>>684 6.
「俺はさ、一生自分を隠し通せる自信もあったけど いつもどこかが疲れてたんだよな。
お前に見破られて、まずいと思った反面 お前の前なら自然でいられる自分にほっとした。
お前だって、本当に嫌なら俺を脅して優位に立つ事も出来たはずだが しなかった。
子供の頃から親の出世の為に我慢するほどお前に知恵が回っていたはずもない」
…なんだか馬鹿にされてるような言われ方だが、確かに恐怖心からだけで黙秘していたのとは違う気もしてきた。
「つまり、俺達は気づかないうちから相思相愛だったって訳だ。」
和馬は自信たっぷりに言い切った。
「う、うーん……。なんか釈然としないんですけど…」
「若菜に難解な思考を求めてはいないさ。だが、浮気をされる前に予防策は取らないとな」
「へ…?予防策って?」
と、聞き返す間もなく若菜の唇は和馬の唇に塞がれた。
若菜は何が起こったのかわからず、いきなり奪われた唇の感触にまたも混乱した。
煙草と少し酒臭い和馬の唇が若菜の唇を貪り、和馬は若菜をそのまま抱き上げた。
「ひゃっ!な、なにすんの!!」
あまりにも唐突な論理と展開に呆然としていた若菜は、抱き上げられて我に返った。
「丁度 若菜も風呂は済ませてるし、ここらで既成事実を作っておこうじゃないか」
和馬は当然のように言いながら、若菜を抱き上げたままベッドに向かった。
ようやく意味を理解した若菜は、和馬の腕の中で慌てて暴れ出した。
「じ、冗談でしょ!降ろしてよっ!そんなつもりでお風呂に入ってきた訳じゃないって!」
じたばた暴れる若菜の体が和馬から落っこちた。
落下地点は 丁度 和馬のベッドの上だった。
「おお、グッドタイミングで着地したな 若菜」
覆いかぶさろうとする和馬を突き飛ばし、若菜はついに感情の堰が切れてしまった。
泣きながら突き飛ばした和馬をクッションで思い切り殴りつけた。
「いつも勝手なことばかり言わないでよ!二重人格!悪魔!エクソシスト!バカバカバカ!」
若菜は涙と鼻水を拭おうともせず、今までの鬱憤をクッションに込めて、罵倒しながら
手が疲れて上がらなくなるまで和馬を殴り続けた。
>>685 7.
プライドの高い和馬が、反撃もせずに若菜の爆発を受け続けていた事に気づいたのは、
殴り疲れて腕を下ろしてからだった。
息切れをしながら枕を抱きしめた若菜に、和馬は黙ってティッシュケースを差し出した。
「すごい顔になってるぞ、若菜」
「…誰のせいよ…」
ティッシュを受け取った若菜は、派手な音を立てて鼻をかんだ。
思い切り暴れて言いたい事を言い切ったので、もう恥ずかしさも何もなかった。
「悪かったよ。若菜はいつも俺の前でおどおどしてたからさ。
さっきは相思相愛だなんて言ったけど、本当は不安だったんだ。
俺の片思いじゃないかとはずっと思ってたけど、若菜を誰にも渡したくなかった。
無理強いしてごめんな。ほら、まだ鼻が垂れてるぞ」
和馬は急に静かな顔になって、優しく若菜の鼻水をティッシュで拭いた。
「婚約も解消しよう。もう自由になっていいよ、若菜。今までありがとな」
涙と鼻水でくしゃくしゃになった若菜の顔を、和馬が寂しそうな顔で拭いてくれている。
「婚約を解消して自由にしていい?…それって別れの言葉なの?」
鼻を真っ赤にしたまま、若菜は和馬に大人しく顔を拭かれていた。
「ああ、若菜は可愛いもんな。邪魔者がいなくなれば、すぐに新しい恋人も出来るさ」
急にそんな事を言われると、若菜は突き放されたような孤独感を感じてしまう。
「…じゃあ、これからはずっと和馬さんは一人で完璧を演じ続けていくの?」
「元々、若菜が現れるまではそのつもりだったからな。たいした事じゃないさ」
和馬は常に周囲から完璧を求められ続け、ずっとその期待全てに応えて来ていた。
実の両親でさえ和馬がかぶっている巨大な猫には気づかなかったのに、若菜には初対面で
わかってしまった。
これはやはり必然だったのかもしれない、と若菜は思ってしまった。
>>686 8.
思わずクッションを放り投げると、和馬に手を触れる。
「私がいなくなったら、和馬さんの人格が崩壊するか、次の犠牲者が出ちゃうよね」
なんだか無礼な事を言いながら、若菜は和馬の胸に顔を埋めてささやいた。
「和馬さんは人格が破綻してるけど、私はそんな和馬さんを嫌いじゃないよ
もっと私の人格を尊重してくれれば、好きなほうかも」
和馬の腕が若菜の背中に回り、若菜を抱きしめ返してくる。
「本当に?」
若菜は答える代わりに眼をつぶってみせた。
和馬の唇が若菜の唇に重なり、数馬の舌がゆっくり若菜の口の中に入ってきた。
若菜はもう拒まずに、和馬の舌を受けとめ それに応えた。
「若菜…」
和馬がゆっくりと若菜を抱きしめながらベッドに押し倒す。
「私、さっき暴れたから汗かいちゃってるよ」
若菜は恥ずかしそうに顔をそむける。
「大丈夫。若菜は若菜のままでいいから」
和馬はそっと囁くと、若菜のうなじに唇を這わせながら ゆっくり若菜のブラウスの
ボタンをはずしていった。
>>687 9.
