【濱中アイ】氏家ト全総合 13時間目【妹は思春期】

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1名無しさん@ピンキー
まったりいきましょう。

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【濱中アイ】氏家ト全総合 12時間目【妹は思春期】
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【濱中アイ】氏家ト全総合 11時間目【妹は思春期】
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【濱中アイ】氏家ト全総合 10時間目【妹は思春期】
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【濱中アイ】氏家ト全総合 9時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1125079101/
【妹】氏家ト全総合 8時間目【濱中アイ】
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【濱中アイ】氏家ト全総合 7時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120910446/
【濱中アイ】氏家ト全総合 6時間目【思春期】
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【女子大生】氏家ト全総合 5時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117279379/
【家庭教師】氏家ト全総合 4時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114597887/
【カテキョ】氏家ト全総合 3時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1109699736/
【濱中】氏家ト全総合 2時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106563195/
家 庭 教 師 濱 中 ア イ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1095652398/

古田氏作のSS保管庫
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【お願い】
作品の投下は以下のようにしてくれると助かります。
(1).投下します宣言
(2).本編投下
(3).ここまでです宣言

また、作品のタイトルは上記の(1)、(3)のどちらでも良いのですが、
1行独占で書いてくれると助かります。本文に紛れると見落としてしまうことがあるので。
↓こんな感じ
タイトル:「?????」
名前欄はこれまで通り作家さんのコテでよいです。
2名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 19:54:23 ID:Wtacwnyv
>>1乙です!
3名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 20:00:03 ID:1CcvaSf9
>>1
乙キンタマ〜
41:2005/12/09(金) 20:01:35 ID:W3qMCiLy
>>1 のテンプレの【お願い】箇所は若干改変(レス番号など除去)しました。
5名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 20:43:04 ID:Is1md2Lc
>>1
乙カナミ
6名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 21:16:12 ID:KX8lqUXG
>>1
乙であります、ご苦労様です
さて、新スレのファーストストライクはどの神でしょうか
7ペピトーン:2005/12/09(金) 21:25:07 ID:oqKtbnSX
>>1
スレ立てお疲れ様です。
早速ですが、久々に投下させて頂きます。
タイトルは「天使と戦士の休息」で。
8ペピトーン:2005/12/09(金) 21:29:21 ID:oqKtbnSX
時は3月、所は後楽園大学、シンジは大学受験の合格発表の結果を見に来ている。
シンジは祈るような思いで自分の受験番号を探す。
「えーと、4820、4820…!あったぞ、合格だ!」
「え、本当?やったー、シンジ君おめでとう!」
シンジの横でそう声を掛けたのは今岡ナツミである。
「ナツミ、お前は?」
「もちろん!」
シンジが聞くと、彼女はVサインを向けた。彼女も合格していた。まあ、彼女の学力なら十分に
合格するだけの力がある。しかし、シンジが合格できたのは彼女の協力があったからこそである。
そう、今ふたりは恋人同士である。

時は進路希望のプリントを提出した頃にさかのぼる―
シンジは放課後も教室に残って勉強をしていた。その横には今岡がいる。シンジが大学受験を
意識するようになってからは放課後にふたりで勉強をする機会が多くなった。
まあ、以前から委員会の仕事などでふたりきりになることはそう珍しくないのだが。この日も
シンジは今岡に勉強を教えてもらっていたのだ。

「悪いな、いつも付き合わせちゃって」
「いいのよ気にしなくて。ところで、城島君はどこの大学を受けるの?」
「オレの頭なら神宮大かなあ」
そうシンジが答えたとき、突然今岡は、
「私と同じ後楽園大にしなさいよ」
「え、後楽園大?軽く言うなって。オレの頭じゃとても無理だよ」
「今から頑張れば十分いけるわよ。それに前から、私…城島君と…大学も一緒に…その…行きたいと…思ってたの」

そう言うと、顔を赤らめて下を向いてしまった。今岡にとって精一杯の告白の言葉である。いくらニブチンの
シンジでも今の言葉の意味は理解できた。

「オレの事、そう思っていたなんて…でも、オレに出来るかなあ?」
「大丈夫、私が毎日勉強に付き合ってあげるから」
「でも、本当にいいのか?」
「うん、もちろんよ。これで決まりね!」

ふたりが付き合い始めたのはこういう訳だが、シンジにとってここからが大変だった。後楽園大受験の対策の
参考書などを解く毎日が始まった。彼女の勉強に対する態度は非常に厳しく、余りにくだらないミスなどをすると
時には頭をゴツン、とやられることもしばしば(これが結構痛い)。彼氏彼女の関係になってお互いを下の名前で
呼び合うようになり、時々はキスをしたりすることはあったものの、結局受験生ということもあって、恋人同士の
甘い関係には程遠いものであった。だが、シンジはナツミが彼女になってくれたと同時に、自分の先生に
なってくれたことに対し本当に感謝しており、何とか彼女の期待に応えようという思いを支えに一生懸命勉強し、
後楽園大受験の日を迎えたのである。
9ペピトーン:2005/12/09(金) 21:32:29 ID:oqKtbnSX
「シンジ君、私の家に寄っていこうよ」
合格発表を見終わった後、学校に報告に行ったあと、ふたりはナツミの家に行った。

シンジは今ナツミの部屋にいる。部屋に入るなりどちらからともなくふたりはしばらく抱き合った。
「シンジ君、よく頑張ったね、おめでとう」
「ナツミ、本当にありがとう」
女の子のいい匂いが、シンジの鼻腔をくすぐる。なんとも心地よい柔らかさが両手から伝わってくる。
しばらくその感触に浸っていると、
「あ、シンジ君、カーテン閉めるね」
ナツミは思い出したように一旦シンジの手から離れカーテンを閉めた後、机の引き出しから何かを取り出した。
顔を赤らめながらシンジの目の前に差し出したものはなんと、コンドームである。
「…シンジ君、使ってみよ」
シンジはいつかこうなることを期待していたのは事実だけど、
いざその時を迎える段になって思わず野暮な質問をしてしまう。
「ナツミ、本当にいいのか?」
「…女の子に何度もこんな事言わせる気?」
ナツミの精一杯の言葉を聞いて、シンジはどうにか落ち着きを取り戻した。
「…ナツミ」
「…シンジ君」
ふたりは目を合わすと、唇を重ねた。しばらく唇を重ね合った後、シンジは思い切って
ナツミの耳元でささやく。
「ナツミ…服、脱がすよ…」
「うん…」
シンジはナツミのブラウスのボタンに手を掛け、ひとつひとつ外していく。ナツミは目を閉じて、
シンジのなすがままにしていた。そしてスカートを脱がし、ナツミはブラとパンツのみの格好になった。
10ペピトーン:2005/12/09(金) 21:36:13 ID:oqKtbnSX
「シンジ君…今度は私が…」
ナツミはシンジのトレーナー、Tシャツを脱がして上半身裸にすると続いてジーンズを脱がそうと
ベルトを外し、下げたのだが、勢いあまってトランクスも一緒に脱がしてしまい、すでに興奮し、
いきり立っているシンジのペニスを目の当たりにしてしまう。
「…ナ、ナツミ、あの…」
シンジはいきなりで戸惑ったが、ナツミは興味津々でペニスを眺めていた。人差し指でつんつんと
突付いてきた。ピクンと反応する。
「ふふっ、おもしろーい」
クスッとナツミは笑った。
シンジはナツミの身体を引き寄せて、ゆっくりとベッドに倒れこんだ。シンジはブラの上から乳房に触れると、
電気が走ったようにナツミの身体がピクッと震える。白いブラに手をかけ外すと、乳房が露わになった。
ナツミは恥ずかしそうに顔を赤らめて横を向いている。
(うわ…すごい…キレイだなぁ…)
シンジはナツミに聞かれはしないかと心配になったけど、ゴクンと喉を鳴らして生唾を飲み込まざるを得なかった。
女の子の裸なら本やビデオではいくらでも見ているが、実際に目の前にするナツミの裸体は、
健康な性欲を持つ男なら、ふるいつかずにはいられない身体である。
「ん…」
再び唇を重ねしばらく吸いあった後、シンジの舌がナツミの唇を軽く舐め始めた。ナツミは少し驚いたが、
それも一瞬で、嫌がる素振りも見せず自分からも積極的に舌を出し、シンジに絡めた。そのままシンジの手は
ナツミの乳房を愛撫し始めた。淡いピンクの乳輪の先端に乗った小さな突起を指先で転がし、
もう一方の手でナツミの下腹部をまさぐる。
11ペピトーン:2005/12/09(金) 21:43:01 ID:oqKtbnSX
「は…あっ…シンジくん…お願い、優しく…」
プハッと息をついて互いの唇が離れると、ナツミは普段の彼女からは信じられないような
甘えた音色の声を上げた。
「うん…分かってる…」
シンジは軽いキスを繰り返しながらナツミへの愛撫を続ける。唇だけでなく、頬、額、
うなじ、首すじと…柔らかいキスを何度も浴びせてナツミの緊張をほぐそうと努めた。
やがてキスの雨は首から下へと下がっていき、ついには小さなピンク色の乳首を捉えた。
「あっ、あっ、シンジくん、そこ…」
「感じる…?固くなってるよ、ここ…」
舌と唇で乳首を攻めるシンジ。そこは既に硬さを増してピンと飛び出し、ナツミの性感の高まりを示していた。
「やぁ…変なこといわないでよ、バカぁ…」
ナツミの動悸の激しさがハッキリと感じられる。乳房への愛撫を続けながらシンジは、片方の手をパンツの中に入れると
ナツミの茂みの中へと手を伸ばした。すぐに、ひときわ柔らかく熱い秘唇に指が触れる。
「はぁぁ…っ、あっ、あぅ…そこは…ぁ…」
シンジは指先で秘裂の入口を繰り返し、やさしく撫で上げた。ナツミのその部分はシンジが驚くほどに、
どんどん湿り気を増してくる。シンジに抱かれる―。そのムードに呑まれて、すでに敏感になっていたナツミは、
急速に性感を解放しつつあるのだった。
「ナツミ…ナツミの…もっとよく見たい…。いいかな?」
「え?あ!?シンジ…くん!?」
ナツミの答えを待たずにシンジはナツミのパンツを脱がすと、ナツミの太腿の間に顔を潜らせた。
ナツミの恥部が目の前に現れた。これまで本やビデオでは見たことがあったが、実際に見る光景は
この上なく淫猥なものであった。シンジは薄めの黒い茂みの下を舌で舐め始めた。
「だめ…、そんなとこ…きたない…」
ナツミが元々赤くなっていた顔をさらに赤くして、シンジの行為を制しようとした。
「汚くなんかないよ…それに…ナツミのものなら…平気だよ」
「−は、恥ずかしい、シンジくんのばかぁ…っ」
ナツミは恥ずかしさに両手で顔を覆ってしまったが、それ以上拒もうとはしない。シンジは抵抗が無いのを確かめながら、
ナツミの両膝を割ってその中心を露わにしていった。
「あ…」
すでに濡れて光るそこは、シンジの愛撫によって花開きつつあったが、ふだんの健康的で清潔なナツミの外観のように、
小さめで花弁のはみ出しも少なく、未だ少女の可憐さを残しているかのようだった。
「ナツミ…とても綺麗でかわいいよ、ここ…」
「バカッ、そんな事言わないで…あっ!?あふ…ぁ、ひあっ!」
外側の肉薄の花弁をそっと開いたシンジは、敏感な突起を包み込んでいるあたりを舌先で
転がすように撫で上げ始めた。
12ペピトーン:2005/12/09(金) 21:45:36 ID:oqKtbnSX
「あぁぁっ、はう…う、はあっ、シ、シンジ…くん…」
ナツミは自分の下半身が股間から溶け出していくかのような錯覚を覚えた。割れ目からは愛液が湧き出してくる。
股間を舌で愛撫しながら、シンジの手は乳房や脇腹をも同時に責めることも忘れなかった。
股間を見つめられるのも、自分の喘ぐ声をシンジに聞かれるのも、ナツミはとてつも無く恥ずかしかったが、
羞恥心を煽られる一方で、安らかな満足感で心が満たされていくようで、何だかとても嬉しくも感じていた。
「ナツミ、そろそろ、いい…?入れても…」
「え…」
はあはあと、荒い息を吐きながらナツミが下半身の方に目を移すと、身を起こして自分を見下ろしている
シンジの股間から、さっきまで以上に大きさを増して強烈に突き出しているペニスが見えた。
(ああ…とうとう…私)
ナツミは一瞬恐怖したが、シンジを求める欲求がすぐにそれを打ち消した。何よりナツミの身体自体が、
すでに感極まって男を待ちあぐねていた。
「うん…きて…シンジくん―」
ナツミは覚悟を決めて目を閉じた。シンジはナツミの両膝を持ち上げて押し開き、先程ナツミから渡された
コンドームを熱く膨れ上がった肉棒に装着すると、手を添えてナツミの入口に狙いを定める。
「ナツミ―あの…オレも初めてだから、よく分かんないんだけど―」
ナツミの身体を気遣っての事で、そう前置きした上で、
「最初は痛いと思うんだ―、我慢できないくらい痛かったり、怖くなったら遠慮しないでそう言ってくれ。途中でも止めるから」
「うん…分かったわ、シンジくん…ありがとう」
「……」
精一杯の気遣いを見せていたシンジであったが、それ以上考えている余裕はなかった。もはや彼も、強烈に勃起した股間が
目の前の美しい女体を求めて我慢の限界に達していたからだ。一刻も早く、この白く柔らかな肌を貪り、
溜まりきった精を吐き出したい。牡の肉欲が理性を圧倒していた。
13ペピトーン:2005/12/09(金) 21:48:31 ID:oqKtbnSX
本日はここまで。残りは近日中に必ず投下します。

>>郭泰源氏
拙作の設定の中に貴方の作品から大学名を使わせてもらいました。
事後承諾になりますが、ご容赦をお願い致します。
14名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 23:34:09 ID:gRy8hNJN
今週のラストから、
戸川「つきあってるなら、キスしてみてください!!」
とかなるんだろうか。




アヤナ「演技でやったんだから勘違いしないでよね!? ファ、ファーストキスだったけど全然気にしてないからね!? むしろ嬉しかったんだから調子に乗らないでよね!?」
リョーコ「本音だだ漏れてるわよ」
15名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 23:58:49 ID:KX8lqUXG
ペピトーン氏乙&GJ!
16名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 01:20:51 ID:08vgs0T0
>>1
キンタマ〜
17名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 13:35:05 ID:DRB/t8Gf
ペピトーン氏乙ですー。
続き待ってます。
18名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 01:10:16 ID:+Qe2NzhP
ペピトーン氏 GJ!!
19郭泰源◇sVFFYWWOil:2005/12/11(日) 02:01:35 ID:2dCXkJiH
がああ!すんません、前スレ埋め用のネタが容量オーバー・・・
なんで、前スレ>>586の続き・・・ああ、恥ずかしい。
20郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/11(日) 02:02:16 ID:2dCXkJiH
(そ、そうだ若田部、こ、ここではお前だけが頼りだ、こんな変態的なことを止めろと……)
「……可愛い……すごく……いい……」
「コラ、若田部!なんでお前まで目をそんな潤ませて…」
「私ね、私……ずっと言えなかったけど、ヅカファンだったの」
「へ?」
「宝塚のファンだってっことよ。そうで〜〜〜しょ〜〜〜う、フランソワ〜〜♪」
「そ〜〜〜う〜〜〜で〜〜〜〜す♪♪お姉様〜〜〜〜♪」
(ダメだ……やっぱり、若田部も変だった……)
"ガチャ"
「毎度〜〜〜、お茶入った……え?」
「さ〜〜て、で・は〜〜〜、お母様〜〜、マサにセーラー服を着せてあげたいのですが〜〜♪」
(なんで……宝塚モード続行中なんだ……)
「…………」
(そ、そうだ、母さん、前回はアレだったけど、今回は……)
"パチン、……するッ、ぐッ"
「??か、=$☆母さん?」
「?お母様?なんでいきなりブラを外して、オマケに掲げて見せるんですか?」
「ブ」
「?」
「ラジャー!!!!!!!!!!!!!」
(ああああああ……やっぱりこの人もダメだ……)
「了解でっす〜〜♪では、着替えは私とお母様で向こうの部屋で〜〜♪後はお楽しみよん♪♪」
「「「「はいッ♪」」」」
「あ、ああああああ……」

〜〜〜〜〜〜10分経過〜〜〜〜〜〜

「しかしこれは」
「予想外にと言いますか」
「予想以上と言いますか」
「………キレイ……」
「そうでしょ〜〜〜♪リョーコちゃんと一緒に、今回はメイクまでバッチリ決めたんだから♪
マスカラに、ファンデでしょ〜〜♪リップも濡れっぽいのが良い感じ♪」
「ヘアメイクもビーズ散らしたりして凝ったのよん♪でもこれ、危ないくらい可愛いですわね……」
「さすがに下着は男物だけど、一応ブラもさせたのよ?」
「はははは、お母様ったら細かいディティールまで凝るひとで♪」
「そりゃ〜〜ね〜〜、ヤルなら楽しまないと……アレと一緒よ〜〜♪」
「…………すいません、もう勘弁してくだ……」
「じゃ、みんなで記念撮影といきますか♪」
「だから人の話を聞けえええええええええええええ!」
「このデジカメ、セルフタイマー機能付きだから全員写りますよ……では♪」
「あ、あの……マジで、勘弁して……お願いですから……」
「大丈夫だって、マサ?明日学校で配ったりはしないから。ね、ミサキ、リン、アヤナ?」
「ちょっと惜しいけど……」
「仕方ありませんね……」
「でも、あとで個人的に楽しむのは……」
「だからお前ら!個人的に楽しむって……」
「はい、チーズ」
"カシャッ"
「あ……あああああああ……」
女性陣は、気付いていなかった。
こうした日々がマサヒコのEDと女性不感症の原因だということを……


END
§
21郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/11(日) 02:04:25 ID:2dCXkJiH
以上。最初酉失敗してるし(苦笑)、前の誰かのsageパクったけど、微妙に合ってないし・・・
ダメダメ君ですいません!
タイトル:「My funny valentain」でお願いします。……ベタベッタ!
22名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 05:26:28 ID:QM5AtZC/
足並みの揃った女性陣ワロスwwwwwwww
郭氏乙ですwww
23ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:34:07 ID:jRBkCpg/
テスト
24ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:35:09 ID:jRBkCpg/
職人の皆さん、古田氏、お疲れ様です
一応トリをつけてみました。

「アイのカタチ」最終話になります。
スルー対象ワードは「ご都合主義」「無理矢理まとめた」です
では投下↓
25ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:37:00 ID:jRBkCpg/
 部屋は薄暗かった。
窓にはカーテンがかかっておらず、
そこから差し込む白っぽい外の光だけが、うっすらと部屋全体を照らしていた。
窓の下に木製のベッドがあり、真っ白なシーツにくるまって、二人の男女が愛の営みを交わしていた。
部屋は暖かかった。
暖房を強くしているわけではない。
二人の体から立ち上る熱気が、部屋全体の温度を上げていたのだ。
「くうっ……きゃ、うっ……!」
 女の体が、シーツの下でビクンと跳ねた。
男の手が彼女の敏感な部分を責めたからだ。
女は体の芯に走る衝撃を少しでも逃がそうと腰を揺らしたが、男はその手を休めようとはしなかった。
逆に、その動きを一層激しいものにしていった。
「ひゃ、あ、ああっ」
 シーツが波打ち、汗を吸い込み、二人の体の線を浮き上がらせるようにまとわりついてく。
「あ、あ、ああ、ああ!」
 男が女の首筋から肩にかけ、キスの雨を降らせた。
秘所を弄る手指も動きを怠ることはない。
「ん、じゅ……」
 女の肩に滲み出た汗の玉が、男の唾液と混じり、女の肌を覆っていく。
外から入る白光を受けて、その部分が妖しくてらてらと輝く。
「くっ……」
「むう……っ」
 男は体を伸び上がらせると、自分の舌先を女の頬に押し付け、滑らせて唇へと運んでいった。
快楽によって食いしばられた女の歯をノックするように舌で叩き、こじ開けると、舌を差し込んだ。
「はむ……っ」
「む、ちゅ……」
 唾液と汗が混じり、しょっぱい、だけどどこか甘い味が二人の口内に広がっていく。
「む……うにゅ……くはぁ」
「は、はっ……ろ……っ」
 男の手がシーツの下でごそりと動いた。
女は身をよじろうとしたが、男がもう片方の手と唇で押さえつけているため、かなわなかった。
「く、ふうう……」
 男は舌先による蹂躙を止めると、女の秘所から指を離した。
下腹部から臍、臍から脇へと、濡れた指先で線を書くように移動させていき、
最後に女の左の乳房、その頂点でツンと尖っている淡いピンク色の蕾へとたどり着かせた。
「あっ……!」
 また、女が震えた。
自分が分泌した淫らな体液が乳首に絡み、火照った体でそこだけがヒヤリと冷たく感じられた。
「や、はん……っ……くぅ!」
 男は乳首を親指と人差し指で摘み、指の腹で優しく前後左右に擦りあげた。
「あん、あ、ああ、ん」
 男の指が一往復するごとに、女の目蓋がピクピクと震えた。
左の胸の先から全身に伝染していく、官能という名の痺れ。
「はあ、はぁ、は……っく、はぁ……」
 男は数分程、その行為を続けただろうか。
女の唇の端が痙攣を起こしたように小刻みに震動し始めたのを見て、男は手を止めた。
次に、シーツの中に体をもぐり込ませると、顔を下へ下へともっていった。
「……ッ!」
 臍から下、陰毛を鼻先でかきわけるようにして、
女の一番大事な部分に顔を近づけ、照準を合わせた。
次の瞬間、女の口が大きく丸く開かれ、その奥から正確に音として聞き取れないような悦楽の響きが漏れた。
男が文字通り、そこにかぶりついたのだ。
「ッ、ッ、ツーッ!」
 シーツに両腕を突っ込み、男の頭に当てて引き剥がそうとするが、出来ない。
男の舌が、淫猥な音をたててそこを舐り倒していく。
「あ、が、い……ッ!」
 首を数度、左右に激しく振ったかと思うと、女は全身を突っ張らせ、顎を反らせて薄い悲鳴をあげた。
首筋、鎖骨、乳房の上辺りが、桜の花が咲いたかのようなピンク色に染まる。
26ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:38:15 ID:jRBkCpg/
「ふ、ぐ、あぁ……」
 女の体から力がガクッと抜けた。目から一筋、涙が流れてベッドの上へと落ちていく。
「……ふぅ、っ……」
 男は、女の強張りが解けたのを確認すると、シーツを飛ばす勢いで体を持ち上げ、膝立ちの姿勢を取った。
その口の周りは、先程の汗と唾液と同じく、淫らに光っている。
「は、ふ……」
 外気に触れた肌から、白い湯気が発し、天井へと昇っていった。
「……」
 ゆっくりと右手を伸ばし、男は女の頬、耳、そして髪の毛を掌で優しく撫で上げてゆく。
「……いきます」
 女の体から快楽の波が去ったのを見計らい、小さく、だが確実に女に聞こえる大きさの声で、男は呟いた。
それに対し、女は前髪に触れる男の指に自分の指を絡ませ、コクリと頷いた。
「……」
 男は微笑んだ。
そして、女の太股に手を回して割り開くと、狙いを定め、腰を徐々に前へと突き出していった。
「あ……!」
 熱い、柔らかい肉が男を包んでいく。
「ああ……っ!」
 熱い、固い肉が女を貫いていく。
「ふあ……!」
「くぅ……!」
 最奥まで、到達した。
男は、また微笑んだ。
女も、微笑み返した。
目線と目線が交差した。
穏やかな、暖かい空間。
性欲と愛情、理性と感情の狭間。
「う……んっ」
「あっ、ああっ」
 男が腰を揺らした。
女の腰が揺れた。
肉と肉がぶつかる音とベッドが軋む音、そして二人の声が部屋の中に繰り返し、繰り返し積もっていく。
「くっ、くうっ、あ、アイ、せんせ……えっ!」
「んん、あん、うっんっ、はぁ……っ、マサヒ、コ、くぅん……!」
 シーツはすでに床に落ちていた。
「アイ、アイせん、せい、あ、ううっ!」
「マ、マサ、マサヒコく……んッ!」
 二人の声のトーンが、段々と上がっていく。
「はぁ、はぁはぁ……くうっ!」
「あ、いっ、あ、ああ……ん、ッ!」
 窓から入る、白い白い、雪が輝く光。
それが、交わりあう二人の体を優しく照らし上げた。
27ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:39:29 ID:jRBkCpg/
                 ◆                     ◆

「……」
「……」
 やるコトをやった後の十数分間は、どこか無口になってしまうものだ。
快楽の余韻がまだ残っているのもあるし、体を動かした疲れもある。
何だか、ピンク色の靄が脳みそに薄っすらとかかっているような感じなのだ。
「……」
「……」
 天井側から見れば、ベッドの上にマサヒコが右でアイが左、
横になって一枚のシーツに包まって(床に落ちたのを拾い上げた)いる状態だ。
火照りがまだ抜けない中、二人は数秒ごとに目を合わせては無言で笑みを交し合った。
「……結局、こうなっちゃったんだね」
 先に口を開いたのはアイだった。
喋りながら人差し指で、マサヒコの頬をぷにぷにと突く。
「……あう」
 マサヒコは頬を押されるままにアイから目を逸らし、棚の上にある置時計を見た。
チクタクと動く秒針と、心臓の鼓動がシンクロしているようにマサヒコには感じられた。
「……私も、マサヒコ君のこと責められないけどね」
「あ、はは、ははは……」
 マサヒコは照れを隠すようにわざとらしく笑った。
そして、アイの肩に手を回すとギュッと強く抱き寄せた。

 今日は十二月二十五日、クリスマス。
サンタが街にやって来る日。
クリスマスパーティを開くために、マサヒコとアイはアイのマンションに居た。
ツリーを飾りつけ、料理を用意し、窓の外の雪を眺めつつ、聖夜を過ごすつもりだった。
だが、皿を並べている時に、マサヒコの胸にムラムラッと淫らな欲望が湧き上がってきたのだ。
今夜は泊まるのだから、それまで我慢すればいいものを、マサヒコにはそれが出来なかった。
エプロン姿のアイを後ろから抱きすくめると、ベッドへと連行し、
アイの「待ってマサヒコ君、ま、まだそんな時間じゃ」という抵抗を無視して、青い性欲を開放してしまった。
で、アイもアイで、マサヒコの指や唇に責められているうちに昂ぶってゆき、求め返し、
そのまま交わりに突入したという次第だ。
中学時代はEDだの仙人だの言われていたマサヒコと、
二十年間恋をしたことがなく、性知識に変に偏りがあったアイ。
どうしてどうして、一度境界線を越えてしまえば、結構二人とも性欲に対して従順だった。
28ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:40:33 ID:jRBkCpg/
「さ、てと」
 マサヒコはシーツをのけると、ベッドから起き上がった。
「シャワー、借りますね。順番がちょっと狂いましたけど、晩飯にしましょう」
 冷蔵庫の中のケン○ッキーのフライドチキンが、暖め直されるのを今か今かと待ちわびているはずだ。
サラダだってシャンパンだって、心があるなら早くテーブルに乗せてくれと思っているに違いない。
「じゃ、私はクリスマスケー……キを、って……あ、ああーっ!」
「わ、わっ!」
 マサヒコは全裸のまま、驚いて飛び上がった。
振り向くと、シーツをマントにように纏ったアイがベッドの上で青ざめていた。
「な、何ですか?」
「ケーキ!」
「ケーキ?」
「ク、クリスマスケーキ!」
 シーツを放り出して、アイは立ち上がった。
自分がすっぽんぽんである、というのをまったく気にしていないかのように、勢いよく。
いや、気にしていないのではなく、気にしている余裕を失っていると言うべきか。
「わ、忘れてたー!」
「えーっ!?」
 何という事か、クリスマスパーティに欠かさざるべきもの、
クリスマスケーキをアイは用意し忘れていたのだった。
「せ、先生、予約してたんじゃ?」
「し、したよ、【ロッテン&マーリン】で特製ケーキを!」
「じゃ、じゃあ問題無いんじゃ……」
 アイは、置時計を指差した。その腕が細かく震えている。
「受け取り時間の指定、午後四時……」
「……」
 置時計は六時二十八分を指していた。
「ああああ、あああああああ」
 アイは携帯電話に飛びつくと、ピポパとボタンを押した。
もちろん、【ロッテン&マーリン】に問い合わせをするためだ。
「あ、あの、私濱中と申しますが、クリスマスケーキを予約してた者で……」
 全裸であたふたしながら電話をしているアイを、マサヒコはやや呆然としながら見ていた。
自分が服を着るという考えも、アイに何か着せるという考えも起こらなかった。
「はい、その、指定は四時……え、え、あ、ハイ、ハイ、あ、ありがとうございます!」 
 アイの顔に喜色が蘇るのを見て、マサヒコはほっと安堵の溜め息をついた。
どうやら、【ロッテン&マーリン】はアイが注文したケーキをとっておいてくれたみたいだった。
「今から、今からすぐに受け取りに行きますので、よろしくお願いします。ハイ、ありがとうございます」
 先程とは打って変わって、弾んだ声のアイ。
「……と、いうわけで今からすぐに取りにいくよ、マサヒコ君!」
「え、で、でもシャワー……」
「すぐ浴びる!今すぐ!私も一緒に浴びるから!」
「え!?」
29ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:41:33 ID:jRBkCpg/
 マサヒコは目が点になった。
時間短縮のために一緒にシャワーを浴びよう、とアイは言っているのだ。
「あ、は、はぁ」
「ほら、早くしよ、早く!」
 アイはマサヒコの手を取ると、浴室へと引っ張っていった。
「い、一緒にってのはマズイんじゃ……」
「マズくないない」
「いや、その」
「いいから!」
「は、はい」
 今のアイの最優先事項は『クリスマスケーキを取りにいくこと』であり、
恥ずかしさとか照れとかは完全に頭の中に存在しなかった。
「じ、じゃ汗をさっと流して、す、すぐに受け取りに行きましょう」
 マサヒコがアイと一緒にシャワーを浴びるのを躊躇ったのは、照れでもないし恥ずかしいからでもない。
その行為自体が、刺激的過ぎるからだ。
下手をすると、またムクムクといけない欲望が起こりかねないわけで。
「あー、うー」
「マサヒコ君、そこの棚からタオル用意しておいて!」
「は、はい!」
 マサヒコは腹に力を込め、アイと浴室に入った。
どのみち、ケーキは取りに行くしかないのだ。
汗と唾液、そして淫らな液で濡れた体で外に出るわけにはいかない。
それに、雪が降っているのだから、体を温めておく必要もある。
「あ、あっち!」
 アイがシャワーのコックを勢いよく捻った。
熱いお湯が音をたて、アイとマサヒコの肌の上で弾け飛んだ。

 シャワーを浴びた数分足らずの時間が、マサヒコには一時間くらいの長さに思われた。
30ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:42:28 ID:jRBkCpg/
 マンションのエレベータを降りたアイは、表の道に飛び出た。
「ほら、行くよマサヒコ君!」
「ま、待ってください!」
 マサヒコは駆け出そうとするアイの手を掴むと、引っ張り寄せた。
「え、ちょ、ちょっと!?」
「雪が降ってるんですよ、道路も滑りやすくなってるはずです。
もしコケて怪我でもしたら、ケーキを取りに行くどころの話じゃなくなりますよ」
「あー、う……うん」
 アイは一瞬不満そうな顔をしたが、マサヒコの言葉ももっともなので、コクリと頷いた。
「店もケーキはも逃げませんよ、アイ先生」
「そ、そうだね……」
 マサヒコはアイの腕を放すと、改めて掌を差し出した。
「さ、行きましょう、ゆっくり、コケないように。
早く食べたいのなら、尚更落ち着いて歩いていきましょう」
「……うん」
 差し出されたマサヒコの掌に、アイはそっと自分の掌を重ねた。
手袋越しに、お互いの体の温かさが伝わっていく。
さっき浴びたシャワーのお湯の熱さが、まだ二人の体に残っていたが、
それでも、互いの体温はそれ以上に熱く感じられた。
「雪……まだまだ降りそうですね」
「うん、いっぱい積もるかもしれないね」
 二人は空を見上げた。
夜の闇に、星は無い。
だが星の代わりに、白い雪がふわふわ、さらさらと降り落ちてきている。
それが、街灯や家々の灯りを受け、きらきらと輝いて見える。
「今日は……どこの家も、パーティですかね?」
「多分、ね……」
 マンションを出てから二人は何人かとすれ違ったが、
皆が笑顔で、ケーキの箱やプレゼントと思しき包みを持っていたりして、
いかにも『これから家族(もしくは知人友人恋人)と楽しみます』といった感じだった。
「……去年は」
「……」
 マサヒコはそれ以上言わなかった。
アイも聞かなかった。
「……」
「……」
 去年は、アヤナの家で皆でパーティをした。一昨年もそうだった。
だけど、今年は違う。
出来ることなら、皆でやりたかった。
二人きりで聖夜を過ごすのは、確かに楽しいし嬉しい。
だけど今は出来ない。
色々と重過ぎる。
「……来年は」
 来年は、出来るだろうか。
皆で楽しく、クリスマスパーティが出来るのだろうか。
「……」
「……」
 マサヒコはアイの手をぎゅっと握りしめた。
アイも、同じく握り返した。
来年は出来る、そう信じたい。
大きく回り道をしたけど、傷つけたくない人を傷つけてしまったけれど、
何とか答は出て、決着をみた。
もちろん、全てを流してしまうことなんて出来ない。
ずっと、ずっと心に刺さったトゲとして残っていくだろう。
けれど、だけど。
「……」
 マサヒコはもう一度、天を見上げた。
この雪空の下、彼女も、どこかで聖夜を祝っているのだろうか、と。

                 ◆                     ◆
31ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:44:16 ID:jRBkCpg/
 あの日、アイのマンションで、マサヒコとアイ、ミサキは夜遅くまで話をした。
一切を濁さず、それぞれがはっきりとした言葉で語った。
感情が暴走しそうになるのを堪えて、出来る限り冷静に話し合った。
もちろん、全てがそうはいかなかった。途中、三人は何度も泣いた。


ミサキ、ごめん

    何で、謝るの

ずっと隠していて、ごめん

    私の気持ち、知ってた?

知ってた

          ミサキちゃん、私、私

俺、アイ先生を好きだ

          ごめん、ごめんね、ミサキちゃん

言わなかったんじゃない、言えなかった

    言えなかった?

ミサキが俺を好きだって気がついた、アイ先生を好きに、人を好きになって、気がついた

    マサ君……

傷つけたくないから、時期を選んでと最初は思っていた

    それって、でも……

違う、俺は逃げてたんだ、臆病だったんだ、自分勝手だったんだ

          マサヒコ君だけが悪いんじゃない、私も

    私も、聞きたくなかった、マサ君がずっと好きだったから

俺、アイ先生を好きだ、好きなんだ
          
          私も、マサヒコ君が好き、愛してる

    私も、マサ君が好き、ずっと、ずっと前から

ミサキのことは、とても大切に思ってる、だけど

    ……嫌だ、嫌だよ

幼馴染としてしか、見れないんだ……ごめん

    ……あは、は……これって、フラれたってことだよね、失恋したって……こと、だよね

          ごめ……んね、ミサキちゃん……

    ……これが、そう、なんだ……

          ミサキちゃん……
32ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:46:39 ID:jRBkCpg/
 どれくらい、泣いたのか、マサヒコもアイも、ミサキもちゃんと覚えていない。
マサヒコはアイを好き。
アイもマサヒコを好き。
二人は、恋人としてつきあっている。
ミサキはマサヒコを好きだが、フラれた。
確認出来るのは、出来たのは、結局それだけ。
三人がそれぞれ、自分を責め、悔やみ、他の二人に謝った。

 それは、特別なものではない。
どこにでもあるような、恋の、愛の形。
日本だけでなく、世界を探せば似たようなケースはたくさんあるだろう。
 最初から、全てが丸くおさまるようなやり方は無い。
恋愛に、ベストな解決方法なんて無い。
傷つき、後悔して、愛は明確な形になっていく。

 ……割り切ることは出来ない。吹っ切ることも出来ない。だけど。
三人の愛の形は、ここに。
決着が―――ついた。

                 ◆                     ◆

 駅前にある時計塔は、クリスマスということで色々と飾りつけをされていた。
カラフルな電飾が、チカチカと輝いてなかなかに華やかだ。
カラオケ屋の店員がサンタクロースの格好でチラシを配り、
ハンバーガーショップやコンビニからはクリスマスソングが流れてくる。
天から舞い落ちてくる雪は、まるでそのメロディーに乗って踊っているかのようだった。
「おっ、リンコ遅いわよ」
「ゴメンなさーい、はぁはぁ」
 時計塔の下、そこに四人の若い女性が集まっていた。
中村リョーコ、天野ミサキ、若田部アヤナ、的山リンコだ。
「集まったということで、早速行きましょうか」
「お姉様、パーティをするお店って、どこなんですか?」
「ん、駅の真裏よ。どっちかって言うと飲み屋みたいなもんだけどね。創作和風料理のお店よ」
「へえ、すごいですね」
「別に、普通の店よ。アヤナみたいなのが行く店とはまた違うわよ……と、シッシッ、あっち行け」
 大学生と思しき数人の若い男が四人に声をかけてきたが、リョーコがひと睨みして追い散らす。
「それって、クリスマスパーティとはちょっと違わないですか?」
 リンコは別段深い意味を込めて言ったわけではないのだが、リョーコは顎に手をあてて考え込んだ。 
「む、クリスマスパーティはクリスマスパーティなんだけど、確かに少し違う気もするわね」
「べ、別に普通にクリスマスパーティでいいんじゃあ……名前なんて、その、どうでもいいような」
 ミサキの突っ込みに、リョーコは首を横に振った。
位置づけとして、これはただのクリスマスパーティではないのだ。
「良くない、気持ちの問題よ気持ちの。うーん、反省会、残念会、なーんか違うわねー。んー、決起集会、とかどう?」
 三人はあきれたような顔でリョーコを見た。いくら何でも大袈裟過ぎる、と思ったからだ。
大掛かりな団体活動をするわけでなし、決起集会とはあまりに言葉が過激だった。
「よし、これで決まり!クリスマスパーティ改め、決起集会で!」
 だが、リョーコが一度言い出したら後に退くわけがない。
文句無いわね、というリョーコの台詞(脅し?)に三人は頷くしかなかった。
「今日は無礼講、アンタたちもお酒飲んで、パーッといきなさい」
「……未成年に堂々と飲酒を勧めちゃマズイんじゃあ」
「それに、帰る時に困りますよ、お姉様」
 心配ない、とリョーコは胸を張り、ジャンパーのポケットから携帯電話を取り出した。
「いざとなったら下僕一号を呼び出して送ってもらえばいいから。話はつけてあるし」
 下僕一号が誰を指すのか、三人はあえて問わなかった。問う必要もなかった。
ビクビクしながら携帯電話の前で待機している某英語教師のことを想像し、三人は心の中で哀れんだ。
「さ、行きましょ行きましょ」
 リョーコは右手にミサキ、左手にリンコとアヤナの首を抱えて引き寄せた。
33ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:49:05 ID:jRBkCpg/
「ぐぇ、な、中村せんせ、く、苦しいですぅ」
「いいじゃない、暖かいでしょ?」
「そりゃ、そうですけど……う、ぐ」
 四人はその格好のままで、雪と人混みを割るようにして、リョーコが予約したという店へと向かった。
「何か、また雪が強くなってきましたね」
「そうね、でも風がそんなに無いから」
 リョーコは首を動かし、前髪にかかった雪を振り落とした。
「明日、積もるのかな……?」
 ミサキが小さくポソリと呟いた。
「ん、そうね」
 リョーコは立ち止まった。抱えられた三人も同じように足を止めた。
そして、皆で空を見上げた。
「積もるでしょうね」
「……街が真っ白になりますね」
「……でも、いずれ溶けるわ」
「え?」
 リョーコは腕にさらに力を込めた。より一層強く、三人を抱きしめる。
「悲しみと一緒よ。雪は積もったままじゃない、やがて溶ける。
……いや、ちょっと違うかな。溶けるのを待つんじゃなくて、自分で溶かすのよ。
冷えたままの心じゃ、悲しみという名の雪は溶けずにずっと積もったまま。
でも、前に進もうと熱い心で雪をかきわけていけば、進めば進んでいく程、雪は溶けて無くなっていくわ」
「中村先生……」
「……せんせ」
「お姉様……」
 リョーコはそう言うと、『ガラにも無いこと言ったかな』という風に笑い、腕の力を緩めた。
「さ、早く行きましょう。突っ立ってたら風邪ひきかねないわ。お店に行って、温かい料理と美味い酒を楽しむとしましょ」
 
 新しい恋、それが見つかるのは何時だろうか。
小久保マサヒコ、それ以上に愛せる人が今後自分の前に現れるのだろうか。
そして、マサヒコやアイと前みたいに、前以上に『友達』として仲良くなれるのだろうか。
それは、わからない。わからないけど、もう、下を向くのはやめようとミサキは思った。
わからないのなら、わかるような、望む形の未来にしていけばいい。
リョーコの言う熱い心、それで、『わからない未来』を切り拓いていけばいい。
失恋、好きな人の愛を得ることが出来ないのは、とても辛い。
だが、だからこそ。過去を見つめ、今を見つめ、そして未来を見つめて歩いていかなければならないのだ。
立ち止まっていては、雪は溶けない。溶かせない。
あの時、三人で話し合った。思いをぶつけて話し合った。
マサヒコも、アイも再び足を動かし始めた。自分だけがじっとしているわけにはいかない。
マサヒコと一緒に歩けないのが残念であり悔しいけれど、いつか、きっと。
「……前みたいに、ううん、前以上に笑顔で、幼馴染として」
 時間を共に出来るようになると、そう信じて。

「ん?何か言ったミサキちゃん?」
「あ、いえ、別に……」
「さあさあ、今日は飲むわよー!」
「お姉様、飲み過ぎないでくださいね?」

 今、肩を並べて歩いていける親友がいる。来年は、来年のクリスマスは、マサヒコとアイも加わって―――

「さ、早く行くわよ!」
「はい」
「はーい」
「はいっ」

                 ◆                     ◆
34ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:50:19 ID:jRBkCpg/
 マサヒコとアイは、無事にケーキを受け取り、マンションへと向かって歩いていた。
滑ると危ないから急がないように、とは思っても、
あと少しでパーティの本番が始められるという事実に、どうしても足の動きが速くなってしまう。
「無事ケーキも受け取れましたし、良かったですね」
「そうだね、ケーキの無いパーティなんて格好つかないもんね」
「はは……」
「暖かい部屋で、ケーキを食べて、シャンパンを飲んで」
「プレゼントを交換して?」
「うん、そうそう。あ、マサヒコ君は何をくれるの?」
「内緒ですよ。そう言うアイ先生は?」
「……マサヒコ君が内緒なら、私も教えない」
「じゃ、楽しみにしてます」
「うん、私も……」
 ケーキの袋を挟んで、笑顔で話をするその様子は、まさに恋人同士といった感じに周囲からは見えた。
「……」
 マサヒコは、空いている方の手をオーバーのポケットに突っ込んだ。
そこには、キレイな包装紙に包まれた、小さな四角い箱がある。
その中には、今日アイにあげるクリスマスプレゼントが入っているのだ。
今日の雪のように、白銀色に輝くシルバーリング。
マサヒコのこづかいで買える範囲のもので、決して高額な物ではないが、
マサヒコは店の中で何時間もかけて、アイに似合いそうなやつを選んだのだ。
「たいした物じゃないですから、喜んでもらえるかどうか……」
「ううん、マサヒコ君から貰えるなら、何だって嬉しいよ」
「はは……ありがとうございます」
「私の方こそ、喜んでもらえるかどうか心配。私、こういうのプレゼントしたことがあまり無いから……」
 アイのマサヒコへのプレゼントは、有名なアルプス山脈最高峰の名がついたメーカーの万年筆だ。
それは、マンションの部屋の机の中で、今か今かと出番を待っている。
「……」
 マサヒコはここでイジワルそうな笑みを浮かべ、からかうような口調でアイに尋ねた。
「俺、アイ先生自体がプレゼントだと思ってるんですけど」
「え?」
「白と赤のリボンで包まれたアイ先生なら、俺、喜んで受け取りますよ」
「……」
 数秒程アイは考え込んでいたが、マサヒコの言葉の真意を理解すると、ユデダコのように真っ赤になった。
「も、もう、マサヒコ君たら、な、何を言うの!?」
「あはは……」
「……大体、そういう意味なら今日一回、もうすでにプレゼントしたことになるじゃない……」
「……あう」
 今度は、マサヒコが照れる番だった。
「あ、あれは……はい、スイマセンでした……」
「……別にいいけどね」
「え?」
「……マサヒコ君が欲しいんだったら、クリスマスのものとは別に、今夜何度でもプ、プレゼントして……あげる」
「……ほひゃ」
 マンガ的表現を用いるなら、今、確実に『ボッ』という音がした。
ユデダコどころではない、朱色の絵の具をぶちまけたような顔に、二人はなってしまった。
35ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:52:11 ID:jRBkCpg/
「……先生」
「ん……何?」
「ずっと……一緒に、いましょうね」
「……うん」
 マサヒコとアイがつきあい始めてから、色々なことがあった。
一時間二時間では、とても語り尽くせないくらいに。
「……」
「……」
 臆病さを優しさと勘違いし、機会を得るまでと思い込んで、ただ逃げてきた。
全てが崩れそうになったとき、仲間が背を押して、前を向かせてくれた。
今でも、マサヒコとアイは思う時がある。
恋人同士でいていいのだろうか、と。
どんな形であるにせよ、ミサキを傷つけたの確かだからだ。
あの日、三人で話あい、思いをぶつけ、結論を出した。
だが、自分たちは、こうやってつきあう資格があるのだろうか。
「……先生」
「……マサヒコ君」
 だけど。
やはりそれは後ろ向きな物の見方なのだろう。
割り切る、というわけではないが、ずっと立ち止まっているままでは物事は解決しないのだ。
一人の女の子がフラれた、フッた男の子は年上の女性と交際をしていた、
他所から見れば、ただそれだけのことだ。
無論、当事者であるマサヒコたちのそう簡単に考えることは出来ない。
出来はしないからこそ、二人は。

「……」
「……」
 横断歩道の信号が、点滅を始めた。
マサヒコとアイは、思わず駆け出しそうになるのをすんでのところで堪えた。
「と、ととと……」
 濡れたタイルで滑りそうになったが、マサヒコは足を踏ん張って耐えた。
信号が赤に変わり、二人の目の前を、車が音をたてて走っていく。
「先生……」
「……」
 マサヒコは、アイの肩に手をまわすと、ゆっくりと、だが確実に力をいれ、抱き寄せた。
アイも逆らわず、マサヒコへと寄り添い、雪でやや濡れたオーバーの肩の部分に頭を乗せた。
「一緒に、歩いていきましょう……」
「うん……」
「色々失敗しましたけど……」
「うん……」
「大事な友人を、傷つけちゃいましたけど……」
「……」
「また、皆で笑って過ごせるようになるために、そして、二人で幸せに生きていけるために」
「……」
「前を向いて……歩いていきましょう、一緒に」
「……うん」
 アイの目から、涙が一筋、こぼれ落ちた。
信号が青に変わり、一斉に待っていた人が歩き出し始めた。
急ぎ足の人たちの中を、マサヒコとアイは、歩調をあわせ、静かに横断歩道を渡っていった。
36ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:53:44 ID:jRBkCpg/
 ゆっくり、ゆっくり、焦らず、急がずに、前を向いて。
自分のために、好きな人のために、大切な友人のために。

「先生……」

 失敗したのなら、つきあうことで失ってしまったものがあるのなら、
それを取り戻すために、立ち止まらずに努力すればいい。

「……マサヒコ君」

 悲しみに埋もれてはならない。
不器用なら不器用なりに、愛を紡いでいけばいい。

「好き、です」
「好き、だよ」



 それが、マサヒコの、
 それが、アイの、
 それが、二人の―――



 愛の形。



           F         I         N
37ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/11(日) 21:56:31 ID:jRBkCpg/
終わりました。
と言うより、終われました。
色々反省点がありますが、それを書くとみっともない自分語り&愚痴になるのでやめます。
ただひとつ、謝罪も兼ねてここに書くとすれば、物語をまとめようとするあまり、
各キャラの言動や思考を都合よくもって行き過ぎたかなという点です。
それで不快になったり、疑問を感じられた方がおられましたら、申し訳ありません。



さて、シリアスな話に相当苦労しましたので、次からはもっと軽い話にしたいと思います。
物語性をあえて無くして、最初から最後までひたすらエロオンリーみたいなやつとか……。

では、また。
38名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 22:15:08 ID:Hncssi+6
ピンキリ氏、リアルタイムで拝見させていただきました。
まずは7時間目からの大作完結お疲れ様です。
一話目から、楽しく(?)読ませていただきました。

過去に濱中アイの気風に合わないという意見もありましたが、
たまにはこういうシリアスな話もいいのでは、と自分は思います。
ミサキは少しかわいそうな事になりましたが、最後には明るく進んでいけそうなミサキが見れて良かったです。
まあ両方とも幸せになるってわけにはいきませんしね。
そもそもアイもミサキ両方ともハッピーエンドにするには、それこそマサヒコと3Pにでも(ry

今度はピンキリ氏の得意分野の、ノリの軽いエロ話をお待ちしております。
長々とすみませんでした。
39名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 22:58:00 ID:I5rrGHgA
ピンキリ氏GJそして乙です!

ミサキ以外とマサのカップリングはミサキのことを完全無視か徹底的に掘り下げなきゃいけないですよね
難易度の高い後者を選択し且つ見事に完結させたピンキリ氏には脱帽です
次回作も期待してます!
40名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 23:29:59 ID:T90zdf0w
まずは乙であります

>各キャラの言動や思考を都合よくもって行き過ぎたかな
これが反省点として自覚できたのならやってよかったじゃないですか?
正直、「マサをアイから奪い返す」という考えが端からないミサキは少し「?」でした
あとリンコとアヤナのセリフがいかにも話に「あわされて」書かれてたりとか…
まあそれでも苦手というシリアス話を終わらせたということで本当にお疲れさまでした


それはさておき
>最初から最後までひたすらエロオンリー
個人的にこれに超期待しておるわけでありますですが
41名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 00:05:38 ID:Rlur5W9N
乙&GJっ!!
 
それ以外の言葉は   いらない
42名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 00:41:44 ID:vnDUTPji
GJ!
大作お疲れさま!
次回作ではこれとは逆に、ミサキとマサとの超濃厚なエロを希望します!
最近ノーマルなマサ×ミサキって少ないし。
43クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:33:15 ID:Rie5TFqo
クロムです。
職人の皆様、古田氏、お疲れ様です。
以前リクエスト頂いたカオルものを投下させていただきます。
タイトル「Lily Therefore Lewdness」
NGは「エロなし」「展開無理やり」でお願いします。
44クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:34:31 ID:Rie5TFqo
「カオルちゃんって、お兄ちゃんのこと好きなの?」
商店街のいつものファーストフード店。その片隅。私、カナミ、マナカ。
カナミの言葉に、私は飲んでいたジュースを吹き出した。
「ちょっ、なッ、何言い出すのよ突然!?」
「違うの?だってカオルちゃん、お兄ちゃんの前だと妙におとなしいし、
お兄ちゃんを見る時の目がいつもと違うっていうか、熱っぽいっていうか」
「ああ、そういえば思い当たるフシはありますね」
「マ、マナカまで…」「で、どうなの、カオルちゃん。お兄ちゃんのこと、どう思ってるの?」
「ど、どうって…そ、そりゃシンジさんは優しいし、素敵だなって思うけど…」
「やっぱり好きなの?」
「な、な、な、何言ってんのよ!!そ、そんな、別に好きとかじゃ…」
「「本当に?」」
「な、なんだよ二人して…」
「あのね、カオルちゃん。私が言うのも何だけど、ウチのお兄ちゃんって結構モテるんだよ」
「そうですね。私たちの学年にも、シンジさんに憧れてる娘がいるみたいですし」
「そ、そうなの?」
「うん。だからカオルちゃん、うかうかしてると他の娘にお兄ちゃん取られちゃうよ」
「そ、そうかぁ…って、だから私は…!!」
「まあまあカオルさん、落ち着いて。シンジさんに見られてますよ」
「えっ、う、嘘ッ!」
「嘘です」
「なっ、アンタ…!」
「あっ、お兄ちゃん!」
「えっ、あっ、うっ」
慌てて姿勢を正す。
「冗談だよ。そんなに慌てるってことは、カオルちゃん、やっぱりお兄ちゃんのこと…」
「クッ…ア、アンタ達、人のことからかって楽しいの?」
「カオルさん、そんなに怒らないで。そんな恐い顔してると、シンジさんに嫌われちゃいますよ」
「えっ、なっ、うっ、くっ」
いいように弄ばれ、絶句してしまう。
「まあ冗談はこれくらいにしとこうか」
「そうですね」
「冗談ってアンタ等…」
もう怒る気にもならない。とにかく今は、この二人の絨毯爆撃から逃れたかった。だけど。
「で、カオルちゃん?まだはっきりした答えを聞いてないけど?」
爆撃はまだ終わってなかった。
「はっきりした答えって…だ、だから、私は別にそんな…」
「お兄ちゃんのこと嫌いなの?」
「えっ、いや、そんな、嫌いってわけじゃ…」
「じゃあやっぱり好きなんだ」
「なっ…そうじゃな…いや、嫌いじゃなくて、好きとかでもなくて、あの、その…」
頭の中がこんがらがる。
追い詰められた私が次にとった行動は、その場からの逃走だった。
「ごめん、私、用事思い出した!!」
そう叫ぶと荷物を引っ掴み、脱兎のごとく店を飛び出したのであった…。
45クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:35:59 ID:Rie5TFqo
「あ〜もう、アイツ等は!あんなこと言われたら、誰だって動揺するに決まってんじゃない!」
走ること約五分。漸く足を止め、息を整えた私の口から最初にでたのは、友人達への不満だった。
「だいたい…そんなこと聞かれても、答えられるわけないじゃない!」
そう、答えられない。あの二人の言ったことは、図星だったから。
シンジさんと会うたびに、鼓動が速くなる。シンジさんのことを考えるたびに、胸が苦しくなる。
私にとって、それは未知の感覚だった。
これが、『恋』というものなんだろうか。
最初は、その感覚が好きな人に対してのものなのか、友人に対してのものなのか分からなかった。
男性と接する機会が極めて少なかった私にとって、ラブとライクの間の線引きは非常に難しかったからだ。
だが、シンジさんと接するうちに、はっきりと意識するようになった。私はこの人が好きだ、と。
ドラマや恋愛小説ならこの後ヒロインが思い切って告白するのが普通なのだが、現実はそうもいかない。
できることなら今すぐ思いを伝えたいのだが、シンジさんの前に出るだけでテンパってしまう私には無理な相談だった。
かといって、シンジさんの方から告白してくれるなんてことは、まず無いだろう。
『うかうかしてると他の娘にお兄ちゃん取られちゃうよ』
先程のカナミの言葉が頭に浮かぶ。
確かに、シンジさんの周りには、私が逆立ちしても勝てないような女の子が大勢いる。
(私なんて、胸は小さいしがさつだし、男みたいだし…いいとこないもんなぁ…)
考えれば考えるほど、絶望的になっていく気がする。
「ああ〜、もう!!」
ブルーになりかけた気分を吹き飛ばそうと、無意味に大きな声を出す。
その時、声に反応するかのように強い風が吹いた。
「うわっ、寒〜!」
思わず身をすくめる。何だかんだでもう十二月。寒いはずである。
おまけに、先程のジョギングで体が若干汗ばんでいて、余計に寒さを感じる。
(う〜ん、こんな時彼氏がいたら、『寒いだろ?』とか言って自分のコートを私にかけてくれるんだろうな…)
ドラマや小説でよく見る、私の憧れのシーン。その情景を思い浮かべる。
(そんで私が、『それじゃ貴方が風邪ひいちゃうよ』って言って慌ててコートを返そうとするんだけど、
『いいから。それに、お前に風邪ひかれたらオレが困る』とかって…きゃ〜♪)
自分の脳内映像に頬を染め、ウットリした表情を浮かべる。
(もしこれがシンジさんだったら…)
相手の男性をシンジさんにして、初めから映像を再開させる。
先程のブルーな気分など、何処かに飛んでいってしまった。
ついでに、注意力も何処かに行ってしまったようだ。前方から近付いてくる人影に気がつかなかった。
「やあ、カオルちゃん。今帰りかい?」
シンジさんだった。声をかけられたのが、頭では認識できた。ただ、脳内映像と現実の分離ができない。
ちなみにこの時、私の脳内ドラマでは、シンジさんが私にコートをかけてくれたところだった。
「それじゃ貴方が風邪ひいちゃうよ」
「え?風邪?えっと、何のことかな?」
シンジさんの声で、一気に覚醒する。
「えっ…あっ、シ、シンジさん?」
「うん、そうだけど…どうかしたの?」
不思議そうな顔で尋ねられる。やってしまった。
頭の中と現実がごちゃ混ぜになって、セリフをそのまま口にしてしまったようだ。
「どうかしたの?」
「えっ…あ…あの、何でもないんです!!!」
それだけ言うと、シンジさんが来たのとは逆方向、つまり今来た道をさっきの倍の速度で逆走した。
「えっ、ちょっと、カオルちゃん!?」
後方でシンジさんの声が聞こえたが、振り返ることができない。
(うわ〜ん、よりによって、本人に会うなんて〜!!!)
心の中で絶叫する。にしても、今日は走ってばっかりだな、私。
46クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:36:48 ID:Rie5TFqo
「あれ、カオルちゃん。帰ったんじゃないの?」
無我夢中で走って、気がつくと目の前にカナミとマナカが立っていた。
どうやら、さっきの店まで戻ってしまったみたいだ。
「カナミ…マナカ…う、うわ〜ん」
私は二人に泣き付いた。
「えっ、ちょっと、どうしたの!?カオルちゃん、とにかく落ち着いて!」
カナミに宥められ、ひとまず呼吸を整える。
「で、カオルさん。何があったんですか?」
「……シンジさんに会った」
その一言で、二人には全て通じたようだ。
「ああ、そういうこと」
「私たちの話を聞いて、シンジさんのことを考えてたんですね」
「なっ…!」
「それで、お兄ちゃんのことを考えると胸が苦しくなる、これって恋?とかって」
「な、なっ…!」
「それからシンジさんとのメロドラマを想像して…
そうですね、今日は寒いから…男性が自分のコートをかけてくれるシチュエーションですか?」
「えっ、なっ、なっ…」
「それで、一番いいシーンで本当にお兄ちゃんが登場、と」
「頭の中と現実が混同して、シンジさんの前で失態を晒してしまった、ということですね」
「な、何でわかるの!?」
エスパーか、こいつ等は。
「そんなの、カオルちゃんの顔見ればわかるよ」
「そ、そうかな…」
ここまで見事に言い当てられると、もう何も言えない。
「う〜ん、それにしてもカオルちゃん、やっぱりお兄ちゃんのこと好きだったんだね」
こうなると言い逃れはできない。
「…うん」
素直に頷いた。
「じゃあ決まりだね。マナカちゃん」
「ええ。カオルさん、行きましょうか」
「行くって…どこに?」
「私の家です。そこでカオルさんに告白のテクニックを伝授してあげますよ」
「こ、告白!?そんな、いきなり告白だなんて…!」
「ダメだよ、カオルちゃん。のんびりしてたら、本当にお兄ちゃん取られちゃうよ。それでもいいの?」
「えっ…よくは、ないけど…」
「なら迷う必要はないですよ。後はカオルさん次第です」
いつになく真剣な表情のマナカとカナミ。
(そう、だよね。このままじゃダメなんだ…)
二人の表情に、私の決意は固まった。
「カナミ、マナカ…お願いします」
「うん、私たちに任せといて!」
「私たちもできる限りサポートしますから」
「うん…ありがとう、二人とも…私、頑張るね」
やっぱり持つべきものは友達だ。思わず目頭が熱くなる。
だから私は、この時の二人の含みのある笑みに気が付かなかった。
47クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:37:50 ID:Rie5TFqo
「で、何をするの?」
場所はマナカの部屋。カナミは何か準備があるとかで、遅れてくるそうだ。
「そうですね…まずは、カオルさんに男と女について詳しく知ってもらいます」
そう言うとマナカは本棚から数冊の教科書を取り出した。
「保健体育?」
「そうです。まずこれを使って正しい知識を身に付けましょう。
カオルさん、赤ちゃんはどうやってできるか知っていますか?」
「えっ…それはその…キ、キスで…」
「違います」
「えっ、違うの?あっ、じゃあコウノトリが運んで…」
「それも違います。予想はしてましたけど、ここまでとは…。
カオルさん、保健体育の授業を受けたことはないんですか?」
「ああ…よく分かんなかったから寝てた」
「…まあいいでしょう。いいですか、赤ちゃんは男女の性交渉、いわゆるセックスによってできるんです」
「…何それ?」
「詳しくは実際に見てもらった方が早いですね。カナミちゃんを待ちましょう」
待つこと数分。
「お待たせ〜。お兄ちゃん、随分分かりにくい所に隠してたから、時間かかっちゃった」
カナミが大きな袋を手に入ってきた。その中身は…
「ビデオ?」
「そう。カオルちゃん、これを見れば男と女のことがよ〜く理解できるんだよ」
「そうなんだ…映画か何か?」
「まあ実際に見てみましょう」
マナカは袋の中からビデオを一本取り出し、デッキにセットした。
そして十五分後。
「な、な、何コレ…」
画面に映し出される異様な世界に、私は言葉を失った。
「何って…これがセックスですよ。赤ちゃんはこうやってできるんです」
マナカが答えるが、私はそれどころではない。あまりにショッキングな映像に気を失いそうだ。
そんな私にお構いなしに、マナカの声は続く。
「これがペッティング…これがフェラチオですね」
画面を指差し、男女の行為一つ一つに解説を加えていく。
(そ、そんな…みんなこんなことしてるの…?)
裸になった男女が体を絡めあい、獣のように互いを貪っている。
キス一つ見ても、私の憧れた甘いキスではなく、舌を絡める激しいものだった。
「あの…マナカ、カナミ…もういいから…」
見ていられなくなって、ビデオを止めようとした。
「ダメだよ。ここからが肝心なんだから」
カナミに止められた。
「肝心って…でも…」
「頑張って告白するんでしょ?」
それを言われると弱い。頑張ると言ったのは私なのだ。
「うん、ごめん…最後まで頑張るよ」
テレビの前に座り直し、赤面しながらも画面を凝視する。
結局、最後に男の人が女性のお腹の上に何か白いものを出すところまで、バッチリ見てしまった。

48クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:38:50 ID:Rie5TFqo
「ふう…どうでしたか、カオルさん?」
「いや、どうって言われても…」
今だに目の前の光景が信じられない。悪い夢でも見てるみたいだ。
「だいたい、これと告白とどういう関係があるの?」
「見て分かりませんでしたか?これこそ告白の極意ですよ」
「…どういうこと?」
「身も心も結ばれれば、必ず成功するってことです」
「身も…心も…って、ちょっと、まさか…」
「カオルさんとシンジさんが同じことをするんですよ」
「え、え、えええぇぇぇーーーーッ!!!」
「そんなに驚かなくても…大丈夫ですよ、やり方はちゃんと教えてあげますから」
「無理無理ムリムリ、絶対無理!!!」
「無理って…何で?頑張るんでしょう?」
「そうだけど…だ、だ、だってこんな…私とシンジさんが、こんな…!」
あまりのことに、パニックを起こす。
「カオルちゃん、ちょっと落ち着いて。私たちの話をよく聞いて」
「だって…」
「いいから聞いて。これは、恋人ならいつかは必ずすることなんだよ」
「そうです。愛し合うカップルにとって、愛情を確かめ深め合う最高の手段なんですよ」
「そう、なの…?で、でも、だったら恋人になってからでも…」
「「甘い!!!」」
ビシッ!と二人が私を指差す。何でこんなに息ピッタリなの?
「いい?のんびりしてる時間はないの!ちょっとくらい強引な手を使ってでもいかなきゃ!」
「既成事実を作るんですね。そうすれば一発です」
「既成事実って…」
「一度ヤッてしまえば、もうシンジさんは逃げられません」
「逃げるってアンタ…」
何なんだろう。よく分からないが、何か大きな間違いを犯している気がする。
まだ覚悟が決まらないでいる私に、カナミがトドメの一言を放った。
「お兄ちゃんのこと好きなんでしょう?」
「う、うん」
「なら大丈夫。絶対うまくいくから!」
「ええ、私たちが保証します」
やけに力強くマナカが胸を張る。
多少引っ掛かる所もあるが、私ももう後には引けない。
「分かった…私、やってみるよ!」
「そうですか!じゃあ早速次のステップに進みましょう」
「次って?」
「「実践練習」」
そう言うと二人が私にゆっくり近付いてくる。
「えっ、ちょっと…実践って…嘘、ちょっ、待っ…あああぁぁぁーーー!?」
それから二時間。その部分の記憶がない。何があったんだっけ…?

49クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:39:38 ID:Rie5TFqo
そして一週間後。あれから私は、毎日みっちりとレクチャーを受けた。
正直、どれもこれも私の価値観を根底から覆す代物だったが、全てはシンジさんに告白するためだ。
そう。今日、私はシンジさんに告白する。
そのための細かい計画も、全てカナミとマナカが立ててくれた。
その計画によると、まず私がカナミの家に入り、シンジさんが帰宅するのを待つ。
シンジさんが帰宅したところで、カナミとマナカが家を出て私一人になる。
後は教わったことをフル活用して、思いを伝えるだけだ。
カナミの部屋で、シンジさんの帰宅を待つが、どうも落ち着かない。部屋をウロウロしている。
「カオルちゃん、座ったら?」
「そうですよ。今更緊張しても、良い結果は得られませんよ?」
「うん、分かってるんだけどさ…」
今から告白するというのに、落ち着けというのは少々酷だ。
「ただいま〜」
シンジさんが帰ってきた。その声で、心拍数が一気に跳ね上がる。
「うわっ、帰ってきちゃった!ど、ど、どうしよう!?」
「大丈夫、落ち着いてカオルちゃん。絶対うまくいくから。自信を持って!」
「じゃあカナミちゃん、私たちは出ましょうか。カオルさん、良い報告を期待してます」
そう残し、二人は出ていってしまった。が、一人になると逆に冷静になれた。
(やるだけのことはやったんだから、後はベストを尽くすのみ。行くぞ、私!)
意を決してシンジさんの部屋に向かう。
ドアの前に立ち、大きく深呼吸。そしてドアをノックする。
「はい?」
中から声が返ってくる。
「カナミか?入ってこいよ」
「あ、あの、シンジさん、私カオルです」
「カオルちゃん?どうしたの?カナミは?」
「カナミは用事があるとかで出かけました。あの、私、シンジさんにお話があって…」
「そうなの?まあそこじゃ何だし、汚い部屋だけど入ってよ」
「はい、失礼します…」
ゆっくりとドアを開けた。
「カオルちゃん、どうし…た…の…」
シンジさんの声が、途中で凍り付く。私のこの格好を見れば、それも当然だろう。
『その格好で迫れば、どんな男もイチコロよ!!!』
カナミにはそう言われたが、この格好は正直かなり恥ずかしい。
「あ、あの、カオルちゃん?何で、下に何も着てないのかな…?」
そう、私が身に着けているのは大きめのコート一枚だけ。残りの服は、カナミの部屋で脱いできたのだ。
そのコートも、一気に脱ぎ捨てる。
「ちょっ、カオルちゃん!?何やってんの!?」
シンジさんが慌てて目を逸らす。
『シンジさんが目を逸らしたら、チャンスです。そのまま押し倒して下さい』
シンジさんを押し倒した。
「うわっ!ちょっとカオルちゃん、何やって…」
「シンジさん、私の話を聞いてもらえますか?」
抗議の声を遮る。
「な、なに?」
「好きです。私を…私を抱いて下さい!」
「な、な、なにィィーーー!?」
シンジさんが絶叫する。
「カ、カオルちゃん、自分が何言ってるか分かってんの!?っていうか、何処でそんな言葉を!?」
「カナミとマナカに色々教えてもらいました。あの、こうすれば絶対成功するって…」
「なッ…!」
私はシンジさんに、この一週間のことを説明した。
「カナミいわく『いくらお兄ちゃんでも、ここまでされたら狼モード確実!』だそうで…」
50クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:40:15 ID:Rie5TFqo
私の言葉に、ガックリとうなだれるシンジさん。
「アイツは…何を考えてんだか。ごめんね、カオルちゃん。アイツ等にはよ〜く言っとくから。
だからその…一旦服を着てくれるかな?」
「え、何でですか?」
「いや、何でって…この状況は明らかにおかしいからさ…。
それにカオルちゃんだって、アイツ等に言われてこんなことを…」
「だって…その、するんじゃないんですか?服着たままじゃ邪魔でしょう?」
「はい!?」
「私が観たビデオでは、女の人が服を脱ぐと、男の人は誰でもこう、ガバッと…」
「あ、あのね、カオルちゃん…そりゃ確かに男はそういう生き物だけど、いくらなんでも…」
「あっ、そうか。私が上に乗ってちゃ何もできませんよね」
立上がり、ベッドに向かう。
「あの…どうぞ…」
ベッドに転がり目を閉じる。
ここまではカナミたちの言った通りの展開、教えられた通りの言葉。
この後私は、ビデオの中の女性達と同じことをされるのだろう。
大丈夫、覚悟はできている…はずだ。
足音がゆっくりと近付いてくる。未知のモノへの恐怖に体が強張る。
(大丈夫、シンジさんならいいって、決めたんだから…)
―バサッ―
何かが覆い被さってきた。だけど、人にしてはやけに軽い。
(えっ…?)
私に覆い被さったのは、シンジさんではなく、脱ぎ捨てたコートだった。
顔をあげると少し離れた所にシンジさんが立っていた。
「シンジさん…何で…?」
「カオルちゃん、そのままでいいからちょっとオレの話を聞いてくれるかな?」
「えっ…はい」
「さっきの話で、カオルちゃんの気持ちはだいたい分かった。すっごく嬉しいよ。
でもね、だからってこんな形で君を抱いたりとかはしたくないんだ」
「それって…私に魅力がないから…」
「そうじゃない。まあいいからもう少し聞いてよ。
カナミ達が何を吹き込んだのかは知らないけど、それは全部忘れて。
こういうのって男には分かんないんだけど、女の子にとってはすごく大切なことだと思うんだ。
だからこんな形で君の純潔を奪いたくない、てのがオレの本音なんだけど」
「それは、ダメ…ってことですか?」
シンジさんの言うことはよく分かる。それが私のことを考えての言葉だということも。
だけど、言葉は柔らかいが、それは遠回しな拒絶なのではないか。
そう考えると、涙が出そうになる。
「だから違うって。オレの言い方が悪かったかな」
いつも通りの優しい顔で、シンジさんが言う。
「カオルちゃんは魅力的だと思うよ。オレも正直かなり無理して我慢してる。
だけどホラ、こういうのって順番が大切だろ?
焦らなくても時間はあるんだしさ、二人でゆっくりやっていこうよ」
「えっ…それって…」
「うん、これからヨロシクね、カオルちゃん」
ヨロシク。この言葉が耳に入ってから脳に届くまでに、タイムラグが生じる。
そして意味を理解した時、私は考えるより先に動いていた。
ベッドから飛び降り、シンジさんに抱き付く。そんな私を、シンジさんが抱きとめてくれた。
「あの、本当にいいんですか?私、男みたいだし、可愛くないし、胸だって小さいし…」
「ハハ、言ったろ?カオルちゃんは魅力的だって。そういうの全部含めて、カオルちゃんなんだよ」
「はい…」
表しようのない感情が私の中を駆け巡る。幸せ?喜び?何でもいいや。
「あの、シンジさん…一つだけ、お願いしていいですか?」
「なに?」
「その…キス、してもらっても、いいですか?」
好きな人と口付けを交わす。子供の頃からの夢。
シンジさんの唇が、私の唇に重なった。
柔らかく、暖かく、優しいキスだった。
レモンの味は、しなかったけど。
51クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:40:39 ID:Rie5TFqo
その後、戻ってきたカナミとマナカに説教するシンジさんを眺めながら、私はこれからのことを考えていた。
念願かなって恋人を作ることができ、キスまでできたのだが、やりたいことはまだたくさんある。
(砂浜で追いかけっこして、ゴハンの食べさせあいっこして…あ、あとこないだのコートのやつも!)
今までドラマの中だけだったことが現実になるのかと思うと、顔がニヤけてしまう。
(それに、いつかは…)
まだ説教を続けているシンジさんに目を向ける。
いつかは、シンジさんとあんなことをする日も、来るんだろうか。
小説には出てこなかったけど、それも、いいかもしれない。
(シンジさんとなら、ね)
それがいつかは分からない。だけどその時はその時だ。
それまでは、ドラマのような甘い恋を、楽しむとしよう。


(fin)
52クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:44:46 ID:Rie5TFqo
以上です。
書いといて何ですが、このキャラ私の手には負えません。
ピュアというのはある意味最も使い難い設定ですね。
というわけで、今回エロなしということになってしまいました。
次はもう少しマトモなものを書きます。
53クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/12(月) 03:52:03 ID:Rie5TFqo
蛇足ですが次の予告を。
以前書いたケイものの続きといいますか、長くなりすぎてカットした部分があります。
そこに修正を加えて投下させていただきます。
これは一応エロもいれてありますので、今回のようなことはないと思います。
八割がた完成しておりますので、三日以内には投下できると思います。

>郭氏
 寛大なご配慮、痛み入ります。
 また調子にのって氏の設定を使わせていただくことがあるかもしれませんが、
 無能者のあがきと思って、見逃してやってください。
54名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 04:21:51 ID:NI0Vewnc
クロム氏、超GJ!!!
漏れはカオルらしさをよく表現できていたと思いますよ。
いつかは、続きのシンジ×カオル(エロあり)も見てみたいですね。

そしてシンケイも(;´Д`)ハァハァしながら待っています。

遅レスですがトマソン氏、長編完成お疲れ様でした。
郭泰源氏もシンジ×カナミ楽しみにしています。
漏れはこういうダークっぽいのも好物なので・・・
55名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 10:58:40 ID:hCIyFXXc
クロム氏GJ&乙!
カオルかわいいよカオル
次のお話も期待しておりますよ

郭氏、トマソン氏、ペピトーン氏のネクスト話も胸をドクドクワキワキさせながら待っています
ガンガってくださいませ
56名無しさん@ピンキー:2005/12/12(月) 21:59:52 ID:HGJqcccd
二日見なかっただけでスレが流れすぎてて読むのが大変なの何とかなりませんか。
嬉しすぎてPCの前でニヤけてしまいます。

GJです
57ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/12(月) 22:19:06 ID:uDcw8JLJ
こんばんは。
では、>>12からの続き。
後半部分投下。
58ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/12(月) 22:22:07 ID:uDcw8JLJ
「いくぞ…ナツミ…」
「…!…い…あっ、うぅ…っ、はあっ」
ナツミの四肢がグッと緊張した。両手はベッドのシーツを握り締め、開かれた足の先をツンと突っ張る。
異物が股間に侵入してくる圧迫感とともに、鈍く重い痛みがナツミを襲う。
先端が潜り込んだところで、シンジのペニスはナツミの処女のベールの抵抗にあって止まっていた。
「ナ、ナツミ、大丈夫…?」
シンジは一旦侵入を止めてナツミを気遣った。抱えている大腿や下腹部を優しく撫でて、
少しでもナツミの気分を和らげようとする。
「ん…、だ、大丈夫だから…続けて…遠慮しなくていいよ…」
シンジに気を遣わせまいとしたのか、ナツミは気丈に微笑んだ。
「うん…じゃあ、ゆっくりいくよ…」
シンジは再び腰に力を入れてペニスを押し出す。
「ひぃ…うっ、うぅ…く…ぁ、あぁっ…!」
メリメリと、音を立てて粘膜が引き裂かれているような衝撃をナツミに与えながら、シンジの物が
徐々にナツミの膣内へと埋め込まれていく。処女膜が断末魔の鋭い痛みと共に破れ、
狭い秘洞が男の熱い欲望の塊で埋め尽くされていった。
「あぁー!シンジ…シンジくんが…私の中に…一杯…」
「ナツミ…ナツミ…どう…?すごいよ、ほらっ、もう全部入ったよ…」
ペニスを根元まで突き入れると、シンジはナツミに覆いかぶさって抱きしめた。下半身をナツミの
熱い粘膜に包まれながら、唇を重ねる。ナツミも、股間を痺れさせる痛みを忘れようと、
夢中でシンジの唇を貪った。
59ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/12(月) 22:26:03 ID:uDcw8JLJ
「ナツミ…少し、動いてみるよ…大丈夫?」
長く熱いキスの後、シンジが聞いた。
「うん、いいよ…。でも、シンジくん、その前に…私のこと好きだと言って…愛してるって…」
そういうと真っ直ぐにシンジの目を見つめるナツミ。その表情の愛らしさにシンジは拒む理由を持たなかった。
「うん…ナツミ、愛してる、大好きだよ!」
「シンジくん…!嬉しい…」
ナツミはシンジの肩に手を回して抱きしめた。目に涙を一杯浮かべ、シンジの耳元に囁くように語りかける。
「私も、好き…っ、大好き、シンジくん―!愛してるの…!だから、可愛がって…私の身体―思いっきりシンジくんを感じさせて…!」
シンジが腰をゆっくりと揺り動かし始める。ペニスは埋め込んだまま抜き差しせず、股間全体を揺り動かして刺激するように―。
「あぅぅ、あ、あ…んっ、シンジ…くん…はぁ…ん、…いいっ、いいよ…っ」
「ナツミの中、すごく気持ちいいよ…狭くて熱くてヌルヌルして…。もうそんなに痛くない?」
「ぁ…恥ずかしいから言わないで…。大丈夫よ、もっと動いても…。遠慮しないで―シンジくんの好きなように…」
ナツミの言葉にシンジは自分の快楽をも貪る動きを加え始めた。ナツミの膝を抱え上げて屈曲位の姿勢で結合を深くすると、
ズルッ、ズルッとピストン運動で肉棒を出し入れする。
「あっ、あッ!ああッ!ひぃぃっ!いやあ、シンジ…くん!」
「ナツミ…ナツミ!はぁ、はぁ、いいよ、スゴイよっ、愛してる…!」
清楚な同級生の、神々しいばかりの処女の肉体。その露わにされた裸身の恥部を、今自分が初めて
刺し貫いて汚しているかと思うと、シンジは凄まじい征服感で満たされていく。
それはナツミへの愛おしさとオーバーラップして、シンジの射精感を急速に昂ぶらせた。
「ナツミ…ゴメン、オレ、もういきそうだよ…」
「はぁ…あっ…えっ…?」
「いや、オレ、もう出そうだから…このままいっちゃって、いいかな?」
もう我慢の限界なのだろう。苦しいような、何とも言えない表情のシンジを見て、ナツミはシンジが、自分の中で
欲望を吐き出してしまいそうなのを悟った。
「ん…いいよ…ちゃんと避妊してるしね…」
「ゴメン、…い、いくよ、ナツミ…!」
「あっ、あっ、あっ!あぁん!あぅ、ひぃ…っ!」
最後の数回、シンジがひときわ激しく腰を打ちつけてナツミを突いた。子宮にまで届く衝撃にナツミも
甲高い喘ぎ声をあげる。その可愛らしい声がシンジにとってとどめの刺激になった。
「あぁッ、もう出る、ナツミ…っ、ナツミぃ…!!」
「ひぁぁぁぁ…っ!やあ…っ、シンジ、くぅん…!」
シンジの牡の先端から、白濁した粘液が噴き出した。ナツミの膣内でコンドームの中に大量の精液が
断続的に発射される。コンドームを介しているものの、自分の体内に発射された熱い粘液の感触に、
ナツミもまた軽い絶頂に達した。
60ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/12(月) 22:28:45 ID:uDcw8JLJ
「ふぁぁ、はぁ、はぁ…シンジくん…」
「はあ、はあ…ナツミ…」
シンジは荒い息をしたまま、ナツミを密着するようにしばらく抱きしめていた。しばらくして射精を終えた
肉棒を膣内から抜こうとするが、ナツミは名残惜しそうに、
「シンジくん、もう少しこのままで…いいでしょ?」
「ゴメン、先に…」
コンドームを中に残してはまずいので、シンジは肉棒が固さを保っているうちに引き抜いた。
そして呆然としているナツミを見た。上気し、汗に濡れた体が、カーテンの隙間からわずかに漏れる光を
浴びて照らし出されている。この上なくエロチックな光景にシンジはしばし見とれた。
「ナツミ…綺麗だ…すごく綺麗だよ…」
「あ、やだ、そんなに見つめないで…」
気がついたように慌てて前を隠そうとするナツミ。かまわずシンジはナツミの隣に寝そべって彼女を抱きしめた。
ふたりは目を合わせると、そのままキスをし、たっぷりと時間をかけて唇と舌を絡め合った。
「シンジくん…ありがとう…嬉しかった…」
ようやくお互いの唇が離れると、まだ荒さの残る息の中からナツミが呟いた。ほんのり桜色に染まった頬に潤んだ瞳。
うっとりとシンジを見つめる表情は、今までシンジがナツミを見てきた中で、一番可愛い顔だった。
「ナツミ…こっちがありがとうって言いたいよ…。この半年間、ずっとオレの受験勉強に付き合ってくれて。
大学に行けるのもナツミのお陰だよ」
「そお?シンジくんだって頑張ってたよ。でも、そう言ってくれると、教え続けた甲斐があるわね」
「大学でもまた一緒に通えるし、これからはもっと一緒にいろんな事しよう」
「うん、そうだね…でも、遊んでばかりじゃダメよ」
「はい、分かりました。ナツミ先生」
「もう、茶化さないの!」

ナツミはちょっと怒って見せたが、その表情はどこか嬉しそうであった。
この日、男女の一線を越えたシンジとナツミ。大学受験という高校生活最大の山場をふたりで越えたという
充足感と共にお互いの温もりを感じながら名残惜しそうにいつまでも抱き合っていた。


おわり
61ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/12(月) 22:45:04 ID:uDcw8JLJ
以上です。
今まで短編が多かったせいか、少々長すぎるかな、と思ってしまいましたが、
何とか無事終わらせることが出来たと思います。

郭泰源氏、ピンキリ氏、クロム氏、そして他の職人さん達GJです。
ただただ皆さんのアイデアには感心するばかりです。

次は来週あたりに投下の予定です。時期的に丁度いいネタなので、それに
合わせるつもりです。では、失礼いたします。


62名無しさん@ピンキー:2005/12/13(火) 00:45:17 ID:2Nv3y+PB
ペピトーン氏GJと乙!
次回作も楽しみにしてますよ〜
63そら:2005/12/13(火) 19:26:10 ID:WjUt0QFf
お初にお目にかかります、私そらと申します。今回初投稿させていただきます。
エロはありませんが生暖かい目で見ててください。
題名は「濱中アイの奇妙な一日」です。
64そら:2005/12/13(火) 19:43:17 ID:WjUt0QFf
窓からさす朝日が彼女を照らした。彼女の名はご存知濱中アイ。日に照らされた彼女はゆっくり覚醒した。
(ん・・確か昨日先輩が冬休み直前パーティーとか言って、アヤナちゃん家に押しかけて・・・
そのまま寝ちゃったんだっけ・・・今何時だろう?)
彼女は手元にあるはずの携帯に手をのばす・・・が・・何か違和感を感じた。周りがなんか・・・大きい・・
(確かにアヤナちゃん家は大きいけど・・椅子とかこんな大きかったっけ?)
ふと、周りを見回すとアイの教え子、小久保マサヒコがいた・・・普通だ・・・大きい以外は。
さらに周りをみると、家の主若田部アヤナがいた・・・これも大きい。中学生ばなれしたその胸は
今のアイには正に谷間に見えた。
(えーっと・・・これってみんなが大きいというより・・・)一呼吸
「わ・・・私が小さくなってるーーーーーー!!!!????」
アイは混乱した。当然だ、いきなり小さくなって混乱しない人などいるだろうか。
アイがわたわたしていると、マサヒコの幼馴染天野ミサキが目を覚ました。目をこすりあたりを見回す。
「あれぇ?アイ先生の声がしたとおもったんだけど・・・」
「ミサキちゃーん!ここ!ここ!私はここだよ〜!!」叫ぶアイ。
声のするほうを向くミサキ。その瞬間アイと思わしき物体を発見し目をパチクリさせた。
「えっと・・?アイ先生ですよね・・・?それはいったい・・・?」
「私だって分からないよ、起きたらこんな小さくなってて!!」
二人で話していると、的山リンコが目を覚ました。メガネをかけるとすぐさまアイを見つけたリンコ。
「わぁ・・・アイ先生新手のイメチェンですか?かわいいですよ〜。」
等と的外れな意見をのべるリンコ。そうこうしてるうちにマサヒコとアヤナも目を覚ました。
マサヒコは目を丸くしっぱなし、非科学的なことを信じないアヤナは口をパクパクさせている。
「で・・・濱中先生は思い当たることはないんですか?変なもの食べたとか。」
「マサヒコ君、何で食べ物からくるのかな・・・?大体そんなわけ・・・」
そこまで言いかけてアイはふと思い出す。前日先輩の中村リョーコがくれた飴のことを。
「ふぁ・・・おはよ・・あれ?アイはどこいった?声がしたと思ったんだけど。」
「ここです!ここですよ先輩!」
「あらら。ほんとに小さくなったのね〜。いいじゃない、アイ。萌えよ?」
65そら:2005/12/13(火) 19:55:26 ID:WjUt0QFf
「も、萌えなんてどうでもいいんです!なんですかこれは!?明らかに昨日の飴ですよね?」
「あー、昨日怪しい露天で買ったのよ。これを食べれば一日萌え萌え薬って名前だったかしらね?
んで、自分で食べる勇気はなかったから、アイに・・・ね。」
あっけからんと自分の悪事を晒すリョーコ。
「な・・・なんてことするんですかーーー!!そりゃ・・私の食い意地も悪いとは思いますけど・・・」
烈火のごとく怒ったかと思えば、突っ込まれそうな部分を弁解するアイ。
「まぁ、一日萌え萌えだから効果は多分一日よ。今日一日は・・・そうねぇ。マサのポケットに入って
マサの生活ぶりでも見たら?」
「おい、メガネ。当人差し置いて話を進めるな。」
当然のマサヒコの反論。しかし、相手はリョーコ。
「ああ!アイなんて可哀想な子!あんなに可愛がってる生徒にポイ捨てされて!あんな血も涙もないのね!」
「あんたが先生にした毒見は可哀想じゃないのか・・?」
「あー、だったら私が先生つれてくよ〜。胸ポケットいれとけばいいよね〜。」
マサヒコとリョーコをスルーすつつ提案するリンコ。
「駄目よリン。あんたはすぐ寝るんだからアイがつぶれるわ。ああ、アヤナは窒息させそうだからアウトね。
だから、この役はマサしか適任いないの。」
「えっと・・・じゃあ私が・・・」
と、提案しようとするミサキにリョーコが耳元でささやく。
「いい?アイが大人しくするわけないでしょ?そうすればマサは家庭教師の人形を持ち歩く
危ない奴だと思われるわ。そうすれば、あんたのライバル減るのよ?」
「・・・マサ君、アイ先生お願いね。」最後の良心あっさり陥落。
かくして、リョーコの怪しい薬で小さくなったアイはマサヒコの胸ポケットにいれられ
マサヒコ達の学校え行くことになった。
66そら:2005/12/13(火) 20:14:06 ID:WjUt0QFf
学校の昇降口でマサヒコはアイに言った。
「いいですか?濱中先生。ポケットで大人しくしてて下さいよ?」
「もー、私は大人だよ?マサヒコ君に迷惑かけるわけないでしょ?」
そんなこんなんで授業。
「あ、マサヒコ君そこ違うよ。あ、そこも。あー!ここはコノ前教えたでしょう?」
「は、濱中先生。もう少し静かに・・・」
「先生はマサヒコ君の家庭教師なんだよ?ちゃんと間違いを正すのは当然でしょ!?」
「小久保〜、騒がしいぞ〜!何一人でぼそぼそ言ってるんだ?」
「わ、すいません。何でもないです。(小声で)ほら、怒られちゃったじゃないですか。」
きーんこーんかーんこーん きーんこーんかーんこーん
「ようやく二時間目まで終わったか・・・いつもより疲れた・・・」
「お疲れさま。それより、給食まだかな?お腹へってお腹へってさ〜。」
するとリンコがあらわれ
「給食はまだ二時間後ですよ〜。それよりチョコありますから、食べてください。」
そう言って包みをとり、アイにチョコを渡すリンコ。アイも自分の体くらいあるチョコを受け取る。
「わわ、大きい〜。リンちゃんありがとうね。じゃあ、いっただっきまーーす!」
カリカリ こりこり カリコリカリコリ
「わ、アイ先生ハムスターみたいで可愛い〜。」とリンコ。
「ほんとだ・・・なんかドキドキしちゃうね。」とミサキ。
(う・・可愛い。濱中先生のぬいぐるみ作ってみようかしら。)とアヤナ。
(なんでこのひと頬袋あるんだろう。)とマサヒコ。
カリカリ こりこり カリカリ こりこり
「ふぅ〜、ご馳走様〜〜。お腹一杯になったら眠くなっちゃった・・・」
そう言ってマサヒコのポケットにはいるアイ。そのままあっという間に寝息を立てていた。
「・・・そりゃあ自分の大きさくらいあるチョコ食べたら満足だろうな・・・」
「よく考えたら胃にきそうだよね・・・」
「はぁ〜。アイ先生可愛かったな〜。もう一回あげようかな〜。」
(アイ先生のぬいぐるみ、ハムスター風の耳と尻尾つけようかしら。)
と、それぞれ思いをめぐらす四人。
ちなみに、あれだけ食べながらアイはマサヒコの給食の一部さえも食べたとさ。

「なんとか、一日終わりそうですね。」
マサヒコは胸ポケットのアイに話しかけた。
「なんか今日は一日寝てた気がするよ。最近疲れてたのかな?」
「大学の試験に就職活動に、俺の勉強も見てたら元気なのが不思議ですよ。
ゆっくり休めてよかったんじゃないですか?」
「うん・・・きっと明日のは戻るからまた頑張らないとね。」
そんな会話をしながら二人は家へ歩いた。
67そら:2005/12/13(火) 20:28:24 ID:WjUt0QFf
深夜 マサヒコの部屋
「ふ〜、よく勉強したしそろそろ寝ましょうか。」
机の上を走り回っていたアイに提案するマサヒコ。
「そうだね。この体でも授業はできたし、明日もあるんだからそろそろ寝ようか。」
「じゃあ、俺床で寝るから・・寝てる間に先生が戻るかもしれないし・・・それじゃあおやすみなさい。」
そういってマサヒコは部屋の電気を消す。かなり大きいマサヒコのベットで寝転びながらアイは考えていた。
(マサヒコ君、もう寝ちゃった。よっぽど疲れてたんだな・・・それより・・
もし戻らなかったらどうしよう・・・確か昔こんなドラマあったよね・・・
そう!北君の恋人だったかな。あれ最後どうなっちゃうんだっけか・・・
あ、もし私があの話みたいだったら・・題名は小久保君の恋・・)
そこまで考えてアイは赤面した。それはもう真っ赤に。
(やだな、私ったら。マサヒコ君は弟みたいなものなんだから。)
そう思いながらベットを降りマサヒコの顔に近づくアイ。
(これは・・・そう!頑張ってるマサヒコ君へのご褒美だから・・・大きさぜんぜん違うから
これは私にもマサヒコ君にもノーカウントだよね・・・)
一人で必死に考えを巡らし、そして目をつぶりながらマサヒコの口元に近づくアイ。
ぱくっ    いつまでたってもぶつからないアイは目を開けて愕然とした。
「ここ・・・マサヒコ君の口の中!?もしかして、ナイスタイミングであくびでもしたの?」
混乱気味のアイをよそに近づく生ぬるい物体。それはアイを嘗め回した。
「わぁぁぁぁ!!!べろ!?舌!?タン!?うわぁあぁぁぁあぁぁ!!!」
ぺっ  口に違和感を感じたであろうマサヒコはアイを吐き出した。
「あぅあぅあぅあぅあぅ〜〜〜〜・・・・・」
もはや精も根も尽き果てたアイはそのまま眠りに落ちていった。

朝日の日差しがさしてきた・・・日差しは彼女をさし彼女を覚醒させる。
「・・・戻ってる・・・?」
周りを見回す。いつものマサヒコの部屋。いつものマサヒコの顔だった。
「マサヒコ君!戻った!元にもどったよーーーーーーー!!!!!」
アイの絶叫は小久保家に響き渡った。
68そら:2005/12/13(火) 20:37:36 ID:WjUt0QFf
後日談
その後再び若田部邸に集まった六人。
「とにかく大変でしたよ。もうあんなのはコリゴリです。」
「でも、小さいアイ先生可愛かったですよー。」
「そうだよね〜・・・あれ?若田部さん、このぬいぐるみは・・アイ先生?」
「こ、これは・・・!そう!人のぬいぐるみの練習してて!それで濱中先生がうかんだのよ。」
と、会話を繰り広げる四人。
「んで・・・アイ。マサになんかされた?言ってミソ?」
「あんたって人は・・・なんもあるわけないじゃないですか。」
そう、あるわけない。少なくともマサヒコが起きていたときは・・・
「大変だったんだよ、マサヒコ君。私マサヒコ君に食べられて全身舐め回されたんだから!」
ピシ!!!確実に空気が凍る。
「マサ君・・・どういうこと・・・?」
ほとばしる闘気を抑えながらマサヒコににじりよるミサキ。
「い、いや!何もないって!!ホントだって。」
「そう・・・やっぱりあんた趣味がそっち系だったのね。そりゃ私たちを女として見れないわなー。」
「ちょ・・・まっ・・・」
「まーーーさーーーーくーーーん!!!!!」
「うぼぁーーーーーーーーー!」
若田部邸に嵐が吹き荒れた。後日、誤解を解こうにもなにぶんアイの言うことは
間違ってはいないため相当苦労したようだが、それはまた別のお話。
69そら:2005/12/13(火) 20:39:16 ID:WjUt0QFf
以上です。小動物なアイ先生が書きたくてついカッとしてやった。
今も反省していない。お目汚し失礼しました。
70名無しさん@ピンキー:2005/12/13(火) 21:25:13 ID:RxkQzS4I
アイのぬいぐるみ作ってくれる企業キボン。
確かに萌ですな。
71名無しさん@ピンキー:2005/12/13(火) 22:52:43 ID:N0TFLLnj
アヤナの胸ポケットで窒息したい
72名無しさん@ピンキー:2005/12/13(火) 23:22:39 ID:7usAPN5t
そら氏GJ!小動物アイテラモエス。
これからも萌えSS、心待にしております!
73名無しさん@ピンキー :2005/12/14(水) 00:25:53 ID:v/zUfT9W
>>そら氏GGGGGJJJJJ!!!!!

蒼井そら、を思い出した漏れはリアル厨だぜ。
しかし、だ。ここのスレはいったいなぜ新人が枯れないのか?
74名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 01:17:49 ID:1yujegtZ
そら氏乙
エロにもぜひ挑戦してみてください

>>73
>リアル厨だぜ
おいおいw
それと新人さんは確かによく現れるが、
同時にお姿を見かけなくなった職人さんも多くおられるのも忘れてはいかんよ
感謝と再起の願いを祈りにこめて・・・


あっそれと古田氏更新ご苦労さまです
75名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 13:52:36 ID:4UEKBkP5
保守
76アカボシ:2005/12/14(水) 19:52:28 ID:X1AyAXyX
こんばんわ、アカボシです。突然ですが、お別れを言いにきました。
私の拙い文章で笑ったりヌいたり(いたのか?)してくれた住人の方々、素晴らしい作品を投下して
下さった数多の職人の方々、ひっきりなしに投下される作品をその都度更新して下さった古田氏、
永い間(半年程ですが)大変お世話になりました。
「誰も書かないなら俺が書く!」
 そう息巻いてミホエロでデビューした俺ですが、ここらでこのスレからお暇しようと思います。
他にやりたいことができました。どうしても我慢ならないことがあるのです。

「思春期のエロ同人誌はまだか!」

ワクテカし続け早数年。もう放置プレイは勘弁です。同人が出るまで、連載が続いてるかマジ不安。
 いや、俺が知らないだけで誰か出してるのかもしれませんが。少なくとも俺は見てないから…つまり、
「誰も描かないなら俺が描く!」
 まぁ、そういうわけで絵に専念したいんで、もうSSを投下することはないと思います。
同人の事は右も左も解りませんが、なんとかやってみます。もともと絵描きだったんで。

 すでに4ページ程描いているんですが、エロ画像ってUP板に出してもいいんでしょうか?
いいのならまた後日UPしようと思います。
 長々と自分語り、すいませんでした。それでは失礼します。

77名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 19:58:48 ID:s7N/aGnY
キタコレwww
ご苦労様でした。
絵のほうも頑張ってくさい
78名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 20:20:24 ID:cZH2gaeE
アカボシ氏の作品好きだったのに惜しい人をなくしますな
お疲れ様でした。これからも他の所での活躍お願いします
79名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 20:27:58 ID:Y8j9k3VY
ぶっかけ専門のエロ同人なら知っている
80名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 20:44:17 ID:zt95JDPc
アカボシさんお疲れ様でした。急なお別れでびっくりしましたが違うとこで頑張ってください

よし、今まで投下してくれた感謝とこれからの活躍を期待して万歳三唱でもしましょうか

\(^O^)/
\(^O^)/
\(^O^)/
81名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 20:46:46 ID:lST+8amX
>>79 あぁ‥‥あれか

レッドスター引退テラカナシス
次はここで投下された作品が同人誌で再現されることを期待してます
82名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 21:33:19 ID:+SOvlUM4
占いの事はあっても、ナチュラルに『俺の隣に来い』って言えるマサはすげーと思うんだけど……
たぶんマサとアイが普通にコタツはいってても、ミサキは逃げるか不貞寝してただろう。

>>76
SSが無いなら自分で書く、同人が無ければ自分で描く。

クレクレばかりのエロパロ板でそれに挑戦する人を見かけるとは思いませんでした。
これからもがんばってください!!
83名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 21:46:44 ID:uRHfAjKg
アカボシ氏…今までありがとうございました。
同人誌出せる様頑張ってください!
もし忙しかったり、手間が掛かるようならアシスタントでも何でもしうわなにをするやめry)

応援してます!
84名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 22:30:39 ID:IzKrpGXz
アンタ創作人の鏡や…濱中もおながいします!
85名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 22:43:09 ID:6R8QSDVA
86名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 22:55:40 ID:1yujegtZ
韋駄天アカボシ氏お疲れさまでした
氏のキレのいいギャグが大好きでした
がんばってください



歴史を築いた人が去っていく、寂しいけれど応援してます
87ナット:2005/12/14(水) 22:55:51 ID:u0/tESX3
アカボシ氏、今まで名作の執筆ご苦労様でした。
また、これからの同人活動心より応援します。


やっとユレルキモチのアヤナエンドが書きあがりました。
待っていてくれた方(いるのかなぁ)お待たせしました。
タイトル「ユレルキモチ〜アヤナ終焉〜」
88名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 22:56:25 ID:u0/tESX3
翌日、マサヒコはアヤナにも家に来るよう伝えた。
アヤナは黙ってうなずいただけだった。

1日の授業が終わり、各々が帰りの支度をする。
マサヒコとミサキは一緒に帰ることになったが、アヤナは1回家に帰ると言って教室を出た。
家には誰も居なかった。大方近所の主婦達を集い、いつものようにカラオケだろう。
2人はマサヒコの部屋でアヤナを待った。
時間にすればまだ数分だが、2人きりの重々しい空気はマサヒコやミサキに何時間にも感じさせる。
「・・・・遅いね、若田部さん。」
「そ、そうだな。」
しきりに時計を気にする。
秒針が時を刻んでいくにつれマサヒコの鼓動も速くなっていく。
昨晩覚悟を決めたが、やはり緊張と言いようの無い不安が襲ってくる。

 ピンポーン
マサヒコたちが家に着いてから10分程度たったころ、呼び鈴が二人きりの小久保家に響いた。
玄関に向かい、鍵を開け扉を開くと一旦帰ったにもかかわらず、制服であるアヤナが立っていた。
「ごめんなさい、遅れて。」
「いや、とにかく入れよ。」
アヤナを部屋へと案内する。
マサヒコは飲み物持ってくる、と2人に告げ台所へと向かった。
行こうとした時ミサキが「あ、私が・・・」と言いかけたが、その場を逃げるように、
というより一呼吸おくためにその場から離れた。

季節的に温かい飲み物がいいだろうと思ったが、いま準備できるのはお茶か紅茶、コーヒーぐらいしかない。
やかんに水を入れ、火に掛ける。
お湯が沸くまでにお盆にカップを3つ並べティーパックをカップの数だけ開ける。
ミルクと砂糖を準備し、後はお湯がわくのを待つだけだ。
その間に今一度自分の気持ちを整理する。
2人をずいぶんと待たせてしまった。
こんなに他の人もかかわることで悩んだのは人生ではじめてだろう。
前の自分だったら卒業でみんなバラバラというタイムリミットを迎えていただろう。
だが今日は2人に自分の気持ちをわかってもらう。それぞれが悔いの無いように。
89ユレルキモチ:2005/12/14(水) 22:57:00 ID:u0/tESX3
やかんに取り付けられた笛がピーーッとなりお湯が沸いたことを知らせる。
布巾で取っ手を包み持ち上げ、カップに注ぐ。
注がれた熱湯はパックにより瞬時にあめ色へと色を変えた。
パックを取り出し、部屋へと運ぶ。
階段で数度、紅茶がカップから溢れそうになった。

部屋の扉を開けるといつもみんなが集まったとき勉強に使っている机を挟むように2人は座っていた。
マサヒコは机の4辺の埋まっている2辺の間の1辺に座り、お盆をおいた。
「え、・・・っと 砂糖とミルクは・・・・・」
なんとなく気まずい雰囲気。マサヒコの口調もぎこちなくなる。
「わたしはミルク大目でお砂糖2つ。」
「私はそのままで」
まったく対照的な2人の注文。マサヒコは言われたように2人に出した。

アヤナは一口だけ飲み軽く口の中を潤わせ、話を切り出した。
「・・・それで、話って?天野さんまで呼び出して。」
アヤナ自身、なぜ今日呼ばれたかは、メンバーでわかる。
これからマサヒコの口から伝えられることの期待と、大きな不安が、頭を駆け巡る。
鼓動は早まって、気持ちが落ち着かないが、いつもの冷静さを持ち前の自我で支える。
マサヒコの顔を見つめ、答えを急かさせる。
ミサキもまた、マサヒコを見た。
その表情は不安で溢れていた。彼女もまた、アヤナと同じような心理状態なのだろう。

2人の女の子、しかも自分が最近まで悩んでいた2人に見つめられ、精神的に追い詰められる。
マサヒコもまた、紅茶を口に流し込み、気持ちを落ち着かせる。
カップの紅茶を一気に飲み干し、空になったカップを机に置いた。
「・・その、先週、若田部に告白されたじゃんか。だからその答えを・・・
 それをミサキにも聞いてほしかったから・・・」
若田部に告白された、確かにそうなのだが、改めていわれると何か気恥ずかしい。
アヤナは顔をうっすら赤く染めた。

「なんで・・・ 私に?」
マサヒコの気持ちは確かに聞きたい。しかし告白したのはアヤナだ。なぜそれの答えを聞かせるのか。
「俺の気持ち、お前にもわかってもらいたかったから・・・」
マサヒコはいつになく真剣なまなざしでミサキを見つめる。
見つめられたミサキも、顔を赤く染めた。
90ユレルキモチ3:2005/12/14(水) 22:57:31 ID:u0/tESX3
「それで、俺が好きなのは・・・」
2人が再びマサヒコを見つめる。マサヒコも一瞬呼吸を整え口を開いた。

「若田部だ。」

アヤナを方を見る。手で口元を隠し、驚きの表情を見せる。
「な・・・んで・・・・ 天野さんは・・・」
「俺とミサキは小さいころからずっと一緒だった。
 だからこそ、俺たちは近すぎたんだ。
 居るのが当たり前で、俺はミサキのことを好きとかそういう風に思ってなかったんだ。
 けど若田部は・・・ 同じクラスになって、俺の家にみんながたむろする様になって、そこに若田部が居て、
 そして、若田部が居るってことが当たり前であってほしいと思っている自分に気づいたんだ。」
今度はミサキの方を見る。
「だから、ミサキ  ごめん・・・・」
「何・・・で謝るの・・・?」
ミサキはマサヒコの顔を見ないように体の向きを扉のほうへ向けた。
「それが・・・ マサちゃんの気持ちなんでしょ・・・
 わたし・・・ マサちゃんの口からそれが聞けただけでも、満足だか・・ら・・・」
背中が、声が震えている。それでミサキが泣いているのはわかった。
「ミサキ・・・・ 」
「ごめん・・ いま、わたし、マサちゃんに見せられない顔になってるから・・・」
ミサキはかばんを手に取り、立ち上がり、扉を開けた。
「じゃあ・・・ね、マサちゃん・・・」
そう言い残し、ミサキは部屋を出た。扉は静かに閉められたが、階段を下りる音が、ミサキが走っていることを知らせた。

マサヒコが恐れていたことはこれだった。人を傷つけるつらさ。
覚悟は決めていたが、心の痛みは想像以上だった。
「本当に・・・ よかったの?」
良心の問いかけと同じ問いをしてきたのはアヤナだった。
さっきのミサキの姿を見たせいか、アヤナも不安な表情を見せていた。
「今また悩んだらミサキのことをもっと苦しめることになると思うんだ・・・
 そんなことしたら俺が俺を許せないと思う。
 それにこれでミサキとの縁がなくなるわけじゃないんだ。
 しばらくはギスギスするかもしれない。けど、俺とあいつは友達で幼馴染なんだ。」
都合のいい理想論か、自分を言い聞かせるためだけの詭弁かもしれない。
それでもマサヒコはそれで自分の決断を自分の中で確かなものへと変えた。
91ユレルキモチ4:2005/12/14(水) 22:57:55 ID:u0/tESX3
「若田部、好きだ。」
アヤナの目に涙が浮かぶ。それは先ほどミサキが流していたものとは大きく異なり、喜びに満ちている。
マサヒコに抱きつく。マサヒコはアヤナが思っていたより大きかった。

「私も・・・ あなたのことが好き、大好きなの!」
「若田部・・・」
お互いの顔を見合わせる。アヤナはゆっくりと目を閉じた。
マサヒコはまるで引きつけられるかのように顔を近づけ、唇を交わした。
「ん・・・」
マサヒコにも、アヤナにもはじめてもキス。
はじめてにもかかわらず、それは濃厚で、深いものだった。
マサヒコの口の中にアヤナの舌が進入してきた。
驚きはしたが、拒みはしない。お互いの舌が唇の狭間で絡み、唾液が混ざり合う。
アヤナの唾液はなんとなく甘く感じた。
やがて息が続かなくなり、口を話す。混ざり合った2人の唾液が糸を引いていた。
「・・・こんなことどこで覚えたの?」
中学生にしては濃厚すぎるキス。
マサヒコ自身はそれが不快なものではなく、むしろ気持ちがよかった。
「お姉さまに渡された本に・・・」
中村に渡された本、そしてさっきまで自分が行っていた行為。
なんとなく本の内容がわかった。

「・・・小久保君」
「なに?」
「私、一週間、ずっと待たされて、つらかったんだから」
「あぁ、ごめん」
「だから・・」
「だから?」
「今すぐ私のこと、いっぱい愛してよ。」
「え、 ど、どうやって・・・」
若田部は何も言わず、マサヒコのベッドに腰を掛け、上着を脱ぎだした。
92ユレルキモチ5:2005/12/14(水) 22:58:31 ID:u0/tESX3
「ちょ、ちょっと!」
マサヒコは急いでアヤナの手をつかみ、脱ぐのをやめさせようとした。
「・・いやなの?私と、するの・・・」
「するって?なにを」
アヤナは顔を赤らめた。
「い、言わせないでよ。わかるでしょ!」
確かにマサヒコもアヤナが何のために服を脱いでいたのかはわかっていた。
だが、あまりに突然のことに気が動転していた。

「え、あ、いや、わかるけど、その、まだ気持ちの整理がついてないと言うか、
 なんていうか、初めてでこんな急なことで・・」
「私だって初めてよ!だからこんなに心臓がどきどきしてるんだから!」
アヤナの手をつかんでいたマサヒコの手を、今度はアヤナがマサヒコの手を胸へと押し付けた。
押し付けられた手の下で柔らかなものがつぶれた。そしてその柔らかなもの、服を介して 、手にアヤナの鼓動がつたわった。
「ほら、こんなに・・・」
「若田部・・・」
マサヒコの手がゆっくりと動き、アヤナの服のボタンを外していく。
すべてはずし終わると、アヤナは制服のブラウスと、中に着ていたものを脱ぐ。
上半身はブラだけの姿になる。それより先にアヤナはスカートを脱ぐ。
アヤナは下着だけの姿となった。
マサヒコもベッドへと乗り、アヤナの後ろへと移動する。
そしてブラのホックを外す。周りの女子にねたまれるほどの胸があらわになる。
そのままマサヒコはアヤナの胸へと手を伸ばす。
「んっ・・・」
マサヒコの手が胸を包む。はじめて=さっき布越しに触れたが=触れる女性の乳房。
確かな質量感があり、やわらかく、何より暖かい。
そんな感触を楽しむかのようにマサヒコの手はアヤナの胸を揉んだ。
「んっ・・・ ふぅ・・ あ・・・」
手が動くたび、アヤナの口から甘い声が漏れる。
「きもちいい?」
耳の裏からそっとつぶやく。かすかな息遣いが耳の裏に当たる。
アヤナのからだがビクッと反応する。
耳の裏はアヤナの弱いところ。マサヒコそれをわかっていてわざとやった。
93ユレルキモチ6:2005/12/14(水) 22:59:05 ID:u0/tESX3
そして手の中にあるものの変化に気づいた。
ピンク色の乳首が硬くなっていた。マサヒコはそこを人差し指と親指で捕らえた。
「ここ、硬くなってる・・・」
「そ、そんなこと、いわな・・・ あん!」
話している最中、マサヒコは指の中のものをくりっと転がした。
「や・・・ やめ・・ んあっ・・」
何度も指の中でもてあそぶ。そのたびにアヤナのからだがビクッと反応する。
ここも耳の裏並みに弱いようだ。
「はぁ・・ はぁ・・・ はぁ・・・」
対抗するような声もなくなり、口から漏れるのは色っぽい吐息だけになってきた。
アヤナの目がとろんと潤んだ瞳に変わっていた。

マサヒコは手を止め、変わりにその手をアヤナの股間へと伸ばす。
後ろからでは手が届きにくいので、体制を変える。
手が秘所へとたどり着くと、ぬるっとした感触が手に伝わった。
「濡れてるよ、ここ」
アヤナは顔を真っ赤にしマサヒコにしがみ付く。
指をそのまま秘所に沿って動かす
「ふっ・・・ んっ・・・!」
くちゅ、くちゅとぬめった音を放つ。指が秘所の硬くなっているところを擦る度、アヤナの体がビクッビクッビクッとなる。
そして奥からさらに淫猥な液が溢れてくる。

マサヒコは手を離し、アヤナの体を一旦離させる。
そして自らも服を脱いだ。マサヒコのそれはすでに硬く、大きくなっている。
規則的に脈を打ち、今にも張り裂けんばかりだ。
マサヒコはそれをアヤナの膣の入り口へと当てる。
「それじゃあ、いくよ。」
アヤナはこくんと首を傾けた。
マサヒコは力をいれ、それを押し込もうとする。
少しずつ、アヤナの中にマサヒコが埋まっていく。
「ッツ!」
初めての侵入者の恐怖に、無意識に力が入ってしまう。しかしそこは十分すぎるほど濡れていた。
一瞬力を抜いたそのときだった。
94ユレルキモチ7:2005/12/14(水) 22:59:35 ID:u0/tESX3
「いッ!?」
抵抗が小さくなった瞬間、マサヒコの陰茎がアヤナの奥まで貫いた。
アヤナの顔が苦悶に歪む。
「ご、ごめん!大丈夫!?」
なみだ目になりながらも、その顔はかすかな笑みを浮かべた。
膜を貫かれた痛みよりも、マサヒコとひとつに成れていることの喜びのほうが大きかった。
「だ、大丈夫。けど、もうちょっと、やさしくして・・・ 初めてなんだから・・・」
「ご、ごめんな。」
そう言っても、次に何をすればいいかわからなかった。
動いてもいいのだろうか、それとも痛みが引くまでもう少し待ったほうがいいのか。
答えを出したのはアヤナだった。
「動いて、いいよ。」
「う、うん」
マサヒコはゆっくりと腰を動かしだした。
「っつ・・・ いっ・・」
動くたびアヤナの顔が痛みに歪む。
それを見ると不安がこみ上げる。
「ほんとに大丈夫?」
「だ、大丈夫だって・・ い、言ってるでしょ! な、何度も言わせないで!」
マサヒコはその言葉を信じ、行為を続けた。
さっきまで心配と緊張であまり感じていなかったが、アヤナの膣がいままで感じたことがないほど気持ちがいいものと気づいた。
陰茎がアヤナの膣に包まれ、暖かく、やわらかいのが絡みつく感覚に腰の速さも次第に速くなった。
「んあっ、ああん! あっ!」
対するアヤナも次第に痛みが快楽に変わりだしていた。
硬く、たくましいものが膣を何度も何度もかき回す。いままで感じたことがないくらい、それが気持ちいい。
「若田部、若田部!」
「小久保君!」
お互い限界が近いらしく、息遣い、声が荒くなる。
「んあ、ああああぁぁぁあああぁぁああっ!!」
先にイッたのアヤナだった。全身が痙攣し、マサヒコのそれをさらに強く締め付ける。
「わ、若田部!!」
マサヒコは急いで陰茎を膣から抜く。亀頭があらわになった瞬間、先端から精液が噴出した。
吹き出た精液はアヤナの腹部、恥丘、一部は胸まで飛んでいた。
「「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」」
マサヒコがアヤナの横にぼふっと崩れる。
初めてのことに精神的にも肉体的にも疲れた。
アヤナも息を整えようとするが、人生初のオルガスムスの余韻がそれを許さなかった。
チラッと横を見る。ふとマサヒコと目が合った。
二人は言葉は交わさなかったが、惹かれ合うように唇を重ねた。
95ユレルキモチ8:2005/12/14(水) 23:00:13 ID:u0/tESX3

二人は小久保家の浴室へと移動した。汗や精液などを洗い流すためだ。
自分たち以外誰も居ないとわかっていても家の中を全裸で移動するのは緊張した。
階段で何度かアヤナがつまずいた。まだ何か挟まってる感じがして歩きにくいそうだ。
「こっち見ないでよ!」
「何で?」
「恥ずかしいからに決まってるじゃない!」
さっきまでお互い裸で、体を重ねていたのに何が恥ずかしいのか、マサヒコには理解できなかった。
「・・・ありがとう、マ・・ マ・・・」
「ま?」
「マサクン・・・」
「・・・なにそれ?」
「あなたの呼び方よ!私にだって理想の恋愛関係象ぐらい持ってるわよ!」
マサヒコはクスッと笑った。いつもの若田部からは考えられないくらい、かわいく感じた。
「じゃあ俺はお前のことなんて呼べばいいんだ?」
「アヤナって呼んで・・・」
またクスッと笑った。今度のはアヤナに聞こえたらしい。
「いま笑ったでしょ!」
勢いよく振り返る。その雰囲気はいつものアヤナのものだ。
「ごめん、ごめん。 けど、お前、まえ。」
「えっ」
自分が恥ずかしいところを堂々とマサヒコに見せていた。
アヤナの顔が真っ赤になる。
「き、きゃあああああああぁぁぁぁぁっ!!」
シャワーの水流はマサヒコへと向けられた。


マサヒコの部屋へと帰り、帰り支度をする。
「・・・はい、これ」
アヤナはマサヒコに紙袋を手渡す。
中を開けるとハンカチが入っていた。しかし色はピンク色だ。
「俺、男なんだからこの色は・・・」
「色違い、見つけるの大変だったんだから。」
マサヒコは改めて渡されたハンカチを見た。柄はなんとなく見覚えがあった。
「これって・・・」
それは前にアヤナに預けたハンカチの色違いだった。
「こっちは私が持っていたいから、そっちはあなたに持っていてほしいの。」
アヤナの手には青いハンカチが握られていた。
「・・・・これ、大事にするよ。」
「あたりまえでしょ!これがあなたでそれが私なんだから!」
「でも俺ぐしゃってなってるんだけど・・・」
アヤナは自分の手を見た。拳の中でハンカチがしわだらけになっていた。
「ば、馬鹿ーーーーっ!」
「何で俺ーーーっ!」

96ユレルキモチ9:2005/12/14(水) 23:00:59 ID:u0/tESX3

それから卒業まではあっという間だった。
ミサキとはあのあとやはりちょっとギスギスしたが、親しい友達で、幼馴染と言うことに落ち着いた。
中村やアイに何度もからかわれた。しかしそれはそれでなんとなく楽しかった。
それぞれが志望校合格のためにがんばった。
アイにもアヤナには何度も勉強を見てもらった。
そのおかげでマサヒコたち全員志望校に受かる事ができた。
だがその合格発表の日にはすでにアヤナはアメリカに旅立っていた。
合格したうれしさと、直接伝えたい人に伝えられない悲しさがマサヒコを包んでいた。

それから数ヵ月後。高校生活も波に乗りはじめところ、夏休みが始まった。
マサヒコは空港に居た。この日、アヤナが夏休みを利用し、日本へ帰ってくるのだ。
アヤナが乗っているはずの飛行機が到着する。
降りてくる人の流れに目を凝らし、見落とさないようにアヤナを探す。
「マサーーー!」
探すまでもなかった。アヤナは大きく手を振っていた。
「恥ずかしいからやめろって。」
「ごめんなさい、久しぶりに会えるからうれしくなっちゃって。」
「約5ヶ月ぶりか・・ ながいな・・・」
「だから今日、一緒に寝ましょう?」
「・・・おまえ、なんか変わったな」
「いや?」
「いやじゃないよ、けど」
「けど?」
「今日は多分無理だろうな」
「何で?」
マサヒコが指をさす。そこには懐かしい面子がそろっていた。
「お前の帰国を祝って宴会するだろうから。」
「お姉さまなら夜通しやるでしょうね。」
「まぁいいか。これから一ヶ月程度、一緒に暮らすんだか、今日ぐらい。」
「そうね。 よろしくお願いします。小久保さん。」
「こちらこそよろしくお願いします。若田部さん。」
アヤナはマサヒコの両頬をつまんだ。
「私のことはアヤナって呼んでよ!」

end

97ナット:2005/12/14(水) 23:05:28 ID:u0/tESX3
以上です。
何とか自己満足はできるぐらいには書くことができました。
ツンデレの定義が自分の中であいまいなので、そんな感じですが。

それより問題は書くペースが落ちていること。
歴代の神々や新しい神たちに押され何度も途中放棄しそうになりましたが、
気分を変え、自分もそんな神の中に名前を並べてやるって気持ちでがんばりたいと思います。
98名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 23:31:27 ID:GnILO+hQ
ナット氏お待ちしてましたGJです!!
アヤナがカワエロイっす
ミサキはちょっとかわいそうだったけどミサキエンドにも期待してます

あと前回の感じだとアイエンドも可能では?とか思ったり…
99名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 00:22:22 ID:KSl8mRFP
>>ナット氏GJ
>>アカボシ氏 数々の作品をありがとうございました。
 これからも頑張ってください。
 そしてアノ宣言を聞いて泣いた俺がいた
100名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 05:51:08 ID:eguknKAb
早くも100GET
101クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:13:33 ID:A77N4b2F
クロムです。
ペピトーン氏、そら氏、ナット氏、お疲れ様です。
そしてアカボシ氏、氏のSSが読めなくなるのは残念ですが、新天地でのご活躍、期待しています。

宣言いたしました通り、ケイものを投下します。
タイトル「I Can't Give Up Your Side」
102クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:14:32 ID:A77N4b2F
「お邪魔しまーす」
「どーぞ。つってもオレしかいないけどな」
私たち二人は、城島家にいた。
シンジ君と付き合い始めてから何度もこの家を訪れたが、今日はちょっと違う。
初めて彼の家に『お泊まり』するのだ。
シンジ君の話だと、妹のカナミちゃんは友達の家でパジャマパーティーらしい。
そのため家には誰もいない、だから泊まりがけで遊びにこないか、というのが彼の誘い文句だった。
もちろんただ遊びにいくだけで終わるはず無いのは分かっていたが、
彼と丸一日一緒にいられるというのは非常に魅力的だった。
その場でOKの返事をしたのが一週間前。
その後、少々厳しい親をかわすために友人に口裏合わせを頼んだり、
彼に食べてもらうために料理を勉強したりといろいろ準備してきた。そして今日に至る。
「んじゃ、オレはお茶でも淹れてくるから、先にオレの部屋に行ってて」
「はーい」
言われた通り、一人シンジ君の部屋に入る。
シンジ君の部屋は、珍しくキレイに整頓されていた。私が来るので掃除したのだろうか。
とりあえずベッドに腰掛け、これからのことをシュミレートしてみる。
(まずお茶を飲みながらお喋りして、適当に時間を潰す。その後食事の支度をして、
一緒に食べて…それから後片付けして、お風呂に入って…その後は…その後は…)
そこでハッとする。自分の思考が暴走モードに入りかけていることに気付き、慌てて考えるのをやめた。
私って、シンジ君と付き合い出してからどんどんHになってるんじゃないだろうか…。
「お待たせ…ってケイ、顔真っ赤だぞ。風邪でもひいたか?」
お茶を持って入ってきたシンジ君が、不思議そうに尋ねる。
貴方との夜を想像してました、なんて言えるはずもなく、適当な言葉でごまかした。
どうにかその場をしのぐと、二人でベッドに座り、お喋りを始める。
学校の話、家族の話、自分達の話。どれだけ喋っても、話の種は尽きることがない。
「へー、そんなことがあったのか」
「そうなの。ホント、あの時は大変だったよ」
ハハハ、とシンジ君がおかしそうに笑う。その姿を見て、不意に彼に甘えてみたくなった。
彼のすぐ隣に移動し、彼の肩に頭を預ける。
「おいおい、なんだよ急に」
「ん?フフ、たまにはいいじゃない。普段はこんなことできないしさ」
確かに、普段はこれほど彼にベッタリすることはできない。
学校ではある程度の節度を保つようにしているし、街中でも手を繋ぐくらいに止どめている。
これは付き合いだしてから二人で決めたことだけど、全く不満がないわけでもなかった。
できることなら四六時中彼にひっついて、イチャイチャしていたいのに。
今日は、誰かの目を気にする必要のない、絶好のチャンスなのだ。
「だから、今はいいの!」
そんなもんかねぇ、とかブツブツ言いながらも、シンジ君は照れているみたいだ。
最近気付いたのだが、私の方から積極的に迫ると、大抵主導権を握ることができる。
なので、もう一押ししてみよう。
「ねえ…」
軽く顎をあげ、目を閉じる。そういえば、最初の頃はシンジ君、この意味が分からなかったみたいだ。
今では流石に学習したのだろう。少し間があったが、すぐに唇に柔らかい感触を感じる。
唇はほんの二三秒で離れた。名残惜しいが、彼の照れた顔を見ることができたのでよしとしよう。
「さ、そろそろゴハンの支度しないと!」
何事もなかったかのように立上がり、彼を促す。
「あ…ああ、そうだな」
「ほら、早く!」
まだ照れくさそうにしているシンジ君の手を引き、私たちは台所へと移動した。
103クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:15:05 ID:A77N4b2F
「うん、旨い!」
「本当?よかったぁ」
シンジ君の言葉にホッと胸を撫で下ろす。食卓の上には、ビーフシチュー、サラダ、それにパン。
シンジ君に食べてもらうために、この一週間何度も練習した料理。
おかげで我が家の食卓には連日このメニューが並び、家族からは非難の嵐だった。
けど、彼がおいしいと言ってくれた。それだけで、今までの努力も報われた気がする。
「いや、マジで旨いよ。ケイってこんなに料理上手かったっけ?」
「シンジ君に食べてもらおうと思って、頑張ったんだよ。
レシピ調べて、お母さんにも教えてもらって、何度も練習して。
でもよかった、喜んでくれて」
自分でもシチューを食べてみる。たぶん今までで一番の出来だろう。愛情が隠し味、ってやつ?
「ところでさ、ケイ。」
「なあに?」
「いや、さっきから気になってたんだけど、何でそんなとこに座ってんの?」
その言葉を待っていた。
今私はシンジ君の真横に座っている。四角いテーブルだから、対面に座るのが普通だろう。
かなり不自然だけど、これにはもちろん意味があった。
「フフフ…」
自分のシチューをスプーンで掬い、シンジ君の前に差し出す。
「ハイ、あ〜ん」
これがやりたかった。
予想通り、シンジ君はかなり動揺している。
「あ〜ん」なおもスプーンを差し出していると、漸くシチューを食べてくれた。
「おいしい?」
「…ああ、おいしい」
「じゃあ、今度はシンジ君の番」
そう言って口を開ける。そこに、オズオズといった感じでスプーンが運ばれた。
「う〜ん、おいしい!一度こういうのやってみたかたんだぁ」
「何だそりゃ。今時そんなベタな…」
悪態を吐いてるけど、シンジ君、目が泳いでます。
シンジ君が困ったり、照れたりするのを見るのが楽しくてしょうがない。
なので最近は、ワザとこんなことをしてシンジ君を困らせている。その時に見せる表情が可愛いのだ。
もっとも、本人に可愛いなんて言ったら結構傷つくだろうから言わないけど。
「あ、おかわりあるからたくさん食べて。何ならもう一回食べさせてあげようか?」
「いや、遠慮しとくよ」
からかわれているのが分かっているらしく、目は笑っている。
「ちぇっ、残念」
「ハハッ、勘弁してくれよ」
(あ〜、いいかも、こういうの)
他人からすればバカップル確定の会話だけど、当事者になってみるとすっごく楽しい。
ニヤニヤとシンジ君を眺めながら、次はどうやって困らせようか、なんてことを考えていた。
104クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:15:39 ID:A77N4b2F
その後もシンジ君をからかいつつ食事を終えて、リビングに移動する。
二人並んでソファーに腰掛け、先程のお喋りの続きを始めた。
「もうすぐクリスマスだね。シンジ君、どこかに連れてってくれる?」
「ああ、ケイの行きたい所ならどこへでも」
「ホント?じゃあオシャレなブティックで買い物して、ダンスパーティーに出て、
夜景の綺麗な高級レストランで食事して…」
「…もうちょい高校生に相応しい希望をお願いします」
「え〜、どこでもって言ったのにぃ」
「限度ってもんがあるだろ!オレを破産させる気か?」
「う〜ん、シンジ君破産しちゃったらデートの時お金払ってくれるスポンサーがいなくなっちゃうしな〜」
「オイオイ、なんだよスポンサーって」
芝居がかった私の口調に、苦笑しながらシンジ君が答える。
「じゃあ、シンジ君の希望は?」
「ん?そうだな…オレは別にどこでもいいかな」
「どこでもって…何かないの?」
「いや、正直好きな人と一緒ならどこだっていいんだ」
「えっ…」
何故この人は、このタイミングでこんなことを言えるのだろう。
予想していなかった言葉に、一気に顔が熱くなる。
「どうした?また顔が赤くなってるぞ。やっぱり風邪なんじゃないか?」
先程の仕返しをされてしまった。慌ててそっぽをむくが、耳まで染まった顔は誤魔化せない。
「…バカ」
それだけ言うのがやっとだった。
先程までと立場が逆転し、今度はシンジ君がニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。
「バカって…ケイはオレと一緒じゃ嫌なのか?」
さらに追い討ちをかけられる。
「そ、そんなこと…ない、けど…」
「ないけど?」
「ないけど……もうっ、バカ!」
照れ隠しに、シンジ君の胸をポカポカと叩く。
「ハハ、やめろよ」
言葉とは反対に、シンジ君の顔は笑っている。そのまま、彼は私を抱き寄せた。
「あっ…」
「ケイは、オレと一緒じゃイヤ?」
「イヤ、じゃ、ない…私も、シンジ君と一緒がいいな…」
互いの顔を見つめ合い、どちらからともなく唇を重ねる。
「あ、プレゼントは別だからね」
「へいへい、分かってますよ」
再び微笑み合い、もう一度唇を重ねる。
「ねぇ、もう一回…」
三度目のキス。
唇を重ねたまま、シンジ君が私を押し倒した。
「ケイ…オレ、ケイが欲しい…」
熱の籠った声でシンジ君が囁く。彼の手が、私の胸の辺りに触れようとした。
「待って…ここじゃイヤ。ちゃんとベッドで…それに、先にお風呂に入りたいな」
「…分かった。じゃあ、部屋で待ってるから」
ソファーから立上がり、シンジ君は自室へ、私は浴室へ向かった。
105クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:16:28 ID:A77N4b2F
脱衣所で服を脱ぐ。その途中であることを思いだし、ドアにカギをかけた。
(いくら何でも、毎回あんなことされちゃあね…)
以前ホテルに行った時、シャワーを浴びているところに入ってこられた経験がある。
あの時はされるがままだったが、そう何度もあんなことをされては、私の体が保たない。
身の安全を確保したところで浴室に入り、体を隅々まで念入りに洗う。
シャワーを使って身体に付いた泡を洗い流していると、外でガチャガチャという音がした。
(うわぁ…カギかけといてよかった…)
案の定、シンジ君は同じことをしようと企んでいたみたいだ。
カギのかかったドアにガックリと肩を落とす恋人の姿を想像し、大きく溜め息を吐く。
普段は私の方が主導権を握っているが、こういうことになるとシンジ君はやけに強引になる。
男の人ってみんなこうなんだろうか?
「ま、いっか!」
私を愛するが故に我慢出来なかったんだろう、と都合のいい解釈を下し、頭を切り換える。
あまり待たせるのも気の毒だ。それに、待たせ過ぎたら後で何をされるか分からない。
手早く入浴を済ませ、体を拭く。この日のために買った可愛い下着を身に着け、パジャマを纏う。
髪を乾かし、これまたこの日のために買ったコロンを軽く一吹き。
最後に鏡の前に立ち、自分の姿を確認する。
「うん、完璧!」
おかしな所がないのを確認し、狼モードに入りかけているであろうシンジ君の待つ部屋へと向かった。


「何、してるの…?」
シンジ君の部屋のドアを開けた私の第一声。
シンジ君は自分の部屋をところ構わず引っ掻き回していた。
(私のこと待ちきれなくなって、壊れちゃったのかな?)
などと下らないことを想像する。
「ん、ごめん、ちょっと待っ…あ、やっぱり仕掛けてやがった!!」
本棚の裏を探っていたシンジ君が、叫んで掲げたのは…
「ビデオカメラ…?」
「ああ…ここにカメラがあるってことは…こっちの方に…あ、やっぱりあった!」
今度は本棚の上から3cm四方の箱のようなものを摘みあげた。見ると、ベッドの上にも同じモノがたくさん落ちている。
「何、それ…?」
「ん?ああ、盗聴器」
「盗っ…!?なんでそんなものが?」
最近は街中いたる所に仕掛けられているらしいが、何故こんな所に?
「まず間違いなくカナミの仕業だろうな」
「カナミちゃんの?」
「ああ。ケイが泊まりにくるって言ったとき、妙におとなしくしてると思ったけど…
念のために調べてみてよかったよ。案の定こんなことしてやがった」
あっさりと言ってのけるシンジ君。けど、内容は絶対普通じゃない。
(何なの、この兄妹!?)
カナミちゃんがかなり変わってるというのは知っていたけど、ここまでとは…。
っていうか、シンジ君が気付かなかったらどうなってたの?
「いや、カナミも普段からこんなことしてるわけじゃないんだけどさ…。
なんつーかその…魔が差したっていうか…別に悪気はないんだ」
呆然とする私に気付いたシンジ君が、妹を弁護する。あまり効果はないけど。
「ごめん、アイツには後でよーく言っとくから」
「ハハハ…」
もう笑うしかない。他にどうしろと?
そういえば、何度かこの部屋でシンジ君とエッチしたけど、まさかそれも撮られてたなんてことは…
「まさか、ね…」
考えると気が遠くなりそうなのでやめた。
106クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:17:17 ID:A77N4b2F
「ちょっとコレあいつの部屋に返してくるよ…」
そう言い両手いっぱいに怪しい機器を抱えて部屋を出ていった。
これだけの量を仕掛けるカナミちゃんもカナミちゃんだが、それを見破るシンジ君もシンジ君だ。
改めて、この兄妹の日常がどんなものであるかを思い知った。
(なんだかなぁ…)
今から起こることを多少なりとも期待していただけに、拍子抜けである。
カナミちゃんは普段はとても良い娘で、私も本当の妹みたいに接していた。
それだけに、こういう時にはどのように対応したらいいのか分からない。
「あーあ、まったく…」
すっかり熱が冷めてしまった。することもなく、ベッドに寝転がる。
「あれ?」
ベッドと壁の間に何かあるのに気が付いた。手に取ってみると、先程と同じ盗聴器。
そこであることを思い付いた。
(コレ…電源入ってるのよね?)
せっかくいい雰囲気だったのに、この機械のせいで台無しになったのだ。
なのでコレを仕掛けたカナミちゃんには、少し反省してもらうことにしよう。
(私達の幸せな時間を奪った罪は重いんだよ、カナミちゃん!)
集音マイクと思しき部分に当たりを付け、大きく息を吸い込んで…
「ワッ!!!」


同時刻、黒田家、マナカの部屋。
そこに、ヘッドホンを装着したまま白目を剥いたカナミとマナカの姿があった。
「アイツ等どーしたんだろ?」
突然ひっくり返って失神した二人を無表情に眺めながら、アキが呟く。
「大方、仕掛けてた盗聴器がバレたんでしょ」
これまた無表情に、ショーコが返す。
「ま、自業自得ね。ほっときましょ」
兄達の濡れ場を盗み聞きしようと企んでいたカナミ達だが、ケイの大声で気を失ったのであった。
「まあ、いつものことか」
興味を失い、テレビに視線を戻す。
「ねえねえ、あの二人さっきから何してるの?」
「「気にするな」」
一人現状が理解できないカオルをやり過ごす。二人が目を覚ますのは、当分先になりそうだ。
107クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:18:16 ID:A77N4b2F
「おい、どうかしたのか!?」
私の声を聞き付けたシンジ君が、大急ぎで戻ってきた。
「あ、気にしないで。独り言だから」
電源を切った盗聴器はベッドの下に隠し、トボケてみる。
「いや、独り言って…あんなにでかい声で?」
「別にいいじゃない。細かいこと気にしないの!」
なおも追及しようとするシンジ君を、強引に止どめる。さすがに私のやったことを説明するのは憚られた。
「それより…なんかダレちゃったね。これからどうしよう」
勢いでそういう行為に持ち込めるうちはいいが、一度間が開いてしまうと何となく気恥ずかしい。
「どうしようって言われてもな。正直、あんま我慢できないんだけど…」
「お風呂に入ってこようとしたしね」
「うっ…いや、あれは…」
「いくら恋人同士でも、女の子の入浴中に入ってくるなんて…一歩間違わなくても犯罪だよ?」
「いや、待ちきれなかったっていうか、その……ごめんなさい」
この日一番の困った顔で謝るシンジ君。まあ許してあげるとするか。
「反省してる?」
「してる。もう、目一杯」
「じゃあ許してあげる。その代わり、最初からして」
「最初からって?」
その声には答えず、背伸びして唇を押し付けた。
「あ、プレゼントは別だからね」
先程と同じ台詞に、その意味を理解したシンジ君が微笑む。
「へいへい、分かってますよ」
今度はシンジ君の方から唇を重ねてきた。
「ねぇ、もう一回…」
合わせて六度目のキス。そのまま、ベッドに押し倒される。
「ケイ…オレ、ケイが欲しい…」
「うん、いいよ…全部、シンジ君にあげる…」
その格好のまま唇を塞がれ、半端に開いた口の隙間から、彼の舌が入ってくる。
「んっ…んんっ…」
歯を、頬を、シンジ君の舌先が撫でる。彼の首に腕をまわし、より激しく舌を絡めた。
「ふうっ…んっ…はむっ…んんっ」
舌を絡め、唇を吸い、唾液を交換する。それら一つ一つが、甘い刺激となって全身を走る。
「んんっ…ん、んふっ…」
いつもより長く、深く、激しいキスに全身の力が抜けていくのが分かる。
漸く唇を離した時には全身が弛緩し、息も荒くなっていた。
「あっ…」
シンジ君の手が、私のパジャマを脱がしにかかる。あっという間にショーツ一枚にされた。
「ケイ…凄くキレイだ…」
「やだ…恥ずか、しい…」
彼の手が露になった私の胸に伸び、薄く桃色に染まった乳房に触れる。
そして、感触を楽しむように掌で撫でまわしていく。
「あっ…う、ん…はぁ…」
くすぐったいような刺激に、思わず声が洩れてしまう。
シンジ君は両手で私の身体を弄びながら、私の項、額、首筋へとキスしていく。
私もシンジ君に全てを任せ、されるがままに込上げてくる快楽を楽しんでいた。
熱い吐息が耳にかかり、それだけで興奮が高まっていく。
108クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:19:05 ID:A77N4b2F
どのくらいそうしていただろうか。不意に、シンジ君の動きが止まる。
そして私から体を離し、どこからかタオルを取り出した。それも3本も。
「え、また目隠しするの?」
あの日ホテルでして以来一度もなかった目隠しプレイ。それはそれで気持ちい…じゃなくて。
でも、目隠しなら何故3本も?
その答えはすぐに分かった。シンジ君は何も言わず私の手を取ると、ベッドの端に縛り付けてしまったのだ。
「えっ、やだ、ちょっと待って!」
抗議の声をあげるが軽く無視され、残った手も同じように拘束される。
痛くはないが、両手がまったく動かせなくなってしまった。
「ねえ、いくら何でもこれはちょっと…シンジ君、やっぱりこういう趣味なの?」
「ああ…そうかもな」
いや、肯定されても…。
だが、私にはもはやどうすることもできない。だいたい、シンジ君はこうなると手が付けられないのだ。
諦め嘆息する私の目を、残ったタオルが覆った。
(これって…やっぱり普通じゃないよね…?)
目隠しに両手の拘束。確かに普通ではないだろう。
「あの、シンジ君?やっぱり私、こういう趣味は……んむッ!?」
再度抗議しようとしたが、口を塞がれてしまった。
「ンっ、んむ…むゥ…んんっ」
口の中を舌で蹂躙され、抵抗する気力を奪われる。
「続けていい?」
耳元で囁かれ、最後に残った理性の一片まではぎ取られた。
「いい、よ…シンジ君の好きに…して…」
シンジ君の指が、舌が、私の身体を這う。
どこから来るのか分からない刺激に身を捩らせ、押し寄せる快感に身悶える。
「うン…あッ、ふあ…あ、あ、ん…ああッ!」
胸の辺りを撫でていた指がゆっくりと下腹部に伸びていき、ショーツの中に潜り込んだ。
「ケイのここ…すごいことになってるよ。本当はこういうの好きなんじゃないか?」
「いやぁ…そんなこと、言わない…で…ああぁッ!」
指が割れ目をなぞり、私の一番敏感な部分を刺激する。
「あぁッ……あぁンッ、あうぅ…」
「ケイはここが一番感じるんだよな」
「そんな…だ…ダメ…あぁ…」
私の体はシンジ君以外の男性を知らない。逆に、シンジ君には私の体の全てを知り尽くされていた。
「ケイ、ちょっと腰をあげて…」
言われた通り腰を浮かせると、一気にショーツをはぎ取られた。
湿った秘所が空気に触れ、ヒンヤリと冷たい。
シンジ君の指が中に入ってきた。そのまま内側を掻き回す。
指が動くたびに、私の秘所がクチュクチュと卑猥な音をたてた。
「ああッ!…んッ、あンッ…あうんッ」
両手を拘束されほとんど身動きが取れないため、絶え間なく続く指の動きから逃れることができない。
「ひあッ、うぅ…ふわぁ、シ、シンジ、君ッ、わたし…もう…」
だが、そこでシンジ君の動きがピタッと止まった。
「えっ?…シンジ君、どうして…?」
「まだ我慢して…ケイのHな声もっと聞いてたいんだ」
そう言って秘所から手を離し、今度は胸を愛撫する。
右の乳房を掌で撫で、反対の胸に口を付けた。
109クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:23:48 ID:A77N4b2F
固くなった乳首を吸われ、舌で転がされ、甘噛みされる。
「くぅ…ん、あ…ン、ふぁ…」
一度ギリギリまで高まった体は、焦らされることでさらに敏感になっていく。
その後もシンジ君は秘所や胸への愛撫を続けたが、私がイキそうになるとそこで中断してしまう。
何度も焦らされ、私の体はとっくに限界を越えていた。
「シンジ君、も…ダメ…私…おかしくなっちゃうよ…」
「じゃあ、自分でしてみせて」
「自分…で…?」
シンジ君は何も言わない。代わりに、私の右手を拘束していた布を取り去った。
言葉の意味を理解し、しばし迷う。
(そんな…シンジ君が見てるのに…)
だが、私の体は羞恥心よりも女としての快楽を選んだ。
いけないとは思いながらも、下腹部に伸びる自分の手を止めることができない。
「シンジ君…見ないで…見ないで…」
恋人に自分の自慰行為を見られる。それはしかし、私の快感を一層駆り立てることになった。
自分自身を激しく掻き回し、悦楽の声をあげる。
「あっ…くぅ、ん…っ!!!んああぁぁぁぁ!!!」
そのまま一気に絶頂へと達してしまった。全身がビクビクと痙攣し、動くことさえも億劫になる。
「ケイ…すっげー可愛いよ…」
シンジ君が腕の拘束を解き、目隠しを外してくれた。
「ケイ…」
「シンジ君…」
もう言葉は必要なかった。
シンジ君が私の秘所にあてがい、私も彼を受け入れる。
シンジ君の熱いモノが、私の中に入ってくる。
「くっ…あっ!…ああッ!!」
腰が打ち付けられるたびに、はしたない声が洩れてしまう。
「あぅ…ああ…ふ、あ、あ あ あ…」
ベッドの上で体が弾む。視界がかすみ、意識が薄れていく。
「シンジ、君ッ…!お願い…キスして…」
シンジ君がキスしてくれる。
女としての快感と恋人の甘い口付けが混ざり合い、爆発する。
「あ、あ、ふわ…あッ、ああああぁぁぁッ!!!」
頭の中が真っ白になり、ゆっくりと、私は意識を失った。
110クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:24:14 ID:A77N4b2F
気が付くと、私はシンジ君の腕に抱かれ眠っていた。
シンジ君も眠っているようで、規則正しい寝息が聞こえる。
見ると、私の体に付いた汗や体液は綺麗に拭われていた。シンジ君がやってくれたんだろう。
体を起こし、シンジ君の寝顔を眺める。
「まったく…何で君はHになるとこんなに強引なのかな」
鼻を摘んでみる。
「んぐっ…」
間抜けな声をあげ顔をしかめるが、目を覚ます気配はない。
その様子を見て、思わず吹き出す。そして、その寝顔に、そっと唇を重ねた。
「今回も、これでチャラね」

