ガンダムSEEDエロ総合スレ Part24

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670夢の痕1

 「ここだけでイキそうな位感じまくって、何が違うって言うんだよあんたは!? ホラ、嫌なら抵抗してみろよホラぁ!!」
 「ひぅうッ、ぅぅうぁああッ、い、ァああッ!!」
 
 怒鳴るに近いシンの声に嫌々と首を振り、力ない手で腕を引っ掻く。嫌がってもシンの指が乳首責めは終わらない。
 人差し指と親指の間でギュッと押し潰し、そのまま前へと引っ張って離す。柔らかい乳房に指で乳首を押し込め、
 弾力に跳ね返ってくるそれを今度は親指の爪で弾く。開きっぱなしの口で喘ぐばかりの表情の女――
 カガリを後ろから覗き込み、シンは深い紅の双眸を細め嗤った。

 首筋に掛かる金髪を口で銜えて振り払い、すべらかな首筋の肌に舌を這わせる。
 蛞蝓が這うが如くねっとりと薄い肩から細い首筋までを舐め上げた後、
 今度は蛇が舌を出すようにチロチロと唾液に濡れた肌を再び舐める。
 カガリは逃げるつもりでの仕草であろうが、首を逸らして嫌がる姿は細いその首を好きに冒してくれと云わんばかりで、
 指の乱暴な刺激に対し労るような舌での愛撫を続けていく。
 潤みきった琥珀色の眸ふたつが隠しようのない戸惑いと混乱に染まって、怒りより答を求めて縋るようにシンを見下ろしている。
 それこそがシンの胸に在る貪欲な征服欲を掻き立てているのだと――
 他でもない、誘っているのは己自身だということに、カガリは気付いてはいない。シンは乾き始めた己の唇をぺろりと舐め、
 聞こえない程の小さな声で呟いた。
 アンタが俺をおかしくさせるんだ。――もう、後戻りなんか出来ないよ、アンタも、俺も。
 
 執拗なそこへの刺激だけで甘たるい痺れが続く最中、そこより熱い蜜が溢れシーツを濡らす。
 女の身体が与えられる刺激に応えている正にその証が、戸惑う己の思いを無視して溢れ零れる。
 ――奥まったあの箇所が苦しい程に疼いて堪らない。

 「シン…も、ぉ…や、やめてくれ…ッ、こんなこと…違う…ッ」
 「何が違うの?なぁ何が違うって?――乳首弄られて喘ぎまくって、ココだって濡らしてるアンタが何を言っても無駄なんだよ!」

 背後からシンの脚が細い脚を跨ぎ引っ掛け、グイッと後ろへ押しやった。
 無意識の内に内股になっていた脚は力強いシンの足が導くままに大きく股を開いて、
 既に濡れてシーツに薄い沁みを作っている秘所が背後のシンの目にも露わとなる。
 守るには薄く頼りなげな金色の茂みは、湧き上がる蜜液で濡れ輝いていた。
 薄く少ない茂みの上からもいやらしい恥丘の輪郭がはっきりと分かる。
 深い谷の秘裂までその目にしたカガリが、感じ入った女体の急所から唇を噛んで目を逸らした。

 「すげぇ…シーツまで濡らしちまうほど良かったんだ…?びしょびしょにして……そんなに気持ち良かった?」
 
 ごく、とシンの息を呑む音が耳の近くで聞こえた。カガリの肩から首を突き出し、しどどに濡れたそこを凝視している。
 見惚れたように吐息を吐き出してじっとそこを見つめるシンの視線から逃れようと脚をばたつかせるが、
 枷となったシンの足がしっかりと固定して足を閉じることは叶わない。

 「やっぱ胸より…こっちの方がいいよな…?」

 するりとシンの片手が降りていく。やめろと声を上げる暇もなく、硬い指が臍の下を進み茂みを掻き分けて、プツンと膨らんだ秘芽を探り当てた。
671訂正:2006/08/25(金) 01:58:08 ID:FGpcQ/Ad
>670
タイトル1→3
672夢の痕4:2006/08/25(金) 02:04:14 ID:FGpcQ/Ad

