2getなのか?
1乙。
1乙です
5 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/08(日) 08:08:05 ID:gxzANJBE
>>1 乙。ついでに保守ネタ
”荒廃の魔王”アゼル=イヴリス。彼女は『魔殺の帯』という特殊なアイテムを使って、
自らのプラーナを吸収する能力を押さえてると書いてある。
その帯で彼女の四肢を固く結んでおき、色々として、彼女が切り裂こうとすれば、
「そんなことしたら、回りからプラーナ吸収しちゃうよ〜〜嫌われても良いのかな〜〜」
といって言葉責めにして徹底的に痛めつける事ができるのではないだろうか?
魔殺の帯で緊縛プレイ
>1
乙。
>5
桃色☆ふぁーさいどだな。
…そのネタで頑張って書こうとしてたんだがエロが書けずに固まってたんだが、
俺の無念も引き受けて一つ書いてはくれないだろうか?w
>1
乙
>5
大股開きで固定するのがデフォだな。
>>5 とりあえず、手首と足首を結ぶのだ。
東方の鈴あたりをボールギャグ代わりに!(゚ロ゚
新スレ乙。
桃色☆ふぁーさいどをついこの間のセッションで登場させてみたり。
ネタで買ってくれた仲間に乾杯。
このスレ的には桃色☆ふぁーさいどって何号まで出てたっけ?
あと中身なんだっけ。
俺もセッションに出したいのだが。
大地の神子×マッドマンとか考えたが女王様キャラ書き慣れないせいでイマイチ進まない……orz
桃色☆ファーサイド……
久しぶりに見にきたら、まさかここまで引っ張られてるとは。
しかし言いだしっぺ的にはこの単語を見るたびに何か大事なものを失った気分に。主に理性とか。
あと「ふぁーさいど」の部分は平仮名のほうがえっちぃと思います。
>16神
大丈夫、神もこう仰せである。「いらないもの。羞恥心」(待て)
>17
俺もそれは聞いたことがある、羞恥心と枕だよな確か…
>>17 「この門をくぐる者、全ての羞恥心を捨てよ」
―――ダンテ、失われた神曲・裏界編
ふん………
羞恥心がなくなったら、羞恥プレイが出来なくなるだろうがぁ!!
「羞恥プレイが出来ないなら、白痴プレイをすればいいじゃない」
だが、羞恥心をなくして素っ裸で男のプラーナを搾り取っていく
ベル様というのもそれはそれでっ。
【5秒後、ベル様の魔法で死亡】
え、ベルって柊にだけ恥ずかしがってるんじゃなかったの?!
>ベル
柊の見てないとこでは、艶かしく乾く暇も無いほどプラーナ搾取してて、
他の魔王に「柊とか言う小僧がこれ知ったら、どうなるんだろうな?」
とか揶揄されたり……しないの!?
>>24 そこに更にアンゼロットが脅迫者として絡むわけですな
恥ずかしさに赤くなっているんじゃなくて、我慢しようと赤くなっているのかもな
27 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/10(火) 22:40:32 ID:A54Xribb
ついネタでロンギヌスのシナリオを見て「サロウォンの小さな鍵の後継者になってしまった
サンプル魔術師が小さな奇跡で呼び出した魔王様とえんやこら〜」というのを考えたのです
が……困ったことに、サンプル魔術師ってマユりんなんですよね、よーするに女の子orz
これはオリジナルで男の子にしたほうが無難でしょうか? それとも女の子のまま突っ走
っちゃえというサロウォンの甘い罠? 教えてエロい人orz
つーわけで、ここの趣向としてたどうなんでしょ? そこんとこ意見クダサイ〜orz
イラストどおり、女の子にしてエイミーや他の魔王達に百合百合の堕落の責めに合わせればいいジャなーい
男の魔術師・・・
(・Д・)つ【魔法先生】
【馬鹿は無責任なことを言った】
30 :
アゼルねた(このスレの5):2005/05/10(火) 23:12:03 ID:qG9EkCWI
流れを無視してアゼルネタを投下してみます。
□◆□
「…………」
裏界のどこかにある、一角の荒野。そこに一人の少女が座っていた。
”荒廃の魔王”『アゼル=イヴリス』。まわりから生命力ともいえるプラーナを吸収してしまうため、
彼女に近づくものはおらず、また彼女も誰にも近づかないようにしていた。
空は漆黒。地は荒野。風は吹かず、水の一滴さえ存在しない。
「…………」
虚無的な瞳で空を見上げ、永劫ともいえる時の中でできることが何もない自分が悔しい。
「……………」
彼女にとって世界をほろぼすなど造作も無い事だ……影を出して帯状結界を外してしまえば良い。
そうすれば、まわりのプラーナを吸収し続け……それだけで人間の言う世界は滅びてしまう。
「………嫌……」
そんなことをして彼女には何が残るというのか?……答えは何も……残らない。
かつて、『霊王イクツェル』は世界を滅ぼそうとしたが彼女にはなぜ
イクツェルが世界を滅ぼそうとしたかわからない。
ふと、地面を見ると『誰か』が倒れていた。包帯を強く巻いて『誰か』に近づく。
ミサイルにロープで縛られている少年がそこにいた。
「柊…蓮司?」
有名なウィザードの魔剣使いがそこにいた。アンゼロットの宮殿からミサイルで発射され、
運良く(悪く?)この場所まで落ちてしまったのだ。
「……ここにいたら……」
自分がプラーナを吸い尽くしてしまう。早く起きてもらって、彼の世界に送っていけば大丈夫だろう。
彼を縛ってるロープを解き、彼を抱きかかえる。
ドクンドクンドクン。暖かさが、包帯状の結界の上からでも感じられる。
初めて感じる人の温かさにアゼルの目は潤み始めた。
☆★☆
希望があれば続きを書こうと思います。
アゼルたんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
もちろん、希望!!
とゆーかこのまま柊は魔王をコンプリートするのかっ!?
「は、ふ……」
ポフ、とベッドに倒れこむように横になり、小さく息をこぼれた。
ため息の主は、小柄な少女だ。投げ出した疲労に痺れる手足は細く。ローブに包まれ
たその肢体はまだ青い果実を思わせる華奢なラインを描き。洒落っ気のない黒縁眼鏡の
下には、愛らしい幼い顔がある。
少女は自室の見慣れた天井を潤んだ目で眺めながら欠伸をかみ殺した。
「眼鏡、外さなきゃ……制服も……ん」
ベッドのやわらかさに後押しされた睡魔が、少女の体を気だるい眠りに誘っていく。
少女は魔術師――ダンガルド魔術学校に席を置く正真正銘の魔法使い≠ナある。
つい先日の事だ、サロウォンという古代の大魔術師が残した遺産『サロウォンの小さな鍵』
を継承し、72の魔王すらも召喚する奇跡とも言うべき力を手に入れていた。
だが、例えそのような奇跡を手にしても魔術師としての力量はまだまだ未熟、そして幼い
十代の少女に過ぎない。
――力を持つ者は、自らの力を御し、正しき道を行く義務がある。
そう語るマーリン直々に厳しく指導される毎日に、少女の疲労は積もり重なっていた。
――ゆえに、誰にこの少女が責められるだろうか?
まさにこの瞬間、彼女の鞄の中にある魔導書に小さな奇跡が起きようとしていたとしても……。
33 :
27:2005/05/10(火) 23:40:30 ID:A54Xribb
と、いう訳で。ここで希望を取りたく!!
「――どの72の魔王を呼びますか?(w」
えー、ロンギヌスの載っている72の魔王でよろしく、先着一名でー。
……前スレでも似た事やってたな、自分orz
>>32 何でもかんでも射出するのが好きですよね、アンゼロットは。かくいう自分も白
御子コンではアンゼロットに宇宙から射出されましたがorz
ヒイラギ、ガンガレ、ヒイラギ……orz
これ、ノーカウントで。
ロンギヌスに載ってない72柱の魔王いいのなら、アシュタルテかシトリーを選びたいにゃー。
どっちもエロエロですぜ、旦那。萌えはないかもしらんが。
あえて助言止まりで。
サンプル魔術師は隠れ巨乳眼鏡っ子。
ならば、それと対比して栄える魔王をキボンw
>>35 んでロリも入っていると。
するとモーリー=グレイとかエリィ=コルドン、カミーユ=カイムンあたりかね。
ボーイッシュ属性でレライキア=バル、マルコってのもあるか。
あ、パイ=レイモーンもいたね。
じゃ、>36の中からエリィ・コルドン。(ぁ
38 :
666:2005/05/11(水) 14:34:07 ID:Vsqqc6Tn
流れを更に無視して続きを投下せんとす。
つーか間が空きまくった上に今回もエロ無しで勘弁、がくり。
次辺りからそろそろエロに入る心算。
39 :
白き閃光12:2005/05/11(水) 14:35:11 ID:Vsqqc6Tn
図書室の奥まった一角、閲覧者用の小さな椅子に腰掛けて、その人はいつものように
本を読んでいた。
分厚いハードカバーを膝に乗せて、片手で栞を弄びながら、のんびりと。
内容はワタシにはまるで理解のできない難解な代物――電磁気学がどうとか――
だったけれど、くつろいだ気負いない様子で、それに没頭していた。
「――“先輩”」
その人はワタシより一学年上の三年生だ。だからそう呼ぶことになっている。
「ああ、ごめんなさい」
呼びかけてようやくこちらに気付いたらしく、はっと顔を上げて、謝ってきた。
細い手指が名残惜しげに栞を挟む。
――パタンと本を閉じる音。それを合図に、入れ替わる。
微かに甘い匂いが立ち込める。周囲から色彩が失せていく。
それは断絶。ワタシ達とそうでないヒトを隔てる結界――ワーディング。
その中心で、その人は淡く微笑んでいる。いつものように。
“ホーム”を出て工作員に着任したワタシの、初めての上司。
ノイマン・シンドローム発症者の中でも群を抜いた思考能力・洞察力を持ち、それ故に
この年齢で支部一つを預けられている希有な例。
――“ワタシ達”と近しい存在でありながら、“大人達”の側に立っているヒト。
「珍しいですね、貴方が時間に遅れるなんて」
「申し訳ありません、支部長」
今後は注意して下さいと支部長が言って、遅刻の件は打ち切られた。
それから、手近な椅子を勧められた。
40 :
白き閃光13:2005/05/11(水) 14:35:54 ID:Vsqqc6Tn
「どうでしたか、入学初日は?」
「大きな問題はありません。
多少注目は集めましたが、今後の改善で解消できる範囲です」
「クラスには馴染めそうですか?」
「はい」
何よりです、と支部長は頷いた。
ワタシがこの人から受けた命令は二つある。
一つは支部長の警護。これはそれほど徹底したものじゃない。直接戦闘能力にこそ
乏しいけれど、この人もオーヴァード。自分で自分の身を守ることはできる。ワタシは
何かあった時に駆けつければ良くて、四六時中傍にいて気を張る必要はないそうだ。
でも、クラスどころか学年まで別々になってしまっているのは……いいのかな。
そしてもう一つは――きっとこちらが主なのだろうけれど、一般的な高校生と同じ
ように振る舞え、というもの。漠然としていて意図するところが解りかねるけれど、
きっと潜入や対人交渉の訓練か何かを兼ねているのだと思う。
「暫くは学校生活に専念して下さい。訓練も免除します。
希望するなら、部活動に参加しても構いませんけれど」
「あの……部活動まで参加しては、職務に支障が生じませんか?」
「文化系の部なら時間の都合がつけやすいと思いますよ」
支部長の微笑は崩れない。
……どう反応したらいいのだろう。時たま、この人は考えが読めないことを言う。
ノイマンの、それも支部長クラスのオーヴァードの思考をワタシなんかが追おうとする
ことが愚かなのかも知れないけれど。
結局どうとも答えられず、「まあ、ゆっくり考えて下さい」と言われた。
それから二・三、簡単な打ち合わせを済ませて、簡単な連絡を聞いた。
41 :
白き閃光14:2005/05/11(水) 14:36:33 ID:Vsqqc6Tn
「――本日は以上です。何か質問はありますか?」
いえ、と答えようとして、ふと考え直す。
ずっと疑問に思っていたことが、一つだけあった。
職務と関係ない質問ですがよろしいですかと訊ねると、「どうぞ」と促された。
少し迷ってから、口を開いた。
「支部長は……どうして高等学校に在籍しているんですか?」
高等学校の画一的な教育は、この人には意味がない。それくらいはワタシにも解る。
なのに、どうして無意味な授業を受けるために、ここに通い続けているのだろう。
「大切だから、それと必要だからです」
返ってきた答えは、やっぱりよく解らなかった。
そのうち解って貰います、と支部長は付け加えて、ぱたんと本を開いた。
途端、立ち込めていた匂いは消え、色彩が辺りを覆い尽くした。断絶は雲散霧消した。
「帰り道は気をつけて下さいね」
「……はい。失礼します、先輩」
42 :
白き閃光15:2005/05/11(水) 14:37:09 ID:Vsqqc6Tn
二週間経った。
朝起きて、朝食を済ませて学校へ行って、授業が終わったら周辺の地理把握のために
遠回りをしながらマンションへ戻る。それから課題を済ませ、一通り自主訓練をしてから
入浴し、食事を取り、眠る。そんな日々が本当に何ごともなく過ぎた。
同級生達や教諭達はワタシの知らない多くのことを知っていて、ワタシはそれを一つ
一つ覚えていった。
前の席の彼女は、相変わらずワタシによく話しかけてくれる。早くクラスに馴染める
ようにと配慮してくれているようで、彼女の友人とワタシを引き合わせるようなことも
しばしばしてくれるけれど、まだ、同級生と話すのは得意じゃない。会話に加わろうと
試みてはいるけれど、難航している。さらなる改善が必要だ。
結局、ワタシが交友らしきものを持てた人間と言ったら、今のところ彼女ともう一人の
二人だけ。
「こんにちは」
「……よう」
放課後の屋上に、いつも彼はいる。給水タンクの陰に隠れているか、今日みたいに端の
方で仰向けになっている。
そうして、飽きもせずに空を見上げている。
「また、授業に出なかった」
「あン?」
「出席日数が危ないって。出た方が、いい」
「別に、お前の知ったこっちゃねーだろ。俺のオフクロか、お前は」
「……オフクロ……って、何?」
「……あのな、ったく」
「?」
「突っ立ってねぇで座れよ」
43 :
白き閃光16:2005/05/11(水) 14:37:57 ID:Vsqqc6Tn
促されて、彼の隣に腰を下ろした。
彼は相変わらず授業の欠席が多い。良くないと注意はしているのだけれど、聞き入れる
様子はない。どうしてと何度か訊ねても、よく解らない返事ではぐらかされる。
「つーかよ。なんでお前、俺に付きまとうんだよ」
「無断欠席を注意してるだけ。付きまとってるわけじゃない」
「俺のオフ…母ちゃんか、お前は」
「? ……ワタシに出産経験はないはずだし、アナタとワタシじゃあ年齢が……」
「……そういうマジボケやめろよな。相手すんの疲れる」
むっとする。時々こんな風に、彼はワタシを馬鹿にする。
「じゃあ、どういう意味で言ったの」
「だからなァ、あー……母ちゃんみてぇなツラしていらん世話焼くなつってるんだよ」
「母親って、そういうのなんだ?」
「あン? そりゃそうだろ」
「そうなんだ」
「……何言ってんだよ、お前」
「ワタシにはいないから」
「……そか」
「うん」
ワタシも彼も言葉が途切れた。手持ち無沙汰になったから、彼の真似をして空を見上げ
てみた。日はもう傾いていて、仄かに赤みが差していた。風が冷たくなってくる。
緩やかに過ぎていく無為な時間。苦手なはずだったそれが、何故だか気にならない。
ここは風通しがいいから、沈黙が続いても息苦しくない。
彼がいつもここにいるのは、そのせいなのかも知れない。
――あまり、喋るのが得意には見えないから。
44 :
白き閃光17:2005/05/11(水) 14:38:41 ID:Vsqqc6Tn
世界が真っ赤になってきた頃、彼はぽつりと口を開いた。
「なあ転校生……お前、楽しいか?」
「何が?」
「お前は、ガッコ来てて楽しいか?」
そんなことは考えたことがなかったから、「解らない」と答えた。
彼は何も言わなかった。
短い静寂を置いて、今度はワタシが口を開いた。
「ここって、のんびりしてる。のんびりし過ぎてて、何をしていいか分からなくなる。
居心地のいいところだけど……だから、かな。ちょっと疲れる」
……でも嫌いじゃない、と思う」
「嫌いじゃないんなら、楽しいってことなんじゃねーの?」
「そう……かな」
「しらねぇけどよ」
「……前から思ってたんだけど……アナタってヘンな人」
「お前にだきゃ言われたくねぇ」
じろりと睨まれた。目が合って、その中にワタシが見えた。
ワタシの顔は、知らないうちに少しだけ綻んでいた。
ひょっとしたらワタシは、彼と話をするのが嫌いじゃないのかも知れない。
――震動。
携帯電話に支部長からのメールが届いていた。『すぐに図書室へ』とある。
「行かなきゃ。それじゃあ……」
「おう。……またな」
45 :
666:2005/05/11(水) 14:42:55 ID:Vsqqc6Tn
以上。前スレ666でした。乱文にて失礼、と。
……こいのぼりの部下っ!? にげt
こいのぼりの部下かぁ……全滅しちゃいますねえ(ォィ
つかちゃんですら、(部下)名簿に入れないでください。って、土下座しそうだな……。
そういえば、柊はロンギヌスに入隊させられたんだっけ?
…こいのぼり…なんだろうか?
俺は水晶の瞳でイメージしてたが。
…こぉ、なんというか。ぜってぇこいのぼりは「先輩」って柄じゃないと思う。
淡く微笑むのもなんかアリエナイし。そもそもこんなに大人びてな(生体超振動ランスで貫かれる)
>30
…で、ものすごく反応が遅れたがGJ。
取りあえず先を越されつつしっかり萌やされたので、書きかけのアゼルたんを
「保留」フォルダに放り込み、同じく書きかけの別の魔王に力を注ぐ所存。
…問題は、別の魔王ネタの方は柊なのでそろそろ飽きられはしないかという点だ orz
>49
大丈夫だ、柊は豪華料理じゃない、ご飯だ、白米だ、庶民の味だ。
日本の食卓に欠かせないもの、それが柊クオリティ
ナイトウィザード通信のミニドラマ参照(w<柊、ロンギヌス入り?
天気の良い朝だった。
柊は誰の襲撃を受ける事もなく通学の準備を整える事が出来た。
(ああ、今日は平和に暮らせそうだ)
その淡い期待は玄関を開けた途端にもろくも崩れ去った。
「お久しぶりです柊さん」
「おひさしぶりにょ〜」
「おはようございます」
柊の目の前には、以前第1世界で出会ったリューナ、ポーリィ、ガーネットの3人が立っている。
「ひ〜らぎ〜、おいしいもの食べに行くにょ〜」
「私はこのディズニーランドと言う場所に興味がありますわね」
「俺には学校が〜」
3人娘に引きずられていく柊。
・・・・・
夜になってやっと自分の家に戻ってきた柊。懐の財布が羽のように軽くなっている。
「いっ、一か月分の食費が入っていたはずなのに」
これからの生活を考えて絶望にくれる柊。
「この世界はおいしいものがいっぱいあるにょ〜」
山のように積まれたスナック菓子を片っ端から食べているポーリィ。
「これは、はずれですねえ」
買ったばかりの新作ゲームを5分ほど動かして停止させるリューナ。
すぐに、次のゲームのシュリングを破りだす。なお、本体の方も先ほど買ってきたばかりである。
「二人とも久しぶりに柊さんに会えたから嬉しいみたいですね」
既にあきらめているらしく二人の凶行を止めようとしない、ガーネット。
「はぁ、もう寝るか」
柊は一人ベットに移動し横になる。ゲームの音楽やせんべいをかじる音が聞こえてくる。
それを子守唄代わりにうとうとし始める。
2−30分ほどして、体を押さえつけられる感覚で目がさめる。
目を開けると、両肩をポーリィが、両足をリューナが押さえ込んでいた。
「って、おまえら何やってるんだー」
「ガーネットの想いをかなえるためです。柊さんも協力してください」
「えっ」
ふと横を見ると、生まれたままの姿になったガーネットが立っていた。
「いつもの車の中からこんにちは、懲りずにアンゼロットの部屋≠フお時間です。
本日のゲストは急遽変更して蠅の女王∞美少女大魔王特許申請中∞永遠のやられ役
ベール=ゼファーさんです」
「…………ま、細かいツッコミは無意味よねー。で? 急遽変更って何よ? 場所もアンゼ
ロット宮殿じゃないし。やっぱり、魔王は自分の本拠地に招けないのかしら?」
「いえいえ。実は前回のゲストの赤羽くれはさんが大暴れしてくれまして、今アンゼロット宮
殿の私の部屋は今回のゲスト予定だったロンギヌス00が急ピッチで修復作業中です」
「――そう、お気の毒に、ね」
「まあ、いつもの自分の行いが我が身に跳ね返ったってことで一つ」
「相変わらずPCとプレイヤーの垣根が薄いわね……」
「え〜、司会進行はこの私、言わなくてもわかりますよね? 私ですよ? 私」
「じゃあ――司会のイクスィムさん」
「よりにもよって、その名前ですか!? くたばれ、地獄に堕ちろっ!?」
「打てば響くわねー。いい加減、貴女もそのキャラに安定してきた? ヒロインの道から
スピンアウトしまくりねー」
「く……自分だって、やられ役の魔王のくせにー」
「ふふん、最近じゃ私は公式シナリオじゃあ、PCに助言する側になってるのよ? 毒をもったり
部下をチクチク虐めてハリーハリーハリー言ってる貴女とは違うの、お解かり?」
「ふーん、そういう態度バリバリですか……?」
(SE:カチリ、とスイッチの入る音)
「ん、ひゃ……っ!?」
「あれあれー? ゲストのベール=ゼファーさん? いきなりどうしました? むせちゃっ
て、お顔も赤いですよ? お風邪でも召しちゃいましたー?」
「な、……ちょ、ちょっと……咳き込んだ、だけよ……っ」
「ですよねー? 実はこの間、柊蓮司さんが赤羽くれはさんにこてんぱんにたたきのめされ
て生死判定してるときにこぉんなもの落とされてたんですけど……ええ、関係ないですよねー」
(SE:キチキチキチ、と目盛りが上がる音)
「……っ、は……あ、なた……こ、んなまね、して……」
「え? あ、はーい、ここでCM入りますねー?」
「……っ!? とりだめ、じゃ、……ひっ!?」
「あ、今回スペシャル企画で生放送です――さ、CM入りましょうね〜」
「ちょ、さわら、……」
(SE:のんきないつものミュージックとともに、CMコール)
『――アンゼロット様自らがアンゼロット宮殿の奥深くから発見した幻の黄金天然なアレ100%
使用』
(SE:コップに注がれる黄金色のお茶。それを手に、満面の笑顔のタンクトップ姿のグィード・
ボルジア)
「ん、ぐ、んぐんぐんぐ、ブハァ、アンゼG、イェア、グハッ!!」
(やり遂げた男の顔で、吐血と共にスローモーションで倒れていくグィード)
『アンゼG、近日発売予定』
(SE:のんきないつものミュージックとともに、カメラが車内に)
「は、や、もう、……ほんと、ゆる……は……っ」
「ほおら、魔王でしょう? もうちょっと……って、CMもう終わ
し ば ら く お 待 ち く だ さ い
ロンギヌスTV
……って、カメラ戻りました? あ、はい、お見苦しい場面があったことをお詫び申し上げます。
で、ゲストのベール=ゼファーさんですけど……」
(SE:ベルが座っていた場所にはぐねぐね身悶えるベルぐるみが一つ置いてあるだけ)
「まあ、これはこれで地上波の限界でしたねー。ベルぐるみですか、私も自分のぬいぐるみでも作りま
しょうか? こう、ふと気がつくとアンゼGを入れてくれる日常にホッとした一時を演出する、そんな
人形……ま、マーケティングはいつものごとくあそこで取る、ということで。
思い立ったら吉日ですね。では、また来週〜」
(SE:のんきないつものミュージックとともに、画面がフェードアウト)
あ、アンゼGってまさか…黄金nいやなにをするはなせやめろながせつれてくのがしょうめええええええええええええいいいいいいいい
あfがfだえふぉえへあでゅじこ
【ロンギヌス00に裏へ連れて行かれました】
強化人間劇場外伝様、いつも楽しく読ませていただいてます馬鹿やってごめんなさいorz
諸般の事情で不慣れなパソから書き込みしてるので書きにくいのですが……CM、邪魔ですね、
CM(w
ところで、アンゼGの元ネタなんてわかる人いるのでしょうか? アンゼGイェアッ! ちな
みにアンゼ「G」はゴッデスの「G」ですっつーか誰も聞いてませんね? そうですねーorz
>>59 まあ外伝というか本編をまるきり書いてないので外伝と名乗っておるのですがね。
ともあれGJ。てぇかリモコンが出てきたときビビリましたw
じっとりと全身が汗ばんでいる。どれくらい経過したのだろう。振動は執拗に私の体を蝕んでいた。
けれどそのありようは変化している。全身を包み込むように、やんわりとした刺激を送り込んできていたそれは、今は実在
の手を思わせる力強さで、嫌でも性的連想をさせる部分を集中して刺激していた。
腕で覆った胸を、どんどんと敏感なっていくその先端が弄ばれる。固く閉じた両脚。腿の表面を這い回り、抵抗などまるで
意に介さずにその付け根を、奥を嬲る。痺れるような甘い毒。
「は…っ…はぁ…はぁ……っ」
自分の呼気が大きく聞こえる。もう喘ぎとしか述べようのないそれは、ひどく艶めいたものになっていた。
腰の奥から這い上ってくる鈍い熱。ぞくりぞくりと背筋を走る、電流のような喜悦。
「…いや……い…、や…ぁ…っ」
体を起こしていられなくて、両手を地面につく。全身が上気しているのがわかった。
「どうした? そろそろ限界か?」
忍び笑い。眼前の男が漏らす嘲り。
見られている。どうしようもないその恥辱に涙が零れた。だというのに頭の芯がぼうっとなって、蕩けてしまいそうだった。
「…っ…ぁ…っ…く…ん……っ」
必死で声をこらえる。腕をついても、支えられなくなった。上体が崩れる。私はうつぶせに伏したような格好になる。
ぐいと髪を引かれた。
「そろそろだな。体中敏感になってる上に、これだけ焦らされたらもう駄目だろ?」
顎を掴まれて上向かされる。せめてもの抗いに理性を動員して、私はきっと睨み返した。
「へぇ、まだそんな目が出来るんだな。いい顔だぜ。いい女だ」
どん、と突き倒された。こらえられずに仰向けに倒れた私の胸を、無遠慮に男の腕が揉みしだく。
「っ! …っ…触らな…いで…!」
嫌悪からの悲鳴も、すぐに力のないものに変わってしまう。拒絶しようと男の腕を捕らえても、まるで力が入らなかった。
ただ添えている格好にしかならない。
「服の上からでも、直接神経に触られてるみたいだろ? 電流が走ってるみたいだろ? 胸だけでイっちまいそうなんだろ?」
男の手が乱暴に胸を捏ね回す。先端を強く刺激される度、痛みにも似た快楽が体中を駆け回る。
「それじゃ、そろそろ本番といこうか」
男の手が離れた。えんえんと体を弄び続けていた振動も止まる。ようやく解放された安堵で私は体の力を抜きかけ、
「まずは裸を拝ませてもらおうか」
続く言葉でびくりと目を見開いた。抵抗しようにも完全に馬乗りになられている。上半身の、腕だけの力で到底敵うはずも
なかった。
「いや! いやぁっ!!」
どれだけ暴れようと、男はびくとも動かない。逆に楽しげに笑った。
「そうだよ。もっと暴れてくれ。誰か助けてって叫んでくれよ」
人さし指が伸びてきた。背ける顎の先端に、ぴたりと添えられる。
「どうにもならないって思い知った時の顔。それがたまらないんだ」
「ふ…っ…くっ…」
つうっと触れるか触れないかの位置で喉へ、鎖骨へと指が滑る。嫌悪感。そしてそれを押しのけてしまいそうな甘美な感覚。
指がぴたりと胸元で止まった。
「っ!?」
男の指が服に触れるなり、蒸気のようなものが立ち上った。触れられたところが融解している。
「ゆっくりだ。ゆっくり剥いてやるな。どう足掻いても無駄だって頭に染み込むように、ゆっくり裸にしてやる」
男がのしかかってくる。指は胸の谷間を通過して、へそにまで届こうかとしていた。
「――…けて。助けてください」
男の望んだように、私は助けを呼んでいた。
けれど叫びはしなかった。それは現れるはずのない助けだったから。
私は不特定の誰かを求めたのではなく、ただひとりの顔を思い浮かべていた。
目を閉じる。すぐにあの背中が浮かんだ。
級友達と笑いあう彼の。あるいは退屈そうに授業を受ける彼の。そして支部長室の窓から見送った、家路を辿る彼の。
――助けてください。
思ったけれど、叶うはずがないと知っていた。
彼が言っていたと聞いた。戦いはキライだと。死ぬのだって怖いと。
それでも、手の届く範囲の日常は守りたいのだと。
彼が戦いに身を投じるとするならば、それが理由なのだ。
私は彼にとって、いわば非日常の象徴のようなものだろう。守りたいだなんてと思われているはずもない。
だから。
だから、信じられなかった。
男の体重が私の上から消えて。それで目を開けて。見えたのは、たった今蹴り剥がした男の方を睨むようにする背中。
それは、来るはずのないひとだった。彼だった。
ざわりとその髪がざわめく。けものの王のたてがみめいて、金色に染まっていく。
羽織っていたウィンドブレイカーが、私に投げられた。その下のシャツの長袖を切り裂いて、腕にいくつもの突起が生じる。
手指が獣の――否。どの生き物も備えないような、破壊を体現した形状の爪へと変貌していく。
「あ…」
私は慌てて目元を拭って、受け取った上着で胸元を覆う。
泣き顔を見られたくなかった。そんな自分の見栄と未練に、少しおかしくなる。
「支部長に話があったんだ」
声。穏やかな声。私は安堵と幸福で動けなくなってしまう。
「電話なんかじゃなくて、直接顔を見て話したかった。本当は明日にしようと思ったんだ。でも眠ったら、勇気がなくなって
そうでさ。邪魔だろうけど、支部に行ってみようと思った。顔だけでも見ておこうって。…なんか、馬鹿みたいだよな」
ちらりと一瞬視線を外して、私を振り向く。
「でもその馬鹿さ加減のお陰で、間に合った。助けられた」
そうして、心底嬉しそうに笑った。
やめてください、そんな笑顔。私の方こそ馬鹿みたいに嬉しくなって、そしてありもしない好意までも期待してしまうから。
「――どうして?」
「え?」
「どうして、私を助けたりするんです。戦うのは嫌いなんでしょう!?」
口をついた言葉は、本心とは正反対。何も期待してはいけない。彼は優しいから。優しいから、それで情けをかけるだけな
のだと。そう自分に言い聞かせる為の叫びだった。けれど。
「ああ。確かに戦いは嫌いさ。でも、」
彼は頷いた。目線は男に、敵に据えたまま。私に背を向けて。
けれどそれは拒絶ではなく、この上ない庇護の意志の表れだった。
「でも大事なひとが泣いている方が、もっと嫌いだ」
「――」
口元を両手で覆ったきり、私は言葉を失う。ひどく嬉しかった。本当に随分と私は泣き虫なのだと思った。
その言葉だけで。その背中に守られただけで。
私は、こんなにも幸せです。
65 :
前768:2005/05/12(木) 08:24:24 ID:wlwKQXVo
続きを置きに参りました。そしてまたエロから離れやがるぜHAHAHA。
眠気絶頂を極めているので、一先ず寝てきます。
>>65 神職人GJ!
つーか個人的にこの話は名作だと思います。支部長イイ!
>>65 キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
何、この萌&燃展開、GJ!!
切り札君かっけぇぇっ!?すげーGJ!!
続きを大いに期待してます!
>65
GJGJGJGJ!!
【馬鹿は萌え燃えの興奮で侵食率が上がっている。】
>>30氏
はふぅ。続きが色々妄想されますな。(w
アンゼ、ホントにひでぇや。ウィザードだから死にはしないでしょうが。(w
続き楽しみにしてますー。
>>32氏
最終的にエリィになったんでしょうか?
動かしやすそうですけど、ムズそうなキャラですよね。頑張ってください〜。
しかし、あのシナリオ、少年魔法氏のアークごっこができそう…
柊といえば、某日記でもシナリオの冒頭で車に撥ねられたとありましたが、その後どうなったのだろう?
>>45氏
お互い、屋上で会うのが当たり前になってますな。(w
クラスの女の子も相変わらずですし。(w
しかし、支部長…ホントにどっちなんでしょうか?
態度は水晶の瞳みたいですけど、行動はこいのぼりっぽいような。
でも、こいのぼりだと予告(死にゼリフ)なくあぼーんしそうで怖いですね。(w
>>52氏
こ、この展開は、まさかして…楽しみにしとります!
ふと思ったんですが、柊って報酬もらったことあるんですかね?
リプレイじゃあカットされてるだけかもしれませんが、大抵任務を放棄してますし。
まさか全てノーギャラ!?…もしそうだと、むごすぎる。(汗)
>>72 報酬はもらってるんだよ。
使う暇がないだけで。
>73
何をおっしゃる! 使ってるじゃん!!
……ケバブとかX箱とか。
75 :
アゼルねた(このスレの5):2005/05/12(木) 21:56:16 ID:DoLro7pN
続きです
□■□
「…………」
早く起こさないとという理性とこのまま暖かさを感じたいと言う欲望がアゼルの頭をぐるぐると回りだす。
「私なんて……」
他の魔王は影を表の世界にぽんぽんと出せるが、自分はそうはいかない。
自分が姿を出すだけで……世界を混乱させる事ができるのだ。
とりあえず膝枕をしてみる。彼の暖かさが膝の上でほんのりと感じられ、アゼルの体も熱くなる。
「早く……起こさないと……」
心ではそう思っても、体はそうは動かない。このままずっと抱いていても……という欲望が
彼女の中で渦巻く。無理も無い。生きているものと会うのさえ珍しい彼女にしてみたら、
こういうことはまったく無い機会なのだ。
「………ここは?」
ふいに柊が目を覚ます。目と目が重なる。まぶしすぎる存在にアゼルは目をそらして答える。
「…裏界……」
「……裏界って……エミュレーターの………まさかあんたも?」
簡潔に言ったアゼルに柊はそう聞く。
「……ええ………」
そうだ、これで終わりなのだ。所詮ウィザードとエミュレーター。決して相容れない存在なのだ。
「……となると、帰る道は自分で探すしかないってわけか」
「……えっ、私と戦わないの?」
アゼルは驚愕する。エミュレーターと戦わないなどとは……
「戦う理由あるか?」
「あなたはウィザードで私はエミュレーター……それだけじゃ駄目?」
「……いや、こちらも助けてもらった義理というのがあるし」
柊はそう言ってゆっくりと立ち上がり、まるで道を教えてくれた礼の用に言う。
「ありがとな」
76 :
アゼルねた(このスレの5):2005/05/12(木) 21:58:50 ID:DoLro7pN
アゼルの心臓が高鳴りを上げる。只助けてくれたお礼にいっただけのだとはわかっていても、
そう声をかけられた事のないアゼルにとってはその一言がうれしいのである。
「……元の世界への道、教えてあげましょうか?」
そう言って、アゼルは柊に声をかける。
「良いのか?」
そう、ため息をついて答えた柊にアゼルははかなげに笑って答える。
「そのかわり………」
キスをして下さいと言おうとして、頭がぐるぐると混乱する。さすがにそれはまずいと思うが、
言いかけたのを止めるのも恥かしい。だが混乱した頭では良い考えは思い浮かばない。
ヴァルゴください→何にも使えない
プラーナください→何をいまさら
服を脱いでください→何をする気なのかわからない
ぐるぐると頭が混乱し、顔が赤面する。
「そのかわり、なんだよ」
声をかけられ頭の中がスパークする。もはや自分で何を言えばいいのか考える余裕さえない。
「抱いてくださいっ!」
77 :
アゼルねた(このスレの5):2005/05/12(木) 22:00:56 ID:DoLro7pN
「……は?」
その返事で自分が何を言ってしまったのかを理解し、アゼルの頭は沸騰寸前になる。
がだからと言っていってしまった言葉が消えるわけでなく。
「抱いてって……」
そう言い返され、頭の中が沸騰する。
「あのっそのっ……ちょっとだけで良いんです!」
「ちょっとだけ抱くって何?」
そう突っ込まれ、再びアゼルはパニックを起こす。息が苦しい自分でそう言ってしまった事に対する
恐怖と絶望。それらが渦巻いてまた次の言葉を口に出す。
「そのっ……ごめんなさい!」
知らず知らずのうちに涙が出てきてた。なんと言ったら良いのかわからない。
ふと、暖かい感触が体中に感じる。抱きしめられたと感じた時、自分がいかに危険な事を頼んだのか
を理解し、力いっぱい押し離す。
「ごめんなさいっ!私――私――」
涙と一緒に自らの能力を言う。周りからプラーナを吸収してしまう事。その能力を抑えるために、
特殊な結界を使っている事。そして、自分を抱く事はあまりにも危険すぎる事。
「――ごめんなさい――――」
ようやく落ち着いて涙を拭く。そうだこれで良いのだ。
「――――帰り――――」
ふみっ。硬い胸板にアゼルの顔が押し付けられる。
「泣きたいんなら泣きなよ、少しは楽になるぜ」
そう柊がアゼルを抱いて言った。
「――――――――――」
アゼルの目から大粒の涙が流れ出す。泣いた始めて人の胸の中で泣いた。
☆★☆
今日はここまでです。
>>75 よくやった、感動した!
76のラスト1行でコーヒー吹いた
ダブルクロスが流行っている昨今。
完全なる使徒×黒い天使で義妹プレイ、とか需要はありますか? と聞いてみるテスト。
>>79 はっはっはっ…やだなぁあるに決まってるジャマイカ。
思う存分供給してくれ給え。
>>79 ダブルクロスのサンプルで一番好きなふたりだわ。頼むからばしばしやってくれ。
白の乗り手ネタは無いもんかなぁ
83 :
72:2005/05/13(金) 00:53:05 ID:sP10Zy6m
>>73氏、
>>74氏
どうもですー。そうか。報酬もらってるのか…。
ケバブ等の代金は初期の所持金をあてたかと思ってました。よかった。
でも、設定上、金があっても防具が買えないのね。(ノД`;)
世界は救ったけど、依頼(皇子抹殺)と違うからアンゼは報酬を払わん。以後そのループ。
そんな鬼コンボが成立しているのかと思ってたヨ、ママン。orz
でも、そうでないのなら!まだまだヒロインで逝けますぞ、アンゼ様!…タブン
>>53氏
車の中でズーレな世界が展開されている!?しかも、アンゼも手馴れてるし!…違和感内ですな(ぼそっ)。
つーか、アンゼ様、貴方も一緒になって宮殿破壊してなかったですか?(汗)
グィードこういう役似合いますね。(wあと、ドリンクCMとか。
アンゼ人形…ベルぐるみと喧嘩勃発。柊家全壊。そんな展開しか浮かびません。(w
ところで最近はまとめサイトの人は忙しいんかね?
最終更新日3/14になってるが。
>>61氏
し、信じてましたよおおおお!
切り札カッコイイ!支部長良かった!襲撃者惜しい!(おい)
前スレの985氏の発言を見て不安になり、それも…アリか、なんて思いましたが、信じてました!
しかし、襲撃者手馴れてますね。こやつ、気に入った一般人にも手を出してたんじゃなかろうか。
やっぱり、ラブはエエですのう。無理をなさらずに頑張ってください〜。
沖縄体液軍人会か…
>74
奢らされたり奢らされたり奢らされたり、か?
それとも(勝手に)使われたり使われたり使われたり?
>75
アゼル萌えー。しかし何で柊がこんなに男前なんだ…?(目を擦って誰か別人の錯覚じゃないかと確かめる)
>79
需要がないものなんて余り聴かないぞ?
思う存分吐き出してくれたまえw
>85
悪い。不安にさせて蝶悪い。
…これ見覚えがある…。
安永の同人「わるいなあ藤田くん」だよ
加賀十也と久遠寺綾もエロそうだ
91 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/13(金) 05:58:49 ID:RrlzWDkM
…えー、めいどべるはまだですかいのう、えつ子さんや?
(ボケ老人モードに入らせていただきます)
意味なし。
切り札君の登場に燃えるぜしびれるぜ!なのだが
間に合わなかったバッドルートも見てみたいとか思(閃光がバカをなぎ払った
>>92 ベルメイトと書くと「ベルたんラブラブ友の会」みたいな感じがするな。
ベルと愉快な仲間たち。
困ったちゃんは65ん(無言)でブン殴れ!
誤爆ゴメン
65(ムゴ)い仕打ちの困ったちゃん
困ったちゃんスレから誤爆とは……つまりあれか、ベルにスパッツ着用させるつもりか。
そしてぱんつはいてない。
かわりにコードが伸びている
べるぐるみがぱんつはいてないのは当然!!
そしてリンクしているべるは…
ポンチョのみだ!!!
ポンチョのみ…。…ありふれてるな、とか最初の一瞬に思った私はこのスレに相当毒されてるようですw
ベルのポンチョは丈が短いから、実に嬉しいことになりそうだ。
なー、ついでにニーソも穿かせちゃ駄目?
それならガーターも付けたいんだがダメか。
…ああ、そうだ。
スパッツか何かは穿かせたいところだ。ただし、ボディペイントで。
ガーターとかストッキングとかニーソでもいいんだが。ボディペイントで。
【馬鹿は無茶を言っている】
108 :
アゼルねた(このスレの5):2005/05/13(金) 22:59:41 ID:DicLZZmg
続きです。
△▼△
涙を流しながら、彼の体が少しずつ体温が下がっていくのを感じる。
「ごっごめんなさい!」
慌てて突き放したとき、柊の体がごろんと倒れる。
駆け寄ろうとするが、プラーナを吸収する力を思い出して押し止まる。
他の魔王なら、駆け寄る事ができるだろう。だが自分にはそれができない。
近づくだけで人を傷つけてしまう自分には誰も近づくことができない。
ベルなんかはかなり気楽にファージアースに行っているらしいが自分にはそういうことは出来ない。
まるでハリネズミのように。
「ん……」
よだれを垂らして寝転んでいる柊を見つめて自分がどれほど危険な人物なのかを知る。
離れようかとも思ったが、ここは裏界。他の魔王達に殺されるかもしれない。
なにせ、魔王づきあいの悪い自分でさえ知っているウィザード。
一人で裏界にいたら、何をされるかわかったものではない。
自分に選択肢は無い。作る事さえ出来ない。
ため息を大きくついてうつむく。彼が再び起きて近づく。私は離れる。近づく。離れる。
「あー」
そう言って彼が言う……。怖い怖い怖い怖い……
「帰り道……教えてくれないかな?」
あっ……
「良いです…ですから……お願いします……」
私は最後の『お願い』を言った。
109 :
アゼルねた(このスレの5):2005/05/13(金) 23:00:53 ID:DicLZZmg
私を縛る二重の結界。強く縛られた痛みが心地よい。
手は体の横に縛り付けられ、足を大の字に広げられ、固定される。
強く抱きしめる彼の熱ささえ優しく感じられる。
永遠に続く孤独、永遠に続く無意味に比べたらこの程度の痛みはどうということはない。
合わさった胸から、結界越しに伝わる心臓の鼓動が、私の心を癒してくれる。
首に当たる吐息が私の心を蝕む。そのままキスをしてくれも良い。
ふと足と足の間が濡れているのに気づき、赤面する。
ドクンドクンと心臓の音が大きくなる。このまま結界を解いて、全てを彼に見せたいという欲望にかられる。
でも駄目。そうしたら彼を傷つけてしまうから。だから、せめて……
私は彼の額にキスをした。
エピローグ
何も無い荒野の中にたたずむ少女が一人。
彼女は自らに誓った。もしこの力が制御できるようになったら、彼に会いにいこうと。
そうして彼女は空を見上げる。
黒い雲も、いつか晴れるのではと思えばなにか面白い形に見える事がある。
そう、明日を変えていくのは自分だから。
□■□
ここまでです。駄文を失礼しました。
ベネ!
アゼルを見たときに妄想した萌えネタが具現化したようだ!!
↓以下チラシの裏
アゼルがさ、ケーキを食べたいって言い出すんだよ。でもアゼルは
なんでも自動でプラーナを吸収しちゃうから、ケーキに限らず何も
「味わう」ことはできなくってさ。
それを不憫に思った柊(仮名)が、自分のプラーナを全開にしてそれ
を吸収させてケーキを食べさせるって作戦に出てさ。ヘロヘロになっ
てなんとかアゼルの口にケーキを運んで、やったか?とおもったら
数秒後にアゼル突然咳き込んで砂を吐き出してさ。
失敗か、落ち込んでるとこにアゼルが淡く笑って
「……ありがとう……一瞬だったけど……ケーキってこんな味を
してたのね……本当にありがとう……すごく、おいしかった……」
ってさ。
そのあとで照れくさそうに笑って
「すぐに食べるのやめればよかったんだけど……あんまりおいしい
からずっと味わってたくて……それで砂になったの気付くの遅れて
咳き込んじゃった」って(ry
……つまりはプラーナが濃ければその味を感じることが可能、と。
――――いやべべつに?考えてないですじょ?
プラーナの集約されてるのと言ったらお約束で精液だよな、物の味を感じたいと乞われ
アレも駄目これも駄目と試すうちにその結論にたどり着いた二人がドキドキしながら行為に及んで
目を閉じ唇を震わせて柊の股間に顔を埋めて肉の熱さにまず綻んで滲む滴の味に夢中になって吸い立てて
プラーナ維持に一心になる柊はそっちを抑えることが難しくてそのままどぱぁっ、とやらかしてしまって
濃い命の味、初めて感じる味覚に夢中になってしまうアゼル。
なんて事は決して考えてないですからまqあwせdrftgyあぜるlp;@:
【愚者は塵にされる覚悟で戯言を叫んだ】
『CMでお知らせしたPCソフト「ナイトウィザード2 〜異界大戦〜」ですが体験版ダウンロードはこちらです!』
これは、とあるユーザがDLしたゲームの体験版である。
といった具合にゲームのオープニング風にいきます。
オープニング
ずるり、と私のお腹の上を銀色の…いや、虹色といったほうがいいだろうか?
七色の光を鈍く照り返す触手が粘液をまとい、蠢く。
「まさか、ね。この私が、囚われの身だなんて……なんてこと。気持ち悪い……!」
毒づき、人間程度ならば受けただけで狂死するような、怒りの感情を込めた視線を目の前の女に浴びせる。
私と同じ髪。同じ瞳。同じ顔。
違うのは私が今10代前半の姿をしているのに対して、目の前の女は20歳前後に見える姿をしているということくらいだ。
「そう? でも失礼ね、同格かそれ以上の魔王に向かって」
くすくすと笑う女。
「……私はこんな奴知らない」
銀色の、虹色に照り返す、不定形な魔王。
「人間の神話はわかる?」
そのくらい知っている。神話とは私たちと接触した人間が創作したもの。
直接降臨もあれば、夢として、インスピレーションとしての無意識の精神的接触なんていうのもある。
でも。私が知る限りこの魔王はアメリカの作家が創作したもっとも新しき神話にしか出てこない。
時間も空間も、全ての要素を包括する、量子の海たる邪神。
そして裏界にはこれに対応する魔王など……いない。いないはず、なのに。
「そうね。この時間軸にはいないわ。それで正解。
だからこそ、この軸に存在するために貴女のプラーナが必要なの。私の分はもう変換し終わったからね」
その言葉に、ニヤリと笑ってやる。正直、緩やかとはいえプラーナを奪われながらでは辛いがささやかな抵抗だ。
「……あなた、私より格下なんだ」
「ええ」
あ、くそ。あっさり流された。
「……もっと激しいのがお好みのようね」
どうやら流しきれなかったらしい。
瞬間、私の両手を拘束する触手がぐい、と上に引かれた。
すでに私の体を隠すものはポンチョだけだったのに、同じく拘束された足も広げられて私の全てが晒されてしまう。
ぬらぬらとした粘液をまとった触手が無遠慮に股間に絡んでくる。
って、待ってそれはちょっと太――
「――ひぐっ!?」
それはただでさえ小さな陰唇に強引に押し入ってきた。
そのままずるずると奥まで上がってくる。
「お腹の中からプラーナを吸われる気分はどう? 痛い? それとも気持ちいい?」
サディスティックな笑みを浮かべながら、私と同じ顔が訊いてくる。
ええ痛いわよ。しかも粘液に媚薬効果でもあるのか、次第に変わってきてるのがタチ悪いわ。
「この魔王の存在がこちらの軸に確定すれば、いよいよ鍵が有効になるわ」
強烈な笑い顔だ。……私はそんな顔しない。
「夢見る神が見るのは世界の夢? それとも世界の創造主? それは選ばれなかった可能性。
そして――選ばれてしまった可能性」
ああ、またこの話か。聞き飽きた。起源にすら絶望し、でもリセットすることを恐れ、他人のセーブデータを使ってゲームの続きをしようとする。
我ながら――いえ私であって私ではないのだけど――なんて醜いのだろう。
「我々の世界の創造神、それがこちらへの門。夜ノ森優……彼が私たちが存在する可能性の、鍵。
8つの世界……裏界ですらも滅んでしまった世界が想像できるかしら?
