1 :
前スレ799:
投下中に500kb超えてしまいましたので、
勝手にスレ立てさせて頂きました。
ほんとに申し訳ありません。orz
スレタイもそのまんまで、申し訳ありません。orz
2 :
前799:2005/10/23(日) 23:07:17 ID:MLHKKbIM
3 :
前799:2005/10/23(日) 23:21:58 ID:MLHKKbIM
即死回避に、続きを投下させて頂きます。orz
4 :
前799:2005/10/23(日) 23:23:17 ID:MLHKKbIM
二度目の放出を終えても、俺はまだ満足してなかった。
口許を涙と唾液で濡らし、泥に塗れたキャスカの顔を拭ってやると、
俺はその躯を抱え直し、膝に跨がらせて、下からじわじわと挿入した。
いやいやと呟き嫌がっている癖に、いつの間にか、
俺の首に必死にしがみついているキャスカが、愛おしくて堪らない。
固く引き締まったキャスカの尻を掴んで、俺は残る全ての力を使い、
腰を突き上げて内部を抉った。
5 :
前799:2005/10/23(日) 23:24:50 ID:MLHKKbIM
苔の褥に横たわり、私はゆっくりと目を開けた。
ガッツは私に腕枕をしたまま、ぐったりと眠り込んでいる。
「……バカなやつ。頑張りすぎるからだ。」
憎まれ口を叩いて、私は微笑みながら口づけをする。
何度も求めてくれたガッツが、求められた自分が嬉しかった。
忘れてくれてもいいのに、見捨ててくれてもいいのに。
夢の中でまで、私を追いかけてくれた、ガッツ。
「……ごめん。弱い私でごめん、ガッツ。
もう少しだけ、私を逃がしてくれるか?鷹の団の思い出に、逃げていいか?
……それでも、側にいてくれるのか?」
「……逃げても、きっと、捕まえるさ。」
うっすらと目を開けて、ガッツが答えた。
「……寝てたんじゃ、なかったのか?」
「お前が、バカとか言うから、目が覚めた。」
腕枕をした手が、私の頭を抱え込む。
「……ごめん。でも、本当に、お前はバカだ。
胸の傷だって、まだ治ってないのに、無茶ばっかりする。」
「素っ裸で俺を誘っといて、無茶すんなってのが無理だ。」
視線を合わせ、くくっと笑い合う。
「……捕まえて、くれるんだな、お前。」
「ああ、絶対に逃がしゃしねえ。俺は後、何千回も、お前を抱くんだからな。」
「……他の人に、頼めばいいじゃないか。」
「……バカ。お前がいいって言ってんだ。……つまんねえこと言わすな。」
嬉しさと照れくささに、私は視線を逸らしてガッツの胸に顔を寄せた。
「……もう、そろそろ夢が覚める頃だな。」
「……ああ。」
「伝えてくれないか。私、みんなにお礼が言いたいんだ。」
「みんな?」
「そう、シールケに、魔法をかけてくれて、ありがとうって。
ファルネーゼに、世話してくれて、ありがとうって。
セルピコには、美味しいごはんをありがとう、
イシドロには、遊んでくれてありがとう、
パックもイバレラも、みんな、みんなありがとうって、伝えてくれ。」
残り時間の少なさを察して焦り、捲し立てる私に、ガッツの顔が綻んだ。
「一応、伝えておく。……でも、お前からちゃんと言えよ、少しでも早くな。」
「ありがとう、ガッツ。少しずつでも、元に戻れるように、強くなるから。
……待ってて、もう少しだけ、待ってて……」
「いつまでも、待つ。待ってるから、忘れるな。」
うん、うんと何度も頷いて、私はまた、静かな眠りについた。
6 :
前799:2005/10/23(日) 23:27:11 ID:MLHKKbIM
ガッツが目覚めた時、すでに夜は明けていた。
明るい陽射しに目を細めて、起き上がるガッツにまずシールケが声をかけた。
「ガッツさん、成功しましたね。よかった、本当によかった。」
「ああ、そのようだな……でも、解るのか、成功したって、お前らにも。」
周りを取り囲んでいた仲間達が、ふっと顔を見合わせる。
「いいえ、はっきりとは解りませんが、
少なくとも、ガッツさんの顔を見れば解ります。
すっきりとして、晴れ晴れとしていますし。」
「……そう、か?」
自分の顔を撫でるガッツを尻目に、
仲間達が口々に良かった良かったと言いながら、
立ち上がっててんでに朝の支度を始める。
『……参りました。私の夢にまで干渉するとは、思いもしませんでしたよ。
しかし、ガッツさんはあちらもタフですねェ。キャスカさんは色っぽくて……
……っと、いけない、いけない。そんなことを考えては、彼女に失礼です。』
『……びっくりしたわ。あのふたり、あんな獣のように絡み合って……
……私まで、下着を汚してしまったじゃないの……ああ、早く取り替えたい。』
『ガッツの兄ちゃんはいいよなぁ、俺も早く童貞捨ててえよ。
んでもなあ、このメンツじゃなかなかそうもいかねえし。
あー、娼婦のねえちゃん達にお願いしときゃよかった。』
『……きっと、あの香木がいけなかったんだわ。匂いがきつ過ぎて、
私や皆さんの夢にまで、入り込んでしまったんだわ。
……大人って、ああいうこと、するんだ……ちょっと、怖いけど……』
それぞれが夢を思い出して、顔を真っ赤に染めていると、
何も知らないガッツが声をかけた。
「おい、そう言えばキャスカから伝言があったんだ。」
「え?なんですか?」
「おう、ナニナニナニ?」
何を言いたいのか、知ってはいたけれど知らぬ振りで、
もう一度集まった仲間達に、ガッツが話そうとしたその時、
キャスカがぱっちりと目を開けた。
上半身を起こし辺りを見渡して、ガッツを見つけると回らぬ舌で声を上げた。
「あー、あー。」
いつもの赤ん坊のような声を発して、キャスカはにっこりと笑うと、ガッツの首にしがみつく。
驚きに目を丸くしたガッツを見て、仲間達は微笑んで踵を返す。
「伝言は、後で伺いますね。」
シールケの言葉が、皆の代弁をしていた。
驚きに慌てたガッツの片腕が、おそるおそるキャスカの躯を抱きしめた。
END
SETUNEEEEEE
8 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 00:35:11 ID:/7ucpInP
ベッチーの人も前スレ799の人もグッジョブ
神はあなたがただ
このスレなにげに神スレになったね
GJ!
10 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 00:43:43 ID:3LLTE0Y8
スレタテ乙!&GJ!!ほのぼの旅の途中ネタってイイね。面白かったです。次も期待しています。ガッツ×シールケ希望
799GJ!
12 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 01:11:16 ID:3LLTE0Y8
即死回避age。
13 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 02:53:53 ID:VrvMsQpT
……いや、ほんと、スゲーよ。
『ベッチー』の職人さんも、前スレ799さんも。
『ベッチー』の方は、呪いの鎧を手に入れて以来かえってガッツは弱くなった
と看破するくだりやベッチーが生贄を捧げる事を拒否した理由に唸らされたし、
『ベヘリット連合新聞』にはワロタ。
……ベヘリット達って、まさしくインターネットみたいな感覚で互いに交信可能
だったりして。
799さんには、『ベッチー』の話でついつい原作の先行きを思って不安になった
心を安堵させてもらいました。
……考えてみれば、ベッチーの話と799さんの話、つながっていてもあまり
違和感を感じないな。
14 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 03:06:32 ID:WtOsUAj3
ガッツ×キャスカだ、うれしいいいいー。
鷹の団の風景のところでマジで涙出た…。夢の中だとガッツは片手と片目あるんだなーって。
夢の内容が仲間にモロバレ、で笑ったwガッツ…。ばれてるぞw
前799の人、書いてくれてありがとうでした。GJ!
ageの方がいいのかな?じゃ、アゲにしとく。
15 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 05:23:37 ID:fxltpBK5
すばらすぃぃぃいいいっっ!!!
そして・・・・泣けるっ・・・っくぅ。
ちょっと興味があってみたんだが…すげぇぇえ!
GJGJGJ!!
俺、ベルセルクってよく詳しくないんだけど、前スレから続けて読んできちゃったよ!
是非これは原作もよまにゃあならなそうだ!
こんなスレとSSに出会えてよかった…
>>16原作読むとき平沢進の作ったベルセルクの劇中歌聴きながら読むと更に嵌まるよ。初めて聴いた時は平沢は神だと思ったね。でもって保守。
18 :
前799:2005/10/25(火) 03:04:13 ID:AH8AYNSP
お褒めの言葉、ありがとうございます。( ´Д⊂ヽ
また書いたら投下させて頂きます。
その時は失敗しないよう気をつけますんで、
また読んで下さい。
それでは名無しに戻ります。
|彡 サッ
GJ!捕手
ベッチー話の感想返信です。レス下さった方、ありがとう。感謝。
・『使徒祭りはないぞ』の鋭い突っ込みの方、そのとーりw …言い訳は、すまいっ。
・『ガッツ=作者の性的嗜好』ではないかなー、と密かに思ってます。成長しないエリカちゃん、娼婦なのに化粧してないルカ姉とか…その辺に歪んだ物をちょい感じる…。
・原作が不安…には新刊読んで結構なりましたが…それでもガッツ及び三浦センセは投げ出さずに戦ってるよなあ、という結論に落ち着きまして。あと最近の本誌が個人的にはすごく続き楽しみなので。
それから、心ゆくまでガッツを「ロリ野郎ーっ」と罵倒し倒してスッキリしたのですが、ガッツ×シールケ好きな人が気分害してたらごめん、と思う…。
スルー希望の私信。返信はいらないよー。
前729の人は前788と同じ方でしょうか?…最初、投下順番横取りしたのがかなり後ろめたかったので、遅いけど重ねて平に土下座です。投下あってホッとしました。
それと、前スレで自分が投下後に480kb行ってたので容量限界の犯人は…半分は私だと思います…。ので、あんましお気になさらずに、と思う。
また何か書いて下さったらめちゃめちゃ嬉しいです。ついで。14が自分。
>>17 劇中歌、平沢進の『FORCES』は神、に超同意。
あと、サントラの『GATS』という曲もとても良いっ、と思う。
>>20 前788は 前799 の間違いでした…。
22 :
22=前572:2005/10/27(木) 00:11:58 ID:Y285ywrL
神々降臨の後だから恥ずかしいよ〜
「鷹の羽学園」続き
23 :
22:2005/10/27(木) 00:18:55 ID:Y285ywrL
盛大で華やかな結婚式だった。
新郎新婦も終始にこやかだった。
招待客も笑っていた。
ファルネーゼ様の母上も笑っていた。
このお目出度い席で笑ってないのは
ヴァンディミオン家の男ども(含むセルピコ)だけだった。
「セルピコっ。お前が付いていながらこの有様はなんだね」
引きつった顔のヴァンディミオン家当主フェディリコが
声をひそめてセルピコ君を詰問する。
「他人様の下半身、ましてや避妊方についてなど
私の手に余ります!」
セルピコ君も負けずに返した。
24 :
22:2005/10/27(木) 00:33:21 ID:Y285ywrL
「セルピコ、レモネードないかしら。
何か酸っぱい物が欲しいの」
「!」
最近ファルネーゼ様ちょっと太ってきたかなあと思った時の事だった。
一を聞いて十を知るセルピコ君は、その一言ですべてを理解した。
「お目出度い事は早い方がいい」
とかなんとかヴァンディミオン家当主フェディリコのゴリ押し
等々あってファルネーゼ様高校在学中の結婚式が実現した。
そう、出来ちゃった結婚なのである。
今時、出来ちゃった結婚などたいして珍しい事ではないが
家名を気にする見栄っ張りの御館様の面目丸つぶれだった。
ファルネーゼ様のお腹はウエディングドレスでも
カバー出来ないくらい大きくなっていた。
それでも花婿ロデリックと花嫁ファルネーゼ様は
へらへら笑っているのでそれなりに幸せなのだろう。
「ヴァンディミオン卿、花嫁のお腹が大きい様ですが?」
場の空気が読めないのか、皮肉なのかはわからないが
祝辞をのべる為、マイクの前に立ったフェディリコに
ついに言ってしまった貴族がいた。
「あれは、幻覚です!」
御館様、貴方はグレイトです……。
へらへら笑っているバカップルを前に堂々と言い放つ父フェディリコ。
セルピコ君は涙を禁じ得なかった。
別にお父さんの実感ないけど。
これが全国無差別級フェンシング大会の前の出来事である。
26 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 22:29:07 ID:8K73oH3o
即死回避って30までだっけ?上げにさせてくれ。
前799の人いいな。
書いた人が原作キャラ素直に好きなssっていいな、と思う。
真の王道、のはずのガッツ×キャスカが原作では読めない、ってところが二重に涙誘うな…。
ラストがすげー好きだ…。是非また何か書いて欲しい。ぷりーず。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
33 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 14:05:01 ID:67eh5yJe
VIPPERは巣に帰れよ
34 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 13:04:06 ID:f753bv1D
テラワロンリング
「ガッツ×ファル」の続きです。前スレの
>>699 から。
前回「背景に薔薇」とのコメントの方、ご指摘マジありがとうでした…。ばらはいらねえ…、と真剣におもたよ…。かなり猛省したのですが…直ってるのかどーか……。でも、ばらいらん、とは本気で思う…。とにかくご指摘に多謝でした。
…あと、まだ終わらないのです、ゴメン。
私の右の乳房を、掴んで揉みしだいていた大きな手が離れた。
左側は、半ばこの人の口の中に潜り込んで、硬く屹立した乳首が舌で転がされて、私の喉から喘ぎ喘ぎの悲鳴を上げさせている。
ガッツさんの右手が、私の腰のズボンを横から掴むのを感じた。乱暴に下にずり降ろされる。この人の首にしがみつきながら、両脚を開き、腰を浮かせて脱がされるのを手伝う。
左の乳首が最後に一舐めされて、口が離れた。唾液で濡れた乳房の皮膚に空気がひんやりと触れるのを感じる。…キスしてほしいなあ、と思ったけど、ガッツさんの顔は私の腰の方に降りていく。
この人の目の前に、私のが全部晒されるのかな、と思うと、足の付け根の脈打っている箇所から、またねっとりした熱い滴が沸いて溢れ、尻の狭間へと流れ伝い落ちてゆく。
心臓の拍動が体全体で鳴り響いて、うるさい。天井を眺めながら、熱病患者のように視界がかすみ頭がぼやけて、体に疼いている体温の熱だけを感じる。
…じりじりしながら脱がされるのを待っているのだけど…、ガッツさんの手が掴んでいない側の、ズボンの右側が骨盤に引っ掛かって、なかなか下に降りない…。腕力で無理に引き下ろそうとするのは…いやーな予感がするからやめて欲しいんだけど…。
ガッツさん、右手しかないのって、本当はかなり日常生活不便なんじゃないかなー、と思った瞬間、びりっ、と布地の裂ける音が腰から聞こえた。
うわあっ、やっぱりっ。恐れていた事態がっ。
「…ちょ、ちょっとガッツさん、ごめんなさい、じ、自分で、脱ぎますからっ」
慌てて手を伸ばし、私のズボン掴んでるガッツさんの右手を押さえた。
「……じゃあ、…さっさと脱げよ……」
おっ。返事が来た。…息荒い。体力消耗してるのと、興奮してるのと、どっちだろう。…両方かな。ガッツさん、どこからどこまでが起きてて、どこまでが夢の中なんだろう、と少し思う。
なんか苛々してるっぽい。…女性の服脱がせたりするのは、苦手なんだろうなあ…。向いてなさそう。キャスカさんのお世話って、この人一人で一体どうやってたのか、かなり疑問だ。
寝台に座りこんでるガッツさんの脇腹に視線が飛んだ。出血は…まだ止まってない…。だらだら流れてる。一瞬、罪悪感と後ろめたさが心に伸し掛かる。…止血だけでもした方がいいんじゃないかしら。なし崩し的に、ガッツさんに私の上からどいてもらえたんだし。
床に転がっている包帯に目がいった。
「ちょっと、待ってて下さいね」
と言いながら寝台を降りようとすると、腕を掴まれた。
「逃げんな」
「逃げる気なんてないですよ。ただ、止血だけ…」
「…お前はそう言って、なんのかんの理由つけちゃあ、途中で俺におあづけ食らわすんだよ」
なんか…、必死ですね、ガッツさん…。よっぽど何度も逃げられたのかなー。…きっと、私の知らない昔のキャスカさんも、服破られたりすると途中で気分がさーっと醒めちゃったんじゃないのかなー、って思うんですけど…。
……それか、小声でしか言えないけれど、男女の秘め事が……下手、とか……。
「…責任取れよ…」
と言いながら、ガッツさんが私の腕を引っ張って……例のガッツさんの股間に生えてる変な物体に触れさせた。
うわーっ、やめてーっ、っと心の中で絶叫した。顔が羞恥でカッと熱くなった。心臓が波打ち、動悸が苦しい。…熱くて堅いものが、布地越しに私の手の平に押しつけられている。…なんか、脈打ってる…。…やだ、…恥ずかしいよう……。目の端から涙が滲む。
手をどけようとしたけれど、許してもらえない。鋼鉄の箍のように、ガッツさんの右手が私の手首を掴み、びくともしない。…ガッツさん、ちょっとにやにやしてる…。
この人、私が恥ずかしいの、絶対知っててやってる…。…根性悪っ。恥ずかしがってる顔見られてると思うと余計恥ずかしい…。穴があったら何処かに入り込んで、ガッツさんから顔隠したい…。
涙ぐむ顔を伏せる。手の平に触れているものが熱い。ガッツさんの顔が見れない…。どーして私の方が恥ずかしがらなきゃいけないのか、なんだかとても理不尽な気がする。恥知らずな真似してるのは、この人の方で、断じて私じゃないっ。
だけど…でも…理屈抜きで恥ずかしいのようー……。涙がぼろぼろとこぼれ出て、唇を噛み締める。お願いだから、やめて……。男ってズルい、女って損だー。
「変なもの」呼ばわりするのは失礼かもしれないけど…、……だって、だって、変な物体だーっ。…私にこんなのついてないもの…。
…変なものに触らされて…、…濡れてくる自分が…実は一番恥ずかしいのかもしれない……。…私って、…最低だ…。死にたい……。
「……お願い、お願いです、…手、放して下さい…。…ガッツさん、許して…」
顔を伏せてしゃくり上げながら哀願すると、あっさり手を放してもらえた。ちょっとびっくり。慌ててそれから手を引っ込める。…感触が、まだなんだか残ってる…。うう……。
代わりに肩を引き寄せられた。ガッツさんが私の肩に顔を寄せ、覗き込む。怪訝そう。
「…お前、どうしたんだ?…なんかえらいおかしいぞ?『ガッツさん』って何の冗談だ?…調子狂う…」
おかしいのは今のガッツさんの方なのよ、と心の中で呟いた。私も調子狂う…。
…なんだか、違う人みたいだな、とガッツさんの顔を間近でみつめながら思う。顔は同じ人だけど、…表情や口調が、やや明るめで、ちょっと軽い。私の知ってるガッツさんは…重たくて主に仏頂面。…私とは殆ど必要会話しか、喋ったこと、ない。
物狂い、になる前の昔の、私の知らないキャスカさんに話しかけてる、私の知らない昔のガッツさん。…へんな感じ。
…この人、段々目が覚めてきてるんじゃないかな。会話通じてるし。
今現時点で、ガッツさんがちゃんと目が覚めて、一緒にいるのはキャスカさんじゃなくって、ファルネーゼですよ、って気がついたら、…どうするだろう。
1・希望的観測。「ファルネ−ゼもよく見れば可愛い、いじらしい、可憐だ」と思って続き続行。…私の事、もう少し好きになってくれる。できればシールケさんのように、頭撫でたり、ちょくちょく話しかけたりしてくれるようになって欲しい…。ほ、本音が…。
2・現実的観測。普段の渋いガッツさん。事情を問われて説明。…互いに気まずーい雰囲気の中で、続き終了。「なかった事」として処理。…ガッツさんの方は本当に「なかった事」扱いで忘れちゃうよーな、気が、する…。
3・絶望的観測。「淫乱」とか「ふしだら」って思われて、以後、ガッツさんから警戒と不審と軽蔑の眼で見られて、距離を置かれる……。
…ううっ、ハイリスク、ハイリターンな選択肢だ……。…リスクの方が高い気が。
私の肩に乗っかるガッツさんの顔を見つめた。…条件反射のように頬が熱くなる。私を見てるけど、でも見てない、一つしかない眼。口に視線を移す。…キスが、したいな。
角張った顎を掴んで口づけした。舌で荒れた口唇をなぞっていると、口が開いてガッツさんの舌が出迎える。お互いの口の中に舌を入れて探り合い、頭がぼうっとなる。
…ごまかそう。…会話してると、ボロが出る可能性が高い。
…もう、ちょっとだけ、勘違いしてくれてた方が…いいかも。既成事実終了後にガッツさんの目が覚める、のが…ベストの選択肢のような気がする、とガッツさんの舌を舐めながら考える。ごめんなさいね、ガッツさん…。清純派を目指していたのだけど…私って悪い女かも…。
肩に回していたガッツさんの右手が私の手首を掴み…、…ま、またガッツさんの股間の変な物体に押しつけた。
なんでこの人、そんな事ばっかりしたがるのーっ、と口づけしながら心の中で再び絶叫し…、はたっと気付いた。…私が触って欲しいのと、…同じじゃないのかな、これ。
触ってもらうと気持ちが良いから、触らせたがるんじゃーないかな。…なーる程。…とても深い部分でなんだか納得……。殿方の愉しませ方、ってこーゆーのなんだ。…嫌がらせ、ってわけじゃーないのか…。
…でも、やっぱり恥ずかしいです、とズボンの上から握らされながら、顔を赤らめて考える。…脈打ってる。…ガッツさん、触って欲しいんだ……。
ずるずると体の力が抜けて、口を離し、ガッツさんの胸板に凭れ込んだ。体が熱くて、息苦しい。沸騰した血液が逆流して頭に昇り、思考が蒸発しそうになる。……興奮する。
視線を落とす勇気はないので、胸板に顔を埋めながら手の中の男の人のしるしを強く握った。ガッツさんが深い息を吐く。…ガッツさん、気持ちいいのかな…。下手だったら、ごめんね、と口の中で呟く。…どくどく脈打ってるのが、なんだか生き物みたいだ。
手を動かしながら、恥知らずな真似を自分からやっている、と思うと、下腹部に熱い澱が生じて流れ出してゆくのを感じた。
…どのへんが、いいのかな…と考えながらズボンの膨みを探る。…形や感触全然違うけど、自分のを触る時と、ちょっと似てる。触ってみないと、いいところってわからない。
右手で握り締めながら、左手で布地越しに根元の方を撫でると、凭れているガッツさんの体が微かに震えた。…お、反応が良いような…。…このへん、かな……。
ガッツさんの太い腕が私の肩を抱き寄せた。私の頭の上にガッツさんの顎がのっかって、髪の毛に荒い息が吹きかかる。…ちょっと顎の当たる部分が痛いけど、でもぎゅっと抱き締めてくれる腕の力の強さがやっぱり嬉しい。…えへへ。
自分のと違うのは…気持ちよくなるのが、……ガッツさん。…くらくらする。脳味噌が蕩けそう。ガッツさんの体温と息遣いと鼓動の音が、自分のもののように思える。…私の手が、この人を気持ち良くさせてる……。
「…お前、…今日は…やたら積極的……。…いつもなら、両頬ビンタと肘打ちなのにな……」
ガッツさんがうわずった声で頭上で囁いた。…もしかして、この人は、殴られるのを期待して触らせたのかなー、とちらっと思う。じゃあやっぱ嫌がらせだったのか、おい、って……ちょっと…思う。
…ガッツさん…、二割ぐらいは痛い事されるのが好きな人なんじゃないかしら、と踏ん出たんだけど、…やっぱり当たりなのかな…。
でも、可愛がられるのも好きだよね…、と思いながら手の中のガッツさんを撫でる。…ガッツさんが、私に触られて、…感じて、るのかなー、と思うと……死ぬほど嬉しい。…それって、私は幸せだ。……役に、立ってるから。
突然、『恥知らず!』と、頭の中で誰かの叱責の声が鳴り響いた。身体が竦み、冷たく重い罪悪感の塊が胸の中に生まれる。…怖くなる。…私は淫乱だ、最低だ、死んだ方がいい、と感じる。
お前は下劣な女だ、我が家の家名に泥を塗る恥さらしの娘だ、と恐ろしい声で誰かが私の中で怒鳴る。浅ましい、汚らわしい、畜生同然だ、恥を知れ、と誰かが私に指を突き付けて罵倒する。
…怒らないで、嫌わないで、悪い子をやめていい子になるから私を見捨てないで、と私の中の小さな子供が怯えて哀願する。卑屈な私。みじめな私。私の嫌いな私。…それでも誰かの声は、相変わらず私を怒鳴り、罵り弾劾し続ける。
…厭な声で、誰かが怒鳴る。…厭な声、厭な厭な年取った老人の声。…私を苦しめる、私を否定する、厭な厭な厭な声。
『うるさい!』と、頭の中の声に大声で怒鳴り返した。…放っといてよ、私の中から出て行って。私をあなたのお人形さんにさせようとするのはもうやめて。…私から、出て行け。私はあんたなんか、いらない、怖くない。…私は、お父様なんか、怖くない。
恥知らずだろうが、淑女失格だろうが、売春婦同然だろうが…どうでもいいや。私は女で、この人は男で、……私は、この人が欲しい。
ズボンの中に手を差し入れて、ガッツさんのを直に握り締めた。…熱くて硬い。ガッツさんの体が一瞬強張り、小さく息を呑む音が頭の上で聞こえる。
…引かれてるのかな、と思いつつ、左手でズボンの裾を引っ張り降ろした。…変な物体とご対面…。…やっぱり変な形してるなー…、と思いながら顔を降ろし、先端に口づけて滲んでいる雫を舐め取った。…えぐい味。でもガッツさんの味だ、と思うと頬が緩む。
…男の人の体も、形は違うけど私のと結構似てるのかも。これ、多分気持ち良くなった時に出る液だ。…そう思うとなんだか愛しい。
「…おい、…キャス…」
両手を添えて、鼻先を擦りつけながら舌で雫を舐め取っていると、ガッツさんの言葉が途中でとぎれた。呼吸が荒くなり、右手が乱暴に私の頭を掴んで強く根元に押しつける。
頭の後ろをぐいぐい押す男の人の手の力に、ぼうっとなり、首筋から肩と背中にぞくぞくするような痺れが走った。体の力が抜けて下腹部が熱くなる。…ガッツさんから強引に、私の意志を無視して何かを無理やりさせられるのが、私はとても好きだと思う…。
ナイフを押し入れられた時の感触を思い出しながら、目を閉じそのまま口を大きく開いて、喘ぎながら押し込まれるものを嚥下した。
口腔いっぱいに熱くて硬い肉が侵入して進み、さっき接吻した器官の先が喉の奥を突いた。生理的な涙が目の端に滲み、苦しさの入り交じった快感に、くぐもった声で低く呻いて背筋を反らせる。…犯されてるんだ、と思いながらガッツさんの腰に縋りついて精一杯呑み込む。
唇から溢れた唾液が、ガッツさんの変なものの下側を透明な滴になって伝い落ち、根元の方に流れていくのを涙で霞む目でみつめた。
一緒に、足の付け根からまた蜜が流れ出して滴り落ちてゆくのを感じる。男の人の股間に顔を埋めて性器を口に含みながら、腰を高く掲げている自分の姿を想像する。
…お父様が今の私を見たら、いったいどんな顔をするだろう、と一瞬考えて、…心が弾んで楽しくなった。
…そう、お父様が私に『家名に泥を塗った』と言って非難する事は、いつも私がするのが楽しい事だった。
…『はい、お父様』って言うのが、私は、本当は嫌い。…大っ嫌い。
口の中のものに、愛情を込めて思いっきり、がりりと噛み付いた。と同時に、頭上でガッツさんが変な声をあげた。ガッツさん、感じてるのかなっ、…と思っていたら、ガッツさんが私の頭を掴んで軽く揺さぶり、見おろしながら押し殺した早口で囁いた。
「…頼むっ、噛むなっ。痛ェんだよ、マジでっ」
……えっ。噛むのは…、無しなのですか…。がーん……。私は噛むのが大好きなのですが……。…駄目、なのか……。ちょっと、残念……。
…痛かったのかな。…ごめんね、と思いながら噛み付いた場所の下側を丁寧に舐めた。
ガッツさんが黙りこくった。ぐびり、と喉仏を鳴らす音が私の上でやけに大きく響く。私の頭に置かれた大きな右手が、髪の房を掴み、しきりに手の中に握り締めては擦り合わせ、また掴む、という神経質な動作が私の顔の横でちらちらした。
…そーゆー事されると、髪、痛むんだけど…。頭撫でてもらえる方が、嬉しいんだけどな…と思いながら、肘をガッツさんの足の間のシーツに埋めて支え、口に入らない部分を両手で包んだ。
喉の奥を擦られるのを感じながら、頭を垂れ、口に入っている方を胸苦しい気持ちで強く吸う。私の髪の毛を掴んでいる右手が一瞬固まり、ガッツさんのお腹が大きく凹むのが見えた。
男の人の欲望を口の中に飲み込んでいるんだな、と思う。…変な気分。…気持ちが悪くて、……だから、気持ちいい。頭が変になりそうで…異常な事をしている私が…気持ちいい。…いけない事や、悪い事は…するのが気持ちがいい事のこと。
これが、お腹の底まで届いて掻き回されたらどんな感じだろう、と想像する。…きっと死にそうに苦しくて…私にひどい事して楽しんでるガッツさんのことだけしか考えられないだろうな…。
…そーゆー事って…されて、みたい。ガッツさんに好きなだけ楽しまれたい。…めちゃくちゃに、…されたい。この人の事しか考えられない私になりたい…。
…お腹が、火照って熱い。どろどろに焼け爛れた私の欲望が、口の中のガッツさんの欲望と繋がりたがってるんだ、と思う。
手を使おうとして、力の加減がわからない事に気付く。口は今塞がっているので質問しづらいし。…とりあえず優しく撫でとこう。強くされるとまた痛がるかもしれない。…なでなで。いい子、いい子。
私の口の中でひくひくと震えてる。…生き物みたいだな、と再び思いつつ、優しく舐めて、ガッツさんの味のする滲み出た液を飲み下す。
いったん喉の奥から抜いて、浮き上がっている血管に沿って舌を這わせた。…変な形の生き物でも、可愛がったら私に懐いてくれるかな…。…懐いて欲しい。
ファルネーゼを好きになるんだよ、と言い聞かせながら頬擦りして接吻した。…熱い肉が唇に触れる。舌全体で擦りつけて舐め上げると、口の端から唾液が零れ、顎を伝ってシーツの上に滴り落ちて小さな染みを作った。
…涎気にしてると、これ、できないなー…。…まあ、いいや…。どうせシーツ血みどろだし。
口から零れる涎に構わず、舌と手で愛撫を続けた。唾液でてらてらと光っている変な生き物に、息を吹き掛けてこっそり囁く。
…よしよし、…可愛がってあげるから、ファルネーゼの事もちゃんと可愛がるんだよ…。ファルネーゼはお前の事が大好きだよ……。…言うこと、聞いてくれるかな……。
……どのへんがいい場所なのか、教えてくれる方がわかりやすいんだけど……ガッツさんは黙って荒い息で私の髪の房を握り締めている。…ちょっと引っ張られてるのが、痛い。…凝視されている視線の気配が、私の頭のてっぺんに突き刺さる……。
…反応が、欲しいな、と思う。黙りこくられていると、良いのかどうか、わからない。
もう一回噛みつきたい、と思いながら先端を口に含んだ時、急にガッツさんの右手が私の腰に延びた。
大きな手が、脱ぎかけの私のズボンの腰を掴んで強い力で引き寄せ、強引に私の体の向きを変えた。体が捩れて二つ折りになり、口に含んでいたものから手を離し、シーツに顔を埋めて喘ぎながら抵抗せずにガッツさんの方に向けて尻を差し出す。
荒い息でズボンの腰を掴むガッツさんの手の感触と同時に、びりっ、と予想していた布地が裂ける音が掲げた腰の方から聞こえた。…黙って両手を腰に回し、破れかけのズボンを下着ごと膝まで引っ張り下ろす。
…もう、淑女ぶりっ子はやめたしね、とシーツに赤らんだ顔を埋めながら心の中で呟いた。…本当言うと……やっぱり、かなり……恥ずかしいけど。
でも、この人にスマートとか洗練とかを期待するだけ無駄っ、というか間違いだし。ついでに言えば、ガッツさん、片手しかないのって…本当に何から何まで、不便で不自由だ。それに文句言うのも、間違い。
腰を掲げながら、背後のガッツさんに全部見られてるんだ、と思う。晒された場所がひくついて痙攣した。
剥き出しになった尻の双丘の片側の肉を、ガッツさんの右手が鷲掴みにした。尻の肉に指が食い込む痛みと一緒に、親指がどろどろになっている場所に捩じ込まれた。
反射的に喉から声が上がり、腰が跳ね上がる。無我夢中で延ばした手が枕にぶつかり、必死で引き寄せて両手で胸に掻き抱き、顔を押しつけて残りの悲鳴を塞いだ。
ひりつく痛みと共に、男の人の武骨な指が私の中に押し入り、内部を掻き回される感覚の奔流に、ひらすら耐える。
陸に打ち上げられた小魚のように、腹がびくびくと痙攣し、腰が勝手にくねった。押さえていられなくなって、声を張り上げて喚く。…私の体の内側に、私でない他人の意思が侵入して探り回り、私の体を勝手に動かし反応させている。
…この人が、入って来てるんだ、と思う。…私のからだは、この人のもの。この人の指に、腰を振らされて、泣き声をあげさせられている。
枕の端に噛みつき、弓なりに背筋を反らせて尻を差し出しながら、ガッツさん、今どんな顔してるのかな、と濁った思考でぼんやり思う。息遣いしか聞こえない。それから、私の内側を荒々しく抉る、ごつごつした骨太の指と。
ガッツさんの指が私の肉から引き抜かれ、内壁をずるりと擦る感触に、小さく呻いた。引き抜いた箇所からねっとりした熱い滴が溢れ、内腿を濡らして伝い落ちてゆく。見られている、と思う。
抜かれた指が、充血して赤く腫れた溝を嬲るようにゆっくり往復した。鳥肌が立つような快感が背筋を昇り、目をつぶって震えながら『いじめないで』と口の中で小さく呟く。二、三度なぞると、私の愛液で濡れたガッツさんの指が、糸を引きながら離れていった。
枕を抱き締めながら残された痛みと余韻に喘いでいると、膝を折り曲げた私の腿にガッツさんが重なり、別のものが入り口に押し当てられるのを感じた。
ぬるり、と熱い肉と肉が擦れ合う感触に、触れた場所を中心にして全身が小刻みに震えた。
…さっきまで、私の口の中を犯していた男の人のしるしが、今、私の女の場所を犯そうとしてる。
<続>
前スレで「誰かまとめサイト」って発言した人いたんだけど、自分も同意。
…どなたか、善意の人はいないだろうか、と図々しい事を思ってます。
もしくはエロパロ板の保管庫は申し出たら収納してくれるらしい。
条件は作品数ある程度あることと、住民、書き手の了解、だそうです。
ただ、エロパロ板保管庫の管理人は大変多忙らしいので、よそで各自のまとめサイト作ってくれた方が有難いらしい。
とりあえず住民の方のご意見はどうでしょうか?と聞いてみたいんだが。書き手も住人のうちだし。
反対の方がいらっしゃりましたら、反対理由もつけくわえてもらえれば、と思います。
あと、書き手の方で「自分の作品は収納されたくない」「AはいいけどBはいや」って方がおりましたら、
できればその旨告げていただければなあ、と。それは別に理由など聞きませぬ…。
エロパロ保管庫は収納後でも、管理人への連絡掲示板に書き込めば削除してもらえるそうです。
…で、まあ、興味ない話題でしたらスルーしてくだされ、とゆーことで。
42 :
前324:2005/10/29(土) 23:58:53 ID:i34ljIMu
ネタ振ってくれた前322さんがおっけーなら自分は問題無し
まとめサイトお願いしますって頭さげちゃうよ
43 :
22=前572:2005/10/30(日) 00:01:58 ID:7Jz2mUbY
ID見てくれればわかるとおもうけど
これも自分だか異論ありません
お願いします<まとめ
ちょうど0時まわった時だた<ID
続投すまん
>まとめサイト
読み手としても書き手としても異論無し
特に読み手としては有難いね
あぼーん
あぼーん
あぼーん
>>42>>45 書き手さんの了承者約二名、と。ありがとうございまーす。
現行書き手の了承取れたので、まとめサイトの善意のボランティアの方大募集、したいのですが…。…正直やってくれる方がおられるかどうかわからない。
…自分がしない理由は、作り方わからないのと、忙しくなったらネットやらなくなるかもしれないからなので…無報酬の善意の人を期待するのは…図々しいとは思うのですが。
しばらくの間、まとめサイトボランティアの方大募集と、以前の書き手さんの了承許可、不許可募集して、まとめサイト名乗り出る方がいらっしゃらなかったら、エロパロ保管庫への依頼、という事で良いでしょうか?
