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615AMARIA -46-
 白くて細い、小さな肩を抱きしめる。そして、彼女を覆っているシーツを剥がした。
「えっ……」
 目は潤み、丁度涙が溢れていくのが見えた。急な行動に驚いている。
―――踏み込む答えは、既に胸の中にあった。
 水無さんの強引な行動。あの時、俺はこんな都合の良いことできるわけがないと思っていた。だって、それに俺は………。
 彼女を―――水無さんを選んでいたから。だから、こんな形ではなく、もっとちゃんと対等になりたいと思っていた。
―――覚悟も、後からついてきた。
 手を取って、抱き寄せる。
「………」
 見上げてくる目が俺を真っ直ぐに捕らえ、澄んだ瞳の中、そのセカイを覗き込めば明らかな自身が映っていた。
 口付ける。それが『答え』だと、証明するように。
―――誰よりも、何よりも、彼女を愛しいと感じている。
「ん、むっ……ちゅ、んん」
 重ね合わせた唇から声が切なく漏れ始めた。
 瞬間、生暖かい涙が、肌に当たる。閉じていた目をゆっくり開けると、目前で伏せられている彼女の瞼からこぼれているのが見えた。
 止め処無く、次々に落ちていく雫を見届けながら、舌を動かし、口内を愛撫していく。
 尖った小石の角をとるように歯列の上を往復して撫で、刺激に慣れていない周りの壁を這った。
「くむ、っぅ、んちゅ……んっ」
 舌の動きが本格的になったところで、腰を抱き寄せながら一緒に体勢を倒していく。水無さんに覆い被さるのではなく、さっきと同じで引くように仰向けに自分から倒れこんだ。
 絡ませ、舐め、探り、侵す。どっちが先に相手の領土を攻め落とせるのか。垂れそうになる唾液を啜るのすら面倒で、ただひたすら舌で相手を求め続けた。
 倒れきったところで、重なった柔らかい身体を楽しみながら、重力に従って垂れる彼女の髪を掻きあげ、弱点である耳を撫でる。
「っ、んっ……はぁっ、……んっ、んむっ」
 水無さんは苦しげに声を漏らしたかと思うと、次の瞬間には何も無かったかのように振舞っていた。それでも、目では「ずるいです」と訴えかけてくる。
 確かに卑怯だと思い、俺は空いていた彼女の手を取って既に半分程立ち上がっていたモノへと導いて握らせてやった。
「―――っ」
 喉の奥から驚きの声が響いてくる。それに顔も僅かに硬くなって、何よりも頬が赤らんできた。それを見届けてから、耳を弄るのを止め、次に秘所へと手を伸ばす。
 指は蜜の滑りを感じた。未だに潤う蜜壷の中へ指を侵入させると、観念したのか、それとも自分だけ攻められるのが悔しかったのか、握っていたそれを扱き始める。
「ふ、ぁっ……んんぅ、っん」
616AMARIA -47-:2006/04/30(日) 03:10:45 ID:tGubYr0A
 沈めていく指を少しでも動かせば、口から吐息が溢れ出す。下の口も、声に反応して愛液で満ち、粘性の音を流し始めた。
 その反撃とばかりに、俺のモノをきつく握って離さない。更に上下の動きも速度を増していた。
 互いに敏感な箇所を弄りあって、気分を高揚してさせていく。
「ぬちゃぬちゃ、って凄い音してる……」
「……ここだって、硬くなってますよ」
 既に前戯は十分。でも、刺激が足りない。蒸気のように猛烈な感情の昂りを欲していた。
 何より、求めてくる彼女に決定的な一言を言わせてみたい。
「ん? どこ?」
 だから、わざと聞き返してみた。
「え……ここですっ」
 ぎゅっと肉棒を握り締めて、目を見て懸命に返答する水無さん。そんな彼女に笑いながら追い討ちをかける。
