【ササメケ】ゴツボ漫画でエロパロ【ゲル】

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1名無しさん@ピンキー
探しても探してもゲルマリエロがないのでたてますた。

兄漫画弟漫画嫁漫画みんなまとめてどんとこい。
2名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 04:13:18 ID:ULPQn+ZR
にゃー
3名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 10:39:51 ID:Wg8fg9/8
>2
マリーたん来訪かw
4名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 17:02:19 ID:peGLX9dC
保守
5名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 00:48:31 ID:kAedH2OI
ほーしゅー
6名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 13:40:54 ID:xar5PQRW
保守(`・ω・´) シャキーン
7名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 22:05:56 ID:vDHRN9Pa
ぬおおおう!>>1 GJ!!!
こんなスレを待ち焦がれていますた!ゲルマリ大好きっす!
といいますか最近あの二人はすっかり夫婦漫才だと思うのですが
ところで私の希望的観測では犬神くんとマリーたんは
数年後くらいにガキとかできちゃっても籍は入れずにあんな関係のまま
ズルズル続いてってなんとなくもう安川でいいか的感情が芽生えるといいな〜と…

そんなわけで保守
8名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 00:28:44 ID:FqMX6CWz
犬神くんはさりげなくスキンシップという名のセクハラをし過ぎだと思ふ。
しかしマリーたんの飲みかけジュース飲んだりしたのは萌えたよ。

最近のスキンシップの加速ぶりは、数年後に手を出すための布石ではないかと
勘ぐる今日この頃。
91:2006/03/15(水) 04:31:56 ID:FqMX6CWz
スレ立てたっきり他人任せというのもアレなのでゲルマリで1本書いてみたよ。
エロ要素超薄めっていうか原作でも普通にあり得そうなくらいのエロレベル。

願わくば神が後に続いてくれますように…
101:2006/03/15(水) 04:32:59 ID:FqMX6CWz
「クラレンス、掃除は終わったか」
「は、ゲル様。御覧のとおり、まるで三日間掃除しか仕事がなかったかのように徹底的に掃除いたしました」
「うむ、グッジョブだ」

「掃除は終わったか」などと問うまでもなく、事務室は完璧なまでに清掃し尽くされていた。
床などまるで鏡張りと見紛う程で、(ラブホテルの天上みたいだとゲルは思った)
スカートを履いた少女がこの場にいればセクシャルハラスメントを演出できそうなくらいだ。

「ん? 前にもこんなことがあったような……」
はて、と何かを思い出そうとしたところで―――――

「………ただいま………」
地獄の底の亡者のような、恨みをこめた声が自身の帰還を知らせたのだった。
そう、ほかならぬゲルの助手、安川マリーであった。
111:2006/03/15(水) 04:34:20 ID:FqMX6CWz
「………ああ!」
視線だけで人を呪い殺せそうなマリーを見て、クラレンスと二人でぽんと手を打つ。
「この数日間何かを忘れていると思っていたが、これですっきりしたなクラレンス」
「ゲル様、実はわたくし数日前から気づいていたのですが、面白いので黙っておりました」

HAHAHAと笑う二人を見て、マリーの細い肩が細かく震えた。
「なに考えとんねんこの人でなしがーーーーーーーっ!!!」
数日振りのハリセンの音が事務所に鳴り響く。


「信じられへん! 信じられへん!! 可愛い助手をほったらかしにして、しかも存在すら
忘れとったなんて!! 犬神くん、あんた一体なに考えとん!??」
「本当に僕としたことがうかつだったな……。すまない安川、お前の言いたいことはわかっている」
意外なくらい殊勝な台詞でわびるゲルに、マリーの怒りは一瞬勢いを和らげたのだが。

「組長には延長料金をきっちり払ってもらう。お前が身体をはって稼いだ金、ビタ一文とて
取り立て損ねたりはしないぞ」
「アホかーーーーーっ!!! そんなんどうでもええねん! あたしがこの数日間どれだけ
もて遊ばれたと思っとんの!? めっちゃ大変だったんやで、マニアックな服着せ替え人形
みたいに着せられて写真とられまくったり!」
「(延長料金はその写真でもいいか……)」
「何やて?」
「いや、なんでもない。それはそれとして安川よ」

ゲルは一歩後ろに退いて、マリーの頭の先からつま先までをじろじろと眺めた。
「随分とエロティカルなファッションだが、まさか僕を誘惑するつもりではあるまいな。
お前がそのつもりなら受けてたたんでもないが」
「んなわけあるかい!!」
121:2006/03/15(水) 04:35:50 ID:FqMX6CWz
ゲルにそう言われるのも無理からぬ事だった。着替えの時間の隙をついて組長のもとから逃げ出して
きたため、身に付けているのは下着のみ。
スパルタンに出会い上着を借りられたのは幸運だったと言えよう。

「そうか、その上着はスパルタンに借りたのか」
「借りたっていうか、向こうから貸してくれたんやけどね。誰かさんと違って意外と優しいわ〜、
スパルタンの奴」
「誰かさんとは誰のことかな安川」
「痛い痛い痛い、っていうか締め上げながらなんで上着を脱がせますのんオーナー様?!」

「クラレンス」
マリーから剥ぎ取ったスパルタンの上着を傍らのクラレンスに渡す。
「燃やせ」
「はっ。承知いたしました」
「何でやねん!!」


「お前の肌が直接触れた上着がスパルタンの元に戻ってみろ。容易に想像がつくぞ……。
夜中に上着を抱きしめハァハァ息を荒げるHENTAIスパルタンの姿が」
「洗って返せばええやん……そもそもスパルタンそんなことしいひんし」




「もうええわ……疲れたんで休みますー。晩御飯できたらおこしてや」
ぷうとむくれてマリーは自室に下がろうとした。その背にゲルは声をかける。
「ところで安川、この部屋どう思う」
「……? どう思うて……よく掃除されとるね。まるで前あたしが三日間掃除だけしかしなかった
ときみたいな」
「うむ。そのときお前、掃除し尽くされた部屋を自分で何と評していたか覚えているか?」
「えっと……ああそやそや、床がめっちゃ綺麗になってな、スカートやったらパンツ見えるんちゃうか
ってくら………い……」

