【あのね…】かしましSS総合 第3期【大好きだよ】

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806♯24アフター 『愁霖(21)』
 自分の肉体に生み出される快感を求めて、指が動く。恥ずかしいという思いは霧散しつ
つある。なぞる指先が徐々に割れ目の深みを探っているのに、とまりは気づいていなかっ
た。
 知らず、大陰唇をかき分け、ぴっちりとはさみ込み隠していた自身の秘部へと指先を潜
り込ませていた。小陰唇の襞を探りあて、身体は一層の快感に歓喜していく。
「は、ぅ………」
 性器の奥が、じっとりと熱い。そこからのものだろうか、湧き出てくるものを感じて、
とまりは性器をひくつかせた。軽く曲げた中指で、えぐるように小陰唇をなぞりあげる。
ぷりっとした感触の肉襞が、ぬめりを帯びていた。ぞくりと性の電流が流れ出す。
「あ、…ぃゃ…ぁぁ」
 繰り返すたびに、ぬるぬるとした粘液が指先に絡んでいく。中指がかき出したそれは、
指腹で延ばされ、割れ目全体を艶やかに濡らしだす。ぬるりと滑る指先が小陰唇をふるふ
ると弄び、クリトリスの包皮がはじかれる度に、とまりは秘められた感覚が揺り醒まされ
ていくのを知った。
「あ、はぁ…ぁぁ……あぅぅっ・・・・・・」
 自身のあえぎが、トーンを高く変えていくのに気づいたが、止められなかった。逆に、
恥骨の奥から腰の奥底へ流れ出す快感の波が、沸き立ち、躍った。
 頭が痺れていく。何も考えられない。はずむのことも自分のことも、何をしたかったの
かも、濃霧に紛れて消えていた。
「あぅ、ぁはぁ…、んぁっ、ぁぁ……」
 幾度かの経験では無かった感覚に、とまりは思考を支配されつつあった。
 性の炎に心を炙られて、淫らな女肉へと変わっていく自分に疑問を持たなかった。
 もっと疼かせて欲しくて、とまりは顔の見えない手に、指に、その肉の全てを委ねよう
としていた。

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

 ふくよかな大陰唇に指先が割り込んでいくのを、男はファインダー越しに見ていた。カ
メラをズームアップさせ、少女の指が、奥に閉ざしていた自身の敏感な肉をこすり上げて
いく様を見る。白く柔らかな媚肉を、少女自身の細くしなやかな指先がえぐっていく。
 ぴちゃり…、くちゅりと淫らな瑞音が鳴った。
「ぁっ、ぁっ、ふぁっ・・・、ぁぅっ、ぁあぁっ、ん・・・」
 間欠的に洩らされた少女の小さな媚声は、男の耳にも届いていた。顔を覆ったヘアバン
ドと乱れた前髪の向こうの表情は、女のそれになりつつあった。上半身を微かによじらせ
て、切なげな吐息を唇の間からこぼしている。生まれつつある快感を逃すまいとするのか、
指の動きが増すにつれて、男に晒した性器に被さるように、内腿が徐々にすり寄せてくる。
男がそれを咎めると、びくりと膝頭が跳ね、もがくように揺れた。
「あ…、んぁッ、んん……ぁぁ・・・・・・!」
 男から背け、シーツに埋めていた横顔も、いつしか快感の波に合わせて振り動かしてい
た。鬢のほつれ髪が、汗ばんだ頬に張り付いている。シャッター音にビクついていた当初
のおびえは、もう少女から消えていた。自慰に没頭し、写真に撮られている事さえ忘れて
いるのかも知れなかった。
807♯24アフター 『愁霖(22)』:2007/03/13(火) 20:29:42 ID:EsoI3I5n
 シーツを握っている少女の手に、手のひらを重ねる。視界を閉ざしている彼女は、ふい
に触れられて体を強張らせる。自分に気を許していないのは分かっていた。手の内にいる、
なつかぬ迷い猫のようだった。
「胸が、空いているよ……?」
 男の問いかけが、少女には分かりかねたようだった。
「え、ぁ……?」
 つぶやいたまま、動きを止める。息は荒く深い。自慰で、思考が白くなりつつあるのだ
ろう。呆けた口元に、かすかに涎がこぼれた跡が見えた。
「力を抜いて……ね?」
 ゆっくり優しく囁くと、男の手を振り解かんばかりに力んでいた腕の力を、少女は弛め
た。少しの間、重ねた手のひらが男と女の体温を伝え合わせた。
 少女の手を、彼女の乳房に誘導する。
「続けなさい」
 男の意図を悟り、少女はイヤイヤと首を振った。唇を結んで、眉を歪めている。
「もう、僕に触って欲しいの……?そんな、いやらしい子なの……?」
 耳元に口を寄せて尋ねると、少女は小さくあえいで首を振った。なんとなく面白くなく
感じ、じゃあ自分で揉むんだと突き放した口調で命じると、少女は洟をすすり上げながら
も自分の乳房に左手を当てた。その様子がいじらしくも哀れだった。
 男の脳裏には、雨の中の彼女がいた。
 何があったのかは聞かなかった。もう子供ではない年頃なのだ。辛く、どうしようもな
い事があって、感情や想いを燃やし尽くしていたのだろうと感じた。ただ、捨て置けない
空気を感じて、連れてきてしまった。特に下心を持っていた訳ではないと、男は思う。
 ただ、少女の望むまま、それに応じている。彼女に目隠しをさせ、恥態晒すように命じ、
それに従う姿をカメラに収めている。泣きそうになっても少女は男の言葉に従う。
 今も、男に言われるまま、愛らしい乳房を自らその手で揉みしだいている。
 華奢な指がねっとりと乳肉を揉み潰すと、その指の間から白い肉が覗く。小振りな乳房
をすくうように手のひらが蠢く。少女が熱い息を洩らした。あえて乳首に触れないように
して、時折の接触を愉しんでいるようにも見える。その右手は性器をまさぐっていた。
「あぁ…、あっ、はぁぁ……んん……」 
 先程までは堪えていたあえぎ声も、出すにためらいを失くしたようにトーンを上げてい
る。少女は、その姿を淫らなものに変えつつあった。乳首の際まで胸を揉みしだき、性器
に伸ばした指は愛液をねっとりと光らせて、陰唇を嬲っている。ぴっちりと閉じていた大
陰唇は潤びつつあり、ゆるやかに開いて、中に秘めた桜色の小陰唇を覗かせかけている。
少女の指が性器を大きく割り開く度に、淫猥なシャッターチャンスが訪れる。
 秘肉と指とがぬるぬると濡れ光り、可憐な乳房を収めたその手は、ついに自らの乳首を
摘み取り、ひねってしまった。少女は切な気な声を上げ、白い喉を男に見せる。
 そうした様をファインダー越しに接写し、引いては全体を写す。その中で、男はペニス
が烈しく屹立するのをこらえていた。限界は、遠くなかった。少女に触れ、その肉を感じ
たい。それを思う様、屠り味わい尽くしたかった。

