こんにちは。暇が出来たので(夏だからって訳じゃないんですが)キララク書いてみました。
……だけど、キララクって結構難しい……。
後半、息切れしてしまったので、見苦しいところがあるかもしれませんが、ご容赦ください。
「フレーーーーーイ!!」
キラは、目の前で起こった爆発に、絶叫した。
キラの優れた視力は、小さな救命艇の中を炎が覆う過程を、残酷なまでに克明に捉えていた。
赤い炎が、キラの大事な人の体を覆いつくす瞬間も……すべて。
キラの目の前で、小さな救命艇が沈んでいく。キラは、精一杯フリーダムの鋼鉄の腕を伸ばした。
しかし、その腕は何も掴むことができない。キラが守りたいと願った人――守ると約束した人の体も。
やがて……救命艇は音もなく沈んだ。真空の海には、爆発の轟音も轟かない。
救命艇の破片が、フリーダムの胴体に当たり、小さな振動がコクピットの中にいるキラにも伝わってくる。
しかし、それもやがて静かになり……キラの目の前には、何も残らなかった。
「そんなっ……!どう……して……っ!!」
キラの心を、慙愧の念がいっぱいに満たす。
フレイ――自分が傷つけて、守ると……必ず守ると、そう約束したのに……!
守れなかった……!自分は……フレイに最後まで何もしてあげられなかった……!
キラの心が自責の念に押しつぶされそうになったとき、ふと、キラは誰かの温かい指が、自分の瞳から流れ落ちる涙を、そっと拭ってくれたような気がした。
――泣かないで……。守るから……。
キラの心の中に、柔らかな声が響く。
――本当の私の想いが……あなたを守るから……。
……しかし、その声も僅かな残響をキラの心に残し、消えていく。
キラは、憎しみに燃える瞳で憎むべき敵を探した。
こんな事態を引き起こした、そもそもの元凶ともいえる男の姿を。
キラはベッドから飛び起きると、荒い呼吸を繰り返した。
シャツが、汗のせいでべっとりと背中に張り付いている。そんなに熱くはないはずなのに、キラの額からは、汗がポタポタと雫となってシーツに落ちていた。
――また、あの日の夢だ……。
呼吸が落ち着いてくると、キラは腕で額の汗を拭った。
もう、あれから二年も経ったのに、キラは今でも夢に見る。
フレイを――守ると約束した人を、守れなかった日のことを。
と、そこへ遠慮がちなノックの音が聞こえてきた。それとともに、澄んだ少女の声も。
「キラ……?」
キラは、ハッと顔を上げドアの方を見やった。そして、声の主の名を呟く。
「ラクス……。」
「……入ってもよろしいですか?」
ラクスは、ドアの向こうから静かに尋ねる。キラは、慌てて返事をした。
「う、うん……ちょっと待ってて……。」
「はい……。」
キラは、慌ててズボンを履いた。ファスナーを上げて、ちゃんと締まっていることを確認すると、ドアの方へ向かう。
キラがドアを開けると、そこにはラクスが立っていた。
ピンク色の髪を長く伸ばした彼女は、優しい蒼い色の瞳で、キラの顔を見上げる。
「キラ……。」
彼女はキラの顔を見るなり、心配そうにキラの名を呼んだ。
キラは、内心の悲しみを彼女に悟られぬよう、彼女から顔を背けると、小さく言う。
「どうぞ、入って……。」
「はい……。」
キラは、ラクスを部屋に招きいれた。ラクスもキラに従う。
ラクスが完全に部屋に入ったところでドアを閉め、キラは窓辺に歩いていくと、窓をいっぱいに開けた。
外はまだ暗い。日の出には、まだ少し時間がある。
キラの頬を、海から吹きつける潮風が優しく撫でていく。
悪夢にうなされて、ぐっしょりとかいた汗も、少しずつ乾いていった。
キラはラクスを招き入れた後も、何も言わず、ただ浜辺に打ち寄せる波を見つめていた。
ラクスは、キラの背中を気遣わしげに見つめ、彼の背中にそっと声をかける。
「キラ……大丈夫なのですか?」
ラクスは、キラが何も言っていないのにも関わらず、すべて理解しているようだった。
