こんばんは。他の職人さんもいらっしゃるようなので、正直どうしようか迷いましたが、思い切ってシンルナ投下します。
最後に『続く』とあるとおり、続いちゃいます。
「なんだこれ?」
と思った方は、お手数をおかけしますが、次からスルーをお願いいたします。
1.
ミネルバが寄港した港町――ルナマリアはシンを付き合わせて、街に買い物に出ていた。普段の制服とは異なり、今日は私服である。ルナマリアはTシャツに、いつものスカートではなく、パンツルックという格好だった。
ルナマリアは上機嫌で次から次へと商店をハシゴしていた。一方シンは、ルナマリアの荷物を全部持たされ、既にへとへとになっていた。
「シン!次はあの店ね!」
「ええ〜!?まだ寄るのかよ〜!」
「しょうがないでしょ!滅多に上陸なんて出来ないんだから!」
「はぁ…来るんじゃなかったかな…。」
シンがうんざりしたような声を上げる。もうかれこれ二時間近くルナマリアの買い物に振り回され、シンには疲労が溜まっていた。既に両手一杯になっていると言うのに、まだ何かあるのか…。シンは一刻も早くこの地獄が終わってくれるように願っていた。
ようやくルナマリアの気が済み、二人は街中のカフェで休憩を取っていた。ランチタイムは終了してるはずだが、結構混雑している。周りにはビジネスマンらしい人の姿もちらほらあった。しかし、シンはそんな周りの風景には目もくれず、椅子でぐったりとしていた。
「疲れた…。」
思わず漏らしたその一言を、ルナマリアが耳ざとく聞きとがめる。
「なによ、この位でだらしないわねぇ…男の子でしょ?」
「無茶言うなよ…。」
言い返す元気も無く、シンはテーブルに突っ伏した。誰のせいだと思ってるんだか…そんな言葉が頭に浮かんだが、あまりの疲れに声にも出せない。
「あっ、すみませ〜ん!」
シンの様子には目もくれず、ルナマリアはウェイターを呼んだ。注文を受け、ウェイターが一礼して去って行くと、ルナマリアはシンの方に向き直った。
「シン、今日は付き合ってくれて、ありがとね♪」
ルナマリアがニコニコしながら上機嫌で言う。いつも制服を着ているときは凛々しい顔をしているのだが、こういう時は、ルナマリアも年相応の少女の顔になる。
(黙って笑ってりゃ可愛いのになぁ…。)
ルナマリアの笑顔を見ながら、シンはふとそんなことを考えた。
2.
昼下がりのカフェは、平和そのものだった。海から吹いてくる風が、顔に心地よくあたる。ルナマリアは、運ばれてきた料理を食べ終わると、大きく伸びをした。
「んん〜っ…!ふぅ、やっぱり地球の風っていいわねぇ…。」
「そうか?」
「ええ!なんだろ、なんかこう…生きてるって感じ…。」
地球生まれのシンにはよくわからないが、ルナマリアにはそう感じられるらしい。たしかに、プラントの環境は全て緻密な計算に基づいて作られた人工の世界だ。地球に一度も来たことのなかった者には、そう感じられるのかもしれない。しかし――…。
「ぷっ…!」
シンは思わず噴き出した。途端に、ルナマリアが訝しげな顔になる。
「どうしたの?何か可笑しいことでもあった?」
「いや…ルナが詩人っぽいこと言うもんだから…。」
「わ、悪かったわね…!」
ルナマリアも自分の言葉が照れくさくなったのか、顔を赤くしてプイと顔を背けた。シンは笑いながら食後のお茶を飲み干し、空になったルナマリアのカップにも注いでやった。
穏やかな時間が流れていく。こうしていると、シンにはまるで、自分達がどこにでもいる普通のカップルであるかのように思えてきた。実際には軍人で、この時間は一時の休息に過ぎないということも、忘れてしまいそうになる。
シンは、そんな穏やかな時間がずっと続いて欲しいと思ったが、ルナマリアはもう飽きてしまったようだった。
「さてと…シン、どうする?このまま艦に戻る?それともしばらくお散歩でもする?」
ルナマリアは伝票を持って立ち上がるとシンに尋ねた。
腕時計を見ると、たしかに、外出時間はまだたっぷりある。せっかくの上陸だし、もっと遊んでいたい気持ちもある。しかし、こんな荷物を持って歩き回るのも嫌だ。そうかと言って、ルナマリアとこれっきりにして帰るのも…。そこで、シンは提案した。
「それならさ、一旦艦に戻って、荷物置いてからまた街を歩かない?」
「えぇ?わざわざ艦に戻るわけ?」
ルナマリアは面倒そうに言った。いや、実際口には出さないが、面倒だと思っているに違いない。シンは足元に置いてある大量の荷物を示して言った。
「あのさ…ルナはいいんだけどさ、荷物持ってんの俺なんだよね…。」
3.