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

「…君の恥ずかしい場所を、もっと見せて欲しいな」
 オナニーに夢中になりつつある中で、男の声が聞こえた。
 とまりには、それは少し震えて届いたような気がした。
 性に痺れて、初めての気をやりかける寸前だったとまりは、男の手が両膝に掛かったの
を知って、性器をまさぐる指を、乳房を揉みほぐす手を止めた。
「ぁうぅぅ………」
 快感の中断をこらえるとまりの膝裏に手を回し、男はその脚を抱えるように持ち上げた。
 腰から折り曲げられる形になって、ベッドに仰向けにされる。脚の間に男が上半身を割
り込ませていた。
808♯24アフター 『愁霖(23)』:2007/03/13(火) 20:30:26 ID:EsoI3I5n
 大きく広げられた股間が、男の顔のすぐ前に晒されている。剥き出しの性器に男の息が
かかり、消えかけていた羞恥心がとまりを染めた。
「いやっ…!やめて、お願い……!」
 ヘアバンドで隠した視界を、顔を両手で覆い、脚を伸ばして股間を閉じようと抵抗する。
 しかし、男の手はとまりの膝裏をつかんだまま、強い力でとまりの動きを押さえ込んだ。
有無を言わせない、低い声が耳元で響いた。
「自分で脚を抱えるんだ…」
 男は呟くと、とまりの手を引き剥がす。ほら、と仰向けになって膝裏から脚を抱え込ま
せようと促がした。目の見えないとまりにとって、男の声色の変化が怖かった。そして、
とまりは男の指示に従うしかないのだ。恐る恐る脚を抱えると、男は手を離してとまりへ
緊縛を解いた。男の上半身は、とまりの抱え開いた脚の中のままである。
 とまりのお尻はベッドから浮き、M字に開かれた股間は、そのすべてを男の前にさらけ
出しているはずだった。ふと男の頭が、性器の間近まで動いた。陰唇に息が届いていた。
 とまりは恥ずかしさのあまり泣きそうになった。
「……中を、開くからね?」
 無慈悲な言葉が聞こえた。無論、とまりの秘部を男の指が割り開くという事だろう。
「……やめて」
 涙声で呟いても、とまりは無力だ。男との契約は絶対であった。観念して男の好きにさ
れる他はなかった。
 男の親指だろう指先が、とまりの性器に触れた。ふたつの指先が、とまり自身が溢れさ
せた愛液ですでに濡れている大陰唇にかかる。覚悟していても、見えない怯えがひくりと、
媚肉を蠢かせてしまう。男は指の腹で、ふっくらとやわらかな肉をなぞり、ふにふにとし
た感触を愉しんでいる。つっ、とその割れ目をなで上げ、肉に纏った粘液をぬぐうとくいっ
と肉厚の大陰唇を開いてしまった。
「あぅっ……!?」
 とまりは、女の部分が初めて外気に曝されるのを感じた。
 剥かれ、露わになった小陰唇は、つつましやかに濡れ光っている。桜色のそれはほぼ左
右対称で、小振りの合せ貝のようだった。小陰唇自体は指先の刺激でもう開き切っている。
膣前庭は剥き出しになって、しっとりと濡れぼそっていた。とまりが身をよじるたびに淫
猥にひくつく。クリトリスを護る包皮も、ほとびて緩み、中身を外に覗かせてしまってい
る。小さなあずきほどのクリトリスは、オナニーのせいで少し充血したように赤くふくら
みつつあった。愛液にまみれ、どの部分も次なる刺激を求めて紅く上気していた。
 男が息を呑んで、そんなとまりの性器を見つめている。視線が、そこに凝縮されている
のが分かる。
 他人に、異性に自分の性器を広げられ、すべてを観察される恥辱に、とまりは涙腺が熱
くなるのを感じた。じわりと涙が溢れ出し、ヘアバンドを熱く濡らしていく。呼気が嗚咽
に変わっていた。
 初めての性行為だった。
 初めての時は…と、少女らしい甘やかな夢想を、とまりも抱いていた。
 自分で選んで決めたのに、悲しくて涙が止まらなかった。
――はずむのせいだから……
 背を向けた、はずむの姿が浮かんだ。
――あたしの初めてがこんな風なのは、はずむのせいだから……
 初めて会った男に、誰にも見せた事のない女の秘所を晒し、いいように恥ずかしい姿を
見られている。自分が望んだ事であっても、耐えがたい恥辱であった。
 そしてこのあとには、処女の喪失という儀式が待っている。
 知らない男のペニスに、とまりは純潔を踏みにじられるのだった。
 それが現実だった。その現実を生々しく感じ、心が暗闇に落ち込んでいく。それはすで
に決められたさだめなのだった。
 生まれた時から、はずむに会う前から、はずむの事を好きだと気付くまえから、決まっ
ていた事なのだと思うと、涙が溢れてどうしようもなかった。
 涙で濡れたヘアバンドは不快だったが、それすらとまりにはどうにもできなかった。
 しゃくり上げるとまりを無視するように、男はとまりの充血した秘部を弄い、嬲った。
809♯24アフター 『愁霖(24)』:2007/03/13(火) 20:31:40 ID:EsoI3I5n
 ちゅっ…ちゅぷっ、と粘液が音を立てる。
 小陰唇の襞をふたつの指先でつまみ、こすり上げる。包皮を剥き上げ、クリトリスをタッ
プする。指の腹でそれらを円状になぞられ、ぬめる肉襞を指でもてあそばれる度に、望ま
ぬ快感がとまりを焦がした。とめどない刺激が腰椎から背筋を灼いていく。性器の奥が熱
い。脳髄が蕩けていく。
「ひっ、うっ……うぇっ……、い……ひぁっ………あぁっ・………」 
 自分が白く消えていくのが悲しくて、とまりは泣いた。
 男は、止めない。
 片手が肉襞を広げ、空いたもう片方の手指を使い、とまりの性器を解剖している。
 他人の指が、敏感な肉を、粘膜をなぶっている。自分の指先より大きいそれが幾本も、
くにくにと縦横を蠢く。ぬるついた左右の小陰唇のそれぞれが、同時に親指と人差指の腹
でこすられ、捻られる。クリトリスは包皮ごと指に挟まれ左右からくにくにと揉みほぐさ
れた。露出した小振りな豆を、たっぷりと愛液を絡ませた指先がちろちろと弄い嬲られる。
「い、んあぁ、ひっ!あっあぁっ……」
 オナニーでは感じられない感覚だった。男の指は何本あるのだろうか。何本もの指が触
手のように性器を這い、それぞれが違う性感部を強く弱く深く浅く、弄りつくしていく。
とまりは下腹の奥は熱くたぎらされていた。そこは次なる快感を求めてもどかしく、送り
込まれる刺激を受け切れずに腰から爪先への引き攣るような緊張を送り返した。
 このまま、性の快感とともに、掻き壊されてしまうのではないかという恐ろしさが生ま
れてくる。
「い、やぁ……こわ、い……、ぃやだぁ……こわい、の………」 
 そんなとまりの媚態を、とまりの淫らに口を開いた性器を、とまりの見えない泣き顔を、
その一部始終を、男は陵辱の手を空けてはデジタルカメラに収めていく。
 とまりの喘ぎとすすり泣きが、そして乾いた撮影の音が部屋に響いていた。

