【ここで】フォーチュンクエスト11【ない場所】

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1名無しさん@ピンキー
萌える話をお待ちしております。
がんがん書いていきましょう。

注意
人によっては、気にいらないカップリングやシチュエーションが描かれることもあるでしょう。
その場合はまったりとスルーしてください。
優しい言葉遣いを心がけましょう。
作者さんは、「肌に合わない人がいるかもしれない」と感じる作品のときは、書き込むときに前注をつけましょう。
原作の雰囲気を大事にしたマターリした優しいスレにしましょう。

関連スレは>>2
2名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:50:46 ID:PWyMQ9rD
初代スレ【ここで】フォーチュンクエスト【ない場所】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1055/10556/1055691001.html
【ここで】フォーチュンクエスト2【ない場所】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1064/10644/1064418158.html
【ここで】フォーチュンクエスト3【ない場所】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10651/1065113446.html
【ここで】フォーチュンクエスト4【ない場所】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10656/1065673087.html
【ここで】フォーチュンクエスト5【ない場所】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1066/10662/1066284626.html
【ここで】フォーチュンクエスト6【ない場所】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067037876/
【ここで】フォーチュンクエスト7【ない場所】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067820828/
【ここで】フォーチュンクエスト8【ない場所】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1068595655/
【ここで】フォーチュンクエスト9【ない場所】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1069345894/
(前スレ)【ここで】フォーチュンクエスト10【ない場所】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1078245053/

SS保管人様が管理されている
ttp://adult.csx.jp/~database/index.html
SSの保管庫です。
このスレの作品はライトノベルの部屋その2にあります。
dat落ちで見れないときにご利用ください。

トラパス作者さんの作品は
ttp://adult.csx.jp/~akane0624/paro/paro.htm
こちらで読めます。毎日更新されていて読み応え十分です。

3名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:04:27 ID:wQJh0Z8h
>1乙!
トラパス作者さんのところはもう404になってるし、抜いた方が良かったかも。
気づくの遅くてスマソ。
4名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:15:12 ID:o1TWmzGb
さあ前スレ>961さん(屮゜Д゜)屮カモーン
5名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:23:44 ID:Z5kwcBIZ
>1乙!
トラパス作者さんの今のサイトは・・・張らない方がいいのかねえ?
保管庫にある作品が普通にサイトにもアップされてるから
知らない奴が見たら盗作転載したように見えるかもしれん

と、保守代わりに前々からずーっと気になってたことを書いてみる
いらんお世話か。

前スレ961さんコォ━━━━щ(゚Д゚щ)━━━━イ!!!!
6名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:29:40 ID:UMO77RaV
トラパス作者さんはなぁ・・・もうこのスレを離れた人だから貼らない方がいいと個人的にはオモ。

投下期待あげ
7名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 01:22:31 ID:o1TWmzGb
前スレ読み返してて思ったんだが、ジュン・ケイいいな。
昼は屈強な女戦士、しかし夜は欲望に忠実なただの女とか。
そんなジュン・ケイを誰か書いてはくれまいかorz
8名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 00:14:57 ID:8Ok3GGfP
前スレ961氏を待ちつつ保守
9名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 04:35:37 ID:zsF12ahx
ほしゅほっしゅ(゚∀゚)
10名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 15:48:05 ID:CiFNSqOq
あげげん(^^)
11名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 19:08:50 ID:F6t2o7gz
保守
12名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 10:22:57 ID:ZMstg31l
ギアに萌え
13名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:10:59 ID:Qzd6zEyD
ギアパス萌え
14名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 01:34:59 ID:Qmlc0oQn
クレルーキボンヌ
15名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 14:57:09 ID:G5/jx9tY
age
16名無しさん@ピンキーsage:2005/11/24(木) 13:38:34 ID:hJ93+N9o
sage
17名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 19:25:12 ID:gReQ2933
sageてNeeeeeeeee!
18名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 21:39:36 ID:78kveUJz
クレマリクレマリ
19名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 21:58:47 ID:KD9pe1IC
クリスマスにちなんだものが読みたいでつ
20名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 20:44:42 ID:3DEMLku6
クリスマスってあったっけ?w
旧シリーズ実家に置いてきたからいろいろ忘れてるな

ちょっと読み返してくる ノシ
21名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 02:26:43 ID:ISm6cZpa
クレパスに目覚めた
22名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 02:27:14 ID:tLuvIYw4
クレパスまっていますよ・・
23名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 11:34:22 ID:eFW+o6RW
トラパス、クレマリ、キッスグのいずれかを是非お願いします。
24名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 13:48:16 ID:bKZT0oX2
ギアパスキボンヌ
25名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 02:56:47 ID:Q+p/qpI0
ク レ マ リ キボンヌ
26名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 22:04:23 ID:h2MOWKG8
カプだけじゃなくもうちょっと具体的なシチュキボンヌ
27名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 12:09:32 ID:S95kZjB3
ギアパスで結婚後の初のクリスマス。。。
ギアがわざとセクースの最中に生クリームまみれにした、甘いパステル。。
中には、さくらんぼを三個ほど入れる。。。
28名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 21:39:24 ID:8IekCl/C
ギアパスもういい。前スレでお腹いっぱいだ・・・
29名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 22:15:06 ID:X16Dh6Fd
クレルー成長バージョンキボンヌ。

幼い頃からクレイを慕い続けてたルーミィと、
ずっと父親代わりに見守ってきたつもりだったクレイ。
ふと気がついたら女らしく育ったルーミィにドキマギするクレイ。
気持ちが通じ合っても、エルフより老いていくのが早い
逝ってしまうのが早い自分に悩むクレイを
じゃあ子供が欲しい。その子や孫と、一緒に生きていくからと明るく言うルーミィ。
そして二人は・・・

みたいなシリアスめキボン。自分の萌えばっかり先行したリクでスマン。
30名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 12:18:30 ID:NzouVSU6
クリスマスねたには萌え
31名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 16:25:34 ID:78+mrr0o
何かさーこのスレ、リクだけのスレで終わりそーだな
32名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 01:28:58 ID:EBceTWHA
>>31間違いない
33名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 19:14:46 ID:MDSsz/EG
おいおい…
34名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 23:29:18 ID:ps+hFtiN
書いてはいるが遅筆なんだなorz
という俺みたいな書き手もいると信じてる
35名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 00:23:24 ID:4S9iznQ0
ここって書き手が現れる前はあれこれレスやらリクやらあるけど
いざ投下してもその後24時間以上放置とかざらにあるからな

というへタレな書き手もいると信じてる
スレストッパーになりかねない (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
36名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 13:36:46 ID:QKaLFnE7
半角に次元に新規エロパロ小説、うpられてたよ。txtで。
あっちに人行ってるんじゃね?
37名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 22:10:21 ID:wjA32279
>>36 え?何それ…漏れ知らねーす。。。詳しく教えてくれんなせぇ。。
38名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 12:20:37 ID:fkHiUckI
>>37
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1120395833/765-767
まだうpロダにあったから、読んでくるといい!
39名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 14:18:39 ID:DSQy+Sbn
話が読みたいでつ。。
40名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 18:24:57 ID:zpSzP/7B
あぽーん
41名無しさん@ピンキー:2005/12/11(日) 04:58:52 ID:4UMkr9yD
クレパスが読みたい・・・
42名無しさん@ピンキー:2005/12/13(火) 21:23:47 ID:I3C3Fijd
神様…わたくしは、遅筆の方を、お待ち申しております
43名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 08:25:07 ID:lrSIYW6c
待ってる間に自分でも書いてみようぜ
と無責任に言ってみるテスト
44名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 09:43:40 ID:o9daXjua
いい心がけですなー
45名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 22:41:51 ID:6R8QSDVA
46名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 01:33:25 ID:i6VPPGNv
絵しか描けない俺はどうしたら
47名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 01:47:40 ID:3gVWusHk
>46
うp!うp!!
48名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 01:21:04 ID:R3ASeLo/
本格的にヤバい気がしてきた…。
頼む。消えないでくれ…。
49名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 01:03:13 ID:R225UTxV
おなじく。。
50名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 14:35:19 ID:Z2bn7i3z
新刊が出れば、また少しは活気出るかな。
51名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 19:23:02 ID:dHVHRKtu
ダレカ〜。ミンナドコヘイッテシマッタノカ...
52名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 07:26:15 ID:pb/jZghw
ノシ
冬コミ終わるまで待ってくれ……
53名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 01:32:44 ID:4SlNawG2
ノシ同じく・・・
コピー誌発行だから今大詰めなんだ・・・
54ちよ:2005/12/28(水) 00:23:32 ID:FwZhx8Xs
「ねぇ、クレイ。クレイって…経験ある?」
「ん。何の?」
ミルクに火をかけながら突然聞いた私に、クレイが不思議そうな顔でこっちを見た。
「…う、うぅん。やっぱ、何でもない。」
尋ねてみたものの、何だかか気恥ずかしくなっちゃって。つぃ視線をそらしてしまった。でも、それを見逃すクレイじゃなくて…
「どした?何か気になる事でもあるんじゃなぃのか?」
「……。」
優しく尋ねられて、思わず口ごもる。

ま…マリーナぁ。やっぱし、聞けないよぅ!
55ちよ:2005/12/28(水) 00:24:18 ID:FwZhx8Xs
つい、昨日の事。
「ねぇパステルさぁ、経験ある?」
「何の?」
新築祝いのパジャマパーティーで、いきなりマリーナに聞かれた。「子づくり。」
ぶっっ!!
「きっ…たないなぁ。」
思わずホットオレンジを吹き出した私に、顔をしかめるマリーナ。
だってだって!そんな、私、無理無理。絶対無理だって!そんな…なんて…。
「パステルじゃ、ないか。」
赤くなったり青くなったりしてると、あっさりマリーナに言われてしまった。
「……。」
マリーナはある…みたいで。ちょっとくやしい。
56ちよ:2005/12/28(水) 00:25:10 ID:FwZhx8Xs
それが顔に出たのか
「心配しなくても。だってあなたのパーティだと、クレイなんかもした事なさそうじゃなぃ?」
なんて言われてしまった。
…う〜ん。そうかも。
「聞いてみたらいいよ。」
57ちよ:2005/12/28(水) 00:26:27 ID:FwZhx8Xs
…なぁんて、マリーナはあっさり言うけどさ。
聞けないって!!

…はぁ。
私がそんな事考えてるなんて、クレイは全然思いもしないんだろう。
「一緒にたくさんのクエストをこなしてきた仲間じゃないか。」
「おれじゃ役不足かもしれないけど、相談にのるよ。」
なんて、屈託なく聞いてくる。だから、つい
「うん…クレイじゃ役不足、かな。だから、いいよ。」
なんて、こたえてしまった。
58ちよ:2005/12/28(水) 00:28:13 ID:FwZhx8Xs
「……。」
しばし流れる沈黙。パチパチと、火のはぜる音だけが聞こえる。
言いすぎたかなぁ…。クレイは、私の事心配して言ってくれたんだもんね。
クレイに謝らなきゃ。と思って振り返ると、クレイはすぐ目の前に立っていた。
「…!ク、クレイ。びっくりした。」
手にはなぜか、物置きにしまっていたはずの縄がにぎられている。
59ちよ:2005/12/28(水) 00:29:18 ID:FwZhx8Xs
「…クレイ?あの…。」
と謝ろうとしていると…いきなり両手首を縄で縛られ、頭の上にあげられたところを、ショートソードで壁に打ちつけられてしまった。
「…っなっ?」
あまりの事に、もぅ何て言っていいのかわからない。
クレイの顔が近づいてくる。もぅ、鼻と鼻がくっつきそぅな…そんな距離。
「役不足かどうか、試してみる?」
耳もとでささやくクレイの声に、思わず背筋がゾクッとした。
…ク、クレイ?
60ちよ:2005/12/28(水) 00:32:07 ID:FwZhx8Xs
語彙が少なくて、その後が書けないです。
ごめんなさい。
つづきはみなさんの頭の中でどうぞ。
乱文、失礼しました…m(__)m
61名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 00:56:09 ID:ozgkOzjy
んにゃーーーー萌え!!!!!!
62ちよ:2005/12/29(木) 10:03:04 ID:/qnwnijw
ありがとうございますです。なんか、評価してもらっちゃうと、また書けそうな気になっちゃぃますね。てへ。
63名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 02:33:23 ID:NhSXSmhh
うわ〜っ!!クレパス良い!!出来れば、出来れば最後まで〜!!!
64名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 13:59:22 ID:Z/JEcIaw
今年このスレッドが盛り上がる事を祈って。。。
65名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 19:14:28 ID:NwpJoUrR
トラパスで良ければ。。。
66名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 23:16:55 ID:7wNgXVar
色々読みたいので、65さん是非!!
67名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 01:18:31 ID:XW75ufo0
68名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 01:54:49 ID:791CDo/0
新刊でたね
69名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 11:34:18 ID:TS9ItexE
なんだかパステルがトラップのことばっか考えてる気がした>新刊
70名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 16:58:59 ID:kgnydDVU
トラパス実現したら…かなり萌え〜(゚∀゚)
てか作者もトラップ気に入ってるしありえるね!!
71名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 14:37:15 ID:mU/m4CBW
というか冷静にこれまでの流れからトラパスENDで決まりだろ。
でもID:kgnydDVUはかなりウザいので、おまえにはドーイとは言いたくない
72名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 23:41:03 ID:AZX4Aaz6
うわ…
ひっどい……
73名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 23:58:31 ID:GEvd6vbn
家族のような関係のままでいてほしかった。
…そう思ってるのは、俺だけなんだろうな(´・ω・`)
74名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 01:52:41 ID:DsINbISc
>>73
そういう言い方は自分に酔っているようであまり好きではないな。
とりあえずライトノベル板の深沢スレを見てみるといい。
75名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 02:42:32 ID:BkBs5njy
>>74
はじめてそのスレ読んできた…。なんかもう言葉が見つからん。
というか別の考え方になってきました。
>>74ありがとう(´;ω;`)
7675:2006/01/10(火) 03:21:46 ID:BkBs5njy
よくよく考えたらなぜお礼をしなきゃならんのだ。
前言撤回。こんな気分にさせやがって_| ̄|○

スレ汚しスマソ。
77名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 03:25:39 ID:p54xsEZ6
>>72
じゃあお前がID:kgnydDVUの
お友達になってやったらよろし
俺は>>71にハゲド。
78名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 08:04:03 ID:3WkPDKDG
自演乙
79名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 21:05:16 ID:3WkPDKDG
トラップ好きには、いいラストだが…。うーん。
違う奴にゃあ嫌だよなぁ
80名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 21:10:29 ID:tLBoT0Hq
後編が出る前にクレルを完成させようと思った俺が通りますよ
ようやくエロにたどり着いた……先は長いorz
81名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 21:55:58 ID:oGu54wLF
ってーか、話キボンヌ
82名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 23:01:54 ID:3WkPDKDG
誰かトラパスを下され
83名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 12:05:48 ID:OZ+nCrwW
ギアパスをさりげなく期待してたのだが。。アポーン
84名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 19:41:10 ID:kUDGrmDp
久しぶりに来たらだいぶ治安悪くなってるな。
ついでに過疎だ!
85名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 11:18:20 ID:D87nsrsl
神よ降りてきてくれー!!!
86名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 00:12:26 ID:sRLortf6
神じゃないから降りれない
87名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 00:40:20 ID:r04d1WKA
トラップ×パステル以外…というのはアリなのか?
88名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 10:03:15 ID:RAlgWUNN
アリだよ、過去スレでも結構あったしね。
89名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 00:55:23 ID:ivUtPhVA
保守
90名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 23:06:47 ID:Q8g4bkpj
ネタとして 思い浮かんだのですが・・・。

ジュン×パステルって・・・ありですか??・
91名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 10:52:38 ID:9JLY+ABP
いいと思います
92名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 11:01:32 ID:yradGCUJ
クレパスエンドか仲良しパーティエンドはもう不可能なのか…
93名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 15:55:23 ID:zPW3VgkD
仲良しパーティENDはこれからあるんじゃない?
クレパスENDは・・・・どうかな・・・・
94名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 18:59:55 ID:aFUg+z+q
トラパスほのめかして終わり程度がいい
9590:2006/01/25(水) 20:40:41 ID:bwPYGVdi
只今 ジュン・ケイ×パステル製作中です。
どうなるか わかりませんが 頑張りますっ。
9690改め 柑橘:2006/01/25(水) 21:58:02 ID:bwPYGVdi
製作途中ですが 旧3巻より。
メナースのバカっ!

何も あんな形でバラす事なかったじゃないの。
誰にも言うつもりは無かったのに。
ずっと心に 閉まっておくつもりだったのにっ!


今夜はサラディー中で祝賀会が行われているけど、恥ずかしいやら 悲しいやらで皆の前に顔を出し

たくなかった。
ボーーッと窓の外を眺めながら ため息をひとつ。

あぁ〜〜〜もぅ、どうしようぅぅぅぅ。
ジュン・ケイの顔を思い出すと 赤面してしまう。
幸い、彼は明日の朝早く 出発するというから、祝賀会にさえ行かなければ 会わずに済むと思う。

「はぁ・・」

今日、何度目だかわからないため息をつきながら 椅子から立ち上がる。
うん、こういう時は気分転換が必要だよね。
国の人が共用浴場を開けていてくれると言ってたから 入りに行こうかな。
皆 祝賀会に行ってるから 誰もいないでしょう。
よし、そうと決まれば早速。
着替えとタオルを持って、いそいそと浴場に向かった。
97名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 22:14:31 ID:VxZpTRYJ
素朴な疑問なんだが
801は別スレが用意されスレ違い扱いされるみたいだけど
百合はこの板でOKなん?
801同様受け付けない人には受け付けないジャンルだと思うんだが
9890改め 柑橘:2006/01/25(水) 22:49:11 ID:bwPYGVdi
ぁ〜〜、確かに受け付けてもらえないかもしれませんね。
いきなり載せて失礼しました。
では、続きは無しという事で。
申し訳ございませんでした。
99名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 00:24:12 ID:lAWMl595
個人的にはジュンケイ×パステル読んでみたいyo

とりあえずSSの前に注意書きがあったらいいと思う。
過去ログではカップリング宣言と
原作重視or改変・キャラの設定などの但し書きがあって
読む読まないを読み手が選べるように工夫してくれてたよ。
「ギアパスで結婚後」「パラレルネタです」みたいにさ。
100名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 21:20:49 ID:hDRw2sv/
最初にカップリング書いててくれればいいと思うけど…。
続き気になるし。
101名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 01:38:37 ID:e/0W0F03
11巻読みますた。
クレイの双子兄ちゃんズ萌えw
2人にやられちゃうパステルが読みたいのう〜
できれば11巻でパステルが迷子になって、兄ちゃんたちに馬に乗せてもらう
シーンがあったがそのまま連れ去られてって感じで。
102名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 01:23:22 ID:/KyQaaat
年末のクレパスさんもよろしくね
103パステル×アルテア×イムサイ 1:2006/02/05(日) 02:06:03 ID:9kSYxBwM
>>102さん
どうぞ

 ああ、本当に二人に会えて良かったあ……
 心から安堵しながら、わたしは目の前で揺れる黒い髪を、じいっと見つめた。
 ゆらゆら視界が揺れているのは、視界がいつもより高いのは、今、わたしが馬上にいるから。
 もちろん、一人じゃない。自慢じゃないけど、乗馬なんてしたことないし。そもそも一人じゃ鞍の上まで上れたかどうかも怪しい。
 今、わたしが無事目的地に迎えているのも、足を棒にして歩き回らずに済んでいるのも。それは全て、目の前に居る二人のおかげ。
 一人はアルテア。わたしの冒険者仲間であるクレイの、一番上のお兄さん。
 一人はイムサイ。クレイのもう一人のお兄さんで、わたしの前に座って、馬の手綱を握ってくれている人でもある。
 クレイ本人もかっこいい人ではあるけど、お兄さん達は輪をかけて美形。背も高いし、紳士だし! あのクレイが「かすんで見えるくらい人気だった」と言われるのも納得できる!
「本当に助かりました、ありがとう」
「いや、別に構わないけどね」
「そうそう。俺達も、どうせ戻ろうと思ってたし」
 わたしの何回目かのお礼に、二人は穏やかに答えて。二人同時に、にっこりと微笑んでくれた。
 その笑顔の何と素敵だったことか! こんな場合だと言うのに、ボーッと見惚れたわたしを許して欲しい。
 わたしが何故、それまでほとんど会話すらしたことの無い二人と一緒に居るのか、というと……理由は単純で。例によって迷子になっていたから。
 今、わたしが居るのは、クレイ、そしてトラップの故郷であるドーマ。何故ここに居るのか……について詳しく語るはやめておくけど。色々な事情が重なって、わたしは、クレイの実家であるアンダーソン家に向かおうとしていた。
 一人で。
 ……いや、無謀かなーって、自分でも思ったんだって、ちょっと。
 でも、まさか「迎えに来て」なんて言えないし。何回か行ったこともあるし、何よりアンダーソン家は大きな家だから、誰かに聞けばすぐにわかるだろうって、そう思って!
 わたしの読みが甘かった、ってことなんだけどね、ようするに。たははっ。
 ああ、馬鹿にするトラップの顔が、目に浮かぶ……
「クレイに会いに来たんだろ?」
 そんなわたしの嘆きに、気づいているのかいないのか。
 馬の傍らを歩くアルテアの声は、相変わらず穏やか。
「トラップの家に泊まってるんだって? うちに泊まればいいのに。あそこの家はうるさいんじゃない?」
「あはは。いえ、でもそういうの慣れてますから」
「でも、うちに泊まってれば、道に迷うことはなかっただろうね」
 ぐっ。そ、それを言われると一言も無いんですけど。
 でも、ねえ。アンダーソン家って、こう言っちゃ何だけど、ちょっと格式が高すぎる、って言うか、敷居が高いんだよね。まさか、当のアンダーソン家の人達に言うわけにはいかないけど。
 その意味でも、気楽に大声で笑えるトラップの家に泊めてもらえたのは、ありがたかったんだけど。
 と、わたしがそんなことを考えていたときだった。

104パステル×アルテア×イムサイ 2:2006/02/05(日) 02:06:43 ID:9kSYxBwM
「もしかして」
 声をあげたのは、わたしの前に座っていたイムサイ。
 アルテアとよく似ているけど、双子ではなく年子らしい。いや、それはともかくとして。
「もしかして、パステルがうちに向かってたのって、ついにおじい様に報告に来た、ってこと?」
「……へ?」
 その言葉に。わたしは、随分と間の抜けた声をあげてしまった。
 おじい様……って、アンダーソンのじーちゃんのことだよね。あの、見るからに厳しそうな。
「報告、って?」
「あれ、違うの?」
 馬を操りながらなのに、イムサイの声には動揺の欠片も無い。
「てっきり、『クレイと結婚させて下さい!』って、啖呵きりに来たんじゃないか、って。そう思ってたんだけど」
 なあ、とアルテアに同意を求めるイムサイに。
 わたしは、思わず「ぽかーん」としてしまって。
 ついで、思いっきり噴き出した。
「な、な、何を言い出すんですか、いきなり! わ、わたしとクレイはそんな関係じゃ……」
「お、赤くなってる」
「かーわいい」
 二人の声が見事にはもって。頬が、かーっ! と真っ赤になるのがわかった。
 うー。もお! この手の誤解をされるのは、珍しくないけどさあ! さすがに本人の家族から……っていうのは、ちょっと洒落にならない!
「そんなこと、無いです! クレイとわたしは、ただの仲間でっ……」
「あれ、そうなの? ふーん。パステルは、クレイが気に入らない?」
「きっ……気に入らない、って。いえ、そういうことじゃなくて」
「我が弟ながら、結構いい男だと思うんだけどなあ」
「なあ。ちょっと頼りないけど」
「ちょっと不幸だけど」
「ちょっと優柔不断だけど」
『なあ?』
 最後の一言は、二人同時、だった。
 うーんっ……実のお兄さんからここまで言われるクレイって……いや、家族だからこそ、なんだろうけど。
 いやでも! とにかくこの誤解はきっちり解いておかないと! 特にクレイには……サラさん、っていう、立派な婚約者が居るんだから!
「全然違います! わたしとクレイは、ただの仲間ですから」
「本当に?」
「はい!」
 万が一にもアンダーソンさんの耳に入っては一大事! とばかり。わたしが何度も何度も頷いていると。
 イムサイが、「ふうん」とつぶやいて……そして、アルテアに、意味ありげな目配せを送った。
 ……はい?
「あの」
「いや、別に。それより、だらだら喋ってたら遅くなりそうだから、近道するよ」
「そうそう。クレイも待ってるだろうしね」
 そう言って。アルテアの誘導とイムサイの手綱さばきで、馬は、突然くるりと進路を変えた。
 それまで歩いていたのは、いかにも「牧場の中の一本道」といった風情のある道で。でも、これから踏み出そうとしているのは、何だか余り人が通らないんじゃ……と思えるような、雑草が伸び放題に伸びた道。
 あれ……アンダーソン家に向かうのに、こんな道、通ったっけ?
 ちょっとおかしいな、と思ったものの。
 自分の方向音痴には絶対の自信(?)を持っているわたしは、その疑問を、口に出すことはできなかった。
105パステル×アルテア×イムサイ 3:2006/02/05(日) 02:07:34 ID:9kSYxBwM
「きゃああああああああああああああああああああああっ!?」
 どさっ、と冷たい地面に投げ出されて、わたしは、盛大な悲鳴をあげていた。
 ひゃっ! な、何? 何なにぃっ!?
「ごめんね、パステル」
 無防備に地面に這いつくばるわたしを見て。アルテアが浮かべたのは、ちっともすまなそうに見えない笑顔。
「さすがにさあ、弟の彼女を奪うのはどうか、って思ったから、ずっと我慢してたんだけど」
「そうそう。でも、クレイとは何でも無い、って聞いて、安心した」
 アルテアの言葉をひきついだのは、イムサイ。
 馬は既に傍の木に繋がれていて。二人は、わたしを見下ろすような格好で、にこにこと笑っている。
 クレイ以上の長身である二人に囲まれて。わたしは、逃げることもできず、ただ傍の木に背中を預けることしかできなかった。
「あ、あの、何ですか?」
 周囲の光景は、どう見ても森の中。自分の方向感覚なんて全然当てにしてないけど。でも、さすがにここがアンダーソン家の近くじゃないことは、わかる。
 まさか、とは思うけど……ドーマの街から出てる、なんてことはないよね!?
「あの!?」
「何を、って。こういうシチュエーションでさあ、そういうこと聞くかな」
 そう言って。
 不意に、アルテアの手が伸びてきた。ぐいっ、とわたしの顎を捉えて、吸い込まれそうになる鳶色の瞳を向けて。
「つまりは、こういうこと」
 いきなり、わたしのブラウスに手をかけて。そのまま、一気にボタンをはだけていった。
「き、きゃあああああああああああっ!?」
「あ、大声出しても誰も来ないと思うよ。ここは穴場なんだ」
「そうそう。いつもここ使ってるけど、誰かが来た試しなんて無いもんなあ」
 逃げようともがくわたしを羽交い絞めにしながら。二人は、穏やかにとんでもないことを言った。
 いつも!? いつもって言いました、今!?
「ちょっ……あ、アルテア? イムサイ!?」
「あ、ようやく俺達の名前呼んでくれたんだ。覚えててくれないかと思ってちょっと悲しかったんだよなあ」
「全く、安心した」
 二人は実に息の合ったコンビだった。
 アルテアが抑えに回れば、イムサイが攻めに回る。
 アルテアの隙をつこうとすれば、すかさずイムサイが抑えに回る。
 もともと、格闘の鍛錬なんてほとんど受けていないわたしが、立派な騎士である二人に敵うはずもなく。気がついたとき……まだ夏には早いこの季節、わたしは、ブラウスも下着もはぎとられた格好を、二人の前にさらけ出す羽目になった。
 うっ……わわっ……!?
106パステル×アルテア×イムサイ 4:2006/02/05(日) 02:08:22 ID:9kSYxBwM
「へー。パステルって着やせするタイプなんだなあ。服着てるとわからなかった」
 じいいいっ、とわたしの胸を凝視して、感嘆の声を漏らすアルテア。
「修行が足りないって。俺はわかってたよ、ちゃーんと。何しろ、この背中で直に感じていたからね」
 そう言って勝ち誇ったような笑みを浮かべたのは、イムサイ。
 なお、背中……っていうのは、多分馬に二人乗りしてたときのことだろう……って、冷静に考えてる場合じゃないでしょ!?
「あ、あの、冗談……ですよねっ!?」
 というかそう思いたい。だ、だって! だって、これってっ……
「冗談なんでしょっ!?」
 今にも泣きそうな声で懇願するわたしを見て。二人が浮かべたのは、実に微妙な笑顔。
 見逃せなかった自分が、悲しい。普段は鈍い鈍いって、誰かさんに怒られてばかりなのに。
 ついさっきまで、穏やかで「紳士の手本」みたいな笑顔を浮かべていた二人の頬に、ほんの一瞬だけ過ぎったのは。
 どうしてか、「怖い」と感じずには居られない……獰猛な、獣のような、笑み。
「大丈夫」
 震えるわたしの頬を撫でて。イムサイは、言った。
「俺達、慣れてるから」
「そうそう痛くしたりしないから」
「だから、安心していいよ、パステル」
 そのまま。
 節くれだった指が、すーっ……と首筋を撫でて……
 乳首を、ぎりっ! とつまみあげた。
「っあっ!?」
「うわ、いい反応。君さ、もしかしたら凄い感度がいいんじゃない?」
「おい。ずるいぞ、一人だけ」
「わかってるって。すぐ交代するから」
「あっ……ちょ、ちょっと! やめっ……やめてっ……ああっ!?」
 ぴんっ、ぴんっ! と、乱暴に胸を弾かれた。
 多分二人としては手加減しているつもりなんだろうけれど。はっきり言って、十分に痛い。
 胸にたちまちのうちに蚯蚓腫れのような痕が残るのが見えて。無性に、泣きたくなった。
 な、何で?
 何で、こんなこと……どうしてっ……
「いやだってば……やっ……」
「うーん。残念。嫌だ、って口では言ってるけど、君の身体はそうは言ってないみたい」
「いやぁっ!?」
107パステル×アルテア×イムサイ 5:2006/02/05(日) 02:09:15 ID:9kSYxBwM
 ぐいっ、とアルテアの腕が、膝に回って。
 そのまま、両脚を大きく広げるような格好で、ぐいっ! と抱き上げられた。
 凄い力だった。背中に押し付けられる胸は、物凄く固くて。彼がどれだけ鍛えているか……わたしなんか、絶対に敵わない相手だ、ということをもう一度確認して。くらり、と、眩暈を感じた。
 おかしいよ。アルテアとイムサイは、クレイのお兄さん。今までに何回かしか会ったことがなくて、でも、いつも凄く優しくしてくれた……そんな人、だと思ってたのに。
「綺麗な色だね、パステル」
 大きく広げられた「ソノ」場所を見て。イムサイは、にっこりと笑った。
「クレイの奴も惜しいことしたなあ。何で、こんなに素敵な女の子が傍に居ることに、今まで気づかなかったんだ?」
「今だって気づいちゃいないよ、あいつは。鈍い奴だからさあ」
 イムサイの言葉を受けて、アルテアが大きな声で笑った。
 笑いながら……
 片腕でわたしの身体を抱えたまま、もう片方の手を、素早く内部へと潜らせて行った。
「うひゃっ!?」
「うーん。やっぱり狭いなあ。パステルは処女みたいだね。クレイも……ああ、トラップもか。本当に何やってるんだろうね、あいつらは。意気地が無い」
 声に混じるぐちゅぐちゅ、という音が何なのか、なんて、考えたくもない。
 頭がボーッとしてきた。「痛くしない」という宣告通り、二人の手つきはいつの間にかとても優しくなっていて。胸に浮いていた蚯蚓腫れも、とっくに消えていた。
 代わりに浮かんでいたのは、赤い花びらのような、丸い痕……
「見える場所につけるなよ。クレイが気づくとは思えないけど、トラップなら気づくかも」
「気づいたら仲間にしてやればいいんじゃないか? あいつなら喜んで参加しそう」
「かもな」
 二人の声が、何だか凄く遠くから聞こえて来るようだった。
 逆らう力も残っていなかった。燃えるように熱くなった身体が、何だか凄くだるくて。アルテアの胸に身を預けてしまうことを、嫌だとも思わなかった。
 どうしてだろう……二人がかっこいい人だから? 素敵な人だから? 優しい人だから?
 どうして、わたし。
 こんな風にされて……気持ちいい、なんて。そんな風に、思ってるんだろうっ……!?
「安心して。中には出さないから」
 チィーッという微かな音と共に。二人のうちのどちらかが、言った。
「そういう失敗は今までしたことないから。安心していいよ」
 二人のうちのもう片方が、そう言って。わたしの顎に、手をかけた。
 視界がにじむのは涙のせい。でも、その涙の意味はよくわからない。痛いとか苦しい涙じゃないのは確か。辛い、悲しい、悔しい……? よくわからない。
 目の前に立っているのが、アルテアなのかイムサイなのか。それさえもよくわからなかった。
「可愛いよ、パステル。初めて会ったときからさ、ずーっと思ってたんだ」
「そうそう。君が、俺達の義妹になってくれたら……」
「それは凄く理想的な生活だろうけど。クレイを納得させるのはちょっと手間だろうな、ってね」
 んっ! と、喉の奥から不自然な息が漏れた。
 口の中にねじこまれたのは、物凄く大きくて太い、何かで。
 同時に、下から強引に突き上げてきたのも、同じような、何か。
「んんっ……んーっ!!」
 頭を振って逃れようとすると、後頭部をつかまれた。
 大きな掌は、クレイのものとも、トラップのものとも違って。もっと、ずっと力強くて。
 何となく、冷たかった。
108パステル×アルテア×イムサイ 6:2006/02/05(日) 02:09:56 ID:9kSYxBwM
 ごほん、ごほんと咳き込むわたしを、アルテア達はまるでお姫様のように扱ってくれた。
 わたしの身体を丁寧に拭いて、優しく服を着せてくれた。あんなに乱暴に脱がされたのに、ボタンも取れていないしほつれてもいない服を見て。「慣れている」という二人の言葉を、思い出していた。
「クレイの奴、待ってるかもな」
「すぐに戻らないとな」
 元通りにわたしを馬に乗せて。二人は口々に言うと、足早に歩き始めた。
 視界が揺れる。さっきよりも、ずっと早く。
「なあ、パステル」
 わたしの前で、イムサイが言った。
「今日だけじゃなくて、またおいでよ。おじい様が何を言ったって気にすることないよ。あれで、おじい様はクレイのことを認めてるみたいだから」
「そうそう。うるさく言うようなら、俺達が口をきいてもいいからさ。何なら、今夜からうちに泊まってもいいんじゃないか?」
「部屋はいっぱいあるから、トラップ達も連れてきて構わないよ。母さんも父さんも、きっと喜ぶと思う」
「俺達も、な?」
 最後の台詞を言ったのは、イムサイで。
 それと同時に振り返ったのは、アルテア。
 本当によく似た二人だった。双子じゃない、ってクレイは言っていたけれど。双子だって、こんなに似通っている人はそういないんじゃないか、と思う。
 考え方も、喋り方も。何もかも、ぴったりと息が合っていて。本当に……どっちがどっちなのか、時折、混乱してしまう。
「あの」
「うん? 何?」
「あの、わたし……」
 言いかけて、口をつぐむ。
 何を言おうとしていたんだろう。アンダーソン家になんて行かない、とでも? 泊まるなんて冗談じゃない、とでも?
 酷いことをした、とか、どうしてくれるのか、とか。言うべき言葉は色々浮かんできたけれど、どれ一つとして、声に出すことはできなかった。
 その代わり。
「うん」
 小さく、頷いた。
「トラップが、いいって言ったら」
「大丈夫大丈夫。あいつだって嫌とは言わないよ」
「言っても、俺達がうんって言わせる」
 あはは、と笑う二人に微笑み返して。わたしは、前に座るイムサイのウェストに、ぎゅっと捕まった。
 二人のことは、好きとか嫌いとか、そんな目では見れない。そんな目で見れるほど、二人のことを知らない。
 でも、これから……二人のことを知って行きたいって。今、そんな風に思ってる。
 二人がしていることは褒められたことじゃない。怖かったし、いくら優しくしてもらっても……やっぱり、初めての「その体験」は、痛かった。
 でも、この二人には……何と、言うか。
 そうされてよかった、って。そう思えるだけの魅力が、確かにあるから。
「お、クレイが居る。驚いてるみたいだな。手でも振ってやる?」
「あいつはからかうと面白いから。わざと通り過ぎるのも一つの手だな」
 あれこれ言い合う二人の声に耳を傾けながら。わたしは、遠くに見える二人とよく似た人影に、大きく手を振った。

END
双子兄ちゃん’Sの書き分けが難しかった。
長文失礼しました。
109名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 08:02:55 ID:60NIuN4U
おおーっついに投下が!!!
ありがトン(`・ω・´)
すごく良かったw幸せじゃー
アルテアが意地悪でイムサイがそれをフォローする役割だったと思うが、
攻めエロではフォローなんてしようがないからなー
もしクレパスで二人が結婚してこの家に入ったら兄ちゃんたち色々と画策しそうだ。
110名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 14:32:02 ID:wkJrfOB/
モエスwwwww

双子ならではのシチュエーションが良かった!
111名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 23:58:47 ID:fUDDRmMG
神―――――!!!!
112名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 09:50:14 ID:u46cSGE/
「うー、ううー!!」
ベットの上で大の字に縛り付けら、猿ぐつわわかまされたクレイの上で、
パステルが腰をくねらせている。
「おっきい……、トラップよりおっきぃよぉ……」

「すっかり淫乱になっちゃったね」
イサムイが側に座ると、パステルは甘えるように抱きついて
キスをねだった。
「ううっ、ううううー!!」
「なに怒ってるんだ? ここまで仕込んだんだ。感謝して欲しいね」
アルテアはイサムイの反対側へ。ペニスを露出させると、パステルの
顔に近づける。
「さあ、いつものように俺たちも楽しませて」
113名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 09:51:14 ID:u46cSGE/
>もしクレパスで二人が結婚してこの家に入ったら兄ちゃんたち色々と画策しそうだ。
ちょっと妄想してみた。
114名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 15:44:50 ID:1dsWF5Lw
萌えもえ
115名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 16:13:50 ID:szlvN2NC
キタ (゚∀゚) ッ!!
激萌えじゃ〜!!!
トラップよりってことは・・・ってトラップとも済かいっw
さるぐつわ噛まされたクレイもたまらんw
続きキボンヌ
116112:2006/02/06(月) 20:07:14 ID:CdwC5OEe
続きは他の人にお願い(w
アルテアとイサムイの性格、よく解らないし。
117名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 11:35:30 ID:qGFYyhj0
やはりチンコサイズは
トラップ<クレイなのか?
まぁクレイはどうみても童貞っぽいが、トラップのほうは結構使い込んでそうだ。
パステルのお初の相手ならトラップのほうが痛くなくて良いのかも。
ちなみにサイズ比較は
トラップ<クレイ<クレイ双子兄<ノル・・・ってとこか?

ギアとキットンはどこに入れるべきか分からんw
118名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 17:24:37 ID:9RCnElQT
でかいだけが良さじゃないぞ。
と、女の自分が言う。
119名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 01:55:42 ID:gKktrzfa
ギアはクレイより大きいだろう。
ノルと同等じゃね? テクはフォーチュンナンバー1だろうし
120名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 10:56:27 ID:xg8345nc
キットン族はチンコなさそう
胞子で増えてそう
121名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 21:07:40 ID:nOICYefK
122名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 21:14:36 ID:nOICYefK
123名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 00:02:31 ID:BOIfGzMY
121の人のは何を表してる?
124>115、こんなんでどう?:2006/02/12(日) 02:24:59 ID:FKXLwo+K
「うううっ、ふ、ぐううう」
目を堅く瞑り、激しく首を振る
「我慢、しなひでぇ…中でぇっ、中でだしていい、よっ」
「へぇ、トラップや俺たちには、安全日でも嫌がるのに」
「見境無くなったかな?」

「違うの、クレイなら、クレイだからいいの」
パステルは体を倒してクレイに縋り付くと、無理矢理猿ぐつわを引きはがすと、
むさぼりつく様にキスをする。
「ふぐっ、う、んん」
「まだ抵抗するのか? 諦めてしまえば楽になるんじゃいかなぁ」
「その方が気持ちいいしね」
「きもち、い? いいよね、いいよね、いこ、一緒にいこぉ」
「パステル……」
クレイは諦めたのか、腰をくねらせ胸を弄るパステルを呆然と見上げた。
恍惚とした表情の目は焦点が合ってなく、まるで別人のように見える。
「うぁぁっ!!」
「あっ、あっ、あ、ああっ、イクっ、イクぅっ!」
今まで感じたことのない程の快感を感じて、パステルの中へ吐き出す。
同時にパステルも絶頂を感じて、体を仰け反らせる。
「はぁ……」
ゆっくりと、体を弛緩させて、クレイの胸へ倒れ込んだ。はき出された精液を
味わうように体と膣をヒクヒクとさせている。
「んっ…、中、あったかい…」
惚けたようなクレイに頬摺りしながら、パステルはつぶやく。
「すごかった、今までで一番よかったよ…」
125名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 11:41:57 ID:MEBJ1c0o
>>124
GJ!!神が次々と降りて幸せだw
パスクレもよいw
このパステルにはクレイが一番なのか〜
攻に転じるクレイも見てみたい気がス
パステルが兄ちゃんズを軽くあしらったりやりこめたりするようになると
なお良し

↑と希望を書いてみましたが、職人さん達が書きたいものを書いた、という
のも読んでみたいっす。
トラパスでもクレパスでもギアパスでもイィー!!!
126名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 11:15:47 ID:SPwjwFvE
108と112を繋ぐ話も読んでみたい。
127名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 18:38:45 ID:lVc9jHxv
たまにはageてみる
128名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 18:39:52 ID:YpKwCXXk
あがってないし、失敗してるし…
129名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 02:16:54 ID:JkD9Yyxb
保守
130ageたれ:2006/02/18(土) 06:57:33 ID:fZc6cFeu
少し前までみすず旅館をみみず旅館だと思ってたわたし。
勘違い歴12年。友人と話してて突っ込まれて初めて気づいた。
131名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 11:36:06 ID:5rDqfgGS
>>103-108の後

鋭いトラップに会ったらボロが出そうだし、兄さん達もかっこいいしで
アンダーソン家から出るに出られなくなってしまったパステル

それをいいことに兄さん達に無理矢理お風呂で身体を洗って貰ったり
猫耳と首輪付けて裸で庭を散歩させられたりとか
そういう感じのソフトSM調教プレイを受けたパステルは
「お兄さんのがここにほしい……」
という位のエッチなおねだりキャラに変貌する

トラップが迎えに来てトラップ家に連れ返されるが
アンダーソン家での出来事が忘れられずにオナニーしてるところを
トラップに見つかって、欲情したトラップに犯されてしまう
お兄さんのもいいけど、トラップのも欲しいの……という思いに揺れて
トラップ家とアンダーソン家を往復するパステル

パステルの様子がなんかおかしいなぁと思ったクレイが
兄ちゃんズを問いつめている場所にパステルがおねだりに来る
「じゃあ、今日はクレイもいっしょにしようか」
「上手にクレイをイカせることが出来たら、ごほうびだよ」
という兄さん達が、もがくクレイを拘束

>>112 >>124

という無駄なストーリーを作ってみた
132名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 13:16:30 ID:1OvF91zT
>>131
ちんこたった。
133名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 00:54:10 ID:YABzhsXK
どにゃたか文章化をー。
134名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 01:29:48 ID:+r4y/N2G
保守
135名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 01:30:43 ID:E7pbUYYk
そしてまた、誰もいなくなった…。
ってことでage
136名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 01:15:47 ID:726/+g6o
あげ
137名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 02:11:56 ID:2n41lxzH
>>131
>トラップが迎えに来てトラップ家に連れ返されるが
>アンダーソン家での出来事が忘れられずにオナニーしてるところを
>トラップに見つかって、欲情したトラップに犯されてしまう
>お兄さんのもいいけど、トラップのも欲しいの……という思いに揺れて
>トラップ家とアンダーソン家を往復するパステル

次のお相手はトラップ希望w
138名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 09:10:54 ID:/R2Iz6n1
>>131
エロゲ化つーか原作がこれでいいよ
139名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 18:32:46 ID:cPHVxeGN
保守。
140名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 00:59:40 ID:Tti8+RUW
あげておく。
141名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 15:23:19 ID:tKlVu4mr
保守
誰かきて〜。ってか、ここ見てる人いる?
142名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 20:15:38 ID:FSY2sJ7/
いるよー。
143名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 12:29:02 ID:cPJTT+J7
oreore
144名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 09:18:30 ID:VAbKzIJA
ほしゅ
145名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 16:26:46 ID:/gN8Um1y
あげてみる
146名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 13:52:38 ID:WQkLACsK
ほしゅ
147名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 10:58:54 ID:rnYhdMRz
トラパス、ギアパス、クレパス全部好きだ〜。
誰か書いてくれるの期待あげ。
…………おねがい。
148名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 19:21:37 ID:BgqctBR6
その昔(というほど昔でもないか)
こんなのが読みたい、とリクエストすると、神が(たまに)そのリクエストに答えてくれた。
ただ「ほしゅほしゅ」と言うのではなく
具体的に「こんなカプのこんなシチュ」と言えば、神も寄り付きやすいのではなかろうか。

ただ、答えてもらえるかどうかは神次第だが。
149名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 19:06:04 ID:2dUUO7/Q
トラ・クレ・ギア→パスで恋愛感情あるがゆえにドロドロしてるのがいいのだが。
こんな抽象的なんじゃダメかな〜と思いつつ、あげ。
150名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 00:08:24 ID:pPpgE6wn
圧縮回避
151名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 05:51:28 ID:L1BnWSUH
一縷の望みをかけて保守
152名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 00:00:15 ID:3uYPLvr1
望みを繋ぐ保守
153名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 02:14:00 ID:4Pt/ITvn
原作をここ何年か読んでないんだけど、パステルはトラップといい感じなの?
154名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 01:19:52 ID:u9t8+aQ6
待っていたエピソード1のあたりで恋愛要素ウザス!!
と思っていたがトラパスにはまってから読み返したら
トラパス要素がふんだんにちりばめられていると感じた。
でもいい感じまではいっていない・・・かな?
155名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 07:44:26 ID:jeacWyJk
なんだか、パステルがありえないほど鈍感で
トラップが痛々しいって感じだよねぇ。
156名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 17:08:52 ID:+7vxrtN+
トラップがパステル好きっていうのはほぼ確定?
157名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 19:42:51 ID:Srk0/cVD
じゃね?
158名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 20:16:27 ID:fSwU4Nfj
でなければ説明付かないトラップの行動
159名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 02:43:20 ID:KxmsIg38
マックスザトラップチャソの話読みたい。
160名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 22:01:18 ID:R6RsyYJC
保守
161名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:16:42 ID:XmgKVEfW
もうちょっとすると、また新刊出るみたいだね。
162名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 21:25:01 ID:Lz8LdVy0
最近、過疎化がすすんでるなぁ・・・
過去ログ掘ってたら、ムラムラと創作意欲がわいてきて、
現在遅筆ながら書いてるとこでつ。
まだ住人がおわすのなら、ひっそり載せてみたい気もするんだけど。
163名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 23:43:26 ID:j4mmYgCV
いるいる!首長くして待ってるぉ。
164名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 23:37:35 ID:JcmFqJ7B
正座してお待ちしております。
165162:2006/06/05(月) 09:25:04 ID:8mF9hprD
おぉ、まだお住まいの方がいらしたんですね。
頑張って書いてますんで、今しばしお待ちをっ。
(ところで、ここはsage進行で行けばよいのでつか?)
166162:2006/06/05(月) 10:04:06 ID:8mF9hprD
こんにちは。
嬉しい言葉を下さった方、よーやくできましたでございます。朝から何やってんだ。
原作重視(ほんまか)のクレパス書きました。
ささやかながら、このスレの発展を願いつつ、ひっそり投下させて頂きます。
167162:2006/06/05(月) 10:04:46 ID:8mF9hprD

「わたしね・・・クレイのことが好きなんだ」

生まれて初めて受けた告白・・・ではない。
自慢ではないが、今までに数限りなく告白というものはされてきた。
でも、この言葉は、今までとはまったく別物なんだ。
心のそこから求め続けて、でも決して表に出せなかった希望の答えだから。

今俺の目の前にいる、はしばみ色の瞳の女の子。
パステルは、ずっと同じパーティを組んできた。
仲間、いや、家族のように思ってきた。
いや違うな。
あえてそう思うことにしていた。
でも今、恥ずかしげに気持ちを伝えてきたパステルは、既に俺の中で家族ではない。
これまで意識しながらも、パーティの一員だからと考えないようにしてきた、
押し殺してきた気持ちが、空気が抜けるように解放されていく。

「ありがとう。俺も、パステルのことが好きだよ」
「ほんと!?ほんとに?」

気持ちを吐き出すようにつむぐ言葉。
嬉しそうに眼を見開くパステル。

本当は、やさしく抱きしめてやるつもりだった。
でも。
俺に向けられた、俺のためにだけ向けられたその表情を見たとき、
こらえにこらえた思いが、俺の中から、あふれ出た。
自分の眼の色がいつもと違うのがわかる。
突き動かされるように両肩をぐっとつかむと、少し怯えた顔で、かすかに震えているパステル。
そのうわずった眼差しが、余計に扇情的で胸苦しくなってくる。
眼をそらせずにいるパステルを見据えたままで近づき、かがみ込んで唇をふさぐ。
強引に唇を割り、舌を割り込ませると、

「んっ・・・!?」

慌てふためくパステル。
唇を俺にふさがれたままの頬に、みるみる血の気がのぼる。
初めてなんだよな、きっと。
俺もなんだけど、もう我慢できない。
戸惑ってる暇はない。
この機会だけは逃せない。
そんなドジを踏むと、きっとあの赤毛の盗賊が、華麗にこの子を攫って行ってしまうだろう。
俺の腕の中にいる、誰よりも愛しいパステルを。

唇をあわせたまま、つぶやく。

「パステル、好きだ」

そのままぎゅっと抱きしめて動きを封じる。
小さくて柔らかくて、ほのかに香る女の子の体。
心臓がまた跳ね上がる。

「わたし・・・もだけど・・・クレイ?な、何?」

ささやかな抗議の語尾には聞こえない振りをして、そのまま唇をゆっくりとずらし、耳もとへ、そして首筋へ唇をはわせる。
さっきからとまらない動悸にあわせるように。
168162:2006/06/05(月) 10:05:37 ID:8mF9hprD

「ひゃっ・・・」

真っ赤になった首筋に唇をつけたまま、ブラウスのボタンを外していく。
不器用な俺だけど、精一杯スマートに。
身をよじってささやかな抵抗をするパステルに、いとおしい思いと、いじめてやりたいような残酷な思いがよぎった。
身を起こし、彼女の細い手首をからめとり、後ろ手にまわしてしまう。
片手で握りこむと、華奢なパステルはそのまま身動きできなくなる。
伊達にファイターやってるわけじゃないからな。もがいても無駄だよ。

「は、離して」
「どうして?」
「だって・・・」

口ごもるパステル。
ブラウスのボタンを全部外すと、白い下着があらわになる。
息を飲み込み、ぐっと下着をずりあげる。
恥ずかしそうにいやいやをするパステル。
・・・わかってないんだろうな、自分じゃ。
そんなことするから、余計に誘ってるみたいに見えるんだ。
いつもなら絶対に見るはずのない場所。
ピンク色の突起に舌をよせ、そっと舐めると、吐息のようにもれる声。

「んっ・・・はぁ・・・」

硬くなってきた部分を口に含んで転がす。
俺の舌に呼応するように、喘ぎは少しずつ大きくなってきた。
ほっそりしたふとももに手を伸ばすと、びくっと体が跳ねる。
両手を戒めたまま、ミニスカートをそっとまくりあげる。
無意識のうちに閉じようとする脚を開かせると、白い下着にうっすらと染みが浮かんでいた。
下着の上から、その部分をやさしくなで上げてみる。湿った感触。

「あ・・やっ・・・そっ・・・こは・・・」

潤んだ眼で顔を背けるパステル。
その表情を食い入るように見つめながら、愛撫を続ける。
漏れる吐息。
俺のぎこちない愛撫に、感じてくれている、愛しい女の子。
じわじわと滲み出してくる液体に、指が湿ってきた。
下着の隙間から指を這いこませると、ぬるりという感触が指を伝う。
襞をなぞるようになで回した後、そっと指を引き抜き、深呼吸。一気に下着を引きおろした。
髪と同じ色の茂みがまぶしい。
反射的に脚を閉じたパステルの膝を掴むと、ぐいっと開いた。
うまれて初めて見る、女性の、色。
そこに涙のように真珠色のしずくがまといついている。
恥ずかしい格好をさせられたパステルは、ぎゅっと眼をつぶったままだ。
でも、逃げない。
決して逃げようとしないで、俺に身を任せているその健気さに、俺の中心はさらに熱く、硬くなる。
舌をはわせると、漏れる甘い喘ぎ。

「な?・・・きゃっ・・・あ、やぁ・・・」
169162:2006/06/05(月) 10:06:37 ID:8mF9hprD
身をよじるパステルの脚を押さえ込み、思う存分に蹂躙。
そこは俺の舌に過敏に反応し、したたるほどのうるおいを浮かべる。

「すごく、濡れてる・・・」
「やぁん・・・は、恥ずかしいよぉ・・・」

恥らうパステルに、俺のものは、もう止めようがない程いきり立ってしまっていた。
痛い・・・な。苦しいほどジーンズが張っている。
ちょっともったいないような気持ちを隠して、彼女の戒めをほどく。
意を決して起き上がり、Tシャツとジーンズを脱ぎ捨てる。
ちょっと迷った後、下着も脱ぐと、俺の中心部にパステルの視線が集中していた。
は、恥ずかしいんだよな、俺は俺で。
顔を真っ赤にしたパステルにおおいかぶさり、もう一度秘所をさぐる。

「や、もう・・・」

たっぷりと濡れそぼったその場所は、俺を求めて泣いているようにも見えた。

「いい?パステル」
「・・・」

何も言わないで、俺の胸にぎゅっとしがみついてきたパステル。
こういうところがかわいいんだよな。
なんだかこう、胸の奥をわしづかみにされたような気分になりながら、パステルの脚を割って入る。
そのままぐっと腰を進め、狭くてきついパステルの中におれ自身をおさめた。

「く、クレ・・・イ・・・んっ・・・やぁ・・・っ」

苦しそうにあえぐパステル。
痛いんだろうか。
確かに、これは相当きつい。
きつくきつく締め上げてくるパステルのその部分の予想外の快感にめまいすら感じながら、軽く腰を前後させてみる。
女の子の中って、こんなにあったかいもんなのか・・・
熱を帯び、ねっとりと纏わりつくような襞に、俺自身はあっという間に限界寸前。
い、いくらなんでも早いぞ、俺。
息をとめ、必死でこらえて腰を動かすが、とろけるような感触にはやっぱり耐え切れない。
ごめん、パステル。
おさえていたものをパステルの中に放つ。
どくっと心臓10個分くらいの脈打つ鼓動を感じながら、俺はそのままパステルの胸に顔を埋めた。
170162:2006/06/05(月) 10:08:05 ID:8mF9hprD
真っ赤な頬のままのパステルはおずおずと手を伸ばし、荒い息を漏らす俺の髪をそっとなでた。

「クレイ・・・だい・・・すき・・・だよ」

汗ばんだ体で、ぎゅっと俺にしがみついてくる。
あ、まずい。
あまりのいとおしさに、今果てたはずの俺自身はまたもぐい、と身を起こそうとしてきた。

「俺も。俺もだよ」

つぶやきながらパステルの体をやわらかく抱きしめる。
まいったな。
こんな調子じゃ、何時になっても彼女を離せそうにないけど・・・自分に言い訳。
いいだろう、今日くらい。
君が俺を初めて受け入れてくれた日くらい。
軽くため息をつきながら、良心に片目を閉じる。
もう一度彼女の甘い体をまさぐると、また漂う甘い芳香。

もういい、決めた。
君におぼれることにする。
覚悟しろよ、当分まだ、離さないからな。

俺の不純な決意と、そろそろ夜半をまわろうとしている、窓の外の月。
パステルの吐息をBGMに、少しずつ下弦の月は傾いていく。
ふたりのはじめての夜は、まだ始まったばかりだ。

---------------------------------------------------------

書いてみました。つ、疲れました・・・_| ̄|○
なんだか薄べったいエロですよね。オチつまらん。
それに、クレイってば早すぎだよ、アンタ。
まだまだ精進が足りません。逝ってきます・・・
171名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 22:56:31 ID:s0wQ3pSv
ぐーっじょぶ!! 幸せそうな二人がいいですね。
クレイが早いのもなんからしくていいッッス!!
ごちそうさまでした。
172名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 14:06:14 ID:lC05mdzW
数ヶ月ぶりの投下に記念あげ。
173名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 00:10:53 ID:xXYh6Uge
投下ありがとう。嬉しい!!
待ってて良かったよ〜。
そして、一応あげとく。
174162:2006/06/07(水) 17:27:24 ID:1oCKJBsb
ご感想いただけて嬉しいでつ。
ありがとうございます!(^^)
つたない文ですが、どなたか読んで下さる方がいるなら、あたしゃあ幸せです。
今週末あたり、またアップ予定です。
175162:2006/06/09(金) 13:43:04 ID:fkncNzm2
トラパスです。
クエスト途中に、欲情トラに食われちゃうパステルの巻。
コソーリ投下させて頂きます。
176トラパス 1:2006/06/09(金) 13:46:08 ID:fkncNzm2
みんなこいつが悪りぃんだ。俺は悪くねえ。
俺は、必死で自分に言い訳をしながら、目の前の女の体を弄っていた。
濡れた体に、涙目、紅潮した頬、唇から漏れる喘ぎ声。

おめぇって奴は本当に、不用意かつ無防備にミニスカートなんか履きやがって。
しかも中身は出血大サービスで、目の前で走ったり跳ねたりこけたり。
惚れた女のそんな状態を、日々目の当たりにしてる俺様に、どうぞ襲ってくださいって言ってんのかよ?
常々そんな疑問と煩悩を抱きながら日々を送っていたんだが。
今回のクエストで、溜めに溜めたストレスが一気に噴出しちまったんだよな。

それは、近くの小さなダンジョンへ向かうクエストの途中で、いつものごとく、あっさりと迷子になりやがったパステル。
もちろん、また探しに行ったのは俺。
全員で探す雰囲気になりかかったが、思わずそれを止めてしまった。
・・・他の奴には行かせたくねえ。
あの馬鹿を探すのは俺の役割だからよ。
他の連中には、次のキャンプ予定地まで、先に行かせておいた。
まぁ、たいした距離でもねえし、モンスターもいやしねえ森だからな。
そしてやっと見つけた時、こいつはこけて膝を擦り剥き、血をにじませていた。
座り込んだままびーびー泣きながら、俺を見上げるパステル。

「ふぇぇん、トラップ、痛いよぉ・・・」
「あたりめえだ。こけたら痛ぇに決まってんだろが。ほれ、足出せ」

ウエストバッグから応急処置の道具を取り出すと、パステルの膝をひっつかむ。
連鎖的に視界に入るのは、白くまぶしいふともも。あわてて眼をそらす。
つとめて何気なく傷を消毒し、大き目の絆創膏を貼り付け、完了。
ったく世話がやける奴だ。

「ありがとー・・・」

赤い眼のままにっこり笑うパステル。
畜生、ちっとばかし可愛いじゃねえか。
擦り剥いた膝を立てたままなもんだから、その奥のスカートの中なんざ丸見えでいやがるし。
無意識のうちに反応しかける自分自身をぐっと抑え、立ち上がる。

「ほれ、行くぞ。あいつら心配してっからな」
「うん、ごめんね」

しおらしいことを言いながら、よいしょとパステルが立ち上がった瞬間、どこかで稲光が光った。

「げ!まじい。おい、一雨来るかもしんねぇぞ。走れ!」

しかし、俺たちが走り出すと同時に降ってきたのは、バケツをひっくり返したような雨。
みるみるうちに全身がずぶぬれになる。やべえな。
パステルの手を引っ張り、できる限り雨を避けながら走るうち、山の斜面をえぐったような窪みが眼に入った。
窪みの奥行きはごく浅いが、とりあえずそこへ飛び込む。

「とりあえず、雨宿りだ」
「う、うん・・・トラップ、寒くない?」

寒いのはあなたでしょう。
荒い息をつきながら、歯の根のあってないパステル。
熱はなさそうだが、雨にうたれながら走って、相当体力を消耗してるようだ。
177トラパス 2:2006/06/09(金) 13:47:23 ID:fkncNzm2

「こっち来い。風邪ひいちまうから」

ぐいとパステルを抱き寄せ、腕の中に納める。
鼻をかすめる甘い香り。やわらかい、女の、体。
ぐっしょり濡れた服はパステルの体に貼り付いて、体のラインがあらわになっている。
この非常時だというのにまたも、むくりと頭をもたげる俺自身。
お、おさまらんかい。そんな場合じゃねんだっつーの。
眼のやり場に困り、パステルを抱きしめたままであさっての方向を眺めていると、

「ね、トラップ」

呼びかける声に視線を引き戻され、意識的に短く返答する。

「あん?」
「・・・こうしてるとあったかいね」

俺の腕の中、鼻先10センチ程の位置で、照れたように笑うパステル。
その笑顔を見た時、跳ね上がる心臓。
やべ、と思う間もなく何かがプチっと切れる。
気がつくと俺は、湿ったやわらかい苔の上にパステルを押し倒していた。

「・・・な、何!?」

さんざ我慢してきたが、もう無理だ。限界だ。
据え膳食わぬは・・・いや、こいつは据えたつもりも飯になったつもりもねえんだろうけど!
理性をぶっちぎり真っ白になった頭は、ただひたすら目の前の女だけを欲していた。

「・・・だぁってろ」

パステルの上にのしかかり、黙らせるために文字通り唇をふさぐ。
舌をこじ入れ、パステルの熱くて小さな舌にからませる。

「ん・・・ぁむ・・・っ」

キスだけで感じてやがる。
ガキだと思っちゃいたが、体の方はそうでもないらしい。
舌を吸い歯茎をなぞりひたすらむさぼる。
かなりの時間がたってから唇を離すと、透明な唾液が糸を引いた。

「・・・トラ・・ップ・・・どうして・・・ぇ?」
「おめえが悪ぃんだよ」
「な・・んで・・・?」

おめえが可愛いからだ。おめえが無防備だからだ。
声に出さずに文句を言いつつ、細い首筋に舌を滑らせる。
アーマーの隙間から手を差し入れると、胸のやわらかい感触。
手のひらにあたる堅くなった乳首。
さすがにこんな場所でアーマーを脱がせるわけにいかねえので断念し、その代わりに思う存分揉みしだく。
身をよじるパステル。
紅潮した頬が妙に色っぽく、ますます俺を駆り立てやがる。
耳たぶを舐めながら、あいた手はスカートの中へ伸ばす。
びくっと震え、反射的に閉じようとする足を抑えこんで開かせると、既にそこは下着の上からでもわかるほどにじっとりと湿っていた。
身を起こし、パステルの開かせた足の間に屈み込む。
めくれたスカートの中には、中心部が濡れて染みになった白い下着。
下着の上からその部分を撫でると、じわりとまた新たな潤いが漏れる。
閉じようとする足を押さえ込み、下着を引きずりおろすと、濡れそぼった秘部があらわになった。
178トラパス 3:2006/06/09(金) 13:47:59 ID:fkncNzm2
「こんなに濡らしてよぉ、まんざらでもねぇってこと?」
「やっ・・・み、見ないでよぉ・・・」

そりゃ無理な注文ってもんだ。
パステルの懇願を黙殺し、手を伸ばす。
襞に隠れた突起を剥き出しにして、指先で嬲る。

「ひゃ・・・うっ」

とろとろと尻まで液を伝わせながら、悶えるパステル。
そのどうしようもなく艶っぽい表情に見とれつつ、突起をいじりながら指を内部にねじ込む。
雨音をバックに、ぐちゃ・・・ねちゃ・・・という音が意外に大きく響いた。
指だけでもキツいが、まぁなんとかなるだろ。
ファスナーを下ろすと自身を引き出し、パステルのそこにあてがう。
襞を押し分けるように腰をすすめ、完全にパステルの中に俺がおさまる。

「・・あぁ・・・ん・・・」
「痛えか?」
「うん・・・でも・・・気持ちいい・・よぉ」

おそらく初めてだろうに、赤い顔に眼をとろんとさせてつぶやくパステル。

「もっと欲しいか?」
「・・・うん」

恥ずかしそうに答えたパステルに興奮し、さらに熱くなる俺自身。
奥をつきあげるように深く腰を振る。

「・・・いやぁ・・・あ・・ん・・」

汗と愛液が飛び散り、きつく締め上げる襞は、俺自身を絡めとるようにまつわりつく。
涙を浮かべたはしばみ色の瞳を見つめながら、俺は果てた。

誘惑したつもりはないんだろうが、誘惑したのおめえだ。
負けたのは俺だ。
でも、全部おめえが悪りぃんだかんな。
・・・
あくまでも責任転嫁な俺。
すべてこいつが悪いんだと密かに言い訳をしつつ、べそをかいたまましがみついてくるパステルを、力をこめて抱きしめた。
179162:2006/06/09(金) 13:48:51 ID:fkncNzm2
どこかで見たような・・・ごめんなさい。
ええ、あまりにもありがちなシチュですとも!
お粗末様でした。
逝ってきます・・・
180162:2006/06/10(土) 20:11:01 ID:lSB5sCmU
新刊出た記念にもう1本書きますた。

今回はパステルとクレイに、いっちょ鬼畜になって頂きましょう。
人格が完全に崩壊してます。
クレイなんてもう別人28号。あんたいったい誰よ?
ファンの方、もし読んでたらお許しください。
カプは、パス×クレ&トラの3P(ぉい です。
エロ以外がちょっと長くなってしまいました。
181パス×クレ&トラ 1:2006/06/10(土) 20:12:41 ID:lSB5sCmU
人の気配のねぇみすず旅館。
俺はメッセンジャーのバイトが急遽休みになり、ひとり、部屋でベッドに転がっている。
朝飯を食って、一応バイトには出かけたんだが、今日は急ぎの郵便がなんと1通もないそうだ。
さすがは天下に名だたるド田舎、シルバーリーブ。
よもや、郵便屋が休みになるとは思わなかったぜ。
そりゃこんなちいせぇ町・・・いや、村じゃ、直接会ったほうが早えーもんなぁ。
出勤するなり回れ右で旅館に帰ってきたが、しんとして人の気配はない。

クレイは武器屋のバイトだよな。
あいつは頼まれもしないのに、出勤時間に1時間以上もフライングででかけ、朝から店中を掃除してるらしい。
まめで結構なこった。俺には真似できん。したいとも思わねぇけど。

キットンは薬屋で店番か?ああ見えて薬剤師として重宝がられてんだそうだ。
大丈夫か?薬屋。医療事故の危険性を考えねぇのか?
世論を揺るがす大規模薬害とか見つかっても、知らんぞ、俺は。

ノルはちびっこエルフとシロを引きつれ、散歩に出かけたんだろう。
あいつらはひとたび外出すると、大抵夕方まで帰ってきやがらねぇ。
散歩といいつつ、いったいどこまで長旅に出てんだか。

残るはひとり。無敵の方向音痴にしてマッパー、うちのパーティ唯一の女、パステル。
職業選択に難あり、冒険者人生の選択に失敗としか言いようのねぇ奴。
静かなのは原稿書いてやがんだろ。
昨夜も夜中まで電気点いてたからなぁ。ご苦労なこって。
ということは・・・今、このボロ旅館には、あいつと俺のふたりだけか!?
恐ろしくラッキーなシチュエーションに今頃気づき、興奮のあまり思わず飛び起きる。

ああそうさ、潔く認めよう。
俺は密かにあの天然ボケ女に惚れている。おうよ、文句あっか。
その程度はと聞かれれば、惚れて惚れて惚れぬいているといっても過言ではねぇくれえに!
・・・
そう。
例えあいつが、俺でなく、俺の親友のことが好きだったとしても。
あいつは間違いなく、太鼓判つきでクレイに惚れてんだろうと見受けられる。
格段に勘の鋭い俺様でなくたって、誰だって見てりゃわかるっつーの。
でも、だからといってあきらめきれるもんでもねぇんだよ。
幸か不幸か、クレイの方はわかってんだかわかってねえんだか、いつもと変わらん。
まだ両思いモードに突入してる気配もねぇしな。
182パス×クレ&トラ 2:2006/06/10(土) 20:13:20 ID:lSB5sCmU
ということはだ。
俺にだって満塁サヨナラホームランの可能性はあるわけだよな?
しかも今日は俺とあいつのふたりきり!
この、無意味に人数だけ多い大所帯パーティで、ピンポイント狙ったようにあいつと俺だけが残るなんて!!
これは、神が与えたもうたチャンスではなかろうか。
男トラップ、この千載一遇の機会を逃すんじゃねぇ!
さぁどうする?俺様。

とりあえず、部屋の様子を伺う。→心配してやるフリをして近づく。→喰う!!