私は、本当にシンジ君が好きなんだろう。
あんなことをされても、彼への愛しさが勝って怒るきになれない。
(たぶん…ううん、絶対…私はこの人から離れられないんだろうな)
彼の腕の中。ここは、私だけのものだ。
とりあえず、もう少しこの暖かさの中で眠ることにしよう。
111クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/15(木) 12:26:56 ID:A77N4b2F
以上です。
毎度のことですが、相変わらず荒い文章です。
一月前に第一作を投下してから、あまり進歩が見られませんね・・・。
優れた文章を書ける他の職人の皆様が羨ましいです。
112名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 13:10:56 ID:OE15qvwn
GJ!クロム氏!
昼間っから職場でスタンディングオベーションなマイサンに困っちまうぜ。
113名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 18:53:33 ID:H/r/hA6v
エロカワいいよ、ケイ。
クロム氏GJっ!
真っ昼間からナイスな投稿でした。
そういえばアカボシ氏の画像うPの件どうなったんだろ?自分は大賛成なんだけどなぁ…。
114トマソン ◆sZztcRmPbc :2005/12/15(木) 20:46:05 ID:Ee7l7DXa
そら氏、ナット氏、クロム氏、GJです。


そしてアカボシ氏、お疲れ様でした。

アカボシ氏と私は、同日にこのスレの4でデビューしたんですよ。
勝手に同期のようなつもりでいましたが、引退されるとのこと。
残念ではありますが、新境地での活躍に期待しております。
115郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/15(木) 22:31:54 ID:Hhf2jBjD
アカボシ氏……"トリックスター"と称された氏ですが、
意外性に富んだ作風や他のマンガを上手に取り込んだギャグ以外にも、
キャラを丁寧に描いた作風が好きでした。元々絵描きさんだったんですね?
どうりで情景の転換とかが面白いなと思ってました。最後まで律儀な職人さんでしたね。
引退宣言は残念ですが、未練を承知でいつかはまた、
得意の小ネタで再登場なんてサプライズを図々しく待ってたりする私がいます。なにはともあれ、

お疲れ様でした&本当にありがとうございました>>アカボシ氏

そして同人誌、楽しみにしています。

……ちょっとしんみりしたところで、前スレ>>530の続き、カナミ×シンジを投下します。
NGワードは「本番無し」「焦らし」「近親相姦」「序盤スプラッタ気味」では、投下。
116郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/15(木) 22:32:31 ID:Hhf2jBjD
「カ……カナミ?それって……なに?」
そしてカナミの笑顔のあまりの怖さに固まっていたシンジは、
彼女が手でつかんだまま、蠢いている小動物を見てさらに慄然とした。
「うふふ……すっぽん。今日は生きたすっぽんが手に入ったから……」
カナミがすっぽんの鼻先に割り箸を近づけた。それまで首をひっこめていたすっぽんは、
しばし周囲を見渡して警戒していたが……
"かぷッ"
割り箸に、噛みついた。その顎は結構な力らしく、既に割り箸はばきり、と折れ始めている。
「ふふ……イキの良いすっぽん……」
ぞくり、とくるくらい妖しい微笑みをすっぽんに向けると、カナミはぐい、と割り箸を引っ張った。
割り箸と一緒に、それを噛んだままのすっぽんの首がぐにり、と伸びた。
"バサリ"
首が伸びきったところで、間髪入れずにカナミが出刃包丁ですっぽんの首を切り落とした。
ぽとり、とそれが――テーブルの上に、落ちた。
(!!!!!いてッ!)
「亀の頭」が切り落とされるところを目の当たりにして、なぜか自分の股間が
切り落とされるかのような錯覚を覚えたシンジは、思わずそこを押さえていた。
いつの間にか、カナミはコップを手にして頭のなくなったすっぽんの首から滴り落ちる血液を集めている。
「うふふ……すっぽんの血って、精力がつくっていうからあとでお兄ちゃんもたっぷり飲んでね?」
頭を切り離されても、すっぽんの胴体はなおもうねうねと手足を動かしている。
いや、胴体だけでは無かった。食卓の上ではなおも首だけになったすっぽんが目を見開き、
みじろぎしていた。そんな奇怪な風景に、シンジの中の現実感覚が崩れていった。
「…………………は、………は、………い」
今逆らったら、間違いなく自分も………あまりに恐ろしい妄想が、シンジの頭の中に浮かぶ。
「じゃあ……お兄ちゃん……ご飯の準備、お願い」
「は、はいッ!」

今日の城島家の食卓に上ったのは―――
さきほどカナミのさばいた、すっぽんの鍋に牡蠣フライ、ニラレバ炒めにとろろ汁。
(………節操も脈絡もない……ていうか、完全に……精力のみのメニュー……)
正直、食欲など全くなかったシンジだが、砂を噛むような思いで……それらを、平らげていった。
「ふふふ……どう、お兄ちゃん?美味しい?」
「は、はい!美味しいです!」
普段の食卓なら、まだこういったメニューについてのツッコミも可能だったはずのシンジだが、
今日の雰囲気ではなにも言えるはずもなかった。
「では、じゃ〜〜ん!さっきのすっぽんの血を日本酒で割ったすっぽん酒!どうぞ、お兄ちゃん?」
「は、ははははい、いただきます!」
気味の悪い、ややくすんだ赤色の液体。コップに入ったそれを震える手でカナミから受け取るシンジ。
「私も最近少し体調悪いから、いただいちゃおうかな?じゃあ、乾杯!お兄ちゃん」
「か、乾杯……」
表面上はにこやかなカナミだが、目は全く笑っていなかった。
かちん、とお互いのコップの先を合わせると、シンジは覚悟を決めて……
"ぐび………"
その不吉な色をした液体を、一息で飲みほした。
(うえ、まんま血の味だ……)
「ふあ……すごい、生臭いんだね、すっぽんの血って。
うふふ、でも精力がつくって言うからコレでバッチリだよね、お兄ちゃん?」
「そ、そうだな……カナミ……」
生きた心地のしないまま、食事をとり続けるシンジ。そしてようやく全てを平らげた後、
「カナミ?あのさ、後かたづけは俺が……」
「でも……」
「い、いいって。たまにはさ、お前もゆっくりしてろって」
強引にそう言うと、食器洗いを引き受けるシンジ。
「じゃあ……ゴメンね、お兄ちゃん?」
予想外にあっさりと引き下がり、カナミはリビングでテレビを見始めていた。
§
117郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/15(木) 22:33:09 ID:Hhf2jBjD
(大丈夫だ……大丈夫だ……きっと、大丈夫だ……)
根拠のないことを呪文のように繰り返しながら食器洗いに集中するシンジだが、
"カチャーン"
「わ、わるいな、カ、カ、カナミ……またコップ割っちゃった」
「もう……やっぱり私がやろうか?」
「い、いや大丈夫だ……よ、カナミ……」
手元が震えっぱなしなのも仕方のないところで。
「それじゃ私、そろそろお風呂にお湯張ってくるね?」
「あ、ああ……そろそろこっちも終わりだから……」
カナミがリビングから風呂場へと消えたのと同時に、猛スピードで食器洗いを終え、
キッチン周りを片づけると、シンジは自分の部屋に消えようとしたものの……
「あ、お兄ちゃん?お湯もう張ったから、先に入っちゃって?ちょっと熱めかもしれないけど」
「………はい」
機先を制され、天を仰ぐのであった。
(それでも、この部屋にいるよりはマシだ……いったん自分の部屋に戻って……)
逃げるように階段へと向かうシンジだが……
「パジャマとかは全部用意してあるからね?私も入りたいからすぐに入って?」
「………はい……」
全てカナミに先回りされ、2手先3手先まで行動が読まれているのであった。
(なんだ?いったいなにが……とにかく、今日は風呂に……)
それ以上の緊張感に耐えられず、そそくさと風呂場へと向かうシンジ。

"ばしゃあん……ざぶ"
(…しかしさっきはカナミの奴、なんだったんだ?)
カナミの言うとおり、ちょっと熱めのお湯がシンジの疲れを解きほぐしていた。
(ナツミと……ヤってたのがバレたのか?……もしかしてアイツ、
戻ってきててアレの真っ最中を見られたとか……でも、なんでそんな怒られにゃいかんのだ?
だいたい兄妹とは言え、俺が誰と恋愛しようとアレをしようと……勝手だろ?)
……本人のいないところで吠えるシンジ。結構小さい男である。
(ま、とにかく今日はスッとぼけて、明日は何食わぬ顔で……)
"ガラッ"
「………カナミ?」
磨りガラスの向こうに、カナミらしき影が現れた。
「どうした?カナミ?」
「……………」
シンジが声をかけても、無言のまま……なんの反応も返ってこない。
「あ、もしかしてバスタオル準備するの忘れた?別にそれくらい……」
「……………」
なおも無言のままだった。段々と……シンジは、腹が立ってきていた。
(いつもエロボケをかまして……人のことを童貞だとかイカ臭いとか言っておいて、
彼女が出来たらそれか?兄貴をバカにするにもほどがあるぞ……)
「なあ、カナミ?久しぶりに一緒に風呂、入るか?」
さきほどまで、溜まりに溜まっていた不満と……すっぽん酒が効いていたこともあり、
挑発的な発言をするシンジ。磨りガラスの向こうでカナミの体が一瞬固まったのが、分った。
(ふん……どうせお前には、そんな度胸もないんだろ……なら、俺のことはもう、ほって……え?)
"ガチャ……"
一糸まとわぬ……全裸で、カナミが風呂場に入ってきた。
「かかかかかかかっかかかか、カナミ$#%?」
「………お兄ちゃん……」
控えめなカーブを描く小さな乳房、頼りなげに細いウェスト、そしてほんのりと肉付きの良い腰――
白く、華奢なカナミの裸体に、シンジは罪の意識を覚えることさえ忘れ……しばし、見入った。
「!ダメだ!お、おい!カナミ……お前、いくらなんでも、それはシャレに……」
1分ほど、惚けたようにカナミに見とれていたシンジだが、我に返ると慌ててそう言った。
「………さっき、久しぶりに一緒に入ろうって言ったじゃない」
「だだだだ、だっから、あれはほんの冗談で……」
§
118郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/15(木) 22:34:06 ID:Hhf2jBjD
「もし……お兄ちゃんが私のことを何とも思ってなかったら、平気のはずでしょ?いいじゃない」
「そ、そういう問題じゃ……」
「それとも……お兄ちゃん、私の裸を見てエッチな気分になっちゃうの?兄妹なのに……」
「ぐ………そ、そんな問題じゃ…」
言いよどむシンジをよそに、カナミは既に風呂場のドアを閉めるとバスチェアーに腰掛け、
ゆっくりと……シャワーを浴び始めた。
「カナミ……あの、じゃあ、わかった!俺が出るから……」
股間の前をなんとか右手で隠し、慌てて浴槽から半身を起こすシンジだが。
「ダメ……」
「か、カナミ?」
「お兄ちゃん……」
カナミは、潤んだ瞳でシンジを見た後……
"ちゃぷ……"
浴槽へと片足を入れ、そして―――シンジの両肩に手を置くと、全身を、その中に沈めてきた。
さほど広くもない浴槽の中で、兄妹ふたりがお互い正面から向き合う格好になっていた。
「カナミ……ダメだって!おい……」
「お兄ちゃん……なんで、あんなこと言ったの?」
「え?」
「私……今岡先輩のこと、好きだった。さっぱりしてて、可愛くて、頼りがいがあって……
こんな人が……お姉さんになってくれたらいいな、って思ったくらいだった。
お兄ちゃんの恋人で、ふたりが幸せそうで……それでいいって思ってた。
それなのに……ヒドイよ……私のいるときにエッチしようか、だなんて……そんなの…ヒドイよ……」
「カナミ……」
カナミは、泣いていた。大粒の涙を目から零して……泣いていた。
(やっぱり……あのときのアレ……聞かれてたんだ……)
そう思うシンジだが、盗み聞きをされたことに対する怒りは、全く無かった。
むしろ自分の軽率な発言が、大切な妹を傷つけてしまったということにひどく後悔していた。
「あ……あのさ、カナミ……ゴメン。本当に俺……調子に乗っちゃって、あんなこと言って……」
「…………」
カナミはまだ……シンジを責めるように見つめ、泣き続けていた。
「ナツミにも怒られたんだ、あの後。ゴメン、カナミ……だから、もういいだろ?」
今のシンジの謝罪が、心の底からのものであることは……カナミにも分っていた。
だが……カナミは、小さな子供がダダをこねるように、首を左右に振った。
「……私にも、して。お兄ちゃん……」
「……?え?」
「私と……」
全てを言い終わらないうちに、カナミがシンジの手を取り、それを自分の胸へと押しつけた。
"ふに……"
「$%●!◎〒!!!お、おい!カナミ!」
小さな乳房から伝わってくる、柔らかな感触。シンジの頭はショート寸前だった。
「今岡先輩としてたみたいに……私とエッチして、お兄ちゃん……」
「だ、だだだだだだ!ダメだって!お前、俺らは兄妹……」
「どうして……」
「?」
「兄妹なの?私たち………」
「……カナミ………」
「こんなに好きなのに……ちっちゃい頃から、お兄ちゃんのことが大好きだったのに……」
「……カナミ、でも……それは……」
「お願い……お兄ちゃん……」
カナミは―――普段の、エロボケ発言が信じられないほど―――
真剣な眼差しで、シンジを見つめていた。涙でまだ濡れた瞳が、刺すようにシンジを見ていた。
そして……ゆっくりと、乳房につけられていたシンジの手のひらを、自分の股間へと導いた。
"りゅッ……"
「ホラ……濡れてるでしょ?お兄ちゃん……私」
抵抗もできず……シンジは、カナミのなすがままになっていた。
§
119郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/15(木) 22:34:41 ID:Hhf2jBjD
今回は以上。次回でこのSSは完成の予定。
>>そら氏&ナット氏(お久しぶりっす!)&クロム氏にもGGGGGGGJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!を、
そして長編を完結させたピンキリ氏に最大限の敬意と感謝を。

ところで>>トマソン氏
>アカボシ氏と私は、同日にこのスレの4でデビューしたんですよ。
>勝手に同期のようなつもりでいましたが、

すごく好きです、こういうコトバ。なんだか泣きそうになりますね。
120名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 22:46:49 ID:rBDRHuFS
THE 近 親 相 姦
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
早く続きよみてー
121名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 23:04:05 ID:ar1TTmk4
スポーン怖いよスポーン
122名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 23:36:47 ID:DtgJRugK
>アカボシ氏
残念ですが氏の勇退を笑顔で送りたいと思います
新天地でもがんばって下さい!!

>クロム氏
ケイがカワエエすぎ(*´д`)
こんな子とバカップルになりたいわあ

>郭氏
やべぇ…このカナミはやばすぎでしょう
この兄妹にとってはどういう結末がハッピーエンドなんだろう?
完結を大いに期待しております!!
123郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/15(木) 23:38:08 ID:Hhf2jBjD
スレ違いは承知ですが、もうひとつ。
今仰木監督病死のニュースを見ました。立場上、敵軍の監督ですが10.19等、
ロッテファンとしても申し訳なく、本当に……哀しいです。
近年は敵味方を超えた、パの顔であり名将だと思っていました。いちパリーグ狂としてご冥福を祈ります。

皆様のお目汚し、本当に失礼しました。
124518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:04:56 ID:s4drv7Jn
トリが付いてるかどうか不安にかられつつ。
失敗したら生暖かく笑ってやって。
NGワードは「アヤナ×マサヒコ」「エロ無し」です。
流行やね、アヤナは。
125518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:05:40 ID:s4drv7Jn
小久保マサヒコと二人並んで歩きながら、若田部アヤナは緊張していた。
「しかし若田部も意外とおっちょこちょいなんだなぁ。
食料品買いすぎるなんてさ」
そんなマサヒコの言葉に普段なら「おっちょこちょいなんて久しぶりに聞いたわ」なんて感じで。
若干の皮肉を込めて言い返してきそうなものなのだが、
「……あぅ」
恥ずかしげに頬を赤らめて俯くもんだからマサヒコもひどく調子が狂う。
「若田部……どっか悪いのか?」
「えっ!?な、なにが?」
「いや、なんかいつものキレが無いっつーか。妙な緊迫感が…」
「そんなことないわよ」
大ウソ。
ホントはものごっつ緊張している。
マサヒコが隣にいるせいだ。
昨日までのアヤナならそんなことは無かっただろう。
しかし今は違う。
原因は1時間ほど時を遡ることになる。



「は〜…肩こるわ〜」
放課後の校舎の中。
アヤナは肩をトントンと叩きながら教室へと戻る。
肩こりの原因は図書館で読書をしていたためだ。
巨乳だからではない……と思う。
改めて胸に軽いコンプレックスを感じつつ、教室の戸を開ける。
夕闇迫る教室に既に人影は――
「あれ?」
居ないと思っていたら机に突っ伏す人物。
その席の主は確か……
「……小久保君?」
呼びかけるが返事はない。
無視?いや、彼の性格上それはないし、
何よりアヤナが教室に入ってきた時にも何も反応がなかった。
ということは、だ。
「ひょっとして……寝てる?」
アヤナの予想通り。
近寄ってみれば寝息が聞こえてくる。
「こんなところで寝るくらいならさっさと家に帰ればいいのに」
若干呆れながら寝顔を見てみた。
「……」
思わず沈黙。
なんと言えばいいか、なんと言うべきか……。
線が細いと言うか、女顔のマサヒコの穏やかな寝顔に。
ドキッとした。
(……なんでドキッとするのよ……)
自分の身の内の変化に戸惑う。
精神が混乱する間に肉体は欲望のままに動く。
マサヒコの寝顔をもっとよく見ようと、いつのまにか顔を近づけていた。
126518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:06:12 ID:s4drv7Jn
その時。
「ん…」
「っ!!?」
アヤナの顔が真っ赤になる。
マサヒコの寝返りの拍子にアヤナの唇がマサヒコの頬に触れたのだ。
別に唇と唇、ネズミ to ネズミだったわけではないのだが。
だが、頬とはいえ触れてしまった事実。
マサヒコの僅かな身動ぎで触れてしまうほど近づいていた事実。
2つの事象が相乗効果を生み出していた。
真っ赤になって、触れた唇を押さえて。
アヤナは荷物を抱えて全速力で教室を後にした。



帰り道も赤らんだ顔は一向に冷める事無く。
家に帰りついて、冷蔵庫の中の冷たいジュースを飲んだ所でようやく落ち着く。
落ち着いた所で家の中の静かさに気づく。
「そっか。今日は誰もいないんだったわね……今日「も」かな?」
父は出張、母は友人と海外旅行、兄は……さて誰の家にいるのやら。
皮肉っぽく唇の端を吊り上げながら冷蔵庫の中を覗く。
見事にすっからかん。
「あちゃ〜……そーいえば昨日全部使いきっちゃったんだ」
そう言えば帰りにスーパーによってくるつもりだったのだ。
「うっかりしてたわね。あんな事があったから……あんなこと……」
改めて「あんなこと」を思い出し顔が赤くなる。
「あーもう!何なのよ!たかが「ほっぺにちゅ」ぐらいでこんな!
小学生じゃあるまいし!買い物!買い物に行こう!!」
着替えもせずにそのままスーパーへまっしぐら。
けれどスーパーの中でもついぼーっとしてしまい、少々買いすぎてしまった。
買い物袋の量と重さに難儀していると、
「あれ?若田部?」
「!!」
ビクーン!と身体を強ばらせる。
そしてゆっくり振り向けばそこには……
「こ、小久保君!」
思いがけずの大声。
出したほうも出されたほうもビックリだ。
「なんだよ大声で」
「ご、ごめんなさい!ビックリしてつい…」
「その割に俺が声をかけてからかなり間があったような……まあいいけど。買い物か?」
「ええ。今日誰もいないから。夕食用にね」
「……一人分のわりに量多くないか?」
「い、いいでしょ!小久保君には関係ないじゃない!」
そう言ってから、はっとする。
テンパッていたからとはいえ、かなり突き放した言い方になってしまった。
マサヒコを怒らせてしまったかと思ったのだが、
「悪い悪い。お詫びに持つよ、それ」
「え?あっ!」
まったく気にした様子はなく。
逆にアヤナの持つ買い物袋を持ってくれる。
127518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:06:39 ID:s4drv7Jn
「あの…小久保君?」
「ん?」
「その…あ、ありがとう」
マサヒコはなにも言わずただ笑う。
アヤナもはにかんだ笑みを返し。
二人並んで若田部家へ……即ち冒頭に至ったわけだ。
道中話を振るのはマサヒコで、アヤナは聞き手に回る。
意外にもマサヒコは話題が豊富で多岐に渡り、自然とアヤナは話に引き込まれる。
しかし。
楽しい時間が終わるのは早いもので。
あっという間に若田部家へと到着。
「ありがとう小久保君。お礼にお茶でもどう?」
それはもうちょっとだけサヒコと一緒にいたいとの願いから出た言葉だったのだが。
「もう遅いし、遠慮しとくよ」
「そう…残念ね」
本当に残念そうなアヤナ。

…………唐突に話は変わるが。
父がエリートである若田部家は裕福であり、家も結構な豪邸である。
防犯のため高い壁に囲まれ、玄関のみならず正門にも鍵がかかっている。
だからアヤナが正門前で鍵を取り出したのは当然の事だったのだが。
「あ」
うっかり鍵を落としてしまったのは予想外なわけで。
慌てて鍵を拾おうと手を伸ばすと同時に足も出てしまって。
足で鍵を蹴飛ばしてしまった。
蹴られた鍵は地面を滑り、そのまま側溝の天板の隙間へ吸い込まれる様にゴール・イン!
いや、この場合オウン・ゴールか?
固まるアヤナ。
マサヒコが側溝へと駆けより、隙間から中を覗く。
真っ暗で見えない。
ならば!と天板を外そうと隙間に手をかけ、あらん限りの力を込める。
動くわけないし。
無駄な努力をした後、マサヒコは今だ固まったままのアヤナに尋ねる。
「…合鍵とか持ってる?」
「(ふるふる)」
よほどショックだったのか、口を開かず、首を振るだけのアヤナ。
無言で見詰め合う二人。
お年頃の男女が見詰め合ってるんだから、甘い空気の一つも流れそうなものだが。
流れるのは寒寒とした空気。
先に口を開いたのはマサヒコ。
「えっと…鍵無しで家に入る手段は?」
「(ふるふる)」
「家族は遅くなる?」
「(ふるふる)」
「あ、じゃあ心配無いのかな?」
「(ふるふる)」
「……ひょっとして今日は誰も帰ってこない?」
「(こくこく)」
「あうちっ!……え〜っと…じゃあ鍵が無いと非常に困るわけだ?」
「(こくこく)」
さてどうしたものか?
128518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:07:08 ID:s4drv7Jn
茫然自失のアヤナの代わりといわんばかりに。
マサヒコの頭脳がフル回転する。
(こーいうときはどうすればいいんだ?どうやって天板を外してもらう?誰に?
下水は公共設備だから役所に電話すればいいのか??あ、でももう五時過ぎたしなぁ。
お役所仕事ってよく言うし。鍵を取り出す事ができないなら……鍵師に家の鍵開けてもらうか?
……番号しらね―や……困った…手詰まりだ)
マサヒコはちらりとアヤナを見る。
茫然自失と言うか、泣きそうと言うか。
普段の凛としたアヤナとは違い、ひどく弱々しい印象。
その様子にマサヒコの父性が大爆発。
何とかしてやろうという気になってくる。
しかし。
考えた挙句、自分にはどうにもできないというのが結論なんだから悲しくなってくる。
難題。
分不相応。
力不足。
体力の限界。
引退します。
……途中からなんかおかしいが気にするな。
結局子供の自分に出来る事は大人に頼ることだけ。
んでもって一番身近で頼りになる大人といえば、
「えっと若田部。とりあえずウチこいよ。な?」
パパンとママンだ。
「……(こくこく)」
しばらく考えた後、アヤナは頷く。
しかし。
その頬が赤らんでいたのは、嬉しそうだったのはマサヒコの目の錯覚だろうか?



「ただいま〜」
「おかえり。遅かった――おや?お客さん」
何故か寝ぼけ眼で出迎えたマサヒコ母がアヤナを見とめる。
「ああ、実はさ――」
マサヒコは鍵が側溝にボッシュートされたことを話す。
「ふ〜ん」
「で、どうしたもんかと思って」
「うん。じゃあウチに泊まってくといいわ」
「なぜそうなる」
すかさずマサヒコの切れ味鋭いツッコミ。
「だってしょうがないでしょ?他にどうしようもないじゃない」
「鍵師に頼むとか」
「あんたそーは言うけど高いのよ。鍵師って。
一月も二月も御両親帰ってこないわけじゃないんでしょ?
だったらウチに泊まった方が安上がりだし」
「まあ…たしかに」
鍵師への依頼がいかほどのものか知らないマサヒコだが、
頼むより頼まない方が安上がりなんて事は言わずもがなだ。
それに現在家長(父は現在長期出張中)たる母が
泊まってけと言ってるのだから問題もないだろうし。
129518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:07:37 ID:s4drv7Jn
「どうする若田部?」
アヤナはしばらく考えていた様子だったが。
やがておずおずと、
「……御迷惑じゃないですか?」
尋ねる。
対するマサヒコ母の答えは明瞭だった。
「ぜんぜん。多い方が楽しいじゃない」
大物だ。
懐が実に広い。
……な〜んも考えてないだけかもしれないが。
「さて、それじゃあ晩御飯は3人分か。何作ろうかしら?」
「へ?まだ作ってないのか?」
長針と短針は共に地面と垂直になろうとしている。よーするに午後六時だ。
普段の小久保家なら既に晩御飯が始まっていておかしくないのだが。
「ごめん。今の今まで居間で寝ちゃってた♪」
「駄洒落はいいから」
「……あんた最近ツッコミきついわよ」
拗ねた様子で唇を尖らせる母と呆れた様子の息子。
そこに割って入る客人。
「あの」
「?? どうしたの?」
「よかったら私に晩御飯作らせてください。
材料もありますし、泊めて戴くお礼もかねてぜひ」
「そう?いや〜悪いわね気を使わせちゃって。是非お願いするわ。
あ、冷蔵庫の中のものはなんでも使っちゃっていいから」
「はい!任せてください!」
勢い込んでキッチンへ向かうアヤナ。
一方その場に残されたマサヒコ。
「仮にもお客さんになんてことをさせるんだよ」
あっさりアヤナの提案を受け入れた母を非難するが、
「作りたいって言ってるんだから、遠慮するのも失礼でしょ?」
「でも若田部はお客さんだろ?」
「いいのよ。うちは泊めてあげる。彼女はご飯作ってくれる。
これでプラスマイナスゼロ。等価交換成立でみんなハッピーじゃない」
「それは……」
「そうすれば彼女だって変に負い目感じる事も無いでしょ?」
マサヒコはため息をつく。
確かに母の言葉は正しい。
正しいのだが。
「結局、母さんがラクしたいだけなんだろ?」
「あ、ばれた?」
マサヒコはまた大きなため息をついた。
(俺って父親似だよな、絶対)
そんな事を思いながらご機嫌な母の横を通りすぎ、自室へ。
滅入る気持ちを表すかのようにのろのろと着替えてからキッチンへ向かう。
キッチンではアヤナがエプロンをつけて忙しく動き回っている。
母の姿は無い。
代わりに居間からテレビの音が聞こえてくる。
……奥さん、職場放棄っすか。
130518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:08:13 ID:s4drv7Jn
「若田部、なんか手伝うか?」
「別に大丈夫だから、座って待ってて」
「献立はなんなんだ?」
「簡単なものよ」
「ふ〜ん…」
言いつつ、ちらりとガス台の上を見る。
中身はわからないが、鍋からはおいしそうな匂いが漂ってくる。
その匂いに触発されたか、お腹がクゥと鳴る。
空腹もあり、座って待っていたいところだが、目の前では同級生が頑張っている。
確かに待っててとは言われたさ。
けど素直に「はいそうですか」と言えるほどマサヒコは薄情ではない。
じゃあどうする?
この先アヤナが必要とするだろうアイテム。
即ち料理を盛る器をテーブルの上にスタンバイする。
気分はなんだかRPGのどこその村の村長だ。
……無理難題吹っかけてしょぼいアイテムを渡すような村長ではない……つもり。
それなりには役に立ってるよね?
そんなマサヒコの内なる声を聞いたわけでもないだろうが。
食器棚へと歩き出しかけたところでテーブル上の食器に目を留め、マサヒコをみる。
「それでいいか?」
「……ありがとう、小久保君」
笑みを向けられ、マサヒコはちょっと照れる。
だってアヤナって普段あんまり笑わない。
しかしながら元の作りは激烈にいいわけだし。
マサヒコもお年頃だし。
よーするに美人の笑顔にゃドキッとさせられる。
「小久保君」
「あ!?ああ、なんだ?」
急に声をかけられ内心ビックリ。
「もう少し深い器無いかしら?」
「ああ、ちょっと待っててくれ」
食器棚をあさる。
大体どこにどんな食器があるかだいたい把握しているつもりだったマサヒコだが、
「あれ?たしかここに……おかしいなぁ」
「違う、その下よ」
発見できないでいると母登場。
しかしマサヒコ母は手を貸すでもなくキッチンの入り口から顔だけ出して、
アヤナとマサヒコの様子をニヤニヤ眺めている。
「母さん見てないで手伝えよ」
「や〜…なんて言うかさ。懐かしんでいたわけなのよ」
「懐かしむ?」
「私達も昔はよく二人で台所に立ってたものよ。よっ!新婚さん♪」
「ばっ!なにいってんだよ!」
顔を赤くして怒鳴るマサヒコ。
一方のアヤナもマサヒコに負けず劣らず真っ赤で、まるでたこちゅーだ。
「軽い冗談じゃない。だいたいホントに新婚なら料理だけで終わるわけないし。
私もよく料理されちゃったもの♪」
「んなこといわんでいい!」
「その時できたのがあんたよ、マサヒコ」
「ば、ばかなぁぁぁ!!!」
衝撃の事実発覚。
131518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:08:37 ID:s4drv7Jn




そんなこんなで料理は完成。
本日のメニュー。
ロールキャベツ。
キャベツとにんじんとワカメのスープ。
キャベツとアスパラの温野菜サラダ。
「お〜!こりゃおいしそうだわ」
「それはそうだけど…キャベツ多くないか?」
「冷蔵庫の中のキャベツ痛みかけてたから、使いきっちゃおうと思って」
おずおずとアヤナ。
「小久保君、キャベツ嫌いだった?」
「いや、そんなことないけど」
「んまい!こりゃおいしいわ!」
一足先に料理に手をつけたマサヒコ母が感嘆の声をあげる。
「スープもいい味。お見事ね。しかもキャベツも使ってくれてるし」
「ありがとうございます」
誉められてはにかんだ笑顔。
そんなアヤナを見つつ、マサヒコもロールキャベツを一口。
「む…たしかにうまい」
「でしょ?……ねえ、こんな息子でよかったらあげるから嫁に来ない?」
「ええっ!!?」
たこちゅー再び。
真っ赤になるアヤナにマサヒコは苦笑を返す。
「悪いな若田部。母さん誰にでもそんなこと言うんだよ」
「……誰にでも?」
これはちょっと聞き捨てなら無い。
視線が鋭くなるのだがマサヒコは気づいた風もなく。
「前に濱中先生や的山にも言ったし、天野にも言ってたしな。
うちに来る女の子には手当たり次第だよ」
「嫁と姑の骨肉の争いってのをやってみたいのよ」
「我が親ながらなんでこんな……」
やれやれとため息。



食事もつつがなく終わり、リビングで食後の一服。
「は〜…ホントにおいしかったわ」
満足げなマサヒコ母。
確かにおいしかったことは間違い無いのだけれど。
しかし満足しているのは料理の味よりも料理をしなくてよかったという事実だろう。
後片付けはマサヒコにやらせてるし。
「ああ、そうだ。アヤナちゃんの着替えを用意しないと」
「お手数かけます」
何しろアヤナは制服姿だ。
いかに明日が休日だろうとも制服姿で眠るのは後々面倒だ。
皺になったりするから。
132518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:11:22 ID:s4drv7Jn
「ちょっと待っててね。何着かよさそうなの持ってくるから」
スキップでもしそうな勢いでマサヒコ母はリビングから出ていく。
その様子にアヤナが首を傾げていると、
「またなんか変なこと思いついたな」
後片付けを終えたマサヒコがリビングに入ってくる。
アヤナはマサヒコの分のお茶をいれる。
「はい」
「サンキュ」
ふ〜、とマサヒコが一服していると母がなにやら持って部屋に入ってくる。
「さて、色々持ってきたけどどれがいいかしら?」
「なに持って来たんだ?」
「アヤナちゃんのパジャマよ。まずはこれ」
差し出したのはスケスケのネグリジェ。
「どう?セクシーでしょ?」
「あの……ちょっとセクシー過ぎなんですけど」
「あなたのスタイルでこれ着てたらどんな男だってパツイチでコロッよ」
「俺しかいないのに着てもしょうがないんじゃ」
マサヒコの言葉に、アヤナはいささかむっとする。
その言い様はまるでアヤナを女と意識してないというか、
自分を誘惑するな!との遠まわしの言いようにも聞こえた。
いっそそのネグリジェでホントに誘惑してやろうかとも思ったのだが、
「やっぱりダメか。じゃあ次はこれ」
マサヒコ母があっさり流したので断念。
次に出してきたのは服ではない。
小さな小瓶。
……いかん、「小さな」と「小」瓶でかぶった。これじゃ頭痛が痛いと同じじゃん。
「あの……なんですか、これ?」
「シャネルの5番よ」
「マリリン・モンローかよ!」
かの大女優が下世話な記者に「夜寝る時に何を着る?」と言われ
「シャネルの5番よ」と答えたのはあまりに有名な話だ。
……有名だよね?
「あの……流石になにも身に着けないのは……」
「いいじゃない。全裸健康法ってあるし」
「母よ、家には俺もいるわけだしそれはちょっと」
「いいじゃん別に」
「よくねーだろ!」
マサヒコのツッコミに母は渋々断念。
「じゃあこれは?バカには見えない――」
「いかに親でも終いには力に訴えるぞ」
「――誰にでも見えるバスローブ。買ってから一度も使ってないから綺麗よ」
最後に取りだしたのはバスローブ。
「これなら文句無いでしょ!ふんっ!!」
「だからなんでキレてんだよ……」
呆れるマサヒコ。
133518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:12:00 ID:s4drv7Jn
アヤナはバスローブを受け取り、頭を下げる。
「わざわざありがとうございます」
「いいのよ。ご飯作ってくれたんだもの。自分のウチだと思ってくつろいじゃって。
あ、お風呂もう入っちゃう?」
「そんな。一番風呂をいただくわけには」
「それもそうか。アヤナちゃんのエキスがたっぷり出たお湯にバカ息子が
入ったらなにしでかすかわかんないもんね」
母のあんまりな言葉に。
「カンバックファザー……」
父は偉大だと涙ながらに認識するマサヒコだった。


けっきょく入浴はアヤナ、母、マサヒコの順に済ませた。


そして夜も深まり、草木も眠る丑三つ刻。
わかりやすくいうと午前2時。
二階の客間で就寝していたアヤナは不意に目が覚めた。
やけにはっきりと覚醒してしまい、すぐには眠れそうにない。
水でも飲もうと部屋から出ると、
「あら?」
マサヒコの部屋から僅かに光が漏れているのに気付く。
「まだ起きてるのかしら?……ちょっと話し相手にでもなってもらおうかな」
衣服の乱れを正し、軽く髪を整え、ちょっと緊張しながらコンコンとノック。
「小久保君、ちょっといい?」
返事はない。
さらにノック。
「小久保君?」
やはり返事はない。
そっと戸を開け、中を覗いてみるとマサヒコは胡座をかいてゲームパッドを握っている。
するりと部屋の中に入りこみ、マサヒコに近寄る。
「……寝てる?」
テレビ画面にはコンテニューかエンドかの選択表示。
状況を見るにゲームキャラと共にマサヒコも力尽きたというところだろう。
「まったく……寝るなら布団で寝なさいよ」
だが、そこで気付く。
マサヒコが寝ている。
近くにはアヤナだけ。
似たような状況が確か今日……正確には昨日あったはず。
フラッシュバックの様にアヤナの頭に放課後の教室での出来事が蘇る。
寝入るマサヒコと、魅入る自分。
そして、触れてしまった頬と唇。
「っ!!」
顔が熱くなる。
動悸が激しくなる。
胸が切なくて……苦しくなる。
「……」
意図せずに体が動いた。
134518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:12:33 ID:s4drv7Jn
マサヒコの顔を見ようと側に腰をおろし、下から覗きこむ。
学校の時と同じく、やはり穏やかな寝顔。
すーすーと規則正しく呼吸を繰り返す口に。
通った鼻筋に。
閉じられた目に。
釘付けになる。
目を……反らすことができない。
そして唐突に気づく。
相手に心奪われるこの状態は……まさか、恋?
そう考えると。
顔が熱くなるのも。
動悸が激しくなるのも説明がついた。
そう。
間違いなく。
若田部アヤナは。
小久保マサヒコに。
恋していた。
「ああそうか……そうなんだ。好きなんだ」
アヤナは恋を意識すると同時に開き直る事が出来た。
ずっと眺めていたい。
沸き起こった欲望に身をゆだね、マサヒコを見つめる。
飽きる事もなく。
いつまでも。
しかし、終わりは唐突にやってくる。
「くしゅん」
夜の冷気がアヤナの身体を苛んでいたようで。
不意のくしゃみ。
「ん……」
その声に反応して、マサヒコがゆっくり目を開ける。
「……あれ?若田部」
至近距離にアヤナを捉え、きょとんとした表情。
一方アヤナは慌てる。
自分がマサヒコの寝顔を見ていた事をばれない様にと、慌てて離れようとした。
「きゃっ!」
「へ?」
足がもつれた。
バランスを崩し、マサヒコ目掛けて倒れこむ。
半ば寝ぼけていながらマサヒコも咄嗟に支えようと手を伸ばしたのだが。
如何せん寝ぼけていた。
支えるはずの両手は見事にアヤナの両サイドをすり抜けた。
結果。
アヤナはマサヒコを押し倒す格好で倒れた。
「いっ…たぁい…」
「!!?」
「ごめんなさい小久保君。だいじょう――ひゃっ!」
慌てて起きあがり、自分の格好を見て真っ赤になる。
バスローブ姿のアヤナ、倒れた拍子に胸元がはだけたようで。
じゃじゃ丸……いや、ピッコロ……いやいや、ポロリ状態。すまんね、くどいボケで。
135518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:12:54 ID:s4drv7Jn
「み、見た!?」
「…見てないぞ」
顔を真っ赤にしながらでは説得力がまったく無い。
「見たのね?」
「う…あ〜…えと…ゴメンナサイ」
「……」
「で、出来れば致命傷は避ける方向で……若田部?」
「…ひっく…」
「うお!」
ぽろぽろ涙を流しているアヤナの様子にマサヒコびびる。
(ま、前にもこんな事があったような……打たれ弱いのか、若田部は?)
「うう……ひっく…もう…お嫁にいけないよぉ……」
「重ね重ね申し訳ない」
こうなった以上もう謝るしかマサヒコにできることはない。
もっともマサヒコには何ら落ち度はないんだけど。
女の子が泣いてるんだから、謝るしかないじゃん?
「ごめん」
再度謝るとアヤナは涙を拭う。
そして、何かを決意したような強い視線をマサヒコへ向ける。
「……責任とって」
「責任って言わ――おい、なぜにじり寄る」
じりっじりっとアヤナがマサヒコに接近。
「責任とって」
「責任ならとる。だがなぜ近づく?」
「責任とってくれるんでしょ」
さらに接近。
二人の距離はすでにセンチ単位だ。
「ん…」
アヤナは目を閉じスタンバイ。
鈍い鈍いと言われるマサヒコでも何を望んでいるかわかる。
「ちょ!?ええ!?」
わかるからこそ焦る。
「わ、若田部!?」
「…私の事、嫌い?」
「いや、そーじゃなくてだな」
「じゃあ…責任、とって…」
ちょこんと、唇を突き出す姿はあまりにもかわいらしい。
(普段の凛とした若田部もいいけど、こんなの姿も……ってなに考えてんだ俺は!?)
その気になりかけていた自分を戒める。
だがしかし。
「やっぱり……私じゃ嫌なんだ」
「っ!?」
涙ぐむアヤナを見て、心が揺らぐ。
震える手でそっとアヤナの顔を包み込む。
ビクッとアヤナの身体が震える。
そして、そっとアヤナを引き寄せた。
136518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:13:20 ID:s4drv7Jn
「小久保君……」
だが、アヤナの望むべき感触は唇に来ない。
アヤナの頭はマサヒコの胸の中。
「小久保君?」
「悪い。今はこれが精一杯だ」
某有名盗人三代目のようなセリフを言ってギュッとアヤナの頭を抱きしめる。
「…ごめんな」
謝るマサヒコの言葉に、アヤナはおもわず笑みを零していた。
「小久保君って、不器用」
「そ、そうか?」
「そうだよ」
クスクスと笑う。
「とっても不器用で、でも」
「でも?」
「なんていうか……誠実」
そう言って触れるだけのキスを頬にする。
つい昨日まではそれだけでも真っ赤になって取り乱していたのに。
進歩というか、開き直ったというか。
「今日はこれで勘弁してあげるわね」
そう言ってウインクするアヤナに対し、マサヒコは真っ赤になって口をパクパクさせる。
それを見てまたクスクスと笑う。
「……笑うことないだろ」
「ごめんなさい。でも、小久保君。さっきの言葉」
「言葉?俺何言ったっけ?」
「『今はこれが精一杯』って。じゃあこの先それ以上の事を期待してもいいのね?」
「!!」
絶句するマサヒコに、また顔を寄せる。
またかっ!と押し留め様とアヤナの肩を掴むマサヒコ。
ちょうどその時。
「真夜中にさわがし〜わよ〜」
「「あ……」」
戸を開けて。
母、登場。
これはよろしくない。
何しろ深夜に思春期の男女が二人きりで。
その上間の悪い事にマサヒコの両手はアヤナの肩の上で。
マサヒコがアヤナに迫っているようにも見える。
……いや、実際は迫られてたんだが。
母は寝ぼけ眼で、無垢な少女の様にかくんと首を傾げる。
「何してるの?」
「「なんでもないなんでもない」」」
「……ふ〜ん」
しばらくするとくるりと反転。
部屋から出ていく。
ああ、寝ぼけててよかった……と、ホッとするアヤナ。
対照的にマサヒコの顔色は真っ青だった。
だって彼は息子だから。
母の考えている事ならアヤナより数段よく理解できる。
137518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:13:44 ID:s4drv7Jn
逃げようと腰を浮かし、部屋のもうひとつの出口である窓へ向かおうとした瞬間。
「こぉんのエロガキが!!」
「おごぉあ!!」
助走をつけた母のパトリオットキックが腰にジャストミート!
吹っ飛ばされ窓に顔面を強打する。
派手に鼻から出血したが「鼻血ですんでよかった」と思うべきだろう。
窓が割れでもしてたら……ちょっとした惨劇だ。
「立ちなさいマサヒコ。あんたに今日を生きる資格はないわ!」
「ま、待ってくださいおば様」
ファイティングポーズでかっこいい事を言う母の前にアヤナが立ちはだかる。
「ごめんねアヤナちゃん。まさかウチの息子がこんな……痛かったでしょう?」
「は?」
「まさか無理やりされちゃうんなんて……違うのよ。ホントはもっと気持ちいいものなのよ。
だから同性愛に走ったりしちゃだめよ。非生産的なんだから」
「そんなことされてません!」
絶叫しながらアヤナは気付く。
やはり母は寝ぼけていたのだ。
発想がお星様までかっ飛んでいる。
アヤナが母を足止めする間にマサヒコは窓を開け、ベランダへ。
そして……
「えい」
妙に気の抜ける声と共にロープもつ付けずにバンジージャンプ。
コードレス時代はここまで来ているようだ。


小久保マサヒコ、本日の被害。
母のキックによる腰部損傷、および窓との接触による鼻部出血。
二階からの着地時の右足捻挫。
以上。




翌日。
「しっかりしてるわね〜」と、御近所でも評判の天野ミサキ。
平日よりちょっと遅れて起床し、新聞を取りに表へ。
すると正面の家――小久保家――の玄関が開く。
マサヒコか、或いはその母だろうと思い挨拶しようとして、固まる。
出てきたのはクラスメートの若田部アヤナだったからだ。
138518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:14:14 ID:s4drv7Jn
「昨日はごめんね、小久保君」
「いいって。若田部が悪いわけじゃないんだし……あたたた」
腰を押さえてよろめくマサヒコ。
アヤナが慌てて支える。
「だ、大丈夫?」
「大丈夫……って言いたい所だけど、正直腰ガクガクだ。
鼻もまだなんか血の匂いするし、流石にもう鼻血は止まったよな?」
マサヒコの言葉を聞いてミサキは穏やかでない。

状況から察するにアヤナはマサヒコの家に泊まった。
     ↓
マサヒコは鼻血と腰の痛みを訴える。
     ↓
アヤナの裸を見て鼻血。
     ↓
アヤナと裸のお付き合いで腰を酷使で痛める。
     ↓
夜明けのコーヒーを飲む関係に?

以上。
妙な方程式が組みあがってしまう。
「マサ君……」
「おう、ミサキ。おはよ――って、なんだよ。なんで拳を……」
「不潔よぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「おおぅ!!」
ミサキの烈風正拳突きがマサヒコの顎をとらえる。
派手に宙を舞うマサヒコを尻目にミサキは泣きながら家の中へ。
後に残されたのは。
「こ、小久保君しっかり!」
「なんだってんだよ……」
「小久保君!うわっ!心拍が弱くなって……小久保君!小久保君ってば!!」
ぐったりするマサヒコと必死に呼びかけるアヤナだけだった。


END
139518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/16(金) 03:17:11 ID:s4drv7Jn
終了。
誤字脱字表現間違いはスルーで。

今回途中で規制に引っかかってかなり焦りました。
トリつけるのも初めてだったし。

しかし今週はいろいろと残念。
巨星堕つといったところか。
140名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 03:30:52 ID:Yqsq+Em3
アヤナテラカワイス(*´Д`)ハアハァ
ていうかGJっ!エロ無しでよくここまでやれるなと、感心しました。
特に「ば、ばかなぁぁっ!」には飲んでたビール吹き出す程笑っちまいましたよw
141名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 03:39:44 ID:r4HoLghR
最近投下された作品を読んでたらリアルタイムで518氏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━━━
アヤナテラカワイス、ママンやミサキのノリも相変わらず最高です
乙でした

あと遅れましたがナット氏、クロム氏、郭氏乙です
ナット氏、途中ミサキがカワイソスな雰囲気でしたが、最後いい形でまとめきれて非常に満足です

クロム氏、ケイが可愛かったのとサブキャラがいい味出してて良かったですよ

郭氏、カナミ物は好きなんで次回を非常に期待してます
今作はおもしろいんですけど、たまーにマンネリを感じる作品がくるんで
ひねくった設定の作品を読んでみたいです

このスレ、ちょっとこないと読みおわるのが大変ですわ
職人の方々に感謝
142名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 04:20:39 ID:hN0S/qEs
郭氏、518氏、GJ&乙です!!!
私にとって今回の郭氏のカナミ物は最高ですね。
もう続きが気になって気になってと言う状態です。
次回の投稿楽しみにしています!
143名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 07:35:46 ID:U6mCMiKI
すげえなぁ…
・サラッと読めて
・複雑すぎずにおもしろくて
・エロと萌えにハァハァできる
518神や郭神の作品にハズレがないのはこれが徹底されてるからかな
2ちゃんみたいなとこでやるエロパロとしては最も望ましい形というか
アカボシ神のご卒業は一読者としては素直に残念であります
個人的にアカボシ神はマイ四天王のお一人でありました
今後の飛躍活躍を祈念しております、頑張ってください
144名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 18:27:45 ID:db5LemHD
518さん、GJ!
いつもニヤニヤしながら読ませて頂いています。
145名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 20:55:25 ID:Jj6WDX3r
レス数よりバイトの数の方が高いスレ・・・
146名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 22:32:30 ID:PDTcuvTy
>コードレス時代はここまで来ているようだ。

ワロスw
GJです
147そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/16(金) 22:52:37 ID:jJGWMkoB
こんばんは、そらであります。
職人様方おつであります。今日は自分も投下いたします。
今回もエロはありませんがご容赦を・・・題名は
「俺がカナミでカナミが俺で」です。それではどうぞ〜。
148そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/16(金) 22:53:32 ID:jJGWMkoB
ここはとあるちょっと仲のいい兄妹の住む家。
「お兄ちゃ〜ん、今日は逃がさないよ。」
「ちょ、カナミ、やめ・・・うわぁぁぁ〜。」
ちょっと仲が良すぎるようですが・・・こんな二人に突然の事故が襲いました。
ぐらぐらぐらぐらぐら   ぐらぐらぐらぐらぐら
「!?地震だ!これ・・・強いぞ!うおっ!!?」
「わわっ!えっと、ベットの下に・・・きゃ!」
ごち〜〜〜〜〜〜〜ん 
地震のせいで頭を強く打った二人。そのまま朝まで目は覚めませんでした。

翌朝、シンジの部屋に目覚ましが鳴り響きました。
「つ・・・まだ頭がズキズキしやがる・・・昨日あのまま気絶しちまったのか・・・・」
頭を抑えながら起き上がる女の子。次の瞬間目を丸くしてしまいます。
「えーっと・・・なんで俺が寝てるんだ・・・?ていうか、俺髪こんな長かったっけ・・・」
髪をいじる・・・長い。胸を触ってみる・・・大きくはないがやわらかい・・・
「これって・・・これってまさか・・・・」
恐る恐る自分の股間に手をやってみる・・・・ない・・・息子が・・・マイサンが・・・漢の証が・・・
「うふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉx!!!!!?????なんじゃこりゃあああああああ!!!!」
「ん・・・お兄ちゃんうるさ・・・今女の人の声・・・というか私が男の人の声・・・?」
ようやく目をさまし起き上がる男。髪に手をやる・・・短い。胸に手をやる。毎日揉んでいるのより小さい。
というか、ない。そして堅い。股間に手をやる・・・ある・・
「ふぇぇぇぇぇ!私お兄ちゃんになってるーーーーー!!!!????」
兄妹そろっての絶叫。 

「えっと・・・つまり昨日の地震で頭ぶつかって、中身入れ替わったってことか?まるで漫画だな・・・」
カナミが言う。しかし、いわずもがな、中身はシンジだ。
「でも、それ以外考えられないし。で、どうする?このまま学校行く?」
シンジが言う。中身はカナミだが・・・
「それしかないよな・・・とにかく入れ替わってるのばれないようにしないとな・・・」
「そうだね〜。じゃあ、準備を・・・のまえにオナニーしてみようかなぁ。一回男の人のしていたいんだよね〜。」
「それはダメだーーー!!ほら、時間ないぞ!そんなん後にしろ!」
「後ならいいんだね〜?よし、ほいじゃいこ〜。」
結局、二人は中身が入れ替わったまま登校するのであった。さてさて、どうなることやら・・・

149そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/16(金) 22:54:32 ID:jJGWMkoB
学校 カナミのクラス
「おー、カナミおはよ〜。」
色素の薄い髪、ショートヘア、そして服の上からでも分かるスタイルの良さ。矢野アキである。
「(おっし、ばれないようにしないと・・・)お、おはよ〜。アキちゃん。」
「カナミちゃん、アキさんおはようございます。」
黒いロング、少し癖のある髪、すこしきつい印象を与える釣り目。カナミといい勝負の(失礼)胸。黒田マナカだ。「おー、マナカおっす〜。」
「あ、(呼び方って基本的にちゃん付けだっけ)マナカちゃんおはよ〜。」
次々に現れるカナミの友人達。さすがに挨拶だけではばれてはいないようだ。
「お、皆の衆おはよ〜。」
黒のストレートロング、美少女と言うにふさわしい顔、アキほどではないが上々のスタイル。岩瀬ショーコだった。
それぞれ挨拶をかわし、授業前の雑談にはいる。  
「ねぇねぇ、昨日のキムカズのドラマ見た?」
「アキはキムカズ結構好きよねぇ〜。私も嫌いじゃないけどね。」
「ショーコさんは分かってませんね。あれはアキさんがキムカズにはめてほしいって意思表示なんですよ。」
(なんて会話してるんだこの子達は・・・・・)
「黙れ釣り目・・・どうしたのカナミ?随分おとなしいじゃない。いつもなら私にボケるのに。」
「アキさんもダメですね。カナミちゃんはあの日なんですよ、きっと。」
「そうなん?カナミ。じゃあ、あたしの・・・とりあえずバイブでもつめとく?」
「え、えっと・・・実はちょっと夜更かししちゃって眠たくて・・・」
シンジは焦りながら返す。と、同時に妹の学園生活に不安を抱く。
(カナミのやつ・・・俺の格好で変なことやらかさないだろうな・・・)

一方、シンジの教室
(えーっと、お兄ちゃんのクラスはここだったっけ)
「お、城島君おはよ〜。今日は随分早いじゃない?」
肩くらいの髪が外ハネにし、活発そうな女性が話しかけてくる。
「(えーと、確か今岡さんだったっけ)ん・・おー、おはよう今岡。今日もいい体してるな。」
瞬時、空気が凍る すぐ今岡は後ろを振り返り
「カズヤあああああ!!今のはおまえかぁあああああ!!!」
「え、ちょ、なんのはな・・・具ぎゃ嗚呼ああああああああああああああ!!!!!」
教室が血に染まる。
(あー、そうだ。お兄ちゃんそんな事言わないか・・・注意しないと・・・)
カナミが考えていると、ショートの大人しそうな、清楚な女性が話しかけてくる。
「おはよう、城島君。今日もあの二人は激しいね。」
呆れたような、それでも楽しそうな顔で木佐貫ケイが話しかけてくる。
「(この人は木佐貫さんだっけ)おう木佐貫。今日も斜めに顔射したくなりそうな顔してるな。」
ひきつるケイの顔。その後ろでは
「今のもあんただろおおおお!!朝からセクハラをするなぁあああ!!!」
もはや地獄のほうがマシな光景であった。
「ぐ・・は・・・待て待て。今のは間違いなくシンジの声だろう?」
あれだけ殴られても無事な男、新井カズヤ。
「分かってるぜシンジ・・・俺たちは親友だからな。お前もついに一線をこえてぶっちゃけたくなったんだろ?
まぁ、仕方ないよな。家にはあんなかわいい妹と二人なら近親相姦してもおかしくな・・・ごぶふぁあああ!!」
最後まで言うことなくナツミに裏拳をかまされる。
「シンジ君・・・さっきの冗談だよね?カズヤ君に何か変なの食べさせられたんだよね?」
なんだか泣きそうなケイ。それを見てなにか変な衝動にかられるカナミ。
(木佐貫さん・・・もしかしてお兄ちゃんのこと?嫌だよ・・・私はまだお兄ちゃんと一緒にいたい・・・よし!)
そしてとんでもない事をシンジの姿で言うカナミ。
「さすがはカズヤ。俺の親友だな。そうなんだよ、最近カナミがかわいくてさぁ〜。もうたまんねーよ。」
もはや半泣きすら超えてしまったケイ。顔が引きつっているナツミ。そして勝ち誇った顔のカズヤ。
「はっはっは。そーかそーか!よし、あっちで男同士の話をしようぜ!親友よ!」
カナミとカズヤは去っていく。いまだに信じられないという顔をした二人を置いて・・・

150そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/16(金) 22:56:37 ID:jJGWMkoB
カナミのクラス
放課の時間。いつもの4人で談笑しているとこんな話が聞こえてきた。
「なぁ、今日の城島さんすっげえよくね?普段あれだからあれだけど、今日みたいに大人しいとグッとくるよな。」
「俺も思ってた!やっべえ、惚れそう・・・」
「お前おっぱい星人だろ。矢野さんにしとけって」etc
(カナミって意外にもてるんだな・・・それでも彼氏がいないのはあの性格のせいか)
男子の話を聞いて、嬉しいやら悲しいやら。
(いつかカナミも彼氏作って俺から離れていくのか・・・それはそれで・・・寂しいものだな・・・)
普段は軽く本気で妹のアプローチを嫌がっていたが、案外マンザラでもないのか・・・もっともシンジは
この気持ちには気づいていないようだが・・・


放課後
(は〜、なんとかばれなかったか・・・それにしても俺思ったより勉強覚えてないなぁ〜。アキちゃんでも分かる
問題わからなかったのはマズイよなぁ。戻ったらしっかり復習しよう。)
と、軽く失礼な事を考えながら家へと歩くシンジ。すると、アキが言った。
「そういえば、カナミ。今日お兄さんのあれ買いに行くんでしょ?」
「へ・・・??」
間の抜けた返事をするシンジ。
「お兄さんのプレゼント用のセーターの毛糸買いにいくの手伝ってっていってたじゃん。」
「そういえばお兄さん、今年受験ですものね。風邪なんて引いたら大変ですからね。」
「手編みのセーターか・・・私も彼にあげようかなぁ。」
(セーター?カナミが俺に?そんな話聞いてないぞ・・・あ!そういえばこの前サイズ測ってたがこのためか!?)
そんなことを考えていると、シンジINカナミが走って近づいてきた。
「カナミ!何やってるんだ。今日は父さんと母さん帰ってくるから外食行くって言ってたろ?」
「(そうだったっけ?)カナ・・・お兄ちゃん!ごめんごめん、そうだったね。じゃあ、みんなごめんね。私今日は帰るよ。ばいば〜い。」
「あらら。仕方ないわね。んじゃあ、また明日ね〜。お兄さんもさようなら〜。」
そうやってアキ達と別れる城島兄妹。そして家へ。
「お兄ちゃん・・・もしかして話聞いた・・・??」
シンジINカナミがカナミINシンジへ問う。
「なにがだ?セーターの話なんてしらないぞ?」
その瞬間涙目になるシンジ。
「う・・・せっかく・・・内緒にしてたのに・・・せっかく・・・せっかく・・・」
ポロポロ涙を流しながら言う。中身はカナミといっても外見がシンジなのは多少不気味だが・・・
そんなシンジに近づくと、カナミは優しくシンジを抱きしめた。
「カナミ・・・ありがとうな。楽しみはなくなったけど、すっげえ嬉しいよ。そういえば最近受験勉強であんまお前にかまってやれなかったもんな・・・寂しかったんだよな?昨日のもそのせいなんだろ?」
今日一日、シンジはカナミになって思った。アキたちに色々聞いて、改めてカナミの気持ちを知った。
普段親は仕事でいない。しっかりしてるがカナミはまだ16だ。しかも、もっと小さい時からこの状態だ。
カナミにとって一番の肉親は俺なんだろう。だから、甘えてるんだって。そう考えると
カナミがとてもいとおしく、いじらしく、かわいく感じた。
「お兄ちゃん・・・・大好きだよ・・・・」
カナミも今日一日シンジになって思った。本当に兄が好きなんだなと。いつかは兄から離れなくては
ならないんだろうが、今はまだ兄に甘えていたい。だから誰にも兄を取られたくない。
我侭でしかないが、これがカナミの気持ちだった。
しばらく抱き合っていた兄妹。いつまでそうしていただろう・・・そのとき
ぐらぐらぐらぐらぐら ぐらぐらぐらぐら
「!?また地震?これもおおき・・・ぐは!」
「わ、おにいちゃ・・・いた!!!」

151そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/16(金) 22:57:33 ID:jJGWMkoB
目覚ましが鳴る。朝のサイン。その中男が目を覚ました。
「ぐ・・・また頭うったか・・・うん?」
体をさわりまくる。たった一日だったのになんだか懐かしい肌触り。つい股間もさわる。握りなれたモノあった。
「いいいいっやったあああああ!!!戻ったぞカナミーーーーーー!!!」
同じベットで眠っていた妹をガクガク揺さぶる。
「ふぇ・・・お兄ちゃんの顔・・?てことは・・・・?」
シンジ同様体を触りまくる。そしてシンジの顔を見据え・・・・
唇に感じる暖かい、心地よい感触・・・
「!!??カナミ!!?何を!?」
「へへ・・・お兄ちゃん・・・昨日ありがとうね。私はお兄ちゃん大好きだよ!」
そういって朝食の準備のため部屋を出るカナミ。
まぁ・・・悪くないか。あいつは俺にとっても・・・たった一人の・・・大事な妹だ・・・・

こうして、ちょっとした出来事が二人に兄妹の絆を深めましたとさ・・・

追伸
シンジが教室に入ると冷たい視線を感じた。
「よう、兄弟!昨日はカナミちゃんと一線をこえたか?」
「はぁ?お前なにいって・・・・」
カズヤと話しているとナツミがよってくる。
「城島君!考え直しなさい!兄妹同士なんて茨の道よ!そこの変態と同じ道に走ったらダメよ!!!」
シンジは思った・・・・カナミのやろぉおぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!!!
なんとか時間はかかったが誤解を解いたシンジ。
信頼を築く時間は長く、壊れるのは一瞬・・・そのことを悟った18歳の冬だった・・・
152そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/16(金) 23:01:14 ID:jJGWMkoB
以上です。シンジとカナミの中身が入れ替わってるせいか
読みにくいと思いますがご容赦を。次は誰の話書いてみようか・・・
153名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 23:19:07 ID:I2awK2py
そら氏GJです!
やっぱカナミはいい妹だなぁ…とか思ってみたり


でも泣きそうなケイたんにも萌えてみたり…(*´д`)ハァハァ
154ナット ◆jG/Re6aTC. :2005/12/17(土) 09:23:05 ID:hDX+ygPy
クロム氏、郭泰源氏、518氏、そら氏乙です。
しかしここ本当に神が多いなぁ
ちょっと見ない間に未読作品がどんどん増えてしまう
155名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 16:45:46 ID:Lubx0XmO
さすがに年末は忙しいので
クリスマス祭とか忘年祭とかはなしでつか?
156264:2005/12/17(土) 18:24:15 ID:dOvlT1Pp
久しぶりに覗いてみれば、いつもの盛況ぶりで…そら氏GJ&はじめましてですね

>>アカボシ氏
亀ですが、陰ながら応援しております。ファイト!!