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

 いつしかとまりは脚を抱え込むのを止めていた。手は、男の責めに合せて、シーツのあ
ちこちを空しく掴み、握り締めていた。開かれた脚は、時折男の上半身を挟み絞るように
よじられた。
 もう男はそうした命令違反を咎めずに、とまりのよがる様にまかせていた。痙攣したよ
うに、閉じ合せようと躍起になるとまりのふとももを、肩で割るようにして股間入りこみ、
指による責めを続けていた。さすがにこの状態では写真は撮れない。
 ならば、と男は少女への責めに没頭しようと思った。
 一回り以上歳の離れた、若い肌だった。忘れていた感触に、手が指が歓喜している。
 まだ下半身しか触れていないが、特にふくらはぎからふともも、尻にかけてのラインが
素晴らしかった。しなやかな筋肉の上を被った女の脂肪が、肌の張りと弾力と、肉の柔ら
かさを予定調和させている。
 浅く焼けた股下の長い脚が、鼠蹊部から乳白色の肌色に変わっている。ほぼパンティー
ラインだった。淡い性毛の下腹はなまめかしいほど白く、艶やかで、性のもたらす緊張の
度に締まった腹筋を浮かび上がらせてくる。内腿や尻の肌は絹のようで、その肉は手で覆
い撫でるうちに体温でとろけてしまいそうだった。
 その肉体が男の手で、指で、よがり狂いだしている。
 一時、泣き濡れていた嗚咽も、とうに淫猥なあえぎに塗り変わり、高い声を上げている。
 性器はバルトリン腺液に濡れ、とろとろに蕩けさせている。肉襞はぬるついて、その肉
質を愉しもうとする男の指先を滑らせていく。膣前庭に覗く尿道口さえ、刺激を求めて紅
潮しているようだった。
 薄い桜色だった性器は、朱鷺色に染まり、ほとびて次なる行為を求めてひくついている。 
 その媚肉を、男は思うさま口にして、屠りたかった。その衝動を我慢することは、もう
無理だと思った。
810♯24アフター 『愁霖(25)』:2007/03/13(火) 20:32:39 ID:EsoI3I5n
「口を使うからね……」
 言葉にすると同じくして、男は舌で目の前の膣前庭をべろりと舐め上げた。
「ひ、ああぁ………!?」
 とまりは、熱くぬらりとした、それまでと異質の肉が性器を嬲りつけるのを知覚して声
を上げた。
 男の言葉を、違う世界から聞いていたとまりには、何をされたのかが分からなかった。
軟体生物のような感触が性器を這う。唇で陰唇を咥えられ、熱い鼻息を性器全体に浴びて
ようやく男のクンニリングスをされていることに気づいた。
「あううっ…!い、いやあ………あぁぁ……!?」
 両手の指に性器を開き切られ、男の口唇が舌が、とまりの秘肉に触れている。
 とまりの霞んだ思考は、それを拒んでいた。
 そこは排泄で汚れた恥ずかしいところ。子を、命を送りだすための神聖なところ。そし
て、愛しい人を感じるところ……のはずだった。
 性器は女にとっては、穢れていて、清らかでいて、何よりも大切な場所だった。
 それを、男が貪っていた。
「あぁ…お願い………、やめ、て……ほん、とに……い、やなのぉ………!」
 舌先が、膣前庭の細やかな襞筋を、一筋一筋、執拗になぞっていく。
「ああっ!い、ああっ……」
 赤くふくらんだ尿道口をちろちろとほじる。
「んん…ぁ…、ぁぅぅ……」
 肉薄の小陰唇の襞の縁にそって舌先をゆっくり往復させると、あっあっあっと、とまり
は小さく鳴いて細かく痙攣した。交互に陰唇を口唇で咥えて擦り、引き伸ばし、口内に含
んで舌で舐めいらう。くにくにとした肉襞が男の口の中に吸われ、舌の蠢くに合せてひね
り回された。
 ぴちゃ…ぷちゅっ……ぴちゅっ、……ちゅる……
 性器が自らいやらしい音を立てているように聞こえた。
「んはぁっ…!いやあぁ、あぁっ!ああ、ぁぁ………」
 許容を超えた快感の波が性器を、脊椎を、とまりの脳髄を白く焼く。胎内はただ熱く、
最奥の泉からも愛液が滲み出すかのようだった。
 とまりの膣口は、小さな口を開きつつあった。広げられた性器の下方で、慎ましくピン
ク色を保ちながら、とまりの息みに合せて小指の先ほどの口がぴくりぴくりと動く。粘膜
の襞が収縮してその小さな口を閉じたり開いたりさせていた。紅く充血した膣全体より、
桜色に見える肉襞があって、指や舌の刺激で腫れっぽくなり、膣奥への口をより狭窄させ
ていた。
 それは、とまりの処女膜だった。
 とまりの純潔の証が、男の舌先で秘めやかに息づいている。
 しかし男はそれと気付かなかった。分からなかった、と言ってもいい。男には、処女の
膣口をしげしげと観察した経験などなかった。快感にあえいでいる女の口が、他より小さ
いくらいにしか感じてはいなかった。ひくつくそこをほぐすべく、舌を伸ばした。
 とまりは、男の舌先が処女口に届いたのに気付いた。
 もう、抵抗するつもりはなかった。直にすべてを喪うのだ。とまりは、男の舌をそのま
ま受け入れた。
 舌先が粘膜にふれると、ひくりと膣口が塞がった。処女膜が、怯えたように収縮する。
その奥に続く膣には、すでにたっぷりと膣液が溜め込まれていた。自身の指による自慰や
男の愛撫によって、性感覚を覚醒状態にされた性器は、白くどろっと粘る膣液を分泌させ
ていて、もうペニスの挿入に備えていた。ただ初めての性交なので、処女膜が堰のように、
その白い体液が外に流れ出すのを遮っている。
「ひぅっ…!」
 とまりが声を洩らした。
 男がひくつく処女膜を舌先で突付き、穴をこじ開ける。入り口まで溜まっていたそれが、
溢れて男の舌先にのろりとかかった。わずかな酸味を、男は感じた。
 口を離し、膣口を見てみると白く濁った体液がとろりを流れ出していた。いわゆる本気
汁というやつだ。中出しされた精液が膣口から溢れ出しているように見える。それは膣内
に射精した後に、自分の精液が少女の性器から溢れ出してくるのを妄想させた。
 傍らに置いたデジカメに手を伸ばすと、少女の股間を接写すべく、M字に脚を広げさせ
膣口周辺の襞がよく見えるよう指で開く。
 とまりは繰り返されるオートフォーカスの耳障りな音を濁った思考の中で聞いていた。
811♯24アフター 『愁霖(26)』:2007/03/13(火) 20:33:45 ID:EsoI3I5n
 男の興味は、やはり女の性器にあるんだと思った。
 開かれた膣口から、何かがとろりと流れ落ちようとする。それが落ちきってしまう間に
シャッターが何枚か切られた。
――どんな写真が撮られているんだろうか
 これまでも、かなりの量の写真が撮られているようだった。デジタルカメラだから、何
百枚でも撮れるだろう。ただ、目隠ししたままのとまりにとっては、すべては闇の中の出
来事だった。自分が何をされているかも、どんな格好であるかも、暗い想像としてしか思
い浮かべられないのだった。
どれだけ卑猥で淫乱な自分が映し出されているのだろうか。そんな怯えもあった。
 それは、とまりにとっては「男」を歓ばせるものである必要はなかった。
 とまりの的は、はずむだけだった。
 いつまでも能天気を装うはずむに、とまりの悲嘆と苦悩を知らず、鉢植えなんかに思い
を託せば済むように思っているはずむに、自分という女の情念を骨身に染み込ませてやれ
ればいい。そのための道具だ。
 とまりが穢れ堕ちた様を見せられて、それが自分のせいだと責められたはずむは嘆き悲
しむだろう。涙と苦悩に暮れる日々を送ることは容易に想像できる。
 あゆきだろうと、明日太だろうと、やす菜であってもはずむを立ち直らせる事は出来な
いだろう。それは確信だった。
 はずむは傷心のまま、最後の最後の時までとまりを案じたまま去っていくしかない。そ
してはずむを喪った自分が、はずむに思いを残させた自分が消えて去ってすべて終わる。
そこまで互いの心に棲んでいるのを分かっていても、こんな風に物語りは終わるしかない
のだと思うと悲しかった。
 すんっ、と洟をすすった。
 一通り撮り終えた男が、再びとまりの性器に挑みかかる。
 強く吸われ、烈しい快感が肉体を襲う。先程までの、漂う思いは一瞬で波間に消えた。
「ああっ…!っぃい……、い、い……あぁ……!?」
 性器全体が男の口内に吸われて、揉みくちゃにされている。じゅるじゅると空気ごと吸
い上げられ、細かな気泡が愛液と唾液の混じりあったものに、小陰唇やクリトリスが弄ら
れる。伸ばされた舌先は処女膜をこじ開き、膣口に潜り込もうとする。小さな口から侵入
した軟体は、処女膜の内からを舐めなぞり、たっぷりと唾液を流し込む。代わって押し溢
れた膣液は、白濁した精液のように会陰をつたい流れ、肛門へと落ちていく。
「あ、ぁぁ……」
 ぞくりぞくりと流れていく電気が、とまりの腰骨を疼かせる。
 男がそれを追って、舌を蟻の門渡りから肛門へ移動させる。両手でとまりのお尻を抱え
上げるようにして肛門を己の口元まで掲げさせる。舌が肛門のすぼまりに掛った粘液を舐
め上げた。感じたことのない、異様な感触にとまりは驚き、男の髪を両手で掴んで抗議す
るが、声無きクレームは無視される。
 続いて、男の舌先が肛門の襞を一筋ずつ舐めていく。黒ずみのないとまりの肛門は朱鷺
色に染まってひくついている。たっぷりと唾液をまぶした舌が、じっくりと括約筋をほぐ
しいくのが、とまりには恐怖だった。男の髪を引きちぎるに代え、震える手でその頭を力
一杯押さえつける事で、怯えを散らそうとした。
「いや、そんなとこ……!お、お尻なんて…も、やめ、止めてェ………!」
 不快でないのが、逆に怖かった。初めて舌が舐め上げた時に、言外の気持ち良さがあっ
た。肛門を舐めほぐす舌に加え、膣口辺りに男の鼻先が潜り込んでくる。熱い呼気を股間
一杯に吐かれると、腰までが痺れた。
「あはぁぁ…、も…ぅ…だ、だ……んぅぁあっ………!」
 肛門に舌先が侵入し、くにくにを蠢く。遊ばせている指がクリトリスや陰唇をなぶり出
すと、もう、とまりは分けがわからなくなっていた。
 脳髄がセックスの信号でヒートしている。昂ぶった性感神経が、思考を白い闇に突き落
とす。
「ん…んあっ……!ひっ、ひぁっ、い、い……いあぁっっ……ああぁっ、いい、んぁっ!」
 あえぎが淫らな嬌声に変わり、その自分の声を耳にしてはまた興奮した。
812♯24アフター 『愁霖(27)』:2007/03/13(火) 20:34:54 ID:EsoI3I5n

