お姫様でエロなスレ3

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450 ◆YxrCMAImAU :2006/08/26(土) 16:35:46 ID:qMVhv7Tr


いつも感想を下さる皆様ありがとうございます。皆様のレスがはげみになっております。
いろんな意味で期待を裏切ることになると思いますが、完結だけはするつもりでおります。
よろしくお付き合いください。
451名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 00:05:10 ID:KZGSp7p7
単純な近親は個人的に苦手なんで、変化がありそうでwktk。
続きを楽しみに待ってますよー。
452 ◆YxrCMAImAU :2006/08/29(火) 19:34:33 ID:2vYiiK5W
前回分、致命的な誤植を一箇所訂正します。

× ロウィーナは頭を抱えた。
○ サラは頭を抱えた。
453アルフレッド1/4 ◆YxrCMAImAU :2006/08/29(火) 19:35:35 ID:2vYiiK5W
皇太子の部屋には、いろいろな女が訪れた。また、皇太子はさまざまな女の部屋に出入りした。
相手は城の女官だったり、貴族の夫人だったり、あるときは外からこっそり呼び込んだ
娼婦だったりした。飽きっぽい皇太子は頻繁に相手を取り替えた。
情事の手配も後始末もすべてアルの仕事だった。
控えの間で、廊下で、時には同じ部屋の片隅で、置物のように存在感をなくして、
アルは主人の事が終わるのを待った。
たとえ目の前に全裸の女が立ちはだかろうと、決して欲情してはならない。
アルはそう自分に言い聞かせて、淡々と職務を果たした。
しかし、新しい相手がロウィーナ姫だと知った時はさすがアルも動揺した。
ようやくほとぼりもさめて城に戻ってこられたのに、帰ってきたとたんにこれでは。
一年前の騒動を思い出して、アルは頭を抱えた。

「夜這いをするぞ」「今度のお相手は?」
皇太子から計画を聞いたとき、アルは自分の耳を疑った。
次に皇太子の悪い冗談だと思った。
皇太子は気まぐれにアルをからかっておもしろがることがある。
「ご冗談はおやめください」
だが、皇太子は本気だった。
「冗談なものか。あの女をものにする」
日頃、口答えはおろか、意見すらしたことのないアルが、初めて主人の言葉に逆らった。
「なりません!殿下、それだけはどうかおやめください」
「もう決めた、決行は明日だ」
「相手がどんな方がご存知ないのですか!」
「よく知っている、この前会ったではないか。お前も見ただろう。実にいい女だ。
それに正真正銘の処女だ」
「当たり前です。神聖な巫女殿になんと罰当たりなことを!」
454アルフレッド2/4 ◆YxrCMAImAU :2006/08/29(火) 19:36:39 ID:2vYiiK5W
一週間前、一年の吉凶を占う神託の儀式が執り行われ、
皇太子は体調を崩した王の名代として儀式に出席した。
アルは主人に伴って神殿を訪れた。
祭壇の間に入れるのは王族だけだ。アルは部屋の外で儀式が終わるのを待っていた。
その時彼女が現れた。
儀式の道具を捧げ持った数名の供を連れ、祭壇の間に入場する巫女の姿は、アルを圧倒した。
腰まで届きそうな銀色の髪をし、儀式用の袂の長い衣装を身にまとった巫女は、
この世のものとは思えず、直視するのもはばかられて、アルは思わず目を伏せたのだった。
「巫女だろうが、女には変わりない。ああいう女ほど、実は情熱的だったりする。
昼は虫も殺さぬ顔をして、夜になると、床の上で激しく腰を振って男を食い物にする。
案外、処女というのも偽りかもしれんぞ」
「殿下!どうかおやめください。巫女殿を侮辱すれば、どんな災いが振って湧くかわかりません。
殿下はこの国がどうなってもいいのですか!」
「おまえもあんな迷信を信じているのか。あんなのただの古臭い儀式に過ぎん。
神殿の年寄りどもが、王の機嫌をとるために、都合のいいことを言わせているだけだ。
その証拠にもう長い間も占いは吉としか出ない。
器量のいい若い娘を、巫女として祭り上げておけば、ありがたみが増すとでも思っているんだろう」

皇太子はアルの制止を聞き入れるはずもなく、計画は成功してしまった。
思いを遂げた皇太子は、しばらくの間、巫女の寝所に通い詰めたが、すぐに飽きてしまった。
皇太子が別の女に手を出し始めた頃、巫女が神殿を抜け出し行方不明となって、
ようやく事件は発覚した。
巫女の行方はようとして知れず、前代未聞の不祥事に、王室も神官達も、
事実を伏せようとやっきになった。
その後、神殿近くの湖で身元不明の水死体があがり、損傷がひどく性別すらわからない遺体は、
わずかに残った遺留品から、行方不明の巫女と断定された。
遺体は人目につかぬようこっそり埋葬された。
巫女は流行り病で急死したと発表され、悲しみのうちに新しい巫女が選出された。
そんなわけで、皇太子は表向き見聞を広めるための外遊に出ることになったのである。

いつものように皇太子の気まぐれだろうと、ある程度高をくくっていたアルは、見事に裏切られた
皇太子は、ロウィーナ姫との関係を終わらせるつもりはないようだった。
女遊びは相変わらず続いていたが、以前よりもずっと頻度が落ち、
その分皇太子はロウィーナを文字通り溺愛した。
外遊から戻ったとたん放蕩息子がおとなしくなって、国王も皇太子付きの家臣たちも
皇太子は大人になったのだと胸をなでおろしていたが、
アルだけは、秘密を守るために神経をすりへらす、苦しい日々を送っていた。
455アルフレッド3/4 ◆YxrCMAImAU :2006/08/29(火) 19:38:16 ID:2vYiiK5W
寝台に横たわるロウィーナは、まだ興奮冷めやらぬ様子で、天井の一点を見つめている
乱れた息をするたびに上下する腹には、白濁した液体が流れ落ちもせずに広がっている。
アルは白い手袋をはめた。

