていい?」
「何をだ?」
質問はあらかた解っていたが、確認するように聞く
「お願い……真面目に答えてね」
そう言われて、俺は押していた自転車を止め、スタンドを立ててハルヒに体を向け、その瞳を見た
これ以上ないくらい真剣な瞳に、嘘や誤魔化しが通用しないことを直感した
「…………有希の事…………好き?……」
さて、そろそろ自分にも嘘をつくのはやめようか。いい加減気付いているんだろ、、、俺
そうお前だ、お前の中でのSOS団の三人の位置づけは全て異なっているはずだ
俺は……決心して答えた
48 :
nac:2006/06/02(金) 11:08:50 ID:43IYGi5u
「好きという感情よりも、信頼のほうが大きい、あいつには色々と世話になったし、
もしあいつに協力してくれと頼まれたら、俺は自分なりの全力で協力したい」
相棒、という表現が適切なのか?しかし現実ってのは厳しい、いつも頼りっぱなしだ、とは流石に言えなかった
「そう……じゃあみくるちゃんは?……好き?」
「彼女には、好きという感情よりもむしろ憧れのイメージが強い、テレビのアイドルを生で見てる感じだ
恋愛感情よりも羨望意識が上だ。それに守ってやりたい存在でもある」
この気持ちも本当だ、先日の誘拐事件で再確認出来た気持ち……
「じゃあ…………ぁ……あたしは?……どう?…………好
とまで言いかけて、ハルヒの口が止まった、、、いや正確には「止めた」
なぜなら俺がハルヒを抱きしめたから
「ちょ……ちょっと……キョン……」
俯き加減だったハルヒは困惑している。無理もない、こんな事したの、閉鎖空間の時以来だからな
「お前は、いつも俺やみんなを振り回して、好き勝手やってくれる、たまに迷惑を掛ける」
本音は「いつも」と言いたかったがやめた
「でもな、俺はもう、お前無しの生活なんて嫌だ。もちろんSOS団の無い生活も嫌だ」
これも、実際体験して身に染みた事である、みんなが消失した冬のあの事件のおかげではっきり理解させられた
「これからもずっと傍にいて欲しい」
偽り無い、俺の、本音……………………心の奥にいつも在りながら表に出さなかった気持ち
「……」一度軽く深呼吸してから言った
「ハルヒ……好きだ……」
黙って聞いていたハルヒだが、困惑した顔が崩れていき、「ぅっ……ぅっ」と泣き出した
「で……でも……」
でももへちまもあるもんか、好きなんだ
「私いつも好き勝手してるし……」
知ってる、でも好きだ
「いつもみんなに迷惑掛けるし……」
それも知ってる、でも好きなんだ
「いつも嫌いなことや雑用はキョンにやらせてるし……」
俺だってホントに嫌なら断ってるぞ、俺が実は頑固なの知ってるだろ?
それに他でもないハルヒの頼みだ、俺にとっては嬉しい限りだよ
「ぅぅぅぅっっ……」
まだ渋るか、ならばと俺はハルヒの口を自分の口で塞いだ、、、、、要はキスだ
49 :
nac:2006/06/02(金) 11:09:39 ID:43IYGi5u
しばらくこうして居たかったが、やはり確認したかったので、5秒ほどで(あくまで俺の体感でだが)唇を離した
閉鎖空間ならここで瞬間移動するはずだが、もちろんここは現実世界、そんなことはなく俺もハルヒも居た
「俺の気持ちは以上だ。お前の気持ちを聞かせて欲しい」
俺は今までの事件を思い出しながら夜空を見上げた、ハルヒは意を決したのか深く深呼吸している
……………………
告白して返事を貰う間がこんなに緊張するとは、頼む俺の心臓にこれ以上負担を掛けないでくれ
と俺の懇願が届いた、かどうかはよくわからないが
「私も……キョンが……好き、キョンの傍にいたいっ」
言い終わるや否や、ハルヒは唇を重ねてきた、深い深いディープキス……
「……っぷはっ……好きよ、キョン……大好き!」
と言って、間髪居れずまたもキス……俺は脳幹の先までとろけそうになった
こうして長い長い一日が終わりを告げて2月15日に入った
俺とハルヒは晴れて両思いになり・・手を繋いで歩いていた(俺は自転車のハンドルも握っていて少し窮屈だったが)
……まあいいさ、こいつのこんな嬉しそうな笑顔を真横で見れるんだから、このくらい
「ハルヒ」
「なに?キョン」
「SOS団を頼んだぞ」
「それ前にも言った」
「そうだったか?」
「そうよ!あたしの記憶力が言ってるんだから間違いない!、それに大好きなキョンの言った事だもん」
……にくい奴め、照れるぞ本気で、
「でも改めて言っておく」
と答えて、さてこれからどう切り返してやろうか考えていると
ハルヒは繋いでいた手を惜しそうにしながらも離し、4、5歩先に進みくるっとこちらを振り向いて
「あったりまえじゃない!!」
ハルヒの120カラットダイヤにも勝る笑顔でそう答えた
そうだ、それでこそSOS団団長だ
俺は後ろから光を浴びて直立するハルヒを眺める
50 :
nac:2006/06/02(金) 11:10:19 ID:43IYGi5u
……
……
…………光?……
今は深夜遅くだ、こんな時間でも「水平に光を発する物体」を頭が思い描く前に、体が動いた
「ハルヒっっ!!」
間に合え、間に合え間に合えまにあえmなえ!!!!!!!!
ハルヒの腕を掴み体を半回転させるようにハルヒの前に立つ、第三者的に見れば社交ダンスのようだろう
右腕をハルヒの両腕ごと自分の腰に巻きつけ、抱き枕のように扱い、左腕でハルヒの後頭部を自分の胸に押し付ける
あとは……横に跳べば……両足に力を籠め……
次の瞬間、俺たちはその光を発する「何かに」吹き飛ばされた。
「ごふっ!!!」
なんとも情けない声だが仕方ない、肺から半ば強引に放出された空気で、そううごめいた
どうやら左側の壁に飛ばされたらしい、受身?無理だぜ、なんせ両手で大切なものを守ってて自分の身まで守れるか
痛覚は……とっくに麻痺しているのだろう、頭痛のみだ
っとお姫様は…………どうやら無事のようだ
「っっぃたた、何?何が……キョン!あんた大丈夫!?」
っといつもの調子で話してくれたのがとても嬉しかった
俺の体はどうなってもいい、ハルヒを、ハルヒだけは守れたんだ、朦朧としていながらも俺は嬉しかった
「はは、…………無事か……ハルヒ……」
「人の心配よりも、自分のこと気にしなさい!!」
「そりゃ、…………………すまなかったな………………悪い……」
「バカ、、ってキョン聞いてるの……………………ョン………………………」
そこで俺の意識は途切れた……
第一部 キョンの告白 完
51 :
nac:2006/06/02(金) 11:11:07 ID:43IYGi5u
というわけで第一部が終わりました、
拙い幼稚な文章ですが楽しんでいただけたでしょうか?
これから涼宮ハルヒ視点での間の話に移ろうか、
そこらへんすっ飛ばしてキョン視点で続きを書くか考えてます
書き上がりましたらまたアップしますので、それでは
GJ!
どうやらまたキョン入院みたいだな
憎いヤツ
GJ!
楽しみにしてるよ!
やっぱり純愛はええのお(*´∀`)
GJ!!
互いにツンデレだからこういうのは燃える。
列車の脱線に巻き込まれたり、車に轢かれたり、キョンも大変だな。
次は船から投げ出されるな
飛行機が重力圏離脱だな
沈没船の船内に取り残されるな
サントアンヌ号思い出した
原作でも触手プレイされそうになったり、グリグリされたり、階段から落ちてるからな。
ビームで死にそうになったこともあるか。
痴情のもつれで刺されるのは原作で真っ先にやったし…
あとは腹上死だな
繰り返す夏休みで繰返し理由TOPはこれだったに違いないと
行間を読んだ。
純愛を書いてた筈が修羅場経由監禁ENDに
どうしてこんな事に・・・・
とりあえずここに投下するんだ、さあ早く!
>>62 >痴情のもつれで刺されるのは原作で真っ先にやったし…
…はい?
サムデイインザレイン 略して…
| / > > _/
|  ̄|.ィ ゝ〉 _┌┘ ┌─、_
└‐┐ \__,ハ Y ゝr―-、,. -┬- 、_r┘┌──┘
l__ ヽ / └〜〜〜-┘ _\ ̄ ̄
|/ ̄ゝ `-'\ / Vへへへ./|へへr┘ `、__|\/\/\/|/|__
`\厂\, // / | > 二二`` ┼┼`` <
|儿|l_|_|!_|_| |_l_|_|!_j> ノ ノ <
 ̄L.へ、 r-、 (~ヽ r‐ヽ 二Uニ` ´ニU二 /、> イ / <
,.ヘ..二=-_\ \ヽ \ | ̄|._ , - 、 /__.> ヽ /__ヽ <
_,/ ̄ `‐- ..`_ ´ | | ノ、 ‘、__ノ /、 > __ノ <
'-‐〃-、_____,| Lニ= ┐ ̄ ̄//>、> /// <
/l ,/`-‐'〈 「`ー|___ __.. | 「 / rー;  ̄| ・・・ <
_/ l/ _/ `ー:―‐''"| | | | |/ |/ /\  ̄|/V\/V\厂
__/ `丶、 | | || /.. -''" > Z、
/ V |/ /'" \ \
67 :
8-479:2006/06/02(金) 17:05:19 ID:kDlvinbk
予告していた長門物がある程度できた。
だが前回やつとは雰囲気が違うので、『涼宮ハルヒの驚愕』のようなのを
期待している人がいたらスマン。どちらかと言うとシリアスで修羅場。
他に投下している人がいないなら、前半部分だけ投下させてもらう。
ばっちこーい!!
69 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:06:59 ID:kDlvinbk
――私は観察者
最低限の干渉で十分だったのに――
――私の思考にエラーが生じるようになった
それでも近づきたかった――
――私が彼の存在を重要視していることが原因だ
あの人の傍にいたい――
――私はエラーの蓄積により暴走した
気持ちが抑えられなかった――
――それにも関わらず彼は私の存命を許した
あの時の手の温もりは、ずっと忘れない――
――何があっても彼を守ると決めた
何があっても彼のために尽くすと決めた――
――――それなのに――――
70 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:08:52 ID:kDlvinbk
「キョン!あたしは先に部室にいってるから、あんたもさっさと来なさいよ!」
そんなことを言って突っ走っていくハルヒ。あいつ今日掃除当番じゃなかったか?
俺は退屈な授業を終え、部室へと足を進めていた。まったくもう少し面白くやってほしい。
だいだい学んだところで、使わない知識の方が多いんだから時間の無駄ではないだろうか。
我々はもっと有意義に時間を使うべきであろう。
そんなことを考えているうちに、部室の前に到着したようだ。
俺はいつも通りノックをする。あの可愛らしい朝比奈さんヴォイスを待つ。
「入って」
しかし帰ってきたのは、長門の声だった。…いや、お前に不満は、もちろんないが。
とりあえず俺はその言葉に従う。
ガチャッ
部屋の中を見ると、そこには長門が本を読んでいた。これもいつも通りだな。
「お前だけなのか?」
「………」
無言で頷く長門。しかしそんなはずはない。ハルヒが先に言っていたはずだ。
「ハルヒはまだ来てないのか?」
「………………」
んっ?長門はさっき以上にだんまりになる。頷きもしない。
どうかしたのだろうか。俺は再度長門に問いかける。
「なぁ、長門。ハル「なぜ?」――――えっ?」
俺は一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
――長門が…俺の発言に…割り込んできた?
すべての言葉を聞いてから発言する長門にしては、ありえないことだ。
何について問われたのかもわからない。ただその時の長門は、とても印象深く。
一見すると無表情にも見えるその顔は、まちがいなく――。
「なぜ、…涼宮ハルヒ?」
――とても…不機嫌そうだった。
俺はそんな状況に混乱するばかりだった。
だってそうだろう。長門がそんな感情を表に出していて、
しかもその理由がわからないのだ。俺じゃなくても混乱するね。
「い、いや…あいつが先に言っているって言っていたからなんだが…」
「…そう」
一応理解はしたようだが、まだ納得していないようだ。その姿は拗ねているように見える。
なぜハルヒのことで、お前がそこまで不機嫌になるんだ?ハルヒがお前に何かしたのか。
71 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:09:50 ID:kDlvinbk
「なぁ、長門。ハルヒと喧嘩でもしたのか?」
「何もない」
「そんなはずないだろう。お前が何もないのにそんな態度をとるはずがない」
「………」
黙っている長門。何かを言うのを躊躇しているようだ。
「…あなたに言わなければならないことがある」
おう、なんだ。お前の話ならいくらでも聞いてやる。
「私の中でエラーが生じている。それにより意思が不安定になっている」
「エラーって…この前と同じやつか!?」
「正確に言うと少し違う。でも大部分は同様のものと予想される」
なんてことだ。長門がそんな状態だったなんて。
今まで長門の苦悩を知らなかった自分が憎たらしい。
「…それはハルヒが原因なのか?」
「涼宮ハルヒは一要素ではあるが、大きなものではない」
「じぁ、その大きなものって何かわかるか?」
「不明」
「そう…か」
俺はつい溜息をついてしまった。まったく理由もわからないのでどうしようもない。
ハルヒが原因ではない?ならばあの長門の態度はいったいなんだったのだろうか。
「私はもうここにいるべきではない」
――なんだって?
「このままでは私は、以前のような行動をとる恐れがある。だからその前に対処すべき」
――何を…言っているんだ?
「あなたが認めるならば、私は自分を消去す――」
「そんなことさせるか!!」
――ふざけんな。長門の消去を認めろだと。
たとえ長門が俺に危害を加えようともな、俺は絶対にそんなことは認めないんだよ。
「いいか!?俺は何があっても認めないからな!絶対に消えるなよ!?」
言えば言うほど、俺の心はヒートアップしていく。
思わずこの前のように、長門の手を掴んでしまったがかまわない。
「――――」 コクン
長門は目を丸くしながら、小さく頷いた。
俺は安心して手を離そうとして――。
72 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:11:17 ID:kDlvinbk
「有希に何してんのよぉぉー!!」
――ハルヒに蹴り飛ばされた。俺はもう死んでいる。
ドガシャァ!
「大丈夫!?キョンに変なことされなかった!?」
「…………」
吹っ飛んでいく俺を尻目に、長門に尋ねるハルヒ。なんの心配をしてるんだ、お前は。
長門はそれに答えない。あっ、俺にしかわからないだろうが、不機嫌そうな顔だ。
「かわいそうに。話せないようなことをされたのね!あたしがきっちりと罰を与えるからね!」
それをどう誤解したのかハルヒは一人で話を進めていく。…って、ちょっと待て!
「俺は何もしていないぞ、ハルヒ!」
「嘘ついてんじゃないわよ!有希がおとなしい性格だから、
やらしいことをしてたんでしょ!最低ね!死刑よ、死刑!」
ハルヒは俺の言い分を全否定する。すこしは話を聞け!
「…ところでお前。先にいったのに、なぜ俺より後に来るんだ?」
「知らないやつに告白されてたのよ!話を逸らさない!」
さすがにダメか。しかしこいつに告白だと?そいつは何を考えているんだ?
その後俺とハルヒは、朝比奈さん達が来るまでくだらない言い争いをしていた。
――長門をほったらかしにして…。
部活終了後、俺は長門を呼び止めた。頼みたいことがあるからだ。
「何?」
「あー…実はな、次の土曜日のパトロールで、俺とお前が組むようにしてくれないか?」
「……」
長門は答えない。俺は答えてくれるまで待つ。
「…今度は誰と会うの?」
「…?誰と会うって……。あっ!」
どうやら長門は以前の朝比奈さんのことを言っているようだ。どうやら根に持っているらしい。
「違う。今回はそんなのじゃない」
「じぁ、なぜ?」
ちゃんと説明しなければいけないようだ。恥ずかしいがここは我慢だ。
「俺が、お前とデートをしようと思ったからだ」
73 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:11:56 ID:kDlvinbk
「――――――えっ?」
長門はよほど俺の発言が意外らしく、完全に動かなくなっている。俺自身そう思うね。
「お前が今大変な状態だろ?だからお前のために何かできないかと考えてな。」
そう、俺が長門のためにできることを考えていた。
俺が直接できることは、何もないだろう。
だがエラーは、おそらく長門の感情から引き起こされものだろう。
それなら俺でも長門の気を紛らわせて、少しでも弱めることができると思ったのだ。
「………」
長門はいまだ、動き方を忘れたかのように止まっている。
「まぁ、俺なんかとデートは嫌だよな。嫌だったら俺と組まないようにしてくれ。じぁ、またな」
俺はそう言ってさっさと帰った答えを聞くのが怖かったんだよ、畜生。
次の土曜日が楽しみだ。
余談だが、長門有希はそれから一時間は動かなくなった。
ついにその日がやってきた。そう、長門とのデート(予定)の日だ。
同じ組み合わせになったことは何度もあるが、意識が少し違うだけで感じ方がずいぶん違うようだ。
俺はこの日まで、遠足が楽しみで夜寝られない小学生のようになっていた。
落ち着け、俺!これは長門のためなんだぞ!おれがこんなになってどうするんだ!
こんな状態だったので、集合時間に遅刻してしまい奢らされたのは、言うまでもない。
「じぁ、皆。いつもみたいにクジ引いて。」
キター!
俺の心臓はさっきから喧しいほど鳴り響いている。
…実を言うと俺は、さっきから長門の顔が怖くて見れない。小心者だな、俺も。
全員クジが引き終わる。
長門はどっちを選んだのだろうか。
結果は――。
74 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:12:35 ID:kDlvinbk
「ふむ…あたしに、みくるちゃんと古泉くん。それとキョンと有希ね」
――どうやら長門と同じ組になったようだ。
…えっと、と言うことはOK…なんだよな?まさか間違いじゃないだろうな。
俺は長門を見る。長門は目を合わせようとしない。これはもしや、照れ隠しだろうか。
「これから探索してもらうけど…、いいこと、キョン!
有希があまりにも可愛いからって襲っちゃダメだからね!」
俺が幸せな気持ちに浸っていると、ハルヒがそんなことを言い出した。またそれか。
俺はこいつを無視することにした。だがこいつは、俺の態度に不満があるらしく、
「無視するんじゃないわよ!!」
と、ご丁寧にも耳元で叫んでくれた。耳が痛い。
そんなこんながあり、今いるのは俺と長門の二人だけになった。
俺はまず第一に、長門に言わなければならないことがある。
「ありかとな、長門」
俺の申し出を受けてくれて。俺は長門にお礼を言う。
「これはあなたが私のためにしてくれたこと。感謝するのは私の方」
「そうか?そう言ってくれるなら誘った甲斐があるな」
「そう」
そう言って話を切る長門。気のせいかその顔はどことなく嬉しそうで――。
…って、こんなところで立ち話している必要もない。時間ももったいない。
「いくぞ、長門」
「………」 コクン
――俺と長門は、いつのまにか手を繋いでいた。
75 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:13:08 ID:kDlvinbk
その後俺と長門の、いつもの行動とは少し外れたデートが始まった。
どのように外れているかと言うと、なんと長門が図書館には行きたくないと言うのだ。
もちろん俺としては、行かない方が長門とたくさん話せるので、断然そちらの方が嬉しいが。
なぜかと聞いても、長門は答えなかった。少し拗ねていたが。
その後はまぁ想像できるだろうが、ショッピングを楽しんだ。
物欲のない長門にとっては、つまらないかもしれないと心配していたが、
どうやら杞憂だったようだ。長門は…楽しそうだった。見間違いなどでは決してない。
ショッピングの際、長門に似合っていたアクセサリーを買ってやった。もちろん、俺の奢りで。
長門は、俺の『私服姿が見たい』と言うわがままな要望にも応えてくれた。
試着室から出てきた長門は――とても可愛かった。思わずその服も買ってしまった。俺の奢りで。
それで店を出た時…その、事故で長門の胸を触ってしまったが、ここは割愛させてもらう。
その他もいろいろあったが、半日はとても短かった。
「さて、もうそろそろ戻らないとな」
「………」
俺と長門は集合場所へと足を進める。
買った荷物は全部長門の家に置いてきた。他のやつらにばれたら面倒だからな。
なので話し合った結果、この後クジには細工をしないように決めた。さすがに怪しすぎるからな。
――それを決めた時、長門が寂しそうだったのは、期待からできた幻覚だったのだろうか?
「長門。少しは気が晴れたか?」
「蓄積されていたエラーはかなりの量が消去された。しばらくは問題ないと推測される」
「そうか。俺はお前の力になれたんだな」
「………」 コクン
それならよかった。俺も楽しめたし、一石二鳥だな。
「――――私は」
「……えっ?」
――それは唐突で、まるで……。
「私はこの数時間…あなたといて…本当にたの――」
76 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:13:47 ID:kDlvinbk
『ピリリリリリリ』
「うおぉ!!」
場の空気を読まず、いきなり鳴り出したのは俺の携帯だ。
なんてことだ。誰だ、こんなタイミングで電話してきたやつは!?
「スマン、長門!少しだけ待っててくれ!」
「………………」
長門の返答は聞けなかったが、そんな場合ではない。
相手は――ハルヒ!?
ピッ
「なんなんだ、ハルヒ!?」
『なんなんだ、じゃないわよ!今何時だと思ってんのよ!さっさと来なさい!』
電話からハルヒの叫び声が聞こえる。ちょっとまて。集合時間まで十分はあるぞ。
『うるさいわね!集合時間の十五分前には集まるべきなの!』
むちゃくちゃだ。だいたい今までそんなこと言わなかっただろうが。
『それよりね本当に手出してないでしょうね!?あんたには前科があるんだから!』
「ぐぁっ!」
前科というのは完全に誤解だが、今回は事故とは言え長門の胸を触ったので強く言い返せない。
『もういいわ!とにかく急いで来なさい!団長命令!』 ブチッ! ツー ツー
まずい、団長は怒っているようだ。なぜこんなに。
「長門!急いで集合場所に行くぞ!」
俺は長門の方を振り向かずにそう伝え、一人で走っていった。
――そう、だから彼は気づかなかった。
――長門有希が、彼の携帯を見ていたことに。
――その視線に激しい憎しみが込められていたことに。
77 :
長門有希の嫉妬:2006/06/02(金) 17:17:21 ID:kDlvinbk
とりあえずここまで。
これより先はさらにグダグダかもしれないので、
見たくない人はスルーしてくれ。
後半はできるだけ早く投下するようにする。だが一番早くて明日になる。スマン。
78 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 17:19:23 ID:V7VWhg/7
ドキドキして読んでる俺がいる。
こういうss好きだ、期待してるぜー
GJ!
ここからがさらに面白そう。つーかここでの寸止めは勘弁してくれ
80 :
かなり:2006/06/02(金) 17:38:47 ID:XQ9tzJwC
GJ!
GJ!!
あーもういいとこで区切るなぁ
ちきしょー!!
GJ!
続きをマターリと待ってます
修羅場wktk
85 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 17:52:29 ID:l6ZrAvDN
ハルヒが空気嫁るわけねぇだろw
GJ!早く続きを!
やはり激しい展開が待っているような。
>>85 カナリおもしれーよw
空気嫁ないからハルヒだもんw
空気読んであえて電話したんだろ
________. | ・・・「からけ」?
||| | \____ __
||| | )\ ∨
||| 空 気. <⌒ヽ ヽ
||| \ ( ´ー`) ∧∧
|||_________V( 丿V^ ●Д゚,,)←ハルヒ
|,,| |,,| ヽ ( と ,)
ノ ) | |〜
∧ .し`J,,.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄\
空気読めてネーヨ
待てww
古泉が居るぞ
ごもっともな意見www
それでも空気嫁www
厨臭い流れ
空気が読めてなくても天然だからなんとなく許せるのがハルヒ。
黒長門ktkr
職人さんたち続きを期待してます
鶴屋さんのは本当に良かった!鶴屋さんがもっと登場してくれるのを願う
多分無自覚なんだろうが話題とこの場の空気がシュールな笑いを醸し出してるな。
まあGJ
古泉が経費で落ちる落ちないで機関の経理と揉める妄想が浮かんだ。
「ジェットスキーのガソリン代が実費とは、少し理不尽ではありませんか?」
「だから言ってるでしょ、最初の予算項目にジェットスキーは無かったんだから。あんたがどうしてもって言うから、こっちは何とかモノだけ用意したんだよ?」
「しかし、こちらも正当な理由と必要性を感じて要求をしているんですよ。それはきちんと説明したはずですけど」
「うん、だから『ジェットスキーの予算は出しますよ』とは言いましたよ。でも、『燃料費も出します』とは言ってないなぁ」
「困りましたね……」
>>100 「わかりました。僕が払いましょう……体でね」
高校生でそんな場末の営業マンみたいな古泉かわいそう。
でもそういう話も読みたい。
前スレ>883の鶴屋さんは良かったなぁ。
きっと鶴屋さんは植物由来の人外存在だかなんだかで、髪で光合成してるんだね。
アニメだと緑色っぽいし。髪切ったりするのは死ぬほど酷い仕打ち。
鶴屋ルート突入するとヘタレキョンに裏切られてBAD END確定だなぁ。
朝倉は青い髪をいくら調べても茶色の色素しか検出されなかったりするのか
続きが気になると同時に長門に(((;゚Д゚)ガクブル
そういえば長門って恐ろしいよな、ハルヒと違って世界を改変できる能力に気がついて居るんだから
>>100 払いの都度、領収書もらおうとする面々とかもいいね
古泉
「あ、すみません領収書お願いできますか?
ええ、名前は前株の『機関』でお願いします」
朝比奈さん
「あ、あのあのっ…私も領収書お願いしますぅ
え、ええっ!?名前ですかっ!?ふぇぇ…禁則事項なんですぅ…」
店員
「は?ああ、はい。カタカナでよろしいですか?キンソクジコウ様…っと」
SSの中でそういうシーン織り交ぜると深み出ていいかな?
>>102 「何度も言ってるでしょ、ボードゲームは経費で落ちませんって。こっちゃ忙しいだからいい加減にしてよ!」
とか言われてシュンとする古泉とか?
>>107 その後で古泉が「お願いします!彼との素晴らしい時間を過ごすためなんです!」
とかかな?
>>109 108が矢追板なのは貴方の頭の中だけでです><
一つの事柄を二つの視点で書いたりすると読むほうめんどいですかね
>>106 前株吹いたw
あれか、ベンチャーファンドに時間外取引やTOB仕掛けられて機関買収のピンチ!
そこに鶴屋ホールディングスがホワイトナイトとして登場! とかそういう話か。
>>108 そこらは古泉をどう性格付けるかによるだろうね。
このスレの「ホモ泉」に設定するならそういう風になるだろうけど。
>>112 そこらは書き手の腕の見せ所ではなかろうか。
ところで、古泉の属する機関は色々と世話になってる企業やら政治家やら国家やらから
ダーティな仕事を請け負ってそうな気がするのは俺だけですかそうですか。
>112
両方の心理描写を見せるのは手法としてアリでしょ。期待してまつ。
>>113 身体売ったり暗殺とかしてしうだよなww
>>113 むしろ国家、もしくは政治団体が後ろ盾っぽい気がする
特に根拠は無いんだけど
117 :
7-896:2006/06/02(金) 22:40:43 ID:aozDw3sn
「ダメっ、ア、、そんな、はや過ぎるよっ」
ってくらいレス3桁行くの早いんですけど
>>14 早くも新シリーズですか。期待してます。
…別に肝試しして朝倉登場なんて期待してませんよ?
>>29 鶴屋さん×長門の絡みに激しく萌えt
>>50 二人とも吹っ飛ばされたのに…なんてハルヒは頑丈なんだ
>>76 長門さんがどんな武器を使ってキョンあるいはハルヒを襲うのかとても楽しみであります
118 :
8-579:2006/06/02(金) 22:40:54 ID:URXc+Rw4
>>112 俺も前スレでそれやったけど、
とりあえず長くなることだけは覚悟したほうがいいかも。
>>113 自称だけども通常空間じゃ超能力使えないって言ってたから
これはかなりのネックになってると思うんだ。
他組織の後ろ盾を得るには世界が危機で自分達は超能力者だと
一般人に証明出来ないと苦しい気がするんだよ。
だから、むしろ『機関』は宗教団体的なものかもしれないと思うんだがどうだろう?
能力者になっちゃった政財界の大物達が幹部で宗教法人を隠れ蓑にして活動中とか
まぁでも、世界を守るのに必要と判断すれば、
目的の為には何にでも手を染めそうな怖さは感じる
日本での組織力強化の為、機関の美少女達が肥え太った豚政治家にHな接待とかハァハァ
変人ハルヒを苛めようとしたクラスの女子グループがいたりしたら
それがストレス源になって世界崩壊したらかなわん、と
拉致されてHな調教されてから戻されたりとかハァハァ
通常空間で能力の発動が出来ないか『機関』内部でのHな人体実験とかハァハァ
利害が一致せず敵対することになった未来人を捕まえて
Hな拷問で情報引きだそうとかハァハァ
>>119 6行目まで見てコイツ凄げぇと思ったら
途中からHしか言ってねぇwwww
機関は一人で(しかも素手で)ハイジャックしたり原発を占拠したりできる奴をアメリカ各州に2人ずつ配備していると予想
それなんてバキ?
>>77 GJ! これからの展開にwktkつーかgkbrつーか……。
期待してます。
>>103 日本語でおk
それはともかく、鶴屋さん可愛いよ鶴屋さん。
>>119 病院に行こう、な!
>>122 目的がわからねーよw!
>>115 機関の協力者である「先生」の金を使い込んだ秘書を漁礁にしたり、
某国駐在武官に幼女をあてがって、それをネタに暗号諸表を提供させたりするのだな。
>>119 どこぞの有力者やそれにコネのある人物が一人くらいは能力者になってるだろうね。
そろそろエロ分頼む
尻の人、独占欲の人是非
>>107-108 思うに、古泉はいわゆるヲタクなんじゃないだろうか。
個人的な収入と余暇の多くをアナログゲーム関係に注ぎ込んでる、みたいな。
キョンと一緒に遊びたいというより、単に持ってるゲームを自慢したいだけのように思える。
演技とか説明癖とかも、TRPGやラノベに手を出してるからかもしれないし。
>>122 そしてそんなグラップラーな超人もハルヒがいると思ってたら実在するんだろうな
ハルヒの嗜好から言ってそんな男臭い超人系はいない可能性も高いか
>>128 そうかそういう考えもあるのか
書くときの参考にさせて頂きます
デフォでホモ泉になってどうしようか困ってたとこだったんだ・・・・・・
>>127 分からない方が少ないと思ってた俺の立場がw
>>128 なるほど。自分の趣味でもあるのだし、わざわざ経費で落とす必要もない、と。
確かにそっちのほうが自然かもね。
>>130 でも、今度はオタ泉になっちまうのかw
132 :
5-409:2006/06/02(金) 23:44:07 ID:EZrrBH63
>>126 呼ばれた気がした。
ちょっと待て、今書いてるから。
今、みくるの尻を巡る戦いで2両の重駆逐戦車エレファントが40両のT34を撃破したとこ。
古泉はオタでもホモでも自然だよな
デフォがすでにエセ爽やか少年だから
135 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 23:53:19 ID:rf5J8Vdh
やべぇwwハルヒはアニメしかみてないけど
原作買わなくてもこのスレの作品だけで十分だwwww
最近T34と言えば東部戦線より朝鮮戦争初期を連想する俺ガイル。
長門を狙って朝鮮人民軍特殊軍団が日本に潜入とか。
北の工作員はみくるを狙うよ
だって喜びぐm(ry
んで切れたキョンがチマチョゴリを血に染めると
>>132 それは性的な比喩なのか?www
>>136 なんて無謀な作戦だ。自殺願望があるとしか思えんね。
……もしくはトップがバk(ry
>>122 「へい、お待ち!」
一人の男子生徒の袖をガッチリとキープした涼宮ハルヒが的外れな挨拶をよこした。
「一年九組に本日やってきた即戦力の転校生、その名も、」
言葉を区切り、顔で後は自分で言えとうながす。
虜囚となっていたその少年は、薄く微笑んで俺たち三人のほうを向き、
「古泉一樹です。……よろしく」
悪に対して素手で戦うコックのような雰囲気を持つ恐ろしくいかつい男だった。計算された笑み、氷のような目。
適当なポーズをとらせてスポーツジムのチラシにモデルとして採用したら
コアなファンが付きそうなルックスである。
これならテロリストが来たってSOS団は安泰だろう。
「……またの名を、ケーシー・ライバック」
こうですか? わかりません(;><)
>>132 「尻」を強調ワードにして待ってます
でもでも、焦らずじっくり良い尻作品にしてから投下してくださいねー
>>132 それなんてクルスク?
てか、東部戦線に投入されてる頃の名前は「フェルディナント」だぞ。
明らかに意識しているのになかなか煮え切らないキョン
そんなキョンにハルヒは「私が男だったらもうそれこそアピールしまくるのに…」とストレスを溜め込む、
そしてある朝キョンが目覚めると…
性別が入れ替わってキョン子とハル男になるんだなww
子供になっていた!!
>>140 ちょwwww最強の男ktkrwwwwww
149 :
5-409:2006/06/03(土) 00:16:46 ID:dljKkGIx
>>143 相変わらず_オタの突っこみは厳しいなあw
書き込んでから気づいたよ。
でもフェルディナンドとエレファントって、ちょっと萌えない?
戦闘ではほぼ無敵なのに、帰り道で溝にはまったり崖から落ちたりして行動不能。
巨乳のグラマー美少女なんだけどどじっ娘って感じで。
全人類の性別が逆転
>>150 キョンが三人漢(元三人娘)に陵辱されるのか
みくるは巨根になるんですか><
153 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 00:20:30 ID:oGj4Opk+
ホモ泉はレズか?
丁度ハルヒとキョンの反転物(性別逆転じゃなくて中身入れ替え)書いてるんだが
文字だけで表現するのって難しいな。
まあ女になっても美人さん設定なんだろうな
俺はロリ国木田、オールバック谷口(女)、メガネっ子生徒会長にハァハァ
157 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 00:23:54 ID:svwpKmfe
凄まじいクオリティなスレですね
>103
そうか、「髪を切られる」という手があったか・・・
男女反転ものっていうか、自分が女だと認識されている世界にキョンの意識が飛ぶ話なんてどうだい?
そういや古泉少女化ってあったっけ?
あの配置のキャラとしては割と定番のネタだと思うんだが
そして犯される美少女古泉・・・ハァハァ
「随分長かった」風呂でキョンと古泉が何をしていたのかハルヒは想像力を逞しくさせた
腐女子ハルヒktkr
キョンとの間に隔たりを感じ、他の男友達を羨ましく思うハルヒ
↓
朝起きると、体は女のままなのに男として扱われる世界に変容
↓
キョンとの男同士としてのスキンシップに動揺しまくるハルヒ
↓
男同士の友情よりも、女として扱われたいという気持ちに気付き元の世界へ
という小説書こうと思ったけど挫折した。書ける人はほんとすごいわ…
性別転換ってこんな感じかな?
「よっ、キョン」
いつもの坂を上がっていると、軽い掛け声とともに俺の肩が叩かれた。
ま、振り返らずとも、そんなことをする人間には数名しか心当たりがなく
声だけで誰かぐらい俺にでもわかるので、横に視線を送りながら俺は答えた。
「よう、谷口」
谷口はそのまま俺の横に並んできた。なんだ? いつもより足取りが軽いな。
「なんかいいことあったのか?」
俺の疑問に谷口はかばんをぽん、とひとつ叩くと、
「おう。まあコトじゃなくてモノなんだがな。手に入れるのに苦労したぜ」
にやりと笑った。どうでもいいが、あんま似合ってないぞ。
「うるせえ。ごたごた言ってっと、見せてやんねえぞ」
なるほど、そういうモノか。
「すまん、悪かった。だから俺にも見せろ」
「へへ、そうあせりなさんな。教室に着いてから、国木田といっしょに見ようぜ」
俺が気付いたことに気付いたんだろうな。谷口は含み笑いでもしそうな顔だった。
「なにさ、谷口。見せたいものって」
教室に着いた俺たちは、国木田を伴って教室に隅っこに移動した。
誰も気にかけてないな。ま、三人でだべるのは良くあることだしな。
谷口はかばんからブックカバーをかけた本を取り出し、見せびらかした。
「これだよこれ。あまりにもすごかったから、感動を共有しようと思ってな」
国木田もさすがに何の本かわかったらしい。
「そんなのを学校に持ってくるのは、あまり感心しないなあ」
口ではそんなことを言いながら、別に見るのを拒絶するでもない風だ。
谷口も、口だけなのは承知だと言わんばかりに、本を開いた。
「おおっ」
思わず声が出ちまったぜ。最初から丸見えで来るとは思わなかった。しかも無修正か。
「これは、すごいな」
そうとしか言いようがない。谷口、よくやった。
「まあな。こっちのもすごいぜ」
ページをめくる。いい胸だ。でももしかしたら朝比奈さんのほうが大きいかもしれん。
そんな不埒なことを考えてたのが悪かったのか、出し抜けに声がかかった。
「なに見てんの、あんたら」
「わっ!」
俺も驚いたが、谷口も相当驚いたらしい。
本が手から滑り落ち、床に転がった。下向けなのは幸いだった。
しかし、声をかけてきたやつがよりによって、その本を拾いやがった。
「おい、見るな!」
俺の忠告もむなしく、本をページがめくられた。ぱらぱらっと最後まで目が通される。
一通り見てぱたんっ、と本を閉じたそいつ、というかハルヒは、一言告げた。
「没収」
それに食って掛かったのが谷口だ。
「おい、涼宮、それは俺のだぞ! 返せ!」
「あんたらね、こんなのはひとりで見ればいいでしょ。わざわざ集まって見るものなの?」
正論だが、わかってないな。
「谷口は、男の友情を守ろうとしただけだ。俺たちはその本によって友情を確かめ合ったんだよ」
「キョンの言うとおりだ」
俺と谷口の反論に、ハルヒはやや鼻白む。
つうか、国木田。お前なにさりげなく他人のふりしようとしてんだよ。お前も言え。
「涼宮さん、男はそういうものだから」
しぶしぶ言った国木田の言葉がとどめになったか、
「男の友情なんてうそ臭いこと言って! 勝手に見て興奮でもなんでもしてりゃいいでしょ!」
谷口に本を投げると、肩を怒らせて自分の席に座った。
やれやれ、たまには普通の高校生らしいことをさせてほしいぜ。
授業中ずっと、ハルヒは不機嫌だった。放課後になって、SOS団の活動が始まってもだ。
「なにかあったんですか?」
声をひそめて聞いてきた古泉に、俺は全部を打ち明けた。古泉にしか話せんな、SOS団だと。
話を聞いた古泉は、苦笑しながら、
「なるほど。僕としては喜ぶべきなのでしょうか、涼宮さんらしからぬ普通の反応に」
「あんな反応しかできなかったんじゃないか? それより古泉、見たかったらまた持ってこさせるぞ」
いいものは共有しないとな。だが、古泉はにこやか笑いのまま首を左右にふり、
「興味がないことはありませんが、謹んで遠慮させてもらいます」
このさわやか人間め。
「こらー! そこ男二人でこそこそ話してんじゃないの!」
おっと、ハルヒ団長の癇に障ったようだな。くわばらくわばら。
このときの俺には余裕があった。だってエロ本ぐらい見られても、なんかあるとは思わないだろ?
全然そうじゃなかったことに気付いたのは、翌日のことだった。
今日も今日でだるい坂をだるく上がっていた。
はあ、これさえなけりゃ、もう少しは楽しい高校生活になりそうなもんなんだがな。
何度ついたかわからない溜息をつくと、肩が叩かれた。
「おはよっ、キョン」
誰だ?
登校中に俺の肩を叩く人間で、こんな声のやつはいないぞ。
俺は訝しげに振り返った。するとそこに立ってたのは、俺の知らない女子生徒だった。
わりと背が高くて、大人の雰囲気があるな。俺の周りにいるのは朝比奈さんを筆頭に
かわいいという形容詞が似合う女子ばかりだが、眼前にいる女子はきれい、と言うべきだろう。
「どうしたの? キョン」
俺の顔を覗き込んでくる。近いぞ、ってそもそも誰なんだ?
「は? キョン大丈夫? 友達の名前を忘れるなんて、まさかそんな薄情なこと言わないわよね」
友達? まったく見に覚えのないことを言われても困るぜ。新手のナンパか?
俺の返事にその女子は、俺を哀れむように、
「ついにキョンもハルヒさんの毒に侵されちゃったのね。あんまり近づかないでちょうだい。うつるから」
なんだよそれ、ってどっかで聞き覚えのあるセリフだな……まさか、
「谷口?」
「あ、覚えてんじゃん。良かったわね、正常で」
そいつはにこにこ笑いを返してきたが、俺はそれどころじゃなかった。
「谷口っ!?」
俺の驚きようはとても筆舌には尽くせん。
昨日まで男だったやつがいきなり女だなんて、誰が想像できるってんだ。
「なに? わたしの名前がどうかしたの?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだが」
「そこで止まってたら、遅刻するわよ」
親切で言ってくれてるんだろうが、声をかけられるたびにますます混乱するぜ。
「先に行っておいてくれ。ちょっと考え事があって」
「ふうん。変なキョン。じゃ、教室で」
谷口は手を上げ、高校へ向かっていった。
さて、またハルヒの仕業なのか? どうなったんだ、今度は。
ってここまでしか書いてないけど
うああああっ!激GJですっ!
今のとこキョンは自分が女になったことに気付いていないのか?
続ききぼん
キョンは変わってないのかも
妹が弟になってたら気づくかもしれんが
え? キョン女になったの?
いや、キョン以外の人間の性別が入れ替わる事で
キョンとハルヒが男の友情を確かめ合うんだろう
つまりハルヒはキョン一緒にエロ本を読みたいということか
いや、キョンは女になってないよ。
したかったら、すればいいけど
>>178 他にも一緒に立ちションとか
んで元に戻った時にキョンのチンコ見たって記憶が残る、と
性別をいじる系は誤って目に入っちゃうと
激しく萎えて、しばらくご飯食べれなくなるんで…
投下時にはわかりやすいワードの設定を
お願いしたいです。
>>179 なんで書いた本人がそんなに投げやりなんだよwww
それはさておき、GJだった。他のキャラがどんなことになってるのか気になるが……。
>>182 妄想力豊かだね……次、レスつけるときはそうするよ
TSものや入れ替わりものは人を選ぶ傾向にあるからな。
ダメな人はとことんダメだし、さじ加減が難しい。
寝取られマダー
>>185 個人的には嫌いじゃないんだがな、TS。思考実験的な部分なんかが。
……思考実験って言葉の使い方、間違ってないよね?
>>186 寝取られスレに行けば?
キョンが刺されるSSまだー?
189 :
8-343:2006/06/03(土) 01:16:14 ID:aE4rtobA
>>117 じゃあ朝倉編はまたおまかせしおhdgちょ、なんgひdwhやめgjdw
ところで臍ってどう思
>>184 水差すようですんません
あと、ありがとう。
>>191 おばあちゃんは言っていた、戦いは臍でするものだってな!
>>187 寝取られっていうか、長門の信頼感がキョン以外にキョン以上に向けられる話が読みたいんです><
ここで付け込む古泉をww
>>187 TSものは別作品で書いたことがあるが、心理描写と状況描写が難しいんだよな。
でも、そこをぼかして書くと一番の醍醐味が失われちゃうと言う。
個人的にはハルヒで書くならハルヒ<->キョンの入れ替わりものかな。
>>194 「天の道を往き、全てを司る男」乙。
>>195 そこまでネタがあるのならまずは自分で書いてみたらどうかな?
そして、出来によってはスレに投下してみるとか(できれば寝取られの方に)。
…とここでハルヒ<->キョン物を投下してみる。
「あーっ!ウザったいわね!こう毎日毎日雨だと気も滅入っちゃうわ!」
ハルヒの気持ちもわからんでもない。今は梅雨真っ只中。
こう雨が続くとお得意のパトロールも出来ないしお宝発掘なんか問題外だな。
いや、ハルヒならやりかねんが…。少しは常識ってもんを身につけてきたのか?
「さ、部室に行くわよキョン。今日は緊急ミーティングだからね!
このジメジメした雰囲気を吹き飛ばす何かが必要だわ!」
ロクなことを考えなきゃいいんだが…ってのは無理な希望か。
こいつがこんないい顔で笑うと全てが俺に降りかかってくる仕組みになってるからな。
「はーい!団長様のご登場!…って誰もいないわね。」
「ん…。おい、ハルヒ窓開けっ放しだぞ」
「あら、ホント。有希かな?」
「あ!パソコン!」
今日は結構風が強い。空いた窓から雨が吹き込みPCが濡れていた。
こりゃマズイな。ただでさえ無理やり盗ったもんなのに。
「あーもう!電源入らないわ!根性の無いパソコンね!」
ガチャガチャと乱暴に電源ボタンを連打しながらハルヒが言う。
無理言うな。電化製品なんか濡れたら一発だろ。
「電化製品なんてのはね、斜め45°からチョップしたら直るって相場は決まってるのよ!」
「お、おい、あんまり無茶すんなよ。再起不能になっちまうぞ」
「大丈夫よ!私のパソコンはそんな柔な根性してないわ」
と、がしがしチョップを繰り出すハルヒ。
根性あるのか無いのかどっちだ。
さすがにこいつのバカ力でこれ以上やると 壊れた原因がこいつのチョップ になりかねん。
バリッ
ん?もしかして漏電ってやつか?
「おいハルヒ、危ないから離れ…」
ていうか、TSTSってさっきから、TSって何の略ですか?
バチバチバチバチバチッ!
うぎゃぁあぁぁっぁぁぁぁぁぁ!
間違いなく漫画なら全身の骨が見えてたことだろうね。
薄れ行く意識の中、朝比奈さんの微笑みが脳裏に浮かんだ。あれ、これって走馬灯ってやつじゃ…。
ョン…キョン?
ん…。あ、そうか俺パソコンで感電して…。
よかった。どうやら生きてはいるみたいだな。
キョン、起きてってば、キョン
さすがにこんなことで死ぬわけにはいかんね。
朝倉に2回も殺されかけて長門に助けられてなんとか生き延びた命を
こんなとこで散らすわけには…。
起きろっ!バカキョン!
「うおっ!」
耳元で大声だすなようるさいな。
「さっきまで死に掛けてたんだからもうちょい優しくしてくれよハルヒ…」
ん?なんだこの声。さっきの電撃で声帯でもイカれちまったのか?
「ねぇキョン。これどういう事だと思う?」
なんだハルヒはやけに低い声だな。こいつもか。
これじゃまるで俺の…。
「っ!?」
そりゃ驚くだろう。さすがにこの前の時に見て
多少の耐性がついてるとはいえ目の前に俺がいるんだからな。
「あっと…未来の俺か?今度は何の用だ?また面倒事じゃないだろうな」
やけに高い声で尋ねる。なんか心なしか足がスースーするな。
「は?何言ってんのキョン。未来って何よ?」
何言ってんの?はこっちだ。なんで未来の俺は自分の事をキョンと言って女喋りなんだ。
ん…?あれ?
ちょっと待て。今の俺の姿…。
そこで俺はやっと気づいた。俺の目の前にいる俺は未来から来た俺じゃない。
もちろんそっくりさんでもドッペルゲンガーでもない。
なぜならこいつは…ハルヒだ。
「ねぇ…キョン。これどういうこと?どうなってるの?」
俺の声で女喋りで喋るな気色悪い。
そう。俺がハルヒでハルヒが俺で。
つまり入れ替わった…って事だな。
なんてこった。今までいろんなトンデモがあったがさすがにこれはシャレにならない。
「とりあえず…どうするんだ?これから」
「…あんた意外と冷静ね」
そりゃお前のお陰だな。というかあいつらのお陰か。
宇宙人や未来人、果ては超能力者なんかと常日頃から関わってるからな。
この程度じゃ…いや、驚いたな。やっぱり。
「そのうちみんなが来る。とりあえず俺はハルヒ。お前は俺として振舞おう。」
「ん…わかったわ。上手くやりなさいよ」
しばらく打ち合わせをした後…。
ガチャッ
「あ、こんにちわ。二人とも早いですね」
あぁ、癒される。こういう時の朝比奈さんは精神安定剤として最大限に力を発揮するな。
このお姿を眺めてるだけでこのヤバイ状況も忘れられる。
「な、なんですか涼宮さん?」
しまった。凝視しすぎたか。
「へ?何が?」
「え?キョン君に言ったんじゃなくて…。」
うお、お前が返事しちゃ駄目だろ。今は俺なんだから。
「え、あ、何?みくるちゃん?」
下の名前で呼ぶのはいささか抵抗があるが仕方ない。
「あ…なんでもないですっ」
相手が朝比奈さんで助かった。古泉あたりなら見破られてたかもしれん。
「そろそろ着替えたいので、キョン君…。」
律儀だな朝比奈さんは。ハルヒの言いつけなんか守らなくてもいいのに。
そう思いながらドアノブに手をかける。
「えっと…。キョン君…?」
しまった。今の「キョン君」はあいつだ。
「そ、そーよキョン!出て行きなさい!」
「ん…。あ、おぅ。そーだな」
慌てて俺(ハルヒ)が出て行く。
不自然丸出しだ。朝比奈さんも頭の上に?マークを出しておられる。
…このままだと先行き不安すぎる。長門辺りには話しておいたほうがいいかも知れん。
いや、あいつの事だ。既に知っている可能性も…。
「うおっ!」
「どうしたんですか?涼宮さん?」
どーしたもこーしたもない。
俺の目の前には下着姿の朝比奈さんが。
こっこれは…。正直、たまりません。
「ちょ、ちょっとキョンに用事あるからっ!」
慌てて飛び出る。
「どーしたのキョン」
「い…いや、ちょっとな」
「どーせみくるちゃんの生着替えでも見たんでしょ?このエロキョン」
「い、いや、不可抗力ってやつでだな…!」
「おや、二人して廊下に出てどうしたんですか?」
マズイ。今一番出会いたくないやつだ。
普段でも出会いたくないやつランキング上位にいるがな。
「ち、ちょっとトイレ行ってくるわ!」
さすがに今の状態だと古泉には一発で見破られるだろう。
「はぁ…。」
トイレの鏡で自分を見る。どっからどうみても涼宮ハルヒだ。
これもハルヒの力か?こうなることを望んだのか?
…さっぱり理解できん。いや、理解できないのはいつものことだが。
「どぅわっ!」
素っ頓狂な声の主は…谷口だ。
「お前なんでこんな所にいるんだよ!」
俺がトイレにいちゃいけないのか。
「一体何考えてんだ涼宮!」
「ゲッ…」
そうだ。もう何回目かわからんがあえて言おう。今は俺はハルヒだ。
つまり男子便所にいたら当然おかしい訳で。
「な、何でもないわ!じゃあね谷口!」
急いでトイレを飛び出す。すまんハルヒ。元に戻ったとき変態扱いされたらそりゃ俺のせいだ。
いや、あいつならそんな事気にしないかな。
ガチャッ
「あー、みくるちゃん。疲れたわ。お茶入れてくれる?」
…。
ん?いつも返ってくる舌っ足らずな はぁい という可愛い声が返ってこない。
朝比奈さんの顔を見ると…なんかやけにニヤニヤしてる。
「ふふ…わかりました涼宮さん♪おいしいの淹れますね」
なんだ?やけに楽しそうだな。
「どーぞっ。キ・ョ・ン・君」
「あ、どーm
今何て言った?
「うふふっ。それにしても大変ですね。」
おいおい。こりゃぁ…。
俺…いや、今はハルヒか。が両手を顔の前で合わせて舌出してやがる。ウィンクのオマケ付き。
いや…。いつものお前ならそれなりに似合うかも知れんが俺の顔でやるな。気持ち悪い。
「いやぁ、やっぱ人真似なんかできないわ。人と同じ事をするってつまんないもん」
もうちょっと頑張ってくれよ。即バレじゃねぇか。
「しかしこれは…。困ったことになりましたね」
真面目な顔してるつもりなんだろうが唇の端がピクピクしてるのを隠せてねぇぞ。
「考えてたってしょうがないわ!折角こんなおもしろそうな事になったんだもの。
目一杯楽しまなきゃ!」
…こうして、俺とハルヒの奇妙な生活が始まった。
とりあえずここまで。どんな感じにしようかは大体あるんだけど
やっぱり文章で表現するのって難しいな。
O2。
ここからが腕の見せ所だな。
>>201 Trans Sexial つまり性転換もの。
たとえば、キョンが女の子になったりする話。
>>201 TS(トランスセクシャル) 元々はちゃんとした医学用語なはずだが、SS用語では単にキャラの性別を転換させた話を指す
NTR(寝取られ)、HR(孕ませ)なんてのもある(こちらはエロゲ板謹製語だが)
いずれも、ニッチな趣味でその気の無い人には嫌悪感を与えるので、用法・用量は良く守って使用しましょう
非喫煙者と喫煙者の関係を参考に
寝取られ物は、執筆した人が NGにしてください。 と事前に記してあったとしても
嫌いなのに見る人がいるんだよね。気になっちゃうんだろう。で、暴れる人出没。
前の過疎期ならまだしも今やるときっと来る。
専門のスレに投下するのをオススメします。
文章能力無いといえば、SOS団がマリオワールドで活躍する話を途中まで書いたが挫折した。
古泉がフモッフでセカンドレイドなんだが。
>>207 俺があいつであいつが俺で乙。
ていうかノリノリだな、ハルヒはwww
>>208-209 説明乙。そうだよなぁ、やっぱどれも特殊(アレ)な趣味だよなぁw
>>211 まぁ、このスレで寝取られ寝取られ言ってるの俺一人ですから。
>>214 俺も見たいから気にするなw
古泉×長門キボソ
>>207 GJ!続きも待ってる
>>211 嫌なら、レスつけないでスルーするべきだと思うんだけどなぁ
事前にNG指定してください、って書いてあるのにも関わらず
暴れたりする人に配慮しなきゃなんないのはどうにもな
>>211 同意。専門のスレがあるような特殊なネタはそっちに投下したほうが無難だよな。
>>212 ちょwwwおまwwwwww何その異端の感性wwwwwwwww
>>216 しかし、そうは言っても暴れるやつは暴れるしなぁ……。
みんながみんな
>>211や君みたいに大人だったら良いんだけど……。
>>212 つまりフラワーを取ると古泉が力使えるようになるのか
誰がピーチになってさらわれるかもめるな
ルール上NTRも有りなんだろうが
スレの空気は読んでほしい
NTRなどの変り種投下→議論の繰り返しで殺伐→投下しづらい空気→過疎化
の流れのスレはこれまでたくさん見てきたからなぁ・・・
221 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 02:10:47 ID:gPwYUDcH
>>218 古泉本人の意思によりキョンが姫です
クッパはハルヒ
ハンマーブロスは長門
クリボーは朝比奈さん
なんとなくここまでは普通に想像できた
クッパはハルヒか生徒会長でピーチはキョンだろ
他スレに投下するなら一応こっちにも通知して欲しいね
>193-194
そうか、好
>>218 ハルヒがコクッパ足蹴にしつつ王座にふんぞり返ってるような、
長門が赤いやつと超人能力合戦を繰り広げるような、
古泉が緑色の弟とフモッフ対決しながら良い汗流すような、
それを横でキョンがキノコと傍観してるような、そんな話が書きたかった。
226 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 02:16:23 ID:7xgkwXJt
ハルヒSSを書いたのですがハルヒ物は初めて。
しかもエロ無しで長いのですが投下しても良いですかね?
ここは
マリオ→キョン
ルイージ→古泉
キノピオ(アイテムとかくれる)→長門
各ワールドで魔法に掛かっている姫→朝比奈さん
コクッパおよび雑魚→谷口、国木田、部長氏、黄緑さん、生徒会長、田丸兄弟、謎未来人etc
クッパ→朝倉
ピーチ→ハルヒ
なんて言うのはどうだろうか。鶴屋さんや妹は出し難いなぁ
新川さん→ヨッシー
森さんを忘れないで下さい><
書きたいんだが、つーか既にシチュエーション浮かんでるんだが、
SS30本以上は書いた身なんだが、いざ書き始めてみたら一人称がまともに書けない。
これは今まで三人称しか書かなかったツケなのかorz
>>226 とりあえずsageつつ投下してみるが吉。
なんか特殊なものなら事前に警告付きでGO.
>>230 別に特殊じゃないと思うので早速投下してみます
ボールがピンに当たり倒れる音が響く中、俺は改めて思う。確かに、俺らしくない事をしたかも知れない。
だが、今の俺の立場含めこれは俺が望んだ結果で、後悔はしていない。ただ、言われて少し考えてるだけなのさ。
……そう、昨日の事になるか、いつもは俺以外のヤツが原因で何か起こるはずが俺が原因となって事が起こりだしたのは。
春休みのある日の事
何とか2年への進級も決まり――取り合えずハルヒに感謝しないといけないのか、春休みに入ったある日の夜。俺は自室でボウリング場のタダ券と睨み合っていた。
「どうすっかな、コレ……」
母に頼まれ、商店街へ買い物に行った帰り。貰ったクジ引き券でクジ引きをやったのだがもちろん当るはず無く全てハズレ、このタダ券となった。
クジ引きのおっちゃんに聞いた所、何でも新しくできたボウリング場の経営者が商店街への貢献と店のPRを兼ねてこんな物を用意したらしい。
正直ハズレでもらえる物はポケットティッシュの方が良かった。タダ券は人によって使うか使わないかが問われるが、ティッシュは全ての人間が間違いなく使う。
だから、ボウリングなどあまり行かない俺にとってはティッシュの方が良かった。
まぁ、行かないと言っても自分からは行かないだけで、誘われたのならば行くんだがな。だがそれでも最後に行ったのは随分前になる。
「誰かにやるか……?」
俺が券を一枚摘んでヒラヒラさせていると、
「キョンくんー」
妹がひょっこり入ってきた。何の用だ? 俺の隣でいつもと同じ様に寝てるシャミセンでも構いに来たのか?
