ボブさん、あんたって人はそんな焦らすような事を・・・
待ってるぜ。
某格闘漫画並みに芸術的な寸止めだ。
この寸止め…シャナを思い出す
あまりにもナイスな寸止め……
期待して待ってます
神乙!
しかし寸止めはキビシイー
キタキタキタキタお兄ちゃん頑張れ超頑張れ。んんっ!?昨日も同じ事を言ったような。
GJ!……GJなんだが…
『まてー!!』←畜生!こりゃ誰だ、一体誰なんだよ!気になる気になる気になる気になる気になる気になフォーーーーーー!!
正直スマンかった
C:現実は非情である。
を選択きぼん
ifの方もあんまりひどい事して欲しくないとアピールするテスト
むしろifの方で翔に逆レイプされる貴志
ソレ(゜∇゜)イイ
つか激しくキボンしたい
818 :
ボブ富井:2005/12/05(月) 22:09:19 ID:iN+d1xEt
『待てー!!!!』
有らん限りの大声で叫んだ。バー内の人間の視線がいっせいに俺に注がれる。
ギリギリだった、かもしれない。とにかくなんとか間に合ったようだ。
寝子神から翔の居場所を聞いて、全力疾走でここに向かった。で、いざ中に入ってみれば
この有様。
何人ものいかにも凶悪そうな男たちが円を作り、その中心に翔が倒れていた。
男たちのにやついた表情を見れば、これから何が起ころうとしていたのかは容易に想像が
つく。
なんでこんなことになったのかは分からない。ただ翔が凶悪な連中に襲われそうになって
いたのは確かだ。
男たちが誰なのかなんて見当がつかない、いや、1人だけ心あたりはあるのだけれど。
もっとも人から特徴を聞いていただけで、直接出会ったのは今が初めてだ。
堀田史也…危険な男だと聞いていたが、実際会ってみてその通りだと思った。
人を外見で判断するのはよくないかもしれないが、どう見ても危険人物だ。
『ちゃんと1人は見張りたててろって言っただろうが!』
その堀田が口を開く。外見そのままのような低くドスの効いた声だ。
『『す、すいません』』
周りの男たちが堀田に謝る。やっぱり堀田がこの連中のリーダー格だな。
『早く翔を離せ!警察を呼んであるんだぞ!』
『誰に命令してんだコラー!』『サツって…やばくねえ?』『おい、どうすんだよ?』
周りの男たちが口々に俺に向かって暴言を吐いたり、不安めいた顔でざわめきあったりし
ている。このおどしで素直に引いてくれればいいが…
『落ち着け!仮にサツを呼んでてもここまで来るに時間がかかる。場所を移しゃあいいだ
けの話だ。まあ、その前に…』
堀田が俺を睨む。
『…こいつをブチ殺してな』
それを合図に男たちが俺の方に距離を詰めてくる。お楽しみを邪魔されたからか明らかに
怒りの表情だ。やばいな…
819 :
ボブ富井:2005/12/05(月) 22:10:07 ID:iN+d1xEt
『翔、大丈夫か?』
おそらくはまだ何もされてないと思うが、一応翔の状態を確認するために声をかける。
『馬鹿!なんで来たんだよ!俺のことなんかどうでもいいからとっとと逃げやがれ!
今ならまだ間に合うからよ!』
床に倒れたまま翔が声をあげる。うん、どうやら何かされて動けないみたいだが、ぱっと
見てこれといった傷とかもないし、体の方は大丈夫なんだろう。良かった…
『お前を助けに来たのに、逃げたら意味無いだろ』
以前のことで少々度胸がついたのか、凶悪そうな男たいが今まさに俺を叩きのめそうとし
ている状況でも割と冷静に声が出る。
『助けるとか格好つけてんじゃねーよ!さっさと逃げろ!逃げねえとブチ殺すからなぁ!』
泣き出しそうな声で俺を怒鳴りつける翔。俺のこと心配してくれてるのか…嬉しいな。
でも逃げないとブチ殺すって言ってもこの状況じゃ無理だろ。
『俺1人じゃ逃げない!翔も一緒に逃げる』
そうじゃないと来た意味ないし。
しかし幸いというべきか俺が注意を惹きつけたから連中は翔から離れた。今、翔のそばに
いるのは堀田1人だけだ。
『馬鹿!ばかばかばかばばかばかばかぁ!』
涙をポロポロ流しながら俺を怒鳴る翔。むう…助けに来た人間に対して馬鹿は失礼じゃな
いか…?
