1 :
名無しさん@ピンキー:
ハウルの動く城でエロSSを書くスレです。
■ SS投下前に ■
・原作版・映画版のどちらの設定か入れる。
・SSの傾向を入れる。
(本文立上げ前の予告orSSの1レス目orSSの各レスのメ欄)
・SSを識別しやすいよう名前欄にタイトルorトリップ推奨。
・SSの混乱を避けるため、各レスごとに>>○○の続きと入れる。
・傾向に好き嫌いのある人は専用ブラウザ導入&NGワード指定。
・画像はSSの挿絵以外は
>>2のジブリ画像スレへ。
・個人サイトのURL晒し禁止。ローカルルール嫁。
前スレ【DWJ】ハウルの動く城専用スレ3【ジブリ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106667160/
前スレの500KBオーバー書き込み不可と
ジブリスレのほうでも統合しない方がよいとのことだったので
新スレ移行としました。
乙
5 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 18:07:57 ID:pWpAL6HG
いつのまにかスレ出来てる〜。
この板で512kb超えは珍しいね。
乙です。
原作ネタ投下します。
ハウソフィでエロなし。6レスくらい。
タイトル『寄り添うための方便』
「ようこそ、ソフィー。今日からあんたのベッドはここだけだからね」
結婚して初めての夜の、約束。
結婚したばかりの魔法使いとその妻が、些細なことで喧嘩をして数日が経っていた。
すぐに仲直りをするだろうと、高をくくっていた城の住人たちも、そろそろ呆れた様子や
不安そうな様子を隠せなくなっていた。ハウルは不機嫌さを隠そうともしないし、ソフィーは
ハウル以外には普通に接しているものの、普段は暖かな食卓も、どこか寒々しかった。
マイケルはハウルとソフィーの機嫌をびくびくと伺いながら、機会を見つけてなんとか
雰囲気を和らげようとしては、空回りした。ここ数日、城の中は冷え切ったようだった。
「お前が落ち込むことはないぜ、マイケル」
ため息を吐いたマイケルに、カルシファーは笑いながら声を掛けた。
「――だって」
喧嘩した当人同士にも、他の人間にもわかっていた。小さなきっかけさえあれば、二人の
喧嘩など、笑い話になるのだと。目を逸らし続ける二人が、まっすぐ向き合いさえすれば
いいのだ。しかし、そのきっかけがつかめない。
「この城の人間たちは、揃いも揃って不器用だなぁ」
ケケケと、意地悪そうに笑う。
「マーサだって心配してるんだ。カルシファーは、こんなの、嫌にならない?」
「あいつらまだ、お互いに慣れないだけだろ。それに、おいらは悪魔だから、人間の心配
なんてしないよ。外に出られるようになったしな!」
カルシファーは、楽しそうにゆらゆらしながら、つい最近、遠出して見てきた雪山の話を
している。マイケルは相槌を打ちながら、それを聞き流す。
「空が真ーっ青で、山が真ーっ白なんだ。あたり一面、雪が積もってて、陽に照らされて
きらきら輝いてるんだぜ!マイケルは見たことあるか?」
「ないよ」
ため息を噛み殺しながら、なげやりに答える。
「見たいか?」
別にいい、と返事をしようとして、マイケルは、カルシファーの声が急に真剣みを
帯びたのに気付いた。ちゃんと聞かなくて怒らせてしまったのかと、後悔しかけて、
そうではないらしいことに気付いた。
「なあ、見たいだろ」
「カルシファー?」
「……見たいって言えよ」
なんだろう、とマイケルは思った。どこか、縋り付くような調子の声だった。
さっきまで、気楽に喋っていたのに。
「――み、見たい、かな……」
その途端、パッと火の粉が散って、
「そっか!見たいか〜!マイケルは海は見慣れてるけど、山はあんまり見たことない
だろうから、見たいよな!」
火の悪魔は急に、陽気な調子を取り戻した。
「おいらは格別に優しい悪魔だし、マイケルはダメなハウルの替わりに、よくおいらの薪の
面倒を見てくれたし、今は落ち込んでるみたいだしな!しょうがないなあ!」
「カルシファー?一体……」
どうしたのといいかけた時、ギ…とどこかのドアが開く音がした。誰かが近づいてくる。
「ハウルが来た。マイケルはもう寝ろよ。……ちゃんと、あったかくして寝るんだぜ!」
なんとなく釈然としないまま、マイケルはしぶしぶ自分の部屋に向かう。すれ違いざまに
ハウルに「おやすみなさい」と声をかけ、階段を駆け上っていった。
ソフィーは、静かにベッドに入ると、端の方に寄って横たわった。大きく空いた方
――ハウルが寝るのだ――には背を向けて。我ながら、いつまでも可愛げのない振舞い
だと思う。今日こそは、ハウルと話しをしなければと思う。でも。
(ダメ。絶対に、無理……)
昨夜もそうだった。ハウルが来たらきちんと話をして、仲直りしようと思っていたのに、
寝室のドアが開いてハウルの気配が入って来ると、決心は簡単に挫けてしまったのだ。
ソフィーは目を閉じて、眠ったふりをした。話し掛けないで、あたしに触れないで、このまま
放っておいて、と強く強く念じながら。少し間を置いて、ハウルがふーっとため息を吐き、
ごそごそとベッドにもぐり込んだ時も念じ続けていた。ハウルはベッドの真ん中を大きく
あけて、ソフィーと反対側の端に横たわった。近づかないでと自分で願っていたくせに、
ソフィーはその距離が無性に寂しかった。そんな風に、二人は喧嘩をして以来、同じベッドを
使いながらも、離れて寝ている。
(このベッドは、大きすぎるわ……)
喧嘩するまでは、そんなことは思わなかった。ソフィーは泣きたくなるような気持ちで
ぎゅっと目を閉じた。いつまでも、こんなことじゃ、ダメに決まっている。
一夜ごとに、どんどん距離が広がるような気がした。「あんたみたいな可愛げのない
娘さんなんかもう知らないよ」と彼に言われる夢を見た。仲直りしてと素直に言えなかった
だけのはずが、謝っても許してもらえないかもしれないという怖れに変わっていた。もう
この先、彼が自分に笑いかけてくれることはないのかも知れない、などと考えてしまう。
彼と向きあうことが、どんどん怖くなってゆく。
当たり前のように包まれていたはずのぬくもりが、今は遠い。
階段を上って行ったマイケルを見送ったカルシファーは、パタンとドアの閉まる音を
ゆらゆら揺れながら聞いた。
「ずいぶん御機嫌じゃないか、何かいいことでもあったのかい?カルシファー」
ハウルは、食器棚の奥からブランデーを取り出しながら、言った。不機嫌なままなので、
皮肉な口調になる。
「別に!なんでもないさ。――それよりさ、ハウル」
どさっ、と乱暴に椅子に腰掛けたハウルは、眉間に皺を寄せて琥珀色の液体を舐める。
「夜中に城を動かすけど、いいかい?」
「何故?」
「この間、見てきたんだけどさ、北の山に雪が積もっているんだ。マイケルに話したら、
見たいってさ」
ほら、あいつ最近、沈みがちだろ。おいらは優しい悪魔だからさ。
ハウルは、不機嫌に目を細めてじっと炎を見つめた。沈みがちもなにも、その原因は
ハウルたちにあるのだ。言外にソフィーとの喧嘩を責められているのかと思ったが、
火の悪魔はいつもどおりの陽気な口調のままだった。
ハウルとて、いい加減、今の状態をどうにかしたいと思っていた。しかし、ソフィーは
昼間はぎこちなくハウルを避けていたし、夜は目も合わせてくれない。ベッドに横たわり
ながら、ほんの数十センチ先の、夜着につつまれた背中に摺り寄って、彼女を抱きしめたいと
何度思ったことか。彼はあの背中の滑らかさとしなやかさを、思うままに味わうことが
許された唯一の人間のはずなのだ。なのに、意を決して彼女の方を向くと、眠ったふりを
してるくせに、ソフィーは可哀想なくらいにびくりと怯えて身をすくめた。今の彼女には、
彼が何をしても暴力になってしまう。ハウルは、受け容れてもらえない悲しさを噛み締めながら、
そこから動けずにいた。胸の中に生まれた重い塊が、切ないという感情なのだと何度も思った。
「今からなら、明け方前には着くかなあ。静かにやるから、ソフィーが寝てるのを邪魔したり
しないよ。ただ……」
カルシファーは言葉を切った。そして、意味ありげに窓の外を見やる。
「すっごく、寒くなるかも」
「…………」
ハウルはしばらく無言のままだった。ふいに、ガタンと音を立てて立ち上がる。そのまま、
歩き出そうとし、コップを持ったままなのに気付いた。
飲み残しのブランデーが、頭の上から振って来るのを、カルシファーはありがたく頂戴した。
世話の焼ける家族のために、今夜は明け方まで、働くと決めたのだ。
(なあに)
カルシファーは青い炎を上げながら、陽気に一人ごちた。
(夜は得意さ。だっておいらは星だったんだから)
明日の朝、目覚めたソフィーは、どんな顔をするのだろう。
寒さのせいで、心地よく体温を分け合って。
(ハウルのことだから、まあ上手くやるだろう)
青空に突き刺さらんばかりに尖った雪山の峰の先端が、昇ったばかりの朝日に照らされて
淡くピンクに染まって輝いていた。あかがね色の髪の新妻が、金髪の夫に肩を抱かれて
それを見上げている。
輝く雪山と、数日ぶりに微笑みを交わし合う夫婦を交互に見ながら、マイケルは炉床で
眠る火の悪魔を思った。
『この城の人間たちは、揃いも揃って不器用だなぁ』
(でもそれって人間だけかな、カルシファー?)
そして、暖かく幸せな気持ちで城に戻ると、扉をがやがや町に繋げた。まだシンとした
町を駆け出す。余りにも幸せで、腹の底から笑いが込み上げてきた。
マーサはまだ目覚めてはいないだろう。マーサの部屋の窓に、軽く小石をぶつけてみて、
気付かれなかったらすぐに帰ろう。でも、もしもマーサが気付いてくれたら。
(あんなに素敵なもの、ぼくだって大事な人と見たいよ)
集会帰りの野良猫が、ナーウと低い鳴き声を上げている。遠くで一番列車の汽笛が鳴って
いる。石畳の路地に弾む足音が高く響く。
薄紫に染まる夜明けの町を、少年は駆け抜けて行った。彼の大事な恋人の元へ。
<了>
以上です。
ジブリスレと統合なら、書きなおさなきゃと思っていたので、
ちょっと助かりました。
即死回避の足しになればと。
新スレホッシュと新たな神のうまし糧〜
原作の意地っ張り具合がカワイイ二人がよく出てますな。
マイケルとマーサの二人の話ってそういえば無いような。
早速投下おつです!
30レスないと即死しちゃうね。
原作好きだからうれしいなぁ。
原作ソフィーはなかなか素直になれないけどたまに素直になるとこがたまらなくかわいいと思う。
>>13 ぎゅっ!とくっつく二人を想像して萌え萌えです。
けなげなカルシファーもかわええ。癒されました。
体温分け合うのって気持ちいいですよね。
そしてこう暑いと雪山が恋しかったり…
毎度毎度ごちそうさまです。
ああーいいね、ぎゅっとくっつき合う二人。
なんか和む、原作夫婦は喧嘩する程仲が良い!だもんね。
素敵なお話どうもでした。
即死回避ほしゅ。
>>13 腕を広げてソフィーが寝返りを打つのを待ってるハウルを思い浮かべた。
がんがれハウルさん。
保守
即死回避ホッシュ
神のキターーーGJ!
わあ、新スレ立ってるの知らなかった!
まぬけすぎ、自分…
素敵なお話、ゴチでした!
自分も新スレ建ってたのに気がつかなかった…まさか容量オーバーだとはorz
前スレで誘導できなかったのがツラいな。
>>1タソ的確な判断&スレ建て乙です!
>>6タソGJ!微笑ましいかわいいお話和んだよ〜。
うわ、OCNの接続制限でスレ落ちしたかと焦ったよ
保守保守。
>>19 想像してポワーンとなった。
マターリ進行のスレだからみんな気付かないかもと思ったけど
少しずつ移行してるね
よかった。
しかし、三連休中のスレ立ては正直怖い。
ホシュ
まとめサイトのほうも現行スレ更新されてる。
まとめ人さんもおつです。これで少しはスレを見失った人が見つけられるといいね。
書き手サンも読み手サンもにわかに再結集な感じでウレスィ(´∀`)
ホシュ
あと2レスかぁ
ほしゅほしゅ。
OCN解除キタ━━(゚∀゚)━━ !!
再度規制される前に保守
30レスちょうどあれば大丈夫なのかい?
OCN規制やっと解けた。今まで携帯から書いてたよorz
安心して神をまたりと待ちます。ハウソフィはほんと好きだ〜。
もう保守しなくていいのかな?
マターリ神様を待ちましょう〜
34 :
職人見習い:2005/07/19(火) 00:24:07 ID:P/UeBQsn
新スレですね!嬉しくって、久々に小ネタ出来たので投下します。
エロもなく地味ですけども。
【映画、カブ、エロなし、3レス】
※映画のラスト後の話で、カブとハウルが仲良し(・∀・;)なのでご注意を…
35 :
【花水木】1:2005/07/19(火) 00:26:53 ID:P/UeBQsn
ある公務で彼はこの町を訪れた。わずか二日間の滞在に空き時間など無かったが、無茶苦茶な言い訳をして抜け出した。常日頃真面目な王子の珍しい行動に従者も驚き、渋々ながら車を出した。
復興しつつある町の、前と同じ場所に店を再建したともらった手紙には書いてあった。――再建と言っても魔法でやったのだろうけど。その魔法使いをはじめ、‘家族’の顔触れを思い浮かべて王子の顔は自然とほころんだ。
前と同じ住所と言われても、呪いのかかったカカシだった彼は住居には入れなかったから、住所云々以前に店を訪れるの自体初めてだ。だから車が到着したのも彼にとっては不意で、まだ心の準備が出来ていなかった。
やや扉の前で逡巡し、ようやく手をかけ開けようとしたそのとき、扉が内側から大きく開き、聞き覚えのある快活な男の声が頭の上から降ってきた。
「いらっしゃい!
お久しぶりです、王子様。」
「… ――どうぞ、以前のようにカブと呼んでください。」
「そんな!僕ら家族の命の恩人に向かって!」
一瞬の後、互いに堪えきれず大きく笑い合いながら抱き合った。
「ソフィー! ソフィー!! 王子だよ!カブ王子のご到着だ!」
ハウルが店の奥に声を掛けると、やや間があって慌ただしい足音が聞こえ、あの愛しい少女が息急き切って姿を見せた。
「カブ!!!…あ、王子様!」
慌てたせいか紅潮した頬がいっそう可愛らしい。
「カブ、です。
今までどおりに呼んでください。」
にこやかに笑うつもりが、ついつい、満面の笑みになってしまうのが自分でもわかった。
今日は時間が無い、挨拶だけで暇すると言うと、ソフィーはひどく残念がり傍らの恋人を見上げた。
「王子が長居したくないと言うのならしょうがないけど、もしそんなことないのなら、僕にちょっと任せてくれないかな?」
どうやら表で待つ従者にイタズラをしかけてくれるらしい。
「マルクルも、もうすぐお遣いから帰ってくるの。ね?カブ、少しだけ。」
ソフィーにそう言われて、断ることができようか。
「ソフィー、庭に案内してあげたら? 店は僕がいるから」
「ええ、そうね。ハウル、お願い」
――ちゅっ。
少女が恋人の頬にキスする様はあまりに自然だった。どうやら妬く暇すら与えてくれないらしい。そう思って、くすりと嘲った。
少女に導かれて階段を上がる。と、初夏の匂いの風が脇を吹き抜けていった。こじんまりとした居心地のよさそうな居間の向こう、青く澄み切った空と遥か遠くにそびえる山々が目に飛び込んできた。
「素敵でしょ?ハウルが作ってくれたの」
彼女が言わんとするのはこの、テラスにはちょっと広い芝を張った庭。ちょっとした屋上庭園だ。
「えぇ――すばらしいですね」
普段の自分には縁遠い、うつくしい景色に目を細め、深く空気を吸い込んだ。
「ふふ。カブとこうして話すの、変な感じね」
少女はテーブルの上にティーカップを置くと、王子の向かいに座った。
「そもそも、私はしゃべれませんでしたからね」
「そうだったわ!カカシだったんだもの!」
そうして二人して笑い合い、他愛無い話をし、紅茶を啜った。
話が途切れ、ソフィーがうーん、と小さく呻きながら伸びをした。風を感じているかのように、両手をのばしたまま目を閉じ天を仰ぐ。
その表情は愛らしく、透明で。どうあがいても自分の手は届かないと思い知らされるほどに清らかな――
見つめる王子の胸は、甘やかで鈍い痛みに疼いた。
呪いを受けて老婆だった彼女に自分が感じたのは、母性だったか? 孤独な自分に目を向けてくれたし命の恩人でもあるのだから、彼女を救ってやりたかった。
それは無理としても、なにかしら力になりたくて…何より、彼女の人柄が自分を引き付けてやまなかった。
――いつからだろうか、可憐な少女の‘彼女’への恋慕に気持ちが変化してしまったのは。
今、目の前の彼女に老婆の面影はない。いや、くるくると動くちゃめっけたっぷりの瞳は同じだけれど。
化粧をしているわけでもないのに、頬は白桃のようにほんのり紅く、唇はつややかで。
淡い色のドレスを着た彼女は、陽光の中、背にした木の満開の花に溶け込むように、薄紅色に輝いて見えた。
眩しかった。
まともに見ていられなくて、目を細めた。
彼女を美しくしているのは、まちがいなく、――
自らその答えに気づかないふりをしていながら、結局思い至るのはそこか。王子は思わず苦笑した。
美しく、愛らしく輝く彼女。きっと傍にいるのが自分では、彼女を同じようには輝かせられない。
それはとても口惜しくて切ないことだったが、輝く彼女を見りことでこの胸に溢れる甘やかな想いもまた、幸せなのだと思い知った。
「な、なに?カブ。」
王子が微笑みながら自分を見つめているのに気づき、ソフィーは顔を赤らめた。
「いえ、…幸せなんですね、と思って。」
貴女が、幸せでありますように。 いつの世も。 何年たっても、百年先までも。 いつまでも、幸せでありますように――
その願いを、祈りで終わらせはしない。
この願いを現実にできるちからが、自分にはある。
そのための、あの居場所なのだろう。
その考えに思い至ると、さっきまでの切なさとはうってかわった何かが胸の内に湧きあがり、弾かれるようにして立ちあがった。
「さて。お暇します。公務が大事だってこと、思い出した。」そう言って一度、片目を瞑った。
「また、お茶をご馳走して下さいね、ソフィー」
‐ ‐ ‐
ちょうど帰ってきたマルクル(とヒン)とも再会を果たし、王子は去った。出掛けていた荒地の魔女だけが残念がった。
「あらぁー、見たかったわぁ、ハウルと王子とのご対面。」
きょとんとする一同。
「あら、ソフィーを口説きにきたんじゃなかったの?あたしゃてっきり…」
「マダム!そそそそれはどういうことですか!?ソフィーっ?!」
「知らないわ、なんでもないわよ」
「…なんということだ!
最悪だ!!この世の終わりだ…!」
「きゃーっ!ハウル!やめて!」
「やめろ、ハウル!!やめてくれーーーっ」
END
38 :
34:2005/07/19(火) 00:37:11 ID:P/UeBQsn
以上です。最後はお約束の緑色のやつで…。
オチも何もなくてごめんなさい。お察しのとおり、一青●さんの歌がモチーフです。
それと。皆様のカブ像壊してすみません。
映画でカブが王子に戻った場面、ソフィーとハウルは自分達のことでイッパイイッパイで【カブ→ソフィー】を知らなかったんじゃないかと。
そんなわけでこの話では再会時、ハウル&カブは仲良しなんです。
気味悪かったらゴメンナサイ...orz
仲良しハウルとカブもありですよ!
いろんな性格付けになりやすいですしカブは、
礼儀正しい紳士カブごちそうさまでした。
仲良しな二人新鮮で良かったです!GJ!
ほのぼのGJ!
自然にキスするハウソフィにも萌えました。
>37
祝新スレな神キター
まったり日常の一コマしててよいね。
王子はいかにも坊ちゃんな見た目だから
こういう性格も違和感ないなぁ。
最後がコメディ調なのが好きだ〜。かわいい。
このスレは純粋ほのぼのから鬼畜まであってほんと幅が広いね。
神の皆様、乙です(´∀`)
自分も、エロもほのぼのまったりも両方好物なのでいろんなお話読みたいです。
DVD出たらまた盛り上がるかなぁ。
ほしゅ!
こんにちは。
ハウソフィ、パラレル書いてみました。
自サイト持ってないので投下してみます。
家庭教師ハウルさんと生徒のソフィーさんです。エロあり。
とりあえずさわりの部分だけ投下。
46 :
家庭教師×生徒:2005/07/24(日) 19:32:30 ID:qDCfP1nq
ここはウェールズ。
長女も大学に行く時代。
ソフィーは朝からてんてこ舞いでした。
何故って、今日はソフィーの家庭教師が始めて家に来るからです。
先生は近くの大学院の方、ということでしたが、粗相が合ってはいけないと、
もう朝からずっと家の掃除に精を出していました。
ソフィーは高校3年生で、後数ヶ月で大学受験です。
彼女は生真面目で努力家なのですが、自力で解くには中々難しい問題もありました。
そこで母親のファニーが、家庭教師になってもらえるような人を探していたのですが、
先日とうとうよさそうな方が見つかった、というわけです。
ソフィーはお金が掛かるしいいわ、とファニーへ言ったのですが、ファニーは首を縦には
振りませんでした。
いわく、「長女だからって学が無いと、どこへもお嫁にやれないでしょう?」
ソフィーは亡くなった父親がやっていた帽子屋を継ぐつもりでしたので、その言葉には
驚きました。
しかし結局は、ファニーに押し切られるように、ソフィーは承諾したのです。
職人さんキタ━━━(゚∀゚)━━━!
せ…先生(*´Д`)ハァハァ
>>46神様、このままでは生殺しな訳ですが…
/ヽァ/ヽァ(*´Д`)/ヽァ/ヽァ
約束の時間になりました。
ソフィーはドキドキしながら居間をウロウロします。
「ソフィー、落ち着きなさいよ」
そうやってファニーに宥められても、ソフィーは緊張からか落ち着けません。と―――
ピンポーン。
インターホンが鳴りました。
ソフィーは早速、「どちら様でしょうか?」と声をかけました。
「先日、家庭教師のお話をいただきました、ジェンキンスと申します。」
男の人にしてはやや高めの声が響きます。
ソフィーはドアを開けました。
「どうぞ、お上がりになって下さい、ジェンキンス先生。」
「やあ、初めまして、きみがソフィー・ハッターさん?ハウエル=ジェンキンスです。
ハウルと呼んで下さい。」
青年はそういってにこりと微笑みました。
ソフィーも釣られて微笑みます。
ハウルはソフィーに促されるまま家へ上がります。
「じゃあ、早速で悪いんですが、お部屋へ行きましょうか、ソフィーさん」
「はい!」
ソフィーとハウルは並んで二階のソフィーの部屋へと上がっていきました。
…その様子をニヤリと見つめるファニーを残して。
ハウルの指導はソフィーを納得させるのに、十分すぎるほどでした。
さすが、ファニーが探して見つけてきただけあります。
彼の説明もさることながら、その声にもどこかしら色気があるようで、ソフィーをうっとりとさせます。
しかしソフィーは今まで誰とも付き合ったことが無かったので、男性には余り免疫がありませんでした。
学校は女子高だったせいもあるかもしれません。
ですから、ハウルとの勉強時間が終わると、かなり疲れていました。心拍数はかなり上がっています。
それを感じたハウルが尋ねました。
「ソフィーさん、どうかした?初日だし、ちょっとペースが速かったかな。」
「いいえ、先生。そんな事はないんです。先生の教え方があんまりお上手だからびっくりしてしまって。」
男性だから…とは言わずに、ソフィーはごまかしました。
「ありがとう、ソフィーさん」
「いいえ」
クスクスと笑う少女に、ハウルも優しく笑いました。
「じゃあ、また来週、よろしくお願いしますね、先生!」
「うん、よろしくね、ソフィーさん。」
そうやって、一日目は何事も無く過ぎて行ったのです。
そうして、ハウルが家庭教師になって数週間が経とうとしていました。
彼が家庭教師になって、初めての期末テストが終わり、もう夏です。
ソフィーは弾む気持ちでハウルを迎えました。
「今日は、先生。今日は見せたいものがあるんです!」
満面の笑みでソフィーは言いました。
「どうしたの?ソフィー」
いつの間にかハウルは「ソフィーさん」から「ソフィー」へと呼び方を変えていました。(もちろん、ファニーが
いるときはさん付けでしたが)
ソフィーは持っていた紙切れをハウルの目の前へと見せます。
「期末テストが返ってきたんです!ほら、今までどうしても数学で満点なんて取れなかったけど、初めて
満点が取れました! 」
「やったね、ソフィー!! 」
ハウルは勢い余ってソフィーへ抱きつきました。
ソフィーも子供のように(実際、コドモでした)はしゃぎ、ハウルの首に抱きつきます。
「先生のおかげよ! 本当にありがとう!」
「ソフィー…」
突然、ハウルの熱っぽい声が聞こえ、ソフィーはびっくりしました。と同時に、頬に柔らかな感触を感じます。
それは、ハウルの唇でした。
驚いたソフィーは、「きゃっ」と言い、ハウルを突き放そうとしました。
しかし、ハウルは離れません。
「せ…先生…?」
ソフィーは自分の心臓の音が、どんどん大きくなるのを感じました。
「ソフィー、ごめんね、いきなり。あんまり嬉しかったから、つい…ね。」
ぱっとハウルは手を離しました。
ソフィーは恥ずかしさの余り、下を向いて黙ってしまいます。
ソフィーのそんな様子に、ハウルは目を細め、手を彼女の頬にやりました。
ソフィーの体が、びくりと震えます。
「ソフィー」
ソフィーの弱いあの声でささやきました。
「は、はい…」
ソフィーは聞こえるか聞こえないかの声を出します。
「あの、迷惑だったらごめんね、ぼく、君の事好きになっちゃったみたいだ。」
そのときのソフィーの顔は、きっとタコよりも、トマトよりも真っ赤だったに違いありません。
どきどきと煩い心臓に、頭はパニックを起こしていました。
「ぼくのこと…嫌い?」
そんなこと、あるはずがありません。しかしソフィーは緊張の余り、何もいう事が出来ませんでした。
ハウルが更に囁きます。
「返事がないっていうことは、ノーじゃないって勝手に解釈するけど、いいの…?」
それでもソフィーは何も答えられませんでした。
小さい頃に父親が亡くなって以来、男性とはあまり接してないソフィーは、若い異性に関して免疫が
まったくと言っていいほどありませんでしたので。
パラレル連載キタ━━━(゚∀゚)━━━!
ドキドキしながら続きお待ちします!
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワク
(0゚∪ ∪ + テカテカ
と__)__) +
ノシ はい、先生!ソフィーの心音だけでなく、
漏れの心臓の音も大きくなってまつ!ドチドチ…
神様、うまし糧をありがとう!
ちょっと油断した隙にまた職人さんだー!
シチュエーションに萌えますね。
ドキドキしつついい子で続き待ってます。
続きが激しく気になります!!
かわいいお話キター!!!
ほしゅ。
お久しぶりです。新スレおめでとうございます。
一個落としていきますね。
傾向 ハウソフィ 多分映画 エロなし
もぞもぞと人が動く気配を、ソフィーは背中で感じ取った。気配の主は、当たり前
だけどこのベッドに入ることを許されている人。ソフィーの夫である、ハウル。
「ソフィー、寝ちゃったの?」
押し殺したような囁き声が響く。ソフィーは内心面倒だわ、と思いつつも振り返って
おいた。眠たげに伏せられた瞼での、上目遣い。それがどれだけ魅惑的なのかを
知らない、非常に無防備なしぐさだった。
「ん……ハウル?」
「寝てた?」
ハウルが苦笑しながら、ソフィーの髪をなでた。鈍い動作で、銀糸のような髪が
横にゆれる。
「少し、ね……あなたが来るまでは起きてなきゃと思ったんだけど」
あくびをかみ殺しながら、ソフィーが答えた。ハウルも柔らかく微笑みながらシーツの
中へ滑り込んでくる。
「素晴らしい心がけだね。ありがとう」
「どういたしまして」
ハウルの腕の中に素直に収められながら、ソフィーが猫のようなしぐさで顔を彼の
胸板にこすりつけた。
「ソフィー……」
ハウルが熱っぽく囁きかけた。言わんとしている意味はわかるが、あいにく眠たくて
たまらないので、応えてあげる事はできない。
「今日はやめて……」
「どうして?」
心底意外だというようなハウルの声に、ソフィーはむっとしながら彼を見上げた。
それから、人差し指を彼の形のいい鼻に突きつける。
「理由は三つ。一つ目は今とっても眠たいから。二つ目は一昨日したばかりだから。三つ目はあなたね、嫌だって言ったのに首に跡つけたでしょ!」
ぶ、と不細工な声をあげてハウルは顔をしかめた。それから上目遣いにソフィーを覗う。
「……ごめん。ソフィーがあんまり可愛かったから……」
「知らないわよそんなこと!私何も知らないでお店でちゃって……あー、恥ずかしい!」
ソフィーが様子を思い出したのだろうか、真っ赤に顔を火照らせた。ハウルはただ
おろおろと彼女を見ているだけ。
「だから、今日はしません。はい、さっさと寝ましょう!」
脅威のスピードで話を完結させると、ソフィーは首をハウルの肩のあたりにもたせて
目を伏せた。
「ちょ、ソフィー!」
ハウルが慌てて彼女の肩をゆすった。ソフィーが迷惑そうに目を開く。
「何?」
「本当に寝ちゃうの?」
当たり前でしょう、とソフィーは面倒くさそうに答えた。ハウルが泣きそうに
なりながら喚く。
「僕ら夫婦だろう?」
「そうだけど、別に毎日そういう事する必要はないんじゃないかしら?」
働き者のソフィーにしてみれば、睡眠時間はとても貴重だ。情事の翌朝、ハウルは
寝坊し、のろのろと王宮へと向かうが、自分はいつも通りの時間に起き、いつも通り
働かなければならないのだ。別にそうなるのは嫌ではないのだが、毎日となれば
さすがに辟易してしまう。
「ソフィー!」
怒りと絶望に顔を真っ赤にしたハウルの唇に、ソフィーはちゅっと自分の唇を
押し付けた。
「え……?」
「ほらほら、早く寝ましょう!」
照れや愛情よりも、事務的な感じを受けるキスに、ハウルはオーバーに顔をしかめた。
「そーふぃー」
今のはないんじゃない?とハウルが不機嫌そうに問うた。ソフィーはため息をつくと
彼を上目遣いに見て答えた。
「じゃあもう一回だけさせてあげる。それでいいでしょ」
どうぞ、と目を閉じて顎を持ち上げたソフィーに、ハウルは嫌そうに眉を跳ね上げたが、
すぐににやりと笑って彼女の頬に手を当てた。
「じゃ、遠慮なく」
ぐい、と頤をつかまれ、ソフィーの唇にハウルのそれが重なる。上唇、下唇と
なぞられ、彼女の体がぴく、と動いた。彼の舌で唇が割り開かれ、口内に入ってくる。
上あごを舐められ、歯列をなぞられるとソフィーが小さい声でうめいた。そのまま、
奥まったところにあった舌が掠めとられる。
ちゅ、と軽い水音が立ち、舌が絡まる。唾液が混じりあい、ソフィーは無意識のうちに
それを嚥下していた。跳ね上がる心音、全身に熱が点る。優しくなぞられたかと
思えば、すぐに激しくかき回される。その緩急をつけた動きに、ただ翻弄される。
「ん、やっ……!」
舌を抜かれるんじゃないかと心配するほどにきつく吸われ、ソフィーが思わず声を
あげた。だが、ハウルは気にせずにもう一度繰り返す。息継ぎも許されない激しい
キスだが、それでも彼女は健気にそれを受け止める。
頭がぼんやりする。息が苦しい。死んでしまいそう。
でも、それはなぜだかすごく気持ちがよくて。
全身を熱に蝕まれて、ソフィーは無意識のうちに腿をすり合わせていた。
ハウルがもう一度ねっとりと舌を絡め、なごり惜しそうに唇を離す。
つぅ、と銀色の橋が二人の間にかかり、それはひどく淫靡に見えた。
「ごちそうさま」
息も荒く、大きく胸を上下させているソフィーに比べ、ハウルはいつも通りの余裕の
表情だった。そのまま、おやすみ、と彼女の頬に口付ける。びくり、と小さく熱を
もった体がこわばった。
「……待って」
掠れた小さい声でソフィーがハウルを呼び止めた。枕に頭を預けている彼が、
視線だけで振り返る。
「何だい?」
「………もう一度、キスして」
快楽にとろけきった顔で、ソフィーが囁いた。ハウルは心底嬉しそうに笑い、
彼女の上に覆い被さった。
「エロい会話エロいやり取り」がテーマだったんですが、意外とあっさりでしたね。
またもうちょっとしたら長い奴を投下できそうです。
各神様方のお話はいつも感心したり萌えたりしながらよんでます(′Д`*)
45神様、連載がんばてください。
ふおーソフィーかわいい!
読んでる自分もごちそうさまです。
小林トモーミの公式HPにロン毛ハウルのイラストがあったよ
それ誰?うまいの?
あっさりなんてことないです。充分エロいです!
その気にさせられちゃってるソフィーが可愛い〜。
250ネ申GJ!蝶萌える━━━(*´Д`)'`ァ,、ァ'`ァ,、ァ'`ァ,、ァ
ハウルのネットリ濃厚なキスで、その気が無かった筈のソフィーの情欲に火が点る様が果てしなくたまらん…。
つーか、激しくツボなんだよ。こういうキス。旨し糧でございました!
45ネ申のパラレル家庭教師×女生徒も激しく萌え(*´∀`*)マターリ未来で待ってますYO。
250ネ甲様…・*。・(´Д`*)。・*お待ちしてますたハアハア
素敵な短編、乙でつ!!
行為としてはチッスだけなのになんてエロいんだ…ハアハア
実力行使wなハウルたんにぶち萌えますた…!
次の作品もテカテカ期待して待ってまつー
>>73 プロの絵描きでもサイトの絵を晒すのは
このスレの目的とはちょっと違うと思われ。
・個人サイトのURL晒し禁止。ローカルルール嫁。
だし。
75 :
73:2005/07/30(土) 20:36:38 ID:NDhj0ohs
申し訳ありませんでした…
今後気をつけます
ドキドキしつつホッシュ
投下します。
映画版ハウソフィ6レスくらい。微エロ未満。
タイトル『アイスクリーム』
その日、ハウルが城に帰り着くと、そこには既に彼の妻も戻って来ていた。夏の、幾日か
続いた暑い午後だった。
「おかえりなさい。早かったのね」
微笑んで出迎えたソフィーの背を片手で抱いて、ハウルは唇を彼女のこめかみに掠めさせた。
「ただいま。ソフィーも今日は早いね」
普段なら、彼女はまだ花屋にいる時間だった。手伝うという口実で彼女の所に行こうかと
思っていたハウルは、思いがけず出迎えてもらえたことが嬉しかった。
マルクルが乳鉢を持ったまま、おかえりなさい、と飛び出してくる。それに微笑みかけて
応えてから、ハウルはソフィーの顔を覗き込んだ。
「今日はもうお終い?」
ソフィーは「ええ」と返事をして、ハウルの腕を離れ、ちょうど沸いたばかりのお湯を
使って人数分のお茶を淹れた。風通しのいい中庭で昼寝と読書の間を行ったり来たりして
いる元魔女のところへ、お茶を運ぶとすぐ戻ってくる。スカートを閃かせて軽やかに働く
彼女を、椅子に座ったハウルは心地良く眺めている。
「――今日はもう花が売りきれてしまったの。時間が余っているので、ゆっくり買い物に
行けるわ。マルクルが港町へ届け物に出掛けるので、その時に一緒に出るわね」
ソフィーはマルクルを振り返り、マルクルは頷く。どこかへまじないを届ける約束を
したのだろう。先ほどの乳鉢の中身が入った小袋が、テーブルの上に置かれている。
「ぼくも行くよ。ここでぼんやりしててもつまらないし」
ハウルの言葉にソフィーは微笑んだ。
「じゃあ、重たいものは全部ハウルに持ってもらおうかしら」
悪戯っぽい口調で言う。ハウルはソフィーの前に立ち、恭しく礼を取った。
「仰せのままに。どんなことでもお申しつけ下さい」
そして、ほんの少し赤くなったソフィーの頬を確認すると、声を上げて笑った。
港町のドアから通りへ出ると、風がさっと頬を撫でた。凪になるまでまだ時間がある。
強い海風が汐の匂いを運ぶ。ソフィーがこの町から見える海が好きだと言っていたので、
ハウルはこの町に再び城の出口を繋げた。朝早く捕れたての魚を買いに来ていた老婆の
代わりに、不思議な色合いの銀の髪の若い奥さんが見掛けられるようになったのは、それ
からである。
三人は、坂道をゆっくり下って行った。道々でソフィーは町の人に声を掛けられては、
挨拶を交わす。「ご亭主かい」と問いかけられて、まだ初々しい若妻が恥ずかしそうに
夫を紹介するのに合わせて、微笑みと会釈を返すハウルは、それを、穏やかで幸せな光景
だと思った。そこに当たり前のように自分が含まれていることが、不思議なことに感じる。
偽名を使ってこの町でまじないを売っていたのは、そう昔のことではないのに。
通りがけに小さな買い物をしながら坂を下りきると、少し開けた広場に出た。港と海が
間近に見渡せ、ベンチで休む老人や、追いかけっこをしている子どもたちがいる。賑やか
ではあるが、落ち着いた雰囲気があった。ここで別れるマルクルをハウルは呼び止め、
小銭を渡しながら、広場に面した一軒の店を示した。
「一休みしようよ」
そう言って、ソフィーを木陰のベンチへ座らせる。しばらくして、店の窓からマルクルの
顔が覗く。ハウルはソフィーに「ちょっと待ってて」と言い置いて、店の方へ歩き去った。
店の中に入り、入り口のドアが閉じる直前に振り返ると、海を眺めるソフィーの星色の髪が
潮風に揺れて煌めくのが見えた。
「ソフィー」
振り向いたソフィーに、ハウルは片手に持ったものを差し出した。彼女に受け取らせると、
隣に腰を下ろす。通りでアイスクリームを片手に手を振るマルクルに、手を挙げて応えると
自分は飲み物のコップに口を付けた。
「アイスクリームってさ、デートっぽいよね」
「……ありがとう」
ソフィーははにかんで礼を言うと、三角のコーンの上に盛られた冷たい甘味に口を寄せる。
唇と唇の間から覗いたピンクの小さな舌先の動きを、よく知っているように思えて、ハウルは
首を傾げた。柔らかく押し当て、ペロリと舐め上げる。――何だったっけ?
「ずっと不思議に思ってたことがあるの」
「何?」
「アイスクリーム。こんなに暑いのに、どうやって冷たくしてるのかしら。ねえ、物を
冷やす魔法ってあるの?」
軟らかくなった部分を、溢さないように大きく舌で舐めとる。
「あることはあるけど、継続して冷やすのは大変かな。魔法を使うのを休むと溶けてしまう
から。――アイスを作る場合、温度を下げるのには氷を使う。でも、魔法もあれば便利だね。
ソフィーもよく知ってる魔法だよ」
溶けかかって、丸みをおびた頂点の部分に、直に唇を付けて吸う。
「よく知ってるの?魔法使いじゃなくても使える魔法?……何か魔法のかかった道具なのね」
「そう。今日も使った。だから港町まで簡単に買い物に来られる」
唇についた甘さを舌で舐める。
「わかったわ。扉ね」
「うん。高い山から氷を切り出してくるんだ。本当ならすごく大変なんだけど、氷室に
運び入れる時に魔法で空間を繋いでしまえば、楽に持って来られる。氷室の氷もわざわざ
暑い街まで持ってこなくてもいいんだ、店と氷室を扉で繋げばいい」
「あのお店で、魔法使いが働いているの?」
「うん。キングスベリーにも同じ店があるよ。あそこはね――」
ハウルは声をひそめた。
「サリマン先生がオーナーなんだ」
「え?」
「人にまかせっきりらしいけどね」
目を丸くしたをソフィーを見て、ハウルは微笑んだ。今、キスしたらすごく甘いだろうな、
と考える。彼女の唇と舌の柔らかさは、いくら味わっても飽きることはなかった。この前の
時など、ハウルの身体の一番敏感な部分で、それを教えてもらったことだし――。
「あ!」
「どうしたの?」
突然思い至ってしまい、思わずハウルは声を上げた。アイスクリームを舐める舌の動きを、
知ってるような気がするのは当然だった。彼はそれを身をもって知っていたのだし、そもそも
彼女にそういったことを手ほどきしたのは、彼だったのだ。
「ハウル?」
「いや――あの、何でもないんだ」
「そうなの?――あ!」
今度はソフィーが声を上げた。
「何?!」
「やだ、溶けちゃう!」
ソフィーの手元で、アイスクリームが崩れかかっていた。ハウルはカーッと顔が熱く
なるのを感じた。この前の夜、同じセリフを言われた。その時の彼女は、切なげに瞳を
潤ませて、とても可愛らしかった。
(こんなところで思い出しちゃダメだ!)
ハウルはどうにか、頭の中に溢れてくる記憶を押し留めようとした。――と。
「ああ!」
ハウルはビクリとして、思わず声を上げた。溶けかけたアイスクリームを、ソフィーが
ぱくっと咥えたのだ。そのまま、声を上げたハウルを上目づかいで見て、「どうしたの?」
と瞳で問いかける。
「――っ、な、何でもないんだ、ごめんね。えーと、溶け落ちそうだなって……」
顔が熱い。掌が汗ばむのを感じる。ソフィーの顔を、まともに見られない。カリ、と
コーンの端を齧る音がした。
「ハウル」
ソフィーがハウルを呼ぶ声と同時に、コーンを持った手をふっと突き出される。コーンの
中には、まだアイスクリームがたっぷりと残っており、齧り取った部分から剥き出しに覗いていた。
「食べたいの?」
「…………」
「どうぞ」
ハウルは、ソフィーの手首を包み込むように掴んだ。彼女の顔を見ないように軽く瞳を
伏せて、誘われるままに柔らかなアイスクリームを唇で食んだ。食べたいと思ったのは、
アイスクリームではないのだけれど。
「……ぁ」
ソフィーが小さく、驚いたような声を発した。ハウルは思わず彼女の顔をふと見て、
指先にツキンと冷たく甘い緊張が走るのを感じた。
「――あ、暑いわね!やっぱり。早く買い物を済ませて、帰らなくちゃ!」
ハウルの手から脱け出してくるりと背を向けてしまったソフィーの、髪から覗く耳が
赤くなっているのを、ハウルは見逃さなかった。残ったコーンを齧りながら、そのまま
足早に歩き出してしまったソフィーの背を、追いかける。顔の熱りはまだ引かないが、
暑さのせいにしてしまってもいいだろう。ソフィーだってそうしたのだから。
スタスタと極端に早く歩く、ソフィーの足取りが愛しかった。それは彼女が照れている
ことを表していたから。港の方へ向かうソフィーは、風に向かって歩いて行く。風はいつも、
彼女の方からふいてきていた。
ハウルは熱い風を思いきり吸い込んで、ソフィーの横に追いつく。気付いた彼女が歩調を
緩めるのに合わせて、一緒に歩き出した。
<了>
以上です。時間つぶしにでもして下されば、幸いです。
デートする夫婦のかわいい感じの話が書きたくて、
「かわいいデート」といったら、アイスクリームは欠かせないだろうと思ったんですが、
なんでかお互いいろんなことを思い出しては照れてる話になってしまいました。
サリマン先生とかアイスクリームに関しては突込みどころがあるかと思いますが、スルーして下さりませ。
(アイスクリーマーがほしい今日この頃です)
乙です!
アイスクリーム、エロ可愛かったです。
ひゃっほ〜いヽ(´ー`)ノ
寝ぼけ眼でここを覗いたら、一気に目が覚めた(゚∀゚)!!
ハウルとソフィーの甘甘ムードに、アイスだけじゃなく、漏れまで
とろけそうです。
神様、いつもうまし糧をありがとうございまつ!
ふとした日常に微エロはあるんだな〜、かわいいお話ごちそうさまです。
アイス食べたくなりました(笑)
エロ可愛いい…甘々だ(*´д`)城帰ってから、デート思い出しながらエチしたのかな。
ところで、コーンに乗っかったアイスクリンも馬鹿手でエロいのですが、アイスキャンデーもエロスと思った漏れ(*´∀`*)
アイスクリームネ甲様!なにげにしっかりエロいと
思ってしまいますた(´д`*)
日常描写のほのぼの感とあいまって落差がさらにハアハアですた〜
癒し系エロってかんじでうまし糧ごっちゃんでつ!
サリマン先生のアイスクリーム屋は、いろんな特殊効果がありそう(*´д`*)ハァハァ
本スレ見たら、11月にDVD発売だそうですね。何だかウキウキしてきた。
かてきょハウルさんの続きをマターリ待ちつつ、ニヤニヤしてます。
ところでサリマン先生って年取って足を悪くしたんだと思う?
若いうちからだったんだと思う?車椅子少女って萌えません?
自分が車椅子少女になってみれば?
DVD11月かぁ〜。原作が好きだけどきっと買うなぁ。
購入しない人もCMとかあったら再燃してくれたりするしね。
一本出来上がったので投下いたします。
ですが、今回は辛い・悲しい・エロくないと三重苦を抱えてます(スイマセン)。
投下するかも考えたのですが……したいんでします。
ソフィーがひたすら悲しい思いをする話です。
それでもよければ、どうぞ。
傾向 ハウソフィ エロなし シリアス
「戦争の後処理の為に、しばらく戦地に赴くことになった」
帰ってきて早々、思いつめたような顔でハウルが言った。上着を受け取った
ソフィーは凍りついたようにその場に立ちすくむ。
「それって、危ないんじゃないの……?」
震える声でソフィーが尋ねた。ハウルはぞっとするくらい冷えた色の瞳を伏せ、
軽く頷いた。
「多分ね」
「行かないで!」
ソフィーがハウルにすがりつきながら叫んだ。子供のような声音に彼は
微かな苦笑を漏らす。
「無理だよ。もう、決まったことだったから」
ハウルが穏やかにいい、それがソフィーを戦慄させた。彼女はそれしか言葉を
知らないのかの様に、行かないで、を繰り返す。顔を押し付けた彼の背に、
じわりと涙がにじんだ。
「……別れようか」
ソフィーを分の腕の中に収めながら、ハウルは囁いた。彼女をあやすように背中を
撫で、唇で髪に触れる。彼女はすすり泣き、ただ首を振った。
「でも、君はまだ若い。やり直しが出来る」
「………私たちが間違ってるみたいに言わないで……」
激しい嗚咽の隙間から、ソフィーが低く吐き捨てた。ハウルは困ったように微笑み、
そうだね、とだけ答える。
「でも、君のためにも、それが最良だと思う」
ハウルの言葉に、ソフィーが顔をあげた。ほとんど睨み付けるように彼の目を射抜き、
駄々をこねる子供のような声で叫んだ。
「絶対に嫌!絶対、別れない!」
「……そう」
ソフィーはわんわんと大声をあげて泣いていた。ハウルはただ静かに彼女の髪を
撫でていた。二人はそのまま、微動だにしなかった。
ハウルが戦地に行ってから、もう二か月になる。彼はまだ帰ってこない。
「じゃあ、次は来週にでも。旦那さんは?」
眼鏡をかけた年寄りの医者に言われ、ソフィーは悔しさに身を焦がしながら
首を振った。
「……そうかい……堕ろすつもりは?」
医者がさらりと尋ね、ソフィーは真っ青になりながらまさか、と答えた。
それから、軽く笑って言う。
「夫は今、戦地にいるんです。帰ってきたときに、子供がいると知ったら喜びますわ」
その言葉に、医者の顔色が代わった。ひどく同情的な目でソフィーを見、うな垂れる。
「……戦地に赴いたって事は、あんたの旦那さんは軍部の精鋭だね。
言いたかないけど奥さん……昨日、軍の連絡が途絶えたそうだ」
薄く開かれた唇は桜色。何か驚くと口を開いたまま固まってしまうソフィーの癖は、
いつでもハウルを笑わせた。
すまなかったね、と医者は呟き、カルテをしまった。来週またおいで、今日の分の
お金はいいから、と幾分優しい調子で彼はいい、ソフィーを送り出した。
自分の体に張り付く水の重みと冷たさを感じ、ソフィーは雨が降っていることを
知った。ここはどこだろう、と周りを見回して、がやがや町の橋の上だと気付く。
あたりは暗く、もう夜になっていた。
「……つめたい」
傘一つ持っていないことに気付き、ソフィーはため息をついた。錯乱していたから
だろうか、昼間あの医者のところに行ってから今までの記憶がない。
「何してるんだろう、私」
呟いて嘲るように笑うと、ひどく惨めな気分になってきた。
どうも、自分は妊娠しているらしい。今三ヶ月、だということは彼が出て行く前、
いつかの夜の結果だろう。そうかも知れない、と可能性に気付いたときは喜びに
震えた。彼の子が宿っている。確かな絆を得たことに、浮かれた。
だが、昨日軍からの連絡が途絶えた、という事は、この子は父親のいない子に
なるということだろう。彼が戻ってくる可能性は薄い。
自分はどうやって生きていこう。自分には残された家族がいる。マルクル、
カルシファー、おばあちゃん、それにヒン。残してくれた花屋もある。子供を
育てていけないわけでもない。だけど、父親のない子を産んで育てて守って
……ぞっとした。
自分はまだたったの18だ。そんな重圧に耐えられない。自分を支え、守り、
包んでくれるあの腕がないなら、きっと―――。
自分の体に張り付く水の重みと冷たさを感じ、ソフィーは雨が降っていることを
知った。ここはどこだろう、と周りを見回して、がやがや町の橋の上だと気付く。
あたりは暗く、もう夜になっていた。
「……つめたい」
傘一つ持っていないことに気付き、ソフィーはため息をついた。錯乱していたから
だろうか、昼間あの医者のところに行ってから今までの記憶がない。
「何してるんだろう、私」
呟いて嘲るように笑うと、ひどく惨めな気分になってきた。
どうも、自分は妊娠しているらしい。今三ヶ月、だということは彼が出て行く前、
いつかの夜の結果だろう。そうかも知れない、と可能性に気付いたときは喜びに
震えた。彼の子が宿っている。確かな絆を得たことに、浮かれた。
だが、昨日軍からの連絡が途絶えた、という事は、この子は父親のいない子に
なるということだろう。彼が戻ってくる可能性は薄い。
自分はどうやって生きていこう。自分には残された家族がいる。マルクル、
カルシファー、おばあちゃん、それにヒン。残してくれた花屋もある。子供を
育てていけないわけでもない。だけど、父親のない子を産んで育てて守って
……ぞっとした。
自分はまだたったの18だ。そんな重圧に耐えられない。自分を支え、守り、
包んでくれるあの腕がないなら、きっと―――。
「……ハウル……」
声にした途端、暖かさが胸いっぱいに広がった。世界が急に色づいてみえる。
舗道に降り続く銀の雨。冷ややかで気高いそれを美しいといったのは、
自分だったろうか彼だったろうか。ふと川を見れば、増水してごうごうと蠢いている。
霧があふれ返り、妖しくも美しい。あの霧を切り取ってショールに出来るなら、
君にあげるのにね、と言われたのは一体いつのことだったろうか。そんなの
要らないわ、なんて言わないでありがとうと返しておけばよかったと、途端に
後悔に駆られる。木々の間から零れる星明り。雨はいつのまにか弱まり、雲間から
星も月ものぞいている。
何てことのないものを、特別に見せるのは彼の才能だった。それは自分を楽しくさせ、
心を暖めてくれた。
「………あの人、何も知らない…」
まだ膨らんではいない腹部に手を当てる。幸せだと思った。泣きたいくらいに。
でも、同じだけ不幸だと思う。
川面に、彼の面影を見た気がして、思わず手を伸ばした。ぐらりと傾ぐ世界。
慌てて桟をつかんだ。スカーフがひらりと落ち、ゆらりゆらりと飛んで川面に
着水した。
「あ……」
藤色の、気に入りのだったのに。とても似合うって、言ってくれたのに。
涙は際限なくあふれ、頬を焼いては落ちていく。ぬぐってくれる手が欲しい。
慰めてくれる声が欲しい。抱きしめてくれる体温が欲しい。
「ねぇ、君、どうしたの?」
泣いていると、若い男性が声をかけてきた。思わず彼に似ているところを探し、
どこにもそれがないことに気付いてまた悲しくなった。たっと駆け出す。
雨がまたひどくなってきた。路地裏はもっと冷たく、息があがった。こんなことを
して、とお腹に手をやって申し訳ない気分になった。
「大丈夫よ、まだ道はあるから」
呟きに、悲しみと苦しみと、そして力強さがにじんだ。
家路を急ぐ足。ブーツの先が雨水で黒く濡れている。白黒の世界を駆け巡る足。
彼のいない世界は、無色で、冷たくて、優しくない。
自分の世界は彼なしには回らない。彼がいないなら、川も、木も、雨も、みんな
ただのものに過ぎないのだ。そんな簡単なことを思い知りながら、足を進める。
愛している。愛している。愛している。
でも、それは自分だけだったのかもしれない。
扉に手をかけ、ソフィーはため息をついた。もしかしたらこの先に、彼がいるかも
しれないと、もう何度期待しては裏切られただろう。
「あの人の世界は私なしでも変わっていく。変われないのは私一人。私、一人だけ」
呟いて扉を開けた。次の瞬間、ざぁざぁという雨の音の中、ソフィーは立ちすくんだ。
そして、そのままへたり込み、泣き崩れた。
手を離された扉が、ばたりと音を立ててしまった。
以上です。名曲ですね。島田歌穂さんや本多美奈子さん、あとは新妻聖子さん
なんかが歌ってました。健気な歌で、聞くとじわりときます。
なんかエロ調教ものとレティー含めたギャグがまとまんないまま困ってたら、
こんなのができました。ソフィーは不幸ですが、ドアの中にハウルがいたのか、
はたまた兵士が通知を持っていたのかは知りません。希望としては前者ですけど。
そろそろエロいの仕上げます。
曲を知らないけど盛り上がってしまいますた。
けなげな若妻って感じがよいですね。冒頭は可愛い感じだし。
ハウルが帰ってきてたんだといいなぁ。
うまし糧どうもです!
すいません、時間が空きましたが家庭教師の続きをちょっと投下。
週末にはアップできるといいなあ…。お盆前で、仕事が…。
「ソフィー」
それは彼女が思っていたより柔らかく、ひんやりとしていました。
クラスメイトの話や、想像の中では男性の唇と言うものはとても暖かいものだったのです。
そう感じたとき、ソフィーは反射的に目を閉じ、ハウルの腕をぎゅっとつかみました。
ひょっとしたら、私は、彼の事が好きなのかもしれない。
そう思うと、とても嬉しいような、でも恥ずかしいような、くすぐったい気持ちになりました。
相変わらず心臓は煩く音を立てていますが、聞こえない振りをしました。
今の彼女は喜びでいっぱいでした。
ぱっと目を開けると、目を開けていたハウルと目が合いました。
ハウルは少し驚いたように、「ソフィー、こういうときは目を閉じるものだよ、誰も教えてくれなかった?」と笑いました。
ソフィーは今度こそ真っ赤になって、穴があったら入りたい、と思いました。
そんな事は誰も教えてくれませんでした。家族とのキスは目をあけてやっていましたので、それはいつでもそういうものだと思って。
「先生だって、開けているじゃない!」
ソフィーは恥ずかしさを隠そうと、そう言いました。
思ったより効果があったのか、ハウルは目を開いて、驚きました。
「ソフィーは、生意気だなあ!」
笑いながら短いキスをたくさん、沢山ソフィーへおみまいします。
最初は慣れてきたソフィーが笑顔で受け止めていましたが、それが段々と深くなっていくにつれて、戸惑い、ハウルのなすがままになって行きます。
はあっ、と大きく息をつくとすぐにハウルが口をふさぎます。
舌が、彼女の歯列をなぞり、腕が背中を這い、キスの合間にうわごとのように「好きだ」と繰り返すたびに、ソフィーも熱くなっていくような気がしました。
ソフィーもハウルを追うように、舌を彼の口内に這わせます。
こうすることで彼も熱くなっている、とソフィーは確信しました。
その証拠に、彼の腕も段々と強くなって彼女を抱きしめます。
ハウルの手が彼女の胸へといったときに、どきりとして身を硬くしたソフィーは、ハウルを見上げました。
「せ、んせい…」
少し声がかすれていましたが、ハウルは気にせずソフィーへ口づけます。そしてこういいました。
「好きなんだ、ソフィー。君が嫌なら、ちゃんと止めるから。だからいいかどうか言って?」
優しい目で、それは本当にソフィーの気持ちを壊さないように、尋ねます。
ソフィーは気づきませんでしたが……彼は本当はとても怖かったのです。
(拒否されたらどうしよう、でも実はもう止められる気はしないんだよね)
ソフィーが聞いたら即、ここで終わりだという気がしてなりませんでしたので、ハウルは黙っていました。
そうとも知らず、ソフィーは真剣に考えていました。
(結婚までは、やっぱり駄目よね…。でも、私、何だか―――)
とても体が熱く、このままでは何かが疼くような気がしていました。
ハウルの目を見るたび、ハウルの体温を感じるたび、それは強まるように思います。
とうとう彼女は意を決しました。
(よし、行くわよソフィー、女は度胸!)
目をじっと見つめ返して、彼女は小さな声で、「いいです」と呟きました。
「ありがとう、ソフィー」
ソフィーのおでこに軽くキスをすると、ハウルは出来るだけ優しく、服の上から胸を触りました。
106 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/08(月) 20:54:29 ID:Amg1rtv4
長いっす・・・
>>101 不安に揺れるソフィーさんGJです。
こんな嫁さんが待ってるなら、ハウルさんもさぞや帰りたかろう。
>>105 こちらは可憐なソフィーさんですね。可愛いです。
続きを楽しみにしつつも、のんびり待ってます。
無理はしないで下さいね。
>>250タソ
うまし糧!こういうお話も素敵ですね。
自分はハッピーエンドで受け止めました!
