スレ違いだね
バシュアーシェ職人氏がそろそろ来てくれると嬉しいんだけど
先週末は来なかったから今週末は来るかな?*´∀`)wktkwktk
そろそろアーシェものきぼん!!!!!!!!!
アーシェ不足だああああああああああ!!!!!
バシュアーまだー?ハァハァ(´Д`;)
ずーっと待ってる俺ガイル…
>>355と
>>461を書いた者だけど、今書いてるのは実は別カプ…;
でも先週要望があったので少し欲張ってみようと
バシュアー成分も入れてたらものっそ長くなりました。
分割でエロなしな部分だけになって申し訳ないけど、
前半部分を今日の夜に投下します。
後でまた書きますが、前半だけでもちょい長いので、エロが欲しい人は前半はスルーして下さい。
遅れまくってスンマソンorz
それではまた夜に。
>>948 ktkr!
て、あ〜バシュアーじゃなかったんスか・・・・
あまり長文読まない俺的には、分けてもらったほうが頭が疲れにくいので、たすかります
そうか今夜か・・・バシュアーも・・・・wktk
>>948 待ってました!夜が楽しみです。
あなたの書く文章すげー好きだ。
>>949 おまえ、ちょっと失礼じゃないか?…釣りか?('A`)
951 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 11:55:47 ID:OGbdGEEG
>>950 ごめん、言葉使いが悪かった
先週
>>948氏が何か書いてるって言ってたから、
てっきりバシュアーだと思ってバシュアー期待カキコを何回か投下しちゃったんで、
職人さんに気を使わせちゃったなと思って・・・・
ほんと、悪気はなかったんだ。
ごめん・・・このwktkは激マジです
職人さん、どうかよろしくお願いします
>>951 気持ちはわかった、とにかく餅つけ。
ageてるぞwwwww
しかし
>>948氏のSSが読めるのか。
俺もすげー楽しみだ。
んでもってFF板にエロ職人&ROMが分散されてる中で、
このスレに投下してくれてる職人さん達には感謝してもしきれない。
本当に本当にありがとうございます!
皆さんの次回作を待ちわびる者として、950レス突破を祝います!!
で、次スレ立ての話は…もうちょっと後でいいよな?w
953 :
注意書&序文:2006/06/03(土) 00:22:31 ID:+5+VQB/r
>>948です。ご期待に添えるかどうかわかりませんが、
ちょっと色々盛り込みすぎて長くなったので、前半後半に分けます。
最後のほうがまだしっかり書ききれてないので後半は近いうちに補筆添削済ませるつもりです。
※以下の人はスルー徹底でよろしくお願いします。
個人の中で各キャラ像が確立している人
とにかくエロが読みたい人(本日投下分にはエロは無し)
長文は勘弁の人
――――――
酔えや騒げや 謳えや舞えや
湖畔にたはむる 白緑の風にゃ
憂き目も吹かれて 踊らんばかり
鈴鳴る先へと 足踏み入れりゃ
酒精も歓ぶ べっぴん揃い
酔えや騒げや 謳えや舞えや
さぁさよいこれ いざ憩え
湖面を揺らす風に乗り、テノールが白緑宮を巡る。
歌い手は遥かに広がる青い世界ににやりと笑んだ。
往く往くは爵位を頂戴して並み居る美女より妻を娶り、
豊かで静かな丘陵をのんびり治める。
それが彼の密かな野望だった。
左手にはサリカ酒、右手には美人のかみさん。
(………最高じゃないか)
「……若っ!!」
「うわぁっ!!!!」
耳元で突然弾けた叫び声に慌てて飛び起きれば、
涼やかな水面も青々とした森も一瞬にして消え去り、
眼前に残ったのはどこまでも続く黄土の地平線と、側役である老人の鬼の形相。
「…………夢か」
「夢か。 じゃ、ありませんぞ。またこんな所で 売れもしない油を売りなすって!」
癇癪に半ば呆れの入り混じった老人の言葉に、彼はさめざめとした顔で返す。
「…とはいってもだな、爺。俺は――」
「帝国は言い訳したって待ってはくれませんぞ! それにもうすぐ都入りです」
「…もうか?」
時の過ぎ行くあまりの早さに、軽く眩暈を覚える。
(こんな所に来る予定なんて俺の計画にはなかったのに…)
彼は鬱々とした気分で外へと目をやれば、硝子越しに広がるは一面の砂漠。
換気設備の充実した飛空挺内にあって尚、うだるような蒸し暑さ。
おまけに鼻と舌にまとわりつく砂っぽさ。