『へへへ、お涙頂戴の再会はすんだのか?つうか、なんだてめえは?翔ちゃんの男か?』
『…兄貴だ』
お前なんかに翔を翔ちゃんだなんて呼ぶ権利はないと思うぞ。
『ほう、そりゃ随分妹思いの兄貴だな〜。しかし1人で来るとはなかなか勇敢なお兄ちゃ
んだ』
『お前らなんか1人で充分だから』
ドっと周りから笑いが起きる。
当然ハッタリだ。俺じゃ正直1人も倒せないかもしれない。ま、別にケンカしにきたわけ
じゃないんだが。
『ひゃははははは。なるほど「1人で充分」か。はははははははは…
―――なめてんじゃねーぞ糞ガキがぁ!!』
馬鹿笑いから一転ものすごい形相で俺に罵声を浴びせる堀田。ぐ…さすがに迫力がある。
『…もちろん俺だって何の準備もしてきてないわけじゃない』
ポケットに手を突っ込む動作をする。
『くたばれクソがぁぁぁ!!』
その動作を見て男共がいっせいに飛びかかってくる。
ポケットの中には…ティッシュが入っているだけだ。さっきのはただのハッタリ、こうで
もすれば飛びかかってくるだろうと思っていたが案の定。
俺はケンカはそんなに強くない。ましてや俺よりも格段に強い翔を動けなくようにした連
中にかなうわけがない。でも身のこなしなら少しは自信がある。
『っつらぁ!』
単調に襲いかかってくる連中の間をすり抜ける。いっせいにかかってきたのが逆にアダに
なったな。普通後ろにもう何人かは置いておくものだ。
そのまま全力疾走で翔のところまで走り寄る。
『翔!!』
倒れている翔の手を取り一気に背中に担ぎ上げる。
『貴志……』
『逃げるぞ!!』
820 :
ボブ富井:2005/12/05(月) 22:10:56 ID:iN+d1xEt
『あっ!前!!』
『え……うぐっ!』
前からかかってきた男に腹を思いっきり殴られる。思わず苦悶の声が漏れる。
…っ!倒れるかよ!
『死にやがれ!!』
“ドス!”
立て続けに腹を殴られる。他の男たちのぞろぞろと寄ってくる。
『オラァ!』
“ゴス!バキ!”
駄目だ…このままじゃ…翔を…
なんとか力を振り絞って翔を傷つけないようにゆっくりと床におろす。
『おにいちゃん!!』
『…へへ』
翔に大丈夫だと言うように笑ってみせる。正直ぜんぜん大丈夫ではないが…
『オラオラさっきまでの威勢はどうしたよ!!』
“ガス!ガス!”
翔をおろした後一緒に倒れた俺の横っ腹に容赦なく蹴りをいれる。にぶい音が何度も耳に
響き痛みが襲ってくる。
翔の蹴りには全然及ばないがそれでもこう何発もくらうとやばい。
『が…ああ…っ』
他の男たちの俺の背中やらを蹴り飛ばす。
『やめろぉー!やめてくれ!頼むからもう止めてくれよぉ……
俺は、俺は何でもするから…っ!』
その気持ちは嬉しいけど…お前が何でもされたら俺がたまらない。
『もう遅いっつのー!こいつを血反吐吐くまでボコったらゆっくり好きにさせてもらうか
らよぉ〜。大人しくまってな!』
“ドス!ドス!”