少し汗ばんだ背中に手を回し、ブラのホックをはずすと お世辞にも大きいとはいえない胸が
顕わになった。
「…やっぱり恥ずかしいよ…せめてシャワー浴びちゃダメ?」
「だめ。このままでいいって」
和馬の掌が若菜の胸の上で泳ぎ始め、後を追うようにして唇が胸の膨らみに降りてきた。
さっきまで大泣きしながら殴っていた和馬の頭が 若菜の胸の上で動いている。
若菜は自分の貧弱な胸も恥ずかしくて、もっと牛乳を飲んでいればよかったと思いつつ、
普段威張っている和馬が自分の胸に顔を埋めている姿を なんだか可愛い様な、それで
いて違う自分に変えられていくような、おかしな気分になってきた。
「…ちっちゃい胸でがっかりしてる?」
若菜は恥ずかしくて、つい余計な事を話してしまう。
「余計な事は言わないでいいの」
和馬は掌にすっぽり収まる乳房を揉みながら、小さな乳首を口に含み 舌で転がした。
若菜の小さな喘ぎ声が洩れる。泣いた後なのでその声は少し擦れていた。
やだ…変な声が出ちゃう…
なるべく声を出すのを我慢しようとすると、触れられている部分に神経が集中して
余計恥ずかしいような 気持ちいいような、変な気分だ。
若菜はぎゅっと眼を閉じて、和馬の頭にしがみついた。
>>688 10.
「…あっ…!」
思わず声が出てしまった。
和馬の指が、若菜のショーツの上から 恥ずかしい部分に触れたのだ。
「…あの、やっぱり汗ばんで恥ずかしいんですけど…」
和馬は若菜の耳元でそっと囁く。
「馬鹿だな…これは汗じゃないよ…いいからもう少し力を抜いて」
そ、そんな事言われても、指が動くと力が入っちゃうんですけど…!
和馬の指がショーツの上で 自分のすごく敏感な部分を彷徨っている。
押し殺しても擦れた声が漏れてしまい、頭の芯がくらくらしてくる。
ショーツが濡れていくのがわかり、着替えがないのにどうしよう…と若菜は戸惑った。
「全部脱いじゃおう、若菜」
「ぬ、脱ぐんですかぁ…!?」
どぎまぎしている若菜のスカートのファスナーを探し当てると、和馬は黙って
スカートと一緒にショーツまで手際よく脱がせた。
なんだか手馴れた手つきだなぁ…と、思う間もなく、一糸纏わぬ姿にされた若菜は
恥ずかしくて手で顔を覆ってしまった。
和馬はそんな若菜にシーツをかけると、いつの間に脱いだのか自分も裸になって、
素早くシーツの中に入ってきた。
唇を重ねると、再び和馬の手と唇が若菜の身体を動き始める。
和馬の心臓の音が素肌を合わせると伝わってきた。
まるで競争しているように、互いの鼓動は早くて、若菜はなんだか可笑しかった。
くすくす笑ってしまうと、『真面目に!』と和馬に怒られた。
だってくすぐったくて、恥ずかしくて、どうしていいかわからないんだもの…
「…あっ…!」
今度はショーツ越しではなく、直接和馬の指が敏感な部分に触れた。
やだ…触られてるところがどんどん熱くなって変な気分になってくる…
それになんだかぬるぬるして、水っぽい音が段々大きくなってきて恥ずかしい。
も、もしかして 私って淫らな女なんだろうか…?
恥ずかしくて和馬の顔が見れず、首にしがみついているだけで精一杯だった。
「…んんっ!」
か、和馬さん…指が私の中に入ってきて、いやらしく動いてるんですけど!!
「ち、ちょっとそこ タイム…!」
「我慢、我慢!」
和馬の指の動きは止まるどころか、段々早くなってくる。
ダメ…ってばぁ…!!
若菜は和馬が自分の中心と中を動かす指の刺激で、一瞬意識が飛んでしまった。
>>689 11.
「若菜…もう少し足を開いて力を抜いて」
ぼんやりした若菜の耳に、和馬の声が遠く聞こえてくる。
…力、もうすっかり抜けてます…
既にそれは声になっていなかった。
「…これから痛いかもしれないけど、我慢だぞ。若菜」
「ま、まだ我慢ですかぁ…」
ハーフタイム入れようよぉ…。
声にならない声で若菜は和馬に抗議したが、声になってないので届かなかった。
熱く痺れたような若菜の中心に、なにやら和馬の熱くて硬いものが当たった。
しばらく濡れた若菜の中央入り口付近を彷徨ったそれは、意を決したように
若菜の中に少しづつ入ってきた。
『…い、痛い〜〜ぃ!!』
思わず和馬の首に力いっぱいしがみつき、声にならない叫びをあげた。
「もうちょっと頑張れ!若菜」
「応援はいいから、ち、ちょっとタイムプリーズ!!」
「…今は無理。もう少し頑張ってくれ!若菜」
わかってたつもりだけど、まさかこんなに痛いとは…
和馬はなるべく若菜を気使って、ゆっくり入ってきてくれてるが、痛いものは痛かった。
思わず涙ぐんでしまった若菜だが、すっかり入った和馬はそこで止まってくれて、
優しく頭を撫でてくれた。
「ごめん…痛いか? 若菜、ここで少し休憩な」
若菜の中に入ったまま、和馬が優しく抱きしめた。
若菜の中にいる和馬は、硬くてとても熱く感じた。
>>690 12.
「少し落ち着いたか?」
「…う、うん…大丈夫…かな…?」
「じゃ、ゆっくり動かしていくからな」
和馬は言葉どおり、ゆっくり腰を動かし始めた。
…う…やっぱりまだ痛いです…和馬さん…
若菜は再び和馬にしがみついて身を硬くした。
「もう少し力を抜いて、若菜」
「う、うん…」
思わず思い切り腹筋を込めている事に気づいた若菜は、努力して体の力を抜いてみた。
…あ、少し痛く無くなった…?
