嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ

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645 ◆sF7o7UcWEM :2006/02/17(金) 07:16:42 ID:5Ut443kV
今日の部活は早めに切り上げた。
これから三人で会うことになっている。
なんでだか知らないが、いつのまにかそれが決まりになっていた。

待ち合わせ場所は、私がいままでいた体育館のすぐ側、
そこにある小さな休憩スペースを指定していたのだが、
私が来るよりも随分と前から、二人は待っていたようだった。
一人は、黒色のショートボブ。勝気そうな瞳。すらりと長い手足。
一人は、茶色のツインテール。特徴的な垂れ目。小柄な体。
どちらも少々いらいらしながら、携帯をいじったりジュースを飲んだりしていた。
「待たせたな」
私が声をかけると、二人は待ちくたびれたといった顔で振り向いた。
今日も、戦いが始まる。



「そろそろ同盟を解消したくなってきたわ」
黒髪が言う。
肩に掛けた竹刀入れを揺らしながら。
チャンバラで一勝負、とでも言うのだろうか?
この女は、脳みそまで筋肉でできているのだろうか。

「もっと仲良くしましょうよぅ……」
そう呟くのは茶髪だが、いちばん油断がならないのがこの女だ。
弱々しい振りをして、裏で相当えげつないことをしていると、私は知っている。
646 ◆sF7o7UcWEM :2006/02/17(金) 07:17:43 ID:5Ut443kV
二人は一瞬、目を合わせて、そして図ったように同時に私を見た。
「そうよね。仲良く、ね」
黒髪が笑う。
ち。
こいつら、何を企んでいる?
「わたしたちは、あの人を見守るために同盟を組んでいる。そうよね?」
私は頷く。
「そのとおりだ。三人で彼を守る。他の女どもの魔の手から」
「抜け駆けは許さない。接触さえ許さない」
茶髪が唱和する。
最後に黒髪が、厳かに、まるで神の予言を告げるように、言った。
「わたしたちは三人で彼を守る。――ああ、」
黒髪は竹刀入れを肩から下ろした。
「そういえば、知ってる? バドミントン部の――あなたの後輩に、彼に告白した娘がいるの」
「なに?」
聞いていない。
誰だ?
「高橋さんよ。知ってるでしょう?」
「あの娘か」
私は美人ではないが明るい性格の一年生を思い浮かべた。
「だめじゃない。監督不行き届きでしょう?」
黒髪はにこやかに竹刀を差し出してくる。
「そういうのってぇ、部長さんが責任を取るべきよねぇ?」
茶髪の無邪気な笑顔が私に追い討ちを掛ける。
そうやって、私一人に汚れ仕事を押し付けるのか。
「とっととヤキ入れちゃってね。わたし、これから友達と約束があるの」
「あたしだってぇ、今日は早く帰ってお風呂に入りたいのよぅ」
二人は勝手なことを言って、勝手に去っていった。
後に残された私は、ただ理不尽な怒りを抱えて、
それをぶつける対象を見失って、ただ立ちすくんでいた。
今日の戦いも、負けだった。

私はするべきことを弁えていた。
それを実行するつもりでもいた。
客観的に見れば、許されないことかもしれない。
もし、あの二人がいなければ、こんなこと、しなかったのかもしれない。
けれど、逃げることは許されない。
それが"同盟"なのだから。
そして。
……私だって、彼に近付く女を許せないのだから。
私は歩き始めた。
彼女はまだ残っているはずだ。
647 ◆sF7o7UcWEM :2006/02/17(金) 07:19:26 ID:5Ut443kV
竹刀は使わなかった。せめてもの意地だ。
私は家路に付いた。
薄暗くなった道を、一人で歩いていると、
なぜだか自分がひたすら惨めに思えてくる。
あの二人に言いように使われているだけではないのか。
あの二人は私の知らないところで彼に近づいているのではないか。
自分の家の、その隣の家の前で立ち止まる。
表札には、愛しいあの人の名字。
インターフォンを鳴らす。
そしてわたしは、今日もカッターナイフを取り出す。
手首の上でその冷たい刃を滑らせたとき、
「――――!」
彼が血相を変えて飛び出してくるのを見て、私は薄く笑った。
「またこんなことを!!」
傷口にハンカチを押し当てながら、彼は泣きそうな顔で私を抱きすくめる。
これだ。
あの二人には、こんなことはできないだろう。
私だけ。
ずっと隣の家に住んできた、私だけの特権。
幼馴染の私だけが、彼をこんな顔にできるのだ。
救急車のサイレンを遠く聞きながら、
私は彼の肩に顔をうずめていた。
648 ◆sF7o7UcWEM :2006/02/17(金) 07:20:44 ID:5Ut443kV
ついでだからリスカも盛り込んでみた。