(………最悪だ)
これから自分を待ち受けるだろう受難に頭を抱えつつ、従者に追い立てられるこの青年。
名を、ラスラという。
数日前。
周辺の小国を呑みこみ日毎に勢力を増すアルケイディア帝国に脅威を覚えたナブラディア国王は、
ロザリアとの同盟を主張する右大臣派と、
アルケイディアを刺激しない様迫る左大臣派の間で板ばさみになっていた。
かねてよりこの両派閥は何かといがみ合ってきたが、
近年に至っては、いつ政争に発展しないとも限らない程緊迫したものと化している。
これら内外の問題を何とか解決できないものかと懊悩した国王が白羽の矢を立てたのは…
「何故です父上!どうして私が……それもこんな大事な時期に…」
「このような時期なればこそだ、ラスラ」
謁見の間での想定外の宣告に反発した息子を、国王は渋目で諭した。
” ダルマスカの王女と第二王子ラスラとの婚約発表 ”
小規模とはいえ、ナブラディアより軍事的に勝る隣国ダルマスカとの包括的な共同戦線。
これにより工業国であるナブラディアは、ダルマスカの軍事力を手に入れることができる。
ロザリアをのさばらせず、アルケイディアの大義が突け入る隙をなくし、
かつ国民の不安を取り除き、国内の防備を固め、内政の衝突すらも回避する。
王家の婚約発表から婚礼に至るまでの期間は異例とも言える早さだったが、
それはまさに一石二鳥の策であるように思われた。
外交以上に内政が思わしくない事は、ラスラにもよくわかっていた。
しかし彼には第一王位継承権を有する兄がおり、彼自身に表舞台に立つつもりなど毛頭なく、
いつか田舎の領地に引っ込んでのんびりと余生を送るつもりでいたのだ。
それが何が悲しくて戦局の中核へ連れ出されねばならないのか。
しかも恐らく種牡馬としてしか期待されていないような婿養子などに!
「儀礼的なものであれば、他にいくらでも候補はおりましょう?」
傍系にも適した年齢・地位の者が何人も居るのに、
敢えて直系の第二子を国外に出す必要などあるのか。
しかし、息子の代案にも父の意向は頑として譲ることがなかった。
「我らには最早、後がないのだ…国が失せれば全てが失われる」
かぶりを振る父をラスラは射殺すように睨み、父は背けることなく射返した。
どれくらいの時間が経ったか。
謁見の間に張り詰めた緊張の糸を断ち切ったのは、国王だった。
「……これも”王家の義務”だ」
しかし息子を宥める為のその一言は、若いラスラの思いを打ち砕いた。
父とは、兄と父がそうであるのに比べて良好な親子関係を築いてきたわけでもない。
執務に追われる父親に謁見する機会など、年に数える程度しかない。
もしかしたら、ラスラは余計な継承権を持った厄介者なのかもしれない。
兄以外に近しい継承権を持つ人間を、傍に置いておきたくないだけかもしれなかった。
他国での人生を強制された事よりも、その内情こそがラスラを傷つけた。
「……”陛下”にとって、息子は兄上お一人なのですね」
二人目の息子は単なる手駒の一つ。
第一王位継承者の兄と、生まれる順番がたった一つ違っただけなのに。
自嘲るようなラスラの言葉が、国王の顔に狼狽の色をさした。
「――ラスラ、それは違…」
「御心は確かに。失礼致します。……二度と御目を汚しはしません」
口の両端を大きく吊り上げて、しかし今にも泣きそうな顔で嗚咽を堪え踵を返す。
呼び止める声を振り払うかのように、ラスラは一目散に逃げ出した。
寸刻でも早く、この目の眩むような現実からの脱出口へとたどり着けるように。
傷心の王子が通り過ぎた床上には、
ただ悔し涙だけが、場に留まる事を訴えるように零れ落ちていた。
(……若っ!しゃんとお歩きなさい!)
耳元で諫める老人の声に、視界がクリアになる。
白緑宮を彷彿とさせるガルテア連邦時代の建築様式。
一瞬、逃げ出した筈のあの王宮に戻ってきてしまったのかと慄いたが、
しかし粘つくようなこの熱気はかの地にはありえない。
そ、ここはダルマスカ王国のラバナスタ宮。
その一角で、ラスラはわずかばかりの従卒と共に案内を受けていた。
何故こんな状況で白昼夢を見たのか…暑さで意識が飛んだのかもしれない。
これではいけないと軽く頭を振った先で、ラスラは前方に複数の人影を捉えた。
こちらの存在に気づくな否や、廊下の端に寄り、礼を取るその様相は武人のものだ。
(あの鎧は……将軍職か…?)
