ノエインでエロい話お願いします

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
2名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 16:00:05 ID:vOsnd8e1
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!

.         ,:::-、       __     >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
    ,,r   〈:::::::::)    ィ::::::ヽ    >3 >>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
  〃   ,::::;r‐'´       ヽ::ノ     >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
  ,'::;'   /::/  __            >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
.  l:::l   l::::l /:::::)   ,:::::、  ji     >6 いまさら>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
  |::::ヽ j::::l、ゝ‐′  ゙:;;:ノ ,j:l     >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
  }:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;!     >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
.  {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/      >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
  ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/      >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
.   `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ       >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
        `ー-"
3名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 23:31:50 ID:gSZZBVtl
このスレ応援
4名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 00:52:27 ID:6+UEVxzE
「ユウ、何してるの?」
「さ、算数の復習…」
「あ、これ今日習ったやつだよね」

後ろから、ぐいっと顔を覗かせてくる気配にユウは身を固くした。
ほのかに香ってくるハルカの匂い。
ここに来る前に風呂に入ったのだろうか…石鹸のような良い匂いだった。

「くっつくなよ!」
「ユウ?」

心臓がまるで全力疾走をした直後のように高鳴っていく。

「どうしたの?…顔、赤いよ…風邪かなぁ?」
「ち、違う!」

心配そうにこちらを見つめてくる瞳をまともに見ることが出来ない。
顔が熱くなって…そして…別の場所にも熱が集まっていくのが分かった。
5深夜に失礼:2006/01/23(月) 01:36:11 ID:3bwW0Xkx
ひゃっほう!
ノエインスレを待ち続けていた甲斐があったぜ。
何か書くぞ!
6名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 14:53:46 ID:OIicUyP9
とりあえず無難に郡山×内田ちゃんキボン
でもカラス×ハルカもキボン
7名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 01:16:17 ID:6WwRkU8Y
別に読みたくないけどアトリ×ハルカ
8名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 01:28:33 ID:ADJvtNTx
ハルカユウ希望
9名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 01:42:24 ID:kHxs9pTc
>>7
読みたくないなら何で言うんだよwww
10名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 02:50:26 ID:KiIPN8rU
トビは男女受け攻めなんでも出来る万能タイプだな。
11名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 06:39:23 ID:5bZPXrnL
1乙!!
ありがとうありがとう

フクロウ×アマミクキボン
12名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 17:33:14 ID:HCsN8jfJ
ハルカ×ユウ
ハルカの強気受けキボン
13名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 23:52:34 ID:Is9pKUwO
とりあえずトビたんキボン
14名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 00:09:37 ID:bwKuZj/9
アトリ×トビって需要あるかな?
15名無しさん@ピンキー :2006/01/26(木) 02:25:27 ID:w+iaROtj
801はダメだろ。
16名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 03:16:42 ID:Pk90M8C6
トビは性別不明だから。もしかすると第三の性ということもありうる。
17名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 20:43:05 ID:bwKuZj/9
トビSS書くんだけど、トビの一人称って何だっけ?
18名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 21:13:54 ID:heNBUfHQ

SSwktk
19名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 21:16:15 ID:EBovIpHl
ゆきえちゃんとトビキボン
20名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 03:07:18 ID:ajhZ5GRP
トビ最強伝説
21名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 23:32:15 ID:1xEFcVHL
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<  トビタソSSまだー?
             \_/⊂ ⊂_)_ \_______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/
22名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 00:56:34 ID:9ZyNxhJH
このスレの弱点…それは書き手がいないということだ
23名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 11:50:10 ID:SlY3p5me
ゆきえちゃんとトビがいいな
24名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:06:07 ID:v4QMqKXg
別に読みたくないけどトビ輪姦物
25名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:07:55 ID:z1b5WAay
ハルカユウ希望
26名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 04:13:23 ID:KRnYDiin
トビが女の時空とトビが男の時空が繋がったぜ!
な話キボン
27名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 18:49:20 ID:eHybkil0
>>24
読みたくないなら言うなよwwwww
俺は読んでみたいが
28名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 01:42:53 ID:oEWGLLi6
ハルカユウ希望
29名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 04:06:12 ID:F3d4iI9e
記憶なくなった後のアトリを女性陣みんなでペットにして次々と…
何でもありません。
30名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 04:44:37 ID:wB9NZBmp
女の子攻めいいな。
ハルカ守って怪我したカラスの上に、お礼と称してハルカが乗っかってきて…
傷の痛みと相手がハルカということで抵抗できず、あっさり犯られてしまうカラス。
31名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 13:33:57 ID:rqvF9vel
アトリはもうめがねとヤっちゃってるよね。
32名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 14:10:44 ID:Mqb0Fw7X
それはないw
33名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 01:33:32 ID:Dis5Z0RH
「あー、アトリー、口の回り汚れてるよー」
ペロペロ…

位はしてるんじゃね?
34名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 22:13:21 ID:L61stDBn
>>30
ちょwwwそれモエスwwwwww
35名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 23:02:33 ID:Z2/SwC2t
ハルカとユウ、一回、正常位になった気がする。
第8話で。
36名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 00:00:50 ID:ICwcL31d
え?どこ?騎上位の前・後どの辺?
37名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 01:55:12 ID:1/5X87/c
>>35
あの回のハルカとユウにはかなり萌えたなぁ(*´д`)
じゃれあいが可愛いw
38名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 03:00:28 ID:ZsVql61f
イサミとアイにマジ萌えた。
39名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 19:36:51 ID:/u8DF4ni
ほしゅ
40名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 03:13:06 ID:5Py1Ky43
判ったぞ!!
コサギタンはきっとカラスの触手プレイが忘れられなかったんだ。
だからラクリマを捨てたんだ。
41名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 12:35:18 ID:xT7k9M0h
カラスが、現在ハルカの仕草とか匂いとかで未来ハルカを思い出して切なく一人HするSS読みたい。
現在ハルカの寝顔見ながら・・・とか。うは、萌えスww
42名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 14:58:21 ID:8htqiauO
続きは各自妄想してやって下さい。
カラス独白、いきますー。

*****

ハルカは俺が守る。
そう決めた時から幾度となくこんな夜を過ごしてきた。
背中を丸めて小さな寝息をたてているこの少女を見下ろすたびに、
あのハルカと過ごした日々が蘇る。

まだ何も起こらなかったあの頃。
波の音も夏草の匂いも鳥のさえずりさえも日常だったあの頃の。
満面の笑みを浮かべていた少女は、憂いをおびた大人になり、
気づいた時にはもう触れることも叶わない水の底にその身を委ねていた。

ベッドの脇に腰を下ろすと、小さな鼻先にかかった前髪をそっと払った。
ひんやりとした頬に指が触れる。
この少女はあのハルカに繋がっている。
ハルカはここにいるのだ。

俺は少女の寝姿から顔を背けた。
隣りの部屋へ転移すると崩れるように座り込む。
あのハルカはいない。
俺のハルカはもういない。

水滴がゆるゆると頬を伝って落ちる。
俺は壁に額を押し付けた。
苦痛で顔が歪むまで。


43名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 19:56:17 ID:Nsd0MXZw
>>42
GJGJ!!
やっぱりカラスはへたれで切ないのが似合うね!
44名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 20:41:15 ID:1RENTVt4
萌 え た GJ

カラスは結局童貞なのか違うのか本編ではっきりしてほしい ここかなり重要
45名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 02:39:59 ID:nkiLZygI
最初に断っておきます。
暴力表現があるので苦手な人はスルーしてください。
46アトリ×ミホ:2006/03/02(木) 02:40:49 ID:nkiLZygI
目覚めた僕の目はまるでガラス玉だった。
何も映さない。映していても脳に届かない。理解しない。
知らない人々、知らない建物、知らないものだらけの街を、僕は歩いていた。

ふらふらと路面電車――後に呼び方を知った――の前に飛び出した僕を、助けた存在があった。
彼は僕を鳥の名前で呼び、自らはトビだと名乗った。
だけど、彼が呼んでくれた名前はどこか空虚な響きを持っていて、僕の心に馴染まなかった。
彼はひどく僕のことを心配しているようだったけれど、僕は彼を知らなかった。

そんな僕の様子を見て、トビは僕のことを「記憶喪失」だと言った。
確かにそうなのかもしれない。トビは僕をよく知っているらしいのに、僕はトビを知らない。
僕の本当の名前はなんて言ったっけ……? 思い出せない。

おぼつかない足取りで歩いていた僕たちは、一組の子供たちに出会った。
そこにあったのは、ただ唯一、僕の記憶にあった存在。
サラ。君とこんなところで会えるなんて思わなかった。
心配していたんだよ、サラ。会いたかったよ。サラ。

だけどその子はサラじゃなかった。
よく似た姿、よく似た声。だけど、別人。
僕のことを知らない赤の他人。
彼女の名前はミホ。記憶の空白領域の多い僕は、すぐに最重要記録として脳内に保存した。

「アトリー! こっちこっちー」

彼女の呼ぶ声がする。
僕たちは仲良くなった。
初めて出会ったときの失礼な態度についても、ミホは僕を許してくれ、
さらに僕を気に入ってもくれたようだった。
彼女の友達、ハルカの家に僕とトビは居候することになった。
「夏休み」とやらで自由時間の多かったミホやその友人たちは、
僕たちのところにしょっちゅう遊びに来ては、他愛もない話に夢中になっていた。
47アトリ×ミホ:2006/03/02(木) 02:41:57 ID:nkiLZygI
ある日。
僕たちにあてがわれた部屋でトビが何やら調べ物をしている間、
暇を持て余していたミホが僕を外に連れ出した。

「素敵な秘密の場所があるの。アトリにも見せてあげる」

こっそり耳打ちして、彼女は僕の手をとった。
他の連中は訝しげに僕の方を見た。特にユウとイサミの視線が厳しかった。
だけど、ミホの次の言葉で彼らも黙り込んだ。

「二人っきりのデートよ。邪魔しないでよね」

ミホに手を引かれて、僕は森の中に足を踏み入れた。
どこをどう歩いたのかはよくわからなかったけれど、そんなに疲れるほど歩いてはいない。
ハルカの家からは、さほど遠い場所というわけでもないと思った。
森の中は、太陽が強く照りつける昼間だというのに、まるで朝方や夕方みたいな暗さだった。
鬱蒼と茂った木々たちは、陽光を大幅に遮っていた。

「あれえ? もしかして、道に迷っちゃったのかなあ?」

意気揚々と僕の前を歩いていたミホが立ち止まった。
森に分け入ってから、結構な時間が通り過ぎている。
既に街の喧騒も聞こえないほどに、森の奥深くに入ってしまったのに、
なぜか僕は落ち着いていた。何も怖くはなかった。
ただ、彼女が傍にいたから。ミホが僕の手を握っているから。
48アトリ×ミホ:2006/03/02(木) 02:42:55 ID:nkiLZygI
僕の心にあるこの気持ちは何と呼べば良いのだろう。 
記憶が不足しているせいか、僕には適切な言葉が思い浮かばない。
恋と呼べるほど激しくもないし、他人なのに家族愛なんておかしいよね。
ただ確実なのは、その感情が愛情の一種だと言うことだけだった。
ミホを見ていると、心から優しい気持ちが次々に溢れて来て、本当に幸せを感じられる。
こんな気持ちはきっと初めて生まれたものじゃない。
ぼんやりとした記憶の中に漂う懐かしいものときっと同じ種類のものだ。

ミホに対する気持ちが愛情だとするなら、愛の表現として触れることは間違いじゃないはずだ。
僕は彼女の頬に顔を寄せた。
周りには誰もいない。人間と思しき影は僕たちのものしかなかった。
薄暗い森の中、僕たちは二人っきりだった。
唇が肌に触れると、ミホは少し赤くなって心底驚いたと言った顔をした。
そして、僕の体を軽く小突いて、口を尖らせた。

「もう。いきなり何するのよーー!」

その手を引き寄せたと思ったら、次の瞬間にはなぜか僕が彼女の体の上に馬乗りになっていた。
小枝がたくさん散らばっている、苔の生えた湿った土の上で、
服が汚れるのも構わず、気がつけば僕は彼女の体を抱き締めていた。

「お、重いよ……アトリ」

彼女の本当の姿を見たくて、自然のままの彼女を見たくて、どうしようもなくなって、
気付けば僕は彼女の着ていた服のボタンを引きちぎっていた。
眼前に現れる真っ白な下着の上に、枯れ果てた葉がひとひら舞い落ちた。
49アトリ×ミホ:2006/03/02(木) 02:43:53 ID:nkiLZygI
「いやっ! いやっ! いやぁぁぁっ!! 横暴よ! 不潔よ! ばかぁっ!!」

どうして。
どうして。
どうして逃げるんだ、ミホ。
僕の体の一部分が激しく熱を高めている。

僕は彼女が泣き喚くのも構わず、彼女の下着を引き裂き、その素肌に触れた。
柔らかかった。こんなに女の子の身体が柔らかいだなんて、知らなかった。
唇を使って彼女の口を塞いだ。甘くて、でも少し酸っぱいような味が口の中に広がった。
どこかで切ったのだろう。それは紛れも無く血の味だった。
それが契機となったのか、僕の中で何かが弾けた。

「ククククク。暴れるんじゃないよ、サラ。大人しく僕に従うんだ」
「な、何言ってるのよ、アトリ! 私はサラじゃないって言ったでしょ!?」
「うるさい! 口答えするな!」

何か良い音がしたと思ったら、僕の手の甲に痛みが走って、
下にいたミホの頬が赤く腫れ上がっていた。

「お前みたいな雌豚は大人しく僕に服従してればいいんだよぉぉ!!」

僕は自分で自分が制御できなかった。
彼女の衣服は、既にただの布切れと化していた。
かけていた眼鏡はレンズにひびが入った上、フレームもひしゃげて遠くに飛ばされていた。
真っ白だった下着は泥や草にまみれ、見る影もない。
50アトリ×ミホ:2006/03/02(木) 02:44:30 ID:nkiLZygI
自分が何をしたのかわからない。
とにかく、彼女にひどい暴力を振るっていた感触だけがある。

「ごめん、ごめんよ、ミホ……。本当にごめん、ごめん、ごめん……」

涙ながらに謝る僕の下で、ミホもまた、涙を流していた。
虚ろな瞳、だらしなく開いた口元。
そして、彼女のスカートから伸びる太股に一筋の血の流れが見えていた。
取り返しのつかないことをしてしまった、そんな言葉だけが僕の心に響いていた。

それから、どこをどうして帰ったのか覚えていない。
ただ確かなのは、記憶にあるミホは、僕の着ていたジャケットを着ていて、
僕は薄い下着のようなシャツ一枚だったということだ。

それが、僕とミホの最初で最後のデートとなった。

(完)
51名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 04:37:49 ID:5hp0KTeJ
肝心のエロ部分がまったく描写されてないわけですが…w
ミホかわいそうだなー。

一番驚いたのは藻前の文章力だ。
上手いね、君…
ちょっと嫉妬した
52名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 03:58:33 ID:zj7lRJhG
そのうち投下するつもりなので保守させて戴きます。
53名無しさん@ピンキー :2006/03/15(水) 18:07:00 ID:169Ko9RF
人本当にいないよなーこのスレ
アニメもあと少しで終わりか…。
54名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 19:06:51 ID:riW1riTJ
同人作家さんはこのスレ見てるか?
ノエインのエロ同人描くのにこのスレを参考にしてはいかがかな?
55名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 15:23:01 ID:lZBG8QwT
>>52まだー?
56名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 14:44:36 ID:ovGShx/q
最終回age
57名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 14:53:11 ID:9D54kNez
結局トビは男なのか女なのか…
と言うか歳偽っているような気もするw

言っちゃいけないか…
58名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 08:11:20 ID:uh1CzJkp
上げついでに
>>26の言っていたトビが女の時空とトビが男の時空が繋がったーっての書いてみるかな…
でもあれだろ?エロだからトビ×トビになる訳なのか?
そこら辺の詳細キボン
59名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 10:26:53 ID:lIg6ulJ7
小学生のユウとハルカでは萌えないので、
高校生くらいのユウとハルカで妄想SSを書き貯めてきたんだけど、
終盤の展開見て整合性が崩れてきたことが判明……
別の時空の話ってことで、今までの話をそのまま展開させても良いだろうか? 
60名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 10:56:27 ID:uh1CzJkp
>>59
GJ!!!
是非見てみたい
61名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 16:01:20 ID:gCsTpYK/
もう何でもいいからトビタン見せろ。見せてください。
62名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 20:41:56 ID:YXd0iOVI
63名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:45:59 ID:vabOWzk8
ノエイン終了お疲れ様ということでユウ×ハルカで書いてみた
最終回のネタバレ含む

***

セミの鳴き声と共に朝が訪れ、五月蝿い夏の昼が始まる。今日は特に暑く、陽炎
すらも見える気がする。
何て日だ、とユウは床に身体を倒した。
「ユウ〜」
幼馴染の高い声が投げられる。
「ねー、ここ判らないんだけど。教えてよ」
「…自分でやれよ」
「一緒にやろうって言ったじゃない。それに教えてくれるんでしょ?」
身体を屈め自分の目を真っ直ぐ見つめる猫の目に、ユウは頬が熱くなり誤魔化す様
に起き上がる。
「どこだよ」
「んーっとね。ここなんだけど…」
ぐい、と身体を寄せられ体が密着する。
ハルカは汗ばみ少し冷えているはずなのに触れた部分が凄く熱い。
動悸がありえないくらい早まり、悟られないように平静を装う。しかし頬の赤みは
どうしても抑えられなかった。
「ユウ赤くなってる」
「お、お前がくっつくから熱いんだよっ!」
「本当にぃ?」
小悪魔のように笑い、ハルカは更に身体を押し当てた。
…こいつは前からこういう奴だけど、最近はわざとやっている気がする。
シャングリラから戻ってからもう一週間になるが、それ以来ハルカはユウに対し、
誘惑としか思えない態度をとっている。
64名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:46:46 ID:vabOWzk8
子供とは言えユウも男だ。
性教育も済み全く知識もないわけではないし―――イサミからの薦めにより
“そういう類の”雑誌も読んだこともある。
恐らく知識だけならハルカ以上であり、性欲もそれなりにある。
彼女の意思を無視して欲望を優先させるほど本能に忠実ではないが、こうやって
誘惑されれば変な気の一つも起こしたくなる。
「ユウ…顔、真っ赤だよ?」
今まで以上に胸が鳴る。ハルカはそう言うものの、彼女の顔も十分赤い。
「お前も赤いぞ…。熱いなら離れろよ」
「ヤダ」
「お、お前は―――」
次の瞬間、視界がハルカで満たされる。
唇に初めて知る柔らかいモノを押し当てられ、首にはハルカの腕が絡みつく。
これはキスだ。
唇同士が離れ互いに呆然とすると、ハルカは口を開く。
「ユウだからくっつくんだよ…」
何かが切れる音すら聞こえる。
「ぁ―――」
眼前のハルカを抱きしめ、また唇を重ねる。しかしユウからのキスはハルカと
違い触れるだけで収まらず、舌が進入する。
「ふ、ううっうううっ?」
雑誌やそれに付録された官能小説の真似事だったが、実際は本とは違いヌルヌル
していて少し気持ち悪い。
しかしハルカの舌と絡み合っていると思うと、不思議な興奮を覚えた。
ユウは十分にハルカの舌を味わうと引き抜き、唇を舐める。
唾液が光る一本の糸を橋の様に引いた。
65名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:47:37 ID:vabOWzk8
「これってディープキスっていうんだよね…」
嫌がる様子もなくハルカは呟く。
少し潤んだ瞳と赤い頬がいやらしく感じ、ユウは再びキスをする。
ユウはそのままハルカをゆっくりと後ろに倒したが、ハルカは全く抵抗をする
様子もないまま、床の上で仰向けとなった。
唇を離し、暫く言葉もなく見つめあった。
「…ハルカ、嫌がらないのか?」
「だってユウだもん」
「理由になってないだろ…いやらしいことされてもいいのか?」
「いやらしいって、さっきみたいなこと?」
「それ以上のことだよ」
今にも切れそうな理性を繋ぎとめ、ハルカに意思確認をする。
この先のことをしたいというのもユウの本音だったが、ここで留めたいと思うのも
本音だった。
「………ユウだったらいいよ」
床につくユウの腕を握り、ハルカは微笑んだ。
かろうじて保っていた理性はここで完全に引っ込み、ユウは男性としての本能に
忠実な行動を始めた。
まずハルカの上に完全にのしかかり、体重をかけて逃がすまいとする。
その次にまた唇を重ね、激しくハルカを求めた。
「ん、んぅ、く…ふむぅ」
舌同士が一つの生き物のように解け合い、絡み合う。
もう始めに感じた不快感はなくただ興奮だけがあった。絡み合うたびにユウは
体の中心に熱が集まるのを感じ、ハルカも内股をもじもじとこすり合わせる。
暫く求め合い唇がやっと離れたかとユウはハルカの胸に舌を這わせる。
「ユ、ユウ…そこは…」
「…お前がいいって言ったんだろ」
ハルカは言葉に詰まる。
上着をずらしまだ未発達な胸を外気に触れさすと、ユウはそれを舐め回した。
66名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:48:35 ID:vabOWzk8
まだ僅かにしか膨らんでいない胸は少し押しただけであばら骨に当たってしまうが、
それでも自分のと比べるとずっと柔らかい。
「変だよ…ユウ、私なんか変だよ」
「うん」
「熱いよ。凄く熱いよユウ…ユウ…」
切なそうに声を上げ、ハルカは内股をまたもじもじとこすり合わせる。
「ハルカ、ここが熱いの?」
這わせる舌を胸から離し、ユウはハルカの内の腿を掴む。
「もっと奥…」
ユウの手を掴み腕をスカートの中に入れさせる。触れた下着は一部分が濡れていて、
指で押すとハルカから高い声が上がった。
「へ、変な声出すなよ」
「ユウが押すからじゃないっ。…そこ、ずっとむずむずするの」
「ふーん」
関心の無さそうな声を出したが、ユウの中で悪戯心が芽生えた。
「ひっ!?」
グイグイとハルカの性器を下着越しに押し、押しながら中指の腹で撫でる。
「だ、だめぇ…っ!だめだよユウ…っ!」
「じゃあ嫌がれば?」
「それもやだぁっ」
「…一体どっちなんだよ」
口では嫌がっているくせに体で抵抗を示さないハルカに、ユウは呆れた声を出す。
ユウはハルカの言葉だけの拒否は無視し、指で撫で続けると硬い部分に指が引っかかり、
そこをこね回すとよりいっそう高い声がハルカから上がった。
「そこ触っちゃやだぁ…」
「ここがいいの?」
懇願も空しくユウの指はそこを執拗に攻め始め、ハルカの身体は丸く縮まる。
67名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:49:19 ID:vabOWzk8
「ユウ、ユウ、ユ――――あぁああぁあっっ!」
縮まったかと思うと途端にハルカは弓なりとなり、ビクビクを震える。
「ハルカ?」
突然の異常に心配するが、ハルカから返事はない。
スカートから手を引き抜き指を見ると、手はぐっしょりと濡れていた。
「ハルカ、イったの?」
「イく…?」
「何ていうか、気持ちよくなるとそうなるんだって」
「…わかんないよ」
ハルカは頬を膨らませ少し拗ねた顔をする。
「ごめんって」
拗ねた顔に手を当て撫でると、ハルカは拗ねた顔をすぐにうっとりとした陶酔の
顔に変化させる。
「ハルカ…僕も、いい?」
陶酔はユウの言葉で破られ、上にあるユウの顔を見上げる。
「…いいよ」
何をされるのか判らないまま答えたが、自分を撫でるユウの手が優しかったせいか
全てを受け入れられる気分だった。
ユウは何度目か判らないキスをしながらズボンを下ろし、トランクスからいきり立った
熱の棒を取り出す。まだろくに毛も生えず皮も剥けきってなかったが、勃起状態の
それは十分に男の形を取っていた。
「ハルカ、入れるよ…っ」
膝まで脱がされむき出しとなった膣に、ユウの男性器は進入を開始する。
「いだ…ぁ!」
涙を浮かべながらハルカはユウを受け入れるが、ハルカは突然の侵入者に驚き
心とは裏腹にユウを拒もうとしている。
68名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:50:06 ID:vabOWzk8
「きっつぅ…」
千切れてしまいそうなほど締め付け、押し出そうとする膣にユウもまた抵抗し、
どんどん進入していく。
まだ半分しか入っていなかったが今にも射精してしまいそうだった。
「ハルカん中…すごい、熱い…」
「痛いよぉ」
「ごめんよハルカ。すぐ終わらせるからぁ…っ」
自身を抵抗するハルカの中に完全に埋め込み、根元まで入れるとユウはハルカの上へ
倒れこんだ。
「全部入った…」
繋がったままユウはハルカを抱きしめ、その頬を撫でた。
「私の中にユウがいるよ…」
「うん」
「ねぇ、赤ちゃん…できちゃうのかな」
「…入れただけじゃ出来ないよ」
「そっか…そうだよね。精子、出さないと…出来ないんだよね」
痛みのせいか、少しぼんやりとした目で天井を見上げる。ハルカもまたユウを
抱きしめて一つになったまま抱き合った。
「動いていい?」
痛みに少し慣れてくるとユウが動く許可をハルカに求めてきた。
「このままじゃ駄目なの?」
「うーん…動かないとイけそうにないから」
「そっかぁ。じゃあ…いいよ」
言葉の直後に根元まで入れた男根は引き抜かれ、痛みがまた蘇る。
「いったぁ…」
「ごめんハルカ。すぐ終わらせるから」
69名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:50:56 ID:vabOWzk8
先端を膣に残したところまで引き抜くと再び奥まで突き入れ、突き入れた瞬間
破瓜の血と愛液が混じったものが外に溢れた。
ユウはその繰り返しを何度も行い、腰を激しく動かす。
「ハ…ルカぁ…っ」
余裕のない声でハルカの名を呼び、ハルカもまたユウの名を呼ぶ。
「ユウっ、ユウっ、ユウっ…」
ずちゅずちゅと抜き差しの音が夏の虫達の声に混じり、いつしか二人は舌を
絡ませながら互いに快感を求め合っていた。
「う、あっ。ハルカ…何か出る…っ」
咄嗟にハルカから自分自身を引き抜き、手で押さえた。
次の瞬間白い精液が勢いよく飛び出し抑えていた自分の手を白く汚す。ハルカは
その光景に目を奪われ、射精して呆けるユウの姿を見た。
(ユウ、凄く気持ちよさそう…)
私もこんな顔をしていたのかな、とハルカは何だか恥ずかしい気分だった。
「ハルカ…終わったよ」
「うん」
「お前大丈夫か?血も出てるし、汗まみれだぞ」
「ユウだって汗びっしょりだよ」
「僕はいいけど…」
「だったらさ、お風呂入ろうよ。このままじゃ気持ち悪いよ」
「…そう、だな。じゃあお風呂入れるからハルカ先に入れよ」
「うん―――いたっ」
立ち上がろうとした途端、股の間に異物感と強烈な痛みが襲う。
「だ、大丈夫か?」
「痛くて立てない…ユウ、連れてってくれる?」
「う、うん」
70名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:51:50 ID:vabOWzk8
ハルカの腰に手を回しゆっくりと立ち上がらせると、ハルカはユウを支えに
一階の浴室へと一歩一歩慎重に歩き出す。
「あのねユウ。私、ユウが東京に行く前にユウに確認したことがあったの」
階段を下りながらハルカは言う。
「何を?」
「私ね、ユウのこと好きだよ」
トン、と階段を下りる音が止む。
「お、お前っ」
「ユウも私のこと好き?」
「……わかってるのに聞くなよ」
「言ってよ」
猫の目がユウの瞳を捉え、離そうとしない。ユウはそれでも暫く沈黙し抵抗するが、
また暫くしても見つめ続けるハルカに観念し、答えを言った。
「…好きじゃないのにあんなことするかよ」
胸まで真っ赤にしながらユウは呟き、半ば強引にハルカと共に階段を降り始める。
「ふふっ」
「何だよハルカ」
「ユーウ。一緒にお風呂入ろっか?」
「ば…!」
冗談よ、とハルカは小悪魔のような顔で笑う。
ユウはその言葉をほっとしたような残念だったような、複雑な顔で見つめていた。


終り
71名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 23:53:58 ID:vabOWzk8
ユウの射精を書いてる時に一番興奮した俺は死んだ方がいいな
あと途中一回ageちゃってスマン
72名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 01:06:21 ID:S5TZS23/
GJGJGJ!!
アニメの雰囲気そのまんまって感じ!やっぱりハルカは男前だなーw
すごい良かったです!乙でした!
73名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 01:55:36 ID:OVnI+No/
どうしよう、アニメまんまの声で脳内再生されてしまった。
GJでした!
74名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 03:37:19 ID:dCrkAzYO
ユウのイキ顔みて自分も同じ顔になってたかもと恥らうハルカ萌え。
もう東京まで追いかけてって同棲しちゃえ!

そんときは東北新幹線の最後尾にヒモで山ほど空き缶をくっつけて祝福したる。
75名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 03:43:52 ID:UL4Cubwz
俺もアニメの声で脳内再生した!
キャラのイメージ崩れてないのが凄い
GJ!!
76名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 04:42:20 ID:dCrkAzYO
このままセックルしまくりになって、
ユウの前では裸で平気でうろつくようになったハルカ。
いくらたしなめてもきかないので、悪戯心を起こしたユウが
超マジメに「ハルカ、キレイだよ」といって照れさせようとするも

アイの父母の結婚式の日、ハルカママに褒め倒された時みたく
「いやーまいりますなー」と受けながされユウぶんむくれ。
77名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 09:48:17 ID:KsRXq7KM
GJ!!
萌えた、かなり萌えた!
この後藤原に報告するんだろか…w

乙でした!!
78名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 15:35:11 ID:wN4C27TL
幼なじみハァハァ(*´д`)
79名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 01:37:57 ID:ozeQv6eE
GJGJ!!!
>「…お前がいいって言ったんだろ」
ユウらしい台詞で燃えた。

最終回後(17歳?)の話だったんですね。
最初、小6同士かと思ってちょっとびびってしまいました。
8071:2006/04/05(水) 02:17:22 ID:TZlzYNNx
一応どっちも小6です
ごめんなさい俺はロリもショタも好きな駄目な子なんです
多分次も小6だと思います
17歳ユウの性格がイマイチ掴み切れてないので・・・
81名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 02:43:59 ID:jcG5TPY9
次も!? (;´Д`)ハァハァ
82名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 14:48:16 ID:KipIb6+Y
トビ だれかたのむ
83名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 17:02:06 ID:FmRnQtD4
トビは性別不明だから実は女だったって仮定でアトリ×トビとか書いてしまった…(´д`;)
落として良いものか 悩む…
84名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 17:34:59 ID:cxnschje
女トビの時空と男トビの時空はあるはずだよ。個人的にはキボン

カラスとハルカを誰か恵んで
85名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 19:32:06 ID:KipIb6+Y
>>83
むしろ今でも女だと思ってます。
86名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:20:37 ID:+VtWiBbD
俺もアトリ×トビのSS書いてたけど、トビ男設定でしかも
初期のぷっつんアトリによるトビ凌辱という、アレなもの……

それをトビ女設定にすれば……
8714:2006/04/05(水) 22:21:42 ID:+VtWiBbD
やべ、なまえ書き忘れた。
88名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:33:17 ID:FmRnQtD4
>>86
密かに見てみたい…
投下キボン
89名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 22:40:34 ID:KipIb6+Y
>>88
別に無理に女にしなくてもいいが・・・。
>>83も投下きぼn
9083:2006/04/05(水) 23:19:24 ID:FmRnQtD4
>>89
小説が 吹っ飛んでいた
保存したと思っていたのに…○| ̄|_
途中までなら投下できるが…スマソ
記憶辿り書き直し中
91にょ ◆FktEC2Igx6 :2006/04/05(水) 23:44:58 ID:SGs4ydXK
  >>90
92名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 03:25:35 ID:wK+reSpC
最近ここが活気づいてきて嬉しい(*´д`)
93名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:52:48 ID:yg/dvc6P
小説版のノエイン読んだらハルカが想像以上にユウのことが好きで驚いた
何だか萌えたので再びユウ×ハルカ書いてみた

***

「ホンット!母さんにはあったまきたぁ!」
つり目がちな目をよけい鋭くして幼馴染は自分の母への怒りを言い放つ。喧嘩の原因は
明日香の勘違いから始まったのだが、ユウからすればどっちもどっちだ。
本来なら突き放してハルカが仕方なく家に帰り、明日香と仲直りするはずだったが
ユウの母である美有樹がハルカを歓迎してしまったのだ。
「明日香が悪いんだからハルカちゃんが謝るのもおかしいわよ」
そう笑顔で言った時の母の顔をユウは複雑そうに見つめていた。
ほんの少し前までは厳しく思いやりにかけてしまった母だったが、本来の母は
こういう人なのだ。ハルカのためといいながら彼女はきっと明日香が困るのを
少し楽しんでいるに違いない。
美有樹はどこかランランとした様子で電話をかけ、明日香にハルカが家に来ていて、
今日は預かるといったことだけを伝えた。
さすがにそのまま黙っていては警察沙汰になりかねない。
そういうところはしっかりしてるよな、とユウはため息をついた。
「ユウ」
美有樹に呼ばれ、ユウは振り向く。
「何?母さん」
「ハルカちゃん貴方の部屋で寝かせてもいいわよね?」
「はぁ!?な、何で僕の部屋に…」
「別にいいじゃない、幼馴染なんだし」
確かに以前までは“ただの幼馴染”だったが―――現在は違う。
恐らく美有樹もユウがハルカに好意を持っていて、好きあっていることを知っている
だろうが、まさか肉体関係まで持っていると知るはずも無い。
気を利かせているつもり何だろうがユウにとっては逆効果だ。
しかしそれを説明できるはずも無く、また変に拒んで理由を追求されても困ると
思ったのか、ユウはそれ以上何も言わなかった。
「…わかったよ」
短く沈黙した後、ユウは一言不服そうに言う。
美有樹はその様子に少しだけ眉をひそめ疑問に思ったが、お風呂を溜めていることに
気づきパタパタと浴室へと行ってしまった。
94名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:53:43 ID:yg/dvc6P
「ユウ、押入れからお布団運んどいて頂戴ね〜」
スリッパの音を立てながら美有樹が少し振り返り、ユウに指示する。
ユウはより大きなため息をつき、布団を自分の部屋へと運んだ。
部屋に入るとハルカが自分の布団の上でゴロゴロと寝転がり、ユウは思わず仏頂面に
なったが布団がそれを隠したため、ハルカは気づかない。
(人の気も知らないでくつろぐなよなー)
変なところでマイペースなハルカに心の中で悪態をつく。
きっと彼女の頭の中は今読んでいる漫画で一杯に違いない。明日香と喧嘩したことなど
記憶の片隅にでも放り込んでいるのだろう。
まあずっと明日香への愚痴を聞かされるよりかはマシなのだが。
ユウはまたため息をつきながらテキパキと布団を敷き、そこに寝そべる。
「あれ?ユウはそこで寝るの?」
関心がやっとユウに向いたのか、ハルカが声をかける。
「お前がそこを占領してるからだろ」
「ごめんごめん。じゃあ私どくから、ユウがベッドで寝なよ」
「いいよ。お前を床で寝させると母さんが五月蝿いし…」
「でも〜」
「いいって。お前はお客さんなんだから、いいんだよ」
それでも納得の行かない顔でハルカは「う〜」と唸ったが美有樹からお風呂の準備が
完了したことを伝えられると、話はそこで終わった。
風呂はハルカが先に入りその次にユウという順番で入り、部屋に戻るとハルカは
ユウのパジャマを着てベッドの上で漫画の続きを読んでいた。
石鹸の匂いを漂わせながら自分のパジャマを着られると、妙な気分になる。
どこかで聞いた男物のYシャツを着る女は何とやらと同じ理屈なのだろうか。自分の
パジャマを着るハルカには何かクるものがあった。
「あー、ユウったら髪の毛濡れてるじゃない」
「別にいいだろ…」
「駄目だよ。風邪引いちゃうじゃん…ほらタオル貸して」
「何す―――わっ、ハルカ!やめろって!」
首にかけていたタオルで頭をガシガシと拭かれ、思わず腰が引ける。
95名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:54:29 ID:yg/dvc6P
「ほーら、タオルこんなに水吸ってる。ずぶ濡れじゃない!」
「髪の毛なんてほっとけば乾くよ!」
「それじゃ髪の毛痛んじゃうでしょ〜。折角綺麗な髪してるのに…」
髪を拭く手が止み、ハルカの指がユウの髪をサラサラと撫でる。
「さ、触るなよ」
「いいじゃない別に。ほら、やっぱり痛んでる」
梳く様に髪を撫で顔を近づけて髪質をチェックする。
目線がほんの少し低いハルカの顔が自分の顔のすぐ横にあり、ユウは落ち着かない。
「あ…」
視線が合う。今にも触れそうな距離、相手の息遣いすらもわかる距離でお互いに
見詰め合う形となる。
その距離を0にしたのはハルカからだった。
首に手を回し唇を押し付けられ、ユウは思わずよろめく。それでもハルカは離れず、
目をぎゅっとつぶりユウの唇の感触を求めた。
唇がやっと離れるとハルカは何かを待つようにユウを見つめたが、ユウは顔を背け
押し黙った。
「…ユウはしてくれないの?」
非難するような声でハルカがユウを責める。
「ぼ、僕たちは子供だろっ」
「でもユウはいっぱいしてくれたじゃない。あの時…」
初めてハルカを抱いた夏の日の記憶が蘇る。
あの時はただハルカが愛しくて愛しくて、本能のままに彼女を抱いた。雨のような
キスも無意識に行っていて、少しでも彼女と触れ合いたかったのだ。
しかし行為が終わり冷静に考えると、とんでもないことだ。
またこの状況で自分からキスをすれば、また抑えられなくなる。無責任に彼女を
抱けばかつてノエインが言った、不幸な未来を進む。
「僕は無責任なことをしたくないんだ…」
小学生の自分が万が一の時の責任が取れるはずがない。
ハルカを思いやっての言葉だったが、ハルカはそれを別の意味で受け取ったのか、
眉間に皺を寄せて抱いていたユウの体を突き飛ばした。
96名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:55:23 ID:yg/dvc6P
「―――何するんだよ!」
突然の暴力にユウもまた眉間に皺を寄せ、怒りを表に出す。
「ユウの馬鹿っ!私が嫌ならそう言えばいいじゃない!」
「な、何でそういうことになるんだよ!」
「責任取りたくないんでしょ!」
「そういう意味じゃなくて―――ああっ、もう!」
頭をガシガシと掻き怒りを紛らわせる。
「僕はお前に無責任なことしたくないんだ!」
「だからそれは―――」
「責任取れるまで待てって言ってるんだよ!!」
ユウが怒鳴ったあと、部屋に沈黙が訪れる。下から「何をやってるの」と美有樹から
声がかかるが、ユウは疲れた声で「何でもない」と返事を返す。
そして再び訪れた沈黙の後、ハルカは呟いた。
「ユウ、それプロポーズ?」
「は?」
「だ、だって責任取るって…そういうこと…だよね?」
指を遊ばせ落ち着かない様子でハルカは言う。
確か責任を取るとは―――つまりそういうことで―――ユウは言葉の意味を理解し、
ボッと顔を赤くした。
「い、い、今のは無し!」
「そんなこと言われても…もう聞いちゃったし」
「うっ」
「…でも嬉しいよ、ユウ。私のこと考えてくれてたんだね」
突き飛ばされ離れた距離がまた縮まる。
ハルカは一歩一歩ユウに近づき、首に回しまたキスをした。ユウはそれを呆然と
見つめ、ごく自然に受け入れていた。
情けないというカラスの言葉すら聞こえる気がする。
確かに僕は情けないかもしれない。誓ったはずなのに、もう抑えられなくなった。
ユウは自分を抱くハルカを抱き返し、ついばむようなキスを繰り返す。
ちゅ、ちゅと静かになった部屋に響き次第に吐息も熱っぽくなる。目の前にいる
幼馴染しか見えない世界で、ハルカは切れそうな声で呟いた。
「ユウ…欲しいよ」
返事の変わりにハルカをベッドに押し倒し、拍子にスプリングが小さく鳴る。
97名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:56:09 ID:yg/dvc6P
(初めてじゃないのに…初めてのときよりドキドキする)
熱っぽい目でハルカを見つめ、ユウは思う。
ユウは丁寧にパジャマのボタンを外し、開いたところから覗かせるハルカの胸を
さすった。気のせいか、前よりも少し大きい気がする。
切ない声がハルカから漏れ、ユウはハルカの頬に唇を落とした。
唇は頬から首筋に流れ、鳥のように唇で首筋をついばみ、時折それを吸った。
「くすぐったいよ…」
身を捩じらせ逃れようとするが、ユウはしつこく首を攻めた。また右手は胸をさすり
先端を摘み始める。
その繰り返しにとうとうハルカは甘い声を発した。
「…ユウばっかりズルい」
え?と聞き返す前にハルカは首に抱きつき、同じように首を吸った。
「ハ、ハルカっ?やめ…っ!」
吸うだけでなく舌で舐め、ゾクゾクとした快感が背中に走る。ユウの愛撫の真似事を
ハルカは暫く続け、やっと離れたかと思うとユウの上着を脱がし鎖骨を吸った。
「ハルカぁ…」
初めて知る新しい快感に抵抗も出来ず、気づけばハルカに上に乗られ逆転されている。
口を開いても拒絶する言葉が出ない。
彼女の名前と、快感に溺れる声と、熱の篭った息しかなかった。
「…えへへ、痕付けちゃった」
唇が離れハルカに座れた箇所を見ると、辛うじて胸の辺りに赤い痕をつけられたのが
見える。ふとハルカを見返すと、ハルカにも自分が付けた痕がついていた。
「これでユウと一緒」
「あんまり嬉しくない…」
ムスッとした顔で言い、ユウは仕返しとばかりに上に乗ったハルカを乱暴に押し倒し、
また体勢が逆転した。
パジャマのズボンを下着ごと脱がし股の間に手を入れると、熱を持ち愛液で濡れた
性器に触れる。やはりそこは敏感なのか、ハルカは特に強い反応を返した。
「やっぱここが一番弱いんだな」
98名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:57:04 ID:yg/dvc6P
どこか楽しげに指でそこを摩り、ハルカは耐えるようにユウの服を掴んだ。
「や、やぁっ。やぁぁっ」
高い声でハルカは鳴き、その声がユウを更に興奮させる。
大分柔らかくなった膣にユウは指を一本入れ、グリグリと中をかき回す。初めてでは
ないからか、指は意外とすんなりと入った。
「やだっ。ユウ、指入れちゃやだぁ」
ハルカは懇願するがユウは本心ではないと知っている。
しかしユウは指を引き抜き、指についた愛液をぺろりと舐める。ハルカはそれが
酷くいやらしい光景だと思った。
「ハルカ、入れてもいい?」
堪え切れない声でユウが呟く。ハルカが頷くと、ユウは自分のズボンを少し下にずらし
まだ幼さの抜けない男根を取り出した。
「何か可愛くない…」
「可愛くないって、なんだよ」
「だって昔見たのと違うんだもん」
昔はこう、もっと小さくて可愛かった。正直今のは少しグロテスクだと思う。
こんなものがあの日自分の中を何度も出入りしていたのかと思うと、衝撃を覚えた。
「入れるぞ」
ぼんやりと考えているとユウのものが性器に当てられ、先端が入り口でいつ入れるよう
準備態勢を取っていた。
「うん…いいよ」
また痛い思いをするのかと思うと不安を感じたが、自分を抱く時のユウは優しかった。
それだけであの痛みも乗り越えられる…そんな確信があった。
了解の言葉と同時にユウの熱がハルカの中に入り込み、二回目だからかハルカが
予想したような痛みは思ったより感じない。
慣れない為完全に痛みが無いわけではないが、それ以上に充実感が勝った。
この瞬間だけはユウはハルカだけのものだ。
この瞬間だけはユウはハルカから決して離れないのだ。
「ユ、ウぅう」
99名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:57:49 ID:yg/dvc6P
小さな膣をユウの形に合わせて広げ、ユウを丸ごと飲み込む。
別の生き物のように締め付け、ユウにもそしてハルカ自身にも今までの愛撫とは
比べ物にならない快感を与えた。
「ユウの熱いよ…。中でビクビクいってる」
男根からユウの血液の流れを感じ、より一体感を覚える。
涙を浮かべ快感に顔を歪ませるハルカにユウはゴクリと唾を飲み込み、本能のままに
腰を振り始めた。
「ひあっ、ああっ!ユウぅ、スゴいよぉっ!」
快感が痛みに勝る瞬間。ハルカはだらしなく口から涎を垂らし、下からも同じように
愛液を溢れさせる。ユウが腰を打ち付けるたびに愛液は何度でも溢れた。
ユウはハルカの垂れた涎を舌で掬い取り、そのまま舌を口の中に差し込む。
上も下も同時に犯され、ハルカはどうかしてしまいそうになった。
「んぅぅ、んぅぅっ」
ユウ、ユウと名前を呼ぼうとしたが口をふさがれ言葉にならない。
ユウは名を呼ばれたのを知ってか知らずか、腰を振り口を犯したままハルカの頭を
撫でた。
(ユウの手…気持ちいい…)
ハルカはユウに撫でられるこの瞬間が何より好きだった。
言葉より身体で繋がるより、ずっとユウに好きだといわれている気がする。ユウが
自分を撫でるたびに好きだ好きだといわれてる気がした。
「んんんっ!」
激しい攻めに絶頂を迎えるが、ユウの動きは止まらない。
より敏感になった膣の中を激しくこすり無我夢中にハルカを犯した。口を離し互いの
口が自由になると、ユウはうわ言の様にハルカの名を呼んだ。
「ハルカ、ハルカ、ハルカぁ…っ」
「ユウ、ユウ、ユウ…!」
返すようにユウの名を呼び、再び高ぶりが近づく。
「ユウ、私、またっ」
「僕…もっ、もう…!」
100名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 22:58:48 ID:yg/dvc6P
ラストスパートをかけより激しく腰を打ち付けられる。
打ち付ける音すら響かせながら性器同士をこすり合わせ、ハルカに二度目の絶頂が
訪れた。
「ユウ――――っ」
彼の名を呼び、再び絶頂が訪れた。
その直後にユウのが引き抜かれ、愛液が溢れる。
「んっ、あっ」
精液がハルカの白い腹の上に飛び散り、白く汚す。勢いよく飛び出したそれはハルカの
胸にまで飛び、ハルカはぐったりとしながらそれを見つめた。
「ごめん…抑えるの間に合わなかった」
白く染まったハルカを見下ろし、ユウは申し訳無さそうにうなだれる。
ハルカは暫く何かを考え込み身体に掛かった精液をすくうと、それをぺろりと舐める。
「ハ、ハルカ。何やってんだよ!」
「…美味しくない」
「食べ物じゃないんだから…」
呆れた声でユウが言うと、トントンと階段を上る音が聞こえた。
「! お、おばさんだ」
「ヤバ…」
着衣が乱れ不自然に汗をかき、ましてやハルカはこの通りの有様だ。
見られれば何て言われるか―――咄嗟にベッドの布団を自分たちにかけ、電気を消し
布団の中で息を潜めた。
「ユウ〜。さっきからなに騒いでるの?」
ドアが開かれ部屋の様子を伺うと、ベッドの中で子供が二人眠っている。
「…あらあら。ユウったらあんなに嫌がってたくせに…仲良しねぇ」
一見幼馴染同士の微笑ましい光景に美有樹は頬を緩ませると、二人を起こさないように
静かにドアを閉めた。
(ユウ、行った?)
(多分)
トントンと階段を下りる音が止み、パタパタとスリッパの音が下に響く。
「―――びっくりしたぁ」
起き上がり布団から顔を出すと、開口一番ハルカそう言った。
101名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 23:00:20 ID:yg/dvc6P
「そういえば母さんがいたんだった…」
「ユウが騒ぐからよ」
「僕のせいかよ…お前だって僕の名前何度も呼んだくせに」
「そ、そりゃあそうだけど」
恥ずかしそうに俯き口を淀ませるハルカの頬に、ユウの手が触れる。
ユウはハルカに触れるだけのキスを短い間すると、呟いた。
「…大きくなるまで今日みたいなのは無しだ」
それまでこれで我慢だと言い、自分で言って照れたのかユウは顔を赤くした。
「え〜」
「えー、じゃない。僕も我慢するから」
「んもー。ユウったらホント心配性だなぁ!」
「あのなぁ…!」
いよいよ怒り出しそうになったユウにハルカは突然抱きつき、ユウは目を丸くさせる。
「私のためなんだよね?」
「う、うん」
「ちゃんと考えてくれてるんだよね?」
「うん」
「私のこと好き?」
「うん―――ってなに言い出すんだよ!」
「好きなんだぁ〜」
「うるさいなっ。それより、早くそれ何とかしろよ」
「あ…」
そういえば汗まみれな上にユウの精液まみれで…。随分な格好だった。
「でもオバさんまだ寝そうにないし…朝シャワー借りるよ」
「…じゃあタオルでせめてそれ拭けよ」
自分で汚しといて随分な物言いだったが、ユウは床に落ちたタオルを取り、ハルカの
胸や腹を乱暴に拭いた。
「ユウ、痛いってば」
「髪の毛のお礼だ」
ふふんと鼻を鳴らし子供っぽくユウが笑う。ハルカはようやくボタンをかけ、小さな
くしゃみをした。
102名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 23:01:27 ID:yg/dvc6P
「胸開けっ放しだったから冷えちゃったかも…」
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないかも…ユウ、一緒に寝ようよ」
「はぁっ!?」
「ユウが外したんじゃない。暖めてよ」
「………わかったよ」
不機嫌な顔でユウが布団に入り、背を向けて眠るがハルカはその背に寄り添い、
密着して眠った。
「ユウ…ずっと一緒だよ…」
眠り間際にハルカは呟く。
当たり前だろというユウのぶっきらぼうな声が聞こえ、まどろみの中ユウに頭を
撫でられた気がする。
ハルカはその心地よい感触を味わいながら静かに眠りについた。


終り
103名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 00:15:36 ID:RFxkY8+Z
うああああ GJ!
二人がかわいくてハァハァする以前に微笑ましい気持ちになってしもたw
104名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 00:20:09 ID:LJ8xjoey
うおおお!
またしても読めるとは!!
GJです。
美有樹さん、鈍すぎwww
105名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 16:57:20 ID:2lpE9gTf
GJ!!
二人ともらしくて可愛くてエロくて
愛に溢れていて最高でした!
106名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 02:26:24 ID://c/xOPL
最高です…!ハァハァ(*´д`)
107名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 03:42:08 ID:2LJ6wGCw
ユウママポジティブすぎ!
ハルカママだとしたら2人の行為に気づいててもやっぱり
「仲良いわねー」で済ましてくれそうな気も。

ていうか「…大きくなるまで今日みたいなのは無しだ」
なんてモッタイナス。

「ゴムがないなら、おしりですればいいじゃない」←ギロチン直行
108名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 15:58:16 ID:OZoPg27O
ハァハァ(;´Д`)
ハルカのカラスのっかり受けも読みたいおー
109名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 23:23:16 ID:0z/iW2oy
トビきぼ(;´Д`)ハァハァ
110名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 08:13:29 ID:mGpz1Ux6
保守しときます。
111名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 00:15:31 ID:VODNEvlz
>>63-70>>93-102は実に腕ききな観測者だ(;´Д`)ハァハァ


ノエインさん過去時空のユウとハルカはラブラブバカップルな映像しか浮かばないのに
カラス過去時空だとどう見ても道程です(ryな映像しか浮かばないのはなんでだろうw
112名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 01:35:04 ID:1riUeQno
分岐以降の体験差
113名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 18:42:30 ID:vBIP285q
保守
114名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 22:42:11 ID:kk/wuzVW
ノエインオンリーイベントktkr
115名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 11:44:20 ID:nt/Vkkql
小説版のカラス×ハルカ度がすごい件
116名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 20:25:30 ID:aVNbzMSo
函館も遠いが、東京も遠いよママン
117名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 02:04:02 ID:OV5a5bZk
保守age
118名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 02:28:09 ID:aNY4MX1T
119名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 08:56:50 ID:+FOLNvW3
保守
120名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 22:16:07 ID:LOJf8bHK
hosyu
121名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 23:05:37 ID:Zty2W/P2
トビの話を考えてるんだけど相手がどうも決まらない・・・
男=攻めとしかイメージできないからトビ受けはどうもな・・・(´・ω・`)
122名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 01:03:25 ID:I+Q09+ZB
>>121
雪恵ちゃんとか?
外見ショタの成人男性に翻弄されるイケイケ女(;´Д`)ハァハァ
123名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 15:00:26 ID:1oWX11jm
>>121雪恵ちゃんとトビものがみたい
124名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 05:00:07 ID:QHRXnhUs
「カラスぅ…」
カラスに抱きしめられた感触を反芻しながら
乏しい知識でひとりエッチしてしまうハルカとか

でもカラス自身は何度もハルカをハグしてるというのに
あの場面でで抱きしめるのを思いとどまったのは何故だろうか
ハルカもなんで?って表情だったし…
125名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 05:44:35 ID:3EFfO3RI
カラス×ハルカ萌える〜
成長したユウ×成長したハルカじゃダメなんだよな、なんか…
カラス×ハルカ…年の差がいいんだろうか
126名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 05:57:19 ID:ztJQAJlk
ハルカの「カラス〜」はいろんなイントネーションがあるが、切なげなのはエロイ
127名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 06:07:41 ID:NjmbNgmV
きのう変な夢みたよ
自分がハルカになってんだけど
体育の時間、アイやミホのほうを見たら
体操服の上から胸の形がはっきりわかるんだよね
ちょっとそろそろブラ必要なんじゃないの?
それにしてもおっきくなってるね!
って言ったら
ハルカだって!って言われて
そっかー、あたしたちもう六年生だもんね!
って言ってる夢

キモオタ男子が見るような夢見ちゃったよ、
女なのに自分
128名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 20:38:51 ID:f6z8tVSO
そういえばハルカの家ってでっかい

 い ぬ 

がいなかったっけ?
いや別に、だからどうこうということは一切ないんだけどね……
ふっと思い出しただけで放送見ているときには妙なことは一切考えなかったけど
しかしいろんな分岐世界があるって設定はすごいよな
どんな可能性もこの作品ではアリってことだから

 ど ん な 可 能 性 で も 
129名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 22:58:24 ID:NZNI5gy6
保守
130名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 21:59:51 ID:vdI1wmGy
保守
131名無しさん@ピンキー:2006/05/20(土) 21:38:20 ID:CmL4DBx0
保守
132名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 20:29:53 ID:DzB8ntnl
保守
133名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 03:55:01 ID:1cAet/rA
カラス×ハルカ読みたい保守
134名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 02:51:31 ID:y5wRLD7L
保守
135名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:13:23 ID:twTRm6u0
保守
136名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 01:44:53 ID:VmTiNZp8
アイとイサミ(?)のが見たい
137名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 14:54:13 ID:+44jppwS
トビタンきぼんぬ!
シチュエーションは初期のぷっつんアトリと一緒にいた時に女だという事がバレて体に興味を持たれt(ry
138名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 23:07:03 ID:tnfxfXbZ
ほし
139名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 16:49:43 ID:VBFuKPUh
140名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 21:13:06 ID:cQALD9si
ふと、現時点では
 ミホ≧アイ>ハルカ
なのに対して、17歳時では
 ミホ>ハルカ>>アイ
になるといいと思った
141名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 10:01:20 ID:Mf2O5410
何が?
142イサミ×アイ◇1:2006/06/14(水) 03:38:36 ID:4KRE2HGC
流れ読まずに投下します。
最近の再放送でノエインを知ったんだ。今は後悔している。
これほどまでに突いて来る作品ならもっと早くに出会いたかったと。
まあ前置きは置いておいて。
エロ初小説なので未熟な点は流してくださるとありがたいです。





------------------------------------------------------------------

「ありえねぇ……」

小さく藤原イサミは呟いた。
それは、自分が予想するよりも遥かに大きいように見えた。
唇を震わせ、瞳を潤ませたままの目の前の彼女には悟られないよう、小さく息を呑む。
それから動揺を隠したまま、愛撫を続ける。

そもそも、なんでこんな事になったんだ。
手を不器用ながらも動かし続けながらイサミは記憶を辿った。





あまりに多すぎる宿題に手を焼き、泣きついた相手は長谷部アイ。
小学生の時からの友達で、異性と言う事を除けばサッカー好きの同士という認識。
なんだかんだ言っても長谷部が優しい事は知っているし
友達のピンチを見捨てたりはしないって事も重々知っている。
予測どおり、長谷部は文句を言いながらも、結局は手伝ってくれた。
そう、ここまでは普通だろ。

問題はまず最初に、俺の家には今日誰も居なかった事。
そして第二に。
今日に限って長谷部が、ズボンじゃ暑くてさーと言いながら
ひらひらのワンピースを着てきた事。
正直に言おう。身長が伸びて多分胸の膨らみも増えてて、長谷部は
中学になってなんと言えばいいのか、女度を上げたと思っていい。
それは同級生の男子共の反応を見ていれば良く判る。
相変わらずハキハキした性格ではいたが、隠れファンは意外と多い。
俺は別に気にした事も無く、ふーん、と思っては居たけど。
それが実際長谷部のワンピース姿を見た途端、あっけにとられたんだ。
情けない事に。他の男子連中の言っていた意味をようやく理解する。
玄関を開けて呆けたままの俺を見て長谷部がにやりと笑う。
「なぁにぃ、藤原ぁ、アタシの美貌に見惚れちゃった?」
まあここで少しでも動揺を見せてはお仕舞いなのでいつもの軽口で装う。
至極可哀想な表情を作ることも忘れはしない。
「…長谷部この暑さでとうとう頭もやられたんだな、可哀相に」
「あっそう。藤原。アタシこのまま帰ってもいいんだけど?」
「うわ、嘘嘘、嘘です!頼むよ〜頼れるのはもうお前しか居ないんだって!」
大げさに身振り手振りをつけた。
すると長谷部がいつもの笑顔になる。
「そんな事言って。どうせ、アタシしか都合付かなかったんでしょ!もう仕方ないなぁ」
「へへへー、ばれた? いやでもマジ助かるよー。まあ、上がれよ」
「うん。」
143イサミ×アイ◇2:2006/06/14(水) 03:39:37 ID:4KRE2HGC
玄関での問答を切り上げ俺は長谷部を案内する。
と言ってもまあ何度も遊びに来てるから案内も何も無いんだけど。
途中の台所で用意しといたジュースと菓子の載ってるお盆を手にとって
自分の部屋へ、長谷部と向かう。
チラリチラリと俺は、隣の見慣れない姿の長谷部を見ながら口を開いた。
「にしてもお前もそんなん着るんだなぁ」
「ふふ、驚いた?」
「まあそれなりに。なんか心境の変化とか?」
「うーん。スカートってのがなんとなく苦手だったんだけど、制服ってスカートじゃない?
 それでなんか慣れたっていうのがあって。あと母さん実はこういうの好きでさぁ。
 いっぱいあったりするんだよね。それこそアタシが着れないフリフリとか!」
「ありえねぇ!」
「失礼ね!でもまあアタシ自身もそれは思うけど。これはその中でもマシな方。
スッキリしてるから着易いし、夏は風入るから涼しいんだよねー」
パタパタとスカートをなびかせる。
ちょっと待て目のやり場に困るだろうが俺だって一応男の子なんですけど。
「…おま!はしたねえな!パンツ見えたらどうすんだよ!」
「見たいなら見せたげようか?」
意味ありげに長谷部が笑う。
は!?何を言ってるんだこいつは。
俺が動揺を示す前に長谷部がじゃーん、と言いながらスカートをめくる動作をした。
咄嗟の判断で目をつぶる。
と、笑い声を堪えたかのような長谷部の声が響いた。
「…下はちゃんとスパッツはいてるわよ。やだもー反応おかしいし!藤原のスケベ!」
俺がおそるおそるうっすらと目を開けると、長谷部が腹を抱えながら笑っていた。
「……ありえネェ…」
一気に疲れが押し寄せて、思わず小さく吐き出した。
「…あーもーおかしー。ごめん藤原、怒った?」
まだ肩を揺らしながら話しかける長谷部をじろりと一瞬睨みつける。
でもまあ、宿題を手伝って貰うのだから俺に勝ち目は無いんだよな。うん。
はぁと溜息を思いっきりついた。
「いいから、ドア開けてくれよ。手塞がってるんだ」
「ああ、そっか。はい」
長谷部はワンピースの裾をヒラリと靡かせて、ドアを開けて俺の部屋に入っていく。
なんでかその姿を眩しく思って、思わず目を細める。
なんでだろう。見慣れない姿に、驚いたからか。
それとも違う何かが俺の中にあるのか。
入らないまま立ち尽くす俺を、不思議そうな顔した長谷部が振り向く。
「藤原?どうかした?」
「…別に。なんでもねぇよ」
言いながら、小さな漣のような予感を抱えたまま部屋に入った。
なんだか胸がざわざわする。
144イサミ×アイ◇3:2006/06/14(水) 03:41:00 ID:4KRE2HGC
「藤原、はい。これとこれね。」
「オウサンキュ。すぐ移すから」
「はいはい。じゃあアタシは昼寝でもしようかなー」
「寝るのかよ!ありえネェ!」
一応男の子の部屋だぞ。コイツ解ってるのかね。
「だって練習とかで疲れてるんだもん」
言いながら長谷部は俺のベッドにどーんと身体を預ける。
「まー別に良いけどさー。………布団かけろよ」
「なんで?」
長谷部はきょとんとベッドからこっちを見る。
だからお前は今日スカートだろうが、と今にも言いそうな気持ちを抑える。
「…冷房効いてるから腹冷やすとお腹ピーピーになるぞ!きったねー」
俺はぐるりと長谷部に背を向けてうひゃひゃひゃと笑いながら言う。
後ろから、アタシのお腹はそんなヤワじゃないですよーだ!と可愛くない台詞が聴こえる。
「……でもまあ、忠告は聞いといてあげるわよ。でもこの布団大丈夫?綺麗?」
「お前ね、それすげぇ失礼だぞ」
「毎日藤原が寝てる所で寝るのもなんだかなあー…」
至極だるそうに長谷部が言う。
既に宿題の写しに入っていた俺の手がピタリと止まった。
長谷部は今言った事の恥かしさが解ってないのだろうか。
だが、今振り返るほどの余裕は自分にも無い。
だからこんな俺でも一応男の子なんだって、頼むよ長谷部ー。
大体中2だぞ、兄貴からそっちの話とかだって色々聴く歳だし
同級生達とだって性には色々興味津々な歳なんだぞバカやろう。

悶々と必死で煩悩と戦いながら俺が宿題写しに必死になっていると
後ろからは心地の良い寝息が聞こえてきた。
呆れた顔のままに振り向くと、長谷部が既に寝入っていた。
忠告どおり薄い掛け布団を胸から下にかけている。
ほっと一安心はしたものの、あんだけ動揺させといてこれかよ。
そう思ったら自然と言葉が出ていた。

「ほんと…ありえネェ…」



―――と、まあこんな感じだけども、ここまではなんとか体裁を保てていたわけだ。

それが、なんで今こんな状況下というと。


第三の問題は。
145イサミ×アイ◇4:2006/06/14(水) 03:44:48 ID:4KRE2HGC
「ん…」
俺があらかた宿題を移し終わった頃、長谷部が起きた。
「やだほんとに寝ちゃったんだ…」
「疲れてたんだろ、よく寝てたし」
「そっかぁ。」
まだ何処か空ろな顔でぼんやりと長谷部は答える。
「…じゅーす…貰っていい?」
「おう。ってゆーか、ごめん。俺さっき全部飲んじまったんだ。今新しいの持ってくるから待ってろ」
「うん」

慌てて台所へと走る。
ジュースはさっき飲んだやつで最後だったような、と思いながらも冷蔵庫を開ける。
やはり自分が買った分は無い。だが、お客さんに出す用のコーヒーがあった。
コーヒーかぁ、長谷部苦いの平気だっけかなー。
思い出そうとするが、思い出せない。まあこれでいいかとコップに注ぐ。
甘くしとけばいいだろうと牛乳を入れて、次に砂糖を探す。
が、無い。
ここら辺の引き出しに、と思う場所を探すがそこにも見当たらなかった。
おっかしいなーと思わず天井を見上げると、食器棚の上のビニール袋から除く
一包みに分けられている砂糖っぽいもの(あのファミレスとかで置いてあるやつ)を発見した。
「あれでいいや」
呟いて、台所の椅子を使って俺は口の空いた袋から、ひとつそれを取り出した。
よくよく見ると、なんとか薬?とか難しい字が袋に書いてある。
俺は変な砂糖だなぁと思いながら端っこを破って、その粉をコーヒーを濯いだコップに全部入れた。
スプーンでぐるぐる掻き混ぜて、そのままスプーンで一応一口味見をする。
拙かったら怒られる。
「おお、なかなか美味いじゃん」

満足に頷いてから俺はまた部屋へと急いだ。
146イサミ×アイ◇5:2006/06/14(水) 03:45:47 ID:4KRE2HGC
「悪い、待たせたなー。ジュース切れちまってこれしかねえんだけど」

言いながらコップを差し出すと、長谷部はよっぽど乾いていたのか
ありがとうと受け取った傍からゴクゴクとそれを飲み干した。
でも、飲み干してからすぐにうーんと首をかしげた。

「…なんか、変な味じゃない?」
「え?一応味見したんだぜ」
「変なもの飲ませたんじゃないでしょーねー」
「飲ませるかよ!」
「まあいいけど。どう?宿題終わりそう?」

うーんと背伸びをしながら長谷部がベッドから足を下ろした。
今日はいつもと格好が違う所為かすらりと伸びる手足が、眩しく見える。
思わず目を逸らした。
「おう、あとちょっと。ほんとサンキュな」
「感謝しなさいよね。と言っても、アタシは寝てただけか」
自分で言って長谷部は笑う。
「ほんっと部屋に来た途端寝ちまうなんてありえねーよな」
同意して俺も笑った。
途端、ふ、と長谷部が息を呑んだ気がして俺は視線を向けた。

「長谷部?」

「……ねえ。」
「うん?」
「…熱くない? この部屋…」
「へ?冷房はかけてるけど」
「そうだよね…うん。そうなんだけど…やだ……なに、これ」
「おい、長谷部っ!?」



俺は何故か唐突に兄貴の言葉を思い出していた。

世の中には催淫剤(さいいんざい)というものがあってだな
それを女に飲ませるとたちまちヤリたくなるんだそうだ
最近友達からそれを売って貰って、今度彼女と試すんだ、と―――
言っていたような…。
その時はへぇーと流しながら聴いていたが、あの袋の漢字は…
もしか、しなくても。


そう、第三の問題は―――。


俺のミスで長谷部に催淫剤を飲ませてしまったらしい、事だった。
147142:2006/06/14(水) 03:56:44 ID:4KRE2HGC
こんなところでとめてすいません。エロまでが長えwww
というか、肝心のエロが難しくて手探り状態で書いていて…wworz
さいいんざいは適当に検索してひっぱってきたので
効果が出るまでの時間とかは突っ込まないで下さい。

続きは今週中には投下しに来ます。
もっとノエインが広がる事を願って今日は寝ますw
148名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 04:59:12 ID:OGneJjgk
支援
149名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 08:23:20 ID:hUl+3whs
>>147
投下キテタ━━(゚∀゚)━━!!デコヒーレンス化しながら待ってる
150イサミ×アイ◇6:2006/06/15(木) 00:19:29 ID:zHmutSwZ
―――ただ、熱い。


最初はそう想ったんだ。

目が覚めて気だるさの中、ジュースをねだった。
藤原がもって来てくれたコーヒーを飲んで…話して。
そしたら…。あれ、なんでだろう。
駄目だ、思考がまともに働いてくれない。
頭がぼうっとして。息がなんでか荒くなる。
わかんない、アタシどうなっちゃったの?
怖くて涙が溢れそうになる。
熱い、身体の芯が、熱い――――。
ふと目を開ければひどく心配した顔の藤原がすぐ近くにあった。
「ふ、じ、わら……」
大丈夫かと言って、藤原の腕が肩を支えてくれている。
そうだと認識した途端、何故か藤原の触れてる場所が熱くてじんじんする。
やだ、なにこれ、なんで?
怖い。

「……藤原っ、ふじわらっ。」
思わず目の前の藤原に抱きつくようにしがみついた。
「お、おい長谷部!」
「わかんないの、急に熱くて、なんで?なにこれ、アタシどうしちゃったの?」
「は、長谷部、おちつけ、な?」
「…藤原!」
わかんない、頭がぼうっとして、熱くて。なんかどうにかなっちゃいそうで。
ぎゅうっと藤原に抱きつくと、藤原が諦めたかのようにゆっくりと抱きしめてくれた。
それから背に回った右手で背中を撫でてくれた。
151イサミ×アイ◇7:2006/06/15(木) 00:20:27 ID:zHmutSwZ
「…落ち着けよ…な、長谷部。大丈夫だから…」
藤原が静かに耳元で囁きながら、背中をずっと撫でてくれる。
それを藤原が繰り返すうちに、あたしの中で何かが疼き始める。
じんじんと、熱い。
身体の芯が

「…んっ…」

やだ変な声出ちゃった。
でも。

「長谷部?」

すぐ耳元で、藤原の、声―――が。

「…あ、や、だ……」
「長谷部……?」

心配そうに囁く藤原の吐息が耳に掛かるだけで、ジワリと奥が疼く。
何かがアタシの奥で叫んでる。
でもアタシは何を欲しているのか自分では解らない。
怖くてたまらない。
藤原、助けて。

「あたし……変…だよ。藤原……こわ、い……」

堪えていた涙がポロリと零れた。

その途端、藤原の抱く腕が急に強くなった。
切なく辛そうに言った。

「長谷部ごめん。今、楽にしてやるから…」

「ふじわ…」

最後の言葉は続かなかった。
気付いた時には、藤原の唇がアタシの唇を覆ってて。
ぼんやりとした頭の片隅でファーストキスだ、と小さく想った。
でもそれもすぐに大きなうねりにかき消される。
最初は啄ばむようなキスだったのが、徐々に口内を犯してきた。
「んっ…や…はぁ…」
息をつく暇さえなくて、離してくれた後に零れるのは自分のみっともない声。
やだ、恥かしくて死にそう。
なんでこんな事に成ってんの?もうやだ。
そう想って涙がボロボロ零れるのに、アタシの中の熱は一方に火照るばかり。
「ごめんな、長谷部」
自己嫌悪に陥ったままの声で藤原が告げ、また唇を重ねてくる。
恥かしくて恥かしくて死にそうなのに、あたしの舌が、勝手に藤原の舌へと絡まる。
「ん、…ふ…」
唇が合わさった隙間から唾液がつうっと垂れる。その感触で余計に熱が高ぶる。
なんて、淫らな事をしているんだろう、何処か冷静な自分も何処かに居るのに
止められない。身体の熱さは、ただ増すばかりで。
152イサミ×アイ◇8:2006/06/15(木) 00:21:00 ID:zHmutSwZ
―――もっと、もっと欲しい。 
お願い、藤原、もっと、もっとぐちゃぐちゃにして。
思考が壊れていく。