和馬の動きが少し早くなって来た。
だけどさっきよりだいぶ痛くなくなって、ほっと力が抜けると更に痛みが薄らいだ。
痛みが薄らいでくると、少しずつ身体の芯が熱くなる様な妙な気分になってきた。
…もしかして、これって気持ちいいって感じてる…?
和馬が動くごとに、段々動きがスムーズになり 迎え入れるのも楽になった。
妙な気分も高まってきて、また油断すると声が出てしまう。
「我慢しないで、声を出していいんだぞ」
「う、うん…」
ベッドの中の和馬さんはいつもよりずっと優しかった。
だんだん早くなってくる和馬の動きに、若菜の身体は反応し始めた。
貫かれるごとに、身体がシーツごと上にずり上がる。
ずり上がりすぎて、ベッドの壁に頭がぶつかり、和馬の動きと共に頭のてっぺんが
ベッドの壁にごつごつ当たるので、腕をあげて頭がぶつからないようにベッドの壁に手を着いた。
途中で和馬が気がついてくれ、身体を下に引き摺り下ろしてくれた。
その弾みで、和馬の先端が若菜の奥に当たり 若菜は思わず声をあげてしまった。
その後はもう、若菜はもう声を我慢できずに小さく声を発していた。
>>691 13.
「若菜…俺、そろそろだ…」
和馬の動きが激しくなる。
「ち、ちょっと待って!和馬さん ひ、避妊…」
突然、和馬は若菜を抱きしめたまま動きを止め、若菜の中に暖かいものを放った。
「か、和馬さんてば…!」
若菜はすっかり避妊を忘れていた事に絶句した。
「大丈夫。子供が出来てもちゃんと責任は取るからさ」
和馬は満足そうに若菜を抱きしめたまま、さらりと言ってのけた。
「…責任とか以前に、私はまだ高校一年生なんですけど!」
ああああ!最初から自分が気をつけるべきだったぁ!!
和馬の腕の中で、若菜は眩暈を起こしそうになった。
そんな若菜を悪戯っぽく見ながら、和馬はごそごそとシーツの中に手を入れて、何か
小さなものを取り出した。
それは、いわゆるアレだった。
「これ、なーんだ?」
若菜はまたやられた、と思った。…最初からつけてたのね…
やっぱりこいつの本質は悪魔だぁぁぁ!
「これで既成事実もできて、虫避けも万全。幸せにするからね」
笑いながら抱きしめてくる和馬の腕の中で、若菜は『やっぱり早まったかなぁ…』と
ちょっぴり後悔しはじめていた。
おわり。
お眼汚し失礼しました
正直な感想。
キモイです。
誤字と文章推敲してから投下してくれない?
同じ単語が削りきれてないよ
どんなダメSSかとおもったら…
普通に面白かったよGJ
悪魔を知る者の原作は読んだ事ないけど、
前半で大体内容はつかめたよ
鬼畜系じゃないし面白かった。
どの単行本に収録されてるのか、
知ってる人教えてー
楽しく読みましたよ!
原作ラストの微笑はこういう意味だったのね〜と思ってみたり。
推敲が必要なのは同意だけど
文章書きなれたらもっとこなれると思います。
職人さん乙でした。次回にも期待してます。
悪魔を知る者、面白かったですよー。
これからもガンガン書いて下さい。
>>696 単行本は、空の食欲魔人
文庫版は、フロイト1/2
に入ってるよ〜。
ミソ・スープは混沌する その1. (注)エロ描写はないのですみません
シドニー・ハワード×郁 <ミソ・スープは哲学する>
―世界は不透明である―
と、ガラス細工のように透明な人は言った。
そして傷ついた顔をして、明日英国に帰ると郁に告げた。
郁にはハワードさんが何故そんな傷ついた表情をするのかわからなかったが、
自分の言葉が繊細な彼を傷つけたのだ という事は理解できた。
正直、郁には彼の話す言葉の半分も理解できないでいた。
ハワードさんは日本語を話せるのだが、難解すぎて意味不明なのだ。
大体 世界的に有名な芸人が、なんで毎日うちのメシ時に訪問してくるのか。
変な外人だ、と郁は思っていた。
それでも何故か彼の昨夜の表情は、郁に罪悪感を抱かせ 彼の急な帰国の知らせを聞いて
なんだか悲しいような むなしいような、自分にも理解不能な感情に落ち込んでいた。
そーいえば 帰国するという前にガラス細工の人は何か言いかけてたっけ。
何を言おうとしていたのか、それは郁が遮ってしまったのだが…
11:45。
弟の明人が、ハワードさんは13時にホテルを出て空港に向かうという電話を受けたと
郁に告げた。
郁は思わずミソ汁の鍋を抱えて走り出してしまった。
なんでそんな行動に出ているのか、どうやって鍋を抱えてホテルまでたどり着いたのか、
郁自身にもわからなかった。
ホテルの廊下を走っていたら いきなり目の前のドアが開き、ハワードさんが驚いた顔で
出てきた。
ハワードさんは、郁の抱えているミソ汁の鍋を見ると、満面の笑みを浮かべる。
「…よく こぼさずに持って来れたものだ」
―こいつ、まさかミソ汁の匂いを嗅ぎつけたのか?
郁も驚いたが、彼の嬉しそうな笑みにつられて自分も微笑んでしまった。
「そら〜、なにしろ世界は不透明だから」
自分でも意味不明な発言をすると、彼に迎え入れられるままに鍋ごと部屋の中に入った。
よっぽどミソ汁が好きなんだな〜この透明な人は。
「た〜んとあるから、たっぷし食べな」
「そりゃ、どーも…」
に〜っこり。
そして二人を残し、ホテルのドアは閉められた。
―閑話休題―
>>699 その2.
