DRAG ON DRAGOON エロエロエロエロパロスレ

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312カイアン(ロリ)1/4
 戦場は異様な緊張に包まれていた。

 別に敵の襲撃とかそういうことではない。帝国軍ならもうとっくに全滅している。
 残った死体もドラゴンの炎と妖精の魔法とあとアリオーシュの食欲が
(まずそうだったけど)片づけてしまったので、とりあえずOK。問題ない。
 問題は赤デブ、もとい重装魔法兵の最後の一人が、死にぎわにはじき返した一発にある。

「…えーっと…」
「十二、三歳くらい、か?」
「最大でも十四歳ってところでしょうね…」
「僕よりちょっと大きいかな? ね、ゴーレム」
「うがー」
「うふふ…ちょっと大きい…でもおいしそう…」

「おぬしら何をそんなに妙な顔をしておるのだ。不愉快な」
 鈴を振るような声がきわめて不機嫌そうに言った。
「そんなことより、なぜ急に大きくなっておるのだ? いきなりドラゴンを
見下ろすだけの背丈に成長するとは、人間とはおかしな生き物よの。先ほどの
魔法の暴発の後遺症か? 無様な」

「…ひょっとして、まだ気づいてないのか?」
「まあ確かに信じがたい光景ではありますけどね…」

 そう。
 そこにいたのは連合軍の誇る、赤いドラゴンだった。
 少なくとも、さっきまでは。

 今、地面の上で足を投げ出して頬をふくらませているのは、陶器のような白い肌に
あざやかに赤い髪をした、まばゆいばかりの美少女である。しかも全裸。
 すっぱだか。
313カイアン(ロリ)2/4:2005/06/22(水) 23:17:16 ID:Qu+buqHp
 年のころは十二、三歳ほどか。きらきら光る大きな金色の瞳に、なまいきそうにつんと
とがった高い鼻。怒ったように突き出された唇は、キスをさそうようなさくらんぼの色。
 ほっそりした手足に片手でつかめそうな腰、ようやくふくらみかけた胸に小さなピンクの
つぼみがまぶしい。

 が、この美少女には角があった。ついでに言うと、しっぽもあった。
 それから羽とうろこ。
 繊細な肩胛骨のあいだから、体格に見合った、しかしりっぱなドラゴンの翼が生えていて、
持ち主の不快に応じてぱたぱたうち振られている。
 しっぽも同様。背中いちめん、うなじから腰にかけては髪と同じ真紅のうろこにおおわれ、
まだ肉の薄い尻に至って終わっている。ちょうど尾てい骨の終わる場所から同じく赤い
うろこにおおわれた尾がのびて、今しも不機嫌な猫のように、ぱたんぱたん地面を
たたいているところだ。
 最後のとどめはちょっととがった耳のそばから、形のいい頭を囲むようにのびて、
赤い髪をきっちりと取り巻いている、角。
 ぷっくりふくらんだ丸い形もあいまって、ちょっと大きい冠か髪飾りに見えない、
こともない。
 が、全体としてやはりこの少女が、あのかなり気むずかしくてそうとう傲慢でかつ偏屈な、
同盟軍のドラゴン、殺戮大好きもと王子のカイムを契約者とするところの、赤い竜である
ことは間違いない事実のようだった。

