【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう7【アリソンリリトレ】
男たちは雪の上に、毛布を敷き、その上に乱暴にキノを押し倒した。
「商品には手を出さないのがプロなんじゃないんですか。」
キノは無表情に言った。
「ああ、そうでさあ、キノさん。でも『もう一回商品に手を出してしまってる』んで、一回も二回も
同じでさあ。村に無事にたどり着けば、商売は再開できやすし。じゃあ、失敬ですが、猿ぐつわさせて
いただきますよ。舌をかまれちゃあ、楽しくありませんからね。」
そう言って、四十代の男はキノに猿ぐつわをした。キノには男の言葉の意味がその時には理解できな
かった。
「さあ、俺の娘ッ子と同じくらいじゃあ、いまいちだがこの際贅沢は言えねえ。」
そう言ってそわそわと、四十代の男はズボンを下ろし始めた。
「よく言うぜ。一番最初するくせして。」
明らかに二十代の男は一番最後に順番を回され不満げだった。
「まあ、そう言うな。年の功というからな。」と三十代の男は言った。
「悪いな。それじゃあ・・・。」
四十代の男はキノの肌に舌を這わせながらキノに語りかけた。
「キノさん・・・。あんたは命の恩人だ。大丈夫、力を抜いてください。傷つけたり、乱暴はしません。」
そう言って、男はベロベロと舌をキノの秘部の割れ目に入れて、舐めまわした。そしてザラザラした手を
キノの肌のいたるところに這わせた。キノはぐっと目をつぶってそれに耐えた。
「じゃあ、いきますよ。大丈夫、痛いのは最初だけでだんだんよくなりますから。と男は怒張したペニスを
手に持ち、キノの秘部にあてがって、一気に押し込んだ。
「!!!」キノは猿ぐつわされた口から苦痛のうめき声をかすかにあげ、背中をのけぞらした。
「大丈夫です。大丈夫です。最初だけです。最初だけです。」
男はゆっくりと腰をふりながら、ハアハアと息を荒げた。股間から流れる破瓜の血が毛布を伝って雪を
紅く染めた。もぞもぞと動いているうちに最初の男はキノの中に果てた。
「うっ、はあーー。キノさん・・・。これでキノさんも立派な女性だ。キノさんにご恩返しができて
嬉しいですよ。」
男はそういって鮮血に染まったペニスを抜き取って、雪でその血をぬぐった。キノはぐったりとして
その場に放心しながら横たわった。
「早かったんじゃないのか?」と三十代の男はからかった。
「馬鹿言え。処女はしまりがきついし、溜まっていたからな。ああ、だが処女はやっかいだ。」
そう言って血のついたペニスを拭いながら四十代の男は言った。
「俺はそんな乱暴はしませんよ。キノさん。」
そう言いながら、三十代の男もズボンのベルトをガチャガチャ音を立てながら、ズボンをさげた。
そしてそそり立ったペニスを剥き出しにした。言葉通り三十代の男はゆっくりとやさしくキノを
扱った。乳首に舌を這わせて、吸い付くように、舐めまわし、舌の先で乳首をいじくりまわした。
キノは乳首の先端に刺激を感じて、乳首が硬くなるのを感じた。男はさらに雪で血をぬぐいさり、
やさしく、キノの股間の割れ目に指を這わせた。体が火照ってきて、そこを雪の冷たさの刺激が
陰部の痛みをやわらげた。キノはようやく気持ちを落ち着け、状況を冷静に判断することができる
ようになった。そして後ろ手に縛られている腕に、兎の骨が当るのに気づいた。キノは男に気付かれ
ないように、それを手に握った。ナイフで解体した兎肉の骨が、鋭くとがって毛布に引っかかっていた。
しかし四十代、三十代の男はベテランらしく隙がなかった。だから縛られてるロープをゆっくりと時間を
かけて、切り始めたが、機会は二十代の男の時だとキノは思った。
「キノさん、あんたには食べ物の世話からこっちの世話まで、返しきれない恩を受けたな。高くいい所
に売ってあげるから、心配しなくていい。なに、こっちのほうも傷物なんて言わせねえ。十分に仕込んで
ますって言えば、買い手の主人からも可愛がられるよ。」
そう言って、男はキノにペニスを挿入した。最初の時よりは出血も痛みも無かった。腰を振りながら、
男は恍惚の表情を浮かべた。
「こいつはいい・・・。こいつは高く売れるぞ・・・。おおう、うお、はあはあ」
男はキノの腰をつかんで、より深くキノの中に自分のものを押し込みながら、叫び声を上げて、たっぷり
溜まっていた欲望をキノの中に吐き出した。キノはその熱いものが自分の奥深くまで達するのを感じて、
口惜しさに唇をかみ締めた。
「やっと俺の番かよ。残り物ばっかりだな。」
「そう言うな。余り物にはなんとやらと言うだろう。」
一番若い男は不平を言いながらも、一番ジリジリしながら順番を待っていたので、不平は止め、すぐに
キノを犯しにかかった。キノから奪ったパースエイダーを腰に下げたまま・・・。
「この姿勢じゃ疲れるな。後ろ向いてくれよ。後ろからやるから。」と二十代の男は言った。
キノは冷や汗を流した。背中に隠している兎の骨が見つかったら終わりだ。もうチャンスは無い。
キノは首を振りながら、腰を上げ足を大きく開いて笑った。
「正面からの方が良いって? もう気持ちよくなったのかよ。わかった。前からやってやるよ。」
キノは笑って頷いて、若い男の前に自分の陰部をつきだした。
一番若い男は堪えきれずに無我夢中でキノを犯した。前の二人もキノを輪姦して、すっかり落ち着いた
らしく、談笑している。キノが女の子であると知り、すっかり征服した気になっていたので、
安心しきっていた。キノは腰を浮かしながら、ロープの縛めを切断した。若い男はキノが積極的に
腰を振っていると思って、油断していた。キノは手が痺れて動かないかどうか確認した。幸い手は
痺れていない。手は動く。チャンスはもう無い。キノは冷静に正確に行動するよう神経を集中した。
一瞬の内に、キノは若い男の首の頚動脈を鋭利な兎の骨で切断した。若い男はしばし呆然とした
表情を浮かべ、それから口から血を噴出して倒れこんだ。鮮血がキノの顔に降りかかる。男は絶命
すると同時に、キノの中に射精した。だがキノはそれに動じる事無く、正確に次の行動に移った。
そばに投げ捨てられていたパースエイダーを手に取った。
談笑していた二人の男は一瞬何が起きたか分からず、ボーとしていたが、慌てて三十代の男の方が
長いパースエイダーをキノに向けて発砲した。キノは覆い被さる男の体を盾にした。三十代の男が
持つそのパースエイダーには貫通力が無い事を知っていた。キノは慌てず正確に反撃した。
三十代の男は鎖骨を撃たれて、後ろに吹っ飛んだ。四十代の男は後ろを向いて逃げたところを
キノに狙撃されて倒れた。
キノはよろよろと立ち上がり、二十代の男の股間にパースエイダーをぶち込んだ。そして倒れている
男たちの傍に近づいて、男のパースエイダーを遠くに放り投げた。
三十代の男はよろよろと這いながら逃げようとした。キノは男の股間にパースエイダーをぶち込んだ。
「痛え・・・。痛え・・・。」
股間を押さえながら、三十代の男は雪の上を這いまわった。後には血が線になって這っていた。
キノは正確に男の後頭部にパースエイダーの狙いを定めて引き金を引いた。
キノはパースエイダーに弾を込めなおしながら、ゆっくりと最後の男の傍に近づいた。
「たったすけて・・・家には・・か・・」
男が最後まで言い終わる前に、キノは股間にやはり同じように撃ちこんだ。
雪の上をもがき回る男の顔にキノはパースエイダーを向けた。
轟音、白煙と同時にキノの右手が跳ね上がり、男の歯がいくつかポップコーンみたいにはじけた。
「・・・・・」
キノは黙ってへたり込み、震えだした。
「珍しく下手を打ったね。」
エルメスが、後ろからキノに言った。
「大丈夫?」
「なんとか・・・。」
キノは短く言って、すぐに
「怖かったよ。終わってしまうかと思った。」
そう付け足した。
それからしばらく、キノは『カノン』を右手に持ったまま立っていた。
澄んだ青空と輝く銀世界の間で、キノの奥歯がかちかちかちかち鳴っていた。
キノは平静を取り戻し、汚れた体を拭って、服を着なおした。そして男たちの
『もう一回商品に手を出してしまってる』という言葉の意味を理解した。
(以下 原作と同じ描写にて略)
「兎さんは無駄に命を無くしたね。」
エルメスは皮肉っぽくキノに言った。
「・・・そんなことは無いよ。ボクの命を救った。」
「何で助ける気になったの?」
「さあ・・・何でだったっけ?」
キノはぼんやりと言った。そしてポケットに入っていた指輪に気付いた。
「あ・・・。しまった。持ってきちゃった。」
「貰っとけば? 次の国で病院に行く足しにしちゃいなよ。」
「・・・そうだね。色々と検査してもらわなくちゃね・・・。」
「ねえ・・・エルメス・・・。ボク達は人間なんだね・・・。」
そう言いながらキノは雪原の中、モトラドを走らせた。
終わりです。これで終わりで。熱病から解放されたはず・・・。
469 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 18:35:09 ID:fPmkMX+Y
自分的にはかなりいいと思う。
言う言葉があるとすればGJ
ちょwおまっwww「人を喰った話」を読んでて、
もう少しキノが油断してたらきっとあんな事やこんな事に・・・と思ってはいたが、
まさか書いてくれる職人殿が居るとは・・・!GJ!GJ!