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

 どれだけの愛撫を受けたのか分からなかった。
 今は、セックスの快感だけを求めるのがとまりの思考の全てだった。
「……気持ち、いい?」
 とまりは男の呟きを耳ざとく拾った。
 きもちいいの、と答えた。
 もっと、もっとと、答えた。
 もっと刺激して欲しかった。
 もっといやらしく淫らにして欲しかった。
 男はとまりの股間から身を起こした。指ではゆっくりと性器と肛門の愛撫を続けてなが
ら、とまりの小柄な体に寄り添うように被さってきた。空いた手でとまりの乱れた髪を撫
で付け、腕でその小さな顔を抱え込むように包んだ。耳元に口を近づける。耳朶に吐息が
響くように舌を這わす。ぞくぞくと流れ込む快感に、とまりは全身を震わせてた。
 とまりの前髪を、鬢の髪を解き梳る男の手指は、性の電流で消耗しきった肉体にも優し
かった。性器や肛門を弄ぶ指さえ、快感を穏やかに持続させるくらいに動きを抑えられて
いた。
 ちゅっちゅっと耳たぶキスされ、ちろちろと舌が動く。ぴちゃりと口が鳴ると、柔らか
く、しかし腰まで届くような性感が流れた。寄り添う男の体温が暖かかった。先程までと
は違う、満ち足りた快感の波がとまりを包んでいた。
「綺麗だよ…」
 男が耳元で呟き、とまりは小さく身をよじる。
「手も、脚も、胸も、お尻もすごく魅力的だ……。いつまでも寄り添って、触っていたい。
こうしていると君と融けていって、一緒になれそうに思えて、すごく幸せだよ……」
 男の手が髪から離れ、とまりの乳房に触れた。
 その手は温かで落ち着いた。小振りな乳房を手のひらで覆っている。先程までの荒々し
い責めが、幻のようだった。柔らかなとまりの乳肉の感触を男は愉しんでいる。性器に這
わした指も敏感な部分を刺激せず、その全体を包むように揉み動いている。
 目を閉じたまま、とまりは多幸感に包まれていた。目隠しをされている事も忘れていた。
 生来の恋人の、甘やかなピロゥトークに酔っているような気持ちだった。
 まだ、性的興奮は消えていない。むしろ緊張を解かれ、一層の欲求が湧き出してくるの
を抑えている感じだった。この後、男にこんな風に続けられたら、我を忘れてしがみつい
てしまうだろう。自分から求めてしまうかもしれない。それはそれで甘美な妄想だった。
 そんな考えがぼんやりと過ぎっていく。
 男の手が乳房をやわやわと揉んでいる。下から乳肉をすくい集め、指の間を滑らせてい
く。乳輪の周りから円を描くようにそろえた指先を旋回させる。左の乳房から右の乳房へ、
満遍なく愛撫を渡す。
「ふ…、ぅあ……あ……」
 胸の奥が切なくなり、とまりから、また女の吐息が漏れはじめる。
 男は残しておいた乳首を、侵すことにした。
 伏せたお椀程の乳房の先に、小指の爪先くらいの乳首が屹立している。もう感じている
のだ。仰向けに寝ても左右に流れない乳肉には、見かけ以上の媚肉が詰まっているようだ
った。谷間は浅くてもこれだけ立体的なら、少々はパイ擦りなどでも楽しめるかも知れな
い。尻の肉のように弾力がある乳房は、すこし揉みんだだけで快感を生んでしまうのが分
かる。男はおもむろに、可憐な乳首をちゅるっと口内に咥え込んだ。
「ひあっ…!?あぁっ!」
 男の暖かい口内に乳首を吸い込まれ、とまりはその先端から乳房の奥に掛けて走り抜け
る快感に声を上げた。いつ指で弄われるか、いつ口で吸われるか、胸を昂ぶらせて待ち望
んでいただけに、刺激は倍加してとまりを襲った。
「あっ、あっ、あっ…あぁ……ああぁ………!」 
 ねっとりとした舌が、乳首に絡みつくようにねぶる。舌先で乳首の先端をこじるように
舐めつけ、出し抜けに強く吸引したりする。吸いながら唇ではさむように引っ張り、ちゅ
ぽんと音を立てて引き抜く。
「んああっん」
 舌全体を使って、乳首を乳肉に巻き込むように舐める。
 ちゅる、ぢゅるっ…ちゅ、ちゅっ……ちゅぅぅぅ……ちゅるっ……
 熱い快感と共に、乳房を吸われる音がとまりの耳にいやらしく響いた。
 わざと歯先で、乳首に硬質の刺激を加えたりしてアクセントを与えると、とまりは身を
震わせて男の頭を掻き抱き、悶えた。
813♯24アフター 『愁霖(28)』:2007/03/13(火) 20:35:51 ID:EsoI3I5n
 股間は再び分泌しだした愛液で内腿まで濡らしつつある。余った手で、もう片方の乳房
をねっちりと愛撫する。指先で小さな乳首を乳肉の中に押し込めて、胸骨とに挟んでころ
ころと転がしてやる。
「はぁんっ…!あぁ…、いい!……きもち、いいのぉ……!」
 女の三点を同時に責められ、昂ぶっていたとまりの肉体は高みに達そうとしていた。
 処女の身体なれど、性の感度の高いとまりの身体は淫猥な肉の悦びに染まっていく。
「あっあっあっあっ、あぁぁ…んああっ……ふっ、んあぁぁっん……!」
 乳首への責めを、性器への責めを逃したくない本能で、とまりは男の頭を乳房に押し付
けるように抱きかかえた。内腿は信じられない程強い力で手を挟み込んでいる。
 男は二廻りも小柄なとまりに抱きすくめられるようになっていた。
 もはや、写真をどうこうできる体勢に無かった。
 責めを弛め、少女が緊張を解くように髪を撫でつけてやる。
 力を抜いたところで華奢な身体を抱え起こし、自分の身体ごとベッドの中央に動く。目
隠ししたままの少女の顔を両手ではさむようにして自分に向けさせた。
 上気し紅潮した頬に、汗ばんで張り付いた粟色の長い髪が張り付いていた。それを指で
首筋の向こうへ帰してやる。
 奪ってもよかった。
 でも言葉にしてからでないと、奪ってはいけないのだろうと思い、口にした。
「キス、するよ」
 少女の表情に逡巡が見え、わななきながら口を開こうとした。
「え、そん……キ、……んんっ!?ん――――――っっ!!」
 言葉になる前に唇を塞いだ。
 拒絶される前に奪ってしまわなけらばならなかった。
 咄嗟に少女の両手首を握りしめて、腕を吊り上げるように拘束する。下半身にも乗りか
