1 :
名無しさん@ピンキー:
しばらくこないうちにスレ無くなってたんで立ててみた。
見つけきらなかったんですけど、他に京極スレ合ったら誘導
お願いします。
エロカモン!!
うむ
3 :
1:2005/09/02(金) 20:22:34 ID:r0NnOJ6E
木場×順とか川新×小袖の人とかいいなぁ。
5 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 13:06:20 ID:BphSIEg7
なつかしー。
今でも前スレのログ残ってるよ。
映画は榎敦好きとしてはちょっとキタ感じだった。
楽しみにしてますage
6 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 01:29:11 ID:2OnVRbQD
ぬおおおお。
保管庫からみつけだせない・・・
うほっいいスレ発見!
最近また脳内で盛り上がってたので嬉しい
敦嬢とか美由紀嬢とかщ(゚д゚щ)バッチコーイ
ほしゅ
>6
「ライトノベルの部屋6」にあるよ。
みつけだせないが違う意味だったらごめん。
京極×敦子のねちっこいエロ作品を
投下してくれる神様待ってます。
保守
ほしゅ
京極パロって801は多いけどノマカプ作る人あんまりいないよね。
801萌え出来ない私はここで神様を待ってます。
同意同意
榎敦も好きですが、京極×千鶴子さんにも一票。
千鶴子さんすごい大好き。
>>15に激しく同意!
千鶴さん好きです(*´∀`*)
17 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 21:08:12 ID:22lVwqUC0
ちょっと上げとこう…。
ちーともエロ話思いつかない…鬱
猿君と雪ちゃんの初夜が読みたいと言って見る。
捕手
20 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 02:48:10 ID:MmY1pdqx
>>18 それコトにいたるまでの独白すごく長そうだなw
ついでにあげ
>>20 ワロタ。
私も801萌え出来ない一人として神様待っております。
京極×茜は?
何もなかったとは思えない〜
>>23 自分の中では、京極堂は千鶴子さん一筋っぽいからちょっと考えにくいかも。
読んだら読んだで萌えそうではあるが…。
24 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 10:13:35 ID:DUIJoYzw
姑獲鳥の関君と敦ちゃんにちょっと萌えた
榎木津×美夜子お嬢様(?だっけ)が読んで見たいよ…
保管庫覗いたけど神多いすね…
aa
うう
関口君、このままでは落ちてしまうよと何度言わせれば気が済むのかね?
そもそも、君がネタふりも何も考えず、ただ単に過去の作品が面白いと
云うだけで無理矢理スレを立てたんじゃないか。その癖、話題もSSも
全く投下する気がない。君はいつもそうだが、全てに於いて他力本願じゃ
ないか。いい加減にその態度を改め給えよ。そんな無気力が獣の皮を
被った様な風だから、小説が一本も書けない。いいかい、君が遅筆なのは
何も鬱のせいにするまでもない、単に怠け者であるという証だよ。
いいかい、雪絵さんに額縁ショーデビューとかそんな目を見させることに
なったら、僕は君に呪いをかけるよ。簡単に壊してなどやるものか、
鬱の淵に浸かる事も狂気の暴風雨の中で舞い散る事も出来ず、じわりじわりと
真綿で首を絞めるような後悔で一杯にしてやる。まあ言い足りないが、
後は自分で察するんだな。関口大先生。
30 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 22:46:31 ID:BBx3af5v
巷説シリーズはありなのかな
どすこいよりは、あり
32 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 21:26:54 ID:mKwzY1sx
>>31 怖いもの見たさで読んでみたい。
猛者求む。
ルーガルーは駄目ですか?
エロはなくてもいいので歩未と葉月の話が読みたい。
百合には興味なかったのにかなり萌えた。
この過疎っぷりなら、京極作品ならなんでも来い!でいいと思うよ!
ほっしゅ
神と美由紀キボン
ほしゅ
39 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 21:07:23 ID:ipKxAhkX
神様ー。。
40 :
39:2006/01/29(日) 21:26:36 ID:ipKxAhkX
書き込みをした直後にちょっと思いついたのでうp。
完成はしていないが余りの過疎っぷりに危機を感じるので。。
前スレ榎敦の続きです。
苦手な人はスルーで宜しく。
41 :
39:2006/01/29(日) 21:27:42 ID:ipKxAhkX
「え、のッ…」
「敦っちゃん、れいじろう。」
敦子のささやきを逃す事無く、そして遮る。
敦子は目を精一杯に閉じ、息も絶え絶えになっているが、榎木津にしがみついて離れない。
名前で呼んで、と気持ちを込めて榎木津も囁き返したが、敦子に届いているかどうか。
榎木津は片手でチャックを下げ、自身をさらけ出し、片手は敦子の後頭部を支え、そして口付ける。
「入れるよ、」
瞬間。
さらに息を呑むような、悲鳴のような声が敦子から発せられる。
ぐちゅ、と水音がしてそれが中へねじ込まれると、敦子は今度こそ嬌声を上げた。
「ああッん、は…」
何か喋る暇も与えず、榎木津は動き始めた。一定のリズムで、彼女が好く思えるように位置を探る。
「ひぅ…んっ、あぁ…あん」
普段の彼女からは考えられないような声。
30をとうに過ぎたというのに、榎木津はそれだけで我慢がきかなくなる。
段々と、相手の事を考えるより先に自分のいいように動いてしまうことに戸惑いを感じるが、それで彼女も気持ち良くなっているようなので考えないことにした。
ぐちゅぐちゅという水音、二人の息遣い、汗の臭いが辺りにしているように思う。
その音に興奮していく自分が、やたらと女になっていく。
自分から接吻し、下を絡ませる。榎木津はすぐにそれに応え、さらに彼女を翻弄させた。
敦子が腰を動かしだしたのに気づき、榎木津は更に速度を速めた。
「…好きだ、敦っちゃん」
耳元でそう言うと、彼女が締まるのが分かった。
少しの優越感と、その後すぐの射精感と、
「れ、れいじろうさ…ん」
達する瞬間の、彼女の呟き。
彼はもう一度、彼女に口付けた。
39殿
あんたが神や!
>>39 こんな時間にジュンジュンきたwwwwwwwwwネ申!
神様そろそろご降臨くださいませ・・・
民草はハアハアしつつお待ち申し上げております
が、放置プレイはかなり辛ろうございます
飢えてきた・・・
「誰もこのスレなんか見ちゃいないよ――」
寂しす
それより榎関でハアハアさせてくれ
数字板へお行き
>>49 京関しか認めない、狭い視野の俺が来ましたよ
雪ちゃんと千鶴子さんはラブラブカップルなんだ
本当だよ?