「そ〜いや、一時にホテルを出なくていいのか?ハワードさん」
ホテルに備え付けの小さな電子保温機でミソ汁を温めながら、郁はたずねた。
「郁さんが来てくれたから、帰国は延ばします」
ハワードさんはずっとにこにこしながら郁を見つめていた。
「延ばすって、ひこーき代 今からキャンセルしても戻ってこないんじゃないか?
一体エゲレスまでのひこーき代っていくらなんだ?
きっと高いんだろーなー…もったいないなくないか?」
小市民な郁はそっちの心配をする。
「いいんですよ、そんな事はたいした問題じゃない」
ハワードさんはそんな郁の発言も嬉しそうに がばっと抱きついてきた。
うひゃぁ〜!
抱きしめられて、郁は目がちかちかした。
「あ、あのね ハワードさん。日本じゃ抱擁する挨拶の習慣はないから驚くんだってば」
郁は顔が赤くなるのを感じながらハワードさんの胸を押し戻した。
「英国にもそういう習慣はありませんよ。郁さん」
「ほえ?」
…う〜む、やっぱりこの人の思考回路と行動原理はよくわからん…
赤い顔で混乱している郁に、ハワードさんは目を細めて説明し出した。
「つまりですね、世界とは 不透明かつ暗さを伴い…」
「ま、待った!ミソ汁が吹きこぼれるから 説明は手短にね」
よーするに、この人の哲学的な説明には 郁の理解がついていけないのだ。
「あ、ごめんなさい。結論を簡潔に述べると、僕は郁さんを英国に連れて帰りたいほど
好きなんです」
郁の顔が ぼっと火を噴く様に赤くなった。
「き、極端に簡潔な説明ですね…」
もしかして…と、と予想はしていたが こうもあっさり言われると、どうリアクションを
すればいいのやらわからなかった。
「理解してくれましたか?」
「は、はぁ。…明確なお答えありがとうございます」
「ご理解頂けて嬉しいです」
そう言うとハワードさんは再び郁を抱きしめた。
>>700 その3.
しばらくぼーっとしたままハワードさんの腕の中にいた郁だが、ハワードさんの手が、
背中から腰に降りてくるのを感じて我に返った。
「ち、ちょっと待った!
理解はできたけど、こーゆー事はまず、お互いの相互理解を含めてからですね…。
ハワードさんの気持ちはわかったけど、まだ私の気持ちは言ってないし」
もう、郁は緊張のあまり口から心臓が飛び出しそーだった。
シドニー・ハワードは ふむ、と納得したように郁から手を離すと、まっすぐな瞳で郁を
見つめながら言った。
「そういえば そうですね。郁さん、答えてくれますか」
「うっ…!」
墓穴を掘ってしまったぜ…。
郁はいきなり授業で問題を当てられた生徒のように硬直した。
ガラス細工のように透明な人が、不安気の様な 期待に満ちたような眼で見つめている。
まるで蛇ににらまれたカエルの様だ、と 郁は思った。
「き、嫌いじゃないです。でも、まだ私ハワードさんの事をよくわかってないし。
だ、大学もまだ卒論を控えてるしで…あの、その…」
滝のような汗を流しながらしどろもどろに答えた。
ハワードさんはしばらく郁をじっと見つめた後にっこり笑った。
「わかりました。それでは郁さんは、これから僕の事をもっと知ってください。
イギリスは郁さんが大学を卒業するまで待ちましょう」
郁は何とか質問に答えられた生徒のように、ほ〜っと安堵の溜息を漏らした。
「じ、じゃあ そゆ事で、ミソ汁もあったまった事だし食べるか?ハワードさん」
郁は緊張感から解放され、ミソ汁の保温気の電源を手探りで切った。
しかし厳しい教師となったハワード氏は、郁を解放してくれなかった。
「まずはレッスン・ワンです、郁さん。僕の事はシドニーと呼んでください」
「し、しどにーですね、はいはい」
「レッスン・ツーです。僕はミソ汁より先に郁さんが食べたいです」
そ、そう来たか〜!
「ハ、ハワードさん、それはまだ早いんじゃ…」
「シドニーですよ、郁さん」
「し、しどにぃ〜!」
「よろしい。発音はこれから練習しましょうね」
そう言うと シドニーになったハワードさんは、またもや郁を抱きしめ唇を近づけてきた郁はもう観念して、
シドニーの唇を受け入れた。
唇を重ねながらシドニーは郁の背中に手を回し、まるでワルツのステップを踏むように
ベッドに向かって歩き出した。
ベッドまでたどり着くと 郁の背中をしならせ、その反動で郁はゆっくりベッドに倒れこんだ。
>>701 その4.
い、いつの間にこうなったんだ…?
