前スレで決まったローカルルール
職人さん向け
・感想をくれ、と求めるのはやめよう。
・必要以上に自分を卑下するのはやめよう。
・一旦テキストエディタに書き、ある程度まとまったら投下しよう
(SSを書きながらの投稿はやめましょう。ほかの職人さんや住人にも迷惑となります)
・続く場合は「続きは後日」等、宣言しましょう。
・頂いた感想レスへの全レスはやめよう(スレ私物化の原因になりがち)。
読み手さん向け
・過剰にマンセーした書き込みはやめよう。簡潔な感想とGJ! を。
・職人さん達の食指が動くような萌えシチュをさらりと投下しよう
>>1さん
よかった!乙!!
ヘタレなもんで立て方わからんかったんよ!!
マジ助かりました。
GJ!
>1
スレ立てお疲れさまです
まー心機一転
また盛り上がるといいですね
ROMへ
のだめカンタービレは
女性はもちろんだけど
男でも読みやすい漫画だよ
そんなに少女漫画チックな絵柄じゃないからね
気が向いたら読んでみ?
ハマるかもよ?
デカい本屋じゃレジ横陳列だし、雑誌社が力入れてるよ
6 :
ショコラ:2005/06/23(木) 07:01:47 ID:r+4xOq2S
>>1 大変お疲れ様でした。
皆様、おはようございます。
昨夜は覗いた時に次スレがまだ立っていなかったので就寝してしまいました。
待ってくださった方々、ご迷惑おかけしました。ごめんなさい。
皆様のご好意に甘え、ゆっくり作業してます。有難うございます。
時間がないのですが、投下できる所まで・・・。
7 :
「喪失」・48:2005/06/23(木) 07:03:45 ID:r+4xOq2S
のだめが入院して3日経った。
のだめの記憶が戻る気配は・・・未だ、ない。
明日退院だったのを山口先生の許可で一日早くしてもらい、アイツは今日退院する。
母さんに退院時間を聞くと、午後3時位・・・との事だった。
今日は俺のオケの練習は午前中だから・・・
昨日から持ち越した取材のインタビューを練習後に受けても、何とか間に合いそうだった。
「みんな、昨日は本当にありがとう。」
練習室に入ると、俺は真っ先に峰達に声を掛けた。
「何、水クサイ事言ってんだよ〜、千秋。俺達、親友だろ?」
そう言いながら、峰はバンバン!と俺の背中を叩いた。
「千秋さま。今日、のだめ退院って昨日言ってましたけど・・・。迎えに行かれるんですか?」
真澄が少し拗ねた様な上目遣いで聞いてくる。
「ああ、うん。一応行く予定。のだめの主治医の先生にお礼を言いたいし。
色々と母親に任せっきりだったから、最後くらいちゃんとしないと。」
「のだめちゃん、今日の何時に退院なんですか?」
「えっと・・・。午前中は診察があって。それから退院の手続きなんかが色々あるみたいだから。
・・・3時過ぎになるって言ってたかな?」
「わたし達、午後は松田さんのオケ練があるから行けないけど・・・。」
そう言うと、薫が自分の荷物の所へ行って、可愛らしいフラワーアレジメントを手にして戻ってきた。
「コレ、みんなからのだめちゃんへ。退院のお祝いです。花束よりいいかなと思って・・・。
このまま飾れるし、オアシスだからお水の交換も必要ないし・・・。」
8 :
「喪失」・49:2005/06/23(木) 07:04:21 ID:r+4xOq2S
受け取ったアレジメントは、クリーム色の薔薇とパステルオレンジのガーベラ、
それと白い小花のマーガレットをメインにした、ビタミンカラーが眩しい初夏らしいものだった。
「黒木君が、絶対スズランがいい!って言ったんだけど。この季節、もうスズランなくてさぁ。」
「でも、似た感じのお花を入れて貰ったんだ。ほら、恵ちゃんにさ・・・似合ってると思わない?」
白い小花のマーガレットを指差しながら、黒木君は恥ずかしそうに俺に言った。
「いや、何だか、マーガレットはアイツには清楚で可憐過ぎる気もするが・・・。
それにもっと、こう、ごちゃごちゃした方がのだめっぽい気がする・・・。」
---本当は、この元気が出るような瑞々しいアレジメント、のだめのイメージにピッタリだ・・・。
皆が思っているのだめのイメージと、俺のイメージが一緒で、すごく嬉しかった。
しかし正直にそう言えば絶対・・・からかわれる。
そう思った俺は照れ隠しもあって、ついそんな風に言ってしまった。
すると俺の発言を聞いた真澄が、間髪居れずに叫んだ。
「そうよ!だからのだめには、うつぼかずらとか、食虫花で良かったのよ!」
「いや、真澄ちゃん。そりゃー花屋の方が用意できねーから。」
峰の絶妙な突っ込みで、皆は大爆笑した。真澄は不満げに腕を組み、フン!と顔を逸らした。
「これ、本当にありがとう。のだめもすっげー喜ぶよ。じゃあ、練習始めようか。」
俺の合図で峰たちが定位置に戻ると、午前中の練習が始まった。
9 :
「喪失」・50:2005/06/23(木) 07:04:56 ID:r+4xOq2S
R☆Sオケとの練習も3回目。流石に3回目になると、色々と見えてくるものがある。
最初はお互いに様子見だった関係も、そろそろ本性が出てきたという事か・・・。
今回の公演は週末の土日二日間、それぞれ昼公演・夜公演の4回行われる。
A日程・B日程あり、それを俺と松田さんの二人がそれぞれ指揮する事になっている。
つまり、同じオケで同じ楽曲を、二人の個性の違う指揮者が振るという事だ。
土曜日の昼公演が俺のAプログラム、夜公演は松田さんのBプログラムだ。
そして日曜の昼公演は松田さんのAプログラム、夜公演は俺のBプログラムになる。
だから、例えば土曜日一日通して聴いても、曲がかぶる事がなく指揮者の競演が楽しめる。
また二日にまたいで昼か夜の公演のどちらかに行けば、同じ内容での指揮者の聴き比べも出来る手筈だ。
最初にこの計画を峰から聞かされた時は、革新的で面白い試みだと思った。
峰の目の付け所の鋭さに、俺は素直に感服した。
つまりオケと曲は同じで、違うのは俺が振るか松田さんが振るか・・・という一点だけだ。
こんな体験、滅多に出来るものではない。これこそ指揮者冥利に尽きるという訳だ。
だが。
今日の練習を通してハッキリと判ったのだが・・・。
俺の指揮が、いつの間にかもう一方の松田さんのアレンジの雰囲気にのまれつつある。
指示を出しても、オケのメンバーにはその通りに反応し切れない事が、ちょくちょく出てきた。
すっかり松田さんの色に染まっているこのオケでも、俺の指揮でそこから俺なりの音を生み出したいのだが・・・。
10 :
「喪失」・51:2005/06/23(木) 07:05:41 ID:r+4xOq2S
「違う!そこは次のDの動機に帰着する為の大事な部分だろっ!?もっと迷いながら!ためて!!」
「第2バイオリン!さっきから走ってる!
連続する音だから走リ易いなんて初歩的なミス、それでもプロのオケか!?」
「何回も言わせるなっ!そこの音程低い!!」
イライラが頂点に達する頃、俺の持ち時間のタイムリミットの12時になった。
公演まで後数日しかない。明後日にはもうゲネプロだ。
まだここには俺の求める音楽がない・・・!俺の音がつくりきれていない・・・!
こんな状態のまま、本番を迎える事になるのか・・・?俺はしばし苦悩した。
「明日の午後は、今日まとめきれなかったBプログラムの曲を重点的にやります。
各自、そのつもりでいて下さい。ではこれで・・・。」
俺が午前中の練習の解散を告げると、オケメンバーのあちこちから何とも言えない溜息が漏れた。
峰が俺に何か話しかけたそうのが分かったが、取材の約束がこの後に控えていた為、
それには気が付かない振りをして俺はそのまま練習室を後にした。
11 :
「喪失」・52:2005/06/23(木) 07:06:37 ID:r+4xOq2S
オケが借りている練習室の近くにある喫茶店で、軽めの昼食を取りながら取材を受けた。
・・・あまり食欲がない俺は、アイスコーヒーばかり飲んでいた。
流石に追加の三杯目を頼んだ時は、向かいに座っていたライターの女性が心配そうに俺に尋ねた。
「お加減でも悪いんですか?それとも何か、心配事でも・・・?」
「いえ、そんな事は。少し・・・暑さにやられているんだと思います。
日本の夏は向こうと違って、蒸し暑いですから・・・。」
「そうですか?あ、きれいなお花・・・。どなたかに?」
女性誌のライターは目聡く、バックの脇に隠すように置いてあった峰達から預かったアレジメントを見つける。
「オケのメンバーから共通の友人へです。今日、退院なので。」
「ご友人?どういったご関係の方ですか?」
「プライベートな事なので・・・。すみません、この後用事があるので、そろそろ取材の方・・・。」
俺がそう言ってその質問を遮ると、勘のいい女性らしく、それ以上は突っ込んでこなかった。
「千秋さん、本日は時間を取って頂いて有難うございました。公演の成功をお祈りしております。」
「いえ、こちらこそ。我が侭言って昨日から今日に変更して、本当に申し訳ありませんでした。
では、ここで失礼します。」
先に喫茶店を出て、ふと店のウィンドウからライターの方を見た。
すると彼女は何か思惑を秘めた瞳をして、じっとこちらを見つめている。
少し気になったがのだめの病院に遅れるといけないので、俺はそのまま小走りで駆け出していた。
12 :
「喪失」・53:2005/06/23(木) 07:07:07 ID:r+4xOq2S
予定より早く横浜に着くと、俺は母さんの携帯に電話した。
電話が繋がらなかったので、三善の家に寄らないでこのまま病院に行くかと思っていると、
すぐに俺の携帯が着信した。
それは公衆電話からで母さんだった。もうすでに、病院に来ているらしい。
諸手続きに色々手間取って、退院は一時間後の三時半位になるようだ。
今から俺も病院に向かう事を伝えると、母さんとはのだめの病室前で落ち合うことになった。
由衣子も学校が終わったらまっすぐに駆けつけると言っていたが・・・やっぱり間に合わないだろう。
病院に着くとすぐに、のだめの病室へ足を向ける。
病室前に行くと、母さんはまだ来ていない様だった。
もしかして・・・と思いフロアの向こう側にある休憩所の方を見るが、今は誰の姿もない。
母さんはのだめの部屋の中にでも居るのか?
・・・そう思いながら俺はドアを3回ノックした。
・・・・・・
今日は中から、アイツの声が聞こえてこない。
俺はドアをそっと開けた。
白いベットの上には、綺麗に畳まれた布団とのだめの荷物。
・・・それから俺があげたトイピアノがポツンと置いてある。
13 :
「喪失」・54:2005/06/23(木) 07:07:37 ID:r+4xOq2S
どうやらのだめもここには居ないようだ。
山口先生の診察でも受けているのか?と暫く思案していると、後ろから急に声を掛けられた。
「千秋さん?千秋真一さんですか?」
「はい。そうですけど?」
年配の女性の看護士が中に入ってきた。
「のだめちゃんならこちらにいますよ。ご案内しますね。どうぞ〜。」
女性の看護士はそう言って微笑する。そして俺を先導するように、ハキハキと歩き出した。
俺はその看護士さんの後に従った。
「山口があなたとお話したがっておりました。後ほど山口も呼んでまいりますので。」
「山口先生が?・・・後、母が見当たらなくて。病院内にいるはずなんですが・・・。」
「千秋さんのお母様は今、会計の方へ行かれていらっしゃいますよ。もう間もなく戻ってこられると思います。」
「・・・そうですか。」
二階の吹き抜けに架かる渡り廊下を渡り切った所にあるエレベーターで、5階まで上がる。
5階に到着しエレベーターから降りた瞬間、すぐに此処には何科があるのか俺にも分かった。
壁一面は淡いピンク色で、所々に折り紙で形作った動物などが貼ってある。
休憩所も、可愛らしいウサギやクマの形をしたソファが置いてあった。
流されているテレビ画面の内容も、小さな幼児向けだ。
14 :
「喪失」・55:2005/06/23(木) 07:08:04 ID:r+4xOq2S
「ここ・・・小児病棟ですか?」
「ええ、そうですよ。あれなんて、すっごく可愛らしいでしょ?」
そう言って看護士さんは、壁に貼ってある子供達の絵の方を指し示した。
小児病棟の奥の方に一体何があるというのだろう?そう思いながら歩いていると・・・。
・・・遠くから、ポロンポロン・・・と聞き覚えのある音が聞こえてきた。
---ピアノだ・・・。
「もしかして、アレ・・・。」
「気がつかれました?ええ、のだめちゃんですよ。山口が小児科のプレイルームの中に
アップライトのピアノがある事をのだめちゃんに教えましたら、弾きたいとおっしゃって。」
プレイルームに歩みを進める度、ピアノの音がどんどん大きくなる。
この曲は・・・そうだ、俺も知っている・・・。
のだめの好きな”プリごろ太”の主題歌だ。
「ほら、あちらですよ、のだめちゃん。」
看護士に指し示された方向を見ると、ピアノを弾いているのだめの後姿があった。
のだめを見た瞬間、俺は後ろから鈍器で頭を殴られた様に、愕然とした。
15 :
「喪失」・56:2005/06/23(木) 07:35:24 ID:r+4xOq2S
アップライトのピアノに向かうのだめの両脇や後ろに、沢山の子供達が甘えるように纏わりついている。
子供達が耳元で何かリクエストして・・・のだめは嬉しそうにピアノを奏で始める。
すると子供達から歓声が上がり・・・ピアノに合わせてのだめも子供達も一緒に歌い始めた。
・・・ふと、のだめが右側を向く。
その瞬間、その横顔がこちらからも伺えた。
---それはとても・・・とても楽しそうで・・・見た事もない位幸福そうな、のだめの笑顔だった・・・。
「では私は山口を呼んでまいりますので。こちらでお待ちになって下さい。」
そう言って、看護士は今来た道を引き返して行った。
俺は、この光景によって暗示された運命の残酷さに、暫く立ち竦んでいた。
もしかしたら・・・もしかしたら、俺に会わなかったのだめの未来予想図が、これなのか・・・?
・・・ひどく呼吸が苦しい。
脇の下から嫌な汗が流れてくる。
突付けられた現実に、俺の頭が思考する事を拒絶している。
---そういえば。
俺はあの時、シュトレーゼマンに何て言ったんだ?
これが”俺に会うまでただ楽しくピアノを弾いていた・・・のだめ?”
16 :
「喪失」・57:2005/06/23(木) 07:35:57 ID:r+4xOq2S
俺がアイツを引き上げられたら・・・なんて考え。
物凄く押し付けがましい独りよがりのエゴだった事に、今更ながら気がついた。
のだめにとって何が最善なのかは・・・俺にとって最善とは限らないという事も・・・。
だって・・・。
今のアイツは、五年前の”幼稚園の先生になりたいのだめ”だ・・・。
---もしかして・・・。
---もしかして、このまま記憶が戻らなかったら・・・アイツは・・・?
「のだめちゃん、もうすでに、子供達に大人気なんですよ。楽しそうに弾かれているでしょ?」
俺が苦悶している間に、山口先生がすぐ横に来ていた。
「千秋さんからのプレゼントだそうですね・・・あのアンティークの黒のトイピアノ。
・・・あれを見て、ここのプレイルームにピアノがあった事を思い出したんです。」
そう言うと山口先生は腕組みをした。
「・・・今は楽しそう・・・ですが。少し気になる事があるんです。」
先生は表情を曇らせ、言いにくそうに話はじめた。
17 :
「喪失」・58:2005/06/23(木) 07:36:51 ID:r+4xOq2S
「もしかしたら・・・。少しのだめちゃんを過信しすぎたかもしれません・・・。」
”私の不徳の致すところです・・・”と言って、山口先生は俺に頭を下げた。
「過信・・・ですか?」
「ええ・・・。実はのだめちゃん、昨日の夕食をほとんど残されたんですよ。今朝も半分程しか・・・。」
「え、食事を?アイツがですか?」
「入院した日から、食事だけはきちんと召し上がられていたので、のだめちゃんは大丈夫だと・・・。
やはり昨日のお友達のお見舞いに、何か興奮された様ですね・・・。」
---昨日の、俺と峰達との見舞いの間、アイツはそんな素振り、ちっとも見せていなかったのに・・・。
「それに早めてしまった今日の退院も、本当なら延期したい位なのです。
・・・昨日、あんな姿を目撃してしまったから・・・。」
「あんな姿?」
「ええ。私は昨夜宿直で・・・。
のだめちゃんが夕食をほとんど残した、と担当の看護士から連絡を受けておりましたので。
・・・気になって、夜半過ぎに病室の方へ巡回に出たのですよ。」
山口先生は厳しい表情のまま話を続けた。
18 :
「喪失」・59:2005/06/23(木) 07:37:24 ID:r+4xOq2S
「深夜2時頃でしたか・・・。
様子を見ようとのだめちゃんの部屋の前まで行くと・・・扉が少し開いているのに気がついたのです。
おや・・?と思いつつも扉に手をかけた瞬間・・・中から”トーン”と木琴の様な音が聞こえて・・・。
私は一寸驚いて手を離しました。夜中でしたし・・・。病院では余り聞きなれない音ですからね・・・。」
そこで先生は少し笑った。
「・・・・・・暫くためらった後、私はおそるおそる中を覗きました。
すると窓際に立っている人の姿がぼんやり・・・と浮き上がっているのが見えました。
ベッドサイド脇のローチェストの上に置いてある”何か”を見つめている様でした。
”のだめちゃん?”
・・・私はそう声を掛けようとして、途中で言葉を呑みこんでしまいました・・・。
のだめちゃんの表情が、余りにも遠くて・・・。
そこに居たのは・・・私の知らない表情をしたのだめちゃんでした・・・。」
先生は眉を顰め、廊下の壁に腕を組んだまま凭れ掛かった。
俺は先生の話を聴きながら、自分の表情がどんどん強張っていくのを感じていた。
19 :
「喪失」・60:2005/06/23(木) 07:37:55 ID:r+4xOq2S
「のだめちゃんの部屋はよく見ると窓が開いていて・・・
そこから、雨上がりの、湿った土の匂いを帯びた夏の夜風が吹き込んでいました。
月明かりの中、白いカーテンが風にはためいて・・・
・・・のだめちゃんの入院着の裾も、同じ様に幻想的に揺らめいていてました。
のだめちゃんは、あのトイピアノを指で押さえた姿勢のまま、じっと考え込んでいて・・・。
彼女の瞳までは月の光も届かず、その暗く翳った色合いが益々彼女の表情を判りづらくさせていました。」
山口先生は深く息を吸った。
「”のだめちゃん?”
ようやく私がそう声を掛けると・・・彼女は凄く驚いて振り返り、”あ、山口先生。”と言いました。
でももうその瞬間、のだめちゃんはいつもの表情に戻っていたのです・・・。」
「いつもの・・・。」
”どうしたの?のだめちゃん・・・眠れないの?”
”いえ、トイレの帰りで・・・雨が上がったみたいだから、チョト窓の外のお月様でも見ようかナって・・・。
も、もう寝マス・・・。”
”・・・そう。あんまり夜風に当たって風邪を引くといけないから・・・。おやすみなさい。”
”ハイ・・・。おやすみなさい、山口先生・・・。”
トイレ帰り・・・そう言った彼女の足元は・・・素足だった。
スリッパは、今彼女が立っている側とは反対側のベットの脇に、キチンと並べられて置いてあった・・・。
20 :
「喪失」・61:2005/06/23(木) 07:38:23 ID:r+4xOq2S
「のだめちゃんがどうしても今日退院したい、というので許可しましたが・・・。
暫くは彼女からなるべく目を離さないで下さい。特に千秋さん、あなたにお願いしたいのです。」
「俺に・・・何故ですか?」
「のだめちゃんは余り自分の本心を見せないきらいがあります。今回の事で良く分かりました。
でも、あなたは彼女にとって特別の存在なんです。昔も、もちろん記憶を失った今も・・・。
でなければ、あなたの贈られたあのトイピアノ・・・。
あんな風にのだめちゃん、深夜に一人で見つめていたりしないでしょうから・・・。」
---特別な存在・・・。
---記憶を失ったアイツにとって、俺は今でも本当にそうなんだろうか・・・?
「それから・・・思い出のある場所なんかに行かれる事があるかと思いますが・・・
今はまだ、落木された場所だけは、絶対にのだめちゃんには見せないで下さい。」
「それは・・・アイツにとって・・・何か良くない影響をもたらすかもしれないんですね?」
俺がそう尋ねると、山口先生は強く頷いた。
「脳に異常がない・・・この事突き詰めて考えれば、
頭を打った事実が、余程のだめちゃんにとってネガティブな要素を含んでいるという事です。
この状態で、その場所を見せるのは、彼女の精神に深刻なダメージを与える恐れがあります。」
21 :
「喪失」・62:2005/06/23(木) 07:39:07 ID:r+4xOq2S
先生のこの言葉が、俺にある事実を思い起こさせた。
そうだ・・・!!大川でアイツの親父さんが言っていた、アノ事件・・・!
「あの、先生!これは・・のだめの父親から聞いた話なのですけど・・・。
・・・昔、のだめがピアノのレッスン中に反抗して、先生の腕に噛み付いて・・・
その先生が振り払った手で吹っ飛ばされたアイツは、壁に頭をぶつけ流血した事があったそうです。
それから暫くの間、のだめはピアノを全く弾けない程、ショックを受けていたとか・・・。」
「それは・・・とても重要な事実かもしれません!
成る程・・・トラウマになっていもおかしくない・・・心の傷・・・。」
先生は思案顔で、子供たちに囲まれてピアノを弾いているのだめの方を凝視している。
「あ、真兄ちゃま、いたー!征子ママ、早く早くっ!」
廊下の向こうから、由衣子が制服姿のままこちらへ走ってくるのが見えた。
その後ろには母さんがゆっくりとしたスピードで歩いて来る。
手にはのだめの荷物と、俺のあげたトイピアノが入った紙袋を持っていた。
「・・・どうやら、退院の手続きが済んだようですね。
千秋さんが先程おっしゃった事、少し私なりに考えてみますので・・・。
お仕事色々お忙しいとは思いますが、のだめちゃんの事、私からもお願いします。」
「・・・はい。」
22 :
「喪失」・63:2005/06/23(木) 07:39:35 ID:r+4xOq2S
先生と俺の会話に割り込む様にして、由衣子が俺に飛びついてきた。
「よかったー!間に合ったー!!」
そして息を切らしたまま、キョロキョロと辺りを見回した。
「あれ、のだめちゃんは?真兄ちゃま、一緒じゃなかったの??」
「のだめなら、ほら後ろに・・・。子供達と一緒にピアノを弾いてる。」
俺が顎で指し示すと、由衣子と母さんは二人でプレイルームを覗き込んだ。
「のだめちゃん・・・楽しそう・・・。よかったぁ・・・。」
「本当ね・・・。だいぶ元気になったみたいで安心したわ。」
「母さん、のだめの事、全部済んだの?」
「ええ。大分時間がかかってしまってごめんなさい。
のだめちゃんの病室の前に行ってもあなたの姿が見えないし・・・。
そしたらロビーで由衣子ちゃんに会って・・・。看護士さんがここに居るって教えてくれたのよ。」
「おい!のだめ!」
俺はプレイルームの中にいるアイツに声を掛けた。
「あ、千秋先輩!」
のだめは振り返り、俺達を見つけると嬉しそうに笑った。
「退院の手続きが済んだから、先生に挨拶して帰るぞ!」
「あ、はーーーーい!」
のだめは周りにいる子供達に何やら話しかけ、ピアノから立ち上がった。
23 :
「喪失」・64:2005/06/23(木) 07:48:50 ID:r+4xOq2S
「えー!のだめ行っちゃうのーーー?」
「やだー!もっとおうた歌うーー!」
「のだめーー!!帰っちゃダメー!!」
子供達は、部屋から出てきたのだめの後を追いかけてきて、必死にアイツに縋り付く。
少し困った様に笑いながらのだめはしゃがみ込むと、子供達と視線を合わせて言った。
「ゴメンナサイ!のだめ、もう行かないといけないんデス!でも、また明日病院に来ますから!」
”またみんなで一緒に歌いましょうネ〜!”と一人一人の頭を撫でてやっていた。
「お待たせしてごめんなサイ!あ、千秋先輩、綺麗なお花!」
のだめはようやく俺達の所に戻ってくると、真っ先に俺が手にしているアレジメントに目をとめた。
「あー、昨日見舞いに来た峰達から・・・。退院祝いにって。」
「ふぉぉぉ〜!のだめにですか?しゅてき〜!でも、昨日入院のお見舞いを貰ったばかりですヨ・・・?」
「ま、みんなの気持ちだからさ・・・受け取っておけよ。」
俺がアレジメントを渡すと、のだめははにかんだ笑顔を見せて、それをそっと大きな手で包み込んだ。
24 :
「喪失」・65:2005/06/23(木) 07:49:39 ID:r+4xOq2S
「あ、由衣子ちゃんも来てくれたんですネ〜。ありがとうデス!」
「えへへ。ホームルーム抜け出してきちゃった。由衣子・・・どうしてものだめちゃんのお迎え、来たかったの。」
「由衣子ちゃんは入院中も、毎日学校帰り、お見舞いに来てくれましたよネ・・・。
のだめ、スゴイ嬉しかったんですヨ?でも今日からはもう一緒ですね!」
「うん・・・。だからのだめちゃん・・・早く一緒に帰ろ?」
「ハイー!」
「それと・・・由衣子ね、のだめちゃんの”もじゃもじゃ”聴きたい・・・。」
「もじゃもじゃ!お安い御用ですヨ〜!あ、山口先生、色々とお世話になりました。」
のだめはピョコンと、俺の傍らに居た山口先生に頭を下げた。
「退院おめでとう、のだめちゃん。
身体の方は痛みも治まってきたみたいだけど、ちゃんと病院には毎日通って下さいね。」
「ハイ。明日の診察は・・・午後でしたよね?のだめ、ちゃんと通って早く治しマス!」
「退院したといっても、まだ本調子ではないのですから、無理をしてはいけませんよ?」
「気をつけマス。先生、本当にありがとうございましタ・・・。」
「山口先生、わたくしからもお礼を。・・・本当に色々と有難うございました。
まだまだお世話になる事があろうかとは思いますが、どうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます。
・・・ではわたくし達、これで失礼致します。」
母さんが山口先生に深くお辞儀した。俺達もそれに倣った。
タクシーで帰る俺達を、山口先生は病院のエントランスまで出てきて見送ってくれた。
車中から後ろを振り返ると、俺達の姿が見えなくなるまで大きく手を振ってくれている、先生の姿が見えた。
25 :
ショコラ:2005/06/23(木) 07:53:48 ID:r+4xOq2S
ここまで千秋?編でした。
以下から、短いのだめ?編、それより少し長いエロ?編の予定です。
あ!
・・・もう労働に行く時間でした。ごめんなさい。
続きは後日です・・・。
作品案内のテンプレ前に投下してしまった失礼をお許し下さい。
朝からおつかれさまですー。
ジョコラさん お待ちしておりましたー!
のだめ編&エロ編の投下を楽しみにしております。GJ!
ショコラさん、おつかれさまです!
続き、楽しみにお待ちしてますねv
さて、エロまで正座で待ってようか
∧_∧
( ・∀・) やべーおもすれー
( ∪ ∪ 続きが気になる
と__)__)
ショコラさんお待ちしてましたo(^o^)o
ショコラさんやヴァイオリンさんに刺激されて初執筆中です。が難しいですね…。
まだチラシの裏でつたない文章ですが、出来上がったら投下してもよろしいでしょうか?
多分まだまだ先…
>>31 お待ちしておりますよ!
頑張ってくださいね!!
上手い方のを見ていると、
改行とか割とした方が見やすいみたい。
楽しみにお待ちしています☆
↑意味わかんないれす
読みにくいから改行しろってことだ
>>31です
今は携帯からです。
実際のカキコはPCから頑張ります
37 :
ショコラ:2005/06/25(土) 12:25:44 ID:9kUR0cp/
皆様、おはようございます。本誌発売日ですね。
どうかどうか、足をくずして楽にしてくださいませ〜。
のだめ?編、落とせる所まで投下していきます。
38 :
「喪失」・66:2005/06/25(土) 12:26:46 ID:9kUR0cp/
千秋先輩の家は、見た事もない程、大きな豪邸だった・・・。
プラタナスの並木道が続く坂の上。
そこを上りきった所にあるその瀟洒な洋館は、まるでそこだけ外国みたいで・・・
気が付くと私の口元は、驚愕でだらしなく開いてしまっていた。
---今から行く所は千秋先輩のお母さんの実家、とは聞いていたケド。
---先輩・・・もしかして、ものスゴイお金持ちなんですか・・・?
そう思いながら、どうして自分がここに居る羽目になったのか・・・?と戸惑いを隠せなかった。
「のだめちゃん、早く早くっ!」
由衣子ちゃんに手を引っ張られる様にして、先輩の家の中へ入る。
どの部屋もそこかしこに、高価なアンティークの花瓶やお皿が・・・いかにも普通に置いてあった。
お部屋の中にひいてある絨毯も、足が容易く沈み込む位・・・ふかふかだ。
---こーゆうの、有名人の豪邸紹介!とかのテレビ番組で見たことありますヨ・・・。
---これで奥からペルシャ猫とか、おっきな犬が出てきたら、もう完璧でデス・・・。
気後れしている私には気が付かないのか、由衣子ちゃんは二階の方へ歩みを進める。
私は相変わらず家の様子に圧倒されながら、素直にくっついていった。
39 :
「喪失」・67:2005/06/25(土) 12:27:21 ID:9kUR0cp/
「のだめちゃんの部屋、ここね。のだめちゃんの荷物はあそこに置いてあるから。
それから今日はね、真兄ちゃまが晩ご飯作ってくれるって・・・のだめちゃんの為に!」
「え、千秋先輩が?の、のだめの為に?」
「何か足りない物あったら言ってね?ご飯出来たら呼びに来るから・・・。それまでゆっくりしててね!」
由衣子ちゃんはマシンガンの様に早口でまくしたてると、さっさと部屋を出て行ってしまった。
---こんな大きな客間に一人ぽつん、と残されて・・・のだめ、一体どうしたらいいんですかネ・・・?
特にやる事もないので、ひとしきり部屋をぐるっとした。
部屋の真ん中にはキングサイズのクラシカルなベット・・・。
傍には、おそらくアンティークと思われる琥珀色のドレッサーに、それと揃いのライティングデスクが・・・。
部屋の奥の方からは外に出れる様になっていて。
まるでロミオとジュリエットの舞台に出てくる様な、蔦の絡まったテラスが其処にはあり・・・
---自分がここに居るのが、ますます場違いな気がしてきた。
だから由衣子ちゃんが食事に呼びに来てくれた時も、私はソファに腰を掛けて放心したままだった。
40 :
「喪失」・68:2005/06/25(土) 12:27:47 ID:9kUR0cp/
いい匂いがしてくる1階の食堂へ降りると・・・部屋中に湯気が漂っているのにすぐ気が付いた。
「あ、お鍋!」
10人はゆうに座れるであろう長いダイニングテーブル上に、ちょこんと一つお鍋が乗っかっている。
「夏なのにお鍋ですか?皆サン、お鍋好きなんですネ〜?のだめも大好きですけど・・・。」
”だってお鍋は”・・・と私が言いかけると、先に来て座っていた俊君が、
「失敗した事ないから・・・でしょ?」
と悪戯っぽく続けた。
「な、何で知ってるんデスか?」
私が面食らっていると、俊君はさも簡単そうに種明かしをした。
「だって、のだめさんが初めてうちに来た時に作ってくれたのが、お鍋だったよ。」
「へ?そ、なんですか!?」
「後、おにぎりも失敗した事がないって、一緒に沢山出されたな・・・。」
千秋先輩の叔父さんが笑いながら部屋に入ってきた。
「皆揃ったようね。じゃあ、ご飯にしましょうか?」
先輩のお母さんが、綺麗に切り揃えられた野菜等が盛り付けられている大皿を運んできた。
「あ、のだめ、お手伝いしマス・・・。」
「いいからお前は座ってろ。かえって邪魔。」
千秋先輩が黒いギャルソンエプロン姿で顔を出した。
それは意外と似合っていて・・・私はちょっと赤面してしまった。
41 :
「喪失」・69:2005/06/25(土) 12:28:20 ID:9kUR0cp/
「あ、真兄ちゃま。これなぁに?」
由衣子ちゃんが先輩が持ってきた料理を覗き込む。
「ブロッコリーとミレリーゲ??お鍋と・・・イタリアン??」
「・・・ほら!お前の好きな”呪文料理”!!」
先輩は私の前に、クリームソースの料理をドン!と置いた。
「ほわぁ〜おっきいマカロニ〜!美味しそーですネ!」
私が料理に見とれながらそう言うと、先輩は一瞬きょとんとした顔をし、それからふ、と笑った。
「・・・言う事は・・・やっぱり同じなんだな・・・。」
「え?」
「いや・・・なんでもない。そろそろ鍋、始めるか・・・。」
先輩がエプロンを取りながら席に着くと、皆各々の椅子に座った。
「しかし・・・やっぱり暑いな・・・。夏に水炊きは・・・。」
「え〜!今日はのだめちゃんの退院祝いなんだから、お父さんそんな事言っちゃダメ!」
由衣子ちゃんが先輩の叔父さんに甘えるように抗議する。
「ははは。そうだったな?由衣子、お父さんが取ってあげるぞ?何がいい?」
「父さん・・・。まず始めにのだめさんにとって上げないと・・・。ったく、自分の娘に弱いんだから。」
「あ・・・・・・ああ。そうだったな・・・。つい、私とした事が・・・。」
叔父さんは俊君の鋭い指摘に気恥ずかしそうに笑って、私に何がいいか?と聞いてくれた。
「え?いいんデスかー?じゃ、のだめ、しいたけとマロニーとネギと鶏肉と水菜とお豆腐と・・・。」
「のだめ・・・。鍋は沢山あるんだから、焦ンな・・・。」
千秋先輩が白ワインをあけながら呆れた様に零すと、みんながどっと笑った。
42 :
「喪失」・70:2005/06/25(土) 12:28:47 ID:9kUR0cp/
その後、夕御飯も和やかに進み・・・。
今はみんなで食後のデザートのオレンジババロア(先輩特製)を堪能していた。
そのデザートは果肉をくりぬいた後のオレンジを容器にして、すごく凝っている。
スプーンを入れると中は二層になっていて、上はオレンジのムース、下がババロアだった。
それを大きく掬い取り、口いっぱいにほおばると、
ムースのふわふわっとした所とババロアのプルプル感が絶妙なハーモニーを奏でていた。
千秋先輩は、とってもお料理上手みたいだ。
---それはとても美味しかったのだけど・・・。
私にはどうしても今、聞いておかなければいけない事があった。
・・・実は先輩のお家に入ってから、ずっとタイミングを見計っていたのだ。
とうとう私は、”その事”を切り出した。
「あの〜。つかぬ事をお聞きしますケド・・・。」
「なぁに?どうしたの、のだめちゃん・・・?」
「なんだ?何か言いたいことでもあンのか?」
暫く私がもじもじとためらっていると、千秋先輩が早く言うように促した。
「その・・・のだめって・・・千秋先輩の・・・彼女、なんですよネ?」
「げほげほげぼっがほっ!!!」
先輩は食べかけのババロアを喉につかえさせ、激しく咳き込んだ。
43 :
「喪失」・71:2005/06/25(土) 12:29:12 ID:9kUR0cp/
ちょ、ちょっと真兄!大丈夫・・・?」
「きゃ〜〜!由衣子も聞きたぁ〜い!真兄ちゃま、どうなのぉ〜?」
「げほげほっ!お前っ・・・こんな衆人環視の中で・・・するような話じゃねーだろっ・・・!」
「だって・・・。ただの先輩後輩なら、こんなに良くして貰えるハズないしっ!
千秋先輩、入院中毎日お見舞いに来てくれたし・・・その・・・やっぱりのだめの彼氏なのかなって・・・?」
「真一、ちゃんとのだめちゃんに説明してなかったの?」
「せ、説明って・・・。そんなモン・・・別に・・・。」
千秋先輩は顔を真っ赤にしながら、低く小さい声で呟いた。
「我が息子ながら、最低ね。のだめちゃん・・・ずっと分からないまま、ここへ連れて来ちゃったの?」
「普通分かるだろ・・・。」
「のだめちゃんは、真兄ちゃまの彼女でしょ!パリにまで連れて行ったくせに!」
「え、そうなんですカ?だからのだめ、パリに行ったんデスか・・・?」
「っな!!違うっ!!そのっ・・・ちゃんと、せ、正式に・・・付き合いだしたのは・・・パリに行ってからで・・・。」
「ほー!正式にとは、一体どのような定義でだ?真一、私にも分かる様に説明しなさい。」
「え〜〜!そんなの嘘だぁ〜!のだめちゃん、パリ留学までずっーとここで由衣子達と生活してたんだよ?
普通彼女じゃない人と、一つ屋根の下で暮らさないでしょ〜?」
竹叔父さんや由衣子ちゃんが、先輩をからかう様に質問攻めするので、先輩はついに怒った。
「だからっ!そーゆー事は、後で俺から直接のだめに話す!この話はっ!これで終わりっ!」
一方的に話を打ち切ると、千秋先輩はさっさと部屋から出て行ってしまった。
44 :
「喪失」・72:2005/06/25(土) 12:29:54 ID:9kUR0cp/
「ごめんなさいねぇ〜?のだめちゃん・・・。出来の悪い息子で・・・。」
先輩のお母さんが笑いを堪えながら、私に詫びた。
「ま、あれじゃない?あの頃の真兄とのだめさんの関係って・・・友達以上恋人未満?
僕から見ると、ずっとそんな感じだったけど。」
---友達以上恋人未満・・・?
「むむん・・・!つまりあ○ち充の漫画みたいな感じだったんデスね?のだめ、少し分かりましタ。」
俊彦君は私の言葉が理解出来なかったのか、は?と首を傾げていた。
食事が終わった皆が、各々自分の部屋に戻ろうとし始めるのを見て、私は由衣子ちゃんに小さく声を掛けた。
「由衣子ちゃん、由衣子ちゃん・・・チョト・・・。」
「なぁに?のだめちゃん。」
隅の方へ由衣子ちゃんを連れてくると、私はあるお願い事を話した。
「あの・・・のだめと一緒にお風呂に入ってくれませんか?出来れば・・・背中とか頭とか洗って欲しいんデス。
のだめ、まだ身体が痛くて、自分一人じゃ洗えなくて・・・。」
「モチロン!いいよ!じゃあ、今から由衣子と一緒に入ろっか!」
由衣子ちゃんは二つ返事で引き受けてくれたので、私達はバスルームで10分後に待ち合わせした。
45 :
「喪失」・73:2005/06/25(土) 12:30:25 ID:9kUR0cp/
先輩のお家はやっぱりお風呂(しかも大理石・・・)も大きかった・・・。
手足を伸ばしても届かない位、広々ゆったりとした湯船につかると、つい鼻歌が出てくる。
由衣子ちゃんに頭も身体も洗って貰った私は、すっかりいい気分になっていた。
「のだめちゃんの背中、紫色・・・。すごい痕だね・・・。」
由衣子ちゃんが消え入りそうな声で言い、そっと私の肩辺りを撫でた。
「ごめんね・・・。由衣子のせいで・・・。」
「あはは〜。痕はスゴイですけど、もう痛みはだいぶ取れたんですヨ?気にしないで下サイ!」
---由衣子ちゃんの表情が曇ったままなので、調子に乗って、私はもう一つお願いしてみた。
「お風呂からあがったら・・・。
のだめのココに湿布張って、それから包帯を巻いてもらっても・・・いいですかネ?」
”手が届かないんですヨ〜。”と笑いながら伝えると、
由衣子ちゃんはお湯の中をぬって、私の右横につつつ・・・と寄ってきた。
何だろうと思い、由衣子ちゃんの顔を覗き込むと、いたずら好きそうな瞳がくるくると煌いていた。
「え〜それならぁ〜・・・真兄ちゃまにやって貰ったら?」
「ぎゃぼっ!?」
「・・・うふふ、嘘だよのだめちゃん・・・。由衣子がちゃんとやってあげるから安心して?」
「・・・もう、由衣子ちゃん、のだめをからかわないで下サイ。」
---もうこれで、由衣子ちゃんが私に余り気を遣わなくなってくれればいいのだけど・・・。
そう思いながら、今はシャンプーをしている由衣子ちゃんをぼんやりと見ていた。
46 :
「喪失」・74:2005/06/25(土) 12:30:53 ID:9kUR0cp/
部屋へ戻るともう11時過ぎだった。
病院ではとっくに寝ていた時間だったので・・・とても眠い。
でも昨日は、夜中起きている所を、山口先生に見られてしまって・・・。
先生は私の事どう思っただろう・・・?変に気をまわしてなければいいのだけど・・・。
ベットに入ろうとすると、テーブルの上に置いてある、トイピアノに目が留まった。
さっきまで、確かここには何も無かったから・・・。
先輩のお母さんが運んできて、置いていってくれたのかもしれない。
---先輩から貰った、素敵なアンティークの黒のグランド型のトイピアノ・・・。
そういえば、千秋先輩と今日はあんまりお話してないな・・・そう思った瞬間。
部屋をトントン、と控えめにノックする音が聞こえた。
---誰だろう・・・?もしかして・・・千秋先輩?
期待を込めてドアを開けると、そこには由衣子ちゃんが枕を両腕で抱きしめて立っていた。
「どうしたんですか?由衣子ちゃん・・・?」
「今日・・・のだめちゃんと・・・一緒に寝てもいーい?」
「もちろんですヨ・・・。さぁ、中へどぞ〜。」
由衣子ちゃんを部屋へ招き入れると、二人でふかふかのベッドに潜り込んだ。
47 :
「喪失」・75:2005/06/25(土) 12:31:47 ID:9kUR0cp/
「前にも、由衣子とのだめちゃん・・・一緒にこうやって寝た事があるんだよ・・・?」
ベッドに入った瞬間、急に眠気が襲ってきた為、私は半分まどろみながら由衣子ちゃんの声を聴いていた。
「のだめちゃん・・・さっきはありがとね・・・由衣子が気を遣わない様に、わざと頼み事・・・。」
「・・・え〜・・・何のコト・・・です・・・か〜・・・。」
眠たい振りをして、由衣子ちゃんの告白を聴かなかった事にした。
「ううん・・・別にいいの・・・なんでもない・・・。」
そう言うと由衣子ちゃんは、私の背中に手を回し、胸元に頬を寄せてぎゅーっ・・・としがみついてきた。
「・・・由衣子がこうしても・・・背中・・・痛くない?」
「大丈夫ですヨ〜。ふふふ・・・由衣子ちゃん、どうしたんですか〜?」
「のだめちゃん・・・。」
「・・・ん〜?・・・」
「あのね・・・真兄ちゃまの事・・・早く・・・思い出してあげてね?・・・お願いだから・・・。」
「・・・ハイ・・・。」
私がそう返事をすると、由衣子ちゃんは安心したのか大きな欠伸を一つ零した。
「でも・・・ふふふ。・・・のだめちゃんの・・・って・・・あったか〜くて・・・ふかふか〜で・・・やわらか〜い・・・。
由衣子・・・真兄ちゃまの気持ち・・・少し分かっちゃ・・・った・・・。」
「・・・へ?」
私がそう聞き返した時には、胸に顔を埋める様にして由衣子ちゃんはもう眠ってしまっていた。
どこか甘い香りのする由衣子ちゃんを抱きしめながら、私もすぐに深い眠りに落ちていった。
48 :
「喪失」・76:2005/06/25(土) 12:32:18 ID:9kUR0cp/
朝、目覚めると、ベットにはすでに由衣子ちゃんの姿はなかった。
時計を見ると9時過ぎを指している。どうやら寝過ごしてしまったらしい。
病院に居た時は規則正しく起こされていたから・・・。
そんな事をうつらうつらと考えながら、ベットの中でしばらくまどろんでいると、
遠くから、ピアノ曲が流れてくるのに気がついた。
---この曲は・・・バッハ?
ベットから抜け出ると、私は急いで身支度をし、ピアノの音がする方向へ廊下を歩いていく。
自分のいた客間から真っ先に続く廊下の先へ出ると、
眼下に・・・吹き抜けのサロンの様な広い空間があり、グランドピアノが置いてあった。
千秋先輩はTシャツに短パン、というラフな格好のまま、ピアノに向かっていた。
「バッハの平均律クラヴィーアですネ?」
私はサロンに続く階段を下りながら、先輩に話しかけた。
「千秋先輩、おはよーございマス。」
先輩はピアノを弾くのを止め、私に振り返った。
私の顔をじっと見つめると、一瞬何か言いたげな顔をしたが、すぐにそれを隠すよう微笑した。
「・・・おはよ。よく寝れた?」
「えへへ・・・寝坊しちゃいましタ。由衣子ちゃんはもう学校ですか?」
「とっくにな。由衣子が言ってた。のだめ、すっげーよく寝てたって。」
「由衣子ちゃん・・・とっても抱き心地が良くて・・・。はうん。」
49 :
「喪失」・77:2005/06/25(土) 12:32:44 ID:9kUR0cp/
私が由衣子ちゃんの柔らかな身体を思い出し、うっとりとしていると、先輩は小さな声で呟いた。
「・・・変態。」
「むきゃー!!千秋先輩、今、のだめのこと”変態”って言いましたか!?言いましたよネ!?」
私が口を尖らせて抗議すると、先輩は少し困った様に首を傾げた。
「・・・・・・?」
先輩の反応に戸惑っていると、今度は何か諦めにも似た表情を浮かべ、私の頭をポンポンと軽く叩いた。
「朝ごはんは・・・?食べるだろ・・・?」
「あ、ハイ。千秋先輩はもう食べちゃいましたか?」
「ああ、俺はもう俊彦や由衣子達と一緒に済ませた。千代さんに頼んで用意して貰えよ。」
そう言うと先輩はまたピアノに向かってしまったので、私はダイニングルームの方へ一人で歩いていった。
「おはようございます。のだめさん、朝ごはんは?」
「あ、いただきマス。」
ダイニングテーブルには、シックな色使いのランチョンマットが、一人分だけ用意してある。
私がその前に座ると、千代さんが朝食を運んできてくれた。
目の前には・・・グリーンサラダ、グレープフルーツの入ったヨーグルト、空豆の冷製スープ。
「卵はどうしますか?スクランブル?それともオムレツ?」
「えと・・・じゃ、オムレツでお願いしマス・・・。」
50 :
「喪失」・78:2005/06/25(土) 12:33:24 ID:9kUR0cp/
・・・しばらくして千代さんが再びダイニングルームに戻ってくる。
今度は、手際よく仕上げたオムレツとボイルしたソーセージ、
そしてバターの甘い香りのするクロワッサンを私の前に並べた。
温かいカフェオレを私のカップに注ぐと、”さぁどうぞ”と千代さんは言った。
「い、いただきマス・・・。」
---どうしよう・・・。こんなに並べられるとは思っていなかったんだけどな・・・。
千代さんが部屋から出て行ったのを確認し、一人ごちる。
余り食欲が無かったから・・・本当はヨーグルト位でよかったのだ。
仕方がないので、もたもたとクロワッサンを細かくちぎって食べていると、
何時の間に来ていたのか・・・千秋先輩が私の左隣の椅子にどかっと腰をかけた。
「パンばっか食ってないで、ちゃんと、オムレツも食え!ほら。」
「ハイ・・・。」
「それからサラダも。スープも。」
「ハイ・・・。」
「カフェオレも冷めないうちに、飲む。」
「ハイ・・・。」
先輩が隣であれこれ指示を出すので、私は無理して、朝食を全部食べなくてはいけなくなった。
最後のヨーグルトを私が何とか食べ終わるのを見届けると、先輩は千代さんを呼んだ。
「千代さん。あれ二つ、お願いできる?」
「ええ大丈夫ですよ、真一さん。今すぐお持ちします。」
51 :
「喪失」・79:2005/06/25(土) 12:33:57 ID:9kUR0cp/
---あれって何だろう・・・?
そう私が疑問に思っている間に、千代さんは耐熱ガラスのティーポットとティーカップを二つ持ってきた。
ポットの中には黄緑色の色の液体・・・何やら葉っぱの様なモノが、何種類か沈んでいる。
先輩は食卓の一番奥にかかった壁時計で、そこから三分ほど経過したのを確認すると、
用意されたティーカップに茶漉しを使って丁寧にその液体を注ぎ、一つを私に、もう一方を自分の前に置いた。
「どうぞ。」
「ありがとうございマス・・・。千秋先輩、これ・・・何ですか?」
「フレッシュのハーブティーだ。・・・いい香りだろ?整腸作用があるから、飲め。」
「あ、頂きます・・・。」
先輩の淹れてくれたハーブティを口元に持っていくと、ほのかに林檎の様な甘い香りがした。
「あ・・・美味しいです・・・。」
「だろ?千代さん特製だ。お代わりもあるから。」
「も、お腹一杯デス。」
「だめ。ちゃんと食わないと身体・・・良くならないだろ。」
千秋先輩は照れ隠しなのか、ぷいと私から顔を逸らし、黙々とハーブティーを飲んでいた。
---もしかして千秋先輩、山口先生から聞いたのかも・・・。病院でご飯を沢山残しちゃった事・・・。
先輩が静かに見守る中。
私はそれに応えるように、淹れて貰ったハーブティーを、きちんと最後まで飲み終えた。
52 :
「喪失」・80:2005/06/25(土) 12:34:27 ID:9kUR0cp/
「のだめ。何かピアノ弾いて。」
先輩がそうリクエストするので、食後、私達は再びサロンに戻った。
「何がいいデスか・・・?リクエスト、ありますか?」
私がそう尋ねると、千秋先輩はしばらく逡巡した後、ためらいがちに口を開いた。
「ベートーベンのピアノソナタ・・・・・・”悲愴”」
「”悲愴”ですねー?谷岡センセとこの間やったばかりデス!」
私は椅子に腰掛けピアノに向かう。
そして一呼吸おいて、ピアノソナタ”悲愴”1楽章を弾き始めた。
先輩はグランドピアノに腕組みをしたまま凭れ掛かかり、私の演奏をじっと聴いている。
弾いている途中で先輩の方を見ると、先輩は目を閉じていて、何か瞑想に耽っている様にも見えた。
連続して速い所が続く後半、私は差し込むような激痛を、両肩に感じた。
「っっいっ!!!」
演奏が急に止んだので先輩は驚いて目を見開く。
ピアノの前で固まってしまった私を見るや否や、慌てて駆け寄った。
53 :
「喪失」・81:2005/06/25(土) 12:35:02 ID:9kUR0cp/
「どうした!?大丈夫かっ!?のだめ!」
ピアノから手が放れ、急激に痛みを感じたその時の姿勢のまま、
私は後から付随して襲ってくる疼痛をじっと堪える。
「・・・ごめんなサイ。最後まで弾けませんでした。打撲した所がまだチョト痛くて・・・。」
「この馬鹿っ!!だったら早く言え!!」
「久しぶりにちゃんと弾いたので、痛めた腕と肩に、変に力が入っちゃっただけデス・・・。」
「・・・・・・。」
「も、大丈夫ですヨ?」
「・・・無理やり弾かせて、ごめん・・・。」
小さな声で謝りながら、先輩は私を支えながら立ち上がらせる。
その時、私を見下ろす先輩と私の視線が交錯した。
先輩の瞳は哀しげに揺れていて・・・何だか捨てられた子犬のように泣いているみたいだった。
---どうしたんデスか?千秋先輩。のだめの悲愴、そんなに悲しかったですか?
そう言いかけた瞬間、ふわり、と先輩に抱きしめられた。
そして先輩は、息がかかるほど耳元で、私に囁く。
「・・・本当に・・・もう痛く・・・ないか?」
それは、私に触れるか触れないかの甘く優しい抱擁。
「・・・は・・・はい・・・。」
54 :
「喪失」・82:2005/06/25(土) 12:35:41 ID:9kUR0cp/
---急にこんな事をされると・・・。
---どう、反応したらいいか分からない・・・。
私が先輩の腕の中で俯いたまま、まごまごしていると、あっけなくその拘束は解かれた。
---え・・・?
展開についていけない私は、慌てて先輩を見上げる。
けれど先輩は、先程の抱擁が嘘だったかの様に、いつも通りの少し怒った様な表情に戻っていた。
「お前、適当に弾きすぎ・・・。相変わらずデタラメ!!」
「へ?」
「それじゃ・・・”悲愴”じゃなくて”悲惨”だろっ!!」
「ぎゃぼーーー!!」
「でも”悲愴”だけは・・・ちゃんと弾ける様に・・・ならなくていい。」
「はぁ?それって、ど、どーゆー意味デスか?」
「・・・そーゆー意味。」
「訳分かりまセン!んもぅ!最初に言った事とゼンゼン違うじゃないですかー!」
「・・・そう?」
「ムキーーー!千秋先輩、のだめの事バカにしてるんですか?」
「・・・ははは。」
千秋先輩は伏し目がちに笑うと、”そろそろ支度しないといけないから”と言って、自室へ戻っていった。
55 :
「喪失」・83:2005/06/25(土) 12:37:01 ID:9kUR0cp/
---今日の山口先生の診察の予約時間は、午後三時。
千秋先輩は午後からお仕事らしく、さっき、タクシーのお迎えを電話で頼んでいた。
由衣子ちゃんも俊君もまだ学校だし・・・
先輩が出かけちゃったら一人でこの家にいるのは・・・少し退屈かもしれない。
そうだ・・・少し家を早めに出て、昨日病院の子供達と約束した、ピアノを弾きに行こうかな・・・。
そんな事を考えながら、私はリビングで一人、テレビをぼーっと見ていた。
先輩が呼んだタクシーが来たらしく、先程から玄関の方が少し騒がしい。
私は先輩の見送りに行こうと、リビングソファから腰を上げた。
エントランスへつながる廊下を曲がると、そこには峰くんと先輩が立っていた。
「おっ!のだめ!いたいたー!どうだー?身体の具合はー?」
峰くんは私の顔を見つけると、嬉しそうに笑った。
「あ、おとといはお見舞いありがとうございましタ。のだめ、大分元気になりましたヨ〜。」
「おおーよかったよかった。しっかし、千秋の家、すっげーよなぁ・・・。」
峰くんはエントランスから先輩に家をぐるっと見回すと、溜め息をついた。
「しかもあのゴミ部屋にいた女が、今いるのがこんな豪邸だぜ?
のだめお前・・・実はすっげー成り上がり人生だなっ!!」
「・・・のだめの部屋・・・ゴミ部屋・・・?」
私の低い声の抗議を、峰くんは鮮やかに無視した。
「でもよー、のだめ。こんなデカイ家じゃさぁー・・千秋がいない時、暇してんじゃねぇ?」
「・・・峰くんよく分かりますネ。」
「へへへ。そう思って、今日はのだめにビックニュースがあるんだぜ?」
峰くんは茶目っ気たっぷりにウィンクした。
「ほえー!ビックニュース?何ですカ?」
「じゃーーーん!ほら、こっちこっち!」
峰くんが退くと、後ろから現れたのは・・・ショートカットの女性。
そこには、私にも見覚えのある、懐かしい人が立っていた。
56 :
「喪失」・84:2005/06/25(土) 12:37:31 ID:9kUR0cp/
「マ、マキちゃんっ!!!!」
「のだめっ!!!!」
私達はお互いにひしと抱きしめあった。
「マキちゃんじゃないですかーーーー!ヤダ!のだめの記憶の中よりずっと大人っぽくなってマスーーー!」
「のだめのバカーーー!木から落ちて記憶がないなんて、相変わらずオトボケなんだからーー!!」
マキちゃんは涙ぐんでいた。
それを見たら、今まで堪えてたせいもあって・・・
私は両瞼から大粒の涙が溢れ出すのを、もう止める事が出来なかった。
「でもよかったです・・・。はぅぅぅ・・・。
のだめ、やっと知ってる人に会えました・・・。マキちゃん、来てくれてホントにありがとーデス・・・。」
「うん・・・うん・・・。私も昨日、峰さんから電話貰った時は驚いたけど・・・
のだめが思ったより元気そうだったから、安心した・・・。」
「マキちゃん、今はどうしてるんデスかー?」
「今はピアノがあるラウンジでバイトしてるの。ジャズ・・・弾いてるんだー。
だって、あののだめがパリ留学しちゃうし?私も、やっぱり音楽が・・・ピアノが好きだから!」
「ふぉぉ!ジャズ!そでしたかー!
のだめは・・・えへ・・・忘れちゃった自分で言うのもなんですけど、ピアノ頑張ってる・・・みたいデスよ?」
「あはは!!何よソレ!のだめらしー!」
千秋先輩と峰くんが側にいるのも忘れ、私達はひとしきり、二人で盛り上がっていた。
57 :
「喪失」・85:2005/06/25(土) 12:38:03 ID:9kUR0cp/
「のだめ、よかったな・・・。」
ようやく再会の興奮から落ち着きを取り戻した頃、千秋先輩が私に優しく声を掛けた。
「俺、もう行くけど・・・ちゃんと病院、忘れずに行けよ?」
「ハイ!」
「それから・・・。俺、今夜はお世話になってる佐久間さんって人と食事する約束してるから、帰りは遅くなる。
待ってなくていいからな。お前はちゃんと晩飯食って、早く寝ろよ?わかったか?」
「・・・おい・・・千秋って・・・意外と過保護だな・・・?」
峰くんが私の耳元で囁いた。
「何、人の事コソコソ言ってんだ?」
「な、なんでもねぇーよ!じゃあ、オケ練遅れるからそろそろ行こうぜ!マキちゃん、のだめの事よろしくな!」
「今日は有難うございました、峰さん。」
マキちゃんがお礼を言うと”いいっていいって”と峰くんは照れたように手を振った。
「じゃ、ごゆっくり・・・。」
先輩はマキちゃんの横を通り過ぎながらそう言い、待たせてあるタクシーの方へ向かった。
「おい千秋っ!待てよっ!じゃっ!のだめまたなー!」
峰くんは慌てて千秋先輩の後姿を追いかけていった。
58 :
「喪失」・86:2005/06/25(土) 12:38:31 ID:9kUR0cp/
「千秋。お前・・・横浜から練習室のある東京まで、毎日タクシーで通うとは・・・久々に、ムカっときたぞ?」
さっきから無言で総譜のチェックをしている左横の千秋に、オレは軽口を叩いてみる。
ただそれは、会話の糸口を見つけたかっただけの、ちょっとしたモンだったんだけど・・・。
「・・・気に入らないなら、今すぐここで降りろ。」
「っな!お前・・・オレ、高速のこんな所で降ろされたら、オケ練、間に合わなくなっちゃうだろー?」
「だったら大人しく座ってろ。俺は、練習前の精神集中も兼ねて、この貴重な時間を金で買ってるんだ。
一緒に乗せて貰えただけでも、有難く思え。」
「分かったよ・・・。ったく、パリに行って少しは丸くなったかと思ったら、相変わらず俺様なんだからよぉ〜。」
千秋のヤツ・・・物凄く不機嫌だ。
付き合いが長いから、オレにもそれ位は分かる。
・・・最初は”あの鬼千秋が帰って来たー!”と思ったのだが・・・。
でも昨日の千秋は何かに苦悩してもがいている様な・・・ずっとそんな指揮をしていた。
千秋の練習パターンは、俺達に怒鳴りながらハードな指示を与えて・・・。
・・・まぁ、そこまではいつもの千秋だ。別に問題はない。
けれど昨日のコイツは・・・そうした後で必ず・・・最後に溜め息を零した。
---あの溜め息が・・・。
音楽の悩みとはまた違った・・・別の苦しみに支配されている証拠の様に、オレはあの時感じたんだ・・・。
59 :
「喪失」・87:2005/06/25(土) 12:38:59 ID:9kUR0cp/
---多分・・・いや、きっと・・・。
それはのだめが原因だ。
オレだけじゃない。事情の知ってる奴らはみんな、そう・・・考えていたと思う。
「・・・峰。」
「・・・あ?」
「気を遣わせて悪かったな・・・。」
千秋はバツが悪そうに総譜から顔を上げ、俺の方を向いた。
「マキちゃんを連れてきた事か?あれはのだめの為にオレがしたくてしたんだから、気にすんなよ?」
「いや・・・そうじゃなくて・・・。勿論、その事・・・もあるんだけど・・・。」
「なんだー?きひひ。オレがお前の迎えに来てやったのが、そんなに嬉しかったのかー?」
「・・・・・・・・・断じて違う。」
「アハハハハ!冗談だって!なんだよ〜ハッキリ言えよ・・・。らしくないぜー千秋?」
「・・・昨日のオケ練、あれは確かに俺もよくなかった。」
そう言うと千秋は情けなく俯いた。こいつのこんな様子を初めて目撃したオレは、しばし動揺した。
「自分の音楽を見失いかけてた・・・。理由はどうであれ、お前達を愚弄したのと同じ事だな・・・。」
すまなかった・・・。」
そう言って自嘲的に笑う千秋を何とかしてやりたくて、オレはつい叫んだ。
「しょうがねぇだろっ!のだめがあんな事になっちゃったんだから!お前のせーじゃねぇよ!」
「俺、やっぱり出てるか?音楽に・・・その事が・・・。」
「・・・・・・!!」
---やべぇー・・・。オレ、今自分で墓穴掘っちまった・・・。
60 :
「喪失」・88:2005/06/25(土) 12:39:23 ID:9kUR0cp/
「・・・やっぱりそうか。今日はそうならない様に自分をコントロールしないと・・・。」
千秋の最後の方の言葉は、むしろ独白のようだった。
おととい、のだめの病室でこいつが見せた表情。オレはあれが忘れられなかった・・・。
あんな暗い瞳をして沈み込んだ様に考え込む千秋を、オレは今まで一度も見た事なかった。
親友が苦しんでいる時に力になれない不甲斐ない俺だけど、でも何とかしてやりたい・・・。
オレは夢中で話し始めていた。
「なぁ・・・千秋。」
「・・・・・・ん?」
「もう一回・・・最初からはじめればいいじゃねぇーか・・・。」
「・・・・・・。」
「のだめをさ・・・もう一度、お前に惚れさせればいいじゃねーか。自信あンだろ・・・?」
「・・・・・・。」
千秋は相変わらず黙ったままだったが、オレは構わず話し続けた。
「さっき・・・のだめとマキちゃんが盛り上がってた時さ・・・
お前、ものすごく切なそうにのだめの事、見てただろ・・・?あれ見て、オレも苦しくなった・・・。」
---恋人は、自分を忘れても、女友達は憶えているという残酷な現実。
61 :
「喪失」・89:2005/06/25(土) 12:40:56 ID:9kUR0cp/
「千秋はエライよな・・・。自分の感情押し殺して、のだめに普通に接してやってさ・・・。
オレ・・・清良に同じ事が起こったら・・・お前みたいに冷静でいられなくて、多分もっと混乱して、
みっともなく清良に当り散らすと思う・・・。」
「・・・そうかな。お前の方が俺なんかよりも、もっと上手く・・・包み込んでやれると思うけどな・・・。」
「なぁ、千秋・・・。好きなんだろ?のだめの事。」
「・・・・・・まぁ、な。」
「だったら、話は早いじゃねーか!もう一度最初からはじめたって、大事なのは二人の気持ちだろ・・・?」
「・・・・・・。」
「なぁ、大丈夫だって!のだめ、お前のことすぐに好きになるから!だって、相手はあの千秋真一なんだぜ?」
「・・・峰。」
「何だ?」
千秋は唐突にオレの言葉を遮った。
「・・・この話は・・・もう止めよう。」
そう言うと窓際に肘をつき、頬杖ついた姿勢で、俺から顔を背けた。
「ごめん・・・俺・・・ちょっと寝るから。もう、話しかけるな・・・。」
思いも寄らぬほど千秋の強い拒絶の態度に、オレはそれっきり何も言えなくなった。
結局その日オレは千秋と、それきり会話を交わすことも無かった。
62 :
ショコラ:2005/06/25(土) 12:42:11 ID:9kUR0cp/
この辺で一区切りします。切れ切れで本当ごめんなさい。
私事で申し訳ありませんが・・・人足不足で明日急遽ユンロン圏に行くことになりました。
それまで小休止させて下さい。誠に申し訳ありません。
帰国は七夕あたりですが・・・。
飛行機が落ちなければ(ひぃぃ〜!!@千秋)その頃またお会いしたいと思います。
(ホテルで推敲作業に邁進致します。)
63 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 13:13:58 ID:XWwp5G0J
読みましたよ〜続きまってます。ご無事で帰ってきてくださいね!
゚・゚(つД`)゚・゚せつねぇだ!
ショコラ様GJですた。
お仕事頑張ってください。
お体お大事にしてくださいませ。
ショコラさんすっごくGJ!です!!
せつなくて胸が締め付けられました。
続き、楽しみに待っていますので、焦らずゆっくり仕上げて下さいね!