――この世界の……ベール=ゼファー!」
ああ、もう何度目かになる恨み言だ。
でももう手は打ってある。気に入らない連中、この第5世界から出しはしない。
もっとも助けを請う相手も気に入らないのだけど。あの女。
でも。今は頼もしく感じる。
できれば――助けに来てくれるのは、あの女お気に入りの彼がいいわね。
以上、思いつき。
本編? ……あるのかな。どうだろ。
>NW2体験版
GJ!
誰か本編書いてくれ、誰か誰か!
くそう俺に文才のひとかけらでもあればっ。
関係ない話だが小官がオンセで使ってる魔物使いの魔物は、
触手でエロいプラーナを吸い取って養分にしているという設定にしておるよ。
その他にもアソコの中に月衣の入り口を展開とかバカネタ満載。
>jフ
それはつまりイノセントとエッチしてもダメージを負わないといいたいのですか?
【馬鹿は勝手な妄言を吐いた!】
イノセントとえちできないってことでは?
「公爵の秘宝槍」にうっかり(´Д`;)ハァハァ来た。
この輝きは、偽りの翼。
天使のように輝くけれど、
決して空へは届かない。
ここがどこなのか、見当もつかなかった。冷たく輝く蛍光灯の青い光の中、
目に入るのは、閉め切られた雨戸と、生活感のない寝室。新築マンションのモ
デルルームの中、ぐらいが妥当な線か。私はベッドに転がされ、両手は後ろ手
に手錠を掛けられ、両脚もひとまとめに手錠で固定された。試しに力を込めて
みたが・・・ビクともしない。まあ、簡単に外れる、なんて期待は、少ししか
していなかったけれど。オーヴァードといっても、万能ではないのだ。
凍結させられていた右腕は溶けていたが、革のツナギはぐっしょり濡れ、腹
の部分に穴が空いていた。状況からして、あれはほんの小一時間ほど前のこと
なのだろう。
・・・あのとき。
周りには既に敵しかいなかった。結局、味方の増援は間に合わず。まあ、い
つものことだ、ひとりで行動するのは。
敵はジリジリと包囲を狭めてくる。OK。その方がこちらとしても都合がい
い。
案の定、調子に乗って接近してくる。
ほら、もう少しで手が届くよ。そういう距離に来た瞬間。閃光が彼らの全身
を焼いた。
ゆっくりと周囲を見渡すと、みんな既に昇天していた。
ほらね。
私は光。私は音。誰にも私を捕まえられない。
その慢心が、命取りとなった。
新手の出現に気付いたのは、片腕を氷漬けにされた後だった。
敵は、その攻撃の主である氷使いの男。そしてその男に“燃える鉄拳(バー
ニング・フィスト)”と呼ばれた男。どちらも相当な力を持つオーヴァードで
あることは確実で、しかも2対1。たとえ私が無傷であっても、果たして勝て
たかどうか。
尤も、攻撃は氷使いの男に任せっきりで、“燃える鉄拳”は、まるで睨むか
のように私を見据えたまま、戦闘中、微動だにしなかった。そして、“燃える
鉄拳”が氷使いの男に何か言葉を掛けて、・・・氷使いの男の顔に浮かぶ、私
が生理的に嫌悪感を覚える類の笑顔。
直後、《氷の戒め》で動きを封じられ、《氷の剣》でとどめの一撃。それで
死ななかったのはレネゲイドウィルスによる自動的な《リザレクト》のお陰だ
が、衝撃のせいか、何らかのエフェクトのせいか、どうやら気を失っていたら
しく、我に返ったときには、どことも知れぬ場所に監禁されていた、という次
第だ。
何故即座に殺されなかったのか、理由はわからない。ファルスハーツの連中
が考えることなぞ、私はわかりたくもない。今はただ、生きてここにいる、そ
れだけわかっていればいい。
一匹狼の宿命、たった一人で戦ってきたツケで、もはやウィルスは限界以上
に活性化していた。それを後悔する気はないが、これ以上オーヴァードとして
の力を振るえば、ジャーム化・・・二度と『人間』に戻れなくなるのは必至。
それだけは、何としてでも避けたい。
ところでここは、春先にずぶぬれで転がっているには寒い部屋だった。ベッ
ドには毛布もあるというのに、せめてこれを掛けておけよな、と見えない相手
に心の中で毒づく。今すぐとはいかないが、少し休んで、ウィルスの活性化が
落ち着いたら、そのとき改めて脱出してやる。希望は捨てない。どんなときで
も絶対に。
「正義の味方」になるって決めたときから、希望が私の相棒だから。
情報収集を得意とする“氷の戦士(アイス・ブレイカー)”が他の支部へ出
張中のせいか、今回の事件、手がかりが足りなくてUGN側は後手に回りっぱ
なしだ。だから、こうして捕まったことをチャンスとして活かそう。きっと、
何かが掴めるはず。
だが、休む暇は与えられなかった。ドアの向こうで音が聞こえた。全身が警
戒心で総毛立つ。誰か来た。玄関の扉を開けて、廊下か何かを歩いて、この部
屋のドアに、手を。
反射的に《光の衣》で身を隠そうとして、ビクリと身がすくんだ。ダメだ、
エフェクトを使うわけにはいかない。
それまではドタドタと歩いてきたくせに、なんだかそぉっと、ドアが開く。
少しずつ開けられていくドアの隙間から、あの“燃える鉄拳”が見えた。
戦闘中はそこまで観察している余裕がなかったが、パッと見、近隣の高校の
学生服を来ているようだ。とすると、年齢的にも私と同年代くらいか。髪型や
ら制服の着崩し方やら、いわゆる不良っぽいから、オーヴァードとしての能力
に目覚めた後、暴れる場所を求めてファルスハーツの誘いに乗り、エージェン
トになった・・・ってところか。まあ、偏見でしかないが。世間的にはあたし
も不良学生の部類だし。
そうだ、まだ気を失っているフリをしていた方がいいかも知れない。バレて
いませんように、と祈りつつ、私はタヌキ寝入りする。
足音を忍ばせて、“燃える鉄拳”が近づいてくる気配。こんな状況は初めて
だから、自分でもイヤになるほど緊張してしまう・・・顔に出ていないだろう
か。じりじり、じりじり、と焦る気持ちは、いや、高ぶる気持ちは、私の、あ
るいはレネゲイドウィルスの戦闘衝動。細胞の一つ一つが、戦え、戦えと叫ん
でいる。
顔の皮膚が、まだ触れられてもいないのに、眼前にある相手の掌の熱を感じ
取った。
パッと目を開け、無思考の一撃、拘束されたままの両足が“燃える鉄拳”を
襲った! 無理な体勢からではあったが、油断をしている奴には相当なダメー
ジを与えるはずだ。脱がされていなかった革靴の爪先が茶髪に守られたこめか
みを、スカッ。
「え?」
“燃える鉄拳”の姿が揺らめき、消えて、・・・半歩先の位置に現れた。
「《かげろう》!?」
サラマンダーのエフェクトか!
悔やむ暇もあらばこそ。私の姿勢は無様に崩れ、そして“燃える鉄拳”が嘲
笑う。
「ハッハァ! やるやんけ“白の乗り手(ユニコーン・ライダー)”! まさ
か目ェ覚ましてるとは思わんかったわ!」
完全な不意打ちだったのか? なのに、それに反応してこの男はエフェクト
を使った?
打ちのめされるような敗北感。あの、氷の使い手に敗れたときにすら感じな
かったというのに。
敵に背中を向けた体勢でベッドに倒れた私に、“燃える鉄拳”の反撃が!
バリン! と奇妙な音を立てて、私の手を拘束していた手錠が弾け飛んだ。
かろうじて後ろを振り向いたときには、驚いたことに、脚の手錠も微塵と散っ
た。これは・・・ハヌマーンの《破砕の音》? この男、サラマンダー/ハヌ
マーン!
手足が自由になったとはいえ、私は未だ戦える状態ではない。それに、この
敗北感が、戦おうという気を萎えさせる。こいつには敵わない。怖い。恐い。
能力に目覚めて以来、初めて覚えた本能的な恐怖。足がすくむというよりは、
とにかく早く逃げ出したい。
“燃える鉄拳”からなるべく距離を取るように、ベッドから飛び降りた。こ
こから先、この男の追撃をかわして、ドアから出るか、それとも窓か。一瞬の
逡巡。
「アホやな、一人で出れる思うな」
肉薄されるまで、全く見えなかった。“燃える鉄拳”の手が私のツナギに接
触、ただそれだけで、何の変哲もない革製の服は、情けない音を立てて消滅し
てしまった。
「いやぁぁぁ!」
服が破壊されただけで、下着は無事だった。戦闘中に服が破れるぐらいのこ
と、これまでにも何度だってあった。下着までボロボロになったことだって、
ある。だけど、悲鳴を上げてその場に蹲る、なんてこと、今までに一度だって
なかったのに。
下着が無事だったのは、しかし、ほんの十数秒だった。戦う意志を無くした
私に、《白熱》した腕が伸ばされて、
「熱っ」
「おお、済まんな。けど火傷はせんかったやろ?」
かすかに焦げ臭い匂いを残し、ちぎりとられた全ての衣類が焼失した。
どうしよう・・・どうしたらいい? いつもならパッパと判断する私が、も
う、何を考えても頭の中がグルグル回るようで。
“燃える鉄拳”が私を立たせ、当たり前のようにベッドに押し倒した。馬鹿
みたいに仰向けに寝そべっている私を見下ろして、・・・何か不思議な表情を
し、そしてすぐ、わざとらしいほど不敵な笑みを浮かべた。制服の上着と、そ
の下のシャツとを乱暴に脱ぎ捨て、猫がネズミを抑えつけるように、私の上に
覆い被さってくる。
何をする気なのかは大体察しがついた。血の気が引くような絶望感。
ふ、と“燃える鉄拳”がドアの方を向いた。そのときようやく、私にも廊下
の足音が聞こえてきた。いや、聞こえてはいたのだが、認識はしていなかった
のだ。
《かまいたち》だろうか、パーンと蛍光灯が全て破裂して、部屋の中が真っ
暗になった。と、同時にドアが開く。廊下からの逆光、浮かぶシルエットと声
とで、あの氷使いとわかった。
「おお、本当にヤっているのか。感心感心」
「・・・何しに来よった。邪魔する気ィなら、」
味方であるハズの氷使いに対し、グゥッと“燃える鉄拳”の殺気が膨らむ。
私と戦うときでさえ、半ば遊んでいるかのような飄々たる風情だったのに。
恐い・・・この男が、このオーヴァードが恐い!
「いやいや、『上』から君への命令は小生意気な“白の乗り手”の抹殺、さも
なくばジャーム化だ。手段は問うていないよ」
“燃える鉄拳”の下で怯える私とは無関係に、氷使いは、多分、あの生理的
嫌悪感の走る笑顔を浮かべているのだろう、そんな口調で喋っていた。
「ただ、ちょっと心配だったんでね、そう、君が彼女に情を移しやしないか、
とか」
「ええからとっとと出てけや自分!」
「おお、こわいこわい。では精々、楽しみたまえ」
キィ、バタンとドアが閉まって、寝室は再び真っ暗に。忍びもしない足音は
早々に立ち去っていった。玄関の扉も開けられ、閉じられ、鍵も外から掛けら
れたようだった。
はあ、と私の上で溜息が聞こえた。嘘のように霧散する殺気。むしろ毒気を
抜かれたような。それでも私の恐怖感は拭えない。
「・・・電気、消えてしもたな」
自分で壊しておいて。
「もうちっと見たかったけど・・・」
男の掌が私の頬に触れる。私は身を竦めた。悲鳴を上げることすら恐くて、
ギュッと目をつぶる。奥歯を食いしばる。
「この方が、よかったかも知れん」
次は何をされるのか。ただ、待っているだけの時間。
だけど男は動かない。
「あんたの侵食率、100パーかなり越えとるやろ」
訥々と、私に話しかけてくる。
「この状態で、更にショックを受ければ・・・例えばレイプとかされて・・・
間違いなくジャーム化するやろ」
そうかも知れない。そんなのイヤだけど。
「けど、あんたは違う」
え?
「あんたはきっと、そんなことにはならん」
なんだか様子がおかしい。私はおそるおそる目を開けてみた。
暗い部屋。ほとんど何も見えない、が、雨戸に隙間があるのだろうか、完全
な闇ではなかった。目が慣れると、何となく物の形がわかってくる。
「これから俺はあんたを抱く。・・・あ、いや、その・・・犯す。けど、あん
たはジャーム化するんやない」
この状況に追い込んでおいて、ジャーム化するな、だと?
この男。なんて無茶苦茶なことを言っている。
・・・何故こんなことを言っている?
「俺に犯されて、組織の連中は、あんたはジャーム化したと信じ込むやろ。そ
したら俺があんたをここから連れ出したる。T市の郊外にUGNの偽装事務所
があるのん、知っとるか? ここはその裏手のマンションや。お互い、全っ然
気ィ付いとらんけどな」
はあ。お隣同士が敵同士。なんだか間抜けなお話。
「こないだからの一連の騒ぎでな、あの事務所には常時数人のオーヴァードが
詰めとるんや。そこに逃げ込めば、ファルスハーツの名うてゆうてもそうそう
手ェ出せん。ゆっくり休んで、・・・再戦しに来い。“正義の味方”」
“正義の味方”の一語が私の心を鼓舞した。そうだ、最後まで希望は捨てな
い。“正義の味方”になると誓った日から・・・望まぬ力を手に入れ、人から
懸け離れた存在になったときから、希望が私の最後の切り札。
食いしばっていた歯を少し緩めて、・・・震える声は隠しようもなかったけ
れど、私は“燃える鉄拳”に話しかけてみた。
「助けてくれるというのか?」
「助けるわけやないっ」
まるで怒っているように、吐き捨てるように。
「アホか、俺はこれからあんたを犯すんやぞ、助けるなんて、そんな」
どうしてなのか、自分でもよくわからなかったが、私は自分の手を上に差し
伸べて、男が私にしているように、その掌を、男の頬に添えた。
女の子のそれとは違う、固い皮膚。でも、温かかった。
それに、どうしてだろう、僅かに震えているようにも感じた。
その私の手に、更に、男の手が触れる。
「何であんたはそうやって・・・いつも俺を・・・俺のことを・・・」
「いつもって、何のことだ? 前にどこかで会ったか?」
「あんたは知らん、あんたは俺のことを知らん、せやから俺は!」
乱暴に腕を払われ、そして、私は陵辱された。
“白の乗り手(ユニコーン・ライダー)”というコードネームのせいか、男
みたいな喋り口調なせいか、私は処女だと誤解されることが多い。だが、これ
でも片手の指に余る程度には、男女の挨拶を交わしたことはあるのだ。私の場
合、UGNのイリーガルズとして、例えば覚醒したばかりのオーヴァードの保
護や彼らに対するレクチャーよりも、ファルスハーツとの直接戦闘に関わる依
頼を受けることがほとんどだったから、戦いの興奮から性的な興奮を覚えて、
あるいは戦いの興奮を鎮めるために、同じイリーガルズやUGNのエージェン
トと、そういう流れになることもあったのだ。
初めてだった私に、最大級の敬意を払ってくれた“孤独な魂(アーバン・ナ
イト)”。ゾクゾクするほどキスが上手かった“誇り高き牙(ウルフ・ファン
グ)”。未成年のクセに、とか何とか文句を言いつつ結局最後までやり通した
“危険な猟犬(ストレイ・ハウンド)”。見かけによらずテクニシャンだった
“歩く危険物(デンジャラス・ウォーカー)”。みんな1回限定の、カラダの
交わり。心は単なる『仲間』のまんまで。
勿論、両者合意の上である。こんな風に一方的に、下手くそに、ガツガツと
噛み付くように、されたことはない。
舌も入れてこない、唇同士をぶつけるだけのキス。そのくせ顔中を、首中を、
胸中を、ベロベロと舐め回す。胸を掴んで、爪を立てて、「痛い!」と言った
ら慌てて離した割に、また同じように胸を掴んで、ぎゅうっと絞るように揉ん
で。
なるほど、これはレイプだ。いみじくも彼が言ったように、『抱く』ではな
く『犯す』。犯される屈辱感よりも、恐怖感が先に立つ。足下から崩壊してい
くような、強烈な寒気とおぞましさ。
すい、と男の身体が離れた。カチャカチャゴソゴソと忙しない音がする。バ
サッ、という音は、ズボンを脱ぎ捨てた音だろう。恐らくは下着も一緒に。
そして、私の両足を力任せに広げて、自分のものをあてがう。ハーハーと、
まるで追い詰められた獣の息。自分で自分を追い詰めているかのような息。
「う、うあっ、くそっ!?」
なかなか入らない。入るわけがない、私はこれっぽっちも濡れていないし、
男の方も、見当違いの場所を闇雲にウロウロしているだけなのだから。
よっぽど焦っているのだろう、私が身をかわしてその下から抜け出しても、
彼は即座には反応しなかった。私が上体を起こした頃になって、ようやく、
「に、逃げられると思」
その台詞を制するかのように、私の両腕が、“燃える鉄拳”の身体に回る。
抱きしめる。柔らかく。でもしっかりと。
「“白の乗り手”っ!?」
耳元で驚愕の声。そうだろう。私だって驚いた。
「恐くないよ」
優しく、気遣うように囁きかける。
「大丈夫、恐くないから。落ち着いて」
それは、私自身への囁きだったかも知れない。
「焦らなくていいよ。ゆっくりでいいよ」
「あんた、どうして・・・」
「そんな必死に頑張らなくていいよ。一生懸命してくれるのは嬉しいよ。だか
ら。・・・一緒に、気持ちよくなろう」
最後の台詞は、頬へのキスの後で言った。
“燃える鉄拳”が、私を振りほどいて飛び退いた。私はそのまま、遠慮なく
彼を見る。
「何で・・・何でそんなこと言うんや」
頼りない、むしろ絶望に近い口調。
その質問には、私も答えられなかった。自分でも答えようがなかった。これ
さえ済めば逃げ出せる可能性がある、という計算の上で、だろうか。そうでは
ない、ような気がする。でも、だからといって。
「何で、だろうな? けど」
口に出しながら考えて、そのうち、しっくりくる答えを見つけた。
「そうするのが一番いいと思ったから」
あんなに寒かった部屋なのに、空調でも効かせたかのように、今は暖かい。
「何であんたは・・・何であんたは、そんなに真っ直ぐなんや。いつも、いつ
もいつも、何でそんなに真っ直ぐでいられるんや!? 人を、人を殺してへん
からか!? そうや、人を殺してへんからや、そうなんやろ!?」
吼え猛る。けれど、それは幼い子供の絶叫、否、悲鳴のようだった。
真っ直ぐ、とか、人を殺していないから、とか、彼の台詞の意味は、実はよ
くわからなかった。それでも私は応える。
「殺したよ。今日も。ジャームになった人達を、何人も」
「違う、人間を、普通の人間を! 俺は殺した! 人間を、殺したんや!」
何があったのかは知る由もないけれど、彼は、ジャームでもオーヴァードで
すらない誰かを殺したのだろう。近しい人だろうか、それとも赤の他人?
何にせよ、人を殺しているのだ。恐らく、自分の意志とは無関係に。
「だから、だから、ファルスハーツに・・・壊して、全部、全部、燃やしてや
るんや、強い奴、俺より強い奴、全部、燃やし尽くしてやるんや!」
罪の意識から逃れるために、彼は更なる罪を望んだのか。破壊の中に、戦い
の中に、救いを求めたのか。
私が、オーヴァードという運命に対し、“正義の味方”という言葉に救いを
求めたように?
「こっちへおいでよ」
両手を差し伸べる。闇の向こうで躊躇いが息づく。
「“燃える鉄拳”? 本当の名前は何ていうんだ? 私は、」
本名を名乗る。
少し黙りこくってから、ボソボソと答えが返ってきた。いい名前だ、と思っ
た。私の本名も、そう思われているといいけど。
「あんたの名前。実は知っとった」
ややあって、そっと握り返される手。
「ファルスハーツの資料とか、街で見掛けたりとかして・・・知っとった」
「うん」
「一度でええから触れてみたかった・・・一度でええから、こんな風に、抱き
合うてみたかった」
それから互いを支えるようにして、抱きしめあう。
「どんな手を使うても、一度だけ、一度だけ触れられたら。そう思うて俺は」
触れ合う肌が心地よい。心臓の音に安心する。
「せやのにあんたは、こんなときにまで、俺に光を見せるんや・・・眩しい」
エンジェルハィロゥのエフェクトを使うと嫌でも発光する。私に覚えはない
けれど、無意識に発動させていたのかも知れない。翼の形に輝く、自然ならざ
る光。
「それは仕方ない。私はエンジェルハィロゥ/ハヌマーンの能力者だから」
「そうやのうて、あんたは俺の、希望の光やねん」
自分で言ってから、あわあわと慌てふためいて、ぱっと身体を離し、背中を
向けて、
「いや、無し、今の無し、チャイ!」
アホなこと言うた、言うてしもうたと繰り返し、自分の頭をガリガリ掻いて
いる。
私が、希望の光、だって?
全身が熱くなる。喜びの感情が沸き上がる。
私が、誰かの、希望!
そして思い当たった。“正義の味方”を標榜して、一匹狼を気取って、無茶
をして、危険を、戦いを、求めていたのは、もしかしたら、自己嫌悪から来る
自傷行為だったのかも知れない、と。
『あちら』の世界へ足を踏み入れかけていたのは、私も彼も同じなのだ。
私は彼の背中に声を掛けた。
「本当は、どうしたいんだ? これからもファルスハーツにいたいのか?」
肩越しに返事が返ってくる。
「いいや。所詮あいつらのやっとることは弱いモンいじめや、俺のポリシーに
は合わん。けどな、俺はオーヴァードや。しかも人殺しや。他に選択肢なんか
なかった」
「でも、今は別の選択肢がある。違うか?」
少し、沈黙。
「俺は・・・俺はまた、人を殺すかも知れん」
「そのときは、私が止める。必ず。同じオーヴァード同士、お互いに助け合っ
ていこう」
「・・・そ〜んなこと言われてもなァ。いつも一緒におるわけやないしィ?」
からかうような、何かを期待するような言い方。
「わかった、いつも一緒にいる。それならいいだろう?」
待ってました! とばかりに、“燃える鉄拳”が私に抱きついてきた。
「よっしゃ、それは俺に対するプロポーズと受け取った! いやぁ、積極的で
嬉しいなぁ!」
「プロポーズ? 何でそういうことになるんだ?」
私の質問を無視して、
「けどええのんか、俺はヤキモチ焼きまくるで? 何しろ炎系のサラマンダー
やからな」
どこか余裕を帯びた軽口。多分、これが彼の地なのだ。なんだか楽しくなっ
てきたので、話を合わせて言ってみた。
「浮気現場を押さえられるものならね。エンジェルハィロゥの隠密行動ナメん
なよ?」
「そ、そらちょっとたまらんなぁ。浮気は堪忍やで」
それから、私はシーツを裂いて胸から下に巻き付け、更に彼の上着を借りて
羽織った。
自分の服を着直して、“燃える鉄拳”は言った。
「ここの屋上から隣のビルの屋上へ渡れ。ほとんど地続きやから落ちる心配も
ないわ。UGNの事務所はその真下の4階や」
「ちなみにこの部屋は何階?」
「4階」
・・・何故気付かない。UGN&ファルスハーツ。
「ほな行くで、強行突破や!」
「え? ジャーム化したフリして連れ出してくれるんじゃ・・・」
「ンな悠長な真似、かったるぅてやっとれんわぁ!」
そして寝室のドアを無駄に破壊する。暴れん坊だな、先が思いやられるよ。
そこから廊下に出るか出ないかのうちに、入り口の扉が開いた。飛び込んで
来たのは私を倒したあの氷使い。生理的嫌悪感を越えて破壊衝動すら覚える狂
喜の笑顔で怒鳴り立てる、
「やはり裏切ったな“燃える鉄拳”!」
「よかったのぅ、この俺が裏切ってくれて! これで心おきなく殺し合えるや
ないか!」
「応よ!」
炎と氷。交錯する力と力。もうもうと立ちのぼる熱い蒸気。塵一つ無く整っ
ていたマンションの一室が、瞬く間に壊滅した。壁が、家具が、黒煙を上げて
燃え出し、スプリンクラーは、しかし、水を噴出した状態で氷結している。
“燃える鉄拳”はいきなり下半身を氷漬けにされ、氷使いは頭を半分消し炭
にされた。氷使いの方は《リザレクト》で復活するだろう、だけど“燃える鉄
拳”の方は。
「アホ、何をボサッとしとんねん、早う逃げんか“白の乗り手”!」
「で、でも!」
「要らん心配すな、どーしてもいうなら援軍を呼んで来い援軍を!」
言われるまでもなく、それが一番確実だ。それに、もしもこのマンションに
何の関係もない人達も住んでいたら大変だし、周囲の建物に延焼ということも
考えられる。私一人に出来ることは限られている、だから。
助け合うのだ、お互いに。
「行かせるものかぁ」
蘇生した氷使いが腕を伸ばし、私の行く手を阻む。その腕を、真空の刃が輪
切りにしてボトボトと落とした。
振り向くと、“燃える鉄拳”が片目を瞑って親指を立てた。下半身は氷漬け
のままだったが、頼もしかった。
信じてる。一つ頷いて、私は部屋の外に飛び出した。
上へ行く階段はすぐに見つかった。順調に屋上に出た。カッと照りつける真
昼の陽光。耳の底に届く音は人混みの音、車の行き交う音。日常生活の、ここ
だけが非日常空間。
そこで一瞬呆然となった。隣のビルまで行くには、有刺鉄線付きのやたらと
高いフェンスをよじ登る必要があったのだ。無論、多少の傷は覚悟の上だが、
そのとき、あの氷使いの仲間だろう、ファルスハーツのエージェント達が屋上
に殺到してきた。恐らく奴らは銃を持っている、このままでは撃たれて落とさ
れて・・・。私に何かあっては元も子もないのに!
私に出来ることは。今の私に出来ることは・・・!?
「お願い、誰か。誰か気付いて。誰か助けて」
私は祈った。神に、ではない。
敢えて言うなら、自分の中のレネゲイドウィルスにだ。
誰か、彼を、助けて!
全身から散布される見えない化学物質。抗レネゲイドスーツを着ていなかっ
たファルスハーツエージェント達の大半がバタバタと倒れていく。だが、数人
とはいえ、中にはオーヴァードもいた。彼らは何事もなかったかのように、仲
間の身体を踏みつけにして、こちらへと迫ってくる。
たーん。乾いた音がして、ファルスハーツエージェントの一人が、後頭部か
ら血飛沫を上げた。額にはポツリと赤い点。そして後ろに倒れる。
「・・・問題・・・ないわ」
隣のビルの屋上に、見たことのあるUGチルドレンが立っていた。手には硝
煙の立ちのぼる拳銃。コードネームは“黒い天使(エンジェル・ノワール)”。
「ガアアアアッ!」
金網を突き破って突入してきた人型のドラゴンが、別のファルスハーツエー
ジェントを腕の槍で貫き、壮絶な怪力でその身体を引き裂いた。あれは、確か
“不確定な切り札(ワイルド・カード)”。
「『聞こえた』わよ。あなたの想い」
従者の翼で悠々と宙を移動してきたのは、怪我をするたびお世話になってる
UGNエージェント、“朱に染まる薔薇(ブラッディ・ローズ)”だ。
「よーやく素直に人の助けを借りられるようになったのね、意地っ張りさん」
訳知り顔で微笑んでくる。ふてくされたくなるほど照れ臭い。けど、それで
すら今は心地よい安堵感。何だか力が抜けて、その場にへたり込みそうになっ
た。
後で知ったが、私の放った《ワーディング》は、このマンションと隣のビル
を含む、地上5〜6階分、プラス地下駐車場1階分、一ブロック程度の水平面
積をまるごと効果範囲にしていたそうだ。お陰で“不確定な切り札”と“黒い
天使”とがマンション丸ごとのファルスハーツ関係者を根絶やしにしていった
件も、“朱に染まる薔薇”がのーてんきに空中散歩をしていた件も、一般人に
見とがめられずに済んだらしい。
私は“朱に染まる薔薇”と共に、例の4階の部屋へ戻った。
冷気が炎を凌駕したのか、火事は鎮火している。それが、私の不安を煽る。
そして戦いは、疾うに決着がついていた。
「相討ちってとこかしら?」
“朱に染まる薔薇”が事務的に独りごち、廊下で焼き肉と化していた氷使い
を検分した。ビクリ、と腕が動いたので咄嗟に身構えるが、ただの死後硬直か
何かだったようだ。
“燃える鉄拳”はどこだろう? 胸が痛いほどドキドキする。
ベランダに赤黒い血溜まり。壊れた人形のように、彼は手すりに背を預ける
かたちで、それでもまだ、立っていた。
立っていたけれど、ピクリとも動いてはいなかった。
彼を金色に縁取る、真昼の太陽の光。人の子への祝福なのか、それとも。
見上げると、雲の間から、まるで天から降るように、光が地上へと差し込ん
でいた。
「空で迷うなよ」
彼の指先から滴る血潮が、足下の血溜まりに落ちて立てる小さな音。
「後からすぐに行くから・・・」
「手を貸してやりなさいよぅ、勝手に殺してないでさ」
後ろから、“朱に染まる薔薇”の呑気な声がする。
私は肩をすくめてみせた。
「死んだフリなんかしてるから、合わせてあげたんだ」
「何や、バレとったんかいな。泣くか思て期待しとったのに」
唇だけで、ニヤリと笑った死に損ない。
“朱に染まる薔薇”がヒラヒラと手を振った。
「頑張れ半死人。すぐに治してあげるからねぇ」
「頼んますわ、俺のカノジョはハクジョーでかなん」
「はいはい、交替よカノジョさん」
ひょいひょい近づいてくる“朱に染まる薔薇”と立ち位置を入れ替わって、
私はこっそりと、目の端にちょっとだけにじんでいた涙を拭った。
白衣の下に来ている私服を血で汚したくない、なぞと“朱に染まる薔薇”が
言うので、私が“燃える鉄拳”に肩を貸してやることになった。
・・・先にパンツぐらいはかせて欲しいのだけれど。てゆーかそのパンツを
脱がせた相手を、どうしてここまで面倒見てやらなければならないのか? よ
く考えると相当に理不尽な状況だ。
「歩けるか?」
「ああ」
二人で1歩を踏み出したとき、いたずらっ子がとっておきの悪巧みを囁くよ
うにして、“燃える鉄拳”が言った。
「なあ、今夜は最後までヤろーな?」
私は思った。
当面の課題は、この性急なド下手っぴぃに、男女交際のイロハを教えてやる
ことだな、と。
この輝きは、偽りの翼。
天使のように輝くけれど、
決して空へは届かない。
だけど私は、だからこそ私は、
地上で希望の光になる。
・・・・・おしまい。
以上、たまには小説形式でと思って考えたお話でした。
ちなみに“燃える鉄拳”から“白の乗り手”へ、純愛/疎外感。“白の乗り
手”から“燃える鉄拳”へ、親近感/恐怖。最初は両者ともネガティブが表、
最終的にはどっちもポジティブが表。“燃える鉄拳”の衝動は破壊で、“白の
乗り手”は闘争といったイメージです。
ちなみに無印のお話はあと2つー。長すぎて我ながら死にそうー。でも書く
のって楽しー。
おつ!
無印しらんから伽羅のイメージがあんまり沸いてこないのが悔しい。
後二つも期待してま。
いや、二つといわず(ry
ぐはァ、GJ。
つか、やっぱ職人サンらすげぇなぁ。かなわんわ。
お見事であります。大作GJ。
>145
炎のほうが学ラン、光のほうはライダースーツ・・・だったかな。
1stは結構一般人っぽいサンプルキャラクターが多かった。
148 :
前768:2005/05/15(日) 03:16:04 ID:O7bFKzZK
毎度ながら、レスポンスしてくださった方々に感謝を。楽しんでいただけたようで、それが何より励みになります。
ただ一名ばかり、そろそろ侵蝕率に気を付けとけ。
しかし前スレから見てて思ったのだが、結構バッドエンド好きなひとって多いのかしらん?
需要があるなら短く仕上がりそうなものを幾つか書いてみようかと思った。勿論ちゃんと本筋終わらせてからだけれども。
ただ個人的には悲しい話嫌いだしなぁ、とネタに走った前科がある癖に呟いてみる俺。
>>30 書き上げお疲れ様。柊が絡むとお約束のような大騒ぎになりがちな中、しんみりした結末の感じが印象だった。
この後、「自分の能力を制御したいんだろう? 教えてやらなくもないぞ?」とやってきた謎の輩に、修行だ試練だのの題目
でアレコレされるという展開を寸秒で閃いた俺はきっと病んでる。
>>39 学校ってやっぱ舞台としていいよなぁ。ジュヴナイルって感じで。
もっと2キャラとも折角学生なのだから、俺ももっとそのシチュエーションを活用すればよかったとちと後悔。
ところで登場の支部長は、こいのぼりでなくて水晶の瞳っすよね? 前スレでも「水晶の瞳は次でちょっと出す」みたいな話
があったし。
それはともかく、なんか通じ合ってきたふたりの今後に期待だ。
>>121 力作お疲れ様です。なんか懐かしくなって無印引っ張りだしてきたり。白の乗り手は意外と経験豊富だったのだなぁ。
ところで違っていたらば双方様共に失礼この上ないのですが、ひょっとしてこの書き口、ショートコントいつものふたり(瞬
間命名。割腹)の方だったりいたしませんか。
そして俺も
>>145に同意。ふたつと言わずに。
とまれ残る2話のカップリングも気になるところでありますので、次を心待ちにいたしております。
我ながら馬鹿だな、と思った。好きな娘に告白しようと決心して、色々考えているうちにいてもたってもいられなくなって、
こうして夜道を歩いている。それでも気分は上々だった。煩悶にけりがついたからだろう。
それにしても、上に一枚羽織ってきたのは正解だった。夜になればまだ随分と冷え込む。風も冷たい。
暢気を決め込んで支部を目指していた俺の感覚が、ワーディングを知覚したのはその時だった。
感知できたのはふたつの気配。ひとつは俺の知らない気配。おそらくはこのワーディングの主だろう。だが俺の心を騒がせた
のはもうひとつの方だった。主の気配に押し潰されそうに弱弱しいそれは、彼女のものに違いなかった。
全身の血がさっと冷えて、直後にかっと熱くなる。
彼女はUGNの支部長。それも敏腕の統率者だ。命を狙われる理由なら枚挙に暇がない。俺は駆け始めてから、自分が走って
いると気付いた。頭よりも、体の方が何をすべきか解っている。
そうして駆けて駆けて駆け続けて、男にのしかかられている彼女を見つけた瞬間、頭が真っ白になった。自分がどう動いてい
るかを認識するよりも早く、俺は男を蹴り飛ばしていた。完全に油断していた男は数mを軽く吹き飛んで更に転がる。
キュマイラシンドローム発症者の、手加減抜きの蹴り。普通ならば立ち上がれるはずもない致命傷のはずだ。けれど、俺には
そいつが立ち上がってくるとも判っていた。
本能が知覚している。こいつは敵だと。そして不倶戴天の同類であると。
だが距離のある相手よりも、今は彼女だった。視線を戻すと、呆然と支部長は座り込む彼女と目が合った。まるで俺が居る事
が信じられないふうに、ぼんやりと俺を見つめ返す。それでも、なんとか無事のようだった。
それだけ確認して、俺は慌てて目を逸らした。夜目にも白くはだけた胸元に、つい吸い寄せられそうになったから。脱ぎ捨て
たウィンドブレーカーを彼女に投げる。
じわりと右腕が熱を持った。
夜目にちらりとだったけれど、判った。彼女の頬に涙の跡があった。泣いていたのだ。
許せないと思った。許さないと思った。
自分だって傷つけた癖に。泣かせた癖に。それなのにその事実は、俺のはらわたを煮えくり返らせた。
成長期神経痛に似た疼痛。能力が発動する時の、解放感を伴うむず痒さ。腕が凶器へと変成していく。俺の瞋恚を具現して。
「支部長に話があったんだ」
激情を静める為と衝動を抑える為に、深呼吸をして言った。出来るだけ安心してもらえるような、そんな穏やかさを作って。
「電話なんかじゃなくて、直接顔を見て話したかった。本当は明日にしようと思ったんだ。でも眠ったら、勇気がなくなってそ
うでさ。邪魔だろうけど、支部に行ってみようと思った。顔だけでも見ておこうって。…なんか、馬鹿みたいだよな」
奴から一瞬視線を外して、支部長の顔を見る。
「でもその馬鹿さ加減のお陰で、間に合った。助けられた」
笑ってみせた。泣き止んで欲しかった。大丈夫だと思って欲しかった。
それから、嘘だ、と思った。俺の言葉に、彼女ひどく幸福そうにしたように見えたから。
でもそれは見間違いに違いない。俺なんかが駆けつけて、彼女があんな嬉しそうな顔をするはずはない。それでも高鳴った動
悸は誤魔化しようがなくて、俺は惑乱する。
「――どうして?」
そこへ、問いが届いた。声はかすかに震えていた。
「え?」
「どうして、私を助けたりするんです。戦うのは嫌いなんでしょう!?」
不思議な事にそれは、まるで悲鳴のように聞こえた。俺は目を細める。もういないひとたちを思い出す。
この力に目覚めたばかりの頃。俺は嫌で嫌で仕方なかった。
死にたくないから戦う。身を守る為に戦う。それだけで、UGNのシナリオになんて関わりたくなかった。だからある日、エー
ジェントの大人達に尋ねた。
「俺はこんな体だからしょうがないですけど。皆なんでこんな仕事してるんですか」
彼らはオーヴァードではなかった。けれど俺のように嫌々ではなく、自ら望んで自ら選んでUGNに協力している。そういう人
々のようだったから。
俺の問いに、ガキだな、と仁科さんは即答した。反射的にむっとすると、葛城さんが逆に問うた。
「逃げたら戦いがなくなるのか。目を閉じればこの現実はなかった事になるのか。もし俺達が放り出したら、その分を誰かが背負
わなければならなくなるだけだと思わないか」
言葉につまった俺に、関口さんがにやりと笑った。
「本当は安穏とだらだら暮らしてぇさ。でもな、もし俺が何もしなかった所為で、誰かが不幸になったらどうだ? お前は幸福に
惰眠を貪れるか? どこかの誰かが、俺の所為で泣いているのに?」
そして三上さんが後を継いだ。
「ここにいる連中ってのは、皆後悔を抱えてる奴らだ。あの時こうしてれば。もっと早く知っていれば。そんな後悔を抱えた奴ら
だ。一々話したりはしないがな。何も知らない一般人がレネゲイドと関われば、大概後悔が残るんだ。判るだろう?」
仁科さんが俺の頭をぐりぐりと撫で回した。
「今出来る事確かにある。なのにそれを放り出して、また後悔を重ねたいなんて思う奴はいねぇよ」
このひとには俺と同じくらいの男の子がいたのだと、後で聞いた。
「ああ。確かに戦いは嫌いさ。でも、」
だから俺は答える。今だって戦うのは怖い。死ぬのなんてごめんだと思う。
けれど大切なひとを見捨てるのなんてもっての外だった。好きな娘を見捨てるなんてできるはずがなかった。
あの時、俺は逃げるのを止めたのだ。力と向き合おうと決めたのだ。
俺はガキだから、あのひとたちのように立派な覚悟なんてできない。どこかの誰かの為になんて死ねない。
けれど大切なものを守る為なら、命くらいは賭けようと思ったのだ。
俺は靴音を立てて男へと向き直る。そうして背中を向けたまま、右腕を真横に伸ばした。
ここから先へは進ませない。彼女には、もう指一本だって触れさせない。
「でも大事なひとが泣いている方が、もっと嫌いだ」
視界の中央で、男がするりと身を起こした。すぐに立たなかったのはやはり芝居だったのか。何の痛痒もないかのようなその仕
草に、俺は警戒を強める。
多分奴は、ひどく強い。本能のような何かが、そう俺に警告している。
それでも。俺は拳を握る。変貌した拳を、決意と一緒に。
この力を、少しだけありがたく思う。お陰で彼女を助けられた。お陰で俺は、こいつと戦う事ができる。
うぉぉぉぉ、ここで「続く」かよ!?
しかしGJ! オレの侵食率はもう120%オーバーだぜ!
【莫迦は戻ってくる気がないらしい】
155 :
>121:2005/05/15(日) 10:57:04 ID:kCfBTiJ7
自分も「職人さん」と呼ばれたい、なぞと考えてこういうのを書き始めたの
で、>146のレスに大喜びしました。ひゃっほう。
あとの2つも頑張って、また皆さんにGJと言われることを目指します。
>149
「ねぇねぇ」「あ〜?」で始まるアレのことでしたら、私は「ショートコン
トいつものふたり」の私です。一応、最後を「・・・・・おしまい。以上(以
下、作品解説等)」で締めてるやつは私のです。ご参考までに。
てか、書き口でわかるもんなんですねぇ。
>>65 >63-64の展開に燃えて、>152に涙しました。非オーヴァードの人達の熱意に
感動。そうですよね、現代超人物ったって、その世界を支えているのは一般人
なんですよね。切り札くんとの対比もあって、なんか胸をつかれました。
>>150 相変わらずGJ。切り札君好きよ。
IF「間に合わなかった」編は漏れも見てみたい。バッドエンドが好きというより、漏れに限って言わせて貰えれば
そ の ほ う が エ ロ い か ら
……スマン、媚薬系の展開大好きさ(ごろり
何 か エ ロ が 必 要 な く な っ て き て る 件 に つ い て
エロパロスレで涙する日がこようとは……(つД`)
葛城さんに三上さん、仁科さんに関口さん……
最初の作戦の犠牲者達ですね。
こんなにもいい人たちなら、切り札君がキレるのもうなづける。
今更ながらに、彼らの冥福を祈って黙祷(―人―)
さ、あとはハッピーエンドに向かってがんばってくだせい!
P.S.自分もちょっと別の意味でIFバージョンなエンディングもみたいかなー。
このスレ的には救出の後の展開はそのまま(ryでしょうけど、
戦闘後に処理班が間に合って正気に戻った支部長が、切り札君と
ベンチにならんで初々しいやり取りをする一般開放型のほのぼの
エンドとか。
強化人間劇場が投下されるたびにベルに新しい属性(羞恥、ぬいぐるみ、露出、ロリetc…)が追加される件について。
つ、次にはどんなアブノな性癖が追加されるんでっしゃろ?
160 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/16(月) 02:03:18 ID:dqS07Ste
……じゅうかn…………いや、やっぱ柊との愛は必要だな。ということでお尻はどうだ!?
なんて馬鹿なことを言ったからには責任を取って後ろの処女喪失SSを書くべきなんだろうか……? 希望があればがんばって見ます
希望する。頑張って。
162 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/16(月) 03:45:44 ID:phgZinX3
木冬の月工門?
今週後半はちと忙しくなりそうなので、書けるうちにと気張ってみた。空回りかもしれない。そうでないように祈る。
あと過分な評価をいただいてしまうと、何やらプレッシャーが。しかしそれに負けるようなら俺も所詮そこまでの男よ。
そんな戯言はともかく、非オーヴァード隊の皆が登場済みなのに気付けてもらっていてひと安心。
「誰?」とか言われたらどうしようかと思ってたっすよ。
そしてその他エンド。
本筋仕上げたら、「間に合わなかった切り札君」と「一般開放型のほのぼのエンド」に挑んでみやしょう。
エロとほのぼの。…頑張れ、俺。
>>155 そうですそれですその作品群です。いや本当におかしな呼び方をして申し訳ない。ぱっと呼称を思いつかなくて。
書き方で判ったのは俺がファンだからです。ふふふ。
いや決め手は「・・・・・おしまい。以上、何々で考えたお話でした」というその結びだったのですけれども。
先にも書きましたがDX無印とあのふたりのお話の登場を、楽しみに待っておりますさ。
「用心深いんだな、意外と」
言いながら男は服裾を払う。動作にダメージの影響は見られない。
だが俺の爪先には、骨の砕ける嫌な感触が残っている。おそらくは肉体的耐久力が異常増加しているのだろう。ジャーム
化した発症者に時折確認されるその能力は、UGNではヴァイタルアップと名付けられている。
「しかし何がムカツクってよ。気に入った女犯ろうとした時に邪魔されるくらい腹立たしい事はねぇよ」
路面に唾を吐き、じろりと俺を見る。近付いてくる様子はない。
距離を取ったままという事は、相手の得手はロングレンジでの戦いなのか。
「気をつけて」
支部長が小さく囁いた。その声音に、先ほどまでの動揺はもう見当たらなかった。それを少し残念にも、頼もしくも思う。
「ハヌマーンとソラリスの雑種です。長射程の攻撃能力は確認しました」
予想通りだった。軽く頷いて、じりじりと前に出る。
ハヌマーンの高速機動に加え、ソラリスの肉体強化能力。基本的に力技しかない俺のシンドロームでは、相手の攻撃を受
けもかわしもできないだろう。ならば一撃を覚悟で懐に潜り込む他にない。
そう思って身構えた瞬間だった。
「――遅ぇ」
初手は振動波によるもの。そういう思い込みもあっただろう。だがそれでも、男の速度は想像以上だった。まるで見えな
かった。ただ吹きつけた風と殺気めいた何かに反応して首を逸らして、それで辛うじて頭を潰される事を免れる。
それでも衝撃は殺し切れず、俺は地面を二転三転した。
「…っ!!」
支部長の声にならない悲鳴。よもやと首をもたげたが、彼女の身に傷はない。最前のものは俺を案じてらしかった。
「来るな!」
けれど、駆け寄ろうとする彼女を俺は制止した。おそらく傷を塞いでくれようとしたのだろう。彼女はそういう能力を備
えている。だがその力を発揮する為には、俺の体に直接触れる必要があった。そうしてふたりが接近すれば、そこを一網打
尽にされる危険性が高い。
ただ一言の制止で、でそれは伝わったようだった。はっとした表情で足を止める。元より戦略眼は彼女の方が優れている。
「…くそ…」
しかし、まずい。
膝立ちになりながら思う。額から右のこめかみにかけて、熱い痛みがあった。今の一撃で生じた裂傷だ。生死に関わるよ
うな怪我ならば、即座にレネゲイドが修復してくれる。だが逆に、この程度の傷では再生能力は機能しない。
つまり。
「どうした? あ? お姫様を助けに来た騎士様じゃねぇのかよ、てめぇはよ」
男の声がする。だが俺には位置がつかめない。
つまりは、そういう事だった。見えないのだ。傷口から流れる血の所為で、視界が半分塞がっている。当然その死角に潜
り込むように相手は動く。夜闇と相まってまるで挙動が掴めない。そう判断したからこそ、支部長も即座にこの傷を治そう
としてくれたのだろう。
「とんだ無様だな? えぇ?」
再度襲い来る颶風。頭部をガードした俺を嘲るように、腹に強烈な一撃が叩き込まれた。苦悶と一緒に大量の息を吐き出
させられる。けれど、今度は意識の上での備えがあった。痛みを押さえ込んで俺は腕を振るう。
「くっ!?」
攻撃の後のわずかな隙。それを狙ったつもりだった。
だが、もういない。俺の攻撃圏内から既に奴は離脱して、そしてまた死角に消える。異形化していない左腕で血を拭う。
殆ど意味はなかった。後から後から溢れて止まらない。
「オーヴァードってよ、なかなか死なないじゃん?」
明らかな嘲弄を含んだ奴の声。
「だから手足砕いてどうにも動けねぇようにしてさ。それからてめぇの目の前で、その女犯してやるな?」
くつくつと耳障りな、喉の奥での笑い声。ハヌマーンの能力なのか、しかしそれらは四方八方から響いて俺に位置を捉え
させない。
俺は無力なのか。また守れないのか。
唇を噛んだその時、青白く光る蝶が見えた。それは見えない右目にも映る、幻の蝶。
ゆらり、とそのイメージが動いた。俺へ目掛けて突進してくる。咄嗟に理解して、俺はその軌道から身をかわした。
(サンキュー、支部長)
声には出さない。言えば標的にされるかもしれない。だから俺はちらりと彼女を見やっただけだった。けれどその一瞬、
彼女も確かにこちらを見ていて。殺し合いの最中だというのに、ひどく満ちたりた気分になる。
「なんだと!?」
驚きを漏らす男を、正確には支部長の送ってくれる蝶のイメージを追って、俺は走る。獣めいた前傾姿勢。勝つにはま
ず、奴の機動を殺す事だ。故に狙うのはその足。膝の位置へ送り込んだ俺の爪は、しかしまた空を斬るのみにとどまった。
俺の頭上を、蝶が飛んでいく。奴は跳ね上がって回避して、そのまま俺を飛び越えたのだ。追撃しようにも、この崩れた
体勢ではままならない。俺と奴は、この戦いの最初とほぼ変わらない距離で向かい合った。
「やれやれ、驚いた。てめぇもアレか。見えなくても見えるクチか」
わざわざ誤解を解いてやる必要もない。俺は黙ったままでいる。
「でも、捉まえられないね。それじゃあオレは捕まえられない。てんで足らねぇよ。スピードが」
得意げに言い放つ。そして言うだけあって、確かにその通りだった。俺の速度じゃ、例え見えていたって奴には追い付け
ない。
ならどうすればいい?
