私の名前はフェイト。フェイト・T・ハラウオン。時空管理局で将来を有望視される
漆黒の魔道師だ。私ほどの若さと美貌と実力と頭脳を兼ね備えた人間はこの管理局にも、
いや、この次元にもそうはいない。私の力をもってすれば、この管理局の全て・・・・
ひいてはこの世界を手中に収める日もそう遠くはないだろう。そしてそのしかるべき日
が来たあかつきには・・・
・・・いや・・・これはまだ言うまい。楽しみは最後まで取っておくものだ。ショー
トケーキの苺や、茶碗蒸しの銀杏や、パフェのさくらんぼや、シュウマイのグリンピー
スのようなものだ。それに願い事は人に言うと叶わなくなると言うし、うん。
と、それよりも、だ。
全知全能の代弁者のようなこの私にも、たった1つ、そう、たった1つだけ意のまま
にならないものがある。
さきほど私ほどの人間は・・・とは言ったものの、実はこの私と対等に張り合うだけ
の若さと美貌と実力と頭脳を兼ね備えた、たった1人の女性・・・が、とんでもなく身
近にいる。
それが彼女、「高町なのは」である。
私と対を成すかのような純白の魔道着に身を包み、ひとたび彼女が杖を振るえば数多
の敵はその足元にひれ伏し、短いツインテールの髪はまるで夜空に光る流星のごとく、
その声は神の御声にも等しく、その熱き心は冷凍の肉まんをそばに置くだけでほかほか
食べ頃にし、その美しき顔立ちは美の女神ベイ〜ナスが「おっと、こりゃまた失礼っ!
ってなもんだ!」と、ドジョウすくいをしながら逃げ出す程である。
と、なのはの賛辞を挙げると400字詰め原稿用紙82枚分くらいになってしまうの
でこれくらいにしておくが、とにもかくにも彼女、高町なのはは私に勝るとも劣らない、
若さと美貌と実力と頭脳を兼ね備えたパーフェクトガールである。
そして彼女と私の友情・・・いや、愛情を誓ったこのリボン。彼女の髪を優雅に束ね
る私のリボン、私の髪をあでやかに束ねる彼女のリボン。2つのリボンに誓った愛はた
とえアルカンシェルの一撃すら跳ね返すわっ!!
この物語は!
私、フェイト・T・ハラウオンと!
高町なのはが!
リリカルらぶらぶな関係になるまでを描いた壮絶なドラマであるっ!!
魔法少女リリカルらぶらぶ 〜フェイトちゃんの妄想簿〜
「あのー・・・フェイトちゃん?何こぶしに力入れて明後日の方向向いてるの?」
「ん、ちょっと番宣を・・・って、なのはぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うわぁ!びっくりしたぁ!!」
さ、流石なのは、スキを突かれたとはいえ、この私にまったく気づかせもせず背後に
忍びよるなんて。それでこそまいりとるらばー。あなたの笑顔は私が守るわ♪
「あ、あはは、き、気にしないで、ちょ、ちょっと驚いただけ」
「なんだぁ、フェイトちゃんたらぁ、ところで番宣って何?」
くっ、流石流石なのは、あの微かなつぶやきを聞き逃さないなんて、それでこそまい
らばーに相応しいわ♪
「ん、何でもないの、何でも、ちょっとした独り言。それよりなのはこそどうしたの?」
「あ、うん、もうお昼だし、一緒にお弁当食べようかな、って」
あん、ほんとは私に会いに来たくせに、んもう、なのはったら恥ずかしがり屋さん♪
ん、でもそうね、とりあえず今はなのはと二人っきりでめくるめく魅惑のらんちたい
むも悪くないわね。
「はい、なのは、あーん」
「あーん」
「美味しい?なのは」
「うん、美味しい♪じゃあ今度はフェイトちゃんに・・・はい、あーん」
「あーん」
「どう、美味しい?」
「うーん・・・」
「え・・・美味しく・・・なかっ・・・た?」
「うーん、美味しいんだけど・・・」
「けど?」
「なのはの方がもっと美味しそう!!」
がばぁっ!!
「きゃー、フェイトちゃーん!だ、だめだよぉー」
「あぁーん、なんでこんなに可愛くて美味しそうなの、なのはーーー!!」
「や、やぁーん、だめーフェイトちゃん、みんな見てるよぉー」
「おっけー、望むところ、見せ付けてやりましょう!2人の愛をっ!!」
「ふぁぁっ、ふぇ、フェイトちゃーん、あっ!だ、だめ、そこぉ!も、もっとぉ!!」
・・・いっ・・・いいかもしれないっ!!
はっ!そうか、なのはったら直接言うのが照れくさいものだから遠回しに誘ってるの
ね!うふふ、いいわよまいはにー。あなたの心、しかとこの私が受け止めてあげるっ♪
「うん、行こう、なのは♪」
そう、行きましょう、愛の桃源郷へっ!