よく見ればヒュムの中にバンガやヴィエラも混ざっている。
物珍しげに通り過ぎる途中、彼は一人の男を見出した。
顎髭を申し訳程度に生やしたその茶髪の男は、
まるで値踏みでもするかのように鋭い目つきで一行を観察していたようだったが、
ラスラ本人と目が合った途端、慌てて他の将軍同様顔を床へ背けた。
(…なんだっていうんだ)
明日からの王位正統後継者を知っておきたい好奇心からのものだったのか、
或いは、農業国からの『田舎者』が珍しかったのか。
いずれにせよ面白くない事には変わりない。
彼自身が未だ婿入りに乗り気でないという事が、それに拍車をかけた。
半ばヤケになって了承した婚約ではあったが、結局のところ、諦めが作用した結果に過ぎないのだ。
「本日はこちらでお休みいただく事になります」
通された部屋は、予想以上に豪奢な造りの広い部屋だった。
部屋の中に実際に通されたのはラスラと側役の老人だけで、
残りの者達は先に臣用の部屋へと案内されている。
ナブラディアの自室よりも広いその客間に度肝を抜かれたラスラの心中を
知ってか知らずか、案内役の御殿女中は恐ろしくにこやかな顔で
今後の予定をつらつら述べていく。
「今宵は陛下とのささやかな晩餐にご出席合わせいただきます。
明日午前には王女殿下との接見、後市内を巡回するお披露目のパレードに。
続いて聖堂内でお二人の御婚礼の後、夕方になりましたら殿下には上層にお移りいただきます」
「ふぇっ?」
聞き捨てならない単語に抜けた声で返したラスラの側腹に、爺の肘打ちがヒットする。
「グェッ」
「いやぁ〜〜この年になりますと耳が遠くて困ります…今晩はアーシェ殿下はお見えにならないので…?」
大きく間延びした声で場を濁す老人に、女中は変わらず笑顔で応対する。
「さようでございます。今宵は国王陛下始め一部の臣のみとの御会食になります。
アーシェ殿下とのご対面は、パレードの直前になります」
思わず何かを噴出しそうになったラスラの腹部に二発目の肘が入る。
「それでは、時刻になりましたら使いの者をやります故、それまでごゆるりとおくつろぎ下さいませ」
彼女が何事も感知しなかったかのように絶やさぬ笑顔のまま扉を閉めた直後。
「……婚礼パレード直前まで結婚相手に会えないなんて話、聞いた事あるかい…?」
ラスラの凍るような声が老人に突き刺さる。
何かを訴えるような主君の視線からわざと目を反らした老人の肩が、がっつりと掴まれた。
「いやまぁさすがに先方も当方も急な婚談でしたから、何と言いますか時間に余裕がないと言いますか…」
「でも今から晩餐まで随分時間があるよな…あっちが忙しいだけなのか…?」
ラスラの顔が絶望の色に染まっていく。
あまりの性急さに王子が二の足を踏んでいる。この状況はいただけない…
何か誤魔化せるものはないかと模索する老人に、若き王子の最大の不安が口をついて出た。
「王女がブスだったら………どうすれb」
本日三度目のエルボーは顔面にヒットした。
事態が個人の趣向を追求していられる状況にない事は、ラスラにだってわかっていた。
しかし、国の為に人身御供になった上に結婚相手の容姿も知れないことは、
かつてささやかな夢を抱いていた彼にとっては重大な不安要素だった。
(いや、むしろブスだから直前まで会えないのか?そうなのか?そうなんだな!?)
