日が少しだけ傾いた頃、デイジーは自発的に目を覚ました。不思議と、朝目覚めた時よりもずっとすがすがしい気持ち。いつもの悪夢を忘れ
させてくれる、とても穏やかな眠りだった。
でも何か・・・・落ち着けない気分。今すぐ、何かをしなくてはならないような気がする。
デイジーは何かに急かされて、寝ている間に着くずれたドレスを直し、足早に自室を出た。
ドナルド、あなたなのね
確信してデイジーは、謁見室の地下へと降りていく。
ハイヒールの音が階段に反響する。音の合間に話し声が聞こえて、デイジーは思わず足を止めた。聞きなれた、小さな整備士と設計士の笑い
声だった。階段を降りきって、静かに礎の間を覗き込む。
そこに居たのは、王妃様と、整備士達と、マーリン様。それに、見慣れない真っ白なドア。
デイジーがドアに注目した瞬間、ドアが大きく揺れ、勢い良くドナルドを吐き出した。
すぐに、笑みがこぼれた。
本物のドナルドが、そこに居る。
デイジーの瞳から、熱い涙がこぼれてドレスの胸に落ちた。デイジーは慌てて、涙を拭った。
デイジーの視線に気付いたのか、ドナルドが振り向いた。
本物のドナルドが本物の笑顔で、デイジーの名を呼んだ。
ドナルドとの会話、ドナルドとの食事・・・ドナルドの何もかもが、デイジーの悪夢を忘れさせてくれた。
デイジーの明るい声、デイジーの暖かい手・・・デイジーの何もかもが、ドナルドの旅の疲れを癒してくれた。
星が美しく輝きだしたころ、2人は広い庭に出た。1泊だけ許された帰還・・・時間を無駄にしたくない気持ちは、2人とも同じだった。
「うわぁ、キレイ!」ドナルドの隣で、デイジーが子供のように目を輝かせる。
離れ離れになる前は、2人でよく見た星空が、デイジーにはとても懐かしく感じられた。
「うん・・・キレイだ・・・」いつもグミシップ内から見ている星空が、こんなにも美しく見える事を忘れていたドナルドが、素直に呟いた。
ドナルドに手を引かれてデイジーは、刈り込まれた草の台に座る。隣に座ったドナルドの肩に、デイジーは以前のように頭をあずける。ドナル
ドが、デイジーの肩に手を置く。以前と何も変わっていない。しかしデイジーは僅かな変化に気がついた。
「ドナルド・・・たくましくなったわね。」
彼女の肩に触れるドナルドの手は、以前よりも少しだけ、力強く感じられた。いきなりのデイジーの言葉に、ドナルドは一瞬顔を熱くした。照
れを隠すように、ドナルドも口を開く。
「デイジーは少しだけ・・・やせたみたいだね・・・?」
彼が手を置いたデイジーの肩の厚みは、以前よりも少しだけ、違っていた。
デイジーの顔がこちらに向けられているのに気づいて、ドナルドは星空から視線を外す。デイジーは、不安とも不満とも言える、複雑な表情を
していた。
ドナルドの優しい視線さえも今は痛くて、デイジーは目をそらして、口を開く。
「あなたが居なきゃ・・・・ご飯がおいしくないんだもの。」
デイジーの一言で、ドナルドは全てを悟る。デイジーには自分の前で強がりを言ってしまう癖がある事くらい、ドナルドは知っていた。
・・・わかってる。君にこんなに淋しい思いをさせてしまったのは、この僕だ・・・
ドナルドは彼女の肩を引き寄せ、抱きしめた。彼女の顔を自分の胸に押し付けるように、強く。
突然、自分の一番落ち着く場所で、デイジーは目を瞑った。
ドナルドの腕の中の温かさは、以前と全く変わらない。ただ、明らかに胸板が厚くなっているのを、デイジーは感じた。
「ごめんね、1人にして・・・」
「謝らないで。あなたは何も悪くないじゃない」
頭上からの愛しい声に応えながらデイジーは、ドナルドのぬくもりを更に感じたくて、彼の背中に手をまわし、深く息を吸った。頬に当たる服
の金具が、少し痛い。
自分の胸に顔をうずめるデイジーの声は、くぐもって、でもしっかりとドナルドに届いた。胸に当たるデイジーの熱い吐息が、ドナルドの脈拍
を僅かに早めた。
ドナルドは出来る限り冷静に、先程船内でグーフィーに教わった事を頭の中で復習する。
−−−力尽くは絶対にダメだよ。お互い初めてなら尚更ね。あ、でもドナルドが初めてだって事は内緒にするんだよ。デイジーが不安になっち
ゃうだろうから。彼女の事大切に思うなら、優しくしてあげなきゃダメだよ?−−−
甘い空気に不似合いなグーフィーの声が、ドナルドの頭の中で再生される。どういう訳か、彼はこういった分野に精通しており、悩むドナルド
にアドバイスをしてくれたのだ。
