「うっ、あ……」
飛んでしまいそうな意識の中で、触覚だけを頼りに指を動かす。そうすれば、ぐちゃぐちゃと卑猥な音が漏れ、小屋の中が音で溢れ返る。
「はぁ……あんっ」
流れる快感に悶えるアマリア。水の妖精も、1人の女であることに変わりはなかった。そんなことに今更気が付く。
乳首を吸い上げていると、ゆっくりと手が降りてきた。
「はぁ、はぁ……待って。もっと気持ちよくなる方法、あるから」
肌蹴たままの格好で、俺を仰向けにすると身体の向きを入れ替えて、再度上に乗りかかった。そのまま、シックスナインの形にもつれ込む。
強烈な雌の匂いが眼前に広がった。さっきまでは下にあったものが、今ではこんなに間近で花弁を開かせているなんて。
「これこれ。ギンギンに勃起して、脈打ってる……大きくて、おいしそう」
張りのある頬の感触。脈動しているのが、自分でもわかった。次に、ざらつく舌が這っているのも感じ取れる。
「はむ、んっ、ふあっ、ん」
今度は口内の温かさ。長い舌の動きが、性感を倍増させるのか。アマリアの蜜も流れ出してくる。
その花弁を指で更に開いて、奥まで覗く。綺麗な薄い桃色の世界が濡れて光っていた。迷わずに口をつけて舌を伸ばす。
滑らかな舌触りを確かめていると、膣内が収縮する。
蜜は甘く、虜にされてしまいそうな錯覚。味は濃厚で、舌の進みを促される。
一方で、指は蜜壷を浅く掻き混ぜつつ、充血した豆を撫で、包まれた皮を摘まみ、柔らかく何度も嬲った。当然強弱をつけ、最後は思い切り弾く。
「ひっ、あああっ」
1度だけ大きく身体が揺れ、余韻を身体に残しながらぐったりと力が抜けていく。びしょ濡れになった手の平を舐めると、甘さは増していた。
「イった?」
意地悪そうに訊くと、
「バカ」
顔を紅潮させながら、笑いかけた。
お返しとばかりに奉仕を再開する。熱く滾った下半身の象徴。そこへ舌を這わせ、蛇のように的確に舐めていく。裏筋を這わせ、カリ部をなぞり、鈴口を細かく往復させるという一連の流れ。
「ほら……どう?」
アマリアは訊きながら依然、秘所から蜜を垂れ流し続ける。濃艶な女の匂いと、彼女の身体から湧き上がる汗とあの強烈な香りが俺を脳内から犯していく。
今や言葉さえも麻薬。無くては生きていけない。
「どう、とか聞くなよ」
そういう俺も、口と手が別の生き物みたいに、動いていた。
「気持ちよくないとか?」
「気持ちよすぎて―――困る」
吐き出した言葉に、一瞬の不覚を感じる。しかし、言葉は戻ってこない。
眼下には、アマリアの艶っぽい笑みがあった。その嬉しさを、口と舌とで饗宴する。唾液によって、ぬるぬると滑ることで今までに感じた経験の無い波が、ぞくぞくと下半身から一気に押し寄せてくる。
「そろそろ、やばい」
目の前の限界を本能が感じ取った。それでも止めない彼女に、俺は吐き出してしまっていいのかと思ったのも束の間、寸前のところで動きが急に止められる。とんでもない生殺しだ。
「ねぇ、じゃあさ、入れて……」
それを視線で訴えると、全てお見通しといったように、複雑な表情で哂う。自らに浮かぶ羞恥と相手をからかうための僅かな悪戯心の入り混じった顔つき。
入口は愛液に濡れ、物欲しそうに蠢いているように見えた。
「わかった」
身体を起こして、体位を入れ替える。アマリアを仰向けにして、俺は上から彼女の顔を見下げた。
「あの―――っむぅ」
何か言いかけた彼女の口を塞いで、緩やかに、俺のモノを受け入れていく。
「あ、はぁっ! は、入って、くるぅ!」
構うことはない。こうなることは、初めからわかりきっていた。
どんなに、許されない行為でも。誰も見られない、知らない、いない世界では―――俺か彼女のどちらかが神であり、法律だ。
何を躊躇う? いや、何も。
「く、っ」
締め付けが現世を呼び起こす。見るのは上昇していくスカイダイビングの夢。急速に、パラシュートを開く瞬間まで全力で流れに任せて流れ、昇っていく。
こうなることを、繋がることを求めるのは当然の性。
「あ、や……ううぅ、は、あ……」
なら、耳元で鳴り響く嬌声と激しい動きの輪舞に、身体の音程を合わせればいい。
腰使いが速くなっていく。それは彼女を導く道であって、自身が果てる道でもある。
「ふ、うぅっ、ああ……はぁっ!」
シーツの上で踊る手を掴み、重ねる。不意に、吐き出しそうになりながら顔を上げると蕩けきった顔が目前にあった。
遠慮は要らない。求めるままに難攻不落の城を突き崩す。今ならそれは砂上の楼閣だ。崩してしまえば、あとはこちらのものに成ろう。
悶える顔の顎を押さえ、口付けて、舌を挿入する。膣からだけではなく、口からも犯し始めた。
「っ……ひ、やっ、……ふあっ! ぐちゃぐひゃに、おふまで、んんっ、きて……っ!」
受け止めきれない快感をやり過ごしながら、言葉を紡ぐ。呂律のまわっていないそんな哀願の声も、所詮は扇情のものと成っていた。
両方の挿入を繰り返す最中、重ねあったはずのもう一方の手もいつの間にか抜け出して、俺の身体を抱いていた。か細い両腕は花の茎を想起させる。
「んん……ぃ、ああっ……っ」
卑猥な音が小さな箱の中を満たす。浅く、深く、夢中で腰を打ち付けているはずなのにそんな変動が音を容易く変化させていた。その音が聴覚からも犯していく。
今はただ、求めるだけの性の虜。あらゆるものが引き立て役にすぎなかった。
「いいよぉ……、ごりごり、掻き混ぜてるぅ……!」
突如、下半身が切り離されて自動的に動いているのか。そんな不安を感じる。実際、興奮剤も切れたのか頭は冴え、脳内の揺さ振りも治まった。
満ちるのは音ばかりではない。アマリアの昂った淫らな声も音量を増していく。清楚そうな顔つきも、歪み、眉根を寄せて快楽に反り返っていた。
大粒の汗が浮き、乱れた姿を一層際立てている。肌蹴た服装はそのままで、必要な部分だけを晒しただけの行為は全裸になるよりも、かえって興奮させた。
再度、精神と思考は肉体へ帰結する。
1度冷静になったことで、肉欲は跳ね上がった。身体の求めるその度合いは半端ではない。
「ひあっ! んっ、あああっ、やぁ……!」
押し寄せる波を、堪えきれない。終わるのを惜しむどころか、果てることへ真っ直ぐに向かっていく。
あれは決壊する予兆だったのか―――。
「イクぞ」
一言、呟く。
「ん、いっひょに、イク、から」
激しい身体の揺れに言葉が上手く、出せない。それでも理解した俺はただ頷いた。
その瞬間、壁が崩れる。
「い、ああ、っ、ああああああっ!」
最初の絶頂のあと、続くような形で、溜めていた白濁を全て彼女の上に吐き出した。
徐々に、制服を白く彩っていく。
同じく、頭の中も白く塗り潰されていった。