やだ、怖いよ藤原、怖い。こんなの嫌だよ。
涙がボロボロと零れた。
ふっと唇が離れて、一瞬見つめあった。
酷く自己嫌悪に陥ったような傷ついた藤原の瞳の中にアタシの姿が見えた。
静かに、藤原が今まで聴いた事も無いような優しい声音で囁く。

「長谷部、ごめん。ごめんな。…こわくねぇから…。」

言ってアタシの涙をペロリと舌で掬い取る。

「…ふじわら?」
「長谷部」

優しく囁く藤原の声で、胸がジンとなった。
と、同時に身体の芯がまた熱くなる。
この声でもっと、乱されたい。
そんな事思うなんてアタシ自身信じられないで居る。
でも、疼きが止まらない。
するりと藤原の手が動いてアタシの背にあったワンピースのチャックを下ろした。
それからゆっくりとベッドに倒される。

「…長谷部」

言いながら、藤原の右手がワンピースの肩紐に掛かる。
それをずらしながらアタシの額に、頬に、耳に、唇に。
藤原がゆっくりとキスを落とす。
それから、首筋に降りて、吸い付くようなキス。
「…んっ」
感じた事も無いような快感が全身を伝う。
藤原は酷くゆっくり動いている気がした。
アタシはもう熱くて、訳がわからなくて、どうしようもなくて。
恥かしくて堪らなかった。
でも、この熱を収めてくれるのはきっと藤原だけなんだろう事も本能で知っていた。
どちらにしろ、もう止められない。
止まって、欲しくない。
器用に上半身だけワンピースが脱がされて、ブラジャーに覆われた胸が露になった。
恥かしくて、アタシは思わず両手で顔を覆う。
「長谷部、隠すなよ」
「…もう…やだ、恥ずかしい…なにこれ、なんでこんな事に成ってる訳?信じられない」
「……そういうなって…」
小さく苦笑しながら藤原はたいした躊躇いも無く、ブラジャーを上に押し上げてしまった。
「ひゃんっ」
既に敏感に成ってた突起に乱暴なそれは快感にしかならなかった。
でもまた変な自分の声に驚いて涙が出た。
もう本当にやだぁ〜。
153イサミ×アイ◇9:2006/06/15(木) 00:21:46 ID:zHmutSwZ
「ありえネェ…」

不意に、そう小さく藤原が呟いた気がする。絶対胸小さいと思われた!
涙が溢れる。
でも身体は熱いままでどうしようもその熱は収まりそうに無くて。
アタシはもぞもぞと動く。
愛撫を続けていた藤原がつと顔を上げた。

「長谷部?」
駄目だ顔を見たら余計に泣けてしまった。
なんだか熱に浮かされるままの状態で、感情がそのまま言葉に成る。
「……ありえないなんて酷い…よ、藤原…。胸小さいの気にしてたのに…」
「ばっ!ちげえよ、小さくねえよ!…こんだけありゃ充分だよ…てか綺麗…だ、し」
藤原が真っ赤になって釈明している。
こんな状態なのに、ちょっとおかしくなってしまった。
「でもごめん、傷つけたんだな…。ごめんな長谷部」
言いながら、身体をずらして藤原がチュッっと軽くキスをしてくる。
ああ、どうしよう。何この気持ち。
愛しくて堪らない。
そう、思うと同時にまた芯がじんじんと熱くなる。

藤原はまるでそれに答えるかのように愛撫を静かに再開した。
鎖骨から静かに胸の突起へと唇が移動していく。
「…あっ、や、だ…」
藤原が小さな突起を口に含んで遊んでいる。
動いていた右手もいつの間にか左の胸を柔らかく掴んでいる。
右の突起は藤原の口の中、左の突起は藤原の右手で遊ばれている。
恥かしくて死にそうなのに、もう自分でも下半身のそこから
蜜が溢れているのが解ってしまっていた。

いまも半分はまだ、どうしてこんな事に?と思っている。

でももう半分は、もうどうにでもなればいい。
恥かしく堪らなくて、今だって涙は止まらないのに、もっと触って欲しくて。

藤原に、もっとめちゃくちゃにされたい。


ただひたすらにそう思っていた。
154イサミ×アイ◇10:2006/06/15(木) 00:22:48 ID:zHmutSwZ
正直、動揺していた。

するだろ?
だって幾ら薬のせいでも、このまま進めていいのかよ、とか。
いやいや、むしろ良い訳ねえんだけどさ。
それは俺も重々、解ってはいるんだけど。

でもさ。
涙を零して、必死にすがってくる長谷部を見てたらどうにも堪らなくなったんだ。

俺は薬のことなんてわかんねぇし。
俺のせいでこんなんなっちゃってるなら、俺が責任を取るべきだろ。
一応知識だけはいっぱいに在る訳だし。気持ちよくさせる事も、多分、出来ると思う。
それに、俺はやっと気付いたんだ。情けねぇけど。

俺は、長谷部が好きだったんだって。

だって今の状態の長谷部を誰にもみせたくねぇんだよ。
全部独り占めにして俺だけのものにしてぇ。
我慢して声を堪える姿とか、潤んだ瞳とか、めちゃくそに可愛いと思った。
こんな姿を他の誰かに見せやがったら、その誰かを俺死ぬほどぶん殴りに行きそうなくらい。
俺は、多分長谷部が可愛くて可愛くて仕方ないんだ。
守ってやりたいし、優しくしてやりたい。憎まれ口だって結局は照れ隠しだったんだよな。
あんまり、長谷部が綺麗になってるから。
周囲の男子共が急に五月蝿くなり始めたから。
俺だけの長谷部で居て欲しくて。

いつからか、なんてわかんねぇけど。
もうずっとお前は俺にとって大事な女だったんだ、長谷部。


するりと手を、ワンピの裾から下腹部へと滑り込ませる。
「…ふじ、わら…」
涙声で長谷部が俺の名を呼ぶ。
それだけで、本当はもうイきそうな気分になる。
「…こわく、ねぇから」
今まで出した事も無いような優しい声が出る。
これはもう長谷部お前だけの特別な声なんだぞ、解ってるか。
俺の声に応えるかのように、小さくコクンと長谷部が頷く。

せめて傷つけたくなかったし、優しくしたかった。
俺のせいでこんなはじめてじゃ、可哀想だろ。
せめてちゃんとしてやりたいと思った。
そしてそれだけが、俺の出来る償いとも思った。

お前のはじめてを奪うからには、責任とってやる。
155イサミ×アイ◇11:2006/06/15(木) 00:24:04 ID:zHmutSwZ
ワンピースの下にはいていたスパッツを腰をあげさせて一気に抜き取る。
そのついでに下着も剥ぎ取った。
急に肌が露出した所為か小さく叫び声が上がる。
「…きゃっ」
「……へぇ、お前もちゃんと女の子の悲鳴出るのな…」
「っばか…!最低!」
「なんでだよ。可愛いッつってんのに」
口を尖がらせて言ったあと、長谷部とわざと目線と絡ませてニヤリと俺は笑う。
途端に長谷部が頬を赤く染めた。
ああ、やべぇ。ほんと可愛くねぇ?コイツ。
長谷部はふいっと目を逸らして、小さくバカと言った。
やべぇ、こんなん。逃れられるわけがねぇ。
俺は起こした身体をまた倒して長谷部にキスをした。無理やり口をこじ開け舌を絡ませる。
淫らな吐息が、俺をどんどん、貪欲にさせる。
あらわになった下腹部へも、手は進行を始めた。
茂みを探ると既にそこは濡れそぼっていた。
チュクチュクと淫らな音がする。優しくなぞりながら小さな核を見つけ出した。
触れただけなのに、長谷部は敏感に反応した。
「っんぁっ…そこ、は、や、だっ…」
「ここがキモチイイ?」
わざと耳元で囁く。
「ん、や、だ……ふじ、わらっ…」
涙声で名前を呼ばれるのがヤバイほどに俺の快感を刺激する。
執拗に核を弄る。
「あ、あ、や、だ……な、に、これ…。んっ…あ…」
それからちょっと強めに核を押したり、周りをなぞるだけにして遊ぶ。
俺の指で長谷部が淫らになる。
これだけでもう本当にヤバイ。正直俺の下半身ももう限界だった。
長谷部の声がだんだん早くなる。
ここを弄ると気持ちいいって本当なんだなぁなんて何処かぼんやりしたまま
ギュッとその核を刷り上げた。
「…んっ!!」
一瞬長谷部の身体を弓なりに反ってはねる。
肩が上下して息が荒い。
これって…イッタと思っていいのかな。
そう思っていると、ゆっくりと長谷部が目を開ける。
潤んだ目で、すがるように言う。
「ふじ、わら……あつ、い…よ、まだ」
「…ん、解った。長谷部もうちょっと足、開けて」
「…やだ…」
恥かしくてたまらないのか、長谷部が涙を溜めてイヤイヤと首をふる。
「だーめ」
頬に零れた涙を絡めとりながら言った。
「…藤原の、いじ、わる……」
「侵害だな。ちゃんと気持ちよくしてやるって」
俺は体制を起こして、長谷部の膝を持って半無理やりに開かせる。
「…やっ……見ちゃ、やだよ…」
両腕で顔を覆って長谷部が小さく言う。
その長谷部の様子が俺の劣情を更に刺激した。
薬のせいもあるのだろう。
秘所はすでに受け入れる準備が出来ているように見えた。
指を心臓をバクバクさせたままゆっくりと入れてみる。
チュクといやらしい音が小さく鳴る。
「…っ!」
長谷部の身体が、入れた途端弓なりにしなる。
「大丈夫か?」
優しく問うと、長谷部は自分の指を唇で噛んだままコクンと小さく頷く。
そんなしぐさ全部が俺は可愛くて可愛くて仕方ない。
156イサミ×アイ◇12:2006/06/15(木) 00:24:57 ID:zHmutSwZ
長谷部の中は俺の指一本だけでも、きゅうきゅうにキツいように思えた。
こんな狭い場所に俺のが入るのか、と思うと今でも口から心臓が飛び出そうな気分だ。
でも予想以上に、長谷部の中はもう愛液が沢山溢れていて。
俺は指をもう一本増やして、ずちゃずちゃと音を響かせながら動かした。
「……はっ、や、ふ、じ…わら!おかしく、なっちゃう!」
薬の所為か長谷部が淫らに腰を動かす。
「やだよ、こんなの、あっ、やだ……あっ、あっ」
涙を零しながら、それでも俺の指で快楽におぼれて行く長谷部。

―――もう、我慢が出来そうに無かった。

俺は指を引き抜くと慌てて自分のそれを取り出して、秘所にあてがった。
緊張で心臓が止まりそうだ。
ふと、長谷部の顔を見ると、潤ませた瞳に怯えた色が浮かんでいた。

「ふ、じわら…」

ああ、と一瞬俺は息を吐いた。
駄目だ間違っちゃ駄目だ。
俺は笑顔を浮かべる。

「大丈夫、無理させねぇから。それに、ちゃんと好きだからするんだからな」
「…好、き?」
「そ、俺が長谷部を好きなの。だからするの」
「ふじわらが、アタシを…?…嘘だ…」
ぼんやりしたままの瞳で長谷部が問う
「嘘じゃねーよ。ほんと。」
俺は身体を動かして、長谷部の額にキスをする。
「ん」
それから濡れたままの瞼に、頬に。
一瞬見詰め合ってから、唇に。
「…ん、はぁっ」
零れる吐息全て俺のもんだ。
「長谷部を俺、誰にもやりたくねぇんだ。好きなんだよ」
真っ直ぐに見つめると、ふっと長谷部が涙目のまま笑った。
「じゃあ、良いよ…。アタシも藤原が好きだから」
「…長谷部が、俺を?」

思わず呆然とした。
俺はだってさっき気付いたばかりで、こんな長谷部を見て気付いたばかりで。
自分の鈍さに自分で驚いた。
それに長谷部は薬のせいでおかしくなってて、傍には俺しか居なくて
だから、長谷部はこんなに乱れて。

「…藤原だから……助けてって言ったんだよ」
157イサミ×アイ◇13:2006/06/15(木) 00:25:38 ID:zHmutSwZ
涙目でそういわれて、俺はもう天にも昇る気持ちだった。
長谷部がたとえ薬の所為でおかしくなってても、この行為が間違いだ何て思うのはやめた。
ちゃんと、好きなんだ。
まぁちょっとキッカケがあれだっただけだ、うん。
一人で納得すると、長谷部が小さく言った。
「…藤原だから、良いんだからね…。それだけは忘れないでね…」
「ん。判った」
俺が言いながら笑顔を見せると、長谷部が抱きついてきた。
「おい…」
「好き、藤原、好きなの…」
「判ったよ…俺も、」
長谷部をゆっくり剥がしてまた深く口付けた。
「…んっ、はぁ…」
「……長谷部、良い?」
自然と声が擦れた。
自分でも緊張しすぎてて笑える。
すごく近くで、長谷部のとろんとした瞳に捕えられる。

「……良いよ」

その笑顔がなんて綺麗なんだろうと思った。

その言葉に俺は小さな笑みで答える。
言葉なんてもう一言も吐き出せそうに無い気がした。
再度、そこにあてがった。
小さく息を呑む長谷部の緊張が伝わる。
ぐっと、俺は自身を推し進めた。
入った長谷部の中はすごいキツキツで、熱くて。
もうそれだけで快感におぼれそうで。
今にも激しく動き出したい気持ちを必死に理性で抑える。
「は、せ、べ」
涙を流しながら、必死で苦痛に耐えている長谷部を見る。
薬の所為で愛液が溢れててもやっぱり痛いものらしい。
「だい、じょう、ぶ…だから…」
必死に耐える様子があんまり可哀想な気がして
ここは一気にいってしまおうと俺は覚悟を決める。
「ごめん、なっ」
「……んあっ」
小さな悲鳴が響いて、俺の物は長谷部の中に完全に収まった。
「…はぁ、はぁ…」

お互い肩で息をしている。
動いてはきっと痛いのだろうと思って、俺は入れたまま長谷部を優しく抱きしめた。
でも、ビクンビクンと俺が長谷部の中で脈を打ってる。
多分それは長谷部も感じてるはず。
きゅうきゅうと俺を締め付けてくるその快感に俺はもうおぼれそうだった。
158イサミ×アイ◇14:2006/06/15(木) 00:26:10 ID:zHmutSwZ
「…やっべ、気持ち、良すぎる…お前の中…」
「ばか。そんな……事、いわ、ないでっ…」

くそ、優しく、してぇのに。
快楽に流される。

「…痛い…か?」
「わかん、ない…。でも熱、くて…、死にそう…」
「俺、もうだめ…だ。お前ン中気持ちよくて死に、そう…」
びどうだに出来ない。
今動いたらきっと激しく長谷部を抱いてしまう。
優しく出来る自信が無い。
すると、長谷部がまた小さく無理やり笑顔をつくる。

「…いいよ、藤原。大丈夫…だ、から」
「…大丈、ぶな訳…ねぇっだろ…」
「ほんとだよ。…お願い、動いて……?」

くそ、長谷部は我慢してるだけだ。
それを俺は判ってるのに。
すべてに流される。

「…ごめんっ、なっ…は、せべっ」

一度タガが外れると俺の中に余裕なんてものはどこにも無かった。

「…あっあっ……っ!」
乱れる長谷部の声が、ひどく遠くに聴こえる。
キモチイイキモチイイキモチイイ。
快楽に流されるまま俺は激しく長谷部の中をかき乱した。
俺はもう自分の快楽を追い詰める事しか出来そうに無かった。
だが薬の所為か長谷部も一応気持ちよくなってるらしい。
「ふじ、わら…、アタシ、おかしくなっちゃう」
「…おれ、も、だ」
「ん、あ…あ、…あっ、あっ」
長谷部の腰が淫らに動く。
「……ふじ、わらっ」
「はせ、べ…」
涙に求められるまま俺は長谷部に口付ける。
下が繋がったまま、舌を絡ませて、長谷部が淫乱に乱れる。
その様子だけでもうイきそう。

更に激しく快楽を貪る。
「あっ、あっ…あっ、なんか、変…、あっふじ、わ、らっ!」
「…お、れ、もっ…」
「…ぁ…あ、あ、あぁっ!」

瞬間やばい、と思って長谷部の中から俺はそれを引き抜いた。
精液は長谷部の乱れたワンピースの上に放たれた。
159イサミ×アイ◇15:2006/06/15(木) 00:27:02 ID:zHmutSwZ
「…はぁ、はぁっ…」

俺は長谷部の隣にどさりと身体をなげうった。
「…やっべ、マジ…ありえねぇほど気持ちよかった…」

長谷部を見るとまだ肩を上下させて大きく息をしていた。
ボロボロと涙を零して。

「…もう、…わけ、わかんない…。なんでぇ…」
「は、長谷部っ」
「藤原のばかぁ〜」
ぐじぐじと本格的に泣き出してしまった。
「は、長谷部落ち着け、大丈夫だ…」
「ばかばか、藤原のバカぁ〜」

俺は大人しくそのまま長谷部を抱きしめて、ぽんぽんと背中を優しく叩いた。

「ごめんな、長谷部。…でも、好きなのは本当だから」

言いながら、額にキスをする。
瞳を開けた長谷部と目が合って、俺はにやっと笑う。

「付き合おうぜ、長谷部。」

頬を赤く染めながら、長谷部がコクンと頷いた。
やべぇ、ほんとマジ。
ありえねぇほど。

「可愛い…」
「…藤原?」
「なんでもねぇよ。今は寝ちまえ…。身体熱いの治ったろ?」
「…そういえば…ほんとだ…」
「…な、ずっとこうしててやるから。」
またにやりと笑うと、長谷部がうんと言った。

やはり疲れたのだろうそのまま直ぐにすやすやと寝入ってしまった。
俺も、酷く疲れて。眠い。
それに長谷部の温もりが暖かくて心地よくて。
それが余計に眠りを誘った。

願わくば。
兄貴とばぁちゃんが帰って来る前に起きられますように。


そう思いながら、俺も静かに眠りに落ちていった。
160イサミ×アイ◇蛇足。:2006/06/15(木) 00:29:03 ID:zHmutSwZ
「きゃ!やだ、なにこれ!!」

ごろん。
「うおう、長谷部!?」
「…ふ、藤原っ!」
ベッドから落ちた俺と、ベッドの上で呆然とする長谷部と。
目が、合った。
「…え、あた、し」
どうやら思い出したらしい、途端に真っ赤になった。
俺はえへらと笑顔を浮かべた。

「ばかばかばか!藤原のバカ!!何あれ!変なの飲ませたんでしょ!!」
長谷部が怒鳴りながらベッドの枕を投げた。
「いて、ちょ、落ち着け長谷部!」
「信じらんない!!最低!!」
「おい、長谷部!」
ぎゃあぎゃあベッドの上で喚く長谷部の所へ飛び込んで
俺は真正面から抱きしめた。
「落ち着けって…。その、悪かったよ…。まさかあんな薬とは思わなくて。
 俺も知らなかったんだって、それは信じてくれよ。」
「最低…最悪…」
ボロボロと無く長谷部に俺は必死で想いを伝えた。
「ほんとに知らなかったんだ…。ほんとにごめん長谷部。でも、好きなんだ…
 俺はお前が好きなんだ。ヤッてる間に言った事全部本当だし真実だし
 俺はお前が好きで、お前を誰にも渡したくなくて、あんな風に乱れた長谷部を
 俺以外の誰にも見せたくないと思ってる!」
一気に叫ぶように言い切った。
胸の中で長谷部が息を呑んでるのが判る。
ゆっくりと肩を掴んで、身体を離した。
涙目で睨んでくる長谷部の勢いに負けないよう、俺も真っ直ぐ見つめる。

「……好きだ、長谷部」

視線をそらすことなく、長谷部が真意を探ろうとする。
でも、俺の瞳に嘘も偽りも無い事が判ったのか
ゆっくりと視線と落として小さく息を吐いた。
「…本当…?」
「嘘なんかつくかよ…」
「責任感じてとかじゃない…?」
「ばぁか!」
「な、」
何よ、という抗議の言葉は、咄嗟に唇で塞いでやった。
すぐに離すけど、額はくっつけたままとても近くで、長谷部の綺麗な瞳を覗き込む。
「バカな事言うなよ…。順序間違っちまったけど、好きだからシたんだぜ?」
「……信じていいの?」
「信じろっつーの!」
俺はガバッとまた長谷部を胸の中に収めた。
「どうすれば信じてもらえるんだ?」
「…ごめん、なんだか今もまだ信じられなくて…全部夢見たい…」
「俺の体温も、腕も、このバクバクいってる心臓も夢じゃねぇよ」
「うん…そうだね…。うん…」
ゆっくりと、長谷部が俺の背中に腕を回してきた。
161イサミ×アイ◇蛇足。:2006/06/15(木) 00:31:03 ID:zHmutSwZ
「藤原…?」
「なんだ?」
「……好きだよ」
「…ん。もう知ってる」
「うん…」
胸の中に納まる長谷部の体温が愛しくてたまらなくなった。
小さく懺悔するように俺が告げる。
「長谷部…ごめんな。あんな初めてになっちまって…」
「……ううん、アタシちゃんと覚えてるよ。」
そう言いながら長谷部は顔を上げて微笑んだ。
「藤原ちゃんと優しくしてくれたじゃん…。ちゃんと優しかった。ありがとう」

―――俺は、その長谷部の笑顔が眩しくてたまらなくて。

「きゃ…、ちょっと藤原っ?」
ギュッと思いっきり長谷部を抱きしめる。
「好きだ、長谷部」
「……うん」
「好きなんだ……」

良かった、と言っては多分ものすごく怒られるのだろうけど。
この気持ちに気付く事が出来て本当に良かった、と今はすごく思う。
たとえば、気持ちに気付かないまま、長谷部が俺から離れて行ったとしたら。
俺はきっと鈍いから、長谷部がうんと遠くに行っちゃってからじゃないと気付けなかったと思う。
こんな大事なものを失くしてしまうところだったんだ。

「藤原、いたい…よ」
「あ、ごめん」
慌てて長谷部を解放した。

「あ、はは、はは」

俺は照れ隠しに、情けなくにへらと笑う。
そうして長谷部は、もうしょうがないなぁ、とでも言うように
ふわりと微笑む。


この今の一瞬は。
きっと俺の人生で忘れられない一瞬になるんだろう。


綺麗な長谷部の笑顔を見ながら、そう想った。
162142:2006/06/15(木) 00:33:37 ID:zHmutSwZ
最後の最後に上げてしまったすまんorz

今週中と思ったけど書き上がったから投下しに来た。勢いって大事だねw
未熟ながらも楽しく書けました。初エロ小説お付き合い下さって有難う御座いました。
このスレの今後の発展を願いつつ今日は寝ます。
163名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 07:54:07 ID:TCpTW92/
すげー!
GJ!!
164名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 23:52:58 ID:KAthdguJ
待望のイサアイキター!でハイテンションの俺が通りますよ・・・
イエー!とにかくグッジョブ!
初エロ小説でこのレベルとは将来有望だな!
会話の仕方とか理想的でたまらんよ!

でも一つだけ言わしてくれ!

赤毛の○ンかよ!w

(間違ってヤバイものを飲ますってとこだけだが
連想してしまったのだから仕方ない スマソ)
165名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 23:46:59 ID:Bi1HuJgC
続ききてたー!
初エロとは思えない作品ごちそう様でした。
気が向いたらまたよろしくお願いしたい
166名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 01:23:42 ID:yBllBDyK
おお、反応有難うございました。
こうして反応もらえると嬉しいものだなぁ。
ちなみに赤毛のそれは一度も読んだ事ないんだが
そんな展開があることにびっくりしたww今度読んでみる。

で。
何故かもう1本出来たので、また投下しに来たwww
続けざまにすいませんorz
17歳設定のイサアイです。
16717歳。イサミ×アイ◇1:2006/06/17(土) 01:27:37 ID:yBllBDyK
もう、死んでも良いんだ。
歩けない、走れない、そして。

サッカーが出来ない。

ねえ、サッカーの無い人生なんて今更考えられないんだアタシ。

神様―――アタシ、何か悪い事したの?
どうして、アタシの足、大事な足、奪うの?
……ねえ、誰か教えてよ。
アタシ何かしたの?
どうして、アタシがこんな目に。
どうして―――。

目を閉じると堪えていた涙がボロボロと零れた。
アタシの問いに答えるものは誰も無く。
空からはただ無言で白い雪が降り続けている。
屋上の手すりはとても冷たくて、アタシの手もすぐに冷える。
でも何故だか寒いなんて想ったりはしなかった。

もうそんな事はどうでも良かった。
何もかも、どうでも良くて。
アタシはぐっと力を入れて、手すりから身を乗り出した。


バタン!
激しくドアが響いたと想ったと同時に、声が響く。
「長谷部!」
声だけでわかった。
「藤原…なんで?……アタシを笑いにきたの?もう歩けもしない走れもしないアタシを」
心のそこでは藤原はそんなヤツじゃないって判ってるのに
アタシの口からはそんな捻くれた言葉しか出ない。
「片足くらいなんだよ!!俺だって片目なくしちまったよ…」
辛そうに藤原が言う。包帯がとても痛々して、あたしの胸もジクリと痛む。
でも、でもね。
あたしの中にはもう飛び降りる選択肢しかなかったんだ。

「藤原…もういいんだよ…」
泣きながら、言った。
「いいわけねぇだろぉがぁ!!」
藤原が思いっきり怒鳴る。
「…お前の足にはなれねぇけど、走りたいなら俺がおぶって走ってやるよ!
おぶってサッカーしてやるよ!!」
ゆっくりと、藤原が手を差し出した。

「ほら、そんなところに居たらあぶねぇだろ? こっちにこいよ長谷部…」
16817歳。イサミ×アイ◇2:2006/06/17(土) 01:29:19 ID:yBllBDyK
包帯を巻いた藤原が―――
自分だって片目失って凹みまくってるはずの藤原が
必死であたしを引き止めてくれている。

「な、長谷部…」

必死に、手を。
伸ばしてくれている。
包帯で巻かれていない方の目が、静かにあたしを見つめる。
ああ、逝くな、って、言って。
逝っちゃ駄目だって、藤原の瞳が、言って…。

ああ―――

「…藤原っ…!」

あたしは半ば想いに引きずれるようにして、その手を掴んだ。

「…っバカが…」
直ぐに手は引っ張られて、あたしは気付いたら藤原に抱きしめられていた。
「…藤原…」
「二度とこんな事すんじゃねぇよ…バカやろうっ」
頭の上から泣きそうな声で藤原が言う。

「…うん…うんっ」

あたしはただ涙が溢れて、頷く事しか出来なかった。
16917歳。イサミ×アイ◇3:2006/06/17(土) 01:31:37 ID:yBllBDyK
それから藤原はあたしの部屋に毎日お見舞いに来てくれて。
他愛の無い昔の話とか、色んな話を、面白おかしくしてくれる。
ミホとハルカもお見舞いに来てくれたけど、気を使ってか
藤原といつだってあたしは二人きり。

看護婦さんに呆れられるほど、病室で笑いこけていた。



入院してから数日。

あっという間に手術の日取りが決まった。
ぐらりと眩暈がして、世界が歪みそうな中。
藤原だけが、いつもの笑顔で病室を開けた。

「…手術の日、決まったんだ」

不意に会話が途切れた瞬間。
窓からは夕焼けが綺麗に見えて。
あたしはそれを眺めながら、藤原に告げた。

「そっか」

藤原はそれしか言わなかった。
ただ一緒に夕焼けを眺めて。

「綺麗だな」
「…うん」

藤原はいつだって優しい。
優しく、あたしを包んでくれている。
それが友達の好きだとしても、あたしは良かった。
この時間があるだけで、あたしは満足だった。


そしてその夜、あたしは小さな決意をした。
17017歳。イサミ×アイ◇4:2006/06/17(土) 01:33:27 ID:yBllBDyK
長谷部の手術の日を俺は聴けなかった。
病院にその日俺は居ない方がいいような気がして。

それでも、いつもどおりに次の日も、そしてまたその次の日も。
俺は病室に顔を出した。
なんというかそれは既に日課になっていて。
その頃には一日に一度長谷部の顔を見ないと、俺は寝れない気すらしていた。
そうだ、その日もいつもどおり病室に顔を出して、他愛の無いおしゃべりをした。
けれどいつもどおりに俺が帰ろうとすると
長谷部が何処か緊張した声で俺を呼び止めたんだ。

「あ、藤原…!」

「…おお?」

ドアに手をかけたまま俺は振り向く。
でも長谷部は俺が振り向いた途端、パッと顔を下げて。
手を少しもじもじさせながら、また顔を上げる。
なんだ?と俺は単純に想った。
「今日…さ、深夜の0時にさもう一回ここに来てくれないかな…」
「へ? でも面会時間が…」
「大丈夫、深夜救急用の入り口から中へは入れるの…
 端の階段使えばナースセンターからも見られずにここまで来れる、か、ら…」
と、そこまで言い切って、あ、という表情をしながら、視線を落とす。
「……やっぱり、駄目…かな」

「いいぜ。」

考えるよりも先に言葉が出ていた。
というか、考える余地なんて最初から無いんだ、ほんとは。
俺は長谷部を守りたいし、幸せにしたいし、大事にしたい。
望む事があるなら、全てかなえてやりたい。
今はそう想っているんだ。
心から。

「じゃあ、また0時にな」

俺は長谷部に笑いかけて病室を出た。
…それにしても、なんだろう?
0時の用事なんて。
カバンを抱えながら俺はぼんやりとその事だけを考えて家路に着いた。
17117歳。イサミ×アイ◇5:2006/06/17(土) 01:35:16 ID:yBllBDyK
長谷部の言ったとおりに、深夜救急用の入り口から普通に入れた。
しかも俺は今包帯をしているんだから、患者のようなものだし
この格好でうろうろしてても別に怪しく想われなさそうだよな、と今更に想ったりした。

「おーい、来たぞー」
幾分声のトーンを落として長谷部の病室のドアを開けた。
時刻は0時をちょっと過ぎてしまった、0時10分。
暗闇から長谷部の呆れた声がする。
「全くもう…。時間にルーズなのは相変わらずなのね」
「わるいわるい」
俺は軽い感じで詫びを入れて部屋の中に入ってドアを閉める。
「長谷部?電気は?」
「だめ、付けないで!」
「…でもこれじゃみえね……」

思わず、息を呑んだ。
暗闇に慣れた目が、長谷部の姿を映し出す。
それを手伝うように、今まで隠れていた満月が、雲間から顔を出し。
窓のカーテンの隙間から、明るい月明かりがのぞく。
長谷部の綺麗な背中が、まざまざと映し出されていた。

「は、せべ―――?」

俺はほとんど息を止めたまま言葉を吐き出したので、声が擦れた。
ゆっくりと長谷部が振り向く。

「藤原、お願いが…あるんだ」


下着だけを身に着けて。

ほとんど、裸体のままの長谷部が泣きそうな顔で、そう言った。
17217歳。イサミ×アイ◇6:2006/06/17(土) 01:36:41 ID:yBllBDyK
「なん、て、格好してんだよ!」

咄嗟に目を逸らした。カァッと体中に熱が走る。
でも、そんな俺を見る長谷部の視線を静かに感じて。
なんとなく目を逸らしてはいけない気がして、また視線を長谷部に戻した。
長谷部は俺の目を真っ直ぐに見詰めている。
その表情には、緊張の色が見え隠れしていた。
不意に唇が動く。
か細い声で、長谷部は小さく言った。

「抱いて、欲しいの」
「―――は?」

俺の脳みそがその長谷部の言葉の意味を理解するのに
優に2分は掛かったと思う。多分。

「な、に?」
「…お願い、藤原。アタシを抱いて?」

ふわりと、長谷部が一歩踏み出す。
俺はただ動けずにそんな長谷部を見つめるだけで。
ゆっくりと長谷部はそんな俺に抱きついてきた。
「……駄目?」
「いや、……駄目、じゃ、ねぇけど…」
「じゃあ、お願い。藤原。抱いて欲しいんだ。あたし。藤原に。」
「長谷部…? オイどうしたんだよ、お前、なんかあったのか?」
俺は長谷部が判らなくて、ただ戸惑うばかりだ。
「…そりゃ、抱けるなら抱きてぇけど、急に変だぞお前…。
 なあ、なんか考えてるんなら全部話してくれよ、長谷部。」
ゆっくり優しく諭すように伝える。
長谷部は俺にしがみついたまま動かない。

「長谷部?」

しばらく無言で待っていたら、静かに一言言った。
「……覚えていて、欲しいの」
「…なにを?」
「あたしを。ううん、あたしの、綺麗な身体を…藤原に。」

その声はもう震えている。
泣いてるのか?
俺はなんだか無性に切なくなって、動かせずに居た両腕を長谷部の背中に回した。
静かに抱きしめてやると、長谷部がポツポツと話し出す。
「…あたしね、もう足を失くす事は仕方ないと思ってるし判ってるの。
 生きるか、死ぬかなんだもん。それしかないだもん。それは仕方ないことでしょ?」
「……ああ」
返事をしながらも、そこまで納得するのに、きっと俺の知らないところでいっぱい泣いたんだろう。
そう思って、ひどく胸が痛い。
「……でもね。あたし…あたし、だから足が失くなる前に誰かに
ちゃんと覚えていて欲しいと思ったの…あたしの今の身体…」
「…うん」
小さく鼻を啜って。長谷部が続ける。
「……好きだったの。ずっと前から」
「長谷部?」
俺は長谷部を抱きしめたまま硬直した。
17317歳。イサミ×アイ◇7:2006/06/17(土) 01:37:41 ID:yBllBDyK
「あたしね、藤原の事忘れた事無かったよ? ずっと気になってたし、気にしてた。
 でもあの夜の時に会った藤原は怖くて…。別人みたいで。ああ、あたしたちはもう
 遠くに離れてしまったんだ、と思って。哀しかったし寂しかった…。
 それに、そんな藤原に何もしてあげられない自分が悔しかった」
「…あれは、…あれはただの八つ当たりだよ。気にするな長谷部」
「ううん。あれは藤原の助けてって叫びだったんだよ。それなのにあたしは逃げちゃったんだ…」
俺は、更にいっそう強く長谷部を抱きしめる。
「バカだな。そんな事気にしてたのか」
「…好きな人に、あたしの綺麗な身体を覚えていて欲しいの…。駄目かな?藤原…」
長谷部の涙声が小さく言った。
そんなん、断れるわけねえじゃねぇか。好きな女なら尚更だろ?
俺は長谷部を抱きしめたまま静かに眼を閉じる。

「…その前に、ひとつだけ」
「うん」
「……俺も、お前の事が好きだから。これは、同情なんかじゃなくて。
 好きな女だから、抱きたいと思うんだからな。忘れんじゃねぇぞ」
「……それ本当?」
俺はゆっくり瞳を開けて、長谷部を解放して見詰め合った。
「好きな女じゃなきゃ、毎日見舞いなんか面倒くさくて来ねぇよ。お前に俺が会いたいから。
 だから、毎日来てんだ。…とっくに判ってると思ってた」
少しだけ苦笑しながら俺が言うと、長谷部もちょっと笑う。
「…そっか。そうなんだ。嬉しい…」
照れたように長谷部が言って、俺は心臓がぎゅっと唸る。

「ほんとに…俺で良いんだな?」
「……藤原だから、良いんだよ」

真っ直ぐに綺麗な目で見つめられて。
俺はゆっくりと静かに。長谷部の唇に口付けをした。
17417歳。イサミ×アイ◇8:2006/06/17(土) 01:41:50 ID:yBllBDyK
「足は平気なのか…?」
病室のベッドに下着姿の長谷部を倒しながら俺は聴く。
「うん。痛み止め打ってもらってるし、大丈夫だよ…」
「……隣の病室は…」
俺が気にしながら言うと、長谷部がクスッと笑った。
「一方は壁だし、お隣さんは手術後で違う病室で今晩は寝てるの。
 それにその向こうのお隣さんも今は一時帰宅中なの…」
「へぇ…。」
なんともまあ都合のよい。確信犯か長谷部。
「いつからこの日に決めてた」
長谷部の額に口付けながら尋ねると、くすぐったそうに身を捩りながら微笑んだ。
「…5日前…くらい? かな。 お隣さんと皆で話してて、居ない夜があるって知ってから…」
その言葉を聞きながら、少し濡れた瞼と頬に軽くキスをして。
髪を少しかき分けてから、わざと耳元で囁いた。
「それからずっと? こんなエロイこと考えてたんだ?」
「……いじわる……」
真っ赤な顔で長谷部が抗議する。
俺は自然と口元が緩んだ。
長谷部の抗議には何も応えず、ただキスだけを。
可愛い唇を舌でこじ開け、口内を少しずつ犯していく。
「…っん、んはぁっ」
零れる吐息が色っぽくて、俺は刺激される。
それに戸惑いがちに、舌を絡めてくる長谷部が可愛いくて仕方がなかった。
唇を離すと糸が一筋繋がった。
今度は首筋にかぶりつく様に激しく口付ると長谷部が「んっ」と小さく声を上げる。
手はブラジャーを引き降ろす。

「あっ」
「……なんだよ」
「恥かしい…」
「こんな格好して待っておいて…?」
「…そっ…それとこれとは関係ないの!」
「そうかぁ?」

なんでこうもいちいち可愛い事を言ってのけるのか。俺は楽しくて仕方なかった。
長谷部の綺麗な声も、この真っ直ぐな強気な瞳も。
今は俺だけの為に―――。
そうなんだろ、長谷部。

全部俺が覚えて居てやるから。
17517歳。イサミ×アイ◇9:2006/06/17(土) 01:43:27 ID:yBllBDyK
長谷部の形のよい胸を撫でたり、もんだり。不意に突起を弄ったり。
その度に長谷部が声を殺してよがる。
「声、出せよ」
耳元で囁くと既に潤んだ瞳で見つめられた。
「…でも、見回りのナースさんに聴こえちゃう…」
「こねぇよ」
「何時に来るか、知らない、くせ、に……あっ、んっ」
抗議の言葉をまた唇で封じた。
ちゅくちゅくと唾液の音が混じる。ふっと唇を離して、長谷部の瞳を覗き込んだ。
「俺が、聞きてぇの。…声、出して?」
「……ばか…」
「バカで結構」
笑いながら俺はまた愛撫を開始する。
首筋からなめ上げて。
胸の可愛い突起を口の中に含む。
右手ではもう一方の乳房を弄り倒す。長谷部の胸は柔らかくて、すべすべで。
サッカー一本で来たんだ、おそらく俺が最初に触ってるんだろうなと思うと、余計胸が高鳴った。
長谷部の顔を見ると、声出せっていったのに、自身の指を噛んで声を殺していた。
つい、苛めたくなって、突起を軽めに噛んだ。
「んあっ…や、だ、藤原…」
ポロリと涙を零して長谷部が抗議する。
俺はちょっとぶっきらぼうに言ってやる。
「お前が声ださねぇから」
「…だって、ばれちゃっ…た、ら―――っん…んっ」
また乱暴に唇を奪う。
「余計な事考えんなよ、今はこっちにだけ集中しろ」
「…なに、よ、えらそう、に…。んぁっ」
俺は長谷部の抗議を無視して、また愛撫へと戻る。
さっきより少し乱暴に乳房をもてあそぶ。
突起がこりこりと硬くなっている。
ぎゅっとつまんだりして、遊ぶ。
「ぁ…ん」
甘い長谷部の吐息が俺の劣情を余計に刺激する。
我慢出来ずに、下の下着に手を伸ばす。
「…あ、いや…」
「いや?」
俺が意地悪な目を向けると、真っ赤になって長谷部が目を逸らす。
「……いやなら、やめるけど?」
勿論本当に嫌がってる「イヤ」じゃないことは重々承知している。
ただ、俺はもう長谷部が可愛くて仕方なくて。苛めたくなってしまっていたんだ。
でもやりすぎたら駄目なんだよな。長谷部がちょっと悲しい目をして俺に訴えた。
「藤原、あんまり意地悪言わないで…」
そんな姿すら可愛いかったけど、さすがにかわいそうだ。
俺はちょっと反省して言った。
「……ごめん。お前があんまり可愛いかったからさ…。ごめんな、長谷部」
いいながら長谷部の流した涙を舌でなめとった。
それから手を伸ばして、薄くて小さい下着をするりと抜き去った。
すっかりあらわになったそこへ、手をゆっくりと滑りこませる。
17617歳。イサミ×アイ◇10:2006/06/17(土) 01:44:04 ID:yBllBDyK
ちゅく。
小さく音がなった。
「…んっ」
もう愛液は結構溢れているようだ。
俺は体制を起こして、長谷部の足の方に回る。
「足、開いて長谷部」
「…いや、恥ずかしい…」
「暗いから見えねぇよ」
少し沈黙があったけど、少しだけ長谷部が膝を開いた時に俺がぐっと開かせた。
「あ」
驚いてる間にさっさと下腹部へと俺が顔を埋める。
「ちょ、っと…や、…だ」
抗議の声も無視して、舌でレロレロと舐め降りる。
茂みへと鼻を埋めて小さな蕾を探し出す。
「…あっ、…んっ…」
硬くなったそれを探し当てると俺は執拗にそこを攻める。
「…あ、やっ。…ふ、じ、わら…だ、めっ……あっ」
ちゅくちゅくと液を舐め取り、強めに押したり、周りをただ舐めるだけにしたりして刺激を与える。
「あ…んっ…あっ…ぁ」
長谷部の息が荒い。
俺はもっと執拗にそこを攻めた。
それから最後にチュッとそこを口に含んできつく吸い上げる。
「ぁぁっ!」
どくり、と液がたくさん溢れ出る。
「…はぁ、はぁ…」
「気持ちよかった?」
俺が顔を上げて笑いながらそう聴くと、長谷部は顔を真っ赤にしたまま睨んだ。
「…ばか」
「へへっ」
俺は懲りずにまた下腹部から舐め始めた。それから今度は。
左足へ―――。
「んっ」
「痛いか?」
「……へいき」
小さく長谷部が笑ったので俺はまた愛撫を再会する。
左足を持ち上げて、腿から舐めたりキスをしたり。
強く吸い付いたりする。
「覚えていてやるよ、俺が全部。お前の綺麗な身体は、俺が、全部」
小さく擦れた声でそういうと、長谷部は静かに涙を零して微笑む。
「うん」
俺は二人でサッカーして走り回ってた遠い昔を思い出す。
あの頃は本当に、単純に楽しかった。
二人でバカ騒ぎして、からかったり、からかわれたり。
もうあの頃から俺は長谷部に惹かれて居たんだよな。
気付くのが少しおそくなっちまったけど。
長谷部の命を助ける為に、この左足は切断される。
仕方ないと長谷部は言ったけど、そこまで納得させるのにいっぱい泣いたに決まってる。
見舞いに来る俺の前では、ただいつもどおりに笑う長谷部がいただけだけど。
これからは、長谷部の全部を、俺が受け止めてやりたい。
今までありがとうな、静かにそう思いながら左足を愛撫して。
ゆっくりと俺は左足を下ろした。
17717歳。イサミ×アイ◇11:2006/06/17(土) 01:44:38 ID:yBllBDyK
それから、今度は指で、熟したばかりの蕾を撫でる。
「…ぁんっ」
長谷部の身体がはねる。
反応を確かめてから、秘所の方へと指を進めた。
チュク、と音を立ててするりと俺の指は飲み込まれる。
「ぁ……」
小さく長谷部が言う。
指一本でチュクチュクと中を弄る。
「…ぁん、ふ、じ、わ…らっ」
ころあいを見て指をもう一本増やして、ぐちゃぐちゃとかき回す。
「ぁ、やっ…ん、あっ」
「気持ちいい?」
指を動かしながらワザと俺が聞くと、長谷部はもう口を動かすことも出来ないみたいに
涙目でイヤイヤと首を振る。そんな事聴かないで、と目が訴える。
可愛くてたまらなかった。
もっと、気持ちよくしてやりたい。
指を入れたまま、手のひらを寝かせて硬くなった蕾に当たるようにした。
それから、指を激しく動かすと同時に、蕾をてのひらですりあげる。
「あ…っ! あっ、ふ、じわらっ、おか…しく、なっちゃうっ!」
「良いぜ、イっても」
にやりと笑いながらなおも執拗に手を動かした。
「…ん、ばかっ。……あっ…あっ!駄目っ…なんか、…く、るっ。っあぁ!」
小さく叫んだ後、くたりと、長谷部の身体から力が抜けた。
「…はぁ、はぁ…。…んんっ、」
息が整う前にキスを繰り返す。
「んぁ、…、んっ」
苦しさで長谷部の閉じられた目から涙が滲んでいく。
ポロリとそれが頬を伝って、俺は唇を離す。
息が荒いままの長谷部とまっすぐに見詰め合った。
すぐにちょっと怒ったような視線のままに、長谷部が俺の首に腕を回してきた。
ぐいっと俺を引き寄せて、抱きしめる。
「お、おい、長谷部」
「…あたしばっかり、ほんとにバカ…!ちゃんと入れてくんなきゃヤダよ藤原…」
なんて可愛い事をいってくれるんだろう、コイツは。
俺はもうそんな事を言う長谷部が愛しくて、愛しくてたまらなくなった。
「…ん。ごめんな。ちゃんとする、から…ほら、腕放せって」
小さく笑ったままに俺は長谷部の腕を持って剥がさせる。
そのまま長谷部の手首を俺のそれぞれの両手で掴んで、布団へと貼り付けた。
「ふじわら?」
不思議そうに見上げる長谷部に優しく微笑み返して。
「んっ」
額に、瞼に、頬に。耳に。
そうして唇に。
深く口付る。
「んん……はぁ…」
とろんとした長谷部の瞳を見つめ返す。
俺はコツンと額をくっつけた。
いつか、の夕方。
長谷部を助けてやった時、長谷部がお礼を言って来た、その時みたいに。
額をくっつけたまま見つめあう。
「好きだよ、長谷部」
俺が擦れた声で言うと、小さく、長谷部が微笑んだ。
「うん。あたしも」
それからまた唇をこじあげて、舌を絡ませる。
つ、と離したあと、優しくたずねた。

「…良い…?長谷部」

長谷部は微笑む事で返事をした。
17817歳。イサミ×アイ◇12:2006/06/17(土) 01:45:28 ID:yBllBDyK
身体を起して、俺は自身を持って、長谷部のそこへあてがう。
じゅくじゅくと潤ったそこに俺のそれが、ゆっくりと。
飲み込まれる。
「……っ!」
息を呑んで身体を硬くする長谷部に、優しく言う。
「ちから、…抜いて」
つらそうな長谷部を見てられなくて、俺は一気にそこを貫いた。
愛液とは違う感触の何かが俺のそれを伝ってる気がする。
きっとそれは鮮血なんだろうと思って、俺は身体を倒し長谷部にキスをする。
少しでも痛みが和らぎますように、そう願いながら。

長谷部の中で俺がビクンビクンと、もっと刺激をくれと暴れている。
でも、長谷部が落ち着くまで俺は待った。
ただ繋がったままに抱き合う。
長谷部の肌はとても暖かくて、俺はそれだけで何処か満足していた。

「ふ、じわら…?」
「ん?」
「……動いて、良いよ?」
涙目のまま、長谷部が笑う。
「…無理するな。」
俺は小さく微笑んだままに言う。
でも長谷部は、俺の頭を柔らかく抱きしめて言った。
「…良いんだよ、藤原…。あたし藤原にいっぱい気持ちよくしてもらったから
 今度は藤原が、気持ちよくなって?」
「…長谷部」
「ね、お願い…。この身体を藤原の身体で覚えていて欲しいんだ…」
少しだけ哀しそうに長谷部が微笑む。
「…お願い」
俺は小さく息を吐いてから言った。
「…判った。でも無理だったら言えよ…すぐ、やめてやるから」
ふわりと、長谷部は笑う。
「…優しいね、藤原」
思わず顔が火照る。そんな綺麗な顔でわらうんじゃねぇよ。
俺の心臓がもたねぇ。
「ばかやろ」
俺がそういうと、クスクスと長谷部が笑った。

ったく。
しょうがないお嬢さんだな。
思いながら、俺はひどくゆっくりと、動き始めた。
締め付けてくる長谷部の中は動き始めると、とても気持ちよくて。
ほんとに、死にそうに幸せだった。
「…くっ」
「…ふじ、わらっ」
涙を浮かべる長谷部に小さく笑い返す。
「…き、もち、いい、ぜ、お前の……な、か……っ!」
「う、ん。 ふじ、わら、が居るの、わか…るよ、すごく…かんじ、る…」
「そう、か、よ」
言うなり、更に激しく俺は動き始めた。
「ゃ、んあっ……!」
「やべ、気持ち……よ、すぎ…て」
「…うれ、しい、……忘れない、で、ね」
快楽におぼれそうな思考を、必死で呼び戻す。
「わす、れねぇ…よ。 忘れる、もんかっ」

いつのまにか、俺の目からも何かが零れていた。
17917歳。イサミ×アイ◇13:2006/06/17(土) 01:46:53 ID:yBllBDyK
「ふじ、わらっ」

泣いて俺に抱きついて来る。
そんな長谷部の中の熱をただひたすらに感じて。
ただ、ひたすらに二人で快楽を追い求めて。
激しく腰を打ち付ける。

「ん、ぁっ…、すご、い、…ふ、じわ…ら…あっ…んんっ」
「…くぅ…、すげぇ、キツくて、気持ちイイ、ぜ」
「ん…はぁっ、…う…んんっ、」

ああ、くそ。
こんなん気持ちよすぎて、止められる訳がネェ。
甘く見てたと小さく後悔をしながら、長谷部を遠い意識で見下ろす。
涙で目をぬらして、喘ぐその姿はとても扇情的で。

綺麗だった。

瞬間、熱が更に俺自身へと集まった気がした。
駄目だ、来る。
「はせ、べ…っ」
「ふ、じ…、わ、らっ…。」
「…く、っ…!」

小さく声をかみ殺して、俺は果てた。



はぁはぁと息があがる長谷部の隣へと崩れ落ちる。
「わり、ナカ出しちまった…」
「…大丈夫だよ、多分安全日…だから。あたしが、つけないでシたかったの。」
「…おいおい…全部計算済み…ってか?」
笑いながらそう思わず零すと長谷部が軽く睨むので、俺は慌ててつけたした。
「ばか、褒めてんだって」
言いながら俺は長谷部を抱きしめる。
「……あったけぇな、お前」
「藤原もあったかいよ」
「…なあ」
「なに?」
「帰りたくねぇんだけど」
くすりと、腕の中で長谷部が笑った気がした。
「ばか、朝看護婦さんに怒られても知らないからね」
「良いぜ、綺麗なお姉さんに怒られるなら本望だ」
「…そんな事言って。ほんとに…ばかな昔のままなんだから」
「……お前は、綺麗になったな」

静かにそう告げると、胸の中で今度は長谷部が息を呑むのを感じる。
そしてきっと顔を真っ赤にしてるだろうことも、感じ取る。
へへ、と俺はだらしなく笑った。

長谷部はただくぐもった声で小さく「バカ…」とだけ応えた。

18017歳。イサミ×アイ◇14:2006/06/17(土) 01:47:55 ID:yBllBDyK
俺はすごく穏やかな気分だった。
腕の中に長谷部が居て、一度はとても遠くなってしまった、その長谷部の温もりがあって。
俺は静かに手を動かして、長谷部の頭を撫でる。

「俺、わすれねぇよ。今日の事。全部鮮明に覚えててやるから」
「うん…。」
「お前の身体、綺麗だったぜ…ほんとに…」
「…うん」
「…ずっと覚えていてやるから…」
「……うんっ…っ」

小さく肩を震わせて泣き始めた長谷部を、俺はただ静かに抱きしめ続けた。




これからの先。
沢山の困難が長谷部を待ち受けるんだろう。

でも―――、と。
俺は視線を移して窓の隙間からの月を見上げる。
誓うように、そして願うように。
想う。

ずっと、お前の傍に居てやるから。
この温もりを手放す事なんて、俺がきっと選べねぇから。

長谷部の身体を少しだけ強く抱きしめる。
ゆっくりと目を閉じて静かに願った。


長谷部のこれからの未来、せめて一緒にずっと居られますように―――と。
181名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 02:00:10 ID:6C70kT+F
GJ!!
神がまた一人きなすった
182166:2006/06/17(土) 02:06:48 ID:yBllBDyK
終わり。

続けざまに投下して本当にすいませんでしたorz
そしてエロの難しさを思い知ったww喘ぎ声デラムズカシスww

ノエイン自体がマイナーなせいか、書き手も少ないのかな
カラスハルカとか変態チックなのも読みたいぜ
そんな風に今後の発展を願いつつ寝ます
183名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 17:47:46 ID:N81Qoc1Z
GJGJ!
中2と17歳のイサミの書き分けがすばらしい!!
どちらもイサミのアイヘの想いが溢れていて最高でした!
184名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 02:03:52 ID:53+XyOo6
GJ!!
放映終わってからもこのスレチェックしててほんとによかったよ
カラスハルカ俺も読みたい派
185名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 15:28:03 ID:x3ULHfb/
>>182
お前はいつも私を楽しませる…。

洗濯物干しながらノエイン×ハルカもいいなあなんて
186アトミホ。:2006/06/24(土) 03:51:35 ID:/T1mj3Nq
アトミホ投下。エロくしようとしたが、ならなかった残骸です。
保守代わりにでもどうぞ。


----------------------------------------------------------
「ねーねーアトリぃー」
甘ったるい声でしゃべりかける声を半分煩わしそうに俺は答える。
「なんだよ」
「アトリはぁ、キスッてした事あるぅ?」
くるくると大きな瞳で、つやつやの可憐な唇を開き。
小さな少女は無邪気にそういった。
俺の眉間にあっという間に皺がよったのは言うまでも無い。
「うぜぇ」
「もぉー。話聴いてるぅ?だぁーかぁーらぁー。キスよぅ、キス!!」
「まぁた、何を誰に吹き込まれたんだよお前」
「吹き込まれたなんて酷いわー!だってみんなの中でアタシだけキスしたこと無かったんだものー!」
「はあぁ!?まだガキのお前らにはそんなんカンケーねーだろうが」
「やだやだやだやだ!アタシもキスがしたいのぉ!!」

俺は思いっきり溜息を付いた。
つきあってられるか。

「じゃあすればいいだろそこら辺のガキンチョと」
「あ〜んもぉ、アトリぃ判ってなぁい〜!違うよぉ〜!!」
ミホは俺の腕を文句を言いながら掴んだ。
怒ったように何処か拗ねるように、ほっぺを膨らませて少女は言い放った。
「違うのよぅ。あたしは、アトリにキスをして欲しいのぉ〜」
俺がびっくりしたまま声も出せずに居ると、ちょっと涙目でとどめを刺す。
「だめぇ?アトリィ」
俺はまたも思いっきり溜息を付いた。
不機嫌そうな様子も忘れない。
ミホがビクリと身体をびくつかせて、そろそろと腕を放す。
俺はチラリと腕を放したミホを見ながら、小さく息を吐きながら言った。
「別にそんなもん、いくらだってお前がして欲しいなら、してやるけどな」
睨んだ俺の視線にひるむことなく顔が明るくなるミホに、でもな、と釘を刺す。
「そーゆーのはお前にはまだ早ぇえんだよ。だから―――」
ポカンとしてるミホの頬に、乱暴に唇を押し付けた。
あっという間にそれを離して、怒鳴るように言い放った。

「今のお前にはこれで充分だっつーの。バカが……
 ったく。お前なぁもっとそーゆーもんは大事にしとけよ」

なにを、俺はこんなこっぱずかしい事をやってるんだ。ガキ相手に、くそ。
調子が狂うんだよ、ほんと。こんな所をトビにでも見られたら…。
「…アトリ、そういう趣味があったんだね」
「てめぇえええええ、いつからみてやがったぁあああ!!!」
「え、最初からだけど。一緒の部屋に居たんだけど気付かなかったみたいで」
にこりと悪びれもせず笑うトビに俺は肩の力をだらりと降ろした。
187アトミホ。:2006/06/24(土) 04:01:14 ID:/T1mj3Nq
不意にミホをみると不機嫌そうに唇を尖らせている。

「なんだよ」
「ここじゃないのに」
「お前にはまだそこでいーんだよ」
「意味わかんなぁ〜い」
「ちっ!これ以上ごねるならもう遊ばねーぞ!!」
「ええ〜ひどぉ〜いぃ〜」
「この話は終わりだ!」
「アトリのいじわるぅ〜」
「………な、なんだよ、泣くんじゃねぇよ」
「これ読んで」
「…………」
「これ、読んで」

「………わぁったよ。チッ」

俺は諦めて腰を下ろした。胡坐をかいた足の間にミホがスポンと入り込む。
最近はここが一番気に入ってるらしい。
「んとね、ここからね、アトリぃ〜」
「へーへー」
溜息をつきながら、俺はお姫様のなすがまま本を読み始めた。
隣でふふふ、と笑っているトビがクソムカツク。
俺が睨みつけると、トビは自身の作業にさっさと戻った。

「あとりぃ、余所見しちゃだーめ!」

後ろに目でもついてんのか、コイツは。
チッと小さく舌打ちを繰り返して、また静かに俺は少女の望む作業に戻った。
ほんと。なんでこんなに逆らえないのかわかんねえけど。
俺に背を向けて信頼しきってるミホの温もりが、ひどく暖かくて。
忘れていた色んなものを思い出させやがるんだ。
気付かれないように小さく溜息を付いた。
結局、こういう日々をもう少し味わって居てーと、今はただそう思ってる。
ガラじゃねぇのは俺が一番わかってんだけど。
今は、心底。この静かで穏やかな日々がこれからも続くんじゃねぇかな、と
儚い夢を見て居たいんだ。
叶わネェ事位は、もう判ってるから。

今、この瞬間だけは、消えねぇでくれよ、ミホ。


「アトリィ!もう、集中してよぉーー!ぷんぷん!」
「………やっぱうぜぇ…」
「アトリーー!!」
188名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 04:03:39 ID:/T1mj3Nq
終わりです。
全然エロくならなかったww
189名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 04:43:34 ID:kXj6WhpR
やべー…
禿萌えた

GJすぎる
190名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 21:37:30 ID:WzeMKV8P
久々にきたら神がいっぱい・・・
イサアイなんて大好物だから嬉しいぜ
191名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 00:08:55 ID:9xh2v7zp
カラスハルカ待ちage
192名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 00:22:15 ID:mBdFtH24
>>188
GJ。エロがなくとも充分萌えの燃料になった。
193名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 02:26:28 ID:tyaQIKrn
gj
194カラハル◇1:2006/06/25(日) 16:21:56 ID:+cxR5xs8
短いですが…カラハル書いてみたので投下します


------------------------------------------------------

「駄目だ、ハルカ」
「なんで?」

強い視線でハルカを睨むが、一向にそこから退こうとはしない。
どかそうと思うのなら、俺には簡単に出来るはずだ。
なのに、酷く情けない事に今それが出来ないでいる。
ハルカは馬乗りになったままの格好で、俺を冷たく見る。

「シテよ、カラス」
「…駄目だ、ハルカ」
「どうして?どうして、駄目なの?」
「お前は勘違いをしている。お前がすきなのはユウだろう?」

優しく諭すように言った。
どうにか思いとどまってくれますようにと微かに願う。
でもハルカには聞き届けられなかった。

「違うよ!カラスのバカ!そんな事言うなら、勝手に触ってやるから」
「……っ、ハル…カッ!」

俺の制止も聞かずに、ハルカは大胆にも俺のそれに触れた。
竜騎兵の酷くフィットしている黒い服の上からでは
ハルカの触れる感触がダイレクトに伝わりすぎる。
更に言うなら身体を覆うこの全身タイツのような服は
戦闘時の事を考えどの部分も伸縮自由となっている。
つまり。
そこが大きくなれば、服もその形に変化してしまうのだ。
情けない事に、ハルカに触れられ俺のそこは既に反応を顕著に表してしまっていた。
「すごい、なんか大きくなってるよカラス…」
驚きながらもどこか嬉しそうにハルカが微笑む。
口を開くので、俺はその後の行動を察知し怒鳴る。
「…ハルカ、駄目だ、やめろ!」
だが、俺の静止も聴かずにハルカは躊躇いもせずパクリとそれを小さな口に含んだ。
さすがに奥までは飲み込めず、先っぽだけを飲み込む。
「ほうすればいいの?」
「ばか、やろう…、出、せっ」
ハルカが俺のそれを咥えている。
その図が酷く劣情を刺激して、俺のものはでかくなるばかりだ。
「ふごい、びくんびくん…してる」
言いながらハルカの舌が俺の物を舐め始めた。
「……くっ、だめ、だ、ハル……カッ!」
だが、ハルカは聞き入れない。
むしろ、俺のそれの反応を楽しんでいるかのようだ。
拙いながらも俺のそれを咥えるハルカの姿に俺はもうイきそうになる。
くそ。
「ハル…ッカッ!」
シュシュっと小さな口を窄めて、俺のそれをしごいていく。
口で届かないところは、小さな両手で同じように刺激を与えていく。
バカヤロウ、そう思いながらも俺はもう俺自身を止める事が出来なかった。
「……ハル、カッ………!」
小さな口と、小さな手で与えられる快楽に身を任せて、俺は果てた。
195カラハル◇2:2006/06/25(日) 16:24:30 ID:+cxR5xs8
「んんっ」
どくりと放たれたそれをむせながらハルカが飲む。
「…バカッ、はな、せ…ッ」
小さく怒鳴るがそれすらもハルカはイヤイヤをし、全て飲み干してしまった。
強くハルカを睨みながらも。

ああ―――忘れていた。
そう、俺は酷く朦朧とした頭で考えていた。

ハルカは、昔からこうだったじゃないか。
駄目だといえば言うほど、ハルカは駄目な事をやりたがるんだ。
そうだ、あの時だって、あんなに必死に止めたのに。
あんなに、俺は駄目だと。

嫌だと言ったのに――――。
ハルカは、逝ってしまったんだ。

"アタシ、守りたいんだ"

そう静かに。
――――微笑んで。


不意にあの時のハルカが目に浮かんで、涙腺が緩んだ。
ああ、くそ。
俺は構わずに、両手で顔を覆う。

「カラス…泣いてるの…?」

ハルカがか細げに聴いてくる。

「あたしのせい?」
「違う」
「……うそつき」

哀しそうにハルカは言って、俺の胸に小さく顔を埋めた。

「…抱きしめてくれないの?」

小さく呟くハルカに俺は返事をしなかった。
俺の腕は本来、お前を抱きしめる資格など無いんだ。

―――俺は、未来のお前を見捨てたのだから。


両手で顔を覆い続けたまま、ただ、遠いハルカを想った。

胸にのっかったままの小さなハルカの重みが、ひどく切なかった。



終わり。
196名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 16:33:13 ID:+cxR5xs8
投下してから気付いたけど、カラハルじゃなくて、ハルカラだった気がw
しかも書いてみたはいいものの、カラスがどうにもヘタレに…w
想像力が限界でした。お粗末さまでした

このスレの更なる活発化を願いつつ失礼します。
197名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 18:30:43 ID:hQwklBTM
あ…黒タイツ服からいつカラスの物が出たのか書き忘れてた…orz
脳内補完で読んで下さい。勢いで書くものじゃないなスマソ
198名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:01:19 ID:rzqQjnnZ
>>194
GJ!!!!
つ つづきはないのかねばあさん
最近このスレ活気づいてきて嬉しい
199名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 02:13:46 ID:pCbKSZXh
>>188
エロ無し構わず萌えた。ミホに敵わないアトリ、これがたまらない。

>>196
ハァハァごちです。
竜騎兵の服は物凄くエロスなものなのだな…
200名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 20:48:47 ID:5v3oAxe+
GJGJ!!
更なる神の更新を待ちます。
201名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 01:51:01 ID:UexS4cxk
カラハル投下します。
最初のハルカのセリフは「函館行こうよ」からきてます。
そこから話を膨らませてみました。
202カラハル:2006/07/02(日) 01:52:32 ID:UexS4cxk
「カラスぅ〜ハルカと一緒にHしょうよ」

何時もの物置部屋へ軽やかに入ってきた
ハルカが可愛らしい微笑みを浮かべ言った。
とりあえず何かを聞き間違えたに違いない、
そうであってくれとの願いを込めた目でハルカを見た。

「あ、子供だと思って本気にしてないんでしょ?あたし本気だよ!」
「ハルカ…」
とりあえず大人として何か言うべきであろうと考えるが
何も浮かばず間の抜けた声で名前を呟く。

拗ねたようにぷうっと頬を膨らましたハルカは
俺の記憶する昔のハルカと何も変わりはしないのに
ただそのこぼれそうに大きな瞳は本気だと訴えてきているのがわかる

俺はひとつ溜息をついてなるべく優しく諭すように語りかけた。
「まだそういうことをするのはハルカの体には早い、急ぐ必要などない」
「え〜でもぉ」
ハルカは寂しそうに目を伏せてぽそりと言った。
「初めてはカラスじゃないと絶対に嫌っ」


思考停止


幼い唇からつぶやかれたその言葉はただひたすらに女だった。
203カラハル:2006/07/02(日) 01:54:03 ID:UexS4cxk
固まってしまった俺を見てハルカは意を決したように
薄いキャミソールの裾をぐっと掴んで持ち上げる。
「胸だってまだちっちゃいけど、少しは膨らんできてるんだよ」
と、思い切り良く小振りな胸を露にする。
「いや、ちょっと…待て…!」
慌てふためいた俺の顔はたぶん真っ赤になっている。
しかしそれ以上に真っ赤な顔のハルカはそれに気がつく余裕ももうないらしい。

そんなハルカを見て俺は観念してしまった。
もちろん今のハルカに俺を受け入れるのは無理だ。
少し気は引けるが初めてを貰ってしまえば
後はなんとか言いくるめられるはずだ。

「あっ」
ハルカの腕を引いて自分の胸へ引き寄せ、耳元で囁く。
「嫌になったらすぐに言え」
「うん…大丈夫だよ…」
言葉とは裏腹にハルカの体は硬くなり、ぎゅっと目を瞑る。
その目蓋にそっと口付ける。
「んっ」
「ハルカ」
背中を優しくさすりながら
唇にも微かに触れるような口付けをする。

「カラス、カラスっ」
やはり怖いのかハルカは不安そうな声で俺を呼ぶ。

どうしょうもなく愛おしさが込上げてきてハルカをぎゅっと抱きしめた。
204カラハル:2006/07/02(日) 01:55:38 ID:UexS4cxk
膝の上に乗せたままハルカを前に向かせて
後ろから抱きかかえるようにする
両手をハルカの胸へ置き軽く揉みあげる
小さいながらもしっかりと主張し始めた先端を摘まむと
「ひゃっ」
短く悲鳴をあげてぴくりとハルカの体が反応する

「痛かったか?」
「ううんっ、大丈夫だから続けてカラス」

どうやら本当にやめる気はないらしい…

執拗に両乳首を刺激してやると、はぁはぁとハルカの吐息が荒くなってきた。
首筋に口付けながら短いスカートの裾から右手を潜りこませ
薄い布越しに幼い恥部をやさしく摺ってやる
「んんっ」
「あぁ、カラスなんか…へんな…感じっ」
「気持ちいいのか?」
「わかんない、わかんないよう〜」
もう少し指に力を入れると、ハルカは堪らなくふるふると首を振る
そんなハルカに自分の中心が熱くなるのを感じる
興奮に背筋がぞくぞくしてくる
冷静でいなくてはならないという気持ちが心の遠くへ追いやられていきそうになる

ふぅと息をついてから、ハルカの顎を掴み上向かせ口付ける
「カラス?」
見上げてくる瞳を真っ直ぐに見つめ返して今度は深く口付けると
どうしてよいのか分からないのだろう、ただされるがままだ。
「んっ、ふっっ。んーーーっ、はっっ、ちょっと…苦しい…」
可愛い反応にたぶん少し微笑んでいたのだろう
俺の顔を見てハルカが嬉しそうに微笑む。

手を再び下の方へ持って行くと今度は下着の中へ指を滑り込ませ直に触れる
ほんの少しだけだがそこには潤いがあった
愛液を指で掬い核心へ塗りつけるとその度にハルカが体をびくびくと震わす
「あっ、はぁっ、いやっあっっ」
ぎゅっとハルカが俺のマントを握る
「もうやめるか?ハルカ」
「いやっ、いゃだあ。やめないで…っっ、もう…」
そのままクリトリスを執拗に責め続けてやる
「はっ、カラス、カラスっ、カラスー」
限界が近そうなのを悟り、一番感じる部分をぐっと押し込むように擦りあげる
「!? あっ、あ、ぁ、あ…」
背中を反らせ、痙攣した。初めての絶頂に達したらしい。
俺はぐったりと倒れこみそうになるハルカを支えるように優しく抱き留めた。
205カラハル:2006/07/02(日) 01:56:47 ID:UexS4cxk
ハルカは虚ろな表情でしばらく荒い呼吸を繰り返すだけで言葉も発せずにいる。
「これでハルカの初めては俺だ」
これ以上進める気はない。
「ハァ、っでも、本当は・・・カラスの…を…私の…にっ」
その先はさすがに言えないのか赤くなって俯いてしまう。
「それはもう少しハルカが大人になってからでないとダメだ」
「でも…カラスは…」
それきりハルカは黙ってしまった。

この少女は知っているのだろう。
俺がそう長くはこの時空で存在できないと云うことを。

このままハルカを抱いてしまうことが出来ない訳ではない。
でも、本当の意味で初めてを貰ってしまえば
この時空のユウは将来かなりな確立でグレることになるだろう。
相手が俺と知れば尚更だ。
何故なら俺だったら間違いなく捻くれる。
そうなって困るのはハルカだから――

落ち着いてきたハルカがぽつりと言った。
「うん、カラスがダメって言うならしょうがないか」
自分を納得させるように頷いている。

その言葉にほっと胸を撫で下ろす。
多少残念だと思う気持ちにはぎっちりと蓋をしておく。

立ち上がったハルカがくるりとこちらを振り向いて微笑み
「でもね、さっきのは気持ちよかったからまたしてね!」
と、可愛らしい表情でとんでもないことを言ってくれる…
そのままたたっと駆け足で自分の部屋へ帰って行った。

残された俺はただ呆然とすることしか出来なかった。

俺が消えるのが先か、それともハルカの誘惑に負けるのが先か。
「俺は…ハルカを守る…」
こうしてまたひとつ悩みが増えた。


終わり
206名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 02:45:23 ID:kHW7oJ76
>>301
GJGJGJ--!!!!
起きてて良かったー!!!モエをありがとう!
ハルカ可愛い。
207名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 02:47:48 ID:kHW7oJ76
ちょwww間違えてた!!神になんて失礼な事をorz
>>201ですた
208名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 09:01:37 ID:KJ0PksGg
>>301に期待
209206:2006/07/02(日) 15:21:45 ID:kHW7oJ76
自己責任で書いてみた。

カラス×(ラクリマ)ハルカ投下です。
色々設定とか細かく突っ込みたいところが
あるかもと想うんですが、流してください。
210カラス×ラクリマハルカ。1:2006/07/02(日) 15:24:27 ID:kHW7oJ76
「…なん、だって?」
俺は思わず息を止めて、ハルカを見つめた。
言っていることが理解できない。