>>103タソ
ソフィかわいい!そしてヘタれハウル萌え。
続き、マターリとお待ちしております。
健気なソフィですなー、そうなんだよねまだ18なんだもん
一人で思い悩んだらきっと不安ばかりが大きくなっちゃうよ。
私もハウルが帰ってきたverで読みましたよ!250さんゴチです。
家庭教師待ってました、かわいいなー。
続きはのんびりおまちしてます。
ほしゅ。
ハウルセンセー(*´д`)'`ァ,、ァ
投下します。
映画版。24レスくらい。
ハウソフィのエロがあります。
ハウルやソフィーがつらい思いをするわけではありませんが、
後味が悪く感じる人もいるかもしれません。
カブ王子のファンの方には、お薦めできません。
(便宜上、カブの名前をジャスティンにしました)
タイトル『under the rose』
息を潜めて身を固くして、暗がりの中に横たわっていた。耳を打つのは女の声。高く、
細く、途切れ途切れに、あるいは長く。
ふいに、白い手が目の前に落ちてきて、息を呑む。額に汗が吹き出て、胸の中心で心臓が
奇妙な生き物のように暴れる。
『――カブ』
この手は彼女の手。訪れると暖かく迎え入れ、お茶を淹れてくれる手。家族のために
家事をこなし、幼い少年の頭を撫で、老婆の食事を手助けし、時には犬を抱き上げ、
毎日優しく花を摘む手。
パーティ会場は華やかな喧騒に包まれていた。
戦争終結の条約がようやく締結されることとなり、その記念式典の前夜であった。
条約締結は、仲介役を務める第三国で行われる。各国貴賓と戦争終結に携わった人々と
新聞記者たちを招待し、愛と平和を謳った盛大なものになる予定である。招待客のために
設けられた、離宮での『ささやかな』宴も、結局は式典のためのパフォーマンスの一環で
あった。ジャスティン王子は皮肉に笑った。しかし、彼の隣でその笑みを見た人間には、
凪いだ海のような穏やかな微笑みに見えたことであろう。
調印を行うのは宰相の役目であり、王たちは国を離れない。ただ、その代わりに、
王族の人間が式典に出席することとなっていた。「国の顔として、皆をよくもてなしてくれ」と
王に言われ、権威を肩に背負わされて王子は送り出されたのだ。そのおかげで、知り合いを
招待する枠がもらえたことは、有難かったが。
(まったく、誰をもてなせというのか……)
王子はちらりと、自分の隣に目をやった。そこには、ツンと澄ました顔の若い女性が
立っている。
ふいに、喧騒が一層ざわめいた。ほう…とため息の漏れるのが聞こえる。ホールに溢れた
人々の間に、ちらりと銀色の髪が見え隠れする。その髪の持ち主には、濡れたような黒髪の
持ち主が常に寄り添っている。確かめなくても王子にはそれがわかった。
彼らが会場に姿を現してから、人々の関心が二人から離れることはなかった。
まるで絵画の世界から脱け出して来たような、見目麗しい美男美女のカップルである。
どこに居ても人目を惹く。少女をエスコートする黒髪の青年は、すらりとした肢体を持ち、
物腰の一つ一つが優雅であり、熱っぽい眼差しを少女に向け、自分が彼女の崇拝者であることを
隠そうともしない。青年にエスコートされる銀髪の少女は、やわらかで控えめな物腰ながらも
その清楚な可憐さは隠し様もなく、彼に手を取られるが恥ずかしくも嬉しくて仕方ないと
いった様子が、傍目にも見て取れたであろう。
「ソフィー、ハウル」
人ごみの中から、やっと彼女が姿を表す。
「カ…いえ、ジャスティン王子」
ソフィーは王子を見て微笑んだ。銀糸を織り込んだ白のドレス。おそらく、彼女の髪色に
合わせて用意したのだろう。レースや宝石などの仰々しい飾りはついていなかったが、
その分際立つ上等な素材がみすぼらしさを感じさせない。むしろ、贅を凝らしたドレスを
身に纏う周囲の女性たちの方が、却って安っぽく見えたくらいである。
ソフィーが身を屈めて王子に挨拶をすると、耳飾と首飾りが小さく光を弾いた。少女の
耳朶と首元を飾るシンプルなデザインのそれらは、揃いで誂えた青い石が付いていた。石は、
少女の不思議な色合いの銀髪と銀色のドレス姿に品のいいアクセントを加えており、少女に
寄り添う黒髪の青年の瞳の色とよく似た色合いだった。それは明らかに、彼の瞳に合わせて
選ばれていた。
王子は彼女の挨拶を受け、胸に手を当て会釈する。本当は、跪き、その手に口付けを
したかったが。
「お元気でしたか、ソフィー」
それでも王子はその日初めて、心からの笑みをその顔に浮かべた。しかし、その笑みも、
少女の指を飾るものを見て、作り笑いに取って代わる。わかってはいたものの、目の当たりに
すると胸に迫るものがある。青年と少女の指にはお揃いのリングが光っていた。
「お招き頂いて光栄に存じます、王子」
少女に続き、青年も挨拶の言葉を口にする。二人とも人目を憚ってか王子の立場を慮ってか、
ごく丁寧な口調であった。王子は、僅かの寂しさを噛み殺し、握手を求めた青年の手を握る。
「その節は大変お世話になりました」
挨拶が済むと、王子は隣に立つ一人の女性を振り向いた。彼女は、宝石を散りばめた
豪奢なドレスを身に纏っていた。
「――姫。こちらはソフィー・ハッター嬢とハウエル・ジェンキンス氏です。お二人とも
私の恩人であり、友人です」
ハウルとソフィーは揃って恭しく礼をとる。ささいな仕草もぴったりと呼吸を合わせ、
二人の睦まじさを示す。
「ハウル殿、ソフィー、こちらの姫は――」
王子は仲介国のとある貴族の名を挙げて、そのご息女である、とその女性を二人に紹介
した。その晩、王子は彼女のエスコート役を務めていた。
自分たちは『丁度いい年頃』の男女である。周囲にどんな目で見られるのかは明らかだった。
しかし、王子の父親である国王から「(自分たちに都合のいい)和平のためにも、とれる
ご機嫌はなるべくとってこい」と申し付けられては、従わざるを得ない。それでなくても、
王子は行方不明になることで、戦争の遠因となったのだ。これも外交の内と割り切り、気が
乗らなくても引き受けたのだった。
王子から紹介を受けた姫君は、ソフィーは無視し、ハウルに向かって無言のまま手袋に
包まれた手を伸ばした。指先にキスをさせてあげる、とでも言うようだった。王子を内心
うんざりさせたのは、姫のこういった振る舞いであった。姫の身分を考えれば気位の高さは
仕方のないことかもしれないが、加えて彼女は場の雰囲気を読もうとしないのだ。そのくせ、
彼女は他人の粗を探すときには、ひどく敏感だった。
ハウルは姫の手をとった。僅かに額を傾けた。それだけだった。姫は小さく眉を顰めたが、
ハウルはただ微笑んでいる。一瞬、緊張しかけた空気を、ソフィーの涼やかな声が和らげた。
「それでは、姫君様はこちらの王様のお孫さんでもいらっしゃるのね?」
姫の母親は、この国の老王の愛娘である。
「ええ、そうです。よくご存知ですね」
「王子に招待状を頂いてから、ハウルに教えてもらって一生懸命覚えました。わたしは
田舎の下町育ちですから、何か失礼をしでかす前に覚えられることは覚えておいたほうが
いいと思って」
彼女は一旦言葉を切り、にこりと微笑む。王子の目にその笑顔は、どんな身分の人間よりも
高貴に映った。
「わたし、王族のお姫様にお目にかかるのは初めてです。ジャスティン王子と並んでいらっ
しゃるのを見ると、まるでお伽噺の中から脱け出してきたみたい」
そう言って、まず姫に、そして王子に笑顔を向ける。その曇りのない笑顔は、かえって
王子の胸をえぐった。王子は胸の痛みを微笑みに隠す。そしてその痛みを自ら抉る。
「ところでお二人の、その指輪ですが――」
ソフィーはパッと顔を赤らめ、はにかんでハウルをちらりと見上げた。大切そうに
指輪をした手を別の手で包む。祈るような仕草だった。
「ご婚約なさったんですね」
「はい」と答えたのはハウルだった。
「結婚式は来年の予定ですが、その前に、彼女の薬指だけでも独占したくて」
本当は、一日でも早く結婚してしまいたいのだろう。王子にはそれが分かった。しかし、
まだ焼けた街は復興の途中である。ハウルはともかく、ソフィーには縁者がいる。
ハウルに続いてソフィーが口を開く。
「でもあまり実感がないんです。あのままずっと、その……」
ソフィーは言いよどんで、ハウルと一緒に暮らしていると明確に口にするのを避けた。
しかし、二人が親しげに視線を交わすのを見れば、彼女が何を隠したのかは明らかであった。
「……あれから変わったことといえば、ハウルが花屋のお店を手伝ってくれることくらいかしら」
「あなた、花を売ってらっしゃるの?」
それまでむすりとして黙っていた姫が、そこで初めて会話に入った。
「はい、先日開店したばかりです」
ソフィーは笑顔で姫の参入を受けいれる。しかし、姫の口から続けて紡がれた一言は。
「――売っているのは花だけかしら、可愛らしい花売り娘さん?」
王子は、一瞬、呆気にとられた。次にカーッと頭に血を昇らせる。何と、いうことを。
よりによって彼女に。
それは貴婦人らしからぬ物言いであった。もちろん、姫は相手が町娘であることを分か
って、わざとそうしたのだ。花売りを売春になぞらえて、ソフィーを辱めたのである。
――しかし。
「こちらでは他に何か売っているんですか?」
ソフィーは瞳を好奇心にきらめかせて答えた。そして、こう続けた。
「姫君様は、何かお求めになったことが?」
その笑顔に邪気はない。姫は言葉につまる。ハウルがソフィーの肩を抱き、顔を覗き込んだ。
「住むところが違うと、些細な慣習も違うんだよ、ソフィー。僕たちの店は花だけで充分さ。
そうだろう?」
ソフィーは恋人の仕草に顔を赤らめる。そうね、と同意して微笑んでハウルを見上げる。
今は同じ場所にいながらも、姫とソフィーは明確に違う世界を生きていた。蔑みも嘲笑も
邪な気持ちも優越感も、ソフィーを穢せないのだと、王子は思った。そのことは、権力の
中心に近い場所で、泥濘に足を取られて生きるしかない王子を彼女から遠く遠く隔てた。
そしてそれを自覚するたびに、王子は思ってしまうのだ。――何故、と。
強い力を持つ魔法使いであるハウルは、身分こそ持たないが、王子の側の人間であるはず
なのだ。先程の姫の言葉に込められたものにも、きちんと気付いていた。人の悪意や欲望や
愚かしさに晒され、それを真正面から見つめて生きてきたがゆえに、彼と王子はある部分で
世界を共有していた。それなのに何故、彼は彼女のそばに在ることを許されるのだろう。
何故彼が、彼だけが、彼女を独占することを許されているのだろう。
王子は魔法使いハウルを嫌っているわけではなかった。案山子の王子を家族と呼んだのは、
ハウルなのだから。彼はソフィーを欲しただけであった。日照り続きで萎れた草木が、
切実に雨水を欲するように。王子はそれを得られなかったが、ハウルは得た。だから、羨ましい、
妬ましい。
挨拶を終えたハウルとソフィーが、去ってゆくのを、王子はやるせない気持ちで見つめた。
そんな彼に、姫が囁く。
「あの二人、もう一緒に暮らしてらっしゃるのね。まだ結婚もしていないのに。いくら
恩人とはいえ、あんなふしだらな女がジャスティンさまに――」
「姫」
強い口調で王子は姫の言葉を制した。姫は眉根を寄せて、不機嫌に口をつぐむ。彼女は
美しい娘に対して殆ど全員に、粗を見つけては否定的なコメントを付けた。不機嫌なのは
自分の方だと王子は思いながら、努めて口調を和らげて続けた。
「貴女は色々なことに興味をお持ちになるのですね」
曖昧な物言いをしたのはわざとだ。嫌味ととるか誉め言葉ととるか、姫の表情を、冷め切った
気持ちのまま、意地悪くも興味深く伺う。――姫は、自分に都合のいいように王子の言葉を
受け止めたようだった。おそらくは自分が非難されることなど、考えたこともないのだろう。
(王族とは、なんて高慢なのだろう……)
王子は内心、ため息をつく。案山子になる前の自分を見ているような気がした。本当は
怒鳴りつけたかった。しかし、先程のソフィーを思い出す。こんな中傷では、彼女を穢す
ことはできない、そう自分に言い聞かせる。
(ふしだらなんて、ソフィーには一番似合わない言葉だ……)
挨拶も一通り済み、姫がパウダールームに立ったとき、王子は気疲れから解かれて心底
ほっとした。待ちわびていたように銀色の髪を捜す自分に、心の中で苦笑する。あの姫は
数十分で戻ってくるはずだが、その間だけでもソフィーを見つめていたかった。
ホールの中央ではダンスが始まっていた。楽隊の奏でる音楽が、軽快に鳴り響く。
(――いた)
小柄な彼女だが、珍しい色の髪のせいで見つけやすかった。ソフィーは、一人で壁際の
ソファーに腰掛けていた。ハウルは側にいない。ダンスに誘いたいらしい男たちが、
彼女を遠巻きにしてお互い様子を覗っているが、彼女は気付いていない。意を決して
声を掛けた一人の男性に、ソフィーは困ったように微笑んで何かを言い、首を横に振る。
王子は、近くを通りかかったボーイから飲み物のグラスを二つ受け取ると、ソフィーの
方に向かって歩き出した。ダンスを断わられた男性と入れ替わりに、彼女の側に近寄ると
声を掛けた。
「お隣、よろしいですか、ソフィー?」
「まあ、カブ」
ソフィーは花が開くような笑顔を見せた。その表情は、先程の男性の誘いを断わったときの
弱々しい笑顔とははっきり違っていて、まだ遠巻きに彼女を眺めているであろう男たちに
対して、王子はささやかな優越感を持つ。
「お一人なんですか?」
王子はグラスを渡しながら、何気ない口調で尋ねた。ソフィーは礼を言ってグラスを受け
取る。ふふ、と笑って目線をダンスをする人々に向けた。
「ハウルは、あそこよ」
ドレスの裾をひらめかせてくるくるまわる群集の中から、スラリとした肢体を持つ黒髪の
青年が踊りながら現れる。王子は思わず苦笑した。ハウルは余程ソフィーが心配らしい。
パートナーの女性の頭越しに、視線をソフィーに向けている。王子に気付くと、物言いたげ
な表情をした。恋仇が恋人の側にいることが面白くないのか、どこの誰だかわからない男に
ソフィーが言い寄られるよりは知り合いの彼がいる方がいいと思っているのか。おそらくは
両方であるのだろう。
「彼があなたを置いて、他の女性とダンスを?」
ソフィーはふっとため息を吐いた。
「わたしが、踊って来てって言ったの。わたしは踊れないし、二人揃って断わり続けるのも
失礼でしょう?」
ソフィーは、踊る人々を眩しそうな目で見た。王子はその横顔にドキリとした。そして
次に、微かに憤りを感じた。何故、彼女がこんな表情をしなければならないのか――彼女
こそが、王子にとっては何よりも眩い光なのに。
「わたしね、踊れなくてもかまわないって思ってたの。でも――」
彼女はふっと、王子を見上げ、
「ちょっと寂しいかしら」
上目づかいに微笑んだ。
「ステップなんてわからなくても、いいんですよ」
王子は、務めて明るくさり気ない口調で言う。恋人を想って愁うソフィーの気持ちから、
今だけでもハウルを切り離したかった。
「男性のリードに合わせればいいんです。手を取り合って音楽に合わせて、それだけでも
きっと楽しいですよ」
「本当に?ハウルも同じことを言ったわ。でも、つい断わってしまったの」
王子は大袈裟に顔をしかめた。
「では、私が同じことをお誘いしたら、彼は怒ってしまうでしょうね」
「そうかしら?……そうかも。あの人、ちょっと子どもっぽいところがあるから」
ソフィーはクスクス笑う。楽しそうに話す自分たちを見て、ハウルはどう思っているの
だろう、と王子は微笑みながら考える。今も、踊りながらもソフィーから目を離さない
ハウルの視線を感じる。
「子どもっぽいのではなくて、焼きもちですよ。ご存知ですか?男は嫉妬深いんですよ」
「あら、女だって嫉妬深いわ」
そう言うとソフィーは目を大きく見開いて、可愛らしくおどけてみせた。
「怖いんだから」
王子は思わず吹き出した。それはまるで、小さな子どもにお化けの話をする時のような
口調だった。曲が終わる。目の端で近づいて来るハウルの姿をとらえながら、王子は声を
上げて笑った。
ハウルがソフィーの元に戻ってくると、王子は二人の側から離れた。
『酔ってしまったようです。少し外の風に当たってきます』
そんなことを言ってはみたものの、酒に酔ったわけではなかった。冷ます必要があったのは
自分の感情。要は睦まじい二人の側にいたくなかったのである。
王子は庭園へ続くテラスから、外へでた。大窓を閉めると喧騒が遠ざかった。月が照らす
庭を一人で歩いて行く。夜風はひんやりと心地よかった。しかし、報われない恋心と、空回る
ばかりの嫉妬心と、逃れようのない王子という立場への苛立に逆上せた頭は、それでも冷える
ことはない。そのくせ、何もかもが虚しく冷めていた。
夜風が庭園を吹き抜け、そよそよと葉を揺らす。広大な庭に植えられているのはバラであった。
この庭のほかには王宮の庭にしか咲かない種類なのだと、昼間、姫の散歩に付き合わされた時に
聞かされた。小振りながらも優美な佇まいの花が咲くそうである。芳香に優れるため珍重
されているが、非常に繊細な種のため、専門の知識のある者でなければ香りよく咲かせ
られない。今は花の時期ではないが、来年の初夏には楚々とした佇まいの美しいバラが、
えもいわれぬ芳香とともに花を開くそうであった。この国の王族の婚礼は、このバラの
咲く時期を選んで執り行われるのだと。
それを聞いたとき、王子はソフィーの笑顔を思い浮かべた。彼女の手を引いて、一面の
バラの花の中を歩きたいと思った。彼女は花に負けないくらいに美しく顔を輝かせ、バラを
愛でるだろう。蜜蜂のように軽やかに、白い鼻先を花に近づけてバラの香りを楽しむだろう。
――しかし。
『結婚式は……』
ハウルの言葉が頭に響く。この庭園のバラの花の咲く頃には、ソフィーは既に人妻である。
ハウルの腕の中で蕾を開かされ、ハウルの手に摘まれるのだ。彼女はあの細い腕をベッドに
縫い止められても、もがくことすらしないだろう。祭壇に捧げられた生贄のように従順に
彼に己を捧げ、その身にありとあらゆる蹂躙を許し、破瓜の痛みすらも歓喜として崇高に
受け止めるのだ。身体の奥を刺し貫かれ抉られ揺すぶられても、それも妻の務めと健気に
耐え、いずれはそこから本当に悦びを感じるように――。
ざわり、と風が鳴った。王子ははっとして辺りを見まわした。一瞬、自分が世界の中に
ただ一人で存在しているかのような錯覚にとらわれる。目前に白い大きな建物を認めて、
自分がずいぶん歩いてしまったことを知った。
その建物は、離宮の中の一角にあり、招待客たちが泊まれるように設えられたものである。
最賓客のためのものよりは一段劣るが、王都の高級ホテル並の調度に彩られた寝室が連なって
いる。ハウルとソフィーにも、まだ夫婦ではないためそれぞれに、部屋が用意されている
はずであった。王子はその建物の各部屋の窓から張り出したバルコニーを見上げながら、
ある部屋の窓を目指してふらふらと歩いていった。
昼間、王子は姫との散歩の最中に、視界の端に銀色に輝くものを捉えたような気がしたのだ。
ソフィーの不思議な色合いの銀髪に似ていると思い、はっとして振り向いた。とある部屋の
バルコニーから人影が室内に消え、バルコニーに続く大きな窓でカーテンがふんわりと揺れた。
王子はしばらくその窓を気にしていたが、姫に促されてその場を後にするまで、再び人影が
現れることはなかった。あの窓は――たしか。
王子は足を止めて、その部屋のバルコニーを見上げた。月光を映す窓は閉まっており、
中の様子は覗えない。覗えたところで、その部屋がソフィーの寝室とは限らない。そもそも
彼女はまだホールにいるはずだ。ハウルと一緒に。しかし。
王子は、操られるようにその部屋のバルコニーに登った。多少の魔術の心得がある彼には、
造作もないことだった。頭の奥でぼんやりと、自分は何をしているんだろう、何がしたい
のだろうと考えるが、身体は止まらなかった。閉じた窓に手を掛けると、内側の鍵が外れた。
静かに窓を開き、室内に入った。そこがソフィーの寝室であることを否定する材料を探す
ような気持ちで、王子は月明かりの差し込む部屋を見回した。庭園にちなんで、バラを
あしらったデザインの調度が目に付く。バスルームの扉には真鍮製の小さなバラの飾りが
ついていたし、コート掛けと兼用の帽子掛けは、ツルバラが絡みついたデザインだ。そして、
鏡台に置いてある化粧品や帽子掛けのつば広の帽子から、ここが女性客の部屋だということ
がわかる。
(もう、戻ろう)
冷静になれ、と自分に言い聞かせる。こんな所が誰かに見つかったら、どう取り繕えば
いいのか。踵を返そうとしたそのとき、人の声が聞こえたような気がして王子はぎくりと身を
強張らせた。ドアの向こう、廊下に誰かいるらしかった。息を殺して、通り過ぎるのを
待とうとすると、あろうことか王子の潜むその部屋のドアから鍵を差し込む音がした。
あわてて身を隠す場を探すと、大きめのベッドが目に入った。ヘッドボードに繊細なバラの
彫刻が施されている。王子はベッド下の暗がりにすばやく身を滑り込ませた。
ギ……と部屋のドアが開いた。二人分の足音。ランプを灯したのだろう、すぐに部屋が
ほの明るくなった。
ベッド下に横たわって、王子は、走った後のように息が上がる口元を掌で抑えた。
ドキン、ドキンと心臓が暴れる。
「大丈夫?ソフィー。座ったほうがいいよ」
足音が一つ、部屋を横切り、窓とカーテンを閉める音がした。
「お酒は飲んでないよね?人ごみに酔っただけだと思うから、少し休めばよくなるよ」
足音はすぐに戻る。座るように言われたもう一人の人物は、その場に立ち尽くしている。
「横になった方が楽かな?服を緩めた方がいいよね。自分で緩められる?」
しきりに気遣う声に対する応えはない。
「ソフィー?」
沈黙。
「……ドレスとコルセット。ごめんね、ちょっと、緩めるだけだから」
しゅ、と衣擦れの音がした。ハウルがソフィーの服を緩めているのだろう。しばらくして、
「……ハウル」
ちいさな声が彼を呼んだ。衣擦れの音――おそらく、ドレスの背中だけ開けてその中の、
編み上げるようにきつく締められたコルセットの紐を緩めているのだ――は止まない。
「ん?」
「……ごめんなさい」
「何が?」
優しく、柔らかな声でハウルは訊いた。
「わたし、嘘を吐いたわ」
「どんな?」
穏やかな声音は崩れない。
「……気分が悪いって……嘘なの……」
紐を緩める音が止まった。
「ごめんなさい……」
繰り返し謝るソフィーの声が、くぐもる。ハウルが彼女の頭を自分の胸に抱き寄せたのだろう。
「ソフィー」
しばらくそうして、彼女が落ち着くのを待って、ハウルが声を掛けた。
「招待してくれた王子への挨拶は済ませたし、ぼくたちは有名人というわけでもないから、
途中でいなくなっても気付かれない。ぼくは魔法使いだから、本当は顔が知られてないほうが
何かと都合いいしね。だからね、その……」
「……」
「……どうやって、きみをあそこから連れ出そうかって考えてた。ねえ、ソフィー」
緩めた服、脱がしちゃってもいいかな?
その言葉にソフィーが何と答えたのか、王子には聞こえなかった。答えは声に出されなかった
のかもしれない。ばさりと音がして、王子の顔にふわりと空気が当たった。部屋は掃除が
行き届いており、埃は立たなかった。風の立った方を見やると、床の上に何か白いものが
落ちていた。王子の見ている前で、男の手がそれを拾い上げる。それは、ソフィーのドレス
だった。ベッドのスプリングが軽く軋んだ音で気付くと、王子の目の前に彼女の足が
現れていた。ベッドに腰掛けたソフィーの前にハウルが跪き、彼女の片足を手で掬う。
靴。靴下止め。絹のストッキング。器用に動く指先が、彼女の肌を露わにしていく。
ハウルは立ち上がって、片方の膝をベッドの上に突いた。スプリングが沈む音がした。
ばさっと音がすると、ベッドの中央あたりのスプリングが軽く揺れる音がした。おそらく、
彼が彼女を押し倒したのだ。ちゅ、ちゅと肌を吸う音が聞こえてくる。ドロワーズが床に
投げ捨てられた。ソフィーの足がベッドの上に消え、それを追いかけるようにハウルの足も
王子の視界から去った。
――これは、何かの間違いではないかと王子は何度も思った。彼らはまだ婚約者で、
結婚は来年で、と思ってみたところで、現実が消えうせるわけではない。互いに想い合う
男女が生活をともにしているのだから、既にこういうことになっていてもおかしくはない。
何故そう思わなかったのか。相手はあのハウルなのに、王子は欠片も疑っていなかったのだ。
ソフィーは、結婚まで乙女のままであると。
『カブ』と王子を柔らかく呼ぶ彼女の声は、今は苦しみとも悦びともつかぬ呻き声だ。
その声がだんだん追い詰められて、悲鳴のような高い声にに変わるのを何度も聞いた。
喘ぎながら恋人の名を呼ぶ少女の声が、切ない響きを強めてゆく。そしてそれは、男の方も
同じであった。暗がりに身を潜める王子は、耳を塞ぐこともできずに、ただ呆然として
それらを聞いていた。くちゅくちゅと聞こえるか細い水音が、何であるのかなど、理解したくない。
視界の端を何かが動いて、王子はぎくりした。ランプの灯りのぶん、光が当たらない場所の
陰は濃かったが、それでも注意してベッド下から顔を出さないように覗き上げると、それは
鏡台であった。鏡にハウルの姿が映っている。殆ど後ろ側に近い斜め後ろからの角度で、
シャツを着たままの彼の背が見える。映っているのは、ハウルの上半身だけであった。
ベッドの上までは、角度のせいか見えなかった。
「あっ、あっ、あっ…………ぁん、んっ、んっ、……ん」
ベッドが軋む音に合わせて、鏡の中のハウルが揺れる。と、白い足が鏡の下から現れる。
ハウルの手が少女の片足を捉えていた。揺れる身体にあわせて、ほっそりとした白い足も
揺れる。小刻みに動いて攻め立てていた男の背が、労わるようなゆっくりとした動きに
切り替わる。いや、労わると言うよりはむしろ、
(弄んで、いる……)
少女の悲鳴は面白いくらいに男の動きに翻弄されていた。男は、上半身を起こしている。
視界には少女の全身が収まっているのだろう。おそらく、男がねじ込まれている部分まで。
「ソフィー」
荒い息をつきながら、ハウルが彼女を呼んだ。
「ひとつ、聞き忘れてた。――どうして、気分が悪いなんて、言ったの?」
気を逸らすためにか、そんな質問をする。
「……っや、ん……っ」
「おしえ、て?」
ベッドが軋む音は、止まらない。焦らすように、ゆるく、ゆるく音を立てる。
「……おんなの、人たちが……」
少女が途切れ途切れに語りだす。
「着飾って、きれいで……っ」
「ソフィーがいちばん、きれいだったよ」
恋人の誉め言葉には反応せず(できないのかもしれないが)、ハァハァと喘ぎながら、
少女は舌足らずに言葉を紡いだ。
「……みんな、ハウルを、見て……、嫌ぁ……」
突然、ベッドが大きく軋んだ。ギシッギシッと止まらない。少女のか細い高い声がそれに
重なる。鏡の中ではハウルの背が丸まって蠢いていた。少女の白い手が鏡の下から生え、
男を引き寄せた。引き寄せられるままに、鏡の中から消えるかと思いきや、男の背は再び
起き上がった。ただし、今度は、少女も一緒であった。
「んっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ん!」
少女の身体は、男の陰に隠れて見えない。ただ、首と背に強く抱きついた腕と、男の
頭の隣から覗いた顔が鏡に映っている。苦しげに眉根をぎゅっと寄せて泣き出しそうな顔。
少女は男の思うが侭に、荒々しく揺さぶられていた。そのあまりの痛々しさを目の当たり
にした王子が、たまらずにベッド下から出て行こうとした瞬間。
「あ、あ、あ、ああっ、ああア!あっ、あっ、あっ、ぁああああ!!」
一際大きな声を上げた少女が、喉の白さを見せつけるように仰け反り、次いでふっと
体の力を抜いた。先程までの苦しそうな表情が嘘のように、ゆるりと脱力して、口元には
淡い笑みさえ浮かぶ。男の背中が、ぶるりと震え、クッと声が漏れる。
「ああ……、ハウル……」
少女が、男の頭に頬擦りをしながら、呟いた。上気した頬が瑞々しい。
「ソフィー……わかる?」
男が喘ぎながら訊いた。少女は、うっとりとして肯く。――その表情が語るものは。
『この人はわたしのもの』
言葉もなく、荒い息遣いが部屋を満たした。
しばらく抱き合った後、ソフィーがもそもそと動いた。
「くすぐったいよ……どうしたの?」
蕩けきったような声音でハウルが言った。
「……だってハウル、着たままなんだもの」
白い指が首筋をなぞりながら襟元に差し込まれ、シャツが背から落ちる。細い腕が裸の背中に回る。
「脱ぐ隙(ひま)がなかったんだ」
すぐに夢中になっちゃったからね。ハウルが囁いた。
「嘘よ。ハウルは余裕で、いつもわたしばかり、わけがわからなくなっちゃって……」
拗ねたような少女の声に被さるように、男はクスクスと笑った。
「嘘じゃないよ。余裕なんかまったくないんだ。余裕がありそうに見えるなら、それは
そう見せかけてるだけだよ。いつも、落ち着かなきゃって思ってるから」
もそり、とシーツの上を動く音がする。
「――あ」
「ソフィー、髪の毛、柔らかいね。気持ちいい」
ハウルは言葉を切って、
「もっとたくさん、全部に触りたい……」
ソフィーはしばらく無言だった。甘い吐息が、王子の耳に聞こえる。肌をまさぐる音とともに。
「……ね、ソフィー?」
吐息が熱を増してゆく。やがて彼女は小さな声で応えた。
「――ぁ、わたし、も……」
ハウルの返事は、甘ったるい囁き声だった。大げさな甘い声は、冗談めいて聞こえる。
「大歓迎。いつでもどうぞ、ソフィー」
白いシーツが幕のように、王子の目の前に降ろされていた。それは、ハウルがベッドに
腰掛けるような形で座りなおした拍子に降りてきたものである。下の部分が少し開いている。
少し前にはその隙間から、床に敷かれた絨毯の上に少女の足が降りてきたのが見えた。
それから少し経った今は、そこに膝立ちした少女の膝頭がちらりと覗いている。さっきから
ずっと、ちゅっ、ちゅっと、何かに吸いつくような音が聞こえているが、何が行われて
いるのかはわからない。――いや、正確にいうなら、王子は考えまいとしていた。自分は
空っぽの箱か何かだと言い聞かせる。だから、何もわからないのだと。
その王子の目の前、手を伸ばせば触れられるほど近くに、愛しい彼女の足がある。だから、
空っぽの箱の王子も気付いてしまった。少女の膝の内側に、何かが伝い降りている。トロリと、
白い……。王子は魔法がかけられたように身動きができず、目をそらすこともできない。
「……ん」
小さく呻き、ソフィーはシーツをぎゅっと握り締めた。シーツの幕が少し上がった。
少女がシーツを掴むたびに王子の前で、彼女の腿が少しずつ露わになってゆく。
「もう、いいよ……っ、離して、ソフィー」
注ぎ込まれた男の精を内腿に滴らせたまま、彼女は何をしているのだろう。返事の代わりに、
ヂュ、と何かを啜る音は。
(考えるな!)
だから、「きゃ」という小さな悲鳴とともに、ソフィーの膝がシーツの幕の向こうから
消えたとき、王子は心底ほっとした。
「ハウル!まだ……っん」
ソフィーの言葉が何かに遮られる。垂れ下がったシーツがぱっと引き上げられた。
「……口でしてもらうのもすっごく気持ちいいんだけどね、見下ろしてるよりもっとくっつきたい」
鏡には、もそもそと動くシーツの塊が映っている。
「この部屋は広すぎるよ。こうして包(くる)まっていると、狭いところに閉じ込められてる
みたいで、わくわくしない?」
「わくわくって……あっ、だめっ、……また、ハウルばっかり、余裕で……」
ばたばたと暴れるシーツの塊が、徐々におとなしくなってゆく。
「……ずるいわ」
ハウルはまた、クスクスと笑った。彼がこういう笑い方をするのは、何かいたずらめいたことを
思いついたときの前触れだ。
「じゃあさ、落ち着くようにちょっと気を逸らしてみようか?そうだな……王族や政治家の
名前を覚えてきただろう?」
「ん……、な、に……?」
「ぼくが問題を出すから、答えてごらん」
ああっ、と少女が熱く潤んだ息をついた。もう、彼女は捕らわれているのだ。なのに。
「最初は簡単なのがいいね。……ぼくたちの国の王室付き魔法使いの名前は?」
ちゅっ、ちゅっ肌を啄むような音を立てながら、男が聞く。
「ん、やだ、ハウル、歯が当たって……」
「答えて」
「…………。マダム、サリマ…ン?」
「うん。じゃあ、次は……」
ハウルは、愛撫の手を休める気はないらしい。自国の国王の名、王子の国の宰相の名。
ソフィーは各国の重鎮とされる人物の名を、問われるままに答えていく。その声は、途切れ
途切れでひどく苦しげで、それでいて艶めいている。喘ぐ吐息には切なげな呻き声が混じり、
どうやら、ハウルの言う『落ち着くための方法』は功を奏していないようだった。
「っん、あ…んっ、や、ハウル……」
鏡の中のシーツの塊はもそもそ動きつづけている。彼らは、白く柔らかな闇の中に、
二人きりで閉じ込められている。
「おねが……やめて……、も…だめ…ぇ……」
「ん……、じゃ、次で、最後……」
最後だから、また、簡単なのにするね。そう言った男が少女に問うたのは。
「ぼくたちに招待状をくれた、隣の国の王子さまの名前は?」
王子はベッド下で息を飲む。同時にベッドが強く、ギシッと音を立てた。
「あ!」
少女が悲鳴をあげる。今まで堪えていたのを解禁したかのように、ベッドが軋みだす。
「ソフィー、ほら、簡単だろう?ぼくたちにとっては、友人でもあるよね」
「あ……ん、カ、ブ……」
「それは、ぼくたちだけの、呼び方」
ギシッ、ギシッと鳴る音が、激しさを増してゆく。翻弄されきった少女の快楽の証たる
その声が、一層甘く艶めいて大きくなる。
「あっあっあっ、あ……ジャ…ぁ、んっく……ジャス、…ティ、ン……ん、ぁあ、あ、ああっ!」
少女は高みに追い立てられながら、喘ぎ混じりに、王子の名を呼んだ。シーツの塊が
大きく揺れ、その拍子にはらりと、落ちた。すっきりとした白い背中が露わになる。王子は、
男が少女をまたがらせて、下から突き上げていたのだと初めて知った。男が刻み付けたのだろう、
その肌には所々に赤い花弁が散っていた。彼女が苦しげに身をよじり、上半身がちらりと
こちらを向く。と、男の腕が下から現れ、少女をすばやく引き寄せた。ばさっと音がして、
再びシーツがかぶせられた。――王子の目に、少女の肌の白さと何か小さなばら色が、
残像として残る。
(あれは……)
何か、蕾のような。先端がばら色に萌えて――。あれは、何だったのだろう?
「力、抜いていいよ。……そう、ぴったり、くっついて。ああ…柔らかい……。
ソフィー……、もう…このまま……」
ギシ、とベッドが揺れる。ふいに、少女の白い手が、王子の目の前に落ちてきた。それは
だらりと垂れ下がって揺れている。おそらくは、男に突き上げられる動きに合わせて。
王子はぎゅっと目を瞑った。そして、部屋中に響き渡る濡れた艶声を耳から追い出す。
かわりに、彼女の笑顔を目蓋に思い浮かべ、耳の奥から聞こえてくる、いつも少女が王子を
呼ぶ声に意識を凝らす。
『カブ』
不意の訪問に目を丸くして呼ぶ声。紅茶のおかわりを尋ねる時の声。戯れに花屋の
店員まがいのことをした際の些細な用事で呼ぶ声。それから……。
『ジャス…ティ、ン』
(――!)
ぞくり、として王子は目を開けた。退路を絶たれたような気分だった。ソフィーの手は
揺れ続けている。女が男の名を呼び、男が女の名を呼ぶ。二人が絶頂を迎えるまで、その
手は揺れていた。そして揺れが止まると、男の手がそっと降りてきて、少女の手を捕えて
引き上げていった。まるで、自分のものを取り返すような仕種だった。
「……ソフィー」
息を吐きながら、少女を呼ぶ声がした。シーツの塊が下から突き上げられて山になり、
もそもそと動く。そこから顔を出したのは黒髪の青年であった。
「ソフィー?」
少女の答えはない。青年はほうっと大きく息をついた。彼の足がベッドの上から下りて
来ると同時に、鏡の中にぬっと裸のままの上半身が現れる。
「大盤振る舞いがすぎたかなあ……」
そう呟くと、鏡の中の青年が立ち上がった。全身が現れる。王子の視線は、自然と彼の
中心に向く。少女の愛液にたっぷりと濡れた男根。つい先程まで、王子の想い人たる少女を
弄んでいたそれは、滴るほどに濡れたまま、今はおとなしく頭(こうべ)を垂れていた。
「まあ、いいか。これはね、言わば――」
青年は鏡に背を向けると、気を失った少女をシーツに包(くる)んだまま抱え上げた。
その銀の髪に唇を寄せる。誰にも渡さないと宣言するように。
「――餞だよ、王子サマ。きみの行く末に幸多からんことを」
(――!)
ショックに息が詰まる。バスルームのドアが閉まる音を、王子は呆然としたまま聞いた。
つまり、ハウルは気付いていたのだ。王子がベッド下に潜んでいることに。気付いていて
わざと彼女の声を聞かせ、彼女の表情を見せ、彼女に王子の名を呼ばせたのだ。
王子には、王子の進むべき道があった。いつまでも、居心地のいいあの場所に、心を
留まらせておくべきではないことは、王子にも分かっていた。分かっていても想い切ることが
できなかった。ハウルは王子の背を押したのだ。友人としてあの城を訪ねれば、暖かく迎え
入れてくれるだろう。だが、王子の人生にソフィーが寄り添うことはない。
「――ジャスティンさま?」
どうやってベッドの下を這い出て、あの部屋を脱したのか覚えていない。なのに、
ぱたぱたと服についた埃を払った感触が、いつまでも掌に残っていた。声を掛けられて
気が付くと、パーティー会場へと続く廊下を歩いていた。
「どちらにいらしてたの?」
そう言われて、王子は自分がエスコート相手の姫をほっぽり出していたことに思い至った。
紅いルージュに彩られたつややかな唇がやけに目に付く。この唇が、ソフィーを、あの、
ソフィーをふしだらと罵ったのだと、ぼんやりしながらも妙に覚めた頭の片隅で思い出した。
王子は、ふっと彼女の腰を掴むように乱暴に抱き寄せると、その唇を自分の唇で戯れに
塞いでみた。――しばらくして唇を離す。姫の手が、王子の背中に回る。淑女であるなら
慎ましく彼を押しのけるべきであり、あるいは誇り高く彼の頬を打つべき手が。
「……どうなさったの、ジャスティンさま。こんな――」
キンキンと煩いばかりだった姫の声が、甘やかに和らぐ。
(なんだ、簡単じゃないか)
自分の胸に頬を押し付ける姫を、ひどく冷めた気持ちで見下ろしながら、王子は思った。
自分はもう、純粋な恋はできない。それは多分、悲しいことなのだと麻痺した心で他人事の
ように判断した。それでもかまわない。王子の恋はソフィーに捧げられたのだから。彼女が
全て持って行ってしまったと思えばいい。何も残らないほうがいいのだ。彼の想う相手は
銀の髪の少女。それは、変わらない。王子は未だに彼女の幸せを願う一人の崇拝者であった。
ふいに王子は、大声で笑い出したいような気分になった。姫を抱き寄せて、
肩が震えそうになるのを押さえ込んだ。今、振りかえってみると、自分はなんと純情だった
ことだろう。知ることのつらさも知らず、事実を受け容れることの哀しさも知らぬまま、
ただ、あきらめられることを大人だと思っていた自分は、なんと子どもだったのだろう。
「何でもありません。何でも――ないんですよ」
王子はひっそりと囁いた。その声音は、優しく、哀しかった。しかし、王子の哀しみに
気付く人はいない。
彼は心を隠して、ただ穏やかな微笑みを、その口元に乗せた。
<了>
以上です。
・映画『下妻物語』のフレンチロココの説明映像
(コルセットを締め過ぎて気分が悪くなり、介抱してくれた男性と「おみだら」)
・250氏が前スレ388で書いてた目撃話(すみません。それと、感謝します)
・オカ板定番の都市伝説『下男』
…のことを考えていたら、こんなんが出来てしまいました。
カブファンの方たちには、本当にすみません。
読みにくい話だったかと思いますが、
読んで下さった方には、ありがとうございました。
ディープなのキター
得ろいですね。そして王子は哀れだけどセクシー。
ごちです!
良作きてるー!カブの心の揺らぎが凄く良いです。
オカ板の下男がこんなアレンジになるのに感動。
GJでした!
うわっ、スゴイのキテタ!!
こちらまで王子と一緒にピーピングしてるみたいでドチドチ
しますた(*゜Д ゜)=3
性格ワロスなハウルさん萌えでつ!王子も切なくてヨカッタ…
◆pUytl8EIAUさんGJ!
141 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 00:22:04 ID:+k6LAFFx
age
下男なカブに萌えたー。
ひー。カブがすごく切なくて涙でそう。
そしてハウルが残酷でえろい…
GJ!でした。
凄いのが来てた…!ハウル黒いよハウル。
王子がなんとも可哀想な、この黒ハウル相手じゃしょうがないか…
エチシーンは映画を見てるみたいで(*´Д`)素敵でした
凄く良かった!又次回作楽しみにしてます。
新作できあがったので、投下します。
ソフトですが半強姦、監禁、調教(とまではいかないですけど近い)の描写が
あるので、あまりいい気分にならない場合もあります。
そういうのが苦手だ、あるいは幸せな話以外は嫌だ、という方は飛ばしてください。
また、ソフィーのキャラが若干変わっております。
いやだな、と思う方はスルーしてください。
傾向 映画 ハウソフィ エロあり
ご主人様はここで、獲物の肉を召し上がる!
「……本当に実行する気なのかい?」
ワイン色の髪を優雅にまとめた、妙齢の美女が目の前に立っている美しい青年に
向けて尋ねた。青年はかすかに笑うと、手のひらをさっと振った。
「別に殺しはしませんよ。傷つけるなんて、そんな恐ろしいことしません」
それ相応の事はするくせにね、と美女がげらげら笑った。青年はわずかに頬を
染めると、彼女をドアのほうに押しやる。
「かわいそうなソフィー!もう二度とあの子は自由になれないよ!」
哀れっぽくしなを作りながら、美女が叫んだ。青年が大仰な口調でたしなめる。
「かわいそう?そんなの、僕のほうが哀れですよ。さぁ、行ってください。
魔力はわずかですが、美貌も若さも、あなたが戻りたいと望んでいた頃のものですよ」
ぶっきらぼうに青年―――魔法使いのハウルは言い、魔法の力で若返った
荒地の魔女は肩をすくめてから動く城を出て行った。
哀れな生贄の子羊が、断末魔の悲鳴をあげる!
一方、町では星の色をした髪の少女が、背の高い男と並んで歩いていた。
金色の巻き毛の、端整な顔立ちの男が何か言うたびに、少女はくすくすと笑い声を
上げる。二人は仲がよさそうで、まるで恋人同士のように見えた。
少女をよく知るパン屋の女将が声をあげる。
「おやぁ、花屋の奥さん!そちらは?」
「友達なの。久しぶりに会ったから、町に出てお茶しましょうって」
そういった少女の顔にはほんの少し取り澄ましたところがあり、それが妙に鼻につく。
傍らの男もにやにや笑い、二人の間には何か特殊な、昼間の町には似合わない
淫らな雰囲気が立ち込めていた。
「……そうかい。ご家族にもよろしくね」
「ええ、また夫と一緒に買いに行きますわ」
少女―――ソフィー・ジェンキンスは軽やかに笑いながら会釈をし、傍らに
立っている隣国の王子、通称カブは少しだけ嫌そうな顔をした。
「あら、どうかした?」
しかめ面をしている友人に、ソフィーは明るく尋ねた。カブはむぅと唇を尖らせながら、
彼女の頬をつねった。
「なんだか、本当に奥さんみたいで癪ですね」
「何を言っているの。当たり前でしょう。私、本当に奥さんだもの」
からからと笑いながら、ソフィーはカブの手を振り解いて、逆に彼の肩を叩いた。
それから、面白がるように唇を持ち上げて彼の胸に人差し指をつきたてた。
「私の素敵なお友達さん?変なやきもちはやめて頂戴ね」
「………だったら、そんな風に嬉しそうな顔しないでください」
何か言った?と尋ねてくるソフィーに向けて、カブは肩をすくめて
微妙な笑顔を作った。
お前は盗み食いの代償を、よじれたシーツのかかった
死の寝台の中で払わなければならない
「ただいま」
ソフィーが家に帰ると、テーブルには年老いた魔女一人だけがついていた。
彼女はふわりと微笑むと、おかえり、と言った。
「あら、ハウルもマルクルもいないの?」
「そうだよ。ハウルは仕事で呼ばれた。マルクルも連れて行ったよ……今日は
帰らないってよ。もしかしたら、もっと長引くかもしれないって」
そうなの、とソフィーはため息をついた。食事の用意はしていなかったので困りは
しなかったが、拍子抜けしてしまう。
「そうなの……晩御飯、どうしましょうか?」
「そうだねぇ、そんなに食欲がないから適当でいいよ……それより、付き合っておくれ」
魔女は楽しそうに手にしたグラスを持ち上げて見せた。ソフィーが首を振る。
「私、ぜんぜん飲めないわよ?」
「いいよ。一人で飲む酒ほどまずいものはないよ」
仕方ないわねぇ、とソフィーは笑ってテーブルについた。そして、グラスになみなみと
注がれた液体に口をつけた。
お食事をお出ししろ!
娘っ子をお出ししろ!
べろべろに泥酔したソフィーは、真っ赤な顔をテーブルに押し付けて笑っている。
魔女は涼しい顔でグラスを傾けていた。
「それで、あんたはまだあの王子様に会ってるのかい?」
「あぁ、カブ?そーよぉ。だって、お友達だもん」
へへ、と体を起こしたソフィーがだらしなく笑った。魔女が微妙に表情を引き締める。
「ハウルにばれたらどうなるかねぇ?」
「だぁーいじょうぶ。だって、やましいことなんてなーんにもないしぃ、それに
ハウルはねー、あたしには甘いもん。ぜーんぜんこわくないもん」
ろれつの回らない口調で、でもしたり顔のソフィーが肩をそびやかした。魔女が
空いたグラスに酒を注いでやる。彼女はそれをあおると、ばたりと机に倒れこんだ。
「………甘い?甘いのは君のほうだろう、馬鹿なソフィー」
すっかり寝付いてしまった少女を、魔女は軽々と抱え上げた。しかし、彼女を抱いた
腕は皺も染みもない、力強い男のものだった。しゅうう、と魔女の周りを紫のもやが
取り巻き、中からすらりと背の高い男が現れる。
「火遊びのツケは高いんだ。覚悟はいいね?」
こくり、と少女の頭が揺らめいて傾いだ。男はくく、と喉の奥で笑うと、彼女を
連れて部屋を出ていった。連れて行くのは花園の中の小さな小屋。
小屋の中は質素で、寝台が一つとテーブルと一組の椅子と小さなチェスト、そして
暖炉があるだけだった。男は少女を寝台に投げ出すと、乱暴に彼女の服を脱がした。
ボタンは弾け飛び、コルセットが放り投げられる。薄い下履きやペチコートは裂け、
彼女は真っ白い裸体をさらしながら寝台の上で丸まっていた。
「さぁ、ツケを払う時が来た。せいぜい、愚かな自分を呪うがいい」
男は低く笑い、手に持っていた布をぴんと張った。少女が寝返りをうち、男が彼女の
細い腕を一つに纏めて、その布で縛り上げた。
「さぁ、宴のはじまりだ……」
食卓が整い、娘がその気になったならば……
ドン・ファンの勝利がまた再び!
なんともいえない圧迫感を感じ、ソフィーがそっと目を開いた。頭が重い。
いつの間に眠ってしまったのだろう、と横たえられていることに違和感を覚えながら
視線を流す。傍らには悪魔の様な冷笑を浮かべたハウルが立っていた。
「ハウル……?」
「こんばんは、お嬢さん。気分はどう?」
ハウルの完璧に整った顔には冷笑と嘲りだけが浮かんでいて、それがソフィーを
戦慄させた。彼は今晩も完璧に美しいのに、自分は何も着ていない上に
腕を縛り上げられている。
「なっ……!」
「あぁ、それ?」
腕をゆすり、憤りを露にしたソフィーに向けて、ハウルは鼻先で笑った。
悠々と彼女の上に覆い被さり、動きを完全に封じ込める。
「今すぐに謝って、あの男にもう二度と会わないと誓うなら、今回のことは
許してあげる」
「何の話をしてるの!早く離して!腕を解いて!」
「何の話かって?空っとぼけるのもいいかげんにしたら?痛い目見ないとわからない?」
ハウルがべらべらべらと早口にまくし立てた。ソフィーが絶望に目を見開き、
怒りに顔を赤くする。
「何でそんなこというの?私を疑うの?」
大声でわめいたソフィーの口をキスでふさぎ、ハウルは悪魔のような微笑を浮かべた。
「疑うも何も……信じていない場合はどうしたらいいの?」
「っ…!」
ソフィーは言葉を失った。そうしている間にもハウルは上体を起こして服を脱ぎ始めている。
「かわいそうなお嬢さん、罠にかかってしまったね」
ソフィーはただ呆然と、さらされていく彼の裸体に見入っていた。
首筋に顔がうずめられる。耳朶が食まれ、胸を柔らかく揉みしだかれる。
強引な行為であるのに、彼の手指はひどく繊細で優しい。ともすれば流されて、
溺れそうになる自分をどうにか叱責しながら、ソフィーは唇をかんだ。
また一つ、胸元に赤い花が咲く。
「嫌……お願い、離して……」
「黙って。抵抗する権利なんて、君にあるの?」
臀部がまさぐられ、胸の突起が彼の形のいい唇に嬲られる。そうしていくうちに
頭がぼんやりしていき、次第に抵抗は弱まった。今はただ弱弱しく手足がひきつるのみ。
「ふ……ぁああっ!いや、噛んじゃ……やぁっ!」
全身をくまなく舐めあげられ、甘噛みされ、蹂躙される。ハウルの愛撫にすっかり
翻弄されながらも、ソフィーは身をよじった。
「あぁっ!!はっ、あんっ!」
大きく開かれた足の間に、熱い体温を感じる。茂みに隠された皮膚に触れる指先の
感触、伸ばされた舌の動き。脳を直接揺さぶられるような錯覚に陥り、ソフィーは
ひたすら喘いだ。ハウルが満足げに笑う。
「そう……何も考えないで……ほら、気持ちいいだろう……?」
足の間にうずめていた顔をあげて、ソフィーの愛液でべとべとになった口で、
ハウルは甘く囁いた。それすらも美しいと、紗がかかった頭で彼女は考える。
舌を中にうずめられ、ソフィーは喉をのけぞらせた。体の中心に感じる熱、そして
痛いくらいに隆起した花芯を嬲る、彼のしなやかな指。
もう何もかもどうでもよくなって、彼女はふわふわと快楽の中を漂った。
「あぁ……も、無理……お願い………」
かすれた声でソフィーが囁いた。先ほどから、ハウルの愛撫は彼女を煽りは
するけれど、高みに導いてはくれない。際限のない責め苦に、ソフィーは切なげに
眉根を寄せ、悶え苦しむ。その顔がハウルをいかに喜ばせているかも知らずに。
「謝る?約束する?」
「っあ……ん、ふ……やぁっ」
「………何とかいったらどうなの」
酷く冷徹な調子で呟くと、ハウルは何のためらいもなく人指し指をソフィーの
中にうずめた。指を小刻みに震わせると、彼女の体も連動して跳ねる。
「あああっ!ひっ!やっあん!」
「ねぇ、どうなの?ソフィー」
中指が入り込み、その二本が中でバラバラに動きはじめる。
「もう……ゃっ、んっ……あぁ…」
どうにか快楽に耐えようと、ソフィーは息を詰めた。なんて無駄な抵抗だろう、と
ハウルはげんなりとしながら首を振った。
「言わないと、全部入れるよ?」
埋めていた指をさらに一本増やし、ハウルが言った。ソフィーがひきつった声を
あげ、苦しそうに眉根を寄せた。
「や……待ってぇ……」
「何?」
ハウルはあきれたような、冷ややかな表情でソフィーを見ている。内心の興奮を
微塵も出さないあたり、彼の方が数段上手だろう。
「……本当に、カブとはなんでもないの……お願い、もう、こんなのやめて……」
真っ赤に染まった目元が涙に潤み、それがひどく扇情的に見えてハウルは喉を
鳴らした。しかし、動揺を表面に出すわけには行かない。
「じゃあ、本当かどうか体に聞いてみようか?」
ハウルは笑いながらソフィーの体を反転させた。四つんばいにさせられ、
彼女が息を呑む。一体、彼何をする気なのだろう?
「何するの……?」
怯えたようなソフィーの問いには答えず、ハウルはひっそり笑った。
そして、彼女の背中にキスを落としながら、覆い被さった。
「あぁあぁ!やぁぁぁ!」
いきなり根元まで挿入され、ソフィーは思わず体をのけぞらせた。
入れられた瞬間に、軽い絶頂を迎えてしまったのか、彼女はぺたりとシーツに
突っ伏した。ハウルのものをくわえ込んでいる部分がびくびくと震えている。
「何、もうイっちゃったの?」
かわいいなぁ、と一人にやつきながら、ハウルは乱暴に腰を打ち付けていく。
ソフィーは達したばかりで敏感になっている体をどうしていいかわからず、
ひたすら首を振って快感から逃れようとしている。こつり、と先端が柔らかい壁に
ぶつかり、彼は残忍な笑いを浮かべた。そして、その腰を進めたままの姿勢で
動きを止めた。
「しっかりして。一回で終わるなんて、まさか思ってないよね?」
「ひゃああっ!ぃやっ……んぅ…ひぁぁ……!!」
体の最奥に感じる鈍い衝撃に、ソフィーが狂ったように体をよじらせた。
あまりの刺激に、腰が自然と動く。ハウルは面白そうに目を眇めると、彼女の
律動に身を任せた。
「へぇ、ソフィーがイカせてくれるの?」
耳元で囁かれ、ソフィーはぴたりと動くのを止めた。耳に舌が差し込まれ、
ぴちゃぴちゃと派手な音を立てて舐められる。そうしている間にも、ハウルは
静かに腰を進める。まるで、そこが低位置であると言うかのように。
「いやあっ!だめっ!こわれちゃ……うあぁ……っ!」
子宮を押し広げられるような感覚に、ソフィーは泣きながら悲鳴をあげた。
にもかかわらず結合部からはとろとろとした粘液があふれ返り、シーツに垂れては
しみを作る。ハウルはくすくすと笑うと、彼女の腰をつかんでゆすった。
「ひっ!?」
「ほら、自分で腰を振ってごらん?」
笑いながら言われた言葉に、ソフィーは血相を変えた。そんな淫らな真似できない、と
泣き叫ぶが、ハウルは相変わらず笑っている。
「いやぁぁっ!や、もう、やめてっ」
「僕は動かないから、自分で動かないと苦しいままだよ?」
ハウルの声は淡々としていて、それが嘘でないことを物語っていた。ソフィーは
泣きながら首を振る。彼は呆れたようにため息を一つ落とした後、彼女の耳元で
甘く囁いた。
「じゃ、こうしよう。ソフィーがちゃんとおねだりできたら、いいよ。
手伝ってあげる」
おねだり?と息も絶え絶えのソフィーが囁いた。ハウルが楽しそうに頷く。
「言ってごらん?イカせて下さいって」
できない、とソフィーはすすり泣き、大きく頭をふった。しかし、このままでは
確実に自分が壊れてしまうのを彼女は知っていた。それだけは避けたい、でも、
そんなことをすれば別の何かが壊れてしまう。不意に、脳裏にカブの顔がよぎって
彼女を狼狽させた。ここでこの男にすがり付けば、もう二度と彼には会えなくなる。
でも――――。
「……ぁ…い」
「ん?」
蚊の鳴くようなか細い声に、ハウルはにやりと笑った。ソフィーはそろそろと彼を
振り返り、涙目で懇願した。
「イかせて……くださ、い……」
その時のハウルの顔は、勝者のそれであり獣のそれであった。ソフィーはシーツに
顔を押し付けながら、小さく腰をゆすった。
「早く!早くして!」
「慌てないでよ……すぐだよ、僕の可愛いソフィー」
ほらね、とハウルは興奮したような口ぶりで叫び、激しく腰をうちつけた。
ソフィーは涙どころか涎まで振りまいて、声にならない喘ぎ声をあげている。
「すごい、すごい締まる……もう、あっ、イきそう……」
うっとりとした調子でハウルが呟いた。ソフィーももう限界だというように
あられのない声をあげ、彼の動きにあわせて腰を振っている。
「ああ……もうっ……………うぁっ!!」
「いやぁ、イっちゃ、やだ、やっ……ゃああああああ!!」
叫びに連動するように、ソフィーの中でハウルの精が弾けた。その瞬間彼女の
背筋がぴんと伸び、全身がびくびくと震えた。彼もゆっくりと腰を動かし、
最後の一滴までしぼりだす。
「ソフィー……もう、離さないから……」
ソフィーの膝がへなへなと崩れ落ち、シーツの上にべたりと伸びきった。
ハウルもその上に倒れこみ、彼女を抱きしめながらごろりと横に動き、囁いた。
彼女はゆっくりと目を閉じ、静かに涙を流した。もう、逃げ道は絶たれたのだ。
何度目かの交わりの最中に、快楽にむせび泣きながら喘いでいるソフィーに、
ハウルが甘く囁きかけた。
「コツは一つだ。何も考えないこと。悦び以外は、何も感じないこと」
耳元で囁かれたのに、彼の声はとても遠くで響いているようだった。
何も考えない、ただ快楽に溺れ、あとは何も感じない。意識してみれば苦しみが
波のように引いていって、ソフィーは微笑んだ。
「愛してるよ、ソフィー」
甘い囁きも、今のソフィーには無駄だ。ただ、何も浮かばない。
悦びと、夢の中にいるような奇妙な感覚以外は。
体のだるさがとれず、ソフィーはもう長いことずっと横たわったまま扉を
見つめている。目覚めたときにはハウルはいなくて、手枷もはずされ、身なりも
整えられていた。シーツからは不快な分泌液の匂いすらせず清潔で、自分が
いかに長いこと眠っていたかを知った。
「ハウル……?」
掠れた声は響かず、喉が渇いていて口の中が気持ち悪い。極度に疲労した体では
立ち上がることすら億劫だ。
ハウルはいない。自分は今なら逃げられる。
そうすればもう辛い目に会わなくていい。
あんな恐ろしいこと、もう二度と味わいたくない。
「―――っ」
でも、立てる気はしなかった。立とうとも思わなかった。だから、ソフィーは
もうずっと長いことここで横たわり、扉を見つめている。
それからさらに長い時間がたち、ソフィーはようやく立ち上がってベッドに
腰掛けていた。何をするわけでもなく、ぼんやりと窓を見ている。
ハウルはいない。外は漆黒の闇だ。星も月も出ていない。
出し抜けにドアが開き、ソフィーは驚いてそこをみつめた。立っていたのは
ハウルで、淡い微笑を浮かべている。
「起きてた?」
ハウルは小屋に入り、後ろ手でドアを、閉め鍵をかけたが。がしゃり、という
金属音にもソフィーは反応を見せず、ただうすぼんやりとした表情で彼を見ている。
「食事を持ってきたよ。食べられる?」
ソフィーが頷いた。ハウルは笑うと、手に持っていた篭からパンやらチーズやら
果物やらワインやらを取り出し、テーブルに置いていく。
「そう。じゃあ、こっちにおいで」
ソファーに腰掛けたハウルがソフィーを手招きした。引き寄せられたように、
彼女はふらふらと彼に近づく。
「おいで」
膝に座らされても、ソフィーはぼんやりとしているだけだった。ハウルは苦笑し、
手にしたパンを小さくちぎって彼女の口元へ持っていく。
「お食べ」
ソフィーは一瞬だけためらったような顔をしていたが、そっと差し出されたパンの
かけらを口に含んだ。ハウルの、指ごと。
ちゅ、と音を立て、ハウルの指を舌で転がす。彼は驚いたような顔をしている。
「……可愛いね」
喉は渇いていない?と尋ねられたので、ソフィーは大人しく頷いた。
ハウルは持ってきたワインの瓶に口をつけ、彼女に唇を押し付け、中の液体を
彼女の口の中に流し込んだ。ソフィーの眉が嫌そうに絞られる。
「もっといる?」
ソフィーが首を振った。ハウルは自分でもワインをあおり、それから瓶を置いた。
そのまま彼女を押し倒す。
ソファーに押し付けられても、ソフィーは表情一つ変えなかった。ただ、ぼおっと
したままハウルを見ているのみ。
ハウルはため息をつき、でもすぐにソフィーの服を脱がせた。
「従順なのは嫌いじゃないよ。でも、無抵抗なのは張り合いがない」
その晩のハウルは子供じみていて、快感に溺れる彼女を散々にいたぶった。
何度も何度も無理やり高みに上らせ、許して欲しいとすすり泣く彼女を容赦なく
嬲り倒した。意識を失い、ぐったりと眠りについた彼女を何度もたたき起こしては
また一からやり直し。ソフィーは何もかもがどうでもよくなっていて、ただ自分が
辛くならないように快楽に身を任せた。
下手な口答えも、駆け引きももうどうでもいい。ただ、気持ちよければそれでいい。
自分が愚かだと知っているけれど、だから何だというんだろう。
日の光の中、足の間に跪いて、自分のものを一心に愛撫している少女の髪を
もてあそびながら、男はぼんやりと手中の細い銀髪を眺めていた。
星の光を集めて、縒った様な髪。彼女以外にこの髪を持ちえるのは、月の女神位の
ものだろうと考えたら楽しくなって、少し笑った。
「どうしたの?」
軽い音を立てて口を離し、ソフィーが不思議そうに尋ねた。ハウルは微笑み、
彼女の頬を指先で撫でた。
「ダイアナの髪と同じだよ、この色。すごく綺麗だ」
「だぁれ、それ?」
「……月の女神様だよ。神話に出てくるんだ」
処女神としてね。
そう呟くと、ソフィーはざっと青ざめた。裸同然の格好で、こんな明るいうちから
肉欲を貪る彼女は、ほとんど娼婦に等しかった。それなのに覗いた理性と狼狽が
面白くて、ハウルはまたくすくすと笑った。
「処女と娼婦は対極だから、均等が取れていいんじゃない?」
ソフィーは睫を伏せ、再び奉仕に没頭していた。
ハウルは相変わらずにくつくつと笑っている。
ね、もう会いに来ないで。
言われた言葉の意味がわからず、カブは間抜けにもはっ?と声をあげてしまった。
「ソフィー、今のって……」
「言葉どおりよ」
目の前の少女は悪びれもせずに微笑んだ。カブは言葉をなくし、唇をかんだ。
「私、結婚しているでしょう?」
「だから、何だって言うんですか?」
「何もしてあげられないし、会い続ければ私の主人にも迷惑がかかるわ」
主人、とソフィーは言った。この前までは夫と呼んでいたのに。
「何かあったんですか?」
心配になって、思わずそう尋ねるとソフィーは心底意外だと言うような顔をして
カブを見た。それから、怒ったように眉をひそめる。
「どうしてそう思うの?」
「おかしいですよ、ソフィー」
カブが身を乗り出し、ソフィーの手を取った。彼女は目を見開き、それから彼の
手を払いのけた。
「おかしいのはそっちよ。不道徳にも程があるわ」
いまいましげに吐き出された言葉に、カブは自分が傷ついたのを否定できなかった。
ソフィーは小さく舌打ちすると、すっと立ち上がってドアを開けた。
「帰って。もう会いたくないわ」
「待ってください、どういうことですか?」
「言ったままの意味よ」
ドアに持たれ、腕を組んだソフィーの顔は不機嫌そうに歪んでいた。
カブが狼狽し、それでも彼女にすがる。
「そんなこと言わないで下さい。あなたに嫌われたら、私はどう生きればいい?」
「知らないわ」
熱っぽい視線にもソフィーはそっけない。ひらひらと掌を振り、野良犬でも
見るような目でカブを見て、吐き捨てる。
「出てって。あんたなんか嫌いよ」
カブは思わずソフィーをにらみ、低くうめいてから駆け出した。遠ざかる背中を
見ないように、ソフィーは目を伏せ、ドアを閉めた。
「ごめんなさい……」
これでよかったのだ、と何度も自分に言い聞かせた。こうすれば、彼も幸せに
なれるのだ、と。でも、いざそうしてしまえばとてつもない後悔が全身を包む。
だが、次の瞬間には彼女はカブの顔も声もしぐさも何もかも忘れていた。
人の気配を背中で感じる。
「ソフィー」
背後から降ってきた甘い声に、ソフィーは振り返って微笑んだ。その首筋に腕を
まわし、胸板に頬をこすりつける。
「上手くやったね。見事だったよ」
その言葉だけで体が疼くのを感じた。上目遣いに彼を見上げ、唇を開いてキスを
せがむ。彼は望み通りのキスを望み通りのやりかたで落としてくれた。それだけで
立っていられなくなるほどの快感を得る。
「ね、早くベッドに……」
「いやらしいなぁ、ソフィーは」
甘えたようにしなだれかかるソフィーに、彼はからかうように言った。
それでも、彼女の腰を支えて階段を上がる。
「ねぇ、教えてくれない?君は何なんだい?」
部屋に入った途端に尋ねられ、ソフィーはうっとりと微笑み、彼の耳に口を寄せた。
「私はあなたのもの。あなただけのものよ、ハウル」
ハウルも完璧に整った笑顔を浮かべて、ソフィーを抱きすくめてキスした。
そして鍵をかけ、もつれあったままシーツに倒れこんだ。
ご主人様はここで、獲物の肉を召し上がる!