おし、これだ。この作戦でいこう。
そんなのは作戦とはいえねぇという批判は聞き流させてもらうぜ。
ま、女なんてのは、とかく雰囲気に弱えからな。
例え他に好きな男がいたって、押して迫ってこられりゃ、イヤとは言えねぇもんだろ?
それも俺様みたいな男前ときたら。
全身を駆け巡る武者震い。俺は気合も新たに階段を駆け上った。

階段をあがって左の突き当たりにあるのは、パステルとチビ2匹の部屋。
もとい、俺の愛しい女の、これからご馳走になろうかという女の!部屋だ。
そう思うだけで、汚ねぇぼろドアまでも神々しく見えるのはなぜなんだろうか。
無駄にあがりっぱなしのボルテージに後押しされ、一気にドアを開けてなだれ込みそうになる。
い、いや待て、俺。落ち着け、落ち着くんだ。
あいつだって原稿の最中、いきなり飛び込んじゃー喰えるものも喰えん。いや違った。
「忙しいのよ!」とかって相手もしてもらえんかもしんねぇ。
ここはひとつ紳士的にだな、ノックでも・・・とドアの前に立つ。

あれ?ドア、開いてやんの。
ほんの数ミリ、程度開いたドアに、ノックしようとした手がとまる。
俺様の耳にささった、有り得ない音声。有り得ないパステルの声。

「あ・・・んっ、やぁ・・・」

!!!
こ、これは!
はーっはーっ、いかん、一瞬にして呼吸困難だ。俺様ともあろう者が。
お子様だとばかり思ってたが、まさかあいつ、ひとりで・・・?
ひとりで、その、ナンだな。
性欲処理をほどこしていらっしゃる、と・・・
あんなことやそんなことにまで俺の妄想は膨らむ。勢い余って股間までも。
み、水くせぇなぁ、そんなことなら俺に一言言ってくれればよぉ!
よよよし、俺がひとつ、手伝ってやろうじゃあねぇか。
ここは知らん顔をして部屋に入り込み、四の五の言わせずに押し込み強盗させてもらおうじゃねーの!
さぁいくぜ俺、気合は十分だ。一発深呼吸。
183パス×クレ&トラ 3:2006/06/10(土) 20:14:17 ID:lSB5sCmU
「おい、パステル!」

覚悟と下心とかたく手を握り合い、煩悩に魂を売った俺は、迷わず部屋に突入した。
その目に入ったのは・・・さっき耳に聞こえてきた声より、何倍もやばい光景だった。

それは、原稿書いてたはずの、パステル
そして・・・いつの間に帰ってきたんだか、バイトに行っていたはずのクレイ。
ふたりそろって、ベッドの上で、服脱いで、つまり裸で、ソの真っ最中だったってわけだ!
うおぉぉぉ・・・俺様玉砕。しかも最悪なケース。
こいつら・・・いつの間にできあがってやったんだ?
しかもしかもしかも、こっこんなコトまでしやがって!
ふたりそろってニブさにおいては最強の癖して、なんちゅう生意気な・・・
すっかりソノ気になってた、俺のかわいい息子様の行き場をどうしろと!?

何のコメントすら発することもできず、奥歯をギリギリと噛み締めて立ち尽くす俺。
眼を丸くして固まった状態のふたり。
あぁはいはい、悪うござんしたね。
邪魔者は撤収致します、っつーの。ちくしょぉぉぉ・・・っ。

「あ、悪ぃ。邪魔したな」

全身全霊をこめて冷静さを装い、涙をのんで回れ右する。
無神経にも、そこへ話しかけてきたのは、コトの当事者、ベッドの上のパステル。
ほっといてくれ、かまわねぇでくれ。俺はひとりになりてぇんだ。
しかし。
俺はこいつの言葉に、本気で耳をかっぽじりたくなった。

「あートラップだぁー・・・いいとこに来たねぇ」

語尾にハートマークのつきそうな甘ったるい声。

「い、いいとこ!?どういう意味だよ、そりゃ!」

てめぇら、俺に見せ付けたかったってのか!?
拳を固めて震える俺に、こともあろうにパステルの上に乗ったままのクレイが言いやがった。

「ちょうど、トラップ呼ぼうかって言ってたとこなんだよ。
 よくわかったなぁ、お前」
「よ、呼ぼうかって何なんだよ!?」

俺様、ひとりでパニクる。
いやそりゃパニクるだろ、あたりめぇだっ!
しかもクレイ、そのシチュエーションに似合わないさわやかさは一体・・・
184パス×クレ&トラ 4:2006/06/10(土) 20:14:48 ID:lSB5sCmU
「いやぁ、パステルがトラップも一緒がいいって言い出したもんだから」

それでいいのか?おい。
しれっと答えたクレイは、パステルに軽くキスすると(って、あっさりするんじゃねぇ!)、よいしょとベッドから身を起こして俺のほうに近づいてきた。
まだ途中だったようで、紺色のボクサーパンツを履いたまま。
なんとなくほっとする・・・って違う!ほっとしてる場合じゃねぇ!!
混乱のあまり、不覚にもめまいを感じている俺の腕を取るクレイ。

「ほら、遠慮してないでこっち来いよ」

いや、遠慮してるっつーかですね、あの・・・
ファイターの貫禄十分のごつい腕で、ぐいっとベッドの方へ押しやられる。
よろけてベッドの端に手を突く俺に、ほとんど裸のパステルが、ぺとりとひっついてきやがった。
この場合、じっくり見るのも変といやー変なんだが、どうしても眼がそらせない。
初めて眼にする真っ白い肌に、クレイの愛撫の跡があちこち残る胸元。
とことんガキだと思っていたが、どうしてどうしてこりゃまた・・・俺の性欲煽るにゃ十分だわ。
ってそりゃそうだろ!好きな女の裸だぞ!?

「ねートラップぅ、どうしたのぉー?
 うふふ、一緒にしよーよぉ。ほらぁ脱いで脱いでっ」
「おい・・・おめぇ、クレイと付き合ってんじゃねえの?」

パステルは俺のささやかな反論には耳を貸さず、その細腕に似合わぬ勢いで俺をベッドに引きずり込み、ひょいひょいっと手際よく俺の服を脱がせやがった。
普段あんだけ不器用な癖して、そのスマートさはなんなんだ?
呆然として反応もできずされるがままの俺。
パステルはてろんとした笑顔を浮かべ、さらに恐ろしいことを口にした。

「だってぇ、わたし、ふたりともだいすきだもーん。
 どうせならふたり一緒がいいんだもーん」

ほとんど全裸で、あっさりと裸にされた俺の体に擦り寄ってくる。
う、やばい。
さっきからうずうずしていた股間が、一気にすっくと立ち上がった。

「わぁ!トラップってば元気だねえ。きゃははっ」

あの、パステルさん?
この女に、なんか別の人格が降臨してるのは気のせいだろうか。

「と、いうことなんだって。
 ま、一番大事なのはパステルの気持ちだからな。
 お前も好きなんだろ?彼女のこと。ならいいじゃないか」

よくない、よくありません。
クレイ、おめえってそんな奴だったっけか?
長年つきあってきて、俺は、お前がそんな奴だったなんざ、本気で知らなかったぞ!
俺の心の叫びは一切無視。
俺の服を手回しよく脱がせ終えたパステルは、おもむろに屈み込んだ。
185パス×クレ&トラ 5:2006/06/10(土) 20:15:24 ID:lSB5sCmU
「よいしょっと」

ぬお!?
股間がいきなり生あったかいものに包まれる。
恐る恐る眼をやると、パステルが何の躊躇もなく、俺のナニにしゃぶりついてやがった。

「・・・う・・・おぉ・・・」

思わず漏れる声。
だってよ、何を隠そう、俺は堂々のチェリーボーイ様だ。文句あっか。
そりゃ機会は腐るほどあったが、好きな女が手近にいるんだから、どうせならあわよくば・・・って考えるのが普通だろ?
あ、いや。そう考えると俺って、既にクレイに出遅れてんのか・・・
どっぷりと落ち込む俺の気持ちをよそに、俺の中心部はどんどん熱く膨らんでいく。
ぅおぉーー、てめぇ、なんでそんなに巧いんだよ?
裏スジなんか舐めまわしやがって、誰に仕込まれた、誰に!
顔が童顔なぶん、俺のイチモツとの対比が、あまりにもエロすぎる。
シーツを握り締めて快感に耐えていると、目の前の女が甘い息を漏らした。

「あ、や、クレ・・イぃ。・・・はぁ・・・ん・・・」

そして俺はまたも眼を疑う羽目になる。
何回疑えば気が済むんだ?俺。
さっきまで俺の様子を面白そうに見守っていたはずのクレイ。
奴は、四つんばいになったパステルの後ろに座り、パステルの下着を簡単に剥ぎ取って。
そして、その部分を慣れた手つきで愛撫していやがったんだ。
こんな異様なシチュエーションに戸惑う風もないクレイ。
頼むから、さわやかな微笑み浮かべて、んなことするなっつーの。
クレイは片手でパステルの胸を揉みしだきながら、残る片手の指をパステル自身に埋め込んだ。
くちゅ・・・ぬちゃっ・・・といやらしげな音が響く。

「こんなに濡らして・・・ほら、見てみろよ、トラップ」

んなもん、見せんでいい!
クレイの指先には、艶っぽく光る液体。
ほんのり色づいてとろりとした蜜が、奴のごつごつした指をつたう。
と、ぺろりと舐めとるとそのまま、パステルの丸くて白い尻を押し開き、その部分に食いつくクレイ。
吸い付き、舐めまわし、敏感な突起を舌で弾く。
パステルは器用にも、喘ぎながら健気に俺のナニを舐め続け、

「ひゃ・・・あ、やぁ・・・だめ、もう・・・欲しいよぉ。
 ・・・ねえぇ、入れて?」

涙目で俺を見つめるパステル。
かわいい。かわいすぎる。
おかげさまで俺様、あっさりと自分を見失いそうになってるぜ。
情けない話、もうパンパンに張り詰めさせられ、既に臨界点。
い、いかん。早いぞ早すぎる。我慢しろ!俺!
186パス×クレ&トラ 6:2006/06/10(土) 20:16:49 ID:lSB5sCmU
涼しい顔でパステルのそこを嘗め回していたクレイは身を起こすと、おもむろにひょいとパステルの身を抱き起こした。
その動作と連鎖的に、パステルの口から引き出されて解放される俺自身。
あわてて飛び退り、ベッドヘッドに背中を押し付ける。
正直なところ、俺は相当に混乱していた。
デビュー戦の俺には、いくらなんでも刺激が強すぎる。
何が悲しゅーて、人生初のセックスでいきなり3Pせにゃならんのだ!

「おいトラップ、やんないのか?
 パステル、もう我慢できないってさ」

頼むから、そのへんの女がイチコロになりそうな笑顔で、んなこと言わねぇでくれ。
頭を抱える俺に、何を勘違いしたのかクレイは、

「仕方ないなぁ、お前って意外と、いざという時度胸ないんだから」
「なんだと!?」

断じて、おめえにだけは言われたくねぇぞ!
思わずつかみかかる俺を軽くあしらうと、クレイは俺の両手をまとめ、そのへんにあったリボンでしばりつけやがった。
さすがはファイター、俺の抵抗なんぞ気に留める様子もない。

「はいどうぞ、パステル」

っておい、どうぞじゃねえ!
反論するも、俺はベッドの枠に強制拘束。両手万歳状態だぞ?冗談じゃねぇ!

「お、おい、何の真似だよ、はなせぇっ!」
「だーめ。トラップ、この期に及んで逃げちゃいそうなんだもぉん」

代わりに答えるパステル。いや、おめえには聞いちゃいねぇ。
焦る俺ににっこりと笑い、よいしょっとばかりに俺の体をまたぎ、ナニを自分の秘所にあてがうパステル。
そのままのしかかるように俺にしがみつくと、一気に俺自身はパステルの中に飲み込まれた。
ずぶり、という効果音とともに。
・・・
き・・・気持ちいいじゃねぇか・・・
クリトリスを俺の恥骨にグリグリと押し付け、一心に腰を振るパステル。
髪は乱れ、汗は飛び散り、口からは扇情的な喘ぎ。
そのパステルをいとおしそうに眺めていたクレイは、ベッドの横にたつと、パステルの口の中に自分のものねじ込んだ。畜生、俺のよりでけぇ。
ためらいもせず、吸い上げるパステル。

ベッドに縛り付けられた俺に、またがって喘ぐパステル、その口にフェラさせてるクレイ・・・
今や俺ら3人は、押しも押されぬリアルタイム3P状態。
なんなんだよ、こいつら。なんでこんなに手馴れてんだ!?
ま、まさか俺が知らないだけで、実はノルだのキットンだのを混ぜてやってるとか言わねぇだろうな。
おまえらがそこまで畜生道におちてるとだけは、俺は思いたくねぇぞぉ!!
187パス×クレ&トラ 7:2006/06/10(土) 20:17:27 ID:lSB5sCmU
俺の葛藤なぞ知らず、顔を真っ赤に染めて、自分自身に俺のモノをくわえこんだパステル。
ねっとりと濡れてまとわりつく襞が、遠慮会釈なくぐいぐいと締め上げてくる。
必死で抑えていた俺の理性は軽くぶっちぎれ、真っ白にハレーションが起きた。
我慢できず、パステルの中に一気に精液を解き放つ。
その刺激にやられたのか、パステルはのけぞりながら叫んだ。

「あ・・・も、だめ・・・クレイ、もうイっ・・ちゃうよぉ・・・」
「俺も、もう・・・いいか?パステル」

額に汗を浮かべたクレイはそのままパステルの口内に果てた。
同時に全身を震わせてイッたパステル。
くそ、俺が一番手だったか。
何とはなしに悔しい気分にとらわれながら、激しい動きにほどけてくれた手首の戒めを外し、パステルの中からずるりと自身を抜き取る。
かわいそうにな、お前も。
初めてだっつーのに、こいつら2人にさんざ弄ばれちまって・・・
密かに己をなぐさめていると、へたりこんでいたクレイにパステルが抱きつき、濃厚なキスを交わしていた。
はぁ・・・見せ付けてくれるねぇ、おめぇら。
ってこの言葉は、この際あまりにもそぐわねぇが。
しばし唇をあわせていたふたりが離れると、今度はパステルが俺にすりよってきた。

「ねートラップぅ、気持ちよかった?」
「・・・あぁ」
「えへへ、だーいすきぃ」

にへら、としまりのない顔。
この野郎、やっぱりかわいいんだよ。馬鹿野郎が。
思わずがしっと抱きしめてしまう。
嬉しそうにしがみついてくるパステル。
それを苦笑しながら眺めていたクレイはおもむろに立ち上がり、服を着始めた。

「トラップ、一本貸しな」
「は?」
「今回はお前にゆずったからな。初めてだったんだろ?」
「・・・ま、まぁそうだけどよ」
「次回は俺が下だぞ」
「下って・・・えーと・・・」
「ま、深く考えるなよ。さて、シャワー浴びてくるか」

言葉に詰まる俺を残して、再度情熱的なキスをパステルに残すと、極上のさわやかな笑みを浮かべ、奴は部屋から出ていった。
あぁ、なんだか今日は、クレイがえらく大人に見えるぜ・・・

「あ、わたしもお風呂はーいろうっと。
 じゃあ、後でね、トラップ!今日はお昼、猪鹿亭で食べようねっ」

陽気ににぎやかに軽やかに、愛する女はクレイの後を追って行ってしまった。
今度はおふたりでシャワーですか。ソープごっこですか、あぁそうですかっ。

重い、とてつもなく重い疲労感とため息。
なんでこんなことになっちまったんだか・・・
次回って、またこの取り合わせでやるのかよ?
ってことは、絶対俺とクレイはセットになるわけ?
・・・・・・
今後のことを考えても一向に埒はあかねぇ。
人として、なにかとても大切なものを失ったような気もするが・・・
俺は、とりあえず今は考えないようにしようと、静かに目を閉じた。
188162:2006/06/10(土) 20:19:16 ID:lSB5sCmU
お粗末さまでございまつ。
みすず旅館の一室だってのに、こんなことしてていいのかね。
かわいそうなトラップ。
不幸に陥れてごめんねと反省してみる。
189名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 00:35:23 ID:SMn+BOEs
>>188
GJ!!(*´Д`)
性格はこれはこれでイイ気がする!
アホっぽいパステルエロスw
190名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 11:15:21 ID:NfRLBUlk
>162 いいっすよ!
流されて流されて最後に落ち込むトラップに笑えた。
191162:2006/06/12(月) 11:17:03 ID:B+Ul1mcc
>>189
お褒め頂き、ありがとうございますぅ。
パステルは、ネジ緩んで1本足りない位の方がエロいですよね。ふふ。

目下の悩みは、次回は誰と誰を組ませるべきか。
基本的にはクレパスとトラパスが好きなものでそこから書きましたが、
ギアかアルテアあたりでせうか・・・
うーむ、検討してます。
192162:2006/06/12(月) 11:27:50 ID:B+Ul1mcc
>>190
こんな妙な時間に、リアルで人に会ったの初めてだ・・・(ちょっと嬉しい)
ご感想に感謝!
なんかリクあったらお願いしまつ。
早くもネタ切れなもんで・・
193名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 11:34:34 ID:CuB7A4l1
つーかパステルとクレイはどういう経緯で
エッチフレンドになったんだw
194162:2006/06/12(月) 11:47:55 ID:B+Ul1mcc
>>193
いいいい痛いとこ突きますね。
そういや、そのへんのバックボーンが全くなかった。
確かに、入ったらたまたまヤってたじゃあ、トラップが哀れすぎるし・・・
今後そのへんのフォローを、書き足してみます。
195名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 13:32:58 ID:8XFm0m2C
でも別人すぎないか??
196162:2006/06/12(月) 16:29:50 ID:B+Ul1mcc
>>195
そうですね・・・確かに激しく別人してます。
ノーマル人格では通用しない3P話をチョイスした時点で、失点です。
お気を悪くされた方、他にもいらしたらごめんなさい。
197162:2006/06/12(月) 17:09:39 ID:B+Ul1mcc
前回のパス×クレ&トラの背景となる、クレ×パスを、
クレイ視点にて書いてみましたが。
この時点では、一応まだネジのはまってる(ほんまか)パステルなんですけど・・・

事前にお詫びしておきます。
駄目だ、話がうまくつながらない。
無駄に伏線を張った自分を呪っているところです。

駄文でお気に召さないかもしれませんので、読み流してやってください。
198パス×クレ&トラの背景:クレ×パス 1:2006/06/12(月) 17:10:18 ID:B+Ul1mcc

みすず旅館を、夜明けの明るい光が射す。
朝一番の冷たい井戸水。
俺は誰もいないのをいいことに、盛大に水を跳ね散らかしながら顔を洗った。
ブルーのタオルで濡れた顔をぬぐって、一息。

昨日は、我ながらうまくいった。
多少の個人的引っ掛かりはあるけれど・・・ま、これでパステルの100%満足顔を拝むことができるなら安いもんだろう。

トラップがパステルのことを好きだったことくらい、鈍い俺にだってわかってる。
というより、あんなにわかりやすい奴もそうそういないんじゃないか。
彼女が迷えば率先して追いかけ、ドジれば一番乗りで突込み、泣きそうな顔を見て大喜び。
・・・ガキなんだよな。
そんなわかりやすいトラップとは違い、とにかく感情を隠し続けたのは、俺。

正直なところ、パステルの俺への気持ちには気づいてたんだ。
まっすぐでひたむきな恋心は知っていたけど、トラップへの遠慮もあって。
もう、随分と長いこと、気持ちを押し殺してきた。
妹を心配する兄、を演じながら。

パステルに感情の封印をとかれた、あの日まで。
199パス×クレ&トラの背景:クレ×パス 2:2006/06/12(月) 17:10:57 ID:B+Ul1mcc
「クレイ、大丈夫?お粥作ってきたよー」

にっこり笑いながらドアを開けたのは、木盆にお皿を乗せたパステル。

「だいぶ顔色良くなってるよぉ。キットンの薬効いたみたいだね。
 どう?ごはん、食べられるかなあ?」
「んー・・・大丈夫・・・」

不甲斐なくも俺は、風邪をこじらせて寝込んでいた。
こんな陽気になんでかって?
聞くなよ。聞かないでくれ。
不幸の戦士という二つ名を遺憾なく発揮しただけだ。
普通に道を歩いただけで、水をまいてる奥さんに直撃を食らった、だけ、だ・・・
はぁ。
最近疲れ気味だったせいか、一気に風邪を引き込み。
キットンの不気味な丸薬のおかげで熱はさがってきたが、まだ全快ではないようだ。

「いいよ、無理して起きなくても。そのまま食べてよ。はい、あーん♪」
「あ、ありがとう」

ベッドの縁に腰掛けたパステルは、にこにこしながら一口、二口と俺の口にスプーンを運んだ。
で、でも照れるんだよな。
いかに看病とはいえ、好きな女の子に手ずから食べさせてもらうなんて、なかなかない機会なもんだからさ。

「あれ、クレイ。まだ顔赤いみたいだよ?」

いやあの、これは照れてるからであって。
さすがにそんな言い訳を口にはできない俺の気も知らず、つとスプーンを置くパステル。
額にひんやりとした手があてられる。

「まだ熱あるのかな?
 あぁ、体温計持ってくるんだったなあ。忘れてた」

てへっ、と照れ笑いした顔が迫ってきた。
かと思うと、手のひらのかわりに額にこつん、と触れたのはパステルのおでこ。
柔らかいはちみつ色の髪と、甘い香りが鼻をくすぐる。
熱の後遺症でぼおっとしていた頭は、その刺激にあっさりと負けた。
身を起こそうとしたパステル。
それを許さず、俺の顔の脇についていた細い手首をつかむ。

「・・・パステル」
「え?なあに?クレイ」

戸惑う無防備な表情。
右手で手首をつかんだまま、左手をパステルの襟足にまわしてぐいと引き寄せ、一気に口づけた。
初めて味わう柔らかい感触に駆り立てられ、舌先で唇を割る。
逃げようとする舌を捕らえる。
背ける顔をこちらに向かせてぐっと吸い上げると、荒い呼吸の合間に吐き出される甘い吐息。
布団をはねのけると、俺に覆いかぶさる形になっていたパステルを、身を反転させて抱き込む。

「俺はね、ずっとパステルが好きだった。
 パステルも俺のことを好き・・・だよな?」

自分で聞いておきながら、臆病な俺。
パステルの返答が怖くて、何か言いたそうに半開きになりかかった唇を再びふさぐ。
自分の鼓動が脳天まで響き、心臓が口から飛び出しそうだ。
200パス×クレ&トラの背景:クレ×パス 3:2006/06/12(月) 17:12:16 ID:B+Ul1mcc
「例えそうじゃなくても・・・好きに、させてみせるよ」

ここまで来たら、もう後には引けない俺の、精一杯の強気。
女の子に触れるのも口づけるのも初めてのはずの自分を、今は一時忘れることにする。
胸に手を伸ばすと、びくりと震える体。
片手で髪をなでてやりながら、もう片手でTシャツをまくりあげる。
唇を解放した代わりに、舌を胸の突起にはわせると、少しずつ荒くなる息。
既にまくれあがったスカートの中を探り、下着の上からその部分をなで上げてみる。

「・・・ひゃ・・あ・・・っ・・・」

軽い悲鳴のような吐息とともに、押し出されたのは生暖かい体液。
感じてくれている、という興奮に心臓が弾み、思わず俺はパステルの脚の間に屈みこんでいた。
下着の上からそっとキスする。
唾液をたっぷり含ませ、布の感触を楽しむように舐め回してやる。
すると、俺の唾液とパステルの愛液を含んだ薄い下着は、ほどなくパステルのその部分をトレースするようにくっきりと浮かび上がらせた。

「こんなに・・・気持ちいいの?」

うるんだ瞳で上目遣いに俺を見つめ、コクンとうなずくパステル。
あまりの素直さに拍子抜けしながら、もしかしてこれは・・・と気づく。
初めてだろうにこんなになるとは、パステルって、実はすごく感じやすいんじゃ?
もう下着として機能していない布を脱がせ、無防備になった脚を割る。
堅くなった部分を、襞の周囲を、やさしくやさしく撫ぜ、漏れてくる液体をなすりつけ続ける。
パステルは喘ぎながら、それ以上進もうとしない俺に懇願するような眼を向ける。

「どうしたの?パステル」
「・・・ん・・・っ・・・クレ・・イぃ・・・」
「もっと欲しいの?」
「・・い・・じわるぅ」

ベッドに伝うほどに蜜をあふれさせながらも、可憐な表情で顔を背けるパステル。
いとおしさのあまり、気が変になりそうな俺。

「欲しい、って言って」
「・・・恥ずか・・しいよぉ・・」

全身を俺にさらけ出しながらも、それでも恥らう姿。
自分のどこから、こんな言葉が出てくるんだろう?
俺は自分自身をすっかり見失っていた。

「やめちゃうよ?いいの?」
「・・やだぁ・・・・・・欲し・・い」
201パス×クレ&トラの背景:クレ×パス 4:2006/06/12(月) 17:12:46 ID:B+Ul1mcc
怯えたような、でも艶っぽく甘えたような眼の色。
パジャマと下着を脱ぎ、開かせた細い脚の間に、俺自身を割り込ませる。
そのままの姿勢でパステルに覆いかぶさると、唇を触れる寸前で止める。

「俺を好き?」
「・・クレ・・イ・・」
「好きだって、言って」

先端から我慢を滴らせる俺自身。
限界まで焦らす俺の首っ玉にしがみつき、唇に吸い付きながら、パステルは言った。

「・・・クレイ・・ずっ・・と・・・好きだったのぉ・・・」

その甘い声に答えるように、一気に突きこむ。
襞を押し分け、なにかがはじけ飛ぶような感触に身をゆだねた。
202パス×クレ&トラの背景:クレ×パス 5:2006/06/12(月) 17:14:01 ID:B+Ul1mcc

それ以来。
俺とパステルは恋人同士となった。
ただ俺は必要以上に照れてしまって、皆の前では今までと全く同じ態度だから、
傍から見ると今までと同じだろう。

しかし。
ふたりになった途端、淫乱という言葉がこれ以上ないほどふさわしく・・・乱れるようになってしまった。
・・・あの清純だったパステルが。

「ねぇクレイ、今日、誰もいないよぉ?」

は、初めて男を知った子って、こうなるもんなのか?!
そりゃあ初めて抱いたのは俺だけどさ。
なんかサカリのついた猫・・・って感じで、初めはあまりに戸惑ったもんだが・・・
ふたりになればせがまれ、夜になればせがまれ。
パステルが初体験だったはずなのに、いつの間にか、世慣れた態度をとれるようになった自分にも驚く。
断っておくが、俺はあれからもパステルしか抱いていないし、他の女性は知らないんだけど。
ただ、俺の中にある、どこか嗜虐的な部分が目覚めたのは否定しない。

そして、あの事件が起きたんだ。
いや、事件と呼んではトラップに悪い。
言うなれば、俺がトラップをはめたというべきか・・・
出勤日を間違えてバイト先から戻った俺に、いつものようにせがむパステル。
仕方ないなぁとコトにおよびかかったその時、帰ってきたのはネギしょったカモならぬトラップだ。
「ねぇ、クレイ?トラップも一緒だともっと良くないかなあ?」

なな何を言い出すんだ、この子は。
思わず頭を抱えたくなったが、しかし。
新しいおもちゃを欲しがるような無邪気なおねだりに、小悪魔的上目遣いは一撃必殺。
ま、いいか。
俺は苦笑しながらも、かわいいパステルのために一肌脱ぐことにした。
トラップは、俺が帰っていることには気づいてないはず。
ドアをほんの少し開け、罠をはる。
盗賊のトラップだって、パステルがからんじゃイチコロだ。
案の定この罠にはあっさりかかってくれ・・・おちるとこまでおちてくれた。
お前が流されやすい性格で良かったよ。

独占できない状況下に軽く嫉妬を感じないでもないが、この際いいじゃないか。
すまないな、トラップ。
俺、もう最近、本気で保護者な気分なんだよ。
この子が欲しいってものは全部与えてやりたい。
食べてみたいってものは全部食べさせてやりたい。
この子の笑顔が見られるなら、何もいらない。
俺はただただ、パステルの笑顔が見たいだけなんだ。
軽くヤバい状態のような気もするが、追求するのは怖いのでひとまずおいておく。

タオル片手にぼけっとしているうちに、高くあがってきた太陽。
さて、今日も新しい1日が始まろうとしている。
203162:2006/06/12(月) 17:14:35 ID:B+Ul1mcc
完結です。
ド駄作にお付き合いくださって、ありがとうございました。
思いつきでもの書くとロクなことになりませんです。うぅっ(涙)
204名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 23:45:10 ID:AcIhRJHH
本編でクレイが誰を好きなのか気になる。
205193:2006/06/13(火) 00:09:36 ID:JvW5iqqr
イイヨイイヨー。
けっこうとんでもない展開なのに
なんのかんのいいつつほのぼのしてるとこが
フォーチュンらしくて好きだ。
経緯もなんとなく納得してしまった。
特に最後のクレイの独白が素敵。
これで後づけってすごいなー。

ネタが浮かんだら
またなんか書いておくれ(・∀・)ノシ
206名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 02:08:12 ID:N0awtCBP
すげーGJ!!ひっさしぶりに燃えた。
あんたは十分過ぎるほど熱い魂を持っている。そこまで必死に謙遜する事なんて何もないとオモ
207162:2006/06/13(火) 19:39:15 ID:P4p6hDbE
過分のお褒めを頂いて、ありがとうでございますっ。書いてよかった…
無理矢理くっつけたエピソードなのに、理解して頂けてよかった。いやほんと。

今の私には、このスレに住民さんが戻ってらしたのが、なにより嬉しいです。
細く長くでも、圧縮されずに存続することが一番の希望です(^^)
そのためにも頑張るぞー。(何をだ)
今後も時間を見つけてうpしますので、
生暖かい目で見守ってやってくださいませ。
208名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 20:30:37 ID:Ncrmucvv
>>207
マターリ待ってるよ。
209名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 03:13:50 ID:Yzenrc/3
久々に来てみたら素敵なクレパストラパスが増えててテラウフフ(*´∀`)
絵の練習も兼ねてクレパス支援
162さんの>>201の台詞をお借りしてみた
ttp://appleup.bbsnow.net/file02/data/Pastel2.jpg

>>207
気長にお待ちしてます
210162:2006/06/15(木) 17:39:12 ID:mu+Saw8x
>>209 さん。支援イラ嬉しいですっ。
うーむ、パステルエロっぽくてかわいい。かなり萌えです。

このところ、地味にぅpさせてもらってますが、
話は毎回独立したものとしてご理解ください。
続きモノとかの場合は、いちお連番入れてますし、前もって注釈も書きますので。
毎度毎度一貫性がなくて、時間軸もシチュもキャラの性格も、
とどめにカプまで違いますから。ははっ。
211162:2006/06/15(木) 17:39:44 ID:mu+Saw8x
でもって。
以下、今回の御品書きです。

ギア×パスにしてみました。
少々長め。かなり暗め。
男性陣から、とことん鈍いパステルへ一方通行の、変形四角関係です。
212ギア×パス 1:2006/06/15(木) 17:40:43 ID:mu+Saw8x

音もなく開く、最新式の自動ドア。
ふかふかのマットを飛び越えて外に出ると、まぶしい西日が眼を射る。

「ひゃー、つかれたぁ」
「お疲れ様、パステル」

大仕事を終えた気分でビルの外に出たわたしを、待っていてくれたのはクレイ。
すっかり伸びた黒髪が夏の夕日に輝いて、うーん、やっぱり男前。

ここは大都市エベリンのど真ん中。
わたしは、シルバーリーブの印刷屋さんに紹介されて、大手出版社を訪れていた。
実はね、わたしの小説を読んでくださったここの編集者さんが、原稿を依頼してくれてたんだ。
原稿自体は郵便で送るつもりだったんだけど。
挨拶と今後の構想を話したいってことだったんで、直接来ることにしたんだよね。
で、今、原稿を渡してお話も済んで、出てきたところ。
綺麗な女性の編集長さんからは、お褒めの言葉に加え、今後も書いてほしいって嬉しいご依頼も頂いた。

「どうだった?」
「うん、すごく褒めてもらっちゃった。次のお仕事ももらえたんだよ」
「へえ、さすが。すごいじゃないか」

にっこり笑ったクレイはわたしの手をとると、人ごみを縫うように歩いていく。
やがて辿り着いたのは、冒険者支援グループ、通称冒グルの建物。
今回はクエストじゃないし全員で来ることもないだろってんで、クレイがついて来てくれることになった。
そこへ、唐突に参加表明をしたのがトラップ。
まぁ、彼は久々に大きいカジノにでも行きたかったんじゃない?
マリーナの顔も見たかったんだろうしね。
そんなトラップは、エベリンに着くなり別行動だったので、日没にここで待ち合わせすることにしていた。

入り口横で立ち話をしている、ごついファイターの傍をすり抜けて中に入る。
入ってすぐの部屋にはテーブルや椅子があり、冒険者用の待ち合わせ場所になってるんだけど、あの無意味に目立つ芥子色の帽子は見当たらない。

「トラップ、まだ来てないのかな?」
「みたいだな。まぁ、日没まではまだ時間があるから、待ってようか」

クレイは木でできた椅子にわたしを座らせると、カウンターに歩み寄り、ジュースを買ってきてくれた。

「ありがと、クレイ。喉がからからだわー」

お礼を言ってジュースに手を伸ばすと同時に、目の前を横切った人。
そぎ落としたような頬、黒髪に黒いアーマー、長身で細身の男性。
どこかで見たような・・・ギア?
213ギア×パス 2:2006/06/15(木) 17:41:30 ID:mu+Saw8x

「ギア?ギアじゃない!」
「え?パステルじゃないか。クレイも」

びっくりしたような表情のギア。
いや、びっくりしたのはこっちですって。
キスキンから帰ってあんな別れ方をして以来だったから、余計に驚いた。
初めてわたしのことを好きだと言ってくれて、プロポーズまでしてくれた人だし。
 (本当はカウントしたいとこだけど、半魚人はこの際除外)
正直なとこ、色々考えないわけじゃない。
でも、いっぱいお世話になったし、たくさんの時間を共有したギアに、久しぶりに会えたことで純粋に嬉しくなってくる。
そうそう、もう終わったことでしょ。気にしてちゃきりがないよね。

「久しぶりね!どうしてここへ?」
「あぁ、クエストが終わったんで立ち寄って、しばらく滞在してる」
「ダンシングシミターはいないんですか?」

少し緊張した表情のクレイが、笑顔を作りながら話に入ってくる。
ま、そうだよね。
わたしだって、一瞬どんな顔をすればいいのかわからなかったもん。

「次のクエストまでは別行動だよ。
 ここへは、冒険者カードが痛んだので交換してもらいに寄ったんだ」

そう言って見せてくれたのは、ま新しいカード。
確かにクエストに出てると、雨やら風やらモンスターの襲来やらで、胸につけてるカードはけっこうボロボロになりやすい。
わたしやクレイのも、もう随分痛んじゃってるんだけどね。

「ふーん、じゃあもう用は済んだんだろ?
 いつまでもここにいなくたって、いいんじゃね?」

突然背後から聞こえたのは、失礼な物言い。

「トラップ!いきなり現れてなんなのよ、その言い草!」
「そうだ、失礼だぞ」

揃って文句を言うわたしとクレイ。
知らん顔をしているトラップに、ギアは苦笑しながら言った。

「いや、かまわない。相変わらずだな、お前は」

ほんとにそう。
トラップって、どうしてこうギアには突っかかるのかなあ?
そんなに嫌いなんだろか。確かに相性悪そうだもんね。
でも、冷静沈着で大人なギアと、ガキっぽいっていうか時々やたら熱いトラップとは、いい対比だったりして。
ふたりを見比べながらそんなことを考えていると、不機嫌そうに頭をはたかれた。

「あにボーっとしてんだよ。今日の宿、マリーナんとこ駄目んなったぜ」
「痛ったぁ・・・って、なんで?」

今回、出版社の都合でアポイントが夕方だったから、一泊マリーナに泊めてもらう予定にしてたんだけどね。
214ギア×パス 3:2006/06/15(木) 17:42:04 ID:mu+Saw8x

トラップはわたしの前からジュースを奪い取ると、遠慮なく飲みながら言った。

「置手紙があった。
 急な用事で、どうしてもでかけなきゃならねぇんだって。
 でも、知ってる宿を紹介してくれてたぜ。
 えーと、オアシス亭っつったか、マリーナの名前を出せば安くしてくれるってよ」

それなら、助かる。
今からじゃ、帰りの乗合馬車はないし。
この物価高のエベリンで、安い宿なんてなかなかないもんね。
ただでさえ恒久的に金欠の我がパーティ、無駄な出費はできるだけしたくないですからっ。

「奇遇だな。俺が滞在してるのは、その宿の隣のホテルだ」

ぴくりと眉を上げたのはトラップ。
なんともいえない微妙な表情をしたのはクレイ。
あんたたち、そんなにギアを嫌わなくったっていいと思うんだけどなあ。まったく。
しかし、ホテルとはうらやましい。
そうよね、ギアはお金持ってるもん。
わたしたちみたいに、どれだけ安い宿が探せるか、後何日宿泊可能か、なんて悩まないんだろう。
しみじみとむなしく貧乏を味わっていると、トラップは勢いよくグラスを置くと立ち上がった。

「とりあえず、とっとと行こうぜ」
「ちょ、ちょっとお!こぼさないでよっ」

飲み残しのジュースがグラスから飛び散る。
んもぉ!乱暴なんだからっ。
そこへ、膝の上にぽんと投げられたのはシンプルなハンカチ。

「あ、ありがとう、ギア」

いや、と首を振りながら立ち去ろうとしたギアは、思い出したように振り返り、

「じゃ、俺はこれで。パステル、また会えるといいな」

彼の姿はドアの向こうへ消えた。

そしてわたしとクレイは、やたら不機嫌なトラップに引きずられ、前述のオアシス亭へ移動した。
こじんまりしてるけど、こ綺麗でアットホームな雰囲気の宿屋。
トラップの言ったとおり、マリーナの紹介だというととっても安くしてもらえたし、そのお値段のおかげで2部屋確保できたんだ。
そりゃいつもは雑魚寝なんだから、別に1部屋でもいいんだけど。
今日はルーミィもいないし、たまには1人でゆっくり寝たい!とごねてみたのよね。
そしたら、あのうるさいトラップが異論を唱えなかった。まー珍しい!

というわけで、宿屋の1階で食事を済ませ、わたしは早々に部屋に落ち着いていた。
クレイもトラップもまだテーブルに残って飲んでたし、なんかふたりで話したそうだったからね。
まぁ、いつもは大所帯なんだから、たまには男同士で話したいのかも。
さてわたしはどうしよう。
たまのひとりの時間だし、とりあえずお風呂でも入ってこようかな?
・・・
あ。忘れてた。
スカートのポケットをあわてて探る。
出てきたのは、1枚のハンカチ。
グレーの無地にワインレッドのラインの入った、大人っぽいデザイン。
そう、さっきギアが貸してくれてそのままだったんだよね。
結局使わなかったから綺麗なもんだけど、これ、返さないとなあ。
215ギア×パス 4:2006/06/15(木) 17:42:36 ID:mu+Saw8x

しばらく逡巡した後、ハンカチを握り締めると、わたしは部屋を出た。
きょろきょろと辺りを見回すと、あった、裏階段。
別に悪いことしてるわけじゃないんだけどね。
表階段から降りると1階の食堂を通ることになるから、また不機嫌なトラップに文句言われそうだし。
隣のホテルだったら、さすがのわたしも迷わず行けるでしょ。
階段を降りきり、表通りに出てみると、オアシス亭の隣に、確かに立派なホテルがあった。うーん、高そう。
一応、反対側も確認してみる。
両脇にホテルがあった日にゃ、またわたし迷子ですってば!

フロントで聞いたギアの部屋をノックする。
フロントからこの部屋に辿り着くまでに、結構な時間がかかったのは、もはや言うまい。
しばしの空白があって、返事とともにドアが開いた。

「パステル!?どうしたんだ、いったい」

昼間に輪をかけて驚いてるギア。
あはは、今日はびっくりしてばっかりだね。ポーカーフェースが台無し。

「あのね、ハンカチ借りてたでしょ?返しに来たんだよ」
「そ、そうか・・・とりあえずお入り」

促されるまま部屋に入る。
シンプルな、でもかなり豪華なシングルルーム。
いかにも高級ホテル、って感じの、上品な調度品。

「うわー素敵なお部屋!すごく高そう」
「そうでもないよ」

備え付けの冷蔵庫に屈みこんで、なにか探しているギア。
彼を横目に、大きくとられた窓に近寄ってみる。
おぉ!すごく夜景が綺麗だ。
そうよね、この部屋、けっこう高い階にあったし。
エベリンは都会だから、夜中でも街の光が絶えることはない。
これがシルバーリーブだったら、見事に真っ暗なんでしょうけど。

つと顔の傍に差し出されたのはワイングラス。
あわいラベンダー色の液体が入っている。

「こんな汚いハンカチ1枚のために、ご足労頂いたお礼だよ。
 アルコール度数の低いフルーツワインだから、飲みやすいと思う」
「あ、ありがとう」

一口含むと、ほんのり甘くてやさしい口当たり。

「美味しいね、これ」
「だろ?」

ギアは自分のグラスをくいっとあけてしまうと、ベッドサイドのソファに腰を下ろした。
テーブルにグラスを置き、手酌でワインを注ぐ。
216ギア×パス 5:2006/06/15(木) 17:43:50 ID:mu+Saw8x

「ところで、昼間聞きそびれたが、君たちはどうしてエベリンへ?」
「そっか、話してなかったね。あのバカのせいで」

そうそ、トラップが割って入ったせいで、まともに話もできなかったんだっけ。
グラスを持ったまま、ギアの向かい側のソファに座り込む。
出版社を尋ねることになった経緯や、今後も仕事がもらえたことを説明すると、グラスを大きな手でまわしていたギアは、

「そういうことだったのか。あんなところで会ったのは」

つぶやきながらまた新たなワインの栓を、慣れた手つきで開けている。
もう1本飲んじゃったの?わたし、まだなみなみと残ってますけど。
また、ひとくち口に含む。
ほとんど飲んでないのに、顔が熱いぞ。赤くなってるかも。

「そういえば。彼らは?ここへ来ると言ってきたのか?」
「彼ら?あぁ、クレイとトラップね。
 面倒だから、こっそり出てきちゃった。
 特にトラップってば、なにかと喧嘩腰なんだもん。迷惑な話だよねえ」

へへっと笑うと、ギアは笑わなかった。
黒い瞳。真剣な眼のいろ。

「トラップの不機嫌のわけがわからないのか?」
「は?」
「クレイが心配そうな顔をしてる理由を知らないのか?」

何を聞かれてるのか、いまいちぴんとこないんですけど?

「え?えーとえーと・・・
 前にわたしがパーティ抜けるのなんのってやったから?かなあ?
 トラップはもともとギアと合わなさそうだしねえ」
「それだけ?本当にそれだけだと思ってるのかい?」

ほんのり酔ったような頭じゃ考えがまわらない。
小首をかしげるわたしに、ため息をついたギア。
手に持っていたグラスを、カツン、と音をたてて置いた。
まっすぐわたしに向き直る。

「本当に、何もわかってないんだな、君は。
 今、自分がしていることすらわかってない。・・・なぜ来た?」
「だ、だからさ、さっきも言ったけどハンカチ返さな」
「夜だぞ?」

わたしの言葉に押しかぶせるようなギアの言葉。

「こんな時間に、ひとりで男の部屋に来るなんて。
 それも、この、俺の部屋にだ。
 自分のしてることが、本当にわかっているのか?」
217ギア×パス 6:2006/06/15(木) 17:44:31 ID:mu+Saw8x

押し殺したような問いかけ。
静かな声色だからこそ、感情が底でくすぶっているのがわかる。
ゆっくりと立ち上がったギア。
怖い。
本能的に後ずさるけれど、背中に当たるのは柔らかなソファーの背もたれだけ。
怯えるわたしの気持ちを知ってか知らずか、そのままギアは机をよけるようにしてわたしの前にたった。
長い腕を伸ばして、そっと頬に触れる。
思わず身を縮こまらせるわたしを見て、ふっと微笑んだギア。
わたしの持っていたグラスを取りあげて残りのワインを干すと、身をかがめ、その無表情な唇をわたしの唇に押し当てた。
そのまま彼の舌が唇を割り、一気にワインを流し込まれる。

「・・・ん・・・くっ」

口におさまりきらず、喉もとへと伝う液体。
吐き出すこともできず、むせながらも飲み込んでしまうと、一気に頭がぼおっとしてきた。
冷たい唇に、生ぬるいワイン、熱いギアの吐息。
伸びてきたギアの手に、あっさりとからめとられ、骨がギシギシいうほど抱きしめられ、わたしは身をよじる。

「離して・・・」
「どうして?誰か、好きな奴でもいるのか?」
「・・・そんな人・・・いな・・いけど」

暗い瞳のまま、彼はさらに腕に力をこめた。

「彼らのひとり相撲ということか」

何?相撲って何のこと?
疑問を口にする間もなく降りてきた唇が、喉もとから、ボタンを外された胸元を這い回る。

「あ・・・やっ・・」

酔ってはいても感じる、ちくりと刺すような痛み。
次々に胸の上に咲く、紅い花。

「あの時、どんなにさらっていきたかったか。
 俺は、必死に君をあきらめたのに。
 あきらめられたと思っていたのに・・・駄目だ」

ギアはわたしを抱きしめたまま、すぐ傍のベッドに倒れこんだ。
ひんやりした指があっという間に服をはぎとる。
逃げようにも、抵抗しようにも、何もできない。
ぼおっとした頭とまわらない舌。力の入らないからだ、そして押さえ込むギアの強い腕。
その腕とは裏腹に繊細な指。
胸をかすめウエストをなぞり、強弱をつけた愛撫に溶けてしまいそうになる。

「・・・はぁ・・やぁ・・ん・・」
218ギア×パス 7:2006/06/15(木) 17:45:08 ID:mu+Saw8x

ギアの節くれだった指が、立てさせられた脚の間にもぐりこむ。
ぬるっとした感触とぐちゃりという音に、ただでさえ赤い顔がさらに赤くなったんじゃないだろうか。

「感じてくれてるのか?・・・パステル」

ゆっくりとその部分を解きほぐし、滴が伝うほどになった時、ギアはゆっくりと身を押し進めた。
わたしがぐっと眼を閉じると、それはわたしの中に入ってきた。

「・・・った・・・あぁ・・っ・・や・・」
「パステル、力を・・・抜いて」

半分泣き声になるわたし。
痛いのに、裂けてしまいそうなのに、奥底からじわじわと湧いてくる、甘美な快感。
ギアは、ほんのかすかな動きで腰を動かしながら、荒い息で途切れ途切れに言葉をつむぐ。

「君は・・・俺のものには、ならないんだろう・・な。
 今、俺は・・君を抱いている・・・けど」

苦さと甘さの中で、思わず眼を開ける。
顔のすぐ上、数センチのところにある、端正な顔。
うっすらと額に汗をかき、苦しそうに眉根をよせて。

「でも、心は・・君自身は・・・君の、ものだ」

・・・泣いてる。
涙もなく、泣き声もなく、でも、この人は今泣いている。
涙のない嗚咽を漏らしながら。

何も言えなかった。
その思いの深さに、気持ちを受け止めることの苦しさに。
からだの奥底を突き上げる鼓動に身を任せながら、わたしは必死でギアの顔を見上げ続けた。
そして降ってきたのは、噛み付くようなくちづけ。

「今・・・ひとときでいい、俺に・・・
 俺のもので、いてくれ。頼む・・・っ」

ふりしぼるような、悲鳴のような、ギアの声。
いつもクールな彼のどこに、こんな情熱が潜んでいたんだろう。

からだの奥に、熱いものがほとばしった。
内側からなにかがはじけるような感触に身をゆだね、瞳を閉じる。
219ギア×パス 8:2006/06/15(木) 17:45:53 ID:mu+Saw8x

オアシス亭の裏階段。
こんなぼおっとした頭なのに、一応表玄関を避けた自分に驚く。
こんなとこで転げ落ちるわけにいかないので、よろける足をかばうように手すりをしっかりと握り、一段一段あがる。
ようやく部屋のある階まで上がりきった。
やれやれ。後は部屋に戻るだけ・・・なんだけど。
足音をしのばせて廊下を歩き出したわたしの耳に、おさえた怒声が聞こえた。
足を止めたその場所は、折りしもクレイとトラップの部屋の前。
薄い木のドアの向こうから漏れているのは、トラップの声。

「だからよ、なんで・・・」
「大声出すな、パステルが起きる」

残念、起きてます。
抜け出したのはバレてないらしい。
一応なだめているクレイ。
声を抑えたつもりなんだろうけど、廊下まで筒抜け状態だし。
ふたりとも相当飲んでるんだろうな。

「クレイ、てめぇ、みすみすパステルをあいつにやる気か!?」
「そんなつもりじゃ・・」
「じゃあ、俺が取っちまってもいいのかよ?」
「そ、それは・・・」

自棄気味に怒鳴るトラップに、口ごもるクレイ。
さっきまでのわたしだったら、きっとこの会話の意味はわかんなかったろう。
でも。

「・・・選ぶのは、パステル自身だ」

長い沈黙を破って、クレイが言った。
ドア越しにでもわかる、奥歯を食いしばって発した声だった。

それ以上聞いていられなくて、そっとその場を離れ、自分の部屋のドアを開ける。
鍵をかけ、ベッドにばったりと倒れこむ。
途端に、さっきまでの情景が頭を駆け巡る。
220ギア×パス 9:2006/06/15(木) 17:47:33 ID:mu+Saw8x

あの後、彼は何も言わなかった。
どうしていいかわからないまま、わたしも何も言わず、帰ってきた。
きつくきつくきつく、わたしを抱きしめたギア。
言葉にできないもどかしさを持て余し、彼の背中に痕が残る程に爪を立てた。

からだの奥が重い。
こころの奥は痛い。

ギアに、消えない、消せない烙印を押されたわたし。
それなのに。
抱きすくめられたあの胸を思い出すたび、あの言葉を思い出すたび、胸が熱くなりキリキリと痛む。終わったはず、離れたはず、思い切りをつけたはずだったのに。
どうして?この気持ちはどうしてなんだろう?
狂おしいほどの葛藤。

そして、今頃知った、ふたりの気持ち。
トラップの不機嫌の裏に、クレイの心配そうな瞳の奥に浮かんでいたのは、恋と呼ぶものだったんだ。
知りたくなかった。
知らないほうがよかった。
知ったがゆえに、もうわたしたちは同じ関係ではいられないだろう。

どうして、ずっと同じところにいられないのかな?
わたし、ずっとあのままでいたかったのに。
人の気持ちを理解できるようになるのが大人なら、わたしは大人になんかなりたくなかった。
もう、自分で行き場を決めなくてはいけない。
知らずに歩いていくことも、迷った手を誰かに引いてもらうことも、もうできないんだ。

首をひねると、出窓から夜空が見えた。
都会の人工の光ににごったあずき色の闇。
かすんでぼやけた空には、ほんのひとかけらの星も見つからない。

わたしは、自分の頬を伝う涙に、長い間気づかずにいた。


221162:2006/06/15(木) 17:48:08 ID:mu+Saw8x
お粗末さまでした、完結です。
なんやら、やたらとダラダラ長くなってしまっております。

しかも。く、暗いなぁ。救いようがありませんね。
鈍さの極地にいたパステルが、大人の葛藤を知る話・・・にしたかったのに、
なんでこんなに救えない話になったんだか。鬱だ・・・
222名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 00:35:40 ID:DsH/dh0A
>221
GJ!
大人の階段昇るパステルの鬱っぷりが伝わってくる。
しかし野郎共のこれまでの空回りっぷりを思うと泣ける
223名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 20:12:28 ID:IAumtlBn
神キテル━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!

だけどかなり謙遜気味な職人だ。神より身近でイイカモw
224名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 23:47:28 ID:zZXr0j+k
図らずも(?)149で書いた希望が叶った!!
ありがたし。
225名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 03:07:25 ID:BFwmbZx3
226名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 03:08:43 ID:BFwmbZx3
227名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 12:29:28 ID:xNYokfl4
ギアパスすごくいいな、何かちょっと苦味の残る話なんだけど決して欝にならない感じがいい。
作者様、お疲れ様でした。

新刊読んでアルテア×パステルに不覚にも萌えたのは自分だけだろうか?
228162:2006/06/19(月) 13:10:27 ID:/rWo36Ek
162です。
昨日から、2ちゃんがオチたりしてて、随分鯖が不安定でしたね。
やっと書き込めました。

ご感想ありがとうございます!
暗くて痛い話なのに、お読み頂けててよかった。
ギアを登場させると、能天気お気楽ラブストが、物理的に不可能でしたもので。

>224(149)
実のとこ、あのカキコを参考にさせていただきました。
お気に召したようで感無量。
私も新刊読みました。同じく、密かにアルテア攻めいいかも♪と邪心が・・・
いずれ書いてみたいところです。

以下、御品書きです。
今回は、軽くて短かめのトラパスをひとつ。
息抜き&お茶請けにどうぞ。
なお、2人の間に恋愛感情があるかどうかは、今回は曖昧にしております。
229162:2006/06/19(月) 13:11:07 ID:/rWo36Ek

外は、雨。
バケツをひっくり返したような勢いで、まさに土砂降り、っつーのがぴったりの降り方だ。
月も星も覆い隠した真っ暗闇だのに、時々昼間みてえに明るくなる。
ゴロ・・・ゴゴゴ・・・
さっきから腹の底に響き渡るような低音で、轟いているのは雷鳴。
おぉ、また派手に光りやがった。たーまやー。

「きゃあああああっ!!」

うるせぇなー・・・
さっきから聞こえていたけたたましい悲鳴。
絹を裂くような・・・いや、こいつの場合は雑巾破いたような・・・
その絶叫と共に俺のいる台所へ駆け込んできたパステルは、俺の姿を認めると転がるように飛びついてきた。
あのさ、重てえんだけど。
でも今そんなことを言えば、まず間違いなく張り倒されるだろうから黙っておく。

「と、トラップぅ・・・こわいよおーーーっ」
「怖いっておめ、たかが雷だろ?」
「たかがって・・・こわいもんはこわいんだよぉ」

半べそで抱きついてくる。
いや、こりゃさばおりとか言う技じゃねんだろか。
くくく苦しい。締め上げんな。

「そんなに嫌なら、さっさと寝りゃよかったろうが」
「だってぇ、原稿が・・・」
「そーゆーのを、後悔役に立たず、ってんだぜ」

パステルは、伏せていた顔をあげ、冷たい瞳でまっすぐ俺を見つめた。

「・・・先、だと思うよ」
「じゃかあしい」

きゃーのきゃーの言ってる割には、サックリ突っ込みやがる。生意気な。
と、また稲光と同時に落雷音が耳をつんざく。

「いいいっやぁぁぁーーーーーーっ!!!」

み、耳が変になるってゆってんだろーがあ!
頼むから、俺を身動きできん羽交い絞め状態にしておいて、耳元で絶叫すんのはやめてくれ。
おめえは俺の聴覚を破壊する気か。
とっとと放り捨てて部屋に戻りたいところだが、火事場のなんとか状態でしがみつかれ、手を振りほどくこともできん。
しかし、喜んで鼓膜を差し出す趣味は、俺にはねぇし・・・
230162:2006/06/19(月) 13:12:52 ID:/rWo36Ek
うぉっと、題名をつけ忘れ。
失礼しました。

229< 「トラ×パス 雷編 1」です。
231トラ×パス 雷編 2:2006/06/19(月) 14:10:23 ID:/rWo36Ek
ふと、いたずらっ気が起きる。
次の雷鳴のタイミングをはかり・・・お、きたっ。

「きゃあ・・・ん!?んーーーー!」

斜め上からかぶせるようにやかましい口をふさぐ。
ざまあ見やがれ、これで叫べんだろうが。

「ん!ん!」

こら、暴れんな。
痛てぇって、引っかくんじゃねえよ。
騒ぐわ暴れるわ、手負いの熊じゃあるめえし。
やっと黙ったようなのでおもむろに唇を解放してやる。
しがみついたままの体制で、呆然と俺を見上げるパステル。

「と、トラップ・・・」
「け、おめえがうるせえからだろ」

ピカッとばかりに、フラッシュを焚いたような派手な稲光があたりを照らした。

「いやあー・・・ぁむっ!ん!」

だぁらおめえは黙ってろって。もういいから叫ぶな。
俺の目の前数センチの位置のパステルの顔。
目を見開いたまま、反応もしねぇでいやがんの。硬直状態だな。
・・・おし。
ついでに目玉もつぶらせてやる。
キスしたまま、舌でパステルの唇をつつく。
口の中に忍び込み、逃げようとする舌を吸い上げる。

「・・んん・・・っ」

予想通り、ここでパステルは目を閉じた。
となると、さらにあれやこれやしてみたくなるのが、男ってもんじゃねぇ?
邪な誘惑にあっさり魂を預け、パステルの胸元に手を伸ばす。
びくっとした体が離れようとするが、ここでまたでかい雷鳴が響いた。

「んんーーーー!!」

手を離しかけては稲光にビビッてしがみつく、の繰り返し。
離れたいのは山々なんだろうが、怖がりのこいつは手をほどくこともできんらしい。
気の毒な奴だ(笑)
別に拘束した覚えもねえのに、自動的にひとりで捕縛されてるようなパステル。
それをいいことに、キスしたまんまでブラウスのボタンをあけ、
ブラの隙間にぐいっと手を差し込む。
232トラ×パス 雷編 3:2006/06/19(月) 14:11:51 ID:/rWo36Ek

白く、すいつくように柔らかで弾力のある肌にふれた。
胸の先端をつまみ、軽く引っかいてやると、唇の端から吐息がもれる。

「んふっ・・・ん・・・」

胸を揉むにつれ、間隔の短くなる喘ぎ。
すぐ傍の冷蔵庫にパステルの背中を押し付け、手探りでスカートの中に手を伸ばす。
反射的に閉じようとする脚を膝で割り、強引に開かせる。
ここでようやく唇をもぎ離したパステルは、身をよじって抵抗した。

「やっ、やめてっ、離してよ、トラップ!!」
「ん?いいのかよ?離しちまっても」

またもタイミングよく光ったのは稲光。
続いて素晴らしい連係プレーで落雷。
うぉぉ、こりゃまた激しいな。
雷音は、脳天から腹までを一気に貫いた。
一旦は上半身をほどきかけたのに、言葉とは裏腹に貼りついて来るパステルの体。
はいはい、いらっしゃーい。

「ほれ、怖えぇんなら、こうしてな」

左手でパステルの頭を抱え込み、耳にくちづける。
右手は再度スカートの中に這いこませ、下着の上からその部分を探す。
ま、探すまでもなくびしょびしょになってやがんだけどな。
下着の隙間から、襞を探る。
ぬるりとした触感。

「・・・っやぁ・・・あんっ」

頬を染めてあえぐパステル。
俺が下着を一気に引きおろそうと手をかけた、その時。
233トラ×パス 雷編 4:2006/06/19(月) 14:13:28 ID:/rWo36Ek
建物全体と足元をも揺るがすような轟音。
それに続いて、鼓膜も破れよと言わんばかりの破壊的な高音が響いた。
うっへぇ・・・どっか近くに落ちたぞ?こりゃ。
まだ耳がジンジンしてやがる。
目の前のパステルは、俺の体にしがみついたまま、呆然と固まって放心状態。

「と・・・トラップ・・・あれ」
「あん?」

パステルの目線の先は、俺の背後。
振り返ると、窓の外の闇に炎が見えた。
がっちりと俺の服をつかんだままのパステルの手をほどき、窓辺に歩み寄る。
少し先の空き地にある木に落雷したみてえだな。
まぁ、あの空き地にはど真ん中にでかい木が1本しかねえし、火の勢いもたいしたことはないようだし。

「大丈夫だろ。あれならすぐ消えるって」
「・・・ほんと?」

パステルは冷蔵庫にもたれたまま、不安そうな眼で外を見ている。
その時、あちこちのドアが開く音がした。

「まぁ見事に落ちましたね」
「大丈夫だとは思うけどな。一応様子を見てくるか」
「ぱーるぅ、おっきい音がしたおう!こわいおう!!」
「ルーミィしゃん、泣かないでくださいデシ!
 パステルおねーしゃん、どこデシかー?」

轟音に飛び起きて、窓から外を見たんであろう、キットンとクレイ。
眼が覚めたらパステルがいないんで泣いているルーミィ、それをなだめるシロ。
口々に好き勝手なことを言いながら、廊下を走る足音が近づいてくる。

・・・いいとこだったのによ。
ま、寸止めも悪くはねえ。
次回へのアンチテーゼ?みてえじゃん。へへっ。

立ち尽くしたまんまでいるパステルの頭を、くしゃっとつかむ。

「じゃっ、続きはまた雷が鳴ったらな!」

ぽかんとしたようなパステル。
その顔に浮かんだのは、ほんのわずかに不満げな表情。
それを認めると、俺は満足げに台所を後にした。
234トラ×パス 雷編 4:2006/06/19(月) 14:14:17 ID:/rWo36Ek
完結です。
さらっと読んでいただけたら幸甚です。

しかし今日は、書き込み途中でオチまくって困りましたっ。
途中やめするわけにもいかないし、ようやくぅp完了(泣)
235名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 18:51:24 ID:xNYokfl4
このスレには神がいるんだな。
自分も雷キライだけど、こんな事が起きてるかもと思うと耐えれそうだorz
アルテア攻めも期待しつつ、今は言いたい。

GJ!!!
236162:2006/06/20(火) 17:48:06 ID:cxprvOxx
>>235
かかか神って言われちゃった。どきどきどきどき。
過分にお褒め頂いてありがとうございますっ。
私も雷苦手なんで、パステルの心境は手に取るようにわかる・・・

今気づきましたが、>>228の自分の発言、
>>私も新刊読みました。・・・
の部分は、>>227さんでしたね。ごめんなさい、誤爆。
しかも、>>234ではタイトル消し忘れて、前とかぶってるし。
わけわからんな。見逃してください・・・

以下、御品書きです。
ごく軽めのトラパスをどうぞ。
237トラ×パス 飲酒編 1:2006/06/20(火) 17:49:34 ID:cxprvOxx
なんでこんなことになっちまったんだが・・・
俺は、背中ですやすやと眠るパステルに眼をやった。
完全に体の力を抜いて、全身を俺に預けている。
く・・・寝てる奴や死んだ奴の体ほど重いもんはねぇというが、ありゃ本当だな。
そりゃあもうずっしりと、背中にかかる重みにため息をつく。

事の起こりは猪鹿亭だ。
いつものように揃ってメシを食ってた俺たち。
久々にカジノで大勝した俺は超ご機嫌だったんだよなぁ。
珍しくクレイにビールおごってやる!って言うとパステルが、

「えーわたしにも何かおごってよぉ!」

なんぞと駄々こねやがった。
いつもなら一笑に付すとこだが、今日の俺様は機嫌がいいんだ。まかせとけ!

「おぉ、じゃーリタ!ビール追加だ!」
「おいトラップ、パステルにビールなんて・・・飲めるのか?」
「飲んだことないけどさあ。
 でも、いつも2人とも飲んでるじゃない!わたしも飲んでみたい!」

クレイのごく常識的な問いに、頬を膨らませてすねるパステル。
ちくしょー、こいつ可愛いじゃねえか。
こんなことでもなきゃ、この鈍感女におねだりされる、なんてナイスなシチュエーションにはお眼にかかれない。
既に何杯もジョッキをあけていい気分だった上に、密かに思いを寄せる女の上目遣い。
これでオチなきゃ男がすたるってもんだろーが!

