(2/10)
征人は戸を閉めて鍵をかけ、靴を脱いで彼女の部屋に上がると、彼女を抱きしめた。
甘やかな彼女の匂いと共に、ほのかな石鹸の匂いを感じる。
彼女も、ほんの一時間かそこらか前に入浴を済ませたばかりなのだろう。
彼は、感慨の言葉と共に、彼女の名を呼んだ。
「ひさしぶりだね、パウラ」
彼が彼女を、戸籍上の名前でありミドルネームでもある
『温子――アツコ――』ではなく、
隠されたファーストネームである『パウラ』で呼べるのは、
二人きりの時だけである。
二人とも職を得て以来、時々手紙や電話で言葉を交わす以外は、
直接会って話をする暇も無いほど、忙しい毎日だった。
今日のごとく週末に二人きりでいられる時間を確保できるようになったのは、
ごく最近の事である。
抱きしめられたパウラは、征人の素肌を通じて、その想いを漠然と感じ取った。
愛情、不安、そして決意。
彼女は、二、三時間前にアパートの大家さんから呼び出されて電話を取った時の、
彼の声を思い起こす。
「今日は……長くかかるかもしれない大事な話があるんだ。
君の部屋に泊まるような事になるかもしれないけど、いいかな?」
それを聞いた彼女は、唐突だという思いと、ようやく来るべき時が来たのか?
という思いとを抱きつつ、準備を整えて、彼を待っていたのだった。
(3/10)
さて、征人はパウラを抱きしめたまではいいものの、
これからどう事を運ぶべきか迷っている。
それを感じ取ったパウラは、征人の迷いを微笑ましく思いつつ、
助け舟を出した。
「夕食は済ませたの?」
「いや……まだだ」
「じゃあ、夕食を取りながら、話をしましょう」
彼はその時になってようやく、ご飯の匂い、味噌汁の匂い、肉じゃがの匂い、
に気付いた。口の中に唾液が満ち、胃の中に流れる感触がわき上がる。
いつの間にか彼女は、この部屋と一続きになっている小さな台所へ向かっていた。
その動きに応じて、彼は近くに立てかけてあった卓袱台を慌てて手に取り、
台の脚を立てた。
彼女は台の上に二人分の膳を置き、座る。
その間にコートを壁の掛け具に掛けた彼も、彼女の方を向いて座った。
「いただきます」
「いただきます」
彼は彼女の手料理に舌鼓を打ちつつ、少しずつ話を進めていった。
(4/10)
当り障りの無い、お互いの近況のくだりでは、征人はよどみなく喋っていたが、
話が核心に近づくにつれ、彼の口数は次第に少なくなっていった。
そんな彼の心を知ってか知らずか、パウラは卓袱台を部屋の脇へとずらし、
上の物を片付ける。そんな彼女を所在無さげに見つつ、彼は静かに茶をすすった。
彼女も茶を飲んだ後、今度は布団を敷き始める。
そんな彼女を内心どぎまぎしてながら見ていた彼は、いつの間にか正座していた。
「で、大事な話って、何なの?」
彼女はそう言って、彼の目の前に、同じ様に正座した。
彼女は意図して厳粛な表情をしてみせる。
彼は十秒かそこらの間黙っていたが、彼女が焦れて口を開こうとする前に、
意を決して切り出した。
「ここ数年、二人とも生き延びるのに精一杯で先の事を考える余裕すらなかったけど、
このところの好景気で給料も上がって、ようやく先の事に備える余裕が出来た。
昨日、賞与も出たし、工場の近くに二間の手頃なアパートも見つかった。
良かったら……」
彼はそこで一旦言葉を切り、一呼吸おいて、残りの言葉を吐き出した。
「俺と、一緒に暮らしてくれないか?」
(5/10)
「ふ……うふふっ」
パウラは吹き出すように、しかし無邪気に、笑った。
「だ、駄目かな?」
不安そうに問う征人に、彼女は応える。
「あのね、征人。私、ずっと前から心に決めていたのよ。
……兄さんや、伊五〇七のみんながくれた未来を、
あなたと一緒に歩んでいこう、って」
「え……?」
「やっと、プロポーズしてくれたのね……この七年間、待ち遠しかったわ……」
彼女はそう言ってゆっくりと彼を抱きしめ、彼の瞳を真正面から見据え、
唇を重ねた。そしてそのまま、彼を布団に押し倒す。
彼の動揺と歓喜を、彼女は直に感じた。
彼もまた、熱望を伴った愛情が、彼女から流れ込んでくるのを感じた。
彼女はようやく唇を離し、彼のワイシャツのボタンを外し始めた。
彼はなすがままにされる。ワイシャツのボタンを外し終わると、
彼女は彼の手を導き、ブラウスのボタンを外させていった。
両の乳房を包む、白いブラジャーが現れる。
次いで彼女は、彼のワイシャツとランニングシャツをいささか強引に剥ぎ取った。
旧日本海軍の軍人として鍛えられた筋肉――腕、胸板、腹筋――が露わになる。