『やめてぇー!!もう…やめてよぉ!』
翔が涙を流しながら懇願する声がきこえる。はは、俺は大丈夫だって言ってやりたいが…
ちょっと今は無理かな…へへ
『ひゃははははははは。残念だったなお兄ちゃんよぉ〜。
ま、今は気絶しねえ程度に抑えといてやるから、ゆっくりかわいいかわいい妹がザーメン
まみれになるのを見物するんだなぁ!』
堀田のゲスい声がかろうじて聞こえる。
『漫画とかドラマだったらここで正義の味方やら何やらが助けに来てくれるんだろうが…
生憎そんなことはねえみたいだなぁ〜。へへ、現実ってのはきびしいねぇ〜
なあ?翔ちゃん』
『…っ!黙りやがれクズがぁ!てめえら絶対、絶対に殺してやる!』
『おお〜恐い恐い。俺ら殺されちまうぜ。ひひひ』
『ああ〜殺されるぅ〜助けてママってかぁ〜?』
『きめえ〜何言ってのお前?ははははっ』
俺をいたぶっている連中が翔をからかって笑う。さも愉快そうだ。
でも、間にあったか…けっこうギリギリだったな。
821 :
ボブ富井:2005/12/05(月) 22:11:35 ID:iN+d1xEt
『…なんとか時間はかせげたみたいだな』
『あん?』
堀田が怪訝な顔で俺の方を見る。俺の言っていることの意味がよく分かっていないようだ。
『俺は本当は警察なんて呼んでないよ。この世には警察よりも確かなものがあるって知っ
てるからな。警察よりももっと確実な正義の味方がいることを…』
『なに言ってやがる?へへ、恐怖でイカレちまったのか?』
周りの連中も訳が分からないといった顔をして俺を笑う。笑えばいいさ。危険ってのは実
際にあってみないと分からないものだ。
『警察呼んでねえのならなおのこと好都合だ。場所を移す手間が省ける。
ここでこの女をじっくり犯して、それを充分にお前に見物させたらゆっくりといたぶって
やるよ』
『まったく…正義の味方ってのは何でピンチにならないと現れないのかな…』
まあ、しょうがないか。呼んだのは俺がここに入った直後だ。むしろ10分ほどでここま
で来れる方がすごい。
『貴志…』
翔が涙を浮かべて不安そうな顔で俺を見てくる。ああ、翔からも見えないのか…
でも残念だな。俺が翔の正義の味方になってやりたかったんだけど…
まあ、俺じゃ無理か…
『ホントにイカレちまったみたいだな。正義の味方なんているわきゃ…
『―――正義の味方登場ってか』
『『………………!?』』
その場にいた俺以外の人間が皆、声のしたほうを振り向く。
その視線の先には―――
夜の空のように暗く夜の海の如きに漆黒き。
地獄そのままに闇く影さながらに黒い。
黒衣の美女が皮肉な笑みを浮かべて。
ただ単純に、存在していた。
822 :
ボブ富井:2005/12/05(月) 22:12:55 ID:iN+d1xEt
黒衣の美女については…正直スマンかった。「赤き征裁」やってみたかったんです
幸か不幸か所用がなくなったので投下させて頂きました
つうか今回も寸止めですか俺
あと逆レイープとか大好き、と言っておきます。ifの方は貴志飼い殺s(ry
哀川さんいいよなぁ。かっこいいよなぁ。
ボブさん今日もGJだよ。
今日は無いものと思ってたけど。
また寸止めキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
てか赤き征裁とか元ネタ分かる奴いるのか?(;´Д`)
割といるんじゃないだろうか?
大分前だけどuchino近くの本屋で総合売れ筋best5に入ってたような気がした。
やはり座ったままジャンプとかできるんだろうか。
これ終わったら翔が一気にデレそうな気がする
だがそれもいい
いいいい、いいよほんと。お兄ちゃんすげえ。よく頑張ったよおぉ。
カオスルートに使える伏線もいくつも残ってるし、ボブさんありがとう。
GJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!!!!
良かった…本当に良かった
オーバーキルザレッドキタ━(゚∀゚)━!
正直ネタわからないですが、ひどい事にならなくて良かった…
GJ。
ボブ氏のおかげで赤き制裁をぐぐってみたくなった小説読みがここにひとり
ノシ
>>832 一歩間違うとデムパですが面白いですよと薦める西尾儲がここにノシ
あと30分ほどだな
全裸待機の準備してるか?
835 :
ボブ富井:2005/12/06(火) 22:25:59 ID:YGx4FaM8
須々木健さん。旧姓は御幸健。性別は女性、年齢は26歳、身長は約180p。
この世のものとは思えないような整った顔、長いまつげ、スリムなボディー、スラリと伸
びた足、大きな胸。
流れるような腰までの黒髪、季節感など微塵も感じさせない真っ黒いダークスーツ、黒い