66 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 22:24:34 ID:5WSenIK8
GJ
のだめがもう一度恋するっていいですね!
ときめきます。
3つめ上げ
お疲れ様です!
お仕事頑張って下さい。続き、気長にずっとずっと待ってマスので…!!
69 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 23:37:05 ID:WMlpfbja
誰か降臨期待あげ
70 :
茨の海 1:2005/06/29(水) 17:12:27 ID:YFLr30Jd
首筋を伝う舌に 初めのうちはくすぐったくて 身を捩じらせていた
腰に回った腕は そんな私の身体を逃げ場の無いように 追い詰めて
頭を支えていた左手が いつの間にか 背中に到達し
ワンピースが 床に サラリ 落ちる
この瞬間に見せる 彼の瞳の奥にある 影 が好き
覗き込むようにして そのまま 軽く 唇を合わせると
すぐさま 飲み込まれてしまうのではないかと思う程の 深い 深い 口付けが
平衡感覚を失い そのまま二人して宙に身を投げ出せば 遠くからスプリングの軋む 音
やわらかに受け止められて やがて 同じ体温になる
そのころには 辺りに響くのは密やかな笑い声ではなく
寄せては 返し 引いては 満ちる
熱 鳴き声 息 落ちる汗 涙 溢れる感情 秒針 心臓の 音
71 :
茨の海 2:2005/06/29(水) 17:13:17 ID:YFLr30Jd
「んっ……ぁ、や……っ……!」
「……我慢、すん…な、声……聞かせて?」
目尻にうっすらと滲む水の玉に口を寄せ、優しく吸う。
うらはらに激しさを増す男の動きに、握り締めたシーツももはや効果はなく。
「んぁ、はっ……ふ、ぅん……っぁあ、ああっ!」
声が、漏れる。
額にぴたりと張り付いた髪をいとおしげに掻きあげる手は、かすかに震え。
そのまま一回り大きな手に包み込まれてしまった。
頭が重く、そのくせフワフワと浮かんでいくような感覚の中、繋いだ指先に力を込め。
その刻を声にならない声で伝える。
「あ……っ、も、も……だ、め……っんんっ!」
「オレ……も、いい……?」
叫び声を高らかに歌い上げようとその喉は開き、しかし全ては暗闇にかき消され。
せめて空を掴もうとその両腕は天に向かって伸び、しかし程なくマットの上に落ちた。
72 :
茨の海 3:2005/06/29(水) 17:14:07 ID:YFLr30Jd
トクン トクン といつもより速いリズムで打つ鼓動を聞きながら
身体に残された熱がすうっと冷めていくのを感じるのが心地いい。
顔を寄せるその逞しい胸板に指を滑らせながら、恵はクスクスと笑った。
「何がおかしい?」
彼女の栗色の髪を梳いていた手を止め、真一は途端に表情を曇らせる。
「だって、のだめ明日早いからダメだって言ったのに」
「……イヤだったワケ?」
憮然とした声にますます笑い声を大きくしながら、恵は身体を起こし、彼の頭を挟む
ように両手をついて、上から見下ろす姿勢をとる。
「イヤでした♪」
その挑発する色素の薄い瞳に、真一はニヤリと笑いながら彼女の右手首を掴み、
そのまま身体を引き寄せてゴロリとベッドの上を転がった。
73 :
茨の海 4:2005/06/29(水) 17:14:51 ID:YFLr30Jd
「ウソつけ」
「ウソじゃないデス〜」
再び組み敷かれる形になってもいたずらっ子のような表情を変えずにうそぶく恵に、
真一もそうかそれならと彼女の両腕を彼女の頭の上で固定し、
空いた手で無防備なわき腹をくすぐる。
「わひゃっ!? ずずずずるいデスってばそんなうひゃひゃヤメテー」
「もう一度聞くぞー。イヤだった?」
ニヤニヤ笑いにムカつきながらもその容赦ない攻撃に恵は素直に降参した。
「あはっひっ、そ、そんなワケないじゃ……っない、ですかっ!」
「ふーん。じゃ、どーだった?」
「そ、んなコト、ギャハッ、わ、わかってるクセに――」
笑い声が息を呑む音に変わったのは、未だ何も纏わずにさらけ出された胸元に
真一の唇が寄せられたからだった。
74 :
茨の海 5:2005/06/29(水) 17:15:36 ID:YFLr30Jd
「ああ。知ってるよ」
そう言って彼は冷めていた身体にもう一度熱をともす。
寄せては 返し 引いては 満ちる
まるで夜の海のようだと、恵は遠のく意識の中で、思う。
甘い棘のある波にさらわれ、身体にいくつもの傷が付いて。
その完全に消えることのないささやかな痺れは、こんなにも私を翻弄する。
End(?)
静かだったので投下してみました。
いちゃついているだけの短い文でごめんなさい。
それでは。
76 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 19:11:27 ID:9UL/fcV8
よい!これくらいの長さいいですね!
77 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 19:28:30 ID:JuPGn0Ke
GJ---
萌え。
のだめいいなーーー千秋いい!
キタ━━(゚∀゚)━━!!
満たされますた。
GJ!
萌えましたよ!
文章が綺麗ですね。
またの投下をお待ちしていますね!
80 :
流星群 1:2005/06/30(木) 14:09:47 ID:98U8+udr
不意に流れてきた ピアノの 音 は 偶然には違いなく
それでも ただ
哀しい 哀しい 哀しい
重なる雨音は 曇った窓ガラスから さやさや 頼りなく 限りなく
優しい
その温かな贈り物を 全身で受け止めたい 衝動 は もはや止められずに
自分でも説明のつかない 感情 を 曖昧にするために 誤魔化すために
独り 外へ
呼ぶ声は 蔦のように全身に絡みつくけれども
これは 幻想だと 幻想だと
落ちてくるのが 星 であれば 空に光を見ることも無く
頬に伝うのが 雨 であるなら 悲鳴を闇夜に耐えること無く
81 :
流星群 2:2005/06/30(木) 14:10:23 ID:98U8+udr
「……先輩?」
距離を感じる微かな呼び声に安堵して、しかし真一は振り向かない。
今は触れないでくれと言う背中に、しかし恵はゆっくりと近づき手を伸ばす。
指先の柔らかな誘いに、びくりと肩を震わせその大きな手で顔を覆う。
そんな彼の様子に、彼女は静かに溜息を落とす。
「これなら、いいですか?」
やがて訪れたしっとりと生暖かい重みに、真一は無言で答え。
恵は彼に背を預けたまま、両の手で雨を掬う仕草をした。
彼は零れ落ちるものを拾えない自分を呪い。
彼女は零れ落ちたものを掬い上げたいと願った。
「のだめは、もう、大丈夫ですヨ」
だから。
今は顔を上げられなくていい。背中を向けたままでいい。太陽を憎んでもいいから。
この場所に飽きたら、あの部屋で。
これ以上望むものなど無い位に繋いでほしい。
82 :
流星群 3:2005/06/30(木) 14:11:08 ID:98U8+udr
濡れて冷たくなった身体をシャワーで暖めている間にも。
絶え間なく響くピアノの調べ。
それはやはり、ただ哀しいという声にしか真一の耳に届かず。
耳を、塞ぐ。
しかし、その前に不可思議な一音がその耳を捉え。
手の動きが、止まる。
先程まで自分を守っていた水音が、もはや単なる雑音に変わり。
真一はシャワーを止め、やけに緩慢な時の中、バスローブを羽織り。
リビングへ続く扉をそっと開けた。
ピアノに向かう恵はその瞳の淵を赤くしながらも、うっすらと微笑を浮かべ。
彼女が紡ぎ出す音色は、真一の中に溢れるものへと響いた。
83 :
流星群 4:2005/06/30(木) 14:11:44 ID:98U8+udr
「あは。また先輩泣かせちゃいマシタ」
「……うるせ、バカ」
おまえだって泣いてんじゃねーかとその目尻に触れると。
恵はくすぐったそうにしながらゆっくりと瞳を閉じる。
唇を重ねた後、彼女は涙を湛えたまま悲しいんじゃないですと笑った。
頬の筋肉が上がり、水滴となって床に落ちる。
「アリガトウ、なんです」
「それ、わかる気がする」
真一は正面から彼女を抱きしめる。温もりが心に届く。
「……オレ、おまえに会えてよかった」
本当に、本当に、心からそう思うから。
奇跡など無くていい。無力でもいい。醜くてもいいから。
孤独ではない、あの部屋で。
これ以上望むものなど無い位に繋ぎたい。
84 :
流星群 5:2005/06/30(木) 14:12:21 ID:98U8+udr
いつの間にか雨は止んで、聞こえるのは甘やかな息遣い。
月明かりに青く映える肌にその長い指を滑らせると。
身体の振動に合わせて髪がサラサラ揺れ、夜の闇に薫る。
柔らかな胸に手を伸ばし、その頂を舌で擽れば高らかな鳴き声。
彼女の中は温かく湿り、彼はもっと、もっとと奥へ入っていく。
「あ、あぁ……っん、は……も、ぅだ……っ」
「ま、だ……ダメ」
こんなにも執拗に求める真一の姿は珍しくて。
恵は快楽の波に閉じられた眼を無理やり開けて彼の顔を覗うと。
なんて、キレイな。
視線が交わり、真一は優しく微笑む。
そしてもう一度囁くように言うのだった。
85 :
流星群 6:2005/06/30(木) 14:13:05 ID:98U8+udr
「おまえに、会えてよかった」
私もと言う言葉はやはり声にならず、代わりに恵は背に回した手に想いを込めた。
落ちてくるのが 星 であれば 空に光を見ることも無く
けれども輝くものはここにあると、真一は恋人を腕の中に抱きながら思う。
失くしたものの大きさは、今は量ることができない。
それでもアリガトウという言葉を与えてくれる人が側にいてくれたことこそ、奇跡だと。
End
連続投下ですみません。
思いついたので書いてみました。
題名を見ると元ネタがわかってしまうSSです。
レスありがとうございました。
わかりにくい内容ですが、それぞれ脳内補完していただくということで。
それでは。
GJ!
連続投下お疲れ様です。
すごく文章が綺麗で萌えましたよ♪
せつなくて甘くてよかったです。
またの投下、ぜひぜひお待ちしていますね!
「文章が綺麗」と言われると、テレますね。
読んでくださってありがとうございます。
本当はこの2つのお話は、とてつもなく長いSSのプロローグとエピローグの
一部を少し直したものなんです。
構成が似ているのもそのためです。
二人が失くしたものが何なのか、わからないままでもわりとイケルかなと
思って投下したのですが、楽しんでいただけたようでよかったです。
それでは、また機会があれば投下したいと思います。
ぜひぜひ!お待ちしていますね!
神降臨待ち
神じゃなくてスマンけど...前にもあった のだめ一人エッチ+チアキ調教付き? 書いてみましたです
「えと……こう…カナ」
……?
暗闇の中、ささやき声のような、かすかな小さな声がする。
「んっ……ぁっ…う、ふぅ…」
隣に寝ているのだめが、こちらに背を向けて、何か しているらしい。なんだ?
「…うぅ、ンっ……」 ピチャッ ピチャ ピチャ・・・
エ…… もしかして
指揮者は 立ち仕事だから、職業病のようなもので、鍛えてるオレでも たまに腰をやられる。
演奏旅行から帰ってきた今日は、湿度のせいか気圧のせいか 特に痛んで、
痛み止めを飲んでもおさまらず、歩くのさえ辛かった。
久しぶりに逢う のだめと夕飯を食い、なるべく動かないようにシャワーを浴びて、
早々にベッドに入った。
ベッドはキングサイズだから、2人で寝るにはゆったりだけれど、
のだめからの わずかな振動は伝わって来る。
何をしているのか すぐに察しがついたが、こんなのだめを見るのはもちろん初めてだから、
ものすごく胸がドキンと鳴った。
ひどく嬉しいような、秘密を見てしまって悪いような、複雑な気持ち。
気づかれないように息をころして、そっと様子をうかがう。
「ん、んっ…ぁふ……。 うーん…もうチョット…なんデスけどね……ダメだ…ヤッパリ」
「……イケないのか?」
「ぎゃぼ!!! 起きてたんですかっ」
「起きた…。 イイ声、聞こえたから」
「(赤面)だって…! センパイ、いつものだめのことすっごく…ヨクしてくれるから、
どんなふうに…したら、…なるのカナ…って……」
「ゴメンな、オレ今日、してやれないから…だろ?」
「(ますます赤面)……ハイ…センパイに、して、欲しかったデス…」
「してやるよ」
「え? でも、腰が…」
オレは、手を伸ばして枕元の小さい灯りをつけた。
痛まない程度に少し身体を起こして、隣ののだめを見ると、ネグリジェはもう はだけて、
豊かな乳房がぽろんと見えていて、桃色の乳首も双方 ぴんと立ち上がっている。
「おまえ…いつのまに、こんな」
「え、ヤ…! 今日、はじめて…デスよ! だって しばらく逢えなくて、やっと今日逢えて、
センパイにいっぱい可愛がってもらいたかったンですヨ…」
「そっか…」
「もぅ…ムラムラのもんもんで、ウズウズして……眠れなく…なっちゃってぇ……」
訴える声が、だんだん消えそうに小さくなってる。 こいつ、可愛い…。
「よし。ほら、こっち向いて」
のだめは素直にオレの方に身体を向けてきたから、オレと向かい合わせになった。
「ちょっと上にずれて?」
言葉どおりのだめが上方にずれると、豊満なおっぱいが顔の前に来た。オレはそれに顔をうずめた。
「んはーー… きもちいー…」
「センパイ…」
舌と、指先で、のだめの乳首を刺激する。手の平で、ボリュームのある ふくらみを揉んでゆく。
「あ、あぁッ…」
さっき のだめが自ら触れていた部分に指をのばすと。
「わ…すごいな、ぐちょぐちょだ…」
「もう… 真一くん、イヤ…」
「取るよ?」
「ハイ…」
のだめの両腰のリボンをほどき、レースがたっぷりついたのだめの下着を取り去った。
オレが帰って来る日だったから、おしゃれな下着を付けていたんだろう。
でも、もう、濡れてぐしょぐしょだ。
オレはのだめの乳首を舐め、左手2本の指で乳首をいじり、右手の指でクリトリスを激しく刺激する。
「あ…はぁん…あぅ……気持ち、いー…デス……」
「ほら、のだめ、ココ…。後ろから 自分で、指、挿れて。」
いつもオレ自身が入り込む、のだめの熱い入り口の位置を、中指で教える。
「ひっ、やぁぁあん」
「ココ……おまえのなかで一番、濡れてるトコ。感じるトコ…。さ、挿れて…」
感じてきたのだめの右手をとって、彼女のお尻をなでさせてから、薄暗い秘所へと誘導する。
言われたとおりに右手をお尻側へ伸ばした のだめは
オレの愛撫に感じてキュっと締めた自らの蜜壷に、後ろから 自分の中指を少しずつ沈めた。
「うぅーっ、あはぁあ!」
多分、自分の指を自分のアソコに挿れるなんて、初めてなんだろう。
でも、オレの愛撫でとろとろになった身体が、自分の指をぎゅうっと締め付けて、動かせ、と命令してる…
「……あっ、はぁっ…あぁーーー」
オレは、そんなのだめの痴態を見て いたく興奮し、満足した。
ほんの数ヶ月まえに、この世界を知ったばかりなのにーーーこの痴態…。
オレだって、ヤラシイの、キライじゃない。むしろ…はまりそう。この女、最高だ。
「嬉しいよ、のだめ…」
そう言って、大好きなのだめのオッパイに、強く、キスの痕をつける。
腰が痛くて身体を動かせないから、ずっとこの体勢のままで、大好物の双丘を、思う存分楽しめる。
のだめはイクのに夢中だから、おっぱい星人〜、とか、からかってこないし。
これって、いいかも……。
わざと大きく、チュパッ と音を立てて乳首を吸って、下方の指も、いやらしい水音が立つように動かす。
中指をクリトリスに当てたままで、オレは薬指と小指を動かし、
のだめが自ら挿れている指のようすを確かめるように、のだめの手に絡める。
知らないうちにのだめは、自分から指を2本も突っ込んで、激しく、ズブ、ズブ、と動かしていた。
こんな恥ずかしい行為を確認されてしまった興奮からか、のだめの頭はのけぞって、白い喉は光り、
喘ぎ声はいっそう高く、大きくなる。
「…いけそうか?」 先端を舐めながら訊くと、
「あ、ん、イクぅ…! ちあきセ、ンパイぃ……のだめ…、イッちゃう…んはああっ……!!」
のだめの腰が前後に動いて、びくびくっと振動した。
紅潮した顔。はぁはぁと、激しい息づかい。
柔らかいおっぱいの奥から、ドクンドクンと激しい鼓動が聞こえてる。
「っはぁっはぁっ、はあ……はうぅ………」
「……」
紅潮し 汗ばんだ のだめの顔に手を伸ばして、張り付いた髪を外してやる。
のだめは目を閉じたまま、オレの髪に顔をうずめてきた。
「…あぁ、もぅ…ハズカシ……!」
「ばーか。今更、なんだよ」
「……今度は、真一クンの番デスヨ…」
のだめはオレに口づけると、オレをゆっくり仰向けにして、足許へと下りていった。
(終)
おぉ!ちょっと見てないうちに新しい神が!!
GJです。エロ具合がイイ☆
GJです。「今度は真一クンの番」というぐらいなので、続きもお願いします!
ふぉぉ〜☆いつの間にか神が!GJデス〜!
GJ!
でも指揮者が立ちっ放しなのは本番公演2時間が関の山で
練習やリハは大抵何かに腰掛けてるような…
101 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 10:16:13 ID:Jcb4QdV0
アンブレ〜ラ〜!GJ!!
おもエロいね
楽しく読めるよ
お疲れ様
ショコラ様まだかな〜
そろそろショコラさんのお帰りでしょうか?
お待ちしておりますー。
105 :
ショコラ:2005/07/09(土) 21:51:24 ID:3M6I/GYE
こんばんわー。ご無沙汰しました。帰国が遅れまして、本日、何とか生還致しました。
出国前に私の健康をご配慮を頂きました皆様、
また待っていて下さった方もいらした様で、とても感謝の気持ちで一杯です。
かなり浦島太郎状態ですが、のだめ?編を全部投下させて頂きます。
先輩と峰くんが出掛けてしまった後、
私達はリビングで、私の記憶のある話題でしばらくの間また盛り上がっていた。
でもそれは主に、私がいかにマキちゃんのお弁当を盗み食いしていたか、だったのだけど・・・。
それでもマキちゃんはその事を、ひどく楽しそうに笑いながら話すので。
私はその顔を見ているだけでも、とても幸せな気持ちになっていた。
---久しぶりに、こんなに沢山笑った気がする・・・。
千代さんが淹れてくれた、ハーブティもとっても美味しくて・・・
ついつい時間が経つのを忘れて話し込んでしまった。
ふと気が付いて、リビングの時計に視線をやると、時計の針はもう二時過ぎを指していた。
「あ、マキちゃん。のだめ、3時から病院の予約があるので、そろそろ出掛けないといけないんデス。」
ためらいながら私がそう告げると、マキちゃんはすごく残念そうな顔をした。
「・・・じゃあ、のだめの病院前まで送るよー。確か駅前の方向だったでしょ?
のだめ送ったら、それからわたし、このまま仕事に行くから。」
「そですか〜?いいんですか〜?じゃあ、一緒に行きましょう!!」
マキちゃんにしばらく待って貰って用意をすると、私達は千代さんが呼んでくれたタクシーに乗り込んだ。
「さっきの千秋さまもタクシーだったけど・・・。のだめ、あんたいい生活してるねー!!」
「ほえー?でも、お金持ちなのは千秋先輩で、のだめじゃないデス!」
「そうだけど・・・。大学時代、のだめが千秋さまに、始終纏わり付いていたのは知っていたけどさー・・・。
でもまさか本当に、あんたが千秋さまを陥落させるとは思わなかったわ・・・。」
マキちゃんはくくく、と何か思い出し笑いをしていた。
「そういえば、のだめが千秋さまを拾ったって話、あったなぁ〜。
それからレイナとも言ってたのよ。”のだめ、おそるべし”ってね。ぷはははは。やっぱ、あんたすごいよ!」
「ひどいですヨ〜!のだめ、化けモンじゃありまセン!!」
「くくくく・・・。ごめんごめん。
でもさ・・・のだめがちゃんと千秋さまに大事にされてるみたいで・・・
女友達としてはそういうの見るの少し寂しいけど・・・でもやっぱ、嬉しいもんだよ?」
さっきまで笑いすぎて涙まで流していたマキちゃんが、ふと急に真顔になるとこちらに顔を向けた。
そしてマキちゃんは自分の右手で、上から包み込む様に私の左手をぎゅっと握り締めた。
「ねぇ、のだめ。」
「ハイ?」
「大事にされてるんだから・・・”その手”を離しちゃダメよ・・・?」
「・・・は?”その手”・・・デスか?」
「うん。”その手”・・・。」
---”その手”って・・・・・・何?
「え?その手?どの手?・・・・・・こ、この手?」
私がそう言って自分の両手を見ながら首を捻っていると、マキちゃんは”そのうち分かるよ”とだけ言った。
「むーーー!マキちゃん意地悪、デス!のだめにもちゃんと分かる様に言って下さい!」
「だーめ。自分でちゃんと考えんの!みんなの王子様だった千秋さまを独り占めしたバツよ!ふーんだっ!」
「がぼん・・・。」
「そうだ!・・のだめ、明日暇??」
話についていけない私をさっさと置き去りにして、マキちゃんは急に話題を変えた。
「えと・・・。多分午前中に病院行ったら、午後は空いていると思いますケド?」
明日は午前中に予約した整形外科に行ったら、ついでに山口先生に顔を見せて・・・と思ってたから。
だからその後は、特に予定はなかったはずだ。
「ホント?じゃあさー午後から空けといてよ!
ほら、のだめの好きなプリごろ太の恒例の夏の映画!明日から公開なのよ!」
「むきゃーーーー!!プリごろ太っーーー!!それっ!!ほ、ほんとデスかっ!?」
私が鼻息荒くマキちゃんにかぶりつくと、マキちゃんはあきれた顔をした。
「本当に好きなんだ・・・。」
「行きマス!!行きマス!!!むきゃーーー!ごろ太ぁーーー!!カズオぉーーー!!」
「分かった、分かったから・・・。
のだめ、いい歳した女がタクシーの中でこっぱずかしいから少し落ち着きなさいよ・・・。
レイナも明日仕事休みだって言うし、三人でさー見に行こ!その後久々に夕食でも一緒しない?」
「もきゃーーー!!しマス!!しマス!!一緒にごはんーー!!」
「じゃあさ、のだめにわたしの携帯の番号教えておくから。詳しい待ち合わせとかは後で連絡する!
あ、のだめも携帯持ってるなら、番号教えてよ。」
「え、のだめの携帯ですカ?・・・持ってたかな?」
私はその時になって初めて、自分のお出かけバックの中をごそごそと見回した。
客間に置いてあった自分の荷物の中から引っ張り出してきたまま、それまでじっくり中を見ていなかったのだ。
「あ、ありマス、ありマス。きゃっほーー!のだめも携帯持ってましターー!!」
「のだめ・・・。携帯持ってるコトまで、忘れてんのね・・・。」
「あはは〜・・・。」
テントウ虫のブローチの付いたミニバックの底から、折り畳み式の携帯を取り出すと、パチンと開いた。
・・・しかしディスプレイは真っ暗なままだ。
試しに電源キーを長押ししてみたが、一向に電源が入る気配がない。
「ぎゃぼ?電池が切れて・・・電源が・・・入りまセン??」
「そりゃー携帯の存在すら憶えてなかったんだから、充電切れしてるだろうね・・・。」
「はぅぅぅ・・・。のだめの番号、教えられないデス・・・。」
「まぁ後で充電してから、わたしの携帯に連絡してくれればいいから。」
「ハイ・・・。そうしますネ。」
その時、タクシーが病院のエントランスに滑り込むようにつけると、左側の扉がすっと開いた。
初老の運転手さんが振り向いて、私達に声を掛ける。
「お客様、着きましたよ?」
「あ、のだめ着いたよ。ちょっと待って、わたしが先に降りるから。」
先にマキちゃんが降りると、私に手を差し伸べてくれた。
「ほら。つかまって?身体痛くない?」
「ありがとーデス!大丈夫ですヨ〜。」
マキちゃんにつかまりながら私もタクシーを降りる。
「じゃあ、のだめ、また明日ね?」
「ハイ!絶対、絶〜〜対っ連絡しますカラっ!!」
「くくく。わかったわかった。待ってるから。」
再度涙目になりながらマキちゃんは笑うと、再びタクシーに乗り込んだ。
それを見た私は、慌てて運転手さんに千代さんから貰ったチケットを差し出した。
「あ、タクシーの運転手さん。このチケットで。駅までこのまま行ってくだサイ!」
「え、のだめいいよー。わたしここから自分で払うよ?」
「いいんですヨ〜!どうせのだめのお金じゃないんですからぁー!
こ・れ・は、千秋先輩のおごりデス!!むきゃ。」
「・・・のだめあんたって。」
「ほえー?何ですカ?」
「いや、何でもない。じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうー千秋さまー。」
「明日楽しみにしてマス!!」
バタン!とタクシーが左側の扉を閉めると、再び音も静かにゆっくりと走り出した。
マキちゃんはすぐに後ろを振り向いて笑顔を見せると、ゆっくりと”ま・た・ね!”と口を動かした。
私はそれを見て頷き、同じように口を動かして”ま・た・ね!”と言いながら手を振った。
それから車中から振り向いて手を振るマキちゃんの姿を捉えられなくなるまで、
私はエントランスにとどまって手を振り続けた。
2時45分、ちょうど15分前に山口先生の診察室の前に着いた。
診察室前のソファに腰をかけて順番を待っていると、私より少し年上位の若い看護士が近づいてきた。
「野田・・・恵さん?」
「ハイ。そですけど?」
若い看護士はほっとした表情を見せると、にっこり笑った。
「良かった・・・!私、救急の時のあなたの担当だった者です。」
「あ、そなんですか?その節はお世話になりましタ!」
私はぺこりと頭を下げた。
「いえいえ、大事に至らなくて本当に良かったですね。体の方はもう大丈夫ですか?」
「ハイ。大分良くなりました。ありがとうございマス。」
「くれぐれもお大事になさって下さいね。今日ここに来たのは、実は・・・。」
そう言うと彼女は、ナース服のポケットから透明なジップの付いたビニル袋を取り出すと、私に差し出した。
袋の白く書き込める部分に目をやると、救急の日付と野田恵様、と私の名前がサインペンで書き込んであった。
「・・・これ。」
「ごめんなさい。あなたがこちらに運ばれてきた時に、身に着けていらしたネックレスです。
金属だから検査前に、外させてもらったんです。」
看護士さんは申し訳なさそうに続けた。
「その後の私の引継ぎがよくなくて・・・これだけそのままずっと救急でお預かりしたままになっていたんです。
大切な貴重品だったのでしょう?本当に申し訳ありませんでした。」
彼女は深く腰を折りながら、私に何度も謝る。
袋の中には・・・赤いハート型の宝石が付いたネックレスが丁寧に入れてあった。
「ネックレス・・・。」
「とても可愛いデザインですね!それ、若い女性に人気のブランドですよね?ご自分で買われたんですか?」
「いえ・・・。違いマス・・・。」
「そうですよね〜!やっぱり彼氏からのプレゼント、ですよね〜?素敵!いいなぁ〜。」
「・・・・・・。」
ネックレスをじっと見ている私をひとしきり羨ましがると、
看護士さんは再度、何度も謝罪の言葉を口にして帰って行った。
---かわいー・・・。
---ハートのルビーだー。
華奢な鎖の間から、ハートモチーフの紅い宝石が煌めくように覗いている。
・・・まだ、予約時間まで10分ある。
私はそれを袋から取り出すと、トイレの方向へ急いで足を向けた。
トイレに入ると、私は一番奥にある洗面台の前に立った。
ちょっとためらった後・・・思い切ってそのネックレスを付けてみる。
するとちょうど私の喉の少し窪んだ所に、まるで最初からそこにあったかの様に・・・
ハート型のルビーはちょこん、と収まった。
「きれー・・・。キラキラ、してマス・・・。」
ふと、ネックレスを巻いた喉元だけでなく、ネックレスをした自分自身を見ようと鏡の中の視線を上げた。
---ズキン・・・と胸が痛んだ。
そこにいたのは・・・私の知らない私だった。
・・・しばらくの間、上手く呼吸が出来なかった。
鏡の中には・・・見たこともない位変な顔をした、自分がうつっている。
何故だか分からないけど・・・こうしている事が、もの凄く罪悪・・・のような気がした。
そう思った途端、急に目がチクチクしてきて、更にみぞおちの辺りがキリキリ痛くなってくる。
私は震える手で、慌ててネックレスを外した。
そしてそれを、自分の手のひらの上に乗せ、じっと見た。
一目見ただけでも、可憐さの中にも洗練されたデザインが目を惹くネックレス・・・。
若い女性に人気のブランド・・・とさっきの看護士さんが言っていたように、
高価な品である事は、私にでもすぐに分かった。
漫画ばっかり買っていつも金欠で、まだ学生の自分がこの様な物を、自分で購入するとはとても思えない。
---だから・・・これはきっと・・・千秋先輩から・・・。
---今は此処にいない・・・失ってしまったもう一人の私への・・・プレゼント・・・。
「そっか・・・。」
いつの間にか独り言が勝手に口を付いて出ていた。
「ネックレスさん、自分の持ち主以外の人にされるの、イヤなんですネ・・・?」
そっと鎖を指でなぞってみる。
「ゴメンナサイ・・・。ネックレスさんの持ち主・・・今の”のだめ”じゃない、ですよネ・・・?」
涙で前が滲んでよく見えないけど、ハートのルビーも一緒に泣いているみたいに、ゆらゆら揺れていた。
私はさっきのビニル袋にネックレスを再び丁寧にしまうと、バックの底の方へそれをぐっと押し込んだ。
「調子はどうですか?昨晩はよく眠れましたか?」
「ハイ。ぐっすり眠れました。やっぱり病院より落ち着くみたいデス!」
山口先生の診察が始まった。先生は相変わらず穏やかな表情で、私を優しく見つめていた。
「そうそう。救急の方からネックレス、受け取られましたか?」
「ハイ!さっき、ちゃんと受け取りましたヨ〜。なんか、かえって気を遣わせちゃったみたいで・・・。
悪い事をしちゃいましタ・・・。」
「いえ。これは間違いなく、うちの不手際ですから。私からもお詫びさせて下さい。」
先生はそう言って頭を下げた。
「本当に、いいんデス、山口先生!ちゃんと返してもらったんですから!」
私がアタフタと慌てふためいてそう付け加えると、先生はふっ・・・と微笑した。
「のだめちゃんは本当にいいコ、ですね・・・。でも、いいコにしすぎると、疲れちゃう時もありますからね?」
「ほえー?」
「・・・記憶の方はどうですか?」
「全然思い出せてまセン。がぼん・・・。」
このまま思い出すことなかったら・・・と心配していた私にとって、それは一番辛い質問だった。
「そうですか・・・。うちの方の臨床心理士とも色々と相談したのですが・・・。一つ聞いてもよろしいですか?」
「ハイ?何でしょうカ?」
「退院する前の深夜、のだめちゃん・・・あのトイピアノの前に立っていましたよね?」
「・・・え。」
先生が急に、あの夜の話題を振ってきたので、私はひどくうろたえた。
「あ、あれは、ホントにトイレの帰りで・・・涼んでいただけで・・・。別に深い意味はありまセン!!」
「・・・私にはそうは見えませんでしたよ?あの後、しばらくして気が付いたんです。
あの夜あなたは何か・・・あのトイピアノに話しかけていた。・・・違いますか?」
先生は相変わらず柔和な表情を崩していなかったけれど、
眼鏡の奥から光る瞳は、とても真剣な光を帯びていて・・・。
だから私も、ごまかさないでちゃんと答えなくてはいけないと思った。
「その・・・。その・・・。」
「はい。」
「・・・チョト不安だったんです・・・。」
「うん、不安・・・。」
「のだめ、おうちに帰れるって聞いて、最初はすご〜く嬉しかったんですケド・・・。
よく考えたら、自分のおうちじゃなくて千秋先輩のおうちで。
だって、のだめにとっては病院と同じ位、そこは知らない場所に変わりなかったし・・・。」
「ええ、今ののだめちゃんには確かにそうでしたね・・・。」
山口先生は私の話に頷き、相槌を打っていた。
「・・・千秋先輩とか、先輩の家族の人に良くしてもらってるのはすごく分かるんですケド、
おうちに行っても、皆サンとうまくやっていけるかなって・・・。
それにこれから更にまた、のだめの知らない人達に・・・でも!のだめの事は知っている人達に、
いっぱい出会わなきゃならないのかなって・・・ホント急に、色々なコトが心配になっちゃって・・・。」
「・・・それに、千秋さんと過ごす時間も、病院にいらした時よりも多くなりますしね。」
先生が私の一番言いにくいコトを先に言ってくれたので、少し気が楽になって、私は説明を続けた。
「ハイ・・・。そなんです。その事も気になって・・・。そしたら全然眠れなくなっちゃって・・・。
ふと、横を見たら、あのピアノが目に付いたんデス・・・。」
「千秋さんがのだめちゃんに贈られた、あの素敵なアンティークのトイピアノですね?」
「のだめ・・・実は自分が・・・ピアノの勉強でパリに留学してる、ってコトもまだピンときてなくて・・・。
でも、ピアノだけはのだめの知りたいコト、全部知っているような気がしたんデス。」
「うん・・・。」
「だからあの時、ピアノに聞いてみたんデス。のだめ、どうして此処に居るの・・・?って・・・。」
「・・・教えてくれましたか?」
「ダメでした・・・。えへ、自分で考えろって事なんですかネ?のだめ、考えるの苦手なんだけどな・・・。あはは。」
「・・・そうでしたか。」
「でも、三善さんちはとても居心地いいですし・・・。
みんな良くしてくれマスし、のだめの杞憂に終わりましたヨ。も、平気デス!」
「ええ。」
山口先生が、まだ何か探る様な視線をよこすので、私は念を押した。
「・・・本当ですヨ?」
「わかりました。正直に話してくれてありがとう、のだめちゃん。」
先生はようやく口元に笑みを浮かべると、机の中から紙を取り出した。
「実はのだめちゃんにね、お願いがあるんですよ?」
「のだめに?お願いデスか?」
「今週の土曜日、入院病棟の方のエントランスにあるミニステージで、
病院付属の看護科の生徒達が、小児科の子供達やお年寄りの患者さん達の為に、
ちょっとした演奏会や劇を行うのです。月一度、こういう催しがあるんですよ。」
「ふぉぉぉーー!演奏会や劇ですかぁー!」
「それで、是非のだめちゃんも、ピアノでステージに上がってみませんか?」
「ええ!?の、のだめがですカ?」
「はい。子供達にその事を話しましたら、皆とても喜んでおりましてね。
のだめちゃんのピアノに合わせて歌うんだって・・・ほら、これ、リクエストを書いてよこしたんですよ。」
先生から渡された紙には、子供達に昨日弾いてあげた、アニメの曲や童謡がびっしりと書き込んである。
「のだめちゃんがピアノを弾いて子供達と歌っている所を、小児科の主任のナースも見てましてね。
是非お願いしたい、と彼女はこの紙を持って依頼しに、直接私の所に来たのです。」
「ほわー。のだめが、みんなの前でピアノ弾くんですカー・・・。」
「私もね。実はのだめちゃんのピアノを聴いてみたい一人なんですよ。
でも、ピアノを弾くとまだ身体の方が・・・
肩とか腕が痛む様であれば、無理なさらず断って下さって構わないのですよ?」
山口先生は、”身体の事が、今は一番大事ですから”・・・と付け加えた。
「いえ、ピアノを弾く位ならもう大丈夫デス。
早いパッセージの多い曲なんかを弾かなければ、全然問題ないデス。」
「そうですか・・・?どうでしょうか。一応時間は、土曜日の午後2時過ぎ位を予定しているんですが・・・。」
「土曜日・・・明後日ですかー・・・。」
ふと視線を下に落とすと、リクエストのメモが二枚あることに気が付いた。
「あれ?二枚ある?これって・・・クラシックの曲名・・・?」
「あははは。恥ずかしながら、スタッフの中でものだめちゃんは人気でして。
是非このクラシック曲を生で聴きたいという声が・・・。それは大人達からのリクエストなんですよ。」
先生は恥ずかしそうに頭を掻いた。
「ショパンの革命・・・英雄ポロネーズ・・・ドビュッシーの亜麻色の髪の乙女・・・ベトベンの月光・・・
あ、リストのラ・カンパネラ・・・。他にもイッパイ・・・。あは〜!全部有名な曲ばっかりですネ!」
「子供達の親御さん達にも聞いてみたのですが、ああ、こんな曲もあったなって再確認したりして・・・。
結構クラシックの有名な曲って沢山あるのですね。のだめちゃんのお陰でとてもいいきっかけになりました。」
「そんな事言われるとのだめ、なんか照れちゃいますヨ・・・。」
先生にそう言われた事がとても気恥ずかしくて、私は両手の人差し指をツンツンさせた。
「最初の20分を子供達の為の演奏に、次の20分を大人達の為の演奏に。
全部で40分位を予定しているのですが、どうでしょうか?」
「それだと・・・。クラシックの方は有名な部分を短めにアレンジするとかしないと、あまり曲数弾けないデス。」
「もちろん、そういうのはのだめちゃんにおまかせしますよ?」
「むー・・・。」
悩んでる私を勇気付けるように、先生は大きな両手でやんわりと私の両腕を包みこんだ。
「のだめちゃん。
さっきあなたが話してくれた事、あれで私の考えは間違っていなかった・・・と、今とても思っています。
あなたには例えば・・・催眠療法など、そういったアプローチは、今の所治療方針に入れない事にしたんです。」
「催眠って、あの、”アナタは眠くなーる・・・眠くなーる・・・”とかっていうヤツですカ?」
「ええ、まぁ・・・。そういったトラウマケア等ですね。
私はね、あなたにとって一番よい治療方法は、ピアノを弾くこと、ではないかと考えたのです。
千秋さんからもヒントを頂きました。」
「え?千秋先輩にですか?」
「そうですよ。
だから今回のステージも、のだめちゃんにとてもいい効果があるんじゃないかなって密かに企んでいるのです。」
先生は悪戯っぽい目をして、私を覗き込んだ。
「どうですか?もう一度、ピアノに聞いてみませんか?」
「もう一度・・・?」
「ええ、何度もチャレンジしたら、ピアノも根負けして、教えてくれるかもしれませんよ?」
「あはは〜!山口先生、面白いコト言いますネ!」
先生の発言に私が笑うと、先生も一緒に破顔した。
「山口先生、わかりました。でも、一晩考えさせて下サイ。千秋先輩にも相談したいし・・・。」
「そうですね。それがいいかもしれません。あ、千秋さんと言えば・・・そうそう!」
先生は右横に重ねていた書類のクリアファイルの束をくくると、その中から一つを引き出した。
「これ・・・昨日の毎朝新聞の夕刊と、今朝の東経新聞の朝刊に載っていたんですよ!
いやー、千秋さんってとても凄い方だったのですね。私、初めて知りました。」
先生は新聞の切抜きを数点、私の前の机の上に置いた。
「申し訳ありませんでした・・・私、クラシックに疎くて・・・。
でも、これを読んで本当に驚きました。千秋さん、クラシック界では若き貴公子・・・と呼ばれているとか。
それにマエストロ・シュトレーゼマンの唯一の弟子なんですね。凄い・・・!
シュトレーゼマンは私でも知ってる位、有名な指揮者ですからね。」
切抜きには、端正な顔の千秋先輩のイメージフォトの横に、プロフィールが簡単に紹介されている。
[桃ヶ丘音楽大学ピアノ科在学中から世界の巨匠、マエストロ・シュトレーゼマンに師事]
[その後首席で卒業後、同大学の院を経て欧州へ留学]
[プラティニ指揮者コンクールで優勝]
[現在は欧州を活動拠点に、パリにあるルー・マルレ・オケの常任を務める]
---それは私も初めて知る事ばかり、だった・・・。
記事は、先輩がインタビュアーの質問に答える、という形式で・・・。
今回はコンクール優勝の凱旋も兼ね、
日本で先輩が中心となって結成された、オケの公演に招かれたことが冒頭に紹介されていた。
「千秋さんのこの記事で、うちの医局は今日大騒ぎでしてね。
若い子達に聞いたら、クラシックのファン以外にも、特に若い女性に今絶大な人気があるとか・・・。
看護士の一人が今日これを買ってきたんですよ。」
先生は私に一冊の雑誌を目の前に差し出した。それは男性向けのファッション誌だった。
表紙には・・・パリッとしたスーツを着た、二人の男性。
ブラックのペンシルストライプのスーツを着て、右側に立っているのは千秋先輩だ。
その横にいる先輩より少し背が低い、
光沢のあるチャコールグレイの細身のスーツを着た左側の男性は、私の知らない人だった。
先輩は少し見下ろしがちの伏目をしていて、クールだけど、どこかもの凄く艶っぽい表情していた。
隣の知らない男性は逆に、こちらを射抜くような鋭い眼光を発していて・・・
口元ににやり、と浮かべた微笑がとてもセクシーだった。
「千秋先輩だぁー・・・しゅごい・・・かっこいーー・・・。」
「左の方は、千秋さんが初代を務められたオケの現任指揮者で、松田さん、という方だそうです。
この二人のビジュアルの組み合わせが、今すごく話題になっているとか・・・。
確かに男の私から見ても、くらくらきちゃいますよ。」
山口先生がそう言って笑うのを、でも・・・私はどこか上の空で聞いていた。
---千秋先輩は確かに格好いいけど・・・。
---はじめて会った時からもちろん今でも、こんな素敵な人がのだめの彼氏・・・なんて信じれないくらいに。
---でも、のだめに見せてくれる、時々照れたように笑う笑顔が、すっごく可愛くて・・・優しくて・・・。
だからこんな表情をした千秋先輩は・・・私にはまるでどこか遠くの、別の存在みたいに思えて仕方なかった。
「でもなんか・・・のだめの知っている千秋先輩じゃないみたいデス・・・。」
そう小さく呟くと、山口先生もそれに同意するように頷いた。
「ええ、そうですね。私も同じ事思っておりました。
あなたの前の千秋さんは、あなたを大事に思い気遣う、ただの一人の優しい男性、って感じでしたからね。」
先生は新聞の切抜きをコピーしたものを、私の前に差し出した。
「良かったらどうぞ・・・。のだめちゃん、さっきまじまじと読んでいらしたので。
必要ないかとも思ったのですけれど、でも用意しておいて良かったです。」
「あ、ありがとございます・・・。」
私は先生にお礼を言いながら、コピーを受け取った。
「雑誌は・・・。」
「あ、のだめ、帰り本屋でちゃんと自分で買って帰りマス!これはお返しします。」
そう言いながら渡されていた雑誌を、山口先生の机の上に置いた。
「すみません。本当はこれも差し上げたい位なんですけれど。私が購入したものではないので・・・。」
先生は申し訳なさそうに私に謝った。
「いいんデス、いいんデス!あ、でも雑誌の名前だけ控えさせて下さい。」
私は先生からメモ紙とボールペンを借りると、千秋先輩が載っている雑誌の名前を書き取った。
「ありがとうございました。土曜日のコト、山口先生にさっき言われたコト、のだめ、よく考えて見ますネ。」
「だめですよ、のだめちゃん。もっと気楽〜に考えて下さい。ね?」
「・・・はい。」
「では、明日は整形外科の方でしたね?診察が終わられましたら、こちらに声を掛けて下さい。
私は明日は一日ここで勤務しておりますので。のだめちゃんからのいいお返事、お待ちしております。」
「ハイ!」
私は貰ったコピーを丁寧にたたんでバックにしまうと、先生に再度お礼を言って、診察室を後にした。
帰り道、すぐにタクシーには乗らないで、私は病院から少し歩いて、駅前の方へ出た。
一角にある大型書店を見つけると、早速さっきのメモ紙を手に、あの雑誌を探し始める。
『男性誌』、と書かれたコーナーに向かうと、
すぐに一番手前に、目立つ様に平積されている先輩のあの表紙が目に入った。
---あった・・・!
他のコーナーも軽く見回してみると、
柱の向こう側に置いてある情報誌のコーナーにも、千秋先輩と松田さんが表紙の雑誌があった。
---千秋先輩・・・有名だったんですネ・・・。
そう一人ごちながら、他の雑誌の棚の間を、一通りぶらぶらと歩いてみる。
しばらくそうしてからさっきの男性誌のコーナーの前に戻ると、
女子高生位の制服を着た女の子が三人、あの雑誌を手に取り、ページを捲りながら何やら盛り上がっていた。
「千秋真一、超かっこいーよね!今、帰国してるんだって。」
「えー、あたし、こっちの松田さんの方が好きー。大人の男って感じじゃない?」
「私ねー、千秋真一が振ったR☆Sオケ。兄貴と聴きに行った事あるんだけど、すごいよかったよー。」
聴きに行った、と話す女の子は、肩から楽器を入れたと思われるショルダーバックをかけていた。
大きさからいって、フルートではないかと私は感じた。
「マミ、吹奏楽部だもんねー。確か音大目指してるんだっけ。なに、千秋真一の影響?」
「あーちょっとあるかも。」
「あたしこれ、買っちゃおっかなー。マミも買う?」
「うん買うー!兄貴も買ってきてって言ってたし。」
そうワイワイ言いながら、二人の女子高生は雑誌を手に取り、レジの方へ歩いて行った。
彼女達が書店から居なくなったのを確認し、更にしばらく時間を置いてから、私は再びあの雑誌の前に立った。
けれど。
それを手にする事も、ページを捲る事も、今の私にはひどく困難な事の様だった。
何故だか分からないけど、それ以上は、どうしても体が動かないのだ。
それでもようやく何とかして・・・
人差し指で表紙の千秋先輩の口元を、そっ・・・と触れてみた。
「千秋先輩・・・のだめ・・・本当に先輩の彼女・・・なんですカ?」
周りの人からいぶかしむような視線が注がれているのに気が付き、私ははっと我に返った。
心の中で言ったつもりだったのに、いつの間にか大きな独り言を言ってしまったみたいだ。
まるで私を奇異な人を見るかの様な・・・そんな表情で、周りに居た人達は眉を顰めている。
突き刺す様なその凝視に耐えられなくて、私は慌ててその場から逃げ出した。
・・・本屋から飛び出すその間。
後ろからかすかに漏れ聞こえる失笑が、よりいっそう私を惨めな気分にさせた・・・。
その後、帰り道にあったコンビニにも何軒か入り、あの雑誌を買おうとしたのだけれど・・・
どうしてもそれができなくて、結局、私はあの雑誌の購入を断念した。
途中で流していたタクシーをつかまえると、私はそのまま帰路についた。
夕ご飯を俊君や由衣子ちゃん達と一緒に済ませ、リビングでテレビを見てひと時くつろいでいると・・・
由衣子ちゃんが雑誌や新聞をいっぱい手にして、リビングに入ってきた。
「見て見て〜のだめちゃん!真兄の載ってる雑誌、こんなにあるんだよ〜!」
嬉しそうにはしゃぎながら、由衣子ちゃんは私の前のリビングテーブルにどさっ!とその束を置いた。
「すごいよね!どの真兄ちゃまもすっごいかっこいーの!由衣子、全部二冊ずつ買っちゃった。」
「二冊ずつ買ってどうすんの?」
俊君が不思議そうに由衣子ちゃんに尋ねた。
「んもー!俊兄には何にもわかってないんだからぁー!
一冊は保存用!で、もう一冊は観賞と貸し出し用!ねーのだめちゃん。」
「あはは〜。由衣子ちゃん、千秋先輩の大ファンなんですネ?」
「モチロン!真兄ちゃまは由衣子の憧れの人だもん!あ、のだめちゃんも雑誌読む?」
古いものから新しいものまで、由衣子ちゃんが雑誌を並べ始めた。
ふと、さっきのあの雑誌もその中にあるのに気がついた。
・・・さっきの苦々しい出来事が瞬間的にフラッシュバックして、私は慌てて立ち上がった。
「あ!のだめ、明日学校の友達と映画を見に行く約束をしてて、電話しなくちゃいけないんでしタ!
ちょっと、電話してきますネ〜!」
由衣子ちゃんが少し不審な顔をして私を見上げるのに目を逸らして、急いで客間の方へ向かった。
客間に戻り、机の上に置いてある携帯に手を伸ばすと、充電器からそれを取り外した。
夕ご飯を食べる前から充電をし始めていたので、今度は電源キーを押すとちゃんと電源が入った。
・・・自分の電話番号を確認し、マキちゃんに電話をかける。
マキちゃんは午後1時に、映画館が入っている大きなステーションビルがある駅を、待ち合わせ場所に指定した。
私はメモを取り、明日楽しみにしている事を告げると、マキちゃんは電話口でもまた笑っていた。
マキちゃんとの電話を切って、携帯を再び充電器に戻す。
はぁーと大きく息を吐いて、私はソファに思い切りぼふっ!と座り込んだ。
---このモヤモヤとした気持ちは一体なんだろう・・・。
あの事故から随分と経つのに、私の記憶は一向に戻る兆しがない。
少しでも何か思い出す事があれば、それだけでも随分と勇気付けられるのに・・・。
誰を見ても、誰と話をしても、何も感じる事がない・・・のだ。
まるで・・・最初からそんな記憶はなかったみたいに・・・。
千秋先輩の事をこんなに思い出したいのに・・・全く思い出せない自分が腹立たしくて・・・哀しかった。
---先輩の顔が見たい・・・。
---先輩の口からちゃんと、のだめは先輩の何なのか・・・言って欲しいんデス・・・。
私は思い立ち、客間を出て廊下を辿り先輩の部屋の前まで行くと、軽くノックしてみる。
返事は・・・やっぱりない。
今日は遅くなるから・・・と今朝先輩が言っていたように、まだ家に帰ってきていないのは明らかだった。
先輩の部屋のドアをそっと開けると、案の定真っ暗だった。
暗がりの中で明かりのスイッチを探して点けると、
シンプルにレイアウトされた、男性らしい部屋の様子が浮かび上がった。
・・・本棚には、沢山の音楽関係の本。
机の上には、総譜やその資料と思われるものが散乱していて、飲みかけのコーヒーが一客置いてあった。
私は机の上から何も書いてないレポート用紙を見つけると、
側においてあったペンで、先輩宛に書き置きを残した。
千秋先輩へ
先輩にお話ししたい事があるので、帰ったらのだめの部屋まで来てください。
寝ないで待っています。もし寝てても、起こしてください。
のだめ
先輩の部屋を出ると、ちょうど二階に上がって来た由衣子ちゃんと出会った。
「あれーのだめちゃん。廊下で・・・こんな所で何してたの?」
「えへ・・・。ちょっと三善さんち☆探検!してましタ。」
「あはは〜何ソレ!そうだ。お友達への電話は終わったの?」
「ハイ!電話終わりましたヨ〜。病院も行くから、明日ののだめは大忙しデス!」
「そっかーよかったねー!じゃあさ、そろそろ、由衣子とお風呂に入らないー?」
「ハイ!今日もよろしくお願いしますネ。」
「うん!じゃあ、10分後ね。」
昨日と同じ様に由衣子ちゃんとお風呂で待ち合わせすると、用意の為に客間の方へ戻った。
お風呂からあがると・・・
その晩も由衣子ちゃんがやっぱり私と一緒に寝たい言うので、客間のベットで二人して寝ころんだ。
自分の枕を抱いて、いつの間にかスヤスヤと安らかな寝息をたてた由衣子ちゃんを見つめながら。
そうして千秋先輩の帰りを、随分待っていたのだが、結局いつの間にか自分も一緒に眠ってしまい・・・
先輩が夜半過ぎに帰宅したことに、私は気がつかなかった・・・。
翌朝私が目覚めると、先輩はすでに起きていて、リビングでコーヒーを飲んでいた。
ソファに深く腰をかけながら遠くを見つめているその後ろ姿だけで、先輩がかなり疲れているのがわかった。
声をかけるのを少し憚られたが、数秒先輩の方が先に気がついて、私に振り返った。
「…ああ、起きたのか。おはよ。」
「先輩、昨日は随分遅かったんですね。すみません…。待ってたんですケド、つい寝てしまって…。」
「別に・・・。先に寝てろ、と言ったのは俺の方だし。」
「でも、起こしてくれたらよかったのに…。手紙・・・読んでくれなかったんですカ?」
私は俯きながらぼそぼそと呟いた。
「読んだけど・・・。でも、本当に遅い時間だったから。・・・別に無視したわけじゃない。」
つっけんどんな先輩の言い方がらしくなくって、私は急に心配になった。
「もしかして先輩、寝てないんじゃ…。」
「・・・少しは休んだから平気。」
「あまり無理をして身体・・・こわさない様にしてくださいネ・・・?」
「何言ってんだ。お前の方こそ、早く身体治せ。それより手紙に書いてあった話したい事って・・・何?」
「あ、話・・・。その・・・。」
私が戸惑っていると、先輩は一瞬やるせない表情を見せた。
が、何かを隠すようにすぐにその目は用心深く無表情になった。
「何か言いたい事があるんだろ・・・?」
そんな風に突き放すように言われたら、
昨日話したかった事・・・聞きたかった事・・・全部、私は言えなくなってしまった。
「あの・・・今日のだめ、マキちゃん達とプリごろ太の映画を見に行くんデス。今日から公開で・・・。」
「・・・プリごろ太・・・。」
「その後、夕ご飯を一緒に食べようって約束したんですけど、行ってもいいデスか・・・?」
「・・・話したい事って、その事?」
「えと・・・。ハイ・・・。」
先輩は呆れた様にハァ・・・と溜め息をつくと、かぶりを振った。
「別にそんな事・・・俺にワザワザ断らなくてもいいから・・・。ま、楽しんでこいよ。」
低い声でそう言いながらソファから立ち上がると、千秋先輩は前髪をかき上げた。
濡れた黒曜石を思わせる漆黒の瞳は充血し、溜まった疲労が端正な頬に翳を落としていた。
私は二階の自室へ歩いていこうとする先輩のジャケットの袖を、無意識に慌てて掴んでいた。
「あ、あのっ…!」
「何・・・?まだ何かあンのか・・・?」
肩越しに振り返った先輩の顔は、見た事もないくらい不機嫌だった。
その様な先輩の態度に驚いた私は、思わず口に出そうとした言葉を飲み込んでしまった。
「いえ・・・。何でも・・・ありまセン・・・。」
私が先輩の裾をぱっと離すと、先輩はそのままこちらに視線もくれないで、リビングから出て行ってしまった。
私は暫く呆然とそこに佇んでいたが、朝食の準備が出来たと私の名前を呼ぶ千代さんの声に我に返り、
ダイニングルームへ重い足を向けた。
---山口先生に頼まれた、土曜日のピアノのミニコンサートの話も、先輩に相談できなかった・・・。
千代さんが卵を焼いている間、私はさっきまでの先輩とのやり取りを思い出していた。
先生が指摘した様に、やっぱり病院に居た時とは違って・・・千秋先輩と過ごす時間が多くなって・・・。
・・・先程の先輩は、昨日までの優しかった先輩が嘘の様に、よそよそしく、どこか・・・冷淡だった。
でももしかしたら・・・あれが本来の千秋先輩なのかもしれない。
怪我をした私を気遣って、わざと無理をして、優しくしてくれていただけなのかもしれない・・・。
---でも・・・。でも・・・。
そんな事を止めどもなく、悶々と考えていると、千秋先輩が食堂に入ってきた。
昨日と同じ様に私の左隣に席を取ると、手に持っていたバックをその隣の空いた椅子の上に置いた。
私はまた食事の指図をされるのかと思い、
更に先程の先輩の態度と相まって緊張が最高潮に達し、思わず身体を固くした。
「のだめ・・・。」
「ハイ・・・。」
先輩は窺うように・・・小さくこぼした。
「さっきはごめん・・・な。」
「・・・え?」
「その・・・仕事が自分が思ったように、上手くいってなくて・・・苛ついてて・・・お前当たった・・・。」
「・・・・・・。」
「のだめ、本当にごめんな・・・。悪かった・・・。俺・・・最低だな・・・。」
「・・・・・・。」
先輩は自嘲的に笑った。
先輩からそんな事を言われると思わなかった私は、混乱して言葉に詰まってしまった。
「映画・・・楽しんでこいよ。でも、あまり遅くならない様に・・・。身体、まだ完全に良くなってないんだからな?」先輩は目を伏せて優しく私に囁いた。それはいつもの先輩の声色だった。
「俺、今日はゲネプロだから、忙しくて電話に出れないけど・・・。
映画館でもレストランでも、移動する時は必ず母さんか、千代さんに電話して?・・・心配だから。」
「・・・ハイ。分かりました。」
「それから・・・今日も夜遅くまで仕事入ってるから、また遅くなる。先にちゃんと寝てて・・・。」
先輩の・・・私への配慮のにじむ柔らかな表情が、先程の先輩の態度と全く反していて・・・
私は余計に戸惑いを隠せなかった。
「じゃあ、俺行って来るな・・・。」
出掛ける、という先輩を見送ろうとして立ち上がりかけた私を、先輩はやんわりと制した。
「あ、見送りはいいから・・・。お前はちゃんと朝飯食ってろ。」
「・・・ハイ。」
千秋先輩は、ふと・・・何か思いつめたような瞳で私を凝視した。
「あの、さ・・・お前・・・その、携帯・・・。」
「・・・携帯?」
私は先輩の言葉に不思議に思ってそう尋ねると、先輩は慌てて首を振り、私から視線を外した。
「いや・・・。何でもない・・・。それなら・・・別にいいんだ・・・。」
「・・・・・・?」
「ホント・・・何でもない・・・。」
どこか念を押すように、先輩はそう言った。
まだ不思議そうに見上げる私の右頬に、先輩はそっ・・・と手を寄せ、頬にかかっていた私の髪を耳に掛けた。
優しく、どこか甘いその仕草に、私は頬が急激に高潮するのを感じていた。
---キス・・・される・・・?
先輩は私の右頬を優しく数回撫でると、ポンポンと今度は手の甲で触れた。
「良かったな・・・。あと、残らないみたいだ・・・。」
擦りむいた右頬の事を言ったのだと分かった瞬間、私は意識しすぎた自分が猛烈に恥ずかしくなった。
勝手に一人で先走ったこの状況に耐え切れなくて、思わず顔を伏せてしまった。
「・・・じゃあな。行ってくる。」
先輩はどう思ったか分からなかったけど、私は恥ずかしさのあまり、食堂を出て行く先輩の後姿も見れなかった。
部屋に戻り、病院に行く用意をしていると、昨晩から携帯を充電器に入れたままだったのに気がついた。
充電ランプはとっくに消えている。
「ふぉぉぉ〜!これでしばらくは大丈夫ですネ!」
独り言を言いながら携帯をパチンと開くと、新着メールが1件入ってるのに気がついた。
---誰だろう・・・?
そう疑問に思いながらメール画面をたどっていくと、差出人は・・・千秋先輩だった。
---件名は、Re:?・・・私からのメールの返信??
不思議に思いながらも、メール本文を慌てて開く。
しかしそれを読んで私は・・・しばらくの間動けなかった。
”Re:
俺も早く会いたい。
のだめ。今、何処にいるんだ・・・?”
---それはとても・・・哀しいくらいにとても・・・短い文章・・・だった。
私が送ったと見られるメールの本文も、震える手で確認する。
数日前に送ったと見られる私のメールの最後には、”先輩、早く会いたいです。”と結んであった。
それはまだ記憶を失う前の・・・もう一人の私、からの最後のメールだった・・・。
携帯に残されたいたメールのやりとりをそのまま読んでいると、
それは私達がかつて、恋人関係にあった事を確かに示していた。
ふとさっきの先輩のメールの送信日時を見てみると・・・
それは昨日の夜12時54分になっていた。
私はそれを知って・・・すべてを理解し、初めて大声を上げて一人で泣いた。
涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになったけど、構わずしばらくの間そのまま泣き続けた。
135 :
ショコラ:2005/07/09(土) 22:18:50 ID:3M6I/GYE
以上でのだめ?編でした。ナンバリングが辛くなってきました。
でも皆様の方が、長い文章ゆえ、もっとしんどいのではないかと危惧しております。
いつも以上に、誤字・脱字、区切れ等のミスが多いかと思いますが、
大目に見ていただければ・・・と思ってます。ごめんなさい。
これからが一応スレの趣旨に合ったメイン(苦笑)ですが・・・。
続きはご、後日という事で・・・。申し訳ありません。
では、しばらく泥のように眠らせて頂きます・・・。おやすみなさい。
ショコラさん、おかえりなさーい!
リアルで読めて感動しています。GJ!
ふぉぉ〜。ショコラさんお待ちしておりました!
切なすぎ〜
GJデス!続きお待ちしております。
せ…切ない…GJです!
長くても構いませんよー。次回も楽しみにお待ちしております!
せ、切なすぎますっっ!!
次回も本当に楽しみにしてますよ〜!
チョト泣きました・・・(´Д⊂グスン
141 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 01:01:24 ID:5kcZDsV1
おかえりなさーい!感動で、切なくて涙でそう…つづき待ってます!
泣きましたぞ( ゚Д゚)ゴルァ!
この純愛路線からどうやってエロに転がるのか楽しみ
す…すごいです!
今までロムってるだけだったけど言いたくなりました。
お疲れ様です。
ゆっくり休んでください!!
な、泣いた……
真一くんのメール切なすぎだ
私も泣きました〜(TT)
ショコラさん、お仕事お疲れさまでした。
ゆっくりお休み下さい・・・と書きつつ、
続きがとても気になります。。。(ゴメンナサイ!)
最終章の投下予定時期の見通しをお知らせ頂けると幸いです。
146 :
ショコラ:2005/07/11(月) 00:29:42 ID:vxf+kLZi
おはようございます。・・・ってあれ、もう深夜でしたか。
皆様、沢山の身に余るお言葉、有難うございました。
私の方こそ嬉しくて泣きました。すごく光栄です・・・でも恥ずかしい・・・。
えー最終章というかエロ?編(笑)の投下予定の見通しという事ですが・・・。
少し疲労がピークにきてまして、余り作業できていないのが正直な所です。
ごめんなさい。本当に申し訳ありません・・・。
もしかしたら、投下予定の職人様にもご迷惑をおかけしているかと・・・。
なので、少しスパンを空けて今週末には皆様にお会いしたいと思っています。
これに懲りずに、またお付き合い頂ければ・・・と切に願っています。
どこまでもついてきマスッ!いつまでも待ってマスよ〜!!
ショコラさん最高です♪
気長に待ちますのでがんばりすぎないでくださいね(^^)
ところでここのスレにエロ絵の投下ってありですかねぇ?
オッケーなら描きたい。
ありだと思いますよ!
151 :
匿名:2005/07/11(月) 23:43:23 ID:bvgMhFF0
ずっと読んでいたのですが2ちゃん初書き込みです。マジ感動してます。
小説家ですよ。楽しみにしていますね。よろしくお願いします!
152 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 03:26:37 ID:C6gZwXW2
>>151 まずsageよう。話はそれからだ。(メール欄にsage打ち込むよろし)
あはははは〜…ごめんなさいsageが消えてた〜〜〜〜
154 :
乾燥:2005/07/12(火) 08:26:20 ID:l3wVH7NJ
喪失シリーズ・・・なんかNANAのハチみてぇなのだめだな・・・。
正直、好きじゃない。
漏れはエロ短編キボン。
>>154 例え好みじゃなかったとしてもスルーしなさい。
自分好みのSSが投下されるまで待つがよろし。
それが大人の対応。
もしくはリクエストって形で職人さん光臨きぼんするとかね。
長いのを書かれる方は、自サイトをお持ちになればどうかと思う。
正直、自分に余裕があれば読みふけることも楽しめるが、
場合によっては、長すぎてなかなか入り込めないこともしばしば。
あ、喪失シリーズの続きは待ってます!なので批判ではないんですが。
過去ログ倉庫イッキ読みしましたが、前は軽いものや大爆笑もので盛り上がってたんですね。
それに、文字数制限でちょいちょい切られるより、読むならイッキのが見やすいと思いますし。
無料ブログとかどーでしょうか?以上一意見です。
>>155 禿同。
でも確かにちょっと軽めが読みたかったりもする。エロのみとか。
職人様方よろしこ
自分に余裕がないだけかもしれないけど・・・
スルーすれば、っていうけど限度というものが。
長い!長すぎる!初めのころはこんな続くとは思わなかったよ・・・
話に入り込めない私が憎い・・・
159 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/12(火) 19:46:14 ID:TEao45U4
漏れは感動したよ。
この作品はショコラさんの思うとおりに
完成させて欲しい!