どちらが攻めでござるか
ちず×雪
映画館で、こっそりプレイ
木場の旦那は知らずに映画を見に来ている。
「なあ、礼二郎。よかったろ? 風と共に去りぬ」
「――しゅうちゃん。いいから早く僕にちゅっちゅしろよ」
801書くならそっちにいけ
なければ作れ
巣が違うぞ
神様神様
ご降臨くだされ〜
57 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 12:49:42 ID:/TOz+GjR
京極×茜の冒頭だけ書けた。
期待期待
wktk
「お待ちになって―――」
女の声を背に受け、黒衣の男は立ち止まる。
「もう一つだけ―――お願いが―――」
男は静かに振り返る。その肩に、桜の花弁がぽつり、ぽつりと舞い降りる。
「何でしょうか?」
「その―――」
問われ、女は何故か下を向く。桜色の女の頬が桜色に染まってゆく。
それに気付いているのか、いないのか―――男は無言のままである。
二人の時間は暫し停滞し、ただ宙を舞い散る無数の桜の小片だけが、
果敢なき時の流れの中を生き、地に落ちては死んでゆく。
やがて女は顔を上げる。
「私から、落として欲しいものがあるのです」
男は再度、意外そうな表情を浮かべる。
「何のことでしょう? 先程言ったように、あなたから落とすべきものなど―――」
違うのです、と女は首を振る。
「あなたは―――私の過去を善く見通していらっしゃる。わかりませんか?」
男は少し間をおき、
「わかりませんね」
と言った。
「嘘―――私にはわかります。あなたは、私が抱える古傷にこれ以上触れるまい、
と慮ってくれているのでしょう。でも、違うのです。私には―――」
男の瞳が深い憂いを帯びる。
「止めておいた方がいいでしょう。『そうした』ところで、あなたの傷が完全に
癒えることはありません。僕は拝み屋に過ぎない。あなたの記憶を消し去ることも
塗り潰すことも出来ないのです。それに結局は―――哀しみを深めるだけだ」
「お言葉を返すようですが、その読み方では、あなたに私の本意は解りません」
男はもう一度、少し驚いたように、ほう、と息を漏らした。
女は目を細め、今まさに陽の落ち行かんとする海の彼方を眺めながら、言葉を紡ぎ出す。
「ただ一度でいいのです。それ以上は望みません。その一度の経験があれば、それを支えに前へ進める、
過去にだって耐えて行ける―――私は―――そう信じて―――しまっているのです」
女の声が揺らぐ。しかし女はさっき決めたばかりなのだ。之先一生泣きはせぬ、と。誰よりも強く生きてみせる、悲しくとも辛くとも笑っているのだ、と。
「その後で、どれだけ悲しくなっても、淋しくなってもいいのです。それだけの覚悟は出来ています。ですから、お願いです―――」
女は真っ直ぐに男の目を見据えた。濡れた瞳だった。
60 :
京極堂×織作茜:2006/03/13(月) 10:19:40 ID:v6i5/NaA
すいません、上のは失敗しました。
下がやり直しです。
「お待ちになって―――」
女の声を背に受け、黒衣の男は立ち止まる。
「もう一つだけ―――お願いが―――」
男は静かに振り返る。その肩に、桜の花弁がぽつり、ぽつりと舞い降りる。
「何でしょうか?」
「その―――」
問われ、女は何故か下を向く。桜色の女の頬が桜色に染まってゆく。
それに気付いているのか、いないのか―――男は無言のままである。
二人の時間は暫し停滞し、ただ宙を舞い散る無数の桜の小片だけが、
果敢なき時の流れの中を生き、地に落ちては死んでゆく。
やがて女は顔を上げる。
「私から、落として欲しいものがあるのです」
男は再度、意外そうな表情を浮かべる。
「何のことでしょう? 先程言ったように、あなたから落とすべきものなど―――」
違うのです、と女は首を振る。
「あなたは―――私の過去を善く見通していらっしゃる。わかりませんか?」
男は少し間をおき、
「わかりませんね」
と言った。
「嘘―――私にはわかります。あなたは、私が抱える古傷にこれ以上触れるまい、
と慮ってくれているのでしょう。でも、違うのです。私には―――」
男の瞳が深い憂いを帯びる。
「止めておいた方がいいでしょう。『そうした』ところで、あなたの傷が完全に
癒えることはありません。僕は拝み屋に過ぎない。あなたの記憶を消し去ることも
塗り潰すことも出来ないのです。それに結局は―――哀しみを深めるだけだ」
「お言葉を返すようですが、その読み方では、あなたに私の本意は解りません」
男はもう一度、少し驚いたように、ほう、と息を漏らした。
女は目を細め、今まさに陽の落ち行かんとする海の彼方を眺めながら、言葉を紡ぎ出す。
「ただ一度でいいのです。それ以上は望みません。その一度の経験があれば、
それを支えに前へ進める、過去にだって耐えて行ける―――私は―――
そう信じて―――しまっているのです」
女の声が揺らぐ。しかし女はさっき決めたばかりなのだ。之先一生泣きはせぬ、と。
誰よりも強く生きてみせる、悲しくとも辛くとも笑っているのだ、と。
「その後で、どれだけ悲しくなっても、淋しくなってもいいのです。それだけの覚悟は
出来ています。ですから、お願いです―――」
女は真っ直ぐに男の目を見据えた。濡れた瞳だった。
「私を―――抱いて下さい」
61 :
続き 前戯前編:2006/03/13(月) 10:24:43 ID:v6i5/NaA
部屋に入るなり、中禅寺と茜は口づけを交わした。
最初は唇を触れ合わせるだけ。胸の動悸が高まるにつれ、より深く。
いつしか二人は貪るように激しく舌を絡ませ合っていた。
じゅるじゅると唾液を啜る音が、ぴちゃりぴちゃりと舌同士がぶつかる淫靡な音が、
それまで静謐に満ちていた部屋に響き渡る。
互いが十分に味わったと感じた時、二人は口を離した。
その際、舌先と舌先の間を、ゆらりと透明な糸が引いた。
「意外―――でした」
茜が中禅寺の胸に顔を埋めながら、呟くように言った。
「きっと断られると思っていました。あなたのことですから、『残念ですが、
御期待には添えません』とでも仰るかと」
「いい読みです。やはり、あなたは―――何度も言うようで恐縮ですが―――
とても聡明い」
「あなたこそ―――やっぱりお優しい」
「誤解です」
「そうでしょうか」
憮然とする中禅寺の顔を見て、茜はくすり、と笑った。
茜は後ろを向き、和服を下ろして肩を露にする。
淡雪のように白い肌が目に眩しい。
首筋に顔を寄せれば、細かい金色の産毛が、窓から差し込む夕陽を受け、結晶のように
煌くのが見て取れる。
中禅寺は後ろから茜を抱き締めた。
茜の頬に己の頬を寄せる。
茜のはだけた胸元に手を入れ、温かく柔らかな乳房を掌で包み込む。
「あぁ��」
恍惚の吐息が茜の唇から漏れた。
二人は其の侭、寝床に倒れ込んだ。
GJ!!
続きが楽しみだー!
とりあえず本番終了まで書けました。
後はエピローグ書いて、推敲してって感じです。
しかし保管庫の作家さん達レベル高いですね。
ワクテカしながら待ってるよ!!
帯をとき、薄紅色の和服をふわりと開くと、茜の裸身が夕陽の下に晒された。
ほどよく均整の取れた女らしい体つき。雪のように白い柔肌はとても滑らかで、艶やかで、
しかも張りがある。
形の良い、ふくよかな乳房の上では、膨らんだ桜色の蕾が春を待っている。
肩から腰に掛けての優しい丸みを帯びたラインが艶かしい。
頬は体を視られることへの羞恥で、ほんのりと朱が差している。
成熟した女の匂いたつような色気と、若い女だけが持ち得る新鮮さが渾然として、
息を呑むほど美しく官能的な体だった。
女性経験に乏しい男なら、一目見ただけで眩暈を起こすに違い無い。
茜は中禅寺の動きを待って、少女のような恥じらいを顔に浮かべ、息を顰めている。
中禅寺はまず茜の左胸に耳を当てた。目を閉じて、茜の高鳴る鼓動に耳を澄ます。
「―――よく聴こえますよ。茜さんの音が」
そう云った中禅寺が愛しくて、茜の胸は恥ずかしさと嬉しさの入り混じった
気持ちで温かく濡れる。
同時に罪悪感で胸の奥がチクリと痛んだ。
中禅寺は妻帯者である。そして余程の理由が無い限り、妻を裏切るような男ではない。
そんな男を茜は寝床に誘い込んでいるのだ。妻―――千鶴子さんと言ったか―――が
知ったら大いに悲しむことだろう。
「……あ」
思わず茜は小さな声を上げる。
中禅寺が右の乳房を口一杯に頬張ったのだ。
うっとりするほど甘くて柔らかな肉を、形が変わるほど強く吸い、緩め、また強く吸う。
緩やかなペースでそれが繰り返される。
「ん……んぁっ……はぁん……」
そして、その間中、中禅寺の舌は茜の乳首を集中的にねぶり続けていた。
慈しむように、優しい舌の動きで。と思えば、舌が乳房にすっかり埋まるほど、
尖らせた舌先を強く乳首に押しつけてくる。
左の乳房に中禅寺の左手が掛けられ、右手が背中に回される。
右手は初め茜の背中を撫でていたが、やがて下に降り、より柔らかな部分に辿り着く。
「……あぁ……ん……くぅんっ……」
右の乳房から伝わる中禅寺の口の温もり。
優しく揉みしだかれ、解きほぐされてゆく、左の乳房と尻の肉。
茜の意識を甘美な陶酔が占領していく。
66 :
うわ:2006/03/17(金) 00:23:53 ID:z60Kyd/D
これ、かなり長くなるよ!
最後まで付き合ってくれたら神だ。
ってゆうか一人しかいないよね?