ぎしっ、とマリーの表情が固まった。
ぎぎぎぎ、と音が出そうな動きで視線を足元にやると。

「ピンクはお前には似合わんと思うが。何なら僕が選んでやろうか?」
「こ、こ、このセクハラ上司がーーーーーーーっ!!!」


ズパアァァン、と盛大なハリセン音が鳴り響く。
「ようやく日常が戻ってきましたな」
スパルタンYの上着を庭で燃やしながら、クラレンスは静かに微笑んだのであった。


終わり
131:2006/03/15(水) 04:41:23 ID:FqMX6CWz
2巻ラストと「ゴーストスイーパー犬神」の間のシチュエーションということでひとつ。
マリーたんをすっかり忘れていたことについて何にもフォローがなくてちょい不服だったので。
でも、フォローがなかったからこそ幽霊話ラストで冗談に偽装した愛の告白が聞けたのかな。
14名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 07:42:28 ID:zEEkBdJH
1さんGJっす!!
なんか普通に原作でありそうな話なのに感動。
あのエピソードは確かにフォローが全くないままGS犬神編入っちゃって
消化不良を感じてたんでスキーリしますたありがとう!

ところで。

>お前がそのつもりなら受けてたたんでもないが
ここ萌えた。犬神くんなら言いそう。さらりと愛の告白。
15名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 11:31:10 ID:/HWH/JyK
ごめん、文面だけ見てたらオセロの中島に見えた
16名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 10:12:44 ID:ygbyKqf4
ほっしゅ。
数年後にはマリーたんへの罰は飯抜きではなく
犬神くんへのご奉仕に変わっているのではないかと言ってみるテスト
17名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 20:36:21 ID:q4BzipTC
誰だか知らんが本スレでここの話題を出すな。
あっちはリア工(あるいは厨?)もいるっぽいし、そもそも二次創作自体嫌いな奴だっているだろ。
あとなにより、あっちにはゴツボ一族がごにょごにょ…
18名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 23:45:59 ID:LqT2qoTY
ここのスレは俺と1意外に人が・・・
いや、1すらもう居ないのかもしれないな
19名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 14:58:54 ID:GQkeWysX
ここに俺がいるぞ!
保守しつつマターリ神降臨をお待ちしよう。

原作がギャグ展開に戻れば萌え話やエロのネタも増えるんだろうけどな。
GS犬神最終話とか「生理か何かか?」とかキュンキュンしましたよ
20名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 11:51:53 ID:eBaZs2g3
正直ゴツボ漫画でカプ萌えするとは思ってなかった>ゲルマリ
なんかマサルの方がリュウジより話とかキャラに厚みをつけてる気がする
だから同人的な妄想の余地があるんだよね
でもリュウジはそういうのさらっと流してるから妄想の余地がない
あとリュウジの漫画からはエロスが感じられないのが一番かも
なんというかフェティシストの気配がするな
マサルは普通に生身の人間が好きそうだが

ところでこの板でも四月馬鹿は適用されるのか保守
21名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 05:51:52 ID:IkI7CE8s
ほす
22名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 23:13:07 ID:LxotVS8A
もうこのさいえろくなくてもよいです…
切実にゲルマリのSSきぼんぬ
ゲルサイト増えてるけどやっぱゲルマリ少ない上
SSサイトなんつったら皆無ですよチクショウ
こうなればいっそ自分で書こうかとも思ったが
関西弁わからん俺にはあのふいんき(ryを小説で再現する自信なしorz

ネ申降臨待ち保守
23名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 03:55:10 ID:C34ffNtm
保守だ
24名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 12:15:01 ID:D7R6dMWl
関西弁なんて適当でもいいんだ、おまいさんの熱き萌えをキーボードに叩き込むがいい!
さあカモーン

余談。
探偵さんにとってクリスマスやらバレンタインやらは結構な繁忙期らしい
(浮気のオンパレードで)。
二次創作でよくある時事ネタはゲルマリでは使えなさそうだw
25名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 14:07:48 ID:0RXCJNe5
>>24
つーことは浮気調査オンパレードで不倫火山な現場をハシゴしまくる状況も有り得るわけだな!
そしてそんなん見せ付けられて何故かおマタがじゅんじゅんして来ちゃったマリーたんも有り得るわけだな!
んでもぞもぞするマリーたんに犬神くんが「手伝ってやろうか?」とか言いつつイタズラとかも有り得るわけだな!

……(*´Д`)ハァハァ
26名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 11:58:47 ID:k9KHkn7i
繁忙期ネタで1本書いてみたよ。
少しでもうるおいになればよいのデスガ
27繁忙期ネタ:2006/04/15(土) 12:00:29 ID:k9KHkn7i
探偵の仕事の内訳としてかなりのウェイトを占めるのが浮気調査。
すなわち、浮気が目立った形で露見しやすい時期がそのまま探偵たちの繁忙期となる。
何の因果か犬神アンダーグラウンドサーチ代表の助手を務める少女・安川マリーは、
その激務をバレンタインデーに初体験することになるのだった。



「これで四日連続やん……」
げっそりした声でマリーは呟いた。無論四日連続しているのは浮気調査の仕事である。
浮気調査というと単純に現場の写真だけを収めればよいように思えるが、少なくとも
丸々一日消費しなければ完璧に任務を遂行したとはいえないのである。


朝、自宅から出勤するターゲットを尾行する。
デスクワーク系の仕事をしている人物であれば退社時間まで一時待機。
営業などで外をまわるようであればその間もきっちり尾行。
夕方の退社時刻になれば、会社の出入り口を張る。出入り口が複数ある場合は二手に分かれる
(出入り口が四つ以上あるときはどうするのだろうとマリーは思ったが、超人が二人もいれば
なんとかなるのだろう。たぶん)。