…ところで、いつの間に皆さんコテハンになられたのでつか?
157名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 18:58:02 ID:KqGJTnqQ
トリのことですよね?
前スレで郭氏が作品投下中に、偽者が投下したんですよ。
それで皆つけるようになったんです。
158264 ◆iYpdzeKy5k :2005/12/17(土) 19:03:57 ID:dOvlT1Pp
>>157
そうなんですか…本当に色々あったみたいですね。
私の方は小ネタができ次第、また投下しようと思います。では、無駄レススマソ
159名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 21:36:25 ID:FBapYV1a
勝手ながら乖離氏の「衝動」より痴女アヤナ描かしてもらいました
乖離氏、お詫びを申し上げます
ttp://dog.oekakist.com/imoken/dat/IMG_000030.jpg

>>アカボシ氏
頑張ってください応援します、また半角スレのほうにも遊びに来てください
160名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 23:48:53 ID:TAQYTjtt
痴女はいい
161名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 23:56:43 ID:0Xnq9TD8
GJ。やはり痴女はイイ。
162名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 03:10:59 ID:jK6bYNI/
本編の濱中が、クリスマス無しみたいなので、
せめて、此処のスレでクリスマス祭を開催して欲しい
163名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 07:36:37 ID:29du0po4
豊田とアヤナはなんでないの
164名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 08:44:58 ID:qVI78wLV
豊田とリョーコの関係がおもしろすぎるから
165名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 09:38:41 ID:jbvrM70j
>>163
まあ、接点が少ないからね。

ないと思うなら書いてしまえ。元絵描きのアカボシ氏ですら、あれだけやったんだからな。
166名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 13:56:30 ID:qQQxBtgo
そーいえば孕ませ系がないな
スカやダークと同じでさすがに原作世界の空気にあわないか
167名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 14:10:10 ID:yR46bnIg
スカやレイプものは俺も勘弁だが。
後日談としての孕ませは十分可能なんでない?
168名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 16:15:57 ID:qVI78wLV
痴女あやなの続きがみたいよ
169名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 20:22:45 ID:AYcaJEv2
子供に隠れてエチ-するとかいいぜ。職人様お願いしますだ。
170名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 23:08:16 ID:yR46bnIg
>169
そ  れ  だ
ミサキかアイで見てみたい。
171名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 23:29:16 ID:XhGiwpOI
なんか…ほんの2、3日投稿が無いだけなのに…
妙に淋しい…
172169:2005/12/18(日) 23:33:32 ID:AYcaJEv2
>>170
そんな俺はアヤナ派
173名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 00:14:33 ID:35mjJYGQ
>170
三人まとめて次の祭でやってほしいね。
三人と言わず全カップリングの後日談をテーマにするとか。
174郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/19(月) 00:31:39 ID:hVdpz/T+
すいません……終わりませんでした。
ってか、カナミのキャラが……なんか変。つくづく自分は濱中職人で妹職人じゃないと思った次第。
>>141
マンネリっぽいのは嫁にも良く指摘されます。いや、申し訳なし……
ていうか……気づけば五十本超えてるんすよ、そりゃバリエーション無くなるよ(泣)。
濱中で卒業する頃には100本は無理でも……70本はイクかな?てか誰かネタ下さい(号泣)
で、>>118の続き投下。
175郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/19(月) 00:32:22 ID:hVdpz/T+
「!カナミお前ッ!」
手のひらから伝わってきたのは、確かに柔らかく濡れたカナミの感触。
しかし、それ以上にシンジを驚かせたのは……
「キレイでしょ?剃ってるの、私……」
そこにあるはずの、恥毛の感触が無かった。
「……なんで……」
「お兄ちゃん……見て………」
そういうと、浴槽の縁に腰かけ、カナミはゆっくりと両脚を開いた。
「ダメ……だよ。カナミ……そんなこと……」
「見て……おにいちゃん………」
熱めの湯でほんのり色づいたのか――花弁だけでなく、
周囲の肌までもうっすらと桜色だった。湯気が無毛のカナミの股間にうっすらと滲んでいた。
"ごくり……"
罪の意識は勿論、シンジの心を苛んでいた。だがそれ以上に―――
目の前の妹のあまりにエロティックな艶姿に、目を離せずにいた。
「ホラ……おにいちゃん……」
"くに……"
カナミが、両の人差し指で、自分の花を開いた。
処女そのものの清らかなピンク色の花弁が引っ張られ、その中から熱い液体がこぼれ落ちる。
「もう……私、濡れてるよ……おにいちゃんに、見られてると思って……濡れちゃってる……」
「カナミ……」
「おにいちゃん……舐めて……私の……おまんこ……」
「ダメ……だよ、そんなの……は……」
「おにいちゃん……大きくなったら、私……おにいちゃんとケッコンするって約束したじゃない」
「そんな……ガキの頃のこと……」
「うん……もうそれが、無理だってことは……私だって、分ってる。
でも……最初の人は、おにいちゃんだって、ずっとずっと前から……決めてた……」
「ダメ……だよ。それでも……俺たちは……兄妹なんだ……」
「だから……一回だけでいいの……おにいちゃん……私と……して。
それとも……おにいちゃんは、私のこと、キライ?私は、ホラ……もう、こんなになってるのに……」
"くちゅ……"
カナミは再び花弁を広げると、右の中指をその中に入れてかきまぜた。とろり、と滴が溢れ出る。
「カナミ……だけどそれは……」
「お願い……おにいちゃん………」
カナミは――泣きながら――ずっと、シンジを見つめていた。
泣き続けながら、シンジのことが欲しい、と懇願していた。
(ダメ……だ……ダメ……だ。だけど……)
シンジは頭の裏が痺れるような錯覚を覚えながら……しかし、既に理性の限界に来てしまっていた。
なにより……彼の、下半身は雄弁にその限界を超えていることを指し示していた。
平たく言えば、完全に勃起してしまっていた。
「カナミ……一度だけ……だぞ……」
「おにいちゃん………」
「一度だけ……いちど、だけだ………」
呪文のように繰り返しながら、シンジが目をつぶると……そのまま、カナミの花弁に口をつけた。
"ちゅるッ……"
湿ったそこは、シンジの舌の感触に歓ぶように――ぷるり、と震えた。
「おにいちゃん……嬉しい……もっと……あん………」
ようやくシンジが応えてくれたことに、カナミは体をくねらせていた。
"ちゅッ……るぷ……"
シンジの舌が、カナミの中をかき混ぜていた。
(ナツミのと……随分、違うんだな……カタチも……色も……)
つい、恋人のそれと比べてしまうシンジ。ナツミのそれに比べれば、
カナミの陰部は若干小さめのつくりだが、陰唇はやや大きめだ。
そこの周辺だけ少しピンク色が強めなのが愛らしかった。
"ちゅッ……すぅ……"
§
176郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/19(月) 00:33:10 ID:hVdpz/T+
(匂いは……全然しないな、キレイにしてんだな、コイツ……)
カナミの中を味わいながら……匂いも味わうシンジ。
(辛さと……酸っぱさの混じったみたいな……汗の味に似てるけど……)
甘い、とシンジは思った。カナミの、味がしている、と思った。
「あッ……おにいちゃん……あの……」
「?なんだ、カナミ」
「いいよ……おにいちゃんの好きなところも……」
「?……あ、もしかして……」
無言のままカナミがこくり、と頷く。シンジは思わず唾を飲み込んでいた。
「じゃ……じゃあ、カナミ……後ろ……向いて……」
「うん……」
"くる……"
カナミが浴槽から降りると、シンジの方に向かって腰を突き上げる格好になる。
「カナミ……もう少し……腰、あげて……」
「ん……こう?おにいちゃん……」
「うん……そうだ……よく見えるよ、カナミ……」
「おにいちゃん……はやく……舐めて……」
「うん……」
"ちゅぷッ……"
「ひぁ………」
いきなり、シンジの舌がカナミの菊穴に侵入してきた。
"ちゅ……ぷちゅ、くちゅ……"
舌先で菊穴の中を蹂躙しながら――シンジは右手の人差し指と中指をカナミの花弁の中に挿れ、
かき混ぜ続けた。次から次へと、そこからは熱い蜜が溢れ、こぼれていた。
「あッ……あン……うあ……いいよ……おにいちゃん……気持いい……」
シンジに愛されることで、灼けるように熱く疼くそこの感触にカナミが歓びの声をあげる。
「カナミ……可愛いよ……」
"ぐしゅり……ずッ……ずずっ……"
「あぃっ……おにいちゃん……それは……」
シンジがカナミの菊穴をねぶるのをいったん止めると、そこに口づけして………
派手な音を立てながら、吸い上げた。未知の快感にカナミは、ひくひくと腹筋を震わせて悶える。
「カナミのここ……すごく可愛い……ちっちゃくて、ぴくぴく動いてる……それにここも……」
そう言うと、蜜穴を攻めていた指をそこから引き抜き……
"ちゅ……ずるぅッ………ぬぷ"
花弁に口を付け、同じように吸い出した。そして菊穴に小指を挿れて優しくこね回す。
「おにいちゃん……ダメ……もうダメ……私、お腹が……おかしく……もう……出ちゃう…」
「?出るって……あ、もしかしてカナミ……」
"つ、ちゅ……ぐちゅッ、……ぢゅっぷ……れろ……"
その言葉を聞いたシンジは逆に強く吸い上げ、愛撫を激しくしていった。
「ダメ……おにいちゃん……出ちゃう……もう、スゴすぎて……あ!ふぁあああああッ!」
カナミの体がぶるぶるッ、と大きく震えると―――
"ぷッ……ぷしゅッ、じゃ〜〜〜〜〜〜〜っ"
(あ……ああああッ……でちゃった……おしっこ……おにいちゃんに見られてるのに……
すごい勢いで……ああん……恥ずかしいのに……止まらないよぉ……)
限界を超え、放尿してしまっていた。まともにカナミの尿を顔に受けてしまったシンジだが――
(俺って……もしかしてカズヤ以上の変態なのかも……)
汚物を浴びたという嫌悪感は全くなかった。そのことに、彼自身が驚いていた。
いや、むしろそんな感情よりも―――まだ続く放尿にぶるぶるッ、と体を震わせる妹の痴態に……
そして、目の前でひくひくと蠢く可愛らしいカナミの菊穴と花弁にひどく興奮し、
いよいよペニスは硬く勃起して反り返ってしまうのだった。
"ぷぷっ……ちょろッ、とろ………"
長い放尿が、ようやく終わろうとしていた。
「ごめん……おにいちゃん、私……おしっこ漏らしちゃった……おにいちゃんにかけちゃった……」
申し訳なさそうに……恥ずかしそうに、カナミが呟くがシンジは愛おしそうに……
"ちゅッ"
§
177郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/19(月) 00:33:52 ID:hVdpz/T+
「あ……ダメ、おにいちゃん……おしっこ終わったばっかりで……きたないよぉ……」
カナミの花弁に、口づけをした。思わず腰を引こうとするカナミだが、
シンジは柔らかなお尻をつかんだまま離そうとしない。
「おしっこだけじゃない………」
「……?」
「ちょっとねばい……とろっとしたのも出てきてた…なあ、カナミ?もしかして……イッた?」
「!……うん……オナニーのときより……ずっと、気持ちよかった」
「イクときってさ、お前いつもおしっこ漏らしてたのか?」
「!う、ううん……こんなの初めて……感じ過ぎちゃった……」
正直に答えるカナミがいっそう愛おしくなったシンジは、
カナミの花弁から口を離して立ち上がるとそのまま彼女の体を起こさせ、後ろから抱きしめた。
「カナミ……可愛かったよ。すごく……」
「おにいちゃん……」
"ちゅッ……"
カナミが首を後ろに回す。そのままシンジがカナミの唇を塞いだ。
"ちゅ……れろ……"
そしてそのまま彼女の口内へと舌をこじ入れた。うっとりと、シンジの為すがままのカナミ。
"むに……くに、きゅッ"
小さな乳房を右手で弄びながら……左手で、カナミの中心をいじりながら……
シンジは、カナミと深いキスを続けた。
「んッ……んうう……」
先ほどまで自分の菊穴の中にあった舌、自分の蜜壺をかきまわした舌。
しかし、それと口づけをかわしていることにカナミは少しも生理的な嫌悪感を感じていなかった。
むしろ自分を愛おしんだシンジの舌の感触に、またも下腹部が疼き、とろりとした蜜が
中心から滴り落ちてくるのを感じていた。枯れぬ泉のように……そこは、豊潤だった。
"るろッ……"
長いキスを終え、シンジはそのままカナミを自分の正面に向き合わせた。
「………」
「………」
無言のままのふたりだが、そこには既に迷いの色は、なかった。
「カナミ………体、洗ってやるよ……」
「うん……お願い、おにいちゃん……」
"ざば……"
ふたりは、手をつないだまま浴槽から上がった。
"きゅッ、きゅッ"
ボディソープを容器から押し出し、手のひらの上で広げるシンジ。
"ぬる〜〜〜〜〜ッ"
そしてそのまま丹念に……それを、カナミのからだに塗りたくっていった。
「あッ……」
自分の肉体をくまなく這い回るシンジの手のひらの感触に、思わず声をあげるカナミ。
「カナミ……くすぐったい?」
「ううん……大丈夫……気持ち良いよ、おにいちゃん……」
「そうか……お前って、キレイな肌してるよな……マシュマロみたいだ……」
「そんなことないよ、やだ……」
肌理の細かい、真っ白なカナミの肌に見とれながら………
シンジは夢中になってカナミのカラダにボディソープを塗り広げていった。
じきにほとんど泡だらけになって素肌も見えない状態になった。
「おにいちゃん……もう、いいよ……」
「そうか?ん、じゃあ俺も……」
「待って……おにいちゃん……」
「?どうした、カナミ……」
「そこで……そのままでいて」
「?……わ!」
カナミが泡だらけのカラダのまま、シンジに抱きついてきた。
「私のカラダについたこれで……おにいちゃんのカラダ、洗ってあげる……」
§
178郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/19(月) 00:35:09 ID:hVdpz/T+
「そ……そんな、いいよ、カナミ……」
「うふ……ダ〜メ。さっきはいっぱい私を可愛がってくれたから、今度は私の番……」
ゾクゾクするくらい妖艶な笑みを浮かべると―――
カナミが、そのまま蛇のように肉体をくねらせながらシンジのからだに絡みついてきた。
"ぬる……つる、ぱしゃん"
「あ……あのさ、カナミ……その……」
「…………いいから、まかせて……」
なおも何か言葉を継ごうとするシンジの口元に指をおくと、
にっこりとカナミが微笑んでさらにカラダを密着させてきた。
"ちゅ……ちゅッ"
そしてそのままシンジの肩に、胸に、乳首に、腹に、臍に、ペニスに、太腿に、足の指先に……
キスをし続けた。
(うわ……こりゃ、スゲエ……気持いい……)
自分の肉体の上を泳ぐように動き回るカナミのカラダ。そして各所に吸い付くように繰り返されるキス。
その心地よい柔らかさと唇の感触に、シンジは頭の芯までとろけそうになってきた。
「か、カナミ……お前、いつの間にそんな……」
喘ぎながら、シンジが疑問を口にする。
「えへへ……ほら、おにいちゃんのコレクションの中の"泡姫"っていうDVD。
あれをじっくり見て研究したの。上手いもんでしょ?」
「!!!!あ、アレか!確かにそう言えばこんなシーンが……ってコラ――――ッ!!!!!!!!!!!!!」
こんな状態でも律儀にツッコむシンジ、さすがイキの合った兄妹プレーではある。
"ぬるッ……つぅる……"
しかし這い回るカナミの柔肌の感触に、シンジもそれ以上何も言えずにいた。
「おにいちゃん……次は、うつぶせで寝て」
「……あのな、そこまで本格的なのは……」
さすがに躊躇するシンジだが………
「うふ……今度は私がおにいちゃんをお口でイカせてあげるから…いいでしょ?」
カナミの笑顔と、そしてなにより自分自身の欲望には勝てず、結局彼女の言うがままになるのであった。
"ぬる〜〜〜ぷッ、ぱちゅ……"
シンジの背中を、カナミの小さな乳房が舐めるように這っていた。そして……
"するっ……きゅ……"
シンジの背中に乗った状態でカナミがシンジの股間に手を伸ばし、
既に十分すぎるほど硬くなっていたペニスを包み込むように握った。
「すごい……おにいちゃん……こんなに大きいんだ……」
「………あの………」
「もっと……私で気持ちよくなって、おっきくなってね?それじゃ……」
"くり………くににゅ、ぺちゃ……"
カナミがシンジのペニスを握りながら―――シンジの背中の上で、
カラダを密着させながら動いていた。勃起したふたつの乳首がこりこりと背中を刺激し……
"ちゅッ……れろ〜〜〜"
唇をつけて強く吸い出すようなキスをして、さらに舌先で弧を描くように舐め回していた。
(ふ……ふぁ!こりゃ、た、たまらん……)
「うふ……おにいちゃん、じゃあ次は……こっち向いて?」
「?あ……うん……」
素直にカナミの言うとおり仰向けになるシンジ。
「あ……うわ!?お、おいカナミ……」
カナミがそのまま、シンジの顔の上にまたがり……愛おしそうに、ペニスに頬擦りをした。
「おにいちゃんの……可愛いね……じゃあ、いただきます……」
"かぷッ……"
シンジのペニスを小さな口に含むカナミ。カナミの口の中は温かくて……ねっとりと、心地よかった。
(というか……この眺め……)
目の前では、カナミの裂け目がシンジを誘うように蠢いていた。
ナツミともまだ経験のないシックスナインだが、予想以上の絶景である
"ちゅ、ぷちゅ、つぷッ……"
カナミの熱心な口撫が続く。必死でそれに耐えながら……シンジは、あることを思いついた。
§
179郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/19(月) 00:36:34 ID:hVdpz/T+
「カナミ……俺も、カナミのここ……可愛がっていい?」
「う……ん……いいよ、おにいちゃん……」
夢中になってシンジのペニスを舐め回していたカナミだが、シンジの声を聞いて
やっとそこから口を離して答えた。シンジの愛撫を待って……思わず、腰を小さく揺らす。
"つ……ぷる……ぽた……"
「あん……あッ」
シンジが軽く花弁にキスをすると、人差し指と中指を中に挿れてきた。
歓喜に震え、そこからはぽたぽたと蜜がこぼれ落ち、シンジの額にかかる。
"くにゅ……こりッ……くり……"
「あ……あん……いい……」
指でカナミの中心を責め続けるシンジ。カナミはシンジのペニスを握りしめたまま、
シンジの愛撫に身を任せて貪欲に腰を動かす。
「カナミってマジで……感じやすいんだな?ホラ、もうお口がお留守だぜ?」
「ごめんなさい……私、頑張る……」
"ちゅ……ちゅる……んむッ"
再び、カナミがシンジのペニスに舌を這わし……そして、口に含んだ。
口内でチロチロと尿道口を刺激し……袋を、ほぐすように揉んだ。
「お……いいぞ、カナミ……気持いい……」
"ちゅ……ねろ……ぷる〜〜〜"
シンジの言葉に力を得たカナミは口からペニスをいったん離し、
そのまま袋を……筋を……溝を……竿を……舌で愛し続けた。
"かぷり"
そして再び亀頭を口の中に収め、頭を細かく上下に揺すりながら刺激を与える。
「あ……うッ、もう……ダメだよ……カナミ、出る……」
「……いいよ、おにいちゃん。出して……私の口の中で」
「で、でも……」
「おにいちゃんの……飲みたい……一滴も、残らず……」
そう言うと、カナミはペニスを口に含み、シンジの袋を揉みしだく。
「おッ……ああ……か、カナミ……カナミッ!!!!!」
"ぶっ……びゅぶッ、びゅるッ"
シンジのペニスがカナミの口内で一度大きく爆ぜ、蒼い精を解き放った。
(あ……これが……おにいちゃんの……嬉しい……ああ……)
二度三度――いや、もう何度か分らないほどに――吐き出される精を、残らずカナミは飲みほした。
口内にわずかに残ったそれを……舌に絡めて味わい、ゆっくりと飲み込む。
"ぽた……ぽた……"
一方……シンジは、自分の額にいくつもの蜜が……滴り落ちてくるのを感じた。
「……もしかして……カナミ?」
「……………」
「また……イッたんだ?そうだろ?」
「……だって………」
「口に射精されたときと……今、飲み込んだとき……二回、お前のココからエッチな汁が……」
「や……やめて、言わないで……おにいちゃん……」
「カナミ……可愛いよ……」
たまらなくカナミが愛おしくなったシンジはゆっくりと体を起こし、恥ずかしがっているカナミを抱きしめた。
「おにいちゃん……あの………」
「……いいのか?カナミ……」
「うん……だから……」
"ちゅ"
カナミの頬にキスをしながら彼女の体を抱きかかえる。
風呂場のドアを開けると、バスタオルで丹念に妹の黒髪から水分を拭き取り、カラダを拭っていった。
「キレイだ………カナミの、カラダ……」
「や……貧乳だし、全然そんな……」
「そんなの……関係ないよ……」
"ちゅる……"
そう言いながら、シンジは清らかな裂け目に口を付ける。
§
180郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/19(月) 00:38:38 ID:hVdpz/T+
今回は以上。ん……なんだか微妙にお風呂プレイっぽいとこが……
トマソン氏の「アキの苦手克服」四晩目に似てる感じ……すんません、次回こそ本番で終了!
181名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 01:08:52 ID:QRA6fQms
郭氏乙&GJ!
次回も楽しみに待ちます!
クリスマスは恋人たちの日でもある、ということでクリスマス祭りをもしやるのなら
「恋人としてカプ成立してるという前提条件」での話とかはどうだろう
マサでもシンジでも、すでに告白したされた後で特定の女性キャラとつきあっていて云々という…後日談ぽいやつ?



いや俺の勝手な希望なのでどうぞスルーしてください、年末で職人諸氏も忙しいだろうし…
長々スマソ
182名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 01:10:16 ID:ZmG57ofU
郭氏乙です!最後まで期待してますよ

やっぱカナミはィィョ(*´д`)
183名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 01:25:10 ID:zg7FxLpr
乙です!てか本数がかなりきましたね!もうすごいとしか言えねーや。
184名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 01:32:22 ID:35mjJYGQ
郭氏、GJGJ!!
>>181
その場合、不倫・寝取られはNGにするべきだろう。甘々オンリーで。
誰かが音頭とってくれたらいいな。
185ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/19(月) 02:15:01 ID:qTu15gne
職人の皆さん、古田氏、お疲れ様です。
師走も半ばに入り、仕事が忙しくて安請け合いは出来ませんが、
クリスマスネタで「マサヒコ×ミサキのベタ甘系」を一本考えていますので、
もし祭が開催されるなら(されなくても)、それを投下したいと思います。


全ては仕事と会議次第で、絶対書き上げますと断言は出来ないのですが……。
186名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 03:08:35 ID:/8Huoykv
クロム氏、そら氏、郭氏、皆さんGJ&乙です!

クロム氏ーケイがマジでかわいいですよ!! バカップル二人最高です。
クリ○○スすごす人のいない私にとっては(ry

そら氏、カナミかわいいっすよカナミ!

郭氏、まじで萌えまくりました&ヌキマシタ・・・
つ、続きを・・・

ピンキリ氏もマサ×ミサキ極甘楽しみにしております。
187名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 11:55:48 ID:3WiM4IKd
今度の祭は痴女アヤナと婚約者アヤナとマサタイムスリップの未完物の続きをやってくれんじゃろうか
本当の本当の本当の他の何より復活プリーズ
188名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 14:08:34 ID:LiURMjHl
マサタイムスリップ?そんな変則的なものあったか?
189名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 20:43:02 ID:qNAc8wFa
>>188
つ【ミセリ氏】
190名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 22:56:36 ID:nDmIe49i
野球拳のヤツ復活してほしいなー
続けづらそうだけど。
191名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 23:14:25 ID:oUbSrYSY
祭りのテーマは、さしずめ「未完の大局」というとこで
192名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 23:32:36 ID:35mjJYGQ
未完作品の続きがテーマとすると、郭氏やトマソン氏を始めとする完結作品ばかりの神が投稿できなくならないか?
193名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 00:24:57 ID:7zbzXeyF
まあ未完神が復帰されるかわからんし未完作品を他神が勝手に引き継ぐわけにもいかんだろうし
そもそも祭りが開催されると決まったわけでもないしなあ
希望はあくまで希望として在籍職人諸神にはマイペースで投下してもらうというのがベターかな?
194そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/20(火) 00:51:42 ID:FSrLM4Th
こんばんは、そらです。クロム様、郭様GJであります。
さて、今回の話はクリスマス用に書いていたんですが、
仕事の関係で当日には載せれそうもないので、残念ですがフライングで
載せさせてもらいます。それでは、生暖かい目で見てください。
題名は「一番欲しかった物」です。
195そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/20(火) 00:52:37 ID:FSrLM4Th
時は12月。クリスマスだの大晦日だので何かと慌しい時期である。しかし、学生はもうすぐ冬休みだ。
このお話の主人公、天野ミサキも期末テストを終えようやく一息ついていた。
「ミサキちゃん、今年もアヤナちゃんの家でクリスマス会やるんだけど、来るよね?」
彼女の友人、的山リンコが話しかけてくる。
「あ、今年もやるんだ。じゃあ、お邪魔させてもらおうかな。」
そう言ってふと、とある人物を見る。彼女の昔からの思い人小久保マサヒコ。
「ね、リンちゃん。もちろん中村先生やアイ先生もくるんだよね?」
「うん、小久保君も来るからいつものメンバーだよ〜。」
そう聞いてホッとするミサキ。しかし、この後彼女の瞳に衝撃的な絵が写る。
リンコと帰っていたミサキ。クリスマス会の会場、若田部邸付近に見覚えのある人物が二人。
一人は家の主若田部アヤナ。そしてもう一人は・・・・マサヒコ。
二人はなにか袋のようなものをもってそのまま家へ入っていった。
「あれ?今のアヤナちゃんと小久保君じゃない?何してるんだろ?」
「え・・・?見・・・見間違えじゃないかな・・・?あ、私今日家の手伝いあったんだ・・ごめんね、先に帰るね。」
「え、ミサキちゃ・・・・お〜〜〜〜〜〜〜い〜〜〜〜〜」
リンコの引きとめも聞かず一目散に家へ走るミサキ。家につきそのままベッドに突っ伏す。
見間違えるはずもない・・・あれはアヤナとマサヒコ。なんで?どうして?いつの間に?
様々な疑問がミサキの頭を襲う。その疑問が片付かないままミサキの意識は闇の中へ落ちていった。

一方若田部邸。アヤナとマサヒコの声が聞こえてくる。
「ダメよ、それはここにさして・・・そう・・・上手・・・」
「ここか・・・?難しいな。え〜〜っと・・・次はこっちの穴?」
「きゃ、ちょっと、そこじゃないわよ!そこはダメだってばぁ〜〜〜〜。」
なんだか卑猥なのでカット

196そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/20(火) 00:53:45 ID:FSrLM4Th
翌日。少し遅めの登校になったミサキ。教室に入るとアヤナとマサヒコが楽しそうに談笑しているのが見えた。
昨日のことはやっぱり現実なんだろうか。今までは二人が話していても何も思わなかったミサキだが、
昨日の光景はかなりショッキングだったんだろう。アヤナとマサヒコもミサキに気づき朝の挨拶を交わす。
「あら、おはよう天野さん。」
極々普通の挨拶が今のミサキには勝者の余裕に思えた。
「よう、ミサキ。おはよう。」
大切な人からの挨拶が、ミサキを何とも言えない気分にした。ミサキは
「あ、おはよう・・・二人とも。」
と、だけ言うと机に向かった。ちなみに、リンコが遅刻ギリギリだったのはどうでもいい話。

放課後。マサヒコとリンコの家庭教師の二人、濱中アイと中村リョーコがもはやお馴染みといった
感じで教室に現れた。
「じゃあ、今日もマサヒコくん家でやろっか〜。あ、ミサキちゃんは来る?」
アイがミサキに問いかける。ミサキもマサヒコの家で勉強しているのは周知の事実。アイも聞くまでもない
ことを聞いたかなと思った。しかし、ミサキの口から出たのは
「あ、いえ・・私今日は一人で勉強しますんで・・・先に帰りますね。それじゃあ。」
そういって教室を出る。
「?おい、ミサキどうかしたのか?」
マサヒコがミサキに言う。ミサキは思う。
(アナタノセイ・・・ヒトノキモシラナイデ・・・ワタシハアナタトドウカオヲアワセレバイイノ?)
ミサキはマサヒコの言葉も無視し、そのまま家へと向かった。
「ほぇ〜、ミサキちゃんどうしたんだろ・・・?昨日もあんな感じだったし。」
「リン・・・分かってないわね。女の機嫌が悪くなる日といえば・・・・あの日なのよ。」
分かってないのか実は分かっているのか、リョーコもミサキの後姿を見届ける。
「マ、マサヒコ君。ミサキちゃんに何かしたんじゃないの?」
と、おろおろするアイ。
「いや・・・なにがなんだかさっぱり・・・」
自分のことのよう動揺するアイをよそに首をかしげるマサヒコだった。

197そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/20(火) 00:55:35 ID:FSrLM4Th
冬休みに入ったが、相変わらずマサヒコ達と顔を合わせることなく過ごすミサキ。
今までなら授業の日は家に行っていたが・・・今は行っていない。顔を合わせられない。
単なる嫉妬なのは分かってる。我侭なのは分かってる。それでも、気持ちに区切りはなかなかつくものじゃない。
ベッドに突っ伏していたミサキの携帯の着信がふいになる。リョーコからだ。内容は
「何があったか知らないが明日のクリスマス会は何があっても来なさい。あんたがいないと意味ないから。
多分、そこに答えがあるから。」
そういった内容だった。もっとも、今のミサキにはついにアヤナとマサヒコの関係を公表されるんじゃないか
とかしか思いつかないわけだが・・・・それでも・・・普段はふざけてるリョーコが絶対に来いと言っている。
メールも普段は胸でかくなったか?とかなのに、今日は初めて真面目な内容だ。
そこに答えがある・・・どんな答えかは分からない・・・けど・・・
やらずに後悔するより、やって後悔したい。ありがちな言葉だがミサキには一番の言葉。
「よし!!」
一人で気合を入れると明日に迫ったクリスマスの準備をミサキは始めた。

クリスマス当日。そこに、今までのミサキの顔はなかった。なにがあっても驚かない。そして、自分の気持ちを・・・
「天野さん、いらっしゃい。あなたで最後よ。」
家の主、アヤナがミサキを迎え入れる。かくしてパーティーは始まった。
パーティーの最中は今までが嘘のようにみんなと話した。リョーコとも、アイとも、アヤナとも、リンコとも、
そして、マサヒコとも。そして、メインイベントらしい、プレゼント交換が始まる。
「さて、プレゼント交換の時間だが・・・マサ!あんた、あるんでしょ?」
リョーコがマサヒコに言う。
「ん、ああ・・・なんかこう場が緊張するとなんていうか・・・」
「マサヒコ君、度胸ないよ。せっかく頑張ってきたんだから。」とアイ。
「そうよ、男らしくないわね。」とアヤナ。
「そーだそーだ。早くしないと明日から小久保君のこと、パイパンの心臓って言っちゃうぞ?」とリンコ。
「そういうわけだ、マサ。ちOこついてんのか?」と、さらりと危ないことを言うリョーコ。
ミサキは思う。ああ・・・ついにきちゃうんだな・・・私の初恋・・・終わっちゃうんだな・・・
「ミサキ・・・・これ・・・受け取って欲しい。」
そういってミサキに袋を差し出すマサヒコ。目を丸くして受け取るミサキ。そして中には・・・
「タートルネックセーター・・・・?これは・・・??」
「それはね、マサヒコ君がミサキちゃんのために一生懸命手編みで作ったんだよ。」
ミサキの疑問に答えるアイ。アヤナが口を開く。
「初めいきなり、天野さんのサイズを教えてくれって言われたときは殴ってやろうかと思ったわ。」
「いや、実際なぐ・・・・ごほん、なんでもないです・・・」
言いかけて、アヤナのするどい視線を感じ訂正するマサヒコ。
「思ったより小久保君不器用でね〜。それで私の家で特別に指導してあげてたのよ。」
・・・全ての糸を合わせる・・・二人が袋をもって家へ入っていく・・・これか・・・
ミサキには聞こえていないが、二人の卑猥な会話。編んでたのか・・・
リョーコのメール。ミサキが主役で全ての答えがある・・・・その通りだ・・・
「どうかな、ミサキ?初めて作ったもんでヘタクソだけど・・・お前にはずっと世話になってるし、
毎日遅くまで勉強してるだろ?前もテスト前に風邪引いたりしてたし。だから、作ってみた。
・・・って・・・ミサキ?」
「え・・あ・・はは?なんでだろ・・・なんか・・・涙が・・・はは・・・」
安心と喜びと・・・何もかもが絡まりあって涙を流すミサキ。すぐにそれを拭うとミサキは
いたずらっぽい笑みを浮かべてこう言った。
「まぁ、一番欲しかった物ではないけど・・・・ありがとう!!!」と・・・・
198そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/20(火) 00:56:51 ID:FSrLM4Th
パーティーも一段落するとリョーコがミサキに近寄ってきた。
「よ。どうだった?全て分かったろ?」
ああ、やっぱりこの人は全部知ってたんだな・・・
「ところでさ・・・一番ではないって言ったよな?一番はなんなのかぁ〜?」
ニヤニヤしながらミサキに問う。明らかに分かっているが敢えて問う。
ミサキは答えない。否、言うまでもない。一番欲しかった物はもちろんマサヒコ。
「教えませんよ・・・それに・・・今はこのセーターが一番ですから。」
ミサキの答えにきょとんとするリョーコ。
「一番大切な人が頑張って作ってくれたんですから・・・これが一番ですよ!」
そう言ってリョーコに笑顔を向ける。リョーコもニヤリと笑って言う。
「はは、あんた分かってるじゃない。その気持ち・・・ずっと持ってるんだよ。」
一番欲しい物をあげるのは本当に難しい。なぜなら例え相手がどれだけ好きでも他人だから。
それでも・・・気持ちのこもってる物が・・・受け取る側は一番嬉しいんですよ。

     FIN
199そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/20(火) 01:01:55 ID:FSrLM4Th
以上です。一番欲しい物の理論はあくまで自分の経験からの視点ですので
人によって違うと思いますが・・・大事な人からのプレゼントが一番だと
思いません?まぁ、自分でもなんて言えばいいか表せないんですが、
題名を「欲しかった物」と、敢えて過去形にした意味を考えていただければ
幸いです。自分でも何言ってるか分からないので、意味不明なら
それでかまいませんw
誤字、脱字は多分こうだろうって感じで容赦してくだせえ。
それでは、クリスマスのみなさまの作品を楽しみにしております。
200名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 02:39:44 ID:F5liZgCe
そら氏乙、そしてGJ!
思わず中学時代のクリスマスパーティーを思いだしちまった…
201名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 07:52:01 ID:aD6M4s1N
このマサヒコはいつ俺の行動を盗撮して同じことをやったんですか?
202名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 23:49:23 ID:d8UKEFsQ
えっ…と…保守。
203名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 01:07:23 ID:SvRn6B6t
一度くらい職人の皆様でリレー作品を書き上げてもらいたい・・・
204名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 03:01:27 ID:IU166u8H
過疎防止あげ
205名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 06:40:29 ID:5FCnQwcH
過疎って・・・
ほぼ一日一作って言っても過言じゃないスレですよ?
206名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 06:44:49 ID:X8IxkbQH
そういや今週マガジン無いんだっけか?
クソ寒ぃのにコンビニ探しちまったよorz
このスレのおかげで毎週月曜と木曜は夜勤あけにコンビニ回る日々ww
207名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 08:39:14 ID:JFZbvwlp
リレーはなかなか難しいんじゃないか
208名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 11:09:28 ID:SbV/xH7t
合併号だった( ̄ж ̄;)!!
209名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 21:13:47 ID:mb3K8F+z
マイケルファンタジー!!
ポォォォォォォォォウ!!
210名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:48:20 ID:SGGHnXvU
白帯侍氏のアヤナの続きが読みたい。
211名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 23:56:46 ID:HdOAbBdE
待ちましょう
212名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 08:36:43 ID:2gGVTQyI
今は嵐の前の静けさのようなもの。
幾らかの時間が過ぎれば神々による問答無用の嵐が吹き荒れる。
213名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 08:43:36 ID:Mqa62uW/
でも考えたらクリスマスは家族や恋人と過ごすよな、普通
つまりイブおよび当日の投下は少ないんジャマイカ
それに既出だがなにより年末進行で忙しい時期なんだよな

まー正座しながら待つということで




つーか外スゲエ雪なんですが
今日有給休暇とってて良かったよ・・・
214名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 09:35:01 ID:ipN1fYIv
>>209
あれいいよな。
215ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 14:13:48 ID:XkKnfo6j
今回はいつも通りに戻って小ネタで行かせてもらいます。
タイトルは「リサイクル」で。
216ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 14:15:11 ID:XkKnfo6j
場所は3年の教室−
教室内に古い雑誌が散乱している。それを見かねた女子が、
「ちょっとー、古い雑誌なんかさっさと捨ててしまいなさいよ」
「まあ、そう言うなよ。まだまだ使えるんだからよ、例えばこれ…」
カズヤはアイドルの顔が表紙の雑誌を手に取り、表紙の口の部分に穴を開けるように切った。
そのため、アイドルが口を開けているように見える。
「まず口の部分をこうして切ってだな、そして…」
すると突然カズヤはズボンのチャックを下ろし、自分のペニスを先程穴を開けた口の部分に突っ込んだ。
「ほら、こうするとアイドルにフェラしてもらってる気分になれるぜ。あ、いかん、勃ってきた」
カズヤは股間のモノを勃起させ、腰を前後に振りながら1人悦に入っていた。教室内は女子はもちろん、
男子の悲鳴まで響く大混乱である。
「キャアー、ヘンタイ!」
「やめろ気持ち悪い!」
「今岡、今岡はどこに行った?」
教室の生徒の期待は今岡の鉄拳制裁に向けられたが、その頼みの今岡はというと、あまりの気持ち悪さに
トイレに駆け込み吐いていた。
結局、最後までカズヤの暴走が止まることは無かった。
217ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 14:20:00 ID:XkKnfo6j
…以上、大変見苦しいものをお見せしました。
批判は厳粛に受け止めます。
明日、もう一作投下します。但しこれはエロ無しですが。
あと、年末にも一作投下の予定です。これはエロ有りです。
最後に、本当に失礼しました。
218名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 20:41:54 ID:mE4aAbmU
ペピトーン氏乙です
何て言えばいいのか…

とりあえず明日期待してます!
219白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 20:59:06 ID:+UiEMqCc
>>216
ペピトーン氏GJです!
ナツミがいないとカズヤの暴走は本当に止まらなそうですねw

では、改めて。こんばんわ、白帯侍です
今回はマサヒコ×アヤナの未来モノ続編です
エロは前の投下時に言ったとおりありません
それに今回はかなり中途半端に終わります
見るに堪えない作品ですが見ていただければ幸いです
220白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 20:59:53 ID:+UiEMqCc
「私、近いうちに・・・・言おうと思っているんです」
お世辞にも綺麗と言えない部屋。そこで二人の女性が向かい合って座っている。
真摯な眼差しを正面に座る女性へと向け、アヤナが告げた。
「本気で言ってるの?」
アヤナの正面に向かい合っている女はそう呟き、下に向けていた視線を正面に向けた。
その眼差しは鋭い。心の中が見透かされてしまいそうな瞳だ。
だがアヤナは目を逸らさない。顔は強張っているが目の力は揺るがない。
時間が永遠に引き延ばされる。時が止まったかのように二人の間に動きがなかった。
その沈黙を最初に破ったのは女—中村リョーコだった。
「あんたからそういう事聞けるなんてね」
「・・・・お姉様、こういう話嫌いでしたね」
「はっきり言ってね。でも・・・不思議と今は嫌な感じはしないわ」
リョーコの顔が微笑みに変わる。滅多に見せない優しさに満ちた微笑だった。
「まぁせいぜい頑張ってみなさい。あ、でも避妊はしっかりしなさいよ」
「はははは・・・・」
リョーコの言葉にアヤナは困ったような、照れているような笑顔をみせた。

「・・・あと少しで大体分かるからさ・・・うん・・・・ん、じゃあ」
スタンドの仄かな明かりしかない薄暗い部屋。
男は電話先の相手に別れをつげて電話を置く。そして盛大にため息をついた。
全く・・・ここ最近は電話を掛けられっぱなしだ。
まぁ、娘を心配するのは分かるから強く批判することはしないが。
男はテーブルの上に置かれている写真に目をやる。
「アイツはこういう奴が好みなのかね?」
誰に言うともなくそう呟いて、テーブルの上に置いてあったウイスキーを口に運ぶ。
男はグラスの中を飲み干し、ベッドの中にもぐる。
スタンドの明かりを消すと部屋は完全な黒に包まれた。
そしてその闇の中、男はぼんやりとした頭で思考をめぐらせた。
彼にはいつ会いに行こうか。今週は忙しいから来週になるか。
なるべく早く済ませたいものだ。
妹の件でいつまでも母から電話をもらうのは、いい加減うんざりだ。
221白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:00:42 ID:+UiEMqCc
講義が終わりマサヒコは大きく息をついた。
今日の講義はこれで終わりだ。バイトも今日は入っていないのでこの後は何をするも自由だ。
帰る準備をしていると友人の高橋がマサヒコの所にやってきた。
高橋の顔は綻んでいる。それでマサヒコは大体の用件を掴んだ。
「なぁ小久保。今日夜空いてるか?」
「・・・・合コンか」
「そうそう。今日は寛院大の女。あそこは上玉多いぞ〜」
うりうりと肘でマサヒコを突いてくる。マサヒコは思わず苦笑を浮かべた。
こういう誘いは大学に入ってからは少なくはなかった。
整った顔立ちで、女性との会話もそつなくこなすマサヒコはよく重宝された。
そしてマサヒコも、このような誘いをなるべく受けるようにしていた。
別に異性と知り合いたい訳ではない。友人との良い関係を保つためだ。
が、最近は少し様子が違っていた。
「悪い。今日はちょっと用事があるから無理」
「マジかよ〜〜今日お前が来てくれないとちょっとキツいんだよ〜」
「だから悪いって。次は絶対付き合うからさ」
両手を合わせて謝る格好をとる。
高橋は仕方ないなと息をつき、その場から離れていった。

マサヒコは遠ざかる友人の後ろ姿に心の中でもう一度謝った。
今日は金曜日。この日は外せない用事がある。だからバイトのシフトも変えてもらった。
適当に街をぶらついて帰ろう。そうすればちょうどいい時間に家に着くだろう。
マサヒコは腰を上げる。出口に向かって真っ直ぐと歩く。
今日は金曜日。この日は決まって彼女が来る。
廊下を進むマサヒコの足取りは、自ずと軽くなっていた。

ピンポーン

マサヒコがベッドに転がりながら雑誌を見ていると、安っぽいチャイムの音が部屋に響いた。
時計に目をやる。いつもとほとんど同じ時間だ。
雑誌を床に捨てて急いで玄関の方に行く。早く出迎えないと機嫌を損ね兼ねない。
ドアを開けると予想通りの来客がいた。
「お邪魔しまーす」
スーパーの袋を手に提げた女はそう言いながら、ドカドカと部屋の中に上がり込んだ。
そのまま真っ直ぐ台所に向かう。
「お腹減ってるでしょう」
持ってきた食材を取り出しながら女は尋ねた。
「餓死しそう」
「何か適当につまんでいればよかったのに」
「せっかく美味いものが食えるんだから思いっきり腹減らしてたんだよ」
「あら。それじゃあ手を抜いて作れないわね」
台所に立つ女——若田部アヤナはマサヒコの方を見て得意げな笑みを浮かべた。
222白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:01:17 ID:+UiEMqCc
アヤナが日本に帰ってきてすでに2ヶ月が過ぎようとしていた。
彼女は週に1,2度ほどマサヒコのアパートにやってきては自分の料理を振舞った。
特に金曜日には必ずといっていいほど、彼女は顔を出した。
何故アヤナはそんなことをしにくるのであろうか。
以前マサヒコがその理由を聞くと、彼女はこう答えた。
『自分だけのために料理を作るのって結構億劫なのよね。だから誰かと食べた方がいいと思って。
小久保君自炊してないって言っていたし。私にとってもあなたにとっても悪い話じゃないでしょ?』
マサヒコはとりあえずこの理由で納得してみせる素振りを見せた。
これだけが理由ではないだろうが、言っている事に偽りはないだろう。
自分としても美味い飯が食えるのだ。文句を言う理由などない。
すでに台所にはアヤナが料理に使う様々な調理器具、調味料などが置かれている。
そんな光景もすでにマサヒコの生活に溶け込もうとしていた。

今日のメニューはモッツァレラとトマトのパスタとサラダだった。
アヤナの作る料理はどれも外れる事がない。
今日の料理も例に漏れることがない出来だ。マサヒコはそれらの料理に舌鼓を打つ。
「小久保君、今でもお姉様や濱中先生とあったりする機会あるの?」
向かいに座るアヤナがパスタをフォークに巻きつけながらマサヒコに尋ねた。
「アイ先生はここから近い所に住んでるから結構会う機会はあるな。
中村先生はときどき。酒飲むのに付き合わされたりしてる」
「さらっと言うわね未成年」
「文句言うならあの眼鏡に言ってくれ。無理矢理誘われてるんだから」
「でも楽しそうね。今度誘われたとき私も誘ってくれない?」
「止めとけよ。あの人うわばみだから付き合ったら二日酔い確定だぞ。
大体お前酔っ払ったらまた大変なことになるんじゃないか?」
「また?」
「忘れたのか?お前中村先生の内定決定祝いの時・・・・」
そこまで言うとアヤナの耳がみるみる真っ赤になっていった。
優等生であった彼女にとって、あの出来事は今でも汚点らしい。
「分かった!もう言わなくていいわ!」
「俺が入ってくるなり」
「止めてったら!」
「ショタ・・・」
「だから・・・・止めなさい・・・・!」
豪腕一閃。
身を乗り出して繰り出されたアヤナの右フック。
マサヒコのこめかみを打ち抜いた拳は彼の意識を奪いかけた。
その場にマサヒコは力なく崩れ落ちる。
「もう・・・・」
むくれてパスタを口に運ぶアヤナ。マサヒコのことを気にかける気はないようだ。
結局マサヒコはこの後、痛む頭をさすりながらアヤナのご機嫌取りに取り掛かった。
それが終わった頃には、パスタはすっかりと冷たくなっていた。

食事の後、2人はいつも通りに時間を過ごした。
テレビを一緒に眺め、それに飽きたら会話を交わす。
それは自分の近況やら、離れていた3年間にあった出来事やら、中学時代の思い出話やら。
マサヒコとアヤナはお互いの話に、顔を緩めたり、しかめたり、苦笑いをしたりした。
223白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:02:09 ID:+UiEMqCc
アヤナの傲慢なアメリカ人の話を聞き終わり、マサヒコは時計に目をやる。
いつも通り、アヤナが帰るのにちょうどいい時間になっていた。
「今日もありがとう。じゃあな」
マサヒコは玄関の前でアヤナを見送る。これもいつも通りのことだ。
靴を履いたアヤナは振り向いてそっと目を閉じた。
マサヒコは軽く息をつき、アメリカ風さよならをしてやった。
これもいつも通り。最近はこれをやる役は交代交代だ。
短い口付けが終わるとアヤナはそっと目を開け、にっこりと微笑んだ。
マサヒコにとって何度見ても飽きない笑みだった。
「小久保君・・・・」
「ん?」
「あの・・・その・・・・」
「うん」
「・・・・今度また部屋の掃除してあげるわ。最近また汚くなってきたでしょ?」
「はぁ・・・まぁ、そうだな」
突然の申し出に少し面を食らったマサヒコ。
心なしか少し赤い顔で明後日の方向を見るアヤナを不思議そうに見つめた。
「じゃあ来週ね。次の金曜、ちょっと早めに来るから」
アヤナはそう言うと逃げるように部屋を出て行ってしまう。
玄関には怪訝顔のマサヒコだけが残された。
「変な奴・・・」

部屋から出たアヤナは早足でアパートの通路を通り過ぎていった。
階段を降りてから少し歩き、そしてアパートの方へ目をやった。
「・・・意気地なし」
アヤナは軽くため息をついて、再び歩みを進める。
頼りない影が少し肌寒い夜道に伸びていた。

次の日の夕方、マサヒコは夕食を買いにスーパーに来た。
カゴの中は例のごとく惣菜のオンパレードだ。
マサヒコはアヤナに最近、自炊をするようにと口をすっぱくして言われている。
しかしマサヒコは、上手い具合にいつもそれをはぐらかしてきた。
自分で作ったものなどたかが知れている。普段の食事はこれくらいでいいのだ。
一通りのものを買ったのでレジに向かおうとする。が、そこであることを思い出して足を止めた。
「オリーブオイル、切らしたとか言ってたな」
自分で使う機会はないが、自分の部屋で使われるものだ。
それならば部屋の主が買っておいても問題ないだろう。
「おっ」
オイルが陳列される棚まで来てマサヒコは、元家庭教師の女性の姿を見つけた。
「あ、マサヒコ君」
アイもマサヒコに気付いたらしく、ひらひらと手を振ってきた。
アイの隣に並び買い物カゴに目をやる。今ではマサヒコの視線の先にはちょうど彼女の頭がある。
「相変わらず・・・」
アイの買い物カゴの中を見て、思わず言葉が詰まる。とても一人暮らしの女性が買う量ではない。
「今日ポイントが2倍で・・・やっぱり多いかな?」
「すごく・・・・多いです・・・・」
「やっぱそうかな?でも、そういうマサヒコ君はお惣菜ばっかりだね」
アイの切り返しに、ハハハとマサヒコは乾いた笑い声を上げる。
遠回しにだらしないねと言われた気がした。
224白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:02:48 ID:+UiEMqCc
「・・・・まぁそれは置いといて、先生。こういうのってどんなの選べばいいんですかね?」
マサヒコはオリーブオイルの棚に目をやって尋ねる。
来てみたはいいが予想以上に種類が多い。
料理に関しては無知であるマサヒコにはどれがいいのかが分からない。
「何を作るの?」
「ん〜・・・・取りあえず何でも合うものが」
「ずいぶんアバウトだね・・・・でも、まぁ・・・・・これがいいかな」
そう言ってアイは棚から一本ビンを手に取り、マサヒコの買い物カゴへと入れた。
ありがとうございますとマサヒコは軽く頭を下げた。
「でもマサヒコ君。何でこういうの買いに来たの?」
「あ〜〜それは‥‥」
そこで言葉が止まった。喉に何かをつめられたような、そんな気がした。
言葉に詰まるマサヒコを見て、アイはにんまりといった感じの笑顔を作る。
「ははぁ〜ん・・・もしかしたら、彼女さんが?」
「ち、違いますよ!」
「じゃあどうして?」
「・・・こ、こういうのがあれば、自分でも何か作る気になるかなぁ、って」
マサヒコは頭を掻きながら愛想笑いを浮かべた。
アイは一瞬きょとんとする。が、すぐにうんうんと首を縦に振った。
「そういう発想は大事だよ。やっぱりオカズは自分で作った方が・・・・
あっ、このオカズってのは食べる方であって、あっちの方じゃないからね?」
「分かってます。大体そっちじゃ意味がわかりません」
あいも変わらずな漫才をする2人。中年の女性が、気まずそうにそそくさと彼らの横を通り過ぎる。
お互いもういい年なのだが、この流れだけは中学の頃のままだった。

マサヒコはその後会計を済ませ、自分のアパートへの帰路についた。
一陣の風がマサヒコの首筋を撫でた。
思わず身をすくめる。温かくなってきたと思ったが、夜の風はまだ寒い。
「なんか馬鹿みてぇ・・・」
右手に提げられたスーパーの袋の中に向かって呟く。
ビニールの袋の中にはオリーブオイルとスーパーの惣菜だけだ。
マサヒコの顔に自然と苦笑いが浮かぶ。
アイが不思議がったのも無理はない。
家々から洩れる暖かな光と楽しげな談笑の中を、マサヒコは歩いていった。

分かっているのだ。自分がしなければいけないことは。
この関係はどちらかが一言『好きだ』とでも言えば、すぐに変えることが出来るのだ。
それこそ、先生にも堂々と本当のことを言える関係に。
十中八九、告白は失敗しないだろう。
いくら自分が鈍いといっても、若田部のしていることが普通の男にすることではないことくらい分かる。
そして、告白をすべきなのは男である自分なのだ。
こんな曖昧な関係は一刻も早く終わらせるべきなのだ。
若田部の為にも。そして自分の為にも。
225白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:04:14 ID:+UiEMqCc
首を竦め下を見ながら歩いていると、前から二つの影が近づいてきたのが見えた。
マサヒコは顔を上げる。
二人の男女が向こうから歩いてきていた。何か楽しげに話しながらじゃれあっている。
すれ違う時にちらりと目をやる。固く繋がれた手が見えた。
また風がマサヒコを通り抜けていく。ぶるりと身を震わせた。
吹き付ける風は一段と冷たくなったように感じた。

月曜日、バイト帰りのマサヒコは駅の前にいた。
マサヒコはバイト先からちょうど今帰ってきたところだった。
時計は8時を示しているが、季節絵あまり空は暗くない。
「ちょっと君」
家路につくために足を進めようとした時、背後から誰かに呼び止められた。
声が聞こえた方へと目を向ける。
そこには見たことがないスーツ姿の男が立っていた。
男は小走りでマサヒコの方に向かってきて、少し前で止まった。
何かの勧誘であろうか、とマサヒコは思った。
が、男の顔がはっきり見えるようになると、途端に妙な思いを感じた
(ん?この人・・・・)
端整な顔立ちをした男だった。化粧をすれば女と間違えるかも知れない。
マサヒコはこの人物に会ったことなどはなかった。
これだけ顔のいい男だ、知り合いなら忘れるような事はないはずなのだ。
だというのに何故か目の前の男と初めて会ったような気がしない。
そう、最近どこかで・・・・
「どうかした?俺の顔になんかついてる?」
「え?あ、別に何も・・・」
話しかけられて意識が戻ってくる。思わず自分の世界に入っていたようだ。
「あの、どちら様で?」
「あ〜ごめん、いきなりだったね。俺はこういう者なんだけど」
男はブランド物のサイフから名刺を抜いて、マサヒコの前に差し出した。
マサヒコは名刺を受け取り、それに目をやる。
そして、小さな紙に書かれている名前を見て思わず目を見開いた。
『若田部 シノブ』
驚いた顔をそのまま前へと向ける。男——若田部シノブは好意的な笑みを浮かべていた。
「初めまして。アヤナの兄のシノブです」

マサヒコはシノブに促されるまま近くの喫茶店へと入った。
2人は人が近くにいないテーブルに向かい合って座った。
マサヒコは席につく前に視線を周囲に向けてみる。自分がひどく場違いな所にいる気がした。
どこを見ても私服とスーツの組み合わせの2人組などいない。
シノブはマサヒコに何を頼むと聞かれ、同じものでいいです、と簡単に返した。
シノブは軽く手を上げる。
それを見たウェイトレスが注文を取るため、マサヒコたちのテーブルにやってきた。
「じゃあこの・・・・」
マサヒコは、不思議な気持ちで目の前で注文を頼む男を見た。
アヤナの兄の情報はほぼ無いに等しい。
あるといえば合宿に言った時のものくらいしかない。
が、目の前の男がダッチワイフを持っているなんて、とてもじゃないが信じられなかった。
アヤナの兄だというだけに、確かに彼女に似ている。
それでいてシノブは妹とは違った穏やかな雰囲気を湛えていた。
これほどのルックスなら女性関係には困らないだろうに。
226白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:04:57 ID:+UiEMqCc
「いろいろ聞きたいことはあると思うけど、何から話したらいいかな?」
注文を終えたシノブはマサヒコの方に向き直り、笑顔のままでそう尋ねた。
マサヒコは少し考えてみたが、結局自分が今一番知りたい事を訊いた。
「・・・・俺に会いに来た理由ですかね」
マサヒコがそう言うと、シノブは意外そうな顔でマサヒコの顔を見返した。
そしてそれはすぐにまた笑顔に変わる。
しかしそれは先ほどの愛想笑いではなく、違った意味合いを含んでいる笑顔だった。
ウェイトレスがやってきてコーヒーのカップを2つ置いていく。
シノブは何も加えていないコーヒーに口をつける。マサヒコは黙ってそれを見つめた。
「せっかちだね、君も」
「世間話するつもりで会いに来たわけじゃないですよね?」
「ん、まぁね。用件は大体察してるかな?」
「若田部・・・妹さんのことですよね」
そういえばこの人も若田部だったなと思い、マサヒコは差しさわりがない呼び方で言い直す。
シノブはマサヒコの言葉に小さく頷いた。
予想がついていた答えだったが、自分の身体が少し強張るのをマサヒコは感じた。
「どういう経緯でアイツがこっちに戻ってきたかは・・・知ってるか。
まぁやっぱりあんな別れ方でも娘が可愛いんだろうな。先日親から連絡があってね。
どうにかして連れ戻してくれ、って頼まれたんだよ。
こっち来てるのはあいつから聞いていたし、別に本人の自由にさせてやりたかったけど。
俺もこっちで好きにやらせてもらってるから、流石に親に同情しちゃって」
「俺の質問の答えになってないんですけど」
的を得ない会話に思わずマサヒコは口を挟む。
不安に駆られていたせいか、口調が思ったよりも刺々しいものになってしまった。
しかしシノブはそれに気を悪くした様子も見せず、コーヒーをまた口に運ぶ。
そしてカップをテーブルに置いたシノブは、妹に似た鋭い眼光で目の前のマサヒコに視線をやった。
「君はアヤナと付き合ってるのか?」
「えっ・・・」
マサヒコはシノブの変化と、彼の言った言葉に思わず声を上げた。
彼の言葉が直接身体に入ってきて心臓を握ったような錯覚を受ける。
シノブの口調は静かだった。そしてそれは、底冷えするような響きを孕んでいた。
「・・・分かってるよ。気を悪くするかもしれないけどアヤナの周辺のことは
調べさせてもらったんだ。どうやって調べたかは想像に任せるよ」
悪びれた様子も見せずにシノブは言葉を紡ぐ。
あまりにも淡々と語られたので、怒るべきなのか戸惑うべきなのかもマサヒコは分からなかった。
分かったのは、シノブがどれだけ本気なのか、という事だけだ。
「まぁ、それでだ。だから当然、君と妹の関係も知っている。
君はアヤナとは付き合っていない。そうだろ?」
これにマサヒコは答えない。いや、言葉を発する事ができなかった。
シノブはそれを肯定と解釈し、また話を続けた。
「俺が言うのもなんだけど、アイツはいい女だよ。
どこに出しても恥ずかしくない、俺と違って出来た妹だ」
「・・・・・」
「小久保君、さっき俺に聞いたね。どうして会いに来たのか、って」
「・・・はい」
マサヒコは喉から何とか言葉を搾り出す。
シノブは目を瞑って、少し間を空けた。
そして目を開いたシノブは、真っ直ぐマサヒコの目を見つめながら口を開いた。
「俺はな、君に妹の、アヤナのことをよく考えてもらいたいんだ」
「若田部の・・・こと・・・?」
「そう・・・あいつのこれからのこと・・・」
「若田部の、これから・・・・・」
もともと静かだった店内の音が、完全になくなった。
少なくとも、マサヒコの聴覚には何も訴えかけてくるものはなかった。
2人で向かい合っているというのに、シノブがとてつもなく遠くにいるような気がした。
227白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:06:22 ID:+UiEMqCc
どれくらいの沈黙が流れただろうか。
喧騒は、シノブが言葉を発するのと同時に戻ってきた。
「・・・・・まぁ君も全く考えてないわけじゃないだろうけど。改めて頼むよ」
それを言うと、シノブはにっこりと笑顔を作って立ち上がった。
「用件はそれだけだ」
そう言って歩き出そうとする。いつのまにか彼のカップの中身がなくなっていた。
「ちょっ・・・」
席を立ったシノブに続くようにマサヒコも腰を上げようとする。
が、シノブは手をつき出しマサヒコが立ち上がろうとしたのを制す。
「とりあえず今日はここまで。考えが纏まったら連絡をくれ。
名刺の方に携帯の番号がついてる。あと勘定は俺の方で済ますから」
言いたいことだけを言って、シノブはレジの方へと歩いていった。
彼は二人分の勘定を済ませて、一度もマサヒコの方を振り返らないでスタスタと行ってしまった。
テーブルにはただその場にたたずむことしか出来ないマサヒコと、冷めかけたコーヒーだけが残された。

シノブは店から出た後、レストランで食事を済ませ、行きつけのバーに行った。
ゆったりした時間が流れている店内には数人の客しかいない。
静かに囁きあう男女が1組、1人でグラスを傾ける客が3人ほど。
馴染みのバーテンにいつも頼んでいるバーボンロックを頼む。
シノブはグラスを傾けながら、今日話をした青年のことを思った。
彼には正直酷な事をした。あまり好きなやり方ではない。
『将を射んとすればまず馬を射よ』というが、今日したことはまさにそれだった。
いきなりアヤナに帰れと言っても十中八九、いや、確実にいう事を聞かないだろう。
しかしマサヒコからアヤナに言ってくれれば、様子は変わってくるだろう。
多分彼は、アヤナのことを諦めてくれる。
今日会ってみて分かったが、彼は思ってたよりもずっと人間的に頭が良さそうだった。
あのような言い方だったが、自分が言いたかった事は察してくれたに違いない。
住む世界が違うもの同士が一緒になれば、必ず何か問題に突き当たるだろう。
それならば最初からそのような関係にならなければ・・・・
二人には気の毒だが仕方ない。世の中には仕方ないと割り切るしかない事があるのだ。
シノブはグラスを傾ける。
が、喉を何も流れていかない。いつの間にかグラスの中は氷だけになっていた。
バーテンは何も言わずに、シノブのグラスに2杯目のバーボンを注いだ。
228白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:06:55 ID:+UiEMqCc
マサヒコはシノブと別れた後、コーヒーに口をつけずに店を出た。
そして気がついたら家に着いていた。手にはカップ麺と数本のビールの缶が入った袋が提げられていた。
湯を沸かしてさっさと食事を済ませた後、マサヒコはビール缶のタブを開ける。
そして中の液体をちびちびと口に含みながら、今日の出来事を思った。

『アヤナのことをよく考えてもらいたい』
言葉にすればとても短いというのに、それに込められた想いは実に雄弁だった。
若田部からはシノブのことをあまり聞いたことがなかったが、
彼がどれだけ妹を大事に思っているのかというのが感じ取れた。
そう、あの時シノブが見せた顔。あれが妹を思う兄の顔なのだろう。
自分は若田部のことを考えているつもりだった。
この曖昧な関係に終止符をうたなければと常々考えていた。
が、それは根本的な思い違いだったということを、今日思わぬ人物から突きつけられた。
確かに、今の関係は変えることは簡単かもしれない。
でも、自分はそれをしてしまっていいのだろうか。
それは彼女にとって本当に幸せな事なのだろうか。
彼女は過去の記憶に縛られていて、人生の選択を誤ろうとしているのではないか。
関係が変わったからといって、いつまでもそれが続く保証はない。
が、同時にそれは、いつまでも続くという可能性の裏返しでもあるのだ。
彼女の将来を考えるなら、こんな冴えない自分が彼女の男になってはいけないのではないか。
彼女がいるべき所は、自分なんかが手を出せない世界なのではないだろうか。

それを考えるとマサヒコの頭の中に、今までは考えた事もなかった思いが生まれた。
それは今までアヤナに抱いていた思いより、遥かに小さなものだった。
が、アヤナのことを思えば思うほど、それは確実にその体積を、重みを増していった。

あいつのこれからを思うなら、いっそ・・・・

気がつくと、マサヒコが口をつけていた缶はすでに空っぽになっていた。
テーブルの上に適当に空き缶を転がして、袋の中に入っている缶に手を伸ばす。
マサヒコは缶を眺めて少し逡巡した後、ゆっくりとプルタブに手をかけた。
229白帯侍 ◆bhH/AtH.kc :2005/12/22(木) 21:12:10 ID:+UiEMqCc
以上です
やっぱり一話で一段落させないと妙な感じがありますね・・・
一応次の作品で今やっているのはひとまず終わると思います
最後まで付き合っていただければ幸いです

そういえばタイトル入れるのを忘れてましたorz
タイトルは『Warp 対岸の兄妹』でお願いします
230名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 21:38:06 ID:GH00AwW8
GGGGGGGGGGGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
231名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 23:01:05 ID:4Ed7P9H7
こんな事を言うのはあまりに失礼だし、職人さんにプレッシャーをかける事になる事も分かってます。
それでも言わせて下さい。
続き読みたいぃぃぃっっっ!!!
次回を、次回分を早く下さいっっ!!!
232名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 23:10:47 ID:ViTy140d
キタ━━━(゜∀゜)━━━!
キタ━━━(゜∀゜)━━━!
キタ━━━(゜∀゜)━━━!
キタ━━━(゜∀゜)━━━!
キタ━━━(゜∀゜)━━━!
超GJです!
233郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 23:45:00 ID:NutEEGcb
どうも、郭です。
>>ペピトーン氏
笑いました。変態カズヤの本領発揮。でも今岡にボコられるシーンも読みたかったかも。

>>白帯侍氏
GJ!です。なんだかアヤナ兄が黒くてイイですね。
今までになく小説っぽい感じが面白いです。ていうか、上手いです。

ほんで、カナミ×シンジの最終章を投下します。
正直、カナミのキャラは手探りで書いた感じ。ちょっとエロシーン淡泊だし。
妹SS修行中の身でこんなこと書くのはなんですが、ゆくゆくはシンジで妹全女性キャラ制覇したい……
>>179の続き。
234郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 23:45:48 ID:NutEEGcb
「あ………」
そしてびくん、と反応してしまうカナミ。
"ちゅ……つ………"
さきほどまでのシンジの口撫で何度も絶頂に達したのにもかかわらず、
またも、カナミのそこからは熱い蜜が溢れ出てくる。
「ん……あん……」
喘ぎ声をあげるカナミだが、なぜかシンジはくすくすと笑い始めた。
「?どうした……んぅ……の、おにいちゃん?」
「カナミ……お前、自分のあそこって見たことある?」
「!?え?な、ないけど……だって……恥ずかしいもん」
「下ネタ好きなわりには変なトコ純情だよな、お前は……まあいいや。
あのさ、お前のあそこの両脇のおんなじトコにホクロがあるんだよな」
「!う、嘘……」
「嘘じゃないって。前聞いたことあるけど、これってすっげえエロボクロなんだって。はは、当たってるよな…」
「そんな〜〜〜、ウソだあ……」
「へへ……ウソ。でも、ホクロがあるのは本当だぜ?」
「………おにいちゃんのイジワル」
「ゴメンゴメン、じゃあ……」
"ちゅッ、つ〜〜〜ちゅッ"
シンジがカナミの両唇に沿うようにある、ホクロにキスをして……吸い上げ、舌でこねる。
「あん……もう……おにいちゃん?風邪引いちゃうよ……」
夢中になってカナミの股間に顔を埋めているシンジの髪を、バスタオルで優しく包んで拭き取るカナミ。
「……ってそんな風にされると上手く舐められないぞ……」
「ゴメンね、でもおにいちゃん背が高いから、この方が良く拭けるし……」
「まあ……そんなら、いいか……」
カナミの花弁から口を離し、素直に彼女のなすがままになるシンジ。
「うふ……小さい頃を思い出すね。良く一緒にお風呂に入って、洗いっこしたり、
こんな風に拭きっこしたりしたよね……」
「ああ……じゃ、次はカラダも拭いてくれる?カナミ」
「うん……」
ゆっくりとシンジが立ち上がり、両手を軽くあげてカナミの拭きやすいようになる。
カナミはシンジの肉体を……うっとりと見つめながら、拭いていった。
「おにいちゃんのカラダって……固いんだね……」
「……そりゃまあ、男だから……」
「すごく……固くて……素敵……」
カナミは、シンジの肉体を愛でるように拭き続けた。筋肉質、というのではないが、
無駄な贅肉のほとんどない――シンジのカラダを、熱心に拭う。
そして少し背を伸ばすと、くしゅくしゅ、とシンジの頭と髪をバスタオルで包んだ。
「さっき思ったより拭けなかったから……やっぱりおにいちゃん、背高い……」
「あはは……いいよ、カナミ……でも、ちょっと残念かな……」
「?なんで……」
「だってこれじゃカナミが良く見えないし……カナミの、可愛い裸が見れない……」
「おにいちゃん……」
カナミが、シンジを抱きしめる。ふたりの間に、罪の意識は……ほとんど、無くなっていた。
「じゃあ……カナミ?そろそろ……」
「うん……ねえ、おにいちゃん……あの……するのは、私の部屋で……」
「?ああ……お前がそう思うなら……」
(……嫌。今岡先輩と、おにいちゃんがエッチしたベッドでなんて、絶対……嫌だもん)
処女らしい潔癖さでそう思うカナミ。自然と……少し、不機嫌な表情になってしまっていた。
(なにいきなり黙ってんだ、カナミ?しょうがねえな、じゃ、姫のご機嫌取りに………)
「よ…………よっと」
「え?わああ……」
シンジが、突然カナミをお姫様だっこの状態で抱きかかえた。
ナツミとシンジの営みを想像して、内心妬いていたカナミは不意を突かれて驚いてしまっていた。
「おにいちゃん……大丈夫?」
§
235郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 23:47:14 ID:NutEEGcb
「……ていうかさ、カナミ?お前、軽すぎるぞ?ダイエットとかするのはいいけど、もう少し……」
「………比べてるでしょ?」
「へ?」
「今岡先輩と……比べてる……やだ……おにいちゃんのバカ……」
頬を膨らませ、シンジの鼻を右手で軽くつまむカナミ。
「いて!ち、違うって……その……」
「ウソ。絶対コレを今岡先輩にもやったことあるんだ。それで比べて軽いって思ったんだ。
どうせ、私はアキちゃんみたいに巨乳じゃないし、今岡先輩みたいにナイスバディじゃない……」
"ちゅ……"
口を尖らせて抗議を続けるカナミの唇を、シンジがキスで塞いだ。
「……ん……ふうッ、ズルイよ、おにいちゃん……そうやってキスで誤魔化して……」
「あのなあ……カナミ?お前はお前ですごく可愛いよ。そうじゃなきゃ、兄妹なのに……
こんなことすると思うか?それ以上比べっこするのは止めろよ。俺も悪かったから」
「……………ゴメン…………おにいちゃん」
「じゃあ……いくぞ?カナミ」
「うん…………」
裸のまま……ふたりは、廊下に出て、階段を上っていった。寒さは、ほとんど感じなかった。
"ガチャ……"
両手の塞がっていたシンジに代り、カナミが自分の部屋のドアを開ける。
"ふぁさ……"
そして―――真っ暗な部屋の中で、シンジはおぼろげに見えるベッドの上にカナミの体を横たえた。
「カナミ……ちょっと待って……アレ取ってくるから……」
「大丈夫……おにいちゃん、あの……私の引き出しの右の一番上……」
「……しかしお前はなんでも持ってるな……処女のクセに……」
呆れたように呟くシンジだが、灯りを付けるとそれを取り出した。
「じゃ……」
「うん……お願い………」
シンジが、カナミのカラダにゆっくり―――重さをかけないよう、優しく覆い被さる。
"ちゅ……"
そして唇を重ね、舌と舌とを絡めるように……カナミの口内を吸った。
不思議なくらい、自分の精液を飲み込んだ口だという嫌悪感は湧いてこなかった。ただ、愛おしかった。
"ちゅ……ぷちゅ……"
舌を絡めながら――指先で円を描くようにカナミの固い乳房を愛し、そして乳首をつまんだ。
「あ……ん……」
頬を赤く染め、その愛撫に応えるカナミ。そして……ゆっくりと、裂け目に手を伸ばす。
"ぷちゅ……"
そこは、風呂場での愛撫の成果だろう……既にしっとりと濡れていた。
「カナミ……もう、いいか?」
「うん……来て、おにいちゃん………」
「………つけるよ?」
「うん……」
最後の確認を終えると、手慣れた手つきでコンドームを装着するシンジ。
右手をペニスに添えると、カナミの入り口に軽く付けた。
「カナミ……こんなことになってから、言う事じゃないけど……」
「………」
「今日のことは……これっきりで忘れるんだぞ?これからお前は、多分色んな男と出会って、
恋愛もすると思う。だから、今日のことは、全部ふたりだけの秘密だ。わかったな?」
無言のまま、カナミが頷く。その表情は―――どこか、儚げで、哀しげだった。
(……これが、罪なら……俺が、俺だけが、背負うから……)
カナミをぎゅっ、と抱きしめると……ゆっくり、ゆっくり彼女の中へと沈んでいった。
"ずッ……"
「あっ………たッ……」
「やっぱ痛い?カナミ」
「うッ……うんっ。でも……」
「でも?」
§
236郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 23:50:30 ID:NutEEGcb
「もう……私、我慢しない。ずっと……ずっと、我慢するのが当たり前だと思ってた。
私……おにいちゃんが好きで、おにいちゃんが欲しくて……それでも我慢して……
でも、今日で……本当に今日で、こんな禁欲生活も終わりなんだ……」
「……今までのアレが禁欲生活ってお前……」
思わずツッコミを入れるシンジだが、目の前のカナミの痛みを堪える表情が愛しいのも事実で。
"ちゅ……"
その唇を、キスで塞いだ。熱く……はれぼったくなっていた、唇をそのまま吸う。
さすがに今日何度も射精をしたせいか、いくらかシンジにも余裕があった。
強引にカナミの中に入ろうとするのではなく……優しく、カナミの純潔を摘み取ろうと思っていた。
「カナミ……ちょっと……」
「?え?あ……それ……あン……」
シンジが軽くカラダを起こすと、ペニスを少し引き抜き――
両の指で、露出したカナミの陰唇や肉の芽をくりくり、と撫でた。
「ここは……されても大丈夫か?カナミ」
「う、うん……大丈夫……でも、挿れられてるのに……痛いのに、なんだか変な感じ……」
「気持ち良くは……ない?」
「気持ち良いっていうか……あん……なんだか、くすぐったいような……」
「それじゃ……次は、ココ……」
"つぷッ"
「あッ……」
人差し指を移動させ、カナミの菊穴へと挿入するシンジ。きゅっきゅっ、とそこは指を締め付けてきた。
「どう?さっきよりは……気持いいだろ?」
「あ……もう、おにいちゃん本当にアナル好きなんだから……」
「おおっと?そう言いながら……お前、顔すっげえ気持ちよさそうなんだけど……」
「もう……ヤダ……あん!」
シンジはペニスを浅く挿入したまま、菊穴と陰唇を指で嬲り続けた。そして……
"かぁぷっ"
「ひゃ!ひゃん!」
カナミの、薄く形の良い耳たぶを口に含む。
「へへ……可愛い声だよな、普段の声と違って……」
「やッ……あッ……おにいちゃんのいじわる……」
痛みが消えたわけではないのだが……兄の愛撫によって、徐々にカナミの性感はほぐされていった。
「よし……カナミ……もう良さそうだし、動いてもいい?」
「うん……」
"くちゅ…ぬぬぬぬ……"
ゆっくりと、焦らず、大切に思いながら……シンジは、カナミの奥深くまで突いていった。
「あ      あ…………」
そして、カナミは……痛さだけでない、なにかを感じていた。
「カナミ……震えてるよ……まだムリ?」
「う……ううん……ねえ、おにいちゃん?」
「?なんだ?」
「私、エッチな本とか色々読んで、知識だけはあったつもりだけど……
でもね、正直知らないことだらけで今、ビックリしてる。やっぱり学習と実践は違うんだね……」
「……ってそんな大層な話じゃないような気もするが……」
「ううん……だからね、おにいちゃん……私、おにいちゃんを……もっと、知りたい。
もっともっと……おにいちゃんを、教えて……」
「……わかったよ、カナミ……じゃ、いくぞ?」
「ウン……来て、おにいちゃん……」
カナミがシンジを誘うように……両手を広げた。シンジはその手をとり、強く……握りしめる。
"くっちゅ……ちゅぷ、ずっ、ぐちゅ"
「はぁッ……ふぅ――――っ」
シンジの動きに合わせ、カナミが切ない吐息を漏らす。
そして……彼女は自分の中で、なにかがぐしゃり、と弾け、溶けるような錯覚を覚えていた。
「あ……も……もぅ〜〜〜あッ〜〜〜〜〜」
§
237郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 23:51:32 ID:NutEEGcb
(おにいちゃん……ずっと、好きだった……私の、おにいちゃん……
ずっと、待っていた、私の……おにいちゃん……)
初めての痛みが過ぎ―――少しずつ、少しずつ押し寄せる快楽の波に身を委ねながらも――
カナミの心の中を占めていたのは、女としての歓びとは相反する痛切な悲しみだった。
「あ………あッ……おにい……ちゃん……おにいちゃん……気持いいよ…そこッ」
「カナミ……俺……もう……」
「おにいちゃん……大丈夫……私も、もう……あッ……」
「いくよ?カナミ………俺、おれッ……」
"どぷッ……どくッ、ぴゅッ"
本日三回目にもかかわらず……シンジは、またも大量の精液をコンドームの中に吐き出していた。
(出したときのおにいちゃんの顔……可愛い……ヤ……いや。やっぱり、誰にも……渡したくない……)
射精した瞬間とそれが終わったときの、放心したような、
疲れ切ったようなシンジの表情を見つめながら……カナミは、そんなことを考えていた。
「カナミ?ちょっとゴメン……」
「え?きゃ……」
"ずるッ…………ちゅ"
シンジがカナミの中からペニスを引き抜くと…………
頭を移動させ、愛液と破瓜の血で入り交じったそこにキスをした。
「だ……ダメだよ、おにいちゃん……血が出てるし、そこ……」
「……カナミの、血だ。全部……俺が……舐めてやる」
「ダメだよ……汚いよ……」
「カナミの……初めての血だよ。世界の他の誰も……味わったことのない、カナミの血だ。
俺が……俺だけが、これを舐める権利があるんだ。今、そう決めた……」
「おにいちゃん……」
強引なシンジの言葉だが―――カナミは、胸の中までいっぱいになっていた。
「おにいちゃん……今日は、このまま一緒に寝て?」
「ああ……いいよ、カナミ」
ふたりはにっこりと微笑むと、優しく抱きしめ合って―――深い眠りに、落ちた。
〜〜〜〜〜
        〜〜〜〜〜〜
                   〜〜〜〜〜〜
「……?カナミ?」
シンジが目を覚ますと……既に、カナミはいなかった。
「……そうか、もう朝飯の準備に……ん?」
体が、動かない。なにか……拘束具のようなもので、彼の四肢は固定されていた。
「>P?$!!!かかかかかかか、カナミ!!!!!!!」
「おっはよ〜〜おにいちゃん!!!」
「おおお、おい!いったいコレは、なにを……」
「えへへへ〜〜〜じゃ〜〜〜ん!これ!おにいちゃん!」
カナミが取り出したのは……アナルビーズにアナル専用バイブ、それに浣腸と、
アナルマニアのシンジにとってはおなじみのグッズの数々だった。
「????」
「昨日おにいちゃん言ってたでしょ、私とセックスするのは一回だけだって」
「あ、ああ……」
「でね、私考えたの。私がおにいちゃんを犯すってのはノーカンだよね?」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ぞくり、とシンジの背筋が凍った。
「うふふ〜〜〜最初はこの極細バイブとアナルビーズでおにいちゃんのお尻を開発して、
そして、ホラ!最終的には……」
カナミがスカートをめくると……極太のペニスバンドを装着した。
「これで思いっきり貫いてあげるからね?昨日私も体験して分ったけど、
結構クセになるよ。じゃあまず手始めに……」
「や!やめ、止めろ、カナミ!お願いだ、あッ!ああああああああああああッ!」