哀れな生贄の子羊が、断末魔の悲鳴をあげる!
お食事をお出ししろ!娘っ子をお出ししろ!
食卓が整い、娘がその気になったなら―――
ドン・ファンの勝利がまた再び!!
以上です。不協和音のいやーな感じの曲で、やみつきになりますww
ソフィーが不倫などしようものなら、ハウルさんは何でもやるんだろうなぁ、と
思ったらこんなんになりました。ソフィーは可愛そうですが、自業自得でしょう。
>>◆pUytl8EIAU
大変美味しくいただきましたwwハウルエロいですー(*´Д`)
カブ切ないけど、なんだかその空間に萌え。ソフィーも大事にされてて萌え。
まさかあんな駄作がお役に立つとは……!ありがとうございます。
次回作もドチドチしながらお待ちしています。
あ……、うえのレスアンカー失敗してる上に、
◆pUytl8EIAUさまを呼び捨てにしてしまいました……(゜Д゜;)
本当にすいません !!
>>146-165 うわわわ。神キター!
なんか好みのど真ん中って感じです。調教ぽいの好きです。
みだらで雰囲気あって素敵です。ハウルの台詞がいつもながらエチくていいです。
すてきな作品ごちそうさまです!ハァハァ。
250ネ甲!!降臨お待ちしてますた!
今回も素晴らしい…そしてえろい!!(*´Д`*)ハアハア
甘いの黒いの、完璧に書き分けられてていつもすごいなーと
ムシャムシャいただいてます、どっちも馬鹿手!
残酷で嫉妬深いハウルさんに激しく萌え〜
前半小悪魔、しかしハウルせんせーにかかると子羊ちゃんな
ソフィーたんにも萌え萌え〜〜ですた
次はどんな風味がいただけるのだろうかと楽しみに
お待ちしてます!
250さんゴチになりました!
はぁーなんとも濃密で後からじわじわっと来ますね。
>>250タン いつもうまし糧をありがとう。
げに恐ろしきは、ハウルの嫉妬心と独占欲ですな(ガクブル
決して敵にまわしたくない男だw
ほしゅほしゅ。
神達は忙しいのか…
新作を待つことしかできない私。
かてきょーハウルさんと、男体レティソフィーを待っている漏れがここを通りますよ。
174 :
250 ◆lh2mbenylQ :2005/08/31(水) 23:28:25 ID:WWE4cdh4
一本落とします。
傾向 映画 ハウソフィ 微エロ
入浴を終えて寝室に行くと、彼女はベッドに横たわっていた。
むきだしの二の腕やめくれ上がった夜着から覗く白い腿が発光するように白くて、
綺麗だなと思った。でも、体が無防備でどことなく淫らな雰囲気を醸している
割には、顔は強張り、思いつめているように見える。
「ソフィー?」
名前を呼ぶと、彼女はあきらかにびくりと体を跳ねさせた。それからぎゅっと
目を瞑り、ゆっくりと僕を振り向いた。
「……ハウル……」
ふわり、とソフィーは微笑み、体を動かした。桃色の唇が、今日はいやに赤く見える。
「なに?」
ベッドに腰掛けると、彼女は僕の腕をとり、掌を頬に当てた。あったかい、と
小さく呟く。その調子は甘く、どこか作り物のようだ。
「……こっちに……ね、来て」
請われるがままに彼女の傍らに横たわると、彼女は笑いながらすがりついてきた。
首に腕が回され、足が絡めとられる。胸板に押し付けられる彼女の胸の膨らみ、
肩に置かれた小さい顔。
「キス、して……?」
上目遣いに僕を伺い、彼女は可愛らしく首を傾げた。魅力的だとは思うけど、
何故だろう、どこかうそ臭い。
「どうしたの?」
気になって尋ねると、彼女は焦れたのか自分から唇を重ねてきた。かつて教えた
とおりのやり方で、彼女は僕を愛撫していく。上唇、下唇、両方に重ね、
ゆるゆると舌先で探り、僕の唇をこじあける。
こうされてしまえば拒否するのも悪いし面倒なので、されるがままにしておく。
そこでぴんと来る。こういう事は以前にも経験している、と。
一番嫌な形の交わりとして。
そうしている合間にも、彼女の細い指が僕のシャツにかかった。
くすぐるように首筋を撫でながら、ボタンをはずしていく。ぷつん、ぷつんという
音には現実味がなくて、まるで夢でも見ているかのよう。
耳朶が食まれ、ぴちゃ、という水音が聞こえた。彼女はいっぱしの娼婦のような
顔で僕を翻弄しようとしている。でも、なぜだか温度差を感じてしまう。
開かれた胸元にキスが送られ、ぽつ、ぽつとキスマークがつけられる。
いくつかをつけて満足したのか、彼女は自分の胸元をくつろげた。
日に焼けたことのない、真白い乳房が現れて僕が目を瞠ると、彼女はまたふわりと
微笑んだ。僕の手を取り、そこにあてる。
「………どうしたの?」
思わず呟いた一言に、彼女はかちこちに固まった。
自分から誘っておいたくせに、無理やり裸にひん剥かれた生娘みたいな顔をして。
何か、悪夢でも見ているような気がした。
半裸の彼と半裸の私。しかも私は自分から彼の服を脱がせて自分の胸に手を
当てさせた。こんなに明らかに誘っているのに、目の前の彼は子供のいたずらを
みつけた親のような顔で、深いため息をついている。
「どうしたの、って言われても……」
どうしたの、と聞かれても困る。ただしたいだけなのだから。以前にも何度か、
自分から誘いをかけた事はあったけど、殆どは成功していたと言うのに。
「……したいの………ダメ?」
自分で言葉にした瞬間に、これじゃあ駄目だと思ってしまった。当たり前だけど
彼も訝しげにこっちをみている。
「ねぇソフィー、正直に言って。何があった?」
彼は自分の脱いだシャツを羽織り、私の服のボタンを留めながら聞いてきた。
最悪だ、と口の中だけで呟く。
今日が最悪の一日だというのは解っていた。昼間、レティーに呼び出され、
その時にある人に引き合わされた瞬間から。
「……ふーん。それであなたが、あの人の家の家政婦なの?」
「恋人、よ」
真向かいに座ったのは、医者の末娘だという自己紹介に違わず、裕福そうな身なりをして聡明そうな顔立ちをした女性だった。彼女は値踏みするように私を見ると、完璧な微笑を浮かべた。彼女の横に座ったレティーがカップの中身をすすりながら訂正する。
女性は長い、熱鏝で巻いたと思しき黄色い髪を耳にかけながら、ころころと笑った。レティーの眉間の皺はどんどん深くなるのに、私にはそれが絵空事にしか見えなかった。
「ソニアさんでしたっけ?」
「ソフィーよ」
レティーがいらいらと訂正した。髪をかき上げ、ほとんど目の前の女性をにらみつけている。彼女は失礼、とおどけるように目を見開いて、またころころ笑った。
「面白い冗談よねぇ……だってレティー、こんなおとなしそうな子が?」
「ちょっと、お姉ちゃんに失礼よ!」
「だってそうでしょ?家に居座って、妻みたいな顔して振舞って?それが……」
彼女はそこまでいうともう一度私を舐め回すように見た。そして微笑む。
「こんな純朴そうな顔の子なんてね」
そこで頭にカッと血が上った。彼女は、あきらかに自分と彼との関係を示唆していったのだ。体を使って、彼をたらし込んだのだと。
「……失礼いたします」
「待ちなさいな。そんなに慌てることないじゃない?」
先ほどまで聡明そうだと思っていた顔立ちが、今は蛇のように見える。自分より三つ年上だという彼女は、妙に大人びた仕草で私の腕を捕まえた。
「そんなに可愛いんだもの、彼が夢中になるのも解るわ。でも、それもいつまで持つかしらね……?」
「あなた!いい加減にしてください!」
「生娘の寿命は短いのよ?」
真っ赤になった私の顔を見て、彼女はかわいい、と呟いた。そしてころころと鈴の鳴るような、甲高い笑い声を上げて優雅に席を立った。伝票を掴み上げた指を払おうとすると、彼女はまた大人びた仕草で手を上げた。
「結構です!自分の分は、自分で支払います」
「あたしだったら、あの人のお金でお茶を飲もうなんて思わないけれどね」
お金は、お店で稼いだものだけれどもともとはハウルのものだ。私が真っ赤になって黙ると、彼女はひらひらと手を振って出て行った。黄色い髪の残像だけ残して。私のプライドはもうずたずただった。
「……ふーん。それであなたが、あの人の家の家政婦なの?」
「恋人、よ」
真向かいに座ったのは、医者の末娘だという自己紹介に違わず、
裕福そうな身なりをして聡明そうな顔立ちをした女性だった。
彼女は値踏みするように私を見ると、完璧な微笑を浮かべた。彼女の横に座った
レティーがカップの中身をすすりながら訂正する。
女性は長い、熱鏝で巻いたと思しき黄色い髪を耳にかけながら、ころころと笑った。レティーの眉間の皺はどんどん深くなるのに、私にはそれが絵空事にしか見えなかった。
「ソニアさんでしたっけ?」
「ソフィーよ」
レティーがいらいらと訂正した。髪をかき上げ、ほとんど目の前の女性を
にらみつけている。彼女は失礼、とおどけるように目を見開いて、
またころころ笑った。
「面白い冗談よねぇ……だってレティー、こんなおとなしそうな子が?」
「ちょっと、お姉ちゃんに失礼よ!」
「だってそうでしょ?家に居座って、妻みたいな顔して振舞って?それが……」
彼女はそこまでいうともう一度私を舐め回すように見た。そして微笑む。
「こんな純朴そうな顔の子なんてね」
そこで頭にカッと血が上った。彼女は、あきらかに自分と彼との関係を示唆して
言ったのだ。体を使って、彼をたらし込んだのだと。
「……失礼いたします」
「待ちなさいな。そんなに慌てることないじゃない?」
先ほどまで聡明そうだと思っていた顔立ちが、今は蛇のように見える。
自分より三つ年上だという彼女は、妙に大人びた仕草で私の腕を捕まえた。
「そんなに可愛いんだもの、彼が夢中になるのも解るわ。でも、それも
いつまで持つかしらね……?」
「あなた!いい加減にしてください!」
「生娘の寿命は短いのよ?」
真っ赤になった私の顔を見て、彼女はかわいい、と呟いた。そしてころころと
鈴の鳴るような、甲高い笑い声を上げて優雅に席を立った。
伝票を掴み上げた指を払おうとすると、彼女はまた大人びた仕草で手を上げた。
「結構です!自分の分は、自分で支払います」
「……あたしだったら、あの人のお金でお茶を飲もうなんて思わないけれどね」
お金は、お店で稼いだものだけれどもともとはハウルのものだ。
私が真っ赤になって黙ると、彼女はひらひらと手を振って出て行った。
黄色い髪の残像だけ残して。私のプライドはもうずたずただった。
「……お姉ちゃん、ごめんね」
レティーが心底申し訳なさそうに言った。私は彼女を伺い、一応首を振った。
「いいえ。私こそごめんなさい……仲のいい、お友達なの?」
訊ねるとレティーは鼻に皺を寄せ、肩をすくめた。知り合い程度よ、と吐き捨てる。
「そう……よかった」
思わず漏れた一言に、私はうろたえてしまった。レティーはくすり、と笑い、
席を立った。
「いいの、どうせその程度の人だもの……お姉ちゃん、ハウルが好きなのは
お姉ちゃんなんだから、彼女のこと、気にしちゃだめよ」
「解ってるわ」
呟きが、思いのほか頼りなく響いて私は狼狽してしまった。レティーは柔らかい
微笑を浮かべ、こっちをみている。
「解ってるわ。私が、あの人の傍にいるのを、赦されていることくらい」
「……今日ね」
彼が私の目を覗き込んできた。途端に怖くなって本当のことがいえなくなる。
だからだろうか、唇はまったく別の言葉を紡いだ。
「……街に行って来たわ。カブに会ったの」
彼の顔が引きつった。おかしな事だけれど私はその顔に安心して、
口元が緩むのを止められなかった。
夢見るようにうっとりとした調子で、彼は“僕の”恋人を褒め称えた。
「彼女の素晴らしいところは、美しいところもそうですし、優しいところも、
凛としているところも、聡明で公平なところもそうです……でも、何より、
あの清らかさ!」
彼は感極まったのかあぁ、と小さくうめき、それから幸せそうに笑った。
「何者にも染まらず、何の穢れもない。あの清らかさは、彼女の最大の
美徳だと、僕は思いますけれどね」
確かに、彼の周りにいる権力にひれ伏す女たちに比べ、彼女はまっさらな心を
持っている。でも、それを清らかというのは違う気がして、僕は口をつぐんでいた。
彼はそれを嫉妬しているととでも取ったのだろう、へらりと薄っぺらい笑いを
浮かべて、肩をすくめた。
「そんな怖い顔しないで下さい……あなたが彼女を、彼女があなたを
愛しているのは、僕だって痛いくらいに解っていますから」
さて、仕事の続きをしましょう、と隣国の王子は金の巻き毛を揺らしながら、
和平のための協定書に目を落とした。それでも彼女が穢れていない訳じゃないのを
知っている僕は、黙っていた。
彼女を汚した張本人である僕は、気のきいた言葉一つかけられなかった。
おとうさん、悪魔がいるよ。
悪魔と取引したのはファウスト博士、魅入られたのは、数が多すぎて解らない。
だとしたら、この有名な文句は、一体何からの出典だっただろうか。
そうやってぼんやりと考え事をしている間にも、彼女は大きな目で僕の目を
射抜き、険しい顔をしていた。
「……へぇ」
彼女のついた大嘘にどういう反応をとって言いかが解らず、僕は気の抜けた
返事しか出来なったか。彼女は驚いたように目を瞠り、焦ったのか視線を逸らした。
「………興味、ないの?」
「なくは、ないけど……」
「じゃあなんで?なんで、何も聞かないの?」
畳み掛けるように彼女が尋ねてきた。身を乗り出した途端にゆれる髪と乳房。
ちょっと魅力的な光景。でも、本能で解る、これが危険な事だと。
「……あのさ、ソフィー」
僕は何だか馬鹿馬鹿しくなって、ソフィーを抱きこんだ。彼女がいやいやと
身じろぐ。
「……今日ね、隣国の王子殿下と一緒に仕事していたんだよ」
彼女は雷に打たれたように固まり、ぽかんと口をあけた。
「本当は、誰と会っていたの?」
その問いに、ソフィーは傷ついたような顔をした。軽く目を伏せ、唇を尖らせる。
「………言いたくないわ」
自分からこの話を振っておいて、どういうオチだ。
そう思った瞬間僕の頭にカーッと血が上り、頬に熱を感じた。心臓が煩い音を
立てて動いている。お父さん、悪魔がいるよ。頭の奥で、男装した若い歌手が
そう叫ぶ場面が、何度も何度も繰り返される。鳴り響く、甲高いソプラノ。
劇場の硬い椅子、繋いだままの彼女の手、真剣に舞台を見ている、彼女の横顔。
「自分から話し出して、勝手に終わらせるの?」
冷静でいなきゃ、と思うのに、喉からは勝手な言葉ばかりが飛び出てくる。
いつのまにか腕は彼女の両手を押さえつけ、体は彼女を逃がすまいと覆い
被さっていた。
「……今日はもう寝ましょう」
「自分から誘っておいて、何言ってるんだか」
「したくないの!」
むずがる子供のような仕草で、彼女は体をねじった。しかし、僕の体はいとも
簡単に彼女の動きを封じる。彼女は困ったように眉根を下げた。
「君は一体何がしたいの?自分から誘ったり、嘘をついたり、黙り込んだり。何があったの?」
僕の声はひどくしゃがれていた。激情を押さえようとして、無意識に喉を
押さえたせいだろうけど。彼女は泣きそうな顔をしていて、それは僕の情欲を
駆り立てるのに充分だった。
「ここで本当のことを言わないなら―――」
そこまで言うと、僕は勿体つけるように彼女を見た。彼女は目を伏せて口を
真一文字に引き結んでいる。それが無性に気に障る。僕は怒りに任せて口を開いた。
「手加減は、なしだよ」
あがる声はまるで自分のものではないみたい。いやらしくて、高くて。
聞こえてくる獣じみた喘ぎ声に、私はぼんやりと思いを馳せた。
彼は私の両手首を押さえつけたまま腰を振っている。
「あぁ…アッ……あ、っあ!」
彼に貫かれ、体の芯から火照っている感じが全身を包んでいる。
気持ちよくて、脳みそが茹ってしまいそう。なのに、なぜだろう。どこか冷静に
この状況を把握し、観察している自分がいる。
彼は顔をしかめ、本当に苦しそうな顔をしている。もっと気持ちよさそうな顔を
してくれればいいのにな、と思った。
でも、その余裕のない顔が私はものすごく好き。
「やぁっ……も、だめ、いっちゃ……」
「ダメ」
彼の顔が私の首筋に埋まった。さらさらの髪が頬に当たる。シャンプーの匂いと、
汗の匂いが混じってる。いい匂いだな、と思って私は細く呼吸をした。
私を惑わす、麻薬みたいな匂い。激しかった動きは緩くなり、皮膚がざわざわした。
「だめ……ソフィーはもっと、もっともっと僕を感じてて………」
彼の囁きは砂糖菓子くらい甘い。自分とするこの行為に夢中になっているのが、
簡単に見て取れた。彼の背中越しに、あの黄色い髪の女の顔が見えた。
今のわたし達を見せてやりたい。ケダモノみたいに貪りあって、激しく絡み合って
求め合っている姿を。
生娘の寿命は瞬きする間に終わる。あとは、娼婦になるか淑女になるかだ。
それだけ。
「あぁっ!だって、こんなの……やぁぁっ!!」
おそらく、二択のうち人々がより嫌悪を催すほうになれ果てた私は、それでも
恥ずかしそうな声をあげ、目を瞑った。指は彼の指にしっかりと絡められ、
腰は彼の動きに合わせてゆれているのに。
「あぁ、ハウル……好きっ……すきっ……!」
「ソフィー……」
彼の目が歓喜に潤んでいる。つぶされるんじゃないかと怯えてしまうほど
きつく抱きしめられ、それから優しい、でもありったけの情熱が込められた
声で囁かれた。
「僕もだよ……ソフィー…君だけを、愛している」
勝った。
――――その瞬間、私は笑っていた。
あの黄色い髪の、医者の末娘の、大人ぶった仕草の女に勝った。彼の愛で
勝ち負けを推し量るなんていけない、と良心がとがめたがそんなの
おかまいなしだった。私は、あの女に勝ったのが嬉しくて笑っていた。
ハウルに貫かれながら、あの女の悔しそうなぼろぼろな顔を想像し続けていた。
そして、空想の彼女が悔しそうに地団太を踏んだ瞬間に、絶頂を迎えた。
はぁ、とため息をつくと僕はそのまま力を抜いた。彼女の上にのしかかる。
重くないかな、と頭の中を心配がちょっと掠めたけど、疲れていたので
そのままにしておく。彼女は思っていたより落ち着いた顔で僕を
受け止めていてくれる。
「ソフィー」
名前を呼ぶと、彼女は虚ろな目で僕を見上げた。悲しそうな顔で、
ぼんやりとしている。
「………ごめん」
その顔に妙な罪悪感を覚えてしまい、僕は反射的に謝っていた。彼女は
びっくりしたように目を瞠り、それから首を振った。
「……私こそ、ごめんなさい……」
彼女の声は震えていた。それどころか、ぽろぽろと泣き出している。
「ソフィー、どうしたの?」
「っく…ひ………ぃっく」
彼女は無言でしゃくりあげていた。僕は彼女の上からどき、横にずれた。
そのまま彼女を抱きこみ、子供にするみたいに背中を叩いてやる。
「何で泣いてるの?」
彼女は答えない。ただしゃくる声が大きくなるだけ。
「……無理やりして、ごめん。痛かった?」
思い当たる節は一つしかなかったので、それについて謝った。なのに、彼女は
うんともすんとも言わなかった。そんなにまで、深く傷ついたというのだろうか。
「……本当に、ごめん」
ソフィーが首を振った。そのいじらしさに心が痛む。
「何で泣いてるか、教えて?」
「…………何でもないの」
彼女はあふれ出る涙をぐいとぬぐい、鼻声で答えた。それから、自己嫌悪よ、と
低く吐き出した。
「自己嫌悪?何で?」
彼女は答えなかった。代わりに無理やりな微笑みを浮かべて、口をつぐんだ。
「………ね、今晩は、ずーっとこうしていて」
僕の肩のあたりに頭をちょこん、と乗せて彼女は甘えるように囁いた。
片手で彼女の髪を撫でながら、僕は頷く。
「いいよ。ずっとこうしてる」
「……ずーっとよ、眠っても、ずっとよ」
そこで彼女は言葉を区切り、またふわりと微笑んだ。どこかはかない印象の
笑顔が悲しくて、僕は彼女を抱き寄せた。
「ずっとこうしてるよ。約束する。愛してる、愛してるよ、ソフィー」
むきになって言った僕に、彼女は呆れたように微笑んだ。
引き結んだ僕の唇に軽くキスを落とし、こてん、と首を預けてくる。
その体温が気持ちよくて、僕はようやく固かった表情が緩むのを感じた。
「一晩中よ、お願い……それで、もう大丈夫だから。そうしたら、
また明日の朝には笑っておはようって言えるから、だから、今は、まだ」
そこで彼女の言葉は終わった。彼女はただ静かに微笑むと、目を伏せた。
そしてすぅ、と細い呼吸を一つ残して眠りについた。
きっと、今日は彼女にとっても僕にとってもどうしようもなく面白くなかった
1日だった。だから、僕らはこうやって馬鹿みたいな真似をして、さらに
面白くない思いをした。だけど、ここに二人でいるなら、それでいい。
きっと、僕らはそれだけでやってける。
例え、今は傷つきぼろぼろでも、きっと、明日には上手くいく。
だから、今は、まだ。
覚めない悪夢の名残は重たいけれど、僕はもう何も怖くはなかった。
以上です。一人称小説が書きたくて書いただけなんですけれど、
気に入っていただければ幸いです。嫉妬するハウルは何度か書いているんで、
ソフィーの嫉妬を見せていただきました。もっとねちっこい嫌味とか
言うタイプかとも思うんですけど……思ったより耐え忍ぶタイプでしたね。
チェザーリでの会話は結構楽しんで書けました。また、ああいう絡みを
書こうかなぁ……。
>>250さん
うわぁーこのお話凄く好きかもです!
お互いいたわり合ってて愛にあふれてて…
こんなハウソフィが大好きです!
うまし糧!
オオー、神がいらしてた!250様GJです!!
今回のお話も激しく萌えさせていただきましたー
なんというか二人の心のヒダがこう、胸に迫るというか…
一緒に暮らしてる者同士故の、けんかまではいかないけど
ちょっとしたすれ違いというか
でもそれってお互い強く愛し合ってるからなんですよねって
感じが切なくて良かったです
ふお〜一人称、良いですな…
雰囲気ある作品で好きです!
250さん、うまし糧乙ですたv
次の作品も楽しみだ…
案外、ソフィータソと出逢うまでは…なんつってずっとチェリーだったりするハウルもアリだな(´∀`*)
でもそんな自分は少数派なんだろな。
うわー嫉妬してもやもやする感じがリアルですよ…
二人とも言わなくても空気で解りあってこうとしてるんだな。
250さん、ごちそうさまでした。
192さんのシチュもいいな〜^^
>>192 原作はないけど、映画版ならありうるかも。
漏れは原作もありえるかとオモタよ。
原作ハウルって、相手が自分に振り向いた途端冷めちゃうと
あったから、いつもベッドインwまで行かずに終わってる
可能性もあるんジャマイカと。
それとも振る前に一応いただいてしまってるのだろうか?
児童文学なので清い交際だったんだろうとお目出たい自分。
27で清い身体というのも…w (原作版)
2ちゃんでは、30歳で魔法が使えるようになるといわれているが、
ハウルはすでに魔法使いだし。
お若いの同士のほほえましいほのぼのエチーも好きだが
ハウソフィでは映画・原作問わず、百戦錬磨wなハウルが
ソフィーを開発してってあげるパターンが萌えーな漏れが通りますよ。
ここの職人さん達みんなレベル高いから、漏れの萌えなんかは置いといて
毎回楽しませて頂いてるけどね。
そろそろ新作読めたら嬉しいな(0゚・∀・)テカテカオマチシテマス
199 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/10(土) 06:57:11 ID:afFtU+EH
特別収録版→ハウル関連映像コンプリート(この場合ツイン買う必要無し、ショートは単独のを買う)
ローソンで買う→北米版劇場ポスター入手(トランプもいらないけど付いてくる)
まとめ
・特別収録版
・ショートショート
・ローソン版
この3つでグッズ&映像がコンプリート
きんもーー_ー ̄_ ̄)’, , . :;;’":;’;’"'"`、:’'"・
∧ --_- ― = ̄  ̄`:, . (゙':,*・`’;:,゙゙:’`;`''
,( '' ̄ = __――=',> _/ / ・,‘
/ _-―  ̄=_ ) |y"’::;゙・゙"`"゙'.、:,`,、・*`'
/ ノ  ̄_=_ ` ))∴. );:,,.`゚`":,’;"゙’"
/ , イ ) _ ) ̄=_) _)*`';’'∵;:,,';・"゙’
/ _, \ )_ _ )= _),ノ ∴.'`"・
| / \ `、 = _) /∴.' ∴.'
j / ヽ | / / ,'
/ ノ { | / /| |
/ / | (_ !、_/ / 〉
`、_〉 ー‐‐` |_./
特別収録版→ハウル関連映像コンプリート(この場合ツイン買う必要無し、ショートは単独のを買う)
ローソンで買う→北米版劇場ポスター入手(トランプもいらないけど付いてくる)
まとめ
・特別収録版
・ショートショート
・ローソン版
この3つでグッズ&映像がコンプリート
なんで多重?ホシュの代わり?
特別収録版買おうかな。
ほしゅ。
ホッシュ
ほしゅ
お久しぶりです。一本落とします
傾向 映画版 ハウソフィ あまあま エロほぼなし
濃く匂う、花のような石鹸の香り。もくもくと立つ湯気で少しばかり息苦しい。
しかし、ハウルは満面の笑みを浮かべながら湯を張ったバスタブの中に居た。
足の間には、銀色の髪の少女がちょこんと座っている。
「熱くない?」
「ん……大丈夫」
囁くと、ソフィーは笑いながら首を振った。洗い立ての髪から水滴が零れる。
その香りにうっとりとしていると、彼女が振り返った。
「なぁに?そんなに嬉しそうで」
ソフィーは不思議そうな顔で恋人を見上げている。もうすでに一度交わって
いるからだろうか、彼女はおっとりと大人しい。普段なら恥ずかしがって
絶対に一緒に風呂になんて入ってくれないのに、今晩は一緒に湯船につかり、
しかもハウルの腕の中にいる。
「何でもない……ただ、幸せだなぁと思って」
囁きかけると、ソフィーが頬をばら色に染めた。それから可笑しそうに
くすくすと笑う。
「変なハウル」
そう言いつつも、ソフィーはとても嬉しそうだった。ぴしゃぴしゃと手のひらで
水面を叩いている。小さな子供のような彼女を、ハウルは一際力をこめて
抱きしめた。
「ハウル」
そんなにくっつくと、さすがに暑いわ、とソフィーがたしなめた。しかしハウルは
答えず、彼女の首筋に顔を埋めている。
離れようとしないハウルに焦れたのか、ソフィーは彼の手をとった。
引き剥がそうとして、ふと動きを止める。
「どうしたの?」
手を持ち上げたまま固まっているソフィーを不思議に思ったのか、ハウルが
声を掛けてきた。彼女はぼんやりと恋人の手に見入っている。
「ソフィー?」
「あ、ああ。いえ、あのね」
そこまでいうと、ソフィーは彼の指に自分の指を絡めた。愛撫をするように
するすると撫で回しながら、うっとり微笑む。
「きれいだなぁ、って思ったの。私の手も、こんな風なら良いのに」
確かに、ハウルの手は傷一つなく滑らかで綺麗だ。さすがに男の人らしく、
大きく骨ばっているが、指はすんなりと長くて節々も目立たない。
「そうかなぁ?結構傷も多いよ」
ほら、といって彼は中指を動かした。見れば、付け根のところに
白っぽい傷跡が見える。
「それでも、私のよりずっと綺麗だわ」
諦めとも羨望ともつかぬやり方で、ソフィーは眉を持ち上げた。
彼女の手は家事を一手に引き受け、花屋を切り盛りする手だ。
細かい傷は絶えず付いていて、爪も短く切りそろえられていて、優雅さに掛ける。
「あなたの体はどこでも綺麗だけど、手もとても綺麗ね
……ねぇ、やっぱり魔法使いは綺麗な人の方がいいの?」
ソフィーが純粋な好奇心でかそう訊ねてきた。ハウルは少しだけ
悲しそうな顔をしている。それでも、彼女は気付かず彼の掌を指でなぞっていた。
「……そりゃ、美しいものには魔が宿るからね。力を持とうとするなら、
美しいに越した事はないよ」
「魔法だから、綺麗じゃないのね?」
「どっちかって言えば、綺麗だから魔法、じゃないかな」
ふぅん、とソフィーはハウルの胸元に倒れ込んできた。肩の窪みに頭を乗せ、
上目遣いに彼を見上げる。
「じゃあ、ハウルが力の強い魔法使いなのも納得だわ」
ソフィーは微笑んでいた。でも、ハウルは険しい顔をしている。
「どうしたの?」
「……どうして、笑うの?」
不思議そうなソフィーに、ハウルはきつい調子で訊ね返した。へ、と間抜けた
返事をしてから、彼女は苦笑を浮かべる。
「何で怒るの?笑うのはね、嬉しいからよ。ハウルがとっても綺麗だから、
誇らしいの」
「ソフィー」
ハウルがたしなめるように名前を呼んだ。ソフィーはばつが悪そうに視線を下げる。
「……調子に乗りすぎた?」
確かに、今までの言い草はハウルのかつての恋人
―――最も、誰も皆一晩限りの相手に過ぎなかったが―――の
戯言と似通っていた。
ただ、彼女達と違い、ソフィーの言葉には深い諦めと純粋な尊敬が浮かんでいた。
自分は綺麗じゃないけど、恋人は綺麗で嬉しい。
何故、年若い少女がそこまで言わなきゃいけないのだろう、とハウルは悲しく思う。
ソフィー位の年頃なら、もっと自惚れていてもおかしくないはずなのに。
「気に障ったなら、謝るわ……」
子供のように頼りない調子で囁きかけてきたソフィーの唇を、
ハウルは乱暴にふさいだ。彼女は驚いて目を見開いている。
口付けはどんどん深まっていき、耐えられずに彼女は目を伏せた。
彼女を抱きこんでいる腕は、きつく締まっていく。彼女の細い体は
いつのまにか反転させられ、今は向かい合う形で抱きしめられている。
「そんな事、言わないで……」
長い口付けの後、ハウルがぽつりと洩らした。ぐったりとしていたソフィーが、
視線だけで彼を捉える。
「ソフィーは綺麗だよ。靭くて優しくて、とっても綺麗だ」
それにね、とハウルがソフィーの手をとり、そこに軽く口付けた。
それが御伽噺の王子様の様に見えて、ソフィーはただただ見蕩れていた。
「この手は、暖かくて、優しくてつよい手だよ。僕を支え、助けてくれる大切な手だ。僕はね、この手よりも綺麗な手を見たことがない」
ハウルの囁きは優しく、もう先ほどまでの剣幕はない。ソフィーはぼんやりと
その言葉を貰った後、蕩けたような極上の笑みを湛えて彼に縋った。
二人はきつく抱き合い、唇を重ねあった。花のような石鹸の匂いが濃く、
白い湯気の立ち込める浴室に、密やかで甘い嬌声が滲み始めた。
最近異常に暗いのばっかり書いていたので、たまには糖度高めで。
二人に無駄にいちゃいちゃさせるのは楽しかったです。
変な時間に失礼しました。
GJです!
表現が甘くてきれいな感じがいいですね。
次回の投下も楽しみにしてます。
いちゃいちゃな二人を見るのは楽しかったです!
ご馳走様でした。
わーなんかラブラブで素敵。とともにシリアスなハウルがいいですね。
乙です。
あさっぱらからいいもの読んだーーー!
あまあまは読んでるこっちもなんだか幸せ気分になれますね、
ご馳走様でした!
投下ありがとうございます!
久しぶりにハウソフィを補充できた・・・!
ラブい…恋人同士の微妙な心具合がなんともいえません。
250さん、うまし糧ありがとう〜〜
ほしゅ
一個落とします。最近、職人さんがめっきり減って、まるでここを
私物化しているようで心苦しい……。
傾向 原作 ハウソフィ エロなし 短いです
はぁ、とため息を洩らして、ソフィーは未だ快楽の余韻に浸っている手足を、
どうにか動かした。のし上がっていたハウルは心得たように彼女の上から下りて、
今は隣に伸びている。
「ソフィー……」
甘ったるい猫なで声で、ハウルがソフィーの体を抱きこもうとした。
しかし、彼女は長い巻き毛の残像だけ残して、腕を逃れてしまう。
「……何それ」
不満げに唇を尖らして、ハウルは新妻の髪を引っ張った。きゃぁっと声を上げて
ソフィーが起き上がった。
「何するのよ!」
赤い(彼女が言うには赤がね色の)髪と同じくらいに顔を真っ赤にして、
ソフィーがハウルをにらみつけた。
「痛いじゃないの!」
「あんたが大人しくしてないから悪いんだろ?!」
同じように顔を赤くしたハウルも、起き上がって正面から食って掛かった。
二人はしばらくの間無言でにらみ合っていたが、素っ裸でいい合いを
するのも何だか情けなくなって、すぐにベッドに倒れこんだ。
「……別にね、あんたが嫌だから抱きしめられたくないわけじゃないのよ」
ソフィーがぶっきらぼうな口調で呟いた。ハウルは視線だけで問い返す。
「……ただね、最近、体がその……太ってきた気がするの」
ソフィーは真っ赤だった。ハウルは毒気を抜かれたようにぽかんとしている。
「ご飯とか、食べ過ぎた覚えもないし、怠けていたわけじゃないのよ?
だけど……服も少しきついし、腕とか、腰とか………」
言葉が尻すぼみになるように、ソフィーの顔も下を向いていった。
「あんただって、牛みたいに肥えた奥さんなんて、嫌でしょう?」
おずおずと訊ねてきたソフィーに対して、ハウルは数秒の沈黙の後に思い切り
吹き出した。それからげらげらとけたたましく笑う。
「あはははは!あんたにも、そんな可愛い所があったなんてね!」
「ちょっと!あたしは真剣なのよ!?」
逆上したソフィーの動きを止めるように、ハウルは彼女の頬にキスを落とした。
喚いていた口がぴたりとつぐまれる。
「嬉しいよ、そんなにまで僕のことを愛していてくれたなんてね!」
「ちょ、調子に乗らないでよ!誰があんたなんか!あたしはね、
あんたみたいなぬるぬるうなぎ……」
大嫌い、と言葉を紡ごうとした唇は、ハウルの口にふさがれていた。
長い長い口付けで力の抜けたソフィーの体を、ハウルはぎゅっと抱きしめる。
「……あのね、奥さん。あんたは太ったわけじゃないんだよ。
あんたは元々痩せていただろう?それこそ子供みたいな体つきでさ。
でも、それが成長して、今は立派に女らしくなった。
解る?今のあんたは、ものすごく魅力的だ」
完璧な美貌の持ち主に、蕩けそうな顔でそこまで言われて、嫌がる女は
そういないだろう。ソフィーも例にもれず、ぽぉっと頬を染め、目を潤ませている。
「……今のままのあたしでもいいの?」
「今のあんたがいい―――もちろん、子ねずみちゃんだった頃のあんたも好きだし、
きっとまん丸に太っていたとしても愛しているよ。
ソフィーがソフィーなら、それでいいよ」
にこり、と浮かんだ微笑は目もくらむほどに綺麗だった。
そう言ってあげたかったけれど、意地っ張りな口からは本心とは
逆の言葉しか出てこない。
「やめて頂戴、そう甘やかされてちゃ、あたしがどんどん駄目になってしまうわ!」
「だって、あんたを甘やかすのが僕の楽しみだもの!」
楽しみを奪うの?と全く持って邪気のない顔で言われ、ソフィーは天を仰いだ。
しかし、ハウルは気にせずに、彼女に覆い被さった。
「………何するの?」
「運動すれば痩せるから、お手伝いをしてあげようかと思って」
「…………お節介」
「優しさだろう?」
飄々と言い返され、ソフィーは思い切り顔をしかめた。彼のキスの雨が降ってくる。
「……あんたの優しさって、時々物凄くうっとうしいわ………!!」
ソフィーの呟きをやり過ごし、ハウルは薄紅色に染まり始めた体を、きつく抱きしめた。
原作はあんまり書かないので、ちょっと勝手が難しかったです。
太ったのが気になるなら、する前にすくみませんかね、というのは
セルフ突っ込み。お目汚し失礼しました。
ゲロ甘夫婦キタ━━━━━━━(*゜∀゜*)━━━━━━━!!
凄ーぇイイ感じ。
口はぶっきらぼうだけど、甘々な感じが凄いイイ!
映画版の初々しい二人も好きだけど、原作版のラブ夫婦も大好物だ。
二人セットで愛してまつよ(*´д`)'`ァ'`ァ
うわーうわー。
原作ハウルさんらしい甘い台詞、いいですねえ。
甘甘甘!と言う感じを堪能しました。
そこまで言うか!って感じがいいですね。
映画はドラマチックで素敵だけど
原作は小気味のいい二人のやりとり(痴話ゲンカ?)が大好きです。
なんかその魅力が出てていいですね。乙です。
ほのぼの夫婦ゴチでした。
ソフィーかわいくていいなあ。
乙。
ほしゅ
原作verも大好きなので読めて嬉しいな〜
ぐっとアダルトな雰囲気がまたいいですね、大人の魅力(笑)なハウルがなんだか新鮮。
DVDが出る頃にはまた職人さん達がわらわらっと来てくれるんじゃないかな〜と思ってます。
229 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 03:52:19 ID:YzKO/6a2
素敵なお話に吊られて、ポンっと出来たお話をUP
【HAPPY BIRTHDAY】
エロなしのほのぼの?
ハウルside
ソフィー生まれてきてありがとう!こんなに誰かの誕生が嬉しいって思ったことはないんだよ!
あぁ君に出会えた事に感謝!
君の今は亡き生まれの母親と父親に感謝
嬉しくてたまらない
どうしよう?ねぇこんなにもあなたが好きなんだ
何者にもかえられない、この世界で一番大切な人よ。これからも一緒にずっと生きていこうね!
もちろん家族をどんどん増やしてさ!((これ言ったらまた怒るかな?真っ赤な顔して。まぁ週に3〜6回も愛し合ってるんだし、家族が増える日もそう遠くはないだろうさ!))
HAPPY BIRTHDAY
PS:あんたが生まれてきた日僕は何をしていたんだろう?
もしかしたら、将来の奥さん(あんた)の事を考えていたかもしれないね
230 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 03:55:39 ID:YzKO/6a2
【HAPPY BIRTHDAY】2
エロなしほのぼの?
ソフィーside
(原作風味)
ハウルあんたが生きてきてくれて嬉しいの、嬉しくて嬉しくてたまらない
あんたはウェールズで自分が必要とされてないって言っていたけど、私はもうあなたがいなかったら生きていけないの
こんなこと言ったら騒ぎ出すけど
今日ぐらいは私も素直に自分の気持ちを伝えるわ
生まれてきてありがとうこれからもみんなで一緒に楽しく生きていきましょう!
HAPPY BIRTHDAY
PS:もうちょっと先に、あんたと同じぐらい大切な人ができて、同じぐらい生まれてきた事に感謝する日がくると思うの
勘違いしないでよ?
浮気とかそういうのじゃないんだから!
あんたもきっと世界の誰より愛してくれると思うわ
ね、ハウル
うわぁ!かわいい夫婦め!!
幸せなお話、ゴチでした。
オセロがやってる番組のコーナーに世界の新婚さんの朝ごはんってコーナーがある。
今日はロシアの新婚さんでお花屋勤めの若奥さん。
ちょっと照れたかわいらしい笑顔。
白いシンプルなブラウスにネイビーのスカートが色白だから良く似合う。
きりっとした澄んだブルーグリーンの瞳。
少しウエーブのかかった見事なあかがね色の髪。
旦那はちょっと情けないけど優しそうな感じの金色の銀行員。
奥さんを褒めまくりで超ラブラブ
なんかハウソフィを思い出して'`ァ'`ァ(*´Д`*)'`ァ'`ァ
うわー実写版?!
それ見たかったなぁ
>>232 くそぅ、どうして早く言ってくれなかったんだ!凄く見たかった…
>>228 DVD発売を記念して久しぶりに書きたいと思っているんだが…誰かネタをください orz
秋だから旅先とか
>>235 >236に賛成。
いつもと少し違うソフィーにハウルの抑えが効かなくなると良い。
いいねー。
しかしいまだに、初夜ネタでご飯三杯ぐらいイケそうなのは自分だけだろーか…。
二人の初々しいのから→エロくなる過程を楽しみたい(´Д`*)
わかる。
この二人の初夜ネタすごく好き。
定番のヤキモチとか、助けてくれるとか、王道みたいなのも萌え!
初夜も好きだけど
ハウルに教え込まれたエロいソフィも好きでつ
HP作ろうと思っていろんなシチュでたくさん書いてたのに
諸事情で立ち消えしたのでここにいくつか落として行きたいと思ってるですが
なかなか書き込む暇がないよ・・・(´・ω・`) ちなみに映画版のみですが。
次に休みもらえてまだこのスレがあったら置いていきます。
いくつかといわずにじゃんじゃん投下くださいませ!(゜∀゜)
すごく楽しみな話だ!本当に全部の話をお願いします。
>>235 何も知らないウブなソフィにハウルがあんな事やこんなイケナイ事を・・・
例)お医者さんごっこ
みたいなのが読んでみたいです(*´Д`*)
>>241 マターリお待ちしてます
自分はここでは希少な、二人ともウブなやつ見てみたいなー。
初夜ネタは何回読んでもうまし糧。いやしかし、どんなネタでも美味しくいただいちゃうです。
ハウソフィなら何でもマンセーw
>>245 235だけど、何も知らない…的なシチュはもう書いてしまいましたよ(;´Д`)
旅先ネタも後ほど書きたいと思います。
その前にまず初夜ネタを。久しぶりだ…。
>>241 テッカテカで待ってます。
わぁ!七さん!?
お待ちしておりました〜!
いつになってもよいので作品お待ちしております(*´∀`)=3
>>241 '`ァ'`ァ(*´Д`*)'`ァ'`ァでお待ちしています。
ほしゅ 完了
251 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 16:58:00 ID:VtzPI/9r
252 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 20:57:34 ID:tpV/nr/v
きたいあげ
ご無沙汰しています。予告していた初夜話ではありませんが、
前に某企画に提供したものを保守代わりに投下します。
提供先のブツも既に発行されていないので。
少しだけ修正した改定版(?)です
――僕はずっと君だけのものだよ――
あの愚かな戦争もやっと収束に向かい、人々の表情も明るくなり始めた頃、
空飛ぶ城の一家はのんびりと暮らしていました。
家事に精を出しながら、新しい家族での生活を楽しんでいたソフィーでしたが、
ここの所、とても気になっている事がありました。それは、自分の知らない彼の過去、
愛しい魔法使いハウルの事です。確かにソフィーはあの時を遡る扉の向こうで
少年時代のハウルに逢いました。しかし、それから自分と再会するまで
彼はどんな風に生きてきたのだろう…と、考えるようになったのです。
きっかけは、彼と過ごした一夜の事でした。
二人の初めての夜。ハウルは怯えるソフィーに顔をしかめるでもなく、
とても優しくしてくれました。そういった経験も無く知識も少ないソフィーに対し、
その体にゆっくりと丁寧に触れてくるハウルは、慣れていて優しくて。
言い方を変えれば女の扱いに長けている感じがしました。
痛みに翻弄される自分を気遣うハウルの愛情にたまらなく幸せな気持ちに
なりながらも、手馴れている彼の過去に他の女性の存在を感じて
同時に切なくなってしまうのでした。
彼はこんなに素敵なのだから以前は恋人が何人も居たことでしょう。
けれど今のハウルは紛れも無く自分だけを見てくれている、それは分かっています。
それでも、彼の過去が気になって過去の恋人に嫉妬してしまう。
こんな自分は我侭だろうか。
ソフィーは、そんな小さくも根深い悩みを抱え始めていました。
表向きは何の変化も見せず、ソフィーは城の家族と恋人と生活していたのですが。
ある春の日、ソフィーはハウルと連れ立って、街に買い物に来ていました。
「ねぇソフィー。」
「なぁに?」
ハウルは荷物を持っていない片手をソフィーの手のひらと合わせて握ります。
「あ…ハウル…。」
恥ずかしがるソフィーと半ば強引に手を繋いだハウルはとても嬉しそうで、
そんな彼を見てソフィーも愛しさをかみ締めました。
「ちょっと、貴方ジェンキンスじゃない?」
幾つもある名前の一つを呼ばれ振り向くと、そこには長い金髪の派手な
服装の女性が立っていました。
「随分ご無沙汰ね?最近ちっとも顔を見せてくれないんだもの。」
「ああ…君は…。」
「髪を黒くしちゃったの?貴方の金髪が好きだったのに。」
ふと、女性が視線を落とすとハウルに寄り添うようにして隠れている少女が一人。
「あら?どうも音沙汰が無かったと思ったら新しい女の子見つけたの?今度は若いわね。」
この女性はハウルと何かあったのだ。ソフィーはそう直感しました。
「あのねこの子は―――」
「久しぶりだもの、いつもの所行かない?ちょっと…ね?」
女性はハウルの言葉を遮り、彼の腕に胸を押し付けます。
「お子様はほっといて。部屋なら空いてるから。」
「…やめてくれないか?」
自分の目の前で交わされる会話とその光景。疎いソフィーにも、
それがどういう意味を持っているかは分かります。自分の知らない彼の過去。
ずっと気になっていた事を目の前に突きつけられて、ソフ
ィーの心は暗くてドロドロしたものに包まれ、居ても立ってもいられなくなりました。
「何よ元恋人に対してー。冷たいわねぇ。」
「!!??」
「ソフィー!?」
気が付いた時には体が動いていました。ハウルと女性に背を向けて、
脇目も振らず駆け出します。ソフィーは全力で走りながら、
先程の会話を振り払おう考えないようにしよう、そう頭の中で繰り返していました。
しかし、いくら振り払おうとしてもそれははっきりと焼き付いたままで離れません。
知らず彼女の視界は滲んでいき、頬を暖かい雫が伝い落ちました。
ソフィーは息を切らし何度も人にぶつかりそうになりながらも、
城に続くドアに辿り着いて中に駆け込みます。
「あれソフィー、早かったねぇ。おや?お前さんどうし―――」
居間には荒地の魔女が居て様子のおかしいソフィーに声をかけましたが、
彼女はそれには答えず自室に走りこみ閉じ篭ってしまいました。
「やれやれ…喧嘩かい。」
荒地の魔女が大きなため息をつくと、そこにハウルがドアを乱暴に開け放って
駆け込んできました。
「ソフィー!!」
「これ、何があったんだい?ソフィーが泣きながら凄い勢いで帰って来たよ。」
「いや…それが……。」
うろたえたハウルがしどろもどろになりながら事情を説明すると、
荒地の魔女はまた大きなため息を一つ。
「はあー…それじゃソフィーも泣くね。昔の放蕩が跳ね返ってきたねぇ色男。」
「う……。」
痛いところを指摘されたハウルは、何も言えません。
「さて…このままじゃあの子も可愛そうだからね。
ちょっと私が様子を見て来ようかね。あんたはここで大人しくしてな。」
「えっ!?」
「ほっほっほ、女同士の話だよ。」
そう言うと、荒地の魔女は杖を支えにのっそりとソフィーの部屋に向かいました。
その頃、部屋に閉じ篭ったソフィーはベッドの上で膝を抱えて座りながら、
酷く悲しい気持ちに襲われていました。
目の当たりにしてしまった愛しい彼の過去の一部。自分以外の女性の存在。
あの女性は綺麗で活発そうで、それに比べて自分は…。
自分と他人を比べて自らを過少評価してしまう、それがソフィーの悪い癖です。
今まで地味な生き方をして来た自分はハウルと出会って変わることが出来ました。
もちろん初めてのキスも初めて抱かれたのも相手はハウルだし、
自分が彼によって染まっていくというのは恥ずかしくもあり、嬉しくもあります。
しかし自分と再会する前の彼の事を考えると。
素敵な彼だけに昔からモテていたでしょうが、他の女性とそういう事を
していたかと考えると、ソフィーの心はドロドロとした嫉妬に満たされてしまいます。
顔が熱くなって、涙が止まりません。
そんな時。
コンコン…
「ソフィーや、ここを開けとくれ。」
ドアの向こうから荒地の魔女の声が聞こえてきました。
「……おばあちゃん。」
「大丈夫だよ、ここにはあの男は居ない。私だけさ。さぁ、開けとくれ。」
その声に導かれるままソフィーはフラフラと歩み寄り、
鍵をかけていたドアをそっと開けました。そこに居たのは本当に老婆ただ一人。
「どれ、私も部屋に入れとくれ。誰か来るのが嫌だったらまた鍵をかけておきな。」
そう言って荒地の魔女はのっそりと、しかし隙の無い動きで
部屋に入って来てしまいます。
そのままゆっくり歩いてベッドに腰掛けると、一息ついてソフィーに問いかけました。
「どうしたんだいソフィー?あんたひどい顔してるよ。あの色男と外で喧嘩でもしたのかい?」
当然ながら見抜かれていたと観念したソフィーは、
荒地の魔女の隣に腰掛けポツリポツリと話し始めます。
「お買い物の帰りに…女の人と会ったの…。ハウルの事前から
知ってる人みたいで……その人、ハウルをいつもの所に
行こうって誘って…彼にべったりくっついて…。」
話しているうちにその光景が思い出され、また目の前がぼやけてきました。
「部屋なら…空いてるからって……。その人…元恋人って…言って……。」
段々と支離滅裂になってきましたが、
その話から荒地の魔女は大体のあらましを掴みました。
「と言うとあれかい?ハウルの昔の女に会っちまったわけだね。」
涙をポロポロと零しながら、ソフィーは頷きます。
「こう言っちゃなんだけど、多分その女ハウルと―――」
「そういう…こと…してたん…だと…思う…。」
ソフィーが涙声のまま、荒地の魔女の言葉を遮って言いました。
「さすがのあんたも気付いてたのかい…。」
「私…悔しくて…。私の…知らない…昔の…彼を…他の女の人が…
知ってる…って…。すごく…胸が…痛くて…心が黒く…もやもやしてて……。
でも…こんな自分は嫌…で…。」
「そりゃ仕方ない。あんたあの男の事が好きなんだろう?やきもちやいて当然、普通だよ。」
それまでずっと話を聞いていた荒地の魔女が語り始めます。
「まぁ男なんて仕方の無いものだからね。あの色男も以前は
そうとう遊んでたんだろう。女の一人や二人居てもおかしくないね。」
「…………」
ソフィーは涙を浮かべたまま俯いて黙り込みますが、
「でもまぁ昔の話だからね。今はあんたの事しか見てないと思うんだけど?」
その言葉に顔を上げました。
「後は本人の弁解でも聞きな。」
そして、よっこらせと言いつつ立ち上がった荒地の魔女は、
またのっそりと部屋を出て行きました。
一人部屋に残ったソフィーが再び物思いに耽っていると、
徐々に近づいて来る足音に気がつきます。
間違えようもない聞きなれたそれ。やがて足音は部屋の前で止まり、
コンコン…
しっかりとしたノックの後、ソフィーが今一番逢いたくて、
でも逢いたくない彼の声が聞こえました。
「ソフィー?…入るよ?」
結局鍵をかけるのを忘れていたのを思い出し、どう顔を合わせたらいいのか
分からなくなったソフィーは、とっさにドアに背を向けました。
急に走って逃げて来てしまった上に、この泣き顔はとても見せられません。
「ソフィー…さっきは…。」
「……あの人、ハウルと付き合ってたの…?」
ソフィーは振り向かずにハウルに問います。声が震えていたかもしれません。
背中で彼が一瞬怯む気配を感じましたが、それはすぐに消え、
ハウルはしっかりとした声で言いました。
「うん、前にね。一応お付き合いはしてた。」
分かってはいても、自分から聞いたことであっても、本人の口から言われると
やはりショックでした。また涙が頬を伝います。
「……そう。」
「でもね、それは前の話で…もう別れた後だし今は何とも思ってない。」
「……ハウルは…何人とお付き合いしてきたの…?沢山…?
色々慣れてるのはそのせい?」
今まで気になっていた事が涙と一緒に溢れ出して止まりません。
こんな事を言いたいわけじゃないのに。今の彼を責めるなんて、
見当違いもいいところなのに。
「確かに以前は言い寄ってきた女性は沢山いたけど、
僕には心が無かったからね。恋とか愛とか、そういうのは考えてなかった。」
ハウルは震えるソフィーにそっと近づいて、彼女を背中から優しく抱きしめます。
「それでも…心が無くても、星降る夜に出会った君の事は
ずっと気になっていた。逢いたかったんだ。」
その言葉にソフィーは顔を上げ、ハウルの方に振り向きました。
「付き合っていた女性を抱いている時でも、
僕の頭の中にはあの時の君しか居なかったんだよ?」
自分を見上げてくるソフィーの頬には涙の跡が残り、
泣き腫らした目は赤い。彼女がもうこんな事で泣かなくてもいいように、
ちゃんと自信が持てるようにと願いながら続けます。
「今僕に必要なのはソフィーなんだ。他には誰もいらない。ソフィーだけを愛してるよ。」
しっかりと聞いた彼の言葉。ずっと聞きたかった言葉。
ソフィーは体ごと振り向いてハウルに抱きつきました。
彼もそれをしっかりと受け止め、強く抱きしめます。
「ハウル…ごめんなさい…。」
「謝らないでソフィー。僕が悪かったんだよ。」
ハウルの胸で暫く泣いていたソフィーはやがて顔を上げ、
ハウルを見つめて彼の髪に手を伸ばします。
「私は…貴方の黒い髪が好き。ありのままのハウルがいいの…」
「うん。僕、昔はこの黒髪が好きじゃなかったけど今は満更でもないんだ。
ソフィーが好きだって言ってくれるし。それに……」
「??」
「星色と夜空色。僕達の相性はバッチリだと思わない?」
彼はそう言ってソフィーに口付け、そのままゆっくりと押し倒しました。
「今すぐソフィーが欲しい…。だめかな?」
ソフィーは顔を赤くしましたが、コクリと頷きます。
ハウルの愛情を体で感じたかったのです。
二人のベッドには夜空と星のコントラストが広がっていました。
最初は浅く段々と深く、僅かに開いた唇から舌を滑り込ませて
自分と彼女のそれを絡ませます。ぎこちないながらソフィーも
ハウルを求め、彼の首に腕を回しました。
ちゅっ…ちゅく…
室内に響く微かな水音。熱く濡れたビロードのような
ハウルの舌が自分のそれを絡みとると、ぞくりとした快感が走り抜け、
深い口付けがなおも続きます。
「ああ…ソフィー…。君とのキスは止められないよ…。」
上ずった低い声でハウルが囁きました。
彼が自分の名を呼んで夢中になっている。この時だけは間違いなく自分だけを
見てくれている。ソフィーはそう思い胸を熱くしました。
ハウルは、ソフィーの首筋に口付けを落としながら彼女の服を
脱がせていきます。外は既に夕闇に覆われ始めていて、
僅かに残った夕日だけが窓から刺し込みソフィーの肌を照らします。
その光による意外な艶かしさに、ハウルも急くように服を脱ぎ捨てました。
素肌で触れ合う感覚がとても気持ち良くてソフィーが体をすり寄せると、
ハウルはそんな彼女の首筋をきつく吸い上げて濃赤の花を散ら
します。そして舌で辿った先の鎖骨を舐め上げると、
ソフィーの口からは声が零れ落ちました。
「あっ…んっ…」
やがてハウルの大きな手はソフィーの白い胸へと伸び、
ゆっくりとした手つきで揉み解します。柔らかい胸は、
しっかりとした張りを失わずにハウルの手の中で形を変え、
わざとその中心には触れずにいると、やがてそれは存在を主張するかのように
硬くなりました。それを見たハウルは体の熱が一点に集まり
首をもたげていくのを感じてたまらなくなり、
彼女の胸の蕾をぱくりと銜えて舌で転がします。
「ふあっ!あっ…あっ…あんっ!!」
焦らされた後にいきなり襲ってきた強い刺激に、ソフィーはたまらず声をあげました。
そんな彼女をさらに煽るかのように、ハウルは胸の蕾を舐めしゃぶり
吸い上げ甘噛みをして快楽へと攻めたてます。
その激しい愛撫にソフィーの秘部はとろけて零れるほどになっていて、
それに気づいたハウルは悪戯っぽく笑うとそこに顔を埋めました。
「!?やっ…だめっ…」
今だその行為には慣れないのかソフィーは抵抗を試みるも、
既に彼の愛撫で力の抜けた体は言うことを聞きません。
ぴちゅ…ちゅくっ…
ハウルは、秘唇から滴り落ちそうな雫を丁寧に舐め取っていきますが、
後から後からそれは溢れてきてきりがありません。
茂みに隠れる核にも舌を伸ばすとソフィーの体は快感で大きく跳ね、
彼女の中に指を挿し入れればそこはぬるぬると暖かく、きゅっと指を包み込みます。
二本の指で中を丁寧にかき回しほぐしていきますが、顔を紅潮させて悶える
ソフィーを見ているうちにハウルは我慢できなくなり、
彼女の足を抱え上げてひくつくそこに自分の硬く猛ったモノを押し付けました。
「ソフィー…一つになろう…」
ぬちゅっ…
十分に濡れてほぐれたそこはスムーズにハウルを向かい入れました。
奥まで侵入したハウル自身にソフィーの内部は暖かく絡み付いてきます。
「ソフィーの中あったかいね…気持ちいいよ…」
「あ…のっ…」
「うん?」
「あの…女性(ひと)よりもっ…?」
「!?」
ハウルは一瞬驚きの表情を浮かべたましたが、すぐに優しい顔になりました。
「通りすがり程度の女性と、何年間も恋焦がれた君とは
比べものにならないよ…。僕が本気なのは君だけ。ソフィーが一番さ」
そしてソフィーに優しい口づけを一つ落とします。
「夢にまで見た君をこうして抱いた時、僕がどれほど嬉しかったか分かる?」
そう言って彼は笑顔を向けた後、ゆっくりと腰を動かし始めます。
ぬちゅっ…ずちゅっ…
ソフィーは、自分の中を一杯に満たす彼の熱と存在感に
堪らない快感と一体感を得て、いつもは中々言えない想いを口にしました。
「ハウルっ…が…大好きなの…あっ…!」
そう言うとソフィーはぎゅっと彼にしがみつきます。
その仕草に愛しさがこみ上げ、ハウルは興奮するのを止められませんでした。
「そんなにやきもち妬いてくれたんだ。」
「だっ…って…。」
「ごめんね。でも凄く嬉しい。」
そして、ハウルも負けじと強くソフィーを抱きしめて深く口付け、
彼女の中を奥深くまで突き上げて自身をぎりぎりまで引き抜く動きを繰り返します。
そうかと思えば奥にぐっと挿入したまま中をぐちゅぐちゅとかき回したり、
腰の動きを小刻みにしたりと休む間もなくソフィーを攻めたてました。
やがてハウルも限界が近づくと動きが大きく激しくなっていきます。
ずっ…ずちゅっ…くちゅっ…
「んっ…あっ!あっ!あんっ…ふぁっ!」
ハウル自身によって十分に高まった快感は、
ソフィーを頂上に向かって押し上げていきました。
「あっ…ああっ!!はぁんっ!んっんっ!!ハ…ウル…!ああんっ!!」
ソフィーが一層大きな声を上げ絶頂に達すると、
彼女の内部はハウル自身にきつく絡んできゅっと締まり、
「くっ…あっ…ソフィーっ!!」
限界を迎えたハウルはソフィーの奥深くにどくどくと熱い精を放ちます。
そして体内に注がれるそれを感じながら、ソフィーは意識を手放しました。
(暖かい…。とても安心できる大好きな匂い。ここは…私だけのもの…誰にも渡さないんだから…。)
「―――ソフィー?」
はっと気がつくと、そこには愛しい彼の優しい笑顔。
ハウルにしっかりと包まれてソフィーは目を覚ましました。
「大丈夫?」
「…うん…」
先ほどまでの激しい行為を思い出して、ソフィーは隠れるように
ハウルの胸に顔を埋めます。そんな彼女を見てハウルは嬉しそうに微笑みました。
「あのね、相手が気絶しちゃうほど僕が夢中になるなんて、ソフィーが初めてなんだよ。」
「…えっ?」
「ソフィーの事が好き過ぎて歯止めが利かないんだ。」
「そう…なの…?」
「だから、もっと自信を持って。誰が何と言おうと、君は僕の一番で、何よりも大切なんだ」
「……うん…」
「ソフィーは僕だけのもの。それと同じで僕もソフィーだけのものなんだよ」
「…ありがとう…ハウル…」
ソフィーの頬を伝うのは、同じ涙でも今度は幸せの涙。
暖かいそれは心までをも満たし、幸せな気持ちを溢れさせました。
この後、街で再び出くわした元恋人が二人のラブラブっぷりに
そそくさと退散したというのは、また別の話…。
END
以上、ハウルの昔の女に嫉妬するソフィーでした。
拙作は変にねちっこいです。
久しぶりにハウソフィのエロ文を書きたくなってきました。
それではまた。
ぅわーい!七さんだぁー!(´∀`*)
七さんのお話はエチ-くて、そしてほのぼのもあって大好きです。
今後も作品ができた時は投下してください〜うまし糧ゴチでした!
非常にソフィーらしいかわいらしさにみもだえ。こんな可愛い嫉妬…!