浅く湯をはった浴槽に、そっとロウィーナをおろすと、アルは海綿を手に取った。
サラに頼んで用意させた石鹸は、ほんのりと甘い香りがする。
泡が肩に触れると、ロウィーナはぴくりと反応した。
いつの間にか、これがアルの仕事になっていた。
どうすれば、ロウィーナを刺激せずにすむか、アルはいつも悩むのだった。
息を殺し、これ以上できないというくらい慎重に、アルは手を動かす。
しみひとつない白い肌の上に、次々と新しい泡が生まれて消えていく。
海綿が乳房に差し掛かると、ロウィーナは固く唇を結んで、目を閉じた。
海綿が乳首の上を通過する。
一瞬ロウィーナの息が止まる。
乳首の上で、小さな泡が次々にはじける、そのわずかな感触でさえ、
敏感になったロウィーナを苦しめてしまう
どうすれば――。アルは、最初から答えのない謎を無理に解こうとしていた。
「お立ちになれますか?」
からからに乾いた喉の奥から絞り出した自分の声が、どこか遠い場所から聞こえてくる。
浴槽のふちに手をついて、よろよろとロウィーナは立ち上がった。
滑らかな太ももの表面を湯が滑り落ちる。その下で、膝が今にも折れそうにがくがくと震える。
「こら、しっかり立たないか」
兄がロウィーナの腰を掴んで支える。「アル、早くしろ」
アルの目線の高さに、見てはならないものが晒される。
視線を上げて、アルはロウィーナの腹をなぞった。
丸いへそに溜まったものを、念入りに円を描いて取り除く。
ロウィーナは、唇をかみ締めた。
長引かせてはならない。これ以上、ロウィーナ様を苦しませてはならない。
アルは、残った作業に専念した。
「ロウィーナ、足を上げて」
背後から兄が声をかけるとロウィーナは片足を浴槽のふちに乗せた。
太ももの内側を海綿の泡がなぞり上げる。
行き止まりで、ついにロウィーナは、うめくような声を上げた。
「申し訳ありません!」
「貸せ」
とっさに手を引っ込めたアルから、皇太子は海綿をひったくった。
「こうやるんだ」
「や、おにいさま」急に強くなった刺激に、ロウィーナはもがいた。「いや、いたい」
「ああ、わかった」
手のひらに泡をこすりつけると、海綿を投げ捨て、今度は指でなで始めた。
「だめ、や、や、いや……あ……」
ごくり、と皇太子の喉がなる。
「アル、席をはずせ」
黙礼し、アルは浴室を出た。
456アルフレッド4/4 ◆YxrCMAImAU :2006/08/29(火) 19:40:39 ID:2vYiiK5W
なぜ、サラではなく自分なのか、はじめアルにはわからなかった。
殿下は自分を信用しておられるのだと、アルは勝手に解釈していた。
苦行から開放されたアルの耳に、二人の会話が容赦なく飛び込む。
「おにいさま、もうだめっ……、もうさわっちゃいや……」
「ロウィーナ、あいつに触られて感じたのか」
「や……、そんなことないもん……あ、あの人はきらいよ……」
「あいつに見られて、感じたんだろう」
「ちがう、や……、だって、おにいさまが……」
「悪い子だ」
「いや、いたい、やめて。そこはいや。ゆるして、おにいさま、ごめんさない、ゆるして」
「お仕置きだ」
「いや、いいやああああああああああ」
ロウィーナの絶叫から逃れるように、アルは浴室からできるだけ離れられる場所へと移動した。
殿下は、愛するものを傷つけずにはおられない。
清らかなもの見れば、汚さずにはおられない。
いつからこうなってしまったのか。
せめて王妃様が生きておられたらと、アルは疲れた心で考えた。

「ごめん、ロウィーナ」椅子にかけていた兄は、服を着たロウィーナを前にして頭を抱えてうつむいた。
「お前を愛しているのに。大切な妹なのに」
「おにいさま、泣かないで」ロウィーナは兄の首にしがみついた。
「わたし、もっといい子になるから。おふろもがまんする。いたいのも、がまんするから」
「ロウィーナ」
「ロウィーナを嫌いにならないで。おにいさま、わたし、おにいさまがすきなの
ずっとおにいさまといっしょにいたい。おにいさまがいないと、わたし、わたし――」
ロウィーナの目から大粒の涙がこぼれる。
「ロウィーナ、すまない」
「おにいさまはあやまらなくていいの。ロウィーナが悪いの」
「罪深い兄を許してくれ」
つい先ほどの狼藉が嘘のように、おそるおそる、ためらいがちに兄はロウィーナを抱きしめた。
「ロウィーナ、お前だけは私を見捨てないでくれ」

457名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 23:16:30 ID:CDI8M6EL
>>456
キタワァ…゚・*:.。キラ .。.:*・゜゚*・キラ゜゚・*:.。..。・゜・(ノД`)・゜・。. .。.:*・゜゚・キララ*:.。. .。.
458名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 23:30:15 ID:PbpkfBX0
>>456
素晴らしい!
お姫さま好き、近親相姦好きの私にとって、夢のような作品です!
作者さんガンガレ!
459名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 00:10:15 ID:RoF6Nd60
>>456
GJ。
登場人物の様々な思惑が交差して面白い。
完結までの流れを期待してます。
460名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:34:41 ID:WA0z8A/W
>>146です。
エロOKのHPスペースを確保したので保管作業中です。
特に反対がなければこのスレのまとめサイトとして採用してほしいのですが
いかがでしょうか。

まだ作業中ですが、>146に手を加えてこんな感じにしています。

http://vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/princess/index.html
461名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:10:14 ID:F5/qujuo
>>460
いい感じ! すっげー読みやすいよ(・∀・)
まとめ超乙GJですた!!!

今すぐじゃないんだけど管理人さん、聞きたいこととかあったら
ここで聞いてもいい? それともビビエスに書いたほうがいい?
462名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:20:40 ID:X1GiRdxg
>>460
キタ━━━━━━┌(_Д_┌ )┐━━━━━━ !!!!!

超GJ!!!!マジdクス!!!!!!
463460:2006/08/31(木) 01:04:24 ID:SxJl/QcR
>>461
BBSは定期的にしかチェックしないので
「どうしても今すぐ返事がほしい!」ということはこちらに書いて頂けると助かります。

SS投下や感想の流れを切るとまずいので
それ以外はBBSに書いてくださると良いかと思います。
464名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 03:54:34 ID:X+MQYdzG
>>460
GJ!ありがたい!!