彼女はブラウスを脱ぎ、スカートのボタンも、彼の手を導いてはずさせた。
彼女は立ち上がってスカートを脱ぐついでに、天井の電灯を消す。
これで光源は予め枕もとに用意しておいた白熱電球の電気スタンドだけになった。
白熱電球の柔らかな光に、白い下着だけになった彼女の姿が浮かび上がる。
彼女は再びかがみこみ、少し離れた所にあるストーブの火を消す。
――もう二人の体は充分に火照っている。
そして彼に近づいて彼のズボンやパンツなどを全て剥ぎ取ってしまうと、
彼女も下着を脱いでしまう。
彼は、彼女の全身をしっかりとその目に捉えた。
(6/10)
後ろで束ねてある少し長めの髪は、鴉の濡羽を思わせる艶やかさ。
くっきりとした形の良い眉と柔らかで長い睫毛。
強い意志を秘めた鳶色の瞳。
それほど高くはないが整った鼻梁。
ぽってりとして赤く、煽情的でありながら貞淑さも併せ持った唇。
火照っているためかいささか赤みを帯びた、きめの細かい色白な肌。
微かに揺れる豊かな双丘。
大いなる生命力を感じさせる、腰のくびれから臀部にかけての曲線美。
適度に発達した筋肉をうっすらとした皮下脂肪がくるむ事で醸し出される、
四肢の優美さ。
征人は熱情に突き動かされ、パウラの全てを抱きしめた。
柔らかい彼女の体は、暖かく清らかな南の海に抱かれているような感覚を、
彼に与えた。
「ユキト……」
彼女は熱い吐息を洩らしながら、これから夫となる男の名を呼んだ。
「あなたが私にしてもらいたい事が、よく分かるわ……」
「俺も、いま君が考えている事が手に取るように分かる
……でも、いいのかい? いきなり」
彼は彼女の思考にわずかながら怖れが含まれているのを感じた。
「もう……充分に濡れているわ。それにもう、待ちきれない……。
一思いに貫かれたほうが、怖く無い……」
彼女の能力――水や、それに類する液体を通じて、彼方の情景や人の思いを感じ取る、超感覚。
かつて人知れず日本を救ったその能力は、今、二人の感覚を、思いを、直につないでいた。
かくのごとき状況では、もはやこれ以上の前置きは要らない。
彼女は彼のものを握りしめ、一思いに自らの体内に導き入れた。
(7/10)
「うっ……!!」
膣内は潤っていたものの、それでもやはり初めては痛かったらしい。
パウラの感じた痛みを征人も感じた。
痛みを紛らわせようとするかのごとく、彼女は彼にしがみついた。
彼は、そんな彼女を全身で受け止める。
何分くらい、じっとそのままでいたろうか。ようやく、征人が口を開いた。
「大丈夫か?」
「ええ……痛みは治まってきたわ。
ありがとう。
でも、体が芯から少しずつ熱くなってくるような感じ……
妙な……気分だわ……」
パウラは喘ぐようにして応える。
言葉に出さなくても思いが伝わる状態だとは言っても、
やはり言葉に出す事で思いは強められた。
(8/10)
二人は再び無言になり、見つめ合う。
彼は彼女の上体を起こし、右手で彼女の左乳房を優しく包んだ。
さらに彼女の右の乳首を、口に含む。
彼女の体は、彼女が自覚するよりも早く、彼の愛撫に対する反応を返した。
子宮が、膣が蠕動し、彼の陰茎を快楽で苛む。
二人の喘ぎ声だけが、その場の空気を支配する。
共に昇り詰める為にすべき事は互いの体が知っていた。
互いの動作は的確で、たがえる事は決して無い。
互いに、相手の体が自分の体のように感じられた。
もはや絶頂へ向かう勢いは止まらない。
パウラの体内で高まっていた熱は、彼女を融かし、
彼女を原初の海に変えるかのような感覚を与えた。
征人はその原初の海に呑みこまれるかのような感触を覚え、
自らが融けて無くなってしまうかと思うほどに、精を放った。
彼は、融けて精髄だけになった自らが、
大海原に浮かぶちっぽけな椰子の実に変化したような感覚に襲われた。
彼女は、今や海と化した自らの体内を、彼の精髄がたゆたっているのを感じた。
海と椰子の実。つかの間、世界にはその二つしか存在しなくなった。
(9/10)
二人はしばらく気を失っていたが、パウラが覚醒すると、征人も意識を取り戻した。
「私の子宮に……温かさを感じる……」
彼女は、仰向けになった彼の体の上で俯せになった状態で、
まだ彼のものを自らの体内に咥えこんでいた。
体内に収まりきれなかった精液が破瓜の血や愛液に混じって流れ出している
様子は、視界に入らずともはっきり把握できた。
「もっと……貴方の命の精髄が欲しい……」
彼女のその言葉に被虐的な快感を感じ、彼の陰茎は少しずつ硬度を取り戻しつつあった。