管理人さん乙です
管理人殿乙であります
>>471 隊長!
□鼓動と体温(仮)と□アリソン脚本によるヴィルのバーチャル夜這い大作戦(仮)が
ごっちゃになっている気がするのですが・・・
475 :
SBI:2006/06/24(土) 14:56:58 ID:kR1D7Bs9
管理人さん乙です!!GJです!!
俺も懲りずに、投下してみたいと思います。
476 :
SBI:2006/06/24(土) 14:57:51 ID:kR1D7Bs9
熱いシャワーで今日一日の汗を洗い流す。色んな事があったこの一日、驚いて、ドキドキさせられて、叫んで、跳ねて、本当に目が回るようだった。
濡れた体をタオルで拭いて、髪をまとめて服を着て、私は部屋のドアに手を掛ける。ヴィルが、私の恋人が待っている部屋に戻るのだ。
そうだ。そうなのだ。
「ヴィルと同棲かぁ……」
あの時、みんながいなくなった後で、ちょっと強引にキスをして、思いの丈をぶちまけた。
『ねえ、私のこと好き?ずっと一緒にいてくれる?』
精一杯の勇気を込めた私の言葉に、ヴィルはしばらく呆然としていた。
たった数秒の沈黙が随分恐ろしく感じられた。やっぱり駄目だったのかな、なんて事も考えた。不安に耐えられなくて思わず目を閉じた。その時……。
『………うん』
これ以上ないくらいはっきり聞こえたのに、一瞬自分の耳の方を疑ってしまった。
でも、恐る恐る開いた瞳の前にあったのは、見た事が無いくらい嬉しそうなヴィルの笑顔。
それからは本当にもう大騒ぎだった。
夢じゃない事を確かめようとヴィルのほっぺをギュウギュウ引っ張って、痛いよって言いながら笑ってるヴィルに抱きついて………
まさに、人生最良の一日だ。
「でも、これだけじゃ終わらないわよ」
なにしろ、パパの事件のせいで列車の旅は台無しになってしまったのだ。明朝の飛行機で、私たちはロクシェに戻らなければならない。
その前にやるべき事がある。同棲はまだまだ先の話だ。このチャンスを逃せば、次はいつになるかわかった物ではない。
ヴィルと、ヴィルと一緒に、一つのベッドで………。
私は勢いよくドアを開いた。だが、しかし……。
「…………あれ?」
意気込んで戻ってきた部屋のベッドの上で、ヴィルはすやすやと寝息を立てていた。豪華列車で過ごしたあの夜と同じだ。
「まあ、ヴィルはヴィルだもんね………」
恋人になったからって、すぐに態度を変えるわけも無い。まあ、仕方が無いのだろう。
それに今日は、私とパパのために随分頑張ってくれたのだし、疲れてしまうのも無理はない。
「でも、少しは私の気持ちも考えなさいよ……」
なんて事を言いながら、それでも私は笑顔だった。
毛布に包まったヴィルは、私の方に背中を向けてすっかり熟睡中。そんな朴念仁の後ろ頭を撫でながら、私はけっこう良い気分だった。
こうして側にいられる。それだけの事がこんなにも嬉しい。
私はヴィルのベッドに横になって、毛布に潜り込んだ。ぴったりとくっつけた体から伝わってくるのは、あの夏の冒険の最中に一緒のベッドで寝た時と同じぬくもり。
「蹴っちゃうかもしれないけど、それぐらい我慢してよね」
一人で言って、クスクス笑った。私は今、本当に幸せなんだ。
「おやすみ、ヴィル。大好きよ」
耳元で囁いて、私は瞼を閉じた。
477 :
SBI:2006/06/24(土) 15:00:21 ID:kR1D7Bs9
本当に幸せそうで穏やかなアリソンの声を耳元に聞きながら、一方の僕は全然穏やかな心持ちではなかった。
心臓がバクバク言ってる。恥ずかしいのか嬉しいのか訳が解らなくなりそうで、胸の内を吹き荒れる嵐に僕は完全に翻弄される。
全部、今日の出来事のせいだ。
(アリソンが、本当に僕の事を…………?)
時間が経つにつれて、段々と解ってきたアリソンとのキスの意味。その重大さ。
触れた唇は甘かった。キラキラ輝く髪と、吸い込まれそうな青い瞳。魔法のようなあの言葉を紡ぎだした唇の動きのひとつひとつ。
あの時のアリソンの笑顔を思い浮かべるだけで、胸がきゅーっと締め上げられる。
アリソンの気持ち。自分の気持ち。それだけで僕の心は完全に混乱してしまっていた。
その上、今のこの事態。
(うわあああぁああぁああっ!!?アリソンがっ!!アリソンがぁ!!!?)
今日の出来事ばかり考えていた僕は、僕のベッドに座ってくるまで、アリソンに気付いていなかった。
驚いた僕は何も言えなくなって、身動き一つ取れなくて、気がつけばこんな有様。
沢山言いたい事があった。だから、眠らないで待っていたのに………。
耳元に息がかかる。柔らかい指が僕の肩口をきゅっと握っている。さらさらした髪の毛が頬に触れる。背中全体にアリソンの体温を感じている。
どうしようどうしよう?本当にどうしたらいいんだろう?
自分の中に初めて見つけた、こんなにも激しく、壊れてしまいそうなほど切ない気持ち。出会ってから今日まで僕が見てきたアリソンの全て、それが頭の中に次々に映し出される。
声を聞きたい。キラキラ輝く髪を、柔らかな頬を撫でてあげたい。どこまでも青いあの瞳を見つめて、アリソンの唇にもう一度………。
(……って、僕は何を考えてるんだ!?)
どう考えても異常だ。今日の僕は絶対変だ。
考えがまとまらない。アリソンが触れているのは背中の側だけの筈なのに、全身が熱を帯びて、じっとりと汗をかいてしまう。
………うああっ!!ダメだダメだダメだっ!!こんなの絶対におかしいっ!!!
僕の気持ちは、ずっと変わらなかったのに。
今までもこれからも、きっと変わらないのに。
それなのに、今の僕はこんなにも戸惑って、混乱して、まるで迷子の子供のようで。自分の気持ちが、抑えられなくなっていく。
『ねえ、私のこと好き?』
僕を見つめて問い掛けた言葉。
『おやすみ、ヴィル。大好きよ』
ついさっき、優しく囁いてくれた言葉。
嬉しかった。とても、もの凄く、これ以上ないくらい嬉しかったんだ。
アリソンが僕と同じ気持ちでいてくれた事が、本当に嬉しかったんだ。
「…………好きなんだ」
抑えきれずに言葉になってしまうほどに………………って、あれ?
(僕は今、ひょっとして…………!?)