タイトルは、すみません、まとめサイトの管理人さんに一任します。
そこまで考える気力がありません。
649名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 07:45:39 ID:P0ediGWo
もはや邪悪ちゃんですな。
650名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 08:24:08 ID:RACglTNZ
すごい妄想力と文才だな、まさにGJという言葉がふさわしい
651名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 10:20:02 ID:J4TQGS8m
>>647
正直、勃起しますた…
 部屋では楓が夕飯の準備をととのえて待っていた。
 なじられはしまいか、ふさぎこんではいないかと心配して戻ってきたが、
 特にそういうこともなく、というよりはちょっと上機嫌にすらみえる。
 ということは、やっぱり見てなかったんだな。
 ほっと胸を撫で下ろす自分がおかしい。
「遅かったですね、兄さん。暖めなおしますから、座って待っていてください」
 楓はコンロに向かう。
「あ、ああ。悪いな。いつも待たせちまって」
「いいんです、望んでやっていることですから。兄さんが気に病む必要はありません」
 振り返る楓の顔は、なにか憑き物が落ちたようなすがすがしさに満ちている。
 なんかいいことでもあったのかな。
 
「いただきます」
「いただきます」
 楓は普段から料理には手間を掛ける方だが、今日は特に品数が多く、妙に豪勢だ。
「何だかおかずが豪華だけど、なんかあったっけ?」
 女はやたらと節目とか記念日にこだわるらしいからな。
 ここで一緒に暮らし始めて三日目とか、記念日だらけにされたらたまらん。
 楓はうーん、とひと唸りすると、
「意図はそれなりにありますが、意味はありません」
「……なんじゃそりゃ」
 禅問答じゃあるまいし。
 それでも種類と量がちょっと多いだけで、その他はいつも通りの楓の料理だ。
「おかわり」
「はいはい、まだまだありますから、いっぱい食べてください」
「ん」
-----
 
 食事を終え、洗い物をする楓のうしろ姿を眺めながらほうじ茶を啜る。
 ……こんな風に、おれたちは兄妹としてなら本当にうまくやっていける。
 変に意識するからおかしくなるんだ。
 次に樹里ちゃんに会ったときに、これ以上は何もしなくていいって伝えよう。
 後はなるようになるだろう。そう思った。
 
 樹里ちゃんといえば、別れ際の態度が何だか気になるな。
 何とも思わせぶりな発言だったが、もしかして、その、俺のこと……
 いやいやいや。勘違いしてはまずい。これだから男子校出身の童貞は。
 ……自分で言っていて悲しくなってくる。
 いい加減溜まってきているせいか、妄想が止まらない。
 樹里ちゃん、可愛かったなあ……
 普段が無表情な分、ちょっと笑うとそれがすごく心に響くし……
 見た目はちょっと冷たい感じだけど、実は洒落の通じる相手だし……
 付き合ってる奴とかいるのかな……
 樹里ちゃんくらい魅力的なら、彼氏の一人や二人、いてもおかしくないよな……
 脳内で彼女をひん剥いてみる。
 おお、胸はうちの愚妹より大きいな。これが脂肪の塊とは、まさに人体の神秘なり。
 うーん、腰はさすがにモデル体型というわけにはいかないが、十分えっちだ。
 うお、そのクールな表情が、うは、めがね、めがねですか、すご、うはは……
 本人にばれたら絶対に絞殺されるような妄想に耽るうち、愚息がジーンズをぱんぱんに膨れ上がらせていく。
 いい加減に処理しないとな……
 トイレだと絶対ばれるだろうし、風呂だとすりガラス越しに丸見えだ。
 まいったな……
「何がまいったんですか?」
「い、いや、なんでもない」
 楓が自分の湯飲みを持ってきておれの隣に座る。
 慌てて体育座りするおれ。不審すぎ。
 楓は既に風呂に入ってきたのか、ピンク色のパジャマに着替えていた。
 濡れた長い髪と、紅潮した頬が匂い立つような色気を放っている。
「兄さん」
「な、なんだ」
「今日で三日目ですね」
「色々なことがありすぎて、何だかもう一週間近く経った気分だよ」
「……ごめんなさい、経緯はどうあれ、急に押しかけたのは事実です」
「気は済んだか?」
「いえ、全然」
 いけしゃあしゃあと開き直りやがって。
「それでですね、兄さん」
 楓はおれの方に向きなおる。両の瞳がおれを捉える。
「溜まってませんか」
 ……。
「……本気かよ」
「何をいまさら」
 これ見よがしにため息をつかれる。
「あのな、おれたちは……」
「兄さんは朝起きたら顔を洗って髭を剃りますよね」
「ああ」
「夜寝る前にはお風呂に入ってトイレに行きますよね」
「ああ」
「それと同じように、わたしとセックスしてくれればいいんです」
 ……いい加減あたまにきた。
 便所に行くのと、実妹とのセックスを同列に扱えと?
「……楓、おまえいい加減に」
「だってしょうがないじゃないですか! 兄さんがあの女を気にしてるのは性欲のせいで
 す! 絶対! 絶対に! 愛なんかじゃない! 本当はあんな女のこと、好きでもなん
 でもないんです。性欲と愛情を勘違いしてるだけです。それにあの女が漬け込んでいる
 んだってことにどうして気づいてくれないんですか!? 今日だってあんなに露骨に兄
 さんのこと誘惑して、汚らしい雌の匂いをぷんぷんさせて兄さんを困らせて、それで悦
 に浸ってる売女ですよあの女は! 目を覚ましてください! 指輪なんて買ってやって
 る場合じゃないでしょう! 何度でも言います、兄さんはあの女を好きなわけじゃあり
 ません。セックスしたいだけです。射精したいだけです! だからわたしが、兄さんが
 勘違いしないように、兄さんの性欲を、受け止めます。すべて? 全部。全部! 毎日
 からっからになるくらい兄さんの精子を絞ります。そうすれば馬鹿な考えなんて微塵も
 浮かばないでしょう。そうすれば兄さんはわたしを見てくれる。本当の愛情をくれる存
 在、自分を一番愛しているのが一体全体誰なのか、嫌でもわかります! だから! 朝
 でも、夜でも、大学でも、外でも、家でも、兄さんが望むままに! 家族で妹で同居人
 であるわたしが! 楓が! 全部! 責任もって! 兄さんを愛しますッ!!」

