【僕の事】かしましSS総合第2期【女の子にして】

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539荒巻とぬこ・・・ ◆eri.libsVY
私の作品がなんか波紋を呼んでるみたいですね。
まぁ、人それぞれ考えることは様々だと思います。
ボクは、それで良いと思ってます。
>>484>>488さん、応援ありがとうございます。
>>494さん、とりあえず向こうには誰かさんが、コピペしてくれたのですが
どうしましょうかね。
なんだか、こっちでいいみたいな気がしますが・・・

とりあえずそんなわけで。・・・(だからどんなわけやね〜ん!(`3´)シ(ノ=゚ω゚)ノ)
みなさんお待たせしました。「やす菜の心が開く時・・・」連載2回目、
投下したいと思います。また暇つぶしにでも読んでやってください。
では、どぞーヽ(´ー`)ノ

第一章:「葛藤」(1/4)

   1

 暗い部屋の中でアロマテラピーの炎がゆらりと揺らめいている。
 机に座って、フォトスタンドを眺めながら私は、あの男の人の言葉を頭の中でゆっくり
繰り返していた。
------新しい環境に”自らの意思で”身を置き、適合しようとするための努力が
この症状の克服の鍵・・・-------
 私の意思で生活を変える・・・これがどんな意味を持っているのか、私はすぐに
理解できた。
 でもそんなこと、今まで考えたこともなかった。
 物心ついた頃も、普通に男性が見えてなくて、自分の父親の顔さえわからなかったから、
これは一生続くものだと思ってた・・・。
 でも、はずむ君が私の前に現れたことで、世界が変わった・・・。
 私ははずむ君なしでは生きていけない・・・
 生活を変えるということは、はずむ君とお別れしなきゃいけない。
 お別れ・・・・・
「嫌!絶対!!はずむ君と別れるなんて・・・・・」
 私は頭を振った、髪の毛がバシッと顔に当たる。
 はずむ君は私の全て・・・それなのに、別れるなんて到底考えられない・・・・・
 目頭から雫が流れた、ポロポロと零れ落ちる雫は、フォトスタンドの表面を濡らしていく。
 でも、はずむ君から離れないと、またいつ何処であの恐怖が蘇るかわからない・・・
 わたしは、田舎の駅の出来事を思い出した、とまりちゃんがはずむ君にキスをして
いたあの時のこと・・・・・
 あの時、とまりちゃんが裏切ったと思った瞬間、私の目はとまりちゃんもはずむ君も
見えなくなっていった。
 怖い・・・あの見えなくなる瞬間が、私の頭の中で何度も繰り返される・・・
「わ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
 私は声を上げて机に泣き崩れた。
 涙が止まらない・・・こころの底からあふれ出てくる何かが、私の瞳を熱くし、
雫となって私の頬を伝う・・・どんどん・・・どんどん・・・とめどなくあふれ出てくる・・・。
 私の頬を伝ってフォトスタンドに流れていく。スナップのはずむ君が滲んでいく・・・。
「はずむ君っ・・・私はっ・・・私はっ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
540荒巻とぬこ・・・ ◆eri.libsVY :2006/04/13(木) 00:14:24 ID:0HMwePEI
第一章:「葛藤」(2/4)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ どれくらい時間が経っただろうか?
 気が付くと私は、泣き崩れたまま眠ってしまったみたいだ。
月明かりが部屋の窓に射し込み、机の上の鏡は、月明かりに照らされる私の腫れた目を
映し出していた。
 私はゆっくり立ち上がると、部屋を出てリビングに続く階段を下りていった。
 台所に入ると明かりをつけ、水道の蛇口を捻り、勢いよく流れ出す水で腫れた目を
冷やす。
 冷たい水は、気持ちよかった。私の心のわだかまりまで、洗い流してくれてるようだ。
 水道の蛇口を絞り、明かりを消して自分の部屋へと戻る。
 部屋の扉を開け、後ろ手で閉めるとそのままベッドに倒れこんだ。
 今日、はずむ君にこんな顔で、こんな気持ちで会うことが出来るのだろうか?
 きっと暗い顔をして会えば、はずむ君のことだから心配するだろうな・・・
 あの困ったような、今にも泣き出しそうな顔で私の目を見つめるんだろうな・・・
 なるべく顔に出ないようにしなきゃ・・・私が大きく一つ溜息をつくと、心地よい
眠気がやってきて、それに流されていくように私は眠りに入った・・・・・。

