1 :
名無しのアヒル:
念のため立てました。
2 :
名無しのアヒル:2005/10/08(土) 16:37:25 ID:r8rl47Ke
5 :
遠井家の人々:2005/10/09(日) 01:32:59 ID:2XI/5ah2
【失敗の連続で申し訳ありませんorz おわびといっちゃあなんですが保守代わりに投下させてもらいます。】
しばらく続いた絢の乳房への愛撫はようやく終わりを告げた。
「どうでしたか・・・?絢・・・。」
乳房からゆっくり手を離しながら絢に問う春希。
「よかった・・よ・・・。はーちゃん・・。」
快楽に満ちた潤んだ目で絢は春希の問いに嬉しげに答える。
「そうですか・・・。」
そう言いながら絢の足を掴みゆっくりと開いていく。絢の恥部が露わになっていく。
「あ・・・、はーちゃぁん・・・・。」
自分の秘めた部分を露わにされ、恥ずかしげな声を上げる絢。淡い色をしたそこは男の物を通したことはない。
しかし快楽を味わうのは初めてではない。春希はそこに顔を近づけると舌を這わせ、割れ目を舐めていく。
「ひ、やあああん!!ああん!!」
絢が甲高い嬌声を上げる。乳房を悦ばせたのと同じ巧みな舌使いがもっとも敏感な女陰を責め立てる。
当然、大きな快楽が絢の女陰から生じる。
「あっ、あっ、はーちゃぁん!!そこ・・・。ひゃあん!!!」
あまりにも大きな快楽に絢の女陰はあっという間に愛液に満たされていく。
「どうですか?絢・・。」
愛液で舌を満たしながら春希が問う。
「ああんっ!!いいっ!!さ、最高・・だよ!はーちゃん・・・。」
嬌声を上げながらも春希の問いに答える絢。快楽の大きさに白くて華奢な裸体が大きく跳ねる。
その問いに反応した様に春希の舌の動きはまるで絢の恥部の味を味わう様に激しさを増す。
絢の愛液が絶えることなく溢れ続ける。
「ああっ!!ひあっ!!あんっ!!あんっ!!!」
絢の嬌声は愛液同様絶えることなくその場に響き続ける。誰かに聞こえるのではと思う位の大声だったが
行為に夢中になっている二人にはその様なことを考えてられる余裕すらなくなっていた。
「はーちゃん・・・。はーちゃん・・・。あっ!!あっ!!あっ!!」
絢が堪えきれなくなってきたような声を上げる。その直後
「あっーーーーーー!!!」
身体を大きく反らし絶頂に達した。
「はあ・・・。はあ・・・・。」
布団にうずくまり恍惚の目で絶頂に浸る絢。その姿に普段の少年の面影はなかった。
そんな差異に慣れている春希は戸惑うことなく、絢の頭を優しく撫でる。
「どう・・でしたか?絢・・・・。」
「・・・よかったよ・・。すっごくよかった・・・。」
「そうですか・・・。嬉しいです・・・。」
「ボクも嬉しいよ・・・。はーちゃん・・。」
6 :
遠井家の人々:2005/10/09(日) 01:36:32 ID:2XI/5ah2
「きゃっ!!」
誰にも見せたことも触らせたこともない乳房を掴む指の感触に夕顔は思わず悲鳴を上げる。
一方夏希はそのあまりにも柔らかい感触に驚いていた。
「すげぇ・・・。女の子の胸ってこんな、なんだ・・・。」
自分の身体にはない柔らかさ。それは夏希にとってあまりにも心地良い感触だった。
夏希は気持ちよさに任せて掴んだ乳房を力任せに揉む。
「やぁっ!!い、痛い!!」
力加減なく乳房を掴まれ、生じた痛みに夕顔は思わず悲鳴を上げ涙を浮かべる。
夏希はその顔に気付くと、驚いた様に手を離す。
「ご、ごめん!!!ほんと気持ちよかったからつい・・・。」
「だ、大丈夫です・・。おおげさな声上げてすみません・・・。」
乱暴な愛撫をした自分が悪いのに怒らない夕顔に夏希は改めて愛しさを感じた。男と思い込んでたのも
憎たらしいと思ってたのも嘘の様な姿。あの夕顔丸と同一人物とは思えない。
「今度は優しくするから・・。少しでも痛かったら言ってな。」
夏希は夕顔の乳房を見つめながらゆっくり手を伸ばす。その豊満な美乳に改めて感嘆の念を感じた。
「あ・・・。」
夕顔の微かな声が漏れる。彼女の乳房を夏希の手が再び掴み始める。今度は力を入れない様優しく揉んできた。
「痛くない?大丈夫?」
夏希は夕顔の顔を覗き込みながら聞いてくる。
「だ、大丈夫です・・・。あっ・・・。」
豊かな胸を揉まれる感触に夕顔は艶っぽい声を上げる。
「気持ちいい・・・。すっげー柔らかい・・・。」
夏希はその柔らかさに感激の声を漏らす。顔を近づけその乳房にうずめる。
「きゃっ!!な、夏希さん・・・。」
夕顔が思わず恥ずかしげな声を上げる。手だけで味わうのがもったいないと言わんばかりに
顔でも乳房の柔らかさを感じる夏希。
「気持ちいい・・・。オレ、この胸大好き・・・。」
普段の短気で気の強い姿とは別人の様に甘えてくる夏希の姿に夕顔は愛しさを感じた。
「夏希さん、赤ちゃんみたい・・。」
その言葉に我に返った様に思いっきり顔を上げる夏希。その顔は真っ赤だった。
「えっ・・・、あっ・・・。ごめん!!調子に乗ってつい・・・。」
「いいんです・・。今の夏希さん、すごく可愛かったです・・。」
「か、可愛い・・・・・。」
夏希が更に紅潮する。そんな夏希を見て夕顔は穏やかな笑みを浮かべた。初めて見る愛らしい笑顔に夏希の胸は高まる。
「夕顔こそ・・。今の笑顔・・・。可愛かったよ・・・。」
夏希は段々声が小さくなりながらも夕顔の可愛い笑顔を誉めた。
「な、夏希さん・・・・。」
夏希の誉めに夕顔も改めて顔を赤くする。
【なんだか思ってたよりペースが・・。本当は鬼道を先に書いたんですけど
内容が色々とあれで新スレ一発目には相応しくないと思い、こっちを書きました。実は新作も・・。】
7 :
実験屋:2005/10/09(日) 14:47:55 ID:9IyPTED4
新スレ立て乙です。ネタバレ編(前編)になりますが投下します。
−−−−−−−−−−−−
「炎よ!!」
場所は変ってここは城の地下室。日が経つにつれて魔力が増大するマオは
魔法の制御が難しくなっていた。なので俺が特訓に付いてやっている。
「アチッ!!」
マオの手から煙が上がる。
「まだ制御しきれてないな。」
「ごめんなさい。」
「成人したらもっと魔力上がるんだろ?だったら今以上に制御できないと
後で自分が困っちまうぞ。」
「はい。私頑張ります。」
気を取り直して魔力を練りあげるマオ。
「炎よ!!」
ドオォォォォォン!!!
「グヘッ・・・。」
「ジェ、ジェイドさん!!」
急激に膨れ上がった炎は暴発し俺は壁まで吹き飛ばされた。
8 :
実験屋:2005/10/09(日) 14:48:49 ID:9IyPTED4
「イタタ・・・マオ〜・・・。」
「ごめんなさぁい〜・・・」
吹き飛ばされた俺に駆け寄るマオ。
「まだまだ、特訓が必要だな。」
「・・・はい。」
「気を落とすな。いつも通りやれば問題ないって。」
「はい・・・・・あうっ!!」
ホコリを被ったマオの頭を撫で掃うとマオは感じて小さく喘いだ。
「ちょっと休憩な。トイレ行ってくる。」
俺はそのまま部屋から出て行った。
「ジェイドさん・・・・・」
出て行った俺の名前を呟くマオ。その悲壮な顔と熱を帯びた声を
俺は知らなかった。
9 :
実験屋:2005/10/09(日) 14:49:57 ID:9IyPTED4
「マオって料理上手いよな。」
その後、ちゃっかり夕飯までご馳走になってる俺。
「そんなことないですよ。」
マオは顔を赤らめて否定する。
「イヤイヤ、これならいい嫁さんになるぜ、・・・なんてな。」
「・・・・・・」
マオはそれに答えず黙り込んでしまった。
「マオ?」
「何でもないです。後片付けしてきます。」
マオはそう言って出て行ってしまった。
「・・・・まずい事言ったかな?」
誰もいない廊下。
「ジェイドさん・・・・ふぇ・・・」
小さくうずくまり、嗚咽をあげるマオ。
「私・・・・・私・・・・・・くっ!!」
突然マオの身体に異変が起きた。動悸が高まり、膨れ上がった魔力を抑えきれなくなり始めた。
「こんな・・・時に・・・ジェイドさん・・・・・・助けて・・・」
10 :
実験屋:2005/10/09(日) 14:51:05 ID:9IyPTED4
「!!・・・マオ!?」
突然マオの魔力が増大するのを感じた。
「マオ!!」
いてもたってもいられなくなった俺はマオを探す。
「どこだマオ!?」
マオの魔力と気配を読み取りながら捜索する。
「・・・ジェイドさん?」
「マオ!!」
行き着いた廊下の端で倒れかけているマオを見つけた。
「大丈夫か!?」
マオを抱き上げる。
「熱っ!!」
マオの身体は吹き上がった魔力で高熱を帯びていた。
「はぁ・・はぁ・・・ジェイドさん、私に触ると危険です・・・うっ!!」
息を切らせながら答えるマオの表情は苦しげだ。
「マオ・・・・」
しかし、このまま放置しておく事など出来ない。俺はマオを抱き上げた。
「ジェイドさん!!ダメです、下ろして・・・」
「いいから黙ってろ!!」
燃え盛るような熱を帯びたマオを俺は寝室へと連れて行った。
11 :
実験屋:2005/10/09(日) 14:52:36 ID:9IyPTED4
「マオ・・・。」
ベッドで横になるマオに俺は何も出来ない。
「クソッ!!」
自分の無力が堪らなく悔しかった。勇者ってのは魔王を守ってはいけないのか!?
世界の平和や人々の命なんてどうでもいい。今はただ、マオを・・・・
マオを守ってやりたい!!
「ジェイドさん・・・」
「マオ!?」
マオの身体が輝きはじめた。いったい何が起こったというのか?
膨れ上がった魔力が収縮していく。身体から出ていた熱もなくなっていく。
輝きが消えると共に何事も無かったかのように横になったマオだけがソコにいた。
「マオ!!」
マオの安否を確かめる。
「しっかりしろ、痛いところは無いか?」
マオの身体に触れたその時・・・・
むにゅ
「ん?」
胸板に今まで感じたことの無い感触を感じた。しかもこの感覚、男としては
ありがたく、しかしおいそれと触れちゃいけないモノと同じ感触・・・。
「まさか・・・・」
俺はマオにかけていたブランケットを上半身だけ取り去る。
「あっ!!!!」
マオの身体は華奢な少年から、細身の女性の身体に変化していた。
12 :
実験屋:2005/10/09(日) 14:56:27 ID:9IyPTED4
以上です。何とかネタバレまでこぎ着けました。
残りの未消化部分とエッチは次回投下します。
>>アヒル様
新スレ立て&遠井家新作GJ!!でした。
どちらの視点も愛が溢れてたまりませんね。
アヒル氏乙!!
ドジやってもキニシナイ
二つの視点使い分けるの大変な筈なのにこのエロっぷり
真似できん……
GJ!!
実験屋氏
次からエロ!?
待ちきれまへん(*´Д`)ハァハァ
そして投下ぁ!!
「きょ……今日もいい天気だな……」
「話し反らすな」
真の苦し紛れの作戦、あえなく撃沈
普通エロ話に弱いのは女の筈なんだがなぁ
そのまま沈黙
だんだんふいんき(な(ry が重くなってきてんな
真、ここで一発ボケろ、つーかなんかやれ
…
……
………
固まってんじゃねーよ真ォ!!!!!!
全然ギャグになってねーよギャグに!!
ギャグ系のはずだろこのSSはよ!!
なにうつ向いたまま固まってんだよこのスットコドッコイ!!
「ラ、ラーメン出来たぞ」
そういやもうお湯入れてから三分か
「いいから早く答えて」
ユウもなんでその話題に固執すんだよ
やっぱりアレか、女の子だから男がどんなチチに興味があるか気になるのか?
「んなことお……ぉ…なの前でぃぇ……かよ……」
んーーー? 聞こえなーい
前後の関係でだいたい何言ってんのかわかるけど声小さくて聞こえな〜い♪
「………………あ………………………」
今度はユウタンのお顔がゥゥゥゥオオオオバァァァァァヒィィィィィィト!!!!
顔がペンキでもぶちまけたかのように真っ赤っ赤
「め……麺伸びちゃうね……」
真から目をそらしてカップ麺を食べ始めるユウタン
「お……おぅ……」
真もそれに続き、ラーメンをすすり始める
二人が食い終わるまでしばらくお待ち下さい
どーせこの状態じゃ会話も何も無いし
「ご……ごちそう……さま……」
「お……おぅ……」
どうだ? 向かいに座る野郎を意識しながらの食事は
ちっとも味しなかっただろ
今まであぐらかいてたのにメシ食い終わってから急に正座になるユウタン
アガっちまってなかなか食い終わらない真を上目使いでチラチラ見てまた赤面
カカカカカカカカカカカカカカカ
今までいろいろな果実を食べてきたけど一番好きなのは青い果実なの
わかるぅ? この例え
これで中断
時間が無いなかなか進まないな
いつも短くてスマソ
保守保守〜っと
来てみたら、萌えのトリプルパンチですかい!
皆様心の底からGJ!です!
感想書くの苦手でスマソ
(((´・ω・`)
毎度楽しみにしとるよ!
4になかったからちょっと心配したけどこっちにあったとは。
18 :
魔王の恋:2005/10/11(火) 00:36:17 ID:b1+jvmO+
「ん・・・うぅん・・・ジェイドさん?」
マオの意識が覚醒する。
「すみませんご心配かけて、私はもう大丈夫です。」
「・・・・本当にそうか?」
「え?」
「何か隠してないか?」
「あ!!・・・・その・・・えーと」
思い当たる節があるようだ。マオは徐々に口ごもっていく。
「・・・お前、女だったのか?」
「!!」
俺の一言にビクッと身体を震わせるマオ。
「どうなんだ?」
「あ・・・う・・・」
俺の言い方を怒りの現れと思ったのかマオの目に涙が溜まっていく。
「マオ?」
「ごめ・・な・・さ・・い・・・ふぇぇぇぇぇん!!!!」
ついにマオは大声を出して泣きはじめてしまった。
「ごめん、俺が悪かった。だから泣くな。」
何よりも罪悪感が先にたってしまう。
「・・・マオ。」
他に手が無かった俺はマオを抱きしめる。
「あっ・・・」
「泣きたいなら泣いてもいい。でも俺は怒ってないから。な?」
「ジェイドさん・・・。」
マオは俺の胸に顔をうずめてしばらく泣き続けた。
19 :
魔王の恋:2005/10/11(火) 00:37:29 ID:b1+jvmO+
「もういいのか?」
「はい・・・ありがとうございます。」
泣き止んだマオは気の置き場が無いのか顔を合わせようとはせずに下を向いて俯いている。
「説明・・しないといけないですよね?」
「言いたくないなら無理には聞かないけど・・・」
「・・・いいえ、ちゃんと言います。」
意を決したようにマオは俺に顔を向けて説明した。
「ジェイドさん、私の事、男と思ってました?それとも女と思ってました?」
「いやそれは・・・・男だと。」
「私の一族は成人になるまで性別が無いんです。」
「は?」
「なりたいと思った性別に外見を近づけることは出来るのですが
それが正式な性別になるのは成人になるときなんです。」
「それでオマエさんは・・・女を?」
「・・・・・ハイ。」
「そうか。」
別にどちらを選んだとしても、それはマオの決めることで俺がとやかく言うことではない。
しかし、なぜマオが女を選んだのか・・・・少し気になった。
20 :
魔王の恋:2005/10/11(火) 00:40:26 ID:b1+jvmO+
「ジェイドさん。」
「どうした?」
「今から言うことは戯言だと・・・思ってください。聞いていて不快に感じたら
お帰りになっても結構です。」
「・・・・言ってみろ?」
「私はジェイドさんが好きです。」
「マオ・・・」
「ジェイドさんに出会うまでどちらにするか迷ってました。男も女も
どちらにも魅力を感じませんでしたし・・・。けど、ジェイドさんを初めて
見たとき、なんて素敵な人なんだと思いました。」
マオの顔が赤くなっていく。・・・男として喜ぶべきか・・・・
「そのとき決めたんです女になりたいって・・・。女になればジェイドさんも
私の事を好きになってくれるかもしれないって・・・ジェイドさんには女として
見てもらいたかったんです。」
まさかマオがそんな風に俺のことを思っているとは思わなかった。・・いや、
もしかしたらと感じてはいても知らずに目を逸らしていた。
「この一ヶ月、ジェイドさんと一緒にいれて幸せでした。でも、結局は女になるために
ジェイドさんを利用していたんです。プレゼントも貰いました。魔法も見てもらいました。
うれしかった・・・でも内心『これで完璧に女になれる』と計算している自分がいました。」
「もういいよ。」
マオを抱きしめる・・優しく、でもしっかりと。
21 :
魔王の恋:2005/10/11(火) 00:42:04 ID:b1+jvmO+
「魔王だけあって私はズル賢いですね・・・”勇者様”、こんな魔王は早く倒してください。」
自嘲気味に笑うマオを見て俺はもう我慢の限界だった。俺も覚悟を決める。
「やなこった。」
「え?」
「逆に俺は勇者のクセにズル賢い。マオが女と知って狂喜乱舞してる俺がいたよ。」
「ジェイドさん・・・。」
「『何でマオは男なんだ?』、『マオが女だったらいいのに』って思う気持ちは
ずっとあった。俺のほうが最低だぞ?オマエが女になったとわかった時、胸の仕えが
取れたんだ。・・・俺は男のマオを心の中で否定していたんだ。」
俺はマオの手をとり自分の心臓の上に押し当てる。
「やっぱ人間は汚い生き物だ・・・”魔王陛下”、あなたの手で私を・・・」
「イヤです!!」
マオはそのまま俺にしがみついた。
「絶対にイヤです・・・イヤ・・・・」
「俺もだ。」
そう言ってマオの頬に手を伸ばし見つめ合う。
「俺は人間の平和に興味は無い・・・俺は・・・マオだけの勇者でいたい。」
「ジェイドさん・・・・」
「マオ・・・愛してる。」
そのまま俺とマオは唇を重ねる。
これが禁断の愛だと言うなら・・・上等だ、最後まで戦ってやるよ。
22 :
実験屋:2005/10/11(火) 00:45:01 ID:b1+jvmO+
以上です。エッチまで行かなくて申し訳ないです。
次回は出来るだけ内容濃い目に頑張ります。
さぷらいずGIDの続きが出来上がりましたので投下させていただきます。
本当は連休中に投下したかったよママン。
【注意】
このお話は、男装っ娘同士のレズものです。
レズに抵抗のある方は華麗にスルーしていただけるとありがたいです。
「あのさ……僕、トモヤにお願いがあるんだけど……」
学校からの帰り道、俺の隣を歩く幼馴染で恋人の高科ジュンが唐突に切り出した。俺よりも頭一つ分低いので、ジュンは図らずも上目遣いになる。
……畜生。その目は反則だっての。
ちょっと前なら何にも感じなかった俺だが、今ではそんな目で見つめられるだけで駄目だ。凄くドキドキしてしまう。以前は苦しいだけだったのに、今じゃいつまでも感じていたいくらい、この動悸が心地良い。
このドキドキのためなら、ちょっと無茶なお願いでも喜んで聞いてしまうかもしれない。
「な、なんだよ? いきなり改まって……」
聞き返した声がちょっと上ずった。なんか緊張しているのがバレバレだ。
「え……ええっとね……その……あの……」
だが、ジュンの方も俺とどっこいどっこいだ。
こっちを見つめてた視線がだんだんに泳ぎ始め、胸の前でもじもじと指を絡めている。
ごにょごにょと何か口ごもっている姿を見ると、その可愛らしさに抱きしめたくなる反面、いったいどんな『お願い』だろうか?という俺の頭に不安がよぎった。
「……そんなに言い難いお願いなのか?」
「えっ……あ、ううんっ! あの、その……そ、そんな難しいお願いじゃないと思うんだけど……いやその……」
思わず漏れてしまった俺の言葉に、わたわたと過剰に反応するジュン。
言葉尻はだんだんと萎み、最後には「う〜」という唸り声になっていた。それに加えて、なんだか恥ずかしそうに顔も赤らめている。
……ああ、なるほど。
さすがに日頃からジュンに鈍ちんだの乙女心の理解力無しとか言われている俺だが、今日ばっかりはジュンの言いたいことが分かったぜ。
まぁ確かに、こればっかりは他の奴には頼めないよな。
「あー…その、なんだ……」
奇態を続けるジュンの肩に、俺がなだめるように手を置くと、ジュンは真後ろで物音を聞いた子猫のように身を固くした。
そんなジュンの緊張をほぐすように、俺は満面に笑みを浮かべてやる。
「俺のナプキンで良ければ貸してやるぞ。コットン一〇〇%で肌に優しい奴」
「ば、馬鹿っ! 誰が生理用品の話なんかするかあっ!」
先程よりも、さらに顔を赤くしてジュンが叫ぶ。あまりの剣幕に、俺はビビって後ずさった。
「え……? 違うの?」
思いっきり失言だった。見る見るうちにジュンのまなじりが大きく裂ける。
「違うに決まってるだろ、この鈍ちんっ! 唐変木っ! お前の脳みそは塩辛かっ!」
「……うわ。すごい言われよう。さすがの俺でも少しヘコむぞ」
「ヘコめっ。存分にヘコんじゃえっ。特に胸とか――ってか、一割よこせ!」
「ぬあっ!? む、胸のこととか言うなって! 天下の往来で、いきなり何を言い出すんだお前は!」
危険な発言に俺はあわてて周囲を見回した。もし同じ学校の生徒なんかいたら洒落にならない。
だが幸いなことに、この道を歩いているのは俺たちぐらいだった。思わず安堵の息が漏れる。
……ジュンの奴、普段が大人しいだけにカッとなると手がつけられないのはどうかと思うぞ、まったく。
俺もお前も、理由は違えど同じ秘密を隠しているって言うのに。
「ったく、もー……」
そんな俺の思いをよそに、ありとあらゆる表現で罵倒してくれたジュンは、悪口雑言のストックが尽きたのか、盛大に肩を落とした。
「なんだか、緊張してた自分が馬鹿みたいだよ……」
同感だ――とは言わないでおく。ややこしくなるから。
ジュンはちょっとだけ恨めしげに俺を見上げて――やや逡巡してから口を開いた。
「じゃあ……ちゃんとお願いするから黙って聞いて」
「あ、ああ……」
俺がうなずくと、ジュンは残った緊張を吐き出すように深呼吸する。三度ほど繰り返してから、いつになく真摯な表情を俺に向けた。
「あのね――」
託宣を告げる巫女さんみたいに厳かなジュンの声。
「僕の処女、もらってください」
「………………え?」
その言葉の意味を理解するのに、俺の脳みそはたっぷり十秒を費やした。
拝啓。
神様、何度も何度もお願いしていて恐縮ですが、俺の人生のサプライズはもうこれっきりにしていただけませんかっ!?
*
帰宅途中の爆弾発言から二日経った日曜日。俺たち二人は電車を乗り継いで秋葉原にやって来ていた。
「うわー……噂には聞いてたけど、すごいキレイになったね。ここ」
山手線のホームを降りたジュンがあっけに取られたように呟いた。改装されたコンコースを見て毒気を抜かれたようだ。
……まぁ、確かにそうだよな。少し前までの秋葉原を知ってる奴なら、この変わりように驚かないはずはない。
俺も最初は驚いた。
駅前に、いかにも新築ですと言わんばかりの背の高いビルが立ち並び、お洒落なテナントの看板が軒を連ねている光景なんか、誰が想像できるってんだ。
それでも、チラシを配っているお姉さんがメイド服だったり、チャイナ服だったりするのがこの街らしいところだ。
「あっ、ジュン。そっちじゃなくて、こっち」
ふらふらとつくばエクスプレス側の改札に足を向けていたジュンを呼びとめ、俺はその手を引いた。
昔と今の駅の地図が頭の中で噛み合ってないんだろう。俺もそうだったから良く分かる。
「ご、ごめん……」
真っ赤になってうつむくジュン。
俺たちは、ほんの数日前にお互いの秘密と想いを打ち明け、肌を重ねあったのだけど、それで何が変わったかといえば――あんまり変わってない。
腐れ縁的な幼馴染で、馬鹿なこと言って憎まれ口を叩きあって、でもどこか放っておけない、そんな関係。
ちょっとした違いを言えば、こいつを放っておけない理由が前よりもずっと分かり易くなったってことぐらいか。
「あぅ。トモヤぁ……ちょっと、手……」
一人浸っていた俺を、羞渋としたジュンの声が現実に引き戻す。その声音の言わんとするところを悟り、俺はうめいた。
気づけば、少し離れた所でチョウチンアンコウみたいな面のゴスロリ女が、連れのリュウグウノツカイみたいなゴスロリとこちらを無遠慮に指差しながら何か喋ってる。
冬コミのネタキター!とかグッジョブ神様!とか。
かすかに聞こえてきた内容に、言い知れぬ不安を感じたのは錯覚じゃないはずだ。
確かに、今の俺たちの格好は、触って確かめない限り性別なんて分からない。
VANSのZIPパーカーにカーキ色のカーゴパンツ。ブラックデニムのキャップというB系のいでたちの俺と、羊革のジャケットにベージュのチノパン姿のジュン。
俺は黒髪をベリーショートに刈り込んでるし、ジュンはつやのある栗毛をワンレンのボブにしている。
どこから見ても男にしか見えない二人が手を繋いで歩いているのだ。周囲の好奇の視線が集まるのは無理もないのか。
「う……わりぃ……」
無性に照れ臭くなって、俺はジュンの手を離した。赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくて、ジュンに背を向けて急ぎ足で改札の方へ歩き出した。
「行こう……そんなに遠くないからさ」
「うん……ごめんね」
背中にジュンの少し寂しげな声が当たった。そんな声を聞かされるだけで、俺の胸は鉄の鎖で縛られたように締め付けられた。
謝るのは、こっちだってのに。
……畜生。俺が全部女の子だったら、ジュンと手を繋いで歩けたんだろうか?
マジで恨むよ、神様。
*
極彩色のネオンで彩られた店内は、焚き染められたイランイランの香気とあいまって、まるで異次元の世界に迷い込んだかのような印象を受ける。
いや、ぶっちゃけ異次元だ。理解可能でも不能に書き換えたいくらい日常から大きく逸脱してる。
この、大人のおもちゃ屋という空間は。
どうして俺たちが日曜日の昼間から、こんな場所にいるのかといえば、二日前にジュンの放った爆弾発言が原因だった。
「あの時も、すごく気持ち良かったんだけど……もし、トモヤから男の子みたいにシてもらえたらって思ったら、その――」
なんて可愛い恋人にお願いされたら、誰だってたまらないだろう。というか、これで何も感じない男がいたなら、インポ野郎かただの阿呆だ。勿体無いから俺と入れ替われってんだ。
女の身体に男の心という心身の不一致を嫌だと思ったことは今までなかったが、あの時ばかりは自分自身を恨まざるを得なかった。
だから俺たちは、俺たちが一つに繋がる為の道具を、この店に求めてやってきたわけなのだが――
「す、すごいね……これ……」
隣にいるジュンが苦笑とも、なんともいえない表情で陳列された商品を見てる。
飾り棚に並べられているのは色とりどりのディルドー――つまり、アレだ。男根の模型。張り型というやつだ。
それも女性同士で楽しめるように作られた双頭のディルドーだ。
傘の張り方とか血管の浮き具合とか、型でも取ったんじゃないかと思うくらいにリアルなのが両端についた物体が、透明の箱に詰められて売られている光景は異様を通り越して滑稽だった。
「こんな大きいの……誰が使うんだろ……」
「っていうか、これ、俺の腕くらいあるぞ。こんなん入ったら、マジ裂けるって」
この人外魔境サイズの張り型が自分の中に侵入した場合を想像し、慄然としたものを感じて俺は身震いした。
販売されているってことは、それなりに需要があるのかもしれない。どんな奴が使っているの知りたくもないけど。
「そんなに大きくない方がいいんじゃないかな、やっぱり……」
「そうだね……でも、トモヤに任せるよ。僕、トモヤの好きなサイズだったら……」
などと、あきらかにおかしなことを口走り、顔を赤らめてジュンがうつむいた。恥ずかしがっているあたり、自分が何を言っているか自覚もあるのだろう。
……むしろ、聞いているこっちが恥ずかしい。
「あー……こほん」
気まずくなった雰囲気を咳払いで蹴り飛ばし、俺は棚の端の方に置かれたピンク色のディルドーに手を伸ばした。一般成人男性サイズ、と箱にはラベルが貼られている。
「これなんかどうかな? そんなに値段も張らないみたいだし……」
「う、うん……」
口ぶりからして、あまり好感触ではないようだ。毒々しいキツい色のピンクだし、俺自身も、この手の色はあまり好きじゃない。
ショッキングピンクを棚に戻し、俺は一段下に飾られていた黒いディルドーを取ってジュンに見せた。
「じゃあ、こっちにするか? 色黒いけど、さっきのと比べたら、そんなに大きくないから」
「う……」
やっぱり難色。太さも大きさもないが、店内の怪しい照明に黒光りするフォルムが中国産のウナギにそっくりだし、そういう反応されるのも無理ないか。
……まいったな。俺は途方にくれて溜め息をついた。
ジュンは俺に任せるとは言ってくれたが、出来ることならジュンが受け入れやすいものにしたかった。
とはいえ、この店に並べられているのは、どれも似たり寄ったりの代物ばかり。こうなれば他の店を物色するというのも一つの手だ。
俺も最近になって知った――ジュンのお願いがなければ知りたいとも思わなかったが――のだが、秋葉原にはこの手のアダルトグッズを販売する店が数多く存在している。
それも駅前や目抜き通りに面して堂々と看板を掲げている店があれば、あらゆる方面にマニアックな商品を取り扱う店の一番奥にあったりして様々だとか。
さすがは混沌の文化の街、アキハバラだ。
「なあ、ジュン。他の店に――」
行かないか?と言いかけて、俺は初めてジュンの様子がおかしいことに気がついた。
あんなに赤らめていた頬を蝋人形みたいに青ざめさせて、ジュンは吐き気を抑えるように口元に手を押し付けていた。細い肩は小刻みに震え、眼の焦点も合っていない。
ああ、くそ。畜生。俺はなんて大馬鹿野郎だ。鈍すぎるにもほどがあるってんだ。
「ジュンっ!」
俺は急いでジュンの空いてる手をひったくり、魔窟のような店から飛び出した。
*
「……落ち着いたか?」
秋葉原の新名所となった駅前の高層ビルの足元は、大規模なイベントも行える広場になっている。隅に設えられた花壇の縁にジュンを座らせ、俺はコンビニで買ってきたお茶のペットボトルを手渡した。
「ありがと……」
さっきよりは、いくらか顔色が戻ったようだった。
こくりこくりと少しずつお茶を飲むジュンの隣に腰掛け、俺も買ってきたDr.ペッパーのペットボトルを開ける。
「う……トモヤって、Dr.ペッパー好きだよね。それ美味しいの?」
水分を取って人心地がついたのだろう。露骨に顔をしかめてジュンが聞いてきた。
「愚問だな」
俺はこれ見よがしにDr.ペッパーを半分まで飲み干した。
「Dr.ペッパーといえばコカコーラよりも販売年数が一年長いんだぞ。うちのオフクロなんか、日本輸入当初から愛飲してるし」
「トモヤのお母さんは特別――ってか、全然答えになってないし」
「そもそも不味かったら何度も飲まないって」
「……世の中には『不味い! もう一杯っ!』もあるから信用できないよ」
やれやれと言いたげにジュンは肩をすくめ、三分の一まで減ったお茶のフタを閉めた。
それが合図というわけじゃなかったが、お互いに会話のきっかけを失って押し黙ってしまう。無言の俺たちの間に街の喧騒が割り込んできた。
休日の、しかも駅からすぐ傍ということもあって、広場は行き交う人が数多い。
気の急いた子供に手を引かれて苦笑する親。肩にかけたリュックサックから紙筒を覗かせているビア樽の様な男。少し前までまったく見かけなかったギャルっぽい女の子たちが楽しげに笑いながら歩いているのは、きっと映画かドラマの影響だろう。
そんな人々の流れを呼び止めるように歌うストリートミュージシャン。
彼の空回り気味の熱唱が、京浜東北線の発車ベルに混じって俺たちのところまで聞こえてくる。妙にロックなソウルを持ったバラードだ。
歌はしばらく続いたが、どれもこれも調子の外れた酷い曲だった。三曲ほど終わったところで、ようやくジュンが口を開いた。
「心配かけて……ごめんね」
ジュンは閉め忘れた蛇口の雫がこぼれるみたいに、ぽつりぽつりと謝った。
「……怖く、なっちゃったんだ」
ジュンの声音が震えている。泣き出す一歩手前のような、食いしばる歯の隙間から漏れたような重たい声。
「セラピーのおかげで、男の格好しているときは大丈夫になったはずなのに……アレ見てたら、急に気分が悪くなっちゃって……」
言葉を続けるジュンを俺には遮ることなんて出来なかった。
『幼稚園のときに色々あって』と、秘密を打ち明けてくれたときのジュンはおどけるように笑っていた。
だからといって、ジュンが受けたトラウマは決して軽いものではなかっただろう。血の繋がった父親にすら『男』を感じて恐怖した日々は、とてもじゃないが俺には想像もつかない。
何も知らない俺が、気にするなとか大丈夫とか、そんな安っぽい言葉でジュンを慰められるわけがない。
「無理しなくてもいいんだぞ」
それでも俺は、ジュンに言葉をかけてやりたかった。
ジュンが俺の全てを知りたいと言ったように、俺はジュンの全てを支えてあげたい。
心と身体がちぐはぐな俺には、こんなのはおこがましい考えかもしれない。でも、好きな奴が苦しんでいるのに、黙ってみているだけの臆病者にはなりたくない。
「む、無理なんかしてないよっ」
俺の言葉を強い口調でジュンが否定する。
……バレバレだってのに。
無言で俺は、ズボンの膝を強く握り締めているジュンの拳に手を重ねた。手のひらを通して、ジュンの震えが伝わってくる。
いつもならひんやりと冷たいジュンの手が悪熱に罹ったように熱かった。
「俺は、何も聞かない」
一言一言を区切るように俺は言った。ジュンが驚いたようにこちらを見たが、俺はまっすぐ前を見たまま、目を合わせずに続けた。
「過去に何があっても、今がどんなに辛くても俺はジュンが好きだ。大好きだ。お前がトラウマに打ち勝って、完璧に笑い飛ばして話せるようになっても、俺からは何も聞かないよ」
俺は残ったDr.ペッパーを一気に飲み干し、ジュンに向き直った。
「その代わり、全部受け止めてやる。過去も今も未来も全部だ」
言って、俺はジュンの唇に口接けた。完全に不意打ちの、触れるか否かの軽いキス。
数秒遅れで何をされたのか理解して、瞬く間にジュンの頬に朱がさした。
「……ばかぁ。こんなとこで、なんてことするんだよぉ……」
耳たぶまで赤く染めて、ジュンは弱々しく唸った。恥ずかしそうに周囲をきょろきょろと見回している。
幸いなことに、今の光景を見咎めていた奴はいないようだった。
もっとも誰が見てたって、俺には関係ないけどな。覚悟を決めた男は、何があろうとうろたえないのだ。
「ズルいよ、トモヤは」
勝ち誇る俺にジュンが非難がましい目を向けた。どちらかといえば怒っているというよりも、納得がいかないと主張するふくれっ面だ。
最近、ジュンがなんだか子供っぽくなったような気がするが、むくれた顔も可愛いので気にしない。
「しかも、なんかクスリ臭いし」
冷静に味の批評まで出来るようになっていれば問題ないだろう。事実、もうジュンの手は震えてなどいなかった。
*
「ちゅ……んン、ぁ……」
「ん……ちゅ……ちゅる……」
二階の自室に入るなり、俺たちは唇を重ね合わせた。軽い口接けなんて物足りない。薄く開いた唇の隙間を縫うように、俺はジュンの口腔に舌をねじり込んだ。
出迎えるようにジュンの温かく湿った舌が、ぬちゅりと音を立てて俺の舌に絡みついてくる。それだけで延髄まで痺れるような快感が這い上がってきた。
「はあっ、はあっ、ともやぁ……」
「ジュン……ちゅ」
見詰め合うのはほんの数瞬。劣情と熱情に突き動かされて、俺たちはまたキスをする。
再び口の中を犯し合うお互いの舌。ざらざらしたジュンの舌が歯茎を撫ぜるたびに、中に溜まった唾液が、ぴちゃぴちゃと掻き混ぜられる。
俺は口腔をなぶるジュンの舌を唇で柔らかく捕らえ、先から中腹まで包むように唇で擦った。
ジュンの吐息が先程にも増して荒くなる。舌を押さえられて呼吸しにくいのもあるだろうが、それ以上に表情が艶めかしい。熱を含んだジュンの吐息が肌にかかるだけで、心地よい痺れが脳を揺さぶってくる。
めちゃめちゃにしてやりたい――とさえ思う。愛しすぎて。
「ジュン……好きだよ、ジュン……」
たっぷり時間をかけてジュンの舌を味わった俺は、そのまま唇をスライドさせ、上気した頬に口接けを落とす。耳たぶにかかった俺の息がくすぐったかったのか、ジュンが身をよじるように震わせる。可愛らしい反応だ。
逃げられないように、俺はジュンの背中に手を回した。わき腹から肩にかけて、下から上へ、手のひらを滑らせるように撫でまわす。
「……キスだけでも気持ちいいよ。すごく」
息を軽く吹きかけながら耳元でささやいて、俺は朱の差し始めたジュンの耳たぶに甘く噛みついた。
「ひゃうっ、くすぐっ……たいよぉ……」
俺の腕の中で震えるジュン。構わず俺は、耳の穴の前にある突起を舌先で弾き、耳の外周に沿って舌を這い回らせた。
「あっ、ンん……っ」
「ジュンの弱いとこ発見……ちゅっ」
「く……くすぐったいけど……トモヤがシてくれるから……すごい、気持ちいいの……んンっ」
「ゃあ……っ」
油断してたら反撃された。気持ち良さに思わず声が漏れる。
子猫が水を飲むように、ぴちゃぴちゃと音を立ててジュンが耳たぶを舐めてきたのだ。
吸い付いてくる唇の感触。こんな柔らかくて気持ちの良いもので耳穴を嬲られたら、脳に近い分だけ快感も強くなるのは当たり前。
「トモヤだって、ここ、弱いじゃん……はむっ、んっ、ちゅ……」
熱を帯びたジュンの声。その声が、吐息が、熱が、鼓膜を震わせるだけで、俺の全身は感電したみたいに痺れてる。
「ちゅ……ぺろっ……トモヤが、えっちな声出して身体くねらせてる……」
「ば、ばかっ、そんな恥ずかしいこと、言うなって――あんっ」
俺のあげた抗議の声は、パーカーの裾から潜り込んできたジュンの手によって遮られた。ジュンは巻かれたサラシごと俺の胸を揉み、乳首を探し当てようと指を滑らせている。
「ぁ……ん……はぁ……」
……サラシ越しにジュンの指が擦れて、それだけで凄く気持ちがいい。
「もっと、もっと気持ちよくしてあげるね……」
パーカーの裾がたくし上げられる。さっきから揉まれていたおかげで、サラシはほとんど解けていた。
やわやわとジュンの指が動くたび、形を変える俺の胸。自分の胸だっていうのに、まるでアダルトビデオの前戯のように淫靡な光景。
恥ずかしさと気持ちよさ、そして愛しい恋人に弄られる喜びと悦びに、自然と呼吸も荒くなってゆく。
「トモヤってさ……胸、大きいよね……その……僕よりも」
「っ……は、計ったことないから、よく分かんねえよ……あン……」
「……確実に、Cはあると思うんだよね。形もいいし、揉み心地も柔らかくて気持ちいいし」
「だ、だからって、胸ばっかりいじるなよ……んンぅっ!」
強めに乳首をつままれて、思わず上げそうになった嬌声を俺は唇を噛んで押し込んだ。ジュンに弄り回されるたびに、どんどん敏感になっているような気がする。
……これが俗に言う『開発される』ってことなんだろうか?
すこし複雑な気分だったが、気持ちいいことに変わりない。楽しげに俺の胸を犯すジュンに顔を近づけて、唇を押し付ける。
「ジュン……ん、ちゅ……」
「ともやぁ……んむっ、ちゅる……ぷぁ……」
今度はジュンの方から積極的に舌を挿し込んできた。流れ込んでくるジュンの唾液が熱くて甘い。喉を落ちてゆく雫は極上のカクテルよりも刺激的で、俺の脳を酔い狂わせる。
てか、もう立ってらんねえし……
足とか腰とか、色々なものが砕けそうだ。
口腔をねぶるジュンの舌が名残惜しかったけど、俺はキスをやめて顔を離した。
「ぁ……」
舌先に唾液の溶け合った銀の糸を引きながら、ジュンはとろんと蕩けた瞳のまま、物足りなそうに舌を突き出している。
キスしたいのも、キスされたいのも分かっていた。俺が同じ気持ちだから。
同じ気持ちだから、もっともっと愛したい。
「ベッド、いこ……」
「うん……」
ドアからたった数歩の距離しかないけれど、俺はジュンの手を引いてベッドにあがった。
昔の歌じゃないけれど、自分のベッドの上で恋人を愛せるなんて数週間前の俺には考えもつかなかっただろう。ベッドとか、普段からキレイにしといてマジで良かった。
軽めのキスを繰り返しながら、愛し合うのに邪魔な衣服を一枚一枚脱がせあう俺たち。
かわしあうキスの雨があらわになった首筋に、肌に、乳房に、硬く充血した乳首に、くびれた腰に、へこんだおヘソに降り注ぐ。
ジュンに吸い付かれるたびに、どんどん敏感になって、疼くような痺れがお腹の下に湧きあがってくる。ジュンにむしゃぶりつくたびに、桃みたいに柔らかで血色のいい唇から、俺の背筋をゾクゾクさせる喘ぎ声がこぼれ落ちる。
「んっ……は……トモヤのショーツ……ぐっしょりだよぉ……」
「おまえだって……あっ……ぱんつ、まで、濡れてるじゃん……ちゅっ」
えっちぃことを言ってくれる口をキスでふさいで、俺はジュンをベッドに押し倒した。
そのまま下着に手をかけようとしたが、さすがにそれだけは恥ずかしかったのか「自分で脱ぐから」と阻止された。
……やっぱり、女心は複雑だ。もっと恥ずかしい格好とか、あられもない姿とか見せ合った仲なのに、下着だけはどうしても脱がさせてくれないし。
俺の下でもぞもぞとトランクスを脱いでる方が、よっぽどエロい光景だと思う。生唾を飲み込んだ分だけ自分のショーツが湿ってくるのがよく分かった。
……こんなもの役に立たない。邪魔なだけだ。
膝立ちになって、股部分が溶けそうなくらいに濡れたショーツを脱ぐと、秘所からあふれ出した淫水が内腿を伝って流れ落ちてゆく。
……あう。俺、こんなに濡れやすかった……かなあ……?
膝まで流れた液から、自分が発しているとは思えないくらい女の匂いがして、脳がどうにかなってしまいそうなくらいに目眩がする。
「トモヤの……おつゆ、こぼれちゃってる……」
酔ったみたいに艶やかな表情で、ジュンは四つん這いになって俺の太腿に顔を近づけた。
最初は右足。次に左足。雫が垂れ滴る俺の内腿に、ジュンはうっとりとした表情で舌を這わせてゆく。ピンク色のジュンの舌が雫の軌跡をなぞるように、膝から腿の付け根へと這い上がってくる。
「ふぅ……ちゅ……」
吹きかけられた吐息がくすぐるように陰部に当たる。直接触られたわけじゃないのに、その程度の刺激だけで腰のあたりが熱い。内側から溶け出しそうなくらい熱い。
実際に溶けているのかもしれない。その証拠に、俺の、一番女性らしい場所から信じられないくらい沢山の蜜が溢れているし。
もっとしてほしい。このまま気持ちよくなりたい――そんな誘惑さえ、俺の脳裏に湧いてくる。
でも、それは駄目だ。自分だけ気持ち良くなるなんて駄目だ。
それに……今回は、やらなきゃならない事がある。
「まっ、まって……待って、ジュン――」
陰部に近づいてきたジュンの頭を押さえ、俺はジュンから離れた。四つん這いのまま、こちらを見上げて小首を傾げるジュンが、たまらなく可愛い。
「今度は、俺がシてあげるよ……」
そのまま動かないように言ってから、俺は仰向けの姿勢でジュンの下に潜り込み、股下から頭を出した。
これがいわゆるシックスナインという体勢だと気づいて、ジュンが恥ずかしげに悲鳴を上げたが、俺は聞き流した。
それどころじゃないからだ。
俺の目に前にあるのは、水飴のような愛液に濡れて、ぬらぬらと輝くジュンのクレヴァス。それを囲む小陰唇は、まるで朝日を受けた花弁のよう。かすかに、儚げに、ひくひくと震えている。
「や、やだ……じろじろ見ないで……」
無理だ。こんなに蕩けたジュンを見ないなんて、そんなこと無理に決まってる。
逃げられないように腰に腕を回し、俺は頭だけ軽く起こして蜜が溢れるジュンの秘所へと口接けた。
「ひゃう!」
いきなりしゃぶられるとは思ってなかったのか、ジュンの尻がビクンっと震えた。
目の前で柔らかな尻肉が震える淫靡な光景。口の中に広がる、甘酸っぱいジュンの味。
もっと――もっともっと味わいたい。
「あ、ああ、そ、そんな強く、吸わないでよぉ……ぅあ……っ」
膣口の周囲に沿って舌を動かし、溢れ出る蜜を舌先ですくう。先程よりもとろみを増してきたそれは、興奮で渇いた喉には少々飲みにくい。口内で転がしながら自分の唾液と混ぜて丹念に味わう。
「ジュンの、おつゆ……ンっ……喉に、ちょっと絡むけど……美味しい……」
「ば、ばかぁ……は、恥ずかしいんだから、やっ、お、音立てて、吸わないで……」
「やだね……ジュンが可愛いのが……ちゅ……いけないんだからな……ぺろ……」
弱々しく震えるジュンの抗議を無視して、俺は愛撫を続行する。
「い、いじわる……ぼ、僕にだって、んぁ、か、考えが……あ、あるんだからね……」
「えっ、あ、何――あぁっ!!」
柔らかい何かが吸い付き、ざらついた感触に割れ目が擦られた。
ジュンが俺の秘部を、ミルクを飲む子猫のように舐めあげている。背骨の中身を貫いて脳天にまで達するほどの快感に、俺は悲鳴を上げてのけぞった。
「や、やめっ! そ、そこっ、き、気持ちい――うあっ!」
皮に埋もれていたクリトリスが無理矢理剥かれ、刺激に慣れない敏感な先端がジュンの舌に爪弾かれる。
――息が出来ない。気持ちよすぎて、呼吸するのを忘れてしまうくらいに。
「あはっ、ともえちゃんってば感度いいよね……僕なんかより、ずっと可愛いくせに……」
「そ、その名前で、呼ぶなって……っ! やン、あ、あああっ!」
本名――だった名前で呼ばれて、なんだか背中がゾクっとした。男の子として愛したいのに、女の子として愛されてる今の俺。でも気持ち悪いわけじゃなく、こそばゆいというか、面映いというか……複雑な気分。
でも今日は、ジュンのことを男として愛すると決めたのだから、やっぱりこのままじゃ駄目だ。
それに、これ以上されたら、先に俺が参っちゃうし。
「ジュン……そろそろ……しよ?」
「……うん。いいよ……」
ジュンが俺の腹の上から、のそのそと降りる。さっきの愛撫のせいか、腰に力が入ってないようだ。俺も似たようなものだけど。
身体を起こすと、軽く眩暈がした。全身の血液が全て下腹部に集まってる感じがする。ジュンをベッドに座らせたまま俺はドアの側に行き、部屋に入ってすぐ床に置いた紙袋を拾い上げた。
茶色い紙袋だ。ご丁寧に包装が二重になっているから、破けでもしない限り中の品物が見えることはない。
中には、あの店で買った双頭のディルドーが入っている。あの後、落ち着いたジュンを広場に残して、俺一人で購入してきたものだ。
……買ってきたのは俺だが、買ってこさせたのはジュンの意思だった。
「本当に……いいのか?」
ベッドにちょこんと正座しているジュンに俺は言った。
「怖かったら、別に我慢しなくてもいいんだぞ?」
男性に対する恐怖が拭い去れてないのは、あの店での発作から見ても明らかだった。
何があっても受け止める覚悟は出来ているけど、出来る限りジュンには辛い思いをさせたくなかった。
「ううん……平気だよ」
そんな俺の考えを見抜いているのか、微笑むジュンの瞳には気丈な光が宿っている。
「トモヤが、僕を全部受け止めてくれるって言ってくれたから……」
「ジュン……」
ああ、畜生。そんな顔で言われたら、たまらないじゃねえか。
封されたテープを剥がすのがもどかしくて、俺は紙袋を引きちぎるように開けた。薄っぺらなアクリルケースから、生々しい肉色の張型を取り出す。
「――――っ!」
リアルな男根の造形に、ジュンが息を飲んだ。覚悟を決めたと言ってもトラウマは根深い。恐怖心を取ってあげなきゃ、駄目だ。
これはタダの玩具だってことをジュンに理解させないといけない。
だから、いきなり挿入じゃなく、ワンクッション置くことにした。
「ジュンは、そのまま……見てて……」
手の中の冷たいシリコン臭い竿に、俺は唇をそっと這わせた。AV女優がやるみたいに、目線だけジュンに向け、根元からカリ首までたっぷりの唾液で湿らせる。
出来るだけいやらしく、淫らに、ジュンが怯えないように。
「ん……ちゅぷ……」
……俺だって精神的には男なので――偽物とはいえ男性器を進んで受け入れるのは、さすがに抵抗があるけど、そんな我侭言ってらんない。
見れば見るほどグロテスクな形をした亀頭を、先端から徐々に唇で柔らかく食む。
……け、結構大きいんだな、これ。
口の中、指三本を縦に突っ込まれてるのと同じくらいかもしんない。フェラチオのし過ぎで顎関節症になった女性の話も、あながち嘘じゃないな。
適度な弾力を持った張り型に舌を絡め、口内の粘膜に擦りつける。シリコン特有の匂いと苦味がピリピリと味蕾を傷つける。
ゆるいストロークで張り型を前後に動かすと、異物の侵略に粘膜を守ろうと舌下から溢れた唾液に当たり、じゅぶじゅぷと音を立てた。
もちろん、視線はジュンに向けたままだ。
ジュンは顔を真っ赤にしながらも、俺の擬似フェラチオを食い入るように見つめていた。
うわ。俺、今、凄く恥ずかしいことしてる……
「ぷぁ……これ、触ってみて……」
てらてらと唾液に濡れて光るディルドーを、俺はジュンの手に押し付けた。
一瞬だけ、怯えたように身を固くしたが、ジュンは張り型の竿を軽く握ると、拙い手つきで弄り始めた。
「おっきい……ね」
にゅちゅにゅちゅと水音がする。張り型そのものよりも、指にまとわりついた唾液の感触をジュンは楽しんでいるようだった。
指の動きは見るからに拙かったけど、恐る恐るという感じだ。昼間のような拒絶感は、ほとんど感じられない。
「そろそろ……挿れよっか……」
張り型を握るジュンの手を取り、俺はシリコンの先端を自分の秘所にあてがった。挿れやすいように腰を浮かせて足を広げる。
……ちょっと、この体勢は恥ずかしいかもしれない。
俺の口とジュンの手で温められたにもかかわらず、張り型は冷たい。こんな冷たいものが俺の中に入ってくるというのか?
「あ――――っ」
……やっぱり、怖い。
痛みとかは我慢できると思う。怖いのは、もっと別のこと。
自分は女だと心が認めてしまうことが……怖い。
「……ともや?」
「あ、ああ、うん……大丈夫だよ、そのまま、挿れちゃっていいから……」
……馬鹿だな、俺。
不安げなジュンの顔を見たら、くだらない弱気は全部吹っ飛んだ。男とか、女とかにこだわる必要なんてない。
俺は、ジュンを愛したい。ジュンに愛されたい。ただそれだけなんだ。
「トモヤ、いくよ?」
「ああ……あ、んンンっ、うぅぅぅ――あぐっ!」
……前言撤回。マジで痛いです。洒落にならないです。
分かりやすく伝えるなら、どこでもイイからナイフで傷口を作って、その中にぶっといネジをぶっといドライバーで突っ込まれてグリグリされるようなゴツい痛さッス。
「ぁ……はぁ、はぁ……くっ、ふぁ……」
たかだか十数センチ程度なのに、肺まで押し上げられるような圧迫感。二酸化炭素を吐き出しすぎて、呼吸さえままならない。
「ち、力抜いた方が苦しくないと思うよ……」
「あ、あぁ……ん……」
「本当に大丈夫なの? トモヤ、無理してない?」
「むっ、無理、なんか……ふあっ、して、ねえ……よっ」
我慢はするけど無理してないし、断固として泣いてなんかいないんだからな。
「だけど……トモヤの顔、すごく辛そうだし……」
「ばかやろぉ……こ、これは……お、俺の、初めてを……大好きなジュンにあげられて、う、うれしいだけだって……」
「ともやぁ……」
ジュンが気遣うようにキスしてくる。唇同士を触れ合わせ、重ねて、温かみを感じるだけのキス。それだけで痛みがすこし和らいだような気がした。
……てか、俺の次は、お前の番なんだぞ。そんな、余裕たっぷりでいいのかよ?
悪態の一つもついてやりたくなるけど、さすがにこっちは余裕がない。けれど、このままってわけにもいかないし。
「はぁ……ジュン、少しずつ、あっ、動かしてみて……」
「……うん」
ゆっくりとした動きで、奥まで刺さっていたものが引き抜かれてゆく。痛みもあったが、膣内の肉をエラの張ったカリが擦るたびに、ぞわぞわした感覚が脳をくすぐった。
まだ痛みが強かったが、張り型に内部を甘く引っ掻かれる感触は今までにない快感だ。脳が端っこから少しずつ削られていくような、正常な意識を保てなくなりそうな気持ち良さ。
「ん……あっ、んぅ……っ!」
とば口まで引き戻された張り型が、またゆっくりとしたペースで奥へと入ってくる。
肉を掻き分けて侵略してくる偽の男根。奥の奥に先端が触れた瞬間、俺の全身を例えようのない衝撃が揺さぶった。
「んぁ――あぁっ!!」
自分の意思とは無関係に腰が跳ねる。気持ちいいなんて言葉を、安易に使いたくないくらいに気持ちがいい。
痛みよりも快感が勝ってきたことで、だいぶ俺の中に余裕が生まれてきた。中に突きたてられたディルドーが落ちないように手を添えながら、ジュンをベッドに押し倒す。
「今度は……俺が……ジュンの初めてをもらう番だからな……」
ジュンに覆いかぶさり、略奪するように唇と舌をむさぼった。白い肌も、小ぶりな乳房も、ツンと上向きに尖った乳首もすべて愛しい。
「ちゅ……ともやぁ……僕の、初めてもらって――ううん。奪って……っ!」
熱のこもったジュンの吐息が耳をくすぐる。それだけで脳天が沸騰した。
俺は芯棒が入った竿を折り曲げて角度をつけ、俺の陰部から垂れた雫に濡れるディルドーをジュンの中へと押し込んだ。
「ひぐ――――ぅっ!」
ジュンの膣は俺よりも狭いらしく、ディルドーも竿の半ばまでしか埋まっていない。
容易に想像できる――というか、ついさっき味わったばかりの、肉を裂かれる痛み。その激痛を、唇を噛んで耐えているジュンの目には大粒の涙が溢れている。
駄目だ。
これ以上は、愛しすぎて駄目だ。
ジュンの辛そうな顔を見ているのに耐えられず、反射的に俺は腰を引いていた。
だが、ほんの少し引いたところで、ジュンが俺の腰を肉付きのよい太腿で挟み込んだ。朝顔の蔓のように足を絡め、これ以上退けないように動きを阻む。
「だ、だめ……ぼ、ぼく、へいき、だから……」
切なげに喘ぐジュン。
「ともやが、へいき、だったんだから……ぼ、ぼくだって、痛い、わけ、ないじゃん……」
……う。それを言われると、ちと辛い。
「この意地っ張り」
「トモヤほどじゃ、ないよ……んっ」
気丈な言葉を返してくるジュンの唇に、俺は優しく口接けを落とした。ジュンがしてくれたのと同じ、触れ合わせて、互いの体温を知るだけのキス。
たったこれだけのことなのに、痛みに強張っていたジュンの身体から徐々に固さが抜けてくる。
……ホント、キスって魔法だよな。
俺も、ジュンをキスしてるだけで、中に入っている違和感が全然気にならないし。
「ちょっとずつ動かすからな……さっきの俺みたいに、力抜いとけよ……」
「うん……」
とは言え、ディルドーは未だに半ばも埋まってはないし、押し込んだ感触からみても、ジュンの膣内はまだ奥に進むだけの余裕があるようだ。
それはつまり、もうしばらくジュンに耐えてもらわねばならないということ。
少しでも痛みが増さぬように、俺はじわりじわりと腰を前に突き出した。
「んあぁっ!」
……って、俺が感じまくってどうするんだよ!
ジュンの中にディルドーを押し込むたび、俺の中にも張り型は深く突き刺さる。一番奥の子宮口がグイグイと圧迫されるたび、脳と意識が溶け出すほどに気持ちイイ。
「あっ、やっ! ジュンぅ、ジュン――んぅっ!」
自制が利かず、声が漏れ出す。
身体が熱い。張り型に触れている膣壁がまるで集熱器のように燃え盛り、全身を沸騰寸前の血液が暴れ回っているみたい。
「お、奥がっ、い……当たって……すごっ、これ――」
「ぅあ……ともやぁ……んンっ……ともやぁ……」
意識はコマ落ちした古い映画みたいに途切れ途切れ。
張り型がジュンの奥の奥に到達したことに気づいたのは、既にジュンの可愛らしい唇から艶のある喘ぎが漏れ出した頃だ。
じゅぶりぬぷり、というディルドーと秘唇が絡み合う淫らな湿音が部屋の中に響く。
一本の偽肉棒で互いの淫水と膣肉と破瓜の血を混ぜあう音が、まるで蒸気機関に放り込まれた石炭みたいに俺の性感を灼熱させる。
「じゅ、じゅんっ! ああぁっ……奥まで、いっぱいで……やぁんっ」
「ぼ、僕の上で……ともやっ! ともやが、僕を……ぼ、僕の身体を感じて……うれしい……っ」
「あくっ……はぁ、はふぅ……んあっ! じゅん……っ! もう、俺――――っ!」
「や、やあぁ……僕も、僕もっ! お腹ん中、あ、熱くてっ! あ、ああンあぁぁっ!」
一際強く腰を打ちつけた瞬間、脳の奥で白光が氾濫した水のように意識に襲いかかり、俺の意識は真っ白い世界に埋め尽くされる。
白濁の心地よい温もり――抱きしめたジュンの体温なんだろう――に包まれながら、俺は意識の全てを白い光の中に手放した。
*
月曜の朝の通学路には、他の曜日にはない行き交う人々の慌しくも明るい活気と、奴隷が農場に追い立てられるような、どんよりとした不満に満ち溢れている。
もちろん、俺は後者の方だ。隣を歩くジュンも、今日ばかりは俺と同じようだった。
「うぅ……まだ、何か入ってる感じがする……」
「……俺もだ」
下腹部に残る張り型の感触に顔を曇らせる俺たち。
全身も――特に腰が――ダルい。こうして歩くのも億劫だ。ジュンが迎えに来なかったら、俺は多分自主的に休校していたに違いない。
ダルいのは筋肉痛だろうが、この残留感ってのはどうにかならないものか。膜が破けて傷がついているのだから、仕方がないといえばそうなのだけど。
これで二人仲良くガニ股だったら、道行く連中に何があったのかと変に勘ぐられてしまうところだが、幸いにも、そこまで酷くないのが救いだろう。
だが、どうにもジュンには不満があるようだ。
「トモヤったら、ひどいよ。あんなに激しくしてさ……三回ぐらい、その……イっちゃったし……」
「……失神してる俺に、好き勝手してくれた奴がナニ言ってやがる」
不平をこぼしながらも顔を赤らめたジュンを半眼で睨みながら、俺は喉元に貼った絆創膏を指で掻いた。
茶色いテープの下には、口接けの痕が青黒く刻まれている。いわゆるキスマークという奴だが、印がつけられたのはここだけではなかった。
露出している部分だけで三ヵ所。服の下なら十五ヵ所だ。まるでヤブ蚊に食われたみたいだ。
「だって、トモヤがなかなか起きてくれないから、お目覚めのキスをしただけだよー」
悪びれた様子もなく笑うと、ジュンは歩くスピードを速めた。意外と元気だな、こいつ。俺なんか、一歩歩くだけで身体がガタガタ言うのに。
「ほら、早く早くー! 急がないと遅刻しちゃうよ?」
「うるさいな……このペースで歩いても、まだ間に合うって」
数メートル先を行くジュンに急かされ、渋々ながら俺も歩調を速くする。
だが、数歩進んだところで、突然ジュンが振り返った。
「うわ、やば。僕、大事なこと忘れてた……」
「どうした? 数学の宿題でも忘れたのか?」
そう言えば月曜の一限目は、《宿題鬼》の異名を取る坂城の授業だ。
宿題忘れの生徒をネチネチとイビるのが趣味と公言するだけあって、あの老害教師の厭味ったらしさは、うちの高校一だ。
前に某RPGを学校休んで三日貫徹したときなんか、他の奴の五倍の量の課題を出されたし。さすがの俺も、奴の宿題だけはやってきている。
……まぁ、答えが間違っても宿題を提出すれば良いのが救いだ。答えに『カレーライス』って書いても問題なかったし。
「いや、それじゃなくて……その……」
「……じゃあ、なんだよ?」
「えっ……あ、ううんっ! あの、その……そ、そんなたいした事じゃないと思うんだけど……いやその……」
思わず漏れてしまった俺の言葉に、わたわたと過剰に反応するジュン。
言葉尻はだんだんと萎み、最後には「う〜」という唸り声になっていた。それに加えて、なんだか恥ずかしそうに顔も赤らめている。
……なんか、微妙に既視感のある光景だよな。
でも、今はそれを気にしている暇はない。俺は、もじもじと手揉みをしながら立ち尽くしているジュンの脇を通り抜けた。
「こんなところでノンビリしてたら、それこそ遅刻しちまうぞ。行こうぜ、ジュン」
「あ、待って!」
強い口調で呼び止められたので、俺は肩越しに振り返り――
ちゅっ
唐突に訪れた、唇に触れる甘くて柔らかい感触に面食らった。突然の出来事に脳の理解力がオーバーフローし、言語中枢が吹っ飛んだ。
「なっ、ななっ、ななな――――っ!?」
「えへへ……そこに、キスするの忘れてたんだ」
チロっと舌を出して可愛らしくジュンが笑った。
いつもの笑顔なのに、初めて見るような新鮮さ。朝日の輝きよりも笑顔が眩しくて、俺の心臓は飛び出さんばかりに高鳴りだす。
「それと、アキバの時のお返しだからねっ!」
呆然と立ち尽くす俺の隣を、学生服の裾をはためかせてジュンが駆け抜けていく。
「ちょっ、おま――って、やばっ!」
吐き出しかけた言葉を飲み込み、慌てて俺は周囲を見回した。誰かに見られたのでは――という不安が、沸騰していた血液を一気に凍らせる。
俺もジュンも学校では男で通している。もし俺たちのキスシーンが、クラスの連中とかに見られていたら、どんな噂を立てられるか分かったもんじゃない。
恥ずかしいわけじゃない。他人が口にする噂ほど無責任で、そのくせ当人にとって鋭利な凶器は他に無いんだ。
俺はともかく、過去の事件がトラウマになっているジュンには、噂が一つ広まるだけで傷をこじ開けることになりかねない。
だが、ちょうど人の流れが途切れていたのか、あたりに人影は一つもない。俺は安堵して深い溜息をついた。
「ったく……なんだってんだよ、もう」
唇に残ったジュンの柔らかさを、なんとなくだが指で触って確かめてみる。微かに香ったミントの香りは、荒れ防止のリップクリームだろうか。
リップの香りが、さっきのジュンの笑顔を脳の奥にフラッシュバックさせる。
「ああ、そうか……」
……アイツは、俺が守ってくれると信じているから笑ってくれたんだ。幼馴染の、少年としての笑顔ではなく、一人の女の子としての微笑みを見せたんだ。
ジュンの笑顔の意味を唐突に理解して、俺は顔をほころばせた。冷えてしまった血液が徐々に熱を帯び、顔も身体も火照らせる。
胸のドキドキはもはや最高潮。速射砲のような重低音でデスメタルを奏でてやがる。だけど、それが月曜日だってことを忘れさせるくらいに気持ちいい。
「何があったって――俺が必ず守ってやるよ」
俺は誓うようにつぶやいて、先を行くジュンの小さな背中に向かって走り出した。
おわり
おまけ
「あわわわわわ…………」
電信柱の陰に隠れたまま、遠山ユカリは目撃してしまった光景にガクガクと歯を打ち鳴らした。
野暮ったい黒ぶちの眼鏡と、肩まである髪の毛を三つ編みにまとめた、見るからに優等生然とした少女で、彼女はトモヤたちのクラスの学級委員でもあった。
「ひ、平峯君と、た、た、高科君ががが……あ、ああ、あんな関係だったなんて――」
朝の通学路で人目もはばからずキスを交し合うクラスメイト。しかも、二人とも二年生の中では五指に入る美少年とくれば、彼女が驚いてしまったのも無理のないことだろう。
赤インクでも塗ったみたいに紅潮した頬を両手で挟みながら、ユカリは激しく頭を左右に振った。おさげが狂喜した犬の尻尾みたいにパタパタ跳ねる。
「ヤダウソ最高っ! 平峯×高科かしら!? あ、でも平峯君って普段が強気だから、あの場面だと誘い受けだったりしてきゃー!!」
脳内で乱れ咲く薔薇の嵐に、奇声を発してユカリが悶えた。ぐねぐねと身を捩って悦ぶその姿は、誰もが彼女の正気を疑いたくなるほど異様だった。
二〇〇五年の冬。
国際展示場の片隅で配布された一冊の同人誌。
年末の801業界の話題を総なめにした、男子高校生二人の甘く切ない恋物語を執筆したのが現役女子高生だったと言われているが――
真相は定かではない。
ディルドーキタ━━(゚∀゚)━━!!
レズものには欠かせませんな
トモヤもジュンもかわいいなぁ(*´Д`)ハァハァ
GJ!!
GJ!