「クジ引きで何当たったの?」
そんな用か。ボウリングのタダ券だ、そんな期待する物じゃない、だからさっさと出てけ。
「いいじゃん、キョンくんのケチー。それよりコレどうするの?」
別に決めちゃいない。この券の使い道は今考えてた所だからな。
「じゃあハルにゃんと行けば?」
「馬鹿を言うな」
俺はそれだけ言って妹といきなり捕まれて「ふにゃあ」とか声を出すシャミセンを一緒に部屋の外に出す。
シャミセンには悪いが、シャミセンがいれば妹はシャミセンを構うのに夢中になって部屋にはしばらく入って来ないはずだからな。
そして俺は妹がシャミセンを連れて部屋から遠ざかった音を聞くと、ベッドへ倒れこむ。
まったく、何で俺がハルヒをボウリングに誘わなければいけないのだ。ハルヒを誘ってボウリングに行って、それを誰かに見られたりしたらどうなる事か。
想像もしたくない。ハルヒを誘うなら朝比奈さんを誘った方が何倍もマシだ。
朝比奈さんと一緒の所を見られて、北高の朝比奈ファンの連中に襲われたとしても朝比奈さんと2人きりでボウリングに行けるなら別に良い。
「……誰かを誘う、ねぇ」
誰かを誘うにしたって、券は結構な数がある。相手1人ではなんかちょっと寂しいし、残りの券の始末に困る。どうせなら大勢で行って……。
と、そこまで考えて俺は思いつく。
「SOS団全員でボウリングに行くか?」
1人呟いてみる。俺から何かするなんて事は滅多に無いが、最近のハルヒは何もしておらず、アイツが退屈してまた何かやらかすよりこちらから何かした方が良いだろう。
俺がしなくても古泉が何かしらやってくれるかもしれないがまた『機関』が絡んできそうだ。
まぁ、それらが俺に絶対に迷惑という訳ではなく古泉やハルヒはもちろん、俺もそれを楽しんでいるのだが、たまには俺が何かしても良いかな、とそう思った。
それに、それはそれでまた別の楽しみがあるかもしれないからな。
『何か用?』
携帯の向こうから不機嫌そうなぶっきらぼうな声が聞こえてくる。こんな声を出すのは俺の知る限りハルヒしかいない。
SOS団で何かする以上、取り合えずまずは団長に連絡するのが筋という物だと思って最初に連絡したのだが、こんな声を聞くと理由も無くこちらが悪い事をした気になる。
『さっさと言いなさい。用が無いなら切るわよ』
用があるから電話するんだろうが。ハルヒに用も無いのに電話するヤツがいたら是非見てみたい。
「ボウリングに行かないか?」
そう言って俺は手に持った券を見、そしてその券の期限を見た。
明後日だった。
一体いつからあのクジ引きはやっていたんだか、どうせならもう少し期限を長くして欲しい物だ。
『ボウリング? あんたと2人で?』
きっとハルヒは『何言ってんのコイツ?』的な顔をしているに違いない。そんな感じの声が聞こえてきた。
「SOS団で、に決まってるだろ」
何を勘違いしてるんだ、コイツは。何で俺がハルヒをボウリングに誘わなければいけないんだ――ってさっきも言ったな、コレ。
ハルヒを誘うなら朝比奈さんを誘った方が――ってコレもだな。
『バカキョンッ! そういう事は最初にはっきり言いなさいっ!』
俺は必要な事をまとめ、かつ簡潔に言ったつもりだ。
大体俺にハルヒを2人きりのボウリングなどに誘う様な理由などあるはずも無い事を少し考えれば分かりそうなものだが。
『で、ボウリング? そうねぇ……』
しばらくの沈黙。その沈黙の間に俺はいつか聞いたあのニヤケ面のハンサム野朗の言葉を思い出した。確かハルヒは『局所的に普遍的を嫌う』とか何とか。
ボウリングなんて普通すぎる、という理由で断るかもしれないがさて、
『いいわよ別に。たまにはSOS団でボウリングってのも悪くないわ』
結構あっさり同意してくれた。何となく俺はホッとする。やっぱり思いついた事が却下されると少しばかりショックだからな。
んでもって翌日の朝。
あの後、『思いついたら即実行』なハルヒは翌日の今日に早速ボウリングに行く事を決め、俺に他の団員達にも連絡する様命令した。
他のメンバーに連絡を取って見ると、朝比奈さんはボウリングを知ってるかどうか微妙な反応でオーケーしてくれて、長門は相変わらずの調子で「了解」とか「分かった」とか言ってた。
古泉は何か言いたそうだったがやはりイエスマンで、名誉顧問である鶴屋さんには朝比奈さんが連絡をしてくれるらしいが鶴屋さんの事だ、多分断りはしないだろう。
で、俺は今チャリをこいで何かあればほとんどの場合集合場所として選ばれる駅前に向かっていた。集合時間は9時だが、一応の言いだしっぺは俺なのでいつもより早めに集合場所に向かっているのだ。
俺が出来かけようとした音を耳ざとく聞きつけた妹に玄関で捕まったが、約10分の奮闘の末に何とか振り切れた。
それに恒例の『一番最後に来た人は全員に奢り』って罰ゲームはあるはずで、財布の中もいい加減厳しくなりつつあるしたまには俺も奢られる側になりたかったからな。
もしかしたらもう誰かいるかもしれないが、最後って事は無いだろう。
……そうだ、今度は自転車をちゃんとした所に停めないとな。いつかみたいに回収されるのはコリゴリだ。
「あら、アンタにしては早いわね」
集合場所に行くともうハルヒがいた。45分前だぞ、いつもこんなに早いのか? いや、前に2人だけの市内パトロールをした時は今日より遅かったはずだ。
「一応、俺が言い出しっぺだからな」
それを聞いたハルヒは「あっそう」と言い、他の団員達が来るであろう方向に顔を向け、黙り込んだ。
「……最後に来るのは誰だろうな」
沈黙が続き、黙っているのも何なので俺がそう言ってみるとハルヒは、
「何で?」
と答えた。今日もあるんだろう、あの罰ゲームは?
「何言ってんの、アンタが言いだしっぺなんだからアンタの奢りに決まってるでしょ」
何でだよ、と抗議の声を出そうとしたが無駄である事は明々白々なので俺は口を閉じて財布の中身を見た。
……大丈夫そうだ、結構な金額が入っている。まったく、これは罰ゲームを受け続けた者の哀しき性か?こんな性、あっても全然嬉しくないんだがなぁ。
「やれやれ」
俺は肩をすくめながら小声でそう呟くと、財布を閉じて他の団員が来るのを再び待ち始めた。
ハルヒと2人でしばらく待っていると、まずは長門がやってきた。って、何気にお前も早くないか? まだ30分前だぞ?
「別に」
それだけ答えて長門は口を閉じる。まぁ、いつもの事だから気にはしない。ついでに服装は今日も北高の制服だが、見慣れた物なのでこれも気にしない。
そして次に来たのは朝比奈さんと鶴屋さんだった。
どこかで見た事がある車が俺の視線の先で停まり、確か鶴屋さんの家のだったかと思った所で案の定2人が降りてきた。多分、鶴屋さんが朝比奈さんを迎えにでも言ったのだろう。
「やっぽーキョンくん、今日は誘ってくれてありがとねっ!」
相変わらず元気な人だ、俺が挨拶を返そうとするとすでに鶴屋さんは「ハルにゃん久しぶりっ!」と言ってハルヒとハイタッチを交わし、長門にも何か話しかけている所だった。
「お早う、キョンくん」
俺がいつも通り元気な鶴屋さんに関心していると、鶴屋さんより少し遅れてきた朝比奈さんがぺこりと頭を下げて挨拶をしてきた。
まぁ、鶴屋さんは車から降りた途端に走り出したから少し遅れるのは当然の事だろう。
「お早うございます」
俺がそう返すと朝比奈さんは微笑んで、ハルヒや長門にも挨拶をする。
やっぱり朝比奈さんは可愛いな、ボウリングに誘うならやっぱりハルヒより朝比奈さんだ。2人とも美人には変わりないが、性格で天と地の差がある。
で、残るは後1人。古泉が最後か。
くそう、罰ゲームがアリだったらあのニヤケ面ハンサム野朗が奢る事になったのに。何で今日に限って罰ゲームは無しなんだ。
「皆さん、お早うございます。どうやら僕が最後の様ですね」
ああ、そうだよお前が最後だよ。
約20分前に集合場所に現れた古泉は相変わらずのスマイルで俺達に近づいてきた。
「と、いう事は今日の奢りは僕という事になるのでしょうか?」
安心しろ、団長殿の気まぐれで――と言っても一理あるのだが、奢りは俺に決まっている。
「そうなんですか。では、すいませんが奢らせて頂きます」
お前のそのニヤケ面を見てると全然「すいません」という態度に見えないな。全く、たまにはお前が奢りやがれ。
「もし僕が最後に集合したのなら、喜んで」
恐らくそんな事はほとんど無いだろうな。いつもは俺が何故か一番最後になるんだからな。
だが、そう分かっていても奢りたくない、奢らせたい、と思うのは仕方の無い事だろう?
集合時間9時の約20分前というかなり早い時間に全員集合した結果、予定より早く出発する事になった。
誰かもうちょっと遅く来いよ。と言っても、2番目に来た俺が言える事でもないが……。
「ねぇキョン、これから行くボウリング場ってどんな所なの?」
俺からタダ券を引っ手繰ったハルヒは券を見ながら俺に聞いてくる。
分からん、なんせ俺も行った事がないからな。まぁ、新しくできたんだからそれなりの設備があるんじゃないか?
「面白そうな物があるといいわね、そのボウリング場」
ハルヒの言う「面白そうな物」が何なのか考えたくも無い。どうせ現実とはかけ離れた物だろう。
そしてそんな物が無い事を俺は祈っている。まぁ、変な形をしたレーンくらいなら別に良いのだが……。
なんて事を考えてる内に件のボウリング場に到着した。中を見る限り変な物が無い普通のボウリング場の様で安心する。
流石に新しくできただけあって、中はかなり綺麗で他の客も結構いる。場内にはゲーセンがあり、他には所々に自動販売機があってと設備も広さも中々の物だ。
もしかしたら俺の知ってる中で一番良いボウリング場かもしれない。
「さぁみんな、さっさと準備をしてさっさと始めるわよっ!」
ハルヒはいつの間にか1人だけ靴を借りたりして準備を終えている。
俺がその行動の早さに驚いていると、ハルヒは人数分の靴をこっちに寄越し、自分の使う球を選んで俺達の使うレーンに向かっていく。
コイツも鶴屋さんに負けず元気だな、って、鶴屋さんももう準備を終えている。
多分この2人が俺達に比べて元気なだけだと思うが、一応俺も急ぐとするか。他の奴らも俺よりは早いみたいだしな。最後にはできるだけなりたくない。
こうして、SOS団メンバーによるボウリングが始まった。始まる前に俺が人数分の飲み物を俺が奢らされた事は言うまでもないだろう。
「いい? 最初に練習の投球が2回あるみたいだからその合計点が一番低かった人、あるいは人達は罰ゲーム。罰ゲームを決めるのは合計点が一番だった人」
やっぱり、別の形で罰ゲームはあるらしい。ちなみに言うと、俺がビリの場合、問答無用で再び人数分の飲み物を奢る事になるそうだ。……マジで大丈夫かな、俺の財布?
だが、俺がビリになる事は恐らく無いだろう。俺は別にボウリングが苦手という訳ではなく、むしろ普通以上と自分では思っている。
朝比奈さんには悪いが運動音痴の朝比奈さんに負ける事はないだろう。ハルヒと鶴屋さんは多分2人で1位争いをするだろうし、もしかしたら長門がそこに参戦するかもしれない。
長門ならボウリングくらい何もしなくても普通に全部ストライクを取っても変じゃなさそうだからな。古泉はそれなりの所に入ってくるに違いない。
で、気になる投球の順番だが。
1番ハルヒ、2番俺、3番古泉、4番鶴屋さん、5番朝比奈さん、6番が長門となった。
「よぉっし、行くわよーっ!」
無駄に勢いをつけたハルヒの投げたボールは真っ直ぐに転がり、ピンが砕けるのではないかと思う程の快音を響かせて見事に全てのピンを跳ね飛ばしてストライクになった。
やっぱりな、コイツは何でも人並み以上にこなせる天才だからな、これくらいできておかしくないから俺は別に驚かない。
「よおしっ!」
ストライクを取ったハルヒはガッツポーズを取りながら戻ってくる。それを朝比奈さんと鶴屋さんが手を叩いて迎える。古泉と長門は相変わらずスマイルと無表情だ。
と、俺はここで何か引っ掛かった。
「……?」
何だか、古泉と長門のどちらかは分からないが表情に違和感を感じる。何だか、いつもと少し違う気がする。
その違いが長門と古泉のどちらに対する物で、何なのか確かめる事を考える前に、俺の頭にはハルヒがまた何かやったのはないかという考えが浮かぶ。
朝比奈さんを見てみるが、気が付いてる様子は無い。まぁ、異変があったとしてもそれに朝比奈さんが気が付くかどうかは微妙だが……。
「キョン、アンタの番よ。早くしなさい」
と、そこで俺は考える事を中断された。取り合えず今は球を投げるのが先か。
「分かってる」
そう言って俺は自分の選んだボールを持って構える。本当に久しぶりだな、ボウリングをやるのは。
軽く助走を付け、レーンに近づく。それとほぼ同時にボールを持った手を地面をすくう様に動かす。微かに手が風を切る感触。
「……っ!」
ここだ、というタイミングを狙い俺はボールを離す。よし、良い調子で転がってる、このまま……、
――と思ったところでボールは急に右に曲がりガーターとなった。
「へ?」
全く予想もしてなかった出来事に、思わずマヌケな声が出てしまう。そんな馬鹿な、まさかここまで俺の腕は落ちてたというのか。愚かな事に、自分の今の力を過信していた様だ。
「残念だったわね、キョン」
俺がちょっぴり気分をブルーにして戻ると、ハルヒの馬鹿笑いが出迎えてくれた。くそう、その口を塞いでやろうか。
「まだ次がありますし、頑張って下さい」
ありがとうございます朝比奈さん。そんな優しい言葉をかけてくれるのは貴方だけですよ。
「気を落とさないで下さい。まだ次がありますから」
俺の右隣に座っていた古泉が話しかけてくる。お前にその顔で言われても嫌味にしか聞こえないんだよ。どうせならもっと気持ちを込めて言え。
「僕としては十分に気持ちを込めたつもりですが……」
そう言って3番目である古泉は最初の投球に向かう。……どうでもいいが、古泉のボールが何回か見た事がある赤い球そっくりの色をしている気がするのは気のせいか?
ボールを持った古泉を見て、俺はさっきの違和感の正体に気が付いた。
古泉の表情がいつに無く真剣だ。
今まで見た中で一番真剣な表情、という訳では無いが少なくとも普段見るニヤケ面とは全く違う。
俺がそんな珍しく真剣な古泉に少し驚きながら黙っていると、古泉は投球を開始する。
はっきり言って上手かった。
結果を先に言えばハルヒを同じストライクだが、フォームやボールがピンに当たるまでが大きく違った。
古泉のフォームは勢いを付けただけのハルヒを違い無駄の無い動きで、転がったボールはガーターになる直前でカーブして見事にストライクとなった。
「いやぁ、ボウリングをやるのは久しぶりですが腕が落ちてなくて安心しました」
俺も久しぶりにボウリングをやったんだが。 しかし、古泉がここまで上手いとは全く考えていなかった。
「ボウリングには結構行くんですよ。でも、高校生になってからは行って無かったんで不安だったんです」
・・・・・・俺も最後に行ったのは高校に入る前だがな。
「一樹くん、ボウリング上手いねー! こりゃああたしも負けてられないねっ!」
次は鶴屋さんか。さて、一体どれほどの腕だろう。
「ボウリングはあんましやった事ないんだけどね、頑張るよっ!」
何となく以外だ。鶴屋さんくらい元気な人は結構ボウリングとかに行っていそうだが。
それでも鶴屋さんの事だ、良い結果を出しそうな気がする。
で、結局その予想は当たりで鶴屋さんは見事にスペアを取って戻ってきた。本人も少し驚いてる様で思いっきり喜んでいた。
「さ、みくるっ! 次はみくるの番だよ! 頑張ってくるにょろよ?」
鶴屋さんの言葉に朝比奈さんは緊張した様な表情で頷き、ボールを取りに行く。……そういや、朝比奈さんはボウリングを知ってるのか?
電話した時は微妙な反応だったが……まぁ、大まかなルールは俺含み前の4人を見て分かるだろう。横の溝に落ちるとガーターで、良く無いという事は俺が証明したからな。
「ふぇぇっ」
と、俺がそんな事を考えていると朝比奈さんはボールをフラフラしながら運び、レーンの前に立つ。……自分に合った重さのボールを選んでるのかな? 何と無く選んでない気がする。
「てやっ」
などという可愛い声を上げながら朝比奈さんはボールを両手でゴロリと転がす。
ガーターにならないかと心配したがボールは真っ直ぐ転がりピンの直前で急に曲がり、端の方の3本を倒し、その後の投球も合わせて5本倒すという結果に終わった。
「ナイスみくるー!」
鶴屋さんが朝比奈さんの投げ方にウケながら言う。それに対して朝比奈さんの顔は少し赤かった。……後で朝比奈さんのボールの重さを見てみるか。
「………」
朝比奈さんが自分の席に座ると、俺の左隣に座っていた本日ある意味1番気になる人物が動いた。
ほとんど不可能な事は無いに等しく、部室ではいつも本を読んでいる読書好きな宇宙人こと長門有希だ。
長門には別にインチキマジックを使うな、とはいつかの様に言ってはいないが、過去の野球大会で事態が急変するまで長門はインチキマジックも使わずにやる気を全く見せなかった。
もしかしたらいきなりガーターなんて結果になるかもしれない。
と、なんて事を考えていた俺はボールを持って投球すべくレーンに向かう長門を見て驚いた。
「…………」
無表情なのはいつもと変わらないのだがその奥の感情がいつもと違った。
長門の無表情の意味の読み取りに関しては俺は誰よりも自信がある。その自信が間違いでなければ、長門はやる気を出していた。
過去のコンピ研とのゲーム勝負の時の50分の1にもならないが、明らかにやる気を出している。
これは、案外ガーターで終わらないかもしれない。
「…………」
ハルヒが必要以上に無駄の多い動きだったの対し、長門は必要最小限以下の少なさの動きでボールを投げ……、
――見事ガーターを取った。
さっきの長門から感じたやる気は俺の気のせいだったか? と俺が考えているとガーター後の数秒その場でじっとしていた長門を見た時、俺のその考えは吹っ飛んだ。
納得行かない、みたいな物が無表情から読み取れた。
俺が再び驚いていると、無言で俺の隣に戻ってきた長門は呟いた。
「予想していた以上に難しい」
「何がだ?」
俺がそう聞くと長門は、
「投球時の力加減、球の速度及び目標に対する入射角、その後に倒れる目標の角度」
とか何とかその後数秒解説を続け、最後に「……の計算」と付け加えた。最初はともかく、後は全く分からなかった。
長門ならどんな計算でも一瞬でできそうだから、それはつまり侮ってたとかそんな事か?
肉体を持たない情報統合思念体が作ったインターフェイスである長門。
普通の人間ならまず使うのは体だろうが、長門の場合は頭――というより情報で考えてしまうのだろう。そんな事を考えた俺は、
「……色々頭で考えないでやってみたらどうだ? こういうスポーツは体の間隔だけでも結構できると思うぞ」
なんて事を言ってみた。
ハルヒが今言った事の良い見本だ。あいつの天才性が影響してるだろうが何も考えていないのは間違い無い。
「……分かった」
俺がそう言った数秒後、長門は僅かに頷いた。
2回目の練習投球が始まる前の事だ。
朝比奈さんのボールの事が気になって見てみた。するとなんと一番思いヤツを使っていた。やっぱり、ボウリングの事をよく知らないっぽい。
もちろん、自分の一番使いやすい物にする様に朝比奈さんに言ってそのボールは使うのを止めさせた。
あんな思いモンを使っていたらいつ朝比奈さんが足に落としたりして怪我するか分からないからな。
で、2回目の投球練習が始まった訳だが、ハルヒはやっぱりストライクで、古泉もやっぱりストライクで、鶴屋さんもストライクだった。
朝比奈さんはボールを変えてもやっぱり両手で転がすのは変わらない様で――まぁその姿は可愛いので何も言わないが、今度は真っ直ぐに転がって合計7本倒した。
俺はというと、今度は何とかガーターを免れ合計5本を倒せたのだが、1回目の投球も合わせて5本。つまり現在ビリだ。
このまま行くと俺は再び飲み物を全員に奢る事になるのだが、まだ最後に長門がいる。
俺以外では長門は唯一のガーターで、俺がビリを回避するには長門がピンを倒すのは5本以下でなければならない。
しかし、長門に罰ゲームをさせるのも何だか気が引けて、1位はハルヒと古泉だがハルヒの言う事に古泉は逆らうまい、ハルヒの命令がそのまま通る訳でハルヒがまともな事を言う訳が無い。
つまり俺は自分が奢りを回避したいという気持ちと長門をビリにさせたくない気持ちの矛盾した2つの気持ちでいた。
どっちかと言うと長門にビリを回避して欲しいのだが、あいにく俺がこれから投げる長門をどうにかする事はできない。つまり、運に任せるしかなかった。
そうして俺が祈りながら長門がボールと投げるのを見ていると、長門は今度はさっきと対照的な――まぁ、極端に少ない動きが普通程度になっただけだが、動作の多い投げ方をした。
その結果見事にピンは8本倒れ、2回目の投球では残り1本という惜しい結果となった。
「あなたの言った通り」
俺の隣に座った直後、長門が呟く。
「ありがとう」
「俺はちょっとアドバイスをしただけさ」
と、俺が言った直後に、
「じゃあ、ビリのキョンは全員に飲み物奢りっ!」
とハルヒに言われ、自動販売機まで行く事になった。
「少し以外ですよ」
俺が自動販売機から出てきた人数分の飲み物を取り出していると、古泉が近づいてきた。
「何がだ」
「あなたからこんなお誘いを受ける事がです。そろそろ涼宮さんが退屈し始めるのではないかと予想して、色々考えていたのですが……」
やっぱり何か考えていたのか。
「いつものあなたらしくありませんね。何かあったんですか?」
と、言われた所で話は冒頭に戻る訳だ。
「別に何にもねぇよ。たまにはこういうのも良いだろ」
俺がそういうと、
「そうですね」
古泉は意味ありげに微笑んで去って行った。
おい、俺が苦労して人数分の飲み物を持つのを手伝わないのか。せめて自分のぐらい持って行けよ。
2回目の練習投球が始まる前の事だ。
朝比奈さんのボールの事が気になって見てみた。するとなんと一番思いヤツを使っていた。やっぱり、ボウリングの事をよく知らないっぽい。
もちろん、自分の一番使いやすい物にする様に朝比奈さんに言ってそのボールは使うのを止めさせた。
あんな思いモンを使っていたらいつ朝比奈さんが足に落としたりして怪我するか分からないからな。
で、2回目の投球練習が始まった訳だが、ハルヒはやっぱりストライクで、古泉もやっぱりストライクで、鶴屋さんもストライクだった。
朝比奈さんはボールを変えてもやっぱり両手で転がすのは変わらない様で――まぁその姿は可愛いので何も言わないが、今度は真っ直ぐに転がって合計7本倒した。
俺はというと、今度は何とかガーターを免れ合計5本を倒せたのだが、1回目の投球も合わせて5本。つまり現在ビリだ。
このまま行くと俺は再び飲み物を全員に奢る事になるのだが、まだ最後に長門がいる。
俺以外では長門は唯一のガーターで、俺がビリを回避するには長門がピンを倒すのは5本以下でなければならない。
しかし、長門に罰ゲームをさせるのも何だか気が引けて、1位はハルヒと古泉だがハルヒの言う事に古泉は逆らうまい、ハルヒの命令がそのまま通る訳でハルヒがまともな事を言う訳が無い。
つまり俺は自分が奢りを回避したいという気持ちと長門をビリにさせたくない気持ちの矛盾した2つの気持ちでいた。
どっちかと言うと長門にビリを回避して欲しいのだが、あいにく俺がこれから投げる長門をどうにかする事はできない。つまり、運に任せるしかなかった。
そうして俺が祈りながら長門がボールと投げるのを見ていると、長門は今度はさっきと対照的な――まぁ、極端に少ない動きが普通程度になっただけだが、動作の多い投げ方をした。
その結果見事にピンは8本倒れ、2回目の投球では残り1本という惜しい結果となった。
「あなたの言った通り」
俺の隣に座った直後、長門が呟く。
「ありがとう」
「俺はちょっとアドバイスをしただけさ」
と、俺が言った直後に、
「じゃあ、ビリのキョンは全員に飲み物奢りっ!」
とハルヒに言われ、自動販売機まで行く事になった。
「少し以外ですよ」
俺が自動販売機から出てきた人数分の飲み物を取り出していると、古泉が近づいてきた。
「何がだ」
「あなたからこんなお誘いを受ける事がです。そろそろ涼宮さんが退屈し始めるのではないかと予想して、色々考えていたのですが……」
やっぱり何か考えていたのか。
「いつものあなたらしくありませんね。何かあったんですか?」
と、言われた所で話は冒頭に戻る訳だ。
「別に何にもねぇよ。たまにはこういうのも良いだろ」
俺がそういうと、
「そうですね」
古泉は意味ありげに微笑んで去って行った。
おい、俺が苦労して人数分の飲み物を持つのを手伝わないのか。せめて自分のぐらい持って行けよ。
―――END―――
その後のボウリングは何事も無く進んだ。
ハルヒと古泉がストライクを連発して1位を争い、その後を鶴屋さんが追っかけ、更にその後で朝比奈さんと長門と俺は争っていた。
練習投球が終わると今度は1ゲーム毎に罰ゲームを行う事をハルヒが告げ、結構な数があるタダ券を使い終わる頃には夕方となっていた。
ちなみに罰ゲームは何故かほとんどが俺で、昼近くに偶然ビリになった俺は飲み物ではなく、ボウリング場を出てすぐのジャンクフード店で全員の昼飯を奢る事になった。
「最後のゲーム、わざと負けただろ」
朝集合した駅前で俺はハルヒが1人先に、どれだけ体力があるのかと思う程元気良く帰っていくのを見、古泉に話しかける。
最後のゲームの最後の投球時、古泉は明らかにわざとらしくガーターを取った。
「涼宮さんを1位にする為ですよ。万が一、僕が1位になったりして涼宮さんの機嫌を損なう様な事は避けたいですしね。それに、僕も十分に楽しみましたし」
ハルヒも十分楽しんでた様だから、別に順位など気にしないような気もするが。
「言ったでしょう? 万が一です」
そう言う古泉のスマイルは心なしか確かに満足している様だった。
「では、僕はこれで。今日は本当に楽しかったですよ」
そう言って古泉は去って行った。
「じゃあ、あたしもこれで。キョンくん、今日はありがとうございました」
「じゃあねキョンくんっ! またどっか行く時は誘ってねっ!」
どうやら朝比奈さんと鶴屋さんは鶴屋さんの家の車で帰りも一緒らしい。
俺が2人に返事を返すと2人を乗せた車は去って行った。
「今回のあなたの行動はあなたが変わってきている事を表す」
長門がいきなり喋りだして少し驚いた。今まで黙っていたからな。
「どういう事だ?」
「SOS団のメンバーには変化の時期が訪れる速さに差はあっても、全員が変わってきている」
確かに、全員変わってきている。俺も去年の冬に大きな変化を迎えた。
「1次的な変化は全員終わった。しかし、2次的な変化はまだ。大きく現れる者もあれば微細な者もいる。既に終わっている者もいる」
「で、俺はこれからだってのか?」
長門はこくりと頷く。
「ただし涼宮ハルヒだけは少し違う。1次的な変化も、2次的な変化も」
まぁ、元々アイツは俺とも長門や朝比奈さんや古泉とも違うからな。
と、考えた所で俺はふと思う。
「長門、お前も変わってきているのか?」
その問いに長門は、
「…………」
答えずに背中を向けて歩き出した。
何となく、俺がその背中を見つめていると長門は数歩進んだ所で立ち止まり振り返って、
「今日は楽しかった」
と言った。
「ありがとう」
その言う長門を見て俺は思った。
長門も確かに変わっている、と。
―――END―――
以上です。
途中でミスしてすいません、>>239は無い物として下さい。
では、お目汚し失礼しました。
242 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 02:35:46 ID:IpeRm4Xf
ん…?途中の順番が少しおかしかったような…
ともあれGJ
萌えどころがよくわからんかったが、長門活躍GJです。
>>241 GJ。最初はSOS団ものかと思ったが、最後は長門さんが持ってったなw
>>243 萌えどころってw
こういう普通の日常ってのもまたいいんじゃないかな。
サムデイ〜みたいに平穏を描いてみるというのも悪くはないね。
246 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 02:53:59 ID:/4mkaCl6
すげーどうでもいい話だけどハルヒって私とあたしを使い分けてるよね?
>>245 普通の日常、なかなか結構。
さぁ、そこに寝取られという甘味な果実を…
>>246 踏んで大丈夫なのかな?かな?
>>247 「私」と「あたし」を意識して使い分けてる人間が、はたしてどれだけいるんだろうな。
どうでもいいことだが。ちなみに俺は、リアルで友達に「俺」「私」と使ってる。
>>248 「俺」と「僕」じゃなくて?
俺は家族や親戚といる時は「僕」で、友達といる時は「俺」だな。どうでも良い事だけど
家族「私」親戚「私or僕」友達「俺」と微妙な自分
たまに無意識に丁寧語になる。
俺は「俺」「僕」「私」「あたし」「うち」くらいか?
相手によって1人称を変えるなぁ
253 :
5-409:2006/06/03(土) 03:11:26 ID:dljKkGIx
口で糞たれる前にサーといえ!
という訳で(どんな訳だ)尻SS第二弾です。エロさ150パーセント増し。(当社比)
物語的オチは期待しないでください。エロのみ!
すべてのオシリスキー達へ。(特に8スレ806こんなもん書いたのは君のせいだよw 感謝)
いいですか?
254 :
8-343:2006/06/03(土) 03:11:43 ID:aE4rtobA
海水浴 みくる編
さてさて、昨日のハルヒからの泊まり旅行の提案から一夜明けた今日、
俺はいつもSOS団の集まる駅前にいる。
予想通り俺は最期で、ハルヒやその他面々はこちらに手を振っている。
隣の妹がそれに大いに反応し、大きく手を振りかえしている。
「遅刻よキョン!まぁ、今日は皆で旅行だから奢るのは今度ということで特別に許してあげるわ」
別に許してもらう義理は一個もないのだが。
かれこれ遅れた理由は隣にいるこの妹のせいである。
シャミセンを連れて行きたがるものだから、これを説得するのに30分はかかった。
まぁ、さっきまでダダ捏ねてた妹も、朝比奈さんを見つけるに、べったりとくっついている。
くっつかれてる朝比奈さんも嫌がることなく妹と接してくれている。
まったくありがいことこの上ない。朝比奈さん、保母さんになることをオススメしますよ。
「うふ。それもいいかもしれないですね」
今回の移動は電車だ。半年後の冬もそんなことをするらしいが、今夏を満喫している俺にとっては、まだ関係のない話だ。
移動中は古泉持参のカードゲームをやったり、不毛なしりとりをしたりなどして、
はや2時間ほどで目的の場所へ到着した。
青い空。白い雲。照り付ける太陽。眼前に広がる透明な海。その先にはユーラシア大陸へと続くだろう、水平線が見える。爽やかに流れるようにそよぐ風が心地よい。
あぁ、夏だな。
そう感じながら、つい先ほど到着した別荘のテラスで、ハルヒ達に無理やり持たされた荷物を古泉と共にようやく運び終えた後、冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターを一気に飲み干す。
したたり落ちる汗がなんとも鬱陶しい。
255 :
8-343:2006/06/03(土) 03:12:39 ID:aE4rtobA
しかしまぁ、よくもこんな場所があったものなんだな、古泉よ。
人が砂浜に全然いないじゃないか。
「ええ、ここはほぼ『機関』の私有地ですからね。プライベートビーチなようなものだと
考えてもらえたらいいかと」
そう言うと、古泉も、持っていたミネラルウォーターを一口して、水平線を見つめる。
まぁ、古泉の背後の金や経済事情はさておいて、俺は別荘から聞こえるハルヒの呼び声に返事をして、クーラーの効いた別荘の中へ古泉と共に入る。
リビングへ行くと、既に水着に着替えたハルヒ達がそこにいて、やれビーチボールはあるか、これパラソルはあるか、日焼け止めクリームはないのか等と言っている。
着いて早々泳ぎに行くとは、何とも疲れ知らずというか何と言うか。
等と思いつつ、朝比奈さんの悩殺ボディを包んだ水着を、俺がじっくりと観察堪能していると、ハルヒが俺に空気の入ってない浮き輪を投げつけて、
「ほらっ!変な顔してみくるちゃん見てないで、あんたも古泉くんも早く着替えてそれ膨らませて来なさい!!」
と言った後に、俺にアカンベーをかましたハルヒは俺と古泉を残して、海へと走って行く。
「さて、僕たちも着替えますか」
あぁ、そうだな。じゃあ着替えたら玄関で待っとくぞ。
「ええ、わかりました」
そう言って、リビングの端に置かれた俺の荷物を肩に下げ、つい到着前に決めておいた、
別荘の部屋割り通り、俺は2階の端っこの部屋へ入る。
この別荘は1階がリビングとキッチン、浴場があり、2階は寝室がいくつもある。
妹は朝比奈さんの部屋で一緒に寝泊りすることになり、それ以外は一人一部屋が当てられた。
256 :
8-343:2006/06/03(土) 03:14:02 ID:aE4rtobA
あ、
>>253氏、かなり申し訳ない!
更新してなくて気づかなかったorz予告ナシに先投下してしまって本当に
申し訳ないです
>>253=254かと思ったw
見事に出鼻挫いたな。
258 :
8-343:2006/06/03(土) 03:17:19 ID:aE4rtobA
あれだったらきりいいので打ち止めしておきますよ??
>>253氏のSSが投下された後にでも続き出してもかまわないので。
259 :
5-409:2006/06/03(土) 03:17:22 ID:dljKkGIx
ものすごくバッドタイミング。
いや、しかたないね。
>>256 鬱。
では、気を取り直して。
260 :
5-409:2006/06/03(土) 03:18:04 ID:dljKkGIx
「それはそんな尻だった」〜シークエンス2 朝比奈みくる〜
いつものように部室の扉をノックする。
「はあい、どうぞ〜」
朝比奈さんの明るい声がする。可憐なメイド姿を想像しつつ俺は扉を開けた。
あ゛?
俺は自分の目の機能を疑ったね。ついでに正気も。
そこには体操服姿の朝比奈さんが立っていた。
いや「体操服」などというのは自分に対するごまかし以外の何物でもないな。
要するに
「ブ ル マ ー」
だ。
「……またハルヒの仕業ですか?」
俺は上から下まで視線を巡らせた後に聞いた。
こんな馬鹿な衣装を着せるのはあいつ以外いない。いや個人的には好ましいとは思うが。
「いいえ、涼宮さんは関係ないです。あたしの気まぐれ」
うれしい気まぐれもあったもんだ。しかしあんまり朝比奈さんらしくないな。
今だって耳が赤いし、両手は上着の裾を握りしめてもじもじとしている。
何か無理しているような。
「あ、今お茶煎れますね」
「すみません」
俺は机にカバンを置き座る。が、視線は朝比奈さんの後ろ姿に釘付け。
正確にはブルマーに釘付け。
はち切れそうな丸い尻。実にいい。
俺も健全な肉体を持つ高校生。こんないいものを見せられては妄想が膨らむ。
俺の脳内では恥じらいを浮かべた朝比奈さんが後ろを向き、ブルマーを脱ぎ始めた。
どんどん妄想が膨らむ。
もじもじと動く尻を存分に視姦した後、俺は妙なことに気づいた。
朝比奈さんの着ている体操服が妙に窮屈に見える。
朝比奈さんがグラマーなのはわかりきったことだが、それにしてもおかしい。
胸の形がはっきり分かる上に圧迫されているように見える。
……重要なことに気づいた。
朝比奈さん、
「ノ ー ブ ラ 」
だ。
なんでだ?
ずいぶんと時間をかけて朝比奈さんはお茶を出してくれた。顔が赤い。
261 :
5-409:2006/06/03(土) 03:18:41 ID:dljKkGIx
「どうぞ。今日は冷たいお茶にしてみたんですよ」
前屈みになった朝比奈さんの胸がぶるん、と揺れた。
ごくり。
「あ、ああどうも、ありがとうございます」
俺は視線に気づかれないようにあわててお茶を飲む。
味もなにもわからん。
「そ、そう言えばハルヒたちはどうしたんです?」
俺、あわてて話題を変える。
「涼宮さんは先生に呼ばれたとかで、まだ来てません。古泉君はバイトの打ち合わせだとか言ってました。長門さんは知りません」
「そうですか」
話を合わせるが俺の思考は二つの丸いものに捕らわれて、朝比奈さんの声は耳を素通り。
「……」
「……」
室内の雰囲気が変だ。何というかピンク色?
俺は「やりたい光線」を放っている自分を自覚し、朝比奈さんは「むらむら光線」を放射中。
朝比奈さんお盆を持ったまま、お茶を飲む俺を潤んだ目で見つめている。
俺は朝比奈さんのそんな様子に気づかないふりをしながらお茶を飲む。
……空になってしまった。
「お代わりどうぞ」
「あ、ああ、すいませんね」
また、二つの物体が接近遭遇。
ぶるん。
何とかしてくれー!
「あ、朝比奈さん、そ、その体操服変じゃないですか?」
俺は意を決して聞いた。
「これですか?ええ、あたしのじゃないんです」
「えっ?」
「他のクラスの人から借りたんです。今日体育がなかったから。ちょっと小さくて」
と、いいながら朝比奈さんは両手を組んだ。胸が押し出されて強調される。
……乳首、勃ってますが。
「何でまた、そんな」
「……」
朝比奈さんは俺をじっと見つめた後、意を決したように扉に向かい、鍵をかけた。
え?
「キョン君、お願いがあります」
思い詰めた声で、朝比奈さんは言った。
「あたしを抱いてください!」
262 :
5-409:2006/06/03(土) 03:19:14 ID:dljKkGIx
テトの攻勢前のダナンのような沈黙が落ちた。
「どういう事ですか」
朝比奈さんは泣き出しそうな声でぽつぽつと語った。
朝比奈さんの上司のような人(禁則事項)から俺と性的な交渉を持て、と指令が来たこと。
理由は極秘、さらにそれはなるべく過激な行為がいいこと。
なるべく相手(俺だ)の同意を取り付けること。
今回の件は強制コードなので、拒否は不可能なことなど。
「だから、キョン君が断っても私はそうなるようにしなければいけないんです……」
「俺が絶対嫌だって言ったらどうなるんですか?」
「強制的な手段を……」
「……」
どんな方法なんだろうね。薬でも使うのか?
「お願いです」
そう言われても。
「まだあたしは強制コードで行動していません。今キョン君が断ったらあたしは自分の意志とは関係ない形で行動するようになります。そういう風に条件付けされていますから」
ひどいな。
「だからお願い。抱いてください。私の意志で動けるうちに」
朝比奈さんはもう完全に泣いていた。無理もない。
「涼宮さんはしばらく帰ってきません。そうしましたから」
「わかりました」
これで断ったらもう男じゃないよな。性的な意味でも。
「……ありがとう」
「ところで一つ聞きたいんですが」
「何でしょう?」
「何で体操服なんですか?」
「ええと、鶴屋さんに相談したらこれがいいって」
はあ?
「男性にアプローチするとき、あたしならどんな服装がいいか聞いたんです」
はあ。
「そうしたら『みくるはおっぱいもお尻も大きいからぴちぴちのブルマーで迫れば一発さっ!』って」
……鶴屋さんあなたなんてことを。冗談だったんでしょうけど。
「具体的なことが分からなかったんで学校の帰りにビデオ屋さんで聞いてみたんです」
どこのですか。
「商店街の外れのいっぱいのぼりが店の前に立っているところ」
それアダルトビデオの専門店ですよ、朝比奈さん。
「お店のおじさんに聞いたらこれがいいんじゃないかって出してきてくれたのが何本かあって」
あの親父なんてことしやがる。
263 :
5-409:2006/06/03(土) 03:19:59 ID:dljKkGIx
朝比奈さん妙に生真面目だからなあ。それが悪い方に働いちまったか。
「ビデオでやってたことは全部出来るようにがんばります!」
朝比奈さんは胸の前で両手の拳を握りしめた。
いや、だから。
何か意欲が壮絶に空転してるよなあ、この人。それと胸が(物理的に)あふれてますよ。
「お願いします……」
何か覚悟したように朝比奈さんは俺にお辞儀をする。可愛いけど何かずれている。
朝比奈さんは体操服を胸の上までまくり上げた。圧迫されていた胸が飛び出す。
ブルマーに手をかけ、ゆっくりとずり下げる。
片足を抜き、下着ごと片方の膝に引っかけたまま朝比奈さんは後ろを向いた。
目眩がした。
……
目の前に白い尻がある。
朝比奈さんの尻だ。
部室の机に両肘を曲げて置き、上半身をかぶせるように前屈みになっている。
赤いブルマーが下着ごと片足の膝に引っかかっている。赤いブルマーと対照的な朝比奈さんの白い尻。
俺は朝比奈さんの尻に手を伸ばす。
慈しむかのように両手でなでる。
「あ……」
朝比奈さんは、ぴくりと尻を震わせる。
俺はかがみ込み尻にキス。
朝比奈さんの尻からは化粧石鹸の香りとブルマーで蒸れた汗の匂いがした。
右手を前から差し込み、秘裂に指を這わせる。ごく浅い茂みをかき分け、鋭敏な中心を指で摘む。
「ああああっ!」
とたんに朝比奈さんは大きく腰を震わせる。
そうっと中指を指し込む。中を優しくこすりあげる。
「はあっ……」
熱い。無意識なのだろう、朝比奈さんの中が俺の指を強く締め付ける。
左手で体操服からはみ出た豊かな胸を刺激する。手のひらからあふれそうなボリューム感。
この胸をオカズに何人の男子生徒が抜いたことか。……俺もその一人だがな。
指の間で柔らかなそれをもてあそぶ。硬くなった乳首を指で挟む。
「ね、キョン君、あたしのおっぱい好き?……」
潤んだ瞳で振り返った朝比奈さんが聞く。声にあえぎがあるのは俺の指が中をまさぐっているせいだ。
もちろんですよ。
「うれしい」
素直に笑顔を見せる朝比奈さん。可愛いじゃないか。
264 :
5-409:2006/06/03(土) 03:21:15 ID:dljKkGIx
「おねがい、もう……」
朝比奈さんは頬を染めて視線を外す。
分かりました、俺ももう準備完了です。
俺は指を引き抜く。秘裂から流れ出た愛液が幾筋も太腿を伝う。
俺は下着ごとズボンを脱ぎ捨てる。
先端で位置を探る。
「あ……」
先端がぬめりの中にわずかに沈む。その刺激に朝比奈さんが声を出す。
快楽の期待と不安の入り交じった声。
「いきます」
俺はゆっくりと腰を進める。
「あああっ!」
全体が熱い肉に包まれた。柔らかく適度な締め付け。先端から伝わる刺激で俺は全身が震える。
「あ、ああっ、キョン君もっと動いていいんですよ?……あたしなら大丈夫ですから」
そんなあえぎながら耐えるような声で言われても。……興奮するじゃないですか。
お言葉に甘えて、俺は腰の動きを早める。
左手を腰に、右手を豊かな胸に這わせる。ぎりぎりまで腰を引き、一気に突き挿れる。
「はぁっ!」
耐えきれないように朝比奈さんの声も荒くなる。俺の腰の動きに合わせて甘い声が混じる。
俺は両手を朝比奈さんの尻に回す。大きく肉をつかみ広げる。
興奮に蠢く菊座が見える。俺が突き挿れると朝比奈さんがあえぎ、菊座も収縮する。
凄まじくエロチックな眺めだ。
俺は尻をもてあそぶかのようにこね回す。
「あっキョンくぅん……お尻で遊ばないでぇ……」
そんなこと言われると……もっと遊びたくなるじゃないですか。
朝比奈さんの中の肉が俺にまとわりついてくる。
腰を引くたびに朝比奈さんの中から湧き出る白濁した愛液と、盛り上がる肉がいやらしく粘つくような音を立てる。
さすがにもう限界だ。
「ああっ、キョン君おねがい中に出して……大丈夫だから……」
え、朝比奈さん?
「本当に大丈夫、おねがい……」
俺はもう、それに返答する余裕すらなかった。
わき上がる快感に身をゆだねる。腰の奥から全身を揺るがす刺激。
「朝比奈さん」
「うん、出して……」
俺は思いっきり突き込む。朝比奈さんの奥がひくひくと収縮する。同時に俺は射精した。
「ああああっ!」
朝比奈さんは声を上げる。俺の先端から放出された精液を朝比奈さんの奥がが逃すまいと吸い上げる。
265 :
5-409:2006/06/03(土) 03:21:57 ID:dljKkGIx
放出された精液が中を満たす暖かさと、朝比奈さんの中の動きが途方もない快感を生み出す。
俺は朝比奈さんの体を後ろから抱きしめる。
朝比奈さんの中はひくひくと何度も痙攣するように俺を締め上げた。
俺は朝比奈さんの唇をおもいっきり貪る。朝比奈さんもまた舌を絡めてきた。
朝比奈さんの豊かな胸をまさぐりながら俺は放出した。
ゆっくりと俺は朝比奈さんの中から引き抜く。
今出したばかりだというのに萎える気配すらない。水音を立てて抜かれた俺の先端から、白い粘液がたれる。
朝比奈さんは机に体を預けてあえいでいる。
朝比奈さんの中から流れ出た俺の精液が愛液と混じり合い、床にしたたり落ちる。
「……キョン君、まだ大丈夫でしょう?」
ええ、まだ余裕がありますが。
「……後ろ使って」
え。
「ビデオで見たの。男の人ってお尻の穴使うの好きなんでしょう?」
あ、ああ朝比奈さん。
「ええと、大丈夫。後ろきちんと洗浄してきたから。ちょっと大変だったけど。えねま何とかって言う器具」
恥じらいながら言う朝比奈さん。
俺は一人で腸内洗浄している朝比奈さんを想像してぶっ倒れそうになった。
ビデオ屋の親父、朝比奈さんになに見せたんだー!
「嫌じゃなかったら……」
まだ荒い息をつきながら朝比奈さんは両手でお尻を広げて突きだした。
さっき俺が放出した精液が朝比奈さんの中から流れ出ている。
その上でひくひくと蠢く朝比奈さんの肛門。
……俺はふらふらと朝比奈さんの尻に手をかけた。
「そうっとね、初めてだし」
垂れた粘液をすくい上げ朝比奈さんの菊座に塗りつける。蠢くそこに俺は先端をあてがった。
「挿れますよ」
「うん……来て」
ゆっくりと腰を進める。強い抵抗があり、それがつるりと抜けた。
「あああああっ!」
……入った。
中は前よりも緩やかだが、入り口の締め付けが強い。根本を輪のように締め付ける感触。
たくし上げられ、背中が剥き出しになった体操服。そこから流れる優美なライン。
豊かな胸が朝比奈さんが動くたびに揺れる。
ACコブラやディーノ206GTすらこの曲線美にはかなわないだろう。
背中から下へ向かうラインが広がり、柔らかに膨らむ。その末端に俺の肉棒が突き立った朝比奈さんの肛門がある。
「はっ、はあっ……」
266 :
5-409:2006/06/03(土) 03:22:56 ID:dljKkGIx
荒い息をつく朝比奈さん。
「大丈夫ですか」
「うん、ゆっくりなら痛くないし。ね、動いて……」
俺はゆっくりと動く。いったん引き抜き、またつるりと挿れる。
「あっ……」
その出入りする動きが快感に繋がるらしく、朝比奈さんが声を上げる。
俺は粘液に濡れた朝比奈さんのクリトリスを刺激する。
「あっ、そんな急に」
そのとたん後ろの締め付けがきつくなった。
俺は朝比奈さんの尻を大きく広げ、先端を擦るように出し入れする。
「ああっ、キョン君もうあたし駄目……」
「ええ、また一緒にイきましょう」
俺は朝比奈さんを気遣いながら動きを早めた。
限界だ。
「イきます」
「うん、出して……」
俺は朝比奈さんの直腸に思いっきり射精した。
俺を強い締め付けが襲う。その刺激にまた俺は射精する。
「んんんっ!」
歯を食いしばって耐えるような声を出す朝比奈さん。俺は尻から手を放して小柄な朝比奈さんの上半身を強く抱きしめた。
朝比奈さんの中はあまりにも心地よく俺は体を離すことが出来なかった。
それが悪かった。
ドアががたがたと音を立てた。
「あれ、鍵かかってるわよ」
うわ、ハルヒだ。
「あ、朝比奈さん」
「えええっ、まだ戻ってこないはずなのに」
あわてて体を離し服を着ようとする俺達。
だが、間に合わなかった。
「あら、有希あなたどこにいたの?」
ハルヒが長門に話しかけている。
「え、開くの?」
その声と共にドアが開けられた。
入り口に立っているハルヒと長門。
体操服を胸の上までたくし上げ、おっぱい丸出し、膝にブルマを引っかけて立っている朝比奈さん。
ちんこ丸出しで突っ立っている、俺。
床には俺が出しまくった精液のしずく。
ハルヒは目を思いっきり見開いて俺達を見た。
次に血の気が引き顔面が蒼白になった。まずい、倒れたりしないだろうな。
しかしそれは杞憂だった。
引いた血の気が瞬く間に戻り、激怒の表情になる。
うわ、やばい。
どかどかと足音を立てて入ってきたハルヒは俺のネクタイをつかみ、ドスのきいた声で言った。
「説明しろ」
しなさい、で無いところが怖い。
「あああ、あのあの涼宮さん……」
殺気、と言うより殺意のこもった視線を朝比奈さんに向けるハルヒ。
朝比奈さんはその視線を浴びて、沈黙。
俺は高価な魚雷はたくさんあるのにバッテリーを直結する針金が見つからない潜水艦乗組員の気分で周囲に助けを探した。
長門と目が合う。
長門助けてくれ。
長門は俺をダークマターのような目で見つめていった。
「修羅場」
267 :
5-409:2006/06/03(土) 03:25:11 ID:dljKkGIx
終わりです。
前作とシチュエーションは同じです。
時系列も同じ。
続きではなく、同じ時間に起きた別の話ってとこです。
でも今回のオチだったら世界改変決定ですね。
同じシチュだったら書きやすいけどバリエーションにしかならないというのも分かりました。
実用性一本勝負!(ヲイヲイ)
どんなもんでしょうか。(特に8スレ806へ 感謝)
ごめんね
>>256
修羅場ktkr!!
>>247 そうだっけ? 素の時は「あたし」で、かしこまった場では「私」とか?
>>257 ちょwww追い討ちwww
しかし、君もエッジかつニッチな趣味してるよなw「甘美な果実」てw
>>267 GJ! ビデオ屋の親父は良い仕事したなwおかげで世界が終わりそうだがw
270 :
8-343:2006/06/03(土) 03:30:01 ID:aE4rtobA
GJでした。そして多大な迷惑おかけしましたorz
これからはちゃんと予告入れて投下するよう心がけます。
では気を取り直して、
>>267氏のエロまでとはとても及ばない駄文を投下しときます。
>>255からの続きで
272 :
8-343:2006/06/03(土) 03:31:03 ID:aE4rtobA
早々と着替えを済ました俺は、リビングでハルヒに渡された浮き輪を膨らまし、
完成した頃に古泉がやってきて、二人揃って砂浜に向かう。
既にハルヒ達は、広いビーチでイベントをおっぱじめている。
「ほらっ!みくるちゃん、そっちじゃなくて左よ左!!あぁ、もう!もうちょっと右、そうそう!そのまままっすぐ!!」
ハルヒが目隠しで、棒を持った朝比奈さんに後ろから声をかけている。
朝比奈さんは「ふ、ふえぇ」と可愛らしい声を出しながら、その辺の砂にぺちぺちと棒を振りかかっている。
「みくるっ、あぁ、ちょいと前へいくんだっ!!あーあーダメダメ。もうちょっと下がっっちゃって!そこっ、そこだっ!」
隣でハルヒ並みに元気な鶴屋さんが、声をかけている。
今更だが、何をしているかは誰でもわかるだろう。今朝比奈さんはスイカ割をしているのだ。
「ふえぇっ、ここですかぁ?え、違うんですかぁ?じゃあ、はい、ちょっと後ろ・・・」
と、言われるままに朝比奈さんは移動するが、どうも数メートル先のスイカの場所まで行けていない。
これじゃあいつになってもスイカは割れんぞ。
と思いながら、パラソルの下でいつもと変わらず読書をしている長門の隣に腰掛ける。
「なぁ、長門」
すると長門は少し顔を傾けて、
「なに」
頼みがあるんだが、いい加減朝比奈さんのスイカ割を成功させてくれないか?
かれこれもう20分ほど、朝比奈さんはスイカの周りをくるくる円を描くように廻っている。
これでは埒があかない。
長門は朝比奈さんを見て、
「わかった」
と言うと、俺では聞き取れないようなスピードで、宇宙的情報操作能力を唱えだした。
「これでいい」
と長門は、言い終えると、また本のほうへ目を落とす。
273 :
8-343:2006/06/03(土) 03:32:06 ID:aE4rtobA
すると、朝比奈さんは、吸い込まれるようにスイカのほうへ歩んで行く。
「え?あれっ?ぼ、棒さんが勝手に、はわわっ」
と言っている。どうやら察するに長門は棒の情報操作をしたようだ。そうだろ?長門よ。
「朝比奈みくるが所持している木材へ、地面に置かれた果物に値するものへの誘導性
付加を与えた」
つまり朝比奈さんが持つ棒が勝手にスイカを叩くということだ。
こくりと長門は数ミリ頷いた。
ぼごっという低い音と共に、朝比奈さんの叩いたスイカが見事に包丁で切り分けたように、
7等分されている。ここまで計算していたのか長門よ。
歓喜するハルヒと鶴屋さん達と共に、何が起こったかイマイチ把握できていない朝比奈さん、古泉、長門、妹とで、割れたスイカを分けて食べる。
うぅむ、やはり夏といえばスイカだな。
その後、ハルヒの号令で各自自由行動となった。
妹は砂でトンネルを何故か朝比奈さんではなく、古泉と掘り下げている。
長門はパラソルの下で読書を嗜み、鶴屋さんとハルヒは何やら水泳競争だとか言って、
目の先に見える、小さな小島まで泳いで行くのが見えた。
おいおい、もうあんなに小さくなってぞ。どんな運動神経の持ち主だあの二人は。
さてさて、俺はどうしたものかな。別荘で昼寝という手もあるな。
等と考えていたら、肩をちょんちょんと小突かれる。
振り向くと、そこには麗しき朝比奈さんが立っている。何やら俯いて、言いにくそうな表情をしている。
274 :
8-343:2006/06/03(土) 03:32:52 ID:aE4rtobA
「あぁ、朝比奈さん、どうかしたんですか?」
まさか、今から時間移動とか言わないでしょうね。俺は目の前の朝比奈さんと、未来の朝比奈さんに心の中で言った。だが、俺が思っていたほどのことではなかった。
「え、えっと、その、あの、キョンくんに、ちょっと、お願いが・・・・」
はいはい、何でしょう。朝比奈さんのお願いとあれば、ここから泳いで佐渡島まで行ってもかまいませんよ。多分途中で溺死しますが。
「い、いえ、そんな大それたことじゃないんですけど・・・・その、泳ぎを教えて欲しいんです」
え?あれ、朝比奈さん泳げなかったんでしたっけ。
「はいー、少々泳ぐのは苦手で・・・・その、キョンがもしよければなんですけど」
いえいえ、俺では少々役不足かもしれませんが朝比奈さんのためなら、何のその。
一日でバタフライができるような勢いでお教えしますよ。
実際バタフライなんてできないけどな。せいぜいクロールと平泳ぎか犬掻きしかできんぞ俺は。
「本当ですかぁ?ありがとうございます」
朝比奈さんは嬉しそうに微笑んで、俺の手を引いて海の中へ足を浸けてゆく。
おぉう。日本海の海って思ったよりも冷たいんだな。知らなかったぞ。
肩まで浸かるのに少々時間をかけ、早速、俺の水泳演習が行われた。
えっと、朝比奈さん。泳ぎ方に種類があるのは知ってますか?