キラがまた悪夢を見たこと、そして、心に負っている深い傷のことも。
フレイを失った後のキラを、ここまで支えてくれたのはラクスだった。ラクスは、傷ついて一人泣いていたキラを、優しく包み込んでくれた。
それなのに、キラは彼女の愛を正面から受け取ることが出来ない。
彼女の優しさは嬉しい。
しかし――キラは、未だにフレイのことが忘れられないのだ。ラクスを抱いていても、彼女の姿に、フレイの姿がだぶってしまう。
ラクスに申し訳ない。彼女は、こんなにも優しいのに……。
「また……あの方の夢を見たのですね……?」
ラクスは、確かめるように聞いた。彼女はやはり理解している。フレイを失ったことが、未だにキラを苦しめていることを。
彼女の優しい声に、キラの心は再び後悔と自責の念で満たされた。
キラの瞳から涙が零れ落ちた。喉の奥から絞り出すような声で、苦しそうに言う。
「僕は……っ……!フレイに、何もしてあげられなかった……!」
「……。」
「僕が傷つけて……守るって……必ず守るって……そう、約束……したのに……っ……!」
キラは、握った拳で窓枠を叩いた。思ったよりも大きな音が、暗い室内に響き渡る。
ラクスは、苦しむキラの背中を悲しそうに見つめていたが、ゆっくりとキラの方へ歩み寄ると、後ろから彼の胸に手を回し、優しくキラの身体を抱きしめた。
「キラ……。」
彼女の温かい腕が、そっとキラの身体を抱きしめる。
「キラは……以前わたくしを慰めてくださいましたわ……。」
「えっ……?」
キラは、思わず振り返る。ラクスは、瞳を潤ませてキラの顔を見上げていた。
「ですから……わたくしにも……あなたの傷を、癒すお手伝いをさせてくださいな……。」
「ラクス……。」
キラが戸惑ったように呟く。
――僕は……ラクスのことを、本当の意味では愛していないのに……。
それなのに彼女は……キラがラクスを通して、フレイを見ていることを解っているはずなのに……それでもキラを支えようとしてくれている。
彼女の優しさが、今のキラには辛かった。自分に対して嫌悪感を抱く。
後戻りの出来ない過去をいつまでも引き摺り、今、傍にいてくれる者の愛を、素直に受け止めることのできない自分に……。
キラは、ラクスの華奢な身体を、そっとベッドに横たえた。
目を閉じて、唇が降りて来るのを待っているラクスに、そっと自分の唇を重ねる。
「ん……う……んっ……!」
ラクスは、恥ずかしそうにしていながらも、懸命にキラの舌に、自分の舌を絡ませてきた。
積極的なラクスに、キラは驚いて目を見開いたが、その拙い舌使いから彼女の想いを汲み取り、自分からもラクスの舌を貪るように、彼女の口腔に舌を侵入させる。
ぴちゃぴちゃという音を立てながら、キラとラクスは、しばらくお互いの舌を味わっていた。
やがて、どちらともなしに唇を離す。
「んっ……!はぁ……。」
今まで呼吸を我慢していたのか、ラクスは口を離すなり、深く息を吸って呼吸を整えた。
キラは、彼女に優しく微笑むと、ラクスのすべすべとした乳房に触れた。
ラクスのきめ細かな肌の感触が、キラの掌いっぱいに広がる。
「あっ……!」
ラクスが、驚いたような声を上げた。だが、キラの顔を見ると、安心したようにうっとりと目を閉じる。
キラは、ラクスの胸に触れている手に、そっと力を込めた。途端に、ラクスの身体にビクッと緊張が走る。
「あ……っ……ん……キ、ラ……っ!」
ラクスの頬は上気し、ほんのりと赤みが差していた。頬だけでなく、身体全体に、うっすらと紅が差している。
もともと色白の彼女だけに、否が応でもそれが目立つ。
彼女の白い肌と、綺麗な薄紅色に上気した身体のコントラストが、キラの目には美しく思えた。
キラは、ラクスの白い乳房をゆっくりと揉み始めた。手の平全体を使って、壊れ物を扱うかのように、優しく揉み解す。
「あっ……は……っ……ああっ……。」
「ラクス、身体の力を抜いて……。」