可愛さといエロさといいお腹いっぱいです。
続編クレクレしといて良かったw
46 :
実験屋:2005/10/12(水) 01:22:13 ID:VgPrV3YH
投下いきます。
−−−−−−−−−−−
俺とマオはしばらく抱き合ったままでいた。だが、急にマオが声をかけてきた。
「ジェイドさん・・・あの・・・」
「どうした?」
「下・・・あたってます。」
「え?・・・・あっ!!」
情けない事に大きく反り起った俺の分身がマオの下腹部に密着していた。
「ご・・ゴメン!!」
「いいんです。・・・だって・・・」
「だって?」
「私のコト・・・女として見てくれてるんだなって・・・」
マオは顔を真っ赤に紅潮させ、その顔を手で覆い隠した。
「可愛いこと言ってくれるなぁマオは。」
俺はマオの頭に手を乗せ撫でた。
「あっ・・・うぅん。」
感じやすいのは女になっても変らない様だ。
「マオ?」
「はい?」
俺は真剣な顔でマオを見つめる。俺の気持ちを感じ取ったのか
マオも目をそらす事無く俺を見つめる。
「・・・マオを抱きたい。」
「ジェイドさん・・・。」
「マオともっと触れ合いたい。その身体の隅々まで俺のものにしたい・・・いいか?」
「・・・・はい。」
マオは目を潤ませながら笑顔で答えた。
47 :
実験屋:2005/10/12(水) 01:23:15 ID:VgPrV3YH
互いの服に手を掛ける。性別が無かったと言う事もあってマオは上着とシャツを
取り去っただけでそのきれいな胸をさらけ出した。
「キレイだな。」
「そんな事無いです。」
「イヤ、キレイだ。」
俺はマオの胸に手を伸ばす。
「んっ!!・・・あん・・」
その乳房を手で包み込んだだけでマオは堪らないと言った表情を浮かべる。
「気持ちいい?」
「は・・はい・・・・あぁっ!!」
そのままゆっくりとマオの胸を揉みしだく。
「あぁぁ・・気持ちいいです・・・ジェイドさん・・・」
「よかった。じゃあ今度は・・・」
そのままマオの乳首を口に含んだ。
「はぅ・・あっ・・あぁぁぁぁ!!」
マオは身体を大きく仰け反らた。
「マオは感じやすいね。」
「あぁ・・ごめんなさい・・・んぅ。」
「悪いことじゃないさ。俺としては大歓迎。」
そう言うと俺はマオの乳首を舌で転がし始める。
「んはぁ・・あっ・・んっ!!」
止む事の無い責めにマオは瞳に大粒の涙を浮かべる。
48 :
実験屋:2005/10/12(水) 01:24:25 ID:VgPrV3YH
「!!。マオ・・・痛かったか?」
マオの涙を見た瞬間、俺は背筋が凍った。やりすぎたのか?苦痛だったのか?と。
「違います・・・嬉しいんです。」
「マオ・・・。」
「ジェイドさんにこんなに愛してもらえて・・・私・・・」
マオの声が涙混じりになってくる。
「本当は怖かったんです。ジェイドさんに嫌われたらどうしようって・・・
でも、ジェイドさんが私の事愛してるって・・・言ってくれて・・・。」
マオの気持ちが俺にも伝わってくる。その暖かい想いで俺の胸はいっぱいになる。
「ひゃ!!」
頬に伝わるマオの涙を舌で舐めとる。
「まだまだだぞ。もっと、もっとマオの事愛してやるからな。」
「ジェイドさん!!」
マオを思い切り抱き寄せて口付ける。
「んぅ・・・むぅ・・んっ!!」
俺の舌に必死になって交わろうとするマオに一層愛おしさがこみ上げる。
「あぅん!!・・・んぅぅ!!」
マオの可愛らしい舌を翻弄し更に口内を貪る。マオは対抗できずに
俺の舌のいい様にされている。
「ぷはぁ!!・・・はぁ・・はぁ・・」
唇を開放するとマオは大きく息を荒げる。
「わ・・私も・・・もっとジェイドさんに・・愛して・・欲しいです。」
息も絶え絶えにマオは俺に訴える。
49 :
実験屋:2005/10/12(水) 01:25:32 ID:VgPrV3YH
「あぁ。」
一糸纏わぬ姿でベッドに横たわるマオ。その瞳は俺の股間に逸物に
集中していた。
「いくぞ?」
「はい。来て下さい。」
マオのアソコは十分に濡れて俺のモノが来るのを今か今かと待ち受けている。
俺はマオの秘裂に肉棒をあてがった。
「・・・力抜け。そうすれば楽だから。」
そう言い俺はマオの中に入っていく。
「あぁ!!」
シーツに血が飛び散る。
「痛いか?」
「んっ・・・大丈夫です・・・平気です。」
そうは言うがやはり痛いのだろう。マオの目尻にどんどん涙が溜まっていく。
「動いてください・・・お願いします。」
マオは俺が離れるのを拒むように首に手をまわしてきた。
「わかった・・・。」
マオの願いに答え、腰を動かし始める。ゆっくりとでは逆に苦痛を与えると
思い、深く沈みこみ大きく腰を動かした。
50 :
実験屋:2005/10/12(水) 01:26:28 ID:VgPrV3YH
「くっ・・あぁ・・・んぅ!!」
俺にしがみつくマオの手の力が強くなる。
「ジェイドさん・・・」
「ジェイドでいい。」
「え?」
「”さん”はつけなくていい。」
そのままピストン運動を再開する。
「あぁぁ!!・・うぅ・・ジェ・・イ・・ド・・」
「マオ・・・愛してる。」
「あぁ・・私も・・ジェイド・・・ジェイド!!」
俺にしっかりとしがみ付きながら何度も俺の名前を叫ぶマオ。
「ジェイド・・いなくならないで・・・ずっと私のそばに・・・お願い・・・」
「あぁ・・・離れるものか・・ずっと・・ずっと一緒だ。」
腰を捻るように回しながら突き入れる。マオもそれに答えて腰を振り乱す。
「ジェ、ジェイド・・・くる・・・何かがくるぅぅ!!」
近づいてくる絶頂にマオは身体を強張らせる。
「大丈夫だ・・・俺が傍にいるよ。」
マオを離さないようにしっかりと抱き寄せる。
「あぁぁ・・・ジェイド・・・ジェイド!!」
マオの絶頂に引き寄せられるように俺もマオに想いの全てを自分の絶頂と共に注ぎ込んだ。
51 :
実験屋:2005/10/12(水) 01:28:00 ID:VgPrV3YH
ベッドの上で布団に包まりながら俺はマオと抱きあっていた。
「マオ、よかったよ。」
「ホントですか?・・・うれしい。」
マオは眩しいくらいの笑顔を俺に向ける。
「私もジェイドさんに愛してもらえて気持ちよかったです。」
「”さん”はやめろっていったよな?」
「でも・・・」
「でも、じゃない。」
「恥かしいですぅ。」
「エッチしてるときは沢山言ったのにか?」
「うぅ〜。ジェ・・イド・・のイジワル。」
「可愛い娘にはイジワルしたくなるのさ。」
そのまま、マオの額や頬にキスの雨を降らせる。
「あぁぁん・・・ジェイドォ・・」
ウットリと恍惚の表情を浮かべるマオ。
「覚悟しろよ?俺はこういうヤツだからな?」
そのまま布団の中へと埋もれていく・・・。
「はい・・・・私だけの勇者様。」
52 :
実験屋:2005/10/12(水) 01:31:52 ID:VgPrV3YH
以上がエロ編になります。タイトルが実験屋のままなのを忘れてました。
ご勘弁を・・・。
「魔王の恋」この後、完結編がありますのでもう少しお付き合い下さい。
>>DNhFr3L39M 様
待ってました!!ディルドーがくるとは思って無かったです。
萌えますな。GJ!!!
マオタンかーいいなぁ(*´Д`)ハァハァ
>私だけの勇者様
これ最強
GJ!!
ごめん、シェカネア思い出した。
ごめん、魔方陣グルグル思い出した。
でもGJ!!!
>DNhFr3L39M氏
うはぁー。二人とも可愛いなぁっ、もうっ!
…そうか、百合だったらディルドーは必須だよな…
なんだか脳のシワが一個増えて、また一歩オトナになった気がしますw
GJ!
>実験屋氏
マオたん、たまらん。不意打ちで、頭撫でくりまわしたいです。
それとなくロメジュリな二人の完結編、楽しみにしてます!
ウチの娘っこどもに萌えてくれてありがとう!
オラ、ちょっぴり次回作を書く勇気が湧いてきたぞw
>>z1nMDKRu0s氏
いつ見てもノリとスピード感がGJ!!ですぜ。
続き、期待してますよー
>>実験屋氏
マオタンかわいいー
真面目だけど微ドジっ娘属性とか、かわいいよー
完結編に期待してます。GJ!!
>>aPPPu8oul.氏
センチメンタルな季節にさせやがってGJ!!
愛し合っている二人にはいつまでも変わらずでいてほしいっす
>>アヒル氏
まとめ乙!です。
許婚ネタ、どうぞ使っちゃってください。
俺も和風物を書いてみたくは思うけど、戦国BASARAと鬼武者しか資料がないからダメだw
前スレのまとめを見たら…
そう言えば、版権モノって少ないね。
『カルバニア物語』のライアン×エキュー読みたい。
て、マイナー過ぎるか…orz
エキューたんはもちろん(;´Д`)ハァハァだが
個人的にはやはりチキタ☆グーグーの
キサス×ニッケルたんが読みたいぞ。
知ってる人イタ━━(゚∀゚)━━!!!
初を恐がるエキューが可愛くてさぁっ。
ニッケルも良いね!彼女にはマジ泣きさせられた…
何も知らないラーを誘うニッケル、なんてのも良いな。
書けたら書いてみるかな…
61 :
魔王の恋:2005/10/14(金) 23:52:33 ID:6yM7Pvrx
『魔王の恋』完結編(エロなしですが)投下します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
アレからすぐに俺とマオは結婚した。一応勇者なので国の方には
「旅に出る」と言ってヘタに詮索されない様にした。
「なんだ、結局格好は変えないのか?」
「ハイ、どうもスカートは好きじゃないので。」
マオの格好は今まで通り男物の礼服だ。
俺は別にどおでもいいが・・・イヤ、スカートもナカナカそそるモノが・・ゲフンゲフン。
「ジェイド、いまイヤらしい事考えてたでしょ?」
「ギクッ!!」
マオが俺を睨んでくる。
「あー・・・そのー・・・・スンマソン。」
こう言う時は誤り倒すのが一番だ。
「もう・・・。」
マオは俺に顔を近づけてきてキスをした。
「こういう事はジェイドにしかしないんだから。」
「マオーーーーーー!!!!」
嬉しさのあまりマオをそのまま押し倒す。
「ずっと一緒だからな?」
「・・・愛してる、ジェイド・・・。」
俺は絶対にマオを離さない。この世界で一番大切な存在を守るために。
たとえ死が二人の仲を裂いたとしても・・・
62 :
魔王の恋:2005/10/14(金) 23:53:52 ID:6yM7Pvrx
月日は流れ・・・・
ベッドに横になる老人と傍に付き添う一人の女性。
「・・・悪いな。少しの間、寂しい思いをさせそうだ。」
老人の名はジェイド。かつて勇者と呼ばれた男である。
「いいえ。寂しくはありませんまた会えるのですから。」
女性の名はマオ。若くして魔王の名を受け継ぎ、勇者の妻となった女性。
「マオはいつまでたってもキレイだな。」
「ジェイドもとても素敵な方です。」
ジェイドに比べマオはほとんど歳をとってはいない。
「人間ももう少し寿命が長ければなぁ・・。」
「そういう事は言わないで。」
「ハハ・・・ゴメン。」
静かに、だが確実に時間は流れている。
「じゃあ・・・先に行くわ・・・」
「はい・・・少し時間がかかると思いますが、私も必ず。」
「あぁ・・・・・・・・・・」
そのまま目を閉じるジェイド。
「・・・また後で・・・」
終始笑顔を絶やさなかったマオの目から涙がひと筋流れた。
63 :
魔王の恋:2005/10/14(金) 23:55:16 ID:6yM7Pvrx
さらに時代は移り変わり・・・・・
木陰にもたれ掛かり少年が寝ている。
「ん?・・・夢か・・・」
少年が眠りから目を覚ました。
「覚えてないけど・・・なんか・・・すっげぇ懐かしかったような・・・」
記憶には無い、しかし懐かしく幸せな夢を見ていた。
「あ!!いたいた。」
少年の姿を見つけ近づいてくる少女。
「こんなところで寝て・・・風邪ひくよ?」
「あぁ、ゴメン。」
「あら?今日はやけに素直ね?」
「まあね。なんかいい気分なんで・・・。」
少年は立ち上がり少女の手を握る。
「じゃあ、帰りますか。」
そのまま連れ立って歩く二人。
「ずっと一緒だからな・・・・・マオ。」
「わかってるわ・・・・ジェイド。」
かつて勇者と魔王が交わした約束は今もまだ守られ続けている。
〜完〜
64 :
実験屋:2005/10/15(土) 00:01:42 ID:6yM7Pvrx
以上で『魔王の恋』お終いになります。
マオの父親が1500歳まで生きてるので後日談に無理が出てきそうだったので
生まれ変わりエンドにしました。最後までお付き合いいただき感謝です。
現在、『狂介と有紀』シリーズ一本、新作ファンタジー長編モノ一本
作成中です。ファンタジーの方は他二作と比べてメッサ暗いです。
主人公がシリアス系のダークマンです。
よろしければそちらもお楽しみに。
65 :
名無しのアヒル:2005/10/15(土) 00:12:28 ID:CF/6FDWz
>>実験屋様
完結編GJです!感動しました!!新作のシリアスものも楽しみです!!
>>DNhFr3L39M様
すごいエロっぷりに驚きました!GJです!二人同時に処女喪失なんてレズものならではですね!
おまけも笑えました。男装少女ならではな受難ですね(笑)。
>>z1nMDKRu0s様
大胆な様で純情なユウがかわいすぎです!GJ!
【実験屋様がシリアス執筆中ということで触発されて書き溜めてたギャグ物を投下させてもらいます。
前スレで書いた道場物です。】
「たのもう。」
一人の少年が剣術道場の家を尋ねてきた。
「はいはい、どなたかな。・・・君、誰?きゃわいい顔してるね。」
家から出てきてはいいが色々と失礼な対応をしてるのはこの浜屋道場の息子の寿丸。
「・・・おかしなこと言わないでくれ・・・。」
少年はその馴れ馴れしい対応に少し顔を赤くする。
「あっ、ごめーん。ところで何の用?押し売りはお断りだよ。後、道場破りも親父が留守だからちょっと困るなぁ。
一応オレも師範代でけっこー腕に自信あるけどね。」
最初と変わらずおどけた調子で話しをする寿丸に少年は少しため息をしつつ返答した。
「安心してくれ。拙者、押し売りでも道場破りでもない。入門希望だ。」
「なんだってーーーー!!!」
2ちゃんでおなじみのAAが寿丸の頭を駆け抜けた(←実験屋さん、受け売りすみません)
「そ、そこまで驚くことか・・・。」
寿丸の大げさな反応に引き気味な少年。
「だってーウチの道場、親父がちゃらんぽらんなせいかガキもとい、お子様しか門下生がいないんだもーん。」
寿丸の父で浜屋道場の師範、薙丸は腕は確かだが息子譲りの(←逆)おどけた性格で、それでいて
弟子の選出に厳しい為、薙丸のおどけた性格を受けつける子供しか門下生がいなかった。
「実は・・・拙者の父上が何かあったら浜屋道場に行けって遺言を残してな。名前を頼りにここまで来た。」
「えっ、そうなの。オレの親父と知り合いなんて変わった親父さんだねぇ!」
「・・・・・。」
寿丸のおどけた言葉に黙り込む少年。その顔は少々呆れ顔だった。
『まずいっ!ちょーしに乗りすぎたかな?せっかくのカモ!逃してなるかぁ!!!』
詐欺師か何かの様な考えをしつつ、寿丸は口を開いた。
「で、そちら、腕前はどうなの?」
「腕前?・・口で説明するのは難しいな・・。とりあえず旅している間、負けたことはなかったが・・。
しかし、その最中まだ自分は誰かに教えを乞うべきなのではと悟ってな。父上の遺言を思い出してここに来たという訳だ。」
「成程ねぇ、真面目だねぇ。立派だねぇ。よし!オレについてこい!!なんてね、はは。今から道場に来てもらおうかな。」
「道場に?」
「そ、そこでオレと対決してー、それでおたくの実力見せてもらおうかな。」
「成程・・入門試験というわけか・・・。」
「オレもこう見えても師範代だからね!ところでおたく、名前は?ポチ?ミケ?マリアンヌ?インリン?ベッキー?ナポレオン?」
寿丸はてきとーに人間や日本人には付けない名前を並べた。(何故彼が外人の名前を知ってるのかという突っ込みはご了承ください)
「な、なんなんだ、その名前は・・・。拙者の名は菊之丞だ・・・。」
「菊之丞・・・。よろしくね、菊ちゃん!」
「き、きくちゃ・・・。」
いきなりの馴れ馴れしい呼び方に菊之丞は少々戸惑っていた。
【もう一つの新作、偽りの城は陵辱描写が多いシリアス物なのですが、前々からギャグも書きたかったんで我慢できずとうとう・・。】
67 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 13:34:51 ID:tbAO/q0c
萌えるな〜このスレ
このスレにネ申が常駐しているなぁ。うらやましい
司マダー
>69
ごめん。怒涛の展開にしようという意気込みだけで勢いはなかったりする
思わせぶりに次回予告風投下
=======================================================
明らかになる四角関係
「えーっと……ひょっとしてさぁ、三崎さん……知ってるの? 」
「えっ!? な、何が!? 」
もつれる情念
「……っ女が欲しけりゃ俺なんか選ぶなよ! 今更なんで俺なんだよ! 」
「好きだからだ」
愛はたやすく憎しみに変り
「どういうことだ? 」
「……ごめんなさい」
心は、届かない
「司くん、あたし……」
「関係ないよ。三崎さんには関係ない」
司9.3 coming soon
=======================================================
明日頑張って前半くらいは書き上げる……予定
次回予告があるSSに脱帽(゚Д゚)
明日が楽しみになってきたヾ(*´∀`*)ノ キャッキャ
ついにバランスが崩れるか
次回予告がドキワクで脱帽投下
ようやくカップラーメン食べ終わった真
リアルでは一週間かかっているけどこの物語の中じゃたったの20分
やはり我なら丸ごと喰らうな!!!! ってレスを返してくれるカオシックファンがいないことに少々orz
まぁあんなグロイマンガのネタなんぞ出した作者がバカなわけで……
ずれたから話しを元に戻そう
ちなみにユウタンは真が食い終わるまでの間ずっと上目使いで観察して赤面したり小声でブツブツ言ってたり
こいつ、やばい!! オカ板じゃないけどやばい!!
「……ってい………は真は僕のこ………き?
ぇ……ちょ……」
ああもうハッキリ喋れよユウ!!!!
一人でブツブツブツブツ言っておまいはあれか?
キチ○イか? キ○ガイなのか?
真も何か言えよ!! 目をそらして恥ずかしがってんじゃねぇよ!!!!!!
語り部一人テンション高くてどうするんだよ!!
「ちょっと…いいか?」
お!? 真が動いた
おまけにユウタンの方へ近づいていってるーーーーー!!!!!!
「うぇ……ぇ……あ……」
何言ってんだユウタンは真見つめてあたふたしてやがる
「いや……タバコ」
あぁ成程
要はタバコ吸いたいから窓の近く譲れとそういうわけか
で、問題のこの女は赤面してきゅう……なんて効果音が似合いそうに体育座りで丸まってるし
何を妄想したユウタン、よければその妄想を見せてくれ
もう何も聞こえない領域にいる妄想少女が動かないせいでタバコが吸えなくて固まる真
もう仕方なくといった感じにユウの隣りで立ってタバコに火をつける
ユウが真に気付いたのはタバコがかなり小さくなってから
「うわ……ぁ……
ご……ごめん!!!!」
何故急に謝る
しかも後退りしながら
「か……帰るね…ラーメンありがと、じゃあ」
せかせかと靴を履いて逃げるように立ち去るユウタン
なにやってんだこいつ
「あ……おい!!」
慌てて呼び止めても聞かずに逃走
「ギター……忘れてるぞ……」
ここで中断
意外にムズイぜノリの無い流れ!!
あ…z1nMDKRu0sさ…ん…
はぁん…イイ…ふいんき…(なry
焦らさないでぇ…早くぅっ…
(訳:GJです。続き楽しみにしてますので、無理せず頑張ってください。
てか、ユウたん可愛すぎなんじゃ、コリャァ!)
司にじらされてる俺がいる
じゃあ、おまいも悶えなさい。
さあ、一緒に…
焦らしてごめん。でもこの快感がたまらn
嘘ですごめんなさい。自分で自分の首絞めて苦しんでましたorz
結果半分もいってません。だが投下しないわけにはいかんのだよ……
このスレでは初めての投下。前の話がわからない方は保管庫へどうぞ。
司は今日も午前中は謹慎。午後は担任同伴で班行動という処罰が下った。
普段は品行方正であることと、ゆいたちの証言で男たちがだいぶ強引だったと判明したこと、
警察沙汰にならなかったことも幸いした。一連の事情を見ていた地元の人達も司に好意的だったのだ。
実は理事長の親戚であることもこの処遇に関係しているのだが、
そのあたりは司も隆也も、もちろん健やゆいも知りようがない。
「田宮君」
「三崎さん。どうかした? 」
竜安寺の中を歩いている最中、健はゆいに声をかけられた。
ゆいの表情は昨日から冴えない。司がここにいないことが、責任感の強いゆいには耐えられないのだろう。
「その……司君、元気だった? あたし、昨日から話してなくて……」
「え? あ〜……」
正直、元気とかどうとかではなくずっと不機嫌だった。と、ゆいに伝えるのは忍びない。
かといって全然元気、と言い切るのも嘘になる。
「え〜と、なんだ、その…そうそう、昨日三崎さんの彼氏がうちの部屋に来てさ」
話題を転換してみる。
「え、うん。そうみたいだね…それがどうかした? 裕樹く…山岡くん、何か変なこと言った? 」
わざわざ言い直すゆいに苦笑しながら、健は司の言い分を思い出す。
たしかにこんなに素直でいい子なら、彼氏の変わりに守ってやりたくなるかもしれない。
「いや。司、そんとき部屋にいなくてさ。話したらほんとにいい奴だなって言ってたよ」
「そっかぁ……良かった……」
目元と口元を緩めてはにかんだ笑みを浮べるゆいと、生真面目で優しそうな山岡はきっと似合いなのだろう。
ここでふと、健はひっかかっていた事実を思い出す。
「あ、そういやさ、三崎さんと司っていつから仲良くなったの? 」
「えっ!? あ、あ〜〜〜……あの、ね……夏休みに……」
ぱっとゆいの頬が染まり、俯きモジモジし始める。目の前で美少女にこんな仕草をされたら、照れる。
「あたしが、怖い人に声かけられて……司君が、助けてくれたの」
「え、夏休みにも? 」
にも、と言った健の声に、ゆいは慌てて顔を上げる。
「ううん、あのときは、喧嘩なんかしないでうまく助けてくれたよ?
…だから昨日も、ほんとは……」
言葉に詰まるゆいに、かける言葉が見つからない。なんとか明るくなってもらおうと、必死に言葉を探す。
「あの、さ……アイツも別に、喧嘩好きなわけじゃないけど、昨日のは、なんつーか……
と、とにかく三崎さんのせいじゃないよ! それはあいつも言ってたし……」
「でもっ! 司君、顔に怪我して……あたし、先生の顔見られなかった……」
眉を寄せたゆいの心中を察して、健は口ごもる。口ごもり、ふとゆいの発言にひっかかりを感じる。
「……そんなに自分の責任感じてるの? 」
健の声にゆいはぱっと顔を上げる。
「だって、司君が怪我して一番悲しいのは先生―」
言いかけて、ゆいは唐突に言葉を切る。
担任が生徒の心配をするのは当然だ。しかし、一番、と言う言い方とゆいの反応に、健はますますひっかかる。
「えーっと……ひょっとしてさぁ、三崎さん……知ってるの? 」
「えっ!? な、何が!? 」
こうもわかりやすい反応を返されると、少々罪悪感を感じないでもないが。
「いや、だから、司の……」
「健! そろそろ次いくぞー!」
「ゆい〜! しっかりしてよ班長! 」
台詞途中で他の班員に声をかけられ、ゆいはそちらに駆け出す。
「ごめん! バスあったよねぇ〜? 」
上手いこと逃げられた。健は舌打をしながら確信していた。ゆいは知っている。司のことも、先生のことも。
それが少し嬉しいのと同時に、寂しい。
司を女として見るのはやめると、言い出したのは健の方だった。
とはいえ、そのときにはすでにどちらが切り出してもおかしくない状態で、
ただ最後に健から切り出すことで、男としてのプライドを守っただけだった。
どうしても健は司の女の部分を強く求めてしまって、バランスを取るのに必死になっていた司の心を乱した。
身体を重ねるのはもちろん嬉しかったし幸せで、男同士としての付き合いだって文句なく楽しかった。
それでもやはり、不用意に女の部分を求めて、それを拒否されてということが重なると、お互い気まずくなった。
司は確かに健を頼ってくれていたはずだが、健はそれに答えて支えてやるつもりで逆に重心を失わせてしまった。
だからあれで良かったはずだ。
綺麗に男同士の友人に戻り、一方で女として扱い一歩引いて労わってやることも覚えて、
隆也とのことを聞いても素直に応援してやろうと思った。実際に応援していた。
なのに修学旅行に来て、実際に二人がそういう関係なんだと目の当たりにするにつけ、ひどく胸が痛む。
自分が司にしていたことが、とても幸せで特別なことだったんだと認識させられて、苦しくなる。
結局自分は司にとっていい奴になりたかっただけだと痛感させられる。一番近い場所を守りたかっただけだ。
けれど今更、この感情に名前をつけるわけにはいかない。
そうとわかっているのに、司の秘密を共有している人物が一人増えただけで、それを寂しく感じている。
司にとって信頼できる存在は自分だけだと思いたがっている。
自分の隣にいるのが司の幸せだと言いたがっている。
けれどそれがもう、叶わないものだともわかっているのだ。
何より、健は自分から司を手放したのだ。それを、今の幸せな司を手に入れる術などない。
午後がひどく憂鬱に思えてきた。
隆也と司が合流するそのときまでに、この胸のざわざわを収めなければ。
俺が未練を残しているのは司じゃない、司の身体だけだ。
友人達と歩きながら、健はそう思い込むことにした。
「健、三崎さんと何話してたんだ? 」
「ん、あぁ。司のことだよ」
「あぁ。あいつもいーとこ持ってくよな〜、すっかりヒーローじゃん」
たしかに、女子たちの株はあがっただろう。
それも意味ないんだけどな、と健は内心苦笑する。
「今頃学年主任の前で正座だけどな」
司の目の前には隣のクラスの担任で、学年主任の一人の男性教諭が座っている。
ぱらぱらと日程の書かれたプリントをめくりながらノートに何かをかきつけ、
ときおり他の教諭たちと携帯でやりとりしている。
英語担当のこの教師は、生徒達には鬼と恐れられている。
職員室への呼び出しや放送室への呼び出しが多い、いわゆる説教型の教師だ。
しかし司は決して苦手ではなかった。
曲がったことで生徒を罰する教師ではなかったから、司にとっては無害だったのだ。
「……高槻。お前三崎のこと好きなのか」
唐突な問いに、司は思わず噴出した。
「っち、違います! 三崎さんには彼氏もいますし……」
「うん知ってる。うちの山岡だろう。学級委員同士だからな」
あっさりと言ってくれる。隆也以外の教師とこういう話をすることになるとは思わなかった。
「……だから、ただ相手があんまりだったんで……いえ、反省はしてます」
「だろうな。ま、進学コースなんだし二度とやるなよ。おまえ自身にも不利だし……
三宅先生は若いし甘いからそう叱らないだろうけど、地元でやって警察沙汰にでもなったら学校が困るからな」
無遠慮にタバコをくゆらせはじめた教師に、司は二重の意味で眉を寄せる。
「……善処します」
苦々しく言って再び沈黙を守り正座を続けること一時間。
正午を数分過ぎたころ、主任の部屋を隆也が訪れた。
「失礼します。高槻引取りに来ました」
「おう、お疲れさん。高槻、立っていいぞ。ただ今後くれぐれも注意するようにな」
「はい。失礼します」
頭を下げ立ち上がろうとした司の足元がふらつく。
それを支えようと出しかけた手を不自然に引っ込めて、隆也も学年主任に頭を下げる。
「ご迷惑おかけしました。今日明日はしっかり見ますので」
「頼みますよ、三宅先生。あんまり甘いと生徒になめられますからね」
「はい。それじゃ、行ってきます」
部屋を出た途端、司は隆也の手の甲をつねる。
「いてててて! 」
「先生、手ぇ出しかけたでしょ」
「う、気付いたか……すまん」
申し訳なさそうな隆也の前に回りこみ、司は笑ってその顔を覗き込む。
「気をつけてよ? ……でも嬉しかった。ありがとね」
はにかんだ笑みにつられて、隆也も笑みを浮べる。
「ん。よし、とりあえず昼飯だな。荷物持ってロビーに集合な」
「はーい」
部屋の鍵を鳴らしながら司は廊下を歩き、ふと思いついて携帯を手にとる。
電源を入れるとメールが2件入っている。
「えーと……健と三崎さんか……」
二人とも、どこでどう合流しようかという内容と、司の機嫌を伺うような一文が入っている。
「三崎さんからは『昨日はほんとにありがとうね』で健からは『いー加減機嫌直せよ』か。まぁそーだろうな」
昨夜は隆也に言われたとおり無表情で部屋に戻ったから、皆司の機嫌が悪いと思っているのだ。
おかげで、さっき隆也に笑いかけたときには頬の筋肉が久々に緩むのを感じた。
思わず自分の頬をつねる。
「……今日はもう少し不機嫌で行くか」
隆也と一緒に半日を過ごせるのは、嬉しい。けれどその嬉しさが顔ににじんでしまってはいけない。
部屋で荷物をまとめて、出掛けに鏡の前で仏頂面を作る。
「よし」
「で、なんでネギらーめん?」
「知らないのか? 有名なんだぞ」
「いや、いーんだけどさ……」
多少雰囲気のある店での昼食を期待していた司は本当に仏頂面でラーメンを冷ましている。
派手な音を立てて油がはねるのはそれなりにおもしろかったが、司はこういうノリは求めていない。
仲間同士で楽しむにはいいが、何も二人っきりで楽しむものでもない、と思う。
「その仏頂面はわざとか? それともほんとに気に入らなかった? 」
が、大の大人に少々不安げに覗き込まれると、些細なことで不機嫌になっている自分が馬鹿馬鹿しくなる。
ずず、と盛大に音を立ててラーメンをほおばり、隆也の頬をつつく。
「ふぉっひふぇもいいでふぉ。 ひいからはひゃくはへて(どっちでもいいでしょ。いいから早く食べて)」
「何言ってるかわかんねーよ。よし、とりあえず食うか」
ふざけた司にようやく笑みを返して、隆也もラーメンをすする。
たわいない会話を楽しみながら食事を終え、二人は店を出る。
「ご馳走様でした。うわ、ネギくせー」
「ほんとだな。こりゃつっこまれるな」
笑う隆也は気にした風もなく歩を進める。
「はいガム。と、メールだ」
ガムを差し出す司の携帯がなり、手に取る。画面には田宮健の文字。
「先生、今ここだって」
「仁和寺の前か。よし。予定通りだな」
隆也が広げた地図を覗き込み、司は首をかしげる。
「今いるのってここだよね? 左京区……逆じゃん? 」
健たちがどこを回るかは、あらかじめ知っていた。
先ほど出てきたホテルは二条にあって、今いるのはその東。健たちがいるのは西である。
「そう、逆」
隆也は飄々と言い放ち、タクシーを拾う。
「……ひょっとして先生、わざと? 」
僅かな期待を込めて聞く司に、隆也はにやりと笑ってみせる。
「……ノーコメントだ」
タクシーに乗り込んで、司は思わず隆也の手を取る。運転手から見えないように気を使いながらも、しっかりと。
手を繋ぐという行為に慣れていないのか、恥ずかしそうに俯く司の様子が愛らしい。
「司」
「え」
ちゅ、と頬に口付けると、せっかく繋いでいた手を離してわき腹をつねられる。
「先生っ……」
「前に言わなかったか? 俺は回りにどう思われようがかまわないって」
運転手のおっちゃんがどん引きしているのが手に取るようにわかって、司は顔を赤くして口をもごもごと動かす。
「だ……からってっ……」
「だから、気にすんな」
ぐしゃぐしゃと司の頭を撫でて、隆也は爽やかに笑う。
「……気にする……」
ふい、と窓の外に目を向けてしまった司の手を取って、隆也も外に目を向ける。
「ま、それはそれでかわいげがあっていいけどな」
司は文句も言わず笑いもせず、ただ赤い顔を外に向けている。それでも手を握り返すのを感じて、隆也の頬が緩む。
わからんわ、と内心呟いた運転手は、それでも黙々と車を走らせていた。
「あ、あれそうだな 」
手を振る友人に気付いて、それでも司は歩く速度を速めたりはしない。
隆也が隣にいるだけで笑いそうになる顔をひきしめて、思い出しては顔に血が上る手の感触を忘れようと努める。
結果、仏頂面で歩いてくる司の様子に、班員は皆僅かに緊張する。
「よう、悪いな待たせて」
一方司の後ろを歩く隆也は明るく爽やかな笑顔で、その緊張をほぐす。
「せんせー、どこでお昼食べたの? すっごいネギの匂いするんだけど」
女子生徒の問いかけに笑って、隆也は観光マップを指してみせる。
「ネギラーメン。ほら、昨日他の奴らが食べたって言ってたろ? 」
「えー、マジで? いいなぁ。あたしも行きたかった〜」
楽しそうに会話する隆也を横目に、司はゆいと健にはさまれる。
「司君、ほんとにありがとう。ごめんね」
「あー、いいよ、もう。結果オーライ。たいしたことにならなかったし」
ひらひらと顔の横で手を振る司の頬には、あざが残っている。
「そーいうことはせめて笑顔で言えよ。説得力ねーぞ」
そのアザを無遠慮につついて、健は笑う。
「いって。お前はもう少し真面目な顔で心配してみせろ」
「へいへい。すいませんねぇ、ひょうきんな顔で! 」
「わかってんじゃねーか三枚目」
遠慮のない二人のやり取りに、ゆいはしばし呆然としていたが、突然笑い出す。
「あはは、二人ってやっぱりおもしろいね。いいなぁ、仲よさそうで」
『……そう? 』
健は眉間に皺を寄せ、司はさらに顔を変形させて嫌そうに聞き返す。
「うん、タイミングもぴったりだし」
美少女の悪意のない笑みは周囲の雰囲気を和ませる。司の表情が和らいで、健も安堵の息をつく。
「おーい、そろそろいくぞ〜」
隆也の声がかかり、三人もそちらに足を向ける。
担任がいてはハメを外せないが、それでも日本史担当の隆也の解説はそれなりにおもしろい。
これといった問題もなく、観光は進んでいく。
仁和寺から嵐山に向かう途中、ゆいが最後尾を歩く司の横に歩み寄る。
また『ごめん』なんて言われたら、今度こそ司が困る。
しかしゆいの口から出てきたのは、全く別の、しかしやっぱり司が困る内容だった。
「ひょっとして、田宮君って……司君の秘密、知ってるの? 」
「うん……」
「先生とのことも? 」
その問いに、司は慌ててゆいに顔を向ける。
「健、何か言ってた? 」
「ううん。あたしが司君の心配してたら、『知ってるの?』って聞かれてびっくりしちゃって。
答えてはいないんだけどね、きっとわかってると思う」
「そっか……うん、あいつは知ってる。……そっかー、三崎さんのことも勘付かれたかぁ……」
「あ、あぁ、でも、ほら、あのことは言わなくても、ね? 」
慌てて顔を赤くするゆいに、思わずこちらも赤面する。
「そ、そーだよね。そのことは言わなくても、通じるもんね……あとで俺から、言っておくよ……」
「うん……」
こくん、と首を縦に振ったゆいが、ふと顔を上げる。
「あ、そうだ」
「え? 」
何気なくゆいの顔を見た司に、ゆいは心底嬉しそうな笑みを浮べる。
「先生と一緒にいられて、良かったね」
「……うん」
言われると、手の感触がよみがえって顔に血が上る。
「えへへ、司君、かわいい」
言って、ゆいは小走りに女子の輪に戻る。
「み、三崎さんっ! ……あー、もー……」
がしがしと頭をかく司の横に、今度は健が並ぶ。
「どーした? 」
「いや……あとで話す。長くなりそうだし」
「そっか。俺もお前に話があったんだ。どっかその辺回ってるときにでも話そうぜ」
「……先生の目を盗んで、な」
司の監視にきているはずの隆也は、すっかり他の生徒と楽しく観光している。
側にいればいたで反応に困るのだが、放置されるのもおもしろくない。
わかりやすく不満を表情に見せる司に、健は複雑な笑みを浮べる。
自分でもおかしな顔をしているのに気付いて、健は自分の心境を省みる。
それは間違いなく、嫉妬だった。
はい、まだまだ怒涛じゃなくてごめんなさい。
また2,3日空くけど許して
>ゴッドファーザーズ
ユウタソ可愛いよ、可愛いよユウタソ
青いっていいよな、うん
ふぉ〜
つつぎ気になりすぎ〜
どうなる司ご一行
どうなる四角関係!!
どうなる司の恋道!!
アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ続きが待てない〜〜〜
>>実験屋様
転生END、いいですね〜
二人の一途さが伝わってきてGJ!!でした。
ダークな新作、楽しみにしてます!
>>アヒル様
今までと違ったコメディタッチに期待が高まってます!
陵辱和風の続きも待ってますよー!
>>aPPPu8oul.様
きゅ、急展開!?
というか、司タンは天性の悪女ですな。そばにいるだけで男を狂わす魔性の女めー(ぇ
焦らされつつ、はち切れんばかりに膨らませて(期待を)後半をお待ちしております!
>>z1nMDKRu0sさま
旦那も焦らすのが上手いなぁ(ニヤニヤ
ユウタン可愛いよー
90 :
実験屋:2005/10/17(月) 09:31:49 ID:2Xpd282W
新作前フリ程度ですが投下します。
91 :
Z:2005/10/17(月) 09:33:38 ID:2Xpd282W
『Z〜第1話〜』
「・・・燃えろ」
男が呟くと同時に周囲に立ち上る業火。その炎の中には多くの人影が見える。
炎の勢いが強すぎてよく見えないが地獄絵図となっているのは間違いなかった
「コマンダー。」
男の傍らに控えていた別の男が声をかける。
「あのような雑兵、私でも十分でした。」
「そう言うなドラン。俺は自分で戦うタイプだといつも言ってるだろ?」
「そうでしたね。」
炎の中から鳴り止まない悲鳴や絶叫をBGMに何事も無いかのように
二人は語り合っていた。
そこに。
「こっちも終わりました。」
「・・・ただいま戻りました。」
「手ごたえが無いッすね。」
新たに3人の男が加わった。
「ご苦労。・・・じゃあ後始末は俺がしよう。」
コマンダーと呼ばれた男は炎の中を睨みつける。
92 :
Z:2005/10/17(月) 09:34:46 ID:2Xpd282W
ドドドドドドドドドドドド!!!!
炎の中を突っ切るような音。何者かがこちらに近づいている。
「はっ!!」
炎の中から飛び出た高熱波が男を襲う。
「・・・・・」
しかし、一瞬にして男の前面に展開された光の光壁が高熱波を遮る。
熱源を見るとそこには火だるまになった馬を乗り捨てた甲冑に身を包む騎士の姿があった。
「『独立開放組織オズマリア』のゼット・ルーファスだな?」
「いかにも。」
「『ベルタ王国白騎士団』のエリック・ジーンだ!!」
エリック、と名乗った騎士は憎悪の視線を俺にぶつける。
「よくも、私の部下たちを・・・この反逆者!!」
「千人近い頭数でたった五人を囲んで倒そうとする連中に言われたくないな。
まぁ・・・その五人に壊滅されてるようじゃ何言っても笑いのネタにしかならん。」
「貴様!!」
エリックは長剣を構え俺に向き直る。
「俺がやる。お前らは手を出すな。」
仲間たちに手出し無用の意を伝え、俺も構える。
「丸腰か?」
「弱い物イジメは嫌いでね。」
「私を愚弄するか!!」
エリックは大きく振りかぶり突っ込んできた。
93 :
Z:2005/10/17(月) 09:35:49 ID:2Xpd282W
エリックの太刀を回避しながら魔法を練り上げる。
「雷よ。」
手の平から放たれる電撃がエリックに襲い掛かる。
「甘い!!」
電撃をかわし切りかかるエリック。
「それはオマエの方だ。」
俺と刃の間に光壁が展開する。エリックの太刀は光へ気に阻まれこれ以上
先には進めない。
「くっ・・・なめるなぁぁ!!!」
強引に光壁を突き破ったエリックが俺を切りつける。
「やった!!」
「残念。」
真っ二つに切り裂かれた俺・・・いや、”俺であった者”はドロドロと溶け出し
中からは人型に掘られた小さな人形が出てきた。
「傀儡だったのか!?」
「そのとおり。」
エリックの背後に現れた俺はその両肩を握り、電撃を放つ。
「かっ・・・は・・・」
意識を刈り取られたエリックは力なくその場に失神した。
94 :
Z:2005/10/17(月) 09:37:14 ID:2Xpd282W
エリックを担ぎ上げ仲間の元へと戻る。
「お見事です。圧倒的でしたね。」
賞賛の声をかけるドラン。
「手ごたえが無い。白騎士団ですらもはやこの程度か・・・」
「コマンダーが強すぎるのです。」
「フランの言うとおりです。」
「そうそう。」
続けて俺の不満を受け止める仲間たち。
「そうか?そう言われると嬉しいかも。」
ガラにも無く照れてしまう。
「ところでコマンダー。その者は?」
フランが聞いてくる。
「つれて帰る。」
「捕虜ですか?」
そう聞いてくるのはキノイ。
「いや・・・玩具だ。」
「なるほど。」
四人とも納得したように頷く。
「ウルフ。こいつを頼む。俺は上に報告して帰る。お前らは先に帰れ。」
「わかりました。」
ウルフと呼ばれた男は俺からエリックを受け取った。
「じゃあ屋敷で。」
「「「「はっ!!」」」」
部下の声を聞きながら俺は足元に移動用の魔方陣を展開し消えた。
95 :
Z:2005/10/17(月) 09:39:53 ID:2Xpd282W
ベルタ大陸を数百年にわたって統治する『ベルタ王国』。
しかし、長きに渡る栄華の裏側には王国の光当たらず影へと追いやられる者も多かった。
特に商業や農業を生業にする者にとって出来高に関わらず一定、場合によっては
それ以上の上納金や年貢を取っていく王国に不満を持つものも少なくなかった。
また、下位貴族の中には上位の貴族の怠慢や汚職の実態に嫌悪の意を持つ物もいた。
そんな中、王国から独立し大陸の『王国統治外地域』での共和国成立の運動が活発化した。
中心となるのは先にあげた商家や下位貴族たちが中心である。彼らは王国の庇護に
当たらぬ者や外される者達を引き受け新たな国作りをするという名目で王国に掛け合った。
しかし、
そんな彼らを王国側は『反逆者』として廃絶に乗り出した。
理由は簡単。”気に入らない”のだ。王国は最強の呼び声高い『白騎士団』を
筆頭に共和国設立派討伐を開始した。
独立を訴える為、終始交渉の声明を発していた共和国設立派を王国軍は次々と
討っていった。王国軍は人々が生活を営む町や村を次々と戦場に変え、障害となるなら
民間人をも平気で手にかける者までいた。
どうにかして逃げ延びた設立派の人間は自分達を支持するものを集め
『王国統治外地域』に『オズマ共和国』を立ち上げた。さらには王国軍に
対抗するために『独立開放組織オズマリア』を組織し現在に至る。
96 :
Z:2005/10/17(月) 09:41:28 ID:2Xpd282W
「・・・と言う訳で王国軍は壊滅、捕虜を一人捕らえました。」
ここは共和国の議事堂。共和国評議会議員やオズマリア幹部が
集結し俺の報告を聞いてた。
「よくやったコマンダーゼット。」
設立時の生き残りで実質最高権力者のオズマ議長から賞賛をいただく。
「捕虜の扱いですが・・・」
「おぬしに一任しよう。」
「はっ。」
「ではこれにて閉会。」
閉会と同時にオズマリア幹部の姿が一瞬にして消える。幹部のほとんどは
前線にいるため魔道投影機での参加だったのだ。
「ゼット。」
後から声をかけられる。そこにいたのは初老の男性。
「・・・テクス議員。」
テクス・ケース。評議会議員の中堅で俺のオズマリア幹部入りに際し
設立派討伐時に死亡した友人『ルーファス』の姓をくれた恩人である。
97 :
Z:2005/10/17(月) 09:43:16 ID:2Xpd282W
「さすがだな。」
「これも全てアナタのおかげです。」
王国に全てを奪われた俺をオズマリアに参加させてくれたのはテクス議員。
いわば彼は父も同然だ。
「もはやお前の力はもはや白騎士団をも凌駕しているだろうな。」
「言いすぎですよ。まだツワモノが残っているかもしれない。」
本当はそう思ってなどいないが謙遜はしておく。
「ふむ・・・そうだな。しかし、今はお前を褒め称えさせてくれ。」
「ありがとうございます。」
彼の嘘偽りない賞賛は真っ黒に濁った俺の心には有難い癒しだった。
「では・・・これで。」
テクス議員に一礼し魔方陣を展開する。
「あぁ。四天王にもよろしくな。」
「はい。」
そう言い魔方陣は俺を自分の屋敷へと転送した。
98 :
Z:2005/10/17(月) 09:45:12 ID:2Xpd282W
「お帰りなさいませ。」
屋敷に戻り俺を迎える使用人達。
「出迎えご苦労。仕事にもどれ。」
そう言うと仕事に戻る使用人達、残ったのは四人。
「お疲れ様でしたコマンダー。」
単独でしか動かない俺が唯一公私共に部下にしている四天王、
ドラン、フラン、ウルフ、キノイの四人が出迎えた。
「報告は俺の仕事だ。お前らにさせるわけにもいかんだろう。」
「そうですね。」
「エリックだったか・・・?あいつはどうしてる?」
「拘束し地下につないであります。しばらくすれば意識も取り戻すかと。」
「そうか・・・。」
「ところでコマンダー。お耳に入れたいことが・・・。」
「ん?」
ドランが話した内容に俺は自然と引きつるような笑みを浮かべていた。
99 :
実験屋:2005/10/17(月) 09:48:11 ID:2Xpd282W
新作初投下まずは以上です。
世界設定だけで結構かかってしまった・・・。
この後、主人公の過去にも触れることになってるので
その間エロが霞むかもしれないです。
濃いエロで挽回しますのでご勘弁を。
実験屋氏は作風が広いなぁ……
激しく期待してまつ
ちなみに自分もノリでダークファンタジー物を書いてたり
でも全くエロくないため別スレに投下します
ゴッド毎度楽しみっす。
102 :
Z:2005/10/18(火) 01:30:36 ID:WZF7os/g
自分で内容忘れないうちに投下します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
戦闘服から部屋着に着替え地下室に向かう。屋敷の地下には
魔法の特訓用、並びに拷問用の地下室がある。
扉を開いて明かりをつける。そこには鎧を身に纏ったままの
白騎士エリックが横たわっていた。
「く・・ぁ・・・」
エリックは何かを訴えようとしているが声も出せないし身動きも出来ない。
それもその筈、エリックの両手首足首と腹部、喉下に拘束用の魔方陣が描いてあるからだ。
人体に影響し、動きや魔法を使うものなら魔力をも封印する。
喉元にも描いているのは舌を噛み切って死なれては困るからだ。
「何か言いたいことがあるようだな?」
エリックに尋ねる。その顔は憎悪と怒りに満ち溢れていた。
「鎧はそのままですが仕込んである武器は全て取り払っています。」
同行していたドランが状況を教えてくれる。
「じゃあ問題は無いな。ありがとう下がっていいぞ。」
「は。」
ドランは部屋から出て行った。
俺は念を込めて魔方陣の威力は軽くする。
「はっ・・・はぁ・・はぁ・・・ゼット!!」
声が戻るなりエリックは俺を睨み付ける。
「くっ!!」
「威力を軽くしたのは喉だけだ。それだけで動けるというならご自由に。」
殴りかかろうとして身動きが出来ないエリックを愚弄する。
「貴様、私をどうする気だ!?」
「ここは俺の屋敷の拷問室・・・俺が何をして貴様が何をされるか分るか?」
俺はこれ以上に無い満面の笑みでエリックを見返す。
103 :
Z:2005/10/18(火) 01:31:55 ID:WZF7os/g
「くそっ・・・」
「安心しろ。痛みより”快楽”を刻み込んでやる。」
「なっ!?」
俺の一言に顔が青ざめるエリック。自分が隠しているだろう秘密をもう俺が知っている事に
気付いていなかったようだ。
「驚いてるって事は普段から隠しているのか・・・。」
そのまま鎧へと手を伸ばす。
「やめろ!!触るな!!」
エリックの訴えを無視し鎧に触れる。
「・・・無くなれ。」
俺の一言で鎧は身体から剥れ落ちる。黒い上下一体のボディスーツだけの姿となったエリック。
問題はその身体つき・・・
「内側にアーマーを縫いこんで体格良く見せてはいるが、どう見ても・・・」
「やめろ・・・やめろぉぉ!!」
スーツの胸の部分を引き千切る。
「やっ!!」
そこに現れたのはどう見ても女性と感じさせるだけ大きさを持った乳房だった。
104 :
Z:2005/10/18(火) 01:33:12 ID:WZF7os/g
「しかし・・・女だったとは・・・」
「み・・見るな。」
先ほどとはうって変って弱々しい声になるエリック。
「大きい、には今一歩。小さい、と言うには大きいな。」
ほんの少し標準以下といったエリックの乳房をじっくりと観察する。
「くそ・・・身体さえ自由なら・・・」
「そうか・・・」
パチンと指を鳴らす。
「なっ!!」
エリックの身体が自由になる。
「動きに関して一切の束縛を無くした。相手になってやろう。
しかし、魔法の封印はそのままだ。ハンデとして俺も使わない。」
上着を脱ぎ、シャツ一枚になる。
「お前が勝てば自由にしてやろう。負ければ・・・罰ゲームだ。」
構えをとり戦闘体制になる。
「その言葉・・・・」
寝かされていた寝台から飛び起き・・
「後悔させてやる!!」
エリックが俺目がけ突っ込んでくる。
105 :
Z:2005/10/18(火) 01:34:23 ID:WZF7os/g
「はっ!!」
エリックが正拳を放つ。
「ふん・・」
苦も無くその正拳を握りエリックを投げ飛ばす。
「この!!」
上手く着地し態勢を立て直す。
「威力はあるんだが、正直な攻撃なので受け流しやすいぞ。」
エリックの攻撃を自分の中で採点し評価を述べる。魔法を使う以上
力の流れの裁き方は達人の域の達している自信があった。
「黙れ!!」
エリックが身体を低くし全身を使って蹴りを繰り出す。
「うぉ!!」
すんでの所で蹴りをかわす。蹴りの軌道は俺の股間を狙っていた。
もし、喰らおうものなら男は廃業だったな。
すこし、頭にきた
「今度はこっちからいくぞ。」
構える事無く殴りかかる。
「むん!!」
エリックは俺のパンチを受け止め殴り返す。
106 :
Z:2005/10/18(火) 01:35:32 ID:WZF7os/g
−−−−−−−−−−−−−−−−
そんな攻防戦が五分ばかり続いた。俺が仕掛ければエリックが受け止め、
エリックの攻撃を俺は受け流す。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
エリックの顔に焦りが見え始めた。当然だろう、ずっと攻撃の往復を繰り返しているにも
関わらずいまだに俺が息を切らしていないからだ。
「その程度か?」
「まだまだ!!」
挑発に乗り攻撃の手をやめないエリック。これが原因だ。
俺は攻撃はしているものの一瞬に力を込めて押し出す戦法をとっている。これにより
長時間動いていても体力の消費はごく少量で済む。
それに比べてエリックはただ力任せに殴りかかってきているだけだ。アレでは
無駄に力を垂れ流しているも同然だ。
・・・まぁそれ以外にも理由あるが・・・
「はぁぁ!!」
懇親の一撃と思われる正拳を放つエリック。
「ムダ。」
直前で避けてエリックの腕ごと押える。
ムニッ!!
「なっ!!!」
いい眺めだったのでエリックの胸を揉んでやった。
107 :
Z:2005/10/18(火) 01:36:23 ID:WZF7os/g
「何を!!」
「感度は良好・・・気に入ったぞ。」
「殺す!!」
完全に怒髪天を越えたようだ。
「締めといくか。」
「喰らえぇ!!」
エリック怒りの回し蹴りが降りかかる。
スッ・・・
「なんだと!?」
俺は転移魔法を使いエリックの後ろの回りこむ。
「・・・チェック。」
再び、拘束用の魔方陣の力を再発動した。
「くぁ!!」
身体に重りがかかったかのように床に倒れこむエリック。
「ひ・・卑怯だぞ!!魔法は使わない約束のはず・・・」
「あぁ・・それはウソだ。」
正直な話、戦っている時も魔法で身体能力を上げていた。
108 :
Z:2005/10/18(火) 01:37:39 ID:WZF7os/g
「さて・・・罰ゲームだ。」
「ひっ・・・」
俺の死刑執行と同義語の一言にエリックの顔が恐怖で引きつる。
そのまま寝台へと再びエリックを横にさせる。
「来るな!!触るな!!」
身体を動かせず唯一自由になる声を張り上げ訴えるエリック。
「おとなしくしろ。」
人差し指に魔力を集中する。輝きだした指をエリックの股間に向けた。
「やめろ・・やめてくれ!!」
必死になって俺の接近を拒むエリック。当然聞く耳は持たない。
下腹部から股間まで円形になぞる。すると、なぞった部分のスーツが切り取られる。
「やぁぁ!!」
秘所をさらけ出された瞬間、エリックは叫んだ。それは完全に女のものだった。
「キレイだな。」
「やめろぉ・・・見るな・・・」
エリックは目をつぶり俺の視姦に耐える。
「なんだ、濡れてきたじゃないか。俺に見られて濡れるなんて
結構その気があったんじゃないか。」
「違う!!そんな事・・・」
「ここヒクつかせて、んな事言っても説得力無いんだよ!!」
そのまま花弁に指を潜り込ませた。
109 :
Z:2005/10/18(火) 01:38:44 ID:WZF7os/g
「あぁ!!・・・んっ・・」
エリックの熱く濡れた内部が蠢いて俺の指を迎え入れる。俺はその歓迎に答え
中で大暴れしてやる。
「くっ・・・あぁぁ・・頼む・・やめてくれぇ・・・」
エリックの声が涙交じりの声に変っていく。その声は俺の嗜虐心を煽る最高のドーピング剤だ。
「くぁ・・痛っ・・やだ・・」
指を引き抜きクリトリスをつまみ上げる。そんなに乱暴に扱ってはいないのだが
エリックは乱れるように悶えている。
「コイツもくれてやる。」
魔法で指から振動を発する。
「あぁぁぁ・・・やっ・・・あぁ!!」
より一層悶えるエリック。
「あっ・・・ダメだ・・・あぁ・・見るな・・ダメッ・・見ないでぇ!!」
プシャァァァァァァ!!!!!!
次の瞬間、エリックの股間から黄金の液体が噴き出した。
「あぁ・・・・見ないで・・・イヤァ!!!」
羞恥心が完全にエリックを支配した。そのままエリックは大声で泣き出した。
「クククク・・・・ハハハハハハハハ!!!なんてザマだ、白の騎士様が
オシッコをお漏らしになったぞ。」
「イヤァ!!言わないで!!」
俺の嘲笑に泣きながら答えるエリック。戦場で出合った時、地下室で合間見えた時の
威勢の良さはカケラも無かった。
110 :
Z:2005/10/18(火) 01:40:08 ID:WZF7os/g
「ひっ・・・くぅ・・・うぅ・・」
いまだ泣き止まないエリック。泣く時間を作ってやったがもういいだろう。
「まだだぞ?・・・次が本番だ。」
「そんな・・・」
俺の刑再開に絶望の表情をあらわにするエリック。
「互いの相性によるがな・・・痛くはしない、安心しろ。」
ズボンと下着を脱ぎ捨て全裸になる。
「い・・いや・・・お願い・・・もうやめて・・・」
男装していたと言うのにスッカリ女になったエリック。
だが止める気は毛頭無い。
「いやだね。」
「おっお願い・・・お願いします!!」
敬語まで使い出したぞ・・・なんてザマだ。
しかし、やめろ→やめて→やめてくださいの屈服三段活用は堪らなく気持ちがいいな。
「諦めろ・・・オラッ!!」
エリックの訴えを無視し俺はいきり立った肉棒をエリックの秘所に突き刺した。
「ひぃ・・い・いやぁ・・・」
指の時とは違う包み込むような温かさを感じる。
「動くぞ。」
「いやぁ・・・やめてぇ・・・」
泣きながら懇願するエリックを無視し腰を動かす。
「あぁ・・・ひどい・・ひどいよぉ・・あん!!」
咽び泣きながらも快感に声を上げるエリック。
111 :
Z:2005/10/18(火) 01:41:17 ID:WZF7os/g
「気持ちいいと認めろ。少しは楽になるぞ。」
「ひっ・・・いやぁ・・・あぅ・・あぁん。」
肉棒がエリックを抉る度にエリックは否定できない快楽に身悶える。
「や・・やめ・・・おかしく・・・なっちゃう・・・」
身体が痙攣し始めている。もはや限界だろう。
「よし、やめてやろう。」
俺は腰の動きを止めた
「あ・・・あぁ・・・」
許してもらえたと思っているのか、エリックの表情に明るさが見える。
「ただし!!俺がイクまでだ。」
腰の動きを再開する。
「あぁ・・もういや・・やめてぇ!!」
エリックの嗚咽をBGMにエリックに射精する。
「いくぞ!!」
俺の肉棒の先端から灼熱の濁流が発射された。
「あぁぁぁ!!!」
力無くしおれるエリック。
112 :
Z:2005/10/18(火) 01:43:11 ID:WZF7os/g
俺はそんなことなど気にせず肉棒を引き抜き身繕いを始める。
「よかったぜ騎士殿。」
トドメの一言を言い放ち侮蔑の顔でエリックを見下す。
「・・・んね・・・・ごめんね。」
そんな俺の言葉に耳を貸さずに何か呟くエリック。
「フン・・・まぁいいさ。これから俺が飽きるまで何度でもやってやる。」
そういいながらエリックの髪をかき上げる。
「またな。」
ピシィッ!!
俺の中から何かが砕けた音を感じた。
何のことは無い、”また”俺の心が壊れたのだろう。もう慣れた。
だが、いつもの感覚とは何かが違っていた・・・ナゼだ?
「くっ!!」
俺は頭を振り気を入れなおす。ただの気のせいだ。
もう俺は戻れない。あの頃には戻れないんだ・・・・・・永遠に。
気を切り替え地下室から出て行く。・・・これから楽しくなりそうだ。
第一話 〜完〜
113 :
実験屋:2005/10/18(火) 01:50:56 ID:WZF7os/g
以上で第一話お終いです。自分でも消化しきれない複線を
張り過ぎたのでこの話はしばらく続きます。
どうぞヨロシク。
>>aPPPu8oul.様
GJ!!です。一体どうなる修学旅行!?
次回、正座しながら待ってます。
>>z1nMDKRu0s様
焦らされて半泣きの自分がいる。乙っす!!
黒い
主人公が黒いよ!!
GJ!!
はぁ・・・・
焦らしたらいけないと分かってるのに司さんの続きを催促してしまう自分がいる・・・
だって生殺しだもんよ
>>113 今までのギャグ路線とは一線を隔すダークさが良いですね。
このまま陵辱ダーク系のままなんでしょうか…
それとも純愛に移行するのでしょうか…
続き、待ってますよー!GJ!!
>>115 同志よ。安心しろ、俺も生殺しだ。
そんな脳内に溜まった萌えをSSにまとめちまうのも、ひとつの手だぜ?
つーわけで、書いてくるノシ
嵐山までは電車で移動し、渡月橋の周辺と天竜寺・野宮神社を見ることになっていた。
駅からまっすぐ渡月橋に向かった一行は、ご多分に漏れず景勝地でカメラや携帯を構える。
「先生、一緒にとろー」
「まてまて、どうせなら全員で撮ってもらおう」
通行人を捕まえ渡月橋をバックに写真を撮ってもらい、
それぞれが携帯にもぱちぱちと景色を収めているうちに、雲行きが怪しくなってきた。
「雨が降る前に天竜寺行っちゃおう。皆いる〜? 」
班長のゆいが点呼して、全員そろって渡月橋を離れる。
はずが、途中降り出した雨に駆け足になった班員は、天竜寺近くで二人が消えていることに気付く。
司と健がいない。
「……探してくる。お前たちはここにいろ」
担任の言葉には、全員従う他ない。
人一倍心配そうなゆいの視線を背に受け止めながら、隆也は走り出した。
「おい健!? 話があるのはいいけどこれじゃ……」
「へーきだって。連絡はつくんだし。それより三崎さんの話だ」
二人は観光客の多く通る道を一本奥に入って、定休日らしい店の軒先に立っている。
「あー、それな。そう、三崎さんな、知ってるんだよ」
あっさり司が認めたので、健もどこか拍子抜けしたように頷く。
「そっか。夏休みにも三崎さん助けたんだって? 」
「あぁ。それでさ、俺のこと好きな女の子がいるんだって聞いて……心苦しくてさ」
その後のことまでは流石に話せない。何とはなしに気恥ずかしくて、雨空を見上げる。
「ったく、ほんとにフェミニストだな。それで? 先生とのことも知ってんのか? 」
「あぁ。だから、年上の女に惚れてるって噂も流してもらった」
「……三崎さんが流してたのか。どーりで信憑性もなさそうなのに皆信じてるはずだ」
「はは。まぁ、完璧に嘘でもないしな」
苦笑した司に相槌をうちながら、健は周囲を見渡す。
この程度の会話をするために、わざわざはぐれたわけではない。健には健の目的があった。
携帯の着信音らしきものが鳴り、司の肩が跳ねる。
「あ、先生だ」
携帯の液晶を確認して通話ボタンを押そうとする司の手をつかみ、健が口を開く。
「司。先生でいいのか? 」
「……なんだよいきなり」
いぶかしむ司に、健はたたみかける。
「先生はいつも隣にいてくれるわけじゃない。お前だけを見てくれるわけでもない
さっきだって、お前のことちゃんと見てたら……俺と二人でここにいるはずないだろ」
健の手を振り払い、司は電話に出る。
「……もしもし、先生? 」
『今どこだ? 田宮といっしょなんだろ? 』
「はい……さっきの大きい通りから一本入ったとこで……」
健の視線の先には、傘も差さずに走ってくる隆也がいた。
わかっている。二人には何の問題もない。しかし、それを素直に受け入れることもできない。
「ったく、いきなり迷子とはやってくれるな。お前は保護観察処分なんだからな」
冗談めかして司の頬を指した隆也は笑っている。
「先生」
唐突に硬い声を発した健に、二人の視線が刺さる。
壊してしまいたい。この関係を。この息苦しさを。
ここで自分が言い出せば、自分だけが悶々とした思いを抱えることもなくなる。
「……すいません、ちょっと他じゃ話せないことがあったんで」
しかし、それはできない。あくまで生徒の一人を演じる。すいません、と謝罪を重ねる司もどこか不自然だ。
隆也は釈然としない。それでもそれを指摘することはでず、教師の対面を保つ。
「……そうか。しかし状況を考えろ……さ、皆待ってるからさっさと合流しよう」
「あ。先生、傘差して」
持ってるのに差してないんでしょ、と何気なく世話を焼く司に、隆也も笑い返す。
それが嫌なのだ。
雨もすぐに上がり、その後の観光は特に問題もなく進んだ。
天竜寺と野宮神社を回り、ホテルに戻る。
特に変ったことといえば、隆也が全員を見渡せるよう一番後ろを歩いていたことだけだ。
二人が迷子になったせいだと、班員それぞれは正しい解釈をしていた。
ただ、それだけではないとわかる数名の心境は落ち着いたものではなかった。
「先生、司君どこにいるかわかりませんか? 」
廊下で出会った三崎ゆいの言葉に、隆也は一瞬血の気が引く。
健のあの冷たく固い声が頭にこびりついてはなれない。あそこで、健は何かを言おうとしていた。
「……いや。部屋にいなかったのか? 」
「えっと、鍵がかかってたんで……他の男子の部屋に行くのはちょっと……いけないかな、と思って」
生真面目なゆいの反応に微笑を返す。
「そうか、それじゃ俺が終身時間前に回るから、三崎は部屋に戻ってなさい
それとも、なにか今日のうちに伝えておきたいことでもあるのか? 」
「え、あ、いえ、今日じゃなくても大丈夫、です」
「そっか。じゃあそろそろ部屋に戻れよ」
穏やかに、あくまで自分の職業に忠実な反応を返し、ゆいと別れる。
「三宅先生。どうかしましたか? 」
学年主任とすれ違いざまにそう聞かれ、自分の表情が険しくなっていたことに気付く。
「いえ。これから部屋を回るんで、部屋割りを思い出してただけです」
「ならいいんですが……最終日ともなると生徒も教師も気が緩みますからね、しっかりやりましょう」
「はい」
確かに、初日、二日目とうまく司と二人きりになれて油断していた。
障害などないに等しいと、思い込んでいた。
就寝時間までは少し間があるが、嫌な予感がする。
それでもまっすぐ司たちの部屋に行くことはできず、担当クラスの部屋を一つずつ回り始めた。
生徒達は好き勝手に部屋を移動していて、それぞれを名簿にチェックしていく。
他クラスの部屋にまで移動している生徒もいて、浮かれた空気が伝わってくる。
それとは反対に、隆也は男子の部屋を回り始めて、嫌な予感に拍車がかかる。
司たちの部屋の二人が、口をそろえて二人は部屋にいると言ったのだ。
しかしその部屋には鍵がかかっていて、ゆいが行っても誰も出てこなかったのだ。
二人は部屋にいる。それなのに出てこない。反応もしない。
まさか、という単語が頭をかすめる。その後に続く具体的な想像はしたくもない。
部屋に行くのが怖かった。その嫌な想像を現実に思い知らされそうで。隆也は足を速めた。
向かった先は、司たちの部屋ではない。フロントだった。
「司。話があるんだ」
夕食後部屋で二人きりになったタイミングを見計らって、健は切り出した。
「あ? 何だよ改まって」
司は軽く応えるが、内心ひどく緊張していた。
先生でいいのかと、そう聞いた健の気持ちをどこか恐ろしく感じていたからだ。
「昼の話の続きだ」
はっきりとそう口にした健の向かいのベッドに腰を下ろして、司はにらみつけるように健の目を見つめた。
「先生でいいのかって話? なら俺はお前に言えることは一つだけだ。俺は先生が好きだ。先生と一緒にいたい」
はっきりと口にする司は、これ以上踏み込むなと牽制する。しかし、健もひるまない。
「気持ちだけでうまくいくとは限らないだろ。休みの間はよかったけど、授業も始まって……」
事実、障害は多い。我慢しなければならないこと、気を使わねばならないことは多くある。
疲れることも、くじけそうになることもある。けれど。
「そんなことで諦められるもんじゃないんだ。健も知ってるだろ? 」
ため息をつき、それでもしっかりした態度を崩さない司の意思は堅い。
その意思が、全て一人の男に向けられ、支えられている。
新幹線の中で司に視線を向けてしまった隆也。
二人きりになれると、嬉しそうに笑いあう二人。
ふざけて、隆也の髪を混ぜる司。
雨の中、真剣な表情で探しに来た隆也。
その世話を焼く司。
目の当たりにした二人の関係が、強固な壁となって健の意思を崩しにかかる。
「……だから、もう聞くな。心配してくれるのは嬉しいけど、健に言われたからってどうなる問題じゃない」
きっぱりと距離を示した司に言葉を返そうとして、ドアをノックする音に気付く。
「司くん、いるー? 」
「みさきさ……」
言いかけて立ち上がろうとした司の口を塞ぎ、耳元に口を寄せる。
「まだ話は終ってない。……司、俺が何考えてるかわかるか? 」
司の身体が強張る。うなじから香る女の匂いに、胸が鳴る。
言うつもりのなかった言葉が、ふつふつと湧き上がってくる。
今しかないと、頭の中で誰かが叫ぶ。
ゆいはもう部屋の前にいない。司の口を押さえていた手を離す。
「司」
「……健? 」
いぶかしみと、わずかな恐れを含んだ声に呼ばれる。けれどもう、言葉を飲み込むことはできない。
「司……が、欲しい」
司は目を見開く。予想ができなかったわけではない。けれど、信じられない。
「健? 何言って……」
健の身体が近付く。腕が伸びて、司を壁に押し付ける。
司は身体が思うように動かない。健に恐怖心を抱くなど、ありえないと思っていた。
「け―」
唇が重ねられる。
よく知っているはずのその感触も、動きも、快感からは程遠い。
「っ健! やめろよっ……!」
頭を離し肩を押し返して、できるだけ平静の低い声をぶつける。
しかし戸惑いとおびえを含んだ目は、健の視線に飲み込まれる。
「嫌だ。やめねえよ。お前が何て言っても……」
「何でだよ! 俺はもう、お前とは……だって、健が先にっ」
「そうだよ。やめようって言ったのは俺だ。でも俺はお前の女の部分が欲しい。今、どうしようもなく欲しい」
そう、はっきりと健が口にするのは初めてだった。
司にもわかっていた。健は、男と女の付き合いを求めていたのだと。けれど司にはできなかった。
まだ男としての生活にも慣れていない時期に、そんな器用な真似は。
それなのに自分の女の部分ばかりを求める健の無神経さに、司もいらだっていた。
何故自分の生き方をわかってくれないのか、気を使ってくれないのかと一人で爪をかんだ。
自分から健を誘って、居心地のいいぬるま湯に浸かっていたかったくせに。
自分は卑怯だ。けれど、それでも健との関係は維持したかった。健もそれを望んでいると、思っていたかった。
「……っ女が欲しけりゃ俺なんか選ぶなよ! 今更なんで俺なんだよ! 」
理由もわからぬ涙がこみあげてきて、司は奥歯をかみ締める。
「好きだからだ」
その一言が、司の涙腺を緩めた。溢れる涙を隠そうと俯く司の頬に、健の手が添えられる。
「好きだからだ……司、お前が欲しい」
ぼやけた視界を占める健の表情は、どうしようもなく真摯だ。
それでも、答えることはできない。涙は止まらない。力のない声が漏れる。
「……だめだ……」
「わかってる。でも」
「だめなんだ、健。俺はもう……」
「聞きたくない……」
俯いた健の声に、いぶかしみの声をかける。
「健? 」
「俺だってわかってる。司と先生がうまくいってることは。だから邪魔したくないんだ
それでもどうしようもないから、こうして……っ」
力強い腕が細い背中を抱きしめて、拘束する。
「司の、身体だけが欲しいんだって、そういうことにしたんだ」
「……健……馬鹿だよお前……そんな、だから……」
「彼女できねーんだ、だろ? ……しょうがねーだろ、これが俺なんだし」
苦笑して、肩が震える。人心地を取り戻した司はゆっくりと声を絞り出す。
「……健、聞いてくれ。俺は……」
「悪い」
司の説得をさえぎって、健は司の唇を塞ぐ。
丁寧に唇を弄りながら、うなじをなぞり耳をくすぐる。
腕の中で体を離そうともがいていた司の身体から力が抜ける。
「ん、んんっ……ふぁ、んっ……」
司の弱い部分はよく知っている。
熱い身体を、高い声を楽しみながら、健はキスを続ける。
口を離せば、また咎めるような口調で名前を呼ばれてしまうだろう。
「んっ、ん……む、んぅっ……」
震えながらも弱い抵抗を続ける司の服の中に手をさしいれ、半ば力任せにさらしをずりおろす。
口を離そうとする司の頭を壁に押さえつけ深く口付けを続けて、掌に吸い付く胸を揉みしだく。
ハリがあって柔らかいのは相変わらずだが、何となく少し大きくなった気がする。
指を広げて全体をほぐし、柔らかな乳輪を揉んでから乳首を摘む。
乳輪と同じ柔らかさだったそこはすぐにこりこりとした手触りに変り、爪を立てると声が漏れる。
押し返していたはずの手は止まり、健の服にしがみついている。
それでも、唇を離し手を止めると、胸を押し返し睨み付けてくる。
「っは、やめろよ、健っ……こんなこと、したって」
「俺はやりたいだけなんだよ。その後のことなんて考えない」
自分に言い聞かせるようにそう言って、再び唇を重ねる。
口内を貪り舌を絡ませ唾液を交換しながら、片手で耳を弄りもう片方の手を腰にまわす。
腰を抱き寄せ、自分の股間を押し付ける。
びくりと、司の身体が強張る。はっとして、健は思わず顔を離す。
「…………」
潤んだ目と見詰め合って、息を飲む。こんな顔をさせたかったわけではない。
ひるんだ隙に、濡れた唇が開く。
「健。そんな嘘つくな。わざわざ自分からこんなこと……」
「うるせえよ」
司を組み敷き、ズボンに手をかける。
「健っ! 」
「声出すな……人がくるぞ」
無理矢理ズボンを脱がせ、下着の中に手を入れる。
愛液のにじみはじめた秘裂を指の腹でなぞり、膣口を探り当てる。
「嫌だ……やめろっ……っ! 」
指を押し込んだ瞬間、司が息を飲む。硬く閉じた眦から涙がこぼれて、健は息を飲む。
さっきから心臓がうるさくて仕方ない。
自分はひどいことをしているのだと、わかっている。けれどもう。
ガチャ、とやけに冷たい音を立てて、ドアが開いた。
とっさに体を離す。
「高槻、田宮。いるんだな? 」
開いたはずのドアの外から、隆也が声をかける。
明りのついている部屋に二人がいることはわかっているはずだ。
それでも隆也は踏み込んでは来ない。隆也はこの状況を察している。
「……います」
ドアの方に釘付けになっていた健は、唐突に声を発した司に顔を向ける。
体を起こし、涙をぬぐってサラシを巻きなおしている。
「入るぞ」
しばしの躊躇ののち、隆也は足を踏み入れた。
一つのベッドの上に向かい合って腰掛けたまま、健は呆然と隆也をみやり、司は赤い目を伏せている。
司の服の乱れにも目が留まる。もう間違いようがない。
静かに、極力怒りを抑えて、隆也は口を開く。
「どういうことだ? 」
すぐには、二人とも答えられない。
健は自分のしたことを反芻していた。以前のように、司を抱こうとしただけだ。
それだけなのに、隆也を目の前にして、動けなくなった。
そして、自分は壊そうとしたんだと、改めて気付く。司と隆也の関係と―自分と、司の関係まで。
「……ごめんなさい」
口を開いたのた、司だった。
慌てて言葉を継ごうとした健は、司の様子に気付き息を飲む。
隆也が司の横に歩み寄り、肩に手を置く。
目元を赤く染めていたはずの司の顔からは血の気が失せ、きつく握られた拳は震えている。
「司? ……司、大丈夫だ……」
隆也が声をかけるが、司の目はじっと自分の手を見つめている。
薄く開かれた口から漏れる息は苦しげに乱れ、肩が不規則に上下する。
「ごめんなさい……ごめんなさ……」
「司。ゆっくりでいい、ゆっくり、大きく呼吸して……」
背をさすり声をかける隆也に、司は返事もできず震えている。
手を重ねると、きつく握られた拳にまったく血が通っていないことに気付く。
「……田宮。戸田先生呼んでこい。俺は司を病人用の休憩室に運ぶ」
返事をする間もなく司を抱え上げた隆也は、そのまま部屋を出る。
残された健は反射的に立ち上がり、部屋の鍵を持って学年主任を呼びに行った。
失礼。二回じゃ終らなかったよ。
もうしばらくお付き合いください。
ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
司タンをめぐる愛の攻防戦
どうなる? ねぇどうなるのこれぇぇぇぇぇ!!!!!!!!