ハウルもそりゃがんばりますよね。
素敵なお話ありがとうございます。
269 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 07:04:04 ID:I+ThEjqe
GHIBLIESのとこの管理人キモいな
ジブリとかムーミンとか明らかに著作権に違反しているものを使ってるくせに転載禁止なのか
まさか自分に著作権があると思ってるのだろうかww
>>254-265 うまし糧キター!
わー、お互いに思いあってる感じとソフィーの独占欲がイイですね。そして得ろいす。ハァハァ。
なんかカコログでしか知らなかった職人さんのを読めて嬉しい。
ご馳走さまです。
ホシュ
一本投下させていただきます。七さんの後でやりにくいなぁ……。
傾向 映画 ハウソフィ べたべたエロ ちょっとハウルさん鬼畜
はぁはぁと息も絶え絶えのソフィーが、苦しそうに身をよじった。足の間からはとろりとした愛液が際限なく溢れ返り、シーツにしみを作っている。
「ハっ……ハウル……もう、だめ……苦しい……」
ソフィーの懇願にも、ハウルは軽く微笑むだけで答えない。彼の指は、濡れそぼった彼女の中にうずめられ、小刻みに動いている。
「お願い……もう……」
「言ってよ……ソフィー、どうして欲しい?」
ハウルの声は優しく、彼の顔は楽しそうだった。ソフィーはその全てに翻弄され、首を振るばかり。銀色の髪が闇に軌跡を描き、彼女の体が急激に震え出す。
「あ、あ、あ……」
「言ってくれないと……」
ハウルの指が、ある一点を擦り上げた。何度も、何度も指を滑らし、その度にソフィーが喉をのけぞらす。
「ずっと、指だけだよ」
「あぁっ!」
ソフィーが短く声をあげ、シーツの中に沈みこんだ。ハウルの指をくわえ込んでいるところは、さらにきつく締まり、じゅぷ、と濡れた音が生まれる。
「ねぇ、ソフィー…それでもいい?」
「やぁ……」
囁くようにハウルが問い、ソフィーの中をかき混ぜた。真っ赤に上気した頬に、
涙が伝って落ちていく。
「ソフィー、ねぇ」
「ハウル……」
陥落寸前、といった様子のソフィーに、ハウルは笑み崩れるのをとめられなった。
かわいい奥さんが快楽に溺れきって彼を求めているのだから、
それも無理もないことだろうが。
「お願い、ハウル……きて……私、もう…」
ソフィーの哀願に、ハウルは内心拳を握り締めた。それから、焦らすように
ゆっくりと覆い被さり、熱く潤んだ秘所を押し広げた。
そして自らのそそり立ったそれを入れようと、腰を落とした――――その時。
トントン。
ノックの音が響き、二人の動きが止まった。でも、弾みがついてしまっているので、
ハウルは無視を決め込んで、ソフィーにキスを落とした。
「ソフィー?」
ドアの外から、涙声のマルクルがソフィーを呼んだ。ハウルに組み敷かれている
ソフィーの顔色が、一瞬で変わった。
「ソフィー、寝てるの?ソフィー、入れて?」
マルクルはぐずぐずと鼻をすすっている。泣いているらしい。ソフィーは
申し訳なさそうにハウルを見上げると、首を振って起き上がった。
「ソフィー!」
マルクルの手前、ハウルは押し殺した声でソフィーに抗議した。
彼女は声には出さずにごめんなさいと囁くと、夜着を頭からかぶる。
「あなたも、はやく」
ソフィーが早口でそういい、ハウルの夜着を差し出した。彼は驚きに目を見開き、
憎憎しげにドアの外をにらんだ。
「ソフィー、いい。放って置いたらいい」
「だめ、かわいそうよ!だって泣いているのよ?」
さっさとして、とソフィーが手をひらひらさせた。それは、先ほどまで色っぽく
喘いでいた人物と同じとはおおよそ思えないようなさばさばした仕草だった。
ハウルはむぅ、とふくれたまま彼女を見ている。
ソフィーは早々にベッドを下り、ドアをあけた。廊下で何かマルクルと
話しているようだ。すぐに終わって戻ってくるだろう、そうしたらさっきの
倍いじめてやるとせこい腹いせを考えていたハウルは、彼女が
部屋に戻ってきた時に幼い弟子を伴っていたことに、卒倒しそうになってしまった。
「ハウル」
ソフィーは、上目遣いにハウルを見ながら訊ねた。
「マルクル、ここで寝かしてもいいかしら?」
「本当に怖い夢だったんだよ―――大きな黒いものが空から降ってきて、
僕のことを追い掛け回すんだ!お化けみたいなうめき声で、それで、僕……」
「マルクル。今日はもう寝なさい。大丈夫、もう怖い夢は見ないわ」
マルクルは興奮した口ぶりで、ソフィーに悪夢の内容を話している。
ソフィーはハウルのじとーっとした視線に耐えながらも、懸命に
幼いこの少年を寝かしつけようとしていた。
「ソフィー、今日はずっと一緒に寝ててね」
「大丈夫、解ってるわ」
今の状況は、ソフィーを真ん中にして、両端にハウルとマルクルが寝ている
状況である。ハウルとしては非常に不本意だ。
未だ疼いている体をどうにも出来ないことに苛々し、ソフィーがあっさり
マルクルをベッドに入れたことに苛々し、そしてマルクルがソフィーを
独占していることに苛々している。おかげで、秀麗なはずの眉間には皺が
よりっぱなしだし、口はへの字にひん曲がっていた。
「おやすみ、ソフィー」
「おやすみなさい、いい夢を」
そう言ったときに、ソフィーがマルクルの頬にキスをした。ちゅ、という軽い音に、
ハウルの頭に一瞬で血が上った。
「やっと眠った。マルクルね、怖い夢を見たみたいなの」
ソフィーがハウルに向き直った。彼はむっつりと黙りこんでいる。
「知ってる。同じ部屋にいたんだ、それくらい聞こえるよ」
同じ部屋、を強調した言い方に、ソフィーが唇を噛んだ。ハウルが怒っている。
しかも、かなり。
「ハウル……だって、マルクル泣いていたのよ。かわいそうだわ」
ソフィーがささやかな反論をした。でも、ハウルの不機嫌な顔は崩れない。
ばつが悪くなったのか、彼女は視線をさげた。
「私だって、その……残念だけど」
ハウルが信じられない、というように眉を持ち上げた。その仕草に腹を立て、
ソフィーは彼に背を向けた。
「信じられない!あなたは泣いている子供より、自分のことのほうが大事なの?
マルクルはまだほんの子供なのに!」
もう知らない、とソフィーは毛布を引き上げた。そのまま不貞寝を決め込もうと
する彼女に激昂したハウルが眉を寄せ、それからすぅっと腕を毛布の中に突き入れた。
ハウルの手は毛布とシーツの間を進み、ソフィーの夜着をめくった。
先ほどの名残で濡れたままの秘部に、指を這わせる。
「っ!ハウルっ!」
押し殺した声で、ソフィーがハウルを怒鳴りつけた。でも、彼は知らん顔で
指を進めていく。そのまま、指は先ほどのように彼女の内部に埋められ、
やがて湿った音が漏れ出す。
「っ……ぅくっ……ふ………ん」
ソフィーの口から、くぐもった喘ぎ声がこぼれる。隣にマルクルが眠っている手前、
指をかみながら耐えているようだ。
「まだ、ほんの子供?」
ハウルの声が、ソフィーの耳に流し込まれた。彼女の体がびく、と跳ねる。
「子供なら、ベッドに簡単に入れてあげるの?かわいそうなら、ソフィーが
ぬらしたシーツに寝かせてあげるの?」
ソフィーの顔がかあっと赤くなった。ハウルは彼女の耳を甘噛みし、
ぴちゃぴちゃと音を立てて嘗め回す。
「いやっ……お願い……せめて、外へ……」
「―――そうして、清らかなふりをするの?」
嘘つき、と低い声が囁く。同時に、ほんのり隆起し始めた肉芽の皮を剥き、
そこを指でつつく。
「っあ!」
ソフィーの腰が跳ねた。ハウルはそ知らぬ顔で彼女を嬲り続ける。
「やめてっ……マルクルが………起きちゃう」
ソフィーの懇願にも、ハウルは動かされない。それどころか、体を摺り寄せて
きて彼女の夜着を捲り上げた。そのまま彼女を後ろから抱きこむと、一気に貫く。
「ぃっ!……ひぁぁぁぁぁっ!」
声があがり、ソフィーは慌てて口を抑えた。マルクルが、ん、と軽く身じろいだ。
「ハウル!だめっ……あっ、本当に…ん、起きちゃ、う!」
先ほどまでさんざん焦らされていたせいか、ソフィーの体はいとも簡単に
ハウルを受け入れた。それどころか、自然と律動をしては彼を奥へ奥へと
誘うように蠢く。
「やめていいの?今この状態で、ソフィーは大丈夫?」
ず、と奥まで突き上げられて、ソフィーは目を堅く瞑った。咥えていた
人差し指を、血が滲むほどにきつく噛み締める。んん、と喉の奥から漏れる
くぐもった喘ぎが響いた。
ハウルは加減することなく、速い動きで彼女を攻めためた。最奥まで入れ、
かき回すように動かしたかと思えば、緩急をつけた動きで腰を前後させる。
その度に、ソフィーの顔が絶望と快楽に引きつる。溢れ出る涙が嗜虐心をそそり、
彼は余計に腕の中の少女を嬲った。少女が逃げ出そうと伸ばした手が、
何度も何度もシーツを握りなおした。
「も…やっ!おねが……あぁあ…あっ…いやぁ………」
ソフィーの体は小鳥のように震えている。涙が頬を伝い、シーツを湿らせた。
慌てて指を噛み締める彼女の体を反転させ、ハウルが覆い被さる。
その瞬間にかかった圧力に、声にならない悲鳴があがった。
「声、聞かせてよ……ねぇ、ちゃんと聞かせて?」
ハウルは笑っている。残忍な悪魔のような顔で、青白い月光がよく映える
冷たい微笑を浮かべて。ソフィーは泣きながら彼から顔をそむけた。
シーツに腕を押さえつけられては、唇を噛み締めることしか出来ない。
声がもれてしまえば、マルクルが起きてしまうし、現場をみられてしまう。
何より、こうされる事がソフィーにとっての恐怖だった。この姿勢はいつも
彼女に展翅版の上の蝶を連想させ、無力な己を思い知らされる。
そして、舐めるように上下する彼の青の瞳と、鮮烈な視線に犯されることも
恐ろしかった。
「も……ダメ………」
ぜいぜいと肩で息をし、ソフィーは一切の抵抗を止めた。泣きながらハウルを
見上げ、限界を示す。彼はにっこりと微笑むと、わななく唇を奪った。
ベッドが、ぎしぎしと悲鳴を上げる。
「ソフィー…気持ちいいだろう?」
「あっ…や……んっ!ふぇ……っぁ」
ソフィーが言葉にならない喘ぎを洩らし、ハウルの手に指を絡めた。
しんと静まり返った部屋に、いつものように甘ったるい嬌声が満ちる。
「あぁ……も、やぁ……なんでぇ……っ?」
隣に眠るマルクルは背を向けていてくれる。それだけが救いだった。
ソフィーは声があがりそうになるたびにハウルに唇を押し付けて、はしたない
喘ぎを殺した。ぐちゅ、ぐちゅと結合部からもれる淫液の音すら、
気になって仕方がない。
「ハウル……も、わたし………ダメ…っ……」
「じゃあ、一緒にいこう……」
ハウルがソフィーの頬に唇を寄せた。それを合図に、二人はいっそう深く絡み合い、
腰を進めていく。迫り来る絶頂の影を感じ、彼女が体をすくめた。
「ソフィー……」
「ああぁっ!あ、あ、やっ!あ、あぁぁあ!」
細いからだが弓なりにしなり、ソフィーが歌うような高い声を上げて果てた。
ぎゅ、と彼女の内部が縮まる。
「く……っあ!」
ハウルも耐えられず、遂に欲望をソフィーの中に吐き出した。
体の奥に感じる灼熱に、彼女がうめき、それからぱたりと意識を失った。
マルクルは固まっていた。目覚めてから約二分、彼は目を見開いたまま固まっていた。
この哀れな少年は、今は彼の師匠とその妻である少女のベッドの中にいる。
夜半に見た悪夢に怯え、少女に泣きつき入れてもらったベッドだ。それ位は
わかっている。
「……えーと……」
ちらり、と視線を流せば、大きな背中が規則正しく上下していた。
艶々の黒髪がシーツに散らばっている様はなんともいえずに美しかったが、
問題はそこではなかった。
「……ハウルさん?」
眠りに落ちる寸前、彼の横に眠っていたのは少女だった。だが、どうしてだろうか、
今この時彼の横で寝息を立てているのは、彼の師匠である。
「ソフィー?」
二人は熟睡しているようだ。すぅすぅという寝息ばかりが聞こえる。
マルクルはそっと起き上がると、彼らを覗き込んだ。
「………」
ハウルは、しっかりとソフィーを抱きしめていた。誰にも渡さない、というかの
ようにきつく。よく寝苦しくないなぁ、とマルクルは呆れたように息を吐いた。
ソフィーもソフィーで、ハウルのシャツがくしゃくしゃになるほど握りしめている。
「……まだ、起きないのかな」
よく見ようと二人に顔を寄せれば、奇妙な匂いが鼻をついた。
彼らは気にも留めていない風ではあるが、マルクルにとってはかぎなれない、
異様な匂いだった。
「……ル?」
その時、ソフィーが小さく寝言を発した。マルクル、と呼ばれた気がして
少年はすくみあがったが、彼女は口元をほころばすと、ハウルの胸に
頬を摺り寄せた。
「あー……」
大方(というか、もはや絶対と言う確信であったが)、彼女が呟いたのは
『ハウル』という言葉であろう。
やはり、自分が招かれざる客だったのだと言うことを思い知り、マルクルは
急に冷めた気持ちになった。彼は顔をしかめると、なるだけ音を立てないように
してベッドを降りた。
それから、静かに部屋を出て行った。寝息は、未だ途絶えない。
「マルクル、一体いつ自分の部屋に帰ったの?」
明るいキッチンの中で、(彼女が寝坊したために朝昼食となってしまった)食事の
用意をしながら、ソフィーが不思議そうに訊ねた。彼女の隣で
野菜の皮を剥いていたマルクルが、妙に大人びた仕草で肩をすくめた。
「朝、早く起きたときに」
「そうなの?全然気付かなかったわ。何なら、そのときに起こしてくれたらよかったのに」
そうすれば朝ご飯の支度が出来たわ、とソフィーが残念そうに言った。
マルクルは溜息をつきながら包丁を動かしている。
「だって、ソフィー、すっごく気持ちよさそうに寝てたし。起こすのも悪いなって」
「変な気を使わなくてもいいのに。大人みたいね」
ソフィーがからからと笑った。マルクルは眉根を寄せると、皮を剥き終わった
野菜と包丁を彼女に押しやった。
「はい、出来たよ。それから、僕、もう怖い夢を見てもソフィーの所には行かない」
マルクルの宣言に、ソフィーが目を丸くした。
「どうして?いいのよ、遠慮しなくても」
ううん、とマルクルは首を振った。栗色の猫っ毛がふわふわと揺れる。
「確かに、ソフィーのベッドに行けば怖い夢は見ないけど、変わりに
もっとすごいもの見ることになるから」
その一言に、ソフィーがぼっと赤くなった。マルクルはやれやれ、というように
首を振って台所を去ろうとした。しかし、寸での所で彼女に捕まえられる。
「マルクル!あなた、起きてたの?」
「起きてたから見たんだってば」
「〜〜〜〜!!」
ソフィーが顔を両手で覆ってその場にへたり込んだ。耳朶まで赤く染めている。
「……別に、気にしてないよ?ただ、ソフィーってやっぱりハウルさんしか
見てなんだなぁ、と思っただけ」
じゃあ、僕ほかにもやる事があるから、と言い残し、マルクルはさっさと
台所を出て行った。ソフィーは相変わらず、顔を覆ったまま固まっている。
「ソフィー!鍋!焦げてる!」
カルシファーが悲鳴を上げても、かちこちに凍りついたソフィーは動かなかった。
焦げ臭いにおいを感じ取り、ハウルがキッチンに飛び込んでくる。
「ソフィー!一体どうしたの?」
慌てて鍋を持ち上げたハウルを、ソフィーは涙目でにらみつけた。
きょとんとしている彼の脛を、彼女は無言で殴りつけた。
「いっ!?」
「ハウルのばか!私、もう恥ずかしくて生きていけない!!」
わんわんと泣き出したソフィーを、ハウルがどうにかなだめようとする声が
聞こえる。それらの賑々しい音を聞きながら、マルクルは何だかひんやりと
冷えてしまった心を持て余していた。これは一体何なんだろう、と
ハウルの持っていた医学書をめくってみたが、そんな症状は載っていなかった。
あーあ、とマルクルは溜息をつき、その分厚くて重い本を閉じた。入れ変わりに、
悪夢を見ないためのまじないを探すべく、ハウルがくれた魔法所に顔を埋めた。
マルクルの初恋はソフィーだと可愛いです。しかも、あと何年か経って
自分にも彼女が、その子に出来て初恋の人ってどんな人だった?って訊ねられたときに
あぁ、そういえば……ぐらいの淡さがいいですww
>七面鳥さん
……ぶっちゃけファンですwwなんか、生で遭遇するのは初めてで
感動しました。ソフィー可愛いしハウルかっこいい(´∀`*)
二人のスタンスがすっごい好みです!また来てください!!
書き手控え室スレ
287 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 09:18:46 ID:0cOfsEKl
恥ずかしがるソフィーが可愛くて身悶えました(´∀`)
250さん、乙です。
マルクルの横で本当に始めてしまってドチドチしますた
途中まで、ハウルさんが魔法で起きないようにしてるとばかり…
鬼畜ですね!(萌え)
ひとつ大人になったマルクルですなw「もっとすごいもの見ることになるから」の
セリフに笑いました(*´д`*;)
250さんの、ソフィータンに対してちょい(かなり?)イジワルなハウルさんに
毎回萌え萌えしてまつ!!次作も楽しみにお待ちしてまつv
翻弄されるソフィーにドキドキしました。ハウル大人気なくてステキ。
そして、冷めてるけどなんだったかわかってはいないマルクル萌え!
スレタイのDWJの意味に今気付いた
>>285 恐縮です(;´Д`)
新作書くのは半年ぶりなので、自信ナス。
以前書いた、何も知らないソフィーに…という感じとは少し違った初夜話です。
ハウソフィ映画版・一応エロ(まだエロ部分に辿り着いてないけど)
途中まで。
それは、二人が結婚するほんの少し前のお話。
この空飛ぶ城で暮らす奇妙な家族たち。その中心にいるのは
魔法使いハウルと、彼が長年恋焦がれた少女ソフィー。
二人は一応恋人同士で、確かな言葉は今だ無いがそれでも幸せに過ごしていた。
彼らはまだキスから先に進んでいない清い仲だが、状況や時の流れという物は
刻々と変わって進んでいくのだ。
ある夜のこと、魔法の扉が切り替わり音をたてた。ソフィーは手にしていた
縫い物をする手を止め、扉に駆け寄り仕事から帰ったハウルを出迎えた。
「お帰りなさい」
「ただいま…」
その言葉と同時に抱きしめられ、ソフィーは彼の腕の中に閉じ込められてしまう。
見かけは細いのにしっかりとした男の人の体。微かに感じる香水の匂い。
どれもハウルの存在を際立たせる感覚ばかりで、ソフィーはどきどきと胸が高鳴った。
そしてこの後の事は決まっている。
「…ソフィー」
「…んっ……」
彼の整った唇がソフィーのそれに重なる。最初は触れるだけ、
やがて唇をついばむように、そして段々と深く。
二人の初めてのキスは触れるだけのとても軽いものだったが、
回数を重ねて行くうち徐々に深いものになっていった。
けれども、今だそれ止まりなのだ。
彼はしばらくの間ソフィーの唇を堪能して、ゆっくりとお互いのそれを離した。
二人の唇の間には一瞬透明な糸が架かってすぐに消えた。
ハウルにきつく抱きしめられて長くて熱い口付けをされている間、
ソフィーの頭の中は恥ずかしさと幸福感で一杯で、
同時に胸がきゅんと切なくなってたまらない感覚に陥る。
彼の唇が離れてしまうと緊張からの開放されて安堵するのと同じく、
彼の温もりが離れて行ってしまうような感じがして寂しくなってしまう。
そんなソフィーの心情を知ってか知らずかハウルは抱きしめていた腕を解いて、
「お風呂に入ってくるよ」
と言いつつ2階に行ってしまった。
「はぁ……」
ソフィーは真っ赤な顔をして高鳴る胸を押さえながらストンと椅子に腰掛け、大きく息をはく。
一緒に暮らし始めてから数ヶ月、今だ寝室は別で二人は微妙な
距離を保って暮らしていた。ハウルは気が長いのかその気が無いのか、
深いキスはしてくるもののその先には進もうとしない。
地味な自分に魅力が無いせいだろうか。
そんな事を考えてソフィーは日々悶々としているのだった。
続きはまた後ほど…
初夜キタ━━━━(*゚∀゚*)━━━━!
悶々とするソフィー(・∀・)イイ !
自分への自信の無さが現れてる乙女なとこもイイ。
期待してますよ〜。
続きが楽しみだ
ドチドチしつつほしゅ。
299 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 05:55:12 ID:UM4eHSkz
アニメ「火垂るの墓」が実写化され、11月1日にスペシャルドラマとして日テレ系で放送されます。
●終戦六十年スペシャルドラマ「火垂るの墓 ― ほたるのはか ―」
http://www.ntv.co.jp/hotaru/ 日本テレビ系 11月1日(火曜) 夜21:00〜 から放送。
キャスト : 松嶋菜々子/伊原剛志/生瀬勝久/要潤/井上真央
【松嶋】火垂るの墓【西宮のババア】
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/tvd/1123188729/ 「火サス」刷新、第1弾は松嶋菜々子主演3時間スペシャル「火垂るの墓」 2005/09/12
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/geinou/sep/o20050912_50.htm http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1126554841/ / :::::::::;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;:::::::::::::::::::ヽ
i゙:::;:::::||::::::,!i:::::::::::,|i::::::::::::::::::;:::::::::::::::::::::::::::::::゙i
i゙::::|;;;;| |;;;;;| |::::::::::| |:::::::::::::::::||::::::::::::::::::::::::::::::::|
. i゙::::::i ''''''''''' '───' |;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::
.|:::::::|,-====-´ ゙ヽ,,,,,,,,,,,,,、 |:::::::::::::::::::|
|;::::::::|,-──、 ~ニニ,,_` |:::::::::::::::::::|
`ヽ、i (、i´ノ ´い,, ノ ' |;;;::::::::::::::/
. i ^~~~ー==─ ー'-+、 /^゙-、;;;;/
{ ヽゝ '-'~ノ
λ ''゙゙''-''-─、 /-'^" なんで、あのオバチャンが
ヽ,_ ^~^ (
/`''丶、 , - /^l 主人公なん?
/ /( ノ `'''''''´~ _, - ' ~ ゙i、
{ / /| ̄ ̄ ̄ ̄ _,-'^¨ }
>>299 今のとこ、オールラウンドプレイヤー扱いって事では・・・
視聴率ゲッター?
はうるの声セクスィー!
ほっしゅ。
DVDもうすぐで楽しみだ〜。
ほしゅ。
DVDが待ちきれないー。
宮崎最大の駄作!
DVDもうすぐですねー。カウントダウン用にいくつか落とそうかと思いますが、
しばらく忙しいので連載になります。
七面鳥様の作品をお待ちの状態なので自粛しようかとも思うのですが…。
大丈夫でしょうか。
いつも乙です。250さんは気になさりすぎだと思います。
もう少しあっさり構えていいんじゃないかと思いますよ。新作楽しみにしています。
250さんの大ファンです!!投下待ってますよー
過去スレ見たらぜんぜん並列で投下してますし、
タイトルで区別つくから平気ではないでしょうか?
過去職人様達もお待ちしてますー(´∀`*)
じゃあ投下します。目標はDVD発売までの完結ですが……どうだか。
ちなみに不定期です。
今日は、プロローグ?的な物をどばっと落とします。
傾向 映画 エロなし レティーとカブとソフィー
それでも、彼のことが忘れられない
彼は私の為にいるわけじゃないって、解ってるのに―――
レティーは立ちつくしていた。
手にした銀のトレイの上に乗ったポットは冷め、中のお茶はぬるくなっている。
ケーキも乾き、フォークの輝きさえくすんで見えた。
チェザーリの二階、厚ぼったいカーテンで仕切られたお得意様を通すサロンの奥で、
一人の男が泣いていた。ぽたぽたと透明な涙を流して、時にはその雫を拳でぬぐって。
男は金色の髪に端整な顔立ちをした、隣国の王子だった。
レティーの知り合いであり、また姉夫婦の友人でもある。
そして、彼は姉に焦がれていた。
涙のわけも、十中八九姉の関係であろう。彼は傍目から見ても滑稽なほど、
姉に傾倒していた。当の姉が、義兄だけをまっすぐに見つめているにもかかわらず。
『―――もともと、望みのない恋なのよ、泣く位なら、諦めたら良いじゃない』
そう言ってやりたかったけれど、そう言ったところで彼は泣き止まないだろう。
それ位、彼の恋は深くて純粋なのだ。自分に出来ることなんて、何もない。
“あなたの思いがもしも私に向いているなら、絶対にあなたにはそんな顔させないのに”
彼の透明な涙は、水晶のような涙は、とめどなく流れ続ける。
「………だけど、それもあたしの為にじゃないわ」
だから、レティーはただただ立ち尽くしていた。
ポットの中身が冷え切ろうとも、ケーキに乗った果物がかさかさに乾こうとも。
彼が泣き止み、顔を上げるまでは。
カブは急いでいた。ざわめく心を押し込めて、大股に道を行く。
寝る間を惜しんで書類を整理して、どうにか手に入れた時間は二時間。
一分たりとも無駄には出来ない。一秒だって長く、彼女といたい。
花屋の裏口の戸を叩くが、返事は返ってこなかった。鍵はかかっていなかったから、
不躾だとは思いながらも中に踏み込む。途端、つんとした臭いが鼻についた。
「ソフィー!」
床にうずくまるようにして、最愛の少女は倒れていた。脂汗の滲む顔は蒼白で、
口元は吐瀉物で汚れていた。
「どうしたんですか!?ソフィー、しっかりして下さい!」
カブは彼女を抱え上げて、寝室に運んだ。体は、頼りないくらいに軽かった。
「カブ……ごめんなさい。何でもないの、気分が悪かっただけ」
「嘘を言わないで下さい。そんなに具合が悪かったなら、言ってくれれば……」
彼女は弱弱しい微笑を浮かべて、カブを見上げた。
そんなにやつれた顔で、何でもない?
「ハウル殿は?話があります」
彼女をこんなにぼろぼろにさせるなんて、と思い思わず眉間に皺を寄せると、
彼女は信じられないくらいにつよい力で彼の腕を引き、首を振った。
「あの人にだけは言わないで!」
彼女の目は真剣だった。琥珀色の目は爛々と輝き、炎が灯ったようだった。
その声と目の力強さには勝てず、カブは睫を伏せ、足早に彼女の家を去った。
“もし、私が彼の立場なら、あなたをそこまで追い詰めたりしない”
彼女の思いは深い。ただ一途に、愛情を捧げ続ける。それしか知らない、愚かな子供のように。
「………だけど、それも私の為にではない」
だから、カブは急いでいた。ざわめく心を抑え、泣き叫びたくなる喉を押さえ、
傷ついた恋心を抱きながら、大股に歩いていく。太陽の化身のような、
明るい微笑を湛える、若い友人に会うために。
ソフィーは泣いていた。泣きながら、絶望していた。体調がもうずっと優れない。
食欲はなく、そのくせ吐き気はこみ上げてくる。けれども何も食べていないので、
胃液まじりの吐瀉物ばかりが出てきて、唇の端が焼けてしまっている。
ただでさえ美しくない顔が、余計に醜く見えた。彼は美しいものが好きだから、
きっと今の自分を嫌がるだろう。
月のものが来なくなって、もう二月になる。もしかして、という不安は
避け様のない確信に変わってしまった。妊娠している。
身に覚えがないといえば嘘になる。彼に求められたから、何もかも捧げて来たのだ。
身も、心も。それに、自分は彼の妻であるわけだから、それは自然の摂理だ。
何より、そうされる事は嫌いではなかった。彼は優しく、自分をとても愛してくれる。
そういうことが解るから、寝台を共にするはむしろ好ましかった。
だけれど、妊娠だけは想定外だった。いつか、本屋の娘が子供を生んだという話を
したとき、彼はどこか哀れんだような目をしていた。
戯れに、子供が生まれたらどうする?と尋ねると、彼は困ったように微笑んだ。
――――どうしようか?
その言葉に打ちのめされ、ソフィーは二度と子供の話を口にしたりはしなかった。
だから、今自分の体の中に宿った命は恐怖以外の何者でもない。
“傍にいたい、捨てられたくない、別れたくない。
でも、子供を殺めるのなんて、出来ない”
彼は優しい。だから、きっと子供の存在を告げれば、まじめに考えてくれるだろう。
でも、不意に子供のように戸惑った瞳で呟くのだ。どうしようか、と。
「………人々は幸せな恋を歌って、物語はハッピーエンドで終わる。
だけど、それは私の為にじゃない」
ソフィーは泣いていた。泣きながら、絶望していた。かすれた声で、青ざめた顔で、
ただひたすらに慕わしい人に捨てられるのが怖くて、ソフィーは泣いていた。
「君は、僕に何も言わないんだね」
深夜に目を覚ますと、ハウルが困ったような微笑を浮かべてソフィーの髪を
撫でていた。こんなに醜い顔を見せて、とソフィーは目を伏せる。
彼はひどく悲しそうだった。
「一人で死んでしまう気?僕らは夫婦だろう、頼ってくれてもいいじゃないか」
優しい囁きに、ソフィーがほろほろと涙を流した。彼の優しさは、今の自分に
とっては毒だ。彼は優しさという毒薬を使って、自分と子供をいたぶり殺す。
「ソフィー、何がそんなに悲しいの?」
あなたの優しさが悲しいのよ、とはいえなかった。ソフィーは知らず知らずのうちに
腹部に手を当てていた。
「―――あなたの血を引いた子供が、生まれて来るの」
ハウルが息を呑んだ。見開いた大きな目で、ソフィーを凝視している。
ソフィーは何かを諦めるように、そっと微笑んだ。
「……どうしましょうか?」
プロローグ終了です。
さて、ここからが本編です。前代未聞?のカブレティで。
需要あるかは解りませんが、しっかりきっちり書いていきます。
傾向 映画 カブレティ エロあり(の予定)
あなたは太陽、わたしは月
運命の神に導かれ、共にいる
真夜中と真昼
ひとつの空を分け合う
祝福されている、あなたとわたし
鋭い痛みが全身を駆け巡り、少女は甲高い悲鳴を上げた。
青年も端正な美貌をぐしゃぐしゃに歪めながら苦しそうに呼吸している。
荒い息遣いが、狭い部屋の中に満ちた。分厚いカーテン一枚で区切られたそこは、
少女と青年の体から発される汗と体液の匂いが濃く、誰かが廊下を通れば、
中で何が行われているかは容易に知られてしまうろう。
ただ、この二人の濡れ場を見て、彼らを恋人同士と感じる人は一人もいないはずだ。
何せ、組み敷かれた少女はしきりに痛い痛いと喚いているし、
青年はそんな彼女の腕を乱暴に掴み、悲鳴に一切耳を貸さずに腰を動かしている。
そして何より、少女はこの店の売り子で、青年は一国の王子だった。
けれども、どちらの目にも必死に縋りつくような色があった。
まるで、相手だけが自分を救い出してくれる細い糸だとでもいうように。
青年があぁ、と溜息をついて力を抜いた。少女の目は真っ赤に充血していて、
顔全体が涙と唾液でべとべとになっている。
「………すみませんでした」
「謝らないで」
青年の吐き出した白濁を布でぬぐいながら、少女が低い声でさえぎった。
双方の顔には、後悔と疲れの色が濃い。
「でも……」
「いいの」
少女はきっと眦を吊り上げながら、自分の衣服の乱れを直した。
きしきしと痛む体に鞭をうち、すくっと立ち上がる。
「あなたが元気になるなら、あたしの体くらい何でもないの」
だから、と少女は微笑んだ。太陽のような、と形容される美しい表情だった。
「元気を出して。寂しいなら、いつだってあたしが慰めてあげるから」
サロンから出てきた看板娘は、泣きはらしたような顔をしていた。
店主や同僚、そして何より彼女の信望者である男性客立ちは心配したが、
彼女は何一つとして答えなかった。
そして、時間をおいて出てきた金髪の青年は、思いつめたような顔をして
足早に店を出て行った。
帰り道を歩く青年が、ふと顔を上げた。頭上の月は、頼りないほど細い上に
分厚い灰色の雲がかぶさっている。
ちかちかと瞬く星や、芳醇な夜空に比べて、三日月は儚すぎた。
太陽に当たらない限り、自らは輝けないよわいもの。
自分にふさわしすぎて、青年は自嘲するように笑った。
もろくて輝けない己は、ひどく惨めで格好悪かった。
「あなたがレティー・ハッターですね?」
低い声で、老婆は目の前に退治している少女の名を問うた。
店の中は不気味に静まり返っている。レティーはごくりと喉を鳴らしてから、
首をかしげた。
「ええ、そうです。失礼ですが、あなたはどちら様でしょうか?」
客商売の娘らしく、はきはきとした物言いでレティーは訊ね返した。
目の前の老婆は黒いショールを頭に巻きつけ、黒い外套をしっかり着込んでいた。
彼女の乗る車椅子を、同じく黒尽くめの格好をした少年が押している。
怪しすぎる二人組みを、レティーを除いた店中の人間がはらはらと眺めていた。
「そういえば、面識はありませんでしたね」
そういうと、老婆は少年に指示を出した。するりとショールがはがれ、中からは
白髪の老女の顔が現れた。品よく整った顔立ちが年齢より若く見せている
感じではあるが、相当な年と地位をもったものだろう。
取り巻く雰囲気が、この下町の誰とも違う。
「はじめまして、ミス・ハッター。私の名前はサリマン。皆はマダム・サリマンと
呼びます。この国の王宮に仕えるものです」
マダム・サリマンの名前に店内がざわめいた。レティーは背筋に走る冷や汗を
感じながらぎこちなく微笑んだ。
「はじめまして。お名前とそのご功績は存じております。
偉大なる大魔法使い、マダム・サリマン。所で、こんな下町の菓子屋の娘に、
何の御用でございましょうか?」
レティーの口調は慇懃ではあったが、そこはかとなく苛立ちが滲んでいた。
サリマンがうふふ、と笑った。つりあがった唇が血のように赤い。
「用件は唯一つです。あなたを、私付きの侍女にしたいのです」
サリマンの言葉に、レティーは慌てて店主を振り返った。しかし、彼は切なそうに
目を伏せているだけだった。
「―――そんな」
ノーと言えない選択を迫られ、レティーは唇を噛んだ。大金を握らせたのか、
あるいはまた何か別のものでか。とにかく、レティーは売られてしまったのだ。
「あたしなんかでよろしいのでしたら………どうぞお連れ下さい」
店内がざわめいた。数人の売り子は羨望と嫉みと、そして同情の入り混じった目で
レティーを見ている。男達はあっけに取られるばかりだ。サリマンは満足そうに
頷くと、少年に何か指示を出した。
「三日後に迎えをよこします。身辺を片付けて置きなさい」
それでは、とサリマンは颯爽と店を出て行った。
残されたものはただぽかんと、去り行く後姿を眺めるだけだった。
今日はここまで。レティーは色々これから大変な目に遭いますが、
頑張っていただきたいところですね。カブも。
ソフィーとハウルもそのうち出ます。
補足するなら、カブ王子は便宜上「ジャスティン王子」と表記します。
平和協定はまだ完璧には結ばれていません。
ハウルは一応王宮付の魔法使いで、サリマン先生の手伝いを主にしてます。
レティーとソフィーは二個違いで、異母姉妹です。
長々と失礼しました。
うわーたくさん投下されてる!!
やっぱり250さんの文章は凄く好きです。続き楽しみにしてますよー
なんかすげードラマチックでイイ!
続きのんびりとお待ちしております。ほかの職人さんのも!
327 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 17:53:52 ID:2/7/i1Y5
アニメ「火垂るの墓」が実写化 11月1日にスペシャルドラマとして日テレ系で放送
●終戦六十年スペシャルドラマ「火垂るの墓 ― ほたるのはか ―」
http://www.ntv.co.jp/hotaru/ 日本テレビ系 11月1日(火)夜21:00〜放送
キャスト : 松嶋菜々子/伊原剛志/生瀬勝久/井上真央
▼「火サス」刷新、第1弾は菜々子主演SP
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/geinou/sep/o20050912_50.htm ▼「火サス」改め人間ドラマへ 初回「火垂(ほた)るの墓」
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20051025et04.htm ▼松嶋菜々子、実写版「火垂るの墓」で鬼のヒロイン役に
http://www.sanspo.com/geino/top/gt200508/gt2005080501.html 関連スレ : 【松嶋】火垂るの墓【西宮のババア】
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/tvd/1123188729/ 【韓国】アニメ『火垂るの墓』が放映禁止 - 日本人を戦争の被害者として描写 -
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/comicnews/1113226872/ ほたるの墓を右翼映画とする韓国人の心理
http://society3.2ch.net/test/read.cgi/korea/1121620436/ /,,;,,,,, ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,;::::::丶
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`ヽ、i (、i´ノ ´い,, ノ ' |;;;::::::::::::::/
. i ^~~~ー==─ ー'-+、 /^゙-、;;;;/
{ ヽゝ '-'~ノ なんで、あのオバチャンが主人公なん?
λ ''゙゙''-''-─、 /-'^"
ヽ,_ ^~^ ( なんで、うちが戦争加害者なん?
/`''丶、 , - /^l
/ /( ノ `'''''''´~ _, - ' ~ ゙i、うち、うんこビチビチやねんで・・・
328 :
Toy:2005/10/30(日) 23:57:04 ID:VT+o0d5t
初めまして。今日は一発どどんとSS投稿させて頂きます。
ハウソフィ映画・ほんのりエロ(ソフィーさん嫉妬話
329 :
Like a doll:2005/10/31(月) 00:00:52 ID:VT+o0d5t
□328
「ソフィー、ソフィー」
今日は絶好の洗濯日和。最近雨が続いていたためたまっていた洗濯物をこれでもかとどんどん干していく。
てきぱきてきぱきとまるで機械のようだ、と自分でも思うくらいで。かがんだり延びたりしているとやっぱり腰に負担がきてしまう。
いやだわ、まだ十代なのに!と思わず苦笑してしまう。まあ、これだけの量を干していたら無理もないか。
すうっと壮大に広がる緑を背に思い切り空気を吸い込む。ああ、休憩でもしようかな…あ、でも夕食の用意をしないとね。
「ソフィーってば!」
朝早くから王宮へ行っていた夫・ハウルの存在に(今更)気づき、振り向く。が、自分の存在に気付いてくれなかったことが彼にとっては気に入らないらしい。
「おかえりなさい、ハウル!いつ帰っていたの?」
「ついさっきだよ!ただいま、可愛い奥さん」
おかえりなさいのキスを頬に交わす。ほら、もう機嫌が良くなったのか口元には笑顔。単純というかなんというか…。
たったのキスひとつで、というと彼に怒られるので口には出さないが。
「もう、くたくたさ。彼女ったら本当に厳しすぎる」
「彼女?」
ぴく、と自分のこめかみ部分がつり上がる。ハウルは自分のそんなちょっとした仕草には気付いておらず、そのままのそのそとソファーに横になった。
さらりと目に掛かる黒髪をさっとかき分けながらもう一度溜息をつくハウル。
「そう、サラ・バーキン。今度の仕事の指事官、というべきかな。本当にもう、困っちゃうよ」
「…どうして?」
きゅ、と心の奥が締め付けられるような感じがした。思わず、むっと眉間に皺を寄せてしまうがソファーにぐったりとしているハウルを背にしてキッチンに立つ。
今日の夕食はハウルが好きなモッツェレラチーズのスパゲティーとほうれん草のスープ。
何度も作っている献立なので自然と手が動いていく。ほうれん草を包丁でカットしながらも何故か心はチクチクと痛む。
330 :
Like a doll:2005/10/31(月) 00:02:31 ID:S7dn+Gia
「彼女は厳しすぎるんだよ!あーだのこーだのガミガミガミガミ…彼女、完璧主義なんだ」
「そうなの?大変なのね」
ふふ、と無理矢理口の端を吊り上げて苦笑してみせる。うん、本当に…という疲れ切ったハウルの相槌をどこか遠くで感じ取りながら着々と料理を仕上げていく。
暖炉でうとうとと居眠りしそうになっているカルシファーを呼び、上にお湯のたっぷり入った鍋をおく。
カルシファーは下から何とも言えない視線を送ってきたがそれを無視した。
さっきから私、おかしいわ。彼の仕事の話に出てきたたった一人の女のことでこんなにも嫉妬するなんて。
もちろん、こんな汚い感情を持つのが始めてではない。ハウルが道を尋ねてきた女性に案内をしていたときも、たったそれだけなのに、…嫉妬してしまったり。
「嫉妬してました」なんて恥ずかしくて本人には言えないし、誰にもこのことを告げたことはない。
嫉妬なんて汚い感情初めから持ってませんでした、と知らない振りをしていればすむのだ。
だって 私は
私は…
ハウルにとって最高の妻であら無ければならない。
妻は夫の支えになり、笑顔をいつも振りまいて。
時に喧嘩するときがあったとしても、
いつも彼の自慢の妻でありたいと心から願った。
そして、自分もそうなれるよう努力し続けてきた。
だから 嫉妬なんて醜い感情は必要ない。そうでしょう?
そして今回も何事もなかったように微笑んで。
ゴポッとお湯が沸騰するとその中にさっとほうれん草を入れ込む。次々に現れ消えていく泡を見つめながら小さな小さな、溜息をついた。
そしてその数分後、マイケルがマーサとのデートから帰ってきた。
331 :
Like a doll:2005/10/31(月) 00:04:06 ID:S7dn+Gia
訂正:映画版なのに何故かマイケル登場(苦笑)しているので
「そしてその数分後、マルクルがヒンと共におつかいから帰ってきた。」でお願いしますー
おおっ、新顔さんですね!どんどんお願いします〜
通し番号がついてると読みやすいかと思いますよ!
続きも頑張ってくださいね。
読み手さんもどんどん盛り上げて行きましょうよ!(投下以外のレスはあまり無い方がいいのかな?)
以前の住人さんはもういないようですね…。サミシス
元書き手でもPC無くして読み手専門になったものならここにorz
投下が多くなって楽しいですね。DVD発売でまた盛り上がれ!
新規職人タンキター。
どれも続きがたのしみですね。
335 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 01:11:28 ID:lfextS56
ageる
336 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 11:18:48 ID:hqNjjxpS
はうるのDVD買おうか迷ってる。
買っちゃえ買っちゃえ
お久しぶりです。連載の続きを落とします。
傾向 映画 カブレティ 連載の続きです
コンコン、と軽いノックの音に、執務中だったジャスティン王子は顔を上げた。
どうぞ、と声をかければ、サリマンの金髪の小姓が中をのぞきこんでいる。
「マダム・サリマン?」
「お仕事中失礼します、殿下」
彼女はふわりと微笑みながら入ってきた。ドアの前に車椅子を止め、首を傾げる。
「お時間、少しよろしいかしら?」
「構いませんよ」
王子はつかつかと部屋を横切り、笑いながら手を広げた。
迎賓館を兼ねている離宮の一番奥、その中でも一番上等な部屋が今の彼の執務室だ。
広々とした部屋の次の間は彼の寝室になっていて、それもあってかこの執務室に
足を踏み入れる人間はそう多くはない。
「ご所望だった侍女の用意が整いました」
サリマンはまるで食事の用意が出来た、とでもいうような言い方でそう告げた。
王子は目を瞠る。彼女に、自分の望みを告げたのはほんの二日三日前だというのに。
「―――ありがとうございます」
情けないような気持ちで、王子は魔女に礼を述べた。
所望の侍女、とは随分と皮肉な言い方だと内心舌打ちをする。
所望した娘は、形式上は世話係の侍女であるが、実質は自分の寵姫となるのに。
「入りなさい」
サリマンがドアの外に向けて声をかけた。しずしずと一人の娘が歩いてくる。
地味な色味の女官服を着た彼女は、輝くばかりに美しかった。
「ジャスティン王子殿下」
サリマンが、娘の肩を抱いて微笑んだ。挨拶なさい、と低い声で囁く。
「レティーと申します」
娘はたいした感慨もなさそうに王子に向き合い、挨拶した。
彼は何もいえないまま固まっている。
「至らないところもございますが、殿下のために出来うる限りの事はさせて
いただきます。どうぞ、よろしくお願いします」
事の発端は、あの運命の晩までさかのぼる。
ふらふらとした足取りで王宮に戻った王子は、自分の寝台に身を投げ出し、
激しい自己嫌悪に陥っていた。
「まさか、こんなことになるなんて―――」
報われない思いを、あの娘を抱いて紛らわせた。そうするつもりなんて
なかったけれど、それでも結果は出た。最悪なものとして。
当たり前だが、健全な職業婦人で若いレティーはまだ生娘だった。
彼女の貞操観念がどうだったかは知らないが、今のこのご時世で婚前交渉を
持つ例は殆どなく、大多数の娘たちは純潔のままで結婚する。
最も、娼婦や踊り子、劇場の歌い手などは除いてだが。
だが、レティーは菓子屋の看板娘だ。そんな彼女が婚前に男を知っている。
もう、残された道はないのだと王子は自分の不甲斐無さに唇をかんだ。
彼は起き上がると、大股に部屋を横切り、廊下に出た。まっすぐに歩き、
王宮のとある部屋へ向かった。
「マダム・サリマン」
執務を行っていた、この国の王宮付魔法使いの老女は驚いたように顔を上げた。
「まぁ、ジャスティン王子殿下。どうかなさいましたか?」
彼女はほんの少しの苛立ちを微笑で隠しながら、いきなりやってきた
隣国の王子に尋ねた。彼は、ひどく思いつめたような顔をしている。
「お願いが、あります」
「あら」
いつもは傲慢なまでのマイペースさを誇る王子のしおらしさに、
サリマンは少なからず驚いていた。
「神に背かず、そして国王陛下の意に反さぬ限り、私達はあなたの願いでしたら
全てかなえる用意がありますのよ?」
サリマンが微笑みながら言った。ここで機嫌を損ねて、平和協定を潰すのも惜しい。
というよりも、できる限りのご機嫌取りをして、こちら側に有利な平和協定を
結びたいのだ。欲しがるものは、何でもくれてやる覚悟はある
「ありがとうございます。その……世話係を一人、私に付けていただきたい」
王子の願いは、至極まっとうで些細なものだった。確かに、ここに長期に
渡って滞在するのに、自分の世話を自分でするのも大儀なことだし、寂しくもある。
「構いませんわ。すぐに、城で一番優秀な侍女を―――」
「違います、頼みたい人は既に決まっています」
用意します、と言おうとしたサリマンの言葉を、王子が遮った。
一瞬、躊躇ったような様子を見せたが、すぐにまっすぐに顔を上げる。
「ハッター嬢にお願いしたい」
「え?」
続く言葉は、当然ソフィー・ジェンキンス夫人だと思っていたので、
サリマンは肩透かしを食らったような気分でそう聞き返した。しかし、王子は
至極まじめな顔で頷く。
「はい。レティー・ハッター嬢にです」
この場合の侍女が何を指す言葉なのか、わからないほどサリマンとて腑抜けではない。
彼女はかすかに視線を下げると、しっかりと顎を引いた。
「解りました―――それが、あなたの望みなのですね?」
「もちろんです、マダム・サリマン」
その声には嘘がない。彼なりの考えがあるのだろうとサリマンは考え、
軽く息を吐きながら答えた。
「解りました。すぐに手配します」
そして、それがこの受難劇の幕開けとなった。
それでは、あとはお二人でとサリマンは執務室を出て行き、今この広い部屋に
いるのはレティーと王子だけだった。レティーは所在なさげにきょろきょろと
部屋を見回し、王子は困ったように彼女を見ている。
「あの」
先に声をかけたのはレティーだった。王子は飛び上がらんばかりに驚き、
まじまじと彼女を見ている。
「……はい」
「どうして、あたしなの?」
「はい?」
レティーは不思議そうに王子を見上げていた。問われた彼は、逆に怪訝そうな顔で
彼女を見返している。
「言っておくけれどあたし、お姉ちゃんと半分しか血がつながってないのよ?」
「知ってます」
間髪いれずに返され、レティーが面食らったような顔になる。
王子は緩く笑うと、そういう意味じゃないんですけどね、と呟いた。
「別に、あなたがソフィーの妹だからとか、そういう理由で
呼んだんじゃないんです」
レティーが目を瞠る。王子は微笑みながら、彼女の結い上げられた髪に触れた。
「あなたがいいんです。あなたに、傍にいて欲しいんです」
驚いて立ち尽くすレティーを、王子は抱きすくめた。ヘアピンが抜き取られ、
金色の長い髪がふわりとなだれる。
「レティー。あなたが、いいんです」
熱い唇を首筋に押し付けられ、レティーが溜息をついた。
堪忍したように力を抜くと、彼女は自分を抱いている青年に身を預けた。
ほんの数分後、離宮の一番奥から風に乗って高い声が流れてきても、サリマンは
表情一つ変えなかった。ただ、あの哀れな娘のために上等のワインを一杯だけ
煽った。酔ってでもいなければ、なんだかやりきれない気分だった。
うわあ投下されてる!!
続き楽しみに待ってますよ!!!
250さんの文章は映像が浮かんできます。すっごい好きです!
ここにソフィーとハウルがどう絡んでくるのかと
激しく続きが気になりますが、無理はなさらないで下さいねー。
ほかの職人さん達の連載の続もヌラヌラ待ってます。
え、カブレティだからハウソフィは出てくるとは限らないのでは?
あ、そうか
プロローグにハウソフィが出てたから、今回の本編カブレティにも絡んで
くるものと思い込んでました。お恥ずかしい…
切ないお話ですなぁ・・・
お互い好きな人に振り向いてもらえない王子とレティ
それぞれの想いが絡まり読めば読む程話に惹き混まれて行く。
凄いや、
>>250タン!
続きをヌルテカでお待ちしております(゚∀゚)
>>348 自分もハウソフィが絡んでくるのだとばっかり……
プロローグのハウソフィの続きも激しく気になる!!
>>339-344 カブの痛々しさがいいなぁ。王子って傲慢だね。
展開がすごく楽しみです。
こんばんわ。短いですけど、続き落としますね。
傾向 映画 カブレティ
「ジャスティン王子?入りますよ」
サリマンが尖った声を出し、王子の執務室の戸を開けた。
中にいた金髪の青年が、びくりと顔を上げる。
「あぁ――」
狼狽したように、王子は顔を上げた。彼の膝の上に乗っていた娘が、散漫な
動作で身体を離した。
「マダム・サリマン。どうかなさいましたか?」
服の乱れを直しながら、王子は魔女に尋ねた。レティーはかすかに目礼すると、
お茶を入れるために簡易キッチンへと消えた。
「どうもこうも―――」
そこまでいうと、サリマンはちら、とレティーを伺った。
だが、彼女が帰ってくるような気配はない。
「ご自分の立場をわかっていますか?」
サリマンは後れ毛を跳ね上げながら言った。きつい言い方に、王子がわずかに
眉根を寄せる。
「立場、ですか?」
「そう。解っていらっしゃるの?婚約パーティーまで、あと一月ないんですよ?」
サリマンが低く吐き捨てた。途端、王子の顔色が変わる。
「平和協定のための政略結婚なのは重々承知です。でも、お相手の姫君にも
少しくらい誠意を払ったいかがですか?」
「承知の上で、あなたはそんな事をおっしゃる?」
「―――ええ。それに、こんな真昼間から侍女と戯れているなんて、
あなたの体裁にも関わります」
体裁、と王子は鼻で笑い飛ばした。肩をすくめ、さも小馬鹿にしたように宣言する。
「あの娘を与えてくれたのはあなたです。そのあなたがそんな事を
おっしゃるだなんて、滑稽なだけです」
サリマンの目に怒りに似た熱いものがたぎった。
ぎらぎらと光る双眸を、王子は冷ややかに眺める。
「あとで―――後悔しますよ。あなたの選択を」
王子は微笑を浮かべながら肩をすくめた。そして、ぽつりと呟いた。
「地獄に落ちる覚悟は、もとより出来ていますから」
そう言った顔は、どこか物悲しくさえ見えた。サリマンは睫を伏せると、
部屋を出て行った。
激しい眩暈を感じ、レティーは壁に手をついた。抱えていた銀のトレイが、
がしゃがしゃと耳障りな音を立てて震えている。
婚約パーティー、政略結婚、姫君への誠意。それだけの条件が揃っているのに
推測が出来ないほどに、レティーは馬鹿ではなかった。
「じゃあ、あたし―――」
厄介払いをされるまで、日はないだろう。そうしたら、自分はどうなる?
菓子屋の看板娘、位の高い魔女の侍女、王子の世話係。どれも自分ではない気がする。
自分に残された道は、もう一つしかない。
「ここを、出て行くの?」
その声は、迷子になった子供のよりも頼りなかった。
「ジャスティン王子殿下」
その晩遅く、執務を終えてようやっとくつろぎ始めた王子に、
彼の侍女は声をかけた。
「レティー、二人きりの時はカブと呼んで欲しいと言ったでしょう?」
王子はくすくすと笑いながら侍女をたしなめた。彼女は静かに笑ったまま顔を傾ける。
「お願いがあります」
「ん?なんだい?」
「あたしを、解放してください」
王子はまじまじと侍女を見た。彼女は迷うことなく、まっすぐに彼を見つめている。
「レティー、一体何を……」
「侍女の職を、解任してはいただけませんか?」
侍女、というよりも籠姫というのがこの場合は正しいのだろう。
王子はあんぐりと口を開けたまま、食い入るように侍女を見ている。
彼女はふっと微笑むと、きつく結っていた髪を解いた。
「もう、あなたとは一緒にいられないんです―――お願いです、あたしを
もう離してください……」
そう言った侍女の顔は浮かなかった。かすかに青ざめ、疲れが色濃く見える。
「どうして?何か不満が?それとも、誰かに何か言われた?」
「いいえ」
縋りつく王子をあしらいながら、侍女は首を振った。わずかに笑いながら、答える。
「あたし自身のためよ―――あたし、このままここにいたら、
駄目になってしまうから」
彼女はそう言って、王子に向けて頭を下げた。
「お願いします、解任してください」
「ふざけるな!」
王子が激昂した。侍女の腕を遮二無二引っつかみ、抱き寄せる。
「ここにきた時点で、どうなるかはわかっていたはずだ!それを何故今さら!?
だめだ、絶対に許さない、認めない!」
「わがままは承知の上です。お願いします、どうかご慈悲を」
希うレティーの唇が、ひどく熱い物にふさがれた。驚いて目を見開いた瞬間に
映るのは、激情に燃え盛る彼の瞳。
その時、これが自分達のとって初めてのキスだということに気が付いた。
――――キスは、大切なんだ。
――――魔法を解くには、愛するのもののキスが一番効くからね。
だから、軽はずみにはしないんだと言い訳するように彼は微笑んだ。
さんざんに嬲られ弄ばれ、真っ赤になった身体で憮然としているレティーに向けて。
「……嫌っ」
意味がわからない。何故、彼はキスしてきたの?何故、私を離してくれないの?
何故、私を愛していないのに傍に置くの?
なぜ?なぜ?なぜ?
「いやぁ―――っ!」
ソファーに押し倒され、乱暴に侍女服を引き裂かれながら、
レティーが甲高い悲鳴を上げた。
そしてその晩、彼女が過ごした部屋に誰一人としてやってくることはなかった。
あなたは太陽、私は月
運命の神様に導かれて共にいる
どうして、二人はこんなにも
遠い所からここまで来た?
次回えちシーン突入です。さらっといく予定ですがおそらく無理やり系。
というかこの二人にはまだ和姦という概念はありませんからww
ちまちま書き溜めているので、そんなには間は開かないはずです。
それから、ハウルとソフィーですが、これからばりばり出張りますよ。
プロローグではあんなんでしたが、本編では……どうでしょう?
ここに来るたび続きが投下されてて嬉しい限りです!
カブレティいいですね。何とも云えない切なさ……
ハウソフィも待ってますよー
ちょっと落とします。レティー、すまん。
傾向 カブレティ エロあり
*若干強姦的な描写がございます。なくても全然続けられるので、苦手な方は
スルーしてください。
暴かれた胸元から、ぞっとするほど白い胸元が覗いた。豊かに盛り上がった半球型の乳房はふるりと揺れ、薄茶色の突起が慎ましやかに鎮座している。王子は軽く舌なめずりをすると、そこに顔を埋めた。
「や!ちょっと、やめてっ!」
レティーが金切り声を上げた。しかし、ぐいぐいと押し付けてくる男の力には勝てず、ソファーに縫い付けられてしまっている。
「お願い!いや!こんなの、嫌ぁっ!!」
泣き喚く侍女の声にも、王子は耳を貸さない。幸か不幸か彼女は彼の籠姫なのだ。多少煩い声を上げても、事情を心得ている人間達は足を踏み入れては来ない。
そうしている間にも、王子の手がレティーの身体を蹂躙する。ぞわりと皮膚があわ立ち、レティーは泣き出しそうに眉根を寄せた。胸の中央にある突起はつんと挑戦的に立ち上がり、皮膚は薄紅色に染まっている。
「ぁ……あん……や……」
全身にくまなくキスされ、レティーが溜息を洩らした。殆ど毎日のように肌を重ねているのだ。男を知っている若い身体は、いとも簡単に体温を上げる。
「や……お願い……やぁ…」
暴かれた胸元から、ぞっとするほど白い胸元が覗いた。
豊かに盛り上がった半球型の乳房はふるりと揺れ、薄茶色の突起が慎ましやかに
鎮座している。王子は軽く舌なめずりをすると、そこに顔を埋めた。
「や!ちょっと、やめてっ!」
レティーが金切り声を上げた。しかし、ぐいぐいと押し付けてくる男の力には
勝てず、ソファーに縫い付けられてしまっている。
「お願い!いや!こんなの、嫌ぁっ!!」
泣き喚く侍女の声にも、王子は耳を貸さない。幸か不幸か彼女は彼の籠姫なのだ。
多少煩い声を上げても、事情を心得ている人間達は足を踏み入れては来ない。
そうしている間にも、王子の手がレティーの身体を蹂躙する。
ぞわりと皮膚があわ立ち、レティーは泣き出しそうに眉根を寄せた。
胸の中央にある突起はつんと挑戦的に立ち上がり、皮膚は薄紅色に染まっている。
「ぁ……あん……や……」
全身にくまなくキスされ、レティーが溜息を洩らした。殆ど毎日のように
肌を重ねているのだ。男を知っている若い身体は、いとも簡単に体温を上げる。
「や……お願い……やぁ…」
コルセットが音もなく外され、下履きが足首まで下ろされた。
まくれあがったスカートがひらりと揺れる。真っ白く、ふっくりとした
太ももに男の手が伸び、そこもめちゃくちゃに撫で回される。
艶やかな茂みに縁取られた茂みに、王子の長い指が触れた。しっとりと
湿り気を帯び始めたそこに、レティーは顔をそむけ、王子は会心の笑みを浮かべた。
「―――身体は、嘘をついてはいない」
王子は薄く笑いながら、彼女の入り口に指を這わした。ぐっと力を入れて
中に入れる。高まる内圧に、レティーがくっと息を詰めた。
「運命が、あなたを私に縛り付けているんだ!」
ヒステリックなまでの大声をあげ、王子が高らかに宣言した。
くちゅくちゅともれ始めた細い水音に、レティーが啜り泣きをはじめる。
「離れるなんて、許しませんよ―――!」
そういうと、王子は自分のズボンを下履きと一緒に引き摺り下ろした。
隆々と猛ったそれに、レティーの顔が引きつる。そして、蜜に潤んだ彼女の
入り口にそれを添えると、王子は一気に腰を進めた。
「いやあああああーっ!!」
レティーの甲高い声により興奮したのか、王子ははじめから速い動きで
彼女を攻め立てる。ぐちゅ、ぐちゅ、と淫靡な音が立ち、それが余計に
レティーの羞恥を煽る。
「あっ、あっ、あああ!やだ、あっあっ!!」
ずんずんと突き上げられ、レティーが顔を手で覆った。きゅうきゅうと
締め付けてくる彼女に、王子が恍惚とした笑いを浮かべる。
「あぁ……レティー……」
「やぁっ!やだ!やっあっ!あぅ、あ、あんっ!」
レティーがいやいやと身をよじった。溢れ返った愛液がシーツに染みを作る。
王子の眉間に深い皺が刻まれた。二人の息が上がる。
「ああああ!あ、あ、アっ!!んっ……ふぁ…っ!あああっ!」
「レティー……もう、イきそう―――っく!」
「あぁぁぁあっ!あ、やだ、はっ!アァ!!いや、いやぁぁぁっ―――!!」
「ぅ……あっ!」
どん、と身体の奥深くに突き入れられ、レティーが一際高い声を上げて
背を反らした。びく、びくと白い身体が震える。王子も同じように身体を
痙攣させながら、彼女の中に白濁した液体を流しいれた。
ひゅうひゅうと音を立てて、レティーはただぼんやりと呼吸をしていた。
のしかかってきた男の体重も、鈍いからだの痛みも倦怠感も、
まるで自分のものではないような気がした。
ぼろぼろになった身体を引きずりながら、レティーは夜明けの街を
さまよい歩いていた。白々と明るくなりつつある街路には、年若い新聞少年と
泥酔して道端で眠りこけている数人の男達、そして客を取れなかった年かさの
商売女しかいない。その中で、レティーは異質な存在だった。
何度も何度も傍にいると約束させられたのだが、それを破る事は
別に心苦しくなかった。
目覚めたとき、自分が傍にいないことを彼は絶望するだろうか。
「聞いて、太陽」
太陽の化身のようだと謳われたレティーの美貌も、疲れ果てた今では
ひらめきもしない。
「夢がね、醒めてしまったの」
微笑はすぐに悲しみに翳った。溢れ出た涙が、頬を濡らす。
「全部、終わってしまったのよ」
ブーツに包まれた小さい足が、まるで駆けるように地面を蹴って行く。
レティーは拳で涙をぬぐいながら、殆ど全力で走った。
何もかもを振り切るように首を振って。大きな、悲しいまでによく響く声を上げて。
パソコン固まったんで携帯から失礼します。なるだけ淡泊、温和を目指したのですが…レティーごめん(´・ω・`)調度折り返し地点です。次回から例の夫婦もでしやばりますww
あ、362は失敗です。管理人さん、お手数ですがまとめる際は削除をお願いします。
初のリアルタイム遭遇!!