「いいじゃん、クレイ。これも人生経験ってもんよ!
 ほれ、パステル、ぐっといけ!」
「いや、おい、トラップ」

止めるクレイを振り切り、パステルにジョッキを手渡す。
しかしだ。
あいつが、一口飲んで苦いとぶーたれた時点でやめときゃよかったんだ。
口に含むから苦いんだ、一気に飲んで喉越しを楽しめだなんて、レクチャーした俺が愚かだったよ。
はい、ごめんなさい。
そして素直に一気飲みした結果が、今俺の背中に乗っかるパステル、という構図だ。

そりゃそうだよな、酒飲んだこともねぇ奴にビール一気飲みさせりゃあ、酔って当たり前だ。
あっという間にへべれけモードに突入したパステル、歌うわ踊るわおかわりを要求するわの大騒ぎ。
こっ、この大トラ野郎が・・・
クレイにゃだから言っただろうと俺が怒られた。
ルーミィとシロは露骨にビビって近づきゃしないし。
ノルは困った眼をしたまま何もフォローもしてくれない(当たりめえか)。
キットンは無表情に鞄をさぐり、おごそかに俺の手に怪しげな丸薬を握らせた。

「これ、後でパステルに飲ませてあげてください。二日酔い防止の薬です」
「後で・・・って、おい、この酔っ払い置いてく気かよ!」

俺の叫びに、世にも冷たい視線をくれたのは竹アーマーの騎士。

「飲ませたおまえが悪い。責任持って連れて帰ってこい」

至極もっともなクレイの言葉に、うんうんと頷く一同。
俺はがっくりと頭を垂れた。
俺の隣には、机に突っ伏して平和そうに寝ているパステル。
水を運んできたリタは、横目でパステルを眺めるとニヤリと笑ってつぶやいた。

「ま、トラップの自業自得ね。毎度あり」
238トラ×パス 飲酒編 2:2006/06/20(火) 17:50:14 ID:cxprvOxx

そして、冒頭シーンにつながるわけだ。
立ち止まり、ずりずりと下がってくるパステルを、どっこいしょと担ぎなおす。
何度かの休息を入れながらようやくたどり着いたみすず旅館だが、表玄関閉まってやがる・・・
そうか、もう夜中だもんなぁ。
仕方ねえので裏口にまわり、ポケットの鍵をさぐる。
俺はよく夜中に帰ってくっから、おかみさんから一応裏口の鍵だけ借りてんだよな。
が、しかし。くまなくポケットを探すが、鍵はない。
やべ、部屋に置いてきたか?
まぁいいや。外から2階の部屋に入るぐれえ、俺には造作ねぇこった。
パステルを背中からおろし、裏口の扉前に座らせる・・・が、何度座らせてもズルズル滑って寝転んじまうぜ、この酔っ払いは。
ま、冬じゃねんだし、すぐ戻るから良しとしよう。
とりあえず、裏口前に敷き詰められた石畳の上に寝かせて立ち上がろうとした時、甘ったるげな吐息が聞こえた。

「ん・・・」

思わず動きが止まる。
パステルは硬い石の上でで寝返りをうっていた。
真上を向かせていたはずが、横向きに体を倒し、こちらを向いている。
ミニスカートがめくれ、あと一歩で中身が見えちまう・・・って、俺、手を伸ばすなっつーの。
俺の意思とは別に・・・いや隠れた意思を表現した?右手を自らの左手で抑える。
必死で目をそらすが、そらした先が悪かった。
よじれた胸元から、白い肌がのぞいている。
胸の真ん中あたりのボタンがひとつ外れ、見え隠れする肌とブラ。
うおおおおおぉぉ・・・っ・・・ひとり身もだえする俺。
いいいや待て、そんなところ開けてちゃ、か・風邪ひいちまうよな?
さっき冬じゃねんだからと、気にもせず石の上に寝かせた事実はこの際忘れる。
外れたボタンに向かって震える手を伸ばす。

っておい、俺!
ボタンをはめる予定が、なんで別のボタンを外してんだよ!?
煩悩の波は、かろうじて抗う俺をじわじわと押し流していく。
上からみっつめまでボタンを外した、罪深き俺様の繊細な指。
あらわになったふくらみに、そっと手を伸ばすと、ぷにっという感触。
や、柔らけぇ・・・初めて触れた女の肌に、感涙にむせびそうになっている自分が情けない。

恐る恐るブラと肌の隙間に手を差し入れる。
ほんのりあたたかくて、どことなくしっとりしたパステルの胸。
掌中にふにふにと転がすうち、先端部分が自己主張をし始めた。
おぉぉ、勃ってきやがったぜ。
俺の股間みてえだな・・・そんなアホな感想を内心もらしつつ、そっとつまんでみる。
うぉっと!!ね、寝返り打たんでくれ、この状況下で。
焦って手を引き抜くと、パステルは体の向きを仰向けに変え、また寝息を立て始めた。
はーっ、はーっ、あ、焦った・・・
今起きられちまったら、なんと言い訳すりゃあいいんだか。
どこかへ旅立っていた理性が半分ほど戻ってくる。
ここでぐっとこらえて鍵を取りに行くのが得策かな・・・名残惜しいが・・・

パステルの寝姿を未練がましく眺めていた俺は、思わず目をむいた。
仰向けの姿勢で寝たまま、おもむろに片足を曲げて立てたパステル。
俺は今、こいつの足元側にしゃがみこんでいる。
ということはだ。
すなわち、こいつのミニスカートの中が丸見え、ってことで・・・
あぁ・・・せっかく戻った理性は、またも長い旅に出ちまった。
もう当分戻ってくることはねえだろう・・・
239トラ×パス 飲酒編 3:2006/06/20(火) 17:51:02 ID:cxprvOxx

そおっと体制を変え、さらにパステルの足元よりに体を移動させる。
すると、たてた膝とめくれたスカートの奥に、まぶしく光る白い下着が拝めた。
いや待て俺、なんで手を合わせてるんだっ。
拝んでどうする、拝んで。
ブンブン首を振って邪念を払い落とすと、俺はパステルの脚の間にゆっくりと分け入った。
身をかがめ、下着の上からその部分にそっと触れてみる。
もちろん、初めて目にする下着。そしてその中身・・・
やっぱ、ここで引き返すわけにはいかねえだろ?
いっちょ拝ませてもらって・・・いやしつこいようだが拝む必要はないんだっつーの。
深呼吸して気合を入れる。
何か気合の入れる方向が限りなく間違ってる気もするが・・・

盗賊仕込みの器用な俺の指。
微妙にパステルの腰を浮かさせつつ、するっと下着をおろしてやる。
はああぁぁぁ・・・こうなってるんですか。女ってのは。
見様見真似で指を舐めると、そのほの赤い部分に触れてみる。
先端に何やらつん、と突出した部分を見つけ、こねるようにすると、黙って寝ていただけのパステルが軽い吐息をもらした。
心臓が跳ね上がる。
半分身を引きながらその表情に目をやると、少々頬が赤い。
寝ちゃいるけど感じてんのか?もしかして。
そして、奥の方からじわりと出てきた液体に確信する。
感じやすいんだな、こいつ・・・

そう思った途端、鼻の置くがつんと熱くなる。やべっ。
げげっ、ちょっと待て、ここで鼻血たらす気かよっ!?
んな勝負どころで鼻血出しちゃー末代までの恥だ!誰も見てねえけど。
ぐっと鼻をつまみ、深呼吸する。すーはーすーはー。
男トラップ、ここで真の男になる時だ!さぁ今こそ!!
そして、パステルの膝上まで引きおろしていた下着を、この際完全に脱がせようとむんずと掴む。
途端、いきなり何の前触れもなく、がばっと身を起こしたパステル。

「・・ルーミィ、このスライムにはコールドよ!コールドおぉ・・・」

俺の愛撫も無視して正体なく寝入っていたはずのパステルは、唐突に目を覚ましたかと思うと絶叫した。
そして、叫ぶだけ叫んでまた寝ちまいやがった。
っておめぇ、し、心臓が止まるかと思ったろうがぁ!!!
肋骨を突き破りそうなほどバクバクいう心臓。
クエストの夢でも見て寝ぼけたか・・・はぁ・・・

しかし、さすがにこの叫びで我に返る。
いくらなんでもここで入れちまうのはまじいか・・・
よし、とりあえず旅館の中に入れて・・・と、脱がせかけた下着を直してやったその時だった。
ガチャっと鍵を解除する音をともに、目の前のドアが開いた。
240トラ×パス 飲酒編 4:2006/06/20(火) 17:51:36 ID:cxprvOxx

そこに立っていたのは、今一番会いたくなかった・・・クレイ。

「お前何やってんだ?
 うるさいと思ったら今頃帰ってき・・・」

言葉半ばにして固まったクレイの目線の先には、半分胸をはだけてしどけなく寝転んだパステル。
そして、恐ろしく間の悪いことに、直した下着からまだ手を離してない・・・俺。
クレイの背後に、みるみるうちに黒いオーラが立ちのぼる。
顔を一気に紅潮させたクレイは、ワナワナと手を震わせながら俺を怒鳴りつけた。

「と、トラップ、貴様、なんてことしてるんだっ!!」
「いやクレイ、誤解だ、俺は着せてやってるだけで・・・」
「脱がせたのはおまえだろうーーーー!!」

そのとおりです。お怒りごもっとも。
クレイの怒号に、うっすら目をあけたパステル。
よいしょと身を起こし、目をこすりながら俺をクレイの顔を交互に見る。

「・・・あれ?ふたりとも何してんのぉ・・・?」
「パステル、大丈夫か?」
「ん?あぁ、クレイ・・・」

まとった黒いオーラに不釣合いなほどの笑顔をパステルに向け、クレイはゆっくりと俺に向き直った。
おい、今気づいたが、なんでおめえソード持ってんだ?
この上なく嫌な予感がし、そおっと後ずさる。
すると、ぽかんと不思議そうな顔をしていたパステルが、突如口をおさえて呻いた。

「ん・・・くっ」
「どうした、パステルっ。トラップに何かされたのかっ?!」

なんつう人聞きの悪い・・・
そりゃそうだけどよ、あぁ確かに間違っちゃいねえけどよっ。

クレイは慌てて屈みこんでパステルの背中をさすった。
この隙を逃してはならじと俺が回れ右したその瞬間、不幸は舞い降りた。
予想にたがわず、クレイの上へと。

「き・・・気持ちわるぅいぃ・・・うえぇぇっ」
「うわわっ、パステル!!」

振り返らなくてもわかる。
いや、振り返らないほうがいい。
あいつ・・・クレイめがけて吐いたな・・・位置的にモロだよな・・・

さすがは不幸の代名詞だけのことはあるよな。
もう少しクレイが出てくるのが遅けりゃ、あれは俺の役だったはずだから。
とりあえず、明日のクレイの怒りは、今は考えないことにする。
そそくさと逃走する俺の耳に、パステルの呻きとクレイの半泣き声が間遠になっていった。
241162:2006/06/20(火) 17:52:25 ID:cxprvOxx
完結です。
寸止めトラップ第2弾。
いい加減、完遂させて上げたほうがいいのでしょうか(笑)
お粗末さまでした。
242名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 18:50:00 ID:7TdbAh/8
鼻血ぐっじょぶ
243名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 22:06:44 ID:xYjEFCRm
244名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:21:58 ID:J18dVf4P
>>162
寸止めが辛いのはパステルもでは……?いや、読んでる我々もたまらないorz
ちなみに自分は227=235ですが、アンカーとか気になさらないで下さい。あなたの作品を読めるだけで嬉しいです。

自分にも文才あればなあ。
245名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 00:46:58 ID:fy3+VFrn
独断場ですな
246162:2006/06/21(水) 18:31:39 ID:PkdAYlOH
こんばんは。162です。

変換ミスを発見・・・
>そう思った途端、鼻の置くがつんと熱くなる。
奥だろ、奥!
ごめんなさい。ミスを見かけたら、脳内変換してくださいね。

このところ寸止めばかりなのですが、
私の中でトラップは、いつも完遂できなくて身悶えてるイメージが定着・・・
読んでくださってる方までも、欲求不満にしてすみません(汗

ちなみに私には、文才なんて素敵なものはありませんっ。ぐすっ。
スレが閑散としてたので、ない知恵捻って自己発電してみたわけで。
慣れないことしてるのでミスも多いし読みにくいですが、
マターリ楽しんで頂けてる様でありがたいです。

昔は、神がかりな文章書かれる方が沢山おいででしたよね。
他にも作者さんがいらしたらいいなと思うのですが。

で。
これはずっと書いてみたかったカプなんですけども・・・
オーシ×リタって書いてもいいでしょうか?
 (って、もう執筆入ってるんですがw)
大人(オヤジ)なオーシとさばけたリタっていいコンビだと思うので。
247名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 23:30:11 ID:AAOvewMn
GJ!キレてるクレイがいい(笑
それにしても、トラップの一人称が素晴らしく巧いですね!感動。
248名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 22:11:02 ID:cTk1TCqQ
162さんGJGJGJGJ!
249162:2006/06/24(土) 14:47:20 ID:b4Y+suHA
お褒めを頂いてありがとうございます。
な、何かリクございませんかっ。
あたしゃあ、ぼちぼちネタが切れてきましたw

>>247
トラップ視点って、書きやすいんですよね。
思ったことを、全部垂れ流してそうな話し方ですしw

以下、御品書きです。
アルテア×パステルです。
新刊読んで妄想してしまったのと、密かにご期待頂けてるようなので書きますた。

【ご注意】
 多少のネタバレ含みますので、
 新刊をお読みになってない方はスルーして下さいね。
250アルテア×パス 1:2006/06/24(土) 14:48:21 ID:b4Y+suHA

ここはドーマ、トラップの家。
小さめの客間だけど、今日はひとりで休ませてもらってる。
ルーミィがトラップのお母さんに懐いちゃって、一緒に寝るって言い出したんだよね。
く、クッキーに釣られたのぉ!?
一応保護者の身としては寂しくないこともないんだけど、実は密かに喜んじゃった。
1人でベッド占領できるなんて、滅多にないことだしさあ・・・
ちょっと冷たい?わたしってば。

食後、台所からもらってきたミルクティーを飲みながら、窓の外を眺める。
一面に星がチカチカ瞬いて、吸い込まれそうな夜空。

先日のクエスト中、トラップがヨウグス蛾の鱗粉にやられて発症しちゃったんだよね。
でも無事特効薬を飲ませることができたから、今はここで療養してるんだ。
トラップ、もうそろそろ完治するかな?
さっきも大量に夕食をかっこんでたし、減らず口も戻ってきたみたいだし。
この調子なら、来週にはシルバーリーブに戻れるだろうか。

ぼーっと考え込んでいたわたしの視界に、人影が現れた。
馬に跨った人影だから、正しくは、人影プラス馬影。
お客さんかな?誰だろう。星明りじゃよく見えないや。
その人は、入り口あたりでひらりと馬を下りた。
そのへんの木に手綱を結びつけると、真っ直ぐ玄関に歩いてくる。
しばらくすると階下から、トラップのお母さんの声が聞こえた。

「パステルー!お客さんだよー」
「はーいっ」

え?さっきの人だよね?誰?
ミルクティーのマグカップを机に置くと、慌てて部屋を飛び出す。
階段を駆け下りた目の前は玄関。
そこにいたのは、すらりとした長身、ツンツンたった髪に皮肉げな笑顔の・・・アルテアだった。

「よ、パステル」
「アルテアさん・・・」
「だからアルテアでいいってば」
「は、はい。アルテア。どうしてここへ?」

聞けば、ナリスアでのモンスターが全部鎮圧できたので、戻ってきたんだって。
そうそう、随分あの時はお世話になったんだよね。
ついこの前のことなのに、もう随分前のことみたいに感じるから、不思議。
251アルテア×パス 2:2006/06/24(土) 14:49:02 ID:b4Y+suHA

「で、さ。ちょっとそこまで付き合わない?」
「はい?」
「イムサイの奴、実家に立ち寄ってから来るって言ってたから、すぐここに来るよ。
 それまでの間」
「はあ」

わたしに何の用だろう?
首をひねりながら頷くと、嬉しそうに笑ったアルテアは、玄関横の台所に声をかけた。

「おかみさーん、パステルをちょっと借りますよ。すぐ戻りますから」
「あ?あぁ、はいはい」

食事の後片付けに手が離せないんだろう。
トラップのお母さんの声だけが飛んできた。
その言葉を確認すると、アルテアはわたしを外へ促した。

「さ、おいで」

何がなんだかわからないままついていく。
アルテアはつないであった馬にひらりと跨ると、わたしをひょいと馬上に引っ張りあげた。
軽やかなアンブルでパカパカと歩き出す栗毛の馬。

「さて、どこへ行こうかなぁ」
「は??」
「いやなに、すぐイムサイが来ちゃうからね。
 猶予は・・・15分ほどか。短っ!
 そんな短時間じゃ、ゆっくり話すこともできやしないよなぁ」
「あのぉ・・・話って何ですか?」
「ま、もう少し歩いてからね。
 ったく、ちょっと人目を避ける場所もないなんて、なんて不便な町なんだ。ここは。
 かといって、ウチへ連れ込むわけにもいかないしなぁ・・・」
「つ、連れ込むって、あの」

意思の疎通ができてない会話をしつつ、たどり着いた場所は、アンダーソン家の牧場。
いつぞや、わたしが迷った場所じゃなかったっけ?そういえば。
そのまま馬は、牧場をぐるりと囲む小路をゆっくりと歩く。

「パステルさぁ、クレイのこと好きなの?」
「えぇ!?な、なんでそうなるんですかっ!」

あまりといえばあまりに唐突な質問に、慌てて背後を振り仰ごうとして、馬から落ちそうになるわたし。

「あれ、違うのか。じゃあトラップは?」
「み、皆パーティの仲間ですよ。家族みたいなもんですから!」

力をこめて反論すると、アルテアは、

「ははは、そっか・・・いや、一応確認しとかないとと思ってさ」

確認?何を??
なんだかもう、アルテアが何を言いたいのかさっぱりわからないんですけど。
252アルテア×パス 3:2006/06/24(土) 14:49:42 ID:b4Y+suHA

手綱から手を離すアルテア。馬はその場に立ち止まった。
つと伸びてきた手はわたしのウエストをつかむ。
そのままひょいと抱き上げると、馬上でくるりと横向きに座らされた。
右斜め上にあるのは、アルテアの端正な顔。

「あの・・・」
「パステル」

いきなり、ぎゅううっと抱きすくめられた。
装備をつけていない逞しい胸に、ぐいぐい押し付けられる。

「きゃあっ!」
「ほら、暴れない暴れない」

心臓が弾み、止めようがないほどどきどきして、手を突っ張って精一杯身をもぎ離す。

「じょ、冗談はやめてください」
「おや心外だな。冗談じゃないんだけど?」

いたずらっぽい笑顔をしたアルテアはわたしの手を軽く払うと、再びわたしを抱き寄せながら斜めに唇を覆い被せてきた。
一気に頬に血がのぼる。

「・・・ん・・・っ!」

かたく抱き込まれて、身をよじることもできない。
重ねられた唇から伸びてきた舌は口内に忍び込む。
熱くて甘くて、なのに不思議にさわやかなキス。
やっと唇が離れると、思わずため息がもれる。

「眼ぇうるませちゃって。かわいいなぁ、ほんと。」
「・・・どう、して・・・」

にっこりと笑うアルテア。
もう一度軽くちゅ、と啄ばむように口付けられた。
明るい鳶色の瞳が、嬉しそうにキラキラ輝いてる。

「俺、君のこと気に入ったんだ。駄目かな?俺じゃ」
「えぇ!?駄目も何もっ・・・」

それこそ何かの冗談でしょ?
アルテアとイムサイといえば、とんでもない規模のファンクラブまであるらしいし、ロンザ騎士団随一の人気者と聞いてるし。
そんな、天上人がなぜわたしに?
疑問を顔いっぱいに貼りつかせたわたしに答えるように、彼はつぶやいた。

「きゃーきゃー言ってくれる女の子達も、かわいらしいし悪くはないんだけどね。
 アイドル扱いされんの、もう飽きた。
 それに、パステルみたいに純粋でかわいい子っていないんだよ。新鮮なんだよなぁ」
253アルテア×パス 4:2006/06/24(土) 14:50:16 ID:b4Y+suHA

アルテアは片手でわたしを抱きしめたまま、残る片手を胸元に這わせてきた。
ひとつ、ふたつとボタンを外し、開いた隙間から手を差し入れる。

「ひゃあ・・・っ」
「だから暴れないでって。落馬するよ。骨折りたくないだろ?」

さらに強くわたしを抱く、逞しい腕。
胸を弄んでいた手は、ミニスカートの中へ入ってくる。

「あ、胸だけでこんなにして。
 パステルってかなり敏感なんだな」

笑いを含ませながら、下着の上から確かめていたアルテアの指。
それが、するりと布と肌の隙間を縫うように忍び込んで。
甘い声が耳に囁いた。

「忘れられないようにしてあげるから」

ずぶ、という音と共に、わたしの中へ差し込まれた指。

「・・やぁ・・・んっ」
「きついね・・・当たり前か。初めてだよな」

つぶやきながらアルテアは、中におさめた指をゆっくりと動かし、別の指で襞をかきわけると、一番敏感な部分にふれた。
中を擦られ、先端をいじくられ、卑猥な音が静かな中に響く。
疼きに呼応するように、奥から奥から、とろとろと溢れてくる液体。
きっと鞍まで伝ってるんじゃないだろうか。
アルテアの指は何の苦もなく滑り、足の間に脈打つような鼓動を感じる。
本数が増やされ、出し入れされるスピードが加速的にあがると共に、わたしのその部分が痙攣するのがわかった。

「あぁ・・・やぁ・・・っ」
「いいよ、イッて」

先端を強く弾かれた時、目の前が真っ白になった。
馬から落ちるほどにのけぞるわたしを、しっかりと抱きとめるアルテア。
しばらくすると視界に色が戻り、荒い息をつく。
目の前数センチのところに、わたしを覗き込むアルテアの瞳があった。
254アルテア×パス 5:2006/06/24(土) 14:51:04 ID:b4Y+suHA

「かわいい。かわいすぎるなぁ、パステル」

心底嬉しそうな顔をして、おでこにまぶたに頬に唇に、キスの雨が降る。

「もう、君は俺のだよ。いいね。
 俺の指・・・覚えただろ?」

かあっと顔が真っ赤になる。
いや、とっくに真っ赤なんだけど。
アルテアはわたしの服を直してくれると、わたしの両手をとって自分にしがみつかせた。
なんだか、まだふわふわしてる感じがするなぁ。
思わずアルテアの胸に顔を埋める。
彼は再び手綱を握ると、馬の鼻面を来た方向へ向け直した。
ゆっくりと歩き出す馬。

「今日は時間がないし、次の任務があるからね。
 すぐドーマを発たなきゃならない。
 でも。
 次会った時は、もっとよくしてあげる」

アルテアは、いとおしげな光を眼に宿すと、そっとキスした。
あわせたままの形のいい唇がつぶやいたのは、甘い束縛。

「俺を忘れないで」

どう答えていいのかわからなかったけど、わたしは小さく頷いた。

忘れない。
忘れようったって、無理。
きっとこれから、ロンザ騎士団の動向が気になるだろう。
ドーマに来る機会が増えればいい、と願うわたしがいるだろう。

アルテアは夜目にも輝く大きな腕時計に眼をやると、

「あ、まずい。もう15分たっちゃってるぜ。
 イムサイ、怒ってるかもなぁ」

と、馬の腹に蹴りを入れた。
足取りはアンブルからトロットへうつり、誰もいない夜道を早足で駆ける。

それは、星の降るような夜の。
突然の嵐のような出来事だった。
255162:2006/06/24(土) 14:52:35 ID:b4Y+suHA

完結です。お粗末さまでした。
(「でした」と打つと「で舌」と変換される私のPC・・・妄想しすぎだ)

馬上プレイいってみました。
実現は可能なんでしょうか?
おとなしい馬でなきゃ無理そうですね。
256名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 16:42:58 ID:FIgIjPWV
馬上プレイ最高w
本番なしの軽いエロがかえって萌えます。
別れ際も激しくツボです。
あと語りホントうまいっすねー。
色んなサイトでフォーチュンのSS読んできたけど
トラップやクレイの一人称は今までで一番しっくりくる。

もしよければ、マリーナ視点のクレマリとか読んでみたいです。
オーシ×リタも楽しみにしてます。
257名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 20:09:03 ID:q9pBDJPv
>>162

アルテア×パステルを読みたいと言った者です。たまらないです、爽やかでかっこいいのにキチンとスケベなアルテアがもう……。
何気ない会話もフォーチュンらしくて、読んでいてすごく素敵です。

………本当にアナタは自分にとって神です。図々しく続きも期待してよいですか?
258162:2006/06/24(土) 21:23:01 ID:6UKxyJSI
162でおます。
おぉ、こんなに早くご感想頂けるとは感激です。
なんか激褒めされてしまって、慣れないことにおろおろしている始末w
読んで頂けてるんだなぁと思うと、励みになります。いやほんと。

リクありがとうございますです。
おぉ、クレマリですか。
彼らだと能天気な空気が難しいので、なんか暗くなったらごめんなさい。
もう事前にお詫びしときます(爆)

アルパス(略すんなって)も、いずれ続き書きてみますね。
アルテアってキャラがさっくりしすぎて、実は難しかったり。
ご希望に添えられるように頑張ります〜
259162:2006/06/26(月) 11:20:02 ID:MhmdLvuS
>258
慌てて書いたせいか、なんかやたら誤字脱字が多いですね。↑自分。
同じ感嘆詞を二度も使ってるし・・・あうぅ。

で、では、気を取り直して御品書きです。
オーシ×リタです。

自分は、あまり見たことないです。
需要と供給のバランスが崩れている気がしますが、
自分の趣味で突っ走ってしまいました。
パステルがらみでは絶対に出ないノリ(どこが)に挑戦。
気に入らなかったらスルーしてくださいね。
260オーシ×リタ 1:2006/06/26(月) 11:20:54 ID:MhmdLvuS

「よーよーリタ、おまえさんって、けっこうべっぴんだよな」
「何よ、ツケにしろって言うの?」
「・・・そうじゃねえけど・・・
 いやぁ、しみじみと見ると意外になあ。
 見事なまでに女っぽくはねぇけど。ぬはははっ」

既にジョッキを数杯あけて赤ら顔のオーシは、トレイを持ったあたしをじろじろと見ながら大笑いした。
ぎろりとひと睨み。

「割り増し料金、とられたいわけね」
「・・・すまん」
「わかればいいのよ」

おとなしくなったオーシを一瞥すると、あたしはあいたテーブルのお皿を片付けた。
意図的に不機嫌な表情を崩さないまま、お皿の山に向かってこっそりため息をつく。
はぁ・・・素直じゃないなぁ、あたしも。
ぶっちゃけ、気になってる男に一応ほめられてるのに、即座にやりこめるしかできないなんて・・・
いくらなんでもかわいくないわよ。

え?誰を気になってるかって?
話の流れで、もうだいたいわかんでしょ?
・・・ええそうよ、あの汚いかっこした中年オヤジよ。
悪趣味で悪かったわねえっ!!と、天を仰いで絶叫したくなる。

だけどさ、仕方ないじゃないの。
店で忙しい毎日じゃ、ろくな男との出会いはないし。
って、いやオーシは十分ろくでもない男なんだけど・・・それを言ったら話が終わってしまう。

クレイだのトラップだのといった、いわゆる有望株には興味ないからね、あたし。
あの膨大な人数のパワフルな親衛隊を考えると、怖気がふるうわ。
あたしはまだ命が惜しいですからね。
そもそも、シルバーリーブなんて田舎町には、いい男なんていない。いるわけがない。
いたらとっくにアクション起こして、猪鹿亭の跡継ぎくらいこしらえてるわよっ!
って、誰に言い訳してるのかしら、あたしは。

洗い場から客席をそっと盗み見る。
4人がけテーブルをひとりで占拠し、大ジョッキを片手に近場のオヤジと盛り上がっている、あいつ。
オーシ。
胡散臭いシナリオ屋で、汚げな格好に無精ひげの、押しも押されぬただの中年オヤジ。
見るからに独身、当然ながら彼女なんていなさそう。
あたしがそれを喜んでいいのか、微妙なとこだけどさ。
一番しょっちゅう顔つきあわす常連だし、まぁ話すことも多いわよね。
ほとんどからまれてあしらってるだけだったはず。
・・・それだけだったはずなのに、なんでこうなっちゃったんだか。
261オーシ×リタ 2:2006/06/26(月) 11:22:11 ID:MhmdLvuS

はぁ。とりあえず、このジョッキと皿を洗わなきゃ。
大きな水瓶から手桶で汲んだ水を、洗い桶に注ぎこみながら考える。

あれは・・・市場まで仕入れに行った時だから、先週のことだったかしら。
ついつい、安売りの食材を買いすぎたのよね。
調子に乗って買いだめして、いつもの倍はあったと思う。
それを両手に抱えた、よろよろしながら抱えての帰り道、何度目かの休憩をしていた時のこと。

「おいリタ、また今日の荷物は随分と重そうじゃねえか」
「オーシ、み、見てるんなら手伝ってよ!」
「やなこった・・・と言いたいとこだが、ほれ貸しな」

ニヤっと笑ったオーシは、あたしが四苦八苦していた巨大な紙袋をひょいっと奪い取ると、スタスタ歩き出した。

「ま、待ってよ」

慌てて追いかけるあたしを振り返った彼は、

「こんなので重いってか?
 おめえさんも意外に華奢じゃねえか。かわいいとこあんだなー」
「かっ・・・殴るわよ!」

一気に顔にのぼった血の気のやり場に困り、とりあえず怒鳴っておく。

・・・そう、これだけ。これだけなのよ。
ご都合主義な漫画じゃあるまいし、なんてありがちなのっ。
あれからというもの、オーシが気になってしかたない、あたし。
オヤジだけど。
姿をみかけるたび、ついつい眼で追いかけてしまう。
オヤジだけど。
いや、もうそれはこの際いいわ。

自分の意外なひ弱さを認識させられた、というか・・・
酔っ払いの戯言や店での挨拶代わりじゃなく、かわいいなんて言われたことが・・ええと・・・
ああぁっ、もうわけわかんない。
自分が情けないったらありゃしない!
このあたしが、こんなにも簡単に恋に落ちるだなんて!!
それもあの、ボンクラオヤジに!!!

「ね、ねえちゃん、水・・・」

恐る恐る話しかけてきたルタ。
どうやら、考えながらひたすら水を汲み続けていたらしいあたし。
手元の桶はとっくに水があふれ、床まで水浸しだった。

「うわっ!」
「何やってんの?・・・」
「ちょ、ちょっと考え事してたのよ」

ルタを追いやり、慌てて雑巾で床を拭く。
拭きながら、またも重いため息が口をつく。
あれ以来、ずっとこんな感じで、調子が狂うったらないんだから。
262オーシ×リタ 3:2006/06/26(月) 11:22:53 ID:MhmdLvuS

ええ、認めるわよ。
あたしは、あの男のことが気になってる。
気になってる、なんて控えめな言い方じゃあフォローしきれないほど、気にしてるわよ。
これって恋愛感情って言うしかないと思うわ。
だけど、この感情をどうしろと?!

告白?どの面下げて。
あいつに真面目な顔して「好きです」なんて言ったら、熱でもあんのかって言われるのがオチよ。
かと言って、このまま秘めておくのは、正直無理そうなのよね。
今の水あふれ事件といい、昨日はお皿を落っことして割るし。
一昨日はジョッキに間違ってビネガーついじゃったし。
あのお客さん、景気よく噴き出してたわねえ・・・
要は、毎日なんらかの弊害が出てるってわけ。
父ちゃんにも、「具合悪いのか?」なんて的外れな心配されちゃうしさ。
この調子だとあたし、ぼーっとして店を全焼させかねないわ・・・

そんなこんなで、あたしは本気で苦悩している。
だというのに、毎日能天気な顔して店に顔を出すあいつを見ると、全部あんたのせいなのよとマジギレしたくなるのよ。
いったいあたしはどうすりゃいいの!?
思わず床の雑巾に突っ伏しそうになったところへ、当のオーシのご機嫌な声が聞こえた。

「おーいリタ、おかわりっ」
「はーいただいまー」

ウエイトレスにあるまじき、我ながら気のない返事だわ。
雑巾を打ち捨てると重い腰をあげ、オーシのテーブルへ生ビールを運ぶ。

「おめえ、なにシケた面してんだ?
 おおわかったぞ、さては男がらみだろ!?」

当事者に図星を指されて心臓が飛び上がる。

「なな・・・んなわけないでしょ!
 男にかかずりあってる暇なんてないわよ!!」
「お、ビンゴか?
 んな、必死になって隠さなくてもいいだろーが。喧嘩か?フラれたか?
 ぬはは、罪な奴だなぁ、その男は」

・・・あんたよ、あんた。その罪な男は。

「俺なら、おめえさんくらいべっぴんで、キモの座った女なら大事にするぜえ?
 気がつええのも手ごたえがあるしよ。ぎゃははははっ」

ほんとに!?と喉まででかかる言葉を飲み込み、とりあえず持っていたトレイで後頭部を張り倒しておく。
ぐえっと蛙のつぶれたような声が聞こえたけど、無視。
厨房に駆け戻ると、客席の見えない陰で深呼吸をする。
くー、よくやった、あたし。
よくまぁあそこで飲み込めたわよ。

そりゃ今のは、間違いなく酔っ払いの管巻きでしょうけどね。
そうわかってるのに、飛び上がりそうに喜んでる自分にムカつくわ。
ああやって適当な言葉で振り回されて、喜んだり落ち込んだり・・・
情けない!いくらなんでも情けなさすぎだわ。
こんなのあたしじゃないっ!
これでいいのか、リタ!
263オーシ×リタ 4:2006/06/26(月) 11:23:57 ID:MhmdLvuS

そしてあたしはここにいる。
お客がひけて店じまい作業を済ませた後、腹をくくって乗り込んだのは、村はずれにあるオーシの家。
ガンガンガンと力任せにドアを叩く。
ドアが開き、顔を出したオーシは、仁王立ちしているあたしに目を丸くした。

「およ?リタじゃねえか。うちに来るたあ珍しいな」
「話があんのよ。入るわよ」

返事も待たず、まだ酒臭いオーシの脇をすり抜け、ずかずかと入り込む。
部屋は意外にも、本人の汚げな風貌とは裏腹に、一応整理されていた。

「なんだか知らんが、とりあえず座れや」

首をひねりながら、ひとつしかない椅子を勧めてくれたオーシ。
彼の顔を見ないように、どしんと座る。
オーシはすぐ傍らのベッドに腰掛け、ポケットを探って煙草を取り出し、口にくわえた。

「で?こんな時間に、何の用だ?」

確かに、時計はもうすぐ0時を指してるんだけど。
あんたが確実に家にいるのは、カジノもうちの店も閉まった後しかないんだから、仕方ないでしょ。
深呼吸して、言葉を搾り出す。

「あのさぁ、迷惑なのよ」

不審げな顔をするオーシ。

「はぁ?俺、おめえさんになんかしたか?」
「したわよ、した!」
「えーと・・・この前、酔って看板蹴ってへこませた件か?」
「・・・それも迷惑だったけど、今日はその話じゃないわ」
「じゃあ・・・ビールの本数ちょろまかした、あれか?」
「・・・そんなことしてたのね」
「げ、違うのかよ。言うんじゃなかったなぁ。
 じゃあ、いったい何しに来たんだ?」

あくびをしながら尋ねるオーシ。
まったく緊迫感のない呑気なやり取りに、あたしはキレた。

「全然違う!あのねっ!!
 あたしはもう、あんたに振り回されたくないのよ。
 あんたのせいで、あたしの平穏な毎日は台無しだわ。
 自分のペースを取り戻したいのよ。
 あんたの一挙手一投足に踊らされて、一喜一憂してるなんてもう嫌なの!」

我ながら、見事に脈絡のない内容を、つばをとばして怒鳴り倒す。
オーシの口から、くわえていた煙草がぽろりとおちた。
264オーシ×リタ 5:2006/06/26(月) 11:24:51 ID:MhmdLvuS

「どういうこった?なんか、全然わけわかんねえぞ。
 なんで俺がお前さんを振り回してることになんだよ?」

聞くか、それを。
言わせるか、あたしに。

「あんた・・・今の話で、わかんなかったの?」

わかんないでしょうね。
でも、ここで言わなきゃ女がすたる。ええ、言いますとも。
あたし、そのためにここへ来たんだもの。

「・・・あたしを、あんたの女にしてちょうだい」

あたしの言葉にしばし固まっていたオーシは、ゆっくりと口を開いた。

「それって、つまり・・・」
「まったくもう、そこまで言わせるの?
 あたし、あんたのことが、好きなのよっ!」

目の前の男を見据えて、言い放った。
顔が真っ赤なのは百も承知。

「リタ・・・目がすわってんぞ」
「ほっといてよ」

オーシの額には、一気に浮かび上がった玉の汗。
汗かきたいのはこっちだわ。
ぎん、と真正面から睨み据える。

「で?返事は?」
「・・・」

黙っているオーシ。
あ、ダメかも。望み薄って言わない?こういうのって。

「・・・嫌なの?嫌なら嫌でいいわよ。・・・あきらめるから」

そうよ、曖昧にごまかされるより、振られたほうが余程すっきりするわ。
するといつもの皮肉げな調子に戻ったオーシは言った。

「へぇ、じゃああきらめきれるわけだ」
「・・・仕方ないじゃない。無理強いするわけにはいかないしさ」

あーあ、あたし振られちゃうわけね。
一世一代の気合を振り絞ったというのに・・・

「じゃあ、なんでそんなにシケた面してんだよ」
「ったりまえでしょ!
 好きな男に振られてヘラヘラ笑えるほど、あたしは無神経じゃないわよ!!」
265オーシ×リタ 6:2006/06/26(月) 11:25:36 ID:MhmdLvuS

力任せに怒鳴り散らして立ち上がりかけたその時。
オーシのごつい手があたしの手首をつかんだ。
そのままオーシの胸に引き寄せられる。
頑丈な胸板に真正面からぶち当たるあたし。

「は、鼻打ったじゃないのよっ」

あたしのささやかな抗議は黙殺され、オーシの腕の中にぎゅうっと抱き込まれる。
さっきから駆け足だった動悸は、一気に全力疾走し始めた。
な、なんなの?
あたし、振られたんじゃなかったの??
頭を疑問が飛びかってめまいがするわ。

帰ってからシャワーを浴びたらしく、Tシャツから石鹸の香りが漂う。
熱を帯びたたくましい腕。
頬に触れるのは、ザラザラした無精髭。
そして耳に入ってきたのは、信じられないくらいやさしい声だった。

「マジ、と思っていいみてえだな」
「え」

思わずオーシの顔を見直そうと顔をあげ・・・ようとしたが、ぐいと押さえ込まれた。
だから痛いってば。

「見んなって、照れるからよ」

確かに、視界に入ってくるオーシの太い首は日焼けの上に赤くなって、ずず黒い。

「からかわれてんのかと思ったぜ。
 女にコクられるなんてよ、何年ぶりだ?はは。
 覚えてねえや。覚えてねえけど・・・嬉しいもんだなぁ」
「じゃあ、オーシ」
「おう。振るわけがねーだろ、こんないい女をよ」

ぎゅうぎゅうとさらに抱きしめられた。
負けじとこっちも腕に精一杯力をこめて、抱きしめ返す。

あぁ・・・疲れた。ひと仕事終えた気がするわ。
あたしの片思い、実ったって言うんでしょうね、これって。
抱き合ったまましみじみと感慨にふけっていると、突然両の二の腕をつかまれ、オーシの体から引き剥がされた。

「さ、もう帰れ」

えー?今やっと思いが通じたっていうのに帰れですって?
もうちょっと、こうしていたのが人情ってもんじゃないのよ。

「嫌よ。まだいいじゃない。あんたって冷たいのね」
「そうじゃねえよ」

オーシはあたしの両手を離すと、ガリガリと頭をかいた。
そっぽを向いた真剣な顔。

「俺も・・・男だからな。見てのとおり。わかるか?」
266オーシ×リタ 7:2006/06/26(月) 11:26:15 ID:MhmdLvuS

それが何を意味しているか、わからないほど子供じゃないわ。
伊達に客商売やっちゃいない。
そりゃあもう、年季の入った耳年間ですからね。

それに・・・経験はなくとも、あたしだって性欲というものは持ち合わせてる。
好きな男とそういうことをしてみたい、と思うのは当然でしょ。
臆病な気持ちは押し隠し、精一杯の虚勢を張って、つぶやく。

「あたしも・・・女なんだけど?」
「知らねえぞ。オヤジさんに叱られても」
「・・・朝までには帰るわよ」

あーあ、言っちゃった。
ちょっとリタ、あんた初めての癖して、なに慣れたフリしてんのよ?
うそぶく自分に思わず突っ込む。
オーシはニヤっと笑うと、そんなあたしの頭をくしゃっとつかんだ。

「それなら助かる。
 嫁入り前のおめえさんを朝帰りさせちゃ、オヤジさんに殺されかねんからな」

ひょいと抱き寄せられ、そのままベッドに押し倒される。
よ、よかった。このシーツ、いちお洗濯してありそうだわ。
そんなボケたことを考えて安心していると、目の前にオーシの顔がぬっとあらわれ、そのまま唇をふさがれた。
煙草の苦味のするキス。
これがあたしのファーストキスになるわけかぁ・・・
そして・・・え、エッチも同じタイミングになるわけよね。
これって結構珍しいかも・・・
意外に冷静に、オーシのキスを受け止めていたあたし。
だけどそうしていられたのは、唇の隙間に舌が割り込んでくるまでの短い間だった。

オーシの熱い舌が、あたしの口の中を這い回る。
感じたこともないぬめった感触。
舌を吸い上げられ、唇をべろりと舐められると、背筋を電流が駆け上る。
むさぼるような長いキス。
オーシの唇は頬伝いに、あたしの耳へと這っていった。
耳たぶを甘がみされ、下を耳孔に差し込まれる。

「ぁんっ」
「・・・かなり敏感だな。
 んな姿、初めて見るけど、十分女っぽいぜ」

あ、当たり前でしょ・・・こんな自分、自分でも初めてお目にかかるわよ。
耳に熱い息を吹きかけながら、首筋、胸元へと下がっていく唇。
肌に無精ひげがちくちくと当たり、それがまた意外に気持ちよかったりして。
そのままあっさりと胸元がはだけられた。
オーシは両手にあたしの両胸をつかんでやわらかく愛撫し、時々ぺろりと先端の突起を舐め上げられ、のけぞるあたし。

「・・ひぁっ・・・」
「かわいいじゃねえか、リタ。
 普段の顔からは、微塵も想像もつかねえや」

・・・想像されてたまるもんですか。
油断すると口から漏れそうになる喘ぎを飲み込みながら、密かに反論。
267オーシ×リタ 8:2006/06/26(月) 11:26:49 ID:MhmdLvuS

ひょいと身をおこしたオーシは、あっという間にあたしの服を全部剥ぎ取った。
この人って・・・意外に慣れてるわよね。
女の転がし方っていうの?鮮やかというか手馴れてるっていうか・・・
年も年だし、やっぱ色々経験あるのかしら。
・・・あるわよね、そりゃ。当たり前だわ。

急に恥ずかしくなり、傍らにあった掛け布団を引っかぶる。
そんなあたしを横目で見ながら、オーシは両腕を交差させてTシャツをすぽりと脱いだ。
冒険者と言っても問題ないほど、厚い胸板があらわになる。
・・・か、かっこいいじゃないの。
なんだかドキドキしてるわね、あたしってば。
顔がいい男はなんとも思わないけど、逞しい体の男には惹かれるもんがあるわ。
だからこいつを好きになったってのも、正直頷けるんだけど。

あたしの視線に気づいているのかいないのか、そ知らぬ顔でズボンを床に脱ぎ捨てたオーシ。

「ほれ、んなかっこしてちゃできねーだろ?」
「そんなこと言ったって・・・」
「あんだよ」
「・・・結構慣れてるなーとか思ったりして」

途端、ぺしっと頭をはたかれた。

「何言ってんだよ。もうどんだけご無沙汰かっ」
「嘘ぉー。彼女とかいたんじゃないの?」
「やかましい。んなもんいりゃ、とっくに結婚しとるわい」
「・・・それもそうね」

お説ごもっとも。
そんなことを言ってる間に、せっかく身を隠してくれていた布団はあっさりと引き剥がされた。

「おっ。こりゃまた色っぺえなあ。さすがはナイスバディ」

オーシは笑いを含みながら大きな体をあたしに覆いかぶせ、閉じていた脚を体が割る。
再び胸に唇をよせられ、軽く吐息が口をついて出た時、脚の間に伸ばされた彼の手。
体の中心に、ぱしん!と火花が散った気がした。

「・・やっ!」
「おい・・・もう濡れてやがるぜ」

オーシの下卑た言葉に、顔が瞬間沸騰したように紅潮する。
トマト並みの熟れっぷりじゃないかしら・・・

太い指が、あたしの過敏な芽を撫ぜ、まわりの襞をなぞる。
湿った感触と、じんじん熱をもったその部分がピクンと震えた。
そのまま、彼の指はあたしの中へとねじ込まれた。
268オーシ×リタ 9:2006/06/26(月) 11:27:21 ID:MhmdLvuS

「・・ん・・・あぁっ・・・」

ねちゃ、ぐちゃ、という卑猥な音をたてて出し入れされるオーシの指。
はじめはゆっくりだったそれは、だんだんとリズミカルに動きを早める。
押し込まれ、また半分抜かれる度に、シーツに飛沫が散っているのがわかった。

「もう大丈夫だろ。・・・リタ、いいか?」

閉じていた目をあけると、少しギラついた表情の男がいた。
今までならただのエロオヤジ、って感想を持つとこだろうけど、今のあたしにならわかる。
きっとこういう表情を、セクシーって言うんだわ。

「・・・嫌、だったら・・・最初から来ないわよ・・・」
「それを聞いて安心したぜ。
 さすがの俺も、ここで止められちゃかなわんからな」

オーシが引き抜いた指には、あたしの蜜がねっとりとまといつき、糸を引いている。
その蜜の量の多さに驚くと同時に、抜かれた指にどことなく不満に感じた自分に気づいて愕然とした。
あ、あたしって、結構スケベだったんだ。
初めての癖して、こんなに感じちゃうなんて・・・ねぇ。
あたしがひとり自己嫌悪していると、いつの間にか下着を脱いでいたオーシ。
その股間には・・・り、立派って言うんでしょうねえ、こういうの。
父ちゃん以外の成人男性のものなんて、見ることないからわかんないんだけどさ。
ほとんど垂直という角度まで、拳を突き上げたような格好で立ち上がっている、ソレ。
太いわ長いわ・・・こんなの、入るわけ?ほんとに。
遠慮もなく、ついしげしげと眺めていたあたしにオーシは苦笑した。

「おい、んなじっくり見てんじゃねえよ」
「ご、ごめん」
「心配すんな。痛くねえように、ゆっくりやっからよ」

あたしは大きく両足を開かされ、オーシはそっと自分自身をあてがった。
ごくごく軽く腰を揺らすようにしながら、その先端であたしの入り口をつつく。
あたしは敏感な部分を刺激され、声を漏らさないように唇を噛む。
でも、擦るように、すり付けるようにするばかりで、一向に入れようとはしない。
オーシのソレはあたしの液体でさらに滑らかに滑るけれど、もどかしい疼きのような快感が地を這うように続くばかり。
逃げ場を見つけられないあたしは、半べそでオーシの腕をつかんだ。

「ねえっ・・・」
「ん?」
「・・・」
「欲しいのか?」
「・・・」

オーシの問いに、かあっと熱くなる頬を隠すように、そっぽを向く。
これが欲しいという感覚なのかどうか、あたしは知らない。
だって処女ですもん。
けど、このやり場のないもどかしさは、きっとそれを求めているんだと思うから。
あたしのその部分は、オーシに、この疼きを鎮めて欲しがっている。

オーシはもう一度あたしにキスすると、じわりと腰を進めた。
なにか、硬くて熱いものがあたしの中に入ってくるのがわかる。
それに伴うのは、めりめりっと何かが裂けるような感触。
269オーシ×リタ 10:2006/06/26(月) 11:27:55 ID:MhmdLvuS

「・・・ぁやっ・・・く・・っ」
「・・・きっつー・・・っておい」

涙目になるあたしに、オーシは呆然としたように

「おめえさん、まさか」
「し失礼ね、あたしは初めてよっ!」

痛みと怒りにまかせて怒鳴り返す。
彼は失礼にも吹き出し、あたしの中に入ったままで大笑いした。
お、おなかに響くっ、笑い声が響くってば!!

「そ、そりゃそうだよなー。すまんすまん」

顔に笑いを残したままで、彼はゆっくりと腰を動かし始めた。
動きに合わせて、鈍い痛みがおなかの奥に響く。
なのに・・・あれ?なんだか・・・・気持ちよくなってきたんだけど・・・
はじめはキツキツで張り裂けそうだったそこは、潤滑油のような滴に助けられ、どんどん動きはスムーズになる。
太ももを伝うのは、さらさらした液体と、ねばっこい・・・おそらく、血じゃないかな。
襞を押し分け、過敏な突起をかすめながら出し入れされるオーシ自身。
痛みはだんだんと軽減し、奥底から沸いてくるような快感に覆われていった。

「・・あ・・っ・・・はぁ・・・ん」

あたしの顔を覗き込み、満足そうなオーシ。
全身にびっしょりと汗をかいている。

「その表情は・・・気持ちいんだろ?」
「・・・いいわ・・・よ」

腰は休まず動かしながら、彼の指があたしの額に張り付いた髪をかきあげる。
そして何を思ったか、つながったままだというのにあたしの背に手を回し、軽々と抱き起こした。

「よっと」

そのままあたしを持ち上げると、一番奥まで埋め込まれていたオーシのものが半分ほど抜ける。
腰を浮かせてあぐらをかいたオーシは、突然あたしを支えていた手を離した。

「ぃやあぁぁんっ!!」
「うおぉ・・・いいねえ・・・」

自分の体重で自然落下したあたしは、一気にオーシに貫かれる。
ずぶっと言ういやらしい音とともに感じたのは、今まで感じたことのない、弾けるような快感。

「・・きゃ・・・やぁ・・・んっ・・・」

そのままオーシは、荒く息をしながら何度も楔を突き上げる。
あたしは階段を2段飛ばしで上るように上り詰め、その瞬間、オーシのものをくわえた部分がぎゅっと収縮するのがわかった。
オーシの体に爪をたててしがみつく。
もはやこらえきれず、あられもない声で鳴くあたし。

「・・・あ・・だめえぇ・・・っ」
「う、リタ・・・んな締めたらいっちまう・・・っ」

耳元でオーシの絞るようなうめき声がした。
びくっと一瞬縮んだオーシのそれは、あたしの中に熱い精を放った。
呼吸するかのようにどくどくと脈打ちながら。
270オーシ×リタ 11:2006/06/26(月) 11:28:33 ID:MhmdLvuS

オーシの太い腕での腕枕されてはいるけど、あたしはまっすぐ天井を見上げている。
なんだか照れくさくて彼の顔が見づらいのよね。
あたしのそんな事情も知らず、オーシのでかい顔が視界内に割り込んできた。

「どうした?痛てえのか?」
「ううん、大丈夫よ」
「・・・すまなかったな」
「なにが」

侘びの言葉が全く似合わない満面の笑み。

「あんまり気持ちいいもんだから、つい中で出しちまった」
「・・・赤ん坊抱えて乗り込むからいいわよ」
「迎え撃つぜ。俺も男だ。やったことの責任はとる」

突然真面目な顔になったオーシに、焦る必要はないのになぜか焦るあたし。

「冗談だってば」
「冗談じゃねえよ。元気な子を産んでくれ」

あのさあ、いくらなんでも気が早いと思うけど?

「・・・ま、その時はよろしくね」
「おう」

なんだか、初Hした後だというのに、果てしなく変な会話してる気がするんだけど。
あたし、この人と結婚すんのかしら。結婚!?
そこまで考えちゃいなかったんだけど、既にそういう流れになってない?
・・・ま、いっかぁ。
惚れた上に初めて抱かれた男と結婚するのも、悪くないわね。
ふふ、初恋で初体験の相手かあ。
なかなかに乙女ちっくでいいじゃないの。
相手がこの髭面オヤジだから、ムードぶち壊しだけどね。

「なあ」
「何よ」
「浮気すんなよ」
「しないわよ」
「本当だぜ。おめえさん、べっぴんだから心配なんだよ」
「・・・しつこいわね。殴られたいの」
「・・・ごめんなさい」

早くも尻にしいた気がするのは気のせいかしら。
軽くため息をつくと、時計が4時を指しているのに気づいた。
あ、まずい。
そろそろ帰らなきゃ、父ちゃんにバレちゃうじゃないの。
ふと見ると、オーシは寝ていた。
なんかゴーゴーうるさいと思ったら・・・
口は半開きだし、あーあ、なんてアホ面なのよ。
・・・かわいいんだから、ったくもう。

我ながら信じられない感想をもらすとあたしは、オーシの腕をすり抜けた。
にぎやかな鼾をBGMに、床に散らばった服を拾って身に着ける。
ほつれまくった髪を結いなおすと、そっと扉を開けて、オーシの家を後にした。
うわ、もう空が白んできてる。急げっ。
あたしは深呼吸をひとつすると、家に向かって駆け出した。
271162:2006/06/26(月) 11:29:31 ID:MhmdLvuS
完結です。
最長記録を更新してしまいますた。長っ。
今回、コクのある(どんなんや)エロ描写を目指したんですが・・・禿疲労w
272名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 17:58:34 ID:mAgGzHhO
乙です!
やっぱり語りがすごくイイ
気っ風のよいリタに惚れ惚れした。
トラップやパステルとは違う種類のストレートさが新鮮。

あとエロパロ板来てこんな感想言うのは
とても恥ずかしいんだけど、
リタの語りやカップリングが珍しかったせいか
コクのある(笑)エロ描写だったせいか
エロシーンで自分のことみたいにどきどきしてしまった。
読みながら恥ずかしくなって
ブラウザ閉じたくなったのって初めてだなぁ。

しみじみすごいと思った。
いつもありがとう。
273名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 18:17:35 ID:RF03KX1K
作品そのものはすばらしいと思うが過剰な謙遜がうざい。
そんなに自信が無いなら投下すんな、自分で納得できる作品ができてから投下しろと思う。
さもなきゃ
「そんなことないですよ、おもしろいですよ」
って言って欲しいのか。
その謙遜が「つまんねえ作品を読ませるな」と言わせないための前振りなんだとしたら
そもそも2chなんかに投下せず、どんな下らない作品をあげようと誰にも文句は言えない個人サイトでやれ、と思う。
274162:2006/06/26(月) 19:06:38 ID:MhmdLvuS
162です。

久々に、リアルタイムのご感想読ませて頂きました。
まずは読んで頂いてありがとうございます。

確かに、投下し始めの頃は、特におそるおそるでした。
面白くなければそこでスレストッパーになってしまうし、叩かれることもあるでしょう。
それが怖くて、つい謙遜が過ぎた節もあります。
独り言を垂れ流したような内容は、確かに見苦しいものでしたね。ごめんなさい。

今、自作に全く自信がないとは言いません。
しかし所詮それはひとりよがりな自信ですから、
大丈夫かな・気に入ってもらえるといいなぁと思いつつ、投下しているのが現状です。
作品を投下させてもらってはいますが、私のスタンスはあくまでも、読んでもらっている、だと認識していますから・・・

何にせよ、私の言動で不快にさせた方がいたことに、申し訳なく思います。
今後は、もう少し弁えて、気をつけてコメントさせてもらいます。
275名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:12:35 ID:xy6Mwie6
作品がおもしろければ感想書くし、おもしろくなければスルーするよ。

2chのこういう場はとにかく自分語りはいやがられる傾向にあるから、
その辺りはほどほどに。
2ch慣れしていないだけなんだとは思うけど、場の雰囲気というものがあるから
それに気をつければいいだけだと思う。

作品は素晴らしいのに、こんなことで駄目になったらもったいないよ。
276162:2006/06/27(火) 09:48:09 ID:oyCvR4dh
貴重なコメントをありがとうございました。
私は2chでカキコはまだまだ初心者ですので、勉強になります。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。

では、以下、御品書きです。
カプは、クレイ×マリーナです。
暗いです。まったりどんより、とにかく暗い。
陽気なハッピーエンドをご希望の方は、スルーをお願い致します。

なお今回は、新刊の内容は組み入れておりません。
277クレ×マリ 1:2006/06/27(火) 09:48:59 ID:oyCvR4dh

陳列棚に並べてある洋服たち。
端から1枚ずつ取り上げ、丁寧にたたみ直す。
しわを伸ばし、空気を含ませるようにして、1枚、1枚。
いつもなら、無心に返れる作業なんだけどな。
今日は、その効能も薄いみたいだわ。

窓の外に眼をやると、淡い色になった空に、そろそろ薄闇が降りてこようとしていた。
もうすぐ、あのにぎやかなパーティがやってくる頃。
あの人が・・・来る、頃。

パステルから、事前に手紙をもらってたのよね。
ここエベリンに用事があるので、一泊泊めてほしい由。
いつもの、飛び跳ねるようなパステルの文章で書いてあった。
彼女の純粋さ、かわいらしさがうらやましくなる。
わたしも彼女みたいだったら、良かったのに。
考えてもしょうがないことをつらつらと考えながら、今度はハンガーを整理する。
ずり落ちかけたワンピースを掛け直し、余ったハンガーは足元の籠へ。
ほとんど機械的に動いている自分に苦笑する。
何やってんのかしらね、わたしってば。

クレイ・S・アンダーソン。
わたしの好きな人。
伝説の蒼の聖騎士の血を引く、凛々しくてやさしいクレイ。
わたしは今でも覚えている。
あの人に出会った時に抱いたときめきを。
そして幼馴染として過ごすうち、日に日につのっていった恋心。

でも、桁外れに有名で高貴な血筋の彼は、わたしとはあまりにも釣り合わない。
わたしなんかの出る幕じゃない。
そんなの、はじめからからわかってたわ。
もう気が遠くなるほど昔から、胸の内を押し殺してきた。
あの人には綺麗な婚約者もいたし、今は一緒に冒険している可愛らしい女の子もいる。
自分には決して成し得ない関係ではあるけれど、彼女達をうらやんだり恨んだりだけはすまいと心に決めたんだ。
幼馴染として許されたスタンスで、その関係を大切にしようとしてきた。

・・・それなのに。
彼等のパーティはこのところエベリンに用事が多いのか、再三わたしのもとへ足を運ぶ。
いいのよ、あの人の顔が見られるのは。嬉しいんだから。
でもね。
幼馴染でいられればいいわなんて、離れていたからこそ言えた詭弁よ。
こんなにも何度も顔を合わせるようになると・・・そうもいかないわ。
そんな綺麗事でごまかせるほど、わたしは大人じゃない。
会うスパンが間遠になれば気にならなかった胸の痛みが、あの人に会うたび、あの人の姿を見るたび、キリキリとわたしを締め付ける。
278クレ×マリ 2:2006/06/27(火) 09:49:33 ID:oyCvR4dh

いつの間にか、呆けたようにハンガーを抱きしめていた。
カランカランカラン!!
ドアベルが景気よく鳴り響き、思わずハンガーを取り落とす。
び、びっくりした・・・
ぼけっとしてる時にこの音は、心臓に悪いわね。ドアベル替えようかな・・・

「よぉ、マリーナ!」
「また来ちゃったよー。ごめんねー」
「んなのいいじゃん、他人行儀だよな」
「いいわけないでしょ。ったく図々しいんだからっ」

にぎやかに飛び込んできたのは、トラップとパステル。
小突きあって文句言い合って、仲のいいこと。
・・・まったく、あてられちゃうわね。

「あれ?他の皆は?」

あえてクレイという名前を出さずに聞く。
こんなことにまで気を張っている自分がむなしくなるわ。
そんなわたしの心持を知ってか知らずか、いきなりクレイについて説明してくれるパステル。

「クレイはね、バイトしてる武器屋さんの棚卸しで、出発が遅れちゃったの」
「多分、1本遅い乗合馬車で来るはずだけどよ」

あ、そうなんだ・・・
なんとはなしにホッとしているわたし。何でなんだろう。

「ノルはルーミィ連れて、フリマのぞいてると思うわ」
「キットンは一足先に冒グル行ってる。あそこで全員待ち合わせなんだよ」

交代でテンポよく説明するパステルとトラップ。

「冒グル?なんで?
 ていうか、あなたたち、今回の用事ってなんなの?」

なんかあったっけ?
そういえば、いつもより冒険者がエベリンに集まってる気もするけど。
彼らの説明によれば、プルトニカン生命協賛による、冒険者が1回だけ引ける冒険者籤とやらが発行されるそう。
ま、協賛が協賛だから、随分と豪華な景品みたいね。
アーマーフルセットだの、魔法屋クーポン券だの、解毒・解呪回数券だの・・・
それがどうやら明日受け取れるらしい。
でもさ、冒険者ならタダで権利があるからって、わざわざ?

「そうなのよ。わざわざそのためにねぇ。
 はるばるとシルバーリーブから出てくるところがセコい・・・いや、貧乏くさい・・・いやいや・・・やめとこ。
 まぁ、当たればラッキー!みたいな」
「とはいえ、けっこう当選率高いみてえよ?
 ま、さすがにそれだけに出てきたわけじゃねえけどよ。他にも用事があったしな」
「そうそう、キットンが薬草屋がバーゲンしてるってうるさかったし。
 皆買いたいものもあったしね」
「ふーん・・・そうなんだ」
279クレ×マリ 3:2006/06/27(火) 09:50:03 ID:oyCvR4dh

で、彼らはこれから冒グルに行くらしい。
クジの整理券をもらうのに、相変わらず段取りの悪い冒グルに、ずらずらと既に人が並びつつあるんですって。
なんだか、前にもあったような展開ね・・・これ。
そうそう、冒険者カードのバグが見つかった時だったっけ。
あの時、わたしの選んだ青いマントが、とても似合っていたクレイを思い出す。
回想に引きずり込まれそうな自分を、ぐいと現実に引き戻しておいて。

「じゃあ、もう出るの?」
「おう。日暮れに待ち合わせしてっからな」
「あ、ちょっと待っててよ。夕食まだでしょ?」

慌てて台所に駆け込み、買っておいた食材で手早くお弁当を作る。
パステルが手伝ってくれたのですぐにお弁当は出来上がり、まだ湯気のあがるバスケットをトラップに持たせた。

「じゃ、気をつけてね。今日は遅いの?」
「うん。泊めてって言っておいてなんだけど、戻ってくるの遅そうなんだよね。
 さすがに徹夜はしなくて済むと思うんだけど」

申し訳なさそうなパステルを、トラップがフォローする。

「ま、日が変わるまでに戻れると思うぜ?」
「いいよ、気にしなくても。
 どうせ男どもはアンドラスんとこでしょ?
 パステル、もし入り口閉めてても、ポストに鍵入れておくから勝手に入ってきてよ」
「うん、わかった。ごめんね、マリーナ」
「気にしないでって。行ってらっしゃい!」

にっこり笑ってふたりを送り出す。
にぎやかに色づいていた空間が静かになる。
いいわね、あのふたりは。
慌てて料理した後の、惨状の台所を片付けながら考える。

あのふたりって、仲間と呼べるラインぎりぎりの関係よね。
パステルの方に恋愛感情があるのかないのか、微妙なとこだけど。
時折トラップの見せる、ガキっぽい嫉妬や感情表現がうらやましい。
わたしも、あんな感情をぶつけられてみたいわ。
相手は・・・違うけどね。
はあ。
ひとつ大きなため息。

山と積みあがった洗い物を済ませ、タオルで手を拭きながら店に戻ると、窓の外はすっかり暗くなっていた。
その時、外階段を上がってくる足音がした。
踏みしめるように、一段一段上ってくる・・・間違いなく、あの人の足音。
確信すると同時にドアが開く。
ドアベルの音と共に入ってきたのは、クレイ、その人だった。

「やあ、マリーナ!お邪魔するよ」
「遅かったのね。夕方、トラップとパステルが来たわよ」

嬉しくて、首ったまに飛びつきそうになるのをぐっとこらえる。
わざとそっけなく、トラップ達の話なんてしたりして。

「あいつら、もう行ったのか?」
「うん、日暮れに冒グルで全員集合って言ってたわ」
「そういやそうだったな。じゃあ、俺も行かなきゃな。
 しかしさあ、俺、昼も食いっぱぐれちゃってて、腹減って腹減って。
 マリーナ、なにか食うもんある?」
「もちろん!ちょっと待ってて」
280クレ×マリ 4:2006/06/27(火) 09:51:12 ID:oyCvR4dh

台所にとって返し、さっきお弁当を作った時に、取り分けておいたぶんを暖めなおす。
もしかしてクレイが寄るかも・・・と思ったのは正解だったわね。
店のソファーにどっかりと座り、わたしが出した食事を嬉しそうにかきこむクレイ。
そんな彼を見てると、こっちまで嬉しくなってしまう。
彼が最後の一口を食べ終えたのを見届けてすかさずお茶を差し出すと、彼は受け取って一気に飲み干した。

「ぷはー、ごちそうさま。やっぱりマリーナの料理はうまいな」
「そう?ありがと」

にこにこと笑うクレイを軽く受け流す。
向けられた笑顔と賞賛の言葉が嬉しくてたまらないのに、つい、何気ない態度をとってしまうわたし。
わたしってば、これさえなければ・・・
あーもう、自己嫌悪を通り越して自己憐憫になりつつある最悪のパターン。
内心悶え苦しんでいるわたしの気もしらず、クレイはあくびをしながら言った。

「あー、しかし疲れたよ。
 朝からぶっとおしで、全商品の棚卸しだもんな。
 腹いっぱいになったら・・・眠くなってきちまった」

椅子を立ち、食器を片付ける。
この醜い感情を表に出さないように、つとめて顔をそらしながら。
暖簾をかきわけて台所に逃げ込むと、やっとまともに呼吸できるようになった。
できるだけ明るく聞こえるよう、気をつけて声を出す。

「クレイー、そんなに眠いならコーヒー入れようか?」
「あ、ほしいな。くれよ」

暖簾の向こうから、眠そうな声が返ってきた。
ヤカンに水を入れて火にかける。
お湯が沸くまでの間に、なんとか平静に戻らなきゃ。

コーヒーの用意をして店に戻ると、ソファーに沈みこむようにして、クレイが寝てしまっていた。
あら。
一瞬逡巡して、音をたてないようにコーヒーを台所に戻す。
ふと思いついてメイン照明を消すと、静かにソファーに近づく。

長い睫毛、ぼんやりとした間接照明のあかりに照らされる艶のある黒髪。
うつらうつらと眠るクレイ。
わたしの愛しい男。

彼の足元に座り込み、頬杖をついてクレイを見上げる。
疲れてたのね。
いつも、まわりに心配をかけまいと無理をするクレイだから、こんなところは滅多に見せない。
わたしの前だから気がゆるんで?
わたしの前だから安心して眠れるのかしら?

そう思うと、嬉しい反面、胸の奥になにか甘苦いものがこみあげる。

それだけ気を許してもらえてるのは嬉しいわ。
でも、わたしが独り占めできるのは、今ここで眠っているクレイだけ。
眠っている間しか、この空間はわたしのものにならないのよね。
眼が覚めたら、この人はまたわたしの傍から離れていってしまう。
このまま、眼が覚めなければいいのに。
永遠に、このままなら。
281クレ×マリ 5:2006/06/27(火) 09:51:51 ID:oyCvR4dh

ありえないことを願う自分が、余計に情けなくなる。
ソファーで半分ずり落ちかかっているクレイ。
身を起こして膝を突くと、ゆっくりと手を伸ばす。
震える指先でそっと黒髪をかきあげると、形のいい額があらわになる。

今、この瞳がひらいたらどうしたらいいのかしら。
あなたが好きよって言ってみる?
冗談よって笑う?
・・・
気がつくとわたしは泣いていた。
頬を伝う涙。

端正な唇に、わたしの唇をよせる。
精一杯の思いをこめて。

わたしの唇とクレイの唇がふれた瞬間、わたしの前髪がクレイのおでこをかすめた。
目の前には、驚きを隠せない鳶色の瞳。

「マ・・・リーナ?」

そっとクレイから離れる。
涙も拭かないで、きっとうさぎみたいに赤い眼になってるんでしょうね。

「ごめんなさい。
 あなたが眠ってる間に・・・最低ね、わたし」

苦渋をにじませるわたしに、クレイは困惑を覆い隠し、あくまで心配そうな表情で言った。

「・・・どうしてだい?」
「・・・どうしてかわからないの?」

真っ直ぐにクレイを見つめる。
はぐらかさないで。
鈍感さでは定評のあるクレイにも、わたしの言いたいことは伝わったはず。

「マリーナの気持ちは・・・わかったよ」

ぽつん、と小さな声でクレイは言った。

「でもさ。ごめん。
 俺・・・いま、誰が好きとかって、正直なところ思えないんだ」

正直さは時として、おそろしいほど残酷だと思う。
クレイらしさ満点の回答。
偽らない言葉は、真っ直ぐにわたしの胸を刺し貫く。
もう涙は出なかった。
ささくれだった心からは、血しか流れない。
それなのに、クレイは困ったようなやさしい表情でとどめを刺した。
282クレ×マリ 6:2006/06/27(火) 09:52:26 ID:oyCvR4dh

「でもさ、マリーナは俺にとって大切な幼なじみだよ。
 今までも、これからもずっとな」

・・・それは、同情?
血が逆流し、髪の毛が逆立ちそうになる。

どうして?
どうしてそんな顔ができるのよ?
どうしてそんな事が言えるのよ!!
嫌悪された方が、いっそ無視された方がずっとましだわ。
こんな時にまで、どこまでもやさしいあなた。
どれだけわたしが、それに苦しめられてきたかわかる?
そして、今どれだけ苦しいかわかる?
・・・
かっとなった頭に、今度はひたひたと、よどんで冷たい欲望が打ち寄せてくる。
・・・
やさしさは、罪。
今、それを教えてあげる。

さあ、正念場よ、マリーナ。
ゆっくりとクレイの隣に腰を下ろす。
気づかれないように息を吸い込むと、わたしは意図的に無理したような笑顔を作った。

「今まで、ずっとわたしの気持ちに気づいてくれなかったわね。
 どれだけ、わたしが苦しんだかわかる?」

わざとにっこり笑いながら問う。
苦悩の表情を浮かべて、黙ったままのクレイ。
安心なさいな。
もっと、逃げ場がないほど追い詰めてあげる。
やさしくて人のいいあなただからこそ、絶対に逃げられないように。

「・・・ごめん」
「あら、わたしの気持ちはどうすればいいの?」

卑怯と思われてもいい。
歌うような調子で続ける。

「あなたを思い続けて、もう何年かしら?
 10年じゃきかないわね。」

からかうように指を折る。
わたしは今、とても艶な表情をしているんじゃないかしら。
くすくすと笑いながら、目の前の黒髪をちょいと引っ張った。
本当は、あなたには何の罪もないのかもしれない。
だけど、どこまでもお人よしなクレイ。
ほら、もうわたしの言葉から逃れられないでしょ?