転がり転がり
職人さん頑張って頑張って
125 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 23:27:36 ID:u+VRx4Tq
焦らしか?焦らしなんだな?チクショウ!!!!!!GJ
もっかい読み返したんだが
俺初め健が司に迫ったときにゆいがたづねてきたのが隆也に報告してから二回目で司のかすかな声が聞こえて隆也を急いで呼びにいったんだと勝手に脳内変換してたんだが
司の声は聞こえなくて健が迫る前のシーンの隆也に司がどこかたづねるとこにつながってたんやね
あ〜急いで読むのはいかんなぁ
127 :
遠井家の人々:2005/10/20(木) 03:49:37 ID:RXXn1xTH
【少し久々に投下させてもらいます。あいからわず両極端な二組です。】
絢は春希に頭を撫でられながら余韻に浸っている。しばらくすると余韻が落ち着いてきた。
「ねぇ、はーちゃん・・。次は何をするぅ?」
絢が甘える様に聞いてきた。
「まだしたいんですか?」
「うん、もっともっとはーちゃんに気持ちよくしてほしいの・・。」
「わかりました・・。」
そう言いながら春希はゆっくり絢の足を再び開く。絢のまだ愛液で濡れている恥部が再び露わになる。
「あ・・・・。」
絢が微かな声を上げた。春希は絢の恥部に向け指を近づける。
「深く入れない様に気をつけないといけませんね。」
そう言うと割れ目の中にゆっくり指を潜り込ませていく。濡れている為、易々と入り込めた。
「あっ・・。あっ・・。ひあん・・。ひあん・・・。」
一度絶頂に達した膣壁は指がこすれる感触だけでも快楽を感じる程敏感になっていた。
「動かしますよ・・。絢・・・。」
春希は絢に愛撫の開始を告げると、その膣壁を指で掻きたてる。
「あっ!!あんっ!!!ひあ!!ひあん!!!」
膣内を刺激する指の感触に絢は嬌声を上げ、その膣壁からは愛液が再び流れ出す。
「ああっ!!すごいよぁっ!!すごすぎるよぉ!!!気持ちいい・・・。気持ちよすぎるよぉ!!!」
絢は快楽の余り大声を上げた。それに答える様に春希の指の動きは激しさを増す。
「ああんっ!!ああんっ!!気持ちいいよぉ・・。」
春希の指が絢の膣壁を刺激するたび絢は激しい喘ぎ声を上げる。
「あや・・・。」
絢の膣内を夢中で掻きまわしながらも春希は絢のことを呼んだ。絢の膣壁から溢れる愛液がたてる
いやらしい水音がかき消してしまいそうな程小さな声だった。
「あ・・・、はーちゃん・・、はーちゃん・・・。」
春希の声は絢に届いていた。春希の呼びかけに答える様に絢は春希のことを呼んだ。
「絢・・・。大好きですよ・・・。」
春希は絢に愛情の言葉を呼び掛けた。
「はーちゃん・・・、ボクも、だよ・・・。ボクもはーちゃんが・・・ひゃん!大好き・・・。」
絢は春希の指の愛撫により膣壁から愛液を絶え間なく流し続け、その快楽から身体を大きく反らしながらも
春希に愛情の言葉を呼び掛けた。その直後、絢の身体の動きが激しくなる。
「あっ!あっ!あっ!!あっーーーーーーー!!!」
絢は身体を激しく反らし、喘ぎ声を上げる。膣壁からドプッと勢いよく愛液が溢れ、絢は二度目の絶頂に達した。
128 :
遠井家の人々:2005/10/20(木) 03:50:31 ID:RXXn1xTH
夏希はしばらく夕顔の顔を見つめた後、その視線を再び夕顔の乳房に移す。
特に乳房の大きさの割に小さめな乳首をじっくり見つめる。
「なぁ、女の子は・・乳首が気持ちいい・・ん、だよな?」
夏希は顔を真っ赤にし、段々声を小さくしながらも聞いた。
「あ・・・。えっと・・。よくわからないですけど・・。私も、そう聞いたこと・・あります・・。」
夕顔は夏希と同じ位顔を赤くし、ぎこちない話し方で言った。
「オレ・・、夕顔のこと気持ちよくしてあげたいんだ・・・。いい、かな?」
夏希は再び夕顔の乳房に顔を近づけていく。
「は、はい・・。」
夕顔が小さく返事をすると夏希は夕顔の乳首に指を這わせる。
「きゃあっ!!あっ!!」
乳首を舐める舌の感触に夕顔は驚いた様な声を上げた。
「あっ!いやだった?」
夕顔の悲鳴の様な声に夏希は驚いた。
「だ、大丈夫です・・。今の声は・・・、その、気持ちよくて・・・。もっと、続けて、ください・・。」
夕顔は夏希に愛撫をしてくれる様お願いした。快楽に最初の怯えや不安はすっかりなくなっている。
「わかったよ・・。夕顔・・・。」
夕顔の愛撫をお願いする声を聞いて夏希は再び夕顔の乳首に舌を這わせ、舐める。
「ああんっ!!きゃん!!あっ!!」
夏希の舌の感触に夕顔は喘ぎ声を上げた。快楽で目が潤んできている。
「・・・気持ちいい?いや、じゃない?」
夏希は優しげに聞いてきた。
「気持ち・・いいです・・。全然いやなんかでは・・・・。」
夕顔は夏希の言葉に答えた。快楽を浮かべた艶っぽくも柔らかな表情。
――もっと見たい・・・。
夕顔の女らしい表情を見たいがうえに夏希の舌の動きは激しくなる。
「ああっ!!あっ!!あっ!!な、夏希さん・・・・。」
夕顔は今までになく大きな嬌声を上げながら、潤んだ目で夏希を見つめ、呼び掛けた。
「夕顔・・・。」
それに答える様に夏希も夕顔を呼んだ。その間も舌による乳首への愛撫は続いていた。
「あっ!!あんっ!!あ・・・こんなの・・初めて・・。」
夕顔は身体を震わせながら快楽を悦んでいた。
――かわいい・・・。
その表情を見て夏希は心底そう思った。実はその反面、夏希は自分の身体に違和感を感じていた。
しかし行為に集中したいがゆえに今はそれを考えない様にしている。
続く
>>z1nMDKRu0s様
ユウがほんと可愛いですね。今までで一番進展したのでは。
>>実験屋様
陵辱仲間ができて密かに心強かったりします。このままダークでは終わらなさそうと予想。
>>aPPPu8oul.様
繊細な心理描写が乙です!思わず見入ってしまいました・・。
130 :
Z:2005/10/20(木) 07:55:58 ID:jZk+2Wv4
気が付けば神々の降臨が・・・自分も行きます
(エロなし)過去編投下行きます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ちょっとした昔話だ。まぁ、面白くはないがな。
『Z〜第2話〜』
俺の生まれは大陸南西部の小さな山村だった。オズマとベルタの争いも
ここまでは来る事が無く平和に暮らしていた。
あの時までは・・・・
−−−−−−−−−−−−−−−−
「お母さんを返せ!!」
「黙れクソガキ!!」
まだ子供だった俺は目の前の男になす術無く殴り倒された。
「へへ、お前のお母さんは王国軍の名の下に頂いて行くぜ。」
身動きとれずに倒れ伏す俺を男は見下す。
ベルタの軍が通りかかった俺の村で横暴を始めた。更には慰安婦として村の女性を
何人も連れ去り出した。その中には俺の母も・・・・
「お母さん!!」
強引に馬車に乗せられ連れて行かれる母。
「ゼット!!大丈夫・・・お母さん必ず帰ってくるから!!」
この時の母の顔を俺はいまだに忘れてはいない。
131 :
Z:2005/10/20(木) 07:58:50 ID:jZk+2Wv4
「おか・・・あ・・さん」
生まれてすぐに病で父を失い、女でひとつで俺を育ててくれた母親。
この時、俺は全てを失った・・・6歳のときだ。
その後、俺は村の村長に引き取られた。年老いて先の長くない村長は
俺がまた一人になっても生きていける様にと魔法を教えてくれた。
才能があったようで俺は様々な魔法を習得し、またオリジナルの魔法まで開発した。
もちろん必死になって覚えたさ、”復讐”のために。
12歳になった秋、村長が亡くなり、それを機に俺は村から飛び出した。
大陸中至る所を回って母を奪った王国軍を探す、これが最初の目的だ。
戦場付近の村や町を訪ね母の行方を追った。
その途中、王国軍兵士をみつけては手当たり次第にケンカを売り
それをねじ伏せた。おかげで12歳ながら普通の大人では手も足も出ない強さを身に付けた。
132 :
Z:2005/10/20(木) 07:59:57 ID:jZk+2Wv4
ある日、慰安婦に女性をさらっていった軍がいると耳にした俺は
その町まで向かった。
その途中・・・
「やめろーーー!!」
「先生を連れて行くな!!」
子供達の悲鳴が聞こえた。この声にかつての自分を思い出し
怒りに駆られた俺はその現場に走り出した。
「ガキ共が!!邪魔するんじゃねー!!」
辿り付いた先は孤児院。10人近い王国の兵士が孤児院から先生をさらおうとしている
現場を発見した。
「オラッ!!」
抵抗する男性や子供達に手をあげ、女性を連れ去ろうとする王国軍。
その中に・・・奴はいた。
「へへ、お前等の先生は王国軍の名の下に頂いて行くぜ。」
母を奪ったあの兵士だ。あれから6年、ついに探していた憎き敵を見つけた。
133 :
Z:2005/10/20(木) 08:01:56 ID:jZk+2Wv4
「ぎゃっ!!」
俺が放った真空の渦がその兵士の両腕を切り落とした。
「俺の手が・・・誰だ!?」
俺は兵士達の前に姿を現した。
「お前か!!お前がやったのか!?」
殺気が込められた兵士の怒号に臆する事無く笑みを返す。
「威張ってるワリに脆い身体してんじゃん。」
「このガキィ!!やっちまえ!!」
兵士達が俺に襲い掛かる。
「・・・消えろ!!」
俺を中心に消滅魔方の陣を展開する。
「わぁぁ!!」
「助け・・・」
「ぎゃーー・・・」
自分の身体が粒子になって消えていくのを目にして断末魔の叫びを上げる兵士達。
その叫びが気持ちよかった
「そ・・そんな・・・」
一人残った兵士・・・俺の母をさらった兵士を蹴り倒し電撃を流す。
「がぁぁぁ・・」
最低限の身体機能以外を完全に破壊した。
134 :
Z:2005/10/20(木) 08:03:18 ID:jZk+2Wv4
兵士の顎を踏みつけ問い詰める。
「6年前、南西部の村で俺の母をさらったな?」
「・・・・!! オ・・オマエ!!」
俺が誰なのか思い出したようだ。
「ゲハッ!!」
かつて俺がされたように兵士を思い切り殴る。
「母はどうした?」
本題に入る。
「・・・・・・」
「俺の前では黙秘権は存在しない。」
手持ちの短刀で切り落とされた手の断面を抉った。
「ギャッ!!」
「二度は言わない・・・母はどうした?」
「・・・・半年で廃人になった・・・だから殺した。」
「・・・・・・・・」
覚悟はしていた。しかし、こうして当事者から突きつけられる現実は
ビシィッ!!!
俺の心を壊した。
135 :
Z:2005/10/20(木) 08:04:37 ID:jZk+2Wv4
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
両腕を天にかざし巨大な火球を発生させる。
「死ね!!死んで母さんに謝って来い!!」
火球を兵士に押し付ける。
「ギャーーーーーーーーー・・・・・・」
悶え苦しみながら焼かれていく兵士。辺りに肉の焦げる臭いが充満した。
骨まで燃え尽きた残骸をしばらく見つめる。
「・・・邪魔したな。」
孤児院の連中に一言告げ立ち去ろうとした。
「待って。」
その声に振り返ればさらわれようとしていた孤児達の先生が俺に近づいてきた。
「助けていただいて・・・本当にありがとう。」
彼女の声に警戒を解いた子供達も近づいてくる。
「先生助けてくれてありがとう。」
「かっこよかったよ!!」
「魔法使えるの!?」
「お兄ちゃん強いんだね。」
こいつらは何考えてるんだ。
「お前ら俺が怖くないのか?」
目の前で殺生をした俺が怖くない筈が無い。
「全然。」
「悪い奴らやっつけてくれたんだもん。」
母を奪われて以来、人の暖かさを忘れていた俺にとって
彼らの声は 堪らなく嬉しかった。
この暖かさに我慢出来ず俺は久しぶりに泣き崩れた。
136 :
Z:2005/10/20(木) 08:06:04 ID:jZk+2Wv4
孤児院の連中に歓迎された俺は一ヶ月近くそこに滞在した。
暮らさないかと持ちかけられたが孤児という肩書きがつくのは嫌だったし
一人で気ままに旅する楽しさも覚えてしまった為断った。
それから5年ほど経ち徐々に俺の名は王国のブラックリストに名を連ねる事になる。
『尊き人命を奪う悪魔の子』という悪名が流れたため王国の息が掛かっいる町には
近づきにくくなった。
「ぶっ飛べ!!」
衝撃波で王国の兵士を薙ぎ払う。街中で親子にイチャモンをつけ暴力を振るっていた
王国の兵士見つけ返り討ちにしたのだ。
助けた親子と話をしているうちに騒ぎが大きくなったので逃げ出した。
人や建物の隙間を抜け路地裏に入ったその時。
「君。」
路地裏で俺が来るのを知っていたかのように男が立っていた。
「・・・やる気?」
手に魔力を集中させ戦闘態勢に入る。
「スカウトだ。」
「はっ?」
「オズマリアに入る気は無いかな?」
「私の名はテクスだ。君の様な強い人材を欲している。」
これがオズマリアに入るキッカケとなったテクス議員との出会いだった。
137 :
Z:2005/10/20(木) 08:07:28 ID:jZk+2Wv4
テクス議員の自宅に案内された俺は議員のまるで貴族に行うような待遇に
驚きながらも敵意の無い彼の話に聞き入った。
王国の廃絶に抵抗する為に創設された『独立開放組織オズマリア』。
しかし、王国自慢の『白騎士団』に対抗できる猛者が不足し
優秀な人材を集めているのだという。
「君なら白騎士団をも超えた存在になれるだろう。」
正直、一人でベルタ王国を相手にするのは無理だと思っていた。だが、共和国という
後ろ盾があれば・・・答えはすぐに出た。
「入ります。いや、是非入れてください。」
「決まりだな。」
議員が手を差し出し俺はその手を握った。
魔法を使えると言うことで俺は最初から高位のメンバーとして迎えられた。
大抵の者は子飼いの部下や軍を持ち正面から戦うのに対し
俺はあらかじめ敷いておいた陣や罠を発動させ大人数を倒す戦法を得意としていたため
借り受ける人員以外の戦力は持たなかった。また、王国に対し鬼神の様に戦う様が
アウトローながら関心を受けオズマリア幹部の位にまで昇り詰めた。
138 :
Z:2005/10/20(木) 08:08:24 ID:jZk+2Wv4
そんなある日テクス議員が、
「副官が必要ではないかな?」
と言い4人の人員を連れてきた。
「お・・お前ら!!」
俺は呆気にとられた。
「お久しぶりです。私はドラン以後お見知りおきを。」
「フランです。ヨロシクお願いします。」
「ウルフと申します、お力になります。」
「ドモっす。キノイでーす!!」
彼らは孤児院で出会った孤児たちだった。
「ぜひお前の部下に、と志願してきた者達だ。実力は保障しよう。」
「議員・・・」
彼の心遣いが嬉しかった。しかし、同じくらい「ナゼこんなにも俺によくするのか」と
疑問に思い聞いてみた。
139 :
Z:2005/10/20(木) 08:10:34 ID:jZk+2Wv4
「孤児院での立ち回り、を聞いてね。」
「はぁ・・・」
「あの施設は私の友人が建てた物だ。私もたまに出向く。そしてお前の事を聞いた。」
ドラン達と議員にそんなつながりがあったとは・・・
「しばらくして耳にするようになった『悪魔の子』。それとお前が同一人物だと
思って部下に探させていた。そしてあの日、お前を見つけた。」
「あの出会いは必然だった・・・と?」
「そういう事だ。お前は王国に対してどこまでも非情になれる。だが非情なだけの
戦闘機械ならオズマリアにはいらない。孤児達に見せた笑顔、町で親子を救った
正義感、向けるべき感情をお前はわきまえていた。だからこそスカウトした。」
正直、ここまで使い物になるとは思ってなかった。と付け加えられ俺も苦笑するしかなかった。
「あの施設の恩人であると同時にココまでやってきた褒美だ。」
と、孤児院の創始者でテクス議員の友人ルーファス氏の姓を貰い受けた。
『オズマリアのコマンダー:ゼット・ルーファス』はこうして誕生した。
母の喪失から全てを失った俺はこうして新たな居場所を手に入れた。
しかし、未だに俺の心は音をたてて崩れ続けている。
何が足りないのか・・・・・こればかりは誰も教えてはくれない。
第二話 〜完〜
140 :
実験屋:2005/10/20(木) 08:21:56 ID:jZk+2Wv4
以上です。エロ無くてスイマセン。とりあえず一番進行の妨げになる
ゼットの過去を消化しないと先に進みづらかったので・・・。
次回からエロ満載でいきます。今後の展開は・・・・何気に予想されたりして。
>>z1nMDKRu0s様
投下に真っ先にレスいただいて・・・ありがたや!!
>>aPPPu8oul.様
どうなるんだ・・・どうなるんだ・・・司タン争奪戦・・・GJ!!!
>>アヒル様
乙です!!何気にアヒル様は4作近く掛け持って・・・参りました。
そして>>自分の身体に違和感
ってまさか・・・まさかぁぁ!!!
遠井家エロいよ遠井家
モエス
そしてZさん二話キター
エロなしでも面白い。
続き待ってます。
>>129 エチーにこなれた春×絢と、初々しい夏×夕の対比がイイですね!
エロいよエロいよ。前かがみになるほどエロいよー
一粒で二度美味しいとはこのことか……GJ!!
>>140 ただの陰険な悪党ではなく、復讐者としての主人公GJ!!
人物に深みが出てきて、これでエロスも深まってくるってもんですね!
続き、愉しみに待ってますよ
うぉぉぉぉぉぉぉ
遠井家キタ━━(゚∀゚)━━!!
もうこの二人かわいすぎ
エロいよ春側、初々しいよ夏側
GJ!!
実験屋氏もよくこんな良質なネタ浮かびますねぇ
がんがれコマンダー
GJ
>>140 実験屋さん、「Z」かなり面白いですよ。GJです。
遠井家もかなりGJです!
ほとんど書けてないんだが、ちょっとヒロインの設定が他のSSと毛色が違う気がしているSSを書いている。
出来たらうpしてもいいかな?
…ッ!(屮゚Д゚)屮
こいやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
変な言い方になるけどヒロインは「女の子」
エロまでの前振りが長くなりそう。
あと、携帯からなので時間かかるかも。
まさか以前話題になったレズもの!?
バカな自分には言ってる意味わかんねーけどそれゆえに期待っ!
>>149 携帯ナカーマ!
電池切れるし、ワード予測は恥ずい単語ばかりになるし、あげく
間違って『切』ボタン押してパァになったり…
辛いことは多々あるだろうが、がんがれ!待ってるよ〜。
レズじゃあないです。
頑張って親指動かします。
がんがれ
ソニー製ならいい知識をば
#で一つ前に戻るぞ
例
た→っ な→の .→1
155 :
8838:2005/10/20(木) 21:14:46 ID:IeslCPjK
ちょっとばかり失礼いたしますです。
五週間目がもう少しで書き終わるんですが、ついに非エロになってしまいました。
ただ非エロなだけならいい(?)んですが、自分のは例によってちょいと長いもので、
昔からの常連さんはともかく最近来た方には邪魔かもと思った次第。
エロくない作品スレに投下してリンク貼るとかしたほうがいいでしょうか?
住人さんのご意見を伺いたいです。
続き物ですからここに投下した方がよろしいと思います。保管庫収納の都合もありますし。
個人的な意見だと四週目の続きが非エロってのもかなり気になります。どんな展開か非常に見たいです。
長いゆえのお悩みみたいですけど自分はいつも短いので作品も増えたし、これからは一度投下する際
前より多目に送るようにしようかと思ってます。
保管庫の事もあるし、相手先のスレも、いきなり投下されたら
戸惑うんじゃなかろか。(続き物だし)
なので、ここに投下でおkと思う。
非エロでもなんでもいいです。
ぜひココに投下を。
159 :
8838:2005/10/20(木) 22:06:58 ID:IeslCPjK
dです!
了解です。では落とします。
160 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:09:57 ID:IeslCPjK
それは金曜日のことだった。
書類の内容が一向に頭に入ってこない。
「ああ。くそっ」
唸って、彼は髪をかきむしった。ワックスで整えられた髪形は一瞬にして無駄になった。
龍司には稀に、随分前の事柄についての思考が今頃になってどっと押し寄せてくることがある。それは気になることがあるが
とりあえずは他にしなければならないことがある時、前者を一時的に忘れて後者に集中するという誰しもがやっていることを、
彼が時たまきわめて極端にやってしまうことの反動として、稀に現れるものだった。
随分前の事柄というのは、先週の土曜日のことだった。
あの後、瑞希はうって変わって一言も口をきかなくなった。あからさまではなかったが、避けるようなそぶりも見せた。
それは一概に嫌悪して、と言えない風ではあったものの、関係はあきらかにそれまでより悪くなっていた。彼女を家に送り返した
際、彼女は最低限の行動だけで車を降り、そして一度も振り返ることはなかった。
一旦普通に話せるまでになっていただけに、自業自得だとは言えこたえた。自分はこれほど短絡的であったかと今更になって
思う。頭の中と感情は水と油のように分離し合い一向に元に戻る気配がない。
彼は額に手の甲を当てた。熱っぽい気がするが休む気にもならない。何もせずに休んでいればもっとひどい状態になるのは
目に見えている。
彼はこれまでの人生で、まさか自分がこんなことで思い悩むとは微塵も考えたことがなかった。それゆえにどうしていいかも
わからなかった。否、正確にはどうすればいいのかはわかる。ただそれを実行できるだけの胆力を維持できる自信が、今の
彼には全くなかった。
先々週はまだ冷静に対処できたのだと言い訳してみてもどうしようもない。先々週はまだ、彼女を前にして冷静に考える
だけの余裕を持ち合わせていた。だが先週にはもうその余裕は失われていた。
こうなることがわかっていても踏み込むことが出来ない。自分が何を恐れているのかすら解らない漠然とした状態がずっと
続いている。そして事態は好転しない。
針の筵だ。
書類にひたすらサインするという単調な(実際には単調ともいえないが、とりあえずすること自体は単調である)作業すら
まともにこなせない。彼の上司がこれほど仕事に集中できなくなるなど珍しいことだ。
もっともこれまでそんなことが無かったわけではなく、この若い取締役が就任して以来ずっとその秘書を務めてきた彼は
そのまま自分の仕事を続けた。それが思いやりと言うものだ。なに、彼など前代社長の征二郎氏に較べれば何倍も――言い方は
悪いが――扱いやすい。今の取締役の下に付く前は社長秘書だった彼は平然とパソコンのキーを叩いた。
部屋中にばきりという音が響いた。一瞬沈黙が落ちる。
「……」
取締役が筆圧を掛けすぎて折ってしまったペン先を仏頂面で見つめている。書類は跳ねたインクでべっとりと汚れていた。
秘書は静かに執務机まで近づくと、黙って新しい万年筆を机の上に差しだし、汚れた書類と折れた万年筆を撤去した。取締役は
それも仏頂面で見つめていたが、程なく仕事に戻った。それまでよりは幾分冷静になったか、黙々と書類の束をめくり始める。
願わくばそのままで行って欲しいものだが、それにしてもさて、明日までに仕事はどれだけ押すだろうか。既に明日以降の
フォローの方法を頭の中で幾通りか組み立てながら、彼は万年筆のペン先を変えはじめた。一分程度を費やし、やっと自分の
デスクへ戻ったところで、今度は電話が鳴った。きっかり3コールで電話に出た彼は通常こういった職場にはあまり縁のない
場所からの電話であったことで表情を引き締め、内容を聞いたところでさっと青ざめて直ちに取締役に電話をつないだ。
161 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:11:00 ID:IeslCPjK
目が覚めると、龍司は既に着替え終わり、ドリンクを飲みながら彼女が目覚めるのを待っていた。目が合った瞬間、彼女は
やっとのことで起き上がり、逃げるようにシャワー室に飛び込んだ。
スカートはもう履けなくなっていたので、身体を洗った後は服を買ってもらう前の格好に着替えた。着替え終わった後も脱衣所を
出るまでに十分もかかった。つまりは、龍司と顔を合わせたくなかった。眠っているときはあんなに見入っていたのに、いざ
こちらを見る瞳と目が合ってしまうと、怖くなって目をそらしてしまった。
その後はもう、口も利けなかった。
拒んでも話をしても駄目だった。龍司さんは私を手放してはくれない。それが何故かは解らなくても、その事実だけはわかった。
彼女は長く続いたストレスについに折れかけていた。それは自分でも認めざるを得なかった。怖くないとどれだけ言い聞かせても
もう駄目だ。もう、どうしていいかわからない。次に会うのは明日だ。明日、彼はまた来るのだろうか?来たとしたら、その時私は
どういう反応をすればいいのだろうか。たとえどうにもならなくても、拒み続けるべきだろうか。それとも観念して全てを
受け入れるべきだろうか――
「瀬戸さん、聞いてるの?」
「あっ」
延々と続けていた話を切って、同僚が訊いてくる。瑞希はぱっと笑顔を取り繕って頬杖をといた。
「あ、うん、聞いてる聞いてる」
「大丈夫?なんか最近、疲れてるっぽくない?」
身を乗り出す同僚に瑞希はあわててぱたぱたと両手をふって見せた。
「そう?大丈夫だよ。何でも聞いてあげるっていったじゃない、ほら、続けて続けて」
「ホントに聞いてたの〜?」
同僚はふふ、と笑った。
「じゃあテスト。先週私が行った合コンの場所はどこでしたか?ちゃんと言ったはずよ、さあ答えろ」
「う」
しどろもどろで瑞希は脳をフル回転させた。頭の中で知っている食事店の名前を片っ端から引っ張り出す。
「えーとえーと……『パンドラ』!」
「ブッブー」
顔の前に指で作ったペケマークを出されて瑞希はひるんだ。同僚はこれ見よがしにため息をつく。
「正解は駅前の『ボン・マルシェ』です。まったくもう!ふられた話を親身になって聞いてくれないなんて、トモダチ失格だあ」
「はは、ごめん」
ふられたとはいえ合コンでの話なので会話は軽い。週末、会社帰りのファーストフード店(この辺は学生とあまり変わらない)で、
事務員の同僚は頬をぷっくりと膨らませた。
「マジむかつくわ!本命は私の隣の子だったですってえ?ふざけんじゃないわよ!ちょくちょくその子のところに行ってたから
もしかしたらとは思ってたけど……あー、くやしいっ。じゃあ私は何よっ。保険?ざけんなって感じじゃない?」
恋多き同僚は憤慨した様子でそう述べた。その話はかれこれ三十分は続いているが一向に止む気配を見せない。これが、普段は
気のいいこの同僚の悪い癖だ。今日の瑞希は終業後も特に営業の約束はなかったので付き合っていたが、流石にいささか辟易して
いるところだ。
もちろんまだまだ彼女の舌鋒は止まない。
「たしかにあの子、可愛かったけどさあ。見た目で女判断するなんて最悪だと思わない?でもその子、たぶんあいつには興味
なかったわね。絶対無理だわ。いい気味よ。もしどこかでまた会うことがあったら腹いせに新しい男――あ、もちろんそいつより
いい男よ?――彼氏だって言って紹介してやるっ。あ、この際瀬戸さん、あなたでもいいわ。あなたホント外見男だもんね?
着てるものまで男だし。よし、これいいわ、これでいこうっ」
「合コンでふられた意趣返しでそこまでする?」
というか虚しいだけでは?という疑問は口に出さず、瑞希は苦笑した。同僚はひとしきり鬱憤をぶちまけた後、「あ、でも」と
疑問の表情を見せた。
「前から思ってたんだけどさ、瀬戸さん。スーツ、なんで男物なの?女の子にしては背高いから男物も着れるんだろうけど」
「うーん、便利なんだよね。裏地無いから洗っても早く乾くし。安いのも多いし。私貧乏だから、あんまり着数持てないんだ。それに
女だと利点も多いけど、なめられるんだよね、やっぱり。特に相手側が個人じゃなくて、企業だと。折角男みたいな見てくれしてるん
だから、どうせだったら男と間違えられた方が、相手もちゃんと話聞いてくれるの」
あらかじめ用意していた(入社時上司にも尋ねられたがその時には後者の理由を告げた。もちろんオブラートに包んだ言い方は
したが)説明をすると、彼女はあっさりと納得した。
162 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:12:15 ID:IeslCPjK
「ふーん。営業は大変だよね、自前のスーツじゃないといけないもんねえ」
同僚はチキンナゲットをぱくついた。箱を瑞希のほうに差し出し、「一個どう?」と勧める。こういう場所に誘うのは大抵同僚から
だが、瑞希は金の無いなりに付き合うことにしている。常に百円シリーズのSサイズシェイクの彼女を同僚は理解し、自分の好きな
ように物を頼み、ぱくぱくと遠慮なしにほおばっている。普段はそんな同僚が時折あくまで押し付けがましくなく、気まぐれのように
「一個どう?」といってくれるのは、彼女がただの無遠慮な少女では無い証拠だった。瑞希はありがたく頂戴した。
「瀬戸さんって時々さ、本当に男みたいでびっくりするときある。どーんって喋って、すごくさばさばしてるの。性格が変わってる
わけじゃないんだけどさ、なんか、態度が男なんだよね、完っ璧に」
「うん。なんていうか、説明するの難しいんだけど」
瑞希は鼻の頭を掻いた。
「ONとOFFみたいに身体の中で男と女のスイッチがあってさ、それを切り替えるとそっちになるの。中学までは部活で演劇
やってたんだ。本当は体力付けたくてはじめた部活だったんだけど、そのころ私、いろいろあってすごく男になりたくってね。
男の役が好きで、男役ばっかり希望してて、それに沿うように練習して――いつの間にかそのスイッチが自由に切り替えられるように
なってたの。最初のうちは必死でやってたけど、なれると割と面白いよ。男な時に自分が女なこと思い出しちゃうともう駄目だけどね」
「うわー、わけわかんない。ビョーキかもよそれ」
「そうかもねー」
はははと笑うと彼女らは揃ってナゲットを齧った。
その時、何かが細かく振動する音が響き、瑞希は自分の鞄に目をやった。思い当たるものがある場所へ手を伸ばすと、果たして
振動する携帯電話があった。
「あれ?誰だろ」
「なあに?取引先?」
「そうかも。ちょっとごめん」
「んんー、いいよ」
席を立ち、店の外へ出ると、瑞希は液晶画面を覗き込んだ。知らない番号だった。顧客からいつ電話が掛かってきてもいいように
非通知設定はしていない。当然、知らない番号でも出るものだ。
しかし電話の向こうから聞こえた第一声はどこの取引先のものでもなかった。
『瑞希。俺だ』
彼女は飛び上がりそうになった。
「龍司さ――」
彼女は言いかけ、急に心胆が冷えたのを感じた。今この人と話すのは怖い。しばらくの間言葉を継げず、ようやくおそるおそる口を
開く。
「……なんでこの番号を知ってるんですか」
『いつだったかな』
龍司はこともなげに言った。
『帰り際に番号貰っといた。気付いてなかったか』
「……」
彼女はただため息をつき目を閉じた。貧乏で携帯電話など持てるはずのない彼女が今持っているのは会社のものだ。龍司ならそれが
解らないはずがない。その時ばかりは自分の恐れなどよりも一般常識が勝った。彼女は携帯に向かって叫んだ。
「私が持ってる携帯なんて、会社のだってわかるでしょう!?それにかけてくるなんてっ」
『こんな時でなきゃ使うつもりなんてなかったさ』
龍司の声音が緊張したものであることに彼女はようやく気付いた。
「何?何なの」
携帯電話に耳を押し付けて彼女は訊いた。龍司の答えはシンプルだった。
『叔父さんの容態が急変したそうだ』
「――」
番号を勝手に攫った龍司を責めることは頭から吹っ飛んだ。かわりに瑞希は携帯を握り締めた。
「すぐに行くわ」
『お前は来るな』
「えっ」
意外な言葉に瑞希は一瞬絶句した。
「どうして!」
163 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:13:44 ID:IeslCPjK
『お前が来ても、話をややこしくするだけだからな』
龍司の言葉に彼女はむっとした。
「そんなことないわ」
『自覚がないからどうしようもない』
「――」
もう一度、そんなことはない、と言い掛け、彼女は押し黙った。やましくはなくても、確かに自分は物言いがいささかはっきり
しすぎている。自覚がないといわれれば一瞬考えてしまう。
彼女が黙り込んだその隙に龍司はもう一度繰り返した。
『来るな。おとなしくしてれば、後で俺が責任持って状況を教えてやる』
「……」
『お前だって自分の立場くらいわかってるだろう。これから病院には親戚中が集まる。今までお前を庇ってくれてた叔父さんが今
危ないんだ。お前が迂闊な事をすればお前の立場はすぐに危うくなるぞ。お前が来ないことについては俺からフォローを入れて
おいてやる。悪いようにはしない。俺を信じろ、瑞希』
驚くほど真剣な声音だった。その声を聞いた瞬間彼女は躊躇し、考えた。
『いいな?』
龍司は確認するようにそう尋ねてきた。
瑞希は無言だった。動揺から頻繁に瞬きをし、最後にぐっと瞼を閉じる。私はどうするべきか。行くべきか、それとも龍司に従う
べきか。
しかし立場や思惑の全てを超えた何かが彼女の背中を押した。彼女ははっきりと言った。
「嫌」
『なっ』
今度は龍司が絶句する番だった。瑞希は叫んだ。
「行きます!」
『おいっ』
瑞希は龍司の声を無視して一息に携帯を切った。彼女の中でかちりとスイッチが切り替わった。
龍司は苛々と踵を鳴らした。歩いているわけではなく陰鬱にその場で立ち尽くしているだけなのだが、それでもいらついて
いるとき自分にはこんな癖があったのかと彼はさらに陰鬱になってそれを止めた。
訪問者は予想外に多かった。週末なのが影響しているのだろう。その階の待合ホールを身内だけで占拠しているのは肩身が
狭いが、他にどうすることも出来ないので仕方がない。
狭いホールには実に十人以上の男女がひしめいていた――もっともそのうち男は自分一人だけだったが。いずれも龍司に
とってはよく見知った顔ばかりだ。みな一様に暗い顔だった。内心のところはどうだか知らないが。自然にいくつかのグループに
分かれ、懇意にしているもの同士だけでひそひそと何事かを囁き交わしている。
龍司は女という生き物のこういうところは大嫌いだった。つるまなければ何も出来ない。しかもどうしてこう、彼女らという
ものは陰湿なのか――人の事を言えた義理ではないが。彼は彼女らの事を考え続けるのはやめた。無意味だし、何より今はそんな
場合ではない。しかしこの状況では仮にここにいる全員が男だったとしてもこの状態はそうは変わらなかったろう。性別が問題
なのではない、結局は構造が問題なのだ。それをどうもしなかったことだけが、今死の床に伏せっている叔父の悪い部分で
あるのだろうと思う。
この中に母はいない。いたところでさらに自分が陰鬱な気分になるだけなのでいてくれないほうがいいが。どこかのグループに
入り込めるほど器用でも協調性があるわけでもないし、もともと兄である征二郎に何の感慨も抱いていなかった女だ。いたほうが
不思議だ。
龍司は時計を見た。夜の八時を回ったところだった。
面会謝絶。それが今の叔父の状態だ。
「……」
龍司はきつく目を閉じた。担当医にはよく保っている方だと言われた。つまり、これから先は全く予想がつかないということだ。
もともと心臓の病気で、いつ急逝してもおかしくない発症の仕方をする病気だったから、龍司も既に心の準備は済ませていた。
つもりだった。しかし実際には、今、彼の心中は穏やかには程遠い状態だった。叔父は厳しい人だが、愛情もあった。それは
単に自分が大鐘家の中でたった一人の男子であったから向けられていたのかもしれないが、少なくとも救いにはなってくれた。
その叔父が危篤に陥ったことは、思った以上に彼の心にさざなみを立てた。
164 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:15:20 ID:IeslCPjK
そしてそんな中でも龍司には気がかりがあった。それは瑞希だった。彼女は口約束を反故にしたことはない。あの態度からして、
いずれ必ずここに来る。ついでに言うと、彼女は他人の神経を逆なでしやすい――特にこういった他人と協調することをよしと
する類の人間の。彼女は自分の考えを持てない、あるいはあらわせない人間に対して、意識しての事ではないのだろうが、冷たい。
それは彼女の美徳であり、それ以上に欠点だった。ここにいる誰一人としていい感情を持っていない――龍司とて表の顔は例外では
ない――瑞希がいざ現れたときどの程度の騒動になるかはひとえに瑞希の言動に掛かっている。おとなしくしていてくれれば
いいがと彼は不安な面持ちの口元を手で隠した。
叔父の病室のドアが開いたのはその時だった。
「妙さま」
「妙さま!」
何人かが病室から出てきた婦人の名前を呼んだ。
「皆、静かになさい。病院の中ですよ」
妙はホールまで出てくると言った。まとわりつく女たちを制止し、一歩引いて全員を見回す。
「心配をかけるわね」
彼女が女たちの思惑を把握していないはずは無いが、妙はまるで表に出さなかった。彼女も自分と同様、征二郎の急時を預かる
身である。同じ立場の人間として、改めて龍司は彼女を尊敬した。
「今夜が山だそうです。できれば皆にも面会させてあげたいけれど、無理だそうなの。本当にごめんなさいね」
妙は淡々としゃべった。
「今日は一旦解散するわ。峠を越えたとしても面会は出来ないだろうけれど、それでもよければ、また来て頂戴」
その言葉は征二郎の容態が予想以上に悪いことを感じさせる台詞だった。龍司は黙って視線を落とした。
かしましい女たちはてんでばらばらに移動を開始した。エレベーターに向かう者、階段に向かう者、あるいはその場に留まる者。
その中で妙は真っ先に龍司を見た。
「妙さん――」
「龍司さん」
妙はすっと龍司のそばに歩を進めた。
「気を落とさないで。ね?」
「……」
妙は自分がどういう風に育ってきたかをよく知っている。彼女は龍司の耳元でさりげなくそうささやいた。
「ありがとうございます」
かすれた声しか出なかった。一番つらいのは彼女だろう。そう思うと感情を堪える気にもなる。ぐっと口元を引き結んで、彼は
背筋を伸ばした。
「後は任せてください。妙さんは叔父さんの傍に――」
その時だった。階段の踊り場からその場に飛び込むようにして紺色のスーツ姿が現れた。靴を大きく鳴らして闖入し、たった今
出て行こうとした女性と鉢合わせになる。スーツの人物は女性を押しのけるようにして必死の表情でこちらに向かってきた。
「遅くなって申し訳ありませんっ」
瑞希はそう言葉を発して妙の元に駆け寄った。
「妙様っ!お爺さまはっ」
「瑞希」
龍司は短く呼びかけた。瑞希ははっとして龍司を見た。龍司にすらこの反応では、まさに妙だけしか目に入っていなかったようだ。
龍司はたった今、瑞希が押しのけてきた女性を視線で示した。
「お詫びくらいしろ。失礼だ」
瑞希は一瞬わけがわからないという風に瞬きをし、それからやっと気が付いたようにあ、という表情をした。瑞希は身を翻し
取り繕うように頭を下げたが、女性は機嫌を直した様子はなくついとそっぽを向いて立ち去った。
「……」
それ以上かける言葉を見失った様子の瑞希に、妙が声をかけた。
「瑞希さん」
妙は瑞希の肩に手を置いた。和むような表情を見せるが、すぐに険しい顔になる。
「征二郎は重態です。万が一のことも覚悟してね。でも、気はしっかり持って。頼りにしてますよ」
「――」
瑞希はしばらくの間言葉を詰まらせていたが、最後には、
「はい」
とかすかな声で呟いた。
165 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:16:24 ID:IeslCPjK
「龍司さん。お言葉に甘えることにするわ」
妙は瑞希に椅子を勧めると龍司に向き直った。肩を落として待合室のベンチに向かう瑞希を見送る龍司を見上げる。
「私はもう少し征二郎についています。申し訳ないけれど後をよろしくね」
「はい」
妙はつと声をひそめ、もう一言付け加えた。
「感情的になっては駄目よ。くれぐれもね」
「――」
その台詞に、またも心の内を読まれた気分になり、彼は自省した。ひとつ深呼吸をする。ゆっくりと身体から力を抜き、彼は
答えた。
「わかっています、叔母さん」
昔の呼び方をすると彼女はにっこりと微笑してみせた。そのまま、叔父の病室へと戻っていく。小さな背中を見送り、龍司は
さて、と気を引き締めた。
「瑞希」
龍司は瑞希に目をやった。
「お前も帰れ。もうここにいる必要はない」
瑞希は頭を振った。
「遅れてしまいましたから。もう少し、ここにいます」
瑞希はそう答え、隅のほうで並んだ椅子に腰をかけた。広げた膝に肘を付き、手を組んで床に視線を落とす。こんな時でも
親戚の前ではきっちり男を演じている瑞希を見、龍司はわずかに舌打ちをして冷たく言った。
「好きにしろ」
自分はやはり、男の瑞希は好きではないようだ――女の瑞希を知ってしまった後では余計に。口調や立ち居振る舞いはともかく
性格は何ら変わっていないというのに、この落差は一体何なのだろう。
答えは簡単に出た。たぶん、男だと抱けないからだろう。
「ねえ、龍司さん」
若い、瑞希より一つか二つ程度年下に見える小柄な少女が龍司のそばにつと寄ってきた。可愛らしい少女で、不安げな表情を
纏っている今ははかなさを前面に押し出した雰囲気を持ち、男の保護欲をそそる類の魅力を振りまいている。クリーム色の
上品そうなワンピースを身につけた彼女は世間知らず特有の無邪気な仕草で小首をかしげた。
「お爺様が亡くなっても、私たち、大丈夫よね?」
龍司の腕に小鳥が止まるように纏わりつき、その手をとって包むように握る。細い眉をひそめて彼女はうつむいた。
「私、来年進学ですもの。これまでどおり支えていただけないと、志望の大学には通えないわ」
「大丈夫よ、美弥」
遅れて龍司の傍に近づいてきた赤いスリーピースの女性がそう言い、龍司に軽く会釈をした。
龍司も会釈を返した。女性は少女の柔らかそうなウェーブがかった髪を撫でた。
「征二郎さんが亡くなったら、龍司さんが後を継がれるんですもの。ねえ、龍司さん?」
「ええ、そうです」
龍司はうなずき、少女と視線を合わせた。
「心配するな、美弥。お前が大学に行く間、俺が責任もって助けてやる」
「ありがとう、龍司さん!」
華やかな笑顔を見せる少女に龍司は笑いかけ、年配の女性に向き直った。
「昭世さん、美弥の勉強をしっかり見てやってください。彼女には俺も期待しています」
「まあ。聞いた?頑張らなくては駄目よ、美弥」
「はい!」
小鳥のさえずるような声で少女は応えた。母親は娘の反応を見て満足そうに目を細めた。
「さ、もう帰りますよ、美弥」
「はい、お母様」
踵を返す娘を見ながら、彼女も「では」と龍司に頭を下げ、ふと付け加えるように龍司に言った。
「ごらんになりました、龍司さん?あの子、どうも龍司さんを好いているようですのよ」
「それは。光栄ですね」
「血縁としては無いも同然ですし、私としても咎めるつもりはございませんの」
「おや」
166 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:17:29 ID:IeslCPjK
龍司は眉を上げて微笑してみせた。
「いいんですか?大事なお嬢さんを」
その問いには答えず、ほほ、と口元に手を当てて彼女は笑った。
その時がたんと大きな音をさせて、瑞希が椅子から立ち上がった。全員の視線が集まった。
「やめてください!」
仁王立ちになり目を伏せたまま瑞希は叫んだ。
「どうしてそんな話ができるんですか!こんな時にっ」
この場に相応しくない大きな声で、瑞希は彼らを責めた。場がしんと静まり返った。
その瑞希に、龍司は何の感慨も沸かなかった。龍司が向き直ったとき、ぱっと、ワンピースの少女が龍司の前に出た。
高いミュールを履きなれた様子の踵が高い音を立てる。
「あなたには関係ないわっ。口出ししないで下さらない?」
柔らかく少女らしい仕草で美弥は言った。
「関係はあります!」
瑞希はさっと顔を赤らめ、憤慨した様子で言い返した。
「俺だって――俺だって、お爺さまの孫だっ」
「本当はこの家にいられる人じゃないくせに」
無邪気に、さらりと美弥は言葉を発した。
「この家の男性は征二郎お爺さまと龍司さんだけで十分だわ。あなたはご自分のお家にお帰りになったら?」
「っ」
瑞希は一瞬言葉を詰まらせたが、再び顔を上げた。
「……そうすることはできません。この大変なときに――」
「黙ってろ、瑞希」
言葉と言葉の切れ目にタイミングよく入り込んできた言葉が二人の口論の糸をぷつりと切った。
龍司は
「この子のいうとおりだ。お前が口を出すことじゃない」
「……龍司さん?」
瑞希は目を見張って龍司を見た。動揺した様子のその瞳が一瞬、土曜だけのものに変わった。
「――」
龍司は不覚にもわずかに平静を欠いた――不意打ちをくらった気分で息を詰める。彼は精神に咄嗟に堰を下ろし、それ以上
厄介な情動が流入してこないようせき止めた。
龍司はきつく眉をひそめた。事情を知らない人間なら単に瑞希を忌々しく思っただけに見えただろう。もしかしたら、瑞希にも
そう見えたのかもしれない。彼女は明らかに戸惑っていた。そしてそれでも瑞希は口を開いた。
「しかし、今話していたことは!お爺さまが……お爺さまが」
「亡くなった後の話をしていたことか?」
「――」
あっさりと口にした龍司に、瑞希は血の気が引いたように真っ青になった。
「……」
龍司は無表情に瑞希から視線を外した。完全に冷えた目を取り戻し、彼は言った。
「お前にはわからんかも知れんがな。それとこれとはまったく別の問題だ」
「そんなことはありません!」
瑞希は言い募った。この時点で既に二人の論点がずれていることに瑞希は気付かなかった。そして龍司がそれに気付きながら
故意に論点を合わせずにいること、論点を合わせれば寧ろ、龍司は瑞希の意見に好意的であることも。
龍司は目を閉じた。
「お前は自分の価値観を他人に押し付けすぎる」
「でも」
「これ以上ぐだぐだ言うようなら、もう帰れ」
「…………!」
瑞希は唇を噛み締め黙って踵を返すのを、龍司はぼんやりと見送った。そして少しだけ瑞希を羨ましく思った。
167 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:19:59 ID:IeslCPjK
おかしくなりそうだ。
瑞希は沸騰する脳をもてあまして廊下に立ち尽くした。
もうこんなところには居たくない。うんざりだ。この家の人たちはどこか大切な部分が壊れているんじゃないだろうか。
うすうす感じていたことをこの有事に見せ付けられ、彼女は形式というものの下らなさを呪った。疲れた表情で壁に背を預ける。
「……」
わかっていたことだ。彼女は繰り返した。こんなことはとっくにわかっていたことだ。こんなことは過去無かったわけではない。
むしろ親戚たちに会う度、こんな感情は何度だって味わってきた。そのうえで、自分は今もここにいる。今更これ位の事で
ショックを受ける方がどうかしている。
でも。
瑞希は我知らず深い溜息をついた。絶望の吐息を吐き終わると夜気で冷えた手を組み、熱くなった頭を冷やすように額に当てた。
(龍司さんも同じなんだろうか。お爺様のことより上辺だけの付き合いの方が大事なんだろうか?)
彼が時折叔父に対して見せていた、良い意味での執着のようなもの――瑞希はそれを好意、あるいは愛情と解釈した――
それらは全部嘘なのだろうか?龍司が瑞希の定期的な見舞いを、あくまで一面からのものではあるが心象を良くするためと
評したように、彼もまた、それだけの理由でそうしているに過ぎないのだろうか。
待合ホールで龍司に言われた台詞は、少なからず瑞希を打ちのめした。傍から見ていて薄ら寒くなるようなあの会話が、彼らに
とってそれほど大事なものなのか。皆自分の主張しか口に出さず、自分以外の人間を思いやる言葉や態度はひとつとして出て
こない。自分たちを支えている一番の存在が危ないという時に、取るに足らない家の中での立場ばかりを気にするのか――そして
彼もその中にいた。
「瑞希さん」
そうしてつらつらと考え事をしていると、知らない声に呼ばれ、瑞希はぱっと壁から背を離した。
廊下の暗いところにたたずむ小さな人影があった。
一人の老婆がいた。妙も随分な年齢だが、老婆はその妙よりもさらに年かさに見えた。背はひどく低く、真っ白な髪を結って
地味な紫の着物に木の杖を突き、大きく腰の曲がったその身体を支えていた。
「……あの」
この方は一体誰だったろうか。直接尋ねるのも不躾に思えて、瑞希は曖昧な返事だけをした。戸惑いを読み取ったか、老婆は
しわくちゃの顔を歪めるようにして笑った。
「わからないのね。無理も無いわ。紹介されたこともなかったものねえ」
彼女は歩を進めようとし、つまずいた。
「大丈夫ですか?」
歩き方さえ覚束ない女性を、瑞希は反射的に支えようとし、近づいた。手を貸すと、老婆は「やさしいのねえ」とまた笑った。
瑞希も、いえ、構いませんと返事をしながら知らず知らず微笑んだ。
(なんか、おばあちゃんと似てる)
自分の祖母と彼女を重ねあわせ、瑞希は昔祖母にしたように老いてやせた細い身体を支えてベンチのある場所まで連れて行った。
老婆は笑みを絶やさなかった。連れられるままにベンチに座り、杖にもたれ掛かりながら瑞希を見上げた。
「私は咲子と言いますよ。あなたと同じ、大鐘家の一員です。私の息子が大鐘家に婿入りさせていただいたのよ。息子は早くに
亡くなったけれど、今もお付き合いをさせていただいてるの」
「そうでしたか。失礼いたしました」
「いいえ、構わないのよ。あなたとはずっとお話したいと思っていたの」
頭を下げる瑞希を制すると彼女は「あなたもお座りなさいな」と瑞希を自分の隣へ導いた。瑞希が丁寧に辞退すると老婆は
それ以上は何も言わなかったが、代わりに別の話題を持ち出した。
「さっきのあなた。立派だったわ」
「え?」
瑞希が目を丸くすると、老婆は瑞希を見て言った。
「自分のことばかり考えている人たちをひとこと諌めたでしょう」
「あ……」
その言葉を聞き、瑞希は何のことを言われているかはすぐに理解したものの、照れが先に立ってすぐには返事を返せなかった。
彼女の言い方が、褒められる側としてはあまりにあからさまだったからだった。瑞希の様子を意に介せず咲子は続けた。
「毅然とした態度だったわ。流石は征二郎さんのお孫さんです」
「いえ……」
この家の女に良いものにしろ悪いものにしろここまで率直な意見を出されたのは、瑞希は初めてだった。恐縮し、また頭を
下げると、咲子は「そんなにかしこまらないで」と笑った。
168 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:21:28 ID:IeslCPjK
「今、そのことで悩んでいたのでしょ?」
「……」
見抜かれていると感じ、瑞希は押し黙った。彼女は言った。
「貴方の言うことは間違ってなどいません。私が保証しますよ」
「咲子さん」
瑞希は思わず彼女の名前を呼んだ。
「私は家の中ではあまり立場の強いほうではないけど、またつらい目に会うようなことがあれば、遠慮なく言って頂戴。私で
よければ出来る限り力になりますからね」
「――」
思いがけない言葉に胸が詰まった。
「ありがとうございます」
嫌な人たちばかりだと思っていたが、こんな人もいるのだ。瑞希は何だか息苦しくなった気がして胸に手を当てた。妙だけは
例外だったが、彼女はあくまで全員の上に立つ立場であり、瑞希個人が自分の考えを無闇にぶつけられる人物ではないし、それを
やってしまえば妙の迷惑になる。家のことは基本的には第三者にはしゃべらないし、本音はなかなか出せないのが現状だった。
龍司との事が精神的にも身体的にも負担になっていることもあり、自分でも何を言おうとしているのかわからないまま、瑞希は
口を開こうとした。
わざとらしい靴音が聞こえたのはその瞬間だった。
「咲子さん」
「――」
瑞希は声も無く振り向いた。今度はよく知った声だった。咲子はおっとりと闖入者に声をかけた。
「龍司さん。わざわざこんな所へいらして、どうかなさいました?」
「いいえ」
月明かりに背を伸ばした長い影が瑞希の足元まで届いていた。瑞希は無意識に一歩下がってその影を避けた。影の持ち主は
淡々とした様子で低い声を発した。
「ただ、お話されるならもっと明るいところへいらっしゃればと思って声をお掛けしたまでです。瑞希。咲子さんはお体が
芳しくない。受付のロビーへでもお連れしたらどうだ。気が利かないぞ」
「あ……はい」
瑞希はそう応じながらもなかなか動けなかった。こんな話を人のいるところでしては咲子の立場が無いではないか。また肩を
貸そうとすると、咲子は相変わらずにこにこと笑みを浮かべて言った。
「私は大丈夫よ、瑞希さん。一人で戻れます」
「でも」
「いいのよ」
そう言い、彼女は小声で笑いかけてきた。
「またお話しましょう、ね、瑞希さん」
「はい」
瑞希がうなずくと咲子は嬉しそうに笑った。
「約束よ?」
咲子は慎重に立ち上がり、杖を支えにして病院の冷たい床を踏みしめた。今にも倒れそうな後姿を瑞希ははらはらと見送った。
龍司は咲子が完全に立ち去ったのを冷ややかな目で見届け、それから更にしばらくそうしていた後、瑞希へ向き直った。
「何やってるんだ、お前」
「何って……俺はただ、彼女と話をしていただけで」
何かおかしいかと問い返すと、龍司はゆっくりと腕を組んだ。わずかに溜息をつき、小さく頭を振る。
「本当に人を見る目が無いな、お前は」
「……どういう意味ですか」
「別に」
龍司は視線を逸らしてそう言った。
「そういう思わせぶりな言い方、やめてください。俺は嫌いです」
「いちいちお前に合わせてやるつもりは無いな」
「どうして貴方はそういう――」
「ひとつだけ聞かせろ」
急に話題を変えられる。龍司の表情が思いのほか真剣であることに瑞希は勢いを削がれた。
169 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:22:57 ID:IeslCPjK
「……何です」
「どうしてここに来た?」
瑞希は肩を震わせると龍司を見た。龍司は冷徹な顔をしてこちらを見ていた。
「俺は来るなと言った。それが何故かは言った筈だな?なのに、どうして来た。俺の言い分は間違っていたか?」
「……いいえ……」
悔しいが、それは認めざるを得ない。そう答えた後、あれ?と瑞希は心中で首をかしげた。私はお爺さまの財産が目当てで、でも
本当はお爺さまにおばあちゃんと私の方をちゃんと見て欲しくて……
なら、どうしておとなしく龍司さんの言うことを聞かなかったんだろう。どうして私はこんな事を言っているんだろう。瑞希は
腹の底に泥のように溜まったそれらの言い訳を少しずつ取り除いていった。そして全ての泥を取り除いたとき、彼女の中でその事実は
泥の中に埋もれていた宝石の原石のように燦然と輝いていた。
「理由なんてありません。ただ、来ずには居られなかっただけです!」
はっきりと声にした途端、彼女はそれを初めて自分の本当の声と認識した。
「祖母が亡くなる前、いてもたってもいられなかった。何をしても無駄だってわかっていても、そこにいて、顔を見ていなければ
気がすまなかったんです!今日だって同じです。大事な人が危険なときに、どうして駆けつけずにいられる?貴方だってお爺さまが
心配でしょう!なのにどうしてあんな、あんな……」
祖父そっちのけで自分の立場ばかり心配している女たちと平気な顔をして話していられるのだろう。そう思うと突然目の前が
真っ赤に染まったような気がして、瑞希は息を詰めた。
瑞希は激昂していた。体中の血液が煮えたぎっていた。おそらくこれまでに無いほど、瑞希は怒り狂っていた。しかし今はそれを
開放する時ではないと思い、瑞希は歯軋りした歯と歯の間から必死に言葉を捻り出した。
「龍司さんは……本当はお爺さまのことが好きなんだと思っていました。花を届けていたり、お爺さまのことを尊敬しているような
話しかたをしたり……前は龍司さんのことを自分勝手で、冷たい人だと思っていた。でも財産とかそんなの関係なく、龍司さんも
誰かに思惑抜きで愛情を向けられる人なのかもしれないって、最近はそう感じられるようになってきていたんです」
瑞希は感情を抑えて吐き出した。
「でも違ったんですね。こんな時に、あんなくだらない会話が出来るなんて――」
そこまで言って、瑞希はふと言葉を止めた。
龍司の表情が先程までと違っていた。彼はまるで思いがけない言葉でも聞いたかのように目を丸くし、瑞希を見ていた。
それまでどんな罵倒を浴びせられても平気だったその顔が唖然とした表情を作っていた。
口を開いたその声はわずかにかすれていた。
「瑞希。お前」
少しは堪えたかと睨み返すと、龍司は少し苦しげに息を吐いた。
「……聞け。瑞希」
その声はわずかに揺れていた。
「何をです」
口ではそう問い返していながら、瑞希は全身で聞きたくないという態度を示していた。これまで平然としていた彼が今更何を
言っても私には届かないと瑞希は思っていたし、実際そうだった。
「瑞希。俺は」
「やめてください。もういい」
瑞希はかぶりを振った。
「しつこいですよ」
ぱっと髪を振り乱して、瑞希は強い口調で言った。それでも龍司は食い下がった。
「聞いてくれっ」
「嫌です!」
怒りが沸点を超えた。瑞希は殆ど反射的に手を閃かせていた。
ぶんと空気を切って平手が飛んだ。龍司の頬に向かって吸い込まれるように伸びる。しかし予想した衝撃は無く、すぐに腕に
制動がかかった。はっとして自分の手に目をやる。
「聞けと言ってるだろう!」
瑞希の手首を掴んだまま、龍司が怒鳴った。一瞬、時間が止まったような気がして、瑞希は目を瞬かせた。
自身の手首を大きな手が握り締め、血流を圧迫しながら動きを封じている。ごつごつした紛れもない男の手が瑞希の視界に入り、
瑞希はきょとんと呆けた。
170 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:24:27 ID:IeslCPjK
刹那、すっと視界が暗転するように血の気が引いた。脳裏に星のように光が瞬いた。
「――――」
瑞希は言葉を失った。
ぱっと記憶がフラッシュバックした。
彼女は畳の上に押し倒され、声を上げていた。両手首は束縛され、来ているものはだらしなくはだけさせられている。鎖骨に
浮き上がっている赤いしるし。
瑞希は龍司に組み伏せられている自分を思い出していた。それも一番最初の、初めての時の記憶を。
最奥まで貫かれ、彼女は息を止めた。
無理矢理与えられた屈辱と身体が引き裂かれる痛み。脳裏で彼女は実際には無かった自分の絶叫を聞いた。
「――いやあぁっ!」
現実へと立ち戻った瞬間、瑞希は龍司の手を全力で振りほどき、がむしゃらに逃げ出した。突然のことに驚く龍司を跳ねのけ
無我夢中で距離をとる。廊下の壁に背中をぶつけて、身体はやっと止まった。
「……もう嫌……」
唇から自然に声が漏れ出た。発散し損ねた怒りが再び湧き上がってきた。悲しい。苦しい。辛い。腹立たしい。悔しい。
怖い。そんな感情が列挙され、焼きごてを押されるように彼女の心に染み入った。殆ど無意識に、彼女は叫んでいた。
「嫌い……貴方なんて嫌い!」
叫んだ瞬間、彼女はその言葉に縋りついていた。龍司に対して何が正しく、何が正しくないのか、考えても長らく答えの
出なかった彼女は、自分が発作的に発したその言葉に飛びついた。それは常に流動する相手に対して自分の立場を明確に
出来ないままずるずると引きずられてきた反動だった。彼女の忍耐力は限界であり、これ以上の疲労を防ぐために、精神が
最も単純な答えを選んだ。彼女は殆ど何も考えていない表情でぶつぶつと続けた。
「こんなわかりきったこと、どうしてはっきりもさせないでここまで来てしまったんだろう……!私、嫌い。貴方のこと、
本当に嫌い!あんなのは嫌。もうあんな思いをするのは嫌。もうやめて。もう……」
狂ったように繰り返して彼女はその場にずるずると座り込んだ。自身をかき抱き、怯え切った瞳で磨かれた床に視線を落とす。
「瑞希」
彼女は名前を呼ばれても気付かなかった。
「私が毎週、土曜日が来るたびにどんな気持ちでいたかわかる……?」
泣き出しそうな声で彼女は呻き続けた。呪詛に近い声が龍司にぶつかった。
「つらかった。いつもいつも、苦痛で逃げ出したくて仕方なかった!でも貴方なんかに負けたくないって思ってここまで来た。
だけどもう無理。耐えられないわ」
「瑞希」
再び名前を呼ばれた。今度は気付いた。そして無視をした。
「明日もまた来るの?明日もまた――」
「……瑞希」
三度呼ばれた。瑞希は言った。
「もう、私の名前を呼ぶのはやめて……」
一歩足を踏み出した龍司に、瑞希は捨てられて人間不信に陥った仔猫が手を差し伸べた人間を威嚇するように牙を剥いた。
「来ないで!」
壁に背中を押し当てて彼女は声を上げた。あの時はたしかこれに似た状況もあった――こんな時まで彼女は思い出したくも
無い最初の週を思い出していた。封じていた嫌な記憶がわずかな隙間からあふれ出して彼女の精神を侵食していた。
「……」
龍司は長いことそこで立ち尽くしていた。その顔が、時間をかけてゆっくりと色を失っていった。最後には、その顔は
まるきり無表情になった。
龍司は腰から鍵の束を取り出した。一度で目的のものを探り当てたらしい。そのひとつを一挙動で束から外す。龍司はそれを
ぎゅっと握り締めた。そして決心したように、リングに指を引っ掛けて彼女の目の前に差し出した。
「――」
瑞希は涙目を見開いてそれを喰い入るように見つめた。
「近づくなというなら近づかない」
龍司が手にぶら下げていたのは瑞希のアパートの鍵だった。
「これは返す」
それ以上近づけない彼は足元にそっと鍵を置いた。そのまま数歩下がる。瑞希は引き寄せられるように鍵に触れた。指先で
触れるとこつんと音がした。それは龍司の体温を受け取っていて、まだ温かかった。ひったくるように掴みあげるとリングと鍵が
擦れてチャラ、と音を立てた。
頭上で声がした。
「もう、お前のアパートには行かない。安心しろ」
弾かれるように顔を上げると目が合った。変わらず、龍司は無表情のままだった。あれ、この顔どこかで見たっけ、と瑞希は
一瞬状況を忘れ、見入った。ただそれはいつか見た時よりもずっと色を無くし過ぎていて、まるで死人のような顔だった。
死人はやはり色の無い唇を動かした。
「悪かった」
彼はそれだけ言って、瑞希の眼前から立ち去った。
171 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:26:15 ID:IeslCPjK
「どうしました?」
高い靴音が響いた。階段の踊り場から看護士らしき女性の声がこちらに降ってきた。
「なにか言い争っている声が聞こえたんですが……どうかなさいましたか?」
慌てた声に突然我にかえり、瑞希は反射的に目尻に溜まった涙を拭った。それでも乱れた脈はなかなか平常に戻らず、
彼女は必死に平静な声を作って返事をした。
「だい、じょうぶ、です……転んでしまって」
苦しい言い訳をし、立ち上がる。瑞希はわずかに乱れた着衣を直した。
「言い争いも私です。知人と喧嘩をしてしまいまして……たいしたことじゃないですから、大丈夫」
「……本当に大丈夫ですか?」
看護士の言葉に、彼女はふと顔に手をやった。
「……私、そんなに大丈夫に見えませんか?」
「ええ。お顔が真っ青ですよ」
「そう、ですか……」
酷く気分が悪く、足元も覚束ない。看護師の言うこともあながち嘘ではないかもしれないとやっと自分の状態を認識し、
「帰らなきゃ……」
瑞希は胡乱に呟くと歩を進めて出口へ向かった。
「休んでいかれても構いませんよ?」
「いえ……大丈夫です」
親切な看護士にひとつ頭を下げると、右手の中の鍵を握り締め、瑞希は無理に笑顔を作ってみせた。
誰もいない待合室で、暗闇に埋もれるようにしてひっそりと、彼女はそこにいた。
龍司は立ち止まった。咲子の顔を見る。咲子も顔を上げ、龍司を見た。そして言った。
「さっきのあれ。マナー違反じゃないかしら?」
世間話でもするような口調だった。責めているような言葉の内容とは裏腹に、咲子は皺を深めてそう言った。
龍司は短い沈黙の後、唇を引きつらせて押し殺した声を出した。
「それは悪かったな。だがこの非常時に、とてもそのままにしておくわけにはいかなかったんだよ、俺としては。……まさか
あんたが、瑞希にちょっかい出すとはな」
「そうねえ」
咲子は瑞希に微笑みかけていた時と全く変わらない様子で、敬語を使わなくなった龍司に対しても微笑んだ。龍司は心中のみで
舌打ちをした。
彼女は自分と血縁が最も薄く、会う頻度はそれこそ年に何回かで、ろくに話をしたことすらなかった。龍司にとってこれまでの
咲子の印象は血縁関係のそのまま、最も印象の薄い人物だった。大人しく、控えめで、こうした組織の繋がりによって発生する
損益には、否、それ以外のものにもひとつとして興味の無い人物だとばかり思っていた。しかしこれが本来の彼女であるとすれば、
ここまで自分の目から思惑を隠していたことに関しては素直に賞賛する。
考えれば、実権が叔父から自分に移ることで、最も損害を被るのは彼女である。そういったことにももっと早く気付かなければ
ならなかった。
叔父の大病は思ったよりずっと自分の目を曇らせている。
「そのご様子だと瑞希さんを説得できなかったようね。あれだけ仲がお悪いのだから、当然でしょうが」
咲子はそう言い、ふと首を傾げるようにして龍司の来た方向を見やった。
「瑞希さんはいい子ね」
「あんたに都合がいいの間違いだろう」
「まあ。ひどい事を言うのね。私はただあの子ともっと仲良くしたいだけよ。祖母と孫のようにね」
「……」
この女は瑞希が女だということを知っている。あくまで勘だが、龍司はそう感じた。ただ、先程の台詞からすると自分が瑞希を
女だと知っていることまでは――そうなるともちろん関係までもは――知らないようだが。だがそれでは、咲子に瑞希を抱きこむ
意味は――
否。
瑞希が今、家の中で男と認識されていることが重要なのだと龍司は気付いた。つまりは彼女を男として押し通させるつもりか。
咲子が社内に何らかのパイプを持っていれば不可能ではない。
172 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:27:29 ID:IeslCPjK
龍司は無意識に、乾いた唇に舌を這わせた。
いい度胸してやがる。
「……あんた、瑞希を養子にでもするつもりか」
「瑞希さんが承知してくれればね。大丈夫よ、きっと承知してくれるわ。あの子はとってもいい子だもの」
咲子は平然と言った。龍司は馬鹿にするように鼻を鳴らした。
「だが、抱き込んだところでどうやってあいつを俺と入れ換える?あんたもわかってるだろうが、俺は長い間叔父さんに付いて
勉強してきた。そして会社での地位にもそれと同じだけの時間をかけてる。その俺と今頃外部から入ってきた人間を差し替えよう
なんて容易なことじゃない。あいつが出てきても今まで誰もあんたのように声をかけなかったのはその所為だ。それに、あいつの
経歴は知ってるのか?使い物にならないくらい平凡だ。あんなんで俺に勝とうなんて」
「あら、経歴を知ってるの?案外仲がいいのかしら」
咲子は意外そうに目を見張り、でも、と続けた。
「私、あの子の経歴なんて調べていませんよ」
「……何?」
龍司は少なからず驚き、咲子の表情の読めない顔を見た。
「そんなことは必要ないの。あの子が確かに征二郎さんの孫だって事実があればそれでいいの」
その台詞に、龍司には耳に引っ掛かるものを感じた。
瑞希の経歴など関係ないというからには、瑞希がどれだけ平凡であろうと関係なく、自分と瑞希との立場を入れ替えられるという
ことだ。咲子はそれほどの要素を手にしているということだ。
瑞希を持ち上げる必要などない。つまりは、
「――」
龍司は目を見開いて咲子を見た。彼はジャケットの裾を翻し、咲子に詰め寄った。
「あんた、俺の何を知ってる」
威圧するように怒声を発する。
「答えろ!」
「あら」
咲子は小首をかしげた。電灯がおちて薄暗い中龍司を見上げ、
「お顔の色が宜しくないようね。身体にはお気をつけなさいな」
ころころと彼女は笑った。
眩暈がした。
「何が欲しい」
龍司は冷や汗を禁じえなかった。だがそれを拭くような仕草を見せれば彼女はそれに更につけいってくるに違いなかった。全身の
気力を総動員して穏やかにそう尋ねたが、咲子は龍司の用意したテーブルには着こうとしなかった。
「お金にあまり興味はないの。どちらかというと、社会的地位のほうが好みね。そちらの方は流石に、お願いしてもそう簡単には
譲ってくださらないでしょう?だからわざわざ瑞希さんとお話させていただいたのよ」
咲子はそう言い、何事も無かったかのように龍司から視線を外してゆったりとした表情で前を向き、実質的にそれ以上の会話を
拒んだ。
龍司は次に打つべき手を失い、立ち尽くした。龍司の予想通りであれば、彼女の手にしているそれはそれ一枚で彼が失脚するのに
充分な手札だった。そして咲子にはそれを最大限利用するつもりはなさそうだった。彼女には目的があり、その目的以外の事柄に
カードを切るつもりは無いようだった。
龍司は急に自分の足元が頼りなくなる感覚に慄いた。
「……正直に言おう。あんたを軽く見てたよ。もっと注意しておくべきだった」
龍司は長い時間をかけてようやく声を絞り出した。口の中はからからに乾いていた。
「見直してもらえたなら嬉しいわ」
「だが、ひとつ間違いを犯したな。強請るつもりでないのなら、大の男相手にこんな場所で、今手の内をひけらかすなんてどうか
してるぞ……状況的には、俺は」
一瞬言葉を止め、彼は低い声で唸るように言った。
「ここであんたの首を絞めることだって出来る」
不穏な台詞を聞いても、咲子は笑顔を崩さなかった。
「無意味ね。だって私、もう最後の手を指してあるもの。これで王手……いえ」
「…………」
完全に言葉を失った龍司に、彼女は言った。
「詰み、かしら」
咲子は頬に手を当てた。溜息をつく。
「残念だわ」
彼女の最後の言葉は、驚いたことに、紛れも無い本心のようだった。
「私、知ってるわ。本当はあなたも瑞希さんと同じくらいいい子だって事。でも立場が立場だもの、仕方が無いわよね。本当に残念だわ」
173 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:28:14 ID:IeslCPjK
瑞希は眠れず、布団の中で何度目かわからない寝返りを打った。身体からも意識からも緊張が抜けきらなかった。
(お爺さま)
彼女は時計を見た。三時を過ぎていた。今はどうなっているのだろうか?容態は悪くなっていないだろうか?埒も明かないことを
考えながらただそうして過ごしていた時、電話が鳴った。
「……」
彼女はふと嫌な予感がし、すぐさま起き上がって受話器に飛びついた。
「はい」
『瑞希さん?』
妙の声だった。
「はい、妙さま。俺です」
答えると、少し間があった。
「妙さま?」
『……真夜中にごめんなさいね。征二郎が今、息を引き取りました』
「――」
瑞希は立ち尽くした。受話器がするりと掌から抜けた。
174 :
五週間目:2005/10/20(木) 22:29:09 ID:IeslCPjK
おしまいです。
……ツッコミどころ満載ですができれば優しく突っ込んでやってください。
>>174 ぐっっ…じょおぉぉぉぉぶっっ!!!!!!!