切る札はあとひとつある。だがそれで俺の運動能力が増したとしても、それでも速度では上を行かれるだろう。奴に能力
を把握される前に、なんとかして一撃を加える隙を作らねばならなかった。
考えろ、考えろ、考えろ。
視界の隅に、彼女の姿。集中した横顔。俺の勝手な願望だろうか。それは俺を信じ切って、頼ってくれているかのように
見えた。
そう、かかっているのは俺の命じゃないのだ。
――創意と工夫こそが、人間様の取り得さ。
耳元で囁かれたように思った。この言葉を聞いたのは、戦闘訓練の最中の事だ。
「創意と工夫こそが、人間様の取り得さ」
筋力で勝るはずの俺を軽く投げ飛ばして、仁科さんはそう言った。
「お前らは能力に頼り過ぎる。信頼し過ぎる。だから、その裏をかけるんだ」
「…訳判んないですよ」
仏頂面で返すと、
「お前、力なら俺に勝てると思ってるだろ」
首肯したら、だからだと胸を張られた。
「相手が腕力で押してくると判ってりゃ、そこを突けるって事さ。お前の力を利用して放り投げるくらいの技術は、俺にだ
ってある」
その後いくつも力技をいなす具体例を駆使されて、仁科さんの言う通りだと骨身に染みさせられた。
それでも得意満面な顔が悔しかったので、
「相手の得意が判ってれば勝てるんですよね?」
「おう」
「じゃあ仁科さん、支部長に暗号解読で勝ってみてくださいよ」
「馬鹿言うな。相手の得意な土俵に上がらないのがまず戦術だ」
「…汚なくないですか、それ」
「阿呆。喧嘩ってのはな、どうやって自分のペースに持ち込むかだぞ」
それからいつものように、仁科さんは俺の頭を乱暴に撫で回した。
「まあこれだけ色々と教えてやったんだ。もし101匹目の猿が出てお前らが新人類になって、俺らが旧人類扱いされて迫
害され始めたら、そうしたらお前、恩返しにきちんと庇えよ? このハンサムなお兄さんは俺の恩人です、ってな」
あのひとは本当に、何かにつけて俺を構いに来た。
少しだけ笑って、俺は涙を噛み殺す。そうして呼気を整える。
全身に走る痛み。それは人の身を捨て、獣に生まれ変わる為の通過儀礼。
本当はこんな姿を見せたくはない。醜い獣の姿を、彼女の前でに曝したくはない。
だがそんな安い拘り、彼女の安全の前で何の意味がある?
体が作り換えられていく。細胞がざわめく。内なる獣が歌い始める。
あれは何だ?
あれは敵だ。
敵なら、どうする?
敵は殺せ。食い殺せ。
殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
――黙れ。
俺は俺の意志で力を振るう。多分俺は奴を殺すだろう。だがそれは喜悦の為じゃない。
天秤の片方に、決して譲れないものが乗っているからだ。
仁科さん萌えwwwwwwwwwww
いいなぁ、こういう飄々としたベテラン。ほんに惜しい人を亡くした。
切り札君とヒトミちゃんもいいコンビネーションしててよいね!
170 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/17(火) 20:35:48 ID:6GUlakGO
現代物か。じゃあNWかDXじゃないか?
【ロクに考えもせず適当に言った】
とりあえず、レレレだったらなんだっていけるだろ。
天幻の魔女
いかん、仁科さんに燃えて仕方がない…
この人がもういないだなんて…戦いとはかくも非情なものなのか…
>>174 捨て駒にしたのヒトミちゃんっぽいのがまたね。
切り札くんとの行為の最中、恋愛方面で仁科さんにからかわれたこととか思い出して赤面しつつ泣いちゃう支部長希望w
>>173 いくらイラスト描いてたのがその後エロ漫画書きになるあかひらきりんだったからといってそれはどうだろう。
え、アレってエロいRPGじゃなかったの?
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「仁科さん、人気急上昇だねぇ」
「ああ」
「いいなー、こういう存在感のある人。胸が熱くなるよねー」
「仁科さんの美味しいところは、『既に死人』ということだ。もう未来がない
人の、過去にあった心温まるエピソードほど涙を誘うものはない。DX2リプ
レイのちえりも同類だな。死んでから盛り上がるキャラクター性、死んでるか
らこそ強くなる感情移入。これが生きていたなら、将来、そいつに対して何が
しか幻滅する可能性もあるが、死人に対しては、ただただ美しい思い出だけが
残るのだからな」
「・・・そーゆー分析されると悲しくなるんだけどー・・・」
「しかしこちらとて負けていられん。物書きとして、他者の作品に感動したな
ら、それを自分の作品に昇華してこそだ」
「そうそう、頑張って頑張って!」
「6人殺す」
「へ?」
「この作品では4人まとめて死んでるから、こちらは6人殺すのだ。2人も勝っ
てるぞ」
「人数で勝負すなーっ! てゆーか殺しゃいいってもんじゃないでしょーが!」
「そうなのだ。殺せばいいっていうもんじゃない。どうせなら殺すシチュにも
こだわってこそだ」
「だから人死にが出りゃいいってもんじゃなくて!」
「殺す対象は決まってるようなもんだな。DX無印サンプルキャラ、“切り札”
“危険物”“猟犬”“牙”“魂”“鉄拳”、ちょうど6人だ」
「どーしてそういう話になるんだよぅ〜」
「こういう話になるんだ。
6人のオーヴァードがいた。
一人が“黒い天使”に撃たれて5人になった。
5人のオーヴァードがいた。
一人が“朱に染まる薔薇”に毒殺されて4人になった。
4人のオーヴァードがいた。
一人が“鋼の乙女”の義手に殴られ3人になった。
3人のオーヴァードがいた。
一人が“輝きを呼ぶ者”に射抜かれ2人になった。
2人のオーヴァードがいた。
一人が“氷の戦士”に感電して1人になった。
1人のオーヴァードがいた。
一人が“白の乗り手”に乗っかられ、そして誰もいなくなった」
「なんつーパロディを〜。
・・・って、最後の一人、なんで乗っかられただけで死んでるの? まさか、
体重が重くて圧死、とか?」
「標準体型の女の子相手に圧死はないだろう圧死は」
「じゃあ何?」
「腹上死」
「そーゆー乗っかり方かぁぁぁ!」
・・・・・おしまい。
以上、>163に大喜びして考えたお話でした。
ああ、相変わらず亀です…orz
>>109氏
グッと来ました!(w
スピードワゴンさんに鼻をつままれそうですが、柊がアゼルに残せるモノといったら、想い出とか形の無いもんしかないな、と思っていたのでそうなってよかった。
しかし、部下のいない魔王なんて、彼女ぐらいじゃないでしょうか。城も無いし。孤独じゃのう。
>>110氏
も、萌え…。漏れの脳内柊の手首にはアゼルの帯が巻かれております!
>>111氏
柊のプラーナが不足する→用意しおいたプラーナ回復ポーションを飲む→ファンブル!?
そして、ピーが砂に…。ちなみにアンゼが毒を仕込んでいたでも可。
「ん…んんっ!お姉さま…っあ、ぁあたし、もう…!」
「はしたない。折角の去勢も、貴方には効果がなかったようですね」
「お姉さま…ぁ、…お姉さ、まあ!」
「ふふ、私の可愛い蓮。何時ものようにお願いすれば、貴方の望み通りにしてあげますよ。……私は、貴方が好きですから」
〜〜ロンギヌス服務規程(改訂版)が蓮の口から読み上げられる〜〜
だ、大丈夫か、俺の脳は?
某コンで百合空間発生したらしいからってこれは…orz
>>115氏
はう〜。やってみたいです!
ゲームのラスト付近で、プラーナを吸収されたベルを柊が庇いながら、異世界のベルに剣を向ける等のシーンがあったら…と、妄想してしまいます。
自分の世界では死んだ人間に斬り付けられる。しかもそいつとは腐れ縁だった…。
等などと、異世界の柊とベルが何らかの絡みがあったりすると、なんか萌えてしまう。
>>144氏
面白かったです!
『鉄拳』は滅茶苦茶極端ですね。伽羅立ちまくりでおいしいヤツですな。(w
こんなカップルも萌えです。相手に幻想を押し付けてるけど、それでもその相手は自分にとって光で…。
二人は誤解とかぶつけ合って喧嘩が絶えないでしょうが、『これから』という感じがモロに出ていて爽快感みたいなのを覚えましたー。(なんじゃそら)
ダークなスタートというギャップもあったのかもしれませんが。
>>168氏
『切り札』ホントにカッコイイですね!これが主人公属性か。(w
やっぱり、敵のダウンは誘いだったのか。なんか敵の方が戦闘経験豊富そう。自分の欲望に素直な分だけ自分の力を把握してるっぽいですし。
仁科さん達も格好いい。つい炎砦を思い出してしまいました。
やっぱり、ルール的には次の攻撃に仁科さんのタイタスを使ったことになるのかな。
>多分俺は奴を殺すだろう
このフレーズがめっさ萌えです。人を殺す覚悟を決めているというか。その結果を受け止めるというか、とにかくそんな感じがして。(おい)
しかし、『切り札』は某リプレイ如く『水晶』しかロイスが残ってないのでは?(汗)
三倍振りふぁいとっ☆
実はまだ侵食率が70%くらいなのではないかと推測。
……いや、瞳たんに対して禁断のロイス重ね取り、ってのもアリといえばアリか?
俺はもうすぐ侵蝕率が80%を超えてフルパワーアタックが使用可能になり、
それでフィニッシュブローを決めてくれるものだと信じている。いや好きなんだよフルパワーアタック。
まぁ泥臭いイメージがあるから人気無いんだと思うけど。切り札君はスマート系と見たがどうか。
流れを断ち切って悪いが
EX買ってパラパラ眺めて一言
ショッコッラ!ショッコッラ!
ラストは《完全獣化》のまま獣か(ryうわやめろなにを・・・
>183
ノ【タイタス:UGN一般戦闘員一同】
…しかし、>64とかを見てて、
「〜〜って描写があったらもっと好みだったかも…それとも〜〜で…」
とか妄想をめぐらせてるうちに半分三次創作になりかけて振り払い。
…かわりに、何時の間にかハヌ/ソラな彼の方の内面描写や過去を脳内捏造してたことに気付く自分。
少し侵食値が高すぎるのかなぁ…。
ともあれ、いつもの人、GJです!このまま行くトコまで行っちゃってください!w
――目を覚ますと、そこには風呂敷包みが鎮座していた。
「…………は?」
起きぬけ、回らぬ頭で柊蓮司は間の抜けた声を漏らす。
久しぶりの予定のない土曜の休日。昼間まで惰眠をむさぼろうと至福の絶頂で寝入った柊は、ふと自
分のアパートの部屋の大半を埋め尽くす風呂敷包みを発見したのだ。
何事か、ともそもそ布団の中から這い出ようとした柊に、
「――お『そ』ようございます、柊さん」
鈴の音のような声が降り注いだ。柊の動きが止まり、ギギギギギ、とさびたブキリ人形のような動き
で声の方向に顔を向けた。
「ア、アア……ッ、アンゼロットッ!?」
そこには勉強机の椅子に優雅に座り、紅茶をすする銀髪の美少女の姿があった。
美少女――アンゼロットに、柊は素早く飛び起きて間合いを測るように身構える。
「て、テメ、何で優雅に紅茶すすって……っ」
「柊さんが心地よさそうに眠ってらっしゃったので、起こすのも悪いかなーと思いまして」
「い、いや、そうじゃなくてだなっ!? 何で俺の部屋にお前がいんだよっ!? 鍵だってきちんと閉
まって……って、おい!? ドアノブ壊れてんじゃねえか!?」
「こう、軽くひねったらボロっと――不良品ですね、危ない危ない」
「うっわ、うっそつけ。鈍器で殴った跡あんぞ!? これ」
玄関のドアノブの被害状況を確認して唸る柊に、アンゼロットはそ知らぬ顔で紅茶を注ぎなおす。
しばらくして、取り合えず外からは閉まっていると見えるようにドアを固定してから柊は仏頂面で戻
って来た。
「つーか、今日の用件は何? まさか人ん家の抜き打ち防犯テストとか言いださんだろうな?」
「まさか。私もそこまでは暇ではありません」
アンゼロットの表情が変わった。目に見える変化ではない、ただ漂う空気に緊とした張りが生まれる
――世界の守護者、そう名乗るにふさわしい威厳を持って言葉を紡ぐ。
「アンゼロット宮殿が魔王パイ=レイモーンとその配下の亡霊騎士によって占拠されました」
「――なっ!?」
柊が驚きの声を上げる。仕方あるまい、アンゼロット宮殿と言えば有史以来あらゆるエミュレイター
――それこそ魔王クラスの侵魔ですら寄せ付けなかった難攻不落の要塞だ。それが陥落した、というの
だから、ただ事の騒ぎではない。
まだ体を包んでいただるい眠気が一気に覚めていく。柊は緩んだ気を一新させ、強い闘志の輝きがこ
もった視線でアンゼロットに頷いた。
「そうか、解った。今から俺にもその魔王と戦えってんだな!? よし、ちょっと待ってろっ! 今す
ぐ用意して……」
「いえ、事件そのものは解決しました」
ガク、と柊の握り締めた拳が空を切った。
「……なら、何でお前がここにいるんだよ?」
もっともな問い掛けに、アンゼロットはクイ、とティカップに口をつけ、紅茶で喉を潤わせてから答
えた。
「――アンゼロット宮殿の改装工事が終わるまで、身を寄せてさせてくださいません?」
「なんだそりゃあああああああ!?」
「そもそも世界魔術協会にでも厄介になればいいじゃないか?」
柊のそんな意見に、アンゼロットは眉根を寄せて反論した。
「アンゼロット宮殿が占拠された、などという情報が世間に伝わればどんな混乱が起こるかお解りです
か? 事は内密にすませなくてはいけないのです」
「ま、まあ……一理はある……かな?」
「しかし、そうなって私がここで頼れる知人となると……恥ずかしながら、柊さんくらいしか思いつか
なくて」
「…………へ、へえ。ふ、ふーん」
「そんな時間はかかりません、一両日中には工事も終了すると思います。それまででよいのですが……
駄目で、しょうか……?」
途方にくれた、そんな表情でツイ、と見上げられて――無げに扱える男だったならば、柊の身に降り
かかった数々の苦難の大半は避けて通れただろう。
「え、っと……あの、だな……ぁ」
「――ただで、とはいいませんよ?」
アンゼロットはニコリと慈愛に満ちた隙のない微笑みを浮かべると椅子から立ち上がった。
「…………あ?」
「台所、お借りしてよろしいですね?」
綺麗に四角に整えられ、一口サイズに切り分けられた卵焼きにベーコン、彩りにキャベツが盛られ。
白いご飯にお味噌汁が目の前に並べられていく。最後に冷奴――かつおぶしまでのっている――がちゃ
ぶ台に置かれるのを見て、柊は奇跡≠見た気がした。
「冷蔵庫の中のモノを使ったありあわせのですけど……どうぞ?」
「え、あ、いや……お、おお」
アンゼロットの声に凍り付いていたかのように身を硬くしていた柊がを手に取った。
ニッコリ微笑み、アンゼロットもちゃぶ台の前にチョコンと座ると、
「いただきます」
「い、いただきます……」
つられ、柊は卵焼きをつまみ、口に放り込んだ。
「――う、うまい……っ!?」
愕然とした。ふんわりと口の中で柔らかく、卵の味とそれを生かした薄い味付けが絶妙にマッチして
一緒に熱いご飯を食べればこの上ない絶品だ。
柊も一人暮らしを始めてからこっち、幾度となく自炊をこなそうとしたが……結局、自分の腹を満た
す食事≠オか作れるようにはならなかった――美味い、と舌も満足させる料理≠作るのには才能
がいる、そう結論までした。
だが、目の前に自分が諦めた料理≠ェ並んでいる。それも、予想だにしなかった人物の手によって。
その人物は、柊の反応にホッと安堵の吐息と笑みを漏らした。
「よかった。お口に合わなかったらどうしようかと思いました」
「い、いや……うまい、マジでうまい……うっわ、うめ、うっめ……」
「…………ほ、褒めてるんです、よね? それ」
「おう、意外だったってトコ以外はな」
力強く頷く柊に、アンゼロットは微苦笑。
しかし、柊はそんなアンゼロットの反応には気づかない。箸を必死に動かし、しかし味わいながらか
きこんでいく。
「でも、お前。料理なんて出来たんだなー」
「一通りは。プロの料理人とまではいかないですけど」
「いやいや、十分十分。マジでうまいって。あー、案外いい奥さんになったりとかすっかもなー、お前」
箸を進めてほくほく顔の柊は――気づかない。
微かに息を飲み、瞳を揺らしたアンゼロットは誰にも届かない吐息をこぼし――ほころぶような笑み
を浮かべて、言った。
「取り合えず、これで交渉成立なら後で買い物に付き合ってくださいね?」
――柊に、異論はなかった。
ほのぼのアンゼロット軍曹を目指しつつ、リハビリ交じりにやってみました。
パソの調子が悪く半月修理に出し、なのに今も異音を発するマイパソ。何故だorz
こう、がんばってアンゼロット軍曹のイメージアップを……とたくらんでる所存ですorz
GJ!家庭的なアンゼロット様というのはギャップが有って良いです。
脳裏に浮かぶエプロン姿がすごく新鮮な感じで新たな地平の予感。
でも、まだ何か裏があるんじゃと思えてくる…これもアンゼロット様の人望?(違
>>195 大変だね
俺のもHDDアクセスの速度が落ちてきたような気がする(兆候の一つって聞いた)が
いつまで保つかな…
卵焼きに何が入ってるのか気になるぜGJ!
ひぃ…卵の殻が!
>195
おかげで卵焼きが食べたくなっちゃったじゃないか。どうしてくれる。
自分で作ったら無残に失敗、外はガチガチ中はドロドロでまるで卵つくりなおしたみたいだよ!
>>200 あかりんが作ったのよりはマシ、またはあかりんが作ってくれたものと思いこんで食え。
>200
あ、俺そういうの好きだよ。
204 :
200:2005/05/20(金) 03:09:04 ID:bwzgs4N2
優しいんだな、お前ら……。
なあ、腕によりをかけてごちそうするからさ、卵焼き、食べてってくれよ。
二人の蜜月を壊したくないので、自分は頂戴なく遠慮いたします。
ああ、すぐおいとましますのでお気遣いなく。(もしゃもしゃ
あー
>>200おかわりー(もしゃもしゃ)
【蜜月を邪魔する奴がここにまた一人】
空気を読まずにショコラたん(;´Д`)ハァハァとか言ってみる
俺もいま死者の花嫁読んだ。
ネタバレな話題とかもういいのかな? ショコラのペンダントとか。
発売日は今日だし、あと2時間ほど待つのが良いかと。
……「ロンギヌス」によると、アンゼロットは14歳だそーだが。
柊…………(いろんな意味で哀れみの目)
公式サプリにイクスィム様も掲載されて、アンゼロット様と柊を取り合うのはいつの日になるのだろうか…。
イクスィムはこのまま黒歴史にされそうだけどな。
出すならロンギヌスあたりで出してもおかしくないし。
萌え魔王で存在が霞みそうだからずらしたか?
ということは、柊はエルンシャ様の生まれ変わりだと。
“ダブルクロス”それは「裏切り」を意味する言葉。あたしたちはヒトから
も、ヒトを超えた者からも、等しく、こう呼ばれています。
だけど、誰が誰を裏切ったというのですか?
あたしたちはレネゲイドという名の自然ならざるウィルスに冒された病人。
誰よりも生きることを、人間らしくただ生きることを渇望している、それだけ
の存在なのに。
「起っきしてくださーい。7時でーす」
ドアを開け、部屋の電気をつける。
外は快晴。だけどあたしたちの部屋は、いつも窓に分厚いカーテン。明るく
健全な朝の光は入ってこない。
ベッドの上、トランクス一丁で転がっているのはあたしの双子の弟。これで
も余所では、サングラスの似合う伊達男で通っているフリーのルポライター。
実家を離れて姉弟二人、あたしたちは、表向きは何の変哲もない、実はUGN
の管理下にある、マンションの一室で同居中だ。
「・・・もー少し・・・寝かせ・・・」
蛍光灯の光に顔をしかめて弟は、自分の腕で目をカバーし、また眠りに就く
様子。やれやれ。
「ここんとこ毎日ダラダラしてたから、明日から心を入れ替えて人並みの時間
に起きる。夕べそう宣言したのは自分でしょう?」
「だから明日だって・・・もう今日になったから、明日はまた明日・・・」
ほほう、そーゆー口答えをしますか。おねーさんは怒ったぞ。
見ると、今朝も立派に朝立ちしてやがりますので。
レバーみたいに握って、えいっ!
「起きろ、鉄人!」
「どわっ!?」
流石に跳ね上きた。いつものことながら、これは効く。
「だから人のちんちんリモコン代わりにすなっつってんだろー!?」
「だからリモコンっていうのはリモートコントローラの略ですってばー。身体
に付いてるんですから、これはただのコントローラですー」
「そーゆーコト言ってんじゃねー!」
大騒ぎ。それから大爆笑。ひとしきりゲラゲラ笑い合い、
「おはようさん」
「はい、おはよう」
小さい頃から我が家の習慣。おはようのキスを交わした。
双子だろうがそうでなかろうが、日本の世間一般では、姉弟が朝っぱらから
キスをするなんて珍しいだろうと思う。ただ、あたしたちの母は「おはようの
ちゅー」「おやすみのちゅー」「元気に行ってらっしゃいのちゅー」「無事に
お帰りなさいのちゅー」を父にも子供達にも欠かさない人だったから、家族で
唇を合わせることに抵抗は全くない。慣れてしまうと、姉弟喧嘩の真っ最中で
すら挨拶のキスをしない方が気持ち悪いくらいだ。
「飯は?」
「もうとっくに。御飯と味付け海苔とわかめのお味噌汁とアジの開きとほうれ
ん草のおひたし。何か御不満はー?」
「ありまっせ〜ん」
……そういえば分割された中でチ○ポがどの聖姫かって話を公式でやってたなあ。>エルンシャ
安くて簡単で栄養バランスが良くてしかも美味しい。ある程度トレードオフ
の関係にあるこの四大条件を満たす食事を作るのは、家事分担におけるあたし
の仕事であり、趣味でもある。
「最近ちょくちょく素っ裸で寝てませんかー。風邪を引くでしょう、パジャマ
ぐらい着なさいー」
「どーせ朝になったら脱ぐだろー?」
「だったら朝御飯は要りませんよねー、どーせお昼にはおなかが空くんですか
ら」
「御免なさいおれが悪かったです」
床に落ちていたパジャマを拾って着始める弟。
子供の頃は一卵性と間違われるぐらい瓜二つだった。今でもそっくりだ、流
石に間違われはしないけど。ただし、あたしたちは二人とも、マンションの部
屋の中以外では、屋内ですらサングラスを手放さないようにしているので、あ
たしたちが双子だと知っている人達ですら、どのくらい似ているかまでは知ら
ないことが多い。
弟は、強い光が苦手でサングラスを掛けているブラム=ストーカー/キュマ
イラのクロス・ブリード。吸血鬼ドラキュラじゃあるまいし、陽光でダメージ
を受けはしないが、それでも眩しい光は好きではないと言う。
あたしは自分の目を隠すためにサングラスを掛けているピュア・ブリードの
ブラックドッグ。エフェクトを使うと、自動的に目が赤く輝き、自分の意志で
は止められない。情報収集のため、日常的に《タッピング》を多用する以上、
それを他人に見られるわけにはいかないのだ。
マンションの部屋、窓のカーテンを開けない理由も、外からの光と視線とを
遮る必要があるためだった。
「何で今からパジャマを着るんですー? 部屋着に着替えればいいじゃないで
すかー」
「そりゃそーだ。えーっと、そこのジャージ取ってくれ」
「はーい」
あたしたちは大学卒業直前に発症し、幸か不幸かUGNに保護された。その
後、就職先もまだ決まっておらず、特に就きたい職業もなかったあたしは、U
GNの勧誘に応じてエージェントになり、T市支部に配属された。コードネー
ムは“氷の戦士”。昔から美味しい食べ物ぐらいにしか興味のなかったあたし
だが、例えば道端のアクセサリー売りに扮して、情報屋まがいのことをしてい
るうちに、情報の『美味しさ』にも味をしめるようになった。
一方、弟はジャーナリストを志望し、オーヴァード関連の事件が異様に多い
このT市を取材地に選んだ。UGNにはイリーガルズとして登録されている。
コードネームは“誇り高き牙”。オーヴァードの真実を記事にしたくてこの道
を選んだのに、未だそれを果たせずにいる弟は、世界の安寧のため、今は敢え
て夢を夢のままにしているのだ、と言えば大袈裟だろうか。
ところでこのコードネーム、誰が決めたのだろう? あたしたちも含め、U
GNのエージェントやイリーガルズは、特に希望があった場合以外、UGNが
適当に付けてくれる。その命名プロセスは、正規エージェントたるあたしにも
謎だ。
当時、弟と二人でこんな会話を交わした覚えがある。
「でも、“ウルフ・ファング”なんて、カッコよすぎじゃないですー?」
「あー、確かにちょっと恥ずいかも。別のに替えてもらうか」
「そうですねー、“われらがファング”とかー、“無敵の万太郎”とかー」
「14へ行きたいか姉者」
「でもあの噂、本当なんですかねー」
「何が」
「皆のコードネーム、ランダムコードネーム生成表に基づいて、“リヴァイア
サン”っていう日本支部監査部局長がダイスを振って決めている、って」
「・・・信じんなよ。ンなアホな噂」
それが噂でしかないのだとしたら、局長の机上に置いてあった真鍮の10面
ダイスは何だったのだろう。案外真実なのではないかと、あたしは今でも疑っ
ている。
「じゃ、早く御飯食べに着てくださいねー」
「ところで、“氷”」
「はい?」
ドアを開けながら振り向くあたし。
親から貰った名前ではなく、コードネームを略して呼び合うようになったの
は、UGNに所属してすぐのこと。どちらからともなく、両親や親戚のいる前
以外では、本名を使わなくなった。今や、本名で呼ばれる方が違和感を覚える
くらいだ。
よっこいせ、とジャージのズボンを上げながら、弟は言った。
「あのおっさんのちんちんも握ったのか?」
ガンッ! 目測を誤り、あたしは引っ張りすぎたドアを自分の顔に叩きつけ
ていた。
「い・・・いったぁ〜」
「大丈夫か、おい?」
「大丈夫じゃありませんー! もう、何てこと言うんですかー!」
「うむ、姉の恋路が気になる健気な弟の口が滑ったとお考えいただきたい」
「その口はこの口か、この口かー!」
思い切りほっぺを引っ張ってやった。
弟が『おっさん』と呼んでいるのは、“孤独な魂”のことだ。探偵業を営む
UGNのイリーガルズ、氷系のサラマンダーとノイマンのクロス・ブリード。
あたしたちとは12歳の年齢差がある上に、過去の苦労が見た目に表れている
(有り体に言えば老け顔の)人なので、ちょっぴり口の悪い弟が『おっさん』
呼ばわりしたくなるのも理解できないではない。
あたしが“孤独な魂”に片想いをしていることは、“孤独な魂”当人も含む
仲間内では周知の事実である。何故ならあたしがちっとも隠していないから。
オーヴァード関連の事件に限らず、情報提供で何かと“孤独な魂”氏に便宜を
図ったり、彼の事務所にお弁当(当然手作りの)を届けたり。誕生日にはケー
キ、バレンタインデーにはチョコレート、重要なイベントには軒並みフラグを
立ててきた。ここまであからさまに好意を示しているのに気付かない人間はタ
コであるが、かてて加えてあたしはきっちり「“孤独な魂”さんが好きです」
と、しかも何度も、明言しているのだ。これでもまだ気付かない人間はタコに
も劣る単細胞生物であろう。
なお、ここで言う『仲間内』とは、T市に住まうUGNの正規/イリーガル
エージェント達の中でも、特にあたしたちと親しい人達のこと。
「らって、てか、手をひゃなせ、だって『永久氷河並みの堅物が落ちた、“ア
イス・ブレイカー”の名は伊達じゃない』って噂で持ち切りだぜ?」
「どこの世界の噂ですかー。そんなこと全然ないですよー。相変わらず無口で
無愛想で、必要最低限のことしか喋らないし、にこりともしてくれませんー。
仲がいいとか言うんなら、もう少し、もう少しこう、打ち解けて、例えば馬鹿
話の一つもして笑い合ったりするもんじゃないですかー」
「それはそーだが、でもな、・・・っと、先にションベン行かせてくれ」
弟は小走りにトイレへ行き(どうしてそこまで我慢するかな)、あたしはド
アにぶつけたおでこをさすりさすりダイニングキッチンに向かった。
気を取り直して2人分の御飯とお味噌汁をつぎ、やはり2人分のお茶を入れ
る。その頃に、すっきり顔の弟が、裸足でぺたぺた歩いてダイニングキッチン
に入ってきた。髪をぐしぐし掻きながら、椅子を引いてどっかり座る。右腕を
伸ばしてラジオのボリュームを調整。T市の地方局から、放火だの殺人だの、
物騒で代わり映えのしないニュースが流れている。お天気は快晴の予報。
「あたしは今日、UGNに報告書を出すついでに、羅式精神鍛錬の定期訓練を
受けて、夕方には“白”ちゃんに会う予定ですけど、“牙”くんはー?」
「おれは書きかけの記事を仕上げにゃならんから、丸一日、家ん中だな」
「じゃあ洗濯物お願いできますー?」
「わぁった」
手を合わせて、いただきます。
ちなみに“白”ちゃんとは、高校生の可愛らしい女の子でUGNのイリーガ
ルズ、エンジェルハィロゥ/ハヌマーンの“白の乗り手”のことである。
「で、さっきの話の続きだが」
「黙って食べなさいー」
「まあそう言うな。呑気モンの姉がよーやく男に興味を持って3年、石の上に
も何とやら、」
「まだ3年も経ってませんー」
「似たようなモンだ。で、噂の根拠というのがあってだな、最近、ほれ、出張
から帰ってきて以来、おっさんやたらとオマエに構うようになったろ?」
「そんな覚えはないですー」
「んー、例えば、T市支部でおっさんに会うことが多くなったと思わんか?」
「・・・・・そう言われてみればー」
「“薔薇”から仕入れた話だが、」
“朱に染まる薔薇”。あたしと同じUGNエージェントで、T市支部設立時
代からの古株オーヴァード。シンドロームはソラリス/ブラムストーカー。
「あのおっさん、おれらが出張している間、支部には滅多に顔を出さんかった
らしいぜ。それが、おれらが戻ってこの方、以前にも増して足繁く支部に通う
ようになった。さて、そこから導き出される結論は?」
はー。あたしは溜息をついた。期待して損した。
「それだけのデータで結論が出るなら、風が吹くたび桶屋さんが大儲けして、
蝶々が羽ばたくたびにハリケーンが大量発生しますー」
「その点に関しては、概ねおれも同意見だ。ただ、他の連中がそーゆー勘繰り
して、ピンクの噂を立てるのは否めないだろ?」
「そうですねー」
「おっさんもなー。オマエに言い寄られて悪い気はしてないよーだが、ほとん
ど脈がないんなら、はっきりオマエのこと振ってくれれればいいのにな。気を
持たせるっつーか何つーか」
そう、嫌われているわけではない、それはわかる。わかるけど、・・・好か
れているわけでもないんですよねー。あーあ、切ない。
「てゆーか、周りは完全に『あの二人デキてる』モードで、普通なら流されて
付き合うくらい始めそうなものなのに、あのおっさん、それこそ永久氷河並み
の頑固さだな」
そのICEを溶かせるだけの魅力が欲しいものである。
まあ、振り向いてくれるまで気長にやろうと決めた以上は、これからも今ま
で通り気長にやっていこう。別段、邪険にはされてないんだから、それだけは
幸せだ。
「何にせよ、“氷”がおっさんとまとまってくれるんなら、おれとしても安心
だ」
「そう言ってもらえるのは嬉しいですー。でも、その理由は?」
茶化した答えが返ってくる、と思ったら。
「おっさんも『おれたちと同じ』だからさ。バケモノで、ダブルクロス。これ
以上の好条件はあるまい?」
あたしは、ふっと言葉を失った。
そうだ、『普通』の人間と幸せになるには、あたしたちは『特殊』すぎる。
あたしの場合、たまたま好きになった人が、たまたま『あたしたちと同じ』人
だった。それはとても幸運なことなのだ。
弟はモテる。モテるけど、特定の誰かと付き合うことはない。ぶっちゃけ、
不特定多数を取っ替え引っ替え不純異性交遊の状態だ、相手がオーヴァードで
あれ、一般人であれ。単なる女好き、ということもあるだろう、でも、弟は弟
なりに、恋愛に関する重い諦観があるのかも知れない。
「それにほら、《リザレクト》が使える上に、“魂”のおっさんは《氷盾》で
ダメージを減少できる。加えて仲間内でも1、2を争うタフさ加減だ、よもや
死ぬこたないだろう」
あれ? 話の筋が変わった? 文脈の不整合性を妙に思いながら、あたしは
アジの開きに箸を伸ばした。
「元気で長生きしてくれそう、ってことですかー?」
「“氷”がイッたときに思わず放尿ならぬ放電しても大丈夫ってことさ」
ブスッ!
あたしの箸がアジの開きを貫く。・・・折れたり皿を突き抜けたりしなかっ
たのは奇跡に近い。
「弟の立場から言わせてもらえば、義兄上が姉者の腹上で感電死というのは、
ちょいとやりきれんものがある」
あまりの言い草に、何を言い返していいのかちっともわからなかった。ギャ
グマンガなら、今頃あたしはちゃぶ台返しをかましているところだ。
「これがホントの『命を懸けた恋』、なんて、笑い事じゃないだろ?」
弟よ。おねーさんにはアナタの発想力の方が、よっぽど笑い事じゃありませ
ん。
反論するのも馬鹿馬鹿しいので、無視をすることに決めた。
「“牙”くん、御飯のおかわりはー?」
「茶碗に半分」
あたしは立ち上がり、弟の茶碗を受け取った。
と、ラジオが臨時ニュースを告げる。T市市内でガス爆発。現場周辺は現在
封鎖中。キャスターが口にした住所は、このマンションからほど近い。
「爆発なんて、聞こえましたー?」
「いいや? サイレンの音もしてないよな?」
あたしと弟は、嫌な予感に顔を見合わせる。
「・・・調べた方がいいんじゃないか?」
「そうですねー」
朝食は中断。弟は、充電器に刺さっていた携帯電話機を抜き取って、短縮ボ
タンを片手で操作。T市支部を発呼して、単刀直入に切り出す。
「“牙”だ、“氷”と自宅にいる。ラジオのニュースを聞いた。うちに近いよ
うなんで、ガス爆発とやらの詳細を」
一方、あたしは弟の茶碗をテーブルに戻して、発電細胞、ブラックドック・
シンドローム特有の器官を能動的に活性化させた。体内電流を完璧に制御。あ
たし自身がアンテナとなり、宙空を駆ける数多の電波を捕捉。《タッピング》
のエフェクトだ。
がやがやがや。静かなダイニングキッチンにいながら、あたしはまるで雑踏
の中に佇んでいるかのよう。テレビ、ラジオ、電話、街頭放送、インターネッ
ト。ありとあらゆる音が電気信号となり、電波に乗って世界を巡り、あたしの
周りに渦を巻く。無線有線を問わず、現在伝播している音、聞こえるはずのな
い声を聴く、あたしは生きた盗聴器だ。ホワイトノイズめいた雑音の中から、
必要な単語、意味のある言葉を、急いで、しかも確実にフィルタリングしてい
く。赤く輝いているはずのあたしの目は、ダイニングキッチンの光景を映して
いるけれど、あたしが本当に見ているのは、あたしを取り巻く『音』だけだっ
た。
・・・見つけた。
「“牙”くん、T市に“ディアボルス”が来ているみたいです」
あたしの台詞に応じて弟が受話器に向け話す、
「今“氷”がファルスハーツの情報を捉えた、“ディアボルス”らしい」
「あ、いえ・・・『来ていた』みたいです。支部の方で、“牙”くんと話して
いる人とは別の人が、“魂”さんと電話で話しているはずです」
「・・・・・ということだが、確認してくれ」
「“魂”さんは陽動を疑っているようですけど、ファルスハーツの作戦部隊は
撤退の連絡をし合っています。『その“ディアボルス”』を倒した時点で、と
りあえず事件は解決したと見てよさそうです。ただ、現場周辺で一般の人達が
異変に気付いて騒ぎつつあるようですから、展開中の《ワーディング》は暫く
そのままにしておいた方がいいでしょう」
「・・・・・ということだ、“魂”のおっさんにも伝えてやってくれ」
「今のところ、他には何も。念のため、《タッピング》を継続しておきます」
「当方調査続行の予定。状況変化の際は連絡を頼む。オーバー」
また“ディアボルス”か、これで何回目、いや何人目なんだ、などとブツク
サ呟きつつ、弟は電話を切った。
要するに、『死なない』ことで有名な、ファルスハーツ屈指のエージェント
“ディアボルス”の悪巧みを、“孤独な魂”と数名のUGN側オーヴァードが
未然に防いだという顛末。ガス爆発、現場の封鎖、というのはUGNの事後処
理班による情報操作。それはいいけど、嘘をつくならもう少しスマートに嘘を
ついて欲しい、びっくりするから。
でもちょっと嬉しい、期せずして“孤独な魂”の声が聞けた。ふふ。
スピーカーのボリュームを下げるようにして、あたしは『声』の解析に集中
していた意識を現実世界に引き戻し始めた。気になる『会話』が聞こえたとき
だけ自動的に『ボリューム』が上がるように、自分自身を『設定』しておく。
こうすれば、《タッピング》したままでも並行して単純作業くらいは行えるの
だ。いつまで経っても慣れない感覚、自分が機械になったような気分。
ふーっと息を吐いて、あたしは現実世界に戻った。っと、
「お疲れさん、“氷”」
いつの間にテーブルを回ってきたのか、弟があたしを抱き寄せていた。
「何?」
「いつも言ってるだろ、《タッピング》中でも周囲の警戒は怠るな、って。こ
れがおれでなかったら、どうなっていたことか」
「“牙”くんが一緒にいるのに、周りに注意する必要ないでしょう?」
「そりゃそーだ」
弟は、あたしの前髪を掻き上げて、額に唇を落としてから、あたしの瞳にキ
スをした。
比喩ではない。まぶたにキスしたわけでもない。
具体的には、舌先で眼球に触れたのである。
ざっくばらんに言えば、目ン玉を舐めたのである。
背筋がゾクゾクする。物体が自分の目に最接近する恐怖。だけど決してそれ
だけではない。何故こんなことが『結構いい』のか、自分でもよくわからない
けれど。とんでもない行為を共有している、という背徳感なのだろうか。
「相変わらず綺麗だ」
「あたしの目ー?」
「ああ、その、目がさ。てか、オマエの顔を綺麗って褒めたら自画自賛だろう
が」
強い光を嫌う弟の瞳の中に、赤く輝くあたしの瞳がある。元は普通の瞳だっ
たのに、元は二人とも同じような色をしていたのに、ウィルスに冒された日か
ら、あたしたちの瞳はこんなにも変わってしまった。
「おれには?」
甘く請われて、あたしも弟の瞳にキスをした。
微かに涙の味がする。
「これ、怖いからするのもされるのも嫌だって言ってるのにー。角膜が剥がれ
たりしたらどうするんですかー」
「《リザレクト》するから平気。んじゃ、こっちの目にも」
「だめー」
「いいじゃないか。オマエの目、イチゴ味のルビーみたいでメチャメチャそそ
られる」
「そんな我侭ばっかり言うから女の子に平手打ちされるんですよー。今月は、
夕べのアレで何発目ですか」
「う、うるさいなっ」
ちなみに弟は、“白の乗り手”がエンジェルハィロゥの能力を使うときに発
現する光の翼も好きらしい。目映くて、でも眩しくはない光。
ただ、弟は“白の乗り手”と一夜を過ごしたことはあったが、恋人とかガー
ルフレンドとかにするつもりはないと言っていた。どうしてだろう、あんなに
いい子なのに。てゆーか、そんなつもりがないのなら、未成年の女の子と寝な
さんな。大人としての良識でしょう? 流石にあのときは、全身全霊を込めて
丁重に弟を折檻しましたっけ。
何にせよ、“白の乗り手”はあたしの出張中にサラマンダー/ハヌマーンの
オーヴァードである“燃える鉄拳”という運命のパートナーを見つけてしまっ
た。二人のことは祝福しているが、可愛い義妹を手に入れるチャンスを失った
ことだけは、未だに残念でならない。
「こら、目を瞑るな、開けてろ」
「しょうがないなー、もー」
もう一方の目にも、あたしたちは順番にキスをし合った。
「オマエの目は美味しいな」
低く囁く耳慣れた声は、何故か知らない男の人のようで、あたしは少し不安
になり、そのくせどこかで安心する。
「目が美味しい、ですかー?」
「ああ、オマエの飯ぐらい美味しい」
「変なのー」
「オマエは? おれの目、美味しくないか?」
「美味しくないですよー」
「嘘つき」
今度は唇にキスを。
そういえば、食べちゃいたいくらい愛しい相手の味見をするために、人はキ
スをするのだ、と何かの本で読んだことがある。
あたしたちの衝動は『飢餓』。他者の《ワーディング》範囲内で、あるいは
戦いを前に興奮して、死と隣り合う血に酔ったとき、あたしたちの『目』は、
敵対者を、仲間を、見知らぬ人々を、『貪り喰うべき肉』として捉えようとす
る。
もしもジャーム化して理性を失ったら、あたしたちは守るべき家族を真っ先
に喰い殺すだろう。最悪の未来の、それは確信であり、また、あたしたち二人
の暗黙の了解でもあった。
だからこそ、あたしたちは決してジャーム化しない。どんなに人間離れした
力を使っても、どんなに酷くウィルスに侵蝕されても、バケモノと呼ばれ、ダ
ブルクロスと罵られても、あたしたちは必ず『人間』の領域に帰ってくる。
秘密の約束めいた、二人だけの誓い。
だけどあたしたちは思うのだ。二人の最期を選べるとしたら、お互いに喰い
殺し合いたい、と。喉笛に喰らいつき、はらわたを引きずり出して、噛み切っ
た肉を咀嚼しながら、最後の最後にキスを交わそう、と。
えぐった眼球を舐めしゃぶり、血の味を辿って地獄で再会しよう。生まれる
前から二人で、生まれてからも二人で、死ぬときも、死んでからも二人で。
あたしは仲間内のUGNエージェント“鋼の乙女(メタル・メイデン)”の
名を上げて弟に訊いた、
「他の人にもこんなことしてるんですかー? “鋼”さんも目が赤くなります
よ、ブラックドック/ノイマンなんですからー」
「しないよ、他の奴には血が騒がない。こんなことするのはオマエだけ」
「ふーん」
もう一度、瞳にキス。
「だからオマエも、他の奴の目にキスしたり、自分の目にキスさせたりすんな
よ?」
「うん」
「たとえ“魂”のおっさんとセックスして、口にキスしようとも、アソコにキ
スさせようとも」
「ぎゃー!」
あたしは弟の腕の中で大暴れした。
「だからどーしてそーゆーことをー!」
「うわ、茹でダコみてー。おれのエロ本やエロマンガを片っ端からチェックし
てるくせ、この程度で何を照れてる?」
「知識としては平気でもー! 自分と、具体的な誰かと、って、そんな、想像
させないでくださいよっ、ばかーっ!」
「うははは、この耳年増めー」
一度ぎゅーっと抱き締めてから、弟はあたしを解放した。
完全に身体が離れる前に、
「“牙”くん」
「あいよ?」
「ばーか」
あたしは弟の頬にキスをし、ついでに唇にもキスをした。
「はい、御飯にしましょー」
おはようからおやすみまで、あたしたちの両親はしょっちゅうキスをしてい
る。『通りすがりにちゅー』とか、『目が合ったからちゅー』とか、『理由は
ないけどちゅー』とか。反抗期の頃、よく飽きないねー、と毒づいたら、一回
一回のキスが、そのたびに新鮮なんですよー、と母が大威張りで答え、父は余
裕たっぷりの笑顔で応えた。
あの両親にして、このあたしたちあり、だ。
冷めきった朝食を再開。唐突に話題があっちこっちへ飛ぶ、言葉のキャッチ
ボールみたいな雑談をしながら。
結局、《タッピング》の成果は上がらなかった。何事もなかったのか、あた
しが聞き逃したのかは、当然わからなかった。
「今日の服はこんな感じでいいですー?」
「うん?」
長袖のシャツとジーパン、首と右手首とにフェイクのシルバーアクセサリ。
支部に出入りはしていても、勤め人ではないから、こんなラフな格好が許され
る。まあ、服装なんて、あたしは別に何でもいいんだけど。
出掛ける予定がないからジャージ姿のまま、歯を磨き終えた弟があたしの方
を向いた。目線が上下する。
「なんだ、昨日のと同じ組み合わせじゃないか。バリエーションを考えろって
言ってるだろ? 何で着替える前におれを呼ばない」
衣食住、あたしが食を楽しむように、弟は衣にこだわる。部屋着は安くて丈
夫で機能的で洗濯が簡単な物を。外出着は、弟の言葉を借りれば「千円の叩き
売りで買った服を一万円に魅せる」。というわけで、あたしの格好はいつも弟
のコーディネイト。化粧も弟に仕上げてもらっている。美容院でも美容師さん
にうるさく指示を出すのは付き添いで来た弟の方。お陰で近所のお店では変に
有名になってしまった。弟がいなくなったら、あたしはクローゼットや化粧台
の前で途方に暮れるだろう。あたしがいないときの弟が、絶食するか三食全部
ジャンクフードで過ごすかの両極端であるように。
「もう8時半過ぎてるんですよー。9時には支部に着きたかったのにー」
「別に9時出勤絶対ってわけじゃないだろ? 部屋へ行きな、見立ててやるか
ら」
「でもー」
「わかったわかった、そうだな、・・・ルージュの色がちょいと濃すぎ」
弟は、ティッシュを取って、少し拭ってくれた。
「このくらいで丁度いい」
「ありがとー」
「靴は焦げ茶のやつな。飾り紐の方」
「はーい」
普通じゃないあたしたちは、普通のようなフリをして、非日常の中、日常生
活を演じ続ける。
「じゃ、行ってきます」
「はい、元気に行ってらっしゃい」
母が幼いあたしたちにしてくれたような優しいキスを交わし、弟は、吸血鬼
の棺桶みたいな自分の部屋へ。あたしは扉を開ける前に、玄関でサングラスを
しっかりと掛け、それから、マンションの外へ、陽の当たる明るい道へと歩き
出した。
“ダブルクロス”それは「裏切り」を意味する言葉。あたしたちはヒトから
も、ヒトを超えた者からも、等しく、こう呼ばれています。
だけど、誰が誰を裏切るというのでしょう?
あたしたちはレネゲイドという名の自然ならざるウィルスに冒された病人。
誰よりも人間であることを、ただ人間であり続けることを切望している、それ
だけの存在なのだから。
・・・・・おしまい。
以上、DX無印“燃える鉄拳”ד白の乗り手”の続きのお話でした。
ちなみに“氷の戦士”から“誇り高き牙”へも、“誇り高き牙”から“氷の
戦士”へも、庇護/偏愛。少なくとも二人きりのときはネガティブが表という
イメージ。
ぐっじょぶおつ。
具体的な行為は「抱き寄せる」「キス」だけだというのに、
なんなのだこのインビな雰囲気は!
ヤルばっかりが能じゃないということを見せ付けられたマシタ、
脱帽。
ぐじょーぶっ!
>>215 残り一話期待してマース!
NWロンギヌスで追加された魔法、
「ブリスアウト」の解説を見るたびに何か湧き上がるものがある
土曜日の夕暮れ。
アリアンロッドEX発売記念(ネタばれかすかにあります)
「な、なんだったのよっ、シグのアホ!?」
このナイトガウンだけの姿を押し倒さないわけ!?
というか、少しは反応したら、どうなの!?
本当にもう!!
頭きたシルヴァ、いきよくふわふわのカウチソファに座り込む。
期待した自分がバカみたいじゃない。
シルヴァは自らの秘所を指でなぞる。
それを部屋の明かりでかざしてみれば、きらきら光った。
久しぶりなのに……。
ぺろり。
あの人のを舐めたい……。
ぴちゃぴちゃ。
あの人のを味わいたい……
指をシグの逸物にみたて執拗にしゃぶる。
ああ、シグ……。
空いている手は自然と秘所に伸びる。
いつものように受け入れられるように。
くちゅくちゅと音を立てながら指を差し込む。
あの人のを中で感じたい……。
ただ水音と喘ぎ声だけが部屋に響く。
そして、いつものようにいく。
でも、いつものように口に出される熱いほとばしりはない。
でも、いつものように優しい言葉はない。
でも、いつものように支えてくれる逞しい身体はない。
そう、あの人はここにはいない。
バカ。
いや、バカなのはアタシ。
あの人の事を分かっていたんだから。
そして、それを利用しているんだから。
腕で目を押さえながらシルヴァは静かに涙を流す。
本当にバカなアタシ。
一応、これで終わり
ARA本スレで、EX口絵のショコラは『はいてない』よな?