ようやくルナマリアのお許しが出たので、シン達は艦に戻った。ルナマリアが先に立って歩き、シンは相変わらず荷物持ちのままだ。すれ違ったクルーがそんな二人の関係を見てニヤニヤ笑いながら通り過ぎていく。赤服のエース殿も荷物持ちか――という具合に。
「はい、いいわよ。入って。」
シンを促し、ルナマリアは自室にシンを招きいれた。シンもルナマリアの後に従って部屋に入る。ルナマリアはバッグをベッドに放り投げると、自らもベッドに寝転がった。
「これ、どこに置いたらいいんだ?」
「あ、ごめん。そこに置いて。」
そう言って、ルナマリアは机を指差した。シンは指示されたとおりに荷物を置き、ようやく重い荷物から開放されて一安心する。シンが一息ついていると、ルナマリアはベッドに寝そべり、天井を見上げながら言った。
「あ〜あ、なんか久しぶりに外歩いたら疲れちゃった…。なんかもう外行かなくてもいいかも…。」
「えっ…!?」
ルナマリアの一言に、シンは驚いた。せっかく今度は身軽で、ルナマリアと一緒に街を歩けると思ったのに…もう終わりだなんて…。だからシンは、必死で彼女を説得した。
「ま、待てよ!せっかくの外出時間なんだから、もっと外で楽しもうとか思わないのか!?」
「ん〜…またわざわざ戻るのも面倒なのよねぇ…。それに――。」
そう言って、ルナマリアは時計に目をやった。既に三時を回っている。外出が許可されているのは六時までだ。
「――今からじゃ、あんまり遊べないし…。」
「そんなこと無いと思うけど…。」
シンはそう反論してみたが、ルナマリアは乗り気ではないようだった。ルナマリアはベッドの上で伸びをすると、昼寝でもするつもりなのか、そのまま目を閉じた。
「お、おい!」
慌ててシンが声をかけると、ルナマリアはめんどくさそうに言った。
「それなら、ヴィーノとかヨウラン誘って行ってくれば?今日はもういいや…私はまた明日にでも行けば…。」
シンは、ルナマリアの身勝手さに少々カチンと来た。散々荷物持ちさせて振り回しておいてこれか…?シンは軽い憤りを感じながら、ルナマリアの方にそっと歩み寄った。
4.
ルナマリアはすっかり眠る気らしく、自分の腕を枕にして目を閉じていた。そのため、すぐ近くにいるシンに気づいていない。
シンは、ルナマリアの前に立った。そのまま思わずルナマリアの顔に見入る。近くで改めて見ると、ルナマリアの顔は本当に可愛かった。まつ毛が長い。唇は、思わずキスしたくなってしまうような、可愛らしい形をしていた。
(俺…やっぱりルナのこと…。)
口煩くて、お節介なところも有るけど、明るくて、それでいて時には自分に気を遣ってくれる女の子。彼女のおかげで、家族を失った悲しみがどんなにか和らいだことか。ルナマリアのおかげで、自分はなんとかかつての元気を取り戻せたのだ。
自分が、彼女の存在を急に意識しだしたのは、いつの頃だっただろう。アカデミーの頃から一緒に行動することが多く、いつもつるんで行動していた。もちろん、喧嘩をしたことも何度もあった。しかし、その度にどちらかが謝って、自然に仲直りできた。
自分とルナマリアは気が合うのだろう――今まではそう思ってきた。中がいい友人同士に過ぎないと…。しかし、アカデミー卒業後、同じ艦に配属されたのを喜び合った時に、初めて自分の彼女への想いに気づいた。
(俺、ルナのこと好きなのかな…?)
そして、その疑問はすぐに確信に変わった。同じ艦で毎日顔を合わせるうちに、シンは彼女のことが好きであることをはっきりと認識した。
しかし、ルナマリアの方はどう思っているのか分からない。彼女の自分に対する態度は、以前と変わらないように思える。彼女は自分のことを、何とも思っていないのかもしれない。それが、今のシンには苦しかった。
『このまま強引に自分のモノにしてやれ…。』
彼女の顔を見ているうちに、心の底から黒い感情が湧き上がってくる。しかし、シンはそんな誘惑に全力で抗った。
しかし、その一方でシンは、胸の鼓動が高まるのを感じながらも、ルナマリアの顔から目を離せないでいた。なんだか胸が切なくなってくる。欲望のままにルナマリアを好きにしたいという感情が、次第に強いものになってきた。
5.
シンの影で室内灯の明かりが遮られたのを感じたのか、ルナマリアはうっすらと目を開けた。そして、目の前にいるシンの顔に、ドキッとした。
「わっ!?ビックリしたぁ…。なにしてんのよ…?人の顔じっと見て…。」
「あっ、いや!俺は、その…。」
「も、もう…!悪趣味ねぇ…。」
ルナマリアは、シンが自分のことをじっと見ていたことが恥ずかしかったのか、ブツブツと文句を言った。そして、プイとシンの方に背中を向け、再び口を開いた。
「悪いんだけど、私もう疲れちゃったからお昼寝するわ…。あ、部屋を出て行く前に明かりを消しておいてくれる?お願いね?」
そう言うと、ルナマリアは再び目を閉じた。シンはむっつりした顔で入り口まで歩くと電灯のスイッチを切り、何を思ったのか、そのままUターンして、再びルナマリアのベッドの元に戻って来る。
そっとルナマリアのすぐ傍に寄る。先ほどからシンの耳には悪魔が甘い言葉を吐き続けていた。
『今なら誰も邪魔しない。どうせ鈍感なこの女は、今のままではお前の想いには気づかない。それなら、わかりやすく、体に教え込んでやれ…。お前が彼女をどう思っているかを…。』
誘惑に耐え切れず、とうとうシンは自らの欲望を実行に移してしまった。
シンが去ったと思ったのか、ルナマリアはちらりと目を開けた。再び、なぜか自分のすぐ目の前にいるシンに驚き、ルナマリアは目を見開いた。
「ま、まだいたの!?」
「…ルナは外に行くのが面倒なんだよね?」
シンは、ルナマリアの問いには答えず、静かに聞いた。ルナマリアはシンが何を言い出したのかわからず、目を瞬かせる。
「え?ええ…そう言ったけど…。」
「それならさ…外に行かなくても出来ることしない?」
そう言って、シンはルナマリアに覆いかぶさってきた。その一方で、ルナマリアは、突然のことに気が動転し、手足をばたつかせる。
6.