   2

 目覚まし時計が6;30を伝える。その音に少し、憂鬱な思いを持ちながら私は
起き上がった。体が少し重い・・・。
 パジャマのボタンを外しながら、今日はどうやってはずむ君と顔をあわせればいいのか
考えていた。まだ別れると決めたわけでもないのに、何故か心の奥底に重い何かが
渦を巻いている。
 制服に着替え終わった私は、かばんを手に取り、重い足取りのまま階段を下りた。
「おはよう・・・」
 リビングにあるテーブルの席に着くと、母が台所から優しい口調で朝の挨拶をして
くれた。
 テーブルには、トースト、スクランブルエッグ、ポテトサラダ等が綺麗に盛り付け
られていた。
 どれもおいしそうだったけど、昨日のことを考えると、とても喉を通りそうにない・・・
 それでも私は、マグカップにそそがれたホットミルクを一口口に含み、トーストを
かじった。
 こんな重い気持ちの朝食は久しぶりで、はずむ君と出会う前は毎朝こんな感じだった。
 気が付くと、時計は7:00を知らせていた。食事もそこそこに、洗面台に向かった。
 洗面台の鏡の裏の自分の歯ブラシに、歯磨き粉をつけ歯を磨きながら、私は今日
はずむ君とどんな風に接すればいいのか考えていた。だが、結論は出ないまま口を濯ぎ、
顔を洗って、鏡を覗いた。そこには暗い顔をしたもう一人の私が映っている。こんな顔じゃ
はずむ君に心配をかけてしまう・・・
 私は笑顔にしてみた、やっぱり元気がない私が映る。
「こんなんじゃはずむ君に心配かけちゃう・・・」
 そうつぶやくと、洗面台のお湯を水に変え、パシャッっと顔にかけた。
 冷たい水が、私の気を引き締めてくれた。タオルで顔を拭き「ヨシ!」と心でつぶやく。
 リビングに戻ってかばんと、昨日作っておいたお弁当を手に取ると、いつもより大きい声で
「いってきます!」と母に挨拶した。
「いってらっしゃい」優しい母の声を背に受けて、玄関の扉を勢いよく開け、バス停まで
走った。
 晩夏の風が私の頬をくすぐる、夏の終わり、秋の気配が幽かに漂う風・・・
 いつもならはずむ君のことで頭がいっぱいだった私は、今日はじめてうつりゆく季節
の変化に気づいた。夏服では、少し肌寒かった。
541荒巻とぬこ・・・ ◆eri.libsVY :2006/04/13(木) 00:15:18 ID:0HMwePEI
第一章:「葛藤」(3/4)


 教室に着くと、かばんを机にかけ、私はいつものように窓からはずむ君たちが来るのを
見ていた。もう何日も続けていることなのに、今日はなんだか切ない・・・
「あ・・・」
 校門をくぐるはずむ君を見つけた私は、うれしくなった。いつもと変わらない登校
風景なのに、なんだかとても新鮮に感じた。
 昇降口に入っていくはずむ君を目で追いながら、私ははずむ君になんて声をかけたら
いいだろうと考えていた。
 いつもなら昨日あった出来事や、夜のテレビの内容、今日学校が終わったらどうするとか、
他愛の無い話で盛り上がるのに、昨日は帰ってからずっと部屋にこもっていたから、
話題が見つからない・・・
 あれこれ考えてるうちに、教室の扉が開き、とまりちゃん、はずむ君、摩利さん、
明日太さんの順に教室に入ってきた。私は一度、窓辺に視線を向け「ヨシッ」と
つぶやくと、振り返って「おはよ〜!」と言いながら4人に向かって歩き出した。
とりあえず、今日はこの気持ちに気づかれないようにする為に・・・
「おはよ〜やす菜ちゃん!」はずむ君はいつものように人懐っこい笑顔で答えてくれる。
「お〜す!やす菜」とまりちゃんも変わらずに私の挨拶に笑顔で答えてくれる。
「おはよう」明日太さんもいつもと変わらない返事で挨拶してくれる。
「・・・今日は一段と元気ね」摩利さんの言葉に、ちょっとドキッとした。
「そ・・・そんなことないわ」なるべく動揺しないように、気をつけたつもりだった。
 それでも摩利さんの瞳の圧迫感に、私は心が見透かされたように思えた。
 「ねぇ、はずむ君・・・」私はその圧迫感から逃げるようにはずむ君に視線を向け、
なるべく気づかれないようにいろいろ話題を振った。
 朝、あれだけ何を喋ろうかと考えていたのに、いざとなると何かと話題は出てきた。
 あれやこれやと話してるうちにチャイムがホームルームの時間を告げる。
 私は「またあとでね」と手を振り、自分の席に着いた。
 それと同時に教室の扉が開き、並子先生が入ってきていつものように出席を取る。
 いつもと変わらない、この朝の風景。この風景も変えなければいけないのだろうか・・・
 私はまた、いつの間にか机の上で握られた拳を見つめていた。
「・・・やす菜さん?神泉やす菜さん?」
「はっはい!」私は思いつめるあまり、並子先生が私の名前を呼んでる事に気づか
なかった。
「大丈夫?」
「だ・・・大丈夫です・・・」
 なんともいえない恥ずかしさが私の周りに漂い耳が熱くなるのがわかった。
 斜め後ろのはずむ君をチラッとみると、やっぱりこっちを見ていた。こころなしか
心配しているように見える。
 私は軽く微笑み返し、前を向いた。
 そして、(今日はあのことは考えないようにしよう・・・)
 心の中で小さな誓いを立てた・・・。
542荒巻とぬこ・・・ ◆eri.libsVY :2006/04/13(木) 00:16:18 ID:0HMwePEI
第一章:「葛藤」(4/4)