見捨てないで……
67 :
続き:2006/03/17(金) 00:26:11 ID:z60Kyd/D
「ちゅ……あぁっ……ちゅ、中禅寺さん!」
事もあろうか、中禅寺の右手の指が茜の肛門をなぞり始めた。不意のことで、背筋が
ぞくりと震える。
「お嫌ですか?」
「そ、その、汚い……です……から……あっ…ん…」
羞恥心で言葉が尻すぼみになってしまう。
「汚くなんかありません。僕は汚いものになど触りませんよ。ただ―――茜さんが、
不快にお思いになるようでしたら、止しますが」
実際、気持ち良かった。このまま続けて欲しいと思った。
勿論、そんな事を言える筈も無く、茜は口を噤み、顔を横に背ける。
きっと中禅寺は自分の赤くなった顔を見ているのだろう、そう思って茜は益々赤くなった。
茜は男を知らない訳では無い。寧ろ普通の女より、遥かに経験は多い。
だが、本当に抱かれたいと思って抱かれたことは一度も無い。
なにしろ―――
まだ年端も行かぬ少女だった頃の残酷な記憶は未だに茜を苦しめているのだ。
また、茜は一時期とある事情で進駐軍専門の娼館(SA)にいたが、
そこにもいい思い出は無い。
初めは、与えられた居場所と己の存在理由が在ることへの安堵があった。
しかし、それと引き換えに課せられた地獄のような日々は、当時の茜の肉体と精神を
限界を越えて蝕んでいった。
結局、半年経ってSAは崩壊し、茜は再び居場所を失った。
何処にも居場所が無かった。
居場所が無くて家を飛び出したのに、与えられた居場所も駄目だった。
個を求め走り続けて最後に得られたのはボロボロに傷ついた自分だけだった。
茜はその記憶を今日まで引き摺って生きてきた。
この先も一生、苛まれ続けるのだろう。
だから―――だから、中禅寺に期待したのだ。
中禅寺は生まれて初めて茜が本気で言葉を闘わせた男である。
そして中禅寺は云わずとも茜の過去をわかっていた。
中禅寺ほど茜を理解する者は他にいないし、いなかった。
死んだ肉親でさえ、ある意味他人以上の隔たりがあった。
それに中禅寺は否定するが、彼は優しい男だ。憑き物落としという立場上、
己の感情を徹底的に殺さねばならないだけなのだ。
茜には分かる。彼は本当に辛い境遇に身を置いているのだと。
愛しかった。狂おしいほどに。切なくて、切なくて―――
一度でいいから、抱き締めて欲しいと思った。
中禅寺の体温を感じたかった。
これが恋なのだろう。それも決して叶わぬ恋なのだろう。
だからこそ、今この時、一瞬一瞬が愛しく大事に思えた。
中禅寺の温もりを、この胸に、肩に、唇に、舌に、頬に、腕に、体中の深い所に
焼き付けて永遠に離したくなかった。
68 :
続き:2006/03/17(金) 00:27:29 ID:z60Kyd/D
「……あ…ぁ……んく……ぁ…ああああっ」
中禅寺の人差し指が茜の肛門を貫き、敏感な粘膜の中を自由に遊び回る。
同時に、濡れそぼった膣にも中指と人差し指の二本が同時に差し込まれ、ゆっくりと
前後運動を開始する。
「ひぅっ……ああんっ……や、いやああああ!」
堪らず嬌声を上げる。中禅寺の手は止まらない。茜は身悶えしながら、必死に中禅寺の
体にしがみつく。爪を立てないよう、意識を保つので精一杯だった。
不意に中禅寺の指の動きが止まる。
「あ……」
「悪乗りし過ぎましたか?」
中禅寺が問う。顔が見えなかった。悪戯っぽく笑っているのかもしれないし、
あるいは中禅寺らしい、あの無表情でいるのかもしれない。
声から中禅寺の感情を読み取ることは出来ない。
「い、いえ……」
気付けば完全に中禅寺のペースに嵌っている。
思わず下を向くと、自分の愛液でべとべとに濡れ光る手首が目に入り、余計に茜は恥じ
入った。
「もし、お嫌でしたら我慢せず云って下さい。僕も男です。気づかぬ内に、
巷の破廉恥漢と同じことをしているかもしれない。
尤も破廉恥漢と普通の男を別つ境界など幻想に過ぎませんけどね」
「そんな、破廉恥漢だなんて……むしろ……」
茜は消え入るような声で、気持ちようございます、と云った。
恥ずかしさで一瞬、意識が飛びそうになる。
そんな茜の頬に中禅寺の唇がそっと触れる。
そこで初めて茜はある事に気がついた。中禅寺がしてくれる一つ一つの行為が茜を
少しづつ解き放っている。
気づいた途端、涙が出そうになった。しかし、必死で堪える。潤む瞳を見られたくなくて、
茜は中禅寺の顔をそっと胸に抱いた。
69 :
続き:2006/03/17(金) 00:29:11 ID:z60Kyd/D
「くぅんっ……」
下半身の二穴への攻めは続いてゆく。腹の底から湧き上がる快楽に、茜はたまらず右へ
左へ身をよじる。
そして、絶頂が近づいて来た時、全ての指は抜き去られた。
喪失感と開放感の交じり合った矛盾する感覚。
息をつく間も無く、中禅寺が茜の体に腕を回し、押し倒してきた。
茜も中禅寺を抱き締めた。中禅寺の胸板にぴとりと乳房が押し付けられ、
一様に潰れ広がるのがわかった。
「茜さん」
中禅寺の声。意味を悟り、茜は何も云わずに頷いた。
中禅寺が茜の足を蛙のように開かせ、正常位の体勢を取る。
最初、中禅寺は直ぐに挿れず、数回、茜の肉壷の入り口に己の肉樹を擦り合わせてきた。
そして、待ち望んだ瞬間が訪れる。
柔らかな肉壁を掻き分け、怒張した肉の突起がぬるりと茜の中に入ってくる。
「あん……」
「くっ……」
中禅寺がゆっくりと動き出す。浅い位置から、中禅寺が辿り着ける内で、茜の最も深い
部分まで深々と男根が突き刺さる。
そこで茜は中禅寺の腰に足を絡めて、中禅寺の動きを止めた。
「―――茜さん」
「しばらく……このままで……それと……」
茜は目を伏せる。
「中に……お願いします」
「いいのですか?」
「避妊薬を飲んでいます」
「なるほど」
茜の体は前戯の時点で熱く火照り、秘孔からは大量の熱い汁が分泌されている。
故に茜の膣内はとても暖かく、極上の潤滑油に濡れそぼち、柔らかく、それでいて
きつく、すっぽりと中禅寺の肉樹を呑み込んでいた。
茜が足を解くと、中禅寺は直ぐに動きだした。
徐々にピストン運動が加速し、二人の呼吸も荒くなって行く。
中禅寺が腰を茜の股ぐらに撃ちつけるたび、結合部からぴちゃぴちゃと卑猥な水音がする。
「ああっ……んん…あああっ!」
茜の胸が―――二つの白き肉球が、ふるふると揺れる。
中禅寺がそれを激しく揉みしだく。
中禅寺が茜を抱き上げ、膝に乗せる。
抱き合い、唇を求め合いながら、二人で腰を動かすリズムを合わせる。
70 :
続き:2006/03/17(金) 00:32:46 ID:z60Kyd/D
「あんっ!」
深く柔らかい所を貫かれ、茜は、今日最も高い声で嬌声を上げる。
「くっ……ああ! 茜さん、いきますよ!」
「ひゃうっ……ぅ…は、はいっ!」
中禅寺が一層激しく腰を突き上げる、膣の奥の奥まで激しく刺激される、ぐちゃぐちゃに
中を掻き回される、空気と混じり合い白くなった粘液が飛び散る、ぞくりぞくりと快楽が
足の裏から這い上がってくる、絶頂が―――絶頂が近い!
「うっ……ああああああ!」
「あああああんっ!」
そして―――二人は―――同時に―――
果てた。
茜の膣がビクビクと痙攣し、内に包み込む中禅寺を一層きつく締め上げる。
痙攣は暫く続いた。中禅寺が放った熱い白濁液は、その痙攣によって、茜の体内へと
吸い込まれていった。
「ああ……」
茜が胡乱な視線を中禅寺に送る。中禅寺も見つめ返す。そうして、長い間、二人は見詰め
合っていた。
「茜さん」
「中禅寺さん」
二人は堅く抱き合い、そっと唇を合わせ、足を絡め合い、産まれたままの姿で―――
一つになった。
エピローグ・後書きもあるんで、またよろしく。
あーすっきりした。
ハアハア。
グッジョブです。
73 :
続き:2006/03/19(日) 00:29:00 ID:cDv3qfum
―――何だか、とても温かい。
夢と現の狭間で、茜は穏やかな安らぎを感じていた。
重い瞼を少しだけ上げる。薄暗い。
肩に何かを感じた。―――細い―――腕?
