▲▼   ARIAでエロパロ   ▲▼

このエントリーをはてなブックマークに追加
26969
「だってさあ、あーおいしいおいしいって言いながら、まるで見せびらかすように
私の目の前でこのお酒を飲むのよ。飲んでみたくならないほうがおかしいっての」
藍華ちゃんは頬杖をついて、ぶーぶーと文句を言っています。私はその光景が
おもしろくて、つい笑ってしまいました。
「あはっ、晃さんらしいといえばらしいですね。でもどうして藍華ちゃんこれを
持ってこれたの?晃さんは?」
「んー?ああ、晃さん今日はいないの。だから楽しみましょうよ。鬼の居ぬ間に、ってね!」
「もう、藍華ちゃんったら・・・」
嬉々としながらそう言う藍華ちゃんに、私は困りながらも笑うことしか出来ませんでした。
「確か今、晃さんアリシアさんのとこにいるわよ」
藍華ちゃんがグラスに口をつけながら、そう言いました。
「え、アリアカンパニーに?」
「そう。」
そういう藍華ちゃんの顔はどことなく拗ねているようでした。
「藍華ちゃん、さみしいんだー」
「うるさーい、私が恥ずかしくなるセリフ、禁止っ」

夜も段々と更けていき、藍華ちゃんはお酒が回ったのかいつもよりも更に饒舌に
なっていました。そして藍華ちゃんの口からは、いつもよりも晃さんのことがこぼれます。
そしてそれに伴い私の胸はひどく痛みました。酔ってしまった所為なのかとも
考えましたが、私には分かりませんでした。晃さんのことを話す藍華ちゃんは、
とても眩しくてとても綺麗です。私は晃さんのことが、何故だかとてもうらやましく思いました。
私はこんな感情を抱いたのが初めてだったので、この感情の名前を知りません。
27069:2005/11/27(日) 01:21:46 ID:gwMsh+/u
「・・・どした、灯里?」
私がぼーっとしていたからか、藍華ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込みました。
私は藍華ちゃんのその顔を見て、何故だか心臓が跳ね上がるのが分かりました。
分かりません。すべてが分かりません。私はどうしたのでしょうか。
「・・・っごめん藍華ちゃん、私トイレにでも行ってー・・・」
頭を冷やしてくる。そう言って私は立ち上がったつもりだったのですが、
最後まで言葉をつむぐ前に自分の予想以上に酔いが回っていたのか
私は上手く立ち上がれず、私はテーブルに足をぶつけてバランスを失ってしまいました。
私の世界が回ります。
「灯里っあぶな・・・!」
私が最後に見た光景は、ひどく心配そうな顔をして、私を受け止めようとする
藍華ちゃんの顔でした。


「・・・藍華ちゃ・・・」
「大丈夫、灯里?!怪我とかしてない?」
藍華ちゃんは、転ぶ私を受け止めてくれたようでした。
私は数秒意識を失っていたようで、藍華ちゃんの心配そうな顔がまた
私の胸をずきりと痛ませます。パジャマの隙間から、藍華ちゃんとの
肌が触れ合いました。私は気が動転して、本当に、なにも分かりません。
分からないんです。
「・・・藍華ちゃ・・・ごめんなさ・・・」
私は、それしか言うことが出来ませんでした。自然と涙が溢れてきます。
私には分かりません。なんで藍華ちゃんが晃さんのことを口に出すと
こんなにも胸が痛く苦しくなるのか、藍華ちゃんの傍にいて、何故こんなにも
心が満たされるのか。
「・・・なんで灯里が泣くのよ・・・」
そう言って、藍華ちゃんは私の涙を拭ってくれます。藍華ちゃんの指が
私の頬にふれます。幸せです、苦しいです、もどかしいです。
私がこんな感情を抱くのは藍華ちゃんだけにです。
この感情の名前は、多分、きっと。
27169:2005/11/27(日) 01:27:23 ID:gwMsh+/u
「・・・私、嫉妬してたの・・・藍華ちゃんの口から晃さんの名前が
出るたび、ずっと・・・」
「え?・・・灯里、どういうこと? ちゃんと全部聞いてあげるから、言ってみてよ」
藍華ちゃんが私の目の前で、首を傾けて聞き返します。
まるでゆっくりと、私の心をとかしてゆくみたいに。私の口からは、言葉が溢れてきます。
「多分、私、藍華ちゃんのことが好きだと思うの。本当に。藍華ちゃんといると
楽しいし、嬉しいし、本当に幸せな気分になるの。だけど、汚い気持ちも
抱いちゃうの。藍華ちゃんが、私のことだけを見てくれたらいいのにって思うの。
ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
ぼろぼろと、今までに流したことないくらいの涙が溢れて止まりません。
私には分かりません。もしかしたら、これは藍華ちゃんを裏切る行為なのかもしれません。
私はただ藍華ちゃんに謝ることしかできません。私はただ藍華ちゃんの顔が
見れなくて、目を瞑りました。私の頬にはまだ、藍華ちゃんの指がふれています。
そして私はその指を離されるのがとても怖かった。