長いのも短いのも、いろんな人にいっぱい投稿して貰って、マターリ楽しめると嬉しス(´ー`)
今更だけど…L28のラフマ連弾の後で、
千秋が寝てるのだめに自分のコート掛けて、
自分は寒がりながらのだめのマフラー巻いてるんだね。
今日気が付いた…
改めて、妄想を駆り立てる要素がちりばめられた話だと思った…
職人さんたちお疲れ様!いつも楽しみにしてます。
少し規定外?が出ると敏感に反応するのはどうかと。
ガイドラインみたいなのもできてたよね?前スレくらいで。
マターリいこうさ、マターリ。
>>161 その頃は変態色強くて妄想できなかったよママン…
今ならシチュ使えそう、職人さんオナガイシマス。
>>162 この中に現在投下中の職人さんを非難してる人はいない
この程度の意見を表明することをも厭うならば、金輪際2ちゃんになんぞ書き込むなと言いたい
自分のサイトで内輪で馴れ合いながらベタベタ楽しくやってりゃいいんでないのか?
正直、自分がエロ投下してるスレに比べりゃ何てマターリしてるんだろうと思うぜょ…
みなさんこんぬつは。お久しぶりです。
初めましての方、初めまして。
一つ、投下をさせて頂きます。
軽い長さでエッチなモノ……ということで、お楽しみ頂ければいいのですが……。
ではどうぞ。
それは、ある夜のセックスの最中のことだった。
「せん、ぱい……あの……あっ」
「何……?」
「お願いが……のだめ、先輩の……あの……」
「なんだよ……」
「先輩の、いってるところ……見て、見たい…ん、です…あぅん……」
「……見てるだろ……?……いつも……」
オレはのだめがちゃんといったのを確認したいから、いくタイミングは少しのだめより遅い。
快感にぼんやりとしたのだめに見つめられながら……。
ということが多いから、その時の顔はもう何度も見られているはずで。
「そ、じゃ、なくてぇ」
「はあ……?」
「……るとこ、見たい……」
「え?……聞こえない」
「…るところ……先輩の、お……お……」
「……何?……はっきり……」
「せ、先輩の……お、おちんちんから、出るとこ、って……や、やあぁあん」
「……自分で言って照れるなよ……バカ……」
「やあん……ゴメンナサイ……」
のだめは顔を真っ赤にして、目をオレから逸らして顔を手で覆ってしまった。
こちらも少し驚いて、思わず腰の動きが止まった。
行為の一環として、口でオレを愛撫すること……フェラチオを覚えたのだめだけれど。
そのままのだめの口の中で果てるのも、また別の所、顔とか胸にかけるのもオレとしては少々抵抗があってしていない。
やっぱり、いく時はのだめの中が一番、いいし……。
だから、必ずゴムを付ける自分としては、いつものだめの中で絶頂を迎えている。
なるほど、確かにオレのそういう所をのだめは目にしたことがない。
オレはのだめの腰を掴み、勢いづけて抽送を繰り返した。
「や……! あっ、先輩、激し……っ」
「そーいう、いやらしいこと言うやつにはお仕置き……」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
出し入れがされる度、可愛らしい唇から小刻みに嬌声が漏れる。
快楽に身悶えして彷徨った手がシーツをつかみあげ、よじった体のふくよかな乳房がふるふると大きく揺れる。
「やっ……!! っあ!! いっちゃう……!!」
「……いっちゃえよ……ここ、いいんだろ……? ほら……!!」
親指を伸ばして尖ったクリトリスを撫でると、のだめは体をびくりと跳ねさせた。
その行為にさらに感じたのか、愛液が溢れるように滴るのがわかる。
より大きくなっていく水音。ぐちゃぐちゃと、部屋に響き渡る。
「聞こえる? すげー音してる」
「いやっ、いやぁ……言わないで……」
「こんないっぱい、濡らして……いやらしいな、のだめ」
そのまま指の腹で押し込むように刺激すると、オレをくわえ込んだのだめのあそこは、絡みつくように絞り上げてくる。
「ほんとに……あ、ああ!!……いっちゃ──────────!!!!」
最奥に向けて強く強く打ち付けると、のだめは全身を痙攣させてのけぞり、高みへと登りつめた。
オレはいきそうになるのを我慢しながら、のだめの快感をより強くさせるため、膣壁を抉るように擦りあげた。
********************
「はあ……はぅん……はぁ…………」
絶頂の余韻に体をくねらせて、のだめは甘い吐息を吐き続けている。
荒い息に、ピンク色に染まった体が上下して、胸の谷間には玉のような汗が噴き出していた。
「のだめ……」
「……は……い…………?」
「見たい?」
「……え…………?」
「……オレがいくところ……見たい?」
「……はい。見たい、デス……」
「じゃ、見せてやる」
張りつめたままの自分自身を、未だ震えるのだめのそこから抜くと、ゴムを取り去った。
のだめは肘をついて体を起こし、天を仰いで臍に付きそうなまでのオレのペニスを注視している。
「あ、やん……」
のだめの秘部に触れ、溢れた雫を指先ですくい取ると、自分自身にそれを塗り込めた。
そして、そのぬるみを利用して自分で擦りあげていく。
「……のだめも、触っていいですか?」
「ん……触って……」
のだめは遠慮がちに、括れや先の方に指先を這わせてきた。
「ぴくぴく……してます……」
「うん……腹の上に出すけど、いい?」
「……はい。……いっぱい、出して……」
「あ、いきそ……」
オレは亀頭に這わされていたのだめの指先をつかむと、自分の指に添えて幹を擦りたてさせた。
既にのだめの中で十分に高まっていたオレは、もう我慢も限界で…………。
「のだめに、いっぱい……かけてください……」
そんなことを囁かれて、オレは─────
「うっ、あ!! ……っっあ!!」
こんな、すぐに、欲望をいっぱいに爆発させた。
「わ!! ……ふわぉ……」
勢い良く吹き出した精液はのだめの白い腹に飛び散り、その末端はのだめの乳房にまでかかった。
「……っ、……っ、……はああぁ……っ」
「しゅごい……わぁ……また、出た」
二度、三度と吹き出したオレの恥ずかしい滴りは、のだめの臍に小さな泉を作って。
こんなに……全く、恥ずかしい……。
「……ふー…………」
「いっぱいです……真一くんのエッチな液……たくさん……」
「……恥ずかしいこと言うな」
「こんなに飛ぶんですね、びっくりデス……」
乳房にかかったそれを拭おうとするのだめを制止して、オレはサイドテーブルからティッシュを取った。
「ごめん、汚して」
そう言うと、のだめは首を横に振った。
「おもしろかったデス」
おもしろかったって……。
オレはのだめの体にかかった自分の精液を拭い去り、その後で新しいティッシュでのだめのそこを拭いてやった。
その間も、のだめの視線はオレのあそこに集中している。
「あんま、見んな……」
「あ、待って。……のだめが拭き拭きします」
自分自身の後始末をしようとティッシュで隠したオレに、のだめは嬉々として手を伸ばした。
「やめろって……」
「いいんデス。見せてくれた、お返しデス」
のだめは楽しそうにオレのペニスに手を添えて、ティッシュを動かしていく。
「おもしろいですね、男の人って……あんなに大きかったのに、もうこんな小さく縮んでるし……」
「……おまえって、よく、そーいう恥ずかしいこと臆面もなく言えるよな」
「えー? だって、なんか……おっきくなったり、小さくなったり、ぴくぴくしたり、どくどくしたり……」
「…………」
「可愛いですネ、おちんちんって♪」
「はあ……可愛い……」
可愛い……のか、オレの、これ……。
その響き、ちょっと複雑だぞ…………。
「はい、俄然興味が沸いてきました!! ……むきゃっ♪」
やっぱり、見せなきゃよかった……オレは激しく後悔した。
─────その後、散々いじくられて、恥ずかしくも反応して、2回目に突入した。
********************
また見たい、とのだめは言ったけど、もう絶対見せないことにした。
けちけち、とうるさいから、どーしても見たかったらフェラチオだけでオレをいかせてみろ、と言うと……。
イヤな方向に火を付けてしまったらしく、翌日からネットに張り付いてなにやら学んでいる様子。
─────こんないやらしい変態女。
あきれると同時に、ちょっと楽しみだったりして……オレもオレだ、と苦笑するほかにない。
まあ、今のところは、オレはまだのだめに負けていない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End
以上です。
『 jimmy』=スラングで『ペニス』の意味だそうです。
私のかわいいおちんちん〜というところですかね。
というわけで。
長編も短編も、スレの活性化に繋がっていけば宜しいのでは、と思います。
それでは名無しに戻ります。
GJですた(´Å`)
リアルタイム初で感動。
dropさん、お帰りなさい!
GJでした!
久々のリアルタイムで感激です!
エッチな2人がとてもいいですねー。
またの降臨をぜひぜひお待ちしています!
わーい、GJ!
とってもエッチ、かつほのぼの笑えて楽しかったです。
イヤな方向に火のついたのだめの今後に期待w
174 :
ショコラ:2005/07/13(水) 07:07:05 ID:6FcE+5uK
おはようございます。皆様、色々とご迷惑おかけして申し訳ありません。
こちらに投下させて頂いた以上、
厳しくて率直な意見こそ、私にとって、とても有難い事と考えております。
必ず自分にフィードバックさせて頂きます。本当に有難うございます。
ご意見にもあった、ブログ等を私は持っていないので、
もし許されるなら、皆様のご好意に甘えて、このお話はこちらで引き続きお世話になりたく思いますが、
長過ぎてスルーし辛い・・・という事は、当初から本当に申し訳なく心苦しく感じていた事なので、
状況判断を誤りたくない・・・というのが本音です。
このスレが好きなので、自分がスレの雰囲気を乱すような事は、出来るだけ避けたいと思っております。
>dropさま
久しぶりにこちらでdrop様に邂逅致しまして、私も感激です。
>ショコラさま
ここは読み手、書き手の相互関係あってこそのスレだと思ってます。
無論ですが。私はショコラさんの作品楽しみに待っています。
忙しい中時間を割いて書き上げた作品、読み手があってこそです…
なんだか偉そうになってしまいましたが、私は楽しみにしながら覗いてます。
最近、萎えるレスが多くて正直ウンザリしてます。
作家さんたちが作品を提供し、読み手さんたちがその中から自分好みの
SSを見つけ、気に入ればGJレスをつける。
これが満たされてこそのスレでしょうに。
作家さんたちを去らせてどーすんの?(すでに一人追い出してるんだし)
気に入らなきゃスルーってのも暗黙の了解じゃなかったのでしょうか?
スルーするにも長すぎるって、ただスクロールするだけの作業が
そんなにも苦痛ですかね。
「馴れ合い」とか言われてた頃のほうがずっとマターリしてたよ。
>>176 あの程度の意見もスクロールしてスルー出来ないの?プ
>>170 dropさんGJでした!
好奇心旺盛なのだめがカワイイです。
色々意見もありますが、私は色んな職人さんのSSが楽しみで通ってます。
良い意見ばかりじゃないかもしれないけど、期待してる感想も多いのですから
ぜひ頑張って続けて欲しいと思います。
>>176 の方が萎えるよ…
私も他所で書いたりするけど、ただGJと言われるだけより
いろいろな意見を言ってもらったほうが嬉しいし、今後の役にも立ちます。
このスレのいいところって、違う職人さんのSSが楽しめるところだと思う。
嫌ならスルーすればいいとまでは言わないけど、
マッタリ職人さんの君臨を待ちながら楽しみたいと思った。
役に立つ意見ならね……。
マンセーしてりゃいい、と言っているわけではないのだが、
そう取れる書きかたをしてしまっていたようだ。スマンかった。
しかしなー。
「ツマンネ」や「長すぎ」は、意見なのか?
そこに道理がなきゃただの我侭になりはしないのかな?
職人さんが投下したいと思えるスレであってほしい。
長すぎっつーのは我侭でも何でもなく、一つの意見でしょうね
他のスレなら「私物化uzeeeeeeeeeeeeeeeeeeee」でとっくに追い出されてるよ
それが無いだけマシっつーか、寛容だよこのスレ
つまらんかどうかは主観だけど、その人の率直な感想でしょう?
ツマンネものを馴れ合いで「面白い」と言われるより自分は余程嬉しいね
でなきゃわざわざ2ちゃんに落とす意味無いし、
少しでも否定的な意見を目にしたくないなら場違い
そもそも「役に立つ意見」ってナニ?
「ここの表現は、文法として間違ってるよ」とかそういうの?
あのね、すこし落ち着いて読んでみてね?
「そこに道理がなきゃ我侭になる」と言っているのだけど。
否定的な意見を目にしたくないなんて言ってないんだけどな。
「意見」とか「率直な感想」とか言うけれど、
読んでて「ふーん」と納得できる書きかたしてるレスならわかるんだよ。
「ツマンネ」としか書かれてないレス見て嬉しいとか思わんだろ、普通。
「長すぎ」と書かれるよりも
まだ「長い。私物化だろコレ」と書かれてたほうが、そっかと思うのだが。
他と比べてマシっていうのは関係ないな。
ここのスレが好きで来てるんだしね。
ここは文学サロンではないので、「文法として間違ってるよ」という意見は
どうなんだろうw まーこんなのはどっちでも。
なんか荒らしてる気分になってきたので、もうやめときます。
職人さんがんばってください。
184 :
乾燥罪:2005/07/13(水) 19:16:36 ID:r/yJW4ZH
どっちにせよ、長編モノは単独で独立させたほうがいいのでは
ないでしょうかねぇ?
しかもここはエロスレのハズ・・・・
>>183 私もこれで最後にするけど、あなたが「ツマンネ」という感想を例に出してただけで、誰もつまらんとは書いてないのよねぇ…
ツマンネって書かれるだけマシだと思うけどね、読まれずスルーされるよりはな
そして、あんたは実の無い意見だと言ってるけど、それぞれ理由付きで意見してますよぉ…
他のスレよりマシってのは大いに関係ありますよ、自分に都合のいい環境が欲しいなら御自分で勝手にブログなりサイトなりやればいいんだからね
ここをきっかけとしてサイトをもたれた作家さんもいるでしょうし、
私もその一人ではあります。
ここに投下する物とそうでない物との分け方は、
単純に「長さ」を基準としてます。私としては。
それとやはり、「エロ」要素があるか否か、ですね。
「エロパロ板」に立っているのですから、それを求めてこられる方が多いと思いますので。
作品がすべて万人に受け入れられる物ではないので、GJと思う方も、
ツマンネ、と思う方も、双方がいて当然です。
ただ、相手をむやみに攻撃するようなレスはどうかな、と思いますよ。
ツマンネ、だけだと書き手も直しようがないですから。
ここは21歳以上の大人の板ですからね。
あんまり子供っぽいことばかり論議されていると……投下もしにくいです。
だから、去っていった作家さん多いのでは?
SSより議論で埋められる方がどのどのSSも楽しみなROMとしては困る。
長文議論するならまだ容量の余ってる前スレを使ってはどうでしょうか。
何はともあれ・・・
職人さん方、投下楽しみにしています(゚∀゚)
ちなみに私は長編も短編もエロもギャグも切ないもウェルカム雑食ですw
drop様乙です!
エロ度が高くてドキドキでした。
190 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 23:46:03 ID:dNU6XIfr
続きが読みたくて毎日毎日チェックしてるものです。
気長にまってるのでがんばってください。
こんばんわ。
ご感想有難う御座いました。
まあ月並みですけど、マターリいきましょう。
一気に読みました。
千秋先輩のメール、切なすぎデスよ〜涙
泣いてしまいまシタ…
続きの投下をまってます!!
気長に楽しみにしてます〜。今まではキスでしか読んでなかったけど、単行本も買おっと♪♪
『ノヴェレッテ』
「おどけた話、エグモント風の物語、父親たちの出る家庭的な場面、結婚式、
これらを集めてノヴェレッテ(短編小説)と名付けました」 byロベルト・シューマン(1838)
力強く 楽しげに奏でられる 和音
そうかと思えば 切なげに流れる指先からの 旋律
掻き立てられた情熱と その中に ふと 生まれる 不安という名の 炎
その火は やがて わが身を焦がし 狂気へと追い詰める
愛するクララとの 幸福な日常を 夢見て
しかし 焦燥と微かな絶望の予感は 確かにこの胸にある
アパルトマンの中庭から、真一はあるひとつの窓を見上げた。
橙色の暖かな明かりが洩れて、その部屋にいる人物が未だベッドで休むことなく
起きているのだということが窺える。
腕時計はもうすぐ日付が変わってしまうことを持ち主に告げていた。
「……こんな遅くまで」
明日も学校があるだろうにと眉を顰めて、しかし自分の帰りを待っていてくれたのかと
思うと彼は唇の端を緩ませた。
ドアを開けた彼を待っていたのは、愛しいひとではなく。
襲い掛かるような、音。
畏怖さえ感じさせるそれは、真一が入ってくることを拒み、慄かせ。
しかし激しい愛を歌い、早く求め合いたいと誘う。
そのどちらにも縛られて、彼は暫く身動きが取れずに。
心に渦巻く不可解な欲望をただ、感じていた。
恵はシューマンの小さな狂気に飲み込まれていく自分を、どこか冷静な気持ちで
眺めていた。
ヴィークに反対され続けた二人の結婚。
その中で幾度も交わされた、愛に溢れた手紙。
シューマンの生涯で、確かに幸せだった頃の、記憶。
そこに産声を上げる小さな炎。
共に焼かれてしまうのも悪くないかもしれない。
それでも。
ピアニッシモで囁くピアノは、奥から湧き上がる不可思議な欲望を
彼女の前に曝け出す。
彼に、追い付きたい?
自分のピアノを認めてもらいたい?
そうだけど、そうじゃない。
ただ、欲しい。
フォルティッシモは情熱と共に。
弾け飛ぶ汗、響き渡る和音。
説明のつかない、けれどもシンプルな感情は、心臓を締め上げ息を乱れさせる。
最後の音が空気に紛れても、鼓動が静まることはなく。
もう休もうと疲れきった身体をどうにか立たせるとそこには。
求めていたひと。
恵はそっと腕を伸ばし、無言のまま真一の首に縋りついた。
そのまま二人は恋の狂気に身を躍らせ。
一刻も早く抱き合いたいのだと衣服を脱ぐのももどかしく。
彼の手によって弾け飛んだボタンは軽快に跳ねたあと床に寂しく転がり。
消し忘れたライトにより露になった肌はいつもよりその存在を主張した。
が、すぐに彼の身体によって覆いつくされてしまう。
深く重ねた唇が離れると。
目の前には、獣の顔をした男。
目の前には、濡れた瞳と頬を上気させた女。
柔らかなふくらみに舌を這わせ、指で淫猥な水音を立てる男と。
叫び声を上げ、腿を震わせ、背中に爪を立てる女。
やがて肉体がぶつかる音と、間隔が短くなってく吐息。
弾け飛ぶ汗、囁かれる愛の言葉。
未来に思い描く 確かに幸福な 日々
それでも消えることのなかった 狂気の炎は いつかこの身を焼き尽くす
けれど 彼女を 彼を 求める心は 止まることなく
end
短いの1つ、投下してみました。
曲の解釈は、個人的なものなので、イメージと違っていたらごめんなさい。
あんまりエロくないかもしれませんね。
いつもいつもすばらしいSSを書いてくださる職人さんたちに捧げます。
197 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/15(金) 19:26:54 ID:VkTTpguN
びーどろさん、GJです。
なんだか通り雨のような、
夕立ちが起こって一瞬に過ぎ去っていったかのような
スピード感があるお話でした。
私は好きです!
ありがとうございました。
また投下待ってます〜
びーどろさん、GJ!
素敵です♪
GJです!
曲とお話がうまくかみ合っててよかったです。
こういう短編ものだめならではでいいですね。
週末です。ショコラさんお待ちしております
ビロードさんって、もしやいよかんさん?
ビードロさん!
おかえりなさい。。。。
ですよね?
ビードロさんでしょ?wwww
204 :
201:2005/07/16(土) 01:06:51 ID:58pgepeZ
失礼しましたw
ビロードさん?ビードロさん?
あ。びーどろさんでしたか。。。
すみませんでした。
207 :
nico:2005/07/16(土) 23:46:00 ID:9Z7j75ST
The Mark
先輩の腕が優しくわたしの体を包み、首筋にキスをしてくる。
わたしが首筋に弱い事を知っているから。
シャワーを浴び、軽く拭っただけの黒髪が頬に触れくすぐったい。
「んん……」
「……いい?」
耳もとで先輩が囁く。わたしの体に手を這わせながら。
返事のかわりに甘い声が出る。
何も言うこともできないまま、ナイトドレスを脱がされ、下着だけの姿にされる。
たったそれだけの事で、身体が火照り、溶けそうになる。
抱き合ったまま、先輩の手は、いちばん敏感な部分へとのびてゆく。
「…だめ……先輩……やぁ……」
その否定の声さえ、甘ったるい色を帯び、
先輩の欲情をさらに煽っているのが自分でも分かった。
「気持ちいいんだろ?」
これ以上ないくらいに優しく体をまさぐりながらも、意地悪く聞いてくる。
わたしは力なく首を横に振る事しか出来ない。
先輩の指先がわたしの秘部に触れ、そっとなぞる。
爪でそこを弾くように触られ、わたしは悲鳴のような声を上げてしまう。
全身を貫くような快感が走る。
膝がガクガクして、体が震える。
もう立っていることさえも出来なくなり、力なくその胸板にもたれかかる。
208 :
nico:2005/07/16(土) 23:46:45 ID:9Z7j75ST
2
頭に血が上って、うまく呼吸出来ない。
抱き合ったままシーツの海に飲み込まれる。
先輩の顔がわたしの胸にうずめられ、濡れた髪から大好きな芳香が香る。
それだけで、快感に全身が疼くのが分かる。
華奢な紐をほどいて下着を剥ぎ取られ、
蜜の溢れるそこを執拗に嬲られ、わたしの身体はびくりと震えた。
「のだめ……もう溢れてる……ふふ」
「や……言っちゃ…だめデス……」
先輩はわざとぴちゃぴちゃと音を立てて、わたしに聞かせる。
「あふ……」
わたしはもうさざ波のように迫ってくる快楽に押し流され、抵抗する力もない。
「さわって」
先輩はわたしの手を導いて、自分のものを触らせる。
わたしは何かに憑かれるように、先輩のものに手を這わせた。
やがて、わたしの上にいた先輩が、身体をずらし、それをわたしの顔の前に差し出した。
わたしは吸い込まれるように、何の抵抗も、ためらいもなくそれを口に含んだ。
付け根から、先端に向かって、ゆっくりと舌を這わせ、また戻っていく。
何度か繰り返すと、その先端から、体液がにじみ出てきた。
それを舌ですくい、先をくわえ、絞り出すように吸い上げた。
209 :
nico:2005/07/16(土) 23:47:25 ID:9Z7j75ST
3
「ああ………」
普段、声を出さない先輩から、かすれた声が漏れる。
ため息まじりの、この上なくセクシーな声。
わたしが感じさせたんだ、そう思うと、身体の芯がまた熱くなった。
「あん……」
夢中で愛撫を続けていたのに、それを不意に離され、
思わず非難するような声を上げてしまう。
きっと今わたしは、ひどく淫らな顔をしているに違いない。
先輩が、わたしの足を広げ、間に入ってくる。
わたしのひざに手をおいて、もうぐっしょりと濡れたそこに、先輩の先端が触れる。
そして、入り口から、最も敏感な部分に向かって擦り上げる。
「…やぁ…っっ……!!」
それだけで達してしまいそうになる。
いつもと違う快感に、戸惑いながらももう既に溺れかかっていた。
快楽を求めて、先輩の足に自分の足をからめた。
先輩が、それに気付いたのか、ゆっくりと挿入してくる。
「ああ……」
痺れるような快感に、深くため息をつく。
210 :
nico:2005/07/16(土) 23:47:47 ID:9Z7j75ST
4
もっと……もっと深く……
でも……入れられたのは、ほんの先端だけだった。
抜けるか抜けないか、そんな微妙な深さのところで、弄んでいる。
くちゅ、くちゅ、といやらしい水音が部屋に響いた。
まるでそこに心臓があるかのように、血液が集中するように、
熱くなっていくのが分かった。
「や……ぁ……」
もっと深く入れてほしくて、自分から腰を動かしてしまった。
それを、先輩が見のがすはずもない。
「どうして欲しい?」
分かりきっているのに、先輩は本当にいじわるだ。
でも、それに煽られ、さらに感じている自分がいる。
「……ぃ……いれ……て……」
こんな状態でも、羞恥心は捨てきれず、消え入りそうな声で訴えた。
「入れてるよ」
そう言って、またわざと音を立てて動かす。
「やぁ……」
わたしは激しく首を横に振った。
身体が溶けそう。どうにかなってしまいそう。
欲しい。欲しい。もっと、もっと深く………!!
「のだめ……どうして欲しい?」
もう一度先輩が聞く。
211 :
nico:2005/07/16(土) 23:48:19 ID:9Z7j75ST
5
「言わないのなら、このままいっちゃうぞ?」
その声さえ、甘く響いて、身体の芯を熱くする。
先輩はにわかに動きを早めた。この状態で、先輩が達しないことは分かっている。
でも、本当にこのまま終わってしまったら………?
息が乱れて、呼吸が出来ない。
体が熱い。
「お願い……入れて……センパ……」
うまく声も出せなかった。泣きたいわけじゃないのに、目から涙がこぼれた。
「ダメ。ちゃんと言って」
先輩が動きを止めて、それを抜こうとした。
「やだ…!!…やデス……!…入れて!……もっと……真一くん……!!」
無我夢中だった。快楽に支配され、がんじがらめにされ、
自分がどんな淫乱な台詞を吐いたのか、そんな事を考える余裕もなかった。
「やん……!!」
先輩のものが一気に奥まで挿入された。
強い感覚に息が止まる。先輩がわたしの上に覆いかぶさる。
さらに求めるように、わたしは先輩の背中にまわした手に力を入れた。
「すげ………熱いよ…お前の中……」
いつも自分の快楽を表に出さない、先輩の声が上ずっている。
わたしの身体に感じてくれている……。
そんな幸福感も、わたしの感覚を高めていた。
「あ…ん……気持…ちいいデス……」
重ねた体の心地よさ。
先輩に合わせて、腰を動かしている自分がいた。
212 :
nico:2005/07/16(土) 23:48:43 ID:9Z7j75ST
6
先輩が動きを止めて、ゆっくりと抜き取る。
「後ろ向いて」
優しい口調だけど、有無を言わせない、そんな口調。
わたしは機械のように先輩に従って、うつ伏せになった。
熱く濡れそぼったそこに、先輩のものが当てられる。
でも先輩は、それ以上侵入してこない。
わたしは先輩を求め、腰を浮かせ、自ら先輩のものを深く埋めようとした。
どんどん淫らな格好になっていくとも気付かずに……。
「は…ぁ……」
先輩のものを全部くわえこんだときには、うつ伏せだったはずが、
四つん這いになって、獣のように自ら腰を動かしていた。
「ああ!やん……!もっと……もっと……!!」
頭の中が真っ白で、何も考えられなかった。
全身から汗が噴き出し、のど元からあられもない声が溢れ出てしまう。
先輩の手が腰から、太ももを撫で、ある部分へ、ゆっくりと近付いてくる。
その行き場を知って、わたしは声を上げた。
「やぁ!!触っちゃ…だめ……!」
「もう太ももまで溢れてる、やらしいな……のだめ……」
その一言一言が、快楽となって脳に響いていく。
さわさわと陰毛を撫でた後、ぎゅっと肉芽に指を押し当てられ、わたしは悲鳴を上げた。
先輩はかまわず、コリコリとそれを弄ぶ。
その刺激と膣への圧迫感で、いいようのない快楽の波に押し流され、
身体に力が入らず、わたしは肘をついて、シーツに頭をもたれかけた。
213 :
nico:2005/07/16(土) 23:49:12 ID:9Z7j75ST
7
「は……ぁ……もぉダメ……いっちゃう……!!」
熱い、熱い、熱い………。
登り詰めていく感覚が身を焦がす。
「俺も……もうだめ……いきそ……」
先輩の声も上ずり、腰の動きが早まる。抉るようにわたしの最奥に押し付けた後、
先輩の精液が体内に注ぎこまれるのを感じながら、わたしも果てた。
「大丈夫?」
「ん……」
気を失っていたのか、眠ってしまったのか……。
多分、ほんの数分の事だったのだろう。
先輩は、ベッドの端に腰掛け、ミネラルウォーターを飲んでいる。
「のだめにも下サイ……」
全身がだるい。
重い身体をなんとか起こして、枕に背を押し当てるようにして体を起こす。
「はい」
わたしの口に冷たい水が注がれる。先輩の口によって。
冷たい水が、事後の甘く火照った体に染み渡る。
214 :
nico:2005/07/16(土) 23:49:39 ID:9Z7j75ST
8
「今日、どうした?」
「何がですか?」
急に言われて、何の事だか分からず、先輩の方を見る。
「そんなにしたかったの?」
思わず口に含んだ水を吹き出しそうになる。
「……何の話デスか?」
「……セックス。だってお前すごい乱れて……こら、目そらすなよ」
急遽決まった先輩の演奏旅行。
出発する前は、時間的にも精神的にも余裕なく勉強に打ち込む先輩の姿に、
邪魔にならないよう、先輩の部屋に入るのも抱き合って眠るのも遠慮していた。
出かけてしまった後も、帰って来るまでの時間がまるで永遠のように感じられた。
それは実際にはとても短かかったのにもかかわらず、だ。
「……だって寂しかったんですよ?先輩急にいなくなっちゃうし」
となりに座り、わたしをゆるく抱きしめ、甘く濡れた髪を弄んでいる先輩。
いじわるを言うその唇。濡れた髪。汗ばんだ体。
何もかもが先ほどの情事を、思い起こさせる。
わたしは耳まで赤くなってうつむいた。
215 :
nico:2005/07/16(土) 23:50:00 ID:9Z7j75ST
9
「やらしいな、のだめ」
からかうような口調が、腹ただしいような悔しいような、泣き出したい気分だった。
ぷいっと横を向いた。先輩はにやにやしてるに違いない。
「知りマセン!!」
楽しそうな先輩の声を無視して、ベッドに横になり、乱暴に布団をかぶった。
さきほどの痴態の数々が、死ぬほど恥ずかしく、
千秋から優しく与えられるキスからも、身をよじって体を反らす。
「こら、のだめ……愛してるって」
こんなときに、そんな台詞ってなんだか卑怯だ。
それなのに、わたしはフワフワと夢見心地で幸せになる。
こちらを見つめる瞳も、啄ばむようなキスも、
もう拒むこともあきらめて、キスをしながらくすくすと笑いあう。
再び熱を持ち始めた体で、先輩の首に手を回して、耳もとで囁いた。
「のだめも、愛してマスよ」
知ってるよ、とでも言うような余裕綽綽の笑顔が、愛しくも悔しかったので、
わたしはその肩口に噛み付いて、みた。
F I N
216 :
nico:2005/07/16(土) 23:52:43 ID:9Z7j75ST
以上です。
ちなみに当方ピル派です。
ゴム付けさそうか迷ったんだけどまあいいかと。避妊効果もより高いですし。
ショコラさん、続きマターリお待ちしています。
もちろんほかのネ申々も。
ふぉ〜!寝る前の一時〜!
nicoさんGJです!
千秋の言葉責め、はう〜ん
エロス!!
乙です!
ふぉぉ
「短くってエロい物」!
GJ!!
221 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 20:47:42 ID:23utYIKM
ショコラさん
まってますよー
ショコラさ〜ん
正座して、待ってます。
223 :
0/1:2005/07/17(日) 22:50:37 ID:8tPo4Pyw
はじめますて。ちょこっと短編です。千秋は本当に良い男です。
「また、明日デスネ」
「……あぁ。早く寝ろよ。明日早いんだから」
「ウフ。先輩が添い寝してくれるなら、スグにでもぐっすりと――」
「うるさい。寝ろ! ハウス! ハウス!」
「ぎゃぼーーーー」
「ふぅ……」
白いベッド・シーツに全身を預けると、今日一日分の疲れがどっと襲ってきた。自室の清潔な空気を吸い込むと、胸が安堵に満たされた。
さっきまで、扉の向こうから聞こえていた、のだめのラヴ・メッセージ? とやらもようやく止んだ。あれは本当に怖かった。
頭の中に睡魔が宿り始めたとき、壁をはさんだ向こうの部屋から、ピアノの旋律が聞こえてきた。聞いたことのない曲だった。
「あの馬鹿……」
早く寝ろ、と怒鳴りに言こうと思った。でもできなかった。あいつのピアノがあまりにも楽しげで――とかじゃなくて、たださっきのあいつの目(ウフ。先輩が添い寝……)欲情に渦巻いた獣の目が怖かった。本当に怖かった。
「くそ……眠れないな」
冷蔵庫から赤ワインを取り出し、グラスに注いだ。そしてパリの夜景を眺めながらゆっくりと飲んだ。やがて時計の短針は、夜の一時を指し示そうとしていた。ピアノの音は止んでいた。月が一人きりで夜の海に浮いていた。
224 :
1/1:2005/07/17(日) 22:51:42 ID:8tPo4Pyw
「そろそろ寝るか……」
アルコールによる心地よい火照りを全身に感じながら、シャツを脱ぎ、ベッドに腰掛けた。違和感。
ベッドのすぐ傍、サイドテーブルの上に、一冊のメモ帳がぽつりと置いてあった。
「なんだ……コレ?」
diary。日記帳だった。買った覚えはない。中はまだ真っ白。淡い水色の表紙。表紙にはかくかくした黒文字で、
<先輩。のだめからの年貢デス。その日楽しかった事や、発情してしまった事を赤裸々に書きナサイ。あとでのだめが読むので>
「発情……」
のだめの仕業だった。日記帳を勢いよく床にたたきつけた。くそ、本当に忌々しい。
仰向けに寝転がり、窓の外を見つめた。ガラス窓には、部屋の光景と自分の姿がありありと映し出されていた。ふと自分の表情が気になった。けれどもよく見えない。きっと、迷惑がった顔をしているに違いない。
のだめの顔を思い出した。ガラス窓に、すぐさま、やつの笑顔が写りこんだ。次々と表れては消えるのだめの顔を見ながら、しかし(ぎゃぼーー)発情などするはずもなく、言い知れぬ敗北感がだんだんと胸に込みあがってくるだけだった。
「……クソ! なにが年貢だ!! のだめのクセに貢ぎやがって!!」
ベッドから起き上がると、床の上の日記帳を拾った。窓際の木机に乱暴に座った。鉛筆を握った。
「ふん。読ませてなるものか。これは、俺だけの大切な――ふん」
ガラス窓を見た。ひとつの笑顔があった。
お わ り
ワロスw
変態のだめGJ!!
日常の一コマってヤツですね。
ほのぼので良かったです。
ハウス!ハウス!にはワロス。のだめ犬・・・・・w
GJ!面白かったです。お上手!
228 :
熱情 1:2005/07/18(月) 23:22:12 ID:5hGvrld2
『appassionata』
この想いは 段階を 軽く飛び越えて 唐突に
張り詰めた 一本の糸は 気がつけば心にあった密やかな 火種によって
瞬く間に 燃え落ちていく
否 燃え落ちるは 我が身か 彼のひとか
「……ぅん?」
夢の中でまで腕を絡ませていた心休まる温もりがすうっと溶けていくようで。
真一は手繰り寄せようとするも、その手は再び他者の熱に触れることなく。
さらさらとシーツの感触だけが残る。
そこには少し前まで確かに隣で眠っていたひとの痕跡となる皺が刻まれており。
すぐに戻るだろうと彼はもう一度瞼を閉じる。
229 :
熱情 2:2005/07/18(月) 23:23:02 ID:5hGvrld2
夢うつつの彼の耳に突然飛び込んできたのは、ピアノの音。
蜜事の後迎える朝にはおよそ似つかわしくない激しい旋律、ピアノソナタ『熱情』。
それは昨晩の情事を思い起こさせる艶を含んでおり。
たとえば、鎖骨を唇でなぞったときに洩れ出た熱い吐息、とか。
あるいは、ふくらはぎから足の付け根まで指を這わせたときの喉奥から聞こえた嘶き、とか。
中に入っていくときに絡まった視線。一瞬の微笑。顰められる眉。伝う汗、零れる汗。
震える白い肌。刻む紅い印。押し殺した声、耐えられずに上がる鳴き声。
リアルに頭の中で再現され、真一は思わず赤面する。
こうなってしまうと再び夢の住人になることは最早叶わず。
「……朝っぱらから、なんつー弾き方してンだ」
2度寝を諦め、彼は床に散らばった衣服を身に纏った。
230 :
熱情 3:2005/07/18(月) 23:23:49 ID:5hGvrld2
恵は第1楽章の途中で指を止め、赤らむ頬をその大きな手のひらで覆った。
「な、なんで?」
目が覚めて何となくピアノが弾きたくなり。
真一の腕の中から彼を起こさぬようそっと抜け出し。
他意なく弾き始めたのが『熱情』。
ちょっとうるさいかなとも思ったけれど、そろそろ起きなくてはならない時間だったし。
目覚まし代わりにと指を鍵盤に滑らせるも、その脳裏には昨夜の情事が思い浮かび。
たとえば、頂を転がす舌の濡れた鮮やかな赤、とか。
あるいは、律動する身体に合わせて薄目を開けたときに見えた漆黒の瞳、とか。
中に入ってくるときに絡まった視線。一瞬の微笑。顰められる眉。伝う汗、零れる汗。
引き締まった腕。頭を撫でる優しい手。掠れた声、囁かれる自分の名。
とにかく落ち着こうと恵は深く息を吸った。
ヨゼフィーネへの激しい恋情につられてしまったのかもしれない。
けれど途中で曲を変えて弾くのはベートーヴェンに失礼な気がして。
比較的穏やかな旋律の第2楽章から弾き始めた。
231 :
熱情 4:2005/07/18(月) 23:24:47 ID:5hGvrld2
なぜか途中で止まってしまったピアノは、すっとばしていきなり第2楽章へ。
こいつ分かってんのかな、と真一は静かに溜息をつく。
静かなパッション。
しかしその奥には抑制されてますます燃え上がる想いがあるということを。
ほら、繋がっていく。
間を置かずに始まる第3楽章。
どうしよう、さっきよりずっと鼓動がうるさい。
でも指はどんどん欲張りになっていって、止めることができない。
激しいパッション。
私はその中に、いる。
火照ったむき出しの肩に、冷たい指先が乗せられてゾクリとする。
「おまえ、なんで第1楽章を途中でやめたの?」
クスクスと笑う真一の声が降りてくる。
「え、えと。ドキドキしすぎるから……です」
赤くなって俯く恵の顎を、彼の指は掬い上げて。
深い、深い口付け。
気がつけば心にあった密やかな 火種
やがて大きくなって 理性の水では 消すことが出来ない
時に静かな 時に激しい パッション
私たちは その中に いる
end
こんばんは。びーどろです。
すいません、なんかわかりづらいHNで……。
『熱情』 こんな曲じゃないとは思うんですが、
個人的にものすごく動悸が激しくなるんです、聴くと。
前作同様、イメージ違ってたらごめんなさい。
誠にお恥ずかしい限りですが
おかえりなさいとおっしゃっていただいて、涙が出そうなほど嬉しかったです。
ありがとうございました。
連休最後の夜に〜GJです。
はぅ〜んv
ぎゃあああ めっさ萌えた
びーどろさんの話、ピアノ弾いてるときの描写がエロ美しくて(;´Д`)ハァハァ
おおう
連休中にこんなにおいしげな物がいっぱいv
お三方ともGJ!
個人的には「やらしいな、のだめ」に萌え!!
どっかで見た台詞だよ。
>「やらしいな、のだめ」
禿同>236
最近、どっかで見たようなのが続いていて萎え〜
>「やらしいな、のだめ」
のだめの名前を別の名に置き換えれば
エロ小説でよく使われる台詞だと思うよ。
でも萌え。
239 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 17:41:15 ID:Z/SFtJrR
つーかどんなエロSSも
どっかで見た表現しかないけどね。
どこでも見たことがないエロってどんなだ?
241 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 17:44:08 ID:Z/SFtJrR
のだめと千秋じゃなくても・・というかね
なら自分で書いてみれば?
まあ、明らかに「どこぞの神の描写に似ているなあ」と言うのはあるけど。
またこの流れか。
エロはある程度パターン決まってるし、元ネタ同じだから
カブる部分があるのは仕方がないと思うがなあ。
文体は職人さんそれぞれの味がある。それを楽しめないなら
オリジナルの小説なりを読んでたほうがいいんじゃない?
ショコラさんはどうしたのだろう…煮詰まっているのだろうか。
ショコラさーんお待ちしてまーす
神々も勿論でつ
…あのな
どっかで見たこと読んだことあるなんか当然あるだろ?
読書量は創作系住人なら、それなりにあるだろうしな
それに2ちゃん(正確にはPink)だぞ?ここは
職人、セミプロ、プロになに求めてんだ?
…まぁ正座して待ってるよ
マターリしようぜ
いつからパクリマンセーになったんだよ、ここ。
2次創作だと言われればそれまでだけれど、それでもやはり
自分の書いた物をパクられるのは気分悪いよ。
読んでる方は別にどうでも良いかもしれないけどさ。
シチュエーションとか、アイテムとか、そういうのが被るケースはいっぱいあると思うけど、
独特の言い回しや文体の雰囲気とか、色々な描写について明らかに所々被っていると、
読んでいて違和感とか不快感は感じる。
読み手としても、書き手としても。
別にどれでもいいって言うんなら、どれでも同じだって言うんなら、
ネット上の官能小説の登場人物をのだめと千秋に変えて、楽しんでればいいんじゃない。
ここに来る必要、ないよね。
うぜぇ いつからここは説教スレになった?
ここはSSスレだろ?無駄なレスで埋めるな
250 :
1/1:2005/07/20(水) 02:37:25 ID:bN+17sTA
こんばんわ。ちょこっと短編その2です。フランクは本当に良い男です。
「あっ……はぅん。千秋先輩……黒くて、すごく大きいです……」
「そうだろ。それにすごく固いんだ。ほら、遠慮しないで上のほうも触ってみろよ」
「ふ、ふぉぉぉぉ。こっちはぷにぷにしてマス。オイシソぅ。あん。のだめ、
もう我慢できない、早く食べたいデス。じゅる」
「そう焦るな。すぐに食べさせてやるから」
正午。アパルトマン自室。――キッチン。
今朝早く、のだめ家から大量の椎茸が送られてきた。さっそく食べる事にした。
「洋子、グッジョー、デスね。先輩」
一番傘の立派な椎茸を興味深そうに弄くりながら、のだめが言った。
「あぁ。こっちじゃ、こんなに質の良い椎茸は珍しいからな。本当に有難いよ」
片手でフライパンを振るう。熱気。高温のステレンレス板の底で、
バターの甘く香ばしい香りとともに、肉感のある鱈の身が踊った。
「あっ……いやん。いまこのキノコぴくって震えましたよ。先輩ぃ」
「え、いまなんか言った?」
「……なんでもないDeath」
お わ り
ショコラさん……。お待ちしてます。(切望)
続きがアップされてないかと、日参しております。(;´Д`)
>251
同じく。
でも職人さんの都合もあるでしょうしまったり待ちましょう。
諸君、ぶっちゃけ、のだめカンタービレを雑誌で読み、
なおかつ単行本をちゃんと読んでスレに参加している人間はどのくらいいるのだろうか?
たまーにこのスレに限らず、妙な輩がエロパロに紛れ込むよなぁ
…まさか、まったく読んでない奴がググった程度で書き込んではいないよな?
確認する術はないが夏と言って片付けられない事象がたまにある
ちゃんとしろよ、メカドックよ
ついでに舞もな
黙ってろ
256 :
名無しさん:2005/07/22(金) 01:52:38 ID:XFQwUfT9
短編も長編も待つですよー
>250さん
GJ!のだめが変態〜(w
「death」にも笑いました。
あと本文には全然関係ないけど、前回に引き続き
「***は本当に良い男です」っていう一文がなぜかツボでした。
これからもがんがってください。
こういうオバカ(けなしてる意味じゃありません)な短編、好きだ(w
通りすがりですが、落としていきますね。
*************************************************************************
バダン……大きく音を立て、そのドアは閉じた。
二人で外で食事を終わらせた後、じゃれ合うように帰ってきた二人は
部屋に入るなりどちらからでもなく堰を切ったようにその唇を重ね合わす。
千秋は玄関のドアにのだめの体を押しつけると、腰を抱き
これ以上ないほどに体を近づけ、割開いた唇から舌を差し入れる。
歯列をなぞり、歯茎を舐めあげ、戸惑う舌を捉え乱暴に絡めると
その甘い唾液を吸い上げた。
溢れ出す愛しさが堪えきれず吐息となり、
何度となく絡み合う舌はもつれ合って離れない。
その激しさに息をつくことを忘れていたのだめが、
苦しさに千秋の背を叩くと、名残惜しそうにその唇は離れた。
額が触れるほどの顔の距離で潤んだ熱い瞳が混じり合う。
千秋は力任せに抱いていた腕の力を弱めると、
高ぶる気持ちを落ち着かせるように
その柔らかい栗色の髪に顔を埋め、片手で彼女の頬を包み込む。
ゆっくりと唇をスライドさせて、額に頬に耳朶に甘く口づけて
その愛しい顔にキスの雨を降らせた。
慈しむような優しい口づけは、次第に熱を帯び
チュッという音を立てて彼女の柔らかい肌を吸い上げた。
まるで味わうように舌を這わせ、肌を舐めあげ
吸い付いては、その白い肌に赤い花を散らしていく。
千秋はのだめの首筋や項、その胸元にいくつもの花を散らすと
満足げに口元を緩めて、彼女の背中のファスナーに手を伸ばした。
パサリ……と小さく音を立てて彼女の身を包んでいた
ドレスが剥ぎ落とされる。
包み隠されていた彼女のたわわな胸の谷間が露わになり
千秋は引きつけられるようにその谷間に顔を埋めた。
彼女が……のだめが、欲しい。
ふわりと指に絡みつく栗色の髪も
柔らかで弾力のあるその白い肌も
赤く染まる頬も
その甘い吐息を漏らす唇も
ふくよかに主張する胸も
すべて自分だけのモノにしたい。
その濡れた瞳に映るのは、世界中でただ一人。
自分だけでいい。
だから……
彼女の体の至る所にこの赤い花を散らし
自分だけのものである証を刻もう。
千秋はベッドの上にのだめを横たえると、
上から覆い被さって彼女の首筋に唇を落とした。
チロチロと舌先を遊ばせて、吸い付いては赤い華を散らし
自分のモノだと言う主張を刻んでいく。
片手で彼女の体を押さえつけ、片手でその体のラインを
なぞるように撫で上げると
のだめは堪らないといった様子で千秋から顔を背け、
体を走り抜ける痺れに眉根を寄せる。
千秋の長い指が……その大きな掌が………
滑らかな肌を辿り体中をまさぐって
慈しむようにその胸に触れる。
唇での愛撫を続けたまま、掌でその大きな胸を包み込み、
やわやわと揉みしだいては、上下左右へと揺さぶる。
「はぁん……」という甘い吐息がのだめの口元からこぼれ落ちて……
その声が可愛くて……もっと聴きたくてもっと鳴かせたくて
千秋は指先で軽くその頂を弾いた。
途端、のだめの体がしなやかに仰け反り、悲鳴にも似た声を発す。
「あぁぁ…やぁ…ん」
その仕草が、声が、たまらなく千秋自身を刺激する。
「かわいい……」
こみ上げる愛しさを言葉に託して耳元で囁くと
千秋はほんのりピンク色に染まったその頂を舌でつつき、
軽く舐め上げると口の中に含んで転がせた。
柔らかい胸を吸い上げて、その柔らかい甘い肌を楽しむと
固く沿った頂が口の中でその存在を主張する。
愛しくて…………愛しくて………
彼女の全てを食べてしまいたい。
こんな気持ちになるのはのだめが初めてだ。
他の誰でもない。のだめでないと感じない。
そう…あの時に似ている。
三善の家で共に奏でたエルガーのヴァイオリンソナタ。
心地よいヴァイオリンの音色に絡みつくピアノの音。
甘い余韻は快楽にも似ていて……
のだめでないと味わえなかった。音の快楽。
快楽の波に無抵抗で身を任せ、飲み込まれる心地よさ。
溺れたい。どこまでも。
この波に沈みたい。
胸への愛撫を続ける千秋をのだめは熱に潤んだ瞳でジッと見据えた。
汗ばんだ漆色の黒髪が肌を擦り、夢中になって自分の胸へ愛撫を
続ける彼の表情は子供のように楽しげで
どれほど見つめていても飽きることはない。
彼が、欲しかった。
ずっとずっと………
初めて彼の部屋で彼のヴァイオリンと音を重ねたときからずっと……
彼に触れて欲しくて、彼に抱きしめらたくて、
唇を重ねたくてたまらなかった。
求めて………求めて……
求めてたまらなかった彼が今自分を抱きすくめる。
逃がすまいと力一杯腕を掴み、無我夢中といった感じで
自分の胸を頬張る彼。
その姿が愛おしい。
彼に触れられる度に甘い痺れが全身を駆けめぐり
快楽が全ての感覚を支配する。
のだめは千秋の頭にそっと手を伸ばして、その頭を撫でつけた。
「せんぱい……」
優しく頭を撫でつけられる感触に千秋は胸への愛撫を止めると
「なに?」と熱っぽい瞳で彼女を見上げる。
「やっぱり……なんでもないデス」
潤んだ熱い瞳に見つめられ、のだめは照れくさそうに身をよじる。
「なんで?なに言おうとしたの?」
千秋は体を起こして、のだめの顔に顔を近づけた。
「言えよ」
「嫌です」
「いえって」
「いーやーー」
のだめは駄々っ子のようにそういうと、
千秋の腕から逃れるように背をむけて、
その背中を千秋が追いかけ包み込む。
「言えって!ほら」
「言わな〜い」
「言わないとやめるぞ?」
千秋は少し強い語調でそう囁くと、のだめの頭を腕の中に包み込み
耳へ軽く口づけた。くちゅり……という音が耳について、
のだめはクスリと微笑みを浮かべる。
「できないくせに」
そのイタズラな瞳に見つめられ、千秋は思わず吹き出した。
「おまえ、生意気」
「だって、そうででしょう?」
そういわれると、否定できない。
こんなにも求めてる。
心も体も早く彼女が欲しいと叫んでる。
目の前にあるこの瞳を、この声を、この肌を、この唇を、
この胸を、この体を、彼女のすべてを支配したい。
だから彼女を包み込む。
腕の中に閉じこめて、押さえつけて、逃げられなにように。
そしてそれから、彼は彼女の全てを手に入れた。
お目汚し失礼しました。
それではまた、またーりまたーり。
GJーーーーーーーー!
やっぱりおっぱい星人だーwww
いちゃいちゃっぷりがツボですた。
イチャイチャしちょる・・・GJ!!!
265 :
ショコラ:2005/07/23(土) 16:13:55 ID:e2Ogs7Wu
先週は約束を反故にしてしまいどうもすみませんでした。色々・・・まぁもろもろ斟酌の上、控えました。
ナンバリングしてないので確定ではないですが、多分エロ編は90前後になるか・・・と。
まだ、先週投下する分だったモノ+αの50ちょい位しか作業が終わってません。
なので、スルーしやすい様にエロ編は一気に全部投下する予定です。(投下しても怒られないか心配・・・。)
気長にお待ちいただければ・・・と思います。
まってます☆
激しくまってます☆
268 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 21:02:30 ID:6PSj9Ou7
気長に待ってます★
良いですよー。気長に首を長くしつつお待ちしております!
はあ、90ですか。
もう少し詰められると思うんだけどなぁ。
切り方が細かい気がする。
もう少し、行入ると思うよ。
同じく、待ってます。ノシ
ショコラさんのSSは脇役もしっかりキャラが立っていて、好きです。
272 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 23:15:04 ID:QYne7dO8
ショコラさん、やっときた!
長いの大好き、はやく読みたいです。
楽しみにしてます
ショコラさんのリアルで読んでみたい〜。
でもきながにまちます。
274 :
お知らせ:2005/07/24(日) 00:32:52 ID:hElUTln3
エロパロ板の設定が変更され、
全角2048文字、60行まで書き込めるようになりました。
(従来の倍)
また、数値参照文字(unicode)が使えるようになりました。
(中国人の人名漢字等が表示できるように)
1レスに今までの倍、書き込むことができ、
結果としてレス数が減って連投規制に引っ掛かりにくくなります。
エロ絵がみたい・・・のだめのエロ・・・
,,、_、,、_,、、_,、_,、_
,r'´:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
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(:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
(::::::::::::ノ~^~^~^~^~`ヾ::::::::::::)
(::::::ノ ⌒ ⌒ ::: \:::::ヽ
(:::::| (●), 、(●)、 |:::::ノ
ヽ| ,,ノ(、_, )ヽ、,, |:ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ト‐=‐ァ' .::::| < モジャモジャ習作
\ `ニニ´ .:::/ \_______
iリー -- - ヽ,/ 、,'^^'' 、
, -―ー '" ; ' 7 !)
/ , '"^、 `ー-、 _, -ー ! /'|
|' _ミ7ゝ ,. ! / |
|| Y' ::y' : | |
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|' ! .'o, | '.o, ! |,/
| ヽ、 ,人 ノ |
! | `゛´ ` ー 'ヽ ノ
i | ヽ、_, '
ヽ、__ ノ /
/ r |
ノノハヽ\
( ノбб )) ♥
从 зノ(.
/.(・)(・)\ .
(/| x |\)
//\\
.(/ \)
ズレタ・・・
ぬるぽ
上がってないからガッしてやらない。(・∀・)
可哀そうな
>>278 に漏れがガッ
Λ_Λ \\
( ・∀・) | | ガッ
と ) | |
Y /ノ 人
/ ) < >_Λ∩
_/し' //. V`Д´)/
(_フ彡 / ←
>>278
ズレタ ……orz
半年ROMってきます
半日たったからかえってこいw
283 :
281:2005/07/26(火) 15:21:04 ID:GGe/OAP5
∧_∧
" , 、 ミ ←
>>282 ゝ∀ く
∧_∧ | ___________
三 ( とノ /
三 / つ | < マリガトーーー!!!
三 _ ( _ /| | \
(_ソ(_ソ(_ )  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
282タンの耳がーーー!!
あほか
ここで例のAAがあれば
282=286か…
漏れも逝って来る……orz
私信ですみません。
>びーどろさん
メールを送っているのですが、そちらに届いておりますでしょうか。
月曜にメールを送らせて頂いておりますが、未だご返信を頂いていないのですが……。
お忙しいのであればすみません。
ご返答お待ちしてますので、よろしくおねがいいたします。
本当だよっ!と突っ込みいれてみる
びーどろさん、私も御帰還お待ちしてます
∧_∧ ミ ギャハッハッ ズレてる!ズレてる!
o/⌒(. ;´∀`)つ
と_)__つノ ☆ バンバン
∧_∧
o/⌒(゜Д゜ )つ
と_)__つノ
∧_∧ ♪タタラッタッタッタ タタラッタッタッタ トテレッテッテテトトッテット
( ´∀`)<モカエリーーー!! テレッテッテ トテッテッテ トレッテッテッテテレレレ♪
.と┌┴┴┐つ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄
.|
クオリティ高けーよこのスレwwwwww
うはw
ゆめがひろがりんぐwww
vipperにものだめ人気なのか?
ショコラさんまだ?
ま
今3スレ見てきたんだけど、びーどろさんって
いよかんさんだったんですか。新作楽しみにしています。
ハハハ
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ^∀^)< 292タンかわいい☆
( つ ⊂ ) \_________
.) ) )
(__)_)
あの…良く理解してないんですけど、
いよかんさんがびーどろさんに改名された理由は何なんでしょうか?
差し支えなければ、教えていただけませんか?
私もスレ3見てきた。
500に達するまでに、新しいSS投下されてたんだねー。知らなかったー。
ちょっと得した気分。
びーどろさんっていよかんさんだったんだ。
このスレってパクリ推奨なの?
その考え方にちょっとビックリなんだけど。
ノ∩
⊂ パクリヽ
/( 。A。 )っ
U ∨ ∨
・@;∴‥
∧_∧ ∩ :: :.
( `□´)/ :: ::
(つ / :: :'
人⌒l ノ :: ::
し(_)
パクリは逝ってよし!!!!
なにがなにのパクリなの?
どこの何がどうパクリなのかはっきり教えて欲しい。
でないとただの言いがかりの荒らしにしか見えない。
>>305 そのパクリというのはどこから出てきてるんだ?
302はパクリ推奨か聞いてるだけだろ?
>>302 パクリは逝ってよし
自分のSSがパクられたー!と訴えたいが
自分のサイトは晒したくないって職人はたくさんいそう。
308 :
名無しさん:2005/07/29(金) 00:59:36 ID:1orejm9s
>>302 3を埋めるならパクリでもいんじゃね?と発言してた者です。
その時はまだ2も埋まってなかった時期だったので。
参考にした・別の人の作品とかなり相違点がある
で色々感じ方が変わってくるのでしょうね。
二次創作がパクリである、という話もあるでしょうが…
二次創作が原作のパクリ、なんてみんな知ってわかってることだけど、
でもそれでも投下された作品やら、自分のブログで二次やっている人が、
それを真似られたらイヤな気持ちするだろう。
普通に考えて、
パクったほうも美味しいところをいただいたSSで賞賛を浴びても嬉しいのかな?
少なくとも、物書きとしてのプライドがある人に投下してほしいと思う。
>>ショコラさん
じっと待ってますw
つーか、こういうパクリ談義をしていると、今まで来てた職人さん達、
落としにくいんじゃないか?
少なくとも、自分はそうなんだが・・・。
ショコラさん待ってます、とホントに思うなら、
もっとマターリ進行にすべき。
投下終わってからでも、この話は遅くないだろ?
どうだろう。
職人さまたちが気持ちよく投下できる環境のためには、
パクリ問題はすっきりさせといたほうがいいようにも
思うのだが……。
いつ来るかわからん投下のために、談義するのマズイのか?
投下あるまで「待ってます」だけで、
投下があったら「GJ!!」して、それで終わりでいいのか?
314 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 02:22:22 ID:HBdPrCD1
元ネタ申告がないかぎり
「パクリだ」と言っても無駄だし、
場合によっては勘違いかもしれないし、
判定のしようもない。
よって、この話は元ネタ申告なしの場合、
ただの荒らし行為だ。(そんなつもりはなくても結果的に)
もうやめよう。
>314
sageてないおまえが一番たちわるい。
パクリ元をさらせば、難民の時のようにサイト閉鎖がないとも限らない。
だからみんな言えないんじゃないの?
そんなにパクリ晒しに必死になっているのは、もしかして当事者なの?
だから誰も具体的にパクリがあるなんて言ってないだろ
なんだよ元ネタってwwwwどうしてそうなるんだ?
なんでコレが荒らし行為になるのかわかんねー
下げ忘れはスマンかった。
わたしはもう答えのでない争いは
やめてほしくて書いたのだが。
じゃあこの「パクリ」騒ぎで
みんなどうしたいの?
>315
>パクリ元をさらせば、難民の時のようにサイト閉鎖がないとも限らない。
だからみんな言えないんじゃないの?
そんなことはわかっているよ。
だからだれも言えない=なんの証明もできない
じゃないか?
1.自分のブログorサイトの作品がパクられた
許せないからここで大ごとにしたい
2.自分の知り合いor神の作品がパクられた
許せないからここで(ry
3.びーどろさん=いよかんさんが個人的にムカチク
いわゆる私怨
4.別に関係ないけど祭が好きだからパクだといいなあと思っている
5.夏だし暑いし誰でもいいから吊るし上げたい
何度も話を蒸し返す人たちはこのうちのどれなんだろう
個人的にはマジパク(あるいは確信がある)んだったら、
ちゃんと検証出来るように元ネタもあげろやと思う
パクり書いていけしゃあしゃあとしてるのは、読み手としても気分悪い。
以前、指摘されて「私はそんなサイト知らない」って言ったりした人いたよね。
なんて無神経と思ったけど、ここの住人は「気にするな」でスルーだったし。
そういうSSにGJって変な話だよねえ。
書き手も読み手も、倫理感とかモラルないのか、と。
別に、パクリがあったらあったときに指摘して、
パクリに注意するようその場で促せばいいんじゃないのか?
ここで争っても、同じように話が蒸し返したりするだけで、
何の意味もない。さっきから何の進展にもなってないだろ?
ムダだよ。こんな談義。
パクリ言ってる奴らは、この状況で今、どうして欲しいのか
まず書くべきだろ。そうじゃないと、一方的な荒らしとみなされるぞ。
私もあの時は、実は思ってました。
大好きなサイトさんだったから、余計に。
サイトのこと聞きもしないで「知らない!」って言うのは
ちょっとどうかと思った。
本当は知ってるんでしょ?と。
あまりにも似すぎていたもので。
>320
だって、勘違いかもしれないじゃん。
やっぱり証明してくれないと。
裁判だって、一方の言い分を証拠なしに
信じるわけにもいかない。
314 :名無しさん@ピンキー :2005/07/29(金) 02:22:22 (p)ID:HBdPrCD1(4)
元ネタ申告がないかぎり
「パクリだ」と言っても無駄だし、
場合によっては勘違いかもしれないし、
判定のしようもない。
よって、この話は元ネタ申告なしの場合、
ただの荒らし行為だ。(そんなつもりはなくても結果的に)
もうやめよう。
317 :名無しさん@ピンキー :sage :2005/07/29(金) 02:38:47 (p)ID:HBdPrCD1(4)
下げ忘れはスマンかった。
わたしはもう答えのでない争いは
やめてほしくて書いたのだが。
じゃあこの「パクリ」騒ぎで
みんなどうしたいの?
318 :名無しさん@ピンキー :sage :2005/07/29(金) 02:40:45 (p)ID:HBdPrCD1(4)
>315
>パクリ元をさらせば、難民の時のようにサイト閉鎖がないとも限らない。
だからみんな言えないんじゃないの?
そんなことはわかっているよ。
だからだれも言えない=なんの証明もできない
じゃないか?
323 :名無しさん@ピンキー :sage :2005/07/29(金) 02:53:48 (p)ID:HBdPrCD1(4)
>320
だって、勘違いかもしれないじゃん。
やっぱり証明してくれないと。
裁判だって、一方の言い分を証拠なしに
信じるわけにもいかない。
……なんか証明証明って必死な人がいますね。
今度は自分が吊し上げか。
もうここには投下できないな。
最後に一言
神扱いされてるサイトにも、そうでないのにも
「パクリかな」って思うのありますよ。いくつも。
そう思うならまず、それを証明してみれば?
自分が「証明」しろって言ってんだから、それを示せば?
じゃあもう一言。
わたしも他ジャンルの二次創作のサイトマスターだから
二次創作の危険性はいつも考えてる。
こんなところで「パクリだ」なんて言い争って
誰とも分からない人間に恨みを買って
もし駄文やサイトを公にさらされたら、と危惧するよ。
だからこういったところでは
言い争わないほうがいいよ。
さきほど325のように書いたのは
そういわれて「じゃあ証明しろ」と自分と同じ事を
いう奴がいるにきまってる、と思って書いてみました。
じゃあな。
あちこちサイト巡りしてるとシチュエーションや文体などが微妙に似てるってのは結構ある。
まんまパクってる所は本当にひどいなと思うけど、只単に似通ってしまっただけかもしれないよ。
少なくともこれだけSSが溢れてる中で同一作品のSSを書いていれば、時には似たものが出来上がる可
能性はゼロじゃないと思うし・・・。
のだめサイトのSSをここに投下してる書き手さん全てがチェックしてるわけでもあるまいし、ちょとギスギ
スしすぎじゃないかな。
>320,322
おまいらが「神サイト」と崇め奉っているサイトを誰もが知ってないと
気が済まないのか?
その考え方がイタイよ。
だから難民でたたかれるんじゃね?
流れに便乗する訳ではないけど、
単行本と本誌+このスレ情報のみな人間もいる。
サイトとか回らないし。
正直、二次創作は思考言動の固定された同じキャラを使用するし、
エロなんていう狭い条件でSSを書こうとすると、
似たような作品はごろごろ出てくるんだよね。
特に、ネタって原作の進行や時事に左右されることも多いので、
同時期に同じネタを思いつく人間が複数なんてザラ。
しかも、原作キャラを大事にしようとすればするほど、
突き詰めた行動はどうしても同じになるし、個性を持たせようとすれば
キャラ壊しになるし。
同じフレーズや表現など、いくらでも出るよ。
完全パクリは犯罪だけど、似ている部分があるというだけでパクリ扱いは
どうなんだろうなあ。
>>303 GJ!!