今更ながら、姫と従者、妹がリンクしてることに気付いたぜ…
465名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 09:25:38 ID:64Mzx3xC
>>460
乙&GJ!
複数スレを扱う管理は大変だろうけどがんばってくれ
466リボン1/5 ◆YxrCMAImAU :2006/09/01(金) 20:16:39 ID:lQ3w0G+s
今日の兄は、少し違っていた。
「ロウィーナ、おいで、いいものがあるんだ」
兄は、ロウィーナを呼び寄せ、細長い箱を渡した。「開けてごらん」
箱の中身は、レースのリボンだった。
こみ入った模様の繊細な手工品は、珍しい水色の糸で編まれている。
「お前のために外国から取り寄せた。きっと似合うよ」
「すてき!ありがとう、おにいさま!」
ロウィーナは目を輝かせ、兄の首に飛びついた。
「こらこら、お行儀が悪いぞ」押し倒されるようになった兄は笑いながら言った。
「これはレディのためのリボンだ。おてんば娘にはもったいなくてあげられないよ」
「ごめんなさい。もうしないわ」ロウィーナは、あわてて姿勢を正した。
「それでいい。おいで、結んであげよう」
兄は、ロウィーナの髪にリボンを結んだ。
「おにいさま、どう?似合う?」
ロウィーナはくるりと回って見せた。金色の巻き毛と一緒にリボンが揺れる。
兄は眼を細めた。
「やっぱりお前は水色が一番似合う」
「ご厚情を感謝いたします、殿下」ロウィーナは膝を曲げ、正式なお辞儀をした。
「エリスに教えてもらったの。ほんとはよく意味がわからないんだけど。
おにいさま、これでいい?レディに見える?」首をかしげて兄の返事を待つ。
「最後だけ余計だが、まあいいだろう。兄さんにキスしてくれるかい」
ロウィーナは兄の頬にキスした。「ありがとう、おにいさま」
「今日は天気がいい。一緒に庭を散歩しよう」
「ご本は読まなくていいの?おまじないは?」
「いいんだ」兄は優しく微笑んだ。「今日はいらない」
467リボン2/5 ◆YxrCMAImAU :2006/09/01(金) 20:17:30 ID:lQ3w0G+s
満開だった花壇の花々は、そろそろ命の終わりを迎えようとしている。
枯れかかった草花の中に、一輪、咲き遅れたつぼみを見つけると、兄は足を止め、
根元から折った。そして、花びらに口づけると、ロウィーナに捧げた。
「麗しの姫に」
「おにいさまったら、まるでお話の中の騎士みたい」
夢見がちな少女は、うっとりとした目をした。
「ロウィーナは、こういうのが好きだろう?」微笑みながら兄は言った。
「人知も神の采配も及ばない、孤高なこのつぼみこそ、貴女様にふさわしい」
「恐れを知らぬ騎士よ」ロウィーナは続けて言った。「王家の財宝を手折った罪は重いと聞いておらぬのか」
「わが君、代価はこの命にて」兄は、自分の胸に剣をつきたてるまねをした。
ロウィーナは、あわてて兄を止めた。「だめ、しんじゃだめ」
「ああ、せっかくいいところだったのに、どうして邪魔するんだ」
「だって、お話では、二人はこのあとキスするのよ」
「なるほど、王家の財宝とは姫君自身のことか」
「騎士はこう言うの。
『美しい花を前にして、手に取らぬ男がおりますでしょうか』」
「ずいぶん意味深なせりふだなぁ」
「おにいさま言って」
兄が復唱すると、ロウィーナは姫のせりふをしゃべった。
「『戯れならばお気をつけなさいませ。その花には棘があるやもしれませぬ』
次はこうよ。
『棘ならばすでにこの心の臓に』騎士はお姫様の手を取って自分の胸にあてるの」
兄はロウィーナの手を握り、妹のためにかがんだ。「棘ならばすでにこの心の臓に」
ロウィーナは、兄の胸に手を当てたまま黙った。
「どうした」
「おにいさまの心臓がどきどきしてる」
「余計なことは言わなくていい。次はお前の番だぞ」
「もうせりふはないの。騎士がお姫様にキスして終わり」
ロウィーナは兄の顔を見上げた。
「おにいさま、キスして」
468リボン3/5 ◆YxrCMAImAU :2006/09/01(金) 20:18:22 ID:lQ3w0G+s
どこまでも澄みきった妹の瞳は、兄の姿だけを映し出した。
握った手が熱い。
兄は、ゆっくりとロウィーナに顔を近づけると、額に口づけた。
「お口にするのよ」ロウィーナは不服そうに言った。
「ロウィーナには、これで十分だ。ほら、花はいらないのかい」
「いる!」ロウィーナは手を伸ばした。
兄は、花を持った腕を上げた。「欲しかったら取ってごらん」
「おにいさま、届かないわ」「ほら、ロウィーナ、もう少しだ、がんばれ」
ぴょんぴょんと飛び上がって必死に花を取ろうとするロウィーナをしばらくからかってから、兄は花を渡した。
「もう、おにいさまのいじわる」息を切らし、少しむくれた妹に兄は笑って言った。
「ごめんごめん、怒った?」
ロウィーナは首を振った。
「ねえ、おにいさま、さっきのはどういう意味?じんちも何とかって」
「ああ、ロウィーナは特別だってことだよ」
「ふうん、おにいさま、詩人さんみたいね」「やれやれ、騎士の次は詩人か」
「できるの?」
「万事、姫の仰せのままに」胸に手をあて兄は深々とお辞儀をした。
「移り気な姫の座興に、一節献上申し上げまする――」

片手を広げ、兄は滔々と吟じた。
「おお、ロウィーナ、汝の前では黄金も価値をなくす。
遠く異国の海に眠る真珠でさえ、ただの石ころにすぎぬ。
緑なす大地は鮮やかさを失い、闇を彩る星々の光芒も翳む。
見よ!天の運行をつかさどる太陽ですら、恥らって雲の陰に隠れているではないか――」