一応聞いてみる。まさかとは思うが、泳法に種類があるのは知っているだろう。
そう俺は思っていたのだが、朝比奈さんは首を傾げて、
「えっとぉ、ビート版というゴム製の板に手を置いて、足を交互に振るんですよね?」
確か歴史書にはそう書いてあったような・・・・等と言っている。だめだ。未来の歴史の教科書はどうやら嘘を書いてらっしゃる。
このお方には水泳という言葉と、泳法の種類はそれほどの知識しかないようだ。
要するに無知なのだ。困ったぞこれは。
それに朝比奈さんのこの運動神経では、息継ぎさえもできそうにないぞこりゃ。
俺はどうやったら簡単に朝比奈さんが泳げるようになるかを、妹が作ったトンネルをさざ波に崩されてしまうまで考えてみた。
275 :
8-343:2006/06/03(土) 03:33:33 ID:aE4rtobA
とりあえず俺は、小学生の頃に習ったクロールによる息継ぎの仕方を伝授することに決めた。というか、これが一番オールマイティで泳ぎやすい泳法だと思う。
平泳ぎもどうかと思ったが、流石に朝比奈さんが平泳ぎしている所を想像する。
俺は2秒で割愛することに決定した。
「では、これより朝比奈さんにクロールのやり方を教えます」
と俺が言うと、朝比奈さんはぺこりと一礼して、
「あ、はぁい。よろしくお願いしますね。キョンくん」
そして俺はクロールのやり方を一通り分かりやすく、朝比奈さんに説明した。
勿論俺の実演をやって見せた。
当の朝比奈さんは、俺の泳ぐ姿を真剣な目で観察している。
いつぞやのメイド姿の森さんをずっと観察していたような目つきだ。
一通り泳ぎ終えた俺は、朝比奈さんの下へ行く。
「キョンくんすごいですー。こんな塩水の中を自由自在に移動できるなんて」
いや、大抵の人間はこういうことができて当たり前なんですがね。
「はい、朝比奈さん。そこで息継ぎを、そうです。はい、また足を・・・」
「ぷあっ、ひゃ、ひゃあい、ぷぅっ」
今の現状を説明しよう。
俺は朝比奈さんの手を握り、引っ張っている。引っ張られている朝比奈さんは、
俺の合図で顔を水面から右を向いて上げ、息をする。
そしてまた俺の合図で水面に顔を浸して、足をバタつかせる。
息継ぎをする度に顔を左右にわけ、クロールの息継ぎ感覚で、練習をすることに。
とりあえず初歩中の初歩から始めることにした。
日頃、努力家な朝比奈さんであったお陰か、30分もすれば、朝比奈さんは息継ぎの
コツを掴み、俺の合図ナシでもできるようにまで発展した。
276 :
8-343:2006/06/03(土) 03:34:18 ID:aE4rtobA
しかしそこで事件は起きた。
朝比奈さんが、ようやく俺が引っ張らなくても、クロールができるようになった頃だ。
ちょっと大き目の波がやって来て、海に浸っていた俺と朝比奈さんは波に揉まれた。
たいした波ではなかったのですぐに顔は出せたのだが、朝比奈さんの顔が見当たらない。
もしや溺れてしまったとか、おいおい、くだらん冗談はないだろうな――――。
俺が慌てふためいていると、俺の数メートル先に朝比奈さんがぽっかりと顔を出す。
はぁ、と俺は一安心して胸を撫で下ろしていると、
「ぷぁ、ちょっと波に煽られちゃいまし―――きゃぁっ!!」
俺は何事かと思い、再び朝比奈さんのほうを見る。
「きゃあぁあ!キョンくんこっち見ないでぇ」
朝比奈さんの姿を確認した俺はすぐ後ろを向いた。
何故かというと、無いのだ。朝比奈さんの着けていたビキニが。
「ふぁあぁ、どこー。どこいっちゃったのぅ?」
朝比奈さんは胸元を隠して、水面に漬かりながら周りを見渡している。
俺は鼻血の出そうな衝動を抑えつつ、朝比奈さんのビキニがどこかに浮いてないか探す。
「おや、どうかされましたか?」
と、声のするほうを向くと、妹と砂遊びをしていた古泉が、スマイルで何事かとやって来た。
しかも俺のほうではなく、何故か朝比奈さんのほうへ歩みよる。おい、古泉今の状況を把握してそっちに行ってるのか――――。
「ふぁ、古泉くん。こっちこないでぇ」
俺が制止する前に、朝比奈さんはびっくりしたのか、あろうことか俺の背後に寄ってきて、古泉からの視線から逃れようと俺の背中に隠れて朝比奈さんはたわわな双丘をぴったりとぉぉおぉお?!?!
「おぅはぅあ!あ、あああ朝比奈さん!!む、胸がぁあああ!」
「み、みないでぇ〜。キョンくん何とかしてぇ」
俺は顔を真っ赤にしながら、今の自分の状況を朝比奈さんと古泉に叫ぶ。
古泉はやっと今の状況を理解したのか、視線を反対に向け、朝比奈さんのビキニを探し出す。
俺にくっついていた朝比奈さんも、自分の状況に気づいて、恥ずかしそうにまた水面まで顔を浸して、胸を隠す。当然顔も真っ赤だ。
まじで勘弁してくれ。ある意味幸せだったが。
ググググゥレイト!今日もこんな時間まで起きてた甲斐があったぜ!!
>>267GJ!
>>262 >テトの攻勢前のダナンのような沈黙が落ちた。
なぜかラグーン商会のインテリな黒人を思い浮かべた・・・
279 :
8-343:2006/06/03(土) 03:34:47 ID:aE4rtobA
その後、砂浜まで流されていた朝比奈さんのビキニを見つけた妹が、泳いで朝比奈さんに渡して、一連の事故は無事に終了した。
その後、しばらく朝比奈さんは俺にごめんなさいを連発していたが、むしろ謝りたいのは俺のほうですよ、と何度も慰めた。
いくらか時間が経った頃に鶴屋さんとハルヒが遠泳から帰ってきて、やれ無人島があった、
これ洞窟があった等と、またまたハルヒに絶好な獲物を引き連れて帰ってきやがった。
気づけば夕方だったので、俺たちは別荘へ戻った。
その日のみだったのだが、別荘に入った後、朝比奈さんが俺と目を合わす度に俯いたり、話かけようとしても避けられていたので、勘ついたハルヒに何度も何があったのか説明しろと追求されたのは言うまでもないことだ。
まぁ、寝る前に朝比奈さんに
「今日はごめんなさい、そして泳ぎを教えてくれて本当にありがとう」
と言ってくれたので、心のつっかえは一応取れた。良かった良かった。
勿論古泉には口止めしておいたぞ。念のためにな。
続く
>253氏
>254氏
共にGJ!これでやっと寝れる…
>>267 ていうかダークマターな長門さんKOEEEEEEEEEEEEEEE!
何気に「説明しろ」なハルヒよりも怖いんじゃなかろーか……。
>>270 GJ!
古泉に対する口止めがどの程度の効力を持つのかが気になるw
>>253 あなたの素晴らしい作品のおかげで、ただの寝取られスキーの私が、寝取られ尻スキーに転向できそうです。
本当にありがとうございました。
>>282 一々寝とられ好きって言わなくてもいいんじゃない
別にあなたのおかしな性癖をなんども聞きたくないし
寝とられに全く関係ないSSだったしね
普通に僕もお尻好きになりそうなくらい良いSSでしたでいいんじゃない?
>>282 ちょwwwおまwwwwww余計に酷くなってるじゃねーかwwwwwwwww
……まあ、何だ。マイノリティであることは全然かまわないとは思うんだけども、
マイノリティであることを無闇にアピールされるとリアクションに困る事も多いから、
そこら辺は気をつけたほうがいいと思うんだ。
>>283 そんな心から怒るんじゃなくて幼馴染が照れ隠しで怒っている感じで頼む。(←杉田智和声で)
……でも、確かに見知らぬ人の性癖なんか聞かされても困るよなw
>>282 寝取られがすきなのは別に構わないけど特にリクを受け付けてる人がいるわけじゃない
寝取られ物を書きたい、書いた人がいるならあんたがリクしなくても投下してくれるよ
俺はNTR嫌いじゃないがマイノリティである以上声を大きくせず投下されるのを待て
荒れる原因にもなりかねないし本当に作品を待っているならそれは望むところじゃないだろう
読みたいものがなければ自分で書く。それが二次創作の基本だ!
>>286 うむっ! まったくだ。元々、二時創作とはそこから生まれてきたのだからな!
以下、何事もなかったかのように。
↓
ここを見ていたら俺も何か書きたくなってきた。
というか昨日ネタを思い付いたんだが起きたらすっかり忘れたorz
思い出したら投下しようと思います。
おお!念願のみくるんアナルが投下されてる!
>>5ー409
なんつーか、もう、サイコーです!おかわり!
290 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 08:24:50 ID:Y9vNT319
>>168 >>200 激しくGJ!!
けどどうしよう。かぶった。
SOS団精神転換のSSが出しづらいw
精神転換面白かったよ!
是非投下して下さい
292 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 09:03:14 ID:8Oxyqb8O
>>274 >>いえいえ、俺では少々役不足かもしれませんが朝比奈さんのためなら、何のその。
つまらない揚げ足取りで悪いが、この場合の「役不足」は誤用、「力不足」「役者が不足」が正解
ちなみに「役者不足」という言葉も誤り
スマン下げ忘れた
相変わらずとどまることを知らないスレだなあ(褒め言葉)
職人さんGJ!
>>290 ナカーマ(AAry
『キョンがハルヒでハルヒがキョンで』は俺も考えてた。
キョンになったハルヒが男の性欲に耐えられなくなって
ハルヒになったキョンを無理やりトイレに連れ込んで
「いい、これはオナニーよ。本番じゃないの!」と言って自分の体を犯すようなヤツ。
295 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 11:09:37 ID:Y9vNT319
え〜、
>>290のモンですが、
とりあえず半分ほど出来たんで投下します。
296 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 11:10:20 ID:Y9vNT319
朝、目が覚めたら、俺は変な所に居た。
別に場所自体が変なワケではない。
白を基調とした内装。
シックなパイプのベット。
小洒落たテーブル。
掃除が細部まで行き届いた床。
まるっきり俺の部屋じゃないんだ。
いや、汚い綺麗の違いでもなくてだな。
部屋自体が違うんだ。寝たままの俺を運んだとしか思えん。
・・・とりあえず、起きるか。
俺はベットから体を起こした。
ふと、壁に掛けられた鏡に目が行く。
「・・・嘘・・・だろ・・・?」
笑えない冗談だった。
鏡に映っていたのは、
写真に撮っておきたいぐらい驚愕した、
古泉一樹の顔だった___。
「涼宮ハルヒの鎮魂歌」
297 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 11:10:58 ID:Y9vNT319
・・・・・・・・・。
どうやらここはマンションらしい。
外に出て確認したが表札も「古泉」と書かれていた。
考えられることは一つ。
俺が古泉になっている。
正確には、精神が乗り移った、というのだろうか。
「シャレになんねーな。ちくしょう」
普段からは考えられんような古泉の声が聞こえ、げんなりする。
・・・・・・おそらくはハルヒ。あいつだ。
どうせなんか精神転移とかしちまう小説か漫画でも読んじまったんだろう。
で、そのハルヒへの可哀想な生贄が俺。
ということは、本当の俺は古泉の精神なのか?
妹に「おはようございます」とか爽やかに言う俺を想像し、さらにげんなりする。
とにかく、学校に行かなければ。
長門ならきっと何かしてくれるに違いない。多分。
298 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 11:12:00 ID:Y9vNT319
幸いなところ、このマンションは俺の知覚射程距離内であり、学校に行くのは特に苦ではなかった。
しかし、問題はこの後だ。
がらり。
教室に入り、俺の机の前まで行った所で、気付く。
・・・しまった。今の俺は古泉なのだ。
古泉である俺は9組に行くべきだ。
「何やってんの?古泉君。」
「おう、ハル・・・いや、涼宮さん、おはようございます」
危なかった。
古泉はハルヒに「おう、ハルヒ」なんて言わん。
というか、俺は古泉である以上、誰に対してでも敬語でなければならないのか。
めんどくさい設定してるぜ、古泉よ。
「・・・?・・・で、5組に何の用なの?」
「・・・いや、キョン君に用があったのですが・・・、いないようなので結構ですよ」
「なんか変よ?熱でもあるの?」
カンのいいやつだ。
「い、いえ、失礼します」
俺は足早に教室を去った。
299 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 11:12:43 ID:Y9vNT319
俺はトイレで一人鏡を見つめていた。
鏡に映るのはやつれた顔の古泉。
「はあ・・・」
地獄だった。
誰に対してでも敬語を遣い、常に爽やかな笑顔でいる。
こんなにツラいことを毎日やってんのか、アイツは。
そして女子に妙にモテる。
このルックスなので意外とは思わないが、自分でもないのにきゃあきゃあ言われるのは腹が立つ。
終いには、「今日の古泉クン、変よ?」などと言われ、トイレに避難するに至った。
・・・今更だが、どうやらハルヒはハルヒのようだ。
このまま犠牲者が俺(と古泉?)だけなのを祈る。
ぶにゅう、と頬を引っ張ってみる。
おお、レア古泉だ。
ぺちゃん、と今度は頬を潰してみる。
・・・・・・!
たまらん、シュールすぎるぜ、この顔。
「あまり僕で遊ばないで欲しいですね」
振り返ると・・・、俺が笑って立っていた。
ニヤケ顔がむかつく。
・・・いや、結局自分の首を締めてんのか。
「・・・古泉か」
「そういう僕はあなたのようですね。キョン君」
300 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 11:13:42 ID:Y9vNT319
「どうやらこの状況は涼宮さんの起こしたもので間違いないでしょう」
俺もとい古泉は人差し指をついっついっと振る。
なんか自分と話しているのも変な気分だ。
で、いったいどうするんだ。お前として一生生きるのなら俺は死を選ぶぞ。
古泉は肩をすくめる。
「とりあえず長門さんに話をつけてみましょう。彼女ならなんとかしてくれるはずです」
・・・結局はそれか。
致し方ないが、困った時の長門頼みだ。
頼りにしてるぜ、長門。
「まあ、元に戻るまではあなたの生活を楽しむとしましょうか」
古泉は呑気にもそんな事を言いやがる。
まさかとは思うが、そのキャラで通しているんじゃなかろうな。
「まさか。素の僕に戻れたようで気が楽でしたよ」
そういや前にコイツの性格は偽りだとかなんとか本人の口から聞いたな。
というか、コイツは日常的に自分を偽ってるのかよ。考えれんな。
「ですが、涼宮さんに隠し通すのは難ですね。ひやひやしました。彼女の洞察能力には脱帽モノです」
古泉はそう言うと5組の教室に戻っていった。
俺は長門に希望を掛けて、気長に放課後を待つことにした。
301 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 11:15:53 ID:Y9vNT319
・・・・・・とりあえずここまでで。
続きは後日かな?
処女作なんで不安ですな。
302 :
小ネタ:2006/06/03(土) 11:18:00 ID:m86wEfNT
緑色のバケモノが俺に迫ってくる。
俺はすかさず携帯していた小型銃をワームに向けて撃つ。
「く、くそ、こっち来んな!」
一発、二発と俺が放った弾丸がバケモノにめり込んでいくが、
このチャチな銃が効くわけも無く徐々に追い詰められる。
このままでは殺される。そう思った俺はカブトに変身した少女の方を向き
「頼む長門、こいつを何とかしてくれ!」
と情けない声で助けを求めた。
長門なら、長門ならきっと助けてくれるはず。そう俺の思考は訴えていた。
しかし返ってきたのは予想もしなかった言葉だった。
「私はあなたのトモダチではない」
何を言ってるんだ長門、今までならすぐに助けてくれたじゃないか!
「私を頼らないで」
そ、そんな……俺じゃあワームを倒せないって。
そんなやり取りをしてるうちに俺の逃げ場は無くなっていた。
このままじゃ、本当に殺されてしまう。またしても俺は長門の方へ視線を向ける。
ワームを簡単にあしらってるが、完全に俺は無視されてしまった。
く、くそ、だったらやってやろうじゃないの!
「うおおおお!」
俺の咆哮とともに小型銃はうなりをあげる。
効くわけない、けどやるしかない!そう思った矢先であった。
『rider kick!』
軽快な機械語とともにカブトがワームを蹴り倒す!
「そう。それでいい」
「な、長門……?」
「あなたは私の戦友(とも)」
おっしゃる意味が良く解らないのですが。
「今度、家に来て」
「はい?」
「カレーを出す」
仮面ライダーナガト『超能力メイクアップ』 続かねえ。
303 :
勘違いスマソ:2006/06/03(土) 11:25:44 ID:m86wEfNT
>>296 GJ!
素の古泉とやらはアイシールド21の水町のようなイメージもあったけど、
キョンのような枯れ系を想像。アリかもしれん。続き期待しとります。
>>296 同性同士の入れ替わりは何となく安心感があって良いね
今後の展開にwktk
アニメの影響で、あの古泉のオーバーアクションな身振り手振りで語るキョンが明確に想像出来てワラタw
思うように書けないのでムシャクシャしてやった。特に反省していない。
「よく来た。キョンよ。わしが王の中の王、竜王だ。わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを…。もしわしの味方になれば世界の半分をキョンにやろう。どうじゃ?わしの味方になるか?」
そんなもん答えるまでもないと思うが、とりあえずはっきりと断っておいた方がいいだろう。だが俺が口を開く前に、
「あんたみたいな偉そうなやつの味方なんてお断りよ。さっさと光の玉をよこしなさい!」
おいハルヒ、勇者は俺だぞ。つーか、竜王の額に青筋が浮かんでるように見えるのは気のせいか?
「何よ、あんたが遅いから代わりに返事しただけじゃない。それとも、まさかこんなやつの言うこと聞く気だったの?」
安心しろ、それはない。お前を敵に回すくらいなら、世界を敵に回すほうがまだマシというものだ。
「愚か者め! 思い知るがよい!」
かくして、戦いの火蓋は切って落とされた。結果? そんなもの言うまでもないだろうよ。大体、ダメージ与えてたのは勇者の俺じゃなくてハルヒだぞ。そんな囚われの姫が他にもいたら見てみたいね。
>>305 キョンの部屋でファミコンを発見したハルヒが懐かしいわねとか言って
ドラクエTをするんだけど、勇者に助けられるというシチュに憧れて
そしたら改変起こって、キョンが主人公、ハルヒがローラになって、キョンに助けてもらって、
そのまま一緒に宿屋行って、「ゆうべは おたのしみでしたね」なSSきぼん
>>296GJ!この後の展開に期待してます!
あと、他スレの人に割り込まれないようにsage投下を推奨しますよ
>>307 君なら書けるとおもうんだ
>>282-285 マイノリティは何事も無くスルーされるものだと思っていた。
今は反省している。
>>296 古泉ならわりと簡単に成り代わりを画策しそうでwktkですよ。
続き楽しみ。
続きが投下できるようになった。最終チェックをするからもう少し待ってくれ。
「こんなの長門じゃない」とか「もっと修羅場にしろ」とか「日本語じゃねぇよ」
など思うかもしれないので、見たくない人はスルーしてくれ。
>307
キョンがなかなか来ないので待ちきれなくなってドラゴン惨殺→キョン強制連行
沼地でもいきなりロトのよろいを発見したり、よろいは重いからキョンに着せて、
自分は剣一つであらわれる敵をかたっぱしからなぎ倒す。
ラストは「いいえ」を選んでも無視されていきなりエンディングに。
月曜日の放課後、俺は部室へと向かっていた。
――結局あの後、特に変わったことはなかった。
午後の組み合わせは、俺と古泉、SOS団三人娘という、なんの面白みもないものだった。
…ただ印象的だったことがある。ハルヒと長門の間で、朝比奈さんが妙にそわそわしていたのだ。
あれはなんだったのだろうか。
そんなことを考えているうちに、部室の前に到着したようだ。コピペって便利だな。
俺はそんな謎の電波を受信しつつ、ドアをノックしようと――。
「で、話ってなんなの?」
――して、手が止まった。今の声は…ハルヒか?
俺は無性に気になり、音を立てないようにドアを開けた。
部室の中を見ると、そこにはハルヒと…長門がいた。
二人は向かい合うように、そこに立っている。
こいつらで…話?しかもハルヒの発言から推測するに、どうやら長門から持ち出したようだ。
長門がハルヒに言うこと…?そんなもん、長門のエラーのことぐらいだろう。
だがそれは、この前のデートでましになったはずだ。
それにそんなことをハルヒに言ってもどうしようもないだろう。長門はそんな無意味なことはしない。
「早く話したら?皆が来ちゃうわよ?」
「…………」
ハルヒはなかなか話を切り出さない長門に、不思議そうにそう言った。
やがて長門はゆっくりと口を開いた。――その表情には、何かに対する決意が込められていた。
「…冷静な話し合いを行いたい。まずは落ち着いて聞いてほしい」
「それはわかったわ。だから早く言ってくれない?」
ハルヒは急かすように言った。少しは待ってやれ。
長門はその言葉に答えるように、ハルヒをまっすぐと見据え――。
「私は、あなたが嫌い」
――そう…はっきりと告げた。
「――――――」
世界から音が消えたと思えるほどの沈黙。当然だろう。
俺もハルヒも、長門があんなことを言うなんて想像もできなかった。
「――え、ごめん有希。もう一度言ってくれる?」
「私はあなたが嫌い。憎んでると言う方が適切かもしれない」
もう一度断言する長門。
「あ…あなたいきなりなにを言っているのよ!?」
「私は話の前に、落ち着いて聞いてほしいと言った」
「ふざけんじゃないわよ!いきなりそんなこと言われて、落ち着いていられるわけないでしょ!?」
長門の無表情で言われた言葉に、さらに激怒するハルヒ。
「話があるからって聞いてみたら、人のことを嫌いだの何だの…、
有希はあたしを馬鹿にしてるの!?」
「そのような事実はない。ただ私は自分の意思を伝えただけ」
「それが馬鹿にしてるって言うのよ!いいかげんにして!」
すでに爆発しているハルヒに対し、あくまで淡々と述べる長門。
――なんなんだこれは…。何がどうなっている。
「だいたいね!あたしの何が不満だって言うの!?理由を言いなさい!理由を!」
ハルヒは怒鳴りながら長門に尋ねた。それは俺も知りたい。
長門はあの時、エラーは減少してしばらくは問題ないと言っていたはずだ。
くそ!やっぱり俺じゃ力になれなかったのか!?
「どうしたの!?早く言いなさいよ!それとも言えないようなくだらない理由なの!?」
長門はハルヒのその言葉に反応し、ハルヒを睨んだ。
...
――そう、睨んだ。長門はその時はっきりと、自分の意思をあらわにしていた。
「くだらないことなどではないっ!!!」
――長門は初めて、自分の怒りを叫んだ。錯覚だろうか?俺にはその時の長門が――、
――あの世界での…ただの人間であった長門と、ダブって見えた。
「んなっ――!?」
長門の怒声に、ハルヒは一瞬あっけにとられ…、
「私が不満なのは、あなたと彼の関係」
長門はその隙を突くように言った。…彼?……それはもしや――。
「彼って…もしかしてキョンのこと!?ちょっと!キョンは関係――」
「ある。むしろ話の本題はそれ」
長門の一言に愕然とするハルヒ。――俺とハルヒの関係だと?
「ふ、ふん!何が不満なのかは知らないけど、あたしがキョンとどう付き合おうが有希には関係ないでしょ!?」
「確かに普通はあなたが、誰とどう付き合おうがあなたの自由」
「ほら見なさい!だいたいね――」
「しかし相手が彼なら話は別」
「――――っ」
長門は再びハルヒの言葉を切って、そう言った。
――だが長門よ。それではまるでお前が俺のことを……。
「近い将来、彼と結ばれるのはおそらく涼宮ハルヒ、あなた」
「ふぇえ!?」
なっ…長門はそんなことを考えていたのか!?奇妙な声を出したハルヒも、顔を真っ赤にしている。
「なっ…ゆ、有希!?あなたいきなり何言って――」
. . ...
「しかし…だからこそあなたの態度が納得できない」
――長門の声の質が、再び変化した。
「態度…ですって?」
「そう。あなたは将来、彼の愛を受けるだろう。今だって彼に面倒を見てもらっている」
「そ、それが何だって言うのよ!?」
「だけど――あなたは彼のために何かした?」
――最初のように冷静に話してはいるが……。
「あなたは彼のために何もしていない。それなのに彼があなたと結ばれる――」
――それは心に堤防をつくり、先ほどの憤怒を押さえ込んでいるだけで……。
「私は…っ!それが、許せない!!!」
――それが決壊してしまうのは、自然なことだと言えた。
「くっ――!!」
ハルヒが長門の勢いに押され、何も言えない。長門はそれを見逃さない。
「あなたは彼を利用して自分の不満を解消しているだけ!」
ハルヒにしゃべらせる暇さえ与えない。長門、お前は冷静な話を望んでいたんじゃないのか。
「あなたは彼を自分のためにある道具としか見ていない!
あなたはただ自分の思い通りになるものがほしいだけ――!」
「違うっ!!!」
長門の言葉を、ハルヒは全力で否定する。
「ふざけたこと言うのも大概にしときなさいよ!!あたしがキョンを道具として見ているですって!?
そんなわけないじゃない!!」
外の俺を置き去りにして、どんどんとヒートアップしていく二人。
俺はどうにかして止めようとするが、体がどうしても動かない。
「あたしはキョンに何もしてあげてない!?何言ってるのよ!!
このSOS団は誰がつくったと思っているの!?あたしでしょ!?」
「っ――!」
痛い部分を突かれ、今度は長門が口を閉ざす。確かにSOS団で楽しかったこともかなりあった。
――それに俺と長門が会ったのだって……。
「それに…あたしとキョンの関係がどうであれ、そこになんで有希が突っかかるの!?
なんで有希の許しをもらわなきゃいけないのよ!?」
「っ!私には言う権利がある!!」
「何よそれは!?たとえどんなことでも、あなたがあたしを罵倒していいわけ――!」
さらに険悪な雰囲気になっていく二人。ちょっとしたことで殴り合いになりかねない状態は――。
「私は彼と、あなた以上に深い絆を持っているっ!」
長門の爆弾発言によって、消失した。
「………えっ?」
ハルヒはその言葉に愕然とし、今までの感情はどこにもない虚ろな瞳で長門を見る。
「私はあなたの知らないところで彼との時間を過ごした!
私は彼を助け、彼は私を救ってくれた!お互いが助け合う…そんな関係を続けてきた!」
長門は今の今まで言えなかったことを、すべて吐き出す。
「でも彼と結ばれるのは涼宮ハルヒ!どうして!?涼宮ハルヒは彼に害を及ぼしている!
それなのに、なぜ彼の愛を受ける!?なぜ他の者ではない!?」
――俺には、長門がその言葉をハルヒに言っているのではなく…。
「生まれ方が…立場が違う。ただそれだけで…。私は――」
――どこかにいる、情報統合思念体に言っているように見えた。
「彼に、あれほど尽くしているのにっ!!!」
「ぁ…う……え…?」
ハルヒが見たこともない表情をして――動揺し、怯えていた。
「……そ…そんなこと…言われても。決めるのはキョン…だから……あたしは悪く…ない」
震えながら言うハルヒの声は、とても弱々しい。
――しかし長門は容赦しなかった。
「あなたは、私の彼との時間を妨害した!」
「――――!」
ハルヒは長門の怒声に、びくっと肩をすくめた。
「私が彼と二人でいる時に、あなたは横から割りこんで邪魔をした!」
「ち…違う。あたしは……有希のことを…心配して――」
「私はそんなことを望んでいない!!」
「っ!うぅ…」
「あなたは、彼と私が一緒にいることが嫌だっただけ!
それを、私が心配だからなどと言い訳しないで!!」
ハルヒを圧倒する長門。
「私はそれが一番許せない!自分のためにしているにもかかわらず、自分の気持ちをごまかし、
私のためだと言い邪魔をした!私は彼のことが迷惑だとは一言も言っていない!!」
長門がハルヒに声を荒げ、訴え続ける。――ここまで行くと、さすがの俺も理解する訳で…。
「自分の気持ちを見ようともしない…そのような状態でありながら彼に愛を与えてもらえる!」
長門のエラーは、長門がハルヒを憎むのは……。
「私はっ、それが絶対に――許せないっ!!!」
――つまり、すべて俺が理由と言う訳だ。
それがわかったのなら俺はなんとかして、この喧嘩を治めるべきだろう。しかし、どうやって…?
先ほども言った通り、俺の体はまったく動かない。くそっ、チキンか俺は。
そんな状態だった俺は、とりあえず足を動かそうとして、
――半開きだった部室のドアに、なぜか勢いよく突っ込んだ。
ガン!ビッターン!
「――そんなっ!」
「……えっ…キョン……?」
――そして俺は部室の中へ乱入した。
…いや、まずいだろこれは。
「この場に来るなんて…、予想していなかった!」
自らの失態を後悔する長門。こいつは始めから、そんなに気持ちが不安定だったのか。
そんな考えがわかったわけではないだろうが、長門は俺の方を、すまなそうな表情で見つめていた。
――長門は俺が怒ると思っているのだろうか?長門の強い意志から生まれた、必死の自己主張を…。
「…………ぃょ」
「――何?」
長門から視線を動かし声がした方向を見ると、当然そこにいるのはハルヒなわけで。
その姿は先ほどまでの空虚なものではなく……おそらく、嵐の前の静けさと言われるものだった。
「あんたのせいよ!!」
――刹那、俺の中は真っ白になった。
「あんたのせいで、こんなことになったのよ!!なんであたしが有希と喧嘩しなきゃいけないのよ!!
あんたが有希を誑かしたからこんなことになったんでしょ!!どうしてくれるのよっ、キョン!!」
ハルヒの行き場のない怒りは俺に向けられた。その大きな瞳からは…涙が零れていた。
だがこいつの言葉は間違っていない。こんなことになったのは、俺が原因だ。
「彼は何も悪くない!!」
――しかし長門はその答えを認めなかった。
「彼は私のことを誑かしていない!この事態は私の独断によるもの!彼を侮辱しないでほしい!
これ以上彼に迷惑をかけないで!!」
長門は一心に俺を庇い、ハルヒを責める。俺はどうすればいいのかわからず立ち尽くしていた。
「あっ……あたしは…有希を庇おうと……」
長門の言葉に衝撃を受けて、ハルヒは俯いてそう呟く。
「あたしは……悪くない!!そうよ、こうなったのはキョンのせい。あたしは間違ってないの!!」
ハルヒは気が動転して、自分でも何を言っているかわかっていないのかもしれない。
「そう、キョンなんかいなければ…、最初からいなかったら、こんなことには……」 ドドドドドドドドッ
その言葉に答えるように――、世界が 揺れる。
「っ!?いけないっ、涼宮ハルヒ!!それを望んでは――!!」
長門の声と表情には、焦りの色が見られた。――これは、ハルヒの……。
「キョンなんか…消えてなくなれぇっ!!」 ドオォォォォン!!
――ハルヒの能力が、発動した。
世界が作り直される。俺のいない世界へ――。
「情報…介入…改変!」
長門の必死な声が聞こえる……。――だが俺はすでに何も見えない。
俺はどうなってしまうのだろう。
…長……門――
「…………んっ…、うん?」
目を覚ますと、そこには知っている天井があった。…って知っている?
俺は体を起こして辺りを見回した。どうやら俺が寝ていたのは和室のようだ。
――と言うことは、ここは長門の……。 スーッ
そこまで考えた時に目の前の襖が開いた。そこにいたのはもちろん、この部屋の主である長門だ。
長門はトコトコと俺に近づいて、俺の横に遠慮深く座った。正座で。
今の長門は先ほど部室で見せていたものとは違い、感情を表に出さない無表情な状態だ。
「……大丈夫?」
正直自分がどんな状態なのかわからないが、俺が答えるのはひとつだけだろう。
「あぁ、もう大丈夫だ。お前が俺をここまで運んでくれたのか?」
「………」 コクン
それなら俺はまた長門に世話になったようだ。
「悪いな。また迷惑をかけた」
「…それは違う。謝るのは私の方」
「お前が…?まさかさっきのことか。それこそ俺の――」
「あなたは何もしていない。私が勝手に特別な感情を抱き、私が勝手に暴走しただけ」
即座に俺に言葉を返す長門。そんなに俺を悪者にしたくないか。
「暴走…?それは違うぞ、長門。あれはお前が溜め込んできた感情だ。それを出すことが、悪いはずがない」
「…………」
長門は答えが見つからないようで何も言わない。――嫌な沈黙が広がる。
「あ、あー…ところで、あれからどうなったんだ?」
苦し紛れに言った一言。だがこれは、今最も重要なことだ。
「……涼宮ハルヒの力は強力だった。介入し打ち消すことを試みたが、完全には消せなかった。
私の力ではあなたの命が消されないようにすることしかできなかった」
長門は俺にしかわからないレベルで、辛そうな表情をしていた。おそらく自分の無力さを嘆いているのだろう。
――なぜだろう。俺はその自分の見解が間違っているように思えた。
「結局…俺はどうなったんだ?」
俺はその小さな疑問を押し殺して尋ねた。長門は言いずらそうに――、
「他者からもうあなたの存在は消えた」
――そう、告げた。
……それは他のやつにとって、俺はもう死んだと言うことなのだろうか。
「だがそれなら他の人間に、俺が生きてることをわからせたらいいんじゃないのか?」
俺は自分なりに考えた解決策を提示する。今まで通りの生活に戻れると思って。
「あなたの解釈は根本から間違っている」
――だが長門は俺の期待を打ち砕いた。
「どういう……ことだ?」
俺は長門の言葉が理解できず、疑問をそのまま口にした。 ...
「あなたは他者から見て死んだと解釈したようだが、それは間違い。私はあなたが消えたといった」
そんなことを言われても俺には違いがわからない。 .........
「つまり…あなたは他者にとって最初から存在しない、生まれてこなかったことになっている」
――なっ、と言うことは……。
「そしてあなたが存在したことで発生した事柄は、すべてなかったものとされリセットされた。
故にあなたが存在していたことを証明するもの――所有物や戸籍などは残らず消去された」
――それではもう、俺ではどうすることもできないわけだ。
「だったら……なんで長門は俺のことを覚えているんだ?」
そうだ、俺がいなかったことにされたのなら、長門だって例外ではないはずだ。
「私は涼宮ハルヒの力に介入した存在だから、影響を受けずにすんだ」
そう言った後、顔を俯けてこう続けた。
「ただ……私自身以外の、あの時あなたが買ってくれたものはなくなった」
長門は悲しそうな顔をしていた。あのデートの時に買った品物のことだろうか。
「じぁ…ハルヒは、他のやつらは今どうしているんだ?」
俺は気になったことを尋ねた。ハルヒなら俺のことを知らなくても、面白がって何とかしてくれるかもしれない。
「あなたがいなくなったことで、涼宮ハルヒが三年前の七夕の日のことは一人だけで行ったことになった。
故に涼宮ハルヒは北高に興味を抱かず、別の高校へ入学した」
――以前長門が作った世界でハルヒが俺の話を聞いたのは、あの七夕のことがあったからだ。
つまり、この問題でハルヒを頼ることはできないようだ。
ハルヒはもうあの学校にはいないのか。……それはもしかして。
「SOS団は……なくなったのか?」
「…………」 コクン
――大切だったものを…失った。さまざまな出会いがあったあの場所が……。
「朝比奈みくると古泉一樹は涼宮ハルヒと同じ学校にいると思われる。
涼宮ハルヒの特異な力はこの世界でも存在するから」
?先ほど押し殺した違和感が再び現れた。ハルヒのことは断言していたのに他の二人はやけに曖昧だ。
だがその疑問は後回しにしよう。今はそれよりも聞くべきことがある。
「長門、お前は行かなくていいのか?ハルヒのところに」
そう、ハルヒを監視するために生み出された長門がこんなところにいることが認められるとは思えない。
「問題ない。私が涼宮ハルヒを監視する必要はなくなった」
「そんな馬鹿な。お前は嫌でもハルヒを監視しなければいけないはずだ」
そうだ、あの情報統合思念体がそんなことを許すはずが――。
「情報統合思念体はこの世界から完全に消滅した」
長門はとんでもないことを、俺に告げた。
「――なんだって?」
俺はアホみたいに聞き返した。
「情報統合思念体が消滅した。理由は不明。おそらく涼宮ハルヒが無意識に、
自らの望みを妨害する存在を排除しようとしたからだと考えられる。
また、それにより私はただの人間になった」
長門はそんな重大なことを、さらりと言う。しかしそれだと疑問がさらに大きくなる。
「幸い以前与えられた通常の人で可能な技能はそのまま存在するから、
戸籍のないあなたに生活をさせることは可能」
長門は、それはそれで重大なことを言うが、あまり耳に入ってこなかった。
――ただの人間になった。それならなぜハルヒの力が存在していると断言できるのだろうか?
「……ごめんなさい」
「えっ?」
一瞬聞き逃しそうになった。俺が考えているところに長門が小さく呟いた。
「私が涼宮ハルヒにあんなことを言わなければこんな状況にはならなかった。
私はエラーを抑えられなかったせいでこのようなことになった。
私は涼宮ハルヒを責めたが、私にそんな資格なんてなかった。私があなたに一番迷惑をかけているっ。
あなたのために尽くすと決めたのに!ごめんなさいっ。ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!」
長門の声が強くなっていく。
――長門は泣いていた。さっきまで無表情だった顔はどこにもなく、ひたすら俺に謝り続ける。
――それは、部室でのことを謝っているように聞こえるが何かが違う。
今まで感じた違和感がここでも現れた。それはまるで――
――あぁそうか。そういうことだったんだな、長門。
「ごめんなさっ――!!」
――気づいたら俺は長門を抱きしめていた。
長門は細くて、柔らかくて、とても温かかった。
「……ダメ、私がこんな風にしてもらう資格なんて――」
「俺はお前のことが好きだ」
「…………っ!!」
俺は拒もうとする長門を離さない。当然だ。ここで離れたら長門が壊れてしまう。
――好きな女をそんなことにしてたまるか!!
「お前は悪くない。他のやつが許さなくても、俺が許してやる」
それでも不満だって言うなら、俺もお前の罪とやらを背負ってやる。だから――
「お前は自分を――有希を許してやれ」
――俺は有希のそばいるから……。
俺の独自まで理解したかは、さだかではないが――。
「……うん」 コクン
――有希は嬉しそうに頷いた。
――なぁ、有希。俺がお前のことを嫌いになることは、絶対にありえない。
――だから俺は待っているからな。
――有希が、いつか本当のことを言ってくれるのを、な。
◇ ◇ ◇
「――――ぅ」
私の横からそんな寝息が聞こえる。彼の寝息は結構静かだ。
…そう。今、私と彼は同じ布団に入っている。
あの時より彼の温もりをたくさん感じられて、心地がいい。
私はとても幸せだ。考える必要も無い。
――私は幸せになる資格なんてないのに
…そう、私はしてはいけないことをしてしまった。
そしてそれは、償うことはできない。たとえ一生かかっても。
「……ごめんなさい」
それをわかっているのに、私は彼に許しを請う。
彼に…嫌われたくないから。
――私は彼に嘘をついた
…そう、それが私のたったひとつの罪。だけど最大の禁忌。
本当は涼宮ハルヒの力を完全に打ち消すことができた。
本来なら他者から彼の記憶が消えることはなかった。
私が嘘をついた。それにより彼からの信頼を裏切ってしまった。とても許されることでは…ない。
「……ごめんなさい」
なのに私の意志と反して、この口はその言葉を唱えてしまう。惨めな私。
私は…拒絶が恐ろしい。
それでも、彼を裏切ってまでこんなことをしたのは…。
――私は彼を自分のものにしたかった
…そう、それが真実。それがすべての原因。
私が涼宮ハルヒに不満を持ったのも、涼宮ハルヒを責めたてたのも、
…涼宮ハルヒの力で、私の都合のいいように情報を改変させたのも。
ただそれだけの、醜い感情というエラーのため。
私は…自分のために、彼を利用した。
「……ごめんなさい」
私はそれしか言葉を知らないみたいに、彼に謝り続ける。
本当は、観察者として一定の距離を保つべきだった。
それを守らず、彼の優しさを知ったのが間違いだった。
私は自分が許せない。
私など最初からいなければ――。
――彼は私を好きだといってくれた
…そうだ。彼は言ってくれたではないか。私を好きだと。
確かに私が選択肢を奪った。彼は本当のことを知らないだろう。
だが、それでも――。
――彼は私を選んでくれた
その事実に気づいた時、私の罪悪感は霧のように晴れてしまった。
あぁ、私はなんて最低なんだろう。それはわかっている。
でも――、どうしても嬉しいと思ってしまう。
「……ごめんなさい」
違う。今私が言いたいのは、そんな言葉ではない。やりなおせ。
「ありがとう」
いままでは得られなかった満足感が――、そこにあった。
あぁ、私はこの言葉を言いたかったのかもしれない。
「――んあっ」
私の言葉に反応したのかどうかはわからないが、彼がそんな声を出した。
私は思わず、くすっと笑ってしまった。私がこんな風に笑えるなんて、想像もできなかった。
――もしかしたら、真実を言う日が来るかもしれない。今は想像できなくても。
もしそんな日がきたら彼はどんな反応をするのだろう。
憎悪する?軽蔑する?拒絶する?それを考えると、私の体は震えてしまう。
――でもそのことを彼が許してくれるなら、それはどんなに幸せなことだろう。
もしそうなったら、あの優しい声でまた私のことを呼んでくれるのだろうか。
――『有希』と……。
そして私は彼の顔に近づいて、
「ずっと…あなたのことを…愛してる」
そっと、キスをした。
――――私は 今 幸せです――――
END
か、監禁EDか……
自分の嫉妬に気づき、意識的に涼宮ハルヒの妨害をする長門有希。
内の嫉妬に気づかず、無意識に長門有希の妨害をする涼宮ハルヒ。
そしてその両者の気持ちに気づけなかった、アホで愚鈍なキョン。
誰に罪があるかと問われれば、全員に罪がある。これはそんな話。
かっこよくしめようと思ったけどダメだった。頭悪くてスマン。
話のテーマは『長門とハルヒの喧嘩』と『長門にとってのハッピーエンド』。
『驚愕』でのあとがきで書いた通り俺は長門が好きなので前から書きたかった。
だが今回は思ったように文章に表現できず、えらい苦労した。一週間近くかかるって…。
ちなみにあんな形で世界改変を行ったのは、俺が6-555様の小説の影響を受けているから。
自分の限界に挑戦してみたが、どうだっただろうか。少しでも感じるものがあれば嬉しい。
ではこれにて。また来る機会があったらよろしく。シメはこの言葉で。
俺は長門が好きだ。
お疲れ。面白かったよ。長門とハルヒの喧嘩なんか特に。
しかし、この長門は策士だ。絶対敵にまわしたくねー!
こんな結末もありかもしれんね。まあとにかく面白かった。
面白かったです。
それにしても微妙に今書いてる長門物とかぶっているんだが
どうすればいいんだ俺は・・・・・・・
やっぱハルヒ以外と結ばれると途端にBAD END臭くなるのな。
しかし、長門がキョンを独占する話とか、かなり好きなのでGJ。
>>327 SS書いている以上、どうしても方向性の似通う話ってのは出てきてしまうわけで。
しかし、同じ題材を使っても、料理の仕方一つで出来る後味とか変わってくるものなので、良いんじゃないでしょうか?
あなたの長門さんには、あなたの長門さんの味があるわけですし。
つたない読み専の意見ですが。
>>327 上の人も言ってるが気にすることないと思う。
同じ設定・世界観・キャラで書いてるんだから数が増えてくれば
似てる・被る作品が出てくるのはむしろ自然な訳で。
まぁよーするに完成したら投下キボンヌということでw
>>327 楽しみに待ちます。そのまま続けて欲しい
>>305 GJ。きっちりとキョンとハルヒの特徴が出てるw
>>307 >>308がいうとおり、それはもうかける領域の妄想になってると思うw
>>324 GJなんだが、なんかすごく切ないですね……。
でも、いきなりのキョンのアホで愚鈍呼ばわりにはなんか笑ったw笑うとこじゃないのにw
334 :
327:2006/06/03(土) 15:33:33 ID:Ow8cRvCP
>>199 の続き。適当に考えた題名は「俺とハルヒのXXX」
見てわかるように「僕と彼女のXXX」のパクり。
ところどころパロってる所も出てくると思うんで知ってる人はニヤニヤしながら読んで下さい。
336 :
8-579:2006/06/03(土) 15:41:57 ID:gpYZJUqy
考えてたってしょうがないので結局部室でダラダラして部活は終了。
団長席でふんぞり返る俺を見るのはまた新鮮でなんとも言えなかった。
そして下校途中。
あいつは朝比奈さんと喋りながら俺達より数m先を歩いてる。
…聞くなら今か。
「なぁ、長門。いつも頼ってばかりで悪いんだが…。こう、お前の力でスパーンっと戻すことはできないのか?」
「それは、不可能」
最大の希望があっさり潰える。
「原因はおそらく涼宮ハルヒが願ったから。感電はあくまでトリガー。」
「…なんでまたこんなけったいな事願ったんだあいつは」
「涼宮ハルヒはこう望んだ。あなたの事をもっと知りたい。そして私の事をもっと知って欲しいと」
「それで本人になったって訳か。…確かに、丸分かりだろうな」
「実際、入れ替わる事を望んだのでは無いと思いますけどね。」
いつもより高い位置にある古泉の顔が俺の耳に近づく。
息を吹きかけるな気持ち悪い。
「んじゃなんで…」
「得てして、そういう想いは暴走しがちな物です。」
「想い?なんだそりゃ」
「おや?気づいてらっしゃるとばかり思ってたのですが…」
「だから何がだ」
分かりにくく言うのはこいつの悪い癖だ。腹立つな。
しかし古泉は答えず無言で肩をすくめるだけだった。
「…現時点で涼宮ハルヒから情報フレアは検知できない。恐らく、あなたと入れ替わった直後から」
「あー…っと。そりゃ普通の人間になっちまったってことか?」
つーか今の時点でもう普通の人間じゃないけどな。
「そう。それでは自律進化の可能性が潰える。情報統合思念体にとって、それは不都合」
「…よくわからんが。とりあえず俺の味方をしてくれる、と理解していいのか?」
「いい」
それに…。と前置きをした後、蚊が鳴くような声でボソボソと言った。
「私という固体も、それを望んでる」
言ってる事の半分もわからんかったが長門が味方してくれるってのはデカい。
これならそう心配する事も無いかもな。
「…と、いうことは。あの閉鎖空間も生み出されないという事ですか?」
「そう。今の涼宮ハルヒにそのような力は無い」
「…なるほど。」
手を顎に当て、何やら考えてる。
…と、前を歩いてた俺(ハルヒ)が振り返って
「それじゃ、ここでみんなとはお別れね。また明日!…ほら、キョン。行くわよ」
「どこにだよ」
「私ん家に決まってるじゃない。あんたその姿で自分家で寝泊りする気?」
あぁ、そうか。すっかり失念してた。
「ほら、行くわよ」
といいつつ俺の手を取ってずんずん歩き出すハルヒ。
ちょっと待てよ。朝比奈さんに挨拶ぐらいさせてくれ。
…そんな俺の願いもむなしく、振り返ると誰もいなかった。
「…にしても。まさかお前のお父さんとお母さんに挨拶に伺う事になるとはな」
「バカ。何言ってんの」
顔が若干紅潮してるのは…気のせいだよな。うん。
「それに親はいないわ。一人暮らしよ」
「ほぅ。そうなのか。どうやって生活してるんだ?」
古泉みたいに得体の知れないアルバイトでもやってるわけじゃあるまいに。
「仕送りよ。お父さんが外国に転勤になっちゃってね。毎月お金だけ送ってもらってるの」
初耳だ。つーかこいつのプライベートって全然知らんな。ま、これから嫌でも知ることになるんだろうが。
「なんでお前はここに残ったんだ?」
「…ちょっと思うところあってね。どうしても北高に行きたかったのよ」
特に進学率が高いわけでもない平凡な県立高校に親から離れてまで行きたかったのかね。
なんでまた北高なんかに?と聞こうと思ったが口から出る前にはた、とハルヒの足が止まる。
「ここよ。」
可も無く不可も無く。ごく普通のアパートって感じだな。
こいつの事だから訳の分からん家に住んでるんじゃないかと少し期待したんだが。
「この部屋。入って。」
と、ぶっきらぼうに言い放ってドアを開ける。
初めてハルヒの家にお邪魔する。広さは…。
そうだな。長門の家よりは狭いが部長氏のよりも広いと言ったところか。
高校生が一人で暮らすには十分過ぎるな。
訳の分からんもんがごちゃごちゃと置いてて混沌とした部屋を想像してたんだが
ごく普通の部屋。それも女の子っぽい部屋だった。ちょっと意外。
「OK。場所はわかった。んじゃな。」
「あぁ、そうだ。携帯貸して」
「なんで」
「いいから」
…こういう言い合いになったらまず、俺に勝ち目は無い。渋々と携帯が入ってるポケットに…。あ、そうか。
「お前の制服の内ポケットだ」
ハルヒがごそごそと携帯を取り出し、どこぞにダイヤルし始める。
「ねぇ、あんたってお母さんの事なんて呼んでるの?」
「普通に母さんだが」
「おっけー♪」
しばらく電話を耳に押し当てて黙ってるが相手が出たらしく喋り始める。
「あ、もしもし。その声は妹ちゃん?そそ、キョン君キョン君。あのね、母さんに
今日友達の家に泊まるから、って伝えといてくれる。うん。よろしくねー」
…。
「お、おい。どういうこった」
「聞いたとおりよ。今日私もここに泊まるから」
なんてこった。まさかハルヒを一つ屋根の下で過ごす事になるとは。
「へんな気起こさないでよね」
ニタリとハルヒが笑う。
「起こすわけねぇだろ。相手は自分だぞ。つーか俺が襲われる側じゃねぇか。」
「それもそっか。襲っちゃおっかな〜。よくよく見ると私って結構魅力的ね。」
「…カンベンしてくれ」
さすがにアイツでも自分を襲う様な真似は…しないよな?しないよな!?
最悪、朝比奈さんみたいに剥かれる事を覚悟しながら時計を見る。
もう8時だ。
「お腹空いたわ。キョン何か作って。材料は冷蔵庫にあるから」
自分に襲われるかもしれない、という普通ではありえない恐怖を感じつつ
俺は渋々台所に向かった。
とりあえずここまで。
>>301 展開が読めぬ……。続きにも期待してます。
>>309 ちょwwwそれ期待するところが偏ってないかwwwwww
>>341 GJ。でもハルヒは憂鬱では父親のことを「親父」って呼んでたよ。
>>292 「役不足」に関しては何も異論はないけど、「役者不足」も誤り、とは一概に言い切れないと思う。
・先に「役者不足」という言葉があって、そこから「役不足」の誤用が派生した。
・「役不足」の誤用に対し、では正しい言葉はなんなのか、というところから「役者不足」が生まれた。
両方とも説があって、どっちが正しいとは断言できなさそう。
個人的には、「力が不足」の「が」を省略した「力不足」という言葉があるなら、
「役者が不足」も同様に省略して「役者が不足」でいいような気がするけど。
ちなみに「役者不足」「力不足」ともに、広辞苑には載っていない。
関係ないんだけど、職人さんたちって他の人の作品読んでる時間あるんだろうか。
俺も今、一本書いてるとこだけど、とてもスレの流れに追いつけない。
自分のことだけで手一杯になってしまう。
GJ!あれか?お風呂は目隠ししながら洗いっこか?
(;´Д`)ハァハァ トイレは?トイレは?
345 :
343:2006/06/03(土) 15:56:42 ID:HTbTzpc4
間違った。
7行目は
>「役者が不足」も同様に省略して「役者不足」でいいような気がするけど。
>>344 その辺の生理描写が入れ替わりものの醍醐味だな。
短編一本書きました。
ほの黒みくるで純愛というあり得ないジャンルに挑戦。
本文中でちょっとハルヒの扱いが悪いので、そういうのが嫌な人は
回避お願いします。
部室でいつものように彼に無理難題を押しつけ呆れさせている涼宮ハルヒを眺める。いつもの風景。
私はここで彼女に割り振られた役割をこなしている。
ここが書き割りだらけの嘘だらけだと言うことは、恐らく知らないのは彼女だけ。何も知らずに彼を引っ張り回しているのだろう。
なんて無知。なんて愚鈍。なんて道化。哀れですらある。
いつものように、涼宮ハルヒが訳の分からない事を喚き散らしている。
好きな子ほどいじめてしまう。まるで小学生の恋愛のよう。
おそらく、これまで恋愛どころか人付き合いすらまともにしたことがないのだろう。
それでも彼は涼宮ハルヒを最後には受け入れる。子供の我が儘を聞いてやるように。
涼宮ハルヒは理解しているのだろうか?彼は別に涼宮ハルヒのことなど好きでもなんでもないという事に。聞き分けのない子供程度にしか思っていない事に。世界のため、仕方が無く彼女の厚顔無恥な振る舞いを黙認している事に。
いつか、涼宮ハルヒの能力や危険性が消えたときに、全てを包み隠さず彼女に教えてあげようと思っている。
それはきっと素晴らしい見物。私の密かな楽しみの一つ。
いつものように涼宮ハルヒがふんぞり返って支離滅裂な提案を彼に聞かせている。
彼は疲労と諦めの入り交じった表情で彼女の発言を諭す。
しばらくして、いつも通り彼が折れた。というよりも、彼の涼宮ハルヒに対する反論が実を結んだ事は殆ど無い。
それでも彼は涼宮ハルヒと関わる事を止めない。自分の言動が世界の存続に関わることを自覚しているのだろう。
私は彼がいてくれるのならば世界の一つや二つどうでもよいのだが、彼の自己犠牲の精神はとても貴いものだと思う。
「やれやれ」
彼が溜息混じりに呟く。彼がよく涼宮ハルヒに向ける言葉。呆れと優しさが入り交じった表情。私は彼のこの表情がとても好き。
でも、私にこの表情が向けられた事は無い。多分、これからも無いだろう。
しかし、何故、彼はこんな優しい顔をするのだろう。涼宮ハルヒに仕方が無く付き合っているのだから、もっと不愉快そうな顔をしているべきだと思う。
これでは余計に彼女が調子にのってしまうから。
彼女にあまり甘い顔をするべきではないと――――
「――――――――」
自分はあくまで涼宮ハルヒがその能力で用意した舞台装置、脇役に過ぎず主演はあくまで彼ら二人。
大丈夫。大丈夫だ。私はちゃんと理解している。自覚している。大丈夫――――
「雨、降ってきましたね」
彼が買い出しに出てすぐ、曇り空だった天気がゆっくりと傾き始めた。というのも、私がついお茶っ葉を切らしていることを口にしてしまい、それを彼女に聞かれてしまったのだ。
後はいつものパターン。団長命令に愚痴を言いながらも彼は近所のスーパーへと向かった。雨足は少しずつ強まっていく。
「キョン君、大丈夫でしょうか・・・・」
彼は確か傘を持っていかなかったように思う。今日は少し冷える。風邪でも引いてしまったら・・・
「大丈夫でしょ、近所だし。すぐ帰ってくるわよ。それより、こないだ撮ったDVDジャケットの現像が出来たのよ!ほら、これなんかなかなかきわどくて――――」
机の上にばらばらと写真を広げる涼宮ハルヒ。それにせっつかれるように彼と対戦中だったカードゲームを少し残念そうに片付ける古泉一樹、そして先ほどからメトロノームのように寸分違わぬ間隔で分厚い小説のページを繰り続ける長門有希
(彼が部屋を出入りする瞬間だけ微妙にペースが狂うのに気付いているのは多分私だけだと思う)。
彼が先日貰ってきた電気ストーブは無料同然で身売りされたにも関わらず健気に働き、部屋に一抹の暖をもたらしている。
それとは対照的な、寒色で覆われた外の景色を眺める。彼はこの雨の中歩いているのだろうか。独りぼっちで。
「あの、私傘届けに行ってきます。きっとキョン君困ってますから―――」
「もう、いいってばみくるちゃん。あいつはヒラの団員で我がSOS団の雑用係なんだから気にしなくて良いのよ」
―――表情には、出なかったと思う。その点では大いに自分を褒めてあげたい。
「どしたの、みくるちゃん?」
「いいえ、な、んでもないです・・・」
今、全て言ってしまいそうになった。目の前の傲慢な顔をあらゆる負の感情で歪ませてやりたくなった―――
以前は大丈夫だったのに、最近たがが外れやすくなってきている気がする。それが彼への想いが強まったからなのか、涼宮ハルヒへの嫌悪が強まったからなのかは分からない。多分―――その両方。
と、横からひょい、と大きめの男物の傘を差し出された。
「これをどうぞ。今からならまだ追いつけると思いますよ?」
「・・・・すみません」
感謝ではなく、謝罪。彼は人の情動にとても聡いところがある。多分、私が今考えていたことも少なからず把握されている。
その上で、これ以上涼宮ハルヒと私をこれ以上会話させるべきではないと判断したのだろう。
着替えている暇はない。彼から傘を受け取り、メイド服の上からコートを羽織ってマフラーを巻く。準備万端。
「あ、ちょっと、みくるちゃん!?」
「まぁまぁ、涼宮さん。団長たる者、団員の体調管理も仕事の一つであると、恐れながらこの副団長、進言致しますが?彼が風邪でも引いては困るでしょう?」
「むーーー」
相手にしないで部室から出て、走り出す。
「あっ!・・・・・もう。寄り道したら罰金だってキョンに言っといて〜!」
いい加減にして欲しい。
お世辞にも高性能とは言えない私の心臓が滅茶苦茶な16ビートを鳴らして一時休止を要求するが、無視して走り続ける。
何処まで行っても彼の姿は見えてこない。私の足が遅いということもあるだろうが、恐らく彼も雨に降られて目的地まで走ったのだろう。
案の定、ようやくスーパーまでたどり着いたところで店先で立ち往生している彼を発見した。
「キョンくーーん!」
「あれ・・・朝比奈さん?」
私は少しドジかもしれない。少しだけ。でも今は少しだけそれに感謝してもいい、そんな事を思った。
「あの、もう少し近づかないと。キョン君肩濡れちゃってます・・・」
「え、あ、はい、そうですね・・・」
言いながらほんの数センチだけこちらに近づくキョン君。相変わらず彼の肩は雨に晒されたまま。
そう、私は傘を一本しか持ってきていなかったのだ。つまり、私は届けるべき傘を差して、自分の傘を持たずに彼を迎えに来たのだ。
彼から指摘されてこのことに気付いたときは、顔から火が出るほど恥ずかしかった。
「―――えいっ!」
「なっ!あ、朝比奈さん?」
有無を言わさず彼の腕を抱き抱え、ぴったりと寄り添う。
「あ、あ、あの・・・」
「こうすれば、二人とも濡れません。・・・それとも、もしかしてキョン君、嫌でしたか?」
彼がもの凄く慌てている。少なくとも女性としては意識してくれているんだな、と思うと少し嬉しい。実は私も負けないくらい動揺しているのだけれど。
「いえ、そんなことは決して。でも、なんというか近すぎるのではと・・・もう少し、離れた方が・・・」
「駄目です。キョン君風邪引いちゃいます」
「でも・・・」
「だめです」
「・・・・・ハイ」
キョン君は、何というか、年上っぽくされると途端に押しに弱くなるところがある。そういう意味では、年上である私は少しだけ有利かも知れない。
何となく会話が続かず、二人して赤面したまま雨の中を歩く。どこかくすぐったいような、心地よい沈黙。
彼も私と同じように感じているのだろうか。そうであったなら、とても嬉しい。
不毛な事をしている事は分かっている。私達には先がない。決してハッピーエンドなどあり得ない。
私が彼を愛しているように彼が私を愛してくれたとしても、先にあるのは別れのみ。私がこの時代を後にするときには、間違いなく彼に対する記憶処理が行われるだろう。
―――好きな人に覚えていて貰うことすら出来ないのだ、私は。私は彼に何も残すことが出来ない。
私達を隔てるのは人種でも国家でも身分でもなく、ましてや物理的な距離でもなく、時間というシンプルにして絶対的な概念。
私が欲しいのは、世界の未来などではなく、彼との未来だというのに。一番欲しいものは絶対に手に入らない。絶対に。
「―――――――――っ」
「・・・どうかしましたか、朝比奈さん?体調でも・・・?」
「いえ、何でもないです、何でも・・・あの、もう少し、ゆっくり歩いて貰ってもいいですか?」
「・・・?はい」
抱きしめた腕、分厚いコート越しにかすかに伝わってくる彼の温もりを感じる。
―――今は、もう少しだけ、このままで。
>>341 GJ!脳内でいい感じに平野と杉田が喋ってる。
以上です。本当はもっとエグいシナリオを考えていたのですがキャラが本編と
あまりにかけ離れてしまったので無理矢理軌道修正。
ぎこちなさが見え見えで我ながら稚拙な文章ですが楽しんでいただけたなら幸いです。
技量不足を痛感したのでしばらくは読み手に徹したいと思います、それでは。
ほどよくリアルに黒くて、読んでて何ともいえぬ面白さを感じました。GJ!
