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602AMARIA -40-
「んっ、むぅっ」
 項を撫で上げ、髪を通り過ぎたかと思わせたところで後頭部を押さえ込む。あくまで動きを促すように。
「水無さん……気持ちいい」
 止めは、言葉。唇の軽い拒否行動も一言で全部が許されてしまう。上目遣いに抗議をしてくる瞳も翻り、既に手の内にある。
 少しずつ、唇が躊躇いを感じさせながらモノを咥え込んでいった。
「はぁ……む、んんっ………嬉ひいふぇふ」
 半分近く呑み込んで、限界らしい。再び見下ろす俺を見つめ返してから、彼女は健気にも咥えたままで話しかけてきた。
「く、ぁっ」
 思いもしなかった舌の動きが絡みついて離れない。何とか平静を保ち、優しく頭を撫でた。
「ほへんははい。ふぇほ、ほっへも、熱ふへ硬い、んっ……ちゅ、おいひいふぇふ」
 殆ど意味を成していない言葉を、苦しそうに喋るたびに、唾液が口の中では絡み、最後には顎から滴り落ちる。
 到底、狙ってやっているようには思えない。天然の怖さを思い知った。
「ぢゅ、ちゅっ、ちゅうっ……ふぉうふぇふは?」
 唾液と一緒に肉棒を啜り、尋ねてくる。その間も熱心に舌で、俺が感じるツボを探っていた。
「喋られるとっ、うわっ」
「んぷっ、ふぁ、ほへんははい……」
 自分の稚拙さか、狙ってやっていなかったことか、どちらを詫びているのかは知らない。
 ただ、わかっているのは、妖艶な笑みが見つめていたという事実だけ。
 けれど、いくら笑みで魅せようとしても、先程も言った稚拙さは消すことはできない。
 そう考えることで、這い上がってくる射精感を落ち着かせ、束の間の冷静を得る。
「ちゅううっ、はぁ……んむっ、んっ、んっ、れろ……」
 甘かった。冷静による主導権なんてものほど、頼りないものはないことを知る。崩されてしまえば、脆いものだった。
 咥え込むだけでは、落ち着かなかったらしい。何度か口を窄めて顔を上下させてかと思うと、尿道を吸い上げてきた。
 散々、口の中で舌によって探り当てられたポイントを突かれている。的確にツボを得た舌技と唇の動きが今までの快感を数倍に膨らませた。
 先程まで経験の少なさで感じていたことが、今では、唾液に濡れて光る肉の棒を下から舐め上げるだけで、卑猥さが興奮を高める。
 何といっても、全ては素直さが功を奏したに違いない。
「んっ……ふ、ん、ちゅぷっ、ぷあっ……じゅる、ちゅうっ、れろれお……」
 何度も声を押し殺しながら耐えているというのに、水無さんは余裕の笑みさえ見せない。それどころか気持ちよくさせたいという真剣さが、未だに強く感じられる。
 懸命な一挙一動に、昂るばかりで見入ってしまう。それどころか、一瞬たりとも視線が離せない。
603AMARIA -41-:2006/04/19(水) 00:38:17 ID:3rw7otYQ
 底には、渇きを満たそうとする貪欲が身を潜め、脳に視覚情報を焼きつけていた。勿体無いとかそんな小さい惨めなものではなく、もっと欲しいと求める、大きい更に惨めなもの。
 水無さんがアイスを舐めるように、熱心に舌で嬲り続ける。相変わらず、間断無く動き、光を受けて妖しく照り返した。
 下半身から這い上がってくる一際強い気配を感じる。吐き出される温かい吐息も、今なら見える気がした。
 唇の締めも、絡みも一層の強さを増す一方で、何とか飛ばされそうになる意識を強く保とうとする。
「ちゅっ、ぢゅっ、ん、んぅ……ちゅうううっ」
 尿道を息の続く限界まで吸い尽くすと、口を離して休めた。解放した湿った唇からは透明の液が流れ出し、行為の激しさを物語る。しかし、今度は手での攻撃が始まっていた。
 俺には休息なんて無く、硬く反り返る竿にしなやかな指が絡みついて、肉棒を上下に扱き続ける。
 舌とは異なる快楽に目を細めていると、視線がぶつかった。
 目は繋げたままで時間が流れる。口の動きが止まっても、手で激しく扱くのを止めない。
 額の汗が、光っていた。
「欲しい、です」
 乱れた言葉だと思うことはなかった。一瞬でも、その通りの意味で処理してしまえばよかったのに、俺の慣性思考は拒んでいた。
 理性と本能の闘争。人間が人生で経験する境界線。
 見えない闘いに、善悪の判断と自身の欲望、願望を見出すだろう。
 永久に結論付けることのできない命題とも呼べる領域。
 しかし、それが在る故に人間が人間であると言える。片のつかないものこそが、バランスを保っているんだ。
 そして、重要なのは、何が正しいのか。何をしたいのか。