眼をぱちくりさせる郁の眼前で、シドニーはネクタイを緩めながら顔を近づけてきた。
うわぁ…まるで映画のラブ・シーンみたいだぁぁ…
郁はまるで他人事のように覆いかぶさってくるシドニーに見とれていたが、
唇が再び重ねられ シドニーの舌が自分の唇から入ってくると、また動悸が始まった。
シドニーの手が郁の服にかかり、一枚づつ剥がされる度に鼓動は高まっていった。
「…とーさん、ねーちゃんが持ってたのミソ汁の鍋だったよ。
今日はミソ汁抜きの昼食だぁ」
「そうか、夜は店屋物になるかもしれないなぁ」
「あ!それなら俺、ウナギがいいなー」
「明人のおごりなら特上でもいいぞ。とーさんは」
島崎家に取り残された家族は呑気な昼食を親子二人で食べはじめた。
のどかな日差しのする冬の日だった。
郁はシドニーの腕の中で、自分の頬をつねっていた。
「いてっ!」
「郁さん、どうしました?」
「い、いえいえ、なんでもないです〜!」
…やっぱり夢じゃなかった。
頬をつねるまでもなく、郁もシドニーも生まれたままの姿でベッドに横たわっているし、
郁の身体にはまだシドニーが触れた感触が生々しく残っているのだが。
あまりの展開の速さに 郁はまだ信じられない気持ちでいっぱいだった。
無我夢中でミソ汁の鍋を抱えて走ってきて数時間後、まさかシドニーとこういう関係に
なっていようとは。
郁にとってはまさに青天の霹靂だった。
「郁さん、後悔しているのですか?」
シドニーの青い瞳が郁を覗き込むと、郁はまた赤面した。
「…してないです…しどにー」
ガラスのように透明な人はにっこり微笑むと、
「よかった。これからもっと僕を知ってくださいね、郁さん」
と、再び郁を求めてきた。
げ、元気な外人だ…
不透明な世界の向こうには、こんなでき事もあるんだなぁ…と、
郁は再び陶酔の世界に引き込まれながら考えていた。
この後シドニーは郁が大学を卒業し英会話を覚えるまで日本で過ごす事になる。
ツーショットで撮られた週刊誌記事の切り抜きは、郁の抗議にも耳を貸さず、
シドニーの胸ポケットに大事な記念として収められていた。
おしまい
>>702 前作との投下間隔が短くて大変失礼しました。
専ブラから投下できなかったので、その3の
>そう言うと シドニーになったハワードさんは、またもや郁を抱きしめ唇を近づけてきた郁はもう観念して、
>シドニーの唇を受け入れた。
ここの改行を失敗しています。
そう言うと シドニーになったハワードさんは、またもや郁を抱きしめ唇を近づけてきた。
郁はもう観念して、 シドニーの唇を受け入れた。
と、脳内変換をお願いします…
乙です!
ミソ・スープは哲学するのその後、想像通りです。
そりゃ、食べられちゃってますよな〜。
訪ねていったの、ホテルですから…
最近、川原作品ラッシュのようで、
読み手としては嬉しい限りです。
エロ少なくても萌えます。
書き手の皆さん、ありがとう!
大学じゃなくて短大だった気もしたけど
すごく雰囲気でてましたよ。
ただ出来ればムニャムニャの描写も…w
>>705 感想ありがとうございます。
ミソ・スープを書いたものです。
今回、自己語りを入れますがお許し下さい。
実はエッチ描写も本当は2レスほどあったのですが、
専ブラから投下できないのでカットしてしまったのです。
今利用しているのは かちゅ−しゃなのですが
早く対応してくれるか、他の専ブラを探しています。
IEからだと連投規制とか厳しくて…
他の作家様方はどうやっているのでしょう…?
>>698 ありがdです!!
御礼書こうと思ったら新作が投下されてたので読みふけってましたw
明日早速買ってきますーーー
原作が楽しみです
>>706 うわーー!読みたかった(涙)>2レス
Live2chは対応してますよー!!
よかったら補足ででも…ハァハァ
>>706 参考にならないかもしれませんが、私の場合
WindowsであればOpenJaneを、
MacOSXであればCocoMonarを使用しています。
>>707様
>>708様
ありがとうございます。今両方入れてみました。
使いやすさを試してみます
カットしちゃった部分は、後日番外編を書く時にでも再利用
しますので、また投下したときはよろしくお願いします。
ミソスープ、投下ありがとうございますv
なんか萌えますた〜エロ部分があるともっと良かったなwじかいに
「元気な外人だ」にワロタw
711 :
698:2006/06/04(日) 13:09:12 ID:AovdAH7m
ミソ・スープは哲学する、大変美味しゅうございました。
是非、番外編も宜しくお願いします。
>>707 早速、御礼どーも!
ブレーメンU以外は全部読んでるので、お安い御用です。
ブレーメンUって、面白いですか?
買うかどうか迷ってます。
どなたか知ってる方、教えて!
>>711 『ブレーメンU』悪くないと思うけど。
「アンドロイドはミスティ・ブルーの夢を見るか?」の続編なので、
主人公はイレブン・ナインことキラ・ナルセ&星間企業スカイ・アイ社長ナッシュ・レギオン。
人間外も盛り込んだほのぼのヒューマンドラマ系SF。(という表現でいいんだろうか?)
ちょっとクールめな女性と天然素材な感じの年上男性のコンビなので、
『空の食欲魔人』のようなカップリングが好みなら萌え要素高いかも。
713 :
711:2006/06/04(日) 16:03:02 ID:zuIIWw+r
>>712 ご親切に解説付き、ありがとうです!
面白そうなので、買いに走ります!
アンドロイド…でのナッシュは26年間
『会社が恋人〜。男女交際もね〜したことないの〜。かわいそね〜。かわいそね〜』
でしたけど、その後恋人はできたのでしょうか?
かなり、気になる〜!!
人いないねえ・・・
次スレどうします?(現在484KB)
エロなしばかりで食傷気味かもしれませんが、投下します。
夢だっていいじゃない (笑う大天使) 史緒その1.