ってリアルタイム来てた!挟まってごめんなさい。
>>349 GJ!
記憶に留めることすら許されないとは……切ないなあ。
>>348 肉体的変化に伴う心理描写が醍醐味にょろ!
上手く言語化出来ない。
>>355 GJです。みくるん黒っ! あと、僕も挟まってごめんなさい。
あと、朝比奈さんの視点だからか、心配されていたほどハルヒの扱いは悪く感じなかったと思います。
キョンのハルヒに対する思いは、原作と同じように感じられましたし(長門さんや古泉は分かりませんが)。
しかし、この朝比奈さんが鶴屋さんをどう思ってるのかが気になりますね……。
>>358 キャラは統一しましょうよwそれじゃ鶴屋さんの真似をする長門さんだw
……ハイテンションな長門さんかも知れないが。最後に素に戻ったのかもしれないが。
せっかくエロ「パロ」板なので。気に障った人がいたらゴメン。
消失の変則的パロです。
12月18日。
幕が下りた。
終演のブザーが鳴り、校舎は深い闇に沈んでいく。
もう、あの涼宮ハルヒと朝比奈みくる、古泉一樹に出会う事はない。
さして感慨はない――たった三日では仕方ないか。
三日目の夜、居残る俺を殺そうと朝倉涼子が狂い出す。
これからその大本を破壊しにいく。
願いの終わり、パズルの完成。
虚無を生み出す最後の隙間を、直に行って塗りつぶす。
屋上へ続く階段を、ゆっくりと足を踏みしめていく。
そこに、
「――――――驚いた」
屋上には人影が一つ。
輝いたセミロングの髪。
「どうしたんです? もう俺に用はないはずですが」
「せっかくだからキョンくんのエスコートをしに来ました。
何処まで行けるか分かりませんが、可能なかぎりご一緒しようかと」
文句あるか、と言わんばかりの断言ぶり。
「―――、は」
つい口元がニヤけてしまう。
いえいえ、ありがたくって泣けてきました。見栄を張る相手がいないと、
気合が抜けちまいますからね。いや地獄に仏、地獄に女神様です。
屋上。
虚空に向かって歩を進める。
聖杯(ながと)に至る道は、主人を出迎えるように現れていた。
「高い所は苦手ですか?」
「……本音を言うと、ほんの少し」
だから――と言いつつ朝比奈さん(大)が手を差し出す。
手を繋ぎ、指を絡ませ合う。俺は虚空の階段を踏みしめた。
「……ねえ、キョンくん。何の為に、この願いを終わらせるの?」
ふと、風に紛れて声がした。
理由は―――もう思い出せない。
ただ、一番やりたかったコトは今も明確に覚えている。
この道の終わり。
黒い繭で、頑なに『平穏な日常を求める少女』を解放するのだ。
「わたし、もしかするとキョンくんはあの非日常的な生活が嫌い
なんじゃないかって思ってました」
たまには嫌いになりますね。自分が巻き込まれた直後なんかは
特にそう思います。
宇宙人に殺されかかったり、
奇妙な空間に閉じ込められたり、
一万数千回も夏休みを繰り返したり、
ハルヒのヤツが最高で最低なのは、あいつには自覚がないという事。
アイツはただ、この世が憂鬱だっただけ。
自分自身で、薄々に「凡人である」ことに気付いているのだ。
……そんな事、まったくないのに。
アイツは特別なのに。
だが、ここではそんな悩みもない。ハルヒに奇妙な力がないなら、
アイツを仲間外れにすることもなく、SOS団で集まってわいわい
騒ぐことだってできるだろう。
「だったら――」
ああ、でも。
「―――それでも、あの非日常的な生活は楽しかった。
ハルヒが神でも、それに近い何かでも。
長門が宇宙人で、古泉が超能力者で、朝比奈さんが未来人でも。
そんな奇妙な生き方でも――。
その手で何かが出来る以上、必ず、救えるものがあるでしょう」
彼方(ほし)を目指す旅のようだ。
遠い遠いソラ、永遠に見果てぬ何かを目指して、長い長い階段を
登っていく。
「前から思っていたけど」
朝比奈さん(大)が口元をゆるませて、
「キョンくん、詩人ね」
それは褒められているのかどうか分からないんですが、そのへん
どうなんですか朝比奈さん(大)?
「フフッ」
くすりと笑い、次第に彼女の姿は夜に溶け込んでいく。
「それじゃあまた会いましょう、長門さんに――よろしくね」
頷いたときには、既に彼女の姿はない。
残り一段。
さあ、長門の夢を壊しに行こう。
っつー訳で某型月パロです。この後、長門とキョンが背中をくっつけ
あってダッシュ予定。
>>343 >>、「役者不足」も誤り、とは一概に言い切れないと思う。
誤り/偏りが在るのかもしれませんが、俺が読んだいつくかの文献によると
「役者不足」自体は「役者が不足」の「誤記」として以前から在ったようです。
これが「役不足」とセットで「誤用」の典型として目に付く様になったのは
爆笑問題の太田が、ゴールデンの番組で「役者不足」発言を行い
それに対し、太田が文化人を気取り始めた時期と重なったこともあり
多数の指摘や抗議が寄せられ、それが報道されることで更に注目を
集めたと言うものでした。
勢いで書いてしまった。
SM 鬼畜 TS フェチ 天こ盛りだけど、エロい気がしないのは何故?
読みたくない人は NGワード 鬼畜だよ を設定よろしくにょろ
366 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:36:09 ID:8Oxyqb8O
「鶴屋家の本業」
1.
一部予期せぬ出来後もあったが、SM三昧のループを無事に抜ける事が出来た。
あれから、ハルヒが妙な事を考えもしないし、閉鎖空間も生まれていない平和そのものだ、
この平和が永遠に続いてほしいとの願いは、意外な人物により虚しく霧散した。
367 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:37:03 ID:8Oxyqb8O
>>366 2.
いつもはサッカーなんぞ、玉蹴って何が面白いと言わんばかりの母親が、4年に
一度という言葉に特別なものを感じたのか、夜遅くまでTVを観ていたため、
弁当が入らなかった俺は学食に向い無難に定食を選び空いてる席を探していた。
「キョン君が学食に来るなんて珍しいものみちゃた」
声のする方に顔を向けると、お弁当箱と魚の煮付け一品をトレイに載せて鶴家さんが
立っていた。
「そこ空くから、一緒に食べよ」
食べ終わった生徒が席を立とうとしているのを見つけテーブルを確保する。
弁当があるのにわざわざ学食に来る理由を尋ねると
「ここの煮付けが最高においしいのよ」
鶴屋家の料理より美味い煮付けがこの学食にあるとは、にわかに信じられず、端っこの
方を分けて貰い口にしたが、贔屓目なしに母親が作るものの方が美味かった。
そのことを口に出そうとしたが、料亭の仕出しの様な弁当が目に入り、あっそうかと
納得する。
368 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:37:38 ID:8Oxyqb8O
>>367 3.
食べ終わって、お茶を飲んでいると目の前をポニーテールの女子生徒が通った。
無意識のうちに視線で追っていたのを鶴屋さん悟られた。
「へー、あんなのが良いんだ、ハルにゃんにチクッちゃおかな」
あわてて、ハルヒがポニーテールをしたときに似合っていると言ってやっても、
すぐ解いてしまう旨弁明した。
「キョン君は女の子の後でフサフサのが揺れているのがいいのかー」
おれが返答に困っていると
「じゃー今度の日曜日家においでよ、いいもの見せてあげる」
いいものって何ですか? との問いには答えてくれず鶴屋さんは去っていった。
ある事件が発生し、さすがにハルヒも市内を彷徨くのは憚れると考えたのか恒例の
週末不思議探索は中止されたおかげで、俺の乏しい財布の中身は僅かに延命された。
369 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:38:23 ID:8Oxyqb8O
>>368 4.
日曜日になり、俺は軽快にママチャリを漕いで鶴屋邸に向った。
「いらっしやい」
お邪魔しますと、少々萎縮気味に門をくぐる。
以前訪問したときは、ハルヒのバカ映画や「みちる」のことに手一杯で
ただの大きな屋敷としか思わなかったが、こうして落ち着いてみると、
とんでもない規模に圧倒されてしまう。
見せたいものって何ですか?
「まあまあ、そう焦らない焦らない」
鶴屋さんは、用意が出来た旨報告に来たお手伝いさんが通用口から屋敷の中に
入っていくのを見届けると、こっちと俺の手を引き離れの一つに案内した。
外見は、母屋に合わせた日本家屋風であるが、内部は洋風の変わった建物である。
変わっていると言えば、壁際にバーカウンターがあるだけで、調度類は
中央にソファーとテーブルが一対、正面の壁丸々一面がスクリーンに
なっていて映画のワンシーンとおぼしき映像が映っている。
床がタイル貼りで所々に排水口が見える。
壁も意外に安っぽくビニール系の壁紙が貼ってある。
370 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:39:02 ID:8Oxyqb8O
>>369 5.
「座って、飲むでしょ?」
いつの間にか、バーカウンターで水割りを作っていた鶴屋さんは、
俺の前にグラスを置いた
未成年ですからと固辞すると、「薄くしてあるから大丈夫」って
あなも未成年じゃないですか!
「飲みたくなったら、飲める様にここに置いておくから」
鶴屋さんがグラスを片手にリモコンを操作すると、厩舎の内部とおぼしき映像が
映し出された。
馬の様な動物が入れられているのが見えるが、半端なカメラアングルのせいで
よくわからない。
屋外の場面にかわり、馬がつながれていない馬車が映った。
カメラがよると細部までハッキリと見えた。
単なる馬車ではなく古代の戦車、ベンハーやグラディエーターに出てくる
チャリオットという奴だ。
馬が連れてこられたが、ここでカメラが下を向いたため、馬にしては太く白い
足下だけが映っている。
場面が変わり、馬車の馭者席からと思われる映像になったが、やはり
カメラアングルが悪く馬の足下とレンズの前をフラフラする尻尾しか
映っていない。
そこで、映像はストップした。
371 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:39:47 ID:8Oxyqb8O
>>370 6.
何ですかこれは?
「ねえキョン君、続きを観たい?」
俺は「いいもの」につながるものであれば観たいですと言った。
「観せてあげる、でも後悔はなしよ」
その時、鶴屋さんは俺の知っている鶴屋さんでないことに気付くべきであった。
鶴屋さんのリモコン操作で、再び映像が動き出した。
さっきまでの下向きで手ぶれしまくりのピンぼけ画像から急にテレビクルー並みの
安定とフォーカスにより、戦車を牽く馬がハッキリ見えた。
「はい、おかわり、さっきより一寸だけ濃くしたけど……」
その言葉に、俺は置いてあった水割りを一気飲みしていたことに気付いた。
俺も、谷口や国木田が持っているマニアックなAVやインターネットのおかげで知識として
こういったプレイをする人がいる事ぐらいは知っているが……
焼け付く様なのどの痛みに咳き込む。
「ごめんなさい、ストレートのままだった」
俺は、水割りの水を入れる前にグラスの中身を一気飲みしてしまった様だ。
あわてて、差し出された水を流し込む
帰るべく立ち上がろうとする俺を押しとどめた鶴屋さんは、
「あなたが、女の子の後でフサフサのが揺れているのがいいというから、用意したのに
つれないわね」
鶴屋さん、確かに俺はポニーテールが好きだとは言いましたが、これはポニーガール
(Pony girl)で、全然違うものです。
372 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:40:31 ID:8Oxyqb8O
>>371 7.
「『後悔はなしよ』といったはず」
物事には限度があります、これは立派な犯罪です。
馬となって戦車を牽いていたのは、先週行方不明になった女子高生だった。
チャイムが鳴り、鶴屋さんが戸を開けると、とうてい靴とは呼べない高さのヒールを
カタカタいわせ、この離れに来訪者が入ってきた。
予想通り、戦車から外された二人であった。
今にも泣きそうというより、さっきまで泣いていたのであろう目が真っ赤である。
裸に剥かれ、身につけているのは、皮で出来た馬具そして鼻や乳首に穿たれたピアス、
貞操帯の後から、尻尾が揺れている。
まるで犬の散歩をするかの様に涼しげな笑顔で首輪から伸びた鎖を持つのは先ほどの
お手伝いさん。
「その二人を使える様にして」
「かしこまりました」
373 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:41:10 ID:8Oxyqb8O
>>372 8.
「尻尾は抜いたままでいいわ」
お手伝いさんは無言で頷き、馬具を外した二人を、部屋の中央に立たせ
天井から降りてきたバーに二人の手をくくりつけた。
足はヒールに付いているリングと床に埋め込まれた金具をつないでしまう。
強制的に足を広げ万歳の形を取らされた女子高生の股間には銀色に輝くSUS304製の
貞操帯が装着されていた。
鶴屋さんが鍵を差し出すと恭しく受け取ったお手伝いさんは貞操帯を外しに掛かる
「いやーやめて! 外さないで!」
いままで一言も口をきかなかった二人が初めて贖いの言葉を発した。
それに、そんなもの嵌められたら普通は外してくれと言うと思うのだが?
「誰が喋ってもいいと言った」
鶴屋さんはそばにあったワゴンから競馬鞭を持つと激しく打ちだした。
悲鳴があがり、許しを請う声が響いた。
鶴屋さん、キャラが違う様なんですが……
「邪魔をしてはいけません、お嬢様は天才です、しばらくおご覧下さい」
立ち上がろうとした俺をお手伝いさんが止めた。
鶴屋さんが鞭を打ち下ろすたびに二人声が艶やかになっていくのが判った、
まるで安物のAVの様な展開であるが二人が発する声に演技はない。
374 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:41:54 ID:8Oxyqb8O
>>373 9.
顎を鞭で押して顔を上げさせると、「キョン君に貞操帯の中がどうなっているのか
見せるのよ」
二人は固まって動かない
「さあ、お願いしなさい、でないと……」
「…下さい」
「聞こえない!」
「キョン様、貞操で隠している私たちの恥ずかしいところをご覧下さい」
「キョン君、あなた外してみる?」
この場の異様な雰囲気におかしくなりかけていた俺は、この二人を鶴屋さんが誘拐した
ことも忘れ、鍵を受け取っていた。
鶴屋さんは、お手伝いさんに手伝う様目配せをしたのち、当たり前の様にブランデー
グラスを片手にソファーに座った。
俺は向かって右側につるされた方に向かう。
近くで見ると、ネットで見かける女性用とは少し形が違うことに気付いて顔を
上げるとお手伝いさんはにっこり微笑んで唇に指を当てた。
今は黙っていろと言うことか。
リアシールドが外されると、オプションとして装着されている尻尾付アナル栓の
太さに驚いた。
前に廻り自慰防止金具を外すが、思った通りその下にはあるべきものがなかった。
必要以上に膨らみの大きいフロントシールドを持ち上げようとすると、
「お願い、見ないで」
見てくれと俺に頼んだのでは君の方では?
既に理性が麻痺し、この場を楽しむことしか考えられなくなっていた俺は、
リアシールドから尻尾を外しそのまま貞操帯を元に戻した。
375 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:42:51 ID:8Oxyqb8O
>>375 10.
左側の方が身につけているのは普通の女性用であったが、リアシールドに取り付け
られた尻尾付アナル栓の太さには目が点になった。
先ほどの奴も充分太いが、こっちは500ミリ入りのペットボトルが丸々入っていたのだ。
ぽっかり空いた肛門が別の生き物の様に息づき俺を誘っていた。
この光景に後ろ髪を引かれつつ、自慰防止金具・フロントシールドを外すと、
飾り毛を失い小さなリングピアスを付けた肉芽が現れた。
再び、右側の生け贄に廻るとフロントシールドの膨らみを指差し、鶴屋さんに向かい
リモコンを操作する仕草をした。
鶴屋さんがリモコンに手を伸ばすと、
「やめてー キョン様に見ていただきます、見ていただきますからそれだけはー」
「どうする、キョン君」
見るなと言い次は見ろと言う、いざとなると見るなと言う、お仕置きが必要だと
思いますが
鶴屋さんが指先に力を入れると、悲鳴を上げと痙攣をおこした後、失禁した。
376 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:43:44 ID:8Oxyqb8O
>>374-375 11.
気付け薬を嗅がし正気にさせると、心からお願いするんだね?
「はいキョン様、私の恥ずかしくも浅ましい姿をご覧下さい」
よく言ったな、偉いぞ、頭をなぜてやりながら、でも最初から素直にしていれば
苦しまずに済んだのにそれとも苦しみたくてわざとだったのかな?
その間に、お手伝いさんが、完全に貞操帯を外すと、女性には在ってはならない
ものが現れた。
「キョン君、よく判ったわね」
元もと興味があった所に必要に迫られて色々調べましたからね。
「へぇー、必要に迫られてねー、ハルにゃんにチクッちゃおかな」
絡まないで下さい、それにその件はハルヒにはチクられても痛くもかゆくもないですよ。
鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をした鶴屋さんだが、
「ハルにゃんも……」
何か重大な、勘違いをしている様だが訂正するものなんなんでそのままにしておこう。
このあと、調教の実務はお手伝いさんに任せ、俺と鶴屋さんはソファーで
グラスを傾けながら見ていた。
このお手伝いさん、これ専門に訓練を受けて雇われているらしく、鶴屋さん以上に
厳しくそれでいて的確な調教テクニックを披露して下さった。
377 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:44:43 ID:8Oxyqb8O
>>376 12.
で、この二人はこの後どうするのですか?
「それを聞いちゃったら、私のビジネスパートナーを承知しないと、生きてこの屋敷からは
出られなくてよ」
この期に及んで何言っているんですか? 聞かなくてもこの屋敷を出るには、承知するか、
空港の埋め立てに使われるかの選択しかないじゃないですか?
「それもそうね」
やっぱり、空港の礎にするつもりでしたね。
女の子は行方不明になっている女子高生だが、シーメイルの方はその女子高生と
付き合っていた隣町の男子生徒であることを知らされた。
鶴屋さんの話によると、男子生徒の両親はいくつもの会社を経営する大金持ちで、
大学に医学部キャンパス丸ごと寄付を筆頭に各種慈善事業に助成する善良な
世間の顔とは裏腹に歪んだ性にとりつかれた鬼畜とのこと。
自分の子供をシーメイルに改造・調教して飼うそうな。
鶴屋さんは予め調教しておいた女子高生を男子生徒と付き合わせ、彼女を庇うために
懸命に耐える姿や彼女が手先であることを知ったときの様子に興奮したという。
鶴屋さんも劣らず鬼畜ですね
どうりで行方不明になって数日しか経っていないのに、彼女の肛門にペットボトルが
入るはずだ。
聞けば、1.0リットルでも楽勝で1.5リットルでも時間を掛ければ挿入可能らしい。
囮に使った彼女が妊娠して本気になったので、先方が孫が出来たのを喜びつがいで
飼うことを承知したので、一旦家に帰らせ、鶴屋家の息が掛かった病院に入れて
ほとぼりが冷めたら結婚という形で出荷するとのとこ。
それはそれで幸せなのかもと思ってしまう俺は、鶴屋さんの影響か鬼畜に近づいている様だ。
378 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:45:40 ID:8Oxyqb8O
>>377 13.
お手伝いさんの華麗なテクニックを見ながら、鶴屋さんの言うビジネスパートナーの
話を聞いた。
鶴屋家の表向きの事業は、一族の者で才能があってやりたい人が一杯いるから会社の経営は
任せてしまい配当を貰っているとのことで、今回の様な裏家業もそれなりの人脈と人材が
あれば勝手に利益が上がってくるものだそうだ。
鶴屋さんが求めているビジネスパートナーは、ズバリ「ナノマシーンの研究」
射抜く様な視線とその言葉に心臓が瞬間冷凍になるかと思った。
この人は、ハルヒ絡みの話をどこまで知っているのだろう、古泉の話では直接では
ないものの「機関」ともつながりがある様だし……
ナノマシーンと言うとガンの治療するのに抗ガン剤を運んだりする奴ですよね?
惚けてみたが鶴屋さんに通じるわけ無く
「みくるの血液サンプルから面白いものが見つかったの」
口から手を突っ込まれ、そのまま心臓を鷲づかみにされた。
面白いものってなんですか?
自分でも声が震え不自然なことこの上ない、
「細菌でもウィルスでもないもの、明らかに人工物なんだけど一切分離できないの」
「でもけがしたりするとすーっと集まってくるんだけど、何もしないの」
「何もしないのに、けがの治りが普通の何倍も速いの」
「わたしは、これがなんだか知りたいの」
これを研究するためには、MITに飛び級で入って、筑波の電総研で論文をバリバリ出すだけの
頭が必要らしい。
379 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:46:49 ID:8Oxyqb8O
>>378 14.
「ビジネスパートナーの件、承知してくれるね」
おそらく鶴屋さんは、俺が具体的な何かでなくても、これに関し知っていることがあると
確信している様だ。
まだ命は惜しいですから、勉強はしますけどMITにいって飛び級で帰ってこいとか
電総研に入れとかは、絶対に無理ですからね。
「ハルにゃんは、承知してくれたよ」
どうしてそこで涼宮ハルヒの名が出てくる。
「うーんね、ハルにゃんがね、キョン君と一緒ならOKだって」
「君の成績ぐらい知っているからキョン君と一緒は無理だと言ったの、そしたらね
勉強はハルにゃんがね責任持つっていたから、キョン君の同意を求めてるの」
今回もハルヒの手の上で踊らされた猿回しのサルだったか……
380 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:47:34 ID:8Oxyqb8O
>>379 15.
「そうそう貞操帯、うちんとこの工房で造ってあげるから採寸ね」
俺のズボンを下ろそうとする鶴屋さんに、貞操帯をほしがっているのは
ハルヒです。
「えっ」
貞操帯のことを調べていたのはハルヒが自分で嵌めると言い出したためです。
「ハルにゃん、貞操帯嵌めたいなんてマニアックだわね」
それを言わんで下さい、それでなくても頭が痛いのですから。
「よし、ここはわたしがハルにゃんに、とどんとプレゼントしましょう」
長期着用向けのSUS304製
空港ゲート対策にFRP製
プレイ用に革製
試作品の、外から押し潰された性器がよく見える様、透明なアクリルで出来たもの
鶴屋さん、そんなに沢山要りませんよ……
数週間後、
宅配便で大きめの箱が数個届いた。
381 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:48:13 ID:8Oxyqb8O
16.
教室で振り向くと、後の席に座るハルヒは心持ち赤らめた顔で腰のあたりを叩いた。
コンコン… 金属の涼やかな音がした。
382 :
鬼畜だよ:2006/06/03(土) 17:49:17 ID:8Oxyqb8O
>>380 16.
教室で振り向くと、後の席に座るハルヒは心持ち赤らめた顔で腰のあたりを叩いた。
コンコン… 金属の涼やかな音がした。
糸冬
これで終わりだにょろ
無駄に長いにょろ
おまけに書き込みミスったにょろ
吊ってくる……
乙、Mハルヒもいいな…
征服されるのが好きな女の子って萌えるな
なんか脳ミソを良い意味でもみもみされた感じだ。
乙。
>>384-386 みんなありがとう。
でもエロいかな?
ちっともエロい気がしないんだけど
最後の金属音で暈がした。
あとアナル栓で昔vipで流行った缶コーヒーを思い出してゾクゾク来た。
>>388 エロいって思ってくれてありがとう
ハルヒの調教の時もちっともエロい様に思えなくって・・・
390 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 18:33:21 ID:OZw8y2Mw
鶴屋さん黒すぎw
>>337 の続き。…書きたいことが多すぎて死ぬほど長くなりそうだ。
「ごっそーさん!アンタ結構料理上手いわね」
「まぁな。休みの日には妹に作ってやったりしてるし、それなりに自信はあるぞ」
その後、SOS団の今後について一方的に喋られたりTV眺めたりしてると
いつの間にか深夜と呼べる時間帯になっていた。
明日も学校なんだ。そろそろ寝んと辛い。
「あ、寝る前にお風呂ちゃんと入ってよ。私の身体汚したままにしたら許さないからね」
風呂。あぁそうか。うん風呂には入らなきゃな。
…ちょっと待て。何度でも言おう。俺の体は今涼宮ハルヒだ。
そして風呂に入る。当然、風呂は服を着たままでは入れない。
…どういう事か、わかるな?
と俺が色々アブナイ妄想をしてると頭にタオルが投げられる。
「私の顔で変な表情しないでよね。このエロキョン」
…どうやらお見通しだったようだ。
「ホラ、それで目隠しして。私が洗ったげるから」
「いや、ちょっとそれは…」
「何よ」
「…恥ずかしい」
プッと噴き出すとハルヒは大声で笑った。
「アハハハ!何女の子みたいな事言ってんの?私は当然服着たままだし
自分の裸なんか毎日見てるわ。いいから、ホラ!」
なんか…なんとも言えない気分だ。生殺しってやつか?
タオルで目隠しされ、ハルヒに剥かれていく俺。
…とてつもなく、恥ずかしい。
素っ裸にされた後、手を引かれて風呂場に入る。
「絶対目隠し取っちゃダメよ。取ったら裸で登校してやるから」
…それはマズい。俺の人生目標「なるべく目立たない」が完全に崩れる。
というか俺の人生が終わる。
鶴屋さんは恥らってるのがいいかも
「ハイ、次は身体を洗いましゅよ〜」
なぜか赤ちゃん言葉になってるハルヒが勢いよく、俺の身体をゴシゴシし始める。
これは…。
「…何身体くねらせてんのよ。気持ち悪い。」
「く、くすぐったい。身体は自分でやるからスポンジ貸してくれ」
「だーめ。見えないんだから洗い残しが出来ちゃう。そんなの許せないわ。」
と、さらに勢いよくゴシゴシする。
「ちょ、ちょっと待てハルヒ!待ってくれ!」
「待ーたーなーいー。ほーらキレイになりまちゅよ〜。…ん?」
ふとハルヒの手が止まる。
「…ナニコレ。ちょっとやだ、何よこれ」
なんだどうした。
「アハハハ!何よこれ!こんなんなるの?」
そこで俺の脳裏にふと嫌な想像がよぎった。
あいつは今俺を洗ってる。
普通に見れば男が素っ裸の女を洗ってるんだ。
そして俺の身体は健全な16歳のそれだ。
普通に考えて…どうなるかわかるよな?
「ちょっハルヒ…!」
慌てて目隠しを取ろうとするが、その手を押さえられて耳元でそっと囁かれる。
「裸で登校」
「…!」
脱力しきった俺はハルヒにたっぷり一時間
「アハハハ!何これスゴーイ!アハハハ!」
とかいう訳のわからん嬌声を聞きながらいいように洗われた。
…もう、どうにでもしてくれ。
「はい、OK!もう取っていいわよ」
クタクタになりながらベッドに倒れこむ。風呂ってこんなに疲れるもんだったか?
…もういい。寝ちまおう。寝たらきっと元に戻ってるさ。うんきっとそうさ。
現実逃避気味に睡魔に襲われるまでベッドでゴロゴロした。
風呂場から響くハルヒの笑い声を聞きながら。
翌朝
「ぅわっ!」
「…何よ。うるさい。」
「なんでお前がここで寝てんだ!」
「仕方ないでしょ?ベッドこれ1つしか無いんだから。」
「そういう問題じゃなくてだな…」
「いいじゃない。それよりもさっさと学校行くわよ。」
「まだ早いだろ…。お前いつもこんなに早いのか?」
「折角キョンの身体になったんだから色々と楽しまなきゃ!」
と、ベッドから飛び降りる俺を見る限り、元に戻ってなさそうだ。
…どうしたもんかね。
見慣れない通学路を通り学校へ。
とうとうこの姿で学校行くことになっちまったか。
「ほら、キョン早く!」
と坂を駆け足で上るハルヒ。ちょっと待ってくれ。
ただでさえしんどい坂なのにこの身体、歩幅狭いし余計疲れる。
そしてやっとの思いで教室に。
「うぃーすキョン」
「あ、おはよー」
谷口と国木田が喋りかけてくる。もう、俺は返事しない。
同じミスは繰り返さない。人間は学習するもんだぜ。
横でボケーっと突っ立ってるこいつは…多分学習する気無いんだろうな。
肘で小突いてやる。
「あ、あぁ。おはよう、谷口と…」
「国木田」
小さい声で助け舟を出す。クラスメートの名前ぐらい覚えとけ。
「そう、国木田!」
訝しげな顔をしてる二人だがここは余計な事言われる前にさっさとスルーしたほうがいい。
「ほら、行くわよキョン!」
と、言いながらハルヒの背中を押す。
しかし、女言葉って慣れないな。
その後はやけに難しい問題をあっさりと俺(ハルヒ)が解いて谷口が驚愕したり
逆に俺は授業中当てられたけど全然とけなくて前から殺人視光線浴びたりと
いろいろあった。そして次は4限目。体育だ。
着替えに隣のクラスへ行こうとする俺に後ろから声がかかる。
「涼宮さん、どこ行くの?次体育だから早く着替えないと間に合わないのね」
あ、そうか。女子はここで着替えるんだっけ。サンキュー阪中。
しっかりしなさいよ、と目で訴えてハルヒは隣の教室へ向かっていく。
…と。これは。…いいね。実にいい。
クラスの女子達が惜しげもなく下着を晒していく。
ふむ。初めてこの身体になって幸せだと感じたね。
「涼宮さん。どーしたの?ボーっとして」
…っと。見とれすぎたか。
阪中に無難な返答をしといて自分も脱ぎにかかる。
…そういや一度だけ見たことあるが。やっぱりグラマーだな。ハルヒ。
と、天国を十分満喫した後体育館へ。女子はバレー。男子はバスケらしい。
「涼宮さん、期待してるわよ!」
「がんばりましょ。隣のクラスなんかやっつけよう!」
…やけに期待されてるな。そういや球技大会であいつアタッカーとして滅茶苦茶活躍してたっけ。
うし、いっちょがんばるか。
しかし、現実はそう甘くないわけで。
空振るわ見当違いの方向に撃つわでもう散々。これ以上居ると何となく怪しまれそうだったから
調子が悪いと言って見学にさせて貰った。
嘘じゃないしな。朝から若干だが腹が痛いんだ。
すると男子のコートから雄たけびが聞こえてきた。
「うおりゃぁぁぁぁぁぁ!」
奇声を発しながら物凄い勢いでドリブルしてるのは見間違いじゃなけりゃ、…ありゃ俺だ。
いつもの俺が見せないような無駄な気迫を恐れてかあまり近づかないクラスメート。
唯一ボールを取りにきた谷口もあっさりかわす。
…俺のイメージをあんま崩さないでくれ。目立たない普通の人でいたかったのに。
そして勢いそのままゴール下まで走ってきたそいつはカエルみたいに高く飛び跳ね
そのままゴールに叩き込んだ。リアルで初めてみた。ダンク。
「気持っちいぃー!一回やってみたかったんだ、ダンク!私の身長じゃ無理だったけど…。
この身体、最高ー!」
喜んでもらえてなによりですよお嬢様。でも、あんま無茶はしないでくれ。
ざわざわと騒ぎ出す女子。そりゃそうだ。俺だって驚いたさ。
「すごーい。かっこいいのね」
と阪中を筆頭に
キャアキャアいい始める女子。
「顔だったら古泉君のがいいけどキョン君も悪くないよねー」
「純粋そうだからキョン君のがいいかも」
「えー。やっぱ古泉君だよー」
とか言ってる。うん、悪い気はしないな。
つーかいつの間にか俺の呼び名はキョンで定着してるのな。
と、つかの間の幸せに浸ってると…。
「も、いっぱぁぁぁぁつ!」
栄養ドリンクのCMみたいな掛け声と共にまた飛び跳ねてる俺。
あんまり調子に乗るなよ。そのうち怪我するぞ。
ズダァァァァン!
物凄い轟音と共に倒れる俺。…嫌な予感ばっかり当たるんだ。
慌てて自分の身体に駆け寄る。
「おい、大丈夫か!?」
「つっー…。着地失敗しちゃった。だいじょぶだいじょぶ。なんでもな…いっ!」
「どうした」
「…ちょっと捻ったみたい。」
ったく。俺の身体で好き勝手しやがって。
「先生。ちょっとコイツ保健室まで連れていきます。ほら、立てるか」
「無理…かも」
「…ったく。ほら、肩貸すから。」
やたら重いコイツを保健室まで連れて行く。
…保険の先生いねぇし。
「ま、いいか。ベッド借りよう。」
ベッドの上に降ろしてやる。
「あーあ。ツイてないなー。折角おもしろかったのに」
「人の身体で無茶すんな。…んじゃ俺は行くぞ」
「なんでよ」
「いや、授業中だし。」
「いいじゃん。どーせ見学してたでしょ?」
目ざといヤツめ。
「それに次は昼休憩だしさ。」
「わぁーったよ。いたらいいんだろ」
ハルヒにダンクがどれだけ気持ちいいか散々聞かされた。
…あんまり保健室に長居したくないんだ。なんか調子が悪くなるような気がしてさ。
ホラ、腹の痛みが増してきた。
「それでね、ダンクした後あのリングを掴んで他のヤツらを見下ろすのが最高に…ん、どしたの?」
「いや…。ちょっと腹いてぇんだ。トイレ行ってくる」
「ちゃんと帰ってきなさいよ。そのまま逃げたら死刑よ」
死刑て。
ハルヒの悪態をつきつつトイレへ。
腹痛い時は便座の上で座ってるだけで少しはマシになるんだ。
とりあえずパンツを下ろして便座の上に座る。
あー…やばい。どんどん痛みが増してきた。なんだこれ。
そして、何気なく下を見下ろした俺が見たものは…。
「血…?ハハ…嘘だろ…?」
血が流れてた。それも結構な量。一瞬で頭がパニックに陥る。
血ってなんだよ?下血ってやつか?あいつ…なんかの病気だったのか?
血って…。かなり重症なんじゃないのか?もしかしたら余命幾許も無いのかも…。
「そんな…。ハルヒ…!」
気づくと保健室に猛ダッシュしてた。
「なんでだよ…死ぬなよ、ハルヒ!」
乱暴にドアを開けてあいつが寝てるベッドに向かう。
「うわ、ちょ…何?」
「ハルヒ…。なんで黙ってたんだよ…」
「何がよ?つーかなんで泣いてんの?」
「誤魔化すなよ!お前…病気なんだろ!?それもかなりの重症で…」
「…はぁ?」
「なんで教えてくれなかったんだよ!なんで…!」
もう、声にならなかった。俺はハルヒにすがって泣いた。
「…ちょっと待って。1から説明して。何がなんだか分からないわ。」
俺は説明した。
トイレに行ったらかなりの量の血が出てた事。
きっとお前はなんかの病気でヤバい状態なんだろうという事。
死ぬな。お前がいない人生なんて考えられないという事。
「プッ…。アハハハハハ!」
「…んだよ。なんで笑うんだ」
「だって…!だって…!アハハハハハ!」
「…」
爆笑するハルヒをじっと睨む俺。こいつは何がおかしくて笑ってんだ。
「あー苦しいわ。バカじゃないの?それはね、生理よ。」
「セ…セーリ?」
「あんたは今女の子なんだから、当然でしょ?
予定日よりちょっと早かったけど…。制服の内ポケットに入ってるハズよ。」
唖然としてポケットをまさぐる。…ん。なんだこれ。
「生理用品。ほら、トイレで付けといで。なんならあたしが付けたげよっか?」
ニヤニヤとイタズラっぽく笑うハルヒ。
「…それじゃ病気は?」
「何言ってんの。あたしは健康そのものよ。」
「…じゃあ余命は?」
「はぁ?なにそれ。知らないわよそんなの。人に自分の寿命なんか教えられたくないわ」
…。えっと…?
「ホラ、さっさと行く!」
保健室から追い出される。
「…大変なんだな。女の子って」
ぶり返してきた腹痛と戦いながらトボトボとトイレへ向かった。
ここまで。
あれ?おかしいなハルヒよりキョンに(ry
402 :
かなり:2006/06/03(土) 18:47:10 ID:hWak/MdX
やはりキョンが一番萌える説は正しかったようだな
>>360 hollowのラストか。乙。
そういう絡め方もあるんだなぁと感心した。
また一つ、頼むよ。
初心者なんだが俺も投稿してもいいかな?
生理ネタに萌えた俺はどう見ても変態です本当に(ry
まさかこのスレで読めるとは思わなかった、全力でGJ。
反面、長門有希の嫉妬も最高だった。
キョンをスケープゴートにするハルヒの闇っぷりにある種の震えがきた。
本当にどんな方向性の作品も揃ってるな、このスレ。
ハルヒや長門には、もうちょっと狂気の愛に目覚めてほしい
>>389 投下後に後悔するなら次回作にその分をぶちこめばいい。期待してます。
>>405 どうぞどうぞ
>>406 >>397の時点で生理キタとテンション上がった俺も(ry
キョンの焦りっぷりは異常
>>406 最近何かダーク系が多いよね
鬼畜鶴屋さんとか
キョンを自分の物にしたいがためにハルヒの能力を抑制しなかった長門とか
おかげで黒長門とかが出来上がってきたから困る
>>409 この慌てぶりからすると、
妹はまだ赤飯前ってこったなw
キョンに甘えられる妹が羨ましくて世界改変してツンデレ妹になるハルヒの話マダー?
413 :
343:2006/06/03(土) 19:26:31 ID:HTbTzpc4
>>364 俺もさらに調べてみたけど、どうにも「これが正解だ!」と言えるほどのものは出て来ない。
まあいずれにせよ、「役不足」「役者不足」両方とも使わないのが一番無難か。
誤用がこれほど一般化してると、正しい用法の「役不足」でさえ使いづらいしね。
いきなりだが俺の信念を一つ挙げれば、それは”決まった役割なんてものは無い”
って事だ。人に押し付けられた役割を馬鹿みたいに守る必要は無い。
”言われたから”ってのは行動の理由にはならない。行動は自分自身の判断で
やるべきもので、そうでなければそいつは無責任ってもんだ。
えらく上段に構えた言い方だが、これは去年暮れに長門に教えられた事でも
ある。長門は未来を知っていることを止めた。それは自分で考えて判断をする
って事だ。
……でだ。俺の言いたい事をもっと具体的な事柄に落とし込むと、それは
つまりこういう事だ。古泉よ、お前の役割とやらはどうにかならないのか。
殆どロハで旅行を斡旋してくれるというのは、本来ならば歓迎すべきなんだろうが、
ハルヒとお前らの珍妙ギミックが付属するとなったら、それは全く別の話だ。
「温泉!観光!名物!湯けむり!そして殺人事件!」
待て。最後の物騒な奴はなんだ。
「最初は知り合いとの観光旅行のはずが、死体の第1発見者になるのね。
でもなんかおかしい、それで警察の知り合いと連絡をとる訳。この時、
その知り合いは、刑事だとオッサン、民間協力者だと2.5枚目くらいの
若いオトコになるのが定石ね。
で、一緒に観光に来ていた知り合いの過去を探ると色々出てきて、
どうやら自分はアリバイ工作に使われていたらしい、って判る訳よ」
温泉街は、山奥の渓谷沿いに、崖に張り付くように連なって湯煙に
けぶっていた。駅からの急な坂道を下りながら、いつもよりテンション
高めのハルヒは、俺のツッコミに答えになってない回答を寄越した。
「そっからは定番の泣きの過去バナね。あれっていつも思うんだけどさ、
鬱陶しいから、もっと何か派手な奴にして欲しいわね。例えば悪の
秘密結社に親兄弟を惨殺されて、復讐に燃えているとか」
無茶苦茶を言うな。
とは言うものの、そんな平日昼間にやっているTVドラマの中身がどんな
無茶苦茶に変わり果てようとも、まぁどうでも良い訳だが。
「殺人事件とはいきませんが、楽しんでいただけるミステリーを用意
できたと思います。ご期待ください」
先頭の古泉が、何時もの如才ない笑顔でこう返すと、
「んじゃ、期待してるからね!あとキョン、あんたも何かしなさいよ」
やなこった。ヒラの団員としては、そんな事をやる義理は全く無いのだ。
尤も、役職に就けてやるから何かしろと言われても、断固拒否する訳だがな。
俺らSOS団プラス鶴屋さんとマイ妹という、いつものメンバーで、
春休みしょっぱなから二泊三日の温泉旅行、という状況については、もう
説明の必要は無いと思う。もはや長期休暇の定番だからな。
海外の古城とかバミューダトライアングルとかは勘弁してもらえたらしい
古泉が、落としどころとして用意したのは温泉だった。まぁ俺もそっちの方が
嬉しい。ハルヒは落胆したかどうかは判らないが、そもそも朝比奈さんが
パスポートを持っていない、という事で諦めてもらった。ちなみに俺も
持っていない訳だが。
温泉饅頭やら”ナントカ温泉に行ってきました”やらをねだる妹を引き
ずって温泉街の外れまで辿り付くと、渓谷にかかる吊り橋の向こうに目的地
が見えた。
その頃にはようやく妹の機嫌も直っていて助かったが、妹よ、お前は来年
六年生なんだぞ。兄はとっても心配だ。
橋を渡って先頭の古泉に追いつく。おい、この橋を落としてクローズド
サークルを作る、なんて言い出すなよ。
「まさか。そこまでする必要はありませんよ。この橋の上は宿から良く
見えますから、アリバイはそこで判明する訳です」
後ろが騒がしい。
「きゃあぁぁ、やめてくださーい」
「ほーれほーれ」
ハルヒと、よりによって鶴屋さんが一緒になって、吊り橋を揺らして、
まだ吊り橋の上の朝比奈さんと妹の二人を怖がらせていた。全く。まぁ
大事には至るまい。
「いらっしゃいませ」
和服の女将姿で現れたのは、予想通り、森さんだった。いつもよりかなり
大人びて見える。貴方は一体お幾つなのですか?
各人部屋に落ち着く暇も無く、ぐったりとした朝比奈さんを引きずるハルヒ
を先頭に、女性陣は温泉へと突撃していった。
さて、どうしたものか。古泉は何やら準備に余念が無く、俺は先に家への
お土産でも買っておくかと思いついたので、浴衣にゲタ姿で散歩に出た。
帰ってきた頃には皆、広間でだらりと夕食を待つ雰囲気だったので、土産の
中から、妹用にと買った奴をお茶請けに供した。
「ハルにゃん、すごーい」
”温泉ひよ子”なんて名前のパチモンくさいそれの正しい食べ方なるものを
披露するハルヒに、妹は関心しきりだ。真似すんなよ。
「凄いですねぇ……」
朝比奈さん、あなたも関心しないでください。
その後出てきた夕食は素晴らしく、しかしハルヒが「これ、熱燗が合うかもね」
なんて言い出したときは正直焦った。しかしハルヒの酒断ち宣言は本物だった
らしい。助かった。
さて、風呂にでも入るか。
温泉はゆっくりと浸かるものだ。ハルヒがぱんぱんの腹を撫でているのを
横目に、俺は温泉に向かった。
温泉は渓谷に面した露天風呂で、勿論男女別だ。ここでハルヒたちも温泉に
入っていたら、仕切られているとはいえ、物音やら何やらで落ち着いては
いられないだろう。下手をするとモノの応酬になるかも知れん。
しかし今は静かで、渓谷を流れる川の音が気持ちいい。
こりゃ朝風呂も良いかも知れんな。景色良さそうだし。
んんーあぁ。
手拭を頭に乗っけたスタイルで、足を伸ばす。肩、凝ってるのかもな。
脱衣所にマュサージチェアがあったのを思い出した。
ガタピシという、この古い温泉宿の立て付けの悪いガラス戸を開ける
音がした。古泉か?
「ほら、出来るだけいっぱい入らないと損じゃない?」
いや、ハルヒだ。
ちょい待て、と叫ぶには遅すぎた。
渓谷からの風が、湯煙をいっとき吹き払う。
先頭はハルヒ。ちょっとそれは堂々とし過ぎだ。隠せ、隠せ!
ハルヒが固まる。
……遅い、もうはっきりと見えた。お前、毛、濃いな。
「ひっ」
次いで朝比奈さんが固まる。
隠し切れていません。全然隠し切れていません。そっちは良いです
から、そっちのほうをちゃんと隠してください。困ります。
長門は……リアクション無しか。つーか、ちゃんとリアクションしなさい。
隠しなさいって。……お前、タオル浴槽に漬けていないだろうな?
「えーっ、キョン君、どしたの!」
鶴屋さんはちゃんと隠してくれていた。有り難いのか惜しいのか、まぁ
ちょっと惜しかったな。しかしお陰で息がつけた。
「いや、こっち男湯……」
「こっちが女湯!」
ハルヒ、顔が赤いぞ。まだ湯に浸かっていないのに、もうのぼぜたか。
「キョン、あんたって奴はぁ……」
風が止んだ。
「覚悟しなさい!」
跳んだっ、ちょっ、アップ、アップになる、隠せ、隠せ!
「うぐぅ」
ハルヒの蹴りは狙い澄ましたかのように俺の鳩尾に命中した。息が詰まる。
気絶する瞬間、俺は悟ったね。
最初の被害者は俺。犯人はハルヒ、お前だ……
夢の中で俺は、いつものファンタジーな夢を見ていた気もするが、
起きてみると何時もの如く、全く覚えちゃいなかった。まぁ、現実の
ほうが凄い事になっていたから、仕方ない訳だが。
「ほら、起きなさいよ」
ほっぺたが痛い。ハルヒがつねっているのだ。
有り難いことにハルヒはタオルを身体に巻いて、ちゃんと隠して
くれている。
「んぁ……」
上体を起こすと、湯の中に長門、鶴屋さん、顔を隠してこちらを
ちらちら伺う朝比奈さんが。妹はいないんだな。
「もう入らないって」
まぁあの歳では温泉にひたすら浸かるってのは判らないだろうな。
お陰で妹に変なトラウマを植え付けないで済みそうだ。
俺は湯から引きずり出されていて、おや、股間に手拭がかけてある。
身体の何処も痛い個所は無いようだったので、ハルヒの蹴りの衝撃は、
全て湯がクッションになってくれたようだ。
「さぁてと」
こらハルヒ、胸を張るな。腰に手を当てるな。タオルがあるとは
言え、それ、お湯でぴっちり身体に張り付いて、身体の線が丸判りだぞ。
しかしこいつは無駄にスタイルが良いな。まったく、スタイルの無駄
遣いだ。容貌に難の有る人たちに、そのスタイルの良さを少しづつ分けて
やったらどうだ?
「何であんたが女湯に居るわけ?」
やべ。まずい。俺はハルヒから目を逸らすと、田舎のバーさんちの
縁の下にいるカマドウマを思い浮かべた。あの触角がぴくぴく動いている
所まで思い浮かべる事ができれば安全圏だ。ふぅ。
「判決!有罪!極刑!」
おい待て。どうやら俺がハルヒから目を逸らしたのを、やましさの
現れと受け取ったらしい。
いつものハルヒのやばい笑みが、ちょっと変質する。もっと危険な
感じに、だ。
ハルヒはその笑みのまま俺の後ろに回り込むと、さっと俺を羽交い
絞めにしてきた。
「さて、あんたにも恥をかいてもらいましょーか……」
何時もの事ながら何て馬鹿力だ。
「ちょっ、冗談はよせ」
「ぢゃぢゃーん」
股間がいきなり涼しくなる。げっ、鶴屋さんに俺の股間の手拭が取ら
れた。返してください。お願いです。それがないとお婿にいけません。
「いーじゃん別に。どうせハルにゃんのお婿になるんでしょ?」
そこで意識したが、背中に柔らかいものが。ハルヒ、お前結構胸あったよな。
……やべぇ。わが息子よ、そんな事で興奮するな。打ち上げ中止、主砲
仰角降ろせ、潜望鏡降ろせ、急速潜航準備!
……実に元気ですねキミ。だけどちょっと言う事聞いてください。
「あっ」
いつもの舌っ足らずの朝比奈ヴォイスに、更にエコーが掛かって実に
スゥイートにエンジェリックに響く訳ですが、
「ぴくって、したぁ……」
何て事をそのヴォイスで。
長門よ、もうこうなったら頼れるのはお前だけだ。助けてくれ。
目を合わせると、微妙にうなづいてくれた。有難う長門……ん?
身体が痺れている。動けない。いや、動かせない事は無いが、ちょっと
これは動けない。長門よ、お前がやったのか、お前もか!
「ほらほら、見てみてみくるぅー」
鶴屋さん、ちょっ、突付かないで下さい。汚いですよ。触っちゃばっちい
からやめましょうね。
「長門っちもホラホラ」
長門よ、ほら、胸隠すのがおろそかになってるぞ。あーあ、タオルを
湯に落としてしまった。というか隠せ。そして見るな。お願いだから
そうまじまじと観察しないでくれ。頼む。
「……ユニーク」
言うに事欠いて、コメントがそれかい。
おいハルヒ、後ろでモゾモソすんな。お前のその、胸の感触が、ヤバ
いんだよ、すっごく!
「ちょっと有希、代わってくれない?」
おい長門よ。お前しっかり首を縦に振りやがって。
「ほら、ここを……」
実に隙の無い交替で、俺には羽交い絞めから逃れるチャンスすらありゃ
しなかった。長門も全くもって馬鹿力だな。……こら胸を当てるな。と
いうかお前にもちゃんと胸はあるんだな。あとそれから、お前ももぞもぞ
すんな。俺がヤバいから。
ハルヒはというと、
「ほらほらみくるちゃーん、チャンスだからよぉーっく観察しましょうね」
こらハルヒやめろ。そんなもん強要するな。タチの悪いセクハラだぞ。
しかし、朝比奈さん、貴方ももうちょっと抵抗してください。
「ひゃあ」
まじまじと見ないで下さい。
「おおきい……」
うわ。やめて。そのヴォイスは股間に来ますから。
「へんな形よねー」
ハルヒよ、そうはっきりと言うな。
「女性器もまぁへんな形だけど、これもいい加減グロよねぇ」
こら突付くな。痛いぞ。そこは敏感なところなんだからな。
「ごめんごめーん」
そう言いながら今度は
「うりゃうりゃうりゃうりゃ……」
くすぐっているつもりか。爪が痛い。こらやめろ。
「あーっ、ちゃんと勃起させてなさいよ!」
こら。勃起なんて言葉を使うんじゃありません。
「んんー」
ハルヒはそこで後ろに目をやる。こら、朝比奈さんが怯えているぞ。
逃げるんだ、朝比奈さん、はやく!
「じゃじゃーん」
遅かった。ハルヒは朝比奈さんの手を取ると、あっさり胸のタオルを剥ぎ
取りやがった。
ぷるるん。
一瞬、俺の頭の中を占めたのはそんな擬音だった。すげぇ。
生おっぱいが、2つ、いや4つ。ハルヒのタオルも落ちてるじゃないか。
俺はこの時、ウォーズマン理論の正しさを確信したね。この破壊力は
掛け算だよ。
「うぉっ、キョン君ふっかーつ!」
鶴屋さんの声で我に返って目を逸らすが、もう股間は凄い事に。あと気が
付いたのだが、さっきより更に、背中に押し付けてないか、長門よ。もしか
して対抗してるのか?
「確かこれは……しごくのよね」
誰だハルヒにそんな余計な事を教えたのは。
ハルヒの手が、俺の股間のそれを優しく掴む。そして、
「ぎゃっ!」
いきなり上に引っ張りやがった!
「あれー、違うのかな」
掴んだまま、前後左右に振り回す。やめてくれ、根元から折れそうだ。
「ハルにゃんハルにゃん、もっと優しく」
「んんー」
「ラブを込めてー」
「「ぶっ」」
鶴屋さんのセリフに、俺とハルヒは同時に噴き出した。ぐあ、チンチンもげそう。
しかしその後、ハルヒは妙に真剣に、神妙になって、恐る恐るてのひらで
俺のモノを撫で始めた。
そこで気が付いたのだが、ハルヒの指の細さ、なんて細さだ。そして
その柔らかさ。ハルヒの指の腹が、俺の弱いところを微妙に探ってゆく。
圧力が加減される。
「すごい……」
朝比奈さんの声で我に返ったが、暫くの間俺たちは無言だった。その間
ずううっとハルヒは真剣に俺のモノを弄びつづけ、俺を含めて皆が息を
飲んでそれを見つめていた訳だ。
今やハルヒの顔には自信が満ちている。コツを掴んだのだ。いや、
掴まれてしまったと言うべきか。
「うりゃうりゃ」
ちょっ、待て、最後までやるつもりか?
「勿論!さぁ出しなさい!見ててあげるから!」
ハルヒの右手が俺のものを扱きたてる速度が上がる。乱暴一歩手前、
そこでしっかりと扱い方をコントロールしている。
「気持ちいい?ねぇ、気持ちいいでしょ?」
ハルヒの手も、ハルヒの声も気持ちよかった。なんてことだ。俺って
実はマゾの気があったのか?
判った。気持ちいい、気持ちいいから、だから、もう止めてくれ。それ以上
やったらシャレにならんぞ。
「嘘つき。止めて欲しくないくせに」
腰の辺りがむずむずして、終わりが近いことを知らせる。辛抱しろ俺。
それを感じたのか、そこで一旦手を止めたハルヒは、俺のを掴んだまま顔を
寄せてくる。
「ねぇ、キスしない?」
へっ?
