ガン×ソードでエロパロ

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111名無しさん@ピンキー
ぐう、と胃の奥からの鈍い響きに、ヴァンはわずかに眉をしかめた。
もう何日、食べていないか。
前の町で流し込んだ料理・・・とは言えない、ほとんど調味料を満載した皿を懐かしく思い出す。
が、いくら記憶を反芻しても、それで腹が膨れるわけもない。
眠れずに、ごろりと岩の上を転がった。月は白く、強迫的なまでに頭上にのしかかってくる。
また空腹を紛らわそうと、懐のパズルを握ってみる。だが、

ーーー眠るには、この方がいいか。

冷たく見下ろす月から目をそむけて、自分の分身を握り締めた。
夜気の冷たさに触れた拍子に、帽子のリングがちりん、と鳴った。


ーーーヴァン、

思い浮かぶのは、愛しい女の声。
もうこの世にはいない、自分の全て。
あの細い手で、自分の手を握ってくれた。無縁そのものだった平穏を与えてくれた。
一緒に暮らしてくれると言ってくれた。そして、ずっと続くはずだった。

ーーーヴァン、私たち、結婚するのよ。

あれは式の前の晩。
絶望と激情に混沌とした今とひきかえ、エレナとの日々はより鮮明に思い出される。
ミルクとワインで乾杯をして、微笑むエレナに見入りながら夕食を取った。
幸せな、心から幸せそうなエレナを見ていれば、あの頃は調味料なんか要らなかった。
暖かな部屋、美味い料理の味、明日には妻になる最愛の存在。
殴ったり奪ったりしなくても暮らしていける未来。
エレナがいれば自分も幸せで、自分がいればエレナも幸せにできる。
まるで夢のように全てが満たされていた・・・
それは確かに夢ではなく、喪失の怒りは今も胸で燃え盛っている。
112名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 16:11:09 ID:c0CjO7/D
ーーー明日は、みんな祝福してくれるわ。
   ガドヴェドさんも、お友達を連れてきてくれるんですって。

「みんな」なんかいらない。エレナといられるだけでいい。
でもそれがエレナの幸せの一部なら、自分もそれを守らなくてはいけないだろう。
まともな暮らしとはどういうものか、まだよくはわからない。
でもそれを脅かす奴がいるなら、撃退できる自信はあった。
鍛えた長身と腕っ節。それだけが、エレナと出会う前に得た唯一の誇れるものだ。
他はもう、要らなくなる。惨めな過去は捨てて、生まれ変わることができる・・・

ーーーねえ、ヴァン。

ふと手を取られて、長椅子へ導かれた。まだ食事は残っていたが、誰かに取られる心配ももういらない



ーーーねえ、ヴァン。

柔らかい椅子や寝床にはまだ慣れなかった。柔らかすぎて、体がゆがみそうな気がしてしまう。
すぐ隣に座ったエレナは、自分の手を握っていて・・・その手がゆっくりと頬に触れる。
のしかかるように身を寄せてくる近さ、暖かな重みが気恥ずかしかったが、
エレナも少し恥ずかしそうに、それでも本当に嬉しそうに微笑む瞳に吸い付けられて、動けない。
逃げる必要もなかった。こんなに他人と体を密着させて安心できるなんて、
以前なら信じられなかっただろう。
おずおずと背に手を回す。折れそうに華奢な体の扱いがわからなくて、少しずつ力を込めていった。
腕の中に収まるエレナの香り、胸に触れる胸も顔に落ちる亜麻色の髪も、
どこもかしこも柔らかな愛しい体。

ーーー苦しい、

強すぎたのか不意に呟いたのに慌てたが、でも微笑みながら唇に唇を寄せてくれた。そして、触れ合う


この感触にはいつも気が遠くなる・・・今度こそ力加減に気を配りながら抱きしめれば、
互いに鼓動が高鳴るのを感じ、甘い感覚に酔いしれて執拗に唇を重ねる。
ひそかに目を開くと、うっとりと閉じたエレナの瞼がすぐそこにあった。
決して無理強いはしていないことに安心して、夢中で息を継ぎながらまた唇を求めて・・・
ふと小さく笑う気配と共に、熱い舌に唇を割られた。驚いてもぎ離そうとしたが、
いたずらっぽい笑みを浮かべたエレナに首を抱かれて、口腔を犯されるよりない。
歯列をなぞられ、口蓋を舐られ、舌に舌が絡みつき、鈍い味覚にも甘い唾液が流れ込む。
脳の奥がとろけそうな快感に耐えかねて顔を逸らすと、耳元でくすぐったい吐息がささやいた。
113名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 16:11:54 ID:c0CjO7/D
ーーーこういうのも、あるの。
ーーー明日は・・・
ーーー式では、だめ。でも・・・