デイジーは知っているのだろうか。ドナルドが、腕の中の彼女の事をこんなにも思っている事を。ドナルドがこれから何をするつもりなのかを
・・・
ドナルドは深く考え始めた。ここでしばらく星を見て、色々喋って、デイジーを部屋に送る途中で、自分の部屋に誘って、うまく自室に入れた
ら、ベッドに2人で座って、キスをして・・・
童貞らしい安易な発想を「そんなにうまく行くハズがない」と茶化す者は、残念ながらココには居ない。
ベッドに辿り着いてからの手順を想像し始めたドナルドは、自分の下半身が熱を持ち始めた事に気づいた。
『♂は性的な興奮によって、普段隠れているペニスが露出される』
ドナルドは生まれて初めて、アヒルの本性を呪った。
・・・ちょっと待って・・・!まだここで星を見てたいんだ!本番はまだだってば!・・・
ドナルドは自分自身を押さえつける事に集中した。一生懸命になりすぎて、思わずデイジーを抱く腕に力が入ってしまった。
「んっ・・・ドナルド、苦しいっ・・・」
腕の中で彼女があげた甘い声が、致命傷となった。ドナルドのモノは勃起し、まもなくその姿を露にしてしまう寸前の状態になった。
こんな所で、いきなり性欲の塊のようなそれを見たら、きっとデイジーに非難の目で見られ、警戒され、今夜の計画も実行されずに終わってし
まうだろう。
デイジーに自分の下腹部を見られずに、今夜の計画を成功させなければ・・・
必死で考えた挙句、ドナルドはいきなり立ち上がり、驚いているデイジーを抱き上げた。
それはいわゆる、『お姫様抱っこ』であった。
「きゃっ!どうしたのよ!?」
驚いては居るものの、彼女は決して、ドナルドの腕から抜け出そうとしなかった。
ドナルドには、言い訳を考える余裕も真実を暴露する勇気もなくて、黙ったまま、草の台から飛び降り、走りだす。
「ねぇ、ドナルドったら!!」
ドナルドは、城に入ってもその足を止めなかった。
幸運なことに、廊下には誰もおらず、不本意とは言え自分自身を露出しかけたドナルドはホッとした。
走って走って、ドナルドは自室にたどり着いた。ドアを蹴り開けるドナルドの姿に、デイジーは困惑した。
「ねぇドナルド・・・いきなりどうしたの・・・?」
ドナルドは口を開かない。
ドナルドの腕の中からデイジーが見上げた彼の顔は、部屋に明かりがついていない為、笑っているのか怒っているのかすら判らなかった。
ドナルドの激しく脈打つ心臓の音が、デイジーに伝わった。
デイジーが、久しく訪れた彼の部屋を見渡す暇もなく、ドナルドの手によって優しくベッドに座らされた。
ドナルドがベッドライトをつけると、デイジーの不安げな顔が、オレンジ色の優しい光に照らされた。
デイジーはただ、ベッドの脇に立って自分を見つめるドナルドの次の行動を待った。
「デイジー・・・ごめん。僕、もうダメだ・・・」
「え?」
ドナルドは、計画をきちんと実行できなかった自分を恥じて謝ったのだが、当然彼女には、その意味が理解できなかった。
デイジーはドナルドの瞳を見つめ返した。そして、ドナルドが自らの下半身を見るのにつられて、デイジーは初めて、ドナルドの性欲の塊を目
にした。
「きゃっ、やだ・・・!」
顔を真っ赤にしてすぐに目をそらしたデイジーを、ドナルドは意を決して押し倒し、その体に覆いかぶさった。
「やだ、やめてっ!!」
デイジーは必死で、彼の手に触れられる事を拒んだ。
男としての本性を現したドナルドが怖くて、その欲望の対象が自分である事が、恥ずかしくて。
「デイジー!僕ホントに我慢できないんだ!」
興奮しきったドナルドは、恥ずかしげも無く本心を口走る。
そして、自分から逃れようと抵抗するデイジーの腕を押さえつける。
「いやっ、やめてよ!恥ずかしっ・・・」
デイジーの言葉は、ドナルドの唇によって突然さえぎられた。
彼は、愛しい彼女に深く深く口づけた。
「んんっ・・」
思わず声を上げたデイジーの口内を支配した後、ドナルドはゆっくりとその唇を放した。
開放されたデイジーの唇から、少しだけ荒い息が漏れた。
「デイジー、僕もうおかしくなっちゃいそうだよ・・・」
自分をまっすぐ見下ろすドナルドに困惑しながらデイジーは、ふとあの悪夢を思い出す。
いま目の前に居るドナルドが、もしも、あの夢のようにいきなり闇に溶けてしまったら・・・
彼の居ないあいだ何度も何度も頭をよぎった『最悪の事態』が、もしもこれから起きてしまったら・・・
不安をかき消すように、目を瞑って頭を横に振るデイジーを、ドナルドは優しく見つめた。