 ……ぐりッ。
 「ひッ!!」

 ビクンッと跳ね上がる腰。甘皮の上からでもそこに与えられた刺激は乳首に感じたものとは比べ物にならない、
 それこそ身の毛がよだつ程の快感だった。

 「やっぱココは小さいのな?…ココだったら…直ぐにでもイケるんじゃない?――見てみたいな。
 アンタがイくトコ。俺に見せてよ…?」

 ぐ、ぐりゅッ…ぐちッ!!
 散々乳首を嬲っていた両手が今下肢の尤も敏感な箇所を割り開き、
 甘皮を左手の指二本が捲り上げて愛液に濡らした右手指がグリグリと充血しきった淫芽を刺激する。
 ガクガクと腰が震えた。脚が引き攣る。目を大きく見開いて喉を反らし仰け反る。堪らない、堪らない。
 乱暴な指遣いでは敏感過ぎるそこは苦痛すら覚えるだろう愛撫も、たっぷりと溢れた愛液が潤滑液となり
 痛みを知ることなくただただ愉悦だけをそこに感じる。
 心臓を刷毛で直に撫でられたような――一ゾワァッと身体の内を駆け抜けた恐ろしい程の快感。
 心臓から広がったその感覚は電流の速さで腰を駆け下り、子宮を穿つ。
 毛細血管までも侵す愉悦の痺れが手足の指先まで奔った。

「くァあッ、あァぁああぁああッ!!」

 嬌声というよりそれは悲鳴だった。限界まで瞼を押し上げたその目のふたつから、生理的な涙が零れ落ちる。
 目の前にバチバチと火花が散って、視界が白濁していく。
 シーツから腰を上げ、シンの枷に捉われながら太腿を震わせガクンガクンと揺れる身体。
 ――絶頂に登り詰め、呼吸さえままならず悲鳴を上げてシンの腕に無我夢中に縋りついて爪を立てるカガリ。
 ――行き過ぎた快感は拷問の如し。身体が受ける快感に、精神<こころ>は追いつけない。
 ボロボロと零れる涙を拭うことすら出来ずに、引き続く余韻の中シンの腕に抱かれ震える柔肌の身体。
 身体を侵食する快楽に涙腺は決壊し、溢れる涙が頬を辿り顎を滑ってシーツに落ちた。
 ぽた、ぽた、と小さな水玉の浮かぶシーツには、秘芽への愛撫で悦を強請り再び溢れた愛液が先刻よりも大きな泉を生んでいる。
 ヒクヒクと物欲しげに痙攣している秘肉の動きを、己の身体ではないと――だらしなく開いた唇から否定しようとして――
 だがもう、声は出ず、切なく乱れた呼吸が続くばかりだった。

 「ァぁああーッ!! ひぁぁッ、あぅうぁぁああッ…!!」

 喉が裂けるほど声を上げて、か細い身体はもう何度目なのかも分からない絶頂に戦慄いた。
 シンの纏っていた軍服のインナーが頭上の上で細い手首に巻きつけられ、脚の間に顔を埋めるシンの肩に縋ることも出来ず、
 裂けるほど押し広げられた脚を何度も引き攣らせながらカガリは喘ぐ。膝を立たせひし形に無理矢理開かせられた脚にじっとりと汗が滲んでいた。
 押さえ込むシンの手も何度か汗に滑って、時折小さな舌打ちと共に腿を押さえる指に一等の力が篭められる。