と聞いたら地下スレに行けと言われて黙殺されたんだよ〜。
ひどいと思わないか?
水着なんじゃねーの?
>>243 大人しくここで話してくれ。
それはそうと爆天童だし褌状だろうと推測。締め込み締め込み。
>240-241
GJ。俺も寝間着姿をスルーされたシルヴァには萌えたw
>245
そこは 食 い込 み と表現するべきだろう。
さて、一日待った
>>209の俺が着ましたよっと。
ショコラのペンダントの中身ってさ、結局なんだったんだろうな。
・人に見られそうになるだけで赤面。
・みた妖精はは見ると3秒放心、その後赤面。
・「子供は見ちゃいけません」
たとえば魔族のイメージにそぐわない微笑ましい写真とかなら妖精の
反応がおかしい。
人に見られたくないよーな恥ずかしいコスプレ写真とかの類なら、妖精
は赤面よりも痛ましい顔するだろうし、何よりそんなもん大事に持ち歩く
理由がない。とっとと捨てれ。
ぶっちゃけモトカレとの思い出の18禁なイチャつき写真とみたがどうよ?
そこでハーちゃんネーちゃんとの汁ダク3P写真という案を提示。
全裸のエイジと言ってみる>ペンダントの中身
寝てるエイジの唇にキスかましてるとこをネーちゃんハーちゃんに撮られ、徴収した結果と言ってみる
ショコラさんも妖精も純情だったとゆーことで
むしろ寝ているエイジとつながっているとこr
絡み合う男女が投影されるマジックアイテムとか。
エイジ関連だったら、
嫌な笑顔で「ほほぅ、そうきますかケケケ」とか言いそうだし。
「…………」
柊は居心地の悪さを感じながら段々と重みが増していく買い物篭を持ち直した。
少し遠出した場所にある、スーパーマーケット。そこで柊は、好奇の視線に晒されていた。
元より何故か恐ろしいまでに世間に顔を知られている柊だが、今回の視線に込められたものは普段の
それとは大きく違っていて。
その原因である所の少女、アンゼロットは目の前に肉の値段をツラツラと眺めて何やら思案していた。
その顔には、ああでもないこうでもないという悩む事を楽しんでいる表情がある。
アンゼロット自身、世間一般では珍しい容姿をした、しかも頭に超が付くほどの美少女だ。人の視線
を自然と集めてしまうのは解るのだが……そういうのとは、違う気がした。
首を傾げる柊は気付かない――その「視線」に自分が一役買っている事を。
アンゼロットの半歩後ろで買い物篭を持ち手持ちぶたさに突っ立って、欠伸を噛み殺して面倒臭さを
隠しもしない表情の柊の姿は、彼等自身が意識しなくても「彼女の手料理を餌に荷物持ちに駆り出され
た彼氏」の図が繰り広げられている訳で……それが休日のスーパーマーケットにやってくる客層には微
笑ましく映るのだが――それを察する機微の無い柊には得体の知れない空気にばつの悪さしか感じない。
だからこそ、更なる自爆を重ねる。
「なあ、肉なんてみんな同じだろ? 早く決めろよ」
「同じじゃないですよっ!? 鳥とか豚とか牛とか種類でも部位とかでも調理法も味も全然違うんです
からっ! 柊さんって、本当にそういう所でズボラですよね……」
「ズボラでもエボラでもいいから早くしてくれよ……」
頼むから、と小声になるのは、行き交う人の笑顔を見たからだ。
――結局。それから材料だけでなく調味料まで手を伸ばしたアンゼロットの買い物が終わる頃には、
柊は心身ともにズタボロになっていた。
「買い込んだなー、おい」
スーパーマーケットのビニール袋にして、三つ。柊は両手にしながらうめいた。
隣では同じく小さなビニール袋を一つだけ持ったアンゼロットが満足げな表情で歩いている。
「はい、そうですね。アンゼロット宮殿にいると、こういう買い物も出来ませんから。今日は久しぶり
にストレス解消って感じです」
「買い物でストレス解消すんなよ……女って本当にそういうの好きな」
柊の頭には幼馴染の顔が浮かぶ。何を買うでもなくウインドショッピングに一日付き合わされる、な
ど何度か体験した事がある身だ。男である所の柊には解らない感覚である。
「色々と楽しいんですよ? 買い物も、料理も。でも、アンゼロット宮殿だと両方とも出来ないんです
よねぇ……」
「? 買い物は解るとして、何で料理まで?」
あんなに上手いのに、と柊が言えば、アンゼロットは遠い目で空を見上げた。
「こう、台所に立つとですね……『今日は何を企んでおいでで?』とか、ロンギヌス00とかが言い出
してですね……」
なるほど、と柊は納得。……恐ろしいまでにその光景がリアルに想像できて可笑しい。
「……ここは、笑いどころじゃないですよ?」
「そっか、わりい」
拗ねたように見上げてくるアンゼロットに、柊は笑みを噛み殺した。へそを曲げられると、せっかく
の材料が無駄になりかねない、と。
そんな調子で歩けば二〇分の帰り道。アパートにつく頃には昼の三時を少し回ったくらいになるか。
「――まあ、少し早めに仕込みを始めたいので」
そうニコリと微笑んでアンゼロットが言うので早めに買い物に出発したのだが――その理由は、仕込
みが始まるとすぐに知れた。
ガン、ガン、ガン、と物騒な打撃音。
それを畳の上に寝転びながら聞いていた柊は、仕込みを早く始めたいと言っていたアンゼロットの言
葉の意味を理解した。
「遅くなると近所迷惑だよな……」
天地が逆さまなった視界。そこではごつい肉叩き様のハンマーを振り下ろしているエプロン姿のアン
ゼロットがいる。そのハンマーの面についたギザギザが、破壊されたドアノブの表面についた傷に一致
しそうな気がするのだが……わが身可愛さに問いただす事は避けることにした。
台所には柊自身見覚えのない調理器具が多数並んでいる。おそらく、アンゼロット自身が用意して、
持って来たのだろう……案外、本当に料理好きなのかもしれない、そんな気がした。
ガン、ガン、ガンと軽快な動作で重い打撃音を奏でるアンゼロットの姿を見るでなく眺めながら柊は
ふと奇妙な気分に襲われた。
自分のアパートの台所。そこに自分以外の誰かが立って、せわしなく動いている。一人暮らしになる
前には当たり前で、なった後にはあり得ない――誰かそこにがいる、そんな実感が胸の奥から染み出し
てくる。
この感覚を何というのか? それを理解するでなく自覚して、何となく柊は照れくささを感じて目を
閉じた。
「――柊さん」
「………ん?」
呼び掛けられ目を開ければ、そこにスリッパを履いた白い足がある。視線を上げようとすると、
「……今、見上げないでくださいね? 多分、見えちゃいます」
「あ、そか」
視線を止め、柊は体勢を変えて体を起こした。
「ちゃぶ台、拭いといて下さい。あと、お皿の用意とかもお願いできます?」
「おお、それぐらいだったらな」
立ち上がって柊は答え、台所でアンゼロットの横に並んで作業を開始した。
――料理が出来上がった頃には、外はすっかり日が暮れていた。
「…………」
柊は声もない。そこには見事な夕食≠ェ並んでいた。
白いご飯とシジミ入りの味噌汁。小皿にちょこんとほうれん草のおひたしが添えられ。メインディッ
シュには大きめのサイズのトンカツがドンと乗っている。
「はーい、じゃあ、いただきましょうねっ」
ボウルに入ったサラダをちゃぶ台に置き、満面の笑顔でアンゼロットが言う。
「いただきます」
「いっただきまーす」
柊も元気よくフォークとナイフを手にするが……すぐに怪訝な表情に変わった。
「……ソースは?」
テーブルの上には、トンカツに付き物のソースが無かった。その疑問を予想していたのだろう、アン
ゼロットは満面の笑顔を崩さず、答える。
「うふふふふ、まあ、騙されたと思って一口そのままでどうぞ?」
言われ、柊は怪訝な表情のままトンカツにフォークを刺し、ナイフで切っていく。サク、と軽い音と
小気味のいい手ごたえがした。
「そんじゃま…………っ!?」
口の中でトンカツを噛んで味わえば、ピリっと辛目の味がした。元から味付けをしていたのだろう、
肉そのものは薄めで念入りに叩いた分だけ柔らかく、衣はサクっと固めだが歯ごたえがいい。
その味と食感が堪らなく美味い。美味いのだが――。
「こ、これは……あれだな……欲しくなるものがあるんだが……」
「これですね? 柊さん」
待っていました、とばかりにアンゼロットはちゃぶ台の上に置いた物に、柊は「うっ!?」と唸り声
を上げた。
それはまさしく、柊が今脳裏に連想した物で……。
「はーい、ビールでーす。拍手ー」
「おー!!?」
「しかもキッチリ冷やしておいて、あとのおつまみにも枝豆ありますー」
「おおー!!」
「お酒は二十歳になってからー!」
「おおーっ!!!――なら、これは没収な? 永遠の一四歳」
「柊さんだって、未成年じゃないですかー!?」
ガチリ、とちゃぶ台の上空その中央で、ビール瓶が二人の手で引っ張り合われる。牽制し合う事、数
十秒――どちらからともなく、曖昧な笑みを浮けべていく。
「まあ、今日の所は………」
「……無礼講ということで」
キンキンに冷えたグラスに互いにビールを注いで行き、柊とアンゼロットは改めて食事を再開した。
「「かんぱーいっ」」
友人とのメールのやり取り。
友人『卵焼きの中の人、乙!』
私「卵焼きの次はトンカツだがなー(笑)」
友人『定番は肉じゃがだろ〜(笑)』
まー君肉じゃがに思い入れだるんだろーね、肉じゃがってよいものですか? マ・クベ様?(笑)
何か、マジで作って食って飲むだけの話になりそうで、怖い私orz
GJ!いいなあ、こういうのほほんした話。
アパートでちゃぶ台を囲むふたりを想像すると和む。
こういう話とてもいいんだが、どんでん返しをひたすら期待する黒い自分がいる。orz
>>258 ほんわかしていていい感じだなぁ。そして柊は相変わらず鈍だなぁ。
この食べっぷりとおいしそうな描写具合で、なんだか今江祥智さんの『食べるぞ食べるぞ』を思い出した。
あとこの状態でベルやらくれはやらに踏み込まれてしまったら大変だろうな、とも思った。
>>236 “氷の戦士”の口調に妙に萌えた。頭がいい癖に隙があるというか。
そして弟にコーディネイトされてしまう駄目お姉さんっぷりも素敵。
お互いをお互いがとても偏愛している雰囲気がきっちり見えて、ごちそうさまでした。
この姿をきちんと眺めた事はない。わざわざ鏡を用意して、この獣の姿をじっくり見分しようと思うほど俺は酔狂じゃない。
視点が低くなる。前傾姿勢ではなく、その体勢こそが自然な形に骨格が変化しているのだ。
変形した手を――前肢を地面につく。その形状は移動を目的としたものではない。備わるのは、獲物を引き裂き息の根を止
める為の爪。
人の為に作られた衣服が、肉体の変化に耐えかね音を立てて破れる。ただ身じろぎするだけで、衣服としての機能を失った
布地は地に落ちた。
代わりに全身を覆うのは獣毛。俺が力を振るう時、頭髪は獅子のたてがみめいて金に変色する。それと同色の毛皮が俺を鎧
った。足裏が広がっていく感覚。指と踵の距離が引き伸ばされ、土踏まずが長くなる。
顔もとうにひとのものではない。鼻面が伸び、口腔には食い破る為の牙が長く並ぶ。発声にはおよそ不向きな形状だが、そ
れでもなんとか言葉を発する事はできると、経験から俺は知っていた。
狼に一番近い、と聞かされている。
だが同時に、どの獣にも似ない姿だとも。
四肢に力が溢れる。ひととしてではなく、獣として最大級の力を発揮する肉体。
これが俺の切り札。
「…キュマイラか。なるほど、名前に相応しい化け物ぶりだ」
思わず上体を退いた男が、舌打ちと共に吐き捨てる。
「ああ、そうだ」
少しだけ、彼女の反応が気になった。
「その化け物が、今からお前を殺す」
けれど視線は逸らさない。無事な視界で男を捉え、俺は疾駆を開始する。例え視野から奴が逃れようとも、その死角は彼女が
補ってくれる。また幻蝶の動きは、奴の一手先までをも示してくれていると解っていた。
ひとの身の時とは比較にならない速度に男の表情が一瞬緊張を孕み、次いで笑った。
「――速いな」
両足共をひと薙ぎに断つ勢いで振るった爪は、最前と等しく空を切る。
「だが、オレほどじゃねぇ」
俺の死角で、蝶が夜空を舞う。声は空中から聞こえた。予想通り。
相手が抱く絶対の自信。意識すらしないその過信。つけ込む隙は、そこにこそある。
教わったのはふたつ。
長所への盲信をつけ。得意の土俵で勝負をするな。
俺はわざと足を狙った。先と同じく。
奴の嘲弄的性格から考えて、同じ形の攻撃へは、やはり同じ形の回避運動を行う可能性が高いだろうと思ったのだ。そして俺
は賭けに勝った。
さっきの攻撃も全速だった。たがそれは人としての全速だ。この肉体でなら、まだ余力はある。
けれど今の一撃、俺は意図して速度を落とした。だが獣の身体能力を知らない奴に、そうと気付ける道理はない。
前回は跳ばれた。けれど今回は、跳ばせたのだ。意図の通りに。
「そこじゃあ、もう逃げられないだろ?」
奴は能力に溺れた。速度を武器とする者にとって、移動の自由の一切が効かない空中は絶対の死地。にも拘らず跳んでしまった
のは、俺にスピードで勝っていたから。
――そうだ。
声が聞こえた気がした。
地へ左前肢を撃ち込み、両肢を使って弧を描くようにブレーキング。蝶のイメージを視野に捉える。
男の顔が怯えに引き攣る。
中空の奴は、月を射るように夜空を睨み、力を撓めて伏せる獣を見たはずだった。
――やりゃあできるじゃねぇか。
幻聴に違いなかった。
こんなところまでしつこく構いに来るほど、あのひとは暇じゃないだろう。あっちには息子さんが待っていたはずだから。
「速さでなら、俺に勝てると思ってただろ」
独り言のように俺は呟く。そうして、俺も跳ねた。今度は全力で。
必殺を期す俺と、絶体絶命に追い込まれた奴との視線が交錯する。
怒り出すような、泣き叫ぶような、なんとも表現しようのない顔。俺を恨み憎むその顔。それを憶えていようと思った。俺の業
として。
明らかに四足獣の体でありながら、この前肢の稼動範囲は人と変わりがなかった。掬い上げる獣の爪が、生き胴を両断する。
「だからさ。だから、負けるんだ」
鮮血を撒き散らしながら、ふたつに別れた奴がどしゃりと落下した。次いで着地した俺はそのふたつ共にに向き直り、それから
体の力を抜いた。男の体に蘇生兆候は見られない。
ふっと緊張が解けて、精神的な疲労で倒れ込みそうになる。
駆け寄ってくる彼女を無事な視野に捉えて、俺はほっと息を吐いた。
今回はここまで。完全獣化の演出は適当。
無印の描写には鬼とあるだけで明確な描写はないし、まあ俺獣好きだし。ウルフガイ好きだし。そんな言い訳。
そしてうっかりミスを告白。水晶の瞳、タブレット持ってたんだな。ぐは。
切り札君のロイス。水晶の瞳の他に、デフォルトの黒須君が。後は知らない。ないかもしれない。
攻撃へのタイタス使用。読まれちまったその通りのイメージです。ちぇ。
フルパワーアタック。デフォルトで持ってるエフェクトだけで話を運ぶ予定だったので、使用は考えていませんでした。でも描写だけはそんな感じに。
ではまた、続きが出来たら。
>265
GJです。「こんなところまでしつこく構いに来るほど・・・」の描写に涙。
「それを憶えていようと思った」の描写に燃え。いやもう突付けば好みの描写が
いっぱいで。とりあえず二つだけ。
次は瞳ちゃん視点ですか? 頑張ってください。私も頑張ります。
てゆーか切り札くん、服が破けちゃってるけど大丈夫か? 上着は瞳ちゃんが
着ちゃってるし、二人で分け合えるほど大きくはないだろうし。
どういう展開が待っているんだろう。わくわくどきどき。
ショコラ×エイジで書こうと思ってネタを考えたが、導入が上手く書けない。
くやしいからネタだけ書いてみる。
1:EX4.5話より
エイジにペンダントの秘密を見られたショコラ。
エイジも赤面してしまうその秘密はとても口には出せないので、そのまま返すが、
両者赤面のまま只立ってることしか出来ないが、ショコラが勢い余ってエイジを犯す。
2:6話後
エリンディルを良くする為に旅を続けるエイジ、その途中でショコラと出会い、
Gガン理論「魔族もエリンディルを構成するものの一つ!それを無視して、
世界を良くしようなど愚の骨頂!
という事で、相互理解のため、色々してみましょうか」
とショコラに犯されるエイジ。
えろくなくてすまん。
一般呼称が支部長からヒトミちゃんに変わってる件について。
何はなくともグッジョブ。いいなぁ、UGN一般人オサーンズ。
>両者赤面のまま只立ってることしか出来ないが、ショコラが勢い余ってエイジを犯す
問答無用の勢いにワラタw
>>265 GJっすGJっ。
「――やりゃあできるじゃねぇか」の一節で目頭が熱くなったって事ですよ。地下スレなのにっ。
Gロボ最終巻の載宗と揚志を思い出した次第。
>>268 ……って、どっちもショコラ攻めエイジ受けかい!w【気付くの遅い】
まてまて、6話以降はアムと旅してるはずだ。
つまり3P。
いやいや、寝てる間にちょうky(ry
勝手な妄想
切り札君→瞳ちゃん
PC間ロイス、初期ロイス(ライフパス 命をかけた恋) シナリオロイス
その他のロイス
親友の黒須君(初期ロイス)
タイタス
UGN一般職員の皆さん(ライフパス 喪失)
これなら 4つ振れます侵食率の経験点を我慢すれば8つ
瞳ちゃんとの「愛の行為(自律判定相当)」できっとこちら側に残れるはずです。
勝手な妄想
切り札君→瞳ちゃん
PC間ロイス、初期ロイス(ライフパス 命をかけた恋) シナリオロイス
その他のロイス
親友の黒須君(初期ロイス)
タイタス
UGN一般職員の皆さん(ライフパス 喪失)
これなら 4つ振れます侵食率の経験点を我慢すれば8つ
瞳ちゃんとの「愛の行為(自律判定相当)」できっとこちら側に残れるはずです。
ふと気付けば時間は九時を少し回っていた。
柊はちゃぶ台の前に座って目の前のテレビより台所でする洗い物の音に耳を傾けながら枝豆を剥き剥
き、ビールを喉に流し込む。
「食ったなー……」
ボソ、と呟くと、柊は苦笑する。気付けばトンカツを三枚たいらげ、ご飯を二杯おかわりしていた。
少しきつい感じの腹を撫でつつ、それでも枝豆とビールが止まらないのは枝豆の塩味とビールの苦味の
美味しさゆえだ。
不意に、台所に音が止まった。パタパタ、という足音の後に、アンゼロットが顔だけ出して柊を覗き
込む。
「――シャワー、いただいていいですか?」
「…………は?」
――シャワー、イタダイテイイデスカ?
ふと頭の中でその言葉の意味が形になるまで時間がかかった。形になってから……アルコールでなく
顔が熱くなる。
「ん、あ、ああ……どぞ?」
「じゃあ、お先に」
ニコリと微笑み、向こうに消えたアンゼロットが――再び、悪戯っ子のような笑顔をこちらに見せた。
「柊さん」
「あん?」
「――覗いちゃ、駄目ですよ?」
「……っ!! ったりめえだ! ばっかやろう!!」
耳まで真っ赤になって怒鳴ったら立ちくらみがして、柊は倒れるように畳の上に転がった。
意識しないようにしよう――そう柊は思って畳の上でうつ伏せでいた。
だが、柊の耳は恐ろしいまでの鋭敏さでアンゼロットの脱衣の衣擦れの音まで聞き取っていた。
「……なんで、ここまではっきり聞こえるんだよ……意識すんな、意識……」
ブツクサと虚ろな目で柊はぼやき、歯軋りした。
――カクテルパーティ効果というものがある。にぎやかなバーやディスコなどで目の前の人間との会
話に集中すると周囲の雑音は聞こえなくなる現象のことだ。これは正確には雑音が聞こえなくなるので
はなく、会話に集中する事により聞きたい音だけを選んで脳が処理しているのであり――ようするに、
柊の身に起こっているのはそういう事だ。
ガラ、と扉を開き、ガ、シャ、と閉じる音が続く。パタ、キュ、と蛇口をひねる音。カツンカツン、
と硬い靴底が錆びた階段を昇る音。水の流れ音と何かに当たり弾ける音。パシャパシャパシャ、と水滴
が風呂場の床を打つ音……。
「――あん?」
異音があった。そして、その異音は柊の血の気を一気に引かせるのに十分なものだった。
柊は弾けたように立ち上がり、部屋においてある風呂敷包みを押入れに叩き込んだ。その後、大急ぎ
で風呂場の前に立ち、小声で器用に怒鳴った。
「アンゼロット!! すまん、シャワーを止めて、そこに隠れててくれ!!」
「ど、どうしたんですか!? 柊さん」
その柊のただならぬ気配を察したのだろう、アンゼロットも小声で聞いてくる。
柊は、絶望を吐瀉するように押し殺した小声で言った。
「なんでか――くれはが、来たみたいなんだよっ!」
足音が近づいてくる。
草履の足音、特に幼馴染の足音の特徴を柊が聞き違えることはない。
柊は洗濯籠を掴み――そこに畳まれた服とその下に隠れているだろう下着に赤面しつつ――風呂敷包
みと一緒に押入れに入れた。そこで、わりい、と心の中で謝りつつ、風呂場の電気を消したとき、
「柊、いるんでしょ〜?」
ガンガン、とドアが叩かれ――グラ、と崩れる壁のようにドアが倒れた。
「は、はわ!?」
長い黒髪に巫女服姿という純和風の少女――赤羽くれはが驚きの声を上げてそこに立っていた。
「…………いきなり、ドアを破壊すんなよ、お前」
「ち、違うのっ!? ただ、叩いただけよ!? ノック、そうノックしただけなんだから!!」
「ああ、そうかよ」
元よりアンゼロットに破壊されてたものを無理矢理『置いて』いただけのドアなのだが。柊は背筋に
冷たい汗を感じながら、くれはに歩み寄る。
「で? 何か用?」
出来うるなら迅速に、そして穏便にくれはにお帰り願いたい――柊はアルコールで回転の悪くなって
いる頭を最大限に稼動させながら口を開く。
問われればくれはは困ったように言葉を濁らせた。両手を後ろに隠したままもじもじと見上げてくる。
「えっと、あの、そのさ……最近、ひーらぎって学校に来ないでしょ?」
「あ、おお。妙に、最近世界の危機が多くてなぁ……」
遠い目をして、思わず風呂場を見てしまう柊。その視線の意味には気付かず、くれはは後ろに回して
いた左手を前に突き出した。
「や、休んでた間の、ノートっ! あと、進路相談のプリントとかも、あるから」
「……そっか、サンキュ」
取り合えずドアをどかして玄関を確保すると、柊はくれはから数冊のノートとプリントの束を受け取
った。量が、結構ある。それが自分と日常の学校生活との距離なのかと思うと……少し、切なかった。
「そ、それとさ……」
「まだ何かあんのか?」
「ま、まだって、何よ!?」
キっと喧嘩腰にくれはが睨みつけてきた。う、と柊が反射行動のように息を呑み、一歩後ろに下がる。
いつもならここで速射砲のような文句が飛んでくる所だが――くれはは、ふい、と視線を反らした。
これには身構えていた柊の方が、面食らう。
「ど、どうした? 何かあったか? くれは」
心配してるのか、おびえているのか、判断に迷う柊の態度にくれはは大きくため息。
「……この間の、お礼」
「……あ?」
「ラースフェリアで助けてもらった、お礼!! きちんと、してあげてなかったなってっ! だから、
その、今日は……あの……さ」
勢いも続かず、尻すぼみになるくれはの言葉に、柊はどう反応してよいのか、わからずに固まってしまう。
気付いて、しまったのだ。くれはの後ろに隠している右手。そこに握られた袋の存在を。
「……夕飯、もう食べちゃったよね?」
「う、あ……くれは、その……」
「ん、いいの。約束もなく、いきなり来ちゃったんだもん。仕方ないよね」
そう、力なくくれはが笑う。柊が、心臓が万力で締め付けられたような痛みに襲われた。
痛みの名は――罪悪感。
「そのさ、これ、差し入れ。あんまり食品なんて買わないでしょ? きちんと食べなさいよ?」
ガサ、と柊にビニール袋を押し付け、くれはは一歩下がった。
柊は口を開き――二度、三度、込み上げた言葉を飲み込んでから、ようやく一つの言葉を口にした。
「くれは……わりぃ」
「バ〜カ蓮司……日を改めるだけよ、覚悟しときなさい? 実験体にしてやるんだからっ」
「ん……覚悟しとく」
真摯に、真っ直ぐな視線で答える柊にくれははようやくいつもの笑顔を浮かべ、踵を返した。
「じゃ、今日は帰るわ。送ってくれなくていいから……お母様に、何言われるか解からないもの」
「そっか……気をつけて、な」
「うん、じゃあ――また、学校でね?」
小さく手を振るくれはに、柊も軽く手を上げ、強く答えた。
「――おう」
くれはファンの人ごめんなさい、こういう話好きな私を許してごめんorz
>>265 GJ。ダブルクロスらしさが出まくりの一品ですな! 個人的にPC1は切り札君派
の私としては楽しく読まさせていただいてます。
つーか、これをTRPGでプレイヤーにやってもらえたら、GM冥利に尽きるでしょう
なぁorz
あー、無性にダブクロGMがしたい今日この頃ですorz
っ【オンセ】
>>279 ぐっじょぶおつ。
柊・くれ派の自分としてはこーゆー素直になりきれないやり取りはツボ!
つーかむしろ、今回に関してはインターセプト食らった柊・アンゼ派の人
にこそ誤るべきな気もw
てめえコラ高校生。ビールと枝豆で幸せになってんじゃないよw GJ!
流石はワークス不幸…不良学生。
>>279GJ!そこでベルとくれはが乱入して4Pをしてくれたらよk(リ・ドゥムで死亡)
あれだ、くれは/アンゼのルート分岐で、アンゼメイン、くれは寄りを選んじゃったんだよ。
んで、くれは回避のイベントが発生しちゃったんだよ。
柊とアンゼロット、くれはの三人でスクールデイズ?(w<アンゼメインくれは寄り
いや、このスレ的には柊、アンゼロット、ベールゼファーでエミュレートデイズ……?
まぁ、どっちに転んでも柊は自分は不幸と思うんだろうなぁ。
くれはの後姿を見送り、柊は軽くため息をこぼすとドアをもう一度閉まっているように固定した。
取り合えずの危機は去った――と、思う。柊は胸の奥の痛みを噛み締めながら、風呂場へ歩み寄った。
「あー……アンゼロット。もう、大丈夫だから。電気、着けるぞ?」
電気のスイッチに手を伸ばし、語りかける柊に――しかし、返る言葉はない。
「? アンゼロット?」
パチン、と電気を着け、柊が名を繰り返す。だが、答えはやはり返って来ない。曇りガラスの向こう
に、動く気配も感じられない。
――ヘソでも曲げられた、か?
そう思えば苦笑が浮かび、自然と体の力が抜けていく。ばつ悪げに頭を掻き掻き、柊は無言を放つ風
呂場に言葉を投げかけた。
「湯冷めすんなよ? タオルとかは、洗濯機の上の棚に置いてあっから勝手に使ってくれ」
柊はそれだけいうと、部屋に戻ろうとした。
だが、その足が途中で止まる。
「……ら……さ……」
風呂場から、小さな声がした。かすれた、ようやく搾り出したような、そんな声。
それは今にも消えてしまいそうな――最悪の連想を抱かせる声だ。
「おいっ!? アンゼロット!?」
ゾクリ、とした。焦燥感に嫌な汗をかきながら柊は風呂場のドアに手をかけ、
「――開けるぞっ!? いいな!!」
迷ったのはほんの一瞬、ガラリと開け放った。
それと同時、白いモノが柊の胸の中に飛び込んで来た。
う、おっ! と柊は足をもつれさせ、床に転がった。受身も取れず背中を痛打し、肺の中の空気を一気
に吐き出し、むせ返る。
それでも反射的に自分の胸に飛び込んで来た白いモノを抱きとめ、守り抜いていた。
「ひ、ら……さんっ、ひ、らぎさんっ……っ」
柊は、自分の名を呼ぶ少女を見た。自分の胸の中、濡れた銀色の長い髪を白い裸身に絡みつかせたア
ンゼロットが、極寒に凍えたかのように体を震わせしがみついていた。
そのアンゼロットの姿に、何が、とか、どうして、とか、そんな疑問よりも先に、柊は我知らず言葉
を紡く。
「――大丈夫だ」
言葉とともに、柊はアンゼロットを抱く手に力を込めた。
ビクリッ、とアンゼロットの肩が揺れる。だが、それは拒絶ではなく――氷壁に入った亀裂のように、
アンゼロットのこわばりがほぐれていく。
「大丈夫だ、アンゼロット。大丈夫だから……落ち着け。な?」
濡れた髪と背中を撫でてやりながら、柊はアンゼロットに繰り返した。
大丈夫――そう繰り返される言葉に、アンゼロットは柊の胸に顔をうずめ、湿った声を搾り出す。
「……や……暗いの……嫌い、です……いやあ……」
その言葉にこそ、柊は愕然とした。
暗所恐怖症――そんな言葉が頭をよぎる。全然そんな素振りが無かったから気付きもしなかったのだ
が……もしアンゼロットがそうだったのだとしたら、自分は何て馬鹿な事をしたのか!
本気で自分を殴り倒してやりたい気分に駆られたが、今はそんな場合ではない。
「わりぃ、アンゼロット。俺、お前が暗いの駄目なんて、知らなくて……本当に、」
ごめん、と続くはずだった柊の言葉は、続かない。
それよりも早く、からみつく蔦のように細い腕が首に伸び、アンゼロットの震える唇に遮られた
ようやく……ようやくスレ的ノルマ≠ノ届きそうですorz
>>280 オンセですか……でも、GMに関してはオフライン一本の臆病モノなのです、私orz
>>281 んじゃ、柊・アンゼ派の皆様ごめんなさいorz そして、お待たせしました! そしてまた
お待たせしてしまいますorz
つーか、初めてきちんとくれはを書いたのですが、結構可愛く思えたのは私だけ?orz
>>282 お酒は二十歳になってからー!(w
>>283 この上ベルが来るから押入れに隠れてろ! とかやったらもうコメディにしかならんですorz
4Pですか〜……さすがに4Pはやったことないから描写が(W orz
>>284 なるほどー。夕飯をアンゼロットと食べてなければ、多分くれはルートでした(W
>>285 私的には柊は殴ってやりたいほど、幸せに見えるのですがー(Worz
無数のファイアラットに群がられ、いろんなところを刷毛でなぞられるがごとく這い回られて青息吐息のベネットきぼん。
>4Pですか〜……さすがに4Pはやったことないから描写が(W
3とか5とか、ソレ以上をやった事があるんだな?と、DayMoon氏を小一時間問い詰めたい今日この頃。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
291 :
160:2005/05/26(木) 02:48:57 ID:xpRlKXp2
すまん、プロットは完成したものの週にレポート7つという洒落にならない状態が続いていてまったく書けてない。もうしばらく待っていただきたい。
……とりあえず明日締め切りのレポが二つ。それぞれ考察書いたら寝れるー
>>289 「アヒィ、ダメでやんす」
「そこは弱いでやんすぅ〜」
ダメじゃんw
それは見慣れた背中だった。けれど、初めて見る背中だった。
私の知らない決意と覚悟がそこにあって、まるで炎のように渦巻いていた。
――大事なひとが泣いている方が、もっと嫌いだ。
その言葉ばかり、耳に幾度も谺する。
それは間違いようもなく私に告げられたもの。私を庇い立てする彼の背が鮮烈に証明している。
ひどく幸せだと思った。
それから悟った。自分がとても強欲だと。自然に、本当に自然に、それ以上を望んでしまっていたから。
ただ呆然と動かない心とは裏腹に、私の冷静な部分は情報を再分析する。
先の行為から鑑みるに、襲撃の目的は私の命ではない。となれば私の知っている支部の情報、それ自体。
つまり敵の敗北条件は私の撤退。彼に任せて支部へ走り、そして安穏と守られればいい。
最も安全で有効な案を、刹那で私は棄却する。
敵の敗北は私の勝利にはなりえない。では、この状況における私の勝利条件とは?
答えは考えるまでもなくて、そして独善的なまでに簡単だった。彼が生き延びる事。単一にして最大の、それが私の勝利要素。
私個人の幸福ならば、もう満たされてしまった。一生涯聞く事はないと思っていたような言葉を、もう耳にしたから。だから、
あとは彼に無事でいてもらえればいい。
私の身柄と彼の安全を交換条件として提示すれば、あちらに断る理由はない。
けれど、強欲な私はこれも否決する。
犠牲は出さない。皆を守って、そして全員を帰宅させる。
それはあの日、彼に告げられた言葉への抗いであり、親しい相手を一時に失った彼へのせめてもの謝罪として、私が自分に課し
た絶対規則。だから私も彼がどちらであろうと傷つく事を、私は許さない。
(ああ、それなら)
理不尽なのは相手の方。こちらには何一つだって譲ってやる義理はない。
然り、ならば反撃あるのみです。
――それなら、ふたりで勝ち残ればいい。
ふっと私は微笑んだ。最終結論のあまりな幼稚具合に。まるで子供の台詞だった。
結構。では攻勢に転じましょう。
私は意識を切り替える。
“瞳”を最大限に展開。彼と男とを透かし見る。
同時に体毒の中和を開始。注がれた毒物を瞬時に除去するような強力な効果は、私には生み出せない。けれど、時間をかけてなら
ばその作業も可能だった。
「用心深いんだな、意外と」
男が立つ。まるで彼の打撃を無効化しかたのような仕草だが、私の目は誤魔化せない。若干の体機能低下を確認する。
「しかし何がムカツクってよ。気に入った女犯ろうとした時に邪魔されるくらい腹立たしい事はねぇよ」
唾を吐き、彼を見る。一瞬羞恥が過ったが、現状は不必要なだけのノイズと判断。除去。
挑発に対し、彼もまた冷静だった。戦い慣れている。それが判った。ただ一瞬だけ拳に不必要に力が入って、私はそれへの感慨も、
当面はノイズとして無視すると決めた。
「気をつけて」
そっと囁いた。発声に震えはない。体は正常に戻りつつある。
「ハヌマーンとソラリスの雑種です。長射程の攻撃能力は確認しました」
軽く頷いて、彼は爪先で間合いを詰め始めた。頭部の守りを重視した、ボクシングのような構え。
相手の初撃を耐えて、そして踏み込む姿勢と判った。なら、
「――遅ぇ」
そう思った瞬間だった。私の目から男が消えた。分析と観察能力にこそは優れるが、私の動体視力は決して高いものではない。
はっと見た時には、彼は既に転がされていた。
「…っ!!」
喉から漏れた声にすらならない悲鳴。戦況も何もが頭から一瞬で消え失せて彼に駆け寄ろうとして、
「来るな!」
そう怒鳴られて我に返った。
確かに行くべきではない。ハヌマーンは数平方mを、ただ一閃に斬撃する敏捷性を持つ。治癒の必然性以上に危険度の方が高かっ
た。
ならば。
彼は知らないかもしれないが、私には精製物質を自在に形態変化させる能力がある。それを用いれば直接手を触れずとも、彼の傷
を治療する事が出来た。
しかし一瞬の躊躇の後に私はこれも棄却。
彼の傷は額の中央から右のこめかみにかけて、ざっくりと深い。あれでは右の視野は殆ど塞がってしまっているはずだ。故に男は
今、彼を嬲りにかかっている。これを私が治したりすれば、即座に戦法を切り替えて、確殺しにくるに決まっていた。
「どうした? あ? お姫様を助けに来た騎士様じゃねぇのかよ、てめぇはよ」
膝立ちになった彼を、風の速度で男が襲う。反応できずに、彼は体をくの字に折られた。私は唇を噛んでただそれを直視する。や
はり見えていないのだ。
集中する。集中して、男だけを捉える。
筋肉の緊張。重心の偏り。目線の動き。
そういったものから男の行動を先読みすれば、もう見失う事はない。
「オーヴァードってよ、なかなか死なないじゃん?」
幾度打ち倒されても、どれだけぼろぼろになっても。それでも彼は尚立った。自分の言葉を証明するように。
私はまた涙が出そうになって、それを必死で堪えた。今泣いてしまったら、今見失ってしまったら、何の為にここまで男を見続け
たのか判らなくなる。
「だから手足砕いてどうにも動けねぇようにしてさ。それからてめぇの目の前で、その女犯してやるな?」
男の膝が深く沈む。何か重い一撃を与えようとしているのは明白だった。
良かった、と思った。
それならば、私も間に合ったから。
――解析、完了。
攻め手の癖も。仕掛けの手札も。戦闘における心理も。予備動作の悉くをひとつとて残さず。
もう、覚えたから。
万一。もしも万が一動きを読み違えれば彼が死ぬ。その思いが、私の能力を研ぎ澄ましていた。
男の予測軌道を蝶のイメージに変換して彼へと送る。それは微弱な幻覚作用を解した無言にして高速の情報伝達だ。
それに従って、彼が動くのも見えた。通じてくれた。快哉を叫びたくなる。
私にも、守る事が出来た。
かすかな誇らしさで彼の背中を追った瞬間、目が合った。無事な片方の瞳が、まるで感謝を示すように私を見ていた。そして口の
端を少し緩める。その悪戯っぽい微笑は「上手い事やったな」と級友の背を叩く時のそれだった。
私は無意識に、借りた上着の前をぎゅっと握る。戦いの緊張からだけではなく鼓動が早い。
けれど頭を振って、強引に意識を集中させた。男を追う。一瞬だって、見逃す訳にはいかないのだ。
私が送るイメージを追っての、彼の一撃。しかしそれも襲撃者の運動能力に阻まれた。
恐らくは機動力を殺そうとしたのだろう。足を狙った獣爪を、男は異常に高く速いとんぼを切って回避。彼と襲撃者とは、戦闘開
始時と同じ距離で向かい合う。
「やれやれ、驚いた。てめぇもアレか。見えなくても見えるクチか」
男の言葉に、彼は黙ったままだった。彼の能力は知られていない。だから、そういう事にしておくのが一番だった。
その沈黙による守護。それはやはり私を守るという意志に基づくものであって、そう理解した私の思考はまた掻き乱される。
(…もうっ)
幸福な悪態の矛先は、彼へとも自分へともつかない。
「でも、捉まえられないね。それじゃあオレは捕まえられない。てんで足らねぇよ。スピードが」
男の言葉で、私は思考を冷たく醒ます。
そう、これは急場を凌いだに過ぎない。辛うじての応急処置に過ぎない。あの男を打ち倒さない限り、彼は殺されるだろう。
懸かっているのは彼の命。絶対に失いたくない、私の勝利条件。
ならば考えろ。あの速度を捕らえる方法を。そんな事も出来なくて、何が天才だと思った。何がノイマンシンドロームだと思った。
――その時だった。
彼が何か呟いた。そして、少し微笑んだようだった。
それはひどく透明で、触れないくらいに悲しげな笑みだった。
痛みを堪えるように、彼の体が丸くなる。裂けたのは、まず背中側だった。盛り上がった筋肉と肥大化した骨格。間接部位の変形
に伴って、衣服は用を成さない布切れとなる。
地面についた手は、既に前肢だった。靴を脱ぎ捨てた時には、足は獣のものへと変貌していた。全身を覆う獣毛は金。
獣。彼が変じたのは、そうとしか言い様のない姿だった。
ただ殺す為。捕食ですらなく殺戮機能のみに特化した姿。だというのに、それは優美とすら見えた。まるで研ぎ澄まされた名刀の
ようだった。それを、私は綺麗だと思った。
それは、どこにもいない獣だった。
それは、何よりも残酷な獣だった。
それは、誰よりも獰猛な獣だった。
月下。ただひたすらに美しい、それはきんいろのけものだった。
「…キュマイラか。なるほど、名前に相応しい化け物ぶりだ」
数瞬怯んだ男が、舌打ちと共に吐き捨てる。
「ああ、そうだ」
獣に変じた彼が、けれどひとの言葉で応じる。わずかに震えたその背が心情を伝えて、そうして解った気がした。
――俺は化け物だ。そうに違いない。それに間違いはない。
それは宣言であり悲鳴なのだ。
――けど、お前みたいに心までじゃない。
それは拠り所であり願いなのだ。
キュマイラシンドロームは、数あるシンドロームの中でも最も激しく肉体が変成する。それは普通の人間として生きてきた彼にと
って、手酷い衝撃であったに違いなかった。
ありえない獣に変ずる己の腕。体。
化け物。ウィルスに刻まれた侵蝕の紋章。そう感じるのは当然だ。
だがだからこそ彼は、優しく、そして勇敢に振舞おうとするのだろう。
心はひとのままだと信じ、証明し続けたいのだ。誰よりも、自分自身に。
それは簡単に出せる結論ではない。幾夜も眠れぬままに膝を抱えて、幾夜も声を殺して泣いて、その果てにようやく辿り着いたも
のに違いなかった。
その孤独を思って、私の胸はきりりと痛む。
彼は普通に笑って見せる。私は勘違いしていた。普通に生まれついたから、だからそう出来るのだと。
けれど違う。普通の生活を送っていたからこそ、彼には自分が渡ってしまった断崖の深さが、断絶の絶望的なまでの距離が判るの
だ。そしてそれら全てを理解して、その上で笑って見せていたのだ。まるで普通の少年のように。
ずっと見ていた癖に。私はそんな事すら解っていなかった。
「その化け物が、今からお前を殺す」
獣の発する冷たい声音。
今までにないほど痛切に、このひとに必要とされたいと思った。
そして。私の気持ちなどには顧慮もせず、するりと獣が動き出す。動いたとも見えない、流水のような滑らかさ。
(いけない!)
けれどまだ早い。私には何の策もない。
唇を噛んで悔いた。また私の事だけに囚われて、貴重な時間をふいにした。
でも彼に迷いはなかった。だから私はそれを信じようと思った。動きの先行イメージを読み取って、彼へと送り続ける。
「――速いな。だが、オレほどじゃねぇ」
けれど、届かない。ひとの身の時と比せば格段に速度は増しているというのに、それでも奴には届かない。
男はまた宙へと跳んで――。
「そこだと、もう逃げられないだろ?」
私はほっと息を吐いた。ああ、そういうい事だったのだ。
彼は左腕を地に打ち込み、半回転するように急制動。ぐっと身を低くする。それはフィギュアスケーターを連想させた。時折競技
者は身を低く屈めて、回転の速度を上げる事がある。今の彼が、正にそれだった。
回転している訳ではない。けれど、印象は同じだった。静止して見える独楽のように、触れればただではすまない。そういう気配
を漂わせている。
「速さでなら、俺に勝てると思ってただろ」
小さく彼は呟く。とても思い出深い芝居の脚本を読み上げるように。何故か祈りだと直感した。それは、もういない誰かへ捧げら
れた言葉なのだ。
そうして彼もまた宙へと跳ねた。
月まで届けと振り上げられた爪。交錯の刹那、それが男の体を両断した。それで、終わりだった。
CL決勝見てたらまたこんな時間に。
物語もだらだらと時間軸を行きつ戻りつ進行しております。なかなか進まなくてごめんなさい。
そして毎度ながらレスをくださった方々に感謝。そういう気持ちを忘れちゃいかんと思っております。いやマジで。
>>266 何かそんなふうに名乗っていただいて、嬉しいやら嬉しいやら。少し落ち着け、俺。
読み返して気付いた事。誇り高き牙は、「ゾクゾクするほどキスが上手かった」と白の乗り手に述懐されてるんですなぁ。
あと
>>179の感電死ってそういう事だったのかと。
お言葉を励みに頑張ってみました。そちらの続編も楽しみにしております。
>>288 シャワー中に消灯+衣服隠し。オマケに理由は他の女が来たから隠れてろ。やばすぎないか柊。俺なら鉄拳制裁は覚悟するね。
…と思っていたら、こんな流れとは。こんなどんでん返しとは。今日日か弱いアンゼロットは貴重だと思った。
暗所恐怖症については、タイトルに絡んだ素敵な説明がつくものだと信じてる。
そして柊の場合、3P4Pと言うよりも、二人がかり三人がかりと言った方がしっくりくる気がした。
おおう!リアルタイムで見れるとは!
やべぇもう死んでも良い!
……ゴメン嘘許して
18禁オンラインセッションをやってみたい。
こういう事を叫んでもいいのかな?。
叫ぶのは大いに結構。しかしキサマにはコレをくれてやる。
っ【言い出しっぺの法則】
その筋のエロい人を召還しよう・・・
だ……だれかタオルをつけられたショコラさんに愛の手を……
293-300
ぐっじょぶを越えて、ゴッドジョブ!
……というと途端に胡散臭くなりましたね、スマン('A`)
乙女と戦士をナチュラルに両立させている瞳ちゃんに
かつてないほど萌えました。
唇は、蕩けるように柔らかく苦い味がした。
柊は自分の服が濡れて冷たくなっていくのに、体が胸の奥から熱くなっていく感覚に襲われた。自分
の身に覆い被さる心地いい重みと温もりや柔らかさに、頭がクラクラした。
だが――頭の片隅に残った、理性は思う。
抱きつく仕種に、唇を求めるものではなくまるで怯えた幼子が助けを求めてすがるような――そんな
必死さを感じた。
その必死さが、柊から動きを奪っていた。だから、アンゼロットが望むままに受け入れるだけ。
「……ハ……ん……っ」
息を吐きながら、アンゼロットが唇を離した。コホ、と咳き込むのは、しゃくりあげるのと呼吸が噛
み合わないからで。涙の止まらない瞳は、まるで泉のように歪んだ柊の顔を映す。
ツ――とアンゼロットの指が柊の頬に触れた。
「……柊、さん……?」
「ん……まあな………」
間の抜けたやり取りだ、と思ったが口には出せなかった。アンゼロットのたどたどしい言葉に、これ
以上ない真剣さを感じ取ってしまったから。
頷くと柊に、アンゼロットは初めて微笑んだ――それは内側からほころぶような、真っ白な笑み。
「ひーらぎさんだぁ……」
そう吐息混じりに呟きながら、柊の胸に顔をうずめる。その体を押し付けられる感触に、柊は更に赤
味を増した。
「お……」
おい、と柊が言うよりも早く。アンゼロットが甘い声で言葉を続けた。
「――夢じゃ、ないんですよね……?」
――は?
柊は疑問を喉で凍らせる。夢じゃない――その言葉の意味が解からない。
なのに、それを知らなくてはならないのだ、と何故こんなに強く思うのだろう?