そう、式でもキスをするんだった。まともに結婚式というものを見たことがない、
教会自体ろくに行ったことのない自分に、エレナは式の流れや意味を丁寧に教えてくれた。
教会どころか、社会常識とされるものをまるで知らない自分を、エレナは馬鹿にしなかった。
いちいち驚いたり蔑んだりする連中とは違って、必要なことを一つ一つ教えてくれる・・・
「こういう」事も。
しかし普通のキスにしても、牧師やガドヴェドや客の前で、どんな顔をしたものか想像もつかない。
とぼんやり思う間もなく、まっすぐに見つめるエレナに視線が引き戻された。

ーーーねえ、ヴァン。

つと手を取られた。エレナの細い手が好きだった。今もたまらなく好きだ。それは導きの御手。
その白い指を自分の無骨な指に絡めて、豊かな胸に押し当てるのを、
どこか信じられない思いで見上げていた。
初めて手で触れた胸の柔らかさに、ぞくりと鳥肌が立つ。これこそ迂闊に扱えば壊してしまいそうな、
それでいて張りのある丸やかな感触の頂点に、固い芯を感じた。
それが何かは知っている。わずかに指を動かしただけで辛そうに息を詰めて、
ひくりを背を反らせるエレナが、恥じらいを含んだ目に何を感じているかもわかっている。
・・・けれど。

ーーーヴァン。 ・・・いいのよ?

その言葉に甘えるには、流れ者暮らしに浸かりすぎた。
男と女の関係といえば、金や力で相手を曲げて言うことを聞かせるもの。
服ばかり豪奢に着飾って虚ろな媚態を浮かべる娼婦、時に集団で苦痛もかまわず嬲る連中。
それだけは絶対に与したくなかった。そうでなくても、ろくに知りもしない相手と、
身を鎧うなけなしの服すら脱いで絡み合うなど、よくできるものだ。
自分は違う。エレナもそんな相手とは違う。エレナには全てさらして構わない。
そして苦痛を強いたくない。せめて式を挙げてからというのが「まとも」というものらしい。
・・・だから。
114名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 16:12:44 ID:c0CjO7/D
ーーー・・・いや。
ーーーえ?
ーーー明日、終わったら、続きをしよう。

自分でも無理をしていたと思う。当然、見抜かれていただろう。
また深い口づけの後、するりとほどかれた白い手が股間に伸びるのには本気で慌てた。
敵なら容赦なく蹴倒す脚のやり場がなく、制しようとした声は指の感触に焦って飲み込む。

ーーー大丈夫。

微笑んだ唇に、先端が含まれるのを呆然と見つめる・・・間もなく、熱く柔らかい刺激に思わず息を吐いた。
何が大丈夫だ。一人での処理とはまるで違う、未知の快感が背筋を貫き、
股間に最愛の人をうずくまらせる罪悪感と、丁寧に舐め上げ、吸われる快楽の落差で気が狂う。
ようやく肩を掴んで中止を叫ぶと意地悪く歯を立てられる、それさえも至福。
抵抗をあきらめれば途端に腰へと衝動が襲いかかった。堪えようもない熱に浮かされ、
空白な脳にひたすら愛しさが焼き付けられる・・・そして溢れ出す、空虚なまでの充足感。

気がつくといつの間に掴んでいたのか、ひどく髪を乱しむせて咳き込むエレナがいた。
慌てて抱き寄せると、白濁のにじむ唇が唇に押し当てられる。舌に乗って伝わる、ひどい味。
必死に髪を撫で付けてやりながら、内心絶望していた。こんなものを飲ませてしまって・・・。
・・・それでも。

ーーー明日は、私の番ね。
ーーー・・・ああ、頑張ってみるよ。
ーーー頑張ることじゃないわ、愛してくれていれば。・・・愛してるわ、ヴァン。
ーーー俺もだよ、エレナ。

それはまるで、夢のように。
微笑むエレナは、夢のように幸せそうだったんだ。
115名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 16:13:21 ID:c0CjO7/D
目を開くと、相変わらず月が浮かんでいる。
ヴァンは手に放った精液を草むらになすりつけて、残りを少し舐めてみた。
匂いは少し感じるが、もう味はよくわからない。でもきっと、相変わらずのひどいものだろう。
こんなものを自分から飲むというのもよくわからない。でも、確かにエレナは愛してくれていた。
あの「翌日」・・・倒れたエレナの手を、自分は取ることができなかった。
そして目が覚めた時、全てがなくなっていた。夢見ていた全てが、何もかも。
・・・それを思い出すと、もう眠るどころではなくなってしまう。
もう一度手を草でぬぐって、夜闇の中に立ち上がった。仇を求めて。
全てを奪った仇を殺しに、次の町へと歩き出す。
月の光を静かに返して、帽子のリングがちりん、と鳴った。
  =完=


・・・無駄に長いとかエロくないとか途中壮大に見逃してて
動くエレナほとんど見たことないからだいぶ違うんだろうなとか妄想炸裂とか・・・
ヴァンに斬られる前に逝ってきます。逃げろ!!