   3

 4時間目も無事終わり、昼休み。いつものようにみんなでお弁当を広げて食べる。
 私は、はずむ君やとまりちゃんにおかずの取替えっこをしたりして、楽しく昼食を
済ませた。
 5時間目の準備をした後、お手洗いに行こうと席を離れようとしたところに、摩利さん
がやってきた。
「やす菜?今日の放課後、ちょっと付き合ってくれない?」
 その言葉に何故かドキッとした、心臓の鼓動が早くなるのを感じて、今朝の一言が
思い浮かぶ。
「なぁに?」私が聞き返すと、
「ちょっと話があるの、学校じゃちょっとね・・・」
「いいわ、私今日部活があるから終わった後でもいい?」
「わたしも、部活があるからそれじゃ5:00に校門の前で待ち合わせましょう。」
「わかった。」
 勤めて平静を保ちながら話したつもりだったが、摩利さんは私に微笑むと、自分の
席へ戻っていった。
 私ははずむ君を誘って、お手洗いに向かった。
 教室に戻る途中の廊下で、今朝の摩利さんの視線が思い出される。なんでもない一言
だったが、意表を突かれたような気がした。
「やす菜ちゃん大丈夫?」
 はずむ君の綺麗な瞳が私の瞳を覗き込んだ。いつもと変わらない笑顔で・・・
「ううん・・・大丈夫よ?」私はその大きな瞳に元気付けられるように答えた。
「今日のやす菜ちゃん変だよ?なんかボーっとしてて、心ここにあらずって感じで・・・」
「そんなことありませ〜ん」私は面白おかしく答え、プイっと視線をそらす。
「そうかなぁ〜?」はずむ君が疑うような視線でまた私を見る。
「あ〜、そんな風にしてみるんだったら・・・こうしてやる!」
 私は、はずむ君のわき腹をこちょこちょとくすぐった。はずむ君はこの攻撃に滅法
弱いらしく、
「あははははははっ!やっやめて!ひゃひゃひゃひゃひゃっ!」
「この!この!どうだ!」
「ひゃひゃひゃひゃひゃっ!!ごめっ!ごめん!ひゃひゃひゃっ!もうっ!しないから!
うひゃひゃ!許して!!」
 はずむ君は笑い転げながら必死に謝った。
「よ〜し、そこまで言うんだったら・・・」と言いながら私が攻撃の手を緩めた次の瞬間!
「隙あり!」はずむ君は私のわき腹をすかさずくすぐった。
「ひ〜!ひ〜!ごめん!ごめんなさい!許してぇ〜!」私もこの攻撃にはたまらない。
 その時、始業のチャイムが鳴り、私とはずむ君は笑いながら教室へと走っていった。
 私達が教室に入ると同時に、教科担当の先生が入ってきた。
「こら〜!遅刻だぞ〜!」
「ごめんなさ〜い」私たちは口を揃えて謝りながら、それぞれの座席に戻ろうとした時、
「元気になってよかった」
 はずむ君が耳元でそっと囁いた。
 振り返ると、はずむ君はもう自分の座席の椅子を引いていた。
 私も急いで自分の席について一息つくと、はずむ君の方を見た。てへっと笑いながら
小さく手を振ってくれた。
 私も笑顔で小さく手を振り返し、机の上の教科書に手をかける。
 いつもはずむ君と一緒だと自然と笑顔が出ていたけど、こんなに声を出して笑った
のは久しぶりだった。
 心地よい爽快感が、私の心の中の迷いを流してくれたようだった・・・。


・・・・・第二章に続く・・・・・
543荒巻とぬこ・・・ ◆eri.libsVY :2006/04/13(木) 00:27:39 ID:0HMwePEI
とりあえず今日はここまでです。
最近、これを書くのが日課になってます、
仕事そっちのけで書いてる自分がちょとハズカシス・・・・orz
書いてる途中でやっちゃったことがありまして・・・・
季節展開が晩夏から早秋なのにアニメの12話は、夏の終わり。
でも、冒頭は4ヵ月後・・・失敗しました・・・・どんな時間軸だよ・・・・(汗)
書き始めたのは、アニメが終了した直後だったので、そっから計算してやったんですけどね・・・
そこのところはあんまり突っ込まないで下さい・・・m(__)m
それじゃ、また溜まったら書き込みしたいと思います。