「わたしを好きになんてならなくていいわ。
 ただ、このやり場のない気持ちに、責任をとってくれる?
 嫌だなんて言わないわよね」
「・・・責任?」

目を伏せたままのクレイが、つぶやくように聞いた。
わたしは低い声で囁き返す。

「黙って。動かないで」
283クレ×マリ 7:2006/06/27(火) 09:52:59 ID:oyCvR4dh

高い位置にある首に腕をまわし、そのまましがみつく。
クレイは、金縛りにあったように動けないでいる。
もう逃がさないわ。
あなたの自由を奪う、悪意の言霊。

「一度だけよ。これで忘れる」

長い長い長い間、欲して得られなかったクレイ。
あなたがこうして、わたしの腕の中にいるなんてね。
この時間が永遠に続くのなら、魂なんていらないわ。

めまいのしそうな幸福感と罪悪感に身をゆだね、唇を重ねる。
強張った唇の隙間から、ゆっくりと舌を忍び込ませる。
探っていった奥に、熱いクレイの舌があった。
からませ、吸い上げ、わたしの塞き止められてしまった愛情を注ぐ。
随分長い時間が過ぎて、やっとわたしはクレイの唇を解放した。
ふたりほぼ同時にこぼれたのは、息つくような吐息。

わたしはこの大切な獲物を逃がさないよう、細心の注意を払って愛撫にうつった。
形のいい顎を伝い、首筋をなぞって鎖骨に降りる。
ストライプのシャツのボタンをひとつずつ外す。
逞しい胸が、ぼんやりとした明かりに浮かび上がった。
魔女みたいな色に染めた爪の先で、厚い胸板を、硬い突起を引っかく。

「・・・っ」

されるがままのクレイが、弾むように息を吐いた。
軽く歯をたてながら、右手をクレイの下半身に伸ばす。
びくっと震える体をなだめるように、そっとジーンズの上からその部分に触れる。
膨れ上がった堅さを確かめると、カチャリとベルトを外す。
いつぞや、わたしが選んであげた、深いブルーのジーンズ。
ファスナーを下ろし、中の下着ごとぐいと引っ張ると、張り詰めたソレがあらわになる。
クレイの頬に一気に血が上る。
彼は大きな手で両目を覆うと、唇を噛み締めて顔をそらした。
そそりたつクレイ自身をそっと握ると、ゆっくりと動かしながら口に含む。
たっぷりの唾液で濡らして、緩急をつけてしゃぶる。
ぺちゃぺちゃと意図的に音をたてて。

「・・う・・・ぅっ」

低い呻き声。
感じてくれてるの?クレイ。
その声に刺激されるかのように、わたしの脚の間から熱いものがじわりとあふれ、下着に染みていくのがわかった。
血管の浮き上がった筋に沿って、出っ張ったかさの部分に軽く歯を当てる。
先端の隙間を舌で割り、てらてらと染み出してくる液体をじゅる、と舐め取った。
もう一度ソレを口に含み、喉の奥まで飲み込むように深く食いつく。

頬に力を入れて吸い上げ続け、ひときわ喉に力を込めた時、クレイは小さく叫びをもらすと、わたしの口の中に果てた。
どぼっと流し込まれたのは、甘くて苦くて濃い、白濁した精。
ごくりと飲み込むと、クレイの体温がそのまま、喉を通っていくのがわかる。
口の端からひとしずくこぼれた液体を手のひらでぬぐいとって舐めると、ふいにその手をぐっとつかまれた。
目をあげると、荒い息をしているクレイ。
その目は、切り込むような光をたたえてわたしを見ていた。
・・・何?
284クレ×マリ 8:2006/06/27(火) 09:53:45 ID:oyCvR4dh

「きゃっ」

いきなりソファーの上に突き飛ばされる。
勢いあまって反転したわたしの背中の上に、クレイがのしかかってきた。
そのまま顔をクッションに押し付けられる。

「やっ・・・な、クレイ!?」

本能的な恐怖を感じて、思わず逃げようとするわたしの体をがっちりと背後から抱きしめ、クレイはうなじに唇をつけた。

「・・・黙ってろよ」

聞いたこともない冷たい声。
背中をつたう冷や汗。
四つん這いの姿勢のままで身動きできないわたしを、クレイのごつい指は遠慮なく蹂躙していった。
ボタンが弾けとび、嫌な音をたててブラウスが破かれた。
荒っぽく胸を揉みしだきながら、もう片方の手で乱暴にスカートを捲り上げる。
下着をひき下ろされたかと思うと、間髪いれずにクレイのものがねじこまれた。

「・・・あぁっ!」

体を裂かれるような痛み。
ソファーの肘掛に、爪が割れるほどにしがみつく。
血だか愛液だかわからないものが太ももを伝い、クレイの腰の動きに呼応するようににじみ出る。
クレイのものは、さっき果てたばかりだというのにもう復活して、わたしの中をえぐるように暴れていた。
獣の姿勢でソレをくわえ込まされているわたし。
粘膜を激しくこすられ、痛みとかすかな快感に翻弄されながら、わたしは浮かんでくる涙と嗚咽を必死にこらえる。
もう、悲しいのか嬉しいのかわからない。
ぐちゃぐちゃな感情のまま、耳元で、歯を食いしばって咆哮するクレイの声を聞いていた。

285クレ×マリ 9:2006/06/27(火) 09:54:26 ID:oyCvR4dh

脚の間から、とろとろとこぼれるもの。
わたしのものではない、さっき飲み込んだのと同じ色の液体。
伝うにまかせ、うつぶせていたソファーからのろのろと身を起こす。

ソファーに深く身を沈めたままだったクレイは、深淵を覗き込むような暗い眼をしていた。
起き直ったわたしを見て、我にかえったようにびくっとするクレイ。

「マリーナ、おれ、あの」
「言わないで」

即座に言葉を封じこめる。
言おうとしたことはわかってるわ。

「わたしは今、あなたの幼馴染じゃない。
 卑怯で淫乱で最低な・・・ただの女よ」

どちらにしても、もう二度とこの人に触れることはないわ。
最後の思いを伝える。
あらん限りの情熱をこめて、鳶色の瞳を見つめることで。

「あなたが悪いんじゃない。
 もう・・・忘れて」

陳腐な言葉でしか言えないけど、幸せだったわ。
最初で最後の、クレイから求められた激情。
例えそれが気の迷いであったとしても。
あなたが愛情でなく欲望だけに踊らされていたとしても。
・・・
わたしは忘れない。

時計の針は、今日と明日の境目をまたごうとしていた。
もう、獲物を解放してあげなきゃいけないわね。
自分で仕掛けた罠には、自分で責任を持たなきゃならない。

あなたの前で、いつもどおり笑って、今までと同じように接すること。
それが、これまで生きてきて、一番つらくて一番苦しい罰。
味わった刹那の快楽の、受け取った瞬間の幸福の、重い代償。
286クレ×マリ 10:2006/06/27(火) 09:54:58 ID:oyCvR4dh

ぷるぷるっと頭を振って髪をさばくと、わたしは精一杯にっこり笑った。

「じゃあわたし、シャワー浴びてくるわね!
 クレイも浴びるなら後からどうぞ」

突然のわたしの態度の変貌にぎょっとしたようなクレイ。

「あ・・・あぁ」
「台所にコーヒーあるから、飲んでいいからね!
 そろそろ皆帰ってくるんじゃないかしら?
 クレイが来ないから、皆心配してるでしょうね」

出来る限り天真爛漫に声を張り上げ、戸棚を開けてバスタオルを取り出す。

「はい、クレイ。いくわよ!」

もう1枚をソファーのクレイに放り投げた。
慌てて受け止めるクレイ。
その瞳の影が薄まっているのを確認して、くるりと回れ右をする。

大丈夫よ、もう大丈夫。
意識的にあげた口元でつぶやきながら暖簾をくぐる。
服を脱ごうとして、ブラウスがビリビリだったことに、今更気づく。
見ないようにして脱ぎ捨て、頭から熱いシャワーをかぶった。

わたしは罪人です。
わたしは、やさしいあの人を傷つけるだけ傷つけた。
自分に刃をつきつけるような真似をして、あの人のやさしさを利用した。

涙も、苦しみも、悲しさも、何もかも流してしまえたらいいのに。
後から後から涙があふれてくる。
わたしは鞭打たれるようにうなだれ、強い水滴に打たれ続けた。
287162:2006/06/27(火) 09:55:54 ID:oyCvR4dh
完結です。

クレマリというより、言うなればマリクレです。
なにやら救いのない展開になってしまいました。
次回はもう少し明るいものを書きたいと思います。
288名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 17:36:27 ID:y0WsP+ZF
鬱話ながらぐっじょぶ。
漏れは面白い話が読めれば、細かいことは気にしない。
さらなるエロきぼんぬ。ガンガレ!!
289162:2006/06/29(木) 12:05:51 ID:hyb4pw2E
お褒め頂いてありがとうございます!
今度は明るい話にしてみました。

今回の御品書きです。
トラパスです。
かなり長くて、明るめ軽めです。
290トラ×パス 薬害編 1:2006/06/29(木) 12:07:14 ID:hyb4pw2E

「やったあああああ、やりましたよおぉぉーーーっ」

のどかな午後のみすず旅館。
台所のテーブルを囲んで、まったりとしていた俺たち。
その空気を完膚なきまでにぶっ壊したのは、突然の咆哮。
耳をつんざくような雄叫びと共に、キットンが玄関から飛び込んできた。

「ど、どうしたっていうのよぉ?」

両手で耳をふさいだまま、おそるおそる尋ねたのはパステル。
その隣でクッキーを食べていたルーミィは、目を丸くして口開けてやがる。

「ほら、これ、これ見てくださいっ。すごいでしょう?」

片手にひらひらさせていた紙を、パステルの目の前数センチの部分に突きつけるキットン。
思わずのけぞったパステルの横から、その紙を奪い取る。

「あんだよ、一体・・・医薬品開発コンペ入賞だぁ?」
「そうです、そうなんです!
 私の開発した薬が、コンペで賞に入ったんですよぉ!!」

ボサボサの前髪の奥に、キラキラ・・・いや、ギラギラした目が見える。
・・・不気味だ。

「そうか、キットンおめでとう。すごいじゃないか。」

少々腰を引きながらも、一応祝福の言葉を発したのはクレイ。律儀な奴だ。

「で?それ、高く売れんのかよ?」
「まったく、またあなたはそれですか。トラップ。
 この薬は金額より何より、困っている人の役に立つんです!
 私の研究が誰かを助けられるなんて、素晴らしいじゃありませんか!!」

言ってることは、至極まっとうなんだけどよ。
完璧にイッた表情で、拳固めて痙攣しているおめぇ見てると、いまいち純粋に喜んでやれねえんだけど・・・

「それ、何の薬なんだ?」

にこにこ笑いながら尋ねたのは、人類皆兄弟的博愛主義のノル。
おう、確かにそれは気になる。
この男は毎度毎度ろくな薬を作らねえ、資格を永久剥奪してほしいほどの薬剤師ではあるんだが。
今回は賞までとってんだから、さすがにちったぁまともなモンなんだろ。
いや、そうであって欲しい。

「よくぞ聞いてくれました。
 性欲増強剤です!」
「・・・」

一同、ものすっげえ気まずい沈黙。
あ、クレイが頭抱えてやがんの。
291トラ×パス 薬害編 2:2006/06/29(木) 12:07:51 ID:hyb4pw2E

「キットン・・・なんでまたそんな・・・」
「いやぁそれがですね、この前のクエストで見つけた薬草があったでしょ?
 あの薬草を分析するうち、減退した性欲を増幅させる効能があることがわかったんですよ!」

・・・まさか自分で実験したんじゃねえだろうな。
胞子で増えてそうな種族の癖して。

「生活に疲れたお父さんに!
 加齢・疲れ・トラウマなんでもござれ!勃たない人でも性欲増強!
 これ1本ですっぽんエキスをしのぐ、劇的にパワフルな効能が期待できるんですっ」

すかーんと後頭部を殴る。

「なっ、何するんですか、トラップ!」
「・・・」

もはやコメントも出ねえ。
とりあえず突っ込んだ俺に、拍手。
クレイが、力なく笑いながら割って入った。

「まあまあ、トラップ。気持ちはわかるけど。
 あのさ、キットンも、ルーミィの前なんだから、えーと・・・」
「大丈夫ですよ。まだ意味はわからないでしょう!」
「・・・そういう問題じゃないんだけど」

脱力しているパステルが、テーブルに突っ伏したままでつぶやいた。
そのパステルとキットンを見比べていたルーミィ。

「せぇよくってなんら?すっぽん?おいしいのかぁ?」

ガキの質問ってよ、ある意味地雷級の破壊力だよな・・・
子供の作り方を聞かれた時の、親のうろたえる気分がよくわかる。

「・・・大人になったらわかるわよ、ルーミィ」

問答無用でそれ以上の追求をかわしたパステル。
ひきつった笑顔が痛々しいぜ。

「ま、ルーミィにはまだ早いですけどね。
 近いうちに商品化される予定です。あぁ、楽しみですねぇ・・・
 おぉ!そういえば、大会用に作ったサンプルがあるんですよ。
 誰か試してみませんか?」
「んなモンいらねえっつーの!!」

一同の意見を代弁した俺の悲鳴をよそに、ごそごそとかばんを探り始めるキットン。
このまま行くと間違いなく、この中の誰かが被害者になる。
限りなく危険な成り行きに、途中から見て見ぬフリをしていたパステルが、椅子を蹴倒さんばかりの勢いで立ち上がった。
292トラ×パス 薬害編 3:2006/06/29(木) 12:08:55 ID:hyb4pw2E

「さ、ルーミィ、もうお部屋いこ!絵本読んであげるっ」
「えー?せえよくは?」
「・・・もうそれはいいのよ、ルーミィ」

パステルは、ぽかんとしているちびエルフを、余計なことを言うなと言わんばかりに引きずっていってしまった。
そのタイミングを逃さず、パステルに続いたのはなんとノル。

「おれ、ちょっと」

あえて俺たちに目をあわせないようにして、巨体の存在感を消すように、そっと出て行った。
や、やるな、ノル。
額に脂汗を浮かべたクレイと目が合う。
げっまずい、出遅れた。
運よく窓の傍にいた俺は、キットンからの距離を目測しつつ静かに移動し、タイミングを計って窓から飛び出す。
というわけで、部屋に残されたのは予想通り。
おそらくこのパーティ内では、ダントツに危機管理能力の低い・・・不幸の戦士、クレイ。

「あ、おいっ」
「後は任せたぜえ、クレイちゃん」
「任せるじゃないだろー!!」

絶叫するクレイにゆっくりと近づくキットン。
ホラー映画みてえだな・・・窓の外から憐憫をたたえて眺める俺。
顔色の変わったクレイが、ずざざざっと椅子ごと後ずさる。

「いやあの、いいよ、キットン」
「おや残念ですねぇ。ぜひ試してみてくださいよ」
「・・・性欲増幅させて、それをどこで使えと?」
「あっても困るもんじゃないでしょう?」
「困る!困るぞ!!」

盛り上がってる2人を尻目に、さっさと逃走する。
とりあえず部屋に戻るか。
表玄関からじゃ、せっかく脱出した台所の横を通ることになるから、避けねえと。
真っ昼間から2階の部屋によじ登るという、アクロバティックな手段で部屋に入る。
やれやれとベッドに寝転がると、虎口から脱出してきたらしいクレイが入ってきた。
憔悴しきった表情。

「お前・・・なんで置いてくんだよ」
「ま、気にすんなよ」
「するよ!!」
「・・・で?飲んじまったの?どうよ、もービンビンかぁ?」

ニタニタ笑う俺に、クッションが飛んでくる。
屈んで避けると、クレイはため息をつきながら向かいのベッドに腰を下ろした。
ベッドサイドの机に、小さなアンプルを置く。

「断りきれなかったから、もらうだけもらってきたんだ」
「ほーっ、よく強制的に飲まされなかったなぁ。
 相当食い下がっただろ?あのアホは」
「ああ。でも・・・俺が本気で手討ちにしそうになったからな」

・・・さすがのキットンも、我が身がかわいかった、ってことか。
293トラ×パス 薬害編 4:2006/06/29(木) 12:09:43 ID:hyb4pw2E

「いるならやるよ。俺、ちょっと寝る」
「いらねぇよ!!」

俺の怒鳴り声をあっさりスルーしたクレイは、ごろりと横になった。
余程疲れたのか、すぐに寝息を立て始める。
そりゃー疲れるよなぁ。
ある意味、我が身の存亡と尊厳をかけた戦い・・・
いや、よくやった、クレイ。おつかれ。

俺も昼寝でもすっかな。
寝返りを打つと、さっきのアンプルが視界に入る。
ったく、あのボンクラ薬剤師は、ろくでもねえもんばっか作りやがって・・・
でも、クレイが飲んでりゃそれはそれで面白かったよな?
まーこのパーティじゃ、増幅した性欲のやり場もねえけど。
唯一の女は・・・アレだし。
クレイにあいつで性欲発散された日にゃ、密かに我慢の日々を貫いてる、俺様の立場がねえっての。
かといってクレイに俺のこのケツを貸すわけにも・・・いや冗談だけど。

そこまで考えて、がばっと起き直る。
今、俺の脳裏に悪魔が舞い降りた。
とてつもなく邪悪でストレートな疑問が浮かんだぜ。

・・・これ、女にも効くんだろか?

パステル。
天才的方向音痴のマッパー、うちのパーティ唯一の女。
俺の女・・・ではない。まだ。
しかし、いずれ落としてみせようと密かに企んでいたりは、する。
どこまでいってもガキで童顔で、おそらく裸にしても前と後ろが区別つかねんじゃねえの?ってレベルなんだけど・・・よ。
その凹凸のなさが、ボケた純真な顔が、時々無性に煩悩を刺激してくれるんだよな。
ミニスカートはちらちらさせるし、平気でパンツなんぞ干しやがるし。
押し倒したくなって悶え苦しむ日々なんだが、一向に目覚める気配もねえ。

そういえば・・・遠い眼をして過去に思いを馳せる。
何を隠そう、いっぺん押し倒したこともあったよな。
俺様の純情にかけて勝負に出たというのに、こともあろうにあの馬鹿は、

「何よ、飲んでんの?重いからどいてよねー」

なんぞとのたまいやがった!!!
その一件で俺は、あいつが女として成長するまでは、どうしようもないと悟ったさ。
それ以来、悪い虫がつかないように祈りながら毎日を送ってきたが。
これは・・・ひとつの転機になるかもしんねえぞ。

この薬が、女にも効いたとするよな。
となると。
あのお子様に性欲なんてものが備わった日にゃ、一体どうなる?
女として目覚めたところで、近場にいる俺の情熱的なアタックでイチコロに・・・
後は薔薇色の未来、あんなことやそんなことやこんなことや・・・うおぉぉ!
おぉ、俺って天才!なんという妙案っ!!
・・・なんか、限りなくご都合主義な気がしねえでもねえけど、この際深く考えずにおこう。
とりあえず飲ませて、経過を観察して考えるのが、正解だろうな。
そもそも女に効くかどうかもわかんねえんだし。

俺は浮き立つ気分で、いそいそとアンプルを手に取った。
294名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 13:00:21 ID:fxpTC+a3
つ、つ、続きは!!??
295162:2006/06/29(木) 13:08:32 ID:hyb4pw2E
PCが不安定だったので、ちょっと間があいてしまいました。
すみませんっ(汗
以下、続きです。
296トラ×パス 薬害編 5:2006/06/29(木) 13:09:07 ID:hyb4pw2E

問題は、これをどうやって飲ますか、だよな。
ストレートに飲ませて飲むわきゃねえし。
ジュースにでも仕込むか・・・蓋を開けてみる。
うえぇっ、無理だ。辺りに漂う殺人的な臭い。
キットンの奴、仮にも商品化するんなら、臭いくらいまともにしとけっての!
場違いな憤りを感じつつ、顔を背けて蓋を閉める。
・・・
お!そうだ、そういえば。
カバンをひっかきまわす。えーと、あったあった。
ごちゃごちゃした荷物の中に埋没していたのは、なんちゃら得体の知れん文字の書かれた、ハーブティーのパック。
にんまり笑うと俺は、眠っているクレイを起こさないよう、静かに部屋を出た。


「ふーん、これリタから?ありがと、トラップ」

俺の渡したパックと、例の怪しげなアンプルを持ったパステルは嬉しそうに礼を言った。
タイムリーなことに、ちびエルフは庭に遊びに出て行ったらしい。

何の疑いも抱いてねぇみたいだな。よしよし。
このパック、さっき昼前に外出した時、偶然会ったリタにことづかったんだよな。
原稿書きに疲れたパステルへの差し入れだそうだが、まさか自分の親切が、こんな風に利用されているとは思うまい。
ま、許せ、リタ。

「でもさトラップ、これなあに?」

不思議そうな顔をして、例のアンプルをしげしげと眺めるパステル。
今更言うまでもねえが、リタがよこしたわけじゃねえ。
リタの差し入れに、俺がこっそりつけた招かれざるオプション。

「よく知んねえけど、栄養ドリンクらしいぜ。
 パステル疲れてそうだからぁ、とか言ってたな」

うわずる声でリタの声色を真似る。我ながら気持ち悪い。

「でも助かっちゃったかも。確かにこのところ原稿詰まってるし。
 締め切り迫ってるんだよねー。
 今日も夜中になっちゃいそうだしさぁ」

パステルはそんなことを言いながら、細い指でおもむろにアンプルの蓋を開けた。
またも漂ったのは、本気で不能にでもならん限りお近づきになりたくねえ、破壊的激臭。

「うひゃー、くっさぁー・・・効きそうな匂いだね・・・」

リタからの差し入れと思うからか、ブツブツ言いながらも一気飲みするパステル。
おい。オヤジじゃあるまいし、腰に手を添えるのはよせ。
297トラ×パス 薬害編 6:2006/06/29(木) 13:09:39 ID:hyb4pw2E

「で、どうよ?効いたか?」

思わず勢い込んで尋ねてしまう。
そんな俺のどこまでも妙な態度に、パステルは不審そうな顔をした。

「は?ま、まぁ効きそうな味ではあるよね。苦いしまずいし。
 でもそんな即効で効くもんなの?これって」
「し、知らねえけど」

うーむ、どうやら即効性はねえようだ。
女には効かねえのか?
ちっと様子見たほうが良さそうだな、こりゃ。

「それより、その茶のパックよこせよ。
 原稿書くんだろ?入れてきてやらあ」
「わー珍しい。トラップがそんなこと言うなんて、どういう風の吹き回し?」

まずい、いよいよ怪しいじゃねえか、俺。

「ま、おめえの書く小説も収入のひとつだからなっ。
 協力くれえしてやるってんだよ」

とてつもなく不自然に言葉をとりつくろい、ティーパックを奪い取って部屋を出る。
奪い取った以上・・・入れなきゃなんねえよな、これ。
台所に降り、キットンの姿がないのを確認する。
まだあの危険物がウロウロしてるとまずい。
せっかく逃げられたっつーのに、捕縛されちゃかなわねえからな・・・

湯を沸かすとやかんにパックをぶちこみ、待つこと数分。
出来上がった茶をマグカップに注ぐと、女部屋にとって返す。
もう薬を飲ませちまった以上、あまりパステルから眼を離したくねえんだよな。
見てない隙に効果が出て、その場にクレイでもいた日にゃー台無しじゃねえか!
俺の努力はどこへ!?いや、何もしてねえけど。

ドアの前に立ち、中の気配を伺う。
しんとして何も物音はしない。
どうなった?効いてんのか効いてねえのか・・・
はやる心を抑えて、静かにドアを開ける。
パステルは机に向かい、書き物をしていた。
け、やっぱ効いてねえってことかよ。つまらん。
机の端にどん!とマグカップを置いてやる。

「ほらよ」
「ん、ありがと」

こっちを見もしないパステル。
いつものパステルにあるまじき態度に、なんとはなしに面白くねえ。
そんなに唐突に、原稿に没頭しなくてもいいだろうが。
なんかアイデアでも閃いたのか。はたまたラブレターでも書いてやがんのか?
背後から近づき覗き込む。
298トラ×パス 薬害編 7:2006/06/29(木) 13:12:17 ID:hyb4pw2E

原稿は原稿らしいが・・・ぬお!?
目の玉が一瞬飛び出しそうになっちまった。
そこに書き込まれている内容は・・・

”その時、男は欲望に任せて女を押し倒すと−−−”

っておいぃ!!
これって官能小説ってやつじゃねえのかよ!?
今までこいつ、こんなモン書いてやがったのか?
いいや、聞いたことがねえぞ。
あの悪気のなさそうな印刷屋が、んな年齢制限のある小説を掲載するとは思えねえし・・・

呆然と立ち尽くす俺。
足元に散らばるボツ原稿を、こっそり拾って眼を落とす。
そこに書かれていたのは、なんというかその・・・エロ小説、と呼ぶのがふさわしい扇情的な内容で、おめえ経験あんのかよ?って言うようなディープな・・・えーと・・・
う、まじい。
んなもん読んだら、勃ってきちまいやがった。
キットンの薬なんぞなくても、十分元気な俺様にどこかでほっとする。
おい俺、んなこと悠長に考えてる場合じゃねえぞ。
と。
何かが頭の中でつながった。
もしかしてこれ・・・あの薬の効果なのか?
男と女じゃ効能が違うのか、はたまたこいつがレアケースなのか知らんが、こいつに突然湧き出した性欲が、文章に吐き出されちまってるんじゃね?

「お、おい、パステ」
「忙しいの」

俺の呼びかけは光速で瞬殺された。
恐ろしい勢いでペンを動かすパステル。
興奮の度合いを示すように、いつものこいつらしくない乱れた文字で、みるみるうちに埋められていく原稿用紙。

これ・・・もう俺にはどうしようもねえよな・・・
話しかけても無駄だし。
そもそも薬の効果って、いつまで続くんだ?
製作者に聞かなきゃわかんねえけど、永遠に、とか言いやがったらキットンを逆さ吊りにしなきゃならねえが。
とりあえず今のところは、放っておくしかなさそうだ。
・・・というより、俺が完全に放っておかれている・・・
そこはかとなく漂うむなしさを抱えながら、ひとまずキットンを探そうと俺はドアノブに手をかけた。
299トラ×パス 薬害編 8:2006/06/29(木) 13:12:51 ID:hyb4pw2E

その時。

背後に気配を感じて振り向くと、原稿用紙を片手に持ったパステルが、ゆらりと立ち上がるところだった。
おい、その背負ったオーラはなんなんだ?怖えってばよ!!
かきむしったらしい髪はぐちゃぐちゃ、鬼気迫る表情。

「トラップ」
「・・・あんだよ」

ゆっくりと近づいてきたパステルは、手に持った原稿用紙を、俺にぐいと突きつけた。

「これ、読んで」
「は?」

くしゃくしゃの原稿用紙を受け取り、恐る恐る眼を通す。
内容は、男のナニを女がしゃぶってるという、現実にもお目にかかったことのないシチュエーション。

「い・・・いんじゃね?」

何がいいんだか悪いんだか知らん。
が、とにもかくにも、場しのぎに答える。

「ここよ、ここ!この表現がね、あってるのかどうかわかんないの!!」

俺の手の原稿用紙を、突き破らんばかりの勢いで文章を指し示すパステル。

「あってるもなにも・・・」
「確認させてもらうわ」
「はぁ?!確認っておめえ、ちょ・・・」

パステルはがばっと俺の前に跪くと、何の躊躇もなく、俺の股間に手をやった。
逃げようと後ずさるも、俺の後退はむなしくドアに阻まれる。

「こ、こら、やめねえか!」

ぎん、と下からガンつけられ、迫力負けして言葉を失う。
一体全体何なんだ、この異様なまでの抗えない空気は・・・
パステルはぎこちない手つきながら、俺のベルトを外すとファスナーをおろし、ナニを強引に引っ張り出した。

「いてぇ!引っ張るんじゃねえよ!!」
「黙って」

俺の悲鳴は、この上なく冷たい一声で制止された。
パステルは真剣な眼差しで俺の股間を凝視している。
こいつ、片手に持った自分の原稿と見比べて、照らし合わせてやがる・・・

「こうなってるのね・・・」

すっくと立ち上がった俺のものは、一向に元気を失う気配がない。
パステルにあたかも視姦されているようで、ますます張り詰め、じわりと先端から汁がにじんできた。
300トラ×パス 薬害編 9:2006/06/29(木) 13:13:50 ID:hyb4pw2E

「ふーん」

ふーんじゃねえぇーーー!
んなモン、冷静に観察しねえでくれ!!
内心叫び倒している俺の気も知らず、パステルは遠慮なく俺自身をむんずと握った。
痛い。痛いですって、パステルさん。も少しやさしく・・・
・・・なんだよ、そのポケットから出したメジャーは。
太さと感触を確かめるように、表面に指を滑らせ、直径を計る。
そのメモった数字をどうするんだ、パステル。
まさかと思うが、小説のネタにする気じゃねえだろうな。
・・・俺の社会的生命を抹殺する気か?

「えーと、こうかな」

パステルはおもむろに口を開けると、俺のモノをぱっくりとくわえ込んだ。
ぬおぉっ・・・思わず呻きが漏れる。
こんな異様な状況下で激しく不似合いな感想だが・・・相当に気持ちいいかもしれねぇ・・・
眉間にしわをよせ、左手に持った原稿用紙を横目で確認しながら、ナニを吸い上げるパステル。
舌で丁寧にカリを舐め上げ、裏からごく微弱に歯を立てる。
おめえ・・・たった今目覚めたばっかの癖して、一足飛びに成長してんじゃねーよ!
どこのプロですか、ってなレベルの舌技。
いや、プロにお世話して頂いたことはねえんだけど。

そんなことを考えていた俺は、相当にぼおっとしてたんだと思う。
眼で人を殺せそうなムードのパステルに気圧され、もはや抵抗することもできず、されるがままでいた俺。
パステルはせっせと俺のナニをしゃぶり続け、じわじわと快感が体の中心部に集まってきた。
ズボズボとひたすら吸い上げていたパステルの口が、勢い余ってナニからすっぽ抜ける。
その途端、びぃんと弾かれたような刺激に、俺は唐突にのぼりつめさせられた。

「・・・うぉ・・・っ」

びくびくっと痙攣するように、二度三度精液を吐き出す。
当然のごとく、発射方向をコントロールする余裕もなく・・・それはパステルの顔面めがけて、もろにぶちまけられた。

「ひゃ!」

しきりに眼をしばたたかせるパステル。
その前髪にも睫毛にも口の周りにも、白濁した液体がべっとりとかかり、伝い落ちながら糸を引いている。
は、図らずも顔射だ・・・俺って奴は・・・
ズルズルと背中をドアに擦り付けながら、腰が抜けたようにへたり込む。
疲れ果て、そのままドアに上半身を預けた。
剥き出しのケツに、ひんやりとした床が心地いい。

まだ童貞も捨ててねえってのに、いきなりこの展開とはなぁ。
人生わかんねえもんだぜ・・・
この非常時だというのに、しみじみと感慨にふける俺。
301トラ×パス 薬害編 10:2006/06/29(木) 13:14:25 ID:hyb4pw2E
精液まみれのパステルに、尻ポケットに突っ込んであったくしゃくしゃのハンドタオルを渡してやる。
黙って受け取り、ごしごしと顔を拭くパステル。

「す・・・まねえ」

なんで謝ってるんだ、俺。
目の前にぺたんと座り込み、手のひらで前髪をかきわけて顔をぬぐっていたパステルは、俺の謝罪を聞くと、何か言おうと口を開きかけた。
つと、唇に残っていた白い滴を、ぺろりと出した舌で舐め取る。
なんとも淫靡な、エロい表情で・・・
その表情に、たった今イッたばかりだってのに、またも勃然とこみあげるものを感じる。
こ、これはチャンスって思っていいよな?
限りなく方向性が間違っちゃいるが、こいつが仕掛けてきたわけだしよ。

女として目覚めたばかりの目の前のパステルに、おそるおそる手を伸ばした時。
半分すわっていたはしばみ色の瞳が、いきなりきょとんとした表情を浮かべた。
夢から覚めたように、きょろきょろとあたりを見回すパステル。

「・・・おい?」
「ねぇトラップ、何?この変な匂い」

もしかして。

「なんか髪がくさいよ!どうなってるのぉ?」

薬が、きれちまった・・・か?
しかも、自分のやった、果てしなく重大で強烈なサービスを忘れてねえか?
自分の髪をさわったり湿った襟元を確かめて、きゃーのきゃーの言っていたパステル。
俺を問い詰めようとして向き直ると同時に、視線をある部分に釘付けにした。
・・・痛いほどの視線を感じているのは、今は事の成り行きにしゅんとしおたれている・・・使用済みの俺様自身。

「それ・・・」

そしてパステルは、何かのスイッチが入ったように、顔の色をサーっと白くすると、喉も裂けよと絶叫した。

「きゃああああああああああっ!!!!!!」
「どうしたパステル!」

ドアの外から唐突に悲鳴に答えたのは、必要以上に凛々しい声。
同時に、強烈な勢いで押し開けられたのは、俺のもたれていた扉。

ドガッ!!
「ぎゃあっ」

断末魔の悲鳴をあげながら、開くドアに突き飛ばされる形で前方へすっ飛ぶ。
そして自動的に、目の前にいたパステルを押し倒す形で着地。
絶妙のタイミングで駆け込んできた王子様が見たものは・・・ケツ丸出しでパステルにのしかかる俺の姿・・・だよな・・・
そしてあたりに漂う芳醇な残り香は、男ならまず気づくだろう。
パステルの服装が全く乱れていないというのが、矛盾点ではあるが。

俺は、おびえた瞳のパステルから眼をそらすと、静かに床の上に滑り降りた。
ずり落ちたトランクスとズボンを引き上げながら、心の中で合掌する。

「・・・トラップ」

静かなおだやかな、落ち着いたクレイの声。
その表情が、阿修羅もかくやという憤怒の形相でさえなければ・・・
これから自分の身に降りかかるであろう悲惨な未来。
それは、想像する必要もないほど、簡単に現実のものとなっちまった。
302トラ×パス 薬害編 11:2006/06/29(木) 13:15:07 ID:hyb4pw2E

「ま、全て悪いのはトラップですよね」
「っキットン、てめえが変な薬作るから、こんなことになったんだろうが!!」

思わずつかみかかりそうになるが、確かに否定できない部分もあるので、ぐっとこらえる。

あの後。
クレイが本気モードに突入してソードを抜き放ち、俺は問答無用で刺身にされかかったんだが。
パステルの絶叫で、何事かと部屋にこいつらが集まってきた。
俺に氷点下の視線を向けつつも、マジギレしてるクレイを取り押さえてくれて。
そして俺は今、台所の床にひきすえられている。
ちなみにパステルは、さっきの惨状で軽いパニック状態に陥っていたんだが。
クレイに天使のような微笑と鮮やかな手並みでなだめられ、今は部屋に隔離されている。

とりあえずは親友の手による斬首を回避するため、必死で事情を説明する。
背後で仁王立ちし、抜き身のソードをピタピタと弄ぶクレイにおびえながら。

「もう少しかな・・・あぁ、もうわかりますね。ちょっとお待ちください」

キットンは台所で俺たちを前に、ビーカーと試験管を使って例の薬の成分分析をしていた。
怪しげな遠心分離機だの数値測定器だのを駆使しつつ、パチパチとそろばんを弾いていたかと思うと、おもむろにこちらに向き直る。
この外道な薬剤師に後光が差して見えて、思わず正座してしまう。
いいいや、んなことする必要ねえだろうが、俺。

「確かに、トラップの言う効能はあるようですね・・・女性に対しては」
「だろ?言ったとおりじゃねえか!」

キットンは俺の言葉に、頷きながら続けた。

「そもそもこの薬を男性が服用した場合、薬効成分は前立腺と睾丸の活性化を促しますから、不能が回復します。
 不能でなくても、かなりの性欲増強が見込まれますから・・・」
「いやそれはもういいから」

ソード片手のクレイがぼそっと言った。
その、やたらと荒んだ目つきにびびったキットンは、慌てて話を本筋に戻す。

「ええとその、ですから、女性がこれを服用した場合何も起きないはずだったんです。
 実験はしていませんが、そもそも女性にはない部分への働きかけですからね。
 しかし今回の場合、パステルには変な形で作用してしまいました。
 ということは。
 前立腺と睾丸を持つ男性にはその部分に作用しますが、女性が服用した場合、こうなります」

おごそかにフリップを取り出すキットン。
・・・いつの間に用意しやがったんだ、こいつ。
キットンは、教師よろしくフリップを指し示して説明した。

「薬効成分は、女性の体に存在しない器官を捜して体内を巡り・・・
 最終的に辿り着いた脳内で作用し、精神に影響を及ぼしたと考えられます。
 パステルの場合、精神的に性欲だけが過剰増幅したため、なんらかの形で解放せざるを得なくなった。
 その性欲が、一番簡単に彼女が自己表現できる、文章にするという形で発散されたんでしょうね。
 トラップに行った行為は・・・その文章を昇華させたいがための確認行為でしょう。
 要はダメ押しですよ」
「ダメ押しだぁ!?」

ダラダラ続く長話に半分寝そうになっていた俺は、その言葉で飛び起きる。
なんだかよくわかんねえけど、つまりはだ。
女が使ったら、通常じゃ考えられん方法で性欲発散するってこったろ?
間違って飲んだら危ねえ。危なすぎるじゃねえか!
303トラ×パス 薬害編 12:2006/06/29(木) 13:16:24 ID:hyb4pw2E

激しい剣幕で噛み付く俺に、キットンは冷ややかな眼を向けた。

「商品化する時に、一応注意書きをつける必要はありますが・・・
 ま、普通の女性は、”不能回復”なんて効能の薬は飲みませんからね。
 今回のことは、トラップ、あんたが悪い」

びし!っと太くて短い指を突きつけられた。
聞いていたのかいないのか、黙ったままだったノルもうんうんと頷く。
あのよぉ、こんな時だけ意思表示してくれなくていいっつーの。

「・・・結局、パステルが飲みさえしなきゃ、こんな事にはならなかったんだよな?」

事の成り行きを見守っていたクレイが口を開いた。
こころなしか、ひんやりとした冷気を発しているような気がする・・・

「そうです。すべて悪いのは彼女に飲ませたことですから!」

き、キットンっ!
頼むから、ナントカに刃物状態のクレイを煽んねえでくれ!!

「・・・わかった」

クレイはつぶやくと、キットンを振り返った。

「キットン、パステルに説明してやってくれ。
 あんまり刺激を与えないように、頼むぞ」
「はいはい、お任せください」

揉み手をせんばかりのキットン。
どいつもこいつも、俺の味方はいねえのかよ!?・・・いねえだろうな・・・
そして、俺をちらりと横目で見たクレイ。
そりゃもうとてつもなく冷たく鋭く、俺をざっくり貫かんばかりの視線。

「・・・さて、どうするかな」
「いやあの、クレイ、どうって」

こ、これは何かの間違いに違いねえ。
おれはただ、ほんの少し不埒ないたずらを思いついただけであって・・・
飲んであんなことになるんなら、飲ませなかったぜ!
いや、知ってても飲ませたかもしんねえけど・・・
ってそれは置いといて!!
言いたい言い訳は山のようにあるんだが。
今にもソードを振り上げかねないクレイを目の前にして、蛇に見こまれたカエル状態で、じわりじわりと脂汗をたらすばかりの俺。

公開処刑場と化した台所。
俺は、そそくさと出て行くキットンとノルを眼の端に認めつつ。
真正面からゆっくりと近づいてくるクレイを、何も出来ない生贄のごとく見つめていた。
抜き身のソードがきらりと光る。

明日の朝日を拝むことができるんだろうか・・・
俺は限りなく薄い希望に身をゆだね、静かに眼を閉じた。

304162:2006/06/29(木) 13:17:37 ID:hyb4pw2E
完結です。
エロ部分がちょっと少なめです。
顔射メイン(ぉい)なので、限りなく男性向けでしょうか・・・
305名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 15:11:43 ID:94NCCoZy
イイヨイイヨー
クレイさりげなく鬼だなw
306名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 07:42:35 ID:Uya1HNSL
>>162
連投お疲れ様です。どの作品もクォリティが高くて、キャラがそれぞれらしくて。エロさもまた程良くてハアハアしっ放しでした。

何故かクレマリでは涙が出ましたorz
307名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:35:18 ID:7uCH3Jcc
308名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:38:05 ID:7uCH3Jcc
309名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:41:50 ID:7uCH3Jcc
310名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:42:50 ID:7uCH3Jcc
311名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:53:34 ID:7uCH3Jcc
312名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 18:07:02 ID:7uCH3Jcc
313名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 20:06:06 ID:7uCH3Jcc
314名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 03:37:24 ID:SiDNYeeF
315名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 19:59:31 ID:M/IBszNq
>>162
GJ!!!!!!!一気に読ませてもらいますた!
薬害おもしろかったwクレイ怖いな!!w

コレを原作に漫画化してぇえーとか思ったけど、画力がおいつかねぇや(´・ω・`)
316162:2006/07/03(月) 19:35:44 ID:mdTwULmv
162です。ご拝読&ご感想感謝です。

>>315
もし漫画化できたら、ぜひうpしてくださいね!

以下、今回の御品書きです。
クレパス、ほのぼの系?です。
夏なので、シチュを海にしてみました。
317クレ×パス 海水浴編 1:2006/07/03(月) 19:36:28 ID:mdTwULmv

「うっひょー、ひさびさの海だ!」
「うーん、潮の香りがしますねぇ」

馬車の窓にかじりついて、仲良く外を見ているのはトラップとキットン。
珍しいおでかけのせいかなぁ、珍しく喧嘩してない・・・

「おめぇまさか、あの趣味のわりぃ水着、本気で着る気か?」
「なななんと失礼な!
 黄色と紫のボーダー柄のどこが趣味が悪いんですか!」
「・・・最悪だっての」

・・わけでもなかった。いつもと変わんないや。

「くりぇー見て!これ、ルーミィのうきあ!」
「ルーミィ、うきあじゃなくって、浮き輪だよ」
「うきあぁ?」
「・・・ま、どっちでもいいか」

早くも本領発揮して、引率保護者モードに突入したのはクレイ。
ルーミィは、慣れない手つきで浮き輪を膨らませようとしている。
あの浮き輪、使ってないからってんで、みすず旅館のおかみさんが下さったんだよね。

「貸してごらん」

その手から浮き輪を取ったノルは、一気に息を吹き込んだ。
おぉ、すごいすごい。
さすがノル、一息で浮き輪はパンパンに膨らんじゃった。

「パステルおねーしゃん、どうしたデシか?」

ちょこんとわたしのひざの上に飛び乗ってきたシロちゃん。
その小さな頭をなでてあげる。

「ううん、どうもしないよ。なんか嬉しくって」
「そうデシね。ボクも楽しみデシ!」

そんなわたしたちを乗せた乗合馬車は、軽やかなひづめの音を響かせながら、海沿いの街道を走っていた。
今回はなんと、クエストでもなくおつかいでもないんだよ!
純粋に海水浴に行こう!ということに相成ったのです。
なんて珍しいんだろう。いや、珍しいどころじゃない。
我が貧困パーティじゃ、今まで有り得なかったんだけど。
珍しく懐が多少潤ってるし、シルバーリーブは山間のせいかうだる暑さだし、たまにはね。
318クレ×パス 海水浴編 2:2006/07/03(月) 19:37:29 ID:mdTwULmv

そして馬車を降り立ったのは、ほどよくにぎわった海水浴場。
見渡す限りの白い砂浜に、透明度の高い綺麗な海。
一面の青空に入道雲!これぞ夏!これぞ海!って感じだよねぇ。
逸る競走馬みたいになっちゃった一同は、どやどやと砂浜に進んで陣取った。
手回しよく服の下に水着を着込んでいたクレイとトラップは、もどかしそうに服を脱ぎ捨てると、一直線に海に突進して行っちゃった。
ノルは上半身だけ裸になりズボンを膝までまくると、ルーミィの浮き輪を持って水際へ歩いていった。
きっと、ルーミィと遊んでくれるつもりなんだろうな。
後を追っかけていったのはシロちゃん。
あらら、長い毛が砂まみれ。後で洗ってあげなきゃね。

荷物の整理をしていて出遅れたわたしは、ルーミィを連れて簡易更衣室を探す。
あ、あったあった。
そこから戻ってくるのは・・・前述の、紫と黄色の囚人柄水着のキットン。
しかも女性用のワンピースみたいなのに、半そで半ズボン状態というか・・・なんかものすごく見慣れない格好だよね、それ・・・

「どうですか、パステル?このハイセンスなデザイン!」
「あ、あぁそうだね・・・似合ってるんじゃない・・・かな?」

キットンは、これ以上ないってくらいに微妙なわたしの返事に満足したようで、コキコキと首をならしつつ、さっき立てたパラソルの方へ歩いていった。

今の怪しげな物体はあえて見なかったことにして、まずルーミィを着替えさせる。
うーん、かわいい。安く手に入れた、子供用のビキニがぴったんこ。
そしてわたし、なんだけど。
まずは、いつも後ろでしばっている髪をほどき、高い位置でポニーテールにする。
毛先はあみあげてくるっとまとめた。
ただでさえ髪の多いわたしですからね。
適当なことして濡らしちゃった日にゃ、間違いなくゴーゴン状態。
眼が合った相手を石にしかねないわ。

さーて水着は、っと。
実はリタからのプレゼント。
昔買って、全然着る機会がないからあげる!ともらってはきたんだけども。
猪鹿亭マークの袋から出てきたのは・・・ビキニ、だった。
しかも、黒。はい、超セクシーです。
・・・り、リっタぁぁぁ〜〜〜〜!!
わたし、脱力。
道理で、海水浴場についてから開けろ、ってしつこく言うわけだ。

リタさん。
これを、わたしに、着ろと!?
ていうかあなた、マジでこれを着る気で買ったんですかっ。

文句を言いたいのは山々だが、その相手はここにいない。
代わりの水着も、ない。
ここまで来て泳がないなんて、嫌すぎる。
と、なりますとね。
3段スライド式に自分で自分を追い詰めたわたしは、すごすごと服を脱ぎ、黒ビキニに着替えた。
あぁ、着替えましたともっ。着替えはしたけど・・・
トラップの言い草じゃないけど、出るとこ引っ込んで引っ込むとこ出てるような体型のわたしがビキニなんて、これはもう神に対する冒涜じゃないんだろか。
もうこのまま、ここに穴掘って埋まってしまいたいっ!
319クレ×パス 海水浴編 3:2006/07/03(月) 19:40:56 ID:mdTwULmv

「ねぇねぇぱーるぅ!早くいこぉー」

待ちくたびれたルーミィにぐいぐいと腕を引っ張られる。
・・・仕方ないかあ。もう着ちゃったんだしね・・・。
もはや開き直るしかない。
深呼吸と共にカーテンを開け、まぶしい日差しの中に出る。
ルーミィはそのまま、ノルのいる所へとてとてと走っていってしまった。
わたしが目指すのは、見覚えのある・・・いや別に覚えたくないけど、囚人柄水着男のいるパラソル。

「ぱ、パステル?その格好は・・・」

手に持っていたイカ焼きを落っことしたのは、そのキットン。

「・・・リタからもらったの」
「そ、そうですか。いやぁ、パステルのそんな姿は珍しい。
 うん、大丈夫です。女性に見えますよ、女性に!」

大丈夫って、何がよ?
女性に見えるって力説されても、なんのフォローにもなってませんけど?

ため息と共に彼を残し、浮き輪を抱えると水辺へ向かう。
波打ち際には、ルーミィとシロちゃん相手に、遊んでいたノル。
こっちを向いたかと思うと、びっくりしたように小さな目をくりくりさせた。
うっ・・・無口な人の素直な反応って、嘘がなさそうなだけに、つらい。

「これ、リタからもらったの。やっぱり似合わないかなあ?」
「そんなことない。パステル、似合うと思う」

いつもと変わらず言葉少ななノルは、にっこり笑ってくれた。

「ほんと?ありがとう」

なんだかやさしくフォローされているような気もするけど、この際気にしないでおこう。
小さなスコップで、砂浜に一生懸命穴を掘っているルーミィの傍らに座る。

「しおちゃん、ここに入るんだぉ!」
「ボク、埋められちゃうデシか?」
「え?シロちゃんを埋めちゃだめじゃない・・・って、あぁ」

そっか、首だけ出して砂に埋まってる人を見たんだね。

「でもね、ルーミィ、
 そんなに大きな穴掘ったら、シロちゃんすっぽり入っちゃうよ?」
「そうなのかぁ?」

ノルがさらさらの濡れた砂をかき寄せて、穴を少し埋めてやっていると、背後から遠慮のない声がした。

「おめえら、何してんだよー。泳がねぇのか?」
320クレ×パス 海水浴編 4:2006/07/03(月) 19:43:22 ID:mdTwULmv

振り向くと案の定。
そこにいたのはトラップだった。
オレンジ地に黒の細い縦ストライプの入ったトランクス型の水着。
どこまで行っても派手なのね、この人。
ざばざばと水を蹴散らしながらこっちへ来たトラップは、わたしに目を留めると、目を丸くした。

「うおぉおめぇ、その水着どーしたんだよ?女みてぇだぞ!
 すっげー、ドラム缶体型のはずがまともに見えるじゃん!」

・・・なんかあちこちひっかかるほめ言葉をありがとう。
あのね。わたしは女みたいなんじゃなくて、間違いなく女ですから。
後さあ、さらっと言ってたけど、ドラム缶体型って・・・わたしのこと?
ドラム缶・・・ドラム缶ねぇ・・・あ、そう・・・
いや、この際追求するんじゃない、わたし。
グーで殴りたいのを、ぐっとこらえる。

「ほっといてよ。あれ?クレイは?」
「あいつなら、あそこ」

少し向こうの波間に、たくましい上半身が見える。

「行ってやりゃあいいじゃん。俺、ちょっと休憩する」

濡れた赤毛をしぼりながらトラップは水からあがり、パラソルのほうへ歩いていってしまった。
行ってやりゃあって、わたし泳げないんだけどな。
ま、浮き輪があるからいっか。

「ノル、ちょっと泳いで・・いや、浸かってくるね」
「気をつけて」

シロちゃんを埋めるのに夢中のルーミィはノルに任せ、浮き輪を持つと水間へ踏み込んだ。
わたしの姿を認め、こちらへ歩いてきたクレイ。
濡れた黒髪をかきあげ、オールバックになっている。
文字通り、水も滴るいい男って、やつですか?
さんさんと照らす太陽の下にいると、ほんと、クレイって様になるよね。

この人がわたしの恋人だなんて・・・いまいち、信じがたい現実。
ま、例え恋人と言っても、手のひとつも握ったことないんだけどさ。
そんなことをつらつらと考えながら、波をかきわけて近づく。

「パステル!?その水着は・・・」

うっ、くると思ったよ。そろそろ。
本日何度目かになる、黒ビキニ入手経路について、ご説明。

「リタにもらったのよ。おかしい?やっぱり変?」
「い、いや!そんなことないよ!かわいい!すごく似合ってる!」

顔をほんのり赤くしたクレイは、慌てて否定した。
321クレ×パス 海水浴編 5:2006/07/03(月) 19:44:06 ID:mdTwULmv

「そ、それより泳ごう、パステル」

そのままぷいっとあさっての方向を向くと、ざばあっ!とばかりに飛沫をあげて、水に飛び込んでしまった。
こっちを見ようともしない。
そっか・・・やっぱり似合わないのかも。
恋人にまで眼を背けられてしまうとは、やっぱりこのビキニって国辱もんですか?
・・・
ずずーんと落ち込みつつ眼をやると、クレイは沖に向かって泳ぎだしていた。
あわわ、置いてかれちゃう。

慌てて浮き輪をかぶると、バタ足でクレイの背中を追いかける。
しばらく沖に向かっていたクレイは、途中で進行方向を変えると、海岸線に沿って移動していった。
それがまた結構なスピードなんだよね。
せっせと足を動かしてるんだけど、なかなか追いつけない。
そういえば、クレイって水泳得意って言ってたもんなぁ。
わたしも今後のことを考えると、いずれ教えてもらった方がいいかもしれない。
そんなことをぼーっと考えながら、だんだん離れてくクレイを眺めつつ泳ぐ。

ふと泳いできた方を振り向くと、はるか遠くにパラソルが林立しているのが見えた。
随分遠くまで来たのね・・・クレイ、どこまで泳ぐ気だろう?
実のところわたし、かなり足がだるかったりして。
周りにはもう、人の姿はない。
水中には海草が増え、岬のように海岸から突出した、ごつごつとした岩場が近づいてくる。
一足先に岩場にたどり着いていたクレイ。
岩肌に片手で捕まり、立ち泳ぎをしながら待っていてくれた。

うぅ、やっと陸地に上がれる。
いくら浮き輪とはいえ、疲れるもんは疲れるのだわ。
クレイまであと少しってところで、緊張がゆるんだ瞬間。

「きゃっ」

浮き輪から体が滑り落ちそうになったわたし。
伸ばされたクレイの腕にがしっとつかまれ、引っ張りあげてもらって事なきを得る。
危うく海の藻屑になるところだったよお・・・
クレイの腕の中で、ほっと一息。

「あーびっくりした。ありがと、クレイ」
「・・・いや」

なんだかはっきりしない返事。
目の前にあるのはクレイの胸板なもんで、表情がわからないんだけど。
クレイも疲れてるんだよね、きっと。
とりあえずわたし、水から上がりたいんですけど・・・クレイが腕を離してくれない。
同じ水の中にいるはずなのに、やけに熱いクレイの手。

「クレイ?どうしたの?とりあえずあがろうよ」
「あ・・・そうだな」

やっぱり歯切れの悪い言葉を返しながら、クレイはわたしのウエストに手を回すと、岩の上に押し上げてくれた。
322クレ×パス 海水浴編 6:2006/07/03(月) 19:44:40 ID:mdTwULmv

海面からけっこう高さのあるその岩に、両手両足でしがみつきつつよじ登る。
やっと陸地だわ。陸地ったって、ただの岩なんだけどね。
はー、疲れた。
浮き輪から体を抜くと、ぺたんと座り込む。
太陽の熱であたためられた岩の上にいると、水で冷えた体もじんわりと熱を取り戻してきた。

クレイはわたしが無事上ったのを見届けると、両手を岩についてあっさりと上陸した。
水をポタポタたらしながら、よいしょとわたしの横に座るクレイ。
おでこに張り付いた前髪をかきあげると、虹色の水滴が飛び散る。
わたしなんて、とてもひとりじゃ上がれないというのに、やっぱりファイターだよね。
体のつくりも鍛え方も違うんだろうなぁ。
つい、しげしげと体を眺めてしまう。

健康的に日に焼けた肌。
横から見ると、なおその分厚さがよくわかる胸板。
太くて筋肉の盛り上がった上腕。
見事に割れた腹筋に・・・え?
不自然に盛り上がっているのは・・・腹筋の下の部分。
濃いブルーの水着の、おへそのすぐ下あたり。
それって・・・

固まったわたしに、唐突にクレイが聞いた。
風に濡れた黒髪をなびかせながら、海面に眼をやったまま。

「何見てるの?」
「えっ・・・あの、えっと」

返答に詰まるわたし。
ぎこちなく視線と体をクレイからそらす。

「な、なんでもないっ!
 ・・・あ、クレイ見て見て!これ、フジツボじゃない?」

わたしは、この上なく不自然に会話をつなげながら、クレイに背を向けて岩壁を指差した。
その時。
クレイの大きな手が、背後からわたしを抱き締めた。
思わずびくっと動きがとまる。
いつの間にか、クレイの両手両足に抱きこまれるような姿勢になったわたし。
クレイの両手はわたしの胸の前で交差し、両の二の腕をがっちりと掴んで。
背中に当たるのは、堅い胸の感触。
そして、腰の辺りに感じる、熱くて張り詰めた、なにか。

「ク・・・レイ?」

蚊の鳴くような問いかけ。
耳元によせられたのは、クレイの熱い吐息のようなつぶやき。

「少し泳げばおさまるかと思ったんだけど・・・駄目だ。
 こんなんじゃ、泳ぎにくくて仕方なかった」

熱い唇は、そのまま耳たぶをつたい、首筋をつうっとなぞった。

「・・・ぁんっ」
「反則だよ、パステル。
 こんな色っぽい水着着るなんてさ」
323クレ×パス 海水浴編 7:2006/07/03(月) 19:45:32 ID:mdTwULmv

クレイはわたしを抱きすくめていた腕をほどくと、ビキニの胸元へ手を差し入れてきた。
そのまま、簡単に胸をつかみ出されてしまう。

「やっ・・・そんなぁ・・・」
「大丈夫。ここなら誰も来ないし、あっちからも見えない」

クレイはわたしの胸に柔らかく触れながら、顎をしゃくった。
その方向には確かに、まばらな点にしか見えないパラソルたち。
で、でもねでもねっ。

「でも、こんなところでなんて・・・っ」
「おれさ、さっきパステルの格好見たときから、相当やばかったんだぜ?
 もう・・・我慢できないよ」

ごつくて筋張った指が、わたしのからだを這い回る。
夏の日差しに一度は乾きかけた肌が、またしっとりと水気を帯びる。
わたしの汗なのか、クレイの汗なのか。
この、脚の間から染み出る潤いはなんなんだろう。

水着からこぼれたわたしの胸。
うなじにくちづけながら、クレイは大きな手で感触を確かめるように揉みしだく。
残る片手が、脚の間に伸びてきた。

「・・・っ」

ふいの刺激に脚をぎゅっと閉じたのに、強引な腕に開かされる。
水着の上からその部分を撫ぜるクレイ。
そのまま彼の指は、水着の隙間を割り込むように入って来ると、わたしの中心に触れた。

「あぁ・・・んっ」
「パステル・・・もうびしょびしょだよ?」

クレイの言葉に頬にかっと血が上る。

「・・・すごくかわいい」

喉にからんだような、クレイの囁き。
染まった頬にそっとキスされる。
わたしの前に広がるのは、ただひらすらに青い海原。
誰も見ている人はいないんだけど、大きく開かされた脚がとてつもない恥ずかしい。
はじめはゆっくりと襞をなぞっていたクレイの指は、ぐちゃぐちゃと卑猥な音をたてながら、わたしのそこを攻め立てる。

「・・・はぁ・・・ぁう・・・ん」
「気持ち・・・いい?」

膝に力が入らない。
とろりとしたものがあふれ出し、お尻を伝って岩に染みていくのがわかる。
クレイはその液体を塗りつけるようにしながら、先端の突起を弄くった。
背中まで突き抜けるような快感が走り、のけぞる喉元に、クレイの唇が吸い付く。
伸ばされた腕は、わたしの水着をゆっくりと脱がせた。
324クレ×パス 海水浴編 8:2006/07/03(月) 19:47:56 ID:mdTwULmv

お尻にごつごつした岩があたって、少し痛い。
大きく開いた脚をクレイに抱えられ、ひょいと持ち上げられる。
子供におしっこをさせるような姿勢にさせられたわたし。
あまりの恥ずかしさに身をよじると、低い声に甘く制される。

「じっとしてて」

そのまま胡坐をかいたクレイの上に、ゆっくりとおろされて。
硬く空に向かって立ち上がったクレイのものは、その部分を割り込むように、わたしを貫いた。
ずぶ、ぬぷっ、といういやらしい音と共に。

「・・やっ・・・あぁっ!」

脚の間にずくん、と鼓動と鈍痛が走り、異様に熱をもっているのがわかる。
クレイはわたしの髪に顔を埋め、荒い息をこぼしながら腰を動かした。

「・・・パステル・・・っ」

片方の足首にひっかかっているビキニ。
クレイの腰の動きに合わせ、頼りなくゆれている。

「・・・ぁっ・・んっ・・クレイ、クレイぃ・・・っ」

お腹の奥のほうでなにかが蠢いている感じ。
はじめは痛みしかなかったのに、擦れてなめらかになるにつれ、ぬめりがじわじわと快感を連れてきた。

恥ずかしい。
でも、あなたの顔が見たい。
後ろから抱きしめられたまま、背後のクレイを振り仰ぐ。
視線がからんだ時、熱いキスが降ってくる。
むさぼるように唇が深くもつれあい、クレイの声が甘く響いた。

「パステル、好きだよ」

唇から唇へ直につたわる、わたしの耳にだけ届けばいい、というほどの微かな囁き。
そしてわたしは、体の中で、なにかが爆発するような感触を受け止めた。

じりじりと焦がす太陽。
強い日差しに焼かれて、岩の上に濃い影をおとす。
ふたりでひとつの影になったわたしたちの上を、ゆっくりと動いていく。

わたしはクレイとかたく唇をあわせたまま、両手を彼の首に絡めた。
甘くて熱くて、このまま溶けてしまいそうなくちづけ。

寄せては返す波。
岩にあたっては細かく砕ける飛沫。

はるか向こうに、水平線が淡く霞んでいる。
325162:2006/07/03(月) 19:54:57 ID:mdTwULmv
完結です。
次回は、アルパスものを検討中です。
326名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 21:43:04 ID:1MMJT0GI
毎度ながら超GJネ。
327名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 23:23:31 ID:n1sgi0q3
GJ過ぎて何て言えばいいのか…
クレパスモエス
エロかわいいパステルがたまらん
328名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 00:26:53 ID:VVqyjhCx
うわーっ、GJGJGJ!!!
クレイもパステルもいい感じです。
329名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 07:11:17 ID:3REbkOmU
カプの中心キャラだけじゃなくサブがしっかりFQしててなごんだ
そしてエロはエロい。。。。。
なんつーか、あなた物言わず作品だけ投下する職人のレベルになってるよ
330名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 10:04:38 ID:XDUnoIPs
>>162
クレパスGJです。
トラパスの薬害編のクレイもある意味相当勇ましかったんですが、普段理性的なキャラが強引で男らしいといいですね。
パステルも純情なのにエロ可愛くてたまらないです。

アルパス大好物ゆえに期待しています。
331162:2006/07/05(水) 19:58:01 ID:96plho1P
こんばんは、162です。
いつもご拝読ありがとうございます。

以下、今回の御品書きです。
カプはアルテア×パステルで、以前書いた、馬上ものwの後日談です。
332アル×パス 再開編 1:2006/07/05(水) 19:58:34 ID:96plho1P


青空に、高らかなラッパの音色が鳴り響く。

ロンザ騎士団の紋章が縫い取られた、あざやかな団旗を掲げた旗手。
その旗手馬を先頭に、規則正しい歩みで整然と進む騎馬の列。
鈍く輝く蹄鉄が、街道に敷き詰められた石畳に硬質な音をたてる。
凝った装飾の鞍に跨っているのは、背筋をぴんと伸ばした、精悍な騎士たち。

その大勢の騎士の中でも、ひときわ目を引く2人がいた。
ひとりは穏やかでやさしげなイムサイ。
もうひとりは、皮肉っぽくて、短い髪の・・・アルテア。
凛々しい顔立ち、すらりとした体には近衛兵の位を示す美しい装飾のアーマーをまとい、細身のロングソードを腰に差している。
本当にもう、ためいきが出そうなほどかっこいい。
騎士団って、基本的に素敵な人が多いけど、やっぱりあの2人は群を抜いてると思う。
その証拠に、イムサイとアルテアが群集に近づいてくると、女の子たちの黄色い声が格段に大きくなったし。
そういえばあの女の子たちって、クレイとトラップの親衛隊じゃなかったっけ・・・

モンスター討伐に派遣されていたロンザ騎士団が、その任務を終え、シルバーリーブ傍の街道を通るというのは、つい昨日聞いた情報。
こんな田舎でも、ロンザ騎士団といえば雲の上のアイドルなんだよね。
普段は眼にする機会のない彼等だから、ひとめだけでも見たいのが人情。
通過予定時刻の随分前から、街道沿いにわんさと人が集まってきてたんだ。

ちなみに、わがパーティの面々は、ここには来ていない。
なぜかと言うと、騎士団はシルバーリーブに立ち寄るんじゃなくて通り過ぎるだけだし、そもそもドーマで会う機会は何度もあったから。
ま、それはおっしゃる通りなんですけど・・・
わたしはそんな皆の意見に、一応うんうんと頷いておいて。
その実、ひとりでこっそりとみすず旅館を抜け出してきた。

十重二十重状態になった人垣から少し後ろで、ゆっくりと通り過ぎていく騎士団を見つめる。
正しくは、騎士団の中の、ただひとりを。

やっと会えた・・・ううん、やっと顔が見られたのに。
わたしはあの人に近づくこともできない。
わたしとあの人を隔てる、見えない壁。
こんなにも、こんなにも遠いんだね。
333アル×パス 再開編 2:2006/07/05(水) 19:59:16 ID:96plho1P

あーあ。行くんじゃなかったなぁ・・・

帰ってからというもの、何を食べたか何を話したか、なんだかよく覚えてない。
ぼおっとしたまま時間が過ぎて。
気がつくと、電気を消した部屋で、パジャマ姿で椅子に腰かけたわたし。
ちゃんとお風呂に入って、寝る準備をした自分がいるんだよね。
考え事をしてても、体は機械的にちゃんと動いてるみたい。

傍らのベッドには、小さな寝息をたてるルーミィとシロちゃん。
椅子を立って布団をかけ直してあげると、自分のベッドに入る。
寝よ寝よ、考えたって仕方ないもん。
強制的に眼をつぶるけど、安らかな眠りは訪れそうにない。
ぐるぐると脳裏をよぎるのは、今日のロンザ騎士団の行進。
アルテアのクールな眼差しと陽光を受けて輝いていたフルアーマーが、考えまいとすればするほど、まぶたの裏に鮮やかに浮き上がる。
ため息をつきながら眼を開けると、暗闇に浮かび上がる天井が視界に入った。
あーあ、こんなんじゃ寝られそうにないなあ・・・
原稿でも書こうかな。でも、こういう時って絶対ペンが進まないし・・・

カタン

窓の方で音がした。
猫かな?ここ2階だし。
あまり気に留めずに寝返りを打つと、また物音。
続いて、コンコン、という窓ガラスを叩くような音。
有り得ない展開に、ぎょっとして跳ね起きる。
掛け布団を抱きしめ、パニックしかけた頭で、しばし逡巡。

な何?まさか泥棒でも?
いやでも、このボロ・・・失礼、リーズナブルな旅館に、すき好んで忍び込む泥棒がいるとも思えないんですが・・・
そもそも、ノックして入る泥棒ってのも聞いたことがない。
そおっと掛け布団をはぐ。
かなり腰が引けた状態ではあるんだけど、恐る恐る窓に近づく。
窓の外には、割と明るい月が出ているらしい。

窓ガラスの向こう、月明かりに照らされていたのは。
たった今、わたしのまぶたの裏に浮かんでいた・・・アルテア、その人だった。
ニヤっと笑って、片手をあげる。

「なっ・・・」

大声をあげそうになったわたしは、焦って自分で自分の口をふさぐ。
なんで?なんでここにあなたがいるの?
夢じゃないよね?
有り得ない。
わたし、アルテアのこと考えすぎて、幻覚でも見てるんだろか。
334アル×パス 再開編 3:2006/07/05(水) 19:59:50 ID:96plho1P

飛び交う疑問に立ち尽くし、しばし呆然。
アルテアの口が「あけて」という形に動いた。
ガラスの向こう側から、鍵を指差している。
・・・どうやら夢でも幻覚でもないみたい。
慌てて窓の鍵を外し、開け放つと、アルテアは軽やかに窓の桟を乗り越え、足音もたてずに床に降り立った。
そして。

「来ちゃったよ」

澄んだ眼差しで真っ直ぐわたしを見据え、花がほころぶように笑った。
今、一番見たかった笑顔。
今、一番聞きたかった声。

「・・・アルテア・・・どうして?」

聞きたいことは山のようにあるのに、胸がいっぱいで言葉にならない。
アルテアはそんなわたしを見て、しいっと唇に指を当てた。
その指を、そのままわたしの背後のルーミィに向けて、小さな声で尋ねた。

「空き部屋あるだろ?どこ?」

空き部屋?そりゃこの旅館は空きだらけですけど・・・
状況がまったくつかみきれないまま、こちらも小声で答える。

「や、屋根裏部屋が」
「よし」

アルテアはわたしの言葉に、音をたてないようゆっくりとドアを開けた。
人差し指で、ちょいちょい、とわたしを呼ぶ。
混乱する頭のまま、ルーミィがよく寝ているのを確認して後に続き、廊下できょろきょろと左右を見渡したアルテアの袖を引っ張り、方向を指し示す。
頷いたアルテアは、ブーツの足をしのばせながら、上へと続く階段を上った。

上りきるとそこは、小さな屋根裏部屋。
天窓から淡い月光が差し込んでいた。
扉を静かに閉めると同時に、逞しい腕にぐいと引き寄せられて。

「ひゃ・・・っ」
「やっと会えたね、パステル」

ぎゅぎゅぎゅーーーっとばかりに、思い切り抱きしめられた。
ひゃああ。硬い胸にほっぺたを押し付けられて、心臓が口から飛びだしそう。
そのままの姿勢で、アルテアはあっけらかんと言った。
胸から直接響いてくる、高めのバリトン。

「今日、ちゃんと馬上から見てたんだぜ?パステルのこと」
「ほ・・・本当に?」
「ほんとほんと」

アルテアは、軽くわたしの腕を掴んだ。
自分の体からふいと離すと、身を屈めてわたしの眼を覗き込む。
いたずらっ子みたいに、キラキラ輝く瞳が問いかける。

「会いたかった?」

うっと詰まって、おずおずと首を縦に振るわたし。
アルテアは嬉しそうな表情で額に軽くキスすると、わたしを壁際に促した。
頭上に月光の差し込む天窓を見上げながら、並んでぺたりと座り込む。
335アル×パス 再開編 4:2006/07/05(水) 20:00:34 ID:96plho1P

「無理して来てよかったよ」
「無理?」

小首をかしげるわたし。

「無理も無理。いや、無茶かな。
 宿営地から、ダッシュで抜け出してきたんだぜ?
 バレたらまずいっちゃまずいけど・・・ま、隠密行動は得意なもんでね」

パチンとウインクしてみせるアルテア。
だからって、なんでこんな時間に、しかも窓から・・・
彼はわたしの困惑と動揺を見透かしたように、悪びれず答えた。

「脱走するタイミングを計ってたら、すっかり遅くなっちゃってね。
 さすがにもう、正面玄関からお邪魔できる時間じゃないだろ?
 それに2階ったって、こんな高さじゃすぐ上れちゃうさ。
 パステル、ちゃんと鍵かけとかなきゃ駄目だよ?」

・・・たった今、窓から侵入してきた人の言葉とも思えないんですけど。
コメントに詰まったわたしを見て、アルテアは陽気に笑い、つと真面目な表情になった。

「っと、んな話してる場合じゃない。
 あんまり時間ないんだよなあ・・・今回も」

今回も、って・・・
あの時のことを思い出して、ぽん!と赤くなるわたし。
前回の15分も、相当にスリリングな15分間だったけど・・・ね。

「宿営地から片道1時間かかったんだから・・・
 くそ、猶予は1時間しかない」

アルテアは、ブツブツ文句を言いながら、後頭部をガシガシかいた。

「ちっくしょー。
 なんで俺がパステルに会おうとすると、毎度毎度、こんな短期決戦になっちまうんだか」

すねたような瞳に、とがらせた唇。
ふふ、かーわいい。
アルテアのこんな表情、初めて見たよぉ。
わたしが含み笑いするのを、横目でちらりと見た彼は、いつもの皮肉げな表情に戻った。

「なーに笑ってるんだよ」

アルテアは肩をそびやかしたかと思うと、突然もたれていた壁から身を起こした。
こちらに向き直り、腕でわたしを囲うように壁にどん!と手を突く。

「きゃっ」
「短時間のほうが密度が濃くていいとか?ん?」
「そ、そんなわけじゃ・・・」

アルテアの端整な顔が近づいてきて、思わず眼をつぶる。
わたしの顔の直前で気配は逸れ、ふわっと耳元にキスされた。
羽根がかすめたようなくすぐったさ。
336アル×パス 再開編 5:2006/07/05(水) 20:01:07 ID:96plho1P

「んっ」

大きな両手でわたしの両頬をはさみ、形のいい唇をよせてくる。
柔らかく触れたキスは、一旦離れてまた触れ、それを繰り返すたびに、少しずつ熱い舌が奥へ入り込む。
キスとキスの合間に、水面で息継ぎをするように呼吸する。
それにつれて、わたしの息遣いがだんだんと乱れてくるのがわかった。
首筋から胸元へ降りてきた舌は、いつの間にかボタンを外されたパジャマをかきわけ、下着を着けていない胸を直接這い回る。
舌と指の繊細な動きに、思わず声がもれてしまう。

「・・・ぁん・・・」
「パステル、相変わらず可愛いよな」

ひとりごとのようにアルテアがつぶやいた。
優しくて柔らかい愛撫に、体の奥がじわっと疼く。
なのに、いつまでも彼の手は下に下りようとしてくれない。
そんなわたしの気持ちを知ってか知らずかの、意地悪な笑顔。

「どうしたんだい?」
「・・・ずるい・・・っ」
「そんな、せがむような眼しちゃって・・・たまんないね」

甘やかな表情をにじませながら、そっと身を引いたアルテア。
彼は片手にわたしを抱きかかえると、もう片方の手でパジャマのズボンと下着をするりと脱がせた。
は、恥ずかしいよぉ・・・
パジャマの上着を必死に引っ張り、できるだけ下半身を隠そうと努めるけど、その手はあっさり止められてしまう。
アルテアは、壁に背中を預けたままでいるわたしの目の前に、静かに体をすべらせた。
両膝の裏にすいと差し込まれた腕は、そのままわたしの膝をまげさせ、大きく開かせる。

「や・・・」

逞しい腕はがっちりとわたしの脚をつかんでいて。
抵抗しても、無駄。
何も覆うすべのなくなったわたしのその部分は、アルテアの前にさらけ出されてしまった。

「可愛いよ、パステル。
 そんなに伝わせて・・・欲しいのは、これだろ?」

骨ばってごつい指が、大きく開かされたわたしのその部分に差し込まれる。
ぬるりとすべる指が生み出す快感に、思わず口からこぼれる喘ぎ。

「ぁあ・・・んっ」

アルテアはふいに指を抜いた。
脚の間から彼の指に引いたのは、ねっとりとした透明な糸。
その濡れた指をぺろりと舐め取る。

「約束したよな?もっとよくしてあげる・・・って」

え?と問い返す間もなく、今までに感じたことのない感触が走った。
わたしのそこに、顔を埋めているアルテア。
ぴちゃぴちゃといやらしい音をたてながら、舌先でその部分を舐めまわす。

「やぁ・・・そ、んなところ・・・っ」
「あれ、嫌なの?
 ここはそんなこと言ってないけどなあ?」

アルテアの言葉通り、わたしのそこはしたたるほどの滴を浮かべて、彼の愛撫を欲しがっていた。
舌を深く差し入れられ、襞の隙間をかきまわされる。
337アル×パス 再開編 6:2006/07/05(水) 20:01:40 ID:96plho1P

「甘いね・・・パステルのここ」

唇をその部分に押し付けたままでつぶやかれ、アルテアの熱い息と声に伴う振動が直接響く。
アルテアはぷっくりと膨れた襞を押し分け、先端の一番敏感な部分を舌で突いた。

「ゃぁあんっ」
「気持ちいい?じゃ、もっと」

言葉と共に、さっき一度は抜かれた指が、ぬぷっと押し込まれる。
中をまさぐる指と、むさぼるように突起を吸い上げる唇に、もう、気が変になりそう。
快感はわたしを逃すことなく、そのまま遠慮なく押し寄せてきた。

「ぁん、や、あぁ・・・はぁ・・・」

全身の血がそこに集まりかかった時、アルテアの指と舌が突然動きを止めた。
一度のぼった階段はもう降りられない。
逃れる場所を求めて、快感が体の中を渦巻いている感じ。
どうして・・・やめちゃうの?
言葉にならないわたしの問いかけに、アルテアは例えようがないほどに、艶っぽい瞳で微笑んだ。
人差し指で、わたしの顎をくいと持ち上げて。

「今日は、ちゃんと俺でイかせてあげる」

カチャカチャと外されるベルト。
ファスナーをおろす金属音。
伸ばされた腕に軽々とすくい上げられ、そっと床の上に横たえられる。
そして、アルテアのそれは、ゆっくりとわたしの中に入ってきた。
体の深部を、なにか引きちぎられるような感触がかすめた。
かと思うと、その痛みを庇うように、この上なく密やかに動かされるアルテア自身。

「・・やぁ・・・んっ・・・ぁうっ・・・」

痛みと快感を交互に味わわされて、なすがまま。
その奔流に流されそうで、しがみつくものを求めて指が泳ぐ。
アルテアはその指を掴んで軽く唇をつけると、わたしの体を強く抱きこんだ。
徐々に勢いを増し、リズミカルに動く引き締まった腰。
わざとわたしの一番敏感なところに、自分自身を擦りつけるように動かす。

「あぁ・・も・・駄目・・・だよぉ・・・」

目元に薄く涙がにじむ。
その涙が頬を伝う前に吸い取ったのは、アルテアの熱い唇。
吐息と喘ぎの混じった声が囁いた。

「パステル。俺を・・・呼んで」
「アル・・・テア・・・アルテアぁっ・・・やぁぁんっ・・・!」

わたしは愛しい人の名を呼びながら、突き抜けるような快感に溺れた。
力の入らない腕で、必死にアルテアの体にしがみつく。
きーんと耳鳴りのしている耳には、何も聞こえないんだけど。
でも、目の前のアルテアの唇は、確かに「アイシテル」と動いた気がした。

338アル×パス 再開編 7:2006/07/05(水) 20:02:50 ID:96plho1P


薄目のシャツを通して伝わる、アルテアの体温。
わたしは、もう帰り支度をすませたアルテアに、ずっと抱きしめられていた。
髪をなでられながら。まぶたにくちづけられながら。

「ずっとこうしてたいよなあ・・・無理だけど」
「・・・うん」

甘い言葉に、こくんと頷いて、上目遣いにアルテアの顔を見上げる。
笑顔の中にどこか寂しそうな色を見てとってしまい、なんだか泣きそうになってしまったわたし。
ええと・・・
勇気を出してうんと背伸びすると、頬にキスをする。
眼を丸くしたアルテア。
月光を反射した明るい鳶色の瞳が、嬉しそうに輝く。

「初めてだなー、パステルからしてくれたの。
 うん、嬉しい。すっごく嬉しい!」

さらに腕に力をこめて、ぎゅーっと抱きしめられる。
く、苦しいよぉ。
でも、そこから伝わってくる気持ちがたまらなく嬉しい。

そして。
腕をふっとゆるめたアルテアは、苦笑しながら小さくつぶやいた。

「・・・タイムアップ。もう、行かなきゃ」

この人はいつも、風のようにやって来て、また去っていってしまうんだよね。
まだ、熱さの残るくちびるを噛み締める。
見上げたアルテアの、少し切なげな顔。

その向こうの天窓には、上弦の月が浮かんでいた。
339162:2006/07/05(水) 20:06:44 ID:96plho1P
完結です。
なお、次回は軽めのトラパスを考えています。
他カプのリク等ありましたら、よろしくお願いします。
340名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 21:36:49 ID:h84ItZZb
↑GJ。もうおまいは俺と結婚するべきだよ。
341名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 23:37:09 ID:uwxE2ZCW
ネ申!
いやいや、ワタクシと結婚して下さいまし。
すごいなー、どのカップリング読んでも面白いしエロイし。
次も楽しみにしてます。
342名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 01:24:29 ID:UNohwzaz
じゃあ俺漏れも!ケコーンしようぜ>>162
クレパスとアルパスがエロンエロンで萌えた。乙!