恐る恐るベッドの上に起き上がり、ゆっくりと振り返る。
「えっと、…………ヴィル?」
そこにあったのは予想通り、僕と同じようにベッドの上に起き上がって、僕を見つめる幼馴染みの女の子の姿だった。
「………ヴィル、起きてたの?」
「う、うん」
「………聞いてたの?」
「うん」
僕が肯く度に、アリソンの顔が赤く染まっていく。恥ずかしそうに俯いて、声が小さくなっていく。
言葉に詰まったアリソンの代わりに今度は僕が口を開いて
「でも、僕がさっき言った事も、聞いちゃったんだよね?」
「………うん」
アリソンと同じように耳まで真っ赤になった。
見知らぬ異国のホテルの一室、同じベッドの上に座った僕達は、いつもの幼馴染みの気安さはどこへやら、完全に固まってしまっていた。
お互い、言うべき事などとっくに解っているのに、高鳴る鼓動に心を掻き乱されてなかなか言葉が出てこない。
「えっと………………うん、そういう事なんだ」
「え、あ、何?」
「さっき僕が言った事。僕はアリソンのことを………す、す、好きだから……」
「う、う、う、うん。私も」
「それで、だから……だから、その……」
いつの間にやら、互いに身を乗り出していた。
だけども、顔を真っ向から見るのが恥ずかしくて、二人とも上目遣いに相手の顔を窺う。
どぎまぎと落ち着かない様子のアリソンはとても可愛くて、だから、僕は………。
「あ、アリソン………大好きだっ!!!!!」
478 :
SBI:2006/06/24(土) 15:01:34 ID:kR1D7Bs9
…………私、抱きしめられてる?
「好きなんだっ!大好きなんだっ!!!」
ガバッと大胆に、本当にもういつもなら有り得ないぐらいに大胆に、ヴィルは私を抱きしめた。
「嬉しかったんだ。ずっと好きだったアリソンが、あんな風に言ってくれるなんて思っても見なかったから………」
私の体を包み込んだヴィルの腕は、かすかに震えていた。
うわずったその声には、いつものヴィルの落ち着いた様子は感じられなかった。
胸の奥から搾り出すように、ヴィルは言葉を重ねていく。
「昼間はちゃんと言えなかったから、もっとちゃんと伝えたかった。だけどこんなにドキドキしたの初めてで、上手く切り出せなくて…………」
たどたどしいヴィルの言葉を聞きながら、私はただただ呆然としていた。
ああ、こういう事なんだな。
私はヴィルの事が好きで、ヴィルは私のことが好きで、二人の想いが一方通行じゃなく、お互いに向けられて……。
張り裂けそうなこの想い、胸の奥で燃え上がる熱い感情、それが一人だけのものじゃないという事。
二人が愛し合ってるという事。
「だから言うよ、何度でも………。アリソン、大好きだ」
震える声の奥、確かに感じる優しさ。
ああ、やっぱりヴィルはヴィルなんだから………。
「私も、好き………」
「………アリソン」
ヴィルの唇が、私の唇に触れる。瞳を閉じて味わう、甘いひととき。
昼間とは違う。ヴィルが望んで、私にくれた初めてのキス。
抱きしめる腕が緩んで、私がヴィルの顔を見上げて、ヴィルが私の瞳を見つめる。
見た事が無いくらい赤くなって緊張しきっているヴィルの顔。きっと私も同じ顔だ。
今、心に願う事もきっと同じ。
「…………ねえ、ヴィル」
「何?」
きゅっと拳を握り締め、覚悟を決めて、私は私の願いを口にする。
「……………いっしょになりたい。ヴィルと、いっしょに……」
私の言葉に、ヴィルはこっくりと肯いて
「…………うん。」
恥ずかしそうに笑って見せた。
鼓動が速まっていく。ドキドキ、ドキドキと私の胸の中で早鐘が鳴る。ずっと夢見て来た瞬間がついに訪れた、その事を告げる鐘が、私の中で鳴り響く。
私は震える体をヴィルの胸に預けた。ヴィルの腕が私の体を抱きしめて、そして…………。
「………………あれ?」
そのまま、何も起こらなかった。ヴィルは腕の中の私を、ただ抱きしめているだけ。
これは、ひょっとして………っ!?
「ヴィル、さっき私が言った事の意味わかってる?」
「うん。僕もがんばるから、首都で一緒に暮らそう。二人で、一緒に」
にっこり笑うヴィルの顔の屈託の無さは、本当にもう憎たらしいぐらいだった。
男の子らしく私にドキドキしてくれたと思ったら、どうやらヴィルの想像力は抱き締めあって、キスするまでで止まってしまっているらしい。
「あのねえ……」
「今から楽しみだよ。また一緒アリソンとにいられるなんて」
いや、そう言ってもらえるのは嬉しいのだけれど、今私が言いたいのはそれじゃなくて
479 :
SBI:2006/06/24(土) 15:03:09 ID:kR1D7Bs9
「あ、愛し合ってる男女が一緒にする事と言ったら、他にもっとあるでしょう!!?」
「えっ?それってどういう……」
「だ、だからぁ………」
真っ赤を通り越して、顔から火が出そうだ。
「……だから、ヴィルと私がいっしょに……」
「いっしょに?」
「……いっしょに……いっしょに……」
いくらなんでも、これ以上言うのは無理だ。堪りかねた私は大声で叫ぶ。
「お、女の子にこれ以上言わせないでよっ!!!!!」
その言葉で、ようやくヴィルは理解してくれた。事の重大さに口をぽかんと開けてしばらく凍りついた後、たどたどしく私に問い掛ける。
「それって、もしかして………」
「お察しのとーりよ」
「でも、まだ、僕たち………」
「まだも何も、家にいたころから、もう長い付き合いじゃない」
「大事な事だよ。すごく、大事な事だ」
「わかってるわ」
「お互い初めてなんだよ」
「そりゃあ、誰だって同じよ」
そこまで言ってしまうと、陸に揚げられた魚みたいに口をぱくつかせていたヴィルが、きゅっと目を閉じて
「本当に、僕でいいの?」
言った。私の答えは、ひとつっきり。
「もちろん」
ずっと前から、決まっている。
「好きだって。そう言ったでしょ、ヴィル?」
結局、なんだかんだでいつものペース。同じ気持ちでいるつもりでも、やっぱりどこかがズレている。だけども、それがとても愛しい。
それでも私は、私たちは、ここまでいっしょにやって来た。
寝間着を脱いで、私は下着姿。目の前には、同じく下着姿のヴィル。長い付き合いでも、あんまり見せた事の無いお互いの姿に、二人して照れてる。
「どう……、かな?」
「う、うん。きれいだよ、アリソン」
あんまり素直に、ヴィルがそんな事を言うものだから、さらに私が照れてしまう。
「………下着は、ヴィルに取ってもらいたい」
ぼそぼそと言う私に答えて、ヴィルが私のブラに手を伸ばす。今回のために用意しておいたコレ、本当にヴィルが外してくれるなんて、少し前なら想像も出来なかった。
「………うわ」
露になった私のおっぱいに、ヴィルが感嘆の息を漏らした。恐る恐るの手の平が、それを包み込む。その瞬間、痺れるような感覚が駆け抜ける。
「ひあっ!?」