「何だか……このまま続けると吸い尽くされて取り殺されそうで……怖いな」
苦笑いしつつ言う彼に、彼女は応える。
「あら、だって私は魔女――ローレライよ?」
彼女は悪戯っぽく微笑んだ。
(10/10)
それからほどなく、二人は縁深き清永家の好意を受けて披露宴を開き、
パウラは『折笠温子』となった。
待望の第一子を授かったのはそれから二年半ほど後の事である。
その間、行為に励んでいるにも関わらず子を授かれなくて
「もしや『白い家』で散々おかしな薬を飲まされた事による後遺症か?」
と思い悩んだり、
『ゴジラ』鑑賞の帰り、二人を陰ながら守ってきた人物の部下と出会って、
ナーバル消失の真相などを聞かされたり、
などという事もあったのだが――それらはまた別の話。
[完]
ええと、パウラの能力に関して原作と多少異なる描写をしていますが……。
その点も、どうかご容赦を。(汗)
GJ!
・・・泣いた。
本当にいい作品をありがとうね。
総員敬礼ッ!チン振れッ!
GJ1番から4番まで・・・・てっ!!
征人とパウラの子供はやっぱ絹見と田口から字貰ったんだろうか。
>113-115
お褒めの言葉、ありがとうございます。
>116
言われてみれば……充分有り得る話ですね。
さて、ローレライでSSを書くとしたら、真史×佑子や、徳子、
あるいは孫娘の弥生を主人公にして書く、というのもアリかも。
そりゃ流石に外れすぎだw
ネタないな。
漫画版についてでも語るか?
タカスとパウラでキボン
『あずまんが』エロパロスレで書いた通り、今のところ私の妄想パワーは打ち止めですので、
新たなるネ申の降臨を祈ります。
>>121 充電がんがれ。超がんがれ。
さーてアフタヌーン発売日まで寝て過ごすか・・・。
123 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 20:30:05 ID:0Wq4URC0
保守age
124 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 23:09:19 ID:r7toMOPS
征人と温子の初体験ウツクシス・・
|
| ('A`) 俺も、彼女が欲しかった・・・。
/ ̄ノ( ヘヘ ̄
↑
清永 \ギシギシアンアンン/下界↓
126 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 04:47:11 ID:kXnyIpSM
121さんこちらも、あずまんがもGJ!
両方のファンで良かったヨ。
127 :
Wrath&Greed ◆uS1Hx4I012 :2005/10/20(木) 00:43:41 ID:L6chYV4H
>>122 今までの傾向からして、私がSSを一本完成させるのに3〜4ヶ月かかっている
(本業の忙しさにもよる)ので、新しいのはどんなに早くても年末になるかと。
遅筆なのはご容赦を。
>>124 >>126 お褒めの言葉、ありがとうございます。
>>125 私も、清永喜久雄君を不憫に思います。
小説版では、初体験の相手があまり好ましい女性ではなかったばかりか、
二度目以降の体験も叶わず、土谷佑(*1)の凶弾から征人を護って死んだし、
映画版ではドジった(*2)せいで死を招いた(おそらく童貞のまま)し……。
願わくば、彼が転生して素敵な女性と結ばれる事を。
*1:私は、小説版→映画版の順で鑑賞した(漫画版はまだチラリと見ただけ)
ので、小説版の土谷と映画版の『つっちー』のあまりの違いには驚いた。
小説版土谷はホント、虫唾がはしる奴だったからなあ。
(パウラに無理を強いて嘔吐させた時点で、私の中では土谷の死刑確定)
*2:映画版の清永君はおそらく、戦場につきまとう死の不安を紛らわせるため
のアイテムとして野球ボールを持ち歩いていたのだろう。
それが死を招くとはあまりにも皮肉だが、戦場とはそうした
「あっけなさすぎる死」に満ちている所なのだろう。
そう考えると、あのシーンは必ずしも単なるお涙頂戴ものとは言えないと、
私は思う(不満は感じるが)。
アフタヌーンゴムかかってて立ち読みできね。
>>128 俺は最初からコミックスだけ買うって決めてる。
今は・・・勘だがパウラ昔話かしつこいアメリカ人との決戦くらいじゃないのか
>>129 大正解。
今年中にはしつこいアメリカ人との戦いには入れそうだが、ローレライ起動は来年に持ち越しだな。
抜き打ち視察に来た軍令部総長のデスラーボイスにメロメロになるパウラが見たい