しばらく考えて、未だに両腕を押さえつけられたままのデイジーが、口を開く。
「じゃあドナルド・・・お願い、約束して・・・?」
「約束?」
予想外の返答に、ドナルドは驚いた。
「明日また旅立ったら、出来るだけ早く・・・帰って来て欲しいの・・・・・・絶対、帰って来て・・・」
短い言葉を言い終わったデイジーの瞳は、少しだけ濡れていた。
彼女の純粋すぎる要求に、ドナルドは再び驚いた。驚いて見つめ返すと、その大きな瞳が増す増す濡れて、ついに涙がこぼれた。
デイジーの心の中の不安は、ドナルドが思っていたより遥かに大きかった。
「ねぇ、ちゃんと約束してよ・・・約束してくれなきゃ、私、あなたと・・・してあげないから・・・」
彼女の要求は純粋で、しかもドナルドにとっては重要な事だった。
「判った。絶対帰って来るよ。・・・約束する」
ドナルドは迷わず即答した。これ以上、彼女を不安にしてしまうのが、怖かった。
ドナルドは、生まれて初めて見た彼女の泣き顔に、そっと触れた。濡れているせいで、頬は少し冷たかった。
ドナルドの返事にデイジーは、涙をこぼしながら笑った。
「良かった。それなら、いいわよ。どうしたらあなたの事気持ち良くしてあげられるか判らないけど、出来るだけの事はするから・・・」
自分だけに向かって微笑むデイジーが、とても愛しくて、ドナルドは口を開く。
「デイジー、不安にさせてごめんね。・・・それと・・・ありがと」
そしてその口で、ドナルドは彼女に噛み付くようなキスをした。とろけてしまいそうなほど柔らかいデイジーの唇が、優しく彼を受け入れた。
舌を絡めた深い深い口付けに、不慣れながらもデイジーは、一生懸命に彼を味わった。
何度もまゆを顰めるデイジーの肩を、ドナルドは抱きしめた。彼もまた、彼女を精一杯味わう。
ドナルドの片手がドレスのボタンに触れている事に気付いて、デイジーはその身をこわばらせた。
ドレスの上半身の部分を隠す4つのボタンをドナルドが器用に上から1つずつ外していくのを、デイジーはハッキリと感じ取った。
直に肌に触れた彼の指がくすぐったくてデイジーは、ふさがれたままの口から声を上げた。
4つのボタン全てを外し終えて、ドナルドはやっと唇をはなした。デイジーの口の中に、ドナルドの舌の温かさと唾液が確かに残って、デイジ
ーの緊張が高まった。
これまでにない長く濃いキスに、酔ったような気分になる。不思議な感覚に驚いて、無意識にデイジーは目の前の彼を凝視していた。
彼女の白い胸元を眺めていたドナルドがそんな彼女の視線に気付き、笑った。
「デイジー、どうしたの?」
その笑顔は、まるで彼女をからかっているようで、デイジーは顔を真っ赤にしてうつむいた。そして、小さな小さな声で、訊いた。
「ねぇ、ドナルドは・・・初めてじゃないの・・・?こういう事・・・」
彼女にとっては、こんなにも激しいキスをした後でも平然としていられる彼が、信じられなかった。
デイジーの言葉を聞き取ったドナルドは、予め用意しておいた台詞を、練習済みの余裕の笑顔で返す。
「うん、僕は初めてじゃない。だから、心配しなくても大丈夫だよ?」
彼女に嘘をつく事には抵抗があったし、正直、先ほどのキスの興奮で体がとても熱い。しかし今のドナルドには、彼女のはだけた胸しか見えて
いなかった。
ボタンが外されても尚デイジーの肌の大部分を隠すドレスをゆっくりと開くと、眩しいほど真っ白な肌と、濃いピンクのレースの付いた下着が
彼の目を刺した。
今まで何度も夢見たその光景に、ドナルドは思わず下着の上から口付けた。非童貞としての余裕を見せる余裕を、ドナルドは既に失いかけてい
た。
「きゃっ・・・!」
処女のデイジーが敏感な反応を見せた。
グーフィーの教えどおり彼女の背中に手を回すと・・・確かにあった。下着のフックの部分が。
見えない範囲での行動に手こずったが、それでもドナルドはそれを外す事に成功した。
ゆっくりとその下着を外してやると、彼女の完熟しきった、しかしまだ誰にも触れられていないであろう大きな胸が露になった。
ドナルドの言葉を信じ、その身を委ねていたものの、デイジーはやはり顔を紅潮させ、体を硬くしていた。
思っていたよりも大きな彼女の胸に、彼はその掌を触れた。想像よりずっとずっと柔らかくて、ドナルドは酔いしれるように愛撫を始めた。
「あぅっ・・・は、ぁん・・・」
じれったいような、くすぐったいような、気持ちいいような・・・甘い声を、デイジーは漏らした。