そして、俺の同意も得ずに、ハルヒはキスしてきた。そして同時に、俺の
ものを、強く握り締めた。
それからは、よく覚えていない。
古泉プロデュースの三文芝居が終わり、ようやく古泉を詰問する機会を得た。
「温泉、お風呂といえば、それはもうハプニングが付き物でしょう」
やっぱりお前のせいか。俺が浴場に入る前に、暖簾やら何やら入れ替えて、
俺を騙したんだな。
「出来れば涼宮さんと二人きりにしたかったのですが、難しいですね。
涼宮さんは、ああ見えてかなり少女漫画じみたシチュエーションがお好みの
ようでしたから」
あの18禁展開の、どこが少女漫画だよ。
「最近の少女漫画は過激ですよ。個人的には、もっとハードな展開に発展しても
問題なかったと思うのですが」
この野郎。この殺意どうしてくれようか。
湯けむり殺人事件、第二の被害者は、古泉、お前だ……
そんなこんなで古泉への報復もつつがなく無事遂行し、合宿から帰った、その
晩に、俺は妙な夢を見た。
どんな夢かって?いや、ちょっと言いたくない。まぁ、かなりエロかった
とだけは言っておこう。夢精しなかったのが不思議なくらいだ。
しかし、何故こんな夢だけ鮮明に覚えているんだろうなぁ。
翌日はいきなりSOS団定例の市内探索で、ハルヒと長門以外の全員が、
死にかけたような表情を浮かべていたと思う。ハルヒよ、何でお前は
そんなに元気なんだ?
それより、その表情はなんだ?俺の顔を見るなり。
何か苦いものでも飲み込んだような顔をしやがって。
……いや、まさかな。
422 :
かなり:2006/06/03(土) 19:48:59 ID:Cf0HRqNf
>>421 キタ―(´∀`)・ω・)・∀・)゜Д゜);´Д`) ̄ー ̄)´ー`)=゜ω゜)ノいよぅ
GJ!
そして乙
GJ!
結局いじられキャラのキョン。
>お前、毛、濃いな。
情が深いんです。
でははずかしながら
半袖では少し肌寒いぐらいの気温だった。俺はいつもの様にSOS団の部室へ足を運んでいた。ドアノブに手を掛けて手前に引きかける。おっと危ない危ない。ノックするのを忘れてたぜ。このままじゃ、あのお方の更衣を見てしまうところだった。まぁ見たい気持ちも少しあったが。
しかしながらノックをしても返事はない。「おかしいな…」ドアを開けると中にはニヤケ顔のハンサム野郎も麗しの先輩メイドさんも、珍しいことに本好き宇宙人の姿も無かった。
「珍しいな…」と言いながら鞄を机に置く。ハルヒか?あいつはいつも遅れてくるので勘定には入れなくていいのさ。俺が遅れて来たときは怒るくせにな。
しかしなんだな。普段うるさい奴がいるだけにこう静かだとなんだかもの寂しい気分になるな。
そんな気分を味わったのもつかの間「やっぽ〜!ハルにゃんはいるかなっ!っとあれれ?キョン君一人かいっ珍しいねっ!」豪快な音と共に入ってきたのは鶴屋さんその人である。
続きマダー?(AAry
「珍しいな…」と言いながら鞄を机に置く。ハルヒか?あいつはいつも遅れてくるので勘定には入れなくていいのさ。
しかしなんだな。普段うるさい奴がいるだけにこう静かだとなんだかもの寂しい気分になるな。
そう思ったのもつかの間静かな気分を一瞬にして吹き飛ばすようなお方がやってきた。
「やっぽ〜!ハルにゃんはいるかなっ!っとあれれ?キョン君一人かいっ」豪快な音と共に入ってきたのは鶴屋さんその人である
?
メモとかワードパッドに纏めておいてからブチ込んだほうがイイよ。
と言いながら無闇にハァハァ。
やば…みすた。前のは無視して下さい。
ハルヒはまだですよ。
まぁ茶でも入れますんで待ってて下さい。朝比奈印の茶には数倍劣りますが。
「ところでハルヒになんの用ですか?」
「ふふ〜んキョン君には内緒の話さっ」
何だろう…気になる。
そう思いながら茶をすする。う〜んやっぱ朝比奈さんの方がいいね。お世辞にもうまくはないな。「そういえば朝比奈さんはどこだか分かりますか?」鶴屋さんがいるならば朝比奈さんも教室では無いはずだが。
「みくるかいっ?何か用事があるから今日は来れないって言ってたっさ!」
なんだろうか。よもや未来に帰るとかじゃあるまいな…そんな俺の暗雲立ち込める考えを叩き割る鶴屋さんの一言。
「ハルにゃんとはどこまでいったんだいっ?まだチューぐらいかなっ?」思わず茶を吹き掛けたね。鶴屋さんあなたは何をおっしゃるんですか?
「あれ?おっかしいな〜間違ってたかなっ?」
俺とハルヒはまだそんな仲ではありません。
「まだって事はそうなる予定な訳だっ!でも早めにしといた方がいいにょろよ。」
正直きついお言葉だ。
「チューの先をどうするかぐらいは考えておいた方がいいと思うっさっ」…その先とは?
「いやだなぁキョン君っレディにそれを言わせるつもり?」
いえ言わなくて結構です。大体予想はつきます。というかなんだこの展開は。エイプリルフールはもう過ぎたはずだが。
「その反応を見るとキョン君はまだみたいだねっ………あたしで練習してみるかいっ?」
今度こそ正真正銘茶を吹いたね。え〜と鶴屋さん?何かおかしな事になってませんか?
「あたしは全然平気っさ!キョン君の事嫌いじゃないし次期鶴屋家当主としていろんな事は早めに経験しておきたいしっ」
湯けむり症候群の続きマダー?
ちょっと待て待て。誰かがいつ来るとも分からないこの状況でそういう事を迫られたときの正しい反応はなんだ?誰か教えてくれ。やりたくない訳じゃない。むしろ率先してやりたいぐらいだ。健全な高1男子なんだからな。しかしいくら何でも唐突過ぎだ。
「キョン君はあたしの事嫌いかいっ?」
「そ…そんな事はないですが…」
「じゃあ迷わなくてもいいじゃないかっ!練習なんだからさっ」
まずい状況になってきたぞ。どうするべきだこれは。とか思ってる間に鶴屋さんはスカートに手を掛け始めた
すとん。とスカートが地に落ちる。鶴屋さんのすらっとした脚が目に映える。白のパンツ……そうじゃないそうじゃなくて!
うわっまて反応するな俺の分身!
「ふふ〜ん。キョン君のも反応してるねっあたしのでそんなに反応してくれるのは悪い気分じゃないねっじゃあご褒美あげちゃおっかなっ」
鶴屋さんが俺の前に屈み込んで俺のズボンを下ろす。体が動かん。痺れたみたいだ。そうしてる内に鶴屋さんにパンツまで脱がされた。俺のモノがひんやりした外気に触れる。
「ふふっものすっごいかちんかちんだよっ」
鶴屋さんの唇が先端に触れた
ちんちんおっきおっき
>>424 前の人も言ってるけど、せめてメモとかに纏めてから投稿しませんか?
多分、更新確認せず携帯で書けたら投稿って感じだろうけど。
鮓エ螻九&繧薙?ョ闊後′菫コ縺ョ繝「繝弱r荳九°繧我ク翫∈縺ィ闊舌a縺ヲ縺?縺上り」冗ュ九°繧我コ鬆ュ縺ク陦後¥縲ゅ→縺昴%縺ァ菫コ縺ョ繝「繝弱?ッ鮓エ螻九&繧薙?ョ蜿」縺ォ蛹?縺ソ霎シ縺セ繧後◆縲?
縲後≧繧上▲窶ヲ鮓エ窶ヲ螻銀ヲ縺輔阪∪繧九〒貉ッ縺ォ貍ャ縺九▲縺ヲ繧九h縺?縺�縲よ囑縺九>縲ゅΖ繝舌>?シ∵ー玲戟縺。濶ッ驕弱℃繧具シ?
縺昴?ョ縺セ縺セ鮓エ螻九&繧薙?ョ鬆ュ縺ッ髱吶°縺ォ繝斐せ繝医Φ驕句虚繧貞ァ九a縺溘ゅ後■繧?窶ヲ窶ヲ繧薙s窶ヲ縺オ繧縺?繧凪ヲ窶ヲ縲?
鮓エ螻九&繧薙?ョ縺ゅ£繧句」ー縺後>繧?縺ォ謇?諠?逧?縺�縲ゅd縺ケ窶ヲ繧ゅ≧窶ヲ
縲碁カエ螻九&繧凪ヲ繧ゅ≧窶ヲ縺ァ縺昶ヲ縲阪◎縺ョ險闡峨r蜷亥峙縺ォ鮓エ螻九&繧薙?ョ蜍輔″縺後&繧峨↓豼縺励&繧貞「励@縺溘?
縺薙l縺ッ窶ヲ繝、繝舌>?シ??シ?
ふぁびょ?
情報統合思念体が書き込みに来るなんて・・・
441 :
8-579:2006/06/03(土) 21:02:17 ID:gpYZJUqy
鶴屋さんにキョンを取られまいとした長門さんの仕業ですか……
442 :
5-409:2006/06/03(土) 21:07:59 ID:efJx4u/Y
何かすごく投下多くないか?
ふつうのレスより、SSの方が多いような。
にぎわうのは良いことだが読むのがついて行けん…。
保管庫管理人様本当にご苦労様です。大変だ…。
酒飲んで仄かにテンション上がったので俺も何か書く。
長門モノで。投稿できるかわからんけど。
原作一冊も持ってないから、他の人のSS参考に…
444 :
7-896:2006/06/03(土) 21:09:40 ID:y0BWoTlp
今日は進行について行けない、、、
>>267 ブルマー!ノーブラ!アナル!キタコレ あなたは神ですか?
相変わらずエロいSSごちそうさんです
時間が無かったので仕事に行く電車の中で読ませて貰いました(オイ
せっかく実用性一本勝負なのに活用できなくて残念だわ
最後の修羅場もウマー
>>279 泳法指導ときて、すぐ溺れる→人工呼吸を考えた俺ラブコメ見すぎ
水着紛失も王道だったなー、やられた
>>324 この長門さん恐くて背筋がゾクゾクしました
>>382 なにげに鶴屋さん終始別人だな
>>401 生理ネタが特にウマー
>>421 ちょwwwそれ、なんてハーレムだよww
昨日今日と労働してきたのでSS書くモチベーションが大分溜まりました
長文失礼した
すんません。自分初心者なもんでm(_ _)mこれで終わりです。
俺のモノは激しく白濁色の液を撒き散らし、液は鶴屋さんの顔にかかった。半端無く気持ち良かった。鶴屋さんが顔を拭き、これからって時になって遠くから足音が聞こえた。急いで服をきて何ごとも無かったかのようにしていると古泉が入ってきた。
「おや?お二人だけですか。珍しいですね。」
とそこで鶴屋さんが「あたしはもう帰るっさ!キョン君まったねぇ〜ん」と意味深な目配せと共に帰っていった。まぁなんだ。学校にくる楽しみが一つ増えたってとこかな
446 :
5-409:2006/06/03(土) 21:14:28 ID:efJx4u/Y
>>444 感想どうも。投下した時間が時間だったからなあ。
反応が乏しくて、寂しかったです。
昨日の夕方からずっと書いていたのは秘密だ。w
実用性を追求してみました。w
あなたもオシリスキーですね?
次は朝倉か×キョン純愛物です。たぶんHシーンはある。
>>438 こうですか?
わかりません!><
鶴屋さんの舌が俺のモノを下から上へと舐めていく。裏筋から亀頭へ行く。とそこで俺のモノは鶴屋さんの口に包み込まれた。
「うわっ…鶴…屋…さ」まるで湯に漬かってるようだ。暖かい。ヤバい!気持ち良過ぎる!
そのまま鶴屋さんの頭は静かにピストン運動を始めた。「ちゅ……んん…ふむぅん……」
鶴屋さんのあげる声がいやに扇情的だ。やべ…もう…
「鶴屋さん…もう…でそ…」その言葉を合図に鶴屋さんの動きがさらに激しさを増した。
これは…ヤバい!!
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相変らず流れが速すぎてついていけないw
449 :
5-409:2006/06/03(土) 21:20:29 ID:efJx4u/Y
ちょっと待て、
>>443 もちつけ。
俺の経験から言うと、酒飲んで書くと醒めたとき自殺したくなる危険がある。w
それに原作をまず読め。その方がネタが増えて良い物が書ける。
少しだけ忠告。
グットラック!
450 :
7-896:2006/06/03(土) 21:20:40 ID:y0BWoTlp
>>446 >あなたもオシリスキーですね?
Sir, yes sir!
お尻に限らず可愛いオニャノコは全部大好きであります教官殿!
桁が違うwww
俺とハルヒのXXX書いてたらどんどんホモホモした方向に…。
>>449 ありがとうー。可能な限り落ち着いて書く。
あと、原作は読んだことあるけど、持ってないだけ。
まぁ、多分すぐに行き詰るだろうけどな。
>>447 補完してくれてありがとう
ついでになんかエロSS書いてくださいお願いします
>449
原作を何度も読み返して妄想力を高めてからのほうがいいと思う
はぁ…糞投稿スマソorz
修行して出直してきます
このスレ流れ速すぎるしレベル高すぎる
ここに群がる神たちが一斉に新人賞に応募すれば間違いなく腐ったラノベシーンに革命が起きるだろうに
なぜ彼らがそうしないのか、残念でならない
458 :
5-409:2006/06/03(土) 21:38:32 ID:efJx4u/Y
>>457 はっはっは、それはね商業誌では谷川作品の濃いエロが書けないからだよ。
(↑それはおまえだけだ)
二次創作だからこそわき起こる創作意欲というものもあるから。
いくら考えても結論など出るわけがなく、遅刻したらしたで丸損になるため
俺は一気に坂を駆け上がった。走るとしんどいな。おかげで時間には間に合ったが。
だが、教室の扉の前で、ためらう。もしこの扉を開けて、中のクラスメイトの性別が
全員変わっていたら、俺はどうにかなってしまうかもしれん。
逡巡しているうちに、担任の岡部が来ていたらしい。
「そこで何してるんだ? ほらさっさと入った入った。ホームルーム始めるぞ」
岡部は男だな。なら大丈夫か。心に少し余裕ができた俺は、後ろから入った。
「なにやってたの? 遅刻寸前じゃない」
「いや、ちょっと考え事をしてて」
席に着いた俺に、後ろの席から声がかかった。振り返る。
どっからどう見ても、女子生徒の制服を着た、ハルヒだった。安心したぜ。
あまりにもまじまじと見つめていたせいか、ハルヒは戸惑いながら、
「な、なによ。あたしになんか文句あんの?」
いーや。なにもないぞ。
「それなら、いちいちガンつけんじゃないわよ」
顔見てただけでガンつけたことになんのか。ま、いいや。
ハルヒが変わってなかっただけでも、俺の心の安定はかなりの度合いで保たれた。現金だな、俺。
ホームルームはじきに終わり、次の授業への移動時間になった。
しかし次の授業はこの教室でするため、要するに休憩時間ってわけだ。
「それにしても、坂に突っ立ってて、何を考えてたの? キョン」
谷口が寄ってきた。お前が女になっても俺たちはだべってるのか。
ちらっとハルヒを見る。特に変わった様子もないな。
「なんでもない。ちょっと世を儚んでただけだ」
「なにそれ」
意味不明というジェスチャーをする谷口。問われても俺も意味不明なんだから答えようがない。
「へえ、そんなことがあったんだ。ボクも見たかったな」
この声は国木田か。振り向きながら返事をする。
「別にそんな面白い見世物でもな――」
お前もか、国木田よ……
国木田も女子の制服を着ていた。しかしだ。
顔も声も髪も変わってないのは、どういうことだ? いや、似合ってはいるんだが。
これじゃ、俺の目には国木田が単に女装しているように見えるぞ。
「なに? キョン。ボクの顔になんかついてる?」
「国木田、お前女装か? それ」
「へ?」
なにを言われたのかわからないといった国木田。しばらくして、
「あのね、たしかにボクは胸も小さいし女の子っぽくないけど、それはあんまりじゃない?」
谷口からも非難の視線が飛んできてるぜ。しくった。
「すまん、なんか大ボケかましてしまった」
「まあ、キョンの言いたいこともわからないでもないんだけどね」
せめてもっと胸が大きくなればなあ、とぼやく国木田。
「揉んでほしい?」
意地悪く言う谷口に、
「揉んでもらうなら、キョンにしてもらうよ」
ってなんでそこで俺が出てくるんだ。
「あはは、冗談に決まってるじゃん。そんなことしたら涼宮さんになにをされるか」
ってなんでそこにハルヒが出てくるんだよ。
「あれ、てっきりキョンは涼宮さんと付き合ってるんだと思ってたけど」
「ハルヒのSOS団には付き合ってるが、ハルヒと付き合ってるわけじゃない」
「ふうん」
どうでもいいような声は出して欲しくないぞ。俺にとってはかなり重要な線引きだ。
「なら、ボクにもチャンスはあるってことだね」
は?
一瞬、俺が国木田と腕を組んで歩いている姿を想像してしまった。
「い、いや、国木田とは、ずっといい友達でいたいな」
「キョン、それ普通、女が告白を断るときに使う常套句なんだけど」
からかうな、谷口。国木田もなに微妙な顔してんだよ。
こんな状況でも冷静につっこみを入れられる俺は、もう一般人じゃないのかもしれんな。
谷口と国木田が変わった以外に別段変化はなく、授業も相変わらずつまらんものだった。
それにしても、ここでの俺の立場はどうなってんだ? 女二人とだべる男って。
「さあ? 少なくともナンパな人間だとか、女たらしだとは思われてないわよ」
昼休み。俺のぼやきに、弁当をつつきながら、谷口が口を挟んだ。
「たまたまボクぐらいしか前の中学で仲の良かった人がいなかったからね」
コロッケを口に運びながら、国木田。
それならいいんだが……いや、良くはないんだがな。
ハルヒは相変わらず学食で食ってるのか、さっさと出て行きやがった。
放課後が待ち遠しいぜ。
SOS団の部室へ向かう道すがら、俺はなぜ谷口と国木田だけ変わったのか考えてみた。
いや、考えるまでもないな。昨日のエロ本だろ、要するに。それしか思いつかん。
あれにどんな意味があったんだ? ハルヒは平然と眺めてたぞ。
それこそ、もうちょっと恥らってもいいだろ、とこっちが思ってしまうぐらいに。
そこまで考えたところで、部室に着いた。考えるのをやめノックする。
「はあい」
朝比奈さんのかわいらしい声がして、ドアが開いた。
「キョンくん、こんにちは」
メイドさんの格好をした朝比奈さんが出迎えてくれた。何度見ても愛くるしいお人だ。
奥には長門の姿も見えるな。当然、女子の制服だ。
「どうも」
かばんを机の上に預けて、パイプ椅子に腰掛け朝比奈さんがお茶を淹れてくれるのを眺める。
見つめられているのに気付いたのか、朝比奈さんは顔を赤く染めながら、
「あまり見ないでください。恥ずかしいです……」
この反応だよ、ハルヒに足りないものは。あったらあったで変かもしれんが。口が滑らかになる。
「すいません、つい見とれてました」
「そんなこと言って、涼宮さんが聞いたらどうするんですか」
さて、どうなるんだろうね?
まあ、ハルヒのいる前でそんなことを言う度胸は俺にはないけどな。
手を頬に当ててうつむく朝比奈さんと長門のページをめくる音が、しばらく部室を占めた。
「おはよーっ!」
とっくに午後になって久しいが。
「うるさいわね。早ければなんでもおはようでいいのよ!」
ハルヒは独特の解釈を持ち出し、ずかずかと団長席へ向かう。いそいそとお茶を用意する朝比奈さん。
なんにせよ、変わらんな。谷口と国木田の件に関しては、今日の活動が終わった後で相談することにしよう。
ええと、それでどこまで考えてたんだったかな。
エロ本に対するハルヒの反応までか。
そのあと、俺や谷口、国木田の反撃に合って、退散したんだったな。
あれはけっこう傑作だったぜ。まさかハルヒに一泡吹かせることができるなんてな。
谷口もエロ本そっちのけで、「涼宮も男の友情にはかなわなかったか!」って凱歌を挙げてたぞ。
あいつのことだから、ハルヒとの長い付き合いの中で初めてだったんじゃないか?
ハルヒに男の友情なんてわかるわけないんだがな。
ん? 男の友情? まさか。
そう思ったとき、ドアが開いた。
「みなさん、お揃いでしたか」
笑顔を浮かべながら、そいつは部室に入ってきた。
ハルヒ的には、俺とこいつも男の友情でつながってると解釈されたのか。
どこをどう見たらそうなるんだよ、おいハルヒ。たしかにあの二人の前か後に来るのは、こいつだろうが。
せっかくの安寧をかき乱された俺は、机に突っ伏しそうになった。
それを思いとどまったのは、長門の姿が視界に入っていたからだ。
今までの最悪な事態に比べれば、今のところ俺の精神衛生上多少の問題があるだけだしな。
まったく、俺の平穏はどこにあるんだ。
いつまでも思考の堂々巡りをするわけにもいかん。そこにあるのが現実なんだからな。
というわけで、俺は部室に入ってきたそいつを受け入れることにした。
如才ない笑み、柔らかい物腰、楚々という言葉が似合いそうな雰囲気。
認めるしかない。美人だった。ああ、美人だったとも。
「遅いわよ、古泉さん。どこで油売ってたの?」
「少し、クラスの業務がありましたもので」
そいつが古泉だということを除けばな。
内心の動揺を押し隠しつつ、俺はその日の活動を過ごした。
とは言っても、なにがあるでもなく、ハルヒはただ団長席に座ってネットを見てるだけだったし
長門は言うまでもなく読書、朝比奈さんもおいしいお茶の淹れ方という本を熱心にご覧になられていた。
古泉と俺がやってたのは、昨日から続いていたナンプレの早解き勝負だ。
普通のゲームなら勝てるんだが、こればっかりは歯が立たん。特別クラスの面目躍如ってところか。
まあいい。いい気晴らしになったからな。
「今日は終わり! また明日ね」
長門の本を閉じる音で、ハルヒは解散を告げた。かばんをつかんで、台風のように部室から走り去った。
せめてパソコンの電源ぐらい消していけ。いつも誰が消してると思ってんだ。
軽やかな足音が消えたのを見計らって、俺は帰り支度をしていた残りの団員に声をかけた。
「すまんが、ちょっと残ってくれないか。厄介なことが起こったんだ」
「涼宮さんに関係のあることですか?」
原因はハルヒだと思うが、関係があるのはむしろお前だ、古泉。
古泉は、少し首をかしげ、
「これといって思い当たるふしもありませんが」
そりゃそうだろうよ。長門ぐらいじゃないか? 知ってるのは。
そう思い長門を見ると、俺をじっと見つめていた。
「あ、それじゃとりあえずあたし着替えますね」
朝比奈さんはそう言って、俺のほうに視線を送る。ああ、出て行かなけりゃな。
「おい、古泉出る……」
古泉は、出て行かなくていいのか。くそ、今日初めて理不尽だと思わされたぜ。
「なんでしょう?」
聞き返してくる古泉がいまいましい。バツが悪い。
「いや、なんでもない。それじゃ、着替え終わったら呼んでください」
廊下へ出る。こんなことなら男の古泉のほうがよっぽどマシだ。
「えっ、古泉さんは昨日まで男の人だったんですか? それにキョンくんのお友達も?」
俺の話を聞いて、口に手を当て驚かれる朝比奈さん。そりゃ驚きますよね。
ちなみにエロ本どうこうの部分はぼかしておいた。
「大変興味深い話です。わたしにはそんな記憶はありません」
笑顔で言う古泉。笑顔でいいのか、お前は。
「特に女性であることを不便に感じてもいませんので」
お前がそうでも、俺は構うんだよ。
俺はこの事態を把握していると思われる人物に問いかけた。
「長門、なぜこんなことになったのかわかるか?」
長門は、ゆっくりとまばたきをし、口を開いた。
「わからない」
「は?」
ちょっと待てよ、お前がわからなかったら、誰がわかるってんだ。
しかし長門は、すぐに言葉を継いだ。
「語弊があった。わたしがわからないのは、涼宮ハルヒが情報改変を行った原因の定義」
「というと?」
俺の問いかけに首を傾け、
「男の友情って、なに?」
うっ、それはわからなくても仕方がないかもしれん。
朝比奈さんも全然わからないって顔をしてるし、古泉も肩をすくめてるな。説明しにくいぞ。
「本かなにかで見たことないか?」
長門はしばらく首を傾けたまま動きを止め、珍しく自信がなさそうに言った。
「……河原で殴り合いながらいつの間にか笑い出し、打ち解けたあとに芽生えるもの?」
そう、そんな感じだよ。さすが長門、ややステレオタイプな気もするが。
それでも長門は納得がいかないらしく、視線を中空に漂わせたあと、
「現場を再現、検証する。ちょっと待って」
そう言うと、自分のかばんから白紙のルーズリーフを1枚取り出した。
なにをする気だ?
長門がルーズリーフに視線を向けると、紙切れは突如歪みだし、渦巻き状の物体になった。
あれか、眼鏡を銃に物質変換させたときと同じことか。
そうしてしばらくして出来たものは、
「……本、ですね」
古泉がつぶやいたように、ブックカバーに覆われた本だった。
え?
「検証する」
「まっ、待――」
俺の制止もむなしく、机の上に置かれた本が全開きになった。
「ひえっ!?」
朝比奈さんが悲鳴を上げる。
「これはこれは」
古泉は余裕の表情で中の写真を見ている。
「…………」
長門のいつもより長い沈黙がなぜか痛い。
長門よ、この不意打ちはないぜ。朝比奈さんにこんなのを見てたなんてバレるとは。死にてぇ。
その朝比奈さんは顔を真っ赤にして本から視線をどけると、
「キョンくん、だ、大丈夫です。あたしは、あの、その、あまり気にしてませんから」
フォローしてくれてるんでしょうけど、傷をえぐるだけです。
「その、男の人が、こういう……もの、に興味があるのは、知っていますし」
もう泣きたい気分だ。
古泉と長門はそのまま最後まで丸々読み切り、
「なかなか面白いものを拝見させていただきました」
「これが、男の友情?」
笑顔と疑問符、それぞれを浮かべる。古泉、お前、女になっても全然変わらんな。
「そうとも限りませんよ」
古泉は、女だからか男のときより数倍魅惑的に感じる微笑をし、
「たとえば、男のわたしは、あなたに友情以上のものを感じていなかったでしょう」
そりゃそうだろうな。野郎の古泉から愛の告白なんぞされたくないぞ、って、
「古泉?」
今、なんて言った?
「端的に申し上げれば、あなたのことを好きだということですが」
さらりと言うなさらりと。朝比奈さんが驚いてるぞ。長門も動きを止めている。
ええと、なんでまたいきなり?
古泉は寂しそうに、
「長門さんなら、きっと世界を元に戻す方法もご存知なのでしょう。そうすればわたしは消えます」
あ。まったく考えてなかった。
古泉は俺の表情からそれを読み取ったのか、少し俺を責めるように、
「できれば、わたしのいないところで事を済ませていただきたかったですね」
「……すまん。いつもお前や長門、朝比奈さんに相談する癖がついてたんだ」
いつかのあいつらも、自分がいなくなると知ったらどう思うか。配慮が欠けてたな、俺は。
反省している俺を見て、古泉は笑みをたたえ、
「冗談ですよ。わたしはいなくなりますが、古泉一樹がいなくなるわけではありません」
それに、と古泉は言い、
「かえって良かったかもしれません。立場上、絶対に言えないことを言えたのですから」
晴れ晴れとした表情をした。さらにちらっと目配せを送った。
俺にではないぞ。朝比奈さんと長門にだ。どういう意味合いなのかは、さてわからんね。
なぜなら、この世界のみんなが記憶している俺と今の俺は、微妙に違ってるだろうからさ。
「それで、どうすればいい?」
湿っぽくなった空気を振り払わんと、俺は長門に聞いた。
「男の友情の定義については、まだ考察が必要」
「それは必要不可欠なのか?」
こくん、と長門は縦に首を振った。
「わたしにとっては。だが、今までの情報から類推すれば、今回の事態を対処するには十分だと考える」
「じゃあそうしてくれ」
「了解した」
そう言うと長門は、古泉を憧れの上級生を見るような目で見ていた朝比奈さんのほうを向いた。
「協力してほしい。わたしだけでは時間遡行は不可能」
長門の要請に、はっと振り向く朝比奈さん。
「あっ、は、はい。わかりました」
「でも、申請しないと時間移動はできません。少し時間がかかります」
朝比奈さんがおずおずと申し出た。長門はしばらくじっと朝比奈さんを見つめ、
「代理で許可を取った。すぐに時間遡行できるはず」
「えっ? うそっ……ほ、ほんとです。最優先コードとして処理されてます」
信じられないという顔で長門を見る朝比奈さん。
「通常ならばできないが、この改変された世界であれば可能」
長門は簡単に説明すると、俺のほうを向き、
「あなたには選択権がある。この改変された世界でのことを覚えておくか、それとも忘れるか」
「選択権だと?」
「そう。今回は前回のようにあなたが記憶しておく必要はないと考える」
たしかにな。今回はハルヒの仕業だから、長門が情報改変後すぐに処理すれば済む話か。
納得した俺は、しかし逆のことを口走っていた。
「いや、ここでの出来事は覚えていたい」
じゃないと古泉に失礼だろ、と心の中で付け加える。
視界の隅で古泉がほっとした顔を見せたのは、たぶん一生忘れられないな。
「了解した。朝比奈みくる、あなたは?」
長門は次に朝比奈さんに振る。朝比奈さんは、きっぱりと言った。
「いえ、あたしは覚えておきたくありません」
「そう」
あっさり納得する長門。
「なぜですか?」
思わず聞く俺に、答えたのは古泉だった。
「当然でしょう。その朝比奈さんにとっては、最初からわたし、女の古泉一樹だったのですから」
そりゃそうか。でも、改変されたこの一日だけの記憶を残すこともできるのでは?
「可能」
長門もそう答えてくれた。しかし朝比奈さんは、首を振った。
「それでも忘れたいです。今の気持ちのまま、元の世界に戻りたくありません。ごめんなさい、古泉さん」
「いえ、いいんですよ。たぶん、わたしの発言に端を発していると思うので」
朝比奈さんの気持ちを汲み取ったかのように、古泉が答えた。
それから長門に腕を甘噛みしてもらい、準備の整った俺たちは
古泉が見守る中、出発しようとしていた。
「目をつぶってください」
朝比奈さんの声に目を閉じる。何度やっても慣れない時間遡行の衝撃に備える。
……ん? おかしいな、まだか?
「も、もうちょっと待ってくださいね」
朝比奈さんがなぜか慌てながら言った。まさかトラブルですか?
「いえ、そうじゃないです。もう、早くっ」
声を潜めてなにが「早く」なんだろうか。気になって仕方がない。
そう思った瞬間、右頬に暖かいものが触れた。ちゅっ、という擬音がする。
「えっ?」
目を開けようとした俺を強い衝撃が襲った。
時間遡行が始まった。衝撃に耐え切れず、俺は気を失ってしまった。
「キョンくん……キョンくん」
声を潜めた呼びかけに目を開けると、朝比奈さんと長門がいた。
ここは、俺の部屋か、ってベッドの上にもう一人俺が寝てるぞ?
「そのあなたは、まもなく時空改変に巻き込まれ消失する」
長門はそう説明したあと、
「わたしはこれから涼宮ハルヒの家に行かなければならない。明日、学校で」
足音をさせずに部屋を出て行った。部屋に残されたのは俺と朝比奈さんと寝ている俺だ。
とりあえず朝比奈さんと向き合った。
「ええと、朝比奈さんもあと数分で……?」
「はい、消えます」
そんなあっさり言わなくても。
「いえ、いいんです。どうせいつかは似たようなことになるんですから」
未来に帰るときのことか。この朝比奈さんの口から言われると辛いものがあるな。
「今ここにいるあたしを大切にしてあげてください。でも仲良くなりすぎちゃダメですよ?」
朝比奈さんはそう言って、下手なウインクをすると、
「これはその約束代わりです」
俺の左頬にキスをしてくれた。あ、キスと言えば。
「あ、あの、時間移動の前にした感触は、もしかして――」
言いかけた俺の口に左手のひとさし指を当て、右手のひとさし指を自分の口に当てると、
「禁則事項です」
そう言い残し、朝比奈さんは消えた。
いろいろなことがありすぎて眠れないと思ったら、適度に心労を覚えていたらしくさっくり眠れた。
そして翌日だ。俺にとっては、すでに過ごした一日なんだがな。
「よっ、キョン」
「よう」
なんだか一日見なかっただけで懐かしいな、谷口の顔も。
こいつが提供してくれる本には、今度から少し注意せねばならんな。
「おはよ、キョン」
谷口と適当にだべりながら教室に入ると、国木田がいた。
やべえ、谷口は全然違うから重ねようもないが、国木田は女装姿が記憶にはっきりと残ってる。
俺に気持ち悪いことを言ったこともな。
「なに? キョン。僕の顔になんかついてる?」
「い、いや、なんでもない」
しばらくは笑いをこらえることとの格闘になりそうだぜ。
この記憶だけ、長門に頼んで消してもらえば良かった。
「うっす」
「おっは」
なんだ、眠そうな顔だな、ハルヒ。
「ええ、ちょっと有希と長電話しちゃって」
「長門と?」
長電話なんて想像もつかんぞ。大体、何を話してたんだ。
「男の友情」
「は?」
「おかげでだいぶ理解できたわ。男の友情っていいものなのね」
なんか違う気もするが、まあいいか。おい、男の友情に憧れて自分を男なんかにすんなよ。
「なに言ってんの。あたしが女だから、憧れるんじゃない」
「……そうか」
長門に何をハルヒに吹き込んだのか、あとで聞いておこう。嫌な予感がする。
そして放課後だ。授業は同じことの繰り返しで異常につまらんかった。
古泉とやってるのは、例によってナンプレだ。
しかし二回目だからか、俺のほうが早く解けてしまった。
「これは驚きですね。まさかナンプレで僕が負けるとは思いませんでした」
「俺だってやるときはやるさ」
実際は思いっきりカンニングみたいなもんなんだが。
すると、古泉は声を潜めて、
「昨日の本の件ですが、やっぱり持ってきてもらえるよう、頼んでもらえませんか」
「ああ、あれか。構わんぞ」
人間、正直が一番だ。だが、一体なんの風の吹き回しだ?
「いえ、大したことではないのですが」
と前置きした上で、
「昨日の夢に出てきたんですよ。その本をみんなで見ているシーンがね」
古泉はさすが、超能力者だった。
(おわり)
>168-169, >171, >461-471
涼宮ハルヒの改変(TS物) おわり
女キャラを男にするのは脳が拒否
473 :
7-896:2006/06/03(土) 21:57:27 ID:y0BWoTlp
>>471 リアルタイムグッジョブ(←なんか言ってみたかった
国木田♀と古泉♀を想像して萌えた
474 :
8-579:2006/06/03(土) 21:58:08 ID:gpYZJUqy
>>472 乙&GJ!
国木田がなにげにボクっ娘だったのがツボだった。
475 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 21:59:41 ID:Gp/SMBZY
>>472 イイね!面白かったよ
しかし女キャラを男にしてたら801板逝きだったねwww
国木田かあいいよ国木田はぁはぁ
男でも女でもいけますなぁ
一部を改変するからダメなんだ。
男ハルヒの横暴に振り回されながら「やれやれ」と付き合ってあげる女キョンを想像するんだw
>>478 それ悪い男と男を見る目がない女の馬鹿カップルじゃないかw
480 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 22:06:43 ID:JL+xDVpe
国木田の顔を思い出せない漏れは負け組……orz
キョンがかわいそうな子になっちゃう・・・
>>472 面白かったです。GJ!
女の小泉は、男のまま女装しているイメージしかわかなかったw
朝比奈クンをいじり倒す涼宮っておい
>>482 もっと髪とか伸びて顔が丸みを帯びてんじゃね?
コンピ研のパソコンを強奪する際に、朝比奈クンを部員全員で○○したって言いふらしてやる、とかw
この場合、コンピ研は全員女になるのか……w
>>366-382 (ID:8Oxyqb8O)
鶴屋さんの黒さに震えた。
ちなみに電総研は産総研に統合されてしまったので今はもうない。
というかですね、スレダウンロードして読み終わって
感想でも書こうかと思ってリロードしたら、
何本もさらに投稿されているから困る。GJが追いつかない。
しょうがないので
みんなGJ!!
ちょっと古泉にサービスしすぎたし
ラストまで書いて思ったことは、男の友情ってぶっちゃけBLだなと。
長門に洗脳されてBLに染まるハルヒの図。あーあ
結果谷口や国木田にまで好かれるキョン
というか薔薇がごく一般的な世界に
サムデイ イン ザ レイン というタイトルで普通の日常を描いたのが
ハレ晴れユカイの「ある晴れた日のこと、魔法以上の愉快が― 」と対になってることに今ごろ気付いた
>>486 あるいはコンピ研の連中は男のままで「ホモの集団だと言いふらしてやる」とか
投下します
登場するのは古泉とキョンだけで、ヤマもオチもイミもありませんが801ではないです
ここでどう見ても薔薇に近い作品を投入。
苦手な人は↑のタイトルをNGワードに登録してください。
やべ、被った。落ち着いてから投下します。
「……というわけですみませんが僕はあなたとは付き合えません」
「……そう、ですか……うっ……!」
そう断りの返事をすると、僕、古泉一樹に告白をした女性は踵を返し走り去っていきました。おそらく―いえ、間違いなく泣いていましたね。
『古泉一樹の希望』
「ふう……もう、出てきてもいいですよ」
校舎に向かって僕は語りかける。正確には校舎の陰に隠れている『彼』に向かって、ですが。
「ちっ……やっぱバレてたか」
軽く舌打ちをして彼が姿を現す。
「いつ俺が隠れてたことに気づいた?」
「最初から、だと思いますよ」
「つまりおまえが今の女子に告白された瞬間からってことか」
彼は怪訝そうな顔でいい、僕は微笑むことでそれに答える。
「覗きはあまりいい趣味とはいえませんよ?」
「んなこた分かってるよ……少し話さないか? コーヒーでも飲みながら」
「おや珍しいですね、あなたからお誘いとは。ですがSOS団の方はいいのですか? 放課後になってからかなりの時間がたっていますが」
「ああ、今部室ではハルヒのやつがまた朝比奈さんのコスプレ写真を撮りまくってるんだよ。脱がせは着せ、脱がせは着せな」
いちいち出入りを繰り返すのも面倒だからな。溜息混じりに彼はそう加えました。
エロ書いてるけど細かい設定ぶっ飛ばしていい?
エロ重視だからあんま気にならない?
「で、理由はなんだよ」
「え?」
彼に初めて自分が超能力者であることを明かしたあの場所に移動し、コーヒーを片手に座ると即座に彼はそんなことを聞いてきました。
「え?じゃねーよ。さっきの子の告白を断った理由を聞いてるんだよ」
「先程のをあなたも聞いていたのではないですか?」
「『あなたのお気持ちはとても嬉しいです。ですが僕は今、しなければならないことがあります。それは義務であり、僕自身の希望でもあります。これは何よりも優先されることなのです』だったか?
まったく、こんなわけのわからん理由であの子もよく諦めたもんだな。まずそこに俺は驚いたよ」
僕は一言一句違えずに暗唱したあなたに驚きましたよ。
「そうですね、おそらく彼女は断られることを覚悟の上で僕に告白したのだと思いますよ。転校してから約十ヶ月、その間に何人もの女性に告白されましたが、その度にほとんど同じセリフで断ってきましたからね。彼女はそれをどこかで聞いたのでしょう」
「……自慢か?」
「いえ、そのようなつもりで言ったのではありませんよ」
むしろ僕はあなたのほうが羨ましいですよ。
「ふん……って、そんなことはどうでもいい。俺が聞きたいのは『義務』と『希望』ってところだよ」
ああ、そういうことですか。
「『義務』の方は予想がつく……『機関』だろ?」
「ええ、まったくもってその通りです。ご存知のように僕の属する機関は」
「それはもう聞き飽きた」
そうですか、少し悲しいですね……では前置きは省いて、
「端的に言えば誰かと付き合うとかそんな暇はないんですよ。最近は閉鎖空間の発生も落ち着いてはいますが、僕の仕事はなくなったわけではありませんからね。
それに万が一、僕が誰かと付き合うことになってしまったらSOS団の方がおざなりになるかもしれず、除団を宣告されてしまっては目も当てられません。
現時点で機関の人間で涼宮さんに最も近くにいるのは僕です。そして自分で言うのもなんですが僕はSOS団副団長としてそれなりに信頼も得ています。
以前ならどうかはわかりませんが、機関としてはそういう立場にいる僕を失うのは避けたいのでしょう」
「……自慢か?」
「いえ、ですからそのような……」
「まあ、そっちもどうでもいいっちゃどうでもいい。俺が一番聞きたいのは『希望』の方だ」
やはりそこですか……
「……どうしても言わなければなりませんか?」
「ぜひ、お聞かせ願いたいね」
……ふう、仕方がありませんね。
「わかりました、そのかわり他のお三方には言わないでくださいね」
とは言ったものの、そのまま言うのは恥ずかしいですね……フフッ、少しひねりますか
「実はですね」
急に真剣な顔になった僕を見て、彼は息を飲んだようです。
「僕はあなたのことが好きなんですよ
もちろん涼宮さん、長門さん、朝比奈さんのことも同様にね。わかっているとは思いますが、この場合の好きは友人として、という意味です」
「お……おう! そんなことわかっとるわい!」
ではなぜ今あなたは階段を昇っているはずなのに全然昇れていないポルナレフのような顔をしていたのでしょうか。
「あなたとゲームをし、長門さんは本を読み、朝比奈さんはお茶を淹れ、涼宮さんはとんでもないことを言い出す。そんなSOS団は僕にとってとても居心地のいい、かけがえのない場所なんですよ。」
そう……もしかしたら機関よりも大事な、ね。まあさすがにこれは口には出しませんが。
「僕には仲間はいても友人と呼べるような人は全くといっていいほどいませんでしたからね。だからこの場所を絶対に失いたくない。それが僕の『希望』です」
「そ、そう、か」
おや? 心なしか彼の顔が赤くなっている気がしますね。おそらく僕もでしょうが。
「よ、よし。そろそろ部室に行くか。さすがにもう撮影会は終わっているだろうからな」
「ええ、では行きますか」
席を立ち僕たちはSOS団の部室へと向かう。その間、会話はありませんでした。なんとなく気恥ずかしさがあったのかもしれませんね。
ああそうそう、実は彼にも言っていない『希望』がもうひとつあります。僕は彼と本当の親友になりたいんですよ。僕がこのかぶり続けている仮面を剥ぎ取って心から語り合えるような、そんな親友にね。
涼宮さんが今以上に落ち着いて、僕の機関の人間としての仕事がほとんどなくなるようなことになればそれも可能になるのかもしれません。そのためには彼と涼宮さんには恋人関係になっていただくのが一番なのでしょう。
まったく、二人ともはやく素直になればいいのに。まあ二人ともツンデレですから時間がかかるのも仕方がないのでしょうね。ですが付き合ったら付き合ったでラブラブ過ぎて僕が入り込む隙なんてないのかもしれません。
フフッ、まったく、やれやれですね。
以上で終わりです
小説を初めて書くくせに古泉視点なんて無謀だったかなと後悔しています
502 :
5-409:2006/06/03(土) 22:37:03 ID:efJx4u/Y
「有希、面白かったわ、あの本」
ハルヒの手に文庫本が握られていた。長門がうなずいて本を受け取る。
タイトルが読めた。
『●のミラージュ』
「やっぱり直●が●耶を監禁して、なぶりものにしちゃう所がいいわよね」
「これも……」
長門がハルヒに新しい本を手渡した。
『●の楔』
「ねえ、有希もっとガチンコのはないかしら?」
長門はうなずく。
「持ってくる」
ハルヒと長門が俺と古泉を見る視線が妙になったのはそれからだった。
こうですか先生!わかりません><
絶対書かねえ。
801板でやってくれー!
>>502 バーローww
ハルヒと長門腐女子かよwww
>>504 ベジータ長門w
つーかそのスレ、ここと結構住民被ってる希ガス
507 :
7-896:2006/06/03(土) 22:45:37 ID:y0BWoTlp
>>498 >「僕はあなたのことが好きなんですよ
ちょ、変なところで切らないでよっ ちょっとドキドキしちゃったじゃないっ
なんであたしが古泉なんかにドキドキしなくちゃいけないのよっ
だめだ〜、SS書くモチベーションがあっても睡魔に勝てねぇ
今書いてるやつ(エロなし鬱鶴屋さん)は明日投下にする
ちなみに8スレの『続・朝倉涼子の暴走』のつづきのプロットはあがってるけど、
投下はアニメで朝倉さんの進退が極まってからにしたい。
待っている人はあんまりいないと思うけど、
もしチンコにぎって待ってるやついたらもう少しそのままでいてくれっ
落ち着いたところで投入。何度も言うけど薔薇風味だから苦手な人はNGよろしく。
>>505 今書いてるっつーのww
いきなしえろでいいのかいっっ?
結局かなりの腹痛で授業もまともに聞けないまま放課後に。
「あー…。死ぬ…。」
「死なないわよ。んな事で。毎月あるんだから」
「ま、毎月…?マジかよ…」
眩暈がした。女の子ってのはこんなのを毎月耐えてるのか?
「大丈夫よ。そんなもん根性でなんとかすればいいわ。」
「お前…ほんと精神論ばっかだな」
「病は気からって言うでしょ。あ、私岡部に呼ばれてるから行って来るわ。本当はアンタが行かなきゃ
いけないんだからね。ありがたく思いなさい」
後から行くから先に部室行っといて。
そういい残してハルヒは教室から出てった。
…欠席って訳にはいかないのか。この腹痛…ありえねぇよ。
結局ハルヒに逆らうこともできずヨロヨロと部室へ向かう。
部室で少し横になろう…。朝比奈さんに暖かいお茶でも貰って。
コンコン
「どうぞ」
…。帰ろう。うん、帰ろう。
ガチャッ
「おや?どうしたんですか?」
どうしたじゃねぇよ。なんでお前しかいないんだ。
「そんな事言われても。掃除か何かじゃないんですか?ほら、遠慮しないでどうぞ」
こら、腕を引っ張るな。おい。やめろ。
カチッ
おい、何の真似だ。何で鍵閉めるんだ。
「いえ、少しあなたと2人きりでお話がしたくて」
「俺には無いね」
ただでさえ腹が痛いんだ。お前の訳分からん話に付き合って頭まで痛くしたくないぞ。
「まぁまぁ。そう言わずに。…涼宮さんが力を失っているのは知っていますね?」
勝手に語り始めやがった。知るか。
「機関に取ってそれは好都合なんです。神人狩りに行く必要も
次の瞬間に世界が消滅するかもしれない、と怯える必要も無くなりますからね」
ほう。それはめでたい。
「今の状態を保持して欲しい。それが機関の総意なんですよ」
「いやだね。俺は元に戻る。いつまでもこんな格好で過ごせるか」
「…だと思いましたよ。僕も、同じ立場ならそう思いますね」
機関と意見が違うじゃないか。
「あくまで僕があなただった場合、です。ですが涼宮さんと入れ替わったのはあなたで
僕は、古泉一樹という人間なんですよ」
…よくわからん。
「そして、その古泉一樹という人間はこのままである事を願っている」
「…なんでだよ」
「今のあなたに好意を持っているからです」
…は?なんだって?
「好きだ…と言った方がわかりやすいですか?」
ちょちょ、ちょっと待ってくれ。なんだ。どういうことだ。
「元々、あなたには友情以上の何かを感じていたんですがね。しかし残念な事に僕とあなたは
同性です。僕には同性愛属性は無いですからね、恐らくあなたも。」
当たり前だ。俺にソッチ系の趣味の持ち合わせはねぇよ。
「しかし今はどうです?あなたは女性、僕は男性。何も問題はありませんよ」
大問題だ。確かに俺は今ハルヒの身体を借りていて仮にも女性なのかもしれない。
でも俺は俺だ。男なんだよ。
「些細な問題ですよ。あなたは今、どこからどう見ても女性です。そして僕はあなたに惹かれてる」
おいおいおい。待てよちょっと。落ち着けよ。なんだよこれ。
こんな謎イベントが発生するなんて聞いてねぇぞ。
「…僕はあなたに気持ちを伝えました。あなたの気持ちが聞きたいですね」
アホか。言うまでも無いだろ。
「無理に決まって…」
そこから先は言葉が出なかった。なぜかって?口を塞がれたからだ。
…あのアホ古泉の唇でな。
「ちょっ…!ん…!」
一体何しやがるんだこいつは!頭のネジでも外れたんじゃないのか!?
なぜか一瞬、アッカンベーをしたハルヒがドアップで映った。
…って何でこいつこんなに上手いんだ。
「嫌なら逃げれるハズですよ?涼宮さんの力はよく知っています」
あいにく体調が悪いんだよクソ野郎。
それでも渾身の力を込めて古泉を突き飛ばす。
「このっ…!何しやがるんだ!」
その勢いで部室を出て行く。無駄にドアノブをガチャガチャした後に、鍵を開けて走る。
「あっ。涼…じゃなかった。キョン君どうしたんですか?」
途中朝比奈さんとすれ違ったが立ち止まる余裕もなかった。
お父さんお母さんごめんなさい。あなた達の息子は今日、男とキスしてしまいました。
「ハァ…ハァ…あれ?確かこの辺だったよな…?」
ハルヒの家に走ってきたハズなのにな…。
昨日は色々混乱してて道を詳しく覚えてなかったか。
混乱度合いは今日のがぶっちぎりだが。
数十分ぐらいだろうか。そこらをウロウロしながら家を探す。
あー…マズい。あのアホに訳分からん事された上に腹痛も手伝ってクラクラして来た。
とうとう立ってるのも辛くなり、電柱に寄りかかるようにへたり込む。
しばらくそうしてると…。
「ちょっとちょっと!なにやってんの!」
上から声がかかる。
「ハルヒ…」
「もう、そんなに辛いの?私結構軽い方なのに。全く…」
よっ、という軽い掛け声と共に背中におぶられる
「すまん、ハルヒ…」
「いいよ、別に。それ、あたしの身体だしね」
おぶられて数分。
「ほら、着いた。」
「ありがと…。ごめんな」
「だーかーら。いいって。いちいちお礼言わなくって。ムズ痒いわ」
「ありがと…ありがと…」
無意識に俺はハルヒに抱きついてた。
「わっ。ちょ、ちょっと!」
「ごめん…でも、このまま…」
「全く…。わかったわよ。好きにしなさい。胸ぐらいなら貸したげるわ」
「ん…」
しばらくハルヒにしがみついたままそうしてた。
なんだか、心地よくて落ち着けて…。
「…あれ」
ふと気がつくとベッドの上で毛布をかけられてた。
「…寝ちまったのか、俺」
枕元に手紙が置いてある。何々。
『いやぁ驚いたわ。ま、そっちも色々大変だろうけどさ。お互い様なんだしがんばろっ。
何かあったら私に頼ってきたらいいから。大丈夫、根性よ根性!』
「はは…俺って情けねー…」
あいつだって色々大変だろうに。…あいつに心配かけないように
がんばらないと。
でも、アイツのことだ。以外と満喫してたりしてな。
〜キョン宅〜
「妹ちゃん!シャミそっちに行ったわ!ほら回り込んで!」
「わー!待て待てー!」
「1,2の3で行くわよ!1,2の…」
『3!』
「あーっ!逃げられたわ!追うよ妹ちゃん!」
「なんか今日のキョン君おもしろいよー?」
「ホラ、無駄口叩いてる余裕なんか無いわ!次は後ろから行くよ!」
なーんてな。あいつだって戸惑ってるだろうさ。よく知らない家でさ。
今度は俺のほうから行ってやるかな。
ここまで。題名ミスが一個あるからNGしてる人ごめん。読み飛ばしてくれるとうれしい。
まさかここまで薔薇っぽくなるとは思わなかった。今は反省してる。
518 :
5-409:2006/06/03(土) 22:56:02 ID:efJx4u/Y
>>516 いやそんなに801っぽくはなかったよ。
むしろ、ハルヒの姿したキョンに萌え。
古泉が襲うのもわかる。(←わかるな。あれほど801は禁止だと言ったのに)
おお、予備更新されてる。仕事早ッ!
管理人さん乙。
うーん、掲載後の事も考えて改行とかした方が良かったな。
レスが別れるからって改行抜かしたから変な風になっちゃってる・・・
522 :
327:2006/06/03(土) 23:06:45 ID:Ow8cRvCP
長門ものが書きあがったので投下しようと思うー
523 :
願い:2006/06/03(土) 23:07:25 ID:Ow8cRvCP
頭が柔らかい何かに乗せられている。
しかしそれにしてはどうにも頭がズキズキする。
そうだ、ハルヒのやつにやられたんだった
気絶するほどの威力を蹴りに乗せること無いだろうに、一体何の恨みがあると言うんだ・・・・・・
それよりもこの頭に敷いている物は一体何なのか、目を開けて確認する。
周りはそれなりに暗く、もう日が沈む寸前だ、そして傍にセーラー服を着ている誰かがいた。
どうやら俺が目覚めたのを感じたようでこちらを覗き込んでいる。
「長門・・・・・・?」
膝枕されているのに気づき慌てて頭を退けようとしたが、額を抑えられる。
「もう少し寝ていたほうが良い」
まぁなんだ、一体何がどうなってこういう状況を作り上げいるのか、今日の放課後の行動を思い返してみようと思う。
部室棟の廊下を歩き文芸部の部室をノックする。
「どうぞ〜」
いつも通りの朝比奈さんの声、扉を開けるとすでにメイド服姿の彼女がそこにいる。
長門は隅で分厚いハードカバーから顔を上げこちらを確認する、古泉はダイヤモンドゲームを一人でやっていた、それ一人でやるゲームじゃないだろう
「こんにちはキョン君、涼宮さんは一緒じゃないんですか?」
「ハルヒのやつは授業が終わるなりどこかにすっ飛んでいきましたよ、そろそろ来るんじゃないのかな」
この間攫われたばかりだと言うのに、微笑みながら挨拶をしてくれるこのSOS団のマスコットかつ心の天使に癒されつつ
やはり朝比奈さんは笑っていないとな、などと思いながら椅子に座ると横から湯飲みが差し出される。
「昨日新しく買ったお茶です、おいしくなかったりしたら言ってくださいね」
それはありえません、朝比奈さん貴女の淹れた飲み物ならばどんなものでもおいしく飲み干す自信があります。
そんな事を話しお茶を飲みながらくつろいでいると、いつの間に移動したのか長門が俺の横に立っていた。
524 :
願い:2006/06/03(土) 23:08:22 ID:Ow8cRvCP
「今度はあなたが言うことを聞く番」
長門は突然言い出した。
こんな事を言い出すなんて初めての事だ、返答に困っていると長門が言葉を継ぐ
「探索の時にわたしと一緒になるようにして欲しいというあなたの願いは叶えた」
ぐ・・・・・・長門のやつまだ根に持ってたのか
「だから今度はわたしの番」
周りを見ると朝比奈さんは急須にお湯を注ぎながら呆然とし、古泉は相変わらずのニヤケ顔でこっちを興味深そうに眺めている。
ハルヒが居なくて助かった、というか居たら長門はこんなこと言わないだろう、恐らくだが・・・・・・
などと思っている内に長門に朝比奈さんが立ち向かう。
「な、長門さん、あれは確かにキョン君が悪いですけど・・・い、いきなり言うことを聞けだなんて・・・・・・」
「・・・・・・」
「えっと・・・あの、その・・・」
「・・・・・・」
「あうう・・・なんでもありませぇん」
すごすごとお茶汲みに戻る朝比奈さん。
長門よ、今、何気に睨んでなかったか?はたしてこれを変わってきた兆候と見て喜んで良いのだろうか。
朝比奈さん涙目で震えていたぞ、まぁいつものことだがな
長門がこちらを向き、多少の期待と悲しみの混ざったような眼差しで顔をこちらを見つめてくる。
「私の言うことを聞くのは嫌?」
そんなことはない、むしろ首を少し傾け上目遣いでそんな事を言われたら断る気も失せると言うものだ。
それに長門にはいつも助けられてばかりではあるし、俺に出来ることだったらいくらでもしたいくらいだ。
「それならば、明日は私と共に過ごして欲しい」
「共に、って明日も学校なんだが?」
「構わない」
俺としてはもっと色々言ってきて欲しいのだが、学校で一緒に過ごすだけでいいのだろうか。
明後日だったら休みだし朝から暇なんだがな、本当に明日でいいのか?
「いい、でも一つ保険をかけさせて貰う」
そういいながら長門は俺の背に手を回して抱きついてきた。
「保険って、なっ長門?!」
ここには朝比奈さんと古泉もいる部室な訳だが、どうやら長門は気にしていない様子
吐息が首筋に感じられる。
「じっとして、力を抜いて」
耳元でそう、囁かれる。
そして顎間接辺りから鎖骨の辺りまでツツツと舌を這わせられ
「な、ななっ?」
顔に血液が集まるのが感じられる。
そうされた瞬間全身の力が抜け、椅子に全体重を預ける事になった。
長門の後ろから顔を真っ赤にしながら朝比奈さんがこちらを見ているのに気づき視線が合った。
誤解しないでくださいね?好きでやってるんじゃないんですよ?まぁ嫌でもないですけど
そんなことを思いながら朝比奈さんと目線を合わせていたが、真っ赤な顔をして顔を伏せられてしまった。
525 :
願い:2006/06/03(土) 23:08:56 ID:Ow8cRvCP
不意に良い香りが嗅覚を刺激しだした、恐らく長門の髪の香りなのだろう。
良い香りがするな、と思っていると首筋に皮膚を突き破る感触、それでいて痛みが全く無いという矛盾。
この感触は一度体験している。
あの七夕の日、腕を噛まれた時と同じ感触、またナノマシンでも注入されているのだろうか、今度は一体どんな効果が・・・・・・
10秒くらいそうしていると
「――ッ!」
次は強く吸われる感じがした。
まさかとは思うがキスマークでも付けているのか?印がついてそれをハルヒにでも見られたら何されるかわからんのだが・・・・・・
てかこの状況も見られたらヤバイ?