「ここ、なんて言い方じゃわからないですよ。ちゃんと言ってください」
 ようやく意図を理解したらしく、
「えっ、あ、う……っ」
 と言葉にできない恥辱感を感じているようだ。合わせていた目線を逸らして、俺の熱が冷めるのを待っているのだろう。でも、まだ終わりじゃない。
「―――言わないと、あげませんよ?」
 その言葉に、逃げていた視線が再び重なった。そして、切なそうな、物欲しそうな表情が目の中に入り込んでくる。
 訴えてくる情は、本物。後に言の葉で紡がれるのであれば、真と成る。
「っ……オ、チンチン、です」
「それで、何処に欲しいんですか?」
 恥ずかしすぎてまともに顔すら見られない彼女は、垂れた前髪に隠れて唇をもごもごさせている。
「……私の……オマンコに、挿れてください……っ!」
 風邪でも引いてしまったのか、今にも泣き出しそうな顔は真っ赤で、しかも涙目だった。
 刺激は十分。これで泣かれてしまっては、逆に割に合わなくなる。
 そんな冗談はさて置き、流石に可哀想になって頭を軽く撫で、柔らかく笑った瞬間言い放つ。
「はい、よくできました。というわけで、どうぞ自分で挿れてください」
「ほへ? …………………ええっ!?」
 一難去ってまた一難。待ち受けているとは思っていなかった困難に直面し、水無さんは軽く硬直していた。
「早くしないと―――」
「やっ、やりますからぁ……」
 仕方なく拍車をかけると、失礼しますと告げてから彼女は俺の身体を跨いだ。
 そして、迷いの捨てきれない目を何度も合わせ、俺のモノを掴むと躊躇いながらも秘所に少しずつ腰を落としていく。
「そう……ゆっくり。大丈夫?」
 水無さんは、顔を歪ませながらそれでも腰の進行を止めなかった。
「う、ふっ、あっ……だ、だいじょうぶ、でっ、す、はぁ……っ」
617AMARIA -48-:2006/04/30(日) 03:11:38 ID:tGubYr0A
 徐々に呑み込まれていく快感に襲われた。密集した襞の中に理性が呑み込まれていくのを想像する。
「あっ、くぅ……やぁ……あ、ああっ」
 絶えない我慢と、受け入れきれない快感の入り混じった声。
「……ほら、入っちゃった」
 そんな小さな背中を軽く押してやる。受け入れてしまえば楽になるとでも言う、快楽への案内人のようだ。
「あ、ぅ、くぅぅっ」
「入っているトコ、全部、見えてますよ」
 わざとゆっくり解説して、そのいやらしさをできるだけ頭に刻みつけようとしていた。
「いやぁ……」
 目だけでなく顔全体を覆うように両手を広げている。口も見えないが、声だけは聞こえてきた。
 でも、拒絶ではない。確かな愉悦の領域に踏み込んでいる証拠。そんな悦びを感じさせる艶の籠められた声だった。
 その扉を抉じ開ける。
「ひぁっ! くぁ、ん……あぁぁっ!」
 下から突き上げてくる突然の快感に、彼女は驚いていた。しかも慣れない体勢のため安定せず、支えられなくなり、上半身が胸の上に倒れこんだ。
 それで安定したのを見届けると、安心して下からの運動を繰り返す。俺の方がもう我慢できなった。膣内の締めも強くなってきているのだ。
「急にぃ、っ、動かなっ……いで、くだぁ……あっ、あぁっ!」
 これで、閉ざす扉は無い。抉じ開けた後は、引きずり出すだけ。そんなに余裕は無いが、こっちも楽しもう。
「……もう、待てませんよ」
 水無さんの細い腰に手を当て、腰を動かす。
 その卑猥さに混じって、音と共に上がる声。
 腰を打ち付けるたびに、段々と彼女の硬さも取れてきた。音の催眠効果と心の昂りが凄い。
 証拠に、膣が締め上げ、肉棒を離そうとしない。突き上げるのと絶妙のタイミングで、いつの間にか彼女の腰も動いていた。