私の適当な基準なのですが募集期間一ヶ月くらいでどうかと。丁度月末でキリいいし。
エロパロ保管庫、かなり管理人の方大変そうなので、なるべくなら自助努力の上で頼むのが筋かな、と思いまして。
どなたか「やってもいい」という方、いてくださったら感謝感激雨あられです…。
…で、既にスレッドを離れていらっしゃるかもしれない、古い書き手さんの意向がわからない、ってのが悩みの種で。
たまになら覗いてくれるのでは、と願ってるので、その為にも多少時間置きたいな、と。了承の場合は問題ないんだけど、不許可の人の場合が。
自分を基準にすれば、人に読んでもらいたくて投下してるので、まとめサイト、もしくは保管庫収納は是非希望、なんですけど…人によって違うのですよね。
人目に触れる場所に保存されるのは嫌だ、その他諸々の理由で収納不可、の人も中にはいるのかもしれないのですが…、それって本人にしか、わからない。
自分がすごく好きなので是非残して欲しいssでも、もし書いた御本人がNOなら、書いた人の意向優先で当然、と思うのですが…しかし、連絡取る方法が…ないのですよ。
判断しようがないので、とりあえず「投下=不特定多数にssを読んでもらいたい人」と勝手に判断しようかと思います…。
自分のが余所に保管されるのが嫌な人は、その旨とssのレス番書き込んでくれたら、と思うし、…えーっと、シャイすぎてスレで名乗るのが恥ずかしい人は、後から保管先に連絡して、こっそり削除してもらえれば、と思います。
で、仕切ってるの鼻についてウザイかな、とは思うのですが…自分がやりたい事は自分でやらんと誰もやってくれんので。…代りにやってくれる人いたら喜んで譲りますが。
まとめサイトの方がいない場合は、言い出しっぺなので保管庫依頼やろうと思うのですが、依頼の時にss整理して頼む必要あるんですよ。
<作者名>
「タイトル」
>>1-10>>15-20(レス番号)
てな感じで。
なので、古い書き手さんで保管了承の人も名乗ってくれる方が有り難いのです。タイトル、ハンドル名変更したい場合や、複数作品名無しで書いてる人とか。
わからない場合は、レス番号を作者名、カップリング・キャラ名をタイトルにしようかな、と思ってます。判断つかない奴は「無題」と。
とりあえず自分。
464
ファル命令・ピコ×娼婦
>>465-472 ガッツ×ファル
>>618-626>>634-640>>666-672>>693-699 学園版ベル・鷹の羽学園
>>555>>654>>656-657 我が名はベヘリット > >732-744> >778-794
で、了承して下さったお二方よ。急ぎじゃなくていいので、そのうち自作品のレス番号とタイトル・作者名書き込みしてもらえないでしょうか。
離れた書き手さんも、目にしたらお願いしたいです。
あと、324さんのss。…ネタは322の人だけど、24番以降書いたのは324さんだから、作者別々にすれば、問題ないんじゃないかなあと自分は思いますが…。ネタの了承は、一応前スレでとってるわけだし。
ただ、当人の同意なく同じ話として一緒にまとめるのは、まずいと思う…。話は続いてるんですけど、書いた人違うから。連作、合作、とネタ許可はまた別だろうし。
冒頭部書いたのは、322さんなので。…たまーにだけど、一年以上経ってから未完の分の続き書く人ってよそで見た事あるので、同じ話としてまとめちゃったら、書いた方が絶対続きを書けなくなってしまう…。
322さんのはまだ半年経ってないから、御本人が続き書きたくなる可能性って、…ゼロとは言えないだろうと思うんです。御本人に聞いてみないとわかんないのですが。…この人の書いたピコは、本当はなんて言いたかったのかな、って結構気になるし。
頭の元ネタは同じでも、展開のさせ方は人によって全然違うと思うから、324さんの書いたssの所有権は324さんでいいんじゃないかなーと、…思うんですけど。
322さんが書いたのは322さんのだろし。
…読む人にとってはどうでもいい話だろうけど…そういうゴチャゴチャ結構揉める元なので。別の人の書いた別々の作品扱いの方が、無難ではないかなと。並べる作者順番が近所だったら、読む人も「違う人が書いてるけど話は続いてるんだな」ってわかるだろうし。
あんまり可能性ないとは思うけど、仮に322の人が「324番以降も保管して欲しくありません。ネタは自分のですから」って意志表示したら…324さん、本当にいいですか?私ならむかっときますが。…本当にいいなら書いた人の意志優先、と思いますが。
もし322さんから意思表示があったら、まあご相談を。。
作品一緒にまとめるのなら、合作扱いで作者名併記するのか、それとも322さんのみか、324さんのみか、タイトルどっちが決めるのか、などなど。
意思表示なかったら別作品扱い、ってことで。
…こんなところかなー。
あんまこの話題続けると、ss投下したい人の邪魔になるといかん、と思いつつ。
54 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/01(火) 04:12:47 ID:i7VPsRBh
55 :
22=前572:2005/11/01(火) 22:15:39 ID:VdSp6wE1
>>53 はい、おいらに異論は無いっす
保管不可の場合は自分のデータだけ持ってかえります
56 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/02(水) 21:20:33 ID:YBe0qVN1
>>55 仕切り倒しててうざかったらごめんなさい、と思う…。
人のネタ関連、で言えば私もスレに出てたネタ勝手にもらって書いたやつひとつあるので、
…ネタの所有権とか主張されたら…困る。
322の人がスレ離れてたら、意思表示あるやらどうやらわからないので、なかったら保管可と見做していいんじゃないかな、と思いますが。
だって、よっぽど根性悪い人でもない限り、人が書いたものが保管されるのが気に食わん、とか言わないと思うし。
後から言って来たのなら、その時削除すればすむと思います。
とりあえず324番以降のタイトル考えてて下さい。レス番集めもよろしくー。
アウチ!あげてもたよ。
古いssと言えば、牛男さんとファルネタ師さんのがすごく好きだったので、また書いてくれないかなー、と思う。
特に牛男さんのが…、続きがすごく気になるんだよなー。
読みたいコールすればまた書いてくれないだろうか、と希望を込めて。
58 :
22=前572:2005/11/03(木) 00:55:02 ID:EtVtcfuK
>>56 おいらはいいよ〜おまかせします
後で削除だってかまわないし
タイトルは<324パラレル:セルファルでいいかな
単純に<324でもかまわないっす
59 :
前スレふたなり:2005/11/04(金) 17:21:59 ID:hXVwFyBY
タイトル:ふたなりファル
元ネタ:前スレ498
レス番:同503-507、514-517、521-523、530、534-535、538-542
>>59 サンクス!助かりました〜.
>>58 レス番集めもよろしくお願いします。別に急ぎではないので。
あり、詮索するわけでは全然ないのですが、前799の人とふたなりさんが勝手に同じ人だと思い込んでいた…。
詮索ではないのでお返事はいらないです。前799の人無視した格好になったらマズイと思って。
えーと、前799の方、シャイな人だったら無理やり名乗れとは全く言う気はありませんのでこっちで申し込んでおきます。
シカトされたように感じていらしたらごめんなさい。勘違いしてたので。
保管不可でしたら後で保管先にこっそり削除申請してください。
あまりこの話題続けてると、投下or雑談の邪魔になるといかんなーと思いつつ。
とりあえず雑談。本誌でファルの着替え場面があるかなー、と期待してたら全然なかったな、と。
61 :
前799:2005/11/06(日) 04:18:06 ID:rI75Zfin
>>60 すんません、なんとなく言い出し難くて。
取りあえず一度投下したもんなんで、
お任せします。他力本願で申し訳ないんすが。
保管庫できるなら個人的にはとてもありがたいですね(´∀`)
>>53 わざわざ気を使っていただいてありがとうございます
320-322は324さんの作品ということで保管してくださって全然かまいません
素晴らしい作品を読ませてくださった324さんにはとても感謝しています(*´∀`*)
遅レスですみません。毎日はネットやってないもので。
>>61 気を使わせてたらすみません。「目立つと叩かれる」が2ちゃん流儀だから、言い出しにくい人がいてもしょうがないかと。
>>62 意思表示ありがとうございます。…そっか、じゃ一緒にまとめる方向ということで。読む人にはそっちの方が読みやすいだろうしね…。
個人的には320-322さんはどんな風な話にしたかったのかな、と結構気になったのですが。
324さんのは外伝のファルで、320-322さんのは断罪編の男装のファル、って感じで同じ人が書いても印象違ってたので。
とりあえず保管了承許可ありがとうございます。このネタ続けてると投下しない人が疎外されるのよね…。
ざ、雑談…。
訂正。
>同じ人が書いても →同じキャラを書いても
でした。
65 :
前スレ324:2005/11/11(金) 23:03:08 ID:94R1C6HO
>>62 過分なお言葉ありがとうございます。
自分としては320さんネタ振り
自分そのネタで一つの話書きましたって形がいいかなって思ってます
320さんのヴァージョンも読みたいです!
>>63 お気遣いありがとうございます。
よろしくお願いします。
読み手ですが。保管倉庫かまとめサイトあったら便利です。
>>36 本番直前「続く」ですか…。続き待ちます。GJ!
あぼーん
ちょっとDMC入ってんなw
ガッツ×シールケ前半です。リクあったので挑戦。副題。『自覚症状ゼロの暗黒の病』。
ヤンアニ本誌の展開希望。「犬鎧抜きでガッツがクジラ倒ーす!」に一票。ロリ趣味でも強ければ許すと思う今日この頃。
ちゃぽん、と天井から水滴が翡翠色の湯船に滴り落ち、水面に波紋が生じて広がった。
湯船からはもくもくと湯気が上がり、白い濃霧が浴室いっぱいに立ち込めている。
シールケは憂鬱な気持ちで手の平にお湯を掬い上げた。爽かな香りの漂うお湯が、指の間から零れる様をぼんやりみつめる。熱い湯に浸した白い裸体はほのかに赤らみ、湯の中の揃えた膝小僧がゆらゆらと揺れて見えた。
…いつもなら入浴はシールケが一日のうちで一番くつろげて、心をほぐせる時間のはずだ。でも、今日は…どうにもそんな気分になれない。
明日シールケは、慣れ親しんだ霊樹の館を離れてイーノック村に出発する。館を訪れた村の老人の願いのために、トロール退治に赴くのだ。…死期の迫っているお師匠様を一人後に残して。
納得できない、と思う。都合が、良すぎる。
ずっと昔、お師匠様に対して恩を仇で返すような真似をした村が、自分達が困ると平気でのうのうと救いを求めてくる。…お師匠様に謝りもしていないくせに。
一体どの口で『偉大な魔女さま、お救い下さい』なんて言葉が口にできるのか。そんな村にお師匠様やシールケが手助けするような値打ちがあるのか。
お師匠様が一言も村人逹の仕打ちを譴責しないだけ、余計にシールケの胸には憤りがむかむかと込み上げる。
そんな村、いっそのこと……。
『滅びてしまえばいい』と呟きかけて、シールケの口の中に苦い味が広がった。お湯を手の平に掬い、顔に叩きつける。
自己嫌悪にかられる。…ごまかしてる。
お師匠様が心配なのも本当、近郷近在の村にわだかまりがあるのも本当、…でも一番の本当は…怖いのだ。自信が…無い。
数匹のトロールなら、シールケは慣れた余裕で蹴散らせる。実力で排除できねばこの森をシールケは歩けない。
でも何十匹、何百匹ものトロールの群れは?……シールケは、そんな大群のトロールをまだ目のあたりにしたことはない。
…もしもシールケが失敗したら?何か間違いを冒したら?
熱い湯に漬っているにも関わらず、背筋に氷柱を押しつけられたような寒気が走った。
トロールは人間の女を拉う。拉われた女逹が辿る運命をシールケは知らない。
昔、お師匠様に何故トロール逹は女を巣に連れて行くのかを尋ねたら、お師匠様は少し困った顔をされて「…そうねえ、シールケがもう少し大人になった時に改めて教えましょう」とシールケに言った。
…まだ大人ではないシールケには、聞かせるのもはばかるような恐ろしい事が女達の身の上に降りかかるのだろうか。
もしもシールケがトロール退治に失敗すれば、拉われた女達の運命を我と我が身で直接知る事になる。…ぞっとする。
シールケはまだ半人前の修行の身だ。自分は絶対に失敗などするはずがない、とはっきり言い切れる自信が……無い。
自負ならある。森の魔女の一番弟子の秘蔵っ子は、他の誰でもなく、シールケだ。…でも、経験に裏打ちされた根拠のある自信は…シールケにはまだ、ない。
でも、お師匠様は、シールケがやり遂げられると思ったから命じたのだ。シールケを信頼してくれているから。
…お師匠様。
お師匠様のことを考えると、胸を締め付けるような強烈な悲しみが込み上げた。泣くまい、と思いつつ涙が目の端に浮かぶ。
…もうすぐお別れ。お師匠様には、残り時間はあと僅かしかない。
お師匠様がシールケにトロール退治を命じた理由は、本当はちゃんとわかってる。
…これは、シールケの卒業試験だ。お師匠様がいなくなっても、シールケが一人で生きていけるようになるための、シールケの初陣だ。
だから、絶対に失敗できない。お師匠様に、心配や心残りや悔いが残らないように、安心して…新しい世界に旅立つ準備ができるように、シールケは完璧にやり遂げなければならない。
ため息をついた。
…だから、余計に怖いのだ。
失敗できない。お師匠様をがっかりさせて、シールケに今まで教えてきた歳月は無為で無駄な時間だったのか、と嘆かれて後悔させるのが恐ろしい。身体が竦む。
だから失敗する事が、とてつもなく怖い。
…堂々巡りだ。悩むだけ意味がない。
かすかに目眩を感じた。お湯にのぼせたのかもしれない。今夜はお客が多いから、最後の人が冷めないように少しお湯の温度を高めにしておいた。
不意の闖入者である客人逹のことを考えて、また憂鬱になった。明日、シールケが行動を共にせねばならない人々だ。
…お師匠様は、シールケ一人では信用できないのだろうか、と少し思う。
助っ人なんて足手纏いになるだけなのに、と呟きたくなる。客人の一行の面々を思い浮かべ、シールケの顔が渋面になった。…そう、助けどころか迷惑千万よ。
…特に、あの猿がっ。
浴室の外の木の枝からは、気絶したイシドロが白目を剥いて蔦でぐるぐる巻きにされて吊されている。頭頂部から大小のたんこぶを生やし、顔面は血みどろだ。
破廉恥にも旅の女性二人の入浴に堂々と参加しようとしていたのを、危うくシールケが発見して食い止め、成敗したのだ。
いったい何考えてるのかしら、なーにが『子供の特権!』よ、いやらしい……。
反射的に不快な記憶が脳裏に蘇る。こともあろうに、あの猿の手で……変な場所を揉み回されたのだ。
うーっ、と呻いて両手で湯船の中のあるか無きかの幼い乳房を掻き抱いた。忌ま忌ましい発情猿の手つきを思い出してしまった。虫酸が走る。…悔しい、気持ち悪いっ。
不潔な感触を石鹸で洗い流して忘れよう、と湯船から立上がりかけた時。
ガラッと浴室の扉が開いた。シールケの体が硬直する。…もしやまさか、吊るしたはずの、あの猿がっ!?
「…先客かよ」
悲鳴を上げてシールケは湯船にしゃがみ込んだ。
例の客人の一行の、黒ずくめで左腕が義手の大男だ。軽装でタオルを肩に引っ掛け、悪びれもせず堂々と戸口に立っている。
「先に入ってますっ!わかったら、さっさと出て行って下さいー!」
湯船に真っ赤な顔を伏せ、両腕で肩を抱きながら大声でシールケが叫んだ。
いったい、揃いも揃ってこの人達は何考えてるのよーっ、と心の中で罵倒する。レディーの入浴を覗くなんて、常識ってものはないのっ!?
大男はシールケの抗議に動じた風もない。
「…嬢ちゃん、女の長風呂待たされるのは勘弁してくれや。明日朝早ェんだろ?こっちはとっとと風呂済ませてさっさと寝てェんだ。俺の方は手早く済ませるから気にすんな」
…と、軽く平然と言い放ち。大男は浴室に入って扉を閉め、横を向いて平気で堂々と服を脱ぎ始めた。
相手のあまりの非常識さに、シールケは絶句し、呆然とした。
…って、ま、まさかこの人、一緒に入る気っ!?いったい、どういうつもりよーっ!と心の中で大音声で絶叫する。
「…ちょ、ちょっと、あなた!私が先に入ってるんですよ!女性の入浴中に、失礼と思わないんですかっ」
「二人ぐらいなら入れんだろ?ケツの青いお子様が、いっちょ前に女ぶって恥ずかしがんなよ、面倒くせェ。…俺ぁガキんちょの裸に興味ねェし」
面倒そうに言いながら、大男が両腕を交差させてシャツを頭から脱いだ。ズボンに手を掛けるのを見て、慌ててシールケは目を伏せた。
…な、なに考えてるの、この人…。
湯だった頭がくらくらした。あの猿の男の子の躾をこの男がしてるなら、猿の無礼無知蒙昧アホさ加減も、さも在りなんと思う。
『…恥知らずにもほどがある。恥ずかしくないわけ?』と思うけれども…大男があんまり普通に堂々としているので、もしーかすると、シールケの方が子供っぽいわがままを言ってるんじゃないか、という気がうっかりしてくる。
いや、そんなはずはない、そんなはずはないんだけど…。
まごついている内に義手を外した全裸の大男が、浴室の中央のシールケが漬かる浴槽へ堂々とやって来た。
『いやだ、来るなーっ!ドスケベっ、変質者ーっ』と心の中で叫ぶけれども『…もしかして、私がわがまま?』という一抹の疑問が頭を掠めて、叫びが口にできない。
「…で、出て行ってくださいー」
蚊の鳴くようなか細い声で、できる限り男から離れ、身を縮こませて抗議するのが精一杯だ。
暗示の術を使おうとしたけれど、混乱していてうまく思念が集中できない。
浴室の入り口脇に立て掛けている杖が、喉から手が出る程欲しかった。術を使えばこの傍若無人な最悪の変質者を、お猿の隣に吊し上げにしてやれるのに…。悔しい…。
大男は気にした風もない。浴槽の脇に座り込み、手桶でかかり湯を浴びながら『こっちを見ないでっ』と念じているシールケに向けて視線を投げる。
「…別に取って食やしねェよ。んな縮こまるなって」
言いながら大男は立ち上がり、シールケが固まっている反対側の湯船に、ざぶんと筋骨逞しい長身を沈めた。
ふーう、と肺一杯から絞り出したような深く長い息を吐く。浴槽に凭れて気持ち良さそうに目を閉じ、湯船の中でリラックスしまくっている。
…シールケは半泣きだ。リラックスどころではない。湯の中で男の伸ばした足の爪先がシールケの太腿に触れ、「ひっ」っと小さく叫んで必死で男から身体を離す。
膝小僧を抱えて背を丸め、水面ぎりぎりに真っ赤になった顔を伏せた。悔しさと恥ずかしさに歯噛みする。
…なんで痴漢まがいの破廉恥極まる犯罪者がこんなにも堂々としていて、シールケの方が身の置きどころのない、いたたまれない恥ずかしさを感じなければならないのだろう。
…理不尽だ。絶対に間違っている。
叫びたい。非難したい。口を極めて罵り倒したい。でも言えない。…涙目だ。
……子供。
子供だから、恥ずかしがってはいけないというのか。
でも、だけど、まだ大人じゃなくたって、シールケは異性に裸を見られるのは恥ずかしい。不愉快だ。見られたくない。プライバシーの侵害だ。ただ単に嫌だ。
……嫌なことを、嫌だからやめてくれ、って言うのは、わがままなのか。
ぎりっと唇を噛む。…悔しい。子供だから、半人前だから、大人じゃないから、どうにもできない嫌なことや怖い事が、いっぱいたくさんある。
こんな非常識で無神経な人と明日から一緒に行動を共にしなければならないのか。お師匠様に助っ人の人選を間違えていると訴えたい。
…でも、言えない。言ったらわがままだ。お師匠様がシールケを心配してくれる意を汲めないような、わがままな子に、なりたくない。
…もうすぐお別れの、お師匠様。
お湯に茹だった顔から汗が滝のように吹き出し、鼻の頭から滴り落ちた。ぎゅっと閉じた瞼の端から、一緒に涙が零れ落ちる。ごた混ぜの感情が胸の中でぐるぐる渦を巻き、心臓が波打って頭がぐらぐらした。…暑い。お湯の温度をもっと低くしてれば良かったと後悔する。
大男の方はシールケの気も知らず、のんびり湯に漬っている。…憎ったらしいっ。何か言うだけ無駄、と諦めて、熱い湯に汗を流して耐えながら、ひたすら大男が早く風呂から上がってくれる事を願った。
無遠慮な視線を投げ掛けながら、大男がシールケに声をかけた。
「…お前、そろそろ上った方がいいんじゃんねェか?顔真っ赤だぞ?」
『あなたが出て行きなさいよーっ!』と心の中で叫ぶ。…無視だ、無視。痴漢と話す言葉などシールケにはないっ。
シ−ルケが口をへの字に結んで俯いて黙り込んでいると、大男はあてつけがましく肩をすくめて湯船から立ち上った。幅の広い両肩から背中を伝って湯が流れ落ちる。
浴室から出て行ってくれるのだろうか、とのシールケの期待も虚しく、大男はそのまま浴槽の隣の床にどかっと背中を向けて座り込み、たわしで体を洗い始めた。…しばらく出て行く気はなさそうだ。
ううっ、と呻く。釜湯でにされている心境だ。浴室の出口が果てしなく遠く思えた。熱い湯から飛び出して外の夜風に晒され、ひんやりした空気を思い切り肺に吸い込みたい。
頭が朦朧として視界が霞んだ。心臓が爆発しそうな勢いで拍動し、呼吸が苦しい。
…お湯から上りたい…。でも、この恥知らずの変質者に裸見られるなんて絶対に嫌……。
湯の中で姿勢を保っているのが辛くなって来た。平衡感覚が薄れ、どちらが上でどちらが下なのかよくわからなくなる。浴室の景色が乱れて回り、座っている身体がぐらぐらと揺れた。
意識がすうっと遠くなる。傾いた顔が水面に半分つかり、耳の穴に熱い湯が流れ込むのを感じながら、ずるずると体が湯に沈んでゆくのをぼんやり意識した。
気を失う寸前に、湯に没しかけた片目が浴槽越しの男の背中を捉えた。左腕が肘から先がちょん切れている。『腕のもげた人形みたい、変なの…』と思った瞬間、思考が途絶えた。
「…おい、おいって。目ェ覚ませよ」
誰かがシールケの頬をぺちぺちと叩く。低い男の声。
背中の下に濡れた堅い床を感じた。浴室の床に伸びた身体が横たえられているのだとわかる。
…誰かしら。誰だか知らない人。閉じた瞼の向こう側に誰かがシールケを覗き込んでいる気配がする。
返事をしなければ、と思うけれど舌が縺れて回らない。瞼が重たい。…もう少し眠っていたい…。
声が沈黙した。唾を飲み込む微かな音。誰かの視線がシールケの裸体の上をゆっくり往復する。足の爪先からすんなりした両脚に延び、太腿の付け根の赤みがかった切れ込みで停止した。…おしっこが出るところ。なんでそんな場所を熱心に見るのだろう、と怪訝に感じる。
誰かの息が一瞬荒くなり、シールケに聞かれるのを恐れるように、すぐに低く押し潜められた。
誰かの視線。誰かのまなざしがシールケに注がれる。
さっきの声を思い浮かべる。聞き覚えのある大人の男の声。誰だったっけ…。
熱っぽい視線がシールケをじっとみつめている。物問いたげな、何か言いたいことがあっても言えないような人が、眼で物語るような視線。…言いたいことがあるのなら、ちゃんと言えばいいのに。大人なんだから。
濡れた髪の毛の張りついた頬を大きな手の平が包んだ。指の腹がシールケの頬を何度もゆっくり撫ぜる。…愛しそうに。
…そっか。誰だかよくわからないこの人は、シールケの事が好きなのね、とぼんやり思う。
手の平が顎の下をくすぐり、指先が唇を撫ぜた。…くすぐったい。喉を降りて鎖骨の中央の窪みを通り、昼間猿少年の手が揉み回したシールケの淡い乳房を、大きな手がそろそろと触れる。
うっかり力を入れて壊してしまうのを危ぶむように、おそるおそる手の平が這い、指先が薄紅色のシールケの乳首を掠めては離れ、離れてはまた触れた。
……怖がっているみたいだな、と思う。何が、怖いのだろう。
シールケが、怖いのかしら。怖いけど触りたい、…そんな感じ。
シールケの鼻の頭に誰かの息が吹きかかった。半分開いた唇に、何かが押しつけられた。すぐに生温くてぬめぬめしたものが、シールケの歯を割り口の中に入って来た。口腔を探り回り、一緒に熱い呼気が吹き込まれる。
無反応なシールケの舌に、応じて欲しいと誘いかけるように、何度もそれが熱心に繰り返しなぞり、まとわりつく。…構って欲しい子犬みたい。
『…これって、何?生き物か何かかしら?』と眉をひそめた瞬間、目が覚めた。
目の前に、例の傍若無人非常識恥知らず変質者の大男の顔があった。
睫毛が触れそうなほど間近の距離で、………シールケに、キスしている。
ショックで身体が硬直した。反射的に思い切り歯を食いしばる。がちっ、と音がして口の中の大男の舌が思い切りシールケの上下の歯に挟まれた。
大男が顔をしかめ、口許を手で押さえて屈みこんでいたシールケから顔を離した。横を向き、低く舌打ちして渋面で床に唾を吐く。
シールケは上半身を起こし、尻でずり下がりながら必死で大男から遠ざかった。
「…なっ、なっ、ななな……」
『何をしているんですか、あなたはーっ!!』と叫ぼうとしたけれど、余りの事に言葉が出ない。頭がぐらぐらする。…もしかして、今のがシールケのファースト・キス…?
