「うわ〜、なんか予想外の事態になってる……。キングさん、どうするどうする?」
「ど、どうって何が?」
「何がじゃないッチ!安定だと思ってたお兄ちゃんとキングさんの間にライバル出現だよ!?
あ〜、どうしよう!キングさんにはお義姉さんになってもらいたいけど香澄ちゃんも友達だし〜!!」
「ちょ、何言ってんだいこの子は!」
黙って見詰め合うリョウと香澄の様子を見て、ユリは一人で盛り上がっていた。
一方のキングも冷静を装っているが、内心戸惑っている。
というか今夜はリョウと二人で夕食のはずが、何でこんなことになっているのか。釈然としないキングだった。
「ったく、何をはしゃいでんだか……ちょっとユリ・サカザキ!いい加減これほどきなよ!!」
一人はしゃぐユリに食って掛かるのは、キングに敗れたまりん。
今は彼女自身が隠し持っていたワイヤーで拘束されている。
「う〜ん、私としては前々からキングさんとの仲を応援してきたわけだし、やっぱり……。
いやでも恋愛ってのはチャンスは平等であるべきかも!?う〜ん、悩むな〜!!」
「だ、だから何バカなこと言ってるんだい!ほら、香澄が裸じゃないか!何か着るもの無いのかい!?」
「お〜い!聞いてんの!?バカ女とムエタイ女!大体あんたたちなんで極限流チームじゃなくて龍虎チームなの!?
わざわざアンチ極限流チームなんて名乗ったウチらが浮くじゃん!!そもそもロバート・ガルシアいないじゃん!
リョウ・サカザキだけなのに龍虎チームって何!?アンタ達なんて龍チームで十分なんだから!やーい龍チーム!!」
理由は違えど慌てる二人にまりんの声は全く通じていない。
ロバートとタクマはまだ師弟漫才を続けている。
そんな騒がしい周囲をよそに、香澄はただリョウに寄り添っていた。
(言いたいことは、拳で全部伝えたから……言葉は、また今度でいいや)