「今日、一緒にご飯を作ったり食べたり飲んだり、お買い物したりお話したり……全部、夢じゃないで
すよね? 柊さんの隣に、私がいて……とってもとっても、楽しくて――幸せで……」
ハ、とため息を、それこそ夢を見るようにこぼし。
「暗い暗い夢の中で見る柊さんの隣には、いつも私じゃない人がいます。その人と一緒にいる柊さんは
……とっても幸せそうで……だから、思ったんです――私も、柊さんの隣に立ってみたいって……」
なのに、とアンゼロットは再び声に潤みを帯びる。
「いやです、暗い場所で、貴方と彼女が一緒にいるのを見たくないです、聞きたくないです! どうし
てですか!? いいじゃないですか、今日一日くらい、貴方の隣にいるのが私でもいいじゃないですか
!? あんなに、楽しかったのに、幸せだったのに……そっちの方が、まるで夢みたいに……あんなの
嫌です、いやぁ……っ!!」
だだっ子のように首を左右に振って、アンゼロットが身を震わせた。ボトボト、と自分の服に落ちる
雫が熱い、と柊はぼんやりと思った。
アンゼロット。世界の守護者。宵闇の魔法使いである自分と、あの紅き月でしか繋がりを持てない少
女が、暗闇の中が嫌だと泣いている。
ああ、そうか、と得心する。こいつは根本的な勘違いをしている、と。なら、教えてやろう――思い
出させてやろう、そう心に決める。
その為に、柊は手を伸ばした。銀色の髪を優しく掻き分け、
「…………っ」
自分に伸びる指先に息を飲むアンゼロットに構わず。
柊は小さく口元を笑みの形に歪めると――アンゼロットの胃の辺りを強く押した。
「ッ!? ぁ、グ……ンンン!?」
アンゼロットが体をくの字に折って咳き込んだ。
柊はその様子にプッと噴き出し、すぐに笑いを大きなものにしていく。
「ひ、柊さんっ!?」
な、なにをっ!? という疑問を紡がせない。
「あんだけ飲み食いすりゃあ、腹押されりゃきついよなー」
「そ、それは、そうですけどっ」
「――夢なもんか、馬鹿」
滑り込ませるように、柊が低く吐き捨てる。息の飲むアンゼロットに、呆れ返ったようなため息をこぼ
しつつ柊は続けた。
「お前が作ってくれた飯、本当にうまかったんだぜ? 買い物だって、こっ恥ずかしかったけど楽しかっ
たしよ…………誰かが、そこにいて、いただきますとか、ごちそうさんとか、そういう言葉を言い合え
るのが悪くねえなってさ……」
アンゼロットは息を飲んだままだ。柊はそんな少女を半眼で見上げる。八つ当たりだ、照れくささで
頬が焼け付くように熱く引きつるのを感じながら、柊は言い放つ。
「お前が、ここにいてくれて……幸せだって、思っちまったじゃねえか。それを夢になんざ、させんな
よ、馬鹿が……」
「………ぁっ」
ようやく、そこでアンゼロットが息を吐いた。ボロボロとこぼれる涙と共に、アンゼロットはしゃく
りあげる。
だが、それを見た柊の顔に浮かぶのは――呆れだ。
「――顔、笑ってんぞ? お前」
「そう、です……かっ……? 頬、熱くて、痛くて、引きつっちゃって……わかんない、です……私……」
「ああ、そうかい」
だが、柊は気付かない。そう呆れているはずの彼自身、アンゼロットのように笑っている事に。
二人はそうやって笑いあいながら――ふと、アンゼロットが柊の頬に手を伸ばした。
「柊さん」
「……何だ?」
「――ありがとう、ございます」
「ばっか。礼を言うようなことか? おい」
ハンッと鼻で笑う柊に、アンゼロットは笑みを変えた。口元に優雅な曲線を刻む完璧な微笑――ただ
その細められた目だけ、笑み以外の輝きを潜めて。
「だから、ああいう事をされちゃった事はこれでチャラにしてあげますね?」
「い――っ!!!」
悲鳴も上げられない程強烈に、アンゼロットの指が柊の頬をつねり上げた。
今日はここまでって、いつの間にか昨日になっているorz
>>290 そんなワケナイデスorz 私はタイマン方式しか経験ありませんってタイマンってナニや? ナニorz
>>300 あうあう、プレッシャ−をかけられてる? 私orz まあ、私なら死を覚悟しますね、あの
状況(w
ちなみに、アンゼロット軍曹ハトテモカワイラシイ方デスヨ?(カクカク)
題名の意味は、もうちょい先に出ます……いや、伏線ではありますがorz
しっかし、ヒトミちゃんもいい子だなー。意地っ張りというよりすれ違ってる二人というのは
周囲から見たら微笑ましいけど、当人達には大事ですよねー。でも、それを乗り越えれば「あの
時、ああだったよな? お前」「貴方も、ああだったじゃない」と笑って言い合えるようになれ
る訳で、つーかなって欲しいとオジサンは思うのですーorz
>297
『幸福な悪態』をつく瞳ちゃんに激萌えしました。のーみそとろけそうです〜。
GJ!
予兆は、確かにあった。
最初に気付いたのはレンだった。伝説の住人“混沌の監視者”。ちなみに、
レジェンドだから縮めてレジェン→レン、と、安易な呼び名を付けたのはネー
ミングセンスが腐乱している死霊課の連中だ。
「強大な闇が来る」
半月ほど前。街並みに消えゆく夕日の残光を背に、珍しく不安な面持ちでレ
ンは俺に告げた。その【かりそめの姿】は男物のカッターシャツをフェミニン
に着こなした黒縁眼鏡の女性。いつもはどこか楽しげな表情で、俺達に何かを
伝えるというのに。
「全ての光を拒絶する闇。安らぎの闇をも侵食する闇。とても危険な、闇が」
「俺の敵か?」
「そうだ・・・・・いや」
一旦肯定してから、首を横に振って、言った。
「我々の敵だ」
惜しむらくは、レンの予知能力は予言の形でしか表れないということだ。
何かとんでもなくヤバいことが起きるらしい、と俺達は警戒した。それなの
に、降りた天使たる“守護天使”アンジェの経営する会社が周到な詐欺にあっ
て倒産寸前の損失を受け、竜の“誇り高き龍”リュウの組織が同盟組織に突然
裏切られて壊滅的な打撃を受けた。彼らの会社や組織が完全に瓦解しなかった
のは、ひとえにアンジェとリュウの努力の賜物であって、決して、敵が手加減
したからではない。
真っ先に直接対峙したのは執行者“鋼の戦士”ジャスティス・メタルことハ
ガネと魔女“きらめきの魔法使い”マホ(正確には「マジカル・マホちゃん」
という。これまたネーミングセンスが死滅している死霊課の連中が勝手に付け
た愛称だ)の2人。正義を愛する熱血漢とご町内の平和を守る熱血少女とが突
出して奴に戦いを挑み、リュウの命令を受けて組織の敵を探していた自動人形
“無垢なる人形”ドリィが飛び入りで参戦。
あっという間に、3人とも【かりそめの死】に追いやられた。そこへたまた
ま通りがかった異能者“真魔の血脈”マコトと人狼“法の番犬”ロウ(「真」
でマコト、「狼」でロウ。誰か死霊課の連中にネーミングセンスを分けてやっ
てくれ)が、倒れた3人を担いで命辛々逃げ出した。
「ペルソナ・ネットワークの決定を伝える」
日本支部の長老、ウォーレン“グラットン”レイクから、俺の携帯電話に伝
言があった。
「奴に【真の死】をくれてやれ。奴の『子』であるお前が」
奴は。彼女は。俺の『親』たる吸血鬼。“純白の妖婦”ヨウコ。
―――
「何を考えているの? ヤイバ」
夢蝕み“月夜の夢魔”ユメコが俺の顔を覗き込んでいる。ユメコは夢子。死
霊課の連中が付けたにしては可愛らしい名前だが、この女の本性を知った後で
付けたにしては、可愛らしすぎる名前だ。
「彼女のこと?」
「ああ。・・・あいつのことだ」
「最近ずっとそうね。妬けちゃうわ」
クスクス笑う。
【魔の姿】を隠して、全く人間そのものにしか見えない【かりそめの姿】を
取っているにもかかわらず、しかも、紺色のお堅いスーツを着て、理知的な雰
囲気の銀縁眼鏡を掛けているにもかからわず、流石は淫魔、セックス・アピー
ルが大爆発しているかのような美女っぷりだ。ただそこにいるだけで、男とい
う男を誘惑せずにはおかない。
初夏の陽気の日曜日。真っ青な空の昼下がり。部屋の中にこもっているのが
嫌になるくらい好い天気、というのが普通の人間の感覚だろうが、俺にしてみ
りゃ押しつけがましいほど眩しくて、ただただ暑苦しいだけだ。
ここは俺の事務所。狭くて汚いビルの一室に、すり切れてはいるが高級感の
ある絨毯、艶のある重厚なマホガニーの机、大企業の社長が座りそうな本革の
椅子。
パッと見、それなりのセンスに基づいて、そこそこ金を使って揃えました、
という雰囲気だが、実はこれ、全部ゴミ捨て場からの拾い物。“法の番犬”ロ
ウに手伝わせて、えっさほいさと運び込んだ品だ。要するに、全部タダ。貧乏
探偵が見栄を張ろうとしても、これが精一杯ってとこ。
俺は吸血鬼“宵闇の探偵”。ヤイバ、の仇名は、俺が魔剣持ちでもあること
からきている。この街の半魔は、歴とした【人の名】も【魔の名】も持ってい
るというのに、何故か死霊課の連中が勝手に付けた名前が一人歩きして、誰か
らもその名でしか呼ばれない。仕方ないから、俺達自身、最近は開き直って死
霊課謹製の愛称で名乗り、また、呼び合っている。
「彼女の狙いは、やっぱり貴方なのかしら」
「さあな。未だかつて、俺にはあいつの考えていることを読めた試しがないん
だ」
行儀の悪いことに机の上に座って、俺は自分の手元に置いてある相棒に目を
やった。こいつと出会ったのは彼女と別れてからだ。まさか俺の『親』をお前
に紹介する日が来ようとはな。しかも、こんな形で。二度と、彼女には会わな
いつもりでいたのに。
彼女とて、二度と俺に会う気はなかったはずなのに。
「何で今頃、なぁ・・・・・」
煙草でも吸いたいところだ。そうすれば、溜息をつくのもサマになる。だが
生憎と、俺は煙草が苦手なのだった。
「寂しくなったんじゃないの?」
惑わすように妖しく笑ってユメコが言う。
「寂しくなった?」
「そ。男と別れたか、一人で暮らすのに疲れたかして、ふと、昔の男に会って
みたくなった。そんなところじゃないの?」
「おいおい」
俺は苦笑する。
「そんな理由でアンジェの会社やリュウの組織を叩き潰して、ハガネ達を棺桶
に叩き込もうとしたのか? あまつさえ、ネットワークまで敵に回して」
「そこが女のプライドってやつよ。自分から出ていきたくなかったの。男の方
から来て欲しかったの。貴方にアピールしてるのよ、わたしはここよ、わたし
を見て、ってね」
「傍迷惑なプライドだ」
俺は一笑に付した。・・・フリをした。
案外、ユメコの言っていることが正しいんじゃないか、という気がして。
優しいひとときと激しい感情とを人に与える夜の蝶。愛するか、破滅させる
か、二つに一つの夢蝕み。“月夜の夢魔”の通り名を持つ女、ユメコ。こいつ
は妙に勘がいい。レンの予知能力とは違う、謎めいた、そう、女の勘、という
やつだ。
「どんな人だったの?」
「いい女だったさ」
ユメコがちょっと眉をひそめる。おいおい、まさかマジで妬いてんのか?
「それと同じくらい、・・・こわい女だったさ」
愛しているから。そう言って、彼女は望んで吸血鬼となった。愛しているか
ら、永遠に、貴方と共にいたいから。そういって、彼女は俺の血を奪い、俺に
彼女の血を授けた。闇の洗礼。俺は望まずして、吸血鬼となった。
もう何年、いや、何十年前のことになるのだろう。
“混沌の監視者”レンは、あのとき、輝き始める星を見ながら言った。
「君は、『彼女』に会わない方がいい」
「彼女? 女なのか? その、『闇』とやらは」
「彼女、だと思う。イザナミという言葉が連想される」
黄泉の国の女王。国生みの母。
「闇は自己と他者との区別を無くする。連帯感、一体感、そして安心感。闇は
全てを包み込むもの。だから」
そこで言葉を切った後、レンは自分でも困惑しながら、懸命に言葉を探して
いるようだった。ややあって、ポツリと言う。
「私は・・・君が『彼女』に会うことを『知っている』。だけど私は、君に、
『彼女』に会って欲しくない」
「お前が予言に願望を交えるとはなぁ」
「君は、『彼女』に呑まれる。呑まれることを、きっと望む」
「俺が敵に寝返るとでも?」
「わからない。でも、」
なおも言を継ごうとするレンの頭を、俺はぐしゃぐしゃと撫でてやった。台
詞を中断させられて、レンがぷうっと膨れる。伝説の住人ってヤツは、自分の
演出を邪魔されると大いにヘソを曲げる。更に俺は奴の機嫌を損ねるようなこ
とを言ってやった。
「あんまり気を回しすぎるな、3歳児」
「3歳児ゆーなっ」
レンは生まれて3年だ。誕生してから3年、ではない。発生してから3年な
のだ。レンは都市伝説。死という概念神。不吉の先触れ。生物ではなく現象。
無意識の必然性に基づいて、自動的に生じた。この街の半魔達は勿論、歴史の
監視者と呼ばれる存在達の中でも、最年少の部類だろう。
「もう教えてやらないっ」
それこそ子供みたいに、ぷいっと顔を背けてレンはその場から消えた。空間
跳躍能力。必要なときに、必要な場所へ、恐らくはレン自身が望むと望まざる
とに関わらず、現れるための能力。
予言者が去って、月が昇り、俺は深く息を吐いた。レンの予言は有用だが、
先入観ばかりを持たされても困る。
今は、しかし、あの続きを聞いておいた方がよかったか、とも思う。
・・・と、俺は回想を打ち切った。
「何をしている?」
「ヤラしーこと」
鼻歌でも歌いそうなぐらい楽しげに、ユメコは俺のネクタイを解き、シャツ
のボタンを一つ一つ外していく。襟元が大きく開いた時点で、俺の首筋に唇を
押し当てて。おい、今、キスマーク付けただろ。
「窓、開いてんぞ? 外から丸見えだ」
ここは4階。そうそう覗いてる奴もいまいが。ユメコは悪戯っぽく、
「見せつけてるのよ」
「真っ昼間っから、これがホントの淫モラルだな」
「やーね、オヤジギャグ」
ほっとけ。
「それに、人間は昼間に活動して夜にこういうことするでしょ? あたしたち
は夜に活動するんだから、昼間にこういうことするのが正しいのよ」
お前の場合、夜の活動とやらも、要するに、こういうことなんだろうが。
言ってるうちに、ボタンは全部外された。俺の胸を大きくはだけておいて、
ユメコは真っ先に、俺の脇の下に鼻を突っ込む。
「いい匂い」
「この変態め」
「そんなことないわよ。女の子ってね、好きな人の体臭には安心するものなの
よ?」
「女の子って歳か?」
「あら、ひっどーい」
「っ!」
真っ赤に塗った鋭い爪を、いきなり俺の乳首に立てやがる。文句を言おうと
した俺の口を、爪と同じ色の唇で塞いで、遠慮も呵責もないいきなりのディー
プ・キス。俺の舌を吸い込んで、自分の舌で包み込んでくる。おいおい、今日
は飛ばしてんな?
俺は右手をユメコの背中に回して彼女の身体を引き寄せ、でかくて柔らかい
胸に左手を置いて優しく揉みこねた。そういえば、人体の構造として、乳房と
いうのは胸筋で支えるよりもむしろ皮膚で上から吊ってあるものだそうだが、
ここまでボリュームのあるブツを、重力を無視して前方に突き出すほどに保形
できる皮膚ってのはどういう代物なのか。いっぺん調べてみたい気もする。
まあ、ユメコは人間出身の俺とは違って生粋の魔物だから、そういう考察に
あまり意味はなさそうだが。
「ん、だーめ」
銀の糸を引きながら唇を離して、ユメコは俺の手を自分の胸から遠ざけた。
「今日はあたしがするのよ」
「今日『も』の間違いだろ?」
俺の言などどこ吹く風。マンガなら、背景にウキウキワクワクという文字が
浮かんでいそうな、そんな顔して夢蝕みの女が俺のズボンのベルトを外す。
「あのなー。そこまでするなら、せめてブラインドを下ろせよ」
「やーねー、恥ずかしがり屋さんなんだから」
お前に羞恥心がないだけだ、とは、言うのをやめておいた。こんな時間にこ
んな場所でヤろーって辺り、俺もこいつと大差はない。月夜でなくとも“月夜
の夢魔”。甘美な淫夢に、しばし酔おうではないか。
ジャッ、とブラインドが下ろされ、室内が薄暗くなる。
俺は机に座ったまま、ズボンもパンツも引っぺがされた状態。
ユメコは片手を俺の身体に添えて、改めて唇にキスをし、それから顔中に、
首筋に、胸元に、次々とキスの雨を降らせていった。その上で、残る片手は俺
の内股を這い上がり、俺のモノに達して、焦らすように指を、掌を、沿わせて
いく。
「ね、彼女とはどーゆー風にしたの?」
「そんなことを訊いてどうするんだ?」
「別に、単なる好奇心よ。お望みなら、同じようにもしてあげるし、全然違う
ようにもしてあげるわ」
俺は暫く黙ってユメコの愛撫に身を任せてから、自分でも意外なぐらいの気
紛れで、質問に答えた。
「彼女とは、こういうことをしたことがない」
「嘘ぉ?」
「本当だ。人間だったときも、吸血鬼になってからも」
彼女は、いや、俺もそうだが、あの頃、セックスというモノに嫌悪感を抱い
ていた。熱心なキリスト教徒。加えて極度の潔癖性。理想というものが現実に
存在するのだと、そして自分がその理想を体現できるのだと、無邪気に信じて
いた若者の頃。自分の性欲を持て余して、自分が汚らわしいモノに思えて、一
人、悩み苦しんでいた。自分の性欲すら認められなかったのだから、ましてや
相手の性欲など認められるはずもない。俺達にとっては、例えば手と手が触れ
合うことすら禁忌だった。スキンシップのない、プラトニック・ラブだけが純
粋な愛、正しい愛なのだと信じ込んでいた。
もしかすると彼女は、魔物になれば人間的な欲望から解放されて、清らかな
関係のまま、俺と永遠の愛を誓い合えると考えていたのかも知れない。勿論、
そんなことは全くなかったわけだけれども。
驚き呆れて、夢蝕みの手が止まる。
「セックスを楽しまないなんて。人生の99%を損してるわ」
「人生の99%がセックスか。お前らしい感想だが、参考までに、残り1%は
何なんだ?」
「オマケ」
オマケかよ。俺は少し笑う。
「彼女が他人に・・・男に触れたのは、自分が吸血鬼になるための吸血行為の
際と、俺を吸血鬼にするための吸血行為の際のみだ。吸血鬼の吸血には食事ば
かりか性的な意味合いもあるからな、必要なときは、獲物の血をグラスに受け
て飲んでいた。彼女の通り名に“純白”が付いている理由がそれさ。真っ白な
んだよ彼女は。ヴァージン・ロードのウェディング・ドレスみたいなものさ」
「あたしとはお友達になれそうにないわねー」
頼まれたって願い下げだわ、と吐き捨てんばかりの口調だった。
「だけど、俺は知っちまったからな」
「何を?」
やや強引にユメコを抱き寄せて、
「セックスは、心のつながりを支えてくれる。目に見えない想いを、形にして
くれるものだ、ってことをさ」
キス。キス。キスのリフレイン。
ユメコは応える。
「そんな小難しい理屈はどーだっていいの。楽しくて、気持ちよくて、幸せな
のがセックスってものよ」
ああ。お前の言葉は明快で、耳にも皮膚にも心地いいよ。ユメコ。
「あのね、ヤイバ」
「何だ?」
「浮気はいいけど、本気はダメよ?」
眼鏡越し、上目遣いに言って、すっと頭の位置を下げ、俺のムスコにご挨拶
のキス。
「ま、他の女に本気になろーったって、あたしから離れられないカラダにして
あげるけど」
チロリと雁首を舐めあげた。それからゆっくりと俺のモノを飲み込んで。
温かな口腔内に包んでおいて、意地悪するように一旦吐き出し、
「あたしが本気なんだから。貴方も本気でいてくれなくちゃね」
「勝手なこと言うな、バカ」
返事はなかった。もうユメコの口の中は、俺のモノでいっぱいだったから。
浮気はいいけど本気はダメ? 貴方も本気でいてくれなくちゃ、だと? そ
んな台詞、少なくとも俺に言うのは初めてだよな、ユメコ?
『君は、「彼女」に呑まれる。呑まれることを、きっと望む』
レンの言葉が思い出された。ユメコにはそのことを話していないし、レンが
わざわざ教えたとも思えないが。
女の勘、ってやつ、か。
“月夜の夢魔”は、執拗に俺を責め立てる。そのスピードが、みるみるうち
に早くなる。その気になれば、どんな男が相手でも2秒でイカせられるような
手練手管の持ち主。一方的に追い上げられて、俺は思わず声を上げる。
「う、あっ、ユメ、コ、お前っ、激しすぎ・・・ああっ」
「ふふっ・・・可愛い声」
少し口を離して、囁くように、いざなうように、
「もっと、聞かせて?」
「あ、は、あうっ、はあっ・・・やめ、頼む、もう・・・うあああっ」
反撃もできない。自分の上体を支えるのが精一杯。目を閉じて、甘い津波に
押し流されて。
「ああっ、イく、イく・・・・っ!」
「そうか、では早く準備をしてくれ」
え?
意外な女声に目を開けた。そこに“混沌の監視者”レンの顔。眼鏡の向こう
から、アリの行列を楽しげに眺めている子供みたいな面持ちで。
「行くのだろう? 彼女のところへ」
「うわっ!?」
反射的に飛び退く、俺のイチモツがユメコの口から抜け出して。
「キャッ!?」
発射。
“月夜の夢魔”の華奢な手に、美しい顔に、豊満な胸に、艶やかな髪に、透
明なレンズに。
俺の吐き出した白いドロドロがベッタリと、たっぷりと。
「もぉっ、サイテー!」
俺とレン、どちらに言ったか、ユメコはぷんぷん怒りながらも、溶けて流れ
たソフトクリームみたいにそれを舐め、その途端、美味しそうに目を細めた。
こんな仕草でさえ、何でお前はそんなに色っぽいんだ? 出したばかりで、ま
た勃つじゃないか。
いやそれより何より。
「レェェン! お前なァ! ノックして扉から入ってくるぐらいしろよ!」
怒鳴りつけたが、“混沌の監視者”はカケラの反省もない。
「だってロウが」
「ああ? ロウがどうした」
「どーせヤイバはユメコとイチャイチャしちょるじゃろうけん、いきなり出てっ
て声掛けよったらウケるぜ、って。あ、はいこれ、ロウからの差し入れ」
ロウの方言を真似ながら、どこからともなく取り出して俺に差し出したのは
ウェット・ティッシュのお徳用プラケース。
・・・・・そうか。わかった。悪いのはレンじゃない。
ロウ。あの狼男。
後で絶対にコロス。
伝説の住人に対し、「ウケるぞ」の台詞は殺し文句だ。新宿に住まう伝説の
住人レッド・デスが、「ナウなヤングに馬鹿ウケ!」の一言で、地獄の道化師
七ツ目青三郎にあっさりそそのかされて、新宿中のティーンエイジャーを『こ
こではないどこか』へ連れ去った事件は、まだ記憶にも新しい。あれを揉み消
すのに幾つの組織がどれだけ難儀したか。
目立たなければ、噂されなければ、存在し続けることができない。忘れられ
たら、無視をされたら、それで【真の死】確定だ。伝説の住人は幻影の魔物。
それを逆手に取れば、
「今度ンなことやったら、二度とお前には構ってやらんぞ!」
「ゴメンなさい」
こうやって素直に頭を下げる。
レンは、そしてキリッと表情を改め、
「とにかく、急いだ方がいい。待てども来ない男を待ちわび、漆黒の闇は白銀
の月に目を向けた。そこに光があるから、男は影を見ないのだ、と」
“純白の妖婦”ヨウコ。ただセックスを嫌うだけの女なら、“妖婦”の通り
名が付けられようはずもない。
彼女のやり口は俺が一番よく知っている。次に狙われるのが“月夜の夢魔”
ユメコだというのなら、彼女はユメコを『殺さない』。死ぬことも、狂うこと
も許さず、最も残酷な方法で、俺に見せつけるように、俺を、誘い出すためだ
けに、地獄もかくやの苦しみをユメコに味わわせ続ける。
人間だった頃は春の女神のように心優しかったのに。極寒の精霊の如き彼女
のこの性格は、心冷たき不死の死者・吸血鬼になぞなったせいだろうか、それ
とも。
・・・冗談じゃない。俺の女に手を出されてたまるか。
歌うように、語るように、レンは言葉を続ける。
「昼と夜との調和が乱されようとしている。今、この世界に滅びの物語をもた
らすわけにはいかない。終わりなき愛に終わりを。眠りなき闇に眠りを」
スッ、と俺に手を差し伸べ。
「ヤイバ。“宵闇の探偵”。君の出番だ」
「ああ」
俺は深く頷いた。
「だがな、レン」
「何だ?」
「その、君の出番が云々っつー、いつもの決め台詞。今すぐ必要なのか?」
「言わないと落ち着かないんだ」
「それはそうなんだろうが、」
俺自身の汚れを拭ったウェット・ティッシュをまとめてゴミ箱に放り込み、
「せめて、俺が『後始末』するまで待てなかったのか?」
“混沌の監視者”は、当然のように言った。
「うん。待てなかった」
前のモノをぶらーんとぶら下げたまま、俺は盛大に溜息をついた。
パンツとズボンを順番に穿き、シャツのボタンを留めて、最後にネクタイを
締め直す。その間にユメコも身繕いを整えていた。・・・予備の服を持ってや
がるとは、ヤケに気が利いている。
「で? 彼女はどこにいる?」
俺の質問に満足したように、レンはこう言い残してからふわりと消えた。
「中央公園、あるはずのない白薔薇の庭。純白の花びらが舞うアレナで、彼女
は君を待っている」
―――
彼女が待つというアレナの入り口。イバラが形作るアーチの前には、他の連
中も来ていた。
“混沌の監視者”レンは監視者としての使命のために。“法の番犬”ロウは
外道のモノを狩るために。“鋼の戦士”ハガネは正義のために。“きらめきの
魔法使い”マホは平和のために。“守護天使”アンジェは歪んだ愛を導くため
に。“真魔の血脈”マコトは日常生活を守るために。“誇り高き龍”リュウは
傷つけられた矜持の落とし前をつけるために。“無垢なる人形”ドリィは御主
人様のお役に立つために。
どーでもいいが、お前ら。俺達が来るまで【かりそめの姿】のままイカ焼き
だのチョコバナナだの冷凍パインだのオレンジジュースだの飲み食いしながら
待っていたのか。いやまあ確かに、こんなお散歩日和の日に公園になんか来た
ら、屋台で買い食いの一つにも手を出したいところだが、これから生死をかけ
た血戦に赴くんだろうが。なんて緊張感のない連中。
頼もしすぎて、俺の口元に自然と笑みが浮かぶ。
「よう、遅かったのう?」
訳知り顔でロウが俺達をからかう。俺は奴の掌に拳で一撃をくれてやってか
ら、周りを見渡して、
「お前達も行くのか? 彼女の・・・奴の強さはわかっているのだろう?」
「だからこそ我も行くのだ、吸血の者よ」
リュウが余裕たっぷりに笑い、アンジェが誇らしげに宣言する、
「愛ある限り戦いましょう。命、燃え尽きるまで」
「正義は必ず勝つ。たとえ、この俺が倒れたとしても」
ハガネが決意を込めて胸に手を当て、ドリィは無言でこちらを見つめる。
「俺は明日テストなんだ、早く終わらようぜ」
「あたしもまだ宿題が〜」
二人がかりでタコ焼きを平らげ、高校生のマコトと中学生のマホが急かす。
馬鹿な奴らだ。吸血鬼の冷たい心が、こんなとき、とても温かくなる。
「レン」
「ん?」
「俺は、彼女に呑まれる運命なのか?」
ロウのミックスジュースを一口飲ませてもらいながら俺の問いかけを聞き、
「運命は物語を導き、君は物語を紡ぐ」
伝説の住人は楽しそうに歌う。
「運命に従え。さもなくば抗え。選択を為すのは、常に君自身だ」
「ありがとよ。参考になった」
俺は相棒を肩に担ぎ持った。
そんな俺の側にぴたりと寄り添って、“月夜の夢魔”ユメコが甘える、
「ねぇ、ヤイバ。お願いだから、死ぬときはあたしの名前を呼んでね」
彼女の名前じゃなくて。
俺は苦笑して応える、
「ああ。わかった」
「貴方は、あたしにどうして欲しい?」
俺は苦笑を消して答える、
「死ぬな、何があっても」
「・・・ズルい人」
触れ合うだけの、軽い口づけ。
「覚悟はええな? 開けるぜ」
そう一言告げて、ロウが門を押し開けた。中から突風が吹き出し、バアッと
白い花びらの群が視界一面に舞う。ムッとするほど薔薇の匂い。
彼女の好んだ香り。
アレナの中へと足を踏み入れた者から順に、俺達は【魔の姿】を顕にしてい
く。人狼。執行者。魔女。異能者。伝説の住人。降りた天使。竜。自動人形。
吸血鬼、そして、夢蝕み。
最奥部に、清楚な白いドレスの女が見えた。
ヨウコ。“純白の妖婦”。俺の『親』。昔の恋人。
俺達の、敵。
記憶そのままの懐かしい微笑みで、両腕を大きく広げて歓迎の意を示す彼女
に、俺は魔剣の切っ先を向けて。
「役者はそろった。仕掛けも上々。
さあ、舞台の幕を開けろ。
クライマックスの始まりだ!」
・・・・・おしまい。
以上、BBNTで書きたくなったから考えたお話でした。割とあれこれ旧約
が混じっているけど。気にしなーい。
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「今回、DX無印の3作目を投稿するつもりでいたんじゃなかったっけ?」
「ああ」
「どーしてBBNTなの?」
「単なる悔し紛れだ。
6月上旬まで発売日が延びたらしいのでな」
「何のだ。てゆーか理由になってないよっ」
「まあ、完成はしているのだからいつでも投稿できるさ。そのうちUPする」
「そのうちって、いつ?」
「28分割の長編を約30分かけて投稿する気力がわいたとき」
「むしろめーわくだからやめとけ」
333 :
強化人間劇場:2005/05/28(土) 02:34:41 ID:2Yo9yP8j
昼時、輝明学園秋葉原校の学食は生徒で賑わっていた。そんな中、食事を前に手を組む女生徒が、ひとり。
緋室・灯。その向かいでは真行寺・命がうどんを啜っていた。
「――主よ、この食事があることを感謝します」
「ズルッ(うどん飲み込んだ) あれ? あかりんってクリスチャン?」
「――ザーメン」
バフゥ、という効果音と共に、さながらクラッカーから飛び出るリボンのように麺が空中に舞った。
――同時刻、輝明学園武蔵野校・屋上
「……今後のための説明をしておく」
「はあ」
「私のエンディングを迎えたため夜ノ森は力を失っていない」
「そうだな」
「以前ネタで書いたNW2はここが、キモ」
「そうなのか」
「そうだ。そしてもうひとつ、重大な事実が」
「なに」
「屋上入り口には鍵をかけておいた。そして」
「そして?」
「私は今、ぱんつをはいていない」
334 :
強化人間劇場:2005/05/28(土) 02:43:02 ID:2Yo9yP8j
「……おいアンゼロット」
「なんでしょう」
済ました顔で受け答えするアンゼロット。
柊と2人で見ている画面には、夜ノ森・優と天緒・真白の痴態が大写しになっていた。
「なんだこれは」
「キャンペーンの一環です。最近、エミュレイターに色香で惑わされるウィザードが後を絶たないので」
「どんなキャンペーンだよっ!」
「名づけてシモネタ強化月間です。普段から下品な目に慣れておけば抵抗力がつくかと思いましたので」
「……おい」
柊は一瞬眩暈を覚えた気がした。
「どこから突っ込んでいいか判らないほど突っ込みどころが満載なんだが」
「あらやだ、女の子には突っ込めるところは基本的に3箇所しかありませんよ?」
「あああああああっ! それでオチがつくと思ってんのかオマエわぁぁぁぁぁ!!!」
ちゃんちゃん。
>>313 BBNT遊びたくなった。というかクライマックス直前の数シーンかこれ。GJ。
>>強化人間劇場
エミュレイターの色香に惑わされるならウィザード同士で発散すればいいじゃない。
【馬鹿はいいことを言った気になった】
>>313 むう、BBNT最大の売り、OPコミックのエロさを余すところなく表現している!!
ところでまとめサイトはもう更新しないのだろうか……少し寂しい
受難シリーズの連載されてたHPもデリられてるっぽいな
>>337 それはマジかね!
切り札×水晶、まとめサイトに入るだろうからって記録してないよ(TT)。
342 :
くれは陵辱:2005/05/28(土) 23:46:46 ID:7S5TxJWx
今朝からくれはの様子がおかしい。
柊がそう思ったのは、昼休みの事だ。他人にうかつに近寄ろうとしないし、何か顔も赤い。
帰って休んだらといったら、家に帰っても皆休暇をとっているので、誰もいなくて寂しいとのことだ。
放課後になると、顔の赤さはさらに増し、呼吸も苦しそうだ。
「今日は部活止めとけ」
そう言って、くれはの腕を引く。
「うん………」
そう言って、よろけるように歩き始める。
「あぶねえなあ……」
ふらふらとしているくれはを背中に背負うと、柊はくれはの家へと歩き始めた。
「ううっ……」
歩いてる途中で背中からくれはの声が聞こえ始めてきた。
「どうしたんだ?」
「なんでもない……なんでもないから……」
くれはの声は上ずっている。心配そうに見てると、そっとこう耳打ちした。
「柊の背中って大きいね」
「……いきなり何言ってるんだよ!」
「だって……本当の事だもん」
そう言ってぷーと頬を膨らませる。そのしぐさがなんとも言えずかわいい。
「わかったよ。あまりはしゃぐな、風邪悪くなるぞ」
そう言って、柊は顔を真っ赤に染めて歩き始めた。
343 :
くれは陵辱:2005/05/28(土) 23:48:41 ID:7S5TxJWx
赤羽家……。誰もおらず、シーンとしている。
くれははふらふらとしながら自分の部屋へと行こうとするが、
「はわっ!」
バランスを崩し倒れてしまう。慌てて柊が支えるが……間に合わずそのまま庭にある池へと落ちてしまう。
「ご、ごめん柊!」
「いいっていいって」
そう言ってくれはを池から引きずり出す。幸いきれいな池だったので、それほど汚れなかったが。
変えの着替えは無かったので、タンスにあった浴衣を拝借して学生服が乾くのを待つ事にした。
「くれはは着替えないのか?」
「私は……このままで良いから」
濡れた巫女服をそのままにしながら、くれはは顔を赤く染める。
「いや、まずいだろそれは」
「大丈夫だって」
「風邪、悪くするぞ……」
そう言って柊がくれはの巫女服に手をかける。
「大丈夫だから!」
無理矢理、柊の腕を跳ね上げるが、その勢いで後ろへと倒れこむ。
「はわわー!」
柊がくれはを押し倒すような体性になり、巫女服の一部がはばたける。
344 :
くれは陵辱:2005/05/28(土) 23:51:30 ID:7S5TxJWx
「くれは……それ……」
「見ないで!」
肩から胸にかかるように縄がかかっていた。くれはの顔は絶望で青くなる。
「どうしたんだ?」
がたがたと震えてるくれはを起こし、そっと巫女服を戻す。
「言いたくないんだったら言わなくていいんだぜ」
「……少し……興味があったんだ……でも……ごめん……」
泣きながらそう答える。
「ディングレイの時も助けてくれたのに、こんな事いうのも変だけど
お願い……みんなには黙って……」
弱々しくそう言われて、柊は困惑する。そんなこと言いふらしたところで一銭の得にもなりはしない。
「だったら、そのかわりさ……」
くれはに耳打ちする。くれはにはそれを弱々しく頷く事しかできなかった。
赤羽家のお風呂……縄で自らの全身を縛った姿を柊に見せながら、くれはは柊の体を洗う。
股間の物を触って二人して赤くなり、股間のへこみに指を入れられ、くれはが嬌声を上げる。
345 :
くれは陵辱:2005/05/28(土) 23:53:13 ID:7S5TxJWx
縄はすでにくれはの愛液を吸い取り、べちょべちょとなっている。
柊がへこみから指を抜きと、股間にかかっている縄を少し引っ張ると、
ジョロジョロとくれはの股間から黄色い液体が流れ出る。
「ああああっ」
顔を真っ赤に染め、くれはが流れ出る液体と共に快楽の声を上げる。
「いやああああぁぁぁぁぁ……」
だが、縄で縛られた体はもっと強く柊の愛撫を受けたいと筋肉をこわばらせる。
熱いシャワーが二人の体を濡らし始める。
キス。唇同士にキス。そして首筋にも、胸にも、お腹にも……
「だめ……そこは……汚いから」
黄色い液体を出した場所をなめようとして、くれはは懇願する。
シャワーで流されてるとはいえ、顔を真っ赤に染め、恐怖する。
「だったら俺がきれいにしてやるよ」
そう言って舐め始める。唾液がスジを通ってアナルへと伝わっていく。
「はわわわっ」
もはや、頭の中が大混乱し、そのままなすすべも無く、声を上げる。
そしてBlack Out……
くれはが次おきた時、縄は解かれ、かわりにタオルケットが巻かれていた。
巫女服の着せ方を柊が知らなかったのだろう。
だが、知らないうちに柊に体を拭かれたという事実は、くれはの心を熱くさせた。
「柊にだったらなにをされても良いから……だから私が何をしても良いよね?」
疲れきって寝ている柊にキスをして、くれはは柊の横に寝転んだ。
===
陵辱と書きましたが、黒い純愛のほうが合ってるかも……
GJ、だが陵辱じゃないなあ(w
相手柊だし、純愛じゃね?
あんたは嘘つきだー!! …だがGJ!
>>338 マジか!くれはの受難楽しみにしていたのに。
とおもってHP見返してみたら、ジオじゃないか。アダルト禁止のはずなのによくHP設置していたな。
ぐじょぉぉぉぉぉぉぉぉぶ
黒い純愛好きだー。
御免、ちょっとタマり過ぎてるんだ。出させて。
・・・と書くとちょっとエロいな!
↓以下お話を提出。
部屋を間違えただけ。それだけは本当。
ハンターの少年は、獲物を待ち伏せするときのように気配を殺して、宿屋の
一室、物置の中に隠れていた。物置の内側と外側とを隔てる観音開きの薄い木
の扉を通してすら、少年の呼気は外側には漏れまい。ハンターやっててよかっ
た、と心から思ってしまう。
彼女の声が聞こえる。
「明日はいよいよ遺跡に入ることになるのだな」
「イエス、マスター」
「過去との対面、か・・・正直、あまり気は進まないが」
つらそうに、小さい溜息。
「これもシャードの導き。致し方あるまい」
初めて彼女に逢ったとき、なんて美しい人だろうと思った。
綺麗な人だなーとか、可愛い人だなーとか、少年がそういう感想を持った女
性は何人もいたが、美しい人だ、と思ったのは、それが初めてのことだった。
神に連なるいにしえの種族、アルフ。額に無色のレセプター。記憶を奪われ
故郷を逐われた、罪人の証。
だが、それが何だというのだろう。
美しく、賢く、心温かく。
あの人の手を取り、共に歩みたい。アスガルドの探求、この果てしない道の
りを。
それが少年の願いであり、目標であった。
そして今回、遺跡の探索を行う彼女の護衛として、ノルンを介して依頼され
た。彼女が、自分を指名してくれたという。彼女と同じくシャードを持つ、ク
エスターだから、という程度の理由だったのかも知れない。だが少年は、天に
も昇る心持ちだった。
その遺跡は、シャード入りのリアクターのような機能を有しているらしく、
遺跡を中心に半径数キロの円柱状のゾーン内では、リアクター無しでもカバラ
機器が作動する。そのため、遺跡を囲むようにして街ができていた。帝国軍も
この街を拠点に遺跡の調査を行っている。とはいえ、遺跡内の防御機構は未だ
健在で、調査の進み具合は全くもってはかばかしくないようだった。
彼女が何故この遺跡を探索しようとしているのか、少年は知らない。問いか
けても、シャードの導きのままに、としか答えが返ってこなかったから。
たった今、心ならずも盗み聞きしてしまった会話によるなら、彼女の過去に
関わる理由のようだが。
トントン、とノックの音。蝶番をきしませて扉が開く音。それから、この街
まで同行してきたゼネラルマテリアル社のエージェントの声。
「お休みのところを失礼」
「いえ、何でしょう?」
彼女が応じる。
「ようやく例のウィザードと連絡がつきましたよ。明日、遺跡の前で合流する
とのことです。これで調査も楽になるでしょう」
「そうですか。色々とお手数をお掛けして済みません」
「とんでもない、これも仕事ですから。ところで、ハンターの坊やはこちらで
はないようですね?」
ギクリ。物置の中で身を竦める。坊や呼ばわりには腹が立ったが、今は文句
を言える状況ではない。
「いいえ、貴方と御一緒とばかり思っていましたが」
「おかしいな、先に風呂から上がっておいて、どこで油を売っているのやら」
「きっと街に遊びに出られたのですよ、こういう賑やかなところも久しぶりで
すから」
「ま、そんなトコでしょうね。全く、明日の仕事に差し支えなければいいんだ
が・・・。ああ、貴方に言うことではありませんね。長々と失礼しました、で
は、ごゆっくりお休みください」
「お休みなさい」
そう、風呂から上がって、いい心持ちで部屋に入った。自分が置いたはずの
場所に自分の鞄がなくて、あれ? と見回したら、彼女の鞄が目に入った。
部屋を間違えた!?
部屋の外、廊下を歩く足音。彼女の声、彼女をマスターと呼ぶヴァルキリー
の声。
少年は咄嗟に物置に隠れた。直後、部屋の扉が開いた。
「申し訳ありません、マスター。鍵を掛け忘れたようです」
「はは、お前にしては珍しいミスだな。次からは気をつけてくれ」
「イエス、マスター」
素直に謝ればよかったのだ、と気付いたのは、隠れてしまってからだった。
今から出ていったのでは、逆にどんな言い訳も虚しいだけだ。見つからないよ
うにと祈って隠れ続けているしかない。
「荷物を物置に入れてくれないか」
彼女がヴァルキリーに命令する。ぎゃー、やめろ、頼むからやめてくれ!
「ノー、マスター。明日には必要になる物です」
ナイスだヴァルキリー! 少年は、いつもは邪魔にすら思うヴァルキリーを
応援する。
何が邪魔って、彼女と二人きりになるチャンスをことごとくつぶしてくれる
のが邪魔で邪魔で仕方がない。もっと彼女に近づきたいのに、もっともっと彼
女と親しくなりたいのに、もっともっともっと彼女に頼られたいのに、彼女に
近いのも、彼女と親しいのも、彼女に頼られているのも、常に銀色の戦乙女な
のだ。
「そうか? まあいい、わたしは寝る」
「お休みなさいませ、マスター」
『貴方』という二人称で、誰にでも丁寧な言葉遣いで話しかける、彼女が唯
一『お前』と呼び、ざっくばらんに語りかけるのがこのヴァルキリーだ。アル
フにとって、ヴァルキリーは自分達が創ったしもべだから、というより、彼女
が心を許しているのがこのヴァルキリーだけだから、という理由のように思え
て、少年は激しく嫉妬する。
ともあれ、彼女とヴァルキリーとが寝静まったら、そっとここから脱出しよ
う。そう考えて、少年はハッと頭が冷たくなった。
ヴァルキリーって、眠るのか?
戦闘時以外、特に街中では、イメージプロジェクターを使って人間の姿に似
せているので、すっかり忘れていたが。
ヴァルキリーって、寝る必要なんかないのではないか?
むしろマスターの護衛のため、夜を徹して見張り番。そのために、2人部屋
をとって、彼女とヴァルキリーとがここに泊まったのではないか。
ひょっとして俺、下手すると、明日の朝まで、ここに・・・・・?
サーッと血の気が引く。トホホな気分。泣きたくなる。
徹夜は別に構わないが、それで疲れが残ってしまっては、明日、彼女の護衛
に支障を来すかも知れない。何とか、少しでも身体を休めたいというのに。
彼女がベッドに入る音がした。ああ、もう、彼女にさえ見つからなければい
い。ヴァルキリーは、感情が先走らない分、逆に説得が容易かも知れない。彼
女の気分を害さないよう、彼女にだけは内緒にしてくれと頼めば、案外あっさ
りOKしてくれるかも。そうだ、そうに違いない、そうに決まった!
楽観視。むしろ希望的観測。そう自覚しながらも少年は、他にいいアイデア
もないため、とりあえず彼女の寝息が聞こえるまでじっと待つことにした。
扉の隙間から物置の内側へ漏れこぼれていた光がフッと消えた。部屋の灯り
が落とされたのだろう。それでも少しは明るいのは、月の光が入っているから
だろうか。
深い溜息が聞こえた。寝返りをうつ衣擦れ。それが暫くの間隔をおいて何度
か繰り返される。少年が感じとる彼女の気配は、目を覚ましている者のそれ。
眠れないのだろう、きっと、忘れ果てた過去を目の前にしたせいで。
暇に任せて、少年の脳裏にとりとめのない思いが浮かんでは消える。今回の
旅路のこととか、この前の狩りのこととか。
アルフの娘を恋人にもつ先輩ハンターに、同期のハンターが酒の勢いでこん
な台詞を吐いたこととか。
「アルフってな巨人なんでしょ? どこもかしこもでっかくて、アソコなんか
ガバガバでしょーに、ええ? どこがイイんスかぁ?」
無礼な野郎は拳の一撃で床に沈み、先輩ハンターはニヤリと笑って言った、
「女がでけぇ? は! てめーのがちっちぇだけだろーが」
「ん・・・」
回想の台詞が、現実の声に中断される。
「ん、は・・・あっ」
理解する前に、ドキンと心臓が跳ね上がる。
微かに甘い声。乱れる呼気。不自然な衣擦れの音。
まさか・・・。でも、すぐ側にヴァルキリーがいるのに? ひょっとして、
ヴァルキリーと!?
物置の扉、僅かな隙間から外を透かし見ると、窓辺に背の高い人影が、じっ
と立っている。あれはヴァルキリーだ、とすると。
ベッドの上で横になっている人影が、寝返りとは異なる動きをしている。
アルフも・・・彼女も一人エッチをするんだ。
新鮮な驚き。それ以上に、少年の心が波立ち騒ぐ。
覗いてはいけない。流石に理性が優って、少年はバッと目を逸らした。
聞いてはいけない。彼女に悪い。彼女の声は本当に小さい、耳をふさげば簡
単に聞こえなくなる。だが、わかっているのに手が動かせない。どうしても、
その声を、その音を、強く強く意識してしまう。
「あ、ん・・・はぁっ」
一人エッチしている自分をさらけ出せるほど、彼女にとってヴァルキリーは
信頼できる存在なのか。嫉妬がまるで鋼の糸のように、少年の心をギリギリと
縛り上げていく。
「は・・・ふ、ぅっ・・・は・・・」
彼自身が痛いほど強張っている。頭が、身体が、カアッと熱を帯びる。自分
で自分を慰められれば少しは楽なのだろうが、そうもいかない現状では、我慢
すればするほど苦しさが増していく。
「く・・・っ」
ダメだ、このままでは気配を殺しきれない。自分がここにいるのだと、彼女
に知られてしまう!
嫌われるだけなら、まだいい。
一人エッチの現場を男に覗かれた彼女がどれほど傷つくか、考えるだけでも
恐ろしい。
ガンッ!
物置の扉に何かがぶつかった音。少年はギクリと身を縮める。それが逆に、
彼を冷静にしてくれた。呼吸を整える。気配を殺す。
部屋の中を移動する足音。ヴァルキリーが歩いているのか。先ほどの音は、
彼女が物置にぶつかった音なのだろう。
「つらいのですか、マスター」
「・・・こんなことで自分をごまかすのは、よくないとはわかっているのだが
・・・つい、な」
自嘲の声。
「そんなことはありません。人として、自然なことです」
「そう、だろうか」
「少しばかり、お手伝いします」
お手伝い? 少年の頭に疑問符がわく。
躊躇うような沈黙の後。
「・・・頼む」
た、頼むって、何を?
「ああっ!?」
「マスター。声が大きいですよ」
「す、済まな・・・う、あっ」
何が起きているのか完全に理解した少年の頭の中で、リアルすぎるぐらいに
想像の、いや、妄想の光景が展開する。手伝っているのだ、ヴァルキリーが、
彼女の、マスターの一人エッチを。ミスリルの繊細な指を、彼女の身体に添え
て、滑らせて。既に『一人』エッチとは呼べないだろうが、少なくとも彼女達
二人はそういう意識で。
聞こえてくる声も、呼気のはずみも、衣擦れの音も。先程のものとは比べも
のにならない淫靡さで、少年の心を侵していく。
「く、ふ、・・・ん、うっ、はぁっ」
声を抑えるために、彼女は多分、口元を押さえている。
冷たいはずのヴァルキリーの手は、彼女の体温を得て温まり。
その指先は、彼女の胸の尖りを転がし。
下腹部の茂みに隠される敏感な芽を、そっと撫であげて。
どうして俺はこんなところにいるのだろう。少年は混乱する。彼女の側にい
たいのは、俺の方がよほどなのに。
彼女の唇は甘いだろう。俺を痺れさせるほどに。
彼女の胸は柔らかいだろう。俺をとろかせるほどに。
彼女の中は熱いだろう。俺を、天の高みへ駆け昇らせるほどに。
「は・・・ぁ」
少年は苦しい息を吐き、胸元を緩める。胸が締め付けられる気持ちは、衣服
のせいではないのに、そうしないではいられなかった。
どうして、俺はこんなところにいる?
どうして、彼女に何もしてやれないでいる?
過去に怯えて悩む彼女を、俺が、この俺が慰めてあげたいのに!
「ん・・・・・!」
ひときわ激しい気配。
達したのだろうか、彼女。俺の腕の中でなく。ヴァルキリーの手によって。
荒い呼吸が、徐々に治まっていく。それにつれて、少年の中の猛りも、少し
は楽になっていった。
「大丈夫ですか、マスター」
衣擦れ。彼女は頷いたのか?
「もう、お休みください。朝までは、何も考えることなく」
「そうだな。・・・・・ありがとう」
気が楽になったのか、それとも疲れたのか。やがて彼女の健やかな寝息が、
少年の耳に届いた。
よかった。彼女、眠れたんだ。少年はホッと胸を撫で下ろす。
キィ。
声を出さずに済んだのは、驚きすぎて硬直したから。
物置の扉は左右に全開。冷たいほどに、ヴァルキリーの瞳が少年を見下ろし
ている。
顎を動かすだけで、出ろ、と命じる。言うことを聞くほかない。少年は素直
に物置から出て、無言のヴァルキリーに追い立てられるまま、部屋の外へ出さ
れた。
一言、あるかと思ったが。少年の背中で、扉は閉まった。
あのヴァルキリー。まさか、最初から俺がいることに気付いていた?
彼女のために、それを黙って?