「うんっ、それじゃアリサちゃんとすずかちゃんも呼ぶね」
え゛っ・・・
言うが早いか、なのははアリサとすずかの方に駆け寄る。
なぜっ!どうしてなのはっ!二人きりのあまーいすぃーとたいむをなぜどうしてっ!
その理由を300文字以内で説明して、なのはーーー!!
「フェイトちゃーん、早く行こうよー」
あうう、そんな屈託のない笑顔でなぜどうして。
私の身も焦がれるようなこの熱い想いをなぜわかってくれないの、なのは・・・。
ううん、違う、違うわフェイト。さっき自分で言ったでしょ、楽しみは最後まで、と。
そう、きっとなのはも同じ気持ち。狂おしいほどに抱きしめたいこの気持ちを抑えつ
つ、ようやく結ばれるのが王道国道截拳道(ジークンドー)。その瞬間を味わいたいが
ため、あえてなのははいつもと同じようにふるまっているのよっ!
ああっ、そうだったのなのはっ!浅はかな考えだった私を許してなのは。あなたの心、
しかと私に届いたわ。
「フェイトちゃーん、早く早くー」
「うんっ、今行くー」
そうそう、お楽しみは最後まで。
光輝く薔薇の園に二人手をとり降り立つその時までっ!
「さて、どこで食べようかしらね」
「天気もいいし屋上にしようか」
「うんっ」
ああっ、ありがとう、アリサ、すずか。私となのはのためにわざわざ遠い屋上への道
を選ぶなんて。ここでなのはと2人、手に手をとって赤いじゅうたんに導かれるまま、
廊下という名のヴァージンロードを歩いて行けというのね。わかったわ2人とも、あな
たたちの心、無駄にはしない。私となのはがこの世界を手に入れても専属メイドとして
使ってあげるから安心してっ!
さぁ、なのは、その神々しいばかりの御手を私に・・・いいいいぃぃぃぃ!!!
ああああああ、アリサすずかぁぁぁぁ!!!!
なにゆえてめーらはなのはを両側からガードしてやがりますかぁぁぁああぁぁ!!!
これじゃぁ私はさながら花嫁さんのヴェール持ちのごとくなのはの後ろに回るしかな
いじゃないのよぉぉ!!!!
そんな織田信長の刀持ち、森蘭丸のごとき真似を高貴な私にさせていいと思ってるの
かてめーらわぁぁぁ!!!
はっ!!!!
さ、さてはっ!
あなた達も狙ってるのねっ!女神なのはをををををを!!!!!!
許せない・・・短い付き合いだったわね、2人とも。たとえなのはの親友といえども
私のなのはをかすめ取るようなこと、たとえ弥陀如来が許してもこの私が許さないっ!
いくよバルディッシュ、あの2人に天の怒りをっ!!!ランサーセット!!
「Master. please calm down」(落ち着いてください。マスター)
《・・・おいこらバル公》
「!!」
《てめー、杖の分際でご主人様に逆らう気か?そのコア溶かして金歯にしてグレアムの
じじいの奥歯に詰め込んだろーか、あぁん?》
「!!!・・・Sorry master・・・Magical power empty・・・」
(申し訳ありません、マスター。魔力切れです)
《見え透いた嘘言ってんじゃねーよ!!ダボがぁぁっ!》
「着いたー。どこ座ろっかーフェイトちゃん」
「うん、あっちのベンチがいいんじゃないかな」
「うんっ」
《ちっ、運がよかったな、バル公、次はねーぞ、覚えとけ》
「・・・Yes sir・・・」
はっ!そうこうしているうちになのはがもうベンチの方へ!しかもベンチの端にっ!
そう、やっぱりそうなのね、なのはっ!!私以外の隣に座るなんてありえないわよね、
それはもちろん私を誘っているのよね!ああ、今行くわなのは、あなたの隣のファース
トクラス。あってんしょんぷりーずなのは!
「なのはちゃーん、隣座るねー」
「うん、すず・・・」
「危ないすずか!足元にクレイモアトラップがーーーー!!」
「えぇえぇぇぇ!!」
「あ、ごめんなさい、見間違いだったみたい」
あ、あぶねーな!このアマ!てめーがなのはの隣に座るなんざ10億とんで7万年早
いんだよ!身の程知りやがれやぁ!!
ふふん、そうよ、やっぱりこの位置、なのはの隣には私が似合うわ。まぁもっとも、
私以外をなのはが隣に座らせるなんてありえないから比較のしようがないかしらねー、
おーっほっほっほ。そして隣に座ったならやることはただ1つ。お尻とお尻のフレンチ
キッス。ああ、この触れるか触れないかの微妙な感覚から伝わるなのはの体温。わかる、
わかるわなのは、この温もりはあなたが私を想ってくれる愛の温もりなのねっ!そして
あなたも感じて、この私の温もりをーーーーーーーー!!
「あ、ごめんね、フェイトちゃん、ちょっと狭かった?今ずれるからね」
あん、もう、なのはったらいけずぅ。
・・・とんでもないことになってきたので無理やり完。
らぶらぶフェイト×なのはが書きたかっただけなのに何だこれわ・・・orz