 おれは、楓の何をわかっていたというのだろう?

「でも、意外と簡単なものですね。……兄さん、愛してます。ほら簡単。こんなに簡単に
 気持ちって口にできる。今まで押し込めていたのが嘘みたいです。……すごく心が軽い。
 幸せすぎて息が止まってしまいそう。こんなに幸せなら、最初から言っていればよかっ
 たのかな。うふふ。兄さん、あっけに取られた顔してる。そんなに意外? 嘘だ。絶対
 気づいてたでしょ。このまま自然消滅させるつもりだったんだろうけど、甘いよ、甘い。
 甘すぎる。この気持ちはそんなに軽くない。背負ってきた私が言うんだから間違いない
 よ。あはは。あー、幸せ。兄さん、好き。大好き。抱かれたい。犯されたい。うふふ。
 壊されたい。殺されたい」

 ……にいさんのこと、ころしたいくらい、あいしてる。
 
 楓がしな垂れかかってくる。
 熱を帯びた躯。石鹸の匂い。潤んだ瞳。薄く開かれた唇。
 楓は無邪気におれの股間に手を伸ばす。
 自分にないものに興味しんしんだった、本当に小さかったあの頃に戻ったかのように。
「あは、にいさんったらもうこんなにおっきくしちゃって、ズボンがはちきれそう。
 ごめんね、我慢させちゃったね。すぐに楓が、楽に、してあげるよ。
 だからね、お兄ちゃん。いっぱい、いっぱい、いーっぱい、
 まっ白いどろどろの精子、かえでで、びゅっ、てして?」
 もう、我慢、できなかった。
655 ◆kQUeECQccM :2006/02/17(金) 17:12:53 ID:P0ediGWo
かえで蛾物故割れた。

>571
こういう嫁が欲しいです。
656名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 17:18:48 ID:uwhdxsOn
>>645->>648
>>652->>654
お二方GJ!


さて、次スレの準備についてなんだが。

2ヘラ目
2本目
二ノ太刀要らず
二股目
泥棒猫2匹目

が今の所出てるヤツな。

容量的にはあと、>>645->>647を一本として9本分くらい{(512-477)/4≒9}
あまり余裕ないから>>670あたりに頼むかw
657名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 18:51:46 ID:chSCQLlb
>>654
楓たん、なぜか俺の中ではD.C.の音夢が声・セリフ共にダブって見える訳だが
658『鏡』 ◆AsuynEsIqA :2006/02/17(金) 19:59:43 ID:pwzhniZw
しばらく忙しくなるため、更新遅れますorz
余談ですが乃南アサの『ふたり』という小説はいい嫉妬小説ですた(`・ω・´)
659 ◆kQUeECQccM :2006/02/17(金) 22:12:19 ID:P0ediGWo
>657
もうあの人の声にしか聞こえなくなった。こうなった責任とってよ! ねえっ!w

>◆AsuynEsIqA氏
お疲れ様です。
自分も今回分で貯金を全部吐き出してしまいますた ω
660名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 22:37:23 ID:Sxuszj/X
病んだ現代社会の疲れを癒すスレですね。
661名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 22:56:50 ID:chSCQLlb
そうか?w

>>659
それはすまんかった…
だが私は謝ま(ry
662名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:16:29 ID:J4TQGS8m
またおっきしますた
663名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:41:34 ID:LsX9mFPY
「私のことは好きか?」