「おひさまなら出ているわ、おにいさま。今日は晴れよ」ロウィーナは空を見上げて、不思議そうな顔をした。
「もののたとえだよ。わかってないなあ」兄は頭をかいた。
「お前のために、即興で作ったんだぞ。もうちょっとありがたがってくれよ」
「こんどのはどういう意味?」
「お前が一番美人だっていうのを回りくどく言ったんだ」
「ほんと!?」
「おお、つれなき美女、その名はロウィーナ」兄は悩ましげに首を振った。
「行き場のないわが魂は、生と死のはざまを永遠にさまようのだ」
「わたしの詩なのね、すてき、おにいさま、ありがとう」
「どういたしまして」兄は妹の輝く笑顔を満足げに受け取った。
469リボン4/5 ◆YxrCMAImAU :2006/09/01(金) 20:19:05 ID:lQ3w0G+s
庭をそぞろ歩きながら、確かめるように、ロウィーナはたびたび兄の顔を見上げた。
やっぱり、昔のままの、やさしいおにいさまだわ。
いつもこうだといいのに――。
最近の兄の行動は、ロウィーナの理解を超えていた。
きっと、わたしが呪われてしまったからだわ。
だから、あんなこと――。
今日は、いやな思いをしなくて済むのとわかって、ロウィーナはほっとしていた。
その反面、おまじないがないことが、ほんの少しだけ不満だった。
兄に手渡された花の香りは、風に乗ってどこかへ消えてゆく。
ロウィーナはつぼみを顔に近づけた。
かすかな甘い香りに混じって、つぼみは、ロウィーナの鼻腔に青臭さを残した。
「ロウィーナ、お前はかけがえのない、私の大切な姫だ」唐突に兄は言った。「誰にも渡したくない」
「おにいさま。わたし、ずっと、おにいさまと一緒よ。お約束したでしょう?」
「そうだったね」兄は立ち止まって妹を見おろした。
季節を先取りして庭を通り過ぎる風が、水色のリボンをなびかせる。
小さな妹は、くしゃみをした。
兄は冷えきった妹の手を握って言った。「風が冷たくなってきた。そろそろ戻ろう」

温かい飲み物を手にする妹を、兄は穏やかな視線で見守った。
「それを飲んだら、部屋に戻りなさい。遅くなるとエリスが心配する」
「もっと、ここにいたいわ、おにいさま、だめ?」
「だめだよ、また今度だ」「もうちょっとだけ」
「だめだ、ききわけのない子は、兄さんは嫌いだ」
ロウィーナは、少しでも兄の傍にいようと、必要以上に時間をかけて、ココアを飲み、
最後のひとしずくがなくなると、名残惜しそうにカップを置いた。
「おにいさま、わたし、明日も来ていい?」
「エリスがいいと言ったらね」
「きっと来るわ。おにいさま、リボンとお花と詩をありがとう」
ロウィーナは、兄の頬にキスすると、つぼみを大事そうに抱えて去っていった。
470リボン5/5 ◆YxrCMAImAU :2006/09/01(金) 20:19:51 ID:lQ3w0G+s
アルの下げる茶道具を見るともなしに見ながら、兄は今日の出来事をつらつら考えた。
騎士と詩人と道化。
結局どの役も、最後まで演じきれなかった――。
広い部屋にひとり残った兄は、苦い結論に行き着いた。

花瓶に挿した花は、翌朝には、つぼみのまましおれてしまった。
「エリス、おにいさまにいただいたお花が……」ロウィーナは泣きそうな声で言った。
エリスは、その花を分厚い本の間に挟んだ。「こうしておけば大丈夫、ずっととって置けます」
「ほんと?」「押し花というのですよ。ロウィーナ様、だめです、まだ開けてはいけません」
エリスは、こっそり本を開いて覗き込もうとするロウィーナを笑顔でとめた。

471名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 21:42:23 ID:JHM5sC/i
超GJ!切ないなあ。
最初はアルが嫌いだったけど、好きになったよ。
472名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:09:06 ID:K4e1ypMJ
>>470
うおおおおおおおおおおおお

いいよ、コレいいよ
作者タソ超乙華麗〜ノシ
473名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 01:48:14 ID:UVHBcQui
回を追うごとにどんどん腕が上がってるねGJ!
いつも楽しみにしてます。
474名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 11:41:34 ID:7lG669YV
お兄様の苦悩が切ないわぁ。
475愛姫:2006/09/04(月) 21:25:20 ID:2IQcnwTm
※はじめに※

ちょっとグロあります。

設定的にはファンタジーに属すると思いますが、
適当に考えた世界観なもので、ごめんなさい。

それから、数えたら全五十八話ありました。ほんとにすみません。
よろしければ、おつきあい、よろしくお願いします。
476愛姫:2006/09/04(月) 21:27:33 ID:2IQcnwTm
※※序章※※

 風紋は肉交の快美感にのたうっている女人の肌となって続く砂の海。 
天空には細長く鋭い月が浮んでいて、一羽の白い鳥が暁の蒼を駆ける。
舞い降りる場所に辿り着いた頃に、覇王の陽は徐々に世界に拡散されて、
光りの柱は天上を摩した。

 翼を畳めば、鳥の変化は解かれ、手首を胸元に重ね合わせた少女になる。
濃やかな眩い金糸は緻密な束なり、優雅に波うち、肩胛骨から背の窪地を
撫でて臀までも伸びていった。

 前に垂れた髪も肩から跳ねあがるようにしてやさしく流れ、そっと少女の
ふくらみを隠した。房の膨らみは儚くて、乳首は種のようだった。

 乗る乳暈が僅かに少女のなかのおんなを感じさせてはいたが、脂が削げた
痩せぎすの少女の躰は、まろみがなく幾分筋肉質に見えないこともない。
おんなとしての魅力をまだまだ備えているとは言い難かった。

 両の掌で繊麗な肩を抱きしめ、少女は歔いていた。

 先刻、砂に頸まで埋められている女の頭を抱きしめようとしたが、立ち去れ、
と少女は叱られて、逃げて帰ってきたのだった。
477名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:30:04 ID:Fc/I4UuS
>>476
>数えたら全五十八話ありました。

自分でサイト作る手間を惜しんでいるようにしか思えない
478愛姫:2006/09/04(月) 21:32:16 ID:2IQcnwTm
「愛姫さま、お帰りなさいませ」
 朝の静謐(せいひつ)に同調する声音が少女の背後からやさしくつつみ、透けた桃色の
薄衣を裸身に纏わせて、恋人のように甘く抱きしめる。

「ただいま、雪姫」
「覇王さまがお待ちしておりますわ」
「わかりました。すぐに参りますとお伝えください」

「なりません。おんなにはそれなりの準備がありますから」
 雪姫が口をひらくと。
「待たしていてはいけないわ」
「でしたら、お出掛けにならなくても」
「なにを言うのですか。わたしは」