ガチガチに緊張しているラクスに、キラは優しく囁いた。
ラクスは熱を帯びた瞳でキラを見つめると、小さく頷く。
「は、はい……。」
そう答えたラクスの身体から、徐々に力が抜けていく。
しかし、キラが二本の指でラクスの胸の先端部分を軽く挟むと、ラクスの身体に再び緊張が走った。
「ひ、あっ……きゃうっ……!」
ラクスが可愛らしい悲鳴を上げる。
ラクスは、思わずキラの手を払いのけようとしたが、キラはその手を押さえた。
「キラ……?」
ラクスが、戸惑ったようにキラの顔を見上げる。
キラは、彼女を安心させるように、優しい声で彼女に言い聞かせた。
「僕に任せて……。ラクスを、気持ちよくさせてあげるから……。」
その言葉を聞いて、ラクスは恥ずかしそうにしていながらも、小声で返事をした。
「わかりましたわ……。キラのお好きなように……。」
「ありがと……。」
ラクスが自分に身を委ねてくれたことに礼を言い、キラはラクスの乳首に口をつけた。
ラクスの乳首は綺麗なピンク色をしており、ツンと尖がって天井を向いている。
キラは、片方の乳首を口内で弄る一方で、もう片方の乳首を指で捏ねるように愛撫した。
「あっ……!やぁ……キ、キラっ……!く、くすぐったい……です、わ……っ……!」
ラクスが、両手でシーツをぎゅっと掴む。
キラは、彼女の可愛らしい反応に笑みを浮かべると、乳首を軽く吸った。
「あ……んっ……!は、あっ……!」
途端に、ラクスの身体が跳ね上がる。背中をのけ反らせ、思わず後ずさろうとする。
キラは胸から口を離すと、ラクスの耳元に口を寄せると、そっと囁きかけた。
「ラクス……。大丈夫……優しくするから、僕から逃げないで……。」
キラの言葉に、ラクスはトロンとした目をキラに向けた。彼女の綺麗な蒼い瞳に、キラの姿が映りこんでいる。
ラクスは、キラの言葉を聞いて落ち着いたのか、頬を赤く染めて微笑むと、再び力を抜いた。
キラも微笑みを返すと、今度はラクスの太腿に手を這わせる。撫でさすり、徐々に局部へと近づいていく。
と、そこでラクスが制止の声を上げた。
「ま、待ってくださいな……。まだ……こ、心の準備が……。」
しかし、キラはラクスの言葉を無視し、彼女の下腹部を撫で回した。
「あ……ふっ……い、いやですわ……!こんな……は、恥ずかしい……っ……!」
すでに何回か繰り返した行為なのに、ラクスはまだ恥ずかしがっていた。羞恥に顔を真っ赤にさせながら、目顔でキラに訴えかける。
しかし、キラは止めてはくれない。
ラクスは、思わず足を閉じようとした。
しかし、キラは足の隙間から指を潜り込ませ、ラクスの足を開かせようとする。
そっとラクスの秘裂に指を触れさせると、ラクスの身体はビクッと緊張し、足に込められた力が強くなった。
キラは、ラクスの小さく膨らんだ肉芽にそっと触れた。それだけで、ラクスの身体は弛緩し、徐々に力が抜けていく。
「あっ……ふあっ……。」
ラクスの身体から力が抜けてきたのを見て取り、キラは、静かにラクスの中に、指を埋めていった。
ラクスの秘処は、すでにキラの愛撫に興奮していたためか、すっかり濡れていた。
たいした抵抗感なく、スムーズにキラの指を呑み込んでいく。
「あ、ああっ……!」
侵入してくる指の感触に、ラクスは堪らず声を上げた。キラの指は、ラクスの愛液を纏いながら、着実に彼女の中心へと向かって進んでいく。
キラは、ラクスの胎内を指で軽く動かした。
膣壁を軽く擦り、くちゅくちゅと音を立てながら、ラクスの中をかき回す。
「キ、キラ……!わ、わたくし……そんなに……され……たら……っ!」
ラクスが、わずかに泣きが入った声でキラに訴えかける。
徐々に自分の身体を支配していく快楽に、ラクスは怯えさえ感じた。
なんだか、自分が自分で無くなってしまうような――そんな、不思議な感覚。
理性を失ってしまうのが怖くて、ラクスはキラに止めてくれるように哀願した。しかし、キラは止めてはくれない。