某航空会社系列の豪華ホテルの一室は明かりは消され、ほの暗い室内には、
うっすらとスタンドの明かりが1個だけついていた。
薄暗い室内で微かな衣擦れの音がする。
史緒がベッドに横たわる男を起こさないように、ストッキングを身に着ける音だ。
ついさっきまで体を重ね合っていた人が、ふと眼を開ける。
「司城君、やっぱり帰るんですか」
「あ、起こしちゃいましたか。気にせずまだお休みになっていてください。室長」
さっきまで男の腕の中で乱れていた彼女とは別人のようなクールさで、史緒は
ベッドに取り残した男に一瞥をすると身支度を整え続ける。
「たまには泊まっていきませんか?明日は休日だし、私は君と過ごしたい」
「申し訳ありません。持ち帰りの仕事がありますので」
『室長』と呼ばれた男は、ベッドから起き上がると史緒を引き止めるようと、背後から
抱きついてきた。
しかし史緒は身につけた洗練された微笑みでその腕を振り解くと、
「そのうちにまた誘ってください」
と、ホテルの一室を後にした。
取り残された男は、史緒の残り香を感じながら溜息をついた。
「さすが現役でキャリア官僚入りしたバリキャリだ…。中々ガードが解けないなぁ…」
東大卒業後、順調なキャリアを重ねて秘書議長となった史緒は 職場でも
『クール・ビューティ』と囁かれ、美しく気高き高嶺の花として有名だった。
聖ミカエル学院を卒業し、有能なキャリアウーマンとしての実績を重ねている 完璧な女性。
それが史緒に与えられている世間の評価だった。
ホテルのボーイにタクシーに乗り込み、史緒はまっすぐ自宅に戻る。
…は〜。冗談じゃねーよ。週末は貯めて置いた時代劇のビデオを見て過ごすんだ。
休みの日まで わらしの楽しみを奪われてたまるか。
それに、外泊なんぞしたら にーちゃんが泣くじゃないか。
これが史緒の本音だった。
>>715 その2.
司城家に到着した史緒はこそこそと屋敷の玄関を開けて、ぎくっとした。
一臣殿下こと、にーちゃんが玄関にソファをおいて読書をしていたのだ。
「おかえりなさい、史緒さん。毎日遅くまでお疲れ様です」
史緒はちょっと固まりながら、殿下の出迎えにごまかすように笑った。
「た、ただいまー、にーちゃん。なんでそんなところでいつも待ってるんだ?
仕事なら書斎ですればいいじゃないか。風邪引くぞ」
「社会に出たとはいえ、年頃の娘さんが連絡もなしに遅い帰宅をすれば心配するでしょう。
連絡してくれれば迎えに行けるのに」
殿下は無表情で本のページをめくりながらさっくり言う。
「そ、そだね〜、残業も多いからさ。今度から遅くなる時は連絡するよ。
にーちゃんも忙しいんだから、気にすんなって。
じゃ、私は着替えてくるからさ〜」
そそくさと、殿下の脇を通り抜けて自室にダッシュした。
…馬鹿言うなよ、にーちゃん。
男と逢引してたホテルに迎えに来いといえる程、私は厚顔無恥じゃないぞ!
史緒は心の中で思ったが、まさかそんな事を口に出せるはずはない。
出かける前と違った石鹸の匂いをさせている事に、史緒には気がついていなかった。
自室に消えた史緒を、一臣殿下は寂しげな表情で何も言わずに見送っていた。
「は〜、びっくりした」
史緒はパジャマに着替えながら、後ろめたい気持ちに満たされていた。
親友の柚子は先日、ロレンス先生と結婚し 和音は俊介さんと婚約した。
幸せそうな二人が、史緒は少しうらやましかった。
やはり好きな相手と結ばれるのは、史緒だって憧れる。
大学に在学中や就職してからも、何度か他の男と交際もしてみた。
だが、うちに戻って にーちゃんを見ると、付き合ってる男たちが野菜に見えてしまうのだ。
そんなこんなで、史緒には いつも決まった彼氏が定着しないまま今日まで来てしまっていた。
「ま、いっか。明日はビデオでも見て日々の疲れを癒そう〜」
あまり深く考える事はやめて、史緒は秘蔵のコレクションを整理すると自分のベッドにもぐりこんだ。
>>716 その3.
翌日、のんびりとビデオを見ていた史緒の元に、柚子と和音が遊びに来た。
「せっかくの休日に悪いな〜、疲れてるか?史緒」
「いんや。丁度時代劇のビデオを見ていただけさ。ま〜、上がれよ。
それより二人こそダーリンをほったらかしておいていいのか?」
なんだか気まずそうにしている二人に、史緒は大量に買い込んでいたおやつを出した。
「…?あんだよ、二人とも。遠慮しないで喰えよ」
「う、うん。じゃ、せっかくだからいただくとするか〜」
歯切れが悪そうに、柚子と和音は大福持ちに手を伸ばし もぎゅもぎゅと食べ出した。
史緒は時代劇を再生スタートして暴れん坊将軍の続きを見始めた。
柚子はそんな史緒をみながら、ボソッと口を開いた。
「な〜、史緒。お前、私らに何か隠し事してないか?」
「あん?別に何もしてないけど?」
どーしたんだ?こいつら?と思いながら、史緒はビデオから眼を離さない。
今度は和音がぼそっと言った。
「うちの俊介がさ〜。最近お前がよく男とホテルで会ってるのを見たって言うんだよ。
…彼氏が出来たなら、私らに一言言ってくれてもいいんじゃないか?」
史緒はあまり驚いた様子はなく、煎餅をかじった。
「あ〜、見られてたのか〜。俊介さんも目ざといなあ」
二人は史緒のリアクションの薄さに拍子抜けしたが、真意を測りかねて尋ねた。
「見られてたのかって、水臭いじゃないか。私らは友人なんだから気になるだろ。
史緒に彼氏が出来たなら、応援だってしたいんだぞ?」
「おっ!ちょっと待て。これからが暴れん坊将軍の見せ場なんだ」
二人の心配を余所にビデオを見ている史緒に、柚子が思わずTVを消した。
「あー!あにすんだよー。今いいところだったのに!」
文句を言おうとした史緒は、二人の真面目な顔に驚いて 眼を逸らした。
「…別にあれは彼氏なんかじゃねーよ。だからわざわざいう必要もなかっただけさ。
それよりビデオ見せてくれよ〜」
「だって、ホテルに行くような関係なんだろ?彼氏じゃなかったら何なんだ?」
チャンネルを柚子からパスで受け取ると和音が驚いたように聞き返す。
「ん〜、いわゆる世間体での外交って奴かな」
史緒の言葉に柚子はあんぐりと口を開いた後、いきなり史緒の頭をどついた。
「なんだよそれ!じゃ、好きでもない奴とお前はああいうところに行くのか!?」
「…いて〜な〜…。別にいいじゃんか。ちゃんと予防はしてるんだし」
「そ、そういう問題じゃないだろ?お前、け、結婚とかする時困るじゃないか!