退社後の尾行は相手の変装などにも気を配る。眼鏡をかける、スーツの上着を脱ぐなどの単純な
変化で、存外人の印象など簡単に変わってしまうものなのだ。
ターゲットがこちらの狙いどおりホテルに入ったとしても油断はできない。
とくにシティホテルなどに泊まる標的は、周囲を警戒して愛人と時間差攻撃でチェックイン・
チェックアウトをする場合もある。
ターゲットの泊まった部屋の隣もしくは正面の部屋を陣取るのが探偵側の理想だが、
若干十三歳の少年少女にそんなことができるはずもないので、犬神アンダーグラウンドサーチでは
専らターゲット宿泊個室の窓から現場を押さえることとなる。

無事現場を押さえることができたあとは、浮気相手の尾行に移る。自宅を突き止めて身元を確認
すれば外での仕事はほとんど終了。この後は事務所で報告書の作成にとりかかることとなる。

以上が大まかな流れだが、無論これらが一日で完璧に終了することのほうが少ない。
こちらの調査日にあわせて標的が浮気をしてくれるわけではないからだ。



「……のはずだが、ものの見事に四件とも調査日初日にヒットしたな」
「こうも連続で大人の業を見せ付けられるローティーンの少女もそうはおらへんやろうなぁ…」
とほほ、というマリーの嘆きは二月の寒空に吸い込まれる。
ゲルとマリーはおなじみの場所、ラブホテルの外壁にスタンバイしていた。
浮気調査四件目の山場、浮気現場の写真撮影である。
部屋の中にいるのは若い男女。話し声までは聞こえないが、女が男に凝ったラッピングが施された
包みを差し出しているのは見える。百パーセント中身はチョコレートだ。

「バレンタインなぁ……なんやもともとの由来は外国の聖人がどうのこうのって聞いたことあるけど、
不倫カップルが祝っていいもんなん?」
「この国におけるバレンタインやらクリスマスなど菓子メーカーの陰謀に過ぎん。
まぁ、そのおかげで僕たちはビジネスチャンスを得ているわけだがな」
にやりと歪んだ笑みを浮かべるゲル。視線はあくまでターゲットを見据えたままだ。
プレゼントの受け渡しも終わったらしく、そろそろそういう雰囲気になってきたようだ。
「安川、そろそろだ」
「はぁ……」
28繁忙期ネタ:2006/04/15(土) 12:03:18 ID:k9KHkn7i
(うう……やっぱ慣れん。何度見ても慣れん)
そもそも「大人のキス」を見ているだけでも顔がゆでダコになるのに、その後の行為を見続けるという
のがマリーにとっては無理な話なのだ。
写真をとるのは殆どの場合ゲルの役目なので、マリーが部屋の中の様子を観察している必要はないのだが、
どうもゲルはマリーに部屋の中の行為を見せたがっているふしがある。
(悪質なセクハラやん、絶対)
ジロリとゲルを睨んでみるが、彼はそ知らぬ顔だ。



男の舌が女の肢体を舐め這いずる。絡みもつれ合いながら互いの服を脱がせあう。
舌が女の下腹部にまで到達し、女の身体が大きく跳ねる。

(うあああぁぁ、やっぱこれ以上は無理っ!!)
顔から火を吹きそうになってマリーは視線をそらせた。いつもこのような感じで、「最後」まで
見れたことは一度もない。
マリーは十三歳だ。性に関して最低限の知識は持ち合わせているし、人並みに好奇心もあるとは思う。
しかし、こうも生々しい「実戦」を見せ付けられることには抵抗があった。
自分と同い年のはずなのに、涼しい顔をして写真を撮影するゲルが信じられない。
(もしや十三歳にしてすでに実戦経験豊富………いやいやいや)
想像しかけて首を振る。見聞きすることで得た経験値は通常の十三歳と比較にならないだろうが、
ゲルが誰かとそういう関係に至るなどマリーには想像もつかない(そもそもゲルに関しては
想像もつかないことが多すぎるのだが)。
(経験ゼロの耳年増……と考えると、犬神くんもちょっとは可愛げあるんちゃう?)
くくく、と小さく笑うマリー。
「安川、今僕に対して何か失礼な考えを抱かなかったか?」
「めっそうもございませんわオーナーさま♪」






浮気相手の尾行を終えたときには、そろそろ深夜一時をまわろうとしていた。
結局四日間で四件、つつがなく任務を完了したことになる。
ふぃ〜、と肩の力を抜くマリー。体力の消耗もあるがそれ以上に精神力をすり減らしているような
気がする。
「ま、これであとは報告書の作成だけやし、終わってみれば清清しい気分になるもんやね」
「うむ。ところで安川よ、何か忘れていないか?」
「へ?」

きょとんとしてゲルの顔を見つめるマリー。いつもどおり、何を考えているのかいまいちよくわからない
ゲルの顔がそこにある。
「…なに? この手」
いつもとちがうのは、マリーに向かって何か要求するようにちょこんと差し出された手だろうか。
「ぎぶみーちょこれいと」
「ほあぁ!??」


29繁忙期ネタ:2006/04/15(土) 12:04:11 ID:k9KHkn7i
まったくの想定外の言葉だった。よもや彼が自分に対してそんなものを期待していようとは。

(犬神くんとバレンタイン。犬神くんとチョコレート…………あかん、全ッ然似合わない組み合わせや)
マリーの中で、ゲルとそういったイベント事が線で繋がることがそもそもなかった。当然チョコレート
など用意しているはずもない。
「欲しいなら欲しいでもっと前から言ってくれればええやん!
そしたらいくらでもあげられるのに、そんな突然言われても用意してるわけないやんか!」
「安川、それは怠慢というものだ」
ビシ、と仕事のときと同じくらい真剣な表情でゲルが言った。
「怠慢?」
「お前、自分の助手としての役割をよもや忘れたわけではあるまい」
「ああ、前に言われた……」