気になる気になる、先が気になるうぅぅっ!…ゼェハァ
続き、ギラギラしながら待ってます。
ハッピーエンド ダト イイナ(((´・ω・`)
GJ!
一週目から毎回wktkです
177 :
145:2005/10/20(木) 23:00:38 ID:lxS1KuF6
GJ、自業自得とはいえ、龍司がカワイソウ
神の直後は緊張するけど、とりあえず触りだけ投下。
タイトル『二重奏』
いつエロに到達するかも不明ですが、どうぞ。
178 :
145:2005/10/20(木) 23:01:46 ID:lxS1KuF6
「やっぱ、ガクランは俺だけか〜」
クラス中を軽く見回すがまっ黒いのは見当たらない。
制服の無い学校に受かり、散々悩んだが結局着なれたガクランで初登校。
そんな俺、渡辺奏馬(わたなべそうま)は自分の歩んで来た道を少し後悔してます。
男子中学なんて真っ黒でレアな日々を過ごしてきた為、爽やかに交流を交わすオシャレな若き男女(同い年)に近づけず、自らの席と言う名の安住の地を探し求める。
「えっと、廊下側から出席番号順か…なら窓際の一番後ろっと」
36人クラスの36番の俺はこっそりと、自分の席につく、そしてあとは教師の到着を一人待つだけ。
そのはずだった…
しかし、俺は見つけた。その黒き輝きを、真新しいガクランをまとった同志を!
その同志(仮)と目が合い、お互いにホッとしたような表情になる。
「良かったぁ、一人だけガクランだったらどうしようかと思ってたよ」
「俺もそう思ってた。俺は渡辺奏馬、演奏の奏に馬でソウマって書く、よろしくなガクランの同志」
するとキョトンとした顔で動きが止まる同志(仮)。
握手を求めた手を空中でワキワキさせる俺。
「何か俺ヘンなこと言ったか?」
「えっ?あ、ううん。ビックリしただけ」「ビックリ?」
そう尋ねると、握手を返しながら。
「うん、渡辺奏(わたなべかなで)、演奏の奏でカナデ」
………すげぇ!
「同じ名字で名前の漢字まで一緒…なんか運命感じるな!」
握手した手をブンブンと振りながら、感動を表す。
「う、運命?」
顔を赤く染め、うろたえるカナデ。その表情にドキッとした。
いや違う。落ちつけ、こいつは男だ、3年間男だらけの生活で、男に告白された数が2桁だろうと全てその場で拒絶した。
染められてなんかいない、そう俺は女の子が好きな、すなわちノーマルだ。
OK,もう大丈夫だ、さっきのは一時の気の迷いです!
そう結論づけるとカナデの方に向き直る。
「なんだか唸ってたけど大丈夫?」
顔を傾げて尋ねてくる。やっぱ可愛い…
「じゃ、なくて!よろしくな、カナデ!」
ヤバい感情を振り払う為に大声で仕切り直す。
「う、うん。よろしくね渡辺くん」
「ってお前も渡辺だろが、ソウマでもソウでも好きに呼んでくれ」
少し悩むようにして、カナデは笑顔で言い直した。
「よろしくね、ソウくん」
これはそんなかなり風変わりな、二人の奏の出会いから始まる物語。
179 :
145:2005/10/20(木) 23:02:56 ID:lxS1KuF6
男装要素ほとんど無いけどもこれから増やしていくので御勘弁をば。
180 :
実験屋:2005/10/20(木) 23:20:39 ID:jZk+2Wv4
>>8838様
五週間目キタ━━(゚∀゚)━━!!
この喜びをどう表せばいいんだ!!
>>145様
名前が同じっていうのに喰らい付きますた!!
どんどん投下待ってます。
>8838氏
あなたは神ですか
なんていうか、実写化してください。実写化。
動悸がおさまりませんよ……
>>145 新しい展開!しかし三重ということはまだキャラがいるんでしょうか
楽しみにしてますよ〜!
こういう恵まれたスレにいる喜びをひしひしと感じつつ
……あまりのレベルの高さに自分なんかがいていいんだろうかと凹む orz
大丈夫、書きかけの物はちゃんと投下します
明後日面接だけどな orz
>>8838神
貴方の本職は小説家でしょうか?
最早GJなどという小さな言葉ではいい表せません
一度全部書き終わりましたら印刷して出版社に持ち込んでみることをお勧めします
>>145 いいねぇ名前が似てるネタ
続きwktk
>>8838様
深い!深すぎる!!期待が余るほどです!非エロだろうとこのスレであなたの小説は拒めません!
>>145様
学ラン、名前と似ている要素ネタが微笑ましくていいですね。最後の一文が爽やかで好きです。
新しい職人様乙です。
>五週間目
このばーさん(咲子)うさんくせっと登場した瞬間に思った俺は勝ち組
男の事情なんとなくわかったような気がス
乖離していた男のキャラクター性が今後統合されていくのを楽しみにしています
続きを楽しみにマットルよ
エロ非エロ云々は気にするな〜!
185 :
Z:2005/10/21(金) 09:08:24 ID:VEhcUsrT
(助けてくれてアリガトウ!!)
(名前なんていうの?)
(また会えるよね!?)
『Z〜第3話〜』
「ん・・・・」
窓からさす日差しに目を覚ました。
「あの娘・・・・誰だっけ?」
夢に出てきた少女のことを思い出す。知っている筈なのに思い出せない。
「まっ、いいか。」
思い出せない事をいつまでも考えていてもしょうがない。
「それに・・・ククク。」
当分はヒマしない玩具も手に入れた事だしな。
186 :
Z:2005/10/21(金) 09:09:41 ID:VEhcUsrT
「入るぞ。」
一言言いドアを開ける。あの後、エリックに一室与えた。
いくら俺でも汚いまま地下につないでおくほど不潔じゃない。
「な・・何をしに・・・」
エリックは怯えた表情で俺を見つめる。
「ここは俺の屋敷だ。俺がどこで何をしようが貴様の知ったことではない。」
もっとも、俺がエリックに何をするかなど本人が一番わかっている筈だ・・・身をもってな。
「服は気に入ったか?女物をと思ったが男装してるのでな。」
エリックには屋敷の男性使用人が着ているスーツと同じものを与えていた。
後ろ髪が少々長いものの短く切り揃えられている金髪のエリックは
中世的な印象を醸し出している。
「さて・・・用件だったな?」
寝台の横に備え付けられたイスに座る。
「こっちに来い。」
エリックは恐る恐ると言った様子で近づいてきた。
「・・・・奉仕しろ。」
「なっ!!」
突然突きつけられた肉棒にエリックは絶句する。
「なんで・・・そんな事・・」
「『働かざるもの食うべからず』。何もしないだけのタダ飯喰らいはいらん。」
「わ、私は・・・」
「お前に関する生殺与奪の権限は全て俺にある。お前の仕事は俺の玩具だ。
俺が満足するまで働いてもらうぞ。」
冷淡に言い放つ俺にエリックは怯えながらも反抗した。
187 :
Z:2005/10/21(金) 09:10:47 ID:VEhcUsrT
「私は人間だ。そんな・・・物の様な扱い・・・」
「違うな・・・俺に負けた時点でお前は人間じゃない。拷問してもクチを割りそうに
無いお前は捕虜としての価値も無い。だったら、俺の玩具以外に使い道は無いだろ?」
「くっ・・・」
悔しげに顔を歪めていても青褪めた表情は消えていないエリック。
俺は指をパチンと鳴らしエリックの拘束用魔方陣に力を送る。
「あぁぁ・・・」
強引に跪かせたエリックの目の前に俺の肉棒を押し付ける。
「や、やめて・・・」
顔を背けようとするエリックを無理矢理正面に向かせ、その口に強引に
肉棒を押し込む。
「んん!!・・む、うぅむ・・くぅ・・・」
俺のに肉棒にエリックの舌が這い回る。
「上手いじゃないか。もっと優しく、顔を上下させろ。」
「んむ・・んん・・・ぷ・・むぅぅ・・・はぅ・・・」
エリックは一刻も早くこの状況から逃れたいのか一心不乱になって俺のモノをしゃぶる。
「んっ・・んぅむ・・んむ、ちゅぅ・・・むぅ・・・」
「争いに関しては弱い貴様にもこんな特技があったとはな。」
「!!」
俺の皮肉がこたえたのかエリックは俺から離れようとする。逃がさないよう俺は
エリックの顔をしっかりと押え付け固定させた。
188 :
Z:2005/10/21(金) 09:12:16 ID:VEhcUsrT
「うぐぐぅ!! むっ・・あぁぁ!!」
喉の奥まで肉棒を押し込まれエリックからくぐもった声が上がる。
エリックが苦しげな表情を浮かべていたが気にせずに押さえつけた顔を
上下させる。
「ぐぅぅ・・うむぅ・・・ん!!」
逃れられないと悟ったエリックは自ら顔を動かし始めた。
すぼまって食いつき、舌全体で奉仕する心地よさに俺の射精感が高まる。
「よーし、出すぞ。一滴も残さずに飲めよ?」
限界点を通り越し俺の肉棒から欲望の精液をぶちまける。
「ぐ!!・・・むぅぅぅ!!!・・・ぶ・・むぅ・・・」
あまりの量にエリックは精液を口から漏らしそうになるが俺はそれを許さない。
しっかりと頭を押え付け飲み干させる。
「うぅ・・くぅ・・・んく・・く・・」
コクリコクリをエリックが精液を飲む音が部屋に鳴り響く。
「・・・ククク。」
ちょっとした事を思いついた俺は強引に肉棒からエリックを引き離す。
「くぁ!!」
まだ嚥下している最中だったエリックの口の端から精液がこぼれ・・・
ピチャ
と床に落ちた。
189 :
Z:2005/10/21(金) 09:13:49 ID:VEhcUsrT
「オイ、残すなといったよなぁ?」
見下し非難めいた視線でエリックを見つめる。
「そ、そんな!! だってこれは・・・」
「口答えするんじゃない!!」
「ひぃ!!」
エリックを一喝する。それだけでエリックは反抗の意思を失った。
「言い付けも守れないような悪い玩具には・・・お仕置きだ。」
「い・・いや・・・お願いです。お許しを・・・」
エリックが許しを請う。その姿が堪らなく俺の欲情を誘う。
「許す気は無い・・だが今ので思った。これから俺には敬語を使え、お前は俺の玩具だからな。
それと呼び捨ては許さん。『ゼット様』と言う様に。」
そのままエリックを担ぎ上げ寝台にほおり投げる。
「やっ!!」
動きを制限され抵抗できないエリックに覆いかぶさる
「いや!!やめて・・・お願いだから!!」
「敬語を使えと言った筈だ。お仕置き追加。」
エリックの服を剥ぎ取る。口は使えても身体を動かせない為、難なくエリックを
一糸纏わぬ姿に仕立て上げることが出来た。
「やぁぁ・・・」
今にも消え入りそうな小さな声でエリックが呟く。
「全裸は今回が初めてだな。こうして見るとなかなかイイ身体をしている。」
汚れなど無い珠のような肌にしばし見とれる。
「見ないで・・・ください。」
こういったことに免疫が無いエリックは顔を真っ赤に高潮させて耐える。
190 :
Z:2005/10/21(金) 09:15:16 ID:VEhcUsrT
「そういえば・・・」
ふと思い出し聞いてみる。
「前回、ヤッた時に最後誰かに謝ってたな? 誰にだ?」
ちょっとした疑問だが気になったので問詰める。
「!!」
その質問にエリックは一瞬にして顔が青ざめた。
「その反応からして・・・男か?」
エリック何も言わずただ目を瞑って顔をそらす。
「その男に見せてやりたいなぁ・・・今のお前を。」
「いや!!やめて下さい!!」
頭を大きくふり乱しエリックが懇願する。
「ククク・・・そうだよな。そんな姿を見てその男がお前をどう思うか・・・」
「やぁぁ!!」
嗚咽交じりになったエリック。
「まぁいいさ、お前がその男と会うことはもう無い。」
俺は前戯無しでエリックの秘所に肉棒を差し込んだ。
191 :
Z:2005/10/21(金) 09:16:34 ID:VEhcUsrT
「あぁぁぁ!!」
強引に貫かれる痛みにエリックは大きく仰け反った。思うように身体を動かせず
俺の思いのままにされる屈辱にエリックは身を震わせる。
「動くぞ。」
「ん!!・・痛い・・やめっ、あぁ!!」
優しさなど一切持ち合わせない強引な抽送に喘ぐエリック。
次第に秘書の奥からエリックの愛液がにじみ出て来た。
「濡れてきたな・・・無理矢理されて濡らすなんて・・・変態だな。」
「くぅ・・・そんなこと・・・ひぁっ・・あぁん・・うぅ・・」
否定しながらエリックの声には快楽の声が現れる。
「さて・・・そんな変態のお仕置きに俺の精液をくれてやる。」
「い、いやです。それだけはやめて下さい!!」
必死になって嫌がるエリック。
「それじゃあお仕置きにならん。」
「お願いですゼット様!!堪忍してください!!」
初めて『様』を付けて俺を呼んだエリック。その姿に俺の興奮は限界だった。
「諦めろ。」
エリックの腰を捕まえ、溜まりに溜まった精液を思い切りぶちまけた。
「いやぁぁぁ・・・」
大きな悲鳴と共にエリックは身体を震わせた。
192 :
Z:2005/10/21(金) 09:18:19 ID:VEhcUsrT
「うぅ・・ひどい・・・ひどいよぉ・・・」
声を上げむせび泣くエリック。
ズキッ
「ん?」
今までとは種類に違う痛みが心に走った。その痛みは徐々に大きくなり
罪悪感、後ろめたさとして俺に襲い掛かった。
(何だっていうんだ!?)
まさか・・・と感じた原因を否定し頭を振る。
「ひっく・・・ひっく・・・ううぇ・・・っくぅ・・」
未だ泣き止まず倒れ伏すエリック。そんなエリックの頬に手を伸ばし
涙を拭う。
「えっ?」
意外と言う顔で俺を見るエリック。
「・・・また来る。覚悟していろ。」
そう言い捨て服を着なおしさっさと出て行く。
この痛みを否定しながら。
第3話 〜完〜
193 :
実験屋:2005/10/21(金) 09:23:44 ID:VEhcUsrT
エロ無しを許していただいた御礼に
出来たて第3話を投下して感謝の言葉にかえます。
どうぞ。
194 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 17:49:56 ID:3OuLduIe
だれか催眠ネタで・・・・・
>>司氏
続き、毎晩楽しみにお待ちしてますよ。
゚+.(・∀・)゚.+。゚
>>194 自己催眠でも良い?
てゆか、二重人格路線を考えてる。いつになるか解らないケド…
>>実験屋様
第3話GJです!エロだけではなく気になることが満載です。最初のときといい
ゼットがエリックをいたぶっている様で特別視しているのが気になりますね。
自分的に一番ツボな陵辱→純愛にいきそうなので期待です。
狂介と有紀もまた見たいですね。
>>197 ナカーマ発見。自分も陵辱→純愛は1番のツボだね。
だから8838氏にはハッピーエンドの方向に、という気持ちです。
でもそれを決めるのは作者の領分だと思うので、いち意見として受け取ってください。
なんにしてもGJです。
>195
ありがとうございます。
レスもらえるから投下できるようなもんですよ……
さて。明日の面接に向け胃痛という現実から逃避しつつ「三日目」最後の投下。
エロ無しな展開になって申し訳ないです。
「……はい。わかりました。はい、じゃあ、そのように……はい、ありがとうございした」
保健医と通話していた隆也が、携帯を床に置く。
床に延べられた布団の中では司が背を丸め、ようやく落ち着きを取り戻しつつあった。
学年主任と健に向き直って、隆也は通話の内容を伝える。
「これが初めてじゃないそうです。極度の緊張が原因らしくて……しばらくすれば治まるそうです」
「ではこのまま安静にしていれば問題はないんですね」
「はい」
答える隆也の額には苦渋が刻まれている。
「高槻はたしか初日も体調を崩してましたね。今日はこのままここに寝かせましょう」
「はい、そのつもりです。田宮。そういうことだから、他の奴らに伝えておけ」
「……はい」
健は、答えてすぐには立ち上がれなかった。
「……あの、先生」
隆也の目を見て話すことができない。それでも、今あの状況を隆也に伝えられるのは自分しかいない。
「田宮。話は後で聞く。もう少ししたら高槻も落ち着くだろうから、それからでいい。な? 」
有無を言わせず健を立たせて、隆也は学年主任と話し始める。
自分の居場所はここにはない。健は一礼して、部屋を後にした。
冷たい手を握り、汗の浮かんだ額をなでる。
苦しげだった呼吸が次第に穏やかさを取り戻し、きつく閉じられていた目が開く。
ぴくりとも動かなかった手に力がこもり、しばしあてどなくさまよわせていた視線が隆也を捕らえる。
「先生……」
力のない声に、できるだけ穏やかな笑みを返す。
司の叔母である保険医の言葉が頭に浮かぶ。
『極度の緊張・パニック状態にでもならなければ、普通そんな状態にはなりません。一体何があったんですか? 』
隆也はただ『まだわかりません』とだけ答えた。その自分の声も震えていたかもしれない。
何故かあの場面で、司に謝られたことがひっかかっていて、落ち着かない。
状況だけ見れば悪いのは健だ。しかし司は、健と距離を置こうともせず、隆也にすがるでもなくただ謝った。
なぜ司が謝るのか。わからない。落ち着かない。ざわつく胸を無視して、司の青白い頬をなで、声をかける。
「……落ち着いたか? 」
「……はい……」
弱弱しい、今にも泣き出しそうな声。
司に聞きたいことはいくらでもある。しかし、言葉は喉の奥にわだかまったままだ。
追い討ちをかけるわけにもいかず、なにより司の口から真実を聞くこと自体が恐ろしい。
愛しいと、そう思っている相手の気持ちを疑っている自分がいる。
自分は秤にかけられたのではないだろうか、と。
「せんせ……俺……」
また小刻みに震えだした手を握り、頭をなでる。
疑いをかけられていると知ったら、この身体はもう自分の腕の中に納まらないかもしれない。
いや、その疑いが真実であれば、最初から自分の腕の中にはいなかったということになる。
久方ぶりに感じる不安と、恐怖。
「司。今は何も言わなくていい」
隆也が現実から逃れるようにかけた言葉に、ぽろぽろと司のまなじりから涙がこぼれる。
「ごめんなさい……ごめん、なさい……」
なぜ謝るんだと、反射的に口に出しそうになって思いとどまる。
謝らなければならないようなことを、司はしたのだろうか。
そうは思えない。思いたくない。
自分もまだ、混乱している。うまい言葉も見つからない。司を泣き止ませることもできない。
「大丈夫。大丈夫だから……」
「怖かった。怖くて、全部、壊れちゃうって思って……もう……」
涙が枕に染みを作る。
壊れる、とは何を指しているのだろうか? 自分との関係か、健との関係か。
わからない。問いただすこともできない。どうすることも、できない。無力な自分への苛立ちが、口をつく。
「……司。俺は今おまえの側にいてやることしかできない。話を聞き出す気もないし……責める気もない
情けないことに、自分でもどうしたらいいかわからないんだ」
司は嗚咽を漏らしながら、じっとその言葉を拾っている。
「あの時は、田宮を怒鳴りつけて殴ってやろうかと思ったし……司に謝られて、その理由を聞きたいとも思った」
一つ一つ言葉にしながら、自分の気持ちを整理する。本当は、今も司を問い詰めたいのだ。
確かめたい。司は健を拒否したのか。本当に、自分だけを見てくれているのか。
しかしそれはできない。深く、ため息をつく。
「ただな、司を泣かせたいとは思わない。今は落ち着いて……俺も、司も、田宮も、そういう時間が必要だ」
自分に言い聞かせるように言う隆也の言葉を一つ一つ反芻しながら、司も頷いた。
涙が止まるのを待って、口を開く。
「……先生……話、聞いて……」
細く、それでもしっかりと耳に届く大きさの声を絞り出して、司は上体を起こす。
安定しない身体。ぐらりと揺れた頭を抱えた司の、背中を支えて気付く。
ひやりと、冷たい汗が流れている。震える唇が動き出す。
「本当は、殴ってでも、何してでも健を止めるべきだったんだって、わかってた。でも、俺は……」
「司。言わなくていい」
当然話を聞いてくれるものと思っていたのだろう。司は不安げに隆也を見上げた。
隆也は、見つめ返すことができない。
健を止められなかった、その理由を聞くのが怖い。
「今は休め……俺も、だめなんだ。まだ……」
こうも気弱な自分をさらけ出すのは初めてだった。けれど今は、教師の体面を守る気はない。
男のプライドが傷つくこともかまわない。
ただこの場から逃げたかった。
このままここで司の話を聞いていたら、きっと自分は司を問い詰めて、責めて、泣かせるだろう。
「だから……ちゃんと、話は後で聞くから。今は休め……」
ゆっくりと、肉の薄い背をなでて、隆也は腰を上げる。
「いや」
服の裾を、細い指が捕らえる。振り向いてはいけない。このまま部屋を出なければ。隆也はそう思った。
「嫌。そばにいて。抱いて。俺を抱いて」
しかし、予期せぬ要求に思わず顔を向ける。司の縋る様な目の強さに、隆也は息を飲む。
司の発言の意図がつかめない。そばにいろというのはまだわかる。しかし。
「……だめだ。できない」
苦々しく言うのを聞いて、司は矢継ぎ早に声を重ねる。冷静さなど微塵も感じられない。
「なんで? 人に見つかるから? 俺を嫌いになったから? 」
そのどちらでもないと言って、今の司は聞くだろうか。聞かなくとも、真実を伝える他ない。
「……今はだめだ。俺が、そういう気持になれない」
「…………なんで」
問いかけながら、司の手は力なく布団に落ちた。
項垂れる司の問いに答えるべき台詞も思い浮かばず、隆也は逃げるように背を向けた。
おやすみと、当たり前の言葉をかけることもできずに、部屋を出た。
残された司の頬を伝って涙がこぼれ、ぽたりと小さな悲鳴を上げた。
「先生」
ひどい顔をしていた。
「先生、司君……」
「あぁ、大丈夫だ。しばらくゆっくりしてれば治る」
どこで聞きつけたのだろう、ゆいが部屋の前に立っていた。
自分はどんなひどい顔をしていただろうと不安になりながら、教師に戻る。
「どうした? 今はまだ話は……」
「先生。田宮君のところに行くんですか? 」
その名前に、一瞬心臓を掴まれる。そうすべきなのだとはわかっているが、それもまたできそうにない。
面と向かって、落ち着いて話ができる自信はない。
しかし、と隆也は気付く。ゆいの口からその名前が出てくるのは不自然だ。
「なんで……」
問いかけようとした隆也に、ゆいはきっぱりと口にする。
「先生。行かないで下さい。今は司君の側にいてあげてください。ちゃんと、話をして下さい」
「待て、三崎。お前何を―」
知っているんだと聞こうとして、また不安になる。
ゆいは何かを知っているのかもしれない。自分の知らない、司に関する何かを。
自分が一番良く知っているはずの司が、唐突に見えなくなってくる。
不自然に言葉を切った隆也を見上げて、ゆいは戸惑いがちに語りだす。
「田宮君は、司君のこと、知ってたんですよね。それでこれは、私の予想なんですけど……
その、司君の、最初の恋人っていうのが田宮君だったんじゃないかなって……」
ゆいがそう想像するのも自然なことかもしれない。
二人は仲がよく、今日に至っては二人そろって班行動から抜け出した。
今思えばあれは、明らかに健の挑発だった。
考えるほど、気分が重くなってくる。
「それと……さっき、司君と田宮君が部屋にいたって聞いて……鍵かけて、二人っきりでいて……
それで、先生が顔色変えて司君抱えて、ここにきたって、聞いたから……何かあったのかなって……」
ゆいはほとんど状況を把握しているのだろう。ただ、それは事実として起きた行動だけだ。
「だからもし、先生がこれから田宮君のところに行こうとしてるなら、やめて欲しいんです
今は司君の側にいて欲しいんです。司君も、そうしてほしいだろうから」
ゆいは本当に、優しい。司の数少ない女性の友人として、一番必要なことをしてくれる。
「……三崎」
「はい」
隆也は、むりやり笑顔を作った。
「司の側に、いてやってくれ。今は俺より、お前の方がいい。田宮のところに行ってくる」
「先生! 」
止めようと声をかけるゆいからも、その前にある部屋からも逃れるように、隆也は健の元に向かった。
「……司君、入るよ」
ドアをノックする音とゆいの声に、司は気付いていた。それでも、涙は止まず顔も上げられそうにない。
布団の上で膝を抱えて、ひたすら嗚咽を漏らしている。
「……失礼します」
他に誰もいないのに、律儀にそう言って部屋に入ってきたゆいは、ためらわず司の横に腰を下ろした。
「司君、あたし……」
「関係ない。三崎さんには関係ないから」
声をかけたゆいをそう拒絶して、司は黙って膝を抱える。
「…………」
無言でいることが、ゆいの優しさなのだとわかった。
今何か聞かれても、答えられない。頭は働かない。胸は締め付けられるように痛んで、そのくせ手の感覚は薄い。
ゆっくりと呼吸を繰り返し、涙が止まるのを待つ。
ゆいからは決して声をかけない。彼女は、自分を待ってくれている。
「……ごめん、ありがと……」
顔を上げ、そう言った司の背をなでるゆいの手は暖かく、やわらかい。
今日の隆也の手はぎこちなかった。それを思い出すとまた泣きそうになる。
「大丈夫? 」
司は、女の子という生き物はあまり好きではない。
けれどゆいは、その聡明さと優しさと素直さが特別だった。(天然はこの際置いておく)
ゆいに対しては、涙を見せても恥ずかしくない。
「ん……」
司が泣けるのは、隆也とゆいの前だけだ。
家族の前でも恥ずかしいと思う。それは健でも同じだ。
思い出すと、また動悸が激しくなる。
「三崎さん、俺……だめ、かもしれない……」
再び俯く司の背中を、ゆいはひたすらさすり続ける。
「……何が、だめなの? 」
「もう、先生と……健とも……」
その後が、言葉にならない。できない。頭を抱えて、必死で言葉を探す。
「ゆっくりでいいよ。あたし、ずっとここにいるから」
それが、現実には出来ないことだとはわかっている。けれどその言葉を、ゆいではなく隆也の口から聞きたかった。
それだけで、きっと自分は落ち着けた。当然そうなるだろうと思っていた。
「……先生は? 」
「今、田宮君のところに行くって……だからその間、あたしにここにいて欲しいって
あー、えっとね、あたしも何があったのか知らないんだけど、先生真面目な顔してたから、つい」
わざと軽い口調で言うゆいの気遣いに感謝しつつ顔を上げる。
赤く腫れぼったい目を壁に向けて、隆也の顔を思い出そうとする。
真面目な顔。たしかにそうだった。けれどその目は自分を見てくれなかった。
話を聞こうともしてくれなかった。そばにいることすら、拒否された。
「……三崎さん、聞いてくれる? 」
今隆也に何かを求めても、期待した反応が返ってくるとは思えない。
「うん。聞くよ。こんなにお目目真っ赤にして頼まれちゃ、断れないよ」
笑って司の頬を包む手に、手を重ねる。苦笑いではあるけれど、司はようやく笑えた。
「……そっか。じゃあまだ、先生と話できてないんだね」
「うん……お互い落ち着こうって、それしか……」
一通り話を聞いたゆいの態度は、至極落ち着いていた。健の話にも、驚きはしたが取り乱したりはしなかった。
それに安心して、司もぽろぽろと弱音や愚痴をこぼす。それを嫌な顔一つせず聞いて、ゆいは口を開いた。
「……多分、だけどね。先生も怖かったんだと思うよ」
「え? 」
聞き返した司の顔をじっとみつめて、ゆいは続ける。
「先生も、壊れちゃうのが怖かったんじゃないかな。さっきの先生、すごく不安そうな顔してた
司君に負けないくらい。だからきっと、そうだよ」
自分ことを守るのに精一杯で、司はそこまで気付かなかった。
今思えば、あれは自分と向き合うことから逃げていたのかもしれない。
「……そっか……」
「そうだよ。先生だって、恋してるんだもん。不安にくらいなるよ」
ゆいの可愛らしい表現が、忘れかけていた幸せな感覚を思い出させてくれる。
「そっか……うん。そう、だね……」
「うん。だからね、司君は先生がかっこつけられるようになるまで待ってあげなきゃだめだよ
……苦しいと、思うけど。明日にはきっと、先生も話聞いてくれるよ」
にこりと笑うゆいが、とても大人びて見える。
「……そう、だね」
「そう。だからお顔洗って、ぐっすり寝て。明日は修学旅行最後の日だよ。楽しまなきゃ、ね?」
「うん。ありがとね、三崎さん」
笑って、司は立ち上がった。ゆいも腰を上げる。
「どういたしまして。じゃあ、あたし部屋に戻るね」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
部屋を出て行くゆいの小さな背中を見送って、司は洗面所に向かった。
顔を洗って、ゆっくりと考えて。ゆいの言うとおり、寝てしまおう。
そう決めると、ようやく心が軽くなった気がした。
隆也は、健を非常階段に呼び出した。表の通りを通る車の音だけが聞こえる。就寝時間も近い。
目の前にいる健の沈んだ表情を、正面から見つめられる気分ではない。それでも、すべきことがある。
「先生、俺」
意を決して口を開いた健をさえぎる。
「田宮」
「はい」
教師としてやるのではないと言い訳して、隆也は拳を握った。
「悪い」
鈍い音とともに、健がよろめく。
「……いえ。俺は、こんなもんじゃ許されないようなこと、したんですから」
健の言葉を聞いて、隆也はようやく思い出す。傷ついたのは自分ではない。司だ。
自分自身の不安と、司を傷つけたことへの怒りが混同されていた。
「……そうか」
力なく言った隆也に、健は目を見開く。
「そうかって……聞いてないんですか? 」
「あぁ……聞く勇気が、なかった」
大人の口からこんな言葉を聞くのは初めてだった。戸惑い、それでも健は口を開く。
「……悪いのは、俺です。司のこと、応援しようって思ってたのに……
先生といるの見たら、まだ好きなんだって気付いて、でもそれを言っちゃいけないから……」
だから、なんて言い訳にはならない。それは健もわかっている。
それでも、本気で司を奪おうとは―奪えるとは思っていなかったから、ああなった。
「自分は、女が欲しいだけなんだってことにしたんです。卑怯だってわかってたけど……どうしようもなくて」
搾り出すように言った健のその心境は、理解できないでもない。しかし問題は、そこではない。
「司は」
「え」
「司は、嫌がらなかったのか? 」
何を聞いているんだろうと、健はいぶかしみの視線を向ける。しかし隆也の表情を見て、素直に事実を伝える。
「嫌がりました。でも、俺は聞かなかった。口、塞いで……泣かせました」
言うほどに自己嫌悪が強くなるのだろう。健は沈痛な面持ちでうつむき、唇を噛む。
「健」
下の名前を呼ばれ、健は顔を上げる。隆也の表情は変っていた。力のある目が健を見ている。
もう大丈夫だと、そう思わせる顔だった。
「司は、俺が守る。もう泣かせない。だからお前は、司の友人でいろ」
辛いだろうけど、と付け足した隆也は笑っている。
「……はい」
「よし、んじゃ明日に備えて寝るか! 最終日だからな、寝坊すんなよ! 」
ぐりぐりと健の頭をなでる隆也は教師だ。
そしてこの日は、教師のまま一日を終えた。
五週間目様ー><○!!(←混乱)
龍司アンタ・・・あんた切なすぎる、せつなすぎるよ(;_;)
アンタはこれから、どれだけのモノを失っていくんだよ・・・
長かった三日目終了です。
やばい、四日目何も考えてなかった……
>実験屋氏
失礼ながら先の展開を読んでいる自分がいます。
それが当たるのか当たらないのか。楽しみです。
有紀タソと狂介のらぶらぶエチーもまた見たいですw
嗚呼……
またエロい目で見れないキャラが一人……
もうあれだ、うんあれだ
GJ!!
隆也神様まで降臨されてたー><○!!!(←大混乱)
「○○のり」もまっ青のこの4人、これからどうなるんだ・・・
そして神と書き込みのタイミングかぶっちまった
ちょっと逝ってくるよ・・・皆様ごめんなさい
209 :
実験屋:2005/10/22(土) 00:27:02 ID:d6vO0xOX
>>aPPPu8oul.様
もどかしさや切なさで泣けてきました。GJ!!です。
俺もちょっと前まであっち側だったのになぁ・・・と
年齢が割れちまう(焦)
今後の展開は練っては書いて練っては書いてを続けてますが
>>アヒル様や>>aPPPu8oul.様の予想通りになりそうな気が・・・。
「狂介と有紀」に関しては座談会のキャラを超えるキャラを
作ったら「魔王の恋」以上の長さでエロなしと言う失敗作に・・・(現在修正中)
とりあえず、がんばります。
いつも思うんだが……
本当にこのスレは神の出現率が高いなぁ
というか、レベル高すぎて自分以外は
全員本職なんじゃないかと疑ってしまうのだが
>>8838さま
ついに急展開ですか!?
本当にまとめて一冊の小説が出来上がってしまうほどにGJ!!ですよう!
>>145さま
携帯からの投稿乙です!
なんだか爽やかな感じですなぁ
正統派学園物っぽくて期待しておりますよー
>>実験屋さま
第三話GJ!!
エリたん強制従属&使用人言葉にゾクゾクしてしますた
そして泣き崩れるエリたんに萌えw
>>aPPPu8oul.さま
隆也が格好良いっすよー!!
ただのエロ教師じゃなかったんですね!(ぇ
紆余曲折あってもいいから、二人には幸せになってほしい!
211 :
Z:2005/10/22(土) 12:49:24 ID:d6vO0xOX
『Z〜第4話〜』
「2時の方向に増援です!!」
「隊長!!これではもう持ちません!!」
「くっ・・・」
隊長と呼ばれた男が撤退命令を出そうとしたその時・・・
「苦戦してるようだな?」
「ゼット様!!」
俺と四天王の姿に兵達が歓声をあげる。
大陸中央の平原、オズマ共和国の国境に近く激戦地となっている地域。
突如として現れた王国の大軍勢にオズマリア軍が増援要請を送ったのだ。
「状況は?」
「コチラが二千に対し王国軍は四万もの軍勢です。」
「集団リンチが好きなのか・・・悪趣味な。」
王国軍がいかにもやりそうな手段だと言える。
「ま、好きだぜ。こーゆー戦い。」
「どうされるおつもりで?」
「ありったけの爆薬を用意しろ。」
212 :
Z:2005/10/22(土) 12:50:37 ID:d6vO0xOX
30分で集められるだけの爆薬がそろった。
「よし・・・」
俺は転移用の魔法陣を描く。
「お前達、一斉に着火させろ。」
「「「「はっ!!」」」」
四天王が個々の魔法で爆薬に点火させる。
「準備はいいな。」
魔法陣を爆薬へと移す。すると一瞬で爆薬は消えた。
「敵陣に注目。おもしろいモンが見られるぜ。」
本陣にいる兵が敵陣を凝視する。
ドカンッ!!
という音が敵陣から鳴り響く。
見れば敵陣上空に巨大な魔法陣が発生し爆薬を投下しているのだ。
それも一ヵ所だけでなく数ヵ所同時に、敵勢は予想もしていなかった
空爆に慌てふためき、徐々に機能を失っていく。
「もういいかな?」
十五分程度空爆を続けた後、敵陣を見渡す。ほとんど動く影も無く
次の攻撃にどう対応して良いかわからず震えている様が見てとれた。
「後はローラー作戦だ。隊長殿、全軍に攻撃命令を。」
「はっ!!全軍突撃!!」
隊長の一声で劣勢だったオズマリア軍が息を吹き返したかのように戦局を盛り返した。
213 :
Z:2005/10/22(土) 12:52:04 ID:d6vO0xOX
後は本当に簡単な戦いだった。空爆で隊列は散り散りになり指揮系統が
完全に麻痺した王国軍を扇状に展開したオズマリア軍が田から稲を刈るように
討ち取っていった。
「向こうにも魔法を使う人間はいるだろうに・・・なぜ俺達のような
作戦を使わないのかねぇ?」
「スパイの情報によれば単独で陣を描ける程の腕の持ち主はいないようですよ?」
俺の何気ない一言にドランはちゃんと答えをくれる。
「マジで?量はいるクセに質は・・・ダメダメだな。」
もともと兵の数が圧倒的に不足しているオズマリアは俺のような魔法を使える人間や
地形等を利用し策を講じるに長けた物、トラップ戦法の得意な人間など
少人数大規模戦闘を行える人材に富んでいる。
数が多いのだから向こうにも同じようなものがいても、とは思うが
どうやらこちらに比べてレベルの低い連中が大半を占めている様だ。
「後は任せて、帰るか?」
「ですね。」
「と言う訳だ。後は任せる。」
「はっ!!まことにありがとうございます!!」
「いいって事よ。」
そう言って俺と四天王はその場から消える。
214 :
Z:2005/10/22(土) 12:53:49 ID:d6vO0xOX
「ふぅ・・・」
報告は後に回し、屋敷に戻る。”ゴミ掃除”にはまだ時間がかかりそうだしな。
「後は自由にしていいぞ。俺は・・・クク」
さっそく今日、玩具で遊ぶ内容が思い浮かんだ。
「あっ・・・ゼット・・様・・・」
部屋に入った俺に対しエリックは怯えと不安が入り混じった表情をうかめる。
「今日の俺の戦闘の成果を教えてやろう。」
エリックの反応を無視し話し始める。
「結果から言えばコチラの圧勝だ。空爆を仕掛けたなら王国軍は何も出来ずに
次々に混乱し、逃げ惑い、爆死していったぞ。」
「やめて!!そんな話聞きたくない!!」
エリックは耳を押さえ話を聞かないように堪える。俺はその手を退かし強引に聞かせる。
「本題はここからだ。王国軍は数はいても一人じゃ何も出来ないのか?
戦うのも、飯を食うのも・・・・今日はそれを確かめるために。」
本日のお遊びは・・・
「エリック、一人でシてみろ。」
215 :
Z:2005/10/22(土) 12:54:42 ID:d6vO0xOX
「なっ!!」
「意味がわからんか?自慰だ。オナニー、マスターベー・・・」
「イヤです!!何でそんな事」
エリックは顔を真っ赤にして叫んだ。
「見たいからだ。一人でちゃんと出来るかどうかな。」
「出来るわけ・・・」
「口答えはいいからさっさとヤレ。」
拘束用の魔法陣の威力を強めエリックから自由を奪う。
「あぁ!!」
動けなくなったエリックを担ぎ寝台へと放り投げる。
「きゃ!!」
「さぁ、はじめろ。」
「イヤです・・・。」
「ならいつものように俺がやってやろうか?」
「ひっ!!」
エリックの表情が険しくなる。その脳裏には俺に犯され恥辱と快楽を
貪る自分の姿を思い浮かべているようだ。
「・・・わかりました。やります。」
エリック意を決し顔を赤らめて答えた。
「そんなに俺が嫌か・・・はぁ〜・・まぁいい、はじめるんだ。」
216 :
Z:2005/10/22(土) 12:56:29 ID:d6vO0xOX
エリックは上着とズボンを脱ぎ、両足を広げて横たわる。
片手で胸を揉みもう片方の手でショーツの上から淫裂を擦った。
「あん・・・」
いやらしく胸と股間を弄るエリック。まだ始まったばかりだというのに
エリックの口からは色混じりの声が上がる。
「下を脱げ。直に弄るんだ。」
「・・・はい、わかりました・・・。」
俺の命令に消え入りそうな声で答えるエリック。その命令に従い、ショーツを脱ぐ。
「拡げて俺に中を見せろ。」
「そ・・そんなぁ・・・」
「命令だ。」
その一言にエリックは何も言えずに羞恥に震える指を淫裂に当てる。
「あぁぁ・・・」
か細い声で呟きゆっくりとソコを拡げピンクの濡れそぼった内壁を見せる。
「もう濡れてるのか?やはり変態だな。」
「違います・・・これは・・これはぁ・・」
「言い訳はいいから続けるんだ。」
続行を言い渡し、エリックは秘所を弄り回す。
「あぁぁん・・・くぅ・・ふぁっ!!」
クチュクチュと卑猥な音を立てながら自慰に耽るエリック。羞恥に震えていた身体は
徐々に快楽を欲する表情へと変化していく。
「んぁ!!・・・うんっ・・・あぁぁ!!」
物足りないと言わんばかりの指使いで秘所を弄る様はとても強制されているからとは
思えないものに変化している。
217 :
Z:2005/10/22(土) 13:00:53 ID:d6vO0xOX
「もう・・いいでしょ・・・お願い・・・許して・・・」
エリックが懇願を始めた。
「まだイッてないだろ?イクまで続けるんだ。」
「んんっ・・・そんなぁ・・あっ!!・・・やぁぁん!!」
やめてとは言うがエリックの指はそう言ってるとは思えない。最後までイカなければ
いけないと言わんばかりの指使いに俺は苦笑した。
「うぅぅ・・・ダメ・・・このままじゃ・・・」
エリックの息遣いが荒くなる。
「あっ・・ふぅ!!・・・やぁっ・・・あぁぁぁん!!」
指の動きが激しくなり粘ついた音が部屋中に鳴り響く。
「あぁぁ・・・ダメッ・・・きちゃう・・・はぁぁん!!!」
エリックが全身を大きく震わせ身体大きくくねらせて寝台に沈み込む。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「ひとりでできるんだな。クククク。」
数や人任せにせずに一人で性欲処理できたエリックに侮蔑の笑いを送る。
「ア、アナタは・なぜ・・こんなにも・・・王国を憎むの?」
息の乱れを直したエリックが俺に聞いてくる。
「ナゼだと・・・」
エリックの一言が癪に障った。コイツは王国が大陸各地で何をしているのか知らないのか?
「キャッ!!」
エリックの頭を鷲掴みにする。
「俺の記憶を流す。俺の過去を知ればそんなことも言えなくなるぞ。」
俺は念じ、俺の記憶をエリックに送った。
218 :
Z:2005/10/22(土) 13:02:54 ID:d6vO0xOX
「あ・・・あぁぁ・・・・あぁ・・」
精神に作用する魔法は体力も消耗するし、かけた相手も精神崩壊する危険がある。
しかし、王国の裏側を知らないらしいエリックには真実を教え込みたく多少無理をした。
母を奪われたこと。
大陸中を回り、単身王国と戦い続けた日々。
憎き敵から聞かされた母の最後。
オズマリアにはいったあの日。
「あぁぁ!!」
流し終わりエリックは跳ね飛ばされたかのように倒れた。
「そんな・・・そんな・・・」
自分が信じた王国の実態に動揺しているのか朦朧と焦点の合わない瞳をうろつかせる。
「どうだエリック?これがお前らの国の本性だ。だから俺は王国を憎む・・・これからもな。」
そう言い残し身支度をして部屋から出て行く。
「・・・・・・・名前・・・・・」
しかし、この時のエリックの動揺は別の理由があることを俺は知らなかった。
第3話〜完〜
219 :
実験屋:2005/10/22(土) 13:06:59 ID:d6vO0xOX
以上です。文末話数を間違えてますがスルーで・・・スイマセン。
今後の展開のビジョンが少し見えてきました。何とか形にしていきます。
とりあえず、ネタバレですが「ゼットを壊します!!」
ではご賞味ください。
実験屋さんGJです!
続きをハァハァしながら待ってます。
司さんキテター(^O^)
しかし隆也も健にもうちょっと強気にでるんだと思ったのに意外でしたね
ここから修学旅行最後の四日目この三角関係どうなるのか!!!
期待期待
222 :
姦理人:2005/10/22(土) 21:53:58 ID:OSx3fx30
>219実験屋さま
218の最後を『第4話〜完〜』に書き換えました。
投稿されたままの形での収蔵が良かったでしょうか?
その場合は御連絡下さい。書き換えたままで良ければレスは結構です。
>司さま
修学旅行編のみSS内日付単位でまとめています。
投稿されたごとにページ分けしたほうが良ければ御連絡下さい。
対応できるようにしてあります。
このままで良ければレスは結構です。4日目以降も同様に収蔵します。
また、司9修学旅行編の最後のページに、前スレ末の独白をnextとして
リンクを貼ろうと考えています。司9→独白→司9の次の作品
という流れになりますが、そうじゃなくて、独白は
ここに入れてくれよ、という流れがありましたら御連絡下さい。
上記の形で良ければレスは結構です。
223 :
145:2005/10/23(日) 00:06:40 ID:fk6GYz28
レスさんくすです。
>>180-183.210
名前ネタは実は趣味です。
>>181 タイトルは『二重奏』です、ごめんなさい紛らわしくて。
それでは2話目投下させていただきます。
エロなし、無駄に長い
『二重奏』第2話
224 :
145:2005/10/23(日) 00:07:44 ID:fk6GYz28
入学式当日に結成され、昨日1日で仲良くなったガクラン同盟は、2日目昼休みにして危機を迎えております。
原因:カナデに対する嫉妬
まあそれだけじゃないんだが、とりあえず俺の前の席にカナデはいる、んでそこには…
「ねぇ、カナデ。今日のお昼はお弁当?」
女子がいるのですよ、奥さん。
休み時間も、女子がカナデと今話している…確か乃木葉子(のぎようこ)さん…の周りに集まって来て楽しげに話していたんですよ。
特に乃木さんの席は、俺の斜め前、つまりはカナデの隣の席。
授業中もなんだか仲良さげな、雰囲気を醸し出しているんですよ。
これはあれですか?彼氏彼女の関係ですか?乃木さんみたいな美人さんと。しかも、他の女の子まで集めるモテモテっぷりですか?
考えてたら、また悲しくなってきた…名前3文字同じでガクラン装備。なのにカナデには女子が集まり、俺には野郎が群がる。
その野郎共の何割かが体目当てで集める所が更に駄目押し、何度体育倉庫に連れ込まれたか。
「はあ…」
と大きいため息をつき、前を見るがカナデと乃木さんはいなかった。
「俺もメシにしよ…学食学食っと」
食券を買い、並んだ列がスムーズに進み唐揚げカレーを受け取り、さあ喰うぞって振り向くと。
席が空いてないよパパン…
必死でクラスメートの顔を思い出しながら、怖そうな先輩方のいない相席出来そうな場所を探す。
黒ダイヤ発見、つまりはカナデ。しかも前の席が空いている。
「よぅカナデ。この席いいか?」
ちっさい弁当を食べてたカナデは、俺の声に顔を上げる。
「あ、ソウくん。いいよ、ね?ハコちゃん」
隣の子に尋ねるカナデ、そこにはカナデの彼女らしきあの子がいた。
「ん、いいよ別に」
きつねうどんをすすりながら、軽く返してくる。
「えっと、渡辺奏馬です。」
座りながら挨拶をする。
「…乃木葉子です」
口の中のうどんを飲み込んで答えてくる。
それっきり話が止まってしまった場を取りなすように、カナデが俺と葉子さんを交互に見ながら紹介してくる。
「えっとね、こっちが幼なじみのハコちゃん、それで昨日仲良くなったソウくんだよ」
カナデの言葉に乃木さんはうんざりしたように話す。
「知ってるわよ、昨日散々聞かされたし、それにうちのクラスの人間なら覚えるわよ。ねぇ、かなでうま君?」
「ぐ…」
そう、ガクラン同盟危機のもう一つの原因がこれだ。
225 :
145:2005/10/23(日) 00:11:06 ID:fk6GYz28
今日は全て最初の授業だった訳で、名前の読み方の難しい生徒は確認されたんだ。
1時限目 現国
「あ〜、35番渡辺…かなで」
「はいっ」
「珍しい名前だな」
「次ラスト〜、ってスゴいなお前ら、え〜っと渡辺〜そうまか〜?」
「はい」
2時限目 古文
何か爺さんがもしょもしょ言ってた。
故に省略
ここまでは良かったんだ、ここまでは。
3時限目 化学
「渡辺〜、これ何て読むんだ?」
「カナデです」
「か・な・でっと」
「最後〜、渡辺…かなでうまっと。ヨシッ授業始めるぞ〜」
「ちょっと待ったー!」
「なんだ?渡辺の…馬の方」
「んなカマドウマみたいな名前有るかー!」
「かなでに馬でカナデウマ、何の問題がある」
「有りすぎだー!」
「ソ、ソウくん押さえて」
「止めてくれるなカナデ、こいつだけは修正してやらなアカン!」
この頑固な教師の間違いを訂正するのに授業の半分は潰れた。
乃木さんの言っているのはこれな訳だ。
更に問題なのは次の授業だ。
4時限目 地理
「35番渡辺かなで、だな」
「はい」
「授業始めまーす!」
「待った!!」
「ひゃっ」
「わり、カナデ驚かしたか」
「ううん、大丈夫」
「そーだ、授業中に大声出すな……ん?お前誰だ?」
「36番渡辺だー!」
「36番36番…これミスプリントだろ」
「じゃあ、俺は誰だー!」
「だってかなでに馬ってんなカマドウマみたいな名前…クスッ☆」
「キサマもかー!つか☆付けんなー!」
これでカナデと並んで呼ばれるのが少しイヤになった。
「いやあ、カナデが男友達が出来たって言うからどんな奴かと思ってたけど、こうも面白いキャラだとは、そりゃカナデも男なのに友達になるわね」
「男なのに…?なにカナデ男友達いねえのか?」
乃木さんの台詞に違和感を感じ尋ねてみる。
「幼なじみって言ったでしょ?カナデったら昔から私の後ろに付いてきててね」
「恥ずかしいから、言わないでよ」
乃木さんの二の腕をツツくカナデ。
そのナチュラルなイチャイチャっぷりに少し嫉妬してしまう。
「それでトドメに私達が行ってた中学フェリ女附属だったのよ」
「フェリ女附属ってあのお嬢様学校の?」
「うん、今は別にお嬢様学校って訳じゃないけどね」
そっかぁ、カナデが妙に線が細いと思ったらお嬢様学校出身だからか。最近女子校が共学になるの多いらしいからな〜、カナデはカナデで俺とは逆ベクトルで苦労したんだろな。
226 :
145:2005/10/23(日) 00:12:58 ID:fk6GYz28
「いやしかし、そしたら2人が付き合ってるのも当然か」
「付き合ってるって」
「…誰が?」
俺の言葉に2人が問い返してくる。
「えっと、カナデと乃木さんが…違うの?」
すると乃木さんは俺とカナデを見て、いきなり大きくのけぞって笑いだした。
うわ、ムネでけー。
「あはははっ、そりゃ勘違いもするわよね。うん、キミ面白いよソウマ君、うん気に入った」
「はぁ、そりゃどうも」
「うんうん、よしカナデ。明日ソウマ君と遊びに行くわよ」
突然の提案に食べる手を止める俺とカナデ。
「いいけど、ソウくんの用事も聞いてみないと」
「明日土曜日だし、用事も無いけどいいのか?」
「いーのいーの、行くつもりだった映画のチケット3枚あるし」
こうして俺はいつの間にか、カナデ達と遊びに行くことになった。
女の子と映画…なんて甘美な響きだ。
ガクラン同盟万歳。
これは一人の男の子が大事なことを見落としたことから動きだす物語。
227 :
145:2005/10/23(日) 00:16:08 ID:fk6GYz28
2話目です。
主人公叫びすぎ、ヒロイン目立たない。
ごめんなさい。
次でやっと男装要素をまともに使えるので頑張ります。
頑張って〜
145氏、期待してますよ(・∀・)
>>aPPPu8oul.様
波乱の三日目GJです。なんとも複雑な関係がすごい。 三角関係とか同性ものとか自分の場合複雑で書くのは
苦手なのでここまで繊細な描写ができて尊敬します。
>>実験屋様
強制オナニーがエロイです。まさにエロ調教の典型。ネタバレと最後の台詞と
エリックの動揺の理由が非常に気になります。狂介と有紀の続きも見たいです。
座談会キャラを超えるキャラとは一体・・。
>>145様
カナデウマ笑いましたwww 奏馬の外見が気になります。やたら男にもてるって・・。
最後の一文の見落とした大事なことがなんなのかこれまた気になりますね。
余談ですが、倉庫の履歴で作者名不明となっているので名前を付けるといいかと。
最近せつない展開のものが多いですね。自分の作品のうち一つはしばらくやや切ない展開になりそうですけど。
231 :
偽りの城:2005/10/23(日) 03:12:33 ID:JYz0o81c
【前スレの最後ギリギリで投下して忘れられてそうな(苦笑)新作です。エロなし、男装要素なしです。
長いです。】
夫婦の部屋で二人っきりになった和海と頼子。緊張し、顔を合わせようとはしない。
二人は襦袢と羽織姿に着替え、布団の上に座っている状態だった。しかし、布団は二組ある。
これから夫婦の営みをしなければならないのに不自然である。
「え、えっと・・、頼子さんだったよな?おれ達・・夫婦の営みはできないけど・・
せっかく婚姻を結んだんだから・・・もっと打ち解けないのだけど・・。」
和海が重い口を開き、頼子と仲良くしたいと話をし出した。実は政略の都合上結婚をしたはいいが
二人共「子供が出来ない体質なので夫婦の営みがなくてもいい」という条件付きだった。
「・・・そ、そうですね・・・。」
頼子は緊張が解けない声で受け答えた。
「えっと・・・、何話そうか?うーん、趣味とか家族とか、かな・・。」
「趣味は、絵をたしなむのと、後、本を読むのが好きですね。」
「奇遇だね。おれも、絵と本を見るのは好きだな。」
「碁とか将棋はできますか?」
「結構好きだよ。よかった、おれ達気が合いそうだね。」
「は、はい・・。私も一時はどうなるかと思いましたが、優しい殿方でよかったです。」
二人は思っていたより簡単に打ち解けることができていた。
「一応、家族のこととかも聞こうかな。妹さんが付いてきたんだよな。」
「はい、い、妹以外には実家の両親と兄がいます。母は優しいです。父と兄は尊敬してますが・・。」
父と兄を語る際、頼子の声が少しだけ暗くなった。
「あ、聞いちゃいけないことだった?」
和海は頼子の声が暗くなったのに気付き、心配気に言った。
「いえ、ちょっと複雑なことがあって・・。でも、家族のことは大好きですから・・。」
頼子はすぐ弁解した。その言葉に偽りはない様だ。
「そっか・・。自分でふっといてなんだけどさ、おれの家族はあんまさ・・いいとは言えないんだ・・。」
和海はこれまでとは違う暗い面持ちで話した。
「・・・なにかあったんですか?私もこれからこの城で暮らさなければなりませんから、
松浦家の状況はなるべく知りたいです。」
頼子は和海の今までとは明らかに違う暗い様子が気になった。
「うーんと、一言で言うと内部争いかな。」
「内部争いですか・・・。」
頼子は和海の言葉に静かに受け答えた。松浦家の状況は思っていた以上に悪い様だと悟ったからだった。
「ほら、式の席に中年の女の人と隣におれら位の男の子がいただろ。あの女の人が
おれの父上の正妻の定子の方で、隣の男の子が腹違いの兄上の正澄。おれは側室の子なんだ。
母上はもう亡くなっちゃたけどね。」
和海の顔が少し寂しげになった。母のことを思い出したのだろう。
「複雑、なんですね・・。」
頼子は祝いの席での定子の様子はよく覚えていた。自分達に向けられた憎悪の目。少々複雑な事情はあるが
窪田家は父が朗らかな人柄な為か明るい人が多く、大名家としては親しみやすい家だった為
頼子はあの様な狂気に満ちた視線を浴びせられたことは初めてだった。
また、父は一途な人で母以外側室や妾は一切いない。その為正室側室という概念も頼子にとっては未知のものだった。
しかし、正室に男の子がいて、それが和海より年上ということは・・。
「家督争い、ですか・・・。」
232 :
偽りの城:2005/10/23(日) 03:15:34 ID:JYz0o81c
「そう、察しがいいね。」
和海は頼子に答えた。
「窪田家は家督争いには深い縁がありまして・・。今は何も問題はない・・ですけど・・。」
頼子は複雑そうに言った。
「何かあったの?」
複雑そうな頼子に和海は問い掛けた。
「いえっ!別に・・・私や兄のことでは何も・・。む、昔の代のことなんです!」
頼子はやけに必死な弁解した。その様子が気になったが
深追いするのは悪いと思い、話題を自分の家のことに戻す。
「えっと、ウチの場合・・、父上がさ、おれのことを気に入っててさ・・。
でも、兄上には冷たいんだ・・。定子の方とも冷え切ってて・・。うーんと、あんまりいい言い方じゃないんだけど
定子の方は野心家で・・兄上にどうしても家督を継いでもらいたがってるんだ。おかげでさ、結構いやな目に合わされることも・・。」
和海は苦笑いの表情を浮かべながら話した。
「竹彦と千里が来てからは結構助けてもらえてるけどね。」
「竹彦?千里?どなたですか?」
頼子は聞き覚えのない名前を問い掛けた。
「ほら、式に刀をもった二人がいただろ。その内丸っこい目をしてて背が低めで髪をまげで結ってるのが竹彦。
凛々しい目で睫毛が長くて、髪を上の方で一本に縛ってるのが千里。」
「ああ、いましたね。二人共綺麗な顔立ちでしたからよく覚えてます。」
頼子は特徴を聞いて二人の姿をはっきり思い出した。二人が定子の方を見て険しい顔をしていたことも。
その隣にいた正澄のことも思い出した。彼に対しては定子によく似た顔をしていると思った以外印象がなかった。
母親は強すぎる邪気を放っていたのに息子の方は妙に無感情な感じだったからだ。
「お兄さんとはどうなんですか?仲とか・・・。」
「兄上と?正直疎遠かな。定子の方みたいに直接いやがらせみたいなことはしてこないんだけど、話とかもほとんどしないし。」
和海は淡々と正澄のことを話す。その様子から兄との関係の少なさが伺える。
「そっちの妹さんは?背が高くて凛々しい感じだったね。頼子さんとはあんまり似てないよね。」
和海は真子を思い出しながら言った。真子も定子を警戒の目で見ていたのを思い出した。
「は、はい、私達見た目も性格も似てないけど、だからなのか昔から仲はいいんです。あの子は頼りない私と違って
活動的で、昔からよく助けられました。」
真子のことを語る頼子は正澄を語ったときの和海とは対照的に生き生きしていた。
「仲がいいんだね・・。」
和海は頼子の様子を見てうらやましげに言った。
「でも、これからは助けられるのではなく、あ、姉として、そして和海様の妻として・・頑張っていきたいです・・。」
どこともなくぎこちない言い回しだがその言葉には強い意思があった。
「ありがとね・・。夫婦としては普通じゃないけどさ、仲良くしようね。」
「はい・・。」
二人は手を取り合った。
233 :
偽りの城:2005/10/23(日) 03:17:58 ID:JYz0o81c
真子は姉とは別の一室を与えられ、そこで布団を敷き、寝ていた。しかし寝付けないでいた。
真子は枕や布団が違うから寝れないなんて繊細な性質ではない。別の理由からだった。
「思いのほか、大変な生活になりそうだ・・。」
真子は小さくひとり言を言った。その脳裏から定子の姿が離れないでいた。
顔は悪くない。むしろ、美女の部類であった。若い娘にはない色香のある熟女。しかし、その定子が放っていた邪気は
その美貌には相応しくないものだった。むしろ美しいからこそ余計恐ろしかった。その隣にいた正澄のことも
真子は気になっていた。頼子とは違い、真子は正澄に強い印象を抱いた。容姿こそ母にそっくりだったが
あまりにも雰囲気が違っていたからだ。どこか感情を押し殺した様な冷めた表情。母親の様な危険は感じなかったが
とにかく正澄のことが気になっていた。考え込み身体を襖のある方に向けた。すると襖の向こうに二つの人影があるのに気付いた。
「誰かいるの?」
真子は人影に向かって声を上げた。人影は襖の前で座り、真子を待っている様だったからだ。
たまたま通りかかっただけなら座るはずはない。
「はい。頼子様の妹君の真子様ですよね。失礼します。」
丁寧だが快活そうな声がして襖が開かれた。そこには見覚えのある二人の少年がいた。
「あ、式で見た二人組か。どうしたの。」
真子はこの二人の少年は式で見た人間の中では定子や正澄と同じ位よく覚えていた。二人とも美少年なのと
何よりこの二人も定子を強く警戒した顔で見ていたからだ。二人は立ち上がり真子のそばまで来て座る。
「我々は和海様の従者でおれ・・じゃなくて私は竹彦。こっちは千里といいます。」
「以後お見知りおきを。」
竹彦に紹介され千里は頭を下げた。それに合わせて竹彦も頭を下げる。
「こちらこそ。」
真子は二人の丁寧な態度に答えた。
「ところでこんな夜中に何の用かな?寝れなかったから暇つぶしになって返っていいけど。」
とりあえず真子は話の本題に進めた。
「用といいますか・・、真子様は式のとき、定子様をよく見ていましたよね。」
竹彦が話に乗った。さっきの紹介といい、話役は彼の役割な様だ。二人の雰囲気を見れば納得がいく。
竹彦は陽気ではきはきしてそうだが、千里は無愛想とまではいかないが真面目で寡黙そうな印象だからだ。
「あ、ああ・・。なんか・・気になって・・・。」
「どういう意味でですか?」
歯に衣を着せない竹彦の聞き方に真子は少し戸惑う。
「どういう意味でと聞かれてもな・・・。」
困っている真子の様子に気付いた千里が口を開く。
「竹彦、いきなりは失礼だ。順を追って話そう。真子様は我々が定子様を見つめていたのには気付いておりましたよね。
我々が定子様にいい感情を抱いていないのも。」
千里は自分達を引き合いにした言い方で自分達の感情を教え、話し易い様にしていた。
「やっぱりそうだったのか・・。」
真子は確認の声を上げた。
「真子様も私達と同じ気持ちで定子様を見ていたのですよね。」
千里のその言葉に真子は二人の思惑にうすうす感づいてきた。
「ああ。そうだよ。で、二人は私に協力してほしいのか?」
234 :
偽りの城:2005/10/23(日) 03:20:46 ID:JYz0o81c
「はい。」
千里が返事をした。
「その通りです。千里、よかったな。思った通り察しのいい人みたいだ。」「ああ。」
竹彦も真子へ返事をした後、千里に話しかけた。
「姉とその結婚相手を危険に晒すわけにはいかないから。とりあえず事情を話してくれないかな。」
真子の頼みに竹彦が口を開いた。
「はい、まず、あの定子様は和海様の御父上の兵部様の正妻ですが、和海様は側室子でして。
定子様には息子の正澄様がいて、普通なら正澄様が跡継ぎなはずですけど、
兵部様は和海様を気に入っておりまして和海様を跡継ぎにしたがってるのですが、定子様の手前、
正澄様をないがしろにもできなくて。」
「成程、家督争いってやつか。」
「はい、それで正澄様に家督を継がせたいが余り、定子様は和海様に辛く当たることが多くて・・。
私達はそれを助けようといつも必死になってて。」
真子の言葉に今度は千里が返事をした。千里は思ったより無口ではない様だと真子は思った。
「つまり、その定子とやらから和海さんを守ってほしいってわけか。」
「は、はい!」「その通りです。」
二人は返事をした。
「当然のことさ。元々姉のことが気になってここに来たのだから。」
真子は臆面なくそう言った。
「そういや、なんで真子様が来たのか気になってたんですよ。真子様だって結婚の問題とかあるのではって。」
竹彦が聞き出した。
「あっ、いや・・。それは・・・。父上からちゃんと許可をもらってついてきたんだ。」
真子はこれまでと比べて戸惑った様子で答えた。
「よく許可してもらいましたね。」
竹彦が言った。
「と、言うより半分父上から言われて来た様なもんで・・。あ、姉上について行きたいって言ったら
父上もそうしてもらうつもりだったって言われたから・・。」
「竹彦、これ以上の詮索は失礼だ。」
千里が竹彦に耳打ちしながら言った。どうやら竹彦は聞きたがりなところがあって、
千里は他人の感情を読み取るのが上手い為それをなだめる役になってる様だ。
「あっ、ごめんなさい・・。気を悪くしないでください。」
竹彦はすぐ謝ってきた。うなだれる様子が容姿とあいまって可愛らしい。この裏表のなさが聞きたがりでも
悪い印象を与えないのだろう。
「あ、大丈夫、気にしてないから。」
真子はすぐ返事をした。竹彦の裏表のない雰囲気に好感が持てたのと、実は隠し事をしているので
後ろめたいからだった。
「遅くなってきましたね。では、この辺で。明日から協力お願いします、真子様。」
千里はそう言いながら立ち上がる。
「うん、よろしく。後、様付けや敬語は別に要らないな。君達は私の配下じゃないんだし、年も対して変わんないんだし。」
真子は外見や雰囲気で二人が自分の十七歳と同年代だと悟った。実際竹彦は十六、千里も十六なのでその読みは当たっていた。
「わかったよ、真子、でいいのかな。」
竹彦が少し笑いながら言った。やはりというか打ち解けるのが早い性質の様だ。
「そうだな、そんな感じ。竹彦、千里。」
真子は竹彦に合わせて明るい調子で二人を呼び捨てにした。
「私は呼び捨ては少し抵抗が・・。さん付けでいいだろうか・・。」
敬語は解けたが竹彦ほど打ち解けるのが早い性質ではない千里はそう言ってきた。
「別に構わないよ。」
千里の言い方に隔たりは感じられず、ただ真面目な性格ゆえのことと悟った真子は明るく返事をした。
「ではおやすみなさい、真子さん。」
「明日からよろしくね!真子。」
二人は真子にあいさつをして部屋を後にする。
「ほっ、よかった。心強い味方が早くも出来て。」
そう言って再び布団に入った真子は安心したせいか、すぐに寝ついた。
235 :
偽りの城:2005/10/23(日) 03:24:25 ID:JYz0o81c
「よかったね、千里。協力してもらえて。」
竹彦が千里に話しかける。竹彦は千里よりわずかに背が低い為、少しだけ見上げている。
千里は深刻そうな表情をしている。長い睫毛が物憂げな表情を引き立てていた。
竹彦の言葉を聞いてようやくはっとなり返事をする。
「そ、そうだな。でも、この話は部屋に戻ってからにしよう。夜遅いし、
定子様や正澄様の耳に入ったら困るし・・。」
「そうだね、でも、千里どうしたの?ぼんやりしてさ、らしくないな。」
竹彦と千里は部屋に戻った。これまでは和海の部屋で一人が布団で普通に寝て、もう一人が見張りの為
着のみ着ままで刀を持った状態で眠るという方針だったが、和海は頼子と夫婦として
二人っきりの部屋で寝ることになったので今日からは竹彦と千里も二人の部屋で普通に寝ることになった。
二人は布団をひいている。
「今日から二人っきりだね。なんてね。」
竹彦がおどけた調子で言った。
「あ、ああ・・。」
それに千里が戸惑った様に答えた。
「やだな、冗談だよ。おれ、そっちの趣味は・・ないから、さ・・。」
最初こそ明るかったが段々声が小さくなっていき、表情も普段の明るい姿とは違う悲しげで物憂げなものになっていた。
竹彦は普段本当に明るい性格なのだが、時々この様な辛そうな表情をすることがある。特に女性にもてたときなど
その傾向が強い様だった。女性に対応しているときはおどけてて明るいのだがそれが終わると決まって悲しい顔をした。
竹彦は先程の真子との話を見ての通り、社交的ゆえに聞きたがりなところがあるが、意外と自分のことはほとんど語らない。
「早く寝ようか、明日から今まで以上に大変になりそうだし。」
千里は竹彦を気遣う様に言った。竹彦が悲しげな表情をすると決まって話を逸らす様にしていた。
千里にはなんとなく竹彦の気持ちが理解できた。千里も過去のことは語らない性質であった。
竹彦と違い、元々おしゃべりな性格ではないが、過去を話さないことには深い訳があった。きっと竹彦も同じなのだろう。
「そうだね、でもいまから風呂に入ってくるよ。身も心もキレイサッパリ洗い流そうってね。」
竹彦の声にはいつもの明るさが戻っていた。それを聞いて千里はほっと息を吐く。
「そうだ、千里も一緒に行かない、なんてね。」
「えっ!!!」
おどけた竹彦の言葉に千里は驚いた様な声を上げた。心なしか顔も少し赤い。
「じょ、冗談だってば。そ、そんな反応しないでよ。」
千里の大げさな反応に少し戸惑い、照れた様子で竹彦は言った。困り顔ではあるがさっきの様な悲しい顔ではない。
「じゃ、行ってくるね。キレイになったおれに期待してね、なーんてね!」
竹彦はおどけた様子を再び取り戻しながら、着替えや拭き物を持って風呂場へと向かった。
千里はその様子を見送ると真子の部屋からの帰り道のときの様な物憂げな顔になる。
千里は竹彦が自分同様言いたくない、言えない過去があるのであろうことに気付いている。
しかし、彼と千里の過去の事情には決定的な違いがある。明るい竹彦の様子を見るとそれが思い知らされる。
そして、千里が思い悩む理由はその竹彦とは違う過去の事情ゆえだった。
――私はこれから・・・どうしたらいいんだろう・・。とりあえず、竹彦が戻ってくる前に着替えよう。
千里は悩みながらも急いだ手つきで着替えを始めた。
236 :
偽りの城:2005/10/23(日) 03:27:35 ID:JYz0o81c
「ええいっ!!!」
定子が怒声を上げ、いつも持ち歩いている扇を畳に投げつける。バシッと大きな音がした。
「は、母上、真夜中です、お静かに・・・。」
「この様なときに静かになどできるか!!!」
定子は諌めようとした正澄に怒声を浴びせる。
「よいか!!これはあの男の妾らへの宣戦布告の様なものじゃ!!!」
あの男とは定子の夫である兵部のことだ。夫をあの男などという呼び方をすることは普通理解しがたい。
それでももはや愛情などかけらもない兵部と縁を切らないのはこの家を己のものにする為であった。
「よりによって妾が目を付けていたが断られた窪田家とあの和海を縁付けるとはなんと忌々しい!!!」
定子は松浦家や窪田家に匹敵するほど格の高い黒河家の出身だったが実家から嫌われ
窪田家に婚姻話を持ちかけたときも実家の働きかけが弱かったゆえに兵部に先越されてしまっていた。
頼子以外にもその妹の真子がいたのでそっちにも話を持ちかけたが元々窪田家側は松浦家との婚姻に
乗り気でなかったのを兵部の強引な要求に仕方なく応じたという経緯だったので
これ以上松浦家と縁を持ちたくなかったゆえに完全に断られてしまった。
定子はここ最近そのことでとにかく怒り狂っていた。
「よいか!!お前は自分の立場をわきまえておるのか!!?」
定子は怒り半分で正澄に問い掛けた。
「・・・わたくしは、この松浦家の当主、兵部とその正妻で黒河家の娘、定子の長子で
この家の正統な後継者、です・・。」
正澄はうつむきながら感情のこもっていない声で言った。
「そうじゃ!!お前こそ、この家の後継者なのじゃ!!それなのに、あんな下賤な生まれの女から生まれた
脇腹子に入れ込むなど・・・どいつもこいつも妾を愚弄しおって!!!」
「・・・・・・。」
正澄は怒り狂う母を黙って見つめている。と言うより何も言う気になれないでいた。
「こうなったら・・・妾の恐ろしさを思い知らせてやる!!!あの思い上がった卑しい小僧と
妾を愚弄した家の小娘に目をくれるものを見せてやる!!」
定子は和海、頼子夫婦を徹底的に追い詰める考えに行き着いていた。
「お前!!!ちゃんとやるのじゃぞ!!!」
「わ、わたくしがですか・・・・。」
定子は正澄を自分の計画の実行者にするつもりだった。自分は直接動かず、他人を手駒にする。
それが定子のやり方であった。正澄もそれはよく理解していた。
「はい・・・・。わかりました・・・・。でも、和海には従者の竹彦と千里がいますから一筋縄ではいかないと思います。
それに頼子の妹君の真子も手強そうに見えます。」
正澄は定子の命に暗い声で答えた。正澄は真子と竹彦と千里が定子の邪念に気付き、
こちらを強く警戒していたのをよく覚えていた。
「そのへんはよく考えておく。あの餓鬼共は妾を生意気な目で見ておったからただでは済まさぬ。特にあの従者二人は
前々から妾の邪魔をしてきて本当に忌々しい。絶対に思い知らせてやるのじゃ!!」
自分の子と同年代の年端もいかぬ少年少女に激しい憎悪の念を燃やし、恐ろしい計画を遂行しようとしている
定子の姿は羅刹の様であった。
偽りの城、二話目以上です。登場人物が多いので設定書き込んでるだけで長くなってしまいました。
ドロドロした内容になりそうなのでしっかり考えるよう気をつけます。
238 :
実験屋:2005/10/23(日) 03:53:14 ID:CW3biP96
>>145様
乙です!!乃木さんのキャラクター面白くて好きです。
次回を楽しみにしてますです。
>>アヒル様
GJ!!ドロドロは自分大好きっす。
鬼道・遠井家・浜屋道場の続編も待ち遠しいっす。
>>姦理人様
訂正感謝します!!