「・・・ばっかじゃないの、灯里」
「え?」
思わず顔を上げると、照れくさそうに笑う藍華ちゃんがそこにはいました。
それは私が予想していた軽蔑、失望、そのどれとも違う表情でした。
「私も灯里のこと好きよ。ううん、大好き」
藍華ちゃんの指が、私の頬を優しく撫でます。
「・・・うそ・・・」
「じゃないわよ。」
そう言うと、藍華ちゃんは私をとても力強く抱きしめました。藍華ちゃんの
胸が私の胸にあたり、私はどきりとしました。だけどそれ以上に、今のこの現実が
信じられなくておろおろとするだけしかできませんでした。
私は、藍華ちゃんを抱きしめ返すことができませんでした。
27269:2005/11/27(日) 01:34:15 ID:gwMsh+/u
「・・・あっ、あの・・・藍華ちゃん・・・」
「嫉妬くらい、恋する乙女が抱いて当然よ。」
「・・・でも・・・」
「そうでないと、なんで私はあのポニ男に
あそこまでつっかからないといけないのよ。」
「でもそれは、暁さんはアリシアさんが・・・」
「ちっちっちっ、甘いわね灯里。私はこれでも
憧れと恋心の分別くらいはついてるつもりよ。」
藍華ちゃんは、ゆっくりと私の体を離し私の瞳を見つめました。
「大好きよ、灯里。灯里は?」
藍華ちゃんは、こんなときにも私を励ますように、そしてなにか、
これは勘違いじゃないといいのですが、いとおしい者を見つめるような表情で
私の顔を真っ直ぐと、正面から見てくれました。
「・・・私も藍華ちゃんのこと、大好きです。」
自然と私達の顔は近付き、軽く、キスをしました。私はそれだけでも顔が真っ赤に
なるのが分かりましたが、私はそれ以上も欲しいとさえ思いました。
私はここまで貪欲だったのか、と、自分自身に思い知らされました。
「・・・藍華ちゃ・・・」
「んっ」
もう一度キスをして、今度は深く相手を求めます。藍華ちゃんの舌は
温かく、とてもやわらかくて先程のお酒の味がしました。
私達の体は、より密着していきます。今度は、私が藍華ちゃんを
抱きしめました。藍華ちゃんは体も心もあたたかくて、
やわらかかったです。
「ん、んぅ・・・はっ、灯里・・・」
「・・・ふぁ、はい、藍華ちゃん」
「安心していいから、ね。」
「・・・はい」

こんなにも藍華ちゃんのことが気になり、嫉妬までした私はとても汚いのに、
藍華ちゃんはそれを受け入れてくれました。私はただ、幸福でした。
幸せで、また涙がこぼれてしまいそうでした。
「もーっ、もういいかげん泣かないの!」
「・・・はひっ、・・・藍華ちゃん、ありがとうございます」
「こちらこそ、私なんかを好きになってくれて、ね。ありがと。」