………嘘。お願い、誰か嘘と言って……。
口許を押さえたままの大男が、小憎らしいほどに平然として、しかめっ面で答えた。
「息してねェから口に息吹き込んだんだよ。…助けられて礼がこれか」
言われて、湯船の中で気を失った事を思い出した。じゃあ、人工呼吸だったのか。『…でも、人口呼吸って、息を吹き込むものであって、舌は入れる必要ないんじゃないかしら…』という疑問が一瞬頭を掠めはしたが。
何はともあれ、助けられた事は事実だ。シールケは、たとえ相手が非礼であっても自分が礼儀知らずな真似をするのは、嫌いだ。癪だけれどお礼を述べなければ…、と思った瞬間素っ裸の肢体を大男の前に晒している事に気が付いた。
悲鳴を上げてがばっと床に伏せて体を隠した。床に押しつけた顔がくしゃくしゃになる。泣くまい、と思いつつ涙がぼろぼろ零れて止まらない。
…悔しい、こんな奴に裸見られた。しかも、ファースト・キスまで…。…あんまりよ。
嗚咽が喉から洩れた。こんな男の前で、泣きたくない。歯を食いしばる。『泣くな、私』と言い聞かせたけれど、堰を切ったように涙が溢れだして止まらない。
お師匠様のこと、トロール退治のこと、明日行く村のこと、不安なことや怖いことや悲しいこと、嫌なことがいっぺんに心の中に押し寄せる。
声を上げて泣き出してしまう。泣きながら、『これじゃ、まるきり子供だ。嫌だ』と思い、自分が嫌でまた涙が込み上げる。
大男があてつけがましく「ガキは面倒くせェ…」と呟いた。…うるさいっ、黙れーっ、と心の中で罵り返す。
泣きじゃくっているシールケに、大男がちらちら視線を寄せた。…どうも、シールケの尻を見ているような気がしてならない。気のせいと思いたいけど。
頭の上にぽん、と大きな手の平が置かれた。投げやりな慰めの声が落ちる。
「…なんかよくわかんねェけど、泣くな。な?」
あてつけ返しに、一層大きな声で思い切りわんわん泣いてやった。大男がうんざりしたような溜め息を吐いた。……ざまみろ、とこっそり呟く。
「あー、しょーがねェなあ…」
と言いながら大男がシールケの腰に腕を回してひょいっと持ち上げた。
「…なっ、なにすっ……」
一瞬泣くのを忘れた。大男の腕から逃れようと暴れる。けれど、肘から先のない左腕が器用にシールケの腕を封じてしまい、引き寄せられる。胡座を組んで座り込んだ大男の体にシールケの背中がぴったり張りつき、膝の上に乗せられた。
シールケの頭のすぐ上から男の声が落ちる。
「じゃ、好きなだけ泣け。胸貸してやっから」
冗談じゃないっ、と思って逃れようとしたけれど大男の両腕が作る輪が、がっちりシールケを押さえ込んで身動きできない。
「はっ、はなっ…、して……」
『この変態ロリコン男っ、今すぐ手を離なしなさいっ』と念じたけれど、通じない。…心が乱れているからだ。精神統一が中途半端だ。感情が、制御できていない。
…未熟者だ、半人前だ、こんなので本当にトロール退治なんてシールケにできるのか、と自己嫌悪にかられて止まっていた涙がまた溢れだした。
しゃくり上げているシールケの上で、大男が小さくため息を吐いた。大きな手がシールケの頭にまた置かれ、ぶっきらぼうな仕草で撫でる。
…不思議に心が慰められた。膝枕をしてもらいながら木陰の下でうたた寝する時に、頭を撫でてくれるお師匠様の手の感じと、ちょっと似てる。
大男の体がシールケを包んでいる。背中の肩胛骨の後ろで大男の心臓の音が聞こえた。…変な感じ。お師匠様以外の人と、こんなに体をくっつけあったことはない。
…体の大きな人だな、と改めて思う。ごつごつしてて堅いけど温かい。大木のうろに潜り込んで雨宿りしているみたい。
うんと小さな頃は、お師匠様の膝の上で抱っこしてもらったことはあるけれど、シールケが大きくなってからはしてもらわなくなった。お師匠様が重たいだろうし、もうシールケは小さな子供じゃないし。
……そういうことは、もうすぐ全部なくなってしまう。
「……明日、こわい」
すすり泣くあいまにぽつんと呟いた。
「ふーん」
大男がシールケの肩に顎を乗せて相槌を打った。俯いて嗚咽しながら、涙と一緒に言葉が零れる。
「…知らない人は、嫌い。こわい。村の人も、あなたたちも、みんな、嫌」
「だろうな」
「失敗するかもしれない。ちゃんとやれないかも」
「そうだな」
「…お師匠様が、死んじゃうのが、いやだ。一人ぼっちになるの、こわい」
「…そうか」
大男が黙った。肩に乗っている大男に頭を凭せ掛けてみる。…ほっぺがざらざらしてるなあ、と思いながら涙の流れるシールケの頬を大男の頬にひっつけた。
二人して黙り込んだ。天井からまた水滴が滴り落ちて、湯船にぽちゃん、と沈む音が浴室に響く。シールケの背中にくっついている大男の体温が、温かい。
…あんまり喋らない人なんだな、と考える。指で涙を拭いながら問い掛けた。
「…大人になったら、こわい事って…なくなりますか?」
沈黙。返事をする気はないのかな、と思った頃に大男が答えた。
「…たいしてなくなんねえな」
こんなに体の大きな強そうな人でも、こわい事はあるのか。
「あなたは、どんなことがこわいんですか?」
「んー。…いろいろだ」
答えになっていない。シールケははぐらかされるのが嫌いだ。教える気は、ないのだろうか。…シールケが子供だから。
子供扱いは…やっぱりされたくない。お師匠様が入寂された後は、シールケは嫌でもちゃんとした一人前の魔女になって、跡を継がなければいけないのだから。
ふと、今はもう心が落ち着いている事に気付いた。…今なら暗示の術が使えるかも。杖がない分だけ精神集中が必要だけれど、きちんと意識を制御できればやれるはず。この人のこわいこと、聞き出せるかも。
『自分のために魔術を使っていいの?』と良心の声が囁いた。
…ちょっと気が咎める。でも、この人はシールケの裸を堂々と見て、平気でプライバシーの侵害をやらかしたんだから、シールケの方にも同じ事をやり返す権利があるんじゃないかしら。…この人の方は裸見られても別に全然気にならないみたいだから、あいことは言い難いし。
肩に乗っている大男の横顔をみつめた。閉じた右眼の端が僅かにひきつれている。…シールケを見てくれた方が術を掛けやすい。えーと、この人の名前はなんだったっけ…。
「…ガッツさん」
思い出した名前を呼びながら、尻を捩って体の向きを変えた。大男の膝を組んだ胡座の上なので足場が悪い。シールケの膝小僧が大男の股間を擦った。くすぐったかったのか、大男が微かにみじろぎして眉をひそめた。
大男の顔を真正面から覗き込んだ。ちゃんと開いている方の左眼と目が合う。その時、座り込んでいるシールケの太腿に何かがぺたんと張り付いた。
『なに?』と思ってちらっと目をやる。不可解なものが、折り曲げたシールケの両脚の間で、左の腿にくっついていた。男の人の、おしっこが出るところだ。あの猿の子とはなんか形違うけど。あまりまじまじ見るのも悪いので、大男の顔に視線を戻す。
…何故か、大男は顔を逸らした。どうしたんだろう。
…まさかシールケが暗示の術を使おうとしているのに気付いたとか?でも魔術師じゃない人にはわかるはずないし…。大男は横を向いたままだ。
「ガッツさんってば。…どうして横向いてるんですか?」
「………」
黙っている。…よくわからない意味不明な人だ。
「ガッツさん、こっち向いてください」
「…なんだよ」
渋々、という感じで大男がシールケの顔を見た。しかめっ面だ。なんとなく怒っているみたい。
…やっぱり気付いてるのだろうか。抵抗意識がある人には暗示がかかりにくいのだけれど。
でも、練習と思って挑戦してみるのもいいかもしれない。そういう相手と出会う事もあるだろうし。
瞳に力を込めて、不機嫌そうな大男の隻眼をみつめながら呪文を口の中で呟いた。雪球を固めるように意志の力を心の中で凝縮させる。
大男の瞳孔の、黒い円の中心の一点に狙いを定めた。呪文を詠唱しながら気を楔の形に練り上げる。
イメージに集中する。細心の注意を払って楔の切っ先を鋭く尖らせ、獲物に射掛ける射手のように大男の眼を凝視した。
周囲の風景と音が意識から消えた。凝視している大男の隻眼が、虫眼鏡で拡大したようにシールケの意識の中で引き伸ばされて広がる。
瞳孔の中に、大男を覗き込んでいるシールケの姿が映り込んでいた。一心に呪文を詠唱して大男をみつめているシールケの姿が、シールケをみつめ返す。
呪文が完成した。限界まで引き絞った弓から矢を放つように、術を狙い定めた一点に向けて鋭く撃ち放つ。
ぱりん、と薄氷を踏み破るように、大男の意識の表層に穴が開くのを感じた。
しかめっ面が解ける。顔の表情が弛緩して、暗示の術にかかった人特有の、白昼夢を見ているようなぼんやりした目付きで大男がシールケを見ている。…ちょっと、間抜け面。
『やった!』と小躍りしたくなった。杖がなくてもちゃんと成功した。…少しだけ自信がついた。明日のトロール退治をシールケはちゃんとやれる、と思える。奢りは禁物だけれど、不安になって失敗するより自分が信用できる方がいい。
とりあえずプライバシーの侵害を、やり返そう。この大男が怖がるものって一体何だろう?弱味を握ってれば、相手がシールケの指示に従わない時に色々と便利かもしれないし。
大男の片目を覗き込んでにっこり笑顔で命令する。
「ガッツさん、あなたが一番こわいものは、なんですか?私に教えなさい」
べっちーSSの人?続きワクテカしながら待ってます。
77 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 00:43:15 ID:elgbO6/u
GJ!!シールケイイ!ああ!また神が現れて下さっただよ
78 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 01:30:43 ID:8qGU2F7r
きたきたきたきたきたきた
キタァァァァщ(`Д´ш)ァァァァアアア!!
80 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 18:38:14 ID:GnzitAk8
ベッチーの人!待ってましたー!ガッツ×シールケ萌えす(*´Д`)ハアハア
まとめサイトor保管庫の言い出しっペの者です。
月末まであと僅かとなりましたが。
ボランティアまとめサイトの方は今のところいらっしゃらないので、保管庫に申請する事になりそうですが、前324さんのssのレス番号を出して貰えないでしょうか?
うちは2ちゃんビューアというものが入れられない環境で、dat落ちしたスレッドが読めません。
予め落ちる前に慌てて前スレのssをコピペ保存したのですが、前324さんの二作品がレス総数が多かったので後回しにしようと思い、…翌日見たらスレッドが、落ちていたのです。容量越えのスレはすぐ落ちる、という法則を知らなかったもので。短いやつは拾えたのですが。
レス番号がわからないと保管申請ができないので、タイトルと一緒にレス番号を提出して戴けないでしょうか?
ふたなりさんのように、シンプルにタイトル・レス番号のみ提示して頂ければ有り難いのですが。
83 :
前324:2005/11/27(日) 00:00:14 ID:IREGezXE
>>81 任せっきりにして申し訳ないっす
今ちょっと忙しいんで
おいらのは後に回してください
>>82 ありがとう
>>82 検索をかけてみたら「該当なし」でした。後ろの数字減らしてもう一度検索かけたら一点該当項目あったのですが、中略状態なのでこちらは読めなかったです。
該当項目のタイトルを見て、苦笑い。一応ご協力ありがとう、と申し上げておきます。
ガッツ×シールケ後半です。
>>75から。
「…こわい…もの」
大男がおうむ返しに繰り返した。
片方しかない眼が、真っ直ぐシールケをみつめた。なんとも言えない、悲しみと罪悪感と憧れがいっぺんに混ざり合ったような表情をして、…シールケを、見ている。
大男のごつい右手が、シールケの頬に触れた。大きな手の平がシールケの頬を包み込む。
「…お前だ」
ぎょっとした。…なんでシールケの事をこの男が怖がるんだろう?…魔女だから?でも、それならお師匠様の方がずっと怖いんじゃないかしら。
「私、ですか?私のどこが……」
「……わかんねェ」
大男がシールケの肩口に顔を埋め、抱き寄せた。骨がしなりそうなほど強い力で身体を抱き締められて、どきっと心臓が跳ね上がる。なんだかなんとなく、お師匠様のとは感じが全然違う抱き締め方のような……。
「…あの、ちょっと、ガッツさん…」
うろたえながら、抱きすくめられたまま大男に声を掛けた。聞こえているのかいないのか、返事無し。鼻息が荒い。
欠けた左腕がシールケの背中を支えながら、右手が下に降りた。シールケの尻の膨らみに触れて撫ぜたかと思うと、双丘の狭間の奥に太い指が性急に潜り込もうとする。…どっ、どこ触ろうとしてるんだこの人!?
「ちょっと、ガッツさん!やめなさい!手をどけて!」
ぴたっと相手の手が止まって離れた。暗示の術がまだ効いている。…ほっと胸を撫で下ろした。
代わりにおっそろしく深刻に傷ついた声が、シールケの肩の方から返ってきた。
「…俺が、嫌いか?」
「…きっ、嫌いもなにもっ、よく知らないですっ。今日会ったばっかりじゃないですかあーっ!?」
…なっ、なんなんだ、この人いったい。人間性にかなり問題あるような。お師匠様は、やっぱり助っ人の人選を間違えてるんじゃないかしら…。
はたっと気付く。そういえば、旅の女性の黒髪の物狂いの女性は、この人嫌ってた。食事の時でもわざわざお互い一番離れた席に座ってたし。…こっちの大男の方は、ちらちら物狂いの女性の方を物欲しそうに見ては、それはそれは嫌がられていた……。
……嫌われるのが、怖いんだ。一番こわいものがシールケなのは、シールケに一番嫌われたくないからなのか……。
…って、ちょっと待て。一番嫌われたくない人って…、それって、普通は……一番、好きな人。……よね。
…………え。えええええっ!?
かあっと頬に血が昇って真っ赤になった。湯船で気絶する直前の時のように、心臓が激しく高鳴る。
うろたえる。動揺する。困る。
だって、あの黒髪の物狂いの女の人って、この人の奥さんじゃなかったっけ?「連れ合い」って結婚してる配偶者のことよね?なのにあの女の人じゃくってシールケが一番好き?…なーんて最悪に無責任な浮気男なんだろう。
大体年の差が幾つ離れてると思ってるのよ、この人どー見ても軽く三十歳越えてるじゃない、真性の変態ロリコンさんだわー、と思いつつ。
………なのに、嬉しい。物凄く、嬉しい。頭の上で、見えない薬玉がぱかっと開いて花びらが降り注ぎ、どこかでファンファーレが鳴り響くような気分に、なるのは……何故。
……絶対、どうかしてる…。自分が、わからない……。
本の中でしか読んだことのない『一目惚れ』というものを、シールケはされてしまったのかしら、と考える。こんな大きな大人の男の人が、シールケを真剣に女性として好きで、嫌われるのをこわがっている……。うっわー……。
どきどきしながらシールケの肩に顔を埋めたままの大男の太い首に視線を移した。蜘蛛に似た形の呪いのしるしが目に映る。
「…あの、ガッツさんは、私の事が……好き、なのですか?」
「だから、わかんねェって」
「ちゃんと、はっきり、答えてくださいっ」
むきになって問い詰めた。『…はっきりさせてどーするのよ、私』と内心呟く。
大男が顔を上げる。目が合う。至近距離。心臓がうっかりときめく。やっぱり不機嫌そうな怒った顔をしている。後頭部を大きな手が押さえるのを感じる。顔が近付く。
……どうして『やめなさい』と私は命じないのだろう、と考えながらへの字に結んだ口にキスされる。食いしばっている歯が舌でこじあけられて、『うわーんっ』ともう一回泣き出したくなった。
半泣きになりながら、大男の首に両腕を回してしがみつく。
自分で自分の心に問い掛ける。シールケは、この男が好きなのか?
……わかんない…。全然わからない……。
…口の中に他人の舌が入って来るのって変な感じだ。胸がぎゅうっと苦しくなる。口を重ねながら、溺れかけた人が救助者にしがみつくように大男に必死ですがりつく。
大人はこういう事をするのだろうか、それとも単にこの人の趣味なのだろうか、と考えながら舌を吸われる。
シールケがこわい、という大男の気持ちがちょっとわかる。シールケも大男がこわい。わけのわからない、理解不能な自分がこわい。
だって言うと悪いけど、この人おじさんだし、礼儀知らずで無神経で粗暴で、シールケのいっちばん嫌いなタイプだし、おまけに妻帯者だし、……それに、飛び抜けて最悪なのは…多分この大男は本当に変質者だ……。
お師匠様から『小さな子供に悪戯したがる心の病んだ大人がたまにいるから、変な大人に出会ったら冷静に対処しなさい』って言われた事があるけれど…、そーゆー人じゃないのかしら、この人。
そしてシールケは冷静に対処できているかといえば…溺れている。悪戯されているのだから、怒ってやめさせなければいけないのに…怒れない。体の力がずるずる抜けていく。…どうしよう……。
大男の大きな手がシールケの体の上を這う。昼間猿に揉まれたシールケの淡い乳房を大男の手が揉む。…なんだかよくわからないおかしな気分になる。変な声が口から洩れそうになって…困る。
…この大男はもしかして魔法使いなのかしら、と考える。知らないうちに、シールケに魔法をかけてしまったのだ。
だから、シールケは、悪くない。…悪いのは、全部この大男。
閉じていた目を開いた。あんまり間近で見ると人の顔って不気味だ、と思いながら大男の怒ったような片眼を睨みつける。…にらめっこだ。負けるもんかっ、と念じて睨んでいるうちに、呼吸が苦しくなってきた。
口が塞がっていると…、い、息が、できない……。
酸欠状態で顔が真っ赤になった。拳を丸めて大男の肩を叩く。悔しいけど、降参…。
気付いた大男が口を離した。
…息ができるっ。自由になった口を大きく開いて無我夢中で空気を貪り、ふうっ、と息をついた。…大男の口の端から涎が垂れている、と思ったらシールケの口からも垂れていた。子供みたいでみっともない、と慌てて手の甲でごしごし拭う。
「…お前、年幾つだ?」
シールケの額に額をくっつけて大男が尋ねた。この人は何歳なんだろう、と思いながら答える。
「えっと、十一歳です」
大男がふかーい溜め息を吐いて、シールケの髪をくしゃくしゃにして抱き寄せた。道に迷って途方に暮れた人が、疲れ果てて嘆声を上げるように呻く。
「……無理だ…。…どー考えても無理だ……」
むっとする。また子供扱い。
「なにがですかっ」
きっ、と大男を見上げて睨みつけてやった。憮然とした表情で大男がシールケをじっと見下ろす。
「これが」
大男の手が座り込んでいるシールケの股間に延びた。…どうしてこんなところ触るのっ、とぎょっとする。…でも、嫌がったら子供っぽいと思われるのかもしれない、と考えて我慢。
おしっこが出るところを太い指がいじり、鋭い痛みが走って顔をしかめた。
「痛いっ」
指が止まった。耳元で低い声が命令する。
「…ケツ上げろ」
…どうして言う事を聞いてしまうのだろう、と思いながら大男の胡座の上に膝で立って腰を浮かした。これじゃあ立場が逆じゃないか。
やめなさい、ってどうして言えないのだろう、と思いつつ目を閉じ、太い首にしがみついて逞しい肩に赤くなった顔を伏せた。
とてもおかしな真似をされているのはわかる。ちゃんとした大人なら、しないような事。…でも、この人はちゃんとした大人じゃあないから、シールケが好きなんだろうなあ、と思う。
……この大男はシールケが好きだ。そう思うと、他の事が全部何も彼もどうでもよくなる。常識や良識にうるさい、いつもの真面目なシールケが何処かへ行ってしまう。
胸の中が暖かい。大男の首に回した両腕に力を込める。どうしていいのかわからない。
この人が一番に大好きなのはシールケだ。…それが、嬉しい。
膝立ちして開いた両脚の間を大男の指が進んだ。…シールケも触った事がないような場所を大男の指がゆっくり探る。変な場所をいじったりすると、黴菌が入って悪い病気に罹らないかしら、と大男にしがみついてぼんやり思う。
ひりっとした痛みに耐えながら、かさついた指がゆるく往復するのを堪えた。
……痛い。苦痛の苦い味が舌の上に広がる。刃の鈍った剃刀を肌に何度も擦りつけられてるみたい。『お願い、やめて』と言いそうになるのを必死で我慢する。
どうして我慢してるんだろう、と自分が不思議になった。
理由。…この大男が、なんだかわからないけどシールケにしたがっている事だから。
……設問。シールケは、この男が好きなのか?
……却下。考えたくない。思考停止。…変態なのはこの大男だけで、シールケは無罪っ。
この大男は、配偶者に不誠実な浮気男の上にロリコンの変質者で、かなりどーしよーもない最低の大人だけど…でも、シールケが嫌がったら、きっとすごく傷つく。…それだけは、なんとなくわかる。
大男が傷ついたら、…シールケは、辛い。今されている痛いことより、ずっと強く心が痛むと思う。理由は…わからない。知らない。
大人って、みんなこんな事してるんだろうか、痛いし、汚いと思わないのかしら…と思ううちに、痛み以外の鋭い感覚が腰に走った。変な声が口から洩れそうになるのを噛み殺す。体が汗ばみ、次第に呼吸が早くなるのがわかる。…なんだろう、これ……。
押さえ切れず声が零れると同時に、大男の指が触れている場所がじわっと熱くなった。
うそ!?おもらし!?
慌ててしゃがみ込んで大男の手首を両手で押さえ付けた。…ショックすぎて口が利けない。人の目の前でおしっこ漏らすなんて……。いや、そもそもおかしな場所をいじりたがるこの大男が悪いんだけど。
「……や、やめてくださいー……」
俯きながら、蚊の泣くような声で抗議した。顔から火が吹き出しそうに思える。痛いのなら我慢できるけど、恥ずかしいのは…絶対無理だ。子供と思われても、我慢できない。
やめさせたいけれど…これじゃ、駄目だ。強い意志で命じないと、術が、利かない。
「ケツ上げろって言ってんだろ」
大男が微かに苛立った調子で命じた。
股間に潜り込んだ指が、濡れた箇所をくすぐり、つついた。顔をのけぞらせて呻く。またどろっとした熱いものが両脚の間から溢れるのを感じる。…おしっこじゃあ、ないのかしら、これ。
頑丈な手首を押さえたまま、息を喘がせて大男の胸板に凭れ込んだ。シールケの白い腹に何か堅くて熱いものがぶつかるのがわかる。…男の人の、おしっこが出るところだ。
『…排泄器官と何か関係のあることなのかしら、これは?』という疑問が一瞬頭を過ぎる。
浮かせた腰と掴んでいる大男の手首の間で、ぬかるみを掻き混ぜるような湿った音が響くのが聞こえた。…聞きたくない。羞恥心で身が縮む。
「…きた…ない、です……。やめて……」
途切れ途切れにようやく囁いた。下腹部から込み上げて来る熱い感覚を、舌を噛んでこらえる。ぬるっと指が滑る感触。我を忘れそう。普段意識したこともない場所が、脈打ち疼いて充血しているのを感じる。
意地になったように大男が指を動かした。得体の知れない熱を浮かべた眼が、シールケが喘ぐ様子に視線を注いでいる。
大男の指先が、すうっとシールケの内側に潜り込むのを感じた。
一瞬驚きで体が固まった。『…どこなの、これ?』という疑問で頭が一杯になる。
おしっこの出る穴と大きいのが出る穴の間にも…穴って、あるの!?