 その必死に耐える、健気な姿に魅了されて思わず顔を上げ―――
 再度、口付けを交わす。
 もう既に嫌がる素振りは微塵も無い。
「っ、……はぁ、んむぅ……!」
 それよりも最初とは比べ物にならないくらいに、欲の世界に深く埋もれてしまっている。柔らかい唇の繰り返される応酬に呼吸することすら忘れていた。
 この時ばかりは、誰もが熱に侵されたひとりの男と女でしかない。繋がることで快楽を得、ひたすらにその感度を高めるだけ。生殖の儀式など知らず、満足の領域をじわじわと満たす。
618AMARIA -49-:2006/04/30(日) 03:12:29 ID:tGubYr0A
―――官能の世界だけが、舟の上にあった。
 ひんやりと、胸板の上に彼女の手が踊っている。必死にしがみ付いて、抑えきれない感情に従う。
 ひとたび腰を振れば、押し寄せる波が。再び腰を振れば、波は高さを増す。徐々に増していく波が、自分を呑み込むまでひたすらに行為を繰り返すのだろう。
 目の前に熱で惚けた顔。涙の跡が生々しく、痛ましい。だけど、今はもう扇情の小道具でしかなかった。不意に優しく彼女の顔を引き寄せながら下から腰を突き上げる。
「ひゃうっ!」
 吐息と共に細い声が流れるのを聞きながら、涙の跡を丁寧に舐める。少しだけ、塩の味がした。
 上を見れば、夜闇を纏う昏い月。その周りを星達が賢明に支えている。闇に呑み込まれそうなのは錯覚などではない。まるで、自分の心の内を晒しているのか。
 依然として、舟は何処かを漂っている。そんな不安定な舟と同じ俺達は、
「あっ、あぁ、は、ひっ……いっ、やあっ」
 貪るようにお互いを求め続けた。
 舟の先を照らすぶら下がったランタンの光。小屋舟の上での情事を隠すために下りた厚い布越しに映る、微かな影を見る。
 アイツは、今何を考えて舟を漕いでいるのか。出発前に思い浮かんだ、そんなつまらない事なんて―――もう、どうでも良くなっていた。
 行為の最中では他の全てが余計なこと。この繋がりだけが、全てだった。
「水無さん」
 首を振る彼女。口付けが降りてくる。
「いやぁ……灯里、って、呼んでぇ」
 快楽を隠し切れない艶を帯びた震える声。舟謳には無いモノが、心を揺さ振る。
 舌を絡め、灯里の味を感じる。いとおしいその名前を呼べば、カラダは応えてくれた。
 そのカラダに、俺も最大限の行動をもって返す。
「あっ、く……はっ」
 知らず、俺に限界が来ていた。それでも、まだ遠い。このまま、限界まで昇っていく。
「あっ、あっ、ああっ! だめ、ですっ……、私……っ!」
 そう言いながら、淫らに腰をくねらせ、振り続けている。先程までの動きとは違って、絶妙な腰使いになっていた。
 一層締め付けの増す膣壁に擦られ、一気に臨界点を突破した。
 ただ、息を呑んで湧き上がる欲情を思いのままに吐き出す。
「んんっ! あっ、あああぁっ……!」
 同時に達したのか痙攣する柔肉に包まれ、腰を突き出し、尽きるまで全てを灯里の中に吐き出した。
 何度もやってくる射精感に身体を震わせながら、ぐったりと倒れ込んだ灯里の身体の重みを胸の上で感じる。
619AMARIA -50-:2006/04/30(日) 03:14:03 ID:tGubYr0A
 そのまま、夜が明けて朝がやってきた。
 昨日と違うのは腕に身体を預ける人の温もりと、背中に圧し掛かる大荷物だろうか。
 何より、1人ではないというのが大きいのだけれど……。
 結局、サン・マルコ広場の舟乗り場に彼女の姿を見つけることは出来なかった。
―――君を待つ、じゃなかったのかよ……。