ツッコミ。それがゲルがマリーに求める一番大きな存在理由だったはずだ。
「それもそうだがもう一つ。お前には重要な任があったはずだろう」
「もう一つ……って、あ゛」

女っ気。うるおい。
そういえば自分にはそういったことも要求されていたのだということを
マリーは久々に思い出した。ツッコミと違って能動的に何をするというわけでもないので、イマイチ
その任を忘れがちだ。
「まったくお前というヤツは……。これらのイベントをクリアすることこそ
お前に与えられた重要任務だというのに、どうもうるおいの演出に関しては自覚が薄いな。
そういえば風呂場でバッタリ☆イベントも未だこなしていないままだし」
「狙ってやるもんなんソレ!? って、話ズレとるがな」

むー、とマリーは考え込んだ。ゲルの言っていることは無茶苦茶ではあるが、そう言ったコトを自分に
求めているということがあらかじめ伝えられていたのは事実だ。怠慢と言われて反論ができない
部分は多少ある。
目の前のゲルは、あからさまに(半ば嫌がらせ的に)がっかりした表情を浮かべている。
このままだと今後の自分の待遇に悪影響がでるのは必至だろう。明日の朝食が確保できない
危険性も出てきた。
しばらく考えたのちにマリーは言った。
「じゃあ、チョコレート以外のものでうるおい演出〜、ってのはどやろ?
こんな時間じゃコンビニくらいしかチョコ買えないし、目の前で買う姿見てるのも白けるやろし」
「まぁそれもそうだが。しかし、一体どうするつもりだ?」
「ま、それは事務所に一旦帰ってからやな」
30繁忙期ネタ:2006/04/15(土) 12:05:43 ID:k9KHkn7i



(……さて)
コホン、と小さく咳払いをして、少しだけ緊張した心を落ち着かせる。
(助手としての責務を果たすため、ちょっとだけ浮かれた世間の流れにのっかってみるだけやん。
ダイジョウブダイジョウブ)
事務室のドアを開けると、ゲルはソファに座っていた。マリーを待ちながら仕事の処理をしていたのか、
テーブルの上には書類が数枚散らかっている。
「お待たせ☆」
意識して能天気な笑みを作りゲルの隣に腰掛ける。
「ああ。しかし今さら何をするつもりだ? 指摘されるまで自分の職務の半分を忘れていた助手が」
チョコ用意してなかったこと、結構根にもってんねんな……とマリーは思ったが、それを指摘する
ような自殺行為はしない。したらまたシメられる。
「まぁまぁ、悪かったと思ってんねんから。だから―――まぁ、その、な」
最後は言葉を濁し、ゲルの顔を見る。何をするつもりなのか、と訝る表情だ。
(――――ええい、女は度胸。こんなもんシャレやシャレ!)
すっと身を乗り出して、唇をゲルの頬に押し当てた。彼の左頬、比較的彼の唇に近いあたりに
一秒。


(うおぉ、想像してたよりもこっ恥ずかしい! ……けど)
身体を離してゲルの顔を上目遣いに見やると、少なからず驚いたような表情がそこにあった。
マリーがこういう行為をしてくるとは思っていなかったらしい。
もちろんマリーにとっては、初めて見るゲルの表情だった。
(助手になって早ウンヶ月、初めて勝った気がする……!!)
男の子の頬にキスをして勝利に酔いしれる乙女もどないやねんな、と自分で自分にツッコミを
入れるマリー。
とにかく、これで彼のいうところの「うるおい」は十分補填できたはずだ。

「安川」

(お?)
ゲルを再び見やると既に驚いた表情は消えており、いつもどおりの彼の顔がそこにあった。
「場所が違うだろう、場所が」
「……はい?」
何を言ってるんだろうこの人は、とマリーが考える間もなく、ゲルは彼女の両手首をつかんで
ぼすんとソファに押し倒した。



「ちょ、ちょ、ちょー待って犬神くん! なんぼなんでもそれはシャレにならんというか……
ほら、一時のノリではあかんやろ、そこは!!」
ファーストキスに少女漫画のような幻想を抱いているわけではないが、この流れで済ませてしまうの
にはさすがのマリーでも抵抗を感じた。
ゲルは彼女の両手首を押さえながら、ゆっくりと体重をかけてくる。
混乱と緊張で思考を整理できないマリーの耳元で、不意にささやかれる。
「本気で嫌ならもっと暴れてみればいいだろう」
そんなこと言われても、とマリーは心の中で叫んだ。
どういうわけだか上手く力が入らない。さっきの頬へのキスで、自分も思っていた以上に
のぼせてしまったのだろうか?
31繁忙期ネタ:2006/04/15(土) 12:07:02 ID:k9KHkn7i
ゲルの瞳と目が合う。有り得ないくらいの至近距離。
「安川」
彼の瞳の中に、自分の顔が映っているのが見えた。
「お前、僕のことが嫌いではないな?」
素直ではない彼らしい問い方だった。
「あ、当たり前やん……本気で嫌いやったらとうの昔にここ出てるわ」
「そうか」
目の前のゲルが安心したように、小さな笑みを浮かべる。
いつもの黒い笑いではない――――たぶん、初めて見る種類の笑顔だ。
不覚にも少しきゅんとしてしまった。

(ああ、もうええわ……なるようになればええやん)
ノリで流される世間のバカップルと、自分もあまり大差のない人間だったのかなぁ……などと
考えるマリーの唇に、彼女の雇い主の唇が重なった。



自分達に相応しい「子供のキス」はほんの最初だけだった。
性格に似つかわしい強引さでマリーの唇を割ったゲルの舌は、無理矢理彼女の口内を犯している。
マリーの身体を強く抱きしめ、「食べている」とでも形容できそうな強引さで唇を吸い、舌を
絡ませた。

あの暴虐無人な犬神ゲルが、少なくとも今だけは乞うような熱心さで自分の唇を求めている。
熱に浮かされたマリーの胸に、くすぐったいような優越感が生まれた。
(あたしのほうからも応えたったほうがええんかな……)
マリーはゲルの背中に手を回すと、おずおずと舌をのばした。