…あるみたいだ。大男の指の先端が……シールケの体の中に入って来ている。『内側』としか呼びようがない。シールケの脈打つ部位の丁度中央に、大男の指先が埋め込まれているのを感じる。
大男は特に驚いた風もない。浅く差し込んだ指が、シールケの知らない、ひどく鋭敏な内部の縁を慎重にゆっくり掻き混ぜた。また新しい滴が沸き出、体が震えて甲高い声が喉から洩れる。
…不思議だ。シールケの体なのに、大男の方が詳しく知っているみたい。
知らない事を、教わっているのかしら、と大男に凭れかかりながら思う。…知って何の役に立つのかよくわからない知識のような気もするけれど。
浅く抜き差しする指の感覚に、声を上げて溺れた。大男の無言の興奮が、触れている皮膚から直接伝わる。…シールケは、大人として合格なんだろうか。
無意識のうちに腰がくねった。大男の指の動きに合わせて尻が律動する。腹にぶつかっている大男の排泄器官が、シールケの臍の穴をくすぐり、擦った。…硬くて熱い。
息を切らせて大男の胴体に腕を回し、しがみついた。シールケの柔らかい腹と大男の堅い腹筋の間で大男の器官が挟まれる。
「……ダメ、…ダメです……」
うわ言のように繰り返す。…甘えた声。ねだっているような響きだと思う。
大男の荒い息がシールケの髪に吹きかかった。肘から先が途切れた左腕が、もどかしそうにシールケの背中の上を撫ぜてさ迷う。…シールケを、抱き締めたいのかな。でも、腕がないからできないのか。唐突に強烈な大男への愛しさが込み上げる。
大男の指がずず、と狭苦しいシールケの奥に進んだ。
喉の奥から熱い塊が迫り上がる。背筋を反り返らせて、内部に侵入するごつごつした指を受け入れようと身体を開いた。開き方を知っている自分自身の身体に戸惑い、あう、と言葉にならない呻き声が洩れてとろっと唾液が口の端から零れた。
呼吸が圧迫される。大男の指をシールケの内部の肉がぴちっと包み込んでいるのを感じた。
脳味噌がとろけそうに思えた。シールケの内側を大男の指が摩擦する度に、『死んじゃう』と心の中で叫ぶ。大男の事しか考えられない。身体と心が支配されているみたいだ。…やっぱり、これって絶対何かの魔法だ。
固く閉じた瞼の奥で、幾つもの星が筋を引いて流れ落ちて来るような気がした。次々とたくさんの星が墜落し、頭の後ろ側がすうっと白くなってゆく。
腰が激しく痙攣した。シールケの腹が大男の器官を擦り立て、何言かを大声で口走っているのを他人事のように意識する。開いた両腿が突っ張り、痙攣が足首の筋を通って爪先の親指まで届くのを感じた。
両脚の付け根からどっと液体が溢れて大男の指を濡らした時、大男が低い声で呻くのが聞こえた。同時にシールケの腹の上に、大量の熱い粘液がぶちまけられる。
湯船の中で気絶した時のように、また意識が遠くなってゆくのがわかった。しがみついている大男の脇腹も、シールケと同じに痙攣して震えている。…ああ、この大男もシールケと同じ気持ちなのか、と知って安堵する。
「…シールケ…」
気を失う寸前に、大男が小声でシールケの名前を呟くのが聞こえた。
『なんだ、ちゃんと名前覚えててくれたんだ…』と思った瞬間、意識が昏くなった。
熱いお湯が腹の上を流れ落ちるのを感じて目が覚めた。
『今日はよく気絶する日だ』と思いながら瞼を開くと、大男が左腕にシールケの体を抱え、海綿でシールケの腹にへばり着いている白っぽい粘液を黙々とこそげ落としている最中だった。
…体がぐんにゃりして力が入らない。大男に声を掛ける気にもならず、されるがままになった。
ぼうっとしながら大男の顔を眺める。…やっぱりしかめっ面。無愛想な人だ。
大男の海綿を握る手がシールケの内腿に回り、あん、と変な声が喉から洩れた。
片方だけの眼がシールケの顔に向けられる。無表情。『にらめっこ再戦っ』と心の中で念じながら大男をじっとみつめ返す。
……勝った。大男がついっとシールケから視線を反らせた。再び、事務的な手つきでシールケの太腿に付着している液体を拭うのに専念する。シールケが甘い声を上げても、見ようともしない。
大男がシールケを床に横たえ、離れた。手桶で湯船から湯を汲み、またシールケの身体の上に流して洗い濯ぐ。犯罪者が証拠湮滅の跡を点検するような目付きでシールケの肢体の上を眺め回し、検分し終わったのか、ふうっと小さく溜め息を吐き、立ち上がった。
「…また湯の中で溺れんじゃねーぞ」
とシールケに言い捨て、大男は背を向けて脱ぎ捨てた服の許へ歩を進めた。
ゆっくり床から身体を起こした。…腰がまだがくがくしてる。変な感じ。
シールケが小さくくしゃみをすると、服を着込んでいる大男もくしゃみをした。…湯冷めしてるんじゃないかしら、あの人。でも風邪ひく心配は無さそうだから、大丈夫よね。
「あ、そうだ、ガッツさん」
湯船の中に漬ってから、浴室から出ようとしている大男へ声を掛けた。大男が振り返る。暗示の術がまだ残ってるといいんだけど…。
「明日のトロール退治は私の指示に従って進めたいんです。反対者が出た場合はそれとなく調停をお願いします。…でないと、色々バラしますよ?」
大男に向けて小首を傾げてにっこり微笑んだ。…大男は特に動じた風は無い。ツラの皮の厚さだけは、この人たいしたものかもしれない。
「俺は別にどっちでも構わねェよ」
大男が扉を開きながらシールケに言った。退室。閉じた扉の向こう側に大男の姿が消える。
浴槽の中で扉の方を眺めながら、大男の返事の意味を考えた。…バラされても、構わないとゆーことなのかしら。
とりあえず、弱味を握るのには成功したわねー、とお湯にのんびり気持ちよく漬りながら考える。
あの大男は、シールケの事が、好きだ。だから、シールケの言いなりっ。
口許がにこにこと綻ぶ。…シールケは、おじさんなんて好みじゃないけど、かわいそうだからあの大男を好きなフリをしてあげよう。大男がシールケの前でカッコつけたい時は、カッコいいと思っているフリをしてあげようっ。…だってかわいそうだし。
鼻歌混じりに呟いてみる。
「ガッツさんはシールケに、恋をしているっ」
……次期ヒロインの座は、シールケのものっ。……かもしれない。
「…それは、本当の事なのですか、シールケ?本当に黒い剣士殿があなたにそんな真似を……?」
「あ、はい。あれって絶対何かの魔法と思うんですけど……違うんですか、お師匠様?」
風呂場でされた謎の行為の意味をお師匠様に尋ねてみた。…すると、どうしたのかしら、いつもは温厚で優しいお師匠様の気が、異様な怒りの炎を帯び出したような……。
「……シールケ。いずれ時が来た時、黒い剣士殿にあの狂戦士の甲冑を渡しなさい」
「ええっ!?でも、お師匠様、あの甲冑は……」
「……いいのです。お願いしましたよ、シールケ」
「……わ、わかりました。それがお師匠様の願いであるのなら……」
……お師匠様が、何を考えていらっしゃるのかわからない。でも、お師匠様のことだもの、きっと何か深い理由があるはずだわ……。
こうして、ガッツは呪いの鎧を身に着ける羽目になった。
…『因果応報』とは『自業自得』の別称である。
END.
91 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 21:40:38 ID:Ne3qfh5L
ベッチーの人!グッジョーブ!待ってたよ!ベッチーの人あんた最高だよ!
保守
鷹の羽学園番外:セルピコ君の日記
×月◎日
今日、ファルネーゼ様がイライラするからといって
またムチをもって僕の部屋にきました。
別に理由は何でもいいみたいですが、大体は僕の所為にされます。
下衆な勘ぐりもなんですが、女性の月に一度の前に
僕をしばきたくなる様です。
中略
今日も僕はさんざんムチでしばかれましたが
何回鞭打ちされても僕は痛いだけです。
とても「女王様(あ、この場合姫様なんでしょうか?)もっとお願いします!」
とか「この汚い豚を折檻してください!」という気にはなりません。
結局、最後は僕を引っ叩くのに疲れたて、興奮が冷めたファルネーゼ様が
泣き出す羽目になります。
「私、私、どうすればいいの!?」
「思い切りセクースしたらいいんじゃないですか?」
僕がそうアドバイスしたらファルネーゼ様は
「セルピコの意地悪!」と叫んで
わーわー泣いて僕の部屋から出て行きました。
後日、「六本木にイイお店がありますよ」とファルネーゼ様に
お教えしたところ、やはりにらまれて引っ叩かれました。
それでも、今、ファルネーゼ様はそこの高級会員制SMクラブで
容赦なく豚共を折檻したあげく
「こんな私を罰して!」と泣き崩れるという
SもMもどちらもいける女王様としてとても人気があるそうです。
とりあえず僕は「生は危険ですから避けて下さい」と助言しました。
やっぱり睨まれました。
ファルネーゼ様、僕は思い切りセクース出来ない事情があるんです。
でもイメクラっぽくお兄ちゃん萌え〜とか妹萌え〜ならいけるかもしれません……。
笑ったら怒られるかもしれないけれど、やっぱ笑ってしまったwげらげらとw
ファルは生理の時は、荒れ狂いそうなタイプだなーと思う。
そういえば黄金時代編の時はキャスカの生理話があったが、今はスルーされてますな。ファルも生理あるはずだが、どうしてんだろう。
オチに笑いましたー。面白かったですw
96 :
93:2005/12/11(日) 01:42:46 ID:KgzCoN3a
>>95 感想ありがとうございます
笑ってくださって本望です
スゲー楽しかったです。
SもMもイケる女王ファルネーゼ様サイコー!
また書いてくださいピコ日記。こういうノリ大好き。
そーゆえば。
ファルの武器が最初銀の短剣だった時はあんまりピンとこない感じだったんだけど、ムチ+縄+バラの蔓、のよーな今の武器だと、ファルに似合ってると思う。
そしてとてもSMくさい…。ファルのキャラがどう変化しようと本質は変えようがないと見た。
ロデリックとの初夜がもしあったら、頬染めて初々しく恥じらいながら「これ、使ってみたいんですけど…」とイバレラの鞭を持ち出すファル、など妄想してニヤニヤw
ファルの初夜はロデリックか……いいかロデで
ちなみに俺はファル、ロデ相手だとMになると思う
道具使わないで一晩中寝かさねえぞとかロデはそんな感じだ
あ「これで(バラの蔓)で縛ってください」とロデに言うファル
ロデだとMだろーなー、くすん。
本当は女王様なファルが好きだ。。ファルのやってる店の前で出待ちして「これ受け取ってくださいっ」となけなしの金をはたいた貢ぎ物を差し出して、目の前で踏みにじられたい。。
ファルのやってる店って何?ヴァンディミオン商会?
>>94の高級会員制SMクラブの事では?
セルファルもいいが、それよりファルセルを見たい
目隠しして布噛ませて‥
>>103 見たいよ、ニヤリw
ファルに女王様衣装、黒の革でキメて欲しい。網タイツと7センチのピンヒール…。
鎧姿でもいいんですけど。
>>101 貢ぎ物踏みにじってぐしゃぐしゃにしたあと
泣きながら「こんな私を罰して」になる女王様ファル
衣装は甲冑姿希望
保守
107 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 18:41:12 ID:9l6U7Prl
hoshu
108 :
SS保管人:2005/12/30(金) 01:56:42 ID:B7VKaOS6
>>108 すっかり諦めておりました。ありがとうございますー。感謝。
本誌連載で船が出る前に投下。
タイトル。『難破船漂流記(前半)。大怪獣ハナゴンVSイース海軍ロデリック艦』。
後半に生ぬるーいエロを入れるつもりだったのですが、前半延び過ぎてエロ入りませんでした。ごめん、エロないです。敢えて言えばハナゴンが唯一のエロ…。
「…で、でっけーっ!!」
吹き付ける荒い潮風を浴びながら、船のマストの見張り台で借りた望遠鏡を片目に当てたイシドロは叫んだ。
辺り三百六十度を囲む濃紺色の大海原を征く一隻の軍艦。
全長28メートル、船体横には整然と並ぶ砲台が備え付けられ、三本帆柱に張られた帆を追い風に大きく膨らませた艦が、威風堂々と大洋を進んでいた。
紆余曲折の揉め事を経て、ヴリタニスを出港したイース海軍所属ロデリック提督の艦だ。イシドロの頭上では、イース海軍の旗が風に翻って誇らしげにはためいている。
艦の進む先の水平線の向こうにはぽつぽつと群島の島影が小さな点を描き、出港した元の港街は最早かすれてうっすらした細い影のようにしか見えない。
帆走する艦の上空では、海鳥の群れが鳴き声を交わしながら気ままに飛び回って、快晴の青い空に白い翼をひらめかせていた。
「婚約者にいいとこ見せて気を惹きたい」とゆう、わかりやすすぎるロデリック卿の好意につけこんだガッツ一行。
『船の中で寝っ転がってても勝手に目的地まで運んでくれる、こりゃー楽チンだー』という訳で、旅の一行各人それぞれが目的地に到着するまでは自由行動、各自好きにしてよし、ということになった。
なんとかと煙は高い所に昇りたがる、との譬えのごとく、早速マストのてっぺんの見張り櫓に身軽な身のこなしで登り着いたイシドロ。
持ち前の感激しやすい気質を発揮して、高所から見下ろす広大な大海原の光景にひたすら感動しているようだ。
(腕一本で荒波を渡る海の男、ってのも悪くねぇよなぁ…。やっぱあのヴリタニスの海賊船長のスカウト、蹴るんじゃなかったかな…)
などと腕組みして少し後悔していたりする。
マストの下の甲板上では、惚れた女にいいとこ見せたい正直者、ロデリックが婚約者ファルネーゼ嬢を連れ出してデートの真っ最中だ。
周囲で働く水夫たちは『あー、艦長がまた例のあれやってるよ…』という半ば諦めの目でロデリックに視線を寄越している。
『男は背中で惚れさせろっ』とバリバリに意識しながら、ロデリックは広がる海原にまっすぐ目を向け、背後のファルネーゼに向けて熱く夢を語っていた。
「…ファルネーゼ、俺には夢があるんだ。
俺の故郷のイースは、自慢にもならんがつまらん国だ。北方辺境のちっぽけな島国で、一年のほとんどは雪に埋もれている。土地は痩せてろくな作物が育たない。特産物といえば魚ばかりだ。
住んでる奴等も、そのちっぽけな島にしがみつきたがる島国根性のしみったれだ。何も変えようとしない。変化を嫌がる石頭ばかりだ。
マニフィコの口ききで俺はあんたと婚約したが、あんたの父上なら、おそらくイースを鼻もひっかけないだろう。利用価値無し、ってな。
だが、それは今現在のイースだ。俺が、これから変えるイースじゃない。
俺は俺の力で、俺の国を変えたいんだ。
イースには荒海に負けない船がある。地図に記されていない、外洋の外側の大地に乗り出す力を…イースの船は秘めている。
新しい地図を俺は作りたい。
辺境ではなく、中央に豊かな王国、イースが記される地図を俺は作りたいんだ。
…そしてその時は、ファルネーゼ、あんたに俺の隣にいて欲しい」
『…フッ、我ながら決まったゼ。無茶苦茶カッコいいじゃないか俺』と思いながら背後のファルネーゼの様子をこっそり伺うロデリック。
「あっ、キャスカさん、そんなに身を乗り出したら危ないですよ」
「あう?」
肝心のファルネーゼの視線は、隣のキャスカに向けられていた。
イシドロ同様、海が物珍しいキャスカは、潮風に髪の毛をなびかせながら手摺から身を乗り出し、楽しそうに海鳥の方に手を差し延べている。
…聞いてくれてなかったのか……。
ちょっとがっくり来るロデリック。
できれば二人きりでデートして親睦を深めたいロデリックだが、ファルネーゼにいいとこ見せたいのであからさまにキャスカが邪魔、という態度を取る訳にもいかず…しょうがなく三人でデートしている。
『…いや、違う、四人だ』と思いながら、ロデリックは甲板の背後三十歩の位置で突っ立っているセルピコに視線を向けた。
「あ、僕のことはお気になさらず。どーぞ続けて下さい」
と無表情にロデリックの視線を受けて応えるセルピコ。
自由行動と言われても、いつファルネーゼお嬢様から「セルピコ」と所用で呼ばれるやらわからないセルピコ君。船旅が始まっても、いつもの通りにひっそりとファルネーゼ嬢の傍近くに影のように控えている。
ふー、とロデリックは重い溜め息を吐いた。…デートになんねー。
一行があてがわれた水夫用の船室では。
「ガッツさん、はい、あーんっ」
二段ベッドが八台並ぶ手狭な部屋にて。
シールケは寝台にでかい図体寝転がしている包帯姿のガッツに、真っ赤になりながらスプーンで手作りの薬膳を差し出している真っ最中だ。
シールケの帽子の上では、イバレラが『もじもじ、もじもじ』と嫌ったらしいリアクションをかましている。
まるでいかにもデートでいちゃつくカップルのよーな風景だ…。もしくはアツアツの新婚さんか…。
胸の創傷が未だ癒えぬガッツ。シールケの厳命により、『とにかくとっとと傷治せ』という方針で、戦闘時以外は狂戦士の甲冑を脱いで極力安静にすべし、と決定した。
実は隔離措置でもある。気の荒い水夫逹とまた乱闘でも起こされたら、まわりがものすごく迷惑千万だしな…。
「…いや、自分で食うって」
いちおー世間体もあるのでスカした面で断って見せるガッツ。…本音を言え、本音を。本当はシールケから『あーん』してご飯を食べさせてもらいたい、と。
シールケが、うっと涙ぐんで瞳をうるうるさせてガッツを見上げた。帽子の上のイバレラは、ポンポンを揺らして『フレー、フレー、シ・ー・ル・ケっ』と応援している。
しばらくしかめっ面で、瞳うるうる状態のシールケを眺めていたガッツ。
はー、と溜め息をつき、いかにも渋々という顔で口を開ける。
ぱっとシールケの顔が綻んだ。にこにこして「あーん」と言いながらガッツの開いた口に粥をそっと入れた。
…大丈夫さー、ガッツ。今更貴様がシールケから「あーん」してご飯食べさせてもらったところで、誰も驚きゃーしないさー。
…驚く人はとっくの昔にベルセルク読むのをやめているよ……。フフ……。
仏頂面で黙々と咀嚼するガッツ。シールケが心配そうな表情で尋ねる。
「…あの、やっぱり…まずい、です、か……?」
味見したのでどんな味かシールケは知っている。薬膳なので薬効優先、味は……食べれなくはないけどな、という程度だ。
「…そんなに悪くねェ。結構いける」
ガッツがぼそっと返事を返した。
ガッツさんが気を使ってくれているよー、というのがもんのすごく嬉しいシールケ。そそくさとスプーンで二杯目を掬って、にこにこしながらまたガッツに「あーん」と差し出す。
いちゃつくガッツとシールケと同じ部屋には、その存在を忘れ去られたマニフィコ氏が、寝台に寝そべり船酔いで苦しんでいた。
何の因果か、エルフヘルム行きにつきあう羽目になったマニ彦さん。
怪物に出くわすは、妹が魔女になるは、ヴリタニスには当分帰れそうにないは、で諸々の蓄積心的ストレスが現在ただ今大増加中だ。
しかもどうやら船旅が合わない体質だったらしい。ロデリックの軍艦に乗り込んでからとゆうもの、たらいを抱えてゲーゲー吐き気に苦しむ地獄の毎日が続いている。
(いったいどうして私がこんな目に…)
と愚痴をこぼしたくても聞いてくれる人がいない、というのが一番悲しい。
人見知り、とゆうより貴族見知りのマニ彦さん。貴族階級以外の下々の者は貴族の自分に平伏して当然、とゆう常識が…この旅の一行にはてーんで通じない。
露骨に「役立たずのくせになんでお前ついてくるんだ?」という視線を投げ掛けられる。
(…私だって、別にお前等なんかと一緒にいたいわけじゃないっ)
と言い返したいのは山々だが、「じゃ、来なくていいよ」とあっさり返されると…ものすごく困るので涙を呑んで苦情を押し殺す日々だ…。胃がシクシクと痛む…。
一応親友であったはずのロデリックは、艦の指揮の合間に紹介してやった妹を口説くのに忙しいらしく、マニフィコさんの許には全然顔を見せない。
(そーさ、あいつは昔からそーゆー薄情な奴だった…。『友情と女の尻と、どっちを選ぶ?』という立場に立つと、いつもあいつは必ず女の方を選びやがった…。
大学時代、私がこっそり『いいな』と思っていた娘がいると、いつの間にかあいつが手を出してつきあっている、とゆう事が何度あったことか…。そのくせ私に女性を紹介してくれた事なんてあいつは一度としてなかった。まるきり皆無だ。
…何故私はあんな男にわざわざ妹を紹介してしまったのだろう…)
ちなみに紹介した妹は、出迎えに来た旅の一行が実家の晩餐会に姿を現してからというもの、まるきりマニフィコさんの存在を脳裏から忘れ果てているようだ。
マニフィコさんが怪物から襲われて死にかけて悲鳴を上げても、視線がスルーだ。
隣の物狂いの娘を気遣うか、ロデリックを頬染めて見てるか、ガッツという剣士を頬染めて見てるかで…実兄のマニフィコさんのことは、全然まったく気にも留めていない。
血液が凍りつきそうな無視の仕方だ…。縁薄き兄妹とは思っていたが、まさかこれほどまでとは…と、肝が冷えそうな思いだ。
なるほど、魔女になるとはこういう事か、とどこかで納得してしまう。我が妹ながら、人間とは思えない冷血ぶりだ…。
うっ、とまた吐き気が込み上げてきた不幸なマニフィコさん。たらいを掴むその彼の頭上から、陽気な声が降りる。
「マニ彦さーんっ。オレの鱗粉って船酔いにも効果あるはずだよー。騙されたと思って舐めてみたら、って思うんだけどー」
…そして彼の頭の上のこの小妖精も、マニフィコさんのストレス増加要因だ…。
何故か、懐かれたくもないのに懐かれている。
(こっ、これは幻覚だっ。こんな生き物は存在しないはずなんだっ)
と、うっかり返事をしてしまいそうな自分に日々言い聞かせる毎日だ。
…大丈夫か、マニフィコさん。船の目指す目的地はこんな生き物がうじゃうじゃ棲息しているエルフヘルムだぞ…。今のうちに慣れておいた方がいいぞ…。
旅の一行それぞれが気ままに行動し、順調に艦が海路を進める中。
快晴の空が一点俄かにかき曇り、水平線の彼方から重苦しい黒雲がどっと押し寄せて来た。
甲板でファルネーゼとのデートを半ば諦め気味だったロデリック。溜め息ついてぼんやり眺めていた海上の異変に気付き、さすがに顔色が変わる。
「…時化か?」
と呟いた時、マストの上のイシドロが大声で叫ぶ声が甲板上の人々の耳に響き渡った。
「…たっ、大変だあーっ!まっ、また、あれが出やがったぞーっ!!」
イシドロの覗き込んだ、望遠鏡の円形の視界の中に発見したもの。
それは、駆け足で押し寄せる黒雲を引き連れるかのように、真っ直ぐ軍艦目指して海上を突き進む山のような巨大な影だった。
…そう、また出た『あれ』。大海獣ハナゴン(命名者イシドロ)だ。クジラに幽体を宿らせて造られた象のような鼻が特徴の魔導生命体、ハナゴン。
正式名称は「マカラ」なのだが、クシャーン人の術者でなければ知らない正式名称であるので、なんとなく「ハナゴン」で定着している。
クシャーン人の使用する幽体にはどうも出っ歯促進要素が含まれているらしく、妖獣兵、鬼兵、すべて皆出っ歯だ。
このハナゴンも例に洩れず出っ歯。メシが食いにくそうな歯並びだ…。
実は、このハナゴンは、迷子だった……。
そしてついさっき、痛い失恋をしたばかりだった……。
元はごく普通のクジラとして生まれ育ち、気ままに海で平和に暮らしていたところを漁船に捕らわれてクシャーンに売り飛ばされ、生まれもつかぬ海獣に変化させられた哀れなハナゴン。
ヴリタニス攻撃を洋上で術者から命じられたものの、場所がわからず海上をうろうろさ迷っているうちに、段々術者の念が抜けてきた。
『そーだよ、よく考えればなんで俺が人間の戦争の道具に使われなきゃなんねーんだ。関係ねーじゃん、俺』とクジラなりの脳味噌で我に返ったハナゴン。
『任務なんぞ知ったことかー、俺は知ーらねっ』と戦線離脱し、自由気ままに海を泳いでいた所、偶然四、五頭のクジラの群れに出くわした。
その中に、ハナゴンの好みのタイプの愛らしく初々しい風情の雌クジラの姿があった。
そろそろ発情期が近かったお年頃のハナゴン、これぞ運命の出会いかっ、とばかりに一生懸命雌クジラの方へ寄り添い、必死に自己アピールで気を惹こうと試みた。
『お嬢さんっ、ぼっ、僕の子供を身籠もってはくれませんかっ』
とハナゴンは懸命に求愛のシグナルを熱心に雌クジラに飛ばした。ちなみに、クジラは魚類じゃなくて哺乳類なので下腹部にペニスを所持している。…ホントだよ。
だが、愛らしい雌クジラの返事は残酷だった…。
『嫌よっ!なにその悪趣味な鼻と出っ歯!そんな顔の子供なんて絶対産みたくないわっ。あんたよくそんな顔で生きていられるわねっ』
ショックで凝固するハナゴンに、群れの他のクジラが次々と追い討ちをかけた。
『なんだよ、その顔ー。キモチ悪いなー』
『お前ホントにクジラか?なんか別の生き物じゃねーのかあ?気色悪いから寄ってくんなよなー』
茫然自失のていで固まっているハナゴンを残し、クジラ達の群れは無情に泳ぎ去った…。
悪趣味な鼻と出っ歯は…ハナゴンのせいじゃないのだ…。人間がハナゴンに気味の悪い液体を呑ませたせいで、生まれもつかぬこんな顔にされてしまったのだ…。
…でも、仲間のクジラからはハナゴンの責任にされてしまう…。
ハナゴンの求愛を受け入れてくれる雌は、決して存在しないだろう…。あからさまに奇形の特徴のある雄は、どんな雌でも嫌がる。
…ハナゴンは一生童貞確実決定だ。
……ううっ、うっ、うわーんっ。
ハナゴンは、荒れた。外洋を泳ぎ突き進みながら、荒れ狂い泣き叫んだ。天がハナゴンの嘆きを聞き届けたのか、ハナゴンの怒りは荒れ狂う嵐を呼んだ。
『人間が憎い、全部お前等の責任だ』とクシャーン人の魔素注入で強化された凶暴性を発揮してハナゴンは憎んだ。
憎まなければやってられない。だって本当にハナゴンの責任じゃないんだから。
ハナゴンにとって一番憎い人間、それは最初にクジラのハナゴンを追いかけ回し、さんざん銛を突き立てていたぶり、網で捕まえた漁船の人間達だった。
そいつ等はクジラ逹にとっての天敵だった。ハナゴンの仲間は、そいつ等にやられてどんどん数が減る一方だ。残忍非道なクジラの虐殺者達だ。
その人間達の船にはいつも決まって同じ旗が掲げられていたのを、ハナゴンははっきり記憶していた。
…そう、荒海にも負けない航海技術で遠洋漁業が特産品の、北方の国イースの旗印だ。
そして目前には再びクジラの敵、イース国旗を靡かせた軍艦がある。
深々と体に食い込む銛の、激痛と怒りと恐怖の記憶と共に、ハナゴンの眼の奥底に鮮明に焼きついた旗印の色と模様だ。
『もしやこれは天が我に与えた我が使命ではないだろうか』と怒りで赤く染まったクジラの脳味噌でハナゴンは思考した。
生まれもつかぬ醜い姿に変えられてしまった事も、同胞からその姿のせいで疎まれ、永久に拒否される運命に陥った事も、ハナゴンの怒りと悲しみも、すべてこの為にあるのではないのだろうか。
――即ち、クジラの敵を叩き潰せ。
ハナゴンは人間に醜い怪物の姿に変えられた。でも心はクジラだ。
雌から拒否される運命のハナゴンには、自分の遺伝子は残せない。しかし、ハナゴンの仲間を虐殺する人間を殺戮する能力が…怪物の姿のハナゴンには、存在する。
ハナゴンにはクジラという種の存続に貢献できる能力がある。クジラの敵を倒すことが、ハナゴンには可能だ。
他の温厚な気質のクジラ達にはそれができない。人間に襲われても怯えて逃げ惑うだけだ。
…そして人間達に追い詰められ、捕らわれ、あるいは殺されて食われる。
人間を殺す能力が、当の人間によってハナゴンに与えられた。
…それは、人間の意志ではなく、その向こう側にあるのは天の意志ではないか。
同じ種族同士で殺し合いをやりたがる生き物に、種として生き残る価値はあるか?