「だからね、選ばれたんだよ」
「だから。何に」
「うーん、あのほら、この世界を守るアレ。なんていったっけ?」
「…おまえそれでまさか」
「うん、了解しちゃった」

明るくなんでもないことのようにハルカが笑った。
思わず声を失った。
―――だって、それはつまり。
「死ぬって事だぞ?」
「解ってるよ」
言いながら綺麗に微笑む。
「駄目だ、そんなのは許さない」
「あはは。ユウが許さなくても、アタシは行くよ」
「ハルカッ―――!!」
俺が感情のままに怒鳴っても、ハルカは微笑みを消す事は無かった。
そして微笑んだまま俺に静かに近づいて、手を伸ばす。
「ごめんね、ユウ。でもアタシこの世界を守りたいの。ユウの居るこの世界を…
 アタシ、守りたいんだ…。守られているだけなんてイヤなんだよ」
俺の首に腕を回してぎゅっと抱きつきながらそう呟いた。
「ハルカ…」
「ごめんね。ユウ」
「……バカだ、お前は」
俺はゆっくりとハルカの背中に腕を回した。
納得なんて全然していない。
けれど心のどこかで、一度決めた事をハルカガ覆す事は無い事は知っていた。
俺が何を言っても、ハルカはきっと逝ってしまうのだろう。

ハルカは抱きついたままに小さく言った。
「今日はいっぱいいっぱい抱きしめて?アタシが消えてもユウがアタシを忘れないように。
 アタシがこの世界の壁になっても、ユウを忘れてしまわないように」
「ハルカ…」
「お願い、ユウ。アタシの身体にユウを刻み付けて。ユウを忘れたくない」
言いながら震えるハルカの身体。こんなに細くて、儚げなお前が。
それがこの世界を守る礎になるというのか。
それならいっそ、この世界など滅びてしまえば言いとさえ俺は思った。
だが、ハルカが守りたいのは、この世界なんだ。
―――だから。
やはり俺はこの世界を護らなければいけない。
くそ。
俺は震えるハルカの身体を更に一層強く抱きしめる。
失いたくない。
お前を護る為に、俺は今までどんなに辛い事も耐え抜いて来たのに。
ハルカ―――。
だがそんな俺の思考を遮るように、ハルカは名を呼んで静かに言った。

「ユウ…お願い」

ああ、ハルカ。
お前を止める術など俺は持っていないんだ。最初から。

「………ああ、解った」

擦れる声を搾り出すように、俺は応えた。
211カラス×ラクリマハルカ。2:2006/07/02(日) 15:26:51 ID:kHW7oJ76
今まで何度も数え切れない位、ハルカとは身体を重ねてきた。
でも、この一晩だけはどうか忘れない程の記憶にしたいと心から思った。
ゆっくりと抱きしめる腕を弱める。
ハルカが、つと顔を上げた瞬間に、そのまま唇を乱暴にかぶせた。
「…んン…っ」
唇をこじ開け、口内を貪る。チュクチュクと舌を絡ませて、劣情を煽る。
「……んぅ…ふぁ」
一瞬だけ口を離すと、お互いの口をダラリと唾液の糸が繋げた。
ハルカが息をしたのを見て、また直ぐに唇を覆う。
「ん……っ ぁ」
これでもかという位に、口内を思うがままに蹂躙した。
やっとの事で唇を解放してやると、ハルカが潤んだ目で笑う。
「……ん、ユウ、今日…はげ…しい」
「お前が忘れられないようにしてくれって…言ったからだろ」
俺の顔はむすっとしたまま。
それでも幼馴染のハルカには、ちょっとだけ笑ったように見えた事だろう。
「ありがとう、ユウ」
「お礼を言うのはまだ早い」
俺は言いながら、唇を首筋へとあてがった。
そのままハルカを後ろの質素なベッドへと倒す。
「…んっ」
横たわったハルカに、強く吸い付きながら赤い後を残していく。
ついでに両手ではハルカの肩にある服の止め具をパチンと外し、胸へと手を滑り込ませた。
昔に比べてそれは結構な重量を持っている。
俺の努力の賜物だと一人笑いながら、優しくそれを揉みしだく。
唇は首筋から、時々またハルカの可愛い口へと舞い戻る。
俺の熱情を流し込んでまた首筋へと戻る。
揉みしだくうちに少し主張をし始めた小さな突起を、俺は指でちょっと強めに挟んだ。
「……んぁっ、ユウッ……」
「キモチ良いのか」
「……そんな、事…きか、無いで…よっ。……んんっ」
素直じゃない子にはお仕置きだな、と小さく笑って俺はハルカの唇をまた覆った。
歯列をなぞり、舌を絡ませ、お互いの熱を混ぜあう。
チュクと音をたてて唇を離すと、今度はそのまま唇を硬くなった胸の突起へと持っていった。
パクリと小さくそれを口に含む。
「んぁっ」
反応を確かめながら、突起であそぶ。
コリコリと硬くなったそれは遊びがいがあって楽しい。
ハルカの左胸の突起は俺の口の中で。
右の胸の突起は俺の右手の指で、蹂躙されていた。
「……ぁあ、ユウ、ユウッ…!」
チュパッと突起を唇から外して、また思い出したようにハルカの唇を覆う。
その隙に右手を胸から、下にある秘所へと滑り込ませた。
茂みを抜けてそこに到達し、割れ目を開くと液がヌメリと指に絡まる。
ふっと、唇を外してハルカを見つめた。
「もう濡れてるな」
……バカっ!と怒鳴るだろうと思ったので咄嗟にまた唇をふさいだ。
212カラス×ラクリマハルカ。3:2006/07/02(日) 15:28:30 ID:kHW7oJ76
「んん…あふ……ん」
チュクチュクと舌を絡ませながら、指は秘所に進入していく。
膣口に指をあてがうと、中から溢れるように液が零れる。
その液を絡めて、一番敏感な蕾の周りを擦ったり焦らしていく。
ぐぃっとハルカの腕が俺の胸を押したので、しつこくあそんでいた唇を離してやった。
「……ユウ…の、意地悪…」
うるっと大きな潤んだ瞳で言われる。
「なにが」
「……焦らさ…ない…でよ……」
俺は思わず小さく笑った。
「そうか」
言った途端、遊んでいた指を膣内へと滑り込ませた。
「……んぁっ!!」
細い体が弓なりに跳ねた。
そのまま指でハルカの熱い中を貪る。
「ん…ん…ぁっ、ユウ…!」
頃合を見て指をもう一本増やした。液が溢れて俺の手を濡らす。
抵抗してくるハルカの膣内を、指で犯し続ける。
おもむろに手のひらを寝かしつけて、敏感な蕾に擦れるようにした。
「……ぁあっ!」
そのまま激しく、指で膣内を、手のひらで蕾を同時に刺激する。
液が溢れて卑猥な音が鳴り響いた。
「………あ、あ……ユウ、やだ、…淹れてくんなきゃ…やだよ」
「まだ駄目だ」
擦れる声のまま言って、更に手でハルカを犯し続ける。
俺は指を動かす速度を上げた。
「……んぁ……あ、あ、……ぁあっユウ!!」
とどめとばかりに、蕾を強く刷り上げるとハルカの身体が大きく弓なりに反った。
「…ユ、ウっ……!」
俺はゆっくりと指を引き抜いた。もう愛液で指がふやけてしまっていた。
ハァハァと息が上がるハルカにワザと見せ付ける。
「お前の身体は本当にエロイな」
「…ユウにしか……見せてないもん…」
「当たり前だ」
俺は身体を起して、ハルカのイッタばかりでヒクヒクと痙攣しているままのそこに
既に大きくそそり立った俺自身をあてがう。
213カラス×ラクリマハルカ。4:2006/07/02(日) 15:30:31 ID:kHW7oJ76
「…ちょ、っとユウ、待って…」
「待たない」
そのままグイッと一気に中へと押し込んだ。
「んぁっ!」
新たな刺激に膣内が強く締め付けてきた。
「ユ、ウ…ッ!」
小さく喘ぐ、ハルカを見下ろしながら俺は直ぐにそれを動かし始めた。
最初はゆっくり中を掻き混ぜるように、擦りあげる。
「……あぁ…っ」
それから一瞬で引き抜いて、一気に奥まで突き刺した。
「……ぁっ!」
ハルカの奥の、一番感じる場所を執拗にわざと攻める。
「あ、あ、あ…、ユウ、ユウっ」
いいながらハルカが両腕を伸ばすので、俺は体制を倒して首筋に腕をかけさせてやる。
そのまま俺はハルカの唇を覆う。
激しく突いていた行動を止めて、またゆっくりを中をかき混ぜて焦らす。
「んぁ……んっ、ふ…」
唇を離すとハルカの唇からつうっと唾液が零れた。
優しく見つめ返すと、涙目のままハルカが言う。
「ユウ、もっと……もっと激しくして……」
言いながら俺の首をハルカが解放する。
俺は身体を起して、擦れる声のまま応えた。

「……ああ。解った」

「ああ……っ!」
また激しく輸送を開始した。
敏感になったハルカのそこは俺のそれの侵入を阻もうとするかのように
きつく締め付けてくる。大きな快感に飲み込まれそうになりながらも俺は必死で
その中を無理やりこじ開けるように、激しくハルカのそこを責め続ける。

「ああ…ユウッ、ユウッッ!……もっと、もっと……!」
「…くっ、あ…。ハルカ…ハルカ……ッ!!」

居なくなると言うのか。お前が、ハルカお前が。
この熱を味わう事すらもう出来なくなると?
竜騎兵として身体を変えて、それでも熱を与え合う事だけは奪われなかった。
俺がそれにどれだけ救われたかお前はわかっているのか、ハルカ。

気付くと俺の瞳からは涙が零れていた。

214カラス×ラクリマハルカ。5:2006/07/02(日) 15:31:14 ID:kHW7oJ76
ハルカはふとそれに気付いて、少し哀しそうに笑う。
俺は輸送を止めて、ハルカの胸に倒れ落ちた。
「ハルカ……ッ。ハルカ……ッ」
行くなと駄目だと叫びたい。みっともなく叫んでしまいたい。
だがそんな事をしたらハルカを困らせるだけなのだ。
解っている、ハルカはもう決めてしまった。
俺がそれをどんなに嫌だと叫んでも、ハルカは逝ってしまう。
その未来が変わることは、きっと。
無い。

「……ハルカ…ッ」

ハルカの胸に顔を埋めたまま俺が声を殺して泣いていると
ハルカの細い腕がそっと俺の頭を包み込んだ。

「……ユウ?……泣かないで…? アタシ嬉しいんだよ?
 だって今まで護られているばっかりだったのが、今度は皆を護れるんだもん…
 ユウをこんなアタシでも護る事が出来るんだもん。ユウ……?泣かないで…?」

優しく諭すように言う。
ああ、コイツは昔から本当に変わらない。真っ直ぐで、頑固で。
そうして俺を細いその腕の中で、そのまま包み込んで癒してしまう。
今もまだ、ハルカを失いたくないと心の奥は喚いている。
そうだ解っている。
胸の奥では今も行かせてはいけないともう一人が叫んでいるんだ。
ハルカを失って生きていける自信など今の俺には無い。
―――だが。
ハルカはもう決めてしまった。もう俺はそれを受け入れるしかない。
ならばせめて、彼女を最後まで幸せの中で送り出してやりたい。

俺は顔をあげてハルカに静かに微笑を向けた。
それを見てハルカも小さく微笑んだ。

―――これで、良いんだ。
そうだろ、ハルカ。
215カラス×ラクリマハルカ。6:2006/07/02(日) 15:33:36 ID:kHW7oJ76
俺はまた身体を起してゆっくりと動き始めた。ねっとりとハルカの中を味わう。
いつ、それが行われるのか。俺はきっと知らされないだろうから。
本当にこれがハルカとの最後の?がりになるかもしれない。
闘いに身を投じている竜騎兵だ。
"その場"に立ち会うことはきっと許されない。

ふと、ハルカの親友の顔が浮かんだ。

(ああ―――そうか、ハルカが逝くその場に居るのは、アマミクお前か――)

ならばきっと彼女も、ハルカの決意を一度は止めた事だろう。
そうしてきっと。
ハルカの決意に負けた事だろう。
その様子が容易に想像できてなんだかおかしかった。
そうか、ハルカが逝ってしまう場所には、ハルカの親友が見守ってくれているんだな。
そう思ったら、少しだけ安心できる気がした。


ゆっくりと瞳を開けて、ハルカの綺麗な身体を見た。
そして記憶に焼き付けるように、きつく、強く、激しく。
俺はハルカのそこを蹂躙していく。

「んあ…ユウ、ユウ……!」
「ハルカッ!」

ハルカの息が荒い。もう直ぐだろう。
俺は更に激しく、ハルカの感じるピンポイントを突いた。

「……ああ、ユウッ!」
「………ハル、カッ!!」

最後のとどめとばかりに激しく腰を打ち付ける。
瞬間、ハルカの身体が弓なりに跳ね、小さくハルカは叫んで果てた。
俺も、泣き出しそうな感情を思い切りぶつけるように、ハルカの中に全てを吐き出した。
息を荒くして幸せそうに笑うハルカを静かに見つめて、俺は想った。

―――ハルカの居る、世界を。
俺は護るよ。
どんな事があっても、俺はハルカを護る。
お前が居なくなった後。
きっと、それだけが空っぽな俺を支える信念となるだろう。


ハルカに小さく笑みを返して、彼女を抱きしめる。

ハルカの温もりを感じたまま、俺は少しだけ悲しい眠りに身を委ねた。



終わり。
216206:2006/07/02(日) 15:44:59 ID:kHW7oJ76
木綿。そもそも数え間違えて301に全然届かなかった(´・ω・`)ゴメンナサイ
しかも>>215の 上から3行目。
「本当にこれがハルカとの最後の?がりになるかもしれない。 」 は
「本当にこれがハルカとの最後の”つながり”になるかもしれない。」 でした。
申し訳ないです。補完して読んで下さい。

>>301の神出現に自分も激しく期待しながら消えます。
217201:2006/07/02(日) 16:39:58 ID:UexS4cxk
>>206 GJです!
職人さんが来ますようにとの願いを込めて書いたので
さっそく神のエロ素晴らしい作品の投下があってびっくりです
願いが届いたー
そして>>301に期待
218名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 09:35:24 ID:qVhEnJ0A
ほしゅ
219名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 13:02:33 ID:pz3Y4aKa
>206
GJGJ!ヘタレカラスに禿萌えたwww
220名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 21:00:03 ID:LDqYVI5B
久しぶりに来たら神がいっぱい…
みんなみんなGJGJ!
221名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 15:37:55 ID:UoxK2A98
皆夏で忙しくなっちゃったのかな
神様たちの投下待ってます保守
222イサミ×アイ:2006/07/13(木) 05:28:15 ID:1Du/IA2p
夕方だというのに、盛っている影がふたつ。

「まじ、気持ち…よ、すぎ」
「…ばかっ」

照れながら顔を背ける長谷部の唇を、俺は身体を倒して強引に奪う。
「んぁ…はっ」
唇を離した後、耳元に唇を寄せ甘く噛む。
「…っやぁ」
キュッと膣が更に俺を締め付ける。
長谷部の細くて長い足を抱え持ち、更に奥まで届くように激しく打ち付ける。
パンパンと卑猥に肌と肌のぶつかる音が小さく断続的に響く。
快楽におぼれそうな意識を手繰り寄せて目を開けると、うっとりとした顔の長谷部が
何処か苦しそうに、切なそうに息を粗く吐いている。
目があうと、涙声で言う。
「ふ、じ…わら…っ」
俺は思わずニヤッと笑った。
瞬間、キュッと更に熱を持ったそこが、俺をきつく締め付けた。

「ちょ…。は、せべ…も、だめ」
「…んん、……んっ、ぁあっ!」

俺は、最後の一発とばかりに激しく腰を打ち付けて果てた。
それから、薄いコンドームのついたそれをゆっくりと引き抜いた。
抜き抜くと、はっ、はっと長谷部が息を整える。
ぼんやりとした視線をゆっくりと俺に合わせた。

「ばか…」
「…なんでだよ」
「別にっ…」
「おい、長谷部っ」

まだ身体はだるいだろうに、長谷部が身体を起こす。
「シャワー借りるね」
「…おお。どうせなら一緒に入るか」
至極楽しそうに、そして名案でも浮かんだかのように笑う俺を
長谷部が幾分冷ややかな目線で見て、何も言わずに部屋を出て行く。
あれ?
俺は、長谷部の態度が少しひっかかりながらも、とりあえず乱れた布団を戻し
俺自身も服を来て、乱れた行為を一応家族にはばれないようにする。
ここのところ、兄貴は友達の家に入り浸りだし、ばぁちゃんは昼間ゲートボールにいそしんでいるし
妹のフミコも部活やらなんやらと、家に居ない事が多い。
そのおかげで、こうして長谷部と二人きりで居られるのだけど。
さっきの長谷部の態度は気に掛かるなぁと思いながら、綺麗に戻ったベッドの上に胡坐をかきながら襖をみた。
するっと音も静かに長谷部が入ってくる。
223イサミ×アイ。2:2006/07/13(木) 05:28:56 ID:1Du/IA2p
「おかえり」
「ん…シャワーありがと。…今日はもう帰るね」
「もう?」

俺は風呂上りの長谷部が好きだったりする。
今日は乾かすのが面倒だったのか、長い髪の毛は洗わずに後ろで纏めてある。
でも身体を洗い流しただけでも、頬をほんのり赤く染めている長谷部はやはり綺麗で。
帰したくなかった。
カバンをとって部屋を出て行こうとする長谷部の手を掴んで引き止めた。
「…まだ。帰るなよ」
長谷部をぐいっと後ろから抱きよせ、耳元で囁く。
俺のこの声に長谷部が弱い事はもう判ってんだ。
「な、長谷部」
でも長谷部はただ抱きしめられたまま小さく溜息を付く。
「…帰る」
その態度に俺もちょっとムッとした。
「なんでだよ」
「…帰るったら帰るの!」
「なんだよ、その言い方」
怪訝に思いながら、長谷部を抱きしめていた腕を緩めると、その隙をついて振り払われた。

「長谷部?」

勢い良く振り返って長谷部が言う。

「…もうやだ!最近いっつもいっつも、藤原んちでHするばっかりじゃない!
 これって付き合ってるって言うの?アタシたちまともなデートもした事ないんだよ!?
 こんなの……こんなのって……」

最後の声は震えて。
俺が驚いて何もいえないで居ると、顔をあげた長谷部にキッと睨まれた。
瞳から大粒の涙を流したまま。
怒鳴る。
「藤原のばかっ!!もう知らないっ」
言い切った後、くるりと向きを変えてあっという間に出て行ってしまった。

「……長谷部!」

ハッと、俺が気付いてその名を呼んだときには
もう長谷部の姿は何処にも無かったんだ。

「ありえねー……」

呆然と呟く俺の言葉だけが虚しく部屋に残された。
224名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 01:32:01 ID:ry8FnbrX
あげちまうぞ
225名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 19:49:37 ID:Kv0L0qcN
>222
続きは無いのか?
ワクテカして待ってるぞえ(*´∀`)
226イサミ×アイ。3:2006/07/16(日) 22:43:44 ID:9WNcOf4v
一目散に走った後、息をついてアタシはふと立ち止まる。
振り返ってみたけど、一向にあとを追いかけてこない藤原に思わず絶望してしまった。
「…ばかっ、追いかけて来なさいよっ……ばかっ」
なんだかアタシは自分の存在がとても小さくなってしまった気がして
その場で一目もはばからず、しゃがみこんで泣きだした。
「…ふじわらのばかぁ………」

「アイ!?」

驚いた声に顔をあげると、目の前にハルカがいた。
「…ハルカ?」
「ちょっとアイどうしたの?大丈夫?」
優しいハルカの問いかけに、涙腺が大きく壊れた。
「ハルカァ…!」
アタシはハルカに抱きついてそのまましばらく泣き続けた。

ハルカはすごく優しく接してくれて、アタシは今久しぶりにハルカの家にお邪魔している。
「落ち着いた?」
「うん……急にゴメンネ」
「いいよ、別に…えー…と。藤原と何かあった?」
ハルカには既にお見通しな訳か。苦笑しながらアタシは応える。
「ケンカっていうか、あたしが勝手に怒っちゃったんだ…よね」
藤原がなんとなく不器用で、好きとかそう言う事を頻繁に言ったりしないヤツだって事は
あたしも重々知っていた。でも、Hの時だけはすごく優しくしてくれて、それだけで
ああ、あたしってもしかして愛されてる?とか思ったりもして、幸せになれたんだけど。
最近は本当に、なんていうか藤原と会う理由が「H」だけのような気がしてしまって。
上手く言えないけど、なんだか寂しかったのだ。
それ以上言葉を発せずに口ごもるあたしを、静かにハルカが見る。
「ふぅん? でもアイだって理由も無く怒ったりはしないじゃない」
「…そうだけど」
「詳しく話さなくても良いけどさ。悪いと思ってるなら謝ったほうが良いよ?」
優しく諭すように言うハルカにあたしは小さく微笑む。
227イサミ×アイ。4:2006/07/16(日) 22:44:28 ID:9WNcOf4v
「…うん。ありがとうハルカ…。あぁーーー!もぅ、なんでアタシあんなヤツ好きなんだろう!」
頭を抱えながら怒鳴ると、ハルカが隣であははと笑った。
「そういえば、なんで好きになったのかアタシ聴いたこと無いやー。教えてよアイ」
「ええっ!?」
「きっかけとか、無いの?」
「……そんな事言われてもなぁ〜。」
一生懸命思い出そうとするけど、気付いた時にはもう好きだった気がする。
バカやったりしておちゃらける姿とか、それでもサッカーだけはくそ真面目に真剣だったして。
その姿勢とかはずっと好きで…サッカーボールをひた向きに追いかける背中が好きで。
うーん、しいて言うならサッカーバカと普段のヘタレな様子とそのギャップとかかなぁ?
でも言葉にしたらどれも嘘くさくなってしまう気がした。
ふと横を見れば、思い悩むアタシをハルカが楽しそうに眺めていた。
「んもう!ハルカこそ、後藤とはどうなのよー」
「うん?いつもどおりだよー。変わりなくって感じ?」
「何よそれ。もうなんか達観しちゃった感じ?」
アタシが笑いながら言うとハルカがちょっと苦笑して応える。
「そういう訳じゃないけど。あたしたちだってケンカもするよぅ〜。」
「そうなの?意外!」
目をくるくるさせて言うとハルカが笑う。
「くだらない事ばっかりだけどね。そんでいつも大体ユウが謝ってくるかな」
「あー…、後藤はハルカにベタ惚れだもんねー」
「藤原だってそうじゃない」
しれっと言うハルカに思わずアタシは大声をだしてしまった。
「…っはぁ?!」
「え、気付いてないの?言っとくけど、藤原って実は、超〜〜!アイのこと好きだと思うよ」
にっこり笑って一転の曇りも迷いもなく言い切るハルカにアタシは思わず口ごもった。
「……そう、…かな…」
「うん」
「…でも…」
それでも何か反論を言おうとするあたしに向かって、ハルカはすぐにニヤニヤした笑いを向けた。
「あー…これ言っちゃおうかな〜。でもなぁ〜藤原には言うなって言われてるしな〜」
「…な、何の話よ、ハルカ」
そんな言い方されたら、聞かずにはいられない。
「でもなぁ〜」
「ハルカ!」
懇願するように見つめると、ふわりと笑ってハルカが続けた。
「前にさ、クラスの男子達が女子のランキング決めてたの知ってる?」
「……知らない。何それ?」
「なんか、可愛い女子のランキングを男子達で裏で決めて遊んでたんだって」
「へー、それで?」
「アイが一位だったんだって」
「嘘!!」
驚かずには居られない。
だって勝ち気で男子を怒ってばかりいて可愛くない女で通ってるあたしがよ?
一位?絶対嘘でしょ。
まじまじとハルカを見つめる。
「ほーんーと!!で、理由がスタイルが良い、とか性格はアレだけど顔は可愛いよな、とか。
 背が高いから大人っぽいとか…。あと…」
228イサミ×アイ。5:2006/07/16(日) 22:45:42 ID:9WNcOf4v
「…なによ」
「一番の理由は、胸が大きい、が理由だったんだってさ」
「…ああ」
あたしは自分の胸を見下ろして納得する。ちょっと成長しすぎた感がしなくもない胸がそこにはある。
ただ身長の事を思えばこれくらいあった方がスタイル良く見えるから別に気にしてない。
それに藤原も喜んでるし…って違う違う!慌てて思考を戻す。
それにそもそもそれ位は男子達に言われているだろうなぁとは思っていたし。
でも別にその話と藤原と何の関係が?思いながらハルカを見つめると
ふふふ、とひどく楽しそうに笑い出す。
「藤原ってば、それ聞いてて我慢出来なくて言っちゃったんだって」
ドクンと胸が高鳴った。
だって、藤原が何を言うって言うの?
「あの胸は俺んだっ!!お前らそんな目でアイツを見るんじゃねぇよ!
性格だってアイツはマジアリエネー位可愛いんだぞ!!お前らにはわかんねーだろうけど!!!」
ひとしきり、藤原の真似をして言い切ったハルカはアタシを見てニヤリと言った。
「だってさ」
あたしは思わず頭を抱えてしまった。
「……アイツ。バカじゃないの?何が俺の胸よ…最悪…」
「あはは!ほんとにねー。でもなんか藤原らしいよね。」
にっこりと笑うハルカにつられてあたしも笑った。
「そうだね。…ほんと、バカだなぁ、アイツ」
拗ねてたあたしがバカみたいだ。ちゃんと愛されてるじゃんか。
「仲直りは早い方が良いよ」
すっかり解った顔で微笑むハルカに促されて、あたしは立ち上がった。
「ありがと、ハルカ」
「あ、でもアイ。やりたくない時はちゃんとヤダっていうんだよ!」
「……っ!!」

真っ赤になってあたしはハルカを凝視した。
何処まで見抜かれているのだろう、ハルカには。ほんと敵わないや。
もしかしてハルカと後藤にもこんな事があったのかな?
そのあたしの疑問は口には出さずに消えて言って、代わりにハルカが次の言葉を言った。
「ちゃんと気持ちを伝えれば、藤原はちゃんと応えてくれるやつだよ」
「うん、解ってる…」

それを、何よりも解っていたのはアタシ自身だ。
ついその場に流されてしちゃってたのはアタシも同罪なのかも知れない。
それなのに、藤原だけを責めちゃ駄目だよね。

…会いたいな。


あのくしゃくしゃに、幸せそうに笑う藤原の笑顔。
私にだけに向けてくれる、あの笑顔に…。

―――会いたいな。



もう日は落ちて、逢魔ヶ時の青い世界の中。
藤原の家に向かって、アタシは駆け出した。
229222:2006/07/16(日) 22:50:46 ID:9WNcOf4v
投下してすぐに続きと思ったのに回線が壊れて来れなかった_| ̄|○
やっと繋がってハッピーだ!(ノ´∀`*)
次からエロ第二弾にはいる予定です


>>225
ありがとう。ワクテカに応えられる続きになるようにエロ頑張りますw
230名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 17:52:26 ID:hYc72/dP
漏れも続き待ってる…
早く来てハァハァ(;;´∀`)
231名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 10:23:04 ID:zTFNomiV
>>229
wkwktktk
232名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 17:42:06 ID:Do9kznts
ワクテカ保守
233名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:10:59 ID:mpE6ZTT/
ほしゅ
234イサミ×アイ。6:2006/07/29(土) 01:37:57 ID:CB9Yc7C3
俺は重苦しい溜息を、はぁとヒトツ吐いた。
長谷部が出てったままの部屋で追いかける事も出来ずにベッドに腰掛けている。

―――情けネェ。
長谷部はずっと苦痛だったのだろうか俺との行為が。
そんな疑問が頭を過ぎる。
いや、苦痛とまでもいかなくても俺は気付いてやれなかったんだ。
長谷部の気持ちに。
それは紛れもない事実で、その事が酷く俺はショックだった。
なんとなくだけど、俺と長谷部は判りあえてると思ってたんだ。
身体を繋げて、秘密を共有し合って。
それだけで俺は満足しちまってた。
きっと長谷部はずっと悩んでたんだろうな。
さっきまでの行為も、俺は長谷部もちゃんと気持ちよくなっていたと思っていたが
もしかして違ったのかもしれないと思えて、胸が痛む。
ものすごく独り善がりで勝手な好意を俺はアイツにぶつけていたんじゃないか?
アイツが何も言わないのを良い事に。

「あーくそっ」

小さく吐き出して、立ち上がる。
このままで良い訳が無い。
俺は傷つけてたのなら謝りたいし、長谷部の気持ちをちゃんと聞きたいんだ。
あいつの口から、あいつの気持ちを。

長谷部が出て行ったときと同じように俺も勢い良く走り出した。
235イサミ×アイ。7:2006/07/29(土) 01:38:48 ID:CB9Yc7C3
……勢い良く走り出したは良いが。
長谷部は何処にも見当たらなかった。
長谷部の家にも一度寄ってみたけど、部屋に電気はついてなかったので
帰ってないと判断した。
アイツは泣いた顔のまま家にはきっと帰らない。
なんとなくそう思った。
「ちっ…何処だよ」
走り回って、いい加減いくら体力のある俺でも疲れた。
ふと気付けば今足を止めた場所からは公園が近かった。
一休みしようと汗を拭って、その懐かしい公園へと足を向ける。
いつの間にかあんなに主張していた夕日も沈んで、青の世界が広がっている。
夜までのつかの間の、時間。
俺は小さい頃と変わらない特等席のベンチにどさりと腰を下ろした。
「あーぁー」
情けなく声を出して空を仰いだ。
うっそうとした木々がザワザワと俺の耳をくすぐる。
「ほんとおれ…何やってんだか…」
好きな女抱いて。
なのに、好きな女傷つけて。
自分だけ満足してたんだ。マジありえねぇ。
後悔の念から、目をきつく閉じた。
―――俺は、もっと長谷部を大事に出来ると思っていたし
俺が長谷部を傷つけることなんてありえないと思ってた。
でもそれは全然違った。
結局なんだかんだ、俺はいつの間にか長谷部に甘えて居たんだと思う。
嫌がらないから、断らないから。
そんな風に思って、小さな長谷部のサインをきっと見落としていたんだ。
自分の欲望だけを満たしたくて、俺はきっと。
「あーくそぉ………」
何度言葉を吐いても、気持ちがスッキリする事は無かった。
ちゃんとアイツに会って謝らなきゃ…。

長谷部何処いっちまったんだよ―――?


「ふじわら!!」

なんだ、空耳か?
俺は願いすぎてとうとう幻聴でも聞いてしまったのか。
そう思って、乾いた笑いが口元を掠める。

「……なんでこんな所に居るのよ。…藤原?」

――――幻聴、じゃない。
俺は閉じていた瞳をバッと開けて、声のする方へ顔を向ける。
236イサミ×アイ。8:2006/07/29(土) 01:40:15 ID:CB9Yc7C3
「は、せべ……」
長谷部はちょっと怒ったような、それで居て何処か困ったような顔をして俺を見ていた。
「…えと…もしかして探して…くれた、の?」
小さな声で長谷部がそうたずねる。
俺は慌てて立って長谷部に近づいた。
「あ、当たり前だろ!!お前急に出てくし…」
「…ごめん」
「あ、いや…。…俺こそ、その…」
言葉が上手く出てこない。
「…藤原…?」
「お、お前の気持ちに気付けなくて…、わ、悪かった!」
行き成り謝る俺に長谷部が少し驚いて俺を見る。
「…その、なんつーか…あれだけで俺は満足してたから
 お前もそれで良いんだと勝手に思ってた。その……ごめん」
ペコリと俺は頭を下げる。
俺は内心ドキドキしていたが、意外と長谷部は静かに穏やかに返事をしてくれた。
「ううん、私こそ急にあんな事言ってごめん…。あの、別に藤原と、す、るのが
 イヤだった訳じゃないんだよ。ただ最近ずっとあんまりにも会うたび…だったし
 なんかそのうち藤原が私に会う理由ってもしかしてそれだけなのかなって思えてきちゃって…
 もっとちゃんと言えば良かったんだよね藤原に…。私もごめんね?」
泣きそうな声に慌てて顔をあげる。
「ばっか!お前は謝る事ねぇだろ!俺が気付いてやるべきだったんだ…!ほんと悪かった」
「…うん。もう、良いよ」
にっこりときれいに長谷部が笑うので、俺は胸がギュッとなった。
「今度ちゃんと外でデートしようね?」
「いいぜ、何処でも付き合ってやるよ」
へへ、と俺は笑顔を見せた。
「ほんとにっ!じゃあ、遊園地!」
キラキラと目を輝かせて長谷部が言った。
「遊園地〜?前にも上乃木たちと行った事無かったっけか〜」
「ばか!デートなんだから二人っきりが重要なんじゃないの!」
「ああ、そっか」
そうかそうか。
長谷部は二人っきりで出かけたいのか。そっか。そうだよな。
俺は自分の鈍さに自分で苦笑する。
そして、長谷部が「俺と」二人っきりで出かけたい事を望んでいる、と知って
何故だか胸が高鳴った。
今更だけど、長谷部は俺が好きなんだよなと自分で思いなおして顔が思わずにやけた。
「藤原? どうかした?」
そんな俺を訝しげに長谷部が覗き込んだ。
「なんでもねぇ。思い出し笑い」
「何よそれー」
ムスッとした顔の長谷部も俺の目にはもう可愛く見える。
口元に笑みを浮かべたまま、可愛いその唇へと俺は気付いたらキスをしていた。
「……っ」
「あ。わり……つい」
慌てて顔を離して、謝った。
真っ赤なままに長谷部が目をそらす。
「……ばか」

―――どうしよう。困った。無性に可愛いくねぇか。今すぐ抱きてぇ…。
でも今さっき仲直りしたばかりだし、さすがに。それは。
237イサミ×アイ。9:2006/07/29(土) 01:41:23 ID:CB9Yc7C3
なんて事を逡巡していると、ふっと長谷部が俺の袖を掴んだ。
視線は下を向いている。
「…藤原は、ちゃんとアタシの事好き…なんだよね…」
「な、急に、何言ってんだよ!!……す、きに決まってんだろ!」
俺は真っ赤になって言った。
「…えへへ、良かった」
今度は顔を上げてちゃんと俺を見て微笑む。
「ちゃんと言葉で聴きたくなっちゃった。私も藤原が好きだからね…」
あんまりその笑顔が綺麗だったから、咄嗟に俺は長谷部をきつく胸の中に抱きしめた。
「…ばか、そんなん何度だって言ってやるよ。俺はお前が好きだから抱きたいと思うんだからなっ!
 お前しか、長谷部しか俺は抱きたくねぇんだからな!」
「…ちょ、藤原声大きいし」
「誰もきいてねぇよ。てか誰もいねぇしこんな時間」
いつのまにか夜だ。公園をか細い外灯が照らしている。
「そういう問題じゃないってば」
ガバッと長谷部を解放して、俺はそのまま長谷部の手を握る。
「え?」
驚く顔の長谷部をぐんぐんと引っ張って公園の奥へと進んだ。
「ちょっと、藤原?どうしたの?」
一直線に俺が向かう先は。

―――公衆、トイレ。

サッと何かを感じ取った長谷部が身を強張らせた。
「ちょ、と、藤原? ね、何処行くの? 藤原ってば」
俺はトイレの入り口でピタリと止まった。
「…今すぐ抱きたい」
「……は?」
俺の言葉にあっけにとられた長谷部の隙を狙って、ぐいっと長谷部を女子トイレへと引き込んだ。
公衆トイレと言っても綺麗に整備されてるし、それほど汚くない。
男子トイレ女子トイレの入り口にそれぞれに個別のドアがついているので人が来れば音で解る。
そもそも、この時間に公園の公衆トイレなんて誰も気やしない。
それでも一応念の為と思って、女子トイレの個室が並ぶ中、一番奥の個室に長谷部を押し込め
俺自身もその中に入り込んだ。
238イサミ×アイ。10:2006/07/29(土) 01:42:17 ID:CB9Yc7C3
「…思ったより狭いな…」
その俺の台詞で、呆然と声も出せずに居た長谷部がやっと意識を取り戻したかのように声をあげた。
「藤原っ、何考え……っ―――」
続きは、唇でふさいだ。舌をねじ込んで、歯列をなぞり、口内を犯す。
怒っているのか始めは応じなかった長谷部の舌も、そのうち徐々に俺の舌に絡んでくる。
ねっとりと唇を味わう。ふっと一瞬離して長谷部をじっと見つめた。
「こんな所でこんな事したいのは、お前だからだ、長谷部」
「そんな事…言われ、て、も」
「…俺は、長谷部が好きだから、抱きたいんだぜ」
狭い場所に長谷部の背中を押し付けて、また強引に唇を奪う。
「…ん、んっ…ん…っ」
何か反論を言いたいのだろうが、長谷部はもう息すらもままならない。
「んぁ…」
やっとまた唇を離して、怒ったような長谷部の視線を俺は全部受け止めて笑った。
本当にイヤならこのまま止めるつもりで、笑った。
さすがにこのまま無理やりしたんじゃケンカの前と進歩が無さ過ぎる。
俺はてっきり怒られて、トイレから出て行く二人を想像してた。
だけど。
俺の笑顔に長谷部の瞳が一瞬揺らいで、直ぐに困ったような顔で微笑んだ。
しょうがないなぁと言う表情で言う。
「……遊園地一緒に行くんだからね?」
「うん…」
「ちゃんとデートしてくれるって約束してね?」
「…ん。する」
「…あたしのこと好き?」
「好きだ」
真っ直ぐに見つめて応えると、ふわりと長谷部が笑った。
「……じゃあ、許す」
そのまま、長谷部が俺に口付けをしてくる。
「ほんとはこんな所じゃぜーーったい、イヤなんだけど!」
そのまま俺にしがみつくように抱きついて耳元で言った。
「……藤原となら、いいよ」
俺はもう我慢出来ずにそのまま長谷部の首筋をきつく吸い上げた。
「んぁっ…」

長谷部の声が酷く甘く聴こえた。
239イサミ×アイ。11:2006/07/29(土) 01:42:56 ID:CB9Yc7C3
制服の下から手を滑り込ませて、そのままブラジャーの下のふくらみを掴む。
しばらく揉みしだいた後、切っ先をギュッとつまむと長谷部が「ん」と息を呑んだ。
声を出さないように頑張ってる姿が酷く可愛い。
「ここ座っちまえよ」
言いながら長谷部を持ち上げて、恐らく荷物を置くだろう壁から突き出た
20センチ弱の棚にちょこんと座らせる。
丁度目と目が合う位置で、思わずクスリと笑みが浮かんだ。
そのままチュッと唇に口付けて、開いた両手で制服とブラジャーを
一気に胸の上まで押し上げた。長谷部の綺麗な胸が露になる。
ツンと尖った先端がまるで俺を誘ってるように見える。
感情のままにパクリと口に含んだ。
「ん…っ」
チュパチュパと硬くなったそれを舌で転がし、存分に楽しみながら
右手を長谷部のそこへと伸ばした。
「……ぁっ」
小さな声が俺の耳に届く。
「…すげぇ、濡れてる」
思わず擦れた声で俺が言うと、言わないで、と小さな声で長谷部が応えた。
笑いながら俺はまた固くなった胸の先端を口に含み、下着の上から敏感な場所を擦る。
口の動きと合わせて徐々に手の動きも早くする。
「ん、ぁ…や、ふじ、わら…っ」
長谷部の手が、俺の袖を強く握る。
パッと胸から口を外して、今度は唇を覆う。
「んっ」
その隙にするりと手を下着の間から滑り込ませた。
チュク、と音が鳴る。
中指を入り口の先端に少しだけ淹れて、焦らすように抜き差しする。
覆っていた唇を離してやると切なげに声を漏らす。
「…や、あっ……」
それからぬるぬるとした愛液を指に絡めとり、長谷部の一番敏感な場所にこすりつけた。
優しくそれでも適度に、指で小刻みに刺激を与え続ける。
徐々に速度を早くしていくと、長谷部の息が上がって行った。
「ん、…ん、んっ。あ…んっ」
俺は唇で長谷部の可愛い胸の先端を軽くかんだ。
途端長谷部が息を呑んだ。
でも直ぐに体中が弛緩して、だらしなく荒い息を吐いた。
くてりと俺の肩に長谷部の顔が乗る。
「……淹れて良い?」
「ん…」
痛いほど反りあがっていた自身を俺は取り出した。
それから長谷部を立たせて、くるっと後ろ向きにさせる。
スカートをたくし上げ、下着は膝位までするりと下ろした。
何処かぼうっとしたままの長谷部に、手をさっき座ってた壁の
出っ張りに置くように指示して俺は長谷部のお尻を掴んだ。
240イサミ×アイ。12:2006/07/29(土) 01:43:44 ID:CB9Yc7C3
「え、ちょ…、と、ふじ……んっ―――ぁあっ!」
抗議の声を聞く前にスブリと、俺自身をテラテラとぬめりきった秘所に一気に差し込んだ。
「…や、べぇ」
いつもと体位が違うせいか、長谷部の中はいつも以上に熱くてきつかった。
我慢できそうになくて、欲望のままに腰を打ち付ける。
「ぁっあ、あっ、あっ」
「はせ、べ、声、聴こえる……」
後ろから覆いかぶさるようにして、耳元で囁く。
「だって…っ」
俺は右手を伸ばして長谷部の口を塞いだ。
「んんっ…」
「わり、ちょっとだけ、我慢……して…」
「………んっ」
更に一層激しく腰を打ち付ける。
時々動きを遅くして、わざと奥を擦り上げるようにすると
膣はぎゅっと更にキツクなった。
「……っ」
息苦しさと、どうにもならない気持ちよさで、長谷部の身体が強張るのが解る。
ふ、とある考えが浮かんで俺はズルッと自身を抜いた。
「…?ふじわら?」
ひどくぼんやりした瞳で此方を見る長谷部にニヤリと笑顔を返す。
俺は便座の蓋を降ろしてその蓋の上に腰を下ろした。
さっきまで長谷部の中で主張していた俺のそれは、テラテラと
長谷部との愛液で濡れて、もっと刺激をくれと更にそそり立っている。
ぼんやりとそんな俺を見つめていた長谷部に小さく笑いかけた。
「来いよ」
「……え?」
「長谷部が自分で淹れるのを見たい…」
俺がはっきりそういうと長谷部がかぁっと顔を真っ赤にした。
「…そんな、こと…」
「出来ない? …なら今日はコレで終わりで帰ろうか?」
帰る気なんてサラサラ無いけど、俺はそう言ってみた。
じっと長谷部を見つめていると何処か諦めたように溜息をついた。
それから何も言わずに、俺ごと便座を跨いだ。
「これ、で良いの?」
恥ずかしそうにしながら両手を俺の肩に置く。
「そう…そのまま、腰、下ろして」
ぬぷ、と音がしそうな様子で、俺のそれがまた長谷部の中に徐々に飲み込まれていく。
でも、その動きがゆっくり過ぎて我慢できそうに無い。
全部入りきる前に俺は腰を動かしていた。
「…ひゃんっ」
行き成り下から打ち付けられて、長谷部の身体が跳ねた。
それからズンと小さく長谷部の重みで俺のそれが深く沈んだ。
241イサミ×アイ。13:2006/07/29(土) 01:44:51 ID:CB9Yc7C3
「…ぁあっ」
長谷部が遠慮がちに小さく喘ぐ。
そのかたちに収まると、高さ的に長谷部の胸が俺の目の前に来た。
右手で乱れた制服を押し上げて、かぷりと、その先端をまた優しく噛む。
「……んんっ」
涙目でよがる長谷部をチラリと見上げて俺は言う。
「……動いて、長谷部」
「…や、あた、し……が?」
困惑のままに長谷部が俺を見つめる。
「動かねぇとずっとこのままだぜ」
俺は笑いながら、レロレロとすっかり硬くなっている先端を舌で弄る。
長谷部はその様子を自分で見下ろして、真っ赤になりながら顔を背ける。
「…ほら」
少しだけ俺が腰を動かしてやると、んっと長谷部が小さく息を呑んだ。
それでも長谷部は頑固にも動こうとしなかった。
―――ったく、ほんと可愛いやつ。
「長谷部…。お願い」
懇願するように俺が優しく微笑むと、顔を背けたままに小さく腰を動かし始めた。
「ん、いいぜ、そう…」
最初はおずおずと動かしていたが、その波に長谷部自身耐えられなくなったように
徐々に動きが激しくなっていく。
俺は、長谷部のお尻を両手で持ってその動きをサポートした。
その拙い動きが逆にすごく感じる。
「すげ、きもち、いい」
「…ぁ…ぁっ、いつもと、ちが、…んんっ。はっ…はっ…」
ズチュズチュと卑猥な音がやけに響いてる気がする。
ぼんやりとしたまま、俺の上で淫らに腰を振る長谷部を見やった。
頬が高潮して、目がとろんとして、ただ繋がってる快感に酔いしれている。
そんな長谷部の顔は酷く、美しくて。酷く―――扇情的だ。
――くそ、顔見ると駄目なんだよな俺。
我慢が―――聞かなくなる。
「やっぱだめ、だ、つかまって、は…せべ」
言うか言わないかのうちに俺は長谷部の腰を抱えて立ちあがっていた。
そのまま長谷部をトイレの壁際に押し付けて、俺は夢中で腰を動かす。
「あ…ぁ…ぁっ!」
行き成り不安定な体制になったせいか、長谷部の膣がキュウッと更に俺を締めつける。
「…うで、首にまわ…して」
擦れた声で必死に俺がそういうと、長谷部は言われたとおりに首に手を回して抱きついてきた。
けど、腰を打ち付けているうちに疲れて時々ずるりと落ちる。
その度に体重が掛かって、俺のそれはいつも以上に長谷部の奥へと突き刺さる。
規則的な中に、時々その不規則な動きが加わって余計に刺激になる。
242イサミ×アイ。14:2006/07/29(土) 01:56:42 ID:CB9Yc7C3
「んぁっ…!んっんんっ………すご、奥まで――ぁっ」
声が大きくなる長谷部の唇を乱暴に塞ぐ。
チュクチュクと舌を交じわせながらも、腰は勝手に意思を持ったように動き続ける。
「ん、ふ…」
俺の流し込む唾液を飲み干しながら、長谷部の舌が絡んで。
小さな唇の端からはだらしなく唾液が零れ落ちる。
「んぁ……ん、ふぅ」
飽きもせず唇をむさぼる。
ふっと唇を離すと、小さく長谷部の唇が震えた。
「ん……?」
俺は輸送をゆっくりとしたものに変える。
はぁ、とうっとりとした声を出しながら長谷部が俺を見つめる。
「……あたしのこと……好、き?」
俺は笑って応えた。
「…ああ、好き…だぜ! めちゃくそ、好き……だっ!!」
言い終わると同時にまた激しく腰を動かして、膣の中をかき回す。
「――んぁっ!!…ぁ…あっ…んんっ……」
「好き、すぎ、て、とまんねぇ……くら、い…だ」
「……ば、かっ……っんんっ」
―――本当は全然。
お前が思う以上に、俺はお前が好きなんだぜ。
ほんと好き過ぎて―――。
たまんねぇ。
パンパングチュグチュと、トイレの中に音が響いて、それが余計に羞恥心を煽る。
「すげ、音…」
「…誰、かきちゃ、うっ……よっ、んぁっ」
長谷部の抗議を激しい動きで封じる。
「……ぁ、ぁ…ぁっ、ふじ、わら、すご、い……っの」
「ああ、俺―――も…だ…めだ…」
時々襲う不規則な動きがもう気持ちよすぎて耐えられそうに無い。
熱を吐き出したくて仕方ない。
荒い息を必死に吐いていると長谷部が小さく笑って必死に言った。
「…んっ、いい、よ……来て…っふじ、わら――っ」
「…ああっ……イク、ぜっ」

ひしっとしがみ付いてくる長谷部の腰をギュッと抱えて
俺は激しく俺自身を突き刺した。
それから、ただ静かに長谷部の熱と俺の熱が交わるのを感じていた。
243イサミ×アイ。15:2006/07/29(土) 01:58:50 ID:CB9Yc7C3
「藤原…?」

抱き合ったまま長谷部が言う。お互いの顔は見えない。
「ん?」
「好きだよ」
「…俺も好きだ…よ。その…ほんとにヤな時はちゃんと言えよな…俺別に怒らねえし」
「……うん。えへへ。……大好きっ!藤原」
「ちょ、ぐえっ!!苦しいっつーの」
「あはははは。よし、じゃあ明日早速デートの予定決めようね」

酷く楽しそうなその声に俺はすごく嬉しくて、なんだか優しい気持ちになった。
―――ああ、これがきっと「幸せ」ってヤツなのかもしれない。
そんな事を思いながら淫らな格好のまま。

二人で無邪気に笑いあった。




終わり。
244222:2006/07/29(土) 02:09:27 ID:CB9Yc7C3
終わります。

なんだか書き進むうちに野外!?と自分でも驚く展開になってしまいww
ヌゲー四苦八苦しましたww 色んな体位が書けて楽しかった。
読んでもらってありがとうございました。
245名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 15:20:24 ID:tbGRW9sj
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
GJGJ!!
246名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:41:48 ID:gHcr6vyj
保守
247名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 08:19:35 ID:qaU/2ZmY
ほしゅ
248名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 21:15:37 ID:ir1XuO03
デコヒーレンス化しながら上げてやらあ
249名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 21:31:29 ID:ntpcLsF/
ほしゅ
250名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 11:42:28 ID:cR7WmW63
ほしゅ
251名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 23:24:37 ID:Dlh6DaKZ
ほしゅ
252名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 08:02:44 ID:JxfmX0wp
hoshu
253名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 18:03:28 ID:Dz65tZgL
ほしゅ…

もう書いてくれる人いないのかな
254名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 08:51:47 ID:5e7OEmnv
hosyu
255保守:2006/09/01(金) 05:29:45 ID:kG+63XtZ
「ミホ、離せよ」
「やーだー、アトリと一緒じゃなきゃいーやーだー」
「ちっ」
 仕方ねえか。
「アトリ? ――んっ」
 とりあえず唇を塞ぐ。いつものことだが、これで大抵ミホはおとなしくなる。
「んん」
 オレはゆっくりとミホの腕を解いた。
「んっ……くちゅ……っ」
「……ッ!」
 舌入れてきやがった。
 反応しちまうだろうが。

256名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:00:36 ID:38gGXYTb
>>255
つづけてー!
257名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 00:57:33 ID:GwxWhUqA
おあずけか…
258名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 09:51:31 ID:8fAFNhUL
ほしゅ
259名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 15:38:45 ID:siM5TpC0
「やめ、てっ、フクロウ……んっ…っぁ」
フクロウの手が無遠慮に服の上から、形の良いアマミクの乳房を揉む。
アマミクは抵抗しようと、壁に押し付けられている両手首を動かすが
その両手首をきつく持っているフクロウの左手はびくともしない。

「やめねぇよ」

笑いながら、フクロウは無理やりアマミクに口付ける。
ねっとりと唇を合わせ、舌を弄び、口内を犯していく。
「ん、ふぅ…んんっ」
唇と離すとつぅっと二人の混ざり合ったものが一筋繋がった。
「お前が、悪いんだぜ?」
挑むようなフクロウの目線に、アマミクはふいっと顔を逸らす。
フンと小さく鼻を鳴らし、フクロウは目の前に来たアマミクの耳にちゅくっと舌を入れた。
「…っや」
悶えるアマミクを横目に、そのまま耳を存分に愛撫する。
それからゆっくりレロレロと舐めながら首筋へと降りて、かぶりつくようにキスをする。
「やっ、だってば……!フク、ロ……んっ」
横顔のままに涙目になっているアマミクを右手で無理やり此方を向かせて
また強引に唇を合わせる。
ちゅく、と音が鳴る。
嫌がり逃げるアマミクの舌を無理やり奪いとり、掠め取り、絡め。
味わう。
「んぁ…はぁ…はぁ」
唇を離すと潤んだ目で睨みつけられる。
「…どういう……つも、りよ…フク、ロウ…」
「ああ?こういうつもりに決まってるだろうが。」
フクロウは無理やりアマミクを隣のベッドに押し倒した。
「や、だ!フクロウってば!!!」
「知らねぇよ…。フクロウなんて男は…」
ギラリとフクロウの目が光り、アマミクは身を凍らせた。
「いやっ」
フクロウに握られた両手首はびくともしない。
その間にもフクロウの右手はするりと服の下から滑り込み、アマミクの肌へと直接触れる。
するすると身体を登るその手の感触にアマミクは身を捩らせた。
そしてあっという間にその手は乳房までたどり着き、その頂点を指で挟んで快感を与える。
「…んんっ」
「感じてんだろ、お前もよぉ」
ニヤっとフクロウは口元を上げる。
「どうして……」
堪えていたアマミクの涙が、静かに頬を伝った。
「どうして?…イサミ……」
イサミ、と名を呼ばれ今度はフクロウが身体を強張らせた。
「イサミ…」
「その名で俺を呼ぶんじゃねぇよ」
フクロウは苛付くようにして、アマミクの服を一気にたくし上げ
真っ白なその肌に唇を這わせた。
260名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 15:41:54 ID:siM5TpC0
「…んっぁ…。やっ。イサ、ミ…誤魔、か、さないで…」
イサミと名を呼ばれてか、ふっと掴まれている両手首のチカラが緩んだ気がした。
ゆっくりと、アマミクは両手を自由にした。
フクロウの手は、離れても追っては来なかった。
アマミクは躊躇うことなく両手をそのまま、自分の胸を愛撫しているフクロウへと向け
優しくそのまま包み込んだ。

「…何か…あったの…?」
「……っ、うる、せぇ…よ」
「ばかね、イサミ。こんな事して…自分傷つけて…」
「黙れよ、アイ」
愛撫していた頂点をチリッと噛んだ。
「んぁっ!!…はぁ…はぁ…」
「お前は俺に抱かれてれば良いんだよ」
フクロウの顔は見えなかった。
でもとても酷い顔でその言葉を言っているんだろう事は判った。
アマミクは、フクロウを思って胸を傷める。
その間にもフクロウはアマミクの下腹部へと手を伸ばす。
「ほら、お前だってもう濡れてんじゃねぇか」
乱暴に弄ぶ。
「んっ……ぁ、や」
「欲しいんだろ、アイ」
「……はぁ…んんっ。バカっ。良い、よ。…イサミならアタシの全部…あげる。
乱暴にして、良いよ…。アタシはフクロウが…。イサミが…好き、だから」
ピタリ、とそこを乱暴に弄っていたフクロウの手が止まった。

「…いさ、み?」
ぼんやりした瞳でフクロウを見ると、泣きそうな瞳と目が合った。
「…ばか、野郎がっ。んな事言うんじゃねぇよ…。…そんな事…。バカ野郎っ!」
「バカはお互い様でしょう…?」
くすりと何処か穏やかにアマミクが笑うと、小さくほんの小さく、フクロウも笑った。
懐かしい、いつかの笑顔で。
「ああ、そうだな…。そうだよな…」
少しだけ哀しそうに呟いて、それから小さく息を吐いた。
「悪かったな。アイ」
「…いいの、もう。ほらちゃんと抱いて…イサミ。途中でなんて止めないで…」
「…ああ、判ってるよ」

フクロウは先程とは打って変わって、ひどく優しく愛撫を開始した。
261名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 15:44:20 ID:siM5TpC0
過疎ップリが哀しいので、保守代わりに書いてみた。
難しいもんだな。読んでくれてありがとう。
262名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 21:54:32 ID:XzrlGT15
GJ!
続きも是非!
263名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 18:17:09 ID:ws49GVHB
ほsy
264名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 20:47:12 ID:JaCqQYaN
ほしゅ
265名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 12:52:52 ID:xtN+t0vx
ほしゅ
266名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 08:22:51 ID:GYadER3t
ほしゅ
267名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 22:53:09 ID:tJ1FC/5F
あげちまうぜ
268名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 23:48:13 ID:nrvd33IK
ほしゅ
269名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 22:01:37 ID:+eQB7MVd
オンリーまでもう少し…
270名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 08:14:14 ID:ksOLBpCz
保守
271名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 13:31:06 ID:y70kNno6










e ro in
272名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 20:34:19 ID:vjUnZU/3
ll
273名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 22:19:24 ID:mJ0/1RsX
保守
274名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 21:57:41 ID:1sTpjzdA
オンリーまであと12日
275名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 22:12:09 ID:V+pM0MXP
NOEIN
276名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 23:45:46 ID:R5QxINuU
保守
277名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 23:57:23 ID:SWBtNlcN
オンリーまであと5日
278名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 08:41:19 ID:m40PhPiS
いよいよ明日
279名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 15:33:54 ID:LMEY/KhS
エロ本買えた?
280名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 03:58:15 ID:esNqvOKu
保守
281名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 21:23:16 ID:4F/hvF66
>>279
何冊かあったよ
全部カラス×ハルカだったけど…
282名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 20:30:56 ID:YT0vb0q5
ユウカワイソス…
283名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 23:01:33 ID:C/CG7fSD
今回はユウが報われてる本が今までの倍以上だと思ってたんだが…


確かにユウ×ハルカのエロは0だったけど、
オンリー前に買った本の大半がユウテラカワイソスだったし
(カラスの引き立て役だったり存在が消されてたり)
284名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 02:30:55 ID:8KeQFYrH
保守代わりに。

女体化はここでは受け付けないか?
トビが女化で書けそうなんだが…
285名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 12:55:16 ID:jl41sxs5
>>284
神ktkr!
俺としては是非お願いしたい!
286名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 22:59:49 ID:Amb7CIBk
ほす
287名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 01:24:13 ID:UdcFsOl/
>>284
そもそもトビが男かどうかって本編で明言されてないような…
288名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 04:06:11 ID:Lg+F6gSh
コサギ陵辱モノが少しだけできたんだが

陵辱モノは投下OKか?
289名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 22:45:14 ID:O0ZtuiLK
>>288
おげ。是非頼む。
290名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 07:42:46 ID:Q1GIUKy1
ほしゅ
291名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 23:04:11 ID:YnN1reVi
保守
292名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 08:18:23 ID:ldpLKFhS
ほす
293名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 22:15:07 ID:EQw2kSvH
保守
294名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 09:22:07 ID:GecTenQ8
288期待保守
295名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 18:14:53 ID:wMs+POx/
オレの見た近似値の時空では、ハルカが小3の頃に熱を出して学校を体み、
放課後ナイトきどりのユウが正座してつきっきりの看病してる。

で、熱で苦しいハルカに熱さましを持ってきてと頼まれ、
まかせとけ! とハルカママを呼びに行くユウ。しかし、特製薬膳おかゆの
煮込みが佳境に入り目のはなせないハルカママは救急箱から坐薬を出すと即
ユウにバトンタッチ。「これ、指であの子のオシリにつっこんでやって」
ハルカママのルーズさに途方に暮れつつも、威勢よくうけあった手前、
なんとか腹を決めハルカのもとへ向うユウ。

「お、お、おしりに入れる薬なんだって」
「うんわかった」
アッサリとふとんをめくりパジャマとパンツを下ろしはじめるハルカに
思わず目を固くつぶるユウ。
「はやくしてよ〜」と促すハルカの声につい目を開けたとたん、
膝を抱え丸くなったハルカのおしりをまともに見てしまいうろたえるユウ。

「さむいよ〜」
ぶるっと体を震わすハルカの数倍激しくガクブルしながら
どうにか坐薬を挿入するのだった。
「うわぁ…ハルカの中、あった(ry
「ユウ、ありがと」

そして6年になってまたもや熱を出したハルカ。
「ユウ、坐薬入れてよ」
「じ、自分で入れろって」
「え〜前は入れてくれたじゃん」
「少しは恥ずかしがれよ!」
「あーほら、ここは手で隠してるから恥ずかしがらなくてもいーよ」
「わっ、ま、早くパンツあげろよ! ていうか恥ずかしいのは
ぼくじゃなくておまえだろっ」
「でもユウ真っ赤だよ」
「いいからお尻もしまえよっ」
「だってここは男の子も同じじゃん。ねえ、さむいよー」
「もう知らないからな!」


「ユウサンキュー。ちゃんと手洗ってね〜」
「ぼくもう帰る!」

母親のルーズさがすっかりうつってしまったハルカだった。
296名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 18:17:12 ID:txASQQWG
>>295
むしろユウに萌えた
297名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 18:27:24 ID:wMs+POx/
過疎スレなのにレス速杉!
298名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 21:36:49 ID:Hb2huAEk
>>295
ハルカ(*´Д`)ハァハァ
ユウ(*゚∀゚)=3 ハァハァ

ハルカママン&295は神か
299名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 10:49:17 ID:eyIPNA1c
ユウが瀧本声から中井声に変わっても、ずっと振り回されっぱなしというか
尻に敷かれ続けるんだろうな…ほろり。
300295:2006/11/30(木) 12:26:19 ID:VQdXZe54
今読み直して思ったが、ハルカが急にマジメに
「ねえ、私病人なんだよ。ちゃんと治療してよ」とか言い出して
反論できなくなる近似値の時空もいいかと思った。
301名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 00:08:37 ID:gKmaQJ1R
ハルカは天然だから普通にやりそうだ・・・・
302名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 01:21:09 ID:KLl12Q3T
ぎょう虫けんさシールもユウに貼ってもらってるな。
303名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 01:43:09 ID:gKmaQJ1R
SSにはできないがこんな妄想ができた。

夜の一間にハルカとアトリでビデオ鑑賞をすることになった設定。
18話でアトリも見たいな的なこといっててそのままシカトされたからお詫び的な感じで。

「藤原から借りてきたんだこのビデオ。夜中に一緒に見ようよ」
とか言ってアトリと二人で見ることになって
当然中身はエロビデオ。
ハルカ「すごーい(天然」
アトリ「これは何をしているの?」
ハルカは食い入るように見て、アトリはボケてるから何をしているのかわからない。
「裸で大変そうだね」とか言ってるアトリ。
変な構図が。

こんな時空どこかにないかな…
304名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 08:57:13 ID:HvRVvLmW
ほしゅ
305名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 23:13:33 ID:y6t0CqKS
保守
306名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 08:00:15 ID:8W1Bh0rf
保守
307名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 00:18:48 ID:2rDSSwRy
保守
308名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 03:37:05 ID:4Qgm052l
一回浮上

ここを落とさせやしねぇよぉー!
309名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 23:26:43 ID:bCcvAMEq
保守
310名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 21:44:02 ID:IL8s+H0P
保守
311名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 22:48:26 ID:3+2TB45K
ミホとアトリがたまらん。

ミホの時空で二人は出会えるんだろうか…
312名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 23:44:17 ID:ZB47ldue
>>311
同意。たまらないな。
出会えるといいな。

そして子作りに励めばいいと思う。
313名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 23:53:01 ID:lUtr7coz
>>311
函館時空ではミホがお姉さんなんだよね
ボランティア先?でアトリの世話を焼くミホは萌えるかも。
314名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 00:18:08 ID:Tvt8Lp3h
世話焼くミホ萌えるな。

こっちの時空のアトリは案外童貞でミホに手取り足取り教えてもらうとか萌えるな
315名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 12:27:01 ID:zgQiQraL
シャングリラ時空のミホ描写が少なくてやきもき。
なんで失明?リリの父親は誰?