「このままじゃ落っこちる。とにかくスレを活性化させないと」
「職人さんが来ないと無理よ」
「ageることはできるだろう?メル欄が・・・・・・」
「ageをすれば、スレは自動制御で一番上に出てしまう。上に出れば格好の荒らし場になるだけよ。あるいはあぼ〜んされるか」
「だったらどうするんだ!一番下まで落ちたら、スレだってdat行きだぞ」
君の股間にゲシャルテン
スマン何でも無い忘れてくれ
「もういいよ、パウラ。
体力持たないから・・・。」
>>126 天国のフリッツ少尉へ
こっちはパウラの暴走を止められる人がいなくて困っています
休みの日ぐらいはゆっくり寝たいんですが
もうすぐおれもそっちに逝くことになると思うので
そうなったら艦長や掌砲長と酒でも酌み交わしましょう。
age
138 :
パク・パクパク:2005/11/17(木) 17:52:00 ID:xIoPj/sX
このスレまだ生きてたんだな・・・
141 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 11:36:29 ID:Vf6Beb3G
あげ
ヤバイ、漫画版のパウラ良い・・・
近所の本屋にアフタヌーンがない。
ホント、田舎町は地獄だぜ!
144 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/02(金) 23:38:27 ID:uCtluIKB
メインタンク、ちょいブロー。
あげ
146 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 17:18:25 ID:xEo4msFN
あげ
貴様恥ずかしくないのか!?
>>144のような一兵卒でもブローってageてるのに、そりゃ国は違うかもしれないが(ry
清永「推定55歳かな。かれこれ30年以上風俗嬢やってるって話だ。
やはりオマンコは凄い事になってた。しかも上の歯が入れ歯だった。孫もいるんだってさ。
オマンコすっかすかで全然挿入感無いのにトレーシーローズばりの喘ぎ声で、
「清永さん固い!すごく固いよ!当たってるよ!はぁ〜!」
って叫ぶんだけど、全然6分勃ちなわけ。ティンコはどこにも触れてないような感覚。
そうだなぁ〜、例えると小瓶をくり抜いたのに突っ込んでる感じかな?
オマンコなんか全体的に飛び出してて、発情期のサルみたいなワケ。
そんでもって「おっぱい揉んで〜、はぁ〜」とか言ってんだけど、ほぼ棒読み。学芸会のレベル。
で、当然ながら口臭も結構凄いわけよ。ティンコもいい加減にゲンナリしちゃってね〜。
そんな事にはおばちゃんも慣れてるようでね、右手に唾液をたっぷり付けてさ、シゴクんけどさ。
これが逆手なんだ。逆手。シゴクというよりも刃物を突き刺す手つきなわけ。
少しすると唾が乾くでしょ?摩擦で。蒸発して臭いんだ、これが。緑亀の水槽の臭いに近い。
そんでおばちゃんの顔みると、次の唾を口の中で貯めてるわけだ。まだやるかって感じ。
そんな条件なのに、俺のティンコ、また勃ってきてさ。何だろね?自分でもビックリ。
そしたらおばちゃん、大量の唾をティンコにベッタリ塗りたくって。そしてやおらバックスタイルに構えてさ、こう言うわけ。
「お尻の方に入れていいよ〜、お兄ちゃんの、少し大きいけど、早く〜ぅん」言っとくけどココまで生だぜ?
で一瞬躊躇してると、おばちゃんテメェの肛門にも唾塗ってるわけ。
で、その指をもう一回自分の口に持ってって唾追加してんの。今度は指入れて中にも唾塗ってさ。
不思議なもんで、俺のティンコ、ギンギンになっちゃってさ。肛門に突き刺したよ。メリメリと。
いや、メリメリではなかったな。スポーンって入った。後はガムシャラに腰振って、振って振りまくった。
そんで射精した。中出し。おばちゃんの絶叫聞きながら果てた。ティンコ抜いたらさ、やっぱ糞がすげえ付着してんだよね。
まだら模様になってんの。で湯気が立ってた。。。 」
| 征人ノ奴ガウラヤマシイゼチクショウ・・・
| ('A`)y━・~~~
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄
ババア相手でも童貞卒業できてフリッツ少尉よりは幸せじゃないか。
>149
……マジでそう思うか?
俺は、ババア相手にするくらいなら童貞の方がまだマシだ。
征人「一人だけ童貞卒業して、清永や河野に俺は何と言って詫びればいいんだ・・・。」
あげ