…ある訳がない、と断固としてハナゴンは認識する。
そんな奴等によって、ハナゴンの種は狩り尽くされ、あるいはハナゴンのように人間の殺し合いの為の道具として、醜い怪物に姿を変えられ好き勝手に扱われる。
――ふざけるな、以外にどう言えばいい。
自分達の殺し合いなら勝手に自分達同士でやって、とっとと絶滅してくたばってしまえばいい。人間が一匹もいなくなれば、人間以外の生き物はすべてほっとしてせいせいするだろう。
何故そんな下等生物の争いにハナゴンが巻き込まれなければならない。
何故奴等の本来の領土ではない海で、奴等はわがもの顔でのさばり、ハナゴンの仲間を当然のように追いかけ回して銛でめった突きにして殺しまくる。
仲間のクジラがハナゴンを仲間扱いしなくとも、それでもハナゴンにとってはクジラ達が仲間だ。
永久に拒絶される深い痛みと悲しみと共に、ハナゴンは彼等を仲間だと見做す。
…ハナゴンの姿は、醜い。
まっとうなクジラの姿の頃のハナゴンが今の自分と同じ姿のクジラを見掛けたら、さっきの群れ達と同じ反応を示しただろう。生理的に忌避し、嫌悪しただろう。
ハナゴンが奇形だからだ。人間によって汚染された存在だからだ。
彼等がハナゴンを忌避するのは、自然の防衛本能だ。恨むのは不当だ。
…何故ならばハナゴンは汚染されており、遺伝子プールを汚す存在だからだ。
自分が呪われた存在になった事を、ハナゴンは深い絶望と共に理解し、受け入れる。
永遠の孤独を…受け入れる。ハナゴンを決して受け入れる事のない仲間のクジラ逹を、ハナゴンは心の中に受け入れる。何故ならば、それはかつての無邪気なクジラでいられた頃の、ハナゴン自身の姿だからだ。
彼等はハナゴンの嘆きを理解しない。理解できる素地を持たない。理解できるようになるのは、ハナゴンと同じ境遇に晒されたクジラだけだ。
…それを望むのかと自らに問えば、ハナゴンは決して望まない。
共感よりも孤独と無理解と追放を選ぶ。醜い怪物の姿に変えられた哀れなクジラは、ハナゴンが最後の一頭である方を望む。
さっきの群れはまだこの近辺を泳いでいる。人間達に見つかれば、きっとハナゴンと同じ目に合わされてしまうだろう。
さっきの愛らしい雌クジラが、追い回されて銛を突き立てられ、捕らえられてハナゴンと同じような姿に変えられる。
目の眩むような真っ赤な怒りが、ハナゴンの巨体の全身に込み上げた。
…そんな非道残虐行為を許していいはずがない。
――人間は、一匹残らず皆殺しだ。
目前の軍艦に突き進みながらハナゴンは、はっきりと決意した。
ハナゴンの残りの生は、その為にある。
ハナゴンは人間の戦争の道具として陸で無駄死にさせられる代りに、人間を殺戮する能力を持ったまま生まれ故郷の海で自由に生きられる生が、天より与えられた。
…絶望しようがしまいが、生はある。
生きて死ぬまでの残りの時間が、ハナゴンにはまだ、存在する。生命を思うまま謳歌する自由が、ハナゴンにはあるのだ。
…生命が尽きるその瞬間まで、ハナゴンは与えられた力を使って人間逹を殺しまくる。
ハナゴンの心の奥底の、真っ赤に熱っせられた黒炭のような強く激しい怒りは、天がハナゴンに与えた武器だ。
振り上げて、全身全霊で怒りの力を込めて降り降ろし、人間達を粉微塵に打ち砕くための、強く堅い強靭な鉄鎚だ。
あの旗は、クジラを殺す人間のしるしの旗だ。
奴等の数が減れば、その分だけ奴等に殺される仲間のクジラの数は、確実に減る。
奴等を放置させていたら、奴等はいつかハナゴンの種を食い潰す。
奴等が好き放題に暴虐の限りを尽くしていられるのは、奴等が自分達の方が強者であると信じ込んでいるからだ。
船を壊せば奴等は水に溺れて死ぬ。
海の中で生存できない生き物が、何故海で我がもの顔でのさばり倒せる。
海での強者がどちらであるのか、奴等にわからせなければならない。
ぐんぐんと速度を上げて艦目指して突っ込んで来るハナゴンに、軍艦側の人間達は必死の形相で応戦準備中だ。マストの帆が畳まれ、砲台に配置された水夫達が弾込めと火薬の仕込みを慌ただしく整えている。
空にはさっきまであった快晴と太陽が微塵も残っていない。時折稲光りする重苦しい黒雲で覆い尽くされ、夕暮れ時のようにたちまち辺りが薄暗くなった。
「右舷転進!」
横殴りの強風が吹きつけ、ぽつぽつと降り始めた大粒の雨の中、艦橋のロデリックは舵を握る水夫に向けて怒鳴った。
激しく船体が横揺れしながら船首が右に傾いた。
丁度襲ってきた恐ろしく大きな波が船底をぐうっと持ち上げ、船舶が波の上で三十度に傾斜した。甲板上の樽が幾つも薙ぎ倒しになり、船板の上を船首から船尾方向へまっしぐらに転がる。
「キャスカさん、こっち!」
キャスカの腕を引っ張りながらファルネーゼが船室昇降口をくぐるのと入れ違いに、いちゃいちゃしている場合じゃねェぞ、と気付いた鎧姿のガッツが甲板に飛び出した。その後ろから杖を握り締めたシールケが飛び出る。
「敵か!?」
艦橋のロデリックを仰いでガッツが怒鳴った。ロデリックの隣ではイシドロとセルピコが船縁にしがみつき、迫り来るハナゴンの巨体に何か打つ手はないかとぎりぎりする思いで睨み据えている。
「ヴリタニスで出くわした例のでかぶつだ!だが、あんたの出る幕じゃない!ここは俺に任せとけ!」
艦橋からガッツを見下ろし、きっぱりはっきり言い切るロデリック。
ファルネーゼが見てくれてないのは残念だが、ここで格好つけなきゃ何処でつけろと言うんだ、というロデリックの正念場だ。
ここはロデリックの軍艦だ。そこで出くわした怪物との水上戦。艦という武器がある上での戦いだ。海軍軍人ロデリックの意地の見せ所だ。
――オレの艦で戦うなら、オレが主役だっ!そういつもいつも、こいつにおいしい場面かっ拉われてばっかりでたまるかあっ。
…と密かにガッツに対抗意識を燃やしている。…がんばれ。
海上のハナゴンが約二百メートルの位置まで迫った。
生き物とは思えない質量と容積の黒い塊が、背びれを靡かせて荒波を苦ともせずに真っ直ぐ突き進んで来る。
長い尻尾のような鼻は海面下に潜っていて見えない。海面ぎりぎりに浮かぶ真紅の巨大な両眼が、はっきりと艦に向けて敵意を漲らせ、警告灯のようにぎらぎらと輝いていた。
大砲の射程距離内に入った。目標物はほぼロデリックの軍艦と同じ程度の大きさだ。弾を外す心配だけはない。
「撃て!」
ロデリックの号令の声が荒れ狂う嵐の中に響き渡った。
船体横に設置された砲台から次々とハナゴン目掛けて大砲が発射された。船舶破壊用の鉄球が轟音と共に撃ち出され、怪物の巨体を直撃する。
耳をつんざくような絶叫が、何本もの白い水柱と共に高々と海面から昇った。
「やったか!?」
覗き込む艦橋のロデリックの視線の先で、ハナゴンの巨体が背びれを翻して海中に潜り込んだ。最後に残した三角形の尾びれが水飛沫を叩いて海面下へ消える。
「死んだら浮かぶ。まだやる気だ」
船縁を掴んだガッツが呟く。ロデリックにでかい顔されて内心むかついてるが、しかし水中戦となると…足場がない。
海に飛び込んだら速攻でずぶずぶ沈むのが目に見えているので、むかつきはしてもやはりここは任せるしかないのか、くそぅ、『任せろ』は俺の台詞だあっ、と心の中で毒づいている。
ガッツの足許では、杖を握って座り込んだシールケが精神集中してハナゴンの気を探っていた。
叩き付けるような豪雨が降り注ぎ、波に揉まれて一瞬たりとも静止しない上下左右に揺れ動く甲板上で、必死にハナゴンの気を逸らせないかとシールケのやり方で戦っている。
このハナゴンには…個我がある。使い魔ではない。術者はいない。
クシャーン人が宿らせた幽体を、自我に取り込んで吸収してしまったクジラだ。
幽体は、煎じ詰めれば人間の思念であり精神だ。幽体がクジラの思考に言葉を与え、論理的帰結として『人間はすべて敵』という結論に辿り着いた。
人間が上位に置かれる食物連鎖の階梯の拒否だ。食われる側にとっては、おとなしく下位に甘んじなければならない理由は何一つとしてない。エサ扱いの拒否だ。
『なかま』に危害を加える種族なら、とことん駆逐し廃絶せねば気が済まない人間特有の苛烈な攻撃性を…そのままクジラとしての個我の核にした、半分魔物でも属する種族はクジラで在りたい、もうクジラとは呼べない姿のクジラだ。
シールケが気を逸らそうとして送った思念が弾き飛ばされた。
『敵』として拒絶される。防御壁のように強固な敵意がハナゴンの気の周囲に張り巡らされている。念を通じさせる余地がない。
『敵、敵、敵』。
強烈な敵意の信号を発散するハナゴンの思念が海中深くへと潜っていく。大砲で肉体に穿たれた幾つもの穴から大量に血液を流しながら。
潜水する黒い海の水にハナゴンの血が赤い霧のように広がり、拡散した。
傷口から溢れる苦痛が、苦痛を与えた人間に対する憎悪の炎に油を注ぐのをハナゴンは感じた。
ハナゴンは苦痛を歓迎する。それは武器に変化させられる。内側に煮え滾る怒りと憎しみは、肉体に力を与える。細胞の一片一片に力を漲らせることができる。もっと速く、もっと強い力で、水を掻きわけ叩きつけて泳ぐ事を怒りと憎悪は可能にする。
潜水していた体を一転させ、ハナゴンは海中から頭上を見上げた。荒波で大きく揺れ動く黒い海面が、うねる天井のようにどこまでも広がっている。
その海面下に漬かっている船舶の腹が、ハナゴンの頭の上で波に揉まれて横たわっていた。呆れるほど無防備に頼りなく。
――こいつらは、弱い。
怒りと憎悪を燃料にした原動機のエネルギーを最大出力にして、ハナゴンはまっしぐらに船舶目掛けて上昇し始めた。
「危ない!艦を…艦を今すぐ動かして!下から狙ってます!」
シールケが叫んだ一瞬後に。
とてつもない衝撃が艦を下から突き上げた。
全長28メートルの軍艦が玩具のごとく宙に舞い上がった。
空を飛ぶ箱船のように垂直上昇する。直撃された船底湾曲部には深い大穴が開き、破壊された木片が宙に舞って四散した。
落下状態に入った船体が左舷を下にして垂直近くに傾斜した。
三本マストのうち中央の一本が急激な重力の負荷に耐え切れず、真ん中辺りでぼきりと折れ、巨大な凧のように帆布を広げて艦と分離する。
最初の衝撃で甲板上の樽や索具、ありとあらゆる備品が艦から吹き飛ばされ、嵐の空に舞った。固定物を掴めなかった水夫達が絶叫しながら放り出され、その後を追う。
船内では人々が突然天井に叩き付けられ、次に垂直に傾いた天井の床の上を雪崩のように滑り落ち、壁にまた叩き付けられた。床に捩子留めされている家具以外のすべての物体が、壁に張り付く人間達の上に霰のように降り注ぎ、阿鼻叫喚の悲鳴があちこちで沸く。
水夫用船室の一つでは、壁に張り付いたゲロまみれのマニフィコ氏が呻いていた。
…船酔いの吐き気用に使用していた盥が、ひっくり返ってマニフィコさんの顔を直撃したのだ。可哀そうなマニフィコさん…。
その隣ではファルネーゼが怯えるキャスカの両肩を抱き、体を張って落下物から身を呈して健気に庇っていた。
救いを求めるようなゲロ臭い実兄のマニフィコさんの視線からは、敢えて顔を背けているようだ…。ヴァンディミオン家とは誠縁薄き一族だ…。
甲板で吹っ飛びかけたシールケの体を、ガッツがとっさに横抱きにして義手で抱えた。
ほぼ切り立った崖のような甲板上で、右手に綱を結び付けるための環釘をしっかり掴み、ぶら下がるような格好だ。
横に傾いて落下しつつある軍艦の船縁越しに、ガッツの掴んだ環釘のすぐ頭上で、黒檀のような艶のある滑らかで頑丈な皮に包まれた巨体が、滝のごとく大量の水飛沫を跳ね上げ、撒き散らして上昇していく姿が視界いっぱいに飛び込んだ。
尾びれをひらめかせたハナゴンの雄大な巨体が、信じ難い跳躍力でぐんぐんと飛翔し、やがて放物線の頂点の位置に達した瞬間、黒雲で覆われた空がぴかっと稲光で輝いた。
雷光が不気味な蒼白い色に染め上げた空を背景に、紡錘形の巨大な黒いシルエットがモノクロの陰画の絵のように一瞬鮮明に浮かび上がった。
その一瞬、稲妻に照らされたハナゴンの眼がぬめりを帯びた真紅の紅玉のように輝き、嘲笑するような視線を破壊された軍艦に浴びせかけ、瞬いた。
遅れて雷鳴が轟音のようにとどろき、空全体が空中放電の光で激しく明滅する中、ほとんど優美と言っていい仕草でくるりと巨体を捩じり、海面へ向かって放物線の残りの軌道を描いて飛び込んで行く。
(…こいつ、陸の上と動きが全然違うじゃねェか)
と瞬間脳裏で呟くガッツ。当たり前だ。ハナゴンは水棲動物なんだから。陸上でハンデキャップ付きハナゴンに勝ったところで威張れるか。
転覆した軍艦が荒波の狂う海面に側舷を叩き付けられた一瞬後、100メートル程横でハナゴンの巨体の質量が凄まじい水柱を上げて海に突入した。豪雨と一緒にハナゴンの跳ね上げた海水が、瀑布のようになだれ打って無残に横たわる軍艦の上に降り注ぐ。
――完敗だ。転覆した上にマストが折れた。たとえ船を引き上げたところで、軍艦の船底中央部には修復不能な大穴がぽっかり口を開き、みるみるうちに海水を呑み込み、浸水してゆく。
「…そ、総員退避だ、退避っ」
舵にしがみついたロデリックが歯噛みしながら叫んだ。
転覆した軍艦上では、マストの先端が海中に突っ込み、甲板が垂直に聳えて半分海に没して、すべての物が縦と横の配置が入れ替わった状態だ。おそろしく足場が悪い上に、狂瀾怒濤の逆巻き猛り狂う海に揉まれてずぶずぶと沈んでゆく。
ロデリック艦長の命令を聞くまでもなく、場慣れした水夫達は転覆の衝撃から立ち直ると、速攻で自主的に退避活動を始めていた。
海面上に次々と樽や救命艇が投げ出され、我先にと水夫が群がる。
うちひしがれているロデリックの頭上を、セルピコが風装備マントでひらりと飛び越えた。
とにもかくにもお嬢様の保護最優先の思いを胸に、船員が群がり出る扉の歪んだ船室昇降口に辿り着いた瞬間。
再度の猛烈な衝撃が瀕死の軍艦を真正面から直撃した。
――ハナゴン。
容赦を知らぬ海の怪物が再び軍艦めがけ、破壊槌と化して突貫突撃攻撃を開始したのだ。
大きく裂けて乱杭歯の剥き出しになった口から、歓喜とも苦悶ともつかない奇怪な雄叫びを嵐の空に向けて咆哮し、振り上げた象の鼻で船体をめった打ちにし始めた。
めきめきと木片と人体の破片が飛び散った。船室昇降口が、飛び出ようとしていた水夫ともどもひしゃげて潰れる。
ハエ叩きで潰されるハエの図だ。ハナゴンの鼻がひと薙ぎすると、べしゃっと音を立てて人間の形が血と肉の残骸に変わる。降り注ぐ激しい雨がたちまち血を洗い流して、散らばった臓物や肉の破片だけが残った。阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
ガッツにとっては見慣れた場面だ。
よーしっ、真打ち登場、俺の出番かっ。やっぱり俺様が主役だあっ、と意気込んだ。
右腕一本で舷側にひょいとよじ登り、義手に抱えているシールケに「暴走した時は頼む」と言いかけて…シールケが、気絶している事に気がついた。気絶はしても杖はしっかり握り締めているのはおそらく魔女の根性だ。
額から一筋の血が流れている。何かに頭をぶつけて脳震盪を起こしたらしい。
…一時的戦闘不能状態だ。
うっと凝固するガッツ。対ハナゴン戦で二度目は鎧暴走抜きで倒せたが、一度目は鎧暴走後錯乱狂戦士仲間皆殺し寸前の前科保持者のガッツだ。
自分自身の心に正直に問うてみた。
――絶対に暴走させない自信は有るか?
――……あるわきゃねーだろがっ。
雑魚敵なら大丈夫だろうが、強敵の場合は…鎧の力がヤバイ。
安全装置のシールケが併せてセットで控えてないと、ガッツ自身も自動的に戦闘不可状態に陥るのだ。
仲間の生命守るために「敵」を倒しても、倒した後でガッツ自身が「敵」と化して仲間皆殺しにしてしまっては…何一つ意味が無い。
下手すりゃ敵倒す前に手近にいる人間から血祭り皆殺し惨殺にする可能性も無視できない。なんせ理性飛んでる。
(…もしかして、この鎧ってすげー使えねェ代物なんじゃねーのか…?)
という疑問が初めてガッツの心に浮かんだ。
…そうだよ。使えないんだよ……。止め方のわからない連射式ボウガンみてーなもんだよ…。安全性に超問題有りの、普通の店なら返品ものの屑商品だよ…。
自己主張して使用者を鎧の道具にしてしまうとゆう、道具の本質から外れまくった外道の道具だよ……。
ゴドーの親爺が言ってたじゃーないか、「使う者の度量を越えた道具は足枷にしかならん」って…。戦闘時にいちいち鎧の動向気にしなきゃいけない、って点だけでも集中力半減させるんだよ…。まさに手枷足枷だよ、その鎧は…。
悩んでいる暇もなく、ハナゴンの鼻がガッツとシールケ目掛けて振り降ろされた。
やばい、と咄嗟にシールケを抱えて舷側から海面に飛び降りた。ガッツの立っていた場所が粉微塵に粉砕されて頭上に木片がばらばらと降って来る。
水飛沫を上げて二人の姿が海中に水没した。
水没してそのまま水没、水没、水没し続け…やべえ、没んだまま浮かばねェぞ、おい、と気付いて必死でガッツは片腕で水を掻いた。
二度とやりたくなかった甲冑姿で人間抱えての水泳だ。
しかも、背中にドラゴン殺しの重量がっ。
…沈む沈む。人間の体は水に浮かぶように出来ているが、鉄の塊は沈むように出来ている。
甲冑とドラゴン殺しに鋼鉄の義手。…沈む条件満載だ。漬物石を体中にくくりつけられて海に放り込まれたも同然だ。
全身の鋼鉄に引き摺られて沈む体を無理やり膂力と根性で水を掻きわけ、浮力を発生させてなんとか浮かびあがらせようとガッツは足掻いて足掻いて足掻きまくった。
命あっての物種、一瞬本気でドラゴン殺しを捨てようか、シールケ捨てるわけにはいかねェし、という考えが脳裏を過ぎったガッツ。…いや、さすがにそれはマズイだろう、主人公の看板だ、と思った瞬間、水を掻く片腕が海面に漂う救命用の木樽を掴んだ。
ほっと安堵の息を吐いて引っ張り寄せようとすると先客が掴まっていた。ガッツの重量に引っ張られて沈む樽に、先客の水夫が慌てて怒鳴る。
「うわっ。あ、あんた、この樽は三人じゃ無理だっ。そのお嬢さんだけならなんとかなるが、悪いけどあんた余所へ行ってく…」
すまねェな、と呟きつつガッツは鉄拳を水夫の顔に叩き込んだ。顔面を粉砕されて気絶した水夫が樽から手を放してぷかりと浮き、荒波に揉まれてその姿が海面から消えた。
(あいつらは無事か…?)
都合の悪い事は速攻で脳味噌から消去して、気絶したままのシールケを抱えたガッツは仲間の安否を気遣った。
樽に縋るガッツの僅か2、30メートル先でハナゴンの山のような巨体が軍艦にとりついて猛攻撃を仕掛けている。
見れば、ハナゴンが狙っているのはひたすら艦上の人間に限られているようだ。とにかく船憎し、の勢いで艦を完全に沈めなければ気が済まないらしい。
…ハナゴンとの距離、僅か2、30メートル。だが、その間に横たわる…海っ。
…人間は、陸上生物だ。一応人間は泳ぐ事はできるが、しかしガッツの武器はことごとくその重量が重石となって彼を水に沈ませるのだ…。移動手段なし。
義手の大砲は火薬がずぶ濡れでは使用不可。片腕には気絶したシールケ。
…どーやって戦えっつーんだ…。
とりあえずガッツは気絶したシールケを揺さぶって起こしにかかった。
いち早く逃げ延びたガッツと違い、セルピコは一人必死に艦上でハナゴンと戦っていた。
とにもかくにもファルネーゼお嬢様を助け出さない事には、一人で逃げるわけにはいかない。…どっかの冷血漢はシールケさんだけ連れると、自分の連れ合い置き去りにして海中に飛び込みやがったが。
嵐のせいかセルピコの風の精霊さん達はやたら調子が良かった。振り回されるハナゴンの鼻を強風に乗って闘牛士のようにひらりひらりと躱す。
防御専念で、とにかく攻撃を躱して時間を稼ぐ事に集中する。
陽動作戦だ。セルピコがハナゴンの注意を引きつけておく間に、ロデリックとイシドロが、大破して跡形もない船室昇降口のあった大穴と船員の死体を乗り越えてくぐり、沈みゆく船内に取り残されたファルネーゼの救出作業に向かった。
軍艦がズタボロにされてかなりショックなロデリック。
せめて婚約者を颯爽と救い出して点数稼がねーことには、格好がつかないっ、と駆け足でファルネーゼの船室へ向かう。…カッコつけに命を賭ける男だ。
その頃のファルネーゼはというと。
転覆したはずみに歪んで開かなくなったドアを相手に苦戦していた。
運の悪いことに、縦横配置が九十度回転した船内で出入り口の扉のある壁は天井側だ。
床に足を固定された二段ベッドのヘッドボードによじ登り、振り上げた椅子でなんとかドアを破壊しようとやっきになっている。
手伝いたくても非力で役立てないパックが、隣でしきりに
「ファルネーちゃん、がんばれーっ」
と旗振って応援していた。
「…ファ、ファルネーゼ、女性がそんな乱暴な振る舞いは……」
となんだか見当違いな意見を述べて妹を見上げつつ、おろおろしているマニフィコさん。その隣のキャスカが所在なげにマニフィコさんの袖をくいくい、と引いた。
『なんだ?』と思ってキャスカが指差している方を見ると。
壁の端から海水がちょろちょろと侵入し始めていた。
「ひいいいいいっ」
と呻き、頭を抱えてマニフィコさんは座り込んだ。
(…もう、ダメだ。ここで、こんな場所で溺れて私は死んでしまうんだ…。どうして私がこんな目にあわなきゃーならないんだ…)
どんな時でも愚痴ることを忘れない、それがマニフィコさん。マニフィコさんの幽体にもしも色が着いてたら、きっとドドメ色をしていることだろう。
そのマニフィコさんの頭上から、
「ファルネーゼ、無事かっ!?」
「トロくせーから助けに来てやったぜっ」
と扉の外から救いの声が落ちてきた。
これぞ天祐、天は未だ我を忘れざりき、友よ、君はやはり私の親友だったんだな…、とうるうるとマニフィコさんは瞳を潤ませた。…いや、ファルネーゼがいなかったらロデリックがマニフィコさんだけ助けに来てくれるかどうかはかなり疑問だが…。
「ドアが開かないんです!」
頼りにならない実兄は念頭から忘れきって、ファルネーゼはドアの外に向かって叫んだ。茨の鞭は緊縛には向いていても破壊にはあんまり向いてないので使えない。
ロデリックが助けに来てくれて嬉しいけれど、ガッツさんはいないのね…。いえ、きっとあの人は外で勇敢に怪物と戦っているに違いないわっ、と思い直す。…戦ってるのはセルピコだよ……。
任せとけ、とばかりにイシドロとロデリックが二人がかりで外からドアをぶち破った。
ファルネーゼ、キャスカ、マニフィコの順に天井のドアから引っ張り出される。
(なんで私が最後なんだ…)
とちょっと愚痴りたがりそうだったマニフィコさんだが、まあこういう場合は女性優先だよな、と思い直して上に昇るキャスカの尻を一生懸命押し上げた。
その殊勝な心掛けのマニフィコさんの顔を、怒った顔のキャスカがぐにゃっと踏み付けにした。キャスカは、変な場所を男に触られるのが嫌いなのだ…。
(な、なんで私がこんな目に…)
可哀そうなマニフィコさん…。
大怪獣ハナゴンと風雨に揉まれながら一人戦っていたセルピコ。
ファルネーゼの救出は無事完了したようだけれど、…しかし結局ハナゴンが。
陽動で注意をひきつけたはいいが、現在ハナゴンの注意をひきまくってるセルピコがファルネーゼお嬢様と合流したら、追って来られる可能性大だ。
鼻攻撃を躱しているうちに、段々目が攻撃パターンに慣れてきた。
…要するに追って来られないようにすれば、別にとどめを刺す必要はない。
というかこんな巨大怪獣いったい一人でどうやって倒せと言うんですか…、と思わずぼやきたくなる。
間合いをはかって振り降ろされた瞬間に、木の幹のような太さの鼻に飛び乗った。
そのまま一気に家ほどの大きさの頭部へ追い風に乗って飛翔する。セルピコのマントが旗のように風になびいて嵐の空に翻った。
前回の雪辱戦、とばかりに巨大な眼を狙って右手に握る羽ぼうきを振り上げた。
――旋風一閃。
かまいたちの真空波がハナゴンの右眼を斜めに切り裂いた。どっと溢れる血液と一緒に、ハナゴンの裂けた口から腹の底に響き渡る吠え声が風の怒号に混じる。
いける、もう片方の眼も、と思った瞬間、裂けた右眼のすぐ上の頭頂部から噴水の奔流のような潮が吹き上がった。クジラの潮吹きは、本来鼻ではなく背中側で吹く。
セルピコの身体が猛烈な潮に巻き上げられて宙高く浮かんだ。風のコントロールが利かず、潮に流される体をハナゴンの鼻の造る輪が、がっきと掴み上げた。
めしめしっとセルピコの肋がひしゃげる嫌な音が響いた。苦悶のあまり声も出ない。
片方だけのハナゴンの眼が爛々と憎悪の光を放ってセルピコに視線を据えている。
セルピコを巻き付けた鼻が、大きく開いた巨大な三角形の口に向けて折り曲げられた。
セルピコの体が天地逆様になる。外側に湾曲してぎっしりと並ぶ、子供の背丈ほどもある乱杭歯が間近に目に飛び込んだ。
――食う気だ。
目前に迫った洞窟のような口蓋の奥へと必死に羽ぼうきを振った。
ハナゴンの舌が縦一筋に切り裂かれて血飛沫がどっとあがる。
再び鼓膜が破れそうな凄まじい咆哮がまともにセルピコを直撃した。折れた肋にびりびりと響く。
血の溢れる三角形の口が閉じられ、代わりにセルピコの身体が高々と掲げられた。
横殴りの雨が降り注ぐ中、圧搾機にかけられたような強烈な圧迫がセルピコの胴体を締め上げた。背骨がぎしぎしと軋み、骨格の内側で守られた内臓が悲鳴を上げる。
捩じ切られる、と思った瞬間、一発の大砲の轟音が雷鳴と共にとどろいた。
さて、無事ファルネーゼ逹と合流したはいいが、どうやって船から脱出するか?と激しく揺れる船内を走りながら思案を巡らす五人と一匹。
甲板側出口はハナゴンがとりついているので超危険地帯だ。顔出すと鼻で叩かれる可能性が高い。
「右舷側の砲台へ向かおう!大砲用の窓からなら抜け出せれるはずだ!」
ロデリックの意見が採用され、かしぐ船内をとにかく上方向へと急ぐ。
本来の「右」方向が「上」方向と化しているのでおっそろしく移動しにくい。右舷側への一本通路が階段なしの深い縦穴だ。
唯一の空を飛べるパックがロープの端を抱いて縦穴を上昇する。てっぺんの砲台室のドアノブに結び付け、一人ずつが順番に昇った。
昇る間にもハナゴンの破壊攻撃と浸水で、艦内がぐらぐらと揺れる。
他の四人が登り終わり、やっぱりしんがりを務める羽目になったマニフィコさんの足許を、冷たい海水が浸し始めた。
船内の廊下に転がる索具や網がぷかぷかと海水に浮き始め、見る間に水位が上昇していく。
「ひいいいっ」
とまた頭を抱えて座り込むマニフィコさんを、ファルネーゼが面倒とばかりに茨の鞭で縛り上げて引き上げた。マニフィコさんが大声で何か喚いていても、一切お構いなしだ。
ようやく砲台室に辿り着き、茨の棘で傷だらけになったマニフィコさんが、怯えた視線をファルネーゼに寄越した。でも、ファルネーゼは全然気にしてないようだ…。
「さあ、急ぎましょう!」
と茨の鞭を兄から外すと、はきはきと皆に声をかけた。
マニフィコさんに「だいじょうぶ?」とか「ごめんなさい、お兄様」とか優しい言葉は一切無しだ…。
ファルネーゼお嬢様が「誰よりも優しくなれる」とか誰かが言ってたのは何かの冗談だろう…。
横に細長い砲台室は、側舷に面した天井が湾曲した緩いカーブを描き、大砲と発射するための窓が一定間隔を開いて並んでいる。
壁際には転覆した際に倒れた火薬の樽がごろごろと転がっていた。
火薬樽から中身を床にぶちまけ、人数分を縄で繋げて海に次々と放り込む。
イシドロが窓から身を乗り出し、甲板に向けて合図の炸裂木の実を投げ付けた。ぱちぱちっとしょぼい音を立てて木の実がはじける。
火トカゲの精霊は嵐のせいかどうも調子が悪いようだが、セルピコには聞き取れるだろう。
――退避準備OK!