カッターシャツに黒いネクタイ。
つまり全身黒ずくめ。だが怪しい雰囲気などまるで感じない。むしろ黒という色がこの人
の持つ美しさをよりいっそう際立たてている。
愛車は黒のアルファロメオ、コーヒーはブラックが好き。趣味は映画(おもにラブロマン
ス)鑑賞、好きな食べ物はアップルパイ、好きな言葉は「勧善懲悪」「悪即斬」。
好きなマンガは(母さんの影響で)ジョジョ。好きなスタンドはスタープラチナ。
職業は何でも屋、って言っても本当に何でもするわけではなく、主に個人や企業、警察な
どから依頼を受けて悪人の引き渡し、処罰、捜査の協力などを行っている。要するに裏家
業だな。ただし時代劇の様に悪人を殺したりはしない。ただ、この人に処罰が委ねられれ
ば死ぬよりも非道い目にあうだけだ。
『俺はサスペンスだとかホラーだとかが大嫌いなんだ。奇を衒ったり意表をついたりする
のが嫌いなんだよ。人があーだこーだ考えたり、泣いたり怖がったりするのが嫌いだ。
ベッタベタにありふれた、女のために男が命をかけるような、そんな物語が好きなのさ。
お約束の展開、王道のストーリー、使い古された正義の味方にありふれた勧善懲悪、熱血
馬鹿に理屈馬鹿。ライバル同士の友情にお涙頂戴のハッピーエンド。
そういうのがほんっっっとうに大好きなんだよ』
歌うような高く透き通った声がバー内に広がる。
健さんは状況を確認するように周りを見渡してから、俺たちの方にゆっくりと歩を進める。
相変わらずすごい存在感だ。彼女が現れただけで明らかに場の空気が変わった。
836 :
ボブ富井:2005/12/06(火) 22:26:57 ID:YGx4FaM8
『んだテメーは!?』
男たちの何人かが怒声を飛ばすが、まったく気にせずにゆっくりとこっちまで歩み寄って
くる。
『だからこういうのは嫌いだな。
大の男が寄ってたかって1人の女を苛める。
しかもあろうことかヒロインを助けに来たヒーローは返り討ち。
それじゃあ駄目だろ。悪人が勝って終わる話なんて俺は認めないね』
流し目で俺の方を見る健さん。うっ…面目ない。俺だってヒロインを助けるヒーローであ
りたかったけど実力がたりなかったようです。今後はもっと頑張ります。こんなことがま
たあったら困るけど…
『俺はまあ、あれだな。傷ついたヒーローの代わりに悪人共をブチのめすお助けキャラっ
てとこだ。
ほら、よくあるだろ?脇役が主役くっちまうの』
今度は視線を俺から連中に移し、話を続ける健さん。相変わらずの余裕っぷりですね。
つうか健さんが脇役なら俺なんて背景の草ですよ、あ、落ちてるゴミかもしれない。いや、
出番すらなかったり…
そんな俺が主役だなんてとんでもない。主役は間違いなく貴方です。
『おい、貴志。あの人…』
心配そうな目で俺を見て小声で話しかける翔。
『大丈夫…あの人なら大丈夫だよ』
そう、まったく問題はない。あの人が来ればもう安心。ちょっと俺が情けないが…何もし
ないうちにバトンタッチだもんな…
『最近はなんつうか、善人だが悪人だか分からない奴が多いんだよ。
善人なら善人らしく、道で困っているお婆さんを助けたり、拾った金交番に届けたり、信
号守ったりしろよな。
悪人なら悪人らしく、人の物盗んだり、人を傷つけたり、信号無視したりしろよな。
分かんねーんだよ。最近の連中はあやふやでよ。白か黒かはっきりしろっての!
…でも、ま、今回はそういう意味では助かった。お前らどうみても悪人だ。
まさに悪人、正しく悪人。いいね、遠慮なくブッ飛ばせる』
ゆっくり、ゆっくりと連中のすぐそばまで足を進める健さん。口元は愉快そうにつり上が
っている。ものすごく楽しそうだ。かなり嬉しそうだ。
最近いろいろとストレスが溜まっていたのかもしれない。
『だから、まあ、なんつうの?
ここが「お前らの墓場だ!」って感じだな。もしくは「みんなまとめてここで死ねィッ!」かな?』
健さん…それ、思いっきり悪役のセリフ…しかも2流3流、ショッカーレベルだ…
『おい、さっきから黙って聞いてりゃずいぶんと好きなことくっちゃべってくれるじゃね
ーか?』
堀田が声をあげる。それを合図とするように何人かの男が今度は健さんの周りを囲む。
健さんはといえば動きもせずにその様子を眺めている。
『だいたい1人で乗り込んでくるたあ、ずいぶん肝の据わった姉ちゃんだな。
ははは、それとも単純に頭が悪りーのか?』
馬鹿にするように笑いながら堀田が続ける。周りの連中もニヤニヤしている。
連中にとっては健さんは飛んで火に入る夏の虫ってところなんだろう。もしくは絶好のカ
モか…その認識はものすごく間違っている。ものすごく間違っているのだが、こいつらに
それを教えてやる義理はない。
837 :