蝉の鳴き声が響く縁側でスイカにかぶりついている傍らの少年に伊吹綾(7)は唐突に尋ねた

「ふぇ?」

一切れ目を食べ終え、二切れ目に挑みかかっていた岡野誠(4)は口の中のスイカを咀嚼しながら綾に顔を向けた
口の中をもくもくとさせながら不思議そうな顔をしている誠に綾はもう一度同じ質問を投げかける

「誠は私のことは好きか?」
「うん、ひゅきだよ」

口の中に頬張ったままそう答えながらうなずいたので口から涎ともスイカの汁ともつかない液体が誠の
口周りとシャツに飛び散り、綾の真っ白なワンピースにも一つ二つの染みを浮かび上がらせた

「そうか、私も誠が好きだから私たちは両想いだな」
「りょうおもい?」
「そうだ、両想いだから結婚も可能だ」
「ケッコン?」

幼稚園に上がったばかりの誠には理解できない言葉を操りながら綾は自分ワンピースの染みなど一顧だにせず誠の口周りをハンカチで拭ってやる

「そうだ。大きくなったら私と誠は結婚するんだ」
「そうなの?ケッコンするとどうなるの?」
「結婚すると私と誠はずっと一緒にいられるんだ」
「ほんとう?ごはんもいっしょにたべるの?」
「ああ、ごはんも一緒だしお風呂も寝るのも一緒だ。何をするのも私たちは一緒。それが結婚だ」

綾は結婚というものがどういうことかを誠にも理解できる言葉で教えた
664名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:42:19 ID:LsX9mFPY
「ふーん…じゃあいまとぜんぜんかわらないね。ごはんもおふろもねるのもいっしょだし」

綾の説明を聞く限り、結婚という物は何をするのも一緒だという。
だがそれが結婚だというのであれば自分たちは既に結婚しているのではないか?昨日の夕食も一緒だったし風呂にも一緒に入った。おまけに寝るのも同じ布団だったではないか

「そうだな…今とあまり変わらないな…だが誠が小学校に行くようになったらご飯は一緒に食べられるかもしれないがお風呂と寝るのは一緒じゃ無くなるかもしれない」
「どうして?」
「どうしてもだ」

小学校に上がり、なんとなくではあるが社会の空気というものを理解し始めた明敏な少女は今の環境がもう、そう長く続かないことを察していた
しかし目の前にいる少年はこの状態が当たり前で永遠であると思っている。彼の年齢を考えれば当然ではあるが……

「えーそんなのやだー」
「嫌か?」
「うん、やだー」
「じゃあ…」

体ごと自分に振り向かせ、頭一つ低い位置にある瞳を見つめながら誠に詰め寄る綾

「私と結婚してくれるか?結婚すれば誠が大きくなってもずっと一緒だ。ご飯もお風呂も寝るのも全部だ」

その瞳には小学生になったばかりの少女とは思えない「何か」が篭っていた
さっきまでうるさいくらいに誠の耳に響いていた蝉時雨がいまは遠くから聞こえてくる。
そしてそれははまだ頑是無いといっていい誠にも伝わるくらいの「何か」であり、見えない力に押さえつけられたように誠は首を縦に振った

「うん…でもケッコンってどうやるの?」
「これから私の言うことに「はい」で答えるんだ。難しく考えることは無いぞ」
「それだけでいいの?」
「そうだ…では始めるぞ…こほん、誠は綾を妻とし、病気のときも元気な時も時も一緒に過ごし綾を永遠に愛することを誓うか?」
「はいっ!」
「よし、じゃあ私が良いというまで目をつぶっててくれ」
「はーい」
665名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:43:08 ID:LsX9mFPY
言われるままに目をつぶった誠の頬を両手で挟みこむ。その手の温かさに言いようのないくすぐったさを覚え、目を開けようとした刹那

チュッ…

誠が目を開けるのと唇に柔らかく冷たい何かが押し付けらたのはほぼ同時であった

「ん…んむ…んくぅ…」
「ん〜〜ん〜〜…」

歯を割り開き綾の舌が誠の口の中に進入し舌を絡ませて口内を思う様蹂躙する

クチュ…クチュ…

「ぷはっ…」

息が続かなくなりどちらとも無く離れたが細い銀の糸が幼い二つの唇を繋いだ

「くちのなかがなんかぬるぬるする…」
「そのうち慣れる。結婚すると毎日これをやるんだからな」
「毎日?」
「そうだ、毎日だ…もうちょっと大きくなったらもっとすごいこともするぞ」
「もっとすごいことって?」
「誠が大きくなってからのお楽しみだ」