>>実験屋氏
アンタって人はホントにエロいSS作りおって……
そういえば実験屋氏最近ギャグ出て来ませんね(Zにギャグは想像できないけど)
新たな作風に期待
>>司氏
隆也ぁ……健……おまいら相手は一人の女だぞ
取り合う程愛されてる司タンは幸せか不幸か
四日目期待
>>アヒル氏
またスレ住人を騙そうったってそうはいかんぞ!!
今回の男装少女は……あれ? どっち?
とにかくみんなGJ!!
>>145氏
おぉこれがカマドウマ……
笑かせていただきました、こんごに期待!!
241 :
Z:2005/10/23(日) 14:41:17 ID:CW3biP96
(助けてくれてアリガトウ。)
またこの夢だ。お前は誰だ?
(私は・・・・)
『Z〜第5話〜』
「・・・あ・・・」
目が覚めた。
熱い訳でもないのに寝汗がひどい。しかも夢の肝心な所を聞きそびれた。
(なぜ何度も・・・あの娘・・・)
夢に出てくる少女の顔が離れない。だが誰なのか思い出そうとする度に
記憶にもやがかかって邪魔をする。
「なんだっていうんだ・・・・クソッ。」
不完全燃焼の思いが苛立ちになった。
242 :
Z:2005/10/23(日) 14:42:37 ID:CW3biP96
「エリック。」
ノックもせずにエリックの部屋に入る。
「ゼット様!!」
俺の姿を見た途端、エリックは小走りで俺のもとに来た・・・なにかおかしい。
「すみません。こんな格好で・・・」
まだ着替えの最中だったようだ。エリックはまだ上着を着ていなくシャツだけの姿だ。
「いや・・・構わん。」
やっぱり変だ。以前なら少しでも薄着なだけで俺から逃げていたのに・・・。
「お召し物を。」
「ん?・・・あぁ。」
言われて自分の上着を預ける。使用人の格好をさせている所為かエリックの
行動に全てを任せてしまう。
俺の記憶を流し込んでからエリックの対応に変化が現れた。
「あの・・・どうかされました?」
「!!・・いや・・・。」
言われて気がどこかに飛んでいたことに気付く。調子が狂う、本当になんだって言うんだ。
「・・・・・」
何も言わずに俺を見つめるエリック。その瞳からは以前のような憎しみや怯えが
薄くなり、何か別の視線が感じられた。
「機嫌が悪い・・・お前で処理するぞ。」
「え・・・」
俺の気の迷いもエリックの感情の変化も知った事か。手っ取り早くウサ晴らしだ。
「反論は聞かない。・・わかったな。」
「・・・・はい。」
エリックは物憂げな表情で答えた。
243 :
Z:2005/10/23(日) 14:44:39 ID:CW3biP96
エリックを寝台に横にして俺は自分の肉棒を抜き出す。
「挟め。」
「・・・わかりました。」
エリックは反抗の意思すら見せず従った。以前からは想像出来ない。
胸をはだけ迷う事無く肉棒を挟み込む。外さぬ様にしっかりと挟み込む。
「いいぞ。そのまま舐めるんだ。」
エリックは恐る恐る舌を伸ばし亀頭を舐めだした。反抗はしないものの
知識があるわけではなうようだ。その動作の一つ一つがぎこちない。
「んっ・・・ぅむ・・・」
舌を亀頭に一生懸命絡めるエリック。しかも、命令していないのに
胸を揺らし俺のモノを扱き始めた。
「んぅ・・気持ち・・・いいですか・・・うむぅ・・・」
エリックが上目使いに尋ねてくる。
「あぁ・・・上手いぞ・・・」
「よかったぁ・・・・はぅむ・・・」
安堵の表情でエリックは再び行為を再開する。
(ようやく従順になったんだ。そうだ、それしか無い。)
エリックの態度を今までの調教の成果と決め付ける。そうしなければ今の
気のやり場がなかった。
244 :
Z:2005/10/23(日) 14:46:34 ID:CW3biP96
「今度は口だけで・・・ご奉仕します。」
エリックは肉棒から胸を離し、大きさを増した肉棒を口に含んだ。
「んむ、んぅ・・・うむ・・・」
どう考えても大きさが違いすぎる俺のモノとエリックの口。しかし、エリックは
懸命にソレを頬張った。
「ふぅむ・・・・むぅ・・・・んっ・・・んぅ・・・」
上手いとは言えないが舌を満遍なく使いゆっくりと、時には激しく奉仕するエリック。
舌だけでなく唇もモノにしっかりと咥え込み絡み付く様に、と思うと素早く出し入れし
俺に快感を与える。
「そうだ・・・そうだ・・・いいぞエリック。」
そう、何も不思議がることは無い。エリックは屈服したのだ。俺に仕えることが
自分に残されたただ一つの道と理解したのだ。
そうだ・・・・そうなんだ・・・・
肉棒が脈動をうつ。
「エリック・・・そろそろイクぞ。」
「うぅん・・・ふぁい・・・」
エリックは前のように精液を零すまいと唇を密着させて更に舌を這わせる。
そして、そのままエリックが肉棒を飲み込み吸い上げた瞬間!!
「くっ!!」
限界に足した俺はエリックの口に灼熱の奔流を流し込んだ。
245 :
Z:2005/10/23(日) 14:49:30 ID:CW3biP96
「んん!!」
エリックの口の中に溢れかえる俺の精液。今度こそソレを溢してなるものかと
吸い上げゆっくりと嚥下していく。コクコクを鳴る喉の音が心地よい。
この音はエリックが俺にひれ伏した証なのだから。
「・・・・まだ終わらないぞ。」
精液を飲み干したエリックを強引に押し倒す。
「きゃぁん!!」
可愛らしい声を上げるエリックに覆いかぶさった。
「第2ラウンドだ・・・いいな?」
「はい・・・ゼット様・・・」
力なく答えるエリックの瞳には期待の色が見えていた。
エリックの着衣を剥ぎ取る。
「やっぱりな・・・もう濡れてるぞ。」
遠回しに「変態」と罵る。
「はい・・・どうぞお使いに・・・お仕置きしてください。」
淫裂を割り開いてヌメり光る自分のモノを埋没させた。
「ふぁぁ、あんあぁ・・・」
貫かれる衝撃にエリックは弓なりに身体を反らす。
「動くぞ。」
エリックの了承無しに腰を動かし始める。ゆっくりとだが抉る様に
大きく腰を動かした。
「あぁぁ!!・・くぅぅ・・・んんっ!!」
俺の攻撃に対抗できずに悶え震えるエリック。肉棒で肉壁を擦り上げ
子宮の奥まで突き上げられる快感に全身を震わせながらも嬌声をあげて
それに答えた。
246 :
Z:2005/10/23(日) 14:52:17 ID:CW3biP96
「トドメだ。喰らえ。」
今まで以上の腰に振りでエリックを責める。
「ふぁぁぁ!!・・・あぅっ!!・・・・んんん!!!」
責めに耐え切れず乱れ狂うエリック。
「中に出すからな。」
「はい・・・来てください・・・ゼットさまぁぁ・・・」
迎え来る絶頂を一気に溜め込み肉棒を子宮奥深くまで差し込む。
「いくぞ!!」
限界まで溜め込んだ怒涛の一撃をエリックの中に打ち込んだ。
「あぁ!!・・・くぅぁぁぁぁん!!」
胎内に流し込まれる濁流に全身を痙攣させるエリック。
そのままエリックは気を失った。
247 :
Z:2005/10/23(日) 14:55:15 ID:CW3biP96
眠るエリックを横に着替えを始める。朝からすっかりサカってしまった。
しかし、エリックが従順になった事、自分から求めてきた事が
俺の嗜虐心を刺激し、引き返せなくさせてしまった。
「ったく・・・いい傾向ではないな。」
嘆息交じりに呟く。
「・・・ん・・・うぅ・・・ゼット様。」
エリックが目を覚まし、俺の名を呼ぶ。
「起きたか。」
「はい・・・あの・・・申し訳ありません・・気絶してしまい・・ご迷惑を・・」
シュンとうな垂れるエリック。
「しかも後始末まで・・・」
あのままにしておくのに気が引けたので、とりあえず身体を清めさせシャツだけ着せて
寝かしていた。そんな大した事ではないと思うが。
「・・・気にするな。」
そう言って背中を向けた時、
「あっ!!」
エリックが慌てて近づいてきた。
「どうした?」
「背中に・・・キズ・・・」
何の事か分らず背中に手を当てる。ソコには爪が食い込んで出来たキズが何ヶ所か出来ていた。
「すみません!!・・・私・・・とんでもない事を・・・」
エリックの顔が青ざめる。かつて俺を殺すと言った奴が小さなキズで慌てるなんて。
なんだか笑えてきた。
248 :
Z:2005/10/23(日) 14:58:18 ID:CW3biP96
「すみません・・・お許しを・・・・」
必死に頭を下げて許しを請うエリック。
「・・・顔を上げろ。」
そう言うとエリックは顔を上げた。恐怖に怯え、涙を流しながら俺を見つめる。
ズキッ!!
またあの痛みが走った。・・・・しょうがないな。
「こんなのはキズに入らん。お前が気にすることではない。」
「でも・・・」
「気にするな・・・命令だ。」
「は・・・・はい・・・」
申し訳なさそうに俯くエリック。
「・・・ったく・・」
切り替えできないエリックを抱き寄せ頬に口付ける。
「あぁ・・・」
「・・・今日はききわけが良かったからな。ご褒美だ。
だが、そう何度も通用すると思うなよ?」
そう切り捨て部屋を後にする。
「ゼット様・・・・。」
エリックの縋るような視線が背中に刺さる。屈服させた事に喜びはしたが
何か・・・言い様の無い気持ちが膨れ上がった。
第5話〜完〜
249 :
実験屋:2005/10/23(日) 15:04:53 ID:CW3biP96
第5話完成しました。今後の展開を形にし始めてますが
少し時間がかかるかも・・・ご勘弁ください。
>>z1nMDKRu0s様
ギャグは『狂介〜』(修正中)の新作で挽回しますので
お待ちいただければ幸いです。
なんだこの豊作。こんなスレが存在して良いのか。
>実験屋氏
ちょっと見ない間に、少しずつハッピーエンドが見えてきたようなそうでない様な……
どうか幸せにしてやってください。wktkしながら待ってます
従順なエリタソえろいです。モエ
>管理人さん
日付ごとのまとめで問題ありません。ありがとうございます。
面倒とは思いますが『独白』は修学旅行編の前に入れていただきたいです。
それと誤字脱字の修正、すると言っておいてまだでごめんなさい……
近いうちにここでまた連絡させていただきます。
>145氏
かってに読み間違えてましたすいませんorz
しかし奏馬のいやなモテっぷりがいいですな。
女子校を見落とすうっかりさんの今後に期待しております。
>名無しのアヒル氏
また複雑な新作を投下してくださりやがってこのやろう、と嬉し泣き
キャラが多くて絡みが楽しみです。が、読んでいて混乱しそうです……
キャラのかき分けは大変だと思いますが、期待してます。
職人さんいつも乙
…ところで気になるんだが指摘してもいいか
子宮の奥には肉棒は届かないとオモ
例えウマ並の長さだとしても子宮口はとても小さくて通常は無理ぽ
膣の奥深く子宮に届くまで…の意なのだろうと変換して読んではいるが
話は面白くてもそこがいつも気になる
余計な突っ込みだったらスマソ
>>251はえろたんとエロビアの泉を読むことを薦める
確かに子宮口には届いてなく、正確には膣内の曲がってる部分が俗に言う最奥
だがそこをつつかれると性知識のない人は「子宮に当たってる」と錯覚するそうだ
>実験屋氏
従順なエリタン(*´Д`)ハァハァ
必死に奉仕する様がもう……もう……
いかんティッシュティッシュ
>252
女なんだが
まったりまったり
えと、私も女ね。
>>254 取り敢えず、この板は男性向けが主だから。
住人も男性が多いだろうさ。
「女だから」なんなのか、イマイチ読み取れなかったんだけど、
もし「女だから、んなシモネタ本買えない」とかだったら友人に頼むとか…
そんな友人もいないというのなら、私も仲間だ。一緒に買いに行こうw
もし「女としてそんなん納得いかん」という事なら、ここは前述の通り、
男性向けエロ板。エロさ(もちろん男性の感性で)主体のファンタジー
エロの世界だから、些細な違和感は脳内あぼんしてしまいなさい。
あと、一つだけ。
このスレはまったりしたトコだから晒したのかもしれないけど、
場所によっては無闇に性別晒すと、叩かれるトコもあるから気を付けてね。
長文ごめん。
つか、えろたんとかって本…だよねぇ!?
>>256フォロー乙!!
えろたんはもち本でつよ
恐らく語学学習参考書のコーナーにある
エロビアの発行は竹書房
週刊プレイボーイ関連書籍だったはず
>>257 詳細ありがd
今度、勇気を出して探してみるw
蒸し返して悪いが
書いてる側としてはこういう指摘は大事にしたいな
書いてるからって必ずしもエロの知識が人並み以上にあるわけじゃないし
女は男がどう気持ちいいのかなんてわかんねーし
男も女の感じ方なんてわかんないんだろーし
というわけで、次のエロの目処もたってないけどみなさんツッコミよろしく
260 :
姦理人:2005/10/24(月) 00:01:09 ID:RPAjFDn3
>250
訂正しました。ご確認下さい。
実験屋さんもレスthxです。
ところでこのスレ住人は
ディープとシーザリオ(男装)の対戦が実現したら
燃えるんだろうか、萌えるんだろうか・・・。
>>実験屋様
従順なエリックがエロでGJですが、なんか深いわけがありそうですね。
ゼットの夢に何か秘密がありそうですね。
>>aPPPu8oul.様
やはりややこしいですか(苦笑)。そんなわけで。
262 :
偽りの城:2005/10/24(月) 02:29:16 ID:Qhcd7SbU
登場人物紹介
松浦和海(十七歳) 松浦家当主、兵部とその側室の間に生まれた。第二子だが母が兵部に気に入られてる為
一人称 おれ 長子、正澄より兵部に気に入られている。その為跡取りとして最有力視されてるが
本人はあまり乗り気でなく、実は父のこともあまり好きではないという、複雑な環境で生きている。
しかし性格は明るく前向きで辛い環境にもめげないひたむきな少年である。
窪田家の娘、頼子とお互い子作りが出来ないことを踏まえたゆえで結婚。
お互い複雑な事情持ちだが持ち前の明るさと頼子の穏やかな性格のおかげで打ち解ける。
また、従者の竹彦と千里とも主従というより友達の様な関係を築いている。
外見は背が低めで目が大きめな可愛い顔立ちで年齢より幼く見える。
窪田頼子(十九歳) 窪田家の長女で和海の元に嫁いできた。家族は松浦家についてきた妹、真子と
一人称 私 実家に両親と兄がいて、仲は良好らしいが複雑な事情がある様だ。
穏やかで真面目な性格で気弱そうに見えるが強い意志を持っている。
外見は割と背は高めで、和海より背が高いが性格に似合う優しげで穏やかな顔立ちをしている。
窪田真子(十七歳) 窪田家の次女で真子に付き添って松浦家に来た。姉共々、実は何か隠し事をしている。
一人称 私 背は高いが顔は姉とは似ておらず、凛々しい顔立ちしている。性格も短気で気が強いが正義感も強い。
頼子とは非常に仲がいい。正澄のことが気になっている様だ。和海の従者、竹彦と千里に
定子から和海と頼子を守る様言われ協力することに。
竹彦(十六歳) 和海の従者の少年。底抜けに明るくて、裏表のない性格だが、影があり、何か暗い過去がある様だ。
一人称 おれ あまり背は高くなく、仲間の千里より少し背が低く、細めだが剣術の腕前は高い。
外見は肩位の髪をちょんまげにしてて、つぶらなかわいい目をした美少年である。
千里とは親友である。外見と親しみやすい性格ゆえにもてるが、そのたび複雑な顔をし、
恋人は一切作ろうとはしない。
千里(十六歳) 竹彦同様和海の従者。真面目でしっかりものだが竹彦同様何か複雑な過去を持っている様だ。
一人称 私 竹彦同様剣術に長けている。竹彦より少し背が高めだが細身の外見で、長い髪を上の方で
一本に束ねてて涼やかで凛々しい目元で長い睫毛をした美貌の持ち主。竹彦とは親友だが
その過去ゆえに複雑な感情を抱いている様だ。竹彦同様もてるがやはり恋人は作ろうとはしない。
気遣い上手だが照れ屋な一面も。
松浦正澄(十八歳) 兵部の正妻、定子の一人息子。定子は松浦家を乗っ取る為にこの息子を跡継ぎにしようと
一人称 わたし たくらんでいるが本人が何を考えているのかは不明。無口で人当たりが悪い為
わたくし 家中の評判もいまいちで、異母弟の和海との交流もない。定子が立てた和海達を陥れる計画を
母の命で遂行する予定である。長身痩躯の外見で顔立ちは定子と瓜二つである。絵を描いたり
楽器を弾くことが趣味。
黒河定子(三十七歳)兵部の正妻で正澄の母親。妖艶な美女だが非情冷酷な野心家で正澄を松浦家の当主にして
一人称 妾 自分の思い通りにしようとたくらんでいる。兵部との関係も冷め切っており、お互い憎しみすら
抱いてる様である。また、正澄に対しても愛情というよりは自分の野望の為の手駒として
扱っている様である。余談だが定子の実家、黒河家は当主(定子の兄)が子宝に恵まれず
しかも奥方共々病気になっている為、非常にあやうい状況になっている。
松浦兵部(五十歳) 和海、正澄の父で定子の夫。松浦家の当主。和海をかわいがっているが定子と正澄には冷たい。
一人称 儂 先代は温厚で有能だったが、兵部は頭はいいが度量が狭く、手段を選ばない非情なところが多い為
いい人柄だとは言えない。
登場人物紹介です。これで少しはわかりやすくなってれば幸いです。
>>z1nMDKRu0s様
男装少女は「どっち?」ということは・・・・・・・・( ̄ー ̄)ニヤリ
>>Zにギャグは想像できないけど
確かに。ゼットにスク水ババアや貞子が登場したり、ゼットを見て「ウホッ」なんて言う奴が・・。
想像できない・・・。
>>姦理人様
ディープとシーザリオ(男装)ってどこのキャラだろう、と思って検索したら
・・・競馬とは(笑)。
>>262 乙です!!
実は竹彦と千里がごっちゃになってたり……
後は想像にお任せします
>260
シーザリオ好きですよw
多分両方の意味でもえると思います
孤高の天才(男)に立ち向かう強気な男装少女イイ!
>261
わざわざありがとうございます
登場人物紹介見ながら読みますw
男装以外にも い る ような予感w
その男は言った。「速いと言っても所詮は女じゃないか」
うつむいて唇を噛む彼女の背中を、俺は見ていた。
彼女はこの世界で生きるために男名を与えられた。おそらく女だと意識したことすらないだろう。
どれだけ努力を重ねてきたかも、俺は知っている。
なのに男はこともなげに言い捨てた。
──所詮は女
──俺に挑戦しようなど、笑わせてくれる
彼女にかける言葉が見つからなかった。
トレーナーのアシスタントでしかない俺が彼女にしてやれるのは、取るに足りないことばかりだ。彼女にとっては大勢いるスタッフのひとりにすぎない。
その肢体に男をまたがらせ、汗みずくになる姿がどれだけ美しいかを俺は知っている。
だが、どれだけ美しいと思っても、どれだけ愛おしいと思っても、俺は簡単に彼女に触れることもできない。
彼女を励ますことすら、できない。
「お願いします、私を走らせてください。
誰よりも速く、私を走らせてください」
頭を下げる彼女に、トレーナーは静かにうなずいてみせた。
トレーナーが筋張った手を首筋に回しあやすようになでてやると、彼女の瞳に涙があふれた。
分かっている。
無敗の三冠馬は伊達じゃない。ディープインパクトには翼があると評する者もいる。
だから俺は祈る。シーザリオのために。走りたいと──勝ちたいではなく──言った彼女のために、彼女が持ちうる力の全てを出せるようにと。
シーザリオが、誰よりも速く、美しく走りきれるようにと。
>>266 GJ!
こっそりキボンヌしていたらすでに投下されているなんて!
このスレは幸せを運んでくれるなぁ……
>>266 競馬の知識は一切無いのですが、GJです!最初の文章を見たとき陸上少女物かと思いましたwww
>>z1nMDKRu0s様
レスサンクスです。
>>実は竹彦と千里がごっちゃになってたり……
orz もっとわかりやすい様心掛けます・・・。
想像に添えるかどうかが自分で気になります(笑)。とりあえず陵辱率高しとだけは言っておきます。
>>aPPPu8oul.様
同じくサンクスです。
>>男装以外にも い る ような予感w
ギクッ (;゜0゜)
270 :
Z:2005/10/25(火) 21:50:24 ID:ZIsc1tc/
『Z〜第6話〜』
・・・これは夢だな。
自分で夢だってわかる時点で夢ってのは
覚めるものだと思っていたが、そうでもないようだ。
「ぶつかっておいてゴメンも無しかよ!!」
ん?
「スイマセン!!お許しを・・・」
「そんなんで済むかよ!!」
このやり取りには覚えがある・・・・・確か・・・
「俺達を怒らせた報いをくれてやる。」
そうだこれはオズマリアにスカウトされる直前に親子連れにカラんでいた
王国の兵士を倒した時だ。
「ゴメンなさい・・・」
殴り倒されてうずくまっている父親にそれを庇う様に前に立ち
謝る娘、どう見たってどちらが悪役かは理解できる。
「ちょっとオッサン達。ウザくてキモいんですけど〜。」
俺だ。他人目に見てもおかしなガキとしか思えんな。
「小僧、痛い目にあいたくなければすっこんでろ!!」
「大の大人が無抵抗の親子に手ぇ出して情けないと思わないの?」
「何だと!!」
「王国の兵士さんってのは弱い物イジメが好きな変態さんだったんだね。」
「このガキが!!」
兵士達が10人近い数で俺をかこむ。
「ホラ、子供相手にこんな数・・・情けな。」
「やっちまえ!!」
兵士達が襲い掛かってくる。分が悪いとは言え俺がこんな連中に負けるわけが無い。
相手の攻撃をかわして電撃で意識を刈り取る。
「が・・・グハッ・・・」
最後の一人を倒した。
「なんだ・・・痛い目にあわせてくれるんじゃなかったの?」
兵士達を一瞥し見下す。
271 :
Z:2005/10/25(火) 21:51:31 ID:ZIsc1tc/
「いいぞ!!」
「かっこいい!!」
「よくやった!!」
周囲の野次馬が賞賛の声を上げる。悪い事をしたとは思ってないが
王国のブラックリストに載りはじめた手前、さっさと逃げようと思った。
「助けてくれてアリガトウ!!」
そう言われて手を握られた。見れば絡まれていた親子の娘の方が
俺の手をとり微笑んでいた。
(カワイイなぁ。)
そうだ!!最近夢に現れているのはこの娘だ。人形のようにカワイイ顔の
この娘に当時の俺は一瞬で惚れたんだ。
「お父さん体が弱くて・・・今からお医者さんに行くところだったの・・」
「そうなの・・」
この子の親父さんは野次馬に担がれて介抱されている。
「私・・・っていうの。アナタは名前なんていうの?」
ん?名前が聞こえない・・・・何故だ?
「オイそこのお前!!」
「ヤバッ、逃げろ!!」
警官らしき連中がこっちにやってくる。
「じゃあね。元気で!!」
「あっ、待って!!」
娘から手を離し逃げる・・・正直名残惜しかった。
「また・・・また会えるよね!?」
「縁があったら・・・バイバイ!!」
俺は人ごみから抜け出て逃げ出していった。
272 :
Z:2005/10/25(火) 21:52:40 ID:ZIsc1tc/
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「・・・ん・・・あっ・・・クソッ・・・いい所で!!」
目が覚めてしまった。誰かは思い出したが
肝心なところは分らずじまいでいい目覚めでないことだけは確かだ。
「名前・・・なんて言うんだろ・・・」
思えばあれが俺の初恋だった。だれかを好きになる暇なんて無かったしな。
あれから五年以上も経っている。きっとすごい美人になってるんだろう。
「また・・・会えるといいな。」
ガラにも無いことを呟いた。
だが会えたとしても今の俺は汚れすぎている。彼女の前に立つ資格は無い。
しかし、改めて思い出すと合いたい気持ちが大きくなる一方だ。
「まあいい。今日は・・・ククク・・・」
”別の美人”を使って楽しむとするか。
273 :
Z:2005/10/25(火) 21:54:13 ID:ZIsc1tc/
ピチャピチャと卑猥な音が俺の股間から鳴り響く。
寝台に腰掛ける俺の両足の間に跪き俺の肉棒を咥える可愛い獣。
エリックの調教は順調に進んでいた。最初はあんなに嫌がっていたのに
今では俺の機嫌を伺い、奉仕し、仕置きを受けることを望むまでになった。
「ふぅむ・・・っく、あっ・・・いかがですか?」
行為に没頭しながらも俺の機嫌を見るその様にかつての白騎士の面影は無い。
そこにあるのは俺に従い傅く優秀な玩具だ。
「・・・・」
ふとエリックと視線が合う。おどおどと怯え、媚びる様な視線だ。
だが、その瞳は輝きを失ってはいない。
調教され堕ちる者は大抵、正気を失い濁った視線を見せるものだが・・・
自分から望んで俺のモノになったというのか・・・・余計に気に入った。
「ああ、気持ちいいぞ。だんだん上手くなってきたな。」
「うぅむっ・・・くぅ、ありがとう・・・ございます・・・むぅ・・・」
俺の労いの言葉に頬を赤く染めるエリック。
「ククク・・・しかし、変態の相手は疲れる・・・。」
エリックに自分の立場を再認識させることも忘れない。
「そうだろ・・・エリック、お前は何者だ・・・言ってみろ。」
「ふぁ・・い・・・私は・・・ゼット様の・・・玩具で・・・変態のエリックです。
私は・・・ゼット様にお仕えし・・・・ゼット様を喜ばせるのが・・仕事です。」
「そうだ、よく言えたな。偉いぞエリック。」
エリックの金髪を優しく撫で下ろす。
「これからも俺を喜ばせろ。そうすれば可愛がってやる。」
「あぁぁ・・・ゼット様・・・・・・嬉しいです。」
エリックの微笑んだ表情が俺に向けられた。
274 :
Z:2005/10/25(火) 21:55:05 ID:ZIsc1tc/
「!!」
エリックの笑顔が俺の心を締め付けた・・・どうしたというのだ?
「どうかされましたか?」
エリックが俺の顔を覗き込む。
「いや・・・なんでもない。それより挿れてやる、横になれ。」
「はい、わかりました。」
気持ちを切り替えエリックに横になるように命じる。
「自分からお願いしてみろ。」
「・・・ゼット様。エリックの身体を・・・お気の済むまでお使いになって下さい。」
「よく言えたな。」
エリックの誘うままに秘裂に肉棒を差し込む。
「はぁぁぁ!!」
エリックは艶っぽい声を上げる。行く場所なく彷徨う両腕を俺の背中に回してやる。
「あっ・・・ゼット様。」
「ご褒美だ。気にするな。」
「んっ・・・うれしいです・・・ありがとうございます・・・」
(助けてくれてアリガトウ!!)
「!!」
夢の少女の声がエリックの声とダブッた。
275 :
Z:2005/10/25(火) 21:56:11 ID:ZIsc1tc/
(まさか・・・いや・・・)
気も迷いを振り払い、腰を動かす。そうだ・・・気のせいだ。
「ひぁっ・・・激し・・い・・・あうぅ!!」
何も考えずに勢いに任せてピストン運動を繰り返す。
擦れ合いながらお互いの体液が粘つきクチャクチャと音を漏らす。
「あぁぁん!!ゼット様のが当たってます!!・・・んあっ!!」
エリックは身悶えながらも自ら腰をくねらせて俺の肉棒を受け入れる。
「あぁっ!!・・・ゼット様・・・エリックの中は・・・いかがですか・・・うぅ・・」
「ん?・・・あぁ、いいぞ。」
迷いに気持ちを奪われ、曖昧な返事を返す。それを不快と思っていると感じたのか
エリックの顔が悲痛に歪む。
「ダメ・・でしょうか・・あっ・・・申し訳・・ございません・・・お許しを・・」
(スイマセン!!お許しを・・・)
夢の少女の姿が見えた。いや・・・そんな筈は・・・そんなことが・・・
「もっと・・・頑張ります・・・んんっ!!・・ですから・・・捨てないでください・・・」
(違う!!・・・そんな事を言うんじゃない・・・)
276 :
Z:2005/10/25(火) 21:58:08 ID:ZIsc1tc/
エリックが懸命に腰を動かす。俺は動揺し何も言えない。
「ん!!・・きて下さい・・・私の中に・・・出してください!!」
エリックの哀願に心と身体が分離してしまう。
(やめろ!!もうやめるんだ!!)
そう思っていても身体は言うことを聞かない。絶頂に向けて腰を動かし
エリックを貫き続ける。
「くぅ・・・あぁぁ!!・・・ゼット様・・・ゼットさまぁぁ!!」
収縮したエリックの秘膣が俺の肉棒を食い千切らんばかりに咥え込む。
(ダメだ・・・やめろ・・・やめろぉぉ!!)
いくら命令しても身体はエリックを犯し続ける。
グイッと怒張を押し込み貫くことを止めない。
「あぁぁ・・・・ゼットさまぁぁぁ!!!」
エリックが大きく身体を反り返らせ叫ぶ。
「エリック!!」
突き上げるたびに装填され続けた灼ける様な欲望の弾丸を
エリックに打ち込む。
「あっ・・・くっ・・・ゼット様が・・・くるぅ・・・あぁ!!」
熱い銃撃でエリックは悶えながら身体を痙攣させる。
「あぁ・・・気持ちいい・・・ゼット様・・・」
熱に浮かされ呆然とするエリックを抱き起こす。
(私・・・・って言うの)
消えていた記憶がパズルのように組みあがる。
最悪の結末が・・・運命の審判が下される
(私・・・・って言うの)
「・・・・エリス?」
277 :
実験屋:2005/10/25(火) 22:01:43 ID:ZIsc1tc/
途中ですがここまでになります。
続きは急ぎ完成後に投下します。
>>251の方のご指摘拝見しました。勉強不足でしたスミマセンです。
知識の無さから他の皆様にもご迷惑をおかけして申し訳ない限りです。
>>277 GJ!
真相に近付き、切なさも加速中!続き、待ってます。
あと、キニスンナ。
特に一人称の場合は、語り手(主人公)の感覚な訳だし、俺は大して
違和感無い。
まあ、この手の論議は書き手スレでやれば良いさ。
GJGJ!続きが気になる〜
先生!!
実験屋氏はどうしてこんな続き気になるようなネタばっか投下するのですか?
GJ!!&期待投下
「はぁ……」
どうしたユウタン
真の部屋飛び出してからずっとため息連発して
「バカなことをしたかなぁ」
当 然 だ
せっかくのエチーフラグを無駄にするなこのまな板バストが
「それにしても真が……」
何天下の往来でひとりでに赤面してやがる
そこの角曲がれば駅への大通りだろ
そんな真っ赤でうつ向きながらブツブツ「真って……」とか呟く香具師は即黄色い救急車だ
お? 黄色くないがユウタンに向かって一直線に近づく影がやってきてんぞ
ユウタンを追い抜くとやってきた影の男は3mほどの距離をおいて乗ってたビッグスクーターを停止させる
フルフェイスというヘルメットをかぶっているせいで顔は確認不能
冷静な判断力を失っていたユウタンはその場に固まりポカーンとしてる
ヤバいから早く逃げれユウ!!!! おまいは自分がどうなってもいいのか!!?
「ほらよ」
フルフェイスの中から聞こえるぐぐもった声、あれ? これどっかで聞いたことあるような……
「あ……ありがとう……?」
ユウタンはフルフェイスの差し出したギターを受け取る
「忘れてたぞ」
言うやものすごい速さでスクーターに跨り逃げるフルフェイス
そういやあの男ってあいつに雰囲気似てるよな
「真?」
ガン!!!
あ フルフェイスのやつ電柱にぶつかりやがった。確定事項、フルフェイス=真
「大丈夫?」
ユウタンは電柱にぶつかって頭で天使の舞う真に声をかける、幸いそんなに速度はでてなかった模様
「平気……です」
声からして平気じゃねぇ気もするが本人がそう言うなら平気だろう
「よかったぁ……」
ほっと胸を撫で下ろすユウタン
「……」
それをしばし見つめるフルフェイス真
あーこの分だとヘルメットの中はゆでタコ状態だろうな
「スキありっ!!」
唐突に真のヘルメットをパクるユウタン
「うおぁ!!!!」
あっさり脱がされる真
「やっぱり」
真のフルフェイスを持ちながら悪戯っ娘の表情で一言
「返せぇぇ!!!! 返してぇぇぇ!!!!」
ヘルメットとり返そうと必死にもがくバカが一匹
「ったく……これでいいだろ!!!!」
朝の待ち合わせ場所でバイクを止める真
そんなに邪険にすんなって、満更でもないだろこういうの
「うん、ありがと」
二人乗り用のシートから降りるユウ
あの後ユウに散々おちょくられ恥ずかしい思いをし
挙げ句の果てには「乗せてって」の上目使い攻撃(作為的)に折れて現在に至る、と
で、イタズラモードにスイッチが入ったのか運転中も背骨に指這わしてみたりやってたな
イタズラ中「やめろ!!」とか「死ね!!」とか言ってたけど無い乳でも勃つもんは勃つんだな
「どうするよ俺」
今日のオカズはユウタンの観音様でケテーイ
以上で中断
>>277 健康スポーツ少女もいいな……
最後に
クーデレスレに浮気してました!!!!
ごめんなさい!!!!!!
モルスァ!…じゃなかった、GJモルスァ!
…ん?
この寸止め感がぁ〜っ
モルスァ!!!!!
【切ないネタに便乗。もちろん(?)エロなしです。今回。】
「はっ!!」
成幸は目を覚ました。地下から出た後、布団に入り眠ってしまっていた。
「夢・・・・。」
そう言いながら外を見つめた。地下に行ったときは昼食直後で昼間だったが、瑞穂を陵辱し、
牢から出た後眠ったせいか、だいぶ日が落ちていた。
成幸は思い立った様に立ち上がると襦袢と手ぬぐいを用意し、地下牢へと向かう。
瑞穂の拘束を解き、身体を拭って、服を着せてあげよう。その後城に戻って父に瑞穂の釈放を頼もう。
そう決意して牢屋への階段を勢いよく降りていく。牢の中の瑞穂は泣き疲れたのかぐったりしている。
「瑞穂・・・。」
成幸が声を上げたが反応がない。話しかけるのもいやなのかと思い、少し落ちこんだが
瑞穂に近づいてみると様子がおかしいことに気付く。やけに息が荒い。顔や身体も火照っている様だ。
「瑞穂!?どうしたんだ!だいじょぶか!!」
返事はない。瑞穂は目を閉じ、苦しそうに息を荒くしているだけだ。既に意識を失ってる様だった。
額に手を当ててみるとやはりというか熱い。成幸はあわてて、瑞穂の手と足の鎖を外し、
性行為で汚してしまった身体を軽く拭うと襦袢を着せ、牢屋から連れ出す。釈放の許可は後回しになってしまったが
牢屋の中に病人を置くわけにはいかなかった。部屋に入ると先程まで成幸が寝ていた布団の中に瑞穂を寝かせる。
まだ意識は覚めない。成幸は瑞穂の額に濡れた手ぬぐいを置いた。瑞穂に意識がない為、薬や食事は与えられないし
人間と鬼はほとんど身体の構造に差はなく、なる病気も同じものが多いという話だが、中には鬼のみがなる病気もあるらしいので
素人目で判断するわけにはいかない。とりあえず成幸は瑞穂の顔の汗を拭う。身体は先程牢屋で軽くだが拭いたし
看病の為とはいえ陵辱した罪悪感から瑞穂の身体を見るのは申し訳ない気がした。
「・・・これだけじゃだめだな・・。」
このまま顔を拭いてるだけでは何もならない。ちゃんと医者に見てもらわないとだめだと判断した。
幸い成幸の居城の専属医は鬼の身体の知識も持っていた。それまで鬼嫌いだった成幸は鬼なんか治療して
どうするんだと思っていたが今はその医者の知識が心底ありがたかった。ついでに高茂に瑞穂の釈放も頼もうと思った。
居城に戻るのはいいが、この離れには誰もいない為、瑞穂を一人にしなくてはならない。起きる気配はなさそうだし
これだけ弱った状態で逃亡や自殺もできないだろうが、病状が心配だった。しかしこのままでは何もならない。
早くしないと日が暮れてしまう。
「なるべく・・・すぐ戻るから!!」
成幸は意識のない瑞穂に呼びかけると大急ぎで城の方まで駆けていった。
「高茂様・・。」
梨乃という女性が高茂に話しかけた。四十前後の美しい女性でその物腰は上品で上流階級の育ちが伺える。
彼女は実際身分の高い女性でこの家の中でも特別扱いを受けているがこの家に来た経緯は複雑な事情がある。
「何かね?」
高茂が受け答えた。その傍らには妻の静がいる。
「鬼族の頭の子供は、今成幸様が離れに監禁なさっているのですよね。」
「そうだな・・。今頃、拷問にでもかけてるのでは。」
高茂は仕方ないとはいえ、息子の行為が好ましくない為、梨乃の問いに対して答えるその声は少し暗い。
それに合わせる様に静も少し複雑そうな表情を浮かべる。
「会わせてもらうことはできないでしょうか?」
梨乃が言った。彼女は瑞穂に会いたがっていた。
「私は別に構わないが・・、成幸がなんて言うか。」
高茂は少し悩ましげな声で返事をした。
「そういえば梨乃さんはその鬼族の頭の子に思い入れみたいなものがあるって言ってましたね。」
静が言った。今は十年前の痛手も乗り越え、元も朗らかな雰囲気を取り戻していた。
「はい・・・。どうしてもまた・・会いたくて。」
静の言葉に落ち着いてはいたがはっきりとした意思を感じられる物言いで梨乃が答えた。
大人達がそんな会話をしていたそのとき、噂をすれば影とでもいうのか、襖を勢いよく開け成幸が現れた。
あわてて来た為、息が上がっている。
「どうした、成幸。そんなにあわてて。」
息子の様子を見て高茂が問いかけた。
「えっと・・・。瑞穂が・・捕虜が病気になって・・看病の為に医者を呼びにきたんだ・・・。
それと、捕虜の釈放もお願いしたくて・・・。」
どんなに説得しても鬼への憎しみを忘れない成幸の思いがけない頼みに三人は少々驚いた。
「別に構わぬぞ。私は元々あの少年を処罰するつもりはなかったし。」
高茂は落ち着いた物言いで息子の頼みを受け入れた。言葉通り彼は最初から降伏した瑞穂を処罰するつもりはなかった。
しかし、成幸が見せしめにしてやろうと強く要求してきたので瑞穂は成幸に連れられ離れに監禁されたのだった。
「その・・・実は・・・女の子だったんだ・・・。一応手篭めにしたけど・・逆らう意思はないと思ったから・・
釈放していいかなって・・・。」
「何?女の子だったのか。そうか・・。」
瑞穂の性別を知って、高茂は成幸の心変わりの理由がようやくわかった。静と梨乃も気付いたらしく微笑んでいる。
釈放の許可を喜びながら成幸は部屋を出た。
その後、三人はフフっと楽しげに笑った。
「惚れたな。」「惚れたわね。」「惚れましたね。」
三人は口々に言った。昔のことを気にしてたのか、恋人や婚約者を作ろうとしなかった成幸が
あれほど嫌ってた鬼の少女に惚れてしまったという事態が面白いと思ったからだ。
「捕縛したとき、女の子みたいに可愛い顔をしていると思ったが、本当に女の子だったとはな。」
高茂が笑いながら言った。
「私も男の子にしては可愛い子だと思いましたけど、十三歳位だったから男の子っぽくなくても
おかしくないと思ったのですけど。」
高茂の言葉に乗った様に梨乃も笑いながら言った。
「そんなに可愛い娘(こ)なら私も早く見てみたいわね。娘さんがいる梨乃さんがうらやましくて。
そういえば結婚してから娘さんはどうしてるの?」
静は梨乃の娘のことを聞いた。
「はい、元気にやってるみたいです。一時はどうなるかと思いましたけど・・。
もう絶望的だと思っていたあの子の昔の婚約が叶って本当に嬉しいです・・。高茂様と静様のおかげですね。」
梨乃の言葉に高茂と静は嬉しそうに顔を見合わせる。
「病気で看病ということは、しばらくは二人っきりにしてあげた方がよさそうですね。
でも手篭めにしてしまったということは・・きっと苦労しますね。」
梨乃は話題を成幸と瑞穂のことに戻した。
「そうだな・・。でもあいつなら大丈夫だろう。親ばかに思われるかもしれないが。」
「私もそう思うわ。だってあの子が鬼の女の子に惚れたってことは、過去を振り切ろうとしてるってことだから。」
高茂と静は息子の恋に期待の言葉を並べた。
「そう、ですね。私は成幸様だけではなく、あの子にも幸せになってほしいと思います・・。」
梨乃はかつて見た瑞穂の姿を思い出しながら言った。
――ここは・・。あのときの・・?
瑞穂は以前見覚えがある暗闇の中にいた。よく見ると十三歳の姿をしていた。
暗闇の中をぼんやりと進んでいると散々見せ付けられた地獄の光景が目に飛び込んできた。
鬼達に輪姦される女性の姿。その中には巌もいる。しかし、女性に見覚えはない。
小柄で可愛い印象の女性。彼女を助けようと一人の七、八歳位の少年が輪姦劇の中に進もうとしている。
少年が女性の息子だということは容易に想像がついた。
――俺が・・、俺が助けてあげなきゃ!
瑞穂は少年の進行を止める為にその目の前に立ち塞がる。少年の静止を確認すると、
代わりに輪姦劇の中に進んでいく。そして叫ぶ。
――やめろっ!!こんなことはやめろ!!
すると女性も鬼達も消えた。しかし巌だけは残っている。
――そ、そんな・・。いやぁ!!
巌は瑞穂に襲い掛かってきた。すると以前見た夢同様着物が破り捨てられる。
――いやあああぁ!!
再び裸にされ、瑞穂は思わず叫んでしまった。巌は以前と同様瑞穂のまだ未成熟な身体を犯そうとする。
――俺、また・・・犯されるのか・・・。
悲しさから涙が流れる。しかし幼くも力強い声が状況を変える。
――やめろ!!
それは先程の少年の声だった。少年が声を上げた瞬間、巌は苦しみ消えた。
――あ・・・。
瑞穂は少年を見つめた。自分はこの少年を助け、また、助けられた。瑞穂は起き上がり少年に駆け寄る。
――ありがとう・・・。ありがとうね・・。ぼく・・・。
泣きながら少年に感謝の言葉を漏らした。
――ぼく?
少年が年下扱いを不思議がる様な声を上げた。その言葉で瑞穂はようやく少年が幼い頃の成幸であることに気付く。
それがわかっても成幸への憎しみが全く思い出せない。幼い成幸にすがっていたかった。
「はっ!」
瑞穂は目を覚ました。天井を見て自分が今牢屋ではなく普通の部屋にいることに気付く。
布団に寝かされ、服も着せられてて身体も拭われていた。捕虜に対してとは思えない丁寧な扱いに瑞穂は困惑する。
辺りは暗い。月明かりがぼんやりと部屋の中を照らしている。瑞穂が顔を動かすと眠っている成幸の姿を捉える。
布団もなく着のみ着ままの状態だ。医者に診察してもらったところ、心身衰弱による風邪で安静にしていてば大丈夫と診断され、
薬ももらったが瑞穂が一向に目覚めないので成幸はつきっきりでいたのだが、そのうち眠ってしまっていた。
瑞穂の身体はまだだるく熱も引いていない。しかし頭ははっきりしている。その為、夢の中では思い出せなかった
成幸から受けた辱めの記憶を取り戻していた。
――なんで、お前がこんなことするんだよ・・・。
内心そう思ったが、寝ている成幸を起こして毒気づく気にはなれない。まだ病気が治らないせいか再び眠ってしまう。
朝になり、成幸は目を覚ます。
「んっ・・・。瑞穂・・・・。」
目覚めた成幸は真っ先に目の前で眠る瑞穂に目を向ける。赤い顔をして目を瞑り眠る瑞穂の額に成幸は手を置く。
案の定まだ熱い。成幸は手を瑞穂の額から角のある方に動かし頭を撫で始める。
「んっ・・・。」
すると、撫でられた感触に反応したのか瑞穂が目を覚ます。
「あっ・・・・。その・・・、大丈夫?」
成幸は目を覚ました瑞穂の頭から手を離し、ぎこちない物言いをした。陵辱したことと自分のせいで病気にしてしまった
罪悪感からどう話せばいいのかわからなくなっていた。
「・・・・・・・。」
瑞穂は最初は寝起きなのと病気から来る熱で状況が飲み込めないのか、ぼんやりとした目で成幸を見つめていたが
次第に意識がはっきりしてくると顔の表情が険しくなり、口を開く。
「何のつもりだ・・・・。」
きつい物言いだったがその言葉にはそれほど憎悪は含まれていない。しかし、罪悪感に駆られる成幸の心を揺り動かすには
十分なものだった。
「えっと・・・。看病を・・・。」
成幸の言葉に瑞穂は激しい反応を示し、弱った身体を半ば無理に起こす。
「看病?訳のわからないことを言うな!!処刑するつもりの捕虜にこんなことして何になる!!!」
瑞穂の罵声に成幸は辛そうな顔で口を閉ざす。その顔に瑞穂は怒りを覚える。
「性奴隷にでもしたくて看病したのか?そんな辱めを受ける位なら殺される方がましだ!!」
成幸がそんなことするつもりなどないことは瑞穂はわかっていた。しかし、陵辱されたことから罵ってやらなければ
気が済まないと思っていた。
「おれ、お前のこと処刑するつもりも奴隷にするつもりもない。それに、お前はもう捕虜じゃない。
父上に頼んで釈放の許しを貰ったから・・・。」
成幸は重い口を開いて瑞穂の今の立場を告げた。
「えっ・・・・。な、何故そんな・・・。」
いきなりの釈放宣言に瑞穂は驚いた。成幸が自分のことをいたぶったり辱めるつもりは全くないということには
気付いていたが釈放までしていたとは思わなかった。
「だから、病気を治してあげたくて・・・。」
成幸はあいかわらず重くぎこちない物言いをした。こんなことしても自分がしたことが許されるはずないことは
わかっていたがどうしても瑞穂に元気になってほしかった。
「余計なお世話だ・・・。元気になったところで俺には希望も行く当てもない・・・。」
そう言い捨てて瑞穂は再び横になり身体を反らし、成幸から視線を逸らした。
「・・・・・。」
成幸は掛ける言葉が見つからない。行く当てがないなら自分の所に来てほしいと言うのが本音だったが
深い罪悪感が成幸を縛り付けてその想いを遮る。
支援レス。
微妙な関係スタートです。
>>実験屋様
やっぱりそうだったのか・・・。エロくも悲しい展開に涙が・・・。(つД`)
>>z1nMDKRu0s様
わざわざバイクで届けにきた真がかっこいいですね。でも電柱にぶつかるなんて昔の漫画だ。
ちょっとワルなユウがかわいいですな。
>>タイトル間違い
ちょっと笑えました。
>>先生!! 実験屋氏はどうしてこんな続き気になるようなネタばっか投下するのですか?
対抗して思いついたネタを。
兄ちゃん、何で実験屋様続きが気になるネタばっか投下するん?(byせ○こ)
司さんまだかなー
292 :
Z:2005/10/26(水) 23:52:27 ID:vLI8Is2P
6話目最後まで投下します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「・・・・エリス?」
そうであって欲しくない思いを込めて呟く。
「えっ!?」
エリックはそう呼ばれて驚いて俺から離れる。確信を突かれた、という表情だ。
「やっぱり・・・・・エリスなんだな?」
(私エリスって言うの)
全ての記憶を思い出した・・・・・最悪だ。
「あ・・ゼット様・・・」
不安げにエリック、いやエリスが見つめてくる。
頼むそんな目で見ないでくれ・・・・・俺にはそんな資格・・・
ふとエリスに手が伸びる。あの時の手の感触を確かめたくて。
「!!」
触れようとした瞬間、エリスはビクッと身体を震わせた。
「エ・・・エリス・・・」
屈服なんかしてなかった・・・・拒絶された・・・・
・・・・・・嫌われた!!!
293 :
Z:2005/10/26(水) 23:53:24 ID:vLI8Is2P
俺は部屋から飛び出た、いや逃げ出した。
「ゼット様!!」
背後からエリスの声が聞こえた。でも・・・・それは気遣うフリなんだろ?
その声に答えることも出来ずに俺は逃げた。
何で気付かなかったんだ?
見ればわかるだろ?
大きくはなったがあの時のままじゃないか?
自分のバカさに嫌気がさす。本当に・・・本当に・・・・
「何やってんだよ!!!」
どうしよう・・・・取り返しの付かないことをしてしまった!!
エリスにまた会いたかったのに・・・・
カワイイなって思ったのに・・・・
初恋だった・・・
好きだった・・・・
エリスを・・・・エリスを・・・・・
「愛していたのに!!!」
294 :
Z:2005/10/26(水) 23:54:27 ID:vLI8Is2P
自分の部屋に逃げ込んだ。そのまま床に突っ伏す。
「クソッ!!クソッ!!クソッ!!」
床を殴りつけながら今までの自分に悪態をつく。そんな事をしても今更遅いというのに。
(その男に見せてやりたいなぁ・・・今のお前を)
今までエリスにしてしまった仕打ちが頭に流れる。
「何言ってるんだ俺!!」
(エリック、一人でシてみろ。)
「バカッ!!相手はエリスだったんだぞ!!」
(変態)
「違う・・・エリスは違う!!」
(変態)
「違うって言ってるだろ!!」
(変態)
「そうさせたのは俺じゃないか!!」
こんなはずじゃなかった・・・・こんなんじゃなかった。
こんな事のために今までやってきたんじゃない・・・・
こんな未来が欲しかったんじゃない!!
俺が望んだ未来はこんなんじゃなかった!!
295 :
Z:2005/10/26(水) 23:55:41 ID:vLI8Is2P
「・・・・クククク・・・・ハハハハ・・・」
もう笑うしかない。だってそうだろ?王国に復讐する。それだけの為に
今までやってきたのに、そんな自分が手に入れたかったものを
傷つけてしまったんだから・・・・
ピシィィィッ!!!!
「ハハハハハ」
もうダメだ・・・
「クククククク」
俺の心は・・・・
「アハハハハハハ」
完全に・・・・・
完全に砕け散った。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
第6話〜完〜
296 :
Z:2005/10/26(水) 23:59:11 ID:vLI8Is2P
6話以上で終わりです。エロが微妙で申し訳ないッす。
公約通りゼット壊しました。
>>z1nMDKRu0s様
真のゆでだこが想像出来ます。GJ!!
>>アヒル様
もどかしさがなんともいえない展開になってきましたね。乙です!!
>>実験屋様
か、悲しい・・・。悲しすぎる!。°(ToT)°。
壊れてしまったゼットはどうなってしまうのか・・・。ゼットとの関係に気付いた上で従順にしてたのであろう
エリスもどうなってしまうのか・・・・。とにかく泣けます・・。GJ!
切ないネタに便乗して鬼道書いた直後なので思ったけど成幸みたく陵辱してしまった子に初恋してしまったのと
ゼットみたく初恋の子に気付かず陵辱してしまったのではどっちが悲惨なんだろ・・。
偽りの城も陵辱率高い予定なので切ない展開のネタのストック多しです。
姦理人様、「鬼道の末に零-弐」はあれで終了ですので続行中マークを外してもらいたいのです。
お手数かけて申し訳ありません。
このスレも早くも容量が300超えて半分以上消費されましたね。
>実験屋氏
ゼット壊れちゃいましたね……
思えばこういうダークなバッドエンドってなかったような……
いやはやGJ!!
でも最後は「精神が崩壊した」と書くよりどういう風に壊れたのか描写するのも良いですぜ
例
ゼット、エリスと四天王皆ころs(ry
300 :
実験屋:2005/10/27(木) 08:37:45 ID:LDzPPq4g
>>z1nMDKRu0s様
今後はゼットの救済をメインに考えてました。
でも完全バッドエンドも面白いかも・・・
大量発生したヤスコに押されて端っこの人から海に落っこちて
人類皆溺死・・・何バカ言ってるんだろ・・・スイマセン。
>>アヒル様
やはり方法はともかく陵辱したいう事実に甲乙は付けがたいかと・・・。
してしまった事に対しどう乗り越えるかが問題だと自分は思いますです。
ぐあー!待って!行かないで!
バッドエンドもいいけどハッピーエンドはもっと好きなんだー
そうそう!!
猟奇スレ住人の戯言なんか聞くでない!!!!
重い展開が続いてるスレに微妙な甘さをお届けします。
連載モノがこうも大量にあると一日のぞかないだけで後悔するな……
ふぅ、と隆也は深呼吸をしてドアを開ける。
「高槻。入るぞ」
周囲は静かだ。足を踏み入れると、目的の人物はちょうど体を起こしたところだった。
「先生」
反射的に起き上がった司は低血圧らしく頭を抱え、それでも顔を隆也に向けた。
「おはよう。司」
にこりと、昨日は見せられなかった笑顔を向けて、名前を呼ぶ。血の気の薄かった司の顔が緩む。
寝起きの低い声が、かえって色っぽい。
「おはようございます。せんせ」
笑顔を返してくれたことに隆也も安堵の息をつき、司の横に腰を下ろす。
ふいに頭をなでようとして手を押しとどめ、隆也は意味もなく自分の手をいじり、気遣わしげに口を開く。
「あ〜、昨夜は……ごめんな。ほんとに、ごめん」
思い出して司の表情も一瞬曇るが、すぐに笑顔に戻る。
「ううん。大丈夫。三崎さんと話して、落ち着いたから」
言いながらゆいの台詞を思い出し、本当におかしみが湧いてくる。
隆也が格好をつけられるまでと言ったが、この調子ならすぐに格好をつけてくれるに違いない。
それが表れた笑顔なのだが、隆也には無論そんなことはわからないので、ただただ可愛らしく見える。
「そっか。ありがとな。その……田宮とは話、したから」
「……はい」
司は俯き、ぴたりと身体を寄せる。言葉は続かないが、無言のうちに伝わってくるものがある。
「…………」
愛しくて、肩を抱き寄せる。その身体の薄さも、掌に感じる体温も、肩にかかる頭の重みも、嬉しくて仕方ない。
状況は何一つ変っていないというのに、昨夜とは全てが違って感じられる。
「司」
「はい」
「……田宮と約束した。司は俺が守るから、って」
「……はい」
司の声に嬉しさがにじんでいる。けれどふと顔を上げて、その口から謝罪の言葉が出てくる。
「先生。俺もごめんなさい」
昨夜ほどではないが、やはりその言葉には胸がざわつく。
「……昨夜も、聞こうと思ったんだけどな。なんで司が謝るんだ? 」
「健を、止められなかったから……」
それを聞きたかった。その理由を。
昨夜は聞くのが怖かった。今も怖いが、それでも心構えはできた。
「それは……なんで、だ? 」
司はゆっくりと、自分の考えを反芻する。
「健を失くしたくなかったから。友人として、だけど……
まさか、健が……今までの関係をぶち壊そうとするなんて、思わなくて、頭真っ白になっちゃって……
言えばわかってくれるって……信じてたっていうか……思いたかったから……」
決して健との関係を―女として望んでいたわけではないと、それがわかっただけで隆也の肩から力が抜けた。
司の肩は自分に預けられている。
昨夜司の望んだままその身体を抱きしめていれば、もっと簡単な話で終ったはずだ。
落ち着いて話を聞くことも抱きしめてやることも出来ず、狼狽した姿を晒して気の聞いた言葉もかけられず。
昨夜の自分はそれこそ愛想を尽かされても仕方ないような情けなさだった。
「うん……ごめんな、昨夜は話聞いてやれなくて。カッコ悪いとこ見せちまったな」
くすりと、司が笑う。その意図はつかめないが、この穏やかな空気は悪くない。
「ううん。もーいい。俺もカッコ悪かったし。おあいこだよ」
「そっか……」
愛しさがじわじわと胸を満たす。
「な、司……」
「うん? 」
首を傾けて、見上げてくる瞳が愛らしい。あざも薄くなった頬を手で包む。
「キスしていいか? 」
「……うん」
司の腕が背に回り、目の前の瞳が閉じられる。
迷いなく唇を重ねて、その柔らかさを堪能する。執拗に唇を啄ばみ、気が済むまで舌を絡ませる。
朝起きて最初に味わうのが愛しい人の唇だという事実は、たまらなく幸せだ。
「ん……は……せんせ……」
抱きついてきた司の頭をなで、耳元に唇を落とし舌を這わせる。
「ひゃ、う、せんせ、だめ……だって……」
「ちゅ、ん……でも……美味い……」
弱いうなじを舐めてやると、舌足らずな声がとんでもないことを言ってくれる。
「やぁっ……だ、だめ、濡れちゃう……」
「……司ー、そういうこと言われると俺も始末がつかなくなるんだけどなぁ」
そういえば寝起きは感度がいいんだっけ、などとぼんやり考えながら、
本当に始末がつかなくなりそうな下半身をごまかすように、司の頭をぐりぐりとなでる。
「せ、先生のせいじゃんっ! 」
「いやいや。司のせいだ」
この意味のない、甘い会話が嬉しい。笑みがこぼれて抑えきれない。
「さ、そろそろ俺は教師に戻るぞ。今日はちゃんと……笑顔で過ごせよ? 」
「ん……」
途端に司の表情が曇る。今日はクラス行動だが、それでも健と顔をあわせるのは辛いのだろう。
「……お前が笑ってやらなきゃ、田宮も笑えないから、な」
「……うん。頑張る……」
今度は優しく、髪をすくように頭をなでる。
「明日、空いてるか? 」
明日は土曜日で、学校は休みだ。伏せられていた司の目がぱっと上を向く。
「うん。空いてる」
「じゃあ明日な。俺も頑張って今日中に洗濯するから」
「うん」
こくんと縦に振られた頭をなで、前髪をかきあげて額に唇を落とす。
「よし。じゃあお互い、頑張ろうな」
「なんか先生のほうが楽そう」
「そうでもないぞ? 洗濯もそれなりに重労働なんだからな」
意味のない、そのくせ変に気持ちを浮つかせる会話をしながら、二人は部屋を後にした。
「おはよ」
「……おはよ……」
しごく平静の調子で部屋に帰ってきた司の、しごく平静の挨拶に、健は一瞬息を飲む。
昨夜は顔を真っ青にして、細い肩を震わせて、呼吸を乱していたというのに。
司の幸せそうな表情が、すべてを物語っているようで。
自分がいれたヒビは一晩のうちに修復されて、もうどうしようもなく強固な壁になってしまったのだと、
直感的に思い知らされた。
「もう平気なのか? 」
友人の問いに、司は笑顔で答える。
「おー。平気平気。でも朝飯食う気ないから、先行っててくれ」
「だめじゃねーの、それ。んじゃ行くか」
ぞろぞろと部屋を出て行く友人の後を追ってドアの前に立った健は、くるりときびすを返して司に向き直る。
「司」
責めるわけでもなく、ただしっかりとした司の視線をまともに受ける。
自分が言うべき言葉は一つしかない、
「……ごめん、な」
「気にすんな。先生と話したんだろ? それが結論だからさ」
笑う司の言う結論は、予想通りのものだった。だからショックではないと、自分に言い聞かせる。
自分に嘘をつくのは辛い。けれどもう、同じ間違いを犯す気も起きなかった。
最終日の観光は清水寺と国立博物館だ。
清水寺、といえば景勝地として有名だが、高校生ごときに景勝をゆっくり愛でる風流心はない。
とりあえず写真は撮ってみて、あとはてんでばらばらに土産物屋などを見て回っている。
「縁結びの石があるんだって〜」
「あ、それ知ってる! 片方の石からもう片方の石まで、目を閉じて歩いていけたら恋が成就するんだって」
そんな女子の会話を耳にして、司の友人がふざけて話を持ち出す。
「な、やってみよーぜ」
「お前一人でやれよ」
あまり乗り気でない司はあてもなく足を進めるが、運悪くその恋占いの石の前に来てしまう。
「一人じゃつまんねーだろ。っつーか楽勝じゃね? あのくらい」
「どーだかな……」
「できるって」
「なんだよ、おもしろそーじゃん」
友人のノリに眉をしかめて、司は健に目を向ける。
いつもより少し距離をとっていた健は、ふいに会話の輪の中に入ってくる。
「ちょうど誰もいないしやってみよーぜ」
「よし、ジャンケンな。出さなきゃ負けだぞ。じゃーんけーん」
そう言われては乗らないわけにはいかない。司も仕方なく手を出す。
『ぽん』
「はい、俺一番。司が二番で健が最後な」
最初に試した友人は勢いよく足を進め、みごと恋占いの石にぶつかって一応の成功を収めた。
「お前それ、おしきっただけじゃねぇの? 」
「うるせー。次、司行って来い」
友人に肩を押されて、司も石の前に立つ。
目を閉じて、まっすぐに歩を進める。方向も距離感も、勘でしかないが、難しい距離ではない。
数歩歩いて、司は足を止め目を開ける。目の前に石があった。
「うお、すげーピッタリじゃん」
「なんだその余裕っぷり。むかつくな〜」
「この辺が男前と凡人の違いだって」
勝手なことを言う友人に冗談を返し、三人目の足取りを眺める。
おっかなびっくりの足は途中で止まってしまい、反則気味にやり直して成功させた。
「おし。最後は健だな」
ちらりと、健の表情を窺う。
そこにはぎらぎらしたものは見えない。
目を閉じた健の足が前へと踏み出す。足取りに迷いはない。
数歩進んだところで、通行人が前を横切ろうとする気配に気付いて立ち止まり、目を開いてしまう。
石はあと数歩先にあった。
「あーあ、なんだよその中途半端な結果は」
「他人に恋路を邪魔されるってことじゃねーの? 」
適当なことを言う友人の指摘に、健の頭には隆也の顔が思い浮かぶ。
「いや……」
言い掛けた健を、司が見ている。
「……自分で諦めちまうってことだろ、多分」
笑ってそう言う健の笑顔が、司の声を失わせた。
短めですがここまで。
怒涛の展開が終って気が抜けてました。投下キボンしてくれた人ありがとうw
おおおおっ。
キボーしたかいがあったよ
見続けるので頑張ってください
310 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 23:57:30 ID:ROUKx8ZL
Good JobというよりGod Job!です。続きも期待してますよ。
311 :
狂介と有紀:2005/10/28(金) 00:16:32 ID:PzMURRvm
久しぶりに狂介たちのお話を
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「日本か・・・」
空港に降り立った男の口元に笑みがこぼれる。
「楽しませてもらおうか・・・・狂介。」
『兄として・・・』
「嫌な予感がする。」
所変わって狂介の通う学校の屋上。立ち入り禁止なのに守る気など全く無い
狂介たちはランチタイムを満喫していた。
「ハロー!!」
「秀さんオハヨー。」
「おはようございます藤澤先輩。」
「いいご身分で、重役出勤ですか?」
遅れてきた藤澤に狂介がイヤミを言う。
「まあね。・・・・ところで狂?」
「ん?」
藤澤の顔が曇る。
「何か嫌な予感がしないか?」
312 :
狂介と有紀:2005/10/28(金) 00:19:17 ID:PzMURRvm
「旦那も感じてたんだ。」
「あぁ。しかもさっきニュースでな・・・」
「なんかあったの?」
「ヤスコが脱走したんだが、何者かに襲われて連れ戻されたらしい。」
「「「なんだってーーーーーー!!!!」」」
2ちゃんねるでおなじみのAAにヤツデンワニ&ナージャが加わって頭の中を駆け抜けた。
(↑アヒル様。流行らせたいのでもっと使って下さい。)
「あの人、脱走してたの?」
「らしい、まぁ脱走できたの5分だけだったみたいだけど。」
「あのババアを5分で・・・・」
狂介、有紀、藤澤、苑田。四人そろって『チーム・ネバダ』の面々の顔が曇る。
ヤスコの恐ろしさは知っている。それを5分で倒したのだから・・・。
「先輩方、さっき嫌な予感って言ってましたけど、倒した相手に心当たり・・・」
「「ありまくリーノでございます。」」
狂介と藤澤の声がダブる。
「もし、そいつが出てきたら・・・・一波乱だな。」
「あぁ、ヤツが相手なら・・・・」
「俺と旦那の二人掛りでも・・・勝てない。」
313 :
狂介と有紀:2005/10/28(金) 00:20:41 ID:PzMURRvm
「マジっすか?」
性格はアレだが、実力でいえば向かうところ敵無しの狂介と藤澤。
その二人にここまで言わせる程の人物の存在に園太郎は恐怖した。
と、そこで有紀が。
「狂介、秀さん。その人ってもしかして・・・・」
「オイラのことじゃあーりませんか!?」
突如として聞こえた声に『ネバダ』の面々は声の先に目をやった。
「「出た!!」」
またしても狂介と藤澤の声がダブった。
屋上で一番高いトコにある校旗棒の先端、ソコに佇む一人の男。
「やあ、御久し振りだね。」
そこに現れたのは全身真っ黒なスーツに身を包んだ。
エージェント・スミスよろしくな格好の男。彼は園太郎に目をやった。
「初めてサンが一人いるね。私の名前は山崎正樹、以後ヨロシクね。」
「あっ、どうもハジメマシテ・・・ん?・・・山崎って・・・まさか!!」
「やっぱりアンタだったのか・・・・兄貴!!」
314 :
実験屋:2005/10/28(金) 00:23:01 ID:PzMURRvm
とりあえずここまでです。続きは修正中につき
終了した所から投下していきます。
315 :
寒理人:2005/10/28(金) 02:36:44 ID:MBEtxvcj
>>298 アヒル様。
大変失礼しました。訂正いたしましたのでご確認をお願いします。
続きもお待ちしております。
司さま。
> そろそろ俺は教師に戻るぞ
> 自分で諦めちまうってことだろ
俺をウホッにする気ですか。
実験屋さま。
久しぶりに狂介キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
保管庫みたんだけど狂介シリーズぜんぜんアップされてませんよね
すいません別の倉庫でした
>>aPPPu8oul.様
いやー、甘々でGJです。色んな作風の作品が充実しててほんと贅沢なスレですね、ここは。
>>寒理人 様
訂正感謝です。本当にお手数掛けて申し訳ありません。
>>実験屋様
久々の狂介&有紀シリーズ!めっちゃ続きが気になります!『チーム・ネバダ』にうけました。
「なんだってーーーー!!!」ネタ思いついた限り使ってみる様心掛けます(笑)。
>>大量発生したヤスコに押されて〜
これ以上ない位のバットエンドですね・・。精神崩壊した上ヤスコに押されて死亡・・。ゼットカワイソス。
でも、嘘最終回なんかで使えそう・・。
>>陵辱したいう事実に〜
そうですね。ただでさえ好きな子に嫌われる(と言っても瑞穂は成幸が嫌いではないし、
エリスもゼットを心底嫌ってなさそう)のは辛いのに、罪悪感や自分は彼女に相応しくないという
精神的苦痛付きですからね。どう乗り越えるかという描写頑張りたいです。
Zの今後の展開、ハッピーエンド希望です。やっぱ陵辱→純愛が一番好みですので。
バットエンドも面白いけど見てて辛いからな・・・。
陵辱ネタで難しいのはむしろ女の方ではないか、とマジレスしてみる
>司氏
あまーーーーい!!!