ということで誰かミホとアトリのエロを

316名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 16:08:14 ID:aOeDdY5v
ミホはアイママのヤンキーだったころの写真を
カッコイーとべたボメだったので、体目当てで寄ってきたチンピラに
ちょっと優しくされただけでメロメロになったあげく
妊娠したら無残に棄てられて…

と普通なら「この欝妄想厨め」と
言われそうなことも、ラクリマでの不憫なさまを見るとあながち
見当外れとも思えないような。
317名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 17:38:05 ID:Tvt8Lp3h
>>316
確か盲目学校?で夫とであって子供できたんじゃなかったっけ?>ラクリマミホ

ミホとアトリのエロか。アトリ口悪くてもミホ相手なら案外物凄く優しくするんじゃないだろうか。
エロになってもカッコイイのかアトリ…!
未来のミホは巨乳美人だしなぁ。
318名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 19:02:26 ID:zgQiQraL
>盲目学校で夫とであって子供〜
>アトリ口悪くてもミホ相手なら案外物凄く優しく
目頭が熱くなった

だれか書いてくれー
319名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 00:25:01 ID:ZlupAeUx
あげちゃうぞ
320名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 02:31:36 ID:1VNALiUJ
雪絵「トビ君!そのパソコン高かったのよ!」
トビ「ありがとうございます雪絵さん」
雪絵「アトリさん!その服だってお金かかってるのよ!」
アトリ「ありがとう」

雪絵「代金として今日一日私のペットになりなさい!」

な展開も希望。
321名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 21:36:40 ID:cVDi4uOv
>>313
函館時空のミホが同時空のアトリに最初に話しかける言葉は
「わたし、あなたのこと知ってるよ?」
とかなんだろうか。
ありきたりかもしれないが泣ける。
てことで投下待ち。保守。
322名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 21:04:54 ID:NFRVIHyV
今年最後の保守
323名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 01:25:00 ID:psEscOUF
あけましておめでとうございます。
アトミホエロ時空を探してきます。
324名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 09:20:56 ID:4UW2CjPI
誰か
エロ
頼む
325名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 19:37:59 ID:EXuoBKAz
キッズステーション、一挙放送・お疲れさん〜あげ
326名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 14:05:03 ID:Ot41SI7L
エロこないな…

エロくるまで保守代わりに萌えるシチュでも書いていかないか
327名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 15:08:54 ID:URZ0CJsx
www.town.shiriuchi.hokkaido.jp/sight/waraku.htm
函館に近い混浴温泉に子供5人で行くとか…

1話の肝試しの時のノリで女子が言い出し、
混浴のことは伏せたまま現地に到着、
「こ、混浴なんてアリエネエ」とビビるイサミを
アイが「男のくせに裸がはずかしいんだー」と挑発。
すっかり丸くなったユウは「ぼくらまだ子供だし気にしすぎだよ」
と余裕。

…と見せかけて実際に入浴すると
堂々と無邪気にふるまう女子3人に圧倒されすみっこでうつむくユウ、
逆にスケ番からアイを助けた時のように適応力を発揮し
普通に会話してるイサミ。
そして…「せっかく男子のカラダを観察するチャンスなのに
メガネがないから何も見えないのよー! ぷにぷによー!」と
不満そうな子が1人。
328名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 19:09:44 ID:qvbrfwKK
「メガネ取ってくる!!」ミホはそう言って更衣室へ向かう。
「ハルカよりでかいな・・・」うつむきながらも目だけはミホを追うユウ。
「お待たせー」軽やかに向かってくるミホは前を隠そうともしない。
「ちょ・・・ま・・・ありえねー」さすがに真っ赤になるイサミ。
「なに赤くなってんのよ」と面白くないアイ。
「これでよく見えるわー」湯船で談笑する女の子3人。が、しばらくすると
「メガネが曇っちゃってなにも見えなーい」とまたミホ。
「お湯につけると見えるようになるよ」のハルカの一言に「そっかー」とネガネをつける。
「ほんとだー。よく見えるようになったー。さーて、隅から隅まで観察よー」

・・・文章が作れねえ。俺には文才がねえ。
329名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 21:28:29 ID:Ot41SI7L
鼻血でた
330名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 19:32:34 ID:MUTHrNfb
温泉サイトかよw
ミホやばいミホ
331327:2007/01/07(日) 20:00:35 ID:psoBKIBy
>>329

>>327>>328は別人が書いてるんだから
言いだしっぺのおまいも鼻血出してる場合じゃないお。
332名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 21:53:47 ID:QdaGDNIn
>>328
密かにおっきしてるユウ
妹の世話でおにゃのこの裸に慣れてるのでおっきせず済んだイサミ
ハルカは素で、アイは真っ赤になりつつ、ミホは照れつつ
三人とも興味津々でおっきしたユウをいじくり倒す

そんな三人娘を観測するカラス・フクロウ・アトリ
そんなカラスを観測するコサギ
そんなコサギを観測するク(ry

まで読んだ
333名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 09:50:51 ID:XF8cwZx/
>>332
「後藤の反応がさあ、ハルカの時だけ違うのよねー」
「アイも気づいてたぁ。そうなのよ。声なんか出しちゃってイヤラシイ」
「ねえハルカ」ふたりそろってユウを触っているハルカを見る。
「どこが、どう違うのよー」
「それは・・・えっとー」ちょっと困ったようにユウを見るハルカ。
「以前に、『15年後のユウを知りたい』って言ったらカラスが・・・」
「カラス!?」子供たちはハルカを、鳥たちはカラスを一斉に見た。
334326:2007/01/08(月) 14:29:17 ID:0gRdsXee
わかったお。じゃあ続きかくお。言いだしっぺ頑張るお

「いや、ハルカが見たいって言ったんだからしょうがないじゃないか!」焦るカラス。
「お前それは犯罪だぞ!分かってるのか相手は12歳だぞ!」親友を叱咤するフクロウ。何故かアトリは何も言わない。
「…犯罪だったのか…」一人頭を抱えるアトリ。
「…どうしたアトリ」
「うるせぇよさわんじゃねぇ近寄るな殺すぞ」

「でも後藤君の○○○って意外と小さいのねぇ」
ユウショック。
「やっぱり12歳だからかしら。この伸びる皮はなにかなぁ?」
「ミホ、大人の人の見たことあるの?お父さんのとか?」
「アトリと良く一緒にお風呂に入るし〜頭洗ってもらったりするしぃ。アトリこんな皮なかったよ」
「アトリと!?」子供たちはミホを、鳥たちはアトリを一斉に見た。
335名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 16:35:14 ID:2w8A5j+9
流れを無視して別ネタ。

夏休み早朝のラジオ体操にて、
第2の、多くの女子が嫌がる例のガニマタガッツポーズの運動のとき
ハルカ→元気に運動
ミホ→恥ずかしがって脚を揃えたまま運動
アイ→内心恥ずかしいが負けん気が強いのでムキになって運動
ユウ→ハルカの思い切りのよすぎる体操にドキドキ
イサミ→アイに負けじとほとんどしゃがむくらい大げさに運動
336名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 18:00:32 ID:u+orPbUQ
>>335
目に浮かぶなその光景がw

疑問。やっぱりカラス達鳥は童貞なんだろうか。

カラス→童貞
アトリ→童貞
フクロウ→非童貞
トビ→非童貞
コサギ→非処女
クイナ→童貞
イスカ→非童貞

が俺のイメージ。
337名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:22:29 ID:uenSyvna
>>336
カラス→やってるに決まっている。やっててハルカにあれなトコが萌える。
>>334
アトリのいたところでは犯罪じゃなかったんだよ。きっと。
338名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:31:36 ID:N81/oeu5
妹のサラと入浴なら犯罪じゃなかったんだがな。
339名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:39:28 ID:u+orPbUQ
>>338
妹のサラと入浴という感じでミホとも一緒だったんだろうな。
でも所詮は他人だよな…。
>>337
ハルカとやってるのか。なるほど。
てことは俺のイメージの童貞はアトリとクイナだけに…。
340名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:50:21 ID:lkmq2J1k
アトリは妹感覚でも、ミホの女性が目覚めてモジモジしだすとよい
だれか書きたまえ

341名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:52:39 ID:u+orPbUQ
12歳ミホが女性に目覚めるのか

なんてエロいんだ
342名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:53:48 ID:lkmq2J1k


女性というか、アトリを男として見始める感じ 
そういう年頃ではあるだろw
343名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:57:43 ID:N81/oeu5
ミホが先に上がったとたんキモアトリに豹変、
「ムラムラするんだよォ〜!」と猛然と1人フィーバー。
でも一本抜いてスッキリしたらまたきれいなアトリに。
344名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:16:36 ID:uenSyvna
>>343 笑った。空気の抜けた風船みたいにしぼんでいくアトリが見えた。
>>339 もちろんラクリマハルカとだ。
345名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:19:14 ID:lkmq2J1k
「ムラムラするんだよォ〜!」
ワロルww
もうそれでいいやw
346名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:22:59 ID:u+orPbUQ
>>342
そういう年頃か、12歳って。
12歳というより小学〜中学で大きな違いがあるきが…

「ムラムラするんだよォ〜!」おまwwwww
でもキモアトリになってもミホには手を出さないところがいいなw

ミホは普通に振舞っててもアトリには色っぽく見えてしまったり
ムラムラしてしまったりとかで一人で悶々としてるのもいいなw

347名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:55:38 ID:Njvgc7Tz
>>336
個人的にはこうだな

カラス→童貞
ラクリマハルカ→処女
フクロウ→童貞
アマミク→処女
アトリ→非童貞
トビ→非処女
コサギ→処女
クイナ→童貞
イスカ→神聖童帝

ノエインさん→非童貞
シャングリラハルカ→非処女
348名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 22:22:34 ID:u+orPbUQ
>>347
トビ→非処女ってw
349名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:25:38 ID:nzYunF19
>>347
ノエインさんこそ、ハルカとやろうとした矢先に死なれちゃって以来ずっとEDの
多世界童帝ジャマイカ
350名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 00:04:40 ID:DmfypHK5
>>349
ノエイン「ごめん、ハルカ、最後までできなくて・・・」
ハルカ「気にしないでユウ。次があるわ」
しかし、次の前にハルカは死んでしまった。なのにカラスはハルカとやっている。(1度や2度じゃなく)憎い!
ので、カラスをもっともっと苦しめたかった・・・ってのは自分の妄想。
351名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 01:17:31 ID:CvvgIGko
アトリは非童貞…あれか。
レ○プか!?
352名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 09:17:48 ID:aYtn1uzB
ミホはアトリが美味しくいただきました。
353名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 09:53:44 ID:Dsl9pcgc
むしろきれいなアトリがミホに(ry
354名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 11:27:25 ID:CvvgIGko
というかこのスレが少し活発化してくれたようでうれしい。
355名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 21:10:22 ID:DmfypHK5
>>334 の続きを仕事の行き帰りにちと考えてみた。

「アトリ、髪を洗ってくれたのぉ」
「ふむふむ」
「背中も洗ってくれてぇ、背中から抱きしめるようにアトリの腕が伸びてきてぇ、私の胸をさわって言ったの。
『ミホの胸、形はいいけど左がちょっと小さいな』って。
それから二人向き合って座って、アトリが胸を優しく回しながらおまじないをしてくれたわ」
「おまじない???」
「そう。『おっきくなあれ、おっきくなあれ、ミホの胸おっきくなあれ。
おっきくなって左右対称のきれいな形になあれ』ってね」ミホは両手を胸に当てる。
「その後、『今日もたくさん歩いたから足が疲れただろ。リンパマッサージしてやるよ』ってここからここまでこうしてくれた」
そう言ってミホは自分の足の踝からつけ根までアトリのしたようにマネして見せた。
「アトリったら『そこも黴菌がつきやすいからよーく洗うんだぞ』なんて言うの」
ミホは自分の秘部より少し上にそっと手を添える。湯気の向こうでほんのりと朱に染まった姿はわりと色っぽい。
「でもそこって自分で見えないよねー」と素のハルカ。
「でしょう。だから『アトリがやって』って言っちゃった」
・・・ちょうどその頃、アトリはコサギに見事な蹴りをくらっていた。



356名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 23:29:42 ID:CvvgIGko
ミホの無防備ぶりとアトリのおまじないがエロいなw
性的な意味でマッサージとかしようとしてるのか、それとも単純になのか…
萌えたぜ…
>>355まじGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ
357名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 00:46:45 ID:xu1O4I8R
>>355
とてつもなくありがとう 一生愛す
またいいの浮かんだら書いてくれよな!
358名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 01:39:53 ID:8JYDNOnG
>>355
アトリに洗ってもらったことを思い出しなぜか胸が高鳴るミホ。
「うーんもしかして、すごい恥ずかしいことだったのかな…」
顔がだんだん赤くなってきて、おしっこが出るあたりが変な感じがする。
「う〜」
アトリに洗ってもらったとき、変な気持ちになったのと同じだった。
「よくわかんないよぉ…のぼせたかなぁ?」

とかあとから思い出して悶々としてればよい!
359名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:44:35 ID:xu1O4I8R
>>358
そしてそのことをアトリに相談するとよい。

「アトリ〜 あのね。気になることがあるの…」
「気になること?」
「うん、あのね。アトリとね、お風呂いっしょに入るじゃない?そしたら、アトリ、ミホの体洗ってくれるよね?」
「それがどうしたってんだよ?(ヤバイ。ついに怪しまれてしまったか…)」
「そのことハルカ達に言ってたら、すんごい驚いてたの。これってイケナイことなのかなぁ…?」
「べ、別に俺の時空では悪いことじゃなっかったぜ。俺と風呂入るのが嫌なのかよ?」
「ううんっ!あたし、アトリとお風呂入りたいよぉ!
 でも…アトリとお風呂入るとね、あたしの体、変になっちゃうの。」
「変…?」
「今も、思い出すと変になっちゃうの。体が熱くて…」
「ゴ、ゴクリ(おいおいこれは…)」
「お腹の下の方がムズムズしちゃって…って、アトリ大丈夫?お顔赤くなってるよぉ?」
「な、なんでもねぇよ。それで?」
「うん、ムズムズして変なの。くすっぐったいような、おしっこしたくなるような…
 でも、もっともっとアトリに洗って欲しいって思っちゃうの。これって病気かなぁ?」

「…ククククク…」

「…アトリ?」
「ミホ、そりゃ病気なんかじゃねぇよ。風呂入るぞ。答えを教えてやる。」
「う、うん…???」


みたいな
360名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:47:50 ID:8JYDNOnG
俺も仕事帰りに展開を考えてみた。

「貴様、年端もいかない子供に何をしている!」コサギぶちきれ
「うるせぇな、サラにも同じことしてt」
「黙れ!」蹴り続ける。
「羨ましい、…俺もハルカと風呂でスキンシップを」
「カラス、おまえ…」フクロウ哀れみの目

「「「キャーーー」」」
突然ハルカ達の悲鳴が響き渡った。

「な、何が起こった?」
「!?ヒャルカァーーーーーーーーーーーーーー!!!」
カラスが一目散に駆け出した。

ごめんな文才無くて しかもエロくなくて。
続きは次で
361名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:04:07 ID:8JYDNOnG
カラスが駆けつけるとハルカが居ない。
「ハルカ、ハルカはどこだ!?」
ユウに詰め寄る。
「ハ、ハルカは…空中に浮かぶ仮面に連れ去られた…」
「ノエインか!」
「なんかそいつぶつぶつ言ってたよ…『これで童貞を捨てられる』とか」
「俺のハルカが…俺のハルカがぁ」

「ミホ、怪我無ぇか」
「アトリもきてくれたんだ。ちょっとびっくりしたときお尻打っちゃったの」
おしりをアトリに向ける。
「赤くなってない?」
「ちょっと赤いな。」
アトリはそう言うと黒マントで裸のミホを包んだ。
「とりあえずあっちへいくか」
「え?うん?」
そのまま脱衣場へとミホを連れて行った。

コサギはユウの裸を凝視していた。
「これが…カラスの子供の時の…今から教育すれば…ぶつぶつ」
「あ、あの…」
「ぶつぶつ…」
ユウは真っ赤になっていた。

この先は思いつかなかった。すまんw
362名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:07:19 ID:7NTIoViP
>>361を読んで、そうかコサギ×ユウってのもアリだな、と思った
363名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:51:34 ID:pEqOwl4a
>>362
エロはなかったがそういうシチュは見たことがある。
364名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:56:26 ID:8JYDNOnG
>>359
テラGJ。是非続きがきになるところだw
女の喜びを教えられてしまうのか…w
365名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 06:28:12 ID:X1OiwPWX
布団の中で眠りにつくまで>>361の続きを想う…

両足を広げたままだった。あわててユウは足を閉じる。
その姿は女の子のするトンビ座りで両膝の上に両手を乗せて真っ赤なユウを
「かわいい…」とコサギは思った。
「ハルカを助けなきゃ」
はっとしてユウは立ち、コサギの横を通り抜ける。ハルカ達にいじられておっきしたままのとこがコサギの目に留まった。

あ…… 寝ちまった。
366名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 20:24:52 ID:1p8e6yt0
>>365
コサギが乱心して、おっきしたユウのナニの皮を剥いでしまいそうだ。
367名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 20:44:48 ID:LNvR0LAs
トビが女の子だったら、色々と面白そうなんだがなぁ…。

アトリに色々と開発されt
368名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 21:18:08 ID:bos4fJ20
腐女子は…ごめんなさい。
369名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 21:22:42 ID:LNvR0LAs
腐女子じゃないんだがな…この話はダメだったか。すまんな
370名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 22:04:23 ID:g/MRChvn
>>367
トビが女の子だったら…なので問題ないと思う。女の子であの口調。
371名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 01:45:12 ID:JXeZqOD0
え…トビって女の子じゃなかったのか…知らなきゃよかった…
372名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 02:08:35 ID:IBgruvVa
あんなかわいい子が女の子のわけがないじゃないか
373名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 12:34:27 ID:vgZMf9Ku
>>371
男と言い切ってもいない。誰も剥いていないのでトビきゅんの謎のひとつ。
大人になっても胸がぺったんこの女性はいるからどっちもアリでどっちもイイと思う。……待ってるからね。
374名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 22:01:50 ID:w7gWLU56
トビが女の子だったら、アトリに色々されてそうだな。
アトリのことだからかなり酷いことやってそうだ。
375名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 05:09:13 ID:CzWydV+w
>>359の続きを必死に考えてた俺。
でも恥ずかしくてうpできない俺。
376名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 05:33:57 ID:oqyGgnQt
カラスを想いながらユウを夜這い強姦するコサギ。
「これっていけないことなのかな…」
377名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 06:53:52 ID:bBA/LW23
>>375
俺も初めての時はそうだった。ほんのちょっとでもすっげー恥ずかしかった。
でも、勇気を出して上げちまうとGJなんてかえってきた。うれしかったよー。
だから、さあ、おいで、>>375
378359:2007/01/15(月) 10:13:07 ID:kF33e2Ys
>>375
まってるから。私、いつまでもまってるから!!
379名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 18:19:44 ID:ehUcnola
>>340-342 でかなり考えてみた。1週間たったが24行しかできていない。しかもエロなし。(文章もヘタ)
書けねえ!俺にはエロは書けねえ〜。それがわかった。だから、浮かんだら頼む。
380名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 07:06:05 ID:PDwlFI5a
>>379
何も怖がることはないんだよ。
さぁ、投下しよう!
381名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 07:25:22 ID:4ysu8ict
こじろう死ねorzバシバシ
ttp://www.livly.com/mypage.php?uid=28Yz&s=5
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=5337740

● 名 前 ふ み (女性)
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=6643637
● 名 前 なんちゃって 美弥 (女性)
現住所 宮崎県
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=3993695
● 名 前 ☆ どさ兄 ☆ (男性)
現住所 北海道上川郡
誕生日 10月11日
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=5955770
● 名 前 田頭 隆司 (男性)
現住所 大阪府大阪市
誕生日 10月13日
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=4408722
● 名 前 ゆに☆彡 多代 (女性)
現住所 大阪府大阪市
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=5015923
● 名 前 こ じろう (男性)
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=5337740
● 名 前 にこ りん坊 (女性)
現住所 埼玉県
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=5261229
● 名 前 とう ちゃん (男性)
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=4619639
382名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 14:07:08 ID:CXewJybQ
長い話を書いてる最中なんだけど
別でくだらないのが出来たので投下してみる↓
383名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 14:07:50 ID:CXewJybQ
トビ 「早速だけど計測会を始めてみようか」
イサミ「ハーイ!俺トップバッター」
トビ 「OK、イサミ君からね」
イサミ「はぁはぁ……んっあぁっやべぇもう出る!」
トビ 「どれどれ……飛距離32cmっと。やっぱり若って元気だよね。じゃ次はユウ君」
ユウ 「えっ!?でも…」
イサミ「あぁ〜無理無理。ユウはまだしたことないから」
カラス「そうなのか」
アトリ「まだとはな」
ユウ 「……」
トビ 「皆からかっちゃダメだよ。何事も挑戦することが大事なんだから。ね?」
ユウ 「うん……」
トビ 「ここ持って、こう動かすんだよ」
ユウ 「んぁなんか変……ぁあダメっぁああ!」
トビ 「……落ち込まないで。最初よくわからないもんだもん。一応記録は0cmね」
アトリ「プッ。所詮カラスだな」
カラス「俺じゃない」
ユウ 「なんだよ、お前は俺だとか言ってたくせに!」
トビ 「ハイハイ喧嘩しない。次はアトリの番」
アトリ「お前らとの違いを見せてやるぜ!んぉ……ぁぁあああィイクぞぉぉっ!!」
トビ 「おぉ!これは……まさかの1m超え。さすがアトリ、ミホちゃん泣かせてるだけあるね」
イサミ「すげぇ」
ユウ 「……」
トビ 「今のとこ一番はアトリか。それじゃ最後はカラス」
カラス「………………………っっ!!」
トビ 「大変!誰か双眼鏡持ってきて!」
イサミ「あ、あぁ、ありえねぇぇぇ!」
アトリ「チッ」
トビ 「これは測定不可能だなぁ」
ユウ 「スゴい……」


ハルカ「ところでさっきから皆何してるの?」
384名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 19:18:51 ID:39UGP0mO
>>383
すごい笑ったwwwwテラGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ
俺も何か考えないとwwwww
385名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 19:30:33 ID:bWYBXuAx
>>383
あのお、私一応女なんで経験ないんですけど、これって絵を描いたり、字を書いたりもしませんか?
5行目まで読んだ時、みんな一列に並んでそれをしている姿を想像してめっちゃ笑ったんだけど……。
386名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 21:45:07 ID:dvTsRGGG
>383
正直に言おう
ユウに萌えた(*´Д`)ハァハァ
387375:2007/01/19(金) 00:30:53 ID:aEjGNZc3
湯船の中で。ミホは真っ赤になって俯いている。
「どうしたんだよ」
「なんか急に恥ずかしくなっちゃって…」
「恥ずかしいなら別にいいぞ」
「え…」
「どうすんだよ」
「う…」
「はっきりしねぇなぁ」
「…」
「洗って欲しいなら頼めよ。俺は頼まれるまでやらねーから」
「………って」
「はっきり言えって」
「………洗って」
「…ククク…」

「ほら、身体洗ってやったぞ」
「う、うん」
「もう洗って欲しいところは無いか?」
「まだ、ここ洗ってもらってない…」
そういいながら秘部の上にそっと手を添える。
「そうだな、そこも綺麗にしなきゃいけねぇな」
388375:2007/01/19(金) 00:32:33 ID:aEjGNZc3
最初はくすぐったがっていたけど、段々色気のある声に変わってくる。
「アトリ、アトリぃ…」
「どうした」
「おしっこ、出そう」涙目で訴える。
「出せばいいじゃねぇか」
「やだ、汚いよぉ。洗ってもらってるのに。アトリの手汚れちゃう」
「汚くねぇよ」
「あっ、あっ…なんかきちゃうよ…」
「おら、もっと力抜けよ。気持ちいいだろ?」
「きもちいい…あうっ、だめ、出ちゃうおしっこ出ちゃう!」
「我慢するな」
「やだやだやだ、あああああああっ」そのままお漏らししつつイっちゃうミホ。

「う、う、う…」
「湯かければ綺麗になる…って」
「うわあーーーん!」
「おい、泣くなよ」
「だって、だってぇ〜〜!!何か怖かったんだもん!!うわぁーーん!!!」
「あーわかったわかった…悪かったな」
「ひっく、ひっく、ぐすっ」
ミホを抱きしめて泣き止むまで頭ポンポン。
389名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 05:49:46 ID:orKHXO9c
>>387-388
続き!続きは!!?
390名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 06:05:44 ID:orKHXO9c
↑そう思ってしまうくらい想像して萌えた。いじわるだなあアトリ。優しいなあアトリ。
……ミホ、ウラヤマシ…… 良かったよー。
391名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:03:53 ID:AnSsFIxy
上の職人さまの続きでは無くて申し訳ないけど
>>383の続きを
変なとこは適度な脳内変換でヨロ



トビ「さて、今回はペアで対決しよう思ってゲストを呼んでおいたよ」
アイ「お邪魔しまーす」
ミホ「こうゆうのってワクワクするわ♪縄縛りとか鞭打ちとか色々興味あるのぉ〜」
トビ「いやいや、そんなヘビーな事はやらないから」
ミホ「じゃ何するの?スカトロ系は絶対いやよぉ」
ハルカ「スカトロって?おいしいの?」
アイ「ちょ、ちょっとハルカ!どこまで天然ちゃんなのよ。中トロや大トロじゃないんだから」
イサミ「そうそう、マグロだったらユウみたいなヤツを言うんだぜ」
ユウ「変な事言うなよ!って言うかなんで僕がマグロなんだ?それ魚じゃんか」
カラス「おい。だいぶ話がずれてるようだが」
トビ「そうだね、話を戻そう。ルールは簡単だよ。パートナーの協力でどれだけ短時間に終わるかってこと」
イサミ「なるほど、早いと勝ちってことな」
トビ「うん。じゃまずはイサミくん達から」
アイ「もう、藤原じゃなきゃこんなこと絶対にしないんだから……はぁむ……んぐっ」
イサミ「うぁっ!口の中で舌がっ……マジでヤバいって!あぁっでる!」
トビ「3分26秒っと、これはなかなかの好タイム。やっぱり10代は勢いも張りも違うよね。じゃ次はユウと……」
ユウ「ハルカ!?」
カラス「いや、ハルカは俺と」
ユウ「なんでそうなるんだよ!」
カラス「考えてみろ。ハルカ以外に俺と合う組み合わせがあるか?」
トビ「確かにここにいる中ではないかもね」
ユウ「それは僕も同じじゃないか」
イサミ「でもユウはマグロだしな」
ユウ「だからマグロってなんだよ……?」
トビ「う〜ん。ならボクが相手するっていうのはどう?」
ユウ「トビって男じゃないの!?いつもボクって言ってるのに」
トビ「その件についてはね、視聴者の皆様のご想像にお任せしますってことなんだ」
カラス「良かったな。相手が見つかって」
ユウ「ちょっと!」
トビ「大丈夫、大丈夫。怖くないよ。優しくしてあげるから……」
ユウ「そういぅっ問題じゃ……なぃんん!ダメだぁってばぁああ!」
392名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:05:01 ID:AnSsFIxy
イサミ「あちゃー」
アトリ「早すぎるな」
ミホ「これは早漏って言うものねぇ♪」
ハルカ「ソーローってなに?」
アイ「ハルカは知らない方が良いかも」
イサミ「ところでタイムは?」
トビ「それがね、計る間もなかったから。とりあえず暫定一位ってことで、深く追求するのは止めておこうよ」
ユウ「……」
ミホ「じゃぁ〜次はいよいよアタシ達の出番だわ♪行くわよ、アトリ、じゅるぅぅぅ!!」
アイ「うわぁーミホすごい」
イサミ「あ、ありえねぇ!あんなの兄ちゃんの秘蔵コレクションでもみた事ねぇよ」
ハルカ「なんだろう、うどん食べてる音?平打麺?極太麺かなぁ?」
ミホ「チュルチュるぅぅ!!」
アトリ「ぁあ吸ぃ過ぎぃっ……」
ミホ「んじゅ!ジュプププ!!」
アトリ「痛っぅおぉぉぉ!」
ミホ「電撃ドュリィルゥゥ!!」
アトリ「あぁっっおぅ!ひぃぃ──!」
アイ「ミホ本当すごーい、でもちょっと長くない?」
トビ「えーっと、もう30分近く経ったかな」
イサミ「もしかして遅漏なんじゃねぇか?」
ユウ「ちろ?」
ハルカ「チロゥチョコ?」
アイ「ハルカ、あんたさっきからお腹空いてるでしょ。思考が片寄りすぎ」
トビ「それにしてもどうしよう。さすがに仕方ないかな、30分越えたもん。タイムオーバーそこまで!」
ミホ「ひどぃぃ……アタシがんばったのに!アトリのバカァァァ!」
イサミ「あぁー泣かせた」
アトリ「でもな、そもそもミホが強くしすぎ……」
アイ「サイっテー!責任転嫁するつもり?まったく、なんで男って自分勝手なの!」
アトリ「なんでだ。俺だけのせいかよ……ケッ」
トビ「ハイハイふてくされないの。ほら、仲直りして皆楽しくいこうよ」
アトリ「…………悪かった」
ミホ「……アタシを……アタシを泣かしたら許さないんだからぁ!絶対リベンジするわぁ」
アトリ「頼むから止めてくれ」
カラス「まったく人騒がせだな」
トビ「お待たせしてごめんね、カラス。それでは前回チャンピオンのカラスとハルカで」
393名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:05:45 ID:AnSsFIxy
ハルカ「??????????????パクッ」
カラス「んっっ!!!」
アイ「えぇ!?何よあれ!」
イサミ「ち、ちょ、超ありえねぇぇぇ!!チ○コの根元が光ったぁぁ!」
ミホ「きゃー♪神秘だわ!魔法だわ!」
トビ「あの輪ってもしかして……」
アトリ「竜のトルクか」
トビ「スゴいや!先端部分だけ未来の時空に移動したみたいだ。一瞬過ぎてちゃんと確認出来なかったけど、カラス組の勝利は確定だね」

ハルカ「ゴクッ。ごちそうさま」
394375:2007/01/19(金) 19:55:56 ID:aEjGNZc3
>>391
チ○コの根元が光るとかマジわらたw龍のトルクすげぇw

>>389
続き今頑張って考えてみる。
ほかの人も続きがあれば流れとか俺の続きなんて気にしないで投下してくれw
未来は無限に分岐するからな!
395名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 11:16:02 ID:BjhKHhIo
昨日のうちに色々と…みんなGjだぜ…
396名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 17:40:40 ID:TLfI20/p
色々wktkしながらいったん浮上
397名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 18:04:40 ID:aPWEEYnc
文章作るって難しいなあ。難産中だわ。エロのかけらもねえし困ったぞ。上げられねえ。
398名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 20:10:11 ID:GJ/vn91i
>>397
エロなしでも萌えるなら俺は歓迎だ。
399名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 20:12:13 ID:AMznzlFz
スレが止まっている

おわらせやしねぇよ
400名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 08:48:31 ID:CcFxBhxo
保守!
401ほんのりミホアト 1:2007/01/27(土) 19:08:02 ID:AnTHYVQx
……まさか自分が書く側に回るとは……
何もかも初めてづくし。稚拙な所は大目に見て、足らない所は脳内変換でよろしくお願いします。



ハルカの家に下宿しているアトリは、とても高くて、とても細くて、見た目は大人そのものだった。
だけどやること成すこと子供っぽくてミホの目にはちょっと頼りなく映る。
「私たちを助けてくれたんだよ」とハルカは言う。自分との約束通り、みんなを守ってくれたのだと。
「強そうには見えないけどなぁ」隣でポテチを食べているアトリを見ると、ミホは本当にそう思う。
「またこぼしてるよ、アトリぃ」お兄ちゃんというよりは手のかかる弟みたいと。

アトリと初めて会った時、ミホはいきなり抱きつかれた。
「妹と間違えたんだ」と一緒にいたトビが言った。「アトリはずっと探している」
それから二人はハルカの家に下宿するようになった。トビは調べものがあると言ってずっとパソコンを叩いて
いたが、アトリはいつも遊んでくれる。森へ行こうよ、散歩しようよ――どんな誘いも断らなかった。
いつも「それもいいね」と言って隣にいてくれた。
ミホはそれが嬉しくて、兄の様でも、弟の様でもあるアトリを、だんだん好きになっていった。

ある日の午後、この日はみんな予定があってアトリと二人だけだった。何処へ行くでもなくぷらぷら散歩、
あっちへこっちへと寄り道をする。
「なんかデートみたいだね」とミホが言う。「デートなんだから腕、組んでもいい?」
言いながらアトリの左腕にからませる。ふくらんだ右胸がトンッと当たった。
高台の方へ歩いていくと眼下に海が見えた。「きれいだねー」とミホが言うと「そうだね」と返ってくるはず
だった。けれどアトリの言葉は無くて替わりに肩をつかまれた。アトリの両手がミホの両肩をつかみ、
アトリの指に力が入る。
長い爪の先が少し、ミホの肩にくい込んだ。ちょっと痛かったのでアトリに文句を言おうとしたその時、
緊張で張り詰めた声が聞こえた。
「ミホ」
聞いたことのない声だった。今まで聞いたどのアトリの声よりも低い声。はっきりとした男の声。
「守ってやる。必ず」
ドキッとして顔を上げるとアトリの横顔があった。凝視するように海を見つめる目には揺るぎない決意が見えた。
再びアトリの指に力がこもる。痛かったがミホは何も言えなかった。
402ほんのりミホアト 2:2007/01/27(土) 19:10:42 ID:AnTHYVQx
次の日。いつものようにハルカの家。この日は夏休みの宿題をすることになってハルカの部屋に集まった。
「ユウ、そっちのも見せてくれよな」
「イサミぃ、自力でやらないと自分のためにならないよ」
「そうよ藤原、サッカー選手は頭が良くないといけないんだからね」
「お待たせー、麦茶持ってきたよー。ユウ、配って」
「またかよー」
あはははーと笑い声が起きる。ユウとイサミはハルカの机、女子三人は簡易テーブルを出して宿題をしている。
ちらっとミホがアトリを見ると、慈しむ様な眼差しでみんなを見ていた。
「アトリ……あんな表情もするんだ……」
いつもはアトリの隣にべったりで、話す時は目と目を合わせていたので、盗み見るようにアトリを見たことは
なかった。だから知らないアトリを知ったみたいでポワッと心が嬉しかった。
「あーん、全然わかんなーい。ぷにぷによー」
癇癪を起こし出した頃、肩越しにアトリの右手が出てきてミホはドキッとした。
「ここが違っている。だから答えが合わないんだ」
アトリの指が算数の問題を指す。綺麗な指。アトリが何か説明みたいなことをしてくれたけど、ほとんど聞いて
おらず、ただ指を見ていた。
「……だから答えはこう。ミホ、解った?」
「え!?」しまった。聞いていない。でもバレたくない。
「う……うん……。あー、なんか疲れちゃったー。ちょっと休憩したーい」話題を逸らした。
そうだ、そうだとイサミが言う。しょうがないなあとユウが麦茶とお菓子を配る。テーブルの上を片付けて
アトリがミホの隣に座った。肩が触れたのでミホは少し距離を置いた。アトリがちょっと残念そうな顔をした、
とミホは思った。
「あーん、わたしのバカバカー。アトリに変に思われちゃったよー」
アトリが隣にいることがとても緊張する。鼓動が速くなって、掌に汗をかいちゃって、落ち着かない。
離れたいと思う。側にいたいと思う。
「なんなのよーもうー」
この日ミホはいつもより口数が少なかった。

夕方、アトリはみんなを送ってくれた。ミホの家が一番離れているので最後は二人きりになった。
いつもならほとんど一方的にミホが話しているのだが、この日は無言でとぼとぼと歩いていた。
「……ミホ……」気遣うようにアトリが声をかけるとミホの心は少し踊った。
「どうしたの?今日のミホ、元気ないよ」そう言ってミホの顔を覗き込む。アトリの顔が間近に迫って
ミホの顔が赤くなる。
「……やだ……」赤くなるのを見られたくなくて顔を伏せる。するともっと覗き込むようにアトリの顔が迫って
きたので見られないように膝を抱えて蹲った。
「……お腹、痛いの?」違っていたがコクンと頷く。
「なら、おんぶして行ってあげる」そう言ってアトリは背中を向けてしゃがんだ。
ミホはかなり躊躇した。今までなら「あーん、アトリー歩くの疲れたー。おんぶしてー」と平気でできたのに
どうして今日はできないんだろう。どうして?どうして?
「ほら」と誘うようにアトリが言う。
「背中なら顔見えないよね……」自分に言い聞かせてアトリの背にしがみつき両腕をアトリの胸に垂らす。
ミホの両胸がキュッと押さえられたので恥ずかしくてとっさに離れようとする。
しかしアトリは既にミホの両足を抱え込み立ち上がろうとしていたので止めて、両手をアトリの胸の前で組んだ。
熱い。顔も、手も、胸も、足も……アトリに触れているところは全て熱かった。
「ミホ、いつもより熱いよ。熱があるのかもしれないね」とアトリが言うので「うん」と小さくミホは言った。
403ほんのりミホアト 3:2007/01/27(土) 19:14:54 ID:AnTHYVQx
「――最近、アトリといるとなんかぎこちないなぁ……」自分の部屋でミホはひとつ溜息をついた。
「昨日はネイルアートごっごをしてて――」アトリの爪に水性ペンで色を塗るのをそう呼んでいた。
初めてした時「きれいだねー」とすごく喜んでくれたので以来、何回かしていた。
「――ドキドキし過ぎてすっごく時間かかっちゃったし。今日は――」
夏といえば花火。花火といえば浴衣。という訳でハルカの家に浴衣姿で集まった。
トビは「カラスと調べることがあるから……」とミホの持っているモノを見るとそそくさと行ってしまった。
「せっかくわたしの浴衣持ってきたのにー。似合うと思ったのにいぃ」
アトリの方はと言うと喜んで着てくれた。父親のだったから丈は随分と短かかったけど、ミホはちょっと見とれ
ていた。
和気藹々と花火をした後、アトリは皆を送っていく。二人きりになるとミホは小走りにアトリの前を歩き出す。
「ミホ」自分の持ってきた荷物を持ってアトリが後から追って来るのがわかる。
「暗いからゆっくり歩かないと危ないよ」そう言いながらミホの左腕を掴んだ。
その途端、ミホの身体は引き寄せられ、アトリの左腕がミホの腰に回る。片手で抱きかかえられる形で
ミホはアトリの胸に収まった。
「……アトリ……?」期待で一杯になりながらアトリの顔を見上げるとあの顔があった。闇夜の向こうの、
見えるはずのない海の方を、じっと見ている。何かの存在を確かめるようなあの時の目。
「アトリ――」不安になってきたミホは口を開く。
「この間もそんな顔をした――海の方を見つめて――ねえアトリ、なにか来るの??」
「なにも来ねぇよ」
そう言ったアトリの声を聞いて今までのアトリと違うと思った。『来ねぇ』と言いながらミホをもっと抱き寄せる。
それは何があっても守ってやると言ってくれているようで、とてもとても嬉しかった。
ドキドキはするけれど、大きなものに包まれている安心感。
『アトリが守ってくれた』というハルカの言葉も今なら信じられる。
「アトリ……」そっと名前を口にする。
あの後、「なーんもねぇよ」と優しく笑い、ひとつに束ねてアップになったミホの髪をくしゃくしゃっとした。
それからピンを外して髪を下ろすと「あまり子供を行き急ぐなよ」と言って帰っていった。
404ほんのりミホアト 4:2007/01/27(土) 19:17:29 ID:AnTHYVQx
アトリを好きなこの気持ちは恋だ!!とミホは決めた。「だってアトリといるとドキドキするし、真っ赤になるし、
気がつくと目で追ってるし、アトリのことばっか考えてるし、それに――」
――アトリとキスしたい――と思う。
「……いやーんもう、そんな…はずかしいぃ…アトリとなんて…キャー、うれしい……もう…どうしよう…」
自分の部屋で、ちょっと大きめのぬいぐるみを抱きしめたり、左右に振ったり、叩いたり、いろいろした後
ぎゅっと抱きしめてぽつりと言う。
「…アトリにキスして欲しいな…」
アトリは自分のこと、どんな風に思ってくれているのだろう……。わたしはアトリに触れたいし、キスしたいし、
アトリに触れて欲しいし、それ以上のこともして欲しいと思うけど、アトリはどうなんだろう……。
大切にされているのは解る。みんなの中では特別にしてくれているのも解る。妹の代わりかもと不安になって
訊いてみたら「お前をサラと間違えたのは1度だけだ」と言ってくれた。だからきっと、ちゃんとわたしを見て
くれていると思う。妹扱いされていないと思う。でも、でも……。
「――アトリの気持ちわからないよ――」
――キスしたらわかるのかな?――
――わたしの方からキスしたらアトリちょっと驚いて……それでもいやな顔はしなくて少し照れて『先を越され
たな』なんて言ってそれからアトリの方からキスしてくれて唇が首筋を下りていって優しく胸を揉み始めてその
手も下に下りていって名前を知らないあそこに指を入れてくれて胸もだけどそこも触ったりするとすごく気持ち
がよくなるっていうからわたしが『あっ……』なんて声を出すともっと気持ちよくなることをしてくれて――
主に少女マンガから得たシーンを自分とアトリに置き換えて妄想する。しながら本当かな?とちょっと興味も湧
いてくる。
「ちょっと…触ってみようかな…」
右手の人差し指を左胸の乳首の上で小さな円を画く様に回す。服があるとはいえ感じたことのない刺激があった。
もっとはっきり感じたかったので右胸も左と同時にやってみる。摘んだり弾いたりすると、さらに強く感じ、
その上内股の、足の付け根の辺りを痺れるような感覚がじわじわと上がってくる。
名を知らぬあそこが呼んでいるようだ。
確かに気持ちがいい。けれど「だめっ!!」とミホは自分を制した。
「アトリなんだから。そこを最初に触るのはアトリなんだからぁ」
下に行きそうな自分の手を叱るようにミホは自分に言い含めた。

それからお風呂に入ってベッドに仰向けにはなったがなかなか眠れない。本当にキスしちゃおうか、
するなら早い方がいいかな、アトリの反応は怖いけど、アトリの反応を知りたいよう。
ぐるぐる、ぐるぐると色んなことが頭の中を駆け巡る。
最近のアトリはかっこいい時があるから困ってしまう。態度も言葉遣いも違うし、なんか男の人って感じがする。
かと思うと澄んだ目で見つめたり、素直に感動したり、無邪気だったり子供っぽかったりもする。
どっちのアトリも好きだけど、キスをする時は大人っぽいのがいいな。だって何でも知ってそうじゃない。
知って――――

――「アトリは記憶を失っている」 「アトリの記憶は混乱している」――

ふいにトビの言葉が浮かんだ。
そうだ。アトリは記憶を失っている。本当は22歳の大人なんだ。
もしかしたらアトリ、思い出してきているんじゃ……。
――そういえば誰か言ってなかったっけ……ううん、見たか聞いたかしたのかな……
記憶を失っていた人が記憶を取り戻した時、記憶を失っていた時のことを忘れてしまうって――
じゃあ、記憶を取り戻しつつあるのならわたしのことを忘れて行っているってこと??

そんなのはいやだと心が叫ぶ。

わたしにはアトリだけなのに。ハルカにはユウが、アイにはイサミがいるけれど、
わたしにはアトリしかいないのに――

寂しい、とミホは感じた。寂しい、寂しい、寂しい、寂しい――

――お願い。アトリを取らないで――

そう願いながらミホはいつまでも泣いていた。
405ほんのりミホアト 5:2007/01/27(土) 19:22:18 ID:AnTHYVQx
ひとしきり泣いたので『解らん先の事より目先の恋』と思えるようになった。
「アグネス山田の恋愛占いでは今日が恋愛運最高の日。キスをするなら今日よ。今日」
――という訳でアトリと二人きりになり、誰もいないのを確かめて、人の来そうにない所で決行する。
「ねえ、アトリぃ」甘えた声を作る。
「わたしはアトリが好き。アトリはわたしのこと好きかなぁ?」
返事は決まっていた。もちろん「好きだよ」とアトリは笑顔で言った。
ミホもニコッとして、自分の方に顔を近づけてとアトリに手で合図をする。
鼻先が触れる程近くに来ると背伸びをしてアトリの唇に自分の唇をくっつけた。
ちょっと驚いた様なアトリを見てもう一度口付ける。今度は自分の舌をアトリの口の中に入れてみた。
でも、どうしていいか解らなかったのでアトリの舌をちょんっと押しただけですぐに離れた。
――心臓が爆発しそう。顔から湯気が出そう。
「わたしの好きってのはね、アトリとキスしたいとか、それ以上のことをしたいとか、触れて欲しいとか……
あーんなことや…こんなことをして欲しいっていう…好き…なんだ…か…ら……」
だんだん声が小さくなる。小さくなるとミホの頭も下がっていって今は足元しか見えない。
どうしよう…。言っちゃったよアトリ。わたしの好きがどんな好きか解ってくれたかな?
でもアトリの好きはきっとわたしのとは違うんだろうな。わたしが子供だからとか、12歳じゃまだ早い
とか理由を付けて断られるんだろうな。でも、わたし生理あるからちょっとは大人だもん。
ねえ…アトリ…黙ってないで何か言って。何でもいいから答えて。

祈るように返事を待つ。だけどアトリから返ってくるのは沈黙だけだった。
どのくらい待ったのか。言葉で聞けないのならせめて表情だけでもと思い、恐る恐るゆっくりと顔を上げる。
すると、目の前でミホを見下ろしていたアトリと視線が合った。
「……アトリ……」
ミホが何かを言おうとするとアトリの右目がギョロリと剥いた。
冷ややかな笑みを浮かべてミホの方へ一歩踏み出す。

ミホの背中が怖いと言った。

それからアトリは短く笑うと、乱暴にミホの顎を持ち上げた。





406名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 20:15:05 ID:3HSVvclI
>>401
萌え死ぬ
407名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 22:43:08 ID:33Ocv0FX
>401-405
萌えつきた…
お前、HP作れよ!!まじで続き読みたい!!!
408名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 22:43:57 ID:33Ocv0FX
ごめんあげっちった…
409名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 00:27:05 ID:9evjHsg9
うれしはずかしさのあまり悶えてしまってなかなか読みすすめない。
410名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 00:47:15 ID:/AzpFwLW
>>409
俺も。最後の部分だけ見ただけで悶絶した。
読み終わるのがもったいない
411401〜405:2007/01/28(日) 15:20:59 ID:MBCycXTd
>>379 で「エロ書けねー」といったら「何も怖がることはないんだよ」といわれて続ける事が出来た。
ラストの一文は決まっていたのでそれに向かって突き進んだ。しかし文字にするって本当に難しいね。
でもいろいろ考えている時は楽しかったよ。これは『萌えるシチュでも…』のレスから自分の中に出てきたモノ。
なんとか形にする事が出来て恥ずかしながらも嬉しかった。読んで頂きありがとうございました。
412名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 22:16:37 ID:oTkeXP2V
>>411
良いもの読ませてもらった。テラGJ!!

413名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 20:33:24 ID:wSk85zfM
>>411
お疲れ様!本当に良いものだった。感謝する!
414名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 21:40:21 ID:bcHFvDss
色々と萌えるシチュでも書いていけば
文神が降臨する確率が増えるかも知れんな
415名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 22:59:28 ID:LCZXTnIB
>>414
漠然としたものが見えてきて繋がっていくみたいだな。
エロシーンを入れなきゃと思うとしんどいが、匂わす程度ならなんとか……なるのか?俺??
まあ、誰にでも降りる可能性はある訳で……
416名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 23:50:00 ID:QZBpOCw+
GJ
417名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 02:58:12 ID:W68odJ6Y
俺の見た近似値の時空では

ハルカとユウが小4の頃からセクロスしまくってて、
6年の現在ではもうエロい雰囲気とかイチャイチャラブラブとか
ギシアン(;´Д`)ハァハァとか「しようか」「うん」みたいなやりとりを超越して

お互いの部屋にいるときはピストンするわけでもなく常に挿入しっぱなしで
いっしょにDVDみたり宿題したりおかしの奪い合いしたりケンカしたり
しかもいちいち避妊するのが面倒だからとアナルオンリー。

と、いきつくとこまでいってしまっている。
418名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 21:26:37 ID:uCbQLH1B
俺の時空なんて、
アトリとミホが常にイチャイチャベタベタちゅぱちゅぱしてるうえに
イサミとアイがそれを見て俺達もしようかみたいな感じになってるぞ
419名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 18:50:32 ID:l9YkUeOE
>>417 >>418
その時空を一部でもいいから出してみないかい?
420名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 00:04:58 ID:CoMrqkem
こんなのが出てきた
内田 「郡山さん、この車は禁煙だって言ったじゃないですか」
郡山 「口が寂しくてねえ」
内田 「私だって下の口が寂しいけど我慢してるんですよ。少しは協力してください」
郡山 「…………?――!!」
内田 「もうっ、なんでそこでスパーンと返さなくて間を置くんですか。遅すぎです!」
郡山 「んじゃ、今夜にでも早速……」
内田 「遅いって言ってんでしょ!!ったく、これだからおやじは――。
    いいですか郡山さん。ボケとツッコミはテンポが大事なんです。ポンと来たらポンと返す――」

夫婦漫才の道は遥かに遠い。
421名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 13:29:37 ID:O1tvfHW4
>>420
車内でその会話をしてる2人の姿が即座に思い浮かんだ。GJ
422名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 18:50:56 ID:CoMrqkem
こんなんも出てきた 


「……やだ……アトリ…そんなとこ…触っちゃ…くすぐったいぃぃー ――やっ!!いや、そこ、押さないで……ああっっ
 だめっ…そこ、グリグリだめーっっ! ……んっ… 下から…上に……あがって――うっ
 痛いー!!い、痛い!痛いー!!アトリ痛いよー」
「ったく!!お前の足、パンパンじゃねえか!!」

台湾式足裏マッサージをミホにしているアトリは、そう言って脹脛のリンパを押し上げた。
423名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 20:30:12 ID:c228RNOf
>>422
わらたwww
いいおにいちゃんだなw
424名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 17:39:45 ID:8WkrpJv2
>>422
うはw素敵ww
425名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 20:29:40 ID:CcFxBhxo
俺の時空だと、ハルカは悪女なんだ…

ミホとケンカした腹いせにアトリをry
気に入らないことがあれば家主の権限でトビをry
426名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 22:15:43 ID:rCTlAgrS
>>425 例えばこんな風にか?

「…んっっもう!ミホったら腹が立つ。何かで腹いせを――コサギ姐さんお願いします」

「…んっっもう!トビのパソコンったら電気代が膨大――雪恵先生、犯っちゃって下さい」
 
427名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 22:35:50 ID:CcFxBhxo
>>426
違うんだ。ハルカは悪女な上に痴女なんだ
428名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 20:01:56 ID:OOqbcpXI
>>427
小説なんて呼べるものじゃないが、
ちょっとネタが浮かんだぞ。ハルカ×アトリで。
ここで投下するのに皆に質問。

ハルカにいじめられるのは記憶喪失ボケアトリ、お兄ちゃんアトリどっちがいいか教えてくれ。
429名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 21:16:29 ID:DEn6qyRA
>>428
記憶喪失ボケアトリでネタを作っているのでお兄ちゃんアトリがいい。
430悪女ハルカ×兄アトリ:2007/02/07(水) 03:42:50 ID:siWmQLBm
ちょっとだけ書いてみた。

ーーーーー

ミホとケンカをした。
原因はなんてことのない些細なことだった。
段々とエスカレートして、最終的にはお互いを罵し合うようなものに発展した。
「あーなんなんだよ〜もう!ムカつくなぁ!」
バロンに顔を埋めながらハルカは叫んだ。
くぅーんと鳴きハルカを慰めようとするが、彼女の腹の虫は収まりそうに無い。
あまりの怒りっぷりに、バロンは尾を後ろ足の間に挟みながら部屋から出て行った。トノは既に居ない。
ミホが全部悪いのだ。怒りのせいで何がどう悪いのか忘れてしまったが、とにかくミホが悪い。
ミホのせいだ。ミホが悪い。ミホなんか居なければいいのに。
一度痛い目を見ればいい。あのいつもへらへらと笑っている顔をどうにかしてやりたい。
「そうだ!」
部屋を飛び出した。

こんこん、とドアを叩く。
部屋の音からは物音一つしない。もう一度、今度は強く叩く。
どんどんどんどん。早く出てよ。居ないわけじゃないんでしょ?
ハルカのイラつきは頂点に達していた。暫くしてドアが開く。遅いよ。
「…何だようるせぇな」
不機嫌そうな顔をして現れたのはアトリだった。寝ていたのだろう、少し髪が乱れている。
ハルカは笑顔で明るく返事をした。
「あ、アトリ。ちょっとトビに用事があって…、トビ居る?」
「いねぇよ。さっきカラスとどっかいったぜ」
面倒臭そうに頭を掻きながらアトリは答る。続いて小さなあくび。
「ふぅーん。じゃあ、部屋で待っててもいい?」
ハルカはトビが居ないことなど最初から知っていた。カラスから聞いていたのだ。
それを計算した上でハルカは部屋を訪れたのだ。
彼女の目的はトビではない。目の前に居る叩き起こされて眠そうにしている男、アトリだ。
「おい…」
アトリに返答する暇も与えず部屋に上がりこむ。彼の溜息を背中で聞いた。
431悪女ハルカ×兄アトリ:2007/02/07(水) 03:43:32 ID:siWmQLBm
アトリは何かぶつぶつと呟きながら、大きな身体を床に横たわらせる。
こうして見ていると、アトリもまぁ整った顔立ちをしているのではないかと思った。
カラスとは違う、細くて長い身体。
きっと同じ男の人でも、違うんだろうなあ…。アレとか。
「ねぇ、アトリ」
「…何だよ」
「あたしさぁ、知ってるんだよね」
「何をだよ」
面倒臭そうに答える。だが、決して無視はしないアトリに僅かな優しさを感じた。
「知ってるんだよねぇ。アトリとミホが、お風呂でいつも何してるか」
広い肩がビクリと反応する。
「な、何のことだよ…」
「いけないよねぇ。そういうことしちゃきっとダメだよね」
「…何かの間違いだろ」
「だって、あたし見ちゃったもん。アトリとミホが…」
裸で抱き合ってるの。
アトリは意地悪そうな顔をして、ミホを愛撫していたところ。
大事な部分に触って、ミホはイってた。アトリはそれを見て優しく笑ってた。
あたしはそれを見て、あそこがじゅんって熱くなったんだ。
そのあとカラスにお願いして、それを収めて貰ったんだけど。
「…」
目を細め、ハルカを睨む。内心物凄く焦っているんだろう。目が落ち着かない。
ハルカは横になっているアトリの顔の前に、ぺたんと座る。
前かがみになり、男の顔にハルカは顔を近づけて囁くように言った。
「トビにバラしちゃうよ?コサギにも…」
きっと皆からイヤラシイ男だって思われちゃうね?だって12歳の女の子にあんなことをしちゃあ。
ハルカは顔を離し悪びれもせずニコリと笑った。
「脅してんのか」
「やだ、そんな怖い顔しないでよ〜言わないよ、誰にもね」
アトリはハルカを睨みつけている。だがハルカは臆しない。
きっと自分に暴力なんて振るわないだろう。あのミホが悲しむだろうから。ミホの大事な友人だから。
ああ、ミホ、ミホ、ミホ。この男の行動原理はきっとミホなんだ。
益々気に入らない。

ミホのことなんて忘れて、あたしに夢中になってよ。

「言わない代わりに、ミホと同じことしてよ。」

ーーー

こんな感じでいいだろうか…
432名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 06:28:05 ID:tfk5HcoG
>>430 >>431
GJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!
朝、覘いてよかったです。今日は1日ハッピーで仕事出来そうです。ありがとうございます。
433悪女ハルカ×兄アトリ:2007/02/08(木) 23:41:02 ID:BJN+BpID
>>432
ありがとうございます。
時間があれば続きを書いてみようと思います!
434名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 00:35:51 ID:9BYiFkML
GJ
続き待ってる!!
435429:2007/02/09(金) 19:56:26 ID:jMzWzduX
431の「そういうことしちゃきっとダメだよね」で我に返った。これならいいよね?


昼食の後、ハルカは隣の部屋で、アトリとシーツの様な白い布を何枚も敷き詰めた。
終わると二人はその上に向かい合わせに座り、談笑をする。
「……あれ?…ハルカ…ボクなんか変だよ。体が…動かなく…な…っって…き……」
しばらくしてアトリが言うと「効いてきたみたいだね」とハルカは言った。
言ってアトリの胸を軽く押すと、簡単にアトリは仰向けに倒れた。
「ハル…カ……何…を……?」
全身が痺れた様になり、力の入らないアトリの上にハルカは跨る。
自分の体重でアトリを押さえて「決まってるじゃない」とにっこり笑った。
笑ってアトリの胸をはだける。それから両腕を頭の上に上げてポーズを取った。
「…こんなもんかなあ…ミホ早く来ないかなあ」
そう言ってハルカはスケッチブックを取るとアトリを描き始める。

「ハルカお待たせー」
ミホが両手一杯の赤いバラを持って入ってきた。
「きゃー!!アトリー」
頬を赤らめて嬉しそうにミホが言う。
「いいよー、ハルカいいよー。このしどけなさそうなポーズいいよー!」
「でしょう!でしょう!!アイには『悪趣味』って言われそうだけどミホなら解ってくれると思っていたよー」
そう言って二人はきゃいきゃいとアトリの周りに赤いバラを置いていく。
何が起こっているのかアトリは掴めないまま二人を見上げていた。
「普段のアトリならこんな事させてくれないもんね」
「わたし反対したのよ。薬を使うなんて……」
「でも無害だってトビが言ってくれたから無駄にしちゃあ悪いじゃない」
「そうかもしれないけど…身体の自由を奪うってのはちょっと気が引けるなあ」
「大丈夫よミホ。絵を描くだけだし――それに――」あっけらかんとハルカは言う。
「終わったらアトリの気持ちのいいことしてあげればいいのよ」
「そっかー」
「そうよ。ちゃんとお詫びをするからいいの」
「…でも何をすればいいの?」
「アトリが『気持ちいい』って言うことだよ」
そんな事を話している所へトビがこっそり入って来てアトリの耳元で囁いた。
「ラクリマでいろいろやられたことを、今夜そのまま返してやろうか」

記憶には無かったがアトリの顔は青ざめた。
436名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 20:24:35 ID:KAPSQrY7
>>435
GJ・・・だけど、最後の一文はフォモですか・・・?
437435:2007/02/10(土) 07:00:12 ID:Zddiu2xg
うんにゃ違う。>>367があったので入れてみただけ。
トビきゅんの性別は確定されていないので女と思って妄想するもよし。
髪をつかまれたり、持ち上げられたりしてるからアトリは気に入らない事があるとトビにあたっていたのかもしれない。
この後「――なーんちゃって。アトリ、驚いた?」なんて言っている。
438名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 00:28:49 ID:lykkaR9O
トビたんは女の子だと信じて疑ってませんよ
439名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 20:33:44 ID:YIk3PKV8
コサギ「夜這いに来た」
ユウ「え、ちょっとなんだよ!」

コサギ「これが未来のカラス…まだ毛も生えていないのか」
ユウ「下を脱がさないでくださいよ!」
コサギ「安心しろ。初めては私がもらってやる」
ユウ「うわあああぁぁぁぁぁ…」

ユウ、童貞喪失

という時空があればいいな
440名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 21:51:06 ID:84pYeMPz
>>439
コサギはカラスを見ていたつもりがだんだんユウを見ることが多くなっていって……。
「――幻だ。あれは幻なんだ。これではカラスの二の舞ではないか…。でも…」と悶々。
441名無しさん@ピンキー:2007/02/17(土) 01:38:17 ID:mACa+kxb
スレがとまってる…終わらせやしねぇ!

>>440
悶々とした挙句にユウの寝床に夜這いだな
442名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 14:31:01 ID:u+nFFD/M
あげ そして保守
443名無しさん@ピンキー:2007/02/23(金) 21:03:40 ID:XFqEIsYe
保守
444名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 21:23:23 ID:qFWXAsqQ
保守!
445名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 21:20:02 ID:B5hohX6e
ほしゅ
446名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 01:50:23 ID:OFMgWYm0
保守
447名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 14:09:16 ID:4UbcTuOh
ほっしゅ!
448名無しさん@ピンキー:2007/03/11(日) 23:39:56 ID:8GqSLTw8
ほしゅ
449名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 08:04:06 ID:/S10y8Y/
ほすあげ
450名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 21:00:59 ID:8QcTZmPF
保守
451名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:40:02 ID:NQIul69S
カラハル投下してもいいかな?
452カラハル1:2007/03/18(日) 23:42:51 ID:NQIul69S
ふわりと体が舞い上がる。
黒いマントが私を包む。しっかりと廻された腕、軽々と宙を駆る痩躯。見る間に
眼下に広がるのは街の明かり。山の陰。夜空に溶け込んで私たちは誰の眼にも見えないだ
ろう。

薄く、広い胸はそれでもがっしりとしていて、細いけれどしなやかな筋肉が感じ取れる
腕が私をそこへ押し付けている。さわ、と白い髪が頬に触れた。すっぽりと腕の中に
包まれて、カラスの表情は伺えない。苦しくはないけれど、身じろぎを許さない毅然とし
た力強さ。闇は月の光を受けて静かに光を返す。白銀に照らされた、髪。小さい私の体重
なんか、無くなってしまった様だ。

「怖いか?」
ぴったりと寄せていた胸から響く、低い声。心地いい。ううん、カラスが守って
くれるから。私はそのまま頭をこつん、と凭せかける。少し力が強くなった腕に、
そっと縋る。掴って、捕まっているのは、私?

きれい、そうつぶやいた私に、カラスは少し腕を緩めて、夜空が見えるように
してくれた。風が首筋を掠めた。夏の夜は、いつもと違う香りを運んできた。

夜空の散歩を愉しむふりで、そっと見上げる。この身長差で長い腕に取り込まれて、
まるで大人と子供だ。実際子供、なんだろうけど。カラスは、大人、だよね。だけど
もっと近くにカラスを感じる。距離じゃない、身長差じゃない、年齢じゃない。
先生とも違う。お父さん、とも違う。こんなのは初めて、きっと。

少し誇らしげに笑みを浮かべ、掴っていろ、とカラスは漸く厳しい表情を崩した。
良かった。カラスも笑うんだね、とは口には出さなかった。

りゅうのとるく、と私を呼んだ連中はどこかへ消えてしまった。トルク、ってなんだろ
う。カラスも私をそう呼んだ。解らない事だらけだ。でも、今はちゃんとハルカ、と呼んで守ってくれる。
無条件にこの腕を、この温度を、私は信じてしまっている。急にいろんなことが起きて、
怖いことに巻き込まれているのに、全てを受け入れて落ち着いていられるのは
カラスの瞳のせいだ。

この闇を見据える瞳が、あんまりにも私を真っ直ぐに見つめるせいだ。
すこし怖い瞳が、あんまりにも哀しく映るからだ。

とん、と地上に降りる。何時の間にか、家の庭先へ降り立ったカラスは私をほどいた。
ほんのちょっと名残惜しそうに離れた腕は、そっと私の頬を撫でた。ハルカ、この時空の
お前は俺が守る。何度目かの誓いの言葉がまた零れる。ちくり、と何かが私の胸に棘を残す。
453カラハル2:2007/03/18(日) 23:45:02 ID:NQIul69S
「私の家に隠れててよ」
黒いマントの裾を掴んで、私はそう懇願していた。
掴んでいなければ、彼はそのまま消えてしまいそうな気がした。

少し困惑したように逡巡を見せたが、諦めたようにカラスはもう一度私をその腕に包み
込んだ。くるり、とマントに覆われたかと思うと、次の瞬間にはもう私の部屋だった。
「すごーいカラス!通り抜けちゃったんだね」
お母さんに聞こえないように、小声で囁く。やっと安心した私は、そのままぎゅ、と
抱きついてから、ちょっと待っててね、と念押ししてカラスを押しとどめる。

待ってて、とは言ったものの、靴を片付けて台所に寄って、こっそり部屋に戻って来る
間に居なくなってしまわないかと心配だったが、やっぱりカラスはそこに居た。
床にゆったり膝を立てて座り込んで、何時の間にか入ってきていたバロンを当たり前の
ように撫でていた。よかった。

「ほんとに水だけでいいの?」
こっそり持ち出したペットボトルを差し出す。少し眼を細めて、ああ、すまない、とカラ
スは受け取る。確かに彼は、傍に居る。今、此処に。夢じゃない。不可解な事件も。
「カラス」
歩み寄った私に従うように、祈るような腕が伸ばされる。バロンが眠そうな声でうぉん、
と一つ啼いて、のそのそと立ち上がる。たぷん、とペットボトルの水が揺れた。


どうして助けてくれたの、とカラスの胸に訊く。カラスの腕は何故かいつも許しを
乞うように私を抱きしめる。どうしてそう思うんだろう。どうしてそう感じるんだろう。
強い筈の彼は、何に、泣いているのだろう。

繋いだ手を引き寄せられ、私は招かれるままにカラスの膝の間に座って、その胸に凭れ
ていた。静かに、少ない言葉でカラスはぽつりぽつり話してくれた。半分以上が判らない
事だったけれど、染入るようなカラスの声を聞いているとそれでも構わない気がした。
怖いことがいっぱいあった。殺されると本気で思った。でも、不思議と安心してしまう。

背中から抱きすくめるカラスの黒いマント越しの腕にそっと手を寄せて、なんとなく
籠の鳥みたい、と考える。鳥はカラスのほうなのに、私が籠の中なのね。でも、檻の中
にいるのは、カラスだ。檻は、彼を閉じ込める檻は。
454カラハル3:2007/03/18(日) 23:47:17 ID:NQIul69S
「お前は俺が守る」
言い聞かせるように、こつんと尖った顎を私の頭に乗せる。背中にカラスの胸を感じ
ながら、私もさっきの言葉を繰り返す。
「怖くないよ、カラス。カラスが助けに来てくれるもの」
少し、腕に力が込められるのが伝わる。

「怖くないよ、あたし大丈夫。カラスが大好き。だからカラス、泣かないで」
ぎゅ、と腕の力が強くなって、背中が堅い胸に当たる。カラスが冷たい頬をすり寄せて
くる。すりすりと寄せられた頬、少し首筋に重みを感じるのも、白い硬い髪もくすぐった
い。バロンみたいだ。

大丈夫だよ、と言い聞かせるように、胸の前で交差した手に私の手を重ねてみた。
大きな手だな。すこし冷たい、大きな手。私のは小さいや。

お母さんに何て云おう、とちょっと浮かんだ考えを頭の片隅に押しやって、そっと
カラスを見上げる。気配を感じ取って緩んだ腕の中、出来るだけ体を離さないように、
向き直って今度は私がカラスを抱きしめる。しがみ付く、と言うのが正しいかもしれない
けれど。すぐに抱き返された。腕の強さに、ひゅっと息が洩れるのが自分で可笑しかった。

抱き寄せられて、しがみ付かれて、カラスの顔は見えない。見せてくれない。膝立ちで
精一杯小さい体で抱きとめてみるけれど、背中が反って少し痛い。広い背中には腕は廻り
きらない。でも、カラスのほうが窮屈そうに身を屈めている。押し付けられた胸から直接
鼓動が肌に伝わってくる。

ハルカ・・・ハルカ。鼓動はそう呟いている。背中に廻された腕が、そう叫んでいる。
「大丈夫。あたしここに居るよ」

大丈夫だから。

そっとカラスの背を撫でる。小さい私の体は、すっぽりとマントに覆われてしまった。

泣かないで。





もう、あえなくなるの。
いつもの明るい笑顔で、しかし静かにハルカは云った。
「決めたの。後悔してないよ」
にっこり笑ってみせるハルカは、それでも言ってしまって肩の荷が下りたかのように
ほんの少し弛緩した。

「カラスが訓練や戦闘に明け暮れている間に、もう時間がなくなっちゃったよ」
ああ、そういう意味じゃなくて、と小さく手を振って、前から決めていたけれど謂えな
かったの、と少し潤んだ目元を拭った。

455カラハル4:2007/03/18(日) 23:50:17 ID:NQIul69S
「意気地なしのカラスがぐずぐずしている間に、もうこれが最後になってしまったのよ」
すっと眼を細めて笑うと、少し頬を染めて眼を伏せた。ほんのり朱を浮かべた眦は、子
供の頃によく泣かせたそれの名残を残したまま、あの頃以上に俺の心を乱した。
「もうあえなくなるの」

カラス、と俯いたまま呟くハルカを抱き締めるので精一杯の俺は、改めて一緒に過ごし
た記憶を懸命に掘り起こしていた。彼女を大きく追い越して今の背格好に近づく頃には、
俺は龍の戦士として生来の名と過去を捨てていた。この世界では、そうするしかなかった。
そうすることでしか、大切なものを守れなかった。このラクリマで生きる為には。

この世界を守るための力があるんだって。私、カラスを、守れるんだって。それが嬉し
いのカラス。あたし嬉しいの。だから、泣かないでね。
俺の背に廻されたハルカの手が、宥める様に、俺の背を撫でる。そっと背を叩く。
ユウはちっちゃな頃から意地っ張りだけど優しいから。怒りんぼだから云えなかったの。
ごめんね。

俺は。俺は。足元から血の気が引いて行くのが解る。耳元でざぁっと音がする。指先が
痺れて、震えだしそうだ。ハルカを失うのか?このまま?

だからね、とハルカの手がぎゅっと俺の背で握り締められた。何かを決意したときの、
小さい頃からの癖だ。彼女は不安な時、それを打ち消す様にそうしていた。

だから。
ハルカが顔を上げた。どちらともなく、すっと顔を寄せ合う。こんな簡単なことが、ど
うして今まで出来なかったんだろう。どうして。少し屈めばいいだけなのに。

この朴念仁。耳元で、くすりとハルカの笑い声がした。



昔から知っているのに、知らなかった。活発で、いつも元気で満ちていたハルカは思い
のほか細かった。でも、一緒に駆け回っていた頃とは違うしなやかさと柔らかさに満ちて
いた。耳元の声は、あの頃とは全然違う、いや、同じ、甘い声だ。初めて触れる肌は、滑らか
だった。

カラス。・・・カラス。大丈夫だよ。大丈夫だから。逃げないよ。

組み敷いた体は抗う様子を見せないのに、こうして押さえ込んでいないと消えてしまい
そうに思えて、加減が出来ない。このまま壊してしまいそうだ。いっそ、壊してしまえば
いいのか。白い首筋に顔を埋める。びくりと仰け反る肩を押さえて、首筋、上下する胸元
へと口唇を這わせる。全部、全部。全部、欲しい。手放したくない。
456カラハル5:2007/03/18(日) 23:53:19 ID:NQIul69S
乱暴にかき抱いて、深く口唇を貪る。本能的に怯えて押しのけようとする手を押さえつ
ける。おずおずと絡めてくる指が愛おしくて、強く握り返す。ぐい、脚を抱え上げると小
さな悲鳴。口唇で封じる。脚をなぞる手に、大きく首がのけ反った。

「あ、」
自分の声に驚いてそれを飲み込むように、ハルカは自由な手の甲を口唇に押し当てる。
懸命に息を殺す、上気した頬、それでも濡れた口唇から切なげに洩れるのは吐息。

聴きたい。その声も、全部今は俺のものだ。俺の。俺は顔をあげて、ハルカの手を奪う。
「だって、ぁ、」
その手の甲にキス。額にも、頬にも。濡れた目元にも。その手を、俺の背中に廻すように促す。

「んっ、」
脚の付け根へ手を伸ばす。あやすように、頬へ首筋へ耳元へ口唇を寄せながら、解きほ
ぐしてゆく。引き攣るように何度も閉じる合わそうとする脚がもどかしく、ぐいっとこじ開けて
体で押さえつける。それでも、無骨な俺に懸命に応えようとする気配にはっと気付く。落ち着け、俺。

乱暴に押し広げようとする指を押さえるように添えらえた手に宥められて、俺は少し落
ち着きを取り戻す。そっと扱わなければ、傷付けてしまう。俺は、いつもこうだ。

そしてハルカは、いつも優しい。壊しては、いけない。ハルカの手が俺の頬を包み、キス
をくれた。俺もそれに応える。怯えから乾いて閉じ合わされていたそこが、少しずつ開い
てゆく。

「あ、あぁ、 ん、や、んっ」
指の動きに合わせて洩れる声がどうしようもなく俺を昂ぶらせる。まだ堅いハルカの中
はそれでも充分に潤いを湛えてひくつき、懸命に奥へ奥へと引き留めようとざわついている。

意地悪く、深く指を突き立てる。一段と高い声を放って、びくりと背が反った。ざらり
とした奥の壁が締め付けてくる。ああ、愛しい。いとおしい。俺のだ。俺の。
ぬるりとした感触が増して、指が押し出されそうになる。組み敷いた身体が何度も撥ね
る。熱を冷まさないように、ゆっくりと指を引き抜くと同時に俺は深く身を進めた。

「あ、ああああああああああ!!」
大きく浮いた背に腕を廻し、腰をぐっと抱き寄せる。まだ慣らされきっていないハルカ
の中を深く進む。自分がぜえぜえ喘ぐのが嘘のように聞こえる。小さな抵抗感をぶちぶち
突き破って、奥へと埋め込む。狭、い。
457カラハル6:2007/03/18(日) 23:57:33 ID:NQIul69S
きつく閉じられた目、酸素を求める口唇が大きく喘いで胸を上下させている。だらりと
力の抜けた上半身を抱き起こし、腰に座らせる。胸に掻き抱いた身体は小さく、腕にすっ
ぽり収まってしまう。宥めるように背をとんとんと軽く叩いてやる。

「っ、力を抜いて、ハルカ、大丈夫だから」
「あ、あ、だって、だめ、や、やん、ん、んんっ」
髪をかきあげ、項にキスを落とす。びくり、とまた身体が撥ねた。身体の奥が俺を締め
付けつつも、動きを助けるように潤いがじんわり溢れてくるのが判る。ゆるゆると、躊躇いを
残しつつもそこは開いてゆき、俺はするりと奥まで呑み込まれた。心地よい圧迫感。

「んぁ、あたし、ごめ、ん、ふぁ」
不安定な体勢から逃れようと首にしがみ付いてくるのが嬉しい。髪に指を絡め、汗ばんだ肌と
鼓動を感じながら、俺はハルカを深く深く突き上げる。奥を抉るたびに高く放たれる声が嬉しくて、
その首筋に顔を埋める。

荒い息遣いが、激しい鼓動が、抽送の度に響く音が、腕の中で彼女が生きているということを
告げていた。ここにいる。ここに生きている。

なのに。

ぞろり、ぎゅるり、と俺を受け入れる熱が動く。これに触れられなくなるなんて。

首に絡んだ腕をそっと解いて、密着していた体が離れるのに不安を見せる背中を追いやり
うつ伏せにする。違う形で繋がる。より深い部分が擦れ合って、耐えかねたハルカの声が
一層大きくなる。
獣のように、本能の速さで動く。小さな抵抗感。ひっかかるのが快感だ。

背後から腰を叩きつける俺は、きっと恐ろしい顔をしている。ぎち、とハルカの奥が
鳴った。ひときわ、悲鳴。捲り起こし、引き戻り、乱暴と謂える程の激しさで。
ぷつん、と何かが切れるような感触。とろり、とまた包み込んでくるそれに負けてしまいそうだ。

抱え起こして薄い胸元を揉みしだく。背中から抱き締めて、項に舌を這わす。顔が観
たくてもう一度向かい合わせに抱きなおす。緩んで、泣き疲れたような、見たことのない
おんなの顔。涙と汗が滲んで張り付いた髪。俺がこんな風にしている。すぐにしがみ付い
てくる腕。カラス、カラス、それ以外の単語を亡くした口唇。
458カラハル7:2007/03/19(月) 00:01:11 ID:ugIOcXvq
緩んで喘ぐ口唇を塞ぐ。切なげに洩れる息を、熱い舌を絡め取る。このまま、このまま
どこかへ。何処へ?目の隅で、突っ張るように丸められた足の爪先が宙を掻く。
深く、深く突き上げるのに併せて白い脚は強張る。俺を締め付け、絡みつくそこも、
苦しげな呼吸も、今は俺が支配している。

「あ、ん、もう、だめ、私、カラス、ユウ、んんんんっ!!」
くくんっと俺を呑み込む力が強くなる。背中に廻された手がわなないて、ハルカの上半
身が限界まで仰け反り、両腕が俺の胸を突っぱねる。捨てた名前が呼ばれて、俺はハルカ
の中で増大する。ひっ、とハルカの喉が鳴る。逃がさないようにハルカの腰を押さえ、最
後の熱を注ぎ込んだ。ぎちち、とねじ込む音。奥へ、もっと奥へ。

声にならない絶叫を全身で放ち、やがて彼女はぐったりと俺の腕の中で崩れた。余韻に
揺れる小さな声に併せて、俺を包み込む熱がひくひくと締め上げ、すべてを呑みこんだ。



しなやかな指をそっと握り締める。されるがままの手は弱弱しく、痺れちゃって力が入
らないよ、と、叫び疲れて掠れた声が胸の中で小さく不平をもらす。いつもの笑みがこぼ
れる。なんだか胸の辺りにじんわりと熱が広がる。皮膚の下、肺の中に血が溢れていくよ
うな。ゆるゆると広がる熱は、柔らかな痛みを伴う。こんな痛みは、知らない。

俺は胸にうずめられた顔を見ようとしたが、拒むように頭を振るのが愛おしくて、か
わりに髪を撫でる。よしよし、と宥めてやると、おずおずとハルカが顔をあげる。恥らう
額にキスを。少し赤くなった鼻のあたまにも。冷たい。返されるキスは頬へ。

腕の中で伸び上がるしぐさが愛おしい。

ありがとう。ごめんね。カラス、ごめんね。泣かないで。悲しまないで。私は、大丈夫
だから。泣かないで。

何度もハルカはそう謂った。何度も何度も。俺は泣いてなんかいない。泣かない。
ハルカが笑っているのなら、俺は泣かない。泣いたりしない。決して。


泣かないで。







「カラス?」

腕の中の少女は、ハルカは、幼くあどけない瞳で俺を見上げていた。
時折、確かに女の顔を覗かせるが、まだ幼い子供なのだ。屈託なく笑顔を向け、その身
体を預けてくるこの幼い少女は。黒い大きな瞳、すこし潤んだひとみ。
違うのだ、このハルカは。

「大丈夫だよ。カラス。だから、」
違うのだ。

「泣かないで」


優しい闇の中で、俺は幼いハルカに縋り付いた。
459名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 00:03:24 ID:ugIOcXvq
ロリハルカには手を出せないヘタレなカラスです。
ストイックトラジックロリータ万歳。

細かい設定には目をつぶって捏造上等!で。ありきたり&長文スマソ。
460名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 07:01:15 ID:kMARaRs9
いやいやいや――カラスはヘタレなのもいいです。ありがとうございます。
ヘタレなカラスはなんか……こう……きますね。GJです。
461名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:20:01 ID:RG70qbMQ
GJ!
ラクリマのハルカがユウの名前を言うところで泣きそうになった
462名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 00:35:47 ID:NoMFLqid
GJ!!

ハルユウだれか書いてくれんかな。
ハルカは有の気持ちに気付いてかいないかで善悪は問わず
結構残酷だと思うからハルカの鬼畜責めで頼む!!