 その時の彼女の不適な笑みを思い出し、思わず口元が歪む。
「何笑ってるんですか?」
 タイミング悪く、鋭いツッコミが入った。
「いや、別に」
「あー、嘘です。絶対何か隠してます!」
 バレバレだ。
 顔を覗き込む彼女から目を逸らしながら、誤魔化し方を間違った自分を恨んだ。
 仕方なく、次の手段を模索し、名案を思いついた。
「はははっ、バレたかー。仕方ない、そなただけに教えてやろう。さあ、耳を貸せ越後屋」
 棒読みの台詞に、灯里は「はい、お代官様〜」と言いながらわくわくと無防備にも弱点の形の良い耳を晒してくる。
 俺が悪代官ならこのあとはきっと「あ〜れ〜」だが、何とか欲望を堪えきった。
「実は―――」
 切り出しだけで、そのあとの言葉は言わない。けれど、言わない代わりに耳たぶを甘噛みしてやった。
「ひゃっ!」
「灯里は可愛いな、って笑ってたんだよ」
 抗議が続く前に、彼女にだけ聞こえるように、呟く。
 悲鳴にも似た声が上がり、周囲の視線を一気に集めるが、それも一瞬のことですぐに冷めていった。
「え……あ、ありがとうございます……」
 耳への攻撃と言葉攻めが効いたらしく、顔を紅潮させて俯いてしまう。
 昨日あれほど彼女を抱いたというのに、まだ足りない気がした。
―――もう1日延ばそうかな……。
 そんな誘惑さえ脳裏を過ってしまう程、俺は惚れているということらしい。
 でも流石にそんな訳にはいかなかった。帰ってからやることが山程ある。それを先延ばしにすることは、色々な意味で大変だった。
 それに焦る必要は無いのだろう。
 まだ、これからだ。今だけは、このままであることを願うばかり。
 ふと、さっきまで考えていたアイツのことが、再び頭の中で蘇る。
620AMARIA -51-:2006/04/30(日) 03:14:58 ID:tGubYr0A
 それは、このままであること。
 アイツは―――そうあることを望んでいるのだろう。
 だから、サン・マルコ広場にもいなかったし、宇宙港にも来なかったんじゃないかと思う。
 なら、俺が何かを振りかざして障害になるわけにはいかない。なるつもりもないが。
 例えそれが正論や正義、ましてや真実であっても。
―――何より。
 俺は、灯里と一緒にいることを望んだから。
 出発ゲートの前まで来ると、時間を確認して、隣の彼女に振り返った。
「じゃあ、――――」
 ふと、言いかけて、そのあとの言葉に迷う。
 軽々と、今度なんて言える距離じゃない。星間遠距離恋愛をなめていた。
 しかし、そんなことは杞憂。言葉に迷っていると、一瞬でそんな思考が吹っ飛ばされてしまった。
 俺は、視界の隅から現れた灯里に唇を奪われていた。
 見開いていた目を落ち着かせ、少しずつ瞼を落としていく。
 どんな適した言葉よりも、行動が心を満たす時がある。逆にその方が多いかもしれない。
 でも、言わなければ伝わらないことがあって―――、
 唇を離し、目を繋ぐ。
「また、会いに来る」
―――伝えなければいけない相手がいるから。
「はい、待ってます。いつまでも」
 遮っていた雲は晴れたようだ。
 宇宙港の窓から射し込む光の中、その神々しい輝きを浴び、彼女は微笑む。
 望むのなら、一緒にいればいい。
 片方でも欠けてはならない。お互いがお互いを支えあう―――それだけで、どんな絶望もそんな一縷の幸福には適わない。
 ましてやそれが存在する限り続く幸せであるなら、幸福の大きさは関係ない。
 2人がいるだけで十分なのだ。
 だから、この距離さえ感じさせないように、必要なものがある。
 一緒にいられない時だけは、この声を、約束を、思い出しますように………。