触れられたところが、こそばゆくて、痺れて、じんじんと伝わってくるヴィルの体温を燃えるように熱く感じてしまう。
「すご……あったかくて、やわらかくて……」
段々とヴィルは私の胸を揉みしだく事に夢中になっていく。恐る恐るの空気が薄らいで、次第に大胆にヴィルは私の胸を責め始める。
「…あっ……ひゃああっ…や……ヴィ…ルぅ……」
あくまで優しい手つきで、しかし確実に、私が反応するところへ愛撫を重ねる。強くも弱くもない微妙な力加減の指先が私の乳首を転がして、おっぱい全体をこねまわす。
初めて触れ合う互いの体に夢中になった私たちは、まともに言葉を発することも出来ず、耳に入ってくるのはお互いの荒い息遣いだけ。
「……ひっ…あああっ!…ヴィルっ…そこぉ………っ!!!」
いつのまにやらヴィルの指先は、汗と、それ以外の液体でじんわりと湿り始めたショーツの内側に這い入っていた。
私の恥ずかしいところの入り口をヴィルの指先が撫でる。その度に聞こえる、くちゅり、という音。
「………これが、アリソンの……」
私のアソコに触れた指先を目の前に、ヴィルがため息をつく。指先を濡らした露が、部屋の照明にきらきらと輝く。
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうな私に追い討ちをかけるように、ヴィルは私のショーツに手をかけて、下のほうへとずらす。
私の敏感な部分に、部屋の冷たい空気が触れて、ぞくりと電気が背骨を駆け上がる。露になった私のアソコは、ぐっしょりと濡れて、輝いていた。
「……や…はずかし……」
たまらず手の平で顔を覆った私。だけど、ヴィルはそんな私にお構いなしで、濡れそぼったその部分に指を這わせる。
「きれい、だよ……」
「うそぉ…」
「ううん、きれいだ。はだかになったアリソン、すごくきれいだと思う」
私の耳元で囁きながら、ヴィルは柔肉の間に浅く指を差し込んで、何度もかき混ぜてみせる。
480 :
SBI:2006/06/24(土) 15:04:21 ID:kR1D7Bs9
「あっ…くぅ……は…ひあああああっ!!!!」
我慢できずに声を漏らしてしまう私の唇を、ヴィルの唇が塞いだ。ヴィルは私のアソコを指で撫でて、かき混ぜて、同時に私の唇も味わった。
敏感な突起を指で突かれて悲鳴を上げて、首筋をなぞる舌先に体を震わせて、私は何度もいやらしく声を上げた。
初めて味わう快感の中で、私はどんどんエッチになっていく。
どんどんエッチになって、もっとヴィルの事が欲しくなっていく。
「……ヴィルぅ…ヴィルのが…欲しいよぉ……」
自分で信じられないくらい甘えた声で、私はヴィルに訴えかけた。
もっと体の奥でヴィルを感じたいと、訴えかけた。
「うん……僕も…アリソンが欲しい……」
ヴィルは答えて、大きくなった自分のモノを私のアソコに、その入り口にピトッとくっつけた。
苦しそうなぐらいに張り詰めて、ドクドクと脈打つヴィルのモノ。私のことを考えて、私の体温を感じて、あんなに大きくなったんだ。
「………いくよ」
「……うん」
短い受け答えの後、ヴィルはゆっくりと私の中へと入ってきた。
肉を裂く痛みと共に、奥へ奥へと、ヴィルが進んでいく。ヴィルが私を埋め尽くしていく。
「…ふあああっ!!……ヴィルっ…今、私たちいっしょになってるんだよね?」
ヴィルの背中に必死で抱きつくと、ヴィルが私をぎゅううっと抱き締めてくれた。ヴィルに満たされて、包まれて、私は今、ヴィルと一つになっている。
「動いて……いいよ」
ヴィルの耳元で囁く。
「うん」
ヴィルは肯いて、それでも私を気遣って、痛みを紛れるように愛撫を続けながら、ゆっくりと、本当にゆっくりと腰を動かし始めた。
互いを味わうような長いキスを何度か交わして、互いの名前を呼び合って、次第に私の中で、痛み以外の何かが疼き始める。
「…きゃ……ああんっ!!…ふあぁ!!…ヴィルっ!!ヴィルぅうううっ!!!!」
ヴィルの熱いモノが私の中を、前後に動いて、かき混ぜて、その度に私の体の奥に電気が走る。熱が弾ける。
ヴィルは次第に動かすペースを速めて、熱い痺れが何度も駆け抜けて、私の頭の中は何度も真っ白にさせられた。
「…すご…きもちいいっ!!きもひいいよぉっ!!…あああああああああっ!!!!」
体の中が、外が、ヴィルに触れたところ全てが熱い。蕩けて、痺れて、喘いで、私はどんどんヴィルに溺れていく。
もう何度目かもわからないキスを交わし、ヴィルが私の耳元で囁く。
「愛してるよ、アリソン……」
そうして微笑んだ笑顔は、私の良く知っている、私が一番大好きな、あの笑顔だった。
「私…も……ヴィルの…ことぉ…」
抱き締めあう腕に精一杯の力を込めた。ヴィルがさらにペースアップして、私はさらなる快感に飲み込まれていく。
「くぅ……アリソンっ!!僕…もうっ…」
「私もっ……ヴィルぅうううっ!!!!」
張り詰めた熱が限界の近いことを告げていた。だけど、高まっていく気持ちが、燃え上がっていく体が、私たちを加速させていく。そして………。
「うああああっ!!!アリソンっ!!イクよっ!!!!!」
「ひああああああっ!!!!ヴィルぅ!!きてっ!!!きてぇえええええっ!!!!!」
荒れ狂う熱の最中で、私とヴィルは絶頂へと押し上げられていった。
481 :
SBI:2006/06/24(土) 15:05:40 ID:kR1D7Bs9
すやすやと眠るアリソンの頭を撫でながら、僕は何をするでも無く薄暗い天井を見つめていた。
「夢じゃ、ないよね………?」
体が、心が、なんだかふわふわして、まるで現実のように感じられない。僕もアリソンも、あまりに無我夢中にこの夜を過ごしたから………。
穏やかなアリソンの寝顔が、なんだか僕に問い掛けている様に思えた。あの日出会った妖精が、あの日から変わらないキラキラの笑顔で、僕に言った言葉。
ねえ、私のこと好き?
「大好きだよ」
ずっと一緒にいてくれる?
「うん、一緒にいよう。ずっと二人で、一緒に………」
言ってから、僕はアリソンの肩をきゅっと抱き寄せる。
僕を戸惑わせ続けた胸の中の嵐はいつのまにか静まって、今の僕の心の中にあるのは、ただただ穏やかで、じんわりと温かいひとつの感情。
アリソンを、愛している。
もう、このままずっと、アリソンを抱きしめていたい。そんな事を思った。
そのまま何秒が過ぎただろうか?突然、アリソンの体が、ぷるぷると震え始めた。
「えっ?な、何!?」
驚いて起き上がった僕の前で、アリソンはガバッと顔を上げた。
「ごめん、起きてたっ!!!」
「えぇっ!!!?」
「いや、うとうとしてたのは本当なんだけど、でも、ヴィルが耳元であんな事言ってくるもんだから………」
たちまち僕は赤面、胸の中に嵐が舞い戻って、心臓がバクバクと音を立て始める。
「……でも、まあ、嬉しかったんだけど………ね?