その日、シンジは新しい快楽の世界の扉を開いたという…………

END
238郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/22(木) 23:52:29 ID:NutEEGcb
以上。
タイトル:「攻守交代」でお願いします>>古田氏

お気づきかもしれませんが冒頭のすっぽんを捌くシーンは、
椎名誠氏のエッセイ「すっぽんの首」から影響を受けて書きました。
すっぽんを食したことはありますが、さすがに捌くのを見たことはありませんので
100%想像です(苦笑)

クリスマス前後は家族サービスがあるんでちょい投下は厳しいんですが……
実は嫁との共作の第二作目が序盤だけ書き上がってます。
エロ無しでなんだかものすごくコメディタッチになりそうなんで、機会を見て投下するつもりです。
そのときはご意見・ご批判よろしくです。では股。
239名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 00:16:43 ID:O8e2PJla
「今日ポイントが2倍で・・・やっぱり多いかな?」
「すごく・・・・多いです・・・・」

↑ やらないかのネタじゃんww
240名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 01:57:46 ID:WgF9+V8V
みんな乙乙GJGJ
さあ週末に向けて盛り上がってきましたよ
241郭×伊東 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 12:44:09 ID:zdo2qAI6
嫁との共作、序盤書き上がりました。
一応クリスマスネタで落とすつもり。完結は年明けあたりをメドに。
あと共作のみ、「郭×伊東」で行こうと思いますので以後よろしく。
保管庫的には私のとこでお願いします>>古田氏
では、投下。
242郭×伊東 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 12:44:42 ID:zdo2qAI6
「う………あぐ……痛タタタタタ……」
ぼんやりと霞みがかかって……でも、頭ん中でちっちゃいセミが暴れてるみたいな……
間違いない。―――間違いなく、二日酔いだった。久しぶりだけど、ちっとも懐かしくない感覚。
(昨日は……15年ぶりの同窓会があって……それで……二次会か三次会で、
岩隈君と金田君と有銘君と福盛君に告白されて……全員その場でフって、
それで盛り上がって、戸田さんや女同士でワイワイ言いながらしこたま赤ワイン飲んで……)
旧型の、起動の遅いパソコンがやっとスタンバイするみたいに、徐々に徐々に記憶が蘇ってきた。
そうやって、のろのろと思い出している間………頬に、瞼に、額に、手のひらをのせてチェック。
うん、大丈夫。覚えてないけど、クレンジングはしてたみたい。そう思いながら、苦笑した。
……まったく、記憶を無くしてこんだけ酷い二日酔いだってのに。
一番最初にすることが化粧を落としたかどうかの確認なんだから、女ってなんだか罪深い。
(……それから的山さんがお姉様と濱中先生を呼び出して、ミサキちゃんとも四次会で合流して…)
ずきん、と胸が痛んだ。無理矢理、自分が忘れようとしていたことを――そのとき思い出していた。
(小久保……君……)
頭を左右に振った。まだ、ズキズキと痛むけど、そんなものなんでもなかった。
忘れたはずだった。もう笑い話にできるはずだった。なにしろ15年も前のことだ。
今さら、初恋の人に会ったって―――その人が親友と結婚して、幸せそうな顔をしていたって―――
全部、平気なはずだった。ふたりの結婚式に出られなかったのは……未練なんかじゃなく、
本当に……本当に、大口の契約があってカナダに出張中だったからだし、
それに私だってあれからはモテまくったし、恋の五つや六つや七つくらい……
「ああ、コンチクショー!!!!!」
情けない。ドツボにはまりそうになった私は、声を張り上げた。
「あ!痛ッ!たたたた!」
でもそれは、二日酔いの頭ん中でドラがぐわんぐわんと響いて頭痛を酷くするだけだった。
(馬鹿だ……わたし、馬鹿だ……)
忘れるはずがなかった。忘れられるはずが……なかった。
だって……あんなに、小久保君が、想像以上に……イイ男になっているなんて。
……違う。想像できてたんだ。昔っから、小久保君は……顔が良いだけじゃなくて……
性格も優しくて……絶対、この人は……イイ男になるって、誰もが思ってた。
それなのに……想像、できてたのに……会って、あんなに心が乱れるなんて、私は、私は……。
(………バカだ………)
もう一回、呟いた。そうだ。私は、バカだ。
「くぅぅぅぅ……しかし……それより……」
むくり、とからだを起こし、部屋の様子をうかがった。
……散らかっている。いや、人が住む部屋と思えないくらいの惨状、と形容した方が良いだろう。
なにせ年末の殺人的なスケジュールをこなしながら同窓会に間に合わせるべく、
限界まで仕事を詰め込んでいたのだ。部屋は見るも無惨な荒れ放題になっていた。
学生時代はこれでもキレイ好きで通っていたのだから泣きたくなってくる。
「………水……」
カラッカラに喉が渇いていたことに、今さら気付いた。のろのろと、ベッドの中から立ち上がると―――
「……………へ?」
全裸だった。慌てて周りを見渡すと……ああ、情けない。同窓会に行くっていうのでちょっとだけ……
ええ、認めますとも。"ちょっとだけ"気合いを入れて身につけた、
ワインレッドのおそろいのショーツとブラが枕の向こうに散乱していた。
………とにかく、それらの物体は見ないことにして……記憶から消して………
痛む頭を抱えて、全裸のままリビングの方へ……一歩を………
「ん?」
……おかしい。久しぶりのこの感覚……下腹部が、ちょっと熱い。
生理のときの熱さにちょっと似てるけど、それと違うのは……あそこが、開いてる感じ……
「…………まさか………」
最悪の想像をして、吐き気がしてきた。30歳にもなって、純潔ぶるほどアホじゃない。
けど。だけど。基本的に私は、古くさいかもしれないが、
キチンとお付き合いした人としか今までにしたことがない。手順を踏まずにセックスするなんて論外だ。
見ず知らずの男と肌を重ねるなんて危険を冒すことは絶対イヤだし、できない。
でも……でも、この下腹部に残る熱さと、股間になにか挟まったみたいなこの感じ……
§
243郭×伊東 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 12:45:28 ID:zdo2qAI6
(まさか……まさか……同窓会のあの、躁病気味の浮かれた雰囲気に飲まれて……)
ぞっとするような想像が次から次へわいて出てくるのを慌てて振り払うと、
とにかく水を求めてリビングに向かった。足が、鉛のように重い。
いや、足だけじゃない。腰も、胸も、肩も、頭も……鎖で鉄球をつけられたみたいに、重かった。
「水……」
砂漠で水を求めて彷徨う亡者のように……のろのろと、リビングに向かった。
毛布やら段ボールやら書類やらが散乱していたけど、今さら気にならなかった。
"こくッ……こくっ"
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、一息に飲み干す。
………美味しい。こういう時に飲む水って、なんでこんなに美味しいんだろう。
やっと一息ついて、ふぅ、と小さくため息をついた、―――――そのとき。

「ん……んんぅ」

物陰から……低い、男のものらしい呻き声が聞こえてきて飛び跳ねた。
(え?え?まさか……昨日、ヤっちゃった相手?誰……誰よ?)
動転して、思わず隠れようとした………んだけど。
「いい………いて………痛てて!うわ、最悪……頭いてえッ!!!」
「こくぼ……くん?」
立ち上がって姿を見せたのは――全裸の、小久保君だった。
痩せているけど適度に筋肉のついた、白い……女の子みたいに滑らかな、産毛も見えないくらいの胸。
すらり、としているけど細くはない、長い腕。それに……あの頃より、ずっと広く、逞しくなった肩………。
声をかけることも忘れ、一瞬、小久保君の裸体に見惚れた。
「!!!!うわ!!若田部、お前はだか!裸!ハダカ!」
私の姿を見ると、慌てて目を背けて叫ぶ小久保君。………正直、ちょっと傷ついた。
私のハダカって、その程度の………って、え?
「きゃ、キャアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
二日酔いで痛む頭のことも、隣近所への迷惑も全部どこかにすっとばしてヴォリューム全開で叫んだ。
まあどうせこのマンション、完全防音が売りで高かったんだから……ってそういう問題じゃないか。
そうして全裸の小久保君と全裸の私は、とりあえずお互いの姿を見ないように―――
キッチンとリビングにそれぞれ身を潜めるようにして会話を続けた。
ふたりとも酷い二日酔いで記憶もところどころ飛んでいたけど、
ジグソーパズルのピースを合わせていくみたいに昨日の記憶が蘇ってきた。
四次会で小久保夫妻と合流した頃には、もうみんなヘベレケで……
結局そこのお店から一番近かったお姉様のお家(まあつまりは、豊田夫妻の新居)
に全員集まって、そこから帰っていったらしい。
もうグロッキーだったミサキちゃん、濱中先生、的山さんはとりあえず豊田邸に泊まって、
「どうしても帰る、明日の午後から仕事がある」って言い張った私を、
一番大丈夫そうだった小久保君が送っていってくれたっていうのがコトの顛末らしい。
「う……そこまではイイわ……でも、なんで私と小久保君が、ふたりとも………は、ハダカなのよッ!!」
「……だから、俺に聞くなって……あテテテテ、俺も全部は覚えてないんだけど……」
「………けど?」
「……部屋まで送って、帰ろうかと思ったんだけど、お前が……その………」
「…………私が、どうしたって言うのよ」
「…………いや、送ってくれた礼にコーヒーを飲んでけ、って。俺は、いいって言ったんだけど……」
「……けど?そればっか、さっきからしつこいよ……男らしく、はっきり言いなさいよ!」
「…………なあ、マジで覚えてないの、若田部?」
「…………覚えてないから聞いてんの。いいから言いなさいよ」
『飲んでいけ!飲まないと、私を送りオオカミしたあげく、生で中出ししたってミサキちゃんに言うぞ!』
「※='$%Rはああああああ?????????」
「………だから、覚えてないのか?お前、俺がいくら止めても玄関で絶叫するもんだから、
ご近所さんのこともあって慌ててお前んちに………」
―――最悪だ。これ以上最悪な再会があったら、教えてもらいたい。思わず、髪を掻きむしった。
小久保君がこんな嘘をわざわざつくタイプだとは到底思えない。
間違いなく、私の言ったことなのだろう。なぜか喉の奥がひりひりと痛くなってきた。
§
244郭×伊東 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 12:48:54 ID:zdo2qAI6
「で、でも……それとハダカになんの関係が……」
「俺が覚えてるのは、お前がなぜかコーヒーじゃなくてウィスキーやらワインを持ってきて、
『飲め!飲まないと、言うぞ!』って一緒になってガンガン飲みまくったとこまでだけど……」
………訂正。さらに最悪な再会があった。今ここに。
「なあ……若田部?なんでもいいけどさ、時間大丈夫なのか?
確か昨日は今日の午後から仕事があるから帰るって……」
……仕事?ああ、そうだった。午後からインボイス貿易と確か輸入木材の件で打合せが……
時計を見ると既に10時半を回ろうとしていた。ウチはフレックスだし、
会社に行こうと思えばまだ間に合う。身支度を整えて打合せの準備を少しする余裕もあるくらいだ。
ただ、とてもじゃないけどその気力が無い。…………決めた。今日は、休む。
どうせ有休は腐るほど……いや、本当に毎年余ってほとんど切捨ててるんだから。
今日の打合せくらい、課長と後輩にやってもらおう。それくらいの権利、私にあるはずだ。
あっさり勤労意欲をポイ捨てした後、所在なさげにしている小久保君に声をかけた。
「小久保君……悪いんだけど、多分携帯向こうの部屋なのよ。服も着たいし、
こっち見ないように壁の方を向いててくれる?その間にベッドルームに行くから」
「あ、ああ……ゴメン……」
素直に私の言葉に従って、べったりと壁に体を貼り付けるようにする小久保君。
………悔しいけど、やっぱり可愛い。それに……久しぶりに見る、男の広い、背中。
――――おお、いけない。またもトリップしそうになっていた。
慌ててベッドルームに向かうと、とりあえず下着とバスローブを着込んだ。
………一応、それなにり気合いの入ったやつだ。……もしものコトがあったらとかじゃなく、
あんまりその……これ以上、初恋の人に情けない姿を見せるのは……
(ん?ちょい待ち……さっき私……)
思い出した。さっき小久保君が見たのは、完全ノーメイクで全裸の私だった!!!!!
へなへな、とその場にへたりこむ。残酷だ。神様はこれ以上ないくらい、残酷だ。
今でも忙しい合間をぬって週一でジムに通ってるし、スキンケアにも気を付けてるつもりだけど、
さすがにシャワーの水も弾く、十代の肌ってわけにはいかない。
おっぱいだって最近、ちょっと重力に負けつつ………って、ああ!なんてことだッ!!!
完全に逆ギレ状態になった私は、枕元にあった携帯の短縮を回して会社に繋いだ。
「……はい、フルキャスト商事、商務部の一場ですが……」
「あ、ちょうど良かった。一場君?私。若田部だけど……ゴメン、今日体調最悪でさ。
悪いんだけど、午後のインボイスさんとの打合せに行けそうにないんだ。
君と野村課長でお願いできない?資料は私の机の右のキャビネに全部揃ってるし……」
「え?こ、困りますよ先輩!だって俺課長と組んだことないし、なに話していいのかわかんないし……」
「………いいから。こういう時くらい、上司を頼んなさい。使いなさい。
何のために普段あの人のうんざりするくらいしつこい、小言やボヤキを聞いてると思ってんの?」
「……で、でも……」
「あ〜〜〜もういいから!今日若田部は頭痛と生理痛と腰痛と虫歯と吐き気と胃痛で休むって!
そう言っておきなさい!わかった?いいわね!」
いつまで学生気分なんだか、男のくせに情けない声を出す後輩を一喝した後、
有無を言わさずに携帯を切った。罪悪感はあったけど………ちょっと、スッキリした。
「さすがだな、若田部……」
感心したように、向こうの部屋で小久保君が呟いている。……!聞かれてたのか……
「なによ………どうせ色気がないとか、おっかない女だとか思ってんでしょ?」
「ん?いや、そんなことないさ。人の上に立つっつーか……人を使うっつーか……
そのうえで上司や相手と上手くやりながら仕事をこなすのって、大変じゃん?お前は良くやってるよな」
つん、と鼻の奥で音がした。……ああ、あの頃と……この人は、全然変わらない。
優しすぎるくらいに優しくて……私が一番欲しい言葉を……下心無しで、かけてくれる。
「小久保君も……やっぱり職場では部下とかいるんだよね?」
「ん?ああ、そうだね。難しいよな……ミスしたときにフォローしたり、叱ったり、諭したり……」
確か、小久保君は大学を卒業した後、地元の県庁で働いているはずだ。
彼らしいといえば彼らしい、華やかじゃないけど確実な生き方。昨日の同窓会でも、
最近発覚した公務員の汚職のニュースにかこつけて、からかわれていたりしたけど……
ただ苦笑するだけで醜い弁解もしない、その態度は本当に小久保君らしかった。
§
245郭×伊東 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 12:50:02 ID:zdo2qAI6
「はぁ………これでもさ、結構大変なのよ。有能ではあるんだけど、
ゲーム感覚でしか仕事をしない新卒のコを褒めたり叱ったりしながら使うのも、
他人の批判と愚痴しか口から出てこない、嫌味な上司を相手にするのも」
「………確かに大変なんだな……ま、大丈夫だよ、若田部ならさ」
「………根拠も無く、そんな簡単に慰めないでよ……」
「ん?ああ、わりい……でもさ、昔っからなんとなく、若田部は大丈夫な人だって感じがするんだよな。
別に美人で頭が良くて強いってだけじゃなくて、人間的に大丈夫っつーかさ」
「……私だって………」
そんな強い人間じゃない、と言おうとして飲み込んだ。
多分……小久保君は、わかってる。私が今、結構弱ってることを。
そして私がさっきみたいにカッコ悪く逆ギレしていても、それを受け入れてくれている。
「………ところで小久保君?そう言えばミサキちゃんに連絡……」
「ああ、そうだね……って俺の携帯……」
ガサゴソと、小久保君が探す音がした。………彼が来るんだったら、もう少し片づけておけば……
そう後悔しても、もう遅い。目の前に広がる荒野を見ながら、溜息しか出なかった。
「ああ……ゴメン、ミサキ。うん、今若田部んち。昨日俺も気持ち悪くなって泊めてもらって……」
!!!なんてことだ。隠すこともなく、小久保君は馬鹿正直にミサキちゃんに話してしまっていた。
「ちちっち、ちょっと、小久保君!」
慌ててリビングに突撃して、彼の手から携帯をひったくる。
「!!イテ!いきなりなにすんだよ、若田部」
裸のまま情けない表情をする小久保君を無視して、受話器の向こうの親友にまくし立てた。
「ゴメン、ミサキちゃん!私が気持ち悪くなって吐きまくったのを、
小久保君が心配して泊まってくれたの!!ち、誓って変なことはないから!大丈夫だから!!
本当にゴメン!ねえ、聞いてる?」
「………あの、アヤナちゃん……私も二日酔いで気持ち悪くて……そんな大きな声だされると……」
「あ………そうだね、ゴメン……」
受話器の向こうから、普段のあの可愛い声を3オクターブほど下げた、
ミサキちゃんのかすれ声が聞こえた。私はただひたすら謝り続けていた。
「いいからいいから。それより……ねえ、昨日言ってたこと、本気なの?で、どうだった?」
「え?」
…………昨日、言ってたこと?えっと………仕事関係の愚痴、男関係の愚痴、それに………
「?ねえ、もしかして覚えてないの?」
「………ゴメン」
「別にいいよ。なんだか今日は謝ってばっかだね、アヤナちゃん……
ふふ、でもアレが本気なら……後で考えておくし、ウチの人にも言っておくから」
「???」
ダメだ、さっぱり思い出せない。にしても……ミサキちゃんにしては珍しく、
妙に悪戯っぽい言い方が気になる。それに小久保君にも言っておくって?
彼にも関係のあることなんだろうか?
「まあ、そのことは後々のお楽しみってことで。あのね、アヤナちゃん?
これから濱中先生と中村先生とね、横浜のリンちゃんちに遊びに行くことにしたんだ。
マサちゃん一日貸すから、せいぜいこき使ってあげてね?」
「は?ちちちち、ちょっと待ってよ、ならみんなで一緒に……」
「ダ〜〜〜メ。さっきマサちゃんに聞いたけど、アヤナちゃん今日お休みとったんでしょ?
お引っ越しの準備がなかなか進まないって言ってたじゃない。男手があると結構重宝するよ?」
「!そう言えばそんなことも……ででで、でも、なんで私と小久保君だけ……」
「うふふ……本当に覚えてないんだね、アヤナちゃん?ま、とにかくそう言うことで。
マサちゃんにも言っておいてね〜〜〜♪」
妙に楽しげにそう言うと……ミサキちゃんは、電話を切ってしまった。
呆然としている私の横で、小久保君が怪訝そうな顔をしている。
「?どうしたんだ、若田部?」
………結婚したミサキちゃんの余裕って奴か?私の家に昨晩泊まったっていうのに、
本当に……これっぽっちも心配していなかった。それに色々と秘密にされたうえ、
私だけのけ者にされたみたいで、正直ちょっと腹が立ち始めていた。
……決めた。奥さんの許可が出たんだ、そのとおりにしてやろうじゃない。
§
246郭泰源 ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 12:50:45 ID:zdo2qAI6
今回は以上。では皆様、良い年末&良いお年を………
247名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 13:10:55 ID:aiXAl9Rg
一年お疲れ様です
いや〜お世話になりましたw
また来年もお願いします
248ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 14:15:06 ID:zXeN5W4/
白帯侍氏、郭泰源氏と奥様
続きを楽しみにしています。

さて、昨日の予告通り投下します。
タイトルは「夢の贈り物」で。
249ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 14:16:28 ID:zXeN5W4/
金城カオル16歳−
カナミ、アキ、マナカ、ショーコといった友人たちとファーストフード店で集まって
おしゃべりに花を咲かせる。期末試験も終わり、今年もそろそろクリスマスの季節である。
「これで安心してクリスマスを迎えられますね」
とマナカの言葉に、
「ホント、サンタさん…今年は何をプレゼントしてくれるのかなぁ」
とカオルはすっかり自分の世界に入ってしまった。
「おい、誰か言ってやれよ」
「私たちに彼女の夢を壊す権利ありませんよ」
という友人達の会話もそっちのけである。
サンタに手紙を書いたり、プレゼントを入れるための大きな靴下を作るために編み物を覚えたり、
未だに夢見る少女のままである。


クリスマスイブ金城家−
カオルの両親が何やら話し合っている。
「ねえ、母さん、カオルのプレゼントだけど…」
「あら、お父さん、まだ買ってないのですか?」
「いや、あの子も16歳だし、そろそろサンタクロースから卒業させてもいいかなと思って…」
「じゃあ、プレゼントは今年はなしですか。それはちょっとあの子がかわいそうじゃありません?」
「でも、カオルも高校生なんだし、そろそろ現実の世界を教えてあげないと」
「そうですね、そうしますか、あの子にはちょっとかわいそうだけど…」
この年、カオルの元にプレゼントが届くことは無かった。そして、友人たちから本当の事を知ることになった。
自分の幼い頃からの夢が音を立てて壊れて行くのを感じた。
250ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 14:18:18 ID:zXeN5W4/
それから十数年後のクリスマスイブ−
「…というお話でした。」
カオルは布団に入っている子供の横で絵本を読んでいる。結婚して現在は一児の母親である。
「ねえ、おかあさん、サンタさんきょうきてくれるかなあ?」
子供が母親であるカオルに問いかける。
「うん、サンタさんはお利口さんにしている子の元にちゃんとプレゼントを届けてくれるんだよ」
「うわぁー、サンタさんきてくれるといいなあ」
「うん、だから今夜はグッスリ眠るのよ」
カオルは子供と話しながら、16歳の時のクリスマスをふと思い出した。
(あの時に、サンタクロースは本当はいないって知ったんだよね。それまでの夢が壊れていくようで
なんだか悲しかったなあ。でも、サンタクロースはやっぱりいるのよ。本当のプレゼントは子供の夢なのよ。
この楽しくて、待ち遠しい時間は子供の時にだけ味わえる貴重な時間なの。本当の事を知るのはずっと後でいいわ)
そう思いながらカオルは優しい眼差しを子供に向けるのであった。

「おかあさんおやすみー」
「はい、おやすみなさい」
(さて、プレゼントを用意しますか)
心の中で思いながら部屋を後にした。部屋にはカオルが16歳の時に覚え、今は子供のためにと編んだ
毛糸の大きな靴下が掛けてある。カオルのピュアなところは十数年経っても変わることは無く、
幼かった頃の夢を自分の子供に託しているかのようだった。
251ペピトーン ◆jG/Re6aTC. :2005/12/23(金) 14:22:21 ID:zXeN5W4/
以上です。クリスマスにまつわる話を書いてみました。
昨日の「リサイクル」よりはマトモだと思います。
次は来週もう一作投下の予定です。では、これにて失礼いたします。
252名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 14:42:18 ID:5DYl0wF+
白帯侍氏
郭泰源氏
GJ!
253名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 14:54:35 ID:5DYl0wF+
郭氏の奥さん
べビトーン氏
GJ
254名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 14:57:55 ID:Fc0pWVRT
郭とペピトーン、おなじトリップだな
255名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 15:26:37 ID:O8e2PJla
>>254
マジだ・・・もしかしてペピトーン氏は嫁さんのほうかな?
同じトリップはほぼありえないことだし
256名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 15:33:17 ID:MG82Ebor
あらほんと
257名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 15:33:32 ID:Ob8TLW1z
2人とも卑猥な言葉を選んだんだよ
258名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 16:51:17 ID:z7+7QM6+
郭氏、激GJです!!
シンジ×カナミ、バンザイでした。
ヌッチャ萌えました!!!!
259名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 17:26:10 ID:z7+7QM6+
>>255
考えられるとしたらやっぱそうだよな・・・
260名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 17:26:51 ID:aiXAl9Rg
驚愕の事実ですな
261名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 18:57:23 ID:8aDWs8t2
俺も驚いたがまあいいさ
二人の作品の素晴らしさに変わりはないからな
これからもがんがって下さい
262名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 19:04:28 ID:WgF9+V8V
前スレで郭氏に酉の付け方教えた人が例で#hagehageだか#hogehogeだか書いてたけど
郭氏もペピトーン氏もそれでそのまま酉つけたんじゃないの?
263名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 19:27:12 ID:aiXAl9Rg
成る程そういう可能性もあるんや
264弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 19:37:03 ID:81qQbfuf
皆さんこんばんは。弱味☆という俺です。
きょうはまず皆さんにお詫びをしなければなりません。
一つは、遅くなってしまったこと。
もう一つは、マサVSアヤナVSミサキと公言したカップリングですが……

すいません!無理でした!調子に乗ってました!


実はいざ書き出したら、ストーリーにあまりありがたくない深みが出てしまい、
まんまとそれに時間をとられ、気がついたら見るに堪えないものに……。
このままでは今月中に間に合わないということで、あわてて新しく書き直し、
リクエストお約束のマサヒコVSアヤナを、なんとか死守したという次第です。
誠に申し訳ございません。



そして、遅くなりましたが、先日引退を表明されたアカボシ氏、お疲れ様でした。
作品に漂うユーモアとペーソス、時に奔放、時に洒脱、俺はこのスレでは氏の作風に
かなり影響を受けていると思います(4コマ魔改造、大好きです)。
アカボシ氏は文字通りこのスレに燦然と輝く赤い星でした。
新天地でも、今以上に輝き続けてくれると信じています。

だらだらと長くなってしまい申し訳有りません。投下します。
エロあり、というかエロ以外ないです。それしか能がないもんで。
そりでぱ、氏家ト全作:『女子大生家庭教師濱中アイ』より、タイトルは「こんな私に誰がした」
265弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 19:40:10 ID:81qQbfuf
「ちょっと、小久保君!廊下は走らないでって言ってるでしょ!」
 師走の寒々しい廊下に、若田部アヤナの声が飛ぶ。中学生最後の年も押し迫り、
何となくみんながそわそわしていても、実質上のクラス委員の態度は変わらない。
寒いから教室移動など早く済ませようと考える中学生男子が、
ついその足を速めてしまうというのもよくある話、無理からぬことではあったが、
この場合、正義はマサヒコに味方しなかった。
「あ、その……ゴメン」
 素直に頭をさげるマサヒコ。しかし、正義はまたもマサヒコを突き放した。
「廊下を走ったらぶつかった時危ないでしょ?小久保君の運動神経がいくら良くても、
不慮の事態が起こらないとはいえないの。第一音がうるさいし―――
大体アナタ最近たるみ過ぎ!この間の数学の宿題も天野さんに見せてもらってたじゃない!
ちゃんと知ってるんだから―――いくら英稜A判定だからって、そんなことじゃ落ちるわよ?
そうならないように、ふだんから生活態度を―――」
 そこまで言いかけて、自分の声のほうがうるさいことに気づいたのか、
コホム、と誰かに似たような咳払いをして、
「と、とにかく、廊下は走らないでよね。わかったわねっ!」
 マサヒコをひとにらみすると、くるりと背を向けて、足早に教室の方へ向かっていってしまった。
266弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 19:42:34 ID:81qQbfuf
「お前も災難だなあ」
 マサヒコは最近、同じクラスの友人に同情される。
「何が?」
「若田部さんのことだよ。お前にはやけにつらく当たるだろ。よっぽど嫌われてんのな」
 そう言った友人の顔には、『小久保が若田部さんに好かれてなくて、本当によかったなあ』
という描き文字が浮かんでいたが、マサヒコは気づかない振りをして、
「ああ……」
 とあいまいに返事をした。
「若田部さんもな、あれでもう少し性格が女の子っぽけりゃなあ。
アレじゃ将来、異性関係は苦労するんじゃないのか」
 友人の顔の描き文字に、『もしそうなったら、俺が若田部さんの全てを受け止める!』
というのが増えていた。
(そうか、あいつ、案外モテるんだな……)
 今頃になって気づいているマサヒコ。相変わらずそういうことには鈍い。
「しょうがないだろ、あいつもあいつで大変なんじゃないのか。……色々と」
「お、度量の大きいとこ見せるなあ。まさか本当は狙ってるんじゃないだろうな?」
「バーカ、そんな訳ないだろ。これ以上ごちゃごちゃ言われたくないだけだよ」
『もう、若田部のことなんかどうでもいいよ』
という描き文字が顔に浮かんでいるはずだと確信して、
この話はこれで終わり、と言わんばかりに、マサヒコは携帯を取り出した。
267弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 19:48:11 ID:81qQbfuf
校庭の脇にある、市でいちばんの面積を誇る東が丘中学校のプール、その女子更衣室。真冬の放課後の今、利用するどころか近寄る者さえいない、
鉄筋コンクリート製の無機質な部屋で、若田部アヤナは白い肌を一層白くさせ、寒さに身を震わせていた。
 それもそのはず、アヤナが今身に着けているものといえば、学校指定の女子用スクール水着一枚だけである。
二十歳といっても通用するほどに女性として成熟した肉体は、もはや中学生用の水着などにはおさまらず、
男の目を惑わすには十分すぎるほどのバストとヒップのラインを、今そのしっとりした紺色のナイロン地にくっきりと浮かび上がらせていた。
寒さに耐えようと、目をぎゅっと閉じて、自身の乳房を両手でかき抱き、腰をくいっと後ろに突き出すようなポーズを取ることで、よりその豊かさが強調されている。
 やがてドアの向こうに聞こえる乾いた足音。感電したかのように身をすくめ、期待と不安の入り混じった表情で
ドアノブについているサムターンの回転を見つめるその瞳に、顔の下半分をマフラーの中にうずめた小久保マサヒコの顔が映った。
 「小久保君……」
アヤナの表情のゲージが、一気に期待の方に振り切れた。他の誰にも見せない満面の笑顔が、マサヒコに向けられる。
「ちゃんと言いつけを守ったじゃないか。いい娘だ」
 この寒空の下、アヤナが水着一枚で、ここにいたのはマサヒコの命令なのである。廊下の一件の後、
アヤナの携帯に入ったメールがそれであった。
 『放課後、プールの女子更衣室。水着で待っていること』
 それを見たアヤナは、その内容に激しく赤面しつつも、なぜか軽い足取りで自宅に取って返し、
水着を持参して、今こうしてマサヒコの来るのを待っていた、というわけである。
 この真冬にプールの施設に近づこうなどと考える者は何かの罰ゲームでもない限りあるはずも無く、
ここにふたりだけの密室が作られた。
「よかった、小久保君が来てくれて。もし来てくれなかったらどうしようかと思ったの」
 うれしそうに、マサヒコの胸にすりすりと頭を押し付けてくるアヤナ。むにっとした柔らかい胸の感触が、厚着を通しても伝わってくる。
「バカだな、アヤナのことを忘れるわけないじゃないか」
 形よくとがった小さい顎をくいっと持ち上げ、いきなり唇を奪う。アヤナにとって、地獄から天国へ打ち上げられた瞬間だった。
 一瞬だけ見開かれた眼は、徐々に力を失い、陶酔の世界へと誘われる。お互いの唇を唾液でべとべとにし、熱い舌をねぶりつくす。
全身全霊で唇をぶつけてくる美少女を、マサヒコは少しもたじろぐことなく受け止めた。
 少し息苦しくなって、唇をそっと離す。唾液で濡れたマサヒコの唇を、アヤナが舌で丁寧に舐め取った。
268弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 19:51:05 ID:81qQbfuf
「さっきはずいぶんきついことを言ってくれたじゃないか。本当に嫌われちゃったかと思ったよ」
「だって……だって、小久保君がみんなの前では俺を嫌ってるように見せて、馴れ馴れしくするなって言うから……
本当は私だって、小久保君とずっと一緒にいたいのに」
 濡れたままの唇を突き出し、今にも泣き出しそうな表情で、上目遣いに見つめてくるアヤナ。
しかしマサヒコは、こんな時決して優しい態度など見せない。
「イヤなら、もうやめるか?そんなに無理強いするのも可哀相だし」
「ひどい……私が小久保君に逆らえないの、知ってるくせに」
 今度は本当に、アヤナの眼から大粒の涙があふれ出した。それをぬぐおうともしないまま、
濡れた視線をマサヒコに向けてくる。実質上のクラス委員は、マサヒコに心の底まで捧げきっていた。
 マサヒコはその反応に満足げな笑みを漏らすと、冷たい指で、頬をつたう涙をぬぐってやる。
「ごめんごめん、アヤナがあんまり可愛いから、つい意地悪を言ってみたくなるんだよ」
 自分で言っても歯が浮くような台詞だが、その言葉でアヤナの美貌は歓喜に満たされる。
世界中でその感想を抱く者がマサヒコただ一人であったとしても、アヤナの笑顔は変わらないだろう。
「小久保君……好き」
 静かに瞳を閉じ、マサヒコを待つアヤナに、マサヒコはもう一度、唇のご褒美を与えてやる。
いじめた直後に優しくするという、どこかのヒモが使っていそうな手口ではあるが、アヤナの心にはそれが福音のように響いている。
 ちゅば。ぴちゅ。ぷちゃ。
お互いの唾液を、二つの舌で攪拌する音だけが響き、何かを捜し求めるように、アヤナの背中とマサヒコの腰に回された手が這い回る。
制服姿のマサヒコと違い、水着一枚のアヤナは、ほとんど直に素肌を愛撫されているに等しい。マサヒコの舌をねぶるストロークが大きくなり、
荒くなる呼吸が、美少女の肉体の変化を如実に物語っていた。
 やがてマサヒコの左手は、背中から背骨をゆっくりと撫で下げ、ヒップの方へと進んでくる。
同時進行の右手は、肋骨に沿って、腋に軽く触れたかと思うと、次の瞬間には綺麗な釣り鐘型の乳房をわしづかみにしていた。
親指を押し上げるように、ゆっくりとした回転で、たわわなふくらみを蹂躙し始めた。
 左手は存分にヒップを堪能した後、ついにマサヒコにだけ独占を許した部分へと移動して行く。
 いつものブラやパンティではなく、スクール水着のごわごわとした生地の脇から進入してくるマサヒコの手指は、
その裸身にいつもと違う電流を流すのだった。
 もはや今のアヤナに出来るのは、マサヒコの肩にもたれかかり、その両手のなすがままに、敏感な反応と嬌声で、
マサヒコの諧謔心をあおりたてることだけだった。
「やぁっ……!くぅん……」
 途切れ途切れの息遣いと、責めを負う女体の甘え泣きが、無機質なコンクリートの塊にこだましていた。
269弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 19:54:22 ID:81qQbfuf
スクール水着というのは、本来見たり触ったりして愉しむ物ではないが、アヤナが身に着けた水着はマサヒコの眼と手を愉しませるためのものである。
 同様に、本来は外側にある水を、身体の中に浸入させないようにするためのものだが、アヤナが身に着けた水着は、アヤナの体液を外に逃がさないように
するためのものである。
すでに首筋の辺りまで流れ落ちているふたりの唾液、思春期女子の独特の匂いを放つ汗、そしてアヤナのバルトリン氏腺から分泌される粘液、
その全てが気密性の高いナイロン地に閉じ込められ、高濃度のフェロモンとなってマサヒコを刺激する。 
 しかし、15歳の仙人ことマサヒコは、アヤナが与えられた快感の海を溺れ続けた果てに、物欲しげな瞳でマサヒコの貌と下半身を往復させるまで、
ただそ知らぬふりを続けるだけだった。
「こ、こ、小久保君のおちんちん……な、舐めさせてください」
 確かに目覚め始めた女としての欲望を抑えきれず、真っ赤に染まった美貌の、ぬらぬらと光るなまめかしい唇からその台詞が出ても、
マサヒコは自分からズボンを脱ぐような真似はしてくれない。羞恥と期待に震える手でベルトをはずし、ファスナーを下げ、
明らかに飛び出しそうな部分を持っているトランクスにうつろな眼差しを向けて、丁寧に脱がさなければならないのだ。
 やがて、その布の奥から、濃い紅色をした、棍棒のようなペニスが姿を現す。初めのうちは怖いだけだったこの勃起も、
自分とマサヒコをつないでくれる器官だと知った今は、むしろいとおしささえ感じるようになっていた。
グロテスクにも大きくエラを張ったペニスは、アヤナの顔の先数センチで、まるで独立した生命体のように脈打っている。
「小久保君の……すごく、元気………もう、こんなに……」
 愛情と欲情に潤んだ瞳をペニスに絡めながら、東が丘随一のクールビューティと称されるその美貌を、ゆっくりとマサヒコの股間に沈めていく。
 膨張した亀頭にそっと柔らかな美唇を重ね、そのままゆっくりと野太いペニスを呑みこんでいく。
生温かい口腔で包み込み、その下でエラの部分を刺激すると、マサヒコがうめき声を漏らした。
「うっ、アヤナ……上手いぞ」
 足元にひざまずくアヤナの頭を、マサヒコはよしよしと撫でてくれる。まるで犬でも誉めるようにされることが、
アヤナには何よりも嬉しかった。
「うんっ……あむ………好き」
 もっとマサヒコに悦んでもらいたくて、アヤナは執拗にペニスを舐め続けた。玉袋の後ろを爪の先でくすぐりながら、
裏筋に何度も舌を往復させ、そのまま亀頭をためらいなく咥えこむと、尿道口の中まで舌を差し入れる。
すでにマサヒコの股間はアヤナの唾液でべっとりと濡れ光っていた。
270弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 19:58:54 ID:Ospkj4cs
「ああっ……もう駄目、欲しい……」
 先に耐え切れなくなったのは、奉仕をしている方のアヤナだった。
ペニスを優しくしごく手は止めずに、いまだ涙の乾いていない瞳で上目遣いにマサヒコを見つめ、
紺色の水着の下の、桜色に上気した肢体を淫らにくねらせながら哀願する。
「お願い……小久保君の立派なおちんちんで、私の、アヤナの恥ずかしい所をたっぷりいじめて……欲しいの」
 ひざと手のひらを床につけ、ヒップをマサヒコの方へ突き出しながら、いやらしく振ってみせる。
マサヒコが四つん這いの女を後ろから犯すのを何より好むのを、アヤナはよく知っているのだ。
「よし、いい心がけだぞ、アヤナ」
 今度ばかりはアヤナを焦らさなかったのは、さしもの仙人も、可愛い同級生が全身から
あふれ出させているエロティックには抗し切れなかったということのようだ。
 アヤナのヒップに手を這わせ、生地の感触と、尻部のむっちりした感触の対比をしばらく愉しんだ後、
マサヒコがゆっくりと腰を前に突き出した。水着の股布をずらし、恥液でしとどに濡れた外陰唇を割って、ペニスが肉穴に突き立てられた。
「ああんっ……小久保君っ……」
 腰を震わせ、アヤナは歓喜の牝声をあげた。アヤナの奥深く突き刺さったペニスを、二枚のビラが招き入れるように吸い付いている。
「いいんっ……もっと……もっとください……」
好きな男のペニスを膣に入れられることがこんなにも気持ちいいなんて。マサヒコの熱い肉体をもっと感じたくて、ついいやらしく激しい突きをせがんでしまう。
「これか?これが好きなのか?」
 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅという粘着音とともに、アヤナの子宮めがけて激しい突きをくれながら、マサヒコがアヤナの耳もとで問いかけてくる。
「ああンっ、はああっ……好き…きもちいいから大好き……」
 小久保君のおちんちん、すごく大きい……私を使って射精しようとしてる……びゅる、びゅるってたくさん精子出そうとしてる……
 おちんちんいっぱい動かして、私のなかに元気な精子、たっぷり射精してね……
 背後からの激しい責め。動物と同じように、性器だけをくっつけて性交している。マサヒコも自分も、所詮はオスとメスなのだと思い知らされる。
 瞬間、マサヒコの指がアヤナの女腰をぐい、と引き寄せた。射精が近くなり、アヤナの膣に精液を注ぎ込もうとしているのだ。
それに応えるように、アヤナもヒップを突き出し、より濃い精子をおねだりする。
 ふたりの表情が、申し合わせたように切羽詰ったものになってゆく。
「あくんっ……いい……来ちゃう、来ちゃうっ!」
「おおっ、アヤ、ナ……っ」
 無意識の膣圧上昇に、マサヒコがたまらず声をあげた。アヤナの子宮の直前で、
ペニスが一段と膨張する。
「いいっ……いいですっ……小久保君っ、あんっ、膣内で……膣内でイッてっ」
 「イクよっ……アヤナ!」
  水着の生地が限界まで伸びた。若いペニスの先端から、濃い精液が勢いよく子宮の中へ注入されていく。
かっきり30秒かかった、何日かぶりのアヤナの中への膣内射精。愛するマサヒコの精子をたっぷり注ぎ込まれたアヤナの女性器は、
恥ずかしそうに、しかしちょっぴりうれしそうに、ひくひくと収縮を繰り返していた。
271弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 20:00:48 ID:Ospkj4cs
「もう、ぼーっとしちゃって。何考えてたの?」
 ふと我に返ると、アヤナが自分の乳首に舌を這わせていた。
アヤナの柔らかく温かい女体を、スクール水着のぞわぞわした生地で包むと、なんともいえない心地よさがある。
しばらく病みつきになりそうだ。
 でもまさか、アヤナと交わった後の短いまどろみの中で、昨晩のミサキとの濃厚な交わりを思い出していましたなどと本当のことは言えない。
恋愛経験が皆無なゆえか、魂ごとマサヒコに寄り添ってくるアヤナにそんなことがばれたらと思うと、背筋が寒くなる。
とりあえず笑ってごまかし、照れ隠しにアヤナの唇を奪う。アヤナは一瞬戸惑った貌をみせたものの、すぐに受け入れる。
「こういうときのキスって、嬉しい」
 マサヒコにだけ向けられる微笑み。息を抜くマサヒコの耳に、アヤナが囁く。
「でもね、今のキスは……」
 一瞬、間が空いた。
「淫猥!!」

(完)
272弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 20:04:47 ID:Ospkj4cs
以上です。ご感想、ご意見などお待ち申し上げております。
当初の計画では、ミサキとアヤナがマサの愛を巡ってバカバカしい小競り合いを繰り広げるという、
木10ドラマっぽい展開にしようということで脳内会議の一致をみたのですが、書いていくうちに、
純文学を本気で目指していた頃の俺が起き出して来て、ただの小競り合いが「愛することは」的なところまで突っ走ってしまい、
ボツにならざるを得なかったというオチです。チャンチャン。っておい!
 いやマジで、申し訳ないです。ええい。くそ。馬鹿が。この。

そして、我が職場の、変態的に忙しい年末商戦のため完成が非常に遅くなったことも、重ねてお詫び致します。
二度とこのようなことのないように………と約束したいのはやまやまなのですが、
俺はこのたびその変態的な職場の変態社員になることが決定いたしまして、おそらく月イチを維持するのがやっとであります。
すいません。生まれてきてすいません。今日まで生きててすいません。

というわけで(どういうわけだ)、前回の好評を受け、調子に乗って次なる作品もリク大会にしたいと思います。
しかし前回と同じ形式ではつまらナッシングなので、今回はアンケート形式にしてみました。
次の4つのカプールの中から、いちばん読んでみたいと思うものを選んでください。



@真・王道!本誌ではこのエンド、多分無いでしょう! マサヒコVSアイ
Aそういやこの娘も妹でした!時代はクーデレ!   シンジVSマナカ
B愛は作品を越える!ツッコミ同士のガチンコXXX!マサヒコVSアキ
C愛は作者をも越える!その包容力に憧れます!シンジVS南夏奈

投稿総数10で締め切らせていただきます。(アオリはノリで書いたんで、あんまりあてにしないで下さいねw)
今度はちゃんと、全てストーリーの骨格は出来ている状態にしてありますので、割と早くお眼にかけられる……はずですw
投票数があまりにも少ないようでしたら、この中から自分で選んで投下します。
しょうがない、お前にもう一度チャンスをやろう、という心の広い方、投票をお待ちしております。
この件に関して何か問題がありましたらお知らせください。 無理な安請け合いはせず、約束守りますんで、よろしくお願いします。


(たとえ選に漏れても、Cは個人的に作品として公開を実現させたいと思っております。みなみけでエロパロスレというのもちゃんとありますが、
過去にYMで『みなみけも妹も思春期』をやっていることでもありますので、その辺も含めて皆様のご意見を伺えればと思っております。
でもまあ、今回のアンケは次回の作品に関してだけお答えいただければ幸いです。)

以上です。そりでぱ。
273名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 20:10:24 ID:PUvtMiz6
GJです!!アンケートはAで。
274名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 20:10:54 ID:YbKqAxHX
弱味☆氏GJです!
エロアヤナは最高っす

リクエストはBのマサヒコ×アキお願いします
275弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/23(金) 20:11:26 ID:Ospkj4cs
>>203

リレーSSいいですねえ。もし住人と職人の皆様の合意が取れたら、
僭越ながら俺がMCやってもいいかなと思ったりしてます。
 ただリレーSSって、別スレでやった経験から言うと、
後のほうに行くにしたがって書くのがツラくなるんで、
話が進むに連れて参加者が減ってしまわないか、それが心配なんですよねえ……。
でも氏家作品なら何とかなるか、と思ってもみたり。
皆様いかがでしょう。
276名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 20:20:02 ID:iG4gLDqz
GJです!エロパロの真骨頂って感じですよホント!

アンケートはどれも迷うんですが意外と見ないAでお願いしたいです
277名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 20:32:23 ID:sSgm90/U
リレー正直面白くなさそうだし、投下しづらそう…
278名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 20:50:26 ID:IkQLeDQB
Bでお願いします
279名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 21:07:05 ID:EFfsWptS
結局>>262でFAか
280名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 21:14:23 ID:FuR+p8a5
>>272
>C
ちょっwwwwwおまっwwwwwwwwwwww
281名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 21:20:14 ID:QeJ9UR3A
弱味☆氏乙そしてGJ
S男とM女書かせたら氏は生き生きするなあ
リクエストはCで。
282名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 21:44:01 ID:4aTZSGFP
アイって今、何歳だっけ?
283名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 22:04:22 ID:aiXAl9Rg
2でお願いします
284名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 22:06:47 ID:lCMLi/EL
2で甘々希望です
285名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 22:27:40 ID:Cqg1YFop
自分のリクエスト言うだけじゃなくてもうちょっと何か書いてやろうぜ
職人さんたちも忙しい中書いてくれてるんだから
286郭泰源 ◆5pkah5lHr6 :2005/12/23(金) 22:44:51 ID:zdo2qAI6
ありゃ、もう今年は無いと思ってたら…>>279
ビンゴだと思います。なんで酉変えます。
嫁疑惑のかかったペピトーン氏には失礼を。ただ彼女はなぜか喜んでました???

「明日のケーキ作りのしたごしらえの合間に読んだら・・・面白〜〜い!」

だそうで。はあ???

>>弱味☆氏
良い感じですねえ、GJ!ですよ。氏のSSはちょっとメリー氏を思い出す、可愛いエロスがあって好きです。
しかしレギュラー陣では出番が多いとは言えないアヤナSSが最多なのは面白い現象かも。
個人的にずっとストップしてるみなみけSS(ネタは結構たまってるのに、最後まで書けない)を見たいんで、
Cを希望かな?
287名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 22:55:57 ID:adThen3S
ちょwwwwwwちょっとこないうちにのびまくりwwwwwwww読み切れないwwwwwwwww
というわけでゆっくり読ませていただきます
感想は後程

そして職人の方々、今年も多くの作品を投下していただき本当にありがとうございました
古田氏もこまめに保管していただき感謝しております
288名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:01:10 ID:9uQ84uaY
弱味☆氏 お久しぶりです GJ!です。
俺は、みなみけ読んでねーしわからんからCは無しでw
希望は王道の@でおねがするお(^ω^)
289名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:29:00 ID:LpqTr35c
凄い興味があるからCでwwwwwww
290名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:47:00 ID:S+lZqXZ4
1だな。
291名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 00:02:22 ID:/jeppjv/
リクエストになるとカキコの量が倍増するなあw
しかしマサミサアヤナ話は読んでみたかった。弱味氏の筆力からして、
ピンキリ氏の「アイのカタチ」に続く、それを上回る大作になったかも…またそれは気がかわったら書き上げて投下してくらっせえまし、待ちますよってに



ちうことでぜひ1をキボン
292518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:08:43 ID:lKAz4Opb
やってきちゃいましたクリスマス。
予定は真っ白です。
やることないんでふらりとここへ。
ちゅうわけで一作。
NGワードはありすぎて書ききれませんが、とりあえず「エロはなし」です。

規制かかったら途中で終わるかも。
危険だ。

293518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:09:47 ID:lKAz4Opb
「今年はクリスマスパーティーは行いません」
リョーコがそう宣言したのは小久保家で勉強している最中だった。
メンバーはいつもの家庭教師+教え子のダブルコンビにミサキとアヤナを加えた計6人。
「え〜!そんなぁ!」
リョーコの言葉にリンコが不満の声をあげる。
「みんなで一緒にパーティーしましょうよ〜」
「バカ言わない。あんたら受験生なのよ?そんな余裕あると思うの?」
「でも先輩、ちょっとぐらいなら」
「甘いわよアイ。もう受験まで時間もないんだから。
パーティーなんてしてる暇があるなら英単語の一つも覚えるべきよ!」
「う……」
ビシッと正論を言われてアイも返す言葉が無い。
「そーいう訳で、今年はパーティーは無しよ」
「そうですか……ちょっと残念です」
そう言ったのは昨年押しかけ同然で自宅をパーティー会場にされたアヤナだ。
「今年もすると思ってたからそれなりに準備もしてたんですけれど」
「それは……悪い事をしたわね」
「あ、いえ。おねえ様は私達の事を考えてくれているんですから。
謝ったりしないでください」
慌てた様子でパタパタと手を振る。
「そんなたいした準備じゃないんですから。ホントに気になさらないでください」
「そう?」
「シャンパンも栓を開けたわけじゃないですし」
「……シャンパン?」
きらりとリョーコの目が光る。
マサヒコはその目に何処かで見覚えがある気がしたが……思い出せない。
「ええ。父が用意してくれたんです。たしか……ドンなんとかってやつを」
「……パーティーしましょう!」
「は?」
「わざわざアヤナが準備してくれたんだもの。しないわけにはいかないじゃない」
「おねえ様……私のために」
いたく感激するアヤナ。
「でも先輩。さっきはそんな余裕無いって」
「ゆとりは大事よ。張り詰めた糸はちょっとのショックで切れちゃうし。
厳しいだけじゃだめ。たまには手綱を緩める事も大切なのよ」
「そ、そうですか?」
「だからパーティーよ。アヤナんちで今年もやるわよ!」
「わーい!パーティーパ−ティー!」
喜ぶリンコの横でミサキとマサヒコはひそひそと話す。
「ねえマサ君。中村先生シャンパンの名前聞いてから急に意見変えたけど」
「ああ」
マサヒコは頷く。
「酒の誘惑に負けたな」
おそらくアヤナが言いたかったのはドンペリニョン。
通称ドンペリ。
マサヒコでも知ってる高級シャンパンだ。
同時に。
マサヒコは思い出していた。
先ほどのリョーコの目。
アレは昨日テレビで見た目。
肉食獣が得物をロックオンした時の目と同じだった。
294名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 00:10:17 ID:AlzqsKia
Aでお願いします
295518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:11:54 ID:lKAz4Opb




そして迎えたクリスマス。
…………正確にはクリスマスイブ。
「「かんぱーい!」」
若田部家に集まった面々は飲み物の入ったグラスを打ち合わせる。
グラスの中身はリョーコが若田部父が用意したドンペリ。
それ意外の者はオレンジジュースだ。
「しかし、去年に比べて今年は豪華だな」
アイの持ってきた某ケンタッキーのパーティーバーレルが貧相に見えるほどの充実っぷり。
飲み物もジュースはオレンジ、アップルのみならずマスカットやミックスジュースも。
酒もドンペリだけでなく清酒、ワイン、ウォッカやウイスキーもある。
食べ物もどこの店のコース料理だって思わせる充実っぷり。
アイは至福の笑顔でターキー(七面鳥)を頬張ってるし、
中村はホクホク顔で滅多に飲めない高級酒を楽しんでいる。
それにしても本当に豪勢。
マサヒコは思う。
「ひょっとして若田部もパーティーが楽しみだったのか?」
「あら、御挨拶ね」
小さな声で言ったつもりなのに聞きとがめられてちょっとビックリ。
「まあ、楽しみじゃなかった…と言えばウソになるけれどね」
「そうか……まあその辺りはおあいこだな」
マサヒコだって楽しみじゃなかったと言えばウソになる。
こうやってみんなでわいわいやるのはそんなに嫌いじゃない。
「おらマサ!な〜にアヤナと二人で乳繰り合ってるのよ」
…………ちょっと疲れるけど。
「ほれマサ、あんたも飲みなさい」
「これ…お酒じゃあ」
「あんだ〜?あたしの出したモノが飲めないってのかぁ!?
それとも愛液か母乳がいいのかしらぁ?」
「いただきます」
訂正。
かなり疲れる。
マサヒコは差し出されたコップの中身を一気に流し込む。
「おっ!いい飲みっぷりねぇ」
「……にが」
「それがお酒ってもんよぉ。ほれ。もーいっぱい」
「はぁ…」
リョーコに勧められるまま杯を重ねるマサヒコ。
「あっ!ちょっと先輩!だめですよマサヒコ君に飲ませちゃ!」
「あ〜?」
咎められ、めんどくさそうにする。
「もう!しかもこれウォッカじゃないですか!大丈夫マサヒコ君!?」
アイは心配そうにマサヒコの顔を覗きこむが、彼はいたって平然としている。
「え?何がですか?」
「何がって…結構飲まされてたみたいだけど……大丈夫みたいだね」
顔色も赤くなっていないし、意識もはっきりしているようだ。
296518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:12:59 ID:lKAz4Opb
「マサヒコ君……お酒強かったんだね」
「はあ……そうなんですか?」
「これウォッカだよ。しかもストレート。かなり飲んでたよね」
「まあ…4、5杯は飲みましたね」
「私だったらとっくにバタンキューだよ」
驚きの眼差しでマサヒコをみる。
飲みなれた大人でもキツイ量だろうに。
「だからもう飲まない方がいいよ」
「そうですね。これ飲んだら終わりにしますよ」
コップには1/4ほど残っているが、まあ今までの量からすれば微々たる量。
特に問題ないだろう。
そう考えアイは食事に戻ろうとして。
「あ!先輩!だから飲ませちゃだめですって!リンちゃんだめよ飲んじゃ!」
再びリョーコを制止することになった。

話は変わるが。
以前リョーコは言った。
張り詰めた糸はちょっとのショックで切れる、と。
マサヒコはまさにそれだった。
意識の糸が切れる寸前だったのだ。
コップに残った液体を全部飲み干した所で、マサヒコの手からコップが落ちる。
毛足の長い絨毯のせいで音はそれほど響かなかったし、コップも割れなかった。
「もう。なにやってるの小久保君」
しかし、傍にいたアヤナにはその音は十分聞こえた。
「おねえ様に大分飲まされてたみたいだけど大丈夫?酔ったんじゃ――」
拾ったコップを渡そうとしてマサヒコと顔を合わせた瞬間、固まる。
マサヒコは笑顔だった。
それも今まで見た事のないような。
良い意味でも、悪い意味でも、だ。
「こ、こく…こくぼ、くん?」
「ん?どうかしたの?」
「マサ君?若田部さん?」
異変に気付いた他の面々の視線が集まる中。
笑みを浮かべたまま、マサヒコの手はアヤナの頬を挟む様に捉え、そして――
「!!!??」
おもむろに引き寄せて熱烈な口付けをお見舞いする。
当然の様にアヤナは抵抗する。
はじめは胸を叩いて押し返そうとする。
効果なし。
次いで肩に手をかけ引き剥がそうとする。
男女の力の差を痛感。
最終的にアヤナの手はマサヒコの背に回り………ぎゅっと抱きついた。
なにかを吹っ切ったらしい。
或いは赤い実がはじけたか。
しばらくそのままマサヒコとアヤナの濃厚なキスシーンは続き、唐突に終幕を迎える。
アヤナの手から力が抜け、だらりと垂れ下がる。
衝撃が臨界に達し脳がメルトダウンした模様。
それに気付いたマサヒコはアヤナを解放し、床に横たえる。
アヤナの顔はこれ以上になく真っ赤。
そんなアヤナの頬をマサヒコの手がそっと撫で、彼は立ち上がり。
観衆に向けてにこりと微笑んだ。
297518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:13:29 ID:lKAz4Opb
その笑顔に、一同はぞくりとした。
危険な笑みだと思った。
綺麗な薔薇にはトゲがあるというが、まさにそんな笑顔。
人の良さそうな笑顔の裏にはなにがある?
おそろしや。
あな、おそろしや。
そんな恐ろしさに無縁な人物が一人。
「アヤナちゃん大丈夫?」
無頓着に、無防備に。
アヤナの身を素直に心配したリンコがマサヒコの横を通り過ぎようとしたとき。
マサヒコの手が、リンコの腕へ、伸びた。
「小久保君?」
きょとんとした表情でマサヒコを見る。
少し身長差のあるリンコの顎をくいっと持ち上げ、なぜかメガネを外す。
「わ!小久保君メガネ取っちゃうとなにも見えないよぉ」
抗議の声もなんのその。
チュッとリンコに口付け。
メガネは邪魔だったらしい。
アヤナの時のようにディープに長くするわけじゃなく。
ちゅっちゅと離れてはまた触れ、触れては離れるを繰り返す。
愛情よりも好意を表すかのようなキスの雨あられ。
「はふぅ〜……」
ぺたんと、リンコは座りこむ。
そして真っ赤になったほっぺたをペチペチ叩きながらいやんいやんと言いたげに身体をくねらせている。
どうやら初めてのキスにテンションがおかしくなっている様だ。
マサヒコはポンポンとリンコの頭を撫で、視線を動かす。
「ゑ!?わ、わたし!?」
視線の先にいたのはアイ。
はわわ!と慌てるアイにマサヒコは笑顔で一歩ずつ近づいて行ったのだが、
「お待ち。私が相手よマサ」
「先輩!」
リョーコが立ちふさがる。
「カモーン!マサ!」
猪木張りに「こいやぁ!」と手招きするリョーコ。
招かれるまま、マサヒコはリョーコの間合いに足を進める。
「捉えた!」
リョーコの手がマサヒコの後頭部に回され、逃がさんと言わんばかりにロック。
マサヒコの手はリョーコの背に。
準備は整った。
「勝負!」
果たしてキスは勝負なのだろうか?
そんな疑問を挟む余地もなく、リョーコはマサヒコにぶちゅっと行く。
あわさった唇から舌を挿し入れ、マサヒコの舌を絡め取る。
マサヒコだって負けずとやり返す。
互いの口を犯すかのように両者舌を動かし、絡めあい、吸いあう。
角度を変え、より深く貪る。
洋画のキスシーンを何倍にも濃密にしたような光景にアイもミサキも顔が赤くなる。
しかも長い。
しかし、終わりはいつかやってくる。
アイも、もちろんミサキも。
リョーコの勝利でマサヒコの唐突な強制猥褻行為はストップすると思っていた。
298518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:14:02 ID:lKAz4Opb
思っていたのに。
「……アイ」
「はい?」
「後は任せたわよ」
「せ、先輩!?」
なんと中村敗北。
サッカーブラジル代表が日本代表に敗れたかのような大番狂わせ。
中村はガクリとマサヒコに持たれかかる。
「せ、先輩を一撃で!マサヒコ君の口撃は戦艦並の威力があるっていうの!?」
「落ちついて大佐!」
二人共落ちつけ。
ガンダムじゃねーんだから。
とはいえ。
普段落ちつきのあるアイやミサキを慌てさせるほどの状況なのだ。
中村をソファに寝かせたマサヒコはメガネを外し、リンコから奪った物と一緒に机の上に置く。
メガネをかけたままの睡眠はメガネにも装着者にもよろしくないとの配慮からだろう。
こんな所だけは普段通りの優しいマサヒコなのに。
マサヒコは笑顔でアイへと近づく。
「あ、あう……あうあうあうあう」
へたり込んで後退っていたらミサキにぶつかった。
「だ、だめよマサヒコ君!ミサキちゃんには…ミサキちゃんには!
ミサキちゃんにはこんなわけわかんない状況でキスしちゃだめ!」
ミサキが彼に対して好意を持っているからこそ。
出来るなら両者合意の上でさせてあげたいというのがアイの親(?)心。
「生徒の暴走を止めるのが(家庭)教師の勤め!さあ来なさいマサヒコ君!」
ミサキの前で仁王立ち。
ちょっとこの状況に酔っている節もあるが…まあいいだろう。
ミサキのためにと言うのは間違いなく事実なんだから。
そんなアイの心を知ってか知らずか。
マサヒコの手がアイの肩にかかる。
覚悟を決めたとはいえ、アイとてファーストキスなのだ。
緊張する。
子犬の如くふるふる震え、ギュッと目を瞑る。
「あ……」
柔らかな感触は唇でなく、おでこに。
予想外の場所だったので驚いて目を開けると、目の前には優しい笑みを浮かべたマサヒコ。
彼はアイの緊張を解くかのようにそっと頭を撫でる。
頬にキス。
瞼に。
またおでこに。
震えが止まった頃にようやく唇へ。
何度も何度も。
そして結局、
「……はふん」
アイも陥落した。
残るはミサキただ一人。
299名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 00:14:13 ID:aWJR7pAD
アヤナとマサヒコのsexを戸田が盗撮してアヤナを脅し調教するのをキボン。
300518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:16:38 ID:lKAz4Opb
マサヒコはミサキに近寄り、手を取ってその甲にうやうやしく口付け。
ミサキの背をゾクゾクと快感が走る。
手の甲でこれだけの快感。
もし唇にされたらどうなってしまうのかと思うとドキドキが止まらない。
ロマンティックも止まらない。
マサヒコの手がミサキの肩に。
「マサちゃん……」
ミサキもマサヒコを受け入れる為に目を閉じ、唇を突き出す。
しかし……いつまで待っても来るべき感触が来ない。
おや?と思って目を開けた瞬間、覆い被さる様にマサヒコが倒れこんできた。
「わわわっ!」
堪えきれずミサキは尻餅をつく。
「マ、マサちゃん!あの、それは流石にちょっと……もう少しムードがほしいかなーって。
!!?違う違う!こーいうことはまだ早いかなって。もう少し時間をかけて………マサちゃん?」
「Zzzz……」
「……寝てる」
ちょっと安心。
そして、
「……そんなぁ」
すっごい不満。
とはいえ穏やかな寝顔で静かな寝息を立てているマサヒコを見ていると、
不満もどこかへ行ってしまう。
「ふふふっ」
笑顔がこぼれた。
マサヒコの下から抜け出し、改めてマサヒコの頭を膝の上へ乗せる。
ふと、唇に視線が行く。
今日一日で4人の女性を陥落させた罪作りな唇だ。
ミサキはキョロキョロと辺りを見まわす。
アヤナはまだメルトダウンしているし、リンコも違う世界にいったまま。
リョーコとアイも意識はない。
好機!
「これはキス魔になっちゃったお仕置き」
マサヒコと唇を合わせる。
「これはみんなを誘惑したお仕置き」
また、口付け。
「……これは、私の気持ち」
そして、キス。
「えへへ」
嬉しそうにはにかむ。
恥ずかしくてマサヒコを見ていられなくて視線をさ迷わせていると、
「あ、雪だ」
白い物が窓の外を落ちていく。
「ホワイトクリスマスだね、マサちゃん」
膝の上のマサヒコに話しかける。
そして、
「メリークリスマス、マサちゃん」
もう一度長いキスをした。


翌日のマサヒコ談。
「いや、なんか中村先生に御酒飲まされたところから何にも覚えてないんですよ。
気付いたら朝でした。えっと……あの、皆さん目が怖いんですけど。俺、なにかしましたか?」
その後、マサヒコがどうなったかはどの歴史書にも記されてない。
記されてたらある意味怖いし。

END
301518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/24(土) 00:18:26 ID:lKAz4Opb
終了。
誤字脱字表現違いは華麗にスルーをお願いします。
今回推敲時間が極端に短かったのでかなり荒いので。

それでは次は25日22時ごろ会えたらあいましょう。
302名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 00:26:48 ID:azsQAiSQ
リアルタイム投下キタ--------(・∀・)-------
GJです。
俺もキス魔になりたい。。。
303名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 00:29:21 ID:T+xrZDLC
キス魔マサヒコ…恐るべしw

一個だけ欲求不満(贅沢)
どうせならミサキ相手だけは行くトコまで行って既成事実を作ってくっ付けて欲しかった…

だがGJ!
304名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 01:18:06 ID:GKYGn8Ov
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!アヤナ手回したのかよ(笑)完全ライバルだな。
305名無しさん@ピンキー ◆ZN.ELR8YkY :2005/12/24(土) 01:44:28 ID:yuazHTPM
gj
306名無しさん@ピンキー ◆UbkAjk7MJU :2005/12/24(土) 01:45:33 ID:yuazHTPM
gj
307名無しさん@ピンキー ◆jG/Re6aTC. :2005/12/24(土) 01:46:54 ID:yuazHTPM
うむ ペピトーン氏も郭氏もこのトリップだったのか
308名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 02:50:45 ID:+BLT3ZlG
518氏GJ!!
アイへのキスが一番エロく感じるな
309名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 09:33:33 ID:q1od1twe
sage
310名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 09:36:13 ID:q1od1twe
うわ 間違えた 逝ってくるorz
311名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 12:10:12 ID:r2jzGUDq
>>307
そういう事すると酉の意味なくなるだろ
312弱味☆ ◆zSCWRO/RCU :2005/12/24(土) 14:37:54 ID:Prh+gNSh
結果発表(>>288まで有効票)

@ 1票

A 4票

B 2票

C 3票



なので、AシンジVSマナカにケテーイです。

投票してくださった皆様、俺ごときの作品に期待をかけてくださりありがとうございます。

Cに関してですが、みなみけをご存じない方もいらっしゃるので、
純粋氏家作品と2本立てということにしようかなと思います。
時期としては来年の春先……まで行ってしまうと、
その時には濱中ご卒業スペシャルを勝手に企画しているので苦しいんですが、
それまでには何とか、という気でおります。



妹フィールドは久しぶりだなあ。マナカの誕生日にこんな事が決定するって、こういうこともあるんですねw
まあそんなことで、シンジさん、マナカさん、よろしくお願いするっす。うっす。


>リレーSS

なんか不評っぽいので、俺から音頭を取るのはやめにします。出娑婆ってすいませんでした。



>郭泰源氏

おおお!このスレの大御所からお褒めの言葉をゲットできるとは!ジャンルやキャラを問わないオールマイティさで、
コンスタントに秀作を発表されている氏は、おこがましいですがやはり目標ですね。
何より「郭泰源」という御名前が、西武黄金時代に少年期を過ごした俺としては非常にツボだったりしてますw

 氏がCを見たいというなら、こりゃなんとしてでも応える価値はあるってもんですな。
今回投下しようと思っていた時、先にマサアヤナを投下されたときは正直ビビリましたw



>>291

こちらも俺にはもったいないお言葉、ありがとうございます。おっしゃる通り、マサミサキツアヤナも、
いつかちゃんと決着をつけなきゃ……とは思っているんですが。しかし完成しても大作にはたぶんならないです。
俺にはとても、そんな計画性と忍耐力はないですから。気長に待っていただけるとありがたいです。

そりでぱ。
313名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 14:43:24 ID:/btRwT/a
>>311
hogehogeなのはもうバレバレなんだから
作家本人が変えればいいだけ。
郭氏はすでに変えてるし
314名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 15:38:18 ID:cJKXbap9
こんな事しなきゃならないってのも悲しいけどな。
何でも、昔は平和だったのになぁ・・・・・
315名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 16:19:51 ID:KrNuvg5D
>518氏
キスだけでこんなにエロくできるなんてスゲえです
めさくさハァハァしました、GJ、GJであります

>弱味☆氏
期待しております
大作にならない?いえいえ、氏の作品は全て大作ですよ、最高級の!
316名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 17:03:08 ID:G4hrhJUX
赤い実はじけたって懐かしいな…。
317名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 18:05:09 ID:nUWwRsTo
元バイト先に深夜遊びにいって赤い実はじけたと市井さやか中田氏婚という単語で
三時間笑い尽くしたのを思い出した
318名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 18:33:14 ID:GKYGn8Ov
赤い実って何
319名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 18:42:18 ID:ImA3yaT7
「赤い実はじけた」でぐぐりましょう。

小学校の図書館で読んだな、懐かしいな。
320ナット ◆B.bFFQfI.o :2005/12/24(土) 19:54:33 ID:UWkE5LMI
>>518氏、乙&GJです!
周りの女性陣(ミサキ以外)落とすマサスゴス(w
32172 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 20:49:30 ID:2uAomVvh
テスト
32272 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 20:53:57 ID:2uAomVvh
どうも、お久しぶりです。職人の皆様お疲れ様&GJです。
「ホワイトクリスマスにも程があるわ!!」と午前中雪かきをしながら思った72です。

さて、クリスマスという事で一本投下させていただきます。
今回のSSは、前作「猫と噂」の続編としてお楽しみください。
クリスマスに間に合わせるために推敲の時間が足らんかった気がしますが
ぜひともご容赦の程を。

では投下。タイトルは「White Christmas」で。(ベタですみません)
323そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/24(土) 20:55:41 ID:zdPOLH+i
赤い実はじけたは小学校高学年の教科書にあったなぁ。
たしか初恋の話だっけ。
518様GGGJJJっす。エロ可愛くていいです。
さて、自分も今回ちまちま初エロに挑戦しています。仕事が年末は
忙しいので完成は未定ですが、できたら読んでやってくださいな。
32472 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 20:56:35 ID:2uAomVvh
「あー…いい匂いだな…」
リビングまで漂ってくる香りに誘われて、シンジはキッチンへと向かう。
「わあ、すごいな…」
台所のテーブルの上には、所狭しと美味しそうな料理が並べられていた。
サラダやローストチキンといったオードブル、そして中央に置かれた手作りのケーキ。
そして…シンジの目の前には、料理の準備を続けるエプロン姿の少女が。
その長い黒髪の少女を、シンジはそっと後ろから抱きしめた。

"ぎゅっ…"

「ひゃっ!…シ、シンジさん!?」
いきなり抱きしめられてびっくりしたのか、その少女は思わず戸惑いの声を上げる。
「も…もう…驚かせないでくださいよ…シンジさん…」
「あ…ゴメンな…マナカ」


―本日はクリスマスイブ。
恋人同士が愛を語らい、独り身にとってはなんとも寂しいこの日。
シンジとマナカの二人は、前者に当てはまる恋人同士。
文化祭のあの日、マナカの強引な手段で結ばれた二人。
夜の校舎で愛を深め合い、互いの身体を貪りあった二人。
そんな二人が付き合い始めて、早くも二ヶ月余りが過ぎ去っていた。


―現在城島家には、マナカとシンジの二人だけ。
シンジは彼女の細くて柔らかな身体をより強く、ぎゅっと抱きしめる。
「マナカ…」
「もう…シンジさんたら…甘えん坊さんですね…」
頬を寄せてくるシンジに少し苦笑しながらも、どこか嬉しそうなマナカ。
「だってさ…久しぶりだろ…マナカをちゃんと抱きしめるのも。
…それにさ…カナミたちが帰ってきたら、こんなこと出来ないしさ…」
「そうですね…カナミちゃんの前では…」
「ああ…だからさ…今は思いっきり…抱きしめたい…」
「…」
「…」
しばし二人の間に沈黙の時が流れた後、シンジは申し訳なさそうにつぶやいた。

「ごめんな…本当は…今夜は二人きりで過ごせたら良かったのに…」
32572 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 20:57:45 ID:2uAomVvh
―そう、今日はマナカとシンジの二人きりで過ごしているわけではない。
本日はカナミ、アキ、カオルを加えての五人でのパーティなのだ。

―と、ここで『折角のクリスマスなのに、何で二人きりで過ごさないの?』という疑問が生まれるが…
答えは簡単である。

―マナカとシンジが付き合い始めて既に二ヶ月余りが過ぎたのにもかかわらず…
未だ二人はカナミたちにその事実を伝えそびれていたのだ。

別に隠そうとしていたわけではない。
ただ…それを告げる時期というのを逃してしまっただけで。
そして一旦タイミングを逃してしまうと、なかなか言いづらくなってしまい…

―そしてそれを伝えることができぬまま、ただ時間だけが過ぎ去ってしまった。

そして…今回こそ言おうと思案しているうちに、いつの間にかカナミたちによって
クリスマスパーティの計画が立てられてしまい…
結局言い出せぬまま、クリスマスイブ当日となってしまったわけだ。
32672 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 20:59:17 ID:2uAomVvh
「…別にかまいませんよ…みんなで料理を作るのも結構楽しいですし…」
…まあ今回の事に関しては、マナカにも多少責任はある。
そもそも付き合う時に「しばらく皆さんには内緒にしておきましょう」と言ったのもマナカなのだ。
そして小宮山先生にばれるまで一ヶ月の間、二人の関係は誰にも知られることがなかった。
そりゃあ言うタイミングも逃すと言うものだ。
マナカにもそれは分かっていた。
抱きついたまま謝り続けるシンジに、マナカはにっこりと微笑む。
「そ、それならいいんだけどさ…
…ゴメンな…来年こそは二人きりで過ごそうな…」
「ええ、来年は…
でもその前に、私たちのことを皆さんにちゃんと伝えないといけませんね…」
「ああ、それもそうだよな…」
「くす…あの…それより…シンジさん」
途端に顔を赤らめるマナカ。
「な、なに?」
「あ、あのですね…当たってます」
「え、わ…なにい!!」
シンジが己の下半身を見ると…
いつの間にか起立しているムスコが―マナカの腰に当たっていた。
「まさかシンジさん…我慢できないんですか?」
慌てふためるシンジを見て、くすりと笑うマナカ。
「いや、あの、これは不可抗力で…」
「ふふ…でも今日は我慢しましょうね…カナミさんたちもいますし…」
「はは…でもなあ…」

…とここでシンジはおもむろに時計を見た。
―カナミたちは今、近くのスーパーまで買出しに出かけている。
スーパーまで徒歩で10分。買い物の時間を考えれば、少なくとも30分はかかる。
そして3人が出て行ったのは5分ほど前だから、しばらくは帰ってはこないはずだ。
(時間は…あるよな…)

―カナミたちがいないこの今の時間は絶好のチャンスではなかろうか?