 ちゅ…ちゅッ…くちゅッ…ちゅく…っ。
 「ひィっ…ぅぁンッ!!…は、うぁあぁァ…っ」

 ドロドロに熔けた粘膜の中を這い巡るシンの舌。溢れて止まらない愛液を掬い、震える膣の中を舐め回す。
 
 舌が愛液と膣壁を打って鳴らす音が己の上げる嬌声に混じってシンの耳にも届いた。シンの口淫によって蕩けた箇所が悦び奏でる淫靡な音色。
 嫌々をするように首を振っても鼓膜に焼きついて離れない。
 狭い膣内を下から上へ掬い上げて動くシンの舌。膣中を侵すばかりではなく、浅く舌を引き抜いては強引に開かせた秘裂の入り口から
 秘芽までを犬のように唾液の音を立てて舐め上げる。
 浅く挿入された舌先のじれったさから、敏感過ぎる秘芽を舌が押し潰す眩暈を起こしそうな鋭い快感。
 シンには嫌がるカガリの抵抗も喘ぐ声もまるで届かない、四つん這いに這い顔だけを深くカガリの股間に埋めて愛撫を続けていた。
 盛りのついた犬のように雌の蜜をしゃぶるシンの姿を、愛撫を施されながら見つめることしか出来ないカガリ。
 薄暗い中でも輝く鴉髪が俯き行為に没頭する彼の表情を隠している。シン、と掠れた声で呼んでも返事はない。
 応える声の代わりに、秘芽をシンの唇が挟んで吸い上げた。
673夢の痕5:2006/08/25(金) 02:09:48 ID:FGpcQ/Ad

 「ひッ!!…ィぁあ、あァ――ッ!!」

 シンの下歯の硬いエナメル質が甘皮を剥かれた秘芽に当たる。唇で柔く食み、吸い上げて擦り付けられる歯の硬さ。
 ビクビクとシーツの上を跳ねる背中、もうイキたくはない、苦しい、辛い、なのにそこを弄られれば際限なく強制的に登り詰める身体。
 ぶわっと素肌に湧き出る汗とぼたぼたと溢れて頬を汚す涙。
 ――違う、違う。こんなのは、違う。間違ってる。これは――夢だ。
 快楽責めに遭いながら、今だ手放せずにいる理性をこの現状をを否定することで辛うじて繋ぎ留めていた。

 「んっ…すごいな。舐めても舐めても溢れてくる。これじゃキリないよ。あんた濡らし過ぎ。
 なぁ、さっきからイキまくってるけど、大丈夫?まだ指だって入れてないのに、こんなに感じまくってさぁ。アレ射れたらどうなるんだろうな」

 口周りを愛液に汚し淫猥に濡れた唇を手の甲で拭って、シンはカガリの股間から顔を上げ笑いかける。
 絶頂を迎えた脱力感にぐったりとしているカガリが荒い息を零し、重たい瞼を持ち上げて新を見遣る。シンは愉しげに唇を歪めて笑った。
 シーツに沈むカガリの腕の傍らに片手を付き身を乗り出して、秘裂の蜜を掬い取った指をカガリの目前まで突き出す。
 筋張った指の間を粘つく粘液が糸を引いている指を広げられ、ぷつり途切れた糸が重力に従いねっとりと落ちていく様を、シンは満足そうに双眸を細め見つめていた。
 カガリの視線はそこから離れた。痛い位に首を横に捻って目を、顔を逸らす。シンは薄い笑みを浮かべたままどこか夢を見るような調子でカガリに語りかけた。

 「なあ見てよ。――あんたが俺に感じて、イッた跡だよ。アンタには分からないだろうけど、俺は嬉しいんだ。アンタが俺を受け容れてくれた――
 身体だけでも、それだけでも……」
 「シン……」

 頬を紅潮させ、呟くシンの双眸にカガリは映っていない。語りかけているのかそれとも独り言なのか、判断の付かない呟きにそっと名を呼んでみる。
 そこで漸くシンの紅い眸がカガリを捉えた。…何?と微笑を浮かべて緩く首を傾げるシン。鴉色の髪、紅い瞳。微笑む表情。
 ――それらに云いようのない違和感を覚えて、だが口にすることもせずにシンを見つめる。シンは、あの「シン」が、私にこんなことを望むだろうか……?