「えっ…!?ええっ!?ち、ちょっとシン!?」
「外に出るのが面倒なんでしょ?」
「たしかにそう言ったけど…じゃなくて!な、なんでこうなるのよっ!?」
「だから、外に出なくても済むことしようって言ってんの。その方がいいんでしょ?」
そう言って、シンはルナマリアの唇を奪う。ルナマリアはシンから逃れようとしたが、シンに押さえつけられて身動きが取れない。
「んんっ…!…ん〜っ…!」
シンの舌がルナマリアの口内に侵入してくる。ルナマリアは懸命にシンの舌を押し出そうとするが、かえって自分からシンの舌に自分の舌を絡ませることになってしまった。
「ぷはっ…!や、やめてったら!」
シンは、抗議するルナマリアに構わず、今度は右手でルナマリアの胸を掴む。そのまま彼女の華奢な体にしては、意外と大きな膨らみを、ゆっくりと揉み始めた。シンの手の動きに、彼女の柔らかい胸が形を変えていく。
シンは異様な高揚感に支配されていた。好きだった女の子を自分の好きなように出来る――。そのことに興奮し、シンはさらに力を込めルナマリアの胸を揉んだ。ルナマリアは身をよじって抵抗しようとした。
「ダ、ダメぇ…!あっ、やめてぇ…!」
シンは、服の上から揉み続けるのに飽きたのか、ルナマリアが着ているシャツの下から手を差し入れ、直接胸に触れようとしてきた。シンの手が、彼女の滑らかな素肌に触れる。ルナマリアはシンの行動に目を見開き、途端に強く抵抗し始めた。
「あっ…!?いやぁ…!シン、もうやめてぇ…!こんなのいやぁっ…!」
涙目になって必死に抵抗するルナマリアに、シンはハッと我に返った。
(俺…なにしてんだろう…?)
泣きながら抵抗するルナマリア――違う。自分が欲しかったのは、こんなんじゃない…。先ほどまでの異様な高揚感が急速に冷め、罪悪感にすり替わって行く――。
ルナマリアのことが好きなはずなのに、こんな強姦みたいなこと…。好きな女の子を無理やり抱いても、嬉しいはずが無いのに、一時の欲望に負けて、そのままルナマリアを汚してしまうところだった…。
(俺…俺…ルナを…。)
そのことに気づいて深く悔悟し、シンはルナマリアの体からそっと離れた。
7.
突然動きを止めたシンに、ルナマリアは恐る恐る声をかけた。
「シン…?」
「ごめん…ルナ…俺、どうかしてたよ…。」
「…えっ?」
シンは、ルナマリアに謝ると、そのまま肩を落として部屋を出て行こうとした。もうルナマリアに合わせる顔がない…自分から全ての道を閉ざしてしまった…。シンは自分を情けなく思いながら、出口に向かった。
「ま、待ってよ!」
身を起こし、自分の腕で己を抱きながら、ルナマリアは慌てて声をかけた。まだ体は震えていたが、いきなり変化したシンの様子に混乱して、先程まではシンから逃れようと必死に抵抗したことなど、すっかり頭から消え去ってしまっていた。
「ど、どうしちゃったのよ…?い、いきなりあんなことしたかと思ったら、急に…。」
シンは、沈んだ表情で答える。
「ごめん…俺、ルナのこと好きだったんだ…。」
「…えっ?」
「――だから今日も一緒に外出できたのが嬉しかった…。けど、ちょっとの休憩のつもりで艦に戻ったのに、ルナがもう行きたくないなんて言ったから、つい、ムッとして…。」
「シン…?」
突然の告白に、ルナマリアは戸惑った。自分だって、シンには好意を持っていた。しかし、その気持ちはあくまで友達としてのものだったと思っていた。たまたま二人の性別が違っただけで、自分達はよき友人…シンに対する想いは単なる友情だと思っていた。
しかし、本心では自分もシンのことが好きだったのかもしれない。だから、いきなり襲い掛かってきたシンに、あんなに抵抗したのかもしれない…。こんな無理矢理の形で、シンに抱かれるのが嫌だったから――シンの事が嫌いになるのが嫌だったから――。
「ごめんよ、ルナ…俺のこと、もう嫌いになっちゃったよな…。」
シンは寂しそうにそう言って、ルナマリアに再び背を向けた。ルナマリアは慌ててその背中に声をかける。
「ま、待ってったら!嫌いになんか、なってないから!」
「え?」
意外なルナマリアの言葉にシンが振り返る。ルナマリアは自分でも不思議に思うくらい、一生懸命になって続けた。
「わ、私もさ…その…シンのこと好きな方だったけど…で、でもこんな形で抱かれるのが嫌だったから、つい…必死で…。私の方こそごめん…。」
8.