ボブ富井:2005/12/06(火) 22:27:56 ID:YGx4FaM8
『ひょー、よく見たらアンタすげえ美人じゃねーか。いいねえ』
男の1人が感嘆の声をあげる。そして舐め回すような視線で健さんを見る。
それに続いて健さんを囲む輪から下卑た笑い声が漏れる。
『翔ちゃんと一緒に犯られに来ましたってか。素直だな姉ちゃん』
確かに健さんは絶世の美人だ。その女性を好きに出来るなんて男としては歓喜の極みだろ。
ゲスな連中なら尚更だ。ただ好きに出来れば、の話だが…
『おい、黙り決め込んでねえでなんか喋ったら…』
そう言って男の1人が健さんの腕を掴む。次の瞬間―――
『…へ?』
男の体が宙に浮いていた。なんてことはない、健さんが片腕で男の体を無造作に放り投げ
たのだ。
“ドシャ”
『ぎゃ!?』
間抜けな悲鳴をあげて落下する男。軽く6メートルは飛んだな…
横を伺うと翔が唖然とした顔でその様子を見ていた。周りの連中も同じ顔だ。
ま、そりゃそうだろ。どこの世界にあんな細い腕、しかも片腕で大の男を放り投げられる
女性がいるというのだ?ここにいるけど。現実は小説より奇なり、ってね…
『俺はまどろっこしーのも嫌いでね。
雑魚は雑魚らしくいっせいにかかってこいよ』
シニカルに笑って大げさに腕を左右に大きく広げる健さん。まるでどこぞの舞台女優だ。
そうするとこいつらはエキストラの悪役ってところだろう。
『…ぐ…このアマぁぁぁぁぁぁ!』
一瞬怯んだ様子を見せながらも勇敢に、というか無謀にも自ら危険の渦に飛び込んでいく
男たち。まるで超特急の電車に飛び込む自殺者のようだ。うん、我ながら中々いい例えだ
と思う。
『よっこらしょっと!』
向かってくる男たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げる健さん。
具体的に言うと、まず初めに飛びかかってきた男の拳を軽々と避け、額にデコピンをする。
それだけで半回転しながら豪快にブッ倒れる男。
その後ろから殴りかかってきた男の腕を掴みそのままひっぱる。すると面白いぐらいに自
分の勢いと引っ張られた力で健さんの後方の地面にヘッドスライディングをきめる。甲子
園球児もビックリの見事なヘッドスライディングだ。盗塁は確実だな。
そして3人目の男には目にも止まらぬ速さで(本人はものすごく手加減しているだろうが)
首元に手刀を決める。その男はガクンと大きく顔がブレ、白目をむいて倒れたままピクリ
とも動かない。死んでない、よな…?
その様子を見てさすがにビビったのか汚らしい悲鳴を上げながら逃げようとする者も何人
か出てきたが、当然それを健さんが許すはずがなく、片っ端から悶絶させられている。
まるでホントに漫画の世界だな。デコピンで相手をブッ飛ばしたり、手刀一発で人を気絶
させたりなんて…
健さんがすごいことは重々承知のはずだったのだが、間近で見るとさらに認識を改めさせ
られる。
838 :
ボブ富井:2005/12/06(火) 22:28:36 ID:YGx4FaM8
『てめえこのクソブタがぁ!』
今度はバタフライナイフを持った男が健さんの前にでる。ナイフと言ってもチャチな作り
でそう深々と刺せるタイプのものではない。
とは言っても一般の人間(俺なんか)をビビらすには申し分ないだろう。
ただ問題は…
『あん?なんだコレ?』
相手が到底一般人ではないということでして…
『な!?』
ナイフの刃の部分を指でつまむと、まるで細い木の枝を折るようにポキっとやる。
まるでオモチャだ。いくら大した物ではないとはいえ普通の人が簡単に折れるほどヤワな
代物ではないはず。
『こんなもん使うから性根が曲がっちまうんだよ。
ストリートファイトの基本は拳と蹴りだろうが!その基本もなってない奴が刃物なんか持
ちだすんじゃねー!』
少し腹が立ったのか健さんはそいつの顔に美しい足技をかます。派手に吹っ飛んだ男は奥
のカウンターに激突して沈黙した。
『クソ女、止まりやがれ!動くとこいつらブッ殺すぞ!』
いつの間にか俺と翔の前に特殊警棒を持った男が立ちふさがっていた。
正攻法では敵わないということにやっと気がついたらしく俺たちを人質にとったみたい
だ。
『く…てめえ!』
翔が苦々しそうに声を出す。俺も普通ならそうしているだろうが健さんの前ではそんなこ
とは…
『ふ〜ん』
男の言葉をまるで無視してずんずんとこっちに近づく健さん。
『おい!聞こえねえのか!こいつら本当にブッ殺すぞ!』
『お前もヤクザもんの端くれならよ〜軽々しく「ブッ殺す」なんて言葉使うんじゃねーよ。
「ブッ殺す」って心の中で思ったのならその時すでに行動は終了してるんだろうが?』
プロシュートの兄貴ィ!いや姉貴ィ!