はにかみながら言ったアリソンは、結構満更でもなかったみたいで………。
「………ねえ、もう一度言って」
僕の顔を覗き込んで、アリソンがとんでもない事を言った。
聞かれてた事が解っただけでもこんなに恥ずかしいのに、今更面と向かって言うなんて、想像するだけで頭がクラクラする。
「もう一度聞きたいのっ!!!ヴィル、お願いっ!!!!」
「いや、その、でも、その………」
もはや、『ただただ穏やか』だの、『じんわりと温かい』だの、そんな騒ぎではなくなっていた。パニックは再燃、僕にはもうどうしようも出来ない。
キラキラと瞳を輝かせて、アリソンが僕を見つめている。
「…………す……き………だよ…」
やっと喉から搾り出せたのは、聞こえるか聞こえないかの小さな一言。
「ヴィルぅうううううっ!!!!」
それを聞いた瞬間、弾かれたようにアリソンが飛び出して、僕を抱き締めた。柔らかな胸で、僕の頭をぎゅうううっと抱き締めた。
「私も好きっ!!大好きよ、ヴィルっ!!!!」
柔らかなアリソンのおっぱいがぎゅうぎゅうと僕の顔に押し付けられる。しゅうしゅうと湯気を立てて、僕の頭はオーバーヒートした。
完全にアリソンのペース。無抵抗。なすがまま。結局、僕はどこまでも僕のままだった。
(もうちょっと、ちゃんとアリソンの気持ちに向き合って上げられると思ったのにな……)
そんな事を考えながら、アリソンの胸の中の僕はそれはそれで、とても幸せなのだった。
482 :
SBI:2006/06/24(土) 15:08:45 ID:kR1D7Bs9
ついでに、
>>477の一番最後、「あ、アリソン………大好きだっ!!!!!」のところから分岐するエロなしバージョンもどうぞ
「えっと、…………ヴィル?」
起き上がって私の顔を見た瞬間、顔を真っ赤にしてヴィルは気を失ってしまった。
一人取り残された私は他にする事もないので、ぐったりと横たわるヴィルの顔をぼんやりと見ている。
真っ赤な顔のヴィルは苦しそうにうなりながら、時折うわ言を口走る。それらの言葉はもごもごとして聞き取りにくく、私には何を言っているのか解らない。
「それにしても、何も気を失わなくたって……」
お化けを見たのでもあるまいに、まったく失礼だったらありゃしない。ロマンチックな気分も台無しだ。一体何に驚いたのやら……。
しかし、今ここで、これ以上その事を気にしても何もならないだろう。細かい事は、明日の朝にでも聞けばいい。
「まあ、ヴィルはヴィルだしね」
今日二度目のその台詞を口にしてから、私は再びヴィルの隣で横になった。その時………
「あ……ありそ…ん……だい…すきらっ……」
「えっ!?」
ハッと顔を上げたときには、その言葉は部屋の空気の中に溶けて流れて、後には何も残っていなかった。
私の耳がおかしいのでなければ、
「まさか………まさか、ね?」
再び毛布をかぶろうとして、ふと気が付く。
そういえば、ヴィルが気絶する前に言った言葉、何となくだけど、こんな風に聞こえた気もする。
『………好きなんだ』
カーッと頭に血が上る。真っ赤を通り越して、顔から火が出てしまいそうだ。
もしかして、まさか、やっぱり…………。
「ふ、ふ、ふわあああああああああっ!!!!!」
逃げ込んだ毛布の中にまで、容赦なく伝わってくるヴィルの体温。否応もなく心臓が高鳴る。どうやら、どこにも逃げ場はない。
「…ヴィルっ!…ヴィルぅ……っ!!」
二人っきりのベッドの上、私はもじもじと身悶える。
どうやら今夜は眠れない夜になりそうだ。
おしまい
483 :
SBI:2006/06/24(土) 15:10:26 ID:kR1D7Bs9
今回、意気込んで書いた割りにいろいろグダグダで申し訳ない。
いっそ、エロなしの方が良かったかも……。
ともかく、これにて失礼します。
487 :
SBI:2006/06/30(金) 09:25:19 ID:ZCCQmMnJ
また書いてきました。投下してみます。
488 :
SBI:2006/06/30(金) 09:26:26 ID:ZCCQmMnJ
熱い泥の中に沈んでいく。そんな感覚に包まれている。
逃げられるとも思っていないし、逃げるつもりもない。ここが、この場所こそが、やっと見つけた安息の地なのだから。
その部屋にいたのは二人の女性だった。
むき出しのコンクリートの壁に囲まれ、裸電球の黄色い光に照らされて、ベッドの上の二人の女性は裸のまま、お互いの肌を、手足を絡ませて激しく交わっていた。
二人のうち片方は、長く艶やかな黒髪の妙齢の女性。もう一人は、こちらはまだ少女といっていい年頃の、短い黒髪の女の子。
長い黒髪の女性はベッドの上に四つん這いになり、彼女よりも随分幼い体つきの女の子に後ろから肉棒を突き入れられ、はしたなく声を上げていた。
「…っあぁ!…ひぅうううっ!?…キノぉ!!!…もっと!!もっと突いてくださひぃ!!!!」
それはおよそ現実にはありえない光景だった。キノと呼ばれた少女の股間には、じゅくじゅくと濡れた女性器とともに、まぎれもない男性の肉の棒が屹立していた。
並みの男性のモノより大きくさえ見えるソレで、キノは女性の濡れそぼった秘部を犯し、夢中になって腰を振っていた。
「…ひあっ!…はっ…ししょ…ししょぉおおっ!!!ししょうのなかぁ、あつすぎゆのぉっ!ボクの、とろけひゃうぅうううっ!!!」
歓喜の表情を浮かべ腰を振り続けるキノの瞳に、もはや理性の色はない。キノに犯される女性も同様だった。
キノは組み付いた背中から女性の乳房を揉みしだき、首筋や耳たぶに一心不乱に吸い付き、ねぶり、女性の体を味わった。
女性はキノの与える快感に見も心も溶かされきって、涙や涎でグズグズに汚れた顔に悩ましげな表情を浮かべ、嬌声を上げ続ける。
何日か?何週間か?何ヶ月か?……それとも何年か?
肉欲に溺れ、快楽に脳髄を溶かされた彼女たちにとって、時間の経過はたいした意味を持たなかった。
ただ目の前の狂おしい熱の中で、迸る快楽を貪り続けるだけ。
「…ふあああっ!!も…らめぇ…ししょうのなかぁ…また…らひちゃうぅうううううううっ!!!!」
叫び声を上げ、背中を仰け反らせて、キノは己の欲望を女性の中へと吐き出した。通常を遥かに超えた量の白濁が、女性の膣内で暴れまわる。
「…はぁああっ!!?また出されてるっ!?…また…熱いのいっぱい…出されてるぅっ!!!」
ビュクッ!!ビュクッ!!!と、音を立てて吐き出される白濁の感触に、女性は身震いして何度も絶頂に達した。
肉棒を抜かれ、女性が脱力した体をベッドに横たえると、彼女の胸にキノが縋り付いてくる。女性は何も言わず、キノの体を抱きしめる。
甘えたような表情のキノはやや強引にキスを求め、女性もそれに応じる。くちゅ、ぴちゃと音を立ててお互いの唇を味わい、舌を絡ませあう。
長い長いキスを終えて、唇を離したキノは、まるで子供のような表情を浮かべ、女性の胸で眠りに付いた。
そんなキノの頭を撫でながら、女性は思い出す。目の前の少女が、今の自分が絶対に出会うはずのない人物であることを。
キノは自分の将来の弟子。年老いて老婆となった自分が、旅の中で生きていく為の技術を教え込んだ少女。
彼女と出会うのは、まだ見ぬ未来での事のはず。
だがそれも、快感に痺れきった今の彼女の頭には、どうでもよい事に思えた。
未だ知ることの出来るはずのない未来の出来事を、どうして自分が知っているのかも、全てはどうでもいい事だ。
「………キノ、おやすみなさい…」
キノの耳元でそう囁いて、女性は瞳を閉じた。耳元で聞こえるキノの安らかな寝息を聞きながら、女性は本当に穏やかな心持だった。
何も問題などありはしない。
今、自分の傍らにこの少女がいる事、それだけが大切なことなのだ。抱き寄せた少女の確かなぬくもり以外、今は何も必要はない。
たとえ、腕の中の少女がいつか自分の元を離れて一人旅立つのだとしても、今の女性には関係のないことだった。
鎖が立てるジャラリという音に、女性の心は妙に浮き立った。
