「あっ」
ロイは下半身をあらわにされて思わず腰を引いたが、イグレーヌは隆起し切ったそれを優しくつまんだ。そ
して朱の唇をそっと寄せ、先端に湧き出していた透明な雫をちゅっと吸い取った。
「ううっ……!」
初めての感覚に、ロイは身体を震わせた。そんな青年の性の歓喜をいとおしげに眺めたイグレーヌは、ちろ
っと出した舌で、筋や傘の裏側を舐め始めた。大きな乳房で男の脚を挟みながら、熱い舌と指でロイ自身を愛
撫していく。ときどき軽く歯を立てて甘噛みしたり、舌先から唾液の糸を引いたりして、そのたびに上目づか
いで男の反応をうかがう。ロイは高まる欲望を必死にこらえていたが、イグレーヌの美しい憂顔が淫らな色を
浮かべて彼を見るたびに、二つの相反する感情が噴き上げてくるのを感じた。このはかなげな美女を悦ばせた
い、そしてこの妖艶な女を汚したい。ロイにとって、自分がそんな感情を抱くのは驚きだった。
突然、凄まじい快感がロイを襲った。イグレーヌが、彼自身を口に咥えたのだ。
「んっ……んふっ…………ずちゅ」
温かい口腔の中で、ロイは唾液にまみれ、舌で嬲られている。美女の頬の内側に押しつけられ、音を響かせ
て強く吸われる。イグレーヌが時折漏らす悩ましげな吐息と、粘液質の淫音だけが部屋に響いていた。
「も、もう……」
イグレーヌがむせながらもロイを喉の奥に迎えた瞬間が限界だった。ロイが熱いたぎりを解放すべく女の口
から己を引き抜くと同時に、濡れた先端から白濁液が奔出した。
「あふっ!……ぅ、うぁ……ん」
イグレーヌの金色の髪に、憂いを含んだ眉に、整った鼻梁に、どろりとした粘液が貼り付く。さらにロイの
肉刀が震え、イグレーヌの右のまぶたから頬にかけて白く汚していった。
「んうっ!」
濁液は右目を覆い、頬からあごにかけて褐色の肌を白く染めている。惚けたような表情を浮かべた美女の口
にゆっくりと精液が流れ落ちて、紅い唇を桃色に変えていくのをロイは荒く息をしながら見ていた。
「……あの人も、好きだったの」
口元についた白い液体を指で拭いながら、イグレーヌはつぶやいた。
「こんな風に私の顔に射精するのが」
そう言って彼女は、粘液のまとわり付いた指先をずちゅっと舐めた。その音と仕草が、ロイを再び欲情させ
る。イグレーヌはいつもの寂しげな微笑を浮かべながら、若者の勃然としたものを軽くしごいて、自分の秘所
へと導いた。彼女のそこはすでに蜜で濡れそぼっているのが、ロイからもはっきり見てとれた。しかし、彼女
が自分に欲情しているのではないということも、イグレーヌの表情から理解できた。
(……)
今自分を子宮に迎えようとしている女性は、他の男のことを想っている。ロイは、嫉妬にまかせて目茶目茶
に彼女を突き上げたいという欲望と、ずっと独りでいた女の寂しさを抱きしめて慰めたいという哀憐の情が同
時に湧き上がっていた。
「ん……は……」
イグレーヌの豊かな腰が、ゆっくりとロイを飲み込んでゆく。肉柱の先端が侵入していくにつれて、女の肉
襞は貪欲に男を飲み込もうと収縮し始め、少年の性感を激しく刺激していった。イグレーヌの膣は淫らに濡れ
つつも、処女のようにきつく締まっている。彼女が「あの人」と別れてから、ずっと独りだった証だった。
「イ、イグレーヌさん……!」
自分が「あの人」以来初めての男だということが、ますますロイを興奮させた。まだロイを完全に納めきっ
ていない女の肉鞘を、下から激しく突き上げた。
「うっ!……あぁっ!……きゃ!」
突然の奇襲に、イグレーヌは少女のような悲鳴をあげた。ロイはそんな彼女の腰を掴んで、強く接合部に打
ちつける。吸い付くような褐色の肌の感触を味わいつつ、女の腰を上下に前後に激しく揺さぶった。
「そ、そんなにっ……うっ!はぅん……ああぁ、はげしく、だめっ……!ああっ、ああっ!」
金色の長い髪を振り乱し、イグレーヌは激しく腰を振りながら悩乱の舞を踊り続ける。背を反らせてわなな
きつつ、自らも脂ののった腰を揺り動かす。オスとメスの、濃密な性のダンスだった。
「あ、ぐぅ……ひぁっ、あう!は、う、もっと、もっ……と!」
必死に何かをこらえるようなかすれ声でイグレーヌが喘ぐ。その一方で、彼女の下の口は性の歓喜に震えな
がらロイを飲み込んでいた。熱く湿った柔肉がきゅきゅうっとロイを包みこみ、彼女の腰の動きにあわせて激
しく震えている。ロイが突き上げるたびに、イグレーヌの黄金の髪が舞い乱れ、豊かな胸が大きく弾んだ。
「……っ!うあぁ、あああぁ!いくっ、いっ………………!」
自分とロイの激しい腰使いに、とうとうイグレーヌが達した。膣が歓喜に震え、男をきつく締め付ける。女
は両手をロイの腹について思い切り背を仰け反らせ、全身をびくっ、びくっと数回大きく痙攣させた。小麦色
の肌が汗に光って艶めき、彼女の首筋から乳房にいたる曲線は妖しくきらめいている。ロイは荒く呼吸しなが
ら、絶頂の悦びに震える美女に見入っていたが、不意に腰を大きく突き上げた。
「きゃあっ!あっ!」
再び訪れた官能の疼きに、イグレーヌは前のめりに倒れた。ロイは両手で彼女のたわわな胸を掴んで受け止
める。汗ばんだ褐色の乳房は、ロイの掌の中で融けるように揉み崩され、イグレーヌは声にならない悲鳴を漏
らした。柔肉がひしゃげて捻り潰されるたびに、女は腰をくねらせて身を悶えさせていた。