 「何考えてる――?」

 俯き意識巡らせるカガリに、低く響くシンの声が耳を打ち、強い力で顎を掴まれ意識と視線を再びシンの元へと求められる。

 「――つまんないこと考えてんなよ。すぐに何も――……考えられなくしてやるから」
 ずぐッ…!!
 「ひィん…っ!!…ぁ、ハァぁあんッ、あぁうッ…ぅああッ…」

 二本の指が秘裂を割って突き立てられた。
 存分に濡れた箇所で受け止めた指は痛みこそ感じなかったが、舌での愛撫とは違う、硬い指は舌では届きようの無かった深くまでを掻き回し、抉っていく。
 喘ぐ声が――奥を弄る指の動きに合わせて唇から漏れた。ぐじゅぐじゅと泥濘を掻き混ぜるような音が聴覚を刺激する。嫌という言葉が出てこない。
 こちらの意志すら汲み取らず一方的な行為を行われているのに、あれ程嫌と否定し逃げようと必死でいたのに、喉から溢れる声にその単語が含まれることはなかった。

 「ひぃン、あっ、シン、シンッ…んァあああ!!」 
 「またイッたんだ?…中で俺の指銜え込んで締め付けてる…ほら、分かる?こうして指動かすのもキツいよ?」
 「ぅああッ、ぁうンぅううッ!! そ、そこッ…ひ、ァあああッ」
 「何?ココがいいの?……ココ擦られるのが、そんなにイイんだ?なぁほら、イイならイイって云えよ」

 ぐじゅぐじゅッ…ぐしゅッ、ごりゅッ…
 中のざらついた壁をゴリゴリと無遠慮にシンの指が擦った。きゅんッと奥にまた新たな快い疼きが生まれて一瞬に脊髄を駆け上がる。
 数え切れないほどの絶頂に追いやられ、次第に意識は理性ごと白く濁っていく。屈辱も、困惑も、躊躇も、幾つもの疑問も全部、シンの与える快感に呑まれて――
674夢の痕6:2006/08/25(金) 02:14:41 ID:FGpcQ/Ad

 「イイッ…ぁああっ、シン、っンぁ、そ、そこ…ひぁッ、んぅううぁああんんッ!!」

 意識のないままに、自ら快感を認める声を上げていた。ひとつ唇から零れれば後は躊躇なく続いていく声。
 羞恥も何もかもかなぐり捨てて――そこに燐片ほどに遺っていた彼への想いすらも放棄して――
 腰が深くを求めて浮き上がる。
 踵を持ち上げ、足の爪先で腰を上げて背をシーツより浮かせ、頭をシーツにめり込ませて背中を反り上げた。
 ほんの少し腰を使うだけで、シンの指が中深くの一番敏感な箇所に巧く当たる。
 態とそこから外れるように動くシンの指を追いかけ、腰を揺らした。

 「ァ、あッ…ァあッ、ンぁあっ!! シン、ぁはぁあっ…!!」
 「すげ…自分が何してるか分かってる? 自分で腰上げて振って、やらしートコ見せ付けて……」

 息を飲み込むシンが見下ろす箇所、鮮やかなピンクが摩擦で紅く色付き粘つく愛液に濡れてヒクついていた。
 荒い呼吸と喘ぎに合わせて狭い口が物欲しげに指を飲み込みながら開閉する。
 仰向けになった格好でも大きすぎる乳房は丸い形を保ったままで、ツンと勃ち上がった乳首が乳房震えるその都度
 淡いブラウンピンクの残像を描いていく。
 泣きながら、喘ぎながら、自由の利かない手でシーツを掴み髪を振り乱して喘ぐカガリ。
 開いた唇の中から扇情的に覗く舌。唇を汚す唾液が尖った顎まで伝い落ちている。
 涙濡れた金色の眸は虚ろ、やがて身体を蝕む快楽だけを追いかける為に自ら瞼を下ろして視界を塞ぎ、
 きゅっと眉間に眉顰めて全身の感覚を子宮穿つ快感にのみ委ねたその様。
 