カブレティも気になりますが、例の夫婦は……
プロローグは重ーい感じでしたがどうなるのでしょうかー。
何はともあれ楽しみに待ってますよ!
職人さんいつも乙です!(・∀・)
またDVD出たら賑い復活になるのかな(´∀`*)ロマンチックなのとか甘甘とかもいいな〜
前話題に出てたチェリーボーイwとか実現化しないのかすぃらw
カブが痛々しくて泣ける……
例の夫婦楽しみだー!早く続きが読みたい。。
レティー、すごいかわいそうな目にあっているのに萌えてしまった…木綿。
そして王子のレティーへのすがりっぷり執着っぷりも萌えです。へたれ感がイイ…!
二人とも幸せになれるといいなあ。
ハウソフィも出てくるとの事!続きをいっそう楽しみに待ってます!
続きがきになるー
ノシ 気になるー
ノシ
投下します。
傾向 映画 カブレティ
ソフィーの朝は早い。夜明けと共に、というのは少しばかり大げさだが、
それでも早い時間に目を覚ます。今日も今日とて彼女は目を覚ますと、
ふるりと身震いをした。
「さむ……」
むくりと身を起こした彼女は、がらんと開いたベッドの左側に溜息をついた。
寒いと言うのは、意外と気温だけの事ではないのかもしれない。
「おはよう、今日も元気かしら?」
日課となっている挨拶を口にしながら、ソフィーは腹部に手を当てた。
じんわりと感じられる暖かさに微笑み、彼女はすっと立ち上がって身支度をした。
少し急ぎ気味に階段を下れば、とんとんと音が立つ。
マルクルを起こさないかしら、と心配していると、ソファーの上に転がっている
人影を見つけた。
「まぁ」
短く声を上げると、ソフィーは影の持ち主に駆け寄った。
主はすぅすぅと安らかな寝息を立てている。
「ハウル」
ソファーの上に丸まっている夫を、ソフィーが揺り起こした。
んん、と小さな寝言を発し、ハウルが眠たげに瞼を開けた。
「あー……ソフィー」
「あー、じゃないわ。風邪引いたらどうするの?寝るならちゃんと
ベッドで寝てって言っているでしょう?」
むっとしたように頬を膨らますソフィーに、寝ぼけ眼のハウルは思いっきり
笑み崩れた。彼は可愛い新妻を抱きしめると、大きく息を吐いた。
「あー、ほっとした。やっと帰ってきた気がするよ」
「………一人寝をさせておいて、よく言うわ」
拗ねた様に呟くソフィーを、ハウルはさらに抱きしめた。きゃ、と悲鳴をあげ、
彼女は身をよじる。
「苦しいわ!ちょっと、やだ……赤ちゃんがいるのよ?」
その一言に、ハウルはぱっとソフィーを離した。あまりの勢いに、ソフィーが
ぐらりと身体を傾げる。
「うわぁごめん!ソフィー、大丈夫?」
「もう!しっかりしてよ、お父さん!」
怒ったように喚くソフィーに、ハウルがおろおろと謝った。しかしすぐに破顔し、
けたけたと笑い合う。
仲睦まじい若夫婦の様子に、カルシファーは砂でも吐きかねない勢いで
げっそりとした溜息をついた。
そんな朝のやりとりを遮るように、ノックの音が響いた。二人の動きが
ぴたりと止まる。
「誰……かしら?こんな朝早く」
「うん……座ってて。僕が出るよ」
不思議がるソフィーを椅子に座らせ、ハウルが玄関に向かった。
カルシファーに目を向けると、彼はごうっと火炎を上げた。
「カルシファー、誰だか解るか?」
「別に、敵ではない。若い―――女だ!」
ハウルが勢いよく戸を開いた。立っていた人間を見止め、彼ははっと息を呑む。
「レティー?」
「義兄さん……」
驚くハウルに、レティーは弱弱しく微笑んだ。レティー、の名にソフィーが
飛び出してくる。
「レティー!」
玄関先に現れたレティーの姿に、ソフィーはよろめいた。レティーが着ていたのは
いつものチェザーリの制服ではなく、地味な濃紺のエプロンドレスだった。
しかし、それもずたぼろに引き裂かれ、胸元が大きく開いている。
髪も振り乱され、かなり荒れ果てた様相だった。
「あぁ……おねえちゃん」
そう言ったきり、安心したのかレティーはその場に倒れた。ソフィーが悲鳴を
上げる。朝の空気には不釣合いな、不穏な空気が流れた。
「ねぇ、レティー。どうしたというの?」
ソフィーの夜着に着替え、客間のベッドに寝かされたレティーが目を瞬かせた。
対峙しているソフィーは、思いつめたように妹を見つめている。
「あんなにぼろぼろになって……ねぇ、どうしたの?」
それにあの服、とソフィーは眉根を寄せた。くたびれた服はレティーが眠っている
間に繕われ、今は椅子にかかっている。
「………お姉ちゃん」
低い声で、レティーが呟いた。ソフィーと目を合わせないまま、
早口にまくしたてる。
「お願いが一つだけあるの。あのね、あたしがした事のせいで、怒ったり、
ましてや誰かを憎んだりして欲しくないの。あたしは、全部自分でそれがいいと
思ってしたから、だから、その―――」
何か悪さをしたときに先に言い訳をするのは、小さい頃からのレティーの癖だ。
ソフィーは母親のように落ち着き払って、わかったわ、とだけ答えておいた。
「……あたし……王宮で働いていたの」
ソフィーが目を瞠った。レティーは言いにくそうに何度も唇を湿らせ、
そしてやっと搾り出すように言った。
「………ジャスティン王子殿下の、侍女として働いていたの」
その台詞に、ソフィーが凍りついた。レティーは未だに俯いている。
「全部、殿下の所から逃げてくるときに起こったことなの」
「何故!」
ソフィーが金切り声を上げた。レティーが不貞腐れたようにそっぽを向く。
「どうしてカブの所に?ねぇ、あなたカブに何をされたの?無理やりだったの?
カブは何を考えているの?ねぇ、ねぇ、ねぇ!」
ソフィーが興奮したように喚きたてる。レティーは溜息をつくと、傲慢なまでに
まっすぐな瞳で姉を覗き込みながら答えた。
「ご所望を受けたから王宮に上がったの。でも、殿下が婚約されるから、
あたしはもう要らないでしょう?だから、解任を求めたら―――その、激昂されて」
語尾がどんどん尻すぼみになりながらも、懸命にレティーは説明した。
ソフィーは額に手を当てて天を仰ぐと、あぁ、と低い声でうめいた。
「信じられない!何を考えているの?!あなたも、カブも!!」
わんわんと響く高音に、レティーは眉をひそめた。ソフィーは怒りに顔を
真っ赤にさせながら、椅子を蹴倒す勢いで立ち上がった。
「許せない!カブに直接訊いてくる!」
「待って!」
レティーが慌ててソフィーを呼び止めた。血の上りきった姉が勢いよく振り返る。
「お願い、あの人悪くないの!それにね、あたしがここにいるの、ばれたら困るの」
「信じられない!なんでこの期に及んでカブをかばえるの!汚らわしい!」
軽蔑するように吐き捨て、王宮付魔法使いの細君は王子の籠姫をひと睨みすると
足早に部屋を出て行った。
リビングのあたりで、姉と義兄が言い争っている声が聞こえる。
レティーは溜息をつきながら、ベッドを降りた。
サイドボードの引き出しをあけ、紙とペンを取り出して文字を書き付ける。
そして身支度を整えると、そっと窓を開けた。幸いにして客間は一階にある。
抜け出すのはたやすい。
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
ぽつりと呟き、レティーは軽々と窓を飛び越えていった。
長い金髪が、月夜に煌めいた。
あなたは太陽、私は月
夜が明け始めているわ
もう、二度と泣いたりしない
あなたはいつもここにいるわ
愛はまた再び蘇るから
とりあえずここまで。
ソフィーとハウルはまぁ色々あった上でこうなったとお思い下さい。
本当はソフィーが城を出て行って、再プロポーズの為に通い詰めているハウル、と
いうのも考えていたんですが、レティーとの対比がきれいにでなかったんで、
こっちで。
ずるずる続けちゃってすみません。でも、応援してもらえると泣きながら喜びます。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
毎回とても続きを楽しみにしてるところが憎いです!
今回もとても良かったです。
おお…物語が大きく動いてますね!続きもテカテカまってますよ〜
でもソフィーとハウルがプロローグの展開からどうやって落ち着いたのかも
すごく気になる!もとサヤになってるみたいでほっとしましたが…
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
250神のハウソフィがツボだ…
レティーどうなるんだ!カブも!!
ハッピーエンドがいいなぁ
>250タソ GJ!
ずるずるだなんてとんでもない!
もう毎回クライマックスって位いつも続きが気になります
いつも素敵なお話ありがとう(*´∀`)
続き楽しみにしてました!GJです(´∀`*)モエ
自分は、250神だけでなく、328神や数多いらした他の神々のファンです!!続き・新作ご降臨お待ちしていますよ〜
>>387 禿同!!
他の神々の新作も楽しみにしてますよー
駆け足投下でスイマセン。でも、落とします。
傾向 映画 基本カブレティ
王宮の中庭を、一人の女が大股に歩いていく。きっと表情を引き締め、
口を真一文字に結んだ彼女を、衛兵達は遠巻きに眺めていた。
白っぽい銀髪が印象的な彼女は文句なしの美人なのだが、何分怒り狂っている
ためにその迫力と言ったら凄まじいまでだ。
「あの、失礼ですがお嬢さん」
一人の勇気ある衛兵が彼女に声をかけた。振り向いた彼女は一瞬驚いたように
目を見開いたが、でもすぐにきつい顔つきに戻った。
よくよく見れば、彼女はまだ若く、女と言うには少し足りない位の少女だった。
「何かご用でしょうか?どなたかと、お約束を?」
「ジャスティン王子殿下に面会を要求します」
女は厳しい視線でこの哀れな衛兵を射抜きながら答えた。衛兵は少しばかり
不思議そうな顔をして彼女に訊ね直す。
「お嬢さん、失礼ですがもう一度―――」
「ジャスティン王子殿下に会わせなさい!」
するどい一喝を受け、衛兵は首をすくめた。彼女は苛々と肩にかけていた
ストールを直しながら無愛想に言った。
「ソフィー・ジェンキンスが来たと言えば解るはずよ」
「はぁ、ジェンキンス―――え?」
衛兵は間抜けにも女をじろじろと見直した。彼女は呆れたように溜息をもらすと、
髪をかき上げた。
「私はハウル・ジェンキンスの妻です。隊長さんはどなたかしら?」
いきなり正体を明かした要人の細君に、衛兵達はうろたえた。女は冷ややかに
彼らを見つめると、名乗り出てきた一人の男に向けて冷たく言い放った。
「ジャスティン王子との面会を要求します。夫には話をつけてあるわ。構わないわね?」
にっこり、と彼女が微笑んだ。可憐、と形容すべき顔からは、そこはかとなく
どす黒いものが漂っている。人が良くてどちらかといえば気の弱い隊長は、
こくり、と頷く他この場を収める方法を持ち得なかった。
王子はひどく波立った気持ちで、目の前であーだこーだと喋り続ける小男を
眺めていた。彼は王子の花嫁になる娘の家の秘書で、今日は婚約パーティーに
ついての説明に来たと言う。しかし、さきほどから彼の口から流れてくる言葉と
言えば彼の仕える家の一人娘のことばかりで、彼女がどれほど美しく、
いかに情に深く聡明で、今回の結婚を喜んでいるかと言うことばかりだった。
まだ会ったこともない娘には何の感情ももてないというのが王子の意見だったが、
彼にはそれも通用しないらしい。あるいは、ちっとも娘に会いに来ようとしない
王子に、彼の「姫君様」の売込みをするために無視しているのかもしれない。
平和協定のために嫁いでくることになったのは、この国の有力貴族の令嬢で、
国王の姪に当たる娘らしい。王子より5つ年下の彼女は美しく聡明で、
心優しい上に芸術に明るいと評判だった。だからこそこの政略結婚の切り札として
白羽の矢が立ったのだが、そんな事は王子にしてみればどうでもよかった。
「すみませんが、私にも立て込んでいる仕事があります。
また、明日にしていただけませんか?」
耐え切れず、王子は柔和な微笑を浮かべながら男の話を遮った。
男は赤面し、ぺこぺこと頭を下げながら執務室を出て行った。
遠ざかる背中を見送りながら、王子はどっかりと椅子に座りなおした。
高々と足を組み、大きな溜息をつく。
「レティー!お茶を入れて―――」
叫び、王子ははっとしたように振り返った。レティーは昨日出て行ってしまったのに。
「……習慣と言うのは、怖いな」
一緒に暮らしたのはたったの二ヶ月ほどにすぎなかったのだが、
それでも彼女の存在は大きく王子の中に根付いている。
彼は苦笑すると、前髪をクシャリとかき上げた。
王子が感傷に浸っていると、突然激しいノックの音がした。王子は苛々しながら
立ち上がり、戸を開ける。
「失礼いたします、ジャスティン王子殿下!お客様でございます!」
「誰だかは知らないが、今日はもう面会の予定は―――」
護衛隊長は気弱な目をして王子を上目遣いに見ていた。王子は彼をにらみ、
彼の背を覗き込む。小さな頭が、ひょこりと現れた。
「こんにちは」
立ちはだかった女は花の様な微笑を浮かべていた。彼女は小首を傾げながら
王子に問う。
「お時間、よろしいかしら?」
「―――ソフィー・ジェンキンス夫人をお連れいたしました!」
隊長が間抜けなタイミングで客人の名を告げた。ソフィーは悠然と微笑みながら
王子を見ている。嫌な汗が瀬を走り抜けるのを感じ、王子は喉を鳴らした。
「久しぶりね」
通された応接室のソファーに身を預けながら、ソフィーが無感情に言った。
王子は視線を下げたまま、彼女と向かい合っている。
「………子供」
「え?」
「産むことに、したんですね」
弱弱しい笑顔を浮かべながら、王子が言った。よくよく見れば、ソフィーの腹部は
わずかだが膨らみ始めている。
「ええ、私の思い過ごしだったみたい―――すごいの、毎日信じられない位に
浮かれちゃって」
「想像に易いですね」
二人の顔に、一瞬かつてのような親しさが浮かんだ。しかし、すぐにソフィーが
顔を背けてしまう。
「―――話が、あるの」
「……レティー、ですか?」
それ以外にあるわけがないのを知りつつも、王子はそう尋ねずにはいられなかった。
ソフィーはすっと冷めた瞳で彼を一瞥し、厳かに頷いた。
「一体、何が目的であの子を巻き込んだの?」
ソフィーの言い方は質問と言うよりは単純に非難しているだけだった。
王子は切なそうに目を伏せている。彼女は大きな溜息をつくと、一転して
弱弱しい様子で囁いた。
「あの子は、本当にいい子なのよ?ねぇ、どうしてあの子なの?」
ソフィーの苦悩はとまらない。まるで、この世の終わりのような顔で大きく頭を振る。
「あの子………昨日の晩に家を出て行ったわ……結婚するそうよ」
その一言に、王子が凍りついた。唇をわななかせながら、どうにか言葉を紡いだ。
「あの……誰と?」
「……チェザーリのお客さんだった、裕福な方だそうよ。私もよくは知らないの……」
二人は揃って頭を抱えた。レティーは何をやらかすのか解らない。
もちろん、ソフィーに比べて彼女は世渡りも上手く立ち回りも器用だが、
何せ年若い娘だ。思いつめた先の行動は、殆ど恐ろしいまでに純粋ですばやい。
「…………結婚なんてやめて」
ソフィーが搾り出すように呟いた。
「お願い!あの子を連れ戻すにはそれしかないの!」
ソフィーの大きな目には涙が滲んでいる。妹の身を真剣に案じている様は
健気であり、王子は手助けしたくてたまらなかった。
しかし、自分の置かれた立場を考えればそうも行かない。
「―――申し訳ありません。ソフィーの願いでも、それは出来ません」
王子が小さな声で答えた。ソフィーがばっと顔をあげ、泣きながら彼を睨みつけた。
立ち上がり、服を握り締めながら唇を噛み締める。
「………私、一生あなたの事を恨むわ……」
王子が腰を浮かした。しかし、ソフィーは彼を拒絶するように身を翻す。
絶望に落ち窪んだ瞳は、最後まで王子をにらみつけたままだった。
「――――絶対に、許さない!!」
わーいリアルタイム遭遇!!
駆け足投下うれしいですよー
カブどうなっちゃうんだろう…切なくて泣けてくる…
ああ早く続きが読みたいー
GJ!GJ!GJ!(´Д`*)ハァハァ
ところで、ジブリスレにここは雑談が多いって書いてあった…
おおっ!漏れも初めてリアル遭遇ノシ 夜更かしするもんだ。
ソフィーの言い分はもっともなんだがカブも辛いところですよね
ほんとどうなっちゃうんだろう…みんな幸せになってほしい。
250神次の投下楽しみに待ってます!
連投スマソ、リロってなかった…
賑わってて作品が矢継ぎ早に投下されてるスレなら雑談はウザかもしらんが
ここみたいにマターリしてきてるジャンルのスレは、落ちないようにたまに雑談で
繋ぐのは仕方ないんジャマイカ
うん、雑談してる時って投下がぜんぜんなくて、
でもホシュって書くよりはと思ってしているから…
せっかくのスレが落ちては嫌だし。
職人さんは雑談は遠慮無くぶったぎってほしい。
むしろそれを待ち望んでます。
最近ペース早くてウレシス
402 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 11:06:38 ID:ClLGfUKo
DVD買っちゃった。早く見たいな〜。
こんばんは。さくさく筆が進んだので、ちょっと落としますね
傾向 映画 カブレティ 連載の続きです
去り行くソフィーの背中を見送りながら、王子は深い絶望に包まれていた。
つい最近まで彼女こそが王子の世界の全てだった。彼の女神を傷つける事など
出来まいと思っていたのに、自己防御の為に彼女を傷つけた。
もう、彼女の心が自分に注がれる事はないだろう。きっと、永遠に。
「………恋を失うのは、悲しいものですね」
苦笑いと共に呟いた言葉に、王子は少なからず動揺していた。
今や彼の心をかき乱す女性はただ一人。太陽の面影を持つ、明るくて意地っ張りで
はつらつとした笑顔を持つ少女以外にいない。それほどまで、彼女は自分の中で
確固たる物となっている。だというのに、心が重たく沈んだ。
初恋の女性、と言うものはこんなにも感傷的な気分を与える存在なのだろうか。
「ジャスティン王子殿下」
戸口から、サリマンの声がした。王子は慌てて身繕いをし、ドアをあける。
「ごきげんよう」
そう言ったサリマンは一人の少女を伴っていた。慎ましやかに俯いた彼女が、
そっと顔を上げる。
「ごきげんよう、ジャスティン王子殿下。突然の訪問を不躾だとお思いでしょうが、
どうかご容赦ください」
殆ど銀色に見える淡い金髪の少女は、澄んだ声で向上を述べた。
嫌味なく整った顔立ちに利発そうな茶色い瞳が印象的だった。
「どうしても姫君さまがあなたにお会いしたいと」
サリマンの声は静かだった。そして冷淡に響いた。おそらく、王子が
侍女を追いかけて婚約を破綻にさせないために、自分を牽制するつもりなのだろう。
「お会いできて光栄です、姫君さま」
ジャスティン王子は微笑んだ。少女も美しい微笑を浮かべている。
その顔が、初恋の少女のそれにかぶる。清楚で聡明で気高く、それでいて優しい。
第一印象は、完璧だった。
「あらあら、あまりに姫君さまが美しいので驚いていらっしゃるのね」
サリマンの声がいつになく粘っこく響いた。王子が逃げられないように、
彼女はこの少女を選んだのだろう。褒められた事に少女は戸惑い、
ちょっとはにかんだ様に笑った。
「………ええ。お美しい、方ですね……」
呆然と呟いた台詞に、少女の顔がぱっと明るくなった。花の咲くような、と
形容するのにふさわしい表情だった。太陽が雲にかげるイメージが、
不意に脳裏を掠めた。
張り裂けそうになる胸を抑えながら、王子は小さく息をはいた。
婚約パーティーの準備は滞りなく進み、招待客達がぞくぞくと王宮にやって来た。
協定を結ぶための婚姻であり、また王の血縁ではあるが民間人と隣国王宮の
結婚であると言う事で、パーティーはこの国、挙式は隣国でという形で落ち着いた。
「………まだ、怒っている?」
王宮にある私室の中でソフィーの身支度を手伝いながら、ハウルが上目遣いに訊ねた。
彼女は顔を上げたまま、鏡を覗きながら髪の毛を結っている。
「―――いいえ。だって、あなたは絶対にこのパーティーに出なきゃいけないし、
そうなった以上は私も行かないといけないもの。仕方ないわ」
そう言うと、ソフィーは手早く髪に飾りを挿した。小さい宝石をあしらった
コームが、結われたシニヨンの根元あたりで輝く。
「……随分、物分りがいいね」
ハウルが苦笑した。初めてパーティーへの出席を求めた時は、クッションを
手当たり次第投げながら喚き散らしたと言うのに。
「―――だって、ジェンキンス夫人は物分りがよくなきゃ。わがままは、
言っちゃいけないの」
ソフィーがまっすぐにハウルを見上げた。いくら王宮付魔法使いに就任したと
言えども、彼はまだ若い。周りの人間達にいい印象を与えておかねば
ならない時期だろう。
「………ごめんね」
ソフィーが静かに首を振った。すくりと立ち上がり、ドレスの裾を検分する。
妊婦である事を考慮して、ちゃんとそれ用のコルセットを用意したのだが、
もともと華奢だったのが功を奏したのか、そうそう重たい感じはしないし
落ち着いたモスグリーンのドレスもよく似合い、彼女はどこからどうみても
完全な淑女だった。
「でもね」
今度はハウルのシャツにタイを通しながら、ソフィーが呟いた。
「神様って、なんて不条理な事をするのかしらって思うの。どうして、
愛し合っている二人を、身分だなんてしょうもないもので隔て引き裂くの?」
ソフィーの声は潤んでいた。綺麗に化粧された顔も、悲壮感にくすんでいる。
「………そういう運命の元に生まれてしまった事を恨むしかないよ。
でも、もしもカブが本気でレティーを愛しているなら、打破する策はいくらでもある」
ハウルがソフィーを抱きしめながら囁いた。縋りついた彼女は、重たい溜息をつく。
「………私は幸せよ」
「……うん」
「………ねぇ、私がレティーの幸せを祈るのって、傲慢なのかしら?」
「…………うん」
ソフィーが泣きそうに顔をゆがめた。涙を流す事はなかったが、それでも
苦しそうにハウルにしがみついている。それから随分と長い間、
二人は抱き合ったままだった。
「こんばんは、ジャスティン王子殿下」
現れた魔法使いの姿に、王子は目を瞠った。ハウルは一応王宮付魔法使いという
立場上、地味な魔法使いの制服を着ていたが、彼自身の美貌はちっとも
損なわれてはいなかった。
「……こんばんは。お一人で?」
訊ねられ、ハウルは肩をすくめた。王子が掌で額をおさえる。
「我が麗しのジェンキンス夫人に会えるのを、楽しみにしていたのに!」
芝居がかった物言いに、ハウルは明らかにむっとしたような顔になった。
「一言余計じゃないか、カブ」
「あぁ、そうですね―――我が麗しのソフィーが正解」
ハウルの瞳が凶暴なまでに凍りついた。解りやすいこの魔法使いの様子に王子は
けらけら笑いながら、彼の肩を叩いた。
「冗談です」
「当たり前だ」
物騒な顔つきだったハウルが、ようやく力を抜いたように息を吐いた。
王子は緩く微笑むと、静かに視線を下げた。
「それで、本当にソフィーは?」
「僕の部屋。挨拶もそこそこに出て行ったよ。身重っていうのは随分優遇
されるんだね!一言ことわっただけで、みんなにこにこしながら休め休めって」
ハウルが溜息と共に言った。王子が苦い笑いを浮かべる。
「確かに」
「僕だって、こんなことしていないでソフィーと部屋に引っ込んでるほうが
ずっといい」
「同感ですね」
何気なくそう言った王子を、ハウルは非難するように見つめた。
王子が微苦笑を浮かべる。
「何です、いきなり」
「……レティーの話、聞いただろう?」
「………ええ」
王子が呟くように答えた。ハウルは彼を睨み、苛々と睫を伏せながら続けた。
「あんたが蒔いた種だろう?どうにかして片をつけてくれよ―――こんな幕切れ、
いくらなんでも酷すぎる」
ハウルの声は常日頃の冷静さを欠いていて、子供っぽく響いた。
王子は相変わらず微笑んでいる。
「レティーはどうなる?あの子は、どうなるんだ?」
「………私が、憎いですか?」
王子がハウルに尋ねた。その声は穏やかで、純粋に疑問に思っているようだ。
「―――憎いよ。レティーは大切な義妹だから」
「……じゃあ、何故?なぜここで私と仕事を?」
今度は少しばかり尖った声を出して王子が訊いた。魔法使いはかすかに
首を振ると、まっすぐに王子を見た。
「理由は一つだ。僕には妻がいて家族がいて、それにもうすぐ子供も生まれる。
守るべきものがあるんだから、そのためなら嫌な仕事だっていくらでもする。
それだけの覚悟は出来てるさ」
きっぱりといわれた言葉に、王子は目を瞠った。強い瞳、靭い言葉。
自分にはないもの、欲しくてたまらない「なにか」。それを持ち得る彼は、
満ち足りたような顔をしていた。
「………ずるいなぁ」
くすくすと笑いながら、王子は髪をかき上げた。ふわりと巻き毛がおどる。
「そんな風に言い切れるだなんて……幸せそうで、ねたましいなぁ」
明るい、冗談めいた口調で王子がハウルに言った。しかし、彼の瞳は落ち窪み、
今にも泣き出しそうに震えていた。
「…………婚約、おめでとうございます」
臣下、滞在中の彼つきの魔法使い、そしてこの婚約の後見人としてハウルは
言祝ぎを述べた。王子は泣き笑いのような顔を浮かべると、ありがとうとだけ呟いた。
会場が突如わぁっと沸いた。本日の主役である、王子の婚約者が現れたのだ。
クリーム色の品のいいドレスを来た彼女は、初々しい様子で、それでも誇りを
持って王子の元に歩み寄ってくる。
「ジャスティン王子殿下」
「こんばんは。あなたは、今宵も輝くばかりにお美しい」
手の甲に王子のキスを受けながら、少女はぽっと頬を染めた。
傍らに立ったハウルを見止め、彼女は可愛らしく首を傾げる。
「あら、こちらの方は?」
「はじめまして。ハウエル・ジェンキンスと申します。以後、お見知りおきを」
ハウルも胸に手を当て、彼女に敬意を表した。少女ははにかみ、ドレスの裾を
つまんで腰を折った。
「お噂はかねがね。とても、優秀な魔法使いだと」
「―――あなたも。噂に違わずお美しい」
そう言われ、少女は照れたように微笑んだ。その顔が愛妻のそれと重なり、
ハウルは目を瞠る。非難するように王子を見ると、彼は困惑したように
視線を下げていた。
「それでは、私はこれで。ごゆっくり、パーティーをお楽しみください」
居たたまれなくなって、ハウルは早口に別れを告げると群衆にまぎれた。
少女はふふ、と微笑みながら王子を見上げる。
「素敵な方でしたね―――仲がおよろしいのですか?」
「ええ―――奥方ともども、個人的な友人です」
「あぁ、一度だけ見かけた事がありますわ。銀の髪の、お美しい方でした」
ささやきをかわす二人の様子は初々しく、さも仲睦ましげだった。
まるで絵画のような様に、招待客たちは溜息を洩らす。
そして、その何本もの視線のうちに、ひどく傷ついたような目が一つあった事に、
王子は気付いていなかった。
今日はここまで。ラストまで後ちょっとです。主役のくせにレティーが
でてきませんでしたね。
捏造の人物が出てくるので、不愉快に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
その場合はスルーしてください。
250タソ乙です!いつも楽しみにしています。
今回はハウルの出番が多くて嬉しいなー
DVDももうすぐで待ちきれないですね!
ハウルとカブのやりとりが息詰まるー!
カブの婚約相手の姫君が、良いかんじなお嬢さんなのがまた切ない…
ソフィーに面影が似てるというのも心憎いなあ。
続き楽しみにしてます!
250ネ甲! 乙ですー!
ラストまであとちょっとですか…楽しみなような寂しいような
続きテッカテカして待ってます
日刊でスイマセン。まぁ、DVD発売まで日がないんでラストスパートで。
傾向 映画 カブレティ
「あら、あの―――叔父様!」
少女が突如声を上げた。面食らう王子をよそに、群衆の中にいた一人の紳士が
振り返る。
「叔父様、来てくれたのね!ありがとう!」
少女は心底嬉しそうに笑った。紳士は40をいくつか越したばかり、といった様な
年恰好で、ひょろりと背が高くて額が広い。そしてその茶色の瞳はひたすらに
穏やかで、身分の高い貴族であるには違いないのに、ひどく異質な存在だった。
「もちろんだよ、可愛い姪っ子の婚約パーティーだからね」
紳士も微笑みながら応える。彼は王子に向き直ると、深々と礼を取った。
「お会いできて光栄です―――この度は真におめでとうございます」
王子も薄く笑うとありがとう、と小さく応えた。少女が気をきかせ、王子に
耳打ちする。
「この方は私の父の弟です。小さい頃から、とても良くしていただいてますの」
その言葉に、王子はようやく肩の力を抜いた。どうやら、彼は伯爵に当たる
人物らしい。しかし、取り澄ましたような所はどこにもなく、親しみやすさと
穏やかさが魅力的だ。
「あら、叔父様。そちらはどなた?」
少女が気安く尋ねた。紳士はあぁ、と照れたように笑うと、背中に隠れるように
立っていた娘を前に押し出した。
「恥ずかしながら、私にも良縁が訪れてね―――レティー・ハッター嬢だよ」
王子は、全身から力が抜けていくのを感じ、どうにか歯を食いしばってそれに
耐えた。目の前には、赤味の強い金髪をきつく結い上げ、淑女然とした
立ち姿の娘が一人。
「お綺麗な方ねぇ……!どちらでお知り合いになったの?」
少女が感嘆の声と共に訊いた。紳士は照れたように頬を掻き、娘をちらりと見る。
彼女はしとやかな微笑を浮かべて、かすかに顎を引いた。
「彼女はついこの間まで町の菓子屋の看板娘でね……ふらりと立ち寄ったときに
見初めたんだ。初めて見た瞬間から、あぁ、この人と結婚しようって思ってね」
紳士は年の割には純朴な所があるらしい。王子は胸焼けを覚えながらどうにか
微笑を貼り付けた。少女は嬉しそうに笑っている。娘は、毅然とした態度を
崩さなかった。
パーティーの度、彼女の姉君は完璧な淑女として振舞っていたのに、彼女は
どこかぎこちなく痛々しい様子だった。
「………ジャスティン王子殿下」
その晩、初めて娘が口を開いた。紅を引いた珊瑚色の唇が、やけに目に付く。
「ご婚約、おめでとうございます」
そう言ったとき、彼女は笑っていなかった。大きな瞳に涙をため、
それでも精一杯に王子を見据えている。
精一杯、と思った瞬間にすべて合点が言った。ソフィーと比べ、レティーは
世渡り上手のイメージが強かったのだが、むしろ彼女の方がずっと不器用にしか
生きられない人種だった。ソフィーがいつでも凛としているのは、例えどこに
いようと自分の価値観を曲げないからであって、レティーは強い意志と周りを
読もうとする力の葛藤が若さゆえにか少しだけ覗き、それが痛々しく見える。
「レティー……」
鏡のようなこの娘の名を呟いたとき、彼女は遂に涙を流した。身を翻し、
たっと駆け出す。紳士が声をあげ、一礼してから彼女の後を追った。
少女はぽかんとしている。
「………どうなさったのかしら?」
少女に囁かれても、王子は返事をしなかった。否、出来なかった。今、口を
開いてしまえば、溜まっていた涙が堰を切ったように溢れてくるだろうから。
だから、王子はきつく唇を噛み締めたまま、一人震えていた。
宴は佳境に差し掛かり、いよいよ華やかな雰囲気が濃くなった。
誰もが美酒に酔いしれ、この婚姻を声高に祝っている。
しかし、玉座にいる王子はひどく沈んだような顔をしていた。子供のように
そわそわと視線をさまよわせ、かと思えばじっと扉を見つめたりしている。
「――――――か、殿下」
だから、名前を呼ばれた事にも王子は気付けなかった。はっとしたように顔を上げ、
傍らの少女を見直せば、彼女は随分困ったような顔をしていた。
「……申し訳ありません。少し、疲れてしまって……」
取り繕うように笑う王子に、少女は口元を持ち上げ、すぐに前を向いた。
凛とした横顔のまま、口を開く。
「……あなたに出会う前、私は自分を月だと思っていました」
少女の思いもよらない告白に、王子は目を瞠った。彼女はしゃんと
前を見据えたまま言葉を紡ぐ。
「そして、あなたこそが私を照らしてくれる太陽だと―――でも、違ったわ」
王子が驚き、彼女の手に触れた。しかし、少女は誇り高く彼の手を振り払い、
目を伏せた。
「あなたが輝いていたのは、あなたを照らす誰かがいたから。
あなたも月だわ。私と同じ」
少女の声は静かだった。そして、まっさらで穢れがなかった。王子は目を閉じ、
苦しそうに呟く。
「―――すみません、私には……」
「行って下さい」
「………すみません」
搾り出すような声で囁かれた言葉に、少女がやっと振り返った。まっすぐに
王子を見据え、静かに微笑む。
「……これは、優しさなんかじゃありません。私のエゴ。だから、行って。
誰かに照らされて、明るく輝くあなたが好きなんです」
少女が微笑んだ。初めてで会った時と同じく、完璧な微笑だった。
王子は一歩足を踏み出し、すぐに彼女の手をとりしっかり見つめた。
「………あなたは、私にとって大切な人です―――これは、私の何が嘘でも真実です」
少女の微笑は崩れなかった。彼女は生粋の誇り高き姫君だった。
彼女は王子に握られた手をすっと離すと、彼の背をそっと押した。
王子は泣きそうな顔で一礼すると、たっと駆け出した。
金色の巻き毛がふわりと浮き、その残像はいつまでも少女の脳裏に焼きついていた。
今日はここまで。次でやーっとおしまいです。長々とスイマセンでした。
そして、ここまでフィクションの濃いものをずるずると連載させていただき、
ありがとうございました。ただ、感謝感謝です。
乙です!!
次が最後かぁ。寂しいよー
カブレティ突然の再会でビックリしました。
このまま二人は幸せになるのかなぁ…なって欲しいな
ラスト楽しみにしてます!
うわぁ…もうドキドキしっぱなしです!
王子がレティがどうなっていくのか、今回のお話は何度も
読み返したいです。
その時々で感じ方変わりそう。ワクテカで続き待ってます。
うわー、すごくъ(´ι _` ) グッジョブ!!
250ネ甲GJ!
すごい!ほんとにDVDカウントダウンになってる…
なおかつ内容の密度が下がらないのがすごい
次がラストとの事、引き続き楽しみにしてます!
イヤッホー∩(・∀・)∩
発売日になったぁぁぁ
こんばんわ。最終回です。
傾向 映画 カブレティ
あなたは太陽、私は月
一つの空を分かち合う
それなのに、どうしてたった一夜で、
こんなにも遠くなる?
王宮の廊下を走りながらも、王子は途方にくれていた。会場を抜け出したはいいが、
レティーの行方はわからない。もしかしたら、もうここを立ち去ったのかも
しれない。あの紳士と一緒に。
「―――っ」
それでも、王子は足を進めるのをやめなかった。とにかく、レティーを
探し出さなければならない。
「レティー?レティー?」
叫びながら、王子は尚も走る。ふと気がつき、中庭に飛び出る。中庭には
様々な花が咲き乱れ、その香りがむわりと重たく香っている。
この中庭は、いつかレティーを連れてきた場所だった。あれは暖かい夜で、
レティーは薄物一枚と言う出で立ちだったからだろうか、何度もくしゃみを
していた。しっかりしているようで抜けていて、腕をさすりながらも王子の
差し出した上着を受け取らなかった意地っ張りなレティー。
「レティー!レティー!」
王子は声の限り叫んだ。やがて声は枯れ、掠れた色を帯びたとしてもその叫びは
止まなかった。溢れ出る涙が後ろに流れていく。全身が熱い。
「レティー!」
中庭の中心にある東屋に、その人はいた。彼女はびっくりしたように
目を見開いたまま、泣きながら走ってきた王子を凝視している。
「………どうしたの?」
レティーは心配した風に首を傾げ、東屋の入り口まで早足にやって来た。
「何かあったの?どこか、怪我したとか……」
レティーの声はいつも通り落ち着いていて、安らかだった。王子はその事に
自分の中で緊張が解けるのを感じた。
「………あの、そのままでいいので、話を聞いていただけませんか?」
涙を拳でぐいと拭いながら、王子が大声で尋ねた。レティーが歩みを止める。
「それで、あの……もし、あなたが今から言う事を不愉快に思ったり、
煩わしく感じたりしたら……このまま、立ち去ってくださいませんか?」
王子の願いに、レティーは目を剥いた。呆れたように溜息をつき、額に手を当てる。
「―――随分勝手なのね」
「……すみません」
仕方ないわね、とレティーは肩をすくめた。それから、母親のように落ち着き
払って頷く。王子は軽く呼吸をすると、まっすぐに彼女を見つめた。
「………結婚、しないで下さい」
言われ、レティーが眉をひそめた。王子は唇を何度も噛み締め、切れ切れに
言葉を続ける。
「その……だって、あの方と結婚したら、あなたはまた色々大変な目に遭うし
……それに、随分年上だし……それに、知り合って日も浅いだろうし……」
「―――そんなの、あなたが気にする事じゃないじゃない」
レティーの声は冷ややかだった。王子は傷ついたように視線をそらす。
「ご婚約中の王子殿下は、侍女風情の縁談に口出ししている場合じゃ
ないんじゃないかしら?」
レティーの声に潜む強い拒絶に、王子の胸は張り裂けんばかりに痛んでいた。
彼の様子を見、娘は残忍な笑いを浮かべながら言い放った。
「あなたには、何一つ関係ないことだわ」
「―――そんな言い方、ありますか?」
余りに冷たいレティーの言葉に、王子は頬を赤くしながら反論した。
二人の間に火花が散る。彼女はふんと鼻を鳴らすと大声で王子に怒鳴りつけた。
「あなたが勝手過ぎるからよ!ねぇ、どうしてあたしにつっかかってくるの?!」
レティーの強い言葉に、王子は俯いた。彼女は眉間に皺を寄せると、ドレスの
裾をつまんだ。さっと背を向ける。とろけそうな黄金の満月に、その姿が映った。
逆光でシルエットのみが浮かび上がる。これを逃したらもう二度と彼女が帰って
こない気がして、王子は東屋に続く石段を駆け上がり、彼女の細い腕を掴んだ。
「―――あなただからですよ!」
振り返ったレティーは、目を瞠ったまま固まっている。王子は大きく方を
上下させながら、殆ど怒鳴りつけるように言った。
「あなたが、あなただからですよ!好きだからですよ!あなたが、大事だからです!」
石のように動かなくなかったレティーを抱きすくめ、王子は溜息を付いた。
欲していた体温に、心臓が拍動しているのを煩いほどに感じる。
「………あなたがいたから、だから、私はどうにか生きてこれた……だから……」
「……だから?」
レティーがようやく口を開いた。ぽそりとした呟きは、どこまでも儚くか細い。
「……あなたのいない世界は、生き難いのみです――――あなたがいれば
どんなにいいかと毎日考えていました……だから……」
そこで、王子はレティーの肩を自分から引き離した。彼女の瞳を覗き込み、
はっきりとした声で言う。
「戻ってきてください」
レティーの瞳が凍りついた。王子は気にせず、泣き出しそうに震える声で続けた。
「………これを言うのは嫌なんですが……寂しいんです、あなたがいなくて」
あまりに開けっぴろげな告白に、レティーは驚くとか喜ぶとかよりも、単純に
呆れていた。しかし、腹のそこからじりじりとこみ上げてくる喜びと感動には
勝てず、しっかりと王子と目をあわせ、目元をほころばせた。
「――――あなたみたいにしょうもない人に、愛想を尽かさないのは、
きっとあたし位のものだわ」
レティーが泣き笑いの顔をしながら呟いた。声が潤んでいる。
王子も泣きそうな顔で、何度も何度も頷いた。
「…………そんな物好き、あたしだけなんだから」
二人は引き寄せられるように抱き合った。きつくきつく、互いに腕をまわす。
涙は溢れていたが、二人は幸せそうに笑い合っていた。満月の照らす東屋は、
まるで夜明けのように明るく輝いていた。
あなたは太陽、私は月
運命の神様の導きで共にいる
愛が燃える空に、光の輝く空に
そこから生まれてきたの
陽光と、月光から
以上です。あー疲れた。何はともあれ、DVD発売おめでとうございます。
そして、こんなにだらだらと長い(しかも、完璧に妄想で続く)話に
最後までお付き合いいただいて、ありがとうごいました。
皆様からの感想が、とっても嬉しく、また心強くもありました。
それでは、長らくの長文乱文、失礼いたしました。
すんげー良かったー。(*´∀`)
ただ、レティが当て馬にした貴族のことを考えると(´・ω・`)ショボーン
長い間楽しませて頂きました!乙です!
ハピーエンドで嬉しい限りです。こっちまで幸せな気持ちになれました。
めでたいDVD発売日だから他の神も現れないかなぁ、、
>>435 連載楽しかったっす。途中何度もドキドキハアハアしますた。
カブレティも好きだからよかったです。
DVD(の宣伝とか)見て新規な神とか思い出しな神とか、来るといいね。
>>435 神!GJ!
DVDで萌えを充填!!続きを完成させます…。
ああ、残業で出遅れた!
250神様、長いこと乙です。そしてGJ!! 良いお話でした〜(´∀`*)
ハッピーエンドでほっとしますたよ。
リアルタイムで素晴らしい連載と時間がすごせて幸せでした。250さん
ありがとう! 次の作品も楽しみにしてます。
上の方はどの神だろう?どなたか存じませぬが続き楽しみに待ってますよー!
DVDで改めて萌えなおしたので、個人的に初心に帰ってハウソフィの
初夜ものが読みたいなあ…濃いーのをw
連投&クレクレ失礼しますた。
(・ωノ| 書きたいと思いつつここ数か月停滞してオリマス…
>442
降りてきたらぜひがんがって下さい
いつまでもお待ちしてまつ!
保守
>>442 書き上がったときには是非投下してください。
DVDやっと買えます。嬉しいな。
446 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 03:34:38 ID:CMDJ55bM
ageて良い?
いいよ
448 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 08:46:09 ID:wvm7VTQ8
ageホシュ
449 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 17:11:09 ID:t9XLlqpP
良スレ発見!!!!!!
ほしゅほしゅ(*´∀`*)
神々はどうしておられるのか…
451 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 01:23:31 ID:ZkXvAEj0
ほしゅ
452 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 23:29:42 ID:BAFwMVG7
ホシュホシュ。
テスト
DVD発売されたら盛り上がると期待してたけど、
逆に盛り下がっちゃったみたいだね。
みんなDVDで満足しちゃったのか?
まだいる人挙手してみよう。
ノシ
ノミ
読み専門ですが。
ノシ かつて投下したことも…今書けないんです(´・ω・`)スマソ
何か寂しすぎませんか!?活性化しますように、との願いをこめて
一本落とします。
傾向 映画 ハウソフィ えっち有
差し出された真っ赤な薔薇の花束の前に、ソフィーはぽかんと口を開けた。
目の前の青年は、ひどく思いつめたような面持ちで固まっている。
「………あの」
今しがた売ったばかりの花束を渡される意味がわからず、ソフィーは困ったように
声をかける。青年はぷるぷると震えながら頭を下げた。
「僕と―――結婚を前提としたお付き合いをして下さい!」
はぁ、と生返事をしたソフィーに、青年は思い切り悲しそうな顔をした。
ソフィーは頬に手を当てると、大きな溜息をついた。
花屋を開き、接客をするようになってから、ソフィーの顔は随分と町中に
知れ渡っていた。その美しい銀髪や整った顔立ちに加え、柔らかい物腰や
優しい性質で彼女は老若男女問わず愛される存在となった。
まぁ、一部の女性からの反発は残ったりもしたが。
それというのも、彼女がこの店の店主である美貌の青年の愛を一身に受ける
存在だからであった。店主は彼女がかわくて愛しくて仕方がないという様子を
隠そうともせず、たまに店に出ては立ち働く少女に熱っぽい視線を注いでいた。
というわけで、ソフィーは周りから非常に愛される存在でありながらも、
彼女に手を出そうとする輩はそうそういなかった。
そう言った点では、この青年はちょっとした猛者であるとも言える。
「………ご好意はありがたいのですが―――申し訳ありません。
私にはもう恋人がいて……あの、だから……」
よく考えればこんな直球な告白は初めてで、ソフィーはしどろもどろになって
しまった。けれど、ここで曖昧に断ったりしたら、この青年に悪い。
だから、ソフィーはきっと顔を上げて宣言した。
「あなたとは、お付き合いできません」
あまりにも淀みなく言われたためか、青年は傷ついたように顔をゆがめた。
ソフィーは淡く微笑み、ごめんなさい、ともう一度呟く。青年はうな垂れ、
花束を下げた。
「…………恋人とは、ここの店主ですか?」
掠れた声で青年が呟き、ソフィーは恥ずかしそうにそれに背いた。
途端、彼が顔を上げ、目じりを吊り上げる。
「あの男は、いろんな女と懇ろになっています!あなたには相応しくない―――
どうせ、あなただって気まぐれに選ばれ、慰みにされているだけだ!」
青年の解釈は随分と彼に都合のいい方向に傾いてはいたけれど、
ソフィーを傷つけるには十分な威力を持っていた。胸に鋭い痛みが走り、
ソフィーは思わず目を瞑った。
「傷つくのは、見てられないんです………すぐに見切りをつけるべきです」
青年がソフィーに熱っぽく訴えかけた。しかし、息も出来ないくらいの
衝撃を受けて立ち尽くすソフィーには、そんな言葉は届かない。
彼女はただぐるぐると頭を回る言葉達
―――いろんな女と懇ろになった、相応しくない、気まぐれな、慰みもの―――
に気を取られていた。青年はその間に彼女の手を取り、自分がいかに彼女に
焦がれているかをとくとくと語っていた。
「お客さん」
思い切り不機嫌そうな声がして、長い腕がソフィーの背後から伸びてきた。
それが彼女を捕らえると同時に、端正な男の顔が現れる。
「花を買う気がないなら、お引取り願いたい」
ハウルはソフィーの肩を抱きながら、苛々と吐き捨てた。驚くソフィーを尻目に、
目の前の青年を高圧的に睨みつける。
「この子は僕のものだ。あんたにどうこう言われる筋合いはない」
ハウルの怒りを痛いほど感じ、ソフィーは思わず身をすくめて彼の胸に手を置いた。
その様子をじゃれていると取ったのか、目の前の青年は怒りに真っ赤になりながら
手前にあった花瓶―――皮肉な事に、それは先ほどまで花束の中身を活けて
あったものだったが―――を手にとり、中身を思い切りぶちまけた。
水を頭からかぶり、ハウルの髪が額に張り付く。前髪の隙間から覗く青色は
狂気の色を湛えていて、見上げたソフィーは背筋に悪寒が走るのを感じた。
「ふざけるな!彼女の事、愛してもいないくせに!」
青年はそう喚き、ハウルをにらみつけた。しかし、怒りにぎらつく青い瞳に
圧倒されたのか、舌打ちを一つ残して店を飛び出していった。
「―――誰だ、あいつは?」
低く掠れた声で訊ねられ、ソフィーはかたかたと震え出した喉をだましだましに
言葉を紡いだ。
「………常連さんだったわ……いつもは、すごく優しい学生さん」
小刻みに震えるソフィーをハウルはちらりと一瞥すると、そう、と一言だけ
洩らした。重たい沈黙に耐え切れず、ソフィーは無駄に明るい声を出した。
「濡れてしまったわね、大丈夫?あの、着替えに行きましょう!
風邪を引いてしまっては大変だわ!」
そういって彼の腕を引き、彼の部屋へと向かった。その間も一言も話そうとしない
ハウルに空恐ろしさを感じながらも、ソフィーはつとめて陽気に振舞った。
「……信じられないわよね!まさか、私に告白してくるなんて!あなたも
とんだ災難だったわね。まさか、あんなふうな事するだなんて誰も思って
いなかったもの―――カルシファーに頼んでお湯を送ってもらいましょうね」
空白を埋めるように早口に喋りながら、ソフィーはハウルの着替えを探した。
シャツやらズボンやらは、チェストに乱雑に詰められていたので、
なかなか見つからない。
「ねぇハウル―――」
「黙って」
振り返ろうとしたとき、耳元で声がした。思わず飛び上がりそうになった
ソフィーを、ハウルは静かに抱きすくめた。まるで、腕の中に閉じ込めるように。
先ほどソフィーを助けた腕は、裸のままだった。びしょびしょに濡れた
シャツは脱ぎ捨てられたようだ。少し冷たい皮膚の感じが、頬に伝わる。
「……ハウル?」
「どうして、すぐに追い返さなかったの?」
囁かれ、ソフィーは身体を固くした。耳元に息が当たるたびに、ぞくりとした
痺れに似た何かが走る。
「あ……あの……私…」
「どうして、何も言い返さなかったの?」
つ、と舌が伸ばされ、それがソフィーの耳を嬲った。ぞくぞくとする感覚は
もはや隠しようもなく、ソフィーは持っていた彼のシャツをきつく抱きしめた。
「あ……ぁ、やぁ……」
「どうして」
そこで、ハウルはいったん言葉を切った。かり、と彼女の耳朶を柔らかく食む。
「あぁ!」
「僕が好きだって言わなかったの?」
彼の大きな手がソフィーの身体を蹂躙する。ぷち、ぷち、と胸元のボタンを外すと、
ゆっくりと上半身をはだけさせていった。彼女の瞳が、羞恥に潤んだ。
彼と身体を重ねた回数というのは、まだそうは多くない。
初めての夜がほんの二ヶ月前なのだから、それは仕方のない事だとも思う。
だけれど、彼はいつでも優しく、そして自分を怯えさせるような真似はしなかった。なのに―――今はどうだろう?
掌に彼女の乳房を納め、それを機械的に揉みしだきながら、ハウルは震えている
首筋に顔を埋めた。きつく吸い付くたびに赤く跡が残り、淫靡な雰囲気が漂う。
「あっ……は、ぁ……」
俯き、シャツをぎゅっと抱きしめたままソフィーは溢れ出る声を押し殺した。
真っ赤になり、苦しそうに喘ぐ彼女を気にする様子もなく、ハウルは手の中の
それが柔らかくたわんだことに微笑を浮かべる。
「ねぇソフィー……どうして?」
固く、そして色味を深くした小さな突起に指を這わせながら、ハウルが訊ねた。
びく、とソフィーの体がかわいそうな位に跳ね上がる。
「ひぁっ―――っあ!」
「答えてよ、ねぇ」
何でこの人はこんなに機嫌が悪いんだろう、とソフィーは泣き出しそうに眉根を
寄せた。確かに、彼が来たときにソフィーはあの青年に手を取られ、
愛を囁かれていた。けれど、ソフィーはそれにこたえる気は毛頭なかったし、
事実言下に断っていた。なのに、ハウルはそれを知らない。
「ちが……っ、ちゃんと、あっ!」
無遠慮にスカートをまくられ、ソフィーが震え上がった。下履きが乱暴に下げられ、素足がさらされる。
「ちょっと、もうやめて……やだっ!」
いきなり敏感な部分に触れられ、ソフィーがいやいやした。ハウルはそれに気にする様子もなく中指を這わせ埋める。
「きゃあっ!」
ぐちゅ、ぐちゅと淫靡な音を立てて抜き差しされる指に、ソフィーが悲鳴を上げた。蜜が溢れ出し、ハウルの手を伝っては流れていく。
「あんっ……やっ、あっ、はぁっん!あっ……いやぁ……」
濡れた音はもう隠しようもなく、ソフィーはただ一心に喘ぎ、身もだえした。
くねくねと腰が動くたびに、ハウルの口角が持ち上がる。
もう何が何だか解らなくなっているソフィーの口に、彼女の蜜で濡れた指が
差し込まれた。
「自分で汚したんだから―――舐めて?」
「んぅ……」
苦しさと恐怖を感じながらも、ソフィーはおずおずとハウルの指を舐めた。
わずかな酸味を感じる。体の奥が、ぴくりと疼いた。
「ぅん……ん、ふ………」
虚ろな表情で指先に舌を絡め続けるソフィーを見つめているうちに、
ごまかし切れない熱を感じて、ハウルはズボンと下履きをずらした。
己は、すでに熱を持ってぱんぱんに固くなっている。
「もう我慢できないや………入れるさせて」
ず、と音がしてハウルの熱く滾ったものがソフィーの中にうずめられた。
とたん、白い背中が弓なりにしなり、喉がぐいとのけぞる。
「――――ひぁぁっ!!」
どうしようもない熱さと異物感に、ソフィーが涙を溢れさせた。
そういえば、ベッドではない所で身体を繋げるのは初めての経験だ。
膝が笑い、内腿ががくがくと震える。
「いやぁっ!あっ、やっ!やっん……あぁああっ!」
立っていられなくなって、思わず前のめりになってチェストに手をつく。
自然と腰を突き出してしまう格好になって恥ずかしかったが、
いくらかはましだった。
「ねぇ―――ソフィーは、あの男に少しでも、よく思われたかったから
何も言わなかったの?」
ぱん、ぱんと小気味の良い音の間から、ハウルが訊ねた。甲高い声をあげ、
ほとんど泣き出したソフィーがふるふると首を振る。
「違う……違うの……」
必死の弁解もむなしく、ハウルの攻め立てるペースはやまない。
襲い来る絶頂の影に怯えながら、ソフィーはぎゅっと目を瞑った。
「あ、あぁぁ………あ、あ、あぅ……」
体が小刻みに震え始める。ハウルも心得たように息を大きく吐き、埋めていた
ものをぎりぎりまで引いた。そして、それから一息に最奥まで突き入れる。
「ひっ――――――あああぁっ!」
「うっ……ぁ」
ぎゅうう、とソフィーのそこがきつく窄まった。その締め付けにハウルも
耐えられず、彼女の中に白濁を吐き出した。彼女の体から、完全に力が抜けた。
しばらくの間、二人は繋がりあったままでいた。荒い呼吸の音だけが響く。
先に動いたのはハウルだった。腰を引いてつながりを解くと、
ソフィーの脚から力が抜けた。ぺたりとその場に座り込む。
「………ぃくっ……ひ…っく」
ソフィーはすすり泣いていた。ハウルは憮然とした顔で身なりを直している。
沈黙が訪れ、二人はそれから随分長い間黙っていた。
「………質問、一つくらい答えたら?」
泣きじゃくるソフィーに、ハウルが憮然としながら言った。彼女は涙に濡れた目で
きっと彼を睨むと、真っ赤な唇を尖らせた。
「…………せに……」
「え?」
「話を聞こうとしなかったくせにって言ったの!あの人、私はあなたの
気まぐれで慰みされてるだけだって言ったわ!相応しくないって!
そんなの解ってたけれど私、私……」
そこまで言って感極まったのか、ソフィーがまた声を上げて泣き始めた。
ハウルはぽかんとした顔になり、それから驚きに顔をゆがめた。
「はぁっ?」
間抜けた声に、ソフィーがまた彼をにらみつけた。ハウルはしゃがみこむと、
濡れた髪をくしゃくしゃとかきむしった。
「じゃあ、何?君は、僕が君の事を気まぐれで慰みにしたと思ってたの?」
問われ、ソフィーは思わず視線をそらした。ハウルが大仰な溜息をつく。
「……だって…あなたは、素敵だから……いろんな女の人と……
お付き合い、してたし……」
消え入りそうな声で、ソフィーが言った。ハウルは首を振ると、彼女を抱きしめた。
「………僕が好きなのは、ソフィー。君だけだよ」
はっきりと宣言され、ソフィーが目を瞠った。その気配にハウルは苦笑し、
言葉を続ける。
「―――僕が好きなのは、ソフィーだけだよ。だから、僕はあの時、
君に好きだって言って欲しかった」
ハウルの声は、どこか寂しげだった。ソフィーの心はもうぐしゃぐしゃで、
とにかく泣けて泣けて仕方がなかった。
「ごめんね………痛かった?それとも、怖かった?」
ソフィーが頷いた。いつもの気丈な彼女とは対照的に、そうしていると年より
幼く見えた。ハウルは、彼女の髪をゆっくり撫でてやる。
「………お風呂に行こう。身体、流したほうがいいよ。それから、夕食の片付けも
してあげる。明日、チェザーリでチェリーパイも買ってきてあげるから」
だから、機嫌を直して。
囁かれて、ソフィーの頬に朱が走った。しかし、彼女はしかめ面を作るとぷいと
そっぽを向いた。
「そーふぃー」
甘えるように頬を摺り寄せてきた彼に、ソフィーはちらりと一瞥をくれてやった。
それから、拗ねたような口調で訊ねた。
「………髪の毛も、洗ってくれる?」
ハウルが苦笑した。大人びた表情に、ソフィーは思わずどきりとしてしまう。
「いいよ―――僕のお姫様。仰せのままに」
ハウルがひょいとソフィーを抱き上げた。バスルームへの道の中で、
彼女は顔をしかめるのをやめたりはしなかった。
だけど、それでもその腕は彼の首にしっかりと巻きついていた。
うわー、久々だったから初歩的なミスしちゃった……無念です。
今まで全然関係ない文章を書いていたので、ハウソフィは久しぶり。
初夜ネタも考えているのですが……いつにない難産です。進みません。
過疎化が進んでいて悲しいです。職人さんがた、私も頑張るので
頑張ってください。
>>469 リアルタイムで見ちゃった'`ァ'`ァ(*´Д`*)'`ァ'`ァ
乙です。
ごちそうさまでした。
きゃー!待ってました!
250さんのハウソフィ大好きです。
嫉妬するハウルが良い!
初夜ネタもすごく楽しみ。
スレが過疎ってて淋しいですね。
皆さんの投下待ってますよー
読み専で申し訳ないですが…
>>469 わー!
最後に甘えるソフィーが可愛いです。
乙です。好きだなぁこういう話。
年末年始の休みに思い出してくれる神もいるかもしれないし
マターリいつまでもお待ちしております。
うわー!
DVD観たんで久々にスレ覗いたら素敵SSが〜
私みたいにDVD観て、またスレのぞきに来る人いると思いますよ。
250神!GJです!!
けんかエチー萌え〜(*´Д`*)
けんかというかほとんどハウルたん一方的でつが(そこも萌え)
初夜ネタもハアハアお待ちしてます!
他の職人さん達にも帰って来て欲しいなあ…
うん。昔の雰囲気、すごい好きだった。
今は250タソのような神投下ばかりだから尻込みしちゃうのかな…と(失礼ですが)思ったり。
昔みたく、ちょいネタとか小品でも、も〜何でも美味しく頂きます!いろんな作風がご馳走だからさ〜…と、元書き手さん達にクレクレしちゃいます、すみません。
自分も、萌えネタできたら思い切って投下してみようとは思うので(ヘタだけど)、皆で盛り上げましょー!!
今の過疎化で逆に250神も投下しにくいかなあと思って、むしろ投下に
挑戦してみようかと思う漏れが通りまつよ。
文章なんてリアん時の作文以来だが…しかもぶっちゃけ苦手だったんだが。
どへたれ初心者でも、にぎやかしになれば。
年内は無理そうだけどがんがってみる…
>>476 がんばれ!その姿勢がウレシス
自分もがんばろうかな…
過疎化サミシイ
絵を投下してくれてたネ申もいたよねえ…。ナツカシス。
ホシュ!
昔の神々、お待ちしてます〜(*´∀`)
480 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 00:27:01 ID:gpPkfAHE
ほしゅ。
481 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 07:20:51 ID:5QEOBOqJ
捕手( ̄^ ̄)/
我々は、何でも残さず食べ切る事を誓います!!
sageろよバカ
483 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/10(土) 18:42:19 ID:UBScNh1j
過疎ってるねー…
サミシス
ちょうど一年前に住人だった人間が通りかかりましたよ。
今もスレがあったのがテラウレシス
このスレが1000スレ続き、ハウルネタが盛り上がりますよう、
ちょっぴりネタフリ&クレクレ厨していきますよ。既出ネタかもしれないけど。
ソフィがまだ夜しか若返ってなかった頃、
寝顔を見に来たハウルがカルの制止も聞かず大暴走。
「キス…したくなっちゃった」「胸触ったくらいじゃ起きないかな」などと
なかなか目を覚まさないソフィにあんな事やこんな事をしてしまうとか。
一線を越えない代わりに愛撫が超ディープになってしまい
喪失前に準備万端な身体にされてしまったソフィ。
その結果かどうか、初夜は超スムーズ。
「私って淫乱?」と自己嫌悪に陥っているソフィと
真実を口に出せず罪悪感に苛まれるカル。
そんな二人を背にし「おはよう、諸君!」とテカテカに晴れやかなハウル
…なんかが読みたいです。カルは一部始終を目撃していた方向で。
作品に飢えてるせいだろうか…485のネタふり文だけでも結構萌えたw
この脳内妄想を文章にできる才があったならなあ
だから職人さん達はすごいんだけどね。
>>486 ハゲドウ
これを作品で読んだらおそらく萌え死ぬ!!