途端に昨日の記憶が蘇る。茜はあのまま意識を失い、今まで眠っていたのだ。
茜は傍らで静かな寝息を立てて眠る中禅寺の華奢な体に身を寄せていた。
中禅寺の体温を感じる。肌の触れている部分に意識を集中する。
朝が訪れたら、彼は彼の日常へ帰っていくのだろう。
この温もりをこうして感じていられる時間も残り少ない。
そう思うと哀しくなった。
―――哀しみを深めるだけだ。
あの時の中禅寺の言葉が、茜の胸に寂しく木霊した。
つう、と温かい雫が茜の頬を滑っていった。勝手なものだ。
自分で泣かないと決めたくせに。覚悟も出来ていた筈ではないか。
不意に頬を何か柔らかいものがなぞっていった。
いつの間にか目を覚ました中禅寺が、涙を唇で吸い取ったのだと、すぐに気づく。
「��中��禅寺さん?」
―――どうして
「茜さん、あなたは―――泣いてはいけませんよ」
―――どうしてあなたは、こうも私の心を乱すのですか?
湧き上がる感情を抑えきれず、茜は中禅寺の胸の中で声を張り上げ、泣いた。
一ヶ月前の葬式で枯れ果てた筈の涙が、止め処無く溢れた。
茜が泣いている間、中禅寺は茜をそっと抱き締めていた。
哀しくて、切なくて、やるせなくて、茜の胸は今にも張り裂けそうだった。
やがて泣き叫ぶ力も底をつき、短い嗚咽を繰り返しながら、茜は、ぐったりと中禅寺の上
に身を横たえた。全身の力がすっかり抜けていた。
74 :
ラスト:2006/03/19(日) 00:34:28 ID:cDv3qfum
「茜さん、あなたに―――僕は一つだけ言い忘れていたことがあります」
中禅寺が語りかける。静かな声だった。
「こんな時に野暮かもしれませんが、どうかお聞きください。
心とは一体何かという問いは、文明が始まって以来、哲学、宗教、心理学、社会学、
精神分析、脳外科学など、様々な方面、学問分野から研究されてきた命題ですが、
それでも未だに答えは出ていません。
しかし一つだけ確かなことがあります、それは―――」
中禅寺が茜の体を抱く腕に、そっと力を込める。
「心と体は不可分であり、精神とは肉体の写し身だということです」
「そ、それが―――」
「あなたの居場所は、この体ですよ」
―――そうだったんだ。
茜は取り憑かれていたのだ。きっと何処か知らない場所に、無条件の安らぎを得られる
自分だけの居場所があるという幻想に。
今までほんの少しも気づかなかった。
もし気づいていれば―――
こんなに人が死ぬことも、こんなに悲しみを感じることもなかったかもしれない。
茜の表情を見て、何かを察したのか、中禅寺が言葉を続ける。
「記憶の中で過去に遡り、実際には起きなかったことが起きたと仮定して、現実とは
異なる現在をあれこれ想像するのは簡単です。しかし、それは全く意味が無い行為です。
何故なら―――この世の全ては、なるようにしかならないのですから」
悲しみが篭った声だった。
何しろ、そこにこそ自分の悲しみがあるのだ、と中禅寺は語ったのだ。
「そう��でしたね��そうでした��」
涙声を絞り出すようにして、茜はやっとそれだけ言った。
中禅寺はそれ以上何も言わずに、ただ茜の体を抱き締めていた。
温かい。
茜はもう何も考えないことにした。
夜明けが来るまで、朝陽が差すまで、ただひたすらこの温かさに浸っていよう
と思った。
まどろむ意識の中、まるで体がとろけてしまいそうな優しい安息感に包まれて、茜は
遥か遠くに雀の鳴く声を聴いた。
75 :
後書き:2006/03/19(日) 00:53:30 ID:cDv3qfum
まずは言い訳を。
エロじゃない部分がやけに長いのは、書いた奴が茜に普通以上の思い入れを持ってるせいです。
暴走しました、すいません。
それと勿論、この後書きもエロくないので、悪しからず。
ここからは絡新婦と塗り仏の直接的なネタバレがあるので、未読の方はスルーして下さい。
ベルナール女学院時代(まだ中学生)に本田に強姦されたり、
十九かそこらでアメリカのゴツい軍人相手に性奉仕したりと、
茜は悲惨な性遍歴を通り抜けてきた女なわけで、そこに自分は同情していました。
なので、死ぬ前に一度でも幸せな男性経験をもって欲しいという、個人的な願望を
徹底的に小説中に投影してきました。
茜の相手に京極堂を選んだ理由は、茜と対等な男女関係を結び得る男が奴しかいない
と思ったからです。
なにしろ、あの有能な津村第一秘書でさえタジタジになるほど、茜は聡明な女という設定
ですから。
ただ、京極堂の行為を見て、こいつはこんなことしねえよと思った方が多いのでは
と反省しています。
裏設定
茜は避妊薬を飲んでいて中出しOKということになっていますが、この避妊薬はもしも
是亮に強姦されても子供が出来ないようにと用意していたものです。
子供が出来たら計画に支障が出るから、多分、用心していたんじゃないかと思ってのことです。
余裕が無くて、小説中では説明できませんでした。
後、白状すると、中出しに拘ったのは、単なる自分の趣味です。
ここは読者が妄想を叩きつけるための場所だから、好きにしました。
肛虐を入れたり、自分でも変態だと思います。
でも普段は、AVのアナルシーンは嫌いで飛ばすんですけどね。
何で入れたんだろう?
最後に、非業の死を遂げた織作茜の冥福、このスレの繁栄、そして京極堂シリーズへの
あらゆる801活動の鎮火を祈りつつ失礼致します。
乙!!
でも後書きの最後の2行はいらないな。
グッジョブ!
>>76 腐女子の方ですか?
いや、自分はあまり偏見持ってないので、気にせず。
76じゃないが。
腐女子ですが、801うんぬんより実在しない人物の冥福を祈ってるトコが気になったよ
シャーロック・ホームズの死を悼んでロンドンの紳士は喪章を付け、
力石徹も著名人が葬式やったじゃないか。
>>79 作者です。
勿論、あれはまとまりがいいと思っただけで、非現実と現実の境界はわきまえてるつもりです。
ああもう、馬鹿なこと書きすぎた。消えよ。
後書きの途中で「ネタバレがあるから未読のやつはスルー」って書かれても
一番下に「非業の死を遂げた○○」なんて書かれたら
嫌でも目に入ってくる。
全員が全員、上から読んでいるわけじゃないってことを
忘れたらダメだとオモ。
作品が良かっただけに後書きで現実に戻された感じがする。
でもすごくハアハアさせてもらいました。
ありがとん!!
また降臨してくれるのを待ってます
京極の虹サイトでエロって見ないんだけど
探し足りないだけでけっこうあるのかな・・・
男女カプサイト探すだけで一苦労だ。
榎木津×女学生君希望。
呉美由紀けっこう人気あるな。どこらへんが好きなんだ?
ロリだからか?
いや、年の差もあるが、歪んだ部分がなくて聡明なとこかな。
あと自分も色気のない元気な悲鳴が好きなんだ。
>>85 何かしおらしくてワラタw
暇があったら書いてみるよ。出来不出来は別として。
すまん、アンカー間違えた。
87に早く暇が訪れますように
91 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 19:19:18 ID:JTPROGwW
保守あげ
神様降臨祈願
かもな
神×女学生キボンヌ
神降臨まで保守
重複して誘導されてキマスタ。
( ・ω・)∩先生、兄×妹はありですか?