えろんえろんならどのカプでも喜んで食うよ(*´Д`)
343名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 10:07:31 ID:bTPH6MCx
>>162
じゃあ自分は162様に嫁ぎ逃したので、肩でも揉みにいきます。
それはさておき。

アルパスGJ過ぎます。大好物なのもあるんですが、いっつも爽やかな人が見せる寂しさとかエロ以外の見せ方の巧みさがまた素晴らしいです。
肝心のエロも熱っぽくて素敵です。しつこくないのにきっちりエロスで……。

本当にGJです。
344162:2006/07/08(土) 17:45:48 ID:T9p5zU4o
なななんか知らないうちに求婚されてるし。
おたおた。勿体無くてどなたかなんて選べませんorz

ええと、気を取り直してw
以下、今回の御品書きです。
軽めのトラパスです。
345トラ×パス 熱帯夜編 1:2006/07/08(土) 17:47:58 ID:T9p5zU4o
あっちーなー・・・
俺は、みすず旅館の台所で、椅子に体半分ずっこけた状態で座っていた。
これを座ってると表現して良ければ、の話だが。

窓の外は月も出てない、どんよりとした闇。
無闇と蒸し暑く、まさに熱帯夜と呼ぶのがふさわしい。
こんなんじゃ、落ち着いて寝ることもできやしねえ。

シルバーリーブの夏は、暑い。
砂漠に近いせいか、山間部にあるせいか、はたまたただの異常気象なのか知んねえけど。
日中は、真夏日なんつー言葉すら生ぬるい。
陽炎が立ちのぼるほどの陽気、いや熱気で、脳みそが沸騰しそうな気温になってやがった。

うだった頭に、そのへんに転がっていた団扇でパタパタと風を送る。
クレイがバイト先から持って帰ったらしいそれには、”サマーバーゲン!アーマー格安大放出!!”なぞと印刷されている。
いくら格安でもあいつにゃ、渋茶色に燦然と輝く、竹アーマープラス1があるもんなぁ・・・気の毒に・・・
団扇を置き、オレンジ色のタオルで汗を拭く。
しかしまー、ぬぐう端から吹き出しやがる、この大量発汗はなんとかならねえのか。
2階の男部屋ときたら、風は通らねえわ熱はこもるわで、サウナも真っ青の灼熱地獄なんだよな。
あの部屋にいちゃあ、盗賊のミイラが出来上がるのも時間の問題だっつーの。

しかし、涼みに降りてきて、もう結構な時間になる。
明日もバイトだしな・・・ちったぁ寝ねえと、さすがの俺ももたん。
しゃあねえな、寝るか。
そよとも吹かない風に見切りをつけ、せめて体内を冷やそうと冷蔵庫を開ける。
えーと・・・残念、ビールはねえ。その代わり、ワインを1瓶発見する。
ボトルごと取り出して、栓を開けるとラッパ飲み。
ぷは、さすがは安物。
アルコール度ばっかやたら高いのに、なんともはっきりしねえ味だな。
まあ贅沢は言うまい。
これで少しは安らかに眠れることを期待しつつ、俺は階段を上がった。

昼間の熱気を存分に溜め込んだ男部屋。
扉を開けると、廊下に吐き出されるむっとする空気。
うっへー、やっぱ相当にあちいな。
部屋に誰もいないのをいいことに、ドアを全開にしてベッドに転がる。
実はこのくそ暑いシーズンに限り、ありがたいことに、全員個室にさせてもらっている。
この狭さに野郎3人が密集状態で寝るなんざ拷問だっつーの。
明くる朝にゃ、茹った死体が転がってても、なんら不思議はねえからよ。
本来なら値上げされるとこだが、そこはマダムキラークレイの出番ってことで。
奴を前面に押し立て、穏便におかみさんの恩情を勝ち取ったのは、我ながらナイスな作戦だった。
346トラ×パス 熱帯夜編 2:2006/07/08(土) 17:49:07 ID:T9p5zU4o

愚にも付かんことをダラダラと考えながら、右に左に寝返りをうっていると、どこかの部屋のドアが開き、階段を下りていく足音が聞こえた。
誰か知らんが、まー、今夜は皆寝れねえだろうな。
ノルを除く全員が、くそ暑い2階に寝てるわけだから、台所を避難所にしたくなる気持ちもわかるぜ。
あそこは窓が2方向にあるせいか、ちったぁましな気温が保たれてっからよ。

そのうち、アルコールのおかげかようやく薄っすらと眠気が訪れてくれ、これ幸いと睡眠モードに入ろうと努める。
先ほどの台所避難者が階段をあがってくるようだ。
その足音を意識の端っこで聞きながら、眠りにおちかかっていた俺だが。

唐突に、突然ベッドに転がり込んできた、熱くて柔らかいものに現実に引き戻される。
眼を擦りつつ、貼りつきかかったまぶたをひっぺがすと、そこにいたのは。

「あぁ?・・・なんなんだよ、一体・・・」

パステルだった。
せっかくの眠気もすっとび、一気に目覚めちまった俺。

「・・・あれ?トラップ・・・なんでここにいるのぉ?」

半分閉じかかった、とろんとした眼でパステルが聞いた。

「それはこっちのセリフだ!部屋間違えてんじゃねーよ!」
「ふーん・・・あついぃーー・・・暑いよぉぉ・・・」

正当極まりないはずの俺の反論を聞き流し、うわごとのようにつぶやくパステル。
そのままぺたりとひっついてくる。

「ぱ、パステル!おめえがくっつくから余計にあちいんだよ!」
「トラップ・・・冷たくて気持ちいいねー・・・」

冷てえだと?・・・あぁ、なるほどな。
確かに俺は死ぬほど汗かいてっから、皮膚の表面は熱を放出してひんやりしてんだろうよ。
って納得してる場合じゃねえし!

「おめえが涼しくても俺は暑いっての。離れろ!こら!」
「やだー」

気持ちよさそうにパステルは微笑んだ。
じんわりと熱をもった肌を俺にくっつけ、暑苦しいことこの上ない。

・・・なんか、こいつおかしくね?
頭のネジ緩んでるっつーか、暑さのあまり変になったか?
疑問が頭に浮かぶと同時に、その原因がわかる。
・・・こいつ、酒くせえ・・・
もしかして、さっきの俺の飲み残しを飲んじまったのかよ?
くそ、グラスに移して冷蔵庫に入れたのが失敗だった。
普段しもしねえことをした俺が悪かったよ!
あれじゃ、見た目はただのジュースだよな、確かに・・・
激しく慙愧の念にとらわれている俺をよそに、軽い寝息をたて始めたパステル。
くそ、このバカのせいで、ただでさえ暑いってのにますます・・・
347トラ×パス 熱帯夜編 3:2006/07/08(土) 17:50:05 ID:T9p5zU4o

イラつきながらパステルに眼をやった俺は、今更ながら動揺した。
パステルがパジャマがわりに着ているのは、下着と言ってもさしつかえない程薄い、キャミソール。
しかも、よりによってノーブラでいやがんだよ、こいつは。
なんてぇ無防備な・・・
俺だってなぁ、健全でまっとうな性欲を持った、立派な男だぞ?いちお。
・・・一体どうしたもんか。

ため息をつく俺の視界には、横向きに寝ているパステル。
胸元はよじれ、レース部分から覗く谷間。
ささやかな胸ではあるが・・・いや中身を見たことはねえんだが!
意外に深い谷間が形成されていることに、密かに驚く。
どく、と今頃になって跳ねる心臓をなだめつつ、そおっと腕を持ち上げると、人差し指をその谷間に差し込んでみる。
汗のういた肌はしっとりして、吸い付くようなもち肌。
ふくらみを軽く押すようにすると、むにゅ、と指が埋まる。
うおぉぉ・・・さ、さわっちまった。さわってるぞ、俺ぇぇ!
興奮のあまり手がつりそうになる。
ま、まじい。
静かに静かに引き抜いた指をそのままの形で天に向け、声をあげずに悶え狂う。
はー、はー、俺って今、相っ当に怪しい人だよな・・・
荒い息をこらえて、目の前の女に、再度血走った視線を向ける。
今、触ったせいなのかなんなのか、胸の先端がつんと尖って、キャミソールの薄い布を押し上げていた。
こ、これはっ・・・

一旦引っ込めた指を、再度パステルの胸に伸ばす。
ふれるかふれないかの微妙なタッチで、布の上から乳首をかすめる。
ひとたび触っちまうと、段々大胆になるのが人間ってもんだよな。
俺はそんな自分を他人事のように眺めつつ、柔らかいふくらみと先端を撫で回した。
くっそ、見てえ、脱がしてえ、舐めてみてえっ!!
なんでこのベッドはこんなに狭いんだ、畜生め!
激しく方向性の間違った身も蓋もない怒りを、己の寝ているシングルベッドに向ける俺。

暴走しつつある欲情は、そろそろ自分でも止めようがなくなりつつあった。
舐めるような視線を、俺にほとんど密着している下半身に送る。
パステルが履いているのは緩めの短パン。
だが、夏用なのか安もんなのか、それは格段に短く薄く、にょっきり出ているふとももが視界に入る。
白く細めで、冒険者という職業柄、たるんだりはしてねえ締まった脚。
ま、んなものはいつも見慣れてる。
基本的にいつでもミニスカートなぞ履いてやがるからな。こいつは。

今はそっちじゃねえ。
大事なのは・・・何が大事なんだ?俺。
いいいや、今の焦点は、その上だ。
パステルが走ったりこけたりするたびに、チラチラ見え隠れするスカートの中身。
今、その部分のガードは限りなく緩み、へそを半分のぞかせた状態で俺に手招きしている。
いや、こいつ的に手招きしてる気は毛頭ねえんだろうが・・・そんなことを言ったら苦情と張り手が飛んできそうだ。
348トラ×パス 熱帯夜編 4:2006/07/08(土) 17:51:05 ID:T9p5zU4o

あくまで冷静さを装うかのごとく、自分自身にツッコミを入れつつも、パステルの眠りの深さを確かめる。
よし。
細心の注意を払って、手を短パンの中へするりと滑らせた。
こ、こっそりやろうとすればするほど、異様な程に興奮するのはなぜなんだか。
第一関門、短パンの緩めのゴムをゆっくりとくぐる。
その先には第二関門、パンツのゴムが行く手を阻んでいやがる。
しかしだ。
俺の指は盗賊仕込み、こんなことで根を上げるほど柔じゃねえ!
限りなく使用用途を勘違いしている気もするが、俺の職人技を備えた指は、爪先でゴムをくいと持ち上げると、何の苦もなくその中へ潜り込んだ。

最初に指先が触れたのは、もそもそとした感触。
細くて少しうねったような毛が密集しているのがわかる。
その部分を軽く撫でさすりつつ、さらに下へと指を押し進めた。

毛の先にあったのは、裂け目のような・・・あんだこりゃ。
言うなれば、唇を縦にしたような・・・
うーむ、見えねえ以上、ようわからん。
その裂け目に指をするっと進ませてみると、指の腹にひっかかるのは、柔らかい突起物。
指先で触れつつ、行きつ戻りつしてこねくりまわす。

「ん・・・」

ね、寝息だよな?おい、寝てんだろ?パステル。
・・・返事をされても怖いもんがあるが。

ビビりながらも、手は抜かず愛撫を続ける。
なんか指がぬる、と滑るようになってきたような気がすんだけど・・・
こいつ、寝ちゃあいるが、いちお感じてはいるわけだよな?これは。
意味もなく息を止めると、突起から裂け目に沿って、おそるおそる指を押し込んでみる。

・・・お、なんかきついっちゃきついが、入る入る。
ぅおぉー・・・指が吸い込まれるような、ねっとりとした吸引力。
ここに・・・俺のナニを・・・入れるわけだよな?
って、お邪魔するお許しも何も頂いちゃいねえんだけど・・・
いやあのその・・・もう無理だ。
もうこの状況下で、入れるなっつー方が難しい。

えーっと。狭いベッドではあるが、向きを変えりゃなんとか・・・
何かに急き立てられるように体勢を変え、パステルの体をまたぐ。
俺の下には、ほんのりと頬を染めたパステル。
この状況下でもおとなしく寝てくれてるあたり、感度がいいのか悪いのか知んねえが、もうこの際知らん!
こんなシチュエーションに俺を追い込んだ、おめえが悪い!
果てしなく一方的な言い訳を、内心絶叫しつつ。
俺が鼻息も荒く、わななく手でトランクスをずり下げかけたその時。

ドアの外から、眠そうな声が聞こえた。
349トラ×パス 熱帯夜編 5:2006/07/08(土) 17:51:52 ID:T9p5zU4o

「おや、あなたも寝られないんですか、クレイ」

げげ!キットン!?
即座にトランクスを履き直す。

「キットンもか?暑いもんなぁ、今夜」

く、クレイまで。
よりによってなんでこんな時に。
開けたままのドアから、奴らの呑気な声が聞こえてくる。

最凶にして最悪のタイミング。
まままじいぞ、いくらなんでも。
この状況下であいつらに目撃された日にゃー、まず言い逃れは不可能だ。
ドアは開いている。
奴らはドアのすぐ外側にいる。
となると、今更閉めに行くことはできねえ。

パーティ始って以来、いや人生最大の危機!
どうすんだよ、俺!?
俺はまだ、シドの剣の赤サビにゃーなりたくねえぞ!
テンパりつつも、とりあえずはパステルの脱がしかけた服を、震える手で直す。

・・・しかしだ。
こいつが寝ててされるがままだから、俺が襲ってるように見えるわけだよな?
いや実際に襲ってると言えばそうなんだが・・・。
って、それはこの際置いといて。
てことは、パステルが起きてりゃ合意の上と認識されるんじゃね?
それなら、あいつらも、すき好んで馬に蹴られるような事はすまい。
静かにスルーしてくれるんじゃねえだろうか。
自分で自分の考えに納得した俺は、パステルを揺さぶろうと手を伸ばした・・・んだが、また手を止める。

いや、ちょっと待てよ。
こいつ、俺のベッドに自主的に入ってきたことを覚えてんのか?
そもそも起こしたところで、今この状況を眼にして、納得するんだろか。
・・・しねえだろうな・・・

起こすべきか起こさざるべきか。
・・・どっちにしても、このままだと破滅。
既に地獄に片足突っ込んでいるのは、気のせいだと思いたい。

「トラップは寝てるのかな?」
「この状況下でよく寝られますねぇ。さすがは無神経なだけはある。ぎゃっはっは」
「・・・キットン、うるさいぞ。夜中だって」

俺はこの暑さだというのに、背中に冷たい汗を感じつつ、人生最大の岐路に立ちつくしていた。
至極平和で平穏な、廊下の立ち話を聞きながら・・・
350162:2006/07/08(土) 17:52:49 ID:T9p5zU4o
完結です。
気の毒なことに、寸止めトラップも第3弾となりました。
351名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 22:00:30 ID:ZuFqcjZ8
うはwおっきしたwww乙乙乙!
352名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 23:51:50 ID:tTOPJMnZ
気の毒だと思うなら普通のエロを書けばいいじゃん。
ここエロパロスレだぞ。
何か今の状況って昔を思い出す。
一人の書き手がスレ占有してスレ違いな作品まで投下し続けるのって
ローカルルールで「駄目」ってことにならなかったっけ? 前スレかどこかで
353名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 00:16:38 ID:8lB3w+0T
寸止めだけど十分エロかったと思うよ。
自分も未熟ながら何か投下しようかな〜最近162に刺激される。
354名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 00:25:53 ID:xEjOinDZ
エロ要素十分あると思うが。

162は、オールキャラで小説書いてくれるので、
読んでいる側も飽きなくて嬉しい。
353のように刺激されて書き始める人が増えればもっといいな
355名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 07:44:19 ID:N9xrVUiD
占有してる……と思うならあなたが書いてみて下さい。歓迎致します。
162さんがたまたまコンスタントに投下してくれてるだけで、占有してるわけではないですし。
読み手としては職人さんは宝です。ましてこれだけの作品を投下してもらえるのだから、盛り上がるのはあたりまえだと思います。


それに寸止めとはいえきちんとエッチだと思いますよ。いつかくるだろう本番への期待もあるし、思春期ムラムラの青臭さのある暴走も好きです。
356名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 11:58:11 ID:7HJ4mhvP
162
357名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 12:01:30 ID:7HJ4mhvP
ごめんなさい失敗した(w
まずは162さんGJ!

ところで
前スレの論点は
「一人の書き手ばかりがずーっと作品投下し続けてると他の書き手が投下しづらい雰囲気になる『かも』」だったような。
いくら神職人でも、その職人しか認めない、というような雰囲気になってしまったら2chにスレを立てる意味がない。

だが162さんの状態が「占有」にあたり「スレ違い」にあたるかどうかは別問題だとも思う。
問題になるとしたら

・他の書き手が現れるとあからさまにスレがストップ
→162さんの作品のときだけマンセーレスがわんさかつく
→他の書き手がやる気を失うor自分は歓迎されてない、と感じる
→162さん以外の書き手が寄り付かなくなる

こういう流れになったときではないかな。他の書き手がいない今の状況で騒ぎ立てるのは意味がない。

>コンスタントに投下してくれてるだけで、占有してるわけではないですし

どの程度なら「占有」に当たるかは個人の見方次第では?
毎日投下してるわけじゃないなら占有には当たらない、と思う人もいるだろうし
今みたいにずーっと同じ書き手が何作も連投してる状態は占有にあたる、と見た人もいるだけの話でしょう。
よっぽどの言いがかりでもない限り、「批判する人はそういう意見の人もいるんだね」で流すのが大人の対応。
批判のたびに噛み付きマンセーレスしか許さない! って流れにしてしまうとそれはそれで問題だと思う。
職人さんも批判されるたびにいちいち反応して腰を低くして謝る必要はない。
そもそも批判されるのが怖いと思うなら2chに投下することが間違っている。「そういう場所だ」と割り切って流しておけ。
358名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:31:59 ID:6nebdMAF
>>352
あなただけのために書いてくれてるんじゃないし
せっかく活気づいてきてるのに何であえて場を悪くするような事いうんだろう。

毎回こういう人が出てくるから議論になってグダグダになって
書いてくれてた人が遠慮して居なくなってスレストップになるってわからないのかなぁ。
359162:2006/07/10(月) 09:40:11 ID:ZMXP5E+e
162です。まずはご感想にお礼を。
それと、353さん、作品を楽しみにお待ちしております。

議論モードの時に書き手側がコメント書くと、
荒れてしまいそうなので躊躇しておりましたが。
こういった状況で、議論を無視っての投下もどうかなと思いましたので。

エロ文章の基本姿勢についてだけ、コメントを。

下記の性的表現が入っていれば、完遂していなくとも、
紛れもなくエロパロであろうと思っております。
脱ぐ、脱がせる、触る、見る、露出、舐める、指のみ、口のみ、道具使用、自慰、顔射・・・以下、自己規制。
読み手さんが読んで、萌えるわ興奮するわになれれば、結果オーライではないかと。
今後も、そういった文章を書いていきたいと思います。
360162:2006/07/10(月) 18:37:59 ID:ZMXP5E+e
さて。作品投下に参ります。
御品書きです。

今回、カップリングはありません。
パステルのひとり上手となっております。
361パステル 官能小説編 1:2006/07/10(月) 18:38:38 ID:ZMXP5E+e
わたしは、1冊の雑誌を前に、深く深く深く深く、悩んでいた。
その雑誌とは、いわゆる成人向けの雑誌。
開いた瞬間閉じたくなるようなきわどい写真やら、なんかこう、胸苦しくなるような表現の小説とかが満載の・・・
読んでみたいような、でも読んだらまずそうな、どうにも表現しようのない内容。

さっ、さすがにわたしが買ったんじゃないよ!?
この雑誌をくれたのは、リタ。
猪鹿亭にお客さんが忘れてったものらしいんだけど。
人生勉強になるだのこういう文章も新分野でいっちゃえだの、ひきまくってるわたしを他所に、ひとり大盛り上がり。

「え?もうあたしは、隅から隅まで読んじゃったよーん。あははっ」

そんなコメントとリタの意味ありげな笑いとセットに、押し付けられちゃったんだよね。
とはいえ、正直なところ・・・興味がない、とも言いがたい。
わたしだってお年頃の女の子ですからね?
自分で自分に必死で言い訳しながら、わたしはその雑誌を隠すようにして持ち帰った。
部屋に戻っても安心できず、不思議な吸引力を発するその本を、引き出しの一番奥に隠す。
・・・中学生の男の子じゃないんだから・・・
内心情けなく突っ込みつつ、ため息をつく。
あーあ、えらい物もらっちゃったなあ・・・

その後は、ごはんを食べても何をしてもうわの空。
頭の中には、ひたすらあの雑誌がちらつくばかりなんだもん。
どう話しかけられても適当な返事しかできないわたしは、皆のこいつヘンだ的眼差しを背中に受けつつ、そそくさと部屋に戻った。

ドアにしっかりと鍵をかけ、問題の本を取り出す。
表紙のセクシーな女性とばっちり眼があってしまい、なぜか気まずい思いで眼をそらすと、付箋を貼った巻末の1ページを開く。
さっき帰って来た時に、ぺらぺらっとめくるだけめくってみたんだけど。
どーしても、どおぉしても表紙から開く気になれなくて、裏表紙側から開いたんだよね。
すると、そこにあったのがこの企画。

”貴女が書く!フレッシュでセクシーな官能小説!!”

縁飾りを施された枠内に、にぎやかに踊る文字。
どうやら、女性作家を新規発掘する為に打ち上げられた、結構大掛かりなコンペらしい。
それだけなら、ふーん・・・わたしには関係ない世界だよね、で済ませるとこなんだけど。
そのタイトルの下に、なんとなんと!

”最優秀賞金 10万ゴールド”

と、眼をむくような金額の賞金が記載されている。
しかも、優秀賞、努力賞、佳作、参加賞・・・と、徐々に下がってはいくけど、結構な金額の賞金が設定されているみたい。
表記によれば、どうやら作品を応募した人全員に、なんらかの賞がもらえるらしいんだよね。
参加賞ですら、原稿用紙を山ほどと、参加賞金がついていたりして。
・・・思わず付箋を貼り付けてしまった、わたしを責めないでほしい。

ぶっちゃけた話ですけどね、参加賞の賞金でも、いつもの印刷屋さんの原稿料より格段に高いのは間違いない。
しかも、この際ついでから言っちゃうけど、原稿用紙も結構高いのよ。
なんせ言うなれば、使い捨てと同じですから。
362パステル 官能小説編 2:2006/07/10(月) 18:39:16 ID:ZMXP5E+e

わたしは頭を渦巻く物欲と戦いつつ、脂汗をたらしながら雑誌とにらめっこしていた。
・・・か・・・書いてみよっかな・・・
応募するだけでも賞金だのがもらえるなんて、最高においしいし。
でも、わたし・・・健全極まりない冒険小説しか書いたことないんですけど?
イチから登場人物をメイキングして創作するには、時間がない。
締め切りは・・・要項を見ると。
ああぁ、もう明日じゃないのぉ!
もっと早くに気づけばよかった・・・って、わたしもう書く気になってるし!?

早くもペンを握りそうな自分に愕然として、ブンブンと頭を振る。
落ち着いて、落ち着くのよ、パステル!
いきなり書くったって、絶対無理!
今まで書いたこともない分野だし、そもそも経験、ないし・・・
なにか取材なり参考文献なり調べなきゃ、絶対書けないってば!
と、とりあえずはスケジューリングしよう。そうしよう。

暴走しそうな頭を落ち着けるべく、深呼吸。
手元の手帳を開くと、カレンダーと雑誌の応募要項を見比べる。
ええと・・・締め切りは、明日。
それって物理的不可能じゃあ・・・あれ、でも意外に応募枚数って少ないんだ。
原稿用紙10枚以上?・・・遅筆なわたしでも、それならいけるかも。
10枚書いて、見返りの賞金額からいうと・・・海老鯛ってやつですか?これって。
実現しそうな応募内容に、思わず眼が真剣になる。
文字通り、まさに現金だなあ、わたし・・・
締め切りは当日消印有効だから、ギリギリ明日のお昼かな。
最悪、メッセンジャーのバイトで郵便局に顔の効く、トラップに託そう。

手元の時計の針は、午後7時を指していた。
よーしっ、取材しよう!
自分に知識が足りないものは、取材で人様から補うもんなのよ!
相当迷惑な理論だけども。無理矢理自分を納得させ、わたしはペンとノートを片手に、部屋を出た。
目指すは、ふたつ隣の男部屋。

うちのパーティで一番、そういう経験がありそうなのはトラップだと思うんだ。
実のところどうなのか知らないけど、しょっちゅうあちこちの女の子とデートしてるし、何か経験談くらい期待できそうじゃない?
もし彼がいなかったら・・・クレイでも仕方ないか。
・・・あぁ、”でも”だの”仕方ない”だの、なんて失礼な。
どこまでも紳士な彼自身に期待はできないけど、意外に耳年間だったりとか・・・どうだろう?
どっちにしても、男の子だもんね。
わたしよりはそういう情報に詳しいんじゃないかなあ?

頼れるものはあの2人しかいない。
大股に廊下を歩き、勢い込んでドアを叩く。
363パステル 官能小説編 3:2006/07/10(月) 18:39:55 ID:ZMXP5E+e

「入るよー」

この際返事も待たず、ばあん!と開けたドアの向こうには、キットンしかいなかった。

「あれ?トラップは?クレイもいないの?」

床に座り込み、怪しい色の液体の入ったビーカーを持ったキットンは、あきれたように答えた。

「何言ってるんです?パステル。
 トラップとクレイは、食事の後、エベリンに発ったじゃありませんか。
 今日中に戻れるかどうかもわからない、って言ってたでしょう?」
「あ、そっか・・・」

うっ、そういえばそうだった。
わたしとしたことが、迂闊。
2人はエベリンに急遽用事ができたからって、ヒポちゃん飛ばして行っちゃったんだっけ。
うーむ、明日になって取材をしてたら間に合わないよね、間違いなく。

でも、今から他に取材できそうな人はいない。
ちらりとキットンに眼をやる。
いくらなんでもキットンじゃねえ・・・
ボサボサの頭に、相変わらずきったない服装の彼。
その風貌といい何といい、官能系の話に縁があるとはこれっぽっちも思えないし。
そういえば・・・遠い眼をして思い出す。
いつだったか、トラップがニヤニヤしながら言ってたよね。

「あいつら、ぜってぇ胞子とか種飛ばすとかで子孫増やしてんだぜ!?」

胞子ってあんた・・・そんなわけないと否定できないところが怖いけど。
ま、それは今はおいとこう。
そこを追求してちゃ、謎が謎を呼んで、解明までに締め切り過ぎちゃうのが関の山だもん。

「あのね、キットン。
 わたしこれから、明日の締め切りに向けて、原稿書かなきゃならないんだ。
 ルーミィとシロちゃん、今夜お願いしていいかな?
 多分台所にいると思うから、適当にこっちで寝かせてやって欲しいの」
「はいはい、いいですよ。
 しかしまた、明日とは急な話ですねえ」

どき!
痛いところを突かれ・・・いやいや、別に痛くないってば。
悪いことしてるわけじゃないんだから!

「そ、そうなのよ。急な話で、あははは。
 じゃああのえーと、部屋に鍵かけてると思うから、後よろしくね!」

果てしなく怪しいごまかし方をしながら、わたしは男部屋を出た。
階段の上から台所を覗くと、ノルの後姿が見えた。
きっと綾取りでもして、ルーミィの相手をしてくれてるんだろうな。
キットンにも頼んだことだし、後は彼らに任せて、と。
364パステル 官能小説編 4:2006/07/10(月) 18:40:26 ID:ZMXP5E+e

歩いて数歩の自分の部屋に戻る。
ドアをカチャリと閉めると、椅子に腰掛けてため息をつく。
さて、どうしよう。
トラップとクレイがいないとなると、残るはキットンとノルしかいない。
キットンは前述のとおりだし、ノルは・・・そんなことに縁があるの?。
彼らじゃ何の参考にもなりそうにないし・・・
って言い過ぎ?わたし。
わたし自身、経験なんてないんだから、偉そうなこと言えないんだけど。
ええ、これっぽっちもひとつも微塵も、ぜーんぜんありませんからっ。

・・・兎にも角にも、取材情報源がいないと、どうにもならない。
キットンにはあんなこと言っちゃったけど、仕方ないからやめとく?見送りますか?
でもなぁ・・・あの賞金は・・・
わたしは引き出しを開けて例の雑誌を取り出すと、思い切り悪くページを開いた。
油断して表からめくったので、胸をばーん!と出したお姉さんに度肝を抜かれる。
うっ・・・相変わらず心臓に悪いよ、これ。
でも仕方ない。
パクるわけにはいかないけど、何か参考になるものはないか、ゆっくりとページを繰っていく。

グラビアは女性のヌードのオンパレード。
1ページごとに段々と耐性がついてきたのか、結構平気になってきた自分が怖い。
カラーグラビアが終わると、今回のキモである、官能小説がたくさん掲載されていた。
いやらしい表現やら女性の喘ぎ声やら、とどめにソノ時に出る音?なんかまでもが文章になってて・・・これって相当にエッチな内容じゃあ・・・
時々意味もなく目を逸らしつつも、着実にページをめくっていくわたし。
知らないことや想像もつかないことを読み進むうち、砂が水を吸い込むように、妙な知識が蓄積されていく。

・・・な、なんだか息が上がってきた感じ。
運動もしてないのに、なんでこんなにぜーはー言うんだろう?変なの・・・
しかも、顔が熱い。
手の甲で頬を冷やしながら、相当早いペースでようやく1冊を読み終えた時、わたしの頬っぺたはトマトのごとく真っ赤っ赤になってしまった。
あぁ、顔が火照る・・・
しかも、体の中がうずうずしているような、なんともいえない変な感じ。
わたしはそんな体を持て余しながら、ぼんやりした頭で考える。

一通り読んでみたけど・・・基本的には男の人がいなきゃ、どうにもならないって感じなんだよね。
って、そんなの当たり前かぁ。
でも。
ひとつ参考というか・・・ヒントになるものがあった。
椅子に体をもたせかけたまま、今読み終えた本をぺらぺらとめくる。

・・・あった、これだ。
それは、短めの創作で、おそらく作家さんは男性。
男性視点で、自分の目の前で女性に・・・えーと、その・・・お、オナニー?させてるお話。
これって・・・女性ひとりでもできる、よね・・・
そりゃそうだ、相手がいたらそれはオナニーって言わないってば。
ま、それはさておき。
これを女性の視点から、経験談的というかライブ的に書いたら、それはそれで結構エロチックなものになるんじゃないだろうか・・・
365パステル 官能小説編 5:2006/07/10(月) 18:41:04 ID:ZMXP5E+e

時間はもう夜中。
恥ずかしがってる場合じゃない。
迷っている時間も惜しい。
ネタも経験も相手もいない以上、自己開拓というか、もはや自己発電するしかないよね?
賞金と賞品に眼がくらんだわたしは、行ったことのない壁の向こうへ、おそるおそる足を踏み出すことにした。

お腹に力をこめると、おもむろに椅子から立ち上がって収納扉を開き、姿見を引っ張り出してベッドの前に据えつける。
わたしの場合さっきの短編と違って、見てくれる相手はいないから、ひとりで盛り上げる?しかないわけ。
だから、自分の姿は自分で鏡で見て、文章におこすしかないんだよね。
なんかすごく情けないというか恥ずかしいんだけど。
でもさあ、わたし、実物を見ないで書ける程文章に堪能じゃないし。
誰にともなくブツブツと言い訳をしつつ、ドアの鍵をきっちり閉めて。
明かりをベッドサイドだけにして、よいしょとベッドの上によじ登る。
持ってきた雑誌と筆記用具を傍らに置くと、わたしはハタと固まってしまった。

えっと・・・まずどうすればいいわけ?
慌てて例の雑誌を開き、参考にした短編に急いで眼を通す。
よ、よし。
わたしは、壁に背を預け、足を投げ出して座った。
ちらりと目の前の鏡面に眼をやり、自分が映っていることを一応確認して。

ブラウスのボタンを上から2つだけ外し、ブラの上から胸を触ってみる。
・・・いつもお風呂で洗うために触る場所ではあるんだけど・・・
さっきの雑誌を読みきってドキドキしていたせいか、なんだか先端が固くなってる感じ。
少しの刺激にも、いつもよりちくちくするような、くすぐったいような・・・
ブラの隙間に直接手を入れる。
両胸の乳首はつん、と尖って、指先でつまんでみると、自分の手じゃないものが触れているような不思議な感触。
感じた触感を忘れないよう、力の入らない手でペンを握り、メモをとる。
さっき一度火照った顔が、またぽーっとしてきて書きにくい。

片手で胸をさわりながら、もう片方をミニスカートの中へ伸ばす。
あ、これじゃ見えないや。
うーん、なんか恥ずかしい気もするけど、この際我慢しなきゃ。
壁にもたれたまま、両膝を立てる。
姿見に映るのは、ぼんやりした明かりに照らされた、頬っぺたのほんのり赤いわたし。
そして、はだけた胸、立てた足の間に覗く、下着。
色気も何もない白いショーツなんだけど。
その部分に、そおっと指を這わせる。
ん?なんか・・・薄い布を通して、湿り気が伝わってきた。
これって・・・濡れてる、って言うんだよね・・・
そう思うことで、さらにかあっと顔と胸の奥が熱くなる。

よ、汚れちゃうかも。
慌ててお尻を持ち上げてショーツを脱ぐと、なにか光るものが糸を引いた。
え?え?思わず足の間を覗き込むわたし。
薄暗くて見えないし・・・と、目の前に鏡があることを思い出す。
脚を広げて眼をやると、そこに映るわたしの部分は、てらてらと艶のある光を反射させていた。
指で触れてみると、うずくような感触と、ねっとりした液体がまといつく。
366パステル 官能小説編 6:2006/07/10(月) 18:41:49 ID:ZMXP5E+e

「・・・ぁ」

思わず漏れた声に、焦って口を押さえた。
こ、声はまずいよね。
壁薄いから、いくら部屋ひとつ挟んでても、男部屋に聞こえちゃうかもしれないし。
呼吸をできるだけ抑えながら、その部分を指でゆっくりと広げてみる。
ねばっこい液体で蓋をされていたような襞。
くっついたお餅を剥がすように開くと、ねちょ、と微かな音が聞こえた。

・・・こんなになってるなんて、知らなかった。
自分のものなんだけど、今まで見たことないしね・・・
鏡にうつるわたしのソコは、薄いピンク色と、紅色をまぜたような色をしていた。
水・・・ううん、もっと粘度の高い液体に濡れて、なんだかすごくいやらしい形に見える。
ぷっくりした襞をふたつ抱き合わせたような・・・

自分の姿を見ながら、微妙に乱れてきた息を飲み込んでメモをとる。
でも、自分の痴態を文章にするほど、リアルな表現にしようとすればするほど、脚の間に何かがにじみ出て来る。
きっと染みになってる・・・もうこのシーツ、洗わなきゃ駄目かも・・・
眼をおとすと、じっとりと湿ったシーツ。
脚の間からしみ出た液体はお尻を伝い、ベッドに吸い込まれていた。
すごく、そこが熱い。
表面の襞も、おなかの奥の方も、熱をもってトクトクうずく。

なんだかたまらなくなったわたしは、逸る気持ちにブレーキをかけつつ、そこへ指を伸ばした。
微かなひっかかりをゆっくりとこねる。
たっぷりと濡れた指はその周りをなめらかに滑り、電流のような快感がわたしを襲った。
指を動かす度に、背中から体全体に電気が走る。
こんなに、気持ちいいものなんだ・・・

「・・・ん・・・ぁ・・・」

も、もう、声も指もとめられないよお・・・
突起を突いていた指を、初めて入る内部に押し入れてみる。
指に触れるのは、ザワっとして、たくさんの柔らかいウロコのような感触。
トロトロと流れる液体に指全体を濡らし、ねちゃっ・・・ぐちゃ・・・と静かな部屋に音を響かせながら、出し入れを繰り返す。

「はぁ・・・ん・・・」

始めは雑誌の内容を参考にしてみていたんだけど、もうそれどころじゃない。
自分が気持ち良いように、指が淫らに這うままにまかせる。

半分閉じかけたうつろな眼は、じっと目の前の姿見から離さない。
そこには、顔を赤く染めて、大きく脚を開いたわたしが映っている。
こころなしか・・・恍惚とした表情って言うの?まぶしそうな呆けたような表情。
何かを口が欲しがっている。
乳首をつまんでいた指を口元にやり、吸い付くようにしゃぶってみた。
自分の指を舐めながら、自分で自分の秘部をなでさすり、愛撫してびしょびしょにした自分を眺めながら
367パステル 官能小説編 7:2006/07/10(月) 18:43:00 ID:ZMXP5E+e

高ぶりを抑えられなくなったわたしのそこ。
強く痙攣したと思ったら、高いところからいっきに踏み出すような感じがして、目の前がスパークした。
たまらず漏れた声とともに。

「・・ひゃ・・ぅ!」

これって・・・イッたの・・・かな?
全身の力が抜けて、わたしはかなりの時間そうしていたんだと思う。
それから、どのくらい時間がたったんだろう。
ぼーっとしていたわたしは、突然はっと我に返った。
原稿!原稿書かなきゃ!!
今何時っ!?

振り仰いだ時計は、もう夜明けを指していた。
なっ、なんてことでしょ!
大慌てで服を直してベッドから飛び降りると、電気を煌々と点ける。
机に向かい、メモを片手に全力でペンを動かす。
そして気づいたときは、もう日が高く上っていた。
不思議なことに、普段のわたしなら有り得ないほどの執筆スピードで、脱稿。
しかも筆が滑りに滑って、原稿用紙10枚の予定が30枚と大幅に増えて。
ま、少ないよりはいい、よしとしましょう!
さすがに今回は、適当なペンネームをつけて応募する。
実名で雑誌にでも載った日にゃ、あなた・・・

完成原稿を封筒に入れると厳重に封をして、部屋を飛び出す。
時間はもうすぐお昼。一刻の猶予もない。
エベリンから夜中に帰って来たらしく、まだ寝ていたトラップを、どうにかこうにか叩き起こすと郵便局へと送り出した。
その原稿はトラップの奔走のおかげで、無事締め切り前に出版社に届いたようで・・・

そして。
めでたく参加賞どころか、努力賞を頂いてしまったんだよ!?
あの、我が身を犠牲にして勢いのみで書いた文章が、賞に入っちゃうとはねえ・・・
もちろん賞金も副賞も、踊り狂ってしまいたいほどのものだったんだけど。
パーティの皆には、いまだ、何の賞だか言えないでいる。
だってね、今まではどの本だのどんな作品だのって、全部話してたけど、今回は言えないでしょ?
いくらなんでも、官能小説のコンペとは・・・
368パステル 官能小説編 8:2006/07/10(月) 18:44:53 ID:ZMXP5E+e

今日は皆が、猪鹿亭でささやかなお祝いを開いてくれていた。

「おめでとうパステル!賞だなんて、すごいじゃないか!」
「おめでとう!」

にこやかなクレイとノルの賞賛が、ぐっさり心に刺さる。
あのね、わたしね、さわやかなあなた達に想像もつかないほど、やらしい話書いちゃってるんですよぉ・・・
そんなに力いっぱい、手放しでほめないでほしい・・・

「しかし結構な賞金だよな。いつもの雑誌じゃねえのか?」
「ですよねー、副賞も高そうでしたし」

わたし、冷や汗ダラダラ。
どうやら官能小説系のコンペって、一般的に賞金相場が高いものらしいんだよね。
お願いだから2人とも、そこに触れないでくれる?

「ぱーるぅ、おめでとー!」
「パステルおねーしゃん、また読んでくださいデシ!」
「・・・また今度ね」

あぁ、わたしを見上げる、罪のない笑顔。
無邪気に喜ぶふたりの言葉が、たまらなく痛い・・・
キミ達には当分読んであげられないよ、あの小説は。
年齢制限と倫理規定にひっかかってしまう。
笑いながらも、顔半分に縦線が入っている気がするわたし。
唐突に背後から、陽気な大声が聞こえた。

「聞いたわよー、パステル!賞取ったんだってえ?」
「り、リタ・・・どこから聞いたのよ?」
「あんた、自分のことなのに知らないの?
 そこらじゅうで噂んなってるよ。
 シルバーリーブから初の文学賞受賞者だ、って」

・・・そんなご大層なモンじゃございません。
あれはただの、いやただ以下の、エロ小説、ってやつで・・・
お礼を言う口が、引きつってヒクヒクしてるのがわかる。

「ほら、これ店のおごりだよ!ぱーっといきな!」

リタがどん!と机に置いたのは、大きなボトルのシャンパン。

「おぉ、すげえ!パステル、シャンパンシャワーやるかっ!?」
「バカ、迷惑だろうが。ほら栓抜くぞ」

大はしゃぎのトラップに、たしなめつつも嬉しそうなクレイ。
ボトルの口に白いナフキンを被せたクレイは、勢い良くポンッ!!と音を立てて開栓した。
同時に、店の中から沸き起こる拍手。

「おめでとう!」
「パステル、やるじゃねえか!」

あちこちから飛び交う祝福の言葉。
もう誰にも本当のことは言えない・・・っていうか、バレたらどうしたらいいのっ!?
内心を飛び交う激しい動揺を押し隠し、優雅にお辞儀したわたし。
持たされるグラス。注がれる透明なシャンパン。
あぁ、泡の向こうが霞んで見える。
そしてわたしは軽いめまいとともに、シャンパンを一気に飲み干した。

369162:2006/07/10(月) 18:45:42 ID:ZMXP5E+e
完結です。
なお、この話には続編を考えています。
370名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 20:36:31 ID:fq7Gye0P
パクるって・・・いや原作でもマリーナあたりが「告白る(こくる)」とか言ってたけど、確かに
371名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 01:24:50 ID:YB0GPVp6
キットンが胞子飛ばしてるとこ想像して吹いちまったよ。
今回もGJ!でした!!面白かった〜!
372名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 07:55:07 ID:DKJWan8M
「ぱくる」単体でもちゃんと盗むという意味の動詞として
存在するので大丈夫だったりする。

そもそも原作の技術レベルが色々チャンポンな時点で
こだわること自体が些細なことだ。
373名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 09:44:04 ID:xOFk4XAi
>>372
本当だ( ゚д゚)!大辞泉にも大辞林にもちゃんと記載アリ
>>370
「告白る(こくる)」は載ってないぞ。
そんな細かい話どうでもいいけど。
374名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 21:01:05 ID:940ZZYWn
パクるが日本語として正しいとかどうとかはそれこそどうでもいい。
そういう言葉をパステルが使うことに違和感があっただけ。
ささいなことだから気にしない人もいるだろうが気になる人だっているんだよ。
特に二次創作なんて原作からのキャラのイメージが大切なんだから。イメージ壊したら何にもならん。
原作にだって、新11巻でトラップがパステルを「あんた」と呼びかけたのが違和感ある、とか
大いにツッコミが入ってた。
作者も初期の書き方を忘れてるんだろうが。
375名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 23:07:46 ID:ZkyyYcZ9
というか、初期の便利アイテムからシロちゃんの血の効能、
あげくの果てにはパステルの成長まで、みんな作者は忘れて
書き続けてるから、こだわってる人が色々損する状態になってる。
376162:2006/07/13(木) 17:56:01 ID:RRWicY2w
162です。

今回の御品書きです。
カプは、アルテア×パステルで、かなり長目です。

今回は、
・本編のプロローグ(アルテア視点)
・本編(パステル視点)
の、二部構成になっております。

まずは、プロローグを投下します。
ちなみにまだエロはありません。本編でたっぷりと。
377アル×パス 密会編:序幕 1:2006/07/13(木) 17:57:36 ID:RRWicY2w


「連隊前へー!」

号令に合わせて、馬を進める。
2メートル進んだところで、一斉に馬身を右へ方向転換。

「突き方、構えぃ!」

小脇に抱えたアイアンランスを構え、上体を低く落とす。
掛け声とともに、そのまま一直線に突撃体勢に入る。
一斉にチャージをかけた数百騎の蹄に蹴散らされ、砂埃がもうもうと立ちのぼる。
あらかじめ引かれたラインまで駆け込むと、手綱を引き絞って急制動。
駆け寄ってきた歩兵にランスを預け、また馬の鼻面をまわして方向転換。
間をおかず、馬体にとりつけた鞘に手をかける。

「振り方、構えぃ!!」

周囲の騎士たちと呼吸を揃え、鞘のバスタードソードを一気に引き抜いた。
気合一閃、ソードを全力で振り下ろす。
真夏の日差しに、吹き出る汗が飛び散った。
378アル×パス 密会編:序幕 2:2006/07/13(木) 17:58:15 ID:RRWicY2w


この季節になると、さすがにフルアーマーは暑いな。
篭手を外し、やたらと重いブレスト部分を脱ぎ捨てる。
日差しをまぶしく反射するアーマーが地面に落ちる寸前、傍仕えの新米兵が受け止めた。

「お、すまん。後頼むぜ」
「はっ」

重そうにアーマーを抱えた部下に見送られ、汗を拭きながらテントへ戻ると、一足先に普段着に着替えたイムサイが出てきた。
入れ替わりに俺をちらりと睨む。

「アルテア。今日はなんかダラダラしてたんじゃないか?
 しゃきっとしろよ」
「はいはい」

説教を聞き流す俺に、イムサイはブーツの金具を止めながら尋ねた。

「何考えてた?」
「・・・わかってるんだろ?」
「まあね」

苦笑しつつ、テントを出て行くイムサイ。
着替え終え、詰所傍の簡易事務室に向かう。
今日はそろそろ・・・例のものが届く頃だ。
垂れ下がった入り口の布をひょいとくぐると、中にいた騎士団付き事務官は、俺の顔を見ていきなり文句を言った。

「アルテアさん!もうこれ、何とかしてください!」

示されたのは巨大な箱。
中には、到着日ごとに小分けされた、大量の手紙だの小包だのが入っている。

「いいかげん持ち帰ってくださいよ。
 おふたり宛の郵便だけで、うちのメールボックスがパンクしてしまいます!」

聞こえない振りをして、今日の到着分を漁る。
うわ、なんなんだよ、この量は。
さぐってもさぐっても湧いて出るような郵便物の山から、ようやく目当てのものを見つけ出す。
俺の手には、白地に花柄の封筒。
裏面の”パステル・G・キング”の署名に、ニンマリと笑う俺。

「後、やるよ。適当に処分してくれ」
「あなた宛のファンレターもらって、一体どうしろって言うんですかぁ!!」

事務官の悲痛な叫びを他所に、ペーパーナイフを使うのももどかしくその場で封を破る。
引っ張り出した手紙をむさぼるように読むと、女の子らしい文字で、機嫌伺と近況報告が書かれていた。
ふーん・・・相変わらずみたいだな。
手紙を読むと、陽気に笑う彼女の顔が浮かんできて、少々辛い。

なにせここはセラファム大陸、キスキンに程近い場所に張られた宿営地。
シルバーリーブはここから相当に遠い。
せめて、パントリア大陸であったなら・・・
手紙を握り締めて思いを馳せる俺の眼に、ふと目の前の行軍表が視界に入る。
パントリア大陸・・・エベリン・・・ん?
379アル×パス 密会編:序幕 3:2006/07/13(木) 17:58:54 ID:RRWicY2w

「なあ、来週、エベリン方面でキャンプ張るんじゃなかったか?」

事務官は眼鏡をずり上げ、カレンダーを見上げながら答えた。

「はい、今週中にはマディ海峡を渡りますからね。
 来週頭から1週間、エベリンとエドニーの中間地点あたりに、宿営地を造営の予定です」
「だよな、サンキュー!」

思わずスキップしそうになる自分を押しとどめ、簡易事務室を後にする。
いかんいかん落ち着け、俺のキャラじゃない。
テントに戻ってペンを取り、さらさらと手紙を書くと、一旦出た事務室に再度駆け込んだ。

「あっ、気が変わりました?郵便引取りに来てくれたんでしょう?」
「そんなわけないだろ。
 確かここに、非騎乗時移動用の、オールマイティパスあったよな。
 あれ、1人分くれよ」
「はい、えーと・・・これです。どうぞ」

これがあれば、宿泊だの交通手段だのは全部無料でいけるはずだ。
あのパーティは、どうやら恒久的緊縮財政らしいからな・・・
来る気があるけど、先立つものがない!なんて言わせるわけにはいかないっての。

手紙を入れた封筒にパスをねじ込み、封をする。
不思議そうな顔で、首をかしげる事務官。

「何にお使いで?」
「女呼び寄せんの」
「は!?」
「冗談だって。これ、高速便で出しといてくれ。よろしくな」

事務官を煙に巻くと、俺はイムサイを探した。
部下数人に囲まれて、なにやら楽しそうに談笑している。
俺より長めの黒髪が、光を反射して輝いている。
ほんと目立つよな、あいつ・・・
ほとんど瓜二つの自分のことは棚に上げ、他人事のように感心しつつ、ゆっくりと歩み寄る。
こちらに気づいたイムサイに手招きすると、気を使った部下達が、潮が引くようにさぁっと離れていった。
よしよし、これなら都合がいい。

「また、彼女から手紙?さすが小説家、マメだね」
「お察しの通り。そこでさ、頼みがあるんだけど」
「・・・脱走の手伝いなら、しないよ」
「・・・なんでわかんだよ」

涼しげな眼で俺を一瞥する弟。

「この前、ぼくにも言わないで抜け出したろ?
 大変だったんだからな、ごまかすの」

げ、やっぱりイムサイにはバレてたのか。
シルバーリーブ近くの宿営地から、夜中にこっそり抜け出したことを思い出す。
そっか。あの時も俺、あの子に会いに行ったんだよな・・・
星空の下、馬を走らせた夜。
何を血迷ったか急に思い立ち、点呼を潜り抜けて脱走したんだった。
あれ、バレてたら始末書もんだ。
380アル×パス 密会編:序幕 4:2006/07/13(木) 17:59:34 ID:RRWicY2w

「アルテア、聞いてる?」
「あ、えーと、聞いてるけど・・・
 な、頼むよ。たまにはゆっくり会いたいんだって。
 最初はたった15分、この前も1時間しか会えなかったんだぜ?」
「増えてるじゃないか」
「・・・そりゃそうだけど・・・」

なんでこんなに冷たいんだ、こいつは。今更だが。
でもイムサイの協力を仰がないと、今回ばかりは無理そうだ。
既に手紙を送った以上、後戻りできないからな。

「頼む!」

がばっと頭を下げた俺に、あきれたように頭をかいたイムサイ。

「仕方ないなぁ・・・どういう手筈?」
「お、助けてくれるか、愛しい弟よ。恩に着る!
 来週、宿営地に入って3日目に、エベリンで待ち合わせだ。
 オールマイティパス送って、その日に来るように指示してある。
 夜明けまでには帰ってくるからさ」
「わかった。
 ・・・まったく、こんな兄貴見たことないよ」

滅多に言わない、兄という言葉を発したイムサイ。
あきれたような、ほんの少しまぶしそうな表情をしている。

「俺も初めて見るさ。ま、惚れた女のためならな。
 たまにはいいだろ。
 女にはまるってのも、なかなか悪くないぜ?」

悪びれずに笑った俺。
イムサイは肩をそびやかすと、大きくため息をついた。

381162:2006/07/13(木) 18:00:19 ID:RRWicY2w
序章、完結です。
続けて、本編に入ります。
382アル×パス 密会編:本編 1:2006/07/13(木) 18:02:18 ID:RRWicY2w


窓の外は、にぎやかな繁華街。
街に入ってからスピードをおとしていた乗合馬車は、ギシギシと車体をきしませながら止まった。
わたしは、御者のおじさんにお礼を言って、ステップを降りる。
ええと・・・時計台って・・・
あ、あそこに看板かかってる。こっちでいいんだよね?

ここはエベリン。
わたしは、久々に来たこの町を、ひとりで歩いていた。
待ち合わせの場所に指定された、町の中心部にあるらしい時計台を目指して。
わたしがエベリンをひとりで訪れていること自体、相当に珍しいんだけどね。

・・・先週、手紙が届いたんだ。
騎士団の任務で、セラファム大陸を巡っていた、アルテアから。
真っ白な封筒の中には、2枚の便箋。
初めて見る、騎士団の中で発行されているらしい、オールマイティパスポートとやらも同封されていた。
裏面の説明を読むとどうやら指定期間に限り、宿泊でも移動手段でも、なんでもかんでも無料になるという夢みたいなチケット。
思わずポケットに仕舞い込みそうになったんだけど・・・
な、何やってるの、わたしってば。

1枚目の便箋には、待ち合わせの場所と時間が、ちょっと癖のある右上がりの文字で書かれていて。
そして、2枚目には。

”君に会いたい”

の文字。
ただ一言。

何度も何度も、その一言を読み返した。
真っ白な便箋の真ん中の、たった1行の言葉が、なによりも雄弁に感じられて。
手紙は鞄に入れて持ってきたんだけど、今でも目をつぶるとその文字が浮かんでくるくらい。

わたしはそんなことを考えながら、看板を見上げつつ石畳を歩いていた。
細い路地を抜け、階段を上りきったところは、たくさんの人がいる広場。
あ、あれかな?
モザイクで装飾された、大きな大きな時計台が見えた。
わたしってばすごい!迷わないなんて珍しい!!
まっすぐ来れた自分に感動しつつ、思わず駆け出しかけた・・・んだけど。
え?突然急ブレーキをかけた形になる。
振り向くと、なんだかガラの悪い男がわたしの腕をぐっと掴んでいた。

「あの、なんでしょう?」
「どこ行くの?かわいーじゃん、オレと遊びに行こーぜ」
「いえ、わたし急いでるんで」

もおぉ、なんでわたしって、よくからまれちゃうんだろ?
怖気づきつつも、今はこの場を切り抜けることで頭が一杯。

「離してください!」
「かったいこと言うなよ」

手を振りほどこうとするんだけど、さらに強く腕を掴まれる。
383アル×パス 密会編:本編 2:2006/07/13(木) 18:03:02 ID:RRWicY2w

「い、痛っ」

やだもう、離してよぉーーー!
助けを求めるように時計台の方向を見るけど、彼の姿は見つけられない。
一気に心細さが増した時、背後からクールな声が聞こえた。

「この子に、なにか用でも?」

そこにいたのは、すらりとして、でも鍛え抜かれた体格をした、長身の男性。
渋いワインレッドのサングラスをかけた・・・アルテア。
つかつかと歩み寄り、男の腕をパシッと払う。
わたしを引き寄せて体の後ろに隠すと、サングラス越しに男を睨みつける。
なにか反論しかけた男は、彼と、彼の腰に指したロングソードとを見比べると、ブツブツ言いながら立ち去った。
その男の後姿が人ごみに消えるのを見届けて、振り向いたのは皮肉げで、でもやさしい笑顔。

「何やってるんだよ、この子は。
 怪我とかしてないか?」

大きな手に、頭をよしよしと撫でられ、ほっとする。
よ、良かったぁ・・・。
膝が笑ってガクガクしてしまってたわたしは、目の前のアルテアに思わずしがみついた。

「こ、こわかったよぉ・・・」
「泣くなよ、もう大丈夫だからさ」

身を屈めたアルテアは、べそをかいたわたしの頬にキスした。
途端に涙もぴたっと止まっちゃうってば!
顔を真っ赤にして眼を丸くして固まるわたし。
満面の笑みをたたえて、アルテアはわたしをぎゅーっと抱いた。

「相変わらずかっわいいなあ、パステル」

う、嬉しくないわけじゃないんだけど、恥ずかしいかも・・・
真っ赤な顔でうつむいたわたしは小声で言った。

「アルテア、すごく人が・・・」
「あ」

周囲には既に野次馬の人垣。
かっこいーなんていう女の子の声も聞こえる。
やべ、と小さくつぶやいたアルテアは、

「行こう、パステル」

わたしの手をとると、人ごみを縫うように歩きだした。
あぁ、待って待って。
大股な彼に、慌ててついて歩き出すけど、長いストライドについていくのが精一杯。
なんかもう、やっと会えたというのにてんやわんやで、全然感慨にひたる暇がないよぉ。
アルテアに手をひかれながら、背後の時計台を振り返ってみる。
華奢なデザインの長針は、もう夕方を指していた。
これからどこに行くんだろう?
384アル×パス 密会編:本編 3:2006/07/13(木) 18:05:08 ID:RRWicY2w

たどり着いたのは、それはそれは豪華で大きなホテルだった。
端が霞むほど広くて天井の高い、コロニアル調のロビー。

「ここはね、将校クラスの人間が、お忍びでよく使う宿なんだよ」
「はあ」
「それなりにデカいホテルだけど、とかく秘密裏に使う客が多いからさ。
 利用客のプライバシーにうるさくて助かるんだよね」

そんなことを教えてくれながら、アルテアは先にたってロビーを横切った。
中庭に面したガラスの扉を開けると、一面芝生の庭園が広がっている。
あたりはブルーの夕闇にくすんで、木立の向こうにライトアップらしき光が漏れていた。
階段を下りると、綺麗に敷かれた玉砂利の通路。
うぅ、歩きづらいよお。
実は今回何を血迷ったか、変に気合が入って、ヒールの靴なんて履いて来たんだよね。
危なっかしい足取りで歩いていると、振り返ったアルテアは、すいと腕を差し出した。

「おいで」
「は、はい」

ちょっと恥ずかしいけど、仕方ない。
逞しい腕にとりすがる。

「ほら、階段だよ。足元気をつけて」

通路では先に立ち、階段では少し先を上らせてくれるというエスコート。さすがは騎士様。
なんだか自分がお姫様になったような気分で、ふわふわしちゃう。
そんなわたしに、頭上から彼が言う。

「まだ食事にも早いし、一杯ひっかけてから、部屋いこうぜ」

ひっかける?
アルテアが指差した先には、鏡のようなガラスの扉。
開いてもらった扉の中は、照明をおとしたお洒落なバーだった。

黒服のボーイさんに案内されたのは、半個室のようになった席。
他の席とは密集させた観葉植物で仕切ってあって、他のお客さんの気配はわかるけど姿はほとんど見えない。
中庭に面して据えられた、ビロード張りのソファに並んで腰掛ける。
うーむ、何から何まで高そうなお店。
わたし、さぞかし浮いてるんだろうなぁ・・・
つと、目の前に華奢なグラスが差し出された。
淡いブルーの綺麗な飲み物が入っている。

「ここのオリジナルカクテルだよ。乾杯しよう」
「あ、はい」

いつの間にかサングラスは外され、明るい鳶色の瞳が微笑んでいた。
わたしがグラスを持ったのを見て、形のいい唇が開く。

「再会に乾杯!」

チン!と鋭い音をたててぶつかるカクテルグラス。
くい、とそれを飲み干したアルテア。
促されて口をつけてみると、甘くすっきりとして、ほとんどお酒の味はしない。
喉の渇いていたわたしは、アルテアに習ってグラスを干してしまった。
385アル×パス 密会編:本編 4:2006/07/13(木) 18:06:22 ID:RRWicY2w

「へえ、いい飲みっぷりだね。酒、好きなの?」
「ううん、ほとんど飲めないんだけど」

アルテアは、通りがかったボーイさんに声をかけると、ワインボトルを持ってこさせた。
慣れた手つきで注がれたのは、ほんのり香るフルーツワインらしきもの。
グラスをくるくる回しながら、アルテアは胸ポケットのサングラスをテーブルに放った。
カチン、という固い音。

「俺も一応ロンザ騎士団の一員としては、それなりに顔が売れちゃってるわけで。
 サングラスなんかしてみたんだけど・・・変だったかな?」
「ううん、すごくかっこいい。
 ただそのサングラス、余計目立つんだけど・・・」
「あ、やっぱり?」

わたしの言葉に彼は、へへっと照れくさそうに笑った。
お酒が入って、早くもほろ酔いの頭で、ぼんやりと隣のアルテアを眺める。
いつもの短くツンツンした黒髪。
サングラスと同じ色の、ワインレッドに黒のストライプ柄のシャツ。
黒の革のパンツに長い脚を包んでいる。
なんかもう、見てるだけでドキドキしちゃうくらいかっこいい。ほんと。
思わず見とれていたわたしに、アルテアはふいに尋ねた。

「クレイたちには何て?」
「・・・マリーナに会う、って言ってきたの」

実はアルテアとのことは、まだパーティの誰にも言ってない。
なんとなく言いにくくて、黙ったままなんだよね。
今回は、マリーナにこっそりと手紙で事情を説明して、協力を仰いだんだ。
マリーナ、びっくりしてたなぁ。

”パステルがアルテアと!?
 それはまた・・・びっくりするような組み合わせだわね”

なんて書いた返事をくれた。
でも、快く了承してくれたんだ。
わたしがクレイたちに言いづらいっていうの、なんとなく察してくれたみたい。

「そっか。じゃ、今日はずっと一緒にいられるね?」

グラスを片手で持ったままの彼は、囁くように問いかけると、ひょいとわたしの肩を抱いた。
瞬時にかちこちに固まってしまうわたしを見て、吹き出すアルテア。

「ほんとに変わらないな、パステルは。
 可愛いったらありゃしない」

こ、こればかりはなかなか慣れないんだってばぁ・・・
ふくれた私の頬にそっと唇をつけたアルテアは、わたしの肩から腰に手を滑らせると、自分の体に引き寄せる。
その手が、スカートの中にゆっくりと忍び込んできた。
386アル×パス 密会編:本編 5:2006/07/13(木) 18:06:51 ID:RRWicY2w

「え!?あのっ」
「ほら、騒がない騒がない」

アルテアは、目の前に広がる、ガラス越しの庭園に眼をやったまま。
最高にいいことを思いついたような、いたずらっぽい瞳。
やだぁ、こんなところで・・・
必死で声を噛み殺すけれど、弾む呼吸が口から漏れてしまう。

「いいの?ボーイが気づいちゃうよ?」
「・・・そんなぁっ」

閉じた脚の間に割り込んでくる、ごつい指。
下着の上からゆっくりとわたし自身をなぞる。
はじめはそっと触れていた指は、少しずつ動きを大胆にして。
下着の隙間を探し当てると、何の躊躇いもなく、ぬる、と入り込んでくる。

「・・ぁ・・・んっ」
「あぁ、もうこんなに濡らして」

淫靡な言葉に似合わない、さらっとした口調でアルテアは言った。
くすくすと笑いながら、右手のグラスからワインを呷る。
左手は、わたしの脚の間を蠢き、離れようとしない。
ちら、とわたしを見るアルテア。
その流し目から滲むとろりとした色気に、からだの奥が、熱いものでうるむのを感じる。
と、わたしの中に入りかけていた指が、突然引き抜かれた。

「はい、ここまで。続きは部屋でね」

こ、ここまでって・・・
乱れた呼吸。
這い回る手が離れても、疼きは体全体を支配している。
ソファーにからだを投げ出したまま、腰が半分抜けたようになって立ち上がれない。
アルテアは楽しそうに笑うと、そんなわたしの髪をやさしくなでた。

「いいよ、そうしておいで」

そう言ったかと思うと、いきなり目線の高さが変わる。
あろうことかわたしは、バーのど真ん中で、アルテアの腕に抱き上げられていた。

「えっあのっ」
「こらこら、暴れない」

何事かと駆け寄ってくるボーイさん。
アルテアはテーブルに置いた、ルームナンバーを書いた紙を示した。

「連れが具合が悪いのでね。
 部屋につけといてくれ」
「大丈夫でございますか?」
「あぁ、少し休めばよくなるだろう」
387アル×パス 密会編:本編 6:2006/07/13(木) 18:08:32 ID:RRWicY2w

鮮やかなウインクを決めつつ、わたしを抱えたままバーを出たアルテア。
そのまま、周囲の視線をものともせず、堂々とロビーを横切ると部屋へ向かった。
い、いくらなんでも目立ちすぎですっ!
自分の置かれている状況に、真っ赤を通り越して真っ白になる。
恥ずかしさのあまり、アルテアの胸から顔があげられない。
コメントを発する気力もなく、おとなしく逞しい腕に身を預けていると、ようやく部屋に着いたらしく、アルテアがポケットの鍵をさぐる気配。
彼はわたしを片手で抱えたまま、器用に部屋のドアを開け、するりと室内に滑り込んだ。

広くて大きな部屋は、大きな窓から夕闇に浮かぶエベリンの街並みが見える。
マホガニー造りの、重厚なチョコレート色の家具。
幾つも大きなクリスタルの花瓶が置かれ、色とりどりの花が生けてある。
テーブルの上には、足つきの優美な磁器に載せられた、山盛りのウェルカムフルーツ。

天蓋のついた豪華なベッドに、つかつかと歩み寄るアルテア。
だっ、ダブルベッドだぁ・・・
アルテアは、天蓋から垂れ下がるレースをめくると、ベッドの上にわたしを降ろした。
柔らかなクッションに、体がふんわり弾む。
仰向けになったままで天蓋の深い紺色を見つめていると、なんだか不思議な感慨を覚える。
思えば、今までベッドの上という状況はなかったわけだよねえ・・・

でも彼は、ゆっくり考え事をさせてはくれなかった。
いつの間にか上半身裸になった大きな体が、わたしの視界を遮り、重みがのしかかってくる。
同時に降ってきたのは、強い意志を秘めた唇。
なすすべもなく、むさぼるように深くくちづけられる。
熱を帯びた舌が、わたしの舌を追いかけてからめとり、息もできない。
呼吸を逃そうとわずかにあけた口の端から、喉もとまで唾液が伝う。

今までされたことのないほどの、激しいキスからようやく解放された時、わたしは酸欠状態で息をついた。
ぼおっとする頭で顔の上のアルテアを見上げると、彼はもう一度軽くくちづけた。

「さっきはごめん。
 あんまりパステルが可愛いから、つい意地悪したくなってさ」

軽く話しながらも、アルテアの手はわたしの胸元をまさぐる。

「や・・ん」
「俺ね、気に入れば入るほど、いじめたくなる性分らしい・・・悪癖だよなぁ」

軽く笑いを交えて話しながらも、アルテアの手はとまらない。
あっという間に服を脱がされ、一糸まとわぬ姿にされてしまったわたし。
初めてじゃないとはいえ、う、恥ずかしいよお。
精一杯身を縮こまらせるわたしに、アルテアは何を思ったか、唐突に尋ねた。
388アル×パス 密会編:本編 7:2006/07/13(木) 18:10:06 ID:RRWicY2w

「パステル、腹すかない?」
「は?え・・・うん、少しは」

そ、そりゃ確かに夕食はまだですけど。
正直、いま、それどころじゃなかったんだけどな・・・
わたしの微妙な表情を見てとったアルテアは、なんとも意味ありげな笑顔を浮かべた。

「そんな顔するんじゃないよ。腹が減っては・・・って言うだろ?」

アルテアは、よいしょとベッドから身を乗り出した。
その隙にシーツを引っ張ると、急いで裸の体を隠す。
テーブルのフルーツに手を伸ばすと、苺を幾つか摘んだアルテア。

「はい、あーん」

わたしの口にひとつ入れられた苺。
・・・流れ的に食べるしかないでしょ。
そりゃ甘くて美味しいけどさあ・・・なんとコメントすればいいやら。
シーツに包まったままで口をもぐもぐさせているわたしを他所に、残る苺を摘んだままのアルテア。

「俺さ、なんでも甘い方が好きなんだよね。
 苺なら絶対練乳つけるとか」
「?練乳ならそこにあるけど」
「・・・パステルの顔見てたら、ちょっとやってみたくなった」
「はぁ?」

くふふ、とくすぐったそうに笑ったアルテアは、いきなり足元からシーツをめくり、わたしの脚の間に屈みこんだ。
ええ?何?
びっくりして閉じかけた脚をぐいと掴んで開かせると。
なんとその苺を、わたしの中に押し込んだ!