豪雨を弾き飛ばし、唸りを上げて飛来した鉄球がハナゴンの眉間の中央に命中した。
ハナゴンの苦悶の叫びと一緒にセルピコを締め上げる鼻の輪が緩み、荒波の上に身体が投げ出される。
側舷の窓の外に乗り出された大砲の発射元では、
「いやったぜー、大命中!」
とはしゃぐイシドロと、
「う、うああああ、こ、ここっちに向かってくるじゃないかあーっ」
ムンクの叫びの表情をしたマニフィコさん、艦を壊された恨みに一矢報いたロデリックがいた。
「ファルネーゼ、火をつけろ!」
真剣な表情のロデリックが砲台室の中のファルネーゼに向かって叫んだ。
ファルネーゼの前には即席の簡易時限爆弾があった。
時限爆弾、といっても火薬樽五樽を並べて荒縄でぐるぐる巻きにして、縄の先端を床に延ばしただけの粗雑な代物だ。…原始的だが、しかし火をつけて火薬に着火するまでの時間稼ぎはできる。
ファルネーゼが火口を縄の端に押しつけた。縄に移った炎が床の上で燃え始め、蛇のようにのたくりながら炎を火薬樽に近付けてゆく。
全員が窓の外から大波で揺れる海面に飛び下りた。泳げるかどうかあやしいキャスカはロデリックが抱えた。キャスカはかなり嫌そうな顔をしてるが。
怒りの形相凄まじいハナゴンが、転覆した軍艦にまともに覆い被さった。
砲台口に覗く大砲を鼻攻撃とヒレで叩き壊し始める。落とされた大砲が派手な水飛沫を上げて海に沈んだ。
上下左右に揺れて破壊される砲台室の中で、燃え縮れた導火線の縄の炎が火薬樽に引火した。
とどろき渡る爆音と衝撃波が、嵐の海に炸裂した。
砲台室がまともに吹き飛び、沈没寸前の軍艦の海面上の木造船舶が一気に炎の帯に包まれた。雨が叩く黒い海面に映った炎がゆらゆらと揺れる。
下顎にまともに爆風を浴びたハナゴンが、巨体をのけぞらせて絶叫しながら海中に没した。跳ね上がった大量の水飛沫が、ざぶりと炎上する軍艦の炎を半分掻き消す。
狂ったようにジグザグに折れ曲がりながらハナゴンは潜水した。焼け爛れた皮膚に海水が染み込み、苦痛を加速させるのを罵倒し呪い憎みながら。
再びハナゴンは絶命寸前の軍艦に、すべての憎悪を叩きつけて下から突き上げた。
真ん中で真っ二つになった軍艦の残骸が宙に吹き飛び、その中央からハナゴンの巨体が、天に向けて放たれた巨大な弾丸のように真っ直ぐ昇る。
――その一瞬。
天の黒雲の一点から迸った稲妻の光輝く白い軌跡が、雷鳴を響かせながら狙い目掛けたように宙を垂直上昇飛行するハナゴンを直撃した。
凄まじい轟音と共に空が雷光で激しく明滅した。荒れる海上で樽に縋りついて空を見上げる人々の顔が、雷光と同じ色に染まる。
天から雷神が投げつけた落雷の槍にハナゴンの黒い巨体が貫かれ、縫い付けられて空中で一瞬静止したかのように見えた。白熱した無数の光の蛇が網の目のようにハナゴンの巨体に絡みつき、純粋無比の苛烈な電気エネルギーが音を立てて放射線を空に放つ。
雷鳴が止み、空中放電の焦げ臭い臭気が辺りの空気に広がる中、ハナゴンの巨体が頼りなく尻尾から海面にざぶんと没した。
そのままぷかりと巨大な腹を見せて浮かび上がり、大波に流されて遠ざかってゆく。
遂に見せ場のなかった海に浮かぶガッツの隣では、シールケが肩で大きく息をして振りかざした杖を握り締めていた。
…魔術とは、奇跡を呼び起こす御業。シールケが雷神を召喚したのだ。
ハナゴンが斃れると同時に、嘘のように吹き荒れていた嵐が止んだ。雨足がぴたりと止まり、波を巻き上げていた暴風が収まって、空を覆っていた黒雲がちぎれて晴れてゆく。
雲間から最初の太陽の光が射し、嵐とハナゴンの残した無残な爪痕が浮かび漂う海上を照らし出した。
残骸、としか呼びようのない、軍艦だった木ぎれの集積物があちこちの波間に浮かび、その周囲には無数の砕片と、からくも生き延びた人々が樽や木材にしがみつき、散らばって緩やかな波にたゆたっている。
樽に縋っているファルネーゼが、背中を浮かばせて海面に漂うセルピコの姿を発見した。
茨の鞭を限界ぎりぎりまで引き延ばして、掴んで必死に引っぱり寄せる。
両眼を閉じた意識のないセルピコの青褪めた顔を見て、ファルネーゼお嬢様はぼろぼろに泣きながらセルピコをの肩をがくがくと揺さぶった。
「セルピコ!セルピコってば!黙ってないで返事をしなさい!…しなさいっ!返事しないと承知しないわよ!」
怪我してるのなら揺さぶらない方がいいんじゃないのか…、と横のロデリックが口に出しかけた時。
「……は…い、お嬢様…」
とうっすらと眼を開いたセルピコが小さく呟いた。ファルネーゼを安心させようと、無理やりに血の気の失せた顔で笑顔を作って見せる。
ファルネーゼがわっと泣きじゃくってセルピコに抱き付いた。
肋全壊のセルピコにとっては地獄の拷問だが、最後にファルネーゼお嬢様からぎゅっと抱き付かれたのはいったい何年ぶりのことだろう…、と考えると天国の拷問かもしれない、と波に浮かびながらこっそり思う。
婚約者として、目の前でファルネーゼが他の男に抱き付く様子がかなり面白くないロデリック。
しかし、この状況でファルネーゼに文句をつけるのも、心の狭い度量の小さい男と思われそうだしなー、とぐっと文句を呑みこんだ。
代りに、心の中の閻魔帳を開いて『恋敵:第二位 セルピコ』としっかり名前を書き留めておいた。ちなみに『第一位』の欄に書かれている名前はガッツだ。
…案外彼女は気が多い女なのかもしれないなー、とは思うが、『自信満々』がロデリックの信条だ。
この旅の間にライバル全員蹴散らして、俺がファルネーゼのハートをぎっちりがっちり掴んでメロメロにさせてやるぜーっ、と熱く激しい闘志を燃やしている。…がんばれ。
イシドロが波間に漂うガッツとシールケの姿を発見して、
「おーい、こっちだ、こっちー」
と大きく手を振った。
…なにはともあれ、旅の一行全員はなんとか生き延びた。活躍場面のなかったガッツは『くそう、俺様が主役のはずじゃーねえのかあっ』と、一人内心でぼやいていたが。
エルフへルム行きの旅はまだ続く。以下次号。
…そして、大洋に島のような巨体を浮かばせ漂流するハナゴンもまた、からくも生き延びていた。
落雷で全身の表皮が焼け爛れ満身創痍のハナゴンの肉体は、未だその生命が尽きてはいなかった。心臓はか細い脈を打ち、傷だらけの巨躯に血液を循環させ、ハナゴンの巨体を生き長らえさせていた。
波間を漂いながら、ハナゴンは『何故、天は人間に味方をしてハナゴンを打ち捨てたのだろうか』とクジラの脳味噌で考え続けていた。
天からの落雷、それは明白すぎるぐらい明らかな天の啓示だ。天意の象徴だ。
天の意志が、ハナゴンを打った。
……何故だ、とハナゴンは思考する。
そして思考することのできる己れに気付く。
…ハナゴンは、未だ生きている。天意にしたたかに打ち据えられながらも、未だハナゴンには生がある。
片方だけになってしまった視界で世界を知覚する。ハナゴンの巨大な眼は海面に半ばほど漬かり、海面下と上の両方の世界を映している。
海の上では嵐の過ぎ去った後の穏やかな太陽の光が降り注ぎ、空の色を映した濃紺色の海原に、星屑のような眩い光の帯がきらめいていた。
海面下は嵐など知らぬ風情で穏やかだ。
重力に縛られない、優しくて厳しい無限の世界がどこまでも広がっている。寄せては返す穏やかな波が、ゆっくりハナゴンの巨体をいずこか知らぬどこかへと運んで行く。
銀色の鱗の鰯の群れが悠々と泳ぐ様子がちらりと視界の端に映った。
ここは、ハナゴンが生まれた世界だ。
ハナゴンは苦痛を知覚する。全身のどこもかしこも傷だらけで、生を呪うような激痛に溢れている。呼吸し、肺から酸素を取り込む度に、体中の血管の中を苦痛の毒素が駆けずり回るようだ。
……それでも、世界は美しい。ハナゴンの内側の苦痛を失う事は、同時にハナゴンを取り巻く外側の世界を失う事と同義だ。
自問自答の方向をハナゴンは変換する。
天がハナゴンにその生を放棄せよ、と要求されたらハナゴンは従う気はあるか?
考えるまでもない。…否だ。
天はハナゴンの味方ではない。だがおそらく人間の味方でもない。何故ならハナゴンには未だ生命が残されているからだ。人間に荷担するなら天はハナゴンの生命を根こそぎ奪い尽くすだろう。
ひとつだけ理解したことがある。
天は公正でも善良でもない。気紛れで残酷で理不尽だ。退屈しのぎに生き物を駒にして、双六遊びをする博打うちのごろつきとたいした違いはない。
ハナゴンの海上の視界の片隅の遥か彼方に、海から立ち昇る潮吹きの柱が映った。
…さっきのクジラの群れ達だ。嵐が収まった海上をのんびりと遊泳している。
潮吹きの下には彼等の雄大な体躯が悠々と波を渡り、堂々と海を進んでいる。
すべての生き物の中で最大級の大きさを誇る、海の王者の姿だ。
流線型の体は水の抵抗を受け流し、尾びれは力強く水を蹴ることができる。海で生存することに適した、機能的で優美なかたちだ。
クジラ達の潮の柱が跳ね上げる水飛沫がきらきらと太陽を反射して、陽光の滴の首飾りように眩しく輝いて見えた。
…不思議だ。気紛れな博打打ちのごろつきが造ったこの世界には、ありとあらゆる理不尽な暴力と死と苦痛に溢れながら、同時に天界から零れ落ちたような光輝と調和が一瞬だけでも存在できることが。
ハナゴンは遠くから彼等を見守る。懐かしい喪失した大切なものを眼にするような思いで見守る。隻眼になったハナゴンは、前よりも一層醜い顔として彼等の眼に映るだろうな、とハナゴンは思う。
…それでも彼等の姿を遠くから目に映すことができるのが、ハナゴンは嬉しい。
たとえ片方だけになっても眼が残っていて良かった。視覚を失えば人間相手に戦うのは恐ろしく困難になる。
満身創痍の体を海に横たえながら、ハナゴンは『やっぱり人間は一人残らず皆殺しだ』の決意を新たにした。
天がハナゴンに味方しようがしまいが、人間の肩を持とうが持つまいが、それはハナゴンの意志とは関係ない。
ハナゴンはハナゴンだ。そしてハナゴンはクジラだ。クジラの敵は、ハナゴンの敵だ。
ハナゴンにはまだ生命があり、残されたそれをハナゴンは限界まで精一杯謳歌することができる。
……とりあえず、しばらくは怪我を治すことに専念しよう、と思いながらハナゴンはゆっくり眼を閉じた。
―――十一年後、残酷で理不尽な天は遂にハナゴンの生命を根こそぎ奪い尽くす。
ハナゴンは残りの生涯を使って人間の漁船、軍艦を手当たり次第に沈めに沈めた。総数二百二十六隻。死亡人命数は千を軽く越えた。
ハナゴンの遊泳する海域は航行不能の魔の海域と化した。
漁船がその海域に侵入するや否や、どこからともなく嵐を引き連れた一つ目の海の魔物が出現し、恐ろしい形相で船を襲撃して沈没させるのだ。
「海の魔物」を漁民の世迷い言として取り合わなかった領主たちも、実質上、航行不能海域が海図上に存在することを認めざるを得なくなった。
業を煮やした沿岸諸国の連合海軍が総数二十隻の艦隊を組織し、三日三晩に渡る攻防を繰り広げた末、遂にハナゴンは壮絶な戦死を遂げる。
軍誌にはハナゴンの事を「凶暴化したクシャーン人の生物兵器」として記されたが、人間がハナゴンをどう捉えようとそれは人間側の問題であって、ハナゴンの知った事ではない。ハナゴンにとっては人間は海で生存できない下等生物だ。
同様に、近辺の迷信深い漁村がハナゴンの祟りを恐れて密かに祠を奉ったことも、ハナゴンの知った事ではない。
ハナゴンは死んだ後で、嵐を呼ぶ海の魔物から嵐を司る海の精霊に昇格された。
…ハナゴンは、天に所属する存在として漁民たちから認知された。
人間から崇められてもハナゴンは別に嬉しくはないだろうが、ハナゴンの祟りを恐れて子供連れの雌クジラは漁の対象から外される事になったのだけは、面目躍如たるものがあるかもしれない。
魔の海域だった領域では、今もクジラの群れが潮を吹いている光景をよく見掛ける。
コピペミスで13がふたつあります…。順番入れ違いで、下の方が先の文章です…。
最悪すぎるミス。。。 1-464
面白かったっすよ!GJ!
本編もこのくらいさっさと進めばいいのになorz
書き込めるかな?
133 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 17:03:14 ID:7IFSt2JA
下がってるぞ
人来てないのか?
拷問部屋に入れられたホリエモンが乙部とライブド○社員をニエにして、
ゴッドハンドに転生するはなし書いてください。
絶頂を極めていたホリエモンは部下の裏切りにより、
刑務所に入れられ、変態囚人の拷問を受ける。
一年後、出所したホリエモンをライブドアの残党が迎えにくるが、
ブタはすでに拷問により再起不能となっていた。
自分では立つこともできなくなったブタは血の涙を流して泣く。
そこへ宮内や乙部たち仲間が走ってくる。
(くるな……今お前にふれられたら、俺はお前を――許せなくなる!!)
そのとき、ブタの心の叫びと共鳴するかのように真紅のベヘリットが血の涙を流し、
異世界空間への扉が開かれた。
(続く)
ホリエモンの捧げる大切なもの
お金しかないな
「……なぁマジなのか?でたらめ……だよな?テレビで言ってた逮捕なんて……っちっ!いいよ直接社長に聞く!」
「無理だよ。ホリエモンには、答えることが出来ない……」
「おい……冗談だろ、な? ちょっとした事情聴取とかでそれで……あああああ!!何だそりゃよおお!?
これからじゃなかったのか……? ええ? 株価が上がってきたこれからじゃなかったかよ? わけもわからねぇうちに
TVに取上げられて一年間さらしものにあっても……それでもホリエモンなら何とかしてくれる……
信じたあげくが……これかよ……? へへ……だから言わんこっちゃねぇ、やっぱりなぁ、やっぱりなぁ!!こんなこったろうと思ってたぜ実際によお……これでよお……これで……もう……」
その先はみんな知っていた……だが誰一人 それを口にする者はいない。
風だけが 会社の終わりを告げていた。
「どう……するんすか……オレ達これから……ラ、ライブドア自体が倒産したわけじゃないんだ……乙部さんがこのまま……」
「ホリエモンあってのライブドア。それはみんなわかってるはずだろ、ここに残ってるものならなおさら」
「だけどそれじゃあ……」
「この一年一番無理してきたのは乙部なんだぞ、これ以上無茶言うなよ」
牢屋
堀江「こんな所で何を脅えている?」
「……う……う……」
堀江「……………………」→(フジテレビ)
「…………あ…………!!」
堀江「行こうよ。まだ遊び足りない、夕日はまだ沈んじゃいない」
堀江よりグリフィスのほうがずっとできた男だったよ。
ただひとつ――彼はウホッだった。
ただそれだけが、運命を狂わせたんだ。
堀江「何千の味方、何万の敵のなかで」
宮内を振り返るホリエモン。
堀江「そうだ、お前だけが俺に――夢を忘れさせた」
「……げる」
「因果律の糸を今結ばれた!!」
ボイドの手から光の束が迸る。
次々と烙印を押されるライブドア社員たち。
襲い掛かる異形の怪物。
ライブドア社員は使徒の群れになぶりころしにされていく。
乙部を連れて逃げる平松だが。
(お前には大切な事を言い忘れたな……)
平松「お前って……意外とよく泣くんだよな」
カクン
乙部「え……平松……平松――っ!!」
絶命する平松。
そのまわりを囲む使徒。乙部はよってたかって犯されてしまう。
やがて闇のブタ・フェムトとして復活するホリエモン。
ブタは宮内の見ている前で乙部を犯す。
ブタに犯されて絶頂をむかえる乙部。
宮内「堀江――――っ!!」
そこにホワイトナイトの三木谷が乱入し、片腕と片目を失くした宮内と乙部を救出に来る。
宮内「これはマネーゲームだ! マネーゲームは最後に立っていたものが勝ちなんだよ!」
こうして宮内は復讐の旅に出た……。
(続く)
ゾッドって性欲なさそうだな
142 :
牛男:2006/01/31(火) 21:07:20 ID:gATVkc/E
そういえば、以前ここで書いてたなー。
もうなくなっちまったか。
本人だと信じて。
H×Hすれとかに残ってる未完成?なSSはもう書く気無かとですか?
なんか職人さんぴたっと動きが止まっちゃったな
職人さん (屮゚Д゚)屮 カモーン
「(フジ問題)セーフ・・・とか言って随分社員辞めちゃったけどまぁいいか、よーし行くぞお前ら!」
「や・・・やばいですぜ社長、いくらなんでも百分割なんて・・べ・・別にビビってるわけじゃありませんが
わざわざ警察に捕まりに行くようなことをするなんてバカのやることでさぁ」
「あ−やだやだ、大人はこれだから。捕まるだの捕まらないだのなんて言ってたら人生損しちゃうよ?ライブドアの心得!!」
「エ・・・エンジョイ&エキサイティング!!」
「そういうこと、忘れちゃダメだよ?」
146 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:10:04 ID:FzOq7am/
ライブドアネタ……ひでえ。
でも思わず笑っちまった。
アニメ板で漏れはついホリエモンをグリフィスになぞらえてしまったが、
ここでも同じ流れが・・・
ファルネーゼとそういう関係になったセルピコが
都合のわるい展開になるとセクースになだれ込んで誤摩化すという
お笑いエロネタをふと考えた
149 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:00:31 ID:CSxnM/iB
エンジョイ&エキサイティング!!
150 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:09:52 ID:l2Ne2RNK
使途に犯されてるキャスカのSS書いてください
152 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 16:00:13 ID:rXRQzzpo
age
153 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:55:25 ID:0/h+yR6G
age
154 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 23:24:36 ID:V3P01eOn
お〜い!!
155 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/19(日) 09:08:22 ID:s31ACQ9f
ぬるぽ
156 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 15:11:54 ID:Tck38bmV
ガッ ツ
157 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/27(月) 15:45:48 ID:0wwdxGrs
だ〜れ〜か〜
どんなのキボンなんだあ〜?
159 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 18:34:28 ID:jhNPwhM4
ん〜、ガッツが狂戦士化して、なぜかレイプしまくるのキボン。
160 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 21:11:15 ID:HZoPmhF0
うむ
161 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 09:47:21 ID:ZdrgAyUg
神降臨か!!wktk
コミックス派の私が通りますよ・・・。
結局、みんなで旅を続けることになって安心。
マニ彦が余計な気がするが。・・・なにかに使えるか?
ピコは肝心なときに色気があってイイ!
ファルは本命が決まりかねているようだが、
エロパロ的には、カプの幅が広がるので良いんじゃないかな。
唐突だが、ミュールとソーニャのエロ希望!!1!
ソーニャと狩人の使徒でもイイ感じ!
ああ、神よ。
ファルは本命が決まりかねているようだが、
エロパロ的には、カプの幅が広がるので良いんじゃないかな。
ふと男性陣のチンポだけ出した壁見て
ファルはどれを選ぶんだろうと考えた
やはりガッツ>>>ロデ>>>>>>ピコだろうか?
164 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 20:03:38 ID:1XN3vxJ0
>>158 使途に犯されてるキャスカのSS書いてください
165 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 21:42:49 ID:DaqqLiel
まだかな、まだかな。
ごめんね強姦ものは得意じゃないんだスマソ
167 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 23:31:00 ID:DaqqLiel
う〜ん……パックとイバレラの絡みをキボンヌ。
ちょっとまて、パックにちんこが見当たらない
ただ書かれていないだけか、男妖精には男性器がないのか
あるとしたらどんなもんなのか、人間と同じように考えていいものなのか
実は使途並のブツになったりするとか
170 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 17:49:26 ID:8Qi4RnaQ
パックにちんこが無いのは描かれてないってことで。
もしくはパックが自分自身で隠してるってことで。
コツカケ。
ちょっと長いけど投下します。
前に書いた話の続きって感じで。
賑やかな港町に到着して二日目。
シールケは昨日の目紛しい出来事を思い出しながら、
ちっとも慣れない人ごみに戸惑い、歩いていた。
宿屋のおかみから好意で譲って貰った服は、なんとなく気恥ずかしい。
それでも人目を惹かずに堂々と歩く為には、気恥ずかしさは後回しだ。
今は騒ぎを起こさずに、慎重に行動した方がいいに決まってる、
そう考えながら石畳を歩いていたシールケに、誰かが声をかけた。
「そこのお嬢ちゃん、おじさんが作った飾り物を見ていかんかね。」
視線を向けると、初老の男が道端に座り、
低い台の上に布を拡げて店を構えている。
「これなんかどうだい、お嬢ちゃんの服に似合うだろう?」
ごつごつとした無骨な手で、手作りらしいアクセサリーを示され、
シールケは興味を惹かれて近づくと、台の上を覗き込んだ。
「……これ、フクロウですか?」
「そうだよ、おじさんが作ったんだ。
お嬢ちゃんがつけたらきっと可愛いだろうよ。」
にこにこと笑って男はフクロウのブローチを、
シールケの胸元にあてがって見せる。
木彫りの素朴なブローチは、胸元で笑いかけているように見えて、
シールケは自然と笑顔になっていた。
「これ、おいくらですか?」
男が示した金額は、決して高いものではないが、
かと言ってめっぽう安いとも言えない。
これからどれだけ旅が続くか解らない状況であれば、
無駄遣いは控えるべきと考えているシールケには、
身を飾るだけの品を、あっさりと買うつもりにはなれなかった。
どうしようと眉をひそめ、でも手放すのが惜しくて、
掌の上でフクロウを転がしていると、背後から大きな影が差し、
シールケの頭越しに逞しい腕が伸びて来た。
「親爺、このブローチ貰うぜ。」
揉み手をして愛想笑いを浮かべた男にコインを渡した腕に気付き、
咄嗟に振り返ると、ガッツが口の端を僅かに緩めて微笑んでいた。
「ガッツさん。そんな、結構です。無駄遣いはいけません。」
「……ブローチの一個や二個、たまにはいいだろうよ。」
ガッツが同意を求めるように振り向くと、
大きな身体に隠れて見えなかった、セルピコが笑って頷いていた。
「そうですよ、シールケさんも女の子ですからね。
可愛らしいもの、綺麗なものは欲しくなって当然です。」
「でも……お金は大切に使わないと……」
「大丈夫ですよ、僕が何とかしますから。」
シールケの手から取ったブローチを胸元につけてやり、
にこにこと眺めるセルピコの背中に、
ファルネーゼを置き去りにして駆け寄って来たキャスカが、
後ろからもろにぶつかった。
「ああー、あー、あー。」
たたらを踏んで転びかけたセルピコの隣で、驚くシールケの胸元を指差し、
キャスカが喚きちらすと、すぐにガッツが察し、その肩を掴んで首を振る。
「駄目だ、それはシールケのじゃねえか。キャスカにも買ってやるから、
ほら、駄々捏ねるんじゃねえ。」
納得したのか、キャスカはきょとんとしてガッツの指差す方向を見遣り、
指をくわえてあちこち目移りしながら悩み始めた。
「……キャスカさん、急に走らないで下さい……」
息を切らして追いついたファルネーゼが、
キャスカに腕を引かれて、アクセサリーを一緒に選ばされている姿を見て、
セルピコが肩を竦めて微笑み、遠巻きに見ていたイシドロが、
けっと呟いて石を蹴った。
結局、小鳥の形をしたブローチを買って貰ったキャスカは上機嫌で、
胸元につけたそれを指先で触れながら、ファルネーゼと手をつないで歩き、
他の仲間達がその後に続く。
少しだけ離れて歩き、時々胸元に視線を落としていたシールケに、
そっとイバレラが囁きかけた。
「ちょっとちょっと、最近ぐっと優しいじゃないの、あの男。
きっと、シールケに気があるのよ、きっとそう。」
「……馬鹿な事は言わないで。ガッツさんは私が欲しがってたから、
見兼ねて買ってくれただけ。」
「そっかなあ、そんなことないと思うけどなー。」
「そうなの。」
きっぱりと言い返したシールケは、嬉しい反面、複雑な心境でもあった。
確かにガッツはシールケに優しいというか、親切になった。
シールケの忠告も、全部ではないが聞き入れてくれる事も多くなったし、
口数も、僅かではあるが増えたような気がする。
しかし、それがシールケに対する好意というよりも、
ご機嫌取りにしか思えない。
なぜなら、以前シールケがかけた魔法。あの魔法をかけて欲しい為に、
ガッツは親切にしてくれている、そんな気がして仕方がなかった。
夢の中で出逢う魔法。
あの魔法をかけた翌日から、ガッツは確かに変わったと思う。
共に旅していても拭い切れなかった刺々しさが薄れて、
落ち着いた様子を見せている。
キャスカも元通りとはいかないし、自由気ままに振る舞うのは変わりはないが、
ガッツが近づいても態度を変えずにいるし、例えその身体に手が触れようとも、
威嚇して怯える様子はない。
たった一夜でこれだけ変わるものならば、そして、夢の中で愛し合えるのなら、
もう一度、魔法をかけて欲しいと思うのは当たり前だ。
しかし、まだ幽体の傷が完治していない状態で、
激しい行為を繰り返すのは、どう考えてもよくないと思う。
もう少し猶予を持って、魔法を使うべきだと思われたシールケには、
ガッツの親切が無言の圧力にも感じて、時々気持ちが重くなる。
『やらなければよかったのかしら……ううん、そんなことない。
だって、ふたりとも、あんなに穏やかになって……
そうよ、間違ってなんかない。……そうですよね?お師匠様……』
考え込んで、仲間達から遅れたシールケは、
帽子の上のイバレラにせっつかれると、慌てて歩調を速めた。
鬱蒼とした森の中でシールケは杖を抱え、
岩に腰掛けて大きなため息をついていた。
結局、ガッツの無言のプレッシャーに負けて、
魔法をかけると自分から言い出してしまった。
慣れてない人間から見れば一見、無表情に見えるが、
実はあからさまに嬉しそうな顔をしたガッツは、
いそいそと装備を外してベッドへ潜り込み、
きょとんとしつつも、倣うようにベッドに横たわったキャスカは、
今、数メートルほど離れた、幻の芝生の上で、すでに絡み合っている。
取りあえず、茂みの影に真っ赤な顔で逃げ込んだシールケは、
そちらを見ないように見ないようにとしていたが、
やはり気になる年頃でもあり、興味をひかれてつい視線を向けてしまう。
怖い程に逞しい躯が、黒い肌のしなやかな躯を抱き、もつれ合い絡み合い、
合間合間に咆哮とも唸りともつかない声が、辺りに響き渡る。
キャスカも負けじと太い首に腕を回し、くびれた腰を突き上げては、
ガッツの分身を奥深くまで迎え入れ、嬌声を上げて仰け反っている。
茂みの影から伺っていたシールケは、いつしか息が荒くなり、
頬だけでなく、全身が真っ赤に染まり熱く滾り始めていた。
ガッツの分身と来たら、躯に相応しい大きさで猛り、触れるまでもなく、
鋼鉄のように硬くなっているのだろうと、傍目からでも解る。
そんなものを、あんな部分に……そう考えるだけでシールケは気が遠くなる。
月のものすら何度か体験したばかりで、
女性の秘められた部分がどうなっているのかは、
知識としてはあっても自分の部分も、シールケはまじまじと眺めた事もない。
必要以外で指先を触れさせたことのない部分は、
どう考えても、あんなに大きなものを納めきれる筈がないのに、
女性としては鍛えられた躯とはいえ、キャスカはあんなに細い腰で応戦し、
あまつさえ歓喜の声を上げる程に喜んでいる。
『大人になると、あんなに大きなものですら、平気で入るものなのかしら……』
高鳴る鼓動を聞きながら、無意識に熱い部分に指先でそっと触れて、
シールケは未知の行いに耽る、ガッツとキャスカから視線を逸らせずにいた。
そんなシールケと、ガッツ達を挟む位置で、
ファルネーゼは自慰に耽っていた。
ぴったりとしたズボンと下履きを膝まで降ろして膝立ちになり、
胸のボタンを全て外し、形の整った小さめの乳房と、
自分の指先に慣れた秘所を捏ね回し、
真っ赤に紅潮した顔を仰け反り気味にして、
茂みの向こうで繰り広げられる、
ガッツとキャスカの肉弾戦を見詰め続けていた。
『……怖いくらいに、大きい……きっと、私が相手をしたら……
……壊れてしまうに違いない……壊されてみたい……
……からだが、縦に裂けても、構わない……』
股間から全身に広がる快感に、膝ががくがくと震えて上半身を支えきれず、
ファルネーゼは乳房を掴んだ手を咄嗟に離すと、芝生に手を突いた。
その背後に、セルピコがいた。
夢の中とは思えない、匂いも感触もそのままの木に片手を突き、
いつもの無表情さは崩さず、しかし心の中は千々に乱れていた。
何年か前、セルピコの前に躯を投げ出したファルネーゼが、
今、目の前で無防備な姿態を晒している。
たぶん、セルピコが見ているとは気付いてないのかもしれない。
いつぞやの夢の中でも、ガッツとキャスカの事ばかり気にして、
お互いの存在に気付かないままだったせいもあり、
他の人間と夢を共有している事実を忘れてしまったようだ。
四つん這いの姿で夢中で股間を擦り、堪えた喘ぎ声を上げ、
ファルネーゼは自分の快感に酔い痴れている。
そんな狂態を眺めていたセルピコは、自分の中に、数年来感じていなかった、
欲望というものが湧き上がっている事に気付いた。
もの馴れた指先の動きと、目の前のふたりの行為に刺激され、
しびれるような快感が、絶頂を極めようとしている時、
ファルネーゼの背後から、冷たい指先が丸い尻に触れた。
思わず声を上げて振り向くと、無表情なセルピコが、
両手で丸みを確かめるように撫で回していた。
「セッ、セルピコッ!何をしてるのっ?あっちへ行きなさい!」
冷静さを失わずに、セルピコは口許に人差し指を立ててみせると、
「お静かに、ファルネーゼ様。聞こえてしまいますよ、ガッツさん達に。」
一瞬茂みの向こうに視線を向けたファルネーゼだったが、
ふたりがまだ、無我夢中で行為に没頭していると見ると、
すぐに振り返り、きつい眼差しをセルピコへと向けた。
「いいからあっちへお行きなさい!」
恥ずかしい姿を見られたファルネーゼは、精一杯の強がりで言い切るが、
そんな虚勢はセルピコには効かなかった。
黙って顔を伏せたセルピコは、ファルネーゼの腰を掴むと、
丸い谷間に鼻先を埋め、舌を尖らせて、しとどに濡れた部分を掬い上げる。
「いっ、や、やめなさい!何をするの!」
「……お手伝いですよ、ファルネーゼ様。
指だけでは、ご満足出来ませんでしょう?」
鼻先を埋めた状態で囁かれ、その僅かな刺激にも、
敏感になっている部分が、びくびくと感じてしまう。
「……やめ、なさい……何を、今更……
……一度は、私を、拒んだくせ、に……」
「……その、お詫びも兼ねて、お手伝いさせて、下さい……」
それだけ答えると、もうセルピコは言葉を返さなかった。
柔らかな肉に指先をめり込ませ、がっちりと固定してしまうと、
合間の襞を、突起を舌で舐め、奥深く挿し入れては抜き出して、
溢れる体液を啜り、丁寧にというよりも、執拗に舐め回した。
ファルネーゼを味わいながら、セルピコは熱く滾る脳内の片隅で、
わずかに残った理性で考え続けていた。
本来なら身分違い、それ以前に腹違いの妹であるファルネーゼ。
いつかは誰かのものになる、手の届かない高嶺の花。
ならば、目の前に咲いているこの時、この機会に手折ってなんで悪かろう。
幽体での繋がりだけなら、肉体に変化はないはずと、自分に言い聞かせて、
セルピコは超えてはならない一線を越える気になった。
香木の匂いがそうさせるのか、それとも夢の中と言う、
現実ではない空間がそうさせるのか、
例えファルネーゼのどんな姿態を見せられたとしても、
いつもなら信じられない我慢強さで耐え切るセルピコの、
理性の糸がぷつりと切れてしまった。
すでに腰だけを高く突き上げ、上半身は支えきれずに芝生に突っ伏して、
ファルネーゼは荒い息をつきながら、
初めて感じた粘膜の快感に酔い痴れている。
無防備にひくつく秘所を、愛しいものと眺めて、
セルピコは下半身を包むものをゆっくりと引き下ろすと、
ガッツ程ではないが、それでも充分な大きさと、
硬さを持った分身を露にし、先端の濡れた部分を秘所へと宛てがった。
ぐったりとして、呼吸だけを辛うじて繰り返していたファルネーゼが、
未知の感覚にびくっと躯を震わせる。
「セル……ピ、コ……もう、やめなさ……」
「……いいえ、やめません。」
言い返そうとしたファルネーゼが、体内に侵入する異物に反応し、
上半身を仰け反らせる。
幽体では破瓜の痛みはないらしく、ただ違和感だけが感じられた。
「……どうですか、ファルネーゼ様。もう、根元まで入りましたよ。」
冷静に伝えられる言葉に、ファルネーゼは羞恥に顔を赤らませる。
「……ああ、とても、熱いですね、ファルネーゼ様のなか、は。」
「……いちいち、言わないで……」
「いいえ、言わせて下さい。
どんなに貴女が熱いのか、きつく締めつけてくるのかを……」
「……ばか、セルピコ、覚えて、なさい……
……後で、鞭を、くれてやる、から……」
徐々に早まる動きにつられて、ファルネーゼの躯は前後に大きく揺らぐ。
揺らぎが内部を刺激して、荒い息はますます苦しく、喘ぎに変わって行く。
犬のように口を大きく開け、舌を出して喘ぐファルネーゼを、
セルピコは無表情で、しかし、明らかに興奮から来る紅潮に頬を染めて、
腰を掴んで繋がった部分を引き離し、そして激しく打ち付けていた。
犬の姿勢で達したファルネーゼを芝生の上に寝転がして、
セルピコはもう一度、まだまだ力を保った分身を秘所に挿入する。
半開きの口は上擦った声しか出せず、セルピコの舌先に寄って征服される。
片腕でファルネーゼの足を持ち上げ、
大きく拡げさせた股間に腰を打ち付けながら、
セルピコの唇は耳朶を齧り、首筋を這い回り、硬く尖った乳首を吸う。
快感に我を忘れ、理性すら失ったファルネーゼが、セルピコに与えられる、
僅かな刺激にもいちいち敏感に反応して、半開きの口の端からは、
喘ぎ声とともに唾液がつうっと流れ落ちた。
いつしか両腕はセルピコの首に絡み付き、
刺激を待ちわびる仕草さえ見せ始めて、
セルピコはやっと、表情を柔らかな笑顔に変える。
「……ファルネーゼ様、なかに、お出ししますよ……」
ファルネーゼの頬を撫でて、セルピコは優しいキスをすると、
一気に腰を突き上げて、完全な高みへと登り詰めるスパートをかけた。
絡み合いながら達するふたりを、シールケが呆然と眺めていた。
ガッツやキャスカとは違う声と気配に気付き、
そっと近づいてきたシールケだったが、
こちらでも獣のような行為が繰り広げられていると知り、
思わず眺めてしまった。
『……知らなかった、セルピコさんとファルネーゼさんも、
恋人どうしだったのね……』
少女らしい誤解をして、うっかり秘め事を覗き見してしまったと、
我に返ったシールケは徐々に後ずさりして、その場から立ち去ろうとしたが、
背後から肩を叩かれて、危うく大声をあげてしまいそうになる。
慌てて口許を押さえたシールケに、同じく慌てて身を縮めたイシドロが、
きょときょとしながら躯を引き寄せる。
「大きな声出すなよ。気付かれちまうじゃねえか。」
「……出しかけただけで、まだ出してません。」
「まあいいや。あっちもまだ、夢ん中ってとこだろうしな。」
馴れ馴れしく肩を抱き寄せる手に気付き、
シールケは思い切りイシドロの脇腹に肘鉄を食らわせる。
「いってえ!何すんだよ!」
「それはこっちの言い分です!馴れ馴れしく私に触らないで下さい!」
自分もうっかり大声を出し、シールケにも怒鳴られたイシドロは、
慌てて口許に人差し指を立て、辺りの様子を伺う。
幸い、どっちのカップルも、お互いしか見えてないらしい。
「だから大声出すなっつの。……お前に相談があるんだよ、
こっち、こっち。ここじゃうっかり話も出来やしねえから。」
手招きをして、木陰に隠れたイシドロに、訝しく思いながらも、
シールケはガッツ達、セルピコ達に覗き見を見つかるよりはと、
その後を離れてついて行った。
木陰に入ると、イシドロがそわそわと落ち着かない様子で、
ポケットに手を入れ、何度かシールケの顔を盗み見していた。
「相談とは何ですか?早く言って下さい。」
つんとそっぽを向いて告げると、イシドロは頭をぼりぼりと掻いて、
言い難そうに、口籠りながらシールケの顔を見る。
「んーと、あのよ、俺さー、考えたんだけどよ。」
「だから、何ですか?」
「んー……俺たちもさ、やってみねえ?」
「はぁ?」
「だからー、ガッツの兄ちゃんとか、キャスカ姉ちゃんとかが、
やってたよーなこと。」
シールケの顔がみるみる真っ赤に染まり、耳から首筋まで赤くなる。
「ばっ、バカな事を言わないで下さいっ!