「ルナ…?」
ルナマリアの言葉に、シンは驚きの表情を浮かべる。てっきり、もう後戻りが出来ないことをしてしまったと思っていた…。自分には、二度と彼女の笑顔を見ることは許されないと――。
「あ、あのさ…ちゃんと愛してくれるなら、その…シンに抱かれるのも嫌じゃないから…えっと…。」
「…いいの?」
シンは、自分でも思うぐらい間抜けな答えをしてしまった。ムードもへったくれも無い台詞だ。そんなシンの言葉に、ルナマリアは赤くなって、恥ずかしそうに俯きながら続ける。
「う、うん…。あっ、でも!」
そこで、ルナマリアは慌てたように付け加えた。
「えっと…私、初めてだから…こういう時、どうすればいいのかわからないけど…その…優しくしてね…?」
「あ、ああ…。」
辛うじてそう答え、シンはルナマリアにぎくしゃくと歩み寄った。ルナマリアも緊張の為か、心なしか肩が震えている。シンは、ルナマリアの傍まで寄ると、そっとルナマリアの手を取った。
「俺も初めてだけど…が、がんばるよ!」
シンの言葉にルナマリアは思わずクスッと笑った。シンはルナマリアの反応に訝しげな顔になる。
「な、なんだよ…?」
「ううん…ただ、シンって、ロマンチックな言葉とは無縁なんだなぁ、って思って…。」
「な、なんだよそれ!?」
「ふふ…ごめんごめん。でもシンのおかげで少しは気持ちが軽くなったわ。ありがと!」
「なんだかなぁ…。」
照れ隠しで頭をかきながら、シンはルナマリアの隣に腰掛けた。
「それじゃあ、またやり直しってことでいい?」
「う、うん…。」
シンの問いにルナマリアは恥ずかしそうに頷く。シンのほうへ顔を向け、そっと目を閉じた。シンは心臓の鼓動を抑えながら、そっとルナマリアの唇に自分の唇を重ねた。
9.
「んっ…んんっ…。」
シンは舌をルナマリアの口内に入れる。ルナマリアは最初驚いたように目を見開いたが、再び目を閉じた。今度は抵抗してこない。ルナマリアは拙いながらも、自分からシンに舌を絡ませた。
「んんっ…はぁっ…!息するの忘れちゃった…。」
唇を離すと、ルナマリアは大きく深呼吸した。その様子が可笑しくて、シンの顔に笑みが浮かぶ。自分と同様に、ルナマリアも初めてで、どうすれば良いのかよくわからないらしい。シンの表情を見咎め、ルナマリアはムッとしたように不機嫌な顔で言った。
「な、なんか可笑しい?」
「別に…ルナって可愛いなって思ってさ…。」
「な、なによ、それ!?言っときますけど、私の方が年上なんだからね?」
「わかってるよ…。」
「本当かしら…?あ、あんっ…!ち、ちょっと!?」
最後まで喋らせず、シンはルナマリアをベッドに押し倒した。シャツの上から、そっと両胸に手をやる。手から伝わってくる、ルナマリアの胸の柔らかい感触を味わう。次第に彼女も興奮してきたのか、服の上からでも、胸の先端が硬くなっているのが分かった。
「あ、んんっ…はぁ…。」
ルナマリアの口から甘い吐息が漏れる。ルナマリアは目を固く閉じ、シンの手に身を委ねていた。シンは、ルナマリアの胸を両手で揉み解す。しかし、服の上からだけではどうにもつまらなかった。そこで、シンはルナマリアに尋ねた。
「シャツ…脱がせていい?」
「えっ…!?い、いいけど…。」
そう言われ、言われた通り、シンがシャツを脱がそうとすると、ルナマリアが声を上げた。
「あっ、やっぱりダメ…!自分で脱ぐから…。」
そう言って、ルナマリアはおずおずと自分でシャツを脱ぐ。彼女は下にタンクトップを着ていただけで、ブラはしていなかった。
「あ、あんまりじろじろ見ないで…恥ずかしいから…。」
「何言ってんのさ。これからもっと恥ずかしいことするのに…。」
「そ、それはそうだけど、心の準備が…あっ、やん…!」
シンは、ルナマリアのタンクトップを捲り上げる。大きさも手ごろな、ルナマリアの両乳房が露になった。シンは、ゴクリと唾を飲み込むと、思わず彼女の胸の美しい形に見とれてしまった。
10.
「み、見ないでったら…。」
ルナマリアがシンの視線に居心地が悪そうに声を上げる。シンは、ついつい見とれてしまったことを詫びた。
「ご、ごめん…あんまりルナの胸が綺麗だったから、つい…。」
「もう…エッチなんだから…!」
ルナマリアは照れ隠しに怒ったように言って、顔を背けた。そのまま、小さな声で呟く。
「…下も脱ごうか?」
「うん…俺がやる?」
「…自分で脱ぐわよ…。」
そう言って、ルナマリアはズボンから足を抜き取る。下着は意外なことに黒だった。
「…なにこれ?ブルマ?」
シンはついつい思ったことを口にしてしまう。途端に、ルナマリアの顔が赤くなった。
「ど、どうだっていいでしょ!」
恥らうルナマリアが可愛くて、シンの顔にも自然と笑みが浮かぶ。
「ごめん、たしかにどうだっていいよな。」
どうせ脱がせるんだし…そんなことをふと考え、シンの顔も思わず赤くなった。その思いをごまかすように、シンはルナマリアの胸に口をつけた。
「あっ…!?」
ルナマリアが身を固くする。シンはルナマリアの乳首をそっと口に含み、口内で転がす。一方で、空いているほうの胸の乳首を片手で弄り始めた。
「やん…んんっ…あん…ひゃっ…。」
シンの舌の感触に、ルナマリアは堪らず声を上げる。シンはルナマリアの乳輪をなぞるように舐めまわした。
「あっ、やぁん…く、くすぐったい…。」
シンの攻めに興奮し、ルナマリアはすっかり熱に浮かされたような表情になっていた。シンは、口で愛撫を続行しながら、片手をルナマリアの下腹部に伸ばした。
11.