ほしゅります。
ほしゅ
ばっかりでサミスィ
ほしゅ。
過疎さみしー・・ネ申待ち
最近DVD観てハウルソフィーに萌えてここ来たんだけど
カブレティーもいいなあ。
でも、レティーを今までベティーだと思ってたよ…。
250神さんの作品、ミューヲタとしては二重においしかった。スゴス。
保管庫で去年今頃の賑わいを思い起こしてます。
ほのぼのも短篇もどれも(*´Д`)モエ
連載中途の神達、帰ってきてくれんかな〜。
だれかあああああああああああああああ
叫ばれてもなぁ
書くのって結構体力と時間くうんだよね…。
そこを伏してお願いしたい。
じゃあ落とします。急ごしらえなんで短いですけど。
傾向 映画 微エロ
「幸せなの?」
その声が思いのほか弱弱しく響いた事に、彼女は内心狼狽していた。
青年はきょとんとしたように目を瞠り、それからゆっくりと笑った。
「幸せですよ?」
どうして、そんな当たり前の事を聞くのですか、と青年は明るく尋ねる。
その微笑のまぶしさに、彼女はさっと目を伏せた。
「―――ただ、気になったから」
小娘みたいに髪を撫で付けながら、彼女が答えた。常とは違い落ち着きを
欠いた様子の彼女に、青年は驚く。
「面白い事を聞きましたねぇ――――そうですね、生きてきた中で一番幸せです」
青年が淀みなく言った。彼女は視線を下げたまま、そう、とだけ呟いた。
「……幸せです。そして、幸せになります」
幾分柔らかい調子で、青年が言った。彼女は自分の爪を見つめながら、小さく頷いた。
「おめでとう」
それが、やっと言えた台詞だった。
夜半、喉の渇きを覚えて目を覚ますと、リビングのソファーに座っている人影を
見つけた。青年はゆったりと微笑んだまま、窓越しに月を眺めているようだった。
「ねぇ―――」
声をかけようとした瞬間、青年が首をめぐらせた。純白の夜着を着た少女が、
しずしずと歩いてくるのが見えた。
「おまたせ」
少女は微笑み、手にしていたカップを青年に差し出した。その笑みを見た瞬間、
青年の顔が信じられない位に甘く崩れる。
彼女は立ちすくんだまま、二人の様子を観察していた。少女は青年に身体を
寄せるようにして座り、甘えるように見上げている。青年はそれが嬉しくて
仕方がないといった感じで、少女の髪をゆっくりと梳いていた。
二人は、時に唇を寄せ合ったり、ささやきあったりして、幸せそうに笑い合っていた。
時が経つに連れて、彼女は平衡感覚を失うような気がしていた。
足腰はもう強くないから、それも当たり前だと思っていたのだが、それとは違う、
冷たくて物悲しい感覚が足先を駆け抜けていくようだった。
もう、この恋は過去のものだと思っていた。
その前に、本気で彼を愛しているだなんて、思っていなかった。
自分は百戦錬磨で鳴らした女だ。泣かした男も女も数が知れない。
それを、自分の歳の半分も生きていないような子供にのぼせ上がるだなんて
――――――ありえないことだ。
それでも、目の前で繰り広げられる光景には涙が出るほどの悲しさ、羨望を感じ、
同時に青年に対する強い愛情と少女に対する烈しい嫉妬に駆られた。
二人はいよいよ盛り上がってきた様子で、同様にカップをテーブルに移した。
少女は青年の胸にしなだれかかり、青年は熱に浮かされたような顔で
キスを繰り返している。
ややあって、少女の肌がさらされた。月光をはじき返すほどに白い肌は、彼女が
もう失ってしまった若さを湛えていて、いっそ憎らしいほどだった。
青年のはだけた胸も似たようなもので、二人の行為には淫靡さはなく、
それよりも一種神々しい、純粋な美しさだけが際立っていた。
「あぁっ……や、っ……あ……」
少女が艶めいた声で喘ぎだす。青年の頭に巻きつけられた腕が、恥じらいに染まった
赤い頬が、泣き出しそうに潤んだ大きな目が、羨ましくて羨ましくて仕方ない。
「あぁ……いい……可愛いよ」
やめて。
耳をふさぎたい衝動をどうにか押さえ、彼女は唇を噛み締めた。
彼女にしたのと同じように、彼は少女にキスをするのだろうか。少女に名を
呼ばれるたびに、彼女が名を呼んだ時と同じような顔をするのだろうか。
「あぁ……ハウル………」
頼りなさげに呼ばれた名前に、青年はとてもとても優しい顔をした。
彼女と面しているときには、人形のような冷たい微笑ばかり浮かべていたというのに。
青年はそっと少女の頬にキスをすると、折れそうに細い身体をきつく抱きしめた。
高く追い詰められていく声を、彼女は呆然としながら聞いていた。
少女は美しかった。彼女は、もう醜かった。
彼女は溢れ出る涙を拭いながら、くるりと二人から背を向けた。
ゲームは終わった。サイは投げられた。彼女に、もう打つ手はなかった。
「幸せに、なりなさい」
せめてもの強がりと餞の言葉を呟き、彼女はのろのろと歩き出した。
溢れ出る涙が、稀代の魔女の頬を伝って落ちた。その顔は、傲慢なほどに
自信に満ちたいつもの彼女のものではなく、初恋に敗れた少女のものに等しかった。
以上です。魔女がハウルの心臓に執着するというのは、心が欲しい、愛して欲しい
という意味の比喩だと感じて作った話です。といえば聞こえがいいのですが、実際はさっき
某番組を見て、恋愛の勝者と敗者の顔があんまりにも違ってて面白くて
書いた話です。
過疎化は寂しいですが、神様を待つ前に自分から行動すべきだと思います。
ネタふりなりなんなりしてくれれば、いくらでも書くし書きやすいんで。
文は無理でも、萌えシチュなんかは書きやすいんじゃないかな、と思ったり。
250タソ、いつもありがとう。
書けるなら書いてるよ、って人多いと思うな。萌えシチュもだせたら出すだろうし…
せめてものホシュだったりする。ごめんね。
久々に来たら250神キターーーーーーーーーー
荒地の魔女視点も面白いですね
萌えシチュかぁ
鬼畜ハウルとか嫉妬とか
とりあえずラブラブエチーならなんでもいい!
具体的じゃなくてスマソですが
250ネ甲、GJです!
荒地の魔女がせつなくて良かったです。
ハウソフィのラブラブも久々に満喫できて幸せ…!
萌えシチュ…初夜モノが好物の自分は250さんの初夜話
を楽しみに待ってたりする…結局クレクレでごめん…
読み手がクレクレになっちゃうのはある程度仕方ない。どのスレでも同じこと。
もう年内に新作投下は無いのかなとあきらめつつ覗きに来たら神が…!
250様ありがとう、今回も素晴らしい!!
荒地さん可哀想なんだけど、幸せだと答えるハウルが本当に幸せそうで
心が暖かくなりました。
自分ほんとにハウル好きなんだなーと再確認です。
505さんと同じく、幸せなラブラブエチーならなんでもありがたい、んですが
やっぱり具体的じゃないなあ;というかどこまで具体的に書いたら
良いんだろう。
たしかに他の作家さん投下しにくいだろうから、場賑わせにでも協力を・・・と思うけど、下手というかもう、あまりにひどいww
だから書き手さんは神なのだなあ。
晩年のソフィ。
ハウルと共に若かりし日の二人を想う。(回想)
愛しき人の腕の中でゆっくりと閉じゆく瞳。その焦げ茶色の
双眸は深く閉じられたまま二度と開く事はなかった・・・。
「生まれ変わってもきっと、あなたを見つけに行くから待ってて」
最期にハウルと交わした約束を守る、ただそれだけの為に、
輪廻はまわる。
ってのは・・・余りにも掛け離れ過ぎてるか orz
想像力が乏しくてスマソ・・・
>>510 ・゚・(ノД`)・゚・
自分も挑戦中だが、携帯はやっぱキツイな…
「ソフィ、君をを失う事になったら、きっと僕もすぐに死んでしまうだろうね…」
「…泣いているの、ハウル?」
「逝かないで…ソフィ…僕を一人にする気?」
「大丈夫よ、ほんの少し先に行くだけ。ほんの少し未来にね。私、そこでハウルを待ってるわ。
例え生まれ変わって、ハウルがどんな姿でも、私はきっとハウルを見つけられる。
きっとまたハウルに恋するわ。私の事をドキドキさせる事が出来るのはハウルだけだもの」
「ソフィ…」
「約束よ…ハウル。私の分も生きて。その心臓が動き続ける限り。その先の未来で私は待ってる。」
「ソフィ…必ずソフィを見つけるから、僕の事を未来で待ってて」
なんてな。還暦越えてもバカップルでラブラブだと良いと思います。
ちょっと書いてみました。 元ネタ>510氏
神制作でない上長くてスマソ。
傾向 映画・エロ無 悲しい話が苦手な方はスルーでお願いします
帽子屋として針と糸を布地を握り締めていたころは、指先は乾燥し薄皮一
枚の切り傷なんて当たり前だったような気がする。花屋に宗旨替えしたあ
とでも、水に濡れてふやけた指で葉をむしったり急いで薔薇のトゲを抜い
たりで、お世辞にもきれいな手とは言えなかった。
そして年月は過ぎて、仕事を減らしまめに手入れしたとしても、どう頑張
ったってきれいな手にはならないような年齢になってしまった。
男のくせになんで女の自分よりずっときれいな手をしてる相手に言われた
くない、と嫌味のひとつも言いたくなったことだってあるけれど、彼はそ
れでもソフィーの手はいつもとてもきれいだねと微笑んでくれる。
荒地のはずれの、いつもの花園の真ん中へ椅子とクッションを出して、た
った二人きり何を話すでもなく時間をすごした。
この時期なら街では毎年恒例の祭がひらかれているはずだ。すっかり老舗
になったチェザーリの店にもきっと新作のケーキかタルトが出ているだろ
う。果物のたくさん出回る季節になっているから、きっとフルーツをたく
さん使っているに違いない……。
おだやかな光、やわらかな風。
このまま吸い込まれるように眠りこんでゆけたら、どんなに幸せな夢が見
られるだろう。
しかし重ねられた手の重みが、まどろみのぎりぎりの淵でソフィーを引き
とめている。お互い皺のふえた痩せた指と手をしていて、年月を経るうち
微妙に感触も重みも変わったけれど、そこから注がれるぬくもりだけはい
つまでも変わらない。
そう、祭に沸く街の宙空を彼に手を取られ歩いた、あのときのぬくもりの
ままだ。
花園を渡ってゆく風がそよそよと葉擦れの音を運んでくる。
ここで眠りこんでしまえたらどんなに幸せな夢が見られるだろう。でも、
その夢には目覚めという終わりがこないことをソフィーは本能にも似た勘
で悟っていた。
夢とは、覚醒したあと思い返し幸福感に浸ることができるからこそ、美し
い。終わりのない迷宮と化した夢など、現実に戻れないという時点ですで
にどれだけ心楽しく幸福であってもただの悪夢だ。非現実は決して現実を
代価とするだけの価値はない。
だから、どんなに幸せな「夢」に落ちてゆけるとわかっていても、ソフィー
はこの手の重みを感じていられるかぎりは「夢」の中には落ちては行け
ない。
それとも夢の主が力任せにソフィーを引きずりこみに来るのが先だろうか。
「ハウル」
軽くソフィーの手の上へ乗せられたままだった指へ、わずかに力がこもっ
たのがわかる。
「とても、幸せだわ」
暗い裏路地からあかるい空へと連れ出されたあの瞬間のことは、今でも鮮
明に思い出せる。湿った空気をつきやぶりまぶしい太陽の真下へ踊り出て、
羽毛でも踏むようにして宙を歩いた。
荒地の魔女に呪いをかけられ、雨露をしのげる場所をとひたすらに願い夢
中でころがりこんだ動く城の中の暖炉の、涙が出そうなほどに暖かかった
こと。
ぶつかりあったりもしたけれど、自分にだけは嘘はつけなかった。臆病だ
けど死にゆくさだめの流れ星に心臓を捧げてしまうほど心優しい、そんな
彼に惹かれた。いつも地面や床しか見えていなかったソフィーに、彼は空
の青さや太陽のまぶしさを、手を引いて示して見せてくれた。
生きることとは、なんて驚きと波乱に満ちていて幸せなことなのか。
ソフィーはそれを彼に教えてもらった。
とても幸せだった。
愛する喜び。生きることの幸福。
重ねられた手がそっと包みこまれ、それだけでは満足できなかったのか、
彼は淡い色をしたショールごとソフィーの肩を抱きよせた。
「とても幸せ」
彼の腕の中はとても暖かだった。
ひとりごとのような呟きへ返る言葉はない。
彼は時としてソフィー自身よりもソフィーの願いや気持ちを理解している
ことがある。そしてそういう時はおおむね、彼は沈黙を守る。
ふと伏せたまぶたの裏に、流れ星をおいかける黒髪の少年の背中をソフィー
は見た。
そしてその一瞬にすべてを知った。
彼が、痛いほどにソフィーの手を握る。
それと同時にみじかく漏れた溜め息が頬にかかるが、なぜだかおそろしく
熱かった。唇を噛みしめているのが見える。
「ハウル」
なんだかとても眠くなってきたな、とソフィーは考えた。
でもこんな幕引きであれば悪くない。ほんの少し彼には申し訳ない気もす
るけれど。
光の砂をふりまいたように、彼と過ごした思い出は輝きに満ちていた。
もう充分。そんな言葉が何のためらいもなく脳裏に浮かぶ。
「ああ、……君はいつもとても暖かいね、ソフィー」
言葉の最後でなぜか彼は少しだけ笑ったようだった。でも雨粒がソフィー
の頬に最初に落ちてきたので、ついてないなあ、と他人ごとのように考える。
「城へ戻ろうか」
「ううん、もう少しこのままで」
「ソフィー」
でも暖かい雨が降ってくるくらいだから、きっと好天はしばらく続くだろ
う。そう考えると、最初の雨粒にあたってしまった不運もなんだか喜ばし
いことのように思えた。
「ねえハウル」
手を握られているので腕一本で抱き寄せられているはずなのに、息が苦し
くなるほど強く抱きしめられていた。でも今はその息苦しさを感じて痛かった。
この腕がほどかれてしまうくらいなら、今すぐにでもみずから夢に落ちて
いきたい。そんな気分だった。
「あなたとの最初の約束を覚えている?」
「もちろん」
「よかった」
こすりあわせるようにして頬を寄せる。
眠くて、なんだか自分が彼の目をちゃんと見ているのかどうか自信がない。
でも彼が微笑んでくれているのがわかる。
もう見えない目を懸命に開いて、ソフィーは最高の笑顔で呟いた。いつも
ハウルが、自分にとってどんな宝物よりも輝かしく大切で貴重なものだと
表現してくれた笑顔。
「あの約束が完全に履行されることはないわ」
なぜか息を吸うことができない。吐き出すばかりで。
「だって私は、またあなたを探しにいかなきゃいけないんだもの」
「……ソフィー?」
「未来で待ってて」
「……ばかだなあ。今度ばかりは君が待つんじゃないか。君のほうが先に
未来に行くんだろう?」
「あ、そうかも。でも野暮な人ね、たまにはかっこつけさせてよ」
悲しくはないはずなのに涙が流れた。でもすぐに、涙が流れている感触も
わからなくなった。強く握られているはずの手の感触も遠い。
ただ彼のぬくもりばかりが意識に残る。
「生まれ変わってもきっと、あなたを見つけに行くから待ってて」
是とも否とも彼は言わなかった。
「ソフィー」
ただひたすらにソフィーを抱きしめたまま名前を呟くばかり。
ゆっくりと意識が白濁してくる。とても暖かい。
「ソフィー……」
ぱたりぱたりと音を立てて雨が落ちてくる。どうして彼は雨が降っている
のに雨よけのまじないをしないのだろう、とソフィーは思った。
もしかして、冷たくなく暖かいから濡れても平気なのかしら?
「…ソ、…ィー……」
声さえも遠くなる。
ああ、暖かい。
きっと明日もよい天気になるだろう。
声が完全に聞こえなくなってから、ソフィーはやっと、雨が彼の顔のあっ
た所の下にしか落ちてきていなかったことに気付いた。
春を祝う祭で、町の中はおそろしくごった返していた。
人ごみはあまり得意ではない。できれば一人きりになれる自室が一番いい。
人が多いとそれだけ、いかに自分に華がないのかを思い知らされるからみじ
めになる。
ならば最初から人目をひかない格好をして、急ぎ足で通りすぎたほうが絶
対にいい。帽子を目深におろして目立たない灰色のいつもの服を着て、人が
少ない通りを選ぶ。
だから酔漢らしき若い男が声をかけてきた時も、無視して急いでふりきろうと
した。後ろから突然誰かに肩を抱かれるまでは。
「すまないね。僕の連れなんだ」
音楽的な声音が耳元に降ってきて、何かに射抜かれでもしたかのように
酔漢が不自然な姿勢で硬直する。
「……歩いて」
低い声で囁かれる。若い男の声だ。もしかしたら自分よりやや若いくらい
かもしれない。……年下かも、と思った瞬間になぜだか少しげんなりした。
これでも一応自分は大人の年齢だ。法的にも数的にも。それにも関わら
ず年下の男に助けられるなんてどうなんだろう、と思うとさすがに気分が
萎える。
「……ねえ。聞いてる?」
「なんですか」
「ごめんね。ちょっと君を巻き込んだみたいだ」
「は?」
「実はちょっと追われていてね」
悪戯な笑顔で顔をのぞきこむ男の瞳はヒヤシンスのような青だった。
なぜだろう、その瞳の色をどこかで見たことがあるかもしれない、と思った。
「でも不思議だね、なぜか君と今日はじめて会う気がしないんだ」
「な、な、なにを突然」
やっぱりどこからどう見ても自分よりたぶん年下で、でもそれを感じさせない
余裕と身長と肩にまわされた腕の確かさにどきどきした。
「こんなに珍しい色の銀の髪をしているのに、なぜだかどこかで見たような
気がするせいかな」
そう笑みを含んだ声で言った若い男の髪は、夜空を切り取ったような、つ
やのある漆黒。
背後から複数の足音が聞こえる。追われているというのは伊達ではない
ようだ。いったい何者に追われているのかと考えようとした瞬間、わきあが
るような力に運ばれて宙へ躍り出ていた。
彼女と彼は、祭に湧く街の空へと飛び出していた。落ちる、と反射的に彼の
手を握るが、線の細い指とはいえやはりそれは男の手だった。しっかりと
彼女を支え前へ導いてゆく。
「ねえ」
ふわふわと正体のない羽毛の上を歩いているようだ。なにしろ足元は素通し
の空間しかない。頼りない足元とは裏腹に、彼の手はびくともしない。
「あなた誰!?魔法使い?」
「そうかもね。僕の名前は、」
彼の名前を耳にして彼女は思わず振り返る。胸の中で誰かが、みつけた、と
小声で幸せそうに呟いたのを聞いたような気がした。
END
以上です。
ペーストミスで1/11が見苦しい状態になってしまいましたがご容赦を。
>>514-525 うわああ…文章綺麗で引き込まれマスタ。
運命の二人かぁ。こういうのもいいですね。
クリスマスにふさわしい美しい話ごちそうさまです。
イイネイイネー!
512タソも513タソもGJ!!
今後も期待してますよー(´∀`*)
お二人ともご馳走様です〜!
ハウソフィだと年とった話でも萌えてしまうw
新しい職人さんキタ━(゚∀゚)━!?クリスマスプレゼントSSご馳走様です!
ところで、なんとなく人稲…?もし居たら、盛り上げましょう〜!その方が書き手さんも投下しやすいのではないでしょうか
激しくGJー!!久々に覗いてみたら新作が!うれしーです。職人様に感謝!
年の瀬にログを読む楽しみ(*´Д`)ハァハァ
532 :
513:2005/12/30(金) 21:01:47 ID:sWWsUGVb
SS投下するの初めてだったもんでしばらく怖くて来てなかったのですが。
うわあああレスついてるアリガトウ…!!
また何か書きあがったら投下いたします。
513タソ、GJでしたよ〜(´∀`*)また来てーっw
自分も真似事に、は、励みまつ…
年の終りにイイモン読ませていただきました(ノД`)゚・。
こういう運命的なシチュ、激しくツボなんだ…読みながら、目から水が溢れて溢れて仕方無かったょぅ。
年が明けたらDVD観よう。
アケオメ初カキコ!
正月休みにハァハァ
ほしゅ。
このスレももう終わりか…
539 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 02:12:30 ID:SuLti1T/
昨日はNHKで映像がいっぱい流れて嬉しかったので保守
540 :
513:2006/01/08(日) 23:08:48 ID:bsP1uWTd
只今1作執筆中です。近日投下にまいります。
なかなかエロに持っていくのって難しいですね…
今回エロ入りは断念しました orz 精進します
待ってるよー!
そうなんだよね、エロって難しいのだ。だから神達は凄いんだよなorz
まだぜんぜん大丈夫なうちに・・予告とか投下以外のコテはあまりしない方がイイ(・∀・)かも。(ここの住人さんは素人さんばかりでそれでも歓迎されがちだが)
気悪くしたらごめんね!
>素人さんばかりで
>素人さんばかりで
>素人さんばかりで
要するにネタ切れなんだろ
もうジブリスレと統合すれば
これ使い切るか落ちるかしたら統合するでしょ
居たんだ、21才以上な住人wwwww
ほしゅ。
やっぱり神にしか書けないよな
素人の自分が書けるシロモノじゃない
しかしここがなくなるのは寂しいなー
神じゃなくてもSSは書けるよ。
セリフとト書きだけでもいいじゃない。
ガンガレ
台詞とか、シチュとか、端的なものでも
こっちとしては創作意欲を掻き立ててくれるものがあれば
感謝して有難く、そしておいしくいただけるのですけどね。
一本落とします。連載になるかも?
傾向 映画 ハウソフィ 多分初夜モノ
すっかり日の暮れた街の中で、ハウルはソフィーを探し続けていた。
辺りは闇が濃く、靄もかかっている。
もう夜だというのに、ソフィーが家に帰ってこない。午後に出かけていったきりだと、
マルクルもカルシファーは心配顔で言っていた。
ひどく思いつめたような顔だった、とも。
終戦に向かっているとはいえ、街の中は未だ騒がしい。軍人達や兵隊崩れの
男達が、我が物顔で闊歩しているのだ。
そんな中を、若い娘―――しかも、あんなに目立つ色の髪をした―――が
歩き回る事など、あってはいけないことだ。
焦りに顔を強張らせながら、ハウルは早足に通りを歩く。彼女の行きそうな所には
大体足を運んだのだが、見つからない。
「あのっ!」
偶然に通りを歩いていた若い娘を呼び止めた。彼女は驚いたような顔をして、
それから傍らの恋人の裾を引いた。二人が一斉にハウルを見つめる。
「女の子、見ませんでしたか?18,9位で、星色の髪に茶色い目をした!」
「さぁ……?見かけませんでしたけれど」
二人は首を傾げ、申し訳なさそうに笑った。路肩に座り込んでいた老婆が、
ふっと顔を上げる。
「それは、黒い服を着た娘さんかい?」
老婆がハウルに声をかけた。神妙な面持ちで、彼が頷く。
「なら見たよ。綺麗な娘さんだったから覚えているよ」
「彼女は、どこに?」
老婆が立ち上がり、すいと北の方角を指差した。
「あっちへ。多分、墓地跡に。白百合を買っていったからね」
よく見れば、彼女は花を売っているらしく、道端に引かれた布の上には花が
いけられたバケツが並べてあった。
「ありがとうございます。感謝します」
早口に礼を言うと、ハウルは殆ど駆け出すようにして言われた方向へ進んだ。
恋人達が不意に空を見上げ、老婆も同じように顔をあげる。
重く立ち込めていた雲から、いよいよ雫がこぼれはじめた。
墓地跡、と老婆が言った意味を、ハウルはようやっと理解した。
そこは、瓦礫と焼け爛れた土のある広大な土地だった。
空襲で焼けてしまったのか、何本もの大木が炭となって立っている。
そのちょうど真ん中辺りに、ソフィーは一人立ち尽くしていた。
その姿は一種神々しいほどで、ハウルは思わず見蕩れた。
降り注ぐ雨をも厭わない彼女の姿は、絶望と悲しみで彩られていた。
「ソフィー」
黒い服、というのはどうやら喪服らしい。しかし、ソフィーはその服にも手にも、
おまけに頬にまで煤やら泥汚れやらをつけていた。
「ソフィー?」
少し声を張り上げると、彼女はようやく振り返った。
小さく息を呑む彼女の手を、ハウルは強引にとった。
「どうしたの、こんな所で」
なるだけ明るい調子を心がけてハウルは声をかけた。
ソフィーはふわりと微笑み、視線を足元に落とした。
「見て」
彼女の足元には、粉砕された墓石がジグソーパズルか何かの様に並べてあった。
艶のあるはずの御影石も、すすけてしまっている。
「これは……」
「紹介するわ。私の両親よ」
墓石はいくつかの欠片がなくなっているのか、不恰好な形をしていた。
しかし、名前や没年が読めないほどにかけているわけではない。
「これを、ずっと?」
驚きに声を上ずらせるハウルに、ソフィーは軽く背いて見せた。
彼女はひっそりと笑い、それから彼の顔を見上げた。
「もう、どこに何があるのか解らなくて―――随分かかっちゃった」
相変わらずぐずでしょう、とソフィーは微苦笑する。ハウルは言葉を失い、
呆然と彼女を見つめていた。
「でも、ほら……眠る場所を失う事ほど、悲しい事はないでしょうから」
小さな声での呟きは、悲痛に満ちていた。ハウルは目を伏せ、ソフィーはまた
ひっそりとした笑いを浮かべた。
「よかった」
帰りましょうか、とハウルに向き直ったソフィーは、次の瞬間には
彼の腕の中に閉じ込められていた。驚きにうろたえる少女を、
彼はきつくきつく抱きしめた。
「ハウル?あの、苦しいわ……」
小さく抵抗する彼女をますます強く抱きすくめながら、ハウルはその耳に
唇を寄せた。ぴくん、とソフィーのか細い体が跳ねる。
「なっ……」
「どうして、そんな風なの?」
ハウルが囁いた。ソフィーが驚きに目を見開く。
「どうして、って……」
「辛いのを、どうして隠すの?」
言葉につまったソフィーを見、ハウルが畳み掛けるように訊ねた。
彼女は思わず口をつぐんでしまう。
「隠してないわ」
冷たい雨にか、あるいはハウルの抱擁にか頬を赤く染めたソフィーがそう反論した。
「辛いなら泣けばいい。ねぇ、君はどうして僕にまで強がって見せるの?」
ハウルの囁きはどこか悲しげだった。ソフィーが戸惑ったように視線を揺らす。
それから、拗ねた子供のように唇を尖らせると大きく首を振った。
「強がってないわ。大丈夫よ、辛い事なんてないわ」
得意そうに言い、ソフィーはにっこりと笑って見せた。
ハウルがぎゅっと眉を寄せ、彼女の唇を強引に塞いだ。
「……っ、あ!」
ソフィーが驚いて身をよじった。しかし、キスはやまない。
それどころか、だんだんと深くなっていく。唇の線を舌でなぞられ、
やがてゆるゆるとした動きでこじ開けられる。丹念に口内を愛撫されるうちに、
彼女の体から力が抜けた。大きな瞳に、わずかに涙が滲む。
「何するの?」
唇が離れたあと、呆然と問い掛けるソフィーの首筋に顔を埋め、
ハウルが大きく息を吐いた。がちがちに固まってしまう
少女の背を撫でながら、彼が囁く。
「………辛いなら、泣いてよ。いいんだよ、気を張らなくても。
弱音なら吐けばいいし、泣きたいなら大声を上げればいい。
大丈夫、全部聞いていて上げるから」
「あのね、ハウル」
ハウルの肩を押しやりながら、ソフィーが笑った。
「大丈夫だって言っているでしょう?私、そんなに……」
弱くない、と続けようとした喉がきゅうと締まり、ソフィーの顔が歪んだ。
瞳からはぼろぼろと涙がこぼれ、彼女は口元を手で覆った。
「……ひっ……ぅ」
涙を堪えようと震える華奢な肩を、ハウルは包み込むようにして抱いた。
ソフィーにはもはやなす術もなく、彼女はひくひくと押し殺した嗚咽を洩らした。
「泣いていいから。大丈夫だから」
雨のせいでしっとりと濡れたドレスの背に掌を滑らせながら、
ハウルがことさら優しく囁いた。そう言われてたがが外れてしまったのか、
ソフィーが彼にしがみついてきた。
「どうしてぇっ……?」
ソフィーが悲痛な声をあげた。闇を劈くような声音に、
ハウルが悲しげな表情になる。
「どうして?どうして戦争なんてあるの?どうしてお墓まで壊してしまったの?」
甲高い悲鳴は、やむ事がない。ハウルはソフィーの身体を、
さらにきつく抱きしめた。
「ここに人が眠っている事くらい、爆弾を落とした人にだって解っているはずよ?
なのに、どうして?どうしてそんな酷い事をしたの?」
「そうだね」
「こんな事じゃ……お父さんもお母さんも……眠っている人たちは一体どうなるの?」
子供みたいに大声を上げて、ソフィーはそれからずっと泣いていた。
ハウルはただ静かに彼女を抱きしめ、濡れた髪を撫で続けた。
雨は、弱まる事もなくしとしとと降り続く。
「ハウル……」
泣きすぎて掠れた声で、ソフィーは弱弱しく青年の名を呼んだ。
「何?」
「お願い、このまま抱きしめていて……」
そういうとソフィーはまた彼の胸に顔を埋め、肩を震わせた。
ハウルは何も言わず、彼女を抱きとめていた。
「大丈夫。傍にいるよ」
囁きに呼応するように、ソフィーがハウルの服を握った。
彼女が伺うように顔を上げる。彼は柔らかく微笑むと、
顔を少女のほうにそっと近づけた。そのまま唇が重なる。
「………おねがいが、あるの」
口付けの後に、ソフィーがか細い声で呟いた。
「なに?」
「そばにいて」
冴え冴えとした暗闇の中に、彼女の声が響いた。
その様が余りにも美しくて、ハウルはかすかに息を呑む。
「傍にいて……慰めてほしいの」
雨が、強くなったようだ。
だいじょーぶまりうす、痛くない♪のフレーズの通りに、
大丈夫になってくれればいいのですが。
この後も続きます(予定)。つってもカブレティより全然短いです。
ソフィーはよっぽどの事がない限り行為に応じる事はなさそうだったので、
痛い目見てもらいました。ハウルは役得です。
連載ですが、間があくかも。
250氏いつも乙です。続き気になりますね〜
相変わらず楽しませてくれますね。
読み手はネタ落とせないからって、卑屈になる必要はないんじゃないかな。神達には、賛辞と言う感謝を返しているのだし。
おお!250さんが来てくださってた!!
爆撃を受けた墓地、というのがなんとも悲しげで痛々しくて切ない。
続き楽しみにして待ってます!…という言葉をここでまた書けるのが
幸せだーー!
年明け初のうまし糧!250ネ甲GJです。続きが楽しみすぎてハアハア
初夜ものって事でテカテカ続き待ってます!
短いですけど、続けます
傾向 連載もの ハウソフィ 映画
濡れ鼠になった二人が家に帰った頃には、他の住人達はもうすっかり眠る支度を
終えていた。マルクルは驚いたように声を上げたが、なんでもないと二人に
穏やかに言われてしまってはそれ以上何も言えなかった。魔女も目を瞠ったが、
すぐに小さな微笑へとすりかえた。
ソフィーに先に湯を使わせいる間、ハウルは悩んでいた。慰めて欲しい、と
いうのは一体どういう意味なのだろうか。
ソフィーとハウルは恋人同士でありながら、実に微妙な線を渡り歩いている
状態だった。キスをしたり、抱きしめあったりはしているけれど、褥を共に
した事はない。彼女は真面目なしっかり者だ。貞操観念もなかなかに
強固なものであって、たまに下世話な冗談を吹っかけたならば、かんかんに
怒ってしまう。
しかし、今夜のソフィーはいつもと違った。脆く、儚く、そして弱弱しかった。
おそらく、両親の墓を壊されていた事のショックで精神的にまいって
しまったのだろう。そんな上で、彼女は人間の温もりを欲した。
それが自分に向いていてくれることを嬉しいと思う反面、どう応えていいか
解らないと言うのも本心であった。
風呂から上がってからも、ソフィーの顔色は晴れなかった。
入れ違いに浴室へ向かおうとしたハウルの腕を捕らえ、もの言いたげに
じっと見つめたりする。
「何?」
冗談めした態度でハウルが聞いた。しかし、顔が強張ってしまっているので
みっともなく響く。ソフィーは思いつめたような表情で彼を見上げると、
首を振った。
「いいえ……早く、出てきてね」
全身の毛が逆立つような感覚を覚え、ハウルは唇を噛み締めた。
ソフィーはすいと視線をそらすと、彼の傍をすりぬけるようにして消えた。
今夜、二人は一線を越えるだろう。その事は嬉しいし、望んでいないと言えば
嘘になる。しかし、悲しみで自暴自棄になった状態で男と寝たりして、
ソフィーは傷つかないのだろうか。間違いなく今夜初めて男を知るであろう
彼女を、穢れきった自分が抱いてしまってもいいのだろうか。
自問自答しながら、ハウルはシャワーを浴びた。本当は、二人の気持ちがぴたりと
あった状態ではじめてを迎えたかった。だけど、そう言ったところで、
もうどうにもならないのだ。
ざぁざぁと降り注ぐシャワーが、未だ降り続く雨に重なった。
「ソフィーは、これでいいの?」
寝室にソフィーを招きいれながら、ハウルが静かに問い掛けた。
ソフィーは目を瞠り、それから静かに微笑んだ。
「………あなただから、いいの」
言われ、ハウルは困ったように曖昧な顔をした。ソフィーの言葉に嘘はない。
今朝、初めて墓地が空襲に巻き込まれて跡形もなく壊れたという話を聞いた。
慌てて行ってみれば、墓石は吹き飛ばされ、どこに誰の墓があるかも解らなかった。
自分の肉親を本当に失ってしまった悲しみで狂いそうだった時に、
彼は現れてくれた。かつて、灰色の日々から自分を救い出してくれたように、
この苦しみからも救ってくれた。泣いてもいいと言って、抱きしめてくれた。
この世に自分を繋いでいてくれる理由が彼であってくれるなら、
それはなんて素晴らしい事なのだろう、と抱かれた腕の中で思った。
自分を幸福に出来るのは、この世の中にこの人しかないのだ。
「でも、ソフィー。そんなに簡単に決めていいことじゃないと思うんだ」
焦ったのか早口に畳み掛けてくるハウルに、ソフィーは小さく首を振った。
「それは、私もそう思う。でも、あなただからいいの。あなたなら、
きっと私を幸せにしてくれるから。だから、いいの」
ソフィーの言葉に迷いはなかった。ハウルは小さく息を吐くと、
彼女をぎゅうっと抱きしめた。
「もう、知らないよ?やめたいって言っても、止めないよ?」
最終警告のつもりだろうか、おずおずと言われた言葉にソフィーは吹き出した。
くすくすと笑いながら、少女は青年の頬にキスをする。
「いつも、心の奥で夢見ていたの―――あなたの腕の中で眠れることを」
難産もいいところです。どうしてだかえちしーんに行こうとすると
やる気がそれます。でも、頑張ってまとめて他を書きたいと思ってます。
おおお!続きが!!250さんGJ!
ハウルさんに感情移入しちゃってドチドチです。
二人が幸せに夜を迎えられるといいなー
続き楽しみに待ってます。
わー続き投下うれしすぎです!250さんがんばってください、めっちゃ楽しみにしてます。
250さんの投下があると一日の疲れが吹っ飛びます!
続き楽しみにしてますよー
>>570 投下おつです。
ソフィーの振るまいがそこはかとなく艶めいてるかんじ…
マターリ楽しみに続き待ってます。
250さんの続きも気になるが、誰か新作投下してくれないだろうか・・・
それとも自分で書いた方が早いか・・・
書けるんなら書いちゃえ!などと言ってみる。
自分もチャレンジはしてみてるけど、やっぱり難しくて進まないよ…
577 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 00:29:09 ID:UcjpAwIC
楽しみにしてまふ。
ホシュ。
映画のラスト、ハウルが目を覚ました時の「ハウル、大好き!」で倒れこんでからを妄想するのは自分だけだろーか。
そ、そんな人前で二人は何を…
王子がべらべら喋ってる間、皆の注意がそっち行ってるから、
おさわりしながらディープキスくらいできるかもw
ソフィーをうっとりさせちゃったあげく耳元で「続きは後でね…」とか
ささやくハウルせんせい…
>>581 ハァハァするシチュエーションですね。
黒髪のハウルはあまりそんなことしなさそうなイメージだけどw
>>581 萌えた(*´д`*)ウマシカテ
>>582 こう言うこと?
金髪→タラシ
黒髪→ムッツリ
良いねw
なんかそういうイメージだよね。
金髪のハウルの方がダメな感じでイイなぁ。
585 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 00:15:12 ID:NQ4UvfEW
たまにはあげ。
地上波に来るのはいつかねー。
586 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 18:56:35 ID:2BWKuaEl
age
投下します
傾向 映画 ハウソフィ 連載モノ
孤独をうたう歌が告げてる
この人を抱きなさい、そして踊りなさいと
まるで、世界が終わる夜のように
音もなく、少女の体が浮き上がった。抱き上げられたのだと気付くのに、
ソフィーは随分な時間を要してしまった。
「やめて、あの、いいわ!自分で歩けるわ!」
おろおろと声を荒らげたソフィーに軽く微笑み返し、ハウルが首を振った。
「大丈夫、ソフィーは軽いよ。羽みたいだ」
気障な台詞だったが、それでも初心な少女の頬は赤く染まった。
青年は嬉しそうな微笑をこぼすと、彼女の髪に口付けた。
ベッドに下ろされ、ソフィーはいよいよやって来る時を思い、小さく身震いした。
それを恐怖と勘違いしたのか、ハウルが優しく彼女の髪を梳く。
「怖い?大丈夫?」
彼の優しさに、涙が出そうになった。それをどうにか押し留め、
ソフィーはかすかに顎を引いた。
「大丈夫だから……ためらわないで」
囁いた言葉が淫らな気がして、ソフィーは目を伏せた。
でも、まぎれもなくそれは彼女の本心だった。
ハウルの唇が、ソフィーの額に押し当てられる。瞼、鼻、頬と滑り降り、
唇に達した。強く抱きこまれ、少女は動揺したように身体を震わせたが、
彼は気にせずに深いキスを繰り返した。
「ふ……ん、ぅ……」
ソフィーの知るキスは、唇を重ね合わせるだけの至って軽いものだった。
だから、先ほどはじめて自分の口の中にハウルの舌が入ってきたときは、
内心ショックだった。他人の舌を口腔に受け入れ、唾液を飲み込むことにも
抵抗を感じた。
「んぁ……うぅ…」
でも、今は。今は、彼の舌が自分のそれと絡まる感覚がひどく心地よかった。
彼の舌は熱く、ざらりとしていて、探るように動かされるたびに腰が浮く。
「あぁ……」
唇が離され、つぅと二人の唇の間に銀の糸が引いた。名残惜しくて
ソフィーが唇を舌先で舐めると、ハウルは困ったように笑った。
そして、もう一度キスを落とした。
「そんな可愛い事されたら、たまらなくなる……」
ハウルの囁きは優しかった。でも、切羽詰っていたのも事実だった。
「押さえが利かなくなったら………」
「なったら……?」
「うん……ごめん。でも、嫌だと思ったら、ちゃんと言って?」
押さえが一体どういうものなのかわからなかったが、ソフィーはとりあえず
頷いておいた。嫌だと思ったら、といえど、一番好きな人に愛してもらえるのだ。
何が嫌なのだろう。
大概にして、お針子と言うものは噂が好きな人種だ。特に、ソフィーの勤めていた
帽子屋は若いお針子たちが多かった。中にはもう既に恋人や所帯を持っている
ものもいて、時にはきわどい噂話が出てくる事もあった。
その中には、もちろん愛し合うもの達が一つのベッドで何をするのか、という
ものも含まれていた。ソフィーの聞いた限りそれは素晴らしいもので、時には
恍惚としてしまって何も考えられなくなってしまうらしい。
だが、一番年かさの女に言わせて見ればはじめは痛くて仕方がなかったそうだ。
どちらを信じていいかはわからなかったのだが、それでも愛がなければそういった
行為を持つ事はない、というのは知っていたので、ソフィーは大人しくしていた。
そうしている間にも、ハウルの指はソフィーの夜着のボタンを外し、
素肌をさらし始めていた。冷気が身体を舐めるようにして這い上がる。白い身体が、
ぞくりとすくみあがった。
きゅっと眉根を寄せた少女に、魔法使いは小さな苦笑を洩らした。
「安心して……僕は、ソフィーを傷つけないよ」
がちがちに固まった白い体の持ち主は、小さな子供のように心細げに目を細めた。
しかし、それをどうにか柔らかい微笑みに変えると、ソフィーはすっと腕を伸ばした。
「ハウルも……」
まもなく、腕の中に恋人はおさまった。その広い背に腕を回し、
ソフィーはハウルの服の裾をまくった。心得たようにハウルは起き上がり、
ボタンを外そうとする。しかし、ソフィーはそれを押し留め、自分も起き上がって
彼の胸元にかがみ込んだ。
「ソフィー?」
ぷつん、ぷつんとかすかな音が立ってボタンが外れていく。ハウルは
困惑したような声を上げたが、ソフィーはちらりと一瞥をくれただけだった。
完璧にボタンを外し終えると、彼女は青年の夜着を脱がし、
それをベッドの下に捨てた。
「これで、おんなじでしょう?」
嬉しそうに頬を上気させる少女に、ハウルは困ったように笑う。
往々にして照れ屋で鈍感で初心であるくせに、自分を惑わす天性の媚態を
持ち合わせているとは、なんと厄介な少女なのだろう。
「そうだね」
自分が彼女より年かさであってよかったと、この時ほど思った事はない。
もしも自分も今日はじめて女を知るとしたならば、きっと彼女を思いやる事など
出来なかっただろうに。
ハウルはどうにか柔らかな微笑を浮かべると、下履きごと下半身に纏っていた
ものを脱いだ。さすがにソフィーはきゃっと頬を赤らめ顔を覆ったが、
彼にはそれが嬉しかった。
「これで、二人とも同じだ」
腕の中のソフィーを横たえながら、ハウルが言った。ソフィーは戸惑ったように
瞬きを繰り返したが、何も言わずに彼の胸に顔を埋めた。
一番目、タイトル失敗しました…なんでだろう。
正しくは『the last night of the world(世界が終わる夜のように)』です。
思い入れのある曲なので、タイトルに使えてよかったです。
もう少し続きます。お付き合いいただけたら光栄です。
うわーきてた!!
なんかほほえましい…バレンタイン前にご馳走様!って感じですね。
読んでるとアテられてしまいそうな仲の良さ(*´∀`)
バレンタイン前に、チョコより甘い美味し糧!
おおっ!250ネ甲、GJです!
続きが待ちきれない〜(*´Д`)ハアハア
テカテカお待ちしてます!
明日はバレンタインだ〜。ホシュ。
∧_∧
(0゚・∀・) テカテカしつつホシュ
598 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 10:55:38 ID:TxfrFVuD
たまにはage
ログがあるかぎりホシュ。
ううーん 禁断症状。
シチュ、リクエストならあるんだけれど・・・。
書いて良いものか
投下します
傾向 映画 ハウソフィ エロあり
華奢な身体に相応の、少し小ぶりな乳房が青年の骨ばった手で覆われた。
その瞬間に、ソフィーの身体がびくりとすくんだ。ハウルは柔らかい微笑を
浮かべると、彼女の耳にキスを落とす。
「怖くないよ?」
「だって……」
顔を赤くしたソフィーが慌てて口を開いた。彼女は自分の手を彼の手に重ね、
胸から引き離そうともがく。
「ソフィーの胸、気持ちいいね……すごい柔らかい」
甘ったるく囁かれた言葉に、ソフィーの顔が紅玉の様になった。
初心な反応に、ハウルは相好を崩す。
「何言ってるの……!」
「ソフィーの身体、全部柔らかい。気持ちいいから、ずっと抱いていたいな」
囁きに、ソフィーの身体が縮こまった。そうしている間にも、
ハウルの掌に収まっていた胸が揉みしだかれはじめる。
「きゃっ!」
驚いて声を上げ、ソフィーは恨めしそうにハウルをにらみつけた。
しかし、彼は悪戯っぽく微笑むと頭を下げ、彼女の白い胸元に口付けた。
ちゅ、と音が立ち強く吸われる。
「んっ!」
目を丸くするソフィーを気にするそぶりもなく、ハウルは唇を肌に滑らせる。
その度に、赤い華が咲く。
「あぁ、ソフィー……綺麗だ」
うっとりとしたようにハウルが囁いた。ソフィーも目を細める。
二人はどちらからともなく唇を合わせた。
キスの余韻にソフィ―が浸っている間に、ハウルが再び
彼女の胸元にかがみこんだ。形の良い唇が、慎ましやかに鎮座した頂上を捉える。
「ひゃぁっ!」
ソフィーの唇から、甲高い悲鳴が零れ落ちた。まるで飴玉でも食べているかの
ように、ハウルの舌が彼女の敏感な部分をねぶった。
ちゅ、ちゅと湿った音がするたびに、少女の顔が羞恥に歪む。
「きゃっ!」
驚いて声を上げ、ソフィーは恨めしそうにハウルをにらみつけた。
しかし、彼は悪戯っぽく微笑むと頭を下げ、彼女の白い胸元に口付けた。
ちゅ、と音が立ち強く吸われる。
「んっ!」
目を丸くするソフィーを気にするそぶりもなく、ハウルは唇を肌に滑らせる。
その度に、赤い華が咲く。
「あぁ、ソフィー……綺麗だ」
うっとりとしたようにハウルが囁いた。ソフィーも目を細める。
二人はどちらからともなく唇を合わせた。
キスの余韻にソフィ―が浸っている間に、ハウルが再び
彼女の胸元にかがみこんだ。形の良い唇が、慎ましやかに鎮座した頂上を捉える。
「ひゃぁっ!」
ソフィーの唇から、甲高い悲鳴が零れ落ちた。まるで飴玉でも食べているかの
ように、ハウルの舌が彼女の敏感な部分をねぶった。
ちゅ、ちゅと湿った音がするたびに、少女の顔が羞恥に歪む。
しばらくの間、ハウルはソフィーの乳房の柔らかさや甘みに夢中になっていたが、
不意に顔を上げた。それから小さく笑うと、掌を腹部の括れからわき腹に伸ばし、
か細くくびれた腰の辺りに収める。
「えっ?」
驚きに目を瞠るソフィーに、ハウルは余裕たっぷりに微笑んで見せた。
臀部のふくらみを柔らかく揉みしだきながら、耳朶を口に含む。
「きゃあっ!」
びりっと走った電流のような快感に、ソフィーの身体が跳ねた。
ハウルは彼女の弱い耳元を執拗に攻め嬲りながら、ぴたりと閉じられている
細い足を押し広げる。
「やっ……」
健気にも少女の純潔を守り抜いてきた草むらを掻き分け、ぞっとするほどに
白い皮膚を開く。裂け目は既に熱くほころび、熟した赤色をして
しっとりと濡れ光っている。その光景に、ハウルは目を奪われた。
「みない……でぇ……っ」
呆然とする恋人に、少女は泣き声を上げた。羞恥と陵辱の極みに、
ソフィーはひくひくとしゃくりあげる。
その声にハウルははっとし、彼女の髪を撫でた。
「ごめんね……でも、すごく綺麗だ。濡れてるよ、解る?」
ソフィーが勢いよく首を振る。認めまいと躍起になる少女に苦笑しながら、
ハウルはゆっくりと彼女の入り口をなでさすった。
「―――っ!」
「嬉しいな……感じてくれたんだ」
嬉しそうな表情で、弾んだ声でそう言われてしまえば否定できない。
ソフィーはもう訳がわからなくて、ひたすらに喘いだ。そうしている間にも、
長い指がつぷ、と音を立ててソフィーの内部に侵入してくる。
「んんっ!」
「痛かった?」
上がった声が事の他固い事に気付き、ハウルが心配顔で訊ねてきた。
ソフィーは体内の違和感と葛藤しながら、どうにか首を振る。
「ううん……そうじゃないの―――なんだか、へんだわ……」
そう、と小さく呟くと、ハウルは埋めていた指を小刻みに振るわせた。
ソフィーの全身がかわいそうな位に跳ね上がり、震える。
「あぁ!や、やだ……やだ!やっ、ハウ…ル、いやっ!」
ぞわり、と白い肌に鳥肌が立つ。それが嫌悪感からなのか、あるいは快楽から
なのかはソフィーには理解できない。
しかし、彼の指は確実に彼女の理性の壁を壊し、淫靡な世界へ突き落とす。
その事に戦慄しながらも、少女は目を伏せて動きに意識を集中させた。
今日はここまで。あまーくあまーく作る予定なので、いつもよりエロは
あっさり目のはずです。
>>600さま
どうぞ、お書きになってください。そういうものからもネタが拾えて、
書き手としても大助かりですし、それで触発された新規職人さんも
いらっしゃるかもしれないので。楽しみにしています
わああっ!続きキテタ!!250様、乙です(*´Д`*) ハァハァ
待ちに待った250様の初夜モノなので、良い子にして続き待ってまつ!
初々しさがえろいソフィーに萌え、ちょっと意地悪く攻める
オトナwなハウルに萌え…!
600です。
わーい、うれしいな!では色々書いちゃいます。
・映画寄りなのですが、夜にカーテンを開けて少女に戻った
ソフィーに恋い焦がれるハウル。。そこからの妄想
・一緒に住み始めてから初夜に行くまでの寸止め
ソフィーを大事に思うあまり最後までいけない、けど触りたい、みたいな。
・誰が書いても萌える初夜(何回読んでも作家様それぞれの文体で新鮮です!)
ハウルは優しいけれど、強気&意地悪系が好み
・新婚生活が慣れてからのヘタレハウル!しょげたハウルを
優しくあやすソフィー。ソフィーが腕の中に納まった途端
大人ハウルに変身!
・言葉攻めのハウル(金髪)
・皆が集まっているリビングで(机の下、とかブランケットの下とかで)
平然としながらソフィーを弄るハウル
などなど欲張りすぎですね(恥
600です。
わーい、うれしいな!では色々書いちゃいます。
・映画寄りなのですが、夜にカーテンを開けて少女に戻った
ソフィーに恋い焦がれるハウル。。そこからの妄想
・一緒に住み始めてから初夜に行くまでの寸止め
ソフィーを大事に思うあまり最後までいけない、けど触りたい、みたいな。
・誰が書いても萌える初夜(何回読んでも作家様それぞれの文体で新鮮です!)
ハウルは優しいけれど、強気&意地悪系が好み
・新婚生活が慣れてからのヘタレハウル!しょげたハウルを
優しくあやすソフィー。ソフィーが腕の中に納まった途端
大人ハウルに変身!
・言葉攻めのハウル(金髪)
・皆が集まっているリビングで(机の下、とかブランケットの下とかで)
平然としながらソフィーを弄るハウル
などなど欲張りすぎですね(恥
うぅ、連続投稿になっちゃった。
お目汚しスマソ
>>600さま
素敵なシチュですね。んじゃ、一個落としてみます。
二番目のシチュエーションをお借りしました。
「the last night of the world」の番外編だとでも思ってください。
時列では、↑よりも少し前です
傾向 映画 ハウソフィ エロなし
とてもとても静かな夜更けに、不意に頬に触れる人の指の感触を感じ取って、
ハウルは思わず飛び起きた。目の前には、目を丸くしたソフィーが
手を伸ばした姿勢のまま固まっている。
「―――ソフィー?」
思わず呟くと、ソフィーははっとしたように顔を赤らめ、手を引っ込めた。
「あぁ、あの、ごめんなさい!勝手に部屋に入ったりして」
動揺しているのか、ソフィーはしきりに髪を撫で付けながら謝った。呆然とする
ハウルに、さらに畳み掛けるように言葉を続ける。
「あの、もうすぐ出て行くから!本当にごめんなさい、驚いたでしょう?
でも、別に何もするつもりなかったのよ!本当よ!ごめんなさい、おやすみなさい」
そう言ってベッドからソフィーは飛び降りた。その腕を、ハウルが慌てて掴む。
「ソフィー」
囁くと、ソフィーの動きが完全に止まった。伺うような目で、ハウルを見ている。
「ねぇ、一体どうしたの?」
問われ、ソフィーはばつが悪そうな顔をした。ハウルは苦笑し、毛布を持ち上げると
空いたスペースを手で叩いて見せた。
「おいで」
「あの、でも、わたし、自分の部屋に戻るわっ!」
「そんな所にいたら風邪を引いてしまうよ?」
おいで、とハウルはことさら優しくソフィーを呼びつける。耳まで赤くなった
少女は、観念したようにベッドに乗りあがった。
「……お邪魔、します」
「どうぞ」
くすくすと笑いを洩らしながら、ハウルがソフィーを招き入れた。毛布をかぶり、
ソフィーはほんの少しだけ居心地悪そうな風情である。
「ね、ソフィー。夜中にいきなり訊ねて来るだなんて、どうしたの?」
訊ねても、ソフィーは俯くだけだった。ハウルはどうしたものかと腕組みし、
とりあえずベッドから降りて隠しておいたブランデーをコップに二杯注いだ。
「はい」
ソフィーの隣にさりげない仕草で座り、彼は少女にコップを差し出した。
「まぁ」
ソフィーは少しだけむっとした顔をしたが、おとなしくそれを受け取った。
「……あなたの姿を、どうしても確かめたくなったの」
唇を湿らせるように琥珀色の液体を舐めながら、ソフィーがぽつりと洩らした。
ハウルが驚いたように眉を持ち上げる。
「……夢を、見たわ」
「どんな?」
「…………今までの全てが夢で、私はまた地味な帽子屋に戻ってるの。ハウルも
お城も遠くにあって、私には縁がない。そんな夢よ」
夢の中の光景を思い起こすように、ソフィーは遠い目をしながら呟く。
ハウルはこれと言った感想を洩らすこともなく、コップを傾けていた。
「目が覚めたら、どっちが現実なのかわからなくて―――おかしいでしょう?」
酔いが回ってきたのか、苦笑したソフィーの目元がわずかに赤かった。ハウルは
なんだか寂しいような気分になって、彼女を抱きすくめた。
「!」
「……大丈夫、僕はここにいるよ。どこにも行かない」
一言一言噛み締めるように、ハウルが低く言葉を紡いだ。腕の中に閉じ込められ、
ようやっと安心したのかソフィーが目を細める。
「悪い夢だったね。でも、僕はずっとソフィーと一緒にいるよ」
ソフィーの腕が、ハウルの背中に回された。ふと目が合い、二人はどちらともなく
唇を寄せ合った。きゅ、と細い指が青年のシャツを握る。
「……あぁ」
唇が離れた途端、少女の口から切なげな吐息が漏れた。キスの余韻に
酔っているのか、潤んだ目元が悩ましい。
「ハウル……」
甘ったるい囁き声は、いとも簡単にハウルの理性を破壊した。こみ上げてきた
衝動を押さえきれず、ハウルはソフィーをベッドに押し倒した。
「きゃあっ!」
上がったかすかな悲鳴にも対応できないほど、ハウルは高ぶっていた。
ソフィーの顔やら首やらに唇を押し付け、夜着の胸元を開く。
「ソフィー」
少女の身体が、確かに固く強張った。しかし、欲望を押さえられずに無理やりに
飽いた胸元にも唇を押し付けた。
「いやっ!」
びり、と走った痛みに、ソフィーが拒絶の声を上げた。その声に理性を取り戻した
ハウルが、彼女から飛びのく。
「………ハウル?」
羞恥と不甲斐無さに顔を赤らめるハウルに対し、ソフィーは不思議そうな、
とても透明な目で彼を凝視している。
「―――ごめん。どうか、してた」
俯き、壊れそうな微笑を浮かべたハウルを見て、ソフィーは泣き出しそうになった。
自分が彼を傷つけた。それは明白な事実だった。
「……続けても、いいのよ……?」
闇の静けさに負けそうなほどに小さな声で、ソフィーがそう告げた。
こんな夜更けに恋人のベッドに上がったのだ。そのような事を期待されても
おかしくはないし、自分に拒絶できる権利がない事も少女は知っている。
それでも、ハウルは柔らかな苦笑を浮かべると、彼女の髪を撫でた。
「驚かせてごめんね……大丈夫、もうしないから」
そう言われ、ソフィーは全身から力が抜けるのを感じた。しかし、そう思った事に
失望して慌ててハウルに縋りつく。
「我慢してるの?」
ハウルは首を傾げるようにしてソフィーの目を覗き込むと、ゆっくり自分の手を
彼女の頬へあてがった。
「……そうじゃない。ただ、君は世界で一番大切な女の子なんだ。
傷つけたり、怖がらせたりしたくない。それだけだよ」
彼の優しさに、ソフィーはまた居たたまれなくなった。大きな目を泣き出しそうに
潤ませた少女を、青年が優しく抱きしめる。
「いつか、もっと二人が近くなったら―――」
「なったら……?」
「そうしたら、今日の続きをしよう。今は、傍にいてくれればいいから」
ハウルにそう告げられ、ソフィーは小さく頷いた。彼は微笑むと、少女の背を
あやすように撫でた。
「本当にごめんね、ソフィー。大丈夫?部屋に戻る?」
「………夜のせいね」
ぽつん、とソフィーが呟いた。真意を図り損ね、ハウルが曖昧な表情になる。
「全部、夜が悪いのね。怖い夢を見るのも、自分が自分でなくなるのも」
囁くように言い終え、ソフィーはハウルをまっすぐに見据えた。それから微笑む。
「いつか、夜の怖さに勝てる日が来る?」
「ソフィーなら、大丈夫だよ」
ハウルが優しい声音でそう答えた。しかし、ソフィーは首を振る。
「いいえ」
目を瞠るハウルに、ソフィーは幸福そうな微笑を浮かべて見せた。
「私一人じゃ無理よ―――でも、あなたが一緒なら、きっと大丈夫だわ」
夜の怖さも、自分が自分でなくなることも。互いが傍にいて支えあえるならば。
「きっと、そうだね」
ハウルも幸福そうに微笑んだ。ソフィーは彼の首に腕を回す。
二人は目を合わせて微笑むと、再び唇を重ねた。
600さんのシチュを読んでがーっとかき上げたので、若干粗いですね。
なんだか、指定と変わってきてしまいました。文才のなさがいけないのですね…
連載の間にこんな事をして、混乱させてしまったならスイマセン。
次の投下は、「last night of the world」です
うわあ、すごいすごい!250ネ甲GJです、連載合間の連続投下大歓迎ですよ!!
幸せそうでほのぼの、でもほんのり淫靡で素敵な短編、うまし糧(*´д`*)
短時間でこんな素晴らしい作品が書けるのがやっぱりすごい。
600さんにあやかって自分もいっこ萌えシチュを…
前に250さんが投下なさった媚薬ネタ、いまだに何度も読み返す大好物ですが
読む度ソフィーさん側に媚薬、のバージョンも読んでみたいなあと思っていたのです。
指名リクになってしまってご迷惑かもしれませんが、気が向いたら考えてみて
いただけたら嬉しいです。
でも600さんの上げた一番最後のシチュ、「みんなの集まってるリビングで〜」も
読んでみたいなあ。(しれっとしたハウルさん萌え)
他の職人さん達にも…ぜひ…帰ってきてほしい…
600です。
知らない間に凄い萌え文が・・・!
ちょっとちょっと嬉しすぎです。
ハウルが・・・切ない・・・
ありがとうございます!本当にこれはうまし糧!!
>623
私もしれっとしたハウルさんが見たくて!
色々なネ申さまがいらっしゃるとおもいますのでよろしく
625 :
600:2006/02/23(木) 20:59:49 ID:xRhg/hx8
623さん、呼び捨てしてしまい、ごめんなさいでした!
嬉しさのあまりパニくってしまいました
萌えた〜いつもながら250様のハウソフィーは最高です!
「そう」なる事を覚悟しつつ、それでもハウルの存在を確認しに行かないでは
いられなかったソフィーがいじらしくて萌えです…
あと自分、今回のお話で寸止め萌えに目覚めそうw
連載の続きも楽しみに待ってますよ〜!
萌えながらホシュ!
っていうかシチュ書いてあるだけでも萌える。
前によくあった超短編みたいのもスキだから書きたい神がもしいたらぜひ。
なんとなくハウルを思い出して検索してたら
この今日初めてスレに辿りつきました。
ほんっとキューン.゚+.(人´Д`*).+゚.ってなりますww
最近職人さん減ってるらしいですヶド戻ってきて欲しいですね。
自分は今日から住人になります。(読み手だけど…)
二行目ミス
×この今日初めてスレに
○このスレに今日初めて
ようこそいらっしゃーい щ(*´∀`*щ)
職人さんも読み手も減ってるから、お仲間増えて嬉しいよ。
連載おとしていきまーす。
傾向 映画 ハウソフィ エロあり
「―――あぁっ!」
切なげな声が響き、ソフィーがぐったりと天を仰いだ。
ハウルは彼女の中に埋めていた指を抜き取り、それを舌先で舐める。
「……甘い」
そう言って、ハウルが口の端を持ち上げた。どこか艶然とした笑みに、
ソフィーがぐぅと喉を鳴らす。
「美味しい……ソフィーの味がするよ」
言われ、ソフィーが泣きそうな顔でいやいやした。しかし、ハウルは
表情を変えることもなく、彼女に深い口付けを落とす。
「んぅ…ふ……」
「……ソフィー」
興奮に頬を上気させたハウルが少女を呼んだ。その姿を見上げながら、
ソフィーはなんてこの人は美しいのだろうと見蕩れる。
まるで魅入られたように、彼から視線が外せない。
「いい……?」
すっと、美しい手が差し伸べられた。ソフィーは目を細め、
ごくごく自然な動作でそれを取った。
「……連れて行って、あなたのところへ」
熱に浮かされたような口調でそう答える少女に、青年はまるで
溶け落ちてしまいそうなほどに甘い顔で囁き返した。
「見せてあげる……ソフィーに、何もかも」
ゆっくりと、ハウルの身体がソフィーに重ねられた。
月が雲に隠れる位の自然さで、視界いっぱいに彼の姿が広がる。
少女は怯えるでもなければ喜ぶでもなく、ただぼんやりと藍色の髪を見つめていた。
「痛い、かな」
ぽつんと呟かれた言葉に、ソフィーが不安そうな顔になった。
上目遣いにハウルを見やり、おずおずと尋ねる。
「痛いのかしら……?」
「初めては、どうしても痛いって言うけどね………痛くないと、いいんだけど」
力なく投げ出されたソフィーの足が開かれ、ハウルの膝が割り込んでくる。
思わず竦むか細い身体を撫でさすり、緊張をほぐす。
彼女は溢れ出る不安から逃げるように、恋人の背に腕を回した。
「いくよ―――力、抜いて」
低い声で囁くと、ハウルは神妙な面持ちで腰を突き出した。
「あっ……」
自分の入り口で感じた熱に、ソフィーの唇から切なげな声がもれる。
崩れ落ちそうになる理性をどうにか押し留め、ハウルはゆっくりと
自身を彼女の中に推し進めた。
「ひっ―――!」
悲鳴じみた声が漏れ、次の瞬間にはソフィーの眉根がぎゅっと引き絞られた。
唇はわななき、全身が強張る。
「力……抜いて」
「っ!――――いやぁっ!いや、痛い!」
彼を受け入れようと思う心とは裏腹に、身体はギチギチと締まって侵入者を拒む。
痛みと切なさ、そして情けなさにソフィーは涙を滲ませた。
ハウルも困ったように眉をひそめている。
「ハウル…っ!怖い……や、痛…いっ……あぁ!いやぁっ!」
「ソフィー、いい子だから……ゆっくり呼吸して」
痛みに泣き出した少女の髪をなだめるように撫でながら、ハウルが囁いた。
荒い呼吸を繰り返していたソフィーが、言葉に操られるように呼吸を整える。
「そう、上手だ……」
「……怖いわ……」
ぽろぽろと涙を流すソフィーは、年よりも幼く見えた。
ハウルはいたたまれないような気分になって、彼女の頬にキスをした。
「爪、立てていいから」
ハウルは一言だけ囁くと、さらに腰を推し進めた。
内臓が押し上げられるような錯覚に陥って、ソフィーは必死で彼の背に爪を立てた。
力のこもった指先が色をなくしていく。
「ソフィー、ごめんね……もう少しだから」
ハウルの声が、焦りにか低く掠れている。ソフィーはぐずぐずと
しゃくりあげながらも、彼に縋り続けた。
爪を立てられた背に、赤い筋がいくつも残る。
「ハウル…おねがっ……助けて……」
「ソフィー!」
泣きながら懇願するソフィーの言葉を口付けで奪い、ハウルが彼女をぐっと
抱き寄せる。あまりの激痛に、甲高い悲鳴がこぼれた。
でも、それも行き場を無くしては喉の奥でくぐもって響く。
中途半端ですが、今日はここまで。
ぼつぼつ尾張に向かっています。
あ、前回の
>>603は連続投稿になってしまった失敗です。
お手数ですが、削除のほうお願いします。
おお!初のリアルタイム遭遇
250さんうまし糧ありがとう、GJです!!