外に出る。散歩に行く。ただそれだけの事だというのに、逸る心を止められない。
「じゃ、師匠、いきましょうか」
後ろから声を掛けられる。振り返った女性の視線の先には、彼女の旅の相棒であるハンサムで少し背の低い男。彼が手に持った鎖は、女性の首元へと繋がっている。
鎖。首輪。口を塞ぐギャグ・ボール。後ろに回された手には銀色に光る手錠。股間でうなりを上げるバイブレーター。
ブーツ以外は何も身につけていない女性の裸身を、それらの道具が縛り付けている。その圧倒的な安心感の中で、女性は恍惚としていた。
腕を使えない女性の代わりに、男が先頭に立ちドアを開く。その背中を追いかけて、女性は外の光の中に出て行った。
489 :
SBI:2006/06/30(金) 09:28:22 ID:ZCCQmMnJ
どことも知れない街。のっぺりとして特徴のない建物が立ち並び、どこまでもまっすぐな道が続く。晴れ渡った空の下、道行く人々の顔はみな笑顔。
幸せそうな人々の視線を浴びながら、女性は男の後ろを歩いていく。
腕を封じられ、バイブの振動に体を震わせる女性の足取りはフラフラと安定しない。男は急ぎすぎないよう、倒れたときにはすぐに助けられる位置をキープして歩く。
「だいぶ暑くなってきましたね、師匠。こりゃあ、本格的な夏が来たらどうなることやら……」
そんな事を言いながら振り返った男の笑顔に、女性は視線だけで答える。
それだけで十分に言いたい事は伝わる。ギャグ・ボールを噛まされて喋れなくても、気持ちは通じる。
なにしろ、結構長い付き合いなのだ。
とある国でめぐりあったこの男と、女性は幾つもの国を巡ってきた。
相棒としての彼の腕前に女性はそれなりに満足していたし、なにかとトラブルの絶えない女性との旅を男も楽しんでいるようだった。
良いコンビ、そう言ってもいいのかもしれない。だが、今の女性は知っている。二人の旅もいつか終わりが来る事を。
遠い未来、女性も男もそれぞれ一人きりで生きる事になる。
女性の知らないどこかの国で暮らす男の命は、飲まれて、溶けて、流れて、最後には消えてしまう。それでお終い。気持ちいいぐらいに何も残らない。
だけど、今は違う。その時ではないのだ。
「…んっ……んぅ………ふ…うん…んん―――――っ!!!!!」
バイブの振動に身悶え、口に噛まされたギャグの為に叫ぶ事も出来ず、鎖に引かれるままに女性は街の中を歩いていく。
突き刺さる人々の視線が、そのまま快感に変換される。公衆の面前に淫らな姿を晒し、全てのプライドを捨て去って、女性の心はどこまでも満たされていた。
これまで築いて来た自分の全てがグズグズと崩れ去り、快楽だけを考える肉の塊へと堕ちていく。他の事など何も考えられない。考える必要などない。
自分の全てを、鎖を握る彼に委ねて、女性の心は快楽の海へと溶けていく。
「うわ〜、もうこんなにビチョビチョだ。師匠、よっぽど感じているんですね」
言いながら男は、女性の乳房や、しずくの流れ落ちる股の内側、首筋や鎖骨、お尻に太ももと、体中のあらゆる場所を触ってくる。
触られた場所にゾクゾクと切ない刺激が走って、体の奥がキューッと熱くなる。自分で触って慰めたくても、封じられた腕ではそれも叶わない。
死にそうなくらいにもどかしい。バイブの振動は女性を満足させるには単調すぎる。もっと深く、滅茶苦茶に、アソコをえぐって、突き上げられたい。
もう歩く事なんて出来ない。燃え上がる体を押さえ切れず、女性は道端に膝をついた。
「…んっ…んん――――っ!!!んうぅ……ふぅんっ!…んうぅうううっ!!!」
長い髪を振り乱し、道の真ん中で快楽に喘ぐ女性。男はその傍らに膝をついて、巧みに指を使い、女性の体を絶頂へと導いていく。
気持ち良い事、それしか考えられない。自分の全てを投げ出して、全て彼に委ねて、彼の腕の中で快楽に踊るだけ。
ああ、なんて幸せなのだろう。
「ほら、師匠。思う存分叫んでください。」
男の手が女性の口にはめられたギャグ・ボールを外す。涎まみれのソレから解放されて、女性の口元に浮かんだのは恍惚の笑み。
男がバイブを一気に奥へと押し込んで、膣を、子宮を突き上げられて、女性の頭の中で白い光がスパークした。
「ひっ…あぁああああっ!!!!イクぅうううっ!!!イきますぅううううっ!!!!」
白昼の街中に歓喜の声が木霊する。信じ難いほどの解放感に体を打ち震わせて、女性の体はその場に崩れ落ちた。
それからまた幾日が過ぎたのか………。
部屋の中で、外で、相棒の男とキノは代わる代わるに女性を犯した。女性は幾度となく絶頂を味わい、白濁を注ぎ込まれた。
犯されて、喘いで、貫かれて、突き上げられて、腰を振って、ただそれだけを延々と繰り返す。時間の感覚はさらに曖昧になって、心はさらに混沌の中へと埋もれる。
今、女性は部屋の中、頼りない電球の灯りの下で、男とキノの二人から同時に愛撫を受けていた。
二人の与える快感に蕩けきった表情を浮かべて、女性は自分のぷっくらと膨らみ始めたお腹を撫でていた。そこに宿った命をいたわるように、優しく、優しく………。
「ふふ……どっちの子供なんでしょうね?」
女性にとってそれは目の前の二人との繋がり、その証のように思えた。いつか出会って、いつか離れていく二人、でも今はここにいる。自分のそばにいてくれる。
もしかしたら、ずっとここにいれば、二人と別れる事もないのかもしれない。この快楽の泥沼の中で、この二人と一緒にずっと漂っていられれば………。
490 :
SBI:2006/06/30(金) 09:29:37 ID:ZCCQmMnJ
そこまでで、女性の思考は遮られた。
「…ん…ふぅ……キノ…んっ…」
キノに唇を塞がれ、舌を嬲られて、女性は悩ましげな声を漏らす。頭の芯が痺れて、思考が、理性が溶け出す。
真っ白になった頭の中で考える事はたったひとつ。もっと二人に触られて、くちゃくちゃにかき混ぜられて、どこまでも堕ちていきたい。
「ほら、師匠、きてください」
男に促されて、女性はベッドの上に座った彼の腰の上に跨る。男の腕に抱き締められて、彼の股間にそそり立つモノの上へ、ゆっくりと腰を下ろしていく。
じゅぷり、と音を立てて、熱く濡れた柔肉を押し割りながら、男の怒張が女性の体の奥へと侵入してくる。
「…は…ひぃいいっ…うあ…あ…すご……」
その様子を傍らで眺めていたキノは
「…あ…ししょ…ボクもいっしょに……」
女性の背中に抱きついて、自分のモノを後ろの穴に押し当てる。
「…あ…うしろぉ…だめ………ひぁあああああああっ!!!?」
女性が言い切るより早く、キノのモノが後の穴の奥へと押し込まれた。既に何度となく使われていたそこは、容易くソレを根元まで飲み込んでしまう。
前後の穴を焼ける肉の棒に貫かれる。その感触に震えながら、女性は男の体に必死にしがみついた。自分の体の内側で脈打つ存在感だけで、脳髄が蕩けてしまいそうだ。
「…師匠の中、すごく熱くてぬるぬるして、最高に気持ち良いですよ」
「…あ…は…ああっ…あなたのも…すごくあつくて…おおきくて……」
「師匠も気持ち良さそうで、俺も嬉しいですよ」
「……うごいて…かきまぜて……わたしのことぐちゃぐちゃに…してくらさいぃ……」
「…………はい」
こっくりと肯いて、男は腰を動かし始める。同時に後のキノも動き始めて、女性の体は前後からかき混ぜられる事となる。
二本の怒張は女性の膣内で圧迫し合って、内側の柔肉をこそげ落とさんばかりの勢いで暴れ回る。
まるで嵐の中に放り出された小舟の様に、女性の体は二人の動きに翻弄された。後ろの穴を突き上げられて悲鳴を上げ、前の穴を貫かれて背中を仰け反らせる。
「…う…はあああっ!!…きも…い…すご……きもちいひいいいっ!!!!」
前も後も快感で満たされて、とっくに脈絡を無くしていた女性の言葉から、さらに知性の色が抜けていく。
快楽のしもべ、欲望に従順な肉の塊、盛りのついた獣、女性の心は、体は、彼女自身の望んだものへと変えられていく。