『そんなシャバイ脅しにビクついてこんな仕事はやってられねーってことだ。
止めれば気絶させえるだけで済ませてやる。だがその2人にほんの少しでも触れたら腕1
本はもらう。好きな方を選びな』
ものすごい威圧感だ。関係ない俺までビビってしまうんだから当然この男は…
『う…うう〜』
ビクビクと見て分かるぐらい震えていた。その気持ちはよく分かる。だが同情はできない
な。
そうしているうちにもドンドン健さんは近づいてきて…
『アリーヴェ・デルチ(さよならだ』
…右の拳で男を吹っ飛ばした。正直、気絶で済んだかどうかは分からない。
839 :
ボブ富井:2005/12/06(火) 22:29:21 ID:YGx4FaM8
『あ、危ない!』
翔が声をあげる。一瞬何が危ないのか分からなかったけど、健さんの方を見て理解した。
健さんの後ろに男が忍び寄っている。あの手に持っているのは…スタンガンか!?
“バチィィ!”
健さんの背中に火花がスパークする。ここに来て初めて膝を折る健さん。
『へ、へへ、はははははは!ざ、ざまーみやがれ!この化け物、さんざん手間取らせやが
って!お前は死ぬまで犯してやらあ!』
勝ち誇った顔で馬鹿笑いする男。まずい…あんだけ強力なのくらったら、いかに健さんで
も…
『あ〜ビックリした…』
…大丈夫だった。
『な、ななななな!?』
驚愕の表情で後ずさりする男。まさか普通に立ち上がってくるとは予想だにしていなかっ
たようだ。さすがに俺も一瞬冷や汗をかいたが…あのスーツは絶縁性なのだろうか?
そのわりには背中の部分が少し焦げてるけど…
『ふ〜ん、最近はこんなもんも簡単に手に入るんだな。
確かに護身用には便利だが、こんな風に悪用されるとなると売る方も考えなくちゃな』
健さんは呆然としている男からスタンガンを簡単に奪い。バチバチと確認するように自分
の手にあててスイッチを入れている。訂正、スーツが絶縁性なのではなく、健さんの体が
絶縁性でした。
『ひ、ひいいぃ〜』
『ま、とりあえず自分でもくらっとけ』
今度は悲鳴を漏らして逃げようとする男の背中にスタンガンをあてる健さん。
“バチィィ!”
『ぎゃひ!?』
まさか自分のスタンガンで悶絶するハメになろうとは思っていなかっただろう。
間抜けな悲鳴だ…ご愁傷様。
840 :
ボブ富井:2005/12/06(火) 22:30:15 ID:YGx4FaM8
『さて、と…』
残すところは堀田を除けばあと2人。完全に戦意を喪失しているみたいだけど…あれ見た
あとじゃしかたないな。まともな頭なら健さんに向かっていこうとは思わない。
『なにやってんだお前ら!とっととその女黙らせねえか!』
その2人に今度は後ろから堀田の怒声が浴びせられる。前門の虎、後門の狼。いや、健さ
んとあいつでは、前門の空条承太郎、後門のケニー・Gといったところか…どっちにしろ
ヌケサクにはつらい相手だな。
『『あ…ううう〜』』
2人とも見てて可哀想になるくらい震えている。なんつうか中間管理職、じゃなかった、
下っ端はつらいな。さっきまではボコボコにしてやりたいくらいゲスな連中だと思ってい
たが、いや今も思っているが、なんだが親近感が湧いてきた。
『で、お前らの大将はああ言ってるが、お前らはどうするんだ?
俺ははなっからお前ら1人も逃がすつもりはないが、さっきそこでブッ倒れてるナイフ持
ったガキに言ったように、
大人しく降参するなら優しく気絶させるだけで済ませてやる。ただ向かってくるのならど
うなってもしらねえ。お前らの問題だ。自分で決めろ』
健さんは満面の笑みで哀れな2匹の犬に優しく優しく言い聞かせるように語る。
…口調はまったく優しくないが。
『『ああ…え〜と』』
前と後ろを交互に確認しながら汗をダラダラ流している。
『そのクソ女の言うこときくつもりか、ああ?』
後ろは最早凶悪な本性を惜しみなく出している堀田。
『どうするぅ?』
前は美しい顔に聖母のような優しい微笑みを浮かべている健さん。
『……もう何もしませんから、許してください』『お、俺も…』
結局2人は健さんをとった。うん、その選択は賢明で正しい。ただそれが本当によかった
かどうかは別として…
『お前らぁ!!』
『おお、そうか。よしよし、いい子いい子』
“グシャ!”