甘甘デスよ司氏!!
ただ健が少しかわいそうな予感
いい娘見つけろよ(つД`)
>実験屋氏
狂介キタ━━(゚∀゚)━━!!
相変わらず笑えるステキなキャラがいっぱい……
以下チラシの裏
狂介の兄のセリフが某兄貴の声で再生された件
321 :
実験屋:2005/10/29(土) 10:51:48 ID:by+IiNE1
続きを投下します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ただいま!!パパ&ママ!!」
「お帰りなさい、正樹ちゃん。」
「元気だったか?」
「もちろん元気さ。元気過ぎて俺のオーラからバイアグラが作れるくらい元気さ〜。」
「「「ハハハハハハハハ」」」
またまた場所は変って山崎家。久しぶりに日本に帰ってきた狂介の兄、正樹。
両親と再会し一家団らん・・・・って狂介は?
「く、クソ兄貴・・・」
「グハッ・・・」
山崎家のリビングでのされているボロ雑巾、もとい狂介と藤澤。
屋上での再開後、嫌な予感の元凶だろう正樹を倒すために立ち上がった二人だが
あっという間に返り討ちにあってしまったのだ。
「二人とも大丈夫?」
心配そうに見つめ有紀。
「先輩達がこうもあっさり・・・」
園太郎は突如として現われ、無敵と信じてやまない狂介と藤澤がなす術無くやられた光景を思い出し
再び恐怖した。
322 :
実験屋:2005/10/29(土) 10:53:38 ID:by+IiNE1
「ところで正樹、帰ってきたということは・・・」
山崎父の顔が真剣になる。
「ええ、そうです。」
「来るのね、連中が・・・。」
脳みその変わりに田舎味噌が詰まっている山崎夫妻の顔がシリアスチックになる。
「連中?」
何とか復活した狂介は自分だけ蚊帳の外にしてシリアス決め込んでる家族にドン引き
しながらも問いかけた。
「狂介、お前ヤスコを倒したんだってな?」
「え?・・・ああ。」
「そのヤスコが加盟している組織が日本に来ているんだ。」
「マジ!?」
「マジだ。」
忌まわしきヤスコの名を聞いた有紀、藤澤、園太郎の三人も話しに聞き入った。
「その名も『腐女子のフはショタコンのシ』。略して『ドドンガドン』!!」
「略してねーじゃん!!」
「男なら細かいことは気にするな狂介!!」
「細かくねーよ!!(怒)」
「とにかく聞け。その『ドドンガドン』の大幹部達がヤスコを倒したお前に目を付けたんだ。」
「ゲッ!!」
「5年前、3丁目に回覧板を出しにいくついでに世界中を旅していた俺は先日、エチオピアの
『ドドンガドン』エチオピア支部を壊滅させた際にこの情報を掴んだんだ。」
「ちょ、待て!!急にいなくなったと思ったら何してんのアンタ!?」
323 :
実験屋:2005/10/29(土) 10:54:40 ID:by+IiNE1
「人生に行き詰ったら世界を旅する。生まれたての赤ん坊でもやってるぞ!!」
「嘘を付くな!!」
「話を戻すぞ。実は我が家は『ドドンガドン大総統』のライバルであるパパ。
『ドドンガドン』創設期から奴らと戦っているママ。と、連中とは因縁ありまくリーノの
家系なのだ!!」
「「「「なんだってーーー!!!!」」」」
ネバダの面々が例のAAそのままに驚いた。
「可愛い有紀ちゃん手を出し、ついでに我が弟を狙ってるとなれば
守るのが兄としての役目だ!!」
「俺はついでですか?」
「そこでネバダの諸君!!」
「「「は、はい!!」」」
「是非君達の力を借りたい。」
突然の申し出に引くどころか、早くこの場から逃げたいというのがネバダメンバーの
本音だった。
「藤澤〜。手伝ってくれるよな?俺はオマエの(そろばん塾の)先輩だぞ?」
「あのー・・・正樹さん・・・」
「い い よ な ?」
「・・・・喜んで。」
まずは藤澤陥落。
324 :
実験屋:2005/10/29(土) 10:55:54 ID:by+IiNE1
「君達は?」
「まあ・・・」
「別にいいですけど・・・」
有紀と園太郎は付き合いでOKした。
「人生の選択を間違えるな・・・」
「よーし。これで・・・・ん?・・・しまった!!」
正樹の叫び声と共にガラスが割れ、煙が部屋に充満した。
「ゲホッ・・ゲホッ・・・なんだコレ?」
「きゃあーーーーー!!!!」
「有紀!!」
有紀の叫び声に狂介は有紀を探した。
「催涙弾だ・・・この!!」
催涙弾を家の外に投げ捨てる。
「有紀!! 有紀!!」
しかし、そこに有紀の姿は無かった。
「クソー!!・・・ん? これは?」
狂介は足元にテープレコーダーを発見した。
『ホホホホホホ。山崎家の皆さんコンニチハ!!私達『ドドンガドン』に
たてついた事を今日こそ後悔させてあげる。『ドドンガドン』の精鋭『エロチカ5』に
勝てるかしら?オホホホホ!! 逃げないように人質はそれまで私達が預かるワ!!』
325 :
実験屋:2005/10/29(土) 10:56:44 ID:by+IiNE1
「油断した・・・クソッ・・・おい狂・・」
藤澤が声をかけた先にはドス黒い怨念が周囲を回るオーラに身を包んだ狂介がいた。
「・・・兄貴」
「なんだ。」
「奴らの居場所は?」
「既に的は絞ってある。」
「殴り込みだ・・・・皆殺しにしてやる!!」
「いいだろう。だが・・・」
「だが?」
「『エロチカ5』と言う位だ。おそらくは五人組、父さん達を除いて俺達は
四人しかいない。」
「僕達も殴りこみのメンバーに入ってるんですね?」
「だな。」
蚊帳の外扱いなのに自分達の扱いを勝手に決められ藤澤と園太郎は心で泣いた。
「問題ない・・・・一人適任がいる。」
「誰だ?」
「アイツだな。」
「ですね。」
狂介たちはその人物を拉致にかかった。
326 :
実験屋:2005/10/29(土) 10:57:31 ID:by+IiNE1
「で、俺を連れてきたと?」
仕事帰りに闇討ちされ山崎家まで連れてこられた升沢。
「頼む・・・・有紀を助けたいんだ。」
殺気や邪気を含んだオーラを纏った狂介がこうも自分に頭を下げるとは、と升沢は思った。
「しゃーない。南には負債があるからな。」
「すまん。」
「いいって事よ。」
初登場時のジャンキーっぷりが影も形も無くなった升沢。
「よし、いくぞ。」
有紀が抜けた代わりに、正樹、升沢が臨時加入した『チーム・ネバダ』。
「がんばれよー。」
「土産忘れんなよ〜。」
山崎夫妻に見送られ出発した。
「って、ちょっと待てやコラ!!。」
「どうした狂介?」
「何でオヤジ達は来ないの?むしろアイツ等が来なきゃダメだろ。」
「確かに・・・。」
藤澤も自分以上にネジの外れた正樹に毒されて肝心なことを忘れていた。
「ごもっとも。」
園太郎も同意した。
「俺なんか今回、完全にいなくても良かったよな?」
升沢も考えが行き着くところに行き着いた。
327 :
実験屋:2005/10/29(土) 10:58:13 ID:by+IiNE1
「理由は簡単だ。」
「なぜだ?」
「イケメン5人衆が囚われの姫を助けるって方が話的におもしろいじゃん。」
「「「「はぁ?」」」」
山崎夫妻が今後の展開的に使いにくかったってのが本音ですが・・・。
「ホラ、作者もあんな事言ってるぞ。」
「気にするな。」
「気にするわい。」
「あのー。」
「どうした、園太郎君。」
「僕はへのへの顔でイケメンじゃ・・・」
パチン
正樹が指を鳴らすと園太郎の顔が変化した。
「ああ!!顔が・・・」
「今日から君はイケメンだ!!」
「ありがとうございます!!」
「兄貴・・・そんな技どこで覚えた?」
「作者を脅したのさ。エッヘン!!」
まあ、ともあれ全員がイケメンになった『チーム・ネバダ』は敵のアジトに向かった。
328 :
実験屋:2005/10/29(土) 11:06:48 ID:by+IiNE1
以上です。次回はネバダVSエロチカ5のバトルをメインに
いきますのでお付き合いを。
ついでに、狂介たちの年齢について
狂介(18)で高3:初投稿時は17でしたが誕生日を迎えたということで。
有紀(17)で高3:年内には誕生日迎えます。
藤澤(19)で高3:以前も書きましたがこの人、ダブってるんで。
園太郎(17)で高2:今回、戦隊モノに出れそうな顔になったとお思いください。
升沢(20):何気に成人してます。
正樹(22):詳細は今後をお楽しみに。
ヤスコ(48):あえてノーコメントで。
>実験屋氏
GJ!
土曜の午後からわくわくです。日曜朝の戦隊モノだと思って読ませていただきますw
>エロチカ5
またヤスコみたいなのが出る予感……
まさか今度は60代のババァがきわきわした服で出てこないよね? ね?(焦
331 :
遠井家の人々:2005/10/29(土) 21:51:05 ID:qimESsEY
【切ない系→ちょっと甘→ギャグときて甘々両極端エロをお届けします。】
「ああ・・・。はーちゃん・・・。」
絢は快楽に満ちた目で再び余韻に浸っている。愛液は少しずつ落ち着いてきてはいるが
そのまだ未成熟な女陰から流れ出ている。
「流石にそろそろお終いにしますか・・・。」
「ええっ!そんなぁ・・・。」
絢は春希の言葉の大げさな、残念がる声を上げる。
「えっ?まだしたいんですか?」
その声に驚いた春希は絢に問い掛けた。
「うん。あのねぇ、ボクばっか気持ちよくなってない?だからね、はーちゃんにも、もっとしてあげたいの。」
「絢・・・。」
絢の言葉に春希は少し感激した。絢はそんな春希の男根をそのやや小さめの乳房に挟む。
「あ、絢!」
「ボク、あんまりおっぱい大きくないけど・・少しでもはーちゃんのこと気持ちよくしてあげたいの。」
乳房の大きさに自信のない絢は春希を満足させられるか不安げだが、
今まで自分を悦ばせてくれた春希に応えたいという強い意志があった。春希はそんな絢の頭を撫でる。
「さっき言ったじゃないですか。大きくても小さくても絢の胸が好きだと。」
「はーちゃん・・。ありがと、ボク頑張るね!」
そう言うと絢は春希の男根を挟んだ乳房を必死に揺らす。大きくはないが柔らかな乳房の感触は
手のとき同様、春希の男根に心地よい刺激を与える。
「あ、絢・・気持ちいい・・ですよ・・。」
「ほんと?嬉しいな・・。」
春希の声を聞いて絢は乳房をより必死に揺らす。小振りな為、包み込むというよりは
ぎりぎりで挟み込むという危なげな感じであったが、春希に確かな快楽を与えていた。
「あ、絢・・、ほんと・・気持ちいいです・・。絢の胸・・最高ですよ・・。」
男根が絢の柔らかな乳房により上下左右に動く感触に春希は絢に感激の言葉を漏らした。
「はーちゃんがそんなこと言ってくれるなんてボク、嬉しい・・。」
そう言って絢は春希の男根の先端を舌で舐め始める。
「あ、絢!んっ!!」
思いがけない絢の舌使いに春希は思わず声を上げた。
「はーちゃん、気持ちいい?」
「は、はい、んっ!!!そ、そろそろ限界が・・・。」
舐められたせいか春希は思いのほか早く絶頂まで近づいた。それに答える様に絢の舌使いや乳房の動きも激しくなる。
「い、いきますよ・・、絢・・・。」
春希がそう言うと、絢の口元や乳房に春希の精液がかかる。
「あっ・・・。はーちゃん、またイってくれたんだね。嬉しい・・・。」
春希の出した白濁液の感触を味わいながら絢は喜びの声を上げた。。
332 :
遠井家の人々:2005/10/29(土) 21:52:58 ID:qimESsEY
夏希は乳首への愛撫を終え、舌を離す。
「ねえ、夕顔・・。そろそろ下も脱がせて・・いいかな?」
愛撫の余韻を感じている夕顔を撫でながら夏希は聞いた。
「し、下も・・・ですか・・?」
夕顔は顔を真っ赤にして言った。
「・・・だめか・・?」
夏希は残念だが仕方ないという表情を浮かべた。
「い、いえ・・・いいです・・・。夏希さんになら・・わたし・・。」
夕顔は顔を紅潮させながらも許可を出した。
「わかった・・。」
そう言って夏希は夕顔の袴を下ろした。女性としては背が高めな為か長くすらっとした脚が現れる。
「あっ・・・・。」
赤くなった顔を伏せる夕顔を尻目に夏希は褌を掴む。
「下ろすよ・・・。」
「は、はい・・・。」
夕顔の返事を聞くと夏希はゆっくりと褌を下ろし始める。横向きになっているので
肉付きのいい綺麗な桃尻が現れていくのが見える。思いのほか早く褌は足首まで落ち、とうとう夕顔は一糸纏わぬ姿になる。
「あっ・・・。」
夕顔は横向きのまま恥部を隠す様に脚をかがめた。その姿勢は形のいい尻を強調させていた。
「夕顔・・、見てもいいかな・・。その、お前の、女の部分・・・。」
その言葉を聞いた夕顔は決意をし、正面を向く。流石に脚は閉じたままだったが、髪と同じ黒色の茂みが見えている。
「は、はい・・・。脚、開いてください・・。自分では・・・恥ずかしいので・・・。」
夕顔の頼みに夏希は足首を優しく掴み、ゆっくりと開き、夕顔の女陰を露わにする。
「あっ・・・。な、夏希さん・・。」
夕顔は覚悟は出来てもやはり恥ずかしさを隠せない声を上げる。その声を聞いてちょっと申し訳なく思いながらも
その女陰を見つめた。初めて見る女の恥部。乳房や尻の発育はよくても恥部は陰毛も薄めで色も薄いので
初々しい処女のものなのは明らかであるが女陰を見たことがない夏希にはその基準はよくわからない。
しかし、一つだけわかったことがあった。
「綺麗・・だね・・・。」
夏希は正直に感想を口にした。
「な、夏希さん・・・。そ、そんなこと・・・。」
夕顔はその感想に恥ずかしげな声を上げたが、少し嬉しさの様なものも混じっていた。
本当はもう二レス投下する予定だったんですが用事があるのとエラーかかったのでいつも通りの二レスのみで。
皆さんGJですがここはあえて職人さんではなく管理人さんを褒め称えたいです。
管理人さん、保管庫に保管するのが早すぎですよ!GJ!!
335 :
実験屋:2005/10/30(日) 04:12:19 ID:NLFG7Tyv
>>アヒル様
GJ!!です。手馴れた甘々と初々しい甘々が
いっぺんに見れて満腹です。
>>334 確かに。そういう意味では管理人様も神と言えますね。
いや、むしろ神です。管理人様、いつも更新GJ!!です。
さっきは書けなかったレスを。
>>実験屋様
山崎一家は本当にすごいですな。「なんだってーーー!!」は恒例になりつつありますね。流石元祖!
いきなりイケメン化した園太郎がうけました。整形外科医泣かせのご都合主義ナイスです。
へのへの顔だったのはもしかして自分が書いたからですか・・・?
以前絵師が出てほしいという意見がありましたけど今回の話は絵にしたら面白そうだなって思ってしまいました。
ヤスコとか小説だからこそだよなーって思いましたけど(笑)。前に実験屋様が提案した増殖したヤスコに押されて
人類皆溺死とか絵にしたらさぞかしキモいでしょうな・・(しかもZで)。
>>334 毎日更新しててほんと管理人様は立派ですよね。わがままを聞いてもらったばかりなので余計そう思います。
管理人様いつもありがとうございます。
そういえば、イエロー物はもう・・・。
338 :
寒理人:2005/10/30(日) 23:38:59 ID:YQmlhzeJ
>>334-336 どうも有難うございます。
でもやはり称えられるべきは、萌え小説を投下してくださる職人さまと
サーバースペースを貸してくださっている鯖管さまです。
正直に言いますと、職人様にプレッチャーかけるつもりで更新しています。
オラオラオラ、次の作品読ませろや( ゚Д゚)ゴルァ!!
というわけで職人さま、続きも新作もщ(゚д゚щ)バッチコイ
>>336 他にも修正・訂正すべき箇所がございましたら遠慮無くどうぞ。
>>328 勝手ながら4行目狂介たちの〜からを、「兄として/2」のおまけとして
掲載しました。削除した方がよければおっしゃってください。
訂正の必要がなければレスは結構です。
339 :
遠井家の人々:2005/10/31(月) 00:29:05 ID:JJ8ufuid
【寒理人様のプレッチャーに応えて投下!エラーのせいで2レスしか投下できんかった遠井家の続きを。】
「はーちゃん、また口でしてもいい?」
絢は乳房からは離したものの、顔の目の前にある春希の男根を見つめながら言った。
「いいですよ、その代わり・・・。」
「なぁに?」
「私も絢のことまた気持ちよくしてあげたいのですが。」
「えっ!!」
春希の思いがけない要求に絢は驚いた様に声を上げた。
「つまり・・・、ボクがはーちゃんのアレを、はーちゃんがボクのアソコを舐めるのを同時にやること?」
「はい、そうです。」
春希は微笑みながら言った。
「やだー!はーちゃんってば!助平!!」
「いやですか?」
「ううん。一緒に気持ちよくなれるの嬉しいもん。」
「そうですか、じゃあ・・。」
春希はその場にうつぶせになる。絢はそんな春希の上に乗り、男根に顔を近づける。
「はーちゃん、届く?ボクのアソコ・・・。」
「はい、この通り。」
そう言って春希は舌を伸ばし、絢の惜しげもなく晒された女陰を舐め始める。
「ああんっ!!はーちゃん!!!勝手にそんな!!!」
いきなりの舌の感触に絢は思わず声を上げた。
「いやですか?その割には舌を動かすたび濡れてる様ですが。」
春希は少し意地悪な言い方をしながら絢の女陰を舐め続ける。
「ああんっ!!!はーちゃんがその気ならこっちだって!!!」
絢は勝気な声を上げると目の前にある春希の男根を激しい舌使いで舐め始める。
「んっ!!!あ、絢っ!!」
絢の貪る様な舌使いに春希は思わず声を上げた。
「どぉ?はーちゃん。気持ちいい?気持ちいいでしょ?」
絢は春希の男根を舌で激しく責めたてながらも勝ち誇った様な声を上げた。
「そう言う・・絢はどう・・なんですか?」
快楽のせいでぎこちない言い方ながらも春希は挑戦的なことを言うと絢に対抗する様に舌使いを激しくし
絢の女陰を激しく責め立てる。
「やぁぁん!!!」
絢はその激しい舌使いにさっきまでの挑戦的な声とは違う可愛らしい嬌声を上げた。
340 :
遠井家の人々:2005/10/31(月) 00:29:43 ID:JJ8ufuid
「あっ!!は、はーちゃん、そ、そんな・・・ああっ!!!」
二度も絶頂に達した女陰を再び激しく責められる感触に絢は声を上げた。
「ボ、ボクだって!!!」
そう言って絢は快楽の為おろそかになっていた春希の男根への責めを再び始める。
「んんっ!!!あ、絢、そんなに・・・・。」
再び訪れた快楽に春希は声を上げた。
「はーちゃん・・・気持ちいいでしょ?」
絢はさっきの挑戦的な声とは違う穏やかな声で春希に聞いた。
「はい・・・。絢も気持ちいいですか?」
絢の声に春希が優しげに受け答える。
「うん、いいよ・・・すごく・・・。あっ!!!も、もっと・・・。」
絢は春希の声に受け答え、更なる快楽を求めながらもその舌を休ませない様、必死になっている。
「んんっ!!!絢・・。気持ちいい・・です・・。」
「嬉しいな・・・。一緒に気持ちよくなれるのって・・・。」
「近いうちに・・・本当に一緒になれる日がきますから・・・。」
「ああ、最初に言ってたね・・・。避妊が出来て一緒になれる方法がって・・。」
「はい・・・。絢と一緒になりたくて・・・必死で調べたんです・・。」
「はーちゃん・・・。早く知りたいけど・・・もっと二人で気持ちよくなっていたい・・。」
絢は葛藤の言葉を上げた。
「大丈夫ですよ、絢・・・。必ず一緒になれるときがきますから・・。今は・・二人で気持ちよくなりましょう・・。」
春希は絢を諭す様に言った。
「そうだね、はーちゃん・・。」
春希の言葉に葛藤が消えた絢は慰めてもらったお礼と言わんばかりに顔を上下に動かし、春希の男根を激しく舐め、責め立てる。
「ああっ!!絢!!き、気持ちいい・・ですよ・・。」
絢の激しい責めに答える様に春希も女陰を舐める舌使いを更に激しくする。
「ああんっ!!!はーちゃん!!はーちゃん!!!」
快楽に滴る愛液が絶え間なく春希の口内に流れ込んでいく。
「絢・・・すごいですね・・・さっきからずっと・・こんなに濡れて・・。」
「やぁん・・・そんなこと・・言わないで・・・。ボク、いやらしいかな・・・。」
「さっき言ってたじゃないですか。助平上等って。絢が気持ちよくなってるのが嬉しいからこうしてやってるんですよ。」
「ありがと・・・はーちゃん・・んんっ!!!・・・また・・・イキそう・・・。」
絢が絶頂寸前を告げた。
「わ、私もそろそろですね・・。二人同時に達するかもしれませんね・・。」
「そうだと・・・いいな・・・。」
絢が小さくつぶやいた。
「あっ!!ああっ!!!あ――――――!!!」「ん・・・んんっ!!ああっ!!!」
二人が同時に声を上げるとそれぞれの口腔内に愛液と精液が多量に流れ込んだ。
「はー・・ちゃん・・・。」「あや・・・。」
二人は力無い声を上げながらもお互いの絶頂の証である液体を必死で飲み干す。お互いを呼び合う声は弱弱しいが確かな悦びがあった。
341 :
遠井家の人々:2005/10/31(月) 00:30:19 ID:JJ8ufuid
「あの・・・・。」
夕顔が静かに声を上げた。
「・・・何?」
「その、な、夏希さんは・・・脱がないの・・ですか?」
夕顔はあいかわらず赤い顔をしながら夏希に聞いてきた。
「!!!」
それを聞いた夏希は驚いた様に顔を更に赤くした。
「あっ、ごめんなさい・・。」
その顔を見て夕顔が謝った。やはり顔が赤い。
「いいんだ、変なこと聞かせる様な状態にしたオレが悪いんだから。夕顔だけ脱がせてちゃ悪いもんな・・。」
そう言ってゆっくりと自分の着物を脱ぎ始める。今まで脱がなかったのは夕顔を脱がせるのに夢中になっていたのもあるが
実は他にも理由があった。夏希は上半身の着物をすべて脱いだ。その身体は兄同様、着痩せする傾向にあり
細身な割に筋肉のついた身体をしている。
「あっ・・・。」
男性の身体をあまり間近で見たことがない夕顔はその意外とたくましい身体を見て恥ずかしげな声を上げた。
男装してた自分とは対照的な意外性。そのことで夕顔は夏希が男性なんだと再認識した。
夏希は上半身の着物は脱いだが、袴は穿いたまま、一糸纏わぬ姿の夕顔に再び覆い被さった。
「えっと・・・、全部脱ぐのは後でいいかな・・。先に夕顔のこと・・・気持ちよくしていい?」
夏希はそう聞いてきた。全裸にならないのは早く夕顔を再び愛撫したいとか、いきなり男根を出したら夕顔を緊張させてしまうとか
色々理由はあったがそれ以上に深い訳があった。それをなくす為、夕顔への愛撫を再開しようと思った。
「あっ・・・・、はい・・・・。」
夏希の気持ちよくしたいと言う言葉に愛撫に詳しい知識はないがどういうことをされるのか薄々勘付いた夕顔は
恥ずかしげな声を上げた。夏希は再び夕顔の美脚をゆっくり開き、その恥部を露わにする。
「・・・・・。」
夕顔は思ってた通りの状況に目を瞑りながら顔を赤らめる。夏希はゆっくりとその女陰に顔を近づける。
「えっと、その・・・ここ、舐めても・・・・いい?」
夏希は初めて間近で見る女の子の女陰に恥ずかしさを感じながらも愛撫の許可を聞いた。
「は、はい・・・。お願い・・します・・・。」
夕顔はこれ以上ない位恥ずかしい顔をしながらも愛撫の許可を出した。それを聞いた夏希は顔を女陰の間近まで近づける。
「・・・・・・。」
そして舌を出し、ゆっくりとそこを舐め始める。
「きゃあんっ!!!」
夕顔は今まで味わったことのない感触に思わず嬌声を上げた。
342 :
遠井家の人々:2005/10/31(月) 00:31:55 ID:JJ8ufuid
夏希の舌は慣れていないぎこちない動きだがそれでも確実に夕顔の恥部に刺激を与えていた。
「ああんっ!!な、夏希さん・・・。」
「気持ちいい?夕顔。」
夕顔の嬌声を聞いて、夏希は顔を上げ問い掛けた。その顔は緊張している様だった。
「は、はい・・・。んんっ!!!」
夕顔は夏希の問いに答えると再び嬌声を上げた。少しずつではあるが夕顔の女陰から愛液が流れてくる。
「濡れてきてるみたいだ・・・。夕顔・・・。」
初めて味わう愛液の味に声を上げる夏希。
「あっ・・・夏希さん・・・そんな・・恥ずかしい・・・。ああっ!!!」
夏希の声に恥ずかしさの混じった声を上げながらも喘ぎ声も上げる夕顔。
「気持ちいいんだね、夕顔・・・。」
夕顔の嬌声を聞いて夏希が喜びの声を上げる。
「はい・・・。」
夕顔は夏希の声に小さな声ではあったが返事をした。夏希はその声に応えたいと言わんばかりに
初心者ゆえにゆっくりとした動きだった舌を早く動かす。
「きゃあん!!!ああっ!!!」
夕顔の嬌声が激しくなった。愛液の勢いも増してくる。
「夏希さん・・・気持ちいいです・・・。すごく・・・。」
夕顔は問われる前に自分から快楽を夏希に伝えた。
「夕顔・・・。かわいいよ・・。」
快楽を隠さず伝える夕顔の姿を見て夏希は夕顔への愛しい思いを伝えた。快楽に身をゆだねる夕顔の姿には
普段の男として振舞っていた夕顔丸の面影は皆無だった。
「あっ!!ああっ!!!あんっ!!!」
夕顔の喘ぎ声が次第に大きくなっていき、身体を大きく反らす。少しずつだった愛液も勢いよく流れていく。
「夕顔・・・・。」
「な、夏希さん・・・・。私、もう、もう・・・あっ!!!」
夕顔は夏希の呼びかけに反応した様に声を上げた直後、一際大きい嬌声を上げ、絶頂に達した。
「はあ・・・はあ・・・。」
初めて味わう快楽の余韻に夕顔は震える様に息を上げた。夏希はそんな夕顔の頭を優しく撫でる。
「夕顔が、女の子でほんとによかった・・。好きだよ・・。」
「夏希さん・・・私もあなたのことが好き・・です・・。」
夕顔は夏希の告白に答えた。
以上です。お粗末様でした。
それにしても実験屋様、狂介&有紀もZも気になって仕方ありません。
狂介の方はエロなしになって失敗って言ってましたけど確かにこの展開で
エロ展開は難しそうですね。エロチカ5との決闘を終え、助けた有紀とラブラブエチー?
それが普通でしょうけど人質になった有紀がエロ責めをされるなんて考えてしまった・・。
後、山崎夫妻が後々真打として登場するとかも考えてみました(狂介達も納得?)。
ゼットの方はやっぱエリスが壊れたゼットを救ってくれるのでしょうかね。
エリス視点の過去話なんか見たいですね。過去にゼットに助けられたときとか
なんで男装して騎士団に入ったのかとか。
344 :
狂介と有紀:2005/10/31(月) 08:50:43 ID:xseQV3yv
管理人様はプレッシャー星人だったのか!!ヨーシ投下だ!!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ここが敵のアジトだ。」
「オイ兄貴!!ここウチの裏じゃねーか!!」
何と山崎家の裏にはいつの間にか巨大な五重塔が建てられていた。
「襲撃しやすいわけですね、藤澤先輩。」
「だな。」
「しかし、ここまであからさまに建てておいて気付かないのもどうかと思うぞ。」
園太郎、藤澤、升沢はさすがにこの展開についていけないようだ。
「さあ行くぞ!!有紀ちゃんを助けるんだ!!」
正樹はコンコンと口でノックしながら後回し蹴りで扉を蹴破った。
[1F]
「オホホホ。待っていたわ。」
そこに現れたのは、
ボンテージのハイレグポリスルックに身を包んだ、20代前半の女性だった。
狂介「ヨシ!!ワリと普通だ!!」
藤澤「ヤスコみたいなババアだけじゃないのね。」
園太郎「まぁ、あの格好もどうかと・・・」
正樹「ええケツしとるの〜」
升沢「こういうのと戦りあうのか・・・なんだかなぁ〜。」
345 :
狂介と有紀:2005/10/31(月) 08:51:47 ID:xseQV3yv
「なによアナタ達。言いたい放題・・・・まあいいわ、
1階の番人『クリスティーヌ・ヨシコ』様が相手になるわ。」
ヨシコは手に持った長柄の無知を大きく振るった。
「ここは僕が行きます」
園太郎が前に歩み出た。
「園太郎・・・オマエ。」
「狂介先輩、爆破先輩に出会えた(拉致)おかげでただのエキストラから
こんなにも破格の扱いを受けることが出来ました。今こそその恩返しのときです!!」
園太郎は今までに無い長台詞とキメ台詞を咬む事無く言い切った。
「皆さんは先に・・・ここは僕が!!」
園太郎は事前に渡されていた、アメリカの消火器具に良くある手斧を構えた。
「分かった・・・頼むぞ。」
狂介たちは2回への階段を上っていった。
「カッコいい事言うじゃない。・・・名前は?」
「『最強のエキストラ:苑田園太郎』です。」
346 :
狂介と有紀:2005/10/31(月) 08:53:00 ID:xseQV3yv
[2F]
「ここが2階だ。」
狂介たちが踏み込んだ2階は闇に包まれていた。
「何も見え・・・」
パッ
照明が照らされる。そこに現れたのは・・・・!!
「待ってたわ。」
幼稚園児ルックのPTA会長顔(もちろんザマス眼鏡着用)のオバンだった。
狂介「歳を・・・歳を考えろ!!(怒)」
藤澤「何間違ったらこう言うのに行き着くんだ?」
正樹「ケッ・・・オバンか。」
升沢「・・・・気に入らんな。」
升沢が怒りの表情でオバンに立ちはだかった。
347 :
狂介と有紀:2005/10/31(月) 08:54:48 ID:xseQV3yv
「アラ?アナタがお相手?」
オバンは気にする事無くお遊戯をしている。
狂介「升沢サン・・・」
升沢「明日・・・明日が予定日なんだ・・・産まれてくる子の為にも
負ける訳にはいかねぇ。しかも、こんな子供を馬鹿にした奴は
ぶっ飛ばさねぇと気がスマン。」
もはや完全に有紀を襲撃したジャンキーの面影は消え、産まれてくる子供の為に
教育上よろしくない害虫を倒そうとする頼れる父の姿がそこにはあった。
升沢「先に行け。コイツは俺が蓋しとく(と書いて殺す)。」
狂介「・・・カッコよくなったね。」
藤澤「マーシー・・・」
升沢「マーシー言うな。何だそのあだ名は・・・盗撮現人神みたいだろーが(怒)」
正樹「まぁまぁ・・・じゃあ任せるぞ。」
狂介たちは3階へと移動しオバンと升沢が残った。
「さあ、始めましょうか?」
オバンは幼稚園バッグからククリナイフを2本取り出した。
「なんつー不謹慎な。子供が真似したらどうする!!」
「うるさいわねー。この偉大なる偽フランス貴族の末裔『ザマス・カトリーヌ3世』に
口答えする気?」
「反省する気は無しか・・・」
升沢は腰に下げていたチタンの警棒を2本取り出し構えた。
「もう、コイツを使うコトも無いと思ってたんだが・・・」
感慨深く警棒を見つめる。
「だが今回は別だ。テメェ見たいのがいるから自主規制の余波で子供達が規則に縛られた
苦しい生活を送らなきゃなんねーんだ!!全国のチビッコに代わって裁きを降してやる!!」
ホントに升沢かコイツ?
348 :
狂介と有紀:2005/10/31(月) 08:56:22 ID:xseQV3yv
[3F]
「お待ち申し上げておりましたわ!!」
3階についた途端にファンファーレと共に天井から降りてきたゴンドラに乗って
中世の姫様の姿をした年の功25〜9程の女性が現れた。
狂介「まぁ、可もなく不可もなく・・・」
正樹「いい乳してるな〜」
藤澤「前置きはいいでしょ・・・」
藤澤が軽いノリで前に進み出た。
藤澤「この流れで言ったら次は俺・・・狂と先輩は先に。」
狂介「旦那、任せるぜ。」
正樹「ヨロピコ〜」
山崎兄弟は4階へと上がって行った。
「ワタクシもなめられたものですわね。」
姫様は民草雑兵を見下す様な視線で藤澤を見る。
「下々の視線に立てない支配者はギロチンにかけられるんだそうだが・・・」
藤澤も所詮は腐女子と冷めた視線で見返す。
「えぇーい!!忌々しい。この『綾小路玲子』に逆らった事を後悔させて
差し上げますわ。オーホホホホホ!!」
「オイオイ、見た目は中世で名前は日本貴族風って引っ張ったワリに笑えないオチだな。」
「何なのアナタさっきから人のことバカにして。即殺ですわ!!」
玲子は手に持っていた鉄扇(どう見てもハリセン)を振った。
「面白い。」
藤澤は今回は巨大なピコハン(でも重量1t)で応戦する。
「行くぜーー!!」
349 :
狂介と有紀:2005/10/31(月) 08:58:11 ID:xseQV3yv
[4F]
「次はどんなだ・・・」
さすがに狂介もエロチカ5のインパクトにテンションが下がってきた。
「油断しないことね!!」
突如として聞こえた声の先の目をやる。
「4階はこの私、『天王寺萌』が相手よ。」
巫女の格好をした・・・あれ?・・・幼女?
狂介「児童虐待はしたくないんだが。」
萌「甘く見ないで、こう見えても成人式は終えてるのよ。」
狂介「マジで!?」
世の中にはこういう人もいるという事ですね。
狂介「どうするかなー・・・って兄貴?」
狂介が目を見やれば正樹はフーフー言いながら獣の目になっていた。
正樹「狂介、ここは兄ちゃんに任せんしゃい!!」
狂介「なぜに熊本弁?」
正樹「いいからいいから。さぁ、行った行った。」
狂介は「兄貴の病気が発病したな」と思いながら最上階へと進んでいった。
「楽しませてくれそうね。」
萌は身の危険に気付かずに身構える。
「・・・・お嬢ちゃん。」
正樹のオーラはもはや変質者だ。
「何よ!?」
「おにいちゃんといい事しようか?」
なんと正樹はソッチ系だったのだ!!危うし萌!!
350 :
実験屋:2005/10/31(月) 09:06:38 ID:xseQV3yv
以上になります。次回は1階から4階までの面々の戦いを中心にして
ラストは狂介の戦いを予定してます。
>>アヒル様
狂介たちのエチーに関しては内緒ということで。
Zの続編はエリス視点で考えてました。お楽しみに。
升沢あまりの変貌っぷりに狂喜乱舞しました!
周りに人いなくてよかった……w
続編期待してます!
>>アヒル氏
遠井家キター
兄カプ手馴れすぎだよだがそこが(ry
>>実験屋氏
萌タソー!?
逃げて!!逃げて!!
ごめ、何もかもがツボにハマりまくりw
清水玲子は熊本学園附属じゃなくて熊本商業じゃなかったっけ?
清水玲子は熊本学園附属じゃなくて熊本商業じゃなかったっけ?
連続ゴバーク?
司さんよみたいっす
ところでもう新章に突入するんでしょうか
それとも修学旅行の続きをかかれるんでしょうか…気になる
司タンマダー
357 :
Z:2005/11/02(水) 08:31:32 ID:heg5LVTz
もうあの人を憎むことが出来ない。
だって・・・
私はあの人に会いたかったから
『Z〜第7話〜』
私が生まれてすぐに母は亡くなった。父は私を育てるために男手一つで私を育ててくれた。
元来、身体が弱かった父が病気に倒れるのは当然で看病と内職の日々が続いた。
医者に診てもらえるお金が貯まり町に繰り出した時、事件は起きた。
王国兵に身体がぶつかり兵士の怒りを買った。
「ぶつかっておいてゴメンも無しかよ!!」
まだ幼かった私にとって怒りの感情を剥き出しにする屈強な兵士は
恐怖でしかなかった。
「スイマセン!!お許しを・・・」
「そんなんで済むかよ!!」
今だから分かる、彼らは最初から私達親子に絡むつもりでいたことを。
「がっ・・・!!」
父が殴り倒され私はそれを庇った。
「俺達を怒らせた報いをくれてやる。」
兵士の感情の矛先が私に向けられた。
358 :
Z:2005/11/02(水) 08:32:06 ID:heg5LVTz
「ゴメンなさい・・・」
誤っても無駄な事は分かってる。でも何も出来ない私は謝る事だけが
全てを終わらせる術でしかなかった。
「ちょっとオッサン達。ウザくてキモいんですけど〜。」
突然聞こえてきた声に私が驚いた。王国の兵士にそんな口をきく人間がいるなんて。
兵士にケンカを売ったのは私よりも5つ位年上の少年、兵士は10人以上いる、
とても勝てる訳が・・・
「小僧、痛い目にあいたくなければすっこんでろ!!」
「大の大人が無抵抗の親子に手ぇ出して情けないと思わないの?」
「何だと!!」
「王国の兵士さんってのは弱い物イジメが好きな変態さんだったんだね。」
「このガキが!!」
兵士達が少年を囲む。
「ホラ、子供相手にこんな数・・・情けな。」
「やっちまえ!!」
なぜ彼はあんなにも余裕なのか、答えはすぐに分かった。
359 :
Z:2005/11/02(水) 08:32:54 ID:heg5LVTz
「が・・・グハッ・・・」
彼は魔法使いだった。物凄いスピードで敵の攻撃をかわして
相手に触れて気絶させる。
「なんだ・・・痛い目にあわせてくれるんじゃなかったの?」
彼はいたって余裕そのものだった。
「助けてくれてアリガトウ!!」
思わず私は彼の手をとった。嬉しかった、彼の強さと助けてくれた
優しさに心が踊った。
「私エリスっていうの。アナタは名前なんていうの?」
今思えば不仕付けだったと思う。でも彼とのつながりが欲しかった。
「オイそこのお前!!」
「ヤバッ、逃げろ!!」
騒ぎを聞きつけた警官が向かってきた。
「じゃあね。元気で!!」
「あっ、待って!!」
名前を聞いていない。でも彼の姿はどんどん遠退いていく。
「また・・・また会えるよね!?」
「縁があったら・・・バイバイ!!」
これからの目標が出来た。”彼に会って名前を聞きたい”。
恥かしいけれど・・・彼のことを好きになってしまったみたい。
360 :
Z:2005/11/02(水) 08:33:49 ID:heg5LVTz
でも、そんな願いも現実の前に遠退くばかりだった。1年後に父が亡くなった。
身寄りも無い私は以前の騒ぎで保護してくれた警官の方の引き取られた。
悲しみに暮れたかったけども泣いてばかりいても何も始まらないと
”彼”が教えてくれた。
だから私は強くなろうと決めた。そうすればまた”彼”に会えると思ったから。
『白騎士団』への入団の話が町に届いたときチャンスだと思い警官のおじ様に
相談した。しかし、「女の身で白騎士になることは容易では無い」と難色を示されてしまった。
「女だから」この言葉に少し頭にきた。女であれば騎士にはなれないと言うなら・・・・
私は女である事を隠した。
髪も短く切った。言葉遣いも変えた。体つきもボディスーツを着て誤魔化した。
名前もエリスであることを止め、エリックと名乗った。
そして家出同然に騎士団に入団した。騎士になる為に訓練は厳しく私は何度も
挫けそうになった。
でも耐えた。こんな事で挫けていては”彼”に会えないと思ったから。
剣も、魔法も習得した。素手で戦ったとしても並みの兵では太刀打ち出来ない位の力は
身に付けた。これならば”彼”に見合える存在に・・・
361 :
Z:2005/11/02(水) 08:34:24 ID:heg5LVTz
ふと思った。彼は今頃何をしているのだろう?
あれだけの実力があるにもかかわらず騎士団で彼に会うことは出来なかった。
確かに王国の兵士にケンカを売ったのだ、王国の戦士として会えるはずが・・・
・・・・オズマリア
王国に反逆し転覆を狙う組織。もし”彼”がオズマリアに組していたら・・・・
いや、そんなことは無い。私を救ってくれた彼が反逆者になるなんて・・・。
何も知らなかった私はその時、そう思うことしか出来なかった。
362 :
Z:2005/11/02(水) 08:35:12 ID:heg5LVTz
正式に騎士として認められて戦闘に参加してしばらく経つ。今では多くの部下の命を
預かる身になり、責任と統率力が求められる毎日を送っていた。
でも、本当は辛かった、自分はそんな事が出来る人間ではない。
誰かに自分を守って欲しかった。優しく抱きしめて欲しかった。
その相手に”彼”を思い出してしまう。
私は最低だ。よりにもよって欲情の対象に彼を思い浮かべるなんて。
しっかりしなくては、彼に情けない姿を見せたくは無い。
彼に見合う心身ともに強い人間にならなくては・・・。
今度の戦闘は油断ならない。
なぜなら相手が悪名高き『ゼット・ルーファス』だからだ。
突如としてアズマリアに台頭し、こちらに多大な被害を及ぼしたゼット。
数えるほどの人員で千を越す軍勢を倒すという人並みはずれた戦果で
王国軍は劣勢に追い込まれた。
私も勝てるかどうか分からない。でもここで負けるわけにはいかない。
勝利を手にしなくては・・・・彼にも会えなくなる。
でも、現実はそう甘くは無かった。
363 :
Z:2005/11/02(水) 08:37:01 ID:heg5LVTz
何の前触れも無くこちらの本陣が火に包まれた。
あちこちで爆発が起こり、部下が次々に死んでいった。
私は、火の中を馬で駆け抜けた。そしてその先にゼットを見つけた。
そしてゼットと戦い・・・・負けた。
それからは地獄の日々だった。生きたまま捕らえられた私は
女であることを知られ、玩具扱いされゼットに連日犯された。
奉仕を強制されゼットの前で何度も絶頂を迎えさせられた。
決して見せまいと我慢してきた涙さえゼットの前で晒してしまった。
・・・悔しかった、ゼットに犯されて快感を感じてしまう自分が。
でもそれ以上に・・・・”彼”に一番をあげることが出来なかった事が悔しかった。
「ごめんね・・・ごめんね・・・・」
こんな自分を晒してしまって”彼”に会わせる顔が無い。
王国を憎悪するゼットにとって私は低のいい捌け口だったのだろう。
何かにつけては私のところに出向いて私を襲った。
でも、なぜゼットは王国を憎むの?
そこで教えられた事実に私は今までの自分の浅はかさを呪った。
364 :
Z:2005/11/02(水) 08:39:01 ID:heg5LVTz
ゼットが私の追い求めていた”彼”だった。彼の記憶を頭に流された私は
彼が今まで生きてきた経緯を知り騒然とした。
王国が身内にすら隠していた裏の顔、民を苦しめて自由を求める人々を
反逆者扱いし討っていった事。
そして何より・・・
彼が王国にお母さんを奪われて殺された事。
私は彼の何を見ていたのだろう。ただカッコ良かったから、恩人だから、
勝手に自分の中でで彼を作り上げていた。
知らなかっただけでは済まされない。私は彼の心を苦しめる王国に組していたのだから。
だから罰が当たったんだ。何もしらないクセに彼を勝手に追い求めて・・・
白騎士団に入団したことを後悔し、汚らわしいと思った。
だから、いいの。もう決めた。
こんな自分は犯されて当然、むしろこうなるべきだったんだ。
自分の一番は彼に・・・ゼット様にあげていたんだもの・・・むしろ嬉しい。
やっと名前を知ることが出来たゼット様の心を私で晴らしてもらえれば・・・。
ゼット様にお仕えしてあの時の恩返しと今までの罪滅ぼしをしなくては。
物以下の扱いでもいい。ゼット様の傍にいられるなら・・・
365 :
Z:2005/11/02(水) 08:40:48 ID:heg5LVTz
「・・・・エリス?」
まさか気付かれるとは思っていなかった。
「やっぱり・・・・・エリスなんだな?」
黙っていた事を問詰められる。許しを請う事も出来ずにゼット様を見つめていた。
「あ・・ゼット様・・・」
ゆっくりとゼット様の手が私に向かってきた・・・・ぶたれる!!
「!!」
「エ・・・エリス・・・」
痛みに身構えた私にゼット様は悲しげな声を上げた。
叩くつもりではないと理解したときにはもう遅く、ゼット様は部屋から飛び出してしまった。
「ゼット様!!」
なぜ怒らなかったの?
どうして罰を与えなかったの?
疑問は残るけど、分かったことが一つだけある。
ゼット様を傷付けてしまった。
どうすればいいのだろう・・・・どうすれば・・・・
第7話〜完〜
366 :
実験屋:2005/11/02(水) 08:42:55 ID:heg5LVTz
久しぶりにZ投下しました。エロ無しでスイマセン。
次回はエロ満載でいきます。
「狂介〜」の方は各階のバトルを終えたあとお楽しみになります。
ではでは。
せ、せつなすぎます……両思いなのにすれ違い……
今後の展開が楽しみです。
そして「狂介〜」とのギャップがはげしすぎですw
>356
キボンさんくす。修学旅行の続きがまだあります……
そろそろ先生を司の両親に会わせようかなとか、まだ早いとか。
色々考えつつまったり書いてますので気長にお待ちください……
あぅ…
まだ司タンの新作読めんのか…
頑張ってください
369 :
偽りの城:2005/11/03(木) 02:42:01 ID:9wlOzyVc
【話やキャラが複雑なのと、早く男装やエロ展開にこぎつけたいので投下。
今回も長いけどこれぐらいがちょうどいいのかな?】
夜が明け、和海と頼子の夫婦の部屋に朝日が射している。
「んっ・・・。ふわぁ・・・。あれ・・・。あっ、そうか。」
頼子は目を覚まし、布団からゆっくり起き上がる。一瞬いつもの寝床と違う光景に戸惑ったが
結婚し、松浦城に住むことになったのをすぐ思い出した。
「スースー。」
隣では和海が寝息をたてている。その妙に可愛い姿に頼子は思わずドキッとしてしまった。
――な、何考えてんだろ・・。自分・・・。
男の、それも自分の夫になった人物の寝顔を可愛いなどと思ってしまったことに戸惑いを隠せない頼子。
――は、早く着替えてこなきゃ・・・。和海様が起きる前に・・。
頼子は動揺しながらも用意した着替えを取り、あわてる様に部屋を出る。
――マサの所に行かなきゃ。
頼子は真子の元に向かおうとしていたがそのとき。
「頼子殿ではないか。こんな朝早くに夫を放ってどこへ行くのじゃ?」
一見穏やかな物言いだが、高圧的で冷淡な感情が強くこもった声を浴びせられた。頼子にとってほぼ初めて聞く声で
今まで聞いたことのない様な恐ろしい声だったがその声の主が誰なのかはすぐわかった。
「定子・・・様・・・。」
振り向くとそこには予想通りの人物―――定子がいた。
「・・・・・。」
定子を前に頼子は何も言えずにいた。微笑みを浮かべているがその顔には怒りや憎悪、更に殺意すらこもっていた。
「どうした?昨日の結婚でそなたと妾は一応家族になったのじゃぞ。そなたの家では朝の挨拶は黙りこくることなのか?」
怯える頼子に気付きながら、定子は嘲笑いながら辛辣な物言いをした。
「あ、申し訳ありません・・・。定子様、おはようございます・・・。」
定子の皮肉な言葉に頼子はぎこちない挨拶をした。
「フン・・・。まあよい。ところでそなたはどこへ行くつもりなのじゃ。着替えの服など持って。」
頼子は聞かれたくないことをよりによって明らかに自分達に敵意を持っている人物に聞かれ、戸惑った。
「え、えっと・・・。マサ・・妹のところへ・・。」
基本的に素直な頼子は自分の行き先を正直に告げた。
「妹のところ?何故じゃ?和海とそなたは夫婦なんじゃぞ。昨日は初夜を交わしたのじゃろ。着替え位なんともなかろう。」
定子は和海と頼子の結婚の条件を知りながら、頼子を追い詰める様な言い方をした。
「・・・・・。」
お人よしな頼子に定子の皮肉に対応できる機転はない。自分を追い詰めるその言葉に口ごもってしまった。
「夫に心を許せないということか。初日にして哀れなもんじゃのぉ。そういえばそなたの家は妾の息子と
そなたの妹の婚姻を断ってきたが、夫に心を許せない様な家の娘と縁を結ばなくて正解じゃった様じゃな。」
定子は自分のことを棚に上げながら頼子をひたすら言葉責めした。和海とは仲良くなれたが普通の夫婦には
絶対になれないという事実やその原因である自分の秘密を松浦家に隠している後ろめたさから辛そうな顔でうつむいている。
そんなとき頼子に助け舟を出す様に二つの声が響く。
「姉上。こんなところにいたの。定子殿、姉上になんの様で。」
「母上、挨拶の為だけにこんな廊下に引き止めるのは失礼です。」
それぞれ頼子と定子を探しにきたのか真子と正澄が現れた。
370 :
偽りの城:2005/11/03(木) 02:42:47 ID:9wlOzyVc
「あっ、マサ・・・子。」「お前らか・・・。」
頼子のぎこちないながらも安堵した声と定子の不満げな声が廊下に響いた。
「おはようございます、定子殿、正澄殿。」
真子が少し挑戦的な声で挨拶をした。
「ほほう。これはこれは真子殿。姉上を迎えにでもきたのかえ?流石姉妹、気が合ってるのう。
無理矢理嫁がされた仮初めの夫なんかより実の妹の方がいいと思ってるだけあるのう。」
定子は真子の挑戦的な声に対抗する様に皮肉な言葉を並べた。
「そちらこそ、息子が迎えにきてますよ。息のあった親子ですね。さぞかし旦那とも仲がいいんでしょうね。」
真子は兵部との冷めた関係がわかった上で定子の言葉に返答をした。
「親子か、妾はそなたと妾の息子を縁付かせたかったのに断られてしまったからのう。
そなたらの父が首を縦に降ってくれれば妾とそなたは親子になれたのに残念なもんじゃ。のう。」
明らかに本音とは違うことを言いながら隣の正澄に話しかけた。元々口数の少ない正澄は最初に定子に呼びかけて以来
一言も話しておらず、定子と真子のやりとりを、あわてながら見ている頼子とは違い、またかという感情がこもった目で
ただ黙って見つめていた。
「縁がなかったと思うしかありませんよ・・・。」
正澄は静かであまり感情味のこもっていない声で答えた。
「縁か、残念じゃのぉ。こうして並べるとなかなかお似合いなのに。世の中子作りができないなんて
本末転倒な条件で結婚して一日目にしてうまくやってけないだめな夫婦もいるのにのう。」
定子は遠まわしな様でかなり直接的に和海と頼子の夫婦関係に当て付けたことを言うとその視線を
頼子の方に向けた。それに気付いた頼子はいたたまれなくなり、顔を伏せ、視線を逸らす。
「私と正澄殿がお似合い?滅相もありませんよ。定子様に瓜二つで綺麗な顔した正澄殿と私など明らかに不釣合いですよ。」
真子は冷たい笑顔で受け答えた。頼子はその言葉を聞いて顔を上げ、正澄の姿を見る。
確かに美形な真子に釣り合う位綺麗な顔をしていて身長もかなり長身な真子と同じ位だが
さっきからずっと無表情なので感情豊かな真子とは釣り合わない気がした。
それ以外にも真子と正澄が夫婦になれない決定的な理由はあるが。
頼子は気付かなかったが、定子と自分が瓜二つという真子を言葉を聞いて正澄は少し顔を曇らせていた。
「やれやれ、挨拶だけなはずなのに長くなってしまったのう。そろそろ部屋へと戻るか。
これほど長く会話が出来るとはそなたらと妾は気が合うのかもな。ホーホッホッ。」
定子は高笑いをしながら最後まで皮肉な言葉を吐き捨て、その場から立ち去っていく。
正澄は頼子と真子に軽く会釈をすると定子に付き従っていった。
「・・・はーっ。」
定子と正澄の姿が見えなくなったのを確認すると頼子は安堵の息を吐いた。
「けっ、予想以上にやな女だな。」
頼子とは対照的に真子は毒気づいた。
371 :
偽りの城:2005/11/03(木) 02:44:00 ID:9wlOzyVc
「・・・情けないなぁ。昨日和海様に誓ったのに、早速マサに助けられちゃったよ・・。」
頼子は定子を前に何も言えなかったことに悔しげな声を上げた。
「誓い?上手くやれてんだ。」
頼子の言葉に真子が反応した。
「・・・ああ、一応打ち解けることはできたよ・・。気さくないい人でさ。それに・・。」
頼子はふいにさっき見た和海の寝顔を思い出した。そのことで顔を急に赤くする。
「わっ!あ・・・ね上、どーしたんだよ。」
頼子の突然の照れ顔に真子は戸惑った声を上げた。
「な、なんでもない!!なんでもないから!!!」
真子の声に頼子はあわてる様に声を張り上げた。弁解のつもりなのだろうがますます怪しい様子になっていた。
そんなとき。
「頼子様、真子さん、おはようございます。」
後ろから落ち着いた声が響いた。二人がはっとして後ろを振り向くと頼子と真子より少し背が低めで細身の少年が立っていた。
「あっ、千里。おはよう。」
千里の声に落ち着きを取り戻した真子が挨拶をした。
「あっ、おはようございます。えっと・・。」
真子に続き、頼子も挨拶をしたが、千里と直接話をするのは初めてなので、名前がよくわからず口が止まった。
「千里です。頼子様、以後お見知りおきを。」
口が止まった頼子を見て、千里は昨晩真子に対してのときの様に丁寧に自己紹介しながら頭を下げる。
「あっ、どうも千里さん・・・。」
千里に合わせて頼子も頭を下げる。
「千里、いつからいたんだ?」」
千里があわてていた二人に助け舟を出す様に現れたことから、千里が今来たばかりではないことに
気付いた真子は千里に問い掛けた。
「真子さんが定子様と正澄様に息の合った親子と言ってたところからですね。」
「げっ!思ったより早いな。みっともないとこ見られちゃったな・・。」
真子はさっきの定子とのやりとりを思い出して声を上げた。
「いえ、あの定子様の毒舌にあんなにやりあえてすごかったですよ。私や竹彦はあの毒舌が苦手で
定子様が和海様に何か言ってきたときは私や竹彦が遮ったり、その場から立ち去ったりすることしか出来ないので
あんなに真正面から立ち会えるなんてほんとすごかったです。」
今まで逃げる様な対応しかできなかった自分と比較して真子を絶賛する千里。
「そ、そうかな・・・。」
真子は少し照れた様な声を上げた。その姿はさっき定子とやりあってた姿とは別人の様だった。
「では、頼子様、真子さん、私はこの辺で。」
立ち去ろうとする千里に頼子が呼びかける。
「あっ、待って下さい、千里さん。私も様付けはいらないので。」
「わかりました、頼子さん。」
千里は少し微笑みを浮かべながら、軽く会釈をしてその場を去った。その笑みは容姿と相まって
非常に優しげで美しく、それでいてどこともなく憂いのあるものだった。二人はその美貌に思わず感嘆の念を覚えた。
372 :
偽りの城:2005/11/03(木) 02:44:47 ID:9wlOzyVc
「綺麗な人だね・・・。睫毛が長くて。和海様とは違った綺麗さが・・・。はっ!私は何を・・。」
「い、いや、姉上、大丈夫さ、私も千里も和海さんも綺麗だなって思ったから。なんでここの男の子は
男にしとくにはもったいない位綺麗な人ばっかなんだ?あの正澄も顔だけならかなりだし、竹彦も・・。」
「呼んだ?真子。」
噂をすれば影とやらなのか後ろから昨晩聞いたもう一人の声が響いた。
「うわっ!!!」
いきなり話しかけられ真子は驚きの声を上げた。
「わっ!!」
その声に頼子も声を上げた。
「あっ、驚かせちゃった?ごめん、ごめん。」
竹彦が明るく言い返す。
「あ、頼子様ですよね。お・・、私は竹彦と申します。よろしくお願いします。」
竹彦は頼子の方に視線を向けると、千里同様、昨晩の様な丁寧な挨拶をした。竹彦は気さくでひょうきんだが
初めて会う相手に丁寧な態度を取れる礼儀は持ち合わせている様だ。
「あ、窪田頼子です。よろしくお願いします。私も敬語や様付けはいりませんから。」
竹彦の丁寧な挨拶に答えつつ、千里のとき同様、敬語や様付けを必要ないと告げた。
「よし、わかったよ、頼子、よろしくね!」
ためらいなく敬語と様付けを取った竹彦の発言を聞いて、頼子は先程からの真子とのやりとりで気付いていたが
竹彦が和海以上に気さくな性格だということを改めて認識した。
「さっき綺麗とかなんとか言ってたね。なんのこと?」
竹彦は先程の会話を少し聞いていたらしく、その内容を聞いてきた。自分の名前を言われたので気になったのだろう。
「いや、ここの男の子は綺麗な人ばっかだなって。さっき千里を見たとき思ったんだ。」
真子が竹彦の問いに答えた。
「それでおれのことを?いやぁ、おれなんか千里とは比べ物にならないさ。背ぇ低いし。」
そう言いながらも竹彦は照れくさげな顔をしている。その姿が余計可愛らしい。しかし、一瞬だが複雑げな表情にもなった。
それは竹彦が発言した背が低いという理由からでは到底ありえない位、重いものだった。
「真子と頼子だって綺麗じゃん。系統の違う美人姉妹でおいしいよ。」
重い表情からすぐ気を取り直すと、いつものおどけた調子で真子と頼子の容貌を誉めた。
「き、綺麗か・・・。ありがと・・。」
女性的な容姿とはいえ男性に容姿を誉められた割に真子の声は複雑そうだった。
「・・同じくありがとうございます。」
頼子も竹彦の誉め言葉にお礼を言ったが、真子同様どこともなく複雑げだった。
「どしたの?二人共美人なんだから、もっと自信を持たないと!」
竹彦は声を張り上げて、二人を元気づけた。その元気な声に真子と頼子の表情は少し明るくなる。
「そうそう、美人は笑顔の方が引き立つんだよ。ところでさっき千里と話してたの?どっち行った?」
「ああ、向こうの方に向かってたよ。そういや服を持ってたな。朝風呂にでも行くのでは?」
「うーん、そっか。じゃ、どっかで待ってようかな。着替えか朝風呂だろうから。ところで千里は身体に傷があって
身体を見せないんだ。だから、気をつけてあげて。」
「そうなんだ。わかった。」
「じゃ、後でね、真子、頼子。」
竹彦は千里の穏やかな笑みとは違う明るい笑顔を真子と頼子に向けて立ち去っていった。しかし実はその笑みの中には
千里同様、微かな憂いがあった。
373 :
偽りの城:2005/11/03(木) 02:46:09 ID:9wlOzyVc
「元気な人だね。確かに男にしとくにはもったいない顔してるなぁ。」
頼子は和海の様に可愛い顔立ちで親しみやすい雰囲気の竹彦に好感を覚えた。
「うん、でも気になることがあるんだよなぁ。竹彦も千里も一介の従者にしちゃなんか上品っていうか・・。
ここに昔から仕えてたのかな?」
「いや、昨晩和海様と話していたとき、二人は昔からの従者じゃないって言ってたよ。ならどこ出身なんだろ?