>>330 禿同
複数の人間が同じキャラクター、同じ状況下
(端的に言うとセックス)で二次創作を行う限り、
シチュエーションや言動が似てくるのは仕方ないと思われ。
私はいろんなスレ&サイト周るけど、ここのスレ内で
騒ぎ立てなきゃなんないようなパクリがあるとは思えなかったよ。
無論パクリは逝ってよしだが。
パクリ騒動の真偽はわからない(答えは本人のみぞしる)けど
あれだな、いよかんが復活してこの騒ぎだ。
ROMからみても連続投下やレスつけは空気嫁だったわけだから、
今回の復活やまぁ名乗りは不適切だったんだなと思う。
私はのだめ系のスレ&サイトしか周らないけど、ここのスレ内で
「え?」と思って、おもわず確認することが少なくとも3回あったよ。
それらには、
・いよかんさん作
・元ネタ?と思われる作品の発表から、あまり間をおかずに投下されている
という共通点があった。
不思議だなと思ってさ。
>>331 エロとか、言動のことを言ってるんじゃないよ。
同じ作品を元に書く二次なんだから、当然シチュがかぶることだってあるだろう。
そんなのかぶっても何とも思わん。
そこに行きつくまでの話の流れとか、その作品の底に流れている
世界観とか、そういう、その人本来の個性的なところのことを言ってるんだよ。
それは、作品の要であると思うんだよね。
読んでいて、そういうのって感じない?
このスレが、パクリでもいいじゃんっていう流れになってるのが、すごく悲しい。
みんなパクリでもいいじゃんなどとは書いてない。
自分に賛同してくれない意見以外はちゃんと読めないらしい。
>>333 たとえば「元ネタと思われる作品が他サイトにありました」と
発言したとしても、ここは匿名掲示板だから
パクった人間は消えるだけで
他の人にはは「本当か?ただの嵐か?」と思われてしまう。
元サイトをここで出すことで検証は出来ても、ぱくった人間は消えるだけだから
痛くも痒くもない。
そのことがあってここで発言してる人もはっきりどこそこのものとは言えないんだよね。きっと。
それが匿名クオリティ
>このスレが、パクリでもいいじゃんっていう流れになってるのが、すごく悲しい。
ぱくりの定義に差はあれど「パクリ逝ってよし」はみんなの総意じゃね?
どこにそんな流れが……
似てるだけでパクリとは思わないし、断定もしないよ。
シチュエーションとか設定が似てくるのもわかる。
それがたとえ前後投下だとしても、別の視点やオチ、そのSS書いた人の個性があるなら問題ないと思う。
むしろ、かぶっている部分があっても、書き手の個性でこんなに印象違うのか、と面白みを感じる。
ただ、これだけのSS書いてる人間がいて、その中で設定も世界観も似ていたり、
同じような言葉がその中で使われるのは、どうかと思う。
しかもそれが元ネタの直後だったなら、疑われるのは当然だと思うけど。
>333
私も同じだ。
彼女の言動のはっちゃけぶりにひいてはいたが、それだけではなかったよ。
いよかん=ビードロとわかった事で、納得。確かに3つあるね。
常習犯なのか、モラルがないのか、無神経なのか。
スレ3で、そのスレ冒頭のいよかんさんのSSについてききたい、と書き込みがあったけど、
あれはスレ2終わりのdropさんのものと似ている点があって聞きたかったのではないかな。
憶測で申し訳ないけど。
>>338 あれね。自分もすごく似てるなって思って読んでたよ。
dropさんが投下した直後だったから余計に違和感があったな。
いくらネタやシュチュが被るのは仕方がないっていったって
直後に文体やら雰囲気やらセリフまで似てる作品があったら
投下をやめて時間を置くべきではなかっただろうか?
すくなくとも自分なら自粛するね。
疑われるのが分かってて投下するなんてあほらしい。
パクリだの何なの変ないいがかりつけられても困るし。
でもまぁそんなの投下する職人のモラルの問題だから
各自で気をつけていくしかないんじゃね?
>>330 遅くなったけど禿同
なんだか皆すごい作品を読み込んでるなぁ
感心したよ。こんだけ膨大なSSについてパクリ談義。
自分も読み込んでるからこそ分かる所もあるが。
馴れ合いは良くないけど、またーりいこうよ。真面目だよこのスレ。
何故だかいろいろ癒された。
>>337 パクリでもいいじゃんっていう流れは前スレでした。
申し訳ありませんでした。
まあこれで
あからさまなパクリは減るのでは?
いよかん=ビードロは常習犯だったのか・・・
ヤラレタ。
エロパロ書いたことないんだが、楽しそうだったので書いてみようと思ってた。
が、今の流れだと、過去スレ全部読み込まないと相当コワい…
いきおいでいけ!
お待ちしてます。
あまり神経質にならんでも、最近投下された作品にさえ
気をつけていれば大丈夫だろう。
またーり行こうぜ
そうだね。
「似ている作品があるな」と言われたら、逃げずに真摯に
受け止めていこうと思う。書き手としてね。
前スレでびーどろ=いよかん本人とコンタクトとった人は、どういう説明受けたんだろうね。
「そんなサイト知りません」って息巻く位だから、パクってません、とか言ってそうな気がするな。
ま、どっちにしろ、彼女はもう逃げてここには書きこまなそうだけど。
それはそれで平和でマターリかな。
343です。皆さんありがと…。完成したらひそかに投下させていただきます。
久々にSSが読みたい・・・ショコラさん、343番さん、投下お待ちしてまーす
他の職人さんもお待ちしています
>>343 期待している。
正直談義レスをすっ飛ばしている自分
>>343 気負わなくてやってみ
リアルで、トイレの落書きを見て、
あの落書きは何かのパクリだと怒っているクラスメートが居たら
痛い奴だな・・・と思うだけで、相手にしないでしょ。
トイレの落書き……w
まあ2chは痰壺っていう名言もあるしね
>339
そうか。だからあのサイトで
わざわざ公開してたのか。
どうでもいいけど、ちょっと陰湿っぽいな
ショコラさん・・・まだかな。
展開が気になる・・・
私もショコラさんのお話楽しみに待ってます。
同じく他の方の投稿も楽しみに待ってます。
正直今の状況は、職人さん投下しづらいと思う。
なんか引き潮のように書き手がいなくなった。・・・・・・寂しい。
トイレの落書きとか、痰壺といわれて、投下したいと思う職人が
どれだけ残るんだろうね…。
トイレの落書きは別に問題ないだろう。
2chに書き込んで、トイレの落書き言われて傷つくのは
どこの乙女だという感じだし。
しかも21歳以上でさ。
ただ、なんかパクリとかなんとかうだうだがうっとうしい。
言われたくなかったら書き込むなとあったので、
しばらくは自己防衛なだけ。
ショコラさぁぁぁん、待ってるよー
勿論その他の職人さんも!
まったりまったり。。。
痰壺は超有名な話だよ。
だから2ちゃんねるのTOPページは壺なんじゃん
そんなことは知ってるんだが…。
ここは、そういうことを忘れさせてくれるようなスレだった。
と、言いたかっただけ。言葉少なくてスマソ。
世代交代の時期なのかもな。
368 :
357:2005/07/31(日) 00:34:57 ID:JPCzuWao
漏れは「痰壺」は名誉の称号だと思てます。
アングラの王者としての。
まぎらわしいカキコでスマンかった
そしてネ申さま待ってます
369 :
感想罪さん:2005/07/31(日) 00:45:46 ID:KoA4vSzN
もはやパクリだろうがなかろうが激しくどうでもいいっす!
短く簡潔なおかずネタならすべておk。
だいたい、ここはエロパロすれでしょーが!!!
激しく待っとるとdeath。
いや〜”夏”ですね。
トイレの落書き発言をした者です。
あまり、重く考えるなといいたいが為の言葉の綾だったのですが
職人さんは、別に経済的な利益を得ているわけじゃないし、
著作権の侵害にはならないはずですし。
自己防衛をしなくてもいい日が早く来て、
ショコラさんの続きが読める日を楽しみにしています。
371 :
月子:2005/07/31(日) 05:17:52 ID:g7horODG
昨夜思いついて書き出して、気がつけばもう朝・・・。
初めて投下させていただきます。お目汚し、失礼いたします。
では。
372 :
月子:2005/07/31(日) 05:18:35 ID:g7horODG
『宝物』
☆1☆
それはおだやかな休日の午後。
「はぅぅ〜なんだかしあわせデス・・・」
「なにとろんとした顔してんだよ」
「ふぎゃ!センパイちゃんと最後まで弾いてくだサイよ!
センパイのピアノ久しぶりなんデスから!はい、続きどーぞ」
「・・・なんだよ、えらそうに」
生意気言いやがって。そう思いつつもオレはまたピアノを弾き始めた。
・・・のだめのうっとりした顔があまりにかわいかったから。
ピアノに合わせて、のだめの表情がくるくるかわるのがなんだか幸せだったから。
「・・・・・・・・・はい、おしまい」
「センパイ、アンコールデス!もう一曲お願いしマス!」
「もう終わり。それより今度はオレの望みをきけ!」
「え〜なんですかぁ?あ、のだめのピアノが聴きたいですか?もじゃもじゃ?」
「殴るぞ!・・・・・・ちょっと、おまえ充電させて・・・・・・」
ピアノのそばに来たのだめを、オレは抱きしめた。
いつものごとく、エリーゼの取ってくる仕事はめちゃくちゃだ。
今日だって、3週間の急な演奏旅行が終わってやっとの休日だ。
昨日の夜は戻ったのも遅かったし、のだめに触りたかったけど、
そんなことする間もなく気付けば泥のように眠りに落ちてしまったから。
だから・・・おまえのリクエストは一曲ちゃんと弾いただろ?・・・だから・・・
「・・・センパイ?・・・・・・寂しかったんデスか・・・?」
「ん・・・おまえにさわりたかった・・・昨日ごめんな・・・すぐ寝ちゃって」
「もう・・・シンイチくんは甘えんぼさんデスねぇ〜・・・ヨシヨシ」
あぁ〜・・・心地いい・・・・・・オレ・・・・・・・・・甘えたかったんだ・・・・・・・・・。
オレに抱きしめられながら、背伸びしてオレを髪をなでるのだめが愛しくて・・・
自分でも情けないくらい、幸せでちょっと泣きそうになったから、
オレは少し強引にのだめにくちづけた。
のだめは一瞬ビックリしたようだったけど、すぐにオレの舌に答えてくれた。
あぁ・・・もっとやさしくしたいのに・・・。
気持ちとはウラハラにオレは荒々しいキスしかできなかった。
「んっ・・・・・・ぅん・・・・・んんっ・・・・・・」
苦しそうに漏れるのだめの吐息も、なにもかも全部が大切で愛しくてかわいくて。
名残惜しく唇を離したら、今度はのだめからキスを求めてきた。
そうか・・・・・・そうだよな・・・・・・・・・おまえも寂しかったんだなって、自惚れてもいいよな?
・・・もうなん分キスしてるんだろう・・・こいつ、キス上手くなったよな・・・。
「・・・ん・・・はぁ・・・センパイ・・・・・・ベッドに行きまセンか・・・?」
「おまえ・・・そうゆうことはオレに言わせろよ」
「だってのだめ、ホントはずっとムラムラのモンモンでっ!」
「あーっ!わかったから!もうだまれ」
相変わらず読めないヤツだな。こんなに色っぽい場面だっていうのに。
キスを誉めてやるのは今度にしよう。
また調子に乗って雰囲気ぶち壊されたらたまったもんじゃない。
373 :
月子:2005/07/31(日) 05:19:33 ID:g7horODG
☆2☆
ギャーギャー騒ぐのだめを抱き上げて、ベッドまで移動する。
あんまりうるさいから、ちょっと耳を舐めあげたら
ひゃうっと言ったきり、のだめはおとなしくなった。
もう何度も体を重ねてはいるが、この、服を一枚ずつ脱がしていくこの時がオレはいちばん好きだ。
頬をうっすらピンクに染めて、恥ずかしがってるこいつが可愛くてしかたない。
どんどんいやらしいことを覚えていってるのに、この時だけはまだ恥ずかしいんだな。
首筋に小さな赤い花びらを残しつつ、のだめの背中に手をまわしてワンピースを脱がす。
まだ明るい部屋に、のだめの白い肌が光ってるように見えた。
ずっとずっと触れたかったんだ。このすべすべに。
「センパイの服は、のだめが脱がせてあげマス!」
「え・・・そうか?・・・じゃあ・・・・・・」
口を尖らせながらオレのシャツのボタンを外すのだめが可愛くてたまらないなんて、
オレは変態の森のどれくらい奥地まで入りこんでしまったんだろう。
もう後戻りはできないくらいだよな・・・まぁするつもりも無いけどな。
「センパイ!ナニぶつぶつ言ってンですか?はい!ボタン外れました!脱ぎますよ!!」
「・・・おまえ・・・・・・たのむからもうちょっと色っぽくしてくれよ・・・さすがに・・・」
「えーセンパイなんデスか?はい!じゃあ次はベルト外しますヨ!」
「ちょっ!・・・待てって!」
「え〜い!もう全部脱いじゃいまショー!!」
この女・・・ホントにたまってたのか・・・。こんな時ばかりは仕事早いな・・・。ってそうじゃなくて!
「あれ〜?センパイ、もうおっきくなってンじゃないデスかぁ!」
なんだかすっかり台無しな感じなんだけど・・・それでも反応してるオレのコレは・・・。
「・・・おくちでしてみましょうか・・・?」
「えっ!?・・・いいのか・・・?」(てゆーか食いつくなよオレ!)
「ハイ!センパイが留守の間、ネットやターニャから情報は仕入れてありマス!」
「・・・そんなことだろうと思ったよ・・・・・・」
「じゃー始めマスよ!・・・・・・・・・んっ・・・・・・」
・・・!!!・・・いきなり半分くらいまで口に含まれたと思ったら、
今度は舌先でチロチロと先を舐める・・・ときどき裏側に移動したかと思えば、
今度はちゅっちゅっと小鳥のようにキスをするように・・・・・・う、上手いじゃねーか・・・。
「・・・センパイ・・・・・・気持ちいいデスか・・・?」
「ぅん・・・・・・おまえ・・・・・・上手・・・・・・」
「ホントですか?・・・・・・ウレシイ・・・・・・」
オレは少し茶色い、やわらかいのだめの髪をなでた。
のだめが与えてくれている快感を少しでも伝えたくて・・・。
オレのモノを加えて、瞳だけで微笑んでみせるのだめがかわいくて、
だんだんと早くなるその動き以上に、オレの興奮は一気に登りつめた。
「・・・もういいよ・・・今度はオレの番」
「え・・・?いいんデスよ。のだめのおくちに出しても・・・」
「・・・いいからっ・・・」
「やんっ・・・ぁん・・・」
374 :
月子:2005/07/31(日) 05:20:28 ID:g7horODG
☆3☆
オレはのだめを、半ば無理矢理押し倒し、抗議の声を上げる口をキスでふさいだ。
のだめの口の中を舐めまわしながら、背中に手を回しブラジャーのホックを外す。
あぁ、この胸だ・・・オレの大好きな、大きくてやわらかいオレの宝物・・・。
両手でやわやわと揉みながら、ときどきすでにかたくなってる頂点にキスしてやると、
のだめはかわいい声をあげて鳴いた。
その声をもっと聞きたい。でももっと焦らしてやりたい・・・。
・・・その前に、オレがどうにかなってしまうかもしれないけど・・・。
両手の親指と中指でで乳首を軽くつまみ、人差し指の爪でカリカリとしてやる。
コレ、おまえ好きだよな・・・。
「・・・あんっ!・・・ぁん・・・ダメェ・・・」
「なにが・・・ダメ・・・?」
「だってぇ・・・気持ちよ過ぎマス・・・」
「じゃあ、やめる?」
「あぁんっ!・・・・・・やめちゃ・・・・・・ダメですぅ・・・・・・」
つまんだり、カリカリしながら、オレは顔の位置をだんだん下げていった。
わき腹・・・おへそ・・・・・・ちょっと通り過ぎて太ももにキスをしながら。
「おまえ・・・すごい濡れてる・・・明るいからはっきり見えるよ・・・」
「やぁん・・・センパイ・・・見ないでくだサイ・・・」
「やだ」
こんなとき、こいつのお気に入りのヒモパンってやつは非常に便利だ。
一瞬だけ、胸から手を離してひもをといてやると、のだめの体を覆う布は全て無くなった。
「のだめ・・・足・・・ひざ立てて開いて」
「恥ずかしいデスよ・・・」
「早く」
「もぅ・・・」
余裕がないのはきっとオレの方だ。本当は早く、のだめの中に入りたい。
でも、もっとこいつを気持ちよくさせたくて・・・。
両手は胸をいじったまま、オレはのだめの濡れたトコロにとがらせた舌を差し入れた。
下からすくうようにねっとりと舐めまわしたり、ミゾに沿うようにしてやると、
のだめは一層高い声で、イヤイヤをしながら鳴いた。
「シンイチくん・・・のだめ・・・・・・もう・・・もぅ・・・・・・」
「どうして欲しい?」
「ぁん・・・入れて・・・早く・・・」
「なにを?」
「・・・・・・やんっ・・・・・・お・・・・・・ち・・・ん・・・ちん・・・・・・」
「うん、それを?どうして欲しいの?」
そう聞きながらも、オレはのだめのクリトリスをチロチロと舐めた。
もっと、もっとおかしくなって欲しかったから。
「あぁ・・・んっ!・・・やぁん!・・・おちんちん!・・・入れてぇ・・・入れてくだサイッ!」
オレはクリトリスにチュッッとキスをして、のだめの両足を大きく開きその間に入り込んだ。
腕を伸ばしてサイドボードの引き出しからゴムを取り出し、大急ぎではめた。
・・・待てないのは、オレの方なんだよ。
375 :
月子:2005/07/31(日) 05:21:58 ID:g7horODG
☆4☆
人差し指と中指で軽くほぐしてやってから、オレは一気にのだめに入っていった。
「んっ!あぁんっ!・・・すご・・・ゃんっ・・・・・・シンイチくんっ・・・・」
「すごい・・・アツイな・・・おまえの中・・・・・・」
「ぁ・・・ぁん・・・あん!・・・あんっ」
「もっと・・・いっぱい声聞かせて・・・・・・んっ!」
さらに奥まで突き進めると、のだめはもうそれだけでイってしまったようだった。
絡みつくようなアソコが、ビクビクと脈打っている・・・それ、反則。
「のだめ・・・イったのか・・・?」
「はぅん・・・ゃぁん・・・・・・ぁん・・・・・・」
「まだ・・・イケそう?」
「・・・ハイ・・・今度は、一緒にイキましょ・・・シンイチくん・・・だから・・・ちょっと待ってくだサイ・・・」
「うん・・・・・・愛してる・・・」
「・・・!!・・・今なんて言ったンですか?・・・のだめボーッとしてて」
「だから言ったんだよ。さ、もういいか・・・?・・・動くぞ」
「あぁん・・・ぁん・・・あんっ・・・」
余裕のあるフリも、もう限界だった。
オレは自分でも制御しきれない腰の動きに夢中になっていた。
一度イったのだめも、またすぐに昇り詰めたようだった。
「んっ!あっあっあんっ!ぁん・・・イク・・・いっちゃいマス・・・あぁ・・・!」
「・・・ん・・・一緒にいこ・・・あぁ・・・気持ちいいよ・・・ぅ・・・」
「あぁっ!イクッ・・・あ!あ!・・・あぁんっ!!!」
「んっ!!ぅっ!うっ!!!・・・ん・・・!」
さっきよりも大きい痙攣が、オレをきゅうきゅうとしめつけて、
もうなにも出ないくらいに、オレはオレのすべてを出し尽くした・・・・・・。
「・・・のだめ・・・?大丈夫か?」
「・・・・・・・・・ハイ・・・・・・ちょっと気絶してまシタ・・・・・・はぅん・・・・・・」
「大袈裟な・・・。なぁ・・・」
「スゴク、気持ちよかったデスよ」
オレの腕の中で、にっこり笑ってちょっと頬を染めてそう答えるのだめ。
こいつは・・・のだめは、ときどきオレの考えてることが読めてるんじゃないかって
思ってしまうような返事をしてくれやがる。
オレは、のだめのピアノを・・・全てを好きで好きでしょうがないんだな。
きっと、オレの方がおまえを好きなんだよ。
こんなこと言ったらおまえは、そんなことない、自分の方が何百倍も好きだとか、
もしくは調子に乗って手がつけられなくなるだろうから、
絶対に、口が裂けても言ってやらないけど、な。
愛しているよ。めぐみ。
「もぅ・・・おくちでイってほしかったのにぃ・・・」
すっかり落ち着いたのだめは、下着をつけながら何か文句を言っている・・・。
・・・・・・あぁ・・・台無しだ・・・。
台無しついでに、これだけは言っておかなければ。
インターネットで何を調べてもいいから、ターニャに聞くのだけはもうやめてくれ・・・。
おしまい。
376 :
月子:2005/07/31(日) 05:27:56 ID:g7horODG
以上です。ね…眠いです…。
へたれなんだかなんなんだかはっきりしない千秋になってしまいました。
私も神々待ちのひとりです。では!
GJ〜!!
真一くん、お言葉に甘えちゃえばよかったのにねw
月子さんお疲れ様、そしてありがとうです
マターリいきまっしょぃ
378 :
hana:2005/07/31(日) 10:26:44 ID:0ZqwoQ8o
わお〜ん!!はう〜ん!!久しぶりのエロパロ!!GJ!!
オレのコレに笑いました!!!
GJ!!!
月子さんGJ!
ムードぶちこわしののだめが本誌の雰囲気そのままで可愛いです
また書いてくださいね!
他スレの話で申し訳ないけど、難民のネタバレスレが消えている
みたいなのですが何故でしょう?
ほんとだ。どうもデータ量少なくて落ちたっぽい。
みんな保守するの忘れてたな…。
382 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/31(日) 12:08:03 ID:GzimiPPo
漫画のほうではのだめと千秋くんはやることやってんの??
やってるかどうかはわからないけど
パジャマと下着は部屋においてるみたい。
二次創作に著作権を
主張する権利って本当にあるんですか?
月子さんGJ!!
月子さん乙です!
エロスですね!
>386
匿名では不可だろ
二次捜索事体 訴えられる可能性あるし
390 :
月子:2005/08/01(月) 18:27:28 ID:sqYdpN4A
みなさん、ありがとうございます!
なんだかクセになりそうです(笑)
今、その後的なものを書き始めてしまってるんですが、
多分直接的なエッチシーンは入らないと思うんですけど
…投下してもよろしいでしょうか?
あと、もし完成までにネ申や他の方の投下があるようでしたら、
間をあけたいと思ってます。では。
月子さん待ってます!後、ショコラさんや、他の神々の降臨も待ってます。
392 :
月子:2005/08/01(月) 22:40:41 ID:sqYdpN4A
完成しました。一応『宝物』の次の日ということになります。
短いです。エッチシーン無しです。
お目汚し本当に失礼します。ではドゾー。
393 :
月子:2005/08/01(月) 22:41:35 ID:sqYdpN4A
『翌日』
1
はぁっ…はぁっ……
早く帰らなきゃ!今日はセンパイどんな呪文料理作ってくれてるんだろっ。
ふわぉぅ、楽しみ〜!センパイのごはん、ホント久しぶり!
ごはんのあとは…今度はセンパイのヴァイオリンが聞きたいなぁ…。
昨日はピアノ弾いてもらったからぁ、今度はのだめがピアノ弾いて、
久々に一緒に演奏もいいデスねぇ〜!ムキャ!興奮してきまシタよ〜!
そのあとは……やっぱり……シマスよね……センパイきっと……。
ヤじゃないんデスけどぉ……うれしいんデスけどぉ……
だんだん自分が自分じゃなくなっちゃうようでぇ……ギャハァ!はじゅかしいデス〜!!
あ、今度はターニャに教えてもらったアレをしてみまショーッ!
きっとセンパイ喜びマスよ〜〜!ムキャー!!大急ぎで帰らなきゃーー!!
―――――――
さて、と。
あとは、あいつが帰ってきて、ワインを開けるだけだな。
…って、水が切れてるな。
……その…なんだ、アレのあとはノドが渇くからな………買ってきておくか。
「あら〜チアキ!久しぶりね!」
「うっ……ターニャか…今、学校の帰り?」
「そうよー、今日はちょっと早かったのよ!そういえば、聞いたわよー。ね、どうだった?」
ギクッ・・・!
「聞いたって、誰に何を?」
「やだー!今日のだめとランチしたのよ!そしたら、アレ、昨日試したって言うから!」
あいつ……やっぱりまたペラペラと……(怒)
「な、なんのことだ?あ!オレ買い物に行こうと思ってたんだ。
じゃーな、ターニャもピアノの勉強ガンバレよ!」
「あーーっ!チアキッ!!今日ものだめにいろいろ教えたから、試してもらいなさいよー!」
遠くでターニャが叫んでいたことが気にはなったが、
それよりもオレは恥ずかしい方が先にたってしまって、
その後はどうやって買い物をして帰ってきたかよく覚えてなかった。
ま、ちゃんと水は買ってきた訳だが。
またターニャと顔を合わすのは気恥ずかしいので、
キョロキョロとまわりを確認して、オレはやっと自分の部屋にたどり着いた。
それにしても…のだめのヤツ、今度はどんなことをターニャに習ったっていうんだ。
…気になるじゃねーか。
昨日の…その、つまりフェラもなかなかのもんだったけど、
それ以上のコトなのか…?
とりあえず、水は冷蔵庫で冷やしておくとするか……。
―――――――
394 :
月子:2005/08/01(月) 22:43:52 ID:sqYdpN4A
2
「センパイ!ただいまかえりマシタ〜!!」
「…お、おぅ、おかえり」
「あれ?センパイなんか変デスねぇー?なにかありまシタ?
あ、のだめがいなくて寂しかったデスか?しょーがないじゃないデスかぁ!
のだめは学校なんデス!でも、夜はセンパイだけのモノですよ!ギャハァ!言っちゃった!」
「……おまえ、何をひとりでペラペラと。んなことより!
おまえアノこと、ターニャにしゃべっただろ。こらっ!目ぇそらすなよ!」
「え、えぇ〜なんのコトですかぁ?」
「しらばっくれるな!ターニャに感想を求められたんだよ!おまえホント頼むから……」
「まあまあ、またいいコト教えてもらいましたから、そんなに怒らないでくだサイよ!」
「ほぅ、じゃあその”いいコト”とやらを試してもらおうじゃねーか」
「え?ごはんは?」
「んなもんあとだ!ほら、こっちこい!」
「ムッキャー!ハラが減ってはイクサは出来ずデスよ〜〜!!」
「うるさい!オレは敵に塩を送るほど甘くないんだ!」
「いゃんッ!」
「なにがいゃんッ!だっ!」
―――――――
センパイ、激し過ぎデスよ〜!
ごはんも食べないで2回は…のだめ、もう死んじゃいマスぅ〜。
きっとターニャの話でセンパイのむっつりスケベが爆発したんデスね…。
まったく、のだめが帰ってくるまでの間にどんな妄想してたンですかぁ!
もぉ〜!えっちなカズオはアダルト指定デスよ!
1回目は”いいコト”する間もなかったじゃないデスか!
だからって、あんなにいっぱい出したのに、”いいコト”やったら復活しちゃうなんて…。
それで気分良くなってシャワー浴びにいっちゃって、
のだめは一緒にお風呂入る元気もナイですよ!
腰はガクガク、ノドはカラカラですよ!
それより何より、のだめのおなかと背中は今にもくっついちゃいそうなんデスよッ!!
…センパイ、はやく ごはんにしてくだ サ イ……。
それにしても、ターニャって、テクニシャンなんデスかね?
またいろいろ教えてもらいまショー。
……大好きなセンパイのために☆
おしまい
395 :
月子:2005/08/01(月) 22:45:18 ID:sqYdpN4A
エロ無し、萌えドコロ無しでスミマセン。
”いいコト”は、みなさんの思うことへの変換お願いします。
ターニャは長いことアムールの男と付き合っていたそうなので、
きっといろんなことを知ってると思うんです。
それはもう、ワタシの想像を超えたことを…。
ワタシ的にはこれで完結したので名無しに戻ります。
ネ申サマ、職人サマの君臨お待ちしております。では!
月子さんGJ!
ターニャとの掛け合いが笑いましたw
ムッツリでカズオで絶倫な千秋がいいですねー。
またの投下をお待ちしています!
397 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/01(月) 23:46:24 ID:pnWyE1I3
わははは!!月子さんのおもしろいかった!
千秋とのだめの会話がとってもいいね!
月子さん、GJ!!
そういえば原作でターニュが女友達とスケベな会話をしてたが
やっぱソレ系(エロテク?)の内容だったんだろうか・・・
月子さん、GJ!
ここはエロパロ板だけど、自分はエロより会話やシチュ萌えなので
そのまま二ノ宮絵で妄想できて萌えましたよ!
原作に合ってもおかしくない会話でライトなとこがいい!
ちゃっかり水買うの忘れてない千秋ナイス。
(・∀・)イイネ!!
過去ログ保管倉庫の3って、最後まで見れないよね?
見れるようになるのかな。
なんかいろいろあったみたいだけど…。
ギコでももう見れないよ…。
>>403 ヒント:容量いっぱいまで書き込んでから次スレを盛り上げること
>>404 どなたかがまとめて下さってるということなんでしょうか?
保管倉庫にあるのって、6月頭くらいまでのレスで止まってるようですけど…。
のだめがいい感じに変態で笑えました!
月子さんGJです。
こういうのだめらしいエロパロすきです〜
萌え+笑いで一粒で二度おいしいみたいな。
興が乗ったらまた書いてくださいね!
おまちしてます。
407 :
343:2005/08/03(水) 17:54:17 ID:BNvahswt
やっと出来ました。
簡潔なのを書こうとしたのに、随分長くなってしまいました… ほんと難しいものですね。
(月子さん他、皆さんGJです…)
投下したいと思いますが、1レス50行ちょっとあっても大丈夫ですよね?
50行強×5レスくらいの分量です。
409 :
343:2005/08/03(水) 18:07:40 ID:BNvahswt
では、始めます。
千秋×のだめで、パリ篇のどこか適当な時間でのお話です。
8月の暑い日。千秋は、南欧をめぐる2ヶ月の演奏旅行からパリへと帰ってきた。
タクシー乗り場をめざし、駅の構内を歩く姿には、疲労感が漂っている。
「暑いときに暑い地方を回らなくたっていいのにな…」
手に持った旅行用バッグがずっしり重く感じられる。ここ数年、パリも本当に暑い。
(あいつ…どうしていたかな? 俺のいない間…)
千秋はふと、のだめを思った。懐かしさがこみあげてきて、かすかな感傷が胸をよぎる。
(ただいまと早く言いたい)
パリに来てからの二人は、何度となく離れて生活したし、今回よりも長い空白もあった。
しかし千秋は、徐々に「会えない時間」に弱くなってきていた。その自覚はなかったが…
タクシーに乗り込んだ千秋は、性急にアパルトマンの住所を告げた。
自分のドアの前に立った千秋は、思わず微笑んだ。
ドアがかすかに開いていて、中から"あいつ"のピアノが聴こえる。
でも… 音に表情が足りない。タッチは間違いなくあいつのものなのに。
千秋はそっと荷物を降ろし、ドアを開けた。「のだめ…?」
途端、不吉なものが目に入った。床に転々と水たまりができている。
部屋が散らかってるのはいい、いつものことだ。もう慣れてきた。が、これは…?
「げ…」その水たまりはピアノへと向かっていた。
そしてピアニストは、バケツに足をつっこんで演奏していたのだった。
ノースリーブのワンピースのすそを、ギリギリまでたくしあげて。
「ムキャー!! これやっぱりペダル踏めナイ…」
のだめは、頭からアイスノンを落としながら叫ぶと、鍵盤につっぷした。
「はぅー…暑すぎマスよ、パリは… しんいちくん…」
名前を呼ばれた千秋は一瞬驚いたが、のだめはまだ千秋が帰ってきたことに
気づいていない様子だ。仔犬のように丸まったのだめの背中を見ているうちに、
千秋の胸の内に愛しさが広がった。
(昔のオレなら、容赦なくツッコむとこだろうな)
(でも、今は……)
とりあえず甘えたい一心で、千秋はそっと近づき、後ろからのだめを包み込んだ。
「…ただい…」「もがーーっっ!!!」
言い終わらないうちに、のだめが弾け飛び、千秋は床に尻餅をついた。
「暑っっっ!!!! 誰ね!?」
「な…」あまりの剣幕に動けない千秋。「オレ… 真一…」
「うぎっ、センパイ!? …も、もう帰ってきたんデスか?」
千秋もムッとしながら立ち上がる。「帰ってきたら悪いか?」
「大体、予定は言ってあっただろ!」
「そでした・・・いきなり抱きついたりするから驚いただけデスよ」
「…いつもしてるだろ、あれくらい…」
千秋はもう一度抱こうとしたが、のだめは口をとがらせて抵抗する。
「センパイ、手が熱いデス… いくら冷血なセンパイでもやっぱり暑いデスよー」
「誰が冷血だ…」千秋はかまわず、のだめを深く抱きしめた。
「充電… させろよな、オレにも…」
「ふぁ!? ……ハイ…」
千秋は、のだめの体から力が抜けていくのを感じて、安堵した。
(やっと、帰ってきた…)実感がわいてきた。
抱きしめるうち、汗で湿ったワンピースが千秋のシャツと密着度を増していく。
千秋の目の前ののだめの栗色の髪から、濃厚な汗の匂いが立ちのぼってきた。
(くさい…)
(こいつ、こんなに暑がってるくせにシャワー浴びてないのか…)
でも、と千秋は思った。
(前より慣れたな……正直そんなに不快じゃない)
そのとき… 千秋の股間に反応があった。
「え……?」
(なんで、ここで反応…!?)
千秋は思わず腰をひきながら、のだめの髪の中に鼻をうずめてみた。
千秋の鼻腔を、草いきれのようなのだめの匂いが刺激する。
(草原…… いや… やっぱり、ただくさいだけだろ…)
「センパイ…いやン…」のだめが頬を赤らめる。「4日洗ってナイ…」
「うぶっ」千秋はむせて涙目になりながら、身をひき離した。
しかし下半身は、今やハッキリと自己主張を始めている。
(なぜ勃つ−−−−!!?)千秋は激しく自問自答を繰り返した。
(疲れてるから?久しぶりだから? そんなのこれまでにも…!)
(オレはどうしてしまったんだ!?)
「…センパイ?」てっきり叱られると思っていたのだめが、千秋の顔色をうかがう。
「どうしたんデスか?」
千秋の動悸は、息苦しいほどに高まっていた。味わったことのない興奮だった。
(こいつの匂いに感じてしまった…?)千秋の周りに…
(とうとう、変態の森のど真ん中に…)クロウサギの群れが飛び交いはじめる。
(…もう一度だけ、確かめてみよう…)千秋はクロウサギたちを追い払った。
「のだめ」「ハイ?」「そこに座れ」千秋はピアノ椅子を指差した。
(センパイ…ちょっと怖いデスよ…)のだめは首をすくめながら指示に従った。
すかさず、千秋の次の指示が飛んだ。
「万歳しろ」
「センパイ、帰ってくるなりのだめが欲しいんデスか? のだめ、自分で脱げマスよ?」
「…脱がなくていい…。ホラ、万歳!」
「ば…ばんざい?」
赤面しながらのだめは、しなやかな両手を空にかかげてみせた。
千秋は、あらわになったのだめの両脇を、針の目で見つめていた。
「センパイ、鼻息荒いデス、鼻息…」
(とりあえず、匂いっていうなら、ここだろ…)千秋はのだめの左脇に顔を埋めた。
「ぎゃぼ!?」のだめの体が跳ね上がる。が、千秋も追いすがる。
千秋は、左の頬にD70があたるのを感じながら、のだめの脇の匂いを吸い込んだ。
かすかにうぶ毛のある脇から、動物的な体臭が湧き上がってくる。
(甘い…潮風…みたいだ……)
自分自身の白熱するような漲りを感じながら、千秋は確信しつつあった。
(やっぱり、こいつの匂い………嫌いじゃない)
(いや…多分、好きになったんだ…いつの間にか)
「そっち(右)のほうも、嗅ぐ…」「ハイ…」
のだめは積極的に体を回し、右脇を千秋の前に差し出した。
(あ… ダメだ、のだめの匂い… すげー燃える…)
千秋は、自分の中に初めて生まれた欲望につき動かされ、のだめの上半身を嗅ぎまわった。
「ハァハァ…せんぱい…」いつしか、のだめも息を荒げていた。
のだめは、胸の谷間に鼻を押し込んでいる千秋を見下ろし、クスッと笑った。
「…そんなに、のだめ、いい匂いデスか? しんいちくん…」
これを聞いて、千秋の中で何かが弾けた。
(なんて図々しい女なんだ、こいつは……)
(…くさいに決まってるだろ!)
千秋は、のだめの脇を素早く舐めあげた。「ひゃうっ!」のだめが反応する。
(くさいけど、好きなだけだ!!)
千秋は立ち上がり、のだめのワンピースを乱暴に脱がした。
(こうなったら、どこまででもいってやる! 森の果てまでも!)
ツーカーの呼吸で、のだめは自分からブラをはずした。
「ハァ… センパイも汗だくデスね?」ひもパンだけになったのだめの目が悪戯っぽく光る。
のだめが立ち上がると、火照った全身に浮かんだ玉の汗が、きらきらと流れ落ちた。
「今日ののだめは、女豹デスよ…」(スイッチ入ったデス…)
「脱いでくだサイ」今度はのだめが千秋に指示を出す。
(言われなくても!!)シャツのボタンを外しはじめる千秋だが、
いつもより興奮しているせいなのか、手が震えて、はかどらない。
「遅っっ!!!」のだめはシャツに手をかけ、勢いよく引き裂いた。
「ひっ!?」(やっぱり、こいつ普通じゃない… なんだこの豹変ぶりは?)
千秋の均整のとれた体がむきだしになると、のだめの息はさらに荒くなった。
「ハァハァ…センパイ……。 さぁ、まみれましょー☆」
のだめは千秋の腰にしがみつくと、柔らかな乳房を千秋の腹に押し当てた。
そしてゆっくりと立ち上がりながら、乳房を千秋の胸へと滑らせていく。
のだめの色素の薄い乳首が、千秋のそれに当たった。「く…」眉をしかめる千秋。
体を滑らせるうち、空気も入らないほど、互いの肌がしっとりと密着した。
千秋は、のだめの背中を激しくつかみ、指をくいこませた。
わしづかみにした指の間、爪の間に、のだめの汗と皮脂が入り込んでくる。
(う…。やっぱり、オレ、道をふみはずしていないか??)
「…のだめ!」思わず叫んだ千秋だが、のだめは応えない。
大きな掌で千秋の後頭部をつかむと、顔をひきよせ、千秋の唇をふさいだ。
(チーズの匂い… 昼飯…? あ…)
のだめの舌が、千秋の口腔のすみずみまで動き回り、唾液が交じり合った。
ふたりの鼻が吸えるのは、互いの鼻腔から漏れる熱い息だけだった。
(酸欠… 足に力入んねー…)
千秋はしなしなとくずれおちた。のだめは密着したまま、千秋の上に覆いかぶさる。
(床…背中痛い…)(でも…)千秋は動かず、のだめの動きを待った。
のだめは、千秋の口から舌をぬきとり、頬をねっとりとなめた。そして、
「あうー…」妙な声を出しながら、千秋の耳や鼻の中まで舌を這わせていく。
のだめが頭を動かすたび、髪がはらはらと千秋の肌にかかる。
その髪の匂いが、また千秋を刺激する。
(こいつって…ほんと動物みたいだ… ケダモノっていうか……)
(オレも負けてられない…)
もうろうとしながらも、千秋はのだめの腰に手をやり、"ひも"を解いた。
が、のだめは「まだ。まだデスよ…」といって、千秋の白い首すじにかじりつく。
そして、千秋の喉もとから鎖骨、胸板に至るまで、舌先で攻めていく。
千秋はただ、のだめの、やや幼さの残る腰のラインをなでることしかできない。
のだめは千秋の荒い息遣いを楽しみながら、ぴちゃぴちゃと音をたてて乳首を嘗め回す。
(女になったみたいだ…)(………征服される………)
何分攻められていたのか、千秋はいつしか目を閉じていたことに気づいた。
うっすらと目を開けると、千秋の脇を熱心に嗅いでいるのだめと目が合った。
のだめは、歯を見せて笑った。演奏が絶好調のとき見せる顔だった。
「…センパイって、すっごいイイにおい …好きデス…」
千秋は弱々しく苦笑した。「もう、おまえの匂いしかしないだろ…」
のだめがふいに、身を起こした。汗がぽたぽたと、陽をはじきながら千秋に落ちてくる。
(なんか…綺麗だ…)
いま、千秋には、一片の不快感もなかった。
むしろ、のだめの匂いが全身にすりつけられたのが嬉しかった。
のだめの香りの中に自分がいることが…。
微笑む千秋を見て、のだめは馬乗りになったまま、ヘの字口で切なげにため息をついた。
「…はぅ……しんいちくん、かわいい… のだめだけのものデス…」
のだめは腰を上げひもパンを抜き取ると、また馬乗りになった。…今度は向きを変えて。
千秋の目の前に、のだめの薄桃色に上気した、色白な尻が迫ってくる。
(え… これって…)
のだめは振り返り、笑った。「そわさん・ぬふデス… もん・しぇーる、しんいちくん…」
(風呂に入ってないヤツと69………)千秋は白目になった。
もともと、清潔で安全でお行儀のよいセックスしかしてこなかった千秋である。
さっきまでの一体感が急速にしぼみ、理性による抑圧が息をふきかえす。
(危険だ!…こわい!…)脳内にサイレンが鳴り響く。思わず顔をそらしたものの、
のだめが容赦なく突き出す尻に、千秋の顔はついにうずもれた。
「うぶっ…」不思議とひんやりした尻肉の感触が、千秋の顔を取り囲む。
(汗のゼリーに包まれたみたいだ…)
目の前の裂け目の奥に、のだめの曇ったピンク色をしたアヌスと、
ぽたぽたと雫を落とすほどに濡れた"唇"の先端が見えた。
そこから漂ってくるのだめの香りは一層深く、濃密で、千秋は軽い眩暈に襲われた。
一方、のだめは手早く千秋のベルトを外し、ズボンを脱がせ、下半身を露出させていた。
「ほわおぉおお……」今までにないサイズに張り詰めている千秋のペニスを見て、
のだめは真っ赤に頬を染め、感嘆の声を漏らした。「ブ、ブラボー…」
のだめはペニスを握ると、先端に鼻先をおしつけ、くんくんと鼻を鳴らした。
(なぜ嗅ぐ!?)千秋は恥ずかしさにもだえた。「やめてくれ…!」
「しんいちくんだって、のだめの恥ずかしいトコ、見てるやなかですか…」
のだめは照れてみせた。「おフロにも入ってないのにー(はぁと)」
千秋はクワッと目を見開く。「…オイ、だったら、なんでこんな体位を…!」
最後まで言い終わらぬうちに千秋は、ぼすっと突き出された尻に口をふさがれた。
「…いきマスよ」 千秋は自身の先端に熱い吐息がかかるのを感じた。
その一瞬後、のだめの舌先は素早くカリを一周し、千秋の脳内に火花が散った。
唾液まみれの舌が、亀頭から根本まで、くりかえし愛撫していく。
(すご…… 溶ける…… あ!)
「はぶっ」のだめは腰を浮かし、千秋のあまり毛の生えていない陰のうをほおばった。
「ふぅン…んふ…ふン…」のだめは鼻息を荒くして、無心に舌を動かす。
「あ、ああ……ふあ…」千秋も声にならない声を漏らしながら、少し離れたところで
縦に揺れているのだめの股間を見ていた。(こいつ…すごすぎ…)
のだめは止まらない。陰のうを開放すると、さらに身を乗り出し、より深いところに
舌を這わせる。かすかに鼻歌を歌いながら。
「の…だめ… そこ…汚いから…」千秋は手で顔を隠して、かすれた声でたしなめる。
「平気デス」のだめが舌を止めた。「汚いとこなんてありまセンよ…♪」
(え……)千秋は手をはずしてのだめを見た。
「好き、デスから…」のだめは振り返らずにそう言うと、また舌を使いはじめる。
(そんなこと言われたら…)千秋は軽く頭をふると、体を起こした。
(俺が好きじゃないみたいじゃねーか!!)
千秋はのだめの尻をつかまえて、積極的に顔をうずめた。「うぎ、センパイ……」
鼻先をアヌスに押し付けながら、千秋は思い切りのだめの"唇"に舌を挿し入れた。
舌先から、甘酸っぱい、苦しょっぱい、のだめの複雑な味が伝わってくる。
その味覚が、千秋の中の本能的なものに火をつけた…
千秋はのだめの尻を思い切り開くと、2つの穴をかわるがわる舌で攻めた。
「ほわぁあああああぁ」のだめが反り返る。「のだめ… きもちイイ……!!」
ぐちゅ、ぐちゅと激しい音を立てて、千秋は黙々と攻め続ける。
(のだめが歓んでる… こいつが歓ぶなら、何だってしてやりたい…)
のだめも、懸命に千秋のペニスをしごく。
その先端から、やや白濁した体液がにじみ出てきていた。
のだめは大きく口を開けた。のだめの口から唾液が落ち、千秋のペニスを濡らした。
千秋には、見えなくてもその様子が分かった。「……! 早く!」
千秋が思わず叫ぶと、のだめはカッと目を見開き、ペニスをくわえこむ。
そしてずっと深く、ノドに至るまで、それを挿し込んだ。
「(ムキャーーーーーーーー!!!!)」声にならない声をあげて、のだめは
激しく頭を動かした。頬を真っ赤にして、喉を鳴らして。
千秋に絶頂が迫ってきた。下半身が燃えて輝くように感じられた。(のだめ……)
千秋の部屋に、叫び声がこだました。「…うあうっ!!!!」
どちらが叫んだのか分からない… 千秋は燃え尽きた炭のように横たわっていた。
(ごくん。)のだめの口から溢れた精液が、ぱたぱたと床に散った。
二人は、互い違いになったまま、床に寝ていた。しばらくは何も言わぬまま。
「…すっごい… きもちよかったデスよ……」
のだめが千秋のつま先を見ながら、つぶやいた。
「……俺ばかり気持ちよかったわけじゃ、ないんだな。よかった」
どこを見るでもないうつろな目で、千秋が応えた。
「のだめを全部、センパイにうけとめてもらいました」
(え…)
「すごく嬉しかったデス」
(のだめ…)
変態の森のど真ん中で暮らすのも、けして悪くないかもしれない、と千秋は思った。
「…後で、ちゃんと挿れるのも、しましょうネ…」
「ああ」千秋は微笑んだ。望むところだ。
「次は、ちゃんとドア閉めて」
(!!?)どこにそんな力が残っていたのか、千秋は飛び起きた。
確かに、ドアは開いている。そして閉め忘れたのは…自分だ。
「……………」
うなだれる千秋を、後ろからのだめが優しくハグした。
「誰も聞いてやしませんよ… しんいちくん…」
千秋はかぶりをふった。
「…とりあえず、シャワー浴びよう… おまえも洗ってやるから」
「ハイ、いいデスよ」
「…そしたら、エアコン点けて、ちょっと休むぞ」
(!!?)のだめに突然つき飛ばされ、千秋は床に倒れた。
「えあこん!?」のだめは白目になってワナワナ震えている。
「えあこん、あるんデスか、この部屋!!」
「あるよ… 皆の部屋にはないけど、オレの部屋だから」
「ど… どこね!?」
「ビルトインだから、見回しても無いぞ…。
オレ、エアコンが壁についてるの、嫌いだから」
「ム、キャーーーーーーーーーーー!!!」
のだめの飛び蹴りを、千秋は体をひねってギリギリかわした。
「何すんだよ、おまえ!!」
「のだめが何日、暑い思いしたと思ってるんデスか!!鬼!カズオ!!」
(やばい…教えるの忘れてた…)「…お、落ち着け」
「これが落ち着いてられマスか!ってんデスよ!!」
まだまだ元気なのだめと、"放出後"の千秋では、勝負にならない。
のだめにスリーパーホールドされて、千秋の意識は彼方へと飛んでいった。
クロウサギが1匹、マングースが2匹…
森の動物たちのもとへ。
(Fin)
GJ!
416 :
343:2005/08/03(水) 18:32:06 ID:BNvahswt
というわけで、千秋のフェチ開眼でした。 初投下、緊張しました…
ちょっとだけ下品な内容ですみません。(エロ度も低いし…)
自分は千秋ファンなんですが、パリ篇以降のこざっぱりしたのだめより、
連載初期のサイテー女・のだめを千秋に好きになってもらいたくて、
こんなエロパロを書いてしまいました。
だから、舞台はパリで、ふたりは相思相愛なんですが、
のだめの性格的には初期モードって感じで書きました。
少しでも面白く読んでもらえれば幸いです。では…
GJ!!
シャワーの後など体が綺麗な状態での行為と
汗を流していない状態の行為では、
後者の方が快感が得られるらしいですね。
とても面白かったです!
ぜひまた書いてください!
GJ!
のだめと千秋しか出来ないエロですねー
クロウサギブラボー。
マングースハラショー。
細部にちゃんとのだめ味を出したお話に
丁寧なお仕事を感じます。
ネ申認定。
千秋とのだめの真の変態プレイに、エロスというより笑ってしまった。
千秋の変態の森住人化が。
でもこれはこれで面白かったよ。
禿しくGJ!
すごい…原作のイメージまんまなのにちゃんとエロい…まさにネ申
笑いつつしっかり萌えました。また是非!
萌えを上回る変態度・・・
私は変態の森の住人にはなれないと痛感させられる作品でした(笑)
おもしろかったですが、あまりに強烈でひとり萌えのときにも
思い出してしまって妄想が変態の森一色に・・・(笑)GJです!
GJ!
ブフブフ、ふきだしながら読みました。
すごく面白かったです。
処…処女作でこれとは……
乙です。
ショコラさんの喪失シリーズ今読み返しました…
続きが気になります!つか、もう泣いてます(涙)
最近の職人さんの投下を見てると、ほんとに文字数入るようになったんですね!
ショコラさーん!お待ちしてます!!
425 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/03(水) 23:25:56 ID:U5ZhbUUo
大爆笑しました、もう最高。
とりあえず下げようぜ
最初;`;:゙;`(;゚;ж;゚; )キタネー!と思ったが69の人GJ
のだめから積極的に仕掛ける作品、実はあまりないから新鮮だ
匂いとか汗とかってエロイよな〜
是非また生々しいケダモノセックル書いて欲しいです
野獣セックルが強烈過ぎて
甘甘モノが投下しづらいふいんき
甘甘きぼーーん ノシ
>428
気のせいだ。
どんな作品でも熱烈歓迎。
私と違う作風が褒められまくってる!
誰か私のを読みたいと言って!な誘い受けちゃんは、
2chスレで投稿しないで自サイトでも作った方がいいのでは?
さ○いう○w
なつかしいなぁ……
甘甘でもどんなのでもきぼんしてます ノシ
GJ!!
素晴らしい。ありがとう。
434 :
343:2005/08/04(木) 22:09:44 ID:U0JRQ3yd
皆さん、ご感想ありがとうございました。
笑えたといっていただいたのが、とても嬉しいです。感謝です。
思わず、また書いてみたくなりましたが、アイデアを出し尽くしてしまいました。w
将来、何か出来ましたら、また投下させてください。
では、神降臨待ち体勢に入ります…
GJ!どれもこれもイイ!
ショコラさん忙しいんだろうな。。。
のだめ編から1ヶ月経ちそうな勢いだ
激しく!待ってマス
喪失シリーズまた読んで泣いちまった…
でもこれの最初の方って、今読めないよね?
ざっとしか読んでなくて、なんでこうなったか読み返したいよー!
早く過去ログ保管倉庫に入れてクレー!!お願い。
一気に人が引いたな…。
>>437 静かに待っているんです。
職人samaの降臨を・・・
ショコラさ〜ん待ってます
待ち遠しくて初パピコ。
ショコラさん、わたしも待ってま〜す!
ワイルドな二人、GJデスヨ!!
あわ、あわ、あわ・・・。皆様、ご、ごめんなさい。
忙しい上に亀の為、作業が最後まで終わらなくて・・・申し訳ありません。
えぇ!ショコラさんですか!?
会いたかったー(意味不明)
ショコラさんですか!?
よかったー!!大丈夫です!いつまでも待ってます!!
445 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/07(日) 01:54:04 ID:apL9dh7s
ショコラさんがきてくれた、うれしいよ〜
ほわぁ〜ショコラさん。会いたかったデス…
ゆっくりでも平気ですよ。待ってます!
ショコラさんだ!!マジ心配してました
無理せずどうぞご自分のペースで…
でも既にすごーく待ってることだけ伝えておこうw
他の職人さんも勿論、どんな作品でも大歓迎!
前スレで決まったローカルルール
職人さん向け
・感想をくれ、と求めるのはやめよう。
・必要以上に自分を卑下するのはやめよう。
・一旦テキストエディタに書き、ある程度まとまったら投下しよう
(SSを書きながらの投稿はやめましょう。ほかの職人さんや住人にも迷惑となります)
・続く場合は「続きは後日」等、宣言しましょう。
・頂いた感想レスへの全レスはやめよう(スレ私物化の原因になりがち)。
読み手さん向け
・過剰にマンセーした書き込みはやめよう。簡潔な感想とGJ! を。
・職人さん達の食指が動くような萌えシチュをさらりと投下しよう
おまいらこれ読んでもちつけ
もちつけないのは、それだけ続きに飢えてるってことだ。
>職人さん達の食指が動くような萌えシチュをさらりと投下しよう
いまはこれだな
帰省中実家でひまだから構想練ってみます。
萌えシチュではないが…男性立位で対面位キボ
LESSON74の噛付きシーン見て←アホ
真一クンならのだめ抱っこできるだろう
自分は体重気になって絶対拒否るんでw(だって腰痛めたらシャレにならん)
壁に手伝ってもらえばいいのか?
神聖な楽器をヘンなプレイに使うのはのだめ的にはナシですか
千秋のだめだったら自室以外が見てみたいな
第三者に見られor聞かれそうなやつ
指揮棒くらいしか思いつかない・・・>プレイ
弦楽器を女のからだに見立てるのはよくあることだけど
そのものを使うのはちょっと非現実的杉かも。
ピアノならなんとかなるかなー。
漏れも第三者に見られそうな場所でのエチはすきだ!
ぜひぜひ。
>>457 プリティウーマンでなかったけ?ピアノの上で(*´д`)ハァハァ
ありゃエロかった
おい、難民にネタバレ来てるぞ・・・。
なんか、悲しい展開だ・・・。
ここはネタバレOKなの?
余計なこと書かないで欲しい…。
ウォー甘々な千秋×のだめがモーレツに読みたい!
基本的にネタバレOKだったような……。
見たくなければ、当分退避した方がいいような……。
…… orz
せめて名前の所にでもネタばれ注意と書いてくれ。
>>459よ
460です。
今度から発売前は自衛するようにしますが、
やっぱ一言あるとうれしいです。
自分は今朝早売りゲットしたので、
これからネタバレスレに行ってくるとします。
が、その前に会社だな。そろそろ家出るか…。
ネタバレ関係の話は正直どうでもいい。
じゃあだまっとれ
ネタばれって本誌の話?
ショコラサンの喪失読みましたーーーーー激しくGJ&神だと思います!!!!
続きがとっても楽しみです♪いつまでも待ってますw
そうでつよ。
ネタばれスレのネタばれさんまでちゃんと前置きしてるのに……
空気嫁。
>>459
>>469 分かったから落ち着いてきちんとsageてくれ。
??
あわわわ。ゴメソ orz
定期的にショコラ氏への賛辞がくるな。
しかし「喪失」は前回の投下から一ヶ月は経っている・・・。
職人サマ達の降臨お待ち申し上げます。
あんまり言いたくなかったけど、あえて言わせてもらう。
正直、特定の職人さんに対する讃辞は、ほどほどにした方がいいんじゃないかな?
確かに続きが気になるのはわかるし、自分も気になるが黙って待ってるのが一番だと思う。
今までのスレの流れを見ていると、他の職人さんが折角いいSSを投下してくれても、
スルーでひたすら特定職人マンセーというのは、頑張ってくれた職人さんに対して失礼だし、
これから投下しようとする職人さんに対しても失礼じゃないのか?
少なくとも自分なら、苦労して書いた作品をそんな風に扱われたら、もう2度と投下したくないと思うよ。
もう少し落ち着いて投下を待つようにした方がいいと思う。
・・・・そろそろこういうことを言い出す人が出てくると思ったよw
マターリ待つスレなのだから
そういうことはいわないでいて欲しかった。
続編が待たれる作品には魅力があるのは確かなことだし
多分、スルーされるにはそれなりの理由があるのでは?
特定の人じゃなくても良い作品が投下されたなら
ココの人は惜しみないGJを贈ると思う。
いや、これでも結構我慢していたほうなんだがw
なんていうかね、今の雰囲気はなんだか投下しにくいんだよ。
もう少し、前スレで決まったローカルルールをちゃんと読んだ方がいいんじゃないのか?
苦言なんか呈さなくても
普通に投下しちゃったほうが受け入れやすいよ。
例の連載を投下して欲しいから
希望していることをみんな伝えたいだけで
誰かに迷惑をかけたいわけじゃない。
どんな作品も喜んでまってますよ
ここはショコラさんを待つスレになりました。
としたいのか?
それならそうすれば?
過去省みれば「?」な作品にもGJでてるしね。
読み手の質が落ちてるって事じゃねーの?
あ〜あ・・
ますますショコラさん、投下しずらいじゃん。
投下しやすいように、待ってますって言ってたのに。
やっかみにしかみえないよ。
読み手の質が落ちてる、なんて言われて
まじむかつく
正直、新作が出来てもここには投下したくないな。
初期の頃と随分雰囲気が変わってしまったねー。
まあ、頑張ってくれや。
( ゜д゜) ポカーン
漏れも久々に投下するかな。
1スレ以来だ。
ネタ考えるよ。
作家ずらしてるやつ、ばかじゃねーかって思う。
>>475 書き手さんの気持ち、言われてみれば確かにそうだな、と私は思ったよ。
そう思う人もいるだろうなと。
またいつかSS投下してくれるといいな。
書き手のみなさまいつもありがとう。483タソお待ちしてます。
マターリマターリ
ここは大人のスレです
職人さん達の投下楽しみにしてます
長い話、連載を続けのは大変だって思うし続きだって気になるし
いつもより待ってますのカキコがあったとしても
読み手の当然な反応じゃないのかな。
私たちは作家さんではなくSSを待ってるんだってことで
FA?
たださ、あれだけの長さでしかも一ヵ月?の空白。
大きいからって書きながらの投下はちょっとなものだよね。
規模が大きいし、エロなしだし、ブロクとかの方がよかったはず。
他の職人さんやスレのためにもね。
確かにスレの荒れがひどくなったのは氏の不定期連載が始まってからだとオモ
何か話し合えば合うほど投下しにくい雰囲気になってるよ;;みんなのレス読めば
職人サンも気まずいよ;;(あたしのも。。。カナ
普通にマッタリユックリ皆さんの作品鑑賞しあえばいいだけのことwどんな作品も一生懸命
だってわかッてるから、読んでて楽しいデス。何か意味不明な文ですみません;;
投下してくれる職人サンみんなを待ってます。って事です^^
>>207-215ずいぶん遅いけどGJ!!!こういう話好きですwあまあまなエロ。。。wワラ
475 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/08/11(木) 00:45:35 ID:Ya1P8BtB
あんまり言いたくなかったけど、あえて言わせてもらう。
正直、特定の職人さんに対する讃辞は、ほどほどにした方がいいんじゃないかな?
確かに続きが気になるのはわかるし、自分も気になるが黙って待ってるのが一番だと思う。
今までのスレの流れを見ていると、他の職人さんが折角いいSSを投下してくれても、
スルーでひたすら特定職人マンセーというのは、頑張ってくれた職人さんに対して失礼だし、
これから投下しようとする職人さんに対しても失礼じゃないのか?
少なくとも自分なら、苦労して書いた作品をそんな風に扱われたら、もう2度と投下したくないと思うよ。
もう少し落ち着いて投下を待つようにした方がいいと思う
477 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/08/11(木) 01:03:18 ID:Ya1P8BtB
いや、これでも結構我慢していたほうなんだがw
なんていうかね、今の雰囲気はなんだか投下しにくいんだよ。
もう少し、前スレで決まったローカルルールをちゃんと読んだ方がいいんじゃないのか?
481 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2005/08/11(木) 01:16:34 ID:Ya1P8BtB
正直、新作が出来てもここには投下したくないな。
初期の頃と随分雰囲気が変わってしまったねー。
まあ、頑張ってくれや。
私もいつも気になっていますたよ。独特なレスをつける方でつね。
他人が褒められるのが嫌な人がいるのでしょう。
他の人ばかり注目されると、自分が無視されているようで
拗ねたくなるのでしょう。
21歳以上の板のはず…
面白かったら誰にでもGJ言うし、とても好きだったらいっぱいGJ言う。
それだけの話。
どんなのでも楽しみだけどね。
のだめじゃないですけど。
GREENの和子ちゃん×誠さんもかなり萌える・・・
ブクオフで立ち読みして家に帰っても萌えが続いてるよ
リアルなエチとかチッスとかあまりないのにこの萌えはいったい・・・
私的にはラブ度妙に高いです。
SS熱烈きぼん!
私も先日ブクオフでGREEN全巻買ったばかしで萌え中です。
短い連載だったせいかもっともっとラブを盛り上げられたのに
物足りなさでいっぱい…。とくに誠サイドのモノローグ少ないし。
指輪とかプロポーズとか温泉旅行とか萌えシチュエーション多いし
補完SS激しく読みたいです!!
のだめ&千秋も大好きだけど、ワコちゃんと誠さんもいいよね
どっちもほんと、いいコンビだわー
私は書けないのでひたすら待つのみですが…
みなさんの作品いつも楽しみにしております
勝幸、永沢も萌えです・・
ローカルルールに
「作品は完結したものを投下する」を追加してくれ。
自分は今のここの状況別になんともおもわん、
続きはやっぱり気になるし、楽しみにしてるし、
噛み付いてるヤツは寂しいヤツだな、こんなヤツの作品別に読みたかないな、
とも思うが、確かに荒れる原因になってるかもと思うのもまた然り。
そして、ひとりの職人に対しての熱いラブコールの中、
初投下とかは確かにやり辛いだろうと思う。
あともめてる時も投下し辛いよね。機会うかがってしまう。
今いちばんいい状況を考えていこうではないですか。昔のことはどうでもいいよ。
敢えて書き込まないだけで、お互いの考えはわかっているはず
これまでの流れで、夫々のとるべき態度というか姿勢というか…
ルールってのも察知してるよね
だからポチッと押す前にもう一度、雰囲気を読む
今更書き込まなくても、皆大人だから言わないだけで同じ事思ってるんじゃないか?とか
折角マターリに戻りつつあってもまた引き戻して、ますます投下しづらい状況を作ってる(その繰り返し)
私のコレも含めてです、ほんと申し訳ない
読み手は誰のどんな作品でも楽しみにしていることをお忘れなく!
さー職人さん達の食指が動くような萌えシチュをさらりと投下しよう
私はとりあえず上で一つ提案してるんで控えとくけど
本誌次々々号がまだまだ先だから、のだめ×千秋の甘々SSが読みたい!!
のだめは一ヵ月半休載になったことだし
読んでないひとは二ノ宮センセの他の作品読んでみては。
GREENって表紙はいまいちかわいくない(写真の背景だし)んだけど
ちあのだ萌えならほぼ萌えられること請合います。
ですよね!
「尻くらいで何をいまさら…」に萌えまくりです。
誠さん、涼しい顔してあんたいったい何を。(妄想中)
風呂場遭遇事件もあったし。
しかしこのカポー、結婚後も別室暮らししたのかな…。
「絶対ヤダ」とか言われてたし。
天ファミの勝幸は生理中でも迫ってたよなw
誠さんって千秋が黒王子なら白王子というか
ちゃんとした王子様なんだよねー(農業命だけど)
編に屈折してないしてれや過ぎることもないし
四巻でちゃんとまとまってて萌えもきっちりちりばめられてて
かなりすきですー。
温泉旅行で伸びちゃったワコちゃんと一晩過ごした(?)時の話とか
ネ申さまの萌えを刺激するのでは?
ぶっちゃけグリーンの二人には萌えない。
自分で書けば?
ココは「のだめスレ」だよね?
前々スレあたりで他作品でも良しって結論でてなかったっけ。
需要あるみたいなんだし、嫌ならスルー汁。
需要めっさありますよ!>GREEN
供給はなさそうだけど>GREEN
ソース毛と良子ママのセックルを妄想して鬱になった・・・or2
ネ申よ!
イムよ!
待ち焦がれてまつ・・
書けない漏れを許してorz
514 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 23:29:16 ID:qh+HvZqq
あげ
職人の皆様夏休み中かしら…作品楽しみにしてます
連載中の方も絶対完成させて下さいね
そいやリレーも途中だったような
フィニッシュシーンだけ思い浮かんでダダダと打ってみたけど
そこに行き着くまでがさっぱり思い浮かばん。
・・・お蔵入りカナ・・・orz
516タン、ガンバレ!