「 いやぁ、奥さんが留守だと言うから、猿と君しか居ないのだと思っていた。なあんだ、
敦っちゃんが居るならそう言えよ、京極。 」
陰鬱な事件が幾ら起ころうが、この男の調子は変らない。きっと槍が降ろうが雨が降ろうが、東京大震災がもう一度来ようが
この竜巻の化身はびくともしないんだろう。
京極堂も京極堂で、こんな奇っ怪な榎木津の行動によくも驚かない物だ。
変わり者の最たるところは実際は榎木津でなくこの京極堂なのだろうか。二人に言わせれば其れは私だと言うのだが全く未だ以って納得がいかない。
「 嫌だなあ榎さん。僕はこの猿を居候させた覚えはないぜ?大体、妹が家に居て何が不思議なんだ?僕が不思議とするところは
此処のところ2,3ヶ月まったく姿を見せなかった関口と、そもそも姿を見せることが珍しい君とが寸分のタイミングで
現れることだ。 」
「 ふっふっふ、甘いよ京極。僕は美女の居るところを嗅ぎつけるのは得意なんだ。ただその美女の居るところに偶然猿が居たりするから
折角愉快な気分だったのが結構不愉快だ。猿、君は帰れ。」
「 榎木津さんも、お茶如何です?」
私が二人の先制攻撃に遭って例の如く失語症を発しかけたところ、気を利かせてか敦子君が台所から戻ってきた。いい玉露の香りが漂う。
「 ああ!全く掃き溜めに鶴とは言ったものだ。頂こう、うん頂こう。」
「 ところで榎さんは何の用なんだい? 」
漸く言葉が出たところで、少し嫌味を聞かせてみたが、言ってみてからこの男に効果が無いことを気づいた。大抵仕掛けたこっちが馬鹿にされ返すのだ。
「 猿めたまには気が利くな。僕はな、出不精な京極のためにこれを渡しに来たのだ。郵便は信じないし、自分から出かけては来ないので
仕方なくわざわざ探偵業を御休みしてこの本の虫に外字本を届けにきたわけだな。まあ買ってきたのは和寅なんだが、あれは下僕だから
定期的に包んで遣ってる給料以外はお使いとか勘定はしないのだ。」
そういうと榎木津は少し離れた位置から京極堂へ、新聞へくるんだ其れを投げ渡した。
「 まあ、何ですかそれ 」
敦子君と僕が覗こうと乗り出すと、京極堂は素早い仕草でそれを懐へ仕舞ってしまった。どんな装丁なのか見せてくれても減りはしないだろうに。
仲間はずれはいつもの事だから、別段気にかける必要は無いか、と自分を納得させる。
「 ところで猿は何の用なんだ。まさかまた面倒な事件に首を突っ込んで、故事の亀みたいになっているのをこの偏屈に
助けてもらおうとかいう訳かな?」
「 い、いや、・・・ 」
「 関口君は古本を売りに来たのだよ。僕が留守の間に上がっていてね。敦子も追い出せばいいのに・・・戻ってきた僕に売ったついでに図々しく居座っているというわけだ。」
「 猿らしい理由だ。じゃあ敦っちゃん、僕はこれで失礼するよ。」
私に湯のみを押付けると、敦子だけに挨拶してさっさと帰ってしまった。そう言えば今日も今日で実は面妖な出で立ちだったのか、と去る姿を見て気づく。
10月とは言えまだまだ暑いこの時期に紫の奇抜なセーター、そのくせ下は古ぼけた短いジーンズなのである。
別に服装など詳しくも無いが、どうも榎木津の短パンは足が長いので又却って不恰好でいけない。
「 さて敦子。ちょっと奥の部屋へおいで。お前に話しておきたいことがある。」
不意に立ち上がった京極堂が、隣へ座っている敦子へ向き直って唐突に告げた。
「 なあに兄さん、改まって。お説教されるようなことならしていないわよ。それに、関口さんがいらしてるし。 」
「 関口はいいのだ。放っておけば直に寝てしまうか帰ってしまうだろう。そういうことだ関口君。ちょっと外すよ 」
帰ろうとも思ったが、何故だか私は、何か特別な事でも起こる様な気がして、彼等兄妹の会話に聞き耳を立ててしまう事になる。
生活感の無い京極堂が睡眠をとる様子というのが、長い付き合いの私でも容易に想像できない。
そもそも彼等二人は寝間などで何を話すのだろうか。
摺足で近付いていく。咎められる事に覚悟が出来ているかと言えば、全く出来ていないのだが、気になって仕方が無いものは、どうにも追求せずに居られない。
そうして鬱病を再発させてしまったら、滑稽極まりない。その時ばかりは呆れ果てて、見捨てられてしまうだろうか。
そうした思念に駆られている所に、それは聞こえて来てしまった。
*
――何かに取り憑かれて、しまったのだろうか。僕は長く、陰惨なものに関り過ぎてしまったのかもしれない。
組み敷いている女の名は、中禅寺敦子と云う。僕はこの年の離れた女の事を、生れた直ぐから良く知っている。
色づき始めたのは本当につい最近のことだ。光陰矢のごとし、人間の感じるところの時間は例外なく実に相対的で、あっという間に過ぎるときもあれば
非常に緩慢に、欠伸の出るようなときもある。
敦子の場合は前者の典型的な例で、この間赤ん坊だったのが、今はもう格好こそ男のする様なものこそすれ、体付きは立派に女なのだ。
僕等は全く似ていない。全く、似ていないが血を分けた物同士だ。だが時折思う。
そもそも人類の始祖というものは同一で、そこから根を分けただけであって、広い目で見ればそれらは親子兄弟姉妹、変わりないのだと。
遺伝的に近いもの同士には奇形が生れる為、人が歴史を字に記す頃には既に禁忌とされてきた近親相姦――生命の始まりは禁忌だと僕は考える。
林檎とは禁忌、其れを口にすることは性交の象徴と一説に聞く。アダムとイヴは、血を分けた者だった。原罪は、消えない。
そしてその血は稀に先祖がえりを起こす。そうした先祖がえりが、今正に僕のしている事だ。
――敦子は僕の妹だ。僕は、敦子の、兄だ。
榎木津から貰った洋書は、所謂性儀の教本だ。――榎木津は良く喋るが深くは詮索はしない。しかしきっと見えてしまっただろう。
洋書の内容が分るか分らないかは問題で無く、『そうした人間』だからだ。惨めたらしい僕の垂れ流した妄想の断片がきっと、畳から流々と流れて行ったに違いない。
敦子が、僕の胸板を烈しく叩く。僕には、敦子の声は届かない。左掌で両腕を纏めて、懐の本の適当なぺエジを開いて、暴れる足を太股から開かせて、
嫌がって歪む口元へキスをする。
順序立ては得意だし、準備無くこんなことをする程無謀でも無い。誤算は、関口だ。彼が見ていたらどうしよう。彼はどうしようもなく率直に僕に意見するだろう。
その時が、実は僕の一番恐れるところだ。
彼は懊悩するだろう。鬱をぶり返すかも知れない。あるいは、木場の旦那にでも・・・否、それは無い。彼はそんな活発な性格ではない。
――ほら、やっぱりだ。あんな風に、襖の隙間から出歯亀をしているしか脳がないのだ・・・・
*
「 兄貴!兄さんてば!やめて! 」
――僕は、憑き物にでも遭ってしまったのだろうか?京極堂に限って、そんなことなどない、というのが、僕の愚かなところなのだろうか。
僕の妄想か。敦っちゃんがアイツに拠って、蹂躙されるのを心の奥底で望んでいるんだろうか。
この襖を開け放ってしまえば全てが明らかになるのに、こうして愚鈍な亀のようにぼおっと覗き見をしているしか脳が無いのか・・・
京極堂は、敦子のベルトのバックルを乱暴に弄って、抜き取る――ファスナの隙間から飾り気の無い白い下着が視界に入って、不意に私の下腹部が熱を帯びてくる。
「 さ、敦子。見っとも無く暴れるのは止めろ。服が破れるし、先生が気づいてしまうぞ? 」
「 何を言ってるの!兄貴が退けばすむ事でしょう!こんな・・・気でも違ったの!? 」
「 違ってや無いさ・・・只機会が出来てしまった。それだけの事だ。僕の妹を何年やっている?そんなことも解らないか。」
――滅茶苦茶だ。絶対にどうかしている。・・・そう、思いたいというのが本心だ。細君と妹と、決して常に平凡とは云えないが幸せに見える暮らしの中、
こんな機会をずっと狙っていたなんて。
気づけば、私は膨張した私自身をでろり、と出して、その画を肴に、自慰に、興じている。こんな馬鹿な光景があるか。いや、実際あるのだ。
興奮した私は、モラルや常識など逸脱して、そのトリミングされた現実を、悦んで見ている・・・
敦子の胸元が肌蹴た。ボタンがぶちぶちと千切られて居るのだ。あれは本当に私の良く見知った京極堂なのだろうか。もしや良く似た変質者ではなかろうか。
――あれは、妖怪だ。兄の姿を模して、敦っちゃんを陵辱せしめんとする、悪い、ものだ。
京極の姿をした妖怪は、その癖毛と和装を乱しながらシャツを無理やりに引き剥がすと、小振りな胸を纏っている薄布へ手を掛けた。敦子と私の目が、合った。
ワクワクテカテカ
100 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 02:50:37 ID:AwHZGp8/
100ゲト
――千鶴子さんが帰って来やしないだろうか。僕は、彼女を呼ぶべきだろうか。
――引き止めるべきだろうか。それとも、此の侭、帰るべきか。
独り善がりな思惑は交錯するだけで、思考さえも既に自慰の域だ。私の手は、私をとことん卑劣に貶める。
「 関、関口くん。視ているのだろう?――君は今僕を妖怪変化だと思ってはいないかね。いいや、思っているだろうな。
僕が敦子にこんな真似をする訳が無いと、そう思っているんだろう。それはね、関口君。
僕に要らぬ期待を欠け過ぎていると言うものだよ。僕だって俗物的な部分は沢山在るさ・・・君や旦那や榎さんと同じさ。
――ただ僕の場合、・・・こう言った形で発露してしまうというだけなのだよ。」
――詭弁だ!!君は敦っちゃんを抱きたいのを、そんな風にごまかしているだけだ!!