そういえば、物置に荷物を入れるよう彼女に言われたときも、ヴァルキリー
は断ったのだった。そして、あのとき物置の扉を叩いて。
何も知らなければ、彼女が。マスターが傷つくことはないから。
自分にあてがわれた宿泊室に戻ると、隣のベッドでエージェントがいびきを
かいていた。
誰も知らない。何も知らない。
ただ、少年と、あのヴァルキリーの他は。
翌朝、朝食を摂りながら彼女とエージェントとが本日の打ち合わせをする、
その間に、食事が済んだ少年をヴァルキリーが目線で食堂の外へ連れ出した。
殺されるぐらいの覚悟は、少年にはあった。ただ、せめて最期に、今回の任
務だけは全うさせてくれと、頼み込むつもりだった。
ヴァルキリーの台詞は簡潔だった。
「貴様を信じる」
「え?」
「貴様の、マスターへの想いを、私は信じることにする」
夕べのことを、例えば少年が誰かに言い触らすような真似をしない、と。
夕べのことで、例えば少年が彼女を脅すような真似をしない、と。
言葉もなく、少年は頭2つ分は背の高い戦乙女を見上げる。
「マスターが、貴様を信頼している限りは」
少年の心に刻み込まれる、ヴァルキリーのマスターへの気遣い。
ヴァルキリーを介して知った、彼女からの信頼。
ああ。裏切るわけにはいかない。彼女を、彼女らを。
いにしえの神々に誓って。このシャードに懸けて。
俺は、二度と彼女を裏切らない。
「ありがとう」
少年の言葉を、ヴァルキリーは無視したように見えた。でも、そうではない
のだと、少年は知っていた。
食堂から、彼女とエージェントが出てくる。
彼女が二人を呼んだ、
「すぐに出発しましょう」
「イエス、マスター」
「ああ、わかった」
そして少年は、彼女を護る不可侵の楯となった。
・・・・・おしまい。
以上、1.5が出る前にアルシャードで書いてみたかったから考えたお話で
した。アルフを出すことに決めた瞬間、真っ先に思いついたのが暴走したヴァ
ルキリー×アルフ、次に思いついたのがフォモール×アルフという、どっちも
陵辱物だった、とゆーことは頼むから内緒にしといてください。
ちなみに、普通にハンター×アルフにしなかったのは、作中でもネタにしま
したが、ガバガバだったら困るなーと思ったからだ! わはははは!
てゆーかサンプルのアルフっ子は女子って認識でいいんですよね? ヴァル
キリーは女じゃないし、とするとサンプルで完全に女性ってわかるのは、ウィ
ザードとエレメンタラーだけ? 数からすれば、ジャーヘッドの中身はおねー
ちゃんか?
ところで私は基本ルールブックしか持っていませんので。それ以外の知識の
間違いにツッコミ入れられても対応できません。悪しからず。
ちなみに現在、投稿待ちのお話は、DX無印3本目、アルシャード(各小説
形式)、黒皇子、及び天羅(各いつものふたり形式)の4本ですぅ〜。
刮目しないで普通に待て! 待たれてなくても投稿するがな!
乙、燃える誓い&少年萌え。
すいません、アスカが少し壊れてます。
「麗しき処女よ………我が元へと来ると良い……」
アヤカシがそう言って、アスカに逆らいがたい言葉を言う。
「処女……あなた達そういうのが好きなの?」
「この薄汚れた町で純潔の処女だという事が珍しい…我もそれを欲している……」
「奴の言葉に耳を貸すな!」
カイルがそう叫ぶが、アスカの耳にそれは届かない。
「そうだ……御主の命は私にささげる……」
「彼氏いない暦1×年で悪かったわねェェェェ!」
叫び声をあげてアスカがBMを準備する。
「気になる奴は剣にバディを仕掛けてそれにしか話さなくて、最低限の
どんかんで………完全な純潔が良いなんて!!!このやろぉぉぉぉぉぉぉ!」
BMの銃弾がうなりアヤカシの体を貫いた。
『娘?』
クロイツェルが恐怖の為にアスカに質問を投げかける。
「なんでしょうか?クロイツェルさん」
笑いながら言うアスカにクロイツェルはびくっとした時に、カイルが聞く。
「その好きなのって誰なんだ?」
「わからないんですか?カイルさん……」
そう言って、カイルを押し倒す。
「私が好きなのはカイルさんです」
そう言って、アスカはカイルのほっぺたにキスをする。
「まっ待てッ!いくらなんでも………」
「はずからしがらなくても良いんですよ……」
「クロイツェル!何か……」
『恋愛の関係は二人っきりで話す事にある。老人はしばし引かせてもらおう』
そう言って影の中に消えるクロイツェル。
「こら待て!!」
「カイルさん……私の全てを見てください……」
そう言って、ブラックハウンドの制服を脱ぎ始めるアスカ。
「やめろ!」
そう言って、ほっぺたを強く叩く。アスカは正気に戻って、ようやく自分が何をしているのか理解する。
「ごめんなさい………」
そう言って、服で自分の上半身を隠す。
「でも好きなのは本当です……」
そう言ってアスカは顔を朱色に染めた。
△■▽
すいません、ここまでです。
…まとめて感想出してみる
>>BBNT
遅レスだがGJ!
次はレンこと混沌の監視者の話が読みたい
つーか「3歳児ゆーなっ」に萌えた
お陰でブギーっぽかったのが可愛くみえちまったじゃねえか…GJ!!
>>強化人間劇場
相変わらずいい仕事してますね〜
ってか、無垢な強化人間たちに何しこんどるんですか軍曹w
>>くれは陵辱
イイヨイイヨー
とってもエロいよー
柊×くれはとは思えないぜw
>>アルシャード
エエエェェェェこれでお終い!?
ツヅキマダーチンチン(AAry
>>N◎VA
イイヨイイヨー
こういうラブコメ調は大好きだ〜と叫んでみる
ブラックハウンドの服を着なおして、アスカはカイルに向き合う。
「やめとけ」
そう言って、カイルはくるりと後ろを振り向く。
「………そう、ですか……」
涙、アスカの目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「無口で、無愛想で、人付き合いの悪い奴だ。付き合っても良いことは無い……」
そう言って、歩こうとする。
「でも……何度も助けてもらって……そのお礼がしたいんです」
そう言って、カイルを後ろから抱きしめる。
『カイル、か弱い乙女を泣かすものではない』
クロイツェルに言われ、カイルは仕方なく、アスカの方を向く。
びくびくと震えながら、アスカはカイルにキスをした。
カイルは黙ったまま、アスカのかほそい体に手を回す。
暖かい。クロイツェルやアルドラと違い、暖かさを感じる。だが……
そっと、アスカの体を離す。
「……悪いが次の仕事があるんだ……。また会えたらな」
「そう……ですか。わかりましたでも…」
涙を拭いて、アスカが答える。
手をつないで歩く男女。一人はチャクラに一人はイヌ。
常春にして背徳の町、トーキョーN◎VA。
これは、そこに咲いた小さな恋物語。
■△■
これで終わりです。実はこういうラブコメ好きだったり。
だまされたぁーっ!
>366
さささ3歳児にナニをさせよとゆーのかアンタわっ!?
そうか、そーまで言うなら致し方あるまい。リクエストは何だ? レン受け
か、レン攻めか!? そして相手は誰にする!?
・・・えーと。取り乱しまして申し訳ない。
“混沌の監視者”レンを気に入っていただいてありがとうございます。私も
「3歳児ゆーな」のシーンは書いてて楽しかったので萌えていただいて嬉しい
です。
ただ、BBNTの続編は、ぶっちゃけ今日までに3本〜4本作って全没にし
ている難産状態なので、ちょっとご要望にお応えできる自信がありません。期
待しないで気長にお待ちください。
#何でこうも書きづらいのかな。キャラが気に入りすぎて逆に上手く動かせな
#いのかな。
それからアルシャードの方、このお話はこれでおしまいです。続編の予定は
全くありません。別のキャラのお話でよろしければ、そちらの投下をお待ちく
ださい。
370 :
366:2005/05/31(火) 19:35:16 ID:8zaI1Rwm
>369
いつものふたりの人でしたかw
あれも楽しく読ませてもらってます…
ええ、期待しないで楽しく待ってます…
(´-`).。oO(…ただ、自分でもふと思いついてしまったから、自分で書いちゃうかも…)
あと、萌えたのが
>誰か死霊課の連中にネーミングセンスを分けてやってくれ
このくだりだったりするw
…って事でこれで一つネタを思いついたので投下してみます
371 :
366:2005/05/31(火) 20:31:55 ID:8zaI1Rwm
俺は吸血鬼“宵闇の探偵”名はヤイバ。
一応、歴とした【人の名】も【魔の名】も持っているが、
こいつが通り名になっちまっていて、最近はこいつで通している。
…何故ヤイバと言うのかは、俺が魔剣持ちだからと言うのが理由だそうだ。
ちなみに名づけたのは警視庁死霊課、飄々とした室長と壊滅的なネーミングセンスで有名な
日本有数の魔獣や半魔の騒乱に対応する組織だ。
さて、そんな俺が昼間、事務所でうとうとしていると(半魔や魔獣は夜が主な活動時間なのだ)
…妙な、夢をみた。
「…ヤイバや、ヤイバ」
誰かに、呼ばれた俺が目を開けると…そこは表現するのも難しい世界が展開されていた。
有体に言えば、寝ぼけた幼稚園児が描いた落書きのような風景が広がっていやがった、
しかもそこに居た、俺の名前を呼んだと思う奴が居た。
フゥーフゥーと荒い息をしているランニングシャツとステテコを着た、ハゲで無精髭を生やしたデブが。
思わず、魔剣を取り出して斬ろうかと思ったが、一応何者か聞いてみることにした。
「…お前は、何者だ?」
するとその怪しいデブはこう答えた。
「わたしは(フゥー)貴方が(フゥー)使っている(フゥー)魔剣です(フゥー)」
372 :
366:2005/05/31(火) 20:32:48 ID:8zaI1Rwm
「ちょっと、待て」
思わず俺は突っ込んだ。
「お前のどこが俺の魔剣なんだよ!!」
「全部ですが、何か?」
「どう見たってアヤシイデブじゃねえか!」
「失礼な」
フンッ!と、荒い鼻息を吹いて、胸を張る(自称)魔剣。
…あ、デベソが見えた…
373 :
366:2005/05/31(火) 20:33:48 ID:8zaI1Rwm
「…どうしました、あらぬ方向を見て、まるで現実逃避しているみたいですね?」
「…みたいじゃなくて、実際してるんだよ!!」
俺の怒りを理解したのか、この(自称)魔剣はすまなそうな顔をして縮こまった
「…申し訳ございません、ヤイバ。お詫びにこの先の事を教えてさしあげましょう」
「…お前、そんな事ができるのか?」
この怪しい(自称)魔剣が予言ができるなんて信じられん…
そこで、俺は試しに将来を聞いてみることにした。
「じゃ、これから先も、俺は売れない探偵で、金にもならない事件に巻き込まれる運命なのか?」
「ま〜ね」
鼻くそほじりながら、そう答えた(自称)魔剣に対して俺は…拳を振り上げた。
「あ、待って!『血の暴走』は痛い!痛いってあgwlxせrpgふじこ@」
374 :
366:2005/05/31(火) 20:34:18 ID:8zaI1Rwm
「ゴメンナサイ、お詫びに願い事を一つ叶えます〜」
ボコボコに腫上がった顔をした(自称)魔剣が情けない声でそう言った。
「…いいよ、もう当てにしてねえし、別に願い事なんてねえし…」
半眼で(自称)魔剣を見ながら、俺はとっととこの下らない夢から目覚めたいと思っていた。
「いえっ、是非っ、是非っ!汚名挽回をっ!!」
…鼻息荒くして、ムサイ顔を近づけるな、それに汚名は挽回するもんじゃなくて返上するものだ。
俺はそう思ったが、余りにも熱心な(自称)魔剣をみてつい気の毒になってこう言った。
「…じゃあ、あのネーミングセンスが死んでいるどころか腐乱している、
死霊課の連中に真っ当なネーミングセンスを…」
「ゴメン、それ、無理」
と、全部言い切る前に爽やかな笑顔で言い切った(自称)魔剣に対して俺は再び拳を振り上げた
「あ、まって、『血の暴走』は1シナリオに1回じゃ…何ですか、その爽やかな笑みは?!
ちょっと待って、どっからAGPをっ!?…死ぬ、死ぬ!あヴぁrymg@・fkdふじこ;wr」
そして、俺は『血の暴走』に『死者の微笑み』を乗せた連撃を(自称)魔剣に叩き込んでやった
375 :
366:2005/05/31(火) 20:46:38 ID:8zaI1Rwm
「…ヤイバ、ヤイバ」
名前を呼ばれて目を開けるとユメコの顔が直ぐに目に飛び込んだ
「…ンァ、ユメコ、か?」
「…もう、何寝ぼけてるのよ」
呆れたようなユメコの声と、慣れた椅子の感触が俺があの妙テケレンな悪夢から帰ってきた事を教えていた。
「どうしたの?なんか、グッスリ寝ていたと思ったら、いきなりうなされ出して」
「…ちょっとした、悪夢をな…」
悪夢というのも微妙な夢を思い出して苦笑する俺を見てユメコが
「どんな夢?」
と、聞いてきた。
流石にあんな巫戯けた夢を言うのを躊躇った俺は誤魔化す事にした。
「…それより、ユメコ。もしかして、俺の寝顔をずっと見ていたのか?」
「ウン」
嬉しそうな顔をして即答するユメコを見て、俺はため息をついた。
「…男の寝顔なんぞ、見たって面白くないだろ」
「あら、いいじゃない。いい男の無防備な貌(かお)を見るのは女の特権よ」
そう言って、クスリと笑うユメコを見ていると、視線の端に傘立てに入れておいた、魔剣が目に入った。
……何故か、くたびれた様に見えたのは気のせいだろう…きっと。
376 :
366:2005/05/31(火) 20:50:48 ID:8zaI1Rwm
…オシマイ
お目汚し失礼しました…
元々、ヘルシングのアレのネタをやりたかっただけなのに…
…気がついたら、結構な長さ…
…シカモ、エロねえし…orz
半年修行してきます
λ。。。。。。
ヤイバと聞くと、「コナンの前の奴か」と思ってしまう俺は負け組。
GJ!GJ!十分オモロイですよ。
ところで…
なぜ、そこで魔剣の姿を美幼女にするよー願わないっ!?
【馬鹿は的外れな怒りを爆発させた】
>>377 俺全然その辺詳しくないけど
当たり玉が出て「ハズレか」とか言ったり萌えソルジャー4体に全くいいところが無かったり
その技は修羅の如く研ぎ澄まされたはずの小次郎が1コマで敗退したり
木刀から重力弾出す元鬼のハゲライバルがいたりするアレのことですか?
>379
日本国を乗っ取るアレですよ。
いつもの二人の中の人がいらしていたようなので、ちょっとパクリネタで。
アリアンEXのショコラネタ。
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「アリアンロッドEXの『ショコラの恥ずかしいヒミツ』だけどさ。」
「ああ」
「あれって一体なんだったのかな?」
「ん。一番考えられるのはネーちゃんハーちゃんとの3Pだろな。」
「はあ!?」
「魔封じの霧は、魔族を拒むだけじゃなくて体の調子も色々とおかしくするんだよ。
それでショコラが発情して二匹とも喰っちゃったんじゃないの?」
「いや、あの」
「二匹とも骨だらけの癖に何故か股間には立派なのをはやしていて、
ネーちゃんの上にまたがってくわえ込んでから、アナルにハーちゃんのをくわえ込む。」
「おーい?」
「いや。ハーちゃんを下でくわえ込みながら、ネーちゃんのをしゃぶっても良し。」
「人の話を聞けー! そこまでやばい話をしたかったわけじゃないよ。
彼氏とのラブラブの思い出とか、そういう話題を振りたかったのに。」
「まあ落ち着け。そういえば、恥ずかしいヒミツというと、何かを思い出さないか?」
「えっ。えーっと柊蓮司?」
「そう。シグがクレバー先生だし真っ先に思い浮かぶよな。最近のあいつゲームの枠関係ないし。」
「そりゃあ節操なくいろんな世界に現れそうなイメージがあるけど、ま、まさか?」
「そう。アンゼロットの柊蓮司砲で射出された柊はエリンディルにたどり着いて居たんだよ。」
「ちょ、ちょっと待てー。」
「砂漠で当てもなく干からびかけた柊蓮司。そこを通りがかったショコラ。
面白そうなので拾って面倒を見て、いつしか二人の間にはいい雰囲気の空気が。」
「そ、そんなご都合主義でいいの?」
「柊の場合、不幸と言いながら女運だけはあるしな。アンゼロットとベルの二人に
追いかけられるのは今のところあの男だけだ。」
「でも、柊だってウィザードだし、いろんなところで女に騙されてるし、
そんなに簡単にいい雰囲気になるかなあ?」
「もちろん、最初はショコラも柊を利用するだけだろう。でも魔族とは言え年頃の女の子。
そばに居る年齢の近い少年に惹かれる事はあると思わないか?」
「んー。それはあるかもしれないけど、じゃあショコラのほうから迫るわけ?」
「ショコラにもプライドがあるから、エイジにやったみたいにバスタオルだけで
迫るとかはやるだろ。でも、結局経験が無いから、最後の一線で戸惑うんだな。」
「そこで攻守逆転するわけ?」
「その通り。ある意味、百戦錬磨な柊だからな。主導権をとったら、処女だろうと優しく
逝かせること間違いなし。」
「不幸と受けキャラってイメージがあるけど、魔剣使いらしい攻撃力も見せると。」
「もちろんショコラを逝かせるためにはプラーナだろうとフェイトだろうとつぎ込むだろうな。」
「じゃあ、それで柊に目茶目茶に逝かされまくったときの記録なのかな。」
「妖精の反応を考えると、それはそれでありかもしれないけど、ショコラも魔族だし、
その程度のエロエロで恥ずかしがるか?むしろ、それを使って相手を堕落させるくらいのことは
やるとは思わないか?」
「じゃあ、あのペンダントの中身はなんなの?」
「そこが問題なんだが、単純なエッチの記録は考えにくいと思うんだ。」
「ありきたりすぎだもんね。でも、柊がらみの何かって線で考えてるんだ。」
「その通り。柊もファー・ジ・アースに帰るときが来るだろ。ショコラは4.5話では一人だったし。」
「そうなると帰るときに記念の何かを欲しがるかもね。」
「でも柊に渡せるものがあるとも思えないし。」
「そこを考えると、柊との2ショットか何かだと思うんだ。でも、エイジに見せたくなくても
他の人間にまで見られたくないほど深刻かって言うと疑問でなあ。」
「じゃあ、きっとショコラのほうからキスしてるんだよ。初々しく、頬を真っ赤に染めて。」
「馬鹿野郎。そんなので見せたくないほど恥ずかしい写真になるかよ。」
「いや、裸とかエロも恥ずかしいけど、あの手の青春の過ち写真は後々心の恥部になるぞ。
最初はそれほどじゃなくてもじわりじわりとボディーブローみたいに効いて来るって。」
「そうか?」
「ほら。初恋の人にドキドキした気持ちを日記とかに残してるのを考えてみなよ。
後からポエミーな日記を読むと燃やしたくなるくらい後悔するわよ。」
「くっ。それは否定できない。」
「ってわけで、ショコラのペンダントの中身は柊にキスするショコラの写真で決まり。」
「良いのか?それで本当に良いのか?」
「どうせ本編で正解が明かされることは無いからそれでいいのだ。私と君の間では
それが正式解答ってことで決まり。ねっ。」
「いろんな意味で嫌すぎだー。」
386 :
381:2005/05/31(火) 22:57:38 ID:ntXTXnm6
ああ。やっぱりエロが無い。
エロ方面は、今構想中のベル×柊もので。
いかん、萌える。確かにあやつ女運だけは有る。女難とセットではあるが。
>371 >382
いや、まあ、朝っぱらからこのスレ覗いた私も悪いんですけどね。
今日は体調を崩して会社を休んだんですよ。本当に。
勘弁してー! 笑けて笑けて寝てられへんやんかー!w
かくして拡がっていく創作活動の輪。お二人様、GJでした。
・・・《永劫より》。
【真の死】から復活した俺は、肉塊としか言い様のない敵の死体の上に乗っ
て遠吠えをしている人狼を見た。“法の番犬”ロウ。奴がトドメをさしたらし
い。
「《超魔の命》を使われると厄介よねー。あー、疲れた疲れた」
手をぱたぱたさせて自分を扇ぎつつ、夢蝕み“月夜の夢魔”ユメコが【かり
そめの姿】に変じつつ俺に近づいてきた。
「大丈夫? ヤイバ」
「ああ。何とかな」
俺は身体を起こす。
薄汚い路地裏のアレナ。探偵の仕事として迷子の猫を探していた俺と、最近
エサをやっていたお気に入りの野良猫を殺されたユメコと、不穏な魔物の噂を
捜査していたロウと、それから奈落に冒されたモノを狩りに来たレンとが一堂
に会して、堕ちた鬼・餓鬼を退治した。そのとき、魔獣化した直後に《律の破
壊者》を乗せた餓鬼の一撃を喰らって、俺は、多分一瞬のことだろうが、気を
失っていたらしい。
俺は魔剣持ちの吸血鬼、“宵闇の探偵”ヤイバ。この戦いもまた、昼と夜と
の境目を歩く俺や他の連中にとっては、ありふれた事件の一つに過ぎない。
「あれ? 俺の魔剣・・・?」
手元に強烈な寂しさ。どうやら餓鬼に吹っ飛ばされたはずみで魔剣を手放し
てしまったらしい。
周りを見渡すと、意外に遠くに魔剣が転がっていた。それを、その場にしゃ
がみこんでじ〜っと見ているレン。伝説の住人“混沌の監視者”。見た目は大
人、頭もよく、実は3歳児という、たまーにとても扱いに困るお子様だ。生ま
れて間もない半魔は、通常、新宿の鳴沢学園で人間社会の常識を学ぶが、レン
に関しては何か委細あったらしく、人狼のロウが引き取り、養育している。
「おお、済まんがレン、そいつを取ってくれんか」
「わかった、そういうことなら」
下を向いたまま小さく応えるレン。・・・俺の声に応えた、わけではないよ
うだったが・・・・・? とりあえずレンは俺の魔剣を拾って立ち上がった。
そして。
「ユメコ、一つお願いがあるのだが」
「あたしにできることなら」
「《歪曲する真実》を使って欲しい」
へ? 何を言ってやがる? ここには記憶を消さにゃあならんようなアンノ
ウンマンはいないだろうが?
てゆーかユメコは《歪曲する真実》を持っていないはずだが。
「お安い御用よ、どんな事実を隠蔽するの?」
ユメコは安請け合いして頷く。って、ええっ? おい?
レンは、はっきりと言った。
「この魔剣が人化できないという真実を」
「りょ〜かいっ」
了解って、おいっ!?
「《歪曲する、しんじ〜つ》。この魔剣が人化できないという真実を隠しちゃ
え〜」
TVに出てくる魔法少女みたいに可愛こぶったポーズを取って、魔物の力、
デーモンしての最大奥義をユメコが解き放つ。
ぴんぴょろぱらぽろすぺ〜ん。
異様な効果音が響き、そこには。
「なあ。ユメコ」
俺は冷静に喋っていた。
いや、正確には、パニックを起こすことすらできないほど非現実的な状況に
遭い、表面上は冷静な状態を保っている、というべきか。
「お前、《歪曲する真実》なんて持っていたのか?」
「こんなこともあろうかと、今朝、《悪の華》と入れ替えておいたの」
何でそんなにフレキシブルなんだデーモン/スピリット。
「ロウ!」
『そいつ』を隣にしたまま、どこか甘えた口調で伝説の住人が狼男に呼びか
ける、
「これに・・・いや、もう『これ』呼ばわりは失礼だな、この人に名前をつけ
てあげてくれないか?」
「あ〜ん?」
ロウが敵の上から飛び降り、上から下まで『そいつ』を眺め渡して、暫し熟
考、お国訛りで答える。
「ツルギ、っちゅーのはどないじゃ?」
「それは格好いいな」
ぽん、と手を叩き大いに賛同するレン。『そいつ』も嬉しそうにニヤニヤし
ている。
思わず俺は怒鳴った、
「そのネーミングセンスを何とかしろ死霊課ぁ! 『そいつ』のどこ見て『ツ
ルギ』だぁ!」
「普通じゃろ? 魔剣じゃし」
「魔剣じゃしも何もあるかぁ!」
フゥーフゥーと荒い息をしているランニングシャツとステテコを着た、ハゲ
で無精髭を生やしたデブ。そいつがデベソであることを、俺は既に『知ってい
る』。一見して、否、二見しようが三見しようが、ツルギ、即ち『剣』なぞと
いう鋭い印象はカケラも存在しない。そいつの背後の景色だけが、隣のレンの
背後の景色とは全く異なって、寝ぼけた幼稚園児が描いた落書きのような風景
に見えるのは、果たして俺一人の錯覚だろうか。
・・・夢だったはずだ。あれは。
夢であったはずなんだ。
午後の微睡みに垣間見た悪夢であったはずなんだ!
「あら、夢なんかじゃないわよ? 試しにつねってあげましょうか?」
俺の考えを読んだかのように、いやに楽しげにユメコが言う。彼女の通り名
は、言わずと知れた“月夜の夢魔”。
「いいじゃないの。割とその辺にいそうで、実はそんなにいないような、変な
おじさんって感じで」
それの何が『いいじゃないの』なのか、あとでたっぷりと聞かせてくれ、ユ
メコ。
俺は改めて(嫌々ながら)『そいつ』に目をやった。
ランニングシャツをめくりあげ、腹毛のモジャついた醜悪な三段腹をボリボ
リと掻きむしっている俺の魔剣、だったモノ。この涼しげな夜に、ダラダラと
汗をかきまくっている俺の魔剣、だったモノ。
・・・・・最悪のナイトメアだ。
実行犯はユメコだとしても、主犯は。
「レェェン! どういうことだこれはぁ!」
「先程、魔剣が私に話しかけてきたのだ。自分はしがない魔剣に過ぎないが、
だからこそ、いつも大事に使ってくれている我が主に、礼の一つもしたいと」
悪びれるどころか、むしろ誠実な表情。・・・歴史の監視者は、他人の魔剣
の言葉を解する能力も持つのだろうか?
「礼だとぉ?」
俺の魔剣、だったモノは、明後日の方向へフラフラ歩いていった、かと思う
と、路地に落ちていたエロ本を見つけてそいつにガバッと飛びかかった。不気
味な半ケツ状態で、全裸のねーちゃんのグラビアを熱心に眺めふけっている、
これのどこが『礼の一つもしたい』奴の態度なんだ?
レンは続ける、
「しかし自分には何の力もない、せめて人化の手段があれば、と嘆いていたの
で、私が一計を案じ、ユメコに頼んだというわけだ」
「でも凄いわよねー」
ユメコが感心する、
「人化できないという事実を隠蔽したら人化できるようになる、なんて。あた
し、《歪曲する真実》がそんな使い方もできるなんて考えもしなかった。本当
に発想が柔軟だわ。流石ね、レン」
大いに褒められてレンがえっへんと胸を張る。
発想が柔軟、だって?
発想がブッ飛んどるとゆーんだ、そーゆーのは!
「ンで、ヤイバや。どのようなお礼がお好みでしょう」
俺の方をお座なりにチラッと見て、またエロ本に目を落とし、あまつさえ自
分のイチモツをゴシゴシしごいている俺の魔剣、だったモノ。ただでさえ聞き
苦しいフゥーフゥーという荒い息が、どんどん激しくなっていく。
《弱点看破》。俺の拳に《血脈付与》。あらん限りの力で殴打。顔から地面
に沈む俺の魔剣、だったモノ。
「い。痛い・・・・・」
「痛くて結構! 生きてる証拠だ!」
「よくある台詞じゃが、イモータルが言うと微妙に皮肉じゃのう」
ロウが妙な感想を口にした。
「俺の願いは唯一つだ、とっとと消え失せろ!」
「お世話になりました、ではさようなら」
「わー、待て、そーゆー意味じゃなーい!」
どこに持っていたのか唐草模様の風呂敷包みを首に巻き付けてあっさり去ろ
うとした俺の魔剣、だったモノを引き留め、
「とっとと元の魔剣に戻れと言ったんだ!」
「え〜? そんなぁ〜」
「魔剣は人化するな喋るな知恵つけるな大人しく振り回されてろ!」
「だって私、一旦人化すると、元の魔剣には戻れないんですよぅ」
・・・・・・・・・・。は?
ユメコが納得する、
「そーよねー。元々人化できなかったものを、《歪曲する真実》で強引にでき
るようにしたんだから。元に戻る方法を知らなくて当然よねー」
こくこく、と頷く俺の魔剣、だったモノ。余りに可愛くなさすぎて、むしろ
哀れなその仕草。
HAはHAでしか打ち消せない。
《永劫より》。《滅びの霧》。《剣魂一擲》。俺のHAに《歪曲する真実》
を打ち消す力はない。
《死に至る病》。《世界霊魂》。《歪曲する真実》。もう一度ユメコに《歪
曲する真実》を使わせれば《歪曲する真実》が歪曲した真実を元の状態に歪曲
(ええいややこしい!)することはできるが、その《歪曲する真実》を、ユメ
コは既に使ってしまっている。
《獣の盾》。《復讐の爪》。《フルファイア》。ロウのHAも、やはり《歪
曲する真実》を打ち消す役には立たない。
《伝説の証明》。《遠くからの声援》。《裁きの光》。
こそこそとロウの背中に隠れて、そーっとこっちを見ているレジェンド/セ
レスチャル。
「レ〜ェ〜ン〜?」
俺は可能な限りにおいて優しく優しく声を掛けたはずだ。なのに何でそんな
に怯えた顔をしている? “混沌の監視者”ともあろう者が。
ロウが俺を抑えるように、
「まあまあヤイバ、済んでしまったことは仕方がないじゃろう」
「仕方ないことはないぞぉ? レンが《遠くからの声援》でユメコの《歪曲す
る真実》の使用回数を増やせばなぁ?」
たちまちレンが涙目になる。
「みーっ、ヤイバが怖いよぅー」
「おうおう、安心しよしレン。俺がついちょるからのう」
そこの人狼、子供を甘やかすな! 自分のしたことの責任つーものを、ちゃ
んと取らせろちゃんと!
ユメコがプンと怒ってみせる、
「んもう、そんな顔をして睨むのはやめなさいよヤイバ、レンが可哀相じゃな
いの」
「可哀相なのは俺の方だっ!」
「そーゆー考え方もあるわねー」
「そーゆー考え以外になかろーがぁ! レェン! いいからさっさと《遠くか
らの声援》を使えぇ!」
「で、でも」
レンはビクビクして、ますますロウの背中に隠れる。
「AGPが足りなきゃ俺の魔剣にエゴでも付けりゃいいだろうが、憎悪とか生
理的嫌悪感とかで!」
「それは酷い」
俺の魔剣、だったモノが抗議する。
「せめて肉欲のエゴでお願いします」
《牙持つもの》。《闘争本能》。《パーフェクション》。《獣化》に《ハン
ティングスタイル》。狼男が全身全霊を込めて殴打。頭から地面にめり込む俺
の魔剣、だったモノ。もはや痛いとすら言わない俺の魔剣、だったモノ。
てゆーかロウ。それ俺の魔剣だから。殺すのだけは、いや、壊すのだけは勘
弁してくれ。
「ヤイバ」
本当に申し訳なさそうにレンが言った。
「《フルファイア》を増やしたんだ」
「え?」
「さっき、ロウが餓鬼にとどめをさすときに。《遠くからの声援》で」
理解のできない言葉だった。
俺の大脳が、理解を拒否する言葉だった。
ぽん、と俺の肩を叩く者があった。
「ま、今後ともよろしくやっていきましょうや、ヤイバ」
俺は自分の魔剣、だったモノの顔面に再び強打をくれてやった。
「そうだ、ツルギちゃんにいいコトを教えてあげる」
俺の魔剣、だったモノをツルギちゃんと呼んで、ユメコが言った。
「ヤイバに日頃のお礼がしたいんでしょ?」
「はい」
「ヤイバはバックホールがまだ処女だから。開発してあげればきっと喜ばれる
わよ」
「それはいいことを」
「いいことなものかぁ! ユメコ! 何を焚き付けてやがるんだお前はぁ!」
今日はもう叫びっぱなしだ。喉がガラガラになってきた。
「しかしユメコ様」
何故ユメコは様付けにするのか、俺の魔剣、だったモノよ。俺のことは呼び
捨てだというのに。
「実はわたくしめは童貞でして、殿方の開発には、ちょっと自信が」
「大丈夫よ、あたしが教えてあげるから。ではまず肘を膝とを地面につける格
好で四つん這いにさせて」
「サー、イエッサー!」
ドン! と突き倒される俺。
「何をしやがるかっ!?」
全力で抵抗するが・・・・・こ、これが俺の魔剣の力なのか!? びくとも
しやがらねぇ!
「邪魔な服は取り去りましょう」
「サー、イエッサー!」
手品のように一瞬で脱がされる俺のズボンとパンツ。
「やめろって言ってるだろうが! ロウ、見てないで助けろよ!」
俺は救いの手を求めてロウに目をやったが、奴はその場に胡座をかき、膝の
上にレンを座らせて、じっくり御観覧モード。
「いやあ、レンはまだアナルセックスを見たことがないんでの。ちょーどええ
機会じゃけん、教材に使わしてもらうわ」
「はあ!? 正気かお前は!?」
「勿論正気じゃ。我が家は『明るくオープンでワイルドな性教育』がモットー
でのう」
「ワイルドに過ぎるわー!」
俺の悲鳴は意に介されなかった。
「ええかレン、お尻の穴は基本的にかたーく閉じちょるんでのう、まずはロー
ションを使ってよーく揉みほぐすのじゃ」
「そうなのかー」
わくわくわくわく、好奇心満載の3歳児。ロウの解説の通り、俺の尻に何か
ぬるぬるしたものが、俺の魔剣、だったモノの手で塗られていく。そしてやわ
やわと揉みほぐされていく俺の・・・うう、せ、せめてユメコに・・・いや、
そうじゃないだろ俺!
ユメコが俺の魔剣、だったモノに指示をする。
「この後は、本当は綿棒か何かを使って無理のないように徐々に広げていくん
だけど、今日はツルギちゃんの初人化記念! とゆーことで、いっそこのまま
突っ込んでみよー!」
「サー、イエッサー!」
「おい!? 何をしやがる、まさか!?」
あちらでは異様に微笑ましい雰囲気で父娘の会話が。
「ロウ、ああいうのはアリなのか?」
「うーむ、褒められたことではないがのう。ま、両者合意の上ならそーゆープ
レイもアリということじゃ」
「俺は合意してねぇ! やめろ、やめろー!」
ユメコはポッと頬を赤らめ、自分の両手で自分の顔を挟んで恥じらった。
「自分の魔剣を後ろから受け入れて苦悶するヤイバのエッチな顔を想像するだ
けで・・・ああん、あたしイッちゃいそう」
そしてついに、
「ではヤイバ。失礼いたしまして、ふんっ!」
「ぎゃああああああああ!」
・・・《永劫より》。
【真の死】から復活した俺は、肉塊としか言い様のない敵の死体の上に乗っ
て遠吠えをしている人狼を見た。“法の番犬”ロウ。奴がトドメをさしたらし
い。
「《超魔の命》を使われると厄介よねー。あー、疲れた疲れた」
手をぱたぱたさせて自分を扇ぎつつ、夢蝕み“月夜の夢魔”ユメコが【かり
そめの姿】に変じつつ俺に近づいてきた。
「大丈夫? ヤイバ」
・・・・・。おや?
「ああ。何とかな」
俺は身体を起こす。
薄汚い路地裏のアレナ。俺とユメコとロウとレンとが餓鬼を退治した状況。
魔獣化した直後に《律の破壊者》を乗せた餓鬼の一撃を喰らって、俺は、多分
一瞬のことだろうが、気を失っていたらしい。
そうか。夢、だったのか・・・・・。
ホッとすることもできないぐらいに、俺は精神的に疲れ果てていた。
「あれ? 俺の魔剣・・・?」
手元に強烈な寂しさ。どうやら餓鬼に吹っ飛ばされたはずみで魔剣を手放し
てしまったらしい。
周りを見渡すと、意外に遠くに魔剣が転がっていた。それを、その場にしゃ
がみこんでじ〜っと見ているレン。
「レレレレレレレレン!」
言語障害を起こしながら、俺は最速で自分の魔剣を回収。どこも何もおかし
いところはない、俺の大事な大事な、いつもの普通の! 魔剣である、と確認
して、今度こそ心底ホッとする。
「ヤイバ」
レンが、どこか愉快そうに、俺に声を掛けてきた。
「大丈夫。今回、《遠くからの声援》は、まだ残っているから」
「・・・・・えっ?」
「次は、どんなオチになるのか。楽しみだとは思わないかい?」
“混沌の監視者”。“月夜の夢魔”。“法の番犬”。
俺の方を見て、一斉にニヤッと笑った。
・・・・・これも夢だ。夢なんだ。
そうだろう、なあ、おいっ!?
・・・・・おしまい。
以上、>371を読んで考えたお話でした。
特別出演は前スレの>367。まんまパクって済まぬ。
てゆーかマジで眠れんかったよ! 熱も上がったよ! どーしてくれるw
>375
「いい男の無防備な貌を見るのは女の特権よ」というユメコさんに萌え。
大事な物のはずの魔剣を傘立てに無造作に突っ込んでいる大雑把なヤイバさ
んに萌え。そんなことだからそんな夢を見るんだよぅ!
>382
こ、このネタでも書きたい私がいるが・・・流石に寝ないと・・・・。
いや、面白いんだが。GJなんだが。
最近エロパロである必然性がどんどん薄くなってるよな、このスレ。
面白ければ萌えればそれでいいじゃない。
今晩は…>371を書いた阿呆です
やっぱり、即興で書いても時間をかけて推敲すべきだと後悔しております…orz
煮詰まる前に完成させようと2時間くらいで書き上げたからなぁ…アレ
自分の馬鹿話からさらに話を膨らませてもらった上に
アイツを使っていただいて本当にありがとうございます…
…てか、自分のより格段上で面白いです、流石「いつものふたり」の人
…あれは、自分としてはベタ過ぎた表現のような気がしてましたが…
喜んで貰えて光栄です
…やっぱりロウ×レンですか…期待をしないで待っております
(自分で書いちゃおうかと思いましたがやめときます)
それではお体をお大事に…ノシ
>>403 強化人間劇場その他を書いた者ですが
ちゃ、ちゃんとエロも書いてますよ?
……その、なんだ、2〜3回に1回くらいは。
最後に書いたエロはニセNW2オープニングだっけか。
仕方ない、なんか考えるか。ベルが汁まみれになるお話を。
>ベルが汁まみれになるお話
米兵にチョコレートをねだる少年のごとき瞳をしながら待ってる。
ホモまがいの内容はやめてくれ。
しばらく来ないうちに滅法作品が。俺を大喜びさせるつもりか。嬉しいので遅まきながらSSの感想などつらつらと。
>>311 ふたりが滅法いい雰囲気なのですが。こっからどう展開するのか、楽しみでならないのですが。
っつーかアンゼロット様に洗脳されそうですが。これじゃあまるで普通にかわい
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
>>332 なんだこのオープニングコミックのような素敵展開はっ!?
でも結末が知れないところまで巻頭漫画と一緒じゃなくてもいいじゃないかと泣き喚く俺。
最後のヤイバとユメコのやり取りが滅法好きだったり。各キャラの味付けの妙に脱帽っす。
しかし一番萌えたのは俺もレン。何故だ。
>>345 くれはの立場が危うい昨今、純愛は貴重だと思った。
いいよね、純愛。何故繰り返すか、俺。
>>362 アルフが少年を護衛に指名した理由とか、信頼を寄せてる理由とか。色々想像が脳裏を駆け巡る訳ですが。
頑張れ少年。男ってのは信頼に応えてこそだ。っつーか筆が速くて羨ましい限りだぜ。
>>376 ハルコンネンの精かよ! とツッコミつつ、最後の情景がとても好きだった。
寝顔なんていくつも見てるだろうに。その癖に。
>>402 ヤイバのいじられっぷりに既視感を覚えた。しばらく考えて、大変に納得した。ああ、彼も魔剣使いか。
あとレンはそろそろ教え込まれて然るべきだと思います。色々と。実地で。
なんというか、どうにも身の置き場がない。
その部屋は整頓されていた。乱雑な俺の部屋とはまるで違う。きちんと利便性と使用頻度を考慮して、それで物の配置を決め
ている印象だった。
やはり本が多い。俺なんかには一生縁のなさそうな難解なタイトルが棚にずらりと並んでいる。けれど同じ書棚の一角には少
女漫画が収まっていたりしているのが、意外といえば意外だった。
2LDKというのだったろうか。居間と台所と多分彼女の寝室と。部屋の構成はそんな感じで、セキュリティもしっかりして
いるふうだったから、きっと家賃も張るのだろう。
UGNからのシナリオを終える度に振り込まれる金額を考えて見た。…支部長というのは、きっと高級取りに違いない。ちょ
っとばかりただの学生である自分が情けなくなる。
キッチンからは紅茶の香り。
やっぱり腰が落ち着かなくて、また俺は挙動不審に部屋を見回してしまう。
整理整頓、実用性重視と表現すると、どうも堅苦しいイメージがある。だが小間物だとか、カーテンの色合いだとか。そうい
ったはしばしに、女の子の感性があるというかなんというか。
意識しすぎかもしれない。正直な話、女の子の部屋にお邪魔するのなんて俺はこれが初めてだ。
どうして、こんな状況になったんだっけか。
少しでも落ち着こうと深呼吸して、息を吸い込むなり彼女の香りがして、俺は少し赤面した。
あの襲撃者を排除した後。俺は支部長に一渡りの応急処置を受けた。それから彼女はいつもの冷静さで支部に連絡を取って、
事後処理やら何やらの指示を出していた。
「この男の単独行動ではないかもしれません。一先ず、支部へ」
その提案を、俺は我がままを言って蹴った。無闇やたらとワーディングを施しながら支部に乗り込む訳にはいかない。でも俺
は、今のこの姿を支部の人たちに見られたくはなかったのだ。まあ獣の姿から元へ戻ればいいようなものだが、困った事に衣服
がない。意中の異性も含めた不特定多数の前に素裸を晒せるほど、俺は厚顔無恥じゃない。だから、このまま家に駆け戻るつも
りでいたのだ。
けれどそれは支部長に止められた。
「単独行動でなければ、監視か後続の可能性があります」
つまり俺の家が相手方に知れるのも、更なる襲撃の可能性がある以上ここに留まっているのもよくないという事だ。
「仕方ありません。では、私の部屋へ。近くですし、手当ても出来ます」
「…え?」
「出血は止めたけれど、でも内出血や骨折もあるかもしれません。せめて、きちんとした治療はさせてください。その…衣服に
関しては、支部の方に届けてもらいましょう」
「あ、いや、でも」
「大丈夫です。一人暮らしですから。他人の目もありません」
俺が見られるのを嫌悪しているから、それで気を使ってくれたのだろうけれど。この時刻に男を部屋に上げるのに、その台詞
はよくないんじゃないだろうか。
「えっと、それだとさ、監視なんかがいた場合、支部長の家が割れてしまうんじゃ…?」
「おそらく既に知られています。先の襲撃者は、私の帰途を待ち伏せていたようですから」
こねくりだした理屈も、またあっさり一蹴された。
「だから。貴方が一緒に来てくださった方が、何かと心強いんです」
その手が、俺の貸した上着の合わせをぎゅっと握っている。かすかに震えているようだった。
そうか。そうだよな。
俺はやっと思い至る。彼女は実際に襲われた訳で、それなら帰り道が不安でない訳がないのだ。
「あ…っと、じゃあ、お邪魔させてもらえるかな」
「――はい」
言って、彼女は淡く笑んだ。月に照らされた横顔。やっぱり笑うと綺麗だなと思った。送り狼になっても知らないぞ、とも。
出来るだけ人目の少ない裏道を選びつつ、どうにも仕方がない場合は彼女のワーディングで俺達から意識を逸らす。オーヴァ
ードには悪目立ちこの上ない手法だが、一緒にこそこそする彼女が妙に楽しそうだから、俺は口には出せずにいた。
「…へぇ」
そんなふうにして彼女の住むマンションに辿り着いて、俺は思わず漏らした。知っている通りだった。
「?」
不思議そうに小首を傾げる彼女に、
「支部長の家、意外と近くなんだな、と思って」
「知りませんでした?」
「…というか、支部長が俺の家を知ってた方に驚いた」
素直な所感を返すと、彼女はなんだか失敗したような顔をしていた。
それから馬鹿みたいに緊張しつつ彼女の部屋に上がり込んだ。無論上がる前に雑巾を借りて、泥やら血は拭い取っている。
…正確に言うと、拭い取ろうとして引き裂いてしまいそうになって、支部長の手を煩わせた。
玄関を入ってすぐが、ダイニングキッチンだった。食事は居間の方でするのだろう、テーブルが置かれていなくて広いままの
そのスペースに俺を座らせ、彼女はそっと額の傷に触れた。
一瞬生じる冷たい感触。傷が熱を持つ。一呼吸だけ自己主張のように強く痛み、そうしてすっと楽になる。
「ここの他に、どこか痛むところは?」
問診を行いつつ、殴打された胸や鎖骨、脇腹の辺りを繊手が撫でていく。
医療行為だし、彼女にしてみれば大型動物に触るようなものだったのだろうけれど。俺は自分に触れるてのひらを、ひどく意
識してしまう。鼓動の速さに気付かれないかとはらはらしていた。
治療のうちに、支部からひとが来た。男ものの服を置いて、それからひとしきりの事後報告をしていた。玄関でのやり取りだ
けで帰っていったのは、この姿を見せたくないと言った俺に、彼女が気を使ってくれたのだろう。
支部長に席を外してもらって、人に戻って服を着る。シャツにジーンズ。ひどく当たり障りのない格好だけれど、ぴたりとサ
イズが合っているのは、ありがたいながらもなんとなく嫌だ。
しかし凄いな、と思った。服を着るという動作には、体のあちこちを使う。だというのに、受けた手傷はもうどこも痛まない。
もう一度、ちゃんとお礼を言った方がいいだろう。
「支部長」
体裁を整えた俺は、居間に通じるドアをノックする。
「あっ、ちょ、ちょっと待ってください!」
返ってきたのは妙に慌てたような声。何をしているのだろうと思ったが、答えは数分後、ドアを開けた彼女を見て知れた。
「すみません、お待たせしました」
彼女も着替えていたのだ。俺の上着をしっかり羽織って前を留めていたから、それですっかり失念していたけれど。
一瞬だけ盗み見てしまった肌の白さが脳裏を過って、俺は慌てて首を振る。
「今日は、本当にありがとうございました」
ぺこりと一礼してから、居間へ俺を差し招く。もう遅いし、本当は帰るつもりだったのだ。なのに示されるまま卓の前に座って
しまったのは、きっと初めて見る彼女の私服に、意識が上ずっていた所為に違いない。
「それからこちらは、ちゃんと洗濯してからお返しします」
そこにはきちんと畳まれたウィンドブレーカーがあった。
「いや、いいよ。別に汚れた訳じゃないんだし」
「あ…。そうですね、判りました」
言われるままに上着を差し出す彼女。ぎこちなく受け取る俺。
「…」
「…」
困った。会話が続かない。でも、この空気が忌避すべきものではないのもまた確かだった。
「――紅茶、平気ですか?」
唐突な問いに、俺は慌てて頷いた。
「いきなりだから何のお構いもできませんけど、でも紅茶だけはいい葉をいただいたのがあって、その…淹れてきます」
いつもの物静かで落ち着いた挙措とは裏腹の慌ただしさで立ち上がって、ぱたぱたと彼女は台所に遠ざかる。
もう夜も遅いから、本当に俺は帰るつもりでいたのだ。
――でも。
そうして、状況は今に至る。
ちょっと間が空きました。でもどっこい生きてました。
シナリオ書いたりシナリオ書いたりシナリオ書いたりしてました。何故俺ばかりGMか。
俺もエロから離れてるなぁ。エロパロなのに。すまん。
ヤイバとユメコの本番マダー?
むしろ、レンとロウ…
(機関銃で蜂の巣にされました)
GJ〜!なんて初々しいんですか、切り札×水晶
ああ、どす黒く汚れちまった心が洗われますよ…
ロウは口調が萎えるので、別人で頼む。
>>414 安心しろ、俺も月に2回ぐらいのペースでGMしてる。
>>414 ヒトミちゃんが持ち前の能力で紅茶に何か混ぜて来ないかと楽しみで楽しみで眠れませんチクショウ!w
待っている方がいるかどうかもわからないグタグタな状況になって困ってる者ですorz
このままいくと、「お前ら新婚初夜かよ!?」といいたくなるだだあまーな状況にしか
ならんのですが……そういうのにニーズってあるんですか? マジ話orz
>>409 ええ、普通に可愛い女の子になっちゃって困ってます(w 個人的には普段とギャップが
ある方が萌えーな人間なのであれですが(w
つーか、切り札君、わかる、わかるよ、その状況は微妙だよな(過去を振り返って)orz
一応、書き溜めてはいるけど……むう、愚痴スマソorz
∧_∧∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・)/<
>>421、質問!エロはあるんですか?