ユウはハルカに振り向いて欲しくて必死にハルカに服従するけど
ハルカは知っててユウに好き放題命令する感じで。
463名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 07:23:03 ID:QyK6yjGl
ほしゅ
464名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 17:50:00 ID:ij3Xl7I/
>462
カラハルユウ書いてみようと思った。
ユウの一人称があやふやだったのでDVDを引っ張り出して観た。
・・・コドモxコドモではエロを書けない自分がいた。スマソ・・・



でもアトミホの鬼畜ならいいかなと思っている。
465名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 20:16:39 ID:YD8K7n1a
アトミホの鬼畜で鼻血ふいた。
466名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:44:58 ID:xXagydV8
>465
よーしパパがんばっちゃうぞー
467名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 02:57:00 ID:o2OcHzIs
>>466
超頑張れ!今からドキドキが止まらないぜ
468(アトミホ 1):2007/03/26(月) 02:50:09 ID:xELZ5P59
アトミホ鬼畜投下します。つーかそんなに鬼畜でもないか。
それでも苦手な人はスルーでよろ。



静かだ。
ここには、積み上がったきりの瓦礫も無ければ、死体も転がっていやがらねぇ。

風が、ゆるゆると髪を揺らして過ぎるのを眺めながら、アトリは葡萄色の眼を
動かすことなく、肌で気配を探っていた。

静かだ。

トビの野郎は何処だ。あいつが居なくっちゃぁ、不便でならねぇな。
カラスを追って文字通り飛んで来たこの世界は、その未来を少しも匂わすことなく、
アトリを取り込んでいた。訳もなく苛つくのは、この世界が何処かにカラスを
匿っているからだ。あの気に喰わない眼を、あの妙に冷め切った表情を。

「トビ」
草の陰に、見慣れた腕が投げ出されている。こいつは本当にひ弱だ。少し小突いた
だけでも、すぐにぴぃぴぃ叫ぶし、こうやって時空を飛ぶたびにぶっ倒れやがる。
そのくせ小難しいことには饒舌なトビには、口では誰も勝てない。勝てないから
いつも甚振ってやることにしている。まぁ、死なない程度に。

「此処に居ろよ、動いたら殺すからな」
五体満足無事なのだけ確認し、蹴飛ばしても目を覚まさない体を茂みに隠して、
アトリは宙へ身を翻す。
追うのは、カラスの匂いだ。

何を血迷ったのか、カラスはアトリ達竜騎兵を裏切った。鳥としての使命を
違えて、龍のトルクをその手で守ると宣言した。龍のトルク。カラス。この時空の
カラス。何を思い出しても、腹の底が煮えるようだ。だが、愉しくて仕方がない。
壊し甲斐のある奴を追うのは、悪くない。

ちりちりと湧き上がる熱と、脳を支配する高揚感。全部、全部、俺が壊してやる。
壊れてしまえばいい。この世界も。ラクリマも。

カラス、の匂いがする。あの龍のトルクと一緒だ。目立つと他の仲間――奴らに
見つかっても面倒なので、静かに近づくことにする。他にも、何か騒がしい声がする。
あのガキ共だ。
どいつもこいつも、温い世界で育った鬱陶しい餓鬼共だ。苛々する。

カラスは、チビ共に紛れて座っていた。傍らには龍のトルクが居る。いや、
龍のトルクの傍に奴が居る。こちらの気配を感じては居ないようだ。いつもの
世の中の全不幸を背負ったような時化た面じゃない。――笑って、やがる。

少し目を細めて、それでも張り付いた不機嫌そうな面持ちは変わらない。
だが、いつものとりすましたような、全てを切り裂くような空気はない。
469(アトミホ 2):2007/03/26(月) 02:53:47 ID:xELZ5P59
少女がピンクのリボンを揺らし、何事かをカラスの耳元で囁く。つい、と
屈んでやり、顔を寄せ、一瞬破顔する。ほんの一瞬。
だがすぐにそれを羞じるかのような僅かな動揺のあと、そっと少女を輪の中へと
押しやる。満足そうな、顔。誰も気付いては居ない。
子供達は自分たちの好き勝手なことを喋り散らし、笑いさざめき、手を叩く。

なんだこれは。

ざりざりと耳元で呼吸音がする。心拍数が上昇する。煩い。俺か。訳の解らない衝動、
全身を揺らすほどの動悸が、頭の天辺から眼球から口の端から指先から腹から下腹部から、
爆ぜて散りそうになる。開いた口から心臓が飛び出しそうだ。

許さねぇ。許せねぇ。
そんなもの、俺は許さねぇぞカラス。



「またねぇみんな。カラスのこと、雪恵ちゃんにもナイショだからね」
「わかってるってーハルカー。おやすみぃ」
「おやすみー!」

ひとしきり玄関先で最後の言葉を交わしあいながら、子供達が各々の巣へ引き上げる
のをアトリは眺めていた。カラスは昔から、正攻法で攻めても顔色一つ変えない男だった。
ならば、奴の大事にしているものを痛めつけてやればいい。間接的であればあるほど、
奴は歯噛みして苦しむ。そんなことも、解っている。

ならば?奴の崇拝しているモノを?いや、今はそれは後回しだ。アレはヤバい代物だから。
今はあの忌々しい空間をめちゃくちゃにしてやりたい。
一番、柔らかそうな奴だ。アトリは、獲物を定めた。

ふわふわと揺れる裾から伸びた脚はまだあどけなく無防備だった。何が楽しいのか、
うきうきと踊るような足取りも、胸元で組み合わさったり解けたり落ち着きのない指先も、
久しく見たことのないものだった。いや、そんな軽やかで無邪気な少女は、ラクリマには
居なかった。皆何処かしら怯えたような、冷めたような、がつがつした澱みを浮かべた
瞳をしていた。――-いや、忘れた。

カラスの居た建物から程よく離れた頃合を見計らって、アトリは音もなく舞い降りる。
少女の背後へ距離を詰める。一瞬の気配に、少女が振り返る間を与えず、手で口を塞ぐ。
しなやかな植物のように伸びた腕で絡め取る。そのまま、夜空へ舞い上がった。
470(アトミホ3):2007/03/26(月) 02:56:07 ID:xELZ5P59



ハルカ、あれは完全にのぼせちゃってるわねぇ。ちょっと怖い人だけど、でもなんだか
優しそうだったし、羨ましいわ。だって、あんなおっきな人にぎゅって、ぎゅってされたら!
空を飛んだり助けて貰ったり。運命よ、これは運命なんだわ!ハルカったらすごいわ!

ううん、違うわ、ハルカよりもカラスのほうが夢中ね、女のカンよ、私には解るんだから!
いやーん、とついつい声に出てしまう。でもユウのことどうするのかしら、と考える
と、つい喜んだり心配したり、ドキドキしてしまう。だって、だって。恥ずかしいわ。

なんだかふわふわとしてしまう。こんな素敵な夜には、なにか星のお守りが働いている
に違いない。そう思いながら、私は夜道を急ぐ。ママにも話しちゃ・・・ダメかな。ダメかな。
私たち、マントの幽霊のお友達が出来たのよ!それはハルカの王子様なのよ!

すとん。

何か物音がしたような気がして振り返る。暗闇の中に、もっと深い闇が立ちはだかって
いるような気がした瞬間、何かが覆いかぶさってくる。咄嗟に悲鳴を上げそうになった
口を塞がれる。息が、出来ない。

手をばたばたさせてみたけれど、物凄く強い腕で押さえ込まれてしまい、その上暴れた
自分の手に当たった眼鏡が足元にことん、と落ちる気配。ダメ、見えない。
「んんん、んん――-ッ!!」

ふわり、と、スカートの中に風が入ってきた。地面が無くなっていた。
黒いマントの幽霊の噂を思い出した時にはもう遅かった。


強い風が巻き上がり、ワンピースの胸元まで涼しい風が入ってくる。怖い。怖い。怖い。
何処までも深い夜を飛んでいるようだった。眼鏡がなくて不安だけれど、なくて、
良かったかもしれない。口と体を封じている強い腕が怖い。これが離されるのも、
怖い。涙が浮かんできたのは、強い風のせいだけじゃない。体の震えがとまらない。

急に、どすんと投げ出される。山の中、かな。解らない。見えない。黒い影、金色の髪、
恐ろしく釣りあがった暗い瞳がぎらぎらと覗き込んできた。顔が、近い。息がかかる。
腰が抜けて立てない。私は、地面に投げ出されたまま後ずさる。

「きゃ、きゃぁぁぁぁぁ!!!誰か、誰か助け、いやぁぁぁぁ!」
漸く戻ってきた声を自分でも抑えられない。縺れた舌は巧く言葉を紡げない。この状況
が信じられない。裏山には、人なんて誰もいないような場所がたくさんある。解って
いても、誰か。
471(アトミホ 4):2007/03/26(月) 02:58:28 ID:xELZ5P59
黒い影、は人のようだけれども月の光を背にしていて、顔が見えない。目だけが光って
いる。紫の、光。猫か、ううん、もっと獰猛な、何か。
「煩ぇよ」
また、口を塞がれる。乱暴で、大きな手。それだけで頭を動かせない。変な人には気を
つけてね、というママの声や、幸恵ちゃんの早く帰んなさいよ、という声がぐるぐる
頭を廻る。そんなの、もうどうしようもないよ。怖い。怖い。ころされる。

「うううう、んんッ、――――!!!」
必死で頭を振るけれど、びくともしない。どうして、どうして私が。いや、ママ、助けて。
黒い影は荒い息を近づけてくる。いい顔だなぁ、もっと啼けよ、と馬鹿にしきったような声が、
やっと理解できた初めての言葉だった。これは多分人間の男の人なんだ、と判る。

いや、人間じゃないかもしれない人に、今日会ったばかりだ。

「カラス、の、お友達なの?」
離された手におずおずと差し出した問いは、あっけなく叩き落とされる。長い指が
首に絡み付いてきた。ひっと叫ぶ間も無くぎりぎりと締め付けられる。
「お友達?そんな訳ねぇなぁ。あいつと俺はよ」
解こうとしても、私の手なんかものともしないそれは、遊ぶように緩められ、また
締め付けられる。何度か繰り返されて、目の前が真っ赤になる。体が動かない。

「むかつくんだよ、あいつも、お前らも」
耳元で、酷く嬉しそうな声がする。何を言っているのか解らない。判らない。涙と、
だらしなく零れる涎が頬を伝ってゆくのを風が冷やす。風、が、足元に冷めたい。

投げ出されたショックで、お気に入りのワンピースはぐちゃぐちゃになっていた。
のしかかってくる影は、私の胸元のリボンタイを指先で弄んでいる。喉は開放された
けれど声は出ない。ひゅぅひゅぅと息が洩れるだけだ。

壊してやる、と、影はまた囁いた。優しい口調だったので、何を謂われたのか理解
できなかった。助けて、くれるのかな。

手は、ゆっくりとリボンタイを解いた。襟元がぷつん、とはだけられる。ぐい、と
抱き起こされて、緩められた首筋に近づく気配。息が掛かる。足元からぞくぞくと寒気と
震えが上ってくる。厭だ。でも、腕に力が入らない。押しのけられない。厭、厭、厭!
472(アトミホ 5):2007/03/26(月) 03:01:03 ID:xELZ5P59
脚は震えていうことをきかない。ずるずると地面を空しく擦るだけだ。土の匂い。草の
汁の匂い。首の辺りにかかる熱い息。背中が、おなかが、震える。また息が出来ない。
叫んでいるのに声が出ない。普段はあんなに大きな声が出せるのに、本当に怖いときは
声も出ない。かぷり、と首筋に歯を立てられ、ひっという息だけが喉の奥から零れ出た。

爪の長い指が、脚を擦っている。かろうじてその手に震える手が届く。でも脚を這い
回る手は止まない。なんとか胸を押し返してみる。びくともしない。大きな、影。
怖い、怖い、怖い。竦んだ脚を寄せると、すっぽりと抱え込まれてしまう。卵の中の雛、
なら守られているだろうに。

ちいせぇな。痩せっぽちだ。でもお前らが何でも構わねぇ。影は再び、嗤うように
声を降らせてきた。手はワンピースの裾を捲り上げ、ぐいと脚を開かせた。腿の柔らかい
部分に爪が立てられて、悲鳴が出る。そのまま男の膝の上、腰まで引き寄せられる。
おしりが地面を擦った。

上半身は支えを失って、がくりと投げ出される。背中が、痛い。腰の辺りから背中が
地面に付いて、じんわりと草叢の冷たさが伝わってくる。ワンピースの裾が
風に煽られて顔まで届く。見えない。恐い。何をされるのか、されているのか、
見えなくて恐い。
見たくない。

無遠慮に胸をぎしりと掴まれて、びくりと体がしなる。ハルカより、ちょっとおっきく
膨らんで来たかな、と最近嬉しかったのに、それは今痛みしか伝えてこない。酷い、
ぼんやりした頭で思う。捩くられて痛いそこに、なにか濡れたものが触る。ぴちゃ、と
音が聞こえる。風が凪いでスカートを緩ませる。ぴくん、と、脚が勝手に動く。
黒い影、が覆いかぶさって舌を這わせていた。

「・・・・!んや、やぁぁ!!」
やめて、という声は言葉にならず、ばたばた男の頭を押しのけようとした手も
簡単に押さえ込まれてしまう。なにかがしゅるりと伸びてきて、両手が頭の上で
戒められてしまう。後ろで結った髪もほどけてしまった。

お腹を、脇腹を、胸を、這い回る指がおぞましい。指は、脚を伝って当たり前のように
下着に辿り着き、私の反応を見るように脚の間を布越しになぞった。恐い。恐い。
何をされるのかわからない。ううん、これは、きっといけないこと。しちゃいけないこと。
473(アトミホ 6):2007/03/26(月) 03:07:19 ID:xELZ5P59
「恐怖ってのはな、本能を呼び起こすもんなんだぜ、怒り、もそうだがな」
男は大きく顔を寄せてきた。指はそのまま私の足の間にある。私、ひょっとして漏らし
ちゃったのかな、何だか、濡れてる。

恥ずかしいことをされている以上に、下着が濡れていることでかぁっと体が熱くなる。
いやだ、見られたくない。知られたくない。そんなとこ、触んないで。
「や、」
べろり、男の舌が頬に触れた。さっき私の胸を撫でていた舌、が、今度は私の頬を舐め
あげ、歯の根の合わない口に近づいてくる。キス、される。歯がかちかち鳴るのが煩い。

「や、んんっ!!!」
思っていたよりも理想よりもそれは恐ろしいものだった。熱い舌が無理やり割って入っ
てきて、口の中を押し広げて、舌を吸い上げた。痛い。舌を抜かれちゃう。んっ、と
洩らした声を嘲笑い、男の舌はぞろりと歯を撫で上げた。気持ち、悪い。いや。こんなの、
したくない。もう嫌。

キスに気を取られているうちに、指は下着にするりと滑り込んできた。悲鳴は飲み込ま
れる。恐くて目を開けていられない。やっぱり下着が濡れているのが判る。いやだ、いやだ、汚い。
お願いやめて。

ぐちゃ、という粘着いた音と共に、これまで味わったことの無い痛みが、ずくんと
お腹を裂いた。何か、がそこを荒らしている、判らないけれど、そのまま両足を抱え上
げられて、下着をひっぱられた。片足だけぬけて、それはつま先にひっかかった。
痛みはそのままずくずくと続いている。何かを押し込まれている圧迫感。

中で暴れまわるそれは、指、かな。引き攣るような痛み、抉じ開けられる痛み。
お腹はひくひくと痛みと振動を伝えてくる。涙が止まらない。しゃっくり上げるせい
で、息も苦しい。抱え上げられた脚が胸に押さえつけられて、苦しい。もうどこがどう
なっているのか、判らない。

「命は助けてやるから、あいつに云うんだ。何をされたのか。お前のせいだ、って
ちゃーんと謂うんだぜ」
突き刺されていたものが、引き抜かれる。痛みが少し和らいで、ほっとする。途端、
ぐいっとまた腰を引き寄せられて、別のなにかがそこに押し付けられた。
「なに、やっ・・・」
めり、と音が聞こえた気がする。自分の悲鳴は、何故か遠くに響いた。
474(アトミホ 7):2007/03/26(月) 03:12:19 ID:xELZ5P59

さっきとは比べ物にならない何かが、ぐいぐいとお腹の中に入ってきた。痛い、恐い、
痛い、やめて。声も出ない。脚ががくがくして、ケイレンする。ああ、それもいいなぁ、
とうっとりした声が聞こえる。奥まで突き当たったそれは、お腹の中で一息つくように
ぴたりととまり、腰を掴んだ手に力が籠められる。喉がからからで張り付く。

大きく息を吐く気配、それを合図に、お腹の中のものは突然生き物になった。ぐいぐいと
押し込まれるように動くそれは、私の中を乱暴に掻きまわし、押し潰す様に狭いそこ
一杯に広がり、出入を繰り返した。何、何、これは何?私は何をされているの?

動きに合わせて、自分の喉から洩れる声が信じられなかった。あっ、あぁ、獣のような
泣き声、鳴き声、啼き声。痛い、とも苦しい、とも、もういえない。ただ機械的に押し
出される型抜きの声。押されているせいだ。押し出されてるんだ。
がくがく揺さぶられて、さわさわと耳元で髪が擦れる音がする。
ママが梳かしてくれる時のそれは好きなのに、今はこの男の動きを伝えるだけだ。

頭の上に投げ出された腕が痺れて痛い。力が入らない。乱暴に体を抱き起こされて、
黒い胸に押し付けられる。男の息が胸から伝わってくる。お腹の一層深い処がぐりん、と
抉られて仰け反った。ぐちゃぐちゃいう音と体がぶつかりあう生々しい音、それと荒い息。

「痛い、痛いよ」
気が付くと、ずっとそう呟いていた。髪を乱暴に掴み上げられ、また涙と悲鳴が零れる。
「痛い」
涙でぐしゃぐしゃの顔を、男はじっと見つめた。動きが一瞬、やんだ。

「煩ぇ」
男が乱暴に私を突きとばすと、ずるりと痛みが抜けた。投げ出されるままに放り出さ
れた私の体は、許されることなくすぐに引き寄せられ、背中から覆いかぶさってくる
影にとりこまれた。

膝と肘をついた状態の私はワンピースを捲られ、脚を広げさせられると、さっきと
同じ熱いそれをより深くねじ込まれる結果になった。あああああ、と、自分でも信じられない
ぐらい大きな声が、同時に絞り出される。ぐちゅ、とまた音が聞こえる。

それでお腹を押し上げられる度に、声が洩れる。ぐちゅぐちゅと洩れる音。苦しい、
痛い、さっきよりも、深い。恐い。頭がぐらぐらして落ちてゆきそうになる。いや、恐い、痛い、痛い、
やめて、もうやめて。引き捲り、押し込み、捲り起こされる。いや。
もうこれ以上そんなとこを開かないで。
475(アトミホ 8):2007/03/26(月) 03:16:19 ID:xELZ5P59

男の顔は見えない。さっきは見えたような気がする。大きな、猛禽類の目。肉食獣の目。
ぎらぎらした紫色のそれ。一瞬、揺らいだ、それ。それしか覚えていない。解らない。
見えるのは、揺れる地面。一つに纏められた腕を後ろに掴まれて、動けない体をそれでも
乱暴に突き上げられる。何かが突き立てられている。大きな杭。裂けて、しまいそう。

「いや・・・もうやめて、やめて動かさないで、や 」
洩れる息の下での懇願が、男の動きを激しくしたようだ。呻り声はどちらのものか
わからない。
一瞬、男は何かを叫んだ。ぐい、と、私のなかのそれが大きくしなり、震えた。
脚に再び抑えきれない緊張が走り、お腹の奥がびくびくと震えた。ぎゅうっと
恐さが走って、訳も解らず奥のそれを締めつけた。頭が、真っ白になる。

背中に、男の荒い息が伝わってきた。私の背を押すようにゆっくりと男の体が近く気配、
私を此処へ連れ去ってきた強い腕が、崩れそうになる体を抱きすくめた。
今度こそ全身から力が抜けて、私は気を失った。




少女の脚を紅い筋が伝うのを無感動に眺め、ぐったりと意識のない体をぬぐって衣服を
整えてやり――その行為の意味は自分でもよく解らないものだったが――抱き上げた時に、
慌ただしい気配が近づいてきた。

「アトリ!アトリ、何やってんだよ、何だよその子!・・・殺したのか?」
「煩い。動いたら殺すって言ったろうが」
少女の顔を覗き込もうとするトビを背中に追いやる。見せてなどやるものか。

「来るんだったらもっと早く来てとめろ」
何言ってんだよわかんないよアトリ、痛いよ殴んないでよ、と頭を押さえる煩いトビを
適当にあしらって、アトリはふたたび夜を飛んだ。




はっと気付くと、それは見慣れた部屋の天井だった。夢、だったのかな、と
枕元に手を伸ばす。いつものそこに、眼鏡があった。よかった、夢だったんだ。
恐い夢だった。震えが収まらない。両腕で自分の体を抱き締めてみる。生きてる。

どうしてあんな夢を。恐かった。怖かった。夢でよかった。ママにも話せない、あんな夢。
誰にも、誰にも。

はぁ、と握り締めていた手を解いて、そこへ目を落とす。
手首に、紅い痣が残っていた。

少し開いた窓から入り込む風が、カーテンを揺らした。




どうしよう続きそう・・・
476名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 06:59:19 ID:Jiv2yD3Q
続けてください
477名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 14:18:06 ID:OKqv+qB9
GJ!
穏やかなカラスを見て焦燥にかられるアトリの辺りとか
心情描写がいいなあ
478名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 20:41:51 ID:UEqOsxu5
どうか続けてくださいお願いします

全裸で待ってた甲斐があったぜ
479(アトミホ続き 1):2007/03/28(水) 21:58:35 ID:egIgtbL6
設定資料を探してノエ公式サイトに行ったはずなのに、
気がついたらケモノヅメのDVD-BOXを予約していた自分ガイル。
そんな勢いでアトミホ(メロドラマ化)続き投下。



突き抜けた蒼空はどこまでも澄んでいて、茫洋とした罪悪感はそこに混じることなく
消えもせず、果てしなく広がっていった。カーテンから洩れる柔らかな光も今は眩しすぎた。
体の奥に残った痛みも和らいだし、目に見える痕はもう殆ど残っていない。覚えている
のは、闇と、光る目と、いやらしく笑う声だけだ。

怖い。

夏休み中だったのは幸か不幸か、欠席の理由を考えなくてもよいかわり、自分から
出てゆかなければ誰にも会えないということだった。ママには云えない。言うつもりも
ない。男の子達には会いたくない。アイにも、ハルカにも――今は顔を見られたく
なかった。でも独りで耐える事に私は馴れていなかった。

ベッドの中でぎゅっと体を縮めて丸くなったまま、時折震える携帯に適当なことを
打ち返すだけの3日間が過ぎた。それもそろそろ限界かもしれない。
元気ないね、お見舞い行こうか、というハルカ達のお節介が今は鬱陶しかった。

ママには部屋でお祈りの儀式をしているから暫く声をかけないでね、と言ってある。
大事にサイドボードに並べたオカルトグッズはひどく幼稚に見えた。
こんなもの、全然お守りにならない。
くるりと寝返りをうった時だった。


「よお」
さかさまの男の顔がそこにあった。
耳を塞いでも消えてくれない声が、またべしゃりと貼り付いた。

咄嗟に飛び起きてベッドの端に後ずさる。引き寄せた布団は頼りなくふわっと空気を
孕み、二人の間でゆっくりとしぼんだ。上げた筈の悲鳴は喉の辺りでひっかかって消えた。
驚きも過ぎると人は言葉を失くすものらしい。

そうだ騒ぐなよお前は煩いからな、と男は腰から上を壁から生やし、私を覗き込んで
言った。金色の髪がぱらりと揺れた。

ゆっくりと壁から抜け出し、こきぱきとあちこちの関節を鳴らして一息ついた男は、
思っていたほどの大躯ではなかった。
長身だが細身で、残忍さを隠そうともしないしなやかな鞭のようだった。全身を包む
黒装束の上からでもそれが判った。心臓が倍のリズムを刻む。男に聴かれるのは悔しい。

ママは買い物に出かけている。見計らって来たんだろうか。でも、壁をすり抜けて
入ってくる化け物から逃げられる訳、ない。
480(アトミホ続き 2):2007/03/28(水) 22:00:47 ID:egIgtbL6

初めて明るい処で見た顔は、やはり獣のようだった。裂けたような口はさも可笑しく
て堪らないといったようにつり上っていて、その眼は夢に何度も出てきたままに狂気を
宿していた。

伸びてきた大きな手にずるりと顎を撫でられ、もうこれ以上後の無い壁に精一杯にじり
よって逃れようとするが悪夢は覚めない。体の震えも、歯がかちかち鳴るのも、自分の
意思ではどうにもならない。

「どうした、逃げないのかチビ?つまんねぇぞ」
逃がすつもりなどこれっぽっちも感じさせない指が、無理矢理口をこじ開け入ろう
とする。思いっきり噛んでやると、驚いたように一瞬眼が丸くなる。がそれもすぐ
にぃっと細められ、男の喉がくくっと鳴った。
笑っている。甚振って、愉しんでいるのだ。

少しの反撃で勇気が出た私はなんとかベッドから滑り降りたが、そこで後ずさる
のが限度で、結局ゆっくりと距離を詰められ部屋の隅に追い込まれてしまう。
男はひらひらと噛み付かれた指を見せびらかすようにおどけて振って見せながら、
足音も立てずに私を追い詰め、無遠慮に顔を覗き込んでくる。

私に出来ることは、精一杯睨み返すことぐらいだった。泣けばこいつを悦ばせること
になるのが判っていたから、泣きたくなかった。
あの夜、一羽の兎を狩るにも全力をもってあたった猛獣は、喰いもしない獲物を悪戯に
時間を掛けて嬲り殺すという愉しみを思いついたようだった。

「何よ、出てってよ、近寄らないで厭だったら」
じんわり熱くなる目が悔しい。怖い。気持ち悪い。逆光になって影にすっぽり包まれる
と、あの夜のことを思い出しそうになる。男の手が、だん、と顔の横の壁を叩いた。
びくん、膝がはねる。駄目、やっぱり目を開けるのも怖い。

「威勢の良いのはいいなぁ、チビ。悪かねぇ」
背けた顔をぐいっと掴まれて、目を開いたそこに男の目があった。これほど背筋の寒く
なる笑いを湛えた眼は見たことがない。

「・・・チビじゃないもん。ちゃんと名前がある」
「ほう。そんなものが今お前を助けてくれるのか?無意味だな」
「無意味じゃないもん!私が生まれて今まで生きてきたっていう大事な証拠よ!名前は
大事なのよ!」

精一杯しがみついていたつもりなのに、最後の砦だった布団はするすると取り上げ
られてしまった。長い腕の間に押さえ込まれると私はすっかり檻の中の仔鼠のようだった。
481(アトミホ続き 3):2007/03/28(水) 22:12:59 ID:egIgtbL6

くるりくるくる、逃げられないケージを回り続け、音もなく入り込んでくる蛇に
丸呑みにされる。ゆっくり。それとも、猛禽類の爪に掴み取られて。

「死んじまえば意味無ぇよなぁ、そんなもの」
「死んだって呼んでくれるわよ!みんな私のこと、ちゃんと呼んでくれるもん!」

首ひとつ動かせないが、ちゃんと会話が成立していたことが救いでもあり致命的でも
あった。言葉は幾分恐怖を曖昧にしていくようだった。それともこんな異常事態に
慣れはじめたということだろうか。ううん、怖い。死にたくない。

でも、死んだほうがましだと思う事が世の中にはあるということを私は知ったばかりだ。

そしてそれから逃げのびてきた筈の部屋で、今、私は一番思い出したくないことを
されようとしていた。

「こんな事をしにわざわざやってきたの?」
「そうさ」
男は私の手を恭しく顔の前まで持ち上げ、薬指と中指の間にうっとりと舌を這わせた。
そこが私でなくなるような気がして振りほどこうとしたが、びくともしなかった。
おぞましい感触に目を背けたが、燃えるような頬に男のにやついた視線が纏わりついて
いるのが見ずとも判った。

「人の嫌がることをやってやるのが一番愉しいからな」
私の嫌がる事をでしょう、と思ったのは自惚れだろうか。

手首、腕の内側、首筋、鎖骨の窪み。私であって私のものでない場所がどんどん
広がってゆく。痛みを与えられていない分、恐怖とは違う苦味が否応なく私を満たした。

男の熱が荒々しさを残しつつも、最初の時とは違う別の何かを滲ませていることに
私はとっくに気付いていた。でもそれに応えるには、私はあまりに稚すぎた。
残酷に見下ろすのは見慣れた天井、明るい部屋は私の罪のすべてを見届けようと
待ち構えていた。

こんなの、いや。

じわりと滲んできた瞼をぎゅっと閉じた時、玄関から声がした。ママが帰ってきたんだ。
ちらりと男の目だけが動き、声の方を睨め付けた。
声は聞こえるけれど、何を言っているのかは判らない。ただいま、今帰ったわよ、とか、
多分そんな事。行ってくるわね、を今朝聞いたばかりなのにひどく懐かしいその声に
ほっとして、私は戻りかけた日常にしがみ付こうと体をよじる。
「マ、」

強く肩を押さえ込んだ手に、叫ぼうとした声はのまれた。伸ばしかけた手は顔の
横にぐいと押し付けられ、私はガラスケースの蝶のように床に縫いとめられた。
「名前は?」
「え?」
「てめぇの名前だ」
「う、ぁ、」
482(アトミホ続き 4):2007/03/28(水) 22:15:33 ID:egIgtbL6

すうっと冷たくなった空気に気押されて、反射的にこたえてしまっていた。「ミホよ」
教えてやるんじゃなかった。でももう遅い。
「み、ほ」
初めて音を得たそれはゆっくりと咀嚼され、私の名前はけもののなかに取り込まれて
しまった。

すとんと私を手放し、現れた時と同じように音もなく男の体は背中から壁に沈んでゆく。
「俺の名はアル、だ」
「アル」
吐き出したその名を私に呑み込ませたのを確認してから、とぷん、と最後に顔が消えた。
その眼はもう嗤ってはいなかった。

おとこが消えた何もない壁に、私は近くにあったタロットカードを投げつけた。
カードは、なんの未来も示すことなく散らばった。



ごめんきっと続くんだ・・・
寸止め海峡、渡りきるまでもう少し待って。
483名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:33:44 ID:xK7MPcoj
待ってます。


484名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 01:18:57 ID:cM2QJNbO
全裸で待機してます
485名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 05:58:19 ID:/sBBHeZO
age
486(アトミホ続きの続き 1):2007/03/31(土) 00:53:38 ID:UlxrCfcp



男は青白い光を放っていた。

あの時以来、男は気の向くまま部屋を訪れては私を自由に扱った。何かに苛ついて
私を翻弄することもあれば、ふと目を覚ますとじっと部屋の隅に座りこんで物思いに
耽っているだけのときもあった。ただ、最初のような残忍な行為はなりをひそめた。

家の中で声を立てないように口を塞がれるのは苦しかったが――そのくせ非道く甚振る
のるのだ、――外へ連れ出されるのは暗に啼けと命じられるという事だったのでそれはそ
れで堪らなく恥ずかしい事だった。
それでも、言葉には出さないまでも多少の罪悪感を感じているような男に流されるよう
に絆されるように、私は不本意ながらも蒼い雪が舞うのを静かに待つようになっていた。

だが今夜は様子がいつもと違った。

時折傷を負っているようなこともあったが今回は特に痛手を負ったようで、倒れこむ
ように壁からずるりと落ちてきた。無論受け止めきれる筈もなく、私はただ押さえ込まれ
るように下敷きになった。ベッドは二人分の体重で大きくはねた。
男の体に触れると、びりびりと帯電したように私も蒼い光に包まれる。かなり大きな音が
したと思ったのに、家の中の気配は変わらない。この部屋だけが切り取られたように時
間に取り残されていた。

誰に負わされた傷なのかは訊かなくても判る。何をしてきたかも訊かない。
男の全身は冷たい炎のような光に灼かれ、不規則に明滅するそれは明かりを落とした
私の部屋を不穏に照らし、苦しむ男の顔を浮かび上がらせた。それは、ハルカとその護り
手もおそらく無事では済んではいないであろう状況を意味してたが、今はそれらを頭から
追い遣った。

ぜいはあ、と肩で息をする男は、懸命に何かを抑えているようだった。体の中で何かが
ぼこぼこと蠢いており、その背はありえない形に変化を続けていた。
「あ、あの」
「黙ってろ」
殺気立った声にも、ぎろりと睨む眼にも余裕が無かった。男の腕は重く、のしかかった
体半分だけで私はもう動けなくなっていた。普段はあれでも加減をしてくれていたのかと
場違いな事が頭を過った。
487(アトミホ続きの続き 2):2007/03/31(土) 00:58:47 ID:UlxrCfcp

怪我はしても血も出ない体に、一体どんな手当てが効くのか皆目判らない。何より私も
動けない。顔のすぐ横に突っ伏した男の顔と、見上げた天井とを交互に眺めていると、大
きく軋む音を立てて男の体が撥ねた。蒼白い闇の中で、男の背に熱帯の花のような大きな
ものが広がっているのが見えた。それはいやらしい音を立てて蠢き、男の命を吸い上げて
咲いている様に意思を持ってゆらめいた。苦しそうな顔に、思わず手を伸ばす。

「ね、本当に大、丈夫?」
腕を支えに男は上半身を起こし――四つん這いの獣に私は跨られていた――呻く。
「触るんじゃねぇチビ。――逃げろ」
何時に無く真剣なその声はどう考えても実現不可能な行動を強いていたが、それ故に
それが唯一の選択肢であることを告げていた。しかし問い返す暇もなく、呻り声は苦悶の
それから、狂喜のそれへと変化した。

ネグリジェの袖を切り裂いたのが禍禍しい花から伸びた何かだと気付いたのは、布団か
ら舞い上がった羽毛がふわふわと落ちていった後だった。一瞬、視界を白く遮られ、反射
的に除けようと手を翳すと、同時に腕や肩や脚を翳めて鋭い何かが襲いかかかってきた。

舞い上がる羽毛に紅いものが飛び散っているのが悪い冗談のように目に映った。私は見る
も無残な状態になっていく。致命的な傷を免れていたのは、護られてのことか嬲られての
ことなのかわからない。鋭い音と、痛みが比例してゆく。身動き一つ出来ない。

男は嗤っていた。片手で私の喉を掴み、軽々と持ち上げる。私は何度も壁に叩き付けら
れ、揺さぶられた。その間も、男の背はグロテスクに変容し続ける。
抑えられないんだ。これを。

声も出せず、掴んだ腕に爪跡ひとつ付けることも出来ず、私はただ呆然と周囲の音が
引いてゆくのを感じた。涙で滲んだ目の前に血の色の靄が滲んでゆくのをただ受け入れ
るだけの無力な壊れた人形だった。

男の腕に縋っていた手がぱたりと離れ、私の身体が抵抗を示さなくなったのに満足した
のか、死んでも死ななくても生きていても関心がないような目で男はぱっと私を離した。
朦朧とした中で乱暴に引き寄せられても、酸素を求める肺が上下するだけだった。

馬乗りになった男は興奮して屹立していた。ぎしり、とベッドが大きく揺れた。
488(アトミホ続きの続き 3):2007/03/31(土) 01:01:26 ID:UlxrCfcp

辛うじて残っていた布片も剥ぎ取られ、両脚は男の肩に担がれるほどに乱暴に引き寄せ
られた。男が圧し掛かってくると私は二つ折に近い状態で窮屈な姿勢を強いられ、肺は腿
に押しつぶされて喘いだ。無防備に男の前に曝されたそこは全く慣らされていない。獣の
それがあたって、これ以上ないぐらい昂ぶっているのが判った。

入り口に押し当てられたものは硬く、急いていた。ぬるりと滑るそれはこれまでにない
重量感と絶対的な支配欲を漲らせ、そのままめりめりと私を引き裂いて押し入ってきた。
押さえ込まれた腰に逃げ場はなく、男は私の一番奥深い処を未知の角度で確実に穿って
いく。ぎり、咄嗟に噛み殺した悲鳴と共に、鉄の味が口の中に広がった。
「んっ・・・んんん!!」

完全に私を満たしてしまっていても、まだその奥をこじ開けようとするように男は容赦
なく突き上げる。乱暴な動きに、私は自分の膝で顔を打ちそうになる。悲しいけれど私の
体は生存本能に従順で、嵐を甘受する道を選び、私を汚していった。

「ふ、あ、あぁ、やめ、もっとゆっく、り、」
何もここまですることないのに。もう逃げられないのに。逃げたりしないのに。何が不
安なの。何が怖いの。これ以上何が欲しいの。――どうせ今は言葉も通じなさそう。
どれだけ奪って奪って奪っても力で押さえつけずにはいられない程に脆い狂気と、こう
して苦痛を与えられることでしか自分を正当化できない脆弱さとは、思っていたよりもあ
やうい漸近線を描いていた。どこまでも交わらないそれならば、いっその事近づかなけれ
ばよかったのに。

ぐちゅる、と容赦なく突き上げるそれは今までにない激しさで私を責め苛んでいた。
朦朧とした意識の中、彼であって彼ではないそれは私自身辿り着いた事のない扉をこじ
開けようとしていた。

段差を携えた先端まで引き抜いたかと思うと、ずぶりと根元まで突き立ててくる。ぐち
ゅん、ぐちゅんとその度に音を立てるのは私なのか男なのかもう判らない。脚ががくがく
震え、お腹の奥を締め上げようとするがこの体勢では力が入らない。激しくなる男の動き
に痛みではない何かが増してゆき、何処までも暗い淵へずぶずぶと沈みそうになる――こ
れは、何?わからない、前にも少し感じたことがあるけれど、比べ物にならない。いつも
と違う場所を抉られて、つきとめられて、ぞくぞくする。我慢できない、やめて、そこは
駄目。もう駄目、その奥、――
489(アトミホ続きの続き 4):2007/03/31(土) 01:05:05 ID:UlxrCfcp

コントロールできない身体がお腹の奥を締め付ける。いつだって私に拒否権はない――
男を押し出そうとし、更に奥深く飲み込もうとする相反する私がぎちぎち蠢いているのが
判る。ひくひくと動くそこは私の意志とは関係なく、欲しい儘に躊躇うことなく男と命
を確かめ合っているようだった。声を抑えるのももう限界だった。

男の動きが勢いを増し――来るんだ、と思った瞬間、応えるように私の下腹部にも力が
入った。もう抵抗はしなかった。苦しんでいるのも、今私を奪いつくそうとしているのも、
同じ一人の男だ。そして、わたしにこたえを求めているのも。男の腕が私を掻き抱く。
愉悦ではなく、内なる苦痛に喘いでいるのが判る。縋るように、求めるように。奪うので
はなく、強請るように。私しか与えてあげられないものを。私からしか得られない何かを。

とっくに気付いていたけれども、認めるのは怖かった。煩い泣くなチビ、と乱暴に髪を
わしわし掴む手も、手に入れたのにまだ何となく名前で呼び合えない理由も、こんな時に
気付かされる、なんて。

今度こそダメかもしれない。そう思ったのは、私と男に押し寄せた激流が、二人を一緒
に飲み込んで押し流してゆくのを初めて感じたからだった。
このまま壊されても、いいや。

きつく閉じた瞼の裏、白い闇が私達の罪を照らした。



気付けば、男は私にしがみ付くように身体を丸め、眠っていた。こんな事ははじめて
だった。起こさないように注意しながら背中に手を回すと、もうそこには骨ばったゆるや
かな起伏があるだけだった。元に戻ったんだ。よかった。――良かった?
よかった、そう、良かった。そっと男の頭に手を伸ばす。普段は手を伸ばせない処へ手
を廻し、そっと抱き締めた。自分でもその意味はよく判らなかったがそうするのが正しい
ことだと思った。

男は卵の中の雛のように、胎児のように顔をうずめ、擦り寄ってきた。あたたかいもの
が胸を満たすのを背徳のようにも感じたが、それでもよかった。男の苦しみが解けるのな
ら、罪でもいいと思った。

男がくれるものはいつも苦しみを伴っていたが、それでも傷ついて誰かを必要とした時
に私の元へ来てくれた、その事実だけで充分だと思った。
490(アトミホ続きの続き 5):2007/03/31(土) 01:12:21 ID:UlxrCfcp

「もう大丈夫だから安心して」
声が届いたのか、男の力が強くなった。心地よい息苦しさだった。「ここにいるから、
心配することなんて何もないから」私は何を云っているんだろう。私はこんなに無力なの
に。目を覚ましたら、きっとまたこの男は。こいつは。
でも。

「大丈夫、大丈夫よ」宥めるようにあやすように、私はゆっくりとその広い背を撫でた。男は
私の鼓動を確かめるように耳を押し付けた。見たこともないような穏やかな顔だった。いつ
もの皮肉さが消えた口元からは、初めて聴くような、低く暖かい呟きがもぐもぐと零れた。

――寝言だ。何と言ったのだろう?――聴いておいて、あとでいじめてやるんだから。



「サラ」
そっと寄せた耳の奥、手の届かない底の底に住む巻貝に、確かにその言葉はころんと
転がり落ちた。
「サラ」
どくん。心臓がひとつ、はねた。私は自分の指先が一瞬で熱を失うのを感じた。

幸福な夢にいる男は私の胸に縋り、頬を摺り寄せ足を絡め私をすっぽりとその腕に抱き
こんだ。わたしの頭をその胸に押し付け、愛おしげに抱き締めた。「サラ」


初めて感じる暖かさの中で、男の愛にどうやって応えたらいいのか、わかった。
彼の傍でこんなに冷静でいられたのは初めてだった。


「アル」
呼掛けに応えるように腕の力が強まる。私は初めて自分からその胸に縋り、抱きしめた。
「アル、だいすきよ、アル」
「サラ」
男の指は私の髪を、背を、慈しむように撫でた。残酷なまでに限りなく優しい手だった。
男は泣いていた。男の中にこんなに澄んだものがあったことを私は知らなかった。

「アル、私もだいすき」

サラ、サラ。耳を塞いでも、優しい震動は私の細胞ひとつひとつを揺らし、そのうつく
しい名前で体中を浸した。男がくれるものはやはり涙を溢れさせたが、私に沁みこんだ
それを押し流してはくれなかった。私達はただ声を立てず、泣き合って、抱き合って、
眠った。






つ、続いてもいいですか。いやこの辺でシメか。
BGMは平井堅『哀歌(エレジー)』でした。
491名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:25:06 ID:uRt0dB7O
いいよ。いいよ。続けて続けて。
492名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:14:20 ID:+5pJ7yaT
連載終わってから感想書こうと思ってROMってたんだが
面白いからぜひ続けてください
493名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:47:34 ID:3RycGIXe
>491
>492
感謝。

よーしパパもうちょっとだけがんばっちゃうぞー

494名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:36:49 ID:uRt0dB7O
>>492 いっしょ。いま言っちゃうといけないような気がして黙っているのはある。楽しみにしています。
495名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 20:50:00 ID:LLYXfQAx
もういきつくところまで続けてください。
496名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 05:52:37 ID:Zjwnzp5e
久しぶりに来たんだけど、凄いことになってた
アトミホ続き待ってます。
497(アトミホ4-1):2007/04/02(月) 00:50:24 ID:VbJ6HwTi

 酷く――な夢を見た。楽しい?懐かしい?嬉しい?悲しい?どれと一言では言えない
が、確かに何かの感触が残っている。此処暫く夢なぞ見ていないかった。否、覚えてい
なかった。だが、ついさっきまでそれは俺の手の中にあったのだ。目を開けるほんの数
秒前までは。

 腕が重い。夢の残滓は柔らかく暖かく――苦かった。ふわふわとした髪の感触。甘い
匂い。眠ってしまったのか、いや。記憶を辿る。辺りを伺う。見慣れた場所、だ。穏や
かな寝息を妨げないよう顔に掛かった髪をそっとよけてやる。また涙の跡だ。それに、
傷だらけだ。細かい切り傷で、あちこちに血が滲んでいた。間違いなく俺がやったのだ
ろう。覚えは無いがまた泣かせてしまったのか。生きては、いる。ほっとした。

 ん、と小さく呻いて、細い腕が伸びてしがみ付いてくる。こんなことは初めてだった
ので多少驚く。眠っているのだ。寝惚けているからか。きっとそうだ。傷だらけになっ
て、泣いて、誰かと間違えて俺に縋って来るほど――恐ろしい目に遭ったのか。恐かっ
たのか。部屋も荒れている。面倒だ、面倒臭い。適当に、掛かっていた上着らしきもの
を攫って少女を包み、俺はまだ暗い外へと飛んだ。

 庭先からさほど離れていない木の上に身を隠す。木の幹に凭れて、しがみついたまま
の少女を抱きかかえて座り込む。俺は、何だってこんな事を。俺もカラスも、こんな小
さなガキ共に入れあげて、おとなげない事この上ない。こんな子供に縋って、甚振って
傷付けて。何を望む。そんな馬鹿はカラス一人でいい。いや、カラスなら傷つけたりは
しない、か。

 記憶は無いが、恐らく俺は暴走して、此処へ飛んできて、多分こいつを殺す寸前だっ
たのだろう。どうやって元に戻ったのかも解らないが、この手で。ぞくり、と背筋が寒
くなる。つい腕に力が入ったのか、少女が身じろぐ気配。――だが、目覚める様子は無
かった。

 最初はただ無分別の暴力の延長線だった。何でも良かったし何もかも壊してしまいた
かった。当り散らし傷つけた。今もそうだが。すぐ泣くし、弱い。脆い。だがそれでも
睨み返してくる気丈さもみせた。それが心地よかった。それを屈服させたくて更に泣か
せた。泣き顔は嗜虐心を煽る。泣かせてしまえば安心だった。諦めたような表情は苛苛
するが、芯の強さは残している。それをまた突き崩してやりたくなる。全部取り上げて
最後に残るのは俺だけだと突きつけてやりたかった。ガキと同じだ。
498(アトミホ4-2):2007/04/02(月) 00:52:53 ID:VbJ6HwTi

 賢そうな眼鏡の奥の素顔、髪も解いて垂らしていると、時折大人びた表情を見せるの
も知っている。だがまだ小さい少女だ。こんな事に晒されていい年齢ではない。大人に
守られてあるべきなのだ。そう、ハルカのように。あたりまえのように寄り添う二人を
思う。安心しきって、その広い背に守られ、時にその細い腕で守って。いつでも呼び合
って、百年も千年も前からそうしてきたかのように。あの男は誇らしげに見守って、少
女は何処にいてもカラスが必ず来ると信じて。信じあって。どんな不可思議も不条理も
運命も常識も不幸も飛び越えて、そうしているのが自然だから。――そうしたいと望む
ままに、恐いものなどないという顔で。

――苛苛する。俺には出来ない。何かを守るなんて、出来ない。出来たためしがない。
俺に出来るのは壊す事だけだ。目の前で壊れるものをなすすべも無く見守るだけだ。ど
うせ壊れてしまうものなら、いっそのこと自分の手で壊してしまえばいい。その方が後
悔せずにすむ。自分のしでかしたことならば墓場まで背負って征こう。だが、出来なか
ったことへの後悔は、死んでももう御免だ。

 なのに、こいつの泣き顔を見るたびに苛苛する。泣かせたいのに泣かせてしまうのに
見たくない。見せる筈のない笑顔を期待しているわけではない。だが、涙を見るたびに
またやってしまったと苦々しく思うのは何故だ。すぐに泣くこいつが悪いのか。涙をぎ
りぎりまで我慢して我慢して睨み付けるその生意気さがいけないのか。こいつのせいな
のか。
――違うだろう。


「嫌いよ」
 小さな声がぽとりと胸に落ちた。「――大っ嫌い」小さな肩がゆっくり上下する。「大嫌い」
「知ってるよ」
 髪を撫でて、腕に掛かる重みを確かめた。眠っているのでどうせ解らない。
「――なんか、――ちゃえばいいのよ、」
「そうだな、悪かったな」
 何だかよく判らないが俺が怒られているのだろう。さもありなん。本来は気の強い少
女なのだ。勝気で、くるくる表情が変わる、普通の。俺が苦しめて、悲しませて、泣か
せている。歳の近い子供達の間ではあれほどに元気なのに、俺が捻じ曲げて逃げられな
いよう閉じ込めて、俺を嫌って憎んで恐れて、――受け入れさせて。もう今更、だ。
499(アトミホ4-3):2007/04/02(月) 00:55:25 ID:VbJ6HwTi

「・・・も、好きなの」
 心臓が跳ね上がった。体勢を崩して落ちそうになる。冷やりとする、感づかれてはい
まいか。いや、今何と。
「――あんたなんか、大っ嫌い」柔らかな頬が胸に擦り寄せられる。小さな手が精一杯
しがみ付いてくる。「好きなのに」

「――わかってる」

 眠っていると解っていても、抱き返してはやれなかった。俺は、何て取り返しのつか
ない事を。




「朝、よね」
「朝だな」
「・・・部屋がめちゃくちゃになったわ」
「知ってる」
「すごく困るんだけど、あちこち痛いし」
「そうだな、困ったな」
 あんたは全然困ってないでしょう、と言い返す声は、素直な不機嫌さ以外のいつもと
違う色が滲んでいる。何となく気不味さを誤魔化したくて互いに饒舌になっているのは
判るが、全然こちらを見ようとしないし、どうにも勝手がわからない。
「何とかしろ、知るか」

 諸々切り上げたくて身体をぐいと離した時だった。
「アトリ!ここに居たのか、探したんだよ、大丈夫?」
 シュ、と空間を裂く音がして、黒い影が目の前に現れた。
「トビ」
 面倒な奴に、見つかった。


「アトリ、その子この間の」
「煩い。何でもねぇよ」
 少女を抱き寄せて地上に降り立ち、背後に隠す。それでも、素足の上酷い有様なのは
隠しようもなかった。
「なんて事をアトリ――アトリ!ここんとこおかしいと思ったら何やってんだよ」
 トビは俺の腕を掴み、ぐいぐい引っ張っていく。煩いチビだ。腕を振り払う。悲鳴が
前と後ろから聞こえる。トビは軽く後ろへ吹っ飛び、少女が怯えた様子でこちらを伺う
のが見なくても判る。ああ、またこいつは泣きそうだ。

 更に腹立たしいことに、いつになくトビは食い下がってきた。
「どうしたんだよその子。この時空であんまりやらかしちゃダメだって。僕らには関係
ない連中じゃないか。係わり合っちゃ駄目だよ。下手に僕らのことを知られてもまずい
し、僕らは何時まで此処に居られるかもわからないんだよ」
「黙れ。煩い」
「アトリ」
 ああ煩い。こいつはいつもそうだ。苛苛する。黙れ黙れ黙れ。
「ああもうまさか――本気なの?何をやっているのか判ってるのアトリ!?こんな子供
相手に何をやってるんだ!そんな事のためにこの時空に来た訳じゃないだろ、目を覚ま
してよアトリ。カラス一人で充分だよ全く――その子はサラじゃないって解かってるん
だろ!?違うんだよこの時空は、」
「黙れトビ、てめぇ」
500(アトミホ4-3):2007/04/02(月) 01:00:41 ID:VbJ6HwTi

 掴みかかりかけて、振り上げた手を下ろした。振り返ると、走り去る小さな背中が見
えた。そうだ。振り返るな。もう見るな。逃げてしまえ。
 どさりとトビを落とす。痛いよアトリ、とあちこちを擦る姿も今は蹴り倒す気にな
れなかった。胸に残る暖かい感触は、すぐには消えそうになかった。

「遅ぇよ」
「アトリ」
「遅ぇんだよ、もう」




 二人の言い争う声を最後まで聞かずに私は走り出していた。
 悔しかった。目が熱かった。喉がぎゅっと引き攣れるように痛むのをぐっと飲み込ん
だ。でも泣きたくはなかった。
 褐色の肌の青年は、理性に彩られたその赤い瞳はこちらを見ていた――全てを見透か
す様な目だった。それは男から私を、否、私から男を遠ざけた。
 関係ない。拒絶、否定、冷たい言葉だ。足元からお腹の辺りに、ぞくんと冷たいもの
が走った。それから。血の気が引く、ってこういうことをいうんだろうか。よろ、り。
足元が揺れる。手に力が入らない。いや。聞きたくない。

 アトリ。
 違う、私の知ってるのはそんな名前じゃない。私が呼んだのは、そんな名前じゃない。
 私に様々なことをしたおとこの手よりも、褐色の肌の青年の言葉は私の胸を深く抉った。



 それが、結局「彼」との最後の出来事になった。





カラスごめんいろいろごめん。
長くなってしまってごめんなさいです。感謝。
あとちょっと。
501名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:45:05 ID:oOhJ8Nvh
がんばれー。
いいもの読ませて貰ってます。
502名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:33:50 ID:XtYsn6zI
ミホのなかでアルがアトリになって終わりと思っているので次で〆かな?
503(アトミホ5-1/5):2007/04/03(火) 02:25:28 ID:DPvpyZ+p

 私を灼いた禍々しい熱を失った男は、ただの幸福な青年だった。風のままにてろりと
流れてゆきそうな、温和な笑みを浮かべていた。こちらの世界でも目立たぬようなごく
当たり前の格好をし、例の小柄な青年に付き添われていた。そうしていると二人ともま
だ少年の続きのようだった。青年はトビと名乗り、もう一人をアトリと紹介した。
 サラ、サラじゃあないか、此処にいたのか。屈託の無い、懐かしさと愛情を隠そうと
もしない声で無邪気に私を抱きしめて青年は泣いた。それはやはり、いつか見たそれと
同じでうつくしく澄んだ涙だった。私のことも私とのことも覚えていない腕の中で、私
の頬を伝うそれはこんなにも醜く穢れているのに、青年の涙はどこまでもうつくしかっ
た。
 トビが、立ち尽す私からさりげなく青年を引き剥がした。

 昔のことをわすれてしまったみたいなんだ、もう危ないことはないから大丈夫、そう
自分が紹介されていることも理解していない様子だった。私の涙も、初対面の彼からの
突然の抱擁に驚いてのことだと皆が勝手に解釈してくれた。
「君の事を、妹と間違えているらしいんだ。――もう長いこと会っていないものだから
許してやって欲しい」
 皆にも聞こえるようにトビは言った。総てはその言葉で片付けられようとしていた。
それが最善の方法なのだとやんわり釘を刺すように、それでもにっこりと笑みを忘れず
彼は私の手を両手で握りしめた。「ほんとうにすまない」乾いて、暖かな手だった。
 少し傾けた首といっしょに、編んで垂らした髪が揺れた。

 二人がハルカの家に身を寄せるとに決まった時も、私の心は穏やかではなかった。わ
たしはいやな子だった。彼らが同じ家で生活するのだと考えただけでも気が狂いそうだ
った。本当に、わたしはいやな子だった。


 明るい陽の下を何度もアトリと手を繋いで歩いた。草の匂いを嗅いだ。風の行方を追
った。屈託なく彼は笑い、ミホ、ミホ、と私を呼んだ。アトリ、そっちは駄目よ、と私
は彼の手を引いてやり、口元を拭いてやり、うとうとする彼の背を撫でた。こんなに似
ているのに、とアトリはよくそう呟いた。そうなの?と私は笑って答えた。皆はよく懐
いているね、と囃子立てたが平気だった。だって彼は子供のようだったから。私も、ま
だ子供だったから。
504(アトミホ5-2/5):2007/04/03(火) 02:28:08 ID:DPvpyZ+p


 トビは小さな身体をマシンの山の間に埋めて、ひっきりなしに細い指を動かしてい
た。繊細で優雅なよどみの無い動きだった。その指は私達とアトリ達の世界を繋ぐ指だ
った。色んな人がハルカの家を出入りし――私もそうだったが――トビを取り囲んで、
ハルカが一人で負っていた信じられない出来事を共有した。私たちの夏は、一生分の濃
密な輝きを焼き付けようとして目まぐるしく変化を続けていた。

 私はトビが苦手だった。彼は聡く、いつでも率直に、時に棘を含んでものを言った。
話すことは難しくて半分も解らなかった。そして意外にも甲斐甲斐しくアトリの面倒を
みてやっていた。鳥たちの中で誰よりアトリを理解していた。私の知らない彼を知って
いた。

「それでも、アトリは変わったよ」
「大人しくなっちゃったしね」
「いや、そうじゃなくて。こうなる前の話」
 トビは作業の手を少し停めて、遠くを見る仕草をした。「僕にもあまり手を上げなく
なった」つい、笑ってしまう。「笑うところじゃないよ」むくれてみせる彼は、笑うと
幼かった。私はうとうとするアトリの近くに座った。三人だけになるのはあの時以来だ
った。

「すぐ怒るし、都合が悪くなると乱暴になるの」
「そうそう。でも、変わった。――みんな勝手なんだ。それでも竜騎兵かって思うぐら
い。女の子追いかけて役目忘れちゃうなんて、カラス一人で充分だよ」
 ちょっと恥ずかしい。それを聴くのは二度目だ。くす、と笑ってトビは続けた。
「彼らは二人とも単純で解り易いんだ。でも、みんなそれでよかったんだ。――消えて
しまった仲間は戻らないけど」

 僕らはこの世界の存在じゃなくて、関わりのない、関わる必要のないものだと思って
た。でも、君達や、内田さん達にあって、こうして話をして解かりあえて、助かる方法
を一緒に模索して、力を借り合って貸し合って、世話になって、解かったんだ。認識しち
ゃったら駄目だった。いい意味でね。間違いなく存在してる人間なんだ。思うんだよ、
変えられない未来なんてない。意味のない出会いなんかじゃない。この繋がりは無意味
じゃないんだよ。解り合うことで、僕らは確かに今此処に存在できたんだ。

 このきれいな世界で独りで消えてしまうのは寂しいことなんだ。この時空も可能性の一
つだけど、君たちは僕らの希望なんだよ。関係なくなんか、ない。

「だから、ごめんよ」

 私の傍らで丸くなって眠るアトリが、もぞもぞ動いた。
505(アトミホ5-3/5):2007/04/03(火) 02:30:12 ID:DPvpyZ+p

 トビはまっすぐこちらを見つめる。ひたむきだ。小さな身体で、ともすると女の人の
ようにも見えるけれど、強い目できっちり受け止めて見定めてくる。何が正しいか、何
をすべきか。他の鳥たちは感情で動くけれど、彼はそれを制御してきたんだろう。何と
かしてくれそうだと思わせるだけのものが彼にはあった。カラスとは別な意味で頼もし
かった。その冷静さで、アトリを、みんなを支えてきたんだろう。――引きずられつつ
も。

「カラスも優しくなった。相変わらず鈍感だけど。自分を省みずに戦っていた頃よりも
余裕が出て、何だか強くなった気がするよ」

 コサギという女の人の顔が浮かぶ。あの人はカラスしか見ていない。カラスがハルカ
しか見ていないように。どうして男の人はこんなにも仕方ないのだろう。私でもすぐわ
かる事なのに。考えているうちに、私はトビへのわだかまりが消えていくのを感じてい
た。彼を憎むことももう出来なくなっていた。私にも気付くこと、私の気付かないこと
に、トビは気付いているのだろう。気付いていたのだろう。解かった上でなお、誰より
も彼は仲間想いで、皆のことを理解して、そして見捨てない。彼は賢い。私にも解かり
易い言葉を丁寧に選んでくれて、それでも子ども扱いすることなく伝えてくれる。
 ――適わない。

 率直にそう評すると、照れたように彼は笑った。
「いや、でも僕は随分迷っていたんだ。そんな大それた人間じゃないんだ僕は。自分達の
世界を護るために他人を犠牲にしてもいいのかって思ってはいても、使命だから仕方な
いんだって誤魔化してきた。僕は仲間の中で一番年下だし戦闘には向かないし弱いし。
アトリに引き摺られるままこっちへきちゃったしね。彼の短絡さや強引なところは、あ
れはあれで羨ましいんだよ」
「それ褒めてるのか貶してるのかわかんない」
 私も笑った。かつての彼と今のアトリにトビがついていてくれて、本当によかった。

「でももう余り時間が無いんだ」
 静かにトビは言った。「恐いんだ、少し」そう言いながらも彼は困ったような顔で微
笑んでいた。うん、私は頷いて、トビの手にそっと自分の手を重ねた。大丈夫、みんな
がいるから。
 そうだね、と彼は少し目を閉じて、うん、とやはり頷いた。ありがとう。そう呟いて、
それでもういつものトビに戻った。
「出来るだけの事をしよう」

 私はアトリの肩を撫でながら、そのときが来るのを想った。心は穏やかだった。自分
でも驚くほど静かに、私は誰にも知られることなく幼い恋を葬った。
506(アトミホ5-4/5):2007/04/03(火) 02:34:37 ID:DPvpyZ+p

「なんだか、アトリが君を選んだ理由がわかるような気がするよ」
「それは――私が似ているからでしょう」
 名前は出さない。その名前を唇に乗せるには、私はまだ濁っている。
「それもあるけど」
 赤い瞳がじっとこちらを見つめる。何もかも、読み取ってしまう目だ。あの時のよう
に冷たくは感じない。解かってくれている人がいる、というのはこんなにもほっとする
ものなのか。その瞳が、ふと和らいだ。「あるけど、何?」私も負けずに見返す。もう、
怖くない。

「――教えてあげない」
 またカチャカチャとキーボードが鳴り始める。軽やかな音は止まることなく、私たち
の僅かな希望を歌い続けた。






 悪夢を垣間見せた美しい狂った世界で、私たちを送り出したのは彼だった。
 穏やかでひなたの匂いのするアトリじゃない。でも、以前の彼、でもない。狂気はな
く静かな瞳だった。アトリならまっすぐ私を見る。彼なら、私しか、見ない。でも私た
ちに言葉少なに多くを託した彼は、すべてをその目に収めるように瞳を向けた。

 あの日私がおくった想いが、同じ岸へとひそやかに流れついたような気がした。

 静かに背を向ける彼を私も静かにおくる。あんな背中だったかな、と振り返らない背
中に想う。置き去りにされるのは私だと思っていたのに、私たちは彼を残して偽りの楽
園を後にする。解き放たれる彼を残して。


 戻った世界で、私たちは鳥たちが戦ってきたものの姿を見た。悪意の塊のようなそれ
は禍々しく奇妙で美しかった。あんなものと闘ってきたのか、彼らは。初めて実感する。
彼らがどこまでも戦いに忠実でその使命を全うしようと全てをかけてきたその本当の訳
を知る。――そして、鳥たちの本当の姿を。


 常に自分の望むことを望むままに叶えようとしてきた男が、今誰かの為に何かをしよ
うとしているのがわかった。それは私の知る限り初めての事だった。一つのものではな
く、多くのものを想って彼は戦っていた。それは傲慢なまでに強欲で、一途な願いだっ
た。姿が変わっていても、声が聞こえなくても、私には彼が解った。彼を突き動かすも
のを感じた。

 そんな風に彼を変えたものが何なのか、私はそれを誇ってよいのだろう。そう思える
だけのものを私は多くの人から貰った。この世界の為に。多くの人々の為に。その姿を
恐れ逃げ惑う人々も居たけれど、彼は、あんなにも神々しくて。どうか、みんなを。この
世界を守って。

――違う。
507(アトミホ5-5/5):2007/04/03(火) 02:40:38 ID:DPvpyZ+p

 違う。違う。違う。
 この期に及んで、彼の願いが私一人の為のものではないことを悲しんでいる自分がい
た。私は、彼の命がただ自分だけのものであって欲しいと望んでしまっていた。その姿
そのままに無垢な願いで突き動かされる巨人に護られて、私は余りにも矮小だった。
 世界なんてどうでもいい。時空なんかどうなったっていい、ただ、ただ、



 かみさま。
 こんな時だけ、あなたのことを思い出す私はずるいですか。
 世界が終わるこの時に、誰もが命を賭しているこの時に、ただ一人の命を願うわたし
は汚れていますか。
 罪でもいい、あやまちでもいい、どうか、――どうか。

――かみさま。








「カラスとね、最後に話が出来たんだ。」ハルカは強いね、と云った私に彼女はそう微
笑んだ。泣くとカラスきっと困っちゃうと思って。笑ってお別れできたんだ。だから。
 白い息が零れた。
 やっぱり強いや、と私も笑う。もう雪が舞う灰色の空の下を私たちは歩いた。あの夏
の出来事などもう何処にも何も残っていない。大人たちは無かったことにしてしまった。

 きっとカラスは嬉しそうにしていたに違いない。笑って、ハルカを抱き締めて。
 私たちはどうだっただろう。私はきっとわんわん泣き出して、彼は泣くなよチビ、と
髪をわしわし撫でてくれて。泣くなといわれるとよけい泣いてしまうのを、彼は知らな
い。彼が困ったような顔をするのを少し好きなのも、彼は知らない。想像すると、笑っ
てしまう。

 生まれて生きてきた証だと言っておきながら、私は彼を呼んであげることなく、彼も
私をチビだとかおい、とかしか呼ばなかった。それでいい。きっとそれでいい。消えて
しまっても、私はちゃんと大事にしまっておく。だから。
 ねぇ。聞こえてる?

 見上げた雪は、どこまでも白かった。





これにて幕。
ほんとうにいろいろスミマセン。長くなってゴメンナサイ。

読んでくれた方、保守してくださった方、全裸で待機してくださった方(w)LOVE!
途中で投下できねぇだろうゴルァ!だった方、ご厚情にひたすら感謝。
SS初心者マークで心臓バクバクでしたが楽しかったです。
ROMに戻ります。
508名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 04:08:00 ID:YwI6pqhp
お疲れ様でした。
不覚にも泣きそうになった。
ただエロだけを求めてここにきたのにw
509名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 12:28:01 ID:QvalHtc4
GJ!
「彼」との最後の出来事だったってのはそういう事か
色々納得したし面白かった
510名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 19:23:26 ID:gmN8hF5t
ここはエロだけじゃないからいいな。>>452〜も>>468〜も読み物として面白かった。
チンコの根元が光ったとか笑えるのもあるし…。彼らのことを知っているから長文はキューンとなる。
『本当に怖いときは声も出ない』――声は出ないし、出ても言葉にならないし、動けないし…自分がそうだから
ちゃんと口答えをするミホは強いなあ。読みやすかったです。自分、書けないからまた出来たらお願いします。
511名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 21:22:15 ID:Rwsi2jTE
ほしゅ
512名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 22:22:09 ID:QnFh+J27
トビくんと内田さんって需要あるのかしら
513名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 00:29:51 ID:C0NvwYBm
お待ちしております
514名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 01:48:21 ID:6mDrZ16t
内田さんってあんなあからさまにお色気キャラなデザインなのに
なんにもなくて(´・ω・`)だったから超カモン
515(トビくんとうちださん 1/7):2007/04/08(日) 03:10:16 ID:UCY++RLc
エロ少な目です。すみませぬ。



 コツコツ、と控えめな音が耳に届くのを合図に、私はPCの画面から顔をあげる。ホ
テルの部屋に戻って最初にすることは窓の鍵を開けることなのだが、それでもそれはい
つも私の手でひらかれるのを待っていた。その律儀なおとないは、彼の性格を表してい
るようで好きだった。
「来たよ」
 鍵も扉も窓も、あってもなくても彼には同じことなのに、必ず私の手で開けられたと
ころからでないと入ってこない。だって、女の人の部屋だもの、と彼は笑う。少し首を
傾げるように微笑んで、いつものように軽いキスをしてから滑り込んでくる。まるで夜
遊びから帰ってきた猫のようだ。媚びないけれど、拒否されないと確信しているものの
大胆さで、何もかもを手に入れようとする傲慢な無邪気さ。私はそれが気に入っていた。

 昼間と違って、夜はめだたないからと最初に出会った時の黒いマントに身を包んで彼
は現れる。これなら、ふよふよ飛んでいても大丈夫だよね、と腕を広げてみせる。無邪
気そのものだが、見た目どおりの性格ではないことは出会ってすぐにわかったことだっ
た。

「ちょっとだけ片付けたいから、待ってて」
 うん、いいよ急がなくても、と彼はベッドに腰掛ける。もとよりさほど広くはないビ
ジネスホテルの一室、勝手知ったる様子で寛ぐ気配を背中に感じながら、私はキーボー
ドに指を走らせる。こなさなければならないことは山ほどあったが、何時の間にかこの
時間は私にとって大切な時間になっていた。――何を差し置いても。

 出会ってそうも経ってはいないのだが、二人でこうしておちあうまでにさほど時間は
かからなかった。これまで幾つかの出会いと別れが人並みにあったが、これほど短時間
で距離を縮めたのは初めてのことだった。ほとんど行きずりの関係、といっても良いほ
どだ。――自分でもその軽率さの理由は解からない。

 最初に出会った時、君なら話ができそうだ、といった意味合いの事を言われた気がす
る。若いけれど随分生意気そうな印象だった。自己紹介もそこそこに、私はありったけ
の質問をぶつけ続け、彼はその一つ一つに丁寧に答えてくれた。どこまで話していいの
か、探りつつといった風情ではあったが。
 二度目にあった時は、例の無邪気な笑顔を向けられた。――ぜつりん、の、うちださ
ん、でしたっけ。彼はちゃんと私の名を覚えてくれていた。最初の醒めたような皮肉な
影はひそめて。
516(トビくんとうちださん 2/7):2007/04/08(日) 03:12:36 ID:UCY++RLc

 上乃木ハルカを連れて、一帯の調査を終えた帰りだった。能力を使うと彼はひどく疲
れるらしく、私は彼を支えて後部座席に乗り込み、いつもの助手席にはハルカがナビを
務めるべく乗り込んだ。運転席ではジェネレーションギャップに閉口しつつも盛り上が
っていた。至って普通の元気な十二歳とくたびれた中年男はそれはそれで旨くいきそう
だった。時々、その話に相槌をうったり少し笑ったりしてはいたが、私の隣でトビはじ
っと目を閉じてシートに凭れていた。――大丈夫だろうか?