―まあなんにせよ、既にシンジは我慢の限界である。
32772 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 21:00:51 ID:2uAomVvh
「なあ…いいだろ…」
そう言うとシンジはマナカの身体にのしかかっていく。
「あ、シンジ…さん…駄目ですよ…
すぐにカナミさん達が…帰って…」
「大丈夫だって…すぐに済ますから…」
「あ…いやっ…ふうっ…くう…」
"ちゅ…"
抵抗するマナカの唇が、あっけなくシンジに塞がれる。
シンジの舌がマナカの口中に押し入り、強引にその中を犯していく。
「ふ…くうん…ふ…」
初めは抵抗していたマナカも、シンジの責めを受けて全身の力が抜けていく。

続けてシンジはマナカの下半身に右手を伸ばしていった。
下着をずらしてシンジはその指を秘所へと侵入させる。
"くちゅ…"
「あれ…マナカ…もう濡れてるじゃん…」
「あ、あの…これは…その」
シンジの指摘を受け、マナカの顔が紅潮する。
「はは…そうか。マナカも我慢してたのか…」
「ええと…そのぉ…」
「…ま、いいか…さっさと済ませちゃわないとね…」
シンジが指をゆっくりと動かすと、マナカの蜜壷が淫靡な音を奏でる。
"くちゅり…ぬぷ…"
「あ…くんっ…」
そしてシンジはマナカを立たせたまま、マナカの下着を両手で下へと引き抜いた。
"するっ…"
滑り落ちた下着を足から脱がせ、シンジはそれをテーブルの傍らに置く。

続いてシンジはマナカのスカートをめくり上げた。
マナカの白い可憐なお尻がシンジの目の前に広がる。
その中央でマナカのピンク色の秘所が濡れて怪しく光っていた。
たまらずその秘裂にしゃぶりつくシンジ。
"ぴちゃ…くちゃ…"
「あ…うんっ…はあ…」
こみ上げてくる快楽に、マナカはテーブルに手をつけ身体を支えて耐え続ける。
「おいしいよ…マナカ…」
「あ…そんなこと…ううっ…ふう…」
シンジの舌が無遠慮にマナカの媚肉を這い、その刺激で愛液があふれ出す。
そしてシンジはその零れ落ちる愛液を強く吸っていく。
"ずず…ちゅう…"
「ああ…っ!!」
途切れることのない快感に耐え切れなくなったのか、マナカの身体がゆっくりと崩れ落ちる。
「あ…ふう…」
「ふう…もう…いいかな…」
息をはずませるマナカを見て、シンジは早速本番へのお伺いを立てるが。
「あ…はい…でも…その前に」
「ん?」
「シンジさんのを…ご奉仕させてください」
そう言ってマナカはよろよろと身体を起こし、シンジの方へと向かい直す。
32872 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 21:03:31 ID:2uAomVvh
「じゃあ…始めますね」
マナカが目の前のズボンのチャックを下ろすと、シンジの男根が勢いよく飛び出した。
「わあ…もうこんなになってる…」
「まあね…はは…」
「さて…ちょうどケーキ作りに使ったのも残ってますし…
…今日はちょっと変わった趣向で…」
そう言うと、マナカはテーブルの上にあったボウルに手を入れる。
そして中に入っていた生クリームを指でたっぷりと掬い上げた。
「え、何するの…」
「ふふ…こうするんですよ」
そしてシンジの肉棒にたっぷりと生クリームを塗りたくる。
"くちゃ…ぬるう…"
「!!…う、うわ…これ…」
「どうです…?気持ちいいですか?」
"ぬちゅ…くちゃあ…"
マナカの細い指がシンジの男根をこねくり回し、シンジに未知の快楽を伝えていく。
「うあ…マナカ…すご…」

そして丹念にクリームを塗りこんだあと、マナカはそれに口を寄せ…
「わあ…なんだかすっごく美味しそう…
さてと…いただきますぅ♪…はむっ…」
そのシンジの分身を、ゆっくりと自らの口の中へと沈めていく。
"くぷう…"
「くっ…ふわあ…」
「ふむ…ぺちゃ…」
マナカの舌が口の中でシンジの亀頭の上を蠢き、その先端のクリームをきれいに舐め取っていく。
いつもとは一味違うマナカの舌使いに、シンジの興奮はいやがおうにも高まる。
「うっ…マナカ…すげえ気持ちいいよ…」
「ふふ…そうですか?じゃあもっと…」
マナカは口をスライドさせて更なる刺激を男根に加えていく。
竿の下の袋はマナカの空いた左手の上で転がされ遊ばれる。
"ずぷ…ずずう…ちゅう…"
マナカの激しい責めに、シンジはただ圧倒されていった。
「くっ…もう…限界…ゴメン…」
"びゅくっ…どくっ…"
次の瞬間、絶頂に達したシンジの分身から熱い奔流があふれ出し、
マナカの口中へと注ぎ込まれていく。
(ふくっ…凄い…濃い…それに…量も…)
その精は口だけでは受け止めきれず、マナカは思わず男根を口から離してしまう。
「わ…やべ…止まらない…」
「くふ…わ…顔に…付いちゃう…」
なおも止まらずに精を放出し続けるそれは、マナカの顔と着ていたエプロン、
そしてキッチンの床を汚していった。
32972 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 21:07:25 ID:2uAomVvh
「シンジさん…いっぱい出ちゃいましたね…」
「まあね…でもさ…やっぱり本番の方が良かったかな…」
精液で汚れたマナカの顔と髪をティッシュで拭き取りながら、そんな事をつぶやくシンジ。
「でも…もう時間が…もうすぐカナミさんたちが帰ってきますよ…」
「大丈夫だって…後20分は帰って来ないさ…」
まだまだムスコはまだ回復していないが、もはや彼は止まれないアクセル全開状態。
そのままシンジはマナカを押し倒そうとするが…

―その直後。

「たっだいまー!!」
静寂を破り、城島家の玄関に響くカナミの声。

「…あら…思ったより早く帰ってきちゃったみたいですね」
「げげっ!!なんでえ!?」
「さあ?…でも急いで片付けないと…いろいろとマズくないですか?」

―床に飛び散った白濁液。汚されたエプロン。部屋に立ち込める独特な精液の臭い。

どう見ても精子です。本当に(ry

…まず見つかったら、弁解の余地はない。
「…確かに!!どうしよう!?マナカ!?」
「落ち着いてください、シンジさん!何とかなります!きっと!!」
33072 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 21:08:26 ID:2uAomVvh
「ただいまあ…スーパーまで行くのめんどくさくなっちゃって、
途中のコンビニで全部買ってきちゃった…

…ってあれ?お兄ちゃんとマナカちゃん…何やってんの?」
「いやあ…ちょっと生クリームこぼしちゃって…」
「そ、そうなんですよ…お兄さんたら…もう」
そう言いながら床を拭く二人。

―どう見ても不自然過ぎる状況です。

「ふうん…でも生クリームにしては、何か違うような…」
「そ、それはカルピスだよ、カルピス!飲もうとして一緒に床にぶちまけちゃって…」

―どう見ても苦し過ぎる言い訳です。

「そうなんだ…それじゃあさ、何でキッチンの窓を全開にしてるの?」
「か、換気ですよ、換気!空気の入れ替え!!一酸化中毒になったらマズいですよね!?」

―どう見ても無茶過ぎる理由です。

「…なんか二人とも変だよね…」

「「…へ、変じゃないです!!」」


…とまあ何とか強引にごまかそうとした二人だったが、
そんな事で騙される二人(若干一名除く)なはずもなく。

そして…テーブルの上に脱がされたまま置きっぱなしになっていた、
マナカの下着が決定打となり…

結局二人の関係は、全てばれてしまったのであった。
33172 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 21:11:25 ID:2uAomVvh
そしてその日は急遽『クリスマス&シンジとマナカを祝う』パーティとなり、
シンジとマナカは三人に祝福されることとなった。

「はあ…こんなことになるなら、早く言っておけば良かったな…」
「そうですね…シンジさん」
「まったく二人とも…そういう事はちゃんと言ってくれないと…!」
「いや…ごめんなさい」
「ま、いいけどね。…あ、そうだ。これ、お兄ちゃんへの私からのプレゼント♪」
シンジに手渡されたのは、プレゼント用にきれいにラッピングされた小箱。
「え、これって…?」
恐る恐るその包装を解くと、中から出てきたのは…コンドーム。
「へへ、今年のプレゼントはちゃんと使ってもらえそうで良かったあ♪」

「わあ…ありがとうございます…」
カナミのプレゼントを見ながら苦笑いを浮かべる二人。
「あーあ…二人が付き合ってること知ってれば、他にもいろいろ用意したんだけどね…
バイブとか、アナルビーズとか…ローションとかさ…」
少し残念そうなカナミに、シンジは思わずツッコミを。
「おいおい!…そんな物いらんて…」
「えー…だってさ…どうせ今夜は二人で燃え上がるんでしょ?」
「「え!?」」
カナミの思わぬ発言にぎょっとする二人。
「そうでしょ?今日はクリスマスだし…恋人同士がおおっぴらにセック…」
「ちょ…待てい!!…カナミたちがいるのに、そんな事できるわけないだろ!?」
「そ、そうですよ!!何言ってるんですか!!カナミさん!!」
顔を真っ赤にして必死で否定する二人に、にやりと笑いながら疑惑の目を向けるカナミ。
「えー、ホントかなあ…」

「「あ、当たり前だー!!」」
二人の息のあった叫びが、城島家に響き渡った。



で、結局のところ…その日シンジとマナカの二人が眠っているはずの部屋からは、
夜遅くまでベッドがきしむ音や喘ぎ声が響いていたとかいなかったとか。

(おしまい)
33272 ◆jQvWLkj232 :2005/12/24(土) 21:19:20 ID:2uAomVvh
終了です。お目汚し失礼しました。
今回もいろいろ反省点が多いです。
アキやカオルもいるはずなのに一切出てこなかったりとか…
若干キャラが壊れてるとか…

思い返せば自分の処女作もマナカ×シンジで、しかもクリスマスネタでした。
でもあの頃とあんまり進歩がないような気が…はあ、やっぱり文章を作るのは難しい…

それではまた。メリークリスマス&良いお年を。
333名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 23:08:30 ID:gpxWWxiC
72氏GJです!
マナカの誕生日にマナカが読めてヨカッタ
334ナット ◆B.bFFQfI.o :2005/12/24(土) 23:29:21 ID:UWkE5LMI
72氏乙です。


自分も何とかクリスマス・イブ中に書きあがりました。
見直しなしなので誤字脱字、変な文章は目をつぶってください
それでは 『初の異性交遊〜外伝小ネタ〜』
335ナット ◆B.bFFQfI.o :2005/12/24(土) 23:30:14 ID:UWkE5LMI
「「「お邪魔しまーす。」」」
「「いらっしゃーい」」
今日はクリスマス・イブ。マナカの誕生日会も兼ねて今年も城島家でパーティーを開くことになった。
リビングにはしっかり飾りつけがしてあり、机には豪華な料理が並ぶ。
カナミが人数分準備したコップにジュースを注ぐ。
「それじゃあ、マナカちゃんの誕生日とクリスマスを祝って、かんぱ〜〜い!」
「「「「かんぱーい!!」」」」
コップとコップがぶつかりカツッと少々安っぽい音を奏でパーティーが始まった。
カナミの手料理に舌鼓打ちつつ、たわいもない雑談に花が咲く。

マナカへのプレゼント、クリスマスプレゼント交換などのイベントをこなすうちに酒が入り、みんなのテンションも上がっていく。
「マナカちゃん、顔赤いよ。 だいぶ酔ってるようだけど大丈夫?」
「らいじょうぶれすよ、おにいひゃん。今日は私の誕生日でクリト・・・」
「いや、それ去年も聞いたから・・・」
「でもいいなぁ、キョウコちゃん今年も彼氏とかぁ」
「なんで私に彼氏いないんだぁ!男どもは巨乳好きじゃなかったのかぁ!」
「別にいいれすよ!。今日は彼氏のいない者同・・士?」
マナカ、アキ、カナミがカオルの方を見た。
カオルはお酒をほどほどに、ジュースを飲んでいてそれほど酔いは回ってなさそうだ。
「そういえばあんた、お兄さんと付き合ってたよねぇ・・・」
「裏切りれすよ〜」
「え?え?えぇ〜〜〜!」
じりじりとカオルに近づくマナカとアキ。
「言え!どこまで言ったか言え!」
「きゃーっ!!」
その光景を見ていたシンジは「逃げよう」と判断し、部屋を出て行こうとした。
「お兄ちゃん、どこ行くの?」
ギクッと反応する。振り向くとカナミが立っていた。
顔は真っ赤でかなり酔っているようだ。
「い、いや。風に当たりにいこうと思って・・・」
「逃げようったってそうはいかないよ!」
「あぁ〜〜〜」
服の背中の部分をつかまれ、中へと戻される。戸がパタンと小さな音を立てて閉じた。
336ナット ◆B.bFFQfI.o :2005/12/24(土) 23:30:49 ID:UWkE5LMI
「そらそら!飲め飲め!」
「んん!ん〜〜〜〜〜!!」
「アキさん、もっとれす!」
もうひとつの集団ではアキがカオルに無理やりお酒を飲ませていた。
じたばた抵抗していたカオルの手足が止まった。
アキがグラスを口から放すとカオルの上体がゆっくりと持ち上がった。
「うぃ〜〜〜 ヒック!」
お酒にあまり慣れてないせいか、カオルの顔があっという間に赤くなっていた。

「あ〜〜〜 う〜〜〜」
頭の中がぐるぐる回っているのかわけのわからないことを口にする。
「それで、あんたとお兄さんどこまでいったの?」
「あ〜〜〜? ひっく! 聞いてよ〜〜〜!シンジったらぜんぜん抱いてくれないのよ〜〜!
 もう何ヶ月付き合ってるんだ!って言ってやりたいんだから!」
近くに居る。だが酔いのせいで認識能力が極端に落ちているのだろう。
「お兄ちゃん、そういうとこ度胸ないんだよねぇ。
 スカトロとかかなりマニアックなAVは平気で借りてくるのに」
「えぇ、お兄さんってそういう趣味〜〜?」
「う〜〜・・・ スカトロって何?」
「スカトロっていうのはねぇ・・・」
「わーー!やめろ!やめろ!」
シンジが話に割ってはいる。
「あ、しんじ〜〜〜」
シンジの顔を両手でつかみ、唇を重ねる。
「「「おお〜〜〜〜」」」
「んん!ん〜〜〜〜!」
不意に唇をふさがれ、シンジはもがき苦しむ。
だが口付けはなおも続く。シンジは次第に心地よさを感じていった。
長いキスを終え、唇が離れる。
「えへへ〜 しんじ、だいすきだよ〜〜〜。」
今度はぎゅっと抱きつく。
酔いによる行動なのだろう。だがなんとも無邪気な顔でそういうことを言われると、改めてかわいく見えてくる。
「お兄さん、どうすんの?」
「女の子にここまで言わせといてさぁ」
「おにいひゃん、童貞喪失のチャンスれすよ!」
337ナット ◆B.bFFQfI.o :2005/12/24(土) 23:31:24 ID:UWkE5LMI
この3人は! と思いつつも、実は自分もしたいとは思っていた。
少ししか飲んでいないが、その少しのアルコールが行動を後押しする。
「カ・・オル・・・」
カオルの顔をみる。すると
「すぅ〜・・ すぅ〜・・」
「あれ?」
目を閉じ、かすかな息使いが漏れていた
「あ〜あ、カオルちゃん寝ちゃった。」
「お兄さんが遅いからですよ!」
「おにいひゃん、またしばらく童貞れすか?」
「ふぁぁ・・ そういえば私も眠くなっちゃった。」
「私も」
「わたしも」
「それじゃ、お兄ちゃん、あとお願い・・・」
「おい!ちょっと・・・」
言いかけたがもうみんな眠りについたようだ。
シンジは仕方なく毛布をみんなに掛け、皿などを片付けだした。
さっきまで騒がしかっただけに、余計寂しくかんじる。
皿を洗い終わり、自分も寝ようと部屋に行こうとした。
「ん、んん〜 しんじ〜〜」
呼ばれて振り返る。しかし誰かが起きているわけじゃない。ただの寝言だ。
「・・・・すき」
寝言の主はカオルだ。シンジは静かに歩み寄った。
「俺も好きだよ」
そう言い頬にキスをし、シンジは部屋を出た。
338ナット ◆B.bFFQfI.o :2005/12/24(土) 23:34:50 ID:UWkE5LMI
以上です。
クリスマスなのでカップルネタ?
久々にシンジ×カオル?
短く、薄っぺらい話ですが、このカップルの話を考えるのは楽しいです。
さて、「ユレルキモチ」の他のエンド考えなきゃ
339名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 02:04:47 ID:O8QIMxOQ
うおー!神がたくさんきていて嬉しいぜ。
神の皆さんGJ!

そして俺はドミンゴ神の「デュエル」の続きを全裸で正座して待っている…。
340ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:08:42 ID:8xUlQrfT
職人の皆さん、古田氏、お疲れ様です。
>>185の通り、マサ×ミサキのクリスマスネタで投下します。
スルー対象ワードは「わりとベタベタカップル系」「本番あり」です。
題名は「クリスマスイブ・イブ・イブ・ラブ」でお願いします。
では投下↓
341ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:09:48 ID:8xUlQrfT
 空には灰色の冬雲が群れをなし、太陽の姿は数分に一度、ちらちらとしか見えなかった。
雪が降る数歩手前といった感じで、電線が北から吹く風に揺らされ、
その唸り声に似た耳障りな音が、これから後の一層の冷え込みを予告しているかのようだった。
今は昼の二時を少し回ったばかりで、一日のうちで一番気温が高い時間帯なのだが、
その寒さは朝とそれほど変わっていないように、道行く人々には思えた。

 東が丘から電車とバスを乗り継いで一時間弱のところ、小高い丘の上にひとつの高校がある。
その高校の前に一本、駅へと直に続いている大通りがあり、
駅側に向いて右に、切ったカステラを並べたような個性の無い新し目の住宅が、
左に、洋風やら和風やらの大きい立派な旧家が、それぞれ通りを挟んで建ち並んでいる。
大通り自体の勾配は、それ程急なものではない。
駅の改札口を降りると、目の前のバス停から高校に向けて、
子どもの足でも楽に進める程度の坂が約2kmほど、なだらかに続く。
高校自体の歴史は古いが、校舎は新しく建て替えられていて、設備等も充実している。
昔の名残を感じられるのは、学校を囲う煉瓦塀、大きな校門、
そして校門の横にはめ込まれたいかめしい大理石のプレートくらいだろうか。
そのプレートは古い物ということもあり、遠目からでは文字が判別出来ない。
だが、近寄ってみれば、古臭い字体で学校名が掘り込まれているのがわかるだろう。
『私立 聖光女学院』、プレートには、そう彫られていた。
 今日は12月22日、世間一般では諸々の学校の二学期終業式の日だ。
ここ聖光女学院でも終業式は正午前に終わっており、無事二学期の全日程が終了していた。
にも関わらず、まだ多くの生徒と職員が校内に残っていた。
 聖光女学院は県内でも有数の進学校である。
毎年、東大や早稲田など、一流大学に何人もの合格者を出している。
同時に、学業以外の活動も活発だ。
毎年秋に開かれる文化祭は、その規模の大きさと華やかさから多くの人が訪れるし、
インターハイや国体にも、個人団体問わず出場して好成績を挙げている。
勉学以外にも、そういった文化活動やスポーツ活動にもちゃんと学校は理解を示し、
自主勉強や各委員会、クラブなどで、放課後もかなりの生徒が残って活動している。
そしてそれは、終業式の日でも変わらないというわけだった。
342ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:10:59 ID:8xUlQrfT
 さて、女学院というからには女子校だ。
生徒は当然、全員が女性であり、教師も校長や教頭などの高齢者を除けばほぼ全員が女性である。
男性で堂々と校内に入れるのは、用務員か購買・食堂関係者、生徒及び職員の家族くらいなものだ。
常ならあまり校門前では男性を見かけないのだが、今日は終業式ということで、
昼過ぎには車で迎えに来た生徒の父や兄らしき者の姿がいくつかあった。
無論、家族以外の男性もいた。生徒の彼氏だ。
聖光のモットーは「自主、自律、自発」であり、私学進学校特有のお堅い校則な余りない。
一般の公立校と然程差は無く、厳禁であると明記されているのはアルバイトくらいだろうか。
そんな校風なので、男女交際についても特にやかましくはない。
堂々と校門前で待ち合わせというのはさすがにまずいが、
それも今日のような日にはノータッチだし、校門の警備員も目くじら立てたりはしなかった。
一部の生徒が性的に乱れているという噂も時々あったが、それで大きな問題に発展したこともない。
飽く迄も生徒の自主性尊重、それが学校の姿勢だった。
 そして、ここに一人、若い男性が校門の前にいた。
電信柱に背を預け、ぼうっとした表情で宙を見つめて立っている。
若い男性、というよりは少年と言うべきだろう。
少年は身長170センチ前後で、コートを羽織っているためにわかりづらいが、
太り過ぎても痩せ過ぎてもいないようだった。
髪はややボサッとしており、おさまりの悪い前髪が北風に吹かれてちらちらと揺れていた。
顔はと言えば、見る人によっては美形に見えないこともないという感じか。
目鼻立ちは整っているが、男らしいというよりやや中性的で、
ことさらに希少価値を強調するレベルではない。
頭のてっぺんから足のつま先まで見ても、特別ということのない、どこの街にもいそうな少年だった。
何故少年がぽつんとここに立っているのかと言うと、無論、彼も待っているのだ。
自分の待ち人が校門から出てくるのを。
哀れ、周囲に同じ境遇の人間は一人もおらず。彼だけが取り残されているのだった。
「へっくし」
 ここに来てから何度目だろうか。少年はクシャミをした。

「うー……」
 彼の名前は小久保マサヒコ。
彼は寒さに耐え、じっと待っている。彼女である、天野ミサキの帰りを。

                 ◆                     ◆
343ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:12:59 ID:8xUlQrfT
「マサくーん、待った?」
 栗色の髪をした一人の少女が、駆け足で少年のもとへと寄っていった。
走る動きに合わせて、学校指定のやや大きめのオーバーコートの裾ととおさげ髪が跳ねる。
一定のリズムで少女―――天野ミサキが吐く白い息が、冬の空気の中へと溶けていく。
「いや、そうでもないよ」
 嘘である。実際マサヒコはかれこれ一時間近く、ここに立っていたのだ。
だが、ここで「随分と待ったよ」という台詞を口にしては、男が廃るというものである。
「ごめんね、委員会の会議が長引いちゃって・・・・・・」
 ミサキも、マサヒコが立ちんぼうだったのはわかっている。
時間指定をしたのはミサキの方だからだ。
終業式の後の学級委員会は一時過ぎには終わるはずだと、ミサキは携帯でメールを送った。
だが議論が紛糾し、会議が長引いてしまったのだ。
会議の最中では携帯で連絡も出来ず、結果、マサヒコを寒中に一時間以上も待たせることになってしまった。
「本当にごめんね・・・・・・寒かったでしょ?」
「でもないさ」
 マサヒコはミサキに笑ってみせた。
それは、ミサキには眩しく見えた。
まるで、春の陽光のような、穏やかな暖かさを感じさせる笑み。
「……ごめんね」
 三度目の謝罪の言葉を口にし、ミサキはマサヒコの頬へそっと右手を伸ばした。
手袋の向こう側から、マサヒコの肌の冷たさがミサキへと伝わっていく。
「だから、気にするなって」
 マサヒコの方は逆に、掌を当てられた左頬に痺れに近い暑さを感じた。手袋の温さ、ではない。
「はは……ミサキ、あったかいな」
「……マサ君」
 マサヒコにとって、何かを待つ時間というのはさして苦痛ではない。
それに、ミサキだって遅れようと思って遅れたわけではないから、怒る理由などどこにもないのだ。
「じゃ、行こうか」
「あ……」
 ミサキは手を引っ込めた。
その頬が少し赤い。
寒さのせいではなく、照れと恥ずかしさを覚えたためだ。
男女が向かい合って、頬と掌で体温を交換するその行為に。
「ほら」
 マサヒコはオーバーコートのポケットに突っ込んでいた左手を抜くと、ミサキの方へと差し出した。
「うん……」
 ミサキは躊躇わずに、その手を握り返した。
そして二人は手を繋いで、校門の前から大通りを下へと向かって歩き出した。
「英稜は早く終わったの?」
「ああ、俺は昼から学校に用事は無かったしな。
家へ帰って着替えるくらいの時間の余裕は十分あったさ」
 校門から二十メートル程離れたところにあるバス亭を、二人は通り過ぎた。
バスが来るまで時間があったし、それに何より。
「その店ってのはどこにあるんだ?」
「駅の北口を降りたら、目の前にデパートに繋がる道があるでしょ?
その右手のパチンコ屋さんの奥、商店街の端っこにあるの」
「じゃあ前を通ったことが何度かあるな。でも、気がつかなかった」
「聖光の女の子の間じゃ、ちょっとした噂になってるよ。素敵な服がたくさん置いてあるの」
「へえ、そうなのか」
「女性向けのお店だから、マサ君が気づかないのも無理ないよ」
「そりゃ、そうかもしれないけどさ」
 バスに乗ってしまったら、こうして“二人の会話”をゆっくりと楽しむことが出来ないではないか。
手を握り合って、肩を寄せ合っていれば、それだけで温かいし、
互いの言葉が耳に届く度に、音声が熱となって体の芯へと届いていく。
それを繰り返せば、もう寒さなんてへいちゃらなのだ。

                 ◆                     ◆
344ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:14:33 ID:8xUlQrfT
「これ、これが欲しかったの!」
 ミサキは一枚の服を手にとって、にっこりと微笑んだ。
「どう、かわいいでしょ?」
「あ、うん」
 かわいいでしょも何も、女性の衣服に関してはとんと疎いマサヒコである。
適当に相槌をうつしかない。
ミサキがかわいいと言うのなら、きっとかわいいのだろう。
そういうことにしておいた。
「でも、いいのマサ君?これ、結構高いんだよ」
 やや心配そうな目つきで、ミサキはマサヒコを見上げた。
「あー、馬鹿高くなきゃ問題無いよ。
せっかくのミサキへのクリスマスプレゼントなんだから、多少は無理しても構わないさ」
「だけど……」
「いいって。大体、言い出したのは俺の方なんだからさ」
 クリスマスプレゼント、ミサキの欲しいものを何かひとつ買ってあげる。
マサヒコがそう言い出したのは、前回のデートの時だった。
プレゼントの正体を教えず、当日渡して初めてわかるというのも王道的で趣きがあるが、
それよりもミサキが本当に欲しいものをプレゼントしてあげたいというのが、マサヒコの考えだった。
事前にリサーチしても、結局は当たり外れがどうしても出てしまう。
ならば、渡す本人に直接選んでもらう方がいいだろう、というわけだ。
ミサキは素直に嬉しかった。
マサヒコから貰うのなら、物が何だとしても絶対にケチをつけるつもりはないミサキだったが、
そうやって考えて自分にプレゼントしてくれるというマサヒコの心づかいが、ミサキにはたまらなくジンと来た。
「この色、なかなか売ってないんだよ」
「へー、そうなんだ」
 ミサキが嬉しいのなら、マサヒコも嬉しい。
とは言え、互いに関心と知識に差があり過ぎると、往々にして会話のテンションが変になってしまう。
ミサキが手にしているのは、淡いピンク色のカットソーだ。
フードがついているのかとマサヒコは一瞬思ったが、どうやらそれは首周りの飾りのようだった。
服は普通に着れたらいい、余程不恰好でなければ構わない。
そういう思考のマサヒコには、何がかわいらしくて何が素敵なのか、違いがどうしてもわからなかった。
「マサ君が前にくれたペンダント、あれに合うと思うんだ」
「そ、そうかもしれないな」
 どうも、いろいろと勉強が必要なようだった。
345ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:16:00 ID:8xUlQrfT
「ありがとうございましたー」
 店員の声に送られて、マサヒコとミサキは店を出た。
二人が店内にいた時間は二十分程だっただろうか。
ミサキが欲しいものが決まっていて幸いだった、とマサヒコは思った。
下手をすれば、「あれもいいこれもいい」で延々ファッションショーにつきあわされる可能性もあったからだ。
まあ、それでもマサヒコはきちんと最後までつきあうつもりではいたのだが。
出費の方も税込みで6150円、さして分厚くないマサヒコの財布でも、十分に耐えうる金額だった。
「ありがとう、マサ君。本当に嬉しい」
 ミサキはにっこりと笑った。
そう、マサヒコにしてみれば、金銭や時間などたいした問題ではない。
このミサキの心からの笑顔が見たくて、プレゼントを贈ったのだから。
「そうか、ミサキが喜んでくれて俺も嬉しいよ」
 マサヒコはそう言うと、ミサキに微笑み返した。
ミサキも、マサヒコを困らせようなどとはハナから考えていない。
もちろん、今胸の紙袋の中に入っている服は、前々から欲しかったものだ。
形としては、マサヒコの好意にべったり甘えたことになる。
だが、恋人が両手を広げて待っていてくれるのに、それに飛び込んでいかなくて何が恋愛か。
甘えるべき時は甘える、それが正しいやり方なのだ(無論返すべきときは返さなければならないが)。
そうすれば、双方ともに幸せな気持ちになれる。
「うふふ」
「ははっ」
 好きな人にプレゼントをしてあげられること。
好きな人に甘えられること。
好きな人の笑顔を見れること。
それの、何と素晴らしいことだろう。
「さ、それじゃ帰ろうか」
「うんっ」
 手をしっかりと握り締めあい、ニコニコ顔で駅の改札口へと向かう二人。
どこから見ても、実にお似合い、幸せいっぱいのカップルだった。

                 ◆                     ◆
346ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:17:10 ID:8xUlQrfT
 CD/MDコンポから、女性ボーカルの透き通るような歌声が流れてくる。
マサヒコとミサキは、肩を寄せ合って、その歌を聴いていた。
今、二人がいるのは小久保邸のマサヒコの部屋だ。
こちらに帰ってきてから、ミサキは一度自宅に着替えに戻り、またマサヒコの家へとやってきたのだ。
「……」
「……」
 マサヒコの部屋は暖房が効いていて、とても暖かい。
携帯の電源はオフにしてあるし、玄関もロックしてある。
まさに二人だけの空間だった。
そう、実際に小久保邸は完全に“二人だけの”ものになっている。
マサヒコの父は出張しているし(本当にご苦労様なことである)、母は町内会のカラオケ忘年会で外出中。
ついでに言えば、ミサキの両親もともに外に出ていて、
天野邸と小久保邸は夜遅くまで二人だけしかいない。
「いい歌だね……」
「ああ、そうだな……」
 歌詞自体はありふれたもので、むしろラブソングとしては陳腐とさえ言えた。
だが、それを補って余りあるほど、歌手の歌声は抜群にキレイだった。
透明感に溢れていながら、それでいてはっきりとした存在感、自己主張がある。
「……」
「……」
 ミサキはマサヒコの肩へと頭を預けた。
マサヒコの心音が、ミサキの耳ではなく、体に直に伝わってくる。
トクン、トクンという優しい音。とても気持ちが落ち着く音。
ミサキは目を閉じた。小さく、すうっと深呼吸をしてみる。
自分の心臓の鼓動が、マサヒコにだんだんと同調していくように、ミサキには思えた。
「……」
「……」
 CDの音が、だんだんと二人から遠ざかっていった。
いや、CDだけではない。
二人を包む周囲全てが、静寂へと移り変わっていく。
もちろんそれは二人の錯覚なのだが。
「……」
「……」
 やがて、お互いの心音以外はまったくの無音になった。
トクン、トクン。
ドキン、ドキン。
それは、どんなスーパー・バンドも、名作曲家も奏でることが出来ない、極上のメロディ。
347ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:19:31 ID:8xUlQrfT
「あ……」
 果たして、どれくらいそうしていたのだろうか。
ミサキは、不意に覚醒して目を開けた。
すでにCDは止まっていた。
「……マサ君」
 ミサキはそっと、右斜めを見上げた。
マサヒコはまだ目を閉じている。
「……」
 眠っているわけでないのは、ミサキにはすぐにわかった。
ミサキが目を開けたのは、マサヒコが自分の首に腕を絡めてきたからだ。
「マサ、くん……」
「ん……」
 ミサキの呟くような呼びかけに、マサヒコはうっすらと目蓋を開いた。
ミサキはマサヒコの肩から、鎖骨の辺りに頭の位置をずらした。
さっきより大きく、マサヒコの鼓動が体に響いてくる。
「ミサキ……」
 マサヒコも、それに合わせて腕に力を込めた。
ミサキをもっと、自分の側に引き寄せるように。
トクン、トクン、トクン。
ドキン、ドキン、ドキン。
二人とも、心臓が体中に血液を送り込むスピードが段々と速くなっていく。
自分の心音と、相手の心音が、同調を通り越して、混ざり合っていくような感覚。
それの、何と心地良いことか。
「……マサ君」
「ミサキ……」
 ミサキは少し、体を伸ばした。
マサヒコは少し、頭を下げた。
同じタイミング、同じ速さで、二人の顔が、唇が近づいていく。
まるで、吸い寄せられる磁石のように。
どちらかが合図を送ったわけではない。
ただ、気持ちに素直なままに行動しただけだ。
「ん……」
「うん……っ」
 唇が重なった。
柔らかい感触。
唇を通じて、マサヒコの全てがミサキに、ミサキの全てがマサヒコへと伝わっていった。
表現のしようのない、凄まじいまでの幸福感が二人を包み込む。
「む……ん……」
「……あ……んっ」
 マサヒコが優しく、ミサキを両腕で抱き締めた。
ミサキもそれに応え、マサヒコの首を抱え込むように手を回した。
自然、ミサキはマサヒコの上に乗るような姿勢になる。
自分達以外に誰もいない、誰にも邪魔されない。
その事実が、二人を更に大胆にしていく。
「……ゅ……」
「は……ん……」
 ただ、唇だけを求める二人。
お互いの前髪が、鼻の頭に、目蓋に触れる
「はふぁ……」
「ああ……」
 たっぷり五分間、二人は唇を、舌を絡めあった。
顔を離した二人の、唇と唇の間に、銀色に妖しく光る細い唾液の橋がかかる。
348ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:21:01 ID:8xUlQrfT
「ミサキ……」
 マサヒコの手が、ミサキの肩からそっと下へと動き、腰と尻の境界へと、たどり着いた。
「あ……っ」
 マサヒコの両の掌が、その部分をさわさわと撫でていく。
ミサキはピクリと顎を震わせた。
「は、はん……はぁ」
 くすぐったいような、痺れるような奇妙な快感が、ミサキの腰から全身へと広がった。
マサヒコは同じような動きではなく、時に背中、時に太股の方へと動きを散らした。
ミサキの頭が、それを受けて、左右にビクリビクリと揺れ動く。
「マサ……くんっ……んっ」
「ミサキ、ミサキ……」
 マサヒコは顔を上げ、ミサキの耳たぶから首筋にかけて、ふうっと息を吹きかけた。
「ひゃぁあっ……っ!」
 ミサキがピンと体を仰け反らせた。
マサヒコの息がかかった部分が、異様に熱い。
だが数秒後には、逆に氷を押し付けられたように冷たくなっていく。
「ううっ、はぁぁ……」
 ミサキの紅潮した肌が、小刻みにブルブルと揺れ震えた。
ただひとつの思いが、腹の下、腰の奥の方から止め処なしに沸きあがり、ミサキの体を濡らしていく。
マサヒコが欲しい。マサヒコに全てをあげたい。マサヒコと交わりたい。
それは、愛欲や性欲を超越した、純粋な欲求。
「ミ、サキ……」
 自分の愛撫に細かに応える身体。
ふわふわと栗色の髪がゆらめく度に届く、甘い汗の匂い。
桜色の唇から漏れる、快楽に染まった薄い声。
視覚、嗅覚、聴覚、それらを通して脳に届くミサキの痴態が、マサヒコを昂ぶらせていく。
ミサキが欲しい。ミサキを支配したい。ミサキと交わりたい。
生物が誕生した時から続く、雌に対する雄の、透明な欲求。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「はぁ……すぅ、は……」
 直接、敏感な場所に触られているわけではない。
直接、敏感な場所を刺激しているわけではない。
だが、だからこそ、より一層感じてしまう、燃えてしまう。
「ああ……!」
 ミサキは嬌声をあげた。
スカートの中の下着、女性の部分の真下。
そこに何かの脹らみが触れたからだ。
「は……ぅ」
 マサヒコは大きく息を吐いた。
トランクス、そしてジーンズを突き破らんばかりに猛った、己の分身。
そこに、何か柔らかいものが当たったからだ。
「マ、マサ……ちゃ……ん」
「ミサキ、ミサキ、ミサキ……」
 布三枚を隔てて伝わる、互いの興奮の具合。
マサヒコとミサキは、数度腰を動かし、そこを押し付けあった。
「ミサキ、俺……っ」
 マサヒコがとうとう侵入線を突破した。
ミサキのスカートをたくしあげると、ショーツにその指を這わせたのだ。
「は、ひゃっ!あっ!」
 それも一瞬、次にはマサヒコの手はミサキの太股を上から押さえるように掴んでいた。
そして、やや強引に割り開いた。
「あーっ!」
 ミサキはマサヒコの首にしがみついた。
マサヒコの脹らみが秘所を擦る勢いが、先程の倍近く速くなる。
「あっ、あっ、あっ……!」
 マサヒコは太股から手を離すと、ミサキの背中に手を回して優しく抱きしめた。
その背中の上下動に合わせて、荒い呼吸音が近くなったり遠くなったりする。
349ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:22:36 ID:8xUlQrfT
「ミサキ……」
「マサちゃん……」
 ミサキのマサヒコの呼び方が、“君”から“ちゃん”に変わっていた。
いくら何でも小さい子じゃないんだから、ちゃんづけはやめてくれ。
互いをまた名前で呼ぶようになった時、マサヒコはミサキにそう言った。
ミサキは少し寂しい気もしたが、マサヒコの男としての気持ちもわかったので、素直に従った。
だが、そうは言っても染み付いた癖は簡単に直るものではない。
こういうときは、どうしても“君”から“ちゃん”に戻ってしまうのだ。
「マサちゃん、マサちゃん……!」
「ミサキ、ミサキ……」
 また、二人は顔を寄せ、キスをした。
先程のよりももっと濃厚に、舐り、重ね、吸いあう。
それぞれの口の端から、唾液がきらりと光って垂れていく。
「ああ……」
 ミサキはマサヒコの首を解放した。
二人の瞳は、まるで熱病に冒されたように焦点を結んでいない。
快楽の幕が、覆いかぶさっている。
「ミサキ……足、を」
 マサヒコが呟いた。
ミサキは小さく頷き返した。足をどうして欲しいのか、聞かなくてもわかっている。
「んん……」
 腰を浮かし、後ろに重心をかけ、手を絨毯の上につく。
秘所をマサヒコに突き出すような格好だが、ミサキの頭には恥ずかしいという思いは無かった。
むしろ、悦びが脳内に満ちていた。
「……」
 マサヒコは手を伸ばすと、ミサキのスカートの乱れを直し、あらためてたくし上げた。
そして汗と淫らな液で濡れたショーツに指をかけ、ゆっくりと引き下ろしていった。
「……ああっ」
 ミサキは顎を上げると、蕩けたように息を吐いた。
愛する人に、下着を剥がされている。
身体の中で一番恥ずかしい場所を見られている。
その事実が、ミサキの心、女性の淫蕩な部分をチリチリと刺激し、焼き焦がす。
「ん、ん……」
 ショーツが膝まで達した。
ミサキは右足だけを動かし、マサヒコがショーツを脱がせ易いように体勢を変えた。
やがて、ショーツはミサキの右の爪先を通り越した。
マサヒコも、全部剥ぎ取ってしまうという無粋な真似はしない。
ミサキの左の膝、太股の下部に、ショーツを残したままにしておく。
「ミサキ……」
 次に、マサヒコは自分のジーンズのジッパーを摘んだ。
ゆっくり、ゆっくりと、自分を、そしてミサキを焦らすように下ろしていく。
「ああ……!」
 ミサキが色づいた声をあげた。
今さっきまでジーンズとトランクスの下に押し込められていた、マサヒコの分身。
枷を外されたそれは、文字通り飛び出るような勢いで、雄々しくそそり立った。
「……」
「……」
 マサヒコがミサキの顔を見た。
ミサキも、マサヒコの顔を見た。
互いが、何を欲しているか、そこに書いてあった。
 ミサキは腰に力をいれ、床から手を離した。
再び膝立ちに、跨るような姿勢を取ると、自身の真下にあるマサヒコのそれに、指を絡めた。
「は……っ!」
 マサヒコの口から、快楽の響きが漏れた。
「ん、ん、んん……」
 マサヒコのペニスは十分な硬さであり、それ以上の興奮は必要が無かったが、
あえてミサキは撫でるような優しい手つきで扱いた。
350ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:24:10 ID:8xUlQrfT
「ミ、ミサキ……ッ!」
 悲鳴に近いマサヒコの声が、ミサキの脳髄を焼く。
淫らな格好で、マサヒコに跨っている。
マサヒコの、硬くなったそれをいじくっている。
マサヒコが、自分の手で気持ち良くなっている……。
それは肉体ではなく、精神のセックスだった。
「はぁ……」
 ミサキは手を止めた。
そして、マサヒコのそれと、自分の秘所が重なるよう、狙いを定めて腰を動かした。
下になっているマサヒコも、ミサキの太股の裏を支えるように持ち、その動きを助けた。
「あ……!」
「くっ……!」
 マサヒコの先端が、ミサキの濡れた門に触れた。
「マ、マサちゃん……っ」
「……ミサキィ」
 マサヒコとミサキは、そこで一度身体の動きを止めた。
ミサキはそっと、マサヒコの方へと両手を伸ばした。
マサヒコも同じく、両手を持ち上げた。
二人の掌がくっつき、指と指が絡み合う。
「あ、あ、あ、あ……あーっ!」
 ミサキが腰と太股の力を、そっと抜いた。
「うっ、くうっ!」
 マサヒコが腰を、ゆっくりと突き上げた。
「あ……ああ……あ……あ!」
「お……うっ……く、は、っ」
 マサヒコのものが、ミサキの中へ徐々に埋まっていく。
二人とも、もうまともな思考力は失っていた。
恋人としてつきあい始めてから、もう何度もこうやって肌を重ねたけれど、
冷静さを保ってセックスしたことなんて一度もない。
それは若さゆえなのか、それとも性格のせいなのか。はたまた本性が淫らなためか。
どれか一つが正しいというわけではなく、どれもがみな正解なのだろう。
そして、愛しすぎる程に互いを愛しているために、落ち着いた心のままで交われないのだろう。
それは、あまりに幸せな、幸せ過ぎる恋人の形と言えた。
初めての時も、二度目の時も、三度目の時も。
マサヒコの部屋でした時も、ミサキの部屋でした時も、ラブホテルでした時も。
何時も同じように愛と性欲の炎が燃え上がり、ただ相手のみを求める。それ以外には何もない。
351ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:25:24 ID:8xUlQrfT
「ふ、あ、ああぁぁ……」
「うっ、う……うう」
 マサヒコの腰と、ミサキの尻が密着した。
マサヒコの全て、ミサキの中に入った。
ミサキの全てが、マサヒコを包んだ。
「マサ、ちゃ、あっ、あっ、ああっ!」
「ミサキ、ミサキ、ミサキッ!」
 これ以上、ミサキもマサヒコも我慢が出来なかった。
欲しかった。相手の全部が欲しかった。
貪りつくしたかった。飲みつくしたかった。
「ミサキ、ううっ!」
 激しく腰を上下させるマサヒコ。
ミサキも一心不乱にその動きに合わせた。
「マサちゃあん、マサちゃあん……!」
 二人の体中の血管を、もの凄い勢いで快楽が駆け巡る。
「くっ、い、いいっ……ミサ、ミサキ!」
 マサヒコはぎゅっとミサキの手を握った。
その力を強くする度に、ミサキの秘所の締め付けも強くなっていく。
「あん、マサちゃ、き、気持ち、い、あ、あ、好き、好き、好きぃ」
 ミサキもマサヒコの手をぐっと握り返した。
そうすると、マサヒコの突き上げる速度が速くなっていく。
「ミサキ、好きだ、好きだっ」
「マサちゃん、あっ、いいよぉ、も、もっと」
「ミサキ、ミサキ、ミサキ、ミサキ、ミサ、キッ!」
「マサちゃん、マサちゃん、マサちゃん、マサちゃあん!」
 限界が訪れようとしていた。二人一緒に。
「くっ、ミサキッ、で、出るっ!」
「ああっ!いくっ、マサちゃん、んぅ!」
 マサヒコは繋いでいた手をミサキの腰に移すと、掴んで持ち上げようとした。
わずかに残された理性が働いたのだ。
そしてそれは、ギリギリで成功した。
「あっ、くうっ!」
「あ、あ、あ、あ、ああんんーっ!」
 マサヒコのペニスの先から、熱い精液がほとばしった。
それはミサキの陰毛にかかり、どろりと引っかかった。
「あ、う、は、は……ぁ……」
「あ……ああ……ぁ……」
 マサヒコは力を使いきり、ミサキの腰から手を離した。
ミサキがガクッとマサヒコの方へと倒れ込んだ。
マサヒコのペニスは、今度はマサヒコ自身のお腹とミサキのお腹に挟まれる形になった。
射精はまだ止まらず、互いの腹から脇腹にかけて、吐き出された精液が広がり、衣服に染み込んでいった。
「は……ぁ……ミサ、キィ……ッ」
「マサち、ゃ、ん……」
 そのままの格好で、二人は動けなかった。
二人の体から湯気がうっすらと立ち上った。暖房が効いていて、暖かいはずの部屋に。
「……」
「……」
 マサヒコの手が、パタンと床に上に投げ出された。
と、マサヒコの指先がCD/MDコンポのリモコンに当たった。
ピッとスイッチが入り、軽やかな音楽がコンポから流れ始めた。
 二人以外の“音”が、また戻ってきた。

                 ◆                     ◆
352ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:30:32 ID:8xUlQrfT
 コトが終わってからも、二人はなかなか起き上がれなかった。
これまた、何時ものことだった。
余韻を楽しんでいたわけではない。まだ二人には、そこまでの余裕のあるセックスなど出来ない。
全力で愛しあう結果、体力を使い果たしてしまうのだ。
このまま眠ってしまいたい二人だったが、そうもいかないのが現実だ。
汗と精液で汚れた体と服をどうにかする必要があったし、それに何より、マサヒコの母が帰ってきてしまう。
性に理解がある母とはいえ、幾らなんでも、こんな姿を見られるわけにはいかない。
マサヒコとミサキは支えあうように風呂場へ行き、シャワーを浴び、湯船に浸かった。
二人して入浴するなど、これまた若い男女からしてみればたまらないシチュエーションなのだが、
ここで二回戦に突撃するような勇気も体力もさすがにどちらにも無かった。
若いんだから何発でも、というのはぶっちゃけファンタジーなのだとマサヒコとミサキは理解した(何とも妙ではあるが)。
で、風呂から出た後、マサヒコは自分に分だけ、汚れた衣服を洗濯機に放り込んだ。
ミサキの分は自宅に持って帰ってもらうことにした。
ミサキの服だってすぐにでも選択したいのだが、それをすると、
明日の朝、小久保邸のベランダに女性物の下着が二人分、干されることになってしまう。
それは世間的に見てちょっと、いやかなりマズイ。マサヒコの母はニヤリと笑うだけで済ませるだろうが。
二人は着替えを済ませると(ミサキは代えの衣服を家から持ってきていた。つまりやる気満々だったわけで)、
キッチンへと向かった。体力を使ったから、というわけではないが、腹が減ったのだ。
で、テーブルの上を見て二人は絶句した。

「……こりゃ、何だ」
「……」
 ラップをかけられたハンバーグとポテトサラダ、そして茶碗、ソース等々がきちんと並べられていた。
「か、母さん……」
「あは、は……」
 帰りが遅くなるということで、マサヒコの母はちゃんと晩御飯の用意をしてくれていたのだ。しかも二人前。
確かに晩御飯は家で食べるとは言った。
だが、今日ミサキが来ることをマサヒコは母に伝えていないのだ。
二人がつきあっているのを母は知っている。
知っているが、それにしてもこの手回しの良さ勘の良さは何なのか。
晩御飯だけではない、お風呂まで沸かされていたのだから、もう何と言っていいのやら。
きっとニヤニヤ顔で準備していたのだろう。
きっと今頃は、いい気持ちでマイクを握っているはずだ。
「まったく……」
 マサヒコは、湯飲みの下に挟まれたメモを手に取った。
それには、こう書かれていた。

 帰りは遅くなります。遅くしてあげます。
 晩御飯は用意しておくから、レンジでチンして温めること。
 ミサキちゃんも、アンタのチンで熱くしてあげること。

 P.S
 マサヒコ、あんたバレバレ。
 学校から帰ってきて鞄放り出して着替えてすぐ外へなんて、
 これからデートですって体で言ってるようなもんじゃん。
 濱中先生に電話したら、クリスマスパーティは明後日だって言うし、もう間違いないわよね、これ。
 天野さんちもウチもどっちも両親が遅い。
 で、アンタは出ていったクセに家で御飯を食べると言った。
 アンタとミサキちゃんはつきあってる。さあ、ここから導き出される答はなーに?

 P.SのP.S
 サンタさんはコウノトリとは違います。この歳で私はお祖母さんになりたくありません。
 私と父さんを見習って、避妊は計画的に。
                                                              』

 マサヒコとミサキは顔を見合わせた。
何も言わなかった。言えるはずがなかった。
 
                 ◆                     ◆
353ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:32:39 ID:8xUlQrfT
「寒いねー……」
「ああ、寒いな」
 ミサキとマサヒコは、夜の道をぶらぶらと歩いていた。
互いの家は直線にして十メートルも離れていない。
会おうと思えばすぐに会えるということもあり、デートの終わりは引き摺らない二人ではあったが、
何故か今日は離れ難く、こうして冬の夜空の下で散歩とあいなったのだ。
「マサ君、クリスマスプレゼントのことなんだけど……」
「うん?」
「あの、本当にありがとうね」
「ははっ、もういいって」
「それでね、あの、私の方のプレゼントなんだけど……」
 ミサキは下をむき、モジモジとしながら言葉を続けた。
「……クリスマスには、間に合わない……かも」
「?」
 マサヒコは首を傾げた。
ミサキの言っていることがよくわからない。
「それって、どういうことだ?」
「あの、その……マ、マフラー、なんだけど」
「はあ、マフラー」
 マサヒコは自分のマフラーの端を持ち上げた。
マフラーと言えば、この首に巻くコレだろう。
バイクのマフラーなんかではあるまい。
「て、手編みで……作ってるの、その、マサ君のために」
「え、そうなのか!?」
 ウン、と小さく、ミサキは頷いた。
「でね、あの、わ、私……家庭科、得意じゃないから……」
「ははあ……」
 ここまで来ると、いかにニブチンのマサヒコでもわかるというものだ。
ミサキはマサヒコのために手編みのマフラーを作っているのだ。
だが、元来家事全般に不器用な彼女のこと、努力に結果が付いてきていないのだろう。
マサヒコがミサキに「好きなものを買ってあげる」と事前に宣言したにも関わらず、
ミサキの方からマサヒコにプレゼントの件で話が何一つ無かったのは、そういうことでもあったのだ。
上手く作れてないという事実と、ナントカして完成させて、マサヒコを驚かせてやろうという思い。
「あの……お、お正月まで待ってくれたら、どうにかなる……かも」
「正月って、お前……」
 マサヒコはあきれた。
それではクリスマスプレゼントではなく、お年玉だ。
「くっ、ははっ」
 マサヒコは不意におかしくなってきた。
いかにもミサキらしいと思ったからだ。
「あ、な、何で笑うの?」
 対照的に、ミサキは今にも泣き出しそうな顔になった。
マサヒコは笑いを止めると、ミサキの肩に手を回し、そっと引き寄せた。
「いいんだって、どんなに格好悪くても、俺は気にしないよ」
「あ、ひどいマサ君」
「ミサキがくれるものに文句なんて言うもんか」
「え」
 その一言で、ミサキの顔はリンゴのように真っ赤になった。
「ミサキの気がすむようにしたらいいさ。俺は期待してずっと待ってるから」
「マ、マサ君……」
「だから、それまでは」
 マサヒコはミサキのマフラーと自分のマフラーを解いた。
そして、端を端を括り、一本に繋げた。
「これで我慢してるからさ」
 そう言うと、マサヒコはそのロングマフラーを自分の首に巻き、
次に反対側をミサキの首に巻いた。 
354ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:33:46 ID:8xUlQrfT
「あ、うっ」
 マサヒコが動くと、ミサキはどうしてもマサヒコの方へと着いていかなければならない。
「……マサちゃん」
「ん?」
「あの……クリスマスプレゼント、このロングマフラーじゃ、ダメかなあ」
「……そりゃ卑怯だぞ。初志貫徹、ぜひ手作りマフラーを完成させてくれよ」
「う、うん……」
「よしよし」
 仕事帰りと思われる壮年の男性が、怪訝そうな顔をして二人とすれ違った。
マフラーによって繋がれた若い男女を見て、果たして彼はどう思ったことか。
「んっ?」
「ひぎゃ」
 マサヒコは不意に立ち止まり、顔を天へと向けた。
首を引っ張られ、ミサキはカエルのような少々情けない声を出した。
「な、何?マサ君」
「……今、降ってきた」
「え?」
 ミサキも、マサヒコと同じように上空を見上げた。
「あ……!」
 ミサキは息をのんだ。
暗い闇の向こうから、白く輝く小さな冷たい塊が、ふわふわと降り落ちてきている。
「雪、だ……!」
「ああ、雪だ……」
 二人は立ち止まったままで、舞い落ちてくる雪を見た。
街灯のあかりに反射し、何とも言えないくらいにキレイだった。
「……積もる、かな」
「かもな」
 二人が息を吸い、吐くその一つの動作の間にも、雪の勢いはどんどんと強くなっていく。
「ホワイトクリスマスになる、かな」
「明後日まで降り続けば、そうなるな」
 街灯の下で空を仰ぐ二人を、もし、別の場所から二人を見る人がいればきっとこう思っただろう。
街灯がまるでスポットライトのようだ。
その下に立つ二人に降り注ぐ雪は、まるで祝福の銀色の紙吹雪のようだ―――と。
「……さ、本格的に降る前に帰ろう。風邪引いたら、明後日のクリスマスパーティに出席出来なくなるぞ」
「そうだね、もし休んだら、皆から怒られちゃう」
 マサヒコは、マフラーを引っ張った。
つられて、ミサキはマサヒコに体を張り付かせた。
「……ふふふ」
「ははは……」
 ミサキは笑った。
マサヒコも笑った。
そして、早くも薄く積もりつつある雪に足を取られないよう、
気をつけながらゆっくりと歩調を合わせて歩き出した。
自分達の家へ、帰るために。
銀色の紙吹雪の中を、肩を寄せ合って。




          F        I        N
355ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/25(日) 03:36:01 ID:8xUlQrfT
以上です。
何とかクリスマスに間に合いました。
仕事と生活の隙間を縫って短い時間で書き上げたので、誤字脱字展開の甘さ等、不備な点がいろいろあるかもしれません。
クリスマスなどの行事ネタは旬が命ですので、それを優先させてもらいました(実は土日も仕事でして)。
読みにくかったりしたら申し訳ありません。
当初はもっとベタベタバカップルにするつもりだたんですけど、徹底しきれませんでした。

エロ描写に少し行き詰まりを感じています。
他の職人さんのハァハァ&エロスな文章がとてもうらやましい。
少なくとも、濱中連載終了と思われる来年の3、4月までは頑張りたいのですが……。

とにかくシンプル&エロス、これを目標に書いていきたいと思います。
356名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 03:50:19 ID:45bRBX7k
ピンキリ氏 GJ!!!

もう、ラブラブなSS大好きですよ!最高っす!!
357名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 04:00:35 ID:GChZyt0N
ピンキリ氏GJ
十分ベタベタバカップルで良かったですよ
この二人がメインの話を読むと、氏家スレがたって最初に投下されたあの作品を思い出すわけだが
あれから随分作品が投下されたものだ

職人の方々に感謝感謝
358名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 04:28:47 ID:xz/AeT4m
あまぁ────────────いっ!!!
甘い、甘すぎるよピンキリ氏。
クリスマスケーキなんか目じゃない位甘過ぎるよ。
最高っす!
359名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 09:03:47 ID:wIqH9PDm
laveというよりlikeな関係のミサキとマサヒコやね。。
360名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 12:18:02 ID:1Vh8IL02
ピンキリ氏GJ!
エロすぎ
361名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 12:29:05 ID:endjw+76
>72氏
GJ!
マナカといえばクリス○ス、クリス○スといえばマナカですね!

>ナット氏
こちらもGJ!
カオル大好きです、エロカワイイカオルはもっと好きです!

>ピンキリ氏
大作乙でした!
限界を感じておられるとのことですが、『物語』にしようとするあまり
いろいろ詰め込みすぎになっているのではないでしょうか?そんな気がしました


みなさん乙カレーさまでありました
寒いですので体調には気をつけてくださいね!
362361:2005/12/25(日) 12:59:30 ID:endjw+76
うは、クリス○スってなんですか、クリ○リスだよおれの馬鹿め…orz
363541 ◆05jvyNSqBM :2005/12/25(日) 16:04:34 ID:k+wUird9
久々に続編投下します。

タイトル:リョーコ14歳/始動
内容:リョーコ×関根先生、エロなし、萌え少々?