ドナルドは、やがて耐えられなくなって、その柔らかな肌に舌で触れた。
「やだっ・・・くすぐったい・・・」
すかさずデイジーの愛しい声が聞こえてきたが、今のドナルドにとってそれは、自分を興奮させる為の要因のひとつでしかない。
傷ひとつない肌にドナルドは、くまなく舌を這わせた。どんなに高級な布よりも、どんなに上等なガラスよりも滑らかなその肌を、無我夢中で
味わった。
そして、柔らかい肌の中で少しだけ硬くなっている部分にたどり着くと、男としての本性がそうさせるかのように、ドナルドは 強く吸い付い
た。
「ぁんっ!」
デイジーは愛らしい声を上げ、一瞬その体を震わせた。ドナルドは、そこへの攻撃をやめない。
運動している訳でもないのに、デイジーの呼吸は少しずつ速まった。
胸への愛撫を続けながら、ドナルドはその右手を、ゆっくりと、彼女の腰から下の方へとなぞるように向かわせた。その手つきは、たどたどし
かったが、いやらしかった。
厚手のスカートを捲りあげ、ドナルドはデイジーの足に触れた。やはりどこも、柔らかい。
デイジーは何の抵抗もせず、自身の上半身を細かく刺激するドナルドの舌の感覚を受け止めて、時々恥ずかしそうに声を上げていた。
彼に触れられる事が、愛する者に体ごと愛される事が、デイジーは嬉しかった。
『もっと触っていて欲しい。今まで会えなかった日の分も、これから会えなくなる日の分も』
声に出して伝える代わりに、彼女はドナルドの肩にそっと手を置いた。
彼の下半身の硬い物が足に当たる事への抵抗も、少しずつ薄れていった。
胸への愛撫に集中しながらドナルドは、右手の指先で、グーフィーの言う『女の子の体の一番敏感なところ』に、そっと触れてみた。
「はぁっ・・・ん・・・」
デイジーが顔を上に向けて、口を小さく開け、上ずった声を上げたのを見て、ドナルドは安心した。
ひょっとしたら痛がってしまうのではないかという心配は意識の彼方に飛び、自分は彼女に快感を与える事が出来るのだと、ドナルドは自信が
ついた気がした。
少し触れては彼女の反応を見て、刺激の強さを変えてみた。
そうしてデイジーの体は、ドナルドによって、少しずつゆっくりと切り開かれていった。
初めは全く濡れておらず、むしろ乾いているようにも感じられた彼女の秘部全体が、だんだんと、自らの愛液によって溶かされていくのが判り
、ドナルドは胸への愛撫をやめ、その秘部に集中する事にした。
開く事を拒む彼女の足を、半ば強引に、腕に力を込めて開いてやると、デイジーは真っ赤に染まった自分の顔を両手で隠した。
そんなデイジーの初々しい仕草ひとつひとつが、とても可愛らしいと、ドナルドは思った。
しなやかな羽毛に隠されたデイジーの秘部を直視したドナルドは、言葉を失った。
デイジーのそこは、ドナルドが想像していたそれよりも、ずっとずっと綺麗だった。
今夜まで誰の手にも触れられた事がなかったであろうそこは、薄い赤い色をしていて、愛液で光っているようにすら見えた。
やはり手よりも先に口が出た。ドナルドは、デイジーの秘部全体に、吸い付くようなキスをして、舌を這わせた。
「やっ・・・ぁあんっ!」
初めての感覚に、デイジーが敏感に反応した。
両手で覆った彼女の口から、荒く熱い息が漏れる。
ドナルドの口中に彼女の蜜の味が広がった。
彼がデイジーの一番弱い部分を舌の先でくすぐるように刺激すると、デイジーの体が一瞬跳ね上がるような反応を見せ、水道の蛇口をひねった
ように、愛液が溢れ出た。
水に飢えた砂漠の旅人のごとく、ドナルドはその愛液全てを自らの口の中へ誘い込んだ。
両手で顔を覆ったままのデイジーは、心の中で幸せをかみしめた。ドナルドが今、自分の側に居てくれる事が、何よりも嬉しかった。
・・・今の幸せがずっと、永遠に続いたらいいのに。むしろこのまま時が止まってしまえばいい。そうすれば、明日が来なければ、私はドナル
ドの側に居られるのに・・・
・・・私はなんて欲の尽きない女なんだろう。つい、明日も彼が居て欲しいと願ってしまうなんて。明日なんてどうでもいい。今は彼が居る。
だったら、彼の事だけ考えていればいい・・・
・・・今から泣いてたら、きっと明日のお見送りの時には、泣きすぎて脱水症状起こしちゃうわね・・・
喜びと不安が入り混じって、デイジーは密かに涙を流していると、いきなりデイジーの中に異物が侵入し、痛みが生じた。
「はぁあんっ・・・」