「ひゃああっ」

とぷ、っという音とともに、身を半分押し込まれた苺。
ひんやりした果実特有の弾力に、入り口付近を擦られ、思わず腰が跳ねる。
アルテアはわたしのその部分を、ゆっくりと苺で愛撫した。
中まで押し込まず、半分ほど埋め込んではまた引き戻し、襞にそって滑らせる。

「・・っはぁ・・・ぁんっ」

わたしからあふれた蜜を苺に馴染ませたアルテアは、それを自分の口に放り込んだ。
形のいい口で、ゆっくりと咀嚼する。

「練乳よりずっと甘いよ。
 甘酸っぱくてとろっとしてて・・・パステルの味がする」

うぅ、もう顔から火が出そう。
恥ずかしいのなんのって、アルテアの顔もまっすぐ見られないよぉ。
わたしが両手で顔を覆うと、アルテアはその手を軽く掴んでそっとひいた。
甘くて熱っぽくて、どこかしなやかな獣のような眼差し。
喉にからんだように、つぶやかれた言葉。

「パステル・・・もう、食べちまいたい」

トクン、と弾んだ心臓。
389アル×パス 密会編:本編 8:2006/07/13(木) 18:10:54 ID:RRWicY2w

アルテアはつるりとシーツを引き剥がした。
あらわになったわたしのからだを俯けに返すと、自分はベッドからトンと降りる。
服を脱いでいるのか、足元から衣擦れの音がする。
ま、まだうつ伏せの方が恥ずかしくなくていいや・・・
ひと呼吸ついた瞬間、その思いはあっさり裏切られた。
突然、うつ伏せた両足首を一気に引っ張られる。

「きゃっ!?」

ベッドの端まで引きずられたところで、そのままぐいっと腰を引き上げられて。
気がつくとわたしは四つんばいにされていた。
アルテアからは、わたしのその部分が丸見えのはず。
恥ずかしい格好に思わず俯いて身をすくめると、お尻の間に熱い息がかかった。
背後からぺちゃぺちゃと卑猥な音をたてて、そこに舌を這わせるアルテア。

「や・・・ぁあんっ・・・」
「パステル、欲しい?
 俺もう・・・我慢できないよ」

しゃぶりついていたそこから顔を上げたアルテアは、荒い息を吐いて身を起こした。
アルテアの大きな手が、わたしの腰を両脇からがっちりと掴んだと思ったら、熱くて固いものが濡れた入り口にあてがわれる。
それはじわりと重なった層を押し分け、ゆっくりとからだの中心を貫いた。

「あぁぁんっ!!」

始めはゆっくりと、徐々に勢いを増して腰を動かすアルテア。
楔を突き込むように、襞を擦りあげられる。
わたしの背中に覆いかぶさるようにしたアルテアは、背骨に沿ってつうっと唇を滑らせた。

「ひゃんっ」

のけぞりながら、わたしは必死に手を伸ばして、アルテアの手を掴む。

「ね・・・え・・・っ、やだぁ・・・」
「なに、恥ずかしい?これじゃ・・・嫌かい?」

アルテアは、腰の動きを止めることなく聞いた。
まともに話すこともおぼつかないけど、喘ぎの合間に、懸命に言葉をつむぐ。

「アル・・・テアの、顔が・・・見られない・・・もんっ」

わたしの搾り出した言葉を聞いたアルテアは、ぴたりと動きを止めた。
ずるっと自分自身をわたしの内から引き出す。
くるりと反転させられるわたしのからだ。

いつの間にか窓の外は真っ暗で、部屋の中にもとっぷりと薄闇が降りてきていた。
腕を伸ばして小さなスタンドに明かりをともすと、アルテアはわたしに向き直った。
ほとばしるような思いが、いつもはあまり見ることのない、真剣な眼差しから伝わってくる。
390アル×パス 密会編:本編 9:2006/07/13(木) 18:11:25 ID:RRWicY2w

「どうして君はそんなに・・・あぁ、うまくいえない」

もどかしそうにわたしの体を開かせると、今度は幾分荒っぽく腰を押し進めた。

「・・ぁあっ!・・・ぁむ・・・ん・・・」

漏れる声を抑えようと唇を噛むと、その唇を、ついと指でなぞられる。

「いいよ、もっと・・・声出して。
 俺しか、聞いてない。・・・聞かせて?」

いとおしそうに、低い声でつぶやく、アルテア。
我慢しているわたしの声を誘うように、緩急をつけて動かされる腰。

「・・ぁあんっ!!・・・はぁ・・・っ」

動きに合わせて室内に響くのは、ぬぷっ、ねちゃ、っと粘膜のこすれるような音。
ひそやかに息づくわたしのその部分は、アルテアの動きにあわせて痙攣し、溶けそうな快感に絶え間なく襲われた。
耳のすぐ傍に、熱く湿ったかすかな声。

「ね、パステル」

半分飛びかかっていた意識を、必死に引き戻して眼を開ける。
至近距離でわたしを見つめる、恋しい人の眼差し。

「俺さ・・・いま、君に呼ばれたい。呼んでくれよ」

彼が突き上げてくる振動に翻弄されながら、うわごとのように喘ぐ。

「ア・・・ルテア・・・ぁん、アルテア・・・っ」
「もっと」

キスを求めて、唇を捜す。
探し当てたアルテアの唇は、焦げるように熱っぽい。

「アルテ・・・アぁぁ・・・だめ、もう・・・っ」
「パステル・・・っ」

アルテアの日焼けした体をしっかりと抱きしめて、わたしは喉の奥から声をあげた。
鍛えられた腕が、わたしに答えるように、強く強く抱きしめる。
のぼりつめた快感が出口を求めて弾けるのと、アルテアとつながったその部分に、火傷しそうな情熱が注ぎ込まれるのは同時だったと思う。


ぶ厚い胸板が上下している。
荒い息をこぼすアルテア。
それはそれは艶っぽい声が、耳たぶを甘がみしながら囁いた。

「夜はまだ・・・長いよ?」

吐息で答えるしかない。
また、からだをゆっくりと這い回る指に、熱さの収まらないわたしのからだ。
このまま朝が来なければいいのに・・・
鳶色の瞳から溢れているのは、きっとわたしと同じ思い。
語らずとも通ずる気持ちを確かめ合うように、思いをこめて見詰め合う。
長くて、短い、ふたりだけの夜。
わたしたちは傾く月に追われるように、幾度も幾度も愛し合った。
それはまるで、瀕死の旅人が、オアシスで渇きを癒すかのように。

391アル×パス 密会編:本編 10:2006/07/13(木) 18:12:38 ID:RRWicY2w


早朝の霧にけぶるような、ミルク色の朝。
まだほとんど人のいない大通りを歩き、アルテアは、マリーナのお店の下まで送ってくれた。
これから馬をとばして宿営地に戻るんだそう。
また繰り返される、切ない別れに、胸の奥が重く痛む。
これから、何度、この別れを味わうことになるんだろう。
情けないことに、我知らず涙ぐみそうになる。
わたしってこんなに泣き虫だったっけ?

「あのさ」

言いかけて、見上げるわたしから、ふと視線を逸らしたアルテア。
しばらくなにか逡巡しているようだったけど、ぼそっとつぶやく。

「絶対・・・迎えに来るから」
「は?」

耳を疑うわたし。
うるみかけた涙もひっこむ。
照れたように鼻の頭をかいているアルテア。
気のせいかなあ?耳がほんの少し赤いような・・・

「俺ね、今まで女の子に、こんなこと言ったことないんだよ。
 信じられないかもしれないけど」

・・・はい、信じられません。
ますますアルテアを凝視してしまう。

「えーい、そうじっと見ないの!」

がばっと胸に抱きこまれる。
そ、そんなにぎゅっとしたら苦しい、苦しいってばあ!
わたしの反論を無視して、高めのバリトンがいとおしげに囁いた。
見えなくてもわかる、甘くてやさしくて皮肉っぽい微笑み。

「いい子で待ってて」

おでこにやさしいキスが降りてきかと思うと、わたしを抱きしめていた、逞しい腕はほどかれた。
彼はそのまま何も言わず踵を返すと、足早に歩いていった。
朝靄の中に、徐々に消えていく、すらりとした後姿。

わたしは彼が見えなくなるまで見送って、ふと気づく。
あ、あれ?
初めて・・・別れがさみしくなかった。
不思議なことに、もう胸が痛くない。
たった今去っていった、愛しい人の面影を思い浮かべても、甘やかな気持ちに浸るばかり。
ひたひたと満ちてくる潮のような、この思いはなんなんだろう。

突然、上のほうからバタンと音がした。

「パステル!」

見上げると、お店の窓の鎧戸が開き、ピンク色の前髪が覗いている。
うふふ、と表記するのがぴったりの笑顔で、手を振っているマリーナ。
わたしは思い切りにっこり笑うと、大きく手を振り返した。

392162:2006/07/13(木) 18:14:09 ID:RRWicY2w
完結です。
随分長い話になりましたので、次回は短めのものを構想中です。
393名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 13:32:49 ID:AHUf42Bi
(・∀・)乙です
394名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 16:11:15 ID:3tg9kPtb
苺プレイキタ−−−!!!
バーで羞恥にバック体勢で,激萌え。
395名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 16:20:48 ID:dC6a9xY/
396名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 18:40:48 ID:whw8WBzH
苺プレイなあ。
カプが違うだけで全く同じシチュを別のFQサイトで見たことあるが
これってプレイとして一般的なものなのか?
397名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 07:54:07 ID:LWtCyY1p
398名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 10:00:16 ID:9EtBZvBH
>>396
果物ネタ、時々見るよ。
使える果物限られるから、みんな苺に落ち着くと思われ。

バナナ→まんますぎ
さくらんぼ→取れなくなったらまずいやろ
みかん・桃・りんご→どうやるんだ
メロン・すいか・パイナップル→物理的不可能

果物駄目なら野菜とか?
キュウリにゴーヤにナスにうわなんだおまえやめr
399名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 23:19:31 ID:V/oM3r3o
パイナップルとか大分痛そうだな
400名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 02:49:30 ID:myOLikEu
401名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 06:22:58 ID:5/88o7fU
レス番を小刻みに書いてるのって何で?
402名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 08:39:06 ID:cagA0d+T
>>401
携帯から見たいんでは?
普通の設定のまま見たらスペック不足で
下の方が切れてしまうから
アンカーから飛んで小刻みに見てるんだと思う。

まあそうなのか違うのかわからないけど
何も言わずにアンカーだけ続くのって気持ち悪いな。
なんかあるんだったら言って欲しいよ。

あともし携帯から見たいだけなら
自分の携帯のメールとかでできるよ>アンカーの人
↓みたいに、スレアドの最後に数字をいじるだけ。
(例はクラシックなどでリンクの文字列が
省略されないようtp://にしてます)

tp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1132238881/l3
tp://i2ch.net/z/-OOF.-I!mail=sage&skin=ffffff-000000-0000ff-c000c0-c000c0-008000/WG/CpuwW/400-402n

『l3』なら最新3レス、『400-402n』なら指定範囲>>400-402を表示。
ちなみに末尾にnがなければ>>1+>>400-402表示になる。
『400-』にすれば>>400〜設定の最大範囲表示。
403名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 19:46:47 ID:phlWjyPp
>>402優しいな。自分は出先では普通に携帯から見てるよ。
普通に見られる携帯環境なもんで、レスアンカー意味不明だった
404162:2006/07/18(火) 10:02:10 ID:QcGfOzeM
162です。いつもご拝読感謝です。

以下、御品書きです。
カップリングはクレパスです。
話は軽め短めですが、エロ度高目に設定しております。
405クレ×パス シャワー編 1:2006/07/18(火) 10:04:58 ID:QcGfOzeM

まいったな・・・
梅雨の晴れ間と油断した俺がドジだった。
昨日まで大雨だったんだから、ちゃんと傘くらい持って出るべきだよな。

あたりは黒雲に覆われ、まだ早い時間だというのに真っ暗。
俺は相変わらず不幸な自分を呪いながら、雨の中をひた走っていた。
足元は一面水溜りの様相を呈して、一歩ごとに高く上がる泥はね。
狭いシルバーリーブとはいえ、俺のバイト先の武器屋からみすず旅館は、けっこう離れている。
武器屋を出た時小降りだった雨は、走れば走るほど勢いをまし、雷まで鳴り出す始末。
ようやくみすず旅館が見えた時、俺は頭のてっぺんからつま先まで、全身くまなくびっしょりになっていた。
くっそ、川に落ちたってもう少しましじゃないか?
軒先に駆け込み、濡れてじっとり重くなった髪と服をしぼる。
額にぺったり貼りついた髪をかきあげ、雫をポタポタ垂らしながらドアを開けると同時に、雨がやんだ。
おいおい・・・
自分の運の悪さは重々自覚しているが、なんでこうもタイミングが悪いんだか。
重くため息をつきつつ、階段をあがる。

みすず旅館の中はしんとして、人の気配がない。
そうか、今日は皆いないんだっけ。
トラップとキットンは、俺と同じくバイト。
俺は今日は、武器屋のご主人の都合で早く店を閉めるそうなので、早くあがったんだけど。
ノルは、雨降りに退屈したルーミィとシロを連れて、朝から隣町のバザールに出かけている。
パステルは・・・見当たらないけど、原稿じゃないかな?

俺は密かに恋人に思いを馳せる。
って、すぐそこの女部屋にいるんだろうけど。
実のところ、一応俺の彼女・・・と呼んでいいのかな。いやそのはずだ、うん。
意思の疎通はできてるわけだし、俺はそう思ってるんだけどさ。

しかし、まともに手も握ったことがない関係を、恋人と呼んでいいのやら。
俺の方はその先まで進みたい気は、多かれ少なかれあるんだけど・・・
い、いや、俺だって一応年頃の男だし。
・・・って、誰に言い訳してるんだ、俺。
でもなぁ。
なんというか、まだまだ幼さが先にたって、彼女というより妹に見える方が多いパステル。
不埒な考えがよぎっても、手を出しあぐねてる、というのが正直なところだ。
406クレ×パス シャワー編 2:2006/07/18(火) 10:06:06 ID:QcGfOzeM

つらつらとそんなことを考えながら、俺は廊下を通って男部屋に入り、濡れた手でタオルと着替えをつまみあげると、風呂場へ向かった。
ふと後ろを見ると、俺が歩いたところが見事に点々と水溜り状態になっている。
げ、まずいな。
できるだけ歩幅を広げて歩く。
最近ワックスもかけられた形跡のない床だからなぁ。
あんまりびしょびしょにすると、カビやキノコでも生えかねないぞ。
それはそれでキットンが喜ぶかも・・・いやいや。

とりあえず風呂にでも入ろう。
体が冷え切って、寒くてかなわない。
下着まで見事に濡れて、とにかく気持ちが悪いんだよな。
その上、もう7月だというのに、雨模様のせいかやたらと気温が下がってるし。

階段を下りると、誰もいない台所を一応覗いてから、脱衣所に入る。
籠にタオルと着替えを放り込み、すっかり体に張り付いた服を引き剥がすように脱ぐ。
下着も脱ぎ捨てて、ぐっしょり湿って重くなった服を床にまとめたところで、ふと気づく。
あれ?先客がいる。
入ってきた時は気づかなかったが、脱衣籠に服が入っているみたいだ。
こんな時間に風呂とは、誰が入ってるんだろう。
ま、俺も人のことは言えないけどさ。

・・・そこまで考えて、可能性として該当するのは、1人しかいないことに思い当たった。
もしかして・・・パステルか?
一気に顔に血が上る。
もう一度籠に目をやると、見慣れたブラウスがきちんと畳んで置かれ、刺繍のしてあるバスタオルがその上に載せられていた。

慌てて脱衣所から出ようとして、自分が全裸なのを思い出す。
とりあえず着替えを着て、出るか・・・
しかし、雨にうたれた体は冷え切り、正直歯の根が合わないほど。
できればすぐ湯を浴びたいところだ。
浴室へ入る引き戸の隙間から漏れる蒸気が恨めしい。
ここでパステルを待つか?
いやいや、待ってたっていつ出てくるかわからないし。
そもそも、彼女も出てきた時いきなり俺がいちゃ、驚くんじゃないか?
素っ裸で自問自答するうち、寒気が走り、くしゃみが出た。
まずいな。風邪ひきそうだ。

浴室の様子を伺う。
聞こえるのは、外の雨音もかき消す、ザー・・・というシャワーの音。
熱い湯に打たれているパステルの姿を、思わず知らず想像して、また顔が赤くなる。

いつもの俺なら、迷わずここから出るところだろう。
しかし、相当に凍えた俺は今、とにかく風呂に入りたい。
そして、パステルは・・・俺の彼女なん・・・だよな?

ふたつの誘惑と、俺は懸命に戦い・・・そして、負けた。
407クレ×パス シャワー編 3:2006/07/18(火) 10:08:40 ID:QcGfOzeM

割と広い浴室の中は、真っ白な湯気にけむっていた。
音を立てないように細心の注意を払いつつ、引き戸を閉める。
もわっと暖かく、霞んだ湯気の向こうに、細くて白い後姿が見えた。
跳ね上がる心臓。
股間に勃然とこみあげるものを感じつつ、そっと近付く。
足音を忍ばせ・・・いや、浴室だから特に足音はしないんだけど。

パステルは俺に気づかず、立ったままでシャワーを浴びていた。
こころもち顎を上げて、顔に直接湯を受けているらしい。

俺は可能な限り気配を殺して、初めて見る恋人の裸身を舐めるように見つめた。
濡れて背中に張り付いた、長い髪の毛。
どこもかしこも細身にできている、全身のパーツ。
上半身は華奢だが、胸の隆起が伺える。
トラップの言う出るとこ引っ込んで・・・っていういつものあれは、間違いだったんだなあ。
無駄な肉のない脚。
細くくびれたウエストの下には、桃のようにふっくらして真っ白い・・・お尻。
吸い寄せられるように思わず脚が動く。

と、その時、パステルがふいとこちらを振り返った。
逃げる間もなく・・・いや、逃げる気はもともとないんだけど・・・
真ん丸に見開かれた、はしばみ色の瞳とばっちり眼が合う。

「きゃああああああっ!!!!」

ある程度予測はしていたが、それを上回る、耳をつんざく絶叫。
そ、そりゃ叫ぶよな。
誰もいなくてよかった・・・
叫ぶだけ叫ぶと、電光石火の速さで両手で胸を隠し、その場にしゃがみこんだパステル。
ええと、とりあえずなんて言えば?

「いやあのえっと・・・ごめん」
「ご、ごめんって、ちょっとクレイーーー!!」

超音波的高音の悲鳴を、至近距離で受け止める。み、耳が・・・
パステルは、真っ赤な顔だけこっちに向けかけた。
が、俺が裸なのに気づいて、慌ててまた下を向く。

「な、なんでクレイがいるのっ!?」
「パステルが入ってるの、気づかなかったんだ。
 俺、雨に濡れちゃって風邪ひきそうで。
 早く風呂入りたくて急いでたもんだからさ」

我ながら、下手な嘘だ。
いや半分は事実なんだけど・・・
もともと嘘というものは格段に苦手なので、仕方ないといえば仕方ないが。
パステルは俺の言葉を聞くと、しどろもどろに叫んだ。

「そそそれなら、仕方ない、ねっ!
 じゃあわたしがあがるから、クレイ、どーぞ入ってっ!
 あ・・・のさぁ、あっち向いててくれる?」

真っ赤になった首筋と、ほっそりした背中。
彼女は俺に気づいて慌てて屈んだ時に、シャワーの吐水範囲からはみ出てしまっていた。
床をひたすら打ち付ける霧状の湯。
足元にしゃがみこんでいるパステルの肩に、そっと手を置くと、びくっと身を震わせる。
手に触れる華奢な肩は、ひんやりと冷えていた。
408クレ×パス シャワー編 4:2006/07/18(火) 10:09:18 ID:QcGfOzeM

「パステル」
「な・・・に?」

俯いたままのパステルの腕に、両手を添えて立ちあがらせる。
少し抵抗したものの、素直に立ったパステル。
両手を胸から外さず、俺に背中を向けたまま。
うなじに濡れた髪がまといつき、たまらなく色っぽい。
俺はごくん、と唾を飲み込んでつぶやいた。

「・・・一緒に入ろう?」
「え・・・」

シャワーの真下にパステルを押しやり、思い切って細い体を抱き締めた。
俺の両腕に、すっぽりおさまる華奢な体。
パステルは、全身をかちかちに強張らせている。

表情が見たくなり、片手でパステルの顎を持ち上げ、上向けさせた。
細かい水滴にうたれて濡れた顔。
初めて見るあらわになったおでこに、我知らずドキドキしている俺。
頬はほのかに赤く染まって、恥ずかしそうな瞳が可愛い。
おずおずと見上げられ、なんともそそられる表情に呼吸を荒くしながら、半開きの唇にそっとキスをする。
柔らかくて熱くて、ふんわりとした弾力。
女の子の唇って、こんなにやわらかいのか・・・
はむ、と唇の角度を変えると、恐る恐る舌を差し入れてみる。
拒まないでくれ、と祈るような気持ちで。
わずかな身じろぎをしつつ、パステルは俺の舌を受け入れた。
まったりと熱をもった口内で、奥へ引っ込もうとする舌を、追いかけて捕らえて吸い上げる。
パステルは軽く眉根を寄せ、ぎゅっと眼をつぶったままだ。

キスで拘束したまま、胸をおおった細い両手をほどくと、白い乳房が視界に入る。
性急に手を伸ばし、思ったよりもずっとやわらかいふくらみを揉む。


「・・・ん・・・っ」

唇の下で、こぼされる甘い呻き。
胸の奥がずくん、と疼く。
片手で胸を掴んだまま、もう片手をパステルの脚の付け根に伸ばした。

「ぁん!」

パステルはぱっと眼を開き、身をすくませた。
弾みで唇と唇が離れる。
途端に、恥じらいを隠すように俯いてしまった。
あぁ、もう少し顔を見ていたかったのにな。
少し残念になりながら白いうなじにキスし、脚の間に差し入れた手で少し脚を開かせる。
その部分にゆっくりと触れると、とろっとした液体が指を濡らした。
409クレ×パス シャワー編 5:2006/07/18(火) 10:09:54 ID:QcGfOzeM

「っ・・・やぁ・・・」

たまらなくなったのか、目の前のタイル張りの壁にすがりつくパステル。
真っ白になるほど、力の入った指先。
俺はよく構造のわからないそこに指を差し入れ、周りの感触を確かめるように弄ってみる。

「ひゃ・・・ぁ・・・ぅんっ・・・」

ぬるぬると、湯とは別の液体がにじみ出ているのがわかる。
もう・・・大丈夫なんだろうか。
流しっぱなしのシャワーから熱い飛沫を受けながら、身を屈め、耳元に囁いた。

「パステル・・・いいか?」

潤んだ瞳が俺を振り仰ぐ。
健気にもパステルは、唇を引き結ぶと、こくんと頷いた。
頷きはしたものの、やはり怖いんだろうな。
半分逃げかかるしなやかな細腰を、しっかりと抱き寄せる。
膝をおとし、半分中腰で、立ち上がった俺自身をパステルの秘部にあてがう。
ゆっくりゆっくり腰を進めると、潜り込むような感触に続いて、きつく締め上げる生暖かいものに包まれた。

「・・い、たっ・・・ぁあ、ぁ・・やぁんっ」

パステルの小さな悲鳴。
始めは痛いんだろうとそっと動かしていたんだが・・・
初めて感じるあまりの気持ちよさに、腰の動きがセーブできなくなってきた。
崩れ落ちそうなパステルを腕でしっかりと支え、勢いをつけて突き入れる。

「あん、や・・・あっ・・・クレ・・・イっ」

シャワーの音すらかき消すほど、切なく高い声で鳴くパステル。
冷静さを保とうとしても、扇情的な声色に余計煽られて、どうにもならない。

「パス・・テル・・・っ」
「ぁん、あぁん・・・っ・・・クレイぃ・・・あぁっ」

俺を翻弄するような、パステルの火照りとぬめり。

「ごめ・・・ん、俺もう」

言葉が終わらないうちにソレを引き抜くと、俺は自分の精を床に吐き出した。
白く濁った液体が、パステルの脚から伝い落ちた赤い液体と混ざり合い、タイルの上を流れていく。
力の抜けたパステルが、ずるずると壁を伝い落ちるのを抱き留め、抱えあげる。
そして俺は、腕にあらん限りの力をこめて、愛しい彼女を抱き締めた。
410クレ×パス シャワー編 6:2006/07/18(火) 10:10:24 ID:QcGfOzeM


俺たちは、一緒に湯に浸かっていた。
4人くらいは一緒に入れそうな大きな湯船に、隣り合うように座って。
名実共に恋人同士になった後だというのに、俯いて眼を合わせようとしないパステル。
はにかんだ表情が、たまらなくいとおしい。

「・・・ねぇ、クレイ」
「何?」
「・・・のぼせそうだよぉ・・・」

湯船に眼を落としたままで、つぶやくパステル。
確かに、顔がさっきよりさらに赤い。
思わずからかいたくなって、腕を軽く引くと顔を覗き込む。

「のぼせるって、俺に?」
「・・・バカぁ」

俺の胸に顔を埋めるパステル。
・・・あ、まずい。
また元気になってきちまった。

罪だよ、もう。
どこまで可愛いんだろう、この子は。
ため息をもらしつつ、パステルを抱いたまま天井を仰ぐ。
眼の端にうつった窓からは、雨上がりの澄んだ光が差し込んでいた。


-----------------------

完結です。
次回は軽いトラパスの予定です。
411名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 13:31:12 ID:Ye2nQpO+
GJ!
クレイは実はムッツリなわけですな
412名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 21:00:11 ID:jdER+t8l
パステル幸せ物語もー飽きた。さすがにこれだけ立て続けだとな・・・
トラップ寸止めもそうだけど
どんなカプでどんなシチュになろうと1話2話読めば先の展開が読める。
別につまらないと言いたいわけじゃないが
たまにはハードなレイプもんとか系統の違うものも読んでみたい
413名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:13:58 ID:ro+Yv1hj
>たまにはハードなレイプもんとか系統の違うものも読んでみたい

これだけ書けばいいんでないの?
414名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 06:25:27 ID:MSr6Tnhv
>>412
はいはいよかったね
文句があるなら自分で書こうね
415名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 07:05:19 ID:ylBx65Ai
>>414
m9(^Д^)プギャー書く訳ねえじゃん
416名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 07:41:56 ID:HlBogzt0
このスレってマンセーしかしちゃ駄目なの?
よく「文句があるなら自分で書け」って言う奴いるけどさ
自分で何か書いて投下してる奴なら他人の作品にケチをつけてもよくて
書けない奴は黙って投下される作品を無条件に崇めてなきゃいけないわけ?
まあ書き手が「自分は投下することによって成長しようなんて思ってません。マンセーしか受け付けません」
って言うのなら仕方ないと思うけど
「展開が読めてしまうからつまらない」とか
「似た傾向の話ばかり続いてるからたまには違う傾向の作品読みたい」ってのは
立派な感想の一つだと思うけどな。
417名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 08:17:44 ID:Yih1a7s2
ヒント:書き方、言い方。
418名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 11:37:37 ID:iEaF5Dtt
>>412=>>416
お前が飽きようがレイプ希望してようがどうでもいい
ていうか>>1
419名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 12:34:53 ID:2AyscFLG
>>416
文句があるなら自分で書けっていうのは
クレクレしてないで自分が書けば?って意味だと思われ。
別名言いだしっぺの法則。違うか。

SS書けないなら素直にこんなシチュが読みたいって言ってみるとか。
せっかくリクおkって言ってくれてるんだしさ。
カプにこだわりはないみたいだし、クレマリとか見てたら
幸せ系以外も書ける人だから、大抵のリクはきちんと応えてくれると思うよ。

あと個人的な意見としては、フォーチュンのエロパロなら
パステル幸せ物語が多くなるのは仕方ないかと。
原作が基本パステル幸せ物語だし…。
むしろパステル幸せ物語秋田ってセリフは原作者に言ってやりた(ry
420名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 14:37:26 ID:oHFht3YB
なれあいがしたいならサイトでも作ってそっちでやれ。
荒らしもクレクレ厨もうざいが
ちょっとでも批判的な意見は叩き潰さないと気が済まない擁護厨も十分うざい。
相容れない意見は放置すればいいんじゃないか。
人の好みはそれぞれだしこの書き手ならもっといいものが書けるって期待があるから批判も出るのでは。
批判があるなら書きたくないという書き手はそもそも来る場所を間違えてる。
421162:2006/07/19(水) 14:55:26 ID:nVQ9fVJS
162です。
まずはご拝読ご感想に感謝。
マンネリ打破に、リク頂きましたレイプ物を投下に来ました。

御品書きです。
トラパス(ベースはクレパス):レイプ物です。
ハッピーエンドの好きな方はスルーをお願いします。
いきなり突き抜けた展開もマズいかと、まずは短い妥当な話に収めております。
422トラ×パス 横恋慕編 1:2006/07/19(水) 14:56:24 ID:nVQ9fVJS

長く降り続いた雨が、やっとあがった。
雲の切れ間から、遠慮がちにのぞいている澄んだ青空。
わたしは、猪鹿亭から一本裏に入った通りを、クレイとふたりで歩いていた。
クレイはこれからバイト。
わたしは買い物に行くから途中まで一緒に、っていう言い訳をした、つかの間のデートだったりして。

照れ屋のクレイだから、大通りで手をつないだりはしない。
でも、人の少ない通りであれば、まわりに人がいなければ。
まるで悪いことをするみたいにキョロキョロして、そっと手をつないでくれるんだよね。
くふふ、その辺りを伺う表情が可愛いったら。

「クレイ、そんなにびくびくしなくてもいいでしょ」
「い、いやぁ、まだ慣れなくてさ」

空いた片手で頭をかきながら言う。
照れてるのか、少し赤い頬。
なりたてほやほやの恋人の顔を見上げつつ、幸せな気分に浸るわたし。

「悪いことしてるんじゃないんだから」
「それにこの通り、トラップのバイト先があったろ?
 こんなとこ見られたら何を言われるか・・・」

それでも律儀に手をつなぐ彼に、ついこぼれる笑いをかみ殺す。

「トラップも彼女作ればいいのにねー。
 相手がいなくてつまんないから、クレイをからかって遊んでるんじゃない?」
「そうなのかな?俺よくわかんないけど」

わたしの言葉に、首をひねるクレイ。

「あの人かなりモテるんだから、ご縁はありそうなのにね」
「でもあいつ、バレンタインにさ、誰からもチョコ受け取ってないんだぜ?
 意外に、誰か本命の子がいるのかもしれないな」
「クレイみたいに、本命がいてももらいまくる人とは違うよねえ」

横目でちらりとクレイを見る。

「えっ・・・もらいまくるって・・・
 いやそれはそうだけどさ、あの、せっかくくれる気持ちを断るのも・・・」

焦ったクレイは、どもるわ噛むわで大変なことに。
あーあ、一気に汗出ちゃってるし。

「はいはい、わかったってば。ま、それがクレイのいいとこだよね」
「なんだよ?それ」

目が合ったわたしたちは、思わず吹き出して大笑い。
その場所はまさに、トラップのバイト先である郵便局の目の前だった。

423トラ×パス 横恋慕編 2:2006/07/19(水) 14:56:57 ID:nVQ9fVJS

コンコン。
男部屋のドアを、軽くノックする。
返事を待たないでドアを開けると、ベッドに長々と寝そべっているトラップの姿があった。
今日はバイト昼あがりって言ってたから、もう帰ってると思ったんだよね。大当たり。

「あ、いたいた。トラップ、起きてる?」

無反応。あれ?寝てるのかな?
肩を揺すると、嫌そうに腕を払われた。

「・・・るせぇ」

なんだ、起きてるんじゃない。
ベッドの縁に座り、ピンク色の包みを差し出す。

「あのね、さっきこれ預かったよ」
「あん?」

だるそうに目を上げるトラップ。
ん?目が赤い。
またこの人、カジノ行って夜更かししたのかなあ?

「さっきパン屋さんに行った時にね、親衛隊の女の子に会ったの。可愛い子だったけど。
 トラップに渡してくれ、って」
「ふーん」

トラップは包みをつまむと、興味なさそうにぽいと放った。
慌てて受け止める。

「いらね」
「いらねってあんたねぇ。女の子の気持ちも考えてみなさいよー。ひどいなぁ」
「・・・ひでぇのは誰なんだか」
「は?」

何のことよ?
トラップは聞き返すわたしをあっさり無視すると、ごろりと寝返りをうって壁際を向いてしまった。
くぐもった声が問いかける。

「そういやおめえら、さっきイチャついて歩いてたな」
「イチャつくって・・・失礼ねえ」
「ベタベタ手なんぞつないでよ。
 クレイの親衛隊は解散したわけじゃねんだから、気ぃつけた方がいいんじゃね?」

心配してくれてるのか嫌味なのか。
なんだかすごく悪意のある言い方に、カチンとくる。
そっちがそんな言い方するなら、こっちだって言っちゃうもんね。

「放っといてよ。トラップには関係ないでしょ?」

意識的にきつく、つん!と突き放した口調で言い返して、立ち上がろうとする。
と、寝転がったままのトラップに、包みを持った手首をぐいと掴まれた。
424トラ×パス 横恋慕編 3:2006/07/19(水) 14:57:35 ID:nVQ9fVJS

「何よ、やっぱり欲しいの?素直じゃないんだから。
 ほらこれ、クッキーみたいだよ」
「違うってんだよ!」

いつの間にか半身こちらに向けたトラップ。
切り込むような眼差し。
何よ?何なの?
疑問を口にしかけたところで、つかんだ腕を思い切り引っ張られてバランスを崩すわたし。
そのまま力ずくで、トラップの体の下に抱き込まれてしまった。

「や、トラップ、なにっ!?」

わたしの悲鳴になんて耳を貸さず、トラップはわたしを骨も折れよと抱きしめた。

「俺が欲しいのは・・・くっそぉっ・・・」

搾り出すようなつぶやき。
トラップの細い指が腕に食い込む。

「なんなのよっ・・・ねえ痛いってば、離してっ」
「離さねえ・・・離すもんか」

深淵を覗き込むような暗い瞳をして、さらに腕に力を込めたトラップ。
わたしに覆いかぶさったままで、片手を襟足に伸ばす。
くん!と後頭部を引っ張られるような感覚の後。
枕の上に、ほどかれた髪がばさりと落ちた。
トラップはたった今までわたしの髪をまとめていたリボンで、わたしの両手を併せて縛りあげる。
鮮やかとも言える手並みになす術もなく、わたしは万歳させられた状態で呆然とトラップを見上げた。

「や・・・何のつもり・・・?」
「何のつもりだあ?・・・ここまでされて、わかんねえのかよ」

ニヤっとトラップは笑った。
それはそれは冷たく、生気のない微笑み。
ぞくりと背中が震える。
細い指がわたしの襟元にかかったかと思うと。

ブチブチブチッ!!
鈍い音をたててブラウスが破かれ、ボタンが弾けとんだ。

「ひっ」

あらわになった胸元を這い回る指先。
強く胸をつかまれ、先端を手加減なしに弾かれる。
425トラ×パス 横恋慕編 4:2006/07/19(水) 14:58:04 ID:nVQ9fVJS

「い・・・痛いっ、やめてよ、やめてってば!」

わめくわたしの声は一切聞こえないかのように、トラップは冷たい手で愛撫を続けた。
でもこれ、愛撫・・・って言っていいんだろか。
愛なんかどこにもない。
痛みと嫌悪だけを生み出す、残酷な手の動き。

一瞬、助けを呼ぼうという考えが浮かんだ。
誰か・・・と声を出しかけて、今更気づく
あぁ、皆・・・出はらっているんだった。そういえば。
そしてもちろん、クレイはいない。あの人は・・・いないんだ。
絶望の色を浮かべたわたしにトラップは、嗜虐的とも言える笑顔を向けて言った。
聞いたこともないほど、冷ややかな声。

「んな顔すんなよ。誰も来やしねえから」

そして抵抗もむなしく。
わたしのスカートをめくりあげると、下着を引きむしるように剥ぎ取った。
閉じようとする脚は強引に割られ、トラップの指が強引に入り込んでくる。

「やぁっ!」

痛い。
今まで何も受け入れたことのないそこを、グリグリとかき回され、涙が溢れた。

「俺さ、おめえのことが好きだったんだぜ?パステル。
 知らなかったろ?」

耳元で、とても楽しい秘密をばらすように囁くトラップ。
そんなこと今言われても、もう何をどう答えていいのかわからない。
わたしにどう言えっていうの?何が聞きたいのよ?
頭をぐるぐるとまわる、声にならない叫び。

「や・・っ、あぁ・・・ぃやぁ・・・」

嫌なのに、やめてほしいのに、気持ちとは裏腹に次第にぐちゃぐちゃになる、わたしのそこ。
嘲るような表情を浮かべたトラップは、きわめて事務的な手つきで、指を抜き差しした。
細い指に、透明な液体がねばついているのがわかる。
426トラ×パス 横恋慕編 5:2006/07/19(水) 14:58:41 ID:nVQ9fVJS

「こんなにしてよ。好きでもねえ男に犯られてんのに・・・けっ」

吐き捨てるように言いながら、おもむろにファスナーを下げるトラップ。
ほんの少しの間があいて。
なにか弾力のある、張り詰めたものがわたしのその部分にあてがわれた。
本能的に逃げようとする体。
でも、万力で締めるようにがっちりと抱き込まれ、後ずさりすら許してはもらえない。
細く見えるのに、わたしを押さえ込んで放さないトラップの腕。
わたしはすくんだ体を縮こまらせ、精一杯の意思表示として首を横に振った。

「や・・・やめ・・・」

強制的に濡れさせられた、わたしのそこに押し入ろうと、かけられる熱くて固い圧力。
例えようのない恐怖と同時に、クレイの面影が頭をよぎる。

「やだやだやだぁっ!クレイ、クレイぃぃっっ!!」

口をついて出た恋人の名前。
それを耳にしたトラップは、びくりと震えた。

「くそ・・・っ、くそおおおっ・・・!!」
「きゃああああああっ!!!」

トラップは溜め込んだものを吐き出すように苦しそうに呻き、一気に自分自身をこじ入れてきた。

「痛い痛い痛いぃっ!やめて、やだっ、痛いよトラップ!!」
「うるせぇ!!!」

ぐじゅるっという卑猥な音を連れて、わたしの中に、それは無理矢理入り込んできた。
狭い隙間を割裂くように押し込まれ、肉と肉とを引き剥がすような激痛が走る。

「いた、痛いっ・・・やめてえぇ・・・っ・・・!!」

文字通り引き裂かれるような痛みに耐えながら、わたしは唯一自由な喉から悲鳴をあげる。
時折途切れそうになる意識。
トラップは眉間に深く苦悩を刻んだまま、わたしの中を蹂躙した。
脚の間から突き上げてくる振動と、火傷しそうな熱さ。
後から後から、涙が湧いてくる。

「・・・パ・・・ステル・・・」

荒い呼吸の中で、トラップが低い声でわたしの名を呼んだと思うと、体の中にどくん、という鼓動が走った。

427トラ×パス 横恋慕編 6:2006/07/19(水) 14:59:26 ID:nVQ9fVJS

わたしはしゃくりあげながら、目を開ける。
涙でぼやけた視界の向こうには、見たこともないほど、切ない表情のトラップ。
犯されたのはわたしなのに。
それは、泣き出しそうな子供にも見えて、なぜかわたしの胸を締め付ける。

「・・・俺は、俺はなぁ・・・ちくしょうっ・・・なんでクレイなんだよ!?」

血を吐くように悲痛な叫び。
きつく閉じられたトラップのまぶた。
顔の上にぽたぽたと落ちてくる、熱い水滴。
わたしはただ、トラップの顔を見上げているしかできなかった。

ズズっと鼻をすすり、トラップは天井を仰いでつぶやいた。

「あぁ・・・俺、今すっごく・・・おめえにキスしてえ・・・」

いとおしげで、あまりにも今の状況にそぐわない、優しい言葉。

「・・・え?」

思わず耳を疑う。
手首の戒めを忘れて、反射的に身を起こしかけるわたし。

「・・・とてもできねえけど」

ニヤッと力なくトラップは笑った。
ゆらりと体を起こすと、手の甲でぐいと顔をぬぐい、服を調えた。
腕を伸ばしてわたしの手首を自由にすると、そのまま振り向きもせず、何も言わず部屋を出て行ったトラップ。

残されたわたしは、しばらくそのままの姿勢で動けなかった。
縛られていた手首は、布に擦れて真っ赤に腫れ上がって、ひりひりと痛む。
でも今は、手首なんかよりお腹の奥が痛い。
胸の奥は、もっともっと痛い。
シーツに広がる、紅の染み。
あちこちが疼く重たい体を抱えて、わたしはのろのろと体を起こす。

何もかもが壊れたことを、わたしの体が雄弁に物語る。
頬を、ひとしずくの涙が伝い落ちた。



------------------------
完結です。
428名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:13:40 ID:Fht/7vKn
412です。
162さんありがとうございました!
自分の考えの足りない発言のせいで大変ご迷惑をおかけしました。
読み返してもひどい発言だったと思うのですが
そんなリクエストにまでお答えいただき本当に本当にありがとうございます。
本来ダークな内容のはずなのに
トラップの切なさのようなものが伝わってきてとても素敵な話でした<横恋慕編
2chだからと言って何を発言してもいいということにはなりませんね。
本当に申し訳ありませんでした。
お詫び代わりにもなりませんが
自分で書きもしないで人の作品をあれこれ言うのは卑怯な話だと思い
何か1作品、と手がけてみました。
何分自分は小説は読む専門で書くのは初めてなので、おかしなところもあるかと思いますが
暇つぶしにでもなれば幸いです。
自分がリクエストしたのはレイプものでしたが、162さんが答えてくださいましたので
幸せめ、明るめのクレイ×マリーナで書いてみました。
429クレイ×マリーナ 1:2006/07/19(水) 22:14:47 ID:Fht/7vKn
多分、利害が一致した、っていうのは、ああいう状態のことを言うんだろう。
「おめえにとっても、悪い話じゃねえだろう?」
「・・・そうね。けど、一つだけ約束して。パステルを泣かせないって」
「わあってる。誰が・・・頼まれたって泣かせたりするかよ。おめえこそ・・・わあってるな?」
「今更、逃げたり隠れたりする気なんかないわよ。見くびらないで」
そんなやり取りと共に、幼馴染との密談は終わった。

みすず旅館のきれいとはいえない部屋の中で、わたしはクレイと向き合っていた。
もう一人の幼馴染。こうして会うのは久しぶりだけれど、優しそうな眼差しは、それでいてどこかきりりとひきしまった表情は、何一つ変わっていない。
「悪いな、マリーナ。久しぶりなんだから、パステルと話したかっただろう?」
「あ・・・ううん、わたしは、別に」
「トラップの奴もなあ。・・・気持ちはわからなくもないんだけど、もうちょっと我慢を覚えた方がいいと思うんだよな、俺は」
「あらあら。まさか、あの鈍感なクレイがそんなことを言うなんて」
わたしがわざとらしく「クスリ」と笑ってみせると、クレイは、頭をかいて、「そんなつもりはなかったんだけどな」とつぶやいた。
「トラップの奴にさあ、恨みがましい目で見られたよ。ちょっとは気を使えって」
「トラップらしいわね」
「せっかくマリーナが来てくれたのに、今日はキットンの奴が、ノルとルーミィとシロと一緒にどこかに出かけててさ。こんないいチャンスは滅多にない! って言われちゃうとなあ」
俺も弱いな、と首を振る彼に、わたしは「それがクレイのいいところよ」と答えて、微笑んだ。
本当に、何も変わっていないと思う。
わざわざそういう日を狙って、わたしがシルバーリーブを訪ねてきた、と。
疑うことさえできないのがクレイ。わたしの、好きになった人・・・
「・・・でも、ちょうどよかったわ。わたしも、パステルから相談されていたから。ちょっと、二人きりになるチャンスを作ってあげなきゃ、って思ってたのよね」
「そうなのか?」
「ええ。もしもキットン達が出かけてなかったら、わたしが彼らを連れ出すつもりだったの」
嘘。何もかも、嘘。
わたしがこうしてここに居るのはトラップに頼まれたからだし、キットン達が出かけていったのも、トラップが裏から手を回したから。
わたしも、その頼みを引き受けた。だから、わたしもトラップと同罪・・・もちろん、そんなこと、クレイに伝えるわけにはいかないけれど。
「なかなか、チャンスが無いって」
「え?」
「だから、パステルが。トラップとなかなかそういう機会がない、って」
わたしの思わせぶりな言葉に、クレイは、ぱちぱちと目を瞬いた。
鈍感なあの人のことだから、まず無理だろう、とわかってはいたけれど。予想通り何もわかっていない姿を見ると、つい笑いがこみあげてきてしまう。
430クレイ×マリーナ 2:2006/07/19(水) 22:15:59 ID:Fht/7vKn
「チャンスって、二人きりになるチャンスのことか? そうかあ、パステルもそんな風に思ってたのか」
「・・・」
「それは、悪いことしたな。今度、それとなくキットンに言ってみるよ。いつもってわけにはいかないけど、たまにならルーミィ達の相手を引き受けてやってもいいし」
「違うわよ、クレイ」
どこまでもほのぼのとした笑みを浮かべる彼の言葉を遮って。わたしは、そっと身を寄せた。
もっとも、クレイは少しも気づいた様子はなかったけれど。
「違うの。二人っきりになるチャンス・・・それも、そうだけどね? それだけじゃないのよ、パステルの悩みは」
「・・・え?」
「だって、せっかく恋人同士になれたのよ? 散々遠回りしてきたあの二人が。そういう関係になったんだから、やっぱり・・・ね? 色々やりたいことも、あるんじゃない?」
たっぷりと深い意味をこめて、思わせぶりな言葉を囁いた。
そこまで言っても、クレイはしばらくの間戸惑っていたけれど。さすがの彼も、意味を理解するのに数分とはかからなかった。数十秒はかかったみたいだけど。
「なっ・・・なっ・・・ま、マリーナ、それって・・・」
「あらあら。クレイ、顔が真っ赤」
「俺の顔なんかどうでもよくて! そのっ・・・」
期待通りの反応を見せるクレイを、じーっと見つめていると。彼は、いたたまれなくなったらしく、そっと目を伏せた。
「・・・まさか、パステルがそんなことを?」
「不思議じゃないでしょ? パステルだって、もうすぐ18・・・立派な女なのよ?」

「・・・」
「クレイ。あなた、パステルのことを『女』なんて思ったことなかったでしょう? パーティーの仲間で、家族で、言ってみれば可愛い妹。そんな風に、思ってたんじゃない?」
「・・・ああ」
「トラップのことも?」
「ああ」
素直なところは、彼のたくさんある美点の一つだろう。
「確かに・・・そうだよな。マリーナの言う通りだ。出会ったときさ、ルーミィと一緒に泣いてた彼女が、小さな妹みたいに見えて。守ってやらなきゃって・・・多分、それをずっと引きずってたんだな」
「それって、パステルにとってとても失礼よ、クレイ」
「わかってるよ」
わたしの言葉に、クレイは苦笑いを浮かべた。
「今度、謝っておかないとな」
「謝られたって困るでしょうに。悪い、と思うのなら、彼女の『悩み』に協力してあげたら?」
「・・・協力?」
後になって、思う。
わたしの言葉には真実なんか何一つ含まれていなくて、本当はトラップの悩みなのに、何もかもパステルの悩みのように見せかけた。その言葉を、クレイは疑おうとはしなかった。
もしも、わたしが正直に話していたら・・・何かは、変わったのかしら?
クレイはあれで生真面目な人だから。パステルが望んでもいないのにとんでもない、パステルが大切なら、少しは我慢しろ! って、トラップに説教でもしそうよね。
431クレイ×マリーナ 3:2006/07/19(水) 22:17:05 ID:Fht/7vKn
「そう、協力。きっとね、トラップだって心の底では望んでると思うのよ。でも、あいつ、昔から変なところで意気地が無いじゃない。気になる女の子を散々からかって、それなのにいざ相手が泣き出したら途端におろおろするような、そんな奴だったでしょう?」
「ああ、確かに」
わたしの例えに「全くだ」と頷いて。クレイは、わずかに身を乗り出した。
「そう考えたら、確かに協力してやれることは協力してやりたいな。いつまでも子供扱いしてた、お詫びもしたいし・・・なあ、マリーナ。何をすればいいと思う?」
「・・・そうねえ」
「二人っきりの時間を増やしてやればいいのかなあ。それくらいなら、いくらでも・・・」
「それだけじゃ駄目よ、クレイ」
だんだんと、計画が核心に近づいてきた。
そのことを悟って、わたしは、わずかに身を乗り出した。
「それだけじゃ駄目。二人っきりにするだけなら、今だって・・・あの二人にはね、もっと荒療治が必要なのよ」
「荒療治?」
「そう」
そう言って、わたしは。
クレイの肩をつかむと、そのまま、自分の唇を押し当てた。

しばらくの間、クレイは何をされているか、よくわかっていないようだった。
けれど、さすがに鈍感なクレイも、今自分がしている行為が世間で何と呼ばれているか・・・くらいは、わかったらしい。
「ま、マリーナ・・・」
迫るわたしの身体を恐れるようにして、クレイは後ずさった。
どん、と壁に大きな背中が突き当たる。まさにその壁の向こうにトラップとパステルがいるんだ、ということを、彼は、理解していたんだろうか?
「ねえ、クレイは当然知ってるわよね? この宿の壁って、とっても薄いらしいじゃない。パステルによくこぼされたわ。隣の部屋のいびきがうるさくて、眠れないことがよくあるんだって」
「・・・」
ごくん、と、クレイが大きく息を呑んだ。
ほんの数センチ前に迫るわたしの顔を、ついさっきまで自分のソレに触れていた唇を、きつい視線で凝視していた。
「雰囲気って、重要だと思わない? 流されてる、なんて言い方、わたしは好きじゃないけど・・・ね? 隣の部屋から『そんな声』を聞かされて・・・そうなりたい、って願ってる恋人同士が、我慢できると思う?」
「マリーナ・・・な、何、言ってるんだ?」
クレイの顔が引きつって見えた。多分、つい数分前までは「妹」としてしか見ていなかっただろう「女」の顔を見つめて、不自然なくらい乾いた口調で、つぶやいた。
「悪い。俺には、マリーナが何を言ってるのか全然わからない」
「わからなくてもいいわ。わたしはわかってるもの・・・それで、十分」
広い肩に手を置いて。わたしは、もう一度唇を押し当てた。
不意打ちだったさっきとは違って、避けることは簡単だったはずなのに。クレイは、逃げようとはしなかった。
ただ、驚いていた。今、自分に起きているできごとに。・・・本当に、悲しいくらいに、予想通りの反応。
「クレイ」
言いながら、そっと彼の太ももの上に座り込んだ。
下着越しに触れる彼の脚は、ズボンの上からでも硬い筋肉に覆われていることがわかった。
ときどき「ぴくり」と揺れる体が、絶妙な刺激を与えてきて。奥底に眠る官能を、叩き起こした。
432クレイ×マリーナ 4:2006/07/19(水) 22:17:42 ID:Fht/7vKn
「あ・・・」
びくっ! と、クレイの肩が引きつった。
わたしの唇から漏れる、悩ましげな声を耳にして。「信じられない」という目を、向けてきた。
そう。あなたはそうでしょうね・・・ずっとずっと、パステルと同じように、わたしのことも子ども扱いしていたあなたなら。信じたくは、ないでしょうね。
でも、わたしはずっと前から「女」だったのよ。きっと、パステルよりもずっと前に。

あなたの前でだけは。
「クレイ・・・」
潤んだ視界の中で、彼を求めた。
そっと手を伸ばして、目の前のシャツをはだけた。あらわになったのは、これまでの過酷な戦いを物語る、傷だらけの上半身。
わたしの知らないその傷一つ一つに、くちづけを与えた。
力をこめれば、そこに赤い斑点のような印が浮かび上がって。クレイがわたしだけのものになった・・・と、そんな錯覚を、与えてくれた。
「マリーナ」
くちづけを繰り返すたび、彼の吐息が荒くなっていった。
気づかないふりをして自分の上着に手をかけると、そっと、手首を捕らえられた。
「駄目だ、マリーナ」
「どうして?」
まっすぐに聞き返すと、クレイは、一瞬息を呑んだ。
「どうして駄目なの? わたしはいいの。いいから、こんなことをやってるのよ。わたし達のおかげで、トラップとパステルが望んだ形で結ばれる・・・その手伝いができる。それだけの、ことじゃない」
「だって」
ぐいっ!
本気で抵抗されれば、力じゃ、とても敵わない。
服を脱ぎ捨てようとするわたしを遮って、クレイは、苦渋が見え隠れする表情で言った。

「でも、駄目だよ。こんなのは駄目だ。他の形でなら、いくらだって協力する。だけど・・・」
「他の形って、どんな形?」
「・・・」
「ほら・・・答えられないでしょ? それとも、これ以上にいい方法が、あるの?」
そう言いながら、わたしは、クレイの抵抗に逆らわず、あらわになった胸に、自分の頬を押し当てた。
「わたしは、ずっとここに居るわけじゃないのよ。もう明日には、エベリンに帰らなきゃいけない」
「・・・それは・・・」
「わたしに、親友の悩みを解決させてよ。・・・ね?」
ふっ、と胸に息を吹きかけると、クレイの動きが、止まった。
自分から動こうとはせず、けれど、わたしの動きを止めようともせず。
ただ、わたしの顔を見つめていた。
「逃げないで、自分の気持ちに正直になって」
433クレイ×マリーナ 4:2006/07/19(水) 22:19:13 ID:Fht/7vKn
腿の間に感じる、硬く張り詰めた感触。
さっきまでは、それは筋肉の硬さだと思っていた。けれど、今、わたしの中心部をわずかに突き上げているのは、明らかに脚よりももっと奥にある・・・
「クレイ」
もう一度キスを。唇のわずかに隙間に舌を差し入れると、まるで、生き物か何かのように、クレイの舌が絡んできた。
クレイにとっては、それは本能、獣欲めいた感情に突き動かされただけなんだろうけれど。
わたしは、嬉しかった。例え欲情しかなかったとしても、心から、嬉しいと感じた。
クレイは、もう逆らわなかった。むしろ、弱々しくはあるけれど、自分から求めようとしていた。
重ねるたびにキスは深くなっていって、唇と唇を、唾液の糸が繋いだ。
汗ばんだ服を脱ぎ捨てると、クレイの手は、吸い寄せられたようにわたしの胸元に向かった。
多分、成長したわたしの体を見るのは初めてだったんだろう。
白い、張り出した胸を見て。ただ一言だけ、「きれいだ」とつぶやいてくれた。
「・・・いつの間にか、こんなに、きれいになっていたんだな・・・マリーナ」
「ありがとう・・・あなたもね」
会話の間に混じる吐息は荒い。紅潮しているに違いない顔を見られるのが恥ずかしくて、思わず顔を伏せると、彼は、優しく「顔を上げて」とつぶやいた。
「・・・ずるいよ、マリーナ。俺には逃げるなって言ったくせに」
「クレイ・・・」
「そんな、可愛い顔で」
ふっ、と、クレイの顔が緩んだように見えた。
胸の上に感じた違和感。ついで走った柔らかい感触に、びくっ! と、背筋が強張った。
「やぁっ・・・」
「止められなくなったら、どうするんだ」
ぽつりとつぶやいて、クレイは、わたしの肩に手を置いた。
そのまま・・・
わたしの体を、床に組み敷いた。
ごつんっ! と、互いの足が壁に当たって、結構な音を立てた。
その音からもわかる。ここの壁は・・・本当に、薄い。
多分、わたしのあられもない声は、向こうの部屋でもはっきりと聞こえているはず。
「クレイ・・・」
鍛えられた太い指が、わたしの太ももを走って。
そのまま、スカートの内側へと潜り込んで行った。
経験なんてなかっただろう。それは随分と不器用な動きには違いなかったけれど、わたしの体にクレイが触れている。それだけで、十分だった。
「っ・・・」
「マリーナ?」
「違う・・・大丈夫。続けて」
ほんのわずかな刺激でも、自分のその部分が潤いを見せていることには気づいていた。
クレイを思って、自分でしていたときよりも。それはずっと早くて、ずっと熱かった。
434クレイ×マリーナ 6:2006/07/19(水) 22:20:18 ID:Fht/7vKn
きっと大丈夫って、そう思ったのに。ねじいれられたクレイの指は、思ったよりもずっと大きくて。わずかな痛みが、走った。
でも、そんな痛み、これまでの痛みに比べたら、痛みでも何でもなかった。
「うあっ・・・クレイ・・・クレイ、クレイ!」
大声をあげて、クレイの首にすがりついた。それが目的なんだから、と言い聞かせて、わざと派手な声をあげた。
ぬるぬるしたものが自分の太ももを伝っていくのがわかった。わたしの体を、クレイはやすやすと片腕で受け止めて・・・
そして、言った。
「自分の思い通りに振るまってもいいのか?」
「・・・え?」
「ずっと、多分色々押さえつけてたんだと思う。俺はパーティーのリーダーだから、とか、騎士の家に生まれたんだから、とか、立派な先祖を持ったんだから・・・とか。色んなプレッシャーを受けて、その期待にこたえなきゃ、こたえたいって、ずっと思ってたんだと思う」
「・・・」
「でも、トラップと・・・マリーナだけは、俺のわがままを許してくれたよな。おじいさまに色々言われてる落ち込んでたとき、いつも二人が慰めてくれた。いつも二人が励ましてくれた。俺は俺だって」
「クレイ」
「だから、今も。俺は、俺の思うままに・・・君を傷つけるかもしれない」
それでもいいか、と聞かれて、迷わず頷いた。
ああ、やっぱり。こんなときでも、クレイはクレイなんだ・・・
貫く痛みは覚悟していたよりもずっと大きくて、引き裂かれたような絶叫をあげた。
壁の向こうがなんだか騒がしかったけれど、もう、そんなことなんか忘れていた。
わたしは、今、クレイに抱かれている。クレイと一つになれた。
それだけで、十分だった。

隣の成果がどうだったのかなんて知らない。
けれど、わたしの目的は、十分に果たせた。それだけで、十分。
トラップ・・・あんたの方がうまくいったのかどうかは知らない。でも、わたしはやれるだけのことはやった。失敗したとしたら、それは、あんたのせいだから。
そっと心の中で囁きかけて、脱ぎ捨てた服をまとった。
スカートにわずかに血がついていたけれど、目立つってほどでもないだろう、きっと。

「・・・ありがとう、クレイ」
「・・・」
わたしの言葉に、クレイは無言。
「本当に、ありがとう。・・・わたしを手伝ってくれて、ありがとう。わたし、これでパステルとの約束を果たせた。彼女に顔向けができる。本当に、ありがとう」
うつむいたまま、一気に言った。あくまでもパステルのためなんだって繰り返して、震える手元を、見られないようにした。
きっと、クレイにとっては、迷惑なだけだろうから。
彼には故郷に立派な婚約者がいるし、何より、彼にとってのわたしはただの幼馴染で妹のような存在でしかなかった。
これは、一夜の・・・夜じゃないけど・・・過ち。
わたしは、それで構わない。
435クレイ×マリーナ 7:2006/07/19(水) 22:23:12 ID:Fht/7vKn
「じゃ、じゃあ、わたし・・・下で、何か・・・」
「マリーナ」
不意に気まずさを感じて逃げようとした。今にも泣きそうな顔を見られたくなくて、クレイに背を向けようとした。
その動きを止めたのは、ついさっきまでわたしの中を蹂躙していた、クレイの手。
「逃げるな」
「・・・クレイ?」
「せめて、俺の話を聞いてからにしてくれ」
じっ、とわたしを見つめる黒い瞳。その顔がやけに大人びて見えて、まるで、知らない人みたいだった。
「聞いてくれないか、マリーナ。俺はさ、多分知らないうちに自分を押さえつけるのに慣れていたんだと思う。マリーナが言うように、俺は鈍感だから。押さえつけてるってことに、自分でも気づいてなかった。だから、それを苦しいとも感じなかった」
「・・・」
「でも、俺は、今初めて苦しいと思ったんだ・・・俺とそういう関係になったって言うのに、平然としてる君の顔を見て。何でもないって顔して、『パステルのためなんだ』って言う君を見て・・・すごく、苦しかった」
ズキリ。
クレイの言葉が、胸に響いた。
わたしは、何かを間違えたのかもしれない。クレイはわたしの気持ちをわかってくれないって、ずっとそう思っていたけれど・・・
わたしも、自分で思っていたほど、クレイの気持ちをわかっていなかったのかもしれない。
「教えてくれないか、マリーナ。俺は・・・このまま、君の前でだけは、自分の思いを抑えなくてもいいのか。これからも、ずっと、君の前でだけは自由でいていいのか・・・君と一緒にいたいって、そう思ってもいいのか」
「・・・」
「マリーナ?」
答えるよりも先に、目の前の体のすがりついていた。
答えるまでもないでしょう、って、何度も何度も繰り返しながら。
言い訳も何も含まれていない、本心だけのキスを、クレイと、初めて交わした。

****

完結です。
162さんとなるべく被らない作風にしてみたつもりです。
小説というのは難しいですね。ではまた読み手に戻ります。
色々と失礼いたしました。
436名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:23:12 ID:htCt6D+g
レイプものはどっちのも読んでないんだが412の有言実行っぷりに吹いたw
ここにまたこうして一人SS職人が誕生したのであった―――
437名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:54:52 ID:lP7eD8uU
>>436
412のはレイプものじゃない、ととりあえずつっこんでおく。

過去に投下作品に文句をつけて
「文句言うなら自分で書け」と突っ込まれた奴は多数いるだろうが
本当に自分で書いて戻って来た奴はそうはいまい。
よくやった>412
まずは色んなスレを見てみてはいかがだろうか。
スレごとにローカルルールというか空気みたいなもんがあるので
2chだからこうしなきゃいかん、とかこうしてもいい、なんてことはない
と思う。
438名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 02:09:58 ID:2skKY1/e
>>412は、最初オイオイと思ったが
口だけじゃなかったところは男らしくて惚れた
やらないか
439162:2006/07/20(木) 09:52:10 ID:dLNXDZyD
162です。朝から失礼します。

>>412さん。
初投下ありがとうございます!
でも、流れ的にかなり驚きました。
こんな形で伝説を作った人はそういませんよ。ほんと。

さて、言わせてください。GJですっ。
(ここへ出没し始めて、初めて他の方に言うことができました。感動)
412さんの書かれたマリーナはなんかかわえかった…
切ない気持ちが伝わってきました。
読み手に戻るなんておっしゃらず、また投下頂けると嬉しいです。

最初のコメントはお気になさらないで下さい。
どういう形であれ、一介の書き手としましては、ご感想はなにより有難い。
次作への原動力です。
では、長文失礼しました。
440名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:09:24 ID:qvR/MlU1
なんて良スレなんだっ!
162も412もGJGJ!!
441名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 22:39:55 ID:d4UKFGl3
愛のあるレイープに不謹慎ながら萌えました
442名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 13:26:55 ID:KqiEOZam
たまにはダークなのも(・∀・)イイ!!

ちと思ったのは、レイプものというとパステルがクレイ(orトラップorギア)と付き合ってて
それに嫉妬したトラップ(orギア)に強引に、ってシチュが多いけど
クレイが何かの理由でパステルをレイプ・・・なんて状況はありえるだろうか?

気が向いたらで結構ですのでリクっておきます!
幸せなお話ももちろんお待ちしております!
443名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 15:21:31 ID:YhApVWYs
キャラ的にレイープなんてありえなさそう…って壁はあるね
いやトラップやギアがするのかと言われれば普通はないんだけどw

そこを何とか辻褄を合わせて納得いく形に仕上がったクレパス強姦ものは見てみたい
444名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 23:16:51 ID:2766HfKZ
クレイも男だしやるときはやるハズだ。
445162:2006/07/24(月) 10:08:49 ID:XgdOmc8g
こんにちは162です。
投下に参上しました。
まずはご拝読とリクにお礼を。次回検討しますね。

御品書きです。
トラパスで、コメディものです。
かなり長編で、エロ以外の部分も多くなっております。
なお、パステルデビュー戦ではありません。
446トラ×パス 断髪編 1:2006/07/24(月) 10:09:29 ID:XgdOmc8g

「違ぁーう!もーちょっと下狙えっての」
「ね、狙ってるつもりなんだけどぉ・・・」

クロスボウを構えたまま、半べそ状態のパステル。
うーむ、なにげに可愛いじゃねえか。
・・・って、いかんいかん。今は指導中。
その表情をあえて見ないようにして、にへらっと下がる目尻をぐっとこらえる。
俺は的にしている空き缶を指差し、厳しく言い放った。

「言い訳すんな。
 ちゃんと狙えてねーから外すんだろが。おら、もっぺん!」
「はぁい・・・」

へこたれた声を出しつつ、パステルは矢をつがえる。
ここは、みすず旅館の裏庭。
マンツーマンで、クロスボウのスパルタ指導中だったりする。
実は昨夜パステルから、何を思ったか唐突に指導を頼み込まれたんだよな。
まぁこのところ確かに、妙にハードなクエストが多かったし。
自分の腕を少しは上げる必要があるってぇことに気づいたのは、こいつにしては賢明かつ前向きな判断なんじゃねえだろうか。

とはいえ、今までならば面倒で放っとくんだが・・・
他ならぬパステルの頼みじゃあるし・・・よ。
そう、何を隠そう、いや隠さん。聞け!聞いてくれ!!
こいつは俺の彼女だ。
この際きっちし言わせてもらおう。俺の女だ!俺のっ!!

あぁ、そりゃあもう長い闘いだったさ。
俺がこの天然ボケマッパーを彼女にするまで、どれだけの労力を費やしたと思う?
・・・涙なしには語れねえ。
屋根より高い俺様のプライドを、歯を食いしばって地べたに這いずらせ、そりゃあもう血のにじむような、寿命を削らんばかりの努力をだな、してきた訳で・・・
何はともあれ、こいつは俺のだ。しつこいようだが。
だから、こいつの面倒は必然的に俺が見るってのが、まぁ筋だぁな。
何か問題でも?

そして結論として。
今俺は腕組みをして、いじけた表情のパステルをガンガンしごいてるところなわけだ。

「ほれ、サボってんじゃねーよ。
 腹に力入れて、顎引いて打ってみ」
「う、うん」
447トラ×パス 断髪編 2:2006/07/24(月) 10:10:42 ID:XgdOmc8g

パステルはおずおずと頷き、的を見据えると矢を放った。
以前のぼよよぉぉんという、脱力感あふれる音よりはましな、ヒュン、という風切音。
だが、矢がささったのはまるきり見当違い、あさっての方向の木だった。
と、その木の下から叫び声が聞こえた。

「うわぁぁぁぁっ!!」

悲鳴の主は、毎度おなじみ不幸の代名詞、クレイ。
弓のごとく上体を反らした姿勢のまま、尻餅をついている。
抱えていたらしい洗濯籠は放り出され、あたりにタオルやらシャツやらが散らばっていた。
げ、まさかパステルの矢に射抜かれたとか!?
一瞬焦ったが、どうやら怪我はねえようだ。

「きゃあ!?く、クレイ、ごめんっ」

パステルがクロスボウを放り出して駆け寄る。
クレイはへたりこみ、血の気という血の気を失い、見事なまでに青ざめていた。
その鼻先数センチの位置に、ぐっさり矢が突き刺さっている。
うひゃ、後一歩で、その形のいい鼻をもろに貫通だぜ。
そりゃ青ざめたくもなるよな・・・
あれ?でもよ。
さっき台所を覗いた時、危ねぇからこのへんは通るなよ、っていちお言っといたんだが。
・・・そっか、あの時クレイいなかったな・・・タイミング悪すぎ。
相変わらずピンポイントに不幸な奴だ。

「ごめんねごめんね、怪我してない!?」
「パステル・・・これ刺さってたら、怪我じゃなくて死んでるよ」
「そ、そだね。ほんとにごめん」

妙に冷静に言うクレイに、ぺこぺこ謝るパステル。
ようやく通常の顔色を取り戻したクレイは、フラフラと立ち上がった。
はあぁっと大きなため息をつくと、散らばった洗濯物を拾い集めながら俺に言った。

「おい、トラップ。
 ・・・仮にも指導してるんなら、きっちり頼むよ。死人が出るぞ」
「あぁ、すまねえな」

その死人第一号が、まさにおめえになるところだったと同情しつつ、さらっと謝っておく。
まだ生気のない後姿を見送ると、パステルの頭をぺしっと叩く。

「痛っ!何すんのよっ!」

今へこんでたくせに、妙に元気に反論しやがる。

「いてぇですむか。死人出したくなかったら練習しろ!」
「わかったわよぉ・・・叩かなくてもいいじゃない・・・」

ブツブツ言いながら、また矢をつがえるパステル。
ブツブツ言いてえのはこっちだっての。

「おめえよぉ、これまで結構でかいモンスターも倒してきたろ?
 たかが練習だってのに、あんでまともに当らねんだよ?」

俺の文句も耳に入らないほど集中しているのか、返事もしねえ。
ムカつかない訳じゃねえけど、ま、それほど集中できてんならよしとしよう。
残るは技術だけか・・・
と、ちっとばかし向きのずれた空き缶が視界に入る。
448トラ×パス 断髪編 3:2006/07/24(月) 10:11:57 ID:XgdOmc8g

「おい、ちょっと待て。的の位置直してやっから」

一声かけると俺は、軽く走って空き缶に手をやった。
その時。

ヒュン!!!