>>516 エレベーターに閉じ込められた! → セックル
不法侵入でクロゼットに隠れた! → セックル
調律師さんに誘惑された! →セックル
二人でゴム買いに行った! → セックル
勉強・練習中エロイ雰囲気に → セックル
→ セックル
ワロスw
ショコラさん、執筆を止めてしまったのかなぁ・・・。
急かさないでマターリ待ちましょう
>>518 シチュ萌え!マジ書いてみたらw
HGは、例の激しい腰づかいで、にじり寄りながら叫んだ。
「シンイチ・チアキ、フォーーーー!!」
危機を感じた千秋は逃げようとするが、
後ろは壁
右は真澄ちゃん
左は高橋紀之
に囲まれ、身動きできない。ーーー 千秋の運命や いかに!?
だめぽ
ことの最中に「のだめ」って呼ぶのってどうだろう。
「おまえ」とかせいぜい「めぐみ」あたりにしたほうが
それらしい気がする…といってみるテスト。
漏れは逆にのだめの方がらしいとオモ
わざわざ普段と別の呼び方するなんてこっぱずかしいんでは
らしいからしくないかはわからないけど、
せっくる中に
「のだめ」
と呼ぶ千秋を想像する方が私的には萌
あーわかる のだめて呼ぶ方がなんか生々しい
めぐみだと一瞬「誰?」とかオモてしまう
逆にのだめの「しんいちくん」攻撃はかなり男心ガッチリ掴まれる感じで禿萌え
のだめっていつまでたっても「○○だめ」を連想しちゃって
なんかなーと思う私はそれでものだめファン。
連載中の場合、投下のメドというか予定をチラッと教えて頂けたら…
嬉しいナ、なんて。
○○だめ?
なんじゃ?サパーリ思い浮かばんorz
職人の皆々様、投下激しく待ってマス!
>>534 あ〜 激しく同意。
連載(長編)は好きだけど、次回の投下予定の目安を
教えて頂けると嬉しいなぁ。
今回みたく、あまりにも間が空くと「書くのを止めた?」と
思ってしまうんで(苦笑)
精液だめ?
私はきちんとゴムを付ける千秋に萌えるので、
ちゃんとゴム付けている描写があると嬉しい。
いそいそとはめている様を想像すると……萌えるんだよ。変かなwww
537 :
ショコラ:2005/08/21(日) 21:26:58 ID:+x/aRCrB
こんばんわ。皆様、ご迷惑おかけして申し訳ありません。
心苦しいので、エロ編前半一部を投下したいのですが宜しいでしょうか?
予定より長くなり、一気にやると皆様も読むの大変だと思いますので…。
(すいません。私も辛いです。)
いくつかご意見に頂きましたので、ブログも慣れないながら準備しました。
一応、スレと皆様にとって一番良い方法を選びたいと思っております。
>>537 わお!ショコラさん、お久しぶりです。
投下、お待ちしています。
待ってました!
是非是非お願いしマス
ずっと心待ちにしておりました。是非投下を!
ブログも、もし出来た場合は教えて下さいね〜
ショコラさん、お待ちしていました!
もちろん、前半OKですよ。
ただ、ブログを作られた場合は、アドレスをここに張らないほうがよいと思います。
ここは、良くも悪くも2ちゃん(しかもピンク板)なので、
だれが見てるかわからないので、下手すると荒らされる危険性があります。
ですので、いくつかの有名サイトと相互リンクをしてもらえば、
自然と辿りつけるはずです。
プロフィール欄にこちらのHNを併記すれば、なおいいと思いますよ。
お節介失礼しました。
>>534>>536 マジレスしていいか小一時間悩む…
一応ここは大人版ということであまり若い人はいないと思うが。
有閑倶楽部にも出てきた
「こ○だめ」です。
精液だめに苦ワロナッシュ
545 :
ショコラ:2005/08/22(月) 00:54:33 ID:SQmgFtCJ
皆様、ご配慮頂きまして有難うございました。
>>541さんのご親切に感謝致します。(ブログは何時の日にか…。)
では投下させて頂きます。前半なのでエロ前ですがスイマセン。
「どうしました?目元が少し赤く腫れていますけど、何かありましたか?」
「昨日の夜、プリごろ太の映画を見ちゃって、感動の涙を流しすぎたせいデス……。」
「プリ……?」
―――昨日の約束通り、整形外科の診察が終わったのだめちゃんは、私の診察室に顔を見せに来てくれたのだが……。
一目見ただけで、山口にはそれが泣き腫らした顔である事はすぐに分かった。
彼女はややむくんだ顔を、別に何ともないといった風で、特に気にしていない様だったが……。
「山口先生、プリごろ太、知りませんかー?」
「いえ…知ってますよ、有名な漫画の……。」
「そーデス!のだめ、今日これから音大の友達と、今年のプリごろ太の夏の映画の公開初日に行くんデス!!」
「……はぁ。」
「それで昨日の夜からのだめ的に、つい盛り上がっちゃってー。
のだめの一番お気に入りの過去の作品なんですけど……それを見ちゃったんデス!
何度見ても、やはり感動ーでしタ!!」
「……そうでしたか。」
山口はやや話についていけなかったのだが、のだめはお構いなしに話し続ける。
「また今から、新たな感動の嵐!が待ってるんですヨ〜!今年分の涙の総決算してきマス!!ぎゃはぁ!」
のだめが本当に嬉しそうにプリごろ太の映画の話をしているので……
情けない事に、山口はそれが嘘か本当か分からなくなってしまった。
でも……少なくとも嘘をついているようには、彼には思えなかった。
「始まる前からそんなに泣いてしまって……。きっと今日の映画を見た後は、せっかくの可愛い顔が台無しですよ?」
「カ…カワイイ!?のだめがっ!?」
のだめはそう言われ慣れてないのか、目を白黒させた。
「可愛いですよ〜のだめちゃん。それにとってもいいコですしね。千秋さんの気持ちが分かります。」
『千秋さん』と山口が言ったのを聞いた瞬間、のだめはやや不自然に、つい…と目を逸らした。
「……そ、そんな事ない、と思いますヨ?……先輩、のだめの事は変態、って言ってましたカラ……。」
―――おや……?
―――これは…ちょっとおかしい。
のだめの今までとは違った反応に、山口は少し警戒した。
「……昨日お話した土曜日の件、考えて頂けましたか?」
少し様子を見る為にも、彼は態と話を変えた。
「ええと、ハイ!」
すると、のだめは明らかにホッとした表情を見せた。
―――どうやら千秋さんと何かあったようですね……。
山口はそれを直感的に悟った。
「のだめ、お引き受けする事にしましタ!頑張りマス!」
「本当ですか?それはよかった……。有り難うございます、のだめちゃん。子供達も喜びますよ。」
「のだめもお役に立てて嬉しーデス。だって…のだめにはピアノしか…ありませんから。
あっ!コレは取り柄、って言う意味ですヨ?」
ピアノしか、という言い回しに言った本人も驚いたのか、のだめは自分の発言を慌てて最後に訂正した。
「明後日の土曜日で、時間が余りありませんが……大丈夫でしょうか?」
「子供達と一緒に歌う曲はそんなに難しくないですし、のだめの得意分野でもあるので大丈夫デス。
クラシックの方は……有名な部分を短くアレンジして弾くだけだから、かえって楽な位デス!」
ここにきてようやく、のだめはいつもの元気な笑顔を山口に見せた。
「では後程、ミニステージにあるグランドピアノまでご案内致しますね。」
「ハイ!あの、ピアノ…調律はしてあるんですか?」
「ええ。のだめちゃんに絶対引き受けて頂けると思っておりましたので、昨日の内に手配しておきました。
事務局長に頼み込んでね……経費を出して頂きました。」
「え、そだったんですか?」
「のだめちゃんに弾いて頂くのに、ひどい音では失礼ですからね……。
あのグランドピアノ、生徒達が使う以外は入院病棟のエントランスの飾りみたいになっていて、
購入して以来、調律した事なんて無かったみたいです。
調律師さんもこんないいピアノ、処遇が余りに酷くて可哀相だ…っておっしゃってましたから。」
「じゃあ、のだめのコンサートが終わった後も、ちょくちょく弾いて可愛がってあげて下さいネ。」
「……看護科の生徒達に、そう言っておきましょう。」
「そだ!あの中に、山口先生のリクエストってあったんですか?」
ふいにのだめは山口に訊ねた。
「ええ、ありますよ。どの曲かお分かりになりましたか?」
のだめは可愛らしく小首を傾げて、困った様に笑った。
「むむむ。チョトわからなかったデス。ごめんなさい。のだめ、先生の好み、よく知らないですから……。」
「ははは。そうでしたね。私のリクエストは“愛の夢・第3番”って曲ですよ。」
「ふぉぉぉ〜!リスト!有名な甘〜いロマンティックな曲ですネ!先生…実はロマンチスト?」
ロマンチスト、といわれて山口は大いに照れた。
「いえいえ。実はクラシックの曲名、私はこの曲名以外は、聴いた事はあっても殆ど知らなかったもので……。
この曲だけは、ある人から教えて貰って憶えていたのです……。」
「ほえー。ある人ですか……?」
のだめは興味津々と言った風情で、身を乗り出してきた。
「恥ずかしながら……。私の青春の一ページといった感じでしょうか……。」
「むきゃー!甘酸っぱい青春の思い出??のだめ、是非聞きたいデス!!」
「私の話なんて……あまり面白くないですよ?」
「いいんデス!いいんデス!話して下さい!」
のだめが余りにせがむので、山口は記憶を辿りながら、ぽつぽつと話し始めた。
「私がまだ医学生だった頃の話です……。私は地方から上京してきた苦学生でしてね。
その頃は三畳一間の風呂・トイレ無しの、ぼろぼろのアパートに住んでおりました。
もちろん…今はそれも懐かしい思い出ですけどね。」
「ふむふむ。」
「その頃同級生に…まぁなんというか…憧れの存在がおりましてね。
彼女はその大学の……いわばマドンナ的存在で……。
東京にある、大きな大病院の一人娘さんでして…田舎者の私にとっては、とにかく眩しい存在でした。」
「むきゃ!マドンナー!山口先生、寅さんですネ?」
「はははは。彼女はいつも長く美しい髪をさらさらと風に舞わせて……。
そう……白いレースの日傘をさし、それにとてもよく似合うワンピースを身に纏ってました。
彼女の傍からは何とも言えない良い香りがして、近くの席に座れた日は、授業なんて頭に入らない位でしたよ。」
のだめはうっとりとした表情で彼の話を聞いていた。
「そうですよネ……。やっぱり学生生活には、勉強だけでなくトキメキがないと……!!」
「ある時、実験病棟に移動する際、大学内にある音楽室の近くを通ったら、ピアノの音が流れてきたんです。
誰だろうと思って覗いてみると……それは彼女でした。
あの頃ピアノなんて弾ける人は、裕福な家庭に育った人位でしたからね……。
私のいた田舎では、ピアノは音楽の先生が授業で弾く程度のものでしたから。」
「そなんですかー。」
「……初めてでした。本格的なクラシック曲…というようなものを聴くのは……。
だからしばらくの間、私がぼーっと彼女のピアノに聴き惚れていると、
私がでくの坊の様に、突っ立っているのに気がついたのでしょう。
彼女はこちらに視線を寄越しピアノを弾く手を止めると、女神の様に微笑して言いました。
『山口君も、クラシック好き?』とね……。」
「ぎゃはぁーー!のだめだったら、後ろに花飛ばしマス!!」
「私は何も口に出せず、ただブンブンと首を横に振ることしか出来ませんでした。
それまで、彼女とろくに口も利いたことなかったものですから……。
純情青年…といえば聞こえはいいですが、実際はただの奥手の田舎学生でしたからね。」
山口はあの時の情景を心の中に思い浮かべていた。
「すると彼女はふわり…と頬にかかっていた髪を掻き上げると、優しく微笑んで……
『今のはリストの<愛の夢・第3番>・・・好きな曲なの。』と私に教えてくれたんです。」
「あへ〜!素敵な思い出じゃないですかーーー!!」
「そうですか?」
「そうですヨ!じゃあこの曲は、山口先生の思い出の曲でもあるんですね。」
「そうなります…か?さぁ、私の恥ずかしい話はこれ位にして、エントランスの方へ参りましょうか。
ちょうど、昼食時間ですから。」
いい加減気恥ずかしかった山口は、そう言ってのだめを促すと、彼女は『ハイ!』と素直に立ち上がった。
**********
グランドピアノは昨日、看護科の学生が調律の後に磨いたのだろうか……黒く光沢のある艶を発していた。
「わぁ〜!本当にいいピアノですネ!弾いてあげなきゃ可愛そうですヨ。」
のだめは瞳をキラキラさせながら呟くと、鍵盤の蓋をふわりと開ける。
そして人差し指で、ポーーーーンと音を鳴らした。
「ふふふ……。ちゃ〜んと調律してありマス……。」
ピアノの前に座ったのだめは本当に嬉しそうで、彼女が本当にピアノを愛している事が山口にも伝わってきた。
「えへ。先生の思い出!デス!」
そう言って山口にいたずらっぽい眼差しを向けると、聞き覚えのあるあのフレーズを奏で始めた。
「……“愛の夢・第3番”。」
素人の彼でも、これがロマンティックな愛の曲という事は知っている。
のだめは頬を染めながら、時々口を尖らせたりして、とても幸福そうにピアノを弾いている。
……少し酷だとは思ったが、山口はここで彼女の反応を見る事にした。
今日最初に会った時に彼女が見せたあの違和感を、自分なりに解決しなければならないと思ったからだ。
「……そういえばのだめちゃん。この事、千秋さんにご相談されましたか?」
その瞬間、演奏がパタリと止んだ。
「……モチロンですヨ。」
「千秋さんは何ておっしゃってました?」
「別にいいんじゃないか?って……。
先輩、今、お仕事すっごく忙しいみたいで、のだめもそれ以上聞きませんでした。」
「そうでしたか……。」
ふと、のだめはピアノの鍵盤に視線を落とした。
視線は鍵盤にあるけれど…それでいて何処か遠くを見ている様な、暗い翳のある凝視だった。
―――この表情は……あの夜に見たのと同じ……?
「山口先生。」
相変わらず視線を鍵盤に向けたまま、のだめは唐突に話し出した。
「子供の頃、クッキーの空き缶とかを、宝物とか大事なモノ入れにしませんでしたか?」
「え?あ、空き缶……?そういえば…メンコ入れにしていた事がありましたね。」
「……久しぶりに缶を開けてみたら、大事なモノだけがその中から無くなっていたんデス。……先生ならどうしますか?」
「え……大事なもの?」
「そです。大事なモノだけ、無いんデス。」
「そうですね……。私なら、ひとまず別の場所に無いか、探して見ると思いますが……。」
「じゃあ、大事なモノを入れていた缶はどうしますか?見つかるまでそのままにしておきますか?
それとも、缶だけあっても仕方ないから……捨てちゃいマスか?」
―――のだめちゃんのこの謎かけ……。一体彼女は何を言いたいのだろう……?
この発言の表層的なものに囚われずに、何とか冷静に真意を見極めねばと、山口は頭の中をフル回転させていた。
「のだめだったら…もしかして捨てちゃうかもしれません。
……大事なモノが入っていなかったら意味ナイ、ですから。」
そう言ってのだめはピアノの蓋をパタンと閉めると、立ち上がった。
「……のだめ、そろそろ帰りマス。」
「あっ!一緒にお昼ご飯でもいかがですか?明後日のお礼に、是非私にご馳走させて下さい。
病院の食堂も、結構美味しいですよ?」
「ゴメンナサイ、山口先生。のだめ、1時に友達と約束しているので…もう行かないと。
先生と一緒にご飯、食べたかったんですけど……。」
「いえ……。それならばいいですよ。映画、楽しんでいらっしゃい。
では明後日、一時半にはこちらに来て頂けますか?色々と準備がありますので。」
のだめはこくんと頷いた。
「ハイ、明後日一時半ですね。必ず伺いマス!」
そう言うと、グランドピアノのあるステージ上から軽やかに飛び降り、彼の前に立った。
「じゃあ、山口先生、また明日!先生の診察の予約は、確か…午前9時でしたよね?」
「ええ。明日も忘れずに、ちゃんといらして下さいね。」
「ハイ!」
のだめはそう言うと、水色のワンピースの裾を翻し、やや小走りに歩いて行った。
途中一度、入り口の自動ドアの所で振り向くと、山口に小さく手を振り、また軽やかに歩き去った。
**********
午前中に行うはずだったオレのゲネプロは、松田さんのスケジュールの都合で午後に変更になった。
松田さんはどうしても午後、外せない仕事が入ってしまったらしい。
オレはゲネプロ前までに、少し頭を冷やしたかったので、それはかえって好都合だった。
本来なら人のゲネプロは聴かない主義だったけど……。
オレはホールの後ろの方の座席に座って、松田さんのゲネプロをぼんやりと見学していた。
―――今朝のオレは最低最悪だった。
―――オレはのだめに酷い事をした。
昨日のR☆Sオケのリハーサル。
その前の日の失態を繰り返さないように、オレは努めて自分をコントロールし過ぎた結果かえって無口になり、
オケのみんなを震え上がらせてしまった。
一部では鬼・千秋、って呼ばれていた位だから、オレの様子はおそろしく不気味だったんだろう……。
それでも何とか曲想はまとまった。
が、はっきり言って何とか聴ける程度になったという位で、オレの音楽はそこには全くない。
もがけばもがくほど、オレの求めてる音が…想いが…指の間から砂の様に虚しく零れ落ちていくのを感じていた。
……そこには絶望的な無力感しかなかった。
夜、約束していた食事会の席で……
佐久間さんも大川先生も、オレの様子が少しおかしいのに気づいて、凄く心配してくれていた。
大丈夫ではないのに、『大丈夫です』と答える自分が自分でないようで…情けなくて腹立たしかった。
―――こんな時……。
―――あいつがオレだけに奏でてくれる…あのハチャメチャなピアノでも聴けたら…それだけで……。
佐久間さん達と別れ、三善の家へ帰るタクシーの中で、オレは虚ろな顔をしてそんな事を考えていた。
何時だってあいつは、オレが進むべき道を見失いそうになる度、軌道修正してくれていた。
Sオケの時も……指揮者コンクールの時も……。
『んもう!先輩!またカズオ!!』
『先輩はー粘着の完全主義だからー!』
あいつはそう言ってオレを甘やかすわけでもなく、さりげなく導いていてくれていたんだな……。
今更になって気がついた。
傍に居てくれただけで、オレはそう…こんなに救われていたのだと……。
……気がつくと、オレは携帯のメール画面を見ていた。
あの事故があった以来、それはなかば癖になっていた。
それはもう無意識に……いつも同じ画面だった。
それは記憶を失う前ののだめが、最後にオレにくれた、あのメールの文面だった。
―――このメールをくれた時には確かに、“オレののだめ”はちゃんとそこに居た。
深夜、無言で行きかう…無機質な車のランプしか見えない、高速のタクシーの中だからだろうか……。
それとも、食欲が無く、その代わりに飲み過ぎたワインのせいだろうか……。
あの時のオレは、確かに感情が高ぶっていた。
“先輩、早く会いたいです。”
のだめからのメールの最後にあったこの一文に、何故だかその時のオレは、激しく心を揺さぶられていた。
―――オレだって……会いたい……!
―――会って…抱きしめて…お前の存在をこの腕にちゃんと感じたい……!!
『千秋先輩は、甘えん坊さんですネ。』
―――そう言って何時もの様に……オレをからかって欲しい……。
気がつくとオレは、あのメールに返信を打っていた。
“オレも早く会いたい。”と……。
……我に返ったのは、送信ボタンを押してしまった後だった。
自分がしでかしてしまった事の重大さに、オレは血の気が引き、青ざめた。
もし…このメールを“今ののだめ”が読んでしまったら……?
オレはひどい罪悪感に苛まされた。
車中でそんな事があったオレに更に追い撃ちをかけたのは、のだめからのあの書置きだった。
“話たい事がある”
あの手紙を読んだ瞬間、オレは崖から突き落とされたような、深い絶望を感じた。
のだめが事故で記憶を失ってから、ずっと考えていた事……。
いや、考える事を今まで拒絶していた事、と言った方が正解かもしれない。
しかしのだめのあの書置きがその瞬間、その事を一筋の光のように照らし、オレの目前に晒したのだった。
『のだめ、パリに戻らないで、大川に帰りマス。』
オレはそう言われる事を、ついに覚悟しなくてはならなかった。
三善の家に帰り着いたのは深夜一時半過ぎで、家中ひっそりと寝静まっていた。
“もし寝てても、起こしてください。”
その一文が、心臓を抉り取られるような痛みを伴って、オレに早く覚悟をしろと詰め寄っているようだった。
本当は向かいたくない客間だったけど……
オレは疲労感と心の重さををずるずると引き摺りながら、結局のだめの部屋へ行った。
ノックなしでそっとのだめの部屋の扉を開けると、ベッドサイドの小さな明かりだけが灯っていた。
オレは足音を立てないように、そっとベッド際まで近づく。
ベットの中を覗き込むと……
ぼんやりとした薄暗い明かりの中、由衣子とのだめが向かい合わせで寝ているのに気がついた。
由衣子は、枕を抱き枕のように抱えこみ、可愛らしい様子でぐっすりと眠っている。
一方のだめは……由衣子の体にそっと手を添えて、包み込むような仕草で寝入っていた。
まるで母親が、赤子をあやしながら一緒に寝入ってしまった時のような……。
のだめの長い睫に縁取られた目元はほんのりと薔薇色に染まり、唇は少しだけ緩く開いていた。
それはオレも何度か見たことのある、懐かしいのだめの寝顔だった。
パリに居た頃は、息がかかる位近くで…そう…オレのベッドの中で……
何度もコイツのこんな表情をオレは見ていたのに……。
―――お前はすぐ近くに居るのに、どうしてこんなに遠い……?
……オレは寝ているのだめの頬に触れようと、そっ…と右手を伸ばした。
しかしどうしてもそれをする事が躊躇われ、結局右手は虚しく空を切った。
行き場を失ったその手を……オレはそのままだらりと降ろすと、
鬱屈した気持ちを押さえ込むように、その手が痛みに悲鳴を上げるまできつく握りしめていた。
そうして……オレはやるせない気持ちまま、のだめの部屋を後にした。
疲労感はあるのに気が高ぶってほとんど一睡もできず、オレは明け方まで机に突っ伏して悶々と過ごした。
それでも、今朝……やっぱりのだめに会ってからゲネプロに行こうと思いなおして……。
オレはリビングで、あいつが起きて来るのを待っていた。
―――けれど。
のだめの顔を見た瞬間、オレの中で何かどす黒いものが蠢いてくるのを、もはや止める事は出来なかった。
……オレは本当に、卑怯で卑劣な男だった。
オレは態と冷酷な態度を取って、何かを言おうとしていたあいつの言葉を封じた。
聞きたくない言葉を、最初からあいつに言わせない様に仕向けたのだ。
案の定、オレの態度にのだめは戸惑いを隠せず、口ごもってしまっていた。
だからあいつの口から話したい事がプリごろ太の事だと言われた時は、見境も無くついカッとしてしまって……。
―――オレがこんなにお前の事で苦悩しているのに、プリごろ太かよ?
……そうなじりたい気持ちを抑えるので、あの時のオレは精一杯だった。
でも、人間として未熟なオレは結局それを隠し切れず……のだめを冷たく切り捨てる様な言動を取ってしまった。
今思えば…もしかしてプリごろ太の話は嘘で…本当の“話したい事”は別にあったのかもしれない。
あいつは最後、怯えた瞳でオレを哀しげに見ていた。あんな表情…決してさせてはいけなかったのに……。
その後自室に戻って、オレは猛烈に後悔した。
後悔するなら始めからしなければいいのに……本当に愚かで浅はかだった。
だからオレはすぐにダイニングルームにとってかえし、のだめに謝罪したが……
正直、何をどうちゃんと謝ったか憶えていない。
のだめはオレに対して…虚しくなる位他人行儀な様子で…何を言っても『ハイ。』としか言ってくれなかった。
記憶を失ってから始めて病院で再会したあの時みたいに……のだめは身を固く強張らせ、その笑顔は引き攣っていた。
それを目の当たりにしてオレは更に動揺してしまって……ついあの“携帯の事”を口走ってしまった。
……幸運な事に、のだめはどうやら携帯の事にはまだ気がついていない様だったけれど……。
その携帯の話に不思議そうに目を丸くして、オレを見上げるあいつの表情を見た時……
ふと、右頬の擦り傷が目に留まった。
オレはもう本当に無意識に……のだめの髪を掻き上げ、頬を触ってしまっていた。
その前の晩、寝ているのだめにさえ出来なかった事なのに……。
もちろん突然こんな事をしても、益々あいつを動揺させるだけだと十分わかってはいたが……。
でもそんな事を考えるよりも早く、オレの体が動いてしまっていた。
久しぶりに触れたあいつの頬は…ふわふわ柔らかくて…暖かかった。
……泣きたくなる位、懐かしい感触だった。
触れた指先から、オレの気持ちがあいつに伝わってしまいそうで……
どうやってこの手を引っ込めたらいいのかと思案し始めたその時、オレはのだめの顔が劇的に真っ赤に変化するのを見た。
それは戸惑いや困惑、動揺…そういったものをすべて紅色にして頬にのせたような…そんな表情だった。
だからオレが手を話した瞬間、のだめはもう耐え切れないといった様子で、すぐに顔を伏せてしまって……。
昔は同じように顔を真っ赤にしても……
あいつは恥ずかしがりながら陶然と……オレを見詰めかえしてくれていたのに……。
そう……あいつの柔らかな眼差しは、何時でもオレを温かく包み込んでくれていて……。
それはオレに……ただ一筋に愛を伝えてくれていた。
オレを見つめるあいつの大きなあの瞳は、オレを好きだと…愛しているのだと…いつでも告げていてくれた……。
―――胸がヒリヒリと痛んだ……。
俯いたまま、ひどく居心地悪そうに目も合わせてくれないあいつの頑なな様子を見て、
オレは暗澹たる思いで、ただその場を立ち去る事しかできなかった。
あの日以来感じている……この“喪失感”。
オレはこの苦しい感情と、一体いつまで向き合っていかなければならないのだろうか……?
「千秋君。すまなかったね。」
後ろから急に声を掛けられて、オレは身体をビクンとさせた。
気がつくとステージ上ではオケのメンバーが楽器を手にして椅子から立ち上がり、
あちこちで談笑しながら舞台袖の方へ引っ込んでいる所だった。
「ここで僕のゲネプロ見てたとは知らなかったなぁ。君、そういう事をするようなタイプじゃないと思ってたから。」
「あ……。松田さん。お疲れ様でした。」
オレは慌ててホールの座席から立ち上がり、松田さんに一礼した。
どうやらオレがのだめの事で苦悶している間に、松田さんのゲネプロが終了していたようだ。
「ふーん……。じゃあ僕も午後、ぎりぎりまで君のゲネ、見せて貰っても…かまわないよね?」
松田さんはニヤリと右の口角を上げ笑うと、オレに突き刺す様な鋭い視線を寄越し、腕を組んだ。
「千秋君、今回は随分と自信があるみたいだし?……じゃあ、また。」
「……え?」
松田さんはそう言うと、『お昼ご飯〜♪』と鼻歌を歌いながら去っていった。
オレは松田さんの言ってる意味が分からなくて、しばらくそのまま茫然と立ち尽くしていた。
「おーーい千秋ぃーー!!昼メシ食いに行こうぜぇーー!」
振り向くとステージ上で、峰がヴァイオリンを上に掲げながらオレに叫んでいた。
その周りには真澄や黒木君もいて、鈴木姉妹は手を振っていた。
「ああ……!」
オレは大きな声でそう返答すると、皆が待っているステージの方へ向かった。
**********
「ああもうっ、そんなに泣いちゃって……。のだめ、今すごい顔になってるよ?」
横でびーーむ!と、鼻をかんでいるのだめに、マキは水で濡らしたハンカチを絞って渡すと、
のだめは『ありがとーデス。』と言いながら、素直に瞼の上に乗せた。
「のだめ〜。わたしはあの映画のどこに、そんな泣かせポイントがあったかそっちが知りたいよ……。」
レイナは、のだめの後ろで手を拭きながら、呆れた様に苦笑していた。
「レイナちゃん!どうして分からないんですカ〜!最後、ごろ太とカズオの……」
「はいはい……。分かった分かった二人とも。トイレ混んでるんだから、もう行くよ?」
口を尖らせて抗議するのだめを宥めながら、マキ達はトイレを出た。
映画が終わった後の女子トイレは、物凄く混んでいた。
今日の映画は内容から考えて当然だが、圧倒的に若いママとその子供達が多く、
年頃の女性だけのグループは、マキ達だけだった。
しかもそのうちの一人ののだめが、周りが引く程号泣していた為、
トイレにいたマキ達以外の誰もが、奇異な視線で3人をじろじろ見ていたのだ。
……それがマキには、ものすごく恥ずかしかった。
「っぷ!のだめ、今すっげーブサイクだよ……?」
のだめの頬っぺたをぐにゅ!っと押しながら、レイナはクスクスと笑いを堪えている。
マキもレイナに同調して、のだめをからかった。
「あはは〜!確かにブッサイク〜!!
ってゆーか、待ち合わせに来た時から、のだめの顔、ちょっとむくんでたじゃん?
……ったく、映画が楽しみで眠れなかったなんて、
小学生が遠足の前の晩に興奮して眠れないと同じだよ……。あんた、小学生……?」
「ヒドイですーー!!二人とも!!のだめは小学生じゃありません!23歳の立派な大人の女性デス!!」
「あー立派な大人の女性が、プリごろ太で号泣とはねーー。」
「ムキーーーーー!!」
「まぁまぁ。二人とも……。マキちゃんこれからどうするの?夕ご飯まではちょっと時間あるけど。」
さっきと変わり、今度はレイナがマキとのだめの仲裁に入る。
「それなんだけど。夕飯前にちょっと寄りたい所があるんだ♪二人とも付き合ってくれる?」
「もちろんいいけど……。どこ?」
「ふふん。着いてからのお・楽・し・み。」
「ふぉぉぉぉ〜!着いてからのお・楽・し・み……。」
レイナものだめも、不思議そうにお互いの顔を見合わせていた。
マキはいたずらが成功した時のような笑みをコッソリ浮かべると、二人の先に立って、駅の方向へ歩き出していた。
電車で20分程揺られていると、マキが目指している目的地のある駅に着いた。
―――ふふっ。わたし達が今どこに向かっているか……二人ともまだ気がついていないっ♪
マキは心の中で、自分の作戦が上手くいっている事を喜んだ。
3人連れ立って改札を抜け、バスのターミナルがある方向とは逆に出ると、
一面ガラス張りで整備された、新しい歩行者通路が一直線に伸びていた。
「あー!歩く歩道ーーー!!」
のだめは嬉しそうに軽やかに飛び乗ると、まるで子供のように手すりに寄りかかった。
「マキちゃん、もしかしてこれから行くのって……。あそこ?」
レイナが前方奥のほうに見える建造物を指差しながら言った。
「え??何っ?何があるんですか?」
のだめも慌てて、指差された方向に視線を合わせている。
そこには昨年7月に竣工されたばかりの、
真新しい現代的なデザインが施されたコンサートホールが、夏の日差しの中ぼんやりと浮かび上がっていた。
「……コンサートホール……。」
のだめは半ば放心したように呟いた。
「もしかして…マキちゃん。ここって……。」
レイナはようやくすべてに合点がいったのか、興奮に頬を軽く紅潮させている。
「えへへ。そうだよー。驚いた?R☆Sオケ、今日ゲネプロやってるんだって。
峰さんから特別に許可貰って、見に来ていいよ、って言われてたんだー。」
「ええーー!本当??わたし達、R☆Sオケのゲネプロ見学してもいいの?やったーー!!」
マキちゃん、さすが!と言いながら、レイナはマキに抱きつく。そして嬉しそうに笑った。
「……ゲネプロ。」
のだめは相変わらずどこか遠くを見ている様な表情で、ぼんやりとしている。
少し変に思ったマキは、のだめの顔を覗き込んだ。
「のだめ?どうした?ゲネプロ、見たくないの?」
「いえ!すっごく見たいデス!見たいんですケド……。萌ちゃんと薫ちゃんも見に来てね、って言ってたし……。」
「……何か問題でもあるの?」
「だってっ!……のだめ、今すっごいブサイクだって、さっき二人してあんなに言ったじゃないですか〜……。
だから…のだめ…あんまり今の顔・・・人に見られたくないデス・・・。」
「おーー!のだめが女の子してるーー!!」
レイナが驚いたように目を丸くさせた。
「ぷぎーーーー!!のだめだって、23歳のお年頃な……。」
「ハイハイ、大人の女性ね〜。それはもう分かったから。
……要するに、その顔を千秋さまに見られたくないのよね?んー?」
そう言ってからかうと、のだめはこちらが吃驚する程顔を真っ赤にさせた。
何か抗議したいようだがうまく言葉が出ない様で、口をパクパクさせている。
「大丈夫、大丈夫。ゲネプロが終わる頃には、そのブサイクも大体直ってるって。」
少しも慰めにもならない事を、レイナはのだめの肩をポンポン叩きながら言った。
「……二人して、のだめのコト、馬鹿にして……。」
拗ねたようにのだめは、低い声でぶつぶつといつまでも文句を言っていた。
コンサートホールのエントランスに入ると、“大ホールは只今ゲネプロ使用中”と掲示してある。
しかしロビーの向こう側で、楽器を手にしたオケのメンバーと思われる人達が、
ドリンクを飲みながら談笑しているのに、マキ達はすぐに気がついた。
「あれーー?もう、ゲネプロ終わっちゃったのかなぁ……。」
レイナは残念に思う気持ちを隠しきれずに、横にいるマキに尋ねた。
「ええ〜!?まだそんな時間じゃないと思うけど……。おかしいなぁー。
ちょっと事務局に行って聞いてくるよ!
あ、それから峰さんに、三人分のスタッフパス、貰ってくるからぁーーー!」
そう言うとマキは、舞台袖につながる通路に向かって、猛スピードで走って行ってしまった。
「……相変わらず、マキちゃんは元気だなぁー!ね、のだめ?」
そういって同意を求めるように、レイナはのだめに振り返った。
……のだめはそれには答えず、レイナの背中に隠れるようにしがみつきながら、極限まで顔を伏せている。
そのくせ、どこか挙動不審な様子で、じろじろと辺りを窺っていた……。
どうやらここに居るであろう知り合いに、よっぽど顔を見られたくないらしい。
「ごめんごめん、さっきは言いすぎた。そんなにヒドイ顔じゃないから、のだめ心配しなくても大丈夫だよー!」
レイナがそう謝ると、のだめは低い声でぼそぼそと呟いた。
「そんなに…じゃなくても…ヒドイ顔…には変わりないじゃないですかぁ〜……。」
「んもー!何よー!のだめのくせに乙女心出してー!」
「レイナちゃん……ひとまず人のいない方へ行きましょうヨ〜……。」
「だってここを動いたら、マキちゃんとはぐれちゃうかもしれないじゃん!!」
「それならあそこ!あそこのテラスなんかどですか?ねっ?あそこのテラスに行ってましょうヨ〜!
あそこなら同じフロアだし、マキちゃんもすぐ見つけられマスって!ね?」
「ええええー?」
「ね?そうしまショ!そうしまショ!ささ、早く早く〜!」
のだめが余りにしつこく粘るので、レイナは渋々のだめに従う事にした。
「レイナちゃん、ほらっ!もっとシャキシャキ歩くー!」
のだめはレイナの背中を信じられない位強い力でぐいぐいと押して、テラスの方へ押し出していた。
のだめにせかされ、二人は一面ガラス張りの、サンルームのようなテラスに向かう。
コンサートホールはほぼ全面禁煙なのか、移動途中にあったテラスの案内版の下には、
“R☆Sオケ関係各位 喫煙はこちらでお願いします”と手書きの紙が張り添えてあった。
さっきのエントランスからは、手前の柱が邪魔して分からなかったが、
サンルーム内の、ちょうどその柱の裏側の傍に、どうやら先客がいるようだ。
……人影は二人。
一人は黒いスーツを着た、すらりとした長身の男性。
もう一人は遠目から見てもスタイルの良い、ノースリーブのサファリワンピを着た若い女性だ。
二人はリラックスしたムードでタバコを燻らせながら、親しげに談笑していた。
「あ……。」
レイナはのだめより先に、その二人が誰だか気が付き、無意識に足を止めてしまった。
すると、のだめは不満げ顔をちょっと上げ、
「もー!レイナちゃん、何で急に止まるんですかー!さっさとテラスに行きま」
そう文句を言ってる途中で、レイナに少し遅れてテラス内にいた先客の姿に視線が釘付けになる。
……のだめは、言いかけた言葉をそのまま飲み込み、口を噤んでしまった。
「……。」
「あれ……。千秋さまと…確か、多賀谷彩子……。」
「たがや…さいこ…サン?」
たどたどしい口調で、のだめはレイナに尋ねた。
「ああ、うん……。千秋さまの音高時代からの同級生で……。声楽科にいた……。」
レイナがその続きを言うのを躊躇っていると、のだめは食い入るような真剣な瞳で、次の言葉を待っている。
「その……。高校時代から二人は付き合っていたらしいけど……。」
「……つまり元カノ…ですカ?」
「うん…まぁ……。でもっ!大学に入って別れたらしいから……。」
「そですか……。たがや…さいこサン……。しゅごいキレイな人ですねぇ〜……。
千秋先輩…何であんなキレイな人と、別れちゃったんですかねぇ〜……?」
「そんな事……当人同士にしか分からない事でしょー?
もうっ!今カノはのだめなんだから、しっかりしなさいよー!わかった?」
レイナは少し居心地悪いこの場の空気を変えたくて、ワザとはっぱをかけるようにのだめに言った。
「ほわー。先輩、すっごく楽しそーデス……。
……千秋先輩があんなに大口開けて笑うの、のだめはじめて見ました〜……。」
のだめはどこか虚ろな表情で、ふふふっと笑った。
「そっかぁ〜……。のだめは先輩に…無理…させてばっかりだったんですねぇ〜……。」
それはいつも通りの、のだめらしいのんびりとした口調だったものの、
その刹那、レイナは妙な違和感を背後に感じた。
―――え……?
―――わたしの背中でしがみつく様に服を握り締めてるのだめの手が…微かだけど…震えてる?
「ちょ、ちょっと……のだめ?」
レイナは慌ててのだめに向き直ると、俯いているのだめの顔を覗き込んだ。
のだめの顔は、心持ち青ざめているようだった。
「どうしたの?二人の事、気にしてるの?んもぉーバカのだめ!のだめが全然心配するような事じゃないでしょー?」
レイナはのだめの両手を握り締めた。のだめの両手は季節が夏だとは思えない程、氷の様に冷え切っていた。
「ほーら!そんな顔しないの!もぉーブサイクなのが余計ブサイクに……。」
レイナの声を遮るように、のだめはすっ…と顔を上げた。
それは今までに見た事の無いような、冷静なのだめの表情で……レイナは少しうろたえてしまった。
のだめは感情をどこかに置き忘れたような……無表情なその顔のまま言った。
「のだめ…朝から動きすぎてチョト疲れました……。
それにやらなければいけない事があったのを…今思い出しましたヨ……。
ごめんなさい、レイナちゃん。のだめ、もう帰りますね?」
そう言ながらようやく微かに笑うと、レイナの手をやんわりと振り解いた。
「一緒に夕ご飯…食べたかったんデスけど…マキちゃんにも謝っておいて下さいネ。
今日は本当に楽しかったデス!っじゃ!!」
そう言うとのだめは、エントランスの方へ向かって脱兎の如く駆け出した。
「え?え?ちょっと、待ってー!!のだめぇーー!?」
走り出したのだめの腕を咄嗟に掴もうとしたが、
ワンテンポ遅れたレイナの右手は宙を泳ぎ、逃げ足の速いのだめを捉える事が出来ない。
取り残されたレイナは、のだめの後姿がコンサートホールの入り口からあっという間に消えるのを
あっけにとられながら、ただ見ているだけしか出来なかった。
「あーー!レイナー!ここに居たーー!!」
マキがさっき走っていった方向とは逆から、手を振りながらこちらに全速力で走ってくる。
そのちょっと後ろには峰もいて、同じ様に小走りでこちらに向かって来ていた。
「はぁっっ……!はぁっっ……!もうー!さっきの所に戻ったら、のだめもレイナもいないんだもんっ!!
二人を探してホール一周しちゃったよ〜!ふぅーー!いい運動したーー!」
マキは息を整えながら額の汗を拭うと、レイナにパスを差し出した。
「はい!レイナの分!これがあれば大ホール内に入っても大丈夫だって。」
「あ…ありがとー。ごめんねマキちゃん、走らせちゃって……。」
レイナは首からぶら下げるタイプのパスを、マキから受け取った。
「さっきから、大ホール内の空調の調子がちょっとおかしくて……それでいったんゲネプロ止めてンだ。
今、緊急メンテナンスしているらしい……。んで、仕方ないから休憩中〜。」
少し遅れてマキ達に合流した峰は、肩を竦めながら苦笑いした。
「よう!いらっしゃい!久しぶりだなー?今日はじっくり見学していってくれ!」
「はい。ありがとうございます、峰さん。」
レイナが峰にお礼を言ってるそばで、マキはきょときょと左右を見回している。
「あれ?のだめは?トイレ……?」
ようやく、マキはのだめがここにいないのに気が付いたようだ。
「それが……。」
……レイナはさっきの顛末を、二人に簡単に説明した。
「えー!?じゃあーのだめ帰っちゃったの!?っな……!!」
レイナの話を聞いたマキは、絶句して言葉が続かない。
「確かにあそこにいるの…千秋と多賀谷だなー……。でもたいした事じゃないんだぜ?
うちの今回の公演のスポンサーの一つが、多賀谷楽器なんだ。
スポンサーとマスコミ関係にはゲネプロ公開することになってて。ほら、多賀谷って多賀谷楽器のお嬢様だろ?
だからただ単に、ついでに千秋に、公演前の挨拶に寄ったっちゅーだけで……。」
「そうなんですか……。」
レイナが峰の言葉に納得していると、峰は急に真面目な顔をして尋ねた。
「なぁ、のだめ…そんなに気にしてた?あいつらの事……。」
レイナは、のだめが自分の背中に隠れながらも二人から目を離せず……
それでいて指先が白くなる程自分の服を握り締めていて……
……そしてその手が小刻みに震えていた事を、峰に伝えた。
「ふーーん。そっかぁ……。」
レイナの話を聞いた峰は思わせぶりに右の眉を上げ、何故だか嬉しそうに、にーと笑った。
「え?え?何で峰さん、嬉しそうなんですか?」
面食らってるレイナに、峰はバチン☆とウィンクした。
「だって、つまりそれっていい傾向、ってコトだろー?そっかー!のだめ、気にしてたのかーー!」
峰は腕を組みながら、うんうんと頭を上下に振って、一人で悦に入っている。
レイナ達は峰が言っている意味が今一よく分からなくて、二人して顔を見合わせて首を捻った。
「まぁまぁ!のだめには後でオレから、電話でも入れておくからさっ!」
峰はレイナ達の背中を順にバンバンッ!と叩くと、豪快に笑った。
「あいつはいないけど…二人とも予定通り、今夜はうちで夕メシ食っていってくれっ!
親父、朝から張り切って用意してたから。」
「あ、ありがとうございます。お言葉に甘えて、お邪魔させていただきますね、峰さん。」
マキが峰へお礼を言ってぺこりと頭を下げたので、レイナも慌ててそれに倣った。
「……あ、それからこの事。……千秋にはナイショ、な?頼むぜ?二人とも……。」
思わせぶりに小さな声で、二人のの目を交互に覗き込む様にして峰は頼んだ。
「ええと……。はい。」
「はい。分かりました。」
マキ達は素直に頷いた。
「……よし!サンキュ!二人とも!」
「おーーーい!峰ーー!ゲネ再開だってーーー!」
その時ロビーにいたオケメンバーの一人から、峰に声がかかった。
「おーーー!今行くーー!!」
峰は大声でそう返事すると、二人に振り向いた。
「じゃ!オレ行くわ!二人ともR☆Sのゲネプロ、楽しんで行ってくれよな。」
峰はマキ達にお茶目な感じで敬礼!のポーズをとると、大きなコンパスでホール内へ走り去った。
**********
予備校に行く前の俊彦が軽めの夕食を済ませていると、玄関の方から『ただいまーーデス!』という声が聞こえてきた。
―――あの声は……のだめさん?
―――今日は確か夕飯は友達と、外で食べてくるって言ってなかったっけ……?
俊彦は疑問に思って食堂から出ると、同じような事を思ったのか、ちょうどリビングから出てくる由衣子と目が合った。
「あ、俊兄。今の、のだめちゃんの声だったよね?」
「……うん。」
俊彦と由衣子は一緒に玄関に向かうと、
ちょうど大きな袋を2つ抱えたのだめが、ヨタヨタと玄関の扉を閉めていた所だった。
「のだめちゃん、お帰りなさーい。」
「……お帰りなさい。」
二人がそう声を掛けると、のだめはふぃーっと息を吐きながら、『俊くん、由衣子ちゃん、ただいまデス!』と笑った。
「のだめちゃん、今日はお友達と夕ご飯食べてくるんじゃなかったの?てっきり今日は遅くなるんだと思ってた……。」
由衣子がそう尋ねると、のだめは少し疲れた表情を見せた。
「そだったんですケド……。今日は朝から動いたせいか、少し体がバテちゃったみたいで……。
先生から『余り無理しないように』って言われてたし、二人には謝って、のだめだけ先に帰って来ちゃいましタ。」
「え?バテちゃったって……。のだめちゃん、体の方は大丈夫なの?」
由衣子は心配そうに、のだめの顔を見上げた。
「大丈夫ですヨ〜!ちょっと大事をとっただけですから。それにのだめ、やらなきゃいけないコトもあったし……。」
「やらなきゃいけないコト?」
「……その袋が関係あるの?」
のだめの持っている大きな袋を顎で示しながら俊彦がそう指摘すると、彼女は照れた様にはにかんだ。
「えへへ。さすが俊彦くん、鋭いですネー。実はのだめ、ピアノとお話しようと思って〜。」
「ピアノとお話??」
「……それってどういう意味?」
のだめの言っている意味がよく分からなくて、二人は聞き返した。
「え?言葉どおりですヨ?“ピアノとお話”デス!おしゃべりなのだめと違って、ピアノは少しケチで無口なんですヨ〜。」
あはは〜と暢気に笑いながら、のだめは相変わらず意味不明な事を言っていた。
「イマイチよく分からないんだけど…まぁそれはこの際置いておいて……。
それで、その“お話”する為に何を買ってきたの?」
俊彦はそれが理解できる回答でなかった事に少し苛立ち、不満げな声色で尋ねた。
「えと、楽譜とか音源とか?
……楽譜は…へへへ…今ののだめは…まだちょ〜っと苦手なんで、ひとまず沢山CDを買ってみましタ。」
二人によく中身が見えるように、のだめは持っていた袋を大きく開いて見せた。
「わー!のだめちゃん、ずいぶん沢山買ったねー!」
中を覗き込みながら、由衣子は感心したように呟く。
「そのせいで、のだめのお財布からは諭吉サンが一人もいなくなってしまいましタ……。
それどころか、もうプリごろ太の最新刊も買えません……。とても悲しい事デス……。」
のだめは後ろに陰を背負いながら、どこか空虚な目をして呟いた。
「……のだめさん。ちょっとボクと一緒に来てくれる?」
「……?いいデスけど……。何ですか?俊彦くん。」
「……来ればわかるから。」
俊彦はそれだけ言うと、まだ頭から疑問符を出しているのだめを、二階のある部屋の方へ先導した。
「……さぁ、どうぞ。」
俊彦は、千秋の部屋の斜め左前にある部屋の扉を開くと、のだめに先に入るように促した。
「ふぉぉぉぉ〜!!しゅごい〜!!ここってオーディオルームですか〜?」
のだめは奇声を上げながら、感嘆したようにオーディオルームをぐるっと見回している。
「……まぁ、たいていのレコードとか楽譜とかは、ここに揃ってるんだけど。」
のだめが持ってる袋を指差しながら、俊彦は冷静かつ簡潔にその事実を伝えた。
「別に買ってこなくても、それ、うちにも全部あったのに。」
「ぎゃぼ!?」
「……つまりのだめさん、諭吉さん達とお別れしなくても良かったんじゃない?」
「ぎゃぼーーーー!!と、俊彦くん、何でのだめにこの部屋の事教えてくれなかったんですかーー!!ヒドイ!!」
のだめはショックのあまりか、持っていた袋をドサリと落とした。
「だって、てっきりもう知ってるものだと思ってたから……。」
「ムキーーーー!!知らなかったですヨ!こんな部屋があるのーー!!」
のだめは白目になりながら、猛烈に俊彦に抗議した。
「あれー?でも、昨日の夜…のだめちゃん、確か三善家☆探検!…してなかったっけ?」
「……は?……三善家☆探検?何ソレ。」
由衣子の発言に俊彦が不審げに眉を顰めるが、
それに構わず、のだめは聞き取れないぐらい低い声でぶつぶつと独り言を言っている。
「……これなら昨日…全部の部屋…開けておくんでしたヨ……。」
「え?」
「……こっちの話デス。」
のだめはまだ白目のまま、怨めしそうに俊彦から顔を逸らし、口を尖らせた。
「ごめん。でもボク本当に……のだめさんはもうこの部屋の事知ってると思ってたんだよ。」
「…も、いいデス……。」
のだめは落としてしまった袋を拾い上げながら、CDケースにヒビが入っていないか一つ一つ手にとって確認していた。
「買う前に真兄に相談すればよかったのに……。真兄からこの部屋の事、説明なかった?」
「あのさ俊兄……。その…最初の夜、由衣子とお父さんがちょっとからかったから、
真兄ちゃま……デザートの途中で居なくなっちゃったでしょ?
それからもお仕事忙しくて、ほとんどおうちにも居なかったし……。
ごめんね、のだめちゃん。これってまた…由衣子のせいかも……。」
由衣子はしょげたように項垂れた。
「由衣子ちゃんや先輩の叔父さんのせいじゃないですヨ〜……。本当にもーいいんデス。」
のだめは最後にリストの楽譜を取り出すと、いとおしそうな眼差しでそれを撫でた。
「のだめがこうやって身銭を切って買ったんだから……
ピアノものだめをチョトかわいそーに思って、気を許してくれるかもしれませんネ……。
……イヤ、もしかしたら更にその上、手心なんかを加えてくれるかも……?」
何を妄想しているのか、うぷぷぷ……とのだめは少し不気味に笑っている。
それを見た由衣子と俊彦は、困惑を隠せずにお互い顔を見合わせた。
「あ!夕ご飯食べたら、のだめ、ここのお部屋使ってもいいデスか?」
「別にかまわないと思うけど……。」
「じゃあ、お言葉に甘えて!ありがとうございマス!」
のだめはニコニコしながら、傍にあったテーブルの上にさっきのCDと楽譜を置いた。
「真兄、今日明日ゲネプロで、明後日はもう本番だから……。多分ここの部屋使わないと思うし。」
「きゃー!そっか、もう明後日なんだー。楽しみだね!ね、のだめちゃん♪」
由衣子が嬉しそうに同意を求めると、のだめはきょとんとした顔をした。
「明後日……?」
「え?まさかのだめちゃん…真兄ちゃまの公演がある事も…知らなかった!?」
「いえ……。それはモチロン知ってましたけど……。」
「あ、チケット?チケットの心配してるの?大丈夫!のだめちゃんの分もちゃーんと用意してあるから。」
「のだめの分も?」
「うん!一応土曜日と日曜日の全部の公演のチケット買ってあるから。
ホール近くのホテルも取ってあるし。ねー?俊兄。」
「ボクは土曜日の夜は予備校があるから、松田さんのBプログラムは聞きに行けないけど……。
ま、真兄が振るのは午後1時半からのAプログラムだからね。もちろんそっちは行くけど。」
「土曜日午後1時半……。」
のだめは小さな声で由衣子に告げた。
「……のだめ、ソレ、行けません。」
「ええー!?なんでっ!?どうしてっ?のだめちゃん!」
「のだめ…土曜日の午後、病院の子供達にピアノを弾いてあげる…ってお約束しちゃったんデス!」
「そんなの、別の日にしてもらえないの?だって、真兄ちゃまの指揮者コンクール優勝の凱旋公演なんだよっー?」
「最初に約束したのはこっちデスから。それに子供達も、すっごく楽しみにしてて……。
……のだめの都合で子供達を悲しませるような事は、出来まセン。」
そうきっぱりと言い切るのだめの語調は有無を言わせない響きがあって……。
由衣子を見据える瞳には、その返答に対する一片の迷いも無かった。
「えぇーー…でもーー……。」
「……由衣子、しょうがないだろ?じゃあのだめさん、日曜の夜7時からのBプログラムの方は大丈夫?」
「ハイ。日曜は今の所、病院もありませんし、丸々一日、空いてマス!」
「んもぅ〜……。どっちも聴かなきゃ、この公演の意味ないのにぃ〜……。」
由衣子はまだ不満げな様子を見せた。
「日曜にゆっくりと一日楽しめるんだから、もういいじゃないか。
ほら、土曜、日曜連チャンだと…今ののだめさんの体の具合だと、少ししんどいかもしれないし。」
「……本当にごめんなさい、由衣子ちゃん。土曜日はダメだったけど、日曜日はのだめと一緒に行きましょうネ?」
のだめは拗ねてる由衣子の頭を撫でると、ようやく観念したのか由衣子は頬をゆるめた。
「うん、わかった……。のだめちゃん!日曜日、絶対だからね?」
「ハイ!絶対!」
「……と!ボク、もう予備校に行く時間だった!」
俊彦が慌てて腕時計を確認すると、時計の針はもうとっくに彼が予備校に向かっているはずの時刻を指していた。
「ヤバイ……。完璧遅刻だ……。」
「ゴ、ゴメンナサイ。のだめがなんか引き止めちゃったみたいで……。」
「俊兄〜!もう、今日はお休みしちゃったら?一日位、いいんじゃないー?」
「バカ!その一日の油断が、ライバルに更に引き離される原因になるんだ!」
俊彦は由衣子に怒った。
「俊兄、毎日あれだけ勉強してるんだから、少し位平気よぉ〜……。
むしろ俊兄の事をライバルだと思っている人達に、ちょっと油断を与えてあげる位の心の余裕さっていうかぁ〜……。」
「由衣子っ!!!」
「っきゃ!こわ〜い!!俊兄の怒りんぼーーー!!」
由衣子はのだめの後ろに隠れると、『いーーだっ!!』と言いながら舌を出した。
「ったく!でもま、確かに…由衣子の言う事にも一理あるな……。そっか…うん、余裕……。」
「……と、俊彦くん?ど、どーしたんですカ?」
考え込む俊彦を不審に思ったのか、のだめはおずおずと上目遣いをして様子を窺っている。
「よし!今日はこのまま休むか……。それに今夜は、真兄のテレビ出演もあるし!
ま、今日欠席した授業は、来週の月曜に代替すればいいだけだし!」
さっき由衣子を叱り付けてしまった手前、俊彦は腕を組み、出来るだけ難しい顔をして言った。
「……あれだけ由衣子のコト怒ってたクセに…結局休むんじゃん……。」
「……何か言った?」
「別にぃ〜〜……!!」
「あの〜二人とも……ケンカ終わりましタ?」
俊彦と由衣子の間で少し困っていたのだめは、もじもじしながら口を挟んだ。
「のだめ、さっきの俊彦くんの発言でチョト気になる事があったんですけど……。」
「何?」
「今夜は、先輩のテレビ出演がどーとかこーとか……?」
「え、のだめさん聞いてなかった?今日の夜のニュース番組のゲストでさ、真兄出演するんだよ。松田さんと一緒に。」
「ええっ!?千秋先輩がっ!?テ、テ、テレビにっ!?」
のだめは興奮からか、やや上ずった声を上げた。
「うん。ほら10時からやってる有名なニュース番組あるでしょ?
あの中で“現代のクラシックブームを探る”って特集が組まれて、R☆Sオケが取り上げられるんだってさ。」
「ふぉぉぉぉぉ〜!!!!」
「んもぉー!のだめちゃん!今夜の三善家は夜10時前には全員リビングで、テレビの前に集合よっ!!」
「……由衣子なんてさ。この日の為だけに、父さんにおねだりしてDVDレコーダー買って貰ってるんだよ。」
「さ…さすが由衣子ちゃん……。」
「あ〜〜〜!!真兄ちゃまのファン、ますます増えたらどーしよう?由衣子…それだけが心配。」
「……おまえがある意味一番怖いファンだよ……。」
「……俊兄、何か言った?」
「別にぃ〜〜……!!」
「っっぷ!……ぎゃははははははは!!!!!」
二人のコミカルな応酬を見ていたのだめは、爆発したように腹を抱えて笑い転げた。
「二人とも仲いいんデスね〜?夫婦漫才みたい!あ、違う。これは兄妹漫才デスね〜〜?」
「っは?」
「ぎゃはー!!兄妹漫才〜!!いいですよネ〜兄妹って…はうん……。」
「あのー、のだめさん?話がよく見えないんだけど?」
「あー!!そう思ったら、のだめもよっくんの事思い出しちゃいましタ!よっくん、元気かなぁ……。」
「……よっくん?だぁーれ?のだめちゃん。」
「のだめの弟デス!のだめに似て、とってもシッカリ者でお料理上手デス!」
「……のだめさんに、“似て”?……何かのギャグ?」
「そだ!!由衣子ちゃん!うちのよっくんのお嫁サンに来ませんカ〜??
ムキャ!!そしたらのだめにも、かわいい妹が出来マス!!しゅてき!ナイスアイデア!!」
「え〜それだとぉ〜…のだめちゃんが俊兄と結婚したって、由衣子はかわいい妹になれるよぉ〜?」
「ぎゃぼ!!」
「ぎゃぼ!!って何だよっ!?それはこっちの台詞!!!」
「……と、俊彦くん。のだめじゃご不満ですカ……?」
「……そうなったら、少なくとも真兄は不満だろうねっ!!ふんっ!!」
「ぎゃぼぉ〜……。」
「ふふふ。のだめちゃんの負け〜〜〜!!」
「……か、完敗デス。師匠…のだめ、1から漫才修行し直してきマス……。」
「だから、さっきから何だよ?漫才、漫才って!!」
「……あら、結局3人でコンビ組んだの?」
クスクスと忍び笑いをしている征子が、3人の後ろに立っていた。
「あ、征子ママ。お帰りなさーい!」
「……お帰りなさい。」
「お帰りなさい、デス!」
「ただいま。みんな、夕ご飯は食べちゃった?」
「ううん。由衣子とのだめちゃんはまだだよ。あ、俊兄は食事途中だったけどぉ〜?」
思わせぶりな視線で、由衣子は俊彦を見上げた。
「……ボク、今日は予備校、休みます。」
「あら、そう?私、今日お昼食べ逃しちゃってペコペコなのよ。みんなは?」
「由衣子もお腹すいたー!」
「のだめもー。先輩のお母さんと一緒に夕ご飯、食べたいデス。」
「じゃ、みんな、こんな所でトリオ漫才してないで、早くダイニングへ!ね?」
『はーーーーーい!!』
「っは?トリオ漫才!?」
「俊兄、お先〜〜!」
「早く来ないと、のだめが全部食べちゃいますヨ〜??」
俊彦に声を掛けつつオーディオルームから飛び出した二人は、競うように食堂へ走り出した。
「だからぁーー!!さっきからその、漫才って何だよぉーーー!!」
俊彦はまだ納得がいかないのか、走る去る二人の後姿に向かって叫んだ。
しかし二人があっという間に階下に消えたのを見てバカらしくなったのだろう。
ぶつぶつ何か独り言を言いながらも結局、オーディオルームを出て行く。
それを見た征子は、再び起こった笑いを俊彦に聞かれないように堪えながら、
彼の後を追って、ゆっくりと食堂へ歩を進めた。
**********
「峰さん、峰さんのお父さん、今日は本当にご馳走様でした!」
「おー!また来いよーー!」
「公演、楽しみにしてますね!」
「まかせとけっ!!じゃーな!二人とも気をつけて帰れよ?」
『ハイ!』
峰は店の表に出て、マキとレイナを見送る。二人は手を振りながら裏軒を後にした。
峰は裏軒の暖簾を器用に外すと店の中に立て掛け、表に吊るしてあった営業中の札をひっくり返した。
「親父ぃー!今日はもう店仕舞いだ!」
「はいよっ!今日は何てったって、この後に先生のテレビ出演もあるしねー。」
峰が時計を見るとちょうど9時5分前。彼は携帯を手にした。
「マキちゃんからさっき聞いてたんだ。のだめの携帯のナンバー。あ、これこれ。」
峰はさっき彼女達が座っていたテーブルの上の、
調味料入れの側に置いてあった小さい紙切れを見つけると、携帯に入力し始めた。
「おお?龍、のだめちゃんに電話かいー??」
「うん。今日あいつ来なかったしなー。」
「のだめちゃんに、新作麻婆、食べに来てよ!って伝えておいて!」
「わかった。親父のあの力作なー!」
峰が携帯を耳に当てると、しばらくして規則正しい呼び出し音の音が聞こえ始めた。
トゥルルルルルル……トゥルルルルルル……
―――……プチっ
―――……も、もしもし?
少し警戒したようなのだめの低い声が、峰の耳元に聞こえてきた。
「もしもし?のだめかー?オレ!峰だけど。」
―――あ!峰くん。こんばんわー。のだめ、誰かと思いましたヨ。知らない電話番号だったから……。
「ごめんごめん。マキちゃんからのだめの携帯のナンバー聞いたんだ。」
―――そでしたかー。
「おまえ、今日夕飯食いにうちに来なかっただろー?ゲネプロも見ないで帰っちゃうし。
―――……ご、ごめんなサイ。
「どうしたんだよ。うちの親父、おまえに会うの楽しみにしてたんだぜ?
おまえの好きな裏軒☆スペシャルの新作麻婆、用意して待ってたのによー。」
―――……し、しんさくまーぼ?
「(のだめちゃーーーん!待ってるからいつでも食べに来てよーーー!)
……だってさ。ははは!聞こえた?」
―――ハイ……。
「さっき、レイナちゃんがのだめが体調悪そうだった、って言ってたからちょっと心配になってさー。
そンで電話してみたんだ。大丈夫か?」
電話越しとはいえ、のだめはやはり少し元気がない様子で、峰は気になった。
―――も、大丈夫デス。ちょっと朝から動いてバテちゃたっただけで……。今日は本当にごめんなサイ……。
「いいっていいってー。でも、のだめ、あんま無理すんなよー?病み上がりなんだからな?」
―――ハイ、気をつけマス。
「おまえに何かあったら、うちのオケにとってもマイナスなんだからなー?」
―――……へ?な、何でデスか?
「何でって。バカのだめー!うちの大事な明後日からの公演、千秋次第なんだからなー?
おまえいつも言ってたじゃん。“夫婦はいつも一緒デス!”だろ?」
―――…………。
「千秋をあンま心配させんなよー?ああ見えてあいつ、オレ様のクセして結構繊細なところあるから。」
―――……き、気をつけマス……。
「……なぁー…のだめ。」
―――……ハイ?
「……千秋にしておけよ。」
―――え?
「千秋にしておけよ。」
―――……あの?
「おまえ、相手はあの千秋真一だ。男のオレから見ても、最高の男だぜ?」
―――……。
電話口ののだめは黙っていたが、峰はそれに構わず電話を続けた。
「千秋はおまえがあんなに学生時代追いかけて、ようやくおとした男だろーー?
あいつ、才能はあるくせにストイックで妥協しなくて…それで時々完璧主義が過ぎて、トラブる事もあるけどさ……。
……でも、あんなに真摯に音楽に取り組んでる男、そうはいないぜ?」
―――…………。
「しかもオレ様のクセして、すっげー面倒見が良くて……。ホントはお人好しなんだよなぁー、あいつ……。
そうそう!オレ達留年しそうで、徹夜で一緒に千秋に勉強教えてもらった事あったっけ……。」
―――……っ。
その時峰の耳元には、電話の向こうでのだめが息をのむ音が聞こえた。
「おい。のだめ、ちゃんと聞いてンのかー?」
―――……聞いてますヨ。
「今のおまえ、すっげー得だぞ?昔と違って、千秋がおまえにベタ惚れの状態からはじめられるンだからな!!」
―――……そんなこと、ナイ……。
「あ?何だよおまえ、千秋に不満でもあンのか……?」
―――……峰くん。のだめ……先輩の側にいる資格、ないんデス。
「は?資格って、のだめ何言ってんだ?んなモン、男と女の間に要るわけないだろー?」
―――……そうじゃなくて……。と、とにかく、のだめ、先輩の側にいちゃいけないんデス。
「の…のだめ?もしかして千秋と何かあったのか……?」
―――(のだめちゃーーーん!先にお風呂入っちゃうよーーー?)ハーーーイ!今、行きマスーー!