かり身体の退路を断った。
 嫌がって逃れようとする少女の唇を追い、上半身ごと引き寄せる。残った手は小さなお
とがいをつかんで口を閉じられなくさせている。小さな身体が男に引き寄せられ、肌が重
なった。乳房が男の肉体に触れたのを感じ、驚いて隙が生まれた。
 そうして、唇を吸われた。
「んんっ!んん――――」
 最初の襲撃でとまりの舌は引き出され、男のの口内に連れ込まれている。思う様に唇を
吸われ舌を弄られている。もがくうちに舌を取り戻したが、あごを押さえられ、歯を閉じ
て拒絶することができなかった。顔を引いてのがれようとしても、男の唇は執拗に追って
くる。ついには男の顔が上から被さるように覆い、とまりの唇を犯した。
 無理矢理に顎を引き上げられ、天井を仰がされた首がギリギリと軋む。
 流し込まれる唾液に溺れそうになり、何度も咽せ返す。飲み下すほかなかった。
 男はより深く舌を送り込もうと、巧妙に顔と唇の向きをずらしていく。開いた口を横咥
えにされ、とまりは男の舌を喉の奥まで差し込まれた。舌の根元まで、探り這いまわるそ
れに、口内の感覚は奪われて麻痺していく。
 男の胸に潰された乳房の周りを、汗が伝い落ちた。
 告げられて、キスは出来ないと咄嗟に思った。心が拒否しているのが分かった。 
 唇には、はずむとのファーストキスの思い出があった。それは色褪せてはいない、まざ
まざと想い浮かべられる生きている記憶だった。
 男に求められた瞬間に感じた。昏い海辺に流れ着いていた真珠のように光って見える。
 すべてを無くしてもそれだけは残しておきたい大切な光だった。
 唇だけは、と許しを乞いたかった。
 そのを言葉にする前に、奪われてしまった。
 身を委ね、気を許そうとしていたのに、こんな風に踏みにじられてしまった。執拗に吸
われ舌を追われ、とまりは泣き出していた。
 今も、男の唇が舌がとまりの唇を舌を蹂躙している。必死に閉じようとする唇を上に下
に舐め、吸い上げる。無理矢理開いた口に舌を潜り込ませ、歯列を舐め進み、口内で縮こ
まって身を隠しているとまりの舌を見つけ出しては陵辱した。嫌がる舌を吸出し、絡めて
はたっぷりと唾液を交換させようとする。
814♯24アフター 『愁霖(29)』:2007/03/13(火) 20:36:51 ID:EsoI3I5n
 とまりにとって、はずむとの初めては、ささやかな、熱い接触だった。
 月明かり星明りの中、虫の音が回りの全てを隔絶していた。
 はずむの吐息が近づき、目を閉じる前に唇を重ねてしまった。
 合せた唇をすこしだけはずむは動かして止めた。もしかすると、とまりの唇へ舌を差し
出そうとしていたのかも知れない。
 その後、山の夜道を手をつないで歩いた。なにも話ができなかった、淡く、幸せな時間
だった。
 ついこの前まで、一人鏡を覗き込む度に、はずむの触れた唇を指でなぞっていた。
 そんな事さえ忘れていた。
 気付いた時には、喪ってしまった。いろいろなものが、砕け散っていくのを知った。
 抵抗に疲れ、もう男に自分の舌を預けてしまうと、とまりは急に力が抜けていくのが分
かった。男もそれに気付いて拘束を解く。代わりにとまりの腰を抱き寄せ、暴れて乱した
長い髪を手で梳って腕に包んだ。頬に手のひらを添え、やんわりと顔を上向かせる。
「……言うこと、聞くんだったよね?」
 もう分かっていた。彼の要求を拒む事は出来ない。それはとまり自身が課した、儀式の
ルールだった。先程までの性の享楽から冷めつつある思考が、それを理解していた。
 自らが閉ざした視界。相変わらず何も見えず、彼の顔は見えない。触れられ、声を掛け
られないと身体がどこか分からなくなっていく。暗闇で佇んでいる思考すら、自分のもの
かどうかが分からない。
 男の肉体を、とまりは自分の乳房を当てて味わっている。自分の物でない鼓動が聞こえ
る。その音に自分の心臓が呼応していく。合わさった肌の狭間を、どちらのものとも知れ
ない汗が流れた。
 ここは雨の中より孤独ではなかった。セックスの刺激が、そんな不安を消しているのか
も知れない。
――この時間が終われば、なにもかも消えていくんだ
 とまりの思い通りに世界は変わってしまう。
――願うようには変わってくれないのに、ね
 思い出すらも、現実からゆらゆらと乖離していく。
「続けるよ…」
 優しい声だった。雨の中、どうしたのと声を掛けてきた時と同じ口調だった。
 とまりを抱き寄せる腕は温かかった。車に跳ねられそうになっていたとまりを、ずぶ濡
れになって助けてくれた腕もそうだった。礼も言えず固まっているとまりに、痛かったか
いと案じる声も、今のように優しく響いた。
――ひどいことも、いやらしいこともするのに
 女が、男を狂わせるというのは本当だと思った。
 とまりは身体を求め苛まれ、時折、捕食されていくいような恐怖を感じた。
――でもそれは、あたしの望んだ事をしてくれてるから・・・?
 事情も訳も聞かず、とまりの昏い想念を理解して、付き合ってくれているのだろうか。
 とまりがキスを拒めば、この儀式が崩壊するのを知っていたから、とまりが言葉にする
前に唇を奪ったのかもしれない。
 とまりに戻る場所はなかった。それと気付いてとまりを拾った。中途半端に放り出すな
ら初めから関わらなかったのだろう。
 とまりが本気で拒めばいつでも終えられる儀式だった。上手くあしらえば、少女の肉体
を自由に味わうことができるのだ。
 そんな考えに違いないと、思おうとした。
 何もかもが崩壊しすれば、より苛烈な自棄に自分を追いやるしかないとまりだった。
 もう、今より先は、とまりにはどうすればいいのか分からない。
 ただ、彼の求める行為を、これまでのように受け入れるしかないと思った。
 儀式が終わるまで、心を閉ざすしかなかった。
 もし彼の内に触れてしまうと、とまりの何もかもが崩れていってしまいそうで怖かった。
815♯24アフター 『愁霖(30)』:2007/03/13(火) 20:38:43 ID:EsoI3I5n