「きゃあっ、どけてどけてーーーー!!!」
「なっ」

目の前に迫る矢。
俺は間一髪、身を屈めて避けた。
はー、はー、はー。
あ、危なかった・・・いいくらなんでも心臓に悪りぃぜ。
しかもなんだって、こういう時に限ってコントロールがいいんだよ!?
呆然と立ち尽くすパステルに向かって、腹の底から怒鳴りつける。

「っこ、こ、このバッカ野郎がぁーーー!
 俺が近付いてるくらいわかんだろうが!!おめえは俺を殺す気かよ!?」

ところが、俺の怒号にも反応しないパステル。
俺を指差し、震える声でつぶやいた。

「トラップ・・・髪・・・」
「あん?」

反射的に手をやった襟足には、何も触れない。
本来ここには、リボンでくくった赤毛の束があるはずだ。
風に吹かれて、視界内をちらちらする毛先。
・・・こんな位置に髪なんざ見えなかったはずだけど?
襟足で空を切った手をそのまま上にやると、俺の髪は・・・ちょうど耳あたりでぷっつりと断ち切られていた。
両肩を見れば、見慣れた赤毛がブツ切り状態で、バラバラと乗っかっている。
足元に落ちているのは、さっきまでそれらを束ねていた黒いリボンだった物体。
ざっくり裂けた布は、かなりの衝撃を表している。

「うへ・・・結び目をざっくりいった訳か・・・危なかったぜ・・・」

なんとかよけられたから良かったとはいえ、相当ギリギリのところだったらしい。
さっきのクレイ顔負けに、青ざめているであろう、俺。
屈みこんでリボンを拾うと、思わず知らずため息が出た。
途端、顔中涙まみれにした、パステルが飛びついてくる。

「トラップ、トラップぅ、ごめんね、わたしのせいでっ」

あぁ・・・なんか気が抜けたぜ。
俺にしがみついて泣きじゃくるパステルの頭を、ぽんぽんと叩いてやる。

「こんくらいで済んで良かったじゃねえの。
 首射抜かれたわけじゃねえんだからよ」
「だ、だけど・・・っく・・・髪が、髪が・・・っ」
「いいっつーの、こんなもん」

別に好きで伸ばしてたわけじゃねえ。
気づいたら伸びてただけだ。

「・・・まぁそう思うなら、次回からもーちっと気ぃつけてくれよな」
449トラ×パス 断髪編 4:2006/07/24(月) 10:12:27 ID:XgdOmc8g

うんうんと頷きつつも、泣き止まないパステルの頭に手を添えたまま、裏口から旅館内に入る。
階段を上がると、男部屋のドアを開く。
そこにはいつもどおり、怪しげな薬品調合をしているキットンと、洗濯を終えたらしいクレイがソードの手入れをしていた。

「もう訓練終わったのか?トラ・・・ップ!おい!その頭!?」

片手に持っていたなめし皮を取り落とし、呆然とするクレイ。
・・・ソードを取り落とさなかったのは、さすがは戦士とでも言うべきか?
その驚愕の声に、トランス状態に突入していたキットンが、現実世界に戻ってきた。
いや別におめえは戻ってこなくていいんだけど。

「なんですか、実験の邪魔を・・・
 トラップ?あなた、どうしたんですか、その頭」
「パステル、まさか・・・」

クレイは俺の後ろで小さくなっているパステルに目をやり、その先を言いよどんだ。

「そのまさかだっての」
「・・・そりゃまた見事に射抜いたもんですねぇ、パステル。
 いや、よもや狙ったわけじゃありませんよね。ぎゃっはっは」
「・・・笑うな」

俺がこのボンクラ農夫に軽く殺意を覚えたのを、誰が責められよう。
いつにも増して冷たーい目線を投げる。
それにビビったらしいキットンは、珍しく素直に笑うのをやめ、おそるおそる提案をする。

「あ、その、パステル?
 トラップの髪、きちんと切り揃えてあげてはどうですか?
 今のままじゃ、ちょっとぼさぼさすぎはしませんかねぇ」

・・・ぼさぼさって・・・おめえにだけは、言われたくねえぞ。

「そ、それもそうだな。
 ほら、かなり毛先がバラバラだしさ。なぁパステル?」

場の雰囲気に当てられたのか、妙にぎこちない動きのクレイは、パステルに相槌を求めようとした。
しかしパステルは赤い眼のまま、ブンブン首を振る。

「だめだめだめ!今わたし手が震えてて、とても切れないよぉ!」
「・・・それもそうか」

通常、クレイやルーミィの伸びすぎた髪を刈ってるのはパステルなんだが、ま、気持ちはわかる。
仕方ねえな・・・と言いたいとこなんだけどよ。
切りっぱなしの髪が、顔周りにチラチラパラパラまとわりついて、うっとおしくてかなわん。

「パステル、ハサミ持って来い。クレイ、おめえ切ってくれよ」
「え?俺が?そりゃいいけど・・・」

弾かれたように男部屋を出ていくパステルの後姿を見やる、戸惑った表情のクレイ。
仕方ねえ。背に腹は変えられん。
自分でなんざ、とてもじゃねえけど切れんからな。
息せき切らして戻ってきたパステルから、ハサミを受けとると、クレイはおもむろに俺の後ろにまわった。
450トラ×パス 断髪編 5:2006/07/24(月) 10:13:09 ID:XgdOmc8g

「トラップ、とりあえず座れよ。やりにくい」
「おう」

手近の椅子を引っ張ると、窓に向かって腰掛ける俺。

「あぁ待って待って、これ」

パステルがタオルを肩にかけた。
手回し良く持参したらしい霧吹きで髪をしめらせ、櫛を入れたところで準備完了。
俺のヘアスタイルの運命は、ソードをハサミに持ち替えた、不幸の戦士に委ねられた。

「じゃ、クレイ、お願い」
「・・・あぁ。いいな?いくぞ?切るからな?」
「・・・なんでもいいからよ、さっさとやってくれ」

ジャキッ。ジャキッ。ジャキッ。

ハサミの音が3回響いた。
右1回、左1回、後ろ1回。
とりあえず全体の長さを揃えたわけか?
自分じゃ見えねえからなんとも言えんが。鏡持ってこさせりゃよかったぜ。
固唾を呑んで仲良く見守っていた、パステルとキットンの方を向く。

「ぷーーーーーっ」

どうよ?と聞く間もなく、吹き出しやがった2人。
なんだよ!?なんかおかしいのかよ!?

「おい笑うな、どうなってんだよ?」

焦る俺に、慌ててそっぽを向くパステル。
目を逸らし損ねたキットンの、前髪の奥の目をぎん!と見据える。

「あのですねぇ・・・なんと言いますかその・・・
 カッパというか、カツラというか、お人形というか・・・女学生?」
「おい、クレイ」
「・・・すまん。一直線に切りすぎた」
「すまんじゃねえーーー!なんとかしろーーー!!」
「な、なんとかって・・・どうしよう」

自分で切っといて、どうしようじゃねえだろうが!?
ハサミを持ったまま、おろおろするクレイ。
まさかとは思うが、これで一丁上がりなのかよ!?
・・・俺はこのカッパ頭抱えて、一体どうすりゃいいんだ。
頼みの綱のパステルに視線を送る。

「なぁ」
「無理!絶対できないよぉっ!」

すがるような俺の願いは、即効で瞬殺された。
そうだろうとは思ったけどよ・・・
こいつ、どうやってもハサミを握る気はねえようだし。
すると、やおらキットンが立ち上がり、クレイの手からハサミと櫛を取った。
おもむろに俺に向き直ると、得意げな表情を浮かべる。
451トラ×パス 断髪編 6:2006/07/24(月) 10:13:41 ID:XgdOmc8g

「仕方ありませんねぇ、わたしが整えましょう」
「・・・おめえ、できんのかよ?」
「手先でしたら、クレイより私の方が器用といえば器用かもしれませんよ」
「ある意味そうかも」

ぼそっとつぶやくパステル。
それを聞いて「え!?」と傷ついた目で振り向くクレイはこの際ほっといて。

「んなら最初っから、おめえがやりゃ済んだ話だろうが!」
「そんなこと言いましてもねぇ、話の流れってものが・・・まぁとりあえず切りましょう」

なんか、どうにも納得いかねえ気もするが。
促されて仕方なく、椅子に座りなおす。

「キットンよ、頼むからまともな頭にしてくれよな。後、おめえら」

重い責務から解放され、ほっとした表情でベッドに腰掛けたクレイと、隣のパステルに指を突きつける。

「ぜってぇ笑うな」
「・・・はい」

俺の迫力に気圧されたのか顔を見合わせ、おとなしく返事をする2人。

「トラップ、いいですか?切りますからね」
「おう」

キットンは深呼吸をしたかと思うと、ハサミを動かし始めた。

シャキシャキ、シャキシャキシャキ、シャキッ、シャキン、シャキン

クレイの時とは打って変わって、リズミカルに響く細かく軽い音。
お、こりゃ確かに言うだけのことはあるかもしんねえな。
クレイと違って、ちったぁ仕上がりが期待できるぜ。
何気に安心しつつ頭を任せていると、ハサミを入れ終えたらしいキットンが言った。

「こんなもんですかねえ」

何も言わず、クレイとパステルに視線を向ける。どうだ?
俺の無言の問いかけを受けた奴らは。
さっき絶対笑うなと釘をさしたせいか、息を止め口を押さえて真っ赤な顔をして・・・
おいっ、おめえら!!
この野郎、それじゃ素直に笑われた方がましだっつーの!!
どどど、どうされちまったんだよ俺の頭はっ!?

焦りまくって頭に手をやる。
触れるのは、子供の頃以来経験がないほど、短い髪の感触。
短いだけならいい、許そう、この際。
ところどころ触れる長い部分、そして斑に短い部分。察するにこれは・・・
と・・・虎刈り?・・・
おそらく今の俺は顔面蒼白だろう。
俺はすっくと立ち上がると、切った髪を撒き散らしながら、ハサミを持ったままの大馬鹿野郎に掴みかかった。
452トラ×パス 断髪編 7:2006/07/24(月) 10:14:12 ID:XgdOmc8g

「キットン、きさまぁぁっ!!」
「い、いやー意外に似合いますよ、トラップ。
 どうです、そのまま全体に剃りを入れましょう!
 でてっぺんを残して、いっそダンシングシミターみたいにってのは・・・うぐぐがっ」

俺は腐れ農夫をぎっちり絞め上げながら、低く低くつぶやいた。

「・・・この頭、どうにかしろ」
「どうにかって、えーとそのですね」

その時廊下から、ぽてぽてぽてと軽くて小さい足音が聞こえた。

「ぱーるぅ!たらいまぁーー!あのね、のりゅがねー」

開けっぱなしになっていたドアから入ってきたのは、ちびエルフ。
パステルの方に駆けて行きかけたが、異様な空気に立ち止まった。
振り返り、青息吐息のキットンと、その胸倉を掴んだ俺を交互に見やる。

「なにしてんのらぁ?
 あ、わぁった!散髪屋さんごっこらぁ!
 ルーミィも切る、切るぅーー!!」

さっき、絞め技をかけた弾みで床に飛んだハサミを、小さな手で拾いあげたルーミィ。
・・・まずい。
俺を心底嬉しそうに見上げる、ルーミィのブルーアイとばちっと目が合った。
あぁやめろっ。目をキラキラさせて俺を見るんじゃねえ!
誰でも好きに切っていいわけじゃねえんだぁぁ!!

結論として、俺の頭は。
ルーミィを連れ帰って来たノルに委ねられた。
あの部屋にいた人間全員が・・・いや、ルーミィを除いてだが・・・散髪権を拒否しやがったもんで。

ノルの計らいで、納屋の前での青空散髪。
全ての処理が終わった時、俺の頭はその空のように、これ以上ないほどすっきりとしていた。
遠い目をして、呆けたように流れる雲を見つめていた俺。
そっと頭上から覗き込み、申し訳なさそうに聞いたのは、ハサミ・・・でなくバリカン片手の、ノル。

「トラップ・・・一番短い所に揃えるしか、なくて。
 これでよかったか?」
「・・・仕方ねえ。すまねえな、ノル」

ノルに礼を言ってふらふらと立ち上がる。
視界に入る髪は、1本もない。
どんな強風が吹こうと、揺れる髪も、1本もない。

おい、なぁ、誰か答えてくれ。
これって、五厘刈りとか言う名前じゃねえ?

もうこれは、切ったの刈ったのなんて生易しいレベルを通り越し、剃ってる、に事実上近い。
キットンが言いやがったダンシングシミターへの道も、そう遠くないような気すらする。

なんで俺がこんな目に。
俺が何をした?
理不尽極まりない仕打ちに、俺は頭を抱えた。
しかし手を触れるのは、どうあっても認めたくはねえ、じょりっという感触。
もうこの頭を、風呂敷にでも包んじまいてえぇ!!!
453トラ×パス 断髪編 8:2006/07/24(月) 10:15:39 ID:XgdOmc8g

そして俺は、心配そうなノルに見送られ、行き場のない気持ちと頭を抱え、男部屋に戻ったんだが。
部屋で所在なさげに待っていた奴らは、何のコメントも発することなく自主避難しやがった。
俺のまとった淀んで黒いオーラにびびったのか、笑いがこらえられなかったのか・・・そのへんはあえて考えないことにする。

ベッドに転がるように身を投げ出すと、枕に突っ伏して意図的に視界を遮る。
もう嫌だ。何も見たくねぇ・・・
俺は今初めて、クレイの気持ちがわかった気がする。
何の咎もないのに唐突に、肩に、いや俺の場合は頭に、不幸がひらりと舞い降りた時の気持ちが・・・
クレイ、俺が悪かった。不幸だ不幸だとさんざ馬鹿にして・・・
何を血迷ったか、無関係のクレイに内心詫びを入れていると、コンコン、と控えめな音のノックに続いて、おどおどした声がした。

「入るよ?トラップ」

カチャリと扉を開けたのはパステルだった。
一切反応せず顔もあげずにおく。
正直、今はまともに会話をするのも気が乗らねえ。

「ごめんね、ほんとに。こんなことになるなんて・・・」

あぁ、俺もまさかこうなるとは思わなかったぜ。
毛先をおめえにぶっちぎられただけで、あれよあれよという間に坊主頭になるとはなぁ・・・
傍にいるパステルを置いてけぼりに、ひとりしみじみとむなしい感慨に浸る。

「キットンにね、育毛剤調合してもらうように頼んだの。
 そんなに時間はかからない、って言ってたけど・・・」
「ふーん」

俺はここで初めて言葉を発し、わずかに顔を上げる。

「で?それを言いに来ただけかよ」
「そ、そうだけど」
「じゃあ、もう用は済んだろ?」

頼む、もういいから俺のことはほっといてくれ。
俺の言下の気持ちを一切察しない・・・鈍感だから、んな高等技術は無理なんだろうが・・・パステルは、涙目で迫った。

「そんなこと言わなくてもっ!
 わ、わたしが元はといえば悪かったんだから、謝らなきゃって・・・」
「もういいっての」
「よくないよぉ!そんなに落ち込んじゃって!」

・・・落ち込みたくもなるわい。
おめえも、この坊主地獄を味わってみろ。
454トラ×パス 断髪編 9:2006/07/24(月) 10:16:15 ID:XgdOmc8g

「じゃあ、違う方向でなぐさめてくれ。」
「?」

きょとんとするパステル。

「体で」

俺の言葉を理解するのに多少の時間を労したようだが、ようやく気づいたらしい。
真っ赤になって泡食ったパステルは、どもりにどもって酸欠金魚。

「か、か、体って、そんな、えっと」
「バーカ本気にすんじゃねえ。
 今の俺にはなぁ、んな元気もねんだよ。頼むから放っといてくれ。
 薬できたら教えろよな」

言いたいことだけ言うと、俺はまた枕に顔を埋めた。
なにやらひとりで騒いでいるパステルは放置して、目を閉じる。
もう俺・・・疲れた。寝よ。
俺はそのまま、すうっと眠りに落ちかけたんだが。
あと一歩で意識が飛ぶというところで、肩を揺さぶる手に現実に引き戻される。

「・・・ぁんだよ・・・寝かせろ・・・」

うるさくまつわりつく手を払い、もう一度まどろみの尻尾を捕まえようとすると。
うお!?
背中にズン!という重みが圧し掛かった。
閉じかかった目をこじあけ、慌てて振り仰ぐとそこには真っ赤なパステルの顔。

「ぉい、なんだよ、重てえどけろっ」
「・・・どけないもん」

きゅーっと熱い体が背中にしがみついてくる。
どき、と跳ねる心臓。
いやどうした俺。
俺とこいつは、一応仮にも恋人同士。
何度も寝てるってのに、何を今更焦ってるんだか。

「なんでもいいから、降りろって」

重いわ熱いわで一気に目が覚めた。
背中に手を回し、服を掴んで引っ張ろうとした手が滑る。
こいつ・・・服着てねぇ。

「お、おいっ」
「だってだって、わたしのせいでこんなことになっちゃったでしょ?
 謝ったってトラップは元気にならないし、わたしにできることって・・・ううん、できなくたってやる!わたし、トラップの彼女なんだからね!!」

俺の涼しげな後頭部に向けて、ほとんど息継ぎなしに一気にパステルは言ってのけた。
なんだかよくわかんねえけど、さっき俺の言った「体でなぐさめろ」発言を真に受けたらしい。
だからってよぉ、この展開とは・・・
455トラ×パス 断髪編 10:2006/07/24(月) 10:17:09 ID:XgdOmc8g

俺はパステルの勢いに圧倒されて暫し逡巡していたが、おもむろに体を上向けた。

「え、あっ、やだ上向くの!?」

動揺してひとりできゃーのきゃーの言ってるパステルの脚の間で、寝返りを打つ。
俺の背中に乗っていたパステルは、自動的に俺に跨る形になった。
・・・うへ、マジで全部脱いでやんの。
ブラもパンツもぜーんぶ床に脱ぎ捨てて、白い肌もあらわな、一糸まとわぬ全裸。
ちょっと小ぶりだがそれなりに締まって感度のいい胸も、俺を跨いでいるせいで隠しようもない、細い毛の茂みも、全部見事なまでに丸見えだ。

しかも何より意外だったのは。
いつもだったら、やれ電気を消せだの布団をよこせだの、挙句の果てにゃあわたしを見るなだのと無理無茶文句言い放題のパステルが、どこも体を隠す様子がない。
そりゃまあ恥ずかしそうに、まんまトマトの真っ赤っ赤の顔じゃあるけどよ。

ゴクリと生唾を飲み込み、その白い胸に手を伸ばす。
と、ぺしっとはたかれた。
ここまで来てお預けだと?そんな殺生な!
しかし俺は、喉まででかかった文句にブレーキをかける羽目になる。

目の前にぎゅっと目をつぶったパステルの顔があった。
モガモガと言い掛ける俺の口に、熱くて小さい舌が入り込んでくる。
むやみと唇をぎゅうぎゅう押し付け、どこにどうすればいいのかもわかってないように舌をジタバタさせる、勢いだけのディープキス。
俺・・・そんなやり方教えたっけか?
突然キスしたのと同じく突然唇を離したパステルは、荒く息をつきながら言った。

「さ、さっき、そんな元気もないって言ったでしょ?
 わたしが・・・トラップを元気にしてあげるんだもん」

・・・そう来たか。
さっきの流れだと、どうぞお召し上がりくださいとくるかと思ったが・・・
いや、来ればそれはそれでまぁいいかなんて・・・密かに思っちゃいたけどよ。
まさかこういう流れになるたあ、さすがの俺も想像つかなかった。

動揺している俺を尻目に、パステルはまた俺の顔に顔を近づけ、深くキスした。
そのまま、頬に、耳に、首筋に、ぎこちなく唇をつけていく。
胸に唇が這い下りてきた時、思いがけない快感に、俺の体はビクっと痙攣した。
その反応を見て、胸元から顔をあげたパステル。
やってることとは裏腹に、純粋な瞳で首をかしげる。

「トラップ・・・気持ちいいの?」
「おう。おめえ、けっこううめえじゃん」

俺の言葉に、恥ずかしそうにしながらも、へへっと笑ったパステル。
愛撫の唇と手は、徐々に下へと下がっていった。
壊れ物に触れるような手つきで俺のファスナーを下ろす、細い指。
今来るかもう来るかと、待ちわびていた湿ったぬくもりが、すっぽりと俺自身を包む。
456トラ×パス 断髪編 11:2006/07/24(月) 10:17:41 ID:XgdOmc8g

「うぉ・・・っくっ」

反射的に喉からもれる呻き。
無意識のうちに、パステルの乳房に手が伸びる。

「だめっ」

はいはい、わかりましたよ。
はぁ、とあきらめのため息をつく俺を、ナニを咥えたまま上目遣いににらむパステル。
まぁその目つきの色っぺえこと、この上なしだ。
こいつって、こんな顔もできんのな。
いつもなら過剰なほど恥じらっちまって、頼んだって滅多にしてもらえねえ、口によるご奉仕。
久々の、しかもやたら一生懸命舐め上げるパステルに、俺自身はどんどん張り詰めていった。
う、ちょっとまじい。

「お、おい、待て。ちょっと待て」
「え?」

細い肩を掴み、すんでのことでパステルの口を引き離す。
口の端と俺のナニの間を、透明でねばった糸がひいた。
こいつの唾液なのか、俺の我慢汁なのか知らんが、その光景はかつて見たこともねえほどエロい。
乱れた呼吸を整えながら、俺に跨ったパステルの、脚の間に手を伸ばす。
身をよじって逃げようとするパステル。

「やん、だからだめって・・・」
「入るかどうか、確認しなきゃだろうが?」

逃げ道を塞ぐように腰をがっちりと押さえ、指で濡れ具合を確かめる。
こりゃまた・・・俺がしてやるより、濡れてんじゃね?
ある意味ショックというか、成長っぷりに驚くっつかー・・・

「俺、どこもさわってねえけど・・・感じてんのかよ?」

パステルは一瞬ためらった後、潤んだ目で小さく頷いた。
事のついでに、奥まで指を差し入れて、勢いをつけて指を抜き差しする。

「ぁん・・・っ、あっんっ」

俺の手を止めることも忘れ、目を閉じて喘ぐパステル。
ぷにっとした縁をめくり、充血した襞を撫で回すと、新たな愛液がにじみ出る。
堅くなったクリトリスを探り、指の腹を擦り付けた。

「ひゃ・・・ぁあん、あぁっ」
「ん?ここ?ここがいいのかよ?」
「んっ、そ・・・こっ、あぁっ」

指の動きに合わせるように、ぐちゃぐちゃ言う音と共に、俺の体に滴が飛び散った。
もう・・・いいだろ。俺も我慢できねえ。
457トラ×パス 断髪編 12:2006/07/24(月) 10:18:12 ID:XgdOmc8g

「パステル、来い」
「来い・・・って」

荒い呼吸ととろっとした視線が、俺を見下ろして問い返す。

「ここまでして躊躇うのかよ。
 ・・・自分で入れてくれんだろ?できんのか?」

からかうように笑いを含ませながら言うと、パステルは軽く口をとがらせた。

「で、できるもんっ」

おずおずと自分の脚の間を確認すると、そそり立つ俺のナニを握り、自分自身にそっと押し当てる。
何か言いたげな表情で一瞬俺の顔を見たパステル。
意を決したように唇を結ぶと、俺の上に座り込むように、ゆっくりと体重をかけていった。
その唇から、小さく喘ぎを漏らしながら。

「・・・は・・・っ」

股間にかかる、じんわりとした圧力。
いつもよりずっとねっとりとしている、パステルのそこは、俺を捕らえて絞め上げるようで。
ぎこちなく動かす細い腰が、否応なく快感を呼び起こす。
・・・ちくしょう、たまんねえや。
パステルの動きに合わせて寝転んだままで腰を上に突き上げる。

「あっ、やっ、トラッ・・・プぅ、あぁんっ・・・」

パステルは、胸を揉みしだく俺の手もとめられないまま、髪を振り乱してよがった。
今まで、こいつがこんなに気持ちよさそうなの、見たことねえぜ・・・
ナニをパステルのぬるぬるした襞に掴まれ、もはや我慢の限界。
体中の血がそこに集まっちまったみてえだ。
くっ、もうだめだ。

「・・・出す・・・ぜっ」

恥らいつつも感じているパステルの顔を下から見上げながら、俺は一身に引っ張っていた手綱をとく。
今までにない角度からのせいか?俺が放った精を受け止めたその部分は、びくっと大きく震えた。
そしてパステルは、天井を仰いでのけぞり、甘くて切なそうな声で鳴いた。

「ひゃ・・ぁっ、やあぁぁんっ!!」
「・・・う・・・くっ・・」

パステルはそのまま、俺の上に崩れ落ちた。
痙攣を繰り返すパステルのそこは、イッたばかりの俺を遠慮会釈なく搾り上げる。
出したばっかで敏感だってのに、こうも絞められちゃかなわねえ。
・・・うーむ。
またムズムズしてきたんだけどよ?俺。
じゃあ・・・もうワンラウンドいかしてもらいましょーかね?

458トラ×パス 断髪編 13:2006/07/24(月) 10:18:43 ID:XgdOmc8g

「トラップの頭、なんか手触りいいね」

うつぶせになって枕を抱え、くすくす笑いながら、俺の頭をしょりしょりとなでるパステル。
あきらめたようにため息をついた俺に、パステルは重ねて言った。

「どっちにしたって、いずれは伸びて元通りになるしね?
 わたし、この髪型でも全然平気だよ」
「ま、キットンの薬ができなくたって、ほっときゃ伸びるわな。髪なんだから」
「そりゃそうだよね、あはははっ」

軽くため息をつきつつ、楽しそうに笑い転げるパステルを抱き寄せる。
あーこいつってば、なんでこんなに可愛いんだか。
鼻と鼻をくっつけてはしばみ色の瞳を覗き込んだ時。

蹴破るような勢いで、とんでもなく景気良くドアが開いた。
そこに仁王立ちしていたのは、小瓶を胸に抱きしめた、ラリった目つきのキットン。
ワナワナ震えている手とその表情が、近付いてはいけないというオーラをかもし出していやがる。

「できましたよトラップ!
 これさえ飲めば一瞬で元通りのはずですっ!
 あぁ私ってば、こんな短時間で作り上げてしまうとは、なんて素晴らしい!」

いやあの、この状況下でどうしろと。
呆然としている俺とパステル。

「何ぼーっとしてるんです!
 ご依頼の薬ができたん・・・」

何の反応もない俺たちに、キットンは文句を言いかけて言葉を止めた。
やっと現状が把握できたらしく、リトマス試験紙のごとくみるみるうちに赤くなり、踵を返すキットン。

「こ、これは失礼しばしたぁーーー!!」

窓ガラスをビリビリ言わすほどの絶叫と共に、ドアは無常にも閉じられる。

「待てっ、薬は置いていけぇ!!」

必死の俺の叫び声が、みすず旅館にむなしく響いた。

459トラ×パス 断髪編 14:2006/07/24(月) 10:19:17 ID:XgdOmc8g


「で?これを飲みゃ、髪が伸びるってこったな?」

赤いような青いような、まだようわからん顔色のまま、ぎこちなく頷くキットン。

「は、い。理論上間違いないはずです」

場所は変わってみすず旅館の台所。
開け放した勝手口の外には、心配そうなノルも控えている。
俺の断髪にからんだ・・・言うなればハサミを入れた奴は、全員雁首揃えてるわけだ。
さすがに皆、結果が気になったんだろう。
また散髪屋ごっこかと、にこにこしている約1名もいるにはいるが。

小瓶の蓋を開けて臭いをかぐ。
無臭無色の水のごとき液体。
俺はひと呼吸入れると、息を止めて一気に呷った。
薬が喉を伝って胃袋に落ちたか?という頃合に、頭が痒いようなむずむずするような感触。
おそるおそるキットンが尋ねる。

「どうです?」
「・・・頭が痒いんだけどよ」

髪をかき分けるように・・・いや、かき分ける髪もねえが・・・ガリガリと頭を掻く。
と。
ざあっ!ともばさっ!とも表現しがたい音をたてて、頭を掻いていた手に、一気に湧き上がるような圧力がかかった。

「うおぉっ!?」

俺が叫ぶと同時に、一瞬にして視界が赤茶色に染まった。
・・・髪?・・・これ、俺の髪じゃねえのか?

もう不気味なほどに、長い長い長い髪。
頭から垂直に爆発的威力で伸びた、俺の髪。
言うなれば、天井向けたクラッカーから紙テープが飛び出したようなもんだ。
そのおっそろしい量の赤毛は、クレイの手足にまといつき、俺より背の低いパステルとキットンとルーミィ及びシロには、津波のように被さった。

「きゃあああっ!?なになになにーーー!?」
「なにも見えないおぅー!」
「助けてくださいデシー!」
「うわあっ」
「な、なんだよこれっ!」
「髪ですよ、髪、髪ぃぃぃーーーー!!!」

個性溢れる各々の悲鳴をBGMに、目の前を遮る赤茶色を、暖簾をくぐる要領でかきわける。お、重い。
見事に揃って髪に襲われた連中が、ようやく俺の視界に入った。
俺の髪は床まで届き、さらに高さの足りない分が、一部連中に被さり引っ掛かりながら、とぐろを巻き床を埋め尽くしている。
部屋の外にいるノルの足元にまで、赤茶の津波は広がっているらしい。
想像してみてくれ。
あたかも絨毯のような、おびただしいの髪の毛だぜ?
・・・そりゃもう何のホラーかオカルトもんか、不気味以外の何物でもねえよ。
460トラ×パス 断髪編 15:2006/07/24(月) 10:19:51 ID:XgdOmc8g

「うわっ!気色悪っ!」
「いてぇよ!クレイ踏むなっ」

俺の髪から逃げようと、足を上げたり下げたりして怪しげなステップを踏むクレイに怒鳴りつける。
かと思えば、後頭部あたりがぐいと引っ張られる。
文字通り髪を振り乱して振り向けば、パステルがさながら投網にかかったようにもがいていた。

「やだもう取れない!これっ」
「だぁら痛てぇっての!
 俺から生えてんだからな、むやみに引っ張んじゃねえ!」
「そ、そんなこと言われても・・・きゃあっ!?ルーミィ!」

ようやく自分にからんだ髪をほどいたパステルは、足元の赤茶色の繭状物体に飛びついた。
げ、あれルーミィかよ・・・
半狂乱で俺の髪を引きちぎり、ルーミィを助け出すパステル。
痛ぇわ苦しいわだが、文句を言える雰囲気じゃねえ。

「うわーんぱーるぅ、びっくりしたおぅ!!」
「こ、怖かったデシ・・・」

ようやくちびエルフと、抱っこされて固まっていたシロが救出された。
ドアの外から手を伸ばす巨人に預け、ひとまずこの赤茶地獄から避難させる。
こいつらに暴れてまた踏まれちゃ、俺の繊細な地肌が血まみれだっつーの。
ほっと一息ついたかと思えば、また背後からつんつんと突かれた。
重い首を廻して振り向けば、ずんぐりむっくりの赤茶の塊が唐突に奇声を発し、思わず耳を塞ぐ。

「成功です!見事に伸びましたねっ」
「見事って、いくらなんでも伸びすぎだっつーの!!!」

ちょっと髪切っただけで坊主にされるわ、伸びたら伸びたで加減を知らねえわ、もうなんなんだよ、この狂態は!?
踏んだり蹴ったりとはこのことだ。
俺の絶叫で、ようやく我に返ったらしいパステル。
髪の毛の下にある机らしき物体を掘り返し、用意していたハサミを持った。
どうやらありがたいことに、散髪恐怖症から脱してくれたらしい。
床を見回して、今更ながら青ざめたパステル。

「と、とりあえずこのぶん切ろうよ。もう収拾つかないし」
「頼む、せめて踏まれねえ程度に」

パステルはとりあえず、傍でまだヒャアヒャア言っていたクレイを確保した。
俺の生え際から手櫛で髪を苦労してまとめ、クレイにどさっとばかりに持たせる。
踏まれてるぶんやそのへんの物を巻き込んだぶんはあきらめ、俺の足首辺りでどうにか一本化した髪の束を、思い切り良く切り取った。

ジャキン!!

ハサミの音と同時に、首が折れんばかりにかかっていた圧力が軽くなる。
ひ、ひとまず助かった・・・
しかしだ。それでも長い。洒落にならんほど長い。
461トラ×パス 断髪編 16:2006/07/24(月) 10:20:22 ID:XgdOmc8g

「おいパステル、続けて切れ」
「え、続けてって・・・どこまで?」
「おめえが弓矢で、ざっくり切っちまう前の長さまでだよ!」
「あ・・・そ、そうだね、わかった」

ハサミを構えるパステル。
今度こそまともな長さに戻れそうだ。
はぁ、と安堵の吐息をついた時、足元から俺の髪をぐいぐいと引っ張る手が。

「痛てぇ!なんだよ!
「ルーミィもぉ!ルーミィも切るぅ!!」

にこにこしながら、恐ろしいことをねだったのは、いつの間にかノルの保護下から戻ってきたルーミィ。
これ以上ないほど、最悪のタイミング。
おめえは戻ってこなくていいんだよ・・・

「あのなぁ、散髪屋ごっこしてんじゃねえんだよ。
 おい、パステル、さっさと切れ!」
「あだやだあだぁーーー!ルーミィにもはさみぃぃ!!」

泣いて地団太踏むちびエルフに、困ったような顔をするパステル。
おい困るな!そこでなぜ迷う!?
俺が文句を言おうと口を開きかけた時、キットンがしれっと言った。
なぜか俺の切った髪を被ったままで、赤毛のロンゲ状態・・・っていうよりカッパだ。
て言うか、取れよ、それ。

「せっかくですから、ルーミィにも切らせてあげてはどうです?
 これだけ長さがあるんですから、少し切るくらい問題ないでしょう」

てめぇ、言わなくても言いことを・・・
目をむく俺を無視して、パステルがにこにこと笑いながら言った。

「だよね。どうせならクレイも切ってみたら?
 今回失敗したもんね、練習練習!」
「どうせって何だ、どうせって!?
 そもそも人の頭で練習しねえでくれっ!!」
「お、そうだな。俺もちょっと切ってみたい。
 大丈夫、今度は女学生にはしないからさ、トラップ!」

んなさわやかに言い放たれても・・・あの、俺の立場はどうなるんですか?クレイさん。
噛み付かんばかりの俺の罵声を、さらりと聞き流したクレイ。
もはや、当事者である俺の発言権はないに等しい。

反論する気力を奪い去られる俺に、さらに追い討ちをかけたのはキットンだ。
462トラ×パス 断髪編 17:2006/07/24(月) 10:20:53 ID:XgdOmc8g

「わたしもさっきの仕上がりは、ちょっとばかり微妙でしたからねぇ。」

あれがちょっとか?微妙で済ませるか!?
あの髪型はなぁ、激しく取り返しのつかねえ失敗だってんだよ!!

「なかなか練習する機会なんてないですし。
 そうですね、30センチくらい切らせてもらえれば・・・
 それだけ長さがあればいいですよね?」

良くねえ!良くねえぞっ!!
髪の長さが何メートルあろうが、あの虎刈りを完成させたてめえにだけは、二度とハサミを握ってほしくはねえっつーの!!

しかしだ。
俺を除く満場一致で、散髪屋さんごっこという名の拷問が始まろうとしている。
あまりと言えばあまりに残酷な、破滅への階段を下りていくような展開。
三十六計、もうこの場は逃げるしかねえ。
俺はゆっくりと後ずさり、唯一の逃げ場である勝手口から逃走を試みた。
そこにいたのは・・・出口を塞いだ笑顔の巨人。

「おぉノル!助けてく・・・れ?え?」

助けを求める俺の悲痛な叫びに、にっこり笑って頷くノル。
俺の逃げ道をきっちり阻んだ立ち位置が、俺の今後の運命を、何より雄弁に物語る。

ノ、ノル・・・おめえもなのか!!??

俺は今こそ確信する。
不幸とは、クレイの為だけの言葉ではないことを。

我知らず気を失いそうな俺の耳には。
ルーミィが嬉しそうに鳴らす、チョキチョキというハサミの音が、やけに大きく聞こえていた。



-------------------------

完結です。
次回は、リク頂きました、クレパスレイプものを検討しています。
463162:2006/07/27(木) 17:16:32 ID:eHKUd8Ji
162です。いつもご拝読に感謝。
しまった…私のせいでスレストしてますね。猛省しつつ投下です。

御品書きです。
リク頂いた、クレパス:レイプものです。
レイプの上に暗い内容ですので、
ハッピーエンドの好きな方はスルーをお願いします。
464クレ×パス レイプ編 1:2006/07/27(木) 17:18:14 ID:eHKUd8Ji

俺は、深い闇の中を彷徨っていた。
ソードを握った右手は、汗でべたべたしている。
誰もいない。
目の前にあるのは、闇よりも黒く深い川。
水の代わりに、どろどろしたものが流れている。
その川の向こうに、一瞬きらりと光るものが見えた。

…パステル?

彼女を目指して、川に足を踏み込む。
ぬるぬるしたものをかき分けようとするが、それは生暖かくまるで生き物のようだ。
ここへ入ったら・・・何かに食われてしまいそうな錯覚を覚える。
足を進めかけては戻る。
なぜだ。どうやっても踏み込めない。
それは恐怖なのか、迷いなのか。

”この臆病者が!!”

おじいさまの怒声が聞こえたような気がした。



「……クレイ、ねぇクレイってば!」
「パ………」

目の前に、俺を心配そうに覗き込む、はしばみ色の瞳があった。
今のは…夢…だったのか。
荒い息をつきながらゆっくりと身を起こす。
パステルの背後には、たった今俺たちが吐き出された洞窟がぽっかりと口を開けている。
ほっとしたように肩をおとしたパステル。

「よ、良かったぁ………
 クレイ、あなた相当長いこと気を失ってたんだよ?大丈夫?」
「……ああ」

俺を気遣うパステルの髪も、まだしっとりと水気を帯びている。
思わず抱き寄せたくなる思いを、拳を握り締めることでやり過ごした。


今は、クエスト真っ最中。
洞窟の宝…といっても高価な薬草なんだが…を探すというよくあるものだったが、パーティを分割する必要に迫られた。
本洞で薬草を採取するチームと、側洞にある、本洞の入口操作のスイッチ開閉を担うチーム。
まぁこのチーム分割で、もめたこともめたこと……
薬草採取なら、自分が行かずして誰が行くと力むキットン。
一応罠解除の可能性を考えて、本洞を選択したトラップ。
高いところに生えてたらどうするんだという理由で、引きずり込まれたノル。
ノルと一緒に行くんだおうと、芋蔓式についてきたのがルーミィとシロ。

すったもんだの末、このメンツが本洞で、俺とパステルが側洞に入ることになった。
なんでスイッチを開け閉めするだけの側洞に、2人も必要なのかという気もするが、とにかく、パーティは複数人に分けるのが冒険の基本だから。
単独行動はできるだけ避けるべきと、短くはない冒険者生活で骨身に沁みている。
465クレ×パス レイプ編 2:2006/07/27(木) 17:18:55 ID:eHKUd8Ji

そんなこんなで俺は、パステルと側洞に入った。
緩い上り坂になった側洞の中は、光苔が自生していてほんのり明るい。
振り向けば、珍しそうにあたりを見回すパステルが後をついてくる。
特に危険なモンスターはいないとのことだからか、マッピングの必要がないからか、いつもより気楽そうににこにこしているパステル。

常日頃から密かに思いを寄せているパステルと、2人になる機会なんて滅多にない。
いや、このパーティ内じゃ、皆無に近い。
…そりゃ、俺なりに色々考えるところはあったさ。
でもこれは、クエストなんだ。
クエスト中だというのに、そんな感情を表に出しちゃ怪我の元。命に関わる。
喜んでいる場合じゃない。
余計なことは考えるな。
今までどおり、この子を守ることに全力をかけよう。
俺は、ほのかに喜んでいた自分をぐっと押さえつけ、リーダーとしての勤めを果たすことにした。

しかし、そう簡単に話は終わらなかった。
本洞チームが出入りの時に大声で知らせる。
本洞と側洞の間の岩壁は薄くて声が通るので、合図には何の問題もなかった。
その声にあわせて、側洞のスイッチを押せばいいだけ、のはずだったんだが………

「クレイ!スイッチ頼むぜ!」
「わかった!」

壁越しに聞こえるトラップの声を確認すると、俺は小さなスイッチを押した。
ゴゴゴゴ……という重たい音と共に、どうやら本洞への入口は開いたようだ。

「んじゃー、とっとと取ってくるぜえ!」
「帰りも頼みますよお―――!!」
「ぱーるぅ、行ってくるおう!」

各々にぎやかな声が聞こえ、やがて静かになったかと思うと、再びさっきと同じく岩の移動するような音がした。
元通り入り口が塞がったらしい。

「よし、役目は半分終わったな」
「これから皆が、戻ってくるまで待ってなきゃいけないんだよね。
 奥まで行って戻ると、半日仕事になるんだっけ?」
「あぁ、あの地図が正しければね」

そんなのどかな会話は、突如として阻まれた。
何の前触れもなく、頭上から降り注いだのは大量の水。

「きゃああああ―――――っ!!!」
「うわあっ、パステル!!」

侵入者を陥れるための罠だったんだろうか。
怒涛の勢いで降り注いだ水は、傾斜に沿って洞窟の入り口へ向かって流れ出し、なすすべもない俺たちを押し流した。
そして気がついたら、パステルの顔が俺を覗き込んでいた、という訳だ。
466クレ×パス レイプ編 3:2006/07/27(木) 17:19:26 ID:eHKUd8Ji


なんであんな夢を見たんだろう。
まだねっとりとした悪夢の感触が、襟足あたりに張付いているようだ。
濡れた髪をかきあげ、毛先を絞る。
寒そうに両腕で体を抱いたパステルが言った。

「ねえクレイ、とりあえず服乾かさない?
 もう日も暮れるし、風邪ひいちゃうよ」
「うん、そうだな。火をおこそう」

折りしも時間は夕暮れ時。
押し寄せるように薄闇が迫り、あたりはとっぷりと夜に落ち込みかかっている。
俺たちは湿った洞窟の前から少し移動して、適当な岩陰を見つけると、集めてきた枯れ枝に火をつけた。
パチパチと炎のはぜる音。

「あったかぁ……」

焚き火に手をかざし、しみじみとつぶやくパステル。
確かに、暖かい。
まわりの空気は山中ということもあって冷えており、全身濡れ鼠で火の気もなければ、凍死しかねないところだろう。
パステルに習って冷たくなった手をかざすと、手元から熱がじんわりと伝わるが、その分濡れた服の冷たさが身にしみる。

「ねえ見て、これほとんど濡れてないみたい。
 トラップの言ったとおり、防水のリュックにしといてよかったあ」

パステルは、リュックから小さめの毛布を取り出した。
にこにこしながら俺にそれを広げて見せる。

「そっか。よかったじゃないか」
「うん!でね。クレイ、えーと……ちょっとあっち向いててくれない?」
「いいけどなんで?」
「着たままじゃ乾かないもん」
「えっ」

俺の動揺をよそに、いそいそと地面に毛布を敷くと、パステルはアーマーを外しにかかった。
あちこちの紐を解き、水滴のついた白いアーマーを火の前に置く。
アーマーの下は、体にぴったり張り付いて、体の線をあらわにしているブラウス1枚。
普段見ることのない姿に、我知らずドキドキしてきた。
白いブーツも脱いで裸足になったパステルは、膝立ちで毛布の上に移動する。
ボタンに手をかけたところで、ふと気づいたようにこっちを向いた。
困ったように笑うパステル。

「ねえクレイ、聞いてる?あっち向いてってば」
「あ、わ、わかった。ごめんっ」
467クレ×パス レイプ編 4:2006/07/27(木) 17:19:57 ID:eHKUd8Ji

食い入るようにパステルの姿を見つめていた自分に気づき、慌てて回れ右して、火に背中を向ける。
背後から聞こえるのは、湿った衣擦れの音。
見えないぶん妄想をかきたてられ、勃然とこみあげるものを感じる。
だ、駄目だ駄目だっ。
今はクエストの途中だぞ?何を考えてるんだ、俺。
頭を振り、脳内をかすめたものを振り払うと、俺の気も知らず能天気な声がした。

「お待たせー。あ、わたしこのまま後ろ向くからさあ、クレイも脱いで乾かしたら?」
「そ、そうだな。そうする」

俺は首だけ振り向いてパステルの後ろ頭を確認すると、手早くアーマーと服を脱いだ。
じっとり湿ったそれらを火の前に並べながら、ふと自分の下半身に目をやる。
下着をも脱ぐべきか?履いてりゃ乾くかな……
いや、でも…びしょびしょの下着じゃ腹が冷えそうだよな。
一瞬逡巡してから、毛布を腰に巻きつけ、湿った下着も脱ぎ捨てる。

「パステル、こっち向いていいぜ」
「ん?もう向いて平気?」

ごそごそとこちらに向き直る毛布の塊。
またも跳ねる心臓を押さえ、つとめて何気ない態度を取る俺。
火の向こうには、毛布にくるまったパステルがいた。

「皆、ちゃんと薬草まで辿り着いたかなあ?
 まだまだ戻ってこないんだよね」
「ああ」
「それにしても、もう真っ暗になってきちゃったね」
「ああ」
「もう、クレイ!さっきから”ああ”しか言ってないよ?聞いてるの?」
「ご、ごめん」

ぼうっとパステルの顔を眺めていて、全く話を聞いていなかった。
だいぶ乾いてはきたが、まだ湿っている、はちみつ色の髪。
頬を膨らませ、俺を軽く睨んでいるパステル。
んもう、とふわりとため息をつくと、毛布にくるまったまま腰を浮かせる。

「よいしょっと」

可愛い掛け声をかけつつ、パステルが座り直した。
傾いた体から毛布が少し滑り、細い肩が覗く。
本来そこにあるだろうと予測された、ブラジャーの肩紐がない。え。
思わず火の前に干されている、パステルの服に目がいった。
アーマーと、その上に広げられた服の隙間に、わずかに見えているのは…下着。
ということは、パステルは今、毛布の下に何も………
よ、よせ、俺。
何を考えてる。
468クレ×パス レイプ編 5:2006/07/27(木) 17:20:28 ID:eHKUd8Ji

ごくりと生唾を飲み込み、視線をパステルから引き剥がす。
必死に冷静さを取り戻そうとして目をそらした先に、ちぢこまったパステルの素足があった。
それは官能的というより、冷えて青ざめてとても寒そうに見える。
やましい方向へ盛り上がりかけた気分が落ち着き、密かにほっとする俺。
傍らに置いた、自分のディパックをあさる。

「ほらこれ。足にかけるか巻くかしなよ」

取り出した大きめのタオルを、炎越しに放り投げた。
が、手元が狂ってパステルの足元の方へ飛んでしまうタオル。

「わわっ」

慌てて受け止めようとするパステルの毛布が乱れ、肩から胸が一瞬あらわになる。
真っ白で……初めて目にする女性の象徴であるふくらみ。

「ご、ごめんっ!!」

俺は、おそらくそれとわかるほど赤くなり、焦って毛布を胸に押し当てたパステルから顔を背けた。
照れたように笑うパステル。

「ひゃあぁ…見えた?」
「……ちょっとだけ」
「あはは、まぁいっか、クレイなら」

クレイなら?
その言葉に、過剰に反応してしまう。
俺ならいいって?それはもしかして俺のことを?
都合よく展開する妄想は、俺の頭を駆け巡る。
この場にいるのは、パステル。
そして、俺の2人だけ。

俺は気持ちを押し殺すのが難しくなってきていた。
・・・今だけ、リーダーとしての責務を降ろしてもいいだろうか?
君に恋した、ひとりの男になってもいいのか?
彼女はそれを受け入れてくれるんだろうか?
次々と湧き出る疑問符。
逸る気持ちを押しとどめ、可能な限り普通の声色で聞いてみた。

「クレイならって……どういう意味だい?」
「だって、クレイだもん」

怪訝そうにする俺に、にこにこしながらパステルは続けた。
俺の放ったタオルを敷き、素足をそっと載せながら。
469クレ×パス レイプ編 6:2006/07/27(木) 17:20:58 ID:eHKUd8Ji

「ごめんごめん、それじゃ説明になってないよね。
 クレイはパーティのおふくろさん役っていうか……
 保護者なんだしまぁいいや、みたいな感じかな?」

………保護者?
すうっと指先が冷たくなった。

俺は、この状況下で。

好きな子に男として見られていない。
好きな子に男として扱われていない。
その事実に気づいた時、俺の心臓を、ずくんと鈍い痛みが突き刺した。

さっき気を失っていた時に見た夢が、脳裏に蘇る。
俺とパステルを隔てる川。
それは絶対に渡れないものだった………

「クレイ?どうしたの?」

心配そうに俺を覗き込むパステル。
いまだ穢れを知らないであろう、澄んだ瞳。
俺は君にとって、恋愛対象どころか、異性ですらない。
俺には、近づくことさえ許されないのか?

また、どろどろした川の既視感が横切った。
ぎりっと奥歯を噛み締め、ゆっくりと立ち上がる。
裸足のままで焚き火を迂回し、パステルの傍に立膝をつく。

「パステル」
「なあに?なんか・・・クレイ変だよ?」

そりゃ変だろうね。
思わず苦笑いを浮かべた俺を見上げ、パステルは不安げな色を浮かべた。
それは、俺の表情の裏に潜んだものを感じ取ったのか・・・鈍感な君にしては、正解だよ。
無邪気で残酷な君に………思い知らせてやる。

「きゃっ!?」

躊躇いをほどき、一気に体重をかけてパステルを押し倒す。
弾みで、パステルがまとっていた毛布がほどけた。
剥き出しになったほっそりした裸体にのしかかると、噛み付くようにくちづけた。
半開きになった唇から舌を差し入れ、後ずさろうとする舌を捕らえる。

「なっ、ん、んっ」

直接唇から伝わるのは、言葉にならない言葉。
気の済むまで熱い舌を貪ってから、ようやく柔らかい唇を解放する。
470クレ×パス レイプ編 7:2006/07/27(木) 17:21:31 ID:eHKUd8Ji

「………クレイ……どう…して」

パステルは、わけがわからないと言いたげな、呆然とした表情で尋ねた。
紅潮した頬をそっと撫でながら、言葉を探す。

「知ってる?パステル。
 俺さ………男なんだよ」
「……知ってる…よ?」
「何をだよ?何も………何も知らないじゃないか!!!」

吐き捨てるような俺の怒声に、「ひっ」と身を竦めるパステル。

「……教えてやるよ。男ってどんなものか」

口の片端を持ち上げて、少しだけ笑ってみた。
恐ろしいほど頭は冴え返り、パステルの気持ちが手に取るように感じられる。
パステルの怯えきった瞳に浮かぶのは、不安、動揺、疑問、恐怖。
妙に冷静に分析しながら、おもむろに胸に手を伸ばす。
その手に悲鳴をあげかけた口を、容赦なく片手で塞いだ。

「ん!ん――っ!」

首を左右に振り、両手で俺の腕を掴んで逃れようとするも、もとより非力な彼女には不可能だ。
なんとかして俺の手を振り払おうと暴れる細い腕。
仕方ない。ぐいと手首を掴み、力をこめて握りこむ。

「痛っ……」
「怪我が嫌なら暴れないでくれよ」

見開いたままの眼を見据え、低い声でゆっくりとつぶやく。
恐怖を湛えていた表情が、みるみる絶望の色に塗りつぶされてゆく。
あきらめたように長い睫毛がふせられ、頬に影を落とした。
おとなしくなった腕を放すと、白くまぶしい乳房を両手でくるむ。
感触を確かめるように揉みしだき、とがった先端を指先で転がすと、引き結んだままの口からこぼれる、小さな喘ぎ。

「んっ……」

欲望は、眼からも耳からもひたひたと押し寄せ、俺を擽る。
なめらかな曲線を描くウエストを両手でなぞり、そのまま両太ももを掴んで、抵抗を無視して押し開く。

「やっ……見ないで……」

細く控えめな毛に、薄っすらと覆われたその部分。
ほんのりと淡い紅色をした、花びらのようなそれに口を寄せ、熱をもった襞をべろりと舐め上げる。

「……ひぃ…っ」

腰をビクッと震わせたパステル。
舌を細くして襞と襞の奥へと割り込ませ、じわじわと滲んで来た滴を吸う。
眉根をよせ、羞恥に染まったパステルの顔。
俺はそれを上目遣いにじっと見つめたまま、舌を止めることなく動かした。
舌先が見つけた花芯を、執拗とも言えるほど念入りに味わう。
471クレ×パス レイプ編 8:2006/07/27(木) 17:22:07 ID:eHKUd8Ji

「ぁ……んっ……や…あぁ……」

嬲られてるのに、意思とは裏腹に高まる喘ぎ。
その声を聞くほど、自虐的な思いに囚われてしまう俺。
俺はこんなにも君が………好きなんだけどね……
思わず口に出しそうになる想いを飲み込み、振り払うように身を起こす。
堅く張り詰めた自身を、十分に濡れたパステルのそこにあてがい、ぬるぬるした液をなすりつけた。
どうにも狭い隙間に、無理矢理先端をこじ入れる。

「痛……いっ……やだ………やだよお……」

俺は、こんなにも残酷な自分を初めて見た。
泣きじゃくるパステルの涙が、俺の胸を突き刺しても、かまわず腰を押し進める。
ぶちぶちぶちっという、やわらかな何かを強引に引きちぎるような感触。

「ひっ……いやあぁぁ―っ!!!」

喉も裂けよと絶叫したパステルは、指先が真っ白になるほど毛布を握り締めていた。
締め付けられるような快感と熱さに包まれ、欲望に任せて腰を突きこむ。

「や…あ……あっ、ぅくっ…ぇっ………」

とめどなく涙を流して、喘ぎながらしゃくりあげるパステル。
悲しそうで痛そうでつらそうで、ずたずたに傷ついた表情。
でも俺はもう、自分を止めるすべを知らない。
細いパステルの体を力いっぱいかき抱いた。
そして俺は、自身の緊張を一気にほどくと、濁って歪んだ欲望をパステルの中に放つ。
……誰より愛しい相手を、白濁した液体で穢して。


パステルは、俺に背中を向けたまま動かなかった。
すっかり乾いたパステルの服を取り、そっと肩にかけてやる。

やはり俺と君の間には、例えようもなく深い川があった。
渡ろうとして渡れず、パステルをも引きずり込んで深みにはまってしまった。
俺は君を求めた。
でも俺には、手に入れる権利すらなかった。
だから………この手で君を壊したんだ。

振り向かなくていい。
頼むから、そのまま振り向かないでくれ。
俺は揺らぐ炎越しに、傷ついた後姿をいつまでも見つめていた。



---------------------
完結です。
472名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 00:18:17 ID:dQVq1ST7
神!!
クレパスGJ☆
473名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 14:39:03 ID:jAWSENec
うをっ、久々に見にきたらすごい神が降りてらっしゃる!
162氏GJ!!
文章が作品本数を追うごとに上達してるし。
また読みに来ます。
474名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:09:56 ID:7t9y9Hfh
162さんGJ!
あなたの話はどんな話でもキャラが原作通りで(・∀・)イイ!!

ところでリクエストしてもいいですか。
幸せな話で、旧六巻のバニーパステルと燕尾服? のトラップのエッチ、が見てみたいです。
個人的にレオタードパステル萌えでした。

それか
幸せでない話、で、トラップかクレイでお願いしたいんですが
愛情のないレイプ物、も見てみたいです。
過去二編が両方とも「パステルへの切ない愛情ゆえ」だっただけに
男側に一片も同情できないような鬼畜もの? はどうだろう、と思って。

すいません、下のリクは好奇心です。
FQだったら到底ありえない状況だろうけど
162さんならひょっとしたら違和感なくまとめてくれるんじゃないか、と思ったもので
無理ならスルーで構いません! 気が向いたらお願いします!
475名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:46:54 ID:mPkaCGCk
いつもGJ!
↑いいなあ。加えて自分はパステルが激しく攻めるのとかきぼん
476名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 06:55:38 ID:u71ZPi0j
なにげに良スレだここ。あげ
477162:2006/08/02(水) 15:10:45 ID:raGf4aY3
162です。
ご拝読と過分なお褒め、感謝です。
リク頂いたので、旧6巻のエロ外伝を投下に参りました。

御品書きです。
燕尾服トラ×レオタードパステルです。
2人にラブラブする時間を与える為に、
少しだけ原作の時間軸&設定等をいじっております。
478トラ×パス 旧6巻エロ外伝編 1:2006/08/02(水) 15:11:38 ID:raGf4aY3

馬屋の1階部分にいるのは、俺とキットンとクレイ。
俺たちは、目を丸くして口をぽかんと開けて……早い話がアホ面で、呆然と梯子を見上げていた。

危なっかしい足取りで梯子を降りてくるのは、ルーミィを抱っこしたパステル。
見慣れぬアップにした髪には、光り輝くリボン。
ひらひらと黒マントが頼りなく揺れ、ラメでキンキラしたレオタードが見え隠れしている。
しかも、暖簾のごとき長紐がまとわりついた、ケツのラインが丸出しときたもんだ。
細い足は網タイツなんてものに包まれ、俺がよく行くカジノのバニーちゃんにも、全く引けを取らねえ色気っぷり。
パステルが梯子を降りてくるにつれ、見えなかった上半身が視界に入る。
胸元は見事に開いて、結構深い谷間が覗いて………

げ!やべっ!
俺は、実に素直に股間が吊上がるのを感じつつ、必死でポーカーフェースを作った。
カモフラージュの為、おもむろにポケットに手を突っ込みながら。

「お、胸どうした?パッドも入れたん?」
「ばかもの!」

頬を膨らませたパステルに、銀のリングでぽこっと殴られ、シルクハットが歪む。

しかし、こいつは想定外だ……
恋人関係になってそう長くないとはいえ、こんなにも殺人的に悩殺されたのは初めてだ。
いつもの色気もへったくれもない、無粋なアーマー姿からは想像もつかねえ。
いや、あのミニスカートなら、それはそれで色気ってもんが、あの、えーとその……とにかく!
要は、俺の頭ん中は妄想と煩悩が駆け巡り、とてもじゃねえけど手品なんてメンタルなもんをできる状態じゃなくなっちまった。
かといって、んなことを堂々とこいつらに言うわけにもいかねえし。
なあ、どうする?俺。
このまま股間膨らませたまんまで手品すんのかよ?
……そらまじいだろう。いくらなんでも…じゃあどうする?

俺は、騒いだり段取りを確認している連中の間で、めぐるましく脳を回転させて案を練った。
それとなくそのへんの、造花やトランプなんかをつつきながら。
そして、俺の明晰頭脳による作戦は完成された。
………おし、これでいくか。
傍で俺たちの様子を眺めていた、黒装束のピートを捕まえる。

「なあ、まだ出発まで時間はあんだよな?」

ピートは俺の問いに、ブルーアイをしばたたかせて答えた。

「出発ですか?そうですね……
 おそらく後1時間後くらいに、ザックの合図があると思いますよ」
「おう、サンキュ。
 おい!おめえら、ちょっと聞け!」

連中が一斉に顔を上げ、俺の方を振り向く。
ぐるりと一同を見回し、パステルの上で視線を止める。
479トラ×パス 旧6巻エロ外伝編 2:2006/08/02(水) 15:12:15 ID:raGf4aY3

「ちっと早えが、もうそろそろ森ん中に隠れててくれ。
 んで、パステル。おめえは俺と残れ」
「え?なんで?」

小首を傾げて自分を指差すパステル。

「おめえのチャイニーズリング、まだ危なっかしいからよ。
 まだ小一時間あんだろ?最後に仕上げ練習だ。
 マンツーマンでみっちりやっからな」
「えええーーーわたしだけぇ?」

パステルはすねて唇を尖らせたが、仕方ないと理解したのか、不承不承頷いた。
と、そこでクレイが口を挟んだ。

「あのさ、俺も仕上げ練習した方がいいかな?
 完璧かって言われると自信ないんだけどさ」

い、いらん提案をするな!
クレイまで残っちまっちゃ、何の意味もねえんだよ!

「クレイ、おめえはもういい。
 もう十分、最高、問題なし!だぁら、先行ってろ」

我ながら、実に嘘臭い。
一歩間違えば観客目掛けてナイフが飛ぶような、半人前ジャグラーを捕まえて、問題なしとは。
クレイは俺の、必要以上の褒め言葉に一瞬戸惑ったようだが、にっこりと笑って頷いた。
…馬鹿正直に素直で疑うことを知らねえ奴ってのは、こういう時実に助かる。

「そっか、わかった。じゃあ先に行ってるぞ」
「ぱーるぅ、行かないのかあ?」
「すぐ追いついてきますよ、ルーミィ」

不安そうな顔をしたちびエルフを、キットンがなだめる。
よしよし、いい塩梅だ。
ここでこいつに残られちゃあ、俺の計画は台無しだっつーの。

「パステル、おめえは上で待ってろ」
「うん……ね、トラップ、これ持ってけばいいのね?」

パステルが俺に示したのは、銀色に光るチャイニーズリング。
ま、実のところいらねえっちゃいらねんだが…
それを居残り理由にしてる以上、必要と言わざるを得ない。

「おう、も、勿論。持ってっとけ」
「はあい」
480トラ×パス 旧6巻エロ外伝編 3:2006/08/02(水) 15:12:55 ID:raGf4aY3

パステルは、さっき降りてきた梯子をそろそろと上っていった。
馬屋の外に出ると、どてっ腹にけばけばしい装飾をされたヒポが、眠そうな目で待っている。

「じゃ、ザックの合図を確認し次第出発して、俺達を拾ってってくれ。
 俺達も確認し次第、すぐここを出るからよ。いいな?」

神妙な顔が口々にわかったと答えた。
ヒポに乗り込んだ奴らが見えなくなるのを見届けると、俺は逸る心を抑え、梯子を駆け上った。
2階では、パステルが棒立ち状態で突っ立って、リングの練習をしていた。
ガチンガチンと鈍く響く金属音。
相変わらずぎこちない手つきではあるが、リングは一応繋げられ、完成の様相を呈している。
照れたような顔でへへっと笑うパステル。

「なんとか……できたよ」
「ふーん。とりあえず大丈夫じゃね?それ、ちょっと貸せ」

パステルの手から繋がったリングを受け取ると、ひょいと傍に放り投げた。
カシャカシャカシャーン!と景気のいい音を聞いて、パステルはびくっと身を竦める。

「な、何よお?練習するんじゃなかったの?」
「まーそれはそれ。
 今はなあ、それより大事なことがあんだよ」

にやあっと笑う俺を見て、不審げな表情を浮かべるパステル。
俺はおもむろにシルクハットを傍の箱の上に置き、燕尾服の上着を脱いだ。
ちょいちょい、と指でパステルを呼ぶ。

「そこ座れ」
「?なんで?」
「いいから、座れ」

顔一杯に疑問符を貼り付けているパステルを、そのへんに積まれている干草の塊に座らせる。
レオタードの裾からぶら下がっている紐が乱れ、そこからのぞくのは網タイツの太もも。
素肌、ってのは見たこともさわったこともあるが。あるがよ……
網タイツだぜ、網タイツ。畜生っ、たまらん。
荒くなる鼻息を抑えつつ顎を上げ、蝶ネクタイをむしり取るように外す。
俺を見上げていたパステルの傍にどさっと座ると、マントの上から細い腰に腕をまわす。

「……何?」

こいつは何を企んでるんだ、と言わんばかりの、めいっぱい怪訝そうな顔。
うーん、意外に化粧も似合ってるよな。
濃い色に塗られた、まぶたと黒く長い睫毛がやけに色っぽい。
…アイラインがはみ出したりしてんのは、まぁご愛嬌ってやつだが。
481トラ×パス 旧6巻エロ外伝編 4:2006/08/02(水) 15:14:02 ID:raGf4aY3

俺はパステルの華奢な手をとると、ゆっくりと自分の股間に誘導した。

「ほれ」
「…なっ?!」

いきなりそそり立ったモノを握らされたパステルは、目を白黒させた。
逃げようとする手を押さえ、その耳元に唇を寄せると、そっと息を吹きかけながら囁いてやる。
俺の吐息にピクンと震えた耳たぶ。
そこにくっついてる派手なイヤリングが、しゃらんと音を立てた。

「ひぁ……っ」
「あのな、俺おめえのせいで、元気になっちまったの。
 こんなんで手品なんてできねえよ」

イヤリングを迂回して、細い首筋をつうっと舐めてやる。

「んっ……わたしの……せいって…なんでよぉ……?」

喘ぎ声の合間に、苦労して言葉をつむいでいるのがわかる。
変な姿勢になってるせいで、図らずも流し目で俺を見つめ返すパステル。
何気に女っぺえよなぁ、その目。

「その格好、ちょっと目の毒すぎだぜ。責任とってくれ」

ついと指を伸ばし、鎖骨のところで結ばれたリボンを解く。
干草の上に、ばさっと落ちる黒マント。

「きゃ!?ち、ちょっとぉ!!」
「うるせー、さわぐな」
「んんっ、んーーーー!!」

ジタバタ暴れるパステルを羽交い絞めにし、顔を斜めに覆い被せて唇を塞いで黙らせる。
いつもとは違う、ぬめっとした口紅の感触。
ふーん、口紅ってこんな味がすんのか……
舌を差込んで口内を這い回らせ、小さく熱い舌を吸い上げながら、右手を細い肩に伸ばす。
肩紐の役目を果たしてるらしい、細い鎖をするっと下ろし、胸を覆っているラメのレオタードをぺろっと引き剥がした。
既に半分見えてるような胸がもろにあらわになる。

「や、こんなことしてる場合じゃっ」

唇を解放されて、ようやく呼吸と言葉を取り戻したパステル。
その頬は、滅多にしない頬紅でピンクに染められている。
だが、その人工的な色の下に見えているのは、それとは異なる火照った赤。
半ば怒ったような抗議の言葉を聞き流し、ピンク色の乳首に舌を這わせる。

「やんっ」

寒さと弄られることで堅くなったそれを舌先で転がし、真っ白い丸みにかぶりつく。
ふにふにしているのに、どこか歯ごたえのある果物を思わせる感触。
片手を足の付け根へ伸ばす。
482トラ×パス 旧6巻エロ外伝編 5:2006/08/02(水) 15:14:33 ID:raGf4aY3

「ね、ねえ、だめだってばぁ…こんな時に……」
「俺さぁ、こんな状態でマジできねえって。
 手品ってさ、相当繊細なテクニックがいるんだぜ?失敗したら困んだろ?」
「そ…りゃそう、だけどっ」

俺の言い分にも一理あると思ったか?困ったような表情で口ごもるパステル。
これ幸いと、レオタードの隙間から指をねじ込ませる。
伸縮性のある布だからか、簡単にその隙間は広がった。
指の腹に引っかかるような、網タイツの手触り。

「あぁ……ん……」
「お、なんか濡れてるぜえ?パステル」
「やだもう、バカぁ………っ」

なまめかしげに喘ぎながら文句言われてもなぁ。
ついつい嬉しそうな表情になっているであろう、俺。
しかし、このレオタードどうするよ?
隙間からナニを突っ込もうにも、下にタイツ履いてやがるもんなあ。
しかも……この触感は二重履きかよ?なんと厳重な。
つらつらと考えつつ、じわりと濡れた部分を撫でさする。
爪先でくいっと網目を広げてみようとするが、その動きに、突如として我に返ったらしいパステルに怒鳴られる。

「…ちょ、トラップ!これから本番なのに破らないでよっ?!」

半身起こして文句を言いはするが、モロ出しの胸じゃあイマイチ迫力に欠ける。

「バーカ、俺を誰だと思ってんだよ。んな不器用な真似するかっての」

とはいえ、俺の手にも余るな、こりゃ。
このエロっちいレオタード着たまま、ってのが密かに惹かれるもんがあったが……仕方ねえ。
罠解除並みに指先に神経を集中させる。せーの。
俺は、胸の下までめくってあったレオタードを、一気に太ももまでずり下げた。
器用な盗賊に生まれて、こういう時良かったと思う。
その感謝はどこか間違っている気もするが……

「え?な……きゃあ…ん、む!?」

俺のあまりの手並みの良さに、一瞬自分が何をされたのかわかっていなかったパステル。
タイツと下着のみにひん剥かれた体に目を落とすと、遅ればせながら叫び声をあげた。
いや、正しくはあげかかった。
まあその動きは簡単に予測できたので、あっさりと阻止。
とりあえずキスして悲鳴を塞いでおき、唇をぺろっと舐めて囁く。

「静かにしろ、ってーの。誰か来ちまうぞ?」
「……だってぇ……」

はしばみ色の瞳が、上目遣いで恨めしそうに俺を見上げている。
そんな可愛い顔したって、仕方ねえだろうが。余計止まんねえぞ。
ちょっと体を浮かせ、パステルの体をくるっとひっくり返し、うつ伏させる。
スレンダーな背中と、下半身を包む網タイツ。
うーむ、これはこれでそそる。
裸でタイツのみ、ってのも相当にやらしいよな……
どうせなら中に何も履いてねえとか、タイツ破り放題ってならもっとナイスなんだが……って、何を考えてる、俺。
483トラ×パス 旧6巻エロ外伝編 6:2006/08/02(水) 15:15:04 ID:raGf4aY3

今はとりあえず高望みはすまいと己を戒め、2重タイツと下着をまとめて引き下ろした。
同時に細腰を掴み、ぐいと腰をあげさせる。
真っ白で丸い尻と、その隙間のほんのり色づいた部分が俺の目の前に現れた。

「やー、もおぉ………」

力なく抗議しつつ、自分のマントに顔を埋めるパステル。
アップにしたうなじが羞恥に染まり、後れ毛がほつれて張り付いている。
俺は両手で尻の割れ目を押し開くと、ふーっと息を吹きかけてやった。

「はっ…」

丸みに沿って、下から上へなぞるように何度も吐息で愛撫する。
触っていなくても、パステルのそこは潤んで蜜が滲み出してくる。
俺は焦らすだけ焦らし、滴が太ももに伝い落ちる寸前、大きく口を開けてパステルのそこにしゃぶりついた。

「あぁん!やぁ……ぁあっ」

花びらのように合わさったソレの隙間に舌を差し入れると、切なげな喘ぎはいっそう高まった。
後から後から溢れる液を、じゅるっと音を立てて吸う。
襞を唇で引っ張ってパステルを喘がせておいて、同時進行でファスナーを下ろす。
窮屈だから脱いじまいたいんだが……俺の履いてるのは、黒のスラックス。
んな埃っぽい床に落としたら最後、汚れまくりそうだよな。
仕方なく、ファスナーの開口部からにょっきりとナニを引っ張り出した。
パステルの秘部を覆う襞を、我慢汁の滲んだ先端で、2度3度割るように滑らせる。

「ん…は…ぁ…」
「……いくぞ」

俺は声と同時に、ぐいと腰を突き入れ、そのまま熱を帯びた肉の中に己を埋めた。

「あああぁっ!……やぁ…ん、あ、あんっ」

がっちりとウエストを掴んだままで、腰を前後に動かす。
張りのある汗ばんだ尻と俺の肌が、ぱんぱん音をたててぶつかり合う。
四つんばいのパステルの喉からは、甘えた猫のように甲高い鳴き声。

「あ、んっ、はん、ト、ラ……ップ……ぅっ」

俺はガチガチに堅く怒張した自分自身で、力任せにぬめる内壁をえぐる。
パステルの中はねばついて熱く、奥へ奥へと誘導されてるみてえだ。
螺旋状に渦を巻く襞のイメージが、脳裏をよぎる。
俺が腰を振る度に、パステルの耳やら首につけられた装飾品がにぎやかに鳴る。
太ももまでずり下ろした網タイツと下着に降りかかる、飛び散る愛液の飛沫。
俺の半分外した蝶ネクタイは、右へ左へと生き物のように跳ねた。

「う……すっげぇ締まる……」
「トラップ、トラッ……プ…あ、あぁ………」

喘ぎの途切れ間に、必死に俺の名を呼ぶパステルの声。
濡れた肉襞が痙攣するように収縮し、俺のナニを止めを刺すように吸い上げた。
もぎ取られそうな圧力に、脳天が真っ白になりそうなほどの快感。
うおぉ……も、我慢できねえ。
俺は歯を食いしばってのけぞり、外に出すか中で出すかを迷う暇もなく、精を一気に吐き出した。
484トラ×パス 旧6巻エロ外伝編 7:2006/08/02(水) 15:16:04 ID:raGf4aY3


身づくろいを終え、不器用に髪を結いなおすパステルを手伝っていると、窓から白い洗濯物が見えた。
げ、ザックの合図じゃねえか!
焦って階段を下りようとするパステルを押しとどめ、マントごと細い体を抱き締める。

「おめえ……すっげえ可愛かった。てゆーか、今も最高」

ぽーっと頬を染めるパステル。
俺の燕尾服の裾を引っ張りながら、恥ずかしそうに俯く姿がやけにいじらしい。

「ねえ……わたしこんなんじゃ失敗しそうなんだけど」

ったく、世話の焼ける奴だよなあ。

「大丈夫。そうなっても、俺がフォローしてやっから」

ピンクに染まった耳をちょいと摘み、思いっきり優しい声で囁いてやる。
我ながら緊張感のねえ………俺のほうが失敗しちまいそうだぜ……
俺はにやっと溶けそうになる顔を自覚しつつ、梯子を軽やかに降りていった。



-----------------------
完結です。
485名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:52:49 ID:fBImAQfQ
162さんGJ!
今回も良かった(´д`*)レオタードテラエロス
162さんの作品見てたら創作意欲掻き立てられるなw
次回作も楽しみにしてます
486162:2006/08/05(土) 13:36:49 ID:zIPJ2Vq8
こんにちは、162です。
いつもご拝読に感謝です。

>>412 さんへ事務連絡です。
当スレの容量が大きくなってきました。
(後半、使いつぶしているのは私ですが…)
なので新スレ移行dat落ちの前に、保管庫へのSS収蔵を依頼に行こうと思います。
なお、現在保管庫には、124さんのSSまで収蔵されていました。
書き手の収蔵許可が必要なので、412さんのクレマリSSも、
保管庫へ収蔵依頼を出して良いでしょうか。
見てらっしゃったらお返事下さい。
487162:2006/08/05(土) 16:32:35 ID:zIPJ2Vq8
さて。投下に参りました。
474さんのリクの、愛のないレイプもので、
クレイはキャラが作りづらかった為、トラパスにしました。
同じカプで、ラブラブを書いた後に陵辱書いたので、頭が禿混乱していますw

御品書きです。
トラパス、レイプ物です。
苦手な方はスルーをお願いします。
ちなみに、通常のレイプものよりかなりタチが悪いです。

シチュの構成上、どうしてもトラップの性格を歪めざるを得ませんでした。
原作とはかけ離れた、冷徹非道な鬼畜に仕立てておりますのでご注意ください。
488トラ×パス 鬼畜トラ編 1:2006/08/05(土) 16:33:58 ID:zIPJ2Vq8

「あぁ?あんだって?」

ベッドにひっくり返って、眠そうにこちらを向いたトラップ。
わ、わたしの言ったこと聞いてないの?