「なれば、どうか覇王さまに御奉仕すること。日々勉強を怠らず、磨いてください。
それが、あの方の祈り」
 物腰のやわらかそうな楚々とした女性が少女のうしろから近づいて、
桃色を纏った裸身をおなじように甘く抱きしめ、耳元で愛姫を諭し、雪姫の言葉を月姫が締めた。

「月姫、わかっています。何度いえば、わかるのです」
「ご無礼を申し上げました」
「わたしも言い過ぎました。ゆるして」
479愛姫:2006/09/04(月) 21:33:59 ID:2IQcnwTm
「愛姫さまがわたくしどもに傅くことなどありません」
 耳元に少女を性愛に誘う吐息を月姫が送り込んでくる。

「で、でも」
「傅くのは、覇王さまにだけに」
 愛姫は覇王の待つ閨に行かなければならない、と言おうとしたが煙に
巻かれてしまった。

 もうひとりの女は少女の前に傅いて。
「磨くのです。飽きられてしまっては、死を賜ったとおなじこと。愛姫さまが
覇王さまの寵愛を受けられること。わたくしどものなによりの倖せ」

「愛姫さまは覇王さまに愛されています故」
「おんなを」
 愛姫は姉妹に応えてしまっていた。
「そうです」
 月姫と雪姫の揃った発話が心地よい歌のように愛姫の心の疵を癒してゆく。

「ダメ……そこは……よごれちゃうから」
「ここでだけ、男と女は愛し合うものではありません。星姫さまのように、
覇王さまの心の支えとなってください。そして、なにより愛姫さまは星姫さまより
さずかった、月と雪の玲瓏の宝ですから」
480愛姫:2006/09/04(月) 21:35:28 ID:2IQcnwTm
 女の唇が少女の下腹に圧される。うしろの女は少女の乳房に触れ、乳首を拇で
やさしく擦っていた。
「い、痛いっ……月……姫……」
「わたしたちのように、おおきくなったら、もっとやさしくしてあげます」

「いやあっ。そ、そんなことは、しないで……。ねっ、や、やめて。月、雪……っ、おねがいッ」
「ほぐしてさしあげます。どうかお躰を楽になさって。受けいれなさって」
 少女は躰を捩って、太腿を閉じようとした。

「ああっ、い、いや、いや、いやだぁ。やめてぇ、やめてえっ、お、おねがい、おねえさまッ」
 二匹の妖しい蛇が少女に絡みつて、可憐なつぼみが濡れて咲き出す。ひとりでに
月姫と雪姫を慕う言葉が少女の口から朝露のように洩れていた。

「ああ、可愛らしい。たまんない」
「ゆ、ゆるして」
「好き、好き……」
 月姫と雪姫の烈しい肉情に大理石の冷たい床に崩れ込んで、揉みくちゃにされ、
四肢がもつれ絡み合い、翻弄され、生きたキメラとなっていた。
「やっ、やああぁぁぁ――ッ」
481愛姫:2006/09/04(月) 21:37:03 ID:2IQcnwTm
 王宮の人間は誰もが身元の知れない連中だった。月姫と雪姫はこれからも愛姫を
愛してくれるだろうが、いつも傍に居てくれた、少女の愛姫を案ずる星姫は、
もういないと思うと、悲しみと随喜の涙が甘く交わるのだった。

 覇王には何人もの愛妾がいて、少女もその一人。覇王から少女は愛という名を
与えられていた。覇王から寵愛を受けていた稚い少女は、この娘しかいなく、
愛憎渦巻く王宮に、女の悋気(りんき)を一身に買う結果になった。

 しかし、愛姫の周りは、すべてが敵といったわけではなかった。中には信頼に
値する友と呼べる者も居た。愛姫が友と呼んだのは星、月、雪の名を冠した女。

 愛姫は覇王との褥で玉門ではなく、まだ硬くて青い双臀の肉溝だけを遣われ、
その慰められることを嫌っていた。このことから悩み苦しんで、親しかった星姫に
打ち明ける決心をした。

 星姫とは褐色の肌を持った黒髪の美女だった。その立ち振る舞いは女豹。
瞳の色は血と熱情を思わせる赤。遠征の折には絶えず付き従っていた女将軍だった。

 夜のような艶やかな黒髪に、燃える星のような瞳から覇王からその名をさずかった。
周りから星姫は一目置かれていた。
482愛姫:2006/09/04(月) 21:38:55 ID:2IQcnwTm
 ある時期、戦で捕虜となった姫たちのことを任されていた時期が星姫にはあった。
ただ、戦術にのみ長けているのではないことを覇王は知って、纏め役として
後宮に入らないかと星姫を口説いた。

 命には従うが、私は悔しいといって泣いて、覇王は星姫を宥めるのに苦労した。
輿入れの際に、供に従ったのが、覇王との戦いに敗れ虜囚となって、
星姫が情愛を傾け、面倒を見た月姫と雪姫だった。

 覇王さまには従わずとも、星姫さまには、とまで言ったとか、言わなかったとか。
星姫、月姫、雪姫。三人は肌の色も女としての魅力も違ってはいたが、
三姉妹と呼ばれるほど、三種三様の種族の血を越えた固い絆で結ばれていた。

 近くて遠い女と男の仲。均衡は崩れる。愛姫が閨のことを洩らして、覇王は
愛妾たちから笑いものになり、激怒して、このことを訊き出した星姫を
斬首の刑にするといった。

 斬首は砂漠に全裸にされ頸まで砂に埋められ、さらし者にされる。
期間は定められてはいなかったが、一日と持ったものはいなく、意識が朦朧としたところで、
砂から出され首を跳ねられる。
483愛姫:2006/09/04(月) 21:40:33 ID:2IQcnwTm
 愛妾たちは、この沙汰が下される寸前までは、じぶんたちが今迄にしたことは
正等なことと信じて疑わなかった。

 覇王に哀訴する星姫に、王はわたしを嗤うのはまだよいが、愛姫を貶めることは
赦さないと言い切った。星姫は命乞いをすることをやめ、その命に従った。

 それが、公に伝え聞くあらましで、愛姫はこの覇王の沙汰に激しく反撥をした。
星姫は覇王を貶めるような人柄ではないと知っていたし、愛姫にも常日頃、
母のようにやさしく接していた。

 覇王は人の心はわからないものだ、と愛姫の星姫への嘆願を撥ね除ける。
求め奪い合う心が、この場所には強く渦巻いていると愛姫に語って聞かせたが、
愛姫は納得しなかった。