 ――もう直ぐ、もう直ぐだ。シンの唇に一等酷薄な微笑が浮かんだ。
 
 「ァ、あッ、シンぅっ…あぁああッ、も、ァま、また…ン、ひィんんん――ッ!!」

 離すまいとシンの指を銜えた肉襞が引き際のそれを締め付け、浅ましく蠕動する粘膜が嫌々と硬い指の節に絡んでいく。
 だがきつい抵抗も無視してシンの指は鍵型に関節を曲げて中を掻き乱しながら大量の愛液と共に冷たい外へ――
 結果鋭敏な粘膜は狭い口の最後まで擦られることとなり、カガリは泣き声を上げて達した。
 ずぼっと栓を引き抜かれたような音がして、受け容れていた箇所が余韻にひくつく。
 指を銜えていた分だけ開いた口が外気に撫でられ、ぞくとする寒気さえ今はオーガズムを呼び起こすモノでしかない。
 中を犯していた指を喪い、そこに残るのはたまらない飢餓感。グズグズと続く快感の種火は次の大きな刺激を求めたままで消えはしない。
 途中から支える力を失って、中を突き立てるシンの指を軸に背を持ち上げていた脚が弛緩し鈍い動きでシーツに再び沈んだ。
 声は掠れ、息を吸い吐けばひゅうひゅうと喉笛が鳴る。涙でぼやけた向こう、手首まで愛液に濡らしたシンが、
 指に纏わりついたカガリの体液を口に銜えてしゃぶっていた。

 「なぁ、アスハ…?」
 「ン、ぅ……」

 シンの声は甘い。

 「もっと気持ち良くなりたい?」

 甘いささやき。毒と同じく。

 「なぁもっと太いので――俺のでアンタのココ、掻き回してやるよ。今以上に気持ち良くしてやる。……なぁ、気持ち良くなりたいだろ?」

 こくんと素直に頷いた。
675夢の痕7:2006/08/25(金) 02:17:36 ID:FGpcQ/Ad
 
 何かを考えるのが億劫だった。確か、シンに抱かれる前までは『何か』を必死に思い出そうとしていたような気がする。
 何かを――でも、もうその時己が何を考えていたのか、忘れてしまった。思い出す必要等ないから。

 「――それでいい、それでいいんだ。もう……」

 もう?

 「戻らなくていい。ずっとここに居てよ。――ここに、居ていたいだろ? 俺に、気持ち良くされていたいだろ? ずっと――」

 戻る? 何処に? ずっと此処に居る。気持ち良くされていたい。シンにずっと――

 (――…リ…)
 シンの唇が近付いてくる。ゆっくりと瞼を下ろし、それが重なるのを待つ。
 
 (――……カガリ……)
 耳元で、誰かの声が聞こえた。誰だろうと考える気もない。ただ、己は、シンの与えるもの全て――
 快感を受け容れるだけだから。他は何も要らない。何も、必要ない。

 (――カガリ……)
 名を呼ぶ声は続いている。誰――? 誰だろう、自分の名を繰り返すのは。 
 聞き覚えのある声。 良く知った声。遠くからゆっくりと、確実に近付いてくる声。

 「ここに居ろよ……ここはアンタが望んだ世界。俺が願った世界。
 赦されたいアンタと、アンタを奪いたい俺の――二人だけの世界。
 ここでは俺はアンタを憎まずにすむ。
 アンタだって俺に、憎まれずにすむ。嫌だろ?
 もう傷つけあうのは沢山だって、アンタと俺の悲鳴が、創り上げた世界。
 ここにアイツは要らない。アンタと俺だけがいればいい――
 なぁアスハ……?」

 シンの声に瞼を持ち上げた。そっと。――ぼんやりと視界に映る、シンの表情。
  
 「――アスハ、――……カガリ………」
 (――カガリ…!!)