「 視たいならそこでずっとそうしていろ。千鶴子なら、君の細君と出かけているよ。・・・暫く戻らない 」
「 兄貴――義姉さんに仕切りに出かけろって言ってたのは――そういう事、だったのね 」
敦子が、京極堂の胸板を押しのけて、こちらへ逃げてこようとする。その細くか弱い足首を掴んで、悪鬼は獲物を引き摺り戻す。
「 ・・・敦子、暴れるのは寄せと僕はそう、忠告した筈だぜ? 」
細くも頑丈な男の指が、ブラジャーの背を、ブチリと無残に引き千切る。ホックの金具が此方へ跳ね飛んで、一層情景は生々しくなる。
「 いやっ――先生、助けて!! 」
小振りだが形の良い胸が、たわわに揺れる。私は間抜けにも自らの物を握ったまま、硬直してしまった。
普段から兄に似ず健康的に綺麗な敦子が、こんなにも妖艶に映るとは。
私は生唾を嚥下した以外は、何も出来ずに、只、この猥らな光景を眺めているしか無かった。
*
――これは、もう紛れも無く女の身体だった。僕はそう確信した。
妻の肌も美しいものだが、若いだてらに、細胞が活き活きとしているのが解る。逃げた背中の滑らかさは差し詰めヴェルヴェットの様だ。
そのヴェルヴェットの双丘を、背後から掌へ捉えると、その弾力は思いの他在った。簡単に潰れるような柔らかさを想像していたのが、
予想外で却って嬉しかった。
――洋書のページが変っていた。下腹部の線画が目に留まる。西洋の愛戯というものはどういうものかと思ったが、こうちらりと一見して
然して変り映えがしない。只折角だからこの教則本に則ってみようじゃないかと思う。
「 腰を上げるんだ、敦子。 」
「 ――な、ぜ 」
「 それは、遣ってみてからのお楽しみだ。」
*
>>99-100 盗られたか_| ̄|○
とりあえずもう引き揚げます・・・( ・д⊂ヽ゛おやすみ野菜・・・
|彡
いつだったか京極堂に訪れた時、丁度こんな話をしていたのを、私は薄らぼんやりと思い出し始めた。
「 そう驚くけどね、関口。どこの国の創生神話もね、最大の禁忌とされる近親相姦が沢山あるのだよ。」
「 イザナミとイザナギ、佐保彦と佐保姫、アマミキュとシネリキュ、アダムとイヴ、ゲブとヌト・・・。ギリシアの神なんか、実も蓋も無い言い方をすれば節操が無い。」
細君が夕餉の仕度をしている背中で、この男はこんな話をするのだからたまらない。私は飲んでいた茶を噴きそうになって、慌てて頬の中のそれを嚥下してしまう。
「 き、君はまるで、敦子君を抱いてもいいような言い振りをするじゃないか。それはどうかと思うね。」
「 ハハハ、もし僕があの男のような娘にそんな様な真似をするとしたら、それは僕でなく、悪鬼が、それも飛切り顔色の悪い青鬼が僕に化けたものだよ。」
「 鬼は化けるのかい?化ける専売特許は狐狸の類じゃあないのかい?」
驚いた僕に、京極堂も茶を啜って、そうして随分と機嫌のよさそうな薄笑みを浮かべる。
「 化けるのだよ。青行灯、・・・メジャア処は、瓜子姫に出てくる天邪鬼なんかはいい例だ。人を殺めて、その皮を被って。――中国では鬼という字はクェイと呼んで、
先祖の亡霊か、仏典によれば夜叉・餓鬼・羅刹の事。形としては死者の前へ屈む者の姿を表わしている。敦子が僕に犯されたとしたら、僕がまさかそんなことを、という
フィルタを以ってすればそれは妖怪変化のみならず、僕のご先祖様の亡霊の仕業かもしれないとも罷り通る訳だ。」
「 本気で言っているかい?」
「 ああ。僕が過ちを犯すというのは、可能性として0%じゃないから、ビビリ癖の在る君のために予め忠告しておこう。」
「 ――そうだな、そうした方が、僕の精神衛生上良いのかもしれない。」
「 ――はぁ、はぁ、兄… 」
京極の皮を被った鬼は、敦子の股座へ顔を寄せて、其処をぴちゃり、ぴちゃりとしゃぶり始める。加虐的に白い太股へ両手の指をがっちりと食い込ませ、
態々私の耳へ届くような大きな音を立てて、溢れる愛液を啜っている。敦子は、畳へ半身崩れ落ちて、い草に爪を立てる以外は最早、抵抗する術を喪っている。
私は私自身の手で果てそうになり、何故か勿体無い様な心持がして、其処でぐっと堪える。いっそ出してしまった方が、正気に戻れるかもしれないのに。
いいや、きっとこの情事が終るとも終らざるとも、私が正気になど戻ることは生涯無いのかも知れない。
「 もう、歓んでいるな。・・・観客はお前のもっと乱れた姿を見たそうに其処で指を咥えて居る・・・サアビスして遣ろうか。」
京極堂が秘所から口を離すと、その口端には愛液がてらてらと光って居る。それが、妙に艶かしい。矢張り私の知る中禅寺秋彦ではなく、コイツは人を惑わす鬼だ。
「 入り口がひくひく云っている。・・・欲しいのだろう?――いつ男を喰った。淫乱娘め・・・。何処の誰に嫁入り前の身体を許したのだか知らんが――
こんなふしだらに育ってしまうとはな。」
――ぐちゅり、
細い目を更に剣呑に細めて、節ばった指で敦子の秘所を、掻き回す。ぽつ、と指の間から零れた蜜が、畳に落ちて染みを作る。京極堂は裾間から
いきり立った男のモノを、未だ幼い穴へと突き立てる。敦子の体が弓形に仰け反って引き攣った声にならぬ悲鳴が白い喉から漏れる――
「 ――京極堂、もう、やめてくれ・・・ 」
ストイックな友人への儚い憧れは今や打ち砕かれ、私は冷や汗とも脂汗ともつかぬ液体に塗れて、ぜいぜいと過呼吸を起こしていた――。
過疎age
京極スレが過疎だなんて…漏れの力不足か_| ̄|○
何か珍しくスレが進んでるなあと思ったら、神様キテター!
ガンガレ超ガンガレ。
>>104 キタ━━━━ヽ(‘ω‘ * )ノ━━━━!!!!
