【涼宮ハルヒ】谷川流 the 8章【学校を出よう!】

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『古泉一樹の本音』



人外無畜な存在でいるというのは、それはそれで意外と気疲れの耐えない事です。
我らがSOS団には、涼宮さんを中心としてぶっ飛んでいる人材が豊富なので必然的に僕の心労も絶えません。
かろうじて僕の気持ちをわかってくれるのは「彼」くらいでしょうが、何故か「彼」は僕を煙たがるので少し辛いところです。
「機関」でも相変わらず他組織と血みどろの抗争が行われていますし、要するに今の僕には心休まる時がないのです。


正直な話、僕は結構やりきれない不満を抱えています。
例えば、あのバレンタインの日・・・・・。
ええ、涼宮さんと長門さんと朝比奈さんがチョコをくれた時はかなり嬉しかったですよ。しかも一晩かけて3人で作ったっていうじゃありませんか。
それに彼女達は北高の中でも中々、容姿が端麗な階級に入るようですしね。いくら僕だって9組の男子の友達の皆さんと女子の話くらいはしますよ。
それに「彼」みたいに決して顔に出すことはありませんが、僕だってそれなりに朝比奈さんに萌えています。
僕は超能力がなければただの盛りのついた高校生ですからね。そこらへんが他のSFな方達と違うところと言えるでしょう。
だからこそ・・・・あの時・・・・そうですチョコをもらったときです。
その時に涼宮さん長門さん朝比奈さんが3人して「彼」の方をそわそわしながら見ているのを目にしたときには何かがキレそうになりました。
だってもう、明らかに僕のチョコと「彼」のそれに込められていた気持ちの度合いが違うのが超能力を使わなくてもわかるんですから。
凄くヤリキレナイ思いでしたよそれは。

まあ、その思いも顔には出しませんでしたがね。
ただ僕の微笑みが少々歪んでいるのは長門さんあたりには気づかれていたかもしれません。彼女にわからないことなどないはずですから。

所詮僕には「彼」みたいみ人を惹きつけるものはないのかもしれません。
僕にあるのは使える地域も時間も限られてる超能力とも言いづらい超能力に過ぎません。

ただ、バレンタインではやりきれないことばかりあったわけではありません。
夜7時頃でしょうか、鶴屋さんに呼び出されたのです。「機関」とのスポンサー関係についての相談かなんかかと思ったんですが、
どうやら僕にチョコを作ってきてくれたらしく、ありがたく頂戴いたしました。
チョコの包装を丁寧に剥がしてみると、そこには僕の顔をかたどったチョコと、手紙が入っていました。

「やあやあ古泉くんっ。味は自信ないけどよかったら食べてみてくれっさっ。古泉君、最近のキミのスーパーイケメンスマイルには少し迷いが見えるにょろよっ。
キミがいないとSOS団なんてのは成り立たないっ。みんなそう思ってるのだよっ。キミはいつも合宿を盛り上げてくれるしねっ。元気だしてねっ」

素直に嬉しかったです。鶴屋さんの洞察力が天才的なのは前から知っていましたが、今回は彼女に救われた気分です。
僕も最初はSOS団にあまり馴染めませんでした。しかし今ではSOS団副団長だと胸を張って言える自信があります。
次の合宿までにもっとみなさんを楽しめる推理ゲームを考えないといけませんね。しかし、自分の顔ソックリのチョコを食べるのも複雑な気分ですね。  終