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *
 
 男の唇が、とまりの耳たぶを咥え、舌でくすぐる。鼻からこぼれた息が寒気のような快
感を生んで背筋を流れる。
「はうぅ、ぅぅ・・・・・・っ・・・・・・」
 切ないあえぎを止められない。大きな手に包まれたふたつの乳房は、ゆっくりと揉みし
だかれて熱くなった。胸の肉が、こんな感覚を生み出すことをとまりは知らなかった。ふ
たたび尖りだした乳首を指で触れられると、たまらなくなって男の肩に爪を立てた。
「ああっ……!」
 男の顔が、耳元から首筋を伝い、肩口に流れていく。熱い息と舌が肌を這う。乳房への
責めと加わり、蕩けるような甘美で頭を一杯になる。脇に近い敏感な肌をちゅっちゅっと
くすぐられると横乳を乳首へと電気が流れた。ぴりぴりと皮膚があわ立ち、痛いほど乳首
を立たせていく。その乳首を、ぢゅるっと唇で吸い込まれ、とまりは甲高い媚声を上げた。
「あ、ああ――――――・・・・・・・・・」
 男の頭にしがみつく。乳首に舌ぬらりと巻きついてくる。総毛立つ快感を逃さないため
に、とまりは男の顔を胸に押さえつけた。空いた乳首を指で摘み上げられる度に、薄い背
中を痙攣させて声を上げた。
「いい・・・・・・!気持ち、いいのお・・・・・・きも、ち、いい、のっっ……んああっ………!」
 男はしがみつくとまりに身を預け、そのまま仰向けに横たわっていく。
 とまりは促がされるまま、はだけたバスローブから腕を抜きとる。汗で濡れたそれを男
はベッドの外へ投げ落とした。とまりは全裸になり、夢中でその肌を男の肉に合せた。
 顔の上でとまりの乳房が柔らかくつぶれる。男は、その柔肉の感触を頬で存分に味わう。
 ざらつく髭の感触すら、とまりには快感だった。
 それが乳首に触れると、いいようの無い刺激が乳腺を昂ぶらせていく。ゆるやかだった
乳肉の肌がふくらみ、ぷるりと張り切っていた。
 男の腹の上に跨るよに乗りかかったとまりの身体を、熱い手が撫で下る。
 なでやかな背中を、しなやかな腰をゆっくりと手のひらが這う。
 尻の双丘をつるりと指先が這い歩く。薄い皮膚の感触を愉しむようなかすかな動きが沸
き立った肉体に染みていく。肌が敏感になっている。目が見えないことが、そうした微妙
な刺激を膨れ上がらせているのにとまりは気付いていた。
 次に何をされるのか、ドキドキして期待している自分を感じる。淫らな期待が、とまり
を雌に変えてしまっていた。
 刹那の後を想像させる、その緩やかさが、理性を塗りつぶしていく。
「ん…ふ、ぁ………ああ………」
 とまりは暖かくゆるやかな心地良さに変わった快感に、蕩けたように小さく息を洩らし
てしまう。お尻を包まれるように撫でられると、腰を突きだしてしまいそうになる。
 鍛えられた筋肉が女の柔肉を纏っている、とまりの尻だった。薄い肌が肉のせめぎで、
しっとりと張りつめている。ふとももから尻肉のふくらみにかけてのラインが素晴らしかっ
た。内腿の手触りを、お尻の割れ目を、ボトムラインを指先で味わい尽くすかのように何
度もなぞりあげると、とまりを仰け反るように悶えた。
 男はとり憑かれたようにとまりの尻を、ふとももを弄んでいる。
 立てた指先が、薄い内腿やお尻の肌に体温を伝える。触れただけのそれが曲線をなぞり、
円を描いて滑る。それだけで腰の奥が熱くたぎらされた。とろりと、あふれたものがクリ
トリスの脇を伝う。思わず尻を突き上げて逃れようとしたが、恥丘のしげみに空しく吸わ
れてしまった。
 何本もの指が、とまりの尻の肉をすくう。尻の割れ目をなぞる。ふとももへ繋がる肉の
ふくらみを熱い手のひらで包んでねっちりと揉みこまれる。尻から内腿へ手がのばされる
と、性器に溜まりきった愛液が流れ落ちていった。
 お尻をかかげるように突っ伏していたとまりは、疼き悶えるような快感に鳥肌を立てた。
小刻みに震えながら、遡ってくる悦楽を感じていた。
「あぁ、んぁぁ…、ああ…、ああ……、いい…、いい……の………ぉ……」
 とまりは、胸の下の男の顔を力一杯、抱きしめた。窒息させてしまおうとすら思った。
 自分のお尻が、こんな快感を生む場所だなんて知らなかった。性器に変わったように感
じる。その性器も、すでに熱く蕩けていた。腿を伝うほど濡れてきている。膣の奥がたぎっ
てくる感覚に襲われていた。
「もっと……あぁ、もっと……し…てぇ………」
 もどかしくて、とまりは知らずお尻を振った。
 とまりの昂ぶりに合せて、男のペニスも硬直していた。
816♯24アフター 『愁霖(31)』:2007/03/13(火) 20:42:20 ID:EsoI3I5n