喉の奥から絞り出したような声が、部屋の中で上がった。
自分の皮膚が裂けていくような、鈍く、でも鋭い痛みだった。
デイジーは、自分の中に入り込んだドナルドの指である事をすぐに察する事ができた。ドナルドの指は、普段目で見ているよりも、ふた周りほ
ど太く感じられた。
「あぁっ、んっ・・!くっ・・・・ぁあんっ」
生まれて初めて感じる痛みに、デイジーは短い声を何度も上げた。それでも絶対に、痛いといって彼を止めようとはしなかった。
膣内に侵入した彼の動きが、とても優しく感じられたから。
痛むのはきっと、自分の体が未熟で不慣れなせい。判っていたから、止めなかった。
「痛っ!!」
急にドナルドがデイジーの中の指を一本から二本に増やしたので、彼女はつい、口を滑らせてしまった。そして瞬時に、それを後悔した。
「あ・・・ごめんデイジー、痛かった?」
反射的に指を引き抜こうとするドナルドを、デイジーは早口で止めた。
「いいえ、大丈夫よ。何でもないから、続けて・・」
デイジーは既に心を彼に預けていた。痛くても苦しくても、何でもいい。彼にされるがまま、感じていたかった。
「・・・そう?」
僅かに首をひねりながらもドナルドは、再びデイジーの中にうずめた2本の指を、ゆっくりと動かし始める。
「あぁっ!あんっ・・やっ、ぁああっ・・・」
デイジーが、小さく、悲鳴のような声を上げる。
デイジーが強がりを言っている事も、痛みを我慢している事も、ドナルドには判っていた。
それでも行為をやめないのは、強がりを言ってまで自分を受け入れてくれるデイジーの貢献的な態度が、あまりにも愛しかったから。
しばらくすると、デイジーの『痛み』が、『快感』に、少しずつすり替えられていった。
始めはあんなにも痛かったのに、なんだか心地よくて・・・それなのに、なんだか満たされない気がして・・・
デイジーは、貴族の娘としてのプライドも、処女としての恥じらいも、自制心をも失った。
快感に溺れ、彼への愛しさが募る。
「あっ・・ねぇ、ドナルドぉ・・・」
今までに聞いた事もない彼女の甘すぎる声に、ドナルドは思わずその手と舌を止めて彼女の顔を見上げた。
まだ痛みを堪えているものと思い込んでいた彼女の顔は、上気して赤く染まって、力が抜けてしまっているように、目は薄く開かれていて、そ
して僅かに開いた唇からは、若干荒い呼吸が漏れていた。
そんな彼女の様子に胸が高鳴って、それでも平静を装って訊いた。
「どうしたの?」
発した言葉がつい上ずって、ドナルドは焦った。
しかし今のデイジーには、そんな童貞丸出しの彼の様子に気づく余裕なんてない。
「ね・・・もっと、奥・・・」
少し息苦しそうにデイジーは、最低限の言葉を精一杯、口にした。
言葉不足でも、しっかりとその真意は彼に伝わった。
「奥だね・・」
言いながらドナルドは、彼女を更に満足させてやろうと、言われる通りに動く。
「んっ!」
ドナルドが彼女の最深部に触れると、瞬時にデイジーの体がビクンと反応した。
コツを掴んだドナルドが、今度はデイジーの一番弱い部分を舌で刺激しながら奥を弄ると、先ほどよりも大きな反応が見られた。
身をよじって自分を感じる彼女を見て、ドナルドは、まるで自分がデイジーを操っているような感覚に酔った。
自分のする小さな行動ひとつひとつに、いちいち反応するデイジーが、とても愛らしく感じられて、ドナルドは何度も何度も彼女を刺激した。
その度デイジーは、失神してしまいそうなほどの強い快感に襲われた。
大好きな相手から与えられる快感に、全身で浸っているようだった。
彼にその身を任せていたデイジーの中で、快感がどんどんその大きさを増していった。
限界が近い事は、初体験の彼女にも彼にも判っていた。
ドナルドがその舌と指で与える刺激の強さを増すと、それに比例するように、デイジーの呼吸が速まる。
「ドナルド、ドナルドォ・・・」
苦しそうに、それでも恥ずかしそうに喘ぐ彼女に、ドナルドは絶頂を与えてやる事にした。
彼女の最深部を指で激しく突きながら、一番弱い部分を舐めあげる。
「ぁんっ!あぁっ、もうダメ!だめぇっ!!」
大きくその腰を浮かせて、デイジーは生まれて初めての絶頂に震えた。
一瞬何が起こったのか自分でもよく判らなくて、デイジーは胸を上下させ、荒い呼吸を繰り返した。
苦しくて苦しくて、仕方が無くて、でも、あまりの快感に、目眩がした。
熱い息を吐いては吸って・・・そうしていると、デイジーは、目の前に、ドナルドの不安そうな顔があるのに気がついた。