いつからそんな奴になっちまったんだよ!眼を覚ませ!」
長年付き合ってきた友人の史緒が、思いもかけない言葉を言うのに柚子と和音は
動揺した。
史緒は表情を崩さないまま、ボソッと言った。
「い〜んだよ。私は結婚なんかする気ないし。…老後の面倒見るって約束したしな。
ほれ、チャンネル返せよ」
>>717 その4.
柚子と和音は、史緒の言葉の意味にはっと気がつくと 黙って史緒にチャンネルを返した。
二人にはわかってしまったのだ。
自分たちの夫や婚約者と違って、史緒は殿下と血が繋がっている。
どんなに好きでも、史緒と殿下は結ばれる事は絶対にないのだ。
「…あんだよ。そんな顔すんなよー。もし彼氏ができたら、ちゃんと報告するからさ」
――きっと、永遠にそんな日は来ない。
忘れようとしても、きっと史緒には殿下以上に好きになれる人は現れないだろうし、
きっと 殿下もそうなんだろう。
TVをつけなおして、画面を巻き戻す史緒を 柚子も和音も何も言えずに見つめた。
なんだか切なくて、二人とも泣きそうな顔になっていた。
「…肉まんも喰えよ」
史緒がぼそっと袋を差し出す。
「…うん、悪いな」
柚子と和音は、もう黙って肉まんに手を伸ばした。
そのまま 三人は黙って肉まんにかぶりつき、時代劇の音だけが流れ続けた。
>>718 その5.
「史緒さん、お二人と喧嘩でもしたんですか?」
夜になって、柚子と和音がしんみりとした顔で帰るのを見送ったにーちゃんは聞いてきた。
「あん?喧嘩なんかしねーよ。二人とも マリッジ・ブルーみたいで落ち着かないんだろ。
すぐに元に戻るって」
史緒は普段と変わらないようにまだビデオを見ている。
外では巨大な猫をかぶったキャリア・ウーマンの史緒なのに、家では時代劇オタクの娘さんだ。
殿下はそんな史緒の背中を見ながら、決心したようにつぶやいた。
「史緒さん、好きな人が出来たら ちゃんと紹介してくださいね。
僕に気を使う事はないんですよ」
史緒は『またかよ』と思ったが、にーちゃんにも言っておくか と考えた。
「誰が誰に気を使うんだ、馬鹿馬鹿しい。にーちゃんは、私に嫁に行って欲しいのか?」
殿下は一瞬固まったが、笑う場面なのに真面目な顔をしてTVを見ている史緒の横顔を見つめた。
史緒の問いに、答える事ができない自分に戸惑った。
「にーちゃん。私、誰とも結婚はしないよ。
薄利多売の交際しか出来ないにーちゃんの老後を見るのは私しかいないだろ?
ちゃんと老後は看取ってやるから安心しな」
史緒は振り返ってにこっと笑うと、またTVに視線を戻した。
一臣殿下は赤くなると、なんだか嬉しそうな顔になって史緒の頭を本で叩いた。
「いてーな。ハードブックでぶつなよー、にーちゃん」
こんな関係でもいいじゃないか。
たとえ、これからの未来が変わっても 今はこうしているのが幸せなのだ。
きっと未来も変わらないだろうけどね。
お月様も微笑む、今は夢のように幸福な時間。
おしまい
スワップ風が投下途中なのに、同じ題材ですみませんでした
>>719 GJ!
文緒さんの気持ちがせつないの〜。
気持ちは殿下にあるのに、体は他の男と…
大人の文緒さん、これはかなりありえますな〜。
ところで、次スレ立てましょうか?
冒頭はこのスレの1と同じにして、2での保管庫を変更すればいいんですよね?
それとも、まだ先でもいいですか?
何も異論がないようなら、今日中に立てますよ。
>722
乙です。ありがとう。
大天使の史緒さんGJでした!
なんかいいな、こういうの…
史緒さんに切なくなった柚子さんと
和音さんのその後も読みたいっす!
>>722乙ですが…
なんだか住人さん減っちゃったのかな?
せっかく職人さんがいるのに、なんだか寂しいですね
>715さん
乙です!
男女の仲になってる二人も萌えるけど、
こういう切ない距離感の二人にもグッと来ました。
自分もその後の柚子さん・和音さんも読んでみたいです。
>725さん
自分はギコで書き込めずにしばらくROMってたよ。
耐え切れずに今はIEから書き込んでるけど。
>>725 居ますよ ノシ
仕事の締め切りが近いのでレス遠慮してました。
フミオさんせつないっす、GJでした。
はいはいいますよー。
フミオさんと殿下のこーゆー関係は今までになかったから新鮮だね。
GJです。展開が非常に気になる。
>>715 なんだかエロなくても萌えますた!!
できれば連載にしていただきたい…
三月革命の続きも待っております!!
新スレに移るまでは待ったほうがいいのかな?
あ!ミソ・スープの番外編もwktkして待ってますー
どれもいいなぁ。
悪魔を知る者もよかったし、作品がたくさん投下されると嬉しいです
GHQ…しつこくお待ちしておりますおー。
>>702 ミソ・スープは混沌する
こっちが余っている様なので、カットした部分で埋めます。
エロ描写が色っぽくないのは勘弁してください…
______________________________________________________________________________________________________________________________________
その4.