「長門、これ以上は」
やめてくれ、と言おうとしたら、
お約束のように扉を親の敵のごとくぶち開け、颯爽と登場するのは我らが団長
「いやー!皆ごめんねー!掃除当番で遅れちゃ・・・・・・た?」
その団長の目線の先には、俺の首筋に顔を埋めている長門が、
そしてその周りにはお盆を抱えながらあわあわ言っている朝比奈さん、髪をかき上げながらいつものニヤケ面で笑っている古泉、
そして
「この、変態!バカキョン!皆の前で何してんのよっ!」
問答無用にハイキックを繰り出すハルヒ
どうして俺がこんな目に・・・・・・などと感想を述べていると見事なまでに綺麗に入るハイキック、しかも頭部。
ナイスキックハルヒ、お前は格闘家にでも転向すべきだな。
意識は闇の中に落ちて行った。
526 :
願い:2006/06/03(土) 23:09:29 ID:Ow8cRvCP
そして今に至る。
どうやら俺は気絶した後パイプ椅子を並べそこに寝かされたようだ。
それにしてもなんで長門に膝枕されているのかその辺りは本人に聞いたほうが早いだろう。
「わたしが勝ったから」
勝った?どういうことだ?聞きたい事がいくつかあるが、まずハルヒ達は居ない様だがどこに行ったんだ?
「涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹の3名は1時間17分23秒前に帰宅した」
そうかそうかハルヒのやつ人を蹴るだけ蹴って帰ったのか、明日教室であったら文句の一つでも言ってやることにしよう。
「勝ったってのは?」
「涼宮ハルヒと朝比奈みくる、それにわたしの誰があなたが目を覚ますまで様子をみるかで口論となり、何か勝負事で決定する事になった」
何で勝負したかは知らんがそれで長門が勝ったと、それにしてもこんな時間まで残るなんて普通勝負に負けた方がやるんじゃないのか?
「・・・・・・鈍感」
「何か言ったか?」
「なんでもない」
その後、俺たちは誰もいなくなった文芸部部室に鍵を掛け、校舎を後にした。
無言で長門と共に通学路を歩きながら帰宅していたが、俺には一つ気になる事があった。
「そういえば長門、あの時保険をかけさせて貰うとかなんとか言ってたが、あれどういう意味なんだ?」
長門は突然歩みを止め俺の方へゆっくりと顔を向ける。
その顔は無表情、傍目にはわからないだろう、しかし俺にはわかる。
今、長門は動揺している。
「部室でも言ったがな、俺はお前にしてやれる事はなんでもしてやりたいと思ってるんだ、長門になら何をされたって笑って許せる自身はあるぞ」
俺がそういうと長門は俯き僅かながら頬を染めているように見えた。
少しの間そうしていると長門は顔を上げこう言い出した。
「あなたに情報因子の植え付けによる条件付けをさせてもらった、期間は1日効果は・・・・・・」
効果は?
「一定範囲内にわたしがいないもしくは視認出来ない状態になると満たされない、何かが欠けているという気持ちになる、一般的には寂しいをいう感覚」
>>516 古泉がハルヒにキスする絵柄を想像してニヤけてきた俺は
楽しみ方が間違っている気がしないでもないが……
GJ
職人さんたちありがとです
長門有希の嫉妬、すごいよかった
古泉一樹の希望も。
古泉はいじられるのがデフォだな。
>>516 古泉がハルヒ姿のキョンにキスをしたってのをキョン姿のハルヒに
言ったらどうなるのかハラハラ
続き期待してます!
529 :
願い:2006/06/03(土) 23:10:09 ID:Ow8cRvCP
次の日、天気は快晴、だが俺は朝起きるなり何かがぽっかりと無くなったような喪失感を感じながらダウナーな気分でその日は始まった。
そんな気分のまま登校し、いつもの坂を登っていると訳も無く涙が出てきそうになり、それを一緒にいた谷口にからかわれもしたが、反論する気も起きないほどに気分が沈んでいた。
しかし、それも校門前にいた長門の姿を確認すると一気に吹き飛んだ。
欠けていた何かが埋まるような感覚、それどころか多大な安心感と幸福感を感じ、すぐにでも駆け寄り抱きしめてやりたいとも思ったが公衆の面前なので駆け寄るだけにしておいた。
一緒に教室の前まできて扉を開けようとするが開かない、と言うより開けようとする気が起きない。
長門の方を向くと何か紙のような物を渡される。なんだこれは?
それを受け取り裏返してみると長門が写っている、どうやら写真らしい。
写真を見ていると安心感が沸いてくる、そうしているうちに長門は自分の教室に向かっていた。
長門のやつ俺がこうなる事を予測していたのか?写真だなんて準備が良い。
去り際に「予想以上」なんて呟いていたが一体何だったのか。
長門にもらった写真をブレザーの内ポケットにしまう。
少し寂しくなるが大丈夫だ、写真であろうと身近に長門の姿がある、それだけでも安心はできる。
写真でも良いと言うことは例の保険とやらは俺の心持ち次第なのだろうか、まぁ本人がいるほどの効果は無いようだが。
一度深呼吸をした後いつも通り5組の教室へ入ろうと扉を開ける。
するとそこにはハルヒがいつも通り腕を組んで立っていた。
「おはようハルヒ、良い天気だな」
「おはよう、キョン良い天気ね」
どうやら団長殿は不機嫌そうなアヒル口でそう返してきた。
「有希と何話てたの?」
どうして扉の前にいたのが俺と長門だと判別出来たのかはわからんが、とりあえず席に座らせてくれ。
自分の席に着くとそのまま俺は机に突っ伏した。
「ちょっと!あたしの質問に答えなさいよ!」
「昨日の礼を言っていただけだ、悪いがハルヒ少し気分が優れないんでそっとしておいてくれると助かる」
それに、誰かさんが頭に一撃くれたからな。
「うっうるさいわね!あれはアンタが悪いんじゃない!有希にあんな事させて!」
声が大きいぞ、気絶するほどの蹴りを繰り出すお前もお前なんじゃないのか。
「アレくらいで気絶するアンタが軟なのよ!まぁいいわ、それにしてもキョン、体調不良なんてSOS団員失格よ?しっかりしなさいよね」
大きな溜息を吐きながらそんな事を言う。
やれやれ、この団長殿は心配しているのか呆れているのかはたまたその両方か、まぁ1限目が始まるまで少し眠るとしようか。
ハルヒにばれない様に内ポケットに入っている写真を確認し、目を瞑る。
じゃあなハルヒ、おやすみ。
530 :
願い:2006/06/03(土) 23:10:45 ID:Ow8cRvCP
そうこうしている内に今日の授業が終わる。
今日は全く身が入らずただただ寂しさと戦っており呆けていることが多かった、長門と一緒にいれば大丈夫なんだろうが、正直もう写真だけでは限界だ早く会いたい・・・・・・
それにしても長門との一緒にいるという約束を破ってしまったのではないだろうか。
授業中はしょうがないとしても授業の合間の休み時間も昼休みも何故かハルヒが絡んできて長門に会えなかったからな。
それに長門の言う保険とやらの効果は1日だって言ってたしな、噛まれたのは部活、いや団活中だしもう少しで効果は切れるだろう。
部室棟を歩きいつも通り文芸部の部室に行く途中で珍しく長門に会った。
「大丈夫?」
「あぁ、貰った写真があったからなんとかな、それに今はお前が目の前にいるから大丈夫だ」
昨日の帰り道のように長門は僅かに頬を染め少し俯いていた。
それに団活中にでも例の保険の効果も切れるんだろう?
「切れない」
「なに?」
「効果が切れるのは明日の午前0時0分0秒」
1日って今日1日って意味だったのか・・・・・・
てことは家に帰ってまであの状態が続くというのか、今長門が傍にいるこの状況を失うのは遠慮したい。
もう写真だけで何とかなる自信は無いぞ・・・・・・
どうしようかと悩んでいる最中にブレザーの裾に後ろに引っ張る力が加わる。
「だったら、わたしの家に来れば良い」
「いや、しかし・・・・・・いいのか?」
「あなたの状態を考えるとわたしと離れないほうが良い」
こちらの目をしっかりと見据えながらそんな事を言われる。
微動だにしないその瞳に見つめられながら何か断る理由は無いかと探してみるが何も思いつかない。
それに長門が離れないほうが良いと言うのだから本当に離れないほうが良いのだろう。
仕方がない長門、世話になる。
「構わない、それにこれは・・・・・・わたしの願いでもある」
531 :
願い:2006/06/03(土) 23:11:15 ID:Ow8cRvCP
SOS団の活動が終わった後、長門の薦め通り長門の家に泊まる事になった。
部室では時折こちらの方を見るハルヒの視線が気になったがそれ以外は特に何も無く平和な時間だった。
帰りは長門と一緒に帰ることになった。傍にいる、写真ではない本物と。
一緒に晩飯の買い物をしにスーパーに寄る。
材料からするとカレーのようだ、しかも今回はレトルトではなく小麦粉からルーを作る本格派らしい。
しかし、やはりキャベツ玉が買い物籠の中に入っていたそれも2玉。
着替えを取りに一度家に帰るといったら「必要ない」と言われたのでそのままマンションに向かう事になった。
道中、何故か長門の一挙一動に注目してしまう。
普段と変わりないはずなのに、その一動作に心臓の鼓動が高鳴り、記憶に刻み込まれていく。
例の保険は長門がいなければ寂しくなるというだけの物ではなかったのか。
だとすればこの感覚は一体何なのだろうな。
そんな事をぼんやりと考えていると「良い傾向」という声が聞こえた。
長門の方を向くと首を横にちょこんと傾け疑問を返してくる。気のせいか?
長門の部屋に着く。
長門はすぐにキッチンに立ちカレーの用意をし始める。
俺も手伝おうか、と言ってはみたが断られた。
だからといってリビングで待っているだけでは勿体無い、何をしようかと思案していると料理中の長門に目が留まる。
相変わらずの北高の制服に真っ白な簡素なエプロンを着け料理をしている長門
食器棚から皿を取り出す長門
出来たカレーと千切りのキャベツを皿に盛り付ける長門
こちらを向き、驚いたような表情を浮かべる長門
長門、長門、長門、長門・・・・・・長門、有希
「大丈夫?」
はっ、と辺りを確認する、目の前には長門、キッチンには綺麗に盛り付けられたカレーと千切りキャベツ。
あれ、さっきは何を考えていたんだっけ?
「・・・・・・大丈夫?」
大丈夫だ、だからそんな顔はするな
少し眩暈がするが目頭を押さえ頭を少し振り、無視する。
「晩飯、出来たんだろ?早く食べよう、腹が減って死にそうだ」
心配そうにこちらを見つめてくる2つの眼がある、初めて会った頃に比べたら随分表情を読めるようになったものだ。
そんなことで感慨に耽っていると自然と頬が上がるのがわかる。
リビングに戻ろうとしたが体が動かない、それどころか床が近づいてくる。
フローリングの床にぶつかる瞬間、あぁ折角の長門の手料理を食い損ねちまうな、そんな事を考えながら意識は沈んでいった。
532 :
願い:2006/06/03(土) 23:11:48 ID:Ow8cRvCP
薄っすらと眼を開ける、何故か布団の中にいる。
俺は倒れたようだ。今布団の中にいるということは長門が運んでくれたのか。
どうやらまた長門に迷惑をかけてしまったらしい。
辺りは暗闇、だが傍で正座して座っているやつの姿は鮮明に見える。
その顔は悲しそうで、俺には何故そんな顔をするのかわからなかった。
「ごめんなさい」
何故謝る?声に出そうとしたが少し口が開いただけで発声にまでは至らず、身振りで伝えようとしたが寝返りすらも打てない。
「あなたの異常はわたしが施した条件付けによって引き起こされた感情の揺らぎによる、脳の分泌物異常によるものと思われる。効果が当初の予想以上だったとはいえ、あなたをこんな目に遭わせる予定ではなかった」
あぁ、そういえば人の感情ってのは脳内で生成される分泌物によってコントロールされてるってのは聞いたことあるな。
確かそれって劇薬と同じような物だったはずだ。使いすぎれば良くて廃人、げ、良く意識があるな俺。
「わたしはあなたを涼宮ハルヒに誰かにとられたくないと感じた、出来ることならば、あなたの・・・・・・心を、わたしに・・・・・・」
いつもの淡々としたような口調が乱れ、切れ切れに言葉を紡ぎだす。
長門の手が俺の頬をまるで壊れ物を扱うかの様に撫でる。
「こんな事をして許されるとは思っていない、けれど・・・・・・一人だけではわたしも寂しい、今だけ良い、わたしだけのあなたでいて欲しい」
長門の顔が近づいてくる。
静かに唇が重なり合い、舌が差し込まれる。体が動かないのが勿体無い
口内を舌で愛撫されているとその舌から唾液が流れ込んでくる。
それを飲み下すと途端に眠気が襲ってきた、必死に耐えようとしたが目蓋はそんな俺の意志に反してどんどん降りてくる。
「起きた時には体調は良くなっているはず、だ・・・安・・・・・・・て」
533 :
願い:2006/06/03(土) 23:12:21 ID:Ow8cRvCP
さて、一体どういうことなのだろうかこの状況は。
目を覚ますと胸の辺りに圧迫感を感じるから見てみればなぜか長門が上で寝ており、俺の上着はなぜか床に放り出されていた。
つい下も確認してしまうがちゃんと穿いているようだ。ほっとしながら長門の寝顔を見る。
なんだか猫みたいな奴だな、なんて考えていると自分の胸の辺りが所々赤くなっているのに気づく。
倒れた時にでも打ちつけたのか、まぁ気にしないでおこう。
昨日一日は大変だったな、それに寂しいをいうものを侮っていた。
何をやっても満たされない喪失感と孤独感、それは自分と言うものを曖昧にして何をするにもやる気がおきない。
それにそれを取り払ってくれる存在に出会えた時の幸福感は、相手に全て委ねても良い、そんな感覚だった。
そんな貴重な体験をさせてもらった礼をいうか、文句をいうか。
しかし幸福感とも喪失感とも違う、別の感情を感じたのも確かだ。
不意に昨日の寝る前の事を思い出した。
「一人だけではわたしも寂しい、今だけ良い、わたしだけのあなたでいて欲しい」
今だけだなんて事いわないで欲しい、それに寂しいのなら俺がいつまでだって傍にいてやるさ。
それにコイツがあんなに感情を表に出すなんて今まで無かった。
コイツは変わってきているのだろう少しずつだか確実に。
そうだ、決めた。
俺はコイツを支えてやろう、何の力も無いただの一般人の俺がどれだけ支えになってやれるかわからないが。
何より今は俺が支えられてるとも言えるからな、まぁその辺りは追々何とかしていくさ。
それに昨日は長門をよく知る事が出来た。
長門が身動ぎするのが伝わってくる。そろそろ起きるのか。
さて、この寂しがりやな宇宙人が起きてきた時、昨日の事は気にしないよう伝えるべきだな。
だったらする事は決まっている。
――そう
長門が目を覚ます。
――最高の笑顔で
「おはよう長門、いい朝だな」
「・・・・・・おはよう」
――コイツを迎え安心させてやれば良い
END
>>528 ハルヒが間接キスを狙ったらやばい事になるな
GJ
っていうか投下の頻度、速度ともに凄まじいな
もう疎開先までB-29が来ちゃうよw
最後を書きたいが為に書き始めてちょこちょこ書いてたら無駄に長くなってしまった・・・
確かこのSS書き始めたのが5スレ目くらいだったから最近のスレ進行はとんでもないと思った
537 :
5-409:2006/06/03(土) 23:20:03 ID:efJx4u/Y
同じく、5スレ目から投下しだして7作目……。
俺の場合、家に光ファイバーがきたので重いところ所も大丈夫だあ、と書き始めたら
アニメが始まって大騒ぎ。かぶった。(←おまえもこの混雑の原因の一人だ)
すまん。
光にしても鯖の重さはどうにもならんよ
>>267 ぐはっ!朝比奈さんのぴちぴちブルマ尻が中出しおねだり!!?
俺にも見えたよ。まぶたを閉じれば、ほら。くっきりと…揺れる白い尻が…GJ。
ブルマ全脱がしじゃなく膝に引っかけたままでの行為に愛を感じたよ!
エロイことに耐性の無い朝比奈さんがAVとか鵜呑みにする純心さもハァハァできた。
ところで、二発目開始時なんだが折角のブルマなんだし、もう少し活用して欲しかったかも。
たとえば…あえて、中にたっぷりザーメン仕込まれた状態の股間へそのまま
ブルマを履かせなおして、ぐっちゃりした感触に朝比奈さんに「ひゃぁあ」とか
可愛い悲鳴をあげさせてから、そのままブルマ尻を鷲掴みにしてたっぷり揉みほぐす。
すると、こねくり回してるうちに押し潰されたシュークリームのような感じで
ブルマ越しにブジュリと精液が漏れてくる。それをキョンは指ですくって
朝比奈さんの口に突っ込んで舐めしゃぶらせてから
ぴちぴちブルマ尻の股布部分だけずらして肉棒をぶちこみ紺色に包まれた尻肉を…
みたいな感じはどうだろう?ハァハァ
ああ、でもブルマをフトモモのところまで下げた状態にして
白い体操服の上着と紺色のブルマの間で、そこだけ剥き出しにされた尻
っていう図もハァハァするなぁ
いやー。ブルマって夢が詰まってますね。
ってことで、次回作にリクエストしたいです!
ハルヒ→制服尻 みくる→ブルマ尻
と来たんで、長門はスク水尻をリクエスト!!
長門が無表情に尻に食い込むスク水をクイッとなおす仕草でご飯食べれそう!
にしても、あなた達オシリスキー職人のおかげで
尻派の同志が増えそうで嬉しい限りです。はい。
>>536 割り込んでしまって申し訳ない…
読んで爽やかな気分になったよ
>>536 GJ!
なんというか、不覚にも胸がキュンとなった……
543 :
5-409:2006/06/03(土) 23:29:13 ID:efJx4u/Y
>>539 君、それもうリクエストじゃないぞ。SSになっているw
これだからオシリスキーは。
うむ、二発目はもっとねっちり書けば良かったかな。
昨日、つまらんレス読んで落ち込んでモチベーションが下がったんでな、すまん。
>>533 その後、
「あ〜、もう我慢できねぇ!」
俺は起きたての長門をギュッと抱きしめた。
「??……おかしい、効果は既に切れているハズ」
いや、可愛らしい寝起きの長門を見たら急に衝動に駆られたんだ。
「なんとなくだよ、なんとなく。何となくこうして居たいんだ。」
「……そう」
まで読んだ。
>>495 こういう良い意味でこっぱずかしい話は大好きだ GJ!
>>510 えらくストレートな古泉理論だけど思わず納得してしまった自分が居るw
547 :
前スレ626:2006/06/04(日) 00:09:30 ID:+poc5+DL
「これが最初で最後」と言った舌の根も乾かない内にまたお邪魔します。
前スレでもちらっと言ったように俺は一般の小説賞にも挑戦してて、
今もその応募用の作品を書いてる最中だったんだけど、
どうもそっちがスランプ気味なんでむしゃくしゃして書いた。今は反省している。
なんかこう、俺は力入れる箇所を間違ってるかな。つまんなかったらごめん。
今回もエロなしで。
SOS団恒例の市内パトロール。
今日も今日とて待ち合わせ場所に着いたのは俺が最後であり、
「遅いわよ、バカキョン!」
などとハルヒに罵られるのもいつも通り。
とっくにパターン化されてしまっているお蔭で今更腹も立たないのは、
さて、いい傾向なのか悪い傾向なのかどっちだ? 誰か教えてくれ。
「今日のお茶とお昼もあんたの奢りよ! わかってるんでしょうね!?」
あー、わかっているさ。
ハルヒの怒声を適当に聞き流しつつ、俺はすでに集まっていた他の面々を見回した。
どんな服でもむかつくくらいに着こなしちまう古泉のことは置いといて、
ピンクを基調に揃えた朝比奈さんの服装は今日もこの上なく素晴らしい。
このお姿を拝見するために、
わざわざ休み返上で集合していると言っても過言ではないね、実際のところ。
ああ、ついでにハルヒも、見てくれだけなら水準以上だ。そこだけは認めてやるさ。
そして長門はいつも通り――いつもどお……り?
「…………」
ハルヒの横に茫洋と突っ立っている小柄な宇宙人製アンドロイドを見て、
俺は束の間言葉を失った。
だってそうだろう?
こいつが制服以外の服を着ているところなんて、
そうそう滅多にお目にかかれるもんじゃないぜ?
白一色の中、隅の方に花柄のワンポイトをあしらったワンピースは
確かに長門によく似合っているが、さてこれは一体どういう心境の変化だ?
以前にこいつが私服を着用していた場面というと
真っ先に思い起こされるのはあのSOS団夏合宿だが、
今日の予定はいつも通りのパトロールで間違ってないよな?
「……キョン? あんた、何さっきから有希の方ばっか見てるのよ?」
どことなく不機嫌そうな声で横槍を入れて来たのはハルヒだ。
そりゃお前、長門がいきなりこんな格好してたら、驚いて見ちまうのが当然だろ。
俺はそう反論したが、
ハルヒは遠足の日に間違ってランドセルを背負って来た同級生を見るような目で、
「はぁ? あんた何言ってんのよ? 有希は先週だってこの服で来たでしょ?」
……何? なんだって?
俺は先週の記憶を脳内から呼び起こす。
たった七日前のことだ。即座に思い出せないほど俺はボケていない。
そうして想起された映像の中では――
長門は間違いなく、学校で見るときと同じセーラー服姿だった。
ハルヒ、お前なんか勘違いしてないか?
「失礼ね! 勘違いしてるのはどっちよ!
古泉くん、みくるちゃん! このバカに言ってやりなさい!
有希は先週も私服で来てたわよね!?」
ハルヒの物言いにつられる形で、俺は視線をその二人へ。
そして二人の口から出てきた言葉は、
「涼宮さんの仰る通りですね。長門さんは先週もその服装でしたよ。
新鮮でしたのでよく覚えています」
「え、えと、はい。あたしも、そうだったと思います」
……おいおい、こいつはどういうことだ?
俺の頭がどうかしちまったのか?
さっきも言ったが、俺は一週間前の出来事を忘れるほど耄碌してないぞ。
長門のこの服を、俺は初めて見る。それは確かだ。
それとも何か? こいつら、グルになって俺を嵌めようとしてるのか?
>547
前作も良かったよ。エロなしでも全然問題なしだっ
俺は視線を朝比奈さんへ。
このお方は他の連中ほど神経が太くない。
わかりやすく言えば、嘘が顔に出やすいということだ。
だが、
「……キョンくん? 大丈夫ですか? どこか具合でも……?」
真剣に気遣ってくれる朝比奈さんに、特に不審な点はない。
なんだ? 本当に俺の記憶違いだってのか?
「もういいでしょ、その話は。とりあえずお茶よ。
あんたもコーヒーでも飲んで目を覚ましなさい」
ハルヒの先導で、俺たちはいつもの喫茶店へ。
途中、一度だけ長門と目が合ったが、
「…………」
そこからはなんの主張も読み取れはしなかった。
別にハルヒに言われたからってわけではないが、俺が頼んだのはブラックコーヒーだ。
その香りと苦味を味わい、カップがそろそろ空になろうかという頃、
ハルヒがいつもの組み分けを決めるクジを作って俺たちに差し出して来る。
結果は、
「あたしとみくるちゃんと古泉くんで一組……キョンと有希がペアね」
ふむ。第一回の市内探索を思い出すな。
この組み合わせになるのって、案外久しぶりなんじゃないか?
と、俺は内心でそう思っていたのだが、ここでもまたハルヒはおかしなことを言い出した。
「またこれ? 先週もそうだったじゃない。あんた、何か仕組んでるんじゃないでしょうね?」
お前が作って俺が一度も触れていないクジで、どうやってズルをするんだ。
というか、問題はそこじゃない。「先週も」だと?
「おい、待て、ハルヒ。
確かにこの組み合わせは以前にも何度かあったが、先週はそうじゃなかっただろう。
長門と組むのは久しぶりだぞ?」
俺が言うと、
ハルヒは何度教えてもかけ算の一の段すら覚えられない生徒に苛立つ教師のような口調で、
「あんたまだ寝ぼけてるの? 先週もこうだったでしょうが。間違いないわ」
そんな馬鹿な。本当に俺はどうかしちまったのか?
救いを求めるつもりで、俺は残りの団員に目を向ける。
まさかまた――と、嫌な予感はしていたのだが、しかし今回はその予感は外れてくれたらしい。
「いえ、先週は午前も午後も、この組み分けにはならなかったと思いますが」
「そう……ですよね。えっと、確か……午前はあたしと涼宮さんと長門さん、
午後はあたしと古泉くん……だったと思います」
そう、それだ。朝比奈さんが言った組は、まさに俺の記憶にあるのと同じ。
確信を得た俺が、改めてハルヒの顔を窺うと、
「……あれ? 本当に? おっかしいわねぇ。あたし、いつと勘違いしてたのかしら?」
いかに傍若無人を絵に描いたようなハルヒと言えども、
三対一ではさすがに自信を保てなくなるらしい。
そうだ、お前の勘違いだ。ついでにさっきの一件も詫びろ。
「そこはあんたの方がおかしいんでしょうが」
「僕も同感ですね」
「あの……ごめんなさい、キョンくん。あたしも……」
……なるほど。三対一では自信が保てなくなって来るな。
ところでその間、一言も発しなかった長門はというと、
「…………」
相変わらず無機質な目つきのまま、ストローに口をつけて安っぽい炭酸水を啜っていた。
ハルヒたちと別れ、長門と二人になってから。
「……長門」
いくらも歩かない内に、俺は立ち止まって切り出した。
三歩ほど先を行っていた小柄な後ろ姿が、そこでぴたりと静止する。
それを確認し、俺は気になっていたことを訊いてみた。
「さっきのあれはなんだったんだ? おかしいのは俺か? ハルヒか?
お前、何か心当たりはないのか?」
停止した姿がその場で振り向く。
身長差のために若干上目遣いで俺を見る長門は、
おそらく本日初めて会話のために口を開き、たった一言、
「ある」
……あるのかよ。
だったらなんでもっと早く……って、そりゃハルヒがいたからか。
あいつの前で宇宙だ未来だ超能力だの話はご法度。これは俺たちの不文律だ。
さて、じゃあそのハルヒの姿もないことだし、ここで改めて訊こうか。
今度は一体なんの騒ぎなんだ?
「…………」
尋ね直した俺に対し、返って来たのは毎度お馴染みの三点リーダ。
しかし平時には確かに「お馴染み」と言える対応だが、
有事の際にこいつが即答しないとは珍しいな。
何かよほどややこしい事態になっていて、説明するための言葉でもまとめてるのか?
そんな風に考えた俺は、しばし黙して長門の次の言葉を待ち、
そして待った結果もたらされたのは、実に意外にもこんな言葉だった。
「……言いたくない」
……はい? なんだって、長門? 悪いがもう一度言ってくれ。
「言いたくない」
本当にもう一度言いやがった。それも、最初よりはっきりと。
あー……長門。それはどういう意味だ? なぜ俺に言えない? 俺が知ったらまずいことか?
「ある意味では、そう」
なぜだ? 理由くらい教えろ。
「それも、言いたくない」
「…………」
あまりにも予想外の対応に、二人して黙り込むしかなくなる。
おいおい、俺はハルヒじゃないぞ?
あいつと違って、宇宙やら未来やら超能力やらの話には、すでに免疫ができている。
それが歓迎すべきことかどうかは知らんが、今更俺に隠し事もないんじゃないか?
「…………」
それでも長門は無言だ。仕方ない、攻める角度を変えてみるか。
「長門。だったら一度、話を最初に戻そう。
お前のその服、俺は初めて見るような気がしてならないんだが、実際のところはどうなんだ?」
「言いたくない」
「…………。まあ、それはいいだろう。
じゃあその服を着るのが何度目なのかは問わないことにするとして、
そもそもなんでいつものセーラー服をやめたんだ?」
「言いたくない」
「…………。服については置いておこう。次だ。
ハルヒは先週も俺とお前がペアになったと言ってたな?
しかし俺や朝比奈さんはそうじゃないと主張した。正しいのはどっちだ?」
「言いたくない」
「…………」
弱ったな。こんな長門は初めてだ。俺の与り知らないところで、一体何が起きてるってんだ?
と、口を閉ざしてしまった俺の顔がよほど深刻そうに見えたのか、
長門はその無機質な声音にほんの少しだけ気遣うような色を混ぜて補足。
「……心配は要らない。あなたは何も知らなくていい」
そう言われても意味がわからん。
わからんが……こいつがそう言うからには、実際その通りなんだろうな。
俺は長門を信頼している。
こいつが言いたがらないってことは、それは俺が知る必要のない情報に違いない。
だったらここは黙っておこう。
無理矢理聞き出して事態が悪化でもしたら洒落にならん。
それ以前に、この万能宇宙人から「無理矢理聞き出す」なんて芸当が俺にできるとも思えんが。
ということで、この話はここで終わりだ。
今日のところは黙って不思議探しの真似事でもしておくかね。
と、その前にもう一つ、言っておくことがあったな。
「長門」
再び名を呼ぶ。
長門が改めて俺を見る。
その全身を視界に捉え、俺は言ってやった。
「似合ってるぞ、その服」
「……そう」
心なしか少し嬉しそうに見えたのは、俺の目の錯覚ではないと信じたいね。
二日後の月曜日。
また今日から一週間勉学に励まねばならないという
週明け特有のブルーな気分で学校への坂道を黙々と登っていると、
「よお、キョン。見たぞ見たぞ、お前も隅に置けねぇな」
後ろから追いついて来た谷口が、脈絡もなくそんな風に絡んで来た。
こいつのこの無駄なテンションはなんなんだ。
いや、それよりも、見たって何をだ。
「とぼけるな。お前、一昨日、あの長門有希とデートしてただろ?」
毎度毎度こんな話題にだけ敏感な奴だな。しかしそろそろ学習しろ。
それはお前もよく知るあのハルヒによって強制された、SOS団的活動の一環だ。デートじゃない。
「ほお、しらばっくれるか。けどな、俺はこの目で見たんだぜ?
あの長門が、映画撮影のときでさえセーラー服の上に衣装を着てたあの長門が、だぞ?
一昨日は私服でお前と歩いてたじゃねぇか。びっくりして声をかけそこなっちまったよ」
なるほど。確かに気持ちはわからなくもない。俺もあの私服には驚いたからな。
でもな、それだけでデートと断定するのは、ちょっと早計すぎやしないか?
俺はそう反論するが、谷口はさっぱり聞いちゃいない。
「そう言えば今思い出した。確か長門と同じクラスの奴が、
前の週の土曜にも私服でデート中の長門を見たとか言ってたな。
そんときはガセだと思って相手にもしなかったが、今になって考えてみればあれもお前か」
……なんだと? 先週――いや、今日が月曜だから、先々週か。
そのときにも長門が私服だったって?
……いや、まあ、そこはいいとしよう。
そのとき「長門がセーラー服だった」と主張しているのは、どうやら俺だけらしいからな。
釈然としないものはあるが、私服については百歩譲って認めよう。
だが――デートに見えた、だと?
おかしいじゃないか。その日長門は、一度も誰かとペアにはなっていないぞ。
午前も午後も、常に三人組の方に入っていたはずだ。
これは俺も朝比奈さんも、ついでに古泉もそう言っている。
言ってなかったのはハルヒだけ……ん? ハルヒだけ?
「あー、畜生。それにしてもお前はいいポジションにいるよな。
長門に、朝比奈さんに、顔だけなら合格点の涼宮だ。
うちの学校でミスコンでもやったら、どいつも上位入賞間違いなしな面子だぞ?」
延々とぼやき続ける谷口は無視だ。
今、何かが頭に引っ掛かった。なんだ? 俺は何が気になってる?
ハルヒだけ……ハルヒだけが主張したから、なんだってんだ? 考えろ、俺。
「あの三人に対抗できそうな女生徒と言ったら……駄目だな、すぐには思いつかん。
あーあ、転校さえしなけりゃ、朝倉辺りがいい対抗馬になってただろうに」
谷口が不意討ち気味に持ち出して来た名前に、俺は反射的に思考を中断させてしまった。
……朝倉か。いかんな、どうにもその名前が出て来ると、連鎖反応で嫌なことを思い出しちまう。
何しろ俺は、あいつに二度も殺されかけたんだからな。
まあ、一度目は結果的に大したことがなかったわけだが、
二度目は実際に刺されて入院までする羽目になったんだ。無理もないよな。
いや、正確に言うと、入院の理由は階段落ちだったか? まあどっちでも大差ないが。
……待てよ? 朝倉?
朝倉と言えば、あいつは確か――
――……そうか。そういうことか。
俺だけが知らなかった長門の私服。
ハルヒだけが先週と同じだと言った俺と長門のペア。
その理由に心当たりがありながら、俺には教えてくれなかった長門。
それら三つを繋ぐ答えに、ようやく手が届いた気がした。
しかし飽くまで「届いた」だけだ。それが正解だという確証はない。
……だったら、訊きに言ってみるか。知ってそうな奴のところへさ。
「あ、おい、キョン! なんだ、急に?」
呼び止める谷口を振り切るように、俺は坂道を登る足を速めた。
長門の服のこと。組み分けのこと。
たった一週間前のことだというのに、どっちも俺たちの間で意見が分かれた。
これはつまり、「何者かが俺たちの記憶を改竄した」と捉えるのが一番自然なんじゃないか?
何者の仕業か――という話は、今は置いておこう。
問題は、改竄されたのが誰で、正しいことを言っていたのは誰か、だ。
谷口は言っていた。
先々週も長門は私服で、しかも誰かと二人で歩いていたと。
この証言は谷口と、名も知らぬ長門のクラスメイトAからの伝聞を総合したものだ。
仮にハルヒ絡みでまた厄介なことが起きているとして、
無関係なこいつらまで記憶をいじくられているとは考えにくい。
まあ、その可能性もゼロだとは言わんが、そこまで疑っていたのでは話が先に進まん。
とりあえず、この意見は正しいものとして扱おう。
だとすれば一昨日、一貫して「正しいこと」だけを言っていたのは――
「…………」
そんなことを考えている内に、俺はいつものSOS団部室の前まで辿り着いていた。
まだ始業前だ。この時間から朝比奈さんが着替えをしているということはあるまい。
ノックをせずに遠慮なくドアを開ける。
中には俺の予想通り、窓際の定位置で読書に励む本好き宇宙人の姿が。
まるで、俺を待ってたみたいに。
「……長門。訊きたいことがある」
呼びかけると、長門は無言で顔を上げた。
感情の読みづらい、しかしなんの感情もこもっていないというわけでもない視線。
それを正面から受け止め、俺は言葉を繋ぐ。二日前と同じ質問を。
「お前のあの私服、俺が見たのは一昨日が初めてか?」
「言いたくない」
「なんでセーラー服を着て来なかった?」
「言いたくない」
「先々週のパトロールの組み分け、俺とお前はペアになったか?」
「言いたくない」
……ふむ。ここまでは一昨日と同じだ。
確認も終わったことだし、そろそろ核心に入らせてもらおう。
「なぁ、長門。質問を変えるぞ」
もう一度名を呼んで、俺はその問いを発した。
「――なんで、俺や朝比奈さんの記憶を操作した?」
「…………」
無言。
だがそれは、さっきまでと同じ沈黙ではない。
ほんの少し、ほんの少しだけ、動揺するような空気が伝わって来る。
やっぱり、こいつの仕業だったか。
“はぁ? あんた何言ってんのよ? 有希は先週だってこの服で来たでしょ?”
“またこれ? 先週もそうだったじゃない。あんた、何か仕組んでるんじゃないでしょうね?”
服と、組み分け。
両方について正しいことを言っていた人物は唯一人――ハルヒだ。
言い換えればその「記憶を改竄した何者か」は、
ハルヒだけには手出しできなかった、ということになる。
ここで長門の役割について思い出してみよう。
あいつはハルヒの「観測者」だ。
そして観測者とは、読んで字の如く観測を行う者だ。それ以上でも以下でもない。
ならば、物理的か精神的かを問わず、
観測対象に直接干渉するような真似は許可されていないだろう。
それは他ならぬ長門自身が消滅させた、あの朝倉のやり方と大差ないからな。
そしてこれが得体の知れない第三者の攻撃だというのなら、ハルヒだけが無事である理由がない。
つまりハルヒだけが干渉を受けなかった時点で、最も疑わしいのは長門――お前なんだよ。
「…………」
ここまで言っても、長門は飽くまで無言を貫く。
それは俺の推論を肯定しているのも同じだが、意地でもその「理由」だけは言わないつもりか。
しかしこの長門が「意地」とはね。ずいぶんと人間らしくなったじゃないか。
その点については喜んでいいのかもな。
「……なぁ長門。俺は別に責めてるわけじゃないんだ。
お前がそうするからには、何か相応の理由があったんだろう?
もうネタは割れちまったんだから、教えてくれてもいいんじゃないか?」
「…………」
やはり反応なし、か。
しかし実のところ、俺はその「理由」にもある程度見当がついてしまっていたりする。
ただ、まあ、なんだ。
それを俺の口から告げるのは、思い上がりというか自信過剰というかその……
ええい、ここまで来たら言ってしまえ、俺。
「……長門。俺がこれから言うことには、とんでもない勘違いが含まれているかもしれん。
だから、違うなら違うと指摘してくれ。頼むぞ」
我ながら情けないことだが、これは外したときの保険だ。
そこで一度言葉を切り、軽く深呼吸してから、告げる。
「長門。お前、俺にあの服を褒めてほしかったんじゃないか?」
先々週の土曜日。
何かの気紛れで、長門があの私服姿で現れたのはもう間違いない。
そしてその日、ペアになった俺は、多分長門に言ったんだろう。
「似合ってるぞ、その服」と。
その言葉をもう一度聞きたかった長門は、俺から該当する記憶を奪った。
覚えてたら、わざわざ同じことを二度は言わないだろうからな。
そして組み分け。
長門ならクジでズルすることなど造作もないが、
いつも俺とばかりペアになっていては周りの連中に怪しまれる。
そこで朝比奈さんと古泉にも記憶操作だ。
ハルヒにだけは手を出す権限がなくとも、俺も含め三人が言いくるめれば力技で誤魔化せる。
もしかしたら先々週や先週に限った話でなく、
俺と長門のペアは自分で記憶しているより遥かに多いのかもな。
俺も朝比奈さんも古泉も覚えていないだけで。
さあどうだ、長門? 以上が俺の推理だ。
言ってる俺も恥ずかしいんだから、イエスでもノーでも何か答えろよ。
「…………」
そんな俺の願いも空しく、長門は静かに席を立った。
言うべきことを言い尽くし、もはや言葉もない俺の横を素通り。
ドアに手を掛け、押し開ける。
……おいおい、放置かよ。本格的に間抜けじゃないか、俺。
気がつけば、始業のチャイムが鳴り始めていた。いかんな、俺も教室に戻らねば。
頭を掻いて、部屋の出口を振り返る。
今まさにそこから廊下に出て行くところだった長門は、
一瞬だけ俺と目を合わせてぽつりと一言。
多分この世界で俺にしか見分けられないくらいの、
限りなく微小な照れを表情に乗せて、
「……違わない」
終わり
556 :
前スレ626:2006/06/04(日) 00:21:26 ID:+poc5+DL
俺は自分にエロが書けないことはよくわかってるんで、
その分他のとこでどうにか面白くしようと努力してるつもりなんだけど、
このエロパロ板って空間でその方向性は合ってるんだか間違ってるんだか。
まあ仮に合ってるとしても、
これは前スレの「朝比奈みくるの誤解」より話としてのクオリティ低いよね。
書いてて自分でそう思った。
前回あんな話書いたけど本当は長門派なんで、
長門の話もちょっと書いてみたくなっただけなんだ。
>>457 亀な上にマジレスするとこじゃないだろうけど、一応。
新人賞は新人賞でレベル高いよ、本当に。
自分が参加すると実感する。
>>556 いやいや、今回も良い感じですよ。
この調子でガンガッテ!!
>>556 GJ!!
うわ、凄い良い!! 丁寧な上にラブが溢れてるぜっ!w
>>556 長門かわいいよ長門!
遙かなる無限のGJ!
560 :
前スレ626:2006/06/04(日) 00:34:23 ID:+poc5+DL
>>549,
>>557-559 ありがとう。
正直、前スレのときは「完成までに手間取った」のがマイナスなだけで、
作品としてはそこそこよくまとまってる方だと自分でも思ってたんだけど、
今回は本当に自信なかった。
ただ、
>この調子でガンガッテ!!
って、この調子だと応募作の方が進まないんだよw
>>556 がちんこファックなエロじゃなくっても、オマケ要素でいいんだ
風でスカートがまくれるくらいの週刊少年ジャンプ級の萌エロスだけでも添えられてれば
このスレの住人なら喜んでくれる気がするんだけど、どうだろう
エロみくる投下するぜえええええ
>>556 何と言うか文章に緊張感があって引き込まれるんだよなぁGJ!
前回よりクオリティが低いなんて事は無い、目を皿の様にして読みふけったよ!…と断言したいが
自分も長門萌えだから、長門描写の丁寧な作品にはバイアスがかかるのであまり意味の無い意見だw
564 :
8−294:2006/06/04(日) 00:44:17 ID:3hLM0ZVK
「じゃ、頑張ってね。色々『オプション』を付けといてあげたから。キョンくんも喜ぶと思うわ。
優しくしてね。あ、このセリフ、あなたじゃなくてこの子に言うべきかも。
いつもよりちょーっとばかし積極的になってるから。キョンくんMだもんね。きっと満足すると思うわ」
朝比奈さん(大)は眠っている朝比奈さん(小)の頬をぷにぷにと突きながら言った。
しかし俺がMって。なんでそんなこと知って・・・いや、なんでもないです。
「いいのよ。わかってるから。うふ」
とセクシーな笑みを浮かべ、朝比奈さん(大)は去っていった。
誰もいない部室で、朝比奈さんと二人っきり。
俺は唖然と立ち尽くしている。
朝比奈さんはメイド姿で机に突っ伏してすーすー寝息を立てている。
いったいどうしろって?いつもの事ながら朝比奈さん(大)は断片的にしか物事を教えてくれない。
ふう。と俺が溜息をつくと、朝比奈さんが目を覚ました。
「ふぁあ、あれ?あたし、寝てたの?」
ええ。少しの間。
「あ、キョンくん―――」
と言った朝比奈さんの表情に変化が見られた。なんというか、妖艶というか子悪魔的というか、そんな笑みを浮かべている。
萌えは重要。エロは二の次。
そんな俺はマイノリティ?
566 :
8−294:2006/06/04(日) 00:44:58 ID:3hLM0ZVK
朝比奈さんは続ける。
「キョンくん、あたしのこと好き?」
「は?」
突然の質問にあほらしい声をあげてしまう。
「だからぁ、キョンくんはあたしのこと好き?って聞いてるの!
もう。女の子にこんな事二回も言わせるなんて」
そりゃ好きですけど・・・。どうしたんですか突然。
俺の返答を聞くや否や、
「ほんとう!?よかったぁ。じゃ、ちょっと手、貸してくらさい」
多少呂律が回ってなかったような気がするが、黙って指示に従う。
俺は両手を朝比奈さんの方へ向けると、その手をがっしと掴んだ。
そして、自分の胸に押し当てた。
「どう?やわらかいでしょ?あたしのおっぱい。キョンくん、いっつもあたしのおっぱい見てるから喜ぶと思って。うふふ」
突然のことに顔が真っ赤になる感覚に襲われるが、あくまで平静を保っていた。
ちょ、朝比奈さん。これはまずいんじゃないでしょうか。ほら、学校だし。
と俺が理性を保ちつつ弁解すると、
「うふ。キョンくん。自分からあたしのおっぱい揉んでるくせにぃ」
哀しいかな男の性よ。だってそうだろ?こんなシチュエーション。
俺だって健全な高校生だ。何もしないなんてほうがおかしいだろ。
567 :
8−294:2006/06/04(日) 00:45:29 ID:3hLM0ZVK
「それに、こっちの方も」
俺の股間に手を当て、既に硬度を増したモノを上下にさする。うっ。ちょ、やばいっす朝比奈さん。
「さ、脱いでキョンくん」
へ?脱ぐって・・・。言葉どおりの意味でしょうか。
「もう、じれったいんだから」
言うや否や朝比奈さんは俺のベルトを器用に外し、パンツと一緒に一気に下までずり下げた。
「キョンくん仮性だったのね。うふ。でも意外とおっきいのね」
うう。まさか朝比奈さんの口からそんな卑猥な発言がなされるとは・・・。嬉しいやら哀しいやら。
「じゃ、いきますね」
と言うと朝比奈さんは俺のモノを強く握り、前後にしごき始めた。
強弱のつけ方が神がかっている。どこで覚えたんですかこんな技。
「禁則です☆」
無邪気に答える朝比奈さんは手の速度をあげる。う、やばいです。イキそうです。
と我慢の限界を迎えようとしている俺に、朝比奈さんの猛攻は続く。
「じゃ、こんなのはどうですかぁ」
と今度は口を使ってしごき始めたのだ。柔らかくて暖かくて、そして艶めかしい舌の感触に身を委ね、絶頂を迎えようとする。
568 :
8−294:2006/06/04(日) 00:46:24 ID:3hLM0ZVK
「あ、朝比奈さん、もう・・・!」
と言ったところで股間に激痛が走る。朝比奈さんが歯を立てたんだ。当然絶頂はお預けとなる。
「そんな、あ、朝比奈さん」
イクのを妨げられた俺に朝比奈さんは悪魔の笑みを向けて言った。
「うふ。簡単にはいかせませんよ」
そして硬度が落ちてきた俺のモノを手と口でまた攻めはじめる。
俺の手はというとさっきから朝比奈さんの胸を揉みっぱなしだ。
「イキそうになったらちゃんと言ってくださいね」
「イキそうです」
即答すると、
「もう。もっと我慢しなきゃダメですよぉ」
と手と口を離す。あああ。イキたい。イカせて下さい。限界です。
「そんなに出したいんですかぁ?」
「はい。一刻も早く」
「じゃ、お願いしなきゃだめですよ」
正直今の俺は男のプライド<性欲だ。迷うことは無かった。
「お願いします。イカせて下さい」
「どうやって?」
「朝比奈さんの手と口で」
「どんな風に?」
「激しくしごいて
「お願いします。朝比奈みくる様?」
「お願いします!朝比奈みくる様!!」
「うふ。しょうがないなあ」
と朝比奈さんは再び俺のモノをくわえ、今までで一番の速度でしごき始める。
「で、出ます!」
イクのにそう時間はかからなかった。二度三度口の中で痙攣したあと、外に開放された後も衰える事無い勢いで射精を続け、朝比奈さんのメイド服の胸元に白い粘液が飛び散る。
朝比奈さんは俺の精子を一旦口の上に出し、
「もう、出しすぎですよぉ」
そしてそれを再び口の中に含むと、ずいっと顔を俺の顔のまえに持ってきて、キスをする。
舌で唇をこじ開けられ、唾液と共に自分の精子を流し込まれる。苦い。
気付くと俺はあまりの気持ち良さに腰が砕けてその場にへたり込んでいた。
そんな俺の上半身をゆっくり倒し、唇を離して言った。
「うふ。まだまだこれからですよ☆」
その顔には、無邪気な『邪気』が込められていた
続く
神々にGJ
そして長門萌えだったのがいつのまにかキョン萌えになっている漏れ
570 :
8−294:2006/06/04(日) 00:51:53 ID:3hLM0ZVK
このあとは母乳・パイズリ・脚(ふともも)など考えております
5つめ。このまま行くと10ぐらいまでズルズル続きそうだったから
無理やり感があるけどこれで終了。ちょっと尻切れトンボっぽくてスイマセン
572 :
8-343:2006/06/04(日) 00:59:32 ID:sIxJEi1/
うは、ちょっとROMってたらレスがこんなに。
皆GJ!!
「んだよ…これ…」
朝起きると、昨日以上の激痛が腹に走る。
…そういや2日目が一番酷いってなんかで見たような…。
あー。ダメだ。これは学校とかそういう問題じゃない。起き上がることすら困難だ。
激痛に悶えながらベッドの上でごろごろしてると…。
「おーい!迎えに来たよー!」
迎えに来てくれたのか。
でも、俺は玄関まで行く気力も無ければ大声を出す力も無い。
どーしたもんか…。
「もう、寝てんの?ほら、さっさと起きる!」
勝手に上がってきた。…まぁ元々こいつの家だしな。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、ハルヒ…。ちょっと今日は無理だわ、これ…」
「何?またダウンしてんの?」
「これはちょっとシャレにならん…。お前こんなん耐えて今まで生きてきたのか?」
「そんなに辛いと思った事無いけどねぇ。アンタが大袈裟なんじゃないの?」
大袈裟なんかじゃない。神に誓ってもいい。これは生理痛とかそんなレベルじゃない。
多分俺の腹にエイリアンかなんかが入ってるんだ。
一瞬頭の中に浮かんだ長門の姿を振り払って前のハルヒを見る。
「ったく。しょうがないわね。私も付き合ってあげるわ。」
「え?だって学校…」
「休むわよそんなもん。こっちのが大事でしょ。」
「ハルヒ…」
「あ、ち、違う!私の身体が!ってこと!」
必死に否定する。
「すまん…今日は動けそうに無いわ」
「ん。わかってる。私に任せなさい!それぐらいやったげるわ」
「すまん…なんかお前に頼ってばかりだな、俺」
「いいわよ。むしろどんどん頼ってきなさい。」
もしかしたら世話焼き資質があるのかもな。
その後は食欲無いと言ったらお粥作ってくれたり
生理痛和らげる薬持ってきてくれたりと色々世話を焼いてくれた。
「ほんとに生理痛なの、それ?病院行ったほうがいいんじゃない?」
「いや、薬飲んだら大分楽になった。多分大丈夫だ」
「そ。…あーなんか一仕事終えたら眠たくなってきちゃった。ちょっと入れて、そこ」
「バ…お前、駄目だっつの。狭いだろうが。」
「いいじゃん。ま、駄目だって言っても無理やり入るしね」
「だー。もう。勝手にしろよ」
無理やり入ってくる。…2人では狭すぎる。
「…なぁハルヒ」
「…」
「ハルヒ?」
「…」
早えぇよ。寝るの。
つーかこっち向いて寝るな。顔が近ぇよ。
「…おい、ハルヒ」
「…」
本気で寝てるのか。
あー…。アップで自分の顔見てたら昨日のおぞましい記憶が蘇ってきた。
思い出しただけでも寒気がする。
そういやキスされたのはこいつの身体だっけ。
…なんか腹立ってきたな。
おや、こんな所に丁度いい具合の唇があるじゃないか。しかも眠ってやがる。
前に一度やってるし…。問題無いよな?いや、無いはずだ。きっと。
うん。浄化しよう。そうしよう。
すっと目を閉じて唇を近づける。
「……キョン」
「ぬわっ!」
起きてたのか。
「何しようとしてたの?」
ニヤニヤ笑いながら聞いてくる。分かってるクセに。
576 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 01:01:05 ID:4SX+6pi0
GJ!
積極的な朝比奈さんもええですなぁ('A`*)
「別に。眠いから寝ようと思って目を閉じただけだ」
「ホントに?」
「ホントに」
「ふーん…」
「んだよ」
「こういう事しようとしたんでしょ?」
すっと唇を重ねられる。
「な…!」
「何よ。自分でやろうとしてたくせにやられたらパニくっちゃって」
「だって…」
「でも、やっぱりアンタの身体だとなんか違うわね。」
「…」
「決めたわ。元に戻ってアンタにあったらイの一番にキスしてやる。なんかこのままじゃおさまらないわ」
「んだよそれ」
「いいじゃない。約束するわ。」
いや、そんな約束されても。
「あーあ。でもアンタはいいわよね。ダンクも出来るしウザったい生理も無いし」
「お前のがいいよ。勉強も出来るし、スポーツ万能だし」
『でも…』
ふと声が重なる。
「やっぱり俺は俺でいたい」
「やっぱり私は私がいいわ」
目が合う。なんだか…その目に…吸い込…ま…れ…
「…ん」
辺りを見渡す。見慣れたベッド。見慣れた部屋。枕元で寝るシャミセン。
鏡を見る。…俺の顔だ。間違いない。
…なんか、長い夢でも見てたようだな。
「キョーンくー…。なんだ起きてる。つまんないにゃぁ」
シャミを抱いて部屋を出る妹。いつもの日常だ。
クソ長くて疲れる通学路を谷口を喋りながら教室に入る頃にはあれは夢だと思うようになってた。
…あいつが来るまでは。
そのあいつは珍しく、チャイムギリギリに入ってきた。
そして俺の後ろの席に座ると同時に
「ね、キョン」
「んだよ」
俺が振り向くと同時に壊れた万力みたいなバカ力で俺の頭を掴む。
と、同時にハルヒの顔が近づいてきて…。
「お、おい、ちょ、ハル…!」
たっぷり30秒はそうしてただろうか。
教室中の視線を集めるのは十分すぎる時間だった。
そしてやっと解放された。
「おま、何する…!」
そいつは満面の笑顔でこう言った。
「だって、約束したじゃない!」
これにて終了。もうちょい色々書きたかった部分もあるけどあんまり長くなってもアレだし
自分的にはあの古泉が書けたから満足。
朝比奈さんのプチSっぷりを読んで、自分はSだと思ってたが実はMなのでは?と思った
581 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 01:06:04 ID:4SX+6pi0
>>579 GJ!!
お蔵入りしたネタは次にきっと活きてくる!!
GJ!
今日もあふれる神SSに感謝
感化されてキョン×ハルヒのSSを書いたんだが、投下しても良いか?
陵辱的単語は出てきても陵辱されるシーンは無いんだが
しかし久しぶりに書いたし長いしエロは最後だし、って物なんだが
どうぞ。
wktk
591 :
正直に:2006/06/04(日) 01:49:36 ID:JsnxHMRh
俺は今、何をしている?
答えは簡単だ、夜の公園でベンチに座りながらある人物と向かい合っている。
その人物とは果たして誰か?