あれは、大人がするものです!私や、イシドロさんにはまだ早いんです!」
相手が動揺したとみて、イシドロはにやにやとからかい顔になり、
「何言ってんだよ、俺が住んでた村の、隣の家の姉ちゃん、
お前と同じくらいで嫁に行ったぞ。
そりゃ、赤ん坊出来たのは、何年かしてからだけどよ。
でも、嫁に行けるってことは、やれるってことじゃねえか。
他の街でも、お前と同い年くらいの娼婦はごろごろいたぞ。」
「やめて下さい!」
くるっと背中を向けたシールケに、イシドロは懲りずに近づいて、
そっと耳許に囁きかける。
「……お前だって、興味あんだろ?
さっき、ガッツの兄ちゃん達見て、股、いじってたくせに。」
シールケの赤い顔から、一瞬のうちに血の気がひいた。
見られていたのだと顔色を変えたシールケに、イシドロが説得を続ける。
「お前がガッツの兄ちゃんを好きなのは知ってるよ、俺だってさー。
見てりゃー解るもんさ。でもよ、お前も見ただろ?あのでかさ。
そりゃガタイもでかいんだから、ナニもでかいのはしょうがないけどもよ。
あれ、お前のあそこに入るかー?ぜってー無理だろ?」
動揺しているせいか、イシドロの直截的な言葉にも怒りを覚えず、
ただシールケは、それもそうだと素直に頷いた。
「まだ子供だもんな、お前は。キャスカ姉ちゃんくらいに育ちゃー、
入るのかもしんねえけども。で、お前も興味あんだろ?
いっぺん、試してみてもいいと思わね?
俺くらいのサイズなら、試すにはいいと思うんだけど、どうよ?」
確かに、まだ子供っぽいイシドロなら、あれほど大きくはないだろうと考えて、
シールケは自分の考えに慌てふためき、頬をぺしぺしと叩く。
「な?今、ここでやっちゃってもよ、身体は別になんも変わんねーんだろ?
幽体とかだから。だったらお前は処女のまんまで、
育ってからガッツの兄ちゃんとやればいいじゃん。初体験ってやつをよ。」
シールケは迷いつつも、明らかにイシドロの提案に興味をひかれていた。
ガッツやキャスカだけでなく、いつも冷静沈着なセルピコや、
お嬢様然としたファルネーゼまで、人が変わってしまうほど、
あの行為は素晴らしいものなのか、自分の身で味わってみたいと。
ガッツ達、セルピコ達に散々見せつけられた挙げ句、
イシドロは自慰に飽きてぶらぶらと歩きながら、
自分も童貞からおさらばしたいとぼんやりと考えていた。
そんな時、シールケが無意識に自慰に近い行為をしてる姿を垣間みて、
ふと考えついた。
いくら自分が盛っていたとしても、キャスカやファルネーゼでは、
相手にもしてもらえないだろうし、例え相手にして貰ったとしても、
ガッツとセルピコが怖い。
万が一怒らせたら勝てる相手ではないと、今までの経験で身に染みている。
残るはシールケ。イシドロの趣味からすると、まだまだ幼過ぎるが、
それでも一応女だと失礼な事を考えて、ずっと様子を伺っていた。
シールケもイシドロ程ははっきりとした欲望を感じてはいないようだが、
少なくとも興味はあるらしいと判断して、
その肩を背後から叩いてみたのだった。
「なあ、どうするよー。」
イシドロにせっつかれ、シールケは俯いて唇を噛み締める。
「……一度、だけですよ?」
ぽつっと呟かれた微かな言葉を聞いて、イシドロはぱちんと指先を鳴らした。
「そう来なくっちゃ。んじゃ、さっそく。」
シールケの帽子を掴んで放り投げ、細く小さい躯を芝生の上に押し倒し、
イシドロはスカートの裾を掴んで、無理矢理に引き上げた。
「ちょっと、ちょっと待って下さい!服が破けちゃう!」
「だいじょーぶだって。ほら、じゃあ自分で脱げよー。」
唇を尖らせたイシドロは、恥ずかしそうに目を伏せたシールケの上からどくと、
自分もまたさっさと服を脱ぎ捨て、あっという間に丸裸になった。
シールケは恥ずかしさから視線を逸らして、服を破られまいと急いで脱ぎ、
観念したように、もう一度芝生の上に寝転んだ。
背中がちくちくして痛いと考える間もなく、イシドロの痩せた躯がのしかかり、
まだ膨らみ始めたばかりの、乳房とも言いがたい胸をきつく掴んだ。
「いたっ!」
「ちょっとくらい我慢しろよ。まずはおっぱい揉むんだろ?
ガッツの兄ちゃんだって、そうしてたじゃんか。」
ぎゅっと両手に握り拳を作り、シールケは返事もせずに目を瞑る。
イシドロは逸る心を抑え、どうにかリードしようと躍起になって、
ガッツがしていたのは、どんな手順だったかと思い出しながら、
小さな乳首を口に含む。
「きゃぁっ!痛い、痛い、そんなにきつく、吸わないで!」
シールケの手に顔を押しのけられ、イシドロは軽く舌打ちをする。
「何だよ、すぐ痛い痛いって。こんなの痛い訳ねえじゃんか。」
「痛いんです!もっと優しくして下さい!」
「優しくって、ガッツの兄ちゃんは……」
「ガッツさんの真似しか出来ないなら、もうやめて下さい!」
シールケに怒鳴られ、イシドロは頭を殴られたようなショックを受けた。
まるでお前は童貞丸出しだと怒鳴られた気分になり、
空に向かって頭をもたげていた、
まだまだ発達途上の分身が、しょぼんと項垂れてしまう。
それでもやりたいと思う気持ちだけは萎えず、気を取り直したイシドロは、
今度こそはと鼻息も荒く、ゆっくりと舌先で乳首を掬うように舐め上げると、
ひゃっと声を上げて、シールケの躯が強ばった。
嫌がられてないとみると、イシドロはもう一度乳首を吸ってみる。
今度はそっと、きつくならないように気遣って吸うと、シールケの唇から、
甘いため息が漏れ始める。
『そっか、こういうのがいいんだな。』
何となくコツを掴んだ気になって、
イシドロは小さな胸を指先でゆっくりと揉みしだく。
これもまたシールケには気持ちよかったらしく、
顎を反らして声を漏らしている。
『よっしゃあ、この調子!』
左右の乳首を交互に舐め、吸って、
イシドロはゆっくりと舌を下半身へ移動させた。
味わった事のない、不思議な感覚に翻弄されていたシールケは、
ぼんやりと霧がかかった頭をもたげ、うっすらと目を開けてイシドロを見遣る。
いつの間にか、臍を通り越した辺りまで舐めているのを見て、
慌てて止めようとしたが、声は掠れて上手く出ないし、手は力が入らない。
もがくうちにも顔はどんどん下がっていき、とうとう秘所にまで達していた。
ぴったりと合わさった部分を指先で開き、まじまじと見詰めている。
「へ〜、こんなんなってるんだ。……何か、すげーな。」
無遠慮な独り言を耳にして、シールケは恥ずかしさに両手で顔を覆い、
身を捩ってイシドロから逃げようとしたが、両足を掴み直されて逃げられない。
イシドロはさらに大きく秘所を押し拡げ、
何かを探すように指先で触れて確かめている。
『えーっと、確か三つ穴があって、真ん中に入れるんだよな。
一番上がこれで、次がこれ、で、尻の穴がこれだろ?
じゃあ、ここか。よーし。』
必死で挿入すべき箇所を探す指先は、ちょうどいい刺激となって、
またシールケを未知の感覚へと誘った。
そこへ、道筋をつけようと考えたのか、指先を挿入しかけられ、
シールケは自分でも驚く程の声を上げた。
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
「ちょ、おい、びっくりすんじゃねーかよ!そんなにここ、気持ちいい訳?」
指先は第一関節すらも入ってはいないが、
それでもシールケに衝撃を与えるには充分過ぎた。
「いやっ、怖い、もうやめて!」
「やめてって、今さらそんな事いわれても、無理だって。」
さっきの落ち込みはどこへやら、
すぐさま元気を取り戻した分身に一度視線を落とし、
秘所に指先を挿入しかけて、イシドロははたと思い出した。
『そう言えば、ここは濡れてねえと入んねーって、
どっかの親爺がいってたよな。』
イシドロは顔を秘所に寄せると、その複雑な構造に感心しつつ舌を這わせる。
他人の秘所を舐める行為に多少抵抗はあったが、やりたい気持ちが先に立ち、
幽体なんだからとの思いもあり、ただ潤滑油になればいいとばかりに、
むしゃぶりつくように秘所を舐めては、時々具合を見るように指先で確かめる。
そんな一連の動きはシールケの躯を抵抗も出来ずに、
びくびくと跳ねらせ仰け反らせ、
いつしか顔を被っていた両手は、芝生に食い込んでいた。
確かに気持ちがいいものだとは、思う。
しかし、生殖活動としてしか知識のないシールケには、
例え拙い動きだとしても、愛撫という行為はあまりにも刺激的過ぎた。
乳首とは赤ん坊が授乳の為に吸うもの、秘所とは生殖活動に必要なもの。
それを男が、当たり前のように吸ったり舐めたりした上に、
指先でまで内部に侵入しようとするのだとは知らなかった。
たぶん、生身ではこれ程までに快感を感じはしないのだろう、
幽体であればこそ、苦痛よりも快感を直に感じてしまうのかもしれない。
だとすれば、生身でこんな行いをしたら……そう考えてシールケはぞっとなる。
最後には生殖器というものが、自分の中へ挿入されるのだ。
指先よりもずっと太いものがと、ぼんやりとした頭でシールケは考える。
指先だけでもあんなに怖いのに、生殖器が入ったらどうなってしまうのだろう。
苦痛は少ないだろうが、快感だけでも充分な恐怖を呼び起こすだろう。
我を忘れてしまうのは、魔法を使いこなすシールケにとって、
命取りとしか思えない行為だ。
いつか使った術の最中のように、自分を見失ってしまったらどうしよう。
なぜか夢の中には、イバレラもパックも現れない。
助けてくれる人はいないのだ。
全身で快感を味わいつつ、ぼんやりと考え続けていたシールケの秘所に、
とうとうイシドロの分身が宛てがわれた。
「……っと、ここでいいんだよな……」
おそるおそる宛てがった分身の根元をつまんで、
イシドロはゆっくりと腰を進める。
先細りの先端がじわじわと秘所を拡げ、肉色をした内部に侵入していく。
その感触はイシドロを驚かせ、シールケの怯えにも似た焦りが湧き上がった。
『やっべぇ、なにこれ。すげー熱いし、きついでやんの。
これじゃすぐ終わっちまうぜ。』
初めて味わう粘膜の感触に、イシドロの分身は根元まで挿入されるなり、
どっと熱い迸りを吐き出してしまった。
「うわ、なんだよー。ちっくしょー!」
自分のものではない物のように、びくびくと内部で跳ねる分身に焦りまくって、
取りあえずイシドロは腰を引き、シールケの中から引き抜いた。
「悪ぃ、出ちった。」
頭を掻くイシドロを、シールケはじっと睨んで見上げる。
「……ちゃんと、してくれなきゃ、困ります……」
薔薇色に頬を染め、潤んだ瞳で見つめるシールケが、
無意識に腰をくねらせると、イシドロの顔もまた、
激しい運動や初体験の緊張からだけではない赤みが差した。
「えっと、あの、それって……続けていいってことか?」
「……もう、言わせないで下さい。」
ぱっと両手で顔を隠した癖に、両足を大きく広げたシールケに、
イシドロは元気を回復しまくり、白い体液が溢れる秘所へ、
もう一度トライしていた。
大木の枝に腹這いで寝そべって、パックが眼下の狂態に視線を落とす。
「人間って、大人攻撃が好きだよな。」
「大人攻撃ってなによ?」
大あくびをしたイバレラが、素っ気なく答えて目許を擦る。
「ほら、ああいうの。」
「しょうがないでしょ、人間は獣と違って年がら年中発情期なんだから。」
「面白いのかなー。」
「さあね、私、やってみたことないし。
それより、いつまでやってるのかしらね。見てるの飽きちゃった。」
「んじゃ、そこらへんで遊んでこよっか。」
「そうねえ、人間の繁殖活動見てるよりは、散歩の方が楽しいわね。」
パックとイバレラがふわりと飛び、そのまま空へと消えて行った後も、
三組の人間達が続ける『大人攻撃』は、果てる事なく続いていた。
183 :
172:2006/04/17(月) 00:11:06 ID:A9ItsgFx
一応これで終わり。
お粗末さまでした。
うっひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
guzzyobu!11111111
186 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 10:01:39 ID:WbxHt3Kw
amnndoxu
最初に水を差す感想なのでごめんなさいですが。
「前に書いた話の続き」って「前に『別の人が』書いた話の続き」の書き間違いですよね?
改行や単語とかで表面真似てるけど、でも中身別の人だと思いました…。。。
それは脇に置いといて、と。
>一見、無表情に見えるが、 実はあからさまに嬉しそうな顔をしたガッツ
に肩震わせてしばらく笑い続けました。キャスカとすけべがしたくて、幼女に無言の圧力をかける男…。
「シールケちゃんのご機嫌取りをする目的は、シールケちゃんの気を惹くためっ」な
ガッツさんを原作で見せつけられている身の上としては、成人女性に興味のあるガッツを見れてこの上なく嬉しいです。
あと、イシドロの悪戦苦闘ぶりが微笑ましかったっす。シールケ可愛い。
GJ!なにかネタ思いついたら、ガッツまた書いてください〜。
>>187 すみません、(´∀`|・ω・`)っ|)<中の人、同じです。
イメージ違いますか?
それはそうとして、楽しんで頂けたのは嬉しいです。
またそのうち投下させてもらいます。
>172
さ、さ、最高です!!!
次回作楽しみにしてます
素晴らしい職人さんだ!!
(*´Д`)ハァハァ
保守
神降臨祈祷
192 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/21(日) 16:10:29 ID:zVZQNHkV
下がり杉あげ
変なのが巣食ってるから書きづらいんだよな
194 :
194:2006/05/28(日) 18:05:45 ID:lFa113pI
>>24の続きを勝手に書きました。
元ネタの方すみません。エロなしです、すみません。
シュタウフェン家及びヴァンディミオン家御結婚式会場にて。
結婚の誓いの儀式も滞りなく終了し、退屈な関係者披露宴スピーチが延々と続く中。
早くも新婚さん気取りのファルネーゼ・ロデリック両者は,人目もはばからず披露宴席でいちゃつきまくっていた。
「はい、ロデリック、あーんしてっ。…ア・ナ・タ・ッ」
「ハッハッ、ファルネーゼは甘えん坊さんだなあ」
いそいそと食事をフォークで差し出すファルネーゼと、まんざらでもない表情で花嫁姿のファルネーゼのおでこをこつん、と人指し指でつっつくロデリック。
…両者の姿はまさしく典型的新婚さんカップルそのものだった。
『周囲の人間の視線』というものを思考からまったく消去しきり、『世界は二人だけのものっ。ここにいるのはあなたと私の二人だけっ』とでも言わんばかりの、ハートマークが飛び交うピンク色の空気の波動が二人の間からはたっぷり醸し出されている。
『若い人はいいわねえ。微笑ましいわ』と受け取るか、『…なんだかなー』と呟くか、『世界はお前等だけのもんじゃねえっ!周りの人間無視すんなあっ!』と割り込んでぶち壊したいと感じるか、…は、人それぞれだ。
末席に座るセルピコ君は、穏当な中間派だった。
『お嬢様さえ幸せなら、僕は、別に…。別に…………。……ふう(ため息)』
テーブルに出された豪華な披露宴料理を、セルピコ君は機械的に黙々と口に運んで呑み下した。
大枚積んで招び寄せた有名シェフが調理した料理らしいが…、セルピコ君には味がしない。
195 :
194:2006/05/28(日) 18:06:44 ID:lFa113pI
ところで、ファルネーゼお嬢様は妊娠三か月の身重の身体のはずだった。
「はずだった」というのも、御館様がお嬢様の妊娠を、一言
「幻覚ですっ」
と強引に言い放った途端。
披露宴参加者は口々に、
「…言われてみると、気のせいのような気がしてきたなあ…」
「ヴァンディミオン家の御当主がおっしゃるなら、目の錯覚なのかも…」
などと言い出し始めた。
お嬢様までが、
「まあ、お父様がそうおっしゃるのならきっと幻覚に違いないわ。私、勘違いしてたのね」
とあっさり呟いてしまい。
するとなんということか、妊婦らしい曲線を描いていたファルネーゼお嬢様の腹部はみるみるうちにしぼんでいき、お嬢様は妊娠判明前のスレンダーな身体つきにあっさりと戻ってしまったのだ…。
セルピコ君は、ちょっと呆然とした。
(ええっ!?確か僕は、不安そうな顔のお嬢様から『セルピコ、生理がこないの…』と相談されて、一緒に病院についていって、お医者様から『おめでたです』って言われた記憶があるんですがっ!?
結納が済んだ後で、ファルネーゼお嬢様から
『病院で赤ちゃんの写真撮ってもらったのっ。私に似て可愛いでしょう?』
と人とも魚ともつかない、謎の物体Xの赤外線写真を見せびらかされて、
『…ええ、か、可愛いですねえ…』
引きつりながらお愛想言った記憶とかが、はっきりあるんですけどっ!?
それが、全部『幻覚』の一言でなかったことになっちゃうんですかっ!?
お嬢様、本当にそれでいいんですかっ!?)
花嫁姿のお嬢様は、幸せそうにニコニコしていた。
…いえ、別に…。お嬢様さえ幸せなら、いいんですけどね、僕は……。
脱力した気分でセルピコ君がシャンパンを啜っていると、披露宴客達がぱちぱちと拍手をする音が会場に響いた。
どうやら前の人間のスピーチが終わったらしい。
司会役の男が台本に目を落としながら、マイク片手に滑らかに告げた。
「イース海軍総督レンブラント氏の心暖まるお言葉でしたっ。
さて、次は新婦の兄君で、なおかつ新郎の親友でもあるヴァンディミオン家三男マニフィコ様の御登場で……」
司会者が言い終わる直前に、会場の扉の外からなにやら騒々しいわめき声が響いた。
「駄目駄目だっ。関係者以外は立ち入り禁止だと言ってるだろうがっ」
「あたしは立派な関係者だよっ。いいから通してよっ!」
どうやら招かれざる闖入者が衛兵と言い争っているらしい。
披露宴会場が「何事か」とひそひそと囁く。声からすると闖入者は若い女のようだ。
何故か、ロデリックの顔がすうっと青褪めた。
「…ま、まさか…」
とロデリックは、口の中で小さく呟いた。
196 :
194:2006/05/28(日) 18:11:22 ID:lFa113pI
騒音と共に会場の扉がバンッ!と中央から開かれた。
髪を振り乱した二十代半ばの女性が二人の衛兵に取り押さえられていた。
結構グラマラスな美人だが、しかしどことなく水商売臭い雰囲気の女だ。
披露宴客が注視する中、女は衛兵から引っ張られながらも必死の形相で爆弾発言を投下した。
「ロデリック!あたし、やっぱりあんたと別れられないっ!
あたしとはもう縁切りだなんて、絶対にイヤーッ!!」
会場が、大きくどよめいた。
シュタウフェン家側招待客のうち、年配の男性数名が「あちゃー」という表情で額に手を当てていた。
どうやらシュタウフェン家の方では、その女性の存在は暗黙の事実であったらしい。
会場の披露宴客の視線が女から一斉にロデリックに集中した。
苦虫を噛み潰したような顔、「…かわいそうになあー」という同情と共感に満ちた顔、「他人の不幸は蜜の味」とでもいわんばかりの興味津々たるわくわくした顔つきなど、実に種種様々だ。
「…ロデリック、これはいったいどういうことですの…」
ロデリックの隣のファルネーゼお嬢様が、ややひきつった顔でロデリックに問い詰めた。
ロデリックは「フッ」と白い歯を光らせた笑みを浮かべて、爽かに前髪を掻き上げた。
次いでファルネーゼの両肩にがしっと手を置き、彼女の青い両眼を真っ直ぐ覗き込んで自信満々に宣言した。
「ファルネーゼ。俺を信じてくれっ。俺はっ、必ずあんたを幸せにしてみせるっ!」
…だが、ファルネーゼはごまかされてくれなかった。
「…説明を、していただきたいと申しているんです、ロデリック」
氷のように冷えきった声音だ。
目が据わっている。
どろどろのドス黒い暗黒オーラが、純白の花嫁衣装姿のファルネーゼお嬢様の全身から立ち昇りまくっているのが、霊能者でなくてもはっきり目視できた。
末席のセルピコ君は『…あ、ヤバイ…』と心の内でこっそり呟いた。
ファルネーゼお嬢様がキレる寸前の傾向が、もろに顕れ出ている。
「さ、さあっ!次はヴァンディミオン家三男、マニフィコ様のスピーチです!
皆様、盛大な拍手を〜っ!!」
百戦錬磨のプロである司会者は、披露宴をつつがなく進行させようと強引に無理やり宣言した。
だが。
しーん……。
披露宴出席者の皆様がたは、固唾を呑んで新郎新婦が破局へと突っ走りつつある有様に注目していた。
マニ彦さんのスピーチと修羅場真っ最中の新婚さんカップル。
…見せ物として面白いのは、どう考えても後者だ。
「…え、えー、あー、本日はお日柄も良く…。その…、ロ、ロデリック君と私とは……たいへん長い付き合いで…、…えー……」
スピーチ席では、司会者から振られたマニ彦さんが、おずおずとうわずった声で祝辞を述べ始め出したが、…誰一人として聞いている様子はない。
ただ一人、司会者だけが、
『続けてくださいっ。あなたのスピーチにこの結婚式の成否が賭かっているんですっ。
本当ですっ。無事に結婚式を終了させたいのなら、どうか続けてくださいっ』
祈るような形相でマニ彦さんを見上げていた。
やめるにやめられず、マニ彦さんはしどろもどろになりつつも、一生懸命壇上でスピーチを継続した。
「え、えーと…、ロデリック君は…、ひ、人から誤解される事も多いのですが…、けれど、本当はとても誠実で真面目な人柄で…」
「ロデリック!あたしだけじゃないわっ!この子にはやっぱり父親が必要なのようっ!」
マニ彦さんの誠実で真面目な努力を、招かれざる爆弾女性が粉微塵に粉砕した。
披露宴客の視線が、新郎新婦から爆弾女性の方へと一斉に移った。
そのうちの大半は、あきらかに結婚式が破壊されていく有様を『いいゴシップのネタができた』とばかりにものすごく楽しんでいるようだ。
『貴族社会って…なんだかなー』
と部外者のセルピコ君はこっそり呟く。
197 :
194:2006/05/28(日) 18:13:38 ID:lFa113pI
見れば、爆弾女性の足許には三、四歳ぐらいのよちよち歩きの幼児がまとわりついていた。
胸当てつきのジーンズを着た、黒い髪のやんちゃそうな男の子だ。
言われてみると鼻筋と眉毛の辺りが確かにロデリックと似ている。
女がうって変わって優し気な声で幼児に声を掛けた。
「…ほら、あそこにお父ちゃんがいるよ。お前もお父ちゃんに戻って来てほしいよね?
呼んでごらん、『お父ちゃん』って」
幼児は母親の指差す方向を見、ロデリックの姿を発見した。
ニコッと嬉しそうに笑い、幼児はロデリックに向けて手を振った。
「おとうちゃーん」
途端に。
ロデリックが…崩れた。
『自信満々』の顔にぴしっと亀裂が走ると、裂け目から後悔と罪悪感、後ろめたさに悩み苦しむごく普通の男の顔が、どっと洪水のように溢れ出した。
テーブルにがくっと肘を付き、ロデリックは両手で顔を覆った。
ひび割れた声が、顔を伏せたロデリックの口から零れた。
「…すまない。…俺が、悪かった…。ひどいお父ちゃんを、許してくれ…」
容疑者自白。有罪決定。
ファルネーゼの顔が紙のように真っ白になった。
両手で顔を覆ったまま肩を震わせているロデリックを見つめ、
「…フフフ」
とドス黒いものが籠った声音で、ファルネーゼお嬢様は静かに笑った。
『うわ、これは、ホントにヤバイっ!』
セルピコ君は素早く席を立った。
さりげなく競歩選手のような速度の早足で、披露宴会場上座の新郎新婦席の方へとセルピコ君は真剣な表情で向かい始めた。
198 :
194:2006/05/28(日) 18:15:31 ID:lFa113pI
細かく震えるファルネーゼの手が、テーブルの上の銀の燭台にゆっくりと延びた。
燭台には、ついさっき新郎新婦のキャンドルサービスで、ロデリックとファルネーゼが二人並んで仲良く一緒に灯した蝋燭の炎が赤々と燃えていた。
その時の司会者のスピーチは、
「二人の愛は、この炎のように熱く熱く燃えていますっ!