えろがいつもよりあっさりめかもとのことでしたが
なかなかどうしてえろいですよ!w
初夜モノ特有の艶めかしさと切なさがたまらないです
萌えますた〜(*´Д`*)ハアハア
250ネ甲、いつも良作乙です
今回も萌え萌え読んでますよー!!
ソフィーを気遣いつつ、欲望を抑えきれないハウルさんに萌え
痛がって怯える初々しいソフィーさんに萌え…!
続きも激しく楽しみです!
ほしゅほしゅ〜。
641 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 01:13:54 ID:sBTXqjhG
あげ
連載マターリ待ち&ログホシュ。
ほっしゅ
連載続きです。
傾向 映画 ハウソフィ えろ
「……全部、入ったよ」
囁かれ、固く目を瞑っていたソフィーがゆっくりと目を開いた。
頬に零れる涙を指で拭い、ハウルが微笑む。
「本当……?」
「うん―――ありがとう、ソフィー」
礼を言われて、ソフィーが小さく微笑んだ。汗で額に張り付いた髪を
かき上げてやると、彼女はうっとりと目元をほころばせる。
「夢、みたいだ」
ぽつり、とハウルが呟いた。声音の頼りなさに、ソフィーは思わず目を丸くする。
彼は苦笑し、恋人の存在を確かめるように唇をその頬に寄せた。
「あの日―――ソフィーにはじめてあった日から、ずっと……」
「ずっと……?」
曖昧に言葉を濁したハウルが、小さく首をふった。
それからこつん、と軽く額をあわせる。
「こうして、この腕の中に抱ける事を願ってた」
馬鹿みたいだろう、とハウルが笑う。ソフィーは首を振り、彼の髪を梳いた。
「ううん―――嬉しいわ」
耳元で言われた言葉に、ハウルが頬を赤くした。ソフィーは微笑み、
それから彼に唇を寄せた。
「嬉しいわ―――よかった。私のこと、そんなに想っていてくれたのね」
痛みに顔は青ざめ、色々な衝撃にぐったりしていた風ではあったが、
そう囁いたソフィーは息を呑むほどに美しかった。
ハウルはかすかに目を見開くと、それを甘ったるい台詞にすり替えた。
「……ソフィーの事を想わない日なんて、一日だってなかったよ」
ハウルの言葉に、ソフィーが瞳を潤ませた。右手をそっと彼の頬に回し、
自ら伸び上がって口付ける。
「………あったかい」
羽で触れるくらいに微かなキスは、一瞬で終わった。
しかし、ソフィーは小さく呟いてから息を吐いた。
「今、私が世界で一番あなたに近いのね」
幸せそうな、そしてどこか誇らしげな言葉に、ハウルの方が顔を赤らめてしまった。
彼はさっと顔を背けて動揺を収めると、にこりと大人びた微笑を浮かべた。
「ね」
ハウルの唇がソフィーの耳元に寄せられた。かすかな声で告げられた言葉に、
今度は彼女の方が真っ赤になってしまう。しかし、彼は辛抱強く待ち続ける。
長い長い沈黙の後、少女の髪がかすかに揺れた。
「ソフィー、大好き」
嬉しそうな声に、ソフィーは耳まで赤くして俯いた。
「んっ……あ、ふ……ん」
きゅっと眉根を寄せながら、ソフィーが小さく声を上げ続ける。
彼女を組み敷き、動き始めたハウルは気遣うような視線を投げた。
「痛い?」
「………へい、き」
歯を食いしばり、視線を逸らしながらの言葉に、ハウルは泣き出しそうに
目を伏せた。それから、少しでも彼女が楽に、苦しくないようにと
小さな耳元に顔を埋めた。
「ソフィーが、好きだよ」
「んんっ……ふ、ぁあ…やっ」
「……僕には、ソフィーだけだよ」
ぎゅうと抱きしめられ、ソフィーの目に痛み以外の何かから出る涙が滲んだ。
自分も同じ気持ちだと伝えたかったけれど、上手く言葉が紡げない。
だけどどうにか心のうちを見せたくて、彼女は恋人に縋りついた。
「ソフィー」
名前を呼ばれ、見上げると唇が奪われた。甘い、甘い口付け。
頭がぼぅっとして、全身が溶けてしまうような気がした。
つながった部分からの痛みはやまないけれど、それ以上の何かを感じる。
ソフィーはそれを心地よいと感じ、もっと味わいたくて
自らハウルの舌を絡め取った。くちゅ、と湿った音が立った。
「愛してるよ」
長い間重なり合っていた唇が離れ、ソフィーが切なげに吐息を洩らしたのと
時を同じくして、ハウルがそう言った。
「――――……っ」
大きな瞳から涙が溢れ、ソフィーは思わず口元を覆った。
ハウルは不思議そうな顔をしている。
「ソフィー?」
苦い笑いを浮かべながら首を傾げるハウルに、ソフィーは首を振った。
しかし、耐え切れなくてもう一度目を瞑る。
「……はじめて」
か細い声で、ソフィーが呟いた。ぽかんとしていたハウルが、
はっとしたように彼女を見る。
「初めて、言ってもらった」
泣き笑いの表情で、ソフィーがそう言った。ハウルは微笑み、彼女の髪にキスする。
「いくらでも言ってあげるよ―――愛してる、ソフィー」
言葉の甘やかさに思考をとろかし、ソフィーはようやっと全身から力を抜いた。
うっとりとした表情で、彼の言葉の余韻に浸っている。
「そういえば」
「ふっ……あ…」
ぎし、ぎし、とベッドに悲鳴を上げさせながら、ハウルが悪戯っぽく瞳を輝かせた。
「僕、ソフィーからまだ何も聞いてないよ」
ソフィーの顔が、より一層赤くなる。彼女は戸惑ったように視線を揺らし、
それから、おずおずとハウルを見上げた。
「………」
「なぁに?」
ぎゅっと目を瞑り、ソフィーがハウルを引き寄せた。
「…………すきよ」
「うん…」
「ハウルの事が、大好き……ううん」
二人の動きが止まった。ソフィーはふわりと微笑むと、彼の頬に触れた。
「愛してるの」
視線が溶け合う。二人は、小さく笑い合った。
今日はここまで。自分がわかりにくいので、一回あげますね。
あと2回ほどで終了です。おもったよりソフィーもハウルも
動かしにくいです。ちぇ。
キテター!!
しっとりした雰囲気が出てますね。心なしか春の夜みたいな色っぽい空気をかんじます。。
初心っぽいけど、女性的なソフィーにモエモエ。
続きがあるのがまた嬉しい。たのしみにしてます。
うわ〜甘甘で、うまし糧!
2人が大切にしあってる感じが激しく萌えです。
大事に大事に進んでくのもイイ…!
続きもまったりワクテカお待ちしてます(*´Д`*)
職人様、GJだす!
…最近ここのスレを読み出して、前に見たハウルをもう一度、
今度はえろい目で見てやろうと借りに行ったら全部貸し出し中でした。
655 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 00:53:23 ID:ElUh+jJg
hosyu
ほっしゅ。
657 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 18:13:19 ID:pp3GINnx
ログもあるしホシュ。
エロイ目で地上波放送も見ないとね。
続きをまったり待ちつつホシュ。
ハ
ウ
ル
の
動
く
・
・
・
・
・
尻
661 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 14:44:39 ID:51UF5sdh
あれは衝撃だったw
もっかいDVDみよっかな。
色白なんすか?
神待ちホシュ
お、おまたせしました……?
最後です。
傾向 映画 ハウソフィ エロあり
二人が寝ても十分に余裕のあるはずのベッドが、さっきからずっと悲鳴を
上げ続けている。その音を意識の遠くで聞きながら、ソフィーはひたすらに
体を焼き尽くすような熱に耐えていた。突き動かされるたびに感じるものは、
果たして痛みなのかあるいは別のものなのか。
だけど、熱に浮かされていたソフィーには、それすら区別がつかなかった。
「ソフィー……すごい、気持ちいい」
掠れた声で、ハウルが囁いてきた。どう答えて良いかがわからず、
ソフィーはとりあえず大きくうなずいてみせる。
彼は笑うと、恋人をぎゅっと抱きしめた。
その笑顔が子供みたいに安心しきっているようで、ソフィーは胸が温かく
満たされるのを感じた。こみ上げてくる愛しさに泣き出しそうになる。
「ハウル……」
青年の胸に頬を押し当て、ソフィーはそこに口付けた。
そうせずにはいられなかった。
「好きよ……大好き―――誰よりも、何よりも……」
そう紡いだ桃色の唇がふさがれた。薄く開いた口元から舌が差し込まれ、
ねっとりと絡めとられる。ハウルの舌の熱さ、甘さに思考が奪われ、
ソフィーは無我夢中でそれを貪った。口の端からどちらの物かも分からない
雫がこぼれる。もっともっと欲しくて、少女は恋人を強く抱きしめた。
体の奥が潤むのがよく分かる。これが快楽というものなのか、と
少女は本能で理解した。
「ソフィー、ごめん―――もう……っ」
いつもの飄々として大人びた彼からは想像もつかないくらいに切羽詰った顔と
声音で、ハウルが囁いた。ソフィーは彼にぎゅっと抱きつくと、小さくうなずいた。
「いいわ……ハウルの、好きなようにして……」
告げられ、青年はふっと微笑んだ。それから、荒々しく腰を躍らせる。
痛みと、それから自分が保てないくらいの熱さを感じ、ソフィーは
甲高い悲鳴を上げた。
「――――っ!!」
どくり、と体の奥で音がした。全身が焼き焦げそうな熱を感じ、ソフィーは
体をこわばらせた。ゆっくりと、何かが注ぎ込まれる。
「あ、あぁ……」
ソフィーは目を見開くと、ふっと意識を手放した。
眠りから浅く覚醒し、ソフィーはううん、と身じろいだ。
自分を包む暖かいものは心地よく、目を覚ますのが少し惜しかった。
だけどもう一度眠れる気がしなかったので、ソフィーはゆるゆるとと目を開いた。
見慣れない場所。ふと顔を上げると、整った顔がある。
「―――っ!」
驚きに息を呑むと、伏せられていた睫毛がぱっと開かれた。
まともに目が合ってしまい、ソフィーがまたもや息を呑む。
「……起きた?」
「え、ええ……」
いつもよりも掠れた、色っぽく低い声での囁きをまともに食らってしまい、
ソフィーはどぎまぎと俯いた。真っ赤に染まる耳たぶに、ハウルがゆるく微笑む。
「体とか、平気?」
心配そうにたずねられた言葉に、ソフィーは目をしばたかせた。
どきどきと暴れだした心臓に戸惑いふと視線を下げると、規則正しく動く
自分の胸が見えた。そして、それが押し付けられたハウルの割としっかりした胸板。
ただし、どちらも裸の。
「!!」
またもや大きく息を呑んだソフィーに、ハウルは目元をほころばせた。
どうして裸なの、と詰問しようにも、彼が余りに穏やかで幸福そうだったので、
少女は仕方なしに目を伏せる。
「もっと、優しくしてあげればよかったね……」
不甲斐ない、というような口ぶりに、ソフィーは下を向いたまま首を振った。
「あの、その……大丈夫、あなたは、十分優しかったわ……それに」
「それに?」
「………すごく、素敵だった」
消え入りそうな声でぼそぼそと告げられた言葉に、ハウルは耳まで真っ赤にした。
いつもの余裕ぶった様子からは想像もつかない表情に、ソフィーは目を見張る。
「ハウル、照れてるの?」
どこかおかしそうなソフィーの言葉に、ハウルは唇を突き出して
彼女の頬をつまんだ。
「照れてないよ―――でも、君は時々僕の心臓を止めるような言葉を言うね」
ほら、という様にハウルはソフィーの頭を自分の胸に引き寄せた。
耳を当てると、たしかにとくとくという鼓動が聞こえる。
「止まってないわ」
「でも止まりそうだよ」
拗ねた様につぶやくハウルの唇に、ソフィーは小さく笑った形のままの
唇をちゅっと押し付けた。それからもう一度、心を込めて微笑む。
「私があげた心臓だもの、そう簡単には止まらないわ」
上気した頬に、きらきらと輝く瞳。生き生きとして美しいソフィーの様子に、
ハウルは眩そうに目を細めた。
「ハウル―――あのね、私ね」
「うん」
「すごく、幸せよ」
体は確かに痛いし、色々と大変な目にもあった。辛いことだってないわけではない。
この恋の行方なんてどうなるか分からないし、臆病者の二人が生きていくには
この世界は冷たすぎる。それでも。
「僕も、すごく幸せ」
―――世界の終わりの夜が、こんな夜ならいい。
紺碧の空にちらちらと星が瞬いて、すぐ近くでは恋人が微笑んでいてくれる。
そんな夜なら、きっといい。
二人は視線を合わせあい、小さく笑った。そして、ゆっくりと唇を重ねた。
なんか書き込むタイミングを逃しすぎててこうなりました。
これで終了です。あー、ほっとしたぁ。
世の中のハウル熱は冷め気味ですが、私が書く駄文が
ちいさな灯火となって、みなさんの萌えにひっかかってくれれば幸いです。
色々とやらせていただいて、ありがとうございました。
671 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 20:26:32 ID:43J77RxD
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
うわー
難産だったみたいなのに、こんな可愛くて素敵な作品読めて嬉しいです。
幸せすぎな二人、妬けるねーごちそうさまだねーって感じで…
250氏には数々の名作で楽しませていただきました!ありがとうございます!
『poor fool, you makes me laugh』とか好きでした。
>>250さんほんとにいつも素敵な作品をありがとうです!
幸せな二人を見れてほんとこっちも幸せ・・・
ところでスレ違いでガイシュツだと思うのですが今更他に聞くとこが見つからないので
良かったら教えてくらさい。
映画でソフィーが鳥ハウルに初チューしたとき、あのハウルの表情はハウソフィスキーとして
キスされたハウルの心情はどういう感じだったと思えばいいんでしょう?
250ネ甲、お疲れ様でした!いつも極上の美味し糧をありがとう
ございます(つД`*) 念願の250さんハウソフィ初夜が読めて
感激ですた〜!!切なくて甘甘で幸せです!すべて読み終えてから
改めてタイトルでジ〜ンとしたり…
連投すみません;
673さん、あのシーンですが、私はハウルが魔王化(?)して戦った末に
力尽きた王蟲みたいになってしまった状態だと解釈してました。
でもソフィーの事だけは意識下にちゃんとあって、だからあの場所に
待つように佇んでいたのかと…ソフィーにキスされたのももしかすると、
うっすら「あれは夢?」位にしか覚えてないかもとか。
これは私の勝手な解釈なので自信無いですけど;特に後半は自分の
萌えによる妄想っぽいです。ご質問からズレてる答えな気がしてきましたが;
ほかの方はどう解釈されたんでしょう?
最近ハウルのDVD見てハマりました。
今更ですが仲間に入れて下さい。
いらっしゃいませ。
とりあえず、ログ倉庫を見に行くとイイよ。
新しいのは書く余裕ないんですが鳥BADなら再投下可能…
にぎやかしがわりにでも、と思うけれども需要有りですか?
(暗い上に本当に救いはない内容です。以前の話とダブる部分も多い)
需要有りですか?と聞いて、いらないと言われたら投下しないのですか?
>>678さんの作品が凄く好きで心待ちにしていました。また来て
下さって凄く嬉しい。うまし糧を是非!(`・ω・´)
正座してお待ちしておりますw
救いがないのはイラネと思うし投下されても読まないけど
投下するしないは本人の自由だから好きにしたらいいとオモ
投下おまちしております
私も楽しみにしています。ぜひ、投下してください。
ハピーエンドばかりが物語じゃない!
てな訳で◆7Anvse.M72さん、投下お待ちしています。
連休にホシュ。
保守
投下じゃないカキコミにわざわざ鏝ってどうよ…何様w
それもそうですね。でもまぁ、今回は投下ですが。
傾向 ハウソフィ 映画 エロなし
ねぇ、一緒に住まない?
家賃に1,000回のキスをくれるなら
あなたを守り、支えてあげる
カブ頭の案山子は金髪の王子様へと戻り、恐ろしい火の悪魔は心優しき星の子へと
変わった。90歳の老女は星色の髪を持つ少女へと戻り、心をなくした黒い鳥は
温かい心を持つ魔法使いへと変わっていった。
「お城、ごめんなさい……」
遠ざかる金色の髪を見つめながら、ソフィーが傍らの青年に向けて呟いた。
彼は目を見張り、小さく微笑む。
「気にしなくていいよ」
「でも……きっと、直すのにとても苦労するわ」
「そうだね―――ソフィーにも手伝ってもらわないといけないかな?」
驚いたソフィーに、ハウルはぱちんと片目を瞑って見せる。
彼女は頬を赤らめ、彼の指先を握った。
「これで、おしまい!」
軽く声を上げ、ソフィーは満足気に台所を見回した。
お城の引越しはハウルとカルシファーがさっそく行ってくれ、
今度は空を飛ぶ城になっていた。確かに、動く城よりも移動はしやすいだろうが、
ソフィーはそれ以上にその眺めのよさが気に入っていた。
もっとも、ヒンはベランダに出るなり怯えて部屋にとんぼ返りしてきたけれども。
部屋の中も殆ど元通りだったが、やはり細かいところは人の手でないと
どうにもならないようで、今日は一日大掃除だった。
特にソフィーは忙しく、実を言えば朝から一度もハウルとまともに
顔をあわせていない。
「終わりかー?」
暖炉の中でうつらうつらしていたカルシファーがそう尋ねてきた。
自由になったにもかかわらず、彼は相変わらずこの城の暖炉を住居としている。
「ええ!見て、きれいになったと思わない?」
ソフィーは明るく言い、カルシファーを振り返った。
短い髪が、頬を撫でる。そのことになんとなく照れて、彼女は髪を耳に掛けた。
「これでまともなメシが食えるぜ」
「そうよ!もう何もかもすっかり」
元通り、と言おうとしてソフィーははたと気付いた。
自分はもう90歳ではないのだ。ここには、呪いを解きたかったから掃除婦として
居座ったわけで、でも呪いが解けたならもうここにいる理由がなくて。
90歳のおばあちゃんならいざ知らず、こんな自分が周りをちょろちょろしては、
ハウルの心証も悪くなってしまうだろう。
「ソフィー?」
呆然と黙り込んだソフィーに、カルシファーが心配そうに声をかけた。
彼女ははっと顔を上げると、小さく首を振った。
「何でもないの……疲れちゃったのかもしれないわね。カルシファーも
疲れているでしょう?今日はもう休んだら?」
ソフィーは微笑んで首をかしげ、カルシファーは何となく釈然としないものを
感じながらも頷いた。
「ソフィー」
「ん?」
「ずっと、ここにいるよな?」
ぽつんと独り言のように、カルシファーが問いかけた。いつもの傲慢なまでの
強気さは影を潜め、今は弱弱しく不安げだ。
「……おやすみなさい」
質問には答えず、ソフィーは微笑んだ。
窓に映る外の風景を眺めながら、ソフィーはまるで死刑宣告を待つような気持ちで
ハウルを待ち続けていた。彼は浴室にこもったきりで出てこない。
出て行ってくれ、と言われる前に出て行くつもりだった。
本当はずっとここにいたいけれど、それが出来ないことは知っている。
引き止められればもう一生ここで過ごしてもいいのだけれど、そうでなければ
職を探して住む場所を探そう。とりあえずは、母の再婚先に身を寄せるのが
いいのかもしれない。
「あれ、ソフィーまだ起きてるの?」
風呂上りで上気した頬のハウルが、驚いたように声をかけてきた。
ソフィーは微笑み、首をかしげる。
「ええ……ねぇ、ちょっとお話できない?」
ハウルは小さく目を見張り、それから笑った。
「いいよ―――僕も、君に言いたいことがある」
とりあえず静かな所へとハウルに誘われ、ソフィーはあの花園へとやってきていた。
入り口から少し歩いたところにある小高い丘からは、満月というには
少しかける位の、それでもとろりとした黄金色の光を放つ月が見える。
「綺麗………」
眼下に広がる青白く輝いて見える花園に、ソフィーは息を呑んだ。
隣のハウルは、どこか得意げな顔をしている。
「ハウル、ここ、すごく綺麗!」
感嘆するソフィーに、ハウルはにっこりと微笑んだ。彼はさり気ない仕草で
少女の肩を抱き、大きな木の幹の辺りに腰を落とすように勧める。
「この場所はね、この花園の中でも僕のとっておきなんだ。秘密の場所」
子供みたいな顔でそういうハウルに、ソフィーは目元をほころばせた。
ほんの少しだけ彼に近づき、顔を覗き込む。
「秘密なの?」
「そう。僕と、ソフィーしか知らない」
その言葉に、ソフィーが頬を染めた。しかし、すぐに顔を曇らせてしまう。
「……あのね」
「あのさ」
二人の声が重なった。ソフィーもハウルも気まずげに互いを見、俯いてしまう。
彼女はどうぞ、と手のひらを差し出した。
「今、こうしてても不思議なんだ。ずっと欲しい、欲しいと願っていたものが目の前にあって、手を伸ばせば届くなんて――――信じられないな」
そう言って、ハウルは空を仰いだ。静かな横顔に、ソフィーは胸が
かき乱されるのを感じた。心臓が暴れまわっている。
彼の些細な仕草にさえ息が詰まってしまうほど、激しく恋をしている。
「そう……」
「両親なんて、もう本当に小さい頃に亡くしていて、叔父も……いなくて。
ずっと、支えてくれる家族が欲しかった」
伏せられた睫毛が光って見えて、ソフィーはいたたまれなくなって視線をそらした。
ハウルは淡々とした口調を崩さない。
「それが手に入るなんて……幸福で、胸が張り裂けそうだよ」
「……あのね」
「あのさ」
二人の声が重なった。ソフィーもハウルも気まずげに互いを見、うつむいてしまう。彼女はどうぞ、と手のひらを差し出した。
「今、こうしてても不思議なんだ。ずっと欲しい、欲しいと願っていたものが
目の前にあって、手を伸ばせば届くなんて――――信じられないな」
そう言って、ハウルは空を仰いだ。静かな横顔に、ソフィーは胸が
かき乱されるのを感じた。心臓が暴れまわっている。
彼の些細な仕草にさえ息が詰まってしまうほど、激しく恋をしている。
「そう……」
「両親なんて、もう本当に小さい頃に亡くしていて、叔父も……いなくて。
ずっと、支えてくれる家族が欲しかった」
伏せられた睫毛が光って見えて、ソフィーはいたたまれなくなって視線をそらした。
それでも、ハウルは淡々とした口調を崩さない。
「それが手に入るなんて……幸福で、胸が張り裂けそうだよ」
「……あのね」
「あのさ」
二人の声が重なった。ソフィーもハウルも気まずげに互いを見、うつむいてしまう。
彼女はどうぞ、と手のひらを差し出した。
「今、こうしてても不思議なんだ。ずっと欲しい、欲しいと願っていたものが
目の前にあって、手を伸ばせば届くなんて――――信じられないな」
そう言って、ハウルは空を仰いだ。静かな横顔に、ソフィーは胸が
かき乱されるのを感じた。心臓が暴れまわっている。
彼の些細な仕草にさえ息が詰まってしまうほど、激しく恋をしている。
「そう……」
「両親なんて、もう本当に小さい頃に亡くしていて、叔父も……いなくて。
ずっと、支えてくれる家族が欲しかった」
伏せられた睫毛が光って見えて、ソフィーはいたたまれなくなって視線をそらした。
それでも、ハウルは淡々とした口調を崩さない。
「それが手に入るなんて……幸福で、胸が張り裂けそうだよ」
ハウルが、初めて微笑んだ。ソフィーも微笑み返そうとして、失敗した。
崩れた表情のまま、彼女がまた俯く。
「ソフィーは、これからどうするの?」
質問に、ソフィーははじかれたように顔を上げた。つらそうに視線をそらし、
唇をかみ締める。
「どこか、行くあてでも―――」
「あのね」
ソフィーがハウルの言葉をさえぎった。泣き出しそうな大きな目に射抜かれ、
青年は身構える。
「お願い―――お願い、掃除婦でも家政婦でも構わないの、あの家に
置いて欲しいの……あなたが私のこと何とも思っていないのは分かってる、
でも、お願い……傍にいさせてくれるだけでいいから……」
告白の途中から、ソフィーは涙があふれかえってくるのを止められなかった。
ぽろぽろと流れるそれに、ハウルは呆然と見入っている。
「お願い………離れたくないの……」
「それで、いいの?」
ソフィーの涙を指先でぬぐい、ハウルがそう問うた。
彼女は唖然として目を見開く。
「掃除婦のままでいいの?」
眉根を寄せて、ハウルがもう一度続ける。ソフィーは真意を図り損ねて目を伏せた。
彼は苦笑すると、少女を引き寄せた。
「っ!」
「僕としては―――家には掃除婦よりも可愛い恋人にいて欲しいんだけど」
「じゃあ、尚更……」
「あー、もう!」
ハウルがじれったそうにはき捨てると、ソフィーの唇を塞いだ。
びくりと体をすくませ、彼女は青年の胸をたたいた。
「まだ分からない?」
いきなりのキスに目を白黒させているソフィーに、ハウルが囁きかけた。
全身を真っ赤に染めて硬直している少女が、不安げに青年を見上げる。
「え……」
「ソフィーが恋人になって、家にいてくれれば言いなって言ったんだよ」
そういうと、今度はハウルの方が不安そうにソフィーの目をのぞきこんだ。
ようやく止まったはずの涙が、再びあふれてくる。
「泣かないで、ソフィー。せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」
「……だって、だって………」
ソフィーはもう泣き止むことが出来ず、ひくひくとしゃくりあげた。
ハウルは苦笑いを浮かべると、彼女を抱きしめ背中を撫でてやる。
「ごめんね、僕がきちんと言わなかったからだね―――僕も、ソフィーが大好きだよ。
ソフィーと一緒にいたい」
ソフィーは何も言わずに頷いた。ぎゅうっと縋り付いてくる小さい体を、
ハウルは穏やかな表情で抱きとめる。
「ソフィー、僕と一緒に暮らそう?」
ソフィーがまた頷く。それを確認して、ハウルはようやっと息を吐いた。
その微かな音に、彼女が顔を上げる。
「ハウル……?」
「僕もね、正直心臓がつぶれるかと思った」
そういうと、ハウルが顔をくしゃくしゃにして笑った。
いつもより幼く見える顔に、ソフィーはどぎまぎしてしまう。
「断られたら、どうしようって」
「まさか!」
間髪いれずにソフィーが答え、ハウルがふいと横を向いた。耳が赤く染まっている。
どうやら照れたらしい。
「私も、出て行ってって言われたらどうしようかと思っちゃったわ」
「まさか!」
同じように、ハウルも間髪いれずに答えた。ソフィーは目を丸くし、それから
くすくすと笑う。青年も相好を崩し、二人はしばらくの間、笑いあった。
「ね、一緒に住むなら一個だけ条件があるんだけど」
どこか悪戯めいた口調に、ソフィーは不思議そうな顔をした。
ハウルは笑うと、彼女に口付けた。
「家賃には、1000回のキスが欲しいな」
「……欲張り」
「そう?もしそれだけキスしてくれるなら、僕は一生ソフィーのこと守ってあげる」
「あら」
その言葉に、ソフィーは悪戯っぽく目を見開いた。
桃色の唇を、無防備になったハウルのそれに押し付ける。
「違うわ――私が、あなたを守ってあげるの」
あと999回ね、とソフィーがにっこり笑った。ハウルは呆然として
唇を指でなぞると、にやりと笑って彼女に覆いかぶさった。
「………あなたにかかっちゃ、1000回なんてすぐにじゃない?」
「……やっぱり、それだけじゃ足りないかも」
呆れた、というソフィーの声も、ハウルの唇に柔らかく塞がれた。
(確かに……)
1000回なんて言わず、もっとたくさんキスしてくれてもいいな、と
ソフィーはぼんやりと考えた。抱きしめてくれる腕の温かさとキスの甘さに、
すっかり心をとろかしながら。
以上です。わー、連続ミスしてる……695,696は失敗です。
管理人さん、お手数ですが倉庫掲載の際には削除をお願いします。
時列では映画エンドの直後です。
今回のタイトルは最近見た映画の中から頂きました。
これをハウソフィでやるのは邪道かなー、とも思ったけれど
曲も詞もむちゃくちゃキュートだったので、使っちゃいました。
キ、キタ━━(゜∀゜)━━!!
むっはー!
GJ!!
うわああ、GJというかもうゴッドジョブ!!
いつもながら情景描写もキレイでうっとりです…
初々しい2人にほのぼのさせていただきました。なんだか自分も
初心に帰った気持ち…やっぱハウルという作品が大好きだ。
過疎ってしまってることだし、雑談時に多少のコテは自分は
気になりませんが。
>>689-701 わー、かわいい!そしてあまーい!
この弱気さが映画ハウルという感じでたまりません。
今週はずっと忙しかったんですが癒されました。
保守がてら…。
偶然ココを覗いたお陰で、元作品にも興味が出てしまい
原作2冊を購入して、久し振りに良質のお伽話を楽しむことが出来ました。
映画のDVDもその内届く予定です。素敵な世界に出会わせてくれたことに感謝。
709 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 08:25:16 ID:mqbttmhe
原作はいいよね。
原作の強気なソフィー萌え
原作は本当にイイ。
二人の性格がすごく好き。
712 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 22:32:02 ID:LTlt2NRA
映画ハウルはピュアーな感じ
映画ももう少しツンツンしてればな
でも映画は映画で良かったけど
うん。
映画は映画で、すごく良かったと思う。ハウルを知ったのも映画だし。
でも、その後に読んだ原作に心奪われたw
715 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 01:12:36 ID:xGZlHC1M
ホシュ
716 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 01:16:53 ID:xGZlHC1M
自分も知ったのは映画だけど
はまってしまったのは原作
そして2次創作を読んで更にはまったw
717 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 09:01:55 ID:1wzQn9uY
保守
原作の2作目にもハウソフィは出て来るんですか?
>>718 出てるよ。ソフィが中々イイ性格している。逞しい。
720 :
718:2006/06/21(水) 21:38:18 ID:sDj7hPKo
719さんありがとう。
わかりました、買おうか迷ってたけど、買いますw
ほしゅっとく
2作目のハウソフィはちょっとしか出ないけど、
新婚期間の仲良しさが想像できていいよねw
今日は恋人たちの日ですね。
21日、地上波放映らしいね。
神様かもん!
725 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 21:53:25 ID:B8Tjd4/4
723タンて宝塚板にも書いてたっしょ?オイラそこの住人
726 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 10:40:34 ID:aV+Zoxl1
地上波放映楽しみだー
映画版は前半の帽子を黙々と縫うソフィー萌え。
727 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 20:43:39 ID:rD/OJM+R
最近DVDを観てすっかりハウルにはまってしまった〜。
私も原作2冊を読み、DVDも手元に置いておきたくて購入。
検索していたらここを発見。
ドキドキしながら読んでます(*^-^ゞ
放映まで保守〜。
/⌒ヽ ブーン
二( ^ω^)二⊃ /⌒ヽ ブーン
| / /⌒ヽ ブーン 二( ^ω^)二⊃
( ヽノ 二( ^ω^)/⌒ヽブーン /
ノ>ノ ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ヽノ /⌒ヽ ブーン
レレ ( ヽノ| / ノ>ノ 二二( ^ω^)二⊃
ノ /⌒ヽ ブーン レレ | /
⊂二二二( ^ω^)二⊃ /⌒ヽ ブーン ( ヽノ
| / レ 二( ^ω^)二⊃ ノ>ノ
/⌒ヽ ブーン ヽノ | /
二( ^ω^)二⊃ ( /⌒ヽ ブーン
| / /⌒ヽ ブーン 二( ^ω^)二⊃
( ヽノ 二( ^ω^)/⌒ヽブーン /
誰かカルシファー×ソフィー書いてくれないかな
擬人化になっちゃうかな
730はエロをお望みか?それとも純愛路線か?
732 :
730:2006/07/22(土) 15:20:24 ID:zpZGYnkO
いやもうどっちでも・・・カルシファーかわいいよカルシファー
733 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 21:05:48 ID:oefjOpwm
ハウ×ソフィお願いします!!!もう二人の愛切れです〜
カルシファー×ソフィー見たい人がここにも1人
ハウソフィもいいけどこの二人もステキだ…
イザナギみたいにあそこを焼かれるんですか
間違えた、イザナミだよ……
737 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 17:25:45 ID:TsfXckGc
ヤリチンハウル(*´Д`*)ハァハァ
アンケートさせてください。
1、体成熟マルクル×ソフィー←ハウル見て嫉妬のちに3P
2、1のカブ版
3、ハウル自慰
土日中に書いてうpします。
2キボンヌ。
ヌルテカで待ってます。
ハウルを見て以来、大泉洋に萌えるようになってしまった。
2を希望。
それか3のカブ版。
743 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:51:02 ID:nSZxZiXJ
3がいいーー!っつうか全部みたいです!職人様待ちますから全部和央
きゃー!神現れた?
2でお願いいたします。でも1も気になるワー
745 :
738:2006/07/29(土) 20:32:43 ID:seLYA08J
レスありがとうございます!
とりあえず2を書いているのでなんとか早めに仕上げたいと思ってます。
で、2のシチュエーションなんですが…3Pは難しいのでorz、
カブ×ソフィー←見たハウル嫉妬、カブ追い出してソフィー相手に鬼畜
な感じにします。
新人なので職人様の過去作品を参考にしつつ励みます…。
しばしお待ちください。
746 :
745:2006/07/29(土) 20:39:35 ID:seLYA08J
sage忘れ失礼しました o....rz
自分も楽しみにまってます。
・・・今夜かなあ?
738さん、全裸で待ってますね。
ワクテカ
ITSUMADEMATASERUNDAYO!
BUKKOROSU
>>738
そんな怖いことおっしゃりなさんな。待とうよ。もしも明日までになかったらわたしが何か投下するよ
夜のバイト終えたがまだだった・・・。
2ちゃんらしくそろそろ750のような書き込みがあるとは思ってたがw
>>751 なくてもあっても投下していただけるとうれしいです。
保管庫でも読みながらまったり待ちましょう。
もう来ないかもしれんね。
さー寝るか。
>>753 前スレ、519さんの、カブ→ソフィー鬼畜レイプ、
この後の話がどうにも気になるんですが、、、
是非続きをお願いします
約束どおり投下しますね。
傾向 映画 ハウルとカブ中心 微エロ?
仮面舞踏会もそろそろ終盤を迎えていた。
誰もが酒に酔い、会場中に陽気な雰囲気に満ちている。その奥の酔客のために
用意された控えの間の一画では、一人の男が王様のようにソファの山にもたれていた。
黒い仮面をつけた彼は顔の半分をもそれで隠されながらも、なお零れ落ちる美貌を
堂々とひけらかしていた。そのせいなのか、彼の周りには酔って上気した肌をした
女たちが群がっている。その様はちょっとしたハーレムのようだ。
しなだれかかってくる女を遠ざけながら、男は艶やかな黒髪を払った。
その様子に、女たちはうっとりとした視線を送るが、彼は眉間にしわを寄せている。
その時、広間との出入り口の辺りで、小柄な娘が身を翻した。
銀色の髪をした彼女は、なぜだかとても目立った。男は彼女に気付いたらしく、
軽く手を上げた。しかし、娘は彼を無視して人ごみにまぎれてしまった。
男が怪訝そうに口元を歪めたその時、彼のハーレムに闖入者が現れた。
女たちがざわめく。男は、ふっと視線を上げてそのまま固まった。
「わたしもあなたとお話したいわ。構わないかしら?」
赤茶色の髪を緩く結い上げた闖入者は、そう言って赤い唇を綻ばせた。
年のころは二十歳前後、金色の縁取りのある赤い仮面をつけている。
女らしい体つきをした、文句のない美女だった。
「あなた方も、仲間に入れてくださる?」
もちろん自分が追い出されるはずがない、とどこか強気な響きを持つ声に
男は小さく笑った。彼は体をずらすと、ひと一人が座れるスペースを作った。
「こちらへどうぞ、レディ」
「ありがとう」
女はそういうと、堂々とした歩みで男の隣へ腰掛けた。間近で微笑まれて、
男はうろたえた。自分は、どうしてこの見知らぬ女を招きいれたのだろう、と
不思議に思う。
男―――ハウエル・ジェンキンスは困惑した顔のまま、横に座っている女を眺めた。
「きゃっ」
「失礼」
ぶつかってきた人を無意識に抱きとめると、それは随分と軽かった。
ふと見やると、白いような銀色のような、不思議な色合いの髪が目に入った。
「ごめんなさい、ぼうっとしてて」
弁解を口にしながら、その人は照れたように首を振った。白い仮面をつけ、
薄い桃色のドレスを着た彼女には、見覚えがあった。
「あなたは……」
名前を呼ぼうとしたら、彼女が小さな唇に人差し指を当てて笑った。
彼女の言わんとすることを察し、男も微笑む。
「失礼。お嬢さん、お一人ですか?」
「ええ。人とはぐれてしまったの」
彼女はそう答え、肩をすくめて見せた。男は笑うと、すっと腕を差し出した。
「それでは、ご一緒いたしませんか?」
「ええ、喜んで」
彼の腕を取って、娘が唇を吊り上げた。豊かな金の巻き毛を持つ男―――この国の
王子で通称・カブは、今宵の幸運を喜んだ。
「どうなさったの?浮かない顔ね」
笑い混じりに、女が囁いた。その甘い声音に束の間酔いしれ、ハウルは慌てて
笑顔を取り繕った。
「いや、人を待っていて―――」
「あら」
女が目を見開いた。仮面の奥の目は茶色。髪の色にも近いが、光の加減で
琥珀色のようにも見える。彼女は赤く塗られた唇を突き出すと、拗ねたように
ハウルの腕を叩いた。
「恋人かしら?妬けちゃう」
女の言葉に、ハウルはソフィーのことを思い出して一人幸福な気分に浸った。
彼の奥方たる可愛いソフィーは、初めての舞踏会に興奮気味の幼い弟子を
寝かし付けに行ったきり戻ってこない。
先ほど広間で見かけたのは、別人だったのだろうか。けれど、まさか自分が
彼女を見間違えるとも思えない。
悶々としているハウルの頬を、女はきゅっとつまんだ。慌てて視線を戻すと、
彼女は呆れたような顔をしていた。
「やっぱり恋人なの?」
「いいえ、妻です」
何の臆面もなく言われた言葉に、周りを取り巻いていた女たちがため息をついた。
一人、また一人と彼の元から女たちが去っていく。
そうでなくても、彼は先ほどからこの美女としか喋らないのだ。
周りはさぞつまらないはずだろう。
「でも、その奥様だって今は他の誰かとご一緒かもしれないわ」
「そんな、」
即座に否定しようとしたハウルの頤を、女が掴んだ。
彼女はゆったりと笑うと、首をかしげた。
「あなたが、わたしと一緒にいるようにね」
そう言われ、ハウルは息を呑んだ。そういえば、彼女は随分と近いところにまで
やってきている。振り払わねば、そう思うのに手放せない。
「レディ、あなたは一体……」
「そんなことどうでもいいわ。わたしをあなたの言うレディでしかないし、
わたしにとってあなたはあなたでしかないわ。恋に身分証は必要ないでしょう」
それに、と言って女はハウルの顎から手を離した。今度は、彼のタイに触れる。
「今日は仮面舞踏会。わたしが誰であろうと、あなたがどんな人であろうと、
そんなの取るに足らないことだわ」
差し出されたグラスを受け取ると、娘は一気にそれをあおった。
細い喉を鳴らしてシャンパンを飲む彼女に、人々の視線が集まる。
「お酒が好きなんですか?」
少しばかりたじろいだ風のカブの言葉に、娘は事も無げに頷いてみせる。
「ええ。好きよ」
そう答えた娘の頬に、すっと赤みが差す。その様に見とれながら、カブが尋ねた。
「もっと、飲まれますか?」
娘は思案顔で唇に指をあててから、軽やかに笑う。
「そうね、もう少しいただける?」
言葉が終わった途端、片手の指では数えられないくらいのグラスが突き出された。
面食らうカブを取り残し、娘はグラスを差し出した男たちに、色っぽい流し目を
送ってやった。
「ありがとう」
でれつく男たちを尻目に、娘はカブからグラスを受け取る。今度はそれを
半分飲むと、もてあました風にグラスを放した。
「どうかしました?」
「いらなくなっちゃった。あなたが飲んで」
そういうと、娘は気楽な様子でカブにグラスを押し付けた。彼は困惑したように
彼女を見やったが、意を決したようにそれを煽った。
「いい飲みっぷり」
娘は嬉しそうに笑い、カブの唇を自分の指先でぬぐった。指に付いたシャンパンを、
桃色の舌でなめ取る。彼の喉が、ごくりとなった。
「……ねぇ、私酔ってしまったみたい」
数分後、真っ赤な頬をした娘がカブにしなだれかかりながら呟いた。
彼は慌てて彼女を抱きとめる。その柔らかい感触に、ふいに欲望が頭をもたげた。
「でしたら……外で風に当たりますか?」
娘はぼうっとした目で、カブを見上げた。彼はそれとも、といって不意に
真面目な顔になる。
「部屋に行きますか?」
「そうね。そうしたいわ」
なんてね、といって冗談にしようとしたその時に娘に返されて、カブはさすがに
ためらった。しかし、魅惑的なお願いに勝てるわけもなく、彼は力なく微笑んだ。
「仰せのままに」
導かれるがままに、ハウルは女と一緒に部屋に引き上げた。
休憩用にいくつも空いている部屋に体を滑り込ませると、彼女は艶っぽく笑った。
「嬉しいわ、あなたとお近づきになれて」
女はそういうと、ゆったりとした歩みでベッドに近づいた。すとん、と腰掛ける。
彼女は自ら靴を脱いだ。艶やかな黒いハイヒールが、そろえられて置き去りにされる。
「ね、あなたも」
ベッドに乗りあがり、上目遣いに誘ってくる女から目をそらし、ハウルは唇を
噛み締めた。自分は何をしているんだ、ソフィーがいるだろうと叱責の声がする。
しかし、その一方でこの不思議な女に信じられないくらいに惹かれている自分もいる。
奔放で大胆な彼女は、貞淑でつつましいソフィーとは大違いだ。
だけれども、なぜだか強烈な魅力がある。
「すみませんがレディ、やはり私は……」
「あら」
その声に顔を上げ、ハウルは絶句した。女は、もうすでにドレスを脱ぎ捨てて
下着姿になっていたのだったのだ。
「ここまできて、女に恥をかかせるの?」
女は、皮肉っぽく唇を歪めた。ハウルがうろたえたように視線をさまよわせる。
女の心臓を食べてしまうという“あの”ハウルが情けない、と彼は自分の行動に
自嘲した。
「もう、待たせないでよ」
女はそういうと、つかつかとハウルの横にやってきて、彼をひっぱって
ベッドに押し倒した。倒れた彼に乗りあがって、動きを封じる。
「あぁ……嬉しいわ」
女がうっとりとした声を上げた。しかし、その唇は心なしか震えているようだった。
その突然覗いたか弱さに、ハウルは彼女をぎゅっと抱いた。
「レディ……」
熱っぽい囁きに、女は目を閉じた。赤い仮面に彩られた美貌に、目が眩みそうになる。
「抱いて、くださるわね?」
ハウルは、答えなかった。女は唇を吊り上げると、その微笑んだ形のままに
彼の唇に重ねた。ゆるく唇を動かしてむさぼる。
ハウルは目を見開き、彼女を引き剥がそうとした。しかし、そうするには
その唇はあまりに甘くて心地よい。
「………」
顔を上げた女は、ぽかんとした表情から一点、眦を吊り上げた。
怒っているんだろうな、と察しがついたのでハウルは彼女を伺った。
「レディ……?」
「気に入った?ほしいと思った?」
彼女は矢継ぎ早にそう訊ねた。顔は笑っているのに、目がひどく悲しげだった。
なぜだか解らないが、その表情はハウルの心をひどくかき乱した。
「話を、聞いてください」
「聞きたくないわ。ねぇ、わたしはあなたがほしいのよ?」
女の語尾が高く跳ね上がる。彼女は片手でコルセットをずり下げると、
豊かな乳房をさらした。ハウルの心臓が強く動く。
「それとも」
女はそういうと、まとめていた髪を解いた。ゆらり、と赤茶色の長い髪が
ハウルの体の上に降り注ぐ。
「あなたは、わたしがほしくないの?」
ハウルは勢いよく飛び起きると、彼女を組み敷いた。女は、驚いたように目を
見開いている。
「……レディ。あなたはとても美しく、魅力的だ。あなたの様な美しい方を
欲しがらない男などいません―――」
「なら」
女が非難するような声を上げた。ハウルは彼女の頬に触れると、ふっと微笑んだ。
「でも………僕には、かけがえのない、大事な人がいます。失いたくない人がいます。
レディ、僕はあなたに本当に惹かれている。だけど、彼女を悲しませる事はできない……」
真摯な言葉に、女はほうと息を吐いた。それから、彼の手に自分のそれを添えた。
「その人のことを、とてもとても愛しているのね」
女の唇は震えていた。ハウルが頷く。
「幸せね」
女の言葉には、計り知れない深さがあった。ハウルはそっと、彼女の仮面に手を掛けた。
「レディ、最後に本当のあなたを見せて欲しい……」
あ、と女が制止の声を上げるまもなく、赤い仮面が剥がれた。
現れた素顔はやはり美しく整っていた。大きな茶色の瞳が見開かれる。
髪の色に似ているだろうか、けれども光の加減では琥珀色にも見える。
暖かで優しく、清らかな瞳だ。言いようのない既視感を覚える。
不思議な輝きを持つ瞳をみつめながら、ハウルは思わず呟いた。
「……ソフィー?」
ぽん、と軽い爆発音がたって、女の周りに薄紫色の煙がかかった。
その煙を、半眼になったハウルが振り払う。
「……へぇ」
ベッドに上体を起こしているのは、あの謎の美女ではなく、銀色の髪に華奢な
体つきをした、彼の妻だった。ソフィーは裸の胸を片腕で隠すと、乾いた笑いを浮かべた。
「……あはっ」
ハウルもにっこりと微笑んだ―――もちろん、目は笑っていないのだが。
「やぁ、ソフィー。ところで君、一体何してるの?」
「あのぅ……おばあちゃんに変身のおまじないを教えてもらって……」
「そうだね。ごく初歩的なまじないだ」
そういいながら、ハウルはソフィーを押し倒した。彼女の体の上に乗りあがる。
「それで……その、おもしろくなっちゃって」
「そりゃあ楽しかっただろうね、君は」
とげとげしい言葉に、ソフィーは首をすくめた。その額には、いやな脂汗が浮いている。
ハウルの手を逃れようと、彼女はしきりにじたばたもがくのだが、無駄な抵抗だった。
「悪気はなかったの!その、ちょっとだけふざけたかっただけで……」
「悪気がないならなおたちが悪いね」
ハウルはタイを外してシャツのボタンを外すと、それを脱ぎ捨てた。
そして仮面を外し、入り口のほうに放り投げる。びしっ、と派手な音がして
仮面が床に叩きつけられた。
「本当にごめんなさい!許して」
す、とハウルが目を眇めた。凍て付くような美貌に、ソフィーは見とれるよりも
先に悪寒を感じてしまった。
「…許さないよ?」
にっこり微笑むと、ハウルはソフィーに覆いかぶさった。驚くべき早業で、
下穿きが剥ぎ取られる。
「……い、いやーーーーーっ!!!」
肩で息をしながらも、娘は艶然と笑った。その美しさと艶っぽさには、
思わずめまいを覚えたほどだ。
彼女の体は、どこもかしこも甘かった。絡みつく腕は熱く、肌は吸い付くようだった。
にやにやと思い出し笑いをしながら、カブは上機嫌で廊下を歩いていた。
仮面舞踏会から一夜が明け、彼はようやく触れることの許された少女に会いに行く
ために歩いていた。
二度ほど体を交じえた後、娘はそそくさと身支度を整えて出て行ってしまった。
結局、最後まで名前を呼ぶことも素顔を見ることも許されなかったが、まぁそれでもいい。
なにせ、彼女は間違いなくカブの大好きなソフィーであり、彼女に体を許されたと
いうことが大事なのだから。
(しかし……)
病み付きになるくらいに気持ちのいい体験だった。あんなに激しく求め合ったのに、
もう彼女を抱きたくてうずうずしている。ソフィーは人妻であるが、
思いが通じ合ったわけだからカブにも希望がある。
いずれは、あの男とも別れてくれるかもしれない。
「おはようございます!」
少しばかりの不安と気恥ずかしさを吹き飛ばすように、カブは爽やかに
ドアを開けて挨拶した。彼の私的な食堂には、ゲストであるハウル、ソフィー、
マルクル、そして荒地の魔女が席についている。
「おはよう、カブ」
ソフィーが穏やかに挨拶を返した。冴えない顔色が痛々しく、でも妙に
色っぽかったので、カブはだらしなく笑み崩れた。
「……脳に虫が沸いたのか?」
冷ややかにそう言ってのけたのはハウル。彼はさりげなくソフィーの肩に手を回し、
眉毛を持ち上げて見せた。
「薄気味悪いくらいにご機嫌だな」
ふふふそんな風に余裕でいられるのも今のうちですよと内心思いつつも、
カブはあくまで爽やかにすっとぼけた。
「そうですか?いつもどおりじゃないですか。ねぇ、ソフィー」
そう言って、カブはソフィーに熱っぽい視線を注いだ。彼女は意味がわからない、と
言うようにぎこちなく微笑んだ。
「舞踏会は楽しめましたか?」
「楽しかった!」
間髪いれずに答えたのはマルクルだった。しかし、ソフィーは赤くなって俯き、
ハウルはその様子を見てにやにやしている。不思議なことに、荒地の魔女は
妙に色っぽい流し目をカブに注いでくれた。
「それはよかった―――ソフィー、どうしました?」
「あの、なんでもないの!」
「ソフィーは楽しめたよね。それこそ泣いちゃうくらいに」
意地悪い響きの言葉に、ソフィーがまた顔を赤らめた。何を言っているのだろう、と
思ってカブは発言者たるハウルを見やる。
「泣いちゃうくらいに気に入ったの?」
「そうだよ、マルクル。ソフィーはとっても楽しかったって」
不思議そうなマルクルに、ハウルがにっこり笑って言った。ソフィーは
がちがちに縮こまっている。尋常でない様子に、カブは眉をひそめた。
不意に、魔女が首をそらした。彼女の首筋には、ぽつぽつと赤い斑点ができていた。
それを見つけたマルクルが、声を上げる。
「おばあちゃん、それ、ケガしてるの?」
「ほっほっほ、これは大人にしかできないアザなんだよ」
「えー、いいなぁ。大人ならできるの?ハウルさんにもある?」
「僕にはないけれど、ソフィーにはあるよ。ねぇ?」
「ちょ!ばか!」
ソフィーが慌ててハウルの髪をひっぱった。その様子を見て、カブはいやな汗が
吹き出ているのを感じた。魔女のアザは、首の右側に集中している。
昨晩、カブは白い仮面の娘の首の右側に集中的に唇をつけた。
彼女は、そのいちいちにかわいらしく反応したのだけれど―――。
ほら、と言ってハウルはソフィーの左側の髪をかき上げた。
マルクルが感嘆の声を上げる。ソフィーは思わずハウルをひっぱたいた。
が、手のひらは寸でのところで捕えられてしまう。二人はそのまま、
ぎゃあぎゃあと怒鳴りあい―――といっても他者にはじゃれているようにしか
見えないのだが―――を始めた。
(うそだ………)
きゃんきゃんとわめくソフィーを尻目に、カブは一人で固まっていた。
彼の傍らで食事をしていた魔女が、にやりと笑う。
「若いっていいねぇ」
その陰のある笑いが、昨晩の銀の髪の乙女に重なる。真っ青になった王子に、
魔女は止めを刺すようにあるものを握らせた。
「昨日はよかったよ。生き返ったような心地だ」
王子の手には、白い仮面が握らされていた。金色の縁取りのあるその仮面は、
間違いなく彼が抱いた娘の身につけていた――――。
引きつった顔のまま、カブは綺麗に気を失った。ばたーん、という大きな音に
ハウル、ソフィー、それからマルクルが声を上げる。
「カブ!?」
見ると、彼は真っ青になった顔で倒れていた。気絶しているらしい。
「おばあちゃん、何があったの?」
ソフィーが魔女を問い詰めた。しかし、彼女は猫めいた微笑を浮かべるのみで
一向に答えない。
「ねぇ、何か持ってるよ」
しゃがみこんでいたマルクルが、カブの手にあった仮面を引き抜いた。
見覚えのあるそれに、ハウルとソフィーは目を見張った。
「………ソフィーの仮面?」
マルクルが不思議そうに呟いた。ハウルは決まり悪げに咳払いをし、ソフィーも
呆然とした顔のまま固まっていた。荒地の魔女だけが涼しい顔で、
一人口元をナプキンでぬぐった。
「ご馳走様。大変美味しゅうございました」
たまにはこんなお遊びもいかがでしょう?ってノリで。
カブはドンマイです。でも、基本はソフィーだから
おいしいですよ。多分。ハウルは相変わらずおいしいとこどりです。
>>738さま
待ってますんで、ぜひ投下を!てかそのシチュおいしいですね…。
今度それで書かせてください。
やはり250タンアナタでしたか〜さすが!というか、好きです、文章の流れ。カブはおきのどく様ですね。
今度は、激しいのもお願いします。
GJ!GJ!!です!!!
荒地の魔女×カブ・・・笑わせていただきましたwww
250氏は神だな。乙
また楽しみにしてるぜ
リクしてもいいかな?
ハウルがソフィーにあまい言葉たくさん言うの希望w
カブ… orz
>>250さん、うまし糧をいつもありがとう。
天国から一転、地獄へ突き落とされたカブ、お気の毒w
でも荒地の魔女だって、若いときは美貌の持ち主だったわけだし…
保守だよ。
先日、やっと…
やっとDVDで初見をしました(猛反省)
こちらのスレを(パケ放では無い携帯から)たいっっへん美味しくいただきました
ご馳走さまでございます・゚(ノд`)゚・。…シアワセ…
>>パケ放では無い携帯から
ごめん、素で引いた。
>776
引かせてスマン
田舎暮らしでボダホン3Gの電波が安定しない為
パケ放できない携帯しか持てないわけで…
パソコン欲しいわい
この間の金曜ロードショーが初見だった者ですが
昨日ここを見つけて倉庫も巡ってきました。
どれも素敵なんですけど、
特にミュージカルの曲のタイトルつけてる方
(ごめんなさい名前分からないんですけど
↑のマスカレード!の方でしょうか)
曲や作品を知ってる分、巧く活用、応用されてるな〜と感動しました。
特に「ON MY OWN」は歌詞がナチュラルに使われてて
凄いと思いました。これからも期待してます!!
倉庫どれ?
250さんの作品はお金払っても良いくらい上手いと思うなー。才能にしみじみ感動する。
…250さんてもしかして自サイト持ってらっしゃる方ではないですよね?
ジャンルは違うんだけど私がよく行く創作サイトの管理人さんと作風・表現が
似てるから前々から同じ人かなー?と思ってたんですが。
その管理人さんは歴史物を扱ってらっしゃるんだけど、これがまたすごく上手い。
作家になれそうなくらいに。
>>781 そういう探るようなこと書かれたら、投下しづらくならない?
まあ職人本人が気にしないならいいけど。
真偽はともかく、自由に書ける雰囲気のスレであって欲しいよ。
職人さんもせっかく自分の好きなようにやっている訳だし。
DVD、原作、ムック一気買いしました
神様の作品にさらにはぁはぁできる…(*´Д`*)
書きます。
傾向 映画 パロディ
昔々、あるところにとてもかわいらしい女の子がいました。
彼女の名前はソフィーといいました。彼女はとても綺麗な銀色の髪の毛と
美しい顔を持っていたのですが、地味好みで控えめな性格だったので、
外出するときには顔を隠すような赤い頭巾をかぶっていました。
そのため、彼女はみんなから『赤頭巾ちゃん』と呼ばれていました。
さて、この赤頭巾ちゃんには、一人のおばあちゃんがいました。森の奥で
一人暮らしをしているおばあさんです。そのおばあさんの具合がよくないのを知り、
赤頭巾ちゃんは大層心配しました。そこで、彼女はおばあさんのお見舞いに
行くことに決めました。
「お姉ちゃん、森には悪い狼がいるのよ。気をつけてね」
しっかり物の妹は赤頭巾ちゃんにバスケットを渡しながらも、心配そうです。
「悪い狼?」
「きれいな娘さんは、みんな森の悪い狼に食べられてしまうのよ!」
今にも泣き出しそうな顔の妹に、赤頭巾ちゃんは陽気に笑って見せます。
「なら、私は大丈夫だわ!だって、私はきれいなんかじゃないもの」
きっぱりと言い切る赤頭巾ちゃんに、妹は天を仰ぎました。
赤頭巾ちゃんは、自分の容姿についてさっぱり無頓着だったので、
自分は醜いものだと信じ込んでいたのです。
「とにかく気をつけてよ。悪い狼に声をかけられても、無視するのよ!」
妹のお小言を振り切ると、赤頭巾ちゃんは足取りも軽やかに森の中に
入っていきました。
森の中には、一匹の狼がいました。つやつやの黒い髪にたいそう美しい姿形をした、
それはそれは美しい男でした。しかし、彼の頭には黒い毛並みに覆われた
三角形の耳があり、その腰には同じく黒い毛並みの、ふさふさした尻尾がありました。
彼は自分でハウル(=遠吠え)という風変わりな名前をつけては喜んでいました。
狼には相応しい名前だと信じていました。
狼は、森に迷い込んだ可愛い女の子が大好物でした。しかし、本物の狼とは違って
頭からばりばり食べてしまうわけではありません。
食い物にする、というのは栄養を摂取すること以外にも使える言葉なのです。
(あーあ、退屈だなぁー…可愛い女の子の一人もいれば……ん?)