その可能性は低くない、否、そうに違いない。
思い込み激しく悶々と唸り続ける若者の想像世界の中では、
王女が不美人であることは最早確定事項と化してきていた。
確かに王女と面会出来るのが今日だろうが明日だろうが、結婚する事に変わりない以上、
政治的観点において、事前確認は無意味かもしれない。
(でも心の準備は必要だ。相手がブスなら尚更のこと…)
思い立ったが吉日。元より彼の本質は好奇心の塊が核を成している。
「爺、俺はちょっと宮中を散策してくるよ」
「はぁっ!?」
突拍子もない主人の発言にあきれ果てる従者をよそに、彼は隠し持ってきた従卒の服を取り出してさっさと
着替え始める。
元は公務を抜け出す際、人目を忍ぶ為に着用していたものだが、
まさかここで役に立つとは思いもよらなかった。
「大丈夫。ここの建築手法は白緑宮と大差ないし」
「ちょっ…若!?」
「王女様を遠目で確認したら晩餐までには帰ってくるからさ、じゃ!」
小姓姿の主がさっと部屋から逃げ出すのを呆けた顔で見送った老人は、
事態の深刻さを重々承知しているにも関わらず、喜びのため息をついた。
ナブラディア国王との謁見以降ナリを潜めていた本来の彼が、ようやく戻ってきた事に。
賓客の案内や明日の催物の準備で、宮中は先刻よりも遥かにざわめき混雑していた。
この状況なら、ナブラディアの小姓が普通に歩いていたとしても見咎められることはないだろう。
(さっきの女中は上層がどうのと言ってたな……)
キョロキョロと見回すと、都合よく上層階への階段を捉える事が出来た。
たった一層越えただけで人気が失せ静寂が支配する上層階を、ラスラは一人進んでいく。
王女がこの先にいるか否かは大した問題ではない。時間はたっぷりあるのだから。
ふと、どこかから誰かの声が聞こえてくる。
何を話しているのか。好奇心に駆られていけば、廊の一角で二人の男が言い争っていた。
よく見れば、片方は先刻ラスラと目が合った茶髪の将軍で、
もう一人は同じくらいの背格好をした金髪の男だった。
(なんだ…?)
金髪の男がいきり立つ茶髪の男を懸命に宥めている。
『少しは落ち着けウォースラ』
『お前は俺じゃないからそんな事が言えるんだ!』
『…全てはアーシェ殿下のおん為だぞ』
どうやら茶髪の男が何かを渋っているらしいが、一体何を…
『そうだ、我ら騎士団が大切にお守りしてきた殿下だ!それをあんな青二才に…』
どうやら二人の議論の中心には自分がいるようだ。彼らは、ラスラとその結婚相手の話をしているのだ。
(青二才で悪かったな)
不快には違いなかったが、二人が話している対象は、まさにラスラの欲している情報そのものだ。
『ウォースラ、今はそんな話をしている暇はない、早く殿下を……』
『待てバッシュ、これは非常に重大な問題だぞ!』
(バッシュ…バッシュ・フォン・ローゼンバーグ将軍か!)
白緑宮でも吟遊詩人の語り種になっている。ダルマスカの英傑だ。
思いがけぬ名前にちょっとした興奮を感じて笑んだラスラの耳に、
しかし怒り収まらぬウォースラの衝撃的な一言が舞い込んだ。
『大切な殿下が田舎者に寝取られる現場を警護するなんて、俺には耐えられんのだ…!』
(…………は?)
田舎者という言葉は気になったが、それとは全く別の次元でラスラの目が点になる。
今、ウォースラは何と言ったか。
寝取られる”現場を警護する”?
『部屋の外からだ。見るわけじゃない。そんな気にする事でもないだろう?』
『”声” は 聞 こ え る だ ろ う が !童貞のお前にはわからんだろうがな、あれは恐ろしく響くんだ!』
『ぶほっ…!』
思わぬ反撃にむせ込むバッシュ。
ラスラにも、幾度か戯れに女官とまぐわう機会があった。
しかしそれらは自由な環境下で(半ば王家公認で)行われていたもので、
いくら性交中の人間が無防備とは言え、警備などついた試しはない。
それが。衆人監視下での性交?
(あ……ありえない……)
頭がくらくらするのを必死に抑える。
『そうだ!そこまで言うならお前がやればいい!俺の気持ちがきっとわかる!』
『ちょ、ちょっと待てウォ ―』
『”全てはアーシェ殿下のおん為”だ。大事な任務だぞ』
『…ぐ…………』
自らの言葉に詰まるバッシュ。二人の決着はついたようだった。
『よしバッシュ、とにかく今は殿下の件が先決だ――』
『……むぅ……;』
話し終わった二人がラスラの隠れているほうへと歩いてくる。
(やばっ、このままだと見つかる…!)
人気のない上層階にナブラディアの小姓が一人だけ。怪しまれることは必至だ。
呆けた頭を掻き毟り、その場から立ち去ろうとしたが、足がふらついて言う事をきかない。
二人の足音が近づく。ラスラの手が宙をかく。どこかに逃げ場は……
壁越しに後ろ手が部屋のものらしきドアノブを掴んだ。鍵がかかってなければいいが…
カチャリ……
(開いた!)