 収集したデータのこと、明日のこと、会議資料のこと、ぐるぐる頭を回り続けること
を懸命に整理していた時、ふと何かが手にあたった。
 え、と思った時には、暖かな感触が私の手に重なっていた。問いかけるようにそれは
私の手をなぞり、指を絡めてきた。眠っているのかと咄嗟に思ったがそうではなかった。
――誘ってるの、と指先で問いかける。声を出して振り払うほど幼くもなく、笑って払
いのけるほど無関心でもなく。その時の自分の心は今でもわからない。互いに顔を見ず、
光の落ちない後部座席で、静かなゲームは始まっていた。

 彼の手は優しく暖かで乾いていたが、私の手はじっとりと汗ばみつつあった。年上の
男性の多い職場で、言い寄る連中を軽くいなしかわし続け、時に不本意なことを強いら
れることもあった。しかしそれも仕事の一つだとぎりぎりの我慢を処世術として身に着
けてきた。今も前で運転中の郡山さんの事にしても、仕事上のパートナーと割り切って
きたのに、いとも簡単に子供っぽい手口で篭絡されようとしているこの現実は、ひどく
私を混乱させた。暗い車内で、昼間に見た彼の瞳を思い出す。笑うと子供のような、紅
い瞳。

 私は彼の頭に詰め込まれている膨大なデータや知識以上に、彼自身に興味を持ち始め
ている自分に気付いていた。困ったわ。どうしよう。どうしよう。doushiyou。
 指先は見えないキーボードを叩き、混乱をなだめようとしたが、絡め取られたままで
自由に動かない。その指が宥める様に、柔らかく私の手を包み――そして何の前触れも
なく、ぽんと合図のように弾いて、離れた。
517(トビくんとうちださん 3/7):2007/04/08(日) 03:18:30 ID:UCY++RLc

 え、と思ったとき、車が停まった。着いたよ、静かだったけど寝ちゃってたかい、と
郡山さんの暢気な声に気付いたときには、永遠のようにも思われた時間がほんの数分だ
ったことに気付いた。ハルカとトビはそこで降り、私は助手席に移動した。
「おやすみ」
 何事もなかったかのように、二人の姿は家の明かりを背に受けて陰になり、どんな表
情を浮かべているのか解からなくなった。座りなれた筈の助手席は、ひどく居心地が悪
かった。



「初めて会った時にいいなぁ、って思ったんだけど、いつも二人でいるから駄目かな、
って思ってた。駄目元でもがんばっとこ、と思ったら意外といけそうだったから」
 腰のくびれから脚へと指を這わせながら思い出したように呟く。ちょっと郡山さんの
顔が浮かぶ。事あるごとに口説いてきたり軽く触れてきたりする郡山さんだが、その冗
談めいた言葉の裏には真剣なものが潜んでいる。それが解ったからこそ、敢えて距離を
置いた。

 しかしそれよりも暗い影が絶えず彼を覆っているのを感じた。そしてそれが郡山さん
自身を踏みとどまらせているのが解ったから、私も冗談で返す。互いに踏み込まないこ
とで互いの傷を護っているような、互いを護っているような、そんな空気があった。彼
に纏わり付く闇が何なのかはわからない。解ってしまったら、ううん、だからこそ私た
ちの間には今まで何も無かった。――そこへするりと入り込んできたのは、トビだ。

 もう、そのことは謂わないでよ、と悔しさもあって私は顔を背ける。とはいっても、
顔の両横に肘があって、組み敷かれているので逃げ場はない。くす、と笑って頬にキス
を落とされる。「美人だし、かわいいし賢いし」気が気じゃないんだけど、と息が首筋
にかかってくすぐったい。囁く唇はそのまま項を這って、鎖骨をなぞる。

「こんな時だけそんなこと言っても信じない」
 背中に腕を廻す。受け止めているつもりだけれど、しがみついているのは私かもしれ
ない。多少拗ねたところで怒ったところで、いつもこうやって丸め込まれてしまう。子
供なんだか、老成しているんだかわからない。どっちが年上だか解からないといつも思う。

「こんな時ぐらい言わせてよ」と唇は胸元へとおちてゆく。「考え事をしている時にタ
イピングするの癖なんだね」あの時もそうだった、と彼は背中に回った私の指に唇で答
えて言った。一人で居るときだけに出る癖だったのに、知られてしまった。
518(トビくんとうちださん 4/7):2007/04/08(日) 03:20:45 ID:UCY++RLc

「そっちこそあの先生と仲良さそうだったじゃない」郡山さんの顔を追い払いたくて、
あの生意気な女教師を無理やり思い出す。昼間は私を内田さん、と呼び、私はトビ君、
と呼ぶ。誰にも気付かれないように、私たちは暗黙のルールを守っていた。

 こちら側に受け入れられてから、あっという間に彼は輪の中心になった。誰も知らな
いことを彼一人が識っており、彼にしかどうにも出来ないことが多くあった、というの
も理由の一つだが、それ以上に人を惹き付けるものをかれは持っていた。単に外見だけ
の問題ではなかった。

 彼は観察眼が鋭く、冷静に判断し的確に指示を出すことに長けていた。時に辛辣に、
時に暖かく。他の仲間の様な超人的な力や戦闘力には欠けるようだったが、それでも彼
が仲間の要であったのは明白だった。多少尊大なところも似つかわしかった。

 だから、自然と人は集まる。いつも座の中心に座り、キーボードを叩きながら笑い、
相槌を返し、もう何年もそこに居たかのように馴染んでいた。

「若いセンセイだし、んっ、なにかと口実作って来てるんじゃ、ぁ、」
 もう柔らかく潤み始めているそこへ、指が伸びた。上がりかけた声は唇で塞がれる。
長い、深いキス。じゃれつくような舌は宥めるように私の舌に絡まり、私の隠した心も
引き出すように吸い上げる。その間もゆっくりと指はなぞり続け、ゆっくりと奥を開い
ていく。

「他の人の事はいいよ」長いキスを惜しむように私の下唇を軽くついばんで、音を立
てて止める。「今は、僕のだ」ゆっくりと沈みこむ指が、そう云っていた。

 何度肌を重ねても、彼はいつも新しいところをさがそうと、私をひらいた。本能に忠
実な、というよりは知的探究心に動かされるようなそれだった。どこをどうすれば私が
どう応えるのか、どう身を捩るのか。嫌がることはけしてしなかったし、若さゆえの乱
雑で飢えたようなところもなかった。ただベッドに腰掛けて話をするだけの夜もあった。
 それでいて有無を言わせないような強引な――というより、不思議と彼の求めに応え
ずにはいられないような何かを、応えたくなる様な何かを持っていた。
519(トビくんとうちださん 5/7):2007/04/08(日) 03:24:41 ID:UCY++RLc

 許可は求めない。媚びもしない。ただ、じっと見つめるだけだ。私が受け入れて求め
るのを待つそのスタンスは変わらなかった。ただ、私から手を伸ばすのを待っているよ
うだった。
――確信を持って。

 彼が触れていないところなどなかった。もう差し出せるものなど、なかった。


 これまで、こういう時の「演技」は、最低限の礼儀だと思っていた。稚拙な指に応え
て感じるふり、我武者羅な熱意を酌んで満足したふり、相手を導き自分をも煽り立てる
ための声。それが潤滑油でありコミュニケーションツールであり、防衛本能の一つでも
あると思っていた。

 でも、彼との時間にはそんなものは必要なかった。思ったままに、感じたままに、時
に獣のように、音楽のように、濁流のように、嵐のように、思うまま彼はわたしを引き
出し共振し共感した。こんなのは初めてだった。あの時、彼の手はいとも簡単に私の鎧
を突き崩してしまっていた。

 若いのに、よほど遊び慣れているのか、――よほどの苦しみを見知ってきたのか。
垂れ流しのものではない優しさは、触れれば触れるほど、出会った頃の皮肉な色を湛え
た瞳の意味を覗き込んでしまいそうで、時に恐く、時に哀しかった。それが無条件に彼
を受け入れてしまった理由だろう、と私の女の部分は告げていた。

「何を考えてるの」するり、と指が入ってくる。入り口はどれだけ慣らされても少し辛
い。入りきってしまえば楽だが、私が切ない痛みに声をあげ眉を寄せるのを愉しむよう
に、彼は指を動かす。奥は暖かくぬめって、彼を待ち受けている。傷をつけないように、
やんわり動かされるのが却って辛い。答えられない。言葉にならない。「――意地悪」

 辛うじて出た言葉にくすり、と笑いが零れる。すい、と指が引き抜かれて、替わりにも
っと優しくて横暴なものが押し当てられる。ゆっくりと、狭さと暖かさを確かめるよう
に入ってきたそれに私は思わず仰け反る。浮き上がりかけた腰に腕が回され、捕まって
しまう。あ、あああ、あ。入りきるまでの苦痛を和らげるように、胸の先にキスがおと
される。先端を柔らかくなぞられて、ますます身体が大きく仰け反る。「でも、好きで
しょ」深くまで埋められて、大きく息をつく私の額へ、軽いキス。どく、どく、私の中
が彼を呑み込んで大きく脈打つのが響いてくる。彼の息づくのが伝わってくる。
520(トビくんとうちださん 6/7):2007/04/08(日) 03:28:18 ID:UCY++RLc

「こん、な時に、べらべら喋る子は、」
「嫌い、だったよね」くす、と息が洩れる。

 勝てない。

 ゆっくり、私の身体を労わる様に動く。それがやがて焦らすような動きに変わる。も
っと奥へ、奥へ。深くへ入り込んで欲しくて、腰を浮かせる。とん、と奥に当たって私
は堪らず声を上げる。私の深いところは、何のプライドも卑屈さもなくただただ純粋に
彼を求める。そんなときの彼はいつも嬉しそうだ。

 大抵私はこういうとき目を閉じているのだが、うっすら開けた視界の中で、これまで
のおとこ達は普段見せないような恐ろしい表情を浮かべている事が多かった。女が目を
閉じるのは己の痴態ではなく男の本性から目を背けてのことかもしれない、と私は思っ
ていた。そこにあるのは女が求めるものではなくただ動物的な本能だと思い知らされる
のが恐いからかもしれない。女のように、ただ長く続く愉悦に身を任せられるのではな
く、一瞬の快楽の為に長い忍耐を強いられるのが男の性だと再確認するのが哀しいから
かもしれない。

それを面倒に思えば己の欲を満たすためだけに凶行にはしるのが男だ、ということも、
ある程度仕方の無いことかもしれないと半ば諦めてもいた。


 だから、彼がひどく幸せそうに、優しい目で私を見下ろしていたのに気付いたときに
は驚いて、そして泣きそうになった。認めたくは無いが私は彼の前では初心な少女のよ
うだった。何がそれほど彼を傷付けてきたのか、それを思うと堪らなくなるぐらい、彼
の瞳は優しい色を浮かべていた。

 それは私を思い遣ってのことではないかもしれない。自分が満足したいから私を悦ば
せたいだけかもしれない。自分が愉しむために私を導くだけかもしれない。でもそんな
こともどうでも良かった。私は思ったよりも深く彼に取り込まれてしまっていた。私の
細胞一つ一つが、彼と同じ固有振動数で揺れていた。そう思いたかった。

 涼子さん。りょうこさん。りょうこ。りょうこ。二人で居るときは、必ずそう呼んで
くれる。なのに、私は彼をどう呼んでいいかわからない。トビ君、では子ども扱いして
いるようだし、呼び捨てもなんだか気恥ずかしい。その名がコードネームだと知ったの
は暫くしてからだったが、生来の名を訊いても、それは昔に捨ててしまったから、と笑
って教えてはくれなかった。聞いたとしても、私にそれが呼べるだろうか。
521(トビくんとうちださん 7/7):2007/04/08(日) 03:31:55 ID:UCY++RLc

 りょうこ。りょうこ。名前で呼ばれるのは随分久しぶりなので、家族に呼ばれている
ようなくすぐったさがある。こんな時に家族のことを思い浮かべるのは気恥ずかしい。
名前で呼んでいいのは家族だけ。仕事に打ち込んできて、此処暫くは涼子と呼んでくれ
る人は身近にいなかった。そう呼ぶのを許した人は少なかった。りょうこ、りょうこ。
何の障害もなく彼の唇はその名をつむぎだす。わたしは、その響きにとけていく。応え
たいのに、私は彼の名を呼べない。

 褐色の肌に汗が滲む。張り付いた髪が何ともいえず艶めかしかった。男の子の汗をこ
んなにも美しいと感じたのは初めてだった。苦しげに洩れる息が色っぽい。今彼をこん
なにしているのは私。わたしをこんなにしているのは、彼。こんな顔を知っているのは、
わたし、だけ。

 突き上げる間隔が短くなる。私も限界が近かった。脚は全てを引き入れようと内側に
力が入ってコントロールできない。奥の奥を叩かれる。わたしのなかは有無を言わさぬ
貪欲さで締め付ける。あ、あ、

 来て。

 全部、全部、受け止めてあげる。


 しがみ付くように崩れる私たちは、互いの鼓動を全身で確かめ合って、もう一度深い
口付けを交わして、少し眠った。


 泊まっていけばいいのに、と思うけれど、居候の身で外泊は出来ないよ、と彼は夜明
けを待たずに帰る。変なところでやっぱり彼は律儀だった。

 今度はいつ、とは訊かない。またね、とも云わない。いつが最後になってもいいと冷
徹な覚悟をしつつ、その不安を押しのけるように私たちは夜を重ねていく。また明日、
もう今日になった昼間に会うときは、ただの他人の顔をして。

夜空に黒い影が消えてゆくのを、私はいつまでも見送った。
522名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 05:31:15 ID:aRJUCLYt
おおう。ときにくすっと笑い、ときにじわっとなり…GJ!!です。
523名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 02:44:04 ID:sr4cinNp
すっごい良かった。
トビ男前だなー!こういうトビもいいなあ
524名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 08:22:00 ID:oZ055bIV
保守
525(トビくんとうちださん2 1/10):2007/04/13(金) 22:03:51 ID:TJh4ptas

何となく続き。トビくんとうちださん。長くてスミマセン。今回は完結。
今更だけど、トビ君は姫なのよ!という人はスルーで。



「ね、ね、ちょっとまって。ちょっと休憩」
 負けちゃいそうだなぁ、と宥めるように、トビは私の頬にそっと手を寄せた。額にも、首筋にも、きらきらと
汗が浮いている。褐色の肌に映えて、それは美しかった。私は彼とまだ繋がったまま、屈みこんで唇を寄せた。
荒い息を奪うように、深い深い接吻けを。何度も角度を変えて柔らかい舌を、温かいくちびるを貪った。そのま
まもう一度、いや何度でも彼を深く飲み込んでいたかったが、力が入った分も手伝って、少し熱を失って萎びた
彼は意地悪くずるりと私から抜け出ていった。その生温い気持ち悪さに小さく声を洩らして、私も少しだけ頭を
冷やす。
 終えてすぐに煙草に手が伸びる男と、終えてすぐなのにお尻の冷たい女はどちらも興ざめだと常々思ってい
た。――まあ、そのどちらもが男の技量次第なのであるが――今の私達は少なくともそのどちらでもないことが
非常に好ましかった。現実に引き戻されるのは、もう少し後でいい。

 彼の指が、私の胸の輪郭をなぞる。くすぐったい、と身を捩る。柔らかな線を、ぷくんと悦びに膨れた先端
を、なぞり上げる。その指を、弾力で跳ね返す。
 私は自分の身体の中でそこが一番好きだった。否が応にも人目を引き付けるし、不埒な行為を誘い込む原因で
もあったので、これまでは自分の一部でありながら無駄に成長を遂げた事が呪わしかった。が、彼がきれいだと
言ってくれたことでいとも簡単に好きになってしまった。自慢に思っていいけどなぁ、という言葉は魔法だった。
私は随分変わってしまったようだ。ちらりと見上げた先に、此処暫く触れていない香水瓶が琥珀色にゆらり
ときらめいて控えめな自己主張をした。私は、鏡に映った乱れた髪のおんなから目をそむけた。

「何か今日凄いんだけど、」
 何かあったの?と、もの問いたげな瞳が私を見上げる。私は、暫く彼を見下ろしたまま逡巡し、――心の痛ま
ない名前を生け贄に差し出すことにした。「篠原っていういけ好かない奴がいるの」
 嘘ではない。今日の会議は最悪だった。――「そうなの?」浅い嘘を見透かすゆっくりした視線。無言の愛
撫。彼に隠し事が出来たためしがないのだ、私は。でも、私はそこから先を言葉に出すのが恐かった。
526(トビくんとうちださん2 2/10):2007/04/13(金) 22:06:28 ID:TJh4ptas

 彼を求めれば求めるほど、与えられれば与えられるほど、私は郡山さんへの罪悪感を拭い切れなくなってい
た。彼に逢う回数と同じだけ郡山さんとも顔を合わせる。いや、回数だけなら郡山さんのほうが多いのだ。時に
三人で、私たちは何事もないかのように会話をし、行動した。小さな痛みはどんどん傷口を広げていった。でも
そのスリルは、多分快感だった。
 矛盾も身勝手も百も承知だが、この時間を失うのは恐かった。私は膨れ上がる罪悪感から目を背けて更なる罪
を重ね続けていた。もう私はどちらをも選べずに居た。でもその事を知られるのはもっと怖かった。

 そういうことにしておこうか、と彼の目は笑って頷いて御仕舞にしてくれた。きっと私は泣きそうな顔をして
いたのだろう。彼は何も云わなくても、見抜いてしまう。嘘はつかない。でも、本当のことは言わない。それも
いつしか私たちが敷いた不文律のひとつだった。

 湿った音を立てて、心を残した緩い接吻けを合図に、私は体を起こした。「どんなところなの?あなたの、」
少し名残惜しくて、ずっと聞きそびれていた事を尋ねた。彼の近しい人に似た人物は、私達の中にはいないよう
だ。ということは、少なくとも彼は十五年後のこの日本のあたりから来たわけではないのだろう。彼の外見から
も、なんとなくそう思ってのことだった。
 話せないことをこれまで慎重に避けて話してくれていたのには気付いていた。それはこの時代の私たちに相応
しいこととそうでないことを彼なりに判断しての事だと解釈していた。しかし、話したくないことは別だった。
少し目を細めて、彼は遠くを見るような仕草をした。虎の尾を踏んでしまった、と直感した。

「・・・寂しくて、何もないところだよ。もうずっと戻ってないしその価値もない」
 自嘲を含んだ少し硬い声だった。幾つかの仮面のうち、皮肉な色のそれが張り付いていた。
「自分の故郷を悪く言うもんじゃないわ」謂ってしまってから、なんて気の利かない台詞だと自分でも思った。
彼がいつになく儚く見えて、私は何だか不安になった。彼の眉を曇らせたのは私の言葉なのは明らかだった。彼
は少し寂しそうな笑みを浮かべてぽつりと云った。「そう思えるのは、豊かで幸せな国で生きてきたって証拠だよ」
 彼の言葉は、ことんと私たちの間に落ちて脆く崩れ散らばった。私にそれを掻き集める隙は与えられなかった。
527(トビくんとうちださん2 3/10):2007/04/13(金) 22:09:56 ID:TJh4ptas

「――いや、ごめん。そうだよね」困ったような笑みを浮かべ、彼はすぐに体を起こして私の肩に凭れるよう
に座りなおすと、祈るように手を捩り合わせた。組まれた指は、彫像のように美しかった。彼の祈りはいつも
届かない、何故かそんな気がした。だからこんなにも彼の笑顔は純粋で、だからこそ私は彼に縛られるのだ、
と。私の中でひとつのピースがぴったりと嵌まってしまったのがわかった。彼の願いが、今また潰えようとし
ている事も。

 ここは美しくて、おだやかな国だ。ここで終わるならそれでも構わないって思うんだ。僕の、僕らの世界は、
寂しいところだ。僕らが失ってしまったものがここにはある。未来の君たちがそれを招くのだとしてもね。
――それに、僕らはここで出会ってしまった。
 一緒に浸りたいと思うか、手に入らないならぶち壊してしまいたいと思うか、それは対極にあるように見えて
多分同じところにあると思う。ずっとこうしていたい、と願ってしまったんだ。僕は。僕たちは。
 僕は運命なんか信じないけど、こうやって出会えたことには意味があるんだって思えるよ。

 彼はそういって、短く報われない祈りを終えた。



Title:今日
Message:逢える?

 携帯の振動がいつものメールの開封を促す。返す言葉もきまって同じ。いつでも連絡できるように、と皆の前
で渡した携帯のアドレスだ。昼間皆に囲まれているとき、堂々と彼は私にメッセージを送る。誰にも気付れるこ
となく、大胆に。

Title:ええ
Message:いつもの時間に。

Title:じゃあ
Message:あとで。

 何度この短い遣り取りを繰り返してきただろう。ごく当たり前の当世の男女のように私たちはささやかな秘密
を共有した。彼が私を通してこちらの流儀に馴染むのは早かった。
 それと同時に、彼からの連絡が絶えてしまうのが怖かった。彼の気紛れがいつまで続くのか、その事を考える
と気が狂いそうだった。彼が始めたゲームは完全に彼の一人勝ちだった。彼の誘いを断ることなど考えられなか
った。こんな事に耽っている場合ではないのに、と冷静に反論する自分は、甘い振動の誘惑の前に余りに脆かっ
た。
528(トビくんとうちださん2 4/10):2007/04/13(金) 22:12:48 ID:TJh4ptas

 それと同時に、郡山さんへの罪悪感もどうしようもないところまで膨れ上がっていた。郡山さんと一緒にいる
ときには彼の紅い瞳を、彼と居るときは郡山さんの緩んだ顔を、罰のように思い浮かべていた。煙草の煙の染み
付いた肌に触れたことはなくても、心はいつでも包まれて見守られているような気がしていた。これでもし、そ
の温かさに触れることがあったなら。それは恐ろしい問いだった。
 咎める声も詰る声もは私たちの上に注ぎはしなかったのに、私の上に居座った黒い雲は彼との時間に比例して
広がり、私を罪に濡らしていった。私は最低な女だった。

「・・・ちゃん、内田ちゃん?」
 はっと気付くと、郡山さんが覗き込んでいた。エンジンの音が私を現実に引き戻した。大丈夫かい、なんだか
顔色が良くないけど。相変わらずの調子で声を掛けてくれているのにほっとすると同時に、その温かさが辛か
った。彼は以前のようには私に踏み込んで来なくなっていた。一歩引いていると言う方が適切だろう。よそよ
そしくはないが、その変化の意味するところを確認するのが恐かった。郡山さんはその飄々とした外見と馴れ
馴れしいとさえ思える態度で、研ぎ澄まされた鋭さをいつも隠していた。紅い瞳とは別な方法で全てを見抜く
目を持っていた。

「あのな、内田ちゃん」
 車は私のホテルへと向かって進んでいた。「その、俺は別のボディガードと替わったほうがいいんじゃないか
と思うんだが」
 揄いの色のない静かなその声に、どうして、とは訊き返せなかった。断罪の雷は私を貫いていた。
「ここんとこ、ちょっと辛そうだし。その方がいいってんなら、信用できる奴を紹介するから」
 彼の動きにあわせて、狭い車内を染み付いた煙草が香った。その匂いで、私は銘柄を当てることができるよう
になっていた。肩が触れそうにも思える運転席は、その実限りなく遠かった。私は深い深い透明なガラス張りの
井戸の底に座らされているようだった。

「あのチビな、あれでなかなか腹黒い奴だぜ?負けねェって顔しやがるのさ。ニコニコして猫被ってるけど、ち
ゃんと一人前の男の顔だ。子供相手ならムキになるのもおとなげないけど、堂々と挑まれたとあっちゃ、あっさ
り引くのも失礼にあたるしで参ったよ」
 チビじゃなくてトビ君よ、と小声で言ってしまってから私は訂正すべきはそこではないことに気付いた。そん
な敵愾心をむき出しにする彼など想像も出来なかった。いつの、間に。
529(トビくんとうちださん2 5/10):2007/04/13(金) 22:15:07 ID:TJh4ptas

「でもさ、内田ちゃんどんどんキレイになってくし、オジさんとしてはちょっと悔しいやら残念やらだけど、若
いもん同士のほうがいいかなって」私はぎゅっと目をつぶった。目を閉じても、耳は塞げないのに。
「ま、考えといてよ」
 絶妙のタイミングで、古びた車のブレーキは私を窮地から救った。ホテルは目の前だった。「また明日いつも
の時間に」郡山さんはいつもの笑みを張り付かせて手をひらひらと振った。「おやすみなさい」ただその言葉だ
けを残すのが精一杯で、私は車を後にした。肩のバッグが、ずしりと重さを増した。


 部屋までどうやって辿りついたか覚えていない。
 鞄も肩にかけたままで、私はベッドに身体を投げ出したままじっと天井を見上げていた。ルームキーカードを
挿してください、というメッセージが壁で催促していた。暗がりの中でその数歩すらも億劫だった。ヒールが片
方だけ脱げて、はぐれた相方を寂しそうに待っていた。

 夜に目が慣れ始めた頃、控えめなノックが闇を揺らした。ドアの向こうに気配があった。そうか、そんな時間
だった。コン、コンと申し訳なさそうな音が間をあけて続く。
 私は起き上がって、重い足を引き摺るようにしてドアに掴まった。
「こっちからなんて珍しいわね。開いてるから入ってくれていいのよ、」ドアの隙間からは、いつもの紅い瞳の
替わりにくたびれた襟元が見えた。「――こおりやまさん」上げた目線の先には、ばつの悪そうな顔があった。

「その、ごめん」
 やり場に困ったような無骨な手が、ぼりぼりと頭を掻いた。
「さっきの、取り消そうと思って。やっぱり、引き受けたからにゃ、最後までやるよ。だから今日のは忘れてく
れ。すまなかった。それだけ云いたくて」
 いつもの咥え煙草はなかった。優しそうな目は、ちょっと泳いで、そして真っ直ぐ私を捉えた。
「郡山さん、私、」
「いや、一人で帰しちゃいけねぇって思ったのも確かなんだが、やっぱりこんな時間に悪かった。先約があった
のにすまねぇ。おやすみ、内田ちゃん」

 ぱたり、とドアは閉じて、私一人を世界から置き去りにした。明かりを点ける気にもなれなかった。ゆっくり
とオートロックがその義務を果たすストイックな音だけが響いた。
 私の周りのおとこたちは皆、簡単に私の心の中を見透かしてしまう。みんな狡い。――ううん、ずるいのは。
530(トビくんとうちださん2 6/10):2007/04/13(金) 22:19:44 ID:TJh4ptas

 痛いほど静かな闇の中で、私は窓に背を向けたままじっと裸足の足元に目線を落としていた。ほんの数歩が
無限の距離に感じられた。背中越し、壁の向こうの夜の中をぼんやり浮かんでいる彼の気配を感じる。外壁に
凭れる彼と部屋に佇む私は、限りなく遠い遠い闇のなかを背中合わせに立っていた。

 すう、と涼しい風が頬を撫でた。あしおともなく、彼の気配が私を包んだ。長い長い逡巡の末、動いたのは彼
だった。彼は初めて、その手でわたしの空気を裂いてわたしに這入ってきた。しなやかな腕が、私を背後から抱
き締める。有無を謂わせぬその強さに、彼が隠し通してきた感情がなだれ込んでくるのを知った。普段の落ち着
きぶりからは想像も出来ないそれに、息が止まりそうだった。彼の衝動に触れ、本能的な懼れが一瞬、冷たく全
身を走った。――戦慄きと綯い交ぜに溶け合い残ったのは、指の先までゆるゆると震わす悦びだった。私は本当
に最低なおんなだった。

「謝らないから」
 私は一切の世界を拒否して目を閉じ、その腕に頬を寄せ縋った。掴まる手は制止でも拒絶でもない。罰を求め
ているのは私だった。こんな時でも私の一番望むことを理解し与えてくれる彼が哀しかった。それを当たり前の
ように享受しているだけの自分が許せなかった。でも、それ以上に今は汚されてしまいたかった。
「謝らない」
 彼はそれきり、もう何も謂わなかった。

 二つの喘ぎだけを聞きながら、私はこの顔も見えない闇の中、私を組み敷くのが見知らぬ男ではないかという
恐ろしい妄想を何度も追い払っていた。これは誰だろう。こんなにも飢えて切望して絶望した指を、縋り付いて
来る腕を、私は知らない。闇にうつろうぼんやりした輪郭は、手を伸ばしても触れられない正体のないものの
ように思えた。求めた手は攫まれ、捻じ伏せられた。息を塞ぐような接吻けは咥内をくまなく舐り、強く強く
舌を吸い上げた。荒々しく胸を揉みしだく手は、先端を千切らんばかりに甚振った。乱暴に髪を絡めた指の強さ
は彼から溢れ出す負の感情を伝え、つとめて穏やかだった彼をこれほどに強く揺らすものがあったこと、そして
それが何なのかを示唆していた。私は慄きながらも身体の奥がとろとろと開いてゆくのを感じた。私はこんなに
も嬉しいのだ。二人を苦しめ傷付けてでも、私はその答えを得たかったのだ。私の中のけものの血が彼を求め、
怯え、縋り、蹂躙した。
531(トビくんとうちださん2 7/10):2007/04/13(金) 22:23:12 ID:TJh4ptas

 冷えた空気が纏わりつくのに目を醒ますと、彼の姿はもうなかった。私は、全身にしがみ付く倦怠感を拭い
きれないまま、朝の来ない事を祈った。



 何事もなかったかのように時は過ぎた。郡山さんは私を迎えに来て、冗談を飛ばし、私は軽くたしなめた。私
たちは自分のなすべきことに専念した。状況は極めて芳しくなかったのだ。
 そんな中で彼も、やはり何事もなかったかのように笑顔を向けてくれた。子供達の中で、彼は変わらず優し
く、時に手厳しく時に辛辣に毒を吐き、屈託なく笑った。世界の終わりが近づく中で、彼はやはり笑っていた。
うちださん、時間がなくなってきたよ、と彼はこの地を中心に世界を変えようとする大きなものが迫っているこ
とを事も無げに、しかし真摯な目で告げた。楽しんでいるようにも見えた。僕らには僕らの闘い方があるから、
と彼の指は変わらずキーボードを走る。「出来る限りの事を、何だってするわ」私は答えた。


 びくり、多分傍目にも明らかなほど、その時私は揺れた、と思う。
『今日、行ってもいい?』
 突然のポケットの中の小さな振動は大きな共振をもたらした。あの夜以来、初めての誘いだった。拒否する
理由はなかった。いつもより控えめなそれは、待ち焦がれていたものだった。もう鳴らないと諦めていたもの
だった。それだけで足元が震えそうだった。



 何百年ぶりかの逢瀬でもあるかのように、一言も交わさず強く強く私たちは求め合った。服を脱ぐのももどか
しく、ぶつけた唇の奥で歯がかちあって音をたてた。普段なら彼が宥めているところだが、そんな理性は今は持
ち合わせてはいないようだった。深く深く繋がってもまだ足りなかった。初めて、肌だけではなく心で触れられ
たような気がした。心を素手で弄るように侵されるのはこの上もない快感だった。私を満たす圧迫感が、心地よ
い鈍痛が、私を翻弄した。いつまでもそれらに揺られていたかった。


「涼子さん、僕ね、気付いてた」
 柔らかな闇の中、静かに彼の声が零れる。彼の胸に寄せた私の頭に、身体に、直接それは響いて、さらさらと
私の中に降り積もってゆく。きれいな声だ、と思う。彼の指が、ryoukosan、と私の背を叩く。
「判ってたけど、どうにも出来なかった。苦しそうにしてるのに、涼子さんが辛そうなの判ってたのに、手放し
たくなかったんだ」
 腕が回されて、私はすっぽりと包み込まれる。
532(トビくんとうちださん2 8/10):2007/04/13(金) 22:25:54 ID:TJh4ptas

「うまくいく恋なんて、恋じゃないよ」
 私は抱きしめられたままなので、彼の表情が窺えない。彼は頬を摺り寄せた。
「でも、涼子さんなら大丈夫。あの刑事さんは涼子さんしか見てないから」
 大丈夫だよ、と彼は私の襟足に接吻けし、髪を撫でた。とくん、おだやかな鼓動が、もたせかけた胸からも、
腕を廻した背中からも伝わってくる。

 私はあの夜まで、彼がどんな想いでいるか、どんな想いできたか、想像すらしたことがなかった。彼が嫉妬し
ているなどと欠片も思っていなかったし、彼が傷付いていたことさえも。彼を傷付けていたことすらも。なのに
彼が嫉妬してくれていたことを喜んでしまった。自分の想いが一方通行でなかったことに歓喜していた。どちら
か一方を選べずに居た私を彼は見抜いていたのに、それでも私はどちらの手も離す気がなかったのだ。――なん
て。なんて女だろう。あの夜、彼は抑えきれない衝動に身を委ねつつもそれを悔いていた。彼の葛藤は痛いほど
伝わっていた。ほんの少し、激情が冷静さを上回っていただけだった。彼は自己嫌悪に駆られ、私は刹那に従っ
た彼を悦んで受け入れた。許さないで、と祈りながら。

「いいんだ」

 僕は嫉妬深くて心の狭い人間なんだ。全然出来た人間なんかじゃない。怖いことも一杯あるし解からない事も
出来ないことも山ほどある。それに、自分で思ってたよりもずっと欲張りだった。あの刑事さんのことだって最
初から解かってて君を横取りしたくなった。カラスやアトリを見てたら、何だか先を越されちゃったな、って思
えてね。羨ましかった。だから駄目元で、心までは無理でも、こうして掠め取る事ができたら、って思ってたん
だけど、いざ手に入れてしまうと――段々それだけじゃ満足出来なくなって。我慢出来なくなってきて。

「君が郡山さんと会議に出ている間、郡山さんの相手をしている間、二人で帰ってしまった後、僕はさびしいん
だ。退屈で、どうしていいかわからないんだ。どんなにこうしていても、どれだけ一緒にいても、それでも君か
ら逢いたいといってくれたことはなかった。君の気紛れがいつまで続くか、不安でしょうがなかった」
 どこまでも穏やかな声。自嘲を含んだものではない響きが救いでもあり私を苛みもした。
533(トビくんとうちださん2 9/10):2007/04/13(金) 22:33:17 ID:TJh4ptas

「でも、僕は僕に出来るだけの事をしようって、決めたんだ。――この時間が君にとって重荷になるのは不本意
だった。だからもう止そうと思ったんだけど、どうしても逢いたくなっちゃって。ごめん。――もう我慢しないで、
だから」

 これが罰なら、こんなに残酷な罰はなかった。どこまでも彼の声は慈愛に満ちていた。その奥で、彼の魂が
啼いているのが痛いほど判った。私は目がどんどん熱くなるのを懸命に耐えていたが、優しく背を撫でられて
いるうちに堪えきれなくなっていた。こんな時に泣くなんて、卑怯だ。泣きたいのはきっと彼のほうだ。なのに、
涙で誤魔化してしなだれついて可愛がられて赦しを強請るなんて、最低だ。

「いいんだよ」何も言えない私をではなく、きっと彼は遠くを見ている。彼は腕の力を強くした。
「女の人の涙は確かに狡いかも知れない。でも、それを言うなら男はもっと狡いし強欲なんだ。それに男は単純
で馬鹿だから、女の子に泣かれたらしょうがないな、っていう折れるタイミングを貰えるぐらいで、丁度いいんだよ」

「だから」
 ゆっくりと体を離し、彼は子供に与えるように、額に接吻けをくれた。
「最後まで僕の好きな涼子さんでいてよ」

 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
 私は、彼にしがみ付いて子供のように泣きじゃくった。一晩中、彼は傍に居て抱いていてくれた。朝まで一緒
に過ごしたのは、それが最初で最後だった。

 ごめんなさい。
――いいよ。

 ごめんなさい。
――いいんだ。

 私はそれが誰に向けた謝罪なのか、自分でも判らなくなっていた。

 ごめんなさい。

534(トビくんとうちださん2 10/10):2007/04/13(金) 22:40:06 ID:TJh4ptas



「死体になりそうになったことはあったけど、自分の死体を見るなんてなぁ、やっぱりぞっとしないな」
 顎を撫でながら、郡山さんが呟いた。こうやって思い出話を出来るようになるまで、私には少し時間が必要
だった。処理しなければならない事は山積だったのが幸いした。

 あの時、終焉と未踏の未来との狭間で揺れる艦上で、彼は最期まで私を励まし続けてくれた。
「大丈夫、何を思い浮かべればいいかわかるね、間違えちゃダメだ。――大丈夫、りょうこさんなら出来るよ」
 私が強く強く願ったもの。

 私の腕の中には傷ひとつない郡山さん。そして少し離れた先には、映りの悪いテレビのようにぶれて、うつろ
う彼の姿。
「いい子だ。ちゃんと出来たね。・・・・・・独りで消えることになったらどうしようって、ずっと恐かったんだ。
だから最後に話が出来てよかった。ありがとう。君がいてくれてよかった、『うちださん』」

 最期の呪文で、彼は私にかかった呪縛を解いていった。でもその代わりに、私には別の小さな魔法が掛かって
しまったことに彼は気付いていただろうか。
 かけた本人が消えてしまったのだから、このままでいよう、とそっと思った。聡い彼にしては、詰めが甘かっ
たのではないだろうか。――いや、それともやはり確信を持って?
 何しろ、あの紅い瞳はいつだって何だってお見通しなのだ。


「うまくいく恋なんて恋じゃない、か」
 生意気にも巧い事言うわね、と一人ごちていると、運転席の郡山さんはめざとく反応した。
「内田ちゃん、えらく渋い曲知ってるねぇ」
「え?何のこと?」
「それさ、『うまくいく恋なんて恋じゃない』ってやつ。古い唄だよ」
 郡山さんは咥えた煙草を下唇に張り付かせたままハンドルを切った。
「悪い女に騙されて振り回される馬鹿な男の歌さ」
「わるい、おんな」
「でも、それが解かっていても、結局男は女の云う通りにしちまうんだ。それだけいい女なんだ、その女は。惚
れた弱み、って奴だな」

 そう、なの、と私は膝に目を落とす。内田ちゃん、そんな曲知ってるとは、歳誤魔化してんじゃないの?と揄
う郡山さんの声をぼんやり聞きながら、私はもう還らないあの紅い瞳を想った。



おわり。
エロ少なくてすみません。

※懐メロ好きのクイナが、ムダにいい声で事あるごとに熱唱(しかも弾き語り)するので、龍騎兵は全員イヤ
ほどこの曲を知っているというどうでもいい裏設定。ちなみに、トビはきっと音痴。
535名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 23:22:16 ID:byjxMbao
わかっていながら堕ちていく。わかっているから踏み込めない。だけど…。ああ、トビきゅん!
―いい声でクイナが弾き語りしたら目を瞑っていればコサギもちょっとはかたむいただろうに。
(いや、目を開けたとたんに引いたかも…。クイナ、哀れ)
男は女に優しいねえ。 GJ!!
536名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 21:32:00 ID:aCK0SM+w
ほしゅ
537名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 11:09:29 ID:5kflnprb
GJ!長編乙でした。
男前なトビいいねぇ〜
乱れない女を乱れさすとは恐ろしい。あやかりたい。

たっぷり堪能しました。ご馳走様
538名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 12:26:55 ID:nLB/HDtO
ttp://www.excite.co.jp/News/bit/00091176814481.html

>東京都の条例ということは、他の県では違うという事。
>ということで他県の公衆浴場組合にも問い合わせてみると、
>意外とバラバラな結果が……。北の北海道では“12歳未満まで”、
>大坂では“概ね12歳”という曖昧な基準、
>鹿児島は“10歳まで”と若干の差があるようです

う〜ん、11才ですって言い切れば、ハルカ達みんないっしょに銭湯に入れる!
539名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 18:48:26 ID:2NJgqm2K
電車とかの子供料金は決まっているのに銭湯は決まってないのか。どこでも10歳までと思っていたよ。

「ユウー、石鹸投げてー」
「またかよー」
「ユウー、シャンプー投げてー」
「ば…危ないから出来ないよ」
「じゃ、持ってきて」
「いっ!行きたいけど行けるわけないだろ!!」
――なんて会話をハルカとしているといいな。ちなみにこのシチュは銭湯で見たことがある。
540名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 19:20:26 ID:nLB/HDtO
引用が足りなかったけど、
子供料金というか、男の子が女湯、女の子が男湯に入ってもいい年齢の話なのよ。
541名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 20:21:30 ID:2NJgqm2K
ごめん、説明が足りなかったけど、12歳で男湯と女湯に別々に入った場合の想像。
自分が行った銭湯は男湯と女湯は壁で仕切られていたけど天井はつながっていたので
「せっけんくれー」 「はーい」 と石鹸が飛んでいた。
『男の子は9歳は女湯に入れるけど10歳はダメ』って聞いたことがあったから全国どこでもそうだと思っていた。
542名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 20:45:47 ID:02+KzGZp
バラバラでもいっしょでも萌ゆるなあ
そしてこの流れで稲中の変な銭湯の話を思い出した…onz
543名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 20:55:43 ID:jJyk/GrN
イサミ×ユウなら問題ない
別の問題があるが
544名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 21:52:54 ID:6w3a0YsH
つまり、(肉体年齢はともかく)過去の自分は12歳・7歳だから
15年後の未来から自分達も女湯に入れると
カラス&アトリが主張するわけか

>>542
体すごいことになってるぞw>onz
545名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 21:50:10 ID:sUnJz2al
ほしゅ
546(アトミホ 1/8):2007/04/28(土) 03:08:34 ID:rrdaFCe1

稲中読みたくなってきた・・・
ほしゅがわりにアトミホ投下。エロ分少なめ(というか無し)ですみませぬ。
>>479->>482のまったり後日談。



 涼しい風が頬を撫でるのに気付いて、ミホは目を覚ました。
 思い出したくないあの出来事以来、しばしば浅い眠りを妨げに訪れる不穏な気配ではなく――眠る顔
の間近に突然迫る黒い影でもなく、突然口元を塞いで掴みかかる大きな手でもなく、静かに覚醒を促し
たのは、ただ幽かな風のそよぎだった。
 それでもゆっくり目を開けて部屋を見渡す。窓が少し開いていた。
 窓の傍で目が留まる。部屋の片隅に、蹲る影があった。少し目を細めて見る。

「どうしたの?」
 少し眠そうな声に、影は応えない。眼鏡はまた曲げられても困るのでかけないでおこう。
 近寄って来ないのかな。眼差しだけを送る。怖いのは怖いけれども、それも慣れてしまった。つまる
ところ、自分はあれに気に入られてしまったのだ、とミホは自覚して、半ば諦めてもいた。魔物に連れ
去られる娘のおとぎ話はあれこれ読んだことがあるが、こんなことになっているとは正直思っていなか
った。いっそひとおもいに本当に喰われてしまったほうがいいのかもしれない。豆をぶつけたぐらいで
追い返せるような、そんな愛嬌のある鬼じゃない。角もない、牙もない、爪も普通だが、暗く鋭い――
淋しい目をした、獣だ。凶暴で、残忍で、何を思ったかこんなちっぽけな少女に固執している、獣。
びりびりした気配と皮肉な声とは裏腹に、優しそうな名前の。男はアルと名乗った。
アルは気紛れにミホの元にやってくるようになっていた。

 何度か交わした言葉から、ミホは幾つかのことを吸収していた。気に入られていると言うことは、殺
される訳ではない。ただそれだけがミホを少し冷静に繋ぎとめていた。相手を識るということは多少な
りとも恐怖感を和らげることでもあった。しかしその過程を経ることの危険性を告げる警鐘が、自分の
中に広がりつつある小さな矛盾の形を取っていることに気付くには、ミホは少々幼すぎた。

 問いかけに気付いた事を示す微かな揺れは感じられたが、動く気配のない影にミホは身体を少し丸め、
片腕を枕にして顔を向けた。長期戦になりそうだ、なんとなくそんな気がした。招待を受けないと侵入
出来ない吸血鬼みたいだとミホはぼんやり思う。勝手に入るのは入ってるけど。

547(アトミホ 2/8):2007/04/28(土) 03:11:11 ID:rrdaFCe1

 それに窓を開けて入ってくるなんて珍しい。でも閉めないところが彼らしい。触れるものを全て切り
裂いてしまうような鋭い空気はどうしたことか感じられず、かといって眠るに眠れない。その静穏は却
って不安を招いた。

 影はこちらを向いてはいるが目線はあわない。裸眼ではよく見えない、というだけではなかった。ミ
ホを通してどこか遠くを見ているようでもあり、何も見ていないようでもあった。だが、ぼんやりと漂
う意識が感じられた。
 野良犬と睨みあっている様な気分だ。撫でてもいいのか、うっかり手を出せば噛み付かれるのか。ゆ
らり揺れる尾は威嚇か、恐れか、それとも。そして何よりこの距離感。

 ミホは諦めて片手をさしのべた。招くでもなく、ただゆるやかに。「どこか怪我でもしたの?」
 それが残酷なほど無防備で、時に多くのものを徒に傷付ける無垢さだとは気付かずに。

 求める手か救いの手か、許しを請う手か労りの手か、それはどれとはミホ自身にも解からない。ただ
何かを求められているように思った。試されているのかな、そうもよぎったが、今は特別、正解でも負
けでもよかった。影がひどく果敢無く移ろって見えたからだ。噛み付くならそれでも構わない。どちら
にしても同じ事、なのだ。常に牙の下にいるようなものだし。――全く私はどうかしてる。

 戸惑いに影は少し揺れ、やがて諦めたのか、ふらりと立ち上がって足音もなく近寄っ来てきた。不安
定に揺れながらも、伸ばされた手に応えた。その指に指を絡め、ミホはシーツの上に静かに手のひらを
置いた。影はそれを妨げない距離に、背を向けたまま儀式のように腰掛けた。腕の距離の先、少し俯い
た背中が聳える。背骨の浮き出たような、ゆるやかだがまっすぐな背だ。繋いだ指はしなやかに腕から
肩へと連なり、美しい稜線を描いていた。翳に取り込まれたこちらからは背けられた男の顔は見えない。

 ややあって、肩越しに男が振り返る。気配がそう伝えた。やはり陰に切り取られて表情は読み取れな
い。目線をはずす。そのかわり、ミホは触れている指だけで男の指をなぞる。届かない背中の代わりに、
指を撫でた。指が指に問う。応えはない。静かに待った。優しく、いや精一杯優しいつもりで、急かす
ことなくただ待った。繋がれて、翳に取り込まれているのは私のほうだ。だから。
548(アトミホ 3/8):2007/04/28(土) 03:15:46 ID:rrdaFCe1

 話したくないなら訊かない、けど。いいよどっちでも。とん、と指先で指に軽く触れる。人差し指
で、無骨な人差し指をなぞる。少し冷たい指が冷えた指にその熱を伝える。少し暖かな乾いたてのひら
に親指を伸ばしてみる。届かないけれど、少しだけその柔らかさに触れた。ミホの首筋を締め上げたこ
ともあるそれ。望まぬことを強いる長い指。でも今は怖くない、多分。

 ミホの頭の中に音楽が流れていた。いつか聞いた曲だ。だが攫もうとすると遠ざかり、なんと言う曲
なのか歌なのか判らない。やさしい、美しい流れは指先を弾ませ、そのリズムを男の指にも伝える。終
わりのない音楽は、数分、数時間。

 そういえば、彼が現れるときはいつも何かしらの音楽が頭の中に流れているような気がする。嵐のよ
うに総てを薙ぎ倒し揺らし狂わす音、哀しいメロディー、雨のようなリズム。絶えず流れ続け、叩きつ
ける、体に響く激しい振動。内臓を直接揺らすような、肺を満たし心臓を攫み、鼓動すら強制的に支配
する圧倒的なリズム。――でも今は静かな。

 沈黙の音楽を遮って指はふいに掴まれ、ぐいと身体ごと引き寄せられる。一瞬、ミホの背中を冷たい
ものが走る。軽々と男の腕に巻き取られて、細い体はすっぽりと影に包まれる。ベッドのスプリングが
ぎしり、と軋む。もう悲鳴は洩れない。ひゅ、と息だけが喉の奥で鳴り、突然に速さを増す鼓動が鼓膜
を直接どくどくと打つ。ぎゅっと目を閉じる。私の中だけの響きだといい。男はミホを取り込むように
膝を立てて座り込んだ。何をしているのどうかしたの私は。腕を掴む熱を感じ絶対的な力を感じ、頭の
中でぐるぐるといくつもの異なる思いが渦を巻く。逃げなければ。でも。耳には衣擦れの音だけが静か
に残り、また沈黙が戻った。一瞬の出来事だった。かそり、緩やかなくせのある長い髪が男の腕から余
ってこぼれ、耳元で微かな音を立てた。近すぎてやはり男の顔は見えない。ああ、また闇に呑まれた。
ことん、と何か硬いものが胸に落ちるのをミホは感じた。確かにひとつ何かが積もったが、それは嫌な
感じではなかった。

「泣かないんだな」顔のすぐ傍から聞こえたのは思いがけなく静かな声だった。
「泣いて欲しいの?」触れる手が、いつもの一方的な支配欲や熱を伝えて来ないことをミホは訝しく思
った。

549(アトミホ 4/8):2007/04/28(土) 03:18:23 ID:rrdaFCe1

 雲が切れて男の肩越し、中空の月がカーテンを通してやんわり光を滲ませていたが、ミホに見えるの
は柔らかい闇の中にあるはずの男の黒い胸だけだった。その境目は解からなかった。闇に慣れ始めた目
を敢えて閉ざす。瞼の奥に再び漆黒が訪れる。泣いているのは、どっちよ。

「怖いのは厭。痛いのも厭。――でも、負けて泣くのは、もっと厭」
 自分の声が二つのからだを震わせ響くのが解かる。背中に回された腕に力が籠められて、背が反った。
その息苦しさが、自ら招いたものだとはミホは気付いていない。ただ感じるのは、やはり今夜は勝手が
違うという事と、より深い闇を吸い込んでしまったような、云い様の無い不安。

「そうか」聞いているのかいないのか、感情の見えない声だった。男の手が髪を掬い、指に絡め、玩ぶ。
背中で動く指が少しこそばゆい。

「何をされているのか解かってるのか」いつもの軽侮の色もなく、思いがけなく淡々とした、それだけ
に真剣といってもいい声に、びくり、と身体が揺れる。フラッシュバック。腹の底から這い登って来る
震え。思わず膝を寄せる。手足の力が抜けてゆく感覚。やっぱり怖いのを体が覚えている。今更それを
云うの。ずきりと胸を刺す痛みに眉を寄せ、不意に押し寄せた瞼の熱さを懸命にこらえていると、ミホ
は自分がこんな男に手懐けられて腕の中にちんまり収まっているのが突然腹立たしくなってきた。自分
のものではないように震える手をどうにか動かして、男の胸を押しやる。びくともしない。精一杯腕で
突っぱねても、腕の中からは逃げられない。

「離して」せめて男の胸を叩く。「厭、離してったら」顔をあげられない。ひどい。やっぱり心配なんか
してやるんじゃなかった。「わかった、わかったから泣くな」「泣いてなんかないったら」
 宥めるように、却って抱きすくめられる。「泣いてなんかないわよ、馬鹿」泣くなという言葉はなぜこ
うも涙に拍車をかけるのだろう。ああもう、泣いてるのはどっちなんだか。
「泣くなよ、お前は煩いな」大きな手が、すっぽり頭を包んで撫でる。戸惑う指が、俯くミホのほっそ
りした首筋にかかる髪を束ね、掬っては捩じり、散らした。
「泣いて、」自分の声がぐじゅぐじゅと湿っぽく震えているのが情けない。こうも毎回泣かされるのは
悔しい。「ないもん」宥められて嗚咽に消え入りそうな声も情けない。目が熱い。「わかったよ」髪をわ
しわし撫でられると、もう引き分けだ。

550(アトミホ 5/8):2007/04/28(土) 03:22:25 ID:rrdaFCe1

 小さく丸まった体を抱え座り込んだまま、アルはずりずりとシーツの上を摺って、助けを求めるよう
に壁に凭れた。小さな肩を引き寄せて背後から抱えなおし、小さく息を吐く。男が弛緩するのが肌に伝
わってきてミホはどきりとする。檻のような腕と脚の中、膝を抱えて出来るだけ小さく座り直す。お互
い顔は見えないのが少し安心する。何なのよ。どうしたいの。
「何なんだお前は。どっちなんだ」呆れたようないつもの声が背中に響く。びくん、と膝がはねた。あ
あまた馬鹿にして。ミホは自分のつま先をじっと睨む。足の甲。くるぶしの上で組んだ自分の手。膝の
前で交差した、アルの黒い長い腕。

「わかんねぇな」檻がするりとほどかれる。片方の腕と立てた片膝だけで支えられ、身体が自由になる
と――自由にされると――ミホはどうすればいいのか判らなかった。とりあえず体を少し離して、手足
の強張りを少し緩める努力をする。引っ込んだ涙に声が滲んでいないか確認する。「わかんないわよ」
良かった、平気。まだ少し湿った鼻をひとつ鳴らした。

「今日は逃げないのか」
「いつも逃がしてくれないじゃない」反駁の声は小さい。肩を細めて膝を抱き、体を丸めて、足先を少
し遊ばせる。そうでもないぞ、今日は気分が乗らないからな、とやはり何の色も含まない素直で静かな
いらえをこぼして、アルはミホの髪をひと房つまみ上げては、指に絡め軽く引っ張ってはほどき、絡め、
心此処に在らずといった風情をみせた。「なのにお前が誘うからだ」ミホはかっと頬が熱くなるのを感じ
膝を胸に寄せた。

 八つ当たりのように自分が悪者にされて、訳の解らない罪悪感と萎んだ苛立ちとが綯い交ぜに押し寄
せ、ミホはひどく居た堪れない気分になった。それを後押しするのは、男のいつになく沈んだ様子だっ
た。表情が気になったが、自分の顔を見られたくはなかった。代わりに、ことん、と自分を中途半端に
囲んだ腕に体を寄せてみる。少し体温が伝わる。するとまた、どこからかさっきの音楽が流れ込んでく
るような気がした。そっと、そっと、触れる面積を増やしてみる。腕がゆるりと廻された。閉じ込める
のではなく、ただ倒れてしまわないように支えるだけの腕だった。どちらも間違ってる、そう思ったが、
そう言いきれる自信はミホには無かった。ただ、音楽に身を浸して静かに目を閉じる。間違ってる。う
うん、私達間違ってる。間違ってる。きっと二人これはよくないこと。
551(アトミホ 6/8):2007/04/28(土) 03:27:11 ID:rrdaFCe1

 考えあぐねていると、思い出したようにアルが呟いた。「外へ行くか」思わず目を見開く。そんな事を
これまで訊ねてきた事もなかった。求めるのは同意ではなくささやかな抵抗と絶対服従、有無を言わせ
ず捻じ曲げひっ攫うしか知らないのだと思っていた。顔を見上げようと振り返りかけた肩がやんわり制
止させられる。「夜風に当たっていると、どこまでも飛んでいきたくなる」ミホは自分のつま先に目線を
戻す。「上へ?」「そうだ」「高いところが好きね」「ここは緑が多いな」

 抱きかかえられたまま、街が見下ろせる山の上の夜の森、その樹上へと連れ去られたいつかの夜の事
をミホは思い出していた。そういう時は皮肉にも頑丈な男の腕と胸だけが頼りだった。震えるミホを今
のように抱えたまま、アルは高みに腰掛けてじっと遠くの闇を聴いていた。きっと独りでも彼はそう過
ごしているのだと其の時ミホは横顔に想った。夏場でも北の地の夜の風は冷たく、高い梢は時に鋭い音
を耳元に走らせた。竦む足元の震える覚束なさと森の冷たい空気、ごおごおと吹きおろし巻き上げる山
の風の音。いつもは意地の悪いことばかりを告げるのに、夜空では酷く遠く揺れる静かな横顔。その手
と唇が自分に与えたさまざまのことをミホは思い出していた。「高いところが好きな人は、」消せない記
憶を少しだけ遠くへ押しやりながら呟く。「きっとこの地上が息苦しいのよ」

 苦笑交じりの息が頭上に聞こえた。「上へ上へ、どこまで飛ぶの?」「さあな」どこまでかな。叶えな
れないそれと解って夢を語るものの声だった。それでも彼は、彼なら、どこまでも高く飛んで行ってし
まいそうな気がした。「お話しの鳥みたいだわ」知らず、ミホは男の黒いマントの端を握り締めていた。

 行くか、と言いつつ動く気配はなく、少しの沈黙のあと、続きを促す声が闇を揺らした。「鳥?」
「そうよ」ミホは自分を包む腕にそっと手を添えた。

 醜い顔のとりなの。名前は強そうだけど弱くて優しくて、皆から嫌われているの。口が耳まで裂けて
いて、自分でもみっともないって思っているの。昼が苦手で、誰も居ない夜に飛ぶの。自由な夜空では
びゅんびゅん早く飛べて、鳴き声も鋭いから、みんな姿の見えない彼を別の誰かだと思って怖がるの。
夜は全然別の強い鳥みたいだから、その強そうな鳥に似た名前がついているのね。

 でもある時、その名前の似た鳥が来て、名前を変えろ、さもなければ殺す、って脅すの。
552(アトミホ 7/8):2007/04/28(土) 03:31:04 ID:rrdaFCe1

「おいおい、別に俺は誰にも苛められやしねぇぜ、嫌われてるのは嫌われてるだろうがな」強いて言う
ならお前だな、という言葉を含んでアルはミホの髪に唇を寄せたが、それはミホが気付かぬほどひそや
かな接吻けだった。

「しかも不細工か」お話しの鳥のことだから怒らないでよ、とミホは笑って続けた。

 お前みたいなやつが俺と似た名を名乗るのは許さない、だなんて、とんだ逆恨みよね。
 総てのものの名は神様が呉れた大切なもので、それを変えるぐらいなら死んだがましだ、って泣くん
だけれども許して貰えなくて、でもころされるのも嫌で、とりはこの地上を去ろうと決めるの。
 きょうだいにお別れを言って、月や太陽や星を目指して、高く高く飛ぼうとするのよ。

「みんな神様から貰った佳い名前を持っているのに、自分だけ無理矢理変えられるのは厭だ、って、
悲しくなるのよ。自分はどうして嫌われるんだろう、って。人助けをしても疎まれて、何もしなくても
蔑まれて、そのうえ生きるために他の命を奪っている自分を悲しんで、苦しんで」

 鳥、か。口の中で呟いたきり、男はまた黙り込んでしまった。

 ミホは顔の見えない相手に語り聞かせながら、身体を包み込む温かさと、自分の声に合わせるように
再び響く音楽にいつしか身体を委ねていた。柔らかな飴色の弦楽器の音色のようでもあり、煌くような
ピアノの調べのようでもあった。もの悲しく、軽く明るくなだらかで、重く深く、熱く低く、切ないよ
うな愛おしいような、目覚めと共に遠ざかる明け方の夢のようなその鈍いメロディーをどこまでも追っ
てゆきたかった。でも耳を澄ますと遠ざかり、何かを想えば再び顔を出す。それがどこから響いてくる
のかわからない。しかしそれでいて、いやだからこそ、酷く心地良いのだけは確かだった。それは何処
までも美しく儚かった。


『寒さにいきはむねに白く凍りました。空気がうすくなった為に、
はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。』

 そうして、とりは、とりは。独り夜を往く鳥は。


「で、どうなるんだその鳥は」
 小さい頭に顎をこつりと乗せ、続きを促す。返事はない。おい、と肩を揺らしかけて、小さい寝息に
手を止められる。あまり夜更かしの続かない年齢なのだということに漸く気付く。起こさないように、
自分に縋っていた小さな暖かい手をそっとはずし、ゆるゆると腕を解いて頬杖をつく。知らず、何度目
かの深い溜め息が洩れていた。



553(アトミホ 8/8):2007/04/28(土) 03:35:05 ID:rrdaFCe1

 夜の闇を裂いて飛んだ黒い鳥は、誰にも気付かれることなく木々の間を抜け、ひときわ高い枝先を選
んで舞い降りた。影はいつものように葉陰に身を隠す。
 幹に凭れ片膝を立ててぼんやりと頬杖をつく。思案顔がふと険しくなり、背後へ目だけを遣る。振り
返る事なく、気配に興味を失ったようにアトリは再び遠くへ視線を戻す。「おい」
 虫の居所を窺うように少し顔を出し、トビは少し離れた枝をがさがさと鳴らして姿を見せた。「何処
に行ってるんだよ、いっつも」まぁいいけどね、と少し安堵の笑みを溢して、トビは無防備な好意を露
わに、跳ねるようにアトリに近寄った。

「嫌われてる鳥の話知ってるか」は?と目を丸くするトビに、アトリは顔を向けずに続けた。
「口が耳まで裂けてて不細工なんだと」
「それってアトリじゃないの」痛いよ殴んないでよ冗談だよ、と頭を押さえて喚くのへ、いつもなら更
なる蹴りを入れてやるところだ。「昼は苦手で夜飛ぶ鳥で」しかし思い直し、反射的に頭を庇う手の上か
ら、わしわしと撫でてやる。わ、わ、わ、と慌てふためいたトビが危うく枝から落ちそうになるのをす
んでの処でアトリは支えた。信じられないものを見た、という顔をアトリは横目でちらとねめつける。

「名前は強そうだけど弱っちいお前ぇみたいな情けねぇ奴で、疎まれてて、夜空を飛んでいくんだ」
 目を白黒させながらも少し逡巡して、トビはぱっと明るく利発そうな顔を上げた。
「それってさ、ひょっとして」
「いや、やっぱり言うな」アトリは最後まで聞かず、大きな手でばしっとトビの顔を真正面から押さえ
込み、軽く押しやってから、ふいっとまた横を向いた。痛たたた、と鼻を押さえながらも少し考え込ん
で、トビは尋ねた。「何か変なものでも喉に引っ掛けたかな?」

 なんだそれ、と言ったきりそっぽを向くアトリに、トビはそれ以上問いかけない。それとも、何か気
になることでもあるのかい、と尋ねたら今度こそ裏拳が飛んできそうだなぁ、とトビはアトリの顔を盗
み見て、気付かれないようそっと微笑む。それきり二人は黙った。風が、二つの影を揺らして、過ぎた。
夜はどこまでも緩やかで、広く遠く続いていた。そうして、影はいつものように闇に耳をすます。影は
翳に混じり、夜に溶けた。




おわり。

やっぱりトビは何でも知っているオチ。
554名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 18:07:57 ID:LUg/hdJR
良かったです。指を絡めるところはちょっとドキっとしたなあ。
トビはアトリにつつかれるのが好きとしか思えない。引き際もちゃんと知っているしいいなあ。
555名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 21:05:11 ID:IGPIN79M
ほしゅ
556名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 21:51:47 ID:Rv2Kh+w1
イサミ×アイとかないかな
557名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 22:46:17 ID:vEODQjQl
コドモ同士はなかなか難しいな
GW終了間際の神はおらぬか
558名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 18:31:11 ID:ZXBJe4jW
ほし
559名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 00:15:04 ID:IbiZtmzl
>>557
これが書けないと致命的だということに今更気付いた
560名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 00:26:32 ID:zA1J7Dvm
たまにはあげ
561名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 02:09:30 ID:wYeAdjeq
今の小6ならそんなに子供っぽくないんじゃね?