確かに物腰が上品だよね、二人共。」
真子の言葉に頼子が答えた。真面目な千里はもちろん、一見おどけて見える竹彦もどこか上流育ちの気品が見受けられた。
「なんか長くなったね、マサの部屋に行って着替えるつもりだったんだけど。」
「ああ、それで迎えに来たんだ、早く行こうか。」
二人はあわてる様に真子の部屋へと向かった。
「予想以上に大変そうだなぁ、ここの生活・・・。」
定子とのやりとりを思い出しながら、頼子はふとつぶやいた。
「そ−だな、でも、味方もいるだろ。」
「そうだね、何より・・・。」
頼子は和海の顔を頭に浮かべた。
「何よりなんだよ。」
真子は頼子の言葉を聞いてからかう様に声を上げた。
「な、なんでもないってば!」
真子の声を聞いて頼子は再びあわてる様な声を出した。
「もしかしなくても、和海さんのこと?とうとうそんな趣味に・・。」
真子の言葉に頼子は何も言い返せず、ただ顔を真っ赤にしてうつむいている。
「ま、仲良きことはいいことってな。自分達こんなだから普通じゃないのも今更さ。」
「慰めになってないよ・・。マサ・・。自分自身結構困惑してるんだから・・。」
しばらくして着替えが終わった頼子は部屋に戻った。
「和海様、起きてますか・・・。」
「あっ、どこ言ってたの?朝起きたらいなくてびっくりしたよ。」
和海は声を上げた。結構早く起きてたのか、既に着替えも終えてて布団も片付けられていた。
「あ、すみません・・。妹のところへ着替えに・・。」
「そっか、夫婦とはいえ、男に肌見せるのは確かにね。」
「いえ、そうじゃないんです!私と真子は小さい頃病気で身体に痕があってそれで人前では身体を見せられないんです。」
とっさに言い訳をした。そのとき竹彦が千里には身体に傷があって肌を見せられないという同じ様な事情があることを
言ってたのを思い出した。
「そっかぁ、大変だね。」
和海は頼子を慰める様に言った。
「い、いえ、そんなことはないです・・・。」
後ろめたい心境で頼子は言った。
374 :
偽りの城:2005/11/03(木) 02:54:02 ID:9wlOzyVc
「ねえ、座りなよ。」
和海が頼子に呼び掛けた。
「は、はい・・。」
頼子はその言葉に従い、ゆっくりとその場に腰を下ろす。
「・・・・・。」
和海は頼子のそばにより、その顔をまじまじと見つめる。
「あっ、和海様・・・。」
和海の視線に頼子は気恥ずかしさと後ろめたさを覚えた。
「・・・・・。」
和海はそんな頼子に一気に顔を近づかせるを、そのままお互いの唇を軽く合わせた。
「!!? か、和海様!?」
突然の唇の感触に頼子は驚きの声を上げ、後ろに大きく下がる。
「あっ、いきなりごめん。一応夫婦だから口付け位したいなって思って。」
そう言う和海の顔も自分の行動が信じられないと言わんばかりの照れ顔だった。
「い、いえ・・。和海様のお心遣い嬉しいです・・。」
頼子にとってその言葉は偽りではなく、本当に今の口付けは不思議と嫌ではなかった。
――マサの言う通り、自分は普通じゃなくなっちゃたんだろうか・・。
頼子は内心困惑していたが、実はそれは和海も同じであった。
――ど、どうしちゃったんだろ、あんなことしちゃうなんて・・。
自分の意外な程大胆な行動に和海も戸惑っていた。
「しょ、食事にでもしようよ!お腹空いたでしょ!」
困惑を断ち切る様に和海が声を上げた。
「そ、そうですね。色々あったのでなんだかお腹が空きましたね・・。」
「色々?」
「はい、色々と・・。悪いこともあればいいこともありましたね。」
「後で色々聞かせてね。」
「はい、私もちゃんと話し合いたいことがありますので。」
「ところでさ、呼び捨てにしていい?おれのことも呼び捨てにしていいからさ。」
「えっ!呼び捨てにするのは一向に構いませんが、上様を呼び捨てにするのはあまり・・。」
「そっか、でも気が向いたら呼び捨てにいて構わないから、頼子。」
「はい、和海さん・・・。」
頼子は呼び捨ては流石にできないが少しでも和海の要望に応えようと様付けからさん付けにした。
その努力に気付いたのか、和海は笑顔を向けた。頼子はその笑顔に再びドキッとした。
――かわいい・・。はっ!ほんと、どうしたんだろ、自分・・・。
以前では考えられない自分の気持ちに頼子は困惑し通しであった。
375 :
偽りの城:2005/11/03(木) 02:55:47 ID:9wlOzyVc
「ええいっ!!!なんと腹立たしい!!!」
定子は部屋に戻るやいなや、昨晩の様に怒り狂い、扇を投げつけた。その様子に正澄は一瞬驚き
肩をすくめるがすぐまたか、という表情になった。
「あの真子とかいう餓鬼、よくもまあ、この妾にあの様な態度を!!許せん、絶対に許せん!!!」
定子は怒りに声を張り上げた。正澄はまだ朝だから静かに、と制したかったが
昨日の様子からそれも無駄だろうと悟り黙っている。
「まあ、よい。妾へ生意気な態度を取った分だけ思い知らせてやればよい。わかったか!!!」
定子は正澄に向かって怒鳴りつける様に言った。正澄は軽くため息をつく。
「お前、やる気はあるのか!!!」
正澄の態度に定子は怒声を上げた。
「は、はい・・。わたしがこの家の後継者に相応しい人間・・・ですから・・。」
正澄は定子の怒声に少し驚きながらも弁解した。
「そうじゃ!!!実はのう、妾はあの和海の秘密にうすうす勘付いておるのじゃ。」
定子は投げてた扇を拾い、ゆっくりとそれを扇ぐ。
「秘密、ですか・・・。」
「そうじゃ、更にあの頼子の方にもあやつらの立場をなくすには十分な秘密があると踏んでおるのじゃ。」
「・・・・・。」
正澄は定子の言葉を聞いてはっとした様に顔を上げる。
「根拠はあの二人の結婚条件と先程頼子がわざわざ妹の元にむかって着替えをしようとしてたこと。
和海は十七年間も見てれば、勘付いてくるわ。」
顔を上げた正澄に答える様に定子は自分が察している和海と頼子の秘密のことを言った。
「それで、どうするおつもりで・・・。」
正澄は小声で定子に問い掛けた。
「決まっておる。まず、あやつらの秘密を完全に掴む。そして奴らを脅してこの城ででかい顔を出来ない様にしてやるのじゃ。
今日はその計画を練る。明日からお前は奴らの秘密を探る行動をしろ。」
あくまで自分は考えるだけで何もしないつもりな正澄は定子にため息をついたが
「わかりました・・・・。」
と小さく返事をした。
「ほほほ、これからが楽しみじゃ。しかし、問題は真子やあの従者の餓鬼二人をどう退けるかじゃな。
殺したりすれば後々問題になりそうじゃし。それにあやつらは一瞬で殺すよりねちねちといたぶってやりたいしな。」
扇を扇ぎ、微笑む定子の姿は一見優雅だが、その歪んだ邪念は隠されてはいなかった。
正澄はそんな母を黙って見つめていた。
以上です。ドロドロあり、微甘あり、でもエロなし(苦笑)。これから和海達も作者の自分も(考えるのに)大変そうだ・・。
浜屋道場辺り次書きたいですね。これも早く書いてエロや男装要素出したいです。
>>実験屋様
狂介の方はとにかく笑えました。敵インパクトありすぎ。園太郎と升沢キャラ変わりすぎ(特に升沢)。
正樹の趣味やばすぎ。後、藤澤の旦那は貞子が助けにきてくれるなんてことを考えてしまいました・・。
しかし藤澤は何故貞子と付き合ってるんだろ・・・。最後の一人がz1nMDKRu0s様が言ってたみたいに
60代のわきわきした服のババァが出てきたりして(笑)
ゼットの方は泣けました・・。エリス、なんてけなげなんだ・・・。エロ満載ってことはゼットが正気に戻るのでしょうか。
それとも壊れたまま・・・。本当に「狂介〜」と「Z」でギャップはげしすぎですwww
>>aPPPu8oul.様
修学旅行の続き頑張ってください。司の両親気になりますね。娘の男装をどう思ってるのか・・・。
377 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 16:16:44 ID:S0dPglVE
>>実験屋さん
エロチカ5のキャラが禿ワロ!!!対するネバダも激ワロ!!
Zはこれからどうなるのかたのしみ。
>>名無しのアヒル さん
ドロドロ展開乙!!鬼道や遠井家もたのしみです。
ワクテカしながら待って松
>>aPPPu8oulさん
修学旅行編がまだ見れるのでうれしいデツ。
えらくお久しぶりです
変わらず盛況のご様子、慶賀の限りです
ふっと短いのを書きたくなったので紛れて投下させてください
人物状況説明は面倒なのでまとめサイトさんを御覧くだされば幸い(うわ
エロはありません。萌えだけだ。
379 :
図書室にて:2005/11/03(木) 22:44:11 ID:SWARXcpo
背後でぴたりと足音が止まった。
誰かはわかっていたがナサニエルは軽く身をよじると睫を伏せて徴ばかりの会釈を漂わせ、すぐに本棚に向き直った。
緊張を隠そうとあえてゆっくりと顎をあげ、目星をつけていた背表紙の色を確認して指を伸ばす。
「これか?」
ふいに空気が揺れ、渦を巻いてナサニエルの短い髪を舞わせた。
青い袖を纏った長い腕が伸び、『彼女』の手を追い越して本に触れる。
背表紙の上部に人差し指をひっかけて無造作に倒し、手中にした本のタイトルを眺めて彼は軽く鼻を鳴らした。
「……古典に興味があるのか?」
ナサニエルは振り向き、ひどく近くに立っている人物の胸板に顔を向けた。
「王妃様のご所望です。お渡しください」
少し切り口上すぎたのかもしれない、と『彼女』は言い終える前に後悔した。
内心の緊張を見せてしまった。
ナサニエルは頬を赤らめ、目前の躰を憮然として睨みつけた。
その視線の先に本が現れた。
ナサニエルがひったくるように掴み、傍らの書見台に置くのを彼は『面白そうに』眺めていた。そちらを見なくても気配でわかった。
「ありがとうございました」
無礼なことに世継ぎの男への感謝を過去形にして本棚に再び向き合った『彼女』の後ろから気配は失せなかった。
意識から払いのけようと努力しながらナサニエルは次の本を捜している。
彼はどのようにしてか『彼女』の居場所をかなりに把握しているらしく、このところ王宮のどこであっても行く先々に現れる。
理由はわからない。
ナサニエルは薄いオリーブ色に変色した古びた装丁の本に目をとめた。
複雑な飾り文字で目指す哲学者の名前を確認し、『彼女』は指を伸ばした。
小柄なのでこんな時には苦労する。
が、背後の男への協力の要請は考えに入っていない。
この王子が一介の小姓であるナサニエルの存在を気に留めているらしいことが『彼女』の警戒心を強めている。
相手はそもそも雲の上の身分であるから小姓がものを頼めるわけもないし、『彼女』自身も『対象』の人物にどんな借りを作る気もさらさらない。
先日勃発した叛乱の規模の大きさが知れ渡るにつれて都には常設軍以外の王軍が続々と参集し、このところ王宮中は慌ただしさに包まれていた。
だからこの数日の間ナサニエルはイヴァン王子に会うことはなかった。王宮つきの小姓とはいえナサニエルは先々週入ったばかりの新入りであり、閲兵だの会議だの、王族への名誉ある場所への随行は古参の者たちが占めるのが常である。
「もうすぐ見習い期間が終わるそうだな」
何気なさそうに王子が言った。
ナサニエルは眉をひそめ、その言葉の主語が自分であることに気付いた。
「オレ付きになる気はあるか?」
『彼女』はぎこちなく振り向いた。
待ち受けていたらしい視線に晒されていた事に改めて気付き、『彼女』は凛とした表情にわずかに警戒の色を重ねた。
「…そのほうが都合がいいだろう」
なにやら含みを持たせた呟きに、『彼女』はじっとイヴァンの顔を見た。
明るい色の目は至極もっともらしげに『彼女』を見返した。
「…そのようなご命令があれば」
ナサニエルは静かに答え、本棚に再び振り向いた。
背筋に冷たい粒が浮く思いだった。
ほんの一瞬だが、『彼女』の任務をこの男に悟られたのかとぞくりとした。
380 :
図書室にて2:2005/11/03(木) 22:44:42 ID:SWARXcpo
──だが、まさか。
もしも『彼女』の正体が知られていれば思わせぶりな探りなどはないまま即座に投獄されるはずだ。
迷いを振り切るように腕を延ばす。
背表紙に指先が触れ、『彼女』は軽くつま先立ちをした。
あとちょっと……そう思った瞬間、指先を握り込まれてナサニエルは小さく悲鳴をあげかけた。
骨太いが暖かく乾いた感触の指が絡みついて、臆面もなく滑らかな手の甲を撫でている。
「イヴァン王子?」
その声が聞こえたのか聞こえないのか、背後の彼はすばやく周囲を伺う様子をみせた。
ナサニエルも釣られて左右に視線を走らせた。
背の高い本棚の前には自分たち以外の人影や気配はない。
「誰もいない。安心しろ…」
耳元で彼が囁いた、と思うや否や背後から躰を抱きかかえられてナサニエルは反射的にしゃがみこみそうになる。
本をとるために背を伸ばしていたので防御ができず、とっさに『彼女』は目の前の本棚の縁を掴んだ。
そのしなやかな脇腹を掌が滑り、拘束するように包み込んだ。
ナサニエルは急いで本棚から手を離し、彼の手首を掴んだ。
ひっぱるが、全然離れない。
右腕が加わり、その手もろとも華奢な躰を抱きすくめた。
*
『彼女』が抵抗しようが構うものかと彼は思った。
頬を寄せると金褐色の髪に埋める鼻先がふわりといい匂いを捉え、思わず一瞬陶然とした。
髪の匂いだけではない。短い髪の合間に覗く白くて細いうなじに続く線、色気のない小姓服の奥から立ち上る豊かでかぐわしい躯の匂いだ。
イヴァンは抱いた腕をゆるめ、『彼女』の輪郭を撫でた。
肩から腕に、そして脇腹から背筋に。
ほそく引き締まった胴から厚みを帯びた腰や太股への艶めかしい線をあらわにするように、力をこめて撫でおろす。その瞬間だけ女らしいラインを腕の中に見せてナサニエルは小さく身もだえした。
「な、なにを…」
細く声が漏れた。普段の凛とした口ぶりは影を潜めていた。
その不安そうな、少々うわずった響きにイヴァンは思わずにやりとする。
「オレはまだ何もしていないが」
まだ、のところをささやかに強調すると『彼女』はぴくりと反応して彼を睨んだ。
気の強そうな瞳とは対照的な上気した頬が新鮮だった。
怒っていても綺麗な『女』は見ていて心地がいいものだ、とイヴァンは考えてますます頬が緩んだ。
381 :
図書室にて3:2005/11/03(木) 22:46:09 ID:SWARXcpo
見惚れながら無意識のうちに指は『彼女』の腰から尻を摘んでいる。
ひきしまっているくせにたっぷりと旨そうな肉の柔媚が指先を抵抗なく食い込ませて弾く。ナサニエルはぎこちなく腰を振った。
指を払おうという意図は明白だが、がっちり押さえ込まれているのでそのなけなしの動きは彼をそそる役にしかたたなかった。
イヴァンは喉の奥で呻いた。
「なあ、おまえ──」
耳朶に囁かれてナサニエルが思わず目を閉じた瞬間、ふっとイヴァンが退いた。
突き飛ばされるように解放された。
ナサニエルは並ぶ本に肩をぶつけ、崩れぬよう必死に棚にしがみついた。
「イヴァン様」
部屋の戸口に侍従が現れ、一瞬で体勢を整えたイヴァンに恭し気に声をかけてくる。
「執務室で国王陛下がお呼びです」
「わかった」
イヴァンは声をかえし、本棚に凭れているナサニエルには一顧だにせず長身を翻させて大股に部屋から出て行った。
*
イヴァンの背中が扉のむこうに消えると、ナサニエルは震えている我が身に気付いて唇を噛んだ。
一体何が起こったというのだろう──今のは。
王子が女好きだというのは有名な話だが男色の気もあるなどと一度も聞いたことはない。だからわざわざ男装をしているというのに。
……あの、目。
ナサニエルはぶるりと震え、深く息を吐いた。
危険だ、と兄が言ったのを思い出す。あの男は好色なのと同じくらい聡明で、そして主君として戴くには今の王以上に手強い人物になる可能性が高いと。
当主である兄の命に背くつもりはなかったが、それでも自分に科せられた仕事がやっかいなものであることを今更ながらに認識する。
必ずしも殺すとは兄は言わなかった。脅威にならぬよう除き奉る、という表現を使ったはずだ。
脅威。
ナサニエル、いや、ナタリーがさっき彼から感じたのはまさにそれだった。
潜入してまだたったの二週にもならないのだ。
欺き通せないかもしれない。
急がねばならないかもしれない。だが……。
彼女は重い溜め息を漏らしてまっすぐ立ち上がった。
本棚に額を押しあて、目を閉じた。
──イヴァンがすぐに戻ってくる心配はないはずだ。
だから、そのまましばらく動こうとはしなかった。
おわり
キタキタキタ━━━(゚∀゚)━━━!! GJ!!!
しかし王子…ナサタンの行く先々にいるってスゴスw
>>378 キターーーーーーーーーーーー!!!
あなたの降臨を待ってた…!!!エロ成分なくても萌がとまらんですよ!!また次を期待してしまふ…
(;*´Д`)ハァハァ
>>381 GJ!!
ずっと待ってました!
また次の話もぜひお願いします!!
キター!
っていうかなんかもう、嬉しすぎてニヤニヤしてしまいました。
モエです!これぞ男装少女モエです!
是非また何か、お暇なときにでも投下してください!
ナサ神様が降臨されたーーーーー!!!!!!!!!!!!
萌えて萌えてサイコーです。
ぜひこれからも投下をよろしくお願い致します!!
小姓時代ナタリーたんキター!!!1111
ストーカーされてるじゃまいか(;´Д`)
(*´Д`)ナサモエー
387よ、興奮しすぎてシフトキーから指がはなれてるぞ
お久しぶりのナサ神様、みんなおいで、おいで!・・・と思いましたが、必要ありませんでしたね。
イヴァンは男装少女の相手の中ではもっとも最凶な人物かもしれませんね。エチにこぎつくよりかなり早く
ナタリーの正体に気付き、ストーカーまでする性質の悪さ(笑)。しかも初めは無理矢理だったし。
ナサニエルという呼び方がいきなり出てすごく懐かしく感じました。
しかしこんなに感想レスを貰えるなんて初代神は別格とはいえ嫉妬(笑)。
久しぶりに来てみれば……
もうどっからGJ送ったらいいのかワカランよ……
とりあえずナサ神司神実験屋神アヒル神GJ!!
>>z1nMDKRu0s様
大先輩であるあなたに誉められて光栄です(照)。最近レスすらないので密かに心配してました。
ところで「偽りの城」少しは竹彦と千里がわかりやすくなったでしょうか?それ以前に
男装少女誰やねん状態ですけど。どっちかといえばaPPPu8oul.様が予想したであろう『男装以外』の方が
確信に迫ってるっぽい(笑)。
392 :
実験屋:2005/11/04(金) 08:56:57 ID:KoYKARf3
なんとナサ神様が投下されていらっしゃったとは・・・GJ!!です。
しかもアヒル様が言うようにすごいレスの数、完敗です。
自分も見習って精進します。
レスの数と、作品の質は必ずしも比例しない。
貴方も、充分以上に負けていない。
そもそも勝ち負けじゃないって。
ここは萌えとエロで楽しむ場だ
396 :
実験屋:2005/11/04(金) 16:46:40 ID:KoYKARf3
その通りです。どうもすいませんでした。
>>396 謝る必要は無い。
謝らなくていいから、次の投下をワクテカさせて頂きます。
て、プレッシャーかけてみたりしてw
チクショウ俺の携帯はどこいったぁ!!!!
おかげでネカフェ投下
「はぁ……」
朝っぱらから盛大なため息吐いてどうした真、また夢精したからって落ち込むなよ、まあ三日続いたら死にたくもなるけどさ
今日は日曜だ!! 夏休み関係ないけどバカ騒ぎせい!! 丁度隣の香具師みたく
「「「この想い 届けマ・シ・ン・ガ・ン!!!!!」」」
激しいギターの旋律とともに聞こえるムサ苦しいハァハァという吐息
「朝から何やってんだこのキモオタガァァァァァァァァァァァ!!!!!」
思わず隣に突撃かます真、そこで調査隊が見たものとは……
「「「Ah 止まらない いつまでも わたしマシンガン」」」
まず変に目のデカイ女の子の1/1フィギュア
「みずいろ」とかいうアニメ?(真には解析不能)のポスター
それと共に醜い腹をタプンタプン揺らして踊り狂う義明とその仲間たちが……
つか義明覚えてる人いるかな? 知らない人は保管庫の紹介を見てみよう
保管庫って役に立つなぁ
「お……おえぇ……」
あーーーー真のヤツ、義明達のキモさにK・O
「何ダネ? キミは?」
黙れガリガリバンダナ、臭うんだよ
「おい義明、こいつらテメェのダチか?」
「ダチだと?
フゥ、これだから一般市民は
我々はコミケに新たな旋風を巻き起こすために集った同士だ
おっとサインは書けないぜ」
やれやれといった調子でキザっぽく話す義明
カッコよくキメても汗で透けたランニングシャツがきんもー☆
「とにかく家主誰だ?」
「私です」
ん? この声といいキモヲタ達をかき分けける細い腕といい
女?
「すみませんでした、以後気をつけます」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
ぎいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ね…ね…ね…ネコミミメガネネコシッポメイドぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
顔がロバみたいで…キ……キモい……キモすぎる
メイド服についたロザリオの辺りで手を合わせてブリっ娘的目線を送るな
悪い意味で破壊力がすさまじい……
真……近いうちに引っ越せ、悪いことは言わない、引 っ 越 せ
「やばかった……な……………」
以上、異次元体験はどうでしたか?
随分キモかったことでしょう、どうやら真の携帯が鳴ったおかげでこの話題打ち切ることができそうです
このあちがたいメールの送り元はユウだ
ありがとうユウ、タイミングのいいときに送った
で本文はっと
「ひさしぶり
っていってもまだ3日か
ギターの件で聞きたいことあるから行くね
−END−」
ありゃーユウタンはどうやらこの魔空空間に向かってる模様
どうする真?
またビミョーーーーな展開に
どうなる真?
ここで中断
義明キター!
俺の頭の中でなぜか電車男のエンディング場面が…
うおおおおおお!
ユウタソあぶなーい!
405 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:50:15 ID:L7bXi3W+
各階のバトル編の続き投下します。
[1F]
「ホラホラ、さっきの威勢はどうしたの!?」
「くっ!!」
ヨシコの猛攻に園太郎は押され気味だった。
射程の長い鞭に対して手斧ではリーチでやはり苦戦してしまう。
「はぁぁ!!!」
園太郎は攻撃を受けることを覚悟で突っ込んだ。
「セイッ!!」
大きく振りかぶり斧を振り下ろす。
「甘いわ!!」
隙を突いてヨシコは斧をかわした。
「そこだ!!」
あらかじめヨシコの回避を読んでいた園太郎はドロップキックを
ヨシコの腹に命中させる。
「ぐぅ・・・やってくれるじゃない!!」
這い上がったヨシコは鞭を振り園太郎に命中させる。
「うわっ!!」
園太郎は壁まで吹き飛ばされた。
「手こずらせてくれたわね・・・・でもこれで終わりよ!!」
ヨシコの鞭が大きくしなる
バキューーーーーン!!
「ギャッ!!」
突然の発砲音と肩に突き刺さる激痛にヨシコは後方に倒れこむ。
406 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:51:53 ID:L7bXi3W+
「・・・これは奥の手です。」
園太郎は手にリボルバーを携えていた。
「正樹さんに「もしもの時に」と渡されたんですが・・・
本当に使うとは思ってませんでした。」
園太郎は喋りながらもヨシコとの距離を詰める。
「ちょ・・アナタ!!・・・そんなもの・・・」
「大丈夫です、中はゴム弾ですから死にはしません・・・死ぬほど痛いだけです。」
園太郎は発砲体制になる。
「お、おねが・・・・待って・・・」
園太郎は笑顔で答える。
「スイマセン・・・待つほどこっちも余裕無いので。」
バン!!バン!!バン!!
「ギャッ、グェ、ギョッ!!」
全弾ヨシコに命中しヨシコは倒れて気絶した。
「・・・・・・・・はぁ〜、勝った。」
緊張の糸が切れて園太郎はその場にへたり込んだ。
一部ブラック化したがそこは見なかった事に実験屋との約束だ!!
「みんなは勝ったかな?」
[1F]
苑田園太郎○―×クリスティーヌ・ヨシコ
407 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:52:47 ID:L7bXi3W+
[2F]
「中々やるわね!!」
「そっちこそ!!」
2階では升沢とザマスが二刀流対決を繰り広げていた。
「それ!!」
ザマスは捻り手が得意のようで叩きつける升沢の警棒を受け流しては
切り込む戦法を用いていた。
「っらぁ!!」
もちろん升沢もまだまだ腕は落ちていない。直前まで近づくククリナイフの刃を
見極めて打ち返していた。
「でもアナタ・・・ブランクがある戦い方ね。」
「・・・・・」
的を着いたザマスの声に升沢は閉口する。
「図星のようね。そんな鈍った腕で私を倒せるとでも・・・」
「当たり前だ!!」
升沢の攻撃がザマスの頬をかすった。
「まっ・・・・許さないんだから!!」
ザマスが飛び掛った。
「さっきの会話からして妻子が要るようね。フフフ、あなたを倒したら
その奥さんとお子さん食べちゃおうかしら・・・」
ブチィィィ!!!
「んだとゴルァァァァァ!!!!」
升沢のサマーソルトキックがザマスに命中した。
あ〜あ・・・怒らせちゃった。
408 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:54:56 ID:L7bXi3W+
「ひぇ!!」
突然の人格変貌にたじろくザマス。
「俺のレオと赤ん坊を喰うだと?・・・・ずいぶんな事いってくれちゃって。」
「なんなのよ・・・いきなり人が・・・」
「黙れこの腐れ物が!!」
升沢のヤクザキックが炸裂する。
「ひぃぃ!!」
「誤ったって許さねぇからな!!」
升沢は警棒を振り上げた。
「子供が男の子だった時の為に編み出した技を喰らえ!!」
「チタン警棒 撲殺リンチの形!!」
どうやらスーパーヒーロータイムを升沢は見ていたようだ。
「や、やめ・・・ヒゲッ・・ぐぎゃ・・・ギョ・・・」
「そしてこれが女の子だった時の技だ!!」
そういって升沢はザマスを担ぎ上げる。
「ふザケンナー!!!!」
サーキュ●スのポーズを真似てそのままザマスを天井にぶつけた
「ウゲッ・・・・・」
天井に大の字にへばり付きザマスは気を失った。
「家庭の平和は俺が守る!!」
升沢さん、アンタいい父親になりますよ。
[2F]
升沢啓○―×ザマス・カトリーヌ3世
409 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:56:43 ID:L7bXi3W+
[3F]
「オラオラオラオラオラ」
藤澤はモグラ叩きでもやるかのようにピコハンを振りまくる。
「甘い、甘すぎですわ!!オーホホホホホホ」
玲子は難なく(実はマグレ)ピコハンをかわす。
「すばしっこいババァだぜ。」
既に床のほとんどはピコハンの穴だらけである。
二階の升沢に被害は無いのかという質問は無しだ。実験屋とのお約束だよ!!
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
攻撃をかわされ続け藤澤も疲れてきた。
「どうやら限界のようね。出でよ我が忠実なるしもべ達!!」
「なに!?」
玲子の掛け声と共にフンドシ一丁の男達が部屋に侵入してくる。
「テメェなんて趣味してやがる!!」
「おだまり!!さあ、あの男を倒すのよ!!」
玲子の指示で男達が藤澤に襲い掛かる。
「げっ・・・ヤベッ!!」
藤澤が負けそうになったその時!!
「シュウヘイサン!!」
突如として部屋の中央に井戸が出現した。
「ユルサナイ・・・シュウヘイサンヲ タオスナンテユルサナイ!!」
来る〜きっと来る〜♪
TVでおなじみのあのテーマに乗って貞子が井戸から這い上がってきた。
410 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:57:41 ID:L7bXi3W+
「な、なんなのよあれ!?」
玲子は突如現れた貞子にビビリまくりだ。
「ソッチガカズデクルナラ・・・」
貞子は大きく息を吸い込んだ
「ミンナーーーキテーーーー!!」
「「「「「「ハ〜〜〜〜〜〜イ!!」」」」」」」
なんと貞子の呼びかけに呼応しゾンビ、キョンシー、ジェイソン、チャッキー
フレディ、呪音君などホラーの大御所達が応援に駆けつけた。
「ワタシノアイスル シュウヘイサンニテヲダシタ バカドモニ シノセイサイヲ!!」
「「「「「「貞子ちゃんの為に!!」」」」」」
貞子の呼び声と共に大御所たちは一斉にフンドシ男達に襲いかかった。
そこはもう地獄絵図。男臭いのと血生臭いのでしばしお待ちを・・・
「逃げなくちゃ・・・」
玲子はトンズラをここうとしていた。
「どこ行く?」
玲子の前に藤澤がピコハンを持って立ちはだかる。
「ヒィィィ!!!」
「終わりだ!!」
藤澤はピコハンを振り下ろした
411 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:58:32 ID:L7bXi3W+
「フゲッ・・・・・」
床に大きくめり込んだ玲子はそのまま伸びた。
「ふぃ〜。終わったぜ。貞子、ソッチ・・・は・・・ん?」
藤澤が貞子を見れば
「ギャーお助け!!」
「ヒエェ〜!!」
「ギャヒィ・・・グエッ」
大御所たちの恐ろしい殺戮ショーが展開していた。
「シュウヘイサン イカガデスカ?」
貞子が乙女の視線で藤澤を見つめる。
「サイコーだよ。ありがとう貞子。」
「シュウヘイサン。」
世にも恐ろしい絶叫が飛び交う中で藤澤と貞子は二人の世界に浸っていた。
[3F]
藤澤秀平&貞子と愉快な仲間達○―×綾小路玲子と哀れなフンドシ軍団
412 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 00:59:16 ID:L7bXi3W+
[4F]
「ハアッ!!」
小さな見た目とは裏腹にアクロバット戦法を得意とする萌。
「オリャー!!」
目にもとまらぬ早業でキックを入れてきた。
しかし!!
「カワイイね〜。」
正樹は片手で難なくキックを受け止めた。
「クソッ!!」
萌は後退して体勢を立て直す。
「ホントにカワイイね〜。」
正樹はそんな事気に知る事無くテクテクと萌に向かって歩く。
「私を・・・・舐めるな!!」
怒った萌はその場から大きく跳び蹴りを放った。
「うおっ!!」
萌の蹴りは正樹の下腹部に命中した。
「どうだ!!思い知ったか!?」
萌は勝ちを確信していた。
ガシッ!!
「なっ!?」
「ドゥフフ〜 つ〜かま〜たvv」
大山ドラえもんのような笑い声をあげて正樹は萌の両腕を掴んだ。
413 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 01:00:10 ID:L7bXi3W+
「クソッ!離せ!!」
身動きできずに悶える萌。
「ふぅ〜・・・ふぅ〜・・・」
徐々に正樹の目から理性と品性が消えていく。
「な、なんなのよ!?」
萌は分かっていなかった。最初から萌に勝ち目はなかったと言う事を。
プチンッ!!
「辛抱たまらん!!」
「えっ・・・いやぁぁ!!!」
正樹は燃えを押し倒した。
そして・・・・
※この後は書くに耐えない内容であると共に「男装」とは関係無い濡れ場なので
一部の音声のみでお楽しみください。
「ぐへへ〜」
「イヤ!!離して!!」
「オラオラ〜」
「やめてーー!!」
「ここがいいんだろ?」
「あっ、ダメェ・・・」
「もう許してぇ・・・」
「まだまだこれからじゃないか!!」
んで、どうなったかと言うと・・・
414 :
狂介と有紀:2005/11/06(日) 01:01:21 ID:L7bXi3W+
「萌〜。」
「ご主人様〜!!」
正樹は萌をお姫様抱っこしていた。
「萌はカワイイね。」
「ありがとうございますご主人様。」
愛を持って戦えば仲間になるのはモンスターだけではなかったようだ。
「この戦いが終わったら結婚しよう!!」
「はい!!ご主人様と結婚できるなんて嬉しいですぅ。」
なんかムカついてきたなこのカップル。
[4F]
山崎正樹○―×天王寺萌
(決まり手は愛)
そして巫女さんな幼妻GET!!
415 :
実験屋:2005/11/06(日) 01:05:00 ID:L7bXi3W+
各階のバトル編、以上です。
狂介、Z、共にエロまで漕ぎ着けないとさすがに
ゴッチャになってきそうです。
>>z1nMDKRu0s様
GJ!!です。しかしまた、ロバ顔のメイドとは・・・グハッ!!(悶絶)
神様のバカ…
引っ越しが終わらないよ…orz
投稿したいんですが、容量って何KBまででしたっけ?けっこう長いんで…。
私も投下したいとこですが、出来上がってないのと、ギャグ物を書き溜めてたけど神二人の後に投下する勇気はないので
他の職人様が来てくれるのはありがたいですね。
容量は500までで、現代401なので問題ないかと。初めての方でしょうか?
偽りの城の続きが気になってしょうがないよ〜
ぜひ是非おながいします!m(_ _)m
>>418 ありがとうございます、初めてです。
ワードで書いたんですが100KB近くあるので次スレのほうがいいですかね?
>>z1nMDKRu0s様
オタク恐るべし、ロバ顔ネコミミメガネネコシッポメイド恐るべし。ユウタンは魔空間の中で癒しの存在になりそうですね。
>>実験屋様
もうどこから突っ込めばいいのやら・・。ひたすら笑いました。園太郎と升沢、前回にも増してキャラ変わりすぎ、
貞子がほんとにくるとは・・・。正樹、流石は狂介の兄、見事な変態ですな。
>>419 応援感謝です。しかし、偽りの城はまだ投下不可です。まだ男装もエロもないのに申し訳ありません。orz
そんなわけでまだ早いんですが、男装萌え談義がしたいのです。今後の小説の展開考案もかねて。
テーマは男装少女の髪形と胸の大きさに関して。髪の方は自分の場合、時代物ばっかなのと
元々ロング好きなので長髪ばっかですが、このスレの小説だとやはりショート率が高いですね。
胸に関しては自分は巨乳好きなんですけど、男装=貧乳のイメージも方が強いみたいですよね。
皆様はどっちが好きなんでしょう?
>>420 100KB近くだったら、適度に分割投下か、うpろだに上げるのが良いと思う。
自分は携帯なので分割キボンだが…
うわっ!420と421で19秒しか差がない!狙ったわけでもないのにちょっとすごい。
>>420様
次スレの方がよさそうですね。立てるのはまだ早いですよね。自分は次の投下は少し時間が掛かりそうだし・・。
どうしてもすぐ投下したいのなら、できるのなら半分前後に区切って投下ってのも手ですよ。
このスレは元々続き物ばかりですし。次スレ立ち上げも考えておきます。よーするに自分が早く見たいと
思ってるんです(笑)。
424 :
実験屋:2005/11/06(日) 03:58:42 ID:L7bXi3W+
>>アヒル様
一応自分の場合は有紀もエリスも髪は肩位で後ろ髪を
軽く結わえる程度の長さをイメージしてました。
胸に関しては二人とも大きめですね。自分的にも
大きすぎない程度にあるのが好みだったり・・・って何言ってるんだ俺は!!
まあ、こんな感じです。
>>422-423 ありがとうございます。急いでいるわけでもないし、どこで切るべきか迷うので、
推敲して、次スレになったら投稿してみます。
426 :
417:2005/11/06(日) 07:27:36 ID:mmmqgWRO
ID違うけど一応言っておくと
>>425は私です。
このレスもID違いますが気にしないでください…。どうもすみません。
狂介オモロw
最高っす
次スレ立てる時は、テンプレの修正と
1にテンプレ入れない場合はアンカーお願いします。
倉庫作品だと
ナタリー頑張る、司9-3、土曜日5週間目、さぷらいずGID2が40-50kb。
土曜日4週間目が60-70kb。
ワードだと無意味にファイルサイズ大きくなってると思う。
テキスト形式で保存しなおしてみたら100kより小さくなるんじゃないかな。
ワクテカパンツ下ろして待ってます。
429 :
実験屋:2005/11/06(日) 17:33:03 ID:L7bXi3W+
>>417 亀レスですが、大作の予感!!
期待してます!!
司タンまだかな
病み上がりに完徹カラオケで喉を潰した馬鹿ですこんばんは。
そんなわけで投下もしばしお待ちください。
>男装萌えトーク
司の髪はかなり短めです。
バレないようにしようという意志の表れですが、多分……微妙に伸ばすんじゃないですかね今後w
胸はやはり、ある程度以上の大きさがあるのと隠し切れないので貧乳が妥当かな、と思ってます。
Bでも潰すの大変だし……どうも男装される方によるとサラシは実用的じゃないとか、そんな情報もあったりw
でも「実は巨乳」にも無論萌えますw
433 :
417:2005/11/07(月) 00:35:06 ID:9bef8J6u
ファイルサイズが大きくなっているという言葉を信じてとりあえず投稿してみます。
とりあえず、無理矢理な描写と近親相姦(義理ですが)がありますので、苦手な方はスルーしてください。
無駄に長いけどエロくないのであまり期待しないでください・・・。それでは。
434 :
417:2005/11/07(月) 00:37:46 ID:9bef8J6u
男が廊下を歩いていた。背が高く、短い黒髪に日に焼けた彫りの深い顔立ちをしている。
翠色の瞳は野心に満ち溢れ、軍服に包まれた身体は無駄のない筋肉に覆われていた。
若くして王立軍の中でもすべての技能に優れた者しか所属することの出来ない、エリートの集まりである騎馬隊の副隊長を務める彼、
エドガー・ブラックは、いつからかその外見と名前から、畏敬と尊敬の念を込めて“黒獅子”と呼ばれていた。
「エド副長ー」
気楽に呼びかけてきたのは、副隊長補佐で同期のフレデリック・バートだった。
エドガーと同じように短く切り揃えて額を出した髪型は、彼の場合その幼さを引き立たせている。
部下に舐められない様にと伸ばされた髭がアンバランスだった。
「どうしたフレッド」
「朝言ってた入隊試験だよ。このところの戦闘続きでだいぶ人数減ったからなぁ。隊長は北部遠征でまだ帰ってこないし、代わりにお前が見るしかないって言ってあっただろ」
「ああ、そうだったな。中庭か?」
「みんな待ちくたびれてるよ」
金髪をかきあげてぼやくフレッドと共に中庭に出る。入隊希望者と思わしき若者たちは、みな緊張しているようだった。
エドガーは審査を務める各隊長たちのところまで行き、遅れてきたことを詫びて席に着いた。
一人の受験生がエドガーの目を惹いた。弓の扱いが抜群に上手い。
走る馬の背中から弓を射る試験でも、綺麗な姿勢で的の中央を的確に射止めてくる。
うちの隊に欲しいな、そう思ってしばらくその若者を見つめる。
しかしそのうちに、残念ながら剣の扱いや体力は人並み以上ではないことがわかった。
騎馬隊に入れるほどではないが、弓の実力はかなりのものだ。鎧で顔は良く見えないが、その下の顔はまだ若いようだった。
「どうだブラック副長。誰か騎馬隊に欲しいのはいたか?」
隣に座る砲撃隊の隊長に話しかけられ、エドガーはその男から目を離した。
長弓隊に配属されることになったその男は、わずか3年で長弓隊の副隊長に出世した。
エドガーとその男が入隊試験以来の再会を果たしたのは、王立図書館でのことだった。
1年前に騎馬隊の隊長に就任したエドガーは、攻城に関する資料を集めに図書館に足を運んでいた。
435 :
417:2005/11/07(月) 00:38:54 ID:9bef8J6u
戦術に関する本がぎっしり詰まった棚の前には先客がいた。
暗い図書館の中、窓のかたちに切り取られた光に照らされた細い金髪と白い肌は、どこか作り物めいて見える。
床にいくつもの本を並べて、それをあぐらをかいて読んでいた青年は、
エドガーの足音に気付きふと顔を上げ、相手に気付くとぎょっとしてすぐに立ち上がった。
「申し訳ありませんブラック騎馬隊長殿、お見苦しいところをお見せしました」
直立不動で敬礼をする青年に、エドガーは楽にするよう指示した。
「ああ、気にしなくていい。ええと――」
「ノートンです。オリバー・ノートン長弓隊副隊長です」
副長になったばかりのオリバーは、よく見るとまだ少年っぽさが残る顔立ちをしていた。中性的な、整った容姿をしている。
耳にかかるぐらいに切り揃えた綺麗な金髪をさらさらと揺らし、オリバーは丁寧におじぎをした。
きちんと制服を着込んでいるが、線の細さが目立つ。背はそれなりに高く、手足が長かった。
そのせいで細長くひ弱そうに見えるが、青い瞳は強い意思を表している。
「何を読んでいたんだ?」
床に散らばる本に目をやる。開かれたページには騎馬弓隊の陣形がいくつか図解されていた。
「弓の戦術書です、ブラック騎馬隊長殿」
「ああ、エドガーでいい。勉強熱心だな」
「ならば私のこともオリバーとお呼び下さい。―いえ、自分はまだまだ勉強不足ですから」
そう言って本を拾い集めると、オリバーはそれらを持って「失礼します」と言い、去っていった。
その後ろ姿を見送ってから、エドガーは本棚に視線を巡らせた。
「ようエド。久しぶりだな」
各隊の隊長が集まった会議の後、エドガーはフレッドに話しかけられた。
弓の腕前を買われ長弓隊に異動し、今ではその経験と指導力から隊長に出世している彼は、隊員たちからも慕われているようだった。
「フレッドか。お前は相変わらず能天気だな。今度の戦いは遠距離戦が要だっていうのに」
「大丈夫、うちは副長が優秀だから」
明るく笑うフレッドにため息をつきながら、エドガーは並んで歩く。
「そう言えばお前のところの副長、この前会ったな」
「オリバーに?あいつ態度悪いだろ」
「え?いや、むしろ礼儀正しかったが」
そう言うとフレッドは目を丸くした。そしてしたり顔で頷き出す。
「猫被られたな。あいつ普段は相当気が短いんだよ。スパルタだぜ、あいつの訓練は。顔立ちが整ってるからおとなしく見えるけど」
そういえば、あぐらをかいて本を読んでいたか、とエドガーは思い出した。
「でもうまく隊を指揮するし、何だかんだ言って面倒見いいからみんなに慕われてるよ。
それに弓では俺も含めて隊の誰も敵わないからなぁ」
「そうらしいな。残念ながら入隊試験以来、俺は見たことがないが」
「最近剣も上達してきたしな。あ、でも騎馬隊に取らないでくれよ」
優秀な副長を自慢する顔つきになっていたフレッドは、慌てて釘を刺した。
「わかってる。それよりお前、例の調査は進んでるのか?早く提出してくれ」
「あれかぁ。気が重いんだよ、俺の隊にそんな奴はいないって信じたい」
「しっかり調査しろよ、じゃあな」
騎馬隊長室に戻って、エドガーは書類を読み始めた。最近、軍の機密情報が隣国に漏れているのではないか、と思わせる出来事があったのだ。
そこで各隊長はスパイがいないかどうか調査を行っている。今エドガーが読んでいるのはその調査報告書だった。
コンコン。ドアがノックされる音に、書類を読みふけっていたエドガーは顔を上げた。
「オリバー・ノートン長弓隊副隊長です。隊長から書類を預かってきました」
「入れ」
「失礼します」
オリバーは洗練された動作でドアを開け、部屋に入って敬礼をした。動作は丁寧だが、無表情なので愛想がない。
渡されたスパイに関する調査報告書は、サイン以外はフレッドの筆跡ではなかった。
「これ、お前がやったのか?」
「はい。隊長はお忙しいとのことだったので」
「あいつのことだ。どうせ自分でやるのが面倒だったから押し付けたんだろう」
綺麗な文字が記された書類を受け取り、エドガーはオリバーを誘って外に出た。
436 :
417:2005/11/07(月) 00:40:31 ID:9bef8J6u
外は良く晴れ、空気が澄んでいた。開放的な気分になったエドガーの後ろから、理由も告げずに連れ出されたオリバーが質問してくる。
「あの、どうされたのですか、エドガー騎馬隊長?」
「あいつがお前の弓をやたらと褒めるから、見ておこうと思って」
そう言って弓の練習場に連れて行く。オリバーは恐れ多いと言って断ろうとしたが、構わず引っ張っていく。
練習場にはたくさんの長弓隊員がいた。みな二人の姿を認めると、震え上がって敬礼する。
彼らはエドガーだけでなく、それと同じぐらいオリバーのことを恐れているらしいのが伺えた。
スパルタというのは嘘ではないらしい、とエドガーは含み笑いをすると、オリバーに一番遠くの的を狙うよう言って、自分は後ろに下がった。
部下に自分の弓と矢筒を持ってこさせたオリバーは、まったく面倒臭いと内心で思いながら矢をつがえた。狙いを定めて瞬時に射る。
狙い通りに的の真ん中に矢を当て、続けざまに残りの矢を射っていく。10本ほど射ると、エドガーがもういいと言ってそれを止めた。
「すごいな。速いし、狙いが正確だ」
感嘆の言葉に深々と礼をしたオリバーは、当たり前だと心の中で毒づいた。こんな見慣れた、動かない的じゃ話にならない。
「では次にいくか」
「次?」
「こんな動かない的じゃお前が不満そうだからな。外に行くぞ」
一瞬ぽかんとしたオリバーは、「いえ、不満などありません」と取り繕った。しかし「猫を被らなくていい」とエドガーが笑って言うと、
フレッドが自分のことをばらしたのだろうと気づいたらしく、不機嫌な表情を隠さなくなった。
外の練習場で走る馬に騎馬したまま矢を射らせると、入隊試験の時よりも距離があるのに、それをものともせず正確に的の中央ばかりを撃ち抜いた。
これは自分でも敵わないな、とエドガーは判断した。フレッドが放したくなくなるわけだ。
「もういいですか?仕事戻りたいんですけど」
オリバーは相変わらず不機嫌そうだ。もう本性を隠す気はなくなったらしい。
周りで自分たちを遠巻きに見ている長弓隊の隊員たちにも「見てんじゃねーよ、自分の訓練に戻れ」と叫んでいる。
437 :
417:2005/11/07(月) 00:41:56 ID:9bef8J6u
「次は剣だ」
剣の練習場へ行き、うんざり、という顔をするオリバーに防具を渡す。
「…俺剣は得意じゃないって言いましたよね」
「言ったな」
「で?何すればいいんですか」
髪を耳にかけて兜を被ったオリバーは、自分の腰に帯びた真剣ではなく壁際にかかっていた練習用の木剣を手にした。
「真剣を持て」
「え?」
「俺と勝負だ」
「えぇぇ!無理、何言ってんですか!」
兜を脱いで抗議しようとするオリバーに、エドガーは剣を抜いて構えた。
その気迫に本気だということがわかったのか、オリバーは黙って剣を持ち替える。
騎馬団長自ら剣の訓練を付けてくれるというのは、騎馬隊員か長剣隊員ならとても名誉なことだ。
しかしあいにくオリバーは長弓隊員だ。恐怖が先に立つ。
それでもおとなしく細身の剣を構えたオリバーに、“黒獅子”と呼ばれる剣の使い手は呼吸を整えて言った。
「行くぞ」
言葉とほとんど同時に踏み込む。
「…っ!」
オリバーは剛剣の重い一振りを何とか受け止めた。しかし腕に電流のような衝撃が走り、慌てて飛びすさる。
休む間もなく次々に攻撃がきて、オリバーはそれらをかわすので精一杯になる。
「逃げてばかりじゃ勝てんぞ。自分から来い」
勝手なことを言うな、とオリバーは言いたかった。
王国一の剣の使い手、伝説の“黒獅子”に弓が専門の自分がどうやったら敵うというのか。冗談じゃない。
声を出す余裕もなく、防戦一方のオリバーの身体すれすれのところを剣が掠めていく。
「はぁっ!!」
オリバーは渾身の一撃を繰り出した。しかしそれをあっさり防がれ、身体ごと弾き飛ばされる。
「うわっ」
バランスを崩して倒れこんだオリバーの喉元に横からエドガーの剣が突きつけられた。
「何だ、もう終わりか?」
「まだまだぁ!」
転がって刃から逃れ、立ち上がって剣を振りかぶるオリバー。一度火がついたら熱くなったらしい。次々と斬りこんでくる。
それらをかわし、自分からも攻撃を仕掛けながら、エドガーは冷静にオリバーの実力を見定めていた。
(青いな。太刀筋が簡単に読めてしまう。しかしなかなか素早い。俺の攻撃をすべて防ぎ、かわしている。あとは力さえあれば――)
ガキィン!大きな音を立て、オリバーの剣が弾け飛んだ。遠くの地面に刺さってしまう。
すぐに後ろに退がると、オリバーは息を切らしながら悔しそうに言った。
「…降参、です」
「非力だな。まあでも長弓隊にしてはよくやったほうだな。オリバー、お前いくつだ?」
「18、ですけど」
まだ若い。それならこれから剣の腕を鍛えれば、騎馬隊で自分の副長としてやっていけるかもしれない。
438 :
417:2005/11/07(月) 00:43:18 ID:9bef8J6u
「決めたぞ」
「はぁ?」
兜を外して座り込み、一息ついていたオリバーが顔を上げる。
汗で額に貼り付いた髪をかきあげる彼に対して、エドガーは涼しい顔をしている。汗をかくどころか息さえ上がっていない。
「これから毎朝、俺がお前に訓練を付けてやる」
そう自信たっぷりに宣言したエドガーを、オリバーは鼻で笑った。
「何言ってんですか。…俺、長弓隊ですよ」
「可愛げがないな」
「そんなものいりません」
「その性格も気に入った。フレッドはお前を騎馬隊にはやらんと言ったが、ぜひ手元に置いておきたい。いつか騎馬隊の副長にする」
「…はぁ?」
何言ってんだコイツ、という表情を顔いっぱいに浮かべ、オリバーはエドガーを見上げた。
「明日の朝からだ。ここで6時に」
「え、ちょっ、本気ですか!?」
エドガーは足取りも軽くその場を後にした。一人残されたオリバーはしばらく呆気に取られていたが、
そのうちに一瞬だけ、何か逡巡するような表情を浮かべた。
しかしすぐに立ち上がって、地面に突き刺さったままの自分の剣を抜きに行った。
次の日から始まった訓練は、すぐに軍全体の噂となった。2日後にはフレッドが文句を言いに来たが、
エドガーの騎馬隊のほうが権力も実力も立場も上である。泣き寝入りするしかなかった。
「ほら、腰が引けてるぞ!」
「はい!」
「そんなわかりやすく斬りかかってきてどうする!考えろ!」
「はいっ!」
重い剣戟の間に交わされる指導。オリバーは飲み込みの早い優秀な生徒だった。
朝の訓練だけでなく空き時間に自主練習を続けたこともあり、半年も経つと騎馬隊にいても引けを取らないぐらいに剣の腕前を上げた。
相変わらず力はないが、技のキレとスピードはエドガーも感心するほどになった。
正式に騎馬隊の副隊長に就任したオリバーは、その卓越した弓の才能と努力の結晶である剣の技術、
そして指導力とカリスマ性で徐々に騎馬隊員たちに認められていった。
「ほらそこ!脇締めろっつってんだろ、何度も言わせんな!」
「動かない的ぐらい当てろ!それでも騎馬隊員か?」
弓の訓練を指導するオリバーは隊員たちに鋭い檄を飛ばす。若くして実力を兼ね備えたオリバーは、
厳しいし口こそ悪いが、面倒見の良さと誰よりもわかりやすい指導をするので評判になった。
勉強熱心で戦術にも詳しく、実戦では部下たちを率いて弓で的確に遠くの敵を撃ち、
かと思えば細い身体のどこにそんな力があるのか、自ら敵陣に突っ込んでいっては剣を振るう。
態度は悪いが確かな実力と整った顔立ちを持つ副長を、騎馬隊員たちが尊敬のまなざしで見始めるのに時間はかからなかった。
エドガーには時折少し距離を取るようなそぶりがあったが、すぐにその右腕として力を発揮していった。
439 :
417:2005/11/07(月) 00:44:12 ID:9bef8J6u
フレッドが騎馬隊長室を訪れ、実家に帰ったら母親に持たされたという手作りのお菓子をお裾分けに来たある日のことだった。
さっきまでそのお菓子を食べていたオリバーが、じっと自分の方を見つめているのに気付き、エドガーは顔を上げた。
「どうした?もっと欲しいのか?フレッドの母上は菓子作りがうまいからな」
「いえ、子どもじゃないですから。―ふと思ったんですけど。隊長のご家族はどうされてるんですか?」
水を湛えたような静かな青の瞳に浮かぶ感情はよく読み取れなかったが、いつものような不機嫌さは感じられなかった。
オリバーからふっと視線をそらしてエドガーは答える。
「死んだよ。いや、殺したんだ」
「え?」
「俺が殺したんだ。7年前に、親と弟を」
オリバーは何も言わなかった。言えなかったのかもしれない。お前だから言うけど、と前置きしてエドガーは昔話を始めた。
「俺はある地方貴族の長男として生まれた。ただし妾の子だ。
正妻にはなかなか子どもが出来なくて、父親があてつけにメイドに産ませたのが俺だ。俺を産んですぐ母は死んだ。
父は俺に厳しかった。後継者教育を受けさせられたんだが、少しでも間違えると母親の血が悪い、と言って殴られた。
…父は、俺を愛していなかった。何しろ正妻に男の子が生まれた途端俺を追い出したんだからな」
エドガーは苦々しく笑った。
「それが12歳の時だ。それからしばらくは孤児院にいたが、そのうちに軍に志願した。
実家が隣国と裏で通じているという情報が入ったのが、俺が23歳の時。俺は自分からその討伐隊に加わった。
―そしてこの手で父親と義理の弟を殺した」
オリバーはうつむいたままそれを聞いていた。少し伸びた前髪が顔を隠してしまい、表情はわからない。
「―すみませんでした」
「気にしなくていい」
オリバーはうつむいたまま、ぽつりと呟くように聞いた。
「隊長は、憎かったんですか?その弟さんも」
「え?まぁ自分の居場所を奪われたわけだから、憎くないわけではないな」
「…そうですよね」
続けて何か言おうと口を開きかけたエドガーだったが、そこに突然ノックの音がした。
「隊長、報告があるのですが」
「入れ」
報告にきた隊員と話していると、オリバーは突然席を立った。
「弓の訓練の時間なので」
いつもみたいに無愛想にそう言うと、彼は部屋を出て行った。
「…何言ってんだろ、俺」
扉の外でため息をつくと、オリバーは廊下を歩き出した。
440 :
417:2005/11/07(月) 00:45:14 ID:9bef8J6u
(ねえ、いつもみたいに取り換えっこしようよ!)
少年は少女に提案した。少年は貴族の子弟が着るような仕立ての良い服を着ているのに対して、
少女が身にまとうのはそれに仕える女性が身につける簡素なドレスだった。
(いいわよ、じゃああたしが王子様でエリアスがあたしのお世話係ね)
少女はそう言って、着ていた服を脱ぎだす。彼らの関係は主従のそれだったが、乳兄妹として育てられた彼らには、あまりそういう概念はなかった。
(僕は王子様じゃないよ、セシリア)
そう笑って、少年も着ていた服を脱ぐ。二人とも下着姿を気にするわけでもなく、互いに着ていたものを交換して身につけていく。
(じゃあ遊んでくるよ)
少女の服を着た少年はそう言って、窓から外に出た。
(いいわよ、でも早く帰ってきてね。お勉強の時間なんだから、ご主人様が見にくるかもしれないし)
(お父様なんて来ないよ。僕のこともお母様のことも愛してないし、それにお仕事があるって言ってたもの。
…とにかく、お昼ごはんまでは大丈夫だよ。じゃあねセシリア、あとはよろしく)
髪の毛を帽子の中に入れようとしている少女を部屋に残し、少年は駆け出した。
眠れないので水でも飲もうと思い部屋から出たエドガーは、ふと外で何かが動いているのを見つけた。
よく見てみるとそれは、窓の外を早足で通り過ぎていく誰かの後姿だった。
(こんな時間に誰だ?)
宿舎の見回りの時間でもない、中途半端な時間だ。影はそのまま外を進み、隣の建物に入っていった。
やがてカンテラのものらしきうっすらとした明かりが、騎馬隊長室から漏れてくる。
危険を感じ、部屋に戻って愛用の剣を持つとエドガーは騎馬隊長室へ向かった。例のスパイだろうか。
そっと歩みを進め、夜目に慣れてから静かに抜刀し、騎馬隊長室のドアを乱暴に開ける。
「そこで何をしている!」
持っていたカンテラの明かりに照らされたのは、見慣れた金髪の青年だった。
いつか図書館で目にしたときのように、床に所狭しと広げられた資料の真ん中であぐらをかいて座っている。
「オリバー?」
それに気付いたオリバーは素早く立ち上がると、十分に距離を取って剣を構えた。エドガーに教え込まれた、無駄のない動作だった。
「隊長…気付いてたんですか、それとも偶然?」
床に散らばった極秘文書や作戦会議の議事録。それらとこの態度を見れば、オリバーが隣国のスパイであることは明らかだった。
「お前がスパイか。何故こんなことをした?」
オリバーは答えなかった。その代わりに剣を振りかぶって、攻撃を仕掛けてくる。
狭い室内で思うように剣が振るえない中、二人はしばし無言で討ち合った。
オリバーの華奢な腕がエドガーの重い剣戟を受け止めきれず、一瞬身体が揺らぐ。
その隙を見逃さず、エドガーは剣の持ち手を思いっきりオリバーの腹に叩きつけた。
「ぐっ…」
どさりと倒れこんだ細い身体。他に武器を隠していないか調べ、拘束しようとして、エドガーはオリバーの身体に触れた。
441 :
417:2005/11/07(月) 00:46:32 ID:9bef8J6u
少しの間気を失っていたらしい。オリバーが気付くと、身体は後ろ手に縛られて、床に転がされていた。
あちこち浅い切り傷が出来ていて、いつも崩すことなく着ている制服がところどころ破れている。
「ってー…。あー、…これ絶対アバラ何本かいっちゃいましたよ」
目の前で自分に剣を突きつけている上官に物怖じすることなく、気丈にもオリバーは笑ってみせた。
「答えろ。何故こんなことをした?お嬢様」
何とか起き上がって床に座ると、オリバーは答えずにエドガーを見上げた。無表情だった。
エドガーは大きくため息をつく。
「まさかお前がスパイで、しかも女だったとはな。お前を見込んだ俺は本当に馬鹿だよ」
「殺すのか?」
「詳しいことを、拷問してでも吐かせる。それまでは殺さん。舌を噛み切って死のうなんて考えるなよ」
「んな女々しいことしねぇよ。あーあ、やっぱ剣じゃあんたに勝てねぇわ。“黒獅子”って呼ばれてるだけあるな」
いつも部下たちに言っているような乱暴な口調で吐き捨てると、オリバーは壁に背中を預けた。
女性だとばれたこともまったく気にしていないような、粗野な動作だった。
「やっぱ寝込み襲って殺しとくんだった。何の為にここに入ったのかわかりゃしねえ」
はっ、と息を吐いてエドガーの瞳を挑戦的な眼差しで見つめる。
「勇敢なお嬢様だな、オリバー…いや、本名はオリビアか?」
彼の名乗っている名前の女性形を口にしたエドガーに、オリバーは余裕の態度で微笑み、答えを返した。
「エリアスだよ」
「何…?」
エドガーの目が驚きに見開かれる。その名前には覚えがあった。
それに構わず、エリアスは歌うように言った。
「エリアス・ウィード。覚えてるか?7年前あんたが殺し損ねた義理の弟だよ」
言葉を失っているエドガーを見上げ、エリアスは高らかに笑った。
「残念だったな、ウィード家の血を絶てなくて。そのせいでこの戦争は負けだぜ、例えあんたが今から俺を殺そうとな」
オリバー、自称エリアスの乾いた笑いが部屋に響く。狂ったように笑う彼女に、エドガーは剣を突きつけたまま冷静に答えようとする。
「俺は確かにあの日、この剣で弟を殺した」
「あんたが殺したのは俺の服を着てた乳母の子だよ。俺はあの日彼女と服を交換して外に遊びに行ってたんだ」
そう言ってエリアスは唇の端を上げて笑った。無理に笑おうとしているのがエドガーにもよくわかる、痛々しい笑みだった。
「それ以前に、お前は女だろう」
エドガーの声にゆっくりと顔を上げたエリアスは、前髪の下で傷付いたようで諦めたような、複雑な表情を浮かべた。
「ほんとにそう思ってたのか?」
声は低く、とても静かだった。さっきまで高い声で笑っていた彼女とは、まるで別人のように。
「どういう意味だ」
「俺は男として育てられたんだよ。あの家の後継者になるために、生まれた時からずっとね」
エドガーの突きつけている剣先が少し揺らいだ。
「ポケットの中見た?懐中時計入ってたろ。あの蓋の裏、見てみろよ」
そう言われてエドガーは剣先を突きつけたまま、さっき彼女の身体を確かめた時についでに没収してあった懐中時計を自分の懐から取り出した。
「これは…」
蓋を開けると、その裏には自分の生家の家紋と、『我が息子エリアスへ』という文字が刻まれていた。
「ふざけるな!」
エドガーは思わず膝をついて思いきり目の前の少女を殴りつけていた。では、自分は一体何だったと言うのだ。妹のために家を追い出されたのか?
衝撃に身体をぐらりと傾かせながら、エリアスは内心でにやりと笑った。そうだ、もっと怒ればいい。
442 :
417:2005/11/07(月) 00:48:07 ID:9bef8J6u
身体を起こし、エリアスは母の顔を思い出した。
かわいそうな母。彼女は跡継ぎを産むことが出来れば、永遠に夫の愛を手に入れることができると思っていたのだろうか。
実際は父の女遊びが途切れることはなかったし、いくら娘を息子と偽って優秀な後継者に仕立て上げようとしても、
病気には勝てず彼女はあっさり亡くなってしまった。
「どんな気分?弟じゃなくて妹のせいで後継者になれずに家を追い出されたってわかって、
しかも殺したはずのそいつが生きててあんたの邪魔してさ。俺のこと殺したくなったか?」
エリアスはわざと兄を挑発した。怒りで周りが見えなくなったときが最後のチャンスだ。
剣は取り上げられてしまったが、ブーツの底に隠してある護身用のナイフ。
先ほどブーツを少し振ってみたが、その存在は気付かれていないようだった。
父とセシリアを殺し、家を断絶した男。そうだ、何としても彼だけは殺さなければいけない。
それが貴族としての義務だった。例え勝ち目はなくても、そうしなければ今まで生き長らえてきた意味がない。
手を縛りあげている縄をわからないように緩めると、エリアスは慎重にチャンスを見計らった。
「セシリアを殺してどんな気分だった?なぁ、答えろよ」
「…」
ふらふらと立ち上がり、剣を突きつけることも忘れ、言葉を失い呆然としている兄を見上げ、エリアスは今がチャンスだと悟った。
縄をほどきつつブーツの底を床に叩きつけ、中から飛び出してきたナイフを掴むと、立ち上がりざまに喉元めがけて切りつける。
「!」
さすがに王国一の実力者だけあって、エドガーの反応は素早かった。とっさにナイフを避け、エリアスに思いっきり蹴りを食らわす。
迷いがあったのか、わずかに鈍った刃先。首の皮が少しだけ切れたが、血が滲んだ程度で大したことはない。
「がは…っ」
壁に叩きつけられて激しく咳き込むエリアスを、彼は仮眠の為に衝立の向こうに設けられている簡易ベッドに突き飛ばした。
「…懲りないな。その程度の実力で俺を殺せるとでも思っていたのか?それに、やるなら迷わずやれ」
衝撃に彼女が息を詰まらせている隙に、再び両腕をまとめてベッドの手すりにきつく縛り付ける。
「…っ」
彼のぎらぎらした怒りに燃えた目に一瞬動きを失ったエリアスだったが、意図を察して彼の身体の下から蹴りを入れ始めた。
「迷ってなんかいねぇよ!っざけんな、放せよ!」
エリアスの蹴りは、軍に何年もいるだけあってそれなりの威力があった。
しかしそれ以上の実力を持ち、かなりの体格差があるエドガーには通用しない。
うまく体重をかけて上に乗られてしまうと、もう抵抗は封じられてしまった。
「くっそ、憎いなら殺せばいいだろ、こんな卑怯な真似してんじゃねぇよ!」
エドガーがわめいて暴れるエリアスの口を自らの唇で塞ぐと、彼女はくぐもった悲鳴をあげ、侵入してきた彼の舌を噛んだ。
「っ」
思わず口を離したエドガーに、エリアスは早口でまくし立てた。
「シュミの悪りぃことしてんじゃねえよ!俺は男だ!」
「…まったく、気の強い女だな。わからせてやるよ」
冷たい翠の瞳を細め、エドガーはにやりと笑った。めちゃめちゃにしてやりたい気分だった。
443 :
417:2005/11/07(月) 00:49:12 ID:9bef8J6u
口元の血を拭って、エリアスのきちんと着込まれた制服を乱暴に脱がせる。
シャツのボタンがいくつか飛ぶと、白い肌の上にきつく巻かれたサラシが現れた。
息を呑む彼女に構わずサラシを引き裂く。血を見たからだろうか、エドガーの気分はひどく高揚していた。
「やめろ!」
自分の身体の下で必死に暴れるエリアス。男として育てられたからだろうか、薄い筋肉のついたその身体はしなやかで少年めいていた。
しかし胸や腰は丸みを帯びたきれいなラインをしている。そのギャップが倒錯的で、扇情的だった。
エドガーは戦闘中、敵を殺している時のように興奮していた。今自分は、義理の妹に手を出すという禁忌を犯している。
酷薄な笑みを浮かべ、エリアスの胸を掴むと嫌悪感に顔を歪める彼女の耳元に囁く。
「大きくはないが、きれいな胸だな。これでも自分を男だと言うのか?」
「っ、うるせぇよ!」
「恨むんなら俺を殺せなかった自分の実力不足を恨むんだな」
言ってエリアスの胸をやさしく揉んでやる。エリアスが身震いをしたのが感じられた。
「くそっ、舌噛んで死んでやる」
「そんな女々しいことはしないんじゃなかったのか?」
その言葉にエリアスは悔しそうに唇を噛んだ。しばらく何か考えているようだったが、そのうちに顔を背けた。
「…後でぜってえ、殺してやる」
エリアスは悔しそうにそう言うと、力を抜いた。諦めたらしい。
しばらく愛撫を続けていると、唇を噛んで耐えていたエリアスの息がだんだんあがってきた。
「ちくしょう、やめろよ」
快楽をまぎらわせようと首を振るエリアス。エドガーが「感じているのか?」とからかうと、泣きそうな顔をして「ちがう」と否定した。
「こんなの、知らない…」
声はひどく弱々しかった。生まれてから今まで男として生きてきた彼女には、どうしていいのかわからないらしい。
カンテラの明かりに照らされたエリアスの肌は、普段日にさらされることが少ないためか白くなめらかだった。
その白に、先ほどの斬り合いで出来た浅い切り傷の赤が映えている。
胸をいじりながら白い首筋に口を寄せてべろりと舐め、きつく吸うと、抑えていたエリアスの声が漏れた。
「…ぁ」
エドガーはそれを揶揄すると、気をよくして下着ごとズボンを脱がせた。わずかに濡れたそこを指でやさしく愛撫する。
わざといやらしい音を立ててやる。エリアスのプライドを引き裂いてやりたかった。
444 :
417:2005/11/07(月) 00:50:36 ID:9bef8J6u
声を抑えることを諦め、エリアスは自分の上にのしかかる男を何となく見上げていた。
何でこんなことになったのかよくわからなかった。
殺しておけばよかった、そう思ったが同時に心の中にそれを否定する自分がいるのにも気付いていた。
殺すチャンスならいくらでもあった。今までそれをせずにきたのは、ひとえにこの男のそばにいたかったからだ。
戦闘で味方であるはずの隣国の敵を出来るだけ多く倒してきたのも、怪しまれないようにするためだけではない。
何よりこの人に褒められたかったからだ。いつも寂しそうに笑うこの人を、喜ばせたかった。
憎むべき相手であるはずなのに、いつしか純粋にこの人の強さに憧れていた。
もっとそばにいたい、そう思って必死で苦手な剣の練習もしてきた。
実力をつけて、一対一で戦って倒すためだと自分に言い聞かせてきたけど、本当はこの人が好きだったのだ。
それも憧れではなく、女として。
「どうした?気持ちいいか」
エドガーはひどく凶暴な目つきをしていた。何でこの人はこんなことを言うんだろう。
…ああ、そうか。
「…っ、く」
「オリ…エリアス?」
急にぼろぼろと涙をこぼし始めたエリアスに、エドガーの動きが一瞬止まる。
「…痛いのか?」
ちくしょう、今さらになっていつもみたいに優しくするんじゃねぇよ。エリアスは泣きながらぶんぶんと首を横に振った。ひどく胸が苦しかった。
エリアスの涙で冷静になったらしい。エドガーはかけていた体重を緩めて、エリアスの中でかき回していた指を抜いた。
「…ごめんなさい、兄貴」
しゃくりあげながらそう言うと、エリアスはひたすら泣きじゃくった。涙で兄の表情はよく見えない。
「いいよ、あんたの気が、それで済むなら。好きにしていいよ」
切れ切れにそう言って、エリアスは身体の力を抜いた。
副長としてそばにいたエリアスには、翠の瞳が何を言いたいかよくわかっていた。
この人は淋しかったんだ。誰にも愛されずに、淋しかったんだ。
自分が生まれたせいで彼がこうなってしまったのなら、父が死んだ今、自分がその憎しみを受け止めようと思った。
ごめん、セシリア。仇が取れなくて。エリアスは静かに目を閉じた。
例え犯された後で殺されても、それはそれで構わなかった。
兄を殺したところで、死んだセシリアや父、なくなった家が戻ってくるわけではない。
ただ義務感から今まで生き長らえてきて、隣国にひたすら利用されてきた自分にはふさわしい最期のような気がした。
445 :
417:2005/11/07(月) 00:51:56 ID:9bef8J6u
覚悟を決めたエリアスに訪れたのは、しかしやさしい口付けだった。
「…?」
ぼんやりと目を開けたエリアスの涙を拭き取ると、エドガーはばつが悪そうに視線を彷徨わせた。
「すまない、どうかしていた」
そのままエリアスの上からどくと、エドガーは彼女の身体にシーツをかけた。
「…何で」
掠れた声で静かにエリアスが問う。自分のことを憎み、怨んでいるはずの彼が、なぜいきなりこんなことをするのかわからなかった。
「…こんなことがしたかったんじゃない」
そう言うとエドガーはエリアスの身体から視線をそらし、ベッドの端に座った。
本当はわかっていたのだ。彼女に怒りをぶつけるのは間違っていると。
彼女が跡継ぎの男児として育てられてきたのは彼女自身がそうしたかったからではないし、
隣国のスパイになったのも、家がなくなって他に頼るものがなかったからだ。
自分たちが憎みあうのは間違っているのではないか。彼女をさんざんいたぶりながらも、彼は心の中のどこかでそれを考えていた。
エドガーはエリアスの手を戒めていた縄をほどいた。赤く腫れた手首にそっと口付ける。
エリアスはもう彼に襲い掛かってはこなかった。静かに起き上がると、青い瞳でじっと彼の行動を見ている。
嫌われただろうな。エドガーは苦笑した。
自分の副官としても軍人としても優秀で、素直に感情を表す彼女のことが好きだったのに。
戦闘中に弓を射るその凛々しい姿。ぴんと背筋を張って敵を見据え、的確に目標を見据える青い瞳。
愛想がなく大抵は不機嫌そうだが、中性的で綺麗な顔立ちを見るにつけ、こいつが女だったらなぁと思っていた。
自分は馬鹿だ。自嘲の笑みを浮かべ立ち上がろうとしたエドガーは、手を引かれてそれを留まった。
「わけ、わかんねぇよ」
涙声で呟いたエリアスは、ぎゅっと、エドガーの腕を掴んでいた手に力をこめた。
「そんな寂しそうな顔してるあんたのこと、ほっとけるわけないだろ」
驚いた顔をしているエドガーのたくましい胸元に顔をうずめて、彼女は聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声でこう言った。
「あんたのことが好き……抱いてよ」
この後、自分はスパイとして処刑されるのだろう。どうせ最後なら、一番好きなこの人に抱かれたいと思った。
446 :
417:2005/11/07(月) 00:52:52 ID:9bef8J6u
やさしく寝かされて、口付けをされる。どうしよう、どきどきしてきた。エリアスは泣き腫らして赤くなった瞳を彷徨わせた。
「…好きだ」
焦がれたような、余裕のない声でエドガーがそっと髪をなでる。さらさらした金髪が白いシーツに流れていてとても綺麗だった。
「うん」
もう舌が入ってきても胸を触られても、嫌悪感はなかった。
ぎこちなく舌を絡め返すと、エドガーが嬉しそうな顔をした。エリアスも嬉しくなって、たくましいエドガーの背中にそっと腕を回した。
「ん…」
熱に浮かされたような顔で控えめに喘ぐエリアスは、いつもの刺々しさがない分とても可愛らしい。
女らしい甘さはなく、そのしなやかな肢体は中性的だった。
腫れたわき腹に負担がかからないよう気をつけながら、エドガーは角度を変えて口付けた。
やわらかい胸をゆっくりやさしく揉むと、エリアスは困ったような顔をする。
「どうした?」
「っ何か…変なんだよ。怖い」
「怖がらなくていい。感じろ」
男として生きてきた彼女が、今さらになって急に女に戻ることは難しいのかもしれない。
それでもそのうちに、だんだん与えられる快楽に身を任せていこうとする。
「あ、…はぁ」
エドガーに殴られて腫れた頬は、それだけではない赤みで染まっていた。
「も、いいから、来てよ」
切なげに睫毛を震わせて、エリアスは切れ切れに言った。
「いいのか?」
中をかき回す手を止めずに、エドガーが耳元で囁く。
「あんたを、感じたい…」
掠れたその声に、理性が飛びそうになる。それでも傷付けないように気をつけながら、エドガーはエリアスの中に自身を進めた。
「っ、く…ああっ」
「痛いか…?」
顔を歪めるエリアスになだめるような口付けを落としながら、エドガーは聞いた。
狭くて熱いエリアスの中が締め付けてきて、自分もあまり余裕はなかった。
「だいじょぶ、だから」
「力、抜いて」
「うん…。っ、ふ」
痛みをごまかそうと、浅い呼吸を繰り返すエリアスは、戦闘で怪我を負っても決して弱音を吐かないいつもの彼女と同じだった。
それが彼女なりの処世術だったのだろう。自分にぐらい弱みを見せてくれてもいいのに、と苦笑しつつエドガーはゆっくりと腰を進めた。
「…」
生理的な涙でぼやける視界。折れた肋骨のことが気にならなくなるぐらい痛かったが、彼女は幸せだった。
今までで、いちばん近くに彼を感じる。彼の体温を、重みを、感触や表情を、最期まで覚えていようと思った。
いつもは冷静で、自信満々に部下を率いて圧倒的な強さで敵を倒す彼が、余裕なく眉を寄せて自分の中に吐精するのを、
エリアスはひどく満足しながら感じ、その顔を瞼の裏に焼き付けようと目を閉じた。
447 :
417:2005/11/07(月) 00:53:55 ID:9bef8J6u
騎馬隊隊長のエドガー・ブラックは、隣国のスパイとして拘束された副隊長のオリバー・ノートンの罪を軽くするよう王に訴えた。
彼は隣国に利用されていただけだとして強く直訴し、長弓隊隊長のフレデリック・バートや、騎馬隊と長弓隊の部下たちもそれに同調した。
彼のそれまでの功績と多くの者たちの嘆願によって、オリバーの罪は重いものにはならなかった。
半年の拘禁の後に騎馬隊に復帰した彼は、その人並みはずれた弓の能力で隣国との戦争の勝利に貢献することで借りを返し、その後すぐに退役した。
皆がその早すぎる退役を残念がったが、実家に戻ると言って去った彼の消息を知る者はほとんどいない。
同時に、家を買って宿舎から出た騎馬隊長が一緒に住み始めた相手が、短い金髪と青い目を持つ綺麗な女性だということを知る者もほとんどいなかった。
448 :
417:2005/11/07(月) 00:55:27 ID:9bef8J6u
以上です。ワードだったから重いだけで、実際は大したことありませんでしたね・・・。
どうもすみません。みなさんアドバイスありがとうございました。
GJです!