(……にしても根本的な問題として、果たしてあたしは犬神くんに恋してるんやろか?)
熱でぼうっとした頭で自答する。普通、こういった行為は好きな男としかしないものだろう。
ゲルの唇はマリーのそれを離れ、彼女の身体を愛でている。普段馬鹿にされている乳房の頂点を
舐められると、自分の声とは思えないような嬌声があがった。

(恋……とは違う気がするんやけどな。
犬神くんが何考えてるのかあたしには理解不能やし、見ててドキドキするとか
いうんでもないし)
でも、とマリーは思った。例えノリだとしても、その場の勢いだったとしても、
こんな恥ずかしいことができる相手は少なくとも現状彼だけしかいない。
(そう、犬神くんだけや。……んで、多分)

「……犬神くん」
快感に抵抗して相手の名を呼ぶ。
「なに」
いつもの彼からは想像できないくらい余裕のない、短い返事。
完璧超人かと思っていた彼の、新たな面が見れたことが嬉しい。
「あたし以外の子とこういうこと、する?」
「しない」
即答。そしてすぐに愛撫を続ける。
(質問の意味、わかってるんかいな。でも)
嬉しい。素直にそう感じた自分に、少し驚く。
(嬉しいってことは、やっぱそうなんかな。お互い、な)
32繁忙期ネタ:2006/04/15(土) 12:09:09 ID:k9KHkn7i
足が持ち上げられ、熱くて硬いものが自分に押し当てられるのを感じた。
これが済んだら、少なくとも自分は昨日までの自分とは変わらざるを得ないだろう。
それが内面的な変化なのか、それともゲルへの態度なのかはまだわからないが―――

(嫌ではないな、まぁ、うん)













――――――――――――――――――――――――




「という夢を昨晩見ましてございます」
「って、夢オチかーーーーーーーーーい!!! つかクラレンスさん、夢の中で人に何させとんの!?」
「クラレンス」
「は」
「続きは?」
「うおーーい、犬神くん!!」
3326:2006/04/15(土) 12:12:20 ID:k9KHkn7i


終了。

>>25のエロスにあてられて書いてみたものの、結果的に
>>25の1行めしか体現できませんですた。
犬神くん書くの難しいよ犬神くん

3425:2006/04/15(土) 19:56:56 ID:LRoI1JKI
>>26-32
ああもうたまらんわ!!!
妄想してみるもんだなぁ
ありがとうでつ
35名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 01:53:32 ID:I3fdHkdc
保守
36名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 16:41:59 ID:AzCRrqkU
保守
37名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 15:31:07 ID:ZHEf3UCy
>>26
クラレンスさんの夢オチにずっこけたw
でもすげえよかったGJ!
38名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 03:33:23 ID:ch0vB9/t
新刊出たらもうちょい賑わうかな……
とりあえずホシュアゲ
39名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 08:16:29 ID:4wt+ZNTB
時間があれば投下するのだが
とりあえず保守
40名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 08:17:20 ID:4wt+ZNTB
時間があれば投下するのだが
とりあえず保守
41名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 21:56:48 ID:qLJjKy/n
時間があっても書けない俺には>>39-40は眩しすぎるぜ…
42名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 22:24:56 ID:QhTZqdd9
今週の姫とマリーたんがえろい件について
43名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 23:04:20 ID:8OwmHqAj
えろいのではない、えらいのだ。
幼いながらけなげな姫も、お姉さんぶるマリーも。
ああっ萌え!

しかしマリーたんが人質になりかけたシーンは非常においしかった。
44名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 01:03:12 ID:8B4+IReb
うむ、姫に人質に取られたコマのマリーたんのあおりの構図がたまらん。
なんかね、胸の微妙なふくらみと服のしわがやらしいんだよ。
姫にまんまと出し抜かれた犬神くんにもついでに萌えておこう。

しかし姫たんが犬神くんと同等あるいはそれ以上の手練れとなると、
スパルタンの立場は……。
45名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 20:50:15 ID:0xMDcqha
3巻中表紙のマリーたん可愛えェェェェェェ
そしてやっぱり乳が無えェェェェェ

カバー下外伝漫画、1コマ目見てマリーたんが人妻になったのかと一瞬思ったよ。
46名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 19:43:26 ID:GMaQqTVD
中表紙マリーは髪形がマイコだよな
かわええ(;´Д`)ハァハァ
でも俺は裏表紙のが好き
ちびマリーかわええ(;´Д`)ハァハァ

安川父ひさびさに出てきてたのしかた
47名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 19:38:18 ID:L04/mIeT
>>45
金髪猫目無表情な子供を連れた主婦マリーを妄想して悶えたじゃないか!

ところですごいどうでもいいことだが。
金に貪欲な人に関して「骨の髄までしゃぶり尽くす」って表現あるじゃない。
あれってなんかエロいよね。
犬神くんがマリーたんをしゃぶり尽くすとか書くともう完全にエロスだよね。
いやエロスなら逆の方がいいのか。
48名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 01:55:35 ID:9t33ieqo
マリーたんが犬神くんのナニをしゃぶり尽くすというのですか(;´Д`)ハァハァ
おまいらが主婦マリーだの骨の髄までしゃぶりつくすなんていうから、

平凡な主婦マリーたんを罠にはめ、金がないなら身体で払ってもらうしかないな地獄に
叩き落す悪徳借金取り犬神ゲル

なんてパロディめいた絵が思い浮かんじゃったよ。
49名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 07:32:49 ID:jRNG9sTb
>>48の設定にあまり違和感を感じない件について