「だ、か、らっ」

お腹に力を入れて息を吸い込む。
きっと顔は真っ赤っ赤だろうけど、かまっている暇はない。

「わたし、トラップのことが好きなの!ずーっと好きだったの!!」

半ば怒鳴るように、生まれて初めて、告白というものをやってのけたわたし。
トラップはそんなわたしを、面白そうに眺めて言った。

「で?俺にどうしろっての?付き合ってくれってこと?」
「そ…うよっ、そうなん、だけど………」

当初は威勢の良かったわたしの言葉も、冷静な茶色の瞳に見つめられると尻すぼみになってしまった。
しどろもどろに口の中で小さくなる言葉。
片手をあげて赤毛の頭を掻きながら、トラップは軽く笑った。

「………ま、考えとくぜ」
「よよ、よろしくねっ!!」

なにがよろしくなんだか…
何言ってるの、わたしってば。
もう駄目、緊張のあまり頭が爆発しそう。
わたしはぎくしゃくと回れ右し、くすくす笑ってるトラップの声を聞きながら部屋を飛び出した。
自分の部屋に戻り、クッションを抱き締めてばふっと顔を埋める。
あぁ、頬っぺたが熱い……

もうずっと長いこと、あの人のことを見てたんだ。
赤毛でひょろりと背の高い、トラブルメーカーの盗賊。
わたしはこれまで、彼とはパーティの仲間として過ごしてきたけど。
日々膨れ上がる片思いには行き場がなくて、胸で疼いてどうしようもなくて、わたしはついに告白することを選んだ。
誰もいない時を見計らって、必死に勇気を振り絞ってはみたんだけど………
…トラップはどう思っただろう?
考えとくって………すぐ断られなかったってことは、少しは期待していいのかなあ?
うわーん、頭がもうぐちゃぐちゃ。

髪をかきむしってひとり悶えているうちに、高い位置にあった太陽はゆっくりと傾き、気がつくと日は暮れてしまっていた。
もう夜になっちゃったのね……わたし、いったい何時間ぼーっとしてたんだろう……
のそのそと起き上がった時、ドアが唐突に開いた。
びく!っとそちらを振り向くと、ドア枠に持たれて立っていたのは、トラップその人。

「な……何?」

うわずる声で聞いてみる。

「ちょっと来い」

トラップは、ドアの外へついと顎をしゃくる。
わたしはぎこちなく頷いてクッションを置くと、彼についてみすず旅館を後にした。
489トラ×パス 鬼畜トラ編 2:2006/08/05(土) 16:34:37 ID:zIPJ2Vq8

早足で、人目を避けるように裏道を歩くトラップに、小走りでついて行くのは大変だった。
たっぷり歩きとおして、ようやくたどり着いたのは、シルバーリーブのはずれもはずれ。
小さな林に背後を囲まれるように、無人の古い小屋が佇んでいる。
ここには、冬場に街道を雪かきするための道具や、土嚢やなんかが置かれていたはず。
普段だと、特に人が立ち入ることのない場所だけど…トラップ、ここへ何をしに来たんだろう?
もしかして、さっきの返事……聞かせてくれるのかなあ?

トラップは立て付けの悪い扉を押し開けると、中に入るよう促した。
ドキドキしながらドアをくぐると、そう大きくない小屋の中は薄暗く、整然と片付いている。
わたしに続いて入ってきたトラップは、後ろ手でドアを閉めた。
薄茶色の瞳が、じっとわたしを見つめる。

「あのよ、俺、おめえと付き合うことにする」
「ほ、ほんと!?」

嬉しさのあまり飛び上がりそうなわたしを、トラップが押しとどめた。

「まぁ待て。それよりな」

ドアを背に座り込むトラップに習い、その場に腰を下ろす。
ひんやりとした木の床がお尻に冷たい。

「俺、さっきカジノでな、流れもん相手にカード勝負してたんだよ。
 んで、どうも分が悪かったから、ちょーっとだけイカサマ使ったら…」
「いかさまぁ?インチキしたの?」

わたしの怪訝な声にも、トラップは悪びれず続けた。

「ま、そうとも言うな。
 その場じゃバレなかったんだけどよ。
 店出たとこで待ち伏せられちまって、さっきの金よこせー!ときたもんだ。
 でも困ったことに、そいつらの後の相手にボロ負けでよ、出せる金もなかったんだよなぁ。
 逃げても良かったんだが、あいつらまだシルバーリーブにいるみてえだから、後めんどくせえし」
「ええ!?じゃあ殴られたりしなかったの!?」

慌てて腕や足に目をやるけど、怪我をしたりしている様子はない。

「そりゃおめえ、俺の交渉力を見くびんじゃねーよ」
「ふーん……」

なんだかよくわからないけど、その言葉には納得する。
トラップは足を組み替え、その場で座り直した。
体を斜めに傾けると、襟足で結ばれた赤毛の束がふわりと揺れる。
どことなく、ずるそうな表情の上目遣い。
490トラ×パス 鬼畜トラ編 3:2006/08/05(土) 16:35:16 ID:zIPJ2Vq8

「でよ、ものは相談なんだが」
「相談?なあに?」
「これから、ここにその流れもんが来る。2人だ」
「え、ここに来るの?
 じゃあもしかして、代わりにわたしに謝れってこと?
 でもそれで許してくれるかなあ……」

首をひねるわたし。
今までこの人が引き起こした問題ごとは、クレイが謝って話を収めるパターンが多かったけどね。
わたしじゃどうも役不足な気がするけどなあ。

「そりゃ、もとはトラップが悪いわけだから、一緒に謝ってあげるくらいかまわないけど。
 でもその人たち、なんだか怖そうだし……」
「違うっての」

トラップはあきれたようにつぶやき、わたしの方へぐいと身を乗り出した。

「交渉はまとまってんだよ。金の代わりを渡さなきゃならねえ。
 という訳で、そいつらの相手してやってくれ」
「相手?何の相手すればいいの?」

きょとんとして聞き返す。
さもおかしくてたまらないといった風に、ゲラゲラ笑ったトラップ。

「あのなぁ、まだわかんねえのかよ。
 俺はそいつらに、金の変わりに女提供する、って言ったんだっての。
 つまり、おめえ」
「女?……提供……って」

聞き返す言葉が詰まる。
目の前のトラップが、急に遠くなった気がした。

「まぁそれで矛先収めてくれるんなら、この際仕方ねえわな。
 この不幸な俺を救えるのは、パステル、おめえだけなんだよ。
 恋人のピンチだぜ?身をもって救ってくれるよなあ?くくっ」

トラップは含み笑いを漏らしながら、細い指を伸ばすと、わたしの顎をくいと持ち上げた。
この人のこんな表情、初めて見る。
これ以上ないほど冷ややかで、何を考えているのかわからない、笑顔。
何が言いたいの?何を考えてるの?
熱を帯びたこめかみが、ズキズキと脈打ち始めた。
491トラ×パス 鬼畜トラ編 4:2006/08/05(土) 16:35:46 ID:zIPJ2Vq8

「なあ。おめえ処女だよな?」
「……」

だからなんだと言うんだろう。
口ごもるわたしの顎を、つうっとなぞる爪先。

「それも……もったいねえなあ。このままあいつらにやっちまうのは…な」

きらりと光ったトラップの瞳。
舌なめずりをするように、赤い舌が唇を舐めたと思うと。
どさっ!!

「きゃああっ!!」

間髪入れずに堅い床に押し倒され、狭い小屋にわたしの悲鳴が響いた。
両手首を握られ、力まかせに押さえつけられる。
床に打ち付けられたせいか、赤く擦り剥けた手の甲が痛い。
ジーンズを履いた膝が、ぐいぐいとわたしの脚を割る。

「や、やだっ」

必死の抵抗もむなしく、トラップはなんなくわたしの脚の間に入り込んだ。
わたしの両手を拘束したまま、ゆっくりと顔を近づけてくる。

「嫌な訳ねえよなあ?俺のこと好きなんだろー?付き合って欲しかったんだろーが?」
「でも……でも、こんなのっ…」
「いいじゃん、俺の女になったんだから。
 ま、俺は別におめえが好きでも何でもねえけど」
「………え」

冷たい手が心臓をぎゅっと掴んだ。
わたしのこと、好きじゃ、ないんだ。
それなのに、恋人って………
熱がある時みたいに、頭の中でなにかがぐるぐる渦を巻く。
俺の女、って、もしかしてこのために…?
わたしを差し出すために、ちょうどいいからつきあうって、言った……の?
聞きたいのに聞けない疑問。
悲しかった。まぶたが熱かった。
舌が喉に張り付いたみたいで、声が出せない。
絶望がわたしの心を、じわじわと埋め尽くしていく。
492トラ×パス 鬼畜トラ編 5:2006/08/05(土) 16:36:17 ID:zIPJ2Vq8

目の前にトラップがいるのに、わたしの瞳には何も映っていなかったらしい。
なにか冷たいものが唇に触れ、ねっとりした舌が這いこんでくるまで、わたしはキスされていることに気づかなかった。
半開きにされたわたしの口に、割り込んでくるトラップの唇。
舌を執拗に吸い上げ、顎を伝う唾液をべろりと舐め取る。

「……は…あ……」

トラップの意外に大きな手が、わたしの両手をまとめて握り込む。
空いたもう片方の手が、わたしのブラウスを捲り上げた。

「やっ」
「じたばたすんな」

冷ややかにつぶやいた唇が、胸元に寄せられる。
ブラジャーからつかみ出された胸に、トラップの繊細な指先が触れた。
敏感な先端が弄られ、軽く甘噛みされると、思わず喘ぎが口をついた。

「ぁ……んっ」
「もう乳首ビンビンじゃん。初めての癖して、これだけで感じてんのかよ?
 淫乱だねぇ、パステルちゃん?」

形のいい頬を歪め、嘲るように笑うトラップ。
言葉で辱められる羞恥に、頬にまた血が上る。
そんなわたしにおかまいなく、太ももに伸びてきた手は、勢いよくスカートをめくった。

「きゃっ」

足を縮こまらせようとするも、わたしの脚の間には、トラップの体がある。
大きく足を開いた格好でなす術もない。
トラップは、つとわたしを掴んでいた両手を離した。
咄嗟に身を起こそうとしたその時、鼻先に鈍く光る刃が突きつけられた。
どこから取り出したのか、魔法みたいにきらめくナイフ。
思わず寄り目になり、顎がひけるわたしを見て、トラップは静かに言った。

「おとなしく、な?」

冴え冴えと冷たく、ひとかけらも愛情なんてない微笑。
好きじゃなくたって、恋人じゃなくたって、わたし達、パーティの仲間じゃなかったの?
トラップは、声に出せないわたしの問いが聞こえたかのように、つぶやいた。

「信頼ってのは……裏切るためにあるんだぜ?」

聞きたくない、そんなこと。
涙をこらえて、せめてもの意思表示に首を振る。
トラップは、そんなわたしにはおかまいなしに、ナイフを持ち直した。
ゆっくりと刃が下着に引っ掛けられ、ピリッという微かな音と共に布を裂いた。
何も隠すもののない下半身がすうすうする。
わたしは奥歯を噛み締めて、顔を背けた。
涙が目頭からつうっとこぼれる。
493トラ×パス 鬼畜トラ編 6:2006/08/05(土) 16:36:50 ID:zIPJ2Vq8

視界の端っこで、トラップが自分の指を舐めた。

「ひっ!」

ずくんと鈍い痛みに、半分閉じかけていた目を思わず見開く。
わたしのそこには、細い指が捻じ込まれていた。
トラップは立て膝をついて、強引に指を出し入れする。

「痛い……っ」
「濡れねえなぁ、ま、処女だもんな」

軽くため息をつき、わたしの脚の間に屈みこむトラップ。
両手が足首を掴み、膝をぐいっと曲げさせられた。
反射的に足に力が入ったけれど、さっきのナイフが脳裏を散らつき、お腹の底を恐怖心がかすめる。
唇を噛んで震える膝から力を抜くと、トラップはそのまま、何の躊躇もなくわたしのそこに唇を押し付けた。

「ひゃ………ぁああ……っ」

自分でも滅多にさわることのないそこを、舐め回す舌。
ぬめるように体の奥から、どろっとした感触が湧き上がる。
例えようもなく気持ち悪いのに、なぜかどこか気持ちいい。
意識せず、わたしは声を漏らしていた。

「あ……あぁ…は…っ」
「お、なんか濡れてきたぜ。気持ちいいのかぁ?」

見えないけれどわかる、ニヤニヤしたトラップの笑い顔。
否定したくでもできない。
脚の間から流れる生暖かい液体。
それがとろりとお尻へ伝うのを感じ、背中がぞくっとする。

トラップは口元を拭いながら身を起こした。
カチャカチャというベルトを外すような音が、静かな小屋に響く。
息を飲み込むわたしのそこに、なにか堅くて熱いものが、ぬるっと押し当てられた。
本能的に恐怖を感じて、びくりと震える腰。

「い、や………許、して……」

頬を伝う涙が、耳に入って冷たい。
力なく哀願するわたしに、トラップは肩をすくめて見せた。
494トラ×パス 鬼畜トラ編 7:2006/08/05(土) 16:37:24 ID:zIPJ2Vq8

「ま、見も知らねえ奴らより、俺が処女破った方がマシじゃね?恋人だもんなあ?」

何の慰めにもならない言葉。
声もなく涙をおとすわたしを一瞥し、トラップは自身をゆっくりと押し進めた。
固い蕾を割り裂くように、ぐいぐいとそれは割り込んでくる。
思わず苦痛の呻きがこぼれる。

「い、いや……痛い、よおぉっ……!!」

先端が少し入ったところで、ごりごりと何かに引っかかってトラップのものは止まった。

「おい、力抜け」
「む……無理っ」

もう抵抗する気力もないけど、痛む体はがちがちに強張っていて、とても力なんて抜けない。

「力抜かなきゃ、痛いのはおめえだぞ」

トラップはそうつぶやくと、腰に力を乗せるようにして、わたしの中へ一気に入り込んできた。
めりめりっと肉の裂けるような衝撃。
お腹の中まで無理矢理引き毟られるような痛みが、わたしを襲った。

「いやあああああああっ!!!!」

ずぶずぶと荒っぽく動かされる、トラップのもの。
無残に破られたそこからは、破瓜の残骸が流れ出していた。
二種類の粘度の液体が混ざり合い、飛び散り、体を、床を、汚していく。

体の中が煮えてしまいそうだった。
泣き叫ぶわたしの前で、あたりは徐々に色を失い、一面銀色に染まっていった。
あぁ、このまま気を失った方が…楽だ……よね………
深い深い、奈落の底へ落ちていくみたい。
その銀の闇に身を沈めようとした時、わたしの熱く潤んだ瞼の裏を、赤い髪がよぎったような気がした。


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完結です。
495名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 15:52:31 ID:ou6wL/Du
デュアンの小説ってここなのかな?探してみたけど、メチャクチャ少ないよな。
それとも私の検索が悪かったのかな?
496名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 19:28:58 ID:3qA0Cd5p
>>496
ランド×ミスティ小説なら
過去に一本あった気がする。
スレはdat落ちしてるからまとめサイトでしか見れないと思うけど
497名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 01:32:17 ID:bYkcuO+J
162さん乙でした。ムズイネタで苦労されたことだろう…
読みごたえあったが、自分はやっぱいつもの感じが好きかも。
でも新しいものを拝読できてよかったっす
498162:2006/08/10(木) 15:53:30 ID:EXvsVerq
まずはご拝読に感謝。投下に参りました。

御品書きです。
カプはクレパスです。
拙作では最濃厚の、くどくねちこいエロを目指しました。
499クレ×パス 浮気疑惑編 1:2006/08/10(木) 15:55:34 ID:EXvsVerq

見たくないものを見た。
いっそ夢か幻なら、良かったんだけど。
でもそれは、わたしの前から、断固消えることを拒否していて。

猪鹿亭の、厨房裏の細い通路。
薄暗いそこには、背の高い男の人の後姿が見える。
艶のある長めの黒髪、広い背中―――あれはわたしの恋人、クレイ。

ねえ、クレイ。
あなたの首に回されてる、細い手はなあに?
ねえ、クレイ。聞いていいかな。
あなたの体の隙間から見え隠れしてる、その女の子………だあれ?



「あ、パステルにクレイじゃない。いらっしゃーい!」

ドアを開けた瞬間に、いつもの大きな声が飛んできた。
出迎えてくれたのは、猪鹿亭の看板娘、リタ。
大きなドアにつけられたドアベルが、陽気な声に負けじと、賑やかに鳴り響く。

「忙しいとこごめんねー」
「なあに言ってんの、あんたたちなら大歓迎よ!で、何にする?」

ばあん!と背中を叩かれてよろける。い、痛いよリタ。
窓際のテーブルを選び、腰を降ろしつつ答える。

「ええと、何にしよっかな……クレイは?」

クレイはわたしの向かいの椅子を引きながら、壁に掛けられた黒板に目をやった。
今日のおすすめメニューは、定食が3種類。

「えーと、俺はB定。後、ビール飲もうかな」
「じゃあわたしもBにする。リタ、お願いね」
「あいよ、ちょっと待っててねっ」

赤いチェックのエプロンをつけたリタは、どん!と水の入ったグラスを置くと、忙しそうに厨房へ引っ込んだ。
その後姿を見送って、周囲を見回す。
たくさんのお客さんが陽気に談笑し、お酒や食事を楽しんでいる猪鹿亭。

今日は珍しく、クレイと2人きりなんだよね。
いつもなら、ひと山いくら状態の団体行動なんだけど……
たまにはデートもしたいよねってことで、2人で食事に出てきたんだ。
デートと言いつつ行き先は、毎度おなじみ猪鹿亭ってところが、目新しい場所のないシルバーリーブらしいけど。はは。
500クレ×パス 浮気疑惑編 2:2006/08/10(木) 15:56:15 ID:EXvsVerq

机に両肘を突いて、目の前のクレイを見上げる。
長めの黒髪はランプの灯りを反射して輝き、澄んだ鳶色の瞳に、わたしの姿が映っている。
やさしくて凛々しい、わたしだけの騎士様。
あー、なんでこの人、こんなにかっこいいんだろう?
眺めてるだけで、ひたひたと幸せな気分になっちゃうなあ。

「どうかした?」
「ううん……なんか幸せだなあって思って」

えへへへっと笑った途端、背後からあきれたような声がした。

「お熱いわねえ、おふたりさん。はい、ご注文の品だよ!」

いっぺんに何枚ものお皿を持ったリタの腕が、わたしとクレイの前をずいっと割った。
慌てて肘をどけると、次々と定食のお皿が並べられていく。
最後にクレイの前に、どかっと置かれた大きなジョッキ。

「うふふ、ごゆっくり」
「あ、ありがとう、リタ」

からかうような口調のリタに、照れたように頭をかいているクレイ。
彼女はひらひらと手を振りつつ身を翻すと、他のテーブルへ廻って行ってしまった。
わたしたちは目まぜしてくすくす笑いながら、フォークを手にとった。
半分方食事が済んだところで、ふとクレイの袖に目がいく。

「あれ?ここ、汚れてるよ」
「ほんとだ。ソースかな?ちょっと洗ってくるよ」

腕を返して袖を確認したクレイは、席を立つとにこっと微笑んだ。

「先に食べてて」

ちゃんと言い置いていくところが、気遣い抜群の彼らしい。
わたしは、店の奥にあるトイレの方へ歩いていく、すらりとした後姿を眺めながら、フォークをくるくる回した。
……しかし、待てど暮らせど、いつまでたってもクレイは戻ってこなかった。
何してるのかなあ?そんなにひどい汚れには見えなかったけど。

わたしはしばらく逡巡した後に、カタンと椅子を押しやり、立ち上がった。
猪鹿亭のトイレは、厨房の裏の細い通路の奥にあり、ここからは見えない。
ホールを抜け、親父さんの忙しく立ち働く厨房を横目に、角を曲がって細い通路に入る。
ううん、正しくは入ろうとして、立ち止まった。
なぜなら、その通路の突き当たりにクレイが立っていたから。
あ、なーんだこんなところにいたのね。
そう声をかけようとして、全身が硬直する。………え?
501クレ×パス 浮気疑惑編 3:2006/08/10(木) 15:56:51 ID:EXvsVerq

彼の襟足のあたりに、細くて白い手が見えた。
クレイの太い首に回された手。
濃い目のローズに染められた、長い爪がちらちらと視界に入る。
すーっと血の気がひいていくのがわかった。
それなのに、わたしは目を閉じることも背けることもできず、射るような眼差しで、仔細に彼の後姿を観察していた。
………
声は聞こえない。
猪鹿亭の喧騒の中、ここだけが音のない空間になったみたい。
クレイはこちらに背を向けて立っているから、表情も見えない。
でも、黒髪をさばくように、少し首を振った時に目に入ったのは、頬にぺったりついたピンクの口紅。
深い紺色のジーンズの向こうには、ひらひら揺れる花柄のスカートのレース。
クレイの両手が、花柄スカートのウエストに添えられているように見えるのは……気のせいだろうか。

「ねーえ、クレイってばぁ」

甘ったるく、不愉快に媚を売る声が、耳に突き刺さる。
その声で、わたしははっと我に返った。
細心の注意を払い、足音を立てないようにその場を離れる。
ぎこちない足取りでテーブルまで戻り、椅子にかけようとしたところで、混乱する頭の中は、臨界点に達した。
――あの子、誰?誰よ?
わたし、自分をクレイの彼女だと思ってたけど、実は違ってたってこと?
裏切られた怒りと戸惑い、悲しみ、いろんなものがごっちゃになって、頭がグツグツ煮えてしまいそうだった。
通路にとって返して、クレイを締め上げたい衝動にかられたけれど、なんだかもうそれすら馬鹿馬鹿しくなる。

両膝の上で拳を握ったまま、平静を失った視線を彷徨わせる。
と、机の上に残された、まだ半分以上残っているビールジョッキが目に入った。
えーい、もう知らないっ!!
泡が消え、周囲にたっぷり汗をかいたそれをぐいと掴むと、わたしは何も考えず、一気に呷って飲み干した。
ぬるくなりかけたビールはわたしの喉を焼きながら通り過ぎ、頭にはさらにかあっと血が上る。
さっきよりさらに輪をかけた、雲を踏むような千鳥足でテーブルを離れると、大きなお盆にあいたジョッキを山と積んだリタを捕まえる。

「リタぁ。これお勘定」

エプロンのポケットに、丸めてくしゃくしゃになったお札を突っ込む。
怪訝そうに、「え?」という顔をしたリタ。

「パステル?どうしたのよ、あんた飲んでんの?!」
「…悪い?」
「わ、悪かないけどさぁ……あれ、それにクレイはどうしたのよ」
「……知らないもん。後よろしく」
「ちょっと、ちょっとパステルってば!!」

お盆を持って手の離せないリタを残し、わたしは体当たりするようにドアを開けた。
追いかけてくる声を振り切って、ひんやりした夜の空気の中へよろけ出る。
空に浮かぶ月が明るい光を放ち、わたしの姿を煌々と照らしている。
自分の月影を踏みながら、ふらふらと夜道を歩く。
どこをどう歩いたかも覚えていないまま、気がつくとわたしはみすず旅館に戻ってきていた。
502クレ×パス 浮気疑惑編 4:2006/08/10(木) 15:58:15 ID:EXvsVerq

「あの……パステル。どうかしたんですか?」

キットンは、わたしの腕の中ですやすや眠る、ルーミィ及びシロちゃんとわたしを見比べ、困惑したように言った。

「今夜はクレイと話したいことがあるの。一晩、お願い」
「そりゃいいですけどね……パステル、あなた目が据わってますよ。お酒飲んでるんでしょう?」
「そーよっ。何か問題でもぉ?」
「いえ、その………」

帰ってくる間に酔いがまわったのか、すっかりからみ口調になっているわたし。
隣のベッドから、トラップがにやにや笑いながら口を挟んだ。

「お、喧嘩でもしたのかあ?別れ話かなーっと」
「……そうかもねぇ……だったらどうする?」

軽口に神経を逆なでされ、ぎろりと睨みつける。
おそらくは、いつになく鬼気迫る表情で。
目を逸らしつつ、半笑いでごまかしながら押し黙ったトラップを尻目に、わたしは静かにドアを閉めた。



ばったあああーーーん!!

ドアを蝶番ごと突き倒しそうな勢いで蹴り開け、女部屋に駆け込んできたのはクレイ。
猪鹿亭から走ってきたのか、汗びっしょりで息を切らしている。

「パ、パステルっ、ごめん、あの俺っ」
「……謝ってるってことは、わかってるんだよね」
「……ごめん。あの子は親衛隊の子らしいんだ。
 べろべろに酔っぱらって抱きついてくるからさ、ほっとくわけにもいかなくて…」

申し訳なさそうな顔に上ずった声で、必死に言い訳をするクレイ。
……ふーん。ほっとけない、ですかあ。
それにしては、ねえ?

「なんか頬っぺたにキスされてたよねえ」
「あ、あれは無理矢理っ」
「女の子の腰、大事そうに抱えてたしねえ」
「だだ大事そうって、そんなんじゃないよ!あの子が床に崩れ落ちそうになるから、仕方なく……」
「仕方なく……ね」

ちらーりと冷たい流し目を送る。
クレイの顔には、罪悪感と言う言葉が、くっきりと太字で書かれている。
大きな手が、黙っているわたしの両肩を掴んで、がしがしと揺さぶった。

「な、パステル、ほんとに、ほんとにごめん」
「………」
「俺が悪かった。パステルの気分を悪くさせて……殴ってくれよ。気が済むまでさ」
「…そんなんじゃ気が済まないもん」
「じゃあ、どうしよう。どうしたら許してくれる?」
503クレ×パス 浮気疑惑編 5:2006/08/10(木) 15:58:47 ID:EXvsVerq

クレイはわたしの顔を覗き込むけれど、すっかり取り乱しておろおろしている。
そりゃそうでしょ。
わたし、不機嫌この上ない顔してるもんね。
つーんと尖らせたまんまの口を開く。

「……クレイが全部悪いって訳じゃないけどさあ。
 如何せん、他の女の子に優しすぎるんだもん。
 わかってる?あなたがそんなだから、付け込まれちゃうんだよ?」

わたしの言葉に、塩をかけた青菜みたいに、しゅーんとしおたれるクレイ。
ちょっとは反省してくれたかな?
でもねえ実のところ、程度の差こそあれど、似たようなことには何度も遭遇しちゃってるんだよね。
なまじハンサムで人気者のクレイには、わたしが傍にいても、平気で寄ってくる女の子は沢山いる。
なのに、いつもいつもいつもはっきり言ってくれないクレイ。
その度にわたしは、無駄にヤキモキイライラさせられて、ストレスはうなぎのぼりなわけよ。
今日という今日は、このくらいじゃ許してあげないんだからねっ。
さあて、どうしましょう。
わたしは両肩をがっちりと掴まれたまま、腕組みして目を閉じた。

「パステル?なあ、パステルってば!」

そんなわたしの様相に、さらに不安が増幅されたらしいクレイは、鼻と鼻がくっつかんばかりにしてわたしに呼びかける。
暫しの間考えをめぐらしていたわたしは、ゆっくりと目を開けた。

「パステル?」

わたしの一挙手一投足を、食い入るように見つめるクレイ。
その必死な表情に吹き出しそうになりながら、わたしは無表情を装ってベッドに座った。
立ち尽くす長身のクレイを上目遣いに見上げながら、おもむろに胸元のボタンを外し、脱いだブラウスを椅子の背に放り投げる。

「な、何を!?」

クレイは一瞬にして真っ赤になると、落ち着きなくブラウスとわたしを交互に見比べた。
スカートのファスナーを下ろし、キャミソールを脱ぎ、背中のホックをぱちんと外す。
痛いほどの視線の中、こっちも赤くなりそうなとこだけど………つとめて何気なく服を脱ぐ。
少しだけ迷ってから、えいやっと最後の1枚も脱ぐと、シーツの上に仰向けに寝転んだ。
さっき一気飲みしたビールが残ってるのか、なんだかポヤンとする頭は熱く、ひんやりしたシーツが裸の背中に心地いい。
深呼吸したわたしに、喉にからんだような声が問いかけた。

「………パステル…?」
「お仕置き」

少しすねたような言い方でつぶやいてみる。

「ごめんなさいと愛してる、っていう気持ちを、ちゃんと示してよ」
「……わかった」
504クレ×パス 浮気疑惑編 6:2006/08/10(木) 15:59:20 ID:EXvsVerq

さすがの鈍いクレイにも伝わったらしい。
そりゃそうだよね。
女の子にここまでさせて、意味わかりませんだなんて、冗談じゃ済まないんだから。
クレイは部屋の明かりを消すと、緊張した手つきで服を脱いだ。
窓から差し込む月明かりに、精悍な裸体が浮かび上がる。とくん、と弾む鼓動。

おずおずと覆いかぶさってきたクレイは、壊れ物に触れるようにして、わたしにキスした。
始めは浅く、ついばむように。
そしてだんだんと深く。
彼らしく律儀に順序の決まった、礼儀正しいとすら言えるようなキス。
唇は首筋から胸へと這い下りる。
大きな手が胸をやさしく揉み、あたたかな舌は乳首を包むように舐め廻す。
それにつれ、密やかに乱されていくわたしの呼吸。
いつものキス、いつもの愛撫、いつもの快感。
ううん、わたしの”お仕置き”っていう言葉のせいかな。
愛撫はいつもよりもっと丁寧で丹念で、奉仕してるって言ってもいいくらい。

ただひたすら一生懸命な愛撫を受けながら、わたしは何かが違うってことにふと気づいた。
クレイに体を預けたまま、その違和感の正体を考えてみる。
――彼にご奉仕させて気持ちよくなれば、それで満足?
ううん、違う。そんなんじゃ満足しない。そんなことが欲しいんじゃない。じゃあ?………
もやもやした違和感は、自問自答の末、頭の中ではっきりと形をとった。
よし。
それを確認したわたしはひとり頷くと、唐突にがばっと上体を起こした。
弾みで、わたしの胸に顔を埋めていたクレイを、突き飛ばしたような形になってしまう。
「うわっ」と声をあげつつ、後ろへのけぞるクレイ。

「ぱ、パステル?どうした?」

わたしは狭いベッドの上でごそごそ姿勢を変えると、枕をぽんぽん叩いた。

「クレイ、ここに寝て」
「え?あ……あ、うん」

目を白黒させつつも、わたしの言葉におとなしくしたがうクレイ。
よいしょとわたしの腰を抱えて位置を入れ替えると、長々とベッドに寝そべった。
怪訝そうな瞳が、足元に座り込んだわたしを見上げている。
わたしはクレイの長い脚を跨ぐと、逞しいからだの上に横になり、ぴったりと自分の体を重ねた。
少し汗をかいて、熱を帯びたクレイの体。
胸のふくらみを厚い胸板にむにゅっと押し付け、形のいい唇にそっとくちづける。
唇から少しざらざらする顎へと舌を伝わせ、喉仏をなぞって鎖骨を甘く噛む。

「ん……」

その喉から、甘い吐息がほんの少し漏れた。
体を下へとずらしながら、鎖骨から胸に広がるなだらかなラインをゆっくりと這っていく。
唇に力を入れて吸い付くと、日焼けした肌に生まれるのは赤く小さな痣。
少し眉間に皺を寄せるクレイ。

「……チクチクしてくすぐったいよ」
「…わたしのものだっていう、証拠ね」
505クレ×パス 浮気疑惑編 7:2006/08/10(木) 16:00:16 ID:EXvsVerq

そんなことをそんなことをつぶやくわたしに、苦笑いするクレイ。
広い胸のあちこちにわたしの烙印をつけていく。
時々は歯先で噛み付いて、紫まじりの赤にしてみたり。

「痛いよ、パステル」

困ったような顔をするクレイ。
ふーんだ、そんな子犬みたいな顔したって駄目なんだから。
知らん顔で胸にキスの雨を降らせ、控えめに自己主張している乳首をぺろっと舐める。

「あ……」

思わず漏れたらしい声に、慌てて片手で自分の口を塞ぎ、赤くなるクレイ。
うふふ、かーわいいんだ。
思わず含み笑いをもらしつつ、敏感なわき腹をすーっと舌で撫でるようにおりていく。
びく!と震える腰を通過し、股間から突き出している堅くなったものを掴むと、大きく口を開いてぱくんと食いついた。

「お…ぉっ」

クレイは低い呻き声を漏らし、のけぞるように顎を突き出した。
片手が前髪をかきあげ、そのまま照れたように両目を覆い隠す。
その様子を上目遣いにじーっと見つめながら、わたしは口でクレイのものを愛撫した。
彼のものは、わたしが口を精一杯開けてようやっと咥えられる程、太くて大きい。
わたしは半分外れそうになる顎に力を入れて堪え、喉の奥までぐいぐいとくわえ込む。
頭全体を前後に振ると、じゅぼじゅぼという音が口元から漏れ、伝い落ちるわたしの唾液が、クレイの股間を湿らせていった。

「……う…く……ッ…」

奥歯を噛み締めて、快感に耐えているクレイ。

「ね、クレイ、気持ちいいの?」
「………うん」

恥ずかしそうに顔を半分隠したまま、でもちゃんと答える律儀な恋人。
その悪気のなさに、なんだかもっと、苛めたくなっちゃうんだよねえ……
ずっぽりと吸い付いていたクレイのソレを口から抜き出すと、なめらかな布みたいな舌触りの先端に、舌を細くしてつるっと割り込む。
じわじわと湧き出す透明な液体が、かすかな苦味を伴ってわたしの唇を濡らした。
軽くそおっと歯をたて、唇の先でちゅ、ちゅ、っと音をたてて吸いついて、クレイの反応を見定める。

「ここ?こうっ?」
「あ、うっ、も……う…っ」

その言葉を聞いて、わたしはぱっと口と体をクレイから離した。
血管が浮き出して赤黒く充血した棒状のものは、今にも弾けそうに張り詰め、わたしの唾液でてらてらと淫靡に光っている。
荒い息をつきながら、わたしを見つめるクレイ。

「パス…テル?」
506クレ×パス 浮気疑惑編 8:2006/08/10(木) 16:00:49 ID:EXvsVerq

もどかしそうで、どうして止めたんだ?と言わんばかりの、訴えかけるような表情。
言葉に出さなくたって、言いたいことはわかってしまう。
そうだよねぇ………あと少しだったんだもん。
でも、まだ許してあげない。まだ。
わたしはクレイに向けて、邪心たっぷりににまぁっと笑って見せた。

「まだ、だーめ。お仕置きだもん」
「えっ……」

クレイの口元がひくっと引きつったのを横目に、わたしはそ知らぬ顔で四つんばいの姿勢になる。
ベッドをギシギシ言わせながら、上へと移動していき、よいしょっと彼の肩を跨いだ。
わたしの両足の間には、仰向けになっているクレイの顔。
かなり恥ずかしい格好ではあるけど、今のわたしには怖いものはないんだからね。

「なっ、パ……!」

クレイは有り得ない姿勢に激しく動揺し、わたしの太ももを掴んだ。
その汗びっしょりの額に張り付いた黒髪を、指先でかきわけてあげる。

「絶対、さわっちゃだめだからね」

わたしはゆっくりと自分の脚の付け根に指を伸ばした。
そこはほんのりと微熱を纏っていて、触れた指をねっとりと濡らす。
人差し指と中指で、弾力のある割れ目を押し分けるように開き、クレイの目の前に秘部を晒してみせる。
ぱっくりと口をあけたその部分は、きっといやらしく紅色に染まっているはず。

「ねぇ、見える?」
「うん………濡れてるよ…」

ぎこちなく乾いた唇を舐めるクレイ。
ごくりと唾を飲む音が、やけに大きく響いた。

「もっと………見て」

クレイは言われるまでもなく、熱っぽく潤んだ鳶色の瞳で、わたしのそこを凝視している。
文字通り彼の目の前で、わたしはもう片方の指を、広げたスリットに沿って動かした。
ぬぷん、という音と共に指を付け根まで差込み、かき回すように出し入れする。

「んん……っ、は……ぁぁ……」

自分の痴態を見られているせいなのか、淫らな姿勢のせいなのか、わたしはどうしようもなく興奮してしまっていた。
クレイの焦げつきそうな視線が、直接触れていないのに、わたしの秘部をしとどに濡らす。
ねちゃねちゃと溢れ出た愛液が指を伝い、クレイの口元にぽたりと落ちた。
舌を伸ばしてそれを舐め取るクレイの表情は、例えようもなく艶めいて、わたしの心臓を跳ねさせる。
身震いするくらいの快感が、無防備な背中を駆け上った。
割れ目をさらにかきわけて突起を探り、既にぷにぷにに勃ったその部分を、濡れた指の腹でこねるようになぞる。

「ひゃ……ぁうっ、あん、あっ」
507クレ×パス 浮気疑惑編 9:2006/08/10(木) 16:03:19 ID:EXvsVerq

のけぞって喘ぎながら、わたしは自分で自分のそこを弄くる。
黙ったまま荒く息をしていたクレイが、太ももを掴んだままだった手に力を込めた。
脚の間から聞こえてくるのは、切なげで、それはそれは甘い声。

「パステル………もう…我慢、できないよ……」

わたしはたっぷりと間をとった後、火照った頬に手をそえながら、やさしく聞いた。

「………どうしてほしいの?」
「……パステルのここに、入れたい………入れさせて、くれ…」

わたしを見上げ、少し舌足らずな、とろっとした口調でせがむクレイ。
こんなクレイなんて、見たことない。
わたしを何よりも欲しがる、その思いが痛いくらい伝わってきて、わたしはきゅーっと胸を締め付けられた。
いとおしくてたまらなくて、抱きついてしまいたくなる。
……こんな姿勢でなければ。

わたしはクレイの肩をさっきとは逆に跨ぎ、体を下に移動させた。
クレイのソレに手を添えて、自分の割れ目にぬるぬると擦り付ける。

「あ……ん……っ」

自分の指とは違う快感が生まれ、喉から声が零れた。
とろりとした裂け目を滑らせるように、何度も何度もクレイの先端でなぞる。
クレイはその度に腰を浮かせ、奥まで押し入れようとするけれど、ひょいとお尻を突き出して逃げてみせる。
膣の中がうずうずするのを、受け入れたいのをぐっと堪えて。
もうこうなると、ほとんど我慢比べだよね。

たまりかねたように、クレイがわたしの両腕を掴んだ。
ため息と哀願するような眼差しが、なにか訴えている。
わかっているけど……思い切りいたずらっぽく笑ってみせながら、言葉で聞いてしまう。
……ほんとに意地悪だなあ、今日のわたしってば。

「なーあに?」
「……頼む…よ、俺、ヘンになっちまう……」

すがるような、甘えたような鳶色の瞳。
もうね、なんて言うのか……おねだりするその姿がかわいいったら………
思わず満面の笑みが浮かんでしまいそうになる。

「わたしのこと……本当に好き?」
「…好きだよ、大好きだ。……俺にはパステルしか、いないんだよ……っ」

一番欲しかった言葉。心底わたしを欲しがる、愛しいクレイ。
焦らしに焦らして、ようやく気が済んだとでもいうのかな。
わたしはその言葉を聞いて、どこかひっかかっていたものが溶けるのがわかった。

緩む口元を引き締めながら、クレイに跨ったままで身を屈め、軽く唇に触れた。
そのままゆっくりと膝を曲げて腰を落とし、クレイのものに自分を突き刺していく。
その反動のように、胸の奥から押し出される、色つきの吐息。
508クレ×パス 浮気疑惑編 10:2006/08/10(木) 16:04:07 ID:EXvsVerq

「は………ぁん」
「パス、テル……中が、熱い……」

わたしはお尻を少し後ろへずらしながら、自分の奥深くまで、熱く昂ぶったものを収めた。
クレイ自身の先端が、わたしの一番奥をぐにっと押し上げ、お腹の底を貫くような快感が走った。
広い胸に突っ張った両手を支えに、わたしはお腹に力を込めて、思い切り腰を動かした。
クレイのソレが出入りするたび、ずぷっ、ずぷっ、といやらしい音と愛液が飛び散る。

「あんっ、あ、ぁん…っ、ク、レイぃっ」
「パステル、すごく……い、い…っ」

半分苦痛に近い表情を眉間の辺りに覗かせ、絞るように呟くクレイ。
わたしの滴で湿った、クレイの濃い茂みとわたしの細い毛が、からむように擦れ合う。
大きな手が、白いシーツをくしゃくしゃに握り締めていた。
上体を起こして、花芯をクレイのものに擦るように腰を突き出す。
脚の間がピリっと弾かれたような刺激に刺され、その快感を追いかけるように、わたしは一心に恥骨を押し付けた。

「んっ…あん、クレイ……気持ちいい、よぉ……」

のけぞる体に逞しい腕が伸ばされ、ごつい指がわたしの胸を鷲掴みにする。
下から乳房を持ち上げるように、押し潰さんばかりに揉みしだく。
つんとたった先端をくりくりと指先で転がしながら、クレイはわたしの腰の動きに合わせるように股間を勢いよく突き上げてきた。
熱くて堅いクレイのものが奥を押し上げ、体の芯を鈍痛にも似た衝撃が突く。

「あぅっ、あ、そこ、そこぉっ」
「…ここ?ここが、いいのかっ?」
「んっ、そう……そこ、奥ぅっ」

クレイはわたしの嬌声に答えるように、汗を跳ね散らして下から突き上げてくる。
あぁ、もう、くらくらするくらい気持ちいい。
快感にヒクヒクする膣が、クレイのものをねっとりと捉え、絡むように巻き込んでいるのがわかる。
わたしは恥骨のあたりに力を入れて筋を持ち上げると、腰にタイミングを合わせ、膣全体をきゅ、きゅっと締め上げた。
クレイはその収縮に、ビクッとして一瞬頭を起こした。
そのままの姿勢で切れ切れに息を吐きながら、低くかすれた声でつぶやく。

「あ、パステル、俺……」
「ん、だめっ、あと……あと、ちょ、っとなのぉっ」

わたしはクレイに自分の肉襞を覆い被せるように、重ねて腰を打ち付け、絶頂に思い切り手を伸ばした。
頭が枕に埋まってしまうほど、思い切りのけぞったクレイ。
噛み締めた歯の間からこぼれる、切ない呻き。

「だめ…だ、我慢、でき…な……」
「やんっ、もっと、もっとぉっ!ああああっ!!」
「パス…テル……ッ!!」

高く低く、重なるふたつの甘い悲鳴。
わたしたちは、反発する磁石みたいに正反対に体を反らせ、同時に上り詰めた。
弓なりにしなった背中を、汗がつうっと伝い落ちていく。
わたしはゆらりと前に体を倒した。
そして目の前の、甘やかな光を宿した瞳を見つめたまま、深くむさぼるようにくちづけた。
509クレ×パス 浮気疑惑編 11:2006/08/10(木) 16:04:57 ID:EXvsVerq


青白い月の光が、整った面立ちと精悍な上半身を照らしている。
ま、その胸はわたしのつけたキスマークで、不気味な斑になっちゃってるんだけど。
わたしはその胸に頬を乗せ、穏やかに響くクレイの鼓動を感じていた。

「ねえクレイ、もうあんなことしちゃ嫌だからね。
 これからは、はっきり女の子には言ってよ?」

顎をぐいぐい胸板に押し付けながらブツブツ言うと、髪をやさしく撫でていたクレイが、含み笑いをしながら答えた。

「俺……またするかもしれない」
「なんでよお!?」
「そうすれば、またパステルにお仕置きしてもらえるだろ?」

嬉しそうに笑うクレイが、なんとも憎らしくて、でもいとおしくて。
んもぉ……なんなんだろうね、この感情。
わたしは思い切り頬を膨らませ、目の前のクレイの胸板を、ぱっちーん!と思い切り引っぱたいた。

「なに言ってるのよ、もうっ!」
「いったいなぁ……」

笑いながら顔をしかめているクレイを軽く睨みつつ、ごそごそと毛布に潜り込む。
手探りでクレイの柔らかくなったモノを握って、大きく口を開ける。

「ぱ、パステル!?……う…くっ、また!?」

泡を食って、わたしの脚をぺちぺち叩いて抗議するクレイ。
しーらないもんだ。

「むぁだ、許さないんだぁらっ」

モガモガと半分口に含んだまま、変な発音で宣言すると、わたしはまたそれをしゃぶり始めた。
微かに喘ぎ始めるクレイ。また堅さの戻ってくるクレイ自身。

当分、絶っ対、離してなんかあげないもんね。
まだ、月は天高い位置にある。
わたしのお仕置きは、まだまだ始まったばかりなんだから。



--------------------------------
完結です。
以上、475さんからリクのありました、攻パステルでした。
御品書きで書くと、もろにネタバレになるので、後書にしました。
510162:2006/08/10(木) 16:17:42 ID:EXvsVerq
>505
「そんなことを」が、2回かぶってしまってます。お目汚し失礼しました。
511名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 22:31:44 ID:gTuXPADD
途中まで読んで
こんな展開を期待した自分は馬鹿です。


「お、喧嘩でもしたのかあ?別れ話かなーっと」
「……そうかもねぇ……だったらどうする?」

軽口に神経を逆なでされ、ぎろりと睨みつける。
おそらくは、いつになく鬼気迫る表情で。

その言葉に、トラップの顔色が曇った。
何だかいつになく心配そうな表情。あの人でもあんな表情ができるのね、と妙なことに感心していると、不意に二の腕に痛みが走った。
「何?」
「こっちこい。いいから」
痛い、と思ったのは、トラップにがっちり腕をつかまれていたから。
何だ何だ、と目を白黒させている間に部屋を連れ出される。そんなわたし達に手を振っているキットンを横目で見やりながら、わたしは、隣の空き部屋へと連れ込まれた。
「痛いじゃない!」
「あにがあった?」
抗議の声をあげるわたしに、トラップの顔はあくまでも真剣。
「何があったんだよ。何ヤケになってんだ?」
「……は、何って」
「話してみろよ」
真面目な口調に、何だか酔いがすーっと冷めて行った。
もごもごと口の中で今日の出来事をつぶやく。話しているうちに、カッかしていた頭が冷えて。言い終えたとき胸に宿ったのは、「まあクレイだもんね」という諦めの気持ち。
そうだよね、クレイだもん。どうせ彼のことだから、酔った女の子でも見つけて、放っておけずに快方でもしてたんだろう。
そうだとしても、腹立たしいのは変わらないけど……キットンやトラップに八つ当たりするようなことじゃ、なかったよね。
「と、というわけなの。ごめんね、何だか話してるうちにすっきりしてきちゃった」
「……や」
「えーっと何考えてたんだろうね、わたしってば。クレイが誰にでも優しいのなんて、わかりきってるのにね? ごめんね、カッとしちゃって」
「い、いや、おめえは悪くねえだろ。うん。悪いのはクレイだ。間違いねえ」
わたしの言葉に、トラップは慌てて言った。
妙に必死な様子に眉を潜めていると、不意に肩をつかまれた。
512名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 22:32:31 ID:gTuXPADD
「トラップ?」
「そういうのを放っておくのはよくねえって。うん。大体クレイの奴はな、嫉妬ってのがどういう気持ちなのかを全然わかっちゃいねえんだ」
「は、はあ」
「何しろ、あいつはそういう感情に無縁な奴だったからな。だあら、おめえが辛い思いしてるなんてこれっぽっちもわかっちゃいねえ。彼女として、それは放っておいちゃいけねえだろう」
「はあ」
トラップの言葉に、わたしは生返事。
いや、言いたいことはわからないでもないけど……だから、どうだっていうんだろう?
わたしはそういうクレイを好きになり、彼の恋人になったんだからして。今更、そんな……
「トラップ?」
「だあら、おめえが教えてやれっつってんだ」
「へ?」
「恋人の浮気疑惑っつーのがどんなに辛いもんかを教えてやれ。うん。今後のためにも、絶対その方がいい」
「教える、って。どうやって……」
わたしがそう言い終えるより先に。
使われていない部屋特有の、埃っぽい空気の中に、独特の甘い匂いが漂った。
いや、それはもちろんわたしの錯覚か何かだったんだろうけれど。実際そんな風に思ったんだから仕方ない。
闇の中に光る、二つの色素の薄い瞳と。
そして……
「……んむっ……」
「だあら、俺が協力してやるって」
己の唇と、わたしの唇を銀色の細い糸で繋いで。
トラップは、妙に甘い口調で囁いた。
「大切な親友と、仲間のおめえのためだかんな。俺が協力してやるよ。浮気される辛さをクレイに教えてやれ……それにはおめえが浮気して見せ付けてやるのが一番だ。そうは思わねえか?」
そう囁いて。
闇の中で、トラップの手が、わたしの身体の上を這って行った。


うわ! ワンシーンちょろっとのつもりなのに長くなった!
162さんの作品読んでると妄想が刺激されます。
いつもGJです。
513名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 01:52:43 ID:AHGQqyW3
510〜512さんの続きも読んでみたい。
別バージョンということで。162さんがOKなら是非!!
514162:2006/08/13(日) 19:26:43 ID:Py/64JaT
こんにちは、162です。
ご感想ありがとうございます!
511さん、いいですねぇ…そういう展開もアリなのか。
目から鱗です。ぜひぜひ別Ver.ってことで、書いてくださいませ。
楽しみにしております。
515名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 20:21:01 ID:g+8KQZRq
516名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 20:22:26 ID:g+8KQZRq
>>180がいい
517名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 20:30:45 ID:g+8KQZRq
>>212でした
スミマソ
518162:2006/08/15(火) 14:02:23 ID:6f2h/yXP
162です。いつも御読み頂き感謝。

投下に参りましたが、スレの残容量が危なそうなので、先に新スレ立てに行ってきます。
そちらに、即死回避も兼ねて1本落とします。
519162:2006/08/15(火) 14:07:33 ID:6f2h/yXP
立てましたので、一応こちらもあげました。
新スレはこちらです。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155618234/

このスレには、短いものが書ければ埋め立て用に落とします。
どなたか書き手さんいらしたら、お書き下さっても嬉しいです。
(勿論新スレにも)
520名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 14:10:09 ID:cw4Z06zK
>>461 _, ,_  
 ( ゜д゜)やだ  
521511:2006/08/15(火) 22:11:20 ID:RjD0NOcN
穴埋め投下。512の続き
522512続き 浮気疑惑編トラパスVer 1:2006/08/15(火) 22:12:16 ID:RjD0NOcN
頭がぼうっとするのは、酔っ払っているから、だろうか。
気持ちいい、と感じているのも、それも、酔っているせい?
「んああああああっ!」
思わず声を上げたわたしを見て、トラップは、びっくりしたみたいだった。
いや、うん、今の声は大きかった。下手したらキットンのところまで聞こえたんじゃないだろうか?
でも、でも我慢できなかったんだもん! トラップって……
「いやあっ……そこ、だめぇっ!」
細い指が、服越しに身体のラインをなぞって、そのまま、スカートの中へと滑り込んでいった。
薄い布越しにぐりぐりと指を差し入れられる。クレイの指とは随分違う、細くてしなやかに動く、トラップの指……
「やっ……」
「……感じてんのか?」
対照的に、トラップの目はまん丸に見開かれていた。
どうせ彼のことだから、半分くらいは冗談のつもりだったんだろう。
彼の予想では、「もう、何するの! ふざけるのはやめてよね!」とか言いながら突き飛ばされることにでもなってたんじゃないだろうか?
けど……普段のわたしなら、絶対にそうしていただろうけれど。残念なことに、今のわたしは「普段のわたし」じゃなかった。
多少落ち着いていたとは言え、クレイに対する怒りはまだまだ残っていたし。諦めちゃ駄目、許しちゃ駄目っていうトラップの言葉も、妙な説得力を持っていた。
何よりも……トラップは、上手だった。
クレイと違って、本当にうまかった。慣れてるんだろうか?
「や、トラップぅ……」
「おめえ……おい、ちっと触れただけでこんだけ濡れるか? 嘘だろ……?」
ぐちゅり、ぐちゅり。
濡れた下着がきりり、と内部に食い込んで、その刺激が、余計に快感を煽った。
身悶えしていると、トラップの腕にがっちりと捕らわれた。潤んだ視界の中で見上げれば、驚くほど近くに、薄茶色の瞳が迫ってきていた。
もう一度、キス。さっきは不意打ちだったから、何の反応も返せなかったけれど、今度は、ごくごく自然に、彼を求めることができた。
自分から舌を絡ませてきたわたしにトラップはもう一つ驚いたようだけれど。それでも、すぐに応えてくれたあたり、やっぱり慣れてるんだと感心した。
悪いけど、クレイは……わたしが初めての相手だったから、かな? 「気持ちいい」って思えたことは、ほとんどなかったんだよね。
わたしだって、教えられるほど経験豊富なわけじゃないしさあ……
「んっ……ふぅっ……」
「おい……いいのか?」
べっとりと、やたらに濃厚なキスを交わした後、トラップは、少しばかり焦った口調で言った。
「おい。俺、ここまで来たら冗談で済ませてやる自信、ねえぞ」
「……誰が、冗談なんて言ったのよお……?」
523512続き 浮気疑惑編トラパスVer 2:2006/08/15(火) 22:13:00 ID:RjD0NOcN
じいっ、とその顔をにらみつける。暗がりの中のトラップの顔は、思った以上に真剣だった。
でも、それはわたしだって同じ。わたしだって、真剣。
今、わたしとトラップがこうして抱き合っている間も、きっとクレイは、あの女の子と仲良くやってるに違いない。
何しろ彼は優しすぎるくらいに優しい人で、すがられたら突き放すことができない人だもん。
女の子が「今夜は帰りたくない」とか「傍に居て」とか言ったら、絶対絶対振り切れない。わたしが好きになったクレイは、そういう人だから。
だから……腹が立つんじゃない!
「浮気される辛さを教えてやれって、そう言ったのは、トラップじゃないのよお!」
「い、いや、言ったけどよ」
「それとも、なにぃ? やっぱり、教えられる自信、無い? それとも、わたしが相手じゃ、不満?」
「い、いやいや、それはねえ。それはねえぞ? うん。相手に不足はねえっつーか、何つーか」
「じゃあ、いいじゃないのよお!」
 そんなわたしの顔をまじまじ見つめて、トラップは、ため息を一つついた。
「酔ってるな、おめえ」
「誰が酔ってるのよお!」
「いやおかしいと思ったんだ。クレイにぞっこんべた惚れのおめえがよお、まさか……いや、でもま、いっか」
一体トラップの心中でいかような葛藤があったのかはわからない。
けれど、どうやら何がしかの踏ん切りをつけることには、成功したらしい。
「……そうだよな。クレイの奴だって、どうせ今頃よろしくやってるに決まってんだ。おめえだって、楽しまなきゃ不公平ってもんだよな?」
「うん……そうだよ、ねえ?」
「気持ちいいのか?」
「うんっ」
その言葉には素直に頷くことができた。
「トラップは、上手だから。すっごく、気持ちいい。」
「……そりゃ、どーも。お褒めに預かり光栄」
耳に届くは皮肉っぽい笑い声。
瞬間、熱くうずく内部に、再び指が差し入れられた。さっきとは違って、二本同時に。
「やっ! んああっ……」
「すっげ……やわらけぇ……」
とろとろと、太ももを熱い雫が伝っていった。
息苦しさを感じて大きく深呼吸すると、そのまま、強く抱きすくめられた。
とくん、とくんと響くトラップの鼓動。その音に耳を傾けていると、何だか、妙に心が落ち着いた。
クレイと居るときとは違う。トラップのそれは……何と言えばいいんだろう? クレイと感じる安らぎが「守られている」安らぎだとすれば……
トラップとの安らぎは、「お互いに寄りかかっている」……そんな風に、感じた。
いや、でもまさかね。わたしがトラップに……って言うのはともかく、あのトラップがわたしに、なんて。まさか。
524512続き 浮気疑惑編トラパスVer 3:2006/08/15(火) 22:13:35 ID:RjD0NOcN
「んんっ……」
くちゅ、くちゅという小さな音が、いやに耳について離れなかった。
片手で内部をまさぐりながら、もう片方の手で、優しく身体を撫でられた。妙な安心感を感じて目を閉じると、耳元で、「いいか?」と囁かれた。
いいよ。もちろん、いい。むしろ、早く来て欲しいって、そう思ってたくらい。
頭がぼーっとするほどの快感の中で、わたしがこくこくと頷いてみせると。トラップは、小さく頷いて、指を、引き抜いた。
たちまちのうちに物足りなさを感じた。もう後ちょっとなのに……という中途半端な昂りを感じていると、「ちぃーっ」という微かな音が、闇の中に響き渡った。
「あ」
つん、と、最初に遠慮がちにあてがわれたのは、固いような柔らかいような、熱いような冷たいような、不思議な何か。
「ああ」
ずんっ! と、下着をかきわけるようにして、一気に内部にねじ入れられた。
それは痛くも何ともなかった。最初に十分にほぐしてくれていたから。大事に扱ってくれていたから……その反動で、なのか。その律動は暴力的なまでに荒々しくて、身体が宙に浮くほどの衝撃を感じた。
「やっ! あっ! とらっ……」
「うっせっ……」
息が、できない。
がくん、がくんと揺さぶられる。壁に頭を打ちそうになって、必死に身を丸めていると、そのまま、両腕で抱きこまれた。
わたしの身体なんかすっぽりと収まってしまう、広い、胸。
「うあっ!」
ざらっ! とした肌触りを太ももの裏側に感じた。それが、トラップの吐いていたズボンの生地触りだ、ということに気付くのに、妙に時間がかかった。
二人とも何も言わなかった。ただ行為に没頭していた。髪を振り乱して、トラップの首にかじりついた。太ももを伝って床に滴り落ちていく雫が一体何なのか、それも、よくわからない。
「いやあっ!」
ばんっ! と、一際大きな音が響き渡って。
それと同時、トラップの動きが、止まった。
「トラップ……?」
「……おめえ、結構、慣れてんな?」
額に前髪を張り付かせながら、トラップは、荒い息の下で言った。
「いつも、クレイにこんな風に可愛がってもらってたのか?」
「…………」
無言で首を振った。否定すべきなのか肯定すべきなのか、とっさにはわからなかった。
「トラップとの方が、気持ちよかった。クレイに抱かれてるときは、それで十分幸せだって思ってたのに」
「へえ……」
「でも……何だろう。トラップ、わたし……」
どろり、と、さっきよりもずっと粘性の高い「何か」が、内部から溢れて太ももを伝い落ちた。
浮気、した。トラップと浮気した。クレイと付き合ってるのに? クレイのことが好きなのに? トラップのことを「そういう対象」として見たことなんか、一度もないくせに……?
ぐるぐると、頭の中を色んな言葉が駆け巡った。
さあ、どうしよう? と、ぼんやりと考えていた、そのとき……

どどどどどどどどっ……

けたたましい足音が、廊下中に響き渡った。
525512続き 浮気疑惑編トラパスVer 4:2006/08/15(火) 22:14:56 ID:RjD0NOcN
「え?」
「…………」
何の音だろう、と、わたしはぽかんとした。
トラップは、無言でドアをにらみつけた。
ばん、ばんっ! というあちこちのドアが開く音。そして……
「パ、パステルっ、ごめん、あの俺っ」
場の空気、というか、雰囲気、というか。そんなものが、一気に壊れた。
ドアを開けたその格好で硬直するクレイと、トラップにすがりつくような格好で呆然としているわたし。何を考えているのかわからない無表情でクレイを見つめるトラップ。
何だか、絶対出会っちゃいけない三人が、出くわしてしまった。そんなことを、わたしは、妙に冷静に考えていた。

「ぱ、パステル!? トラップ! これはっ……」
「く、くれいっ……」
さあああああっ、と。冷静になると同時、血の気が顔から引いていった。
浮気の辛さを教えてやるんだ! って、怒り狂っていた威勢のいいわたしは、どこにもいない。
どうしよう、どうしよう?
頭の中をぐちゃぐちゃになってしまって、何の考えも浮かばなかった。
冷静に、冷静によーく考えてみれば。クレイは確かに優しい人ではあるけれど、それと同時に、潔癖な人でもあった。
わたしという彼女がありながら、他の女性に手を出すなんて、絶対にできない人だった。
例えばわたしより好きな女性ができたとしたら、そのときは誠意を持ってわたしに謝罪して、その人と正式なお付き合いを始める。そういう人、だった。
クレイに限って、「浮気」なんて、できるわけなかったのにっ……少なくとも、こういう意味での浮気は!
「あ、あっ……ええとっ……」
せめて、抱き合ってる、くらいだったのなら、まだごまかしも効いた。それこそ「浮気されてるかも、って思っちゃう辛さがわかった!?」なんて、開き直ることもできたかもしれない。
でも、もう無理だ。トラップに抱かれて最後までイってしまった。クレイよりも気持ちよかったとさえ言ってしまった。半分脱げかけた服も、太ももをどろどろに汚した雫も、何もかもが、事態を最悪の方向へと導いて……
「うあ……」
「クレイ」
そのとき。
さっ、と立ち上がったのは、トラップだった。
何かの決意を秘めた顔。厳しい表情。わたしが流した雫で汚れた指を舐め上げて。彼は、いやに凶悪な……荒んだ笑みを、浮かべた。
「おめえ、帰って来るのが遅すぎたぜ?」
「……え……」
「パステルに、何をした?」
その言葉にクレイが浮かべたのは、痛みを堪えるような表情だった。
「俺は……その……」
「泣いてたんだぜ、パステルが。仮にも恋人っつー関係の女を放り出して、他の女と遊んでた? 俺はおめえを見損なったぞ」
「遊んでっ……ち、違う! 彼女は親衛隊の子でっ……その、酔っ払ってて、だからっ……」
「関係あるかよ。ようするにおめえはパステルのことをほったらかしにして、他の女の相手してたんだろうが? それが浮気じゃなくて何なんだよ。ああ?」
「…………」
「だから」
526512続き 浮気疑惑編トラパスVer 5:2006/08/15(火) 22:15:37 ID:RjD0NOcN
口で、クレイがトラップに敵うわけがない。
いや、クレイだけじゃなく。誰だって、敵う人なんかいやしない。
トラップの言葉には、それだけの説得力がある。
例え、それが嘘八百でも。
「だから、パステルがあんな顔で泣いてたんだろ。誘ってるとしか思えねえ顔で」
「!?」
「……え?」
はっ、と弾かれたように顔をあげるクレイと、ぽかん、とするわたし。
きっと、誰もわからなかった。トラップが何を言おうとしているのか。彼が、何を言いたいのか。
「おめえな、あんな顔で泣かれて、すがりつかれて、我慢なんてできるわけねえだろうが。おめえらのあんあんやってる声、散々聞かされて来たしな。こっちだっていい加減我慢の限界だっつーの」
「なっ……トラップ、お前っ……」
「知ってるかあ? 一番落としやすい女がどういう女か。失恋した直後の女を狙うんだよ。男なら誰でもいいって気になってっからな。でもまー、さすがパステルだぜ。てこずらされた」
ひらひらと悪びれる様子もなく手を振って、トラップは、腰を上げた。
わざとらしい伸びをしながら、挑戦的な目で、クレイをにらみつけた。
「おめえに悪い、裏切りたくない、やめてくれって泣いてる女を犯すのもたまにはいいもんだな。何しろ、こっちは狙った女を次から次へとおめえに掻っ攫われてきたからな。たまには、一矢報いてみたくなって何が悪い?」
「トラップ……」
「貧弱な外見の割りに、いい身体してたぜ、パステルは。おめえが開発してやった結果か?」
その瞬間、クレイの拳が振り上げられて。そのまま、トラップの頬に叩きつけられた。
トラップなら、それを避けるのは簡単なことだったはずなのに。彼は、あえて避けようとはしなかった。
あくまでも、不敵な表情は崩さないまま。にやり、と笑ってみせた。
「勘違いすんなよ? 俺だって、パステルがあんな顔で泣いてなきゃ、手を出そうなんて思わなかった。幸せいっぱいに笑ってたら、つけこもうなんて思わなかった。パステルを泣かせたのはおめえだ、クレイ」
「っ…………」
「じゃあな。これに懲りたら、もっとパステルを大切にしてやれ」
ぺっ、と血の混じった唾液を吐き捨てて……トラップは、部屋を出て行った。
最後まで、わたしの顔を見ようとはしなかった。
「トラップ……」
「パステル……ごめんっ!」
呆然とその後姿を見送っていると、不意に、抱きすくめられた。
今にも泣きそうな顔で、クレイが、わたしを見つめていた。
「ごめん……ごめん、パステル。本当に、ごめんっ……」
「クレイ?」
「ごめん。俺が……俺のせいで……何て言って謝ればいいのかわからない。殴って気が済むのなら、いくらでも殴ってくれ……」
「…………」
「誓って言うよ! 彼女とは何もしてない。何もなかったからっ……ただ、酔っ払ってたみたいで、放っておけなくて。でも、それでもパステルを放っておくべきじゃなかった。本当に、ごめんっ……」
ぎゅうっ、とわたしを抱きしめて、クレイは、泣いた。
一度として、わたしを責めようとはしなかった。
527512続き 浮気疑惑編トラパスVer 6:2006/08/15(火) 22:16:16 ID:RjD0NOcN
トラップ……
ねえ、トラップ。どうしてそこまで。自分が悪者になってまで。ねえ、どうして?
クレイはわたしを許してくれた。それだけじゃなくて、もう二度と他の女の子に目を向けたりしないって、一生わたしだけ大事にするって、誓ってくれた。
わたしにとっては、最高の結末を迎えた。
でも、あなたは?
ねえ、トラップ。
あなた、これでよかったの? 二十年近い友情を捨ててまで、わたしを守ってくれた。本当に……これでよかったの?
あなたにとってのわたしって、一体、何だったの? あのとき……あなたは、何で、あんなことを?
その答えを、わたしは知らない。多分、一生知ることはないだろう、と、妙に確信できた。

××××

終わり。容量ぎりぎりくらいか
528162:2006/08/16(水) 09:48:15 ID:1bvEoyK4
511さんGJです!

パステルにつけこみつつも、そこにマジな片恋を秘めてるトラップが良かった。
クレイが戻ってきてからの展開にも、思わず引き込まれました。

自分の書いたSSが、こういった形で苗床になるのは大変光栄です。
イイものを読ませて頂いて、ありがとうございました。
529名無しさん@ピンキー
511さんGJ!!
続きを希望してマジ良かった!!
そして、本編を書いた162さんもGJです。
新スレでも楽しみにしてます。