グーフィーに聞いていたよりもずっと、彼女の絶頂が衝撃的で、ドナルドは自分が何か間違った事をしてしまったのかと、ただ、彼女の顔を見
つめた。
そんなドナルドの視線に気づき、デイジーが少し疲れたように口を開く。
「はぁっ・・ごめんなさ・・・・ドナルド、私・・・・・」
自分でも何を謝っているのか判らなくて、それでもデイジーは、それだけ言うので精一杯だった。
やっと口をきいた彼女に安心してニッコリと笑うとドナルドは、彼女の体に未だに纏わりついているドレスを、邪魔だと言うように引き剥がし
た。
完全に露わになった彼女の体はやはりどこも白く、美しい。真っ白な全身の中で、顔だけは赤く染まっている。
苦しそうな呼吸をしていたデイジーが一瞬ハッとして、恥ずかしそうに足を閉じ、たった今脱がされたばかりのドレスを引き寄せ、胸を隠して
しまった。
そんなデイジーの行動を可愛らしいと思いつつ、ドナルドは自分も服を脱いでしまおうとする。
脱ぎ終わり、少し荒い呼吸をする彼女の側に座り、彼女の顔を覗き込む。
「デイジー、大丈夫・・・?」
「えぇ・・もう平気よ・・・」
彼の問いかけに即答してデイジーは、自分の顔を見つめる彼に微笑みかける。
嫌がおうにも、デイジーは思わず彼の下腹部から不自然に突き出た彼自身を直視してしまう。
本人以外の誰にも触れられた事のないそれは、デイジーが想像していた物よりもずいぶんとキレイだった。
顔を赤らめながら、デイジーは目の前のそれに疑問を抱き、見つめた。
先ほどは自分がデイジーの隠された部分を見つめていたというのに、その視線に、ドナルドは照れずには居られない。
「ねぇ、ドナルド・・・?」
先に口を開いたのはデイジーだった。
「あの、これって・・・上に向かって生えてくる物なの・・・?」
「えっ?」
デイジーのおかしな発言に、ドナルドは思わず言葉を失った。
しかし、心のどこかで彼女が処女である事を再確認できた気がして、ホッとした。
「えーっと・・・デイジーの事考えてたら、ドキドキして上向いちゃったんだよ。普通は下向き・・なんだ・・・」
まさかこんな説明をする事になるとは夢にも思わなくて、ドナルドは答えるのに四苦八苦した。
でも、そんな初々しい反応を見せる彼女が愛しくて・・・ドナルドは彼女の不意をついて、その手を導き、彼自身に触れさせた。
「あっ・・!」
デイジーは案の定驚いて、一瞬で顔を真っ赤に染めた。
「・・・なんだか・・・すごく、熱いのね・・・」
彼女は初めて触れるそれに、素直な感想を述べた。
ドナルドが自ら手を引いて強引に触らせてはいるものの、細く柔らかい彼女の指の感触に、ドナルドのモノはその先端からすこしずつ精液をに
じませた。
「ね、ドナルド何か出てる!」
彼女の反応がいちいち面白くて、ドナルドは秘かに笑いを堪えた。
「そうだね、じゃあ・・・そろそろ入れるよ?」
デイジーの手を離してやり、彼女に馬乗りになったドナルドは、デイジーの体を隠すドレスを今度こそ奪い取り、そして彼女の手が届かないよ
う、なるべく遠くへ置いた。
デイジーが、赤い顔のままで上目遣いで訊いた。
「あんなの・・・入るかしら・・・・」
結合を目前にしてその表情を不安げに曇らせる彼女は、どういう訳か、いままで見てきた彼女の中でも一番女性らしく感じられ、ドナルドは更
に自分自身の硬さを増した。
「多分入ると思うけど・・・もし、痛かったら言ってね?」
童貞卒業を目の前にドナルドは、黙って頷く彼女を心配しながらも、胸を高鳴らせた。
自分の手で自分のモノを導き、ゆっくりと、デイジーの中にその先端を沈めた。
「っあ・・!」
その瞬間、ドナルドを受け入れた彼女は苦痛に顔を歪めた。
「・・大丈夫そう?」
「・・・ぅん・・」
デイジーの中は思っていたよりもずっと狭く、ドナルドはその身を案じたが、きつい入り口を抜け、早く快感を手に入れたくて、彼女の言葉を
信じて更に深く交わった。
「うあぁああっ!!」
デイジーが目をギュッと瞑っていなければ耐えられない程彼女を苦しめているとは気づかず、ドナルドは彼女の体内への侵入をやめなかった。
時間をかけてすこしずつ、ドナルドはその身を根元まで彼女に突き刺す事に成功した。
想像を絶する心地よさに、ドナルドは思わずため息をつき、上を向いたまま目を瞑った。
今まで、1人では決して得る事の出来なかった快感を、2度と手放すものかと言うように、彼女の腰を両手で捕らえ、抜き差しを開始した。