い、いつの間にこうなったんだ…?
眼をぱちくりさせる郁の眼前で、シドニーはネクタイを緩めながら
顔を近づけてきた。
うわぁ…まるで映画のラブ・シーンみたいだぁぁ…
郁はまるで他人事のように覆いかぶさってくるシドニーに見とれていたが、
唇が再び重ねられ シドニーの舌が自分の唇から分け入ってくると、
また動悸が始まった。
唇を重ねつつ シドニーの手が郁の服にかかり、ブラウスのボタンがするするとはずされてゆく。
郁の鼓動はどんどん高鳴って息苦しいほどだった。
さすがシンセ何とかを何台も駆使する天才と、明人が尊敬するだけある芸人だ。
シンセ…なんだっけ…?と思い出そうとする郁の思考はシドニーによって遮られてしまう。
細く長い指の動きは強弱の緩急をつけて郁の素肌の上を滑る様な速さで
動き回り、指先が触れる度、郁の身体は 自分でも驚くほどに反応していた。
まるで流れる様に動く指が 郁の身に着けていた服を1枚づつ消し去ってゆく。
その不思議な指の感触に思わず出てしまう自分の声が郁自身も信じられない。
「う、うそ…、こ、これ私の出してる声…?」
「郁さん、僕もまた新しい郁さんをいくつも見つけていますよ」
シドニーは郁の身体の反応を眩しそうに見つめて囁いた。
まるで ミソ・スープに初めて出合った時と同じように、
郁の見せる反応は シドニーに新たなインスピレーションを湧き上がらせた。
うなじや鎖骨を滑らかな動きでシドニーの指と唇が踊るように動き回る。
動きにあわせて郁の声がピアニシモで洩れる。
ブラの上からシドニーの指が郁の胸に触れると、郁の声はややフォルテシモに変わった。
郁はくすぐったいのとも違う、不思議な感覚に翻弄されていた。
するりとブラもはずされ、緩やかな膨らみを確かめるようにシドニーの指が動くと、
恥ずかしさを感じる暇もないほどに、郁の感覚は高まっていく。
いつの間にか掛けられた毛布の下で スカートが郁の身体から消え、
続いてストッキングとショーツも手品のように奪い取られてしまった。
宙に浮く様な感覚の中で、シドニーに操られている郁はまとまらない頭で考えた。
『この人、音楽家じゃなくて実は手品師なんじゃなかろ〜か…。』
シドニーはまるで郁の身体を使ってショーをしている様に感じられた。
>>733 その5.
郁は顔を紅潮させながら シドニーに反応してしまう自分に驚きつつ、
自分をこんな風に翻弄しているシドニーが少し憎らしくなった。
「ハワードさん…も、もしかして私で遊んでない…?」
「シドニーですよ、郁さん。僕はいつでも真剣です。今は郁さんに感動しています」
「し、しどにー。か、感動って…なんで?」
シドニーは黙って郁の両胸を指と唇で揉みあげると、郁は跳ねるように反応し、
甘い声をあげてしまう自分にまた驚く。
「郁さんのこの反応が 僕を感動させるんです」
シドニーは郁の耳元でそう囁くと、郁の耳朶にもキスをした。
またもビクンと反応してしまう。
「私は自分に驚いてます…」
初体験でこんなに反応しちゃうものなんだろうか…?
「そんな郁さんも、僕は好きですよ」
郁はシドニーの言葉に照れながらも、更に感じてしまう自分に混乱していた。
シドニーもワイシャツを脱ぎ捨てると、郁の素肌に重ねてきた。
私らと全然違う白い肌だぁ…なんだか眩しい感じだった。
陶磁器のように白く、すべらかな肌をしたシドニーが郁を見下ろしている。
まるで本当にガラス細工みたいなのに、その体温は暖かかった。
不思議そうに見とれている郁とシドニーの目が逢ってしまう。
青い瞳に自分が映っているのが見えて、郁の顔は益々紅潮した。
うわぁ…恥ずかしい!
思わず顔を背けてしまう郁を、シドニーの青い瞳は柔らかく見つめた。
横を向いて露わになった郁のうなじを、シドニーの唇がなぞってゆく。
郁はまた小さな声が出てしまうのを抑え切れないでいた。
シドニーの指が、更に郁をゆっくりと奏で始める。
魔法の指が郁の敏感な部分に触れた時、郁はあまりの衝撃で 感電した様に
仰け反ってしまった。
あまりに驚いて、シドニーにしがみついてしまう。
「…郁さん、大丈夫ですか?」
し、しんぞーが破裂しそうだ。
うまく言葉にならない郁は、赤い顔のままこくこくと頷くことしか出来なかった。
郁が頷くと、シドニーの指は動き始める。
最初は触れるか触れないか位の速さで、それが段々早くなってゆく。
郁はシドニーにしがみ付きながら、自分が柔らかく溶けて溢れて行くのを感じた。
体の芯から火照り、シドニーが触れているところから発火しそうな不安を覚えた。
シドニーの指が郁の中に入ってくる。
細くしなやかな魔法の指は、何の抵抗もなく郁の中を滑らかに奏でてしまう。
「し、しどにー、なんだか変な気持ちです…」
途切れ途切れに郁が囁く。
やばい、意識が飛んでしまいそーだ。
「…どんな風にですか、郁さん」
「う、うまく言えません…けど…気絶しそうです…」
消え入りそうな喘ぎとともに、郁はやっとの思いで答えた。
郁の中で動いていた指が止まり、そっと郁から出てゆく。
「……はぁ…っ…」
熱に浮かされた様に、郁は熱い溜息のような吐息を漏らして脱力する。