 そんな1秒にも満たない格闘時間の末、勝利の咆哮を上げたのは本能だった。すぐに、うつ伏せの状態だった彼女を引き寄せ、覆い被さって体勢を入れ替える。
 だが、負けても尚、理性は本能に従うことを解さなかった。
「水無さん、本当に―――」
 それは、最終確認。
「それ、反則です」
 手を掴まれて、泣きそうな顔で儚く微笑む。
 そっちの方が反則だ。
「いきますよ」
 言葉をかけて、手を握り締める。先端を、蜜を滴らせる秘所に当てて、濡れた花弁を押し込みながら膣内へと自身を沈めていく。
 優しく、でも確実にそれでいて、少しだけ突き破るために強引に。
―――俺は、あの欲しいと強請る言葉の裏に隠された意味を見出していた。
「あ、くぅ……くっ―――つぅっ!」
 それは、同瞬に、刹那の真剣さを盗み見てしまったから。
604AMARIA -42-:2006/04/19(水) 00:39:20 ID:3rw7otYQ
「……大丈夫?」
 そんなわけがないに決まっているのに。
 手で口を覆う彼女と繋がる場所からは、僅かに鮮血が流れ出していた。
「大丈夫ですから、続けてください」
 今にも折れてしまいそうな声。紡ぐ直前に涙を拭ったのを見たあとでは、虚勢にも思える。
 いくら強気に考えても、わからない。だから、自然と腰の動きが止まる。
 構わないから続けて欲しい、と。
 このあと、歪みを振り払ったような明るい顔で、水無さんはそう言うはずだ。今ならそんなことさえわかってしまう。
「あの、私―――」
「今だけ」
 遮った。
「今だけ―――繋がっている今だけなら、水無さんの全てがわかってしまうんです。心臓の鼓動も、脈動も、表情も……思考さえ、わかります」
 手に力が入る。貫通した瞬間の握力なんて、比べ物にならないくらい心を籠めた。
 けれど、わかるだけでは無理なんだ。その声で、言って欲しい。
「嬉しいとか。気持ちいいとか。でも、それ以前に、言葉で全部の正直を吐き出して欲しい」
 叫びたくなるのを必死に留める。それでも声量が増す声が、自分の精神状況を語っていた。
「だから、お願いですから―――痛いって言ってください」
 そう、言って欲しい。ひとつ、言われることで救われるものがあるんだ。
 水無さんは、全てを聞き届け、終に固く閉ざしていた口が開かれる。
「少しだけ、痛いです」
 無理な笑顔。左右が非対称になっていた。別におかしいなんて思わない。それが正直な感情なのはわかっていたから。
「キス、してください……」
 今度は逆に救いを求められ、忠実な僕の如く、すぐに唇を重ねた。その素直に向けて、感謝をそれに重ねて。
 言わずもがな、舌を差し出せば、同じように舌を絡み付けてくる。
 唇の忙しなさとは正反対の、繋がったままの部分。気を抜けばさらわれてしまいそうな、締め付けの中、俺はゆっくりと腰を動かし始めた。
「ふっ、む、ぅ……ぐぅっ!」
 耐えているのがわかってしまう。苦痛に歪む彼女の表情と、強張りを隠しきれない身体。
 理解しているのに、痛くないかと聞くことさえ不可能だった。
 繋がるこの身は、感じるだけ。故に、互いの身に秩序が存在し、知り尽くしたそんな壁が決壊しない程度に、快楽を貪る。
 不可視の抵抗数値がゼロになるまで、耐えてもらうしかない。
「ぐ、ぁぁっ! ふっ! んんっ、んっ、くぅっ!」
 唇の間から、悲鳴にも似た、快楽表現を聞きながら腰を打ち付ける。
605AMARIA -43-:2006/04/19(水) 00:40:19 ID:3rw7otYQ
 密接を繰り返す場所からは、濡れた効果音が流れ出し、同時に溢れ出す蜜は動きを滑らかにする手助けをしてくれた。
 更に、腰を打ちつける度に狭い空間に響く肉音。ただでさえ、狂ってしまいそうな快感の波に襲われているというのに、2つの重なる音が快楽指数を跳ね上げる。
 硬さの取れない顔を見ないように、垂れる汗も拭わず、飽きることなく柔らかい唇と舌を犯し続けた。
 肉壁を掻き分け、身体を貫く。
 たったそれだけの単純な行為なのに、割に合わない猛烈な快感の流動が股間の間から脳天に突き抜けていた。
「あっ、んっ! はぁっ!」
 振るたびに俺の下では、水無さんが顔を歪めながら必死に波を堪えている。
 この苦痛を与えているのは繋がっている相手だというのに―――なのに、未だに俺の手を離さない。
 空いているもう片方の手は、きつくシーツを掴んで握り締めていた。それは、裂けそうになるくらい強く握られている点から貫通したばかりの秘所と同様にも思える。
 同じなのは、近くの何かを決して離そうとはしないということ。
 異なるのは、自分もしくは相手から与えられるものということ。
 それは、頼っている?