「きゃっ!?や、やだっ…!」
シンは驚くルナマリアをよそに、片手を下着にもぐりこませた。そのまま中指でそっと秘裂をなぞる。
「ああっ、やぁ…!」
シンの指が触れただけで、ルナマリアの全身はまるで電気が走ったかのように震える。シンは、彼女の緊張を解すように、そっとルナマリアの肉芽を摘んだ。さらに、それをこねる様に回し、ボタンを押すように押し込む。
ルナマリアがシンの指の動きに堪えきれず声を上げた。
「ひゃっ…!あ、ああっ…シンっ…!」
シンは、ルナマリアの胸から口を離すと、ルナマリアの下着に手をかけた。
「えっ!?ち、ちょっと!?」
ルナマリアが制止する間もなく、シンはルナマリアの下着を下ろさせた。黒い下着が、彼女の腿の部分で止まる。途端にルナマリアの局部が露になった。
「やぁ…!ダメぇ…!」
ルナマリアは羞恥に顔を真っ赤にさせ、両手で顔を覆う。ルナマリアの初々しい様子にどぎまぎしながら、シンはそっとルナマリアの足を開かせた。
「えっ…?」
ルナマリアは指の隙間から自分の下腹部を覗き込んだ。シンが、自分の股間に顔を埋め、口で秘処を愛撫し始めていた。
「あん、あっ、やだぁ…!そんなとこ、汚いってばぁ…!」
シンはルナマリアの声には構わず、ルナマリアの秘裂を舌でなぞった。さらに先ほど指で摘んだ肉芽をそっと口に含み、先ほどまで彼女の胸にしていたように、舌の先で転がす。
「あっ…はぁ…やぁん…!」
ルナマリアの反応が可愛らしいので、時折軽く歯を立ててみたりという悪戯もしてみた。
「あ、ああっ…!」
ルナマリアの秘処からは、既に大量の蜜が湧き出ていた。花弁の奥から、粘り気のある液体が、ひっきりなしに湧き出てくる。シンはそれを指で掬い取ると、ルナマリアに舐めさせた。
12.
「な、なにこれ…?」
自分が舐めさせられたものが何かわからず、ルナマリアはシンに聞いた。シンは、ルナマリアの秘処に指を潜り込ませて答える。
「ルナの、ここから出てきたやつ。」
「へ、変な物舐めさせないでよぉっ!」
「何が変な物だよ。自分の体から出たもんじゃないか。」
「そ、そうだけど…あっ!?や、やぁっ…ちょっと、ダメぇ…!」
シンは、ルナマリアの中を指でかき回し、ルナマリアの怒りを軽くいなした。指で引っかくように、彼女の中を刺激する。ルナマリアの中は暖かく、ほどよく湿っていた。
「あ、ああっ…!はぁ…くうっ…ああん!」
ルナマリアは目を瞑り、胎内を蠢く指の感触に全身を震わせる。ルナマリアの秘処は既に十分に濡れ、すっかり男を受け入れる準備が出来たようだった。また、シンの方でも、ズボンの中で自分自身がすっかり膨張し、しまっておくのが辛くなってきた。
シンは、ベルトを緩めると、すっかり硬くなった肉棒を取り出した。それを目の当たりにして、ルナマリアは目を丸くする。
「うわ…大きい…。」
「あ、あんまり見ないでくれよ…。」
まじまじと見られ、恥ずかしそうに言うシンに、ルナマリアはやんわりとさっきの仕返しをした。
「それはお互い様でしょ?それにしても本当に大きいのね…ねぇ、触ってみてもいい?」
そう言うと、ルナマリアは身を起こし、指の先で、恐る恐るシンの肉棒に触れた。
「うわっ…熱い…。それに凄く硬いのね…。へぇ…男の人のって、こうな風になってるんだ…。」
そう呟き、そっとシンの肉棒を撫でるルナマリア。その耐え難い刺激に、シンの我慢は限界に達した。
「ヤバイ…も、もうだめだっ…!」
「え?きゃっ…!」
シンは一声叫ぶと、ルナマリアを再びベッドに押し倒した。
13.