_ / / / \___________
\⊂ノ ̄ ̄ ̄ ̄\
||\ \
||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
|| || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
.|| ||
エロがあればオールOKです
最近、プレイヤーとして参加したのが2、3年前の思い出になりつつある昨今、いかがお過ごしでしょうか。
うん、GMばかりでは枯渇するよね、いろいろ。
まあそれはそれとしてエロを考えました。
まだ序章だけですがどうぞ。
「けぷっ」
小さくゲップをし、口元をぬぐう銀髪の少女。
彼女の名はベール=ゼファー。
11、2歳の少女に見えるが大きな権威を持つ裏界の大公である。
だが一糸まとわぬその体は白濁とした汚液にまみれ、肩は大きく上下している。
「なまぐさ……」
前髪に付着した精液を指で拭い取る。しかしその指も汗や男女の恥液でぬらぬらと光っており、濡れた髪の房がまとまるのみだった。
「うっ」
嘔吐感がこみ上げてくるが、寸前で押しとどめる。
もっとも、この場合には吐いてしまったほうが楽だったかもしれないが。
「うえ……胃の中全部セーエキだし……」
もうかれこれ5時間近くは犯され続けているだろうか。
既に全身が汗やら汁やらで汚されている。
しかしこれも全て自分の失敗が招いたこと。
彼を自分の仲間に引き入れようとし、しくじった自分の責任なのだ。
故に彼女は暴走するプラーナの生贄に自らの身を捧げた。
と、ぐい、とその繊手を強引に引き寄せるものがいた。
「また?」
質問には答えはなく、代わりに応えとして彼女の前に剛直が突き出された。
「あ、あれだけ出したのにまだこんな? しかたないわね……はむ……ちゅ……」
私のせいだし、という言葉を続けることなく、ベルは竿に唇と舌を這わせていく。
粘液でぬらぬらと濡れ光る小さな手で亀頭を包み込み、ゆるゆると刺激を送っていく。
なぜ彼女がこのような目に遭っているのか。
事の起こりは昨日のこと。
うん、ここまで。
続きはまだですがこのエロに到るまでの導入部分からになると思います。
いじょ。
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「>382がさ、ショコラの恥ずかしい写真の中身を大予測してるんだけど」
「ああ」
「なんかもっと凄い大予測はない?」
「ない」
「ない、ってそんな、あっさりと・・・」
「別に、>247が予測しているように、昔の恋人との18禁写真ってことでいい
じゃないか。別に捻った回答せんでも」
「え〜? どうしてそんなに腰が引けてるのぉ?」
「『アリアンロッド』のルルブを持っていないから」
「・・・そうだった。うちにはリプレイしかないんだった。
でもさぁ、悔しいよぉ。パクられっぱなしっていうのはさぁ。本家本元とし
てはさぁ、これぞ本家本元! って感じの、大方の予想を裏切るようなヤツを
出してこそでしょぉ?」
「大方の予想を裏切るようなヤツを出してこそ、という予想を裏切ってみた」
「そういう裏切りもアリなのか!?」
「少し突っ込んでみるなら、だ。温泉で色仕掛けするような魔族の娘が、それ
でもなお恥ずかしがるような写真なのだから、まあかなり露骨な乳繰り写真と
見て間違いはないだろうな」
「とゆーと、ハメ撮りとか?」
「いいセンだ。
しかも、生まれて初めてイッた瞬間を写したもの、とすれば?」
「恥ずかしいね。
そりゃあ真っ赤になるほど恥ずかしいね」
「何より恥ずかしいのは、その相手が同じ魔族ではなく、敵方の者だった場合
だ。ショコラほど高位の魔族が、敵に想いを寄せて、あまつさえイかされて、
その上、未だにその思い出を引きずっているともなれば」
「恥ずかしいね。
そりゃあ泣きたくなるほど恥ずかしいね。
でもさ、ショコラほど高位の魔族が、どうしようもないほど下っ端の魔族に
イかされて、ってのも恥ずかしくない?」
「そこまで天晴な下っ端魔族、ショコラほどの度量の持ち主なら、むしろ側近
に取り立てて、誰はばかることなくイチャイチャするだろうよ」
「そうかも。
あ、じゃあ、ショコラの相手はエイジのお父さんってどうだろう?」
「なかなか面白い着眼点だ。だがまだ甘い。
妖精は英雄ガイアの顔を見知っている。エイジ関連の恥ずかしい秘密なら、
それこそ>252が指摘しているように、『そうきますかケケケ』だろう」
「そっかぁ。じゃあ、最低でも妖精が知らない相手じゃないとダメなんだ」
「ところでショコラは異性愛者だと思うか?」
「え? えーと、迫った相手はエイジだったし、普通に考えて異性愛者じゃな
いの?」
「それを、カミングアウトしていない同性愛者と考える。そんな娘なら、自分
がレズだとバレるような写真は死ぬほど恥ずかしがりはしないか?」
「そうだねぇ」
「そしてまた、ショコラは何故エイジに色仕掛けで迫ったのだ?」
「え・・・と、そりゃあ、エイジが一番お人好しそうで、しかも女の子に弱そ
うだったからでは?」
「ショコラがエイジの無理矢理な勝負を受けた理由は?」
「エイジのことが気に入ったから」
「何故気に入ったんだ? それも頬にキスするほどに?」
「えと・・・その・・・・・面白い、から?」
「初恋の人の面影があったから、とは考えられまいか?」
「・・・・・ちょっと待って。そこから導き出される結論は、」
「ショコラの乳繰り写真。相手はエイジの母親」
「ゴメン、大方の予想を裏切りすぎてマジついていけないよ・・・・・」
・・・・・おしまい。
以上、>382を読んで考えたお話でした。流石に『相手は柊』ほどインパクト
のあるネタは出ないなぁ。
お陰様で体調は順調に。
>405
え〜。ロウ×レン書かないんですかぁ〜?
そーですかぁ、書かないんですかぁ。
(捨てられた子犬のような目をしてみる)
>410
なるほど、公園じゃないのか、連れ込んでからか! と考えた私はかなりの
ダメ人間。まだかなまだかなどきどき。もうすぐかなもうすぐかなわくわく。
はっ!? これは読み手に対する焦らしプレイ!?
【色々間違ってます】
・・・ええと。
マジメな話、GJとか感想とかくださるみなさま、ありがとうございます。
他スレで、書き手は感想やGJを糧にしているという記事があったのですが、
本当にそうだと実感しています。てゆーか晩飯の途中で抜け出して何を書いて
おるのか私。だって旦那が阪神戦に夢中で構ってくれないんだもん!
>>429 いやはや、GJですよ
おそらく旦那さんは阪神が甲子園で3タテくらって機嫌悪いと思われるので、ベッドで癒してあげてください。
【バカは作品と現実の区別がついていない】
>>429 GJ!
というか週末もかまってもらえない可能性があるので、そうなったらもう一本ヨロ
・・・とマリーンズファンが願望を述べておきます。
でも俊介の投球フォームだけは一度だけでもいいんで見てくだされ。
【正直板違いです俺】
レネゲイド・ウィルス。
世界に撒き散らされた、災厄の種。地球上のほとんどの者たちが、この恐るべきものの存在を、そしてそれが世界そのものを変えてしまったことを知らない。未だ完全には解明されていないウィルスは生物に──条件さえ整えば、無生物にさえ──超常的な力を与える。
それは進化と呼称していいものかどうか、誰にも判断できていない。何故ならレネゲイド・ウィルスに侵された者は一歩間違えれば暴走し、ジャームというただの化け物へと成り下がるからだ。
幸いなことに制御不能の力を進化と呼べるほど我々は傲慢ではないはずだ……今のところは、まだ。
「もっとも、進化と見なす者がいるのもまた事実、ね……」
「──どうかしたのか?」
パソコンに向かって思わず胸中の想いを洩らしていた私は、低く響いた声を聞いて顔を上げた。ベッドで横になっている男が、こちらを見て薄く笑っている。年齢は私とほとんど変わらないが、鋭い眼差しが全体的に甘めの顔立ちから浮いている。
今、私に向けられる視線は──少しだけ柔らかいけれど。
「レポートの考察よ。どこかの誰かさんがイリーガルの私にまで仕事を押し付けるものだから」
「君以上に有能な人材は、この街の支部にはいないのでね」
いけしゃあしゃあと、そんな風に言ってくるこの男は“完全なる使徒”。
レネゲイド・ウィルスの発症者──オーヴァードたちを保護し、その存在を可能な限り隠匿することで世界と、そして多くの真実を知らぬ人類を守る組織“UGN”から、この街の担当を任されている支部長だ。
一見すると優男にしか見えない彼だが、実は相当の実力者なのは言うまでもない。支部とはいえ1つの組織をまとめ上げるには、相当の手腕がなければ不可能だ。
「それで? レネゲイドとは何なのか──君の見解を聞きたいものだが」
「色気のない話題は嫌いよ」
私は椅子から立ち上がり、緩みかけていたバスローブの胸元を合わせた。彼が肉体関係に溺れるような人間でないことは承知しているけれど、それとこれとは話が別だ。
すると彼は、そんな私の思惑を見透かしたように喉の奥で笑いを押し殺した。いや、実際に見透かしているのだろう。彼はノイマン。その力の発現は頭脳──ありえるはずのない高速思考や情報処理能力を有している。
私の些細な拘りなど、彼には小学生が学ぶ算数よりも容易い数式なのだろう。
「知らなかったな……君が研究以外の話題を好んでしたがるとは」
「たまにはそういう気分になるわ」
「記憶しておくよ」
「忘れて」
すっとベッドに歩み寄り、彼の口元へ唇を落とす。ほんのわずか、触れるだけのキス。
私たちの関係そのものを表すように。
「……君は」
私がベッドに腰掛けたのを確かめてから、彼が話題を変えた。
「“水晶の瞳”を知っているかい?」
「ええ、任務で何度か。彼女の通う高校へ一時的に赴任“させられ”たこともあったから」
UGNの人材不足はかなり深刻なのか、組織の一員ではない私もよく利用されている。まあ、私の場合はレネゲイドの研究という形で深く関わっているだけに、簡単に断ることもできないのだ。
「彼女がどうかしたの?」
「昨日、襲撃を受けたそうだ」
「……!」
息を呑む。“水晶の瞳”はここからそう遠くない街の支部長だ。驚くべきことに彼女は現役の高校生。私の隣で横になっている彼と同じく、彼女もノイマンなのだ。元々このシンドロームは指揮官に相応しい能力を備えているが、それでもあの若さで支部長を務める例は数少ない。
「らしくないわね」
「普段は部下の車で支部から出るそうだが、昨日に限ってそれを断ってしまったらしい。まったくもって『計算外』の出来事だな」
一瞬、彼らしくもない皮肉かと思ったが、その表情を見て考えを改めた。そんな単純なものではないらしい。
「何が計算外だったの?」
「──心さ」
「……」
思わず呆気に取られた私を見て、彼は満足そうに微笑んだ。こうやって私の反応を見て静かに面白がるのが、彼の唯一にして最悪の欠点だ。一度何が面白いのか尋ねてみたところ、
「ああ、あれだ。もぐら叩きで出てくる場所が分かっていたから叩いてみたら、君が頭を出した感じだ」
という非常に抽象的かつ人を馬鹿にしたとしか思えない返事が返ってきたので、その日のデートは平手の音と共に終わりを告げたのだけれど。
ああ、いけない。そんな昔話を思い返してる場合じゃない。私は布団越しに彼の腰の辺りを叩いた。
「柄にもないこと言わないで」
「本当さ。“仮面”からの情報によると──」
彼は情報屋として名高いUGNエージェントの二つ名を出す。
「彼女の担当する街で生活しているイリーガル……“不確定な切り札”という少年と彼女との間で感情的な行き違いがあったようだ」
「それって……例の作戦絡み?」
「らしいな。“切り札”の少年はチルドレンとは違う。割り切れるほど、精神的な鍛錬を積んでいるはずもない」
「……“水晶の瞳”も同じよ。あの子は、優しい子だから」
私は彼女の全てを知っている、などと傲慢なことは口にできない。けれど、支部長という大役に押し潰されそうになりながら懸命に、しかも曇った表情を見せることなく任務に当たる彼女を、私は尊敬すらしている。
ただ同時に思うことは、あんな少女の小さな双肩に載せるべきでないものまで、私たち大人は背負わせてしまっている。それが──ひどく悲しい。オーヴァードなどと格好をつけた呼び名をつけたところで、私たちは進歩などしていない。
彼女や、彼女のような若い者たちが苦しんでいるのなら、それは──それ自体がおかしい。絶対に間違っているはずなのだ。
だから、私は求めている。オーヴァードとは、レネゲイドとは、何なのか。そして、こんな苦しみや悲しみの果てに待っているものは、何なのか。
その答えを、解き明かしたいのだ。
「──分かっている」
「!」
ふと、私の思考の合間を縫うように、彼の優しい声が心に沁み込んでくる。気がつくと、彼は上半身を起こしていた。まだ服を着ていなかったのか、程よく鍛え抜かれた胸板があらわになる。意外に着痩せするタイプだと知っているのは──きっと私だけではないのだろう。
彼の手が、そっと私の髪を払い除け、直接頬に触れてくる。硬い手だ。繊細そうな指先に刻まれているのは、戦いの傷痕。彼は“水晶の瞳”とは異なり、戦闘に関する情報処理能力が高い。特に銃を使った射撃においては、この辺りでも高いランクに属しているはずだ。
その手が、幾度となく血に汚れてきた手が、私に優しく触れる。
「……分かっている」
同じ台詞を繰り返す。彼の眼差しが、私の身体を射抜いた。
「貴方は……何でもお見通しね」
「いや。たとえノイマンでも……どんな優秀なオーヴァードでも、計算できないものはある。“水晶の瞳”が見通せないものがあったように」
「彼女にとっての“切り札”になれるのかしら、その男の子は?」
「なって欲しいと願うよ。彼女はまだ、引き返せる。無理に割り切ってしまわずとも、一歩踏み止まる拠り所があれば……きっと、これまでと違う何かが見えてくる」
だとしたら、貴方は?
私は喉まで出かかったその問いを、無理矢理心の奥に沈める。踏み止まる場所を彼が求めた時に、私はいなかった。彼は、もう割り切ってしまった人間だ。
だから私は彼の“切り札”にはなれない。なってはいけない。いざという時に、彼を踏み止まらせる存在になってはいけないのだ。
それが、私と彼の関係──。触れ合っても、重ね合っても、すれ違うだけの存在。
「……だとしても、あまり感心はしないわね」
「何がだい?」
バスローブを脱ぎ捨てながら、私は彼を睨んだ。
「純粋な気持ちでいる子たちの話を、こんな場所で出すなんて」
「言っただろう?」
「?」
「──『記憶しておくよ』」
「『忘れて』って言ったはずだけど」
それに色気がある話題というには、まだまだ可愛らしい代物だ、2人とも。けれど“水晶の瞳”に温かな気持ちを共有できる誰かができたとしたら、嬉しいと思う。
私はそうなった時のことを想像し、思わず唇を笑みに形作る。
「ねえ」
彼に身を寄せながら、私は甘く囁いた。
「貴方にとって、私はどんな存在?」
からかうようなキス。私の問いも、悪戯だと思わせるために。
彼の口から、真実の言葉を聞かないために。
「君は……薔薇だよ」
私の髪を掬い上げると、彼はその言葉を染み渡らせるように唇を這わせた。髪の毛を自在に操り、武器そのものと化す私にとって、それは心地良い愛撫。
「心に刺さった棘の痛みが、私がここにあることを教えてくれる」
「それって……ちょっとマゾヒスティックだわ」
「……その答えは『計算外』だった」
少し驚いたような顔をした後、苦笑した彼が私の身体を抱き寄せる。拒む理由はなかった。私は彼の抱擁にその身を委ねながら、小さく笑った。
「そんな台詞で喜ぶような、可愛い女じゃないわ」
「記憶しておくよ」
「もう……」
──棘、か。
痛みでしか触れ合うことが許されないなんて、本当に貴方らしい考え方。
私はただ、貴方の足元で咲く“紫紺の華”で構わないのに。
それだけで、私は。
437 :
432:2005/06/02(木) 23:32:24 ID:XJHojVae
ここに投下されているDXのSSを見て、自分も思わず書き殴りたくなってしまいました。
エロ、というには物足りないかと思いますが。
>>414 ぐっじょーっぶ!!
もう、この気恥ずかしい雰囲気に、のたうち回って悶え喜んで
しまいました。どうしてくれる?!(錯乱逆ギレ中)
>>429 それは「計算外」w
>>437 雰囲気がよいですなぁ。「記憶しておくよ」が殺し文句かw
追記。個人的には、こーゆークロスオーバーモノは大好き。
このまま例の無印様も巻き込んで、「このスレ的DX世界」を
ブチ上げてもらいたいくらいで。
>432
カッコE!
大人の恋愛って感じですな。
連投ごめんなさい。
桃色★ふぁーさいどなんて書いた奴です。
こんなもんが出来かけているんで、さわりだけでも。
442 :
441:2005/06/03(金) 02:33:51 ID:n++tmWbb
「率直に言いましょう」
どうしてこんなことになったのか。
ファー・ジーアース食べ物であるハンバーガー(ケバブ見たいなものだろうか)を取り落としそうになりなが
ら、ポーリィは目の前の少女の言葉を反芻した。
「貴女が脱がねば世界が滅びます」
柊のレベルドレイン並みに有り得ない因果律が、彼女の目の前に立ちふさがった。
事の始まりはファーサイドで出回っている一冊の雑誌なのだそうだ。
その名は『桃色★ふぁーさいど』。
裏界の美少女魔王があんな事やこんな事をしているさまを赤裸々に掲載した、成人向けの書籍である。
コレが何故か大層売れたらしい。
しかも自称世界の守護者、『真昼の月』アンゼロットが焦りだす程の売れ行きだった。
その上裏界に寝返ったウィザードも出てきていた。
巻数を重ねるにつれて内容は過激化の一途をたどり、例えばファー・ジ・アースでの野外露出撮影が行われた
と言う情報も入ってきている。
「このままでは男性のウィザードが全員ファーサイドに落とされかねません」
そこでアンゼロットはこの危機を迎え撃つべく、真っ向から真剣勝負に打って出る事にしたらしい。
すなわち『ろんぎぬす★cherry』の創刊であった。
「cherry」、コレは当然サクランボの意だが、処女性、処女膜などの意味もある。
しかし名前が決まったところで一つ問題がある。
それはモデルの少なさであった。
どうしてもウィザードのみでは72の魔王には勝てない。
しかしファー・ジー・アースだけに限らなければ……例えばラース=フェリアの少女たち。
世界の危機に対し、己を捨てて立ち向かった英雄たちである。必要とあらば躊躇うことなくでその衣服を脱ぎ
去ってくれる事だろう。
443 :
441:2005/06/03(金) 02:47:23 ID:n++tmWbb
「という訳で貴女達の力をお借りしたく」
「やりません」
当然である。
ちなみに横にはガーネットとリューナもいるが、やはり全身から拒否のオーラを放っていた。
「……もう一度聞きましょう」
『嫌です』×3
「何故っ!? これは世界の危機なのですよ」
あくまで真顔のアンゼロット。この企画に人類の命運がかかっていると本気で考えているらしい。
さらに言えば、その考えは遠からず間違いではなくなるだろう。
「それでもねぇ」
「今まで人に変態とか言ってきた私がそんなことしたら面目立ちませんしね」
「……(自分のヌード写真が雑誌に載るところを想像して赤面)」
アンゼロットの後ろをバスタオル姿で泣きながら歩いていく、セラと言う名の天使を見送りつつ答えた。
ちなみにポーリィの耳には「もうお尻は嫌……」と言う嘆きが聞こえたが、努めて忘れることにする。
「無報酬ではないのですよ?」
「私はお金で体を許すほど安い女では無いつもりです」
「お金ではありません。いえ、お金が欲しいなら言い値をご用意しますが……」
それからアンゼロットは「あまりこういう言い方はしたくないのですが」と続けて、こういった。
「もう二度と会えない、それでも会いたい人。いるでしょう?」
リューナが息を呑んだのが聞こえた。
「ほんの一時の間だけですが……死者を呼び戻す事も出来ます」
「クレイに、会えるんですか?」
アンゼロットは真直ぐに目を見つめて、強く頷いた。
「はい。真昼の月の名に懸けてお約束します」
444 :
441:2005/06/03(金) 02:50:22 ID:n++tmWbb
出だしはこんな感じです。
シリアスに見えるかもしれませんが、すぐにギャグになります。
撮影シーンでどんなプレイをいこうか悩んでいるのですが……
と言うわけでまた少しの間お邪魔する事になると思います。
よろしくお願いします。
5行目吹いた。GJ!
>>424が華麗にスルーされている件について
漏れはロリ汁とか好きなので早く続き読みたいです
>上裏界に寝返ったウィザードも出てきていた
まったくけしからん話だな
【キャラシのアイテム欄を手で隠しながら】
>>448 GM「とりあえず,キャラシは没収な。
……で,こっちが君の本当のキャラシだから」
【其処には牙某と書いてあった】
つーか、この出だしでシリアス書ける。つーほうが、スゴイと思わないでもないが……。
とりあえず、面白そうですなw
この出だしでシリアスを書くとなると、
撮られていく内に露出の快感に目覚めていくリューナとか
クレイとの再会を餌に羞恥責めされるリューナとか
リューナだけに恥ずかしい思いはさせまいと自ら脱ぐ義妹達とか
あまつさえ、それで自制が効かなくなってカメラの前で女だらけの本番3Pとか
それを見て辛抱溜まらなくなったアンゼロットが乱入とか
それぐらいしか思いつかん。
>>451 それぐらいでもいいから書いてくれつーか書いてくださいお願いします
とりあえず…
ガーネットの報酬として、1柊を用意。
じゃあ俺は4柊でアンゼロットをマワシテもらおうか
そしてアンゼロットに手玉に取られる4柊
456 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:41:14 ID:UdAOHmbf
くれは陵辱の続編です。
といっても相手が柊なんで、それほどひどい事はしてません。
===
くれはの部屋……今日は柊とデートという事で、いつもの巫女服でなく、学生服を着ていく。
少し長めのスカートに、長い髪の毛をしっかり縛って、少し余裕を持って家を出る。
少し、そわそわしながら、家のドアを開ける。
「くれは」
そう言って、母さんが呼び止める。びくりと体が止まる。なんだろう……服の下の事わかったのかな?
「蓮司くんとデートに行くの?」
「う……うん」
縮こまって答えるが、母さんはまるで気にせず、言葉を続ける。
「彼とだったら、良いんだけどね…安心して貴方を任せられるし」
「任せられるって……蓮司とは只の友達だ…か…ら」
顔を真っ赤にして答える。本当にそうか?自分がこの前した事を思い出し、顔を真っ赤に染める。
「ま、良いわ。今日はゆっくり遊んでらっしゃい」
母はそう言って、にこりと笑った。
待ち合わせ場所は、公園の噴水の前。
「よっ」
そう言って、柊が腕を上げて、私を呼ぶ。
「待った?」
「いや、全然」
そう言ってるが、そわそわした雰囲気から、結構待ったと思う。
「無茶しちゃって……」
そう言って、少し抱きついた。
457 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:42:16 ID:UdAOHmbf
人気の無いところに行き、柊が顔を赤らめて、耳打ちする。
「約束は……」
「うん……」
そう言って、スカートをめくり上げ、顔を真っ赤にして見せる。
秘所は細い縄だけで隠されていて、それ以上隠すものは無い。
縄は秘所と臀部を通って、また服の中に隠れており、その後どうなってるかはわからない。
柊は顔を真っ赤にして、それを見ている。
「そんなに恥かしがらないでよ……柊がしてっていったんだから……」
くれはもまた、顔を真っ赤に染めて言う。
「……わりい……」
そっと、スカートを持っている手を掴み、スカートを離させる。
「……うん、許す」
そう言って、くれはは顔を下げる。
「じゃ、まずは買い物だったよね」
女性用の下着コーナーに高校生の男女二人。何処からどうみてもデートにしか見えない。
「ん〜〜〜どれが良いかな」
そう言ってみて回るくれはと柊。
「……試着してみる……って何言ってるんだ…」
「良いじゃない。それとも何?私の裸なんか見たくないとか」
「決してそういうわけじゃねえけどさ……」
そう言って、こっそりと耳打ちして言う。
「下……縄つけてるだろう」
その言葉になるべく意識しないようにしていた、股間とかが急に熱くなる。
柊は意識して言ったのではないだろうが、それでも自らが自縛していることを意識してしまい、顔を赤らめる。
「……変な話はよしてよ」
顔を背けて言う。
458 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:43:32 ID:UdAOHmbf
「悪い……」
「………あっ、これなんかどうかな?」
気まずくなった空気をどうにかするため、くれはは下着の一つを指差す。
「それは……」
くれはが指差したものを見て、柊が言葉を濁す。
紫色のパンティーで、あまりにもアダルティーなその下着は、どう考えてもくれはには似合わない気がする。
「それよりも、こっちの方が……」
そう指差したのは、黒い下着一式である。
くれははうーんと悩んでから、まず試着してみる事にした。
制服を脱いで、自らのほっそりとした体を縛る縄を見て、くれはは顔を赤らめる。
「これを見て良いのは蓮司だけだからね」
紫色の服を試着して、なんとなく首をかしげる。自分には似合わないと思って、黒い服の方を試着する。
縄と黒い下着に包まれた、いつもとは違う自分に、顔を赤らめる。
「これだったら。柊も……」
何処へ行っても絶対帰ってくる。そんな信頼感がくれはにはある。だけど……。
何時までも彼の後ろにいたくない、彼の横にいたい。
「だから……」
彼に本当の意味で好きになってほしい。友達ではなく……恋人同士として。
「おーい、くれはー決まったか?」
そう言って、柊が急かせてくる。見ると時計は11時半をさしている。
「はわっ!ちょっと待っててー!」
そう言って、元の服に着替えて、はやる気持ちを抑えつつ、黒の下着を買った(柊持ちで)。
459 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:44:45 ID:UdAOHmbf
お昼は、ファーストフード店。
「いらっしゃいませ」
外から見れば只の中の良いカップルだろう。
違う、自分の体を縄で縛って、彼に見せるなんてちょっとしたデートではない。
だけど、そんな事は人には言えないし……。だから只のデートと言う事にしておく。
Cセットを二つとカップル用ジュースを買って、中の席についた。
セットを軽く食べて、カップル用ジュースの片方に口をつける。
「どうした?飲まないのか?」
「柊は?」
「後で良いさ」
うう……なんと乙女心がわかってない……。
「一緒が良いなあ」
それとなく言ってみる。少し上目遣いで頼むように……
「わあったよ」
そう言って、柊ももう片方のストローに口をつける。
そっと二人で一緒に飲み始める。それだけで幸せ。はたから見ると、良い感じのカップルにしか見えない。
「んっ」
顔が近くにある。このままキスしたい。このまま抱きつきたい。でも駄目……もし断られたら……。
おそらく自分は赤羽家を継ぐだろう。その時、横にいるのは柊であって欲しい。
「はい、あーん」
何時の間にか入ってきた篝がマサトと食事をしている。
篝がフォークにさしたナゲットをマサトの口に持って行く。
いつか、自分もああなれると良いなあと思いつつ、くれはは柊の真っ赤になっている顔を凝視した。
460 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:46:12 ID:UdAOHmbf
食事の後は遊園地。
まずは、回転木馬に乗ってみる。
馬車を引く馬の両側に乗って、回転が始まる。
乗っている馬が上下して、くれはの股間の縄を強くなぶる。
「はわぁ〜〜」
大きな声は出せず、そのまま我慢するように馬の背中にしがみつく。
軽快な音楽が耳に入ってくるが、そのまま逆の耳から抜けていく。
じわじわと愛液が染み出し、ロングのスカートにしみを作る。
ようやく、終わった時、快楽で体中が麻痺して動けなかった。
「どうしたくれは?」
意地悪く笑って、柊が私をお姫様抱っこする。
「ちょっと、怖かっただけだから降ろして」
ゆっくりと降ろされ、地面に足がつくが、体がふらふらする。
柊に抱きつくようにのしかかりながら、次の場所へと向かった。
次の場所は観覧車。
ふらふらしている体を柊に預けながら、歩いていく。
観覧車の中に入ってそのまま同じ方向の席につく。
「くれは……」
そう言って、柊はくれはのスカートをめくると、縄を少し上に引っ張る。
お尻に縄が食い込み、クレパスがこすれる。
「濡れてる……」
そう言って首筋に暖かい息が吹きかかる。
「はわっ……」
もはや頭の中はぐるぐると快楽と欲望が渦巻いてる。
柊にめちゃくちゃにされたい。体中を舐めまわされたい。
クレパスの中に指が入ってくる。それだけでくれはの頭はスパークした。
461 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:47:11 ID:UdAOHmbf
ふらふらとしながら観覧車を降り、そのままベンチへと座る。
柊の肩を枕にして、くれははそっと縄のある辺りをさする。
「なんか買ってこようか?」
そういって、柊がくれはの耳元で声をかける。
「ん…お願い」
ぼーとしながら空を見る。
「柊………」
声に出すだけで、体中が熱くなる。
「大好きだから……」
また、空を見上げる。赤い、血のように赤い。
回りの人々が次々と倒れていく。
「浸魔(エミュレイター)!」
月衣にしまわれている武器を取り出す。
「おやおや、ウィザードがぁ〜〜」
まるでピエロのような親玉がくれはの前に姿を現す。
「武器から察するにカードマスターか……前で戦う奴もいないのにどう戦う気だい?」
(柊が来てくれれば)
「まっ、いてもいなくてもすることは同じなんだけどね」
ピエロがそう言って、パチンと指をならすと、無数のエミュレーター達が姿を表す。
「ウィザードは結構プラーナが多いからねえ〜〜食べるのにちょうど良いんだ〜〜」
魔法を唱えようとして、エミュレーターの一体がくれはを押し倒す。
「『服よ砕けろ』」
ピエロの呪文と共に、くれはの制服と、縄が嫌な音を立てて消え去る。
「さーて、もう君はまな板の上の料理と同じ。ゆ〜〜くり料理するからね」
そう言ってピエロが合図をすると、四本の触手がくれはの四肢を拘束し、そのままX字に広げさせる。
462 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:48:21 ID:UdAOHmbf
「はわっ!」
「初々しいねえ〜〜」
そう言って、ピエロはナイフを取り出し、くれはめがけて投げつける。
一本、二本、三本、四本……
「!!!!」
五本目が足に刺さり、激痛で顔をゆがめるくれは。
「安心して、簡単には殺さないから〜〜」
時間をかけて、ゆっくりとプラーナを吸収する。それがこのエミュレーターのやりかただ。
(柊……柊……)
幼馴染の名前を心の中で呟く。
(来てくれるよね。あの時みたいに)
そう思った瞬間、触手がくれはの秘密の花園に先端を当てる。
「はうっ!!」
プラーナ展開。全力で阻止する。
「おやおや、がんばるねえ〜〜」
そう言って、醜悪なピエロが懐からナイフを取り出し、縛ってある髪を無造作に掴む。
「その分やりがいがあるってものさ」
「やめて!!」
女性の髪には霊力がやどるとされる。だからくれはは髪をあまり切らないし、切る事に違和感を覚える。
暴れまわって抵抗するが、さすがに四肢をしばられては何もならない。
「うふふ〜〜」
ザク。嫌な音がなり、くれはの髪の一部が切り裂かれる。
「いやあああああああああ!」
恐怖のあまり失禁してしまい、黄色い液体が滝のように流れ出す。
「あはははははっ、さすがのウィザードもこうなってしまえば、只のおもち「人を玩具あつかいするんじゃねえ」」
その言葉と共に、ピエロの体に閃光が走る。
463 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:49:12 ID:UdAOHmbf
「きっ……貴様!」
複雑なルーンの書かれた剣をもった少年は、ピエロを睨む。
(ああ、来てくれたんだ)
安堵と共に、触手をはがそうと躍起になる。
ピエロと柊の戦いは、予想以上に続いている。
柊の一撃をピエロは部下を盾にしているが、それの数は次々と減ってきている。
だが柊も無傷ではない。だが、柊は一歩も下がらず剣劇を続けている。
「くっ!!」
ピエロの無尽蔵ともいえるナイフの嵐をさばきつつ柊は前へ前へと進んでいく。
「貴様っ貴様っ!」
「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおっ!」
やがて、ピエロの頭に大上段からの斬撃を受け倒れこんだ。
「柊!」
触手をようやく振りほどいたくれはが、生まれた姿のままでかけよってくる。
「怪我……治すから」
「その前にほれ」
そう言って、柊が自分の服をくれはにかける。
「大丈夫だったか?」
月匣が崩れ行く中、くれはと柊は茂みの中に隠れ、柊の月衣から予備の服(異世界へ行く時用)を取り出した。
エミュレーター出現の事を簡単に報告してから、二人はくれはの家で休む事になった。
「ごめんね、蓮司くん。くれはが迷惑をかけてばっかりで」
「いえ、別に良いですよ」
そんな会話をしながら、くれはの母は真行寺家の会議があるとの事で、今から出かけないといけないらしい。
「迷惑ついでで悪いけど今日はくれはについてあげてくれないかな?」
「えっ??」
「今日の事であの子怖がってるの。だからね」
そっと耳打ちする
「今日は最後まで傍にいてあげて」
464 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:50:43 ID:UdAOHmbf
「……」
少し大きめの赤羽家のお風呂場。
体中が気だるい感覚で覆われてる。
「柊……」
そっと、入り口に少女が入ってくる。
「くれは??どうしたんだ??」
「小さい時一緒にお風呂入ったでしょうだから……」
くれはもそれが下手な言い訳だという事を知っている。
だけど、今のくれはは一人でいるのが怖いのだ。
そのまま強引に風呂場に入り、シャンプーとリンスで神を洗い始める。
「手伝おうか?」
「うん……お願い」
柊は風呂場から上がると、手にシャンプーをつけて、泡立ててからくれはの髪を優しくゆすぐ。
一房だけ切られた髪を見つけて、罪悪感に悩まされる。
「悪い……もっと早く来てたら……」
「…………」
気まずい雰囲気の中髪を洗い続る。
「良いんだ、柊が来てくれたから助かったんだし」
そう言ってくれははシャンプーをつけたまま柊の方へと向き直る。
「だからさ、そんなに気にしないで」
体中の血が愚息に集まって隆起する。
「ひっ柊!止めて!ちょっと!」
お尻に当たった愚息がくれはのお尻に触れて、くれはが堰が壊れたかのようにしゃべる!
「わっ悪い!」
慌てて離れるが、運悪く頭を壁にぶつけてしまう。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
頭を押さえてから立ち上がった愚息を治めようとするが上手くいかない。
「たしか、こうすれば良いって聞いた事があるから」
そう言って、くれはは柊の塔を口に含むと優しく舐め始めた。
465 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:51:09 ID:UdAOHmbf
「んっ………はわっ」
愚息がさらに大きくなり、くれはは口を離してしまう。
次の瞬間、どろどろの粘液がくれはの髪へとかかり、髪にはりつく。
「まだ、大きいままだ……」
どろどろと流れる柊の体液をそのままにして、くれはは柊の愚息から目を離せずにいる。
「どうしよう………」
「少ししたいことがあるんだけど良いか?」
そう言って、柊がくれはに『したいこと』を言った。
床に這わされたくれはの髪に無数の精液が染み込む。
「あっふぅ……」
柊に何かをされてるという快感、柊がしているという快感がくれはの心さえ犯してくる。
「こんなにかかったらリンスいらないね」
そう言って、くれはは立ってからシャワーを出し始める。
冷たい水が流れ始めて、二人の体を濡らし始める。
柊も立ち上がり、くれはに抱きつく。
「はわっ?」
そのままお尻をなでるようにしながら、片手でくれはの成長していない胸をまさぐる。
「はわ〜〜」
お尻をなでていた手は腰から前へとまわり、秘密の花園へと侵入する。
「くれは」
シャワーは水からお湯へと変化し、二人の体をさらに温める。
そっと抱き寄せられ、首筋やほっぺにキスがされる。
体を回して柊に向き合い、むさぼるようなキスをする。舌を絡め、唾液を混ぜあい、甘いキスをする。
体を持ち上げられれ、柊の塔がくれはのクレパスに入ろうとする。
「やめて蓮司!」
半ば入ったところで動きが止まり、苦痛と快楽が半ばで苦悶する。
466 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:52:51 ID:UdAOHmbf
「お願い……ゆっくりして」
少しずつ塔が埋まり始め、二人の顔はどんどん赤くなっていく。
「はわっ!」
やがて全てが埋まり、そのまま柊は歩き出す。
「はわっはわぅはわっ!」
衝撃がそのまま体の中を伝わり、そのまま快楽となってくれはの心を溶かす。
なすがままにされるしかないくれはの首筋にキスがされ、もはや何も考えられなくなる。
湯船に入れられ、そのまま繋がった部分が暑くなる。
「気持ち良いか?」
「うん……」
湯船の中でキスをして、くれはは柊の肩をそっとなでる。
「ぷはぁ」
おもいっきり息を吸い込んで、生きている事を実感する。
柊はくれはを立たせて壁に張り付かせ、そのまま耳の後ろを舐め始める。
「ううん」
まるでネコのようにうめき声を上げくれはは柊のなすがままにされるくれは。
柊はそのまま首筋、脇の下、脇腹を通って膝の裏を優しく舐め始める。
「あうううっ」
しっかりと唾液を塗りこめられ、くれははもううめく事しかできない。
やがて、膝の裏から足を伝わって、くれはのお尻に舌が入っていく。
「はわうぅっ!」
体中に衝撃が走り、そのまま崩れ落ちそうになる。糸一本体に巻かれていないのに、彼に逆らう事ができない。
お尻の奥を舐められ、愛液をすする音が響き、くれははなすすべも無くただ犯され続けた。
467 :
くれは陵辱:2005/06/04(土) 11:55:27 ID:UdAOHmbf
エピローグ
「…ではいってきまーす!」
そう言って、くれはが元気良く家を出る。
「くれは姉ちゃん、蓮司さんとなにかあったのかな?」
性の共演をしらない弟がその様子を見て言う。
「こら」
くれはの母が弟を怒る。
「蓮司さんじゃなくて蓮司義兄さんでしょう?」
知らぬは本人達ばかり。
終わり。
☆★☆
これで終わりです。
GJだ。
だが、タイトルに偽りありなのは変わらず。(w
まあ、柊とくれはの正統カップル好きとしては応援するよー。
なにげに、マサト達が出てるのもナイス。
>430
流石に平日にそれは無理なので(あたしゃフルタイムで働いております)。
旦那の首筋にキスマークつけただけ。
【バカは作品と現実の区別がマジでついていない】
>431
昨日は夜11時まで会社に居残りして、帰ってみたらサッカーに旦那を取ら
れました。ムカつく勢いで徹夜で話を書いていたら、途中で寝てしまったらし
く、起き出たの今時分だよこん畜生w
>432
なんかいいなぁ。お互いの心のツクンとした痛みが伝わってくるようです。
GJ!
>439
言い出しっぺの法則。頑張って〜w
>443
だったらクレイを男優にしてリューナ主演のAVを撮ればいいんでは? 映
像がある分、雑誌よりインパクト強いですよきっと。
>456
やっぱ柊×くれはですよねっ!
ところでアリアンって需要あるのだろうか?
ふとエイジ×ウェルチを書いてみようかとも思ったんだが。
実の兄妹だと知ったうえでウェルチが迫る奴。
まあ、実際に書きあがるのは6月末か7月頭になると思うが、
かのスレで不要なら書く必然無いしなぁ。
需要はあるかと、少なくともここに一人。ノ
まあ、書きたくなったら書くのが一番です。
ノシ
>>470 前はアリアンネタもそこそこあったし大丈夫。待ってるよーノシ
これだけいるのなら、書いてみることにするよ。
まあ、さっきも言ったけどにすぐには出来ないが…。
仕事忙しすぎ…(TT)
公園でとか紅茶に一服とかありませんから! いやほら、オーヴァードだし普通はしない経験をしてはいるけど、その他
はビギナー、みたいなイメージで書いていたので。書いていたので!
期待を裏切ってゆきます。悪い方向に。駄目な子じゃん。
そして焦らしとか高度なプレイじゃありません。単に筆が遅いだけです。…もっと駄目じゃん。
とまれいつもながらレスポンスを下さった方々に感謝。
そしてまとめサイトの方、保管作業おつかれさまです。ノリだけでの嘘展開とかやって、まとめにくくて申し訳ない。
>>425 出だしで切りかよ!? 文中の彼は、やっぱりいつもの彼なのだろうか。
事の経緯が大変に気になるので、続きを楽しみに待つ。急かしてないよ。全然急かしてなんてないよ?
>>437 頭のいい同士の会話っていいな、と思う。逆に自制が効いてしまう分、踏み込んでしまえよ、けしかけたくなったりもする。
さらさらと繋がっていく会話の調子が好きです。「記憶しておくよ」って台詞、らしくて好きだな。
あと自分の書いたのに作中で触れられてたりすると、すげぇ嬉しかったりします。欣喜雀躍。
>>444 アンゼロットの強引さ具合に笑った。っつーかあんな冊子ごときで裏界に寝返るとは、昨今のウィザードは駄目だよな。
【キャラシのコネクション欄に不自然に手を置きながら】
>>467 ああ、なんて言うの? 狗頭羊肉? ぶっちゃけご馳走様でした。
かちゃり、と音がしてドアが開いた。視線を彷徨わせていた俺は、思わず背筋を伸ばして正座なんかしてしまう。
「お待たせしました」
そっとテーブルに置かれた盆の上には、ティーポットとカップがふたつ。それから砂糖入れとミルクポーション。
しまったとそこに至って俺は悔いた。ドアのところまで受け取りに行った方が、親切だったに違いない。
「お茶請けも何もなくてごめんなさい。砂糖とミルクは、お好みで入れてください」
言いながら支部長は紅茶を注ぐ。
紅茶なんてペットボトルや缶で売られているようなものしか飲んだ事がないけれど、その香りひどくいい事くらいは流石に
判った。
「ありがとう。何から何まで」
どうぞ、と勧められて、俺は茶色の液体を口に含む。実のところ、味なんて殆ど判らなかった。じっとこちらを見つめてい
る彼女ばかりが気になってしまって。
「…俺、貧乏舌だから堪能しきれてないかもしれないけど。でも、今まで飲んだ中で一番おいしい」
二口三口啜りながら懸命に言葉を考えて告げると、ふっと彼女も体の力を抜いた。ようやく自分のカップを口へ運び、それ
から少し笑って、
「楽にしていてください。別に支部にいる訳じゃありませんから」
足を崩したって構わないと言われている事に気付くのに、数秒かかった。
「でも、支部長だって正座だろ」
「私は慣れていますから。でも、貴方は違うふうに見えます」
悪戯っぽい微笑み。敵わないなと大げさにため息をついて見せて、俺は正座から胡坐に変える。
こんなふうに自然に笑う彼女を、初めて見た。
自室という事もあるのだろう。やはり初めて見る私服の印象も大きいのかもしれない。でも支部にいる時とはまるで違って、
肩の力が抜けてリラックスしているように見えた。
本当に同年代の女の子なのだなと。普通の女の子なのだなと、そう思った。
同時に、いつもはそうできないほど重たいものを背負っているのだな、とも。
「――それで?」
両手でカップを包んでいた支部長の目が、上目遣いにこちらを見た。再び緊張しているような、身構えているような雰囲気が
漂う。
「え?」
「私に話があると、そう言っていませんでしたか?」
――支部長に話があったんだ。電話なんかじゃなくて、直接顔を見て話したかった。
「…あ」
自分の迂闊さに呆れかえる。どうしてこんな時間に家を出たのか。支部へ向かおうと思っていたのか。目先の幸福で、すっか
り忘れてしまっていた。
「ごめん」
ティーカップを戻してから、少し退いて、俺は卓につかんばかりに深く頭を下げた。
え、と彼女が口元を抑える。どうしてそんな事をされるのか判らないというふうに。
「どうしても、謝っておきたいとと思ったんだ。あの時の事」
「…あの時?」
怪訝な瞳に頷いて、俺はずっと腹に溜まっていた罪悪感を吐き出した。
尊敬して、慕っていたひとたちの事。そのひと達があの日死んだ事。
自分の力が足りなかったのに、後悔を背負い切れなくて、彼女の所為だと八つ当たりめいた暴言をぶつけた事。
「本当に、ガキだったと思ってる。今でもガキだけど、でもそれくらいは判ったつもりだ」
「…」
「心まで化け物だなんて、オーヴァードにはきっと、一番ひどい言葉だと思う。自分が言われた時の事を考えてみれば解る。な
のに俺、支部長に責任を押し付けて…」
もう一度頭を垂れて、そのまま俺は言葉を続ける。
「なんなら引っ叩いてくれても構わない。ものすごく都合のいい事を言ってるって思う。でも、許してもらえないだろうか」
床を見つめたまま、俺はぐっと拳を握った。自分が苦しいばかりに、他人を傷つけて。
レネゲイドウィスルは他者を思い遣らない。心遣うのは、人の心だ。だからあの日あの時、俺の方こそが化け物だった。
「ずっと悔やんでた。後悔は重ねるなって、そう教わってたのに。ちゃんと頭を下げる勇気がなかった。それでこんなに遅くな
ったけど、でも…」
上手く言えないで言葉に詰まる。彼女の沈黙が胸に痛い。どれくらい、そのままでいただろう。
「…それを、わざわざ?」
「ああ」
俺は首肯して顔を上げ、
「え?」
彼女は、ぽろぽろと泣いていた。
「ご、ごめん。そんなに嫌な話…」
うろたえる俺に、彼女は頭を振って見せた。
「ちが…いえ、違うんです。聞きました。貴方が亡くなった方達と、どれだけ親交が深かったか。だから私こそ、貴方に謝らな
ければと考えていたんです。でも、赦してもらえないだろうと思って。私は貴方の大切なひとを奪ってしまったから、絶対に赦
してはもらえないだろうと思って…」
最強の液体は女の子の涙だと聞いた事がある。それは多分、嘘じゃない。
「ずっと私、貴方に嫌われているのだと思っていたから。それで、ほっとして。嬉しくて」
思いもよらない言葉だった。俺は、自分こそが彼女に忌避されているだろうと考えていたのに。
「嫌われて当然なのは、俺の方こそだよ。あんな事を言って」
「いいえ、いいんです。それで、気が付いたから」
少し落ち着いてきたのか、声の震えが治まってくる。ひとつ深呼吸してから、彼女は続けた。
「結果を出さなくちゃと思っていました。私は若輩で、とても信頼できるようには見えないだろうから。でも私の指示が無視さ
れるようになったら、その混乱からもっと大きな被害が出ます。だから、皆が仕方ないと思いながらも従ってくれるような、そ
んな結果が欲しかったんです。でも」
今度は、彼女が深々と頭を下げる。
「それで、ああいう事態を生みました。貴方にああして叱られるまで、私は責められても仕方ない手段を選択してきていたんで
す。だから、ごめんなさい。それから、ありがとう」
すごい子だな、と改めて思った。あの後彼女が被害を最小限に抑えるような指揮と配置を行ってきたのだと、俺は知っている。
支部の死傷率は著しく減少していたから。
俺が個人感情で悔いていただけの間に、彼女は向きあって反省して、その先へきちんと進んでいたのだ。
「だから、謝るのは俺の方だよ。あんなふうに悪意をぶつけてしまって」
「いえ、でも私の方だってそう言われても仕方のない事を」
お互いに言い募って、それから顔を見合わせた。
「際限がありませんね」
「まったくだ」
目元を拭って、ふふ、と彼女は微笑んだ。
今日一日で、今まで見た事がないくらい色んな表情を見た気がする。そして多分今日だけで、三度は彼女に惚れ直した。
「じゃあお互い様で、これで仲直りにしましょう?」
すっと立ち上がってテーブルを回ってやって来て、ちょこんと俺の隣に端座する。そうして手を差し伸べた。
おずおずと、それからきちんと握って握手をする。その手はどきりとするほど小さくて、やわらかかった。
触れ合わせた右手を大切なもののように胸に抱く。
「悪い。痛かった?」
力を入れすぎたのかと思って謝ると、
「あ…いえ、そういうわけじゃ…」
心なしか、少し顔が赤いようだった。
上、若干訂正。
すっと立ち上がってテーブルを回ってやって来て、ちょこんと俺の隣に端座する。そうして手を差し伸べた。
おずおずと、それからきちんと握って握手をする。その手はどきりとするほど小さくて、やわらかかった。一、二度上下させて、そして心惜しいけれど手を離す。するりと抜け出していくぬくもり。
彼女は、触れ合わせた右手を大切なもののように胸に抱いた。
連続書き込み待ちの間に別窓作業なんてしてるから…。申し訳ねぇっす。
本日分はここまで。次の次くらいには本番開始。…のはず。
んじゃまた、続きが出来たら。
いつもながらにグッジョブです。
この、背中が痒くなるやり取りが、やりとりがぁぁぁぁ!!
失礼、衝動判定にちと失敗を。
つか、以前に一般開放型エンディングとかないかなーとかほざいた自分
ですが、こーいう展開してくれるならすでに満足です。
最初は、その場の勢いでエロ突入と思ってたからなぁ。
誰もいない。投稿するなら今のうち・・・。
こないだ2つも投下したのに、手持ちが6本とはどういうことだ!?
というわけで新作BBNT2本連続投下。っと、その前に。
>476
ぐっじょ〜ぶ!