ぶらぶらと森を歩き回っていた狼は、ひょこひょこ揺れる赤い頭巾に気が付きました。
後をつけてみると、どうやらそれは赤い頭巾をかぶった女の子らしいのです。
しめた、と狼は心の中で思いました。清らかで可愛い赤頭巾ちゃんの噂は、
狼の耳にも届いていたからです。
(よーし、今日はこの赤頭巾ちゃんと・・・)
てん、てん、てんにはいやらしい言葉が入ります。しかし、それはちょっと
昔の感覚です。この狼、案外年を食っているのかもしれません。
「やあ、かわいらしいお嬢さん」
狼は美しい声で赤頭巾ちゃんに声をかけました。赤頭巾ちゃんはびっくりして
振り返ります。
「まぁ、あなた!」
狼の尻尾がぴくんと動きました。ぱた、ぱた、ぱたと大きく揺れます。
赤頭巾ちゃんはといえば声をかけてきた男をしげしげと眺め、そして真っ赤に
なりました。彼は、それくらいに見目麗しいのです。しかし、彼の頭には狼の耳と、
腰には大きく動くしっぽがあります。そこで、赤頭巾ちゃんはぴんときました。
「あなたが、悪い狼さんなの?」
赤頭巾ちゃんはおずおずと尋ねました。しかし、悪い狼かと訊ねられてそうだと
答えるような男など、世の中には存在しません。
「いやいや、僕はいい狼だよ。赤頭巾ちゃん」
にっこりと極上の笑顔を浮かべながら、狼は答えました。そのことにすっかり
安心したのか、赤頭巾ちゃんがぱっと笑顔になりました。
狼の尻尾がまた大きく揺れます。狼はイヌ科なので、興奮すると尻尾が大きく
揺れます。つまり、狼さん的にはこの赤頭巾ちゃんはもろタイプ、
もうほとんど一目ぼれ状態なのです。
「赤頭巾ちゃん、いったいどこに行くんだい?」
「森の奥のおばあさんの所に、お見舞いに行くのよ」
赤頭巾ちゃんが明るく答えます。狼に対する警戒心はゼロ。
どうやら、赤頭巾ちゃんは怪しいビジネスの勧誘だとか、怪しい宗教の勧誘とかに
簡単に引っかかっちゃうタイプのようです。
「そうかぁ……ねえ赤頭巾ちゃん。森の南のほうには、とても綺麗な花畑があるんだよ。
そこでお花を摘んで、おばあさんにあげたら喜ぶと思うなぁ」
狼の言葉に、赤頭巾ちゃんは目を輝かせました。それは、とてもいい思い付きの
ように思えたのです。
「そうね!ありがとう狼さん!」
まぶしい笑顔に若干にやつきながら、狼は神妙な顔をして赤頭巾ちゃんに囁きかけました。
「だけどね、赤頭巾ちゃん。その場所は僕の秘密の場所だから、
誰に教えてもらったのかって聞かれても、絶対に言っちゃ駄目だからね」
「わかったわ」
赤頭巾ちゃんが頷くと、狼もにっこりしました。赤頭巾ちゃんは大きく手を
振りながら、狼に教えられた花畑のほうに歩いていきました。
「さて、と」
狼はにやりと笑うと、赤頭巾ちゃんが去ったのと逆の方向に駆け出しました。
狼が教えてくれた花畑は、本当に綺麗な花々で溢れていました。
赤頭巾ちゃんは楽しそうに花畑に入っていくと、咲き乱れる花々を摘み取っていきます。
「おや、そこにいるのは赤頭巾ちゃんじゃありませんか?」
声に振り返ると、そこには猟師さんが立っていました。金色の巻き毛の猟師さんは、
赤頭巾ちゃんとも顔見知りです。
「あら猟師さん。こんにちは」
赤頭巾ちゃんはにっこり微笑んで挨拶します。途端に、猟師さんの顔が崩れました。
何を隠そう、この猟師さんも赤頭巾ちゃんが大好きなのです。
「こんな森の奥で何をしているんだい?」
「おばあさんに持っていく花を摘んでいるのよ」
赤頭巾ちゃんは屈託なく答えます。猟師さんは愛しそうに赤頭巾ちゃんを眺め、
それからびっくりしたような顔になりました。
「おばあさんのお家はここの反対でしょう?よくこんな花畑を知っていましたね」
狼さんが教えてくれたのよ、と言おうとして、赤頭巾ちゃんは慌てて口をつぐみました。
内緒にする、と狼に約束していたのです。
「そう。最近知ったの」
赤頭巾ちゃんは小さい声でごにょごにょっと言いました。猟師さんは
ちょっと怖い顔をして、手袋に包まれた人差し指を突きつけました。
「いいですか、赤頭巾ちゃん。森には悪い狼がうろついています。
気をつけなければなりませんよ」
「わかっているわ。でも大丈夫。悪い狼さんなんていないもの」
歌うような調子で答えると、赤頭巾ちゃんは立ち上がりました。摘み取ったお花を
バスケットに入れて、軽やかに歩き出します。
「いいですか!絶対に狼には気をつけてくださいよ!」
「はぁい」
明るく返事をすると、赤頭巾ちゃんはさっさと行ってしまいました。
それでも猟師さんは心配そうに彼女の後姿を眺めていました。
「おばあさん?私よ、赤頭巾よ」
扉を開けて、赤頭巾ちゃんが声をかけました。薄暗い部屋の中はしんとしています。
「おばあさん?」
返事がないのを訝しがった赤頭巾ちゃんは、おばあさんのベッドに近づきます。
そこはこんもりとした小山が出来ていて、おばあさんのナイトキャップが覗いていました。
「おばあさん、具合が悪いの?」
赤頭巾ちゃんは心配そうです。ごそり、と小山が動きました。
「赤頭巾かい?」
おばあさんの声は、いつもよりも低くてしゃがれているようでした。
そんなに具合が悪いのね、と赤頭巾ちゃんは心を痛めました。
「そうよ、おばあさん。具合がよくないの?」
「あぁ、そうだよ。寒くてねぇ……赤頭巾や、ちょっとベッドに入って温めておくれ」
そういうとおばあさんはガタガタと震えて見せました。可哀想に思った
赤頭巾ちゃんは、言われるがままにおばあさんのベッドに入りました。
おばあさんの体は、いつもよりも大きくて堅い感じがします。
「おばあさん。どうしておばあさんの手はこんなに大きいの?」
自分を抱きしめようと伸びてきた手のひらを見つめながら、赤頭巾ちゃんがいいました。
「それはね、お前を抱きしめるためだよ」
その言葉の通りに、赤頭巾ちゃんはぎゅっと抱きしめられました。
今度は、ナイトキャップから覗く耳を見て、赤頭巾ちゃんは声を上げます。
「おばあさん。どうしておばあさんのお耳はそんなに大きいの?」
「それはね、お前の声をよく聞くためだよ」
赤頭巾はふくらはぎに触れるふわふわした感触に、眉根を寄せました。
抱きしめられてよく解ったのですが、おばあさんの体はいつもと明らかに違います。
「おばあさん。どうしておばあさんの体はこんなに大きいの?」
ごろり、と組み敷かれる形になったときに、赤頭巾ちゃんはあーっと
声を上げそうになりました。ナイトキャップをむしりとると、体にのしかかっている
“おばあさん”はにっと笑います。
「それは―――お前を食べてしまうためだ!」
あまりに帰りが遅すぎると、赤頭巾ちゃんの妹は外套を引っ掛けて
森を走っていました。姉である赤頭巾ちゃんは、昼間出かけたきり帰ってきません。
周りは暗く、ランプを使わなければ足元がおぼつかないほどです。
「あれ、どうかしたのかい?」
能天気な声が聞こえ、妹はきぃっと声の主をにらみつけました。
見ると、身なりのいい猟師さんがぽかんとした顔をしているところでした。
「まぁ、猟師さん」
「こんばんは。ところで、赤頭巾ちゃんは?」
猟師さんの問いかけに、妹は悲しげに首を振りました。
「まだ帰っていないの―――何か、あったのかしら?」
その言葉に、猟師さんも顔つきを険しくします。彼は赤頭巾ちゃんの妹の手を
とると、さっさと歩き出しました。
「急ごう。森には悪い狼がいるからね」
妹はちょっと赤くなって、頷きました。
おばあさんの家に着くと、妹は覚悟を決めてドアを叩きました。
しかし、返事は有りません。彼女は猟師さんと目を合わせて頷きあうと、
今度はノブを回しました。しかし、がちゃがちゃと音がするだけで開きません。
「お姉ちゃん?おばあさん?」
返事は有りませんでした。二人はドアに耳を押し当てます。
―――――きゃああっ!
甲高い悲鳴が聞こえ、二人は青ざめました。妹は猟師さんの手を掴むと、
家の裏手にひっぱっていきました。
「こっち!裏の窓から入りましょう!」
裏の窓からは、室内がよく見えました。薄暗い部屋の中で、ベッドがごそごそと
動いています。
「お姉ちゃん!」
妹は悲鳴のような声を上げました。毛布で出来た小山から、赤い頭巾が覗いている
からです。あの悲鳴は、赤頭巾ちゃんが悪い狼に食べられてしまった
断末魔の悲鳴なのでしょうか?そういえば、シーツの端っこのほうには
赤黒い血の染みがついています。
「赤頭巾ちゃん!赤頭巾ちゃん!」
「お姉ちゃん!」
二人は必死になって窓を叩きます。毛布の端から、今度は黒々とした立派な尻尾が
覗きました。
「あっ!あん、あっやん!ひぁっぅんっ……ああぁっ!」
不意に響いた甘い声に、二人は動くのをやめました。もぞもぞと、相変わらず
毛布の小山は動いています。
「おおかみ、さ…っ……おいしっ……ぃやあんっ!」
「ああ、おいしいよ……赤頭巾ちゃん、おいしいよ……」
「ふぁっ!んっ…!もっとぉ………もっとたべてぇっ……!」
妹は顔面蒼白で固まり、猟師さんもその場に立ち尽くしてしまいました。
どう考えても赤頭巾ちゃんは生きていますし、そしてこれは明らかに嬌声です。
「お姉ちゃん……」
殆ど泣き声で、妹が呟きました。赤頭巾ちゃんは、忠告むなしく悪い狼に頭から
食べられてしまったようでした。
猟師さんと赤頭巾ちゃんの妹はしっかり目を合わせると、頷きあいました。
猟師さんの手には猟銃が握られていました。
どんがんがっしゃーんという派手な音が立って、ドアが蹴破られました。
ベッドの中でお楽しみ中だった狼と捕食者たる赤頭巾ちゃんはぴたり、と動きを止めました。
ゆっくりとドアを振り返ると、暗闇の中に二人の影がゆらゆらしていました。
「………この、悪徳狼…」
高い、かわいらしい声が響きます。
「覚悟しろぉっ!」
今度は低くてよく通る声が響きました。狼がぎょっとしていると、どたどたと
足音も騒々しく猟師さんが駆け寄ってきました。手にした猟銃が、狼に向けられます。
「すぐに赤頭巾ちゃんを放せ!この破廉恥な悪漢狼め!息の根を止めてやる!」
猟師さんは興奮した口ぶりで叫びました。ずだん!と音が立って狼の後ろの壁に
穴があきました。
「危ないなあっ!女の子がいるんだぞ!?」
狼はびっくりしたのか目を見開いたまま猟師さんを怒鳴りつけました。
隣にいる赤頭巾ちゃんも、びっくりしたまま固まっています。
「黙れケダモノ!赤頭巾ちゃんから離れろ!」
威嚇するように猟師さんはもう一度猟銃をぶっ放します。赤頭巾ちゃんは
駆け寄ってきた妹に抱きつかれながらも、目は猟銃から離れませんでした。
「お姉ちゃん!大丈夫?ああ、あの狼に穢されてしまったのね!可哀想に……」
妹は赤頭巾ちゃんにすがっておいおい泣いています。赤頭巾ちゃんは妹の頭を
撫でながら、にっこり笑って見せます。
「あのね、私、別に……」
そこで言葉を区切り、赤頭巾ちゃんは妹を突き飛ばしました。
慌てて狼に飛びつき、ぎゅっと抱きしめます。
「猟師さんやめて!この人撃たないで!」
赤頭巾ちゃんが叫びました。猟師さんは驚き、真っ赤になって怒鳴りつけます。
「離れてください赤頭巾ちゃん!そいつは悪い狼です!今すぐ撃ち殺します!」
「駄目よ!撃っちゃだめ!」
「お姉ちゃんどうして?」
頑なに狼をかばい続ける赤頭巾ちゃんに、妹も不思議そうに尋ねます。
赤頭巾ちゃんは一度狼を見つめてから、ゆっくりと猟師さんと妹に向き直りました。
「だって、私、この人のことを愛しているんだもの!」
一瞬、時間が止まりました。興奮気味に赤頭巾ちゃんが鼻を鳴らします。
狼がふるふると尻尾を震わせて、ぎゅうっと赤頭巾ちゃんを抱きしめました。
「赤頭巾ちゃん、僕も君を愛しているよ!」
「狼さんっ!」
ひしっと抱き合う二人を眺めながら、妹はその場にへたり込みました。
猟師さんはがくがく震えています。
「ふ、ふ、ふ、ふざけるな!赤頭巾ちゃん、そいつは狼だぞ?」
「関係ないわ!愛しているの!」
「だ、だって、そいつは悪い狼で君をだまして食べたんだぞ?」
「そりゃあ、最初はびっくりしたけれども……」
そこまで言って、赤頭巾ちゃんはぽっと頬を赤らめました。
「とっても優しくしてくれたもの」
狼は嬉しくなったのか尻尾をぱたぱた揺らしながら赤頭巾ちゃんにキスしました。
そのままいちゃいちゃし始める二人をさえぎるように、今度は妹が声を上げます。
「お姉ちゃん、本当にその狼さんがいいの?」
「ええ」
晴れやかな笑顔で、赤頭巾ちゃんは答えました。妹は首を振ると、猟師さんの
服の裾をひっぱります。
「もうだめだわ。お姉ちゃん、昔から言い出したら聞かないんだもの」
「その通り」
いきなり、奥のドアが開いてしゃがれた声が響きました。見ると、今まで隠れて
いたらしいおばあさんが出てきたところでした。
「猟師さん、出歯亀はともかくとして、人の恋路を邪魔するなんてみっともない」
重みのあるおばあさんの言葉に、猟師さんはすっかりしゅんとなってしまいました。
おばあさんはにやりと笑うと、今度は狼に向き直ります。
「お前さんも、上手いことやったみたいだね」
「ええ。おかげさまで。感謝しています」
どうやらこのおばあさん、狼に一枚かんでいたようです。彼女はからからと笑うと、
猟師さんと赤頭巾ちゃんの妹にいいました。
「赤頭巾の気持ちは解ったろう?邪魔者はとっとと退散することだね」
結局、おばあさんの権限によって、赤頭巾ちゃんは狼さんと嬉しそうに抱き合い、
そして失恋してへこんでいる猟師さんは赤頭巾ちゃんの妹と一緒にすごすごと
退散しましたとさ。
―――ちなみに、その後で猟師さんが実は気性の激しい妹に頭からおいしく
食べられちゃったとか食べられてないとか。
おしまい。
以上です。赤頭巾かわいいよ赤頭巾ということでパロディを。
本当はカブ→病気のおばあさん、レティー→猟師にしようかと
思っていたんですけどねww
>>778さん
どうもありがとうございます。個人的にオンマイ〜は失敗かと思っていたので
そういっていただけで嬉しいです。
>>781さん
残念ながら人違いです。私は自サイトをもっていないんです。
・゚(ノд`)゚・。リアルタイムで投下に出会えた!
会社帰りに奇跡が…!!
初めてこれを言える…
GJ!GJでございます!(*´Д`*)
耳と尻尾のハウル…尻尾で感情バレバレなのがまた可愛い!
にしても、ソフィーの天然っぷりは強烈な武器だなぁ…
乙
かわいらしい話でした
798 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 23:44:21 ID:pW+Bc3M8
良スレあげ
799 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 22:11:48 ID:pNdI28B8
あげ
何事?
ホシュー。
802 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 23:21:39 ID:iRi0quqU
ほす
ほっしゅん
絵描き属性の自分に文が書けるか…
チャレンジしてみようかな…
ハウソフィがいるから勇気を出せる!かも!
クソ。痔ブリクソ。まじでクソ、マジクソ。
痔ブリクソ。
まずクソ。もうクソなんてもんじゃない。超くそ
ホシュ。
806 :
も:2006/09/03(日) 09:19:52 ID:4VzOqkaD
荒地の魔女がピアノ弾いてたよ、今。
「ふぅ…良いお湯だった。」
ハウルのいない夜。
一人でたっぷり時間をかけてバスタイムを楽しんだソフィー。
白いコットンワンピースの寝間着でバスルームから自室に戻ろうとした時
ふと読みかけの本を1階に置いてきたことに気づく。
「今晩はハウルがいないからゆっくり読書ができるわ。」
そう言って階段を静かに降り、暗闇の部屋の中で目を凝らしていると
ドアの外から誰かが自分を呼んでいる声が聞こえた。
「こんな時間に誰かしら…ハウル?」
不審がりながらも愛しい恋人かもしれないと思い、胸を高鳴らせてドアを開けると──
「カブ!?」
そこにいたのは隣国の王子、瞳がとろりと潤んでいる。
「…。」
「一体こんな時間にどうしたの?何かあったの?」
「ソ…フィー、駄目なんだ…僕は今…」
「あなた泣いているの?目が真っ赤よ。」
うつむいたカブの目元にそっとソフィーが指で触れる。
「…んっ…ソフィー、すまない。」
カブは突然ソフィーのくちびるを奪い、口移しで【カプセル】を無理矢理飲ませた。
ドサッ─倒れこんだソフィーを抱えると、カブは虚ろな目とふらつく足で階段をのぼった。
808 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 23:44:05 ID:k3tv3nHk
『いいわ、その調子よ。でもまだ我が出るようね。』不気味な囁きがどこからか聞こえ、フワリと真っ黒な泡がカブを包んですぐに弾けた。
ソフィーが目を覚ましたとき、そこには見慣れた景色があった。
「私、部屋に戻ってきてたのね。」
まだボーッとする頭をゆっくりと起こしてみる。すると…
「ようやく目が覚めたようだね。もう待ちくたびれたよ。」
「カブ…」
いつものカブじゃない。ソフィーはそのことに気づいたが、助けを呼ぶにも
頭がふらつき言葉がうまく出ず、体に力が入らない。
「僕の可愛いソフィー。愛してるよ…」
無表情で機械的に愛の言葉を発するカブにソフィーは恐怖を感じ、ぎゅっと目を閉じる。
「んーーーーっっ!!」
カブはソフィーに覆い被さり押し倒すと、くちびるを強く吸い、舌を絡ませた。
ちょうどソフィーの下腹部にひざをたてるようにしてまたがっている。
身動きが取れないままうめくソフィーの口内を構わず舌で犯す。
「んふっっ…んーーっ!」
ワクテカ
うをっ!神キタコレ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
続き、wktk
あれ?
つづきがきになる!(0゚・∀・)
とりあえずホシュ
ほしゅ
815 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 23:01:20 ID:05sOuyWL
ほっしゅ!
ホシュ
817 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 16:28:06 ID:VsrxlKVD
保守
t
ギャッツビーのCMのキムラタクヤを
「ソフィー!ちょっと髪型変えてみたけど、どうかなー?」
とくるくる回ってるハウル
…と脳内変換してみる
腹立たしさと愛しさが入り交じったCMになったなw
そうだなwww
822 :
819:2006/10/07(土) 01:30:40 ID:9AyiOQth
おwちょっと反応あったwww
お久しぶりです。落とします
傾向 映画 ソフィーハウル エロあり
「どうかしたの?」
仏頂面のまま自分を抱きしめているハウルに、ソフィーは訊ねた。
行為を終えたばかりだというのに、彼はちっとも幸福そうな顔をしていない。
「なんで?」
やはり不機嫌そうな声で、ハウルが答えた。ソフィーはええと、と思わず
言いよどんでしまう。
「………何だか、その―――」
荒っぽかったから、と言おうとして、ソフィーはすぐにそれを断念した。
何だか、いっぱしの世慣れた女のような口ぶりに思えて好ましくなかったのだ。
「乱暴だったから?」
焦れたのか、ハウルのほうが続きを請け負った。ソフィーはとっさに目を伏せる。
彼は柔らかに苦笑すると、じっと恋人の目を見つめた。
「見合いをするかもしれない」
「………………お見合い?」
たっぷり三秒間の沈黙の後に、ソフィーが聞き返した。ハウルが頷く。
「先生の勧めでね。貴族のお嬢さんだそうだよ」
「まぁ、貴族の?」
ソフィーが訊ね返すと、ハウルは再び頷いた。
「その人、美人なの?」
「さぁ?見た事ないけど、綺麗なんじゃない?」
ハウルは言い、ソフィーを覗き込む。彼女はぽかんとした表情をしている。
「どう思う?」
深刻ぶった、でもそのくせどこか試すような口調でハウルが訊ねた。
ソフィーはゆっくりと微笑むと、小首をかしげる。
「いいんじゃないかしら?」
「え?」
予想外の答えにハウルが目をむく。ソフィーは明るい声でもう一度言った。
「いいんじゃないかしら。お見合い、してみれば」
ソフィーはにこにこ笑っている。自分から言い出したくせに
何だかそれが耐え難い裏切りのように感じられて、ハウルはそっぽを向いた。
「ハウル?」
「寝る。おやすみ」
そのまま不貞寝を決め込んだ恋人を暫く眺めてから、
ソフィーはぎゅっと目を瞑ると彼の背中に腕を回した。
「――――――っ!」
不意に目を覚まし、ソフィーは大きく息を吐いた。さえざえとした青白い空気で、
今がひどく早い朝だということに気付く。眠りの浅い体質のソフィーは、
一度目覚めるともう寝付けなかった。失望したような気持ちで瞬く。
頬に伝う涙が、あつかった。
傍らで眠っているハウルは、安らかな寝息を立てている。裸の広い背中には、
赤い引っかき傷がいくつも出来ていて痛々しかった。
その引っかき傷のひとつひとつを、ソフィーは目で追った。
ひどい夢だった。白いドレスを着たソフィーが、見知らぬ土地を走っている。
背の高い建物の前には、同じように白い服を着たハウルが微笑みながら待っている。
しかし、どんなに懸命に走っても彼の元にはたどり着けない。
彼は焦れたのか、見たこともないような綺麗な女性と一緒に建物の中に入っていった。
叫んでも叫んでも、彼は気付かない。
大きな鐘の音が響いて、その建物が教会だということをソフィーは初めて知る。
教会から出てくる二人を祝福する人々の歓声を聞きながら、ソフィーは
たった一人その場にへたり込んで泣き濡れる――――――そこで、目が覚めた。
どうしてそんな夢を見るのか、ソフィーにはちゃんと解っていた。
自分は、心から彼の妻になることを望んでいるから。
十八の姿に戻って、彼の恋人になってからそろそろ三ヶ月になる。
数え切れないくらいのキスや甘い囁き、優しい抱擁、そして愛してるの言葉を貰った。
その全てにソフィーは心を乱し、そして死にそうなほどの幸福を味わった。
でも、それらは全て自分を抱くためにすぎなかったようだ。
でなければ、誰も彼に見合い話など持ち込まない。
それに、彼は知らないのだ。ソフィーが“情婦”呼ばわりされていることも。
ソフィーは声を押し殺して泣き続けた。涙に濡れた頬をハウルの背に押し付け、
嗚咽を漏らす。本当は嫌だった。こうして体ばかりの関係になることが。
愛していても愛してもらえても、世間に顔向けできないことが。
雲の上のお城では、彼女はきっと彼の妻だ。そこでは皆優しくて、
そして誰も彼女を傷つけない。
だけれど、そこには手が届かない。指先さえ、触れられない。
「……ソフィー?」
低くかすれた声で、ハウルが囁いた。寝ぼけているのか、子供っぽくむくんだ顔は
何の表情も浮かべていない。
ごめんなさい起こしてしまったのねでも何でもないのよ。
そんな言葉は喉の奥で縮こまり、ちっとも出てきてはくれない。
心配なんかさせたくないのに、迷惑なんかかけたくないのに。
ただ、いい子でいたいだけなのに。
ハウルは泣いている恋人をぼんやりと眺めてから、不意に彼女を抱き寄せた。
腕の中におさまった少女の背を、二、三度調子をつけて叩く。
「もう少しだけ、寝よう」
それだけ言うと、彼はまたそっと瞼を閉じた。再び眠りの淵に落ちていきそうな
彼を、ソフィーは必死で揺り起こす。
「ハウル、ハウル」
何度呼びかけても、彼はううん、と呻いただけでまた眠り始めた。
ひどく物悲しい気持ちで、ソフィーは彼の体を組み敷く。
力の入らない体はぐにゃぐにゃしていて重たかったけれど、それをどうにかして
仰向けにした。その体に乗りあがる。腹ばいになると、胸がつぶれた。
「……ハウル」
ソフィーは彼にそっとキスした。躊躇うように顔を背け、それからもう一度
しっかり彼の顔を見る。再び覆いかぶり唇をあわすと、少しばかり乾いた口内に
自分の唾液を流し込んだ。ぐぅと喉のなる音がした。
はしたない、と思う気持ちと、彼をメチャクチャにしてやりたいという気持ちが
混ざり合う。ソフィーは自虐的な笑みをこぼすと、彼の首筋に唇を押し当てた。
赤いあざが付いたのを合図とするように、彼女はゆっくりと唇を下らせていった。
小さく、力なく垂れ下がっているそれを、ソフィーはしげしげと眺めた。
昨夜の名残か、白っぽい残滓がかさかさに乾ききっている。つい数刻前に
自分をあつく狂わせたのはこれか、と思うと不思議であり滑稽にさえ思える。
そっと手に取ると、頼りなく柔らかい。指先で白いものを軽く払うと、
彼女は何のためらいもなくそれを口に含む。細い眉が、急激にひそまった。
しかしソフィーはめげずにそれに舌を這わす。濡れた音を立てながら
飴でもなめるように舌を動かし、唇をすぼめてはしごきたてる。
だんだんと質量をますそれに、彼女はちいさく笑った。
すっかり大きくなったものを口から出すと、ソフィーはあごに伝う唾液を
乱暴に拭った。ハウルはまだ眠っている。いい気なものだ、と
彼女は小さく鼻を鳴らした。そっと手を伸ばして自らの秘部に触ってみる。
濡れ方はあまり芳しくなかった。
舌打ちでもしたい気持ちで、ソフィーは僅かながらに潤んでいる部分を指で撫でた。
先ほど吐き出した彼のものをもう一度口に含み、それを愛撫しながら自分のも
同じように撫で上げる。溝に沿うように指を滑らせると、腰がひくりと疼いた。
「……っう………ん…」
一人でするのは初めてではなかったが、口に彼のものを咥えて自分を慰めるのは
さすがにした事などなく、ソフィーは次第にその倒錯した行為に夢中になっていった。
『信じられないな―――』
想像の中で、“彼”は目を見開いている。からかうように口元に浮かべられた
笑みが、その台詞がソフィーの羞恥を煽るためのものだというのを物語っている。
『ソフィーってこんなにいやらしかったんだ』
“彼”はおかしそうに目を細めると、一人で乱れるソフィーをじっと見つめた。
恥ずかしさにソフィーが身をよじるが、“彼”の視線は外れない。
「……んん…ぅ」
熱くぬめったそこに指が入り込む。か細い指にぎゅっと絡みつく肉は熱く、
いやらしくひくついている。口の中に広がるねばついた苦い液体をこぼすまいと、
ソフィーは必死で喉を鳴らした。
『誘ってるの?―――一人でこんなになって』
“彼”の大きな手のひらが、身もだえするソフィーの手を掴んだ。
“彼”は驚くソフィーを押し倒すと、彼女の中に強引に入り込んだ。
「あぁっ!」
内壁を爪が掠め、ソフィーは思わず背をそらした。口から吐き出された
彼のものはすっかり固く大きくなっていて、彼女の内腿は、いつの間にか
ぐっしょりと濡れそぼっていた。
そろそろと起き上がると、ソフィーはじっとハウルの顔を見た。
相変わらず眠りこけている。
「ハウルのばか」
拗ねた子供のような口ぶりで、ソフィーはハウルに言った。
白い顔は、殆ど泣き出しそうにゆがんでいた。
ぴんと立ち上がったそれに指を絡め、二、三度しごき上げると、ソフィーは
覚悟を決めるように頷いた。ゆっくりと彼に跨り、腰を浮かす。
「…ぅ、ああっ!」
ぐい、と入り口を広げられる感覚に、ソフィーは声を上げた。
そのまま座り込んでいしまいたい衝動に駆られるが、足をつっぱり
じりじりとおし進める。
「ん…ふぁっ……ん…あ、ああっ!!」
根元までくわえ込むと、ソフィーは大きく息をついた。下腹部が膨れていて、
ほんの少しばかり息苦しい。腰の奥に、じりじりとした疼きと
眩暈がしそうなほどの快楽が走った。
「あっ、あ、あ、あっん、あ……ふ…」
耐え切れず、ソフィーはゆっくりと律動を開始した。ぐちゅ、と濡れそぼった
いやらしい音がする。その湿った音に誘われるように、何度も腰を上下させた。
「あぁ!あんっ、あ、あ、や、やっ……あああ!」
腰を落とすたびに体の一番奥まった部分にそれがあたり、ソフィーはぽろぽろと
涙を流した。しかし、それが悲しいから泣いているのか、あるいは他の理由で
泣いているのかは彼女には見当も付かなかった。
ただ、今この瞬間にハウルを有しているのは自分なのだということだけは、
ソフィーはきちんと理解していた。
「ソフィー?」
目覚めてしまったのか、ハウルが小さく声を上げた。ソフィーは慌てて彼を見る。
一瞬、沈黙がその場を支配した。
「……ハウル?」
ソフィーが名前を呼ぶと、ハウルは二、三度瞬いてから不思議そうに
彼女を見つめた。なぜ、今このような状況に陥っているのかを
さっぱり把握できていないらしい。
「………ハウル、これは夢よ」
ソフィーは微笑むと、ゆっくりと説明するように言った。
「あなたの見てる、夢。だから、あなたは私を好きにしていいの」
そういうと、ソフィーはハウルにかぶさり、彼の頬を撫でた。
懐柔するように口付けの雨を降らし、妖艶に笑う。
ハウルはその嘘を信じたようで、彼女をきつく抱きしめると腰を動かした。
激しく突き上げられて、ソフィーが甲高い声で叫びながら背をそらす。
「あ、ああっ!や、ぅんっ!あっ……!」
力任せに蹂躙され、ソフィーは顔をしかめた。息苦しいまでに濃密な交わりに、
ハウルも獣じみた咆哮を発して彼女を貫いた。ぐじゅ、ぐちゅと下肢があわ立つ
音がいやに耳に付く。
「ハウルっ!ハウル!」
夢中で彼の唇をむさぼりながら、ソフィーがハウルに縋りついた。
真っ赤に染まった頬には涙が伝い、肩は大きく上下している。
「あ……っぅ、ふぁっ!うっ…ンンっ!!」
引きつるような悲鳴を上げて、ソフィーがぐっと喉をのけぞらせた。
大粒の涙が重たい雨水のように降り注ぐ。
「……い、で」
かすれた囁き声が、不意に発された。ハウルが目を見張る。
「……の―――もの、に……………――――――っ!」
言葉を紡ぎ終わる事もなく、ソフィーはそのまま上り詰めた。
ぎゅうっときつく締め付けられ、ハウルも顔をしかめる。ぶるり、と腰が震えて、
彼はあたたかな彼女の中に勢いよく欲望の丈を放った。
意識を失ったように再び眠りに落ちたハウルを見つめ、ソフィーは呆然としていた。
胎内で萎縮していくモノ、白い粘液、生々しく震える両足。
あとからあとからあふれ出る液体を、おずおずと指で掬い口に含んだ。
言いようのないいやな苦味が口中に広がる。顔をしかめたくなるような
味だったけれど、彼女はそれをずっと舌で転がし続けた。
いつの間にか、夜が明けている。今日は曇りだ。
夢だとは知っていた。それでも願わずにはいられなかった。
神様、お願いします。私の幸せを、たった一つの宝物を奪わないでください。
この夢が悪夢に変わろうと、どうか目覚まさせないでください、と。
「夢、見ていたのかしら」
ソフィーはふらふらと立ち上がると、体にシーツを巻きつけた。
音を立てずにドアを開け、階段を下る。裸の肩に、朝の空気は冷たかった。
暖かいお風呂に入って、とにかく今の出来事を忘れよう。彼が目覚めたら、
何食わぬ顔でおはようと言ってあげればいい。
「夢、見ていたのね」
ぼたぼたと重たくたれてくる涙を拭いながら、ソフィーは小さく笑った。
まきつけたシーツの裾が床を掃く、微かな衣擦れの音だけが響いてた。
夢の中で、彼女は泣いていた。ぽろぽろと真珠のような涙を流しながら、
苦しそうに嗚咽を漏らしていた。
「………あー」
かすかにうなり声を上げ、ハウルは上体を起こした。寝不足なのだろうか、
鬱陶しいくらいに頭が重い。
ソフィーに犯される夢を見た。すごい夢だったな、としみじみ思う。
それ自体はまんざらでもないし気持ちよかったけれど、後味はひどく悪かった。
それは、恐らく彼女が泣いていたからだろう。夢なのに、悲しそうに泣いていた。
耳の奥には、彼女の残した言葉が鮮明に響いている。
誰のものにもならないで。私だけのものになって、という悲しい叫びが。
ソフィーの気を引きたくてした見合いの話に、本当は自分のほうが
傷ついていたのかもしれない。彼女と暮らし始めてすぐに結婚しなかったために、
サリマン先生に結婚する意志がないと思われた事にも。
「ハウル?いつまで寝て―――あら、起きていたの」
ハウルを起こすために部屋に入ってきたソフィーが、驚いたような顔をした。
彼女がカーテンを開けると、空は一面陰鬱とした灰色をしていた。
「今からお昼ご飯の支度をするから、お風呂に入ってきたら?」
あなたどうせ長風呂なんですし、といいながらソフィーはさっさと上掛けを抱えた。
その中に床に散らばっていたハウルの夜着やら自分の下着やらを包む様にして持つ。
「そう、だね」
ソフィーはひどくさばさばとしていて、夢の中とは別人のようだった。
やっぱり夢っていうものは自分の願望ばかり優先されるものなんだなぁ、と
漠然と思いながらハウルはベッドを出ていった。
浴室に行くと、既に朝のうちにソフィーが使っていたらしく、水の匂いが濃かった。
暖かな湯に体を入れると、全身の筋肉がほぐれていく。
ふと視線を落とすと、胸の辺りに見覚えのない赤いアザが出来ていた。
「え?」
不思議に思って鏡の前に立つと、首筋や鎖骨の辺りにもぱらぱらと赤いものが
できていた。昨日は結構強引にソフィーを押し倒して行為に及んだわけだから、
彼女にキスマークをつけさせる隙など与えなかったはずなのに。
「………ずるいなぁ」
ざばん、と音を立ててバスタブに身を沈め、ハウルは前髪をぐしゃぐしゃと
かき回した。頭の中で、ソフィーの悲鳴じみた泣き声が鮮やかに蘇る。
誰のものにもならないで、私だけのものになって。
「あー、もう!」
居ても立ってもいられなくて、ハウルはざっと髪と体と顔を洗うと浴室を出た。
手早く服を着ると、濡れ髪のまま台所にいく。
台所では、ソフィーがぼんやりとした表情で鍋を眺めていた。
湯を沸かしているらしい。そばには乾いたマカロニの袋が鎮座していた。
「ソフィー」
やや乱暴に名前を呼ぶと、ハウルは後ろから彼女を抱きすくめた。
ソフィーがぎょっとしたように彼を振り向く。
「どうしたの?やだ、あなた髪の毛がびしょびしょじゃない―――」
「………ごめんね」
言いたい事は山ほどあったのに、実際に言えたのはそれだけだった。
ソフィーの体が硬くなるのが解った。
「……な、何?いきなり、らしくないわね」
冗談めかしたような明るい声をソフィーが上げる。だけどもハウルには
それすらも痛々しく感じられて、思わずうなだれた。
「ううん……何でもない」
ようやくそれだけ言うと、ハウルはソフィーから離れた。
彼女の肩は震えているようだった。
そろそろ、この生ぬるく居心地のいい関係に終わりを告げなければならない。
そう確信して、ハウルは目を伏せた。
「ねぇ、ソフィー」
「なぁに?」
涙声のソフィーが答えた。決して振り返ろうとはしないその背を眺めながら、
ハウルは呟くように言った。
「明日、デートしようか?」
いいわよ、とソフィーが答える。ソフィーの指輪のサイズっていくつだっけ、と
思いながらハウルは彼女が涙を拭うのをただ見つめていた。
以上です。時系列的にはマ・メール・ロアの少し前です。
あまり見ないソフィー攻めですが、書き手にはなかなかどうして楽しいものです。
このスレ、次で統合ですかね。寂しい。
あわわ
うまし糧でしたー(*´∀`)
うひょー(*´Д`*)
うまし糧!
ごちでした!!
駆け引きベタでかわいいなぁ
>>836 おつです!
ハウルが気づくところ激萌えでした〜
攻めソフィーなのにピュアーな感じがたまりません。
さりげなく、ソフィーが言葉の魔法使ってるんですね。
うまし糧デス!ハァハァ(*´∀‘)
ホシュー。
途中放棄して正直すまんかった。続きのみを投下。
傾向:映画 ハウソフィ エロ有
四肢を弛緩させ切ってしまっていることを契機とばかりに、彼は彼女の夜着の裾を捲し上げ、片方の大腿部を捕らえた。抵抗は勿論無い。仮にしようとしたとしても、それは試みだけで終わるだろう。こんなに力の抜けた状態では顔を上げることすらままならないはずだ。
臀部の下部を持ち上げて、片足だけを肩に担ぐ。股間へそっと差し入れた指先に、湿ったというよりは濡れそぼった下着が触れた。この状態ならば、おそらく平気だろう。
秘部と思しき場所に当たった瞬間、伸び切っていた彼女の身体がびくりと震える。意識は朧でも身体は正直に反応するらしい。
「ソフィー」
名を呼ばれた。その声音の、あまりの切なさに彼女はようやっと意識をもたげる。首筋や手の甲の下、草擦れの音が立つ。
覚醒とは到底呼べない状態ながら、彼女はうっすらと双眸を開いた。天に縫い取られた幾万の瞬きは、疲れた瞳にとってひどく優しい光だった。
ソフィーはハウルの肩越しに空を仰ぐ。
あの夜は一面に星が流れていて、その光景を畏ろしいと思った。反面、不謹慎ではあるが綺麗だとも思った。
まだ花が咲き乱れてはいない、ただの草原と湖、水車のある小屋。
何もかもがきっと、あの夜から始まったのだ。
時を越え、ハウルとカルシファーの名を呼んだあの時から。
待っていてと、きっと会いに行くからと告げたあの時から。
自分がこの世界に生を受けたこと、帽子屋の娘として育ったこと、老婆に姿を変えられたこと、その他諸々膨大な量の事象が積み重なって今、ここに愛する人と結ばれるということ。
胸にひたひたと打ち寄せていたものが、一気に心の堰を越えた。
星空が見る見る滲み、瞼を閉じれば滴が頬を伝う。しゃくりあげないように、呼吸を詰めた。
それを不審に思い、顔を上げたハウルは痛かった?、と尋ねた。
嗚咽に震える吐息の中、思い出していたの、と彼女は言った。
「あなたが、初めてわたしに会った夜のことを」
愛撫が止む。深い夜色の瞳がこちらを見つめてくる。
自分より随分年上のくせに、少年を彷彿とさせるその真摯さ。あまりの愛おしさに泣きそうになって、それでも彼に笑んでやる。
「……嬉しいの」
瞬きをする度に、新たな涙が零れる。
「何が嬉しいのかわからないくらい、嬉しいの」
「ソフィー」
彼の顔が近い。ある一定の距離を置いて静止し、それ以上は近づこうとはしていない。魔法使いの問うような、伺うような視線に、ソフィーは自分から唇を寄せることで答えた。
今彼女が溺れているのは、小鳥が嘴をつつき合うような幼い口付けではない。顔を交差させ、相手の唇を争奪する、とても深い愛し方だ。
二人は頭を右に左に振って、より一層互いを求め合う。
襞に押し付けられる異物の感触。ひんやりとしていた指先とは違う、ひどく熱い肉の塊。
質の違う快感に襲われて、全身がひくりと戦慄した。
視線を下方にやれば、彼の逸物が自分の秘奥にあてがわれている所が見れるのだろうが、それをする勇気が彼女にはなかった。
瞳を閉ざし、来る衝撃に備える。ああいよいよなのだと、今更のように覚悟した。
下腹部に圧迫感が生じる。挿入に伴う派手で卑猥な水音が、ここまで聞こえてくる。
そして激痛が脳天にまで響いた。息の根を止められたかと思ったほどだ。
「いっ……たぁ……!」
あまりの痛みにきつく眉根を寄せ、涙を滲ませたその瞼に、彼はそっと唇を落とした。
労わるように、宥めるように、春の雨の如く柔らかな口付けを降らせてゆく。
挿入による激痛を和らげるには、彼女の身体の強張りを解す必要があった。
ハウルは乳房を下から掬い、手のひらで揉みしだいた。強く力を込めた、かと思えば時に羽毛のような優しさで撫で回す。
硬くしこった乳首を摘み上げ、転がし、爪を立てる。
緩急をつけた胸への愛撫は、上気する肌への接吻と並行して行われた。
それが功を奏したのか、やがて彼女の声は痛みを訴えるものから甘く艶やかなものへと変わる。
高く透き通る喘ぎ声は彼の牡の部分を刺激し、いや応無しに昂ぶらせてゆく。
そして凄まじいまでの締め付け。精魂全てを搾り取られるような感覚に、何度か意識を手放しそうになる。
このままでは彼女が絶頂を迎える前に果ててしまいそうだった。
彼は一旦、ゆっくりと自身を引き抜く。
うっすらと涙目を開けて物問う彼女を見つめながら、先端を膣口にぐりぐりと押し付けた。
体中が酸素を求めて悲鳴を上げる。
どんなにせわしなく呼吸を繰り返しても、楽になったという気がしない。
少女は絶叫した。背中が見事な弓を描いて硬直する。
失われゆく意識を繋ぎ止めようと、彼女は無我夢中で抵抗する。
何もかもが解き放たれ飛翔する中、その腕は虚空に伸び、彼女は宙を掴んだ。
頬をなぶる風の冷たさに、ソフィーは一気に覚醒する。
意識がなくなっていたのは一瞬のことだったらしい。未だ、呼吸は荒い。
体が冷え切っているのを感じて、思わず二の腕を抱いた。汗ばんだまま冷気に晒された為に、体温が低下しているのだ。
ふと見やれば服のあちこちが肌蹴ている。羞恥に頬を染めながらも手早く整え、立ち上がろうとしてふらついてしまった。
無様に尻餅をついてしまった彼女の横から、噛み殺したような笑い声が聞こえてきた。
「……何笑ってるのよハウル」
「だって可愛いんだから仕方ないじゃないか」
全然理由になっていない典型的のろけなのだが、彼女は気づかず笑われた事のみに憤慨した。
そして再度起き上がることに腐心する。今度は注意深く、慎重に。
腰が萎えてしまって無理かと思ったが、何とか立ち上がれた。
少し歩いてみる。鈍い痛みが腹部に走るが、動けないわけではない。
「このままだと間違いなく風邪を引くわ」
なだらかな丘の下方に佇む、例の小屋に視線を投げる。
彼女は入浴を切実に欲していた。勿論冷えた体を温めるためという理由もあったが、大腿部を伝い落ちる液体の、あまりの気持ち悪さに閉口していたのだ。
遅れて立ち上がった彼も又、その意見に同意した。夜露を払い、夜景を望んでいる彼女の脇に寄り添う。
抱き寄せようと肩に触れた途端、まるで雷に打たれたかのように彼女は震えた。見つめている彼の視線に気付いていないわけがないだろうに、一向に顔を上げる気配が無い。
「ごめんなさい。ちょっと……顔、まともに見れそうもないの」
恥ずかしくて、と消え入りそうな声で呟くなり彼女は踵を返し走り出してしまった。
見事置いてけ堀をくらった彼は、やれやれといったように肩をすくめる。
けれどその表情は決して暗いものでは無い。
何故なら彼は知っていた。夜はまだこれからだということを。
部屋に差し込む朝日が、青年の瞼を直撃する。おかげで彼は、重たい瞼をこじ開けなければならなかった。
寝返りを打ち、傍らに腕を投げかける。だが、その腕は空しく宙を切った。あるはずの手ごたえが、返らなかった。
慌てて身を起こして狭い部屋を見回しても、彼女の姿は見当たらない。
見慣れた質素な家具がひっそりと佇む。昨晩の出来事がまるで幻だとでも言うように。
幻想ではない。ましてや妄想でもない。自分は確かに昨夜、ソフィーと結ばれたのだ。
だが目覚めた途端の、この状況には思わず顔を覆って嘆息した。
やはり嫌だったのだ。特に初めての場合、痛みは相当なものと聞く。しかも及んだ回数は一晩に二度。
愛の表現の仕方が無数にあることは嫌という程知っている。伊達に浮名を流していたわけではない。
けれど、もはや体を重ねる行為でしか表せないところまで上り詰めてしまっていたのも事実であった。
好きという言葉、愛しているという言葉を100万回口にしたところで、この感情を言い表すのは到底不可能だ。
臥所の脇に腰をかけ、悄然と項垂れて再度ため息を吐いた。
窓の外は、自分の気持ちとは裏腹に明るい陽光で満たされているらしい。
ぐずぐずとここに篭っていたところで状況が変わるわけではないと、自らを鼓舞しのろのろと立ち上がる。
鉛のように重い心身を、ようやっと動かして小屋の扉を開く。
未だ俯いたままの青年の足元に、淡い彩色が数片、さざ波の如く寄せてきた。
顔を上げた彼の目に映った光景―――それは、まさに楽園だった。
朝焼けの空に、舞うは薄紅の花。花園一面を風が撫で、筋をつけては消えゆく。
花いっぱいの手桶を両手に抱える少年。足元をうろつく老犬。そして剪定鋏を手に、花手折る少女。
ふいに少女は顔を上げ、立ち竦んでいる自分を認める。屈めていた腰を伸ばし、体をこちらに向ける。
幸せに満ちた表情でソフィーは微笑んだ。「おはよう、ハウル」と。
むせび泣きそうになりながらハウルは笑った。「おはよう、我が家族」と。
終
とてもドチドチしますた(*´д`*)
GJ、GJです。
847 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 11:29:53 ID:VvJfUQl2
保守age
848 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 17:39:40 ID:OPIftmvn
ホシュage
ログがあるからホシュ。
ageホッシュ
>>843-845 凝ってる感じがいいなぁ
読ませてくれてトンクス!
また気が向いたら書いてほすぃ
ほっしゅ!!
853 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 06:00:23 ID:TmtUjwmc
あげ
854 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 00:43:20 ID:MBwLdVMu
ホシュー。
855 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 21:03:49 ID:2M0XuQgk
ほしゅ。
856 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 11:24:47 ID:iOiV0udG
ho
857 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 09:15:58 ID:EnFnBkwJ
hosyu
アンケートさしてください。
読むとしたら
1:ハウソフィでべた甘系えっち
2:カブがからんでシリアス
3:性転換(TS)
どれがいいですかね?
1
1!
1!!
>>858 1がいいです!
でも、2もちょっと気になります。
1+2!
865 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 10:35:26 ID:oUclIrMu
1で是非とも!早急に!
おまたせしますた。
1で書きました。
傾向 映画 ハウソフィ えっち有り
「……最低ね」
小鳥が囀るような声で、ソフィーはぽつりと呟いた。
土砂降りの通りを見て、呆然とため息をついたりしている。
「本当に」
濡れて額に張り付いた髪をかき上げながら、ハウルも同意した。
公園を散歩していたらいきなり降り出した大雨のせいで、二人ともすっかり
濡れ鼠になっている。濡れながらようやく見つけたのはパン屋の軒先で、
周囲にはもう人もまばらだ。
「どうしましょう?これじゃあ電車にも乗れないし……」
困り果てたようにソフィーが首を振った。滴るほどに湿った服のせいで、
体のラインが露になっている。ハウルはそれに見惚れる反面、
確かにどうにかしないとなぁ、とも思う。
「……雨宿り、しにいく?」
訊ねると、ソフィーが恋人を振り返った。濡れ髪を耳にかけて、首をかしぐ。
「どこかあるの?」
「うん。休憩できるような宿がね」
何の気なく言ったくせに、ハウルは内心動揺した。そういう類の宿に、
ソフィーを連れて行ってみたいとは常々思っていたが、馬鹿正直に告げれば
断固拒否されるのは、真面目な彼女の事火を見るよりも明らかだった。
「そうねぇ……」
ソフィーは再び通りに視線を戻しながら、逡巡するように目を伏せた。
それから、小さく笑う。
「いいわ。そうしましょう。だって、このままじゃ二人とも風邪を引いてしまうもの」
思わぬ僥倖に、ハウルは目を見開いた。
裏通りにある酒場に入ると、むっと濃いアルコールのにおいがした。
テーブルは昼間だというのに大方埋まっていて、その殆どが雨の為に
商売上がったりとなってしまったここらの住人だった。
「ハウル、ここ……」
「平気だよ」
平然といい、ハウルは彼女の肩に腕を回した。事実ここには何度か世話になっている。
彼が店員を呼び止めて金を渡すと、変わりに鍵を差し出された。
粗悪な銀製のキーホルダーの付いたそれを受け取る。
近くのテーブルでは、商売女がカードに興じている。同業者なのか、やたら派手な
格好をした男は、しきりにソフィーに視線を投げかけている。
それからハウルをまじまじと見つめ、肩をすくめて笑った。
さしずめ、彼が同じ生業の者に、そして彼女をその客だと解釈しているのだろう。
上玉だ、と唇が動いた。
「何か飲んでから行く?」
ハウルが囁くと、ソフィーは首を振って彼にしがみついてきた。
雰囲気に飲まれているのだろう、表情が暗い。だけど、彼女は案外そういったときの
表情のほうが色っぽい。
「じゃあ、こっち」
ハウルが彼女の薄い肩を抱き寄せるようにして店の奥に連れて行った。
ソフィーは相変わらず暗鬱とした顔で店内を見回すばかりだった。
部屋の中は、安っぽい外観とは似つかわしくなく豪奢だった。
天蓋の付いた広いベッドだとか、艶っぽい胡桃材のテーブルだとか、くすんだ金色の
飾り鏡だとか。しかし、いくら豪奢だといえどもどこか下品なものだった。
「まぁ」
それでもソフィーはびっくりしたように目を見張った。先ほどの酒場のイメージから
さぞかしひどい部屋を想像していたのだろう。
「綺麗なお部屋!」
それだけいうと、彼女は部屋の中をぐるぐると歩き回った。とくに、紗のカーテンの
かかったベッドがいたく気に入ったようで、感慨深げに眺めている。
「素敵!ねぇ、絵本に出てくるベッドみたいじゃない?」
ソフィーがにこにこしながら言った。ハウルはあいまいに頷き、それから無言で
彼女を抱き寄せた。
「どうしたの?」
いきなり抱きしめられたソフィーが、困惑したようにハウルを見上げた。
彼はじっと恋人の目を見つめ、彼女の唇に自分のそれを合わせた。
いやがって身をよじるソフィーを羽交い絞めにし、ハウルは柔らかな唇をむさぼる。
何度も顔を揺らし、だんだんと口付けを深くしていく。彼女が諦めたように
力を抜いたのを機会に、今度は舌を割りいれた。舌を絡ませあい、激しく求め合う。
どれ位そうしていただろうか、唇を離したときには二人とも息を荒らげていた。
ぐったりと寄りかかってくるソフィーを抱きしめ、ハウルは彼女の耳元に口を寄せる。
「とりあえず体を温めよう。本当に風邪を引いてしまうよ」
その言葉にソフィーが真っ赤になった。あぁ、そういう意味で取ったのかと
彼は即座に理解し、でもとぼけてみせる。
「お風呂、用意してくるから待ってて」
「あ、自分でやるわ」
ようやく意味を理解したのか、ソフィーが慌ててハウルを制した。
赤く色づいた頬が、事の他愛らしくて嬉しくなってしまう。
「そう?」
「うん。でも、ハウルが先に入ったら?あなたの方が濡れているわ」
「………いいや。ソフィー、先に入っておいで」
そういって彼女の背を押すと、それでも心配そうな目をしたソフィーが振り返った。
しかし、ハウルは微笑むと手を振った。
シャワーから降り注ぐ熱い湯を浴びながら、ソフィーはぼんやりと考え込んでいた。
頭の中が霞んでいて、ものがあまりよく考えられない。
口付けの余韻を探るように、唇に指を当てる。あ、少し荒れてる、などと思っていると、
不意に物音がした。
振り向くと、そこにはハウルが立っていた。湿った髪が頬に張り付いている。
裸の腕が扉をしめた。がちゃり、という重たい音が耳に付く。
「え……」
「一緒に入れさせて。やっぱり、すごく寒いや」
そういってハウルはずかずかとソフィーに近寄ってくる。浴槽に入り込むと、
ソフィーを抱き込むようにして熱い雫の下に立った。
「やっ!やだ!あの、ちょっと!私すぐでるから外で待って……」
しどろもどろになるソフィーの唇に指を当て、ハウルは小さく笑う。
「たまにはいいだろう?それとも、ソフィーは僕が風邪を引けばいいと思うの?」
そういって拗ねたような上目遣いで言われ、ソフィーは赤面した。きゅっと目を瞑ると、
ハウルの顔が近づいてくる。耳たぶが、柔らかく食まれた。
「ふぁっ……」
思わずこぼれた声に、ソフィーが唇を噛み締める。そのまま額に、瞼に、頬に
彼の唇が動き、そして止まった。
「………ねぇ?」
低い、そしてどこまでも甘い囁きにソフィーは目を微かに開いた。
それからゆっくりとハウルの首に腕を回し、小さく首を振った。
ざぁざぁと降り注ぐシャワーの音とはまた別の水音が聞こえた。
恥ずかしい、とふらふらする頭でどうにか考えながらも、ソフィーは
はしたない喘ぎをかみ殺した。息がつまり、倒れこんでしまいそうで怖かった。
「声、聞かせて」
ぐっとソフィーの腰を抱き寄せながら、ハウルが囁いた。抱きすくめるように
背中から回していた手を、彼女の中に突き入れる。指先が、奥まった部分に触れた。
「ああっ!ァっ、やっ……」
ぐちゅ、と耳を塞ぎたくなるような音が漏れる。ソフィーはハウルの腕に必死で
縋りついていた。震える下肢が水を揺らす。
「気持ちいい?」
ハウルの囁きに、ソフィーは首を振った。認めたくないらしい。その事に彼は
むっと眉をひそめ、それから抜き差ししていた指をぐっと曲げた。
ざらりとした部分を押され、ソフィーが背をそらせた。
「あああアァ―――ッ!!」
しがみついていたはずの腕がはずれ、ソフィーはそのままへたり込んだ。
てらてらと光る指を舐めながら、ハウルは浴槽の淵に腰をかけた。軽く足先を組み、
大きく肩を上下させているソフィーを眺める。
「嘘つき」
からかうような調子で、ハウルが言った。首だけで彼女が振り返る。
とろん、と溶けた目が彼を捉えた。ソフィーはふらふらと彼に向き直ると、
その膝にしなだれかかった。
「気持ちよかったんでしょ?」
慈しむ様に恋人の髪を撫でながら、ハウルはことさら優しく訊ねた。
甘い声音に操られるように、ソフィーがこくり、と頷く。
「ねぇ」
何かを口にしかけたハウルを制するように、ソフィーは首を振った。
彼女は黙ったまま、少しだけ伸び上がってそそり立っている彼のものを口に含んだ。
「あっ!」
驚いたように声を漏らすハウルを無視して、ソフィーは彼に愛撫を施す。
ちゅ、ちゅと吸い付く音が響く。
「ソフィー…?」
彼女の濡れた髪を梳ると、茶色の瞳が笑うように細くなった。小悪魔的な微笑に、
ハウルはぞくりと背筋に悪寒が走るのを感じた。
隆々としたそれを上顎で押しつぶすように刺激する。浮き上がった血管の一つ一つを
丁寧に刺激し、鈴口を舌でつつく。
「……っ」
苦しげに眉根を寄せる彼に、ソフィーはことさら笑みを深くした。
あふれ出てきた透明な液体を啜り、唇をすぼめて頭を前後させる。
深く吸われ、ハウルは顔をゆがめた。
「っあ、う……ソフィー!」
不意に肩を掴まれて力の抜けたソフィーを引き剥がし、ハウルが叫んだ。
その瞬間、びゅ、びゅ、と白濁が飛び出す。べとりと熱いそれは、彼女の顔を、
髪を、肩を汚した。
荒い息遣いをかき消すように、シャワーから降り注ぐ熱い湯の音が耳につく。
恍惚とした表情でハウルはソフィーをじっと見つめた。
「……ソフィー……」
ため息のような声音で、ハウルが恋人を呼んだ。ソフィーは紅潮した頬をどろりと
汚す白濁を指で掬った。ひたと彼の瞳を捉えたまま、ゆっくりと舌を出して
指先を舐める。長い睫毛に縁取られた眦に、艶っぽい笑いが生まれる。
彼の青い瞳に、熱がともった。
ソフィーの体についた粘液をシャワーで洗い流しながら、ハウルが囁くように訊ねる。
「ここで、する?」
完全にそれを洗い流したところでシャワーの栓をひねる。しずくを手のひらで
拭いながら、ソフィーが目を開けた。あつく蕩けた目で、じっと見上げられる。
「ちゃんと……ベッドで…」
やはり蕩けたような声で言われた台詞に、ハウルはごくり、と唾を飲んだ。
つるつるとした黒のシーツにだらりと手足を投げ出しながら、
ソフィーはきつく目を瞑った。ぴちゃ、ぴちゃという湿った音が聞こえ、
それが余計に彼女の羞恥を煽る。
「……ひゃ…ぁ…あ、やだ、あぁっ」
先程からの行為ですっかり溶けている部分を丁寧に舐め上げられ、ソフィーが
弱弱しい声を上げた。シーツに頭をこすり付けるように首を振り、
自分の下腹部に顔をうずめている恋人の頭を押す。
「ハウルっ!も、いいの……いいっ、からっ!」
「気持ちいいの?」
「ちがっ―――あっ!」
「ほら、足閉じないで」
必死に腿をすり合わせようとするソフィーを、ハウルが軽やかに笑いながら
たしなめた。彼女は顔を真っ赤に染め、口元を手で押さえる。
「やっ、だって……」
「なら、やめちゃうよ?」
ハウルが囁くと、ソフィーは目を見開いた。くやしそうに俯き、目を伏せる。
それから、おずおずと足を開く。
「ひぅ…」
再びそこを舐めあげられ、ひくひくと苦しそうに震えるソフィーに、
ハウルはだらしなく笑み崩れた。先程指で探ったときにも思ったが、
今日の彼女は妙に興奮気味だ。繋がればさぞ楽しめるだろう、と思うと
笑いが止まらない。
「ねっ……わた、し…」
「なぁに?」
ソフィーが泣き出しそうな目で彼を見た。しかし、ハウルはにっこり笑いながら
とぼけてみせる。
「………いじわる」
「何が?ちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ」
くすくすと笑いながら、ハウルは彼女の顔を見える場所にまで動く。
蜜に濡れた唇を舐めると、ソフィーはまぶしそうに目を細めた。
唇を合わせ舌を絡めあう。彼女は微かに眉を引き絞ったが、それでも従順に
彼を受け入れた。
「さっき、何言おうとした?」
唇を離し、うっとりとしているソフィーにハウルは訊ねた。彼女は恥ずかしそうに
目を伏せたが、彼の背にきゅっと腕を回し、軽く足を開いた。
「…………ほしいの……ハウルが欲しいの…」
か細く紡がれる声に操られるように、ハウルはソフィーを抱きしめた。
熱くたぎったものを押し当てると、ひっ、と小さく息を呑む声が聞こえた。
「いいよ……ソフィーに、あげる」
囁き終わらぬうちに、唇が奪われる。深く深く口付け合ったまま、ハウルは
ソフィーを貫いた。高い、悲鳴じみた嬌声がこぼれた。
「気持ち、いい?」
「あぁ!あッ、あ…んっ!やっ、も……やぁぁあ!!」
「……僕は、すごい、いい…っ」
「やっ!あ、……やぁっ!」
深く、深く貫かれ、ソフィーは背をそらした。頭の中がさぁっと白む。
熱に浮かされたような顔で激しく突き上げてくるハウルを見つめ、それでも
しっかりと縋りついた。胸板に胸がこすれるぴりぴりとした痺れが走った。
「すごい……なんかソフィー、今日、いつもより…」
「やっ、そんなの…っ知らな…いっ!」
ぐちゅ、ぐちゅ、と下肢があわ立つ音がした。ソフィーは思わず顔を背けるが、
顎をつかまれ元に戻される。目を開けているのが辛くて、睫毛を伏せた。
「目、あけて」
「やだぁっ……」
「どこがいいか、聞かせて?」
そういいながら奥まで突き上げられ、ソフィーは身をよじった。
苦しそうに息を乱す彼女を見つめながら、ハウルはそのまま中をかき混ぜる。
「ひぁっ!」
「ここがいい?」
言葉と同時にぐっと押し入れられる。苦しそうに喘ぎながら、ソフィーは
こくこくと首を振った。
「そ…っ!あっ、気持ち、いいの……っ!」
甘ったるい嬌声を上げ、体を震わせながらすがりつく恋人が可愛くて、
ハウルはぞわりと背筋に痺れが走るのを感じた。
「んんっ!や、も…ハウルっ、わたし……わたしっ!」
「うん…ソフィー、じゃあ、一緒に……っ」
「アぁっ!ひゃっ、やっ、もっ―――ぁああっ!」
「……っ!」
息が止まりそうに激しい高みへと追いやられ、ソフィーはぎゅっと全身を
こわばらせた。その締め付けに連動するように、ハウルも張り詰めていた
欲望の丈を彼女の中にはなった。
柔らかいまどろみから目を覚まし、ソフィーはぼんやりと窓の外を眺めた。
頬に当たる冷たいシーツの感触が気持ちいい。体がだるくて頭もぼんやりしている
けれど、悪い気分ではなかった。
目を伏せて、先程までの行為を反芻してみる。頬が自然と熱くなるのを感じた。
いつもの家でするのと違い、二人っきりになったから少し緩んでしまった気もする。
顔あわせるの、恥ずかしいなぁと思いながら寝返りを打つ。
一緒に浅い眠りについたはずの恋人はいない。ちょっとばかり鼻白みながらも、
ソフィーはため息をついた。まぁ、居ないでくれるのも悪くない。
今顔をあわせたら、またタガが外れてしまう気がする。
それからすぐに、がちゃりと扉の開く音が聞こえた。視線をやると、ハウルが
入ってきた。一度風呂に入ったのか、こざっぱりとしている。
「あ、起きてた?」
明るい声でハウルが言った。少し酒を飲んできたのかもしれない。
起き上がるのが億劫で、ソフィーは上掛けに顔をうずめたまま頷く。
「何か飲む?」
ハウルがベッドに腰掛け、ソフィーの髪を撫でた。銀の髪が指先からさらさらと
こぼれる。その微かな音に聞き入りながら、彼女は首を振った。
「雨は?」
「まだ。でも、服も乾いたし、今ならまだ電車もあるよ」
優しい囁き声に、ソフィーはうふふ、と笑いをこぼした。
何だかくすぐったいような、幸福な気分になる。
そっとハウルの頬に手を伸ばすと、指で包み込むように触れた。
「まだ、帰りたくないわ」
「え?」
驚きに目を見張るハウルに、ソフィーはきゅっと唇を吊り上げた。
「だって雨宿りに来たんだもの。雨がやむまでは、まだ雨宿りでしょ?」
甘い甘い、それこそとろける糖蜜のような声に、ハウルもちいさく笑った。
そして、ゆっくりと身をかがめるとソフィーに口付けた。
以上です。王道はべたべたでしょうか?
やっぱりバカップルは書いてて和みます。
GJです!!!!!
>>872 >今日の彼女は妙に興奮気味だ。
>繋がればさぞ楽しめるだろう、と思うと
>笑いが止まらない。
ココ超萌えっす。
(*゚∀゚)=3むはっ
今年も終わろうとしている時に、いいもの読めた…!
GJ!超GJ!ありがとう!
GJ!
ベタ甘まんせー
880 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 18:37:11 ID:k32Bxo6/
ホシュ!
881 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 11:48:02 ID:fuWdYnl3
ホッシュ
たまには原作も読んでみたいと思う
書けないくせにおねだりばかりでスマソ
あまりないもんね。
自分も原作好きだけど、現状の職人さんはあまり原作書く人いないから
倉庫のを時々読み返してる。
884 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 00:44:05 ID:Hyttq0iC
ホシュ
ホシュ
落ちちゃイヤソ
887 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 06:00:30 ID:cn8VrVmJ
ホシュ
ホッシュ!
ハウル誕生日おめ
ほしゅほしゅ