前作の「反撃」と「逢瀬」の間の話です。保管庫収納の際には間に入れてください。
364リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/25(日) 16:06:23 ID:k+wUird9
§ 始動

「はあ、はぁ、はぁ」
リョーコは荒い呼吸をしながら懸命に耐えていた。
心臓がバクバクして、胸が苦しい。
体中に疲労が蓄積しているのがわかる。
だが、ここで止まるわけにはいかない。
(このリズムをキープしなくちゃ、あと少しなんだから)

腕を振り、脚を伸ばし、腰を捻る、一定のリズムで。
前髪が汗で額に張り付く、口の中が粘液でネバネバして気持ち悪い。
頭の芯がボーッとしてくる。
(ああ、来たわ)
体がふわりと浮く感じ、背中から爪先までジンジンする。軽い耳鳴り。
(このまま、どこまでもいけそう)

視野が狭くなり、景色がスローモーションで流れていく。
リョーコは陶然として、この苦行に埋没していった。



「中村! ラスト500mだ。ピッチアップ」
コーチの声が耳に届く、リョーコは足を繰り出すリズムを早める。
長距離陸上選手として大会に出たリョーコは、ゴール手前でついに先頭集団に
追いついた。ランナーズハイのおかげで苦痛は感じない。心臓は悲鳴を上げて
いるが構わず加速する。周囲の選手もピッチを上げた。

「ラスト200m、スパート、スパート」
更にダッシュ、耳元で風が唸る。先頭集団から抜け出しトップに踊り出た。
トラックの最終コーナを疾走するリョーコに、誰も追いつけない。
ゴールがぐいぐいと迫ってくる。
リョーコは勝利を確信した。

その直後のことだった。
足元でグギッと嫌な音がして、リョーコの視界が斜めに傾く。
(え?)
無理なスパートで筋肉が痙攣を起こし、足がもつれて転倒したのだ。
トラック上に倒れ伏した彼女の横を、ライバル達が駆け抜けて行く。
慌てて起き上がり、必死に後を追うが、もう追いつかない。
リョーコは3位でゴールした。
365リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/25(日) 16:06:56 ID:k+wUird9

格子窓から斜めに差し込んだ夕日が、畳をオレンジ色に染めていた。
ジャージ姿のリョーコは、柔道着姿の関根に一礼する。

「先生、お願いします」
「中村、昼間の陸上大会で疲れていないか?無理することはないぞ」
「いいの、私が先生に頼んだことなんだし」

レイプ未遂事件の後、リョーコは関根から護身術の指導を受けていた。
自分の身を守れるようになりたい、そういって関根に指導を承知させた。
だが、それは口実。リョーコの本音はもっと別のところにある。

「そうか、では先日の“体さばき”の続きをやろう」
「はい」

関根がリョーコの腕を掴む、リョーコは相手の力に逆らわずに体を横に流し、
脇に踏み込みんで、相手の体勢を崩しにかかる。

「そこだ、手首をとれ」
「はい」
「そのまま背中側へ捻り上げろ」
「はい、、あっ」

リョーコは関根の腕の関節をきめて床に押し倒そうとしたが、突然、足首に激
痛が走り、畳の上に倒れこんだ。

「中村、大丈夫か」
「…痛い」
「どこが痛いんだ?」
「…足首」

関根は、リョーコのジャージの足元をめくり上げた。彼女の左足首の関節が赤
く腫れていた。

「中村、ゴール前で転倒したと聞いたが、これはその時にやったのか?」

リョーコは痛みに顔を歪めたまま頷いた。
関根は道場のロッカーから湿布薬と包帯を取り出し、手早く処置を行った。
柔道部の顧問だけあって、捻挫の対処は手馴れたものだ。

「痛みが落ち着くまで、しばらく横になっていろ。
 足首をこの台に乗せて、心臓より高い位置にくるようにしておけ」

関根はそういって立ち上がりかけたが、袖をリョーコに掴まれた。

「先生…私を一人にしないで」
「わかった。どこにも行きはしない」

関根はリョーコの横に座った。
366リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/25(日) 16:07:33 ID:k+wUird9

部活動も終ったこの時間、校内にはほとんど人が残っていない。
先ほどまで道場に差し込んでいた夕日も消え、二人は薄闇と静寂に包まれてい
た。横になっていたリョーコがその沈黙を破る。

「先生、質問」
「なんだ」

「彼女はいるの?」
「な、な、なんだそれは」

「いないの?」
「どっちでもいいだろう」

「ふーん、いないんだ。もてるタイプじゃないものね、先生は」
「ほっとけ」

日頃、他人対してクールな態度をとるリョーコだったが、今日は饒舌だ。

「ファッションセンスは最低だし」
「あのなー、男は外見じゃないぞ」

「貧乏そうだし」
「男は、外見でも金でもないぞ」

「じゃあ、何?」
「男の価値は、強さと優しさだ」

「先生…恥ずかしい台詞禁止」
367リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/25(日) 16:09:08 ID:k+wUird9
柔道部顧問にして生活指導担当の関根は、生徒にとっては煙たい存在だ。
あの事件の夜までは、リョーコにとってもウザイ教師の一人に過ぎなかった。

「あの時、私を見捨てないって言ってくれたよね」
「ああ」

「私、それを聞いて嬉しくて泣いちゃった」
「…」

「あの時の先生、地味にカッコ良かったよ」
「ガキのくせに、おべっかつかうな」

関根はリョーコの頭に手を置くと、くしゃくしゃと髪をかき混ぜた。
彼らしい照れ隠しだった。こういう不器用さがリョーコには好ましく思えた。
こうやって構って貰うのが嬉しい、だが気持ちとは裏腹な言葉を口にする。
それがリョーコの照れ隠し。

「やめてよ、髪が絡まるでしょ!」

「ああ、ガキはそうやって文句たれてるほうが良いな。
 さて、捻挫の痛みも治まったなら、帰るとするか」
「うん」

「立って歩けるか?」
「んー、ちょっと無理」

「仕方ないな、車で家へ送ってやる」

関根はリョーコの腕を肩にかけると、ひょいと背負い上げた。
リョーコは関根の肩にぎっしゅとしがみついた。
関根の背中から伝わる無駄に高い体温が心地よい。
リョーコは幸せな気分に浸ったが、関根に完全に子供扱いされているようで、
少々気に入らない。

「先生」
「ん?」
「私のおっぱい、背中で感じる?」
368リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/25(日) 16:11:15 ID:k+wUird9
とりあえず前半完了。続きは後ほど投下します。
録り溜めたARIAと蟲師を消化しないと…
369518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:27:22 ID:2hBMNzu8
クリスマスも残りわずか。
皆さんは楽しめましたか?
私は…………いや、何も言うまい。

予告どおりの投下。
NGワードはまたまたまた「エロなし」
そんなんばっかだな。
370518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:28:18 ID:2hBMNzu8
幼馴染とラブラブ!それがグローバルスタンダード 〜天野ミサキ編〜



今朝方まで降っていた雨は止みはしたが、水溜りに映る空は鈍色。
せっかくのクリスマスだと言うのにまだまだ怪しい空模様。
「降ってきそうだね」
空を見上げて、ミサキはポツリ。
「マサ君もそう思わない?」
隣りを歩くマサヒコに同意を求めるが。
マサヒコはぐったりしている。
「大丈夫マサ君?」
「……一応な」
彼がこれほど疲れているのはもちろんわけがある。

今日はクリスマス。
キリスト生誕を祝う日なのだが、そんな事このちっちゃな島国の人間は知ったこっちゃない。
騒げればいいのだ。
それが恋人と一緒なら尚のこと。
まあそんなわけで。
まだまだ初々しいカップル、マサヒコとミサキもそのお祭り騒ぎに便乗。
朝、わざわざ外で待ち合わせて映画(ミサキの強い希望で恋愛モノ)を見て。
昼、パスタがおいしいと評判の店でランチ。
夜、小久保家天野家合同でのパーティー。
以上のように今日の予定は盛りだくさん。

そして二人はつい先ほど食事を終わらせ家への帰途についているところ。
「なあミサキ」
「なに?」
「なんで、あの店に、あんなにも、大勢、お前の、クラスメートが、居合わせたんだ?」
一字一句、区切って強く言うのはマサヒコが怒っている時の特徴だ。
もちろん長い付き合いのミサキはそのことを重々承知。
「えっと……あはは、なんでだろう?」
ジャージー姿の二人組を思い出しつつそう言ってごまかそうとしたミサキだが、
「ミ・サ・キ!」
「う……」
そうもいかないらしい。
マサヒコ君、珍しく御立腹気味。
「えっと、実はね。今日のデートのコースは教室で考えてたんだけど。
そしたらあのお店のパスタがリーズナブルでおいしいよって教えてくれた子がいたの。
だから多分そのルートで今日のことがばれたんだと思うの」
「なるほど」
その結果、件の店にはミサキのクラスメート達が大挙して押しかけ。
マサヒコはパンダか珍獣かと思われるほどの扱いを受けたのだ。
「前々からみんなマサ君に会いたいがってたから。ごめんね」
そう言って上目使いにマサヒコを見つめる。
実はマサヒコ、ミサキのこれにかなり弱い。
昔と違い身長差のできた今、これをやられると弱い。
なんだかとっても弱い。
白旗を振るしかなくなってしまうのだ。
371518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:29:04 ID:2hBMNzu8
「いいって。別に本気で怒ってるわけじゃないんだから」
「うん、わかってる。マサ君優しいから」
そう言ってにこりと微笑む。
「だからホントはクラスの友達ともっと早く会って欲しかったんだよ」
「なんで?」
「だって……自慢したいんだもん。マサ君のこと」
「……」
「見せびらかしたいんだもん。この人が私の彼氏だ!って」
「……」
「…照れてる?」
図星を指され、ごまかす意味でミサキの髪をくしゃくしゃっとする。
「わっ!?……もう!せっかく綺麗にセットしたのに」
頬を膨らませて手櫛でセットし直す。
「なあ、ミサキ」
「なにマサ君?」
「じゃあ俺もいいよな?」
「え?なにが?」
「お前のこと紹介してもさ。俺だって見せびらかしたいんだよ。
どーだかわいい彼女だろ!ってな」
マサヒコの言葉にミサキはちょっと驚いた様子だったが、
「うん!」
笑顔で頷いた。
「私頑張るよ。マサ君が自慢出来るような彼女になれるように!」
「頑張るって……何を?今でも十分自慢になるぜ。聖光行ってて、頭だっていいんだから」
「ううん。そんなのよりもっと大事な事」
「なんだよ?」
「お料理!いつかマサ君のお弁当つくってあげるから。
その時に自慢して。「これが俺の彼女が作ってくれたお弁当だぞ」って」
「……ああ」
先の長そうな話だと思ったがなにも言わない。
先は長いだろうが、彼女ならいつか必ずやり遂げるだろうから。
努力家の彼女なら。
その事を一番よく知っているのは……自分なのだから。
「今日のパーティーの料理私も作るんだ。楽しみにしててね」
「ああ。もちろんだよ」
そう言うと。
彼女は嬉しそうに笑って。
ちょっと照れたのか、赤い顔を見られないように。
軽い足取りでマサヒコの先を歩いた。



372518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:29:34 ID:2hBMNzu8
天然少女の魅力にメロメロ!クラスメートとの甘い関係 〜的山リンコ編〜



軽い足取りでマサヒコの先を歩いていたリンコが不意に振り返る。
「ね〜小久保君。雪降らないかな?」
「さあどうだろう。夕方からは雨が降るって話だけど……」
そう言って地面に目をやる。
昨夜の雨で出来た水溜りは寒さのせいで凍りついている。
「気温もかなり低いみたいだし、ひょっとしたら雪になるかもな」
「ほんと!?だったら今日はホワイトクリスマスだぁ!!」
大喜びでピョンピョン跳ねまわるリンコ。
危なっかしげにその様子を見ているマサヒコ。
すると案の定。
「わぁ!?」
地面の氷に足を取られ、すってんころりん……とならぬよう。
マサヒコが手を差し出しリンコを抱きとめる。
「危ないぞ」
「っとと。ありがと、小久保君」
ギュッと抱きついてくる。
ちなみにここは往来。
人通りもあるし、モチのロンに人の目はその二倍ある。
恥ずかしい。
「離れろ」
マサヒコはリンコを引き剥がす。
するとリンコは、
「む〜……小久保君冷た〜い」
頬を膨らませて厳重抗議。
「いや、そんなこと言われても……恥ずかしいものは恥ずかしいんだし」
「ぶ〜……じゃあさ。手、繋ごう?」
「手か…」
「だめ?」
眉をハの字にして見つめられては勝ち目なし。
「ほら」
わざわざ手袋を外して右手をリンコへ差し出してやる。
リンコは嬉しそうに自分も手袋を外し、左手でしっかり握る。
「えへへ……こうしてると手袋してなくても暖かいよね」
「そーだな」
「こーするともっと暖かいし」
そう言ってリンコは繋いだ手をマサヒコのコートのポケットへ。
「ね?」
「……バカップルだな」
ぼそりと呟いた一言は幸いにもリンコの耳に届かなかったようだ。
「にしても……いいのか?的山んちのクリスマスパーティーに俺が参加しても」
「うん。お父さん小久保君に会うの楽しみにしてたよ」
「……」
マサヒコの額にイヤな汗が浮かぶ。
マサヒコはリンコの母とは何度も会ったことがあるが父とは面識が無い。
かわいい一人娘につく悪い虫を一目見てやろうとするリンコ父の思惑が見えた気がした。
373518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:30:05 ID:2hBMNzu8
「やっぱり遠慮しようかな」
「え〜!?なんでなんで!」
「や、その…家族団欒に外部の人間が混じるのはどうかなって」
「……そんなこと言わないでよ」
沈んだ声にリンコを見ると。
今まで見た事もないほど悲しそうな顔をしたリンコがそこにいた。
「的山……」
「小久保君はもう家族だよ。お母さんも小久保君が来るって言うから料理張り切ってたし。
お父さんだって玄関で驚かせてやるんだってクラッカーいっぱい買ってたし。
それに、それに…私だって……」
「もういいよ的山」
涙が浮かんできたので。
指で拭ってやる。
「ごめんな。バカな事言った」
「うん。ホントにバカな事言ったよ」
「そうだな。じゃあ、厚意に甘えさせてもらうよ」
「ホントに?」
「ああ。けど…おじさんはがっかりするかもな」
「なんで?」
「玄関でクラッカー持って待ってるんだろ?そんなこと聞かされたら驚けやしないからな」
「……あ」
思い至って、リンコは口を押さえるが……もう遅い。
「小久保くんおねがい!驚いてあげて。お父さんこーいうこと大好きなの」
「まあ努力はしてみるよ」
もう的山家は目の前。
「私がドア開けるから。小久保君驚いてあげてね」
「ああ」
「それじゃあ……ただいま〜」
玄関を開ける。
パンパンッ!という破裂音と共に紙テープがマサヒコに降りかかった。
「メリークリスマス!小久保君!」



374518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:30:39 ID:2hBMNzu8
世の流れはツンデレ一直線!詰まるところは照れ屋さん♪ 〜若田部アヤナ編〜



玄関を開ける。
パンパンッ!という破裂音と共に紙テープがマサヒコに降りかかった。
「メリークリスマス!小久保君!」
驚き固まるマサヒコ。
その様子をクラッカーの持ち主、アヤナが愉快そうに眺めていた。
「ずいぶんと驚いたようね」
「ああ……かなりびびったよ」
今だ驚きの抜けきらないマサヒコの様子にアヤナはまた吹き出す。
あんまり笑われるものだからマサヒコも流石に少し不機嫌になる。
「そんなに笑うなよ」
「フフフ…ごめんなさい。ちょっと待ってね」
散らばった紙テープを簡単に玄関の隅に集めながらアヤナは靴を履く。
「それじゃあいきましょう。今夜は何処につれてってくれるのかしら?」
「……期待には添えられないと思う」
「あら、そうなの?楽しみね」
にっこり笑うアヤナだったが、その笑みは10分後、消え去った。
「まさかここじゃないでしょうね?」
「ここは通過点だよ。ちょっと待っててくれ」
アヤナを待たせてマサヒコが入っていったのは某ケンタッキー。
予約してあったのか、すぐに出てくる。
「お待たせ」
「お待たせじゃないわよ。今夜はどこかのレストランで食事するんじゃないの?」
「えっと……ウチじゃだめか?」
「……」
「ほんとは高級レストランとかにしたかったんだけど色々あって」
「……」
「ごめんな、若田部」
「……行きましょ」
そう言って先に歩き出す。
マサヒコもその後を追う。
家までの距離は5分もかからないのだが、その間二人の間に会話はない。
マサヒコは申し訳ない気持ちでいっぱいで、話しかける事も出来なかった。
家に着き、鍵をさしこんだ時。
「はぁ……」
アヤナのため息に、居たたまれなくなって、
「ごめん」
もう一度謝った。
「謝らないで言い訳の一つもすればいいのに。私知ってるのよ」
「へ?」
「お金、貸しちゃったんでしょ?友達に。保険証無いからお金かかるからって」
「!?」
つい先日、大学の友人が風邪をこじらせ通院したのだが、彼は故あって保険証を持っていなかった。
その場合医療費は全額負担。
大学生には少々キツイ金額になってしまった。
だから、マサヒコは彼に貸したのだ。
本当ならアヤナへのプレゼントと食事に使うつもりだった貯金も全部。
375518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:31:09 ID:2hBMNzu8
「なんで知ってるんだよ?」
その事実を知っていたことに驚きを隠せない。
「噂で聞いたのよ。まったく……一言相談してくれれば私が料理作ったりしたわよ。
そんなファーストフードなんかよりおいしく作る自信もあるのに」
「……そうだな」
「ちょっとは頼ってほしいものね。恋人なんだから」
「悪い」
「謝らないでよ。まったく…でも、そんな不器用な所も嫌いじゃないわ」
「若田部……」
アヤナの言葉にちょっと照れる。
言ったアヤナも照れたのだろう。
「ちょっと!いつまで玄関で待たせるのよ。早く中に入れてよ。寒いじゃないの」
「あ、ああ。悪い」
家へとアヤナを招き入れ、リビングへ通す。
「あら。ケーキはそれなりに豪華ね」
リビングに置かれていたそれを見て感心したようにアヤナ。
「やっぱりクリスマスの主役はチキンよりもケーキだものね」
「あ〜……」
するとマサヒコは居心地悪そうに視線をさ迷わせる。
「どうしたの?小久保君」
「悪い。ケーキのが安上がりなんだ」
「そうなの?結構高そうに見えるんだけど」
「それ……俺が作ったんだ」
「……うそ」
驚き、目を丸くする。
「小久保君……お菓子なんか作れたの?」
「2、3日前から母さんに教えてもらってさ。
それなりに頑張ったけど……味の保証はしないぞ。なにしろ初めてなんだからな」
「そんなの……おいしいに決まってるじゃないの」
アヤナの言葉にマサヒコは苦笑する。
「食べる前から言うなよ」
「食べなくったってわかるわよ。小久保君が一生懸命作ってくれた物なんだから。
おいしいに決まってるじゃないの」
「そうかぁ?」
「私が作ってくれたものいつもおいしいって言ってくれるじゃない」
「アレはホントに上手いからだよ。俺のなんか――」
「小久保君」
マサヒコの口に指を押しつけ、それ以上喋らせない。
376518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:31:40 ID:2hBMNzu8
「答えて。このケーキ、私のために作ってくれたんでしょ?」
喋れないマサヒコは頷いて肯定を示す。
「じゃあおいしいわよ。私の為に、小久保君が作ってくれたものなんだもの。
よく言うでしょ?料理は愛情。愛情こそが最高のスパイスだって」
ウインクし、マサヒコの口から指を話す。
「なるほど……じゃあ若田部がいつも作ってくれる料理があんなにも美味いのは
俺への愛情がたっぷり詰まってるからなんだな?」
「そ!そんなわけ………あるわよぅ」
マサヒコにじっと見つめられたので。
否定しきれず真っ赤になって俯いてしまう。
世界よ見るがいい。ツンデレはここにあり。
「そ、それよりケーキ食べましょう!私がじっくり吟味してあげるわ!」
「お手柔らかに頼むよ。それこそ愛情程度しかおいしくなる要素はないんだからな。
まあその分愛情はこれでもかってほど詰め込んだつもりだから」
「あう……」
気を取り直してツンになったと思ったらまたデレ。
かわいいじゃないか。
マサヒコはそんなアヤナを愛しく思いながらケーキを取り分ける。
「ほい」
「ありがと。じゃあいただきます」
「召し上がれ」
パクッとアヤナはケーキを頬張る。
そして満面の笑顔で言った。
「甘い」



377518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:32:09 ID:2hBMNzu8
年上美女に「かんぱい」!じょーおーさまの手管に篭絡 〜中村リョーコ編〜



「甘い」
食後のケーキを口にするなりリョーコはうめく。
「そりゃケーキですから」
そんなリョーコにマサヒコは冷静にツッコむ。
「甘い物嫌いでしたっけ?」
「嫌いじゃないけど、酒にはあわないわね」
「まあ、そりゃそうでしょうね。酒飲みのことを辛党っていいますし」
「しまったわね……チキンを少し残しておけばよかったわ」
ちらりとテーブルの上の皿に目をやる。
既にそこには骨だけしかない。
「骨をしゃぶってやろうかしら?」
「鳥骨ですから止めてください」
「そうね。鳥骨は鋭く割れるから危険……ってこら!わたしゃ犬か!」
ペチッとマサヒコの頭を叩く。
「普通そこは「しゃぶるなら俺のモノをどうぞ」でしょうが!」
それもどうだろう。
「まったく……マサったら付き合い出してからツッコミがぬるいんじゃないの?
まああっちの方のツッコミはなかなか」
「んなこと言わんでいい」
ぴしゃりと叩きつけるような言葉に、
「そうそう♪マサはそうでなくっちゃ」
リョーコは満足そうにマサヒコの頭を撫でる。
「子供じゃないんですから。頭撫でるの止めてくださいよ……だからと言って
別の所を撫でろという意味ではない」
「……わかってるわよ」
今まさにマサヒコの股間を撫でようとしていた手を止める。
しょうがないと言った表情でケーキを食べる。
そんなリョーコの様子にマサヒコは苦笑する。
「食事中も結構飲んだじゃないですか。足りないんですか?」
「正直物足りないわね」
「はあ、そうですか」
「毎年クリスマスは浴びるほど飲んでたんだもの」
「浴びるほど、ですか」
「それこそ意識が飛ぶまで飲むからね。
まあ今年はそんなになるまでは飲むつもりはないけど」
「どうしてですか?」
「マサとこうやってゆるい会話してる方が楽しいもの」
「……」
やられた…と、マサヒコは思う。
この人は自由奔放でやりたい放題やるくせにこーいう所はきちんと抑えてくる。
そーいうところがずるいと思う。
本心でないとしても、方便だとしても。
喜んでしまう自分がいるのだから、完敗だ。
378518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:33:19 ID:2hBMNzu8
「でも……もうちょっと飲みたいわね」
ほらやっぱり。
「ねえマサ。お酒とつまみ買ってきてくれない」
喜ばせておいておねだり。
見事な連携。
「はいはい。わかりましたよ」
内心思うところはあるが素直に従う。
「で、なにをどれだけ買ってくればいいんですか?」
「そうねぇ……」
しばらく考えていたようだが、不意に立ちあがる。
「いいわ。私もついてくから」
「は?いや、俺一人で行きますから。待っててくれればいいですよ」
「……鈍い所は変わってないのね」
フウとため息をつく。
「少しでも一緒にいたいじゃない」
「…は?」
「察しなさいなまったく……そーいうところがまだ子供なのよ」
そう言って頭を撫でられる。
「ほら、行くわよ」
「…はい」
本当に、敵わないと思う。
「あら、雨降ってるわね……」
「そうですね……母さんまた俺の使ってるな。婦人物しか残ってないや」
仕方なくそれを使う事にする。
玄関を開け、表に出ると冷気が身体を包みこむ。
ブルっと身体を震わせながら降りかえり、
「それじゃあ行きましょうか」
そう言って。
真っ赤な傘を広げる。



379518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:34:59 ID:2hBMNzu8
やっぱりこの人!家庭教師アイ先生バンザイ 〜濱中アイ編〜



真っ赤な傘を広げる。
しかし、それすらももどかしいのか、開ききる前にアイは建物から駆けて来た。
「ごめんねマサヒコ君、待たせちゃって」
「いえ。お仕事ご苦労様です。大変ですね」
「まあ今は大事な時期だから」
にこりと笑う。
アイの仕事は塾の教師。
担当は中学生が中心なので受験前の12月は色々忙しい。
それでも、今日はクリスマスなのだ。
楽しんだって罰は当たらないだろう。
「それじゃあ行きましょうか」
「うん」
マサヒコとアイ、二人並んで歩く。
そんな二人を見て驚いたり、指を指したりする少年少女がいる。
「生徒ですか?」
「うん。受け持ちの子達」
彼らに手を振りながらアイは答える。
「みんないい子達なんだよ」
「……そうですか」
「マサヒコ君?」
ちょっと間があった子とに不思議そうに首を傾げると、
「こっち来ませんか?」
「え?」
「ですから、ここに」
自分の隣りを示す。
つまり、
「アイアイ傘?」
アイの言葉に頷く。
「どうしたの急に?」
「いえ、別に」
はぐらかすマサヒコだが、アイは笑う。
「マサヒコ君ってさ、意外にやきもち焼きだよね」
「……」
ずばり図星を指されてマサヒコはぷいっとそっぽを向く。
「ごめんごめん」
クスクスと笑いながら傘をたたみ、マサヒコの傘の中に入って腕に抱きつく。
マサヒコは驚いた様にアイを見る。
「だめ?」
「いえ」
濡れない様、傘をアイの方へ傾ける。
380518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:35:37 ID:2hBMNzu8
「でも、よかったんですか?」
「え?なにが?」
「よくわかんないですけど、付き合いとかってあるんじゃないんですか?
教師同士で忘年会とか」「大丈夫。ウチは忘年会とかやらないから。
マサヒコ君こそよかったの?学校の友達とのお付き合いとかないの?」
「知り合いとは昼のうちに軽くパーティーしましたから」
「……」
「どうしたんですか?」
「女の子もいた?」
「それは、まあ」
「ふ〜ん…そうなんだ…ふ〜ん、へ〜」
アイの頬がぷく〜っと膨れていく。
マサヒコは笑う。
「人の事言えないじゃないですか」
「なにが?」
「やきもち焼きですね」
「う……」
やり返されてアイはうめく。
うめいてから腕をバタバタさせる。
「だ、だって!だってだって!!……心配だよ、やっぱり」
「心配無用ですよ」
にっこり笑う。
その笑顔からアイは逃れるように顔を背ける。
真っ赤になった顔を見られぬよう。
傘の外に目をやると、羽根のように舞い落ちる白いかけらがあった。
「あ、雪だ」
アイが傘から手を出し、雪を受け止める。
「ホワイトクリスマスですね」
「ひゃっ!つめたーい♪」
御機嫌ではしゃぐアイをマサヒコは優しい目で見つめる。
「ほらマサヒコ君!雪――」
笑顔で振り向いたアイの目の前にマサヒコの顔。
そのままマサヒコの顔はさらに近づいて、触れる。
「マ、マサヒコ君!」
「イヤでしたか?」
「全然イヤじゃないけど……ここ人も多いし」
「大丈夫ですよ。傘さしてますから」
「…そっか。じゃあ」
アイの手がマサヒコ首に回る。
「メリークリスマス、マサヒコ君」
そう言って。
長いキスをした。
381518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/25(日) 21:38:11 ID:2hBMNzu8
終了。
誤字脱字表現間違いはスルーしてください。

小細工を弄した結果「策士策に溺れる」みたいになっちゃいました。
かなり設定がわかりづらいことになってますな。
まあそのあたりは脳内補完で。

さすがに二日はちと無謀でした。
大いに反省。

ではよいお年を。

382541 ◆05jvyNSqBM :2005/12/25(日) 22:06:31 ID:k+wUird9
続きを投下しようときてみたら…518氏、参りました、無条件降伏。本日の投下は延期します。

各パートの最後の文を、次のパートの冒頭にもってくるという文芸的な遊びをしつつ、
それぞれの話に萌えとオチがキッチリ入っていて、すごく楽しめました。

リョーコ編のオチが弱いのが唯一の残念感で、それ以外は全然OKです。グレートGJ。
383名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 00:07:21 ID:IyHJBnBq
GJ!
リョーコ編がイイ!
384名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 00:17:55 ID:2GCuSah4
22日から25日にかけて

ペピトーン氏
白帯侍氏
郭氏
郭氏と奥さん
再びペピトーン氏
弱味☆氏
518氏
72氏
ナット氏
ピンキリ氏
541氏
再び518氏


十分にクリスマス祭でしたなw
385名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 00:59:08 ID:pdBxkcld
クリスマス祭すげぇww
つか518氏の作品は、ミサキ→リンコ→アヤナ→中村→アイと書き終わりと書き出しが敢えて同じで、かつキャラの特徴掴んだ話の流れにしてあるのですな…
今読み直して気付いたorz

こんな手法もあるんですな…GJ!!!
386名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 01:09:08 ID:XyV9sSrp
今年のクリスマスプレゼントは素敵すぎてGJが止まらない!


  G  J !!
387名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 02:41:13 ID:16MHFgKk
こんな素敵なクリスマスプレゼントがいただけるとは・・・
全職人様、GJ&乙です!!!
388名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 03:27:27 ID:QPZ3qxMb
投下された作品より感想のほうが少ないんじゃないかって思うくらいきてるなw

そして541氏、518氏共にGJです
541氏のリョーコ物はまだまだ広がりそうで期待してますよ

518氏のクリスマス(´・ω・`)カワイソス
ってのは置いといて、やっぱり518氏のアイはいい
すごくいい
389名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 04:11:08 ID:16MHFgKk
うーむ、やっぱし感想は短くとも感謝の念を込め書き込んだほうがよいな・・・
職人様もあったほうが(多分)いいと思うし・・・

弱味☆氏、アヤナはやっぱりイイ!
シンジ×マナカ、私にとってかなりの好物なので本当に楽しみにしています。

ピンキリ氏、ミサキはやっぱりよい子ですね。あんなにもけなげで・・・
原作でも幸せになってくれることを祈りつつ・・・

72氏の描くマナカはかわいすぎです。マナカカワイイヨマナカ。
やっぱしシンジマナカはいいなあ・・・

ナット氏、シンジ×カオルの続きがもっと見てみたいです・・・
時間があれば是非ともお願いします!

郭氏、遅レスですがシンジ×カナミの長編完成お疲れ様ですた。
私的には最後までシリアス路線でイッてほしかったですがそれでもGJです。
私は1時間目の時からいますが、自分的には氏の小説はつねに新鮮味があっていいと思いますよv
奥様とのコラボもいい味出してますしね。
>233 マジで挑戦してみてください。シンジで妹キャラ全制覇!!!
なぜか妹&濱中で1番好きなキャラがシンジという私にとってその目標はまぶしすぎます!!!!

・・・感想書くのに限界に達してしまった。
あ、改めて皆様GJです!
390名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 05:58:24 ID:BaTguXKR
うおっ518さんまたキター!
寝る前にゆっくり読むか
391名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 08:48:16 ID:LPfZ+wK2
あと少しで400KB・・・・
なんてスピードだ。氏家スレの職人は化け物か!?
392名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 10:12:40 ID:8WRHnea7
よそとは違うのだよ、よそとは!
393名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 12:31:53 ID:TsoxckKA
他所は他所で頑張ってるさ
ここがちっとばかし勢い強すぎるだけ

しかし、これだけ盛況だと濱中連載終了後の反動が怖い・・・
394名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 12:51:51 ID:NadYckUO
>>393
終わったら終わったで、その後のエピソード話がわんさか投下されると思われ。
395名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 13:57:24 ID:QPZ3qxMb
そして新連載でさらにネタが増えます
396名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 16:42:16 ID:nIYSz22s
終わったら妄想が爆発できるもんなぁ。
原作では考えられない妊娠とか結婚とかも書きやすくなるし。
だいたい妹の方だけでも他スレと同じぐらい出てる。
397名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 18:49:59 ID:b4qhRWff
マサヒコが女風呂にいても違和感ないです。
398名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 20:03:53 ID:Nub6emcQ
>>397
ハーレムプレイでなw
399名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 21:50:01 ID:GsTVWwwV
シンジ混浴せんかいこのヘタレめ。そのうち寝取られるぞ。
400名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 22:29:52 ID:Nub6emcQ
400
401名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 23:01:44 ID:b6xLdOwq
>518氏マジ神だ
文章のテクニックもさることながら、下手なエロより巧い萌え落ちの方が何倍も作品として優れていると気付かせてくれるとはまったくGJだ
>今までヤンマガは妹しか読んでなかったけど今日初めてみなみけ読んでみたらハマった
弱味氏の挑戦に心から期待しよう
402名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 08:44:35 ID:Amq/N6xc
ほんまに嵐が来とった・・・
403名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 10:23:26 ID:b8vELeP2
次は姫初めが来るかな?
404名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 12:57:11 ID:12lc3d7U
浜中キャラ妹思キャラ全員入り乱れての年越し乱交パーティとか
あえてストーリー立ては無くして始めから終わりまでひたすら淫らにくんずほぐれつ
405名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 14:47:12 ID:H9dUIQYF
今週の後日談でシンジ、カナミ、アキ、マナカの4Pを思案してくださる神はいらっしゃいませんか。
でも4Pってムズイよなあ・・・
406アカボシ♯jeetkunedo:2005/12/27(火) 17:38:40 ID:mEATZ4Ax
テスト
407アカボシ:2005/12/27(火) 17:46:38 ID:mEATZ4Ax
こんばんわ。トリ失敗して超恥ずかしいアカボシです。
 ちょと話したいことがあったので来ました。
皆さんちょっと聞いて下さいよ、俺のアホさ加減を…今もやらかしたけど。
さっき部屋を片付けていたら、とんでもないモノが出てきたんですよ。

このスレを見つける前に描いていた、思春期のミホエロ8ページ原稿が!
ペン入れとベタを残すのみの完成間近の原稿が!!

すっかり忘れてましたよ…今年3月末から4月始めに、
「なんで誰も同人誌出さないんだ!」
 とか言いながら描いてたことを。そして、ある脱線事故の日にこのスレを見つけ、
「お、エロパロあるじゃん!でも誰もミホエロ書いてないな。よし、俺が書くか!」
 と、原稿に向けてた創作意欲が完璧にこっちにスライドしてしまったことを。そしてずっとスレに入り
浸り。原稿のことは完全忘却。にわとり並みの脳みそかよ…!
 
 せっかくだから入れようと思いますが、内容は「いたいけな初体験」だけど、SSと細部が違います。
 てか、プロット段階の資料まで出てきました。
 もともとは、「いたいけな初体験」と「マリア、とんびに油げをさらわれる」を足して2で割って、アキが主役の話だったみたいです。
 
 そんなこんなで頑張っています。エロ画像は、HPが出来上がったらそっちに出そうと
思ってます。応援とか激励をHPに残してくれれば励みになります。
 HP完成したら、お土産と共にやってきます。
 それではまた。スレ違いすみませんでした。
408名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 19:00:35 ID:zzT54pu4
>>407
頑張って!!そして半角スレのほうにも遊びに来て!!
409名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 19:50:53 ID:vlRo9acH
アカボシ氏頑張ってください 応援しておりますm(_ _)m
410名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 23:24:05 ID:pe4lHQHe
普段はROMな私だけれどもアカボシ氏、支援!
411名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 00:53:37 ID:kswcoM1K
#は半角で
412トマソン ◆sZztcRmPbc :2005/12/28(水) 00:55:14 ID:drthh176

トマソンです。

アカボシ氏、頑張ってください。激しく期待してます。

クリスマス前後の祭りに参加できず、残念です。
「アキの苦手克服」を脱稿して、我ながら燃え尽きている感がありますな。

肩慣らしに小ネタをひとつ。


413トマソン ◆sZztcRmPbc :2005/12/28(水) 00:56:58 ID:drthh176

「お兄ちゃん、これ買い物のメモね。今夜はおでん、明日はラーメンにするね」
「ああ。めっきり寒くなってきたし、暖かいものが食べたいな」
 冬休みに入ったある土曜日。
 城島シンジは、妹のカナミから買い物を頼まれたところだった。メモを受け取り、
自宅を出ていつものスーパーに向かう。城島家の日常の光景である。

 スーパーはそこそこの客入りで賑わっていた。中に入ったシンジは、プラスチックの
カゴを手に取ると、メモをポケットから取り出す。
(えーと……)
 メモに目をやると、なんというか、実にカナミらしいラインアップが並んでいた。

キュウリ
ニンジン
ごぼう
大根
こんにゃく
おでんの具(玉袋に似てるヤツ)
お○んこ
生○ーメン

(……まあ、いつものことか)
 シンジはもはやカナミのエロボケには慣れっこで、冷静にスルーした。スーパーの
店内をあちこち回り、必要なものをカゴに放り込む。手に提げたカゴが次第々々に重く
なっていった。
(よし、これで全部だな)
 カゴの中を指差し確認してレジに向かったところで、シンジは向こうから歩いてきた
女性とぶつかりそうになった。
「おっと、すみません。……て、あれ?」
「あら、偶然ね」
 危うく衝突しかけた相手を見ると、メガネをかけたショートの黒髪の女性。高校の
クラス担任にして、化学を教わっている小宮山先生だった。
 小宮山先生、シンジが手に提げたカゴの中を見やり、ピシ!と親指を立てる。
「妹さんにプレゼント? いいお兄ちゃんね。でもアナタ自身はこんにゃくでいいの?」
 彼女がカゴの中に見たものといえばキュウリにニンジン、ごぼう、大根、そしてこん
にゃくとあって、いかにも小宮山先生らしいエロボケではある。
「全部、食べるんです」
 既にこの事態を予期していたシンジは律儀なツッコミで返した。が、小宮山先生は
この程度では撃退に至らない。
(全く、お約束なボケを……うおっ?!)
 シンジはビクッと身を震わせた。柔らかく暖かい何かに下半身を揉まれ、全身に電流
が走る。
 あわてて下を見ると、小宮山先生の手がいつの間にかシンジの股間に伸び、にぎにぎ
と閉じたり開いたりしていた。小宮山先生は手を引っ込めると、ニヤニヤと笑みを浮か
べてシンジの目を覗き込む。
「そんなニセ物より、実物を味わってみない?」
「……ていうか今、ありえないことしましたね?」

 などとスーパーの真ん中で漫才をしてしまったのは余分だったが、シンジはようやく
のことで小宮山先生の追及をかわし、ビニル袋をぶら下げて無事帰宅した。
414トマソン ◆sZztcRmPbc :2005/12/28(水) 00:58:22 ID:drthh176

「ただいま〜」
「お帰りなさい、お兄ちゃん。全部あった?」
 帰宅したシンジをカナミが迎えた。袋を受け取り、中を確認する姿は真面目に家事に
いそしむ女の子そのものだ。が、このメモは兄として放っても置けまい。
「あったけど、それよりなんで伏字なの?」
「お兄ちゃん、好きでしょ?」
「好きだよ、おしんこもラーメンも」

 そこに居間から黒田マナカが顔を出した。シンジが不在の間に遊びに来たらしい。
「お兄さん、お邪魔してます」
「やあマナカちゃん、いらっしゃい」
 マナカはシンジが手にしたメモにちらりと目をやった。もちろんカナミのエロボケは
一目で見破る。
「あらお兄さん、おま○こも好きなんでしょ?ザ○メンを出すのも」

───空気が凍りついた。
 というか、「おま ピー こ」という発音はどうかと。

 いの一番に立ち直ったのは、普段から付き合いの深いカナミ。
「……マナカちゃん、女の子なんだから、おまん○とかザーメ○とか言っちゃ駄目だよ」
「あらやだ、私ったら」
 ポッと赤くなるマナカ。
「ていうか、お前も言ってるぞ」
「あ」
 カナミもまた顔を赤らめた。マナカともども、こうやってしおらしくしていれば可愛
いのに、どうしてこう無駄にエロいのだろう?
 いつもながらの感想に内心で嘆息したシンジに、カナミが追い討ちをかける。
「……でも、お兄ちゃんだって、アナル好きなのは知ってるけど、○まんこだって好き
でしょ?」
「その話はやめろ。……ていうか、そこを伏せてもぜんぜん伏せてねえ!!」


 その晩のおでんに入っていたこんにゃくには、なぜか怪しげな切れ目が作られており、
円柱形に切られた大根(丸められた先端に割れ目入り)が刺さっていたとか。
415トマソン ◆sZztcRmPbc :2005/12/28(水) 00:59:39 ID:drthh176

以上。
どうも、使い込みすぎた小宮山先生以上にくたびれて切れ味が悪いですな。
季節柄、初詣ネタを一つ書きたいのですが、この調子ではどうなるやら。

タイトルは「冬休みのある日」で。

416名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 01:59:46 ID:x0mP2why
明日の朝食はソーセージとゆで卵、マヨネーズ添えで。
417クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:37:04 ID:TpqJTK8E
クロムです。
職人の皆様、本当にお疲れ様です。物凄い祭りでした。
さて、クリスマスはとっくに過ぎてしまいましたが、クリスマスネタです。
作品自体は完成していたにもかかわらず、諸事情によりこんなことになってしまいました。
まあ来年のクリスマスまで待つわけにもいきませんし、出し惜しみするようなデキでもないので
投下させていただきますが・・・何にしても情けないです。

NG:賞味期限切れ
タイトル「Swear Eternity To You」
418クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:37:46 ID:TpqJTK8E
「うーん、どうすっかなぁ…」
高校生になって初めての冬。クリスマス目前という季節。
自室のベッドの上で、オレは頭を悩ませていた。
「縫いぐるみとかはガキっぽいし、服とかはよくわかんねーし…さすがに食い物はないだろ」
オレを悩ませているもの。それはオレの恋人――天野ミサキへのクリスマスプレゼントであった。


オレがミサキに告白されたのは、中学卒業の一週間前という時期だった。
放課後屋上に呼び出され、そこで思いを打ち明けられた。
「マサ君…私は、マサ君が好き。子供の頃から、ずっと、好きだったの…」
ストレートな心情の吐露。それを聞いて、あの時オレは何と答えたのだろうか。
何か言ったことは確かなのだが、その言葉がなんだったか、どうしても思い出せない。

今思えば、オレはもう随分と前から、ミサキのことが好きだったんだろう。
何気ない会話の端々でミサキが見せる笑顔に、何度ドキッとさせられたか分からない。
だがその笑顔を見るたびに、逆に自分の感情を押し殺そうとしてきた。
そうしなければ、今いる居心地の良い場所が崩れてしまいそうだったから。
振り回されながらも、みんなで笑い合える日常を失うのが、怖かったから。
そして何より、もう二度と元の幼馴染みの関係には戻れない気がしたから。
だから、友達でいい。
兄妹みたいに育った幼馴染みが、今まで通り側にいてくれれば、それでいい。そう思い込もうとした。
前進という選択肢を捨てることと引き換えに、言葉にできない何かを失う恐怖から逃れたかった。

なのに。

今にも消えてしまいそうなミサキの声が。
うっすらと涙を浮かべたその瞳が。
けれど、固い意志を秘めたその表情が。
無理やり押し込めてきたオレの本当の気持ちを表に引きずり出す。
目を逸らし続けてきたオレの一番弱い部分を、容赦なく揺さぶる。
幾重にも重ねてきた嘘の仮面を、一枚一枚丁寧に剥ぎとっていく。
気が付くとオレは、幼馴染みの華奢な体をそっと抱き締めていた。
「マサ、くん…本当に…本当に私なんかでいいの…?」
「ああ…お前じゃないと…天野ミサキじゃないと、ダメなんだ」
「私も、マサ君じゃないと……マサ君、大好き…大好きだよ…」
「オレも…大好きだ、ミサキ」
更に強くミサキを抱き締める。その肩は、小さく震えていた。
「おいおい、泣くなよ」
「だって…だって…」
その声が次第に掠れていく。小さな嗚咽は、やがて大きな泣き声に変った。
オレの胸にしがみついて、子供の様に泣きじゃくる。
その姿はあまりにも純粋で、綺麗で、愛しかった。

「落ち着いた?」
漸く泣きやんだらしいミサキに声をかける。
「うん…ごめんね。制服、濡らしちゃった…」
「気にすんな。ほっときゃそのうち乾くさ」
「ありがとう、マサ君…」
ミサキが顔をあげる。その目は、少し腫れていた。
「ねえ、マサ君…本当に、私でいいんだよね…」
「あのな…言っただろ?それに、結構恥ずかしいんだから何度も言わせないでくれよ」
「うん…でも、お願い…もう一回だけ、聞かせて…?」
もう一度ミサキを抱き寄せ、耳元で囁く。
「大好きだ、ミサキ」
この日オレは、世界で一つだけの宝物を手に入れた。
419クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:40:14 ID:TpqJTK8E
「あ〜、ダメだ、なーんにも思いつかねえ」
オレはもう一時間も頭を捻り続けていた。
ミサキと二人で迎える初めてのクリスマス。
それだけに、ミサキが喜んでくれる演出をしたいと思っている。
だがしかし。
クリスマスを演出する上で大きなウエイトを占めるプレゼント。それが思いつかない。
「やっぱ誰かに聞いた方がいいのかな」
これ以上考えたところで、良い案が浮かぶとも思えない。
「となると…問題は誰に聞くか、だよな」
聞くならやはり女性の方が良いだろう。親しい女性の顔を思い浮かべてみる。
浮かぶのはやはり、あの面々。
その中で、ミサキは当然除外。アメリカに渡った若田部も、同じく除外。
残り三人。まあいろんな意味で一番安全なのは…
「やっぱ濱中先生かな」
携帯を取り、濱中先生のナンバーをコールする。
だが、五回六回とコール音だけが響く。十回目で諦め、電話を切った。
卒業を控えたシーズン。先生も忙しいんだろうか。
「うーん、濱中先生がダメだとなると…」
残る選択肢は二つ。どっちにするべきか。
「ここは…経験重視かな」
中村先生のナンバーを押す。
『…もしもし』
ちゃんと出てくれた。
「中村先生、マサヒコです」
『おー、マサ!久しぶりね〜。どうしたのよ急に?
さては私のことが忘れられなくて、夜も眠れないとか…』
「先生に相談したいことがありまして」
予想通りのボケがきたが、この辺のあしらいには慣れている。相手にしなければいいのだ。
『コラッ、久しぶりなんだからツッコみなさいよ!』
「イヤです。そんなことで浪費していい体力も気力も持ち合わせてません」
『マサ…アンタ、その歳で自分の存在意義を否定してかかるのは感心しないわね』
「オレのアイデンティティーはツッコミだけなのか!?」
ダメだ、結局中村のペースに巻き込まれてしまった。
「切りますね…」
『ちょっとちょっと、待ちなさいよ。何か相談があるんでしょ?』
「そうですけど…」
『何なの相談って?お姉さんに話してみな?』
「はあ…実は、ミサキへのクリスマスプレゼントを考えてたんですけど、何あげたらいいかなって」
『ふうん、プレゼントか…アンタは何か考えたの?』
「いえ、それが…」
『なんにも思い付かなかったの?』
「…はい」
『…まあいいわ。そうね、アンタのプレゼントならあの娘は何でも喜びそうだけど…。
あ、ハンドバックとか、そういう小物はどう?それならお手頃だし、いいんじゃない?』
「いや、それはもうアイツの誕生日に…」
『そうなの?うーん、それならアクセサリーとかは?』
「アクセサリーですか?」
『うん。そういうのっていくつあっても困るもんじゃないからね』
「そうなんすか?でも、そんなに高い物は…」
『バカねー、こういうのは値段じゃないの。大事なのは気持ちよ気持ち!
それに言ったでしょ?アンタのプレゼントならあの娘は絶対喜ぶんだから』
「はあ、そんなもんすかねぇ…でも、アクセサリーって言われてもオレよく分かんねーんですけど」
『まあ定番は指輪ね。デパートに行って探せば、一個くらい良さそうなの見つかるわよ』
「そうですか…分かりました、その方向で考えてみます」
『あっ、あの娘の指のサイズ忘れちゃダメよ?』
「そうか…うっかりしてました」
この人に相談してよかった。さすが経験豊富なだけあって、細かいことまでちゃんとアドバイスしてくれる。
420クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:41:54 ID:TpqJTK8E
「ありがとうございます、先生。マジで助かりました」
『フフ、まあいいってことよ!これからも困ったことがあったらいつでも私に相談しなさい』
頼もしい口調の中村先生。
(この人…普段はふざけたことしか言わないけど、いざという時頼りになるよな)
ちょっと中村先生を見直した。
『あ、ところでマサ。アンタ、ミサキちゃんとはもうヤったの?』
前言撤回。
「切りますね…」
『ちょっ、待ちなさいって!』
「何でアンタはいつも…」
『あら、別にギャグで言ったわけじゃないわよ。
アンタ達付き合ってもうだいぶ経つんだから、そろそろ報告があってもいいかなぁって』
「間違っても報告なんてしませんし、そういうこともありません」
『なにッ!?ありませんってアンタ、それマジで言ってんの!?やっぱりED!?』
「違う。何でそうなるんですか?」
『だってアンタ達高校生でしょ!?その歳で何もないって、絶対おかしいわよ!
アンタの担任なんて中学生の私に手を出…ちょっと、何よさっきから?…昔のことを教え子にバラすな?
うるさい!!私の電話にいちいち入ってくるんじゃないよ、この犬がッ!!!』
(豊田先生…そこにいるんだ…)
電話の向こうで涙を流す元担任を想像し、オレも涙を流した。
(先生…どうか、生き延びて下さい)
豊田先生には悪いと思ったが、この隙に電話を切る。
これ以上中村と話していたら、会話がどんどんマズい方向に進んでしまいそうだ。
携帯を放り投げ、ベッドに寝転がった。
「ホントに…何言い出すんだよあの人は…」
悪態を吐くが、中村の言葉を妙に意識してしまう。
実際、ミサキとはキス止まりで、いわゆる肉体関係はまだなかった。
今までに何度かそういう雰囲気になったこともあったが、結局何もないまま終わっていた。
無論オレはEDなんかではないし、ミサキに拒まれたわけでもない。
それに、本当のことを言えば、何度アイツを抱きたいと思ったか分からない。
だが、何の行動も起こせないままここまでズルズルときてしまった。
原因は、分かっている。
矛盾しているが、オレは心のどこかでミサキと関係を結ぶことを恐れているのだ。
たぶん、オレが求めればミサキは拒まないだろう。
だがそれは、ミサキと過ごしてきた時間を汚すことになるのではないか。
その考えがオレにブレーキをかけ、動けなくしていた。
中村先生の言う通り、好きな人とそういう行為に及ぶのは自然なことなのかもしれない。
だが、そう割り切ってしまうには、オレ達が共有してきた時間はあまりにも長すぎた。
ミサキに対して邪な考えを抱くたびに、二人で過ごしてきた時間が思い起こされ、オレを押し止どめるのだ。
本当に大好きで、本当に大切な存在だからこそ、今まで積み重ねてきた時間を大事にしたい。そう思う。
それと同時に、自分の中にある欲望を持て余しているのも確かだった。
相反する二つの感情がゴチャゴチャと絡み合い、答えを見えなくしていく。
「あ〜、なんだかなぁ…」
情けない自分自身に自嘲気味な笑みを浮かべる。
その時、電話が鳴った。電話をかけてきたのはミサキだった。
『あ、マサ君?』
「お、おうミサキ…」
『どうしたの?なんか声が変だよ?』
「い、いや、気のせいだよ」
よからぬ考えをしていたなど、当人に言えるはずない。
「そ、それよりどうかしたのか?」
『どうかしたのかって、クリスマスをどうするか決めるんでしょう!忘れちゃったの?』
そういえばそんな約束をしていた。いろいろ考えているうちに失念していたようだ。
「悪い悪い、忘れてたわけじゃないんだけどさ…」
『もう、しっかりしてよね!』
421クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:43:21 ID:TpqJTK8E
『もう、しっかりしてよね!』
怒られてしまった。ここは素直に謝っておくのが得策だろう。
「すみませんでした…」
『まったく…マサ君ってどこか抜けてるよね』
「うっ…いや、それよりさ、どうしようか」
『あっ、私考えたんだけどね、お母さん達もいないし、私の家でパーティーしない?』
「そうか、母さん達いないんだよな…」
オレ達が付き合うようになってから、両家の母親達はますます仲良くなった。
今年のクリスマスは親睦を更に深めるという名目で、一緒に旅行に行くらしい。
もちろん、互いに夫を引き連れて。
『みんなアンタ達に気を使ってんのよ。アンタ達だって、二人っきりの方がいいでしょ?』
なんてことを言っていたが、どこまで本当なんだか。
「パーティーか…うん、いいかもな」
『でしょ!私お料理作るね!』
「ミサキが料理か…大丈夫なのか?」
『あっ、ヒド〜イ!これでも毎日練習してるんだよ!マサ君も知ってるでしょ?』
「ハハ、そうだったな。じゃ、楽しみにしてるよ」
『うん、お任せください!』
それからしばらく、オレ達はいつもと変わらない世間話を楽しんだ。
十五分程で電話を切り、さっきと同じ格好で寝転がる。
「ふう…とりあえず、プレゼント準備しないとな」
あれこれ考えるのは、ひとまず止そう。まずは、目の前のイベントをこなさなくては。
オレは立ち上がると財布や貯金箱、さらには部屋に転がる小銭まで掻き集めて、軍資金を確認した。
全部合わせるとそれなりの金額にはなったが、これで足りるのだろうか。
「ま、なんとかなるだろ」
足りなければ親に借りればいい。明日にでも、デパートに行くとしよう。


クリスマス当日。時計の針は六時をさしている。
オレはプレゼントを持ってミサキの家を訪れた。
「いらっしゃい!!」
エプロンを身に着けたミサキが出迎えてくれる。
「おう。しっかし、スゲー雪だな」
「ホントだね。ホワイトクリスマスなんてロマンチックだよ」
「ホワイトにも限度ってもんがあんだろ。この距離でも歩くの一苦労だよ」
一昨日の深夜から降り続いている雪は、オレ達の町にもかつてないほどの積雪をもたらしていた。
「シロクマかペンギンが棲息してそうな景色だぞ」
「まあいいじゃない。それより、入って入って」
ミサキに導かれ、ダイニングへ向かう。
「おお、スゲー!」
オレを迎えたのは、テーブルの上に並べられた色とりどりの料理だった。
「これ全部ミサキが作ったのか?」
「そうだよ。見直した?」
「いや、お見逸れしました」
本当に凄い料理の数々だ。よく見ると、小さいがケーキまである。
「ひょっとしてあのケーキも?」
「うん。初めて作ったから、ちょっと形が崩れちゃったけどね」
それでも、ケーキはケーキだ。
「いや、凄いよ。マジで料理の腕上達してたんだな」
「もう、信じてなかったの?私だってやればできるんだよ!」
「ハハ、悪い悪い。それより早く食べようぜ」
「あ、待って、飲み物用意するから」
ミサキが冷蔵庫から何かのビンを取り出した。
「おい、それ酒じゃねーのか?」
「フフ、これはノンアルコールのシャンパンだから大丈夫だよ」
「へぇー」
それなら安心だ。コイツに酒飲ませるとロクなことにならないのは経験済みだった。
揃ってテーブルにつき、グラスにシャンパンを注ぐ。
422クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:44:25 ID:TpqJTK8E
「「カンパ〜イ」」
グラスを合わせ、一気に飲み干す。
「結構ウマいな、コレ」
「だね。あ、料理も食べてみて」
そう言われて、目の前にあったスープを一口食べてみる。
「うん、ウマい!!」
想像していたよりずっとウマかった。
「ホント?よかった〜。他のも食べてみて」
並べられた料理を一通り食べてみたが、どれも想像以上のデキだ。
飛び上がるほどウマいというわけではないが、以前のそれとは比べ物にならない。
まあ、元が惨澹たるものだったというのもあるのかもしれないが。
「驚いたな…ここまでとは思ってなかったよ」
「え、どう思ってたの?」
「塩入れ過ぎてたり、火を通し過ぎたり、酢と味醂を間違えたり…」
「ちょっとマサ君、それどういう意味よ!」
怒った口調で言うが、目は笑っている。
「いや、でも本当においしいよ」
「うん、ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
オレの言葉にミサキがほほ笑む。それを見て、オレからも自然と笑みがこぼれた。

一時間ほどで料理の皿はあらかた空になり、ミサキは食後のコーヒーの準備をしている。
(渡すなら今がいいかな)
上着のポケットを上から撫で、中に入れた小さな箱の感触を確かめる。
(どうやって渡そうか…)
「マサ君、コーヒー入ったよ」
ミサキがカップを手に戻ってきた。
「おう、ありがと」
オレにカップを手渡し、ミサキも椅子に座った。
「なあミサ…」
「そうだ、マサ君!クリスマスプレゼント!」
プレゼントの話題を出そうとしたが、先に言われてしまった。
「ハイ、マサ君!私からのプレゼント」
綺麗にラッピングされた袋を渡される。
「開けてもいいかな?」
ミサキが頷くのを確認して、包みを解く。
でてきたのは、シックな色合の毛糸のマフラーだった。
「どうかな…これも初めてだったから、あんまり自信がないんだけど…」
「えっ、ひょっとしてコレ手編み?」
恥ずかしそうにミサキが頷く。なるほどよく見れば、編み目の大きさに少しばらつきがある。さらに…
「やけに長いな、このマフラー」
その長さは、一人で首に巻くには長すぎるようだ。
「う〜ん、ちょっと頑張りすぎちゃったかも」
ミサキがペロッと舌を出して笑う。実際首に巻いてみると、やはり相当長かった。
マフラーの両端がオレの腰の辺りまで余っている。
「やっぱり変かな…?」
確かに、少々不格好ではある。だが、慣れない編み物に奮闘する恋人の姿を想像すると、自然と笑みが浮かぶ。
「そんなことないさ。暖かいしな。ありがとう、大事にするよ。これでこの冬は凍えなくてすみそうだ」
423クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:45:10 ID:TpqJTK8E
オレの答えに安堵の表情を浮かべる。
「そうだ、オレからもプレゼント」
ポケットから小箱を取り出し、ミサキに渡す。
「開けていい?」
「ああ。大したモンじゃないし、気に入ってくれるか分かんないけどさ…」
中村先生にアドバイスを貰ったオレは、次の日さっそくデパートに向かった。
女性物のアクセサリーが並ぶショーケースの前に立ち、必死でミサキに似合いそうな物を選んだ。
果たして喜んでくれるだろうか。
「うわぁ、可愛い…」
箱の中身は、シンプルなデザインのリングだった。
かなり無理をしたが、これが一番ミサキのイメージにあっているように思えた。
「マサ君、本当に貰っていいの…?」
「ハハ、貰ってくれなきゃ困るんだけどな」
「でも…コレ、すっごく高そうだよ?私なんて、手編みのマフラーだけなのに…」
「気にすんなって。それに、オレにはコレが最高のプレゼントなんだからさ」
そう言って首に巻いたマフラーを指差す。
「うん、ありがとう…嬉しい。似合うかな…」
細い指に、指輪が嵌められる。やはり、それはミサキにピッタリだった。
「うん、よく似合ってる」
「ヘヘ、ありがとう」
面と向かってのこういう会話は、何となく照れくさい。お互い、照れ笑いを浮かべる。

だがその時、突然辺りが闇に包まれた。

「えっ、なになに、どうしたの!?」
突然の事態にミサキがうろたえる。オレも驚いたが、なんとか平静を装った。
「大丈夫、停電しただけだ。ミサキ、懐中電灯かなんかある?」
「えっと、確か流し台の下に…」
手探りで流し台まで辿り着き、懐中電灯を探す。幸いすぐに見つかった。
光源を確保したところで、現状を把握してみる。
窓から外の様子を窺うが、明かりの灯った家は一軒もない。ということは、ブレーカーの類いではないだろう。
「こりゃ…この辺一帯全部ダメみたいだな」
この大雪で、電線が切れでもしたのだろうか。
「マサ君…どうしよう…」
「心配すんな。待ってりゃそのうち元に戻るさ」
口ではそう言うが、現状はなかなか深刻だ。まず一番に問題になるのは、やはり暖房だろう。
「ミサキ、この家に電気を使わない暖房器具ってある?」
「う〜ん、湯たんぽくらいかな」
「ハハ、そりゃ温かそうだ…」
などと冗談を言っている場合ではない。
(さて、どうすっかなぁ…)
確か、我が家には湯たんぽすらなかったはずだ。まああってどうなるわけでもないが。
いっそ少し離れた的山や濱中先生の家に避難しようかとも思ったが、この雪ではそちらの方が危ない。
あれこれ考えている間にも、室内の温度はジワジワと下がっていく。
「マサ君、私の部屋に行こう」
ミサキが唐突に声をあげた。
「ミサキの部屋に?」
「うん。たぶんここにいるよりはいいと思うよ。お布団とかもあるしね」
布団という言葉に一瞬邪念がよぎるが、慌ててそれを振り払う。
ミサキは、電気なしで暖をとる手段として布団という単語を出したのだ。決してそんなやましいことは…。
「マサ君、どうしたの?」
「い、いや、何でもない。行こうか」
どのみち、この状況でミサキを残して自宅に引き上げることなどできはしない。
それなら少しでも暖かい方がいいのだから、やむを得ずミサキの部屋に避難するのだ。
妙な理屈を捏ねて自分を納得させ、ひとまずミサキの部屋に向かうことにした。
424クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:46:38 ID:TpqJTK8E
(で、結局こうなんのか)
オレ達はミサキのベッドの上で肩を寄せ合い、一枚の毛布にくるまっていた。
「こうすれば二人とも温かいから」
ミサキに押し切られこの格好になったのだが、正直かなり厳しい。
服越しに伝わってくるミサキの体温に、先程振り払ったはずの邪念が首を擡げてくるのだ。
おまけにミサキが何か言うたびに熱い吐息が首筋にかかり、何とも言えない気分になってしまう。
そしてトドメに、闇に白く浮かぶミサキの顔は、ムチャクチャ可愛かった。
どうにかして気を鎮めないと、おかしくなりそうだ。
(しっかし…こいつはこの状況で何とも思わないのかね…)
いくら恋人とはいえ、若い男女が一つの毛布にくるまっているというのに。
それとも、オレならその心配はないと踏んでいるのだろうか。それならそれで情けない話ではある。
まあ何にしても、オレはこの状況を耐え抜くために理性を総動員しなければならなかった。
自然と口数も少なくなってしまう。
「マサ君、さっきから静かだね。もっと何か喋ってよ」
「ああ、悪い…」
なんとも酷な要求だが、黙りこくっているのもあまりよろしくない。
やや不自然な感じは残るが、とにかく会話に意識を集中させた。
「雪、止まないね…」
「ああ。なんか、大変なクリスマスになっちまったな」
「フフ、本当だね。去年のとどっちが大変かな?」
「嫌なこと思い出させないでくれよ…」
去年のクリスマスも若田部家でパーティーを行ったが、中村の後先考えない暴挙のせいで酷い目にあった。
できれば記憶の闇に葬ってしまいたい出来事だ。
「濱中先生は暴れ出すし、若田部は泣き出すし…お前にも散々殴られたもんな」
言いながらその光景を思い出し、おもわず身震いする。
「でも、楽しかったよね。みんな一緒でさ」
「ああ、そうだな…」確かに、楽しかった。だけど、みんなバラバラになってしまった。
「もう、あんなふうにみんなで馬鹿騒ぎはできないかもな…」
仕方無いのは分かっている。それぞれに進むべき道があるのだから。
ただ、時々言い様のない寂しさを感じることがあるのも確かだ。
ミサキも同じことを思ったのだろうか、口を閉じてしまった。
会話の途切れた部屋に、静寂が舞い降りる。どちらも無言で、時計の秒針の動く音だけが響いていた。
どれくらいそうしていただろう。突然ミサキがオレの胸にしがみついてきた。
「ミサキ?」
「マサ君…マサ君は、ずっと私の側にいてくれる…?」
「え…?」
「ごめんね急に・・・でもね、私時々怖くなることがあるの。
今はとっても幸せだけど、ある日突然マサ君がいなくなったらって思うと…」
少し震えた声で、ミサキが呟く。
(ミサキを置いて、いなくなる…オレが?)
そんなことがあるだろうか。オレ達は幼馴染みで、家だって近くて、これから先も会いたければいつでも…
(違う、そうじゃない…)
ミサキが抱える不安、それはオレに決意があるか否かだ。
これから先、何があろうとミサキの側にいるという決意。
そんなもの、考える必要などない。端から答えなど決まっている。ミサキの肩に腕をまわし、ギュッと抱き締めた。
「オレはどこにもいかない。何があっても、お前の側にいる」
「マサく…ん」
そう、離れることなどできるわけない。
ミサキの顎を軽く持ち上げ、そこに唇を重ねる。
冷たかった唇に血が通い、次第に体温を取り戻していった。
「あのさ、オレ頼りないし、こんなこと言っても信用できないかもしれないけど…」
「ううん、嬉しい…。ごめんね、変なこと言っちゃって…」
ようやくミサキが笑った。
425クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:50:01 ID:TpqJTK8E
「ねえマサ君、子供の頃にした約束、覚えてる?」
「約束?」
「私をマサ君のお嫁さんにしてくれるって」
(お嫁さん…?ああ、そういえば…)
十数年前、この部屋で、オレ達は結婚の約束をした。
「…今思い出した。そんな約束してたな」
「フフ…さっきの言葉、プロポーズと思っていいの?」
「えっ?それは…あー、うん、そう受け取ってくれていい」
さらっと凄いことを言っている気もするが。
「約束だよ?」
「ああ…約束だ」
オレとミサキはどちらからともなく抱き合い、キスを交わす。
唇を離した後も、しばらくはそのままだった。
「ねえ、マサ君…一つ、お願いしていい?」
先に口を開いたのはミサキだった。
「お願いって?」
「私…印が欲しいの。マサ君が、ずっと側にいてくれるっていう印が…」
「印…ミサキ、まさか…」
「うん、マサ君…私を抱いて…」
思いも寄らない言葉に、オレは固まった。
「ミサキ、それって…」
「いいの…私、マサ君とならそうなってもいいって、ずっと思ってたから。
それにいくら待ってても、マサ君何もしようとしないんだもん」
「いや、それは…」
弁解しようとして、やめた。二律背反だとかアレコレ悩んでいた自分が、ひどく滑稽に思えから。
そして、今までのような男としての欲望からではなく、
ただ好きな人に触れたいという純粋な気持ちで、ミサキを抱きたいと思えたから。
「ミサキ…本当にいいんだな?オレも初めてだし、優しくできないかもしれないぞ?」
「うん、分かってる…。私、マサ君だけのものになりたいの…」
その言葉が、オレの迷いの最後の一片を吹き飛ばす。
(結局、オレが一人で馬鹿みたいに悩んでただけなんだな・・・)
オレはミサキの身体を引き寄せ、もう一度、強く抱き締めた。


「んっ…あっ、あん…」
ミサキがオレのキスに反応して身体をのけ反らせた。喉がうごめき、声にならない声が漏れる。
オレはミサキの全身にキスをしながら、服を一枚一枚脱がせていった。
「マサ君…恥ずかしい…あんまりみないで…」
生まれたままの姿になったミサキが、恥ずかしそうに両手で身体を隠した。
白く透き通る様な肌が、雪夜の持つ独特の明かりに照らし出される。
その姿は少女の清らかさと女性の妖しさを合わせ持ち、あまりの美しさにオレは息を呑んだ。
「マサ君…」
不安そうな目でオレを見つめる幼馴染み。その額に口付けをし、鼻先、頬、そして唇へと続けていく。
ミサキの唇を塞ぐと、薄く開いた隙間からそっと舌を差し入れた。
「ん…むン…んんッ…」
くぐもった声と共に甘い吐息が漏れ、オレの口内に広がる。
「ん…んんっ…むン…」
最初はオレにされるがままだったミサキも、次第に自分の方から舌を絡めてくるようになった。
舌を動かすたびに唾液がピチャピチャと音を立て、その音がさらに舌の動きを激しくさせる。
映画みたいなスマートさはないが情熱的なキスに、オレ達は没頭した。
426クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:51:08 ID:TpqJTK8E
長い長いキスを交わし漸く唇を離した時には、どちらも口の周りが唾液まみれになっていた。
ミサキの頬がうっすらと赤みを増し、一層可憐に見える。
オレはミサキの首筋に唇で触れ、ゆっくりと下に降ろしていった。
やがて柔らかな膨らみに達すると、先端の突起を口に含み、舌先で転がす。
「あっ…な、何……?」
突然の刺激にミサキが戸惑いの声をあげるが、気にせず続ける。
「ぅ…ん…あぁ…あっ、んっ…」
舌の動きに合わせて、ミサキの口から普段では考えられないような悩ましい声が零れる。
その声は脳に直接響き、興奮に拍車をかけていく。オレは奥歯でミサキの乳首を甘噛みにした。
「ひあッ!?」
ミサキの身体が大きく跳ね上がる。耐えられないらしく、身を捩らせてこの刺激から逃れようとした。
だがオレはそれを許さず、身体を押さえ付けると、執拗に同じ行為を繰り返した。
「あッ、ふあッ…!…マサ君…そ、んな…や…あああッ!!」
最早ミサキに抵抗する力は残ってないようだ。身体が快楽を受け入れ始めている。
オレは乳首から、乳房、なめらかな腹部を縦断して、淡い草むらへと舌先を移動させていった。
どうしても逸る気持ちを抑えられない。
そして、ぴたりと閉じられていた両足を開かせ、ついにその付け根部分へと辿り着いた。
その部分に、優しく舌を這わせる。
「あうッ…!ああッ…あっ…!!」
湿った音が、二人きりの室内に響く。
ピチャ…クチュ…
ミサキの細い割れ目から、明らかにオレの唾液とは別の液体が滲み始めていた。
「くっ…ン、あッ…ダ、ダメッ…あぁあッ!!」
滴り落ちる愛液をオレの舌先が掬い上げるたびに、ミサキのそこは小さく震え、新たな液体を滲み出させる。
オレは舌先をミサキの割れ目の奥へと侵入させていった。
「うっ…ん…!」
どんな感触なのだろう。これまでとは違った呻きが、ミサキの口から零れた。
「んあっ…! あっ…ああっ…!!」
オレは口の周りが愛液まみれになるのもお構いなしに、夢中になって舌を動かした…。

「ミ…ミサキ…もう、いいかな…?」
「うん…いいよ…きて…」
オレは既に十分固くなった自分のそれを、ミサキの入口にあてがった。
「無理だったらすぐにやめるから…」
そう言って、慎重に、先端を沈めていく。
「あうっ…くっ…」
ミサキの口から、明らかな苦痛の声が漏れる。
「ごめん…痛かった?」
「ううん…いいから…」
「…少しずつ入れるから…力抜いて…」
少しずつ、腰を前進させていく。そのたびに、ミサキは眉をひそめ、唇を噛み締める。
それでもどうにか根本まで沈めることができた。
「…んっ…入ったぞ。大丈夫か?」
「う、うん…」
ポロポロと涙を流しながらも、ミサキはしっかりと頷いた。
「やっと一緒になれた…ね」
「ああ。…じゃあ動いてみるな」
ミサキにあまり負担をかけないよう気をつけながら、ゆっくりと動き始めた。
愛液が潤滑油になるとはいうものの、ミサキの中は狭くてかなりキツかった。
「うっ…はぁ…あっ…あっ…」
動くたびに、ミサキが苦しそうな声をあげる。
だがその一方で、下半身から昇ってくる快感に、オレは動くのを止められなかった。
427クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:51:39 ID:TpqJTK8E
「うっ…くっ、んッ…ああぁ…」
「ミサ、キッ…大丈夫か?」
「大じょ…ぶ…平気…あっ…はっ…」
「オレももうちょっとだから…少し速く動くな…」
ミサキが首を縦に振るのを確認して、スパートをかける。
「あっ…ああっ…ああああっ!」
ミサキの泣き声に促されるようにして、オレは最後の一突きを入れると、寸前に身体を引き抜いた。
ミサキのお腹の上に精をはきだすと、オレは脱力してミサキの上に覆い被さった。


「マサ君、起きてる?」
「ああ、起きてるよ」
コトが終わった後も、オレ達は抱き合ったままだった。不思議と寒さは感じない。
「約束…してくれたんだよね…」
「ああ」
「後悔しない?」
「しない」
「浮気しちゃダメだよ?」
「す、するわけねーだろ」ミサキがクスッと笑ったが、すぐ元に戻る。
「マサ君…ずっと、一緒にいようね」
答える代わりに、オレはミサキにキスをした。
窓の外では、雪が、まだ降り続いていた。


あれから十年が経った。
「おー、マサ!」
背後から声をかけられ振り向くと、長身の女性が立っていた。
「ああ、中む…豊田先生、お久しぶりです」
「別にわざわざ言い直さなくもていいわよ。にしてもマサ、随分とイイ男になったじゃない。
こんなことなら早いうちにツバ付けとくんだったわね」
「相変わらずですね、先生。それより、豊田先生は?」
「なんか紛らわしいわね。セージなら、駅までリンとアヤナを迎えに行かせたわ」
「あれ、浜中先生は一緒じゃないんですか?」
濱中ではなく浜中である。
「アイは旦那と二人で来るって言ってたわよ。みんなもう来るんじゃない?」
「そうですか」
そのとき、スタッフの女性がオレに声をかけてきた。
「準備の方ができましたので…」
「あっ、わかりました」
「いよいよか…じゃあマサ、おめでとうは後に取っとくわ。しっかりやんなさいよ!」
「はい。それじゃ、また後で」
先生と別れたオレは、スタッフに案内されてドアの前に立った。一呼吸おいて、その扉を開ける。
扉の向こうにいたのは、純白のウエディングドレスに包まれた幼馴染み。
オレが、永遠を誓うべき人。

(fin)
428名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 08:57:21 ID:TShoCdng
おぉ!リアルタイムだ!
トマソン氏もクロム氏もGJ!
429クロム ◆IQnpwvmuPA :2005/12/28(水) 08:57:42 ID:TpqJTK8E
以上です。
賞味期限切れてますが、その辺スルーしてください。
何ともいえませんが・・・反省いたします。
にしてもSwear Eternity って・・・もう少しましなタイトルなかったんですかね・・・。
なんとなくでタイトルを英語で揃えてたんですが、ボキャブラリーのなさがばれてしまいそうです。


最後に、一月から劇的に忙しくなるので投下のペース落ちるかも知れませんが、
リクエスト等頂けたら幸いです。
430名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 09:02:02 ID:TShoCdng
マサヒコ×アヤナを見てみたいですね
431名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 10:56:46 ID:ZB3BI2nr
俺今からイタリア行くけど、帰ってくるまでに次スレ行きそうだな…凄い贅沢だわ。
432名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 13:06:57 ID:k0BQ7wrH
>431
クリスマスも研究室に引き篭もっていた俺に謝れ。力の限り謝れ
433名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 13:24:23 ID:3ErpFIP4
>>431
イタリア行く君のほうが贅沢でごわすよ




今週号を受けてリョーコ×セイジの年越しセクロス話キボン
434名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 13:45:55 ID:fxrRmIdc
クリスマスからがしがし作品投下されてるねぇ
マターリと読ませていただきます
435名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 14:43:46 ID:cZtt/S0g
>>431君が行ってる間にこっちは冬の聖戦で大量に同人誌買えるからいいんだからね!
万が一濱中の同人誌があっても教えてあげないんだからね!
悔しくなんかないんだからね!!
436名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 15:01:11 ID:cZtt/S0g
クロム氏GJ!
重婚が認められる様になった未来の日本で、ハーレムルートまっしぐらな話キボンヌ。
437ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/28(水) 22:59:15 ID:MeZUaVGg
こんばんは。
>アカボシ氏
頑張ってください。期待しています。
>トマソン氏
コンスタントな仕事ぶりに頭が下がる思いです。次回作を楽しみにしています。
>クロム氏
原作、この板でも空回りすることの多いミサキだけど、ハッピーエンドのミサキ
も良かったです。

さて、予告通り投下します。
タイトルは「二人だけの時間」です。
438ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/28(水) 23:02:49 ID:MeZUaVGg
加藤キョウコは夫の実家に家族3人で帰省していた。
義母に買い物を頼まれ、夫と2人で郊外のショッピングセンターに車で行くことになった。
義母は、子供の面倒は見るから、せっかくだからたまには2人でドライブに
行って来たらと言ったのである。