 星姫を貶めるために、二人の会話を密かに聞いていた者が言いふらした、
という噂も立っていたが、覇王は真偽を確かめずともよいと傷つく愛姫に言った。
星姫はみなのために死を選んだのだと告白して。

 事実、愛妾たちはこのことがあってから竦みあがって、後宮には独特な恐怖が
支配していた。
484愛姫:2006/09/04(月) 21:42:35 ID:2IQcnwTm
 愛姫を愛するあまり、覇王はいっそのこと愛妾すべてを消し去ろうとした
考えを持っていたことを悟って怯えた。それを止め、見せしめになろうとしたのが
星姫だった。覇王も星姫の考えを受け入れたのだった。

 ほんとうにそうなのだろうか。星姫は覇王を愛していた。そのことは誰にも
負けてなどはいないと愛姫はみていた。覇王の愛姫への告白を聞いて、ひょっとして
生きる望みを失って絶望したのではないか。考えをめぐらせても、結局、愛姫には
星姫の心は見えなかった。

 愕然として、うな垂れていた愛姫を覇王は案じ、近づいて慰め、抱きしめようとした。
覇王の胸に飛び込んで、大声で泣く愛姫に、自分に対するやり場のない怒りが、
激情となって湧いて来るのを、つい抑えられなかった。

 突如、掌を突いて覇王の胸から離れ、こぶしを振り上げて叩き、激昂しながら
「星姫といっしょに砂漠に埋めて、わたしを殺せッ」、と覇王にむかって力の限りに喚いていた。
485愛姫:2006/09/04(月) 21:44:18 ID:2IQcnwTm
※T※
 
 王が一人で大きな後宮の扉に立っていた。朱色の鮮やかな色に豪華絢爛な
金細工が眩しい。石棺の蓋を開くような重々しさを感じるが、ドアは簡単に
静かに開いていった。

「お待ちしておりました」
 女が一人で王を待って立っていた。王に傅いて王妃は両膝を突き、
着衣の裾を恭しく割っていた。
「もう、このようにおなりになって」

「うれしいか」
「はい」
「みだらだな、リアノン」
「はい……。もうしわけございません」
「さあ、玉座に行こう」
 王が傅いていた王妃の躰を曳き揚げた。

 この部屋。後宮の入り口ではあったが、閨房ではなく、サロンのような役割を持った。
王がその日の寵姫を選ぶ場所。
486愛姫:2006/09/04(月) 21:46:12 ID:2IQcnwTm
 王は王妃リアノンに正装して待つようにと言った。このような肉交は
初めてのことであって、正式な婚儀のような尊いもののように感じた。

 そのいっぽうで、生きて虜囚の恥辱にあうことを想像し、羞恥に染め上げられる
想いもあった。

 だが、敵兵がここまで辿り着いた時は、この世には存在しないのだから、
と雑念を払っても、この部屋が硝子の檻になってしまっていた。

 敵兵が物欲しそうに向う側から亡者となって、生を体感して烈しく
臀を振り合っている王と妃を恨めしそうに覗いているのを、素肌に熱く
感じてしまうのだった。

 亡者になるのは自分たちなのに、肉情に蕩けるのを夢見て行為に没頭してゆく。
みだらになって、交媾にへとへとになった我らが姿を見るがいいと。

 リアノンは妻であっても、正妃ではなかった。先の王妃だったアーシェラは
八年前、流行り病にかかって没している。
 このことがあって、四年という歳月を経て、ようやくリアノンは後添えに
収まることができたが、民に示すはずの公の婚儀は執り行うことはなかった。
487愛姫:2006/09/04(月) 21:48:11 ID:2IQcnwTm
 一介の占い師風情の女が王に取り入った。悪しき噂が拡がっていた。
事実、リアノンは王を愛するあまり、すべてを欲しいと願ったことが、
いつしか預言を無意識にねじ曲げて伝えてしまって、己をも欺き通していた。

 リアノンが悪魔とまぐわったことに気付いた頃、国の戦況は一変していて、
滅びに向かって転がり出していた。凶兆を吉兆に見せかけた虚飾は、
占い師にとっては死罪。むごたらしい処刑がリアノンを待っていたはずだった。

 王はリアノンの告解を前にして、占い師だった王妃を激怒も責めることもせず、
わたしひとりの心にしまっておこう、と慈悲を示した。

 愛情が国の未来を歪めてしまい、娘たちの生をも奪ってしまう
最悪な事態を招いたのに、哀しむ王の顔だけは女として見たくはない、
気持ちでいっぱいになった。

 だからといって、リアノンだけが娘二人と逃げる。もしくは、王が戦に出たのを待ってから、
冥府に一人逝くこともできないでいた。
 王は侍女たちと逃げるようにリアノンを説得したが聞き入れず、王と共に逝きたい
と哀訴していた。
488愛姫:2006/09/04(月) 21:51:18 ID:2IQcnwTm
 覇王の大軍勢がすでに城を取り囲み、侍女たちでさえ生き延びられるかは
甚だ怪しかった。ただ城に居て討ち死にするよりましだろうと王は考え、
夜陰に乗じての逃亡を促がした。

 侍女皆に守りの小刀を与え、数名の兵士を付けさせた。たとえ操を
奪われるような事態に直面しても、舌を噛み切るようなまねはしてはいけない。
生きる為に剣を取るのはよいが、死を選ぶことならず、と下地し、
城の地下隠し通路から逃がしていた。

 が、王は徹底的に覇王の軍と戦って散華することを捨てた。後宮に籠って、
残りの生を愛するリアノンと共に過すことに捧げる。死後、いかなる謗りを受けようとも。

 二人の娘、妹のマリアンナはリアノンの実子ではあったが、姉のカトリシアは
アーシェラが産んだ娘であった。
 姉妹を分け隔てることなく愛して、カトリシアもリアノンを母と慕い、
たいへんになついていた。

 良き妻であり母だった、と王はリアノンのことを労わり、最期の決意を王妃に
話して聞かせたのだった。用意された玉座の傍のグラスに注がれていた、カシスを薄めたような
飲み物がカンタリスではないことぐらい薄々感づいてはいた。
489愛姫:2006/09/04(月) 21:52:47 ID:2IQcnwTm
 玉座に腰掛けた王の裾をたくしあげ、脛毛の毛深い太腿をあらわにし、
その上にリアノンは掌を置いていた。
王の真摯な態度と、股間の肉棒を交互に眺めながら、王妃は言葉に聞き入った。