やがて我慢が出来なくなり、ラクスは泣き叫んだ。
「あ、あっ……あ、あああぁぁぁっ!」
ラクスの秘処から、熱い液体が飛び散った。それが、キラの手にもかかる。
ラクスは、キラの指だけで絶頂を迎えさせられてしまった。大きく息を繰り返し、懸命に呼吸を整えようとする。
キラは、絶頂を迎えた後で、ぐったりとしているラクスの髪を、そっと撫でた。
「ひどい……ですわ……。」
ようやく落ち着いた頃、ラクスは軽くキラを睨んで、ポツリと呟いた。
彼女は、いじけたように言う。
「わたくしは……キラの指ではなく……その……で愛して頂きたかったのに……。」
ラクスの可愛らしい抗議に、キラは思わず笑みを浮かべた。
「ごめんね……。ラクスが可愛かったから……つい……。」
「もう……。」
ラクスは、赤くなりながら恥ずかしそうに俯く。そして、遠慮がちにお願いした。
「……今度は、キラのもので愛してくださいますか……?」
「うん……わかってる……。」
ラクスの言葉に、キラは頷く。
ラクスは恥ずかしそうにしていながらも、嬉しそうに微笑んだ。
キラは、ラクスの足をそっと開かせると、そこへ自分の身体を潜り込ませた。
ラクスを攻めていて興奮したのか、キラの肉棒はすっかり固くなっていた。
いつでも挿入できる状態の自身の肉棒を、彼女の膣口へあてがう。
亀頭がラクスの粘膜に触れると、心地よい暖かさが亀頭を包み込む。
キラは、彼女の中に入る前に、一言断った。
「いい?」
キラの言葉に、ラクスは期待を込めた瞳で、コクリと頷く。
「じゃあ……。」
キラは、徐々に肉棒をラクスの中に挿入していった。キラの肉棒が、ラクスの中に呑み込まれていく。
「あっ、ああっ……!」
侵入してくる肉棒の感触に、ラクスがうめき声を上げた。
初めてのときは凄く苦しそうで、正直な話、見ていられなかったが、今ではそれほどでもない。
とはいえ、ラクスもまだ経験がそれほど多いわけではないので、やはり挿入の瞬間には息苦しさが伴うようだ。
「ラクス……大丈夫?」
キラは、彼女の身体を心配して声をかけた。
肉棒は、まだ半分ほど顔を覗かせている。一気に押し込んだら、ラクスの息も止まってしまうかもしれない。
ラクスは、キラを心配させまいとしてか、気丈にも微笑んだ。
「わたくしは……ん……うっ……だ、大丈夫ですわ……。ですから、キラ……は、あっ……さ、最後まで……して……くださいな……。」
ラクスは、途切れ途切れになりながらも、懸命に言葉を紡いだ。
せっかくの彼女の好意を無駄には出来ない。
「じゃあ、一気に……。」
「は……いっ……!」
キラは、一気に肉棒を根元まで押し込んだ。ラクスの膣内の暖かさが、キラの肉棒を優しく包みこむ。
ラクスの中は、前戯の甲斐あって、ほどよく湿っていた。おかげで、すぐに動くことも出来たのだが、キラはラクスが呼吸を整えるのを待った。
「う……あっ……く……んぅ……はぁ……。」
ラクスは、大きく口を開け、懸命に呼吸を整えようとしていた。
痛みは感じていないようだったが、それでもどことなく苦しそうにしている。
「ラクス……。」
「はい……?」
「動いていい?」
キラの問いに、ラクスはコクリと頷いた。
「はい……。優しく……愛してくださいね……?」
「うん……わかってる……。」
ラクスの言葉に、キラは頷いた。
キラは、ゆっくりと抽送を開始する。一旦、亀頭部分を残して引き抜かれた肉棒が、再びラクスの胎内に侵入していく。
愛液を絡ませながら、キラの肉棒がラクスの膣壁に擦れながら前進していく。
やがて、先端部分が彼女の最奥に突き当たった。
「は……うっ……あ……んっ……!」
胎内を肉棒が蠢く感覚に、ラクスが喘ぎ声を上げる。
ラクスは、キラの背中に腕を回し、しがみついてきた。
キラは、彼女の身体を気遣い、ラクスが呼吸困難に陥らない程度に、腰の動きを制御する。
「あっ……ん、あ……あっ……!」
やがて、ラクスの口から、甘い声が漏れ始めた。