ハルカとユウは大人のカップルにはないあっけらかんとした感じで
いっしょに風呂に入るかのようにぱっぱと全裸になって即ハメ、
サルのようなセクロスの合間におかしやゲームや宿題をはさみながら
ダラダラ裸のまま何時間も過ごす。

なんとハルカママ公認で、上の階から裸のハルカがおりてきて
「ねえママー、ゴム切れちゃったー」
「しょーがないわねー、今買ってくるからおやつ食べて待ってなさい」
「はーい」といったやりとりもしばしば(ユウママにはひみつ)


アイとイサミは裸を恥ずかしがっていつも布団の中でセクロス、
スポーツマン同士なので行為は激しいが、2人ともなぜか必死に声を抑える。
事後も恥ずかしくてしょうがないんだけど一緒の布団に入ったまま
ポツポツおしゃべりして、おなかがすいたら家へ帰る。
562名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 02:14:39 ID:61SAWji8
>>561
おお、出来てるジャマイカ!あとはねちこく文章にするだけだ!
563名無しさん@ピンキー:2007/05/10(木) 12:41:17 ID:Hm5Pph6E
5月10日から16日まで愛鳥週間。何か書きたいなぁ。
564(ほのぼの 1/9):2007/05/13(日) 03:41:04 ID:Znpo+NuJ
愛鳥週間ということで鳥さんたちをねぎらってみた。
でもエロなしですごめんなさい。長いけど保守代わりということで。




「おかーさーん。何、これー?」
 それは、物置代わりになっていた部屋で埃よけの白布を被せられひっそりと置かれていた。長くて大きな木の箱だ。
重くて動かせそうに無い。幅は一メートル以上ありそうで、高さはハルカの膝あたりまで迫っていた。奥行きは六十
センチ以上はありそうだ。その上厳重に梱包されているところをみると、どうやら、届けられて長い間そのままの状
態らしい。包みには、英語という以外はよく判らないアルファベット。ハルカは階下で仕事中の母・明日香に届くい
つものボリュームで叫んでから、返事を待たずに封を開け始めていた。絵本の製作中は話しかけても怒鳴っても聞こ
えないことが多い。今はカラスも出かけていて居なかった。ハルカは宝箱を独り占めにした気分だった。苦心しつつ
も一つ一つ厳重に結ばれた紐を解き、パッキンをめくり、大きな荷物と格闘する。梱包の下はダンボールだった。
「なんだろう・・・」
 ずしりと重いそれは、ハルカが腹ばいになって紐を向こうへ押しやってもびくともしなかった。しかし、幾重にも
貼られた注意を促すシール、ダンボールにも印刷された文字から言っても何か大事なものであるのは明らかだった。
ハルカは、此処まできたら最後まで開けよう、と自分に言い聞かせ、ダンボールを封じたガムテープに手をかけた。
「よしっ!」

 べり。ばりりりりりり。ボンドがねばねばとわきかけたテープは謳うように剥がれた。髪に触れないように丸めて、
ダンボールを注意深く開く。更に詰め物。その奥、ダンボールを組んだ固定用パーツの下には、重厚な白い物体がひ
っそりと眠っていた。それはしんとした手触りのよい冷たい丸い筒で、金属で出来ているようだった。両側からしっ
かりと固定されてびくともしないそれは、もう何年も眠りを妨げられることなくそこに鎮座していたものに違いなか
った。指紋一つ付いていないようなそれは、とてもハルカ一人で持ち上がりそうには無かった。一緒に筒に沿うよう
に少し丸まった取扱説明書はやはり英語だったが、その組立図に描かれたそれはハルカにも解るものだった。
「ぼう、えん、きょう?」





「ねぇおかあさん、うちに望遠鏡ってあったかな?」ハルカは昼食のホットサンドを頬張りながらさりげなく明日香
に尋ねた。夕べのハンバーグの残りを挟んだだけのだが、なかなかの出来栄えだ。煮込みハンバーグの濃厚な味とマ
ヨネーズはどうしてこうもぴったり合うのだろう。
565(ほのぼの 2/9):2007/05/13(日) 03:45:28 ID:Znpo+NuJ


「望遠鏡?」うーん、そういえば・・・明日香は眉を寄せて考え込んだ。「ああ、そういえばあったわね。ほら、覚えて
ないかな、お父さんと一度だけ星を見たことがあったわねぇ、懐かしいわ。ハルカ、ちっちゃかったか。でも、重く
って私たち二人じゃ無理だし、それっきりだわ。どしたの、夏休みの自由研究?」
 明日香の手元からレタスの切れ端がぽろりと落ちた。「あ、お母さん落ちたよ」うん、そうなんだけどね、とハル
カはあれこれ考えながら注意深く続けた。「プラネタリウムに行くか、山で星を観察するか、どっちがいいかなと思
って」ソースが指の間を伝った。ハルカは首を傾けて、横からかぶりついた。「やっぱり本物のほうがいいよね」
 上乃木家に身を寄せる居候は三人共留守だった。二人でも賑やかな食卓にはもう高い日差しが入り込み、開け放っ
た窓からの風がそよとハルカの髪を揺らした。今日も暑くなりそうだった。

「星見る、っていっても結局遊んじゃうのよね」明日香はレタスを拾って口に放り込む。「でも、プラネタリウムな
らいろいろ教えてもらえそうじゃない。それに夜遊びもほどほどにしないと」
 おおよそきっちりした性格とは云えないし、仕事に入り込んでしまうと普段以上に不規則な生活になる母・明日香
は、ハルカに対しても他の子どもたちに対しても放任主義を決め込んでるようだったが、それでいてぴしりと押さえ
るべき所は押さえていた。ハルカにとってそれが素直に感心できる処であり、誇りでもあり、密かに舌を巻くところ
でもあった――「はーい」先に釘を刺されてしまったな、と思いつつ、それでもハルカは頭をフル回転させて計画を
練っていた。





「でね、私とカラスは望遠鏡を運ぶから、みんなは毛布とか、お菓子とかジュースとか持って来てよ」
 アイツも呼んだのか、と眉間に皺を寄せるユウに、ハルカは慌てて説明する。「だって、重たくて持ち上がらない
んだもん。子供じゃ無理だよ。でもお母さんには内緒で行きたいでしょ」それでも不機嫌そうなユウだったが、他の
メンバーはすっかり盛り上がってしまっていた。
「幸恵ちゃんも呼ぼうか?」「駄目よ藤原。大人は駄ぁ目」「カラスだって大人じゃないか」「カラスはいいの」「アト
リも一緒に連れて行ってもいい?」「ちゃんと面倒見んのよ」「俺、お菓子持ってくる!」「男子のフトンなんて臭そ
うだから私とミホが敷物とか毛布持ってくわ」「じゃあ僕は飲み物か」
566(ほのぼの 3/9):2007/05/13(日) 03:49:49 ID:Znpo+NuJ


 ハルカの部屋で作戦会議は進んだ。そして、事前に御本尊を拝んで置こう、と一同は物置部屋へと雪崩れ込む。
「どうやって組み立てるんだよ、これ。解るのか、英語だぞ?」ありえねぇ、とイサミが指先で説明書をおそるおそ
る摘み上げる。ユウ、読めるか?とそのままユウにぱたりと手渡す。「うーん、解らないこともないけど、トビにも
手伝って貰おうよ」「最近夜はよく出かけてるんだけど、明日は居るかな」
 ハルカは首を傾げながら、カラスに組み立てを頼むのはちょっと難しそうだなぁと考えた。ものはどうやら輸入品
のようだった。子供向けの簡易なものではなく、どうやら本格的なものらしい、ということだけは解った。


「みんな、明日の夜、六時だよ。暗くなる前に組み立てておかなきゃ駄目なんだから」
 じゃあね、と隠し切れない期待がこぼれる笑顔で手を振り合って一同が辞した後は、いつもに増して静けさが身に
滲みた。ハルカは、この望遠鏡を覗いた時の事を覚えては居なかった。いつのことかは判然としないが父が居た頃な
ら、ひょっとしたら此処へ来る前のことなのかもしれない。東京で見上げた夜空だったのか、それとも。

「どうかしたのか、ハルカ」静かな声にハルカは振り向いた。「お帰り、カラス。みんな戻ったの?」ああ、二人と
も部屋に居る、とカラスは目を細めて云った。
「あのね、これ運べるかな?重いんだけど、あ、壊れやすいものなの」ハルカは少し身を引いて足元の箱を見せた。
カラスの腕から黒い鞭のような影がしなり、易々と箱を音も無く持ち上げて見せた。「やったぁ!大丈夫だね!」
元通り静かに下ろされた箱を大事そうにハルカは撫でた。「ハルカより重いな。中身は?」
「望遠鏡なの。これで、みんなで星を見るの。カラスも来て」白い長い髪の奥で、少し驚いたような目が瞬いた。「俺
も?」「一緒に見ようよ、カラス」
 ハルカは、呑まれた様なカラスの顔を見上げ、黒いマントに寄り添った。ハルカの背へと回される手も、もう馴染
んだ仕草になっていた。がっしりした腕はいつもに増して心地良かった。背伸びをして、上腕へと両手を伸ばし、ワ
ルツのようにそれに縋る。「星が見たいのか」「うん、それもあるけどね」

 あたし、これで昔見たことあるらしいんだけど、覚えてなかったの。おとうさんと、おかあさん。三人で。
567(ほのぼの 4/9):2007/05/13(日) 03:53:44 ID:Znpo+NuJ

 ハルカは黒いマントの胸に顔を埋めて呟いた。「覚えてなかったの」頭を撫でる無骨な指先に目を閉じる。「だから、
カラスと一緒に見たいの。――みんなと一緒に見たいの」トビの声と、ばたばたと歩き回る気配が壁を隔ててくぐも
って聞こえた。窓の外からは、虫の音が高く低く染み込んで来ていた。

「そうか」カラスはゆっくりとハルカの身体を離した。「一緒に行ってくれるよね?」真っ直ぐ見つめてくる黒い大
きな瞳を、カラスは穏やかな光で受け止めた。
「ああ、わかった」
 じゃあ、アトリ達も誘ってくるから、とハルカは駆け出した。



 北の夏の夕暮れは涼しかった。
 まだ明るさの残る空を、大きな箱と黒い影が飛びゆく様を誰にも見られませんようにとハルカは祈りながらカラス
の腕にしがみ付いていた。見上げた頭上には微かな光がぽつぽつとしか見えなかった。森が多く空気も澄み、静かで
星が良く見えてもおかしくはないのだが、実際は中空の月がそれを遮ってしまっていた。
「あ、あそこだよ」
 森の中、各々が持ち寄った品を敷物の上に並べ、平らな場所を確保したいつもの顔ぶれが手を振っているのが見え
た。
「到着!みんな来てるね。ユウ、トビ、組み立てよろしく」ハルカは子供をお嫁に遣るのってこういう気分かな、と
こっそり思いながら箱を開けた。いや違うか、初めてお雛様を飾るときの気持ち、かな。「トビ、今日は用事無かっ
たの?大丈夫だった?」ぷらり、と視界に入ってきた三つ編みに目をとめてハルカは問いかけた。「うん、残念なが
ら今晩はふられちゃったから」説明書を受け取ると、トビはユウを促し、座り込んで図面を広げた。トビの座禅姿は
美しい、とハルカは思う。なんというか、不思議と似合うチャイナ襟の姿も、スレンダーな体躯も、しなやかな腕も、
無駄が無くて綺麗だ。あのオレンジ色の球体や、小さなサイコロを何処からともなく取り出す仕草や、キーボードを
叩くピアニストのような指はずっと見ていても飽きなかった。その指は今、説明書の上を滑り、部品を一つ一つ確認
していった。
568(ほのぼの 5/9):2007/05/13(日) 03:56:04 ID:Znpo+NuJ


「アトリ!こっちにお菓子あるよ」ミホに呼ばれて、ふよふよと流れるように目の前を横切る青年にもハルカは笑み
を溢す。手を繋いでいる二人の姿は、最初の出会いを思い出すとまるで嘘のようだし、一抹の不安もあるものの、彼
の変化は好ましかった。何よりミホも変わったし嬉しそうだった。準備を手伝わずはしゃぐイサミとそれを追いかけ
るアイ、慣れない緻密な重量物の取出し作業にいつも以上に険しい表情がむしろ滑稽なカラス、それ以上に複雑な表
情のユウ。夜だと、誰もが別人のように見えて現実ではないような錯覚に陥りそうだったが、間違いなく皆が此処に
居た。みんなみんな、ずっと一緒に居たい。
 ずっとこの時間が続けばいい。ハルカはそう思った。

「多分こうだと思うんだけど――あ、それ気をつけて、落とすと割れちゃうから」トビの指示でユウとカラスが動く
のはなかなかどうして珍妙でほほえましい光景だった――箱は重かったが、筒を除けば一つ一つのパーツはさほどで
もなかった。それでも見慣れない持ちにくいものが多かったので慎重に取り扱わねばならなかった。旧式のものらし
いが、それら一つ一つは幸いどこも壊れた様子も無く、頑丈な三脚、ウエイト、架台と順番に組み上げられ、最後に
ずっしりとした鏡筒が取り付けられた。筒を夜空に向けるとなんともいえない存在感があり、俄然その場は観測会ら
しくなってきた。
「出来た!」誰かの宣言と共にどっと歓声があがり、星を消し飛ばしてしまうほどの賑やかさの中、ハルカはじんわ
りと胸の中に広がる温かい靄を感じていた。

「トビ、これって何処まで見えるの?」「この口径なら惑星も充分見えるよ、古いみたいだけど、この時空の一般的
なものにしてはかなり立派だね、二五〇倍って書いてある」「早く見たいよ」「調整とかあるんだってば、イサミ待て
よ」「すごいねぇ」口々に話しかけられても混乱することもなく作業を進めながら、ケーキを切り分けるようにトビ
は無邪気な好奇心の一つ一つに応えていった。我も我もと小さなスコープに目を当てて、見えた見えないと好き勝手
にはしゃぎたてる賑やかな声は夜空へと吸い取られていった。

 なりは大きいが如何せん覗き込めるのは一人だけ、このささやかな宇宙の順番が回ってくるのはなかなかだな、と
ハルカは少し離れたところに座したカラスの元に寄り添う。「見なくていいのか?」「うん、まだいいの」
569(ほのぼの 6/9):2007/05/13(日) 03:58:40 ID:Znpo+NuJ

 夕食後の集合にもかかわらず、持ち寄った菓子類は旺盛な食欲と澄んだ空気の前に、あっという間になくなってい
た。それでも寝転がって星を見上げておしゃべりをしたりと、順番待ちをする間、夜の森で退屈する暇などなかった。
本格的な分、望遠鏡の操作はなかなかどうして難しく、目当てのものが探せなかったり何も見えなかったりとで、結
局判り易い月のクレーターの観測に終始することになった。ゆやゆやと揺れる大気の中に逆さに浮かぶ白い球体は、
墓場のようでもあり砂漠のようでもあり、なんともいえない美しさと気品に満ちていた。筒の中に切り取られたその
球体のどこが海でどこがなんと言う川なのか誰一人詳しくは知らなかったが、子どもたちは思ったままを口にし思い
つくままに名づけた。

「ハルカ!ハルカ!こっちに来いよ」近くにいないことに目ざとく気付いたユウが腹立たしげに呼ぶ声に、カラスは
やんわりとハルカの肩を押した。「行ってやれ」「でもカラス」「いいから」
 振り返りながら、あとでね、と輪に戻るハルカと入れ違いにトビがカラスの元へとやってくる。「悪くないよ、あ
れ。」余裕だね、さすが『大人』の貫禄だ、とトビはからかう様な笑顔を向けた。
 あっちじゃ星を見上げる気にもならなかったけど、いいもんだね。そういいながらカラスの横へ、とすん、と座り
こんだトビはカラスの背後の藪に向かって声をかける。「コサギもこっちおいでよ」ややあって、がさりと葉を鳴ら
してすらりとした長身が姿を現す。相変わらず不機嫌そうだが、別の感情を隠していることは明白だった。「わたし
は、」「まぁいいから。はい、これ」トビはにっこり笑って、まだ冷たさを残す缶を差し出した。「・・・ありがとう」自
分の口からすんなり零れた言葉に驚きながらも、一人分の隙間をあけたトビに勧められるままに、コサギはトビとカ
ラスの間に座り込む。自分の行動も不可解だったが、こんな風にゆったりと過ごすのは、もしかしたら初めてのこと
かもしれないな、とコサギはぐい、と甘ったるい香りの液体を喉へと流し込んだ。子どもたちの歓声が胸に沁みた。
暗い空は何処までも高かった。

570(ほのぼの 7/9):2007/05/13(日) 04:01:15 ID:Znpo+NuJ


 少し風が出てきて、さすがにじっとしていると空気の冷たさが忍んで来るのが堪え始めた。加えて、眠気もそろそ
ろ手伝ったこともあり、子供達は望遠鏡を中心に銘銘毛布やシーツや寝袋を手に、微妙な距離を保ちつつ雑魚寝状態
で星を見上げていた。夜が更けるにつれ、だんだん座は静かになっていた。望遠鏡の順番待ちの間に自然と幾つかの
グループに分かれ、成るべくして成っていくその島の発生過程を眺めているのはそれはそれで興味深い――とトビは
観察していた。結局皆途中で観測には飽きてしまい、おしゃべりに熱中してしまっていた。けだし、明日香は慧眼で
あった。トビの視線は、座の中央へ注がれていた。そこには残る二人、ハルカとユウが居た。

 漸く一番最後に望遠鏡に辿り着いたハルカの目の先には、夏の空を三角に切り取る星のひとつが輝いていた。横に
はユウが付き添い、二人はなにやら囁きながら千八百年前の光に目を奪われていた。アイは、イサミがこっそり兄の
元から持ち出した大きな寝袋に強引に二人で潜り込み、臭いの狭いのと文句をいいながらも肩を並べて静かにじゃれ
あっていたし、アトリはミホを腕に抱えたままシーツに丸まってうとうとしかけていた。時計の短針は垂直に近づき
つつあり、もう子供の時間がとうに過ぎているのを告げていたが、誰も腰を上げようとする者は居なかった。

「――カラスもフクロウも、皆こんな時分から仲が良かったのだな」膝を抱えたコサギがそんな光景を見つめながら
ぽつりと呟いた。こん、と軽い音を立てて缶が転がった。「龍のトルク、いや、ハルカも、アマミクも、リリの母親
も。みんな此処にいる」倒れた缶を拾っては転がし、転がしては拾い上げ、コサギはゆらゆらと膝を抱えたまま体を
揺らす。「しかもどいつもこいつも子供の癖に妙に色気づきおって。アトリまでなんだ。見て居れん」微妙に呂律が
回っていないコサギを訝しげに覗おうとしたカラスに、コサギはキッと向き直った。「カラス、貴様もだ!貴様が一
番たちが悪い!貴様が一番悪いのだ!全部貴様の所為だ!貴様が!」

571(ほのぼの 8/9):2007/05/13(日) 04:03:46 ID:Znpo+NuJ


 いつものように苛苛としているだけではなく、目元をほんのり紅く染めたコサギは心なしか涙ぐんでいるようだっ
た。突然矛先を向けられ攫みかかられたカラスは助けを求めるようにハルカとトビを交互に見た。ハルカはそんな彼
らに気付かない。「そんなに龍のトルクが、あんな子供のハルカがいいのか!どいつもこいつも小娘に入れこみおっ
てこの変態共!」僕は違うよ、カラスやアトリと一緒にしないでよ、とトビは――コサギの足元から空き缶を拾い上
げた。「言いたいことがあればこの際もう全部謂っちゃいなよ、コサギ」邪気の無い笑顔に揺れる三つ編み。カラス
は更に凍りつく。コサギはカラスを揺さぶりながら悪態を吐くだけ吐き、いきおい泣き出すかにも見えたが、突然動
きを止めたかと思うと絃が切れたようにそのままがっくりと崩れてしまった。呆然とするカラスのマントの端を攫ん
だまま、コサギは眠ってしまっていた。
「あらら」
 しれっとした口調でトビが横から覗き込む。「こんなに弱かったとは」お酒だったりして、とトビは極上の笑顔の
横まで空き缶を摘み上げて見せた。
「いや、誰かが間違えてかこっそりだか判んないけど持って来てたから、流石に拙いと思って気付かれないように取
り上げておいたんだ。まさかこんなになるとはね」寝顔は意外と幼いな、起こさないようにおそるおそる腕を解いて
木にもたれさせてやりながら、カラスはまたコサギを激昂させるようなことを考えていた。「真面目だから、一人で
煮詰まっちゃってたんだよコサギは。でも暴れなくてよかったね。寝かせておいてあげようよ、何ならハルカの家へ
こっそり運んじゃってさ」
 望遠鏡を真似るように空き缶の底を片目で覗くトビは、実に嬉しそうににっこりと微笑んだ。


 流石にこのまま朝を迎えるのはまずいので、と悪役を引き受けたトビに促され、一同は名残惜しみつつ撤収にかか
った。片付けは組み立て時よりもスムーズに運び、低い夏の月が見送る中、日付が変わる前に一同は下山した。誰も
がいつもとは違う「おやすみ」を大切に謂い合った。明日また会えるから、今はおやすみ。来たときと同じように笑
顔で手を振り合って、その言葉を贈りあった。

 アイとミホを確実に送り届けて、ハルカ達は漸く家に辿り着いた。明日香に気付かれぬよう自分の家にこっそり忍
び込むのは慣れたとはいえ奇妙な感じだったが、秘密を共有するものが多いことは心強く、また嬉しいものだった。
572(ほのぼの9/9):2007/05/13(日) 04:07:32 ID:Znpo+NuJ


 中途半端に目覚めたコサギは結局ハルカ宅に押しかけることになり、朝までトビと飲み明かしたと後日ハルカは聴
く事になる。詳細は解らなかったが、珍しくカラスがハルカの部屋に逃げ込んできたので、ハルカは珍客のもたらし
たアクシデントを素直に喜んだ。

 とりあえずハルカの部屋に持ち込んだ望遠鏡の箱は、再び息をひそめて静かに佇んでいる。隣の部屋から時折洩れ
聞こえる声にカラスは小さく息をついて、その箱の隣に腰掛けた。子供達に囲まれていた時は生きているようにも感
じられたが、今は温度の無い木の箱だった。

「結局、一緒に見れなくてごめんね」湯上りの手足はすっかり温まり、桜色にそまった無邪気な指先は、座り込んだ
カラスの手に伸ばされる。「でも、何かあったの?コサギと喧嘩したの?」一瞬、ハルカの手に沿いかけた手が止ま
りかけたが、迷いながらもカラスはそっと小さな手を握り返した。「いや、そうではない、そうではないが」ハルカ
を引き寄せながら、注意深く見なければ判らない程度に小さく肩を落とす。「俺が悪いらしい」
 そうなんだ、とハルカは小首を傾げ、カラスがいけないことするかなぁ、喧嘩はしそうだけど、と考えながら、元
気のない大きな手と自分の掌を、大きさ比べをするようにぴったり合わせた。「悪いと思ったら、先に謝っちゃった
方が仲直りしやすいよ。悪いと思わなくても自分から先に謝るのが仲直りのコツだよ」って、お母さんが言ってたの。
寄り添った肩で肩をつつくように励ましながら、ハルカはそのままカラスに凭れて膝を抱えた。ブランケットを引き
寄せて、山頂での続きをやり直すようにカラスの身体も覆った。手触りのいい軽い毛布の下でしっかり繋がれた手は
互いの温度を移しあい、鼓動を繋ぎ合った。

「今日は楽しかった。また、行こうね。今度は一緒に見よう」
「ああ」
「約束だよ」
「ああ」
「私たちだけ朝まで一緒だなんて、ずるいかな」
「さあな」
 まぶたの裏に浮かんだ月のクレーターを追いながら、ハルカはもう一度愛おしい言葉を贈る。
「おやすみ、カラス」
「おやすみ、ハルカ」
「ユウ、おやすみ」

 アルタイルは十六年前、北極星は四百三十年前の光なんだ、僕らの生まれるずっと前の光を今僕らは見ているんだ。
 いつになく神妙に囁いたユウの言葉を思い出しながら、ハルカは眠った。






愛鳥週間ということで、幸せな鳥さんを目指したつもりだけど全員生殺しになってしまった。しかもエロなしですまぬ。
573名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 10:08:46 ID:BqPIR3L7
『ハルカの背へと回される手』『頭を撫でる無骨な指先』『小さな手を握り返した』『ハルカを引き寄せながら』
――いやあ、積極的だなあカラス。トビきゅんは夜になると内田ちゃんのところに行ってるのかな?
自分は小学生の時に毎日、月の観測をしたり、夜、クラス毎に集まって星の観測をしたりしたけど今はしないのかなあ…。
574名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 15:27:20 ID:InLPGQyF
俺はスレタイの命ずるままに、天体観測を温泉混浴に置き換えて読むぜ。
575名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 19:40:14 ID:Znpo+NuJ
>>574
おお!その手があったか!
576名無しさん@ピンキー:2007/05/17(木) 09:11:50 ID:tX6/XDi3
萌えた
577名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 22:20:45 ID:CD6/2Bk6
保守
578名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 07:21:52 ID:0h33qDuR
保守
579名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:15:18 ID:iWtCPrW5
>574にネタを頂戴して天然温泉モノ書いているんだが全然エロにならなくて困ってる。
580名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:56:29 ID:6DaWhoLm
正直、ハルカ達がモロに混浴して、ユウは勃起しないよう精神統一に必死なのに
メガネのないミホがころんで大股びらきになったのを直視してしまい硬直してたら、
ミホにかけよってかがんだハルカに尻を突き出された形になり肛門確認で
もうギンギンになって困りはててると、アイとイサミは
体育会系だからか、裸でもまったく普段どおりに会話してて
「ボクだけ汚れてる…」とへこみながら湯に沈んでいくユウ。

みたいに裸でいる状況さえ書いてくれれば正直セクロスはいらない俺。
581名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 08:44:18 ID:QBgwg8xR
ほしゅ
582名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 09:39:50 ID:NO1DHIWm
95 名前: 美容師見習い(東日本)[] 投稿日:2007/05/29(火) 21:59:27 ID:sTgP0M8H0

彼女の部屋で水着の試着会をした。
ヒモタイプの水着着て「どう?」と俺に問い掛ける彼女。
ヒモ外れそうってヒモ引っ張ったらマジで脱げた。
一瞬の静寂が俺らを包んだ。次の瞬間、
「脱がされちゃったのだ…」って彼女は恥ずかしそうに俺に絡み付いてきた。
おれ、童貞喪失しちゃうなと思った17の夏。

なぜかイサミとアイで想像しちゃったんだぜ
ハルカとユウの方がぴったりだって今は思うんだぜ
しかしカラスヴォイスで再生して笑い死にかけたんだぜ…。
583名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 14:41:54 ID:NF27FigA
>>582
いい萌えをありがとう
これは俺からの礼だ

っ[23話修正前の赤面顔]
584名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 03:09:06 ID:G1kn3bhl
hosyu age
585名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 21:21:48 ID:4aeqGgFr
ほしゅ
586名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 07:29:11 ID:efBbiK1T
保守
587名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 06:26:27 ID:ZhmI4INz
ほしゅ
588名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 23:46:34 ID:6oPHUokK
保守
589名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 19:28:42 ID:YCPEB+8q
保守
590名無しさん@ピンキー:2007/06/23(土) 00:23:50 ID:rjuLsxFf
hosyu age
591名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 04:48:18 ID:SiIVOHdo
あんまりエロくもありませぬが。
まったりアトミホで。
(1/5)

 夜の底から立ちのぼってくるのは、むせかえるような甘い甘い香りだった。重く纏わりつくような嗅ぎ
慣れないそれは、眩暈を誘うような、それでいて抗いきれない妖しさを伴ってここ幾つかの夜を支配して
いた。風に運ばれて私の部屋にも漂うそれに、今日も私は少し酔ったようだった。人工の芳香剤のにおい
そっくりだったが、どうやら天然のものらしい。だがそれは何処から放たれているのか見当も付かなかっ
た。強いけれどもどことなく和風の香りだった。それだけで自然が発するもののように思えるのはなんと
も不思議な感じがした。

 何だこの匂いは。ここもか。彼は逃げ込むように入ってくるなり不機嫌そうにそう吐き捨てた。最も、
彼は平生から不機嫌そうか意地悪げかどちらかの顔しか手持ちがないような男だったから、その顰められ
た眉にも私はさほど動じなくなっていた。ここら一帯、頭が痛ぇぐらいの臭さだな。そう愚痴りながら、
身体に纏わり付く芳香を振り落さんとばかりに、彼は忌々しそうに黒いマントをばたばたと叩いた。臭さ、
じゃなくってせめて匂いとか香りって言おうよ、と私は起き上がれないまま天井を見つめて答えた。正直、
私も少し気分が悪かった。馥郁たる、とでも称すべきなのだろうが、余りに強すぎて参っていた。

 夕方の雨は湿気と共に重苦しいそのかおりを家中の壁や布に滲み付けて去っていった。窓を開けても風
を通しても部屋の中に充満するだけだったから半ばもう諦めかけていたが、彼の反応を見ると少し可笑し
かった。
「虫除けにはなりそうね」ぎゅん、一瞬で窓辺から枕元まで距離を詰めて来る。ぎろり、と睨む目も、も
う笑ってかわせるようになってきた。「誰が虫だ」――きゃぁ怖い、ブランケットを頭まで被って隠れる。
ふん、と鼻をならすのが聴こえたが、さほど腹を立てていないのも解っている。今日はどうやら機嫌がい
いみたいだ。
592名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 04:50:23 ID:SiIVOHdo
(2/5)

「どうした、具合でも悪いのか」ベッドに凭れて脚を投げ出し、背中を向けたままの彼は珍しい言葉を口
にした。不覚にもどきりとした胸が苦し紛れの言い訳するように呟く。だから雨が降ったのかしら。うう
んそれは本末転倒というものかな。しかし彼も言ってしまってから似合わない言葉だったことに気付いた
ようで、こちらを振り返ろうとしない。ブランケットの中でこっそり笑ってから、私は顔を出した。「ちょ
っとあの匂いに中てられたみたいで頭が痛かったの」私が正直に白状すると、ほらみろやっぱり臭いんじ
ゃないか、とやはり不満げに言って、彼は匂いを丸めて投げるような仕草をしてみせた。ぶん、と骨ばっ
た腕が伸びる。見えない球の軌道に空気が割れて、まどろみかけた夜の底に馨りが揺らいだ。

「で何なんだこのにおいは」身体の具合が悪いわけではないことを伝えると少し安心したのか、彼は身体
を伸ばしてベッドにひじをついた。「この前はこんなことなかったぞ」「うん、ここ二、三日の間なの、で
も判らなくて」私は少し身体を横に寄せた。当たり前のようにそうしてから、私は自分の行動の意味に気
付いて赤面した。彼はそんな私に気付かないまま(彼のそういう鈍さは時に美徳だ)やはり当たり前のよ
うに、わたしが被った布を押さえつけるようにその上からどすんと横たわった。といっても、乱暴に動い
てもあまり彼は物音がしない。力は強いが線は細いし、さほど体重もないようにも思える。思った時に思
うように都合よく変えられるようだが――私の顔の横には彼の長い脛がすっと伸びて、それなりに優雅に
映った。私は、彼の鼻先にぶつけないようにそっと膝を曲げる。「枕に足を向けるのはお行儀が悪いわ」

「俺に行儀のことなんか五月蝿く言いやがるのは、」そういいかけて彼は少し押し黙った。「・・・あのチビぐ
らいだ」口中で言い訳のように呟かれるのは、きっと彼の仲間のことだと思う。会ったことはないけれど、
触れるもの全てを切り裂かんとする彼に物怖じせず、あれこれ小言毒舌を振りまくらしいそのお仲間は、
どうやら彼のことを心底大事に思ってくれているお節介焼きのようだった。彼にそんな仲間がいるなど最
初は信じられなかったが、こんな彼が傍に置いておくなら、こんな彼の傍に居るぐらいなら、よっぽど豪
胆なのかよっぽどマイペースなのか、それとも、よっぽど、
593名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 04:52:29 ID:SiIVOHdo
(3/5)

「って、もう」
 物思いに耽っている間に、何時の間にかブランケットの下から這ってきた手が私の脹脛を擦っていた。
「チビって?誰彼なしみんなにチビチビ言ってんじゃないの?」ぱし、と毛布越しに叩いてみせるがそん
なことで引っ込むような男ではないのだ。判っているけれども、一応、だ。私もチビ、だとかおい、だと
かしか呼んで貰っていない。
「いや、チビだ。チビでいいアイツは。ちっこいんだ。しかも年下の癖に生意気でな、でも口ではかなわ
ねぇ」

 私は、脛から膝、腿へと少しずつ上がってくる手を牽制するのも忘れて目の前のシーツを凝視した。今、
敵わない、って言った?この男が?負けを認めるなんて?一瞬笑いが漏れたが次の瞬間別のざわめきが胸
を占めた。さぞ賢くて、弁が立って、・・・もしかしたら可愛い人なんだろうな。美人かも。「可愛い?」小
声で私は呟いていた。「可愛い?ああ、そう言う奴も居るな。まぁ一部妙な人気が在るのも確かかな。まぁ
ツラはいいぜ、口を開かなきゃなんとやら、だがな」彼の言が多い時は何か一つの大事なこと、都合の悪
いことをその中に隠したがっている時だ。そして私はそれを忘れてうまうまと乗せられて、「小柄で可愛い
人」のことで頭が一杯になってしまっていた。彼の秘匿し続ける存在に気付くのはこれよりもっと後のこ
とだ。


 可愛い人。可愛い人か。そっか。そうなんだ。私はなんだか悲しくなってきた。そっと目を閉じると、
シーツも彼の脚も見知らぬひとの顔も見えなくなって、ただあの薫りと彼の大きな手だけが私を包んでい
た。見えないけれど、それらは確かな重みを持って存在していた。私の翳りに気付いたのか、手が止まっ
た。そう、彼も変化していた。無骨だが彼は愚鈍ではなかった。ただ気付いてもどうすればいいかを探し
あぐねているだけで。そして私も。

 やれやれという気配がゆっくりと起き上がって、腰に廻っていた腕は私を宥めるように背中に廻った。
「奴は蹴飛ばすなりなんなりすりゃ文句言いながらも黙りもするがお前はそうはいかない。面倒臭い奴だ」
「そんなことしてるの?」「ああ。面倒臭い。五月蝿いんだ、ああしろこうしろそれは駄目だあれは駄目だ
のなんだのと」「それってお母さんみたい」「母親?あいつが?」「あんたって時々子供みたいだから」私は
彼の首にしがみついて、見知らぬ人のかわりにかれの頭を抱き締めた。ほら、お母さんよ。近すぎるぐら
い近づけば顔が見えなくて恥ずかしくなくていい。
594名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 04:54:41 ID:SiIVOHdo
(4/5)

頬を寄せて彼の腕の中に納まってみると、瞼の奥のわたしたちは青い幻想的な絵ばかり描いたあの画家の
愛したモチーフのようでもあり、幾何学模様に埋もれた金色のリトグラフの中の妖しいこいびとたちのよ
うでもあった。ううん、あれらの絵のようなしなやかな二人じゃない。彼はともかくわたしはちんちくり
んだわ。小さいし、・・・子供だし。

「あの匂いがするな」私の髪に顔を埋めて彼がぼそりと呟いた。「うん、あんたもね」彼の首筋にも妖艶な
馨りがしなだれついていた。

 くらくらと眩暈のしそうなほどの強い香りに包まれて、きっと私たちは酔っていたのだ。わたしたちは
一匹のけもののようだった。脚が四本、頭が二つ、腕が四本、こころが、二つ。絡まりあって、ほどけあ
って、溶けあって、熔けあって、このむせかえるほどの甘い香りに中てられて、突き動かされて、逃れよ
うとして引き合って、境目が判らなくなる位深く深く繋がり合っている。私はもっと溶け合いたくて深い
ところへ彼を導く。私の、一番深い場所へ。彼の背は汗にぬめって、私の指先をより高みへと導いた。も
っと、もっと深く。もっともっと、遠くへ。もっともっと、高く。夜の底、闇の高みへ溺れそうになって、
私は彼にしがみつく。全てを手放しそうになる瞬間、私たちは互いの存在を確認しあって、その境界を失
った。
 溶け合いうつろう私たちを、揺らぎのない自信に満ちた強い甘い香りが繋いでいた。


「雨、上がったわね」
 二、三日が過ぎ、やっと鼻風邪が治り始めてすっきり顔のママはまだ涼しい夏の朝の窓を開け放ち、ふ
と辺りの宙を見回した。珍しいわね、梔子だわ。そう呟いたママの声に、私は数日振りに自分を悩ませ続
けていたそれが、くちなしという花の香りだと知った。そもそも寒さに弱い植物だから、このあたりでは
見られないものなの、とママはなにやら上機嫌にひとくさり歌ってからそう言った。梔子といえばその歌
らしい。私は知らないけれど。
595名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 04:56:44 ID:SiIVOHdo
(5/5)

 北の地には珍しいその白い花(だそうだ)は、隣人が開花株を取り寄せて植えつけたもののようだった。
だからある日突然この香りが漂い始めたのよとママは自分に言い聞かせるように、オペラのプリマのよう
に言い放った。昼間には塀に囲まれた庭先に出し、そうして夜には窓辺のベランダに置いていたから、匂
いはすれども姿は見えず、だったというわけだ。隣家の庭は私の部屋からは見えなかったが、ママの部屋
のベランダからは見下ろせる位置にあった。しかし風邪の所為でママは全く鼻が利いておらず匂いには欠
片も気付いていなかったらしい。ベランダに出て見下ろしたそこには確かに、青々とした葉と、なにやら
白いハンカチをまるめたような花が、やっと逢いに来てくれたのねというように笑いさざめいていた。確
かにあの馨りがたなびいている。夜は見えない位置にあってよかった。でなければ彼が薙ぎ倒していたか
も知れないな、と私は苦笑を漏らした。

 風に揺れるくちなしを見ながら便利な世の中になったものだと思う反面、冬を越せないかもしれないこ
の花の行く末を思うと、怖いような、可哀相なような、哀しいような気分になった。それがを知ってか知
らずか、いや、解っているからこそこの花は強い香りをふりまいていたのだろう。肩の先に零れた髪から
もまだほのかに立ち上る、豪華でしっとりした薫りに私はふとそう思った。大事に大事に扱われているら
しい白い花は、目の隅にちらりと揺れて私に意味ありげな目配せを呉れた。そう、そうね。私は秘密の共
犯者に笑顔を返した。内緒、よ。誰にも言わない秘密。

 梔子は優雅な沈黙の吐息で、異存なし、を返した。
596名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 09:34:57 ID:3TCgcNIr
雨音をバックに読んだのでしっとり感が増してはううううー。
アトミホ好きなのでうれしかったです。ありがとうございます。
597名無しさん@ピンキー:2007/06/28(木) 17:17:56 ID:b+EWjL2v
ほしゅ
598名無しさん@ピンキー:2007/06/29(金) 20:09:36 ID:QZwMHB0/
保守保守
599名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:13:34 ID:xcadhQV2
本家絵板次の次のお題決定!記念。すんません長いです。
フクロウとアイで。(イサミか)



 彼が、戻ってきた。

 彼に会うのは随分と久しぶりだ。そして「こちら」から彼に会いに行くのは初めてかもしれない。彼が私のところへ
出向くことはない。それはシステム上不可能になっているので仕方のないことだからどうとも思っていない。余りに
も私たちの間には大きな隔たりがある。住む世界が違う、というのは大げさでも何でもなく、文字通りの意味であり
それ以上でもそれ以下でもない。私の住むエリアと、彼の住むエリアとでは、天と地ほどにも違いがある。――こち
らから向こうへしか行けない一方通行であることを除けばどちらも地面の下であることに変わりはないのだが。そ
れでも、今の地位を与えられて以来、私の中に自分は彼らとは違うのだという意識が生まれたのも事実だ。それが
物理的な距離以上に私達を大きく引き離して久しい。況や、彼よりなお「上」に暮らす者達とは尚更だ。もう会うこと
も無いかもしれない。否、あそこへ脚を踏み入れることなど考えるだにおぞましい。出来れば会いたくないと私はど
こかでそう考えるようになっていた。懐かしい顔は幾つか思い浮かぶのにも関わらず。

 今私を後押ししているものは、懐旧の情や憧憬の念ではない。私は、迷っていた。そのことで共通項を持つ彼の
意見を求めていただけだ。足は間違いなく彼の居所へと向かっていたが、実のところそれにすら迷っていた。そう
することで何かが変わるというものでもない、それが判ってもいたからだ。迷いながら、しかも一人きりで足を踏み
入れるべきではない場所へ私は向っていた。
 私は迷っていた。迷い続けていた。私らしからぬことだった。
 それはかつて私たちの間に当たり前のように存在していた友人、そう、かけがえのない友人、私たちが見捨てた
友人――彼女が、正しくは彼女の姿をしたもの、が、罰のように再び私たちの前に姿を現してからだ。

 相変わらず暗灰色で殺風景な処だ。いや、何処に行ったところで景色はさして変わらない。非人間的で滑らかな
だけの人工物に囲まれているか、ごつごつした打ちっぱなしの床やむき出しのパイプや冷たい壁に囲まれている
かの違いだけで。空調が行き届いているか、常にじめじめと黴臭いか、の違いだけで。どこも、人の住むべき場所
ではない。いや、そう言えるのは、より安全で快適な深い地の底に暮らす者の傲慢かもしれない。きっとそうなのだ。
600名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:15:39 ID:xcadhQV2
(2/11)

それらにはやはり大きな隔たりがある。変わりないと言ったけれど、私たちは、私はより上層階へと送られることに
戦々恐々として日々過ごしているのだから。

 空気が変わった。
 此処から先は、彼らのエリアだ。考え事をしながらも、脚は勝手に彼の元へ私を運んでくれていたようだ。私は高
みから見下ろす。より地上に近いところにあるものを見下ろす、というのも妙な話だが、一端上部へと移動してから
彼らのドームへのゲートを潜るのでこうなる。眼下には黒い装束の兵たちが屯って居るのが小さく見て取れる。休
息とも怠惰とも頽廃ともつかない空気がいつも漂っている。どこへいってもそうなのだ。この世界はくたびれている。
くたびれきっている。

 彼が居た。
 大勢の中でも、不思議といつでも彼の姿を見つけ出すことが出来る。がっしりした長身、無造作に束ねた赤茶け
た髪、こんな世界でも彼は笑っている。そう、笑っている。だからかもしれない。彼は今も笑って傍らの一兵卒に何
事かを話しかけていた。誰もが俯いて、何もない地面に何かを探すでもなく求めるでもなくそれでも縋るようにへた
り込んでいる中、彼はいつも背を伸ばし遠くを見ている。だからかもしれない。

 ふと、彼が顔を上げた。数十メートルはある距離から、睥睨する私の気配を察したかのようにその双眸はこちらを
迷いなく捉えていた。
 よお。
 彼の目は、そう言って笑った。
 それが奇妙に眩しく映って、私は苦々しく目を細める。動じることなく、俺か、というように親指を自身に向けて見
せる彼に、私は黙って頷いた。

 私は、彼にあいたかったのだ。

「いいのか、こんなところへ来て」
 私は答える替わりに曖昧に笑ってみせた。いや、巧く笑えていただろうか。もう随分と長い間私は頬の筋肉を動
かしていないような気がする。人目を避けるようにして通された部屋は、どこもそうなのだろうが、やはり飾り気がな
かった。それが彼らしかった。一つだけ、鳥の彫刻が置いてあるのが眼の隅にちらりと見えた。

「カラスには会えた?」「ああ」「どうしてる?」「・・・見ちゃ居られなかったな」
 多くの言葉が必要ないのが在り難かった。彼が無言で差し出してくれたカップを私は受け取った。その液体の香
りにも、私たちの世界の違いが感じられた。一瞬、口をつけるのが躊躇われたが私は思い切って飲み込んだ。彼
は、ここで生きている。
601名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:17:41 ID:xcadhQV2
(3/11)

「迷っているのか」黙っている私に水を向けつつ椅子を勧め、彼は壁から突き出た腰掛に凭れた。部屋と云っても
区切られただけの空間だ。あの化け物と対峙する為に選び抜かれた百戦錬磨の誇り高い戦士は、さながら蟻のよ
うに飼われていた。いや、部屋があてがわれているだけましなのだ。これが本来の肉体を捨ててまで命懸けの戦
闘へ身を投じた者への対価なのか。私は失礼のない程度に部屋を小さく見渡す。薄暗い牢獄のようなここでの暮
らしの一体何から、この男はあの笑みを生み出すことが出来るというのだろう。私は、カップの中のゆらめきをじっ
と見つめた。疲れた女の目が映っていた。・・・蟻は、私も同じだ。

「判らないの、あの子と話をしていたら」「・・・カラスも最初は混乱していたようだが」彼の目線の先を追って、私は机
の上の木彫りに目を遣った。「奴はもう迷わないだろうな」「・・・昔から、頑固だったわね、彼」「ああ」
 此処には居ない旧友を挟んで、私たちの間に少しずつ言葉が戻ってきていた。一人、より安全な特権階級に身を
置く罪悪感も薄らいでゆくようだった。私のしようとしていることも。私たちがしてきたことも。――いいえ。
「忘れちゃ、いけないわよね」カップを握り締める両手に力が入っていたようだった。指先が白くなりかけていた。私
の身分をひけらかす滑らかで長い裾は、この部屋にいかにもそぐわなかった。手触りも布が反射する鈍い光も、あ
まりにもそれは白々しく映った。消えて、しまいたくなった。

「そうだな」少し間を置いて返ってきた言葉に初めて彼の本心を見たような気がして、私は彼を見つめる。
「護りたいものがここにはあるから、俺はこの世界を護ってる。それだけだ、それは、誰しも同じ筈だ。奴も・・・どうか
してる」いつもの笑みの奥に、彼はそれを隠してしまった。

 まもりたいもの。私が守りたいもの。何だろう。今の生活?与えられた仕事にしがみついて?何のために?・・・生
きるために。それで精一杯。誰のために?カラスの守りたいもの、守ろうとしているもの。それはいつも変わらない。
では、私は?――アイ、と私を呼ぶ少女の声が脳裏に甦る。
602名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:19:54 ID:xcadhQV2
(4/11)

「・・・戻るわ」カップを机において、私は立ち上がった。おいおい今来たばかりじゃないか、と彼は手を広げて見せた
が、私の心が変わらないのを見て取ると引き止める言葉を飲み込んだ。少し肩を竦めて、送っていこうとだけ言っ
て立ち上がる。私が一度言い出したら聞かないのを彼はよく識っていたからだ。

 こうして一緒に歩くのも随分久しぶりだった。自分から辞しておきながら、薄暗い廊下に響く足音に耳を傾けてい
ると、いつしか私はそれを少しでも長く感じていたいとぼんやり思っているのに気付いた。がっしりした背中と揺れ
る紅い髪を見上げながら、いつの間に私を遥かに追い越して大きくなってしまったんだろうと思う。おとこたちは、こ
うして私たちをおいてゆく。その背に私たちを庇いながらも、遠くへ、遠くへ。護るといいながら、手の届かない処へ。
だからこそ、遠くからでも見えるように、少しでも多くを背負えるように、この背は精一杯広くならなければならない
のか。眼間に揺れる背に、カラスの痩せた後姿が重なった。色の抜けた蓬髪に縁取られた不機嫌そうな細おもて
がこちらを振り返る、その背に、

 ここから先は、と振り返った彼の腕に、無意識のうちに伸ばしかけた私の指先が当たった。「アマミク?」名を呼ば
れて、心臓が跳ね上がった。彼以上に驚いている私に、彼の目がふっと和らいだ。伸ばしたところで、どうせ二の
腕ぐらいにしか届かない。なのになんてこいつは自然に屈むんだろう、届いてしまうじゃない、と思いながら、私は
そのまま彼の腕につかまってついと背伸びをしていた。当たり前のように私の腰を引き寄せた腕は以前より遥かに
逞しくなっていた。子供の頃とは違うのだ。違うのに、・・・違わない。違う、違わない、違う、違う、ちがう。こんな風に
触れたことなど無かったのに、こうも自然に応えられると百年も前からこうしてきたような錯覚に囚われる。普段の
私なら、随分と女の扱いに慣れているのねと悪態の一つもついているところなのに、初めての距離に映った頬を走
る傷の前には、そんな言葉は浮かばなかった。
603名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:22:33 ID:xcadhQV2
(5/11)

 私が腕を解いて踵を下ろすのと、彼が身体を離すのとはほぼ同時だった。我に帰った私は狼狽を隠すことも出来
ず隔壁の向こう側へと逃げ込むので精一杯だった。「ごめんなさい。今のは、忘れて――『イサミ』」「――解ってる
よ、『アイ』」
 私たちを分かち閉じてゆく隔壁の向こうに、彼の笑顔が消えた。扉の隙間に、塞がれた眼がウィンクしているよう
に見えた。私は彼が完全に見えなくなってから、指の背で唇をぬぐった。

 彼は、いつの間にこんなずるい男になっていたのだろう。



 結果として、私は旧友を二度失う事態だけは避けられた。再び彼女を生贄に捧げようとしていたのは事実だが、
それはすんでのところで未然に防がれた。私が積極的に阻止したのではない。第三者による妨害だ。心のどこか
でそれを望んでいた私は二人を見逃した。全てを破綻へと導いた廉で、私は此処へ堕とされることとなった。私は
正直ほっとしていた。

 彼女の事は私達の間では半ばタブーだった。私達、というのは、彼女を含めて嘗て友人同士であった私達、のこ
とだ。もうその名を呼ばなくなって久しい(彼女には「観測者」という職名が謚られていた)。そしてそれは、私達が互
いの真実の名を口にしなくなって久しいということでもあった。彼女、も、第三者、も、「私達」だった者たちを指す言
葉だ。その余所余所しい呼び方を私に強いているのは彼らに対する罪悪感に他ならない。

 私は此処へと墜とされてきた。以前居たところよりも上層階なのだからおとす、というのは適切ではないかもしれ
ないが、事実それはこの世界においては追放を意味していた。しかし此処での暮らしは懼れていたほど耐えがた
いものでもなかった。むしろ、心穏やかに私は過ごしていた。失ったものは勿論大きかったが、それよりもなお失い
たくないものを守れた様な気がしているからだ。私にそのようなものがあったことは、正直驚きでもあった。二人を
見送ったあの最後の瞬間に、取り戻せた何かが私の心を暖かくしてくれていた。
604名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:24:59 ID:xcadhQV2
(6/11)

 旧い友人の後ろ姿を反芻しながら、私は静かに考えていた。(果たして、まだ私達は「友人」で居られただろう
か?)幸い、考える時間だけはたっぷりある。彼女であって彼女でない少女と、その小さな身体を大事そうに抱え
た彼の姿が今もこの目に焼きついて離れない。あの広い背も、腕も、圧倒的な破壊力も、彼女の為だけのものだ。
あの誇り高い力強い瞳も、彼女だけを見ていた。この絶望に満ちた世界の中で、あれほど満ち足りたものを他に
私は知らない。
 羨んでいるのだろか、私は。それだけの存在を再び見つけた彼を?それとも、それほどまでに想われている二人
の「彼女」を?どちらにしても、私には眩しかった。別の世界を生きていても、素直で真っ直ぐに見詰めてくるあの幼
い瞳の輝きも、それを護ろうとした彼の凄烈なまでのいのちも。
 私には、それほどまでの激しい思いはない。

 うらやむ、というのは元々、心病む、という言葉だったそうだ。求めすぎて身の裡なる部分を病んでいく、そういう
ことなのだろう。他人が持つ美しいものを自分も得ようとして得られず、それでもなお求めれば、きっとその慾は身
の裡を喰って肥え太ってゆくのだろう。ならば私の求めたものとは何だったのか。総てを失ったことで得た安堵感は
今の私をゆるゆると満たしていた。

 茫洋とした想いを遮って、扉を叩く音が私を現実に引き戻した。「居るか?俺だ」その声に、最後に会った時の一
件が頭を掠め私を一瞬躊躇させたが、私は控えめに扉を開いた。果たして、そこには隻眼の男が立っていた。私
が此処へやってきて以来初めての客人だった。出来れば誰にも見られたくはなかった有り様だが、いずれは知ら
れてしまうことだと覚悟を決めた。「・・・どうぞ」
「そのなりのほうが、やっぱり安心するな」下の連中は格好からしていけ好かねぇ、と黒いフードを背に追いやって
破顔する彼は、この間よりも幾分大きく見えた。彼の部屋よりも此処の天井が低い所為かもしれない。でもその笑
顔に皮肉な色とぎこちなさを感じたのはきっと私の卑屈な思いのせいだろう。もう今度は彼がこちらに足を運ばな
い限り私達は顔を合わせる事もできなくなっていた。やはり、私達の間には大きな隔たりがあるのだ。どちらか一
方からしか破れない壁が。
605名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:27:24 ID:xcadhQV2
(7/11)

 そう?と私は束ねていない髪に手をやった。早くも指触りが悪くなりかけたそれは首の後ろで少し絡まっていた。
「あの子達、無事に戻った?」「ああ」「良かった」本心から安堵の溜息を籠めて言ってしまってから、それが同時に
彼に残酷な命令が下ったことを意味するのだと気付いた。私の眉が翳ったのを見て取って、彼は無言で頷いた。
「俺達の手で奴を始末しなきゃならない」それでも、彼の一つきりの眼は困ったように緩く笑っていた。

 私達が失ったもう一人の友人は、世の不幸総てを一心に甘んじて受けているかのような、深い苦悩を常にその
眉間に刻んでいる男だった。常に堅く引き結ばれた唇は、溢れ出す怨嗟を塞き止める危うい堤防のようだった。そ
んな彼と対照的に、私の目の前にいるのは常に口元に笑い皺を湛えているような男だ。片目が光を失って、そこ
から引き攣れたような大きな傷跡が頬を大きく分断していても、なんら翳りを落とすものではなかった。時に凄みを
効かせるのに役立ってはいたが――嘗ての私が、時に理不尽な我儘を言って困らせたような時も彼はおどけて肩
を竦めて笑って見せるのが常だった。仏頂面の親友の分まで、もしかしたら怒りっぽい私の分まで笑っているのだ
とでもいうような陽気さは今も変わらない。

「裏切り者を許すわけにはいかない」笑みを湛えていた瞳が、ふと真摯な色に変わった。静かな口調は変わらない
がどことなく他人事のようだった。あの時のように、私は無言で彼に腕を伸ばした。彼もやはり同じように少し身を
屈めて、私の頬にその疵を湛えた頬を寄せてきた。「俺が、やらなきゃな」「うん」私は彼の頭をかきいだく。強い力
で抱きすくめられて、つま先が床から離れた。第三者を、失くした友を介さない限り私達はこうして触れ合うこともな
かったのかも知れない。彼等の名を免罪符にするように、わたしたちは開いた距離を互いに埋めようとしていた。こ
れは罪なのだろうか、罰なのだろうか。犯した罪から目を背けて私達はこれまで離れていたのだろうか。ならば、再
びそれを重ねようとした私は、彼が手を染めようとしているあやまちは、(そう、それは考えるまでも無く双方の過ち
だ)何をもってすれば贖われ赦されるというのだろう。友を失ったことで私達は離れ、そして再び彼等を触媒に寄り
添おうとしている。私達は、かれらのいのちを、
606名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:30:03 ID:xcadhQV2
(8/11)

「俺は醜いか」縺れ合ったまま私は壁に強く押し付けられた。だん、と彼が乱暴に私の顔の横に手をつく。痛みと本
能的な恐怖に私は反射的に目を閉じてかぶりを振る。咄嗟に押し退けようとして翳した腕は掴み取られて壁に強く
縫いとめられる。「俺が、カラスを、殺す」私の耳朶を打つその息の混ざった搾り出されるような言葉は私を通して
彼自身に向けられていた。ゆっくりと私は目を見開いて、おずおずと彼を見上げた。きっと許しを請うように映った
に違いないが、彼は眼を合わすのを恐れる様に私の首筋に顔を埋めたので、私からも彼の表情は窺い知れなか
った。

彼の肩越し、何も置いていなかった筈の粗末なテーブルの上に木彫りの鳥が見えた。あの日、彼の部屋で
見たものだった。翼を広げたその鳥は飛んでいるのではなく、今まさに空へと飛び立とうとするその一瞬で時をとど
めていた。この空の、何処へ。此処には空など無い。あの日はよく見もしなかったが、素朴な造りながらもそれは何
処へでも飛んでゆけそうな、そんな躍動感に満ちていた。だからこそ「鳥」なのだ。私達には無い、或いは失った、
翼を許された存在なのだ。

「イサミ」私は懐かしい名を口にした。ずっとその名を忘れたことなど無かった。でも遠ざけてきたのだ。そうしてい
つかの日のようにその名に卑劣な企みを練り混ぜることなく、私はただ遠い日の記憶だけを籠めて彼の名を呼ん
だ。「イサミ」彼は無言で何度も頷いた。自由になった手で、私はもう一度彼を抱きしめた。広い背は私の腕には余
った。私に守りきれるだろうか。そんな私の思いごと、彼の腕は私を抱き返す。押し付けられた壁をずりあがるよう
に、私は全身で彼にしがみついた。大きな手がもどかしげに私の脚をぐいと抱え上げる。身体を覆う無粋で粗末な
布を引き裂いて這い回る無骨な手に、私は全身で応えた。
607名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:32:27 ID:xcadhQV2
(9/11)

 私達は身の裡を喰い荒らす呵責を快楽に挿げ替えることが出来るほどに大人になってしまっていたけれど、それ
をただ純粋に愉しめるほどまでには爛れていなかった。それは救いであり罰でもあった。彼等には、あの二人には
今の私達のような時間はほとんど許されなかっただろう。罪無き二人に与えられたもの、彼女には永遠にして絶え
間無く続く死、彼にはそれを見届け心に刻み続けながら生きてゆくという責務。それは彼を絶望へと追いやり、死と
隣り合わせの果てしの無い戦いへと駆り立て、そして今その目の前に再び残酷な希望の光をちらつかせている。
もう一度彼女を失うかもしれない恐怖と、今度こそ守れるかもしれないという僅かな希みと、それと引き換えに確実
に訪れる甘美なる滅びの道へと彼をいざなっている。だからこそ、私には彼が眩かった。薄暝い私の心を灼いた熾
烈な光に、イサミも吸い寄せられてしまった。二人を引き止める術は私にはない。イサミに出来なければ、きっと誰
にも彼を止められない。

 如何なる厳罰も、己の心に罪が罪として響かねば意味も効果もない。それと同時に如何なる救済も、それを受け
容れる心が咎人になければ届きはしない。たとえ百の民が千の神が汝に罪なし、を告げたとしても、自身で赦せな
ければ煉獄に終わりはない。そうして時に、罪に身を浸しているほうが心は楽なことがある。或る種の人間にとって、
幸福になることは苦しみ続けることよりも数段勇気が必要だ。苦しんでいる自分に酔っているほうが何倍も楽なの
だ。だがそれを糾弾する権利など、この世界の一体誰が持ち合わせているだろう。

 私たちはそうして多分同じ一人の男の事を考えながら獣のように絡み合っていた。もうこの世を去った女のことを
思いながら、本能の部分ではもどかしく貪欲に互いを求め合っていた。これ以上無いぐらい近くに寄り添いながら、
互いのことを思ってはいないのが私には感じられた。私たちは近づく以前に、随分遠い処へ来てしまっていたの
だ。・・・それでも良かった。だから、これはきっと罰なのだ。私は、ぼんやりと届かない鳥へと手を伸ばす。宙を掴む
指先は彼の節くれだった手に奪い取られる。「と、り」「みんな好き勝手に飛んでい行っちまう、どいつもこいつも」私
は熱い彼の手を握り返す。確かな力がそれに応える。私の腕に重なった彼の太い腕には刺青のような模様が這い、
確かな重みを伝えてくる。
608名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:40:38 ID:xcadhQV2
(10/11)

 私はもう一度、自由になる顔だけを動かして、近くて遠い鳥の姿をとらえた。
 それは、あんたも同じじゃないの?

 混じり合った汗と汗が肌と肌をぴったりと張り付かせ、私を組み敷いたまま起きあがった分厚い上半身は粘着い
た音を立てた。汗ばんだ私の額や口元に汗で滲み付いた髪を、彼の長い指が一筋一筋除け、乱れ散らばった髪
束をその手の中に纏めては散らし、纏めては散らした。慣れない行為の一つ一つに私はどうしてよいか判らず彼
のするに任せ、黙してじっと見下ろす彼の顔を思考の定まらぬままぼんやりと見上げていた。ただ、彼を呑み込ん
だままの奥深い処がどくどくと大きく脈打つのだけを気だるく感じながら。

 それ以外はどこも痺れた様に感覚が無かった。自分の呼吸音が耳をざりざりと擦る。ぽたり、と彼の顎を伝った
雫が私の頬に落ちて流れた。「お前は、お前も、ずっと遠く手の届かないところに行っちまってた」「私?」「そうだ」
酸素の廻らなくなった頭には、深い接吻けは眩暈がしそうだった。何を言われているのか解からない。束の間開放
されて大きく喘いだ肺に、湿った土の匂いと饐えたような水の臭いが入り込んできた。意識の焦点が合いかけるの
を許さぬように、繋がったまま彼が更に奥深くを抉る。

 彼の為すがまま無防備なだけの私はこれ以上はないほどの悦楽と身を裂く痛みに悲鳴をあげて身を捩る。駄目、
それ以上は。もう駄目。それでも彼の腕は、脚は、広げられた私の脚の上に重く圧し掛かり腰を押さえ込んで逃れ
ることを許さなかった。「遠かった」「ごめん、なさい」「ああ」「ごめんなさ、い」私の意志とは無関係に彼を受け容れ
るそこは彼に求められるまま熱に浮かされるように応え受け止め続けていた。私は混乱し泣きじゃくっていた。

 私?私が?私なの?泣き咽ぶ顔を見られたくなくて、なけなしの理性で顔を覆った力無い手は難なく押さえ込ま
れ、零れ落ちた涙の粒は彼の舌と唇に掬い取られた。「あえなかったら、」逢えなかったら、逢えないのならそれは、
「もう死んじまったも同じことだ」


 なぁアイ、だけどそれでも、そんなくらいじゃ俺はあいつの心を解ってやれなかった。ユウを、救ってやれなかったよ。
609名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 03:45:42 ID:xcadhQV2
(11/11)

 闇の中で、私を見下ろす一つきりの彼の瞳は苦悩に歪んでいた。追い詰められた彼を見たのは初めてだった。
苦しい息の中で私はその頬に、その傷に、手を伸ばした。応える様に屈みこんだ彼は私の腕の檻の中、私は彼の
檻の中だ。胸の奥の最後の砦をすべて吸い上げ貪りつくすような、噛み付くような接吻けと同時に激しく突き上げ
られて、私は耐え切れず身体の奥を締め上げた。内腿が小刻みに激しく痙攣して、つま先まで電流が走ったように
震えた。堪えきれない絶叫は口唇で塞がれて、喉の奥にくぐもって、消えた。


 こんなつもりじゃなかったんだけど、と私は目の前に投げ出された腕を見つめて呟く。俺ははなからこのつもりだ
ったぜ、とぬけぬけと言い放つ声にいつもの不敵な笑みが戻っているのを感じて、私はぴしゃりと腕に一発お見舞
いしつつもそっと安堵した。背後から抱きしめられる体勢は、密着しながらも顔を見られないで済むので今は嬉し
かった。こんな時、どんな顔をすればいいのか判らない。顔が見えないのをいいことに、堅く盛り上がった腕にそっ
と頭を持たせかけて、指先で触れてみた。何度傷ついても元に戻ってしまう腕なのだと私は識っている。だからそ
こには何の痕も残ってはいない。

 あんたのこの腕が誰の血にどれだけ汚れようと私は、私だけはあんたを許してあげるから、飛んでいったりしな
いでちゃんと帰ってくるのよ。

 昔から素直に想いを口に出来ない私は、黙って腕に頬ずりした。頭の上で彼が笑う気配がした。きっと、頬の傷も
笑ったように揺れているだろう。やっと私も心から笑えたような気がした。そのまま少しうとうとして、気付いた時に
はもう彼は居なかった。ただ、鳥の像だけがそこに静かに残されていた。まさに舞い上がろうとする鳥の姿が。

 明日は、昔馴染みを訪ねよう。私は物言わぬ鳥を眺めながら、そう思いを廻らせた。


610名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 08:22:54 ID:ffSWUL1W
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
なんだこの萌えは!!1!!!
611名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 15:15:26 ID:vuVT+Px/
おお…


おおお…

ごめんなさい、すごすぎてうまく言葉が出てこない
でもこれだけは言える

 G J !
612名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 00:02:11 ID:szHXcJwH
面白かったけど、改行は長くても40行ぐらいがいいな。
613名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 10:06:52 ID:p1gajRGD
脳内でフクロウとアイの声に変換して読みました。萌え!!
朝からいいものを…。ありがとう。
614名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 10:41:50 ID:f3Q+8Mwg
>>610-613 thx!
xcadhQV2、です。

>>612
エディタに貼り付けた瞬間、自分でもうわぁって思った。最初は4行ぐらいで
まとめるように考えてたのになぁ。猛省!読み手あっての書き手だから。

そして大変な間違いに気付いてしまったんだが、これものたうちまわって猛省してるので
生暖かい眼でヨロ。

615名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 12:52:05 ID:p1gajRGD
自分も。初めて書いて、初めて貼り付けて、初めてUPされたのを見た時、見にくくてうわぁって思った。
後に、自分の稚拙さに「うわぁぁぁぁぁ」。
また出来たら読ませてください。
616名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 00:34:29 ID:Ps+6/j+y
ありがとうまたこのスレでこんな素晴しいものが
読めるなんて思ってなかった。
イサアイスキーフクアイスキーとして心の底から嬉しかった
ありがとう。まじで  G   J   !!!!!

本家のお題も楽しみだ
617名無しさん@ピンキー:2007/07/06(金) 20:03:24 ID:AyAXSoy0
ほしゅ
618名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 23:11:17 ID:Ez3MJLhA
イサアイすっげ良かった!
ひきこまれたよ
GJでした!
619名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 20:35:07 ID:ZB1kHb/P
お絵かき掲示板の版権お題保守
620名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:08:22 ID:O/BY/Rch
保守代わりに、またも捏造カップルで。トビ君とうちださん。日傘。

(1/9)


 そういえば、この傘を雨の日に使うのは初めてだわ。

 少し折り癖の残った折畳みの晴雨兼用傘を広げながら、涼子は黒い布をぼつぼつと打ちつける大粒の雨音を見
上げた。黒い布地に浮かぶ濃紺の薔薇の透かし模様が涼子のきめの細かい肌に影を落している。都心の生活、
しかも屋内業務中心では余り出番がないものの、保険がてら常備している所為で使う以上に傷みかけているそれ
は、この夏買ったばかりのものだ。

 こうやって行く先々で手に取るものの一年ともたず、季節毎に買う羽目になっている。雨傘だとそうでもないのに、
何故だろう。小さい頃は傘はもっと大事に使っていたように思うのに。折り畳みは所詮そういう運命なのかしら。目
の前をちらちら揺れる留め布を目の隅で追いつつ、軸をくるくる廻しながら考える。――それにしてもどこまでUV
効果ってあるのかしらね。専門外の事に関しては、涼子は何事も頓着しない性分だった――それでも少々気にな
るのは気になる。流石に。だから、騙されても悔しくない値段のものばかり選んでしまう。それで結局毎年買う羽目
になっているのだと薄々気付きながら。

 梅雨も夏も区別がつかなくなってきた所為で、この季節は毎朝着るものに悩む。今朝方は涼しかったので薄物と
はいえ長袖を選んできてしまったのは軽率だったか。比較的爽やかだった夕暮れも突然の雨に包まれると一転、
蒸し暑い夏の夕べの空気を彼方から招きよせ、まだ明るかった空をあっという間に重く澱ませた。

 異様な雰囲気はその所為だけではない。雨の所為で澄んだ空気は奇妙なほどに黄色く染めあげられていた。遠
いアジアの砂漠から巻き上げられた砂がそうさせているのだとは頭では解っていても、そのあまりに不穏な色に現
実感は無く、どこか異境の地に迷い込んだような、昔の記憶に紛れ込んだような、そんな錯覚にすら陥りそうだっ
た。昼過ぎから何処からとも無くじわじわと訪れたそれはあっという間に都心を覆い尽くし、全てを黄土色に染めて
なお頭上に渦巻いていた。雨が降って、空気のざらつきが収まっただけましだった。

 フィルター越しに覗いているような街角は、ノスタルジアというより、忘れたかった記憶を呼び戻してしまいそうな
ざわざわした不安を煽った。早く、どこかへ駆け込んでしまいたい、涼子はそんな感情に急かされるように足を早
めていた。
621名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:10:54 ID:O/BY/Rch
(2/9)

 今度の満月の夜に。
 廻り続ける日傘でも誤魔化しきれず、数時間前から頭をもたげていたその言葉は、今再び涼子の頭を占めてい
た。普段月齢など気にも留めない涼子だが、今日一日で幾度と無く見上げた中空には、はや白く虚ろな影が浮か
んでいた。黄昏の空に浮かんだ其れは、靄に包まれながらもぼんやりと真円を描いていた。

 もう、あれから何度も夏は廻ってきているのだけれど。



 此処暫く彼と会っていない。いや、こちらから会いに行くのはなんだか気恥ずかしいようで、怖くて、そう、怖くて、
いつも彼が訪ねて来るのを待つのが常だった。正直に認めてしまえば、拒否されるのが怖いのだ。彼ならばそん
なことは無いと解ってはいたが、どうしたことか、肝心のたった一言が言えないという事実から目を背けたまま、涼
子はこれまで逢瀬を重ねていた。ただ諾諾と流されていたつもりもないが、自分らしからぬことだと思う程度には違
和感が膨らみつつあった。

 逢いたい、どうしてその一言が云えないのだろう。どうして、その一言はこんなにも私に重いのだろう。

 要らぬ理性が邪魔をしているのは解ってはいたがこればかりはどうしようもない。自分から拒絶など考えもつか
ないが、それだけに自分から誘ってみて、彼に逢えないと謂われるのは何より怖かった。逢いたくない、などという
言葉は考えたくも、ない。

 今度の満月の夜に。
 年下のこいびとは、確かにそう告げた。でもそのあとずっと顔を見ていない。諍いがあったわけでもない。会いに
行こうと思えば行けたかもしれない。でも急な仕事も入った。忙しかったのだ、私は。・・・いいえ、呼べばどこへだっ
て彼はやって来られるのだ。来てくれるのだ。それなのに。

 もう何が切欠だったのか覚えていないが――いや思い返しても何が悪かったのか判らない。違和感を残したまま
別れたあの日、確かその夜の約束だった。でも、厳密には約束、ではない。だって私は返事をしていない。今もあ
の約束は有効なのだろうか?そもそも本気だったのだろうか、彼は?

 どこかへ行こうか。誰も居ないとこならいいかな?今度の満月の夜なんてどう?
622名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:13:14 ID:O/BY/Rch
(3/9)

 くるくると色を変える褐色の瞳は一際紅く際立って見えた。今度の満月の夜って?涼子はその瞳を見上げた目で
そのまま精一杯問いの色を返した。口唇は苦しい息をつくので精一杯だった。多分、今私はひどく緩みきった惚け
た顔をしているのだろう。髪は乱れてシーツに広がっている。――髪、ちょっと伸びすぎて首筋が暑い、今度戻った
ときにいつもの店に寄れるかしら――脚は、考えたくないような有様で、腕は押さえつけられて動かせない。満月っ
て、丸い月のことよね、(当たり前だわ、)いつだろう?判らない。考えられない。今、月はどっちに出ているの?ど
んな姿で?欠けているの?そもそも今日は何日だったっけ、

 腕を押さえている手に体重を掛けられて、涼子は少し眉を寄せる。今日はどうしたことか縋ろうと伸ばした手もす
ぐに押さえつけられなかなか自由にして貰えないでいた。何かあったのかしら。それとも、私何かしたかしら。彼は
苛々と当り散らしたりしない性分だが(でも実は短気で意地悪なきらいもある)、時折何かに迷うような目をすること
があったのを涼子は知っていた。・・・もう、郡山さんも解っててやってるんだから。「ウチの内田ちゃんは明日明後
日と東京だよ、」だとか何とか、でもそれが却っていい薬になっているのなら、なんて考える私はいけないのかしら
ね。明日は、(郡山さんを連れて)東京へ戻る日。一日帰って来れない。だからかしら、ううん、それだけ?じゃ、な
いわね。

 繋がったまま、肩を押しやられてうつ伏せにされる。顔が見えなくなる。無意識のうちに、目の隅に映った枕に伸
ばしかけた手が腰ごと乱暴に引き寄せられて空を攫む。この時だけは他のものに縋り付くことを彼は許さない。前
髪が落ちてきて口の中にも幾筋か入ってくる。前が見えない。いや、そもそもサイドランプだけの薄闇、なのだけれ
ど。

 ぐい、と深く進まれて反射的に身体の奥が、くくっと収縮する。見えないけれど、彼の眉はきっと少し苦しげに寄せ
られている。その顔も好きだ――額に光る汗、息をついて(それが私のなかにも伝わってくる、)紅い瞳は耐えて、く
すりと笑う余裕をみせる。ああ、こんな時まで生意気だわ、この子ったら。私は、駄目。
623名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:15:49 ID:O/BY/Rch
(4/9)

 また意思とは無関係に、小刻みに奥と入り口がぎゅ、と締め付ける。この体勢だと巧く力が入っているのかどうか
よく判らない。(でも私がこの体勢が好いのを彼は知っている、)かわすように大きくゆっくり深く突き上げられて私
は思わず上がりかけた悲鳴を懸命に飲み込む。ということは、余裕、でもないのかな。あ、あ、嫌、背が仰け反る。
逃げようとする腰を押さえつけられる。こういう時は、否、存外普段から有無を言わせないところがある――あ。


 いつも額にくれるキス、は、お疲れさま、とも、ありがとう、とも取れる。(良かったよ、と謂われるのは死んでも御
免だ、彼は決してそうは云わないが)揄う様な時もあれば諌めを含む時も。これを合図に、また緩やかに現実が覆
いかぶさってくる。手放した理性が戻ってくる。・・・送り出さないといけない時間がまたやってくる。魔法を解くまじな
いなのか、それとも、次まで私を縛ろうとする呪文なのか。ううん、其れが何でも構わない。私は、あなたが魔法使
いでも人でなくても、何でも構わないわ。



 突っ張って丸まっていた白い白い足の親指の先が限界を超え、生々しく緩緩と弛緩してゆくのと同時に、腕の中
で目に見えて広がる脱力感をトビは感じていた。この女はいつ見ても全然違う顔を見せる。昼間、仕事をしている
時。誰かがいる時。(必ず誰かが傍に居る!)誰かといる時。僕と、いる時。こうしている時。今この女は誰だろう?
何だろう?女の子、というには失礼だろう。(いつまでが女の子でいつからが女か、というのは歳には関係ないのだ、
生殖機能の成熟云々も然り、それとは関係の無いところできっと「女」は完成してゆく。・・・「男」はどうだろう?)