「もう…乱暴にしないでって言ったじゃない…。」
すっかり上気した顔で、ルナマリアが小さな声で抗議する。シンはルナマリアの足を開かせると、自分の肉棒を彼女の秘裂にあてがった。
「あ、待って…!」
ルナマリアがシンを止める。ルナマリアは、まだ残っていた下着を脱ぎ、最後に残ったタンクトップを脱ぐと、生まれたままの姿になった。
「もういいよ…来て…。」
そう言って、ルナマリアは再びベッドの上に身を横たえた。ルナマリアの白い肌はうっすらと紅がさしていた。シンはゴクリと唾を飲み込むと、改めて自分自身を彼女の秘処にあてがい、ルナマリアに尋ねた。
「いい?行くよ?」
ルナマリアが熱を帯びた瞳でシンを見つめる。そして、小さく頷いた。
「うん…ちょっと怖いけど…。」
「わかってる…出来るだけ痛くないようにするから…。」
シンが腰に力を込めると、先端が彼女の中に呑み込まれていった。亀頭部分が暖かさに包まれる。
「あ、ああっ…入ってくる…。」
徐々に侵入してくる異物の感触に、ルナマリアは呻いた。思わず肩に力が入る。シンは、なおも侵入を続けたが、なにかの抵抗があり、そこからは上手く先に進めなかった。
「い、いたっ…!」
ルナマリアが声を上げる。どうやら、抵抗感の正体は、彼女の処女膜だったらしい。ルナマリアは痛みに涙目になっていた。シンはそんなルナマリアが心配になり、思わず声をかける。
「ルナ、大丈夫…?」
「はぁっ…はぁっ…うん、続けて…。」
「でも…。」
「私は大丈夫…我慢できるから…お願い、一気に…。」
健気にも微笑んで、ルナマリアは先を促した。シンはルナマリアがたまらなく愛しくなり、彼女の願いどおり、一気に腰を強く突き入れた。
14.
「あ、ああっ…!」
プツンという一瞬の抵抗感の後、シンの肉棒は処女膜を破り、ルナマリアの胎内の奥深くまで侵入を果たした。
「あうっ…ううっ…痛い…。」
あまりの激痛に、ルナマリアは苦悶の表情を浮かべた。目を硬く閉じ、文字通りの引き裂かれるような痛みに耐えながら、ルナマリアは苦しそうに息をしていた。
「ル、ルナ…本当に大丈夫…?」
我ながら間抜けと思える質問だが、シンはルナマリアがあまりに痛そうにしているのが心配になって、思わず尋ねずにはいられなかった。ルナマリアは、辛そうに息をしながらも、懸命に答える。
「う、うん…少しは、マシになってきたかな…?」
嘘だった。本当は、ズキンズキンという痛みが、絶え間なく下腹部から襲ってくる。しかし、シンを心配させまいと思い、ルナマリアは無理に笑顔を作って言った。
「私はもう大丈夫…。シンは…?」
「俺は大丈夫って言うか…その、気持ちいいけど…俺のことよりルナが――。」
「私は大丈夫…だから、動いていいよ…。シンも…んっ…今のままじゃ辛いでしょ…?」
涙を浮かべ苦しそうにしながらも、懸命に言葉を紡ぐルナマリアに、シンの胸はたまらなく切なくなった。
(ルナ…本当は自分の方がずっと痛くて辛いだろうに…。)
こんな優しい、良い子を危うく強姦するところだったなんて…。シンは、己の情けなさを痛感し、いたたまれなくなる。だからせめて、今はルナマリアを精一杯愛したい。シンはそう心に誓いながら、ゆっくりとルナマリアの中から肉棒を引き抜いた。
「あうっ…!」
シンの肉棒と膣壁がこすれ、途端にルナマリアが痛みに顔をしかめる。結合部に目を落とすと、彼女の破瓜の血が肉棒にこびりついていた。シンはそれを痛々しく思い、罪悪感に苛まれながらも、再び腰を前に押し出した。
「あ、ああっ!…くうっ…んっ…はぁ…。」
再び肉棒が彼女の中に侵入を果たし、膣壁を掻き分けるように中へと進んでいく。再び根元まで押し込むと、そこで小休止を入れる。
「ううっ…んんっ…あうっ…。」
ルナマリアはシンを心配させないように、必死で痛みをこらえ、声を押し殺しているようだった。ルナマリアが苦しんでいる姿は痛々しかったが、そうかと言って、シンが代わってやることもできず、どうすることもできなかった。
15.
シンはルナマリアの体を気遣いながら、ゆっくりと抽送を開始する。彼女の中からそっと肉棒を引き抜き、またゆっくりと押し込んでいく。挿入したばかりの彼女の中は、まださすがに狭かったが、動けないというほどではなかった。
「あ、ああ…んんっ…あっ…ううっ…。」
ルナマリアはシーツを強く掴み、目を堅く閉じて、下半身から突き上げてくる痛みに耐えていた。閉じられた瞼の間から涙が零れ落ちている。シンはルナマリアが苦しんでいるということに罪悪感を覚えながらも、抽送を続けた。
「あっ、い…たっ…んんっ…あうっ…。」
シンの耳に、苦しむルナマリアの声が突き刺さる。シンには好きな女の子と一つになっていると言う感動よりも、自分が彼女を苦しめているということが、たまらなく苦しかった。
「ルナ…ごめん…。」
「ううっ…あうっ…えっ…?なに…?」
なぜか謝ったシンに、ルナマリアは問い返した。シンは腰の動きを休めて言った。
「ルナをこんなに痛がらせて…。俺、上手くやれなくて…その…。」
「…そんなの、私だって同じよ…。」
悄然と謝るシンに、ルナマリアは優しく微笑んで言った。
「私も初めてだから…よくはわからないけど…。でも、シンが一生懸命なのはわかるから…。」
「ルナ…。」
「だから、私のことは気にしないで…。シンの好きなようにして…。我慢できるって言ったでしょ…?」
ルナマリアは表面上では平気を装って言った。シンはルナマリアの健気さに感動しながら、言われた通りに抽送を再開した。
「んっ…!あ、ああっ…!」
ルナマリアが呻き声を上げ、またもシンは動きを止めそうになったが、ルナマリアが小さく頷き、続けるように促すので、心苦しく思いながらも、そのまま腰の動きを続けた。
16.