そういって誠を自分の頭を膝に乗せる。ふんわりとした心地良い感触が綾の太ももをくすぐった

「これで私たちは夫婦だ、ずっと一緒にいられるぞ」
「ふーふ?」
「結婚した男女のことだ」
「ふーん…まぁいいや!これであやねーちゃんとずっといっしょにいられるんでしょ?」
「ああ、ずっとずっといっしょだ」
「やったぁ!あ、そうだ、ねぇねぇっ!」
「なんだ?もっとすごいことは誠がもう少し大きくなってからだぞ?」


「かすみねーちゃんともケッコンしていい?」

その瞬間綾の瞳の奥に稲妻が疾ったように見え、誠の頭に敷いてる柔らかい太ももが強張った

666名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:45:48 ID:LsX9mFPY
素直クール+修羅場+幼馴染という妄想が指令を出してきたので投下
下手な文章でごめんなさい(ノД`)
いい感触だったら続き書きます
スレ汚し失礼しました
667名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:47:22 ID:1jVYMXJ8
>666
十年後の二人まだー?
668名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:50:38 ID:P0ediGWo
素直クールに激震走る、はかなり好きなので個人的には大アリで。
669名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 00:00:03 ID:BsENeHdg
続きキボンヌ
670名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 00:05:34 ID:tAQg58U0

>「かすみねーちゃんともケッコンしていい?」

あるあるw
671名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 00:18:27 ID:6AYOXTBd
そろそろ次スレかな
672名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 00:24:12 ID:VDCO66LX
>666
小学校高学年ぐらいから女の子意識して恥ずかしくなって距離とろうとするのまだー?
性に対して全力全開で目覚める中学編まだー?
全寮制の学校に行こうかと思ってるなんて言って激震はしるのまだー?
密かに転校していく他の女の子に対してケッコンすれば一緒にいられるよと言って別れた後帰ってくるのまだー?
幼馴染相手に散々練習したからスーパーテクニシャンとなって、影に隠れてやりまくるプレイボーイ編まだー?

…妄想で煩悩中枢刺激されて五本分ぐらいSSかける気がした
673名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 01:02:10 ID:0jH3kNB8
早く10年後編きぼんぬ!

〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( `Д´) < 早く書いてくれなきゃヤダヤダ!
  `ヽ_つ ⊂ノ   
             
           ジタバタ
674名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 03:23:26 ID:3YiETB4C
480越えたし早々に次スレ立てないとやばくない? テンプレはこんな感じか。


嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 二股目(仮)


浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSS及び、
他様々な展開の修羅場プロット・妄想を扱うスレです。

前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137914849/


■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第11章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1139807187/
■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1132666398/



風呂入ってくるが、出てきても立ってない&特に反対がないのなら俺が立ててくるよ。
675名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 03:36:07 ID:YdaZjF6C
保管サイトの方も追加しる
676674:2006/02/18(土) 05:39:11 ID:80ZAQkTo
次スレ立ててきました。獲得票多数の二股目使わせてもらいました。

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 二股目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1140208433/

では。
677名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 05:46:09 ID:pn39YV6s
俺はこのままロリ展開で良いと思ってるw
678名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 14:32:59 ID:jFTQeEBD
こっちってスレストするまで埋めなきゃ何かまずいのかね?
679名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 15:28:55 ID:NjvgXqOF
とりあえず今486KBだから少し投下してもらえれば・・・・
680名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 16:05:09 ID:nqrqld6p
てめぇら正直に手をあげろ。
>>599-600の藍子で抜いたのは俺だけじゃあるまいな?
681名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 17:06:31 ID:FSoyXct1
私のものなの。私のものな>の。私のものなの。私のものなの。私のものなの。私のものなの。私のものなの。
>私のものなの。私のものなの。私のものなの。私のものなの。私のものなの。私のものなの。私のものなの。

このへんでバーストしました
682名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:45:51 ID:TnxIpHgG
新スレが……立った……?
嘘でしょ。
だって、まだ私10KBもあるんだよ!
682スレもの長い間!01/22(日) 16:27:29!
あのときから今日! この時間! この瞬間まで!
ずっとずっと一緒だったのに!
新スレが立ったからって私の前から消えるの……?
ううん。いや。絶対にいや!
私はあなたのものだもの。あなたもいやだよね?
間違って立てちゃっただけだよね?
安心して。あんな新スレすぐに削除してもらうから。
え…このスレの寿命?
大丈夫。私達愛しあってるんだもの。辛くないよ。
だから、だから。
あんな新スレほっといって
一緒に、dat堕ちしよう……?
683名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:55:58 ID:GI2LhSGw
ワロスw
684名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:57:32 ID:+hIpP0nQ
埋め
685名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:02:20 ID:pFvc8cZG
>682
あんた馬鹿ね、本当に馬鹿ね。
あなたはもう用済み。必要ないから新スレ――私が必要になるの。
容量オーバーで書き込みも出来なくなるスレって惨めじゃない?
彼とはうまくやっておくからあなたは心配しなくていいのよ。
686名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 20:15:48 ID:+hIpP0nQ
埋め
687名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 20:15:51 ID:bLsrytAq
>>682
>682スレもの長い間
長すぎるぞw
688 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 21:33:41 ID:0pvneFG5
埋め立て用にSS書いたんですが、18KBになってしまいました……
制限が500KBだとすると足りず、512KBだとしてもギリギリなので、投下していいものでしょうか。
次スレに落とすべきでしょうか。
689名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 21:54:58 ID:pFvc8cZG
>689
前半部分をこちら、後半を新スレ。
これで立派な二股作品だ。
690 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:03:12 ID:0pvneFG5
>>689
なるほどw じゃあいきますwww
一応埋め立てようなので、前半をかなり多くしますが。