 女、そう、おんな。この苦しげな息を押し殺して頬を上気させ、しどけなく腕を放り出して僕の下で横たわっている
女は?どこまで何度求めても手に入れた気がしない。何度こうしてみても、いつも違う女を抱いているような気がす
る。薄く開かれた、朱を引かずとも紅い口唇、上下する白い滑らかな胸、痕を残したくなるような首筋。
624名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:18:07 ID:O/BY/Rch
(5/9)

 こんな顔をさせているのは間違いなく自分で、それは多少ならずとも征服欲を擽るものではあるけれど(そんなも
のが自分に在ったとは!)いつもあっけなく指の間をすり抜けていく気がしてならない。此処に居るのに何処にも居
ない気がする。・・・幻の女、確たる実体を持たぬ女。夜毎に姿を変えるまぼろし。それともこの女が現実で僕が幻
なのか。・・・それはそうだろう。其れは確かだ。

 普段よりも饒舌な潤んだ瞳が何を云っているかなんてこの時だけは訊かずとも解る。それがなければ、正直こん
なにものめり込んでいなかったかもしれない。期待していたのはもっと捌けた計算高さ、賢しさだった筈ではと今で
も少し思う。互いに見透かした上での見て見ぬ振りなら楽なのに、全てを引き出されてしまいそうだ。引っ張り出さ
れた挙句、見てはいけないものだったのねと気遣われて見なかったふりをされる、というのはまた別の話だ。

 なのに、いや、だからか、とことんまで追い詰めたくなる。何処まで耐えられるのか、何処までこの僕を、この手を
選び続けていられるのか。いつまで、その無防備なまでの恭順さと情熱とを織り交ぜた、時に幼いとも謂える瞳を、
僕を信じきって疑いもしない澄んだ瞳を向け続けてくれるのか。妥協を許さない活き活きした聡明な瞳、情慾に煌く
蕩けた光、其れを目の当たりにするたびに、自分が確かに此処に居るのだと確信できる。(それがなくなったら?)
・・・そうか、こういう感情なのか。手に入れたいのに壊したくなるっていう矛盾が、僕にも解る時がこようとは。
いや、解ってなどいない。解る筈もない。

 そうなんだろう?こういうことなんだね。トビは、狂喜を宿した瞳と甲高い哄笑とを思い出す。僕は君が羨ましかっ
たんだ。君ほどに激しい感情を持つことはもう無いと思っていたから。
 もっと仰け反らせたい、声を、悲鳴を上げさせたい。いっそ泣かせて。いや、今は顔を見たくない。見られたくない。

 白い背に手をついて、ぜえ、と大きく口で息をする。この褐色の肌とは対照的な白い白いぬめるような肌。本当
に彼女は綺麗な肌をしている。どこもかしこも滑らかだ。特に手入れをしている様子も無いから、きっと生来のもの
なのだろう。子供達のそれとはまた違った美しさだった。闇に浮かぶ、清らかな。そう、清らかだ。その背を指先で
なぞる。僕を取り込んだままのそこが過敏に反応して大きく収縮する。ん。

 何も、考えたくない。
625名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:20:57 ID:O/BY/Rch
(6/9)

 べたり、と膝から崩れてそのまま背を押し、背後から抱き締める。腕の中で大きく背が酸素を求めて丸り、脚はま
だ余韻を残して小刻みに震えている。少し身体を離して、熱を逃がす。離れた身体と身体の隙間に醒めた現実が
入り込んできて、手放したのは熱だけではないことが判る。少し辛そうに、まぼろしの女は寝返りを打って胸に擦り
寄ってくる。・・・いつもの事だが顔をあげようとしないのに、今はほっとする。何度こうしていても気恥ずかしいらしい。
そういうところを可愛らしいと思う自分がどういうわけか奇妙に思える。

 自身も肩で息をしながら、トビは涼子の頬に触れてみる。汗ばんだ額に接吻をおとす。口唇を寄せると、子どもの
ような条件反射で目を閉じることにすら、左胸の奥でぶつりと血が漏れ出たように熱が広がる感覚と、押さえようの
ない破壊衝動とが湧き上がってくる。どうしてそんなに無防備な顔を晒す?何故あっさり目を閉じてしまう?僕のも
のじゃないのに?そう、僕だけのものではない、それだけは確信があった。確かなものにだけ縋って、僕は自分を
保つ。トビは、目を閉じた。

「どうしたの?」
 頬に手を添えられてトビははっと我に返った。「ちょっと、ぼんやりしてて」「なんだか、」
 怖い顔をしていたわ、と言い出せずに涼子は黙って腕を伸ばす。近付いてきた首筋に廻した腕にはまだ力が入
らない。汗ばんだ浅黒い頬に頬を摺り寄せ、ひんやりとした耳を自分の首筋に押し当てた。聴こえる?私の考えて
いること。私は、今あなたが見えない。

「明日、東京なんだっけ?」
「そうなの。・・・正直行きたくないんだけど仕方ないわ、これも仕事」
「戻って来れそうにないね」
「・・・そういうこと」
「ごゆっくり」もう一度、トビは涼子の額に音を立ててキスをした。「もう、やっぱり怒ってるんじゃないの」「やっぱりっ
て?」「・・・もう!」「怒ると眉間に皺が寄るよ」他愛のない遣り取りに何かが覆い隠されていくのを涼子は感じたが、
それが意図的なものだと判るだけに追求し難かった。彼はすぐに何も無かったことにしてしまう。
626名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:25:31 ID:O/BY/Rch
(7/9)

「さて」とトビは起き上がって大きく伸びをした。エジプト猫のようだと涼子は思いながらそれを眺め、その姿も胸が
締め付けられるようなこの感覚ももう何度目だろう、と考える。この時間はいつもそうだ。パターンの決まったドラマ
のように。同じ言葉で結ばれる昔話のように。残り十五分だから此処で印籠が懐から出されて、皆がひれ伏す。
いきがぽーんとさけた。めでたしめでたし。THE END。・・・いいえ、TO BE CONTINUED、だといい。我ながらいつま
でも聞き分けの無い子供のようだと思う。「戻らなきゃ」もういつも通りの皮肉混じりの笑顔を向けられると、自分も
笑って送り出さねば、と思い知らされる。

「はいこれ――僕のはこれか。裏っ返しになってない・・・よね。あ、涼子さんそれバックマークじゃなくてサイドマーク
だから」「ってもう何見てるのよ!!」「だってそれじゃお尻入んないでしょ」「だから!!!」「はいはい」
 もっといろいろ見せてるわりに、こういう時のほうが恥ずかしいって云うのも妙だよなぁ、とトビは感心しながらもく
すり、と笑って、最後の接吻けをすばやく涼子の頬から盗み取った。「じゃあ、またね」

 音も無く、黒い影が気配も残さず消えるのは何度見てもあっけないものだ。でもいつまでも窓辺で見送るのが寂
しい時もあるし、今日は見送る暇も無いこんな別れ方がよかったのかもしれない、と涼子はまだぼんやりした頭で
考えた。突然一人きりになったベッドに、ぱたりと涼子は倒れこむ。スプリングが不機嫌そうに、二、三度、涼子を
跳ね返した。その振動を頬に感じながら、涼子は大事なことを確認し忘れたことにふと気付いて、ぱちりと目を開い
た。

 今度の満月の夜、って、いつかしら。



 今度の満月の夜に。
 自分でも、どうしてそう云ったのか判らない。そもそも今日は下弦の月、満月まではまだ三週間近くもある。だから
といってどうというわけでもない。それほどまでに日を空けたことも無ければ、その心算も毛頭無かった。いつもの
ように訪ねていって、その日の気分で外に連れ出せばよいのだから。別に満月まで待たずとも良い。そうしたいと
きにそうすればよいだけのこと。
627名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:27:58 ID:O/BY/Rch
(8/9)

 ばさり、と黒いマントを羽織りなおし、トビは夜空を見上げた。白く切り抜かれたように浮かぶそれは、見事に縦真
っ二つ、嘘のように断ち切られた姿で彼を見下ろしていた。長く浴びていると中てられてしまいそうだ。いや、もう遅
いのかもしれない。ビルの屋上にすとんと腰掛けて、再び空を仰ぐ。月は変わらない。この世界に来てから、もう随
分長い時間、こうして月の光を浴び続けてきたように思う。

 約束、というものをしてみたかったのかもしれない。
 ふとその考えに思い到る。少し先のことを、誰かと。誰かと?自嘲気味に溜息を漏らして、後ろに手をついて少し
身体を反らせた。実際、何処か行きたい当てがあったわけでもないのだ。この地に、知っている場所も限られてい
る。首の後ろを風が過ぎてゆく。真上に月が見える。さっきとは少し色が変わって見えた。

 不思議なものだな。そのままぱたりと背をつける。横たわって胸の前に手を組んで月を見上げてみる。下敷きに
したマントの端が、顔の横ではたりと音をたてる。コンクリートの埃っぽい匂いと、遠くから運ばれてくる汐の馨りが
微かに鼻腔に届く。少し湿った雨の匂いもその中には混じっている。そういえば、半円は少し滲んで見えている。風
も出ていた。明日は雨になりそうだ。明日は。

 明日。
 ぬるい空気の中、突然背筋がぞくりとした。この月が少しずつ少しずつ姿を変え、夜毎その様変わりを見せつけ
るのを、一体いつまで眺めていられるんだろう。あれは死んでいるんだ。自ら光を放てない死んだ星が、別の星の
光を受けて形が変わっているように見せかけているだけなんだ。死んだくせに、死んでしまったくせにこの星に付き
纏っているだけなんだ。そう、互いに互いの重みに縛られて。望むと望まざるに関わらず。

 僕は。

 ぞっとして、ごろりと身体を横に向ける。視界から白い半円は消えはしたが、確かな視線が降り注ぐのを痛い程
感じて、トビは強く目を閉じ、知らず胎児の様に身体を丸めた。
 逢いたい、と告げた自分の言葉がこれほどまでに重く圧し掛かってきたのは、彼にとって初めての事だった。


628名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 09:34:23 ID:O/BY/Rch
(9/9)

 また今度にしよう、という曖昧な言葉で彼が「約束」を反故にしたのはそれから暫く経ってのことだった。久々と云
っていい昼間の再会、他の目もある中あまりにさりげなく告げられたために、最初涼子は何のことか理解するのに
少々手間取った。それが「満月の夜」のことを指しているのだと気付いた時には不思議と心底ほっとしたのをまざ
まざと思い出す。そう、まるで親の持ってきた見合い話が先方の都合で一方的に断られた時のような。何故そう思
ったのか今でも判らない。そうして何より彼自身、肩の荷が下りたと言わんばかり、痛々しいまでの安堵感に包ま
れていたのがひどく印象的だった。何事もなかったようなそぶりを見せられると、もうそれ以上その事に触れる勇気
は涼子には無かった。そのまま、今の今までその事も約束の事も記憶の奥底へ深く埋めてしまっていた。

 どうして忘れてしまっていたのだろう。彼に関することは何一つ忘れたくなかったのに。どうして思い出してしまっ
たのだろう。せっかく忘れてしまっていたのに。

 雨は本降りになってきた。涼子はうわの空でくるくると日傘を廻す。思いのほか雨粒が強く飛び散り、漸く我に返
って慌てて辺りを見回した。いけない。・・・大丈夫、人には当たらなかったみたいだわ。
 そもそも、道行く人々は涼子のことは元より周囲のことなど微塵も気に留めず、見えてすら居ないかのような無表
情さで通り過ぎてゆく。

 此れは本当に現実なのか。私の世界なのだろうか。この金色の大気に包まれた、危ういまでにくっきりと鮮やか
な景色は。雑踏の中、涼子は飛沫に色を変えつつあるヒールの先をとめた。その刹那、総ての音が消え、周囲が
時を止めたかのように静止して見えた。ストップモーションの世界を見回し、涼子はゆっくりと目線をあげた。

 見上げた空は相変わらず奇妙な黄金色に染まっていて、薄く積もった雲に浮かぶ球形の光を曖昧に滲ませていた。



 満月だわ。







おわり。ちなみに今夜7/16は細い細い月の模様。
629名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 13:12:46 ID:tB+ONnRv
はあぁぁぁぁ…。なんかしっとりしたなあ。GJです。
今日は月が見えそうだから夜空を見上げるよ。約束。
630名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 10:02:27 ID:14cjOM9R
保守
631名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 21:28:33 ID:dZIff1A3
ユウがハルカに性的な意味でいたづらされる時空が見たい…
632名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 20:34:16 ID:8Bt5246/
ほしゅ
633名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 08:54:40 ID:Be/JG+m8
hosyu
634名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 21:48:04 ID:YxFj0eww
>>631
そこで自家発電ですよ!
635名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:19:45 ID:NZLy4CYt
ほしゅ
636名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 07:46:44 ID:DcZCOYvs
保守
637名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 21:56:13 ID:cKl51ZKt
ほしゅ
638sage:2007/08/14(火) 22:32:46 ID:3rMOeuUD
へたれカラスとハルカがみたいなぁ…ほしゅ
639名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 00:54:31 ID:XKP9qY42
このスレまだあったのか!
読んでない分まとめて読んだらえらい萌えたよ

亀だけど>>515さんのすげーよかった
ノエインは意外なカップリングもしっくり来るのが良いな
640(1/8):2007/08/19(日) 04:36:26 ID:N9a2rKZ4
>638
書いてたら物凄く長くなって投下を躊躇してる・・・とりあえずエロくないアトミホでお茶を濁してみる。
夏なのでいちゃラブカポーを書いてみたくなった。でも全然いちゃいちゃしてない。



 夢かしら。
 何も無い。知らない場所にいるようだ。私一人きり。なんとなくどこもかしこも濃いグレーだ。上も下も
右も左も無い。だから何も無い。いいえ、いつか来た場所かしら。いつかの夏休みとか。
「地面」が出来た。同時に「空」も頭の上に配置される。夏の空だ。
なんとなく風が吹いているような気がする。外、なのかな。暗い、ということは夜、かな。

 途端にぽっかり月が出た。見上げた空にはさぁっと濃紺が刷いたように広がり、瞬時に星が追いつい
てちかちかと瞬きだす。夢というものはそういうものだ。認識した瞬間、形が現れる。樹のざわざわいう
葉摺れの音が聞こえる。でも目の隅に映るのはベニヤ板におざなりに描かれた書割の森だ。近くで見
ると余りに大雑把で、それでいて離れてみると途端に命を放つ大胆な色彩の森が、床下の舞台装置で
揺れ、肌で感じた風を音にして伝えてくる。私に認識されたがって、次々と形を持とうとする。

 私の見たいものだけが形を作ってゆく。私に見たいと思われたものだけが、私の知識と想像力という
至極狭い範囲内の温い自由さで本物になってゆく。・・・私に見られたいと願うものだけが、媚びて歪ん
で像を結ぶ。本物そっくりに、でもそれで充分。だって夢だから。いいえ、この世界そのものが私なのだ
から、それ自体私の望むこと。この世界の望みは私の望み。この世界が向おうとするところこそ、私の
願い。

 そう、これは夢だ。
 夢の中で、私はそれが夢だと解る。
 これは夢だ。
 そう思うと安心もするし、少しそれで心が冴えもする。冴えれば、ますます像はくっきりと結ぶ。でもど
んどんデタラメに変化してゆく。私は其れを望んでいる。望んでいると認識する前に、記憶はランダムに
好きなもの同士結び合い、繋がり合い、融合し、再構築される。

 夢の中で、私は・・・白いワンピースを着ている。いつものじゃない。もっと、軽くて滑らかで手触りのい
い大人っぽい身体に沿うライン。胸元は少しギャザーが入っていて丸みを持たせつつもすっきりと程よ
く肌をみせるような上品なデザインで、裾は動きやすい広がりを保っている。足元、は、同じ白で、そう
ね、夏だからサンダル。ううん、やっぱりハイヒールかな。ええと、夏のサンダルとハイヒールとはどこが
どう違うんだろう。ミュール、はぺたぺたいうから嫌い。脱げそうになるし。
641(2/8):2007/08/19(日) 04:38:33 ID:N9a2rKZ4

 ――どっちでもいいや、つま先の見えるデザイン。オープントウ、というのだっけ。ヒールの踵を入れ
れば、私は百六十センチ近くには届くほどの身長になっている。ことにしよう。歳は、何歳にしよう。

・・・彼、何歳なのかな。ついつい思い浮かべるのはあの神経質そうな横顔。夢だからいいよね。彼と、
同い年が好いな。大人(だと思う)の彼と同い年ぐらい。そう言えば、私は彼等が何歳なのかも知らな
い。

 大人、大人だから、二十歳にしよう。私、向井ミホ、は今二十歳。はたちの、夏。髪は、やっぱり長くし
ていよう。大人っぽく結って、ううん、大人っぽく、と言っている間は子供だわ、歳相応に。としそうおう、
ってどんな風だろう。

・・・判らないから結わずに垂らしておこう。肩まで。これじゃ結べない。ぶわ、と腰辺りまで髪の広がる感
触が生々しく伝わる。重さもリアルだ。いやそんなに長くなくても。しゅ、と肩胛骨あたりに留まる。頭が
すっと軽くなる。うん、なんとなくそんな感じで。少しカットを入れて、重くならない印象で。ついでだから
毛先も綺麗につやつやにして。色の抜けたような明るい色じゃなくて綺麗な栗色で。そうそうそんな感じ。
便利だわ、夢って。

 ああ待って、一度ストレートにしてみたかったんだけど。しゅるん、とアビシニアンが日本の黒猫になっ
たかのような印象。のっぺりしてる。ハルカみたいな真っ黒で真っ直ぐな。・・・やっぱりいいわ、さっきの
で。

 サイドの髪が肩先から胸元へ流れる。うん、このぐらいならいいかな、胸も「大人」だし。・・・でももう少
し。考えた瞬間、どん!と覗き込んだ胸元がはじける。白く柔らかい丸いものを、ワンピースと同じ白い
レースが慌てて包み込んでゆく。ワンピースも急遽デザインを変えてぎりぎりラインをあっという間に縫
製してゆく。アメリカのアニメーションのように、ばかでかく、丸っこくデフォルメされ擬人化された糸と針
が慌ただしく動いて縫い上げるという手の込みようだ。流石は夢。大胆な切れ込み、といおうか見えそ
うで見えない絶妙ライン、でも自分で胸元を見下ろしたらなんだかおへそまで見えそうなんですけど!!み
んな大人の女の人ってこんなの着てるの!?
642(3/8):2007/08/19(日) 04:40:43 ID:N9a2rKZ4

 待って待って、やっぱり元に戻す!そんなに要らない。・・・だって恥ずかしいよ。こんなに胸が大きい
の、なんだかどきどきするし、何より重さと窮屈さに驚いた。さっきのでいい、さっきので。しゅん、と意気
消沈したようにボリュームもデザインも元のすっきりした清潔なものにダウンしてゆく。萎み方が何とも
名残惜しそうだ。ううん、やっぱりこのぐらいでいい。

 ああびっくりした、と私は眼鏡をくいっと指先で持ち上げる。・・・コンタクトにしてみようかな。コンタクト
レンズってどうだろう。ソフトだと痛くないけれどハードのほうが面倒臭くない、って聞いた。よく判らない
から、眼鏡なしでも見えていることにしよう。・・・顔が想像できないけれど眼鏡は無しの方向で。

 ・・・眼鏡の無いクリアな視界、というのは長らく体験したことが無い。だから流石に再現できなかった
のか、やっぱり視界の縁には丸いレンズの境目が見える。私の想像力は、幾重にも歪んで映るこの境
目から抜け出ることはなさそうだ。私に見える世界はいつもこの通り。これだけは嘘をつけない。

 指先、少しだけきれいに整えて。マニキュアは要らない。・・・やっぱり薄い桜色で。爪は長すぎず短す
ぎず。じゃあ、せっかくオープントウなのだからペディキュアも合わせて。鏡、は無い。そういえば何処に
もない。ううん、見たくない、ちょっと怖い。だって大人になったのにきれいな女の人になってなかったら
どうしよう。夢だから、想像できないことや知らないことは見えない。

 首の上にぽっかり黒い穴があいていたらどうしよう。髪も胸元もワンピースのシルエットも完璧なのに
顔だけが無い。怖すぎる。たかだか八年、されど八年。況や十五年後の私は。どうしているんだろう。ど
うなっているんだろう。ふわふわの髪に縁取られて、ぼんやりと顔の輪郭だけを残して底無しの闇が覗
いている。そこに、当惑した声だけが響く。

 解らない。私はどんな大人になっているんだろう。どんな顔をして逢えばいいんだろう。せっかく夢な
のに、夢の中ぐらい出てきて欲しいのに。私の夢の中でぐらい、好きに会わせてくれたっていいのに。
 ねぇ、見えないわ。私、自分の顔が見えない。目も無いのにどうして身体は見えるんだろう?指先も、
つま先も、ほら、ちゃんと見えているのに。私の顔は何処へ行ったんだろう?
643(4/8):2007/08/19(日) 04:42:53 ID:N9a2rKZ4


「昼間っから何寝言云ってるんだお前は」こつん、と軽くげんこつが頭上に振ってくる感触に吃驚する。
同時に、安堵感がどっと押し寄せて来る。夢に出てきた彼はグレーの背景に溶け込む黒のいでたちで、
そう、最初に会った時の風体で、相変わらず意地悪そうな目でぎろりと私を睨め付ける。私はそれが嬉
しくて飛びつきたくなる。

 でも、思っている事と違う言葉がするすると出てくる。

「昼?だって夜よ」だってほら、と言いかけて振り仰ぐ空は――さっきまで濃紺だった夜の空は、さぁっと
蒼く澄み渡っている。潔いまでの快晴だ。雲一つ無い。裏切り者!と私は誰にというでもなく心中毒づ
く。
「だってさっきまで夜の夢だったのに」
「夢?夢は夜見るもんだろう。昼の夢なんぞあるか。寝ぼけてるのか?真昼間から暢気な奴だな」
「だから夢の中なのよ。昼でも夜でもいいわ、それより私今、大人なのよ」
「どこがだチビ。いつもどおりちんちくりんのチビだろうが、お前は」
 そういえば、目線がいつもと同じだ。慌てて私は小突かれた額を押さえる。がくん。世界が途端に大き
くなる。

「あれ、」
 がくん、がくん、となんだか視界が揺れて、あれよあれよという間にいつもの目線で街の景色が生え
てくる。ビル、外灯、道路、じりじりと照りつける太陽の熱を反射するアスファルト、陽炎のゆらめく坂道。
駅前の景色。

「どうして・・・だって私大きくなってみたかったの、大人になってみたかったの、ううん、『大人』よ、あんた
とおなじぐらいの歳なんだから、背だって高くなったでしょ?」

 陽炎の中で私は脚を踏ん張る。慣れないハイヒールだけれど、立っているだけなら平気だ。ワンピー
スの裾からすらりと伸びる脚が見える。また世界がぐっと縮んでゆく。でも昼間の世界はそのままだ。
昼間でもいい。太陽の下、ノースリーブの袖ぐりから伸びる腕、指。もどかしい小さな手じゃなくて、指輪
だって似合いそうなすんなりした指先。その手を伸ばす。

 ほら。肩だってこんなに近い。一生懸命背伸びしなくたって、楽に届きそう。
 なのに彼はつい、と身を逸らす。逃げてから、少し後悔したかのような色を浮かべ、小さく舌打ちをす
る。私に向けたものではなく、自身に向けた叱咤なのが解る。「よせよ。帰るぞ」
644(5/8):2007/08/19(日) 04:45:12 ID:N9a2rKZ4

「帰る?どうして?此処がイヤなの?夢なんだったら。夢だからいいじゃない」
 私は少し悲しくなる。そうしてなんだか腹立たしい。どうして夢の中なのに彼は私の思う通りになってく
れないのだろう。夢の中まで意地悪する気なのかしら。夢なのに。
「せっかく大人になって会いに来たのに」

「お前なぁ、大人になるってのがどういう事か解ってるのか?」彼は珍しく嘲りの色を含まない小さな溜
息を漏らした。また彼の目線が低くなる。私は少し彼を見上げなければならない。「どういうこと?」「子
供じゃ居られないって事の意味は、まだお前には早ぇよ」

 彼が殆ど真下を見下ろすように私の眼を覗き込む。哀憐といっていい色が浮かんでいるように見える
のは、きっとこれが夢の所為だろう。私は不安を通り越した本能的な衝迫に駆られて彼にしがみつく。
勢いがつきすぎて反動で二人ともくるりと半回転する。白いワンピースがふわりと身体に追いつく頃に
は踵は地面にぺったり着いていて、書割の無人の街は陽炎に揺らいでいた。その中で私は彼にぴった
り頬を寄せて立ち尽くす。あたり前のように抱き寄せてくれる腕を感じながら、髪を撫でてくれる手に目
を閉じながら。私は彼の胸あたりまでしかない。

 大人はいろいろ難しい事を考えなくちゃならない。何でも自分で出来なきゃならない。自分ひとりで生
きてゆけるようにならなきゃいけない。仕事をしなくちゃならない。それから、それから。

 突然、足元のマンホールがぐにゃりと歪んで、その丸い形いっぱいいっぱいにアトリの顔が盛り上が
ってくる。にへら、と笑っている。顔だけで伸び上がって私を覗き込む。ぐにゃりと街燈が飴のように曲
がり、ランプを明滅させながら歪んだアトリの顔になってぐねぐねと見下ろしてくる。信号が、ポストが、
停まっている無人の自動車のボディが、無機物有機物何もかもが、手抜きの落書きのような狂ったデッ
サンのアトリの顔を立体的に模倣し、そこかしこにいっぱい溢れさせている。

 嗤い声は聞こえないがどれもこれも乾いて粘着く笑みを張り付かせている。どれもこれも意地悪そう
な狂った笑顔を浮かべている。私は悲鳴をあげて彼にしがみつく手に力を込める。
 ふと、私たちを取り囲んだ「アトリ」の一つが言葉を発した。「・・・えよ。お前には早ぇよ。」
645(6/8):2007/08/19(日) 04:47:53 ID:N9a2rKZ4

 早ぇよ。早ぇよ。早ぇよ。ガキだ。ガキだ。ガキだ。ガキだ。ガキだ。お前には早ぇよ。お前には早ぇよ。
お前には早ぇよ。ぇよ。だ。キだ。子供なんだよ。子供だ。おおおおおおまえにははぁぁぇぇぇぇよぉおお
ぉぉぉぉまえぇぇぇ。

 口々に小さく呟いている。呟きは重なりさざめき合って増幅し、わんわんと響いてくる。書割の港街を
背景に、世を限りとばかりに身を震わせ喚きたてる夏の蝉のように。

 鉄もコンクリートも煉瓦も、水銀のように溶けて揺らぎ、軽薄そうなアトリの嘲笑を形作った。本人を目
の前にしてこんな造形は、という考えはもはや吹っ飛んでいる。「いやよこんなの、私の夢なのに、夢な
んだから!」必死でアトリの胸に顔を埋め叫ぶ私の声に反応して、贋物のアトリ達が一斉に揺れる。

 ガキだ。早ぇよ。ガキだ。ガキだ。お前には早ぇよ。子供の癖に。子供なんだ。子供なんだよぉぉぉ。
 声に反応して動いてみせる下卑た花の玩具のように。私は突然、身体に伝わる彼の体温に不安を感
じる。待って、このアトリは本物なの?本物も何も、夢だけど、

「無理しなくっていい。お前はお前だ。チビで泣き虫のガキだよ」頭が割れそうな喧騒の中、ひっそりと
確かに耳に届いた声の、その思いがけない穏やかさに私は彼を見上げる。
 彼の神経質そうな骨ばった人指し指が、待ち構えていたように私の額にとん、と軽く触れた。

 くるん、と世界が反転する。眩暈、思った瞬間、私はどこまでも広がる燃えるような突き抜けた蒼穹に
溺れそうになる。真昼の月が白くぼんやりと足元に浮かんでいる。デタラメなまがいもののアトリ達はぎ
ょろりと白目を剥きながら一瞬で捩れて塵になり、霧散した。
 同時に一切の音が消えて、額に触れた彼の指の感触だけが残る。足元がぐるぐる回り、やがて消え
て、見上げたそこは何も無い。グレーの世界だ。上も下も右も左もない。傍に立つ彼だけが確かな存在
だった。

 気付けば、私はだぼだぼの大きなワンピースの中に半ば埋もれるように立ち竦んでいた。子供には
刳りの広すぎるそれは身体を覆っているようで覆い切れていない。白いレースの豪奢な下着がもそも
そと肩からひっかかってごわついた。
646(7/8):2007/08/19(日) 04:50:00 ID:N9a2rKZ4


「ほら、お前はまだガキでいいんだよ。元のまんまでいい」
 彼のその声を聴いた瞬間、白い大人びたワンピースはしゅるっと音も無く私のお気に入りのコットンワ
ンピースに変わった。私は自分の顔におそるおそる触れてみる。ぽっかりした穴ではなく、確かに慣れ
た手触りがあった。ほう、と少し震えた膝の下、ぺたんこのサンダルは今年の夏買って貰ったばかりの
ものだ。髪もいつものように両サイドで結んでいる。左腕には、夕べ蚊に刺された跡もまだぷっくりとし
ている。「掻くな、痕になるぞ」見もせずに彼は言う。

「うん、えっと、怖かった」
「そうか」相変わらず素っ気無いけれど、猫の尻尾を弄る様に髪を撫でてくれる指がなんだか嬉しくて、
私は漸く彼の顔を見上げる。照れを押し隠したような、少し不機嫌そうにも見える懐かしい顔が見下ろ
していた。
「でも、ふふ、なんだか随分優しいね」「そうか?」「そうよ、夢だからかな」「お前の基準はよく解らねぇ」

 私は心底ほっとして、もう一度ぎゅっと彼にしがみついた。骨ばった細い、けれどもがっしりした確かな
感触に安堵する。間違いない、本物の彼だ。

「私、いつもの顔かな」
「ああ」
「でもこれも夢なのね」
「ああ、そうさ。眼が覚めたら元通り、綺麗さっぱり忘れちまってな」

「夢だったらいいかな」「何がだ?」「好きなことしても」「いつも好きにしてるんじゃないのか」「それはあ
んたでしょ」「ふん」
 ぷい、と彼は横を向いてしまう。私は笑いながら、夢の終わる時間が近付いているのを感じている。

「もう帰らなきゃいけないのかな」
「ああ」

「じゃあ、途中まで一緒に帰ろう」私は彼から離れてスカートの膝を軽く払い、彼を促す。おとなしく彼は
横を歩いてくれる。何も無い暗灰色の世界を二人は歩く。不思議と怖くは無い。何も無いけれど、曲が
り角があるように坂道があるように自然に二人の足は方向を変え、傾きを変える。歩きながら、私はと
りとめもない事を話し、彼は聞いているのかいないのか、相変わらずの相槌を打つ。ずっと云いたかっ
たことは不思議と出てこない。でも私は満足だった。
647(8/8):2007/08/19(日) 04:59:35 ID:N9a2rKZ4

 見えない交差点でどちらからともなく足が止まる。ここでお別れらしい。「私はこっちみたい」「ああ」互
いが指差す方向はその先交わることはなさそうだ。じゃあ、と私は彼に手を伸ばす。彼はその手を取っ
て、私を少し引き寄せた。仕方の無い人ね、と私は引き寄せられるままに少し背伸びをして、小鳥のよ
うなキスをした。




 じゃあね。また。

 それきりこちらを振り向くことなく、真直ぐ歩いてゆく彼を少し見送って、私はまた歩き出した。




※おそまつ!アリスみたいになったな・・・


648名無しさん@ピンキー:2007/08/20(月) 19:08:58 ID:mtInjYKP
649名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 15:43:50 ID:x1/orBo9
>>640
乙! そして長くて躊躇ってるのも投下よろ。
650名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 00:09:20 ID:p4AgQMNc
ほしゅ
651名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 20:50:14 ID:EEgusXFV
ほしゅ
652名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 21:16:33 ID:w+W51wzg
ほしゅ
653名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 22:02:12 ID:Dy5rz1HH
ぐわ。ノエインの季節が終わってしまった。北海道はもうとっくに新学期始まってるんだけど。
654名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 00:08:15 ID:uWFQZMfp
なーにあと数ヶ月で冬だから問題なし
655名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 02:12:49 ID:D3rqOzqY
いやいろいろと時期が過ぎちゃって・・・そうか、冬のネタかぁ。
本スレで現地見学に行ってる人が羨ましい。いいなぁ・・・
656名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 00:43:02 ID:bQrlYpHK
保守
657名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 22:45:47 ID:UhAqOV9M
ほしゅ
658名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 20:34:37 ID:3RwUMrAJ
保守
659(1/9) ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:12:46 ID:zdzQBY3i
でけた。エロくなくてすみませぬ。
ほのぼのでユウ×ハルカ。(むしろハルカ×ユウ)




「おい、来るってお前、片道でも三万円近くかかるんだぞ」
 受話器の向こうの声は明らかに狼狽し、誰にというわけでもないだろうが低く潜められた。でも半分本気にしてな
いな。「知ってるよ、調べたもん。格安チケット探したら少し安くで行けそうだし。それにあたしバイトしてるし、お父さ
んからのお小遣いもあるし、そのくらいなら何とかなるから。でも泊めてよね、ユウ」
「な」
 何言ってんだよお前本気か、と本格的に慌てて捲し立てる声だけを聴いていると、懐かしいあの顔を思い出す。
まあ「彼」はよほどのことが無い限りこんな風に取り乱すことなどなかったけれど。でももし今横で聞いていたらどん
な顔をするだろう。私は笑いをかみ殺す。

 声変わりして、背も伸びて、すっかり大人びたユウはそれでも相変わらずだ。強いて言うなら、少し穏やかになっ
た。かく言う私もあの夏からすれば随分大人になったと思うけれど、大学生が大人なのかどうかはいまひとつよく
判らない。母親に言わせれば、「大きくなったってあんたはいつまで経っても子供なんだから」だそうだ。

 ユウは東京の中・高を経て在京のまま大学へ進学し、結果顔を合わせるのは年に数回になっていた。帰省の度
に彼はどんどん私を追い越し、一体何の焦燥感に煽られてか、と訝しむ程の性急さで大人になってゆく。女の子の
方が大人びるのは早いけれど、一旦男の子が自覚を持ち出すとそれは実にあっという間だ。身体的なことも勿論
在るけれど、やはりあの夏の出来事以来、彼は、(そしてきっと私も)変わった。早く大人になりたいとは昔から漏ら
していたが、それは少しばかり軌道修正の後、彼を急速に後押ししているようだった。

 この間帰ってきた時に皆で居酒屋で出迎えた時も(そう、私たちもそんな年齢になったのだ)イサミと並んで日本
酒など傾けていたのもごく自然な様子だった。イサミは焼酎派だがユウには日本酒が合うようだった。もしあのラク
リマがあんな世界でなかったら、あちらの二人もこうして串などつつき合う和やかな時間も多かったのだろうかと私
は目を細めた。あの二人なら想像に難くない。いや、よそう。・・・東京でも、数は多くなさそうだが心の置けない友人
も出来たようで、部屋に呼んで飲んだりということもたびたびあるようだ。
660(2/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:15:02 ID:zdzQBY3i


 さすがにこの歳になると「早く大人になりたい」とは口に出さなくなる。その本当の意味がすぐ目前にちらついて、
躊躇することの方が多い所為だろう。人にもよりけりだが、もう少しこの中途半端な時間に浸っていたいとも思うし、
早く社会に出て自分の「個」を持ちたい、一人立ちしたい、とも思う。ユウは、恐らく後者だ。

 それには少なからず「彼」の存在が多分に影響しているのだろう。受話器越しの声は月に何度か聴いているし、
それが無理でも週に一度のメールの着信が途絶えたことは無い。でも、見ない間にも彼は刻々と変化し続けてい
る。恐らく彼がそう望んでいるからだ。「彼」との約束をユウなりに果たそうとしている、私はそう感じている。それは
義務感に駆られてのことではなく、彼自身が決め、そう望んでのことだ。

 一人暮らしをしてもう長い時間が過ぎたということもある。家の事を手伝っているとはいえ、自宅にそのまま暮らし
ている私とはやはり自立心が違う。自分ひとりで全てを遣り繰りし段取りを考えての無駄のない暮らしは私やお母
さんには無理だ。断言してもいい。大人になるということの近道はやはり一人暮らしをすることなのだ。でも、ユウも
少し抜けたところがあるから、その暮らしぶりには以前から興味があった。

「わざわざお前がこっちに来なくても、俺すぐにまたそっちへ帰るのに」
「うん、それは判ってるんだけど、あたしが会いに行きたいの。で、一緒にこっちへ帰ってこようよ」
「なんだよそれ」
「ユウが帰省する一日前にそっちについて、東京見物して、一緒に函館に戻るの。みんなには内緒で」
「俺はいいけど・・・一日だけの為に随分金かかっちゃうぞ、いいのかよ。どうせならゆっくり遊んで、おじさんにも会
っていけばいいのに」

 此処まで来ると受話器の向こうは諦めモードだ。私が言い出したら聴かない事を厭という程彼は知っている。「ユ
ウがいつもひとりで見てる函館までの景色をあたしも見たくなったの」「そんなもんか」「そうだよ」少し小さくなったユ
ウの声に私は満足して大きく頷きながら答える。
「・・・じゃあ、またそっちへ戻る算段がついたら連絡するよ」「うん、待ってる」

661(3/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:18:43 ID:zdzQBY3i


 ぷつ、と携帯を切って、液晶画面を拭いながら私はよし、とひとりごちる。

 あれから7年。「彼」の事を忘れたことは無い。あまりに存在が大きすぎて、起こった出来事が突飛過ぎて却っ
て口に出せないまま数年があっという間に過ぎた。何もかも消えてしまったので元から何も起きなかったのかも、と
思ったほどだ。でも、夢じゃない。
 最後の夏から中学生、高校生、と飛ぶように時間は過ぎて、今私たちは「大人」と「子供」との最後の境目を漂っ
ていた。

 ユウは最初のような彼に対する蟠りを解いてはいたけれど、それでもなんだかユウに申し訳ないような気がして
「彼」の話題は避けてきたように思う。私にもそう考えが及ぶだけの分別がついたというものだろう。「彼」の年齢に
私たちが、ユウが近付くにつれますます比べてしまうようで余計に避ける話題となった。でも、やっぱりユウはユウ
だし、「彼」は、カラスは、カラスなのだと今でも思う。やはり似ているとも思えるし、やはり別のユウだったのだとも
確信するのだ。

 ユウが函館を離れてから仲間内でぽつりぽつり話すことはあったが、それでも思い出すと辛いことも多かったの
で「想い出」は大事に仕舞われがちになった。特に、年に数度姿を見せるユウの背丈が年齢とともに伸びてゆくに
つれカラスの面影が重なって、薄れかけた頃に再び記憶は関係者の中にその色を濃く残してゆくのだった。そうし
て彼の風貌だけではなく、彼の傍らにいた他の仲間達の事も彷彿とさせるのは言うまでもなかった。

 あの終始殺気を漲らせた鋭い眼光、触れると意外と柔らかだった色の抜けた髪、それは今のユウとは異なるも
のではあるけれどやはり何処か似通った空気が漂っていた。不器用な優しさと、総ての肩の荷が下りた時のあの
穏やかな笑顔。カラスの最後の姿を見送った私には余計に重なって見える。そのことを、ユウは知らない。





「で、おばさんには何ていって出てきたんだよ」東京駅で出迎えてくれたユウは白い息を吐きながら開口一番そう
言った。「もう、他に何か言うことあるでしょ、久しぶり、とか元気だったか、とかキレイになったな、とか」私はちょっ
と不貞腐れてユウに荷物を押し付ける。といっても大したものは入っていない。少し長旅で疲れただけだ。「東京に
遊びに行って来る、ってちゃんと言ってきたよ」「まんまじゃないか」「嘘つくよりはいいでしょ」

662(4/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:23:51 ID:zdzQBY3i

 久しぶりに見上げたユウは、また肩の位置が上がったように思えた。ちょっとヒールのある靴を選んできたのに。
東京の冬は暖かかく、灰色の空に雪はなかった。

 電話越しよりも低めで落ち着いた声は、目を閉じて聴いているとやっぱりカラスにそっくりだった。あの頃は小さか
ったから随分大きく見えた背中も、きっとこのぐらいだったのに違いない、と思えるほどになっている。ううん、ユウ
も大人になったらやっぱりこんな風になるんだ。

「その、ようこそ、東京へ」
 少しそっぽを向くように目を逸らしながらユウは手袋を外した左手を差し出した。
「うん!来たよ!」
 私はその手を握り返す。「おいおい」小さい頃のように、引っ張られるままにユウは少し躊躇いを見せつつ二三歩
踏み出して、そうして諦めたように笑うと少し私の先へと脚を進めた。「迷子になるなよ」歩幅も、もう追いつかない
かもしれない。大きな手が、子供の頃のような繋ぎ方ではなく、しっかり指を絡め直して私を導いた。


 東京へ出てくるのは勿論初めてではないが、父を訪ねる目的での上京が多く、ユウとこうして二人で歩くのは実
際初めてだった。函館の繁華街も相当に気忙しげに人の行き交いが激しかったが、都心はその比ではなかった。
何処から沸いて出たのだというほどの人が犇めき合い、ぶつからずに歩いているのが不思議なほどだった。「今日
は何か特別な日なの?」「どうしてさ?」「人が多いから」「いつものことさ、お前田舎者丸出しだぞ」手を引いて雑踏
を抜け出そうと身体で庇ってくれるユウを見上げると、なんだかその横顔は妙に頼もしかった。

「こっちのほうがいい?」私はもう何度となく口にしそうで出せなかった言葉をこの地に足をつけながらユウにぶつ
ける。私の問いは茶色いダッフルコートの広い背中にこつんとあたって、転がり落ちた。「え?なんだって?」「うう
ん、何でもない」喧騒の中で私は下を向いて笑った。肩越しに振り返った横顔はいつかの彼と重なった。
 とりあえず人混みを抜けて目的の喫茶店へと私たちは脚を早めた。


「大きくなったわねぇ、二人とも。もう6年、7年になるのかしら」
 艶やかな声も白い肌も変わりはないが、この人はきっとこのままの容で歳をとってゆくに違いない、そう思わせる
のはきっとその笑顔があの当時よりもどことなく穏やかなものになったと感じさせるからだろう。笑うと少し目許に細
波が浮かぶが衰えたという印象はない。

663(5/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:27:59 ID:zdzQBY3i

 こっそり私が連絡をとっておいた内田博士は、もう少し冷めかけたカップ半分ほどのコーヒーを前にして座ってい
た。相変わらず綺麗な人だというのが率直な印象だ。「すみません、お忙しそうなのに」「いいのよ、会いたかった
わ」すっと立ち上がった彼女は相変わらず姿勢がよかった。凛と伸びた背筋、ぴんと張った両肩、相変わらず豊満
な胸元から今猶健在な締まった腰へと続く大胆な流線形、腰掛けたガラスのテーブルの下に伸びる優美な脚線へ
と私の目線はつたいおちて、淡いベージュのツイードスーツとそろいの色の品のいいヒールへと吸い込まれる。我
ながらあまりの不躾さに頬が熱くなる。

 嘆息もののスタイルには変わりなかったが、思ったより小柄だったのに内心驚いた。もっとこの人は大きく見えて
いた気がするのに。(それにしても私にはこの高さのヒールは無理だ。)椅子にかかった薄物のコートも仕立ての良
さが見て取れた。

「内田さんは変わりませんねぇ」お世辞ではなく心底羨望を込めた私の言葉に彼女はくすり、と笑う。「二人とももう
大学生なのね、私お邪魔じゃなかったかしら」「いえ、俺、年に何度もあっちに帰ってますし」
 あの頃はちんぷんかんぷんだった量子力学についても大学の一般教養課程で少しだけ齧ることがあって興味が
湧いてきたのだ、だとか、郡山さんはどうしているのか、といった他愛の無い話に興じて、互いの近況報告をしあう。

 数年間は組織の中で微妙な立場であったこと、漸くほとぼりがさめてきて事態は好転しつつあること。プロジェク
トは別の形で再び動き出していること。私の父もそれに参加していると言うこと。「相変わらずこき使われているの
よ」嬉しそうに彼女は言った。真剣な面持ちも勿論捨てがたいが彼女は笑顔が何より似合うと思う。それは信念に
裏付けられた輝きを放つものなのだ、そう感じずにはにいられない。あの頃、そんな大事なことに私は気付いてい
なかった。

 夏の終わりとともに総てが終わりすべてが新しく生まれたあの日。彼女は事後処理で暫く函館に留まっていたも
のの、短い秋が終わる少し前には去って行った。会うのはそれ以来だ。最後に見た彼女は、以前にも増して仕事
に没頭しているようだった。子供にはその内容はわからなかったが処理せねばならないことは山ほどあったのだろ
う。しかしそうすることで必死に自分を支えていたようにも見えた。あの夏、誰もがなにかしらの思いを抱えて、往く
夏を見送ったのだ。

664(6/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:30:58 ID:zdzQBY3i

 話しながら、内田さんは私と交互に、静かにじっとユウを見つめていた。ユウの中に誰を探していたのか、見つけ
ていたのか、私には何となく判っていたけれども敢えて口にはしないことにした。目を細めて感慨深げな顔をしてい
たが悲しそうではなかったのは救いだった。あまり引留めても、と思いつつも、席を立つ頃には数時間が過ぎてお
り、もう外は薄暗くなっていた

「すみません、話し込んじゃって」「いいのよ、会えて良かったわ、楽しかった」にっこり笑って彼女はさらりと髪を揺
らし、ユウに向き直る。「後藤君、ハルカちゃんをよろしくね」黙って頷くユウと私に、もう一度匂い立つような笑顔を
向けて彼女は辞していった。二人で手を振る彼女を見送る。人混みにその小さな背が見えなくなるまで二人でじっ
と立ち尽くした。「ご馳走になっちゃったね」「うん」「やっぱりキレイだったねぇ」「うん」「ユウ?」「うん、ああ、ごめん、
行こうか」
 




「あ、あたしビールもう一つ。ユウは?」「俺、手取川」「あと、おでん盛り合わせひとつ」
 ユウがよく通っているという居酒屋はチェーン店ではなく落ち着いた小さな店だった。よく言えば隠れ家的な、有
体に言えば小汚いひっそりとした店だったが酒の種類は充実していた。オーダーの通りもよく待たされることが無
いのは何より良かった。
「さっきのは何ていうの?」「はるしか。春の鹿、だよ。さっぱりしてて飲み易い。お前も飲む?」「ううん、あたしまだビ
ールでいいよ。てどりがわ、って何処のお酒?」「石川。旨いよ」「生意気言っちゃって」「はは」

 ユウの下宿はすぐ近くだった。とりあえず荷物だけ置いて出てきたのだが、思いのほかこざっぱりとした部屋で予
想通りといえば予想通りの空気に私は正直拍子抜けしたような気分だった。「おじゃましまーす・・・って何も無い
ね」「だって一人だし、節約しなきゃいけないし」「お酒はあるね」「イサミが送って来るんだよ」「それだけじゃなさそ
う」「あいつ焼酎ばっか送ってくるからな、何でも飲むけどさ」
 ユウは昔から偏屈だったが男の子にしては、いや男の子らしい几帳面なところもあって、散らかすだけ散らかす
イサミとは違い、割とすっきりとした収納が出来る性格だったのを今更ながら思い出した。

665(7/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:33:49 ID:zdzQBY3i


 正直を言えば、瞬間そこにユウ以外の誰かの残り香を探さなかったといえば嘘になる。来ると宣言してから来た
のだから、そういう事実があったとしても彼の性格からして万が一にも痕跡を残しているはずもないのだが、それよ
りも何よりも、そこはユウの匂いがした。なんだか私にはそれで充分だった。もしいつかそんな日が来てもそれはそ
れでいいか、と思えるほど気分は落ち着いてしまった。


「はい、ビールどちら?」「あたしです」「じゃあこっち、手取川」枡に納められたグラスに一升瓶の口が寄せられ、グ
ラスの縁を越えて枡から溢れる寸前まで注がれるまろやかな液体に歓声をあげ、私たちは何度目かの乾杯をした。
新しい杯が来るたびに乾杯することにしているのだが、もう何度目なのか正直判らなくなってきていた。それでもユ
ウは顔色一つ変わらない。私は、母親に付き合って中学生時分から慣らしてきているのでそこそこいける口だと自
負していたが、彼もなかなかのものだ。本当にいつの間に。

「俺さ、ハルカ」グラスをことり、と置き、胸の前で抱えるように枡を握り締めてその中を見下ろすような目線でユウ
は呟いた。「お前のこと守るって言っときながらこんな離れたとこに居てさ」私はジョッキを置いて少し身を乗り出す。
「ううん、しょっちゅう電話してるし。いっつも悩み事聞いてくれてるじゃない。それに前みたいにあんな危ないことは
もうないんだし」

「でもさ」枡が揺れた。ユウはそれをぐっと呷る。私はグラスの残りを枡に注いだ。「ありがとう」それに少し口をつけ
て、ユウは浮かされた様に続けた。もしかして、見かけは変わらないけれど酔っているのかな、とちらりと思った。
「大丈夫。まだ大丈夫だと思うよ」いまひとつ説得力の無い言葉、枡を握り締めた手に私がそっと手を添えた時、が
やがやと学生が雪崩れ込んできた。どうやらユウと同じ大学の学生らしい。体育会系の学生のようだ。「たてこんで
きたな、出ようか」「うん」

 騒がしくてすみません、という親父さんの声に送られて私たちは暖簾をかき分けた。


666(8/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:36:07 ID:zdzQBY3i


「あの時は実際危ないことが一杯あったからカラスは何時だって傍に居てくれたしいっぱい助けてくれたけど、今は
四六時中一緒に居ることだけが守るって事じゃないよ」
 少し足元が覚束無い二人が支え合って歩くということは思いのほか大変なことだったが、しっかり握り合った手は
昼間よりも数段熱かった。

「俺にはアイツみたいなことは出来ないよ、それは判ってる、解ってるから」ユウの下宿しているワンルームまで川
沿いに歩き、川原まで続く石段にとりあえず私たちは並んで座り込んだ。途中のコンビニで買ったペットボトルが膝
の上に冷たくて気持ちいい。川面を滑って吹き上げてくる夜風は刺すようだったが、まだ酒精の抜け切らない頬に
は心地良かった。
「俺は俺に出来るやり方でお前を守ろうと思うんだ、だからこうしてこっちに出てきてる」
「うん、解ってるよ」

 手渡した水のボトルをありがとう、と受け取り、ユウはごくりと飲み込んだ。息が白く流れた。ころりとキャップが手
から零れ落ちて、ことん、ことんと階段を落ちてゆく。

「みんな、俺にヤツの姿を重ねてるみたいなんだ。わかるだろ?お前だってそうだろ?」
 どきん、と揺れた胸の前でペットボトルを握り締めた私は、痛切な問いに沈黙でもって答えてしまう。遠い記憶に
思いを馳せていた内田さんの少し潤んだような瞳が脳裏に浮かぶ。

「そうだよな。自分でも思うんだ。似てきたよな、アイツに近づけてるかな、何時になったら追い越せるかな、って思
うんだ。嫌じゃないんだ、全部が全部理想って訳じゃないけどあいつみたいになりたいって思うことあるし」

私は立ち上がって膝立ちになり、少しうなだれるユウに腕を廻す。ユウの声は一層小さく低くなる。
「でもアイツはすごい。今になって本当にそう思うんだ。最初は怖かったし、正直気に入らなかったけど、やっぱり、
カラスはすごいヤツだったんだ。だからお前だって」
「でも、ユウはユウだよ。カラスじゃない。カラスにはなれないし、ならなくっていいと思う」

 ダッフルコートを着込んだ長身の彼は私の腕には余ったが、冷たくなりかけた頬に頬をすり寄せて、おでこをこつ
ん、とあわせた。ユウのにおいだ。懐かしいにおいだ。私は目を閉じる。
「ユウにしか出来ないよ、だってユウだけがユウなんだよ。だからあたしずっと待ってるし、こうして会いに来たんだ
よ」」

667(9/9)ユウ×ハルカ:2007/09/18(火) 00:39:48 ID:zdzQBY3i


 ユウはなにも言わずに私にしがみついた。少しこそばゆかったけれど、腰にしがみつく腕はがっしりしていて、何
より愛おしかった。私はそれをそっと撫でて、胸の辺りにある彼の頭を撫でて、背を抱いた。こうして抱きとめてくれ
る腕があれば、誰だってきっと生きていける。きっと何処ででも生きてゆける。誰のことも恨み嫉むことなく、心が拗
けることもなく。簡単なことだったんだ。でも時にはそれが一番難しい。だって、たった一人と望んだ人から望まれな
ければそれは永遠の孤独を意味するのだから。誰でもいいわけじゃない。
 だから、ユウは大丈夫だよ。

 カラスはカラスに出来る事を懸命にやり遂げようとしてくれた。出来ることと出来ない事をちゃんと解っていたんだ
よ。そうして自分には出来ない事をユウに託した。彼はユウを認めた。認めてくれたんだよ。だから、ユウはユウの
やり方で大人になっていけばいい。あたしも、ユウを支えられる大人になるよ。きっと、彼もそれを望んでる。

「ねぇユウ、しよっか」
 静かに囁くと、私のおなかに顔を押し付けたまま、ユウは黙ってこっくりと頷いた。
「じゃあ、帰ろ」
 ぽんぽん、とユウの背を叩いて促す。暫し黙りこんでいた大きな子供は静かに顔をあげるとぐい、とコートの腕で
顔を拭い、立ち上がる。さっきよりも数段力の篭った手が私の手を握り締め、子供のようにリズムをつけて腕を振っ
て歩く。私はおかしくって仕方が無かったけれど、ここで笑っちゃ駄目なのよね、と思い直して、繋いだ手を一緒に
振りながら、それでもやっぱり笑いながら二人ではしゃいで踊るように家路を辿った。

 ユウ、明日は一緒に函館に帰ろう。みんなが待ってる。






おわり。寸止めスマソ。

668名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 00:45:30 ID:cVgKl3rZ
リアルタイムだった!
GJ!本編の未来っぽくて、先を読むのが待ち遠しかった。
出来れば本番もいつかおながいします。
669名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 09:15:40 ID:kHdvwCC5
なんという神…
タイトルを見ただけで(*´Д`)ハァハァしてしまった
このSSは間違いなくGJ
670名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 02:06:40 ID:8IKYzsBb
ノエイン全部見なおしてきた。
泣いた。これほどまでに製作側に恵まれたアニメもない
俺が感動している後ろで容赦なくドライアーかける姉に別の意味で泣いた
671名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 23:08:04 ID:cTJMRmcv
>>670
自分も見直してる。DVDもう1セット買ってしまいそうな勢い。

さぁその感動をSSにぶつけるんだ!

672名無しさん@ピンキー:2007/09/28(金) 08:04:55 ID:KAZ5O/RN
ほしゅ
673名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 09:07:45 ID:fr3n9qJH
ほしゅ
674名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 08:43:48 ID:fUnP+yS8
保守
675名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 19:54:16 ID:3SSWszav
保守
676名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 06:07:34 ID:KHIpFbaN

保守がわりに内田ちゃんレポート・コサギのCASE。
基本トビ×内田で。



 おやすみなさい、といつものように窓辺に彼を見送って、少しだけ用事を済まそうとノートPCを開いた時だ
った。背にした窓の外にかすかな気配を感じて、私は珍しいこと、と手を止めた。引き返してくるなんて、何か
あったのかしら?「どうかした?何か忘れ物?」

 振り返ると、はたしてそこには黒い人影がぼんやり浮かんでいた。彼ではない。女のようだった。しかもまだ
若い。短くした前髪が印象的だ。黒い闇に浮かぶ姿、はためく黒いマント。明らかに彼と同じ世界からの訪問客だ。
 想定外の珍客には違いないが、もう今更大して驚くほどの事でもない。いい加減私も不可思議な現象や人
物には慣れてきたようだ。ここが平凡なビジネスホテルの一室だということも忘れてしまいがちになる。

 とりあえず危害を加えられることもないだろうと踏んで、私は窓に近づいた。少し女が身じろぎする。からり、
と窓を開くと、少し警戒を見せつつも気丈に睨みつけてくる。彼らの仲間には女性もいるのだとは聞いていた
が、実際会うのはこれが初めてだった。よくよく個性的なメンバーだ。触れなば斬らん、という空気は、あの白
髪の青年を彷彿とさせた。

彼等を束ねるリーダーは苦労が絶えなかったのではなかろうか。いや、案外戦闘時にはチームワークを発揮
して?・・・駄目だ、やはり単独行動に走りそうな気がする。では、リーダーはよほど優れた戦士で且つ人格者
だったのだろうか?

「入って」
「・・・トビの気配を追って来た」
「そう?」隠しているつもりでも彼の仲間内では周知の事実かもしれないな、という思いが初めて頭をよぎった。
「私が恐ろしくはないのか」
「もうそういうの慣れちゃったわ。それより、何か用があったんでしょう?こんなとこで『立ち話』も何だから」

 全身に纏った不穏な空気は複雑そうにゆらめいた。口がへの字に結ばれている。
「では入るぞ」少しの逡巡の後、意を決したように彼女は頷いた。そんなに構えなくても大丈夫よ、と私は苦
笑を禁じ得ない。彼等は彼等なりに不安を抱えているのか。

677(内田ちゃんレポート・コサギのCASE 2/8):2007/10/13(土) 06:09:56 ID:KHIpFbaN

 窓枠に手をかけてするりと部屋に降り立つ黒い姿を迎え入れるのはもう何度目だろう。しかしいつもの見慣
れた小柄な彼ではなく、長身の女性というのがなかなかどうして新鮮だった。鍛え上げられたと思しき体は無
駄な動きがなく、全身から漲る気迫がびしびしと肌に伝わって来る。かといってごつごつした筋肉質、というわ
けでもない。むしろ女性的なしなやかさをそれと知らず纏っているような風情を漂わせているのが興味深い。
すらりとした肉食獣のような姿に部屋の空気が一変する。

「奴は度々来ているのか?」部屋を油断なく見渡しながら警戒も露わに彼女は言い放つ。
「ええ、時々。でも内緒にしてね」
 ベッドを示して座るよう促すと、うむ、と彼女は頷き、異常がないかすばやく確認すると、どっかりと腰掛けた。
引っ張られて出来たシーツの皺に目がゆく。今夜に限って少し話をしただけの短い逢瀬だったのが幸いした。
散らかっていなくて良かったと今更ながら心底ほっとする。

「全く、どいつもこいつもどうなっているんだ。竜騎兵が揃いも揃って!」
「まあいいじゃない。少なくとも、彼がこの時空を選んだ時には、私達まだ出会ってもいなかったんだし」
 改めて鋭い視線が私に注がれる。わたしは正面からそれを受け止める。さぁ、来なさいな。
「まぁ子供相手にうつつを抜かしているよりはましか」
「それを言っちゃあ身も蓋もないわよ」
 やっぱりそういう風に見えるのか、と私は少し可笑しくて、ここには居ない二人の顔を思い浮かべた。

「内田です。内田涼子。この国の政府機関の者よ」
「コサギと呼ばれている。旧い名は捨てた」
 名刺を渡しても意味はなさそうだし、握手を求めても応じてくれるだろうか、と思いあぐねてどちらもやめた。
しかしそっけない態度の彼女をもう少し知りたいと私は思うようになっていた。私より年下かもしれないな、と、
きめの細かい肌や澄んだ瞳に思う。

「お前は、奴らの十五年後の係累などではなさそうだな」
「それじゃ年があわなさすぎよ。此処の出身でもないの」
 でももしかしたら解らないかもね、国籍は関係なさそうだし、と苦笑交じりに答える。悪気はなさそうだ。きっ
と少し、誤解を受けやすいだけで。
678(内田ちゃんレポート・コサギのCASE 3/8):2007/10/13(土) 06:12:10 ID:KHIpFbaN

 彼女の指が神経質そうに襟元を攫むと、次の瞬間には身を覆ったマントはしゅるりと消え、見慣れたデザイ
ンの黒い装束に包まれた痩身が現れる。とりあえず警戒心は解いてくれたというわけだろうか。
「量子物理学が専門よ。トビ君程じゃないけれど。周辺地域の調査の為に此処に来て、ハルカちゃん達に会
ったの。あなたも、彼らと一緒にハルカちゃんちに居るの?」
「私は、」

 一瞬、食ってかかりそうな剣幕に思わずたじろいだが、すぐに肩を落としてぼそりと呟く。
「私は彼らとは違う。だが、今は行動を共にしている。ラクリマとは決別した」
 どこがどう違うのか、いまひとつ要領を得ない説明だがとりあえず行く宛てはないということか。生活はどう
しているのだろう?「彼みたいにこの近くで潜伏してるって事?」
「カラスか?」彼女はひどく注意深く、さりげなさを装うようにその名を呟いた。「そう、そう呼ばれていたわ、あ
の背の高い白髪の」

 あまり話したことはないんだけど、という私の言葉を聞いているのか聞いていないのか、少し彼女の目線が
彷徨う。私は立ち上がって、(その瞬間彼女がびりりと殺気立ったのには流石に驚いたが)冷やしておいたワ
インを取り出し、部屋の隅によせてあった丸いサイドテーブルを彼女の近くに寄せた。彼女が胡乱気に私の
一挙手一投足を眼で追っているのを感じながら、椅子を引き寄せて腰を落ち着け、二つのグラスに琥珀色
の液体を半ば満たした。ふわりといい香りが漂う。

「どうぞ」
「すまないが酒は」
「いいじゃない。女同士、出会いの記念よ、それにもう夜だし、ね」
 さっきよりも戸惑いの色が濃い。それが一層彼女を子供っぽく見せた。やはりまだ若いのだ。
「そうだな」
 どこか自分に言い聞かせるように、彼女は遠く呟いた。グラスに伸びた指先は、思った以上にしなやかでし
っとりと白く、繊細だった。
679(内田ちゃんレポート・コサギのCASE 4/8):2007/10/13(土) 06:15:58 ID:KHIpFbaN

「別に用があったわけではないのだ」暫く琥珀色の揺らぎを見つめていた彼女がぽつりと漏らす。「たまたま
通りかかったら奴の匂いがした」
「何か別のものを探していたの?」

 彼女はそれには答えず、目線を上げた。「奴の気配の名残の先にお前がいた。正直、意外だ」
「何が?」
「お前のような有機的な女が奴の好みはだったとは知らなかったが、いや、あいつのことはどうでもいい、お
前は、リョウコはいいのか、トビの一体何処が良かったんだ?解っているのか、大体我々は」
「ゆ」

 いきなり直球でこうも矢継ぎ早に来るとは思っていなかったのでさすがに返答に窮する。そもそも、自分で
もあまり考えないようにしていたことだったので、思わず口唇に寄りかけたグラスが止まる。有機的?という
のはそもそも言葉通りの意味でしかも褒め言葉と受け取ってよいのだろうか。言い澱んだ彼女は小さく、すま
ぬ、と口中呟いた。

「・・・仲間同士だと居場所がわかるの?」
「レイズで呼び合ったり互いの居場所を探ることが出来る」半ば乗り出しかけた身体を落ち着けるように、ぐ
い、と意志の強さを垣間見せる唇へとグラスの中身を注ぎ込む。「美味いな」「気に入った?まだあるわよ」私
は差し出されたグラスに代りを注ぎながら、さりげなくグラスの縁と彼女の顔を見比べた。

「そうね、どこが良かったのかしら。改めて訊かれると、正直自分でも判らないの。説明できないことが自分の
中にあるのはなんだか気持ち悪いんだけど、どうしようもないわね」
「科学者でもそうなのか?」
 詰問口調はどうやら彼女の素地らしい。

「でも、私のどこが良くて逢いに来てくれるのか考えるともっと怖いの」
「怖い?好きなんだろう?」ぐい、と肘をついて身を乗り出してくる迫力に気圧されて、私は本人にも言ったこ
との無い言葉を口にしていた。「ええ、好きよ、・・・大好き、だけど」
 真顔で訊かれるとどうにも面映ゆい筈なのに、酒精と夏の夜が手伝ってか、素直に受け止められるから不
思議だ。いや、彼女が真剣そのものだからか。「それを認めるのが怖いのよ」

「・・・そうだな、怖いな」
 彼女は少し遠い眼をした。


「あなたも、何かを捨ててきたの?それとも、追ってきたの?」黙り込んだ彼女に水を向ける。
 ぴくり、とつり上がり気味の眉が動いた。
「あなたもこの時空を選んだのには何か理由があったんでしょう?」
「それは」
 肩がゆらゆらと揺れているのに自分で気付かぬような声だ。
「・・・そうだが」
 私は急がないことにした。ゆらり、ゆらり、彼女の手の中で鈍く光を跳ね返す液体がグラスの縁から縁を行
きつ戻りつする。その手がふと止まり、またも彼女は白い喉をそらせてぐいと呷る。肩が大きく息を吸い込ん
で、何かを篩い落とすのが見えた気がした。
680(内田ちゃんレポート・コサギのCASE 5/8):2007/10/13(土) 06:19:10 ID:KHIpFbaN

「追いかける為に、捨ててきた」
 そう宣言して、彼女は大きく頷いた。「そうだ、追いかけて来たんだ」
「あら、かっこいいじゃない」私は彼女のグラスに自分のグラスをかちりと寄せた。備え付けの安物には安物
なりの音が響く。「そうでなきゃ」
「そう思うか?」初めて聞く彼女の不安げな声には、ほのかな艶があった。

 追いかけてきた、ということは、と思いを巡らさずにはいられないのだが、あまりに彼女の落胆振りが大き
いので、下手に誰彼の名前を出すわけにもいかなさそうだと思いあぐねていると、目線を落したまま無言で
彼女はグラスだけを差し出す。私も無言で注いでやると、ありがとう、というか細い声が返ってくる。私は自分
のグラスも満たして、彼女の横に並んで腰掛けた。これで彼女が追ってきた相手というのがもしトビだったら、
と冷やりとするが、それは欲目というものだろうと改めて彼女を見た。

 少しピンク色に上気した頬はやはり肌理が細かくなめらかで、物憂げに沈んだ瞳はさっきまでの勢いを失
って決壊寸前だった。少し揺れる肩に、私はそっと彼女の手からグラスを受け取ってテーブルに置いた。
「ああ、すまない」
 膝に置かれた両手がぎゅっと握られた。この拳で彼女は闘ってきたのか、とその掌にそっと手を重ねる。
「リョウコは優しいのだな」

 少しコサギは笑みを浮かべる。「だからなのか。優しい女など、ラクリマには居なかった。いや、私が知らな
かっただけなのか。人に優しくするなどということ自体忘れていたな。優しさは弱さに等しい、そう思っていた。
強くなければやられる、闘えぬ者は死んでしまう、そんな世界で生きていたからな。だから強くなりたかった。
強くなったと思っていた」


「戦いの中でなら肩を並べて背を預けて生きてゆける。それだけでよかったのだ、なのに」
 ぽつぽつと布を打つ音がして、彼女の膝に水滴が広がった。「気付いてしまったんだ」大きく見開いた瞳か
ら、ぽろぽろと零れる大粒の涙を拭おうともせず、彼女はただ拳に力を籠める。
「わたしでは駄目なのだ」


 ひとしきり心を開放して少し興奮が収まってきたのか、ぐい、と手の甲で涙を拭って彼女は肩で大きく息を
ついた。子供のような仕草とは対照的に、ほんのりと染まった目元がなんともいえない色香を漂わせていて、
案外この顔を見せればよかったんじゃないかしら、と下種な考えが頭に浮かぶ。こんなに泣き顔が可愛いな
んて、連中知っているのかしら。知ってて泣かせてるなら随分な男だわ。
681(内田ちゃんレポート・コサギのCASE 6/8):2007/10/13(土) 06:21:31 ID:KHIpFbaN

「解っていたことだ」自嘲気味に零れた笑みはそれでも少し明るかった。「解った上で、私もこちらに残ること
にした。私がそうしたかったのだ」私の手にそっと重ねた手は暖かく乾いていた。「だから、いいんだ」彼女は
眩しそうに天井を振り仰ぐ。「奴の居る、空の高いこの世界を選んだ。ここは、よいところだな」「あなた達はみ
んなそう云うわね」ちらりと流し目を寄越し、再び彼女は見えない空へと視線を戻す。

「だが、どんな美しいところでも、一人で居るのなら意味は無い。誰かと居てこそ、誰かが居るからこそ価値
があるようだ。リョウコ、奴はお前を見つけたのだな。リョウコも奴を、トビを見つけた」
 忘れた頃にまた真直ぐな眼で見つめられて、私は少しどぎまぎする。なんて純粋なんだろう、この子は。い
やそれ以前に相当恥ずかしい事を言われたような気がする。

「だが、ただ陰から見守るというのは存外辛いものなのだな、知らなかった。掴み合いの喧嘩をしているほう
がよほど楽だ。お前たちが羨ましい」
 私たちそんな事をしてるわけじゃないんだけど、と言いかけて、そういう意味じゃないわよね、と思わず笑い
出す。つられたように彼女も声をたてて笑う。

 私はたいして助言らしい助言も出来なかったが、彼女は話すだけ話して満足したようで、後は楽しい酒にな
った。幸い、ボトルの備蓄は十二分にあったし、そのまま瞑れてもベッドの上だから問題は無かった。同性と
はしゃいで部屋で飲み明かすのは私にしても彼女にしても初めてのことで、共通の友人を肴に大いに盛り上
がった。とはいえ、元々あまり彼女は強いほうではなかったらしく、やがてぱったりと倒れこんでそのまますう
すうと寝息を立て始めた。

 これまでゆっくり休む事も出来なかったんじゃないかしら、と穏やかな寝顔を窺う。上乃木家に身を寄せて
いないのだとしたら、一体何処でどうしているのだろう。さら、と額の髪に手を伸ばしてみる。まだ少し腫れぼ
ったい目元は安堵に緩んでいた。まぁ、これでよかったのよね、これで。

 夜明けまで二時間ほど。今から寝てしまっては彼女を見送れないかもしれない。暦の上では今日は一応休
日、多少の出遅れはやむを得ないことにしてしまおう。
 そう決めて、まだ少し飲み足りない気分の私は、彼女の寝顔を眺めながら中途半端な時間をグラス片手に
過ごすことにした。



682(内田ちゃんレポート・コサギのCASE 7/8):2007/10/13(土) 06:26:32 ID:KHIpFbaN

「そ、それでコサギに飲ませたの?しかもそんな量を?大丈夫だったかい?」
「何が?」
「いや、彼女飲むと泣くわ絡むわで色々と始末におえないんだ、一番酒癖の悪いタイプで。暴れたりしなかった?」
「全然。可愛いもんだったわよ、ほんっっとあなた達って見る目がないんだから」
 違うか、『捨てて来た』って言ってたってことは一応誰かしらと何かしらはあったのよね、とこっそり反芻しな
がら、おろおろするトビに溜飲が下がる思いだった。でも、この子が悪いわけでもないのか。

「それで私は朝まで飲んでたから少し疲れているのよ。だから今日は駄目」
「えええええ。何、夕べ此処にコサギ泊まったの?しかも朝まで飲んだ?そんなぁ」
 僕ですら!と、今度はわなわなと珍しく嫉妬に震える姿に思わず吹き出した。本当に、一気に風通しが良く
なった気分だ。
「彼女、何か言ってた?」少し恐る恐る彼が問う。「云ってたわよ」「な、何て?」


 朝、目覚めた彼女をシャワーへと追いたて、その隙に手配したルームサービスを一緒に平らげるところま
で無理矢理彼女を引留め、落ち着いた頃にはすっかり日も高くなっており、彼女はといえば毒気が抜けて昨
晩の訪問時とはすっかり見違えるようだった。

「世話になったな、リョウコ」
 ぎゅ、と私の手を握り締め、やはり真っ直ぐに向けてくるひどく幸せそうな面持ちは、今度は私に眩しく映っ
た。「・・・その、また話しに来てもいいか」少しはにかんだ目線を私は出来る限り柔らかく受け止める。「勿論よ、
コサギ」「ああ、二人でいる時に邪魔するつもりはないから」「ふふ。それはお願いね」

 そうして、どちらからともなく求めた少し長めの抱擁の後、彼女は来たときと同じく窓の外に消えた。


「でね、『よし、いいかリョウコ、もし奴がお前を泣かすようなことがあったら、私がぶっとばしてやるからいつ
でも呼んでくれ』、って。本当に頼もしいわ」
「あああああ。なんだか豪い事になった気がするんだけど」
「女を怒らすと怖いんだから」
「コサギは元々怖いんだって」
「だからあなた達は駄目だっていうのよ」

「でもさ」くすくす笑う私に、ふと彼の声が重みを増した。「ありがとう」
「・・・どういたしまして」小さく音を立てて、軽く啄ばむようなキスをし、私は彼の胸を押しやった。
「さ、そういうわけだから今夜は早く寝ちゃいたいの」
「え、本当にしないの?」「しない」「涼子さんがコサギに優しくしてくれて、すごく嬉しいんだけど」
「もう、それとこれとは関係ないでしょ」
「あるよ、やっぱり涼子さんでよかった、って思ったんだ」

 そういえば彼も、真っ直ぐに人の目を見てものを言う性質だったな、と私は改めて思った。

683(内田ちゃんレポート・コサギのCASE 8/8):2007/10/13(土) 06:29:01 ID:KHIpFbaN

 こんな言葉ですぐ丸め込まれてしまう私もまだまだ修行が足りないな。そう思いつつも、
巧く切り返せなかった私は、そっぽを向いたまま、代わりにそっとシーツを持ち上げた。「・・・どうぞ」
 嬉しそうに滑り込んでくる彼を抱きとめながら、私は瞼に浮かぶ彼女に礼を言う。

 こちらこそありがとう、コサギ。
 ありがとう、あなた。









おわり。もう少しツンデレを勉強せねば・・・
684名無しさん@ピンキー
                                -―─- 、
                           , '´ /ヽ/レ'^\`¨  ̄`ヽ
                          //^∨       \ ⌒\ \
                           //               \  \ \
                    / ̄7/:/      l        \  \ ヽ
                       /   / ./:   ,':.../!:.  |:::l:{ :..      \  Vハ
                  / / .:::/:'::.  !:::/ |::.. |:::l:::ヽ::.. \    ヽ  Vj __
                   |.:/,イ...::::::l::l::::. |:::| l::::.. |::.l:::::::.\ :::..\::...  ∨::Y  `\
                   l// :!.::/:::|::l::::. |:::l  !::::: |::.{ヽ::{\ ヽ、::: \::... .l::::|⌒ヽ  l
                  //:::::|:::l:::::|::l ::::.、|l:_|  \_;{ ヽ \ \ \:_丶‐::.|.::|:::::::::l j
                     /イ ::::::|:::l:::::|::l :::::::|ヽ「二ニヘ:ヽ   `ニ二下\:ヽ:::|.::! :::::::| {  其れなら私を
                 { !| :::::::l:/!::::|:ハ::::::::V仟アてヽ\     仟アてヽ乂:::|/ ::::::: | l   し、尻穴奴隷にしてくださいっ!
                     ? :::::::{:∧::∨{\_::ヽ∨少'_      ∨少'_//リ::::   | |
                 `ト、::::::ヽ:∧:?:::: ハ ///    ///イ:::::::|! ::::   | l
                  l ::::::::::/::∧\:::::小、     '       小 ::: |l :::::.  ∨
                   i ::::::::/::/  ヽ:ヽ:::|:::l\    (⌒)   //l| l:::: |.| :::::  {
                    l :::::/::/   /|::::: :|:::|ハ{> 、  _ , イヘV /' |::::.| ! :::..
                 l ::::::::/:!   {ハ::::::::|::{ ヾ:{ F==v===7}:}/  !::: l人:::::.  ヽ
                   :::::::/:::l   ヽヘ::: ト \ rK ((db))  h<_  /:::./  |\:::..  \
                / :::::::/ l:::! , -‐- ヽ:::l/ ̄ ` ‐-|l|-‐ ´  `/:::./. ___j_:::.\:::..  \
                  / :::::::/ j://     \{        |l|     /:::./ /   `\\::.   \
              / :::::::/  /         l |\  _  |l| _ /; イ /      \\::.   \
                / ::::::/  /           :l |   {__rx/{\ `}} ̄:/ /           \\::.   \
.               / ::::::/   {          ∧ヽ / _,>!:::}::::}\  / ∧            } \::.   \
             / ::::::/   }ヽ        l /∨    /}ーく   \,∧ヽヽ          ,/    \::.   \
               / ::::::/    {\         l l l{   二 }::::::{      l l│      /      \::.   \
           / ::::::/    人 \___/l l j }   ヽ/:::::::}       l l│     /          \::.   \
            / ::::::/    <  ヽ____ ハ_{ { !    l::::::::::l      l l人__//              \::.   \
         / ::::::/      /    ー─/ ̄}厂{j    /| ::::::::|    孑/ ヽー‐ イ             \::.   ヽ
           / ::::::/      /      ∠二ニヘ  \ /{│::::::::| ニ二 /´l| \__,/│                 \::   \