峰くん、ごめんなサイ。のだめ、人を待たせてるんで!じゃっ!
「おいっ!?のだめ!?ちょっ……。」
―――ぶちっ!
ツー……ツー……ツー……
「あいつ切りやがった……。」
峰はしばらく携帯を握り締めたまま、茫然としていた。
「龍……のだめちゃん、どうかしたのかい?」
テーブルの上に残っていた皿を片付けながら、峰の父親は言った。
「なんか…あいつ、変な事言ってた。“自分は千秋の側にいる資格がない”とか……。」
「うーん。のだめちゃん…やっぱり気にしてるのかねー……。」
「は?気にしてる?なんだそりゃー!親父ぃ!」
峰の父親は息子の言葉に困ったように首を振ると、食器類を流しに持っていき手際よく洗い始めた。
そして彼は、息子を諭すような落ち着いた声色で言った。
「……龍太郎。お前も先生とのだめちゃんのことを心配に思うなら、温かく見守ってやんな。
……とにかく、周りがアレコレ言い過ぎないことさ。」
「わかってるけどよぉー……。やっぱり心配なんだよ。
オレ、自分が考えていた以上に、あいつらが二人で一緒にいるのが好きだったんだなぁ……って思うとさ。
もう、何とかしてやりたくて……!」
「でも龍から先生の事、あんな風に言われたら……のだめちゃん、困っちゃうんじゃないか?
なんてったって、記憶を失って一番辛いのは…のだめちゃん自身なんだから……。」
「……あ。」
『もう一度最初からはじめたって、大事なのは二人の気持ちだろ……?
なぁ、大丈夫だって!のだめ、お前のことすぐに好きになるから!だって、相手はあの千秋真一なんだぜ?』
『峰……この話は……もう止めよう。』
その時峰の脳裏に、昨日のタクシーの中で、千秋と交わした言葉が卒然浮かぶ。
『今のおまえ、すっげー得だぞ?昔と違って、千秋がおまえにベタ惚れの状態からはじめられるンだからな!!』
『……そんなこと、ナイ……。』
彼は、自分の一方的な考えや思いを、千秋とのだめの双方にぶつけてしまったのをようやく自覚した。
「……違うかい?」
「……うん、そうだな……。親父の言うとおりだ……。オレ、少し無神経すぎた……。」
無神経・・・と自分自身をそう思った瞬間、罪悪感が悪心のように峰の喉元にこみあげてくる。
それを抑えようとして彼は、自分のTシャツの胸元を乱暴に絞り取るように握り締めた。
……ひどく落ち込んだ様子の息子を見て、彼の父親は優しく声を掛けた。
「さ……。もうそろそろ先生が出るテレビの時間だから。その前に風呂に入ってきな……。」
「……うん。」
峰は立ち上がると、店の奥の方へトボトボと歩いて行った。
彼の父親は心配そうに息子のしょげた後姿を、皿を拭きながら見守っていた。
**********
千秋はオリバーを伴ってテレビ局の関係者通用口へ入ると、前方に自分の名前が掲示してあるのに気が付いた。
「オリバー。オレ達、こっちの控え室みたい。」
日本のテレビ局が物珍しいのか、キョロキョロしているオリバーに千秋は声を掛けると、彼の前に出て歩き出した。
「これじゃ、どっちがマネージャーかわからないじゃないか。」
「ゴメンゴメン!」
控え室は松田の名前も掲示してある。どうやら一緒のようだ。
千秋が軽くドアをノックすると、中から『どうぞ〜!』という男性の声が聞こえた。
「あ、松田さん。お疲れ様です。」
「やぁ!千秋君、遅かったね。もうすぐ本番だよ?早く着替えとかしないと。」
「すいません……。ちょっと今日、色々トラブルがあって……。」
「ああ、僕は途中で退席したから知らなかったけど、午後のゲネプロはとんだ事になったらしいね。
ホールの空調が壊れたんだって?」
「……そうなんです。結局直ったんですけど、時間がものすごく押してしまって……。」
「ふふふ。僕、午前中にしておいてよかったなぁ〜!」
「……そうですね。」
千秋は幾分ムッとして答えた。
その時、ドアから軽くノックの音が聞こえた。
二人同時にドアに振り向くと、松田がさっきと同じように『どうぞ〜!』と声を掛けた。
するとドアが静かに開き、手に金属製のメイクボックスを下げた、若い女性が中に入ってきて一礼した。
「失礼します。私が本日千秋さんを担当しますヘアメイクの者です。よろしくお願いします。」
「あ、よろしくお願いします。」
千秋が会釈すると、『では、髪の方からよろしいですか?』と言って彼女は千秋の髪のセットし始めた。
雑誌の撮影の時と同じように、人にこうやって髪をいじられ慣れしていない千秋は、
気恥ずかしいのか鏡の中の自分さえ見れず、伏目がちに俯いていた。
その時、隣で千秋が髪をセットされてるのをニヤニヤしながら見ていた松田が話しかけた。
「ねー可愛いお嬢さん。千秋君を僕より男前にしないでね?」
「え?」
ヘアメイクの女性の手元が止まった。
「ま、松田さんっ。何でもありませんから…あの、続けて下さい。」
千秋にそう言われ、彼女は小首を傾げながらも作業を再開した。
どのようにセットするかしばらく髪を弄んでいた彼女は、鏡の中の千秋の目を覗き込むと訊ねた。
「千秋さん、特にご希望等はございますか?」
「特になし!千秋君、そのままでも十分男前だから!適当でっ!!」
「……適当でいいです。」
松田の発言を受け、千秋はどうでもいいといった声色で答えた。
千秋はゲネプロ会場から、水一つ飲まないで急いで移動してきた事を思い出し、急に喉の渇きを覚える。
鏡越しに部屋を見回すと、入り口の脇に立っていたオリバーを見つけ、声を掛けた。
[オリバー……悪いけど、これで何か飲み物買ってきてくれないか?]
[何がいい?ミネラルウォーター??]
[……それでいい。]
控え室からオリバーが出て行くのを横目で確認すると、千秋ははぁーと溜め息をつく。
ふと、鏡を見ると、その中に映っていたヘアメイクの女性が目を丸くしていた。
「あの……?何か……?」
「千秋さん、ドイツ語しゃべれるんですね!」
「はぁ……。まぁ……。」
「ねー嫌味でしょ?さっきの大きなドイツ人の男性、千秋君のマネージャーさんだよ?」
「ええっ!?そうなんですか?」
「ええ……。まぁ……。」
結局、ヘアメイクが終わるまで松田にからかわれっぱなしだった為、
オリバーがミネラルウォーターを手に控え室に戻った頃には、千秋は相当疲れきった表情をして椅子に座り込んでいた。
**********
「さて、今夜のニュース・サマリー・10の特集は、素敵なゲストをお二人、お招きしております。
うちの南なんて、始まる前からキャーキャー言ってましてねー。
え?早く紹介しろって?あっちゃん、今日は声が上ずってるよ?ははは。では、お呼び致しましょう〜!!
新進気鋭の若手ばかりのオーケストラ、ライジング☆スターオーケストラを指揮する二人の若きマエストロです。
松田幸久さん、千秋真一さんどうぞ!」
アンカーの日比野さんが席を立つと、奥のゲスト控えにいたオレ達は会釈しながら移動し、
メインテーブルの前の空いている、二つの椅子に揃って腰を掛けた。
「ようこそお越し下さいました。今夜はゲネプロの後という事で、お二人とも大変お疲れのようですが。
大丈夫でしょうか?」
もう一人の女性キャスター南さんが、オレ達に柔らかい微笑を口にたたえながら声を掛ける。
「ええ、大丈夫です。ご心配頂きましてありがとうございます。」
松田さんは得意のキラースマイルで彼女にそう答えると、南さんはオレから見ても分かる位、可愛らしくポッと頬を染めた。
―――松田さん……。年上までも……。
オレは本番中だっていうのに、そんな事を考えていた。
「サラリーマン諸兄のアイドル、南亜希子をここまで骨抜きにするゲストは久々ですねー!
えー、私のすぐ横にいらっしゃるのが、千秋真一さん。あっちゃんの横が松田幸久さんです。
どうも〜こんばんわ!はじめまして!」
「はじめまして!」
「こんばんわ……。はじめまして……。」
「今日はお忙しい中、NS10にお越しくださいまして、ありがとうございます。」
「いえこちらこそ、お招き頂きまして、本当にありがとうございます。」
「ありがとうございます……。」
「千秋さんは、ちょっと緊張されてるのかな?」
「……はい。その、テレビに出るのは初めてなので、とても緊張しています……。」
「その点、松田さんは堂々としていらっしゃいますねぇ〜!」
「いえ、本当は内心、緊張でドキドキなのですが…今日は千秋君と一緒ですからね。
少し無理をして、平静を装っているんです。一応、僕は先輩ですから。ははは。」
「そうなんですか?そうはとても見えませんよ?」
―――絶対嘘だ……。
笑いあう日比野さんと松田さんを横目で見ながら、オレは思った。
この松田さんに、そんな殊勝な考えがあるはずがない。
「松田さんと千秋さんのプロフィール等も入った、本日の特集VTRがありますので、お二人ともご一緒にご覧下さい。」
南さんが松田さんにそう話しかけると、松田さんは南さんの瞳をじっと見つめて言った。
「こういうのって…何だか気恥ずかしいですね?」
「ふふふ。今お二人が明後日に控えている、R☆Sオケの公演のリハーサル風景もお楽しみ頂けますよ?」
「ええっ!?いつ、撮影を……?」
二人の話のある一部分に疑問を持ったオレは、ライブだというのについ言葉に出してしまった。
すると松田さんはオレの方を見て、思わせぶりに笑った。
「千秋君には言ってなかったんだけど、販売用DVD様にって回していたカメラ、あったでしょ。
アレ、実はここのスタッフさんだったんだ。」
「えっ!?アレ?!そ、そうだったんですか?」
「千秋君に言うと、怒られそうだったから。内緒にしててごめんねー。」
「ま、松田さんっ……!」
「なんか息のあったコンビというか、仲の良いお二人ですね?では、仲の良いお二人、VTRをどうぞ〜!」
絶妙のタイミングで日比野さんがVTR紹介を入れると、画面が切り替わり、特集が始まった。
「はぁー……。」
「何?いいじゃない。ちょっとドッキリみたいで楽しみでしょ?」
「……松田さん、もう隠し事ないですよね?」
「えーそれはどうかなぁ……?ほらほら、リハの風景だ!千秋君話してないで、Vちゃんと見ないと!」
「す、すいません。」
オレは机の上にある個人用モニターで、VTRを慌てて見ながら謝った。
画面ではリハの風景から、オレ達の紹介画面に切り替わっていた。
自分の事が紹介されているのにどこか他人事のような気がして、オレはぼんやりとVTRを見ていた。
だからオレはその時、松田さんがオレの事を目を細め、鋭い視線を送っていた事に、ちっとも気が付かなかった。
「どうでしたか?VTRの感想は?」
VTRが終わると、すぐ横の日比野さんが話しかけてきた。
「僕達や、R☆Sオーケストラの事をとてもよく取り上げて頂きまして、光栄に思っています。
けれど、若い人にクラシックブームが起きているというのは、僕達だけの功績ではありません。
多くの演奏者、その関係者、
そして何よりも、クラシックを楽しんでくださる聴衆の皆様あっての事だと思いますので……。」
「千秋さん、真面目な方なんですねー?」
「そうなんですよ。千秋君、師匠に似なかったんですよねーそこは。」
松田さんが、茶化すように口を挟んだ。
「あ、千秋さんの師匠は、マエストロ・シュトレーゼマンでしたね。どうですか?唯一の弟子から見た世界の巨匠は。」
「え……?シュトレーゼマンですか?音楽はとても尊敬できる人です。」
「……それ以外は尊敬できない?」
「いえ!そういう訳ではなくて……。」
オレはなんて答えたらいいのか戸惑っていた。あのジジイなら、この番組も後でチェックするに違いない。
変な事を言えば、執念深いあの性格から考えても、相当恨まれると思うし、
それで弱みを握られたりしたら大変だから、おいそれと迂闊な事は言えなかった。
「ははは。千秋君が困っているようなので、話を変えましょうか。
今週末のR☆Sオケの公演はお二人の競演が聴けるともあって、チケットが発売開始20分で売り切れたとか。
すごい人気ですねー。その事、どう思われましたか?」
「あ、そうなんですか?すみません、それは初めて聞きました。すごく…その、嬉しいです。
沢山の方々と音楽を通して、素敵な時間を共有できるように頑張りたいと思います。」
「松田さんは如何ですか?」
「ええ、そうですね。僕も大変嬉しく思っています。演者はやはり、聴衆あっての事ですから。
特に指揮者は、オケのメンバーと違って担当する楽器がありませんからね。
独り善がりにならないよう、その辺はいつも肝に銘じています。」
オレ達の返答に日比野さんは軽く頷きながら、さらに質問してくる。
「二日間通して、お二人は同じプログラムをそれぞれ振られる、という事ですが。
どうでしょう?やっぱり意識しますか?お互いの音楽性…など。」
日比野さんのその質問は、多分聞かれるだろうと予想していた事柄だったので、
オレはあらかじめ用意しておいた返答を、なるべくそれらしく述べた。
「もちろん意識してない、といったら嘘になりますが……。それが今回の公演の見所の一つであるわけですから……。
でもなるべく自然体で自分の音楽を楽しめたら、また皆さんにも楽しんで頂けたら…と思います。」
すると、松田さんがさっきまでとは明らかに違う声のトーンで話しだした。
「僕は千秋君と違ってですねー……。」
そこまで言うと、オレの方へねっとりとした視線を向ける。
「今回の公演は、若く、そして有能な千秋君が競演相手、という事でとても意識しています。
でも僕のそんな想いとは違って…千秋君は何か別の事に気を取られているというか…悩んでいるみたいで……
今回の公演に対して、今ひとつ集中しきれていないようなんですよ。
……まぁ、そんな青いところも、“千秋真一”の魅力の一つ、なんでしょうけどー?」
―――……松田さん?一体何を……?
……オレは動揺した。
さっきまでの飄々とした松田さんの雰囲気と違って、それは明らかにオレを挑発している態度だったからだ。
怯んだオレの姿を見た松田さんは、睨み付ける様な鋭い視線のまま、それでいてどこか満足げにニヤリ、と笑った。
「ですから今回僕は、“千秋真一になめられているな”と、結構頭にきてましてねー。
それに僕は、後輩を育てるといった、偽善めいた優しさは、全く持ち合わせてない人間ですから。
彼が本気でぶつかってこないようなら、それを好機に、完膚なきまでに叩きのめすまで、ですよ!」
―――なっ……!?
その刹那、オレ達の視線は青い火花が飛び散るように、激しく交錯した。
スタジオは、凍りついたように静かになる。
オレも松田さんも一瞬たりとも目を逸らさずに、じっとお互いを凝視し続けていた。
「ま、松田さん。大丈夫ですかー?テレビでこんな発言をされてしまって……。」
日比野さんは少し慌てたように、オレ達の会話に入ってきた。
アンカーらしく場を何とか和ませようとしているのが、オレにも伝わってくる。
松田さんはようやくオレから視線を外すと、日比野さんに向かってにっこりと微笑んだ。
「ははは、大丈夫ですよ。だって、自分を脅かす若い才能の芽は、出来るだけ早く摘んでおきたいですからねー。」
「わー!大胆な発言ですねぇー。千秋さんはどうですか?只今の松田さんの発言をうけて。」
日比野さんはテレビ的に面白い展開になったのに勘付き、この状況を逃さないとばかりに、
興奮した様子でオレにも話を振ってきた。
「松田さんからのこの言葉、そっくり返したいと思います。
僕も相手が先輩だからといって、絶対に手を抜くことはしません。
正々堂々、真正面から自分の音楽に取り組むのみ、です。」
オレは努めて冷静に、自分の気持ちを話したつもりだった。
しかし隣にいた松田さんはやや不満げに、鼻をふん!と鳴らした。
「千秋君はこう言ってますけど、この結果はもう週末には分かる事ですから。
来て頂けるお客様には、どういった結末になるか、その辺りもしっかりと見届けて欲しいですね。」
松田さんのその発言を聞いた瞬間、オレの中で何かが急激に目覚めるのを感じた。
―――そうか……!
―――松田さん…オレの音楽が未完成なままであるのを…見抜いて……。
先程のゲネプロの昼休み時、『千秋君、今回は随分と自信があるみたいだし?』と言われた真意が今はっきりとわかった。
オレの中で、沸々と自分に対する怒りがこみあげてくる。
そうだ……。オレは忘れていた。自分が全身全霊をかけて求めてきた、オレの音楽の事を……!!
のだめの事があったからと言って、それをおざなりにしていいなんて理由、どこにもなかった。
……オレは音楽を冒涜し、松田さんを冒涜していた。
松田さんが激怒するのも分かる。オレがその立場だったら、相手を張り倒していたかもしれない。
……なぁ、のだめ。
オレ達の間には、いつも音楽があったよな……?オレ達…音楽を通して、こんなにも強く惹かれあってきた。
そうだ……。オレが自分自身を見失い、そして音楽を穢す事は、二人にとってこんな悲劇的な事はないんだ。
それはおまえが記憶失って……オレを忘れてしまう事なんかよりも……。
……なぁ、そうだよな?…のだめ……。
―――もしかして……。
―――松田さんはこの事をオレに悟らせようと……態と今この場所で…オレを挑発、したのか……?
いつの間にかトーク内容は、現代のクラシックブームについて、に変わっていた。
和やかに談笑する日比野さんと松田さんの会話を聞きながら、オレはある決意を固めていた。
『今、自分がやれる事を精一杯やるだけです。』
松田さんと再会した時に言った、オレのあの言葉に“嘘”は、ない……!
オレはこの収録が終わったら“ある事”を、松田さんに提案しようと心の中で考えていた。
**********
『本日のゲストは、松田幸久さんと千秋真一さんでした。
公演が成功する事を、私も祈っております。お二人とも本当にありがとうございました。』
『ありがとうございました。』
『どうもありがとうございました。』
短いBGMが挿入され、画面はCMに入った。
三善家では、久々に家族全員がリビングに揃ってじっとテレビを見つめていた。
CMが流れ出すとそこにいた全員が一斉に、はぁー…と盛大な溜め息を吐き出した。
「……なんか真兄、松田さんにいじめられてたけど…大丈夫かな?」
俊彦が低い声で呟く。
すると、今まで食い入るように見ていたテレビ画面から顔を外した由衣子が、口を尖らして俊彦に言った。
「由衣子……松田さんキライ……!」
「……でも真一には、いい刺激になったみたい。最後の方のあの子のあんな表情……私、はじめて見たわ。」
征子はテーブルに置きっ放しになっていた、空のティーカップを片付けながら言った。
松田に対して息子が見せた火のように燃えあがった先程の瞳を、彼女は思い出していた。
「真一の調子が今ひとつなようだと、R☆S事務局から聞いていて私も心配だったのだが……。
今日のテレビ出演が、真一にとってこの公演がどれだけ重要な事か、
再認識するいい機会を与えてくれたのかもしれないな。」
竹彦は右手で顎を撫でながら言った。
「松田さんの挑発に奮起して、真兄のR☆Sの公演が成功するといいね。」
「でもぉ〜…よりによってテレビ出演の時に、あんな風に言わなくってもぉ〜……。」
「大丈夫ですヨ、由衣子ちゃん。」
まだ不満げに言い淀む由衣子に、のだめはキッパリと言った。
「……千秋先輩なら大丈夫、デス!」
そしてソファから立ち上がると、
「のだめも……がんばらないと……。」
そう独り言のように呟いて、リビングから出て行った。
「の、のだめちゃん……?」
「……のだめちゃんにもちゃーんと伝わってるのね…真一の気持ち。」
「え?征子ママ、それってどういう事?」
由衣子が訊ねると、征子はふわりと笑った。
「ね?由衣子ちゃん、二人を優しく見守ってあげましょう。私達にはそれ位しかできないから……。」
どこか遠くを見るような眼差しで話す征子の言葉に、
由衣子は今まで考えたくなかった事が急に頭に浮かび、不安になった。
「……真兄ちゃまとのだめちゃん…別れちゃったり・・・しない・・・よね?」
「二人がどうするのかお互い考えて出した結論を、私達は尊重してあげないと・・・ね?」
その言葉を聞いて涙ぐむ由衣子の髪をそっと撫でると、征子は優しくその肩を抱いた。
その仕草に誘われるように由衣子は征子の胸にしがみ付くと、声を出すのを堪えて泣き出す。
征子は由衣子の背中をポンポンとあやすように叩き、そしてそんな二人の様子を、竹彦も俊彦も黙って見つめていた。
577 :
ショコラ:2005/08/22(月) 01:47:33 ID:SQmgFtCJ
様子見でこの辺りで。前半残りの部分は、また今夜辺り?投下できれば…。
皆様、お疲れ様でした。
えええっ・・・ 様子見なんおっしゃらず・・・
リアルタイムで読ませていただきました。
いやぁ、続きが気になります。
投下を楽しみに待ってます。
GJ!
我々読み手こそ催促等ご迷惑おかけしましたが、
ショコラさんの大人な対応に感謝です。
個人的には一気に投下アリだと思いますが。
(パラレルスルー派の方のため…てのは口実でw)
最近閑散としていたので連載再開嬉しいです。
今夜(?)続きお待ちしてます。
∧_∧
( ・∀・) オマチシテマツ
( ∪ ∪
と__)__)
どうせなら一気に投下して欲しい。
その方が興味ない人もスルーしやすいし。
一気に投下するなと言ってみたり、しろと言ってみたり、
みんな勝手だなw
叩きたい人はどっちにしても絶対叩くので、
自分の好きな方にするのがよいかと。
いろんな人がいるんだからしゃあないわな
続きお待ちしてます。
585 :
ショコラ:2005/08/22(月) 23:36:52 ID:SQmgFtCJ
こんばんわ。度々ご迷惑おかけして申し訳ないです。
えー前半残りの部分、投下させて頂きます。
苦手な方はご面倒ですが、スルー宜しくお願いします。
586 :
ショコラ:2005/08/22(月) 23:38:07 ID:SQmgFtCJ
病院の予約時間が9時だった為いつもより早めに起きると、ちょうど千秋先輩も朝食をとっている所だった。
「あ、先輩おはようございます。」
「おはよ。のだめ、今日は早いな?」
先輩が自分の左に座るよう目で促すので、私は少し緊張しながらもそれに従った。
「由衣子ちゃんと俊彦くんは?」
「もうとっくに学校に行ったよ。二人とも通学時間、結構かかるからな。」
「……そでしたか。」
昨日の今日なので…余り長く会話が続かない。
私は何となく居心地の悪さを感じながらも、頑張って先輩に話しかけた。
「あの、昨日のテレビ、見ましタ。由衣子ちゃん達と一緒に。」
「……うん。」
―――先輩の反応はやっぱり良くない。
―――あんまりあの事に、触れられたくないんだ……。
言わなければ良かった……と、私はすぐに後悔した。
しかし、先輩は俯く私の顔を覗き込んで額を掴むと、髪をくしゃくしゃっ!と乱暴にかきまぜた。
「うぎゃっ!せ、先輩!な、何するんデスかっ!?」
「ばぁーか。おまえまで、そんな情けない顔すンな!」
「えっ?」
「……昨日のオレ、情けなかっただろ?松田さんにやりこめられてて。」
「あ……。」
そこで先輩はカフェオレを一口飲んだ。
「でもあれで、オレも完璧目が醒めたっていうか…ホント松田さんに感謝しねーと……。
それに…オレもやられっぱなしじゃ絶対終わらせねー……。リベンジしないと…な?」
先輩はそう言って、私を見て笑った。
昨日までの先輩と違って、それはどこかすっきりとした表情だったので、私は拍子抜けしてしまった。
「そういえばのだめ…明日来れないんだって?」
先輩は食事をする手を止めて私の方を向き、テーブルに頬杖をついた。
「さっき俊彦達から聞いた。病院の子供達にピアノを弾く約束をしたとか……。」
「そなんです……。ごめんなサイ。」
私が頭を下げると、頭上からはぁー…という先輩の盛大な溜め息が聞こえてきた。
「少しショックだな……。おまえ、何時からそんなに薄情になった?」
「ぎゃぼ!ほ、本当にごめんなサイ!でものだめ、先に子供達と約束しちゃったんです。だから……。」
慌てて顔を上げると、先輩は拗ねたような瞳をしてこっちを見ていた。
「……オレより子供達の方が、そんなに大事?」
「そ、そーゆー訳じゃないんデス!!ただ、本当に先に約束しちゃったからっ……!!」
―――ど、どうしよう?どうしたら先輩の機嫌が直るんだろう……?
うろたえていると、先輩が急に肩を震わせて笑い出した。
「くっくっくっく……。ごめん、ごめん。ちょっといじめすぎた。オレ、別に気にしてないから。」
「……へ?」
私は間の抜けた返事を返す。
すると先輩は頬杖をつくのをやめ、その手で頭をかくと、照れたように笑った。
「その…正直に言えば気にしてなくはないンだけど……。うん…ちょっと残念…かな……。
けど、仕方ないしな、子供達と約束したんじゃ……。それにおまえ、日曜日の方は大丈夫なんだろ?」
「あ、ハイ。日曜日は三善家の皆さんと、松田さんのAプログラムから聴きに行く予定デス!」
「そういえば明後日のBプログラムの方が、おまえ好みの内容かもな。」
「え?そですか?」
「うん。後でパンフレットでも見ておけよ。俊彦か由衣子が持ってると思うから。」
「ハイ。そうしマス。」
ふと、先輩は食堂に掛かっていた時計に目をやると、慌てたように立ち上がった。
「いけねっ!オレ、もう行く時間だ!」
「えっ?もう行っちゃうんですか?」
「ごめん。やらなきゃいけない事が急に決まって、時間がすっげー足りないくらいで……。
いや、これはオレがいけないんだけどっ……。
あっ、今日はなるべく早く帰るようにするよ。帰れたらその…一緒に夕飯食べよう……な?」
「あ、ハイ……。」
先輩は椅子をダイニングテーブルの内側の元の位置に戻すと、座ってる私の後ろを通り過ぎながら言った。
「じゃ、行ってくる!千代さんに、せっかく用意して貰った朝食、残しちゃってごめん、って伝えておいて!」
「分かりましタ。先輩、気をつけて下さいね!」
「ん。じゃーな!」
食堂の入り口で、先輩は一度こちらに振り返り手を上げると、すぐにその姿は消えた。
「ふぅー……。」
先輩が居なくなったのを確認してから、私は息をついた。
お互い避けている訳じゃないけど……昨日からのこの気まずさだけは、私だけでなく先輩も感じているはずだ。
今日は、先輩といつも通りの会話が出来たような気がするけど……。
これも私に気を遣って努めて普通にしてくれてる結果なんだ……と思うと、
胸がぎゅっ…と締め付けられるように苦しくなった。
「あら、のだめさん、お早いですね。おはようございます。」
千代さんが淹れたての湯気の立つコーヒーを、トレイにのせて食堂に入って来た。
「食後のコーヒーをお持ちしたんですが……真一さんは?」
千代さんは食べかけの朝食が残されたテーブルを見ながら私に聞いた。
「先輩なら、もう出掛けちゃいましタ。何か急いでいるみたいで……。
千代さんに、『朝ごはん残しちゃってごめんなさい』って、先輩言ってました。」
「そうでしたか……。のだめさんの朝ごはんも今、用意しますね?」
「ありがとうございマス!あ、千代さん!そのコーヒー、のだめが飲みます。」
「え、これでよろしいんですか?ブラックですけど……。ミルクとかお持ちしますか?」
「いえ、それでいいんデス!」
言い張る私を不思議に思ったのか、千代さんは目を丸くしながらも、そのコーヒーをコトリ、と置いた。
「では、のだめさんのご飯、用意してまいりますので……。」
千代さんはいそいそと食堂から出て行った。
先輩が飲む筈だったコーヒーに、ふぅーふぅーと息を吹いて冷ます。そして……ゆっくりと一啜りした。
―――わー……。やっぱり苦い、デス……。
普段コーヒーをブラックで飲まない私には、やっぱりというか…それはとても苦く……。
……どこか酸味を感じる味わいだった。
―――千秋先輩のコーヒーの好みは、ブラックなんですネ……。
らしいというか、あまりにも先輩のイメージにはまってて、私は少し可笑しくなった。
……こうやって、一つ一つ先輩の事を新しく知っていく度に、
意識したくなくても、自分の中で、彼の存在が否が応でも大きくなっていく。
―――それなら千秋先輩が、私が “前の私” と違う……という事を感じる度に、
―――先輩の中で “今の私” が占める割合はどうなるんだろ……?
……考えたくはなかったけど、結論は明らかだった。
頑張って全部飲んだけれども、そのコーヒーは私にはやはり……ひどく苦かった。
**********
昨日大ホールでトラブルがあった事に責任を感じたのか……
ホールの支配人が、約束していた時間よりも二時間早くホールを提供してくれた為、
ゲネプロも、予定より二時間早く始まる事になっていた。
「なぁ……。昨日のテレビ見たか……?」
峰がそう言うと、鈴木姉妹、黒木、そして真澄は一様に頷いた。
ゲネプロ前の軽い音あわせ中に、いつものメンバーがステージ下に集まっていた。
「千秋さま…松田さんにいじめられてたわねぇ……。」
「うん。松田さん、千秋さまをすっごい挑発してたよね?私達テレビの前で、どうなるかとドキドキしっぱなしだった!」
薫がやや興奮気味に言うと、萌も首をうんうんと縦に振った。
「いやー最初はどうなるかと思ったよなー……。
まさかテレビで……しかも生放送であんな事が起きるとは思わなかったしさー。
おかげで昨日の夜から、事務局に公演の問合せの電話がバンバンかかってて、すっげー大変らしいぜ?」
「そうなんだ……。でも僕は…昨日のあの放送を見て…すごく嬉しかったよ。
ようやく、千秋君が音楽に対して、情熱的になる姿を見られたからね。」
黒木が一言一言噛みしめるように呟くと、そこにいた全員が同意の意を表した。
「やっぱ松田さんはスゴイよな……。だって公共の電波使って、あの千秋を本気にさせたんだぜー?」
「千秋さまの…一瞬にして燃え上がるようなあんな熱〜い瞳…わたし初めて見たわぁー。シビレちゃった!!」
「千秋君さ……恵ちゃんの事があってから、すごく悩んでいたみたいだったよね。
それがその…千秋君の音楽に出ちゃってて……。松田さんはその事を指摘したんだろうな。」
冷静に分析するような黒木の言葉に、鈴木姉妹は静かに相槌をうつ。
「うん……。千秋さま、指揮を振りながら…ずっと苦しそうだったよね……。
私達、千秋さまの今の気持ちとか、置かれている状況とか…それがわかるから余計に辛くて……。」
「でも千秋君、僕らには何も話してくれないし……。
僕だって力になりたかったけど、これは千秋君が自分で解決しなくてはいけない問題だったから……。
でも、昨日のあのテレビ…あれで千秋君、いい意味で吹っ切れたんじゃないかな?
松田さんを睨んだあの目……。あれは彼が本気になった時の目だったよ……。」
黒木の話を受けて、峰は興奮したように拳を突き上げて叫んだ。
「今日はオレ達、覚悟してゲネプロに臨まねーとっ!!帰ってくるぜ?鬼・千秋がよー!!」
「ははは。久々に嵐の予感…かな?……楽しみだね。」
「あら、わたしはとっくに用意できてるわよー?」
黒木も真澄も、嬉しそうに決意を語っている。
すると、峰は急に何かを思い出したのか、手をポンと打った。
「あ!そういや沙悟浄からさっき聞いたんだけど、昨日の夜遅く、テレビ出演後の千秋から電話貰ったって。」
「え?千秋さまから?なんで?」
萌と薫は不思議そうな顔をして峰を見ている。
「オレもよくわかンねーんだけど……。
何か今までR☆Sが公演で演奏した曲目のリスト、一覧にしてファックスで送って欲しいって頼まれたとか……。」
「曲目のリスト?今までやった分の?千秋さま……一体何を考えているのかしらぁー……。」
「……さぁ。オレにもさっぱり検討がつかねー。まさかプログラムを急遽変更する…とかじゃねーよな?
少なくともそれじゃあ、“競演”の意味がなくなっちまうし……。
それに、あのオレ様で負けず嫌いの千秋が、はじめる前から松田さんに敗北を認めるとは思えねーしな・・・。」
「各自、集合!!ゲネプロ前の最終ミーティングを始める!!」
ホールに松田の良く通る声が響いた。話し込んでいた峰達は、それを聞いて急いで定位置に戻る。
松田と千秋が揃って、舞台袖からステージ中央へ歩いてきた。
「みんな、おはよう。いよいよ明日から本番だ。
昨日の午後のゲネプロはトラブルに見舞われたけど、今日は支配人の好意でその分多く時間が取れた。
今日は最終リハーサルも兼ねたゲネプロだから、気を引き締めていってもらいたい。」
松田さんはオケのメンバーをぐるっと見回しながら、厳しい表情でそう宣言した。
「……それから、急にで申し訳ないが、僕は昨日、千秋君からある提案を申し込まれた。
千秋君のその提案を……僕は非常に興味を持って聞いた。
これが上手くいけば、今回の公演はいい意味でとても面白い事になる。だから試してみる価値はある、と僕らは考えた。
しかし、これは僕達だけの一存では決められない。ここにいるメンバー全員の協力が、絶対条件だ。
提案者の千秋君から、その事について説明してもらおうと思っているのだが、みんな構わないだろうか?」
オケのメンバー達は近くにいる者同志で顔を見合わせ、『一体何だろう?』と口々に囁いている。
「みんなー!構わないよねー?」
コンマスの高橋が場をまとめるように発言すると、全員が頷いて同意を示した。
「では、千秋君……。」
メンバーの同意を得たのを確認した松田は、指揮台から降りて身を引き、千秋に中央に行くよう目で指し示した。
今まで松田の側に控えていた千秋は、入れ替わるように壇上に上がる。
「まずはこの様な機会を与えてくれた松田さんと、そしてここに居るオケのメンバー全員に感謝の言葉を述べさせて欲しい。
本当に有難う……。では早速、松田さんの話にあった、オレの提案の件だけど―――。」
千秋はいつになく熱っぽい眼差しでオケのメンバーを一人一人見つめながら、その事を話し始めていた。
**********
本日の山口の朝一番の患者は、のだめだった。
診察室に入ってきたのだめを一目見て、僅かに山口は目を見張った。
今日の彼女が身につけているのが黒い細身のワンピースだからだろうか……
昨日のむくんだ顔が信じられない程ほっそりとした…それでいてどこか透明な印象を、山口はのだめから受けていた。
「昨日、整形外科の担当医からも聞きましたが、打撲した箇所の回復は順調なようですね。」
「ハイ!むちうちの症状も余り出なかったので、のだめはラッキーでしタ!
背中の内出血の痕がスゴイんですケド……。
整形外科の先生は、後2週間もしたら体内に吸収されて綺麗に消えるから安心して下さいね、って言ってましタ。」
「そうですね。この痕は残る事はないですから大丈夫ですよ。」
「ほら、こっちのほっぺたの傷も大丈夫そうですヨ?先輩も、痕残らないみたいで良かったな、って言ってくれました。」
のだめは山口に右頬を向けて、擦り傷の痕を見せた。
「おや、もう大分綺麗に治ってますねー。
ふふふ。のだめちゃんの可愛い顔に痕が残ったら……と、千秋さんもさぞかし心配だったのでしょう。」
そう言って山口が笑うと、のだめはどこか返答に困ったような顔をして俯いた。
……この話をもう終わりにしたいのか、のだめは急に思い付いたかのように、膝の上にのせていたバックの中をまさぐり出す。
「のだめ、先生に渡したいものがあったんでしタ!」
そうしてバックの中から一枚の紙を引っ張り出すと、山口の前に突き出した。
「これは……?」
「明日のミニコンサートの曲のリストです。一応、のだめなりに考えて、
今の体調に無理のない範囲で出来る、クラシックのリクエスト曲のプログラムを考えてみました!」
「明日のステージの曲目ですね?わぁー!のだめちゃん、わざわざ有難うございます。」
渡された紙に目をやると、クラシックの作家とその曲名が、若い女性らしい可愛らしい文字で数曲書き記してある。
あのリクエストメモにあった、有名な曲ばかりであった。
「そういえば今、看護科の生徒が明日の準備をしているはずです。
ちょうど顔合わせにいいかもしれませんね。受付の者に言って、案内して貰って下さい。
このリストもこのまま生徒達に渡して頂けますか?それで明日の簡単なリーフレットを、生徒達が作りますから。」
「ふぉぉぉ〜リーフレット!分かりましたー。」
山口はのだめに紙を返しながら、ふと、もう一度紙面に視線を落とす。すると彼はある事に気がついた。
「おやー?のだめちゃん……私のリクエストしたあの曲、明日は弾かないのですか?」
「あ!気がついちゃいました?」
のだめは山口から紙を受け取りながら、バツが悪そうに頭をかいた。
「えへへ。ごめんなサイ!プログラムの構成上、あの曲入れにくかったんですヨ〜。」
「そうなのですかー?うーん…それは残念ですね。是非のだめちゃんに、“愛の夢”を弾いて頂きたかったのに……。」
「でも、昨日ちょっぴり弾いたじゃないですかー。」
「ちょっぴり…じゃなくて、たっぷり…聴きたかったなぁー?」
「ぎゃぼ!先生、本当にごめんなサイ!!」
「じゃあ、いつか……私の為にあの曲を弾いて下さいね?」
「あ、ハイ!」
「約束ですよ?のだめちゃん。」
「ハイ!必ず!」
のだめは右の小指を、“指きり”の形にして山口の前に出した。
山口は幼い子供のする仕草を自分がすることに照れ臭さを感じながらも、素直にのだめの指に自分の小指を絡める。
のだめは、『指きりげんまん♪』とお決まりのあのフレーズを口ずさみ、二、三度繋いだ指を上下に振った。
そうして絡めた指を解くと、山口にふんわりと笑った。
「―――そういえば……のだめちゃん。」
「ハイ?」
「千秋さんとはお話できていますか?」
「え……?」
「何だか退院してからの方が、お二人……すれ違ってるのではないかと、少々心配になりましてね……。」
山口は少し心配そうな瞳でのだめを見つめていた。
「山口先生、大丈夫です。のだめ、今朝もちゃんとお話しましたヨ?」
「千秋さんとですか?」
「もちろんデス。」
「それならいいのですけど……。」
山口が言葉を濁すと、のだめは視線を足元に落とした。
「先輩、明日がもう公演だからとても忙しそうで……。
でも、毎朝のだめが起きるのを待っててくれて、のだめの顔を見てからお仕事に行くんデス。
だからここ数日は、朝しか会ってないですケド……。」
そこまで言うと、のだめは両足をぶらんぶらんと小さな子どものように揺らした。
「先輩、のだめにとても気を遣ってくれてて……お仕事大変なのに……。」
「千秋さんにとっては……それだけのだめちゃんが大事、って事なんですよ?」
山口は優しくのだめに語りかけた。
「男ってそういうものなのです。大事な人の為なら、つい頑張ってしまうものなのです。」
「……山口先生も?」
「もちろんです!」
「そですか。」
熱心な口調で山口が説いたにもかかわらず、のだめの反応はひどくそっけないものだった。
こういう時の彼女はそっとしておいた方がいい事を昨日の経験で知った山口は、それ以上は何も言わなかった。
「さてと……のだめちゃん、夜もよく眠れているようですし、今日からお薬を減らしていきましょう。」
山口は机に向かい、診断カルテと処方箋に書き込みをはじめた。
「お薬……。記憶を取り戻すお薬も……あったらよかったのに……。」
のだめは独り言のようにポツンと呟いた。その小さな声を、山口は聞き逃さなかった。
しかし山口はその事には敢えて触れず、聞こえなかった振りをして書類にペンを走らせていた。
「今日の診察はこれで終わりですよ。では明日、午後一時半に。のだめちゃん、宜しくお願いしますね。」
「ハイ!一時半ですね!のだめの方こそよろしくお願いします、デス!」
のだめは笑顔でそう言うと、すくっと立ち上がって山口に丁寧にお辞儀をし、ドアの方へ歩いていく。
しかしすぐには出て行かないで、診察室入り口のカーテンの仕切り前でピタリと立ち止まった。
「あのね?先生……。」
そしてそのまま振り向かず、静かな声で話しだした。
「のだめ……ピアノがんばりマス!
ここにはもう居なくなってしまった……もう一人ののだめの為にも……。
この道を……ちゃんと今の自分の足で歩いて行きマス。そしたら…もう一人ののだめも…許してくれますよネ?」
そこまで言ってからようやくこちらに顔を向ける。
山口ははっと息を呑んだ。
……のだめは、山口に微笑していた。
迷いのない真っ直ぐな瞳が、山口を見つめている。
しなやかな、それでいて透き通るような凛としたその立ち姿に、のだめが何事かを決心をしたことを、山口に察知させた。
山口は目の前ののだめに、医師として何か言うべき言葉を瞬間的に探した。
「じゃあネ!山口先生、また明日!」
しかしのだめは山口に口を挟ませず、元気よく手を振ると、明るく笑って診察室を出て行った。
のだめの後姿を見送った山口は、しばらくの間茫然していた。
―――最後の笑顔……あれは紛れもなく、いつもののだめちゃんの笑顔だった。
―――だが、しかし……。
昨日の謎かけのような…宝物を入れた缶の話といい、今日の…まるで何かの決意表明みたいな発言といい、
理解を超えるのだめの言動に、彼は自分の医師としての無力感を痛感していた。
山口しばし目を閉じ、今まで自分に投げかけられた、のだめの言葉を自分の中で反芻してみる。
だが、彼の望んだ回答は、一向に思い浮かんできそうもない。
しばらくそうしていたが、山口は果ての見えない思考の闇から抜け出そうと、溜め息をつきつつ目を開く。
ふと、机の書類の下に埋もれている、クリアファイルの一つに彼の目が留まった。
それは昨日のだめに見せた、千秋を取材した新聞の切り抜きを入れておいてあったものだ。
何とはなしにクリアファイルから切り抜きを取り出し、それに目を通していると、彼はある重要な事実に気がついた。
山口が目を凝らして何度見ても……“そこ”には“そう”書いてある。
―――しまった……!私は何ていう、とんでもないミスを……!!
のだめの先程のあの言葉が、山口の頭の中にこだまのように響いてきた。
『のだめ……ピアノがんばりマス!ここにはもう居なくなってしまった……もう一人ののだめの為にも……。』
“もう一人ののだめ”
その言葉がパズルのピースの一片となって、ある欠けた部分に、不思議なくらいすっぽりとはまるのを山口は感じた。
それまでバラバラだった全ての欠片が…次々と面白いようにはまり、山口の疑問は音を立てて氷解していく。
―――そうかっ!でも、まずは千秋さんに電話を……!
山口は慌ててのだめのファイルをめくると、そこに記してある千秋の携帯電話の番号を指で確認する。
机の上の電話機の受話器を取り、外線ボタンを押すと、一つ一つ確認するようにボタンを押し始めていた。
**********
看護科の生徒さん達との軽い打ち合わせが終わり、私は病院を後にした。
病院の中庭にあるフラワーガーデンに立つ時計台を見ると、時間は11時をちょっと過ぎた所だった。
―――今、三善さんちに帰っても誰も居ないし……。
―――でも、ピアノの練習もしなきゃいけないんだケド……。
私はタクシーには乗らず、駅に向かって歩き出していた。
目指すは―――事故があった日以来、ずっと行きたかった“あの場所”。
駅から電車を何本も乗り継ぎ、一時間半以上かけて移動すると、懐かしい風景の中に私は降り立った。
『桃ヶ丘音楽大学』
駅の案内板にその文字を見つけると、右手をその文字の上にそっと置いてみる。
そこから何かを感じ取ろうと、私はしばし瞼を閉じた。
しばらくそうしてから目を開けると、私は一歩一歩確かめるように歩き出す。
……それはまるで失ってしまった思い出を…必死に辿るような足取りだったかもしれない。
駅からそのまままっすぐ道なりに進むと、すぐに左右に軒を連ねる商店街に入った。
「もきゃ!?スーパーひとしくん!?のだめの記憶の中と違って、改装して綺麗になっていマス!!」
私は驚きと嬉しさで興奮しながら、お店の中へ勢いよく飛び込んだ。
ひとしきりスーパーひとしくんの店内をひやかすと、ペットボトルのお茶を一つだけ購入して店を出る。
向かいの店を見ると、マキちゃん達とよく食べに行った回転寿司屋さんがある。
そこは概観も何も変化することなく、記憶の中と同じように今もそのまま営業していた。
―――千秋先輩と一緒に……この道も通ったのかな……?
そう思ってはみるが……やっぱり何も感じる事がない。
ややもすると落ち込みそうになる気持ちを鼓舞して、それでも私は大股で歩き出した。
『桃ヶ丘音楽大学』と銘の入ったプレートのついた大学の通用口に立つと、大きく深呼吸した。
そうして気持ちを落ち着かせると、大学内へ歩みを進める。
―――のだめの中じゃまだ大学1年生なのに……実際は違うんですよネ?
今はちょうど試験期間内なのだろうか……大学の敷地内に人影はまばらだった。
辺りをキョロキョロ見回しながら、私はレッスン室のある校舎へ向かう。
夏の明るい日差しの外とは違って、少し薄暗いレッスン室が並ぶ校舎。
どこか……懐かしい匂いがした。
入ってすぐにある掲示板を見ると、試験期間中の注意事項や、教室変更を知らせる張り紙等が掲示してある。
沢山の演奏会のお知らせの中には、あのR☆Sの公演ポスターも貼ってあった。
「野田くん……?そこにいるのは野田くんじゃないか?」
後ろから急に自分の名前を呼び掛けられて、私は慌てて声のする方へ振り返った。
「ああ、やっぱり野田くんだ!」
廊下の向こうから見知った顔が、人好きのする笑顔でニコニコと私に近づいてきた。
「た、谷岡センセっ!!」
「久しぶりだねー。元気で頑張っていたかい?」
「ハ、ハイ!」
「ああ、そうか!千秋くんと一緒に帰ってきてたんだねー?どうかな?パリの音楽院での勉強は……。」
「はぁ…その…のだめ、がんばって……いるような……?」
私がしどろもどろになりながら答えると、谷岡先生は可笑しそうに笑った。
「はははは!慣れない海外で大変だろうけど、頑張るんだよー?」
「ハイ。のだめ、がんばりマス……。」
「そうだ!江藤先生が野田くんに、とても会いたがっていたよ!」
「へ?江藤……センセ?」
急にハリセンの名前が出てきたので、私は面食らった。
「彼は今ちょうど、京都で行われているセミナーに講師として行っていて不在なんだ。
あー野田くんが学校に来ていたと知ったら、きっと残念がるなー。」
「残念……がる?」
「ほら、野田くんが江藤くんと一緒につくった『もじゃもじゃ組曲』のラストの第12曲。
彼はアレを、自分の生徒達にエチュード代わりに弾かせている位、お気に入りでねー。」
「もじゃもじゃ組曲の…“だい12きょくぅっ”!?」
『もじゃもじゃ組曲』が第12曲まで作られていた事実を知って、私は唖然となった。
「ええと、<幸せ色の虹>変ロ長調……だったかな?うんうん、確かにあれはすばらしかった!
もじゃもじゃ組曲の中でも、間違いなく最高傑作だよねー。江藤くんが自慢するのもわかるなぁ。」
「は、はぁ……。」
「ふふふ。私と野田くんとで作った11曲も、なかなか良かったんだけどねぇ……。」
谷岡先生は口元に、いたずらっぽい微笑を浮かべながら言った。
「おっと、もう次の教室へ行く時間だ!この期間、試験監督をしなくちゃいけないから色々大変でねー。
そうだ。野田くんも明日からの千秋くんの公演、行くのかな?」
「あ、ハイ。」
「ボクも聴きに行くんだよ。じゃあ野田くんともまた会場で会うかもしれないね?
江藤くんも大事な教え子の公演だから京都から駆けつける、って言ってたし……。彼にも会えるといいね。」
「……そ、そですネ。」
「それじゃあ、野田くん。また!コンセルヴァトワールでの勉強、しっかりね!!」
「ハイ!谷岡先生もお元気で!また!」
谷岡先生は手に持っていた試験用紙を入れたと思われる封筒を脇に抱えると、私に手を振った。
私も谷岡先生に大きく手を振る。
先生は優しい表情を浮かべ、“わかった”とでも言うように私に目配せすると、大教室がある方向へ姿を消した。
―――ビックリ……。
私は額にかいた汗を、ハンカチで拭った。
先程スーパーひとしくんで買ったお茶を、息もつかずごくごく飲み干す。そしてぷはーと息をついた。
まさか谷岡先生とバッタリ会うなんて予想していなかった。心臓がまだドキドキいっている。
谷岡先生の話で……私は色々とまた新しい事を知った。
一つ目は、『もじゃもじゃ組曲』が12曲目で完結しているいう事。
自分の中では、つい最近1曲目を谷岡先生と完成させたばかりだったから、それはとても変な気がした。
それから二つ目はハリセン……。
そういえば病院で、千秋先輩に簡単に私の過去の話をしてもらった時に、
確か4年生の時に江藤先生についてコンクールに出たって聞いてはいたけれど……。
―――あの話、間違いじゃなかったんですネ……。
『ちなみにオレは3年の時にハリセンから谷岡先生に担当が替わったから、おまえの逆だな。』
そういえば千秋先輩、そんなことも言ってたっけ……。
どうやら私は4年生の時に、あの江藤先生と『もじゃもじゃ組曲』の第12曲を一緒に作っていたようだ。
その……ちょっとまだ信じられないけど……。
その後にコンクールを目指したのだろうか?
―――でも、なんで私がコンクール??
そんな事をぐるぐると頭の中で考えながら、学校の外へ出る。
考え事をしていた私の前に、ふと、ラーメンのいい匂いが漂ってきた。
すると私のお腹が、ぐるるるるる〜と派手に鳴り響いた。
「ふわぁぁ〜。美味しそーなとんこつラーメンのいい匂い〜!そういえば、お昼ご飯食べてないんでしタ!」
時計を見ると午後2時をとっくに過ぎている。8時過ぎに三善家を出てきてから随分と時間が経過していた。
「あっ!のだめ、勝手に大学に来ちゃって、千代さんに連絡してない!」
私は出かけにお昼までに帰る、と千代さんに言ってきてしまった事をようやく思い出した。
あわてて、バックから携帯を取り出す。
そういえば病院に入る前に電源を切ってしまっていた。私は急いで携帯の電源を入れた。
―――もしかして千代さんが心配して携帯に電話くれていたかも……。
病院からここに来る前に、ちゃんと電話を入れておけば良かったと後悔した瞬間、
携帯からプリごろ太の着メロが盛大に鳴り響いた。
〜♪〜♪〜♪
―――えっ?えっ?
随分とタイミングよく電話が着信した事に戸惑いながらも、私は携帯をパチンと開いた。
液晶画面は、先輩のお母さんからの電話である事を示している。
知っている人からの電話なのが分かってホッとしながらも、私は急いで電話に出た。
「も、もしもし?」
―――のだめちゃん!?のだめちゃんなの!?
先輩のお母さんの少し早口な声が、電話口から聞こえてきた。
「そですけど?どうしたんですかー?」
―――のだめちゃん!心配したのよ?今、どこにいるの?
「え?い、今ですか?のだめ、ちょっと買いたいモノがあって……東京の方へ出てましタ。」
大学に来ているとは言い辛くて、私はとっさに嘘をついた。
―――そうだったの?それなら先にそう言ってくれないと……。
「ご、ごめんなサイ!電話するの、ウッカリ忘れちゃって。」
―――もう、のだめちゃんの携帯も全然つながらないし……。
「病院で電源切ったっきり、電源入れるの忘れちゃってて……。
ほ、本当にごめんなサイ!のだめ、今からすぐに三善さんちに帰りマスから!」
―――いいのよー。もう、何もなかったんだから。のだめちゃんだって、一人でしたい事だってあるでしょうしね?
ただ真一が、ちょっと心配性なだけなんだから……。
「え、千秋先輩?先輩がどうかしたんですカ?」
―――さっき真一から電話があって、のだめちゃんがそこにいるかって訊くのよ。
そしたら千代さんが、『のだめさん……お昼には帰るって言ったきり連絡もないし、まだ帰ってきてません。』
……な〜んて言うものだから、ふふふ…真一、ちょっとパニックになっちゃってー!
「せ、先輩が…パニック……?」
―――『のだめの携帯もつながらない!』って、もう、そりゃー大騒ぎして……。あの子って意外と……過保護ね?
先輩のお母さんはクスクス笑いながら言った。
―――のだめちゃんと連絡がついたって、私から真一に伝えておくから大丈夫よー?
「スイマセン……。のだめ、今から急いで戻りマス!」
―――いいのよ?ゆっくり……気をつけて帰っていらっしゃいなー。
あ、じゃあー駅に着いたら電話してくれる?迎えに行くから。
「ハイ、分かりましタ。電話しマス!」
―――本当に急がなくて良いからね?じゃあのだめちゃん、また後で……。
先輩のお母さんが電話を切ったのを確認してから、私も電話を切る。
そういえば昨日先輩に、『移動するときは必ず連絡して』と言われていた。
さっきの電話で、先輩のお母さんは『真一がパニックになっちゃって』と言ってたけど……。
先輩のお母さんは大げさに言ったんだとは思うけど……千秋先輩はすごく心配性なのかもしれない。
―――千秋先輩の重荷にならないようにしなくちゃ……と決意したばっかりだったのに。
―――のだめ……何やってんデスか……。
脳裏に、昨日峰くんに『千秋に心配かけるなよ』と言われた事も思い浮かんで……私は更に落ち込んでいた。
本当はこの後、一人暮らしをしていたアパートにも行ってみるつもりだったけれど……。
私は予定を切り上げて大急ぎで駅にとって返し、帰路に着いた。
**********
ゲネプロ終了後、急いで帰ってきたつもりだったが、オレが三善の家に着いたのは夜の9時過ぎだった。
帰宅してすぐにリビングへ顔を出すと、俊彦と由衣子が二人で何やら雑誌を読み比べしていた。
「ただいま……。」
「あっ!真兄。お帰りー!」
「お帰りなさーーい!真兄ちゃまーー!」
「二人とも、夕飯はもう食べたか?」
「うん、今日はのだめちゃんが『お昼ご飯食べてなくてお腹がすいたー!』って言うから、
由衣子、のだめちゃんと一緒に早めの夕ご飯食べたの。
俊兄はそのご飯の途中で帰ってきたから……。その後3人で一緒にデザートを食べたよー?」
「そっか。……そういえば、のだめは?」
その時、リビングの外からピアノの音が微かに流れてくるのに気が付いた。
「……アレ、のだめ?」
「うん、そうなのー。由衣子が学校から帰ってきた時には、のだめちゃん、もうピアノ弾いてたよー。
千代さんが言うには、病院から帰ってきてそれからずっとピアノの練習してるみたい。」
「へぇ……。」
「のだめさん、昨日はずっとオーディオルームに篭りっきりだったし……。
今日は夕食とお風呂の時以外は、ずっとピアノの前に居るって感じだねー。」
「うん。そんな感じ!」
「えっ…のだめが……?」
「のだめさん、パリにピアノ留学してる位なんだから、これ位当然の事じゃないの?」
「……う、まぁ…前のあいつ…だったらそうなんだけど……。」
言い淀むオレを見て、聡い俊彦は事情を察したらしく、急に話を変えた。
「そういえば真兄、夕食は済ませてきたの?」
「いや、まだだけど。」
「じゃ由衣子、千代さんに言って、真兄ちゃまのご飯、用意して貰って来るね〜!」
「うん、ありがとう由衣子。」
礼を言うと、由衣子は嬉しそうに頬を染め、元気よくリビングを出て行った。
「じゃあ、オレ……ちょっとあいつの顔見てくる。」
「うん、わかった。真兄の夕ご飯の用意が出来たら、呼びに行くよ。」
「ああ、頼むな。」
俊彦をリビングに残し、オレはサロンの方へ向かった。
サロンに通じる廊下を静かに歩いて行くと、ピアノの音がどんどん近づき響いてくる。
―――この曲は……ドビュッシーの『月の光』……?
のだめが弾くには少し感傷的だと思ったが、こんな月の綺麗な夏の夜には……合っているのかもしれない。
サロンのピアノには、ノースリーブのクリーム色のルームワンピース姿ののだめが居た。
洗い晒しの柔らかいのだめの髪が、夏の夜風にふわり、ふわり…と舞っていた。
「これは、明日弾く曲?」
オレが後ろからそう声を掛けると、のだめは椅子から弾かれたように飛び上がった。
「千秋先輩っ!?いつからそこにっ!?」
「今さっき、帰ってきたとこ。サロンからピアノの音がするから……。」
「そでしたか!びっくりしたー!あ、お帰りなサイ!」
「……ただいま。」
「あ!先輩ゴメンナサイ。のだめ、先に夕ご飯食べちゃいました。」
「ん、由衣子から聞いた。オレ、帰るのちょっと遅くなっちゃったしな。」
「今日のだめ、お昼ご飯食べ損なっちゃったんで〜それで待ちきれなくて〜……ぎゃは!」
「そんな事より……。のだめ、どうして嘘をついたんだ?」
「へ……?」
「子供達にピアノを弾くって約束したって話。あれ本当は、山口先生にミニコンサートを頼まれたんだろ?」
「あ……。」
のだめは気まずそうにオレから目を逸らした。
「今日の昼間、オレ、先生から電話を貰ったんだ。」
「べ、別にのだめ、う、嘘なんてついてませんヨ?子供達がのだめのピアノで歌を歌いたいそーなんデス。
明日、看護科の生徒さん達がそういう催し物をするので、たまたまそれがステージ上になっただけで……。
だから、先に子供達と約束したっていうのは、本当のコトなんデスよ!」
のだめは相変らず目を逸らしたまま、一生懸命オレに言い訳をしている。
―――こいつの…こういう所は…やっぱり全然変わらないな……。
オレは心の中で苦笑していた。
のだめは今も昔も、都合が悪い時や嘘をつく時は、目を合わせないようだ。
「……ふーん。でも山口先生は、のだめはオレにその事を相談して決めたって言ってたけど?」
「ぎゃぼ!」
「……これでも嘘じゃない?」
「ゴ、ゴメンナサイ!」
「いいんだ。その…別にその事を問い詰めたいわけじゃない。ただ…何でちゃんと話してくれなかったのかな…って。」
「せ、先輩、あの……とっても忙しそーだったから!だから、のだめ……。」
「え……もしかしてお前の話したい事って……この事だったのか?」
「あ、えと、ハイ……。」
「そっか……。じゃあ、オレがいけないんだな……。自分の事で手一杯で、お前の事考えてやる余裕がなくて…ごめん……。」
「いいんですヨ!先輩は大事な大事な公演を控えてるんですから、そんなの当然の事ですヨ!
それにこれはのだめ自身が決める事ですし、別に先輩が気にすることじゃないんデス!
のだめが自分で考えて、そうしたいと思ったから、ミニコンサートを引き受けることしたんデス!」
いつになくきっぱりと言い切るのだめの様子を見て、オレは昼間の電話で、山口先生に言われた事を思い出していた。
『どうものだめちゃん……
記憶が戻らない自分は、千秋さんにとってもはや重荷でしかない、そんな風に考えているようなのです。』
『だから、それが“もう一人ののだめちゃん”
……つまり、”記憶を失う前の自分自身”に対しても申し訳ない……と感じているようで……。』
「……分かった。おまえが考えて自分で決めた事だ。オレは何も言わない。けど……。」
「……けど?」
「今度からはそういうの、ちゃんとオレに話せ。言ってくれないと、かえって気になるだろ?」
「そ、そですよね……。ゴメンナサイ。これからはちゃんと先輩に話します。」
「うん。そうしてくれ……。」
オレ達の間に、しばし沈黙が訪れる。
オレは、昼間山口先生から色々言われていた事もあって、何をどう言うべきか考えあぐねていた。
しかし、先に静寂を破ったのは、のだめの方だった。
「……山口先生、何て言ってましたカ?」
「え?」
「今日、先輩に先生から電話があったんでショ?」
「ああ……うん。」
オレが言葉を濁すと、のだめは悪戯っぽい眼差しでオレを見る。
「言ってくれないと、かえって気になりますヨ〜?」
さっきのオレの言葉を、そっくりそのままのだめに返された。
言った後ののだめは“してやったり!”といった表情をしていて、オレは少々ムッとした。
「何言ってやがる……。」
「だって先輩が、先にそう言ったんじゃないですかぁー!」
「おい、こら!調子に乗ンな!」
「ぎゃぼーー!」
会話にいつもの調子が出てきた。オレ達は顔を見合わせて久しぶりに少しだけ笑いあった。
「さっきの山口先生の電話の件だけど……『申し訳ない』って先生、オレに謝ってた。」
「え?何でですかー?」
「明日、おまえに頼んだミニコンサートがオレの公演と重なっていただろ?
知らなかった事とはいえ無神経な事をしてしまったって、先生ひどく恐縮してた。」
「うーん。山口先生はチョト、気にし過ぎやサン、ですネ!」
「確かにな……。別にこれから幾らでも、オレの公演を聴くチャンスなんてある訳だし。
それにおまえ、日曜は来れるんだからな。」
「ふふふ。千秋先輩、のだめがいなくても、明日の公演大丈夫ですカ〜?」
「はぁ!?当たり前だろ!オレ様を誰だと思ってんだ。ンなもん、おまえが来てようと来てまいと関係ねー!」
「うぎっ!……千秋先輩、カズオ……。」
「カズ……。ったく…今のおまえにまでそう呼ばれるとはな……。」
「えっ!?前ものだめ、先輩のことカズオって呼んでいたんデスか?」
「……たまに…嫌がらせのようにな……。」
オレがはぁーと溜め息をつきながらぼそりと呟くと、のだめは嬉しそうに奇声を上げた。
「ふぉぉぉぉーー!カズオーー!!」
「“カズオ”じゃねぇ!!オレの名前は“真一”だっ!!」
「ぎゃぼ!ごめんなサイ!えと……真一くん?」
のだめに久しぶりに『真一くん』と呼ばれて、オレは思わず胸がドキン、と高鳴った。
のだめがオレの事をそう呼ぶのは…二人きりの…その、ごくごくプライベートの時かなんかで……。
しかもそれは、記憶を失う前ののだめに関してだ。
だからまさか“今ののだめ”に、そんな風に呼ばれるとは予想だにしていなくて……。
意表を突かれたオレは青臭いガキみたいに、自分でも恥ずかしい程顔が真っ赤になってしまった。
「……?先輩?どーしたんですカ?」
「……別に。」
「変な千秋先輩ですネー!」
「…………。」
のだめは可愛らしく小首を傾げながら、赤面したオレを不思議そうに見上げている。
俺は火照った顔を早くクールダウンしたくて、レースのカーテンが揺らめいている窓の方へ移動した。
窓から顔を出すと、オレの頬を一陣の湿った夏の夜風が、すっと撫でていった。
「あー…外は気持ち良いな……。夜風が吹いて……虫の音が聞こえて……。」
「ほら!先輩、見て!今日はお月様がまん丸ですヨー!」
いつの間にかのだめも後ろに来ていて、空に向かって人差し指で月を指し示した。
「本当だ。今日は満月か……。」
「先輩とのだめ……明日、同じ時間にステージの上に立っているんですネ……。」
「……そうだな。」
「先輩はのだめがいなくても、全然平気ですよネ?きっと……。」
いつになくしんみりとした口調でのだめが呟いた。
「え……?」
「でものだめもネ、一人で大丈夫ですヨ?ちゃんと自分でやっていけますから!
明日だって……!それに、これからも……きっと……。」
のだめは遠い彼方に思いをはせているような感傷的な眼差しで、今夜の満月を見ていた。
『記憶が戻らない今の自分からは、いつか千秋さんが離れていってしまう、そう思い込んでいるようです。』
『私が、“きっといつかピアノが教えてくれますよ。”……なんて言ったものですから、
のだめちゃん、もう自分にはピアノしかない、と思い詰めたみたいで……。』
『……つまりですね。のだめちゃん、ピアノを頑張る事によって、
失ってしまった自分の過去と、今の自分との…何というか、折り合いをつけたいようなのです。』
オレの頭の中に、山口先生との昼間の電話のやり取りが浮かんでくる。
先生は、のだめの今の心理状態を酷く心配していた。
でもオレは最初に先生からその話を聞かされた時、胸の奥から何か甘酸っぱいものがこみ上げてくるのを感じていた。
そしてそれと同時に……自分がとても恥ずかしくなった。
昨日までのオレはのだめに……
“パリに行かないで大川に帰る”“やっぱり幼稚園の先生になりたい”、
……そんな事を言い出されたらどうしようとビクビク怯えていた、愚かで心の狭い男だった。
でも、そうだ……のだめはそんなヤツじゃない。
オレが惚れたのだめは……そんなヤワなヤツじゃなかったんだ。
男としてはこういう時こそ、頼ってくれた方が嬉しかったりするんだけど……。
でもそれじゃ、やっぱり“のだめ”じゃないしな。
のだめは自分なりに考えて、その結果……ピアノを頑張ろうと決心したんだろう。
理由は……まぁ、ともあれ……。
オレがおまえから離れるなんて思い込みの激しい所も、のだめらしいといえばのだめらしいけど……。
……そういえば、記憶を失う前の“のだめ”もそうだった。
派手にすっころんでも……オレが手を差し伸べる前に、いつもおまえは自力で立ち上がってきたんだよな?