借金取りスレスレな探偵ってのは新しいのかどうなのか
50名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 14:56:49 ID:NOyle+v0
>>48
その場合のマリーたんの夫は誰になるのか激しく気になる
51名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 19:57:33 ID:jRNG9sTb
スパルタンあたりが妥当かと…
つか他に適当なのいねえし
52名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 21:38:36 ID:NOyle+v0
つシングルマザー
53名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 20:07:45 ID:COMhmT7F
>>52
その場合のマリーたんの子供の父親は誰になるのか激しく気になる
54名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 21:17:27 ID:rXNujVBa
何なのこのかつてない回転の速さw
旦那はスパルタンのほかにレイジー君という手もあるぞ。
犬神くんにマリーたんを寝取られる図も想像しやすいw
55名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 07:29:11 ID:0tLb3CJc
ごめんぶっちゃけ俺が半分くらいレス回してたり
>>45の人妻マリー発言で一気に妄想が暴走したですよ

あとレイジーはモモちゃん一筋だからイメージ的に夫役には不向きだと思う
56名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 21:46:50 ID:qa9+WeAt
ごめんもう半分は自分がまわしてる希ガス
レイジー君、夫役には不向きだけど寝取られ役には向いているという矛盾
57名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 23:20:05 ID:0tLb3CJc
>>56
このスレには俺とお前と大五郎しかいないのだな
ちゃーん
…ごめん深い意味はない言いたかっただけ

そして懲りずにネタを振る
マリーたんってツンデレじゃね?
58名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 01:47:11 ID:LPj7FCnW
45は自分なので
俺=55 お前=56 大五郎=自分

の3人ぼっちのスレのヨカーンw
どうでもいいけどゴツボサムチャの親連れ狼を思い出したよ。


マリーたんはツンデレと呼ぶにはツン成分が足りず、デレ描写もとくにないので
ツンデレではないとオモ。むしろ極めてナチュラルな態度……。

犬神くん=マリーたんに対してツンデレというかむしろ幼稚園児並(好きな子ほどいじめる)
スパルタン=デレデレ(誰に対してとか聞かない)
マリーたん=安川父への態度はまぎれもなくツンデレ


いつの日か犬神くんのことを想ってきゅんきゅんするマリーたんとか見たいなぁ(;´Д`)ハァハァ
59:2006/06/01(木) 06:37:52 ID:gaeV3xaK
いやいやいや
妄想してみたまえ
普段は犬神くんのことなど何とも思ってないってかウンザリだ的態度のマリーたんがだな
いざ犬神くんとエロパロな関係になった時
口ではイヤと言いつつ体は正直だな的反応だとしたら?
犬神くんにいいよーにされて出したくないのにエッチな声が出ちゃうとかだったら?
でも悔しいので日常生活では普段通りにしてるとしたら?
それはもうツンデレだとは思わないかね
安川父への態度を鑑みるにマリーたんはツンデレの素養を十分に持ってるし

そんなエロパロが読めるなら俺は金を出してもいい
60名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 22:28:50 ID:ZFCHemat
コテはやめたほうがいいとオモ。
ただでさえ推定3人ぼっちスレなんだからorz

ツンデレマリーたんのデレ要素を引き出すには、犬神くんが『少年探偵っぽいこと』をやったり言ったり
すれば一発だな。
ギャップに思わずドキッとして、ときめいた自分に気付いて赤面するマリーたんとか。
61名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 20:35:05 ID:E+Jn+dxb
つうかマジで三人しかいねーのかよ
まさかとは思うがdat落ちしたガンガンマイナースレで
ゲルマリ話で盛り上がってたのもお前らか?
62名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 00:41:03 ID:0a0I3BhB
ROM専もいるYO!