ラクスの胎内で分泌された愛液が、潤滑油の役割を果たし、キラの動きを助ける。
――もう大丈夫だろう……キラはそう見当をつけ、少しずつだが腰の動きを速めていく。
キラの肉棒が突き入れられるたび、ラクスの胎内から掻き出された愛液が飛び散り、シーツに水玉模様を描く。
キラは、挿入するときに腰を回転させてみた。
肉棒がラクスの胎内で暴れ、彼女の膣内を深く抉る。
肉棒が膣内を掻き回す感触に、ラクスは戸惑いの声を上げた。
「あ、ああっ!?キ、キラ……っ!こんな……ダ、ダメです……わ……っ……!」
ラクスが抗議するが、キラは止めない。
熱い肉棒が、ラクスの膣内を蹂躙する。
肉棒が膣内を往復して、膣壁とこすれるたびに、ラクスはその甘美な感覚に喘いだ。
「あっ、あ、んっ、あうっ……あんっ、ああっ……!」
キラの背中に回されたラクスの腕に、力が込められる。
キラは、ラクスの腰を掴み、しっかりと固定すると、更に腰の動きを速めた。
「ラクス……どう?これ……。」
「キ、キラ……っ……!わ、わたくし……どうにか、なってしまいそうです……っ……!」
キラの肉棒に貫かれて、ラクスは、次第に頭の中がぼんやりとしてくるのを感じていた。
頭の中に霞がかかってくるような感覚になり、なにも考えられなくなる。
熱に浮かされているような表情になってきたラクスに、キラは、徐々に肉棒の根元が熱くなってくるのを感じていた。
すぐにでも射精したい気分だったが、それを必死に堪え、ラクスの膣内に肉棒を突き入れ続ける。
「あ、あっ、あっ……キ、キラ……っ!キラぁ……!」
ラクスが、涙声でキラの名前を呼ぶ。
目の前で自分を呼ぶラクスに口付けしようとしたキラは、ハッとして動きを止めた。
潤んだ瞳で自分を見上げるラクスの顔に、フレイの顔が重なって見えたのだ。
――守ると約束し、そして守れなかった人の顔が。
ラクスを抱いているのに、他の女のことを考える――こんなに、彼女に失礼なことはない。
解ってはいるのだが、どうしても駄目だった。何度振り切ろうとしても、フレイのことは、キラの頭から離れない。
やがてフレイの顔は薄れて行ったが、今度はラクスの顔が滲んで見えた。
キラの目から、堪えきれない涙が、とめどなく流れ落ちてくる。
ラクスはキラの涙に気づいたのか、気遣わしげな視線を送ってきた。
彼女の気持ちを裏切っている気がして耐え切れなくなり、キラは彼女に詫びた。
「ごめ……ん……っ……!僕……まだ……フレイのことを考えて……っ……!」
ラクスは悲しそうにキラの顔を見ていたが、やがてポツリと呟いた。
「いいのですよ……キラ……。」
「え……?」
「わたくしは……今はまだ、あの方の代わりでも構いません……。でも、いつか……いつかキラの傷が癒えて、わたくしを本当に愛してくださるようになると――そう……信じていますから……。」
そう言ったラクスの瞳からは、一筋の涙が零れていた。
ラクスも解っているのだろう。
自分が、キラにとってフレイの代わりに過ぎないということを。
それでも、ラクスはキラを受け入れてくれた。いつも泣いてばかりで、ちっとも過去を振り切れないキラを……。
ラクスの言葉に、キラは自責の念を覚えた。
(僕は……また同じ事を繰り返してる……。)
――誰かの温もりにすがって、結局その人も傷つけて……!僕は……僕は、何をやっているんだろう……!?
ふと、キラの頬に、誰かの暖かい手が添えられた。
ラクスが、白くしなやかな手の平で、そっとキラの頬を撫でる。
「キラ……わたくしは、あなたを愛しておりますわ……。」
「ラクス……!?」
「信じていますから……。たとえ、キラがわたくしを見てくださらなくても……いつかはわたくしを、ちゃんと見てくださるようになると……。」
そう言ったラクスの瞳は、涙に濡れてはいたが、とても綺麗に見えた。
――こんなに優しいラクスを傷つけているなんて……僕は……!