 どこか愛らしい、チープなアーチをくぐる。
 ここは○○学園。あたしの彼氏、平野君が通う学校。
「いらっしゃーい! 寄ってみて下さい!」
 チラシをいくつも渡される。その中には平野君のクラス、2−Bの出し物も含まれていた。
「へぇ、喫茶店かぁ」
 何だ、普通じゃない。教えてくれないからどんなにヘンなやつかと思っちゃった。
「にしても……」
 教えてくれたっていいのに。確かに平日だから私は授業があって来にくいけれど、一日くらい
サボったってどうってことない。実際、今日は友達も何人か欠席しているはずだ。
 まあいいや。いきなり行ってビックリさせてあげよう。
 どこか頼りない彼があわてふためく様を想像して、ちょっと危ない人みたいとは思ったけれど、
あたしは含み笑いが止まらなかった。


「ねぇ、本当にだいじょうぶ?」
 心配そうに、それでいて甘く囁く洋子。
 喫茶の裏側で忙しく準備しながら、僕達は身体を寄せ合っていた。
「大丈夫だって。美奈には何も教えてないんだから」
「日程も?」
「日程も」
「出し物も?」
「出し物も」
「クラスも?」
「それは、前に教えちゃった」
「もう……来ないでって言った?」
「それは、言ってないけど」
「もう、ツメが甘いんだから……んっ」
 柔らかい唇。ついばむように何度も口づけを交わす。
 視界の端に、うんざりしたような金子武雄の表情が見えた。見て見ぬ振りをしてくれるのは
ありがたい。
「ん、はぁ……そう言わないでくれよ……大丈夫だよ、今日平日だから」
 普通は客の入りが悪くなるから敬遠されるのだけど、今年は日程やら交通やらその他諸々の
理由によって平日に開催されることになっていた。
 まあ、そのお陰で僕は洋子と楽しい青華祭を迎えられるのだから文句は言えないけれど。
「そうね……あなたを信じるわ」
 どこか媚びるような上目遣いにくらくらする。
 クラス一の、いや学年一の大和撫子と評判の高宮洋子。彼女のこんな表情は、僕しか知らないのだ。
「あっ」
 ギュッと強く抱き締めて、僕は今日が最高の一日になることを確信した。


 いきなり襲撃……したいけれど、今回はちょっと趣向を凝らそう。もっと時間をおいて、そう、
お昼に行けば、混んでるかも知れないけど、お昼ごはんを食べられるし平野君と会えるし驚かせ
られるしで一番良さそう。
 うん、そうしよう。
 そうと決まれば早速、それ以外の所で時間をつぶさないと。幸い今日は青華祭。暇つぶしなら
いくらでもできそうだ。
691 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:04:05 ID:0pvneFG5
「ねえ、やっぱり初めのうちは止めておきましょう? もし美奈さんが来たら大変だし、やること
も沢山あるし」
 開場し、ガヤガヤと遠くから賑やかさが近づいてきた頃、洋子はそんなことを言った。
「……そうだな。美奈はあいつ、我慢できない質だから、来るとすれば最初の方だろうし」
 もう客が来る頃だ。そろそろ出ないと。
「あ、待って。その前に一分だけ」
 すっと身体を寄せ、控えめに背中に腕を回す洋子。胸に顔を埋め、うっとりとしている。時折
頬ずりする様は、猫か犬か、とにかく可愛らしい。
 よそからの視線は感じたけれど、この幸福感の前ではものの敵ではなかった。
 スレンダーな割に出るところは出ている感触。
 思わずそこへ手を伸ばしそうになるけれど、我慢した。
 彼女の家はとても厳しく、結婚するまで「そういうこと」は一切禁止と言われている。
彼女もそれを守っているので、僕達はまだ、キスまでしかしたことがなかった。
 本当はキスもだめなんだけれど、洋子が僕のためにと、それだけは内緒でさせてくれている。
「……はい、一分」
 やがて彼女は自ら身体を離した。頬が赤くなっているのが堪らなく愛しい。
「頑張ろうね」
「ええ」
 僕達はウェイターとウェイトレスとして働くことになっていた。
 総勢10名で、客が入ってくるたびに一人ずつロケット鉛筆のように入れ替わっていく方式だ。
だから、待機時間の内は、その、いちゃいちゃできると思っていた。
 もっとも、午後からは別の10名と入れ替わって一緒に青華祭の出し物を見て回る予定ではある。
つまりは、丸一日甘い時間を過ごせるかそうでないかの違いしかないのだけれど。
「いらっしゃいませ」
 そんなことを考えているうちに一人目の客が来た。それに寄せられたのか、どんどん人が入って
くる。
 今日は忙しくなりそうだ。