鋭く息を吐き、僅かに開けた隙間からラスラは中へと潜り込んだ。
パタン
「…………ふぅ」
緊張の糸が切れ、ラスラは広くも狭くもない客間の床へと座り込んだ。
(……赤の他人に声まで聞かれるのかよ)
もし本番で下手をうてば男として見くびられる事は間違いない。
おちおちアヘ声も出せやしないし、相手によっては行為以前に自分が萎える事もあり得る。
よくよく損な役回りを受けたものだ。
「……部屋に帰るか」
下手に実物を確認すれば悪夢にうなされるかもしれない。
せめて今宵だけでも幸せな夢を…
そう思って立ち上がった時だった。
「きゃっ」
小さな悲鳴と家具の揺れた音にはっとして振り返れば、部屋には先客がいた。
急な来客に反射的に隠れたのだろうか。
倒れた家具を下敷きにして真っ赤になりながら、
出窓のカーテン越しに覗かせる端整な顔立ち、栗毛、白磁の肌。
着ている服は女官服と大差ない。しかしその物腰からは育ちの良さが滲み出ている。
白緑宮の美女達には見劣りするも、控えめに見ても愛らしいその娘に、ラスラはすっかり参ってしまった。
「………ちょっと」
「?」
「? ……じゃないでしょう?転んだ女性に手も貸さないなんて、それでも紳士?」
「…あぁ、すまない」
傲慢な言い口にも関わらず、道理の正しさに苦笑を漏らし、ラスラは慌てて駆け寄った。
しかしいざ手を差し伸べても女人は一向に立ち上がる気配を見せない。
いや、立ち上がれないのか。
「………もしかして、腰、抜けた?」
図星だったらしい。ただでさえ紅潮していた頬に、紅葉のような赤みがぱっと差す。
(アーシェ王女がこれくらい可愛かったら結婚もいいものかもしれないなぁ…)
不謹慎な考えが胸裏をよぎるも、いつまでも彼女を放置しておくわけにもしておけない。
ラスラは手を引っ込めると、女性と同じ視線までひょいと腰を下ろした。
「ちょっと失礼」
「え、何?……きゃっ!」
出し抜けに抱き上げられて叫ぶ、その柔らかい四肢の感触に思わず顔の緩むを堪えつつ、
ラスラは『紳士的な顔』を崩さないように彼女を手近のソファに座らせた。
あいにく回復魔法を使えるような器量は持ち合わせていない。
第一彼の今の目的は、宮中の女人とお近づきになる事ではない。
「ちょっと待ってて。一度部屋に戻って何か薬を貰ってくるから――」
「そ、そんな事少し休めばその内立てるわ。有難う」
どこか落ち着かない様子の女人は、しかし先程よりは遥かに柔和な態度で彼を引きとめる。
早く場を立ち去りたいかったラスラは、まんまと引きとめられた己に苦笑いをする他なかった。
彼女はとんとんと片足を踏み鳴らしながら、不意に口を開いた。
「ね、あなたナブラディアの人?」
突然身元を尋ねられ、ラスラの心臓が大きく波打った。
何とか怪しまれないような言い訳はないものかとしどろもどろになる。
「えぇ、まぁ。あ、でも別に怪しい者じゃなくて―」
「ラスラ殿下のお身内でしょ?」
「あ、うんそうそうちょっと迷っちゃって…って……よくわかったね」
「だって明日は婚礼の日だもの?この階層に来られるナブラディア人なんて他にないわ」
微笑みから紡がれた「婚礼」という言葉に、一気にラスラの気が重くなる。
彼女も、よもや明日の新郎がこんな格好で目の前にいるとは思うまいが。
「立てるようになったらお部屋まで案内するわ。それまでちょっとお喋りしましょう?」
正直なところ、この女性とずっと喋っているつもりはラスラにはなかったが、
もしかしたら王女に関する情報が聞けるかもしれない。
「じゃあ、案内はお願いしようかな」
急がば回れ。ラスラは彼女の脇に腰をかけ、よく使う常套句を放つ。
「俺はダラン。君の名前は?」
「えぇっ?わ、私?私はア…、アマリア……」
突然名前を尋ねられて驚いたのか、相手はしどろもどろに答える。
「アマリアか。いい名前だな」
褒められる事に慣れていないのか、彼女は慌てて話をはぐらかす。
「そ、そんなことより!ね、ナブラディアの話を聞かせて?ダルマスカとは全然違うんでしょう?」
「んー。そんなに違って見えるかい?」
アマリアの言い様に、ラスラは俺を見てごらんとでも言うように、諸手を広げて肩をすくめた。
