そして、皆が眠りについた頃。香澄だけがまだ眠れずにいた。
最初は慣れない寝床のせいかと思ったが、やけに早い鼓動の理由にはならない。
昼間の道場での勝負……リョウと体が密着し、意識を失うまでの一瞬を思い出す。
(何度も戦ってるのに……あんなに近くに感じたの、初めてだった)
「ん……」
戦ううちに熱を帯びたリョウの鍛え上げられた身体……。あの瞬間、香澄の頭は完全に真っ白になっていた。
(すごく熱くて、汗の匂いがして、顔のすぐ近くにあの男の顔があって……)
「ふ……ぁ…」
気がつけば香澄の手は自らの下着の中にのびていた。
「だ、ダメ、こんな…いやらしい……」
頭では否定しても手は一向に止まらない。それどころか、戦っているリョウの姿を思い出すたびに、
指はより激しく秘所を刺激する。
「嫌…隣にユリさんがいるのにぃ……」
今隣の部屋ではユリが寝ている。大きな音を立てれば、気付かれてもおかしくない。
それでも香澄の手は止まらず、少しずつヌチュ…と水音が漏れ出す。
「あぁ……」
一度火がつけば、もう止まらなかった。左手が寝間着の下に滑り込み、乳房に触れる。
「ん……おっぱい…ぁ……」
握り、こね回すうちに、香澄はさほど大きくもない胸からの快感に没頭し始めた。
やがて淡い桜色の乳首がツンと立ちあがる。
それに呼応するように右手がもたらす秘所への快感も増加する。
「はぁっ…!あ、ぁぁっ……!!」
いつしか香澄は身につけているものを脱ぎ始めていた。
シャツとズボンを乱暴に脱ぎ、ぐっしょりと濡れたショーツに手をかける。
(これがあの男の手なら……)
宿敵と目する男に服を剥ぎ取られ、丸裸にされる自分を想像しながら、香澄は最後の一枚を脱ぎ去った。
一糸纏わぬ白い肌は汗に濡れ、秘所からはおびただしい愛液があふれる。
それでも声を上げるわけにはいかないので、脱ぎ捨てた寝間着の裾を噛むことで声を抑える。
「ん……!」
身体はより強い快感を求めるが、他人の家で自慰にふけるという行為をほんの少し残った理性が否定する。
そんなもどかしい感覚を消したくて、ただ荒々しく胸と秘所を弄る。
リョウに身体を蹂躙されていると夢想するほどに。