微笑みを顔に貼り付けたまま目にも止まらぬ速度の拳を片方の男の顔にめり込ませる。男
は盛大に鼻血を吹き出して倒れた。
その様子を隣で見ていた男の顔が凍り付く。
『優しくって言ったのにィィィィ〜〜〜〜!』
そして悲鳴をあげる。
『ああ、スマン。ありゃウソだった』
“ドゴンォォン!”
まったく悪びれずにすっぱり言うと、男をサッカボールよろしく蹴り飛ばした。
派手に孤を描いて飛んでいく。あ、カウンターの奥にゴールした…
『どうだ?やられてみなければ分からんこともあっただろう?もう聞こえてないか…』
全滅。堀田を除いた13人がものの5分足らずで全滅した。
それをやらかした健さんは傷1つついておらず、息もまったく乱れてない。強いて言うな
らスーツの背中の部分が少し焦げてるくらいだ。
俺の隣の翔はさっきからまるで思考が停止したかのようにストップしている。
俺は以前の一件で健さんのすごさを少しは理解してたからある程度耐性はついているが、
初めて見る人間にはあまりに衝撃的だろう。
ちなみに俺は以前の一件で世の中には時速60qほどで走ってくる車を止めることが出来
る人間がいるのを知った。あの時はビビりすぎて思わず漏らしそうになったな…
『つうか誰も死んでない、よな…?』
健さんのことだから大丈夫だと思うけど…
841 :
ボブ富井:2005/12/06(火) 22:32:11 ID:YGx4FaM8
哀川さんをパクr(ry …インスパイアするんだから今回はいつもの3割り増し気合いい
れて書いた。元ネタを詳しく知りたい方は「戯言シリーズ」でググってみてください、と
進める西尾儲がここにも1人。俺宣伝乙
842 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 22:38:15 ID:Ys108M/F
GJ!
無敵キャラ登場!
スゴスギ…
投下キタキタキタ━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━!!
GJ!!GJ!!
哀かwじゃなかったwwwwwwww健さんテラカッコヨスwwwwwwwwwwwwwwwww
GJJJJJ!!
涙が出るほど面白すぎです
846 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 00:02:53 ID:gtS7qnJA
DLIVEからアキラさんが友情出演ですね
どうみてもパクリです。
だが、そこにシビれるあこがれるぅ!
ボブGJ!
神GJ!
健さんカッコイー!!
でも返り討ち覚悟で飛び込んだ貴志はもっとカッコイー!!
盛り上がり最高潮、だね。ifルートでは雪彦さんが活躍かな?楽しませてもらいました。
貴志のことだから、健さんのこと名字でよんだりはしてなさげだが。
やはり西尾風味はジョジョネタによくなじむ、なじむz
ぐっじょぶボブ氏
イイ!
翔ちゃんも無事だし。
決めた。
俺も今日から全裸待機だ!!!111!!1!1!!!!
853 :
ボブ富井:2005/12/07(水) 23:01:05 ID:Rl7rFXzf
『ひとりぼっちになっちまったな、堀田?』
顔にシニカルな笑みを貼り付けたままバーの奥のカウンターに座り込んでいる堀田を見据
える健さん。顔は笑っているものの目は怒りの炎に満ちている。ちなみにカウンターには
さっき健さんがブッ飛ばした男が2人ほど尻を高くあげた間抜けな格好で倒れ込んでい
る。
『なにもんだてめえ…?』
堀田は凶悪極まりない、まるで狂犬病にかかった犬のような表情で健さんに吼える。
こちらもどうやらかなりご立腹のようだ。違うところは顔がまるで笑っていないところだ
ろう。
『人間にお前は人間か?って問いかける馬鹿はいねえだろ?犬にお前は犬か?って問いか
ける馬鹿もいねえだろう?犬は喋らねえしな。
強いてお前の問いに答えてやるとすれば、俺は俺、須々木健だ。文句あるか?』
『そんなこと訊いてんじゃねえ!』
サングラスを捨て怒鳴る堀田。目が怒りに血走っている。
『俺はお前みたいな悪党を倒すために異次元世界からはるばるやって来た光の戦士ってと
こだ。
宇宙刑事ウルトラミラーヤッターセーラー勇者王仮面V3とでも呼んでくれ』
ちょ、健さん…それいろいろ混じってる。セーラーは駄目でしょうセーラーは…
『てめえ…人のこと舐めるのもいいかげんにしやがれ…っ!』
『舐める?舐めたら汚いだろ。お前みたいなのは舐めたくないね、食中毒になりそうだ』
小学生かよ。こんな男を目の前にしてここまでボケるとは流石健さんだな。
つうか健さんやけに性格変わってないか…もっと物静かというか寡黙な人だったのに…
母さんの影響かな…?