服装や生活様式こそ多少異なるが、元は同じガルテアの子供達である。
「何が違うっていったら、多分気候と産業だけだろうな。ナブラディアには砂漠がないから」
「ええ。緑と水の豊かな国だと聞いたことはあるわ」
「観た事は?」
ラスラの問いにアマリアは小さく首を振る。
そのあどけない様が可笑しくて思わず笑ったラスラに、アマリアは頬を膨らます。
その態度にさえすっかり気を良くして、彼は陽気に語ってやることにした。
湖面に映える白緑宮の壮麗さを。
首都を囲むサリカ樹林の木漏れ日の精彩を。
数多く産出している銘酒の芳醇なさまを。
帰ることかなわぬ、愛しい故郷の思い出を。
人々がせわしなく動き回る宮中の回廊を、老人が一人、酷くゆっくりとした速度で歩いていく。
何をするでもなく、誰を探している様子もない老人は、
まるで人の流れそのものを観察しているようでもあった。
しかし人通りが多い中で充分以上に目立つその鈍重さは、
彼の探していた人物をいとも簡単に引き寄せた。
「もし、ご老人。道に迷われましたか?」
かけられた声に徐に振り向けば、視線の先には何故か顔中傷だらけのバッシュが立っていた。
「どうなされた?そのお顔は」
尋ねた内容と全く異なる返事を返され、バッシュは恥ずかしそうに顔を歪めた。
「いや…これはちょっと…猫にやられまして…」
老人の皺だらけの顔に既視感を覚え眉をしかめるも、どうしても思い出せない。
「…失礼、どこかでお会いしたでしょうか?」
「ほっ!」
背中の曲がった老人に上目を使うバッシュに、老人は快活に笑った。
「いやいや、お初ですな。お勤めご苦労様です」
「そうですか…申し訳ない、仕事柄なもので」
謝ってはみたものの、このまま立ち去る気は彼には全くなかった。
女子供老人には優しくは騎士のモットーだ。
「宜しければ、宮殿の出口まで案内させましょうか」
「いえ結構。道は充分把握しております故」
そう言って、やおら出口までの道筋を的確に説明し始める老人に、
バッシュは半ば呆れ半ば驚嘆として、無意識下に侮ったことに対して深々と頭を下げた。
今日は宮中の誰もが明日の準備に忙殺されている。
バッシュに至っては先程ウォースラに厄介事を押し付けられたばかりだ。
一人で外まで出られるのであれば、本人にやってもらったほうが何よりも助かる。
「…それでは、私はこれで」
貴人に対するのと同等の礼でもって会釈し、彼は彼の仕事へ向かおうとした。
しかし。
「待たれよ」
老人の発したしわがれた声に得体の知れない重圧を感じ、バッシュははっとした。
先程とはうって変わった鋭い瞳にただならぬものを宿し、老人は続けた。
「ナブラディアは近い内に帝国の侵攻対象になるでしょう」
「!?」
思わぬ情報に、バッシュの視界が刹那に歪んだ。
「国内の内争が昨日大きく動きましてな。ロザリア帝国よりの重臣どもが勢いを増し、
これ幸いとアルケイディア軍が既にフォーン海岸まで侵攻してきておるのです」
「あなたは一体…」
その真偽と確からしさに眉をひそめるバッシュに、
老人は骨ばった皺だらけの指を唇に軽くあてた。
「この件は貴方と国王陛下にのみお伝えすること。
ナブディスは長くは保たないという事、ゆめゆめ忘れなさるな」
近い内にダルマスカが戦に巻き込まれることを覚悟せよ。
老人はそう言っているのだ。
動揺を隠し切れないバッシュを前に、老人は小さな背を更に曲げた。
「ナブラディア国王陛下からのお言伝です。
”レイスウォールの子らの未来を、貴殿らの剣に託し申す”」
その小さな背中の小刻みに震える様に、彼は直感でそれが事実であろう事を了解した。
「……畏まりました。どなたかは存じませんが、ご忠告痛み入ります」
そう言うと、バッシュは急いで場を後にした。
しばらくはウォースラに、存分に働いてもらわねばなるまい。
足早に作戦室へと向かう途中、バッシュはかつて
この国で最高の栄誉を受けたとある人物の名を、おぼろげに思い出していた。
ひとしきりラスラの話を聞き終わり、アマリアは満足げに息を吐いた。
「ナブディス…素敵な都ね」
「いつか見に行けばいいさ」
彼にとっては明日の婚礼以降、そう何度も帰れない場所になるだろうが、