肉棒がルナマリアの膣壁を引き摺るようにして前後する。ルナマリアはその度に苦痛の声を上げていたが、粘り強く何度もピストンを繰り返すうちに、その痛みも次第に和らいできたようだった。彼女が分泌した愛液が、シンの動きをスムーズにさせる。
「あ、あっ…くうっ…ああん、ああっ…!」
ルナマリアの顔からは徐々に苦痛の色が薄れ、明らかな変化が現れていた。次第に目がトロンとしてきて、高熱に浮かされているような表情になってきた。
ルナマリアの中は相変わらず狭かったが、それも何度も往復するうちに次第に広がってくる。暖かい愛液が、シンのモノを優しく包み込んでくれる。
ルナマリアの中に余裕が出てきたのを感じ取り、シンはルナマリアの腰を手でしっかりと固定すると、少し腰のスピードを速めた。
「あ、あん…!やぁっ…!シン…そんなっ、いきなり強くっ…!」
ルナマリアが戸惑いの声を上げる。実際にはそんなに強くしているつもりは無いのだが、シンには加減がわからない。慌ててスピードを弱めると、ルナマリアは、今度は物足りなさそうな声を上げた。
「あっ…あふぅ…も、もう少し…速くてもいいんだけど…。」
(…どうしろと?)
ルナマリアにとって丁度いい、と感じる度合いがわからないので、シンはもう自分のペースですることにした。幸いルナマリアの膣内は既に愛液が程よくにじみ出ており、動くのにもかなりの余裕が出てきている。
「やぁん…!シン!あんっ…!今度は、速いっ…!」
「俺の好きなようでいいんでしょ?」
「あ、あっ…!…えっ?私、そんなこと…んっ…言ったっけ…?」
「言った。」
そう短く言うと、シンはもう何も考えず、自分のペースで腰を振った。
「あん、あっ、んんっ、はぁっ…!やぁん…シンっ…強引過ぎっ…!」
たまらず、ルナマリアが喘ぎ声を上げる。しかし、その声も既に甘いものに変わっており、ほとんど苦痛は感じていないらしい。もう大丈夫だろうと見当をつけ、シンは更に少しずつスピードを速めていった。
「あ、あん、んんっ…!ち、ちょっと!…あんっ!聞いてるの…?」
ルナマリアが抗議するが、シンはそれに構わず、肉棒をルナマリアの子宮に打ち込み続けた。
17.
「あん、あっ、んんっ、はぁっ…!」
シンの肉棒がルナマリアの中を激しく往復する。シンが肉棒を打ち込む度、結合部からは、ぐちゅっぐちゅっと、卑猥な水音が上がった。
「ほら、ルナ…聞こえる?」
腰を動かしながらシンは意地悪く尋ねた。ルナマリアはそれには答えず、恥ずかしそうにシンから顔を背けた。シンは、いったん動きを止めると、繋がったままの状態でルナマリアの腰を掴み、彼女の体を一回転させ、うつ伏せにさせた。
「あっ…やんっ…!…シンっ…!こんな格好、させないでよぉ…!」
ルナマリアが顔をシンのほうへ向け、不安そうに言った。シンの顔が見えないから、なんとなく落ち着かないのだ。シンはふっと笑い、前かがみになってルナマリアの胸を掴んだ。
「えっ…?あっ…!ああっ…!」
手の中に暖かく、柔らかい感触が広まる。シンは両手でゆっくりと胸を揉み始めた。ルナマリアの胸の柔らかさをじっくり味わいながら、シンは腰の動きを再開した。
「あっ、あっ…!はぁっ…シンっ…!」
シンに後ろから挿入され、ルナマリアは激しく喘いだ。肌と肌がぶつかる度に、肉を打つ音が辺りに響き渡る。その音の間隔も、二人が高ぶっていくうちに次第に短くなってきた。肉棒が膣壁と擦れるたび、ルナマリアが甘い声を上げる。
「あん、あん、あ、ああっ!」
シンは胸から手を離すと、ルナマリアのほっそりとした腰を掴む。そして、欲望のままに腰のスピードを更に速めた。
「あ、ああっ!くうっ…あうっ…ああん!」
ルナマリアはベッドに顔を埋め、押し寄せる快楽の波に身を委ねていた。一方、シンのほうでも限界が近くなってきた。
「や、やばいっ…!もうっ…俺っ…!」
「あん、あっ、やぁ…!ダメ、ダメぇ…!おかしくなっちゃうぅ…!」
ルナマリアにも既に限界が来ていた。やがて、シンは自分の中の射精感に耐え切れず、とうとう、ルナマリアの中に精を放った。
「ああっ!あああぁぁぁっ!」
シンがルナマリアの中に精液を放出すると同時に、ルナマリアは感極まったような声を上げる。そして、それきりベッドに倒れこみ、ぐったりとしてしまった。
18.