蝋燭の炎は消えても、二人の心の中の愛の炎は、永遠に消える事なくいつまでも燃え続けている事でしょう!」
…だった。バックミュージックは『マイ・ウェイ』。
二人の愛の炎が、三十分もたたないうちにものの見事に消え失せるとは、いったいどこの誰が想像したであろう。
「裏切り者は、火刑だーっ!!」
叫びざま、花嫁はほんの数時間前、瞳を潤ませながら永遠の愛を神に誓った花婿のタキシードの背中に、火を放った。
「えっ!?う、うわああああっ!?」
うちひしがれていたロデリックは、それどころじゃない事態に唐突に気がついた。
背中が、燃えている。
床を転がって必死で火を消そうとするロデリックには目もくれず、ファルネーゼお嬢様は高笑いしながらテーブルの上に『えいっ』とばかりに放火した。
アルコール度数30度のワインを入れたクリスタル・グラスが、発火してぱっと綺麗な青い炎を放った。
ワイングラスは、ころころと転がりながらテーブルクロスの上に炎を散布した。
次いで、イッた瞳でけたたましく笑うファルネーゼお嬢様は、蝋燭片手に各テーブルを回って次々と火付け、頭のおかしい発狂放火魔っぷりを盛大に披露し始めた。
披露宴参加客の間から、一斉に悲鳴が上がった。
「しょ、消火栓だっ、消火栓ーっ!」
「医者っ!誰か救急車を呼べーっ!」
「消防車が先だーっ!」
「けっ、警察に連絡…」
「いや、警察はマズイって。一応仮にもヴァンディミオン家の御令嬢なんだし」
「でも、御令嬢っていってもやってることはキチ○イ…」
「シッ!聞かれたらどうするっ!キ○ガイはキチ○イ呼ばわりされると余計キレるんだぞっ!」
「あんた!あたしのロデリックになにすんのよっ!このキチガイ女ッ!」
「あああああっ、言ってはならない四文字言葉を堂々とッ!」
「うわあーんっ、おとうちゃんがっ。おとうちゃんがっ」
「貴様らもっ、まとめて全員火刑だあーッ!!」
「お嬢様っ!それはいくらなんでもマズイですって!」
「はっ、花嫁を、取り押さえろーっ!」
阿鼻叫喚絶叫火炎生き地獄。
床に飛び散る豪華料理、我先にと他人を押し退け合いながら出口へ殺到する人々。
逃げ惑う人々の足下では、愛と幸せの象徴である花嫁のブーケが、踏み付けにされ蹴り飛ばされて、原形を止めないボロの残骸へと変わり果てて式場の片隅に転がっていった。
……結婚式場は、惨劇の場と化した。
錯乱した花嫁が、ところ構わず手当たり次第に放火。
取り押さえようとした警備員、式場参加者にも手当たり次第に放火。
とにかく放火。放火。放火。放火。
放火×10。
…上質のリネンでできたテーブルクロスは、めらめらと実によく燃えた…。
199 :
194:2006/05/28(日) 18:16:24 ID:lFa113pI
件の結婚式場は、修復作業のため一か月の間営業不能状態になった。
それだけならまだしも、
「縁起が悪い」
「あそこの式場で式を挙げた夫婦は成田離婚する」
「蝋燭を手にして哄笑する花嫁衣装の生き霊を、深夜従業員が目撃した」
「呪われている」
等々の悪質な噂が業界全体に流れ、予約していたカップルのキャンセルが続出、営業売り上げに壊滅的なダメージを被った。
「当式場のイメージダウンによる営業成績劣化の原因は、すべてシュタウフェン家及びヴァンディミオン家に責任がある。よって、当式場は損害賠償を両家に要求する」
と、式場側が民事裁判所に提訴。現在もなお、賠償責任追究の裁判は継続中だ。
シュタウフェン家及びヴァンディミオン家御両家の縁談は、木っ端微塵の破談になった。
しばらくの間上流階級の舞踏会等で、両家の婚礼式場地獄絵図がおもしろおかしくひそひそと語られたことは言うまでもない。
「新郎に実は隠し子」なら、本来同情されるべきなのは新婦の方であるが…、
「新婦の報復処置で新郎が全治三か月の火傷で入院」となると、シュタウフェン家側の方で
「よく考えると、嫁がれる前に破談になってラッキーだったかもしれないなあ…」
などと胸を撫で下ろしている人々が少なからず存在したのも、無理はなかろう。
200 :
194:2006/05/28(日) 18:17:50 ID:lFa113pI
三か月後、火傷から回復したロデリックは、なかなか根性があった。
包帯も未だとれぬ痛々しい姿のままで腕一杯の白百合の花束を抱え、家人の反対を押し切って、再度ファルネーゼお嬢様にプロポーズするためにヴァンディミオン家を来訪したのだ。
放火されて火ダルマにされても、
「あんた、面白いな」
と言えるだけの度量があったらしい。
全治二週間の火傷をくらったセルピコ君は、ちょっぴり感動した。
(フツーの男性なら、まず逃げると思うんですけどねえ…。
世の中には奇特な方もいるものだなあ…)
門前払いをくらいはしたが、何度断られても、ロデリックは雨の日も風の日も律義に毎日やって来る。
「俺は自分が手を出した女は決して捨てないっ。男として責任を取るっ!」
…が、ポリシーなのだそうだ。
例の隠し子については、同居はしていないが相続権放棄の条件で正式に認知したらしい。
爆弾女性については、性的関係は一切絶つが(本人はまじめにそう宣言した)子供の母親でもある手前、まったく無関係になることはできない。
養育に関連したことで必要があれば今後も会う事があるだろう…、と真っ正直にロデリックはインターフォン越しに告げた。
過去は過去であって、今現在愛している女性はファルネーゼただ一人だっ。
…プライドの高いファルネーゼお嬢様がこの条件を呑むだろうか。
呑むわけないじゃん。
ヴァンディミオン家当主、フェディリコ・ド・ヴァンディミオン氏にとっても、ロデリックはヴァンディミオン家の娘を嫁がせるのには婿失格だったようだ。
隠し子云々は御館様にとっては取るに足らない出来事らしいが(…それについては、御館様に人の事どーこー言える資格はありませんしね…、とセルピコ君は内心こっそり思っている)、その処置の仕方が問題外だったらしい。
御館様にとって、結婚式場に昔の女が子連れで乱入してきた場合の正しい対処の仕方はこうだ。
(衛兵に向けて)「つまみ出せ」
(新婦に向けて)「頭のおかしい女のたわごとです。無視しましょう」
ポイントとしては、この間決して女性及び子供の方に視線を向けてはならない。
とにかく、存在自体を無視。
何を言われても耳を貸さない、決して動揺しない。
捨てられた側の心の痛みなど一顧だにしない鋼鉄の精神性が、当主たるものには欠くべからざる資質だ、とゆーのが御館様の持論だ。
情に流されて自分から詫びを入れる、非を認めるなど、言語道断、惰弱の一言に尽きる。
ロデリックは御館様の鑑定眼に適わない不良品、と判断されたのだが…、当のロデリックは、
「諦めずに熱意をもって扉を叩き続ければ、そのうち必ず道は開く!」
と固く信じているようだ。
毎日毎日訪れるロデリックに御断りを入れるのがセルピコ君の役目であるのだが、まるっきり無駄な努力を一生懸命やっている人なんだなあ、と思うとなにやらロデリックに対して微笑ましい気分になってくる。
「今日は御館様はスケジュールがいっぱいで面会は無理なんですよ。
ええ、いつもすみませんねえ。
お嬢様?あ、お嬢様は体調が悪いらしくて、誰とも会いたくないとおっしゃっておりまして。ええ。本当ですよ、ハイ。
ロデリック先輩、頑張ってくださいねっ。
先輩の熱意に、いつかきっと御館様とお嬢様も心打たれて感動すると僕は信じています!
僕は、先輩を応援しています!」
などとにこやかにインタフォン越しのロデリックと会話して、
「…セルピコ。お前って本当はいい奴だったんだな…。
すまん、俺は色々と誤解してたようだ」
という御返事をいただいたりした。
…いやあ、世間知らずの苦労を知らないお坊っちゃまって、本当に人を疑うことを知らないんですねー、とセルピコ君はやっぱり微笑ましい気分になった。
ファルネーゼお嬢様へと預かった白百合の花束は、捨てるのも花がかわいそうなので使用人用のトイレに飾ってあげた。
201 :
194:2006/05/28(日) 18:19:06 ID:lFa113pI
セルピコ君にとっては、もうひとついい事があった。
無意味な横恋慕、としか言い様のない、ファルネーゼお嬢様が追っかけをしていたお隣りさんの高校、鷹の羽学園のガッツさんが出奔されたのだ。
なんでも
「俺はグリフィスの夢にこのまま埋もれる訳にはいかねェ」
などと突如宣言。生徒会長グリフィス氏と決闘騒ぎを起こしたあげく、学校を自主退学してインドの山奥へと武者修行の旅に出立したらしい。
世の中には、今時並外れた時代遅れのバ…、いえいえ、無用な波風を立てないのが私の流儀。侮蔑罵倒語を連発して、周囲に不愉快な感情を撒き散らすような不作法を行う気は毛頭ございません。
今時のこすからい時代には珍しい、少年の心を失わない純粋な心根の持ち主の方もいるものだなあ…という感慨をセルピコ君は抱いたものだ。
嬉しいのでファルネーゼお嬢様に報告してあげた。
ファルネーゼお嬢様は結構ショックだったようだ。
「……あの人が、私に黙ってなんにも言わずに旅に出るなんて…。
いやっ、そんなはずはないっ!私宛に伝言か置き文があるはずだっ!
セルピコ、お前調べて来い!」
(……どーやったら、そうも自分に都合の良い方向へ考える事ができるんですか?)
とセルピコ君は思ったが、命令されてしまったので無駄と知りつつ一応調べに鷹の羽学園まで出向いてみた。
ガッツさんのお友達、といえば生徒会長のグリフィス氏が最初に浮かぶのだが、グリフィス氏はガッツさんの退学と同時に謎の失踪を遂げてしまったらしい。
決闘の傷がこじれて入院してるだとか、校長の娘に手を出して報復リンチで廃人同様だとか、種々の流言飛語が飛び交っているが真相は判然としない。
しょうがないのでガッツさんと交際している正式な彼女、という噂のキャスカさんにお尋ねしてみた。
「アイツの名前を、私の前で口にするなあッ!!」
…いきなり斬りつけられました。
最近の女性はどうしてこうも乱暴な方が多いんでしょうか。
カルシウムはちゃんと摂取した方がいいですよ。丈夫な赤ちゃん産めなくなるし。
次に、「情報通」という風評のジュドーさんにお尋ねしてみました。
「聖鉄鎖のファルネーゼちゃん宛の伝言?
…さあ、アイツ何も言ってなかったと思うけどなあ。
あ、『どーして俺は変態な趣味のある女ばっかりに追いかけられるんだ』って愚痴こぼしてるのなら聞いた覚えある。
それと、『聖鉄鎖のセルピコとはまた斬りたい』って言ってた。そっちのことかね?
『ル』しかあってないけど」
……………。
セルピコ君は、聞かなかった事にした。
せっかく火傷治ったのに、またファルネーゼお嬢様から八つ当たりされるのは、僕は御免です。
202 :
194:2006/05/28(日) 18:20:13 ID:lFa113pI
セルピコ君は、お屋敷に戻ってファルネーゼお嬢様に報告した。
「ファルネーゼお嬢様〜っ。やっぱり案の条当然のごとく、特にガッツさんからお嬢様あてのお言葉はなかったそうですよ」
ファルネーゼお嬢様は下を向いて黙り込んだ。
何か考え込んでいるようです。
……なんか、すごーくイヤーな予感がするのは…気のせいだといいんですけど…。
ファルネーゼお嬢様は決意を秘めた表情で顔を上げた。
「決めたっ!私はあの人の後を追う!」
「って、またお嬢様何をいきなり唐突に…」
「セルピコ、わかるのだ!これはっ、私の運命だっ!」
ファルネーゼお嬢様は瞳をきらきらさせていた。
思い切り自分の世界に浸っている瞳だ。
人が何を言っても右から左、馬耳東風モードだ。
セルピコ君は、説得の言葉をかけようとしてふっと考え込んだ。
それがお嬢様の幸せに繋がるのなら、よその男性とお嬢様が結婚されても喜んで祝福しよう…、とセルピコ君は心から思っているが。
思ってはいるが、しかし。
……本音は途轍もなくムカついてムカついて、婚約中にヴァンディミオン邸宅でファルネーゼお嬢様と楽しげに談笑するロデリックに、
(青酸カリ入りアーモンド風味紅茶を出してやりましょーか)
とか、同じく婚約中にお嬢様と楽しくデートしている、背中がら空き三百六十度どこもかしこも隙だらけ、鼻の下延ばしてにやけているロデリックに、
(…今なら、一撃で殺れますねえ…)
とか考えたのは一度や二度ではない。
確実に証拠が残らない機会は、残念ながらなかったが。
無用な波風は立てない主義ですから、ええ。
「殴られたら殴り返す」ような考え方は、報復を招くだけの愚かな蛮行です。
「殺すまで殴る。決して証拠を残さない」が平和主義者の僕のポリシーです。
事故死に見せかけるのがベストかな、とは思うのですが、最近の警察はブレーキの細工とか調べますしね。
仮にロデリック先輩が変死を遂げると、警察から容疑者ナンバーワンに上がってしまうのが、素行に問題のあるファルネーゼお嬢様…、というのも思い止どまらざるを得ない理由の一つですが。
久々にキター
204 :
194:2006/05/28(日) 18:25:31 ID:lFa113pI
御結婚がお嬢様の幸せに繋がるのなら、個人的な諸々の感情は呑み下して我慢もするが…、しかし結婚してお嬢様は幸せになるだろうか?
御館様の例を見るまでもなく、貴族の男性は女に汚い。適当に食い散らかしてポイだ。
その辺りは女性の方でも大して変わらない。
暇を持て余した有閑マダムの関心の向かう先は、ファッションとゴシップに燕飼いだ。
男女とも、公式の場面では夫婦円満の演技をして、私生活では遊び相手を取っかえ引っかえ、というのがごく普通の上流階級の貴き方々の姿だ。
それって…「幸せ」だろうか?贅沢に不自由はしないだろうが。
…結婚に過剰な夢を見る女性というものが、セルピコ君には理解できない。
結婚さえすれば、旦那が一生ちやほやして、大切に守ってくれて、幸せにしてくれる…なんてのは、おとぎ話の王子様に憧れる乙女のドリームでしかないと思うのだが。
一応王位継承権所持者のれっきとした王子様、ロデリックは…セルピコ君の観察した限り、善人らしいとは思うが、しかしおそらく、
「種をあちこちにばら蒔きたいのは男の本能」と開き直って、結婚後も平気で浮気しまくるタイプだ。
お嬢様が逃げてる限りは追いかけるだろうが、手に入れたら満足して、遠からずよその女に手を出すだろう。
断言しよう。金と権力に不自由しない男が、女遊びをしない筈はない。
必ず、間違いなく、絶対にする。
貴族の男性で妾を所持していない人間の方が珍しい。
金と権力のある男性でも、ない男性でも、「男の優劣はヤった女の数で決まる」という価値観を支持する男性は、決して少数派ではない。
でもってお嬢様が泣かされる。
お嬢様の涙に値しないような、ろくでなしの男のために。
…それだけは、なにがなんでも我慢ならない。
そして、お嬢様がよその男性と結婚されてしまえば、泣いているお嬢様の傍には誰がいるのか?
誰もいない。
女主人から「あっちへ行って」と言われれば、使用人は黙って去る。
一人でぬいぐるみの兎を燃やしていた、小さな少女の後ろ姿が脳裏を過ぎった。
セルピコ君は、まじまじとお嬢様をみつめた。
芳紀十六歳、蕾が咲き開き始めたばかりの年齢だ。
温室で育てられたか弱い可憐な花。
鋭い棘がびっしりと茎に生え揃ってはいるけれど。
随分ましになったけれど、泣き腫らした瞼がまだちょっぴり赤い。
あんな女たらしのキザなクソ野郎(すみません、つい本音が)のために、ファルネーゼお嬢様は毎晩泣いていた。
「裏切られて悔しい、辛い、悲しい」と。
八つ当たりで鞭で僕が毎晩しばかれましたが。
まあ、いつもの事なので、もう慣れっこだからいいんですけど。
…でも、お嬢様が誰かに泣かされるのは、僕が、嫌です。
今のところ悪評が祟ってしばらく縁談話どころではないだろうが、ほとぼりが冷めれば、また必ず縁談が持ち込まれるだろう。
ヴァンディミオン家の家名目当て、財産目当てで、お嬢様本人の事を何一つ理解していないない、愛してもいない男との。
ここにお嬢様を置いていれば、いつか必ず彼はお嬢様を他の男に奪われる。
御館様が、ヴァンディミオン家の都合と利益のみが目的であてがう男に。
御館様の鑑定眼に適って選ばれるファルネーゼ様の結婚相手は、煎じ詰めれば御館様と同種の人間だろう。
情愛よりも世間体優先。物だけ与えて放ったらかし。
そういう男性に、ファルネーゼ様を子供時代同様、贅沢尽くしの不幸な境遇に陥れさせるのは、セルピコ君が、嫌だ。
もうひとつ。
公平な視点で考えれば、普通の男性がファルネーゼお嬢様と結婚して、普通に生活を共にして…ごく普通の常識的な神経の持ち主の人間が、ファルネーゼ様の非常識っぷりに耐えられるだろうか?
…多分、きっと無理だ。
そればっかりは、無理でもしょうがない。下手すると命が危険だ。
我慢して耐えろ、ファルネーゼ様がどんなに口をはばかるようなアレでも、忍耐強く誠実に愛し続けろ、と要求する方が、無茶だ。
……彼以外の人間には。
205 :
194:2006/05/28(日) 18:28:52 ID:lFa113pI
「…どうしたの、セルピコ?何を人の顔をじろじろ見てるの?」
不思議そうな顔でファルネーゼお嬢様がセルピコ君を見上げた。
セルピコ君は、いささかの胸の逸りを覚えながら、まるでいつもの彼らしくない言葉を口にした。
「…お嬢様、そのお言葉は本気ですか?
今まで通りの生活を捨てる覚悟はお有りですか?」
ファルネーゼお嬢様は、ちょっとびっくりした表情で目を見開いた。
「お前、反対しないの?いつもは口喧しく
『鷹の羽学園のガッツさんは幼女にしか興味のないロリコンですよ。追いかけても無駄ですよ、諦めましょうよ』
なんて根も葉もないデタラメを私に吹き込もうとするくせに」
「…それについては、早く目を覚まして下さい、としか申し上げようがありませんが、御本人の口からはっきり確認を取った方がお嬢様も納得するかもしれない、と考えが変わりました。
でも、ガッツさんが何処へ旅立たれたのかは手掛かりがまったくないので…みつかるかどうか自体わかりませんよ?
何年も費してやっと見つかったと思ったら、ガッツさんから『俺は幼女にしか興味がない』とはっきり宣告されるかもしれません。
それでも後を追いますか?」
ファルネーゼお嬢様の瞳が揺れた。
それを見て、セルピコ君は『あ、やっぱり…』と心の中で呟いた。
ガッツさんは、口実だ。
お嬢様は、ただ単に逃げ出したいのだ。
ここから。この屋敷から。見捨てられ、打ち捨てられた庭園から。
出来の悪い失敗作を見る目で冷えた視線を投げ掛ける父親から。
ここじゃない何処かへ、お嬢様は逃げ出したい。
逃げたい理由は…ここが、牢獄だからだ。お嬢様の未来の決定権は、お嬢様にはない。
お嬢様の将来を判断し、決定するのは、すべて御館様だ。
ファルネーゼお嬢様は贅沢尽くしの牢獄に閉じ込められた罪人で、セルピコ君はその看守だ。
お嬢様を宥めすかして、おとなしくさせて、御館様に迷惑が及ばないようにするための、監視人。
「…それでも、お前は、一緒について来てくれるんでしょう……?」
縋りつくような表情で、お嬢様は頼りなく呟いた。
迷子になって途方に暮れた小さな子供の顔をして。
何処にも行くところのない、怯えた哀れな少女。
胸を衝かれた。
彼女には、彼しかいないのだ。
甘えられるのも、わがままを言えるのも、他のどんな非常識で理不尽な仕打ちをしても、決して彼女を見捨てずに、彼女が彼女でいる事をすべて許して受け入れると信じられる相手は。
…僕だけだ。
セルピコ君はお嬢様の手をそうっと握った。
火傷の跡が、まだうっすら残っている白い肌。
火遊びはやめて欲しい。お嬢様も無傷ではいられないから。
ゆっくりと床に膝を着いて、彼女の手の甲にくちづけた。
練り絹のように滑らかで白い、ひんやりした貴婦人の繊手。
「…ファルネーゼお嬢様の行くところなら、何処へでも。
どんな時も、いつでもお嬢様のお傍にいるのが、僕の役目です」
(病める時も、健やかなる時も、何があろうと、生涯永久に)
…この手を取るのは、僕だけでいい。
206 :
194:2006/05/28(日) 18:30:50 ID:lFa113pI
頭の中で、セルピコ君は一階奥にある金庫室の中身を勘定した。
取りあえずちょろまかせるだけの現生を拝借して、売り飛ばしても足がつかなさそうな宝石類を掻き集めて、と。
あとは…表に出るととてもマズイ、脱税工作の証拠がバッチリ記載されている裏帳簿を、善意の匿名希望密告者として税務署に郵送すれば。
御館様の性格からいって、お家の一大事と一人娘の失踪を両天秤にかけたなら…ファルネーゼお嬢様の捜索は後回しだ。
時間稼ぎとしては、それで十分だろう。
…ファルネーゼお嬢様と二人で駆け落ちして、御館様の手の届かない場所に逃げ延びるまでには。
御館様から、お嬢様を奪うのだ。
御館様にとって、お嬢様は厄介払いしたい失敗作でしかない。
政略結婚の道具に使うしか価値のない、いらない子供だ。
だったら、彼が拉って行って何が悪い。
長年お仕えして衣食住の賄いから学費の面倒まで見て下さった大恩人に、恩を仇で返すような真似をして、悪辣非道な裏切り行為を行うのだと思うと…胸が空くような痛快さがこみあげた。
「飼い犬に手を噛まれた」と御館様は激怒するだろう。
でも、僕は御館様の飼い犬ではありません。
僕の主は、ファルネーゼお嬢様ただ一人です。
ファルネーゼお嬢様と一緒にいたい、それだけが僕の願いで、お嬢様が僕がそばにいる事を望んでくれるなら。
他には何もいらない。貴族の爵位や地位や名声に、僕はなんの興味もありません。
ファルネーゼ様の弱さも間違いも醜さも愚かさも、何もかも、僕にとってはいとしい人を愛する理由でしかないから。
お嬢様が何かを追いかけたいのなら、僕はその後を「ファルネーゼ様ァ、待ってくださいよう」って言いながら追いかけます。
ずうっと今までそうして来ました。多分、これからも。
ガッツさん、どうかインドの山奥で一人で好きなだけ剣を振り回していて下さい。
できれば一生死ぬまで山籠もりをして、そのまま人跡未踏の僻地に骨を埋めていただけると、感謝の言葉に堪えませんが。
ロデリック先輩以上に、ガッツさんはお嬢様の相手として問題外です。論外です。
僕はファルネーゼお嬢様をあなたに近付ける気は、毛一筋たりともありません。
お嬢様の瞳が誰を追いかけていても、お嬢様のおそばにいて、彼女をお守りするのは僕です。僕だけです。
僕の見つけた僕の居場所は、お嬢様の傍らです。
僕に与えられた役目は、ファルネーゼお嬢様に御仕えする事で、今までもこれからも、何があってもそれは変わりません。
僕はファルネーゼお嬢様を主と誓って、誓いを受けたお嬢様は、一生僕の主人であることを誓ってくれたんです。
僕はお嬢様のもので、お嬢様のものでいる事が…僕は、幸せだから。
逃げた先の場所に何があるのかわからないけれど、違う景色は見る事ができると思います。
…二人で、いっしょに。
END.
GJ!
各キャラが立っててワロタw
よくぞ書いてくれました!という気分
しかし、セルピコはファルと結ばれようが結ばれまいが結局いつも不幸そうだな……
209 :
24:2006/05/29(月) 18:54:51 ID:gVVxJT4r
>>194 素晴らしいです!
自分のネタでありがとうGJ!!
ガッツの種付け退会キボン
211 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 16:39:55 ID:j6Z6X0zT
>>162氏に同じくミュール×ソーニャ希望
ソーニャの乳の無さが良い
nandakoko
やっぱなあ…原作が盛り下がってると職人さんもネタも出んよなあ…
とりあえずエロい展開にはなりそうにないな
そう今のベルセルクに足りないのはエロさだ
人それぞれだな。戦闘画面さえあれば文句なし。
しかし来週号はまた休載。。。
千年定刻からはgdgdだお(; ^ω^)
巣に帰れ
保守
一時期の女裸オンパレードが懐かしい
222 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 14:20:00 ID:LDgeVH9S
下がり杉上げ
sage進行でお願いします(;´・ω・)
寝てる子供が起きてしまいます(・ω・`;)
リッケルト×エリカ
226 :
225:2006/07/15(土) 18:46:46 ID:B/o9wBuc
いいよね!
キャスカとグリ
キャスカとガッツのSEXシーン書いた時は
びっくりこいた。
リッケルトが洞窟監禁時のキャスカに懐かれて思わずやってしまう話きぼう
作中で濃いSEXしてるから、同人で描かれてもな
と思ってしまう
>>230 確かに同人マンガの一覧なのだが、ある画像をクリックしたら、なんかトロイに……
234 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 22:02:06 ID:Bf+ml3Oj
保守age
235 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 10:22:01 ID:SOJo2kfq
シールケとかイバレラとか
236 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 10:27:40 ID:mPajm07y
妖精郷でえるふといふえるふをレイプ!
ロリペドの三浦とガッツの力を持ってすれば、妖精に挿入するなどたやすい事だ。
237 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 13:54:09 ID:SOJo2kfq
イエスアイドゥー!
そういえば自分の娘でロリペドビデオ作って
仲間と見てたっていう鬼畜親父のニュースがあったな
死ねばいいのに
三次に欲情する馬鹿は死ねばいい
さりとて此と其になにか関係が?
原作のロリ傾向に吐き気がする様になったんだよ
241 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 06:32:31 ID:6sYzpOKi
関係ねえじゃん、混同して犯罪起こすなよ
242 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 19:10:05 ID:dDX2xDy+
このジパングもうちょいでパンク
243 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 13:44:33 ID:1DhQIfZ4
こいつあまるで火事場
すげえ熱気溜まっちまう島国デンジャー
afogatakusanwaiteru
(#^ω^)あ?
246 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 14:51:57 ID:yX699f2K
( ^ω^)おっおっ
247 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 21:33:07 ID:v+TBmaej
下がってねぇか
248 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/25(月) 18:59:48 ID:kW2xyK+U
フローラとドクロの王様の絡み書けないかな?あと、パックとイバレラとかさ。
249 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 18:43:45 ID:v0MBip8J
最新刊、いまだ船に乗らず陸(空の様な気もするけど)どまり
まぁ楽しめているからいいけど
ところでだれかファルネーゼ×妖獣兵ものお願い
250 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 20:33:14 ID:LCLoQC08
だめじゃん、もうここ。
だれかシールケのレイプ書けよ!
ガッツ×シールケを是非お願いしたい
252 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 15:37:24 ID:yrMp8KRQ
同じく、ガッツ×シールケをお願いしたいです
シールケ初体験で
単行本派なんだが、益々シールケがヒロインとなっていくな
シールケみたいれす
保守
256 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 00:21:54 ID:9lhge2/q
age
257 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 00:19:43 ID:jEnt/zxK
ほっしゅ
同じく、ガッツ×シールケ×ファルネーゼをお願いしたいです
もちろんシールケ、ファルネーゼ初体験で 。
セルピコ参戦ありで
て、言うか本編どうした作者死んだか?
258 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 20:58:55 ID:r4rXsaR/
顔面神経痛で全治一ヶ月とか・・・
259 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 10:36:36 ID:aWAb4BzD
w
つか、まじでベルセルク神漫画よねw
12巻あたりまではまじで最高だった。なけなしの小遣いはたいてまで買ったw
でも14巻あたりからぐだぐだになってったね。番外編いらねーですよと。
本編を早く見せてくださいよと。グリフィスもきれいな顔じゃなくなってたし、自分的には画力は昔のほうが良かったなぁ。
今出てるの31巻までだっけ?今どうなってんの?
古本屋で読め 在庫余ってるぞ
三浦いい加減話進めてくれよ
少し前のファルネーゼの裸、シールケの尻が懐かしい
今年は掲載無いんじゃないかなorz
263 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 08:58:51 ID:iCRZ5rLI
まだ生きてたの、ここ。
話が全然進まないからテンションさがっちゃって
265 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 18:46:50 ID:4tDQ2kvd
たまには上げてみる
266 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 12:47:11 ID:KbXE9MzU
職人さんが現れるのに期待してみる
267 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 07:15:03 ID:HJlWSK6V
狭く、薄暗い室内で女性・・・・・・と言うよりまだ
“そうゆう”兆しも見えていない様な幼い少女の消え入りそうな程小さく、
嬌声とも取れる声が途切れとぎれに響いていく・・・。
小刻みに身体が震え
彼女が被っている帽子がグラグラ揺れ動き脱げそうだった。
「・・・ッは、ァ・・!」
背後から手が2本伸びきている。細身のスラリとした腕だったが、小さな躯のその
少女――――シールケにすれば十分大きい・・大人の手だった。
魔女の秘め事 (S−1)
左右から手がシールケの身につけているケープの下から滑り込むように躯を這いずり
まだ小さな胸を責める。押し上げるように揉み上げテイク。
「ふぁあ・・っ!?」
その内より敏感な頂に達した時、やや大きな声が漏れた。どうしてこんな事に・・。
少女は振り返った。
小さな覗き戸から差し込むわずかな光で後ろの男の顔がぼんやりと見えていた。
「ああっ・・・せ、セルピコさん、な・・何でこんな事・・・!」
震える声で少女が言うと、細身の男―――
セルピコの普段はほとんど変わることの無いその表情に変化があった・・・
微笑(びしょう)、そんな感じに。
「何を言うんですか・・?シールケさんが頼まれたのでしょ、これは・・・」
極平坦に、そう言った。
268 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 17:58:02 ID:knNx2kvi
(S−2)
「え・・・?わ、私・・が?」
そんな事は・・・記憶になかった。
「そん、な・・の嘘・・で、ひっ」
喋っている間でもセルピコは手を止めてくれない、うまく舌が回らない。
懸命にシールケは違うと首を横に振った。
「言いましたよ」
服越しに、小さいながらも女性特有の膨らみにグッと手をかけ、指と指の間で
その頂を挟み込み弄んだ。
「んン…っ」
ピコ汁気ですか!
期待してます
271 :
名無しさん@ピンキー:
age