「うろこ、ちょっと固そう…でも…」
「ね、ねえ、この感じだと、ドラゴンって、もしかしてすごく子供だったりとか?」
 うろこ取り(さすが主婦)を取り出したアリオーシュをあわてて押しのけるセエレ。
「そうだな、確か一万歳だとか言っていた覚えはあるが」
「でも、それは種族的な平均寿命の話ですからね。ドラゴンにとっては百年が人間の一年に
あたるとは聞いたことがありますが」
「じゃ、見かけが十二歳だとして、かける百で…」
「…千二百歳、くらい?」
「十倍近くも逆サバよんでたってことですか…」
「ドラゴン…なにげに大人げない…?」
 いやだから子供(仔竜)だし。
314カイアン(ロリ)3/4:2005/06/22(水) 23:18:37 ID:Qu+buqHp
「…おのれら、いつまでも何をこそこそ言っておるのだ? 言いたいことがあるなら
さっさと言わぬ──うわあああああああ!?」
 やっと気づいた。
「な、何だこれは!? どうなっておるのだ! うわっつ」
 あ、こけた。
 やはりいきなりの二足歩行はむずかしいようだ。
 しばらくふるふるしてから突然がばっと起きあがる。
 ぶつけたおでこと、白い頬がまっ赤だ。
「え、ええい、何を見ておるのだ愚か者ども!」
 すりむいたおでこを押さえてわめいた。(ちょっと涙目)
「さっさとなんとかせぬか、特にそこのハゲ!(びしいっ)
 何のために今まで貴様を生かしておいたと思っておるのだ!」
「わ、わたし美少女に変身したドラゴンをもとに戻すために
今まで生かされてたんですかッ!?」
 いやなが○けんネタはいいから。
「キャハハハ、おもれー! 天下一品!」
 ひらひら飛び回るフェアリーが甲高い声ではやし立てる。
「お偉いドラゴン様が、実はこんなガキだったなんてよー!」
「やかましい!」
 ごおっと炎が走り、黒こげになったフェアリーがへろへろと落ちる。
いちおう炎は出せるらしい。
 同時にレオナールがなんか煤だらけになってぶっ倒れたけど気にしない。
「無礼だぞ、蚊トンボのちびめが」
 可憐な唇から出た火花を吹き消しながらドラゴン。
「我は誇り高きドラゴンぞ。一万年の時を生きる高貴な種族ぞ。小汚い妖精族
などといっしょにするでないわ。…まったく誰がガキだ、誰が。失礼な」
「子供は子供扱いされるのがいちばん嫌いですからね…」
「なにか言ったか、ハゲ」
「いえ私は何も」
 いらん喋りが多いのはどうやら直らんらしいなハゲ。
315カイアン(ロリ)4/4:2005/06/22(水) 23:19:58 ID:Qu+buqHp
「とにかく、早くもとに戻せ。原因はおそらくあの赤魔法兵の魔法反射が妙な具合に
合わさったことであろう。このままでは帝国軍の再襲撃があったとき話にならぬ。
 さっさと戻せハゲ。戻さぬとあらばうぬら、全員生きたまま八つ裂きにした上で
灰も残さず焼きつくしてくれるわ」
 そんなことスウィートなキャンディボイスで言われても。
「どうなの、ヴェルドレ?」」
「そ、そんなことを言われても、私には…」
 ──どけ、ハゲ。
「おわあっ」
 背後からの見事な中段キックが決まって吹っ飛ぶハゲ。
「カイム! どこ行ってたの? ドラゴンが大変だよ」
 セエレがむじゃきに尋ねる。てかハゲは放置かおまえ。素敵な根性だお子様。
 当事者のひとりであるはずのカイムは事件直後に姿を消していたが、戻ってきたようだ。
 ドラゴン少女がさらにまっ赤っかになって飛び起きる。
「カ、カイム!? おぬし今までどこに…むぷっ」
 いきなり頭からばさっと白い布を投げつけられた。
 ──とりあえず、何か着ろ。そんな格好でうろちょろされては兵士の士気にかかわる。
「な、なんだと!? おぬし、契約相手が大変なことになっておるのに、言うべきことは
それだけか! ちょっと待て、待た、うぷっ! ぷわ! な、何だこれは!? ど、
どうすればよいのだ!?」
 大きすぎるシャツに羽とか角とかしっぽとかからまってなんか凄いことになっている。
 布の中でじたじたもがもがしている少女姿のドラゴンと、それを無表情に見ている
黒い髪の契約者に、皆はいろんな意味での戦慄を感じざるを得なかったという。

「うろこ取れば…ちょっと大きいけど…」
 いやそれはもういいから。


 続く。