気を抜いたら失神してしまいそうな程の快感に、ドナルドは感動した。
ドナルド自身を受け入れながらデイジーは、結合部から全身に広がってゆく、身の裂けるような激しい痛みに耐えた。
口を開けば悲鳴を上げて、彼を止めてしまいそうで、怖かった。
デイジーは、大変な旅からやっと帰還した愛しい者を癒す事に、出来る限り集中した。
『痛い』という言葉も苦痛の声をも飲み込んで、デイジーは下唇を噛みしめ、この彼が果ててしまうのをひたすら待った。
しばらく出し入れを繰り返した後にやっと目を開けたドナルドは、彼女の姿を見て、思わずその動きを止めた。
ドナルドの目に映った彼女は、グッと瞑られた目から止め処なく涙を流していた。
口をギュッと紡いで、自分の意思をなんとか表に出さないよう努力するデイジーの姿は、女性的というよりももはや生物的に痛々しい。
急に動きを止めたドナルドに、デイジーがうっすらとその目を開けて、笑顔を作ってみせ、息も絶え絶えに呟いた。
「・・ドナ・・ルド・・・・?・・どうしたの・・?・・」
訊かれてドナルドは絶句した。彼女の体の心配もせずに快感に浸っていた自分に対して、優しい笑顔を向けてくれる彼女に、かけてやる言葉がな
かなか見つからない。
ドナルドはただ、自分の行為が恥ずかしくなり、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「デイジー・・ごめん。僕、君のことなんか全然考えないで・・・。痛かったんだよね・・?」
「そんな事ない!・・・すごく・・気持ち、いいわよ・・・?」
自分の為に身を削るデイジーの笑顔を、ドナルドはもう、直視できない。
「無理しなくていいよ!・・ごめん、僕が間違ってたんだ。もうやめよう」
「嫌!!」
未だに硬く熱いままの自分のモノを引き抜こうとしたドナルドの腕に、デイジーの細い腕が、震えながらしがみついた。
「ドナルド、私は大丈夫よ!だから続けて」
「何言ってるんだよ!あんなに痛がってたじゃないか!」
「痛がってなんかない!」
「もう強がらなくていいよ!!」
彼に初めてキツイ言葉を放たれてデイジーは、反論の言葉を思わず失って、いとも簡単に弱い自分をさらけ出した。
そして、涙をたくさんこぼしながら、やっと正直な気持ちを吐き出しはじめる。
「もちろん・・すごく痛いわよ。・・・痛いに決まってるじゃない。あんな大きいのがいきなり入ってきたし、・・・私はあなたと違って、初め
てだし。・・・・でもね、ドナルド・・確かにすごく痛いけど、でも、あなたに気持ちよくなって貰いたいの。・・・てゆーか、気持ちよくして
あげたいのよ・・・」
ドナルドは再び驚いた。デイジーがこんなにも自分を思ってくれていた事や、そんな彼女の気持ちに自分は気づけなかった事、そして彼女がこん
なにも、泣き虫である事に。
自分自身を深く突き刺したままドナルドは、優しくデイジーを見つめながら、彼女にかけてやると、これから自分がどうするべきなのかを考えた。
「だからドナルド、お願い。ちゃんと最後までやってよ・・。それで、ちゃんと気持ちよくなって・・?私は大丈夫だから・・・」
彼女の言葉が全て終わって、自分自身を深く突き刺したままドナルドは、優しくデイジーを見つめながら、彼女にかけてやると、これから自分が
どうするべきなのかを考えた。
いや、正直なところドナルドには、考える余裕なんてなかったのかも知れない。
欲望を訴え続ける自らの下半身は、もはや理性を失っていた。
今のドナルドには、行為をやめるという選択肢なんてなかった。
「じゃあさ・・・・続けるけど、でも、辛かったらちゃんと言ってね?絶対だよ?」
念を押したが、そんな言葉を言っても無駄だという事くらい、彼には判っていた。
安心したように彼女が頷いたのを確認して、ドナルドは再開した。
そして再び苦痛に顔を歪める彼女に、何度も何度もキスをした。
首筋や頬、胸元や額、そして、苦しそうに喘ぐその唇に。
彼女の口内に彼が舌を差し込むと、若干血液の味がした。
先ほど強く噛み締められた下唇に、小さく傷ができているのに気づいて、彼はその傷を丹念に舐めてやった。
デイジーの優しさがとても嬉しくて、ありがたくて、自分自身をきつく締め付ける快感に心から感謝しつつ、ドナルドは囁いた。
「デイジー、ありがとう・・すごく・・・・気持ちいいよ・・」
喘ぎながらデイジーは、苦痛に歪んでしまったその顔で、笑ってみせた。