>417
GJ!です。
ぶっきらぼうなエリアスはものすごく好きですw
複雑な関係をすっきりまとめられていて感心しました。
ちょっとだけアドバイス。
ワードだとやたら重いので、メモ帳を推奨いたします。
改行も自分でそろえられて便利ですよ。
次回作は是非メモ帳で、とこっそり強請ってみる。
さて。今夜投下予定です。ここまでで439kb。
なんとかこのスレで修学旅行編は終われそうです。
司!司!
ワクワク
司ーーーーー!!
待ってますーーーーーー!!
国立博物館は静寂に包まれていて、賑やかな学生も普段よりは幾分大人しく見学を続けている。
その片隅で司はゆいに経過を報告し、笑顔をかわす。
「じゃあもう、大丈夫だね」
「うん。ご心配おかけしました」
軽く頭を下げた司に、ゆいはふと真面目な顔を見せる。
「ね……田宮君とは、大丈夫? 」
聞かれて思い浮かぶのは、縁結びの石の前で笑った健の顔だ。
不自然な間、不自然な距離、どこか躊躇いがちな笑顔。
胸の痛みはお互いに残っている。司の胸には、恐怖というしこりも残っている。
けれどそれは、いずれ消えるだろう。そう信じたい。
「……まだ、前と同じようにってわけにはいかないけど……大丈夫だと思う」
「そっか……うん、元の、親友に戻れるといいね」
「……うん」
そのままゆいと別れ、一人で館内を歩き回る。
まだ意識のどこかに混乱が残っていて、落ち着いて鑑賞しているつもりでも何一つ感動できない。
だめだ、と首を振り、早々とバスに戻る。まだ誰も戻って来ていない。
バスの席は、健の隣だ。新幹線でも。
それは誰よりも健の隣にいることが楽だったことを示している。
自分の秘密を共有し、自分を守ってくれる相手。
有り得ないくらい、都合のいい相手だった。そしてそうあることが当然だと思っていた。
深く腰掛け、ため息をつく。今更自分が蒸し返してもどうしようもない。
それでも、まだ何か伝え切れていない気がする。
集合時間を確認しようと開いた手帳に目を落とし、司はふとペンを取る。
書き終わってすぐに何人かがバスに乗り込んできて、彼らとたわいない話を始める。
健が戻ってからも、いつもと同じようにくだらない話を続けた。
二人きりでなければ、意識することもなくて済んだ。
京都駅から新幹線に乗り、今度は富士山を左手に見ながら地元に帰る。
その車内で、司は健の手荷物に一枚の紙をねじこんだ。
健はすぐにそれに気付いたが、その場で開けようとはなかった。
堂々と渡さなかった司の心中を察して、家で、できれば一人で読もうと心に決めた。
司はいつもどおりだ。隆也にも変ったところはないように見える。
ただ昨夜が異常だったのだ。
それぞれが自分の気持ちどおりに動くことができなくて、お互いに傷つけあって。
その結果がこれだ。
司は健の隣にいる。けれど彼女が帰るところは隆也の腕の中だ。
あるべき姿に戻ったのだ。行きの車内と、なんら変りはない。
それでもどこか、妙によそよそしい空気が残っている。足元が覚束ないような、不安を覚えさせる空気だ。
その不安から逃げるように、司は眠りについている。昨夜はあまりよく眠れなかったのかもしれない。
健の胸が鈍く痛んだ。
昨夜自分が犯しかけた過ちを反芻しながら、窓外の景色と司の寝顔を交互に眺めた。
自分がもしあそこでやめなかったら、司は自分の前でこんなに無防備に寝たりはしなかっただろう。
やめて―止められて、良かった。
首を巡らせ、隆也の姿を探す。顔は他の生徒でもなく、司でもなく、外に向いている。
やはり、行きとは違う。
修学旅行の前半は、隆也の視線が司を追って、隣にいる健が先に気付くことが多々あった。
健は、今朝笑って結論を出した司の態度に安心した。安心して、胸を痛めた。
けれどそれは結局、自分のことしか考えていなかったということなのだろう。
本当にすべてを元通りにするには、それではだめだ。けれど何をすればいいのかわからない。
ただ、うわべだけでも元に戻さなくてはいけない。
それしか、今は出来ない。
高校の最寄り駅で解散して、それぞれが大荷物を抱えて家路に着く。
「司。バスだろ」
「うん。健は……」
「マサやんちの車に乗せてもらう。うち近いし」
「そっか。じゃー、月曜日、な」
別れの挨拶もいつもどおりのさっぱりしたもので、変に笑顔を作ることもなく終った。
けれどその曖昧な歯切れよさが、どこか悲しい。
マサやんと、その母親との会話も普段どおりにできたというのに。
家に帰って、声をかけてくれた母親に一言『疲れた』と言いいながら荷物の大半を預けて、自室にこもった。
司の手紙は、短いものだった。
俺も努力するから、健も頑張ってくれ。
ずっと、友達でいような。
胸にせりあがってきたその熱さの理由がなんなのかはわからなかった。
嬉しさなのか、せつなさなのか。もっと違う、何か健が知らないような言葉でしか表せないようなものなのか。
ただ、少し何かがふっきれた気がした。ようやく泣くことができた。
司と男と女の関係をやめたときも泣かなかったけれど、今ようやく泣けたことできっと自分は何かを捨てられた。
月曜にはきっと、もっと軽い気持ちで司と向き合えるだろう。
「三宅先生、お疲れ様でした」
同僚に声をかけられ、隆也は力のない笑顔を向ける。
一度学校に戻って報告書を書いて、ぽつぽつと他の教師達も帰り始めている。
「あ、はい。お疲れ様でした……ご迷惑おかけして申し訳ありません」
司の一件、どころか二件は他の教師にも迷惑がかかった。
頭を下げる隆也に、同僚は笑う。
「いえ、あの程度で済んで良かったですよ」
「はぁ、はい……」
一瞬、相手のさしている件とは違う方が頭に浮かぶ。どちらもだ。あの程度で済んでよかった。
「それじゃ、お先に失礼します」
職員室を出て行く同僚を見送り、隆也も(他の教師よりはだいぶ長い)報告書を提出して家路に着く。
外はすっかり日が暮れて、夜の闇に包まれていた。
「……すっきりした、っつーことでいいんかな、これは」
頭には、昨夜と今朝の司の様子が交互に出てくる。
痛々しい、見ているだけで胸を締め付けられるような取り乱し方と、思わず笑みが漏れるような体温と。
そして、それにいちいち胸を痛めたり、躍らせたりしている自分と。
あんな心臓に悪い思いはもう二度としたくない。とにかく明日だ。これから家に帰って、洗濯をして。
明日は司とゆっくりと過ごそう。そしてもう一度、自分の手元にいることを確かめよう。
そうでもしないと不安をぬぐいきれないと、隆也がらしくもなくため息をつき車を出そうとしたとき。
「ん? 」
携帯が鳴った。着信音で相手はすぐわかる。司からのメールだ。
『件名:お疲れ様
仕事終った?今、外見れる?
月が綺麗だよ。』
司は時々、こういうメールを送ってくる。
普段はなかなかメールをよこさないくせに、ふと思いついたように、こんな繊細なことをしてくるのが
(本人は嫌がるかもしれないが)女らしい。
「……綺麗、だな」
わざわざ車の窓を開けて満月を見上げた隆也は、ぽつりと呟く。
濃い闇に浮かぶ、明るく丸く色の濃い月は美しい。呟きは心から出たものだった。
この小さな感動を、司は自分に伝えようとしてくれた。それが嬉しい。返信を打とうとして、手を止める。
声が聞きたい。呼び出し音が途切れた瞬間、声をかける。
「司 」
「先生。どうしたの? 」
何かあったのかと聞いてきそうな司の語気がおかしい。
「いや……」
声を聞きたかった、と言うのが、何故か今日は恥ずかしい。普段なら、面と向かってならいくらでも言えるのに。
何故だろうと考える間、司を待たせるのも心苦しい。明日伝えればいいと、そう結論付ける。
「月、綺麗だな」
「……うん」
司の声は落ち着いていて、一見無表情に見えるけれど恥ずかしげに目を伏せているだろう表情が目に浮かぶ。
快い沈黙を味わって、口を開く。
「……明日は、何時に来る? 」
「んーと……お昼前、かな。一緒にお昼食べよう」
明日の午後は司を独占できる。それが嬉しい。何ができるとかできないとか、そんな計算は抜きに、嬉しい。
「ん。そうだな……じゃあ、それだけだ」
「うん。それじゃ、おやすみなさい。また明日」
「お休み。また明日、な」
携帯を置いて、隆也はもう一度空を見上げる。
声を聞ければ、触れられれば、抱きしめられれば。幸せだと思う。愛しいと思う。
この気持ちさえあれば、大抵のことは乗り越えられると自信が持てる。
「すっきりしたさ。いや、しなくても……大丈夫だ」
大丈夫だ。そう月に呟いて、隆也は車を走らせた。
明日はいい天気になりそうだ。司のためにも、これから洗濯をしなければ。
そう考えた彼の口元には、幸せそうにしか見えない苦笑が浮かんでいた。
「せ、せんせ……何、これぇ……」
泣きそうな声をあげている司は、ベッドに腰掛けた隆也の上に下半身を露にして座っている。
細い脚は大きく開かれ、いやらしく濡れた結合部をこちらに見せ付けている。
「何って。さんざん待たせた挙句長いことエロなしという不甲斐ない作者に代わって謝罪と賠償をだな」
飄々とした態度の隆也の手は司のシャツの中にもぐりこみ、器用にさらしを解いている。
「そんなん、俺のせいじゃない、しっ、こ、こんなのやだぁ……」
「んっ……やだぁ、とか言ってる割には気持ち良さそうに司のオマンコが締め付けてくるんだけどな」
「や、やだ。恥ずかしい、よぉっ」
顔を後ろに向けようとした司のうなじはほんのりと朱に染まっている。見られているという羞恥が、快感に変る。
「ほら、またびくびくしてる……いいから作者の代わりに皆さんにお詫びしろって。やらしい単語使ってな」
ちゅ、と首にキスをして、いやらしい笑顔を浮べる隆也の言葉に息を飲み、司は赤い頬をこちらにむける。
「ひ、う……っく、ずっと、え、エッチがなくて、ごめんなさい……ふ、あ……」
解かれたさらしが腹に落ちる。シャツの中で隆也の手がうごめき、先端を固く尖らせる。
快感に飲まれかけた瞳は一瞬こちらにむけられ、すぐに恥ずかしそうに横にそれる。
「それから、いつものお礼もしなきゃだめだろ。エッチな司を見てくれてありがとうございます、って」
「い、つも、あ、あっ……は、え、エッチな俺を、見てくれて、ありがとうございますっ……」
辱めの言葉を聞くたび、口にするたび、隆也をくわえ込んだ司の下半身が疼く。
「ほんとにエッチだな、司は……ん、動く、ぞ」
「や、だめ……あ、あっ……は、や、だぁっ……せんせ、せんせぇっ……」
隆也が腰を動かしつき上げるたび、ぐちゅぐちゅと水音を立てて結合部が愛液に汚れる。
狭い膣口を行き来するグロテスクな肉棒も、司にはこの上ない快感を与える隆也の一部だ。
「ほらっ……ふ、もっと……やらしいこと、言って……そう、今どうなってるんだ? 司の、ここはっ……」
「だめ、だめっ……や、やだぁっ……」
「だめじゃない。ほら、見てもらって感じてるんだろ? ちゃんと、教えてくれよ……っ」
耳元に熱い吐息を吹きかけられ、司は熱に浮かされたように喘ぎ、淫らな言葉を口にする。
「は、んっ、あ、あっ……先生の、中、ぐちゃぐちゃに、してぇっ……見られて、感じてる、のぉっ」
「そうだな、感じてる、よなっ……乳首も、こんなに勃起させてっ……クリも……」
シャツの上からでもわかるほど勃起した司の乳首を強めに摘み、赤く膨れた陰核をなでる。
「ひあぁっ! ら、めぇっ、せんせ、ふ、あ、やらぁ……きもちいい、よぉっ……」
「司……ほら、最後に、お願いしろ……ふ、はぁ……もっと、見てくださいって……」
隆也の腰の動きが複雑になり、勢いを増す。シャツの下では小ぶりな胸が揉みしだかれ形を変えている。
「はぁ、はっ、あぁんっ、もっと、みて、くださいっ! やらしいのも、全部、みてぇっ!」
「よく、できたな……ごほうびだっ」
自分から揺らしだした細く締まった腰を掴み、強く突き上げる。結合部から漏れた愛液がシーツにしみを作る。
「ひ、あ、やぁあんっ! 奥、あたってっ……イっちゃ、うっ……!」
「イっていいぞ、ほらっ……見てもらえっ……」
きゅ、と陰核を摘まれて、司の体がビクリと跳ねる。隆也の責めはやまず、喘ぐ司を追い立てる。
「あっ、あぁっ、みら、れてっ……イっちゃうっ、イっちゃうのっ! あ、あぁあんッ…!」
「俺も、イくっ……っく……は……」
震え、ぐたりと力を抜いた司の体が抱きしめられる。乱れた隆也の呼吸が耳元で聞こえ、司は甘えた声を出す。
「は、はぁ……せんせぇ……」
「ん……は……司、お疲れ様……可愛かったぞ……」
頭をなでられ、司は目を閉じる。ただ、激しく息をするその口から出てきたのは拗ねたような台詞だった。
「……も、やだ……」
「あー……まぁ、もう、こういうことはないから、な」
なだめられ、目を開けた司は口を尖らせたまま頷いた。
作者に代わって謝罪と賠償を・終り
キターーーー!!!
GJです!
GJ!!!!!
まぁ最後の奴は個人的にはいらんかったりするのですが
とにかくGJ
>司
いいないいなー恋愛っていいなー
このスレの職人さんはエロも萌えも超越してるよ。
>417
初めてなのに長編ごくろうさまでした。
次回作も楽しみにしてます。
司、この先幸せになってくれよな…とほのぼの。
ところでいまだに先生の名前が覚えられない自分はいったいどうすれば。
ま、いいや…司さえいれば(きんもー☆
GJ!!素晴らしく萌えます!!
>>461 他の職人さんが投下しづらくなるような言い方はやめい。
>462
男(先生)はどうでもいいが司さえいればそれで良しの意味かと。
ちゃんと読んでやれ。
464 :
狂介と有紀:2005/11/10(木) 02:25:15 ID:A7JfMxG8
ぜんぜん話が進んでないですが投下します。
[5F]
「有紀ーーー!!!」
狂介は五階の扉をクリムゾンスマッシュで蹴り破り中に飛び込んだ。
「オラァ!!変態クソアマのリーダーさんよぉ!!出て来ねぇとタダじゃ・・・」
「叫ばなくてもココにいるわ。」
部屋の最深部に設けられた玉座、そこに座るのは・・・・
「こんにちは、ボウヤ」
「・・・・・・・ギャアーーーーーーーーー!!!!!!」
某魔法戦士スイートナ●ツのスイートリ●プのコスプレをした明らかに
100歳以上のババアが鎮座していた。
「なんつー恐ろしい格好をしてるんだテメェ・・・」
元ネタは正義の戦士だが趣味だろうとなんだろうとあのカッコウはまずい。
しかもこのババア、肌に多少の張りがあるところが余計にリアルで怖かった。
「似合うでしょ?」
「んな訳あるか!!」
その通り、コレを似合うという人は悪い事言わないので病院に行く事をお勧めする。
「テメェみたいな変態はいいんだ、有紀はどこだ!?」
「有紀?・・・あぁ、あの子の事?」
ババァの視線の先には・・・
「・・・・・・・有紀!!」
465 :
狂介と有紀:2005/11/10(木) 02:27:26 ID:A7JfMxG8
「反抗的だから少し可愛がってあげたわ。」
そこには全身を殴られてキズだらけになった有紀の姿があった。
「有紀!!」
有紀に駆け寄る狂介。
「しっかりしろ!!大丈夫か!?」
「・・ん?・・・あぁ・・・狂介・・・」
有紀は意識も朦朧とした中で狂介の呼びかけに答えた。
「ゴメンね・・・僕、負けちゃった。」
「喋るな、傷にさわる。」
有紀を優しく抱き寄せる狂介。しかし、その手は怒りに震えていた。
「スマン、ウチの問題に巻き込んで・・・」
「いいの。だって狂介、助けに来てくれたもん。」
「有紀・・・・」
「ありがとう狂介、助けに来てくれて・・・。」
そのまま有紀は意識を失った。
「有紀!!」
有紀の胸に手を当てる。心臓の音は消えていない。
「とりあえずは無事か・・・・」
有紀を抱きかかえ壁際に横たえさせる。
466 :
狂介と有紀:2005/11/10(木) 02:28:59 ID:A7JfMxG8
「イチャイチャは終わった?」
余裕の笑みで完全にコチラを舐めきっているババア。
「そろそろ相手をしてもらおうかしら?」
ブォッ!!
「何っ!!」
いきなり狂介は部屋の脇にそびえる柱を片手で引っこ抜きババアに投げつけた。
「危なかった・・・恐ろしい馬鹿力ね。」
間一髪で避けたババアは狂介を睨む。
「クソババアが・・・・殺す。」
暗黒面に堕ちただけでなく殺意の波動にも目覚めた狂介、こりゃ地獄だな。
「フォッフォッフォ!!久々に楽しめそうね。」
ババアはスイートリ●プからまんまパクッた三日月のスタッフを構えた。
「ババアでそんな格好許されるのは曽我町子さんだけだ!!
スイートリ●プよりテメェはバンドーラがお似合いだぜ!!」
狂介は腰にかけた二本の刀を引き抜いた。(ちなみに今度は本当の真剣)
「俺の名は山崎狂介・・・・今からテメェを斬る!!」
「『ドドンガドン大総統』にして『エロチカ5』のリーダー『ゴッデス・トメ』参る!!」
467 :
実験屋:2005/11/10(木) 02:41:49 ID:A7JfMxG8
少ないですが以上です。風邪でダウン中なのでしばらくは
投下を控えるかと思います。申し訳ないです。完治しだい続きを投下します。
エロには何とか漕ぎ着けるようにします。
>>417様
亀レスですがGJ!!です。続編や新作はあるのでしょうか?
ぜひ見たいです。
>>aPPPu8oul.様
修学旅行編 乙でした!!!
謝罪と賠償だなんてとんでもないです。萌させていただいて感謝です。
468 :
偽りの城:2005/11/10(木) 03:56:20 ID:cRx8sm0l
【リクエストがあったので短めですが「偽りの城」投下です。あいからわずエチー本番はなしですが(すみません)
エロネタはありです。一言で言うと鑑賞系。今回、和海・頼子夫婦のみなので甘いです。同じ名前でも実験屋様の
乙女チックな貞子(あえて殺戮ショーのことは言わない)と違い、陰険ババアの定子が登場しないのでドロドロもなし。
展開上しばらくはドロドロネタは控えめになると思います。】
食事を終えた和海と頼子は部屋に戻りくつろいでいた。
「うーんと、何しようかな?」
「そうですねぇ、私、実家から浮世絵を持ってきたのですが・・。絵、好きだと言ってましたよね。」
「あ、うん!覚えててくれたんだぁ。」
昨晩の会話を覚えてた頼子に和海は明るい笑顔を向ける。その可愛さに頼子は思わず目を逸らしてしまう。
――ああっ、自分はどうしちゃったんだろう・・・。
「頼子?どうしたの?」
頼子の様子が気になった和海は心配げに声を上げた。
「な、なんでもないです!心配掛けて申し訳ありません・・。」
必死で弁解する頼子の顔は真っ赤だった。
「ふふっ、気にしてないよ。早く絵見よ。」
和海は微笑みながら明るく呼び掛けた。
「あっ、はい・・・・・。」
和海の呼び掛けに頼子は浮世絵を取りに動く。その内心は和海の微笑みを向けられて今まで通り緊張し通しだった。
「え、えっと・・。これです・・。どうぞ・・・。」
頼子は実家から持ち込んだ荷物から数枚の浮世絵を取り出した。
「わぁ、結構あるんだね、美人画が多いね。わっ、綺麗な着物だなぁ。」
「えっ、(絵なんかより、和美さんの方が・・・・)。」
「なんか言った?」
「えっ!あ、何でもない!です・・。」
頼子があわてながら言うと一枚の浮世絵がひらっと落ちた。それを見た頼子の顔色が変わった。
「!!?(こ、これは!!)」
頼子はとっさに取ろうとしたが、和海に先に拾われてしまった。
「これは?どれどれ・・・。」
「あーーーーーー!!!」
頼子の絶叫に合わせる様に和海の顔がみるみる真っ赤になっていった。
「よ、頼子、これ・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
何の弁解も出来ず、顔を真っ赤にする頼子。和海が手にしている浮世絵は・・・・。
なんと春画だった。
469 :
偽りの城:2005/11/10(木) 03:57:19 ID:cRx8sm0l
「ま、間違えて、父か兄のを持ってきてしまったみたいです!」
頼子はようやく思いついたとっさの言い訳をした。
「あっ、そっか。成程ね。」
和海はとりあえず納得したようだ。
――よかった・・・。ふー。荷物分けしてたとき憂鬱でぼんやりしてたからなぁ。せかされてあわてたときもあったし。
ちらっとまだ和海に見せてない方の浮世絵を確認すると間違えて春画を結構持ってきてしまったようである。
和海はと言うと・・。
「へぇ、こんなんなんだ・・・。へぇー。」
顔を赤くしてはいるが興味深げに春画を眺めていた。ほぼ全裸の男女が脱がされた着物の上で抱き合ってる姿。
結合部分がはっきり描かれている。その男性の肉棒は女性の女陰に挿入されているが肉棒は半分程しか
挿し込まれてないため肉棒もそれを受け入れる女陰もはっきりと描かれており
男女ともに陰毛もはっきり描写されている。
――和海さん・・、春画に興味あるんだ。男の人だから当たり前だけど、なんか似合わないなぁ・・・。
しかし、春画を見つめる和海の様子は不思議と物珍しそうだ。頼子の視線に気付くと和海は顔を真っ赤にして
ばつが悪そうに顔を上げた。
「う、わわわわわ!ごめん!!こんなの女の子の前でじっくり見て失礼だよね!!!」
和海は真っ赤な顔で必死に弁解した。
「いいんです、私が持ってきてしまった物ですし。」
そう言いながら微笑む頼子の姿は不思議と非難の顔色は全くと言ってもいい程見られない。
自分の目の前で男が春画など見ることは女性にとっていいこととは言えないのに。
その表情に安心した和海は恥ずかしげに口を開く。
「じゃあ、えっと・・・。春画、まだあるの?」
「はい、結構持ってきてしまったみたいで・・・。」
頼子も正直恥ずかしかったが、和海の様子を見て素直に答える。
「見ても・・・いい?」
和海はこれ以上ない位恥ずかしそうに頼子に聞き出した。
「あ、はい・・・。和海さんが見たいのなら・・・どうぞ・・・・。」
頼子は浮世絵の中から春画を選び出すと、それを和海に渡していった。
「わ・・・。すごい・・・・。こんなに・・・・。」
和海は驚き半分の声を上げた。
――あ、これはあの子のだな・・・。
頼子は強姦や乱交描写の春画を見てふと思いながらも和海にあるだけの春画を渡していった。
「過激なのもありますけど、大丈夫ですか?」
頼子は和海の春画に見慣れてなさそうな表情を見て問い掛けた。
「あ、うん、平気。ひゃーすごぉい。」
和海は春画の過激さに声を上げながら手に取って眺めた。
470 :
偽りの城:2005/11/10(木) 03:58:41 ID:cRx8sm0l
「はーすごいなぁ。こんなこと、するんだ・・・。」
和海はよっぽど驚いたのか、いちいち声を上げながら春画を鑑賞している。
女性が男性の巨大な男根の亀頭部分を撫でる絵。女性が男性のそそり勃った肉棒を掴み、顔を近づけている絵。
よく見ればその絵の女性は赤く華やかな桜模様の着物の間から陰毛を覗かせている。
大股開きにされた女性に男性が下から肉棒を挿し込んでいる絵。男性が己の肉棒を挿し込んだ女性の女陰を
手鏡で見せ付けている絵。ほぼ全裸の男女が口付けをしながら男性の膝の上に乗った女性が下から男根を挿し込まれてる絵。
風呂場で男女が口付けをしながら絡み合ってる絵。布団の上で尻を突き出した女性に男性が後背位で挿し込んでる絵。
どれも過激な性描写が描かれている。
「和海さん・・・。私も一緒に見てもいいですよね?」
和海の妙に純粋な反応に気が緩んだ頼子は和海に問い掛けた。
「うん、全然構わないよ。頼子が持ってきた物なんだし。」
和海はむしろ一緒に見た方が楽しめると言わんばかりに明るく返事をした。
「よし、今度はこっち見てみよ。強姦系って奴だよね。」
「あっ、はい・・・(強姦系はあまり見たことないけどすごい、なぁ)。」
二人は描写が更に強烈な強姦系統の絵を鑑賞し始めた。
いかつい男が布団に寝かされた状態で両手首を拘束され、いやそうな顔の全裸の女性の下半身を持ち上げ陵辱する絵。
神社らしき場所で猿が生贄とおぼしき女性の恥部を舐める絵。野盗二人に襲われ、全裸に剥かれ押さえつけられている
高貴な身の上らしい女性の絵。巨大な蛸に絡みつかれたまま海に引きずりこまれ、蛸の足を挿入されている全裸の女性の絵。
陵辱に乱交、果ては獣姦とかなり過激な物であった。
「・・・すごいね・・。」
「そうですね・・。ところで和海さん、春画はあまり見たことないのですか・・・?」
「えっ!ああ、うん・・・・。」
「あっ、変なこと聞いて申し訳ありません、見慣れない反応が気になったので・・。」
そう言いながらも頼子は内心和海の受け答えに安心した。和海が当たり前の様に春画を見るのは
なんだか似合わない気がしたからだ。
「それにしても、性行為ってこんなのなんだ・・・。こんなことするなんて想像もつかないよ・・・。」
「そう、ですね・・。私達は、出来ないですけど・・・。」
頼子はそう言いながら和海を改めて見つめた。和海を見つめながら春画も見つめる。
特に男根を晒しだしている男性の絵を見つめた。
――・・・和海さんにこんなものが付いてるなんて、想像したくないなぁ・・・。和海さんにはむしろ女の人の・・・。
そう思いながら頼子は春画の男性から女性に目を移した。
471 :
偽りの城:2005/11/10(木) 03:59:08 ID:cRx8sm0l
「男の人のも女の人のもすごいねぇ・・・。」
和海の言葉を聞いて、しばらく春画を見つめていた頼子ははっとした。
――はっ!何考えてんだ・・・・。
頼子はありえない自分の考えを恥ずかしく思った。
和海は性器の生々しい表現に驚きを隠せない様だ。
「自分達のも、こんなのなのかなぁ・・・?」
「そっ!そうでしょうね・・・。きっと・・・。」
頼子は一瞬、驚いた様な声を上げると顔を下に向けながらそう受け答えた。
「頼子?」
頼子の叫びに少し驚いたのか和海がきょとんとした声を上げた。
「えっ、あっ、すみません・・・。」
「平気、平気。気にしないでよ。」
そう言いながら和海は頼子に顔を近づけてきた。
「か、和海さん?」
「また、口付けしてもいい?春画みたいなことは出来ないけど、少しでもそれに近い表現がしたいなぁって・・。」
和海は口付けの要求をした。
「は、はい!どうぞ・・・・。」
頼子は口付けの許可を出した。再び和海の柔らかな唇の感触を味わいたいと思ったからだ。
――男の子の唇が味わいたいなんて思う様になるなんて思わなかったな・・・。
――なんでだろ・・・・。一線を越えちゃいけないと思ってたし、越えられないって思っていたのに・・・。
二人は結婚式のときでは考えられない程、お互いに対して強い思いが芽生えていた。
「和海さん・・・・。」「頼子・・・・。」
二人は抱き合い、顔を近づけようとしている。
――和海さん、なんだか男の人にしちゃ、身体が柔らかい様な・・・。
――頼子、なんだかいつもと比べて凛々しくてなんか、男の人みたい。身体も意外とがっちりしてる様な・・。
二人はそれぞれに意外な一面を感じながら、顔を近づかせていく。
二人の唇と唇の距離は目前となった。
以上です。私も作品の仕上がり具合と私生活の都合上しばらく投下が控えめになるかもしれません。
私もエロに漕ぎつくよう頑張ります。ちなみに春画の描写に関してはネットで春画を検索して
見ながら書きました。もちろん実物は持ってないです。(^_^;)
>>417様
待望の作品乙です!待った甲斐がありました!ダメだしってわけではないのですが
エドガーとエリアスは義理というより異母兄妹で血は繋がってるのでは。古代とかでも
腹違いなら兄弟で結婚オケィ!っていう時代もあったらしいですけど。古代人の寿命が短かったのは
それも要因らしいですね。余談はこれぐらいにして、最後に一緒に住むことになった二人は兄妹としてなのか
それとも恋人としてなのか気になりますね。
>>aPPPu8oul.様
怒涛の修学旅行編乙でした!健とのいざこざも解消し、隆也と微笑ましいやり取りを、と思いきや
謝罪と賠償エチー(笑)。
>>実験屋様
ま、参りました・・・。60代どころか100歳以上・・・・・。元ネタを全く知らなかったので検索したところ
エロゲーだったとは(笑)。あの衣装を着た100歳以上のババア・・・ヤスコ以上の化け物が降臨するとは・・・。
z1nMDKRu0s様の反応が今から気になります。本当に「Z」とのギャップがすさまじすぎですね。
私もそう言われる様「浜屋道場」頑張りたいです。早く風邪が治るといいですね。私も最近ひいたばかりなので。
お大事に。
450超えたのでそろそろ次スレですよね。立てた方がいいでしょうか?後、
>>421の男装萌えトークを
再開させたいです。
473 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 09:51:03 ID:+8mtt9gx
萌萌ダニ〜
職人様方の御投下を心待ちにしております。
誰か萌をくれーーーーーーー!
司さんの新章突入マダカナ~
司の兄ちゃん登場編と、クラスメートにばれちゃったよ編が途中まで書いてあります……
どっちも途中で力尽きてます……
>>476 力が回復するまで待ってます。実験屋さんアヒルさんゴッドさん
ナサさんほかのの職人さんも待ってます。
自分語り
書きたいネタはあるんだけど
単純に時間がなくて書けない
俺はしばらくこんな状況だけど
それぞれどの職人さんもなにか事情があるんだとオモ
気長に待っててくらさい
せめて雑談提供。みなさん、ロングや巨乳といったごまかすのに無理ありまくりな男装少女は好きですか?
巨乳は自分以外でも多少はいますけどロングヘアの男装娘は自分以外ではほぼ皆無ですな。(; _ _ )
>>479 ロングでも時代物ならありですね。現代日本物なら肩ぐらいまでの長さかな…。
自分は胸は無い方が好きなのですが、他の方はどうですか?
好き嫌いというか、許せるか許せないか、って感じで見てる
現代モノでロングは無理臭いし、薄着で巨乳も無理
特に男装の理由とそれに対する覚悟が容姿に表れてないと興醒めする
そもそも巨乳じゃなくても男装で薄着って似合わないですよね。そういう意味では着物は基本的に厚着で
胸もさほど目立たないから男装には便利かもしれませんね。着物と巨乳は相性悪いけど、さらしで隠してるから
問題なし?隠すこと自体が大変ですけどね。
>現代モノでロング
確かに無理ありますね。現代だと女性でもショートが多いですからね。でも、家の都合か何かで
自分の意思関係なしに男装させられてるけど、せめて女の命の髪は伸ばしたいっていう設定は
萌えそうですね。「切れ」って命令されそうですけど。
伊集院レイみたいなキャラクターだったらロングヘアでも違和感ないんだけどな。
男装の理由によるかな。
「女であることを隠している」ことで男装するのなら薄着やロングは「ダメだろそれじゃあ」
となりますが、単にファッションのスタイルとして「男ものの服装をしている」のならそれ
ぞれとなりますか。
ここでの男装少女は基本的に前者だから、よほど理由付けがしっかりしていないとやはり
違和感を感じさせてしまいますか。
ただ個人的な趣向だと天王はるかやキングみたいな男装女性も好きなんですけどね。
ヘルシングのインテグラ様みたいな御方も好きだ。
ロン毛でも、女に見えない。
まあ、『少女』じゃねぇな。『少女』じゃ。
俺も
>>484と同じようにキングみたいな男装女性は好きだ。
>>486 そこがイイ!!
処女を奪わない程度に、下僕にイロイロやられちゃったりとか。
てか、妄想の中では脱処女しようが関係無いってゆーかw
まあ、専スレあるからここでは止めとくか。
実験屋サン 続き見たいッス
490 :
偽りの城:2005/11/15(火) 03:32:45 ID:+pcVLtpy
【なんか最近さみしいので以前同様、異常状態続行祈願の為投下します。今回もエロなしです。
この話はまだエロ展開まで遠そうです。すみません。】
――和海・・・さん・・。
――頼子・・。
そのとき。
ガラッ
「姉上、和海さん居る?」
襖が勢いよく開いて真子が姿を現した。
「「・・・・・・・。」」
二人は真子のいきなりの乱入に真子の方に視線をずらしてただ呆けていた。
「あ、お取り込み中だったみたいだな・・・。すんません・・。」
真子は気まずそうに襖をゆっくりと閉じようとしている。
二人は照れくさそうに思いっきり離れると真子に対して大声を上げる。
「マ、マサ!行かなくていいから!!!」「そ、そうそう!!」
その大声を聞いて真子は閉じかけていた襖を再びゆっくりと開く。
「・・・・・・。」
部屋を見つめた真子はその場に大量に散らばっている春画を見て言葉を失っている。
それに気付いた頼子はあわてて春画を片付けた。そして和海に聞こえない様真子に耳打ちした。
『く、くわしいことは後でね!』『わかった、って言うか暖かく見守ってやるつもりだから。』
そう言って真子は少し憐れむ様に微笑んだ。
『マ、マサ!』『ところでさっきの春画の強姦系の奴ってさぁ・・・。』
和海は二人の会話は上の空で先程の口付け寸前の状況に激しく照れていた。
――はあ、おかしくなっちゃたのかなぁ。女の子にあんなこと・・・しかも二回目・・。
口付けする寸前の男性の様な頼子の顔が和海の脳裏から焼き付いて離れない。
――かっこよかったなぁ・・・。さっきの頼子・・。
以前では考えられない自分の気持ちに戸惑いつつも和海は確実に頼子に魅かれていた。
「で、マサは何しに来たの?」
内緒話を終え、頼子は真子に用件を問い掛けた。
「今後のことについてさ、和海さんも交えて話したいと思ってさ。」
「今後のこと?」
真子の言葉に和海はキョトンとした様な声を上げた。その姿はやはり可愛らしい。
元々和海に強く魅かれていた頼子はもちろん、真子も初めてまともに接した和海の可愛さに少しどきっとした。
「和海さんってさあ、なんか可愛いな。」
「「えっ!」」
真子のあけすけな言葉に和海と頼子が驚きの声を上げた。
「姉上までなんだよ、そんな声上げてさ。」
「あっ・・・、いや、別に・・・。」「・・・・・。」
二人はなんだか照れくさげに顔をうつむかせた。
「まあ、いいや。今後のことについてだけどな・・・。」
491 :
偽りの城:2005/11/15(火) 03:33:16 ID:+pcVLtpy
「定子の方についてだよね。」
「ああ。和海さんは竹彦と千里が自分に協力求めてきたの知ってる?」
「うん、頼子から聞いたよ。二人がおれのことそこまで気に掛けてくれてたなんてすごく嬉しかったよ。」
和海は明るい笑顔を見せた。頼子はその笑顔に胸ときめかす反面、和海が自分より長く付き合っている
美少年の従者二人に向けて笑顔を見せているということが頼子の胸にちくっと刺さった。
――なんだろ・・・。このちょっと悔しい様な、妬ましい様な・・・。
頼子は今まで感じたことのない気持ちに少し戸惑いを感じた。
話し合いが終わり、真子は颯爽と立ち去ろうとしている。
「じゃ、これで。あんな陰険なのに負けない様頑張ろうね。邪魔者は立ち去るから夫婦水入らずで続きどうぞ。」
真子は陽気な笑顔でおどけた様なことを言いながら襖を先程とは違い、早々と閉めた。
「ちょ、ちょっとマサ!変なこと言わないでよ!!」
頼子は顔を真っ赤にしながら襖の向こうの真子に呼び掛けた。そんな頼子を和海は微笑みながら見つめている。
「さっきの続き・・・・・いや?」
「えっ!!?」
頼子は顔を真っ赤にしながら和海の方に振り向く。和海はそんな頼子を優しい笑顔で見つめている。
「いやじゃない・・・です・・・。」
「決まりだね!来て、頼子・・・・・。」
和海は艶っぽい表情で頼子を求めた。
「は、はい・・・・・・・・。」
その表情に完全に魅かれた頼子はその場にしゃがみ込むと再び和海を抱きしめた。
そして二人は再び唇と唇を近づけた。今度は邪魔が入らず、二人の唇は重なり合った。
「「んっ・・・・。」」
初心者同士とはいえ二度目な為か、二人は一度目のときより長く唇を重ねあい、お互いの口腔内に舌を潜り込ませた。
「んんっ・・・・・。」『・・・・和海・・・・。』
まだぎこちない動きではあるものの二人の舌はお互いを愛撫し合い、口腔内をむさぼっている。
口付けを終え、二人はゆっくりと顔を離した。二人の表情はそれぞれを強く思いあった優しげなものだった。
結婚式のときはお互いの顔すらろくに見ようとしなかったのが嘘の様であった。
「好きだよ・・・・。和海・・。」
「おれもだよ・・。呼び捨てにしてくれたね・・・。」
頼子が自分を呼び捨てにしてくれたことに心底喜ぶ和海。
「はい・・・。これからは二人っきりのときは呼び捨てにさせてもらいますね。」
「うん・・・。」
可愛い笑顔を頼子に向ける和海。そんな和海に頼子は笑顔で返した。
492 :
偽りの城:2005/11/15(火) 03:35:41 ID:+pcVLtpy
――夫婦とはいえ、よっちゃんがあんな風になるなんてなぁ。必要以上に入れ込むのは相手に悪いって言ってたのに。
真子は姉の変わり様に驚きを感じていた。
――でも、確かに和海さんって全然男っぽくないよなぁ・・。
「マーサコ!」
そんなことをぼんやり考えていると後ろから高い声がした。
「うわっ!!!」
その声に思わず大声を上げてしまった。声の質と自分への呼び方で誰だかすぐにわかった。
「竹彦、そんなにいきなりが好きか。本日二回目だぞ。」
真子はたしなめる様に竹彦に話し掛けた。
「う〜。ごめん・・。」
真子の言葉にしょぼんとうなだれる竹彦。その姿は和海に負けず劣らず可愛らしい。
「ははっ。竹彦、可愛い。女の子みたいだ。」
真子は竹彦の愛らしい姿を見て、表情が少し険しい表情から楽しげな笑顔に変わる。
「そう言う真子もさっき叱ったとき、男の子みたいだったよ。表情とか話し方とか。つーか真子って口調が男っぽいよね。
お姫様はもっとお上品にしないと。」
竹彦は口を尖らせながら真子に対抗する様なことを言った。
「いーじゃん。ここの城の人はさぁ、男っぽくない人多すぎなんだよ。」
竹彦の言葉に真子は拗ねる様な声を上げた。
「なんか真子、子供みたい。なんかあった?」
「えっ!!」
竹彦の指摘に真子は思わず声を上げてしまった。頼子の変わり様に
少なからず戸惑いを感じているのをずばり指摘されたからだ。
「あったんだぁ〜。」
竹彦は勝ち誇った様に笑いながら真子に詰め寄った。
「うう・・・・。」
真子はいつもの勝気な様子とは違い、困った様にうなだれた。
「あっ、ごめん・・・言い過ぎちゃったみたいだね・・。」
真子のうなだれた様子に竹彦は気まずそうに謝った。
「・・・気にしないでくれ。」
真子はそう言うが、気まずい雰囲気は続いた。
「・・・・・・・・・。わっ!!!!」
そんな中竹彦が突然顔を上げ、大声を出した。
「うわあっ!!!」
あまりにも唐突なその声に真子は再び驚きの声を上げてしまった。
「はははー。本日三回目ー。」
真子の大声にしてやったと言わんばかりに竹彦が笑った。
「竹彦!もう・・・。」
真子は悔しげに低い声を上げた。しかし竹彦の大声で気まずい雰囲気は一気に解けていた。
「じゃ、おれ、そろそろ行くね。千里のこと探してたんだ。多分鍛練場だと思うけど。」
「そっかぁ。ほんと千里と仲いいんだな。」
「まーねー。千里ってほんといい子だからね。美人だし。性格ぜーんぜん違うのにすっごく馬が合うんだよね。」
その頃の千里。
「くしゅん!!!」
鍛練場で刀を振っていた千里は少し可愛らしいくしゃみを上げた。
「風邪?そんなことになったら困るなぁ・・・。」
千里は鼻を押さえながら困り顔をし、振っていた刀を下げる。
またもや雑談提供を。男装キャラの顔立ちや体格、性格はどんな組み合わせが萌えか。
@顔立ち
1.可愛い系 2.清楚系 3.活発系 4.クール系 5.正統派美人系 6.男そのも(ry)
A背と胸
1.小柄で貧乳 2.背は普通で貧乳 3.大柄で貧乳 4.小柄で胸は普通 5.背も胸も普通 6.大柄で胸普通
7.小柄で巨乳 8.背が普通で巨乳 9.大柄で巨乳
B全体的な体格
1.服を着ててもごまかせない程華奢 2.服でごまかせる程度に華奢 3.少しがっちり 4.女性としては結構がっちり 5.マッ(ry)
C性格(女性として)
1.素直で気さく 2.清楚で穏やか 3.勝気で負けず嫌い 4.クールで物静か 5.内気でおとなしい 6.生真面目で直情的 7.無愛想でツンデレ
別に男装キャラに限らず使えそうな表だ(笑)。職人様だと自キャラに当てはめてみると面白そう。版権キャラでも使えそう。
@で6、Aで3、Bで5、Cで3なキャラがいたら・・・((;゚Д゚)ガクガクブルブル。
忙しくて書き込めなかった時にアヒル氏がんばってますなぁ(つД`)
SSも人を引き付ける書き方でGJ!!
>実験屋氏
おまいのトメばあちゃんのせいでリアルに寝込んでしまった
狂介兄も壊れすぎ
何があった実験屋氏
GJ!!
>司氏
絵にやられSSに撃沈し、最後のオマケでもう萌え死にそうです
GJ!!
新スレ、そろそろ?
>493
順に3,1,2,3かな。
勝ち気系が好きなんだ。
俺は順に3、1or4、2、3or7がいいなぁ。やっぱりツンデレかなぁ
ああ…
司タン…
マダカナ~
残り22kb
ギリギリっぽいけど前半投下してみます。
重いの続きはキツイので兄ちゃん登場編で。めずらしくエロは前半のみです
「司、学校どうだ? 」
口下手な父がそう言うのには、それなりの勇気が必要だっただろう。
「ん? 別に…楽しいよ。問題なく過ごしてます」
食後のお茶をすすりながら、そう答える。
楽しいのは事実だし、数名に事実がばれていることをのぞけば問題なく過ごしている。
「うん、そうか。ならいいんだ。よく考えたらもう高校生活も半分だもんな」
「うん。だから俺のことは心配しなくていーよ」
久々の父との夕食で機嫌のいい司は、穏やかな笑みを浮べている。
「司。家で"俺"はやめなさい」
一方母は少し険しい顔つきで司を咎める。
「はいはい。いーじゃん、学校で"あたし"って言い間違えるよりは…心配しなくても約束は守るよ」
お茶を飲み干した司は席を立って、母の小言を背にリビングを出る。
取り残された父が小言を聞かされるのは目に見えているが、これも久々の夫婦水入らずになるだろう。
自室のベッドに寝転がった司は、ふと両親との約束を思い出して頭を抱える。
男装して高校に通うことを許す代わりに、四年制の大学に進学すること。ストレートで卒業して就職すること。
その他保険医の叔母の勧めでピルの常用を義務付けられたり、その他の細かな約束もした。
ただ高校二年の後半になって、進学の二文字が少し重く感じられるようになったのは事実だ。
司より少し勉強の出来る兄は地方の国立大に通っているが、彼もそれなりに勉強していた。
―お兄ちゃん、この時期勉強してたっけ…?
うーん、と唸っていると、枕元に放り投げておいた携帯がなる。タイミングよく兄からだ
「珍しい…もしもしお兄ちゃん? 」
『司、お前学校の先生と付き合ってるってほんとか!? 』
ぶは、と思わず噴出す。離れて暮らしている兄が知るはずのない事実だ。
「な、なんでそれを…」
言いながら、ひょっとしたら、と思う。
『春樹に聞いた。本当なんだな? 』
やはり春樹からか、と司は肩を落とす。従兄弟の春樹と兄は同い年で、仲がいい。
「…うん」
『おやじとお袋は知らない…よな? 』
「…うん」
兄の焦った声が少し胸に痛い。他人に言われるとカチンと来ることも、家族に言われると少し心持が違う。
お兄ちゃんごめん、と内心しおらしく頭を垂れていた司に、兄はとんでも発言をかましてくれる。
『よし。その先生に会わせろっつーか、会う。今週末帰るからな』
「はぁ!? ちょ、ちょっと待ってよ! 何それ!」
思わず大声を出した司は口を覆う。体を起こして、慌てて部屋の鍵を閉める。親に聞かれると厄介だ。
『何って、親に会わせられないなら俺が会う。ただでさえお前はやっかいな属性持ちなのに先生とだぞ!? 』
属性持ち、とか言っちゃう司の兄は隠れヲタだ。
軽くガノタの気がある隆也とは気が合うかもしれないが、そういう問題でもない。
「そ、そー…だけど、だからっていきなり…」
『俺にも会わせられないような男じゃないんだろ? とにかく! 今週末会いに行くからな! 』
一方的に言い切って通話を終了させた兄の思考は理解できない。
ややシスコン気味なのは嬉しいのだが、このぶっとんだ、というか痛い行動はどうしたものか。
ベッドにうつ伏せになっていた司は、ぼすりと顔まで伏せる。
「…どーしよ…」
どーしよ、とくぐもった声で言ったってどうしようもない。
いきなり言い出すような兄だから、きっと止めても聞かないだろう。うっかり両親に漏らされると色々キツイ。
「…う〜〜〜…」
唸ってもごろごろしてもどうしようもなく、意を決して司は携帯をいじる。
カチカチとメールを打って返信を待つと、通話の着信音が鳴る。
まだ慣れない隆也からの着信音が、今日は特に心臓に悪い。はー、と深呼吸して通話ボタンを押す。
「もしもし…」
『もしもし。どうした、こんな時間に…』
司が隆也に連絡を取るのは、遊びに行っていいかとか忘れ物をしたとか、その程度のことでしかない。
あっさりした関係は少し物足りないようだが、それでもとりあえずはうまくいっている。
うまくはいっているのだ。だから、壊したくはない。
「…うん。あのね……さっき、お兄ちゃんから電話があって」
『ん? 今大学生ってお兄ちゃんか。それがどうした? 』
「その……」
どこから話そうか、と順を追ってさかのぼろうとして、ぱっと春樹の顔が浮かぶ。
春樹とのことは隆也には言いたくない。言いたくないが嘘もつきたくない。
「…実は、夏休みに従兄弟にバレちゃったんだけど、その従兄弟から聞いたらしくって…俺と先生のこと」
『……そうか……それで、何て言ってた? その…反対なのか? 』
司の声のトーンが低いのを気にしてか、隆也も心配そうに聞く。
胸が痛む。何に痛むって、そんな声を出させたことにも痛むが、これから言わなければならない内容に痛む。
あ、痛いのは頭かもしれない。きっとそうだ。
「ううん…ただ、先生に会いたいって。今週末」
『は!? ま、待て、今週末? それを今さっき言われのか? 』
「うん…痛いお兄ちゃんでごめんなさい…」
ほんとに痛い。部屋にプラモやフィギュアが置いてあるのも痛いが、こういう突拍子もない行動が痛い。
それでも血を分けたたった一人の兄だけに、嫌いにはなれないどころか好きなのが困ったもので…
と司はため息をつくが、それはすでにブラコンだ。
『いや…そりゃそのうち司のご両親には挨拶しにいかなきゃいけないとは思ってたけど…そうか、兄ちゃんか…』
「大丈夫? その、先生の都合がつかなければいくらなんでも諦めてくれると思うんだけど…」
むしろ都合は悪ければなんとか逃れられる、とか往生際の悪い司に、隆也はいたって真面目に返す。
『いや、大丈夫だ。部屋掃除しておく。多分うちが一番問題ないだろ』
あまり教師らしくない隆也もやはり律儀なところがあるようだ。
ごろり、と仰向けになって、司はため息をつく。
「…うん、お願いします。それじゃ、また後で連絡する…」
『うん…大丈夫か? 司…元気ないな』
優しい声を聞くと沈んでいた気持ちがふっと浮かぶ。きっと隣にいたら、頭をなでてくれただろう。
「うん…大丈夫、ありがと…」
返す司も穏やかに甘えた声になる。電話の向こうで、きっと隆也も笑顔になっているだろう。
嬉しさが口元からこぼれそうになりながら、うつ伏せになる。
快い沈黙の後、隆也が口を開く。
『…もどかしいな』
どきり、と胸が鳴る。そうだ、もどかしい。会いたくてもすぐには会えない。会えても触れられない。
もどかしくて、もどかしさを感じるほど好きだと強く認識さえられて、せつなくて、苦しくなる。
「……うん」
再びの沈黙に、胸が押しつぶされそうになる。ぎゅう、と心臓を掴まれたまま、甘く弱いしびれが全身を包む。
『……今、ベッドの上か?』
「え?」
低く聞き取りにくい囁きに、思わず体を起こす。頬が火照る。ただ、今ベッドの上かと聞かれただけなのに。
「う、うん……」
『…そっか』
どきどきと心臓の音が耳に響く。
―どうしよう、なんか……
頭を振って、少し上ずった声を出す。
「……先生? 」
はぁ、と隆也のため息が聞こえる。
『うん…ごめんな、エッチなこと考えてた』
ぱっと頬に血が上る。誰もいないのに、それを隠すようにうつ伏せになり枕を抱き寄せる。
「……ずるい……」
『うん、ずるいよな…って、いや、そこか? そっちでいいのか? 変態、とかそういうのはないのか? 』
「え? …あ、だから、その……うぅ…」
指摘されて気付いてしまう。自分も同じような気分だった…と、言えるはずもなく、ごにょごにょと口ごもる。
隆也がにやにやと笑う顔が思い浮かぶ。予想通りの調子で、言い当てられる。
『……司もか? 』
「……うん」
恥ずかしくて、顔から全身に火照りが広がってしまう。
『そっか…今、うつ伏せだよな? 』
「うん……先生? 」
聞かれた内容の意図がつかめない。つかめないが、会話の流れだけで何か淫靡な雰囲気を感じ取る。
『……俺はその横に座って…司の頭をなでて』
静かな隆也の声を聞いていると、本当に頭をなでられたような心地よさを感じてしまう。
『覆いかぶさって、耳元で好きだ、って言って耳にかじりついて』
「ん……」
携帯を押し当てている耳が熱い。ぞくりと、弱い快感が耳から背を走って腰に到達する。
『司の綺麗な耳を、舐めて…濡らして、息を吹きかけて』
「…ん……は……」
実際にそうされたわけでもないのに、ため息が口をつく。
『…感じてるなら、服…脱いでくれるか? 』
もう、隆也が何をしようとしているのかわかった。異常だけれど、それに興奮を覚えてしまう。
やめたくない。
「……先生は? 」
『俺は風呂上り。最初っからTシャツとパンツだけだよ…』
苦笑した隆也は、どこにいるのだろう。いつものソファか、ベッドの上か。
まさかパソコンに向かっているわけではないだろうけれど。
体を起こしながら、見えない隆也に言う。
「……脱ぐから…切らないで」
『うん。待ってる』
シャツを脱いでズボンを蹴り飛ばし、サラシを解く。
明るい部屋の中でそのままでいるのが耐えられなくて、布団の中にもぐりこむ。
「脱いだよ…」
『うん…そうだな、そうしたら…うなじを舐めて背中までたどって、胸を…胸の横を撫でて、手を差し込んで』
「ん、う……」
隆也の舌の動きを、手つきを思い出して手を動かす。
ぬめる舌と大きな節くれだった手が、司を熱くするのを思い出す。
『胸を揉んで……乳首をいじって…硬くなってきた…? 』
「……ん、は……うん……」
携帯で拾えないような小さなため息が続く。
『……下は? 濡れてる? 』
そっと、手を下腹部に伸ばす。下着の上から秘裂をなぞると、わずかにぬめりを感じる。
「うん…濡れて、る……」
『…やらしいな、司は……もっと濡らしてみろよ。真ん中なぞって、指入れて…』
恥ずかしいという感情とは別に、ぞくりと快感が走る。もっといじめて欲しい。
もう自分の性癖は隠しようがない。
「や…やだぁ、言わない、で……っん……は、ぁ……」
それでも、恥ずかしい。恥ずかしいけれど、気持ち良くなりたくて手を動かす。
下着の中に手を差し入れて、濡れた中央をなぞり、膣口に指を埋める。
「んぅっ…は、はぁ……」
甘いため息に、隆也は司が指示通り指を動かしていることを悟る。
『中…わかるだろ? どこが気持ちいいか…Gスポット、なぞって…耳と首、舐めててやるから』
声だけで感じてしまうなんて、きっと相手が隆也だからだ。
抗う気は全く起きず、熱く指を包む膣壁をなぞる。
「ふ、ぁ……んぅ……は、ん…だめ…」
うつ伏せのまま秘裂に伸ばした手は膣内とともに恥骨を刺激し、携帯を持つ手から力が抜ける。
『駄目…じゃないだろ? 最後までいかなきゃ辛いだろ。…俺も、納まらないし』
耳に押し当てた携帯から声が聞こえると、常に顔を寄せられ囁かれているように感じる。
「は、うん……」
『だから…俺の、だと思って……指、一本じゃ足りないだろ? 』
きゅう、と膣が収縮して、指を締め付ける。そう、一本では足りない。
せまい入り口をこじあけて、もう一本を埋め込む。
「ん、んんっ……ふぁ、あ、は……」
動かしたい。かき回して、感じて、喘いで、真っ白になってしまいたい。
「せん、せぇ……して……」
『…いいぞ……ほら、入り口の近く、ぐちゃぐちゃにして…』
言葉どおり、指を動かし、自分の内部を犯す。
気持いいところは知っている。そこを、飽きることなく擦り続ける。
「ふ、ぁ……んんっ……あ、ひぁ、んっ……」
快感が、指を止めるなと言う。もっと、もっと。熱が上がり、呼吸が激しくなって、汗がにじむ。
「あ、あっ、せんせ、せんせぇっ……」
『奥もだ。一番奥から入り口まで、俺のが司の中を行ったり来たりして、擦って…っ…』
隆也の息もあがりはじめている。ぼんやりし始めた頭で、想像する。
あの部屋で、隆也も自分を思って自慰に浸っている。
興奮に流されるまま指を動かし、声をあげる。
「あっ、あ、あぁっ…あぅ、んっ…ん、あぁっ…」
『司……司っ……』
「あ、んんっ…せんせぇ、いっちゃ、う、よぉっ…」
『はっ…イって、いいぞ…クリ、いじめてやる、から……』
司の指がぐりぐりと陰核をこねる。強烈な刺激に息もままならず、身悶え悲鳴をあげる。
「あ、んっ、んんっ、だめ、だめぇっ! 」
『司……っ、奥……いくぞっ……っ』
「ふぁ、あ、あぁっ、あっ――ーっ! 」
イった直後、隆也のうめき声が聞こえたような気がした。
それも確かめられず、息をつく。
「せん、せ……」
『ん……いけた、な? 』
「うん……」
息が上がっていて、ノイズが激しい。熱くなった携帯を逆の耳に押し当てる。
『汗、かいたな。頭撫でて……』
「うん……気持ちいい……よ……」
汚れた手を布団の中から引き抜き顔の前に持ってくる。
「……手、汚れちゃった……」
『俺もだ……司ー、ティッシュとってくれ』
笑う隆也につられて、肩が揺れる。ベッドサイドのティッシュで愛液を拭きとって、ごろりと仰向けになる。
布団の中が自分の熱で熱くなっていて、肌を重ねているような錯覚が心地よい。
「……先生のえっち」
『司もだろ? あー、しかしこれ、携帯代かかるからそうは出来ないな』
「うん」
くすくすと笑いながら息を整える。
『ん……そろそろ、切るぞ? ちゃんと風呂入ってあったかくして寝ろよ? 』
「うん。先生もね」
時計に目をやると、途端に現実に引き戻された気持になる。
『あぁ……じゃあ、またな。おやすみ』
「おやすみなさい……」
痛い兄ちゃんキター
この兄貴とは漢友(ダチ)になれそうだwwww
最後にはテレエッチというマニアなネタを使うとは流石司氏
GJ!!
GJ!後半も楽しみ
そして先生には○ーダフォン加入をおすすめしておく
GJ
○ィルコムのほうがオススメの気がす
GJ!
続きが気になるのですが、スレ建て出来ないので、誰か、誰か!誰か〜っ!!!
お願いします…orz
俺も家に戻らなければ無理だ
帰宅予定は遅いし。
誰かたててくれ頼む
では自分が。ちょと待てくれよ
>>511 乙です。即死防止にさっそく遠井家投下させてもらいました。
>>aPPPu8oul.様
テレフォンセックス、斬新かつエロスでGJです。男装の司にはちょうどいいかもしれませんね。
電話代が馬鹿にならないだろうけど。
>>493ネタを自キャラでやってみました。
瑞穂
@.1よりの5 A.9 B.2 C.3+6
絢
@.1+3 A.1 B.2 C.1 ちょっと3も
夕顔
@.2よりの5 A.9 B.2 C.2 男として振舞ってたときは7
さらに再びまとめ
版権物 二作 現代・学園物 十一作 そのうちレズ 二作 洋風・ファンタジー 五作 中華物 一作
和風物 五作
合計二十四作 新作 四作追加(あいかわらずの豊作ですな)
スレ立て乙!
投下はもうしばしお待ちを
とりあえず司でやってみたけど項目にすんなり当てはまらないというかなんというか
@顔立ち 3.活発系(?)
A背と胸 2か3か5か6w 女性としてはやや高め、標準よりやや小さめの胸(成長中)
B全体的な体格 2か3細く締まっている(鍛え中)
C性格 3.勝気で負けず嫌い ちょっと 7.無愛想でツンデレ
自分の萌えを理想化するなら
顔立ちは凛々しく、身長はともかく胸は標準程度で、体格はややがっちり、性格は……
単純に言葉にはできないですねw
男装少女というよりは男装の麗人が好きなので、4とか……姐御肌な性格だと萌えます。
>>511 乙!! ありがとう
>>493ネタ
ユウタンと吉良凛でやってみる俺ガイル
ユウタン
@ 1なのはシャルロットが証明済
A 2か3?(設定では168cm)
B 2だけど1寄り
C 初期設定と何故か違う5
吉良凛(カタカナで読むの禁止)
@ 文句無しに3
A 最初は3だけど……
B 五歳で兵士どつき倒すヤツは4でFA
C 猪突猛突進バカなので1と3と6と7のツンデレだけ(女版城之内です)
キャラ的には凛のほうが好き
というかユウタンも最初ツンデレ入れる予定だったのに何故かあんないい子に……
【スレ埋めにとっさに思いついた鬼道の番外編を投下。零でスレ住人の涙を誘った
あの少女の話です。】
「あん!!あっ!!気持ちいい!!気持ちいいよう!!!」
二人の男女が寝室で愛の行為を営んでいた。二人ともまだ十代の少年少女である。
「も、もう限界だ・・・。出すよ・・・。」
「き、きて・・・。膣内(なか)に出して・・・・。」
「う、うん・・・・。あ、あああ!!」
少女の願いに応える様に少年は少女の膣内に勢いよく射精した。
「あ、熱い・・・。友和様のが・・きてる・・・。」
少女は友和の熱い精の感触に悦びの声を上げた。
「どうだった?」
友和は少女を抱きしめその頭を撫でながら聞いた。
「・・・よかったよ・・。すごく・・・。」
少女は恍惚の目で感想を述べた。
「そう、よかった・・・。もう、大丈夫、だね・・・。」
「うん、私、もう怖くないよ・・。友和様のおかげだよ・・・。友和様が私のこと穢れてないよ、大丈夫だよって
いっつも慰めてくれた・・。だから・・・・。」
少女は自分の心の傷を癒してくれた友和に感謝の言葉を述べた。
「・・どんなことになったって、君は君だからさ・・。ずっとずっと、会いたかったから・・・。
こうして僕のところに来てくれて嬉しいよ・・・。」
「私も・・・。もう、穢れた私を誰も娶ってくれるはずなんてないって思ったのに・・・。友和様が一回しか
会ったことのない私を探してくれた上、こうして優しく愛してくれて・・・。」
少女の言葉に応える様に友和は少女を更に強く抱きしめた。
「友和様、鬼族との戦は完全に終わったんだよね?」
「うん、鬼族の頭は自害したから、これからその子供を攻めに行くらしいよ。」
「あの子・・・どうなっちゃうのかなぁ・・・。」
「あの子?」
「・・鬼族の頭の子のこと。あの子だけ、他の鬼達と違ってた・・・。すごく悲しい目してた・・。でも、それ以上に
すごく優しい目してた・・・。その子ね、牢屋にいた私達におにぎりを届けに来てくれたの。お母様は最初
食べちゃだめだって言ったけど、私がね、大丈夫だって言ったの。それでみんなで食べたの。すごくおいしかった・・。」
「そう・・。」
友和は再び少女を撫で始めた。
――次の日
「鬼族の頭の子が降伏して生け捕りにされたって。高茂様は鬼族との戦が終わったあかつきには昔の友好な関係を修復するって
言ってたから、多分処刑にはされないと思う。」
友和は少女に戦の結果を報告した。
「そうなの・・。よかった・・・・。あの子に会いにいける、かなぁ・・。」
「落ち着いたら頼んでみるよ。」
「友和様、ありがとう・・。私、友和様と婚約しててほんとによかった・・・・。」
「初音・・・。」
友和は初音の言葉に応える為に彼女を優しく抱きしめた。
【以上初音の後日談でした。婚約者ネタ使わせてもらいました。全く別の話ですけど倉庫で「対決 異常者VS犯罪者」の
05だけが何故か直接見れません。PREVやNEXT使えば見れるけど。】
516 :
寒理人:2005/11/21(月) 22:53:43 ID:gw6of2Cs
>>515 リンクミスのご指摘有難うございます。早速修正いたしました。
週末にホスト規制がかかったため、報告が遅れてしまってすみません。
間違いを指摘していただけると助かります。
実験屋さま、長い間リンクミスに気づけずに申し訳ありませんでした。
それにしても、鬼道の着地点はどこらへんになるんだろう・・・。
>>493 顔立ち──1.可愛い以外ならなんでもおk
背と胸──3.かな。男性としてごまかせる範囲、女性にしては長身+貧乳
全体的な体格──マッチョすぎなければなんでもおk
女性としての性格──5.内気で大人しい以外ならなんでもおk
・・・俺の守備範囲は広いのやら狭いのやら。
男装少女だとどうしても陵辱ネタが楽そうなんだけど、嫌いな人ってどれくらいいるんだろうか
次回作で(自分も苦手なくせに)書こうとしてるから是非知りたい
もし何人もいるようだったら、いろんな人に見てもらいたいから方向転換するかもしれないし
ところで皆さん、男装少女の相手役はどんなタイプがお好きですか?w
男なんてどーでもいいや!とか百合ならなんでも、とかはナシでw
凌辱は嫌いじゃないが、あんまりかわいそうなのは苦手だ。
相手役…強いていえばクール系(今まででてないよな)のを読んでみたい気がする。
>>517 陵辱の好き嫌いとは興味深い意見ですね。自分もこれからの展開の参考にしたいですし。
自分は以前何度か言った通り陵辱→純愛が一番好きですね。専門スレやサイトでの
救いようのないネタも嫌いじゃないですけど、
>>518さんも言ってる様にあんまり可哀想なのは・・。
相手役についても興味深いですね。どんなタイプがいいと言われたら・・・陵辱を書きたがってるので
純愛に意向してほしいという個人的な趣向から言わせてもらえば「非情になりきれない」ってのがいいですね。
518さんのクール系なんてのも確かに今までにいなさそうだから良いですね。
>>寒理人様
報告ありがとうございます。鬼道の着地点とは、つまりどういう結末になるかということですよね?
具体的なことはもちろん言えませんが、上で言ってる通り、救いようがないのは好みではないと言っておきます。
そういや自分で言い出しといて萌えの理想を語ってないな。明るくてかわいいのも、クールとか凛々しいのも
好きだったり。体格はがっちりより華奢なのが好きですな。男装を解いたときのギャップがいいのだろうか。
巨乳好きなんですが、同士はやはり少ないようですね・・・。
自分的に凌辱は、猟奇に踏み込まなければバッチコーイです!
少しならスカ入っても平気かも。
相手役は、やっぱ凌辱しちゃうくらいですから、ゼット氏の様に
どこか壊れてしまった人とか…
金と暇を持て余した、ダンディなオジサマなんてのも、有りですかね。
今更ながら
>>493ネタ、リディでやってみます。
@→5
表情は幼いイメージなので、1寄りか?
A→4か7
男装時は、13〜14に見える感じ。胸はCくらい。
B→3〜4
作中はホーク視点なので、「華奢」という表現も入ります。
C→3、やや6
村の外の人間に警戒心を持ってるので、5も入るかも。内弁慶傾向。
ほぼ、自分好みに設定してます。
性格は、3に特化して、もっとハジケてる方が好きですが。
貧乳も好きだ!
いや、乳は皆好きだ!
参加
男装少女のタイプ=根が下品でさえなければどんな娘でもイケる
男装少女の相手役=男ならなんでもry
とりあえず男装少女のことを思っていれば嬉しい
陵辱ネタ=↑矛盾するようだが結構好きだ
まーあれだ
基本的に陵辱ねたはファンタジー
男装少女もファンタジー
要するに書く人の好きに書けばいいんでないか
>>522 それを言うとみもふたもないがな
だが確かに
書きたいものを書いてくれとしか言えないな読む側としては。
書き手が楽しんで書いてるってのは伝わってくるし
そういう話は面白いと思うから