「…ああっ!!…や…ひああああっ!!!?…わたしのなか…とけひゃうのぉおおっ!!」
あられもなく叫ぶ女性の姿を見ながら
「…うあ……ししょう…かわい……」
ウットリと囁くキノの声
「…くぅ、師匠がこんなにエッチだったなんて知りませんでしたよ」
満足げに笑いながら、男が言った言葉。
それらの一つ一つが、まるで媚薬のように女性の神経を昂ぶらせ、さらなる快楽の境地へと連れて行く。
空っぽになった頭の中を快楽だけで満たされて、女性は今、心の底から幸せだった。
快楽の底なし沼に深く深く沈んでいく。そして、この二人と一緒に自分は溶けて、そうすればもう自分を脅かすものは何も無い筈だ。
溶けて、崩れて、絡み合って、誰にも分かつ事ができなくなるまで、この二人と交わり続けよう。
「…ひあっ…あ…ふたりともぉ……もっと…もっとついてくらさい……どろどろに…おかして…わたひを…ダメにしてくらさいぃいいっ!!!!」
そう叫んだ女性の言葉に応える様に、前後の二人はペースを速める。より強く、より速く腰を動かし、女性の中を攪拌する。
その度に駆け抜ける快感の大きさ、激しさ。女性は何度も背中を仰け反らせ、歓喜の声を上げた。
下腹部に宿り続けた熱はその密度を増していく。そして、それはついに、激しさを増す男とキノの突き上げの前で限界に達した。
「ふあっ!!ああああっ!!イクぅっ!!…わらひ…も…イっひゃうのぉおおおおおっ!!!!」
絶頂に達した女性の体がビクビクと痙攣する。同時に前後で放たれた白濁が、女性の体の中をたまらない熱で満たしていく。
491 :
SBI:2006/06/30(金) 09:30:40 ID:ZCCQmMnJ
「……ああっ…あついの……いっぱい……」
満たされて、汚されて、女性の顔には至福の表情が浮かんでいた。
このままずっと、二人と一緒に、誰も触れることの出来ない沼の底で過ごそう。気持ち良い事だけの世界で、永遠に、どこまでも………。
この上ない安心感の中、女性は穏やかに瞼を閉じた。
そして、あまりにも呆気なく夢は終わりを告げた。
最初に目に入ったのは、夢の中でも散々目にした人物の顔だった。
「師匠、気が付いたんですね?」
少し背の低い、ハンサムな男。女性の弟子。相棒。旅の道連れ。
「私は…一体……?」
男の手を借りて、女性は自分の横たわっていた金属の台の上に起き上がる。周りを見渡すと、暗い部屋の中は得体の知れない機械と、無数のコードで埋め尽くされている。
その内の何本かは女性に絡みつき、なにやら怪しげな機械を首筋やこめかみに押し付けていた。
そうだ、思い出した。偶然見つけた怪しげな遺跡。無人の建物の奥から飛び出したコードに絡め取られて、女性と男はその内部に運び込まれたのだ。
「俺も今、別の部屋で目を覚ましたばかりなんですけど、とにかくここはヤバイ。早く外に出ましょう」
段々と記憶が戻ってくる。ぼやけていた頭脳が、事態を理解し始める。
しかし、女性の心の一部はまだ夢の世界を引きずっていた。もはやどんな事があったのか、はっきり思い出す事は出来ないのに、心があの夢を求めているのだ。
「出る…逃げるんですか?」
「そうです。こんなとこ、いつまでも居られませんよ!!」
「でも、そうしたら、私は………」
あの世界は、ただただ快楽に満ちて、何も失う事はなく、誰と分かたれる事もない。
目の前の彼も、いつか出会う誰かさんも、ずっと一緒にいてくれる世界。
だけど、夢は夢のまま砕け散った。現実に引き戻された女性は、どうあがいたって、いつかは必ずひとりぼっち。
その時突然、呆然とする女性の前で機械の一つが作動し始める。
「な、何だ!?」
機械の上部から溢れた光が、像を結ぶ。白いヒゲの老人の立体映像が忽然と姿を現した。老人は二人を一瞥して口を開く。
「×××××、××××××××××。×××××………」
遥か昔に失われた言葉。文明の残滓。女性にも、男にも理解できない言語だった。
意味不明の言葉を使い、二人に語りかける老人の口調は穏やかだった。だが、女性は気付いていた。穏やかさの裏に見え隠れする黒い感情を……。
「……優越感?…私たちを、見下している?」
整った笑顔のほんの端っこが、小さく歪んで見えた。瞳は下卑た好奇心に満ちていた。遺跡が、この機械装置が女性に何を見せたのか、全てを知った上で男は話している。
やがて歪んだ笑顔は顔全体に広がり、堪え切れないとでも言うように、男は笑い始める。
「ヴァハ、ヴぁヴぁヴぁヴぁっ!!!ヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁっ!!!!」
口を大きく開け、男は笑う。腹を抱え、笑い過ぎの涙を手の甲で拭い、笑い声を部屋中に響き渡らせる。
「悪趣味、ですね………」
女性はパースエイダーを引き抜き、立体映像装置に向かって構える。喉の奥から湧き上がる叫びを抑え込みながら、引き金を引く。
次々と放たれる銃弾は、装置にめり込み、その外装を砕いて内部を破壊する。火花が飛び散り、黒煙が吹き上がる。それでも、歪む立体映像の中で老人は笑っていた。
「ヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁ…ヴぁ…………ヴぁっ……」
やがて装置が完全に停止した後も、その笑いは部屋の中を埋め尽くす機械の狭間に響き続けた。
492 :
SBI:2006/06/30(金) 09:31:38 ID:ZCCQmMnJ
全ては彼の遊び、だったのだろう。
人の心の隙間に潜り込み、その願望を歪んだ悪夢に仕立て上げる。それに惑い、揺れる人の心を嘲笑う為だけに作られた悪趣味な機械。
途方もない技術と知恵を、ただ人を苦しめるためにつぎ込んだ最悪の悪戯。
「……………」
金属の台の上に腰掛けて、全弾を打ち尽くしたパースエイダーを握ったまま、女性は俯いていた。今の自分の顔を、相棒に見られたくはなかった。
出会って、別れて、死んでいく。
それは誰もが常に心のどこかで恐れている事。世界中のどんな人間も、それについて相応の覚悟をして、時に耐え、時にやり過ごし、その一生を乗り切っていく。
それは、女性にとっても同じ事だった。
ありふれた当たり前の悩み。いまさら抉り出されたところで、どうって事はない。その筈だった………。
「………師匠」
心配そうに男が呟いた。それでもガタガタと震え続ける体を止められなかった。立ち上がる力が湧いてこなかった。
別離の悲しみ、そこからの解放という甘い蜜をちらつかせ、最後にその幻想を砕いて見せた。全く、単純ながらも良く出来ている。見事と言うほかない。
ありふれているからこそ、根も深い。与える傷も深い。
当たり前だ。最初から解っている。
「こわい………私だって、こわい……」
床にパースエイダーを落とし、両の手の平で顔を覆い、女性はそれだけ、やっと吐き出した。
ふと顔を上げる。目に入るのは男の笑顔。いつもより幾分か憔悴した様子を見せながら、それでも男は微笑んでいた。
「そろそろ行きましょう、師匠」
そっと差し伸べられた手に、心の奥で女性は怯えた。ここで握っり合った手の平も、いつかほどけて、離れて、消える。もう二度と、出会うことはない。
沈黙が、二人の間を流れていく。呆然と自分の手の平を見詰め続ける女性を、何も言わずに男は待ち続けた。
男の指先も震えていた。その胸の奥にあるのは女性と同じ恐怖なのかもしれない。
それでも、どうせいつかは彼の前から消える彼女に、男はずっと手の平を差し出していた。それ以外に、自分の意思を示す方法を、男は持たなかった。
やがて震えたままの女性の手の平が、ゆっくりと男の手に重ねられて
「そうですね、行きましょう」
いつかは消えて無くなるその手の平を、女性はしっかりと握り締めた。
493 :
SBI:2006/06/30(金) 09:33:23 ID:bSHncucs
これでお終いです。失礼しました。
質問。
ここは非エロは書いてはいけないのですか?