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

 抱きついてくる小さな身体は、責めを休めるとくったりと緊張を解いた。
 顔に巻きつく腕をほどいて、深く呼吸をする。手は少女の背中や腰をゆっくりと撫でて
やっていた。汗ばんだ胸がじっとりと湿って男の顔を蒸らす。
 荒い息の少女を促がし上体を起こさせると、紅潮した頬は相変わらず淡色の髪を絡みつ
かせている。先程存分に堪能した唇は、薄く開いたまま涎で濡れていた。
 責めのさなかにあったせいで、まだ桃源を彷徨っている様子だった。
「聞こえてる…?」
 聞かれてとまりはこっくりと頷いた。
「責められて、……気持ちよかった?」
「は、…い……」
「どこが、良かったのか聞かせて…?」
「……ぜん、ぶ、きもち…いいです……」
「今はどこを責められて感じてた?」
「……お、しり」
「さわられて、どうだったの?」
「……ぞくぞくって、して」
「感じた……?」
「……はい」
「濡れてた?」
「……はい」
「どこが、濡れたのか言って…?」
「…お、ま…んこです」
「…おまんこを濡らすなんて、君はいやらしい子だね?」
「はい……あたしはいやらしい子です………」
 何を問われても、とろりとした声をまろび出る。性への媚を纏っていた。
 とまりは自分の言葉に興奮していた。
 胸が切なかった。口元がしどけなく緩んで、吐息がこぼれてしまう。
――男を、欲しがって…いるんだ……
 気付いてしまったから、心までが最後の堰を切っていく。心の底まで雌に染まってしま
うのに身体が震えていた。
「僕のも、気持ちよくさせてくれるね」
 とまりは男の言葉をすこしだけ噛み締めた。
「……どうすれば、…気持ちいいの?」
 無言で、男の手がとまりの利き手を導いた。
 男はそれをふとももに置き、内腿にすべらせつつ股間の方に誘導していく。
 目隠しされていても、その先にあるものは想像できる。
 とまりは何をさせられるかを想い、興奮してた。
 やがて、ざらりとした剛毛が手をくすぐる。男の股間も体温で蒸れていた。その中の、
ぶにょりとした肉の塊に、とうとう指先が当たった。陰嚢に違いなかった。男の手が、そ
れを手のひらで触るように指示する。とまりは恐る恐るその肉を手にした。
――これが……た、ま…?
「何か、分かる…?」
「タ、マ……」
 とまりはぼんやりと、そのままを口にした。
「ふふ…、そう、タマでいいよ。キンタマとかは、女の子が言っても可愛くないからね」
 手のひらにぼってりと乗った男の袋は、思っていたよりもふよふよした感じの皮ででき
ていた。腫れぼったく重みのある肉の玉のようなものが、その中を泳いでいるみたいに感
じた。
「ゆっくり、やさしく触って」
 男の囁きを聞き、とまりはそれをすこし握ってみた。体温よりぬるい感じがする袋は、
指の間から余った皮を垂らした。手の中でふたつの塊が揺れ、すべった。ゆっくりと指を
閉じ、それを捕らえてみると、うずらの卵より大きなものであることが分かった。
――結構、おおきいものなんだ…。中を、ぷりっと動いてく……
 自分に無い器官を、目隠しのまま触れたことで羞恥よりも好奇心が増した。
817♯24アフター 『愁霖(32)』:2007/03/13(火) 20:43:13 ID:EsoI3I5n
 陰嚢と、中の睾丸を指と手のひらの上で転がし、揉み上げてみると、男の吐息が甘く
変わった。
――きもち、いいんだ……
 ゆっくりと手のひらで揺すり、指で掬うようにいらう。袋の中をつるりと睾丸が動く。
指で壊れもののように摘もうとしたが、男が痛がったのでやめた。代わりにあやすように
指先でゆるゆるとくすぐってみると、男が小さく喘いだのが分かった。
 男の急所であることくらいは知っているが、性感帯なのだとは思っていなかった。それ
よりも、男の息が切ない風に色を変えているのに、心が躍るような自分がいるのにとまり
は気付いていた。男の反応を探りながら鼓動が高鳴った。
 待ち切れないように、男の手がとまりの手を先に急かした。睾丸を弄う手をそのまま上
へ追い立てていく。目の見えないとまりにも、その先のものは分かっていた。
「これが何か言って……?」
 手の中に、それが触れた。
「お……、おちん、ちん……です」
 それは自分にあるどの部分よりも、熱く、硬い肉の器官だった。とまり手の中で、それ
はびくりびくりと蠢いた。胸がぎゅっと狭まるような驚きを感じて思わず引きかけた手を、
男の手が止めた。それは、もっと感触を味わうように命じていた。
 張りつめた皮と、そのすぐ下を血管らしき管が幾本も浮き出ている手触りがある。それ
らをまとう様に、硬く熱い肉芯を反らしている。その先端は丸みを持って、本当に肉厚の
茸のような形をしている。それに指先を這わすと、ぬるりと濡れた先端には、尿道口らし
い小さな割れ目があり、その裏側へ続くように筋皮が引かれ、伸びていた。
 目を閉じたとまりには、まるで想像できない形だった。記憶にある、父親や弟のそれと
は明らかに違うものだった。
 手触りから想像するには、とまりの体のどの部分ともかけ離れた器官だった。自分が触
れられる身体の肉の、どこよりも硬く、熱かった。時折生き物のように蠢くそれに、とま
りは少し怯まされる。
 男の顔がとまりの耳にすり寄り、つぶやく。
「何に使うところか、言ってみて」
 男は、とまりを言葉責めにするつもりだった。それと知って、とまりは応じていた。
「…おしっこ、するところ」
 男は鼻で微笑んだ。
「正解…。だけど、もうひとつあるんだよ?保健体育でも習ったよね…?」
「…セックスに、使うの」
 言葉あそびだった。
「どんなふうに使うのか、聞かせて欲しいな…」
 男が何を言わせたいのか、知っている。
「女のあそこに、入れるの…」
「あそこって、どこに?」
「お…、お、ま…んこ……に………」
「入れて、どうするの…?」
「中で動かす…の……?」
「そうだよ。おまんこの中で一杯動かして、女の子をいやらしくさせてしまうんだ……」
 男が甘く淫靡に耳元で囁く。とまりの背がぞくりと肌が粟立つ。
「ぁ…ぁ……」
 淫らに変わっていく自分の痴態が脳裏をよぎる。
「中で一杯動かされた最後は、どうなっちゃうのかな…?」
 想像してしまったことを、口にしたかった。
「せい、えき…だされ、ちゃう…の……」
 顔が熱い。恥ずかしいだけではない。いやらしいことをされて、いやらしく変わってし
まう自分を想像して昂ぶっている。
 そんなふうにされたいと思っている雌の自分を自覚して、愛液が湧いていた。
「そういうふうに、されたいんだね?」
 とろりと溢れたものが、内股を伝った。
「は、い……」
 自分は、もうすでに雌になったのだと思った。男の性に蹂躙されたかった。
「その前に、僕のものを可愛がってくれるかい…?」
 手の中のペニスがひくついている。ひどく熱い。薄い皮がぱんぱんに張り切っている。
818♯24アフター 『愁霖(33)』:2007/03/13(火) 20:44:17 ID:EsoI3I5n
 それを、ゆっくりと包むように握り締める。形容し難い硬さだった。握ったまま上下
にしごくと、表皮が肉茎を被せるようにずれ動く。ペニスの皮を、亀頭の雁に被るまで引
き上げ、竿の根元まで引き下ろす。やさしく握りこんだ手で、何度もそれを往復させてや
る。
「んん……、うぅ………ん………」
 その刺激に男が深く嘆息し、堪えられないかのようにとまりの首を抱いた。それが嬉し
くてペニスへの愛撫を繰り返す。直に、亀頭を指の間にくぐらせるようにしごくと男の反
応がよいのを知った。もっと性感帯を見つけて、男をよがり狂わせてやりたいかった。昏
い炎がとまりの胸で揺れた。
 指先でペニスの鈴口をくすぐり、裏筋に触れる。ねっとりとした分泌液で濡れていた。
それを指の腹でのばし、ぬり広げてやる。滑りやすくなった亀頭を指でこねるように嬲っ
てやると、男は切な気な息を吐いた。
 遊んでいた左手を玉袋に伸ばし、緊張で凝り縮んでいるそれを揉みほぐしてみる。右手
の親指と人差指でつくった輪の中に、ぬるついている雁首を潜らせて男の皮ごと亀頭をし
ごいてみると、ペニスがびくびくと痙攣した。手の中の陰嚢がふくらみ、睾丸が蠢いた。
――もっと感じさせてやる
 自分の肉体がされたことへ復讐してやろうと思った。
 男自身のこぼしたカウパー腺液が、とまりの手をぬるぬるに濡らしている。ペニスがひ
くつくのを掌に感じる度に、とまりの心も淫らな悦びで濡れていった。