シンは、服を身に着けながら、ちらりとシャワールームの方を見やった。ルナマリアはさっきからシャワーを浴びている。よほど念入りに洗っているのか、なかなか出てこない。
シンは、辺りを見回してみた。ルナマリアが脱いだ服があちこちに散乱しており、二人が激しく体を重ねたベッドは、シーツがクシャクシャになっており、いかにも情事の後、という雰囲気を醸し出していた。
(俺たち、しちゃったんだな…。)
シーツの一点に付いている赤い染みを見て、シンはしみじみと思った。ふと、この光景をメイリンが見たらどうしよう、と思いつき、慌てて室内を片付け始める。
ルナマリアが脱いだ服を急いでかき集め、ついでに血の付いたシーツも丸めていつでも洗濯に持って行けるようにした。そこまでやって、ホッと一安心したシンは、ベッドに腰掛けてルナマリアが出てくるのを待った。
「お待たせ…あら?片付けてくれたの?」
シャワー室から、髪についた水滴を拭きながら、バスタオル一枚体に巻いた状態で出てきたルナマリアは、一箇所にまとめられている服やシーツを見て、感心したように言った。
「へぇ…シンって気が利くじゃない…いい旦那様になれるかもね?」
そう言うと、ルナマリアは制服を取り出し、バスタオルを外して服を身に着け始めた。パンツを履き、上もアンダーシャツを身に着け、いつものルナマリアに戻っていく。スカートを履き、上着のボタンを留め、最後に、ニーソックスを履き、ブーツを履いて完成だ。
(うわぁ…女の子が服を着るのを見るって言うのも、結構興奮するな…。)
シンは、思わず見入ってしまった。服を身に着け終え、振り返ったルナマリアはシンの視線に気づき、赤くなって言う。
「きゃっ…!?な、なに…?ずっと見てたわけ…?」
「うん…まぁね…。」
「エッチ…。」
「何をいまさら…。」
そう言ってシンは小さく笑った。そんなシンを見て、ルナマリアもつられて笑みを浮かべたのだった。
19.
「あっ…シン…外出時間…終わっちゃったね…。ごめん…私のせいよね…。」
時計に目をやったルナマリアは申し訳なさそうに言った。たしかに、もう外出時間は終わりだ。しかし、既にそんなことはどうでも良くなっていた。好きな女の子に告白し、想いを遂げられた、それで十分だ。シンは首を横に振り、ルナマリアに言う。
「それはいいから、ちょっと外に出ない?」
「え?う、うん…いいけど…。」
シンはルナマリアの手を引いて甲板に向かった。甲板に続くドアを開けると、ちょうど夕日が水平線に落ちていくところだった。
「綺麗ね…。」
美しく輝く太陽を眺め、ルナマリアはポツリと呟いた。彼女の赤い髪は、潮風でなびいていた。シンは、うっとりと夕日を見つめるルナマリアの横顔にしばし見とれた。
「…?どうしたの?」
シンの視線に気づき、ルナマリアがシンの方を向いた。シンは意を決し、彼女の澄んだ瞳をまっすぐに見つめながら言った。
「ルナ!俺と付き合ってくれ!」
「…え?」
ルナマリアが呆気にとられたような顔をする。何を言ってるの?という表情に、シンは少し慌てた。
(ま、まさか…玉砕…?)
シンがそんな暗い思いを抱いたとき、ルナマリアが突然笑い出した。
「クスッ…ふふっ…シン、あなたってホント可笑しいのねぇ…!」
心底楽しそうにそう言い、ルナマリアは笑い続けた。その反応にシンは少しムッとする。こっちは真剣なのに!
「な、なんだよ!笑う所じゃないだろ!?」
「あははっ…!だ、だってぇ…!」
ひとしきり笑い、ルナマリアはようやく気が済んだようだった。
「ごめんごめん…はぁ〜っ…やっと落ち着いたわ…。」
そう言って呼吸を整えると、ルナマリアはシンの顔を見つめ返しながら言った。
20.
「あのねぇ、いまさら『付き合ってくれ』は無いでしょ?そんなの当たり前じゃない…。」
「…は?」
「だ・か・ら!『ヤリ逃げ』なんて許さないってこと!私の初めてを奪ったんだから、当然、最後まで責任取ってもらうわよ?」
そう言って、ルナマリアはシンの胸に顔を埋め、背中に手を回した。そして、小さな声で尋ねる。
「私がシンに抱かれたのが、単なる遊びだと思ったの…?」
「いやっ…!そんなことないけど…!」
「…でしょ?」
ルナマリアはシンに体重を預けながら、目を閉じて言った。
「あ、でも…私、結構嫉妬深いから、浮気しちゃダメよ?」
「そ、そんなことしないよ!するわけ無いだろ!?」
「うん…信じてる…。」
そう言うとルナマリアは顔を上げ、シンを見上げた。そして、澄んだ瞳で穏やかに微笑んで呟いた。
「シン…私のこと、守ってよね…?」
「あ、ああ…。」
「ん…。」
ルナマリアは目を閉じ、キスをせがんだ。シンも彼女の唇に自分の唇を重ねる。背中に回されたルナマリアの腕に、力がこもった。
(わかってる…ルナは何があっても、俺が守るから…。)
無残に引き裂かれた妹の体…もう二度とあんな思いは嫌だ。だから自分は力を手に入れた。もう俺は無力じゃない。必ず大切な人を守ってみせる――。
続く