 シンと、その『声』が、重なった。
 
 
 その声は――
 

 「アスラン――!?」
676夢の痕8:2006/08/25(金) 02:21:42 ID:FGpcQ/Ad

 虚ろな双眸に強い光が再び宿る。叫ぶように声を上げた。――張りのある強い声が空気を震わせ、己の鼓膜にも響く。

 目前まで近付いた「シン」の顔――血色の紅と、鴉色の髪の、「シン」が昏い眸を見開きカガリを見つめ――
 苦渋に顔を歪めて次の瞬間、硝子が砕ける音と共に整ったその顔の中心が大きな罅にまみれ、
 蜘蛛の巣の如く幾筋もの傷を広げて……――

 ――パァアアアン!!
 
 
 「カガリ!!」
 
 硝子が散る音に続いて聞こえたのは、アスランの声とパン!と乾いた掌の…頬を打つ音だった。
 
「――アスラン……」
 呆然と見上げた視線の先には、己の表情を心配げに伺い見つめるアスランの碧の双眸があった。
 濃紫の髪を額に垂らしたアスランが、目に掛かる前髪を掻き上げることもせず鼻先が触れそうな近い距離で
 じっとカガリを見つめている。
 アスランの後ろには良く知った――と言うより何の変わりもない、オーブの公邸の中にある自室の、見慣れた風景がある。
 暫くじっとカガリを見つめていたアスランが、一度だけ瞬きした後ホッと息を付いて乗り出した身体を離す。
 カガリと共に同じベッドで過ごしていたアスランはバスローブ姿で、ベッドのスプリングを軋ませ狭いベッドの端に腰をかけ、
 ベッドの上に呆然とした顔で目を見開き動けずにいるカガリを振り返り見遣った。

「ごめん……すごく魘されてたから。……悪い夢でも見てたのか?何度呼んでも起きなかったし」
「魘されてた……?――夢…?」

 気付けばびっしょりと肌が汗で濡れている。頬にも額にも汗で髪が張り付いていた。
 手の甲で額の汗を拭い、アスランの言葉を反芻してみる。夢――を、見ていたのだろうか。魘される程の悪夢を?
 だが思い出そうとしても夢のこと等何一つ浮かび上がってはこなかった。夢を見ていたとしたら、一体魘される程の悪夢とは何だったのか。

 「大丈夫か?すごく顔色悪い……――って…」
 「ああ、大丈夫だ、悪かったな起こしてしまって」
 顔に張り付いた髪を手で払いながら苦笑するカガリに、アスランの言葉が途中で途切れた。碧の目がじっと、カガリの乳房を凝視する。
 「アスラン…?」
 「その痣、どうした?」

 差すアスランの指を追って辿り着いた己の身体に視線を落とし、カガリは声を失った。
 ……思い出してしまった、あの悪夢を。全て。その瞬間に。
 くっきりと掌の痕が残る右の乳房。きつく握り締められた痣のような、赤黒い痕。痛みはなくともその色は、あの――臙脂の衣を思い出させる。
 よろめいた身体を支えようと脇に伸ばした腕の、先の指が硬く細いものに触れる。
 恐る恐るそちらを見つめて――何悪夢、は、終ってはいないのだと、知る。
 
 黒い一筋の髪。アスランのものでもなければカガリのものでもない、鴉色の。

 『 今 回 は、還してやるよ 』

 視界の端に、紅い双眸の少年の影が見えた――気がした。

                                       end
677名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 02:26:19 ID:efKP5Wfi
おお、久々にリアルタイムに立ち会ったー!

真夏の作品らしい、エロエロしくもちとホラーっぽい
展開ですな。ここのところシンカガ゙不足だったので
堪能させていただきました。GJ!
678シンカガ・フラガ兄書き手:2006/08/25(金) 02:30:17 ID:FGpcQ/Ad
一部見事に改行ズレてすいません。
投下しながら改行じゃなく、改行してから投下すれば良かったよ。

フラガネタはその内ぼちぼちと投下させて下さい。
それではお邪魔しました。