自責の念に押しつぶされそうになりながら、キラは腰の動きを再開する。
たとえ、ただ快楽を得るためだけの行為でも、せめてラクスに絶頂を迎えさせてあげたいと――そう思って。
「あっ……ん……あっ、ひゃうっ……!あんっ、ああっ!」
再開された肉棒の動きに、ラクスは堪らず声を上げる。ラクスは、肉棒の感触に感じ入りながら、シーツを強く握っている。
先ほど、絶頂直前まで行ったラクスの身体は、刺激に対して敏感だった。
ちょっと肉棒を動かすだけで、彼女の身体はビクンと跳ね上がる。
「あ、あっ、あんっ、ひっ……あっ、ああっ!」
ラクスの上げる声の感覚が、次第に短くなっていく。
キラは、腰のスピードを上げていく。
キラ自身の根元に、再び熱いものがこみ上げてきた。射精感を堪えながら、キラはラクスを攻め続ける。
「あうっ……!あっ……キラっ……!わ、わたくし……もうっ……!」
ラクスが、涙声で限界が近いことを知らせる。
キラは、ラクスに絶頂を迎えさせるべく、最後の追い込みをかける。
自分自身を、ラクスの熱い胎内に打ち付ける。
「ラク……スっ……イクよっ……!」
キラは、ラクスの膣壁に最後の一突きを叩き込んだ。
それと同時に、キラは彼女の胎内に大量の精液を放つ。
「あ、ああっ……!キラ……っ……!キラァァァァァっ!」
ラクスは、最後にキラの名前を大声で呼び、絶頂を迎えた。
シーツを掴んでいた彼女の両手からふっと力が抜け、シーツの上に投げ出される。
ラクスは、そのままぐったりとして、眠り込んでしまった。
キラの横で、ラクスが静かな寝息を立てている。
どんな夢を見ているのかはわからないが、彼女の顔には、かすかな笑みが浮かんでいる。
キラは、何を思うでもなく、彼女の愛らしい寝顔を見つめていた。彼女のサラサラとしたピンク色の髪を、優しく梳る。
――僕は……いつまでフレイのことを引き摺っているんだろう……?
ラクスの寝顔をじっと見つめているうち、キラの中で何かが変わった気がした。
過去を断ち切り、前を見据えようとする勇気が湧いてきた気がする。
フレイのことは……やはりまだ忘れられないかもしれない。それでも、自分がしなくてはならないことは、彼女を――ラクスを守ること……。
キラは、眠っているラクスに想いを告げる。
「ごめんね……。ラクス……僕……間違ってた……。」
キラは、ラクスの髪を撫でながら、喉の奥から絞り出すように、言葉を続ける。
「僕は……いつもラクスを通して、フレイを見てた……。でも、もう大丈夫……。僕は、ちゃんとラクスを見るようにするから……。」
キラの告白は、ラクスの耳には入らない。
それでも、キラは彼女に話しかけ続けた。
「僕は今度こそ……大事な人を守ってみせるから……。ラクス……君を……。」
暁の空に、白いMS がその翼を広げる。
キラは、眼下に展開するMS部隊を見下ろした。
ラクスを狙ってやってきた、コーディネーターの特殊部隊だ。
(僕は……再び“ここ”に戻ってきてしまった……。)
ラクスを守りたいと思って、キラは再びその手に武器を取った。
――もう二度と、手にしないと誓ったのに……。
結局、キラはまだ、戦うことを止められないのかもしれない。
戦って、また誰かを傷つけることを、傷つけられることを、止められないのかもしれない。
でも――今度こそは大事な人を守りたいと――キラはそう願った。
『最高のコーディネーター』
フレイを奪った憎むべき男は、キラのことをそう呼んだ。
もしそうだとしても、結局今のキラには、戦うことでしか、その能力を生かせない。
それでも……自分が与えられたその力に意味があるのなら、せめて大切な人を守るために、キラはその力を使う。
キラの脳裏に、『鍵』を渡してくれたときのラクスの、儚げな顔が蘇る。
――彼女を守らなきゃ……。今度こそ……。
キラの中で何かが弾けたような気がした。
キラは、スロットルレバーを押し込み、フリーダムを加速させる。
キラが再び手にした力――フリーダムは、猛禽のようにMS部隊に襲い掛かっていった。
おわり