「これで、わたくしはあなたと永遠に結ばれるのですね」 
 滑稽であるはずなのに、いままでに体験したことのないみだらが、リアノンの
躰を熱くさせ、濡れ伝った愛液が内腿をひんやりとさせた。

「ああ、そうだ」
 王の股間をみると、萎んでいたペニスがむくむくっと膨らみ出していた。
「ただの女として」
「そうだ、リアノン。誰も祝福はしてくれないがね」

「いいのです、わたくしは。あなたさえ、いっしょにいてくれるのであれば」
 深紅のドレス姿のうしろ。大きく開いた白い背から王妃の頭だけが深く
闇に落ちていった。

 手を遣わないで、チロッ、と舌を出して鈴口のあたりを舐めて、尖端を口に
すぽっと咥え入れた。あふれ出ていた雫を、内頬を窄め啜ってみせた。リアノンの
爪は王の太腿の肉に食い込んでいて。
490愛姫:2006/09/04(月) 21:54:48 ID:2IQcnwTm
「ううっ」
 肘掛けのとばを握っていた王の手がリアノンの肩をガッと掴んだ。
「い、痛くいたしましたでしょうか……」
「あっ……」
 唇を半開きにしたまま、とろんと惚けた瞳で、リアノンは喘ぐ王を仰いでいた。
赫い唇から白い前歯が覗いた。聖にして淫の刻印が王を灼く。

「もうしわけありません」
「い、いや。ちがう、ちがうのだよ」
「そうなのですか」
「うむ」
「よかった」
 透明なとろみがしたたる、てらてらと絖る錆朱の亀頭に、王妃の口から垂れた
煌いた唾液が銀糸を引きながら交わっていた。

「お続けいたしますわ」
「リアノン、よかったのだ」
 甘咬みされた痺れる感覚が、王の背筋を駆け上がっていっていた。
そのことを噛み締めながら、王は言葉を紡いだ。
491愛姫:2006/09/04(月) 21:57:39 ID:2IQcnwTm
「そ、それに……。いまのそなたを見ているだけでも……わたしは」
 リアノンが訊くまでに、息苦しい溜めの間が生じていた。
「なんでござりましょう」

「たまらなくなった。下腹がむずむずとしてしまって。ゆばりを放出してしまうような、
そんな感じだったのだ……よ」
「このまま、わたくしのお顔に、命の証し、あびせてくださいまし」
「ま、まて」

「どうしてですの。もう、ためらうことなど、わたくしたちにはないのに」
「リアノンは娼婦ではないだろう」
 すべてを飲み乾そうと腹を括って、リアノンは王の膝から痙攣するペニスに
手を移動しようとしたのを止められていた。

「わたくしは、いまここで娼婦になりたい。いいえ、なります。あなたを歓ばせたいの」
 王のごつごつとした厚い手と、細くしなやかで、骨に乳白色のスキンを纏った王妃の白い手が
熱く縺れ合っていた。
492愛姫:2006/09/04(月) 21:59:49 ID:2IQcnwTm
「わかった。なら、続けるがいい。それがいい。リアノン、わたしを咥えていてくれ」
「はい、あなた。どうか、お口にいっぱい爆ぜてくださいまし。噛んでもさしあげます」

 唇で挟んだ舌先を遣い、みだらにじらして、ちろ、ちろっ、と王をサラマンダーの
炎で焙って舐めるのだった。

 女神のように清楚だった王妃は、おもむろに、唇をいっぱいにひらき、
でろっ、と真逆の妖女(あやかし)になって出した舌で脈動する肉茎にざらっ、
と擦っていった。

「ああっ」
 赤黒く壊死したような色のペニスは、ゴムの塊のように大きく跳ねあがってしまって、
王妃の美麗な小鼻にぶつかった。

「おおっ」
 ガクガクとおこりぶるいをして、獣の野太い声で呻く王の傘はひらいてしまい、
白濁が勢いよくしぶいていた。
「あ、あっ、あんっ」
 甘えるように、リアノンが王の早すぎた射精を責めていた。
493愛姫:2006/09/04(月) 22:01:05 ID:2IQcnwTm
「うおおっ、おっ、おおっ……!」
 閉ざされた密室の、生には遥かにとどかない男女(おめ)の契りに、いつにない
昂ぶりが王の絶頂を極めてしまって、信じられない力を放っていた。

 王は椅子から腰を浮かせて海老反りになり、熱い白濁で王妃の美貌を
これまでにない烈しい勢いで叩き、射ていた。
 噴射の白濁は湧き水か、はたまた滝のように尚も続いていて、繊麗なリアノンが
纏っていた、豪華絢爛な金糸の刺繍を施した深紅のドレスをも穢していた。

「く、咥えてくれっ、はっ、はやくうッ……。もうっ、たのむからッ」
「はああっ……。す、すごいわっ。ああ、こんなんだったら、挿入てしまえばよかった……」

 すっと筋の通った小鼻は翼を拡げ、荒淫のあとのようなリアノンの顔一面に塗され、
頤から玉になって垂れる様は、皮膚がび爛しているかのようでもあった。
 オフショルダーの胸元にも王のこゆい体液は跳んでいて、喘いだリアノンの
鎖骨の窪みに溜まっていた。
494愛姫:2006/09/04(月) 22:02:30 ID:2IQcnwTm
「す、すまない。い、いま……さっそく、な、なんとかしよう」
 射精しながら快楽を拒否して立ち上がろうとした王をリアノンは止めた。
王のやさしい気持ちが沁みてくるのだった。

 当初、王と妃は下腹にだけ交媾の痕跡を留めるだけの控えめな行為を
するつもりでいたのに、いつしか迸る熱情が壁を突き破っていた。
侍女はすでに城内から逃がしていて、残滓の始末をするのは自分たちだけ。

「あなた、そのようなことは申されないで。わたくしは今が倖せなのです。とっても。
そう、いつにないくらいに、おんなの歓びを極めていて。こ、このまま
死を賜ろうとも、羞ずかしいことなどございません」

 毅然としながらも、それでいて歔いているリアノンに、王の下腹は破瓜に臨む
生娘の下腹のように烈しく波うち、荒々しく息を継いで、傅いた王妃にさらに
両太腿を大きくひらいていった。