生暖かく見守ってるYO!!
63名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 00:56:43 ID:pr0AKWPZ
ゲルマリ投下します。エロ無しスマソ
ゴツボ作品の空気を書くのは難しいな・・・
64呼称とその理由とその威力について:2006/06/04(日) 00:57:24 ID:pr0AKWPZ
「マリー様、何かお悩みですか? おかわりは如何です」
「んー、お味噌汁もう一杯・・・やなくて、悩みっちゅうほどのモンでもないねんけど」
場所は犬神アンダーグラウンドサーチ事務所。時間は朝飯時。
食卓にごろんと頭を転がして箸をくわえたまま浮かない顔をしている探偵助手マリーに、
割烹着をつけた執事クラレンスは声をかける。
悩み事か、と聞かれたマリーは微妙に重いオーラのまま顔を上げた。
「なんで犬神くん、あたしのこと名前で呼んでくれへんのやろー・・・」
「それはまた今更な」
「まぁ今更っちゃ今更やけど。あ、お味噌汁どーも」
絹さやと油揚げを椀から拾い出しつつ、マリーはぼそぼそと言葉を紡いだ。
「昨日な、スパルタンと警察に会ったんよ。まぁいつものごとくスパルタンが勝って
 そんでその後犬神くんに負けたんやけど。まぁそんなことはどうでもいいんやけど」
なんで犬神くん、あたしの名前呼んでくれへんのやろ。
ため息とともに、本日二度目のセリフが零れる。
「スパルタンも、なんやあの眼鏡の刑事の兄さんでさえマリーちゃんて呼んでくれとる
 のに・・・」
「ふむ。ゲル様だけ特別、という考え方はどうでしょう」
「そんな特別いらへんもん・・・」
持ち前の前向きさが見受けられない。顎に片手を当ててしばし考える素振りを見せた
クラレンスは、やおら思いついたように口を開いた。
「そうですな・・・東方の国にはこのような諺があります。『隗より始めよ』と」
「なんやのんソレ?」
「大まかに言えば、何かを始めるときにはまず自分から始めたほうがいい、という意味ですな。
 マリー様も、まずご自分からゲル様のお名前を呼ぶことから始められてみては?」
あらためて言われて気付く。名前を呼んで欲しい、と主張する自分は『犬神くん』と苗字で
呼んでいた。確かに、自分から呼んでみる、というのは有効な策かも知れない。・・・他に策が
無いだけ、かも知れなかったが。
「そやね、おーきにクラレンスさん! とにかくやってみるわ」
はははは首を洗って待っとれや犬神ゲル!
なにやら意気込みの方向性が違うような気もするが、こういうのは要は心の持ちようである。
残っていた味噌汁とご飯を急いでかきこむと、朝の自分の仕事である朝食の後片付けのため
はりきって台所に向かった。
65呼称とその理由とその威力について:2006/06/04(日) 00:58:08 ID:pr0AKWPZ
「安川、そっちへ一匹行ったぞ!」
「了解ってか、ゲ・・・犬神くんそっちのコも逃げようとしとるで!」
「む」
本日の依頼、血統書つき仔犬六匹の散歩&子守り(もはや探偵業とは一ミリも関係ないと
マリーは思った)で、ゲルーとマリーは公園へ来ていた。遊びたいさかりの仔犬たちは、
目を離すとすぐ勝手にどこかへ走り去ってしまう。飼い主の趣向で首輪や引き縄を付けられて
いない彼らが四方八方に遊びまわるのを必死で見失わないようにしつつ、マリーは本日の命題
『犬神くんのことを名前で呼ぶ』にチャレンジしていた。
が。
(あああああかん今更恥ずかしくてゲルくんとか呼べへん! てかゲルくんて呼び名として
 どうなん!? おかしない!? それはともかく恥ずかし・・・!!)
そういう訳で一度も呼べていなかったのであった。
道路へ出ようとする命知らずの仔犬を全身で引き止め、マリーは横目でゲルの顔を見る。
ゲルは走り回っている元気な仔犬に油断なく目を配りつつ、遊び疲れて舟をこいでいる仔犬ニ匹を
両手にぶら下げ、運搬用のゲージに放り込んでいた。
じゃれついてくる仔犬ニ匹を胸に抱えあげて、マリーもゲルのもとへ向かう。
「ゲ・・・犬神くん、このコもう元気すぎやからゲージ入れてもうてええかな」
「逃げられると面倒だしな」
一応の了承が得られたので、抱えていた仔犬をゲージに押し込む。と、抵抗した仔犬が置き土産と
ばかりにマリーの手の甲を引っかいた。
「痛ッ」
手入れされた室内犬の前足の爪はさほど鋭くは無く、流血沙汰とまではいかないがうっすらと
赤い筋が二、三本手の甲に走る。いつもらしくないミスに、ゲルがわずかに目を見開いた。
「どうしたのだ安川、今日はいつにもまして使えないな。あれか、女の子デーか」
「なんで微妙にほのめかす表現使うねん、いつもはストレートに言うくせに」
「ツッコミにもキレが無いぞ」
「うっ」
確かに言われてみれば、今日は仕事のキレどころかハリセンも未使用である。探偵助手の仕事も
ツッコミの仕事(?)もきちんと出来ないほど、呼称に気をとられていたということになる。
66呼称とその理由とその威力について:2006/06/04(日) 00:59:20 ID:pr0AKWPZ
「だいたい人を呼ぶたびにゲとか言うのは使えない以前に失礼だろう」
「それは・・・はぁ、もうええわ」
「何を勝手に自己完結している」
「自己完結っちゅーんは勝手にやるもんやろ」
ヒリヒリと痛む手の甲にふーっと息を吹きかけながら、半ばヤケになってマリーは口を開いた。
「なんちゅーか、犬神くんあたしのこと安川て呼ぶやろ? それが嫌やからどうにかマリーて
 呼んでくれへんかなーと思いまして。そんで、あたしが犬神くんのこと名前で呼んだら犬神くんも
 名前で呼んでくれるかも知らんとか思ったわけですよ」
実際にはクラレンスのアドバイスからだったが、成功しない上に本人にばらしてしまっている以上、
他人の策だと知られたら余計に情けないと思い、それは明かさないことにする。
「けどあたしが犬神くんのこと名前で呼ぶのもそれこそ今更ちゅうか・・・呼びにくいし」
だからもう諦めました、とため息混じりに締めくくる。隣のゲルはといえば、聞いているのか
いないのか、ちょうど近くに寄ってきた仔犬を捕獲してゲージに詰め込んでいた。
「要するに、だ。僕に名前で呼んで欲しいと」
「・・・ハイ」
言葉の通りではあるが、本人の口から言われてしまうと何にもましていたたまれない気持ちになる。
とてもゲルを正面から見ることが出来ないので、マリーは残った仔犬一匹が走り回っているのを
目で追った。
「そもそも安川、お前はなぜ僕が苗字で呼ぶのか考えたことはあるか?」
「・・・へ?」
ふと予想外の質問をされ、思わずゲルを振り返ってしまう。ゲルはさきほどまでのマリーと同じように
走り回っている仔犬に注意を向けていた。
「なんでって・・・なんで?」
いやがらせ。語呂がいいから。ただなんとなく。
いくつか考えられた理由はあったが、どれも正解であって正解でないような気がしたので、単純に
聞いてみる。
ゲルは質問には答えず、また違う問いかけをした。
「では、なぜお前は安川と呼ばれるのを嫌う?」
「それはずいぶん前に言うたやん・・・あたしを売り飛ばした親父の名前でなぞ呼ばれたないねん。
 スパルタンも刑事の兄さんもあたしのこと名前で呼んでくれんのに」
正面きって嫌い、と言うわけではない。自分のされたことを思えば多少恨みはしても、やはり憎む
ほど嫌えはしないのだ。でも反面、もう会えないだろうことはなんとなく分かる。
それが喜ばしいことなのか哀しいことなのか、マリーはいまだ自分のなかに答えを見つけ出せていなかった。
67呼称とその理由とその威力について:2006/06/04(日) 01:00:01 ID:pr0AKWPZ
だからこそ。
安川。そう呼ばれるたびに無意識に父親のことを思い出してしまい、複雑な感情を呼び起こされる。
「スパルタンも暴力公務員もクラレンスもお前のことは名前で呼ぶ。ということはつまり、だ」
淡々とゲルは喋る。視線は相変わらず仔犬に向けたまま。
「僕が呼ばなくなったらお前と師匠との繋がりは消えたも同然。そういうことになる」
「今更・・・・・・」
今更消えたところで惜しいとは思わない、と、言い切れないことを見透かされているようで、マリーは
視線をゲルから仔犬へと動かした。
―――まさかゲルが自分たち親子のことを考えていてくれていた、とは思いもしなかったのだ。
「そやかて名前のほうがあたしの本質って感じするやん・・・」
自分でも説得力の無いと感じる弁解。
それをどう捉えたのか、ゲルは大袈裟なくらい大きなため息をつくと、ぐり、と顔をマリーのほうへ
向けた。つられてマリーも再度、視線をゲルに戻してしまう。目が合った。
(犬神くんの瞳って見れば見るほど不思議な色や・・・落ち着くような落ち着かんような)
時に金色にも見える猫目に見据えられる。
「良いだろう。名前くらいいくらでも呼んでやる」
「・・・ホンマに!?」
「それでキレの良いツッコミが戻ってくるならば安いものだろう」
安川親子の繋がりよりもツッコミのほうが大事なのか。それはそうだろう、と納得しつつもどこか
がっかりしている自分には気付かないふりをすることに決めたマリーが、さいですか、と適当な
切り返しをしようとしたら、予想外の距離にゲルの顔があった。
近い。会話をするには不適切な近さである。
突然のことにツッコミもままならず、とっさに目をつぶって両腕を顔の前で交差させたマリーの
耳元で、ふ、と空気が動く。
「何を期待している、マリー」
いつもと違う、低くかすれた声で、囁かれた。

