【グラフティ】センチシリーズ総合4【ジャーニー】

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213名無しさん@ピンキー


「ウフフッ、どうしたの? さっきからあまり口をきかないけど」
「あ、ごめん……晶に見とれてた」
 まじめな顔でそんなことを言う。
 わざわざあつらえたドレスだもん。褒められるととってもうれしい。
「あ、ありがとう……うれしい。私もね、あなたに……」
「私も……なに?」
 真剣な表情で聞き返す彼。
 ……やだ、私ったら何を言ってるのかしら。
 あわてて言い繕う。
「あっ、少し酔っちゃったみたいね。なんだか妙に頬が火照ってる」
「晶まだ一口も飲んでないじゃない」
「バ、バカ! いいじゃないの……きっと素敵な夜景に酔ったのよ」
「ふ〜ん」
 何? その意味ありげな微笑み!
 私があなたのこと好きなの知ってるくせに、それを言わせようってわけ?

「それにしても、本当にこんなディナーをご馳走になってもいいの?」
「もちろんだよ。……晶、うれしくない?」
 不安そうに聞いてくる。
「えっ? 私はもちろんうれしいけど……お金は大丈夫なの? なんなら私も払うけど?」
「アルバイトしたんだ。この日のために」
 ちょっと怒ったように彼が言う。マズイ、怒らせちゃった?
「そ、そう……じゃあご馳走になるわね」

 クリスマス。
 今日のために私は長崎から上京した。
 当然ホテルを取ってある。
 今日、彼に私の初めてをあげるつもりだ。

 あの夏の日のあと、何度かそういう関係になりかけた。
 でもまだ私たちは結ばれていない。
 彼の何かに我慢している顔を何度も見た。
 私だって子供じゃない。それが何を意味するのか分かるつもりだ。
 ……もうそんな我慢はさせたくない。

「あ、あの…その……ありがとうね。とってもうれしい」
 しゃべっていないと涙がこぼれそうになる。
 本当にうれしい。私のためにアルバイトしてくれた、あなたのその気持ちが……。
 今はその好意を素直に受けよう。
「今年は…あなたのおかげで素敵なクリスマスイブになりそう」
「い、いやぁ、そう言ってもらえると僕もうれしいよ」
「あの、ね……食事が終わったら私の部屋に行きましょう?」
「……え?」
「あなたに、最高のクリスマスプレゼントを、あ・げ・る」




春と秋は割愛ということで。
というか、思いつきませんでした。