汗ばんでいるその頬を、涙が一滴、すべり落ちた。
その頬に触れながら、濡れた瞳をまっすぐ見つめ、出来る限り顔を近づけ、ドナルドは小さな声で告白した。
「ずっと・・・・・君を抱きたかった・・・」
「・・・・ぅんっ・・」
自らの涙でかすんでぼやけて見える彼の笑顔に、デイジーは息も絶え絶えに答えた。
全身を貫くような痛みの中で、デイジーもまた、初めて彼に快感を与えてやる事が出来た事に感動していた。
目の前のドナルドの背中に手を回すと、力の加減が出来ずに、強く強く抱きしめた。
「このまま・・全部、くっついてしまえばいいのにね・・・」
言葉を発する余裕が出来たデイジーが、荒れた呼吸混じりにポツリと本音を呟いた。
自らの頂点が近づいている事を感じたドナルドが、彼女を抱く右手を放し、そっと、グチョグチョに濡れた彼女の弱い場所に触れた。
「ゃんっ!ぁああっ・・」
一瞬にして快感と苦痛が体の中で混ざり合って、デイジーはその身をビクンと震わせた。
そして、少しずつ快感の方が大きくなっていくのを感じた。
ドナルドがデイジーのそこを弄びながら腰の動きを速めると、デイジーは彼同様、限界に限りなく近づいた。
襲い来る絶大な快感に意識を失いそうになりながらデイジーは、必死で訴えた。
「ドナルド・・ドナルド・・・!ごめんなさい、私・・もうっ・・・・!」
「・・判ってる・・・・僕もだよ」
彼女の括れた腰を押さえて更にその動きを速めると、ドナルドの中にとてつもない快感が生まれる。
何度も何度も突かれて、やがてデイジーの視界を、少しずつ、白い霧のような物が支配し始める。
ただ、自分の体中を駆け巡る快感にその身を任せていると、真っ白な世界の中に、愛しい声が確かに響いた。
「デイジー・・・大好きだよ・・」
大きく頷いて見せたデイジーも、その気持ちは同じだ。
「あぁっ・・・もうだめ!!はぁあああんっ!」
今までに感じた事の無い凄まじい快感に襲われて、自分でもビックリしてしまいそうな程の大きな声を上げ、デイジーは果てた。
それと同時にドナルドは、下半身から溢れ出す大量の熱い白濁液を、彼女の中に全て注いだ。
体内に広がってゆくその熱を感じて、間もなくデイジーは、完全に意識を手放し、柔らかいベッドに埋もれるように、沈むように、深い眠りにつ
いた。
注ぎ込む事で全ての欲望が満たされたドナルドは、彼女が自分の声に全く答えなくなった事に心配したが、その苦しそうな呼吸がやがて穏やかな
寝息に変わったので、胸を撫で下ろした。
彼女を起こさないよう静かに自分自身を引き抜くと、デイジーの秘部から、彼女自身の愛液と、ドナルドの液、そして彼女の物と思われる赤い血
液が流れるように落ちた。
出血の痛みを堪えてまで自分に尽くしてくれた彼女に、申し訳ないようなありがたいような気分になって、ドナルドはその秘部を、出来るだけ優
しく拭ってやった。
彼女の隣に横になり、その愛しい寝顔を見つめているうちに、いつしかドナルドも、静かに寝入った。
窓から差し込む眩しい朝の光が、ドナルドの目を覚まさせた。
薄く開けた目の前に裸で横たわるデイジーの姿にギョッとして、ドナルドは一瞬で飛び起きた。
すぐに、自分も服を身に着けていない事に気が付いた。
昨夜の出来事が頭の中で一気にフラッシュバックされて、ドナルドは自らの熱い顔に触れた。
故郷の朝の空気は澄んでいて、旅立つにはちょうどいい。
自室内で手軽にシャワーを浴び、身支度を整えて、まだ小さく寝息をたてる彼女を起こしてやろうと彼はベッドに近づいた。
しかし彼女の寝顔を見た途端、ドナルドの手が止まる。
それは、あまりにも幸せそうで、見る者全てを和ませてくれそうな、まるで天使のような寝顔だった。
彼は、美しすぎるその眠りを邪魔する気にはとてもなれなかった。
昨日は、見送りに行くと張り切っていたデイジーに、ドナルドは丁寧に肩まで布団をかけてやる。
そしてその眠りを妨げないよう、そっと額にキスをした。
頭を撫でてやりながら、小さな声で、伝えた。
「デイジー・・・僕、すぐ帰ってくるからね。・・・もう泣かないで、待っててね」
いい終わってドナルドは、気が付いた。
こんなにも幸せそうな表情の彼女が涙を流す事なんて、きっと、もう2度とないだろう。
大丈夫。
きっと、自分が居ない間も、寂しいなんて言ったりはしないだろう。
きっと、大丈夫・・・・
名残惜しげに、静かに呼吸をするその唇に自分のそれを軽く重ねて、ドナルドは静かに、旅立って行った。
終わり