励ましの言葉あってのSS職人だよね、と改めて感じたよ。
d…。・゚・(ノ∀`)・゚・。
昔、男ありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。
芥川という河を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ。」となむ男に問ひける。行くさき多く、夜も更けにければ、
鬼あるところとも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥に押し入れて、男、弓・やなぐひを負ひて戸口にをり。
はや夜も明けなむと思いつつゐたりけるに、鬼、はや一口にて食ひてけり。「あなや。」と言ひけれど、神鳴るさわぎに、え聞かざりけり。やうやう夜も明けゆくに、
見れば率て来し女もなし。足ずりをして泣けども、かひなし。
白玉か何ぞと人の問ひしとき露と答えて消えなましものを
『伊勢物語 芥川』より
*
「 男のモデルは、在原業平。――鬼の正体は、え得まじかりける女の――つまり長年身分違いで手に入らなかった姫君の兄上というのが通説だ。
業平にまんまと妹を攫われたのだが、其処は貴族、あっという間に妹を奪還せしめたのだよ。口惜しくて口惜しくて地団駄を踏むとは、中々無様じゃあないか。
真相がわかれば浪漫ティックな物語でも何でもない。兄と鬼でかけているのかね。これでは滑稽過ぎてまるで、ラヂオ落語さ。」
京極堂はつまらぬ洒落を言うと、骨ばった肩を竦めた。
――しかし、幾ら口惜しいといえ鬼とは大袈裟な。愛した女の兄であろうに。
喰らわれたように姿を消したのだと文献は記すが、これでは――
「 君に叱られるかも知れないがね。正直な感想を言えば、これではまるでその兄が妹を、…姦淫したような聞こえがするじゃないか――」
「 ――近親愛はね、関君。つい昨今まで――身分の高い方々には尚更、当たり前の様に在ったのだよ。」
榎木津は、ビルへと戻る道程で、はた、と足を留めた。
京極堂の気配が何だか異様で、早々に引き揚げて来たにも関らず、
その京極の気配が何だか厭な作用をしているのでは無いかと、今更になって気になって仕様が無い。
流れてきたイメエジに映ったのは、鬼の姿。それから、敦子の姿。そして、京極堂の良く読むところの、何れかの本の字列――非常に短い草書。
それらが混沌と一つに交わって、忌わしい暗さを纏っていたのだ。敦子の無事が危ぶまれる。
――猿には、恐らくそんな重役は無理だろう。引き返さなきゃ。京極の偏屈、愈々歯車が狂ったみたいだな。
榎木津は、生涯で最も積極的に、今来た道を引き返していった。
私は、惨めにも前を開けたまま、襖より後ずさりをした。全く腰が立たず、逃げ出すこともできない。
敦子の乱れ声と、京極堂の――あの悪鬼の、忌わしい息遣いが聞こえて来るばかりだ。
「 は――、はぁ、ああ、ああ、あ 」
身体を蛇の様にくねらせて、兄の魔の手から逃れんとするのも虚しく、悪鬼の耳打ちに脅えて、その度身を縮める。
眸は穿たれる度に、その光を曇らせて、今にもその輝きは死んでしまいそうだ。
まるでこの人型の鬼に生気を吸い取られているようだ。その証拠に、鬼の方は、腰を打付ける度に、病的に蒼褪めた顔から、
段々と血色良く成って行く。
「 敦子、――お前はどうして、僕の妹に。――何故、今更になって僕を惑わせるのだ 」
「 あっ、あ、あ―― 」
「 僕は、僕は…もう人の憑き物など――背負いたくはないのだ―― 」
「 兄…き… 」
「 ずっと僕の傍に居て、茶を入れていて呉れ。あんな、あんな男の所に――どんな男の所にも、お前をやりたくは、無いのだ。 」
「 其処までだ――京極! 」
凛とした響きの、聞き覚えのあるトーン。私の背後から、扉という、襖という、あらゆる境界を破って、現れたのは。
「 この榎木津礼二郎が、、君についている鬼を祓いにきてやったのだ。有り難く思いたまえ。 」
久しぶりに来たらすごい神様がいた!
GJ!
続き期待してます!
西洋磁器人形のような端正な顔立ちが、其れまで見たことの無いような真剣な表情で、敦子と京極堂とを見据えている。
「 え、榎さん… 」
呼びかけると、榎木津は険しい表情で、私のシャツの胸ぐらを掴んだ。
「 関、君は――一体どうしてそんなにも愚鈍なんだ!君が原因みたいなもんだぞ!」
――僕が原因?
――何故。
「 憑き物というのはな、君が視てきた通り、怒りや悲しみや、悦び、理解できないドロドロしたものだ!人の心で歪められた現実を、
京極は一度背負ってそして返してやるのだ。だがな、君が京極にあんまり期待して、この男に自分を浄化する期間を
ろくに与えず厄介な怪異を、次々と持ち込むから――」
榎木津が、大きな飴色の眼を見開いて、私を怒鳴りつける。余りの剣幕に私は、例の如く言葉を失って、呆けたようにずるずると腰を抜かした。
「 榎木津さ…」
「 敦っちゃん、僕はもっと早くに引き返すべきだったようだ。」
寝間へ押し入り、時間ごと固まったような悪鬼――否、中禅寺秋彦の元へ、歩み寄ると、榎木津は、その頬目がけ、
大きな拳を力いっぱいに打ち付けた。
京極堂の細身は、堪えることなく、一間くらい吹き飛んでいった。そしてぐうの音を上げて倒れるのを、
私は大層おののいて、今度は言葉どころか、気を失った。
*
混濁した血色の水の中に浸つて居る。
やがて其れは大きな海だと、私は悟る。母体の海、羊水の、海だ。
私の足元に、誰かが座って、此方を覗いている。
「 君は大変愚かなことをしたね。秋彦。関のせいにしてはならないよ。榎さんを怨むのも筋違いだ。敦子は勿論のこと、千鶴子には会わす顔も無いだろうが、
償わなくてはならないよ。君の鬼はとうに堕ちたのだから。」
「 君は、誰だ 」
「 僕は、君さ。」
淡々と私に語りかける私の姿が、遠のいてゆく。もう一人の私が消えた空は、一点の汚れもなく、白だった。
*
「 あなた。秋彦さん。――確り。」
暫く黙って見守るばかりだった私や、暇そうに羊羹を頬張っている榎木津を見かねて、千鶴子――京極堂の細君が彼の肩を揺らすと、
京極堂は死んだような眠りから、実にゆっくりと瞼を開いた。
「 …千鶴子かい?…此処は?――敦子は…何処へ 」
「 敦子なら上馬に帰りましたよ。ここは掛かり付けの病院ですよ。――話なら聞いてます。まだ、寝ていて。」
「 ああ… 」
起き上がろうとした京極堂の胸をそっと押し返して、千鶴子は再びベッドへと主人を寝かしつける。
脳震盪を起こしていたようで、しかし大事は無いらしい。よほど強く殴ったのだろう。
どこか京極堂の顔付きは朦朧としていて、視点が定まっていない。
「 京極、君は千鶴さんの寛大さに感謝すべきだ。そうそう猿もだ。全く何が哀しくて雪ちゃんは君なんかに嫁いだんだろうねェ…
嗚呼哀しい。不幸だ。こんな猿にあんな美人。世の中不公平だと嘆いている男は一杯居ると思うよ。 」
「 エノさんはまったくどうして、直ぐ僕のほうに矛先を向けるんだな。 」
榎木津は私を無視して続ける。
「 敦っちゃんは僕が責任を持って慰めておいた。本当に敦っちゃんも寛大だ。倒れた君の心配と、僕の拳の心配と、この猿の心配まで
して行ったよ。まったく男ってのは駄目だよなぁ!! 」
榎木津は、私と京極堂とが気絶した間、錯乱した敦子を抱きしめ、ずっと慰めていた。細君が帰るまで、そうしてずっと、敦子の心の痛みや、記憶を、
ダイレクトに受け止めて居たのだろう。
「 榎木津さん、関口さん――本当に。 」
千鶴子が深々と頭を垂れると、榎木津は羊羹を飲み込み損ねてげほげほと咳き込むと、ゆるりと笑みを象って、
「 いいや、千鶴さんが謝る事じゃない。――ああ、猿と僕はそろそろ失礼します。僕は色々と忙しいので。それに
こんなのが部屋に居たんじゃ京極に鬱が伝染っちゃう。 」
「 あ、それじゃあ… 」
無理やり榎木津に腕を引かれ、病室を後にした。榎木津の腕には、あの洋書が抱えられている。持って行ったほうが良いだろう。
再び歯車が狂うことなど、きっと誰も望みはしないのだから。
*
「 怒っているかい。…警察に、突き渡すかい? 」
「 鬼は堕ちたのでしょう?――そんな必要はないですよ。敦子なら、榎木津さんが――。大丈夫よ 」
「 ……あの男に任せて良かったのかね。…それに僕は未だ、あのお転婆を手放す気は――。」
千鶴子が、言い掛けた私の顔を胸元へ寄せて、頭を抱きしめる。ふわりと、嗅ぎ慣れた花の様な香りが、漂う。
「 強がりは止して。泣きたいのなら、泣いて下さい。私は、笑いはしないわ。貴方が、敦子も私も同じ様にしか愛せないのを、
私たちは知っているわ。――それは、いけない事ではないのよ。いけないのは、溜めて堪えて、――発露の仕方を間違えてしまうことだけ… 」
「 千鶴、子… 」
長い間枯渇していた涙腺が、ほろりと緩んだ。細くも柔らかい肢体へ腕を回し、お互いの体温を重ねる。
狂った歯車が、カチカチと音を立てて再び規則的に動き始める。
――恐らく歯車は、又狂うのだろう。私は、何よりもそれが恐ろしくて、妻の体温の中で震えていた。
終
此処まで読んでくれた人dクス!