>>494 エロじゃなければ、相応のスレがあるしな。
時雨沢ネタはよくわからないけど。
496 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 04:12:20 ID:/E5MGKI6
短ければ可
498 :
SBI:2006/07/07(金) 09:08:20 ID:cHBf2eoP
久しぶりの熱いシャワーで旅の汚れを洗い流したキノは、大きなバスタオルをかぶって、わしゃわしゃと頭を拭いていた。
体についた水滴をあらかた拭き取ったところで、キノはハッとしたように顔を上げて周囲を見回した。誰かが後にいる。そんな気配を感じたのだ。
シャワーカーテンの陰や天井の通気口など、物陰になる場所を確かめてみるが、もちろん誰もいない。この狭い室内で、人が隠れる事の出来る場所は殆ど存在しないのだ。
「………気のせいか」
だが、妙な気配はいまだに部屋の中に漂っていた。見えない誰かの舐め回すような視線が、キノの背中に突き刺さる。
この場を早く立ち去りたい。その一心でドアノブに手を伸ばしたその時、キノはある物に目を止めて、その場に凍りついた。
キノの視線の先にあったのは、壁に据え付けられた大きな鏡。そこに映る自分の姿だった。
「………な、なんだコレ?」
鏡の中で、同じポーズ、同じ表情で立ち尽くすキノの姿。ただ一つ違うのは、その手足に巻きついた幾本もの触手の存在だった。
ウネウネと蠢く触手は体を這い登り、絡め取り、いやらしい粘液で肌を汚していく。鏡の中のキノは段々と触手に覆われていく。
乳首や耳たぶ、首筋に鎖骨、小さなお尻の割れ目と股の内側、体中の敏感な部分を触手が愛撫する。
やがて、立ち尽くす本物のキノの目の前で、鏡の中のキノは触手の与える快楽に呑まれ、悩ましげな表情を浮かべて喘ぎ始める。
言い表しがたい恐怖に駆られて、キノはシャワールームのドアノブを回した。だが、ドアは開かなかった。鍵が掛かっている訳ではない。ノブもドア自体もピクリともしないのだ。
閉じ込められたのだ。おそらくは、鏡の中でキノを嬲る、得体の知れないモノによって。
目の前で、自分の体が汚されていく。異形の愛撫を受けるその顔に浮かぶのは、歓喜の表情。荒い息遣いが、切ない喘ぎ声が、耳元まで届いてきそうだ。
「…嫌……嫌ぁ…こんなの……ボクぅ…」
そう言いながらも、キノが興奮しているのは明らかだった。鏡に映る自分の姿から目を離すことが出来ない。水滴を拭った筈の内股が湿りを帯び始める。
いつしかキノは、自分の指で体を愛撫し始めた。鏡の中で触手がするように、乳首を摘んでこね回し、大事な部分の入り口を何度も擦り上げた。
熱を帯び始めたキノの体に呼応するように、鏡の中で繰り広げられる行為は激しさを増す。
そしてついに、一本の触手が足の間を這い登り、キノの小さな割れ目にその頭を埋めた。
「…あ…ああっ…はいってるぅ……ボクのなか…うねうねがいっぱい……」
背中を仰け反らせ、触手の突き上げに体を揺らす鏡の中の自分が、キノには羨ましくてたまらなかった。太く逞しい触手に比べ、キノの指はあまりに細くかよわかった。
早く逃げろと理性が警告する一方で、キノの心の一番原始的な部分が囁きかけてくる。
どうせドアは開かない。逃げられない。それよりも今、必要なものがあるはずだ。体の奥の熱い疼きを、埋めてくれる圧倒的な質量。
499 :
SBI:2006/07/07(金) 09:09:00 ID:cHBf2eoP
「…う……あ……欲しい…うねうね…欲しいよぉ…」
床に這いつくばり、両手を使ってアソコをかき混ぜながら、キノは哀願した。
「…ボクを…犯してぇ……ボクのアソコをメチャクチャにしてぇ!!!」
その瞬間、キノの体を見えない何かが貫いた。
「……ひ…や……あああああああああああっ!!!!!」
キノが叫び声を上げた。見えないけれど確かに感じる。太くてヌメヌメのいやらしいソレ、お望みのものが自分の大事な部分を犯している。
いや、それだけではない。腕に、足に、乳首に、お尻に、体中に纏わりつく触手が、ねばつく粘液が、すぐそこにあるように感じられる。
圧倒的な存在感で体中を責め立てる触手の感触に、キノは泣き叫ぶ。
「…うああっ!!気持ちいいっ!!ボク、気持ちいいよぉっ!!!」
いまや鏡の中の虚像と現実のキノの姿は完全に一致していた。向かい合った顔に浮かぶ淫らな表情まで、何一つ変わらない。
やがて、キノを弄ぶ見えない触手は、キノの体を鏡の方に引き寄せ始める。圧倒的な快楽に理性を剥ぎ取られたキノは、その事に全く気付かない。
触手の責めに涙を浮かべ、嬌声を上げるその顔には、快楽を貪る雌の本能だけが浮かんでいた。
自ら腰を使い、短い黒髪を振り乱して、キノは絶頂へと昇り詰めた。
「ああっ!!?…イクぅ!!…らめぇっ!!…ボク…も…イっちゃうのぉおおおおおおおっ!!!!」
激しく痙攣し、叫び声を上げたキノ。その体は触手に引き寄せられるまま、鏡の中に沈んで、跡形もなく消え去った。
一台のモトラドと衣服を含めた全ての荷物を残して消えた旅人の事件は、その後しばらく国を騒がせたが、やがて彼女の存在もろとも人々の記憶から忘れ去られていった。
だが、それも今のキノにはどうでもいい事だった。どことも知れない闇の中、絶え間なく与えられる快感だけに満たされた彼女は、間違いなく幸せだった。
500 :
SBI:2006/07/07(金) 09:09:55 ID:cHBf2eoP
以上でおしまいです。失礼しました。
501 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 11:17:28 ID:H+nZtc+W
GJ!!!
502 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 17:28:33 ID:Xx33qrCh
書いた駄文を片っ端からスルーされていくSBIにテラワロス
つーか、ここが過疎るのもコイツがでしゃばるせいだと思うのだが
さっさと消えりゃ、それで清々するのに
久しぶりに覗いたら、なかなかエロチックなSSが多くて感動。
gj.
毎日何を食べて育ったらそんなエロティックなネタが次々と思いつくのか子一時間(ry
GJ!!
507 :
SBI:2006/07/10(月) 10:02:18 ID:LUbddKgN
七誌で書けばまだ他の書き手に迷惑がかからないのにね
>>498 GJ!キノと触手ってなんか合う気がする
510 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 22:11:32 ID:gEujUCFA
特にエロいとは思わん。
いつもご馳走様です。
ある日の夜の出来事です。
空に輝く大きな月とは対照的に、その村の家々の窓はどこも真っ暗でした。だけど、寝静まった村の一角に一つだけ、明かりの灯った窓がありました。
机を照らすランプの下で、一人の女性がカリカリと鉛筆を紙の上に走らせていました。
「何を描いているんですか、フィー?」
後ろから声をかけられてフィーと呼ばれた彼女、フィオナは振り返りました。
「あら、ベネディクト。起きていたの?」
そこにいたのは彼女の夫、ベネディクトでした。
「ああ、、どうにも寝付けなくて。邪魔でしたか?」
「いいえ、そんな事ないわ。ほとんど描きあがったところだったし。それに……」
フィオナは優しく微笑んで、先ほどまで自分が何かを描いていた紙を取り上げ、ベネディクトに手渡しました。
「この絵について、少し意見をもらいたいと思っていたところなのよ」
どれどれ、とベネディクトが絵を覗き込んで、言葉を失いました。
「これは……」
そこに描かれていたのは、一人の少年の姿でした。ヴィルヘルム・シュルツ、二人にとって大切な友人で、とても優しい良い子です。
ただ、絵の中のヴィルは少し様子が違っていました。
まず、頭の上にぴょこんと猫の耳が生えています。ついでにお尻にもシッポが一本。その上、ヴィルは上半身裸でした。いつもの制服のズボンだけを穿いて、頬を赤らめています。
しかもズボンにベルトは無し、ボタンは外れておりファスナーも半開き、そこから覗く下腹部のラインの描きこみは偏執的なほどでした。
恥ずかしそうに裸の上半身を腕で隠し、上目遣いにこっちを見てますが、それよりも下をどうにかしてほしいです。
「今度出す本の表紙のラフなの。やっぱりネコミミって最高よね」
ネコミミ以外にもツッコミ所満載の絵ですが、フィオナは気にしていません。
「ねえ、どうかしら?可愛く描けてたかしら?」
なんて、目をキラキラさせて感想を聞いてきます。
ベネディクトは手元の絵に目を落としたまま沈黙していましたが、やがて搾り出すように声を出しました。
「とても、よく描けていますよ。ただ………」
「ただ?」
「ネコミミはあえて本物である必要はないと思います」
「どういうことかしら?」
「ネコミミつきのカチューシャとか、元からネコミミだったんじゃなく、コスプレしてくれた所に萌えるわけです」
ベネディクトの説明にフィオナがポンと手を打ちます。
「なるほど、それはそれで…」
「着替えシーンとか、妄想も膨らむと思います。まあ、あくまで好みの問題ですが」
そこまで言ったベネディクトは、絵をフィオナに返して、廊下へのドアに向かいます。
「それじゃあ、私は先に寝ています。あまり根を詰めすぎないように」
「ええ、わかってる。それから、あなたの意見とっても参考になったわ。ありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
ベネディクトに軽く手を振ってから、再び鉛筆を手に作業を始めようとしたフィオナでしたが
「って、ちょっと待ったぁ!!!」
ようやくベネディクトの様子がおかしい事に気づいたようでしたが、すでに後の祭り。部屋の中にベネディクトの姿はありません。
とんでもない疑念と一緒に、フィオナは部屋に取り残されてしまいました。
……そして寝室、ベッドの上でひとりぼっちのベネディクトは
「ヴィル君………」
フィオナが以前に作ったヴィルの抱き枕を抱えて、切なそうにつぶやいたのでした。