コンクールに失敗したあの時も……オレが大川へ迎えに行かなくても、おまえはすでに留学することを決めていた。
オレは何時だって、決心したおまえの背中を、最後にちょっと押す位しか役割がなくて……。
情けないけど…おまえがオレにしてくれた事に比べれば、オレはおまえにホント些細な事しかしてやれてないんだな。
だから今も、ただおまえをこうやって見守る事しか出来ないけど……。
「真兄ちゃま!ご飯の準備できたってー!」
由衣子がサロンの入り口来ていて、オレに声を掛けた。
「ああ。今行くよ。」
オレが返事をすると、由衣子は気をきかせたのか、すぐにリビングの方へ戻って行った。
「先輩、今からご飯ですか?」
「うん。ちょっとバタバタしてて。」
「のだめ、もうちょっとピアノ弾いてますんで。早く行かないとご飯冷めちゃいますヨ?」
「そうだな。メシ食って、今日はもう休むか・・・明日の為にも。」
「のだめもそれが良いと思いマス!」
そう言うと、のだめは再びピアノの方へ歩いて行く。そして椅子に腰をかけると、さっきの『月の光』の続きを弾きだした。
オレは窓際でのだめの演奏を少しだけ聴いてから、ダイニングルームへ向かった。
その晩オレが夕食をとっている間中、のだめが奏でるピアノの音色はサロンから途切れる事はなかった。
**********
その夜、私は喉の渇きを覚えて深夜に目を覚ました。
時計を見ると……夜中の3時をちょうど過ぎた頃。
隣で寝ている由衣子ちゃんを起こさないようにそっとベットから抜け出すと、客間のドアを静かに開けて廊下に出た。
しんと寝静まっている三善さんのおうちでは、僅かな足音でも響くような気がする。
私は音を立てないよう慎重に歩みを進めながら、キッチンのある階下へ降りて行った。
キッチンに入り冷蔵庫を開けると、手前のドリンクフォルダーに麦茶が冷えている。
洋風の三善家では余り麦茶を飲む習慣がないらしく、これは私が千代さんに頼んで作って貰ったものだ。
「やっぱり日本の夏は、冷た〜い麦茶ですよネ!」
鼻歌交じりにそう一人ごちると、手ごろなサイズのグラスを食器棚から取り出し、麦茶を注ぎいれた。
そしてそれを一気に飲み干す。
冷たくて香ばしい琥珀色の液体が、一瞬にして私の渇いた喉を潤した。
「ぷっは〜〜〜!やっぱり夏の麦茶は最高デス〜〜!」
もう一杯飲もうと麦茶の入ったガラスポットを傾けると、ふと、キッチンの窓にぼんやりと映る明かりが目に入った。
―――あれ?なんだろ……?
注ぐのを止めてガラスポットをキッチンテーブルの上に置くと、私は窓際まで近づいた。
キッチンの窓から外を見上げると、ちょうど二階の客間と反対の方にある部屋に明かりが灯っている。
―――あそこは……確か千秋先輩の部屋?
―――サロンで会った時には、明日の為にも早く休むと言っていたハズなのに……?
その時、私は先輩に麦茶を差し入れすることを思いついた。
後ろの食器棚を再び見回すと、ちょうどぴったりな可愛らしい水泡の入ったガラスピッチャー……
そしてそれとお揃いの冷茶グラスがある。
製氷機から氷を取り出してピッチャーの中に入れ、その中に麦茶を半分ほど注ぐと、トレイの上にグラスと共に載せた。
来た時と同じようにゆっくりと慎重に、私はそれを持って二階へ上がった。
―――麦茶だったら緑茶と違ってカフェインが入っていないから、深夜に飲んでも大丈夫ですよネ?
先輩の部屋の前まで来ると、やっぱりどうしても先に躊躇いが出る。
私は呼吸を整えると、トレイを右手と胸元を使って上手く支えながら、左手で部屋を小さくノックした。
コンコンコン……。
……中から返事はない。
私はドアの前で首を捻った。
―――どうしよう……。勝手に開けて大丈夫ですかネ?でも、こんな深夜だし……。
―――先輩、ただ単に電気消し忘れて寝ちゃっただけかもしれないし……。
何度もそんな事をぐるぐると逡巡した後、意を決して私は先輩の部屋を開けた。
部屋の中にそっと入ると、すぐに先輩の後姿が見えた。
先輩はベットではなく、正面の机に突っ伏した状態で寝ていた。
私は忍び足で机に近づくと、先輩は広げた楽譜の上で腕を組み、その上に頬をのせた不自由な体勢のまま眠り込んでいた。
私は先輩の下にある楽譜をチラッと見る。
―――アレ?これって……ヴァイオリン協奏曲??
どうやら、R☆Sの公演で振る曲の楽譜ではないようだ。
明日に本番を控えていても、先輩はもう次の公演の勉強をしているらしい。
……そういえば、部屋の中は締め切っているせいか少し蒸し暑い。部屋を見回してみるが、エアコンも切れているようだ。
―――空気が少し淀んでますネ……窓を開けましょうか……。
私は後ろのローテーブルにトレイを置くと、窓の方へ移動する。
なるべく音を立てないように静かに窓の止め具を外すと、窓をゆっくりと開放した。
ふわっ…と夏の冷たい夜風が吹き込んできて、レースのカーテンと共に私の髪も揺す。
しばらくそこで涼んだ後テーブルの方へ戻ると、ポットから冷茶グラスに、麦茶を氷ごと注ぎいれた。
そして机の上に広げられた楽譜を濡らさないように注意しながら、
机上の右脇にグラス敷きをひいて、その上にグラスを置く。
その時、私の耳元に、先輩のすーすー……という小さな寝息が聞こえてきた。
私はその寝息に誘われるようにゆっくりと顔を寄せ、先輩の顔を覗き込んだ。
―――わぁ……千秋先輩の寝顔…かわいー……。
今まで先輩の顔をこんな至近距離で見たことなかったから、私の胸は早鐘のようにうっていた。
普段の端正でクールな表情と違って、無防備に眠り込んだ先輩の顔は、いつもよりずっと幼くみえた。
それがとても可愛くて……。だって先輩の頬っぺたはピンク色だし、口元は僅かだけど小さく開いているし……。
その時、固く閉じられた瞼の下で、先輩の瞳が僅かに震えた。
―――あ……。
それを見た私の胸の中に、ストン……と何かが落ちた。
その小さな何かは、水面に波紋が広がっていくように、最後に私の心を大きく揺らした。
そしてようやく……それが何か思い当たる。
それはいつもずっと気になっていた、先輩のあの眼差し……。
先輩は時々、困ったような、やるせないような……どこか切なげで寂しげな……
そんな瞳で私を見ている事があった。
でもすぐにその表情を先輩は隠してしまうから…私は今まで深く考えもしなくて……。
それが何だったのか……今ようやく分かった。
―――ねぇ、千秋先輩。……先輩はのだめを見ていて…のだめを見ていなかった…んですネ……?
あの瞳をする時の先輩はきっと……私の中に“もう一人の私”を探していたのだ。
そして、見つけられなかった事の落胆が……先輩にあんな表情をさせて……。
でも優しい先輩は、私に気づかれちゃいけないと思って、すぐにそれを隠そうとして……。
―――先輩ごめんなサイ……。“今ののだめ”は…“先輩の大事なのだめ”…になれなくて……。
記憶を失ってしまった自分自身に対する怒り、そしてそれが戻らない事に対する絶望感…哀しみ…
私の頭の中は醜い物思いで、ぐちゃぐちゃだった。
「う……ん……。」
その時、先輩が溜め息ともつかない寝言を小さく零した。
起こしてしまったかと思い慌てて顔を近づけると、先輩は相変わらず気持ちよさそうにすーすー寝息を立てていた。
優しそうな寝顔を目の当たりにして、私は衝動的に先輩の背中に抱きついてみたくなった。
先輩が寝入っているのを何度も確認してから……
心を突き動かされるままに、寝ている先輩の背中に覆い被さるように上半身を寄せてみる。
先輩の背中は思った以上に筋肉質で、それはまさに男の人の身体で…私よりもずっと体温が熱く……。
そして何だかとても……いい匂いがした。
そのまま先輩の背中にぴたっと張り付くと、私はうっとりとその背中に頬を押し付け、瞳を閉じた。
―――っ!?
―――私っ!何やって……!?
急に我に返る。
途端に猛烈な恥ずかしさが込み上げてきて、私は慌てて先輩から身体を離した。
こんな…寝込みの先輩を襲うような…自分でもなんでこんな事をしてしまったのか分からない。
私はしばし、一人で勝手にパニックになっていた。
―――あっ!そだ!せ、先輩…起きてないデスよねっ……?
息遣いも荒くそこに突っ立っていたのに気が付き、慌てて息を止めると、先輩の顔を横から恐る恐る窺う。
先輩はいまだぐっすりと寝ていた。
―――よかった……。
安堵した瞬間、自分が興奮の余り、体中ぐっしょりと汗をかいていた事に気がついた。
それは顔から火が出るくらい恥ずかしい事実で……とにかく一刻も早くこの場所から立ち去りたかった。
私は先輩の部屋を弾丸のように飛び出すと、猛スピードで客間へ戻った。
**********
−−−あー……ふわふわ気持ちいいー……。
オレは虹色のまどろみの中、あったかくて柔らかい“何か”に包まれていた。
この感触……オレは知っている……。
いつも近くにあって、オレが安心できる、そんな幸福な重みをもった……。
そうだ……オレは今、“それに”に抱きしめられているんだ……。
“バタンッ!”
何かが立てた音に吃驚して、オレは慌てて飛び起きた。
―――えっ?えっ?
寝ぼけた頭で左右を見回す。
何が起きたか分からずしばらく呆けていると、意識が徐々に覚醒してきた。
どうやらオレは、机の上でぐっすりと眠り込んでしまっていたらしい。
―――そっかオレ…楽譜チェックしてて…ついそのまま……。
広げっぱなしの楽譜の上に、涎までは垂らしていなかったのが救いだった。
不自由な体勢で寝てしまったせいか、肩が張って体のあちこちが痛い。
強張った体をほぐそうと両腕を伸ばした瞬間、オレの身体の右から左へふわっと風が通り過ぎた。
不思議に思い、風が流れてきた方向に顔を向けると、いつのまにか右奥の窓が開いている。
そこから夜風がゆったりと吹き込んでいて、一定のリズムでカーテンを揺らしていた。
―――なんだ……さっき夢の中で感じていたのは……コレだったのか……。
誰かに抱きしめられているように感じた感触の正体が風だと分かり、オレは苦笑いした。
いくら夢の中とはいえ、そんな風に思った自分が…少し気恥ずかしい。
頭をかきながらふと机の上に視線をやると、グラスに入った麦茶が置いてあるのに気が付いた。
グラスの表面は水滴で一面曇ってはいたが、氷はまだ溶けていない。
―――誰かが……これを……?
オレはその麦茶を一口飲んだ。
寝起きで喉がカラカラに渇いていたから、五臓六腑にしみわたるような冷涼感がたまらなく美味かった。
―――冷たい…と言う事は…まだコレを置いてからそうは時間は……。
さっき誰かに包まれているように感じたあれは…本当に風だったのだろうか?
それとも……これを持ってきて、窓を開けていった、誰かが……?
―――もしかして……のだめ?
立ち上がって部屋を見渡すと、麦茶が入ったガラスピッチャーがローテーブルの上に置いてある。
オレは飲み干した空のグラスに追加の麦茶を注ぐと、それを飲みながら風が吹き込む窓の方へ歩いて行った。
さっきの夢の中の感触……どこか懐かしかった。
あれはオレの知ってるあいつの感触に……どこか似てた……。
でも…まさか、な……。そんな事、ある筈がない……。
そう…だよな。……きっと、これを持ってきたのは、おそらく千代さんか母さん辺りだろ……。
窓際に佇んでしばらくそんな物思いに耽けながら、オレは麦茶の入ったグラスを弄んでいた。
窓から顔を出して夜空を見上げると、サロンでのだめと一緒に見た月がもうだいぶ下の方へ沈んでいる。
けれど涼風は相変らず、オレの顔に吹き付けていた。
ふと室内の時計を見る。時計の針はもう4時前を指していた。
―――いけね!少しでもベットで体を休めないと……。
オレは一気に残りの麦茶を飲み干すと、窓を閉め、部屋の中央へ戻る。
そして、テーブルに空のグラスを置いた。
時計のタイマーをセットしてから部屋の照明を落とすと、急いでベットに潜り込んで目を閉じる。
先程の事がチラリ…と再び脳裏をよぎったが、疲れていたオレはすぐに再び深い眠りに落ちた。
608 :
ショコラ:2005/08/23(火) 00:01:53 ID:u8dTk8yL
ここまで前半でした。初っ端からミスりました。はぁーすいません。
後半もほぼ同じ位です。投下する時は一気にいきますのでご容赦いただければ…。
次は月末辺りを予定してますが…。皆様、本当にお疲れ様でした。
ありがとうございます!続き、楽しみに待ってます!
まってます。
どんな展開になるんだろう…ドキドキ
いよいよエロ!ひたすら待ってます
他の作品も大歓迎ですからね
沙悟浄初登場ワロタ
続き楽しみにしてます。
エロもだが公演がどうなるかがえらい気になる
ショコラさん、お疲れ様でした。
クライマックスの投下は月末の予定なんですネ。
すごく楽しみです!
いつも楽しませてもらってます。次回で終了でしょうか?
もしそうでないなら、最後まで書けてから投下した方がいいのではないかと…。
他の作家さんのお話も待ってます。
>518を使って、誰か書いてくれないかなw
最近エロ不足ーーーーー!!!!!!
エロネタ職人さん щ(゚Д゚щ)カモーン!!!
月末が待ち遠しいゾー!楽しみ!!
>>616 んだネー
のだめが千秋と別れて
黒木君と付き合うんだけど、千秋とのだめがまだ
好き合っているというドロドロ三角関係
昼ドラ的SSを考えてるんだけど
ここはエロのみのほうがいいの?
個人的には何でもカモン。ぜひともおながいします。
ただ完筆していたほうがいいかなと思われ。
>>619 それは読みたい!!
是非是非是非!
お待ちしています〜
個人的には昼どらはめだめにあわないし、そんなキャラじゃないとは思ってるけど、
意外に萌える人いるんだ〜。
某サイトのパクリもどきみたいには、ならないでほしい。
624 :
619:2005/08/25(木) 13:07:50 ID:dXZGHrJC
ありがとう
>623
その某サイトがわからないけど
パクリに間違われる危険性があるなら
やめておきます……昼ドラ設定。
ちがうのを考えます。
んー
設定が同じだけでパクリという人の方がおかしいけどね
まったく同じ設定で、まったく違う話のようだ!って
読んでる人に思わせるのは楽しくない?
しかしまあ、そんなにそのシチュエーションに固執してないようだし
違うのを考えた方がいいかもですね
626 :
619:2005/08/25(木) 13:26:10 ID:dXZGHrJC
設定が同じなんですか……
やっぱり黒木を絡める話は誰でも
考えますよね…。
私は千秋が違う女の人とも、いうのが
かきたかったんですが
これも嫌がる人がいるかもしれないので
微妙ですね。
みなさん、千秋とのだめが別の人とするって
きらいですか?
箇条書きマジックというのがありましたね。
>>626 肉じゃがもカレーも基本材料は
肉・じゃがいも・たまねぎ・にんじんで一緒ですよね。
それと同じで設定は一緒でもストーリーがほぼ一緒
というのは意図的なパクリじゃないとありえないと思いますよ。
別スレで投稿した事あるけれど、スレ見てる人の好みが
全員一致するという事はまずないのでとりあえず書いてみては?
好みじゃないと思った人にはスルーしてもらえばいいわけで。
内容についていちいち確認取る必要はないと思いますよ。
のだめ&千秋カプ専用スレじゃないし。
628 :
619:2005/08/25(木) 13:43:55 ID:dXZGHrJC
>627
ありがとう。
わかってはいるのだけど
知らずに書いてパクリといわれるのは怖い。
まだのだめ初心者なので、もう少し
のだめ界をめぐって来た方がいいかもしれないですね。
(まだ少ししか見たことない)
自身ができたら投下します!
いや、なんつーかその
のだめキャラで書きたいな
というフレーズやシチュエーションがあって
そこは譲れないなというアレがあっての創作ではないのかな?
すべての人が拍手喝采するパーフェクトストーリーは
627が言うようにありえない
そしてサイトをめぐりすぎるのも一長一短だと思います
受け取り手を思いやるのもとても大切なことだけどね
投下おまちしています
エロありギャグありみたいなの読みたいデス。
千秋はともかくのだめがまじめな思考してるのが多いから
元キャラに近いのキボン。
631 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 19:00:03 ID:T8oZTHHj
自分は千秋がのだめ以外の女とするのはダメだな…。
全身で拒否反応が出る。
のだめが他の男とするのは読んでみたいけど。
私は逆、のだめが千秋意外とはダメだな・・。
元キャラがそれだけはありえなそうだから。
まあ、2人とも恋愛より音楽ってタイプだと思うけど・・。
でも、いやならスルーするしね。
私もエロありギャグあり見たいなのが読みたい。
633 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 00:26:59 ID:TuYCMSjO
千秋が他の女とは、
逆に萌える。千秋×清良もよかった。
清良推し´∀`
うーん、そうかなあ。
今の千秋の方が浮気とかありえないと思う。
ストイックで他の女に興味はないけど、のだめにだけは弱くて大切にするのが千秋だと思うから。
原作では千秋のだめ以外考えられんが
せっかくエロパロなんだからどんなカプリングでも見たい
このスレの人は皆、2次創作サイトとかまわってんのか?
自分はここしか見ないからパクリ疑惑の話とか全くついてけなかったんだが、
投下側に回るときは重複がないかある程度確認しといた方が無難なんかね
>>629がいう「一短」てのは影響受けすぎちゃうって事の他にも何かある?
以前はこのスレのみだったけど、最近投下がないので
飢えてサイト巡りをするようになった。
あれこれ一気に読みすぎたせいかパクりと言われても元がどれだか分からない。
>>635 > 原作では千秋のだめ以外考えられんが
> せっかくエロパロなんだからどんなカプリングでも見たい
同感です。何でもアリです。
でも自分で書くときはやっぱりのだめ×千秋だろうなあ。
2次創作サイト、見てないですね。
自分も1回投下しましたが、どこかと重複してないか不安でした。
いまエロじゃない話も考えてるけど、そういうのこそカブったら最悪なんで、
有名どころは見ておくべきなのかなと思ってます。影響されることも怖いんだけど。
638 :
629:2005/08/26(金) 11:53:54 ID:gZ83SPqD
>635
わたしの意見としては「短」がほとんどだと思っています
「長」は、みなさんが言うように「カブリ」を未然にふせげる
しかし物語の幅を狭めることになると思う
たとえ「カブリ」だったとしても「パクリ」ではない
そこまで恥じ入りうろたえることはないとわたしは思う
「短」の方はあなたがいうように影響を受けすぎてしまうということ
これはわたしにとってかなり怖い。無意識部分がほどんどだから
のだめ二次創作を読まれている方にお訊きしますが
文章の雰囲気が似ている、と感じたことはないですか?
わたしにとってカブったことで「パクリ!」と揶揄されるより
そうなってしまうことの方が怖いことなので、この結論です
自分の中にこの表現はないな、と思わせてくれる方の文だけ読んでいます
また投下しづらいふいんきだなー。
マターリしてくれませんか?
こんなんじゃ自分も他の職人さんも投下しづらい罠。
>>639 えっ、マターリしてないですか? 驚いた。
以前のパクリ論議は自分もちょっと怖い雰囲気だと思ったけど、
ここしばらくの流れはごく穏やかな意見交換だと思うんだけど…
うん。私もマターリした意見交換だとオモ。
以前のは怖くて書き込めなかったよ。
のだめ人気でサイトも増えてきたし、逐一チェックなんてできないんじゃ
ないかな。「パクリ!」という言葉に敏感になりすぎるのもどうかな、と。
この間のことで怖いと思うのも無理はないけど。
私は明るいエロギャグきぼん。職人さん、お待ちしてます。
642 :
月子:2005/08/26(金) 14:07:25 ID:FaRMLi53
みなさんお久しぶりです!
ショコラさんの「喪失シリーズ」おもしろいです!続きが最高に気になります。
さて、文才のないワタクシメは、エチーなのが読みたい衝動がスパークして
エチーなのを書いてしまいました。
本当は昨夜完成してたんですが、アクセス規制に引っかかってしまいやっと投下です。
ショコラさんの月末投下予定まで、お目汚しですが、ドゾー。
643 :
月子:2005/08/26(金) 14:09:05 ID:FaRMLi53
『性欲と精力のあいだ』
1.
それはある日の個人レッスン中……。
「……だーかーら!何回言わせんだっ!ここがいちばん大事なとこなんだぞっ!」
「ほぇ〜…そっかぁ〜…」
「ほらっ!ボケッとしてないでもう一回最初から!」
「ふぎゃっ!センパイ、ちょっと休憩しまセンかぁ?」
「首かしげてかわいこぶったって無駄だ!くちがとんがってンだよっ!
そんなのオレには通用しないぞ。ほら、早く弾けっ!」
「……オニ………カズオ……………」
「…なんか言ったか(怒)?」
「いっ、いえ!なんでもありまセン!のだめがんばりマスッ!」
「ふん……次上手く弾けたらオレ様が今朝早起きして作ったレモネードを飲ませてやろう。
そのかわり同じミスをしてみろ……本気で晩飯抜きだからな。はい!弾くっ!」
「ムッキャーッ!ばんごはん抜きは死活問題デス!のだめ期待に答えてみせマスッ!!」
「おーせいぜい頑張れ。(晩飯がかかると必死だな……オレの女って………)」
「ハイッ!じゃー弾きマスよッ!!」
♪〜〜〜♪♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪〜〜〜〜♪♪〜〜♪〜〜〜♪♪〜〜!!!
「……ふぅっ、センパイ、どでしたカ?」
「………ブ、ブラボー………おまえ、やればできるじゃねーか!」
「のだめが本気を出せば、まぁざっとこんなモンですヨ!はい!センパイ、レモネードをくだサイ!」
「うっ……おまえ調子に乗るなよ…でもまぁいい演奏だったから今日は特別だ。
今持ってくるからちょっと待ってろ」
「あー!センパイ、キンキンに冷えたのお願いしマスよ!」
……相変わらず、すぐ調子に乗りやがって、えらそーに。
でも…今の演奏はホントによかったな。褒美でもやりたいくらいに………。
……てゆーか、オレの方が興奮してンじゃないのか……なんだこのドキドキは……。
いや……演奏もよかったんだけど……ピアノと一緒にあいつの表情がだんだん色っぽくなってって……。
登りつめる感じが……その………オレもちょっと反応してたりして………。
ふ、不謹慎だよな!いかんいかん。でもあいつそういえば……
今日はずいぶん胸の開いたワンピースなんだよな……その………汗が……谷間にひとしずく……
……流れてくの……見ちまったんだよな………。
………オレ……たまってんのかな……………ゆうべもシタのになー……………。
644 :
月子:2005/08/26(金) 14:10:41 ID:FaRMLi53
2.
「ほれ、持ってきたぞー」
「待ってまシターッ!のだめもうのどがカラカラですよー!……って、アレ?グラス一個?
センパイは飲まないんデスか?」
「……いや、飲むけど」
「ムキャ!じゃあセンパイ自分の分だけ持ってきたンですかッ!?話が違いマスよッ!!」
「違うよ……ほら………」
オレは、レモネードをひとくち含んで、のだめに口移しで飲ませてやった。
「……!!(ゴクンッ!)……んッ!センパイ!!ビックリするじゃないデスか!!」
「ははは!うまいだろ!……もっと飲むか………?」
「…!……ハイ……もっと飲ませてくだサイ………」
ひとくち……もうひとくち………。
オレはのだめに口移しでレモネードを飲ませてやった。
そのうち、オレとのだめの舌がからまって……甘ずっぱいレモネードよりも、
オレはのだめの唾液を味わうことに夢中になった。
のだめの口の端から、レモネードが少しこぼれたのがすごくエロチックで……
かろうじて残っていたかもしれないオレの理性は全て吹っ飛んだ。
「のだめ……どこでシタイ…?」
「ゃぁん……センパイのシタイところがいいデス……」
「ダーメ!言わなきゃ晩飯抜きだぞ?」
「ガボンッ!それは困りますぅ……えーと…じゃぁ……」
「ん?…どこがいい?」
「…いっつもベッドだから……たまには……ソファーなんてどデスか……?」
「了解」
真っ赤になって答えるのだめが本当にかわいい。
ああ…早くおまえの啼き声が聞きたいよ………。
オレが先にソファーに座り、うしろから抱きしめるようなカタチでのだめを座らせる。
のだめは抱きしめあってキスしたかったみたいだけど……。
大丈夫、いっぱい気持ちよくさせてあげるから。
「やぁん、センパイ…これじゃのだめなんにもできまセンよ…?」
「最初は…オレが思い存分おまえにさわる番な…まずは……おまえの好きなヤツ……」
「ぁぁん……ゃぁ……」
オレは両手でのだめの胸を下からもちあげるように揉みだした。
ブラジャーと服をはさんでもまだわかるくらい、
主張しているあいつの胸の頂点をチョンチョンと突いてやると、
のだめはオレが聞きたかったかわいい声で啼き始めた。
645 :
月子:2005/08/26(金) 14:11:49 ID:FaRMLi53
3.
「ぁ……ぁん………」
「……どうした……?」
「ゃん……はぁ……ん……」
「…気持ちいいの……?」
「ハィ……センパイの指………えっちデス……」
「そうか…?……じゃぁ……コレはどう……?」
いきなり大きく揉みしだいてやると、のだめの喘ぎ声にも力が入った。
「あぁんっ!……はぁっ!…ぁ……ぁん……!……ダメェ……!」
「なんで…?ダメなの……?じゃあ、やめようか?」
「あん!違いマスッ!…なんか……もっと……」
「もっと…?」
「…直接……さわってほしい……デス……」
「おまえ…エッチだなー……そんなにオレにさわって欲しいの……?」
「ヤダァ……イジワル言わないでくだサイョ……」
のだめは真っ赤になった顔を両手で隠しながらも、時々かわいい声で啼いていた。
オレはのだめの首筋やうなじにキスしながら、
されるがままののだめの胸を強くしたり弱くしたりしながら揉み続けた。
「も…ダメです……シンイチくん……お願い……」
「……なに………?」
「お願いデス……服………脱がせてくだサイ……ぁん………」
「ダーメ!…なぁ…このまま胸でイケるかどうか試してみるか…?」
「やぁ!…そんなのダメですぅ!!…ぁんっ!お願い…!お願い……」
「…しょうがないなぁ……わかったよ、エッチなのだめの言うこと聞くか……」
「やんっ!……そゆこと……言わないで………」
ちょっといじめ過ぎたかな……喘ぎながらも、のだめがちょっと泣きそうになってて
オレは急にあせった。
「ごめん!ごめん!いっぱい気持ちよくなってほしくて…オレいじわる言い過ぎたな…」
「……ウキュッ……!」
「なっ!なんだおまえ!…泣きまね!?」
「違いマスよー!さっきはホントに泣きたくなったんデス!でも、今のセンパイの顔見たら!
ぷぷっ!あせっちゃいましたカ?もぅ!センパイったら、カワイイんだからぁ!」
「………はぁーーーーっ……」
「ん?センパイ、どしまシタ?」
「…いや…なんでもない………つ…続けようか……」
「ハイ!あ、のだめ自分で脱いじゃってもいいデスかぁ〜?も〜センパイねちっこいんデスよ!
そりゃ気持ちイイですヨ!にしても限度ってモンがあるンですッ!
あ、下着はセンパイ脱がしたいデスか?脱がしたいデスよね?じゃぁ着ておきマス!」
「………服は…もう……脱いだのか………そうか…………」
「センパイ?なに肩落として弱ってンですかぁ!センパイも脱ぎまショ?」
「……自分で脱ぐ………」
「やん!のだめにやらせてくだサイッ!センパイのシャツのボタンはずすの好きなンです!」
変なことが好きなんだなー…まぁこいつ自体変だしな…。
若干萎えかけたけど……やっぱりこいつのこうゆうとこ………かわいいんだよな……。
646 :
月子:2005/08/26(金) 14:12:52 ID:FaRMLi53
4.
「ズボンも脱いじゃいまショ?……ぁん………イタズラだめデスよぅ……」
一生懸命オレの服を脱がそうとしてくれてるのだめをよそに、
オレはまた、のだめの胸をいじりはじめた。
ブラジャーの隙から指を入れてみると、のだめの先端はまだコリコリと硬いままだった。
それをはじいてやると、のだめはまた眉をひそめてせつない表情になった。
「ぁん……まだぁ……センパイちゃんと脱いでないじゃないデスかぁ……
ズボンのチャック………ちょっと下ろしただけデスよぉ………」
「もういいよ……あとは自分で脱ぐから……それとも…さわられるのイヤ…?」
「ヤじゃないデスョ…でも……のだめもシンイチくんの…さわりたいデス……さわっていいデスか……?」
「ん……さわって……」
途中まで下りたチャックをもどかしいように下まで下げて、
のだめはボクサーパンツの上からオレのモノをさわってきた。
向かい合って、オレの足の間に入りオレのモノをさわるのだめと、
もどかしいがブラジャーは外さずにのだめの胸をいじるオレ。
ときどき、浅いキス、深いキスを交えながら、お互いだんだん登りつめてくのが手に取るようにわかった。
「…しゅごい……ムクムクおっきくなってきましたヨ……」
「うん……直接…さわって……?」
「……ハイ………センパイ……今度はのだめがセンパイをさわる番デス……」
ゆっくりとオレを押し倒したのだめは、もどかしいようにオレの体に残った布をすべて取り払い、
オレのモノをその大きな手でしごきはじめた。
握る力に強弱をつけながら、いつもはオレの大好きなピアノを弾いているその指が、
ときどき思いがけない部分を刺激したりして、オレはだんだんと快感の波にのまれていった。
「センパイ……気持ちイイですか?」
「うん……なんか出てきただろ?……それ、気持ちいい証拠」
「やだぁ……なんか…のだめも……へんな感じデス………」
「さわりながら感じてるの…?」
「ゃん……そ………みたい……デスゥ……」
「かわいいな…のだめ」
オレは手を伸ばしてのだめのブラジャーの肩ひもを下ろし、はみだした胸をやさしく揉んだ。
…あぁ……今日はブラジャーつけたままスルのもいいかも……。
「…はぁ……ん……センパイ………おっぱいだけじゃなくてェ……あそこも……さわってくだサイ…」
「ふふっ…今日はずいぶんやらしいな……もうガマンできなくなったの?」
「ガマン……できないカモ……ぁ…ん……センパイ……早くゥ……」
「じゃあ……オレのことまたいで」
オレは体勢を整えて、普通にソファーに座りなおし、オレの上にまたぐようにのだめを迎えた。
647 :
月子:2005/08/26(金) 14:13:57 ID:FaRMLi53
5.
「やだ……センパイッ!……おっきいの…当たっちゃうッ」
「おまえのさわって欲しいところに当たって気持ちいいだろ?…ほら、自分で腰振って、
もっと気持ちよくなるように動いてみろよ……」
「ぁ…ぁん……あっ……すごい当たって……気持ちイイッ」
オレの目の前でブラジャーからはみだした胸を揺らしながら、
オレのコレに下着が透けるほど濡れたアソコを擦りつけて喘ぐのだめ……。
オレの方が……限界かも………。
「…ぁん…せんぱい……もう挿れたいんでショ…?」
「おまえ…生意気」
「のだめはもう…挿れて欲しいデスョ……ぁん……お願い……シンイチくんッ……!」
オレの首に絡みつくように抱きついてきたのだめは、もうどうしようもないような声で
オレにおねだりをした……ちくしょー………かわいいなぁ……。
「…ゴム取ってくるから、ちょっと待ってて。あ、下着、下だけ脱いでろよ」
「…ぇ?ブラは取っちゃダメなんデスか……?」
「ん、今日はブラは着けたまますんの」
「やだぁ〜!もうっセンパイのえっちぃー!」
そう言いつつも、のだめもまんざらではないようだ。
寝室からゴムを取って戻ると、のだめはオレの言いつけどおりブラジャーはつけたまま下だけ脱いで
体育座りをしてソファーの上で待っていた。もちろん、胸はブラジャーからはみだしたまま。
うぅ〜……エロいな……。
せっかくソファーでヤルんだから、本当は対面座位とかがいいんだろうけど…
オレはまず、一番好きな正常位でのだめに入りたかった。
というか、もう正常位だけでよかった。いちばん深くつながり合えるから…。
のだめをソファーに横にして、急いでゴムを装着しソレをのだめのアソコに擦りつけた。
「すごい……ヌルヌルだよ………いつからこんなに濡らしてたの?」
「あぁん……センパイがえっちなコトいっぱいするからぁ……」
「んー?擦りつけてたのは自分でだろ?……そんなに欲しかったの?」
「はぁ……ぁん………欲しいデス………挿れて?……ねぇっ……シンイチくんッ……」
「しょうがないなぁー……うっ!……」
「あんっ!ゃぁ……んっ!」
しょうがないのはオレの方だ。もう入れたくて入れたくて…限界だった。
オレはのだめの足を大きく開きイッキに突き挿れ、持ち上げたのだめの両足を肩にかけた。
両手でのだめの腰をしっかり支え抽出を繰り返すと、肩にかけていたのだめの足は
いつの間にかオレの腰をガッシリ捕まえるような格好になっていて、
オレの先端がのだめのいちばん奥に届く、最高の体位になっていた。
すっかり濡れていたのだめのアソコから聞こえるいやらしい水音が部屋中に響いて、
その音がオレの昂りを刺激して絶頂を早めているのが悔しかった。
もっと…もっとこの快感を味わいたいのに……気持ち良過ぎるんだよ………。
648 :
月子:2005/08/26(金) 14:15:33 ID:FaRMLi53
6.
「センパイ…汗かいてマス」
そう言って、のだめがオレのひたいに汗で張り付いた髪をなでながら、
そっと両腕をオレの首に絡ませるように抱きついてきた。
「…いっぱい、気持ちよくなっていいんデスよ…?」
ああ…こいつはいつも、こういうときに変な母性をだしやがる…。
ちくしょう…今すごくしあわせじゃねーか……。
オレからも強く抱きしめたせいで、あいつの顔は見えなかったけど、
きっとせつない顔で、いっぱい気持ちよかったんだろう。
リズミカルな腰の動きに、自分でも酔っていくのがものすごく気持ちがいい。
「ぁ…ぁん…はっ……ん…ぁんっ…ぁ…ぁっ…あん……あっ…あぁっ……」
「ん……のだめ……イキそう……イッてもいいか……?」
「ぁん……のだめ…も……イクッ……イキます……ぁんっ!」
耳元で啼くあいつの声が、だんだんか細く高くなっていって、
一瞬悲鳴にも似た歓喜の声が聞こえたとき、オレもあいつのいちばん深いところで全てを吐き出したんだ。
ざわざわ動くあいつの中がとても気持ちよくて、いつもより長い時間かかってしまいながら……。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「……センパイ?………もう……重たいデスよ〜!」
「…………う……ん…………あ…れ………?」
「もう!センパイめずらしいデスねぇ!いっつもはのだめが失神して、意識がなくなるのにぃ」
「……ん………なんか……すげぇ………気持ちよかった………」
「ふふっ……のだめも気持ちよかったデスよ!それにしてもセンパイ、ホントにおっぱい好きデスねぇ!」
「なっ……そりゃ……セックスのときは……その……さわるのが普通だろうが!」
「違いマスよー!センパイ、イッちゃって気絶してるのに、のだめのおっぱいだけはずっと
揉み続けてたんですヨッ!全然覚えてないンですかぁ??」
「……覚えてない………なんかしあわせだったのはなんとなく……覚えてる気もするけど……」
「呼んでも全然返事しないのに、ちゃんとときどきコリコリとかはするんデスよっ!
のだめウッカリ気持ちイイ声出しちゃったじゃないデスかぁ!もう!責任取ってくだサイ!!」
「…え……?………責任って?」
「もぅっ!のだめのムラムラでモンモンをセンパイのゴールドフィンガーで解消してくれればいいんデスよ!」
「あの……オレの性欲はもう……完璧に解消されたワケで………」
「なにブツクサ言ってンですか!?ハイ、お願いしマスッ!」
「………(男の責任だ………がんばれ、オレ!)」
…オレがむっつりスケベでおっぱい星人なのは認める。
しかし……精力が有り余ってるのはのだめの方だ!そこは断じて譲る気はない!
……結局、最後までやらざるを得ない雰囲気だな………ま、負けるな!オレ!!
おしまい。
649 :
月子:2005/08/26(金) 14:18:52 ID:FaRMLi53
…だんだん千秋がわからなくなってきてしまいました。
こんな人でしたっけ…?違う気がする……。
>>518さんのシチュをお借りしました…っって、上手く使いこなせてなくてスミマセン!
ショコラさんの続きも、他の職人さまのエチーなのもどちらも楽しみにしてます!
では、お目汚し失礼いたしました。
月子さん久々です。
負けるな俺笑いました
千秋はボクサーパンツなのですね
転載スマソ
>お前ら、公式HPに(*´д`*) なものがうpされていますよ
(*´д`*)
「センパイ、見てくだサイ!」
「なんだその恰好はー!」
「のだめの中学のときの制服です。 ヨーコに送ってもらったんデス!
似合いますか? ギャハ」
どなたか制服プレイを…
公式、最高!!
>>654 制服プレイ、イイですね… 書きたいです。
でも自分は遅筆ゆえ今夜すぐには投下できないので、
他の職人様が先に書かれるようであれば、身をひきます。
追記:月子さん、乙です!
わーい月子さんアリガト!
久々のエロですな
えーと、こんばんは。さっきハァハァ(*´д`*)してた者です。
皆さんに触発されて、生まれて初めてSSを書いてしまいましたw
それなのにエロシーンまで書いてしまいwwwwワケワカメです。
正直全然エロくないと思いますが・・・投下させていただきます。
あ、内容は制服プレイではないのですがw
上の方でおっしゃってた「原作どおりの変態のだめ」を書いたつもりです・・・
結果的には変態レベル序の口になってしまいましたが。
真っ暗な広い部屋には、マウスとキーボードを叩く音だけが響いていた。
そこに時折混じる、「むほぉ〜」や「ふむふむ・・・」「むきゃっ!」というかすかな声。
ディスプレイの光が断片的に映し出すのだめの顔は、いつになく真剣だ。
なんだか分からないが、目の前のものにすごく集中しているのだろう。
こうして数週間ぶりに自分の部屋に帰ってきた俺にさえ気付かないのだから・・・
俺の留守中に部屋に泊まる事はまったく構わない。むしろ嬉しい(何いってんだ、俺・・)
だが、こうして深夜まで音楽以外の事に集中している姿は不審と言うしかない・・・
そっと背後に回り込み、小さな背中を抱きしめる。
「むきゃ!?・・せっ・・センパイ!?」
「ただいま。何やってんだ?こんな時間に。」
「おっ・・おかえりなさい・・・なんといいマスか、そのー・・・芸術鑑賞デス・・・」
「芸術?」
のだめの肩越しにディスプレイを覗くと、ルーブル美術館のWebページが表示されていた。
「へぇ、お前もこんなページ見るのか。
フランス語で見てるみたいだけど、読み書きの方はすっかり平気なの?」
「は・・ハイ、まだわからない言葉もありますケド、フランクとかターニャが
文字にして教えてくれるんデス・・・それで、次のデートの行き先候補も教えてくれて・・・
それでその中から、フランスならルブルかなって決めて・・・」
「お前この間オルセーに行った時、すごい楽しそうだったもんな。・・・って・・なんだ?それ・・」
タスクバーに表示されているフォトレタッチソフトを指さすと、
のだめの肩がビクッとあがった。
「ぎゃぼ!・・こ・・コレは・・企業秘密で・・・」
「何の企業だ・・みせてみろよ、ほら」
ギャーギャー言っているのだめの手の上からマウスを握り、カーソルを合わせてクリックする。
「・・・・・なんだこりゃ・・・・・」
「はう・・だから秘密だって言ったじゃないデスかー・・・」
そこにはルーブル所蔵、「サンダルをほどくヘルメス」という彫像の顔部分に
千秋の顔が継ぎ貼りされている画像が映し出されたのだった。
「・・・これって俗に言う・・・アイコラ?」
「苦労したんデスよー、先輩の肌と彫刻の肌の質感をいかに似せるかとか、大変だったんデス!」
偉そうに言ってんじゃねぇーーーーーーーーー!!!!
ぎゃぼーーーーーーーーーーー!!!!
お約束の夫婦漫才をひとしきり終えた後、千秋はジャケットをソファーに放り投げた。
「・・・俺風呂入ってくる。だいたい何でこの彫像に俺の顔なんだ・・・」
「えー?だって先輩この前こんな感じで靴下履いてたじゃないデスか。
のだめはパンツから履いたほうがいいって忠告しようかと思ったんですケド。」
「・・・おまえな、普通の女はそんな理由でアイコラなんて作んねぇんだよ・・・・」
えー?なんですかー?と言うのだめを尻目に、バスルームに入る。
まったく・・・いくら俺がいなくて寂しいからってあんなモン作ってまで妄想しやがって・・・
変態。生粋の変態だ、ヤツは・・・・。
しかし・・・ルーブル・・・彫刻・・・か。
千秋の脳裏にある一つの画像が浮かんだ。
おい、何考えてるんだ・・俺の頭は。これじゃあいつと同じレベルじゃねぇか・・・
しかし体は正直なもので、まだ布を剥いでいない下半身が反応しはじめている事は無視出来ない。
・・・くそ・・・変態ってやつは伝染するのか・・・!
バスルームからあがると、のだめがさっきの絵を保存していた。
「お前何やってんだよ!ってフォルダ名「宝物」ってそんなベタな名前付けてんじゃねぇ!消せ!!」
「はうう・・・自信作だったのに・・・芸術ですよーセンパイ」
ふと、二人の目線が絡み合った。千秋の頬にそっと赤みが射す。
「・・?センパイまさかこの画像に欲情したんデスか?」
「殺すぞ・・・・なぁ・・お前、彫刻とか・・そういうの好きか・・?」
「ヘ?そりゃーのだめは音楽という芸術を志すアパルトマンの住人デスよ。キレイなもの大好きデス。」
「ふーん・・・じゃあ俺も挑戦してみるかな、音楽以外の芸術に。」
「は?何言ってるんデスか・・・ってムキャー!!!おろして下サイー!!!」
いきなりのだめをお姫様だっこした千秋は、有無を言わさずベットの上に彼女を仰向けに寝かせた。
左手でのだめの右腕を押さえ付け、自分はベッドの縁に座る。
「もうー、シたいんですか?先輩。いつも唐突デスよーもっとそっ・・んっ・・」
自分のシャツのボタンをはずしながら、のだめに覆い被さる様にキスをする。
始めは静かだった交わりが、徐々に舌がねじ込まれ、粘膜と粘膜が混ざり合う音と共に激しさを増して行く。
「んっ・・・っ・・はぁ・はぁ・・・」
名残惜しそうに舌が離れると、つっ・・と細い粘液が伝った。
千秋が自分のシャツとズボンを脱ぎ、無造作に放る。
「お前も脱がすぞ・・・と、その前に・・・」
「ふお?何デスか・・それ?」
千秋の手には、救急箱に入っていた包帯が握られていた。
「むきゃ!なっ何するんデスか!!」
「のだめ・・・両手・・上に伸ばせ」
「んはぁ・・・こ、こうデスか・・・・?」
怪訝そうな顔をしたのだめは、おずおずと両手を上に伸ばした。
千秋はその両手をクロスさせ、包帯を使ってベッドのポールに縛り付けた。
その後、足首を包帯で縛る。
「センパイ・・・これじゃのだめ身動き出来ないデスよ・・・」
「だからいいんだろ」
「あうー・・今日の先輩・・なんだか・・より一層・・カズオデス・・・」
お前がそうさせてるんじゃねぇかよ・・・と思いつつ、
千秋はのだめのワンースのボタンに手を伸ばす。
「あっ・・!駄目デスっ・・・」
「何だよ・・・いつも脱がせてやってるだろ?」
「そ・・そデスけど・・・なんか・・変なんデス・・
身動き出来ないって思ったら急に・・全部の皮膚がピリピリして・・その・・下の方とかも・・
触られてもいないのに・・痛いくらい熱くって・・・触られただけで・・もう・・・」
赤くなりふるふると震えるのだめを見て、理性が半分吹き飛んでしまった。
ワンピースのボタンをはずす、というよりは引きちぎって投げ捨てると、
小さなランプに照らされてしっとりと陰る臍と、しんしんと光る肌が露出された。
くぼみにそっと唇を寄せる。
「あ・・ピリピリしますよう・・せんぱ・・ぁ・・・」
目線を上げると、白いレースに包まれた二つの膨らみが簡単に目に入った。
唇を寄せたままそっと上へと登り、寄せられた谷間に顔を埋める。
「少し・・汗ばんでるな、谷間」
「センパイがドキドキさせるからデスよ・・・はうん・・」
ホックを取るのももどかしく、ブラを上にずらし、荒々しく両手で揉みしごく。
「・・っんはあぁぁぁぁっ!駄目デスっ!そんなに乱暴にしちゃ・・・やぁ・・」
そんな言葉とは裏腹に、、天井を向けてキュッとせり立っている乳首を口に含み、
舌先で先端をチロチロと舐め、軽く噛む。
全身の感覚が敏感になっているのだめは、その工程で既に何度かイってしまっている様だ。
荒々しい息に艶っぽい声が交じり、皺を寄せた眉間に汗が滲んでいく。
柔らかい乳房にいくつもの赤い華を残し、唇は再び下へ下へと泳いで行く。
「すご・・・もうシーツまでぐっしょりだぞ・・のだめ」
「あへ・・口に出さないで下サイ・・そんなコト・・・・」
「ふぅん・・でも、触って欲しいんだろ・・?ほら、言って・・・」
「・・・センパイの・・バカ。・・鬼畜。カズオ。」
「ほら・・・」
「・・・サイ・・・」
「ん?」
「・・・触って・・下サイ・・・・・」
「うん・・」
尾てい骨の下で頼りなく結ばれたリボンを解きほぐし、秘められた湿地を開放する。
「あ・・センパイ・・・ヤダ・・見てるんデスか・・?のだめの・・・」
「うん。安心しろ、綺麗だから・・・・」
「んはぁ・・・ぐちゅぐちゅで恥ずかしいデス・・・」
細く長い指を蜜で溢れかえったのだめのなかへ押し込む。そっと膣内を刺激してやると、
指を押し返すような圧力に負けて排出される愛液と、口元から無防備に流れ出る唾液が見て取れた。
簡単に3本の指を挿入し、刺激しながらのだめの両足をクロスさせ、持ち上げる。
「あっ・・はっ・・だめデスよ・・・そ・・んなコト・・したら・・丸見えデス・・・はうん・・・」
「今更何いってんだよ・・・」
挿入していた指を音を立てて抜き、
のだめの足を肩にかけて、自分のパンツを脱ぎ、ゴムをはめる。
最初のインパクトを予想できない様に、じりじりと、ゆっくり。
「あのー・・センパイ・・のだめいつまでこの格好してればいいんデスか・・・?」
「もうちょっと待ってろよ」
「はうん・・そんなこと言ってー・・もう待てま・・っあぁぁあぁぅん!!!!」
足首の包帯を唐突にほどき、少し開かせた股に自身を挿入する。
「ふぉぁぁぁ!!ちょと待って下サイぃぃぃ!!!!あぅぅ・・」
「んっ・・はぁっ・・・動かすぞ・・・」
のだめの中は蜜で溢れてぐちょぐちょだ。ピストンするたびにねちゃねちゃと嫌らしい音が響く。
「あああああぁぁぁぁっ!!!のっ・・のだめ・・変になりそうデス・・
下の方は・・いつもよりも焼けそうに熱いし・・目がクラクラしマス・・・」
「でもいいだろ・・?麻薬みたいで・・・気持ちいいか?」
「んっ・・はっ・・ぅぁあっ・・」
股を大きく開かせ、ピストンを深くゆっくりとしたペースに変えていく。
「んふ・・ぁあっ・・・」
「ふふ・・口から涎たれてるぞ・・のだめ・・ホント、獣みたいだな・・・」
「あへー・・見ないで・・下サイぃ・・手縛られてるんだから・・・ふけないデスよぅ・・ぁ・・」
ズズ・・と奥まで押し込むのと同時に、唇をのだめの口元まで持って行き、
舌先で涎をチロチロと舐め上げる。
「あ・・シンイチ君っ・・・」
「可愛い・・のだめ・・・」
そのまま舌をのだめの口に押し込むと、待ってましたとばかりにのだめの舌が絡まってきた。
二つの部分での結合は、ぐちゅぐちゅという液音を持ってして果て、解けた。
「悪かったな、こんなことして・・今ほどいてやるから」
千秋は縛られたまま上向きで息を荒くしているのだめの手を自由にした。
「シンイチ君・・・なんで今日は縛ったり・・アブノーマルプレイ満載だったんデスか?
のだめこんなの初めてだったんで、びっくりシマした・・・」
「・・・お前がルーブルの彫刻のコラージュなんてするから・・・
前、家族で行った時見た彫刻を思い出しちゃって・・
あれがお前だったら・・なんて想像を・・うわ、何言ってんだ俺!!!!」
真っ赤になった千秋をのだめがニヤニヤと見つめた。
「何ニヤニヤしてんだよ!!どうせ演奏旅行で溜まってたんだよ!!!
くそー・・・恥ずかしい・・どうにかしてた俺・・・・」
「でもこんなに感じたのも初めてだったんで、気持ちよかったデスよ」
「・・・・・」
ぽん、とのだめの頭に手を乗せる。
「ほら、今日は疲れてるからシャワー浴びて寝るぞ・・・・」
「センパイ、一つ聞いていいですか?」
「ん?何だ?」
「センパイが・・そのーのだめの件で妄想した彫刻ってなんて名前デスか?」
「・・・・・・・ジャン・デュセニュール作【怒りのロラン】・・・」
*************************
窓から明るい光が差し込んだのに気付き、目を覚ました。
手で隣に寝ているのだめを探るが、どこを触っても温かみにはたどり着けない。
「・・・・のだめ・・?どこだ・・・」
小さな声で読んでも返事はない。
まさかもう学校に行ったのか?
枕元の目覚まし時計を手にとって見ると、まだ朝の5時。登校するには早すぎる時間だ。
体にかけられていたシーツを巻き取りながら起きあがると、パソコンルームから物音が聞こえた。
「のだめ?こんな朝っぱらから何やってるん・・・」
「あは、センパイ!おはようございマス!!例のブツ出来ましたよーーー!!!」
「うわ、何だよ例のブツって!?・・ん?プリンターが動いてる・・・何か印刷してるのか・・?」
「ちょっと待って下サイね・・・フムフム、色もちゃんと出てマスね・・・バッチリデス」
千秋はかすかに嫌な予感を感じ取り、顔に縦線を浮かべた。
「・・・おまえ・・・まさか・・・」
「ジャーーーンッ!!!!昨日のシンイチ君の妄想の元ネタ、ジャン・デュセニュール作
怒りのロランにのだめの顔を継ぎ貼りしてみまシタ!!!
これでシンイチ君が演奏旅行中にムラムラしちゃっても、昨日みたいなうっぷんを溜めるコト無く
のだめのコトを想いながらスッキリ出来マスね!!
さーて、いつでも妻としてそばにいられるよう、トランクの蓋にでも貼っときマしょうか!」
そのA3用紙には、悪夢の様な光景が印刷されていた。
「おま・・これ・・・あの後ずっと・・こんな事・・・」
「苦労したんデスよー、肌の質感を似せるのは前回で学んだから大丈夫だったんデスけど、
無駄な筋肉とかヘンなモノを削ってぼかすのとか・・・大変だったんデス!」
だから無駄な努力を偉そうに語るんじゃねぇーーーーーーーーーーーーー!!!!
ぎゃぼーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
「・・・さっさとゴミ箱に捨てろ!こんなの貼ってるのエロジジイに見られたら何て言われるか・・・」
「がぼん・・・でもこんなにステキな芸術作品を捨てるのは惜しいデスよ!
資源の無駄デス!(?)ちょっとのだめムッシュ長田に講評してもらって来マス」
「は!?何言い出すんだよおまえ!!!」
「もちはもち屋、所詮音楽家にアートの事はわからないんデスよ。夢見る芸術家、ムッシュ長田の
大絶賛を受けて、センパイの高い鼻をポッキリさせてあげマス。」
スタスタと玄関に向かっていくのだめを、千秋はいそいで追いかけるはめになった。
「おい、本気かよ!そんなもん外に持ってくな!!うわーーーーーーー!!!」
おしまい。おそまつさまでした。
GJ!GJ!GJ!
初めてとは思えないです。
強引な真一くん、良かった!
今後の作品も期待してます。
GJ! 素晴らしいーー。
のだめの勢いが実にいいです。すんごい、のだめらしい。
またぜひ書いてください。
今日は2本も投下されて良い日だー
うはーお褒めの言葉ありがとうございます(泣)
っていうかトリが「エロあは★」だ・・・orz
お言葉に甘えて、お見せできそうなモノができたらまた投下させて頂きますー
674 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 00:58:35 ID:DnrXONcp
age
どうして、そんなとこにリボンついてるの?
しっぽ風?
元キャラに近いのキボンした630です!最高です!うれしー!!
まさにエロありギャグありで楽しませて頂きました。
夫婦漫才がほんと原作ぽくてステキです。
これで初めてだなんて…自分もキボンばかりしてないで
妄想膨らませてしたためてみたい、けど続かず…皆さんすごいデス。
ショコラさんの喪失シリーズの最初の部分が
DAT落ちしてしまってるから、全部まとめた保管所作ったんだけど
晒してもイイ?
>>677 神!
喪失シリーズ全部読もうとして読めなかったからうれしい。
ですが、あくまでもショコラさんの作品なんで…どうなんでしょう?
いっそのこと全体のまとめサイト作っちゃえば?
過去ログだと別スレにまとめレスアンとか載ってて見にくいし・・・
なんつって、作るのは自分じゃないから偉そうに提唱できないんだけどさ・・
680 :
677:2005/08/27(土) 04:35:35 ID:w/Fr4xs3
全部はさすがに無理だな……
本人待ちするか?
新参者さんGJ!
面白かったー是非また書いて下さいね
月子さんのも読めたし、うむ、いい日であったw
682 :
nico:2005/08/27(土) 11:26:24 ID:obVz0h0f
こんにちは。
千秋&のだめ@14歳に(* ´Д`)ハァハァがMAXとなり、書いてみますた。
エロなしです。そんなのイラネな方はさらっとスルーでおながいします。
683 :
nico:2005/08/27(土) 11:27:09 ID:obVz0h0f
「すいませーん」
ゆっくりと歩いていたところをふと呼びとめられる。
白いセーラー服に紺色のプリーツスカートの少女。
茶色がかった肩までの髪が風になびいている。
中学生くらいか?
「あの、道に迷ってしまって……
イギリス館ってどこにあるか知りまセンか?」
よく見ると観光客用の地図を握り締めている。
制服もこの辺りでは見かけないものだし……
修学旅行生か。
そういえばしゃべり方もちょっと変だ。
むりやり訛りを矯正しているような……
少女の持つ地図を覗き込み道筋を教えてやる。
同じ公園内だし、すぐそこだよと言ってやると、うれしそうにふわりと笑った。
「ありがとうございマス。の…私、友達とはぐれちゃって……」
「友達ってあれ?同じ制服の子がいるけど」
同じ制服を着た何人かの中学生が、何かを探すようにして歩いてるのを指差す。
向こうもこちらに気がついたようだ。
黒い髪の少年が一人、こっちに向かって走ってくる。
「あっ、みんな」
684 :
nico:2005/08/27(土) 11:28:02 ID:obVz0h0f
「のだめ!あほ!なんで急にいなくなると!」
かけつけた少年が少女の腕を握りしめて何かを叫んでいるが、
何を言っているのか、はっきり言ってさっぱりかわからない。
少年は怒ったような口調で何かをいい、少女はからからと笑う。
……だいたい「のだめ」ってなんだ?名前か?
「ありがとうございました。本当に助かりマシタ」
俺が考えこんでいる間に話は決着がついたらしい。
少女は礼を言い、手を振りながら、少年と共に仲間の元へ戻っていく。
* * *
「ごめん待たせちゃったかな?」
「いや。俺が早く来すぎたんだよ。今日はどうする?」
「私、映画の券もらったんだ。ちょうどみたいのあったし。行かない?
……ところでなんでそんなニヤニヤしてるの?」
「してねえ。じゃあ行くぞ」
待ちなさいよー、と言いながら彼女が付いてくる。
追いついたその手をとり、からませると、彼女は満足したように笑った。
「なにかいいことでもあったの?千秋君」
別に、と答えるけれど。
ちょっとおもしろいものも見れたし。
……あのセーラー服の子かわいかったな。
685 :
nico:2005/08/27(土) 11:29:09 ID:obVz0h0f
以上です。
エロパロ板なのにエロなしで申し訳ないです。
次はすげーエロいのを書けたらいいなー、と思ってます。
あと490さんに感謝です。やる気出ますた。
では。
GJ!!
3つも投下されててうれしいv
kiss休載で鬱だ氏のうがちょっと治りますた
GJ!!!
ちびのだめカワイスwww
本当に本性見なきゃ清楚で可憐な子だなwwwwwww
どこかでみたことある話だけどね。
「ちょっとのだめーー!このプリーツのスカート何?
のだめがワンピ以外の服持ってるなんて珍しいじゃない。」
のだめの部屋に遊びに来ているターニャが、
ベッドの上に無造作に放られたスカートをつまんで言った。
のだめはお盆に乗せて運んできたお茶を、机代わりの段ボールにそっと乗せる。
「それは‘セイフク’デス。日本では学校に通う時、決められた格好をする文化があるんデスよ。
多分、段ボールの中に上もあるはず・・・」
「へぇー、‘セイフク’・・・って何でパリに持ってきてるのよ?
こっちの学校ではそんなもの必要ないじゃない!」
「そなんデスけど、ヨーコが新作を送ってきた段ボールの中に紛れ混んでて・・・
懐かしくてちょっと広げてみたんデス。可愛いでしょ?」
「ふーん・・・あ、これが上ね。あれ・・・?なんかこのデザイン見覚えが・・・
そういえばフランクの部屋でこれと同じような格好のフィギュア見たことあるわ!
これよりはもうちょっとスカート丈が短かったけど。」
「それはきっとセ○ムンですネ、日本で人気のアニメデス。ジャパニーズ萌えデス」
「‘もえ’!?それって最近パリでも聞く言葉よね・・・確か‘最高に魅力的’みたいな意味だったような」
「ほへー、そデスねー・・・ちょっと違う気もしマスけど・・・」
セーラー服のスカーフを握りしめたターニャの目がギラリと光った。
「・・・のだめ・・ちょっとこれ着てもいい・・・?」
****************
ピンポーン、玄関チャイムの音が響く。
「のだめー、ターニャー、いる?わざわざ電話で‘カメラ持ってのだめの部屋まで来て’だなんて
いったい何が・・・ってうわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
玄関が開かれた瞬間、フランクは絶叫して尻餅を付いた。
「ちょっと!何叫んでんのよ!見てー、のだめのセイフクよー♪可愛いでしょ?」
「うーん、ファスナーが上まで届かないデスね・・・写真に撮る分には問題ないと思うんデスが・・」
無理もない、目の前にピチピチのセーラー服を着たターニャがセクシーポーズで立っていたのだから。
「何でセーラー服なの!?しかもちょっと無理があるよ、そのサイズ!ピチピチじゃないかぁ〜〜!!!」
フランクは尻餅を付いたままターニャを指さし、足をバタバタさせてもがいた。
「あら、ボンテージっぽくてセクシーでしょ?これ、‘セーラーフク’って名前なのね?
ほら、早く‘最高に魅力的’なわたしを写真に納めてよ!
いつも‘コスプレ’の人たちを撮ってるフランクなんだから、バッチリでしょ?」
「コスプレはコスプレでも僕は美しいコスプレイヤーしか写真に収めないんだ!!!
・・・まさかこの写真、ふられた元彼に送ろうとか考えてないよね・・・?」
「ギクッ・・・・!つっ、つべこべ言わずにさっさと撮りなさいよ!!このオタク!!!」
「それが写真撮ってもらう人の態度ーーー!?」
騒音に耐えかね、隣の部屋のドアがゆっくりと開かれる。
「うるさいな・・・人の部屋の側で何ギャーギャー騒いでるんだ・・・?」
「あ!チアキ!助けてよ!ターニャがあんな格好を僕の大事なカメラに収めろってうるさいんだ!」
は?と呟き、目線をターニャに向けた千秋の顔に縦線が勢いよく走った。
しかも傍らにしゃがみ込んでいるのだめは、スカートのファスナーを上げる事に躍起になっている。
悪夢というか、地獄というか・・奇妙そのものの光景である。
「・・・それ・・セーラー服・・なんで・・パリに・・・」
「ヨーコが間違えて送ってきたんデスよ、のだめが中学生だった時のデス。」
口をぱくぱくしながら言葉を絞り出す千秋にのだめが冷静に状況を説明する。
・・・なんだよそれ・・・
****************
それからも散々騒ぎ散らし、セーヌ川のほとりで‘最高にあり得ない’としか形容できない
写真を撮りおわった頃には、辺りも大分暗くなって来ていた。
「ハー・・もうこのカメラ汚れちゃったヨ・・・・」
「可愛いのはいいんだけど・・・これ・・・体中ミシミシ言うわ・・・早く脱ぎたい・・・」
とぼとぼとお互いの部屋に向かう中、ふと千秋がのだめの腕を掴んだ。
「センパイ?」
突然の事に驚いて振り向いたのだめに、目線をあわすことができない千秋は下を向いた。
「そのー・・・あのさ、ターニャが帰ったら・・制服来て俺の部屋来いよ・・・」
「・・・・何でデスか?」
「えっ・・何て言うか・・そのー・・・お前のセーラー服姿がどれだけ笑えるか見てやろうと思って・・・」
「・・なんデスかそれー!!!のだめのセーラー服姿は正直バリヤバですヨ!!青い果実デスよ!!!
すぐ行きマスからおいしいご飯作って待ってて下サイ!!!」
走って自分の部屋へ入っていくのだめの後ろ姿を見ながら、千秋はそっと顔を赤くした。
・・・・・・俺ってコスプレプレイもOKなヤツだったのか・・・
だってセーラー服だぞ・・・セーラー・・・って・・何考えてるんだ俺・・・・
「お盛んなのもいいけど、破ったりしないでね?また今度着るから」
「んもー、アダルトビデオみたいな事を本当にしたがるだね、日本の男は・・・」
ばっと顔を上げると、
階段の隙間からターニャとフランクがニヤニヤしながらこちらを見ている事にやっと気付いた。
「・・・・おっ・・おまえら・・・!!!さっさと自分の部屋へ帰れーーーーーーーーーーー!!!!」
真っ赤な顔で両手を振り上げて叫ぶ千秋を見て、二人は蜘蛛の子を散らすように去っていった。
・・・くそー・・・このアパルトマンでの俺の肩書きがどんどん
‘最高に変態’に近づいてきてるじゃねぇかぁぁぁぁー!!!・・・
芸術の、美食の・・・そして変態の街。パリの夜はまだまだ長い。
と言うわけで・・・調子に乗ってがしがし書いてしまいました。制服ネタです。
エロは体力と精神力を消耗するので省略してしまったorzすいませんエロパロ板なのに・・・
よろしければまた読んでやってくださいませー
GJ!!
最高に変態ワロタww
GJ!!
のだめっぽくてイイ!
なんか質が…
書き手さんも入れ代わってるんですね。
dropさんやケロリンさんが懐かしい…。
―― + ――― ←
>>697 ガッ! // | ヽ
/ ∧__∧ / / | ヽ
// / ( ) / .|
( ̄ ̄二⊂ 彡⊃ カキキキキーン!!
 ̄ ̄ y 人
ミ(___)__),,
のだめのバリヤバワロタw GJ!
>698
GJ!