如何に原作のイメージを崩さずに、ありえない事をありえる風に書くか。
しかし不思議なことなど何も無い京極堂シリーズにおいて、
こんな平行現実もあっていいじゃあないかとがんがってみました。
関くんの京極堂に対する漠然とした憧れ、京極堂、敦子、千鶴子の家族としての絆、
夫婦愛、敦子への京極堂のゆがんだ執着、そして榎木津と敦子の信頼感と距離感が
出せていたらめっけもんです。ではまた、次の投下の機会があれば…
ノシ
sugeeeee!!
文章が原作に近くてイイ!
そういや、こんなのがあったな・・・・・・ということで、甜菜
(前半部略)
コミケが終わつたので急ぎ帰省した。
都会を離れる夜行の列車は混んでゐた。
この車両にはくたびれたヲタクで満載だ。
帰省ラッシュも落ち着いたのに田舎に向かう一般人など誰も居らぬのだらう。
何と今日は寒い日だ。
車窓からの冷気が額に頬に寒々しい。僅かにヲタクの匂いがした。
何と気持ち悪い。
連日の徹夜が祟つてすつかり寝入つてしまつた。
白河夜船で昔の夢を見てゐると、何時の間にか前の座席に男がひとり座つて居た。
色の浅黒い、体型が縦だか横だか判らぬヲタクだな。随分と臭さうな、油ぎつた顔だ。
こんなに人がゐるのに、何の因果で此処に座つたものか。
つらつらそんなことを考へる。
男はノートPCを持つてゐる。
大層大事さうに膝に乗せてゐる。
時折画面に話かけたりする。
眠い目を擦り、いつたい何が起動してゐるのか見極めようとするが、如何にも眠かつた。
チャットかBBSでもやつてゐるのか。
なんとも手頃な善いサブノートである。
男は時折ハアハアしたりもする。
「おにいちゃん」
PCのスピーカーから声がした。
鈴でも転がすやうな萌へな声だつた。
「聞こえましたか」
男が云つた。壊れたハードデイスクからでる異音のやうな声だ。
「誰にも云はないでくださいまし」
男はさう云うとPCの向きを変へ、こちらに向けて画面を見せた。
画面には”はじるす”の双子がいつぱいに写ってゐた。
○学生のやうな顔だ。もちろんデモ版か何かに違ひない。売り切れだつたのでデモ版
だけでも見てゐるのだらう。
自分も買ひそびれたので、つい苦笑してしまつた。
それを見ると男はにやりと笑つて、製品パツケ-ジを取り出し、そして画面を進めた。
「おにいちゃん」
ああ、本物だ。
何だか酷く男が羨ましくなつてしまつた。
(以下略)
つづき
何だか酷く男が羨ましくなつてしまつた。
彼の男は何処で降りたのだらう?
男が列車に乗って来たのは果たしてどのあたりであつたか。どれだけ一緒に座ってゐた
のか。どうにもはつきりしない。あのソフトが欲しい。
仕方がないので実家のパソコンに慎ましくコミケで買った同人ソフトをインストオル
してみた。
実家のパソコンに同人ソフトがあるのは普通である。そのソフトはハーデデイスク
の中に納まった。
居心地が悪い。キャラ設定とストーリーが定番すぎるのが厭だ。もつと、ハァハァ、とさせて
くれなくては、さう思ふのだが、そうはならない。
画は悪くないのに、妙に鍵っぽい演出なので、ハァハァするときに雑念が入り込んで
しまふぢゃないか。やりきれない股間の不安感はどうする?もつと欲情させなくては
安心ができない。充満させるんだ。汁でも、触手(それはやだけど)でも入れるが
い々のに。なぜそんな薄い画のままなんだ。
叫びそうになつた。
まづヒロインが■校生なのがいけない。
炉にするべきだ。そしてねつとりとしたエロシーンを詰める。オープニングからエンディングまで
、股間が休む暇のないやうに念入りに詰める。それでこそ安心だ。
このソフトが可哀想だった。オチない、抜けない、そしてハードデイスクの奥深くに
プレイされないまゝ埋められるなんて
それに比べると、しおりたんとさおりたんは完璧だ。胸の大きさも手ごろだし、無駄がない。
見事なまでに股間を充填させてくれる。身長の低さと開拓され具合は完璧だ。処女でないのは
止むを得まい。処女スキーには少し可哀想だが我慢して貰はう。
ああ、彼の男がうらやましい。あのソフトが、しおりたんとさおりたんが欲しい。
強い恋愛感情が発露した。そして後悔する。何故彼の男の後を追はわなかつたか。
つまらないエンデイングが始まる。下を向き、股間が反応していないの確認して立ち上がった。
休暇はまだ四日も残っている。時間はある。まだ遅くはなからう。
そそくさと手荷物を纏め、家を抜け出す。
上り列車は直ぐに来た。まずは地元の電器屋に行こう。そしてあのソフトを探すとしよう。
>>114 藁。
一体何処からそんなもの拾つて来たんだい
>>115 エロゲー板に『京極夏彦の文体でエロゲーを作れないか』
みたいな趣旨のスレがあった気がする。前スレで見た。
上の職人さんの榎敦を見たいな
ね。榎敦すごくみたいね。
>115、ウマ、ワラww
榎木津×篠村美弥子はだめですか?
>115、116
正確には、葱板の
「京極夏彦が書いたシナリオのエロゲーがしたい!」
です。
興味ある方は、にくちゃんねるで検索してみてください。
113、114のような抱腹絶倒のパロ作品がゴロゴロしてまっせ。
というわけで、当該箇所からもう一つだけ甜菜。
161 名前: 調子にのった157 01/10/17 17:46 ID:qWF3J2OS
榎木津は陽気に続けた。
「今度娘が帰ってきたらもう外に出さない方が良い。学校も休ませなさい」
「な……ぜですか?」
「娘さんは狙われているのです。頭のイカレたロリコンがうろうろしている。
奥さんはムチでもマラでも拝みたいものを拝めばいいが、娘の命は別もの
でしょう。拝み倒しでも、荒縄で縛るのでも、何でも良い。
できるなら今捜して縛った方がいい」
「縛る?」
「だってあなたの娘はあなたの云うことを聞かんのでしょう?
なら縛るんです。それでも犯されるよりマシです」
「犯される?それは……本当ですか?」
「勿論本当です」
「あなた達は…いったい?」
「はははは、やっと僕等の素性を尋きましたね!普通は最初に尋くんです。
何を隠そう、別に隠しちゃいませんが、僕等は日本でも指折りの巨根持ち
なのです。その名も御亀様。こちらがご本尊です」
何と云う出鱈目!よりによって御亀様とは口から出任せにも程があろう。
榎木津は恭しく息子を取り出した。開いた口が塞がらない。
その時初めて君枝の貌に明確な表情が刻まれた。
興奮。君枝は興奮している。
ワロタw
巨根w榎さんはでかそう。
無職人さんの榎木津×敦子を見たい。
検索したけど見当らなかった……dat落ち?
126 :
124:2006/05/25(木) 17:27:06 ID:qVx1NZFK
そろそろ保守age
128 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 22:59:52 ID:tJMazB7J
うわあ全然書き込みがないや…
129 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 00:52:48 ID:sTAQfbUP
神達の文章を発見!感動です!
ボイン
女x女はok?
ぬるい敦子x布由書いてるんだけど…
132 :
131:2006/06/25(日) 13:35:30 ID:+mU04ocr
ごめん、百合スレあったんでそっちに投下してきました。
誘導してもらえないだろうか。
読みたいッス
>133
この板を「百合」で検索で出てきたスレに貼りました。読んでもらえると嬉しい…
保守っとく