買い物を済ませ、その帰りの車中での会話。
「ねえ、キョウコ。久しぶりだね、僕たちがふたりきりになるのって」
「そうね。子供が出来てから何かと忙しかったからね」
そんな事を話しながら、赤信号で車が止まった時、夫の手がキョウコの太腿に伸びた。
「え、えっ?あ、あの…」
キョウコは驚いて夫の顔を見ると、
「どう?ちょっと休憩していこうよ」
そういうと、戸惑っているキョウコをよそに夫は車をラブホテルに向けた。


ラブホテルの一室−
シャアアアアァァ…
キョウコはシャワーを浴びている。なお、夫は先に浴びた。
(久しぶりだからうれしいけど…)
キョウコの胸は既に激しい鼓動を刻んでいる。バスタオルを身体に巻きシャワールームから出ると、
ドアの前で夫は待っていた。
「それっ!」
「えっ?」
「僕に任せて、お姫様」
キョウコは顔を赤くして夫のお姫様ダッコに身を任せる。ベッドに身体を乗せると、
夫が自分の身体に重なってきた。そして顔が近づいてきた。キョウコは目を閉じる。
ちゅっ…ちゅっ…ちゅっ…
始めは唇に触れるだけのキスだったが、キョウコは段々心地よくなってきた。
そのうちにキョウコの口の中に舌が侵入してきた。キョウコも舌を積極的に絡め、腕を夫の身体に絡める。
キョウコの豊満な乳房に手が伸び、バスタオルの上から優しく揉みしだく。
439ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/28(水) 23:05:53 ID:MeZUaVGg
「はああ…」
キョウコは首を後ろに反り返らせながらか細い声を漏らす。
夫は乳房を覆っているバスタオルを取り払うと、豊満な乳房が露わになった。その頂点には、
乳首が固く突出していた。夫は乳房に舌を這わせ、乳首を舌で転がし、吸い付いた。
「ああ、ふうっ…はあぁ…」
キョウコの息遣いが荒くなってきた。乳首を吸われるたびに身をわずかによじらせる。夫の手が下半身に伸びる。
キョウコの恥部は既にキスとペッティングの快感で湿り気を帯びていた。
「はあん、ああん、ああ…」
キョウコの喘ぎ声のトーンが一段と高まる。夫の指の第一関節が膣口に侵入してきた。
クチュ…クチュ…
いやらしい音をたて、恥部から透明な液体が湧き出てくる。恥部の上端の
赤く充血したクリトリスを親指で刺激する。
「うっ…!」
というつまったうめき声がキョウコの口から漏れ、夫が更に指の動きを早めると、
「ひゃ、ひゃあ、ああん、あああっ」
夫はキョウコの乳首を吸いながら、彼女の膣の奥に指を入れていった。そして、ぐるぐると回していった。
「あうっ、あうっ、いやっ、やめてぇ!」
だが、やめてというその声とは逆にキョウコはとろんとした白い液体を深い部分から湧き出させながら腰を動かした。
夫は開かれた股間に顔を埋めた。
「いや…あん…あなた…」
膣口に指を入れられて、夫の舌が対の花びらをめくるようによけ、ねっとりと潤んだひだの狭間を這い回ると、
「ひいっ、はあん、ああ、あああん」
悲鳴とも歓喜ともつかない声を発し、のけぞり返った。キョウコは羞恥と感動の狭間でのたうち、
激しく喘いでいた。クリトリスを舌で舐めまわすと
「ああう、も、もうだめ…いやっ、ああっ、ああああん!」
汗だくの身体を弓なりに反らして、キョウコは一気に頂上に駆け上がり、久しぶりの快感に酔いしれた。
440ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/28(水) 23:08:28 ID:MeZUaVGg
本日はここまで。残りは明日必ず投下します。
では皆様おやすみなさい。
441名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 23:21:52 ID:cZtt/S0g
生殺しGJ。
442そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 00:56:55 ID:OQIH3MHI
どうも、そらです。数日でいっきに読む量増えて大変ですが、職人様方乙で
あります。
さて、自分も20日に超フライングクリスマスSS書いてからコツコツ書いてきた
のができたんで載せます。今回は初エロになっておりますので、描写は甘い
と思いますが、そこは生暖かく見てやってください。
ちなみに恥ずかしながら自分の体験をベースにしてみたり・・・
題名は「彼氏と彼女の事情」です。
443そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 00:58:48 ID:OQIH3MHI
このお話の主人公、若田部アヤナが中学を卒業してから早5年がたっていた。
中学を卒業後、渡米したアヤナもすでに大学生。今回、敬愛するお姉様、中村リョーコが
結婚するということで、五年ぶりに日本に戻ってきたのであった。
この5年の間に、日本でも色々あったようだ。連絡などは随時友人の的山リンコや
天野ミサキとメールでとりあっていた。実際、今回のメールをくれたのもリンコだ。
そういえば、彼女の終生のライバル、ミサキからも気になるメールはきていた。
ミサキは卒業後マサヒコと付き合ったこと。しかし、1年後別れてしまったこと。それ以来疎遠なこと。
アヤナは正直、驚いていた。あの二人が付き合ったことではなく、1年で別れてしまった事に。
やはり、幼馴染というのは近すぎる存在だったんだろうか。
様々な思いを胸にアヤナは懐かしい地元へ戻った。

ドレスを身に包み、アヤナは式場へと向かった。会場では懐かしい顔、顔、顔。
「アヤナちゃん。戻ってきてくれたんだ〜。5年ぶりだね〜。」
密かに憧れていたリョーコのように髪をのばしたリンコだった。
「お久しぶりね、的山さん。随分大人っぽくなったじゃない。」
「えへへ〜、まだまだ胸は小さいけどねぇ。アヤナちゃんの分けてほしいくらいかな〜。」
見た目は変わっても中身はリンコだった。
「わ、アヤナちゃん。こっちこっち〜。」
少し遠くでぶんぶん手をふる少し幼い感じを与える女性。この人はあまり変わってないな・・・濱中アイ先生。
「お久しぶりです、濱中先生。髪染められたんですね。」
「うん、ちょっと大人っぽくしてみようかなってね。私もいい年だし・・・アヤナちゃんはやっぱりと言うべき
なのかな・・・凄く綺麗で大人っぽい・・・」
「ありがとうございます。でも、先生もかわいらしいですよ?」
すると、少しアイは頬をふくらませる。
「大人の女性にかわいいはないんじゃないかな?まぁ、嫌じゃないけどね。」
そう言ってすぐに顔をほころばせる。
「あ、先輩には会った?今控え室いるから会ってきなよ。きっと喜んでくれるよ〜。控え室はあっちね〜。」
アヤナはアイに言われるがまま、リョーコの控え室に向かった。
心臓が鼓動を打つ。今でもリョーコが憧れの人に変わりはない。一息つくと、アヤナはドアに手をかけた。
「失礼します・・・お姉さま、ご結婚おめでとうございます。」
アヤナが部屋に入ると、真っ白なドレスに身を包んだ新婦、中村・・・いや、今日からは豊田リョーコがいた。
「アヤナ・・・わざわざ帰ってきてくれたのね。凄く嬉しいわ。」
5年という月日のせいだろうか。破天荒だったリョーコもすっかり落ち着いていて、本物の大人の女
という感じである。
「お姉さま・・・とても綺麗・・・」
「はは、ありがとう。でも、少し窮屈かな。まぁ、これぐらいはしっかりしてやらんとな。でも、
途中で窮屈すぎて全部脱いじゃうかもな〜。」
ケラケラ笑いながらリョーコが言う。訂正。見た目は落ち着いたが中身は変わっていないようだ。
「お、若田部か・・・よく来たな。」
不意に男の声が聞こえる。新婦豊田セイジ。アヤナ達の元担任だ。
「豊田先生もおめでとうございます。それにしても、随分ご結婚遅かったですね。」
そう言うとセイジは気まずい顔をする。代わりにリョーコが答える。
「ん・・まぁそろそろ攻守交替してやろうかなってね。奴隷から主人に格上げ許してあげたのよ。」
「豊田先生・・・相変わらず弱いですね。・・あ、そろそろ時間ですね。それじゃあ私も向こうに戻りますね。」
そう言って部屋を出ようとするアヤナ。
「ん?ああ、それじゃあゆっくり見てってな。食べ物もたくさん用意してあるからさ。まぁ、アイが食べまくる
だろうけど。あの子もそろそろ食い気より色気が欲しいんだけどね〜。」
アヤナを見送りながらリョーコは苦笑する。リョーコにとっては、アイも妹みたいなものなんだろう。
444そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 01:04:54 ID:OQIH3MHI
再び会場に戻ったアヤナ。大きく手を振る団体を見つける。言うまでもない。そこには天野ミサキもいた。
「若田部さん、久しぶり〜。元気してた?」
相変わらず色素の薄い髪、肩ほどの髪を下ろしている。中学時代は幼めだった彼女も今は大人だ。
「天野さん。久しぶりね。もちろん、元気よ。」
挨拶を交わしながらアヤナは少し戸惑っていた。ミサキが思いのほか元気な事。
よく考えればミサキとマサヒコが分かれたのは4年前だ。もう、ふっきっているんだろう。
「アヤナちゃん、聞いてよ〜。ミサキちゃんてば裏切り者なんだよ。中学の時私と永遠の
貧乳同盟組んだのにこんなに大きくなってるし・・・私はいまだにAなのに、ミサキちゃんはすでにD・・」
「わーわー!リンちゃん、場所!場所!」
見た目は変わっても変わらないやりとりに思わず微笑むアヤナ。
「ふふ、アヤナちゃん嬉しそうだね。みんながそんなに変わってなくて安心したのかな?」
意外にするどいアイの指摘にアヤナは目を丸くする。
「そうですね。5年の月日を考えると少し怖かったんです・・・みんなどうなってるかなって・・・
でも、お陰様で安心しましたよ。」
そう言って笑うアヤナ。ふと見ると、別の席に・・・いた・・・小久保マサヒコ。
中性的だった顔は今はすっかり男らしくなってる。小さめだった体つきも今は立派なものだ。
ただ・・・なにか・・・元気がないと言うか、しょぼくれている。まさかミサキの事じゃないとは思うが。
アヤナはマサヒコに声をかけようとしたが、ちょうど式が始まりそれもできなくなった。

始めは厳粛な雰囲気な式もすぐに中村、もとい豊田オーラでぶち壊れる。
アイはひたすらに食い続けるし、リンコが昔のリョーコの偉大な(?)出来事を暴露するし、
お色直しでは何故か女王様ルックになったリョーコが泣きながら奴隷ルックのセイジを引き連れたり・・・
そんなはちゃめちゃな式を楽しみつつもアヤナはマサヒコを見ていた。変わらず元気がない。
ふと、そんなアヤナをみたミサキが言う。
「気になる?彼のこと・・・ああ、元気ないのは私のせいじゃないよ?最近ね、何かあったみたい・・・」
そんな言われるほど見ていたんだろうか。そう思いつつもアヤナは
「そうね。確かにしょぼくれてる感じがするわ・・・せっかくだし後で声でもかけとこうかしら。」
と、とりあえず相槌をうっておいた。

式が終わりそれぞれが解散する中、アヤナはマサヒコの捕まえた。
「久しぶりね、小久保君。元気だったかしら?」
「若田部・・・か?ああ、まぁ・・・元気かな・・・」
上っ面の笑みを浮かべマサヒコは答える。そんなマサヒコの態度を見て
アヤナはため息をつきつつマサヒコに提案した。
「そういえば、昔の責任果たしてもらってなかったわよね〜。久々に日本の焼肉が食べたいんだけどな〜。
もちろんあなたの奢りで。」
昔なら軽く突っ込みもはいったろう。いや、昔ならと言うか、普段のマサヒコならば・・・
しかし、マサヒコの口からは
「ああ・・・分かった。明日何時にする?迎え・・行くからさ。」
といった言葉しか出てこなかった。またため息をつきながらアヤナはマサヒコと待ち合わせの約束し
五年ぶりの実家へと向かった。
445そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 01:05:49 ID:OQIH3MHI
翌日、夕方7時。待ち合わせ場所にやってきたマサヒコの車に乗り、焼肉屋へ向かう。
適当に注文を済ませ、食べつつ飲みつつ溜まりに溜まった五年間の話をする。
始めは前日同様元気のないマサヒコだったが、昔の友達と会話がはずんでいるせいか、はたまた酒のせいか、
段々普段のマサヒコに戻っていく。が、
「そういえば、小久保君今は付き合ってる人とかいないのかしら?」
アヤナが聞いた瞬間、顔を曇らせる。原因はこれか・・・アヤナは悟る。そしてこんな話なら
間違っても焼肉屋で話す話ではない。機転をきかせアヤナはマサヒコに提案する。
「ふぅ〜。ごちそうさま。おいしかったわよ・・・さて・・・少し話したいんだけど・・・中学校行ってみない?」
マサヒコは目をパチクリしつつ答える。
「中学?まぁ、別にいいけど・・・んじゃあ、会計すませるか。」
マサヒコは伝票をもって立ち上がり会計を済ませる。アヤナはそれを見届けマサヒコの車へ。
さすがに地元だ。中学校まではそんなに遠くはない。十分程度車を走らせ懐かしの中学へ。
時計はすでに九時を過ぎている。門はしまっていて、中には入れない。普通は。
「小久保君、あなたどっか抜け道とか知らないの?たいていあるもんでしょ?」
マサヒコは少し考え、そして思い出す。マサヒコは中学の時は部活動こそしていなかったが、
サッカー部とは仲が良く、よく一緒に遊んでいた。
「確か・・・そこの塀にでかい穴があって・・・そこをくぐるとクラブハウスに続いてて・・・」
記憶をたどりアヤナとその場所へ向かう。その穴は昔と変わらぬまま、大口を空けていた。
大人でも充分通れる穴をくぐり、再び記憶をたどる。
「昔夜にとまったんだよな・・・そうだ!確か鉄格子は余裕で外れて鍵は壊れて閉まらなかったはず!」
サッカー部の部室の鉄格子に手をかける。今でも使われているのか、あっさりはずれる。
そして、当然鍵も壊れたまま。二人は泥棒さながらにサッカー部の部室に侵入する。
「へぇ〜、随分色々あるのね。この体育マットなんていい遊び道具じゃない。」
アヤナはそういって一面に敷き詰めてあるマットの上に座る。
「そうそう、ここでみんなと泊まったりプロレスしたりな・・・もう五年も前なのか・・・」
感慨にむけるマサヒコ。そこへアヤナは一気に核心をつく。
「んで・・話だけどズバリ!最近の小久保君の恋愛ね。あの感じだと・・・失恋かしら?」
某占い師のようにズバリ言うアヤナ。すると、マサヒコは少し悲しそうな顔をした。
「失恋か・・・そうなんかもな・・・」
そう言うマサヒコに寄るアヤナ。
「時間はあるんだし・・・話してもらえないかしら?聞くくらいならできるし。
さすがにお店じゃできないと思って、ここへ来たわけだし。」
アヤナがそう言うと、マサヒコは話し始めた。
「バイト・・・してるんだけどな。そこに1個下の女の子がいてさ。まぁ・・・好きになったわけだ。
んで、その子に彼氏がいるの分かってな?ああ、別にそれでこんななってるわけじゃないぞ?
その子は結構俺のこと頼ってくれててさ。どうも、今の彼氏とは性格が合わないみたいでさ。
それで俺は何て言ったと思う?上手く別れさせるように言えばいいのにさ・・・
何を血迷ったか応援するような事言ってさ。もう自分でも訳わかんなくってさ・・・」
俯きつつトツトツと言うマサヒコ。
「まぁ、結局は今はうまくいってるみたいでさ。んで、その子に先輩のお陰ですなんて言われてさ・・・
ホント、訳わかんねーよなぁ・・・」
俯いててよくは見えないが、汗なのか、涙なのか、マサヒコの顔をつたう。
アヤナは思った。ああ、やっぱりこの人は変わってない。きっと自分によくすることはできたはずだ。
それでも、しなかった。いや、できなかったんだろうか。きっとこれはこの人の本質なんだろう。
「はは・・・ごめんな。こんな話聞かせてさ・・・リアクションできねえだろ・・・?」
自嘲的な笑いを浮かべるマサヒコ。そんなマサヒコの頭をアヤナは優しくなでた。
普通、男は強いものだ。それがアヤナの男に対するイメージ。それでも恋の悩みで
ここまで弱くもなる。その弱い部分がアヤナには何故か可愛らしく思えた。
そのままマサヒコを優しく抱きしめアヤナは言う。
「つらかったんだよね?泣きたかったんだよね?誰かに聞いてほしかったんだよね?
大丈夫だよ・・・私が全部受け止めてあげるから・・・慰めてあげるから・・・」
ずっと堪えていたであろう、マサヒコの目から涙が溢れ出す。アヤナは頭を撫でながら
強くマサヒコを抱きしめた。それと同時にマサヒコは声をあげて泣いた。
446そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 01:10:56 ID:OQIH3MHI
どれだけそうしていたんだろうか、ようやくマサヒコは落ち着き顔をあげる。
「ありがとうな、若田部。も・・・大丈夫だからさ・・・」
口ではそう言っているが明らかにそうは見えない。
「全然大丈夫そうじゃないわよ?・・・ねぇ・・小久保君・・・顔をあげて?」
アヤナの言葉通りにマサヒコは顔をあげる。そして唇に感じる、暖かかくて柔らかい感触。
「・・・わかた・・べ?」
自分でもなんでキスしたかは分からない。ただ・・・マサヒコを元気にしてあげたい。その理由もわからない。
ただ、アヤナには今のマサヒコは自分が支えてあげないと今にも壊れそうに思えた。
「別にあなたが初めてってはけじゃないし・・・私だって向こうで彼氏の一人は二人はいたわよ。
まさかあなたも初めてじゃないでしょ?・・・お互いもう大人だものね。そんな子供じゃないわよね。」
そういってアヤナはマサヒコの首筋に唇を這わせる。マサヒコの背筋にもゾクゾクした感覚が走る。
その瞬間マサヒコもアヤナを求める。
「ん・・・こく・・ぼく・・ん」
さっきのような触れるキスではない。舌を存分に絡めあう。お互いの体温を直に感じあう。
唇を離すと二人の混ざり合った唾液が糸を引く。そのままマサヒコはアヤナの首筋に舌を這わせる。
そしてそのまま耳を刺激する。急にアヤナの力がぬける。
「んっ・・っは・・あぅ・・・」
弱い部分なのか、アヤナは吐息を漏らす。その声にマサヒコはさらに興奮を強める。
左手で首筋をなぞりながら右手で服を脱がしていく。そのまま服も、さらには下着も剥ぎ取る。
アヤナの大きい胸があらわになる。思わずマサヒコは見とれてしまう。
白く、大きく、さらに形も綺麗だ。アヤナが日々スタイルを維持するための努力がみてとれる。
「若田部・・・とっても綺麗だ・・・」
マサヒコはつい口にだす。するとアヤナは少しいたずらな笑みを浮かべ
「それは天野さんの比べてかしら?」
と問う。マサヒコはハッとしてしまう。実際無意識に比べていたのかもしれない。そんなマサヒコを見てアヤナは
「ふふ・・・冗談よ。少しからかってみたただけ。」
そう言って微笑む。そうすると、マサヒコも仕返しとばかりにアヤナの胸に顔をうずめた。
右手で乳輪をなぞる。あえて乳首は刺激しない。同時に左の乳首を口にふくむ。
「んあ・・あっ・・ん・・」
巨乳は感度がイマイチなんて聞くが、実際はそうでもない。少なくともアヤナは。
マサヒコはアヤナが感じているのを確認しつつ、口で軽くアヤナの乳首をかむ。そして、じらしていた右では
少し強めにつまむ。
「あうっ!・・・は・・いいよぉ・・・」
そう言って体をくねらせる。今度は右の乳房を口で愛撫しながらあまった右手はアヤナのお腹をなぞる。
くすぐったいのか、ますます体をくねらせる。
「若田部・・・その・・・下いいかな?」
手をスカートにやり、一応聞いてみる。アヤナは微笑みながら
「ここまできてやめるなんて男らしくないわよ?据え膳食わぬは何とやらって・・・ね?」
その言葉を聞いたマサヒコは躊躇なくスカートを脱がす。そしてショーツの上からアヤナの割れ目をなぞる。
「あん・・んん・・はっ・・あぁ!」
やはり敏感な部分か、一番激しく体をよじらせる。アヤナのソコからあふれ出る液がアヤナのショーツを
濡らす。マサヒコはそのままショーツを剥ぎ取る。アヤナのソコは淫らな香りを発しつつ
溢れ出る液で艶かしく光っていた。
「ふあ・・・アン・・・あ・・あ・ああ・・いい・・」
マサヒコが二本の指を出し入れするだけでグチュグチュという音とアヤナの喘ぎ声が響く。
マサヒコもその音に興奮しながらクリトリスを軽くつまむ。
「んっっああ!や・・あふ・・あ・・・」
アヤナも一際大きな声をあげる。マサヒコは一度指を引き抜き、今度は口を近づける。
じゅっる じゅる じゅぷ ぬぷ じゅる
卑猥な音を立てながらマサヒコはアヤナの出す液を舐め取りながらソコの奥に舌をいれる。
「う・・ん・・ひゃ・・・あう・・気持ち・・いい・・よぉ・・・」
マサヒコの愛撫によりアヤナのソコは受け入れる準備を整える。


447そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 01:11:58 ID:OQIH3MHI
マサヒコもズボンを脱ぎ、モノをアヤナへむける。すでに戦闘体制は万全なのだが
それでもアヤナを求める。アヤナは嫌な顔などせず、むしろ嬉しそうな顔で
「ふふ・・・昔お姉さまに小久保君はEDって聞いてたけど・・・全然大丈夫みたいね。」
そういってマサヒコのモノをにぎり口に含む。
「あのメガネめ・・・みんなに言ってやが・・・く・・・」
言う途中でアヤナはマサヒコのモノの頭の部分に舌を這わせる。そのままサオヘ。
上目使いでマサヒコを見ながら口を前後させる。じゅぷじゅぷと音が漏れる。
フェラによる感覚的興奮と音による聴覚的興奮がマサヒコを襲う。後は潤んだ瞳で、
超一級品の美女が上目遣いで自分のモノをしゃぶっている視覚的興奮か・・・
恍惚の表情をうかべるマサヒコを見てアヤナも思う。はじめはフェラも抵抗があったが
今は嫌いじゃない。自分で男を人が気持ちよさそうな顔をするのは嫌いじゃないし、
なんだか可愛くもあった。そもそもアヤナは尽くすタイプなのもあるだろう。
「くああ・・・若田部・・・入れていいか?」
マサヒコはアヤナの顔を自分のモノから離させる。
「いいけど・・・その・・・アレあるかしら・・?」
そう言うとマサヒコは財布からコンドームを取り出す。それを見てアヤナは笑う。
「ふふ、今日もしかして期待して持ってたの?」
「え・・いや。何て言うか・・・男の身だしなみと言うか必需品というか・・・」
「つまり、いつでも抱けるようにってことね?」
口ではこんな事を言っているが、アヤナは嬉しかった。完全に今回の情事は勢いって言ってもおかしくない。
そのまま生でしようとする男も少なくはないだろう。でも、マサヒコはゴムをつけてくれる。
普通のことかも知れないが、アヤナにはそれが嬉しかった。
「若田部・・・入れるよ・・・?」
ゴムをつけ終えたマサヒコがモノをアヤナのソコにあてがう。
「んっ・・・いいよ・・・きて・・・」
じゅぷっと音を立ててアヤナがマサヒコを受け入れる。そのまま腰を動かす。
「あ・・あん・・あ・・・いいよ・・・入ってる・・・よぉ・・・」
アヤナもマサヒコも大人だ。交わる快感は知っている。初夜のような初々しさはない。
「ふぁ・・ああ・・深い・・・ふぁ・・・深くはいってるよぉ・・・」
マサヒコは完全に腰と腰を密着させるように前後させる。モノはアヤナの奥まですいこまれる。
マサヒコは腰を動かしながら少しずつ体勢を変えていく。正常位から側位へ。そしてバックへ。
男にとっておそらく一番突きやすいであろう体位。一段と激しく腰をふる。
動きにあわせてアヤナの大きな胸も揺れる。
「アン・あん・・あ・・んあ・・・ああ!あん!あん!」
同時にアヤナも声を荒げる。思い出せばこの体位も始めは苦手だった。相手の顔が見えないからだろうか。
もっとも慣れればむしろそこが快感な気がしてきた。たまに思う。自分はお姉さまに似てきたなと。
いや・・・むしろみんな心ではそう思ってるのかも知れない。ただ口に出せるお姉さまが凄いだけだろうか。
「あ・・ん・・・小久保君・・・次は私・・が・・・動きたい・・・」
448そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 01:12:51 ID:OQIH3MHI
アヤナがそう言うとマサヒコはいったんモノを引き抜き、寝転ぶ。そこにアヤナはマサヒコのモノを持ち
自分のソコにあてがい腰を沈める。マサヒコのモノは深くまで吸い込まれていく。
「あう・・はぁ・・今ので・・・よく・・・これって分かったわ・・ね・・?」
腰を前後させながらマサヒコに言う。
「ん・・ぅぁ・・ああ。まぁ・・・これだろうなってさ・・・それにしても・・・・」
エロイ。マサヒコは頭では思ったが口には出さなかった。マサヒコにまたがったアヤナは自分の気持ちいいように
動く。自分の性欲のためにあの若田部が・・・そう思うとこれ以上ないような征服欲に駆られる。
おまけに・・・ビジュアル的にもエロイ。腰を上下に動かせば豊かな胸がこれでもかというほど揺れる。
前後させればその腰の動きもこれまたエロイ。
様々な興奮のせいか、マサヒコも積極的に腰を動かす。二人の汗がほとばしり、混ざり合う。
「うあ・・・若田部・・・俺もう・・イク・・!!」
「んは・・ああ・・私も・・・あう・・・いっちゃう・・んっっっっはぁぁ!!!」
幾度となく体を、腰をぶつけ合い、二人は果てた。
449そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 01:13:27 ID:OQIH3MHI
数日後
「アヤナちゃん、もう帰っちゃうの〜?もっと遊びたかったのにぃ〜〜!!」
空港でリンコが言う。
「ごめんなさいね。まだ大学あるし・・・でもこれからはもっと頻繁に帰るわよ。」
ぶーたれるリンコをなだめる様に言うアヤナ。
「それがいいよ、アヤナちゃん。あ、今度はなにかおいしいお土産よろしくね〜。」
すでにアヤナが買ってくるであろう食べ物に思いを馳せよだれをたらすアイ。
「ほら、アイ、みっともない。まぁ、帰ったら絶対ウチにも寄りなさいよ。す〜〜ぐ、子供産むからさ。」
アイに呆れながらリョーコが言う。
「若田部さん、帰ったらまたみんなで出かけようね。楽しみにしてるから。」
そう言って微笑むミサキ。
「若田部・・・その・・・この前はありがとうな。」
すっかり元気になったマサヒコが小声でアヤナに言う。その声は周りの雑音にかき消され
なんとかアヤナに聞こえる程度だったが・・・アヤナは微笑むと
「次は彼女作っときなさいよ?まぁ、いなかったり・・・また失恋でもしたら・・・」
みんなに手を振り、マサヒコに背を向けながら言う。
「そん時は、また慰めてあげるわ。」


    FIN
450そら ◆nZAjIeoIZw :2005/12/29(木) 01:14:52 ID:OQIH3MHI
以上です。時間的に人大杉になりまくって投稿大変でした。
誤字脱字は各自で補完お願いいたします。
それでは皆様、よい新年を。
451名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 01:30:29 ID:yyC4wADG
GJ!GJ!GJ!!
452名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 03:49:02 ID:c+onBUgW
そら氏GJです!
453名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 08:34:12 ID:7mJtw8y6
ぬおおおぉぉぉ!そら氏GJ!
454名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 17:55:32 ID:e51VxhDH
>ペピトーン氏
続き楽しみにしてます!
加藤先生…ハァハァ

>そら氏
アヤナはいい女に成長してますな GJです!
さりげなくDカップミサキがィィョ


年内に次スレ必要そうだな…
455名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 18:04:34 ID:J1rpF9mZ
そら氏ペピトーン氏GJです!

レス数が500にも到達しない勢いですな
なんて神スレだ…
456名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 18:08:13 ID:FF4Dlsr4
残り40か・・・結構長めの作品が来たら微妙なとこだよな・・・
次スレそろそろ立つか?
457名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 18:31:02 ID:e51VxhDH
今日はペピトーン氏投下予定だから次スレ立てようと思ったけど無理でしたorz
誰かお願いします
458ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/29(木) 21:41:51 ID:BP5ZMcEH
こんばんは。早速ですが、昨日の残り部分を投下させていただきます。
459ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/29(木) 21:48:58 ID:BP5ZMcEH
「キョウコ、いっぱい感じてくれたね?」
夫が満足気に見つめている。そんな夫の顔を見るうちにキョウコの身体の中で淫らな欲望が湧き上がった。
息を整えると、キョウコは夫の身体に乗りかかり、夫の唇に吸いついた。
「…キョ、キョウコ?」
夫はキョウコがこんなに積極的であることに少々驚いた。
「わたしに任せて…あなた…」
夫はその言葉を聞いて、キョウコの行為に身を預けることにした。キョウコは再び夫の唇に吸い付き、
身体を舐めまわす。そして夫のペニスを目の前にした。キョウコはその硬さと太さを確かめるかのように、
ペニスをやんわりと握り締めた。全体が火傷しそうに熱くなっており、元気すぎてキョウコの手の中から
暴れだしそうになっている。亀頭がはちきれそうなほどに膨張し、尿道からは透明な液体が滲み出ていた。
キョウコはサオを軽くしごいたり、指先で亀頭を撫で回し、先走り液を塗り広げたりして弄んでいる。
夫は気持ちよさそうな表情で快感に浸っている。
「あなた…気持ちいい?」
キョウコがそう聞くと、夫は目をつぶったまま無言でコクン、と頷いた。
「ふふっ、じゃあ、もっと気持ちよくなってね」
そういうと、キョウコはためらうことなく張り詰めた夫のペニスを口に含んだ。
「うぐぐぐぐ…」
キョウコは普段は物腰落ち着いた教師である。しかし、人妻モードに入ってしまったキョウコは、
もう自分をコントロールできなくなっていた。そして、自分でも信じられないような淫らさを発揮しながら、
夫のいきり立つペニスを美味しそうに頬張り始めた。
夫はキョウコの乱れぶりに改めて驚いていた。だが、いつまでも驚いてもいられなかった。
キョウコのフェラチオによって、下半身に強烈な快感が襲ってきたからだ。
「はぐっ、はぐっ…」
硬直したペニスは、キョウコの口内粘膜にスッポリと包み込まれていた。キョウコの舌が亀頭を舐め回し、
たっぷりと唾液を塗りつけている。
「ううっ、キョウコ…」
キョウコの舌は亀頭の裏側の皮のつなぎめをチロチロと舐め始めた。そのままサオの付け根に向かって
裏筋を舐めおろしていく。強烈な快感が夫の下半身を駆け抜けていく。夫もまた、久しぶりのエッチなのである。
このままでは、キョウコの口の中に発射してしまうのは時間の問題だった。
460ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/29(木) 21:51:36 ID:BP5ZMcEH
(そろそろ、かしら…?)
夫の様子からそう察したキョウコの身体から更なる淫らな欲望が湧き上がってくる。
「あなた…」
そそり立つ夫のペニスを握り締め、自分の恥部へと導く。騎上位で合体するつもりなのだ。
夫は見上げると、目の前に全裸のキョウコの姿が映る。豊満な胸は二十代後半になっても
形がだらしなくなったり、垂れたりすることもなかった。それよりむしろ、乳房は成熟するに従って
近頃ますます張りが出てきたようだ。乳首は子供を産んでいるにもかかわらず、きれいなピンク色をしていた。
アンダーヘアは薄いほうだが三角形をしており、どうやらきちんと手入れをしているようだ。
ヒップラインは正面からでもボリューム感があるのが分かる。むき出しになった太ももは、ムッチリして妙に肉感的だった。
彼女の身体は数字(B87・W56・H88)を見てもナイスバディだが、それと同時に、一児の母親の優しさをたたえている。
「入るわよ…」
キョウコは恥部にペニスをあてがい、そしてゆっくりと腰を下ろしていった。
「はあんっ、あなた!」
夫のペニスを深々と受け入れたキョウコは一際高い嬌声を上げた。
「あはんっ、お、奥まで入ってるわ。お願い、もっと突いて!」
キョウコは夫の身体に両手をつきながら、ピストン運動を催促するように、自分から腰を激しく振る。
「あはあっ、あっ、あああ…」
キョウコは自分からリズミカルに腰を動かし始めた。ペニスがはずれそうになるギリギリのところまで引き抜かれ、
再び根元までズッポリとめり込んでしまう。ホテルの部屋には、お互いの性器がこすれあう卑猥な音が響き渡っていた。
そこには、キョウコの欲情的な喘ぎ声も加わっている。夫は両手を背中に回してキョウコの身体を引き寄せた。
キョウコはつながったまま上半身を倒し、舌を絡めあった。
461ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/29(木) 21:54:25 ID:BP5ZMcEH
「キョウコ、今度は僕が…」
夫はそう言うと、身体を横に回転させて今度は自分が上になり、正常位でキョウコの中にペニスを打ち込んだ。
「ああっ、ああっ…」
夫はさらに腰の動きを激しくし、キョウコの腰づかいも激しさを増した。それによって今まで射精を我慢してきた夫のペニスは、
ついに発射の秒読み段階に入ってしまった。キョウコは夫の元気なペニスに子宮を貫かれ、グングン昇り詰めていく。
「ああんっ、ああんっ!」
もはや落ち着いていて、物腰丁寧な女教師の姿はそこには無かった。夫のペニスをくわえ込んで悶絶しているのである。
「あなた、も、もうだめ、いいっ、いくーっ!」
「キョ、キョウコ…!い、いくよ!」
夫は腰の動きを早め、キョウコの身体の最奥にペニスを打ち込んで一気に頂上に駆け上がった。
「ああっ、あああ、あああああん!」
夫の背中に両手がくい込まんばかりにしがみつき、身体の奥に熱いものを感じながらキョウコは絶頂に達した。
「う、ううっ」
ドクン!ドクン!
キョウコが絶頂に達すると同時に、成熟した粘膜でペニスを過激に刺激され、夫もまたキョウコの子宮の奥に、
大量の精液を注ぎこんだ。そして、夫は射精が終わると、キョウコの身体に倒れこみ、しばらくつながったまま2人で
快楽の余韻を楽しみ、しばしの間眠りについた。


2人はようやく目を開けるとお互いに見つめあう。先にキョウコが口を開いた。
「…久しぶりだから燃えちゃった」
「僕も、とても気持ちよかった…」
夫はそう言うと、キョウコの身体を引き寄せた。
「ん」
キョウコは、自分の下半身に固い物が当たっているのを感じた。夫はやや照れくさそうにお願いする。
「キョウコ、その…もう一回いいかな?」
「やだぁ、あなたったら、ずいぶん元気ねぇ」
「だって、君となら何度だって…」
「…うん、いいわよ」
キョウコは顔を赤らめてうなずいた。それが二回戦突入の合図だった。
(あ…帰るの、遅くになっちゃうわね)
夫の身体の下でキョウコは帰りが確実に遅くなるのを心配したが、今は夫とのエッチを
存分に愉しむことにした。近頃やや夫婦のすれ違いを感じていたキョウコだが、
どうやらこの様子なら心配なさそうである。めでたし、めでたし。
462ペピトーン ◆NerkxCFOyg :2005/12/29(木) 21:59:02 ID:BP5ZMcEH
以上です。何とか無事に終わらせることが出来ました。
年内はこれが最後になると思います。
先ほど自分が初めてここに書き込んだ作品を読み返しましたが、その時は
まさかこんなに作品を投下することなど夢にも思っていませんでした。
本当に分からないものですね。

最後にこの板を支持してくれた皆様、職人様達、そして作品を保管してくれた
古田氏、今年一年有難うございました。それではよいお年を!
463名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:07:48 ID:RQX3nPu1
ベビトーン氏あんたぁえれえお人や

なぜか旦那にシンクロした気分

さて、残りバイト数も少なくなってきたけど新スレは年越しになるのかな?
464名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:52:25 ID:GMRbruo5
ハァハァ…加藤先生…ハァ…エロス……ハァハァ…ペピトーン氏…GJ……ハァハァ(*´д`)
465名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 02:50:46 ID:SI6FIOWa
>>464はチカ
466名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 03:34:53 ID:0Pzsi3Md
しばらく見てないうちに13時間目まで…スゴス
467541 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:12:05 ID:PTNyuIH0
>>363-368 の続きです。後半パートを投下します。
タイトル:リョーコ14歳/始動
内容:リョーコ×関根先生、エロなし、萌え少々?
468リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:15:37 ID:PTNyuIH0

街路灯のオレンジ光が次々と射し込み、車内を這い回っては出てゆく。
その動きが妙に艶かしい。リョーコはその様子をじっと眺めていた。
隣で関根がハンドルを握っている。

先ほどのおっぱいネタは、関根に軽く流されてしまった。
別に困らせたかったわけではない、少し女として意識してもらいたかった。
軽く動揺してくれれば、リョーコの淡い恋心はそれで十分満たされたはずだ。

だが、関根の答えは「中村、逆セクハラはいかんな」だった。

(もー、どうしてこんなに鈍いのかな。いい加減に気付いてよ)

リョーコが関根から護身術の個人指導を受けるようになって二ヶ月。
生徒に人気があるわけでもない関根に、接近する女子生徒は他にいない。
普通なら、勘付いて当然ではないだろうか。

このままでは駄目だ。リョーコはもっと積極的に出ることにした。

「先生、ラジオ聞いてもいい?」
「ああ」

関根がカーステレオを操作すると、ヒットチャートを紹介するDJの声が車内
に響いた。

『いよいよ冬本番、
 リスナーの皆さんも恋人とロマンチックな週末を過ごしていますか?
 それでは今週のリクエスト第一位、WHITE LOVE by SPEED 』

流れる曲を聴きながら、リョーコが問いかける。

「果てしない雲の彼方って、どんなところかな」
「青空が広がってるだろうな」

「天使がくれる出会いって、どんなのかな」
「俺はキリスト教徒じゃないからわからん」

「もー、ロマンスのカケラもない返事ばっかり。サイテー」
「ただの生徒を口説いても仕方ないだろ」

リョーコの気持ちを知らない関根としては無難な返事をしたまでだが、
言われた方にはショックな返事だった。

(私、ただの生徒でしかないの?)
469リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:16:55 ID:PTNyuIH0

別に、関根と深い付き合いをしたいわけではない。
彼と呼ぶには歳が離れすぎているし、性的な関係など論外だ。
お互いに少し意識し合うプラトニックな関係になれたら、それで十分。

だから、一人の女性として意識してもらおうと、色々やってきた。
だが関根にとっては、女性どころか特別な生徒でさえなく、ただの生徒。
あまりの現実にリョーコは凹んだ。

「中村、おまえの家に着いたぞ」
「…」
「また、足が痛みだしたか?」
「…別に」

関根は訝しい表情でリョーコを見る。
先ほどまで、はしゃいで、おっぱいネタで逆セクハラまでしていたのに、突然
ふさぎこむとは。女生徒は扱いにくい。関根はそう思った。

一方、リョーコは完全に落ち込んでいた。

(どうして私は、こんな人が好きなんだろう)

冷静に考えてみると、関根のどこに惹かれるのか自分でも良くわからない。
容姿、人格、体格、いったいどこに魅力があるのか。

リョーコはよろよろと車を降りると、関根の肩を借りて自宅の玄関先まで歩い
ていった。財布から鍵を取り出し扉をあける。室内に灯りはなかった。

「こんばんは、東が丘中の関根です。お嬢さんが怪我をされたので…」
「誰もいないわ、先生も上がって」

関根はすこし躊躇したが、足を痛めたリョーコを玄関先に放り出して帰るわけ
にもいかず、靴を脱いだ。
470リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:18:50 ID:PTNyuIH0

リョーコは関根を居間に座らせ、キッチンに向った。
足首はまだ痛いが、体重をかけずに壁伝いに歩くなら問題ない。

ダイニングテーブルの上に、母親からのメモを見つける。
浮気相手との週末旅行、戻りは日曜の夕方の予定。そういう内容だった。
リョーコは読み終えると、メモをクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げ入れた。

「先生、何か飲む?」
「いや、親御さんが帰ってくる前に引き上げさせてもらうよ」
「…誰も、帰ってこないわ」
「は?」

リョーコは冷蔵庫の中からビール缶を取り出すと、関根に向って投げた。

「先生、ほら」
「わ、うおっと」

関根はギリギリ間に合い、両手でキャッチした。そして手にした缶を見る。

「おいおい、酒を飲んだら車で帰れないだろ」
「泊まってもいいよ」
「ああ、それなら、、、、って、おい!」
「私、着替えてくる」

そう言い残して、リョーコは自室に消えた。
居間に残された関根は、手元のビール缶を眺めていた。

(いかんな、だが…)

サントリーモルツ、彼の好みの銘柄だった。誘惑に負けて関根は缶を開けた。

(まあ、一口ぐらいならいいだろう)
471リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:19:29 ID:PTNyuIH0

結局、関根は3つ目の缶ビールを開けていた。
気付けば夕食も振舞われることになっていた。

独身の一人暮らしの男にとって、こういう家庭的な雰囲気は無碍に出来ない魔
力がある。手料理は女が男に向って放つ最終兵器だ。リョーコは本気で勝負に
出ようとしていた。

(私を女として認めさせなきゃ)

リョーコはキッチンに立ち、手際よく料理を仕上げていく。

「先生、もうすぐ出来るから取りに来て」
「ああ」

リョーコはフライパンでカリカリに炒めたベーコンに、茹でたジャガイモを加
え、塩胡椒で味付けをする。ジャーマンポテト完成。

「お、なんだか美味そうだな」
「でしょ」

上機嫌のリョーコは、出来上がった料理を皿に取り分けると、関根に渡して運
んでもらう。レタスのサラダ、ジャーマンポテト、ボイルソーセージ、ガスコ
ンロのグリルで軽く炙ったフランスパンとコーンスープ。

(絶対に美味しいんだから、食べたら驚くわよ)

良い出来だと思った。先ほどまでの沈んだ気持ちは完全に吹っ切れていた。
472リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:22:33 ID:PTNyuIH0

食事の後は、おしゃべりタイム。

「先生は、彼女が欲しいとは思わないの?」
「欲しいけど、縁がなくてね」

「彼女いない暦はどれくらい?」
「3年ぐらいかな」

「へー、前はいたんだ。彼女とはエッチもした?」
「そりゃ、したさ」

酒が入っているせいで、関根も口が軽くなる。

「じゃあ、その後はエッチしていないの?」
「あー、彼女とはそうだな」

生徒に対して、風俗で抜いているとは言えない。

「彼女なしで寂しくない?」
「人肌が恋しいこともあるよ」

「やっぱりそうよね」

リョーコは頬杖をつき、関根を正面から見つめる。
プラトニックとかヌルイことはやめて覚悟を決めた。

「ねぇ、関根先生」
「ん、何だ中村?」
「私とエッチしよう」

リョーコは、最高の笑顔を向けてそういった。
473リョーコ14歳/始動 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:23:32 ID:PTNyuIH0

さすがに関根も、まずい事態になっていることを自覚した。
生徒宅で酒を飲み、生徒からセックスに誘われている。

「中村、何をバカなことを言っているんだ」
「本気よ」

「頭を冷やせ、俺も帰る」
「お酒が抜けてないのに運転したら犯罪だよ」

「タクシーを拾うさ」
「嫌よ、帰っちゃ嫌」

リョーコは目に涙を浮かべて訴える。

「中村、いったいどうしたんだ。今日は変だぞ。生理の日か?」

関根は、オヤジギャグで誤魔化して、一連の会話をなかったことにしたかった
が、本気のリョーコには逆効果だった。リョーコは関根をキッ睨んだ。

「ああ、もう!先生なんか、大嫌いっ!」

関根の服を指差し、
「ジャージ姿が嫌い!」

足を引き摺って近寄り、
「汗臭いのが嫌い!」

関根の額に指を立てて、
「無神経なのが嫌い!」

リョーコは、よろけるように関根に抱きついた。

「こんなに嫌いなところだらけなのに…大好き…大好きよ」

(END)
474541 ◆05jvyNSqBM :2005/12/30(金) 05:27:16 ID:PTNyuIH0
以上です。ようやくリョーコの告白まで辿りつきました。
振り返ると、氏家スレに最初に投稿したのがちょうど一年前の夜でした。
------
541 名前:リョーコ14歳[sage] 投稿日:04/12/29(水) 23:22:28 ID:T7XE7ktY
重低音のリズムと煙草の煙が渦巻く週末のクラブ。
リョーコは暗い瞳で、ぼんやりとフロアで盛り上がる男女を眺めていた。
    :
543 名前:リョーコ14歳[sage] 投稿日:04/12/29(水) 23:28:01 ID:T7XE7ktY
処女作を投下してみました。中村センセの過去編ということで、
体育会系の先生との絡みや、音楽教師ゲロ事件、視聴覚室
での出来事までを繋げてみようと書き出したのですが、
イントロだけで力尽きそう。難しーわ。
-----
まさか、このリョーコ物を一年も続けるとは思ってもみませんでした。
正月休みに、ぱぱっと書くつもりだったのですが、見通しが甘かったです。
475名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 06:05:52 ID:Koga8O8z
541氏、夜遅くというか朝早くから乙です。
476名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 10:15:19 ID:ObBwuSFb
>541氏
GJ&乙です!
もう氏が降臨なされて一年ですか・・・口淫矢の如しですね
来年もどうか作品投下お願いします

あとどなたか次スレを・・・自分も無理でした
477名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 16:00:40 ID:BspmF8aI
478ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/30(金) 16:38:13 ID:LJp3/I0B
職人の皆さん、古田氏、お疲れ様です。
そして>>477氏もスレ立てお疲れ様です。
では、埋め用として今年最後の投下をさせてもらいます。短いですが。

スルー対象ワードは「リョーコとセイジ、年越しネタ」「本番無し」です。
題は「ご主人様と奴隷の幸せな関係エピソード4・犬が迎える明るい戌年」です。
では投下↓
479ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/30(金) 16:39:12 ID:LJp3/I0B
 一年の締めくくりの大晦日。
街はしんしんと降り注ぐ雪に覆われ、一面真っ白な世界と化していた。
あと数時間で新年を迎えるという今、どこの家でも静かな時を過ごしていた。
こたつ、ストーブ、テレビ、みかん……。
ここ、中村リョーコのマンションでも、それは例外では―――

「何かしこまってんのよ、リラックスしなさいよ」
「はぁ……」
 こたつを挟んで男女が二人。
一人はこの部屋の主、中村リョーコ。
そしてもう一人は、彼女のこいび……もとい、奴隷の豊田セイジだ。
「こたつに入ったら?」
 リョーコはこたつに体半分を埋め、熱い茶なぞをすすりつつリラックスした状態。
「……いえ、けっこうです……」
 一方のセイジは、逆にそれとは程遠い緊張感に包まれていた。
こたつに入らず、絨毯の上で正座をしている。
「そう?ま、あんたがそれでいいならいいけどさ」
 歳は四歳セイジが上、社会的に見ても、一流銀行に就職が決まっているとはいえ、
まだ学生のリョーコと立派な中学教師であるセイジとを比べたら、明らかにセイジが上だ。
ところが。
この二人の間には、決して男が上位に立てない大きくて高い壁が存在していた。
「別に予定無かったんでしょ?」
「……無いです」
 嘘である。
確かに予定は無かった。だが、作るつもりでいたのだ。
本当は実家に帰りたかった。いや、逃げたかった。
しかし、逃げれなかった。
セイジは受験生である三年生の担当だ。
冬休みに入ったとはいえ、やらねばならないことが山積みでわんさかとある。
で、それに時間を取られているうちに、逃亡する暇を失ってしまったというわけだ。
「だったらもっとゆったりとしなさいよ、何しゃちほこばってんのよ」
「はぁ……」
 セイジは抵抗する気を無くしていた。
仕事でぐたぐたに疲れているのもあるし、もう完全に諦めているのもある。
敬語はその表れだった。
しょっちゅう呼び出されては酒を浴びせられ、精を搾り取られる。
再開した当初は、まだそれなりに対等の関係でつきあえたのだが、
今ではもう完全に下の立場になっていた。
「あたしも暇だからさ、アンタと遊んであげることにした。嬉しいでしょ?」
「……はい」
 何しろ、“犬”である。
犬が飼い主に逆らう方法はただ一つしかない。首輪を外して逃げるしかないのだ。
それが出来なきゃ噛み付くしかないのだが、
下手にガブリとやってしまったら、どれだけ恐ろしい罰が待っていることか。
「で、これなんだけど」
「……何ですか、こりゃ」
 リョーコは一枚の紙をセイジに差し出した。
「年越し予定表」
「は?」
「ま、とりあえず読んでみて」
「……はあ」
 セイジは手を伸ばし、こたつの上にリョーコが置いた紙を取った。
ただし、正座は崩さずに。
480ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/30(金) 16:41:11 ID:LJp3/I0B
『 ○31日

  PM7:00  晩御飯を食べる
          セイジにも餌をやる
  PM8:00  一発目【百閉】
          とりあえず騎乗位からスタート。まずセイジに奴隷の何たるかを再度教える
  PM8:30  二発目【時雨茶臼から御所車へ】
          引き続き騎乗位体勢で楽しむ
  PM9:00  一時休憩
  PM9:30  三発目【鶯の谷渡り、岩清水】
          セイジに全身奉仕させる
  PM10:00 四発目【雁が首、千鳥の曲、二つ巴】
          お互いの気分を再び高める
  PM11:00 入浴

 ○1日
  AM0:00  五発目、年越し蕎麦でなく年越しセックス【つり橋から深山、松葉崩しへ】
          セイジ主導でヤラせてみる
  AM1:00  六発目【鵯越え、仏壇返し、碁盤攻め、後ろ矢倉】
          そろそろ佳境、激しくバックで色々と
  AM2:00  七発目【鳴門、乱れ牡丹、しぼり芙蓉】
          まだまだ搾り取る、がっつり楽しむ
  AM3:00  八発目【こたつかがり、こたつ隠れ】
          やはりこれがないとね、冬は
  AM4:00  九発目【首引き恋慕、流鏑馬】
          最後にどっちが偉いがトドメを叩き込む
  AM5:00  入浴
  AM6:00  初日の出を臨海公園に見に行く                      』
481ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/30(金) 16:42:26 ID:LJp3/I0B
「……どう?」
「……、…………」
 セイジは正座の体勢のまま、後ろにゆっくりと倒れた。
視界に入った天井が、ぐにぐにと歪んでいく。
「48手全て制覇はさすがにしんどいだろうから、これくらいで許してやろうと思ってね」
「……」
「ちょっと、聞いてるの?セイジ」
「…………」
 リョーコの言葉は耳に届いてはいた。だが、“聞こえて”はいなかった。
セイジの目から、涙が後から後から沸いてくる。
「セイジー、おーい、セイジーッ?」
「あは、ああ、ああはは……はぁ、あ」
 セイジはそのまま気を失った。

「……コイツ、そんなに嫌か」
 のびているセイジを見て、リョーコは不機嫌そうな顔をした。
「ねえ、セイジったら」
 こたつから出ると、リョーコは四つんばいになってセイジへと近寄った。
そして上からセイジの顔を覗き込む。
「……マジで気絶してるのか、こんにゃろ」
 人差し指でセイジの鼻を突付いた。だが、セイジは反応しない。
無論、気を失ったからといって、リョーコはこのプログラムを変更するつもりはない。
犬にはきちんと躾をしなければならないのだ。
主人は毅然とした態度で臨む必要がある。
「……」
 リョーコは体を起こすと、テレビの上に置いてあるデジタル時計を見た。
時間は、午後5時を少し回ったところだった。
「ま、いいか。7時までは寝かせといてやるわよ」
 そう言うと、リョーコはもう一度、セイジの顔に自分の顔を近づけた。
「……セイジ」
 出会った頃より、ずっと大人びた顔。
老けた、とも言える。教師は激職、苦労がたくさんあるのだろう。
もっとも、セイジに一番負担をかけているのはリョーコ自身なのだが。
「今年一年、リンやマサ、ミサキやアヤナの面倒をよくみてくれたね……ご苦労様」
 リョーコは髪をかきあげると、セイジに軽く、優しくキスをした。
「来年もよろしく……ね」
 そっと唇を離すと、リョーコは晩御飯の用意をするためにキッチンへと向かった。
「さて、精力つくもん作ってやるかね」

 窓の外では、変わらず雪が降っている。
どこの家も、静かに年越しを迎えるはずだ。
だが、どうやらここは―――例外のようだった。


   F    I    N
482ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2005/12/30(金) 16:43:29 ID:LJp3/I0B
ここまで。
誤字脱字はスルーしてやってください。
しかし、一年が経つのは早いものですね。
とりあえず、マサヒコたちが卒業するまでは頑張るつもりです。

では、皆さん良いお年を……。
483名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 18:10:29 ID:WqGy0I8N
ピンキリ氏GJっす!
マサ達卒業までと言わず連載終了後もどうかお願いします
それでは良いお年を!
484102:2005/12/30(金) 19:24:03 ID:LasUdrMn
大晦日。
とある温泉宿の一室で、天野ミサキは苦悩していた。
「こいつは・・・やばいぜ」
「ふはははは!勘のいい貴様は悟ったようだな!
卒業まであと僅か!進学してしまったらマサをオトす機会は皆無!
確実に失恋するというわけだな!!」
いきなり現れ、ポーズをとりながらミサキを嘲笑する中村リョーコ。
彼女も豊田セイジを同伴して旅館へ「遊び」に来ていたらしい。
「や、野郎・・・!こんなこと言われて頭にこない奴はいねえ!」
激昂してリョーコを睨みすえるミサキ。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァ!!
貴様は将棋やチェスでいうところの詰みにはまったのだ!!」
「くっ・・・!!」
「(現実から)逃げても無駄だ!くらぇい!ザ・ワールド!!時は止まる!!」
「かかったな!RYOKO!」
「何ぃ!?」
「時が止まるということはつまり!最終回が永遠に来ないということだぜ!!」
「ま、まさか!このRYOKOがぁぁぁぁ!?」


その時イデが発動した。
485名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 19:36:25 ID:VruMpxat
淫猥
48651:2005/12/30(金) 21:30:11 ID:96y4JXYI
埋めネタに過剰な期待をしてはいけないと言っておきます。
487518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/30(金) 21:31:04 ID:96y4JXYI
信じられないような出来事ってのは一生に一度きりにして欲しい。
さもなきゃ神も仏も信じられなくなっちゃう。

そんな事を思いながら、マサヒコはアイの家のキッチンで唖然としていた。
が、しかし。
いつまでもアホの子のように唖然としているわけにも行かない。
とりあえず、マサヒコはアイとコミュニケーションを取ることにした。
「えっと……先生。バスタオル一枚の湯上りっぽい姿で冷凍庫に頭を突っ込んで、
教え子が来てもそのまま動かないってのは、あれですか?
先生の地元の風習かなんかで?あ、それとも宗教上の?」
「ちがうよ〜……」
マサヒコの言った通りの格好のアイが、物凄く悲しそうな声色で返す。
「マサヒコ君さむいよ〜……たすけてぇぇ……」
「は?助けて?」
「お風呂でのぼせたから、冷凍庫に頭突っ込んで冷やしてたの。
そしたらほっぺたくっついちゃって動けないの〜……」
「ええ!?それ大変じゃないですか!」
「人も呼べないし。もう十分近くこんな格好なの。お願いマサヒコ君何とかしてぇ」
「あ、はい……って、どうやって?」
「どうやってもいいから助けてぇ」
「……」
常人ならパニックを起こしただろう状況にもマサヒコは冷静だった。
まずコンセントを抜いた。
これで後は時間が経てば体温で氷が溶けて外れるだろう。
が、
「ううう…さむいよ〜…」
「大丈夫ですか?」
「あ、あんな所にラーメンが。おいしそ〜まてまて〜」
それを待っていたらアイが凍死する可能性がある。
つーか既にヤバイ。
「えっと…そうだ!水だ!水で氷を溶かそう」
台所の片隅に置いてあったペットボトルを手に取る。
「先生今水で溶かしますから」
アイの頭のせいで窮屈な冷凍庫にペットボトルをねじ込み、一気に流す。
滴る液体が床を濡らすが、構っていられない。
「先生、取れませんか?」
「ん、もうちょっと……あ!」
もぞもぞとアイの身体が動いたかと思うとアイの頭が冷凍庫から抜ける。
「抜けた〜……」
「うお!先生髪が凍ってますよ!唇も紫色で……うわぁ」
アイの頬に触れる。
「は〜……マサヒコ君の手あったか〜い」
「先生の頬が冷えきってるんですよ。頬に限った事じゃないですけど」
風呂上りでバスタオル一枚だった事。
水滴を丁寧に拭っていなかった事も悪影響している。
漏れた冷気が水滴を凍らせ、ホントに凍死寸前だ。
「まったく、後一歩で明日の――」
三面記事に載るところでしたねと言いかけて、絶句した。
アイが抱きついてきたのだ。
488518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/30(金) 21:32:11 ID:96y4JXYI
「ちょっ!先生!」
「まさひこくんあったかぁ〜い」
「せ、せんせい!身体身体!隠してくださいって!バスタオルが!」
バスタオルが取れて背中からお尻にかけてが丸見えだ。
抱きつかれているせいで前は見えないが、感じる。
視覚でなく触覚でアイの女を意識してしまう。
「先生マジで!」
なんて言ってたら。
「よーう!アイ〜!昨夜ケッコウ飲んでたけど調子は――」
「げげっ!」
なんとなんと、中村が登場。
さて問題。中村はこの状況をどう捉えたか?
ポイントはアイが半裸――つーかバスタオルも取れて既に全裸――でマサヒコに抱きついている。
以上を加味した結果、
「えっと……ごめん。お邪魔しちゃったわね」
「まて!ちょっと待て!あんたは誤解をしている!!話を聞け!!」
「みなまで言わなくてもいいわ。百聞は一見にしかずって言うでしょ。
だいじょうぶ。私にはわかってるから大丈夫よ」
「わかってない!絶対あんたわかってないよ!」
「いいからいいから。ミサキちゃんには黙っててあげるわよ。
じゃあお邪魔虫は退散するからね」
「あ!こら!!中村先生!濱中先生もなんとか……って先生!?ちょっと!」
「ウフフフ……マサヒコ君ったらぁ…こんなにあったかいモノ持ってるんじゃなぁい」
「うわっ!ちょっと先生!何処触ってるんですか!?ちょ、ちょっと!」
反応してしまっていたマサヒコの聞かん棒をアイはぎゅっと握る。
「マサヒコ君。私のこともっともっとあっためて……ね?」
「せ、先生目が…目がやばいっすよ!」
「私初めてだから、上手く出来ないかもしれないけど我慢してね」
「なにをだぁぁぁぁ!!」
マサヒコの絶叫が部屋に響いた。


小久保マサヒコ。
冷静な彼だがたった一つ間違いを犯していた。
氷を溶かすために用いたペットボトルの中身が焼酎だった事に気づかなかったこと。
そのためにアイがベロンベロンに酔っ払ってしまったことだ。


「さあマサヒコくん。一緒に大人になろうね〜♪」
「いやぁぁぁぁ!」


そして、前述とは違った意味での過ちも犯そう(犯されよう)としていた。
嗚呼小久保マサヒコ。
彼の明日はどっちだ?



END
489518 ◆8/MtyDeTiY :2005/12/30(金) 21:34:19 ID:96y4JXYI
終了。
いろいろスルーしてください

486でありえない失敗を犯しました。
ガッテム!でさぁ。

なお、アイと似たような失敗をしたことがあります。
くっついたのは舌でしたが。
ごーいんに引き剥がしたらしばらく血の味しかしませんでした。

思えばあのころは若かった。
490名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 21:49:26 ID:vhOB/yNx
アカボシ氏、今更ですが本当に今までご苦労様でした。これからも頑張って下さい。
そのほかの神々も、ご苦労様でした。また来年も頑張って下さい。
いい作品を期待しております。

さて、当方携帯からの書き込みなんで残り容量が分かりませんが、いつもながらのしりとりを


大晦日 『か』
491名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 21:51:57 ID:s/j/YLEz
カナミ!カナミ!
492残り12KB:2005/12/30(金) 22:03:53 ID:WB+YmCN0
ミサキ!ミサキ!
493名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 22:13:55 ID:b2HJdWZ1
キンタマー!(マナカの愛猫)
494名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 23:36:36 ID:iShkG0c0
マホ!マホ!
古田氏のためにゆっくり落としたほうがいくないか?
495名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 07:01:34 ID:iNSmYHRz
ツインテール
496名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 23:11:08 ID:RhW7EICs
497名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 01:09:37 ID:ljXvJXYV
古田氏新年早々保管庫更新乙です
498 【大吉】 【274円】 残り11KB:2006/01/01(日) 21:26:01 ID:Cyzp/Gkc
埋めついでに、おみくじひいてみる
499名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:58:04 ID:OFVOkBq3
ぬるぽ
500 【小吉】 【1795円】 :2006/01/01(日) 23:02:43 ID:sdatABZL

 /| /   | / | /ヽ `、\
/ート|ー' | / -ト/、 \、. `、、、
   /   /   / \`、 i `
             | 、 |
 ーーー   ー、   | \|
          `ヽ |  
              |      >>499 
               i      ガッ
    __,--⌒>     |
   ∠--' ̄     ,-'´
          _,-'r、
   _,,-------` '))|\
  /        /// |\
  >-、      /// | \
_,,-'´  \    ///  |

501名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 23:29:21 ID:mdJi5ha2
 /| /   | / | /ヽ `、\
/ート|ー' | / -ト/、 \、. `、、、
   /   /   / \`、 i `
             | 、 |
 ーーー   ー、   | \|
          `ヽ |  
              |       
               i      ぬるぽ
    __,--⌒>     |
   ∠--' ̄     ,-'´
          _,-'r、
   _,,-------` '))|\
  /        /// |\
  >-、      /// | \
_,,-'´  \    ///  |
502名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 02:14:10 ID:ECuG1wAJ
あけ おめこ とよろ
503名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 21:17:16 ID:6+qRKMKI
埋め
504名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 22:31:02 ID:M3LhsrUm
505名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 23:23:48 ID:UmeE2iCV
 /| /   | / | /ヽ `、\
/ート|ー' | / -ト/、 \、. `、、、
   /   /   / \`、 i `
             | 、 |
 ーーー   ー、   | \|
          `ヽ |  
              |      >>501 
               i      ガッ
    __,--⌒>     |
   ∠--' ̄     ,-'´
          _,-'r、
   _,,-------` '))|\
  /        /// |\
  >-、      /// | \
_,,-'´  \    ///  |


506名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 23:27:06 ID:EetS7tpZ
ぬるぽぬるぽぬるぽぬるぽ
507名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 23:55:06 ID:Or1GZ3h5
ガッガッガッガッ



508名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 00:20:27 ID:SOzZrw4l
ケイたん埋め
むしろ、産め!!
509名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 13:21:36 ID:+s3OEANn
うめ
 /⌒ヽブンブンブブブン
二( ^ω^)二⊃         /⌒ヽ
  |    / /⌒ヽ ⊂二二二( ^ω^)二⊃  黄色いバカンスよ
 ⊂二二二( ^ω^)/⌒ヽ   |   /
  ノ>ノ   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ヽノ     /⌒ヽ
 レレ     ( ヽノ|    /   ノ>⊂二二二( ^ω^)二⊃  ブンブンブブブン
        ノ /⌒ヽ ヽノ   レレ      |    /
  ⊂二二二( ^ω^)二⊃  /⌒ヽ     ( ヽノ
        |   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ノ>ノ  黄色いバカンスよ
         ( ヽノ      |    /   レレ
         ノ>ノ       ( ヽノ
     三  レレ        ノ>ノ

  /⌒ヽブンブンブブブン
二( ^ω^)二⊃         /⌒ヽ
  |    / /⌒ヽ ⊂二二二( ^ω^)二⊃  黄色いバカンスよ
 ⊂二二二( ^ω^)/⌒ヽ   |   /
  ノ>ノ   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ヽノ     /⌒ヽ
 レレ     ( ヽノ|    /   ノ>⊂二二二( ^ω^)二⊃  ブンブンブブブン
        ノ /⌒ヽ ヽノ   レレ      |    /
  ⊂二二二( ^ω^)二⊃  /⌒ヽ     ( ヽノ
        |   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ノ>ノ  黄色いバカンスよ
         ( ヽノ      |    /   レレ
         ノ>ノ       ( ヽノ
     三  レレ        ノ>ノ

  /⌒ヽブンブンブブブン
二( ^ω^)二⊃         /⌒ヽ
  |    / /⌒ヽ ⊂二二二( ^ω^)二⊃  黄色いバカンスよ
 ⊂二二二( ^ω^)/⌒ヽ   |   /
  ノ>ノ   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ヽノ     /⌒ヽ
 レレ     ( ヽノ|    /   ノ>⊂二二二( ^ω^)二⊃  ブンブンブブブン
        ノ /⌒ヽ ヽノ   レレ      |    /
  ⊂二二二( ^ω^)二⊃  /⌒ヽ     ( ヽノ
        |   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ノ>ノ  黄色いバカンスよ
         ( ヽノ      |    /   レレ
         ノ>ノ       ( ヽノ
     三  レレ        ノ>ノ

  /⌒ヽブンブンブブブン
二( ^ω^)二⊃         /⌒ヽ
  |    / /⌒ヽ ⊂二二二( ^ω^)二⊃  黄色いバカンスよ
 ⊂二二二( ^ω^)/⌒ヽ   |   /
  ノ>ノ   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ヽノ     /⌒ヽ
 レレ     ( ヽノ|    /   ノ>⊂二二二( ^ω^)二⊃  ブンブンブブブン
        ノ /⌒ヽ ヽノ   レレ      |    /
  ⊂二二二( ^ω^)二⊃  /⌒ヽ     ( ヽノ
        |   ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ノ>ノ  黄色いバカンスよ
         ( ヽノ      |    /   レレ
         ノ>ノ       ( ヽノ
     三  レレ        ノ>ノ
510名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 14:40:34 ID:SOzZrw4l
埋め?埋めだよな?埋めって言えよ この埋め!
511名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 17:00:21 ID:Bpln9dJs

                          埋めさせてよ! ハァハァ
               ,-、             ,. -─‐- 、
           , -─‐ ! ! 、             /::::,、:、:::::::::::::\
        / , ヽ.  | l ヽ  _,.--、〃  ーァ':::// ヽ\:::::::::::::ヽ
       〃 /lト、 |l ! l  !  i { (⌒)   /:::/_j_,  、!__ヾ::::::::::::l       / )
  ( ヽ    !| ム┼'ヽ! H-l  lミ j /ラ  ノ   lハ:} -‐'  ー- |::i,ニ、::,ヽ     /./
  ヽ \  V1-r‐'  ー- l  Vミジヽ.  ゙、    !   r-┐.ノ( レ' Zハ!`    / /
    \ \  !  r‐┐  l   V   \ \   l  l  j ⌒ ,1N  ,...、/ /
     \  `ヽ  |_|  >ー'⌒!   \ 77ー` ‐゙=、′r≦-r<´ `! `!/
       \  i:.` ‐--‐ く::::::::::::〈       `1 |   ヾ、____ノノ    | |
        Y´:::::::::ヽ____)::::::::::|      | |   l `ー─''´     |_」
        ‘ー-、:::::::::::::::::::::::::::::|      Ll____!         r''´
            l::::::::::::::::::::::::::::ヽ           |         ゙、
      え      l:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ        |         ヽ
        え     l:::::::::::::::::::::::::::::::::::゙、       |           ヽ
       |     l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉       |
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             ヽ _,.-r'´      \       L_____,...-
              |   |         ヽ     L____,...-
              |   ゙、       く〉     |レ1:.:.:.:.:.:.:
              |     ヽ     
512名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 17:08:07 ID:OjigJKRN
                          挿入させてよ! ハァハァ
               ,-、             ,. -─‐- 、
           , -─‐ ! ! 、             /::::,、:、:::::::::::::\
        / , ヽ.  | l ヽ  _,.--、〃  ーァ':::// ヽ\:::::::::::::ヽ
       〃 /lト、 |l ! l  !  i { (⌒)   /:::/_j_,  、!__ヾ::::::::::::l       / )
  ( ヽ    !| ム┼'ヽ! H-l  lミ j /ラ  ノ   lハ:} -‐'  ー- |::i,ニ、::,ヽ     /./
  ヽ \  V1-r‐'  ー- l  Vミジヽ.  ゙、    !   r-┐.ノ( レ' Zハ!`    / /
    \ \  !  r‐┐  l   V   \ \   l  l  j ⌒ ,1N  ,...、/ /
     \  `ヽ  |_|  >ー'⌒!   \ 77ー` ‐゙=、′r≦-r<´ `! `!/
       \  i:.` ‐--‐ く::::::::::::〈       `1 |   ヾ、____ノノ    | |
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        ‘ー-、:::::::::::::::::::::::::::::|      Ll____!         r''´
            l::::::::::::::::::::::::::::ヽ           |         ゙、
      え      l:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ        |         ヽ
        え     l:::::::::::::::::::::::::::::::::::゙、       |           ヽ
       |     l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉       |
               !::::::::::::::::::::::::::::::::::/       |
             |::::::::::::::::::::____人        !
             ヽ _,.-r'´      \       L_____,...-
              |   |         ヽ     L____,...-
              |   ゙、       く〉     |レ1:.:.:.:.:.:.:
              |     ヽ     

513名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 18:58:56 ID:Z4vCktzm
埋めた
514名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 18:59:39 ID:Z4vCktzm
500kb?
515名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 19:22:29 ID:OjigJKRN
1000
516残り1KB:2006/01/04(水) 19:35:10 ID:7C2YkGOv
まだだ、まだ、埋まりはせんぞ。
517名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 20:26:10 ID:WlTgGDh2
  _
  /〜ヽ
 (。・-・) プリン
 ゚し-J゚
518名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 20:40:50 ID:SOzZrw4l
ケイかわいいよケイ
519名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 20:54:24 ID:SOzZrw4l
埋めたかな?
520名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 21:20:13 ID:OjigJKRN
mouiccho
521名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 21:32:29 ID:SOzZrw4l
加藤先生かわいいよカトゥ先生ハァハァ(*´д`)ハァハァ…
522名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 23:00:49 ID:kLWWBGlc
産め!!!!!!!!!!!!!
523名無しさん@ピンキー
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