萌えwwww
批判する人は理由をちゃんと書いて欲しいな・・・・
ただダメだけじゃ職人さんの投下意欲をなくすだけだよ。
釣りじゃないの?
じゃあ釣られた自分も逝ってくる・・・
―― + ――― ←
>>702 ガッ! // | ヽ
/ ∧__∧ / / | ヽ
// / ( ) / .|
( ̄ ̄二⊂ 彡⊃ カキキキキーン!!
 ̄ ̄ y 人
ミ(___)__),,
nicoさんのは、まるっきり同じ(と言っていいほどの)ものを、
某ブログで読んだけど。
はっきり言えって言うから書くわ。
>>705 禿同。
私も荒れると思うから書けなかったんデス。
この話題、いい加減やめたい。
みんな!モラルをもとうよ……。
まじでか。自分はここ以外は見ないから分からなかった。
第一、他人が創作したものを改変した作品で賞賛されても嬉しくないだろうに・・・・
708 :
nico:2005/08/28(日) 01:13:17 ID:uHDrqpdQ
一応「ありがちではないシチュエーション」とのだめ&千秋14歳で
自分なりに考えてみたんですが……
全部のブログ巡ってみます
申し訳ないです(´・ω・`)
私はそのブログを見てないから知らないけど、
ここに落としてるのは本人ではなくて?
某神は全作品ではないけど、自分のブログとここと、両方に書いてくれてるよね。
全く同じものではなく片方には加筆修正したものを。
あ、ごめん。とろとろ書いてる間に・・・。
本人じゃないのか。
制服ネタの御二方GJ。萌へましたよ
>>708 たまたまかぶっただけなら(゚ε゚)キニシナイ!!
ネタかぶりなんて完璧に防ぎようもないし難しいね
たまたまかぶった程度なら言わない。
詳細も酷似だから言ったまで。
たまたま、とは片付けられないくらいだったけど。
713 :
nico:2005/08/28(日) 01:33:31 ID:uHDrqpdQ
のだめブログ多い…… orz
捨てメアド貼ったんで、お手数ですがどなたかその
ブログ教えて下さいませんか?名前だけでもいいんで、、、
すいません
たまたま同じシチュエーションで、たまたま同じ展開で、
たまたま同じようなセリフを言うこともあるんですね。
>>713 サイトは晒せないから、ステアドでもいいから教えて。
メールで送ってやるよ
あっ晒してたんだ。送るよ。
>716
おくった?
718 :
716:2005/08/28(日) 02:09:09 ID:lSryHK2v
さっき送った。
乙です。
ふんむーー
これが本当にマジかぶりだったら・・・
作品の内容に絡めた作品を意識的に作り出していくしか解決策はないね・・・
ってか他のスレでもこういう事多発してそうな希ガス・・・
721 :
nico:2005/08/28(日) 02:16:35 ID:uHDrqpdQ
>>715さんどうもありがとうございます。
例のブログ、見させていただきました。
そっくり、というよりもほぼ同じ……
名前に関する記述も、方言についての言及も、舞台にした場所まで同じ
orz
なんというか、信じて下さいとしか言い様がないのですが、
皆さんに不快な思いをさせスレをいやな流れにして申し訳ないです。
じゃこれでこの話題は終わりで。
ただ今後エロなしは控えるのは重要。
ここエロパロだし。
新参者タンイイネー!
公式ののだめ14才マジカワイすぎ
724 :
◆e6A8b48fyY :2005/08/28(日) 04:06:22 ID:AKRsGrDM
あぁぁぁぁageてしまった・・・・・・orzorzorz
>>724 イイヨイイヨー
この勢いで、エロありを・・・
なんか急に安っぽいスレになったな。
投下ないのもあれだけど、安易な投下も困りもの。
ホントに偶然だとしたら、ありがちな発想だってことか。
なんにせよ、最近幼稚な投下が多い気がする。
前はクオリティ高いスレだったのにな。
こんなになるんだったらマッタリしてる方がまだいいよ。
投下します。
「のだめー、もう1軒行くぞー!」
「のぞむトコロですー!」
明日から千秋は、またシュトレーゼマンのツアーに同行することになっている。
ヨーロッパだけならば合間に帰って来ることもできるが、今回は2か月は
パリを離れっぱなしになるだろう。
言葉には出さないが、ふたりとも今までになく「寂しい」という感情が生まれていた。
出発の前夜、すこし豪勢な食事をしよう、と千秋は2つ星レストランに予約を入れておき、
祝いでもなんでもないけれど、と思いつつシャンパンをあけた。
2人ともいつもよりも飲んでいて---のだめは元々弱いが、千秋も飲める割にはすぐに酔う。
酔いながらもどこかでもう少し飲もうと決めたものの、
どこに行くかちょっと考えながら、とりあえずあてもなく歩き出しながら
千秋がのだめの手をとり、指を絡めると、のだめが潤んだ目で横顔を見上げる。
“彼女だって、いつまでもコドモじゃないんですからネ”
“黙って飼い主を待ってる子犬でもないデスよ”
シュトレーゼマンから先日言われた言葉のせいで、小さな不安が千秋の胸の中にあった。
のだめと長期間離れるのがこんなに辛く思えるなんて……おれはどうしたんだ。
すると、そんな考えが伝わったのか、のだめが、千秋の腕をぎゅっと掴んだ。
ん、と顔を見やると、真剣な表情で。
「なに?」
「センパイ……パリを離れている間も、のだめのコトちゃんと覚えていてくださいヨ……」
「何言ってんだよ」
「のだめ、時々不安になるんデス。
……のだめ、こんなにセンパイが好きなのに……センパイは…?って」
「ばーか、この酔っ払い……」
酔っているせいでこんなことを言っているのは確実だが、
少なからず本気なのだろう、そんなことが伝わってくる言葉だった。
「……それは俺の台詞」
そう言うと、千秋は立ち止まってのだめの肩を強く抱き寄せた。
「……おまえ、最初はただの変態だったのに」
「ムギャー!なんですか変態ってー!」
「その変態のことを……いつのまにかこんなに好きになってるんだからな」
のだめが何も言わないので千秋が顔をのぞきこんでみると、
すこし潤んだ瞳で千秋の目を見つめていた。
「センパイ……のだめ、すごーく、嬉しいデスよ……?」
「おれも……」
2人は、しばし無言になった。
抱いた肩から、触れている手から、お互いの体温が入り込んでくる。
「………やっぱり、帰ろうか」
「……そのほうが、いいかも……」
千秋はのだめの肩を抱いたまま歩き出した。
ほとんど無言で、時折、からめた指を、千秋が優しく撫でさする。
まだ夜半過ぎ、人通りは多い。
もちろん誰もそんなところは見ていないのだが、のだめはその感触に
とてもエロティックなものを感じ、自分の中が熱くなるのがわかった。
「はやく、2人きりに、なりたいデス……」
「……ああ」
アパルトマンへ辿りつき、鍵を開けるのももどかしく扉を閉めると、
どちらからともなく唇を合わせた。
豊かな感触。もう、何度となく合わせている唇なのに、
何度味わっても飽きることがない、甘美な瞬間。
強く抱きしめ合い、お互いの背中に手を這わせていた---が、
「………ん」
「あ……あ、きゃ……あ!」
力を入れ過ぎたのか、バランスを崩し、2人ともひっくりかえってしまった。
だけど床の上に倒れた2人は、なぜか笑っていて。
「あー……ばーか…ははは、大丈夫かー…?」
「うふふふーーーっ……」
「はははは……」
「センパイ、すっごい笑顔ですヨ…?」
「なんだか楽しくて……なんだろ?」
「酔っぱらってるからでショー…」
「いや……おまえといるからじゃねーか……?」
「うふふ……今ごろ気付いたんデスか?」
「そう、かもな……」
床に座り込んだままふたたび、のだめの唇が千秋の唇で塞がれた。
お互いを求めるような唇のすきまから漏れる吐息が、だんだんと熱くなってくる。
耐えきれなくなったのだめが彼の頭を抱きしめ、柔らかな黒髪をかきまぜると、
それが合図のようにのだめの身体がふわりと浮き、千秋の腕でベッドまで運ばれた。
唇を重ねたまま、ベッドの上に座らせたのだめのワンピースのファスナーを下ろし、
頭から引き抜く。ブラジャーをはずすと、豊かな双丘がまろび出た。
灯りは点けていないが、月明かりがカーテンを透かして、
のだめの白い肌をかすかに浮き上がらせている。
「センパイも脱いで……ズルイ……」
「ああ……」
千秋は、のだめの身体から視線を外さないままにジャケットを脱いだ。
ネクタイを器用に片手で外して後ろへ放り、シャツのボタンを外しはじめる。
まず、両の手首……それから胸の一番上から……
のだめは、その仕草を美しいと思った。
千秋の指が、丁寧にボタンホールをこじ開けていく、
その指が、これから自分の身体を縦横無尽に動くのだ……
それだけでのだめは濡れるのを自覚した。
「……なに?」
「え?」
「なんか、視線を感じたんだけど」
「イエ、先輩の指が……やっぱり、エッチだな、って見てたんデス」
「誰がエッチだよ……ベルト、外して」
「のだめがデスか?」
「おまえ、初対面のときに人のベルト勝手に外したんだろ、なんだよ今さら」
だって…、と思う。
だって、いま千秋のベルトを外そうとすれば、どうやったって
下腹部---のそばに自分の手がいくことになる。恥ずかしい。
躊躇していると、千秋が自分でのだめの手をとって、ベルトのバックルへ導いた。
「ほら」
「……センパイ、カズオ入ってますヨ?」
のだめは仕方なく、言われた通りに外そうとしてみたが、他人のベルトを外すのは
案外難しくて、力を込めて両手で引っ張らなければならなかった。
「おまえ不器用だな」
「知ってるくせにやらせてる人が何言ってるんですか……あっ」
千秋が、のだめの乳房に手を伸ばしてきた。指先だけで、頂をはじく。
「や……外せなく、なっちゃう……っ」
「がんばれ……」
「ん……っ……あ、やだ…」
千秋からの刺激でのだめの手元は狂い、手が滑って
下腹部に手が当たってしまった。
「ごめんなさい、デス……」
千秋は何も言わなかった。
千秋の悪戯な手をかいくぐりながら、ようやくベルトは外れたが
目でうながされ、ボタンとファスナーも下ろす羽目になる。
露になった下着、そしてそれを押し上げているものが目の前に現れる。
「……触って」
千秋の言葉に促されて、のだめはおずおずと手をのばし、
下着の外から手で触れ、覆い包むようにして形をなぞった。
のだめにはほかの人のものがどうなのか分からないが---
千秋のもののように美しいものはないのではないかと、いつも思う。
触れるとぴくり、と動き、撫でてみると、またちょっと固さを増したような気がした。
「……来いよ」
千秋は自分で下着を脱ぐと、のだめの背中に手を回し、自分の上に誘った。
のだめが上にまたがるようにして座ると、千秋が指を伸ばしてくる。
「……まだ何もしてないのに、すげ……」
「やだ……」
のだめは頬が熱くなり、千秋の首に腕を回して抱きつき、顔を首筋に埋めた。
千秋はそんなことにはかまわずに、指で泉を探る。
もうそこはすっかり濡れそぼっていて、少し蕾に触れただけでさらに
泉が溢れてくる。
指を1本、そして2本……と挿し入れるとあっさりと飲み込まれた。
「ん…っ……やん」
やがて千秋の大きな手が乳房に触れると、のだめの身体が反った。
下から持ち上げて、円を描くように揉み上げながら乳首を擦ると
そのたびごとに身体が震え、一層甘い声がのだめから漏れる。
優しく舐めあげ、舌先で思うまま蹂躙すると、間断なく子猫のような
鳴声があがるようになった。
もう、……だめだ。
千秋は自分の限界が近いことを悟り、のだめの腰を抱いた。
「このままちょっと腰浮かせて……自分の手、添えてみて…」
「ん……あっ……」
「あ……」
包み込まれる。
のだめを抱くときはいつも、千秋はこの中の熱さと気持ち良さに改めて驚く。
のだめがゆっくりと千秋自身を自分の中に埋めていくようにしゃがみ込むと、
千秋はのだめの背中を支えて身体を揺すった。
ゆっくり、そして早く。繰り返し腰を持ち上げては落として。
やがて、のだめも自然と自分で身体を動かし始め、
ふたりの合わさった部分からは水音がしていた。
「や……あ!……はっ……あ……」
「気持ち、よすぎ……っ」
「のだめ、も……う……ダメ……あんっ……あっ」
「め…ぐみ……!」
「しんいちく…ん……!」
*****
「千秋、体調でも悪いのかい?なんだか、疲れた顔してるけど……」
翌日。
シュトレーゼマンの自家用ジェットに搭乗するため、空港に行くと
まずオリバーが声をかけてきた。
「いや、大丈夫……着くまで寝させてくれ」
そんな千秋を見て、シュトレーゼマンが面白そうに声をかける。
「どーせ、昨夜はのだめチャンと別れでも惜しんでたんデショ。
顔色だって、悪いっていうワリにはツヤツヤピカピカ、スッキリしてるじゃない、
ワタシが焚き付けたんだから感謝しなサイよ。
ほんと千秋はやせ我慢の負けず嫌いですからネー」
何とでも言ってくれ。とにかく、今は、眠りたい。
昨夜を思い出しながら−−−。
おわり
制服プレイ投下したいと思います。
では…
(一)
そろそろ寝よう、と二人でベッドに入り照明を落とす。
どちらかが眠りにつくまで、つかの間のおしゃべり。
「ねぇ…先輩。」
「ん?」
「…先輩は、なんかその気になるっていうか…
ムラムラきちゃうコスチュームってないんですか?」
「はぁー?」
「だからー、のだめにとっての先輩の黒燕尾と同じでぇ…」
「んなモンあるか」
「ズルイーのだめには言わせておいて!」
「お前が勝手に言ったんだろ!俺にはそんな趣味ないし。」
「…真一くん…教えてくれたら…着てあげてもいいですヨ?」
甘えたような声でのだめが囁く。
「…」
「ほらー迷ってる!やっぱりあるんでショ!」
「いや、ほんとに考えたことないから。
でも…今ちょっといいなって思ったのが…」
「何デスか!?」
「お前絶対人に言うなよ?それから…俺が言ったらほんとに着る?」
弱みを握られるようで癪だが、目先の楽しみには代えられない。
「もちろんデス!(むむん、やっぱりモノによりマスね…ドキドキ)」
「…制服…その…学校の夏服。」
「あぁ…(良かったデス、わりと普通で)」
「なに?あぁって///」
「いえー。制服デスか!のだめが着てたやつでも…?」
「えっ…とってあんの?」
「ハイ!ヨーコに頼んで送ってもらいマス。」
「じゃ何かうまい言い訳考えないとなー。」ごにょごにょ言う千秋。
「ここで先輩、二者択一です!中学と高校、どっちがいいデスか?」
「と…特徴は。」
「中学はセーラー服。スカートは紺の細かいプリーツで、丈は膝下デス。
あとは白いスクールソックスに、白いスニーカーでしたねー。
高校は白いシャツに紺のネクタイ。
スカートはやっぱり紺で、プリーツはかなり太めです。
それからのだめの頃はルーズソックスにローファーでした!」
「それ…シャツはセーラーみたいに出すの?スカートの丈は?」
「シャツはスカートの中に入れるんデス。のだめんトコのは肩章がついてて、
ネクタイも太めでかわいいデスよ!
スカートはパンツが見える程じゃないケド短いデス。」
「んじゃ高校にしとくかなー。そん時のお前のサイズって事だろ?
ロリコンじゃねーし、高校生はウエストも締まって出るとこ出て…」
「…ムッツリ。」
「男なら当然だろ。目がいくんだよ。」
「ぎゃぼ!でものだめ今より丸かった気が…」
「ふぅん…俺は今より痩せてたなー」
「お互い知らない若かりし頃があったんデスね〜会いたかった…」
「まぁな。…明日早いんだろ?いい加減寝よう。」
「むきゃ!真一くん、おやすみナサイ…」千秋の頬にチュッと軽いキス。
「おやすみ。(制服プレイか…やばいかも。)」
(二)
結局制服が届いたのは三週間後だった。
「うっきゅっきゅ〜」
「早く着てみせろよ。」
「だぁめ!夜のお楽しみデス。先輩もそのつもりで制服って言ったんでショ?」
小悪魔のだめ。
「それはそうだけど…もう夜じゃん」
「ゴハンもお風呂もまだじゃないですかー。焦らない焦らない♪」
「ティル…」対カズオ。
********************
夕食後、それぞれ音楽に没頭していた二人だったが、
今日のノルマを達成したのだめが千秋の部屋を訪ねた。
「先輩、まだおベンキョ終わりませんか?」
「いや、もうそろそろ切り上げるつもり。夜のお楽しみもあるしな…」
言いながら机に向き直った千秋だが、その耳は赤い。
「むきゃ!じゃあ先輩、お風呂あがったら先にお布団入ってて下さい。
のだめ準備して行きマス!寝ちゃ駄目デスヨ〜」
「了解ボス…。」
********************
のだめは悩んでいた。
着替えてはみたものの、とうに二十歳すぎた自分の制服姿。
童顔と言われることもあるし、似合ってない訳でもないと思うが、
所詮自分ではわからない。
着替える前は当然、自分の高校時代を想像していたが、やはり違和感がある。
「のだめ、老けましたカ…?」誰に聞いているんだ。
果たして千秋に喜んでもらえるのか…
「やるしかないデスね」
気合いを入れて部屋をあとにした。
(三)
コンコン…
「真一くん…」
そこには高校の夏服を着てルーズソックスとローファーを履いているのだめ。
新鮮で目が離せない。
「…」
「や、やっぱりヘンですか?…イメージと違いました?(うぅ…はじゅかし〜)」
「そんな事ない。…似合ってる。」
くびれたウエストによって胸が強調され、
短いスカートからは白く滑らかな脚がのびている。
千秋はそれだけで欲情した。
「こっち来て。」
ベッドを降りると傍に立たせ、今度は至近距離でじっくり見る。
「そんなにじっと見ないでくだサイ…恥ずかしいデスヨ…」
「なんで?…すごく可愛い…」
ウエストに両手をやり、のだめの髪や顔中にチュッ、チュッ、とキスをする。
額、瞼、鼻、頬、顎、最後に唇。
「ほんとに?」
キスを繰り返しながら聞き返す。
「うん。想像以上…」
「ムラムラしますか?」
「やばいくらい…」
「ヨカッタ…………あん。」
千秋の唇はのだめの耳や首筋へと移動していた。
唇と舌を同時に使いながら、のだめの喜ぶスポットを丹念に舐める。
「ん……ん、んん………」
「これ…下着が透けてるよな。」
「夏服だし…それに…アンダーは高校時代より少しは細いんですけど、
トップが…」
「胸がデカくなったってこと?」
「ぅも〜先輩その言い方!
でもそデスね、それでちょっとパツンパツン気味なのかも。」
「エロいな…色までわかる…今日は水色?」
軽く胸へ手を這わせる。
「あっ…ン…当たり…」
(四)
再び唇に、次は濃厚なキスを繰り返す。
千秋はのだめの背中をさすりながらホックを外す。
その手は背中から脇を通り胸へ。
ブラを完全に取ることはしないが、ホックが外れているため充分堪能できる。
制服の上からのだめの乳房を揉みあげる。
「あっ……うん、ん……」
段々と硬くなってきた蕾を確認すると、やはり布越しに口に含む。
執拗に吸い付いているうち、その部分は千秋の唾液で濡れ、
乳首が透けて見えるのだった。
視覚的満足感が高まる千秋。
「あん!あ、あぁ………真一くぅん…」
「…なに?気持ちいい?」
「ん…気持ちイ…あれもやって…」
「なんだっけ?」
わかっているが意地悪く聞き返す。愛撫にはこういう焦らしも必要だ。
「お願い、ペロペロしてぇ…」
さすがに最後まで言わせるのはかわいそうで。
千秋はベッドに腰掛けながら、のだめのシャツのボタンをいくつかはずし、
上へぐいと押し上げた。
ピンク色のつんと立ち上がった乳首を見つけると、舌で荒々しく小刻みに舐める。
のだめは噛んでも鳴かないが、こうすると喜ぶ。
「んっんっんっ……あぁ、あん…」
その甘い声に千秋はクラクラと暈がした。
左手は尻を撫でながら右手は太股の内側を這わせる。
のだめにとってその動きはもどかしく、
体中で最も感じるそこへはなかなか到達しない。
「もっと…あぁん…」
眉間に皴を寄せ、切なそうな、また悩ましげなのだめの表情を見た千秋は、
思わずショーツの上からそこに触れる。
二本の指で、優しく前後に撫でながら、乳首を解放した口で囁く。
「のだめ、濡れてる…いっぱい感じた?」
「そんなコト言わないで…もっとおかしくなっちゃう」
「おかしくなっていんだよ。もっと俺で感じて…」
そう言うと千秋はのだめの足元に跪き、ショーツを取り去った。
そしてスカートに頭を入れると、鼻先でクリトリスを刺激した。
「あぁぁぁぁん…!!」
のだめはあまりの快感に声をあげた。
その手はスカートをたくしあげ、千秋の頭を抱えるようにしがみつく。
「あぁ…のだめの匂いがする…堪らない」
今度は舌で舐めまわす。のだめの足は交互に揺れ始めた。
「あぁっ!!だめ…ダメです、もう、体が……あン 、足が…立ってらンない
……あぁ、ううん、イッちゃう、イッちゃうーーー!!」
次の瞬間のだめの体が痙攣した。
(五)
「ごめんなサイ、のだめ一人でイッちゃって…」
「女は何度でもイケるだろ?」
「え…」
ドサッ。
のだめはベッドの端に押し倒されていた。
激しく舌を絡め合う深いキスを繰り返しながら、千秋は愛撫を再開した。
のだめもまた、千秋のTシャツを脱がせ、スウェットの上からモノを撫でた。
既にビンビンに大きく勃起した千秋自身。
「真一くん、早く…」
可愛いおねだりに理性も吹っ飛び、真っ白になった千秋は手早くゴムを着け、
ルーズソックスを履いた足を抱えながら一気にのだめの中へ進入した。
最初はゆっくりとピストンを繰り返し、次はあらゆる角度から攻めるように、
その中を掻き回す。
「あぁっ!!んー、んっんっんっ」
「はぁ…、はぁ…、」
「真一くん、もっと、もっと…!!」
のだめの声を聞いて最奥まで突き、小刻みに激しく動く。
「あぁぁ!!あっ!イクぅ!イッちゃう!」
「俺も…いきそう…ッ…のだめ…のだめ…」
さらに動きを早める千秋。
「あっあんっ!あーーーーー!!」
「はぁっ…はぁっ…」
千秋はのだめの息が調うのを待つと、繋がったまま彼女を抱えて立ち上がった。
「ひぃっ!真一くん、またのだめだけ…?」
「いや、敢えて我慢した。お前の制服見たら最後はこれでイキたくなって…
俺の腰に足絡めて…?」
「こうデスか…?」
のだめが足をまわした瞬間、尻を抱えた千秋の激しい突き上げが始まった。
まるで振り落とされそうな勢い。
のだめは千秋の首に必死でしがみつき、
敏感な場所が常に震え上がっているのに気付いた。
(どうにかなっちゃいそうデス…)
「し、んいち…くん、だめ、もうだめ、許して…」
あまりの快感に体中が痺れた。
「のだめ、一緒に…」
「あっあっあっあっあっ」
「いくぞ…っ、、、あぁっ!!」
「!!!ぁン〜〜〜〜〜」
「はぁはぁはぁ…」
(六)おまけ
「今日、すごくヨカッタデス…はうん。」
「俺も…すげぇ気持ち良かった…」
「制服大正解でしたネ☆」
「うん…………なぁ。」
「何デスか?」
「今度、制服着たら……水で濡らさない?」
「…先輩ほんっとエッチですね…」
以上です。
失礼致しました。
GJGJ!!
神々の創作意欲に感服しますた。
GJ!!
最近活気があって嬉しい限りです。
ほんと今、活気ありますね!
>>655で制服プレイものやると書いた者です。
>>655では他の職人さんが書いたらやめると書いたんですが、
途中まで書いたら正直、惜しくなってしまいました…
明日にでも投下してもよいでしょうか?
他の職人さまの制服ものが何点も投下された後なんで恐縮ですが…
遅いですがショコラさんの読みましたwGJ!!すごい普通に小説でてそうな感じ
ですねwあと月子さnのも読みましたwGJ!!!みなさんのも今から読みます♪
いつも楽しませてもらっててどうもです!!!
制服プレイはもうお腹イパーイ……。
なら読むな
おいらはどんなのでもとりあえず読んでみたいぽ。
お二方もGJです。
>>730さん!とっても素敵でした!
描写が丁寧で、千秋とのだめの雰囲気がよく出ていますネ。
またの投下をお待ちしています。
最近はのだめ変態というより、千秋変態化がブームなのか・・・。
王子様のような千秋がやっぱり好きだなぁ・・・。
エロパロなんだから、エロがあることはポイントだと思う。
そして、パロディならば原作へのオマージュを感じたいよ。
AVみたいなのってどうよ?
なんにでもGJってのは、スレが低迷する原因だと思うぞ。
自分好みの作品じゃないのが乗ると、すぐにいちゃもんつける人は
スルーという単語を覚えよう。
君たちの好みが嫌いな人がいたらどうするのだ。
仲良くね。
好み・好みでないの問題ではないと思うんだがなー。
適当な長さで、エロありで、且つ「読ませるなあ」というSSが少ないんだとオモ。
読んでいて、頭の中で千秋とのだめが動いている様が容易に想像できるというか、
そういう良作が読みたい……ということだよね?
だから、>730-733 さんのSSは、ここ最近では良作、と思う。
原作にあり得るシチュエーションで、キャラも壊れていないし、オチもちゃんとあって、
千秋ものだめもとても『らしい』感じがする。だから、心おきなく『GJ!!!!!!!』だ。
一般的に女性がぐっと来る官能表現と男性がぐっと来る官能表現って違う気がする。
作家さんの中で、男性が混じっている気がするんだけど、どうだろう。
読んでいて所々「萎え」があったりするんだけど……。
ちなみに私は女であります。
つまり、753の萎え作品は載せるなと。
我が侭だな。
753が自分で理想の作品をたくさん投稿しなよ。
自分は読み手なので、読めればなんでも嬉しいし。
753のいいたいことはよく、わかるんだが
ある一定の方向性(作風)でかつ高いクオリティーの作品を排出し
維持される場所ではない、ということだな
複数の人間が投稿しているわけだし、753が「違うなー」と思っても
投稿者その人なりの「のだめらしさ」を追求しているのだろうと思うし
もちろん、高いクオリティーを求めるのはいいことだよ
ピンクにも拘わらず、ここはスルーできない厨房が集まるスレになった模様です
はげど。
高い金だして本買ってもがっかりすることがあるのに
一体エロパロ板に何を求めているのかと小一時間(ry
中高生がまぎれてる予感。
一生懸命かいてくれて投稿してくれてんだからイチャモンつける人は
まず投稿しろって話ですネ
好みの話は個人の問題なんだからわざわざかかなくても。。。と思う今日この頃。
だからさりげなくリクしろと小一時間…!
今度は王子様千秋が読みたいなあという書き方は出来ないの?
文句言う前にリクエストやネタ提供しろって。
これでまた、職人さん達が沖合いの方へ行ってしまった希ガス
>>758 むしろドリーミーないい大人かもしれないぞ…?
じゃあ、
今度は王子様みたいなティアキが読みたいな☆
ヨロティク!
自分で書けば
制服お腹イッパイな人はスルーの方向でお願いします。
とりあえず投下します。
何だ?
なんだかとても…いい気持ち……。
ああ…ここは中学校のプールで、夢、見てるんだ…オレ…。
遠く校舎の方からピアノの音が聞える。
……ラフマニノフ……。
夕日が水面をオレンジに染め、ゆれゆらと揺れる。
千秋は大の字になって浮かんだ。
きもちイイ…。
こんなにゆったりした気持ちは何週間ぶりだろう。
目を閉じても、瞼に落日の気配を感じる。
暫く、このまま…。
「せんぱ〜い!!」
聞き覚えのある声に反射的に目を開けて立ち上がると
肩までの茶色っぽい髪を揺らしたセーラー服の少女が走ってきた。
「……のだめ…」
なんで、セーラー服…。
ああ、昼間、のだめの昔の写真を見せてもらったからだな。
オレって案外単純……。
オレはロリコンじゃねぇ…ロリコンじゃねぇけど…ちくしょー!カワイイじゃねえか!のだめのクセに!!!
のだめは飛び込み台の上にぴょこんと元気に跳び乗って千秋に無邪気に手を振る。
その時、短めのスカートが風にふんわり吹かれ、水色の下着が見えた。
千秋は少し顔を赤くして俯いた。
なんで、なんで、なんで、ひもパンなんだ…。
オレの妄想って一体…。
クロウサギがバックで飛び跳ねる。
後ろの横断幕にはピンクで「うぇるかむ・へんたいのもり・しんいちくん!」の文字が。
……ヤメテクレーー!!
気がつくとプールの周りはいつの間にか校舎ではなく森になっている。
オレ、もしかして変態の森にいるのか?いいのか?オレ?
「先輩一人だけでプール入ってズルいですよー!のだめも入っていいデスかーー?」
「って、お前水着着てないだ……」
ザブーーーンーーーーー!!
言い終わらないうちにのだめは千秋目がけて
勢い良く服のまま飛び込んだ。
「ナイス☆キャッチ…デス、しんいち君…」
そう言いながら両腕を千秋の首にかけて耳のすぐ下あたりに頬を寄せた。
「バカヤロー!びっくりするじゃねーか!!」
密着した上半身からじんわり熱が伝わって来る。
「のだめ、おまえ胸小さくなった?」
「発展途上中デス…高校一年ですからー。でも、これ、夢だから大きくできマスよ?
大きくしますか?」
「ん……そのままでいい………」
言いながらセーラーの赤いスカーフの結び目を解く。
もう片方の手は太もものあたりをゆっくり上下している。
「今日のしんいち君、とてもエッチデス…」
「おまえの今のカッコの方が…どう考えてもやらしいだろ?」
「しんいち君の願望ですよ?」
のだめは楽しそうにくすくす笑った。
「…………」
腕の中で笑う少女は確かにのだめだが、やはりどこか幼さの残る面差しをしている。
ふっくらした頬がかわいらしい。
そのくせ、濡れた制服が体に貼り付いてひどく扇情的だ。
茶色っぽい髪から雫がぽたぽた落ちて千秋の胸を伝う。
「せんぱい…」
「ナニ……?」
「あ、あたってマス…先輩の、その…あの…」
夕日に染まるのだめの頬が更に赤くなる。
「ああ、そう…」
「カズオ…」
「嫌か……?」
「嫌…じゃ…ない、デス……少し…」
「少し…何?」
「こわい…デス」
「大丈夫…おまえの事…好きなだけだから…」
のだめは千秋の胸に顔を埋めた。
「…先輩……もう一回言ってもらっていいですか?」
「…絶対言わねぇ」
「ケチ…カズオ……じゃあ、キスして下さい!」
ついっと唇を突き出す。
「そのクチやめろ!!」
「え〜!」
人差し指でのだめの唇をすっと軽く横に撫でるとじっと目線を絡ませる。
合図の様に同時に二人は目を閉じた。
あたたかく柔らかな感触。何度も重ね合わせては離れる。
千秋は滑り込ませるようにのだめの唇を舌で割った。
舌と舌が絡み、息をするのも惜しむようなキスに二人は夢中で互いを貪った。
唇を離すと一本の糸が互いの間を結んだ。
目を開けるとのだめは千秋の顔をじっと見ていた。
「おま……それ、反則…」
「せんぱい…のだめちゃんと聞こえましたよ。のだめもせんぱいの事……」
潤んだ目でじっと見つめると千秋の手を取って自分の左胸のふくらみの上に置いた。
「ドキドキしてマス」
「オレも…」
千秋ものだめの手を取って自分の左胸に導く。
のだめの指が千秋の乳首を軽くはじく。
「ふふ…しんいち君の乳首…ピンク色デス…」
「バカ…のだめ…変態……」
「先輩、顔赤いですよ?」
「るせー…」
「息も乱れてマス」
解かれたスカーフがぷかぷか向こうの方に流れていった。
「…おまえのも、見せろよ」
そっと制服の上衣の裾をめくると抱きしめるようにしてブラのホックを外す。
C70……。
もどかしい手つきでブラをずらすと堪らず左の乳首に舌を這わせる。
初めは舌で押し付けるようにしたり舌先で撫でるように愛撫していった。
「はうん…せんぱい……くすぐったい…」
同時に反対の乳首を右手で攻める。
「んっ……あっ…やっ…」
思いがけない反応に千秋の下半身はますます昂る。
舌で弄んでいた乳首を唇で軽く挟むとさっきより強い反応があった。
「あっ、あっ…あんっ…」
少し苦しげに息をするのだめの頬は紅潮して口元が誘うように開いている。
……やべぇ…かわいい。
こいつにこんな感情を抱いてしまうとは…。
出会った当初は微塵も思ってもいなかった筈だ。
予感は、あったのかもしれない…。
こいつのピアノに初めて惹かれた時から。
最初は敬愛するヴィエラ先生に雰囲気が似てたから気になっただけだった。
その後もなんとなく放っとけなくて…。
今はーーー…。
『彼女に会ってから良いこと尽くしだよ』
ジャンのそんなセリフを思い出す。
千秋はのだめをプールサイドに浅く座らせるとプリーツのスカートの前を捲くりあげた。
レースの下着は水に濡れて透けて張り付いている。
腰周りで頼りなく揺れるひもを解くと、自分の肩に膝を置くようにして強張った足を開かせる。
「せ、せんぱい…そこは…あんまり見ないで下さ…」
「おまえのココ、ピンク色…」
小さな突起を鼻先で突付く。
既に硬くなったそこは熱を持ったように熱い。
「きゃっ……!」
刺激の強すぎる快感にのだめは思わず小さく声を上げる。
「のだめ、感じやすいんだ…」
「ん…っきの…復讐デ…スね…」
「おまえが悪い」
「陰湿……んんっ…好き…デス…」
どういう理屈だよ、と思いながらも好きと言われれば悪い気はしない。
執拗な舌先の動きは次第に激しく強くなっていく。
舌を離して、愛液で溢れかえったそこに指をまずは一本埋めていく。
クチュ…水の音とも違う音が指を出し入れする度に辺りに響く。
「…なぁ…聞える?」
「……ハァ…のだめの…エッチ汁の音デス…」
「おまえ…そんな恥ずかしいセリフ平気な顔で言うな…」
「のだめ…なんか…頭が……ぼうっとして…ん…」
「ん…のだめ…どうした?」
「ブラ…もう少し…ハァ…上に…ずらしてもらって…いいですか…?
乳首が擦れて…のだめ…先輩が手でシてくれるの…とブラが擦れるのとで感じすぎて…変になっちゃいそ……」
言葉を遮る様に千秋の舌がのだめの小さくほんのり色づく胸の突起に触れた。
同時に蜜でいっぱいの膣内の小さな突起を指先でソフトに撫で上げると、
のだめの体がピクンと跳ね上がった。
熱を持ったように熱いのだめの膣内から溢れた愛液が小さな水たまりを作る。
胸の上までめくり上げられたセーラー服と乱雑にずらされたブラから覗く
真っ白で柔らかな胸を上下させ、目を潤ませてハァハァと息を弾ませるのだめを見ているだけで
千秋は先走りが滲むのを感じた。
「ふぁ……し…いちく……の…だめ……溶けちゃう…あつい……」
「おまえのエッチ汁、溢れすぎて尻の方まで伝ってる…」
「しんいち君のせいデ…あっっ!あんっ!や…やぁっ…!」
のだめの膣内が千秋の指をきゅうきゅうと締め上げる。
千秋は膣内の突起を擦り続けたまま尖りきったクリトリスを親指で撫でた。
のだめの足がつった様にピンと伸びて千秋を締め上げる力が一層強くなる。
「……はぁっ…く…っ…アッ…!」
のだめの肢体はビクンビクンと小さく痙攣しており、腕に触れると過敏になった肌が素早く反応する。
目のふちにはうっすら涙が浮かんでいた。
「はぁ…はぁ……しんいち君……」
甘い余韻に体を任せながらのだめは快楽に潤んだ目で千秋を見つめた。
ひと筋の汗が胸の谷間を伝った。
そっと唇を寄せその汗を吸うと、のだめの味がした。
「今度はオレの方が気持ち良くなってもいいか?」
「しんいち君?」
千秋はそのままのだめの足を抱えたままプールサイドへ上がった。
手早く水着を脱ぐ時、摩擦で危うくイキそうになったが堪えた。
もう限界が近い。
「ふぉぉ…先輩すごく元気です」
「…いい?」
のだめは無言で頷いた。
ゆっくりと自身をのだめの膣内に埋める。
狭いのだめの中はしっとりと千秋を包み込んであたたかい。
「のだめ…のだめ…のだめ……」
堰を切った様に腰を打ち付ける千秋の切ない声が響く。
愛液と精液が混ざって互いの熱と一緒に溶け合っていく。
二人の体液が紺色のプリーツスカートを汚していく。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音とのだめの時折漏らす声が千秋を本能の駆り立てるままに動かしていった。
「ぁあっ…あっ……んっ…しんいちく…」
のだめはやさしく千秋の髪を撫でると足を腰に絡ませた。
千秋の動きは一層激しくなった。
あ……オレ……もう……!!
目の前が真っ白になっていく………。
----------------------------------------------------------------------------------------------
「先輩♪おはよーございマス」
至近距離にいきなり元気いっぱいののだめ顔があった。
咄嗟に状況が掴めなくて千秋はつい辺りをキョロキョロと見回してみた。
あー、オレ…昨日ソファで寝てしまったのか…。
見ればタオルケットがかけてある。
「もー、先輩ちゃんとベッドで寝ないと体痛くなりますよ〜。夏だからってこんなクーラーがんがんかけてるのに
何にも掛けないで寝ちゃうなんてー。風邪ひきますよ。気をつけてくだサイ。妻からのお願いデス」
「あー、ありがと」
なんか後ろめたくて、のだめの顔が見れない。
あんな夢……。
しかも…もしかして……オレ…朝立ちしてる?
そんな千秋の事情にはお構いなしにのだめは千秋の隣にちょこんと座って顔を覗きこんで来る。
「先輩、具合でも悪いんですか?顔色悪いデスよ?」
「別に…」
「嘘デス!先輩何かのだめに隠してます!」
「うるせーーー!とにかく巣に帰れ!!」
「嫌デスーーー!まだミミズをもらってません!」
「後でカフェにでも連れてってやるから、いっぺん帰れ!」
「…分かりました……じゃあ…取り敢えずキスして下さい!」
「何が取り敢えず、だ!それに、そのクチやめろ!!」
「え〜?」
ってこの会話どっかで…。
千秋は小さく溜息を吐くと観念したように目を閉じた。
Fin
GJ!!!
リアルタイムで読んじゃった。
高校生のだめ激萌え(*´Д`)ハァハァ
真一君は泳げまセンよ?
↑ナイスつっこみに萌え
夢だろw
あ GJ!
ああ途中で書き込んじゃった。すまそ
何気にブラのサイズをチェックしてる千秋に萌えますたよ、と
制服萌え〜
735-740、764-768、グッジョブ!!!でつ
さりげなーく読み手のリクに応えてくれてて漏れは猛烈に嬉しいゾー!
そろそろ月末…ワクワク
778 :
アラバマ:2005/08/30(火) 12:16:48 ID:jAOMVGLv
>>655 =
>>743です。
制服プレイもの、やっと書き上げましたので、投下させていただきます。
(励ましていただいた方、ありがとうございました)
以前、343の名義で1回投下しました。(
>>409-414)
2回目で数字コテも何なので、今回からアラバマというコテにします。
制服祭りの後ですので、飽きた方はスルー願います。
あと、時間がかかりすぎてしまったので、小さいところで若干ネタかぶりが生じてます。
(セーラー○ーンとか) 本筋ではないところなので、ご容赦いただけると幸いです。
では、よろしくです。
パリのアパルトマンにて。
千秋の部屋のドアが激しくノックされた。開けなきゃ蹴破るぞ、という勢いだ。
「ギャハー、センパ〜イ、開けてくだサーイ!!」
千秋は、ハアッとため息をつくと、かけていたCDを停止する。
そしてツカツカとドアに歩み寄ると、渾身の力を込めて開け放った。
バンッという小気味いい音と、「もがっ」という短い悲鳴が聞こえた。
千秋は会心の手ごたえを感じながら、廊下に横たわったのだめを見下ろす。
「オレは新しい曲の勉強中なんだが、何か…?」
怒りをこめて言葉を吐き出した千秋だったが…
のだめの姿を見た途端、その衝撃に怒りを忘れた。
「…!! おまえ…! なんだその格好はーーーー!?」
「見ればわかるでしょうよ…」
のだめは身をおこし、千秋の顔を見あげた。「セ〜ラ〜服デスよ」
のだめの額には紅いたんこぶが出来ていて、いつものアホ毛とともに
間抜けなかわいらしさをかもし出していた。
「パ、パリでも仮装か? それとも何かの罰ゲームか?」
「違いマス。ヨーコが送ってきたんデスよ、片付けしてたら
中学時代の制服が出てきたから送りますって」
のだめはまだむくれた顔をしながら、説明した。
「ぜひ真一くんに見てもらえってヨーコが言うんですよー」
(あの母…)千秋は思わず頭痛を感じながら、叫んだ。
「オレにはそんなので喜ぶ妙な趣味はない!」
しかし、そこはムッツリの若きマエストロ・千秋真一である。
(…本当はちょっと新鮮かも…)
思わず考え直して、のだめのセーラー服姿を上から下まで観察してみる。
(胸… パンパンだな…)
なにしろ中学時代のサイズで作られた制服である。肩から胸にかけて、
のだめの体にぴったりとはりついているから、ブラの柄も浮き出していた。
胸のふくらみにひっぱられた脇の部分には、太い横シワがいくつかできている。
(そういやオレは昔、このセーラー服の胸元のシワが好きだったっけ…
な、何を思い出しているんだ…)
千秋は、制服が「ヘソ出し」になっていることにも気がついた。
ただでさえ夏服ではそういうことがあるが、この場合、明らかに丈が足りてない。
その先には紺色のスカートが盛り上がり、その曲線は、スカートから伸びる
しなやかな脚、白いひざ裏、ふくらはぎへと続いていく。終点は黒のローファーだ。
(……結構、いいんじゃねーか… でも…)
ヘタに誉めたら絶対こいつは調子にのる。千秋はグッと劣情を押さえ込んだ。
「…大体、お前、トシ考えろよ。アダルトビデオみたいになってるぞ…」
「ぎゃぼ、トシ!?」のだめが意外そうな顔をする。「のだめ、若いデスよ」
「少なくとも、23歳が着るものじゃないだろ?」
「ムキャッ」のだめは顔を真っ赤にして立ち上がった。
「まだまだ若いですよーー!! のだめ、由衣子ちゃんとだって友達だし!」
(それは若いんじゃなくて、幼いんだろ…)千秋はうつむいた。
「ほらっ、センパイ、見て見て!」
のだめはクルッと1回転して、スカートのすそをひるがえしてみせると、
胸の前で両手を組み、上目遣いの乙女っぽい(?)ポーズをとってみせた。
「…見えてきまセンか? 中学生になった由衣子ちゃんってこんなかな、なんて…」
突如、千秋の顔面が陰に覆われた。
「お前みたいな変態と由衣子を一緒にするなーーーー!!」「ぎゃぼっ……!!」
千秋がのだめを絞めあげていると、廊下にギャルとオタクの声が響いた。
「のだめ!! なにその格好、カワイイー!!」
「あっ!セーラー戦士のピンチだ! 妖魔めっ!!」
(誰が妖魔だ…)アホがふたりも加勢してきた。千秋は思わず脱力した。
のだめはそのスキに乗じて、さっと千秋の腕から逃れると、
ターニャとフランクに駆け寄った。
「ターニャ!フランク! カワイイですよねー?これ…」
「うん、とっても似合ってるよ… ついにコスプレも始めたんだね…最高だよ」
「はぁ?(このオタク男が…)何がコスプレよ、マリンルックじゃないのー?
ん、でもよく見ると意外と地味ね!? コレ」
「うん、のだめのガッコの制服だったデスよ」
「ああ、本物の日本の制服かあ… ある意味、コスプレより貴重だなあ…」
フランクは頬を赤らめながら、満足げに笑った。
「制服ってそれ、いくつの時のよ…
なんかパンパンだったりハミ出してたり、マニアックねー。
清純なんだか、ヨゴレてんだか…」
「ぎゃぼっ、どっか汚れてマスか? センパイが乱暴するからー」
「そういう意味じゃなくてね…」ターニャもちょっと呆れ気味だ。
「だいたい、なんでそんなカッコしてんのよ?」
「それはヨーコが…… でも、いいんデス。」のだめは口をとがらせた。
「センパイはちっとも可愛くないって! もうトシだって言うんデスよ!」
(いや、可愛くないとは言ってない…)しかし、千秋はつっこめなかった。
「それはヒドいなー!! 全然かわいいよーー!!」
フランクはここぞとばかりに強調した。
「音楽院のみんなにも見せたいくらいだよ……」
「本当デスかーー??」のだめの顔が急に明るくなった。
「あ、それイイじゃなーい? 面白そう!!」ターニャもノってくる。
「じゃあさ、今からみんなで行こうよ!」
「行こう行こう」
「コラ待てーーーーーー!!」千秋が3人の前に立ちふさがった。
「のだめ! お前、その格好で街を出歩く気か!? 軽く犯罪だぞ!」
「…いけまセンか?」のだめが反抗的に応える。「個人の自由デスよ」
「それに… 襲われでもしたらどうするんだ!」
「レイプサレマシタ、なら学習済みデスよ」
「大丈夫よー旦那さん、ワタシたちもついてるしぃー」
「そうそう、僕がナイトになって責任もって守るヨ!」
(お前らが煽ってるんだろうが…!)
千秋の苛立ちは頂点に達した。
「じゃあ、お前ら… コンセルヴァトワールに入りたくても入れなかった、
学生たちのことを思え」
「は!?」 三人はタイミングぴったりに合いの手を入れた。
「真剣に音楽を志していても、入れずに涙をのんだ奴が大勢いるんだぞ!
そんな変態行為で学校を汚していいのか!」
「でも、ワタシたちは受かってるしィー…」
「これもガッコの制服デスから。イヤらしい目で見ないでくだサイ。」
三人の白けた表情に、千秋は説得をあきらめた。
「いや… もういい。」
消沈した千秋の横を、胸パンパンのヘソ出しセーラー服が通りすぎていった。
(くそ… 勉強が手につかない)千秋は頭をかきむしった。
「若き芸術家の苦悩」という図だったが、苦悩の中身はセーラー服である。
(全然帰ってこないじゃねーか… あいつらどこまで行ったんだ…)
出て行ったのは昼すぎだったのに、窓の外は薄く暮れかかっていた。
(こんなに気になるなら、オレも一緒に行けばよかった…)
千秋がソファにつっぷしていると、窓の外が騒がしくなった。
「皆サンさよならー!さよならデス!! ここから先は立ち入り禁止デス…」
「家までついてこないでよねー…まったく。何も出ないんだから!」
「撮影会は終了!あ、キミ、後ろからレイヤーさんを撮らないで!!」
「のだめ…!」千秋は急いで窓の外を見て… 階下に見える光景に絶句した。
のだめたち三人をフランスオヤジやフランスオタクども十数人がとり囲み、
カメラを構え、フラッシュを浴びせている…
(あいつら…何やってんだ!!)千秋は部屋を飛び出し、外に向かった。
「おい!! お前ら… この連中は何だ!?」
「あ、チアキ!! 見てよ、のだめの制服、大好評よー!? 」
「よく考えたら学校は休みだったんだけど…
街を歩いてたら、あちこちから(マニアックな)人が集まってきたんだ!!
思わず街を練り歩いちゃって…
あ、そこの貴方、ちょっとローアングル過ぎますよ…!」
二人の能天気さに千秋が肩を落としていると、のだめの呼ぶ声が聞こえた。
「センパイ… このヒトたち、ちょっと怖いデス…(たすけて…)」
(のだめ…!)
千秋は走ってのだめの前に立つと、群集の好色な視線から隠した。
「…すみません。この子、怖がってますから、やめてもらえますか…?」
黒王子モードの千秋の強い目線に気おされて、群集はたじろいだ。
そして愛想笑いや舌打ち、ブーイングを残して、散らばっていった。
「オ、オ〜ウ…」ターニャとフランクも千秋の眼力に感心する。
安堵のため息をもらした千秋に、群集の一人が声をかけてきた。
「や、やあ、千秋くん…」
「黒木くん!?」千秋は白目になった。「キ、キミもいたの!?」
「あ… 僕、学校のそばのカフェにいて、恵ちゃんが通るのが見えて…その…
セーラー服だし… か…可愛いし。」
黒木は言葉が出なくなり、どこか寂しげに千秋たちに背を向けた。
「ゴメンね…」
歩み去る黒木を見ながら、千秋はもうひとつため息をついた。(なぜ謝る…)
「センパイ…(はぁと)」
のだめが背中から千秋に抱きついた。「やっぱりセンパイは格好いいデス…」
千秋は精一杯、怒った声を作った。「…だから、言っただろ!」
「途中まで、ちょっと気分よかったんデスけどね…」
「バーカ…」
千秋はのだめに向き直り、頭をこづいた。ふたりは微笑みあった。
「オレの本音を聞かせてやるから… 部屋に来いよ」
「え…」のだめは千秋の顔を見上げた。みるみるうちに笑みが大きくなる。
「はぎゃーっ!! 行きマスーーーーー!!」
(なんだかね…)フランスオタクとロシアンギャルの二名は、
呆然と二人の甘い世界を見つめていた。
千秋とセーラー服ののだめは、仲良く千秋の部屋へと消えていった。
「センパイ… さあ、本音とやらを聞かせてくだサイ」
部屋に入ったのだめは、ドアを後ろ手に閉めた途端、千秋に答えを迫った。
「あ、ああ、そうだな…」
千秋は目を泳がせながら、部屋の中をぶらついている。照れていた。
「その… 最初から部屋に入れればよかったかなって…」
のだめは一瞬キョトンとしたが、すぐに頬を赤らめた。
「それって… のだめを独り占めしたかったコトですか…?」
「ん… ま、まあな」(さっきまでの惨状に比べれば、そのほうがいいだろ…)
「センパイ… ごめんなさいっ!」のだめは勢いよくお辞儀をした。
「のだめ、センパイの気持ちわかんなくって…
でも、本当はムラムラのモンモンだったんですねっ!!」
のだめは、わーーっと千秋の胸に飛び込んできた。
千秋はのだめの腰に手を回した。いつもののだめの匂いを感じた。
制服のスカートの少しごわついた感触は、いつもと違うけれど。
「よかったデス… のだめ、魅力がなくなったのかと思って…
さっきはもう半分ヤケっぱちだったんですヨー。」
千秋はのだめの頭をなでてやりながら、思った。(魅力か…)
(いつも思うことだけど… こいつのこの自信はどこから来るんだろう?)
(考えてもムダか… 事実、オレも否定できない)
(たしかに、こいつには特別な魅力がある…)
千秋は(オレが惚れてるだけ)という心の声を無視して、のだめを強く抱いた。
そして千秋は、のだめの涙で濡れた頬に手をあてると、そっとキスをした。
キスをしながら、ちょっと可笑しいな、と千秋は思う。
いつもの自分の目の前に、セーラー服ののだめがいる。
(これって誰か傍から見てたら、完全にオレのほうが変態じゃないか…?)
千秋はそんなことを考えながらも、徐々に強く、深くキスを繰り返す。
そして、ベッドのほうへとのだめを導いた。
(まあ… 誰も見てないし、いいよな?)
千秋はさりげなく身をかがめると、のだめの脚を抱え上げた。
のだめが首にかじりつくと、いわゆる王子様だっこの格好になった。
「アヘー… せ、センパイ、これはー… 噂に聞くアレですか…」
間抜けな声を出しているのだめを、千秋はそっとベッドに下ろした。
のだめは、本物のうぶな女子学生のように頬を染めて、シーツの上で丸まる。
千秋も自分の頬が熱くなっているのを感じた。(やっちゃったな…)
千秋は、目の前に横たわる、セーラー服の女の子をじっと見つめる。
この図は、彼の想像以上に千秋を昂ぶらせた。
「の… のだめ……。」千秋が覆いかぶさろうとすると、
「はぎゃっ、そだ!!」素っ頓狂な声を出して、のだめが勢いよく起き上がった。
「な、何だよ!急に!」
「忘れ物デス! ごめんなさいセンパイ! しばらくそのままでお待ちくだサイっ」
のだめは、ダダダと音を立てて走り、部屋を飛び出していった。
千秋は、言われたままに[一時停止]状態で待っている。
1分経過。また騒々しい音を立てて、のだめが帰ってきた。忘れ物を持って。
「センパイ! 学ランどぞ〜〜〜!!!」
のだめは両手でビシィと学ランを広げて見せた。
「ズボンは黒だから、そのままでいーですよネ?」
「が、学ラン?? そんなの一体、どこから…」
「よっくんのデス! 高校のだから、センパイにも合うと思いマスよ〜
ヨーコがぜひ千秋君に着てもらえって一緒に送ってくれたんですヨー」
のだめはニヤニヤ笑った。「このさい、気分出していきましょうヨ☆」
(ほんと、こいつ相手にいいムードって作れねえ…)
(結局、変態につきあわされることになるんだ!)
が、千秋もひとかどのマニア…。いろいろ自分に言い訳をしながらも、
しっかり学ランを受け取ったのだった。
結局、学ランの丈は千秋に合っていなかった。
「これ、袖が足りないぞ…」「プププ… クールビズって感じデスね」
滅多に見れない千秋の仮装を、のだめが面白がる。
「前、全部開けたらどですか? 袖もまくったりして」
「ん… これなら、まだマシかもな…」千秋もいつの間にか協力的だ。
千秋・学生バージョンがここに完成した。
「わーー!! なんか爽やかデスよ! ギャハーういういしいーー!」
「そ、そうか?」千秋は、まんざらでもない様子だ。
「千秋先輩…(はぁと)」のだめは千秋に近づく。
「この格好だとホント、"先輩"って感じですー☆」
「何だそりゃ… 普段も先輩は先輩だろ?」
「だって部活みたいでー。そだ、千秋先輩も"野田"って呼んでくだサイ」
「えっ、"野田"?」
ただの苗字だというのに、普段あだ名で呼ぶときよりも、
なぜだか千秋にとっては恥ずかしかった。
「の、野田…」
「ハイっ、千秋先輩! 何でショー?」のだめが明るく応える。
「えっ、その先があるのか…? なんて言えば…」
うろたえる千秋を見て、のだめは微笑んだ。「チューでいいですよー☆」
少し首をかしげ、軽く手を合わせながら、いつもののだめが笑っている。
千秋は胸の鼓動を感じながら、のだめを見つめた。中学生男子のように。
(この際、忘れよう…)千秋は心に決めた。
(俺たちがとっくに成人しているってことは…)
千秋はのだめを抱き寄せると、目を閉じてキスをした。
のだめもまた目を閉じていた。(ほわお……どきどきする…)
しばらく互いのかすかな鼻息を感じていたが、先に千秋が動き、
のだめの頬から首すじへとキスをしていく。千秋の目が胸元に止まった。
「これ、取っていいか?」
千秋が胸当てを指さすと、のだめはこくんとうなずいた。
千秋は襟の中に手を入れて、胸当てを外す方法を模索する。
(あ… これ、マジックテープで付いてるのか?)
千秋は無駄な知識を得ながら、マジックテープとスナップで止められた
胸当てを取り外し、ひきずり出した。ついでに、襟のスナップも一段外す。
セーラー服の胸元がはだけ、のだめの柔らかそうなふくらみが現れた。
(あ、谷間が…)千秋は興奮しながら、襟の中に手を入れ、
ブラごとのだめの胸を揉みほぐしはじめた。
「野田…お前、けっこう成長したな…」ノってきたのか、千秋が小芝居する。
「ん… 千秋先輩… んん…」
激しく揉みしだかれて、のだめは息を荒げながら、千秋に頭をあずけた。
しかし千秋は優しくのだめを起こすと、のだめの背中にまわった。
そしてセーラーの脇のジッパーを上げる。
のだめは、脱がされていく感触に反応して、すこし首をすくめた。
千秋は服の下から両手をつっこんで、のだめの両胸をまさぐる。
ただでさえパンパンだったセーラー服は、今や破けそうなほど張っていた。
「あ…あああ… うぎゅっ…うぐ…」のだめはうつむきながら喘ぐ。
千秋はのだめの頭越しに、自分が揉むたびに揺れる襟とスカーフを
見おろしていた。(ああ… 野田…)
千秋はいつの間にか、すっかり中学の先輩になりきっていた。
千秋はセーラー服の下で、ブラジャーの中に指を入れ、乳首に触れた。
「ふぎっ、千秋先輩… きもちイイ……はうううう」
のだめは徐々に立っていられなくなり、ひざまずいた。
千秋は、のだめの後ろから執拗に乳房を攻めつづける。
乳房はとっくにブラからはみだした。セーラー服の胸元からブラがのぞく。
のだめの背中を通して体温が伝わってくる。汗の匂い…
千秋はとうとう、のだめが座りこんでしまうまで、胸から離れなかった。
「先輩… のだめ、おっぱい痛いデス…」
あ、ごめん、と千秋が手を止める。夢中になっていた。
のだめが千秋をふりかえり、呆れたような目で笑う。
「ハァハァ… センパイ、ホントに中学生男子みたいですよ…」
「だって俺たち、そうだろ?」千秋は当たり前のように言った。「野田」
のだめは、じっと千秋の顔を見つめた。「…そですね、千秋先輩☆」
のだめは上気した顔をほころばせると、両手でベッドを指さした。
「中学生だけど、あっち行きませんか?」
千秋が笑う。「そうだな… さっきの(抱っこ)やってやろうか?」
「あ、あれは私たちには早いワ… 中学生だから、一緒にいく…」
のだめのよく分からない演技指導で、千秋とのだめは手をつなぎ、
いっしょにベッドに上った。
千秋ものだめも膝立ちで歩み寄り、正面から抱き合った。
幾度かキスをしながら、千秋は、のだめのスカートの中に手を入れる。
「はうん… んん…」
汗もあるだろうが、のだめの下着はすでにぐっしょりと濡れていた。
千秋が下着の上から指で、のだめの敏感なところを探ると、のだめは
千秋の首に両手を回して、大きく喘いだ。「はあっ、うぎゅ……ふあっ」
千秋は二本の指を縦にのだめに挿しいれ、くるくると動かした。
「…んっ! はァッ、ほわぁあああああ…」
指を回すたび、のだめの体がはね上がり、熱い息が千秋の顔にかかる。
千秋はのだめを抱きよせ、耳元でささやいた。
「…野田、もう挿れていいか…?」
「はあはあ… 先輩、お願いしマス…」のだめは何度もうなずいた。
千秋は、速やかにズボンを膝下まで下ろしながら、姿勢を変え、
長い脚を投げ出す形でベッドに座った。「来いよ。」
のだめはスカートをまくりあげ、ひもパンをとろうとするが、
「そのままでいい」…千秋に静止された。「え?そのまま…?」
千秋は座ったまま、のだめに両手をのばした。のだめが手をとると、
千秋はのだめを向かい合わせに座るように誘った。
のだめが中腰で、止まった。「このままだと、入りませんケド…」
千秋は紺のスカートの中に手を入れながら、「腰、落として…」
のだめが言う通りにすると、スカートの中の手がパンツをズラすのを感じた。
(…ぎゃぼ!!)次の瞬間、千秋が、のだめを貫いた。
「…!! ほわぁ、ふあああああっ」
のだめは顔を真っ赤にして、千秋にしがみついた。
千秋はスカートから手を抜くと、のだめを強く抱きしめた。
紺のスカートが二人のつながっている部分を覆い隠すと、まるで普通に
抱き合っているように見える。ベッドの上で、二人とも制服だが…
「あぁぁ、ふわぁぁ… ほわぁああ…」のだめが声を抑えきれない。
(服…着てるのに、ぱんつ…脱いでないのに…こんな… ほわあああああ)
千秋も陶然とした表情を浮かべていた。
(すご…… こいつの中… あったかい…熱い…)
栗色の髪をふり乱しながら、のだめが叫ぶ。
「はあはあ…センパイ… センパイってやっぱりヘンタイ…!」
千秋も、細かい刻みで呼吸しながら、言葉をしぼりだす。
「お前だけには言われたくねー…」
「はうううう… なんで脱がさないんデスかーー? はあああ…!!
中学生らしくないですヨ! …不健全ですヨ!」
(こいつ、まだこんな演技する余裕があるのか?)
千秋は、少し呆れながら微笑んだ。
そして、のだめの言葉には応えず、のだめを揺さぶりはじめた。
「ふわっ…………!!!!」
セーラー服の、衣擦れの音が大きくなる。
のだめは上下に揺らされながら、目をしっかり閉じ、歯をくいしばっている。
その手は千秋の背中にしがみついて離れない。爪が学ランに食い込んで…
「…だめっ、センパ……」のだめが千秋にかぶりつく。
千秋はのだめの髪をつかんで、顔を上げさせると、力いっぱい口づけた。
歯が当たった音がした。ふたりの舌が、熱い唾液とともにからみあう。
その瞬間、千秋から噴き出した熱が、のだめの中へと広がった。
「(ふぎゅっ!!…)」のだめの喉が鳴った。
千秋は固くつむっていた目を開ける。のだめはまだ目を閉じていた。
千秋は優しくのだめの髪をなでながら、ゆっくりと唇を離した。
のだめの目は涙にうるみ、唇には血がにじんでいた。
「野田… じゃない、のだめ… 大丈夫か?」
「…じゃないデス」
のだめはうつろな表情でかぶりをふった。
「…のだめも、とんだセンパイをもったもんデスよ」
のだめは少し頬にこぼれた涙をぬぐった。
「こんなの始めたのは、お前のほうだろ…」千秋は学ランを指さした。
「ちょっと乱暴にしたのは… 謝るけど」
「ううん」のだめは大きく笑った。「すっごいキモチよかったデス」
でも… と、のだめは言葉をついだ。
「千秋先輩みたいなヘンタイさんには、かなわないなあって思って☆」
千秋はのだめの頭をなでながら、ゆったりと笑って、言った。
「…お互い様だ」
その晩、千秋はCDを聴きながら、ソファにもたれ、のだめの制服姿を思い出していた。
(もし、オレたちが本当に中学生のころ出会っていたら)
(こんな風になれたんだろうか?)
他愛もない空想ではある。でも…
(今に感謝しなくちゃな)と千秋は思うのだった。
その晩、のだめは… 小さい灯りのもと、実家の母にあてた手紙を書いていた。
「はいけい 野田ヨーコ様。」「あの制服、さっそく着ました。着てもらいました。」
えーと、その先は… のだめは鼻にペンをのせて、宙をにらんだ。
「やらしか…… 書けんばい」
のだめはレターセットを放り投げ、ベッドに飛び込んだ。
「センパイ、おやすみなサイ」
(Fin)
リアルタイムでGJ!!
最近の変態化千秋の中では、こちらがいちばんしっくりきました!
照れがあってカワイー!
みんな変態だw
GJでした!
とりあえず新スレたったけど…
ここもちゃんと埋めなきゃいけないよね。
書き忘れてました…
制服プレイとてもGJ!でしたv
あと2KBだからな。
スゴイ!!前のもよかったけど、これまたスバラシイですw
なんだかんだでこのスレも終わりですね。
今回は穴埋め職人さんの出番がなくて残念だ。
制服プレイ祭り万歳。
そろそろお腹イパーイとも正直思っていたけど、
アラバマさんのが一番Myツボですた。
元キャラが壊れてなくてしっかり変態なところが自分ツボ。
笑えました。GJです!
GJ!!!
新しい職人さんが一気に増えたのかな。
これで静かにならずに、次スレも盛り上げて欲しいな。
798 :
アラバマ:2005/08/30(火) 22:33:53 ID:jAOMVGLv
皆さん、ご感想ありがとうございました…
遅筆にムチうって書いてよかったです。(これでも相当早書きしたつもりなんですが…orz)
元キャラが残ってると言われると本当に嬉しいものですねー
制服プレイネタ提供の
>>654さんにも感謝です。ではまた次スレで。
んじゃ次スレで投下キボン。
夏の終わりに浴衣でエチー(コスプレシリーズ第二弾)
裸エプロン
ケンカしてエッチ
看病してエッチ
部屋で映画(ぷりごろた以外)を観てて、欲情してエッチ
雨に降られて下着が透けて欲情してエッチ
乙です。
やらしか …がツボでした
看病と浴衣はコソーリと原作で期待しとる
アラバマさんGj 野田ワロス
セーラー野田に萌える黒木とフランクに萌え
ヨーコはプレイ用に送ってくれたんだろうから報告したらよか