彼女なら暇を見て飛空挺を利用すればいい。
しかしアマリアは自嘲気味に下を向いてしまった。
「…私は無理よ。この国から出てはいけないの」
ラスラには彼女の言っている意味が理解できなかった。
「出られない?監禁されてるわけでもないだろ?」
入ってきた時、部屋には鍵もかかっていなかったし、なによりここは牢獄ではない。
だが彼女は再び首を振った。
「父が許してくれないわ。私はこの国にいないといけないのよ」
「随分箱入りなんだな。愛されてるじゃないか」
息子を政局の駒に使った父王と娘に固執する彼女の父親との違いに、
彼は軽い嫉妬を覚えたが、その言葉はアマリアの気に触れたらしかった。
「あんなの愛情なんかじゃないわ!人をまるで……」
吐き捨てるように滲み出たアマリアの叫びに、彼はきょとんと目を丸くする。
その変化にはっとして、アマリアは自らの軽口をつぐんだ。
気まずい沈黙が漂う。窓の外から入り込む、人々の賑わいだけが騒がしい。
唐突に、アマリアがぽつんと呟いた。
「ダランは…ダランは、お父上にとても愛されていたのね」
「…どうだろうね」
「だって貴方の目はとても優しいもの」
アマリアの言葉に、ラスラは父への冷笑を禁じえなかった。
彼ほど父親の愛と縁遠い息子もいないだろうに。
「息子を二度と国に帰れなくするのが愛情なのかな」
「え?」
「や、なんでもない。実は俺はもうナブラディアには戻らないんだ」
明るく放たれた言葉に何を感じ取ったのか、何故かアマリアの瞳が夕陽に揺れた。
そう。もう彼はナブラディアには戻らない。戻れない。
死ぬまでダルマスカという名の牢獄に囚われるのだから。
しかしそれは同時にアマリアをこの檻から逃がすチャンスでもあるのではないか。
ラスラは漠然としつつも突然そんな事を考えついた自分に驚いた。
そう、今なお自身の瞼裏に宿る青々とした山峰を、木々生い茂る森を、煌めく湖畔を、
この砂漠しか知らない少女に見せる絶好の機会ではないのか。
「アマリア」
「な、なに?」
ラスラはすっくと立ち上がり、アマリアの目を見つめた。
彼同様に、果てない世界を夢見るつぶらな瞳を。
彼がダルマスカの王になれば、帝国との戦争が終われば、平和が訪れれば。
「いつか君にナブディスを見せてあげよう。約束だ」
明日になれば、彼は会ったばかりの娘と結婚し、そう遠くない内に戦に出向くのだろう。
しかしそれは他の誰の為でもない、彼とアマリアの為の結婚であり、約束を叶える為の戦だ。
一方でラスラの言葉は彼女には到底理解できないものだった。
彼女を縛り付ける鎖は絶対的に太く、固いのだ。
「そんなのは無理…」
穏やかな微笑みを湛え、ラスラは彼女の額に短く口づけた。
突然の出来事にアマリアの瞳が大きく瞬いた。
「!」
硬直したその背中を一回優しくさすると、ラスラは颯爽と部屋を抜け出した。
案内はいらなかった。
彼にはもう、王女を探す理由も必要もなくなったのだから。
(〜後半はまた後日。お待たせして申し訳ない)
>>953-960 GJ&乙です(・∀・)
エロ無しでも楽しめました!!!
後半もwktkして待ってます!
じっくりゆっくり頑張って下さい( ̄ー ̄)
>>960 リ、ア、ル、タ〜イム!
待ってた甲斐あった(*´Д`)ハァハァ
もしかして後半は羞恥プレイ?
やべー我慢汁止まらね…!
ラスラがスゲー切なすぐる…マジでGJ!
&バッシュがどう絡むか楽しみだ!
乙でしたっ!
乙です!!
ラスアーにバッシュを絡ませてくる仕事ぶりに感服。
続きも凄く楽しみです!バッシュどうなる事やらハァハァwww
すごいGJw読んでて所々顔が綻んでしまうよw
しかし、やはりバッシュは童貞なんだなww
ぁあ〜続きwktkだ〜
GJ!GJです!バッシュwwwどう絡んで来るか楽しみです。続きが早く読みたい!
967 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 14:06:51 ID:TG4q9v0g
「寝取られる」という言葉の使いかた間違っているような・・・
それともアーシェはウォースラと恋愛関係なの?