『…ま、つまりはお前んとこの組長から依頼受けたんだよ。
「うちの組の下っ端に女クスリ漬けにして体売らして小遣い稼ぎしているクズがいるらし
い。すまないがワシのところに連れてきてもらってはくれないだろうか」ってな。
向こうさん今いろいろと忙しいらしくて、お前にかまっている暇はないが、かと言って放
って置くわけにもいかないってので俺に依頼がきたわけだ。
最初はもう少し穏便に、出来るだけ荒立てずに事を済ますつもりだったが、
俺の友達に手を出したとなると話は別だ。腕の1本や2本で済ますつもりはさらさらねえ』
穏便に事を荒立てずに、ってのは嘘だろう。健さんがそんな悪人を無傷で捕まえたりする
わけがない。
854 :
ボブ富井:
『…と、言っても別に殺しはしないから安心しな。
悪党ってのは生かしておいて、傷が治ったらもう1度ブチのめす。
そしたら1人で最高3回は楽しめるからな。学習能力のない野郎は4回目になっても更正
する気がねえから、その時は正当防衛に見せかけて速やかにブチ殺してやるのが基本だ』
心底嬉しそうな口調で語る健さん。健さん…恐い人ッ!
すごい理論だ。世界の平和と自分の趣味をミックスした理論だな。
仏の顔も三度までってこと…いや、すでに一度目から仏じゃないけど。
『あのクソオヤジが…ッ!くだらないことしやがってぇ…!
今時ヤクザがカタギの仕事だけでやっていくなんざ、馬鹿馬鹿しいにも程があんだよ!
何のためにヤクザになったのか分かんねえだろうが!小遣い稼ぎして何が悪い!』
『悪いね。とことん悪い。あそこのオヤジさんはカタギの仕事だけでちゃんと暮らしてい
ってるじゃねえか?ま、だからこそ俺の依頼を受けたんだが。
だいたい自分の楽しみの為だけに罪のない女の子を無理矢理犯すゲス野郎が言ってもまっ
たく全然一片も説得力がない。てめえみたいなのがいるから昔気質のヤクザまで暴力団呼
ばわりされるんだよ』
まったく同意です。翔をこんな恐い目にあわせたゲス野郎が悪くないはずがない。
『黙りやがれクソ女がぁ!!てめえはこれで腹ん中抉りまわした後、死体をバラバラにき
ざんでやらぁ!!』
完全にプッツンしたのか堀田は上着のホルスターからナイフを引き抜いた。
さっきのチンピラが持っていたチャチなバタフライナイフとは違いかなり立派な代物だ。
アーミーナイフ…いや、コンバットナイフってやつだろう。なんの飾りもない無骨なハン
ドルから刃渡り9pはあろうかという長い刃が突き出ている。
まったく褒める気にはならないが、さすがヤクザというところか素人目に見てもチンピラ
とは明らかに構えからして違う。
『…ったく最近の若いもんはどいつもこいつもすぐに光り物を持ち出すよな。
そんなもんに頼る前にまずは自分の体を少しは信じてやったらどうだ。
人間の体ってのはな、鍛えたら武器に頼らなくても充分強くなるんだよ。武器使った方が
弱くなるくらいにな』
確かにそうかもしれないが、それは人間の限界を明らかに超えた健さんのような超人だか
らこそ初めて言えるセリフだろう。そもそもこいつらには(俺もだが)自分の体をそこま
で強くしようて気もないし、忍耐力もないし、度胸もない。
『くたばれぇぇぇ!!』
そんな言葉をまるで無視して健さんに刃を突き立てようとする堀田。かなりすばやいし正
確に胸を狙っている。ただ今までの経緯からいっても…
『人の話はよく聞いておくもんだぜ』
…そんな程度で健さんをどうにかできるはずもなく…
“ボキボキィ!!”
『ぎゃひぃあああああああああっ!!!』
獣の咆吼の様な悲鳴をあげる堀田。
健さんは流れるように堀田の突きを避け、そのナイフを持った右腕を捻った。
まるでドアノブを回すような気軽さでただ単純に、なんの技巧もなく、なんの工夫もなく
ただ捻っただけだ。
それだけで堀田の腕の骨は音を立てて折れた。ものの見事に堀田の右腕は軽く360度以
上は回転し、それと同時に小気味いい音が響いた。