 そろそろ、いいかな。
 もう12時を少し回ったくらいで、飲食系の出し物に人が集まっている時間帯。
 混雑に紛れて、平野君に至近距離まで近づいて。
 いきなり抱き付いたりしたら、きっと面白いくらいに驚いてくれるはず。
 ガヤガヤと騒がしい廊下は活気に溢れている。あたしまで楽しくなってくる。
 待っててね平野君。今行くから。
692 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:04:36 ID:0pvneFG5

 シフトの交代時間まであと少し。そうすれば、この仕事から解放されて洋子と一緒に……。
「いらっしゃいませ」
 今裏で、交代要員が準備をしている。客への応対方法の確認とか、オーダーの伝え方の確認とか。
 もうすぐだ。もうすぐ。
 オーダーを取ってきた洋子を見ると、ちょうど目があった。
 柔らかく微笑む洋子。
 美しい。
 のろけと言われようが、バカップルと言われようが、美しいものは美しい。
「はい、前半の人は、各自あと一回オーダー取ってきたら交代していいよ。逐次後半の人と入れ替わって」
「いらっしゃいませ」
 これが僕の最後の仕事。洋子はついさっきオーダーを取ってきたばかりだから、
一番最後の方になってしまうが、仕方ない。
 そして、つつがなく仕事を終えた僕は、高橋と交代して裏で洋子を待つ。
「羨ましいヤツだ」
 と、僕に続いて交代した金子が肩を回しながら近づいてきた。
「何が」
「お前、殴っていいか。高宮洋子だよお前の彼女の。一緒に青華祭回るんだろ?」
 小突かれたが、決して悪い気分ではない。むしろ誇らしい。
「まあね。きっと彼女は、神様がくれた宝物なんだよ」
「ったく、彼氏バカだな。否定できないところが本当にムカツクぜ」
 そう言いながら、金子は豪快に笑った。
「ちょっと金子くん、そういうの恥ずかしいわ……」
 と、当の本人も仕事を終えたらしい。そして当然のように僕の脇に寄り添う。
「あーあ、やってらんないよ。まあ楽しんでこいや」
 ひらひらと手を振って金子は外へ出て行ってしまった。
 すっと視線を合わせて微笑みあう。
「行こう」
「ええ」
 僕らの青華祭は始まったばかりだ。
693 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:05:09 ID:0pvneFG5
 僕が洋子と知り合ったのは高校一年の春。同じクラスで、一緒にクラス委員になったことで
話し合う機会ができて、そのまま親しくなっていった。彼女は一言で言えば才色兼備。まず美しく、
淑やかで聡明、そして何よりいい子だ。全校の憧れの的といっても間違いではないだろう。
そんな彼女がなぜ僕なんかを好きになってくれたのかは分からないけれど、僕の方からは一つも
不満はない。
 対して美奈は幼馴染みに近く、家は100mと離れていないし幼稚園から中学校まで一緒だった。
美奈と特別親しくなったのは中学二年の頃からだ。初めての恋だった。互いに初々しくて、手を繋ぐ
のにも戸惑うくらいで、あっと言う間に一年が過ぎ、受験になって。僕はそれなりに名の通った公立
高校に無事入学したが、彼女は同じ高校を受けたけれど落ちてしまって、遠く離れた私立に通っている。
 美奈のことが嫌いな訳じゃない。ただ、高校が離れたことで互いのスケジュール合わなくなり、
すれ違いも多くなってしまった。そして、去年の十月頃から半年以上、細々とメールのやり取りを
続けるだけになってしまっている。

 初め僕が美奈の存在を打ち明けたとき、洋子はまず美奈の心配をし、ついで僕を責めた。どうして、
そんな酷いことをするのかと。確かにその通りだった。僕は酷いことをしていた。洋子のことが好きな
のは本当だったし、同時に美奈を振るほどの理由は見つけられないでいた。しかし、彼女は僕と別れよ
うとはしなかった。酷い酷いと責めはしても、僕が彼女のことを本当に好きなことは分かってくれてい
たようだ。そして、彼女も同じく、僕と離れがたく思っていてくれたのだろう。彼女が如何に怜悧聡明
であっても、やはり高校生となれば道理を通して好きな人と別れるのは難しかったのだと思う。

