天狐玉耀ことタマちゃんは考えている。
タマちゃんは人の多いところが嫌いなので、
閑散としたお昼の公園に良く居たりする。
其の公園には樹齢3桁の大きな木があって、
たいていはその木の枝に寝そべって、
日がな一日うつらうららかと過ごしている。
タマちゃんは美人さんである。
もともとは大型犬くらいの狐さん。
だがとても長生きで、経験豊富なタマちゃんは人間に返信できるのだ。
タマちゃんは気分しだいで男の子にも女の子にも成れる。
今日は女の子。
長い髪を枝からたらして、気だるげに寝そべる美少女ちゃん。
真っ白い着物に真っ白い袴、襦袢は赤。
袴が赤くないから惜しいところで巫女さんではありません。
一抱えもある太い木の枝に、うつぶせに寝転んでなにやら考え中。
顎を手で支え、頬杖を突いている。
眠そうな目でぼーっとお空を見上げている。
無意識に足をバタバタさせている。
袴がめくれて真っ白くてほっそりとしたきれいな足が丸見えである。
足が動くと体も揺れる。
背中に掛かっていた長い髪が枝から垂れる。
纏まっていると黒っぽく見えるのに、さらさら分かれるときらきらと輝く
銀色になる。髪が多くてうらやましいね。
きらきら輝く銀髪の天辺から生えた三角形の耳がピコピコ動く。
とってもかわいいタマちゃんを見上げる影があった。
片めがねのイナモチさん。タマちゃんの身の回りのお世話をしている。
うらやましいね。
額の後退した人のよさそうな顔。でも腹の中は真っ黒。
イナモチさんはタマちゃんの美脚を見上げ、無表情で鼻血を流している。
主人に不貞を働くとはふてえ輩だ。
そんなイナモチさんのエロ視線を意にもかけずタマちゃんは考える。
タマちゃんの頭の中はタマちゃんのお兄ちゃんのことでいっぱいだ。
人間嫌いのタマちゃんと違って、タマちゃんのお兄ちゃんは人と一緒に暮らしてる。
せっかく大好きなおにいちゃんに久しぶりに会えたので、
それとなく同棲を勧めて見たがあっさりと断られた。
おにいちゃんのばか!
タマちゃんはおにいちゃんと一緒に暮らしたいので、お兄ちゃんがご執着の人間から
どうすればおにいちゃんを奪えるか、ずっと考えてた。
考えても考えても悶々とする一方なので、
だんだんめんどくさくなってきた。
僕はこんなにお兄ちゃんのことが好きなのに!
タマちゃんは段々とおにいちゃんに腹を立ててきた。
なにさ!お兄ちゃんの馬鹿!意地悪してやる!
タマちゃんの嫉妬と妬みとちょっぴりの愛情が込められた泥目くんは
こうして作られた