 片足で立つことよりも難解で、時間が経てば失われてしまう痛覚から生じる不安と人の安定化への帰結が、もたらす仮初めの信頼なのかもしれない。
 回避不能の自問自答が脳内でリピート。そんなつまらない質問は無視され、身体の感度は増していく。
 熱が熱を。加熱した心が、傷口を抉られるようにされ、痛みすら感じない程までに悪化の一途を辿っていった。
 誰もが持って生まれた、何かを汚したい、壊したいと思う破壊衝動。
 今、まさにそれが掻き立てられている。それも憧れの女性となれば、尚更だ。
 衝動は倍増し、想いのままに目の前の純白の清楚清廉な肢体を、自分の色で染め上げることができる。
 その事実だけで、一気に果ててしまいそうになる。
 顔を見、時に口付け、堤防を決壊させようと腰の速度を限界まで上げる。
「いっあっ! あっ、く、んっ! ふぁ、つっ!」
 跳ね上がる反動が衝撃となって全身を隈なく走り抜け、まだ欲しいと心が訴えた。
 溢れかえる音源は、蜜の艶音を響かせ、心まで届かせようとする。
 目の隅に映った涙の線。
 微かでも潤いを求め、掬い、渇いた喉で涙を飲み干す。
 しかし、滴は熱く、逆に渇きを倍増させただけだった。
 今までは歪んで、固く閉ざされていた瞼が、不意に押し上げられる。
 隠れていた瞳が、静かに俺を見つめ、微笑む―――全てを許すように。
 その向けられた優しさに、胸が、締め付けられるような感覚を呼び起こされ、思わず考えも無しに好意とも思える眼差しを、動かし続ける腰と共に振り払った。
「ひっ、んぁ! はぁぁっ! あぁっ、ぁあっ!」
606AMARIA -44-:2006/04/19(水) 00:41:19 ID:3rw7otYQ
 痛みも和らいだのか、段々と声が艶を帯びてきているのがわかった。本当に僅かだが、緩やかになった締め付けもその証拠。
 快感に唇を噛み締め、構わず腰を揺さ振る。
 下らないことだ。
 俺が、いくら考えたところで何も始まらない。それどころか、頼っているのかどうかなど、然したる意味を持たない。
 シーツを握っていた手を、掴んだ。孤独だった五指に指を絡める。互いの視線が、顔の間で交わる。
 感じて欲しい、と彼女は言った。
 なら、余計な思考なんて邪魔でしかないのに―――何をしているんだろう。
 差し出された彼女を、受け取ったのに、細かいことを気にしているのでは、どんな決意も行き先を失って、迷宮を彷徨うだけ。
 求められるのは、満たされること。満たすこと。
「やっんぁ、あっあぁ! あっ、はぁっ!」
 一瞬の、廻り。
 全部が、晴れたような理性の飛ぶ瞬間を見た。同時に原始への回帰を果たす。
 身体を取り巻いていた柵が解き放たれ、一心不乱に水無さんを突き上げる。
「ひゃ、あっ! すごっ……い、あぁぁっ! やぁっ、ああっ!」
 許されたいんだと思う。
 誰に言われるまでも無い。己のことを。
 求められるがままに純潔を奪ってしまった自分。
 蠢く膣内が、モノを離そうとしない。擦れ合う2つが、快感を増幅させて相変わらず底を見せない。
 求め、求められる。動けば、動かれれば、気持ちがいい。
 きっとその為だけに―――。
「んっ、あっ、あっ! ふぁああっ!」
 荒くなっていく呼吸。余計なことなんて吹っ飛んで、気持ちいいことしか自然と考えられなくなった。
 終に、限界を超えて、俺は溜めていた猛りを吐き出す。
「んあああああぁぁっ!」
 抜いて、小さな身体に尽きるまで精をぶちまけた瞬間、水無さんの身体も快楽の限界に達したようだった。
 一際大きな声を上げ、身体を震わせているのが何よりの証拠と言える。
 勢い良く飛び散った白濁液が、胸にまで届くほどの興奮を表していた。今、それを出し切って、全身から力が抜けていくのがわかる。
「はぁ……はぁ、凄いです」
 肩で息をしながら冷めやらぬ興奮を声に出され、顔を上げた。
 すぐ下では、薄らと開けた目で俺を見据え―――やっぱり笑っている水の妖精がいた。