 掌を王の太腿の上に置いたまま、拘束を意識した恥戯に及ぶのを王妃は
あきらめるしかなかった。リアノンは王の股間の、精液が虫の体内組織みたく
こびりつく剛毛ごと潰して、灼ける肉茎の根本をあらわにし、左手の指でこしらえた
オーのリングで囲み固定をした。
495愛姫:2006/09/04(月) 22:04:39 ID:2IQcnwTm
「愛している、愛しているっ」
 それでも、王の怒張は烈しく痙攣して、喜悦の涙がリアノンの頬を
濡らすのだった。

 王は屈む王妃の背に胸板を載せ、ドレスのスカートを掴んで手繰り寄せた。
あられもない尻まくりにしてから、還るべきリアノンの灼熱のヴァギナを夢想し、
玉座に躰を沈ませ、腰を迫出していった。

「ああっ、愛しい、愛しい……わ」
 リアノンは右手で火照った頬に圧し付けた。白濁に塗られ、絡むほつれ髪が
水面の藻のように妖しくて、王は喚いていた。

 錆朱の滾りも今宵が見納めかと思うと、リアノンはいたたまれなかった。
すこし力をこめて、ぐりぐりと肌に埋め込むようにペニスを頬に擦っていた。
転がった怒張した肉茎は、リアノンの耳朶にも触れた。そこは、白濁にはまだ
穢されていなく、複雑なかたちを留めていて。

「ああ……リアノン……。つ、つめたくて、気持ちがよいぞ。た、たまらない」

「あなたの逞しいもので、ここも灼くのです。おま×こを擦り切れるくらいに擦って、
こすって、掻き回して、掻きまわし……て。わたくしは、あなたと永遠の生を賜りたく存じます」

「わかった。そうしよう、そうしようぞっ!」
496愛姫:2006/09/04(月) 22:10:56 ID:2IQcnwTm
 絖(ぬめ)る亀頭を王妃は正位置に持ってきて、赫い唇をゆっくりとかぶせ、切れ込みを
そそっと舌先で刷いた。仰け反った王を見て、一気に喉奥まで含んでいった。
 烈しく律動するリアノンの意志に制御できなくなって、王は立ち上がっていた。
後頭部を両手で拘束して、刹那の烈しいストロークを王妃の口腔にぶち込んでいった。
 
 ずりゅっ、と挿入る肉棒を舌と口蓋、頬を駆使して扱くのだけれど、王は王妃
リアノンの恥戯を嘲笑うかのように、頬を突き破れとばかりに小突く。
 舌も口も痺れて、喉奥で締めようとしたが無理だった。リアノンはただの穴になって、
苦悶からエクスタシーを感じたように低く呻く声が王を瞬く間にしぶかせた。

 これが最期なのだからと。愛のオブジェとなるまでの過程。悔いを残さずに
たっぷりと愉しんで、結果を敵将にまざまざとみせつけるだけ。
 痴れ者と呼ばれようとも、命を燃やし尽くして昇天するのだから至高の倖せだった。

「さあ、立つのだ。わたしは、まだまだ終わらん」
 まだ嚥下していな精液が噎せて、げぼっ、と逆流してリアノンの胸元を穢した。

 両肩を窄められ、曳き揚げられたかと思ったら、ドレスの右の乳房をギラギラとした
王にはだけられ、球形の美乳をあふれさせた格好のまま玉座の背もたれに、
強引に胸を押し付けられた。
497愛姫:2006/09/04(月) 22:14:43 ID:2IQcnwTm
 リアノンは玉座の背もたれの黄金の枠にしがみ付いたが、崩れて顔をビロード地に擦って
座部に落ちた。

「どうした。わたしがほしくはないのか」
「も、もっとやさしくして」
「わたしを歓ばせたい。娼婦になりたいといったは、偽りか」

「い、いいえ。そのような……」
「なら、着いて来い」
「どのようにも……」
「片足を座部に突け」
「わっ、わかりました……」

 リアノンは尻捲りされたまま、両手を背もたれの頂上を掴んで顔を引き揚げ
言われた通りに右足だけを座部に載せ、股間から右手をくぐらせ、掻き抱くように
腕にふくらはぎを引っ掛けて、膨れ上がっていた、淫液をだらだらとしたたらせる
秘園をぱっくりと拡げた。まさに、その所作、娼婦だった。
498愛姫:2006/09/04(月) 22:19:34 ID:2IQcnwTm
「く、くださいまし」
 凄艶なおんなの貌をリアノンは王にむけた。

「よい。良い娼婦だ」

「はっ、はやくうううッ!」
「待つがよい」
 白いリアノンの臀部をぺしぺしと叩いた。

「はっ、あ、あ、あっ、はあッ!」
 王は射精したどろどろのペニスをぎゅっと握り、陰嚢から下腹の上下にシャフトの
操作を繰り返し、シュッシュッと扱いた。
 すぐに血汐は装填され天上を突いた偉容を取り戻した。

「ああっ、いやああぁぁぁっ」
 リアノンの貌はぐんっ、と仰け反って、すぐにがくんと頭を落とした。王の律動が
子宮を攪拌して、びりびりと総身に快美感は伝播してくる。

「んっ、ん、んあっ、ああっ」
 肉情まみれの中、王が見下ろすリアノンの蠢く白い背だけが滅びる憐れを語っていた。
499愛姫
「ああっ、し、しんじゃううわッ」
「ま、まだ、死ぬにははやいッ。冥府などには逝かせんぞ」

「ま、前からッ。前からがいいッ!」
 王は脚を引っ掛けていたリアノンの右腕を抜いて、担いで横臥位にする。
リアノンの華奢な躰は、王の欲情を煽って、乳房を揺らしながら捩れていた。

「どうした。強力せぬのなら爆ぜてしまうぞ」
「は、はい。いたします。いたしますから、置いていかないでぇ」
 両手を背もたれに突いて、躰を廻そうとすると、王は腰を遣いはじめた。

「うっ、ううう」
「ほら、はやくしろ。しないかっ」
「だ、だめぇ……く、くるしい。たっ、たまんない」

 王は圧し掛かって頸にしがみ付くように言った。リアノンは腕を曲げてようやく
相対して、椅子から剥がされていた。肉槍が喉奥から吐きだされたような苦悶が襲って
目の前が暗転した。