リョウへの想いを自覚したからといって、香澄は自分の生き方を変える気はなかった。
リョウの事は好きだが、極限流打倒の思いは変わらない。
とはいえ、リョウと顔をあわせるとやはり意識してしまう。
手合わせをしている間はともかく、勝負が終わって座り込んだ時、差し出された手を握るだけでも顔が真っ赤になる。
そんな調子なので、ユリあたりにはバレてしまっているかもしれない。
最も当のリョウ自身はまったく気付いていないようだが。
とにかく、このままではいけないと感じた香澄は、一旦日本に戻り修行の基礎をやり直すことにした。
リョウの前であがってしまうことを抜きにしても、基礎に立ち返るのはいい修行になった。
そして、学校にも通いつつ修行の日々を送っているところに、如月影二が現れたのだった。
KOF’95以来表の世界から遠ざかっていた彼は、今回アンチ極限流チームとしてKOFに参加するつもりなのだという。
そのための同志を募っているという影二の頼みを、香澄は快諾した。
数ヶ月にわたる日本での修行の成果を、リョウに見せるいい機会だと思ったからだ。打倒極限流は自分の目的でもあるし、
影二が言うようにKOFで藤堂流をアピールすれば、世界のどこかにいる父の耳にも届くかもしれない。
そうしてさらにもう一人の仲間、まりんを含めて香澄はKOFに参加したのである。
しかし、結局大会でリョウ達と戦うことは出来なかった。
今回リョウとチームを組んでいたユリ、キングとも仲がいいだけに、顔をあわせる機会もなかったことは残念だった。
大会終了後、今回の結果に満足しなかった影二とまりんは、リョウ達の祝勝会に襲撃をかけると言い出した。
奇襲や闇討ちなどというものには感心しないが、香澄もリョウに会える機会は逃したくはなかった。
そして、香澄は他の二人とともにリョウ達の集合するレストランへと向かったのだった。