68呼称とその理由とその威力について:2006/06/04(日) 01:01:01 ID:pr0AKWPZ
たっぷり一秒おいてから、マリーの両腕に鳥肌が立ち、それと同時に耳まで赤く染め上げて
目にも留まらぬ速さで後ずさる。
「ややややっぱり安川で結構ですッ!!」
「そうか、残念だ」
口ではそう言いつつも、少しも残念がる素振りなど見せず、むしろ楽しそうに勝利の笑みを
浮かべるゲル。対するマリーは、自分で自分を抱きしめて必死に上がりまくった心拍数を抑えようと
深呼吸を繰り返す。
「それはそうと安川。残る一匹が行方不明なんだが」
「なんですと!」
言うが早いか仔犬が逃げていったと思われる方向に走り出す。出遅れたマリーは必然的に仔犬五匹が
入れられた運搬用ゲージを押し付けられたかたちになり、やたらと豪華で重いゲージを抱えてゲルの
後を追いかけた。

なかなかおさまらない顔の火照りと動悸の理由は、まだ気付かない。



69名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 01:07:25 ID:pr0AKWPZ
ゲルーて何だよ自分orz
これを機に職人さんが降臨してくださることを願ってます
70名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 01:31:31 ID:ioKFK9bW
萌 え ま く っ て 悶 え ま く っ た YO !!(;´Д`)ハァハァ
GJ!
犬神くんがまた余裕しゃくしゃくというかマリーたんの乙女心見透かしまくり
なのが憎いィィ

追記
女の子デーにわろたw
71名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 02:08:00 ID:uZl0Ein+
>>69
遅ればせながらGJ!
普通に原作でありそうな流れだ
耳元でささやくのはもうエロに分類していいと思う今日このごろ

作品投下があったのになんだこの過疎っぷり
というわけで宣伝&保守あげ
72名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 21:33:28 ID:LzHBut+v
ほす
73名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 06:28:51 ID:xwkavKuu
欲す
74名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 11:53:25 ID:9/yAqQAu
おなごのちちは無ければ無いほどイイと思ってる人手を上げて!
75名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 01:08:15 ID:+vfr2lke
ひんぬー萌えではない。マリーたんのちちだから萌えるのだ。

犬神くんもわりと大きさについてはどうでもいいのではなかろーか。
76名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 00:11:35 ID:G/+plcXH
俺だけかよチクショウ
じゃ外道探偵と薄幸のヒロインつながりでネウロとか好きなヤシいない?

そしてここは相変わらず嵐すら来ないな保守
77名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 00:32:46 ID:+HJT/8RH
俺もネウロ好きが。

マリーたんよりも幸薄い弥子…


ここ人居ないな
結構面白い漫画なのに…
78名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 22:00:22 ID:QRNtRKE6
ネウロスレには神々が坐すというに此処の侘びしさはどうだ

>>77
いや弥子は一応親には愛されて育ったから
そういう意味ではマリーたんのが不幸かも
母は母親業放棄した駄目人間だし
父は娘を思う気持ちがなくもないけど
最終的に自分本位な男だったしね

しかしなんか犬神くんも安川父と同じタイプの気がする
79名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:16:17 ID:MxA7zOfM
そう考えると弥子は友達もいるし幸せ者なのか…


きっと安川父にも何か考えがあってマリーたんを置いて行ったんだろう
80名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 06:11:42 ID:uWhx8+lv
今月号(と言っても差し支えないアレ)のマリーたんは素晴らしいな
姫にツブされる空回りっぷりが心底かわいい
しかしあんな非常識人に囲まれながらなぜ平凡を保っていられるのだ
そしてなぜ非常識人共には何言っても無駄だと一向に理解しないのだ

ああもうかわいいなマリーたんバカかわいい
81名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 06:20:59 ID:JyQCEkk6
もっとエロスを!
82名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 00:41:04 ID:fEsuqN1Z
保守
83名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 20:01:05 ID:4mpp6e57
マリーたんハァハァ。
犬神君にセクハラされまくるマリーたんイイ!!
84名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:17:53 ID:KtNYeXDd
保守
85名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 16:17:52 ID:zhjyaKnh
リツ×舞子
86名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 13:55:17 ID:+9kCz2IU
こんな神スレがあったとは
87名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 03:32:11 ID:sCFl5xYv
保守age
88名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 20:43:19 ID:Iv3Atsdn
ササナキ‥‥
89名無しさん@ピンキー
神スレage