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

 とまりは前屈みになって両手を男の股間に差し入れ、ペニスを愛撫していた。
 お尻をシーツの上に落とし、膝を開いて女座りになっている。股間が熱かった。男のも
のを弄りながら、身体が昂ぶっていく。膣奥から滲みでてくるものを感じた。ほとびて開
いた性器が、シーツを濡らしているのが分かった。
 男の手が小さな頭に乗せられている。とまりの指が亀頭の微妙な部分を刺激すると、そ
の手が髪を掴み、力んだ。
 たまらなくなった男は言った。
「…フェラチオって、知ってるよね?」
 フェラチオ、という言葉の響きが淫靡にとまりの耳をくすぐった。紅潮した頬で、男を
仰ぐ。
「はい……」
 口で、舌で、ペニスに奉仕するのだ。
 できるよね、と男が訊く。
「そんな、の……どうすれば、いい…か……」
 とまりの喉に、ねばい唾液が絡んだ。
 手にしている、男の性器を口に含み、舌で舐る。
 薄っすらと、そのうち求められるに違いないと思っていた。手にしたペニスが一段と硬
く熱く張りつめていく感触があった。とまりの唇を潜る歓喜に震えるようにひくついた。
 クラスメイトで、女の子同士の話題にセックスについてが挙がる事はあまりなかった。
少なくとも、とまりの周辺にはいなかった。だけど部活の子たちは、また違った。男の子
との経験をあけすけに口にし、具体的な性交の話をしては嬌声を上げて騒いでいた。当然
とまりはそんな話題には加われず、何気に聞き耳を立てては照れていたたまれなくなって
は理由をつけては中座していた。赤くなった顔を見られては、せんぱいカワイー!などと
囃されたものだった。うぶなとまりは、彼女らにからかわれていたのかも知れなかった。
 そんなとまりではあったが、年頃の少女なりの、性への好奇心はあった。
 背伸びして覗く女性誌には大抵、刺激的な見出しが躍っている。部の子たちが話題にし
ていたような事は、そうした媒介で補完されていくのだった。
 はずむへの想いが煮詰まると、妄想の中で指が動いてしまう。
 以前も今も、その時のはずむは、男の子だった。いつも自分ははずむに責められる立場
だった。
 それでも、その妄想のセックスは、身体を、肌を合せるイメージでしかなかった。はず
むと身体を重ねて、肌の感触と温もりを分かち合う。いつのまにか越された背丈と、意外
としっかりと厚い胸に身を預け、痺れるような快感に浸った。自分の上にあるはずむの身
体が、とまりを感じさせている。それ以上に、はずむの肉体を想像したりはしなかった。
 そんなふうに、ふたり寄りそう事がセックスの快感だと思っていた。
819♯24アフター 『愁霖(34)』:2007/03/13(火) 20:46:23 ID:EsoI3I5n
 現実は、違った。
 火照り濡れた肌で、熱く濡れた肉を感じ合う事しかなかった。
 理も知も、感情も想いもなく、ただの悦楽のために相手の肉体があった。
 差し出しさえすれば、心だって性の饗宴にくべる供物であった。
 愛しい人も、その焦がれる想いすらも背徳の熾き火となって、じりじりと雌性を炙る。
 性への恥じらいも畏れも棄て去るなら、女にとってセックスは魔そのものかもしれない。
 現に、初めての行為を、セックスを悦楽として受け入れ、求めている自分がいた。
 今、相手への思慕も恋愛も無い。初めて会った異性に肌を見せ、触らせ、性器を受け入
れる。代償は自分の女の肉体が秘めた、性の快楽だった。
 とまりは、その虜なっていく自分を受け入れていた。戻れる場所は脳裏から無くなって
いた。
 とまりの処女性を、心から捧げようとしていた異性はもういなかった。
 今は手の中の相手の性器を、自分のおんなが弄ぶのを想像している。
――おちん、ちんを……、あたしの口で、感じさせる…んだ……
 どうすればいいかなんて知らなくても、できることだった。
 手の中の肉茎をどう弄ると、男が感じ、悶えるかを思うと、とまりの口内で唾液が湧き
出してきた。
 手の中のペニスを弄びながら、それを口一杯にほおばり、口中に感じたいと思っていた。
「まず、舌を出して…。根元から、先までをじっくりと味わいながら舐めるんだ……」
 男の言葉に、心が痺れていく。 
 言われるままに唇を開き、舌を突き出すように伸ばす。視覚を奪われているせいで距離
感が分からない。伸ばした舌で空間を探るように、手にしているペニスに口元を近づけて
いく。鼻が、男の臭気を吸う。ペニスの匂いなのだろう。烏賊の乾物とゆで卵を混ぜたよ
うな匂いだった。不快さはなかった。むしろ、じわりと脳髄を痺れ、胸が熱くなる性臭だっ
た。
――んんっ……ん、ふ……んっ……ぁああ………
 女を淫らにさせる匂いを、とまりは知った。
 握った指の当たりで、舌先がペニスに触れた。そのまま舌全体を肉茎に這わしていく。
 頬に、熱い亀頭が当たった。
「ん…あぁぁ……」
 ペニスの感触に思わず嘆息が洩れる。
 舌を、ペニスの裏側に沿って舐め上げていく。思うより長く、太い。裏筋に届いた舌先
を尖らせて張り出した雁の裏をくすぐると、男がうめいた。
――ここが、感じるんだ……
 猥褻な発見に興奮する。
 男の竿部に唇を横咥えするように添わして、舌をねっとりと這わす。ペニスの温度が舌
に伝わってくる。ペニスを握っっていた指が、あふれた唾液でべっとりと濡れていた。舌
を離さないで、すこし手を動かしてみるとにゅるりと皮が滑り、硬い肉幹をなめらかにし
ごけた。
「んん…ッ、ぁ………」
 男が艶っぽくうめいた。それが耳に届くと、とまりも熱くなっていく。
 裏筋を尖らした舌先でくすぐり、亀頭の雁裏を抉るように舐め、回す。唾液とは違う粘
液を舌に感じる。鈴口からこぼれ落ちてくるカウパー腺液だった。ねっとりと薄く少し苦
味を残していた。
 とまりは、ペニスが先走らせた体液に、精液を想像していた。
 女に向けられた、男の性欲のすべて。それを出すために女の身体は存在しているのだろ
う。
――男と女って、それだけだ……
 とまりの責めが、男の性感を高潮させている。唾液で濡れた舌を這わし、指で亀頭を弄
ると、手のひらの中の陰嚢が引き攣るように震えるのを感じる。その反応にとまりの性器
が熱く濡れる。
 そのペニスがもたらす快楽を、身体中が期待していた。
 女の恥じらいも、想い人への愛慕も棄てて、ただ性だけに身を投じたとまりだった。
 処女の肉であっても、それは変わらなかった。
 男に命じられる前に、とまりはそれを口内に含んだ。
 硬い。そして熱い。何度感じても胸が高鳴る。とまりの口内一杯に感じている男性器は、
張りつめて、脹れきっていた。じゅるりと唾液ごとすすると、口の中で動いた。
「ん…、ふ……ぅ……」
 それがどちらがこぼした息なのか判らなかった。