あろう事かハルヒだ。
しかもハルヒの目は赤ければ顔も赤く、俺の体は殴られたり蹴られたりでズタボロ、頭は混乱しなければおかしいという様な状況に陥っている。
さて、一体全体どうした物か。
取り合えず、自分の混乱する頭をどうにかする為にこうなった経緯を整理しようと思う。
本当に何でもない、春休みも既に半分くらい過ぎ去ったある日の事だ。
晩飯を食べ、風呂に入った後には特にする事も無く、何となくもういっその事寝ちまおうかとそう思った直後。
携帯が鳴り出した。
「緊急事態です」
電話に出ると、やけに真面目な声が聞こえた。
「どうした?」
流石に冗談を言ってる場合じゃない様だ。『緊急事態』は伊達じゃない。
「今すぐに外に出かけられますか?」
今、ノーと答える奴がいるのなら俺はそいつを存分に殴りたい。
「なら、すぐに家の外に出て下さい。事は急を要します」
「分かった」
そう言って即座に携帯を切ると俺は着替えて部屋を飛び出し、何か言ってくる妹を無視し、親に適当な事を言って家を出た。
すると家の前には新川さんの運転する車が停まっており、その後部座席には古泉がいた。
「乗ってください」
そう言われた時には既に俺は車のドアを開けていた。
593 :
正直に:2006/06/04(日) 01:50:13 ID:JsnxHMRh
「少し荒い運転になりますよ」
そう言うと新川さんはいつか体験したような物と同じ運転を開始した。
揺れる車内で俺は古泉に、
「一体何があったんだ?」
と聞いた。
「涼宮さんです」
またハルヒか。
「今度は涼宮さんが何かしたのではなく何かされてるのです」
「どういう事だ?」
「隠してもどうしようもないでしょうから単刀直入に言いますが、涼宮さんの身にレイプの危機が迫っています」
マジかよ。
「マジです。最初は気絶させられて、どこかへ連れてかれた様ですが気が付いた後は流石涼宮さん、逃げた様です」
なら騒ぐ事はないだろう。
「それが連れ込まれた所がレイプ犯達の巣窟とでもいいましょうか、そんな所でしてね。
逃げても逃げても行く先々にレイプ犯がいる訳です。そのレイプ犯達はどうやら逃げる獲物の狩る事を楽しんでる様な感じでして、すぐには捕まえないのですよ」
「つまり、俺達はこれからハルヒを助けに行く訳か。しかしどうしてそんな事が分かった?」
「長門さんです。彼女が一番最初に気が付き、今は気が付かれない様に涼宮さんが逃げるのを援護していますが、何分派手に動けないので決定打に欠けています」
なるほどな……まさに追いかけっこか。シャレにならない追いかけっこだな。
「ところで朝比奈さんはどうした?」
「彼女は森さんと一緒に万が一の時の為に待機しています」
確かに朝比奈さんは一緒に行かない方が良い様な気がする。
「だが、俺がなぜ一緒に行くんだ?」
「……行けば分かります」
そういう古泉は、何故か溜息交じりだった。
「ここです」
着いた場所は一目で分かるほど怪しい裏路地の入り口だった。
「いかにも……だな」
正直言って行きたくない。しかし、ここで帰ってしまっては俺は駄目人間の烙印を押される事だろう。
「こっち」
と、いきなり暗闇から長門が現れた。服装がやっぱり制服だが気にしない、というか気にしてる場合じゃない。
「急がないと拙い」
「では急ぎましょう」
「私達は逃げる輩を捕まえましょう」
俺も頷き、走り出す。新川さんは『達』と言ったがどうやら他にも機関関係者も来ているらしい。
何となく新川さんがレイプ犯達をバッタバッタと蹴散らしているのを想像したが、そんな想像はすぐに吹っ飛んだ。
「では、そちらは任せます」
古泉がそう言うと、新川さんも別の場所へと姿を消した。
594 :
正直に:2006/06/04(日) 01:50:45 ID:JsnxHMRh
「――――!」
長門に誘導されて曲がりくねる裏路地をしばらく走っていると、奥から悲鳴の様怒鳴り声の様な物が聞こえた。
「ここを曲がった先の様ですね。長門さんは一応目立たない所に。相手はレイプ犯ですからね、見つかったら何をされるか分かりません」
「分かった」
長門ならいざとなったらどうとでもできそうだがそういう問題ではないだろう。
「では、覚悟は良いですか?」
長門がどこかへ言ったのを確認した古泉が聞いてくる。
当たり前だ、レイプなんて事をする奴は許しておけない。俺にとってどうでもいい人間なら別に良いがあいにくハルヒはどうでも良く無い。
SOS団の大事な団長様なんだからな。
「では」
短くそう言った古泉に頷き返し、俺と古泉は勢い良く走り出して通路を曲がった。
「うおりゃあっ!」
柄にも無く声を上げてみる。というか、そうでもしないとやりきれない様な気持ちになっていた。
曲がった直後、真正面にいた男を古泉が勢い良く蹴り倒し、俺はその先のハルヒの服を無理矢理脱がしていた男を横面から思いっきり蹴っ飛ばした。
突然の乱入者にレイプ犯達は酷く驚いており「見張りはどうした!?」とか言っていたが、恐らくそこら辺は長門か新川さん達がどうにかしてくれていたのだろう。
なんせここに来るまで見張りなんて1人も見なかったからな。
問題はその後だ。
レイプ犯は思っていたより数が多く、多勢に無勢だった。叫びたくもなるという物だ。こうでもして勢いを付けないと気が滅入る。
俺は別に喧嘩した事が無いという訳ではないが、別に得意でも無い。
古泉はと言えば合気道やら空手やら柔道やら何か確認する暇は無かったが、物凄い身のこなしで立ち回っていたが数には勝てなかった。
多分、古泉本人も相手がこんなに居るとは思わなかったのだろう。でなければ2人で乗り込む筈が無い。
で、俺達は10分後、奮闘したがどうにも限界でスタボロな状態、しかもハルヒを人質に取られるという絶対にピンチとしか言えない状況に陥っていた。
このままではハルヒを人質に取られる事は俺も古泉も分かっていたので真っ先にどうにかしようとしたが、それ程広くない裏路地で数に邪魔されてどうにもできなかった。
「畜生……!」
俺は周りにいる10人程のレイプ犯達を睨みつけながら呟く。
そしてハルヒを見る。ハルヒはどんな表情をしているのか――と確認する前にハルヒの背後、ハルヒを人質に取っている男の背後に目がいった。
「…………」
その人影は、無言でハルヒを人質に取っていた男を殴り飛ばした。丁度、すくい上げる様な無茶苦茶なパンチだ。
男はもちろんハルヒを離し、俺もその人影に驚いていると今度は俺の後ろで男の声が聞こえた。
「お前らの様な輩達に言葉はいらんな」
警官姿の圭一さんだった。もしやと思ってハルヒの方を見るとこちらも警官姿の裕さんだった。
ハルヒは驚いてる様だったが、2人の警官の正体に気がついてない様だった。まぁ、暗いしな。
595 :
正直に:2006/06/04(日) 01:52:18 ID:JsnxHMRh
一方、レイプ犯達は警官の姿を見たとたんに我先にと逃げ出した。まぁ、当然だろうな。
それを追いかけないのは新川さんが控えてるからか。
「大変だったね、時間も無いしバレるとマズいので私達はすまないがこれで失礼させてもらう」
そう言って、一見逃げたレイプ犯を追いかけるように2人はその場を退場して行く。
そして残された俺達はというと、
「大丈夫か、ハルヒ?」
ハルヒの心配をしていた。まぁ当然の事だろう。
近づいてみて分かるが、ハルヒは服こそ脱がされても下着はまだ何とか残してた。つまりまだ何もされていないのだろう。
「とにかく服を着ろ」
俯いたまま何も言わないハルヒに古泉の拾った服を渡す。するとハルヒはこれまた何も言わずに服を着始める。
ちなみに俺はハルヒの方を見ていない。仮にも下着姿だからな、ハルヒは。
「……ありがと」
そう呟くとハルヒは驚くべき速さでその場を走り去った。俺が声を掛けようとすると、古泉がそれを止めた。
「何で止める」
「伝えたい事がありまして」
じゃあ早く言え。
「レイプ犯達は間違いなく全員、我々機関が捕まえているでしょう。彼らは厳重な処罰を与えます。法律なんて生ぬるい物による制裁ではありません。
何しろ、下手すると彼らはこの世界が滅ぼしていたのかもしれませんからね」
そう言う古泉の表情には珍しく怒りの色が混ざっていた。まるで、感情を抑えきれないかの様に。
つまりそれは今回の事でハルヒが完全にこの世界に見切りをつけるかも知れないという事か。
機関の制裁とやらは想像もつかないので想像しない。
「涼宮ハルヒの周りの事は気にしないで良い」
またいきなり長門が暗闇から現れた。
「涼宮ハルヒの周りには涼宮ハルヒがレイプされたという情報が流れない様に操作する」
確かにそんな情報が流れたらハルヒも辛いだろうからな。
「ただし、今から明日の朝にかけて涼宮ハルヒが閉鎖空間を発生させる確率はとても高い」
まぁ、しょうがないだろうな。俺もそんな気持ちになるだろう、こんな目にあったらな。しかし『しょうがない』で済む問題ではない。
「どうすれば良い?」
「涼宮さんを追いかけて下さい、あなたが。その為にあなたを連れてきたんですから」
古泉がそう言うと、長門が恐らくハルヒがいるであろう場所を告げた。
「涼宮ハルヒを見つけた後、どうするかはあなた次第」
俺は長門のその言葉を聞いて走り出した。
596 :
正直に:2006/06/04(日) 01:52:54 ID:JsnxHMRh
「……ハルヒ」
長門の言った通り、ハルヒは近くの公園の奥の方のベンチにいた。
「キョン」
俺の足元に視線を投げ、呟く。その表情は一体どんな物なのか俺は分からない。
「座って……いいか?」
ハルヒに近寄り、訊ねる。するとハルヒは僅かに頷く。
「大丈夫、だったか?」
さっきもした様な事を聞いてみる。やっぱり、こういうのは本人の口からはっきり聞かないと感じが悪い。
「……うん、まだ何もされてなかった」
それを聞き、ホッとする。どうやら予想通りだった様だ。
「…………」
と、俺が安心しているとハルヒがいきなり俺の方に頭を預けて来た。
「ハルヒ?」
「恐かった」
これまたいきなり喋りだす。
「夜、買い物の帰りに歩いてたらいきなり気を失って、気が付いたら囲まれてて」
ハルヒがどんな表情をしているか分からない。だが、こいつには似合わない様な表情をしているに違いない。
何たって、ハルヒの頬を伝う一筋の雫を見ちまったからな。
「もちろん逃げたけどどこに行ってもあいつらがいてその内、このまま捕まってその後どうなるのか考えるとどうしても動けなくなった」
ハルヒの声が震えてきているのは気のせいだろうか。少なくとも、ハルヒの体は震えている。思い出して恐くなったんだろう。
「もういい」
そう言って俺はハルヒを抱き寄せた。こんな事、したくてやる訳じゃないがこういう時はこうする物なのだと俺は思っている。
「何も言うな」
どうせ、動けない所を見つかってその後に俺達が現れたのだろう。予想だが、これは予想のままで良い。
ハルヒの口から聞いて確かめる気など起きる訳が無い。
「…………うっ」
僅かに声を漏らしたかと思うと、ハルヒはその後思いっきり泣き始めた。
俺は胸の辺りを掴む2つ手とその間で俺に当たっている頭の感触を感じ、ハルヒの頭を撫でていた。
しかし、俺の視線はどこかも分からない方向へ逸らされていた。
ハルヒの顔を見れなかった。見てはいけない気がした、というのは言い訳で、俺にはハルヒを見る度胸が無かった。
そこには、俺にとってハルヒじゃないハルヒがいた気がしたから。我ながら情けないヤツだ、俺は。
597 :
正直に:2006/06/04(日) 01:53:26 ID:JsnxHMRh
「落ち着いたか?」
一体どれくらいの間、ハルヒの頭を撫でていただろうか。元々裏路地の近くの公園なので人通りは少なく、ハルヒの声の心配をする事は無かった。
その声もいつの間にか止んでいて、本当に一体どれくらいの間俺達はこうしていたのだろうな。
「それじゃあ、そろそろ帰るとしよう」
古泉達は既に帰っているだろうから、俺達は電車での帰りとなる。まぁ、ハルヒと俺の分の電車代くらいは持ってきてある。
「行くぞハルヒ」
俺はそう言って立ち上がろうとするが、立ち上がることは出来なかった。何故と聞かれればハルヒの手が俺の肩を掴んでいたからと答えよう。
まぁ、その力は大した事も無いので立ち上がろうと思えばいつでも立ち上がれたんだがな。
「どうした?」
振り切って立ち上がるのも何なんので、俺はハルヒの方に体を向ける。
「キョンが来てくれた時、とっても嬉しかった」
そう言って顔を上げたハルヒの表情はなんともハルヒらしく無い物だった。思わず目を逸らしたくなった程驚いた。
だって仕方が無いだろ? いつもは不機嫌そうな顔か100万ワット級の笑顔がほとんどのハルヒが、目を赤くしていかにも「泣いてました」って感じなんだぜ?
そりゃあ目も背けたくもなる。こんなハルヒ、どうやったって想像できなかった。しかし、俺はソレを今目の前で見ている訳だ。
だが、その驚きはこれから発射される爆弾に対する驚きに比べれば本当にちっぽけな物だった。
「あたしは、キョンの事が好き」
軽く目眩がした。爆弾があまりに大きすぎた。ハルヒが俺の事を好きだと? んなアホな。空いた口が塞がらない。
何故? 何でハルヒが俺を? ホワイ? 一体全体何故?
と、ここまでがこれまでの経緯か。この場合、返事をしなければいけないのだろう。だが俺は返事ができない、混乱しているからな。
この状況下で冗談を言うはずも無いのでハルヒの言葉は正直な自分の気持ちなのだろうが、俺はそれも分からないくらいに混乱していた。
「キョン……?」
俺が黙っている事に不安を覚えたのかハルヒは小さく呟く。
「やっぱり、みくるちゃんか有希の方が好きなの…………?」
何であの2人の名前を出す、ただでさえ混乱しているのに余計に混乱するだろうが。
俺が朝比奈さんを好きだと? 俺が長門を好きだと? 俺が好きなのは朝比奈さんただ1人に決まっている――。
598 :
正直に:2006/06/04(日) 01:54:05 ID:JsnxHMRh
そう思って気が付いた。俺は朝比奈さんの事が別に好きな訳じゃない、多分あれは、小さな子供が母親に甘えるとか、ちょっと違うかもしれないがそんな感じなんだ。
だから俺は、
「朝比奈さんの事は別に好きじゃない」
そう言った。では長門に対して俺はどうだろう。確かに、最近の長門は変わってきていて魅力を感じ無いと言えば嘘になるだろう。
だがそれもきっと、『好き』とは違うのだ。あれはきっと、妹や弟が成長して、それに嬉しさを感じるのと同じ様な物だ。
「長門の事も好きじゃない」
どっちも微妙に違うかも知れないし、『好き』といえばそうなのかも知れないが俺はあの2人に『好き』という感情を持っていない。それは確かだ。
だから、俺はあの2人の事を好きじゃない。
「じゃあ……あたしは?」
ぐっ、予想していたがやっぱり来たか。返事をしなきゃ駄目なんだろうな。ここで話を逸らしたりするのは男として許されないだろう。
「それは…………」
言葉に詰まる。俺はハルヒの事をどう思っているのだろうか?
嫌いか? と聞かれれば答えはノー、だ。だが、好きか? と聞かれれば………。
「俺はお前の事を――」
先の言葉も考えずに口走ったその瞬間、強烈な既視感に襲われた。
――何だ、前にもこんな事があった気が……。
だが、当然思い出せるはずも無く心当たりも無く、その既視感は浅い傷口から体をじわりじわりと甚振る毒の様に俺の頭を襲った。
まぁ、この既視感が本当に毒かどうかは分からないんだがな。
――思い出せ、これが何なのか。
既視感を感じる事自体は去年のあの終わらない夏休みでもあった。だが今度の既視感は内容が違う。
――ッ!
何かを思い出しそうになったが思い出せず、俺は何とか欠片だけを拾う事ができた。
そしてその欠片は、俺の口から自然とこぼれ落ちた。
「俺はお前が好きだ」
そう言った瞬間、理解できた様な気がした。既視感をではない、俺自身の事だ。
俺は今までハルヒをどう思っていたか。迷惑がりながらもそれを楽しんでいた俺。しかし、本当はその裏で何を考えていたか。答えは簡単だ。
ハルヒは自分に正直になっている。はっきり言って全然ハルヒらしくも無いし、できればあんまり見たく無いが仕方無い。
俺も自分の気持ちに正直になるとしよう。もちろん、そうすれば俺も俺らしくなくなるんだろうがな。
「いつからかは分からない。だが俺は、いつの間にかお前の事が好きになってた。もうお前がいなきゃ駄目なんだ。お前と一緒に――」
と俺が言っている所で言葉は遮られた。なに、ハルヒが抱きついてきたからだ。ハルヒよ、嬉しいが人の話は最後まで聞け。
「ありがとう……」
そう言うハルヒは滅茶苦茶可愛かった。全く、気持ち1つをどうにかするだけで人に対する印象はこんなにも変わる物なのか。
だから俺は、
「どうしたしまして」
そう言ってハルヒにキスをした。
599 :
正直に:2006/06/04(日) 01:54:37 ID:JsnxHMRh
「キョン……」
数秒のキスの後、唇を離すとハルヒは熱っぽい顔でこっちを見ていた。
「ねぇ」
何となく、その先の言葉が予想できた。とうか、恐らく正解だろう。だから俺はこう言った。
「ここでする気か」
気持ちに整理を付けたとはいえ、俺は常人だ。夜の公園、しかもお互いに――少なくとも俺は初体験をこんな場所で迎える気など毛頭無い。
「……別に良いじゃない。どうせ人なんてこないだろうし、何なら草むらでする?」
そういう問題じゃない。と、俺は思いつつもこういう感じのハルヒの方がやっぱり良いな、とかいうアホな事を考えていたんだがな。
で、そんなハルヒに対して俺はいつもどうなるかと言うと、
「さぁ、そうと決まればさっさと行くわよ」
何も決まっておらず同意もしていないのだが、いつものハルヒに俺の意見が通るはずもなく、俺は流されるのだった。
「さっさと脱ぎなさいよ、キョン」
ふざけるな、シチェーションという物を考えろ、いきなり服を脱ぐはずが無いだろう、というかこういう言葉は普通女の方がするはずだろう。
「ゴチャゴチャ五月蝿いわね、どうせ脱ぐんだから一緒でしょ。それとも服来たままヤッて、汗かいて嫌な感触を味わいたいの?」
ハルヒの声が俺の後ろから聞こえてくる。場所はもちろんさっきまで座っていたベンチの更に奥の草むらなのだが、まぁハルヒの言う事にも悔しいが一理ある。
「分かったよ」
俺はそう言って服を脱ぎ始め、脱ぎ終わるとハルヒの方を向いた。
「……あんまりジロジロ見ないでよ」
当然ハルヒは既に何も着ていない――って1人だけ下だけ着てやがる、全部脱いだ俺はアホか、なんて事を思う事はできなかった。
ハルヒの体には、無数のアザがあった。恐らく、さっきのレイプ犯達の所為だろう。
今更恥らうのは散々脱げ脱げ言っといて可笑しい気もするが既に神経はハルヒのアザに集中していた。
「……そんな顔で見ないでよ、こんなの何でもないわ」
一体俺はどんな顔をしていたのだろうか、同情するような哀しそうな顔でもしていたのだろうか。
だが、少なくともそういうハルヒの顔が少しだけ苦しそうだった、って事だけは分かる。
「さっきの事は全部忘れよう。それが、一番だ」
そう言って俺はハルヒを抱き寄せた。
600 :
正直に:2006/06/04(日) 01:55:29 ID:JsnxHMRh
「ちょ、キョン、ひゃうっ!」
ハルヒの体中にあるアザを、丁寧に舐めていく。あんな奴らに付けられた傷がある事が何となく許せなかった。
「安心しろ」
そう言って俺は舌での体中への愛撫を再開する。
「キョン、ねぇ、あうぅ!」
もちろん胸だって例外では無い。というか、こうしてみて改めて感じるがハルヒは本当にプロポーションの良い体をしている。
「ひゃあっ!だめ、そこ、だめっ!」
胸の中央にある突起に下を滑らせるとハルヒは顔を真っ赤にしていつもの姿からは想像もできない様な声を出す。
「やぁっ、あっ、だ、だめぇっ!」
胸の突起が段々硬くなってきたのを感じると、俺は手も使って両方の胸を愛撫する。
するとハルヒの声は一層激しくなる。
「キョン、胸、だけっ、じゃあっ!」
最後まで言えてなかったが伝わった。俺はハルヒの言葉を聞くとハルヒが唯一身に着けているショーツの中へ手を滑りこませる。
「ひゃううぅぅっ!」
既に十分に濡れていたそこに触るとハルヒが一際大きな声を上げる。もしかして軽くイッたか?
「もう……焦らさないで」
まぁ確かにこんだけ濡れてれば十分だろうし、いい加減俺も我慢の限界が近い。
「じゃあ、入れるぞ? 痛かったら言え、すぐに抜く」
ハルヒがこくりと頷く。それを見た俺は、入り口に亀頭を軽く当て、できるだけ慎重に挿入していった。
「ッッッあああッ!」
我慢できずにハルヒが声を上げる。ハルヒの陰部からは、赤い液体が垂れ流れていた。
「大丈夫か?」
「少し、このままで……」
肩で息をしながら呟くハルヒ。俺は大人しくそれに従う。
なんてったって、今すぐに動いたら俺の方もヤバイからな。
ハルヒの中は暖かく、この世にこんな感触があるのかというほど気持ちよく、絡み付いてきていた。
……動き出したらどんだけ持つだろうな、俺。
正直、こんな感触を受けながら長時間耐える事はできないのだが。
601 :
正直に:2006/06/04(日) 01:56:01 ID:JsnxHMRh
「もう、動いてもいいわよ」
とうとう来たか。数分後、ハルヒが呟いた。いよいよ覚悟を決めねばなるまい。
「じゃあ動くぞ」
一応そう言っておく。ハルヒの反応は確認しなかったが、頷いた様な気がした。
「あっ、ん、あんっ、ああっ!」
入れて動かないのと動くのとではまた大違いだった。
絡みつく肉壁が生む摩擦の感触、奥に当たる感覚、どれも物凄い。
「あ、やっ、奥に、当たっ、てぇっ!」
もちろん俺が奥に当たればそれはハルヒの奥に俺が当たっているという事だ。
見る限り、ハルヒも相当気持ちよい様だ。
「駄目だ……ッ!」
腰が更なる快感を求めて動きを自然と早める。
速度に比例して快感も跳ね上がる。
「や、はやっ、はやいっ、んああっ!」
結合部から水音が淫らに響く。その音も速度に比例して大きくなっていく。
「ハルヒッ、そろそろ……っ!」
汗を大量に掻き、愛液が結合部から大量に染み出すのを見ながら俺はその言葉を口から何とか出す。
正直、一瞬でも気を抜いたらすぐに果てそうだった。
「あたしも、もう、イク、イクゥッ!」
どうやらハルヒも限界らしい。
「中に、中にぃっ!」
正常な判断などできなかった。だから俺はハルヒの望むがままにした。
「いくぞ、ハルヒッ!」
「きて、きて、キョンッッ!」
2人して声を上げ、そして
「くぅぅぅぅッッ!!」
「あああぁぁぁぁっっっ!!」
2人同時に果てた。
602 :
正直に:2006/06/04(日) 01:56:45 ID:JsnxHMRh
「キョン」
俺が服を着ていると、ハルヒが話しかけてきた。
「これ、夢……じゃないよね?」
当たり前だ、夢だったら俺は多分、目覚めた途端に狂う。
「そうよね」
自分の服を着終わったハルヒが俺に近づいてくる。丁度俺も服を着終わったのでハルヒの方を向く。
何となく、この後どうなるのか分かる気がした。
「大好きよ、キョン」
そう言ってハルヒは俺に軽くキスをする。
「……俺もだよ」
今更、という感じで俺はハルヒに言い、キスを返した。
603 :
正直に:2006/06/04(日) 01:58:13 ID:JsnxHMRh
以上、長い物を投下して悪かった
一応次に繋げられるよう伏線をいくつか敷いてあるが、正直邪魔か?
まぁ、とにかく下らない物を失礼
>>603 GJ!ハルヒテラモエス
次があるなら期待してるよ
涙が出てきた
やはりハルヒとキョンは王道だなあ
すばらしきGJ
606 :
nac:2006/06/04(日) 02:22:13 ID:SCuksISb
また厚かましくもSS載せます
続き物は書くスピードが格段に落ちますね
構成に無理が多々ありますが、ご容赦を
はい、前回の続きものです、
前回は
>>42-51 なんで先に見てもらえると、助かります
607 :
nac:2006/06/04(日) 02:23:08 ID:SCuksISb
〜if story〜 目覚めと……変化
夢なんてものは、大抵本人の潜在的な願望や気持ちを投影するものって昔どっかの本で見た事がある
だから直接的な表現で言えば「夢は叶って欲しい事」であるだけで「夢は叶えるもの」とは少し違うと思う
当然よね、だって夢の中では、常識や法律、万物の物理法則や果ては人の体面まで無視された内容もありですもの
夢の中でいくら空を飛べたって、現実世界で人が生身で飛べるはずがない
飛びたいと思ったら、キョンが言ってたみたいに飛行機作んなきゃ、いつまでたっても「叶わぬ夢」だもの
だからあたしはSOS団を作った……
無かったら作ればいい、簡単な理屈でしょ……なんだってそうなのよ
608 :
nac:2006/06/04(日) 02:23:42 ID:SCuksISb
……
…………
あたしは、いや、あたしと小泉君とみくるちゃんは集中治療室の赤ランプが消えるのを今か今かと待っていた
キョンが告白して(今思い返せば半ば尋問みたいだったけど)、あたしも気持ちを伝えて
二人は両思いの、こ……恋人になった
そしてその帰り道キョンは「何か」に追突された……あたしをかばって……
あたしはというと、少し足を捻ったのと背中の擦り傷程度……無傷といってもいいくらい
ただみんなの手前、足首に包帯を巻いている、痛みも背中のチリチリ感くらいかしら
でも、キョンは重症……壁にはキョンの背中がぶつかり、
地面に倒れたときの衝撃もキョンがごろごろと転がった(多分無意識にやったんだと思う)せいで無事だった
それは今あたしの膝元にあるキョンの制服が如実に物語っている……ぼろぼろだ
光が消え去った後、キョンの意識が無くなって……ダメだ……思い出すだけで……胸が苦しい
あたしは、だれでもいいから連絡しないとと思い、自分の携帯を探したが……無かった
有希の部屋に忘れて出てしまったのだ(後で直接確認した)……だから慎重にキョンのポケットから携帯を取り出し
リダイヤルNO,1 長門有希 に発信した……
「……有希!お願い!手伝って!」
……あぁ、またやってしまった、用件から入る電話の癖はなかなか治らないけど、有希には通じたみたいだ
「今その近くに小泉一樹が居る、輸送用の車付き」
即座に周囲を見回したが……何も見えない
「どこ!?見当たらないわよ!!」
「待って、もうすぐ」
「こっちは緊急事態なの!!待ってなんか……」
と言いかけたとき、路地から小泉君が飛び出してきた
「涼宮さん!大丈夫ですか!」
「あたしよりもキョンが……」
「これは……落ち着いてください、すぐ車で病院まで運びましょう」
と言い終わるのが早いか、真っ黒な車が小泉君の後ろに停車して
「早く、彼を運びましょう」
…………
それから病院まではあんまり覚えてない、ずっとキョンの手を握り呼びかけていたから
気付いたら、以前キョンが階段から落ちて意識を失った時と同じ病院に着いていた……
病院には先に着いたのか、有希とみくるちゃんが待っていた
位置的に有希のマンション方向に位置する病院だし、先に着いて待っててくれたのが、正直嬉しかった
609 :
nac:2006/06/04(日) 02:24:28 ID:SCuksISb
それから緊急処置が始まり、しばらくして医師が一人こちらに向かいながら
「ご友人のどなたか、彼と同じ血液型の方はいらっしゃいますか!?」
キョンの血液型!?何それ!!血が足りないってこと!!!
「はい、先ほども緊急患者に使いストックが残り少なく困っています」
「で!その血液型は!?」
「**型です」
……違った……あたしじゃ役に立たない……
あたしは自分の血を呪いつつ、みくるちゃんに目を向けると
「すいません……違います……」
と返事、次に小泉君に目を向けると
「残念ながら、僕も違います、お役に立てそうに……ありません」
と返された。いつもの軽い調子なら怒っていただろうが、彼の目はかなり落ち込んでいた
あたしは最後の希望を掛けて、有希を見て訊いた
「有希、貴方は?」
「……」
無言で見詰め返す有希……いつもの事だがこの時ばかりは語調が荒くなった
「早く答えなさい!」
「……保証しかねる」
…………は?一体何を保証するのだろう?
「私の血液を彼の中に輸血することは可能」
「つまり、同じ血液型なのね!」
「しかし予測不能の事態を引き起こす可能性も否定できない」
……どうも話が噛み合ってない、血を抜かれたくないわけではなさそうだ、何か他に心配事?
そんな違和感をあたしが感じていると
「しかし彼の延命が今この時点で最優先課題ということも間違いない」
そう言ったと同時に医師に向かって
「私の血を」
「では、すいませんが、処置室に……」
と言って有希と医師は去っていった
610 :
nac:2006/06/04(日) 02:25:05 ID:SCuksISb
しばらく無言の間が続く……目の前の赤いランプはまだついたままだ
と、みくるちゃんが顔をくしゃくしゃにしながらも話し掛けてきた
「涼宮さぁん……キョン君……ぅっ……大丈夫ですよね?……」
少し落ち着いてきた頭で冷静に現場を思い返す、キョンの傷の具合やあの時の状況
下手をすれば即死も在り得たかもしれない……そう思い体が震えた
……ダメだダメだ、こんな時に暗い考えを起こすな!あたし!、大丈夫!
「あたりまえじゃない……絶対大丈夫よ!あたしが保証するわ!」
正直、声、震えていたと思う、しかしこんな言葉でもみくるちゃんは安心したのか
「涼宮さんがそうおっしゃってくださるのなら、きっと大丈夫ですね」
ほっと胸を撫で下ろした、あぁキョンの言ってた意味が解る
あんな瞳で助けを求められたら、同性のあたしでも「なんかしてあげたい!」って気になる
とふと小泉君に目を向けると、何か真剣に考えている様に見えた
邪魔しちゃ悪いかなと頭の隅で思ったが、あたしも早めに片付けておきたかったし、まあいいわ
「小泉君」
「何でしょう?」
「……あの時はごめんなさい、気が動転してて……」
小泉君は少し驚いたようだったがすぐに元に戻り
「どうか、お気になさらずに、恋人が倒れたら気が動転して当たり前です」
「でもごめん、……って……えっ?……今小泉君……」
「何かおかしなことを言いましたか?」
「あたし、まだ誰にも話してないよ……キョンに告白されたこと」
「おや……やはり告白されたのですね……少々この場で言うのはなんですがおめでとうございます」
……やられた、カマ掛けられていたのか
そこに比較的落ち着いてきたみくるちゃんが割り込んできた
「涼宮さん、とうとう……」
…………やっぱり恥ずかしい……祝福されているのは理解できるが……なんかこう……
「それはあとでいいから!今はキョンの事が優先でしょ!」
目の前の二人は、少しにこにこしながら
「それでこそSOS団の団長です(よ)」
と声を併せて言ってくれた……きっと彼らなりに落ち込み過ぎないように気を使ってくれたのだろう
嬉しい、あたしは心底思った、きっと「仲間」ってこんな関係の事を言うんでしょうね
ほら……あんたも、これだけみんな……それにあたしが心配してるんだから……早く起きなさい
611 :
nac:2006/06/04(日) 02:25:41 ID:SCuksISb
そう思ってもう何度も見た赤ランプを見上げると……光が消えていた
とふと目を降ろすと手術服を着た医師と有希がこちらに向かってくるのが見えた
「先生!キョンは!?」
「キョン?あぁ彼のことか……、処置は完了したよ、もう安心していいよ」
あたしはその場に力無く膝を立てた、「へたへたぁぁ」という擬音語みたいに
「……ぅ……先生……ありがとうございます……」
両手を支えに先生に土下座みたいな格好で言った
「それで、先生彼の容態は?」
小泉君が尋ねると
「正直心拍数が落ち込んだ時もあったが……彼女の血を輸血しだしてから安定した
いや本当に助かったよ、400CCとはいえ、その小さな体には相当な負担だっただろう」
先生が有希の肩に手を置きながらそう言うと、有希は表情を変えず
「別に」
「有希……ホントにありがとう……」
あたしが普段口にしない「感謝」の言葉を言ったのがそんなに不思議なのか
「大丈夫……」
と訊かれた、失礼ね、でもこの子らしいし、まあいいわ
「私より……彼の方が心配……」
「そう!キョンは!?今どこ?」
「彼なら麻酔が効いてベットで眠ってる、起きるのは昼ごろだろう」
じゃあ昼には、またキョンと話せるのね!と胸躍らせていると
「しかし念のため一人付き添いを頼みたいのだが」
あたしは瞬時に答えていた
「解りました、あたしが……いい!みんな!明日の昼はここに集合よ!」
「はいっ!」
「了解しました」
「解った」
…………
こうして、この部屋にはあたしとキョンの二人きり……
連絡は小泉君が「任せてください」と言っていた、やはり彼はこういう時頼りになる
寝顔のキョンを見詰める……額や胸に巻かれた包帯が痛々しい
「……キョン……ごめんね……」
返事するわけがないとは思いながらも、あたしはキョンの手を握りそう呟いた
暖かい……さっきまで繋いでいた手、うっすらと脈が感じ取れる
こんな小さな情報でも「今、キョンが生きている」と感じるのに十分だった
そして気がつくとあたしはゆっくり目を閉じ、キョンの唇に重ねた
よくドラマとかで「死体との冷たいキス」を想像してしまったが、キョンの唇は暖かだった
軽いフレンチキスだ、そしてあたしは満足したのか、気がつくと……眠っていた……
612 :
nac:2006/06/04(日) 02:26:18 ID:SCuksISb
「キョン君!大丈夫!?」
……んぁ、あれ、その声は妹ちゃん?
「はるにゃん!、おはよう、キョン君は大丈夫?」
「大丈夫よ、まだ麻酔で眠ってるけど、お昼には起きるそうよ」
「はるにゃん、キョン君のこと……好き?」
「……好きよ……昨日やっとね……自分の気持ちを……伝えようとしたら……」
「したらぁ?」
「……先に言われちゃった、「好きだ」ってね」
「キョン君、やっと言ったんだね」
えっ……それって、妹ちゃんは気付いていたって事?キョンの気持ちに
「えへへぇ、まあね、だってキョン君はあたしのお兄ちゃんだもん」
「キョン君、夕飯のときいつも言ってたよ、「あいつといると気苦労が絶えない」って」
……返す言葉が無い、あたしがネガティブスイッチをONにしようとしたのを気付いたのか
「でもね、そう言ってるキョン君、全然嫌そうじゃ無かったよ」
「それに冬辺りからは「SOS団は俺の居場所だから」ってよく言ってるし」
あぁ、だからSOS団を頼むなんて台詞が出るのね、キョンの中でもとても大きな意味があるんだ
もちろんあたしにとってもSOS団はすごく大事、二人が共通認識を持っている事を素直に喜べた
「あとねぇ、キョン君は好きなこの前では、なんやかんや言っちゃうけど、結局面倒見るタイプだもん」
「……それ初耳よ、妹ちゃん」
「10年一緒にいるんだもん」
てへっとなる妹ちゃんの前であたしは赤面していた……
そんなにキョンが自分を思ってくれていたんだと感激しつつ
同時になんて自分はバカなんだろう、もっと早く思いを伝えていればと後悔もしていた
……もっと早く伝えたかったな……自分の気持ち……
5月に見たキョンと学校に二人っきりの夢の時には、もう心の奥にあったのよね、きっと
もし……もしもどこか遠い世界に一人しか連れて行けなかったら……あたしはキョンを選んだだろう
キョンも似たような夢を見たって言ってたし、その頃から思っていたんだ……きっと……
そうこうしていると、SOS団のみんなが集まってきた、みんな早いよ、まだ10時過ぎ
みくるちゃんは、手にランチボックスを携えて
「みなさんのお口に何か入ればと思い、作ってきちゃいました」
とサンドウィッチを見せる、うん!かわいいわ、それに美味しそう
とみんなががやがや話していると……
「…………ぅぅっ……ぁぁ……」
と何か呻き声……いや、もうこの場合一人しかいないわね
よかった、、、このまえみたいにあたしが寝てるときに目を覚まさないで
また前回と同じ展開は御免だわ、とほっと胸を撫で下ろしつつ見つめてる
……あたしの一番大事な人……今一番声が聞きたい人…………キョン……
あたしはキョンの目の前に顔を近づけた、距離は15センチくらいかしら
目覚めと同時に、あたしのドアップな顔が拝めるなんて、あんた幸せ物よ
もし……起きてからの反応しだいでは、このままキスしちゃっても良いわ、みんなの前だけど……
……にしても、目を開けないわね……はやくこのあたしを見なさいよ……少し照れてきたじゃない
ほんのり顔が火照ってきた辺りで、キョンはうっすらと目を開け始めた……
「キョン……キョン……」
「……ここは?……」
「病院のベットの上よ……」
よかった……何時間ぶりに聞いたキョンの声……変わってない(当たり前だけど)
しかしこの後、キョンの第2声にあたしはおろか周りのみんなも驚いた……はず……
A「……あんたは…………誰だ?……」
B「……有希は…………無事か?…………」
第二部 目覚めと……変化 完
613 :
nac:2006/06/04(日) 02:27:13 ID:SCuksISb
前回に引き続き、今回もエロくなく稚拙ですけど楽しんでもらえたら幸いです
ちなみにラストは分岐します、視点はキョンに戻りますが
今後どちらかを書くか迷ってます、構成は135°ほど違いますが……
レスの反応やらで決めたいです、……でも、過剰に期待しないでください nac
You、両方書いちゃいなよ!
>>613 GJ!
個人的にはAがみたいな
Bだと話が余計にこじれそうだ
GJ!
一部の時から記憶喪失ネタかなと思ってたけど、ここで分岐ですか。
選択肢制は賛否両論あるので難しいですが、個人的にはBかな。
まあでも
>>614の言うとおり両方書いてみるのも手では?どっちも読んでみたいし。
617 :
かなり:2006/06/04(日) 02:51:11 ID:b3fZhVAO
両方。ただ順番的にはB→Aの方がいいかと思われ
Bは個人的に見たくないなぁ・・・
このところ、長門のBADENDっぽいのが増えてるのがなぁ…。
その流れが続いちゃうのはイクナイかな。
GJ!GJ!どっちも続き見たいよぉぉお…
あと確かにB→Aの流れの方がいい気がします
だから分岐は無駄にレスつくし荒れるとあれほど(略
623 :
nac:2006/06/04(日) 03:10:48 ID:SCuksISb
B→Aで両方ですか……
めっちゃ大変ですが、頑張ってみます
とりあえずB書き終わったらアップします
やっと追いついた。半日見なかっただけで新着レス200オーバーってなんだよorz
あまりに神が大杉で安価できない
み ん な G J !!
亀レスだがBもAも読みたいな
>>623がんばってくれ!
神々の活躍GJ
ハルヒスレはエロパロのなかで漏れ的ベスト1に入るな
原作が小説ってこともあり情景描写、心理描写が良くて最高だ
エロもいいが非エロでもなんら問題ない、むしろ好みでもある
さらにここの住人に厨が少なく雰囲気もいいときたもんだ
まあ何が言いたかったかといえば、長門かわいいよ長門
いやぁ雰囲気はよくない
長門のパロが作りやすいのは
原作で長門作一人称小説が公開されてるのも大きい。
ちょいと長門人気の秘密でも纏めてみようかね。
このスレに投下するかはわからんけど。
とりあえず適当にその一
・単純に長門は2キャラいるから
長門ブラッドでキョンがスーパー地球人化するのかと思ってたオレはどうすれば。
>>628戦闘で傷ついても精神的に追い詰められても黙々と一人でこなそうとするところが保護欲をそそるんだろ
>>628 長門が人気というか、ハルヒとツートップで人気があるだろう
何がいいたいかというと、わざわざ秘密を纏めて投下する必要なんてないことと、
朝比奈さんカワイソス(´・ω・`)ってことです
>>628 そういえばラノベ板で、
「キョンを守る存在でありながらキョンに護られる少女でもあるのが人気の理由の一つかもなあ」
という説が出てたな。あれにはなんか納得した。
>>631 いや本当に朝比奈さんカワイソス(´・ω・`)
>キョンを守る存在でありながらキョンに護られる少女でもある
直球でヒロイン設定じゃないか、それw
まあ朝比奈さんは萌え担当っていうかエロ担当?
でもその萌え・エロ分野でも長門さんの方が上回ってるという…(´・ω・`)
最近このスレに通い始めた者から見ると、現在の流れは別に長門に偏重してないと思うけど?
一番割合が多いのはハルヒ×キョンだと思うし、古泉はもちろんみくるSSも印象に残るものが何本も投下されてるし
古泉「変な派閥が出来そうですね。皆さん注意してください」
結論!みんなGJ!
>>613 そういやここのSSで記憶喪失ネタって(世界改変を除いて)ないですよね?
ってわけでここはベターながらA.を見てみたいです。
今
>>638が良いこと言った。
……あと、なんか俺のせいで変な流れになりかけたみたいで、ゴメンね(´・ω・`)
641 :
nac:2006/06/04(日) 09:30:40 ID:vv5QXVkz
はい三部作の最後あっぷします
へたれな自分ですが、
映画もSSもやはり終わりはつけなきゃということで
お目汚しの文章さらします
ちなみにここから読んでも意味不明なはずなので
第一部
>>42-51 第二部
>>606-613 の続きです、一応完結します
642 :
nac:2006/06/04(日) 09:31:46 ID:vv5QXVkz
〜if story〜 変わった世界で……
春風が心地よく感じる4月某日、俺たちは桜が咲きほこる公園のベンチで日光浴を楽しんでいた
ぽかぽか陽気に連れ立って、ピクニックと洒落込んでいる
周りを見渡すと、俺たちと同様に春の行楽を楽しんでいるのだろう
カップル、親子連れ、犬を引き連れて散歩中の子供……実にのどかな光景だ
と、ふと視線を横に落とすと、やや毛色の薄い少女がじっと本を読んでいる
年に似合わずハードカバーの年代物のようだ……重くないのか?
しかも、内容がまた年相応に合っていない、SF物らしい……精神年齢いくつなんだよ、お前は?
おもむろに聞いてみた
「その本……面白い?」
眼下の少女は少しだけ顔を上げると
「…………ユニーク……」
とだけ答えた
「どんな所が?」
「……全部」
「本が好きなんだな」
「……割と」
……
今なんか既視感を感じたが……気のせいだろう……
俺は手持ち無沙汰ですることが無くなり、ただじっと空と少女を交互に見つめながら……
俺の記憶に残る不思議な体験を思い出していた
643 :
nac:2006/06/04(日) 09:32:29 ID:vv5QXVkz
ハルヒに告白して、光る「何か」からハルヒを守った後……俺は夢を見ていた
どんな夢かは忘れた……そこ……笑わないでくれ……夢なんて忘れるもんだろ
しかし気がつくと、長門がそこに立っていた、ここからは今でもはっきり覚えている
「……」
何も言わずに、ただ直立する長門……
何か言いたげな、それでいて伝えたくも無い顔……長門は俺から見て「躊躇」しているようだった
だから……その瞳に促されて、俺は長門に聞いた
「ここは?」
こちらか話しかけられるのが予想外だったのか、ぴくっと体を振るわせた長門だったが
「……ここは、貴方の深層心理の中」
と答えた、異空間や謎の宇宙外生物やらに不本意にも関わっていたから、すぐに理解できた
「つまり、ここは俺の心の中のようなものか?」
「……見解的には、それで間違いない」
どうやら厳密には違うらしいが、概ね間違っていないらしい、俺は質問を続けることにした
「それで、長門はどうしてここに居る?何か問題でもあるのか?」
「…………」
しばらく答えるのに戸惑っている様子の長門だったが、次にこう話した
「私の血を貴方に輸血した」
「……つまり……俺の怪我のせいで……長門の血を分けてもらったから……ここに居ると?」
「そう……」
というと、俯いた……俺には解る、伊達に約10ヶ月顔を見てきたわけじゃない、長門は申し訳無さそうにしている
「なぜ長門が申し訳無さそうにするんだ?この場合誰がどう見ても俺が悪いと思うが……」
「そうじゃない……」
どうやら長門的には情報の伝達に齟齬が発生しているらしい……
よって俺は状況の整理を行うことを先にした
「今俺は長門に輸血された、これは間違いないな」
すると、俯いていた顔が上がり、ほんの少し首肯する
「じゃあ、仮に輸血しなかったら……俺はどうなっていたと思う?長門の見解では」
「おそらく、出血多量による……」
「解った、死んでいたんだな」
首肯、よし、ここまでは意見に違いは無いんだな
俺は続けた
「んでだ、ここから訊きたい、長門の血を貰ったことで何が変わるんだ?」
ここだ、ここでなにかしら変化があると俺はふんで答えを待った
長門は静かに、回答を出した
「このままだと、あなたも統合思念体の一部になる」
……一瞬、間があったがなんとなく理解できた、こいつは宇宙人だからな
長門の血にはきっと俺には想像もつかない情報が詰まっているのだろう
「じゃあ俺は俺じゃなくなるのか?」
正直怖かった、起きたら自分が自分じゃなくなるんだぜ……想像してみるといい……出来れば
「貴方の意思は残る、こちらで言うところの心魂に値するものも残る方法はある」
……じゃあ問題なくないか?俺は俺のままで変わらないんだろ?
「但し対価が必要」
644 :
nac:2006/06/04(日) 09:33:07 ID:vv5QXVkz
……ここからの長門の説明は常人には理解できない単語の羅列が待っていた……
よってここからかなり噛み砕いて説明する
長門の血によって、俺は物凄い量の情報を強制的に入手することになる
宇宙人の端末である長門は平気だが、俺は只の高校生、当然脳がパンクする
このままなんの処置もしないと、情報の優位性(統合思念体の観念からだが)により俺の意思が崩壊する
つまり「俺が長門みたいな感じになる」と言えば解ってもらえるか、それはそれでどうかな?
これは一番避けたいパターンらしく俺も賛同した。女の子ならまだしも俺が長門みたいならキモいだけだ、きっと
じゃあ、どうすればいいか?現時点で可能なプランが2つあるそうだ
1統合思念体に長門の血から情報だけを抜き取り返す
「これ出来るのか?」
「理論的には……」
「じゃあ、これでいいじゃないか?」
「でも、一時的にも貴方の血と混ざり合った私の血の、しかも情報だけというのは無理」
「じゃあ……俺の血も?」
「正確には貴方の情報も奪っていく」
「……まじか!?」
「……まじ」
なんか真顔で「まじ」とかいう長門にちょっと萌えた……いかんいかん、気を引き締めなければ
「貴方のこの10ヶ月、SOS団との関りの記憶が奪われる」
「……せめて他の記憶とかはダメか?」
「ここ以外では、貴方の人格形成に支障をきたす」
うぅぅむ……正直かなり嫌な選択だ、ハルヒと出会ってからの俺の生活は何者にも変えがたい代物だ
2一時的に脳を強化し、すぐに情報操作能力をすべて使い切る
「使い切ったら、力はもう使えないんだな」
首肯する長門
別に長門並みの力に興味は……無いとは言わないが、俺には分不相応だ、一般人だからな
「ちなみに貰った力で何が変化する?対処できるレベルか?」
「何が変化するかは不明」
「博打要素が高いな」
「但し、確実に涼宮ハルヒと貴方とSOS団の関係は残る」
「……本当か!?」
「……信じて」
どちらも一長一短な感は否めないが仕方ない、さてどちらを選ぶか……
「長門、仮にどちらかを選択したとき、俺はこのやり取りを覚えているか?」
「ここは貴方の深層心理の中、よって消されることはない」
「しかし、認識することもかなり低いと思われる」
「なぜだ?」
と聞き返すと、長門は節目がちに言った
「貴方は、涼宮ハルヒの事をどう思っていた?」
……なぜ、ここでハルヒなんだろう?しかし必要なんだろうな
「本当は出会ったときから惹かれていた……と思う」
「でも好きだと認識したのは、昨日」
その通りだ、ハルヒに聞かれ、俺は自分の奥底にいつも存在していた思いを解き放った、あの時
「つまり、貴方の心の奥底の願いを引き出すには、鍵が必要」
なるほどな、全く面倒な性格してるぜ……俺……
「その鍵は、……
645 :
nac:2006/06/04(日) 09:33:45 ID:vv5QXVkz
そう訊きかけたとき、急に周りに「ピキッ」ときれつの入る音がした
なんだ、まるで閉鎖空間が崩壊する前兆のようだ
「貴方が覚醒する」
「!!つまり時間がないんだな!」
「どちらを選ぶ?」
……………………
「……2でいこう」
「解った」
「で、どうやってその「力」を使えばいいんだ?」
「私の肩に手を置いて……」
言われた通りに手を置く
「私の名前、「有希」って言って」
俺は、そういえば今まで一度も名前で呼んだことは無い事に気付いた、ハルヒはしょっちゅう言ってるのに
きっとこれが信頼関係と愛情の違いなのだろう、と自己解釈をして
「……有希……」
と言った、すこし照れもあったがここは二人だけだ、気にしないでおこう
「脳の強化は完了、プログラムもスタンバイモードを確認、準備は整った」
「後は?」
「簡単、起きて1分以内にキーワードを言うだけでいい」
「それだけでいいのか?」
「いい、あと決めたキーワードを再度口にすれば、世界が再構築されるように設定しておく」
「解った、もしもの時の保険だな」
「再構築されると、今から12時間前、2006年2月14日午後10時30分に強制転移される」
解った、もし万策尽きたら、そこからやりなおせばいいんだな
「そのキーワードは?」
「貴方の次に発した言葉」
といきなり長門が血を吐き出した、長門の流血を見るのは3度目だが、いきなりすぎて、かなりびびった
「有希!……無事か!?」
とさっき呼んだ語感が気に入っていたのか、また名前で呼んでしまった
「……音声認識……キーワードを……「有希、無事か」に設定……」
……なんか設定されてしまったらしい、まあいいか、特にこれが良いというのも無かったし
普段なら「有希、無事か?」なんてまず口にしない言葉だ、キーワードに設定して問題ないだろう
「何から何まですまないな、有希」
そう言うのが早かったか、長門は砂のように消えた……
全く、小泉といいあいつといい、去るときにもちっとなんかあってもいいんじゃないのか?
そう思ったのもつかの間……俺は何かに引っ張られるように世界から放り出された……
646 :
nac:2006/06/04(日) 09:34:50 ID:vv5QXVkz
……
…………
「…………ぅぅっ……ぁぁ……」
よし声は出せる、起きて喋れなかったら、どうしたものかと思っていたが、これなら大丈夫だ
「…………ョン…………キョン…………」
この声……ハルヒだな……
俺は目を開ける、おわっ目の前にハルヒのドアップかよっ!これはさすがに堪えるな
……っといかん、落ち着け俺……まだ時間はある、キーワードはハルヒがなんか言った後で十分間に合うはず
と比較的落ち着いていた俺は、当たり障りの無い質問を、目の前の彼女にぶつけた
「……ここは?……」
「病院のベットの上よ……」
よし、これでハルヒも邪魔しないだろう……確信した俺は……キーワードを口にした
「……有希は…………無事か?…………」
……
…………
……………………
647 :
nac:2006/06/04(日) 09:35:27 ID:vv5QXVkz
あんな不思議な体験をしたのは、生涯であの時だけだろう、……夢にしてはかなり克明に覚えている……記憶
ハルヒと二人だけで立ち上げたSOS団、色んな所を「不思議探検」の名目で回ったが、結局見つからなかった
結局、部員(というか団員)も卒業するまで二人っきりだったしな
一年の頃「無人」だった文芸部の部室を乗っ取って、二人で「文芸部です」って入部届け出しに行ったしな
年に一回機関誌を発行して……あとは好き放題してたっけ……谷口や国木田にも世話になった
それで一年の終わりに思い切って告白して、見事恋人同士になった俺とハルヒは卒業と同時に結婚した次第だ
思えば、始めに俺の席の後ろで自己紹介したときから俺はあいつの事が好きだったんだと思う
それにSOS団……SOS団の目的が宇宙人や未来人や超能力者と遊びたいためにハルヒが作った非公式団体
だからなのか、俺たち二人……いや三人はまだ「SOS団」として活動している
もうあれから8年か…と思い出していると桜並木の向こうから
「おーーい、キョン!雪!お弁当よ!」
とポニーテールの女性が片腕をぶんぶん振り回しながら近づいてきた
おい、もう片方の手には、俺たちの大事な食料があるんだ、あまり派手に暴れるな
「大丈夫よ、そんなヘマ、あんたくらしかしないわ!、ねっ雪」
と呼びかけられた少女は、ほんの少しだけ首を縦に動かした
この子は意思の疎通があまり上手ではない、ほんの少しの動作で済ませてしまう傾向は正すべきかどうか
「さっ、天気もいいし、お昼ご飯にしましょ」
反対にこっちはわんさか話す、俺は普通くらいと自負しているから、これでバランスが取れているのか?
「やれやれ、行こうか、雪」
俺はそう心の中でため息をつきながら、横に座っている少女、俺とハルヒの娘に呼びかけた
名前は「雪」名付け親ハルヒ曰く「雪ってこの世の奇跡のひとつなの!どう!神秘的でしょ!」らしい
まあ、俺もその「ゆき」という語感は気に入っているから全然構わないが……
……っとさっきからなんだこの既視感は……
648 :
nac:2006/06/04(日) 09:36:08 ID:vv5QXVkz
そして、みんなでお昼ご飯、雪は口数は少ないが食欲は人一倍だ、物凄い勢いで消化していく
「うん!それでこそあたしの娘ね!作りがいがあるってもんだわ」
ハルヒはにこにこしながら見ている、確かに作り手から見れば気持ちの良い食べっぷりだ
俺はこのままでは自分の腹が満たせないと悟り、ハルヒお手製のお弁当に手を伸ばした……
「さてぇ、お昼からは、どこを探検する?」
きれいにからっぽになったランチボックスを片付けながら、満面の笑みで訊いてくるハルヒ
「さて、どうしたものか……」
俺がどこに行こうか考えていると
くいっとシャツを引っ張られた、視線を落とすと、背伸びをしながらもシャツの袖を引っ張る雪がいる
……どうしてズボンを握らないのだろう?そう不思議に思っていると
「……図書館……」
見上げていた雪がそう答えた
「あぁ、そういえば、この前あんた雪の貸し出しカード作ってあげたんだっけ?」
まあな、買い出しのハルヒの邪魔にならないように、ふらっと立ち寄った図書館だが、雪はとても気に入ったらしい
夢遊病のように、本棚に引っ張られていったけ……
「……面白そうね……きっとそこには何かがあるのよ!間違いないわ!」
いや……図書館には本があるだけだろ
「いいえ!きっと不思議な空間や未来への遺産……もしかしたら宇宙人が書き残した本とかあるかも!」
そんなの……と言いかけたが止めた、雪の目が輝いている、これはもう図書館で決まりらしい
多数決しても負け確定だ、別の案もないし、まあいいか
と思い立ち上がり、前を見ると……雪がまたしても夢遊病患者の様に歩き出していた
つつつつぅっと歩く雪を見ながら、俺とハルヒも桜並木を並んで歩く
「あたしね、このごろ思うの、雪ってずっと前にどこかで逢ったことあるんじゃないかって」
俺のすぐ横でハルヒがやや真剣に言い出した
「そうか……お前もか」
「キョンも?」
「たまに、夢の中で、……そうだな中学生くらいな雪と話している夢を見る」
「どんな内容の話なの?」
「それが朝にはきっぱり忘れてる、「何か話した」という事だけしか覚えてない」
「へぇ、不思議ね……前世とかかしら?」
「解らん、だが不快な感じはしなかったな」
そんな話をしてると、目の前でふらぁっと歩いていた雪が躓いて転んだ
「……ぅぅ…………」
雪は運動の出来る子(体は細いが)なんだが、時折何も無いところで転ぶ
ドジっ娘属性か?お父さんはそんなの望んでいないぞ、……本当だ……きっと
「…………ぅぅ……」
泣くのを必死に堪えている様だ、それもそのはず、ハルヒは泣くのを結構嫌う
以前雪が転んで大泣きしたとき
「泣いたって、状況が良くなるわけ無いでしょ!!」
と逆切れした、おいおい、っと最初は思ったが、その後も似たような状況で泣かずに立ち上がると
「うん!!えらいぞ!!!」
と頭をなでなでぇとしながら満面の笑みを浮かべるからだ、意外と「いいお母さん」である
俺はというと、そんなに突き放すほど、冷徹ではないから(いや単に親バカなんだろうさ)
近づいて、肩を優しく抱き寄せながら……こう言った
「……雪…………無j……
……
…………
第三部 変わった世界で…… 完
649 :
nac:2006/06/04(日) 09:45:42 ID:vv5QXVkz
さて如何だったでしょうか?面白くない?まぁ感想は人それぞれですけど
個人的には「トゥルーエンド」っぽくしてみました「ハッピーエンド」でなく……
改めて、他の職人さんの表現の豊かさに、甚だ恥ずかしい限りです
本音はここから、部分的共有を果たした有希との泥沼の三角関係……(もち18禁もの)だったのですが
急遽路線変更してみました、濡れ場はまだまだ自分には早すぎるかなと
最後に、こんなくだらない文章を律儀に完読してくださった、皆さん、ありがとう
これからは、もっと短なSSをあっぷしたいな……なんて
650 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 10:14:04 ID:nMFhMJh0
超GJ!!
ついでにもう片方も
ふへー、すごいすごい。
こういうオチのつけ方は予想してなかった。
GJ!お疲れ様でした
>>649を読むとAパートはなさそうですね、予想と違う結末にはヤラれたぜ
>>649氏、一部、二部への安価助かりました
もう片方にもひそかに期待しつつということでGJ!
未来系エンドってじーんと来るなぁ。すっげーいい。
655 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 11:38:41 ID:ahLiVW49
長門信者しかいねーのかここ
スルー
657 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 12:09:41 ID:sNNx5agb
未来人が自分たちの世界を構築する上で重要なアイテムをキョンに揃えさせ、
自分たちの世界が安定したところで一番の不安要素である涼宮ハルヒを抹殺しようと企んだ。
しかしそれは失敗に終わり、代わりにキョンが重傷を負った。
その後キョンは長門の輸血によって一命を取りとめたが、このままではキョンの人格
は崩壊してしまうと言う。それを防ぐための二つの手段があり、キョンはそのうちの一つ、
何が起こるかわからないが記憶は残る方法を選んだ。
その後キョンによって改変された世界でキョンは運良く、世界再構築のきっかけ
となるキーワードを口にすることができた。
そして世界は戻って、おそらくハルヒが未来人の刺客の襲撃を受ける直前へと・・・
*考察
アニメ板じゃみくるも結構人気あるぽいな
660 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 12:41:33 ID:nMFhMJh0
みくるだけ好きになれない漏れ
中の人とは気が合いそう
キョンは長門の観察第一人者のつもりになってるけど
実際の所古泉の方が遥かに先行ってないか?