ごめん、ちょっと気になっちゃって。
でも職人さん、GJ!
続き楽しみにしています!!
>>960 前半投下乙です。
1作目2作目とどんどん長く壮大になってきてますが(笑)
テンポが凄くよいので最後まで一気に読めました。まさに職人。
スケコマシで思い込み激しいラスラは意外でしたけど、凄い好きですv
後半のバッシュにも期待してます。
>>967 性的意味以上に所有の意味で「自分達の」姫がってことかも。
「大切にお守りしてきた」とか言ってますし。
もしかしたら後半じゃ恋人関係だったーとかかもしれないけど^^
誰かも言ってたけど、今970で週末だから、そろそろスレ立てしたほうが、
職人さん達が思う存分投下しやすいと思うんですがどうでしょうか?
>>962-968 エロ無しにレスをどうもです。
後半はエロも頑張るので……
>>967 ご指摘有難うございますノシ
どっちかってーと
>性的意味以上に所有の意味で「自分達の」姫がってこと
と思い違いをしてたのでここで正していただいて幸いでした。
970 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 17:56:10 ID:T4W9YbBX
あげ
ドラマとかでも親父が「娘を寝取られて〜」みたいな事言ってるから
俗語では解釈広がってるんじゃね?
れるられるじゃないけどさ
スレ立てに朝鮮してくるかな
あ、テンプレどうする?
なんか必要?
973 :
テンプレ案:2006/06/03(土) 18:27:24 ID:HRCg4OEw
---------------ここから------------------------
ファイナルファンタジー12のエロパロSSをwktkして待つスレです。
職人さんも読み専さんもマターリ楽しみましょう。
基本的に男女CPでお願いします。
801、百合は該当スレがありますのでそちらへどうぞ。
次スレは970くらいで立てて下さい。
FFDQカッコイイ男キャラコンテスト〜小説専用板〜
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/3012/ (したらば)
百合カプスレ@エロパロ板 4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108536012/ ---------------ここまで------------------------
誘導は微妙。
801はしたらばだし、百合はFF専用スレじゃないし。
該当スレがあるんだからこのスレに投下してはいけないという根拠にするにはちと弱いかも。
あぼん用のワードを名前欄に入れれば可、とかの方が柔軟な気がする、荒れるかもしれんが。
まあ煮詰めてくれ、判断は任せる。
あまりポンポンくるものでもないし次スレは
FF総合と統合でいいんじゃないかと思うがどう?
向こうも過疎ってるしちょうどいいと思うが。
総合スレ住人の中にはまだ未プレイやプレイ中の椰子もいると思うんだが
ネタバレになるんじゃないか?
ネタバレ嫌だったら来ないんじゃないか?
発売されて約3ヶ月は経ってるわけだし
どうだろう
もうワンクッション置いたほうがいいと思う
あそことここは職人さんの系統も読み手の需要もまるで違うし
あと向こうの進行速度とここの進行速度も全然違うから、
下手に押しかけると「12のSS以外キボンとか言われそう;
とりあえず12で次のスレ立てて、次スレ最後になったらその時様子見すればいいかと…
ヴァン×アーシェってほんとないな
一応主人公とヒロインなのに
>>981 前にあったと思う。アーシェが酔ってヴァンが部屋に運んで‥って感じ。やっぱヴァン×パンネロのが自然なのかな?ヴァンネロまた読みたいな。
次スレ立ってないみたいだけど、良かったら立ててこようか?
>>983 よろ。
ただ、前も言われてたが、わざわざテンプレで誘導する必要はないような気がする
(そういう要望があった時はここからURLコピペして誘導すればいいし。)
ので、誘導部分だけ外してもらえると助かるノシ
すまん、ホスト規制引っかかって立てられない…
誰か他の人よろ。
ここまできたらラスアシェの後編は次スレだね、
此処のスレの職人さん感動をまりがとうw
次スレでも期待してます。
埋め〜
次スレでも職人さん達ヨロシク。
梅
職人さん、次スレもよろしくお願いします!
ラスラアーシェの続きwktkで
産め〜
次スレの投下をwktkしつつ膿め〜
なんか、ここ、いいですね
素晴らしい読み物がいっぱいある
普通に感動した
次スレもう投下あるし!!!職人さんマジで凄ス!
ここは職人さんにも読み手にも恵まれてる良スレだな。
次スレも繁栄することを祈ると共に住人の皆に心からの乙華麗、
次スレでもよろしくお願いしますノシ