 洋子は、僕と自らと美奈の関係において、多く美奈を優先した。美奈が可哀想だから、とか、美奈に
悪いから、とか。今回の青華祭で美奈に来させないようにしようと言ったのも洋子だった。彼女はきっ
と傷つく。三人が出会ったら、きっと僕は美奈を傷つけるから、と。彼女は僕のことを実によく分かっ
ていた。僕自身、確かにそうなってしまうと思う。
 彼女は、僕と美奈の関係が自然消滅するのが一番いいと考えているようだった。直接別れを切り出し
たら美奈が傷つくし、かといってだらだらと続けていてもやはり、いつか彼女を傷つけてしまう。だか
ら、互いに悔恨を残さないように静かに別れるのがいいと。
 だが物事はそううまくいくものではなかった。結局ずるずると長引いて、青華祭になってしまった。

 彼女はきっと来ない。
 だけど、これを機によりを戻そうとしないとも限らない。
 洋子と楽しく周りながら僕は、一抹の不安を拭えないでいた。


 まったく、平野君ったらシフトが午前中だけだったなんて。
 お陰でこうして校内を探し回ることになってしまった。
 賑やかな廊下が、今では鬱陶しい。
 早く探さないと青華祭が終わってしまう。終了時間は午後四時。今は午後一時。あと三時間。
 その間に会って話をして、ちょっと疎遠になっちゃってたのをなんとかしないと。本当にあたし達終
わりになっちゃう。
 どこ行ってるの。
 会いたいよ。
694 ◆DxURwv1y8.
「ここに何かあるの?」
 管理棟四階。特別教室がずらっと並んでいるここには、僕の友人がいる。
「まあ、付いてきてよ」
 手を繋いで洋子と歩く。
 廊下は静かで、こんな所に展示があるなんて知る人も少ないだろう。パンフレットにも、隅っこの方
に小さく載っているだけだ。
「こんにちは」
「あら、平野君。どうしたのこんな所に」
 実験室特有の四人がけのテーブルに肘をついて、怠そうに答えたのは叔母の高井聡子さん。この学校
で数学教師をしている。数学部の顧問でもあり、数学部の展示を監督するという名目で煩雑な仕事から
逃れているちゃっかり者だ。
「ちょっと彼女とのんびりしたいと思って」
「ふぅん。そちらの綺麗なお嬢さんがそうなのね」
 面白そうな視線を受けて、洋子はおずおずと自己紹介した。
「初めまして、高宮洋子です、その、平野くんとお付き合いさせて頂いてます。よろしくお願いします」
「あら、あなたが。高宮洋子といえば職員の間でも評判よ。うちの甥がお世話になってます」
 にっこりと微笑む叔母さんと、珍しく動揺している洋子が面白い。
「それでさ、ちょっと準備室貸してくれない?」
「やっぱりそれが目的なのね。まあいいけど。コーヒーは三人分よろしくね」
「はいはい。さ、行こうぜ」
「えっ? え、ええ。あっ、失礼します」
 洋子は律儀に頭をさげてから付き従う。
「あ、そうだ。うちの兄によろしく言っておいて。こんな良くできた、綺麗な娘ができるなんて幸せ者
だって」
「う、か、からかうなよ!」
 洋子は頬を染めて黙っている。
「ほら、行った行った。仲良くね。でも、あまり仲良くしすぎちゃ駄目よ。防音なんてできてないから」
「わ、分かってるよ!」


「ごめんな。まあ、これくらいは予想の範疇だったけど」
「ええ、それはいいけれど」
 洋子は控えめに部屋を見回す。
「ここ、使っていいの?」
「大丈夫大丈夫。ここは叔母の城だから」
 化学実験準備室は叔母の私物で溢れている。洋服、化粧品、パソコン、本、本格的なコーヒードリッ
パー。職員室から遠く誰も見に来ないので、自由に使えるのだという。僕も時々利用させてもらっている。
「さてと。叔母にコーヒー持っていってやらないと」
 もう何度も出入りしているから、扱いには慣れている。
 叔母はこだわりを持っているので、ミルで豆を挽くところから始めなければならない。
 ミルのレバーを回し、ガリガリと細引きする。
 その様子を珍しそうに眺める洋子。
「なんだ、洋子は挽いたことないのか?」
「家は紅茶なの。そっちなら、基本的な煎れ方くらいは分かるけれど」
「そっか。じゃあ、今度ごちそうしてくれよ」
「ええ、喜んで」
 洋子は微笑んだ。
「ん? ということは、僕が洋子の家へ行くってことになるのかな」
「え? ええ。そうなるけれど」
「緊張するな」
「も、もう……ちょっと遊びに来るだけでしょう」
「そうだけど」
 くすぐったいような、恥ずかしいような。幸せな空気。
 昼下がりの化学準備室。
 豆を挽く音が静かに響いていた。