華麗にスルー
>>635 動揺の「朝比奈みくるの憂鬱」と陰謀を読むと朝比奈みくる(小)に萌えが走りますよ。
突如「和服の鶴屋さんによいではないかごっこをやらされるキョン」
という妄想が浮かんだが唐突過ぎてSSにならなかった|ω・`)
>>665 やらされるってことはキョンが帯を取られる側か
何か最近キョンが女でもいい気がしてきた
なんか最近キョンに萌える俺ガイル。
ハルヒ<->キョンとかもうたまんね
668 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 14:16:56 ID:lpMUdSwj
>>649 GJ!!
そこからAパートに進むわけですね。
氏の構成力に尊敬。
すっごい短いけど書いてみた。
「物書きさんに20のお題」の黄1、『45点』をお題に。
ネタに困ったらこういうの見てお題から考えて書き始めるってのもおもしろくていいね。
憂鬱だ。ああ憂鬱だ。憂鬱だ。
今日はテストの返却日。とりあえず赤点じゃなけりゃそれでいいさ。
いい成績とかは望まん。進級さえ出来りゃあそれで満足さ。
順番に呼ばれてテストを受け取るクラスメート。
国木田が87点のテストをヒラヒラさせながら笑顔でこっちを見る。
頭のいいやつにはわからんだろうな。クソッ。
そして俺の名前が呼ばれる。テストを受け取るがまだ点数は見ない。
テストを裏向けたまま席に戻る。
テストを受け取った谷口が緊張の面持ちでこっちに来る。
同時にお互いの点を見て一喜一憂するのが俺達の習慣だ。
「行くぞ、キョン…」
「あぁ…。」
緊張の一瞬だ。
『いっせーのーせっ!』
「45点」
「38点」
「いよっしゃぁぁぁ!」
「うがぁぁぁぁぁ!」
「ハッハッハ。悪いな谷口」
「マジかよ…。赤点よりもキョンに負けたのがショックだ…」
「俺だって結構努力したんだよ。ったく。地獄だったぜ」
チラと後ろの方で不機嫌そうな顔をしてるアイツを見る。
…ったく。なんでそんな点で喜んでるのよ。7割ぐらい取りなさいよ。
そう顔に浮かんでる。
いや、確かにお前の教え方は悪くなかったさ。
さすが普段から眼鏡君に家庭教師モドキの事をやってるだけはある。
ただ、俺の基本スペックも考慮してくれないか?
「フン。屈辱だわ。私の教え子が45点だなんて。次は7割がノルマだからね。覚悟しときなさい」
頭を抱えながらテストを眺める。次…?またあの地獄の日々がやってくるのか…?
ここ一週間の記憶を呼び出してゲッソリする。
…ま、それでも一応感謝しとかないとな。赤点を回避出来たのは8割こいつのお陰だ。
あとの2割は俺の我慢強さ。
「ありがとな、ハルヒ」
とびっきりの笑顔で言ってやる。
驚いてる驚いてる。これほど ぽかーん という擬音が似合う顔もそうは無いぞ。
「あ、当ったり前でしょ!?我がSOS団から赤点とる人間なんか出すわけにはいかないし
補習なんて事になったら活動に支障をきたすし、それから…!」
若干、顔を紅潮させながら早口で言うハルヒを眺めながら俺は45点のテストを
大事にポケットにしまった。
これで終了。回想で前日のハルヒの家庭教師も書こうかと思ったけど
ダラダラ長くなしろうだったから短く纏めて見ることに。
ちょっと短すぎたかも。
673 :
5-409:2006/06/04(日) 14:38:35 ID:y8/UPDzq
>>672 いや、短く品良くまとめる方が難しい。
GJ!
>>296の続きを投下します
見ようとするならそちらから。
「涼宮ハルヒの鎮魂歌」その2
こんこん。
控えめにドアをノックする。もちろん朝比奈さんのためだ。
しかしどうせ俺は古泉なんだ責任は全て古泉のものだ別に構いやしねえYO!
なんて俺は考えない。一時の情熱で乙女に恥を欠かせてはならん。
俺ってフェミニストだ。
「・・・・・・どうぞ」
長門の声だ。ちょうど良かった。
がちゃん。
「長門!」
俺は聞いてくれよと言わんばかりに長門に詰め寄る。
しかし、長門から紡がれた声は、
「分かっている。涼宮ハルヒの精神転移願望が原因」
などというような長門らしい声ではなかった。
「え、あ、古泉く・・・じゃなくて、キョン君・・・?」
おいおいおいおい。
待ってくれよ。長門。なんのつもりだ。
ふざけないでくれよ・・・頼むから・・・ホント。
声が違っていても分かる。
長門は、あの可愛らしい天使、朝比奈さんだった。
その傍らで、「俺」が肩をすくめていた。
長門な朝比奈さんは、小ぢんまりと長門の指定席に座っている。
ちくしょう、めちゃめちゃ可愛いじゃないか。
心なしかハルヒ消失時の長門を思い出す。
SOS団全員の精神が入れかわっているのかよ・・・。
団長様だけ除いてな。
「幸いなことに、涼宮さんは掃除当番の為まだ来ていません」
と、俺(中は古泉)は長門(中は朝比奈さん)をちらりと見る。
「・・・彼女の違いならば涼宮さんでなくともすぐに分かります」
当たり前だ。
長門を完璧に演じられる人間なんていない。断言できる。
「涼宮さんが来る前に、長門さんに対策を聞く必要がありますね・・・」
「長門さんは・・・まだ見ていません」
朝比奈さんはぽつりと言う。
その「長門さん」というのは自分のことだろう。
無愛想な朝比奈さんを考えようとするも、俺の脳はエラーを出した。
「あの長門さんのことです。事態についてはいち早く気付いてる筈です」
つまり・・・と俺古泉は続ける。
「もうすでになんらかのアクションを起こしている可能性が高いですね」
がらり。
古泉が言い終わるのを見計らったように、部室の窓が開く。
「戻った」
果てしなく無表情な朝比奈さんが、紙袋を抱えて窓の淵に立っていた。
・・・いや、なんで窓から。
「朝比奈みくるの姿でいる以上、朝比奈みくるの関係者と遭遇する可能性が高い。私の知らない情報があれば、対処しきれない。」
長門にも知らないことなどあるんだろうか?
まあ、おそらく、未来人のことだろう。
無表情な朝比奈さんは、紙袋を机にどさりと置く。意外に重そうだ。
「それは?」
古泉がいつもの笑顔で訊ねる。俺だが。
「涼宮ハルヒが精神転移を起こした原因。涼宮ハルヒの家にあったものを物質的にコピーした」
俺は紙袋の中をばさばさと出す。
漫画のようだ。
適当に一冊とって読んでみる。
・・・ははあ。
それは普段のハルヒからは想像つかないような恋愛モノの漫画だった。
ただ、プラスアルファでSFがくっついてる。
おそらくはハルヒにとってはこっちが本命だと思われる。
そのプラスアルファとして描かれているのが・・・精神転移だ。
まあ平たくあらすじを説明すれば、
幼馴染の二人がある日突然精神が入れ替わる、というどっかで聞いたような話で、そのネタを基点にいろいろドタバタしたラブコメである。
俺は本をぽんと閉じる。
つまりハルヒは・・・、精神転移が本当にあればいーなーとか思ったワケか?
古泉は漫画に目を通しながら、
「少し違いますね。彼女はこの漫画の主人公のようになりたかったんですよ。相手はもちろん・・・あなたで」
「ただ、能力は涼宮ハルヒ本人には発動しなかった。涼宮ハルヒはあなたに拒絶されるのを恐れていたと思われる」
無表情朝比奈さんが付け加える。
「能力は不完全なまま発動し、結果、私達が能力の影響を受けた」
どっちにしろ俺は巻き込まれたのかよ。
というか何で俺を巻き込もうとしたんだよ。あいつは。
「ほら、この漫画の最終巻です」
古泉はぱらぱらとページをめくる。
「最後は精神転移も元に戻り・・・・・・、」
ぴっ、と最後の方のページで止める。
熱い抱擁とキスをする二人。見てるこっちが恥ずかしいね。
「二人の幼馴染はめでたく結ばれるのですよ」
・・・言ってる意味が良く分からん。はっきり言え。
「あなたも疎い人ですね・・・。つまり、涼宮さんはあなたとラブラブになりたいワケですよ」
・・・ハルヒが?
・・・・・・俺と?
んな馬鹿な。
「要するにあなた、この状況下では僕ですが、涼宮さんに告白すればこの精神転移の物語は終わる、ということですね」
「そういうこと」
・・・待てよ。
ということは、古泉が俺で、俺が古泉つーことは・・・、
「俺がハルヒと付き合うのかよ!」
きょとん、とした顔の二人と無表情の一人が俺を見つめる。
「僕はてっきりあなたが涼宮さんに好意を抱いていると思ったのですが・・・」
なんだその全て分かってますよみたいな顔は。俺だけど。
知らん知らん知らん!
とにかく。とにかくだ。別の案を考えるんだ。
「・・・まあ、いいでしょう。とりあえずは保留、ということで」
とりあえずはここまでで。
・・・やばい、この後の展開が書くの難しい。
>>679 GJ!今後も期待します。
ところで……今SOS団以外の視点でのパロを一つ考えているんだが、大丈夫かね?例によりエロく無いが。
GJ!鎮魂歌、ハルヒがでてくるところが楽しみです
>>680 構いません!ぜひ投下を!
なんだか、大宇宙の意志を感じ取ったのでさらりと書いてみた。
設定的には
>>579のあとの話のキョン<->ハルヒ入れ替わりもの。
苦手な人はイレカワリLOVERをNGワードで。
慣れというのは恐ろしいものでどんなおかしな状況であろうが、体験する時間に比例して順応力というが芽生えてくるものである。
人間っていうのはよくできているもので適応しまえば、意外とそれも悪くないと感じてしまうんだよな。
たとえば、期末試験が惨憺たる有様でもそれが当たり前になってしまえば「またか」程度で気にしなくなったりな。
いや、これは例として正しくないが。
ともかく、俺も今まさにその人間の適応力ってやつの効果を存分に体感しているわけだ。
器用に箸を使い、出来上がったばかりの料理を四角い弁当箱に詰めていく。
中身が偏らないようにバランスを取って詰め合わせてフタをした。
その数2つ。
「これでよし、と」
俺は弁当箱を袋で包むと一息ついて仕事を終えた充実感を味わっていた。
手を洗い、タオルで拭きながら鏡の中の自分に目を向ける。
そこにいたのはいつもの自分ではなく、柔らかい髪に黄色いリボンが特徴的な整った顔立ちの少女だった。
いや、最近は少女ではなく女性的な魅力もだいぶ増してきたな。
俺は溜息をつくでもなくクシを手に取り、身だしなみを整えながらそんなことを考えていた。
うむ、今日も美人だぞ。
なんて事を鏡の中にいるハルヒに向かって言ってみたが当然返事があるわけじゃない。
なんせ、それは俺自身の姿のわけだからな。
当然、この場には俺しかいないわけで返事が返ってくるわけがないのである。
俺はセーラー服に着替えると鞄に二人分の弁当を詰めて、慣れた手つきで鍵を閉めるとアパートの部屋をあとにした。
まだ早い時間ではあったが俺は小走りにあいつの待っている場所へと向かう。
あんまり急いだらせっかくこさえた弁当が寄り弁になっちまうから動きは最小限に抑えてな。
それから小一時間ほどで約束の場所へとたどり着いた。
「よう、思ったよりも早かったな」
「あら、先に来てたのね」
「ちょっと前に来たばっかりさ」
他の学生たちも大勢いるが、待ち合わせの場所には予想通りあいつが待っていた。
待ち合わせをしていたのは他でもない俺…ではなく、俺の姿をしたハルヒだ。
その姿を見たとき、一瞬嬉しくなってしまったのは何でだろうな。
…いや、考えるのはよそう。 朝っぱらから調子狂っちまう。
軽く挨拶を交わすと俺たちは足並みを揃えて歩き始めた。
俺とハルヒは肩を並べて通学路である山道をひたすら登っていた。
うららかな春の陽射しも暖かく、何となく気持ちも晴れやかになっていく。
隣にいるのは俺の姿をしたハルヒ──だが、俺はもうこの光景にすっかり慣れていた。
例の入れ替わり事件から数ヶ月が経ち、紆余曲折の末、俺たちはすっかり恋人と言える関係になっていた。
自分で言うのも恥ずかしいが、一度自分の気持ちに素直になっちまえばつるべ落としのごとく落ちていくもの。
俺とハルヒは自他共に認め合うバカップル状態になっていた。
しかし、それだけではとどまれないのが俺たち変人カップルの悲しい性だろうか。
俺とハルヒはまたあれから何度か入れ替わりを起こしていたのだ。
これが確か4度目だったような気がする。
最初の頃は戸惑っていた入れ替わりも今では「またか」程度にしか感じなくなっており、互いを演じた生活にもだいぶ慣れてきていた。
「ところで弁当はちゃんと作ってきてくれたのか?」
「心配しなくていいわよ。 ちゃーんと作ってきてあげたからね」
「おう、期待してるぞ」
一見、普通の会話でも傍目に普通の男女に見えるように互いに言葉遣いには気を遣っていた。
ハルヒが俺を演じ、俺がハルヒを演じる。
そんなヘンテコな日常も、すっかり普通の日常の一部となってしまい俺もハルヒ的女言葉を使うことにも違和感を感じなくなっている。
当然、上の会話で女言葉を発しているのは俺なわけである。
まったく慣れってのは恐ろしいもんだ。
慣れと言えば慣れたくもなかったが、女の生理現象にも対応出来るようにまでなっていた。
無論、今では一人でトイレにも行けるし、風呂にも入れる。
まぁ、その、なんだ。 俺とハルヒも恋人らしい一線ってヤツを越えちまったからな。
今さら憚る必要もないだろうってことで、ハルヒにお許しを貰ったってところさ。
そんなわけで普通じゃないのがお好みのハルヒも大満足のヘンテコ恋愛を満喫してるってところさ。
実のところ、最近ハルヒを演じるのも悪くないと思い始めてたりするしな。
「うーっす、おはよーさん」「おはよー」
「おう、オッス」
「ん? なんだ、谷口と国木田じゃない」
「なんだはないだろ、まったく朝っぱらから見せつけてくれるな、お前らは」
「いいでしょ。 ひとのこと茶化してる暇があるなら彼女の一人くらい見つけたらどうなの?」
「うぐ…キョンにならともかく涼宮に言われるとショックだぜ…」
「なによ」
ま、中身は俺なんだけどな。
それに俺とハルヒはつき合ってるわけだから、未だに彼女募集中なこいつに何言われたって痛くもないぜ。
「それにしても涼宮さん、最近丸くなったよね。 やっぱりキョンのおかげ?」
「そ、そう?」
「はっはっは、わかってくれるか、国木田。 こいつもすっかり可愛くなっちまってなぁ」
「ちょ、ちょっと、キョン!」
「…やれやれだね」
いや、だからっていきなり惚気るなよ、ハルヒ。 国木田だって呆れてるじゃないか。
ていうか、ハルヒよ。 お前に可愛いとか言われるのはなんかこそばゆいんだが…。
いや、悪い気はしないけどさ。
とりあえず、俺は幼なじみが照れ隠しをするような表情をして、ハルヒの脇腹に肘を入れていた。
本気でやると何言われるかわかったもんじゃないから、あくまで軽くだけどな。
「おはよ〜、涼宮さん」
「あら、おはよう、阪中さん」
「今日もキョンくんと一緒? 相変わらず、二人とも仲いいのね〜」
「えっ? そ、そんなでもないわよ」
「うぅん、そんなことないよ。 みんな変わったねって噂してるのよ」
「そうなのっ!?」
「ふふっ。 涼宮さん、最近ずいぶん綺麗になったし、可愛いもん。 キョンくんもなんだかかっこよくなったし〜」
「そ、そうかな…あたしにはよくわかんないわ」
教室にたどり着くとクラスの女子じゃおそらく一番仲のいいであろう阪中さんと軽く会話を交わす。
おっとりしてるのに朝っぱらから茶化してくるなんて、この人も見かけに依らずゴシップネタは嫌いじゃないらしい。
まぁ、ハルヒだって恋愛に興味ないとかいってたわりにあんな風になったしな。
さんざん茶化されても満更でもない気分だったのでよしとしておこう。
俺は間違えることもなく窓際最後尾の席に着くと、日課のように前の席に座っているヤツの背中を眺め始めた。
ハルヒとの入れ替わり学園生活も慣れてしまえば意外といいものだった。
案外、自分からは見えなかった部分も見えてくるし、価値観も変わってくる。
まず自分に起こったいい傾向の変化と言えば、学業への入れ込みだろう。
一応仮にも秀才であるハルヒの面目を保つため、俺はそれなりに真面目に授業を受けるようになった。
前にハルヒのまま答えを間違えて赤っ恥をかいて以来、ハルヒには目をつけられているんだよな。
まぁ、このところ勉強もわかるようになってきたし、怪我の功名と言える。
もう一つはハルヒ的な生活をするようになってから、こいつが何を考えてるのかってのが多少なりとも見えてきたってことかな。
もちろん、あくまで俺のしていることはハルヒのフリであって、あいつのように傍若無人に振る舞えるわけがない。
それに入れ替わっているからには相手もハルヒであってそんなに強気な態度に出れないしな。
しかし、だからこそ俺が演じる「ちょっとらしくないハルヒ」もあいつは許容してくれていた。
それがわかったからこそ、あいつも元に戻ったときも無茶を言うことが減ってきた気がする。
俺的には扱いやすくなった反面、若干物足りなさを感じたりもしたのは気の迷いと言うことにしておこう。
他の連中が俺たちのことを変わったっていっているのは俺とハルヒが互いの立場に立ってみて
いろんなことが見えてきたからっていうのが大きいかもしれない。
他人からすれば、ハルヒが大人しくなって俺に引っ張られているように見えちまうんだろう。
いってしまえば、俺が理想のハルヒを演じ、ハルヒが理想の俺を演じるってわけだ。
気がつくと、俺は当たり前のようにハルヒとして生活し、ハルヒもまた同じだった。
そんなこんなで俺たちはこの風変わりな生活を満喫してた、ってとこさ。
だがしかし、それ故に俺たちは少しずつ狂い始めていったのかもしれない。
こんな状況を受け入れ始めてしまっていたんだからな。
とりあえず、ここまで。
続きはまた今度。
うわーつづき読みたいなこれはw
GJ
古泉「アッー」
690 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 16:52:36 ID:d+/ZpJCt
691 :
かなり:2006/06/04(日) 17:18:26 ID:wzRpBWtP
>>687 GJ!
ここでトリップつけます。
あと保守
GJとしか言ってない奴がコテ&鳥って何様?
自己主張したいお年頃なんだよ
>>694 21歳以上で自己主張、か。
素直に考えるとあまりにも痛いですなw
>>695 スレ某住人が
何もせずに意味も無くコテ&鳥付け始める
コイツの行動が意味わからない。
かなりって名前の奴は結構前からいたんだが、GJって言うだけで感想は何も言わない。
もちろん作品も投下しない。名前欄も含めて「かなりGJ」かと解釈して今までは何も言わなかったが…
ってことでいいんだよな
>>698 多分いいと思う。そして かなり ってコテを付け始めたのは確か6章辺り。前まで居たのかは知らん
俺がみくるの時代を作ってやる・・・・・・!
どうせアニメから入ってきた奴なんだろ
ま、俺もだけどな^^;;;;;;;;;;;;;;;
むしろトリップつけてくれた方が
専ブラだとあぼーんしやすくて助かる
つーか神作大量投入されてれるから
読むのがおっつかないし乙って言う暇もありゃしない
とにかく作者皆様乙であります
704 :
5-409:2006/06/04(日) 18:36:43 ID:IGgWeylD
まあ、みんなキニスンナ。些細なことだ。合い言葉は「スルー」!
……俺もコテ外した方がいいか?
>>703 投下する方も大変なんだけど。昨日の夜投下したとき250ぐらいだったのに。
みくるスキー読んで。ハードなエロだけど。
>>679 長門<->みくる これはヤバイ!反則的!
>>704 作者コテ氏の方々はなくなると困るっす
ニセモノ対策としてむしろトリップつけてほしいくらいっす
いや、コテは作品を投下するときとかだけにして
感想を言うときなんかは名無しでいいんじゃないか?
708 :
5-409:2006/06/04(日) 18:54:42 ID:IGgWeylD
>>707 いや、書いてる奴が人様の作品になんか言うときに正体わからんと失礼かなー、と。
外してみるか。
合言葉はスルーとか言っておきながら何を失礼に思っているのか分からない
後、書き手といってもそれほど影響力があるわけでもないから名無しの状態で充分だと個人的には思うよ
472 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2006/06/04(日) 18:56:05 ID:nX72Vzap
もしキョンが消えて戻す方法・戻ってくる方法が全くなく
何も出来ない状態になったら、きっと長門は自分の中の
何か説明の出来ない感情を抱えたまま、
部室のいつもの場所でいつものように本を読みながら
待ち人がドアを開けて現れるのをいつまでも待っている…
というシーンが浮かんだ。
473 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2006/06/04(日) 19:02:39 ID:tAF7CwRS
そんな映画ハチ公物語のような長門は・・
こんなのキボン…
>書き手といってもそれほど影響力があるわけでもないから
書き手がいないとスレが成り立ちませんが><
とりあえず空気が悪くなる前にやめようよ
コテは各人の自由 気に入らなかったらNG
よし、ここで恒例馬鹿ネタ!
長門有希「踊る」
涼宮ハルヒ「尻の穴はおっかないわね。泣きそうになっちゃう。朝倉に言ってはずんでもらいましょ」
キョン「……俺は…どうなってしまうのだろう」
古泉一樹「フロリダの大学にいたんですが、火遊びが元でマフィアとFBIを怒らせてしまいました」
朝比奈みくる「ええと、サンタマリアの名に誓い、すべての不義に鉄槌を……あれ安全ピン外れちゃった…いやああ!」
朝倉凉子「『ホテルモスクワ』は行く手を遮るすべてを容赦しない。行くぞ軍曹、撃鉄を起こせ!」
WZ63とM79を下げて飛び込んでいく長門。
へたれのキョン。
スチェッキンを構えた朝倉。
は、いいとして他はだめだめだな。
特にみくるはメイド以外合って無いじゃないか。
尻SSの時反応してくれた人、THX!
唐突でごめん。
教室で、制服の下半身裸のハルヒに押さえつけられた
バニーガール姿の朝比奈さんをM字開脚させて
タイツ破ったりバニー衣装ずらしてチョメチョメしたり
全裸にしてチョメチョメしたりしちゃうフラッシュを今見てきたんだ
かなり良い出来だったんだがシチュのSSがあれば
もっと美味しくご飯食べれそうなんだ。
どなたか上記シチュで一品頼めないかな
>713
そうか、じゃあそのフラッシュのURLについてkwsk
俺も
落ちがなくて詰まらんフラッシュだったきが
読み込み中の長門の表情は秀逸
挿入のやり方がわからなくてイライラした覚えがw
アクセス集中しすぎで見れません
>>720 そのイライラがそのうち気持ちよくなる焦らしプレイ
ってもイライラしっぱなしじゃ息子さんの健康に悪いな。
よければ参考にしてくれ。
ギャラリーの「みくる@バニー」
みくるの膝をドラッグでM字開脚最大にして
おっぱいドラッグしてぽろりさせて
股布をドラッグしてずらして剥き出しにして
剥き出しにされた部分をクリック
出したら終わりなんて若さがない
>>710 何万年後の地球に飛ばされたキョン。
あたりは半ば砂と化した瓦礫。一面の瓦礫。
人間の気配すらない、その荒野のなかに
奇跡のように建っている、北校の旧校舎。
キョンは目を疑いながらも、校舎に入り文芸部の部室ドアを開ける――――――――――――――
「………長門」
「……」
長門有希が、そこにはいた。いつもの制服姿で、いつものように本から視線を上げて。
「お前、なんで……」
「一万二千年」
「え?」
「ずっと待っていた」
「一万…二千年…って、その間…ずっとか?」
「正確に言うと、一万二千百二十二年と六ヶ月と十四
最後まで言う前に、俺は長門に飛びつくように抱きついた。一万年!一万年だぞ!
「なんで…長門、お前……」
俺の言葉はうまく出てこない。
「それしか方法がなかった」
淡々と、しかしどこかしら感情を思わせる声で長門は俺の胸元で言った。
「長門……俺が今日ここに来ることが判ってたのか?」
「あなたがいつに飛ばされたのかは私にはまったく不明だった。おそらく100年から10万年のオーダーの
いつかだとしか判断することが出来なかった。だからあなたが、この校舎を見つけたならば必ず入ってくると
想定してこの校舎に時間停滞の属性を付加しておいた」
「じゃあお前も……」
長門は首を振る。
「時間停滞を固定化することは出来ない。プログラムの実行体として私は時間の流れの中に存在していた」
「お前……ずっと、待っててくれたのか……一万…二千年も……この部屋で……」
クソ。なにやってんだ俺。こいつが、長門が、ずっと待っててくれたってのに、さんざん待ちぼうけ食らわして……
腕の中で長門がびくり、と身体を震わせた。
「長門?」
「毎日、あなたが来てくれるかと楽しみに待っていた。今日は来なくても明日こそ来てくれるか、と。
……ごめんなさい。なぜだか、感情の、抑制が、うまく、効いていない……ドアノブが、動くんじゃないか、と、
それだけを、楽しみに……」
どこか熱に浮かされたような長門の声。無理もない。ずっと、待っててくれたんだ。
「いいんだ。ゴメン。ゴメン。長門。待たせて、すまなかった。本当に」
長門の小さな身体に廻した腕に力を込める。こんな小さな身体で、ずっと俺のことを待っていてくれた。
一万二千年も。気が遠くなるほど、毎日、毎日……ずっと、この部室で、俺がやってくるのを待っていてくれた。
「……あなたが、謝る……ことでは、ない」
----------------------------------------------
つづかない
725 :
8-579:2006/06/04(日) 19:51:35 ID:cnFL1CFY
長門が「ひろってください」と書かれたダンボールに体を入れて、
半身が動かなくなっても、まだキョンを待ち続ける姿が目に浮かぶ。
>>724 GJ! もう忠犬なんてレベルじゃねえ!
待つのは耐えれても失う恐怖には耐えれそうに無いと思った長門に
時間凍結喰らい永久保存版キョンにされて愛でられる図とか想像しちゃった
>>730 これ以上
俺の中の黒長門を発展させないで下さい。
733 :
8-579:2006/06/04(日) 20:20:05 ID:cnFL1CFY
あれ…?もう残り468KB…?
なんか三日前にも同じことがあったような…?
これってデジャヴ…?
っつーか早すぎw嬉しい悲鳴ww
黒いというか、きっと長門はちゃんとキョンを元居た場所に
送り返そうとしてくれたりしたところに
感極まったキョンが、うっかり「これからはずっと一緒だ!ずっと側にいる!」
とか安易に口走ったりしちゃって長門が「……本当?」と確認とっても
「ああ、勿論だ。俺を信じろ!」とか安請け合いしたから
「……良かった。これからはずっと一緒…ずっと」って感じで
悪いのはキョンの迂闊さで長門が黒いわけじゃ決してありません
>>734 ――さぁ、時間を零時で迷子にしてやろう
>>724GJ!!
長門が健気すぎて泣ける
>>730 あんまり関係ないが
長「あなたという存在が失われる時、私という存在に計り知れな
いダメージを加えられる事が予想される。」
長「しかしその時までにあなたの子種を私の体内に宿しておく事が
できればそのダメージを僅かに和らげる事が可能かもしれない」
みたいな感じでセクロスに持ち込む長門を想像した。
>>724 一万年と二千年前から愛してる長門萌え。
八千年過ぎた頃からもっと恋しくなってたんだろうな。
そして、一億と二千年たっても愛してるんだろう。
――キョンの中の人つながりでそんなことをふとオモタ。
「あの懐かしい世界に着いたら、私によろしく言ってくれ」とかいってキスして長門がキョンを元の時間に戻すのはどうだろう。
で、キョンを送り返した後に力を使い果たして機能停止寸前の長門の前に、キョンに似たでも少し年を取った青年が現れて…
時間の輪ネタならみくるの出番が
>>739 キョン「あの後、この時代に戻れるように10年間ただひたすら頑張ったんだ。
馬鹿だったけど、博士号まで取ったんだぜ?だから……だから最後位は俺と一緒に居てくれないか?」
まで読んだ。
何このジュブナイル
>>724 GJ!
って、何?目からこぼれ出るこのしょっぱい水は?
長門は時間跳躍できないってことでいいんだよね?出来そうだけど。
みくるに連れてってもらってたし。待つしか出来ないってのは余計に悲しい。
陰謀を読んだら誰しも鶴屋さんとみくるとの3Pを考えてしまうはずだ。
つーわけで誰か!俺に鶴屋みくる分を!!
>>743 みくるに連れてもらうという事に何らかの伏線があるのかも知れない
>>746 そっか。それもあるんだよな。
2次創作でそこが難しいんだよな。後で台詞設定が覆されそうで悩みどころ。
キョンが長門に「お前も時間移動できるのか?」って訊いたとき、
はっきり「わたしにはできない」って答えてるシーンがなかったっけ?
どの巻だったか忘れたが。
749 :
748:2006/06/04(日) 21:40:17 ID:+poc5+DL
あ、軽く調べてみたらすぐ見つかった。
憂鬱の214Pだ。
750 :
5-409:2006/06/04(日) 21:41:15 ID:fIZZbRSq
前のスレで少し書いていた人いたけど、三年間待っている長門
というのも、かなり切ない。
この辺をうまく書くとかなり泣ける物が出来そうだなあ。
エロくはなさそうだけど。
>>745 陰謀の鶴屋みくるなら保管庫に鶴屋さんの陰謀があるけど
あまりエロくないからそのうちキョンを足して書こうかな
しかし、限定した範囲内(長門の存在している期間)なら同位接続が可能なので、時間移動などする必要がないような気もする。
とりあえず完結したので投下。
結局エロとかは無くなってギャグ要素が強いものになってしまいました。
今まで原作は「憂欝」しか読んでなかった。
で、この板に触発されて最近続巻をいろいろ買ったけど…。
何読んでもココのSSが浮かんでどうしようもありません!
どうしてくれるんですかコノヤロー。
「朝礼を始める、まず涼宮は今日も休みだ、それと」
・・・ん? 岡部がこっちの方を見ている。俺に何か用なのか?
「そうだお前だ、ちょっと後で職員室来てくれ」
「先生、俺を職員室に呼んだ理由は」
「いや、それなんだがな・・・ 涼宮が昨日から休んでるだろう」
「は、はあ」
何かやばい予感がするぞ。
『あのぅ、これってもしかして』
『静かにしてなさいみくるちゃん』
『ご、ごめんなさい』
「更にだな、今日は他クラスの長門と古泉と、あと2年の朝比奈も休んでるんだ
これら4人は皆お前が入ってるわけわかんない部活の部員だろ」
「は、はいそうです」
「・・・・・・涼宮は日曜の朝から、長門と古泉と朝比奈は今朝から行方不明になってるそうだ」
「・・・え!? そうなんですか!? ・・・それは大変ですねえ・・・ ははは」
そりゃそうだ。4人とも俺の着ているシャツにいるんだからな。だが決して俺は悪くないぞ。
「そこでお前なら何か知ってるかと思ってだな、
あと、家族側が警察に捜索願を出す事を検討しているそうだ」
・・・・・・何だと!?そこまで話は進んでいるのか?!
『捜索願ですって!?それってちょっと話進みすぎよ!』
『どうしましょう涼宮さんー、ぅあーんどうしましょう〜』
『・・・とりあえずここは素直に打ち明けるほうが良い』
『そうですね、その方が良いでしょう』
『じゃあみんな、キョンにくすぐり攻撃』
『『わかりました』』『了解』
「そ、捜索願ですか、1日2日姿を消したからって、それx・・・ は、はは!!何だこら!おい!!やめいfjくぉいw!」
おいコラお前ら何をやってるんだ!おい!
「どうした、大丈夫か何かの発作か」
「いえ違いまs89えうyr89! あはは!っうあ!やめコラちょギャハハハ!!!」
「もしかして何か服についてるのか」
やばい!感づかれる!
「とりあえず服脱げ」
「い、いえ結構、はは!ぎゃはははうぁっ!ぅぁーははぎゃははぅぇ」
「良いから脱げ、男同士だろうが」
「嫌ですっははh」
「じゃあ無理やり脱がす!」
「うぎゃあ何やってるんですか先生!!」
岡部の奴が俺のYシャツのボタンを引きちぎった。これは傍から見れば立派な強姦だ。
「・・・なかなかかわいいシャツを着てるなお前」
「・・・いえこれは」
「もうしゃべっちゃって良いからキョン!!」
「お、おいこらハルヒ!」
「私達はここにいます!!」
「岡部先生、ちょっとこれには訳があって」
「・・・・・・」
「服が・・・ 服が喋った・・・・・・!!」
◇
「なるほど、涼宮は日曜の朝に、他の3人は今朝からこいつの下着に入ってしまったと」
「まあそういう事でして、・・・おいお前ら、もう少しマシな方法があったろうが、何もくすぐり攻撃なんかしなくてもだな」
「そうでもしないと気付いて貰えないでしょ」
「ごめんなさいキョンくん」
「これしか方法が無かったものでw」
「しかし未だ信じられん、人間が服に入ってしまうことがあるのか
お前ら『ど根性ガエル』って知ってるか、自分はまさにリアル世代なんだが、アレもまさにこういう話でだな」
ですが元ネタの方には18禁は無かったはずです岡部先生。
「しかしどうするんだ、これじゃあ授業が受けられないだろ」
「まあそうですね、講義の声だけは聞こえるんですが」
「でも何故か服の中に道具が一式揃っててノートや教科書は一式揃ってます」
「そ、そうか・・・ ならどうしようか」
「どうしましょ」
「いちいち脱いでもらうのも大変ですしね」
「ハンガー用意してもらってシャツを教室の脇にかけておくという方法も・・・ キョン君の席も端っこだったはずですし」
「・・・前をはだけさせればいい」
「「「「「・・・・・・!!!」」」」」
「・・・・・・(ぽっ)」
突然何を言い出す。そして何を赤くなっている長門。
「んー・・・ しかしそれが一番得策かもしれない・・・」
「そうよ、そうすりゃ何もハンガーにかけなくても良いし私達も授業受けれるじゃない、キョンとずっと一緒にいられるし」
「僕もそれが良いと思います」
「そういや・・・ 涼宮らは良いとして、朝比奈、お前は2年だ、2年が1年の授業を受けるというのも」
「そんなの別に構いません、2年のほうの授業なら何とかなります」
「そ、そうか・・・ なら良いんだが、でも早くその状況は何とかしないといけないな」
「まあそうなんですが」
尤も、一番手っ取り早いのはハルヒに元に戻りたいという願望を持ってもらうことなんだが。
「まあ良い、お前ら教室戻れ、お前ら、保護者には俺がうまく言っておく」
「物分りが良いわね先生!」
「ありがとうございます先生!」
「助かります」
「・・・ありがとう」
◇
「おいキョン、何かSOS団でやらかしたのか?!」
「いや・・・ まああながち間違ってもいない」
「キョン、ボタンはだけさせたりなんかしてだらしないよ」
「お前も不良に目覚めたのか、・・・って、ん、何だこの下着」
「涼宮さんと、長門さんと、朝比奈さんと古泉くんの絵だね」
「どうしたんだこのシャツ、SOS団のユニフォームみたいなものか?」
「違うわよ谷口、あたしは本物の涼宮ハルヒ!」
「こんにちは、朝比奈みくるです」
「どうも、古泉です、まさかこんな形でお目にかかるとは思ってもいませんでしたよ」
「・・・・・・おはよう」
「・・・ああ・・・ ああぁ・・・ あぁぁあぁ・・・」
「谷口、谷口、大丈夫?」
「国木田、俺はもう駄目だー(がくっ」
「・・・ユニーク」
そこでユニークは無いだろう長門よ、谷口はお前とは違って一応本物の人間なんだぞ、谷口だって生きてるんだ。
そしてすまん谷口よ、保健室でも病院でも良いからゆっくり休め。ムシャクシャしてやった訳じゃない。今は反省している。
その後俺と国木田で谷口を保健室まで引きずっていってベッドに放置してきた。
━━━━━
◆ 音楽
「しまった・・・ 今日は歌のテストだったんだ、俺歌なんて下手だぞ」
「そのテストって複数で一緒に歌っても良いんでしょ」
「そうだったな・・・ ―――良ければお前ら手伝ってくれ」
「まっかせておきなさい♪」「了解した」「わかりましたw」「キョン君のためなら」
「はい次どうぞ」
ハ・キ「「♪光るかーぜーをー追い越しーたらー」」
み・古「「♪きみーにーきっとあーえるねー」」
有「♪新しい輝きー」
5人「「「「「♪HAPPY REDY GO!」」」」」
♪キンコンカンコンキンコンカンコンキンコンカーン
自分で歌っておきながら何と懐かしい歌か。
「やったわ、やったわよキョン!!」
「やったのは良いがなぜこの曲を選んだハルヒ」
「良くも悪くも私達のライバルだからよ」
まあ拍手喝采で先生にも褒めて貰えたので良しとしよう。一部ドン引きしていた奴もいたが。そりゃそうだよな。
◆ 美術
「今日は机の上のリンゴとバナナの絵を描いてもらいます」
「んむむ・・・ なかなか上手く描けん」
「あたし描けたわ!」
「完成した」
「私も描けました」
「僕も出来ました」
「何、お前ら速い・・・ って、どこに描いてるんだお前らー!!」
「「「「キョンのシャツ」」」」
やってくれた・・・ このアホ軍団・・・
「シャツの中の4人は中々上手く描けてますね、あなたももう少し上手にね」
「は、はい・・・(泣」
家に帰って洗濯する俺の身にもなってくれ・・・
だがその後でハルヒが俺に代わってこっそり俺の分の絵を描いてくれたので良いか。
━━━━━
「さあ昼飯だ、でも弁当は俺とハルヒの分しかない」
「どうしましょ、5人で2人の弁当を分ける?」
「って事は、一人0.4人前・・・ そんな〜」
「絶対すぐにお腹すきますね」
「逆に食べないほうが良い」
「・・・仕方ない、パン買ってやる」
「本当ですか?ありがとうございますキョンくん!」
「流石ですね、僕のキョンくん」
「感謝する」
仕方ないだろう、ろくに飯も食わさずに午後の授業中にぐーぐー音鳴らされてもこっちが迷惑なだけだからな。
5.1chサラウンドでお腹の音など聞きたくない。どうせ聞くならハレ晴レユカイの大合唱でも聞きたい。後で歌ってくれ。
あ、別に踊らなくて良いぞ。
◇
「キョンくんもお茶どうぞ」
「あ、有難うございます朝比奈さん」
「みくるちゃん、アタシ達にもお茶!」
「は、はい!」
俺のシャツの中ではメイド姿の朝比奈さんが俺達にお茶を淹れてくれている。ちなみに俺も飲む事ができる。
あと、ハルヒは俺が持ってきた弁当を、古泉と長門は先ほど俺が買ってきたパンを食べている。
シャツの中という2次元の世界で展開されている4人の光景は見ていてなかなか微笑ましいものだ。
「そういやキョン、次何の授業だったかしら」
「次は・・・ 現代文だったと思う」
「僕のクラスは体育です、あー、最近体動かしてなかったから楽しみだったのにな、今日はサッカーです」
「古泉、俺のシャツの中でサッカーして遊ぶなよ」
「分かってますよ、ランニングで我慢しておきます」
「んん・・・ それも何だかな・・・ 6時間目に俺のクラスでも体育がある、その時にしてくれ」
「わかりましたw」
「私は古典」
「私は次は化学です」
「そうか」
「それにしても、これだけずっと5人一緒だったって事無いよな」
「確かにそうですね、片時も離れることなく一緒だったって事は」
「・・・楽しい」
「有希?」
「このような非日常の生活も楽しい」
「そうですね、キョン君のシャツの中に入っちゃうなんて、最初はビックリしましたけど、でも楽しいです」
「たまにはこういうのも良いですよね、5人一緒ですし」
「そうね、ずっとあたし達5人一緒にいられたら良いのに」
「そうですね・・・」
「そうだな」
「キョン!そろそろ授業始まるわよ」
「お、そうだな遅刻する」
━━━━━
◆ 体育
「よーし、まずはグランド5周だー」
「がんばれがんばれキョーン!がんばれがんばれキョーン!」
「キョンくん頑張ってください、後2周です」
「頑張れ、頑張れ」
「僕も応援してますよ、頑張ってください」
シャツの中で4人がチアリーダーの衣装でポンポンまでもって応援してくれている。
だが古泉、お前はキモイ。・・・後長門、応援するならもう少し声出してくれ。
「わかった」
「有希?」
「ふれー!ふれー!キョーン!!頑張れ頑張れキョーン!!いぇ〜い!」
「有希!?」「長門さんが・・・」「・・・何だか恐ろしいですね」
長門のマイクロチップがやられた!!そして中の人のプログラムが起動した!
「!! ――///・・・ ・・・今のは忘れて欲しい」
「「「「・・・・・・」」」」
「キョン、もっとスピード上げなさい!」
「キョンくん頑張って!」
「頑張って」
「もし頑張ったら後で僕からとっておきのご褒美あげますよ♪」
古泉からご褒美だと?! ・・・・・・何か寒気がする。
―――スピード落とそう。
━━━━━
「あー疲れた、お前ら、今日はもう帰るぞ」
「何でよ!部活ほっぽり出す気!?」
「お前な・・・ 4人とも俺のシャツに入ってるんだからいつでも活動できるだろうが
夕食食いながらでも風呂入りながらでもベッドの中でも
折角なんだからたまには明るいうちに帰らせてくれ」
「まあそれもそうね、別に帰り道の途中でも出来るんだし、って事でみんなそれで良い?」
「僕はそれでも構いません」
「良いですよ」
「私もそれで良い」
◇
「ただいまー」
「キョンくん、みんな、おかえりー、今日は早かったんだね」
「たまには早く帰ってきたって良いだろ、今日の部活は俺の部屋でだ」
「そうなんだー、じゃあお茶持ってくるねー」
「妹ちゃん!お茶はみくるちゃんが淹れてくれるから妹ちゃんはケーキか何か持ってきて」
おいハルヒ、ここは俺の家だぞ。しかもそう都合よく
「わかったー、じゃあ持って来る、ちょうど5人分あるよー」
・・・あるらしい。
「本当はあたしとキョンくんが食べるために6つ買って来てくれたんだ、でもさっき1個食べちゃったから残り5個」
じゃあそのうちの3つは俺のなのか。おいお前ら遠慮しろー。
「あらそうなの、じゃあありがたく頂くわ」
「ありがとうございます、キョンくん」
「御馳走になります」
「ありがとう」
うう・・・ このやろう。 ・・・・・・ハルヒ、後で美味しく食ってやるからな。覚えときやがれ。
その後持って来てくれたケーキだが、ハルヒのやつは俺の分までペロリと平らげてしまった。
俺は後でゆっくり食べようと思って置いといたんだぞ。
「何よ、さっさと食べないキョンが悪いのよ」
確かにそうだな。ハルヒの前でケーキを食べずに置いておいた俺が悪い。
それから妹も一緒に6人でトランプをやったり王様ゲームをやったりした。
まあ王様ゲームといっても俺と妹以外全員シャツの中なので命令は限られてくるが。
いつものように部活らしい部活をするわけでもなく時間は過ぎた。
そして母の夕食の掛け声で部活終了。
■■■
「じゃあ、もう遅い時間なんで僕は寝ますね」
「私も寝ます」
「・・・おやすみ」
「「おやすみー」」
「ねえキョン、そろそろあたしキョンと一緒にあんな事やこんな事したいわ」
「俺もだ、数日ヤラないだけでこれだけストレス溜まるもんだとはな」
「あらキョン、あんたそんなにストレス溜まってたの」
「ああ溜まってるぞ、今すぐにでもお前を襲いたいくらいだ」
「それは残念ね、ってか私も残念よ、キョンに襲ってもらえなくて」
「・・・・・・なあハルヒ、俺ストレスだけでなくて下のほうも溜まってるんだ、口でシテくれないか」
「良いの?」
「ああ、やってくれ」
「一体何をやるんですか?キョンくん涼宮さん」
「楽しそうなので僕も混ぜてくださいよ」
「私もやってみたい」
「な、何!?あんた達起きてたの!?」
「・・・・・・聞かれてたか」
「・・・キョン!今夜はもう寝るわよ」
「あ、ああそうだな、俺も寝る!お前らもさっさと寝ろ!」
「え〜!?一体何をやろうとしてたんですかー」
「まあ良いじゃないですか朝比奈さん、もう寝ましょう
・・・・・・涼宮さん、そう上手くはいきませんよ」
「・・・つまんない」
━━━━━
「ふぁー・・・ もう朝か・・・ って・・・ ここはどこだ?」
翌朝、俺は真っ白な世界で目を覚ました。気がつくと横にはハルヒら4人が寝ている。
「あらキョン、もう起きたの・・・ って、何でキョンがここにいるのよ!?」
「ふゎぁ〜・・・ おはようございます」
「おはようございます、今日も良い朝ですね」
「・・・なぜあなたがここに」
何・・・? まさか・・・? ここってもしかして・・・
「「「「シャツの中」」」」
・・・・・・なんだとー?
「そう!キョンもこっち来たのね!これでいつでもあんな事やこんな事ができるわ!」
「でも俺がこっち来たらこのシャツは誰が着るんだ」
「「「「・・・・・・さあ?」」」」 ■おしまい
おおー乙&GJ。
今さっき保管庫でど根性ハルヒ読んでたよ。
続かないのかなーと思ってたから投下してもらえてよかった。
しかしシャツの中の4人はSDキャラなんだろうな…かわええ…
764 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 22:03:50 ID:WA7o2OZ+
GJです。
あのシャツはあの後妹さんが学校に着ていくと
いう話で・・・・。
765 :
754:2006/06/04(日) 22:05:16 ID:OwEdiH42
>>753 ああああ!すいません、変なトコに挟んじゃいました。
ともかく、GJ!
こういうギャグネタ好きです。
シャツの中(の空間)がどうなってるのか激しく気になる。
前々スレがまだ残っているっていうのにこのスレが終わりかけてるって…ハイペースすぎですよね
読むほうとしてはたくさん読めてうれしい悲鳴上げてますがw
まぁ、保管庫のどの作品がどういう内容だったっけ?なんていうのは些細な問題ということでいいでしょう…多分
>>764 そして妹ちゃんもシャツの中に入ってしまうのですね?
シャツの中が本当の世界になりかわるんだな。閉鎖空間みたいに。
770 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 22:38:20 ID:WA7o2OZ+
突然ですがキョン×鶴屋さんをきぼん。
皆さんはどうゆう組み合わせがいいですか?
771 :
8-579:2006/06/04(日) 22:39:25 ID:cnFL1CFY
次スレに行く前に小ネタが出来たので投下してみる。
772 :
8-579:2006/06/04(日) 22:40:06 ID:cnFL1CFY
≪―K―≫
ノックをしてから部室に入るといつものメンバーがそこにいた。
最近は平和だ。
ウチの団長様が変な行動を起こしさえしなければ、この空間もとても居心地がいい。
朝比奈さんの淹れるお茶はお世辞じゃなく美味いしな。
そういえば、今日はヤツの姿が見えない。
聞くと風邪で休みだとのことらしい。昨日のオセロの決着を着けたかったんだがな。またの機会にするか。
指定席に座り、ふと俺は考える。ヤツは一体俺のことをどう思ってるんだろう、と。
やつの態度を見ていると……きっといい印象は持っていないだろうな。
俺には分かる。ヤツも深層心理では意外に気づいているんじゃないだろうか。
同属嫌悪。
きっとそんな言葉が似合う俺達の関係。流されるままの人生。事なかれ主義。
立場も老い立ちも全てが正反対のハズなのに、根元では同じ――――
いや、自分をごまかすのはやめよう。
正直劣等感を感じるのさ。ヤツが羨ましい、そう考えるときがある。
理由? それは……
「皆! これから予定とかある?」
「え?いえ、特にありませんが……」
「…………ない」
俺の答えも、一応ない、ということにしておこう。機嫌を損ねられても困るしな。いつものことだ。
「今日は我がSOS団の一人が風邪によって休みをとっている……まぁいつもなら風邪ごときに倒れるなんて
それでもSOS団の団員か! と、言いたいところではあるけれど……最近は、まぁ、ちょっぴりは頑張っていたと思うし、
……つまるところ、その、お見舞いに行ってあげようかなー、とか思ってるんだけど……」
「いいですね。それじゃあ差し入れに暖かい紅茶でも用意しますね」
「……異存は、ない」
我らが団長様が俺の方に目を向ける。まぁ答えは決まっているが。
「良い提案ですね。僕は賛成ですよ」
そう『俺』は答える。まぁヤツも男に見舞いに来られても嬉しくはないだろうが。
それでもこういうシチュエーションのイベント時には注意をしておかないとな。
ヤツはまったく女心をわかっていない。同じ男として情けない行動をとるときがあるからな……。
さて、心の中でもそろそろいつもの『僕』に戻るとしましょうか。
このままだと、いつ間違って素の自分をさらけ出してしまうかわかりませんからね。
「ほら、古泉君! 副団長が遅れてちゃあ示しがつかないわよ!」
「ええすみません。今すぐに」
少し後ろから彼女達を眺める。とても良い顔をしています。
彼女達に愛されている彼を少しくらい羨み、妬んだとしてもバチは当たらないでしょう?
……なぁ?神様……
目の前を歩く『神』に聞こえないよう、俺はそう呟いた…………
≪―K―≫-END-
773 :
8-579:2006/06/04(日) 22:43:07 ID:cnFL1CFY
黒長門・黒みくるがあるなら黒泉もありかなと。
カッとなって書いた。今は反省しているorz
>>762 この落ちは読めなかった!意外性にGJ!
地古泉いいねwwGJ
775 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 22:47:28 ID:SUnsVhR2
一日みなかっただけでこの伸びっぷりは恐ろしすぎる
ログ読み切れねー!!
なんか話が複雑化してきてるwww
あれ? もう次スレの時期?
>>767 そういや500kbで落ちるって聞いてたけど落ちてないみたいだね
このスレも777までで492kbだな
鶴屋さんがキョンに『そろそろ、未来人と宇宙人どっちを選ぶか考えときなさいよ』に深い意味が有ると感じたのは漏れだけか?
次スレマダー?(AA略
この前ハルヒ関係のスレでみくるが好きなのは古泉だと妙に熱弁してる奴がいたんだが
お前らはどう思う?
理由は
@古泉が初めて部室にきたときの古泉をみくるがまぶしげな目で見てたこと
A溜息の映画撮影で酒を飲まされていたけど古泉がキスしようとした時に嫌がらなかったこと
って言ってたんだけど
別に嫌がってはないんじゃね?好きでもないとも思うけど
でもまぶしげな目見てたのは歯がまぶしかっただけだと思う
>>782 @はわからんが
Aはキョンでもそうなると思う
キョン>古泉だと思うけど個人的に組織同士で対立する中大恋愛を繰り広げる
ロミジュリ的な形が見てみたい。
>>782 @一目惚れだろう
A酔う人は何をしてるか分からないくらいとことん酔う
>>782 1.古泉はイケメンだからみくるも思わず見とれた
2.古泉もみくるのルックスや身体に興味が無い訳ではない
こんなとこだと思う。ロマンチックじゃないけどw
だよな(^_^;
そんな事いったら
朝比奈(大)に寄り添われたりされたりしてるキョンのがよっぽどフラグたってるしな
ただ単にキョン嫌いの人だったんだろうと思う(または古泉好きの人)
>>782 大本丸であるハルヒの側に配置されたところを考慮すると
古泉の素ってゴルゴ13並にクールな鉄人で
完璧に己をコントロールしてるんだよ。
世界がかかってるわけだし『機関』の任務に全てをかけてて
非情に徹し任務遂行が可能なプロフェッショナル
笑った表情を顔に貼付かせたまま敵対組織のエージェントを葬るのが日課
放課後の帰宅先は生活感の無いセーフハウスで24時間事態の急変に備える毎日
上記をふまえると
1)数多くの仲間を葬ってくれた古泉を油断無く観察している視線をキョンが誤解した
2)過剰に接近してくる古泉の、隙の無さにみくるたんは萎縮してしまってた
まあ人の好みには、口を出さなくてもいいかと。
マイナーであるとは俺も思うが。
好み(特にカップリング)については、絶対に譲れないという人のが多いからな。
自分と違ってたらスルー推奨でいいかと思う。
押しつけがましく勧める奴もスルーだ。
千葉はハルヒか…。オレは明日だ。
793 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 00:19:04 ID:M/14C5eW
これ↓で小説作ってくれw
古泉・・・?お前・・・なのか・・・?
(略)
うほっ
(略)
アッーーーーー!!
あー
新スレ立てて
3日ほどで1スレ使い切るか
アニメ効果恐るべしってとこかね
>>739 それなんて 神秘の世界
>>793 勘弁してくれw
それと下げよう。
浮上すると水雷艇から荒らし爆雷が降ってくるでな。
ここはひとつ、マターリと変温層に待機しとこう。
で、そろそろ次スレかなー?
あと4kか。じゃ、次スレ立ててみる
そういや、純粋な自慰ネタってあんまり見かけないな
801 :
799:2006/06/05(月) 00:50:20 ID:+oMzTXA/
ダメだった。すまん。
じゃあ、代わりに立ててくる。
>>800 ほとんど毎晩のように繰り返している自慰のとき、ハルヒが思い浮べるのは、やはりキョンだった。
「はあっ、キョン…」
彼の名を擦れた声で呼びながら、ハルヒの右手はわずかに開かれた太ももの間へと移動した。
こうですか、わかりません!
確かにピュアオナニー系少ないよね。
埋めネタ。エロなし。落ちが弱くて、すまん。
長門、少し聞きたいことがあるんだが。
以前、朝比奈さんは、現在時点で複数の選択肢がある場合、そのどれを選択しても、
基本的には、同じ未来に到達する、そう言ってたんだ。
これって、言ってみれば、時間の流れには慣性があるってことだろ。
だから、ちょっとしたことでは、その進む方向に変化は生まれない。
だけど、非常に重要な分岐点で、選択を誤ると、別の未来に進む可能性がある。
つまり、未来が変わる可能性があると。
それで、朝比奈さんと、意味不明なちょっとしたことをしたことがあったからな。
え? 図書館? 朝比奈さんと? あ、すまん。あのときは、本当にすまなかった。
頼むからそんな目で俺を見るな。今度、また一緒に図書館行こうな。
でだ。ここからが、本題なんだが、いくら時間の流れに慣性があると言っても、
統一した意思を持たない複数の未来人が、同時に過去に干渉したら、いや、現れたらか、
その影響は、それぞれの想定以上になるってことはないのだろうか。
たとえば、自転車で二人乗りしててさ、右に曲がろうとしたとき、後ろに乗ってるやつが、
不意に右側に体重移動すると、思った以上に曲がってしまうだろ。
あ? ああ、解った。今度一緒に自転車に乗ろう。
だから、頼むから、デイジー・ベルは唄わないでくれ。お前が唄うとシャレにならん。
で、どんなに注意深くしても、過去への干渉を続けることで、偶然、タイムマシンが
発明されなかった未来になることもあるんじゃないかと思うんだ。
そうなると、その時点で、過去への干渉は不可能になるから、未来は固定される。
考えたんだけどさ。もし朝比奈さんが、自分のいる未来を変えたくないなら、
タイムマシンが存在しないことが一番なんだよな。
でも朝比奈さんは、タイムマシンが発明されないと困るよう感じだった。
それって、つまり、朝比奈さんの未来は、過去の改変が必須だってことだよな。
で、朝比奈さんたちの行動を妨害しようとする未来人もいる。
そいつらは、タイムマシンの発明を阻止したいような感じだった。
なんだか、悪者未来人の方が、自然に思えてくるよな。
朝比奈さんたちは、タイムマシンが発明されるように、過去に干渉している。
でも、干渉は、朝比奈さんたちだけじゃない。
その結果、偶然、タイムマシンが発明されない未来になってしまったら、どうなるんだろうな。
一度は、そういう未来になったのではないだろうか。
だから、過去に干渉して、タイムマシンが発明されるように、俺を使って、
空き缶やら何やらで悪戯みたいなことをさせた。でも、タイムマシンが発明されない未来では、
その時点で、過去への干渉は不可能だったはずだよな?
この世界は、可能世界、多元時間みたいな感じなのかとも思ったんだけど、
そうなら、タイムマシンによる過去改変は、意味なくなると思うんだよ。
別の世界に跳べばいいだけなんだからさ。
そこでだ。
俺は、タイムマシンが発明されない未来になったとき、お前の親玉が何かしたんじゃないかと
思ってるんだが、そうなのか? もしそうなら、思念体とやらは、人類がタイムマシンを
発明するように積極的に介入していることになる。
タイムマシンが発明されることが、自律進化とやらに何か関係があるのか?
俺の話を、じっと聞いていた長門は、少しだけ天井に目をやってから、俺に視線を戻し、
ゆっくりと口を開いた。
「なぜそれを訊くの? それを訊いてはいけないのに。わたしたちの子供をよろしく」
――そう言い残すと、有希は次第に雪煙となって消えてしまった。その後、有希の姿を見たものは、誰もいない。
おい長門、わたしたちの子供って誰だよ。つか、ナレーション入れながら消えるなって。