すれ違い続けてきた二人がようやく正面から向き合ったって感じです! よ
かった! 本当によかった!
さあ後は行き着くとこまで猫まっしぐら、てか狼まっしぐら!
その前に瞳ちゃん視点のお話ですね。首を長くしてお待ちしております。
「だったら俺が食いたいんだが、構わんか?」
「そりゃあ願ったり叶ったりじゃ」
「なら決まりだ」
俺はパチンと指を鳴らした。
符丁で交わされる会話、街の探偵と死霊課刑事との癒着。
・・・なんてご大層なものではない。人狼“法の番犬”ロウが1週間の予定
で出張することが急に決まったため、昨晩鍋いっぱいに作ったばかりのカレー
の処分に困っている、という話があり、だったら俺が食うと申し出たわけだ。
文字通り、そのまんまの意味。
【魔の姿】は二足歩行の巨大な狼、【かりそめの姿】は筋肉質の体格に背広
が窮屈そうな、見るからに武道一直線の快男児だが、ロウの特技は意外と家庭
料理。死霊課に所属する前はプロを目指して修行をしていたというから半端な
腕ではない。ましてや可愛い可愛い愛娘のために腕によりを掛けて作った愛情
料理、しかも1日置いたカレーともなれば、そりゃあ美味いに決まっている。
俺は魔剣持ちの吸血鬼“宵闇の探偵”ヤイバ。主食は勿論人間の血液である
が、少なくとも俺は極少量の血で満足する上、味覚が人間だったときのそれと
大きく変わらないので、今でもしょっちゅう普通の食べ物を口にする。
・・・それでなくとも貧乏なのに、だから余計に貧乏するんだ・・・、そう
思っても、食の快楽は、性の快楽同様、生ける死者となった今でも捨て難いも
のなのである。
ロウの家は、俺の家があるボロアパートよりはよほど上等な古いアパート、
その1階の一室である。夕方6時頃に訪ねていけば、既にロウ達は出かけた後
で、ユメコが淡いオレンジ色のエプロンを着けて俺を待ち構えていた。
「アナタ〜、お帰りなさ〜い。先にお風呂になさいますか、お食事になさいま
すか? それとも、ア・タ・シ?」
「蹴飛ばすぞ」
「や〜ねぇ、せっかく気分を出してあげてるのにぃ」
何の気分だこの淫魔。
夢蝕み“月夜の夢魔”ユメコ。確かこいつはロウの手料理を食べたことがな
かったはず、と俺から連絡して誘ったのだ。
エプロンの裾には、まるまっちい怪獣のアップリケが施されていた。ユメコ
のダイナマイトバディを包むには、少々愛らしすぎるデザインである。
「どっから持ち出したんだ、そのエプロン」
「これ? レンのを借りたのよ」
なるほど、狼男の愛娘・レンのだとすれば納得のいくデザインだ。
伝説の住人、“混沌の監視者”。大人の外見と知能とを持ち、歴史の監視者
という大任を背負う3歳児。整った造作に、しかし、ふとしたはずみで浮かぶ
表情は幼女のそれ。そもそも種族が違うのに、百歳にもなる人狼のおっさんが
年若い伝説の住人を養女にした理由や経緯は、俺は詳しくは知らない。留守の
間に家に上げても平気なほど俺とロウとは気易い間柄だが、だからといって、
全てを語り合う仲ではないのだ。
ところで、百歳でおっさんよばわりなら三百歳のユメコはロウの3倍おばは
んだ。この街の有名どころの半魔の中では、創生の時代から生きている降りた
天使“守護天使”アンジェ、齢四千歳を数える竜“誇り高き龍”リュウに次ぐ
年長組である。その次が百数歳のロウ、八十年ばかし(吸血鬼になってからは
六十年ばかし)生きている俺、五十年くらい前に作られた自動人形“無垢なる
人形”ドリィと続く年中組。あとはぐっと若くなって、3年前に半魔として覚
醒した二十歳強の執行者“鋼の戦士”ハガネ、3年前に生まれたばかり(外見
的にはハガネよりちょい下ぐらいか?)のレン、半魔となって1年足らずの中
学生魔女“きらめきの魔法使い”マホ、ほんの数ヶ月前に覚醒したばかりの高
校生異能者“真魔の血脈”マコトが年少組だ。
玄関口から上がって右手が台所、左手が風呂や洗面所やトイレ、洗濯場。正
面が居間を兼ねたダイニングで、正面左手にもう一部屋、それからベランダ、
というのがロウの家の間取りである。質素堅実を旨とする人狼一族の男の家だ
けあって、生活感がある割に、物は少ないという印象だ。隅っこに、怪獣のぬ
いぐるみと怪獣の塩ビ人形が転がっていて、子供のいる家だなぁという感じ。
・・・なんで怪獣ばっかりなんだ。おい。
居間の飯台には、カレー皿とツナサラダとがきちんと用意されていた。飲み
物が野菜ジュースと、何故か市販のコーヒー牛乳。聞けば、この家ではカレー
ライスには生卵とコーヒー牛乳を付けなければならない、という掟があるらし
い。いやはや、ご家庭には色々なこだわりがあるものだ。なるほど、カレー皿
の横にはちゃんと生卵が置いてある。
「お前がここまで準備したのか?」
「んーん、ロウとレンがやってくれたの。ちょうど貴方と入れ替わりになった
のね。離島の方でトラブルがあったんですって?」
「ああ。で、人狼が一匹、死霊課から借り出されたってわけだ」
「レンも、その関係で付いていったの?」
「一人で留守番させるのが可哀相だから連れていくんだと」
「ウフフ、お父さんは心配性ねぇ」
「まあ、少なくともレンに関しては、こっちで用ができたらケータイで呼びゃ
あ済むしな」
“混沌の監視者”の特殊能力、空間跳躍。物理的な距離や障害を無視して、
日本国内ならほぼタイムラグなしで移動できる。勿論、あれこれとややこしい
制限はあるそうだが、俺が見ている限りはお便利極まりない力だ。
各自、電気釜から炊き立て御飯を好きなだけカレー皿に盛り、その上からカ
レーを掛ける。
エプロンを外しながらユメコが言った。
「知ってる? このエプロン、レンの手縫いなのよ?」
「へ〜え。器用な奴だ」
俺は素直に感心した。
「裁縫なんてボタン付けか雑巾を縫うのぐらいしか教えてないのに、いつの間
にこんなに上手に作れるようになったんだろう、って。その話をしてるときの
ロウの顔ったらもう、貴方にも見せたかったわよ」
見なくてもわかる。真夏のソフトクリームみたいにデレデレに蕩けていたに
違いない。
そういえば先月、レンが、ロウと二人で携帯電話機をTV電話機能付きのに
買い換えたと言っていた。どうせ、ロウが死霊課の激務でレンに会えないとき
に、せめて電話で顔を見たくて買い換えたのだろう、と思ったものだが。
なんか、その邪推が当たってるような気がしてきた。
エプロンを外したユメコの格好はというと、いつもはお堅いスーツを好んで
着るのに、珍しく、カットソーにフレアスカートというカジュアルな服装だっ
た。ただし、いつもの通り、知的さを浮き彫りにする銀縁眼鏡は掛けている。
線の柔らかいその服にはちょっと合ってないんじゃないかと思うのだが。
飯台には、テレビの正面に対向してダークグレーの座椅子が置いてあった。
家長席、多分ここがロウの。俺がそこに胡座をかく。また、テレビを横手に、
台所に近い側、レモンイエローの座椅子が置いてあった。子供席、ここがレン
の。ユメコがそこに正座し、根性なくすぐに足を崩す。
「いただきます」
もう十年くらいは使ってんじゃないか? という古いデザインのブラウン管
テレビを点けて晩飯にする。リモコンがないのかどこかへ行ったのか、いちい
ちテレビの前まで行ってチャンネルやボリュームを操作しなければならないの
が面倒くさい。
ピンときた。俺の探偵事務所の調度品と一緒だ。恐らくこれも、ゴミ捨て場
からの拾い物。死霊課刑事は所詮は公務員、そのハードワークに比して、驚く
ほど給料は安い。
なんつーか。
人間だったときは、「魔物」と聞くと、何か物凄い存在のようなイメージが
あったんだが。
いや、「半魔」だからかも知れないんだが。
人間よりも地味くさいぞ。
尤も、エグゼクティブのアンジェやブローカーのリュウは大金を稼いでブイ
ブイ言わせているし、中高生のマコトやマホは、割といい家の坊ちゃん嬢ちゃ
んなので、俺達みたいに生活の苦労はしていないはずだ。ま、ピンキリという
やつである。
「・・・あらっ。これ、本当に美味しい!」
目をまあるく見開いて、ユメコが驚嘆の声を上げた。
カレーの中身は、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、牛肉、香り付けにロー
リエ、というスタンダードな材料に加えて、なんとレーズンが入っており、鬼
のようにフルーティだった。ニンジンがお花の形をしていて、あのゴツい指で
これをなぁ、と思うと妙に可笑しくなる。
サラダは、トマトとレタスとキュウリとツナ、というありふれた内容だが、
恐らくはドレッシングが手製。スパイシーで後味がよい。
野菜ジュースはリンゴベースのニンジンジュース。はちみつがたっぷりで、
ほっぺたが落ちそうだ。
流石ロウ。いい仕事をしている。
ただ、一つだけ難点を挙げるなら。
俺はこんなに甘いカレーをカレーとは呼んで欲しくない。カレーとさえ名前
がついていなければ、絶賛するのに吝かでないのだが。どーせレンの舌に合わ
せたんだろう。好き嫌いの激しい偏食大魔王。だから料理に工夫のし甲斐があ
るとかロウはほざいていたが、子供をあんまり甘やかすなよな。
ユメコと二人でたらふく食っても、鍋にはあと一食分くらいは残っていた。
家の鍵は大家に渡せばよいとのことだったが、もう一日預かっておいて、明日
の夜もこのカレーを食おうと思う。
一服してから、ユメコが言った。
「じゃ、ヤイバ。お皿洗って」
「何が『じゃ』なんだ」
「まさか、放って帰るわけにもいかないでしょう? こんなに美味しい晩御飯
をご馳走になったんだから、後片付けぐらいはしていくのが礼儀よ」
「だったら何で自分がやらない?」
「だってあたし、水仕事なんかしたら手が荒れるもん」
いけしゃあしゃあ。
「ザラザラの手でしごいて欲しい?」
何をだ。てゆーか常日頃、お前は家事をどうしているのか。
試しに問い質してみたところ、へにゃへにゃ〜っと笑ってユメコは言った。
「え〜? テキトーなオトコにやらせてるー」
参考までに、俺はユメコのために家事をやった覚えはない。
「たまーにオンナノコー」
・・・節操のない淫魔。
ともあれ、食事の礼に皿を洗うぐらいは何てことない。俺は台所に立った。
レンのエプロンは、あまりにも可愛らしすぎて着る気になれず、ロウの割烹着
を借りることにした。ちょっとでかいが、使いにくいほどではない。
キッチンペーパーでカレーの汚れやドレッシングの油をぬぐってから、瞬間
湯沸器の熱湯にサッと食器を潜らせて汚れを浮かし、それからスポンジに洗剤
を付け、ゴシゴシと洗い始めた。一人暮らしも長いと、この程度の手際は身に
つくものだ。
「んっふふ〜」
不気味なほど楽しそうに笑って、ユメコがゆっくりと俺の背後に近づいてき
た。長い付き合いからくるイヤ〜な予感。
「こーしていると、本当に新婚さんみたいね」
立場は逆だがな。俺はユメコの台詞を聞き流す。
しゅるっ、と、俺の背中で割烹着の腰紐がほどかれた。
「おい、何をしてやがるっ?」
「台所ファック」
イヤな予感は的中。
何がイヤって、ユメコのこういうイヤラシイ行動を、容認してしまうどころ
かそれ以上を期待してしまう自分がイヤだ。
ユメコは割烹着の下に両腕を滑り込ませて、俺の背中に自分の胸を押し付け
る格好で。
たちまち2本の手が不穏な動きを始める。
「やめんかっ!」
怒鳴った瞬間、ガチャン! と破滅的な音が。手から滑り落ちた皿が小皿の
上に落ちたのだ。かろうじて無事だったが、危ういところだった。
「気をつけなさいよヤイバ。ロウ達の食器なんだからね」
「だったらお前がそーゆーことを、うわわっ!」
「お皿洗いを続けて。割ったらお仕置きよ?」
静かな、しかし有無を言わさぬ命令形。
「それから、あんまり大きな声を出しちゃダメ。このご近所で、ロウの評判が
悪くなったら大変でしょう?」
ああ。畜生。
何よりも、こいつの言うことに従ってしまう俺のスケベ心がイヤだ。
優しく焦らすような妖しい指先が、服の上からだというのに、俺の官能にダ
イレクトに訴える。
「く・・・う、・・・っ」
瞬く間に勃ち上がる俺そのもの。
「ほらほら、感じてばっかりいないで。お皿を洗う手が止まっているわ」
内股をキュッとつねられる、その痛みさえ、ゾクゾクと背中を駆け昇る。
勝てるわけがない。俺は八十歳の『若造』、相手は海千山千、三百歳の妖艶
な淫魔。そして、いつもこうして屈服する自分が、俺は決して不快じゃない。
俺は呼気をも噛み殺して、皿洗いを再開した。
「イイコね、ヤイバ。可愛いわ・・・・・」
媚薬のように、毒薬のように、俺の心を犯していく夢魔の囁き。
ユメコは、腕ばかりでなく身体全体を俺に擦りつけ始めた。俺を刺激するの
みならず、自分をも刺激しているのだ。その証拠に、ユメコの吐息も甘く熱く
乱れていく。そのくせ、決して溺れない。余裕たっぷりの性戯。早くもなく、
遅くもない速度で、俺ばかりがどんどんどんどん追い詰められていく。
「うっ・・・は・・・あ・・・」
なんとか洗剤で洗い終え、あとはすすぐだけとなった。その頃にはもう、俺
はユメコにブチ込みたくてブチ込みたくてたまらなくなっていた。そんなこと
は絶対にさせてもらえないとわかっているから、最後の一線で我慢しているギ
リギリの状況。
あと2つ。カレー皿とガラスコップ・・・・・ガシャン!
ユメコの手がピタリと止まり、
「う、うああっ!」
突然ポイと投げ出されたような俺の快楽が、続きを求めて悶え苦しむ。
「あら。割っちゃったのね、ヤイバ」
カレー皿の下で、怪獣模様のコップが真っ二つに砕けていた。
ユメコの身体が俺から離れる。俺は流し台の天板に両手をついて、ぜぇぜぇ
と息を吐き、自分自身を制御するのに必死だ。
ややあって、
「場所を代わって。ヤイバ」
振り向くと、淡いオレンジ色をしたレンのエプロンを着けて、ユメコがそこ
に立っていた。まさか、割れたコップを自分が片付けるつもりなのか、という
俺の予想とは裏腹に。
俺を押しのけて、俺に背を向ける格好で、自分が流し台の天板に両手をつい
て。
・・・裸エプロン!
「余計なことはしなくていいわ、ヤイバ」
肩越しに見返り、ユメコはいちいち俺の名を呼ぶ。この俺を、絶対的に支配
するために。
「すぐに挿れなさい」
俺は邪魔な衣服(よく考えれば、それはロウの割烹着)を引き千切った。
ズボンを下ろすのももどかしく取り出したそれを、ユメコに命じられるまま
に突っ込む。既に熱く潤びて濡れそぼつそこを、えぐるように打ち付けるよう
に俺は蹂躙する。
「ああっ、そうよ、ヤイバ、いいわ、あはぁっ・・・!」
感極まったユメコの喘ぎ。
「でもね、ヤイバ、あたしがいいって言うまで、貴方はイッちゃダメよ? こ
れはおしおきなんですからね。わかった?」
「ああ、わかった、わかったよ、ユメコ・・・・・!」
俺は彼女の名を呼ぶ。それは盲従の証。美しき女主人に命じられるままに、
欲望を解き放つ奴隷。
俺は自分を律動させる。ユメコを追い上げるように、俺が舞い上がらないよ
うに。それは悦楽であり、苦悶であり、至上の、祝福、だった。
「もっとよ、もっとよ、もっと、そこ、そこを、そこよぉっ、ああああっ!」
軽くイッたのか? ユメコの背中が仰け反り震える。
はあっと大きく息を吐き、潤んだ瞳を俺に向け、
「次は、一緒に・・・ね? ヤイバ」
命令違反とはわかっていた、けど、俺は彼女に繋がれたまま、彼女の両胸を
持ち上げ揉みこねた。
「ああん、余計なことはしなくていいって・・・あっ、んっ」
尖った乳首をエプロンの裏地に擦りつける。
「いやん、ダメぇ」
どこか少女のように甘えた声で。
俺は片手をユメコの足の間に滑り込ませ、たっぷりとぬるつくものを自分の
指に絡めて、ヒダを掻き分け、大事な一粒種を存分に弄った。
「あっ、そこっ、いやっ、そこぉっ!」
自分で腰を動かして、俺の指を最高の位置に持っていこうとする。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああっ!」
ユメコの中がドッと熱くなった。まさか、また、イッてくれた?
「本当に、貴方って・・・もうっ」
なんて幸せそうな顔をするんだ、お前は・・・?
「・・・大好き」
ユメコから求めた唇。俺は応える、深く、激しく。
「今度こそ、お願い」
「ああ」
俺も、そろそろ限界だ。
俺が動き易いよう、ユメコが腰を突き出す。俺はユメコを抱えて、思う様、
彼女の中を愛撫する。
「ユメコ、ユメコ、俺は・・・・・」
「なあに? ヤイバ。はっきり、言って?」
「いや、もう、言ってる、ような、もんだ」
「それでも。女は、欲しいものなのよ」
導かれる。その一言。意図せずに。口からこぼれる。
アイシテル。
混ざり合う水音。肉を打ち付ける音。高まる。熱く。痛いほど。鋭く!
「ああーっ!」
「うわあああっ!」
・・・・・長い長い終わり。
したたる汗に、さざなみのような余韻。
どのぐらいの時間その格好でいたのか。俺はようやく、ゆっくりとユメコの
中から出た。
「あんっ」
俺が抜けるとき、可愛い声と共に、ちょっとだけ尻を上げるユメコの癖。畜
生。なんて美味そうなんだ。また食いたくなるだろうが。
床の上には俺達の愛し合った証が点々と。あとで拭いておかないとなぁ、と
か何とか考えながらズボンを上げて、
「・・・終わった?」
「ああ、ぉわったぁ!?」
自分でもアホだと思う悲鳴。痛いのはちょっと挟んでしまったせいだ。
黒ブチの眼鏡。男物のカッターシャツをフェミニンに着こなし。
冷蔵庫にもたれて、こちらに携帯電話機を向けて。
立っていたのは“混沌の監視者”。
レン。
「いいいいつの間にっ!?」
「『すぐに挿れなさい』の辺りかな」
後半全部、見られていたのか。何故気づかなかった、俺。
・・・気づく余裕なんて、なかったか。
「あら、あたしは知ってたわよ?」
クスクス笑ってユメコ。
「ついでに言うなら、TV電話でロウに実況中継してることも」
「なにーっ!?」
俺はレンのケータイを取り上げた。メタルレッドの最新デザイン。買い換え
たと言っていたアレがコレか。
『よう。人様ンちで、お盛んじゃのう』
画面の向こうで、人間の顔をした狼男がニヤニヤ笑っていた。
目が、微妙に笑っていない。
『お前さん方のことじゃ、どーせ食ったら皿を放っといて、ホテルかどこかへ
シケこむじゃろうと思ったんでな、レンに洗いに帰らせたんじゃが』
「いや、皿ぐらい洗うし! てゆーか心配なら電話で言えよ、ケータイで覗き
なんて悪趣味だぞ!?」
『その家の住人がよ。自分ちの台所をよ。ケータイで撮像したからちゅうて、
なんぞ罪に価するんかい?』
・・・価しません。俺達が悪かったです。
「じゃ、あたし帰るから。ばいば〜い」
瞬時に元の服を着たユメコが逃げるように扉から飛び出していく。
逃げるように、じゃない。
逃げたんだ、あれは!
「割烹着がズタズタにされてる。エプロンもぐちゃぐちゃ。床は何か変な汚れ
がついてる。怪獣さんコップも割れてる」
携帯電話機に呼びかけるようにして、レンが自分の家の惨状を報告。
「わかってるわかってる、ちゃんと片付ける! 後で弁償もするから! 勘弁
してくれ!」
「ちなみにこの怪獣さんコップは非売品。プレミアがついてネットオークショ
ンで数千円から一万円」
「なんでそんなモン普段使いに使ってやがる!?」
「道具は使ってこそナンボじゃ、とロウが言ったから」
・・・そうだな。ロウはそういう男だ。
『ヤイバよ。こいつぁでかい貸し一つじゃ。のう?』
ああ。
でっかい借りを作ったもんだ。
「確かに、物はいつか壊れるものだ。他人に貸した私が悪いといえば悪い。だ
けど」
俺はようやく気付いた。怪獣模様のコップ。察するに、レンのお気に入り。
そうしてレンは、さっきからずっと、深く静かに怒っている。
俺からケータイを取り上げて、空間跳躍、レンが消えた。
「ヤイバなんか大っ嫌いだ」
最後の一瞬、眼鏡の向こうから睨む目は、涙に潤んでいた。
普通の3歳児みたいにぴーぴー泣き喚かれなかった分、俺の方は気が楽だ。
だが、泣き喚くことで感情を発散しない分、レンの方はつらいに違いない。
「・・・俺だけのせいじゃないっつーの・・・」
ボヤいても、仕方がない。
俺は割れたコップを片付けた。それから、雑巾バケツを探してきて、俺達が
汚した床を拭いた。破いた割烹着はゴミ箱へ。脱ぎ散らかしたエプロンは洗濯
篭へ。・・・ああ、持って帰って洗って返すべきか。
溜息。
なんか腹が減ってきたので、俺はまたカレーを食った。
切ないぐらい、美味かった。
やれやれ、何て言ってレンに謝りゃいいんだ・・・・・。
・・・・・おしまい。
以上、>415! 満足したか!?w なお話でした。
表テーマは“宵闇の探偵”ד月夜の夢魔”イチャイチャ。
裏テーマは“法の番犬”→“混沌の監視者”親バカ。
あたしゃ“法の番犬”ד混沌の監視者”推奨なんですがねぇ。何度それを
書こうとしたことか。でもどうしても上手く話が進まない。んだから本編でこ
の二人の組み合わせは今のところ予定してねーです。申し訳ない>>416
安心したか>418、こんチクショーめぃw
つーわけであなた様に期待>>370
それは他愛もない都市伝説。3年程前からこの街に流れている噂。
「街で一番高いビルのてっぺんにね、時々、女の人が立っているんだよ。
だけどね、もし見つけても、知らないフリをしなくちゃいけない。
びっくりして大騒ぎしたり、誰かに話したりしてもいけない。
そんなことをしたら、レンに捕まっちゃうからね」
「レンってなあに?」
「その女の人の、名前だよ」
避雷針の上に片足だけを乗せて立ち、レンは街で囁かれる声を聴く。
その【かりそめの姿】は、整った面立ちに黒縁眼鏡を掛け、男物のカッター
シャツを着た若い女性。
伝説の住人、歴史の監視者。“混沌の監視者”レンは、存在してはならない
『物語』、この世にあってはならない『物語』を狩り、昼と夜との調和を保つ
ために生まれた、世界律の守護者、あるいは、在るべき『物語』の導き手。
その唇に、どこか楽しげな微笑みが浮かぶ。
「何か見つけたのですか、レン?」
「いつもの、音楽を」
斜め上から掛けられた声に、振り向きもしないで応える。
ふわ、と舞い散る白い羽根。どんな鳥のそれとも違う、光り輝く羽毛。
降りた天使、“守護天使”アンジェ。【かりそめの姿】は宝飾関係の会社を
経営する物腰柔らかな、それでいてやり手の女社長であるが、今は【魔の姿】
を顕にしている。ただ、【魔の姿】であれ、【かりそめの姿】であれ、人の心
を魅了するのは、憂いに満ちた微笑みの純粋さ、美しさ。
「音楽、ですか?」
「君には聴こえないだろうか。世界が、街が奏でる交響曲だ」
アンジェは耳を澄ませる。
人いきれ。喧噪。排気音。クラクション。街頭放送。意味のある音、意味の
ない音、全てが混ざり合い溶け合った、ホワイトノイズの如き風の音。
「わたくしには、何も」
“守護天使”は首を横に振る。
「それは残念だ。こんなに綺麗な音楽なのに」
“混沌の監視者”は、まるでその音楽を受け止めるかのように、大きく両腕
を広げた。
「それは、例えば笑い声。それは、例えば泣き叫び。祈りに祝福、罵声に怒声、
愛の囁き、感謝の言葉、呪い、繰り言、恨み言・・・・・」
「綺麗、ですか? 罵倒する声や怒鳴り声などが?」
当然の疑問に対し、面白がるように問いかける、
「何故、綺麗ではないと言えるのだ?」
「それがエゴに満ちているからです。絆に基づく言葉は美しいでしょう、しか
し、エゴに基づく言葉は醜いものです」
物わかりの悪い子供を諭すような口調。しかしレンの問いかけは続く。
「どちらも我らを縛るものであることには変わりがないのに、何故、絆は綺麗
でエゴは綺麗ではないのだ?」
アンジェは答える、
「我、信ずれば魔。人、信ずれば愛」
レンは返す、
「エゴなくしては我にあらず。愛なくしては人にあらず」
創世の時代より生きている降りた天使。ほんの3年前に生じた伝説の住人。
お互い、歌うように言葉を紡ぎ合う。
「意外と、古い考え方をなさるのですね」
アンジェはレンを見つめながら、困ったように笑う。
「愛に満ちれば、この世界はもっとずっと美しくなります。そう、わたくしの
故郷、無限の愛に満ちた天界のように」
「愛か罪か。どちらか一方しかない世界が、どちらも兼ね備える世界より美し
いとは思えない」
レンは街を眺めながら、誇らしげに笑う。
「愛と罪とが交錯する世界、人がざわめき魔が吼え猛る世界、この世界を在る
べき姿に保たんがため、私は生まれたのだ。だからこそ、この世界の美しさを
感じることができる。いや、こんなにも美しい世界だからこそ、私はこの世界
を守るために生まれたのだ」
「こんなにも美しい、世界・・・?」
理解はできる。でも、共感はできない。
“守護天使”アンジェは、天なる父のために祝福と栄華を歌い上げる者。愛
を求める人々に、無限の愛を祈る者。アンジェの使命は、この荒廃した地上を
主の愛で満たすこと。それは決して、この世界、そして人間達に対する、アン
ジェの肯定を意味しない。
アンジェが人間のために祈り、戦うのは、主がそれを望んでいるからだ。こ
の愚かしい愛おしい人間達を、主が愛し許すからこそ、アンジェは彼らに愛を
語るのだ。
罪と悪とがあふれる世界。父なる神の愛を拒む者ども。暗躍する魔の者。闇
の誘惑に乗って、まるで喜び勇むかのように奈落へ堕ちる者ども。邪なる異形
の跋扈する汚れた地上に対して、根元的な対策を、神の意に添う世界の再創造
を。他の天使達がそうであるように、アンジェもまた、その思いを心にいだか
なかったことはない。
翻ってレンは、この悪徳に冒された世界を、その世界のまま護ろうとする。
レンは世界が産んだ子供。赤ん坊が無条件に母親を信じ愛するように、“混沌
の監視者”は、自分を産んだ世界を愛し信じている。
そう、“守護天使”が常に主の愛と共にあるように。
だから理解はできる。だからこそ共感はできない。
「わたくしには・・・わかりません」
同じ光景を目にし、同じ光景を耳にしていても、受け取る側の心が、根本的
に異なるのだから。
「アンジェ。君はこの世界の外から来た。けれど、最早この世界の在るべき姿
の一部だ」
初めて、レンはアンジェを振り仰いだ。
「たとえ君がこの世界を醜いと嘆いても。だから私は、君をも護る」
驚きと、感動に打たれて“守護天使”は言葉を失った。
何故、こんなにも真っ直ぐに。わたくしのことを見つめるのだろう。
どこか身体の奥底が痛む。それともこれは、熱いのか。
我知らず、“守護天使”はその胸に“混沌の監視者”をかきいだいていた。
「ありがとう」
そしてその額に、祝福の口づけを。
「貴方に、聖霊の御加護のあらんことを」
「うにゃっ」
はずみで眼鏡が鼻の方にズレて、レンは子供みたいな声を上げる。一連の光
景を、誰か見ている者があれば、折角の雰囲気が台無しになったと嘆いたかも
知れない。
「あ、御免なさい。大丈夫ですか?」
「うん、平気」
屈託のない笑顔でアンジェを見返し、両手で眼鏡の弦を持って掛け直す、ど
こか幼い仕草。
歴史の監視者としての責務を果たすべく、大人の外見と相応の知識と強大な
魔力とを生まれたときから有している年若い半魔。とはいえ心は成長の途上。
そのせいだろう、凛とした女性の表情と、愛らしい幼女の表情とが、コインの
裏表のようにくるくると入れ替わる。
人間社会の常識を知らない半魔は、生きていくコツを覚えるまで、そのため
の特殊な学園で一種隔離されて生活するのが一般的だ。しかしレンの場合は、
百年を生きる人狼の青年が自ら申し出て、生まれたばかりのレンを引き取り、
教育するということで話がついた。“法の番犬”、狼男のロウ。彼が殊のほか
この伝説の住人を溺愛している理由が、アンジェにもわかる気がする。
「アンジェ、手を」
「何をするのですか?」
言われるままに、片手を差し出す。
「お返しをするのだ」
白くたおやかなアンジェの右手、その手の甲に、レンは唇を落とす。まるで
お伽話の騎士。その微笑ましさに、アンジェは温かい気持ちになる。
「夕べ、ロウに教わった」
「え?」
再び、三たび、・・・口づける。ただ触れるばかりでなく、唇で挟むように
も。何度か繰り返すその合間に、
「あっ・・・」
声を上げながらも、気のせいだ、とアンジェは思った。これは気のせいなの
だ、レンの舌先が、チロリと手の甲に触れる感覚。
やがてレンは何気ないふうにアンジェの手を裏返し、その掌にも口づける。
もはや気のせいではない、その感触。ゾクゾク、ならぬソクソクと表現すべ
き快感が背筋を軽々と昇ってくる。
小さな子供がイタズラをしているようなものだ。手を離し、そんなことをし
てないけませんと教え諭してやれば済むこと。なのに。
レンの舌が、唇が。アンジェの掌を舐めていく。まるで仔猫がお皿のミルク
を飲むような一心さ。あるいは親猫が仔猫にするように優しく。
快感。紛れもなく、自分はこの行為に気持ちの良さを感じている。どうして
も、振りほどけない。ダメだと言い切ることができない。
「レ・・・ン・・・・・」
名前を呼ぶのは制止のためではなく。
「よかった」
「・・・何が、ですか?」
「アンジェ、幸せそうだ」
そう呟くレンの表情も幸せそうで。
鼓動が早くなる。身体が熱くなる。自分の頬が上気しているのがわかる。
指と指の間、皮膚の薄い部分に舌が差し込まれる。
付け根から尖端まで、舌が這い昇っていく。
唇に挟まれる指。軽く当てられる歯先。
「もっとして欲しい?」
御飯のおかわりを訊くみたいに気易く、レンはアンジェに訪ねる。
「・・・はい」
ケダモノ! 悲鳴を上げるように自分を非難する理性。胸に痛みが走る。
片想いとはいえ、アンジェには想い人がいる。強く、優しく、立派な青年。
大切な人を護るために怒りと悲しみの拳を振るう、執行者“鋼の戦士”。とは
いえ天使たる者、神以外の特定の誰かを愛することはできない。だから懸命に
抑えつけていた、彼への熱い想い。
そんなことすらも凌駕して、止まらない気持ち、止まれない心。
あふれ出す愛おしさに、飲み込まれてしまって。
「もっと、してください・・・」
アンジェの願いに応えて、レンが再びアンジェの掌に口づける。
この想いはわたくしの罪なのでしょうか。この胸の痛みはわたくしへの罰な
のでしょうか。主よ・・・・・。
アンジェは耳を澄ませる。
人いきれ。喧噪。排気音。クラクション。街頭放送。意味のある音、意味の
ない音、全てが混ざり合い溶け合った、ホワイトノイズの如き風の音。
おお主よ、この下界はざわめきに満ちて、あなたの声が聞こえません!
「はい、おしまい」
最後にもう一度、手の甲に唇を落として。
どこから取り出したのか、アンジェに差し出したのはウェットティッシュの
お徳用プラケース。
「これで拭いて」
「あ、いえ・・・」
自分の手が、半ば乾いた唾液で汚れているのはわかっているのに、何故辞退
したのか。アンジェにもよくわからない。
「そんな物をいつも持ち歩いているのですか?」
「うん。ヤイバかユメコのところに行くと、十中八九、これが役に立つから」
吸血鬼“宵闇の探偵”と夢蝕み“月夜の夢魔”。何の役に立つかは、推して
知るべしだ。
レンはアンジェを見上げて、くすくすっと無邪気に笑った。
「どうしたのですか?」
「嬉しいんだ」
「何が、ですか?」
「アンジェが気持ちの良さそうな顔をしてくれたことが。ロウにやっても、こ
ちょばゆいだけじゃって言って、ちっともそんな顔をしてくれなかった」
人狼“法の番犬”の方言を真似ながら。その台詞の意味は一つ。
「ロウとは、こういうことをしたのですか?」
「だから、夕べロウに教わったんだってば」
・・・嫉妬など。天使のすることではない。
“守護天使”の背中には、御使いの証たる大きな翼。
生まれて初めてアンジェは、その純白の羽根が邪魔に思えた。
「他にも、ロウと、こんな・・・?」
「他にもって、ああ、こういうイチャイチャなこと?」
この気軽さ。こんなにもセクシーな行為を自分からしておいて、レンは本当
にその意味がわかっているのではなさそうだ。知識だけ。その実践。楽しんで
はいたが、興奮はしていなかった。・・・アンジェとは違って。
「レンが16歳になったら、もっと凄いこと教えちゃる、と言っていた。今は
お手々だけ、って」
アンジェは呆れた。16歳? あの人狼が『その』目的で伝説の住人を引き
取ったとして、3年間でこの程度? こんなに魅力的な子と一緒に暮らして、
あと13年も待つ気でいるのか? 大体、何故16歳が目処なのか? まさか
法定結婚年齢? 人間でもないのに? ・・・全く、変な狼男だ。
アンジェは続けて訊いた。
「ロウ以外の他の人とは、こういうことをしたのですか?」
「今日、アンジェとした。他の人とはまだしていない。どうして?」
自分の言葉が“混沌の監視者”に届くよう。半ば祈りながら“守護天使”は
話しかける。
「約束をしてください。ちゃんと『わかる』ようになるまで、みだりにこんな
ことはしないと」
「わかる、とは、何をわかるというのだ?」
「それも含めて、『わかる』ようになるまで」
大人として、子供を教え導くための言葉。
もしくは、この思い出を独占するための。
レンは少し考えていたが、
「君が、そう言うのなら」
素直に頷いた。
そして“混沌の監視者”は悪戯っぽく唇をV字型に曲げて、
「大体、こういうイチャイチャなことは、ハガネにされた方がアンジェは嬉し
いのだものな?」
ハガネ。執行者“鋼の戦士”。自他共に認める正義の味方。直情径行が玉に
瑕の好青年、想い人の名を急に出されて、不意打ち、アンジェは頬を朱に染め
た。
「な、何故ハガネさん? 何のことです?」
「ロウが言っていた、神の愛とか隣人への愛とかゆう突き抜けた台詞は臆面も
なく抜かしよるくせに、自分の愛とかハガネへの愛とかゆう普通の気持ちは素
直に表現にしよらんっちゅうのは紺屋の白袴じゃ、と」
「そ、そんな・・・わたくしは、ただ、彼の活動に共感して支援しているだけ
の、ただの後援者であって・・・その・・・」
しどろもどろになる天使。
レンは考え深げにアンジェを眺めて、
「君が言いたいのは、本当に嬉しい相手とだけイチャイチャしろということな
のだろう?」
話の流れが変わったので、アンジェは少しホッとする。
「そうですね」
「私はアンジェとイチャイチャできて本当に嬉しかったぞ?」
「そ、そうですか?」
“守護天使”は必死に自戒する、レンの台詞に、そんな深い意味はない。期
待をしてはいけない。
「だけどアンジェが本当に嬉しいのはハガネとイチャイチャすることだから。
私はもう、アンジェとはイチャイチャしないことにする」
「そう・・・ですか」
自分の言葉が招いたこととはいえ。アンジェは残念でたまらなく思う自分を
否定できなかった。
「ところで、」
伝説の住人は面白い内緒話をするみたいに降りた天使に囁きかけた、
「かつて失われた蒼き水面から、“鋼の戦士”を手招く者がある」
「・・・えっ?」
「底なし沼に足を取られた正義は、ただ沈むより他ない」
レンの言葉は凶兆の予言だ。伝説の住人“混沌の監視者”。出会った者に不
幸の訪れを知らしめる、具象化した不運。不吉の前触れ。何か悪いことに関す
るレンの予知能力は信用に足る。この街の魔物の常識だ。
吉報ならざる台詞を、しかしレンは、常に楽しげに口にする。何故ならそれ
は確定した未来ではなく、最悪の事態を回避し、あるいは悲劇の結末を打破す
るための、道しるべに過ぎないのだから。
「ハガネさんが・・・戦っているのですね? わたしの力が、必要となるので
すね?」
厳しく表情を改めたアンジェに、レンは頷きかけた。
「昼と夜との調和が乱されようとしている。今、この世界に滅びの物語をもた
らすわけにはいかない。堕ちたる水の神に、訣別の一撃を与えよ」
導きの手が、街の一点を指し示す。
「君の出番だ、“守護天使”アンジェ」
バッ! と翻る翼。
名残の羽根が空に舞う中、愛する者のために戦いに赴く降りた天使の背中を
伝説の住人は見送り、・・・やがて、フッとその場から消えた。
空間跳躍。
歴史の監視者として、己もまた、敵の待つアレナに向かうために。“鋼の戦
士”、“守護天使”らと、共に戦うために。
−−−
夜はまだまだこれから、といった盛り上がりを見せる繁華街。
「こんばんは、ロウ」
「うわっと!?」
パトロール中か人待ちか、パトカーにもたれてだらだらしていた体格のいい
刑事が、物腰柔らかな声を掛けられて、慌てて姿勢を正した。
振り向けば、撫子色のスーツを身に着けたキャリアウーマン風の女性。
「え、あ、何じゃアンジェか。会社帰りか?」
「そんなところです。・・・少し、よろしいですか?」
「ああ、どうぞ?」
意味もないのに、席を空けるようにして少し横にズレてみる。
アンジェはイタズラっぽくロウに目をやり、
「先程、レンにこういうことを教わりました」
自分の手の甲に、軽くキスしてみせる。
「げ」
浅く日に焼けた顔が、みるみるうちに青くなった。
「親子の間のふざけっこならともかく。他の人とは、こういうことをやっちゃ
ダメって。ちゃんと教えなかったのですか?」
「い、いや、夕べはすぐに寝ちもうたし、今朝もバタバタしちょって、その」
バリバリ髪を掻きむしってから、潔く頭を下げた。
「済んません。レンにはよーく言ってきかせますんで」
「いいえ、あの子はもうわかってくれましたから。どうか叱らないであげてく
ださい」
「はあ、重ね重ね済まんことです」
「叱られるべきは、養父としての義務を忘れた御自分であることを、理解して
くださいね?」
「・・・返す言葉もねぇですよ・・・」
がくーんと肩を落とす。
そんな彼を慰めるように、アンジェは言った。
「今日は異形化した半魚人との戦いで、疲れているはずです。あの子のこと、
いたわってあげてください」
「そりゃあもう」
嬉しそうに相好を崩す父親の顔。
アンジェは1歩だけロウに近づき、こう囁いた。
「レンのことを可愛いと思っているのは、貴方だけではないのですから」
肉厚の手の甲を、たおやかな指がギュッとつねって。
「てっ!?」
飛び上がる狼男。敵愾心に似た何かを込めて微笑みかける天使。
「では。お休みなさい」
「あ、ああ、お休み」
わけもわからず混乱するロウを残して、アンジェは颯爽と去っていった。
−−−
それは他愛もない都市伝説。3年程前からこの街に流れている噂。
「街で一番高いビルのてっぺんにね、時々、女の人が立っているんだよ。
だけどね、もし見つけても、知らないフリをしなくちゃいけない。
びっくりして大騒ぎしたり、誰かに話したりしてもいけない。
そんなことをしたら、レンに捕まっちゃうからね」
伝説の住人に捕まったのは。さて、誰かさんの、心。
・・・・・おしまい。
以上、レンが主役の話、レンが主役の話と頭を抱えながら考えたなお話でし
た。何本没にしたかのう。結局“混沌の監視者”ד守護天使”ライトいちゃ
いちゃに落ち着き。おてていーっすよおてて。試しに自分でやってみ?
てゆーか何でこの組み合わせなのか。ぶっちゃけこの組み合わせが一番動い
たから。他にも色々試してみたけど、イマイチでございました。
あたしゃ計画的に書く人じゃないんで。「何か」が降りてきたときに、その
勢いで書く方なんで。キャラが自分で動いてくれないと話が先に進まねーんで
すよ。逆に、キャラが動き始めると書くのは早い方だと思います。
ただ、同様の理由で、TRPGのシナリオを作るのは苦手。そんなに作れる
なんて羨ましい限り。ゲームも月1できるかどうかだし。いいなぁ、たくさん
遊べて。>>414>419
ともあれ、こんなもんでよろしいか?>>366
532 :517:2005/05/31(火) 22:40:24 ID:???
あー、とりあえず世界観は「ひでぼんの書」とほとんど同じで、
なぜかプレイヤーキャラ達が住んでる町に萌え擬人化した邪神が生息している。
ストーリーとしてはなぜか町中の角度からティンダロスの猟犬(もちろん美少女)が大量出現して、
人々に甘えまくって大混乱。それをなんとかするために、町のあちこちに潜む邪神(美女や美少女ばかり)を探して、
色々な(エロエロな)手段で交渉して力を貸してもらい、何とか猟犬達を召還していた魔術師を退散させてめでたしめでたし……
ルールはあまり変えず、SAN値は「理性」に変更(あまり変わらない)。邪神のお色気や萌えな仕草を目撃したり、
こちらから邪神と交渉するため色々な(エロエロな)アプローチを試みるとチェック。ゼロになると邪神にルパンダイブしてしまう。
他にも「精力」という値もあり、これは直接的なエロに使(以下省略)。
こうして書くと馬鹿以外の何者でもないけど、プレイ自体はなかなか緊張感があって盛り上がった。
「ほら、早くシュブ=ニグラス様の肩を揉んでやれよ! 御呼ばれだぞ!!」
「馬鹿、罠に決まってるだろ! 風呂上りのうなじなんて見たら俺の「理性」が無くなっちまうよ!」
「くそっ、イタクァ様の性癖は何だ!?」
「ハァハァしてる信者の日記帳を探せ!」
「この日記帳によるとアナルらしいぞ!」
プレイヤーの隠れた性癖が垣間見れたりして違う意味で面白い。
しかし、今回のプレイが盛り上がった大きな理由の1つに、
萌えエロ化邪神様の役を女性のサブマスがやってくれたのも大きいわけで……
;y=ー( ゚д゚) カチャ
;y=ー( ゚Д゚)・∵. ターン
台所エッチエローイ
おてておしゃぶりエローイ
ひでぼんの書ネタエローイ
518 :
くれは陵辱:2005/06/05(日) 22:47:19 ID:moKGTSCz
>>483 おお!二話とも良い感じです!
今回は3話のプロットだけ。
世界の為、明日の為、自分の学年の為戦い続ける柊蓮司。
「貴方の子供は強いウィザードになるわ」
「それは予言か?」
「いえ、法則よ」
そう言って、ベルはニコリと笑う。
「貴方は強いわ。ウィザードとしても、剣士としても、だからね……
身も心も私の物にしたいの。柊蓮司」
「独り占めは良くないな『蝿の女王』」
少年を探すのは魔王だけにあらず。
「柊〜柊どこ〜〜早く来ないと柊の恥かしい秘密言っちゃうよ〜〜」
涙を浮かべながら、必死に少年を探す少女。
「貴方の探してる人ははこの中にいます」
そう言って、淫獄の牢屋に少女を案内する魔王。
「はわわわわわああああっ」
無数の触手がくれはに襲い掛かる。
「はわわっ……柊っ」
そして現れる最強の『敵』。
少女の体は白濁の池に押し倒され、彼女は逃げようとするが『敵』は容赦なく少女の肉体をむさぼる。
「まず言っておこう…そいつは君の魔法一発で死ぬだろう。もし魔法を打てるのならばね」
少女にとって残酷な回答。使えるはずが無い使えば………
「絶望はここから始まるのよ」
『敵』からの陵辱が始まり、くれはの叫びが月匣の中に響き渡る。
「なんでっなんでっ」
恐怖と絶望に引きつられ、彼女は涙する。
次回ナイトウィザード「弱きゆえの盾」
期待せず待っててください。
519 :
366:2005/06/06(月) 00:05:44 ID:i4YPUqKr
>515
366です、とりあえず、いろいろ、言いたいことがありますが…
…GJ!(>∀<)b
…いい感じですね…ロウはあれだ、光源氏計画を企てているんだ、100年単位で生きる奴に
10年スパンの計画なんて大した事はない!
もう一つの見所は守護天使→鋼の戦士の関係
…貴女は俺の魂の姉ですか!!
丁度、守護天使と鋼の戦士で月9のトレンディー(死語)ドラマもどきを考えていたんですよ!!
なんで、こう、志向が一致するのかな…
ところで、前の方で捨てられた子犬のような目で見たって事は…
GO!サインが出た、と考えてよろしいんでしょうか?
【阿呆は、調子に乗っている】
えーと……RuLiLuRaの需要あります?
システム上エロを濃くできない上に特殊嗜好系のお話なんですが。
最近「エロパロ」ならぬ「萌えパロ」に流れが向いてきてることもあるし、
GOサインが出れば書いてみようかな、と。
いーんじゃないっすかー
ところでHJで連載してた漫画がいつのまにやらフェードアウトしてたが
いつ打ち切られたのアレ?
いやちゃんと載ってるよ? 今月は。先月は休載でその前はアレだったけどちゃんと載ってる。
523 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/06(月) 18:47:42 ID:GkDwbgGJ
_ ノノ ._
| /" ̄""〜-γ|
/|/ / / )) チャーハン作るよも萌えるよ!
| .T×//|/γイ,,ノノ 。・ 。
,ゝ |/|;;ii| |;;i||ノ ∴゚・∴・ )
,ゝγ )(|ι" 〜 "人_ ____・ノ
ゝγノ ゝ.. . イ,--v-つニ入____ノノノ
ミ (  ̄ ̄ ̄_人_~ノ 彡
())) 人ノ ̄ ̄人)) ̄ 彡
/ \ \_
| "- ,, `,ゝ,
), \ ノ ノ
く /⌒|\_ノ \
⌒| mn \ ⌒つ))
(__ノ (_/
三話目ですが、今回から細切れで投稿しようと思ってます。
巫女クラブ……少女達の他愛も無い会話が続いている。
その中で赤羽くれはだけがボーと空を見上げてた。
「考え中ですか?」
そう言って、クラブメンバーの真行寺巴が聞いてくる。
「まっ、まあね……」
そこまで言って、入っているお茶をゆっくりと飲む。
「柊さんの事ですか?」
「まっ、まあね」
心の中で思っていた事を指差され、くれはは慌ててお湯のみを落とそうとする。
柊は、任務で別の学校に行ってると言われ、最初もくれはは安心していた。
だが日が経つにつれ、くれはの心の中でなにかもやもやかんが膨らんできた。
あの後柊からの連絡は無い。これと言った大きな事件も無く、エミュレーターの動きは普段どおりだ。
だが、柊がいなくなってわかる孤独。もしかすると永遠に合えないのかもしれない威圧感。
「蓮司……」
そう呟くだけで力が涌いてくる。そばにいてくれるだけで、心が落ち着く。
布団の中で自分を犯す時。相手は何時も柊で、荒々しくも優しく自分を慰めてくれる。
「……何処にいるの??」
それは、恐怖にも似た感情であった。
そのころ、柊は学校で授業を受けていた。
但し小学校の………
「なんで……なんで義務教育を逆行せにゃならんのだー!」
一人の小学生が、心の中でそう叫んでいた。
アンゼロットに連れ去られ、そのまま小学校で調査を続けている。
「強いウィザードが来てくれると聞いていましたが、まさか貴方が来てくれるとは頼もしい限りです」
後ろから声をかけられ、柊は後ろを振り向く。そこには小学生ぐらいの少年がいた。
「俺の本当の年と姿を知ってるのか?」
「はい、色々と有名ですから」
「……良いよな、お前は普通に成長できて」
彼等は気づいていない。彼等を見つめている眼に……・魔王の瞳に。
□★◎
今日はここまでです……実は最後に出てきた魔王を決めていなかっただけだったりして。
意見を聞いて、一番数の多かった魔王で話を進めてみようと思ってたりします。それではまた。
>524
うあ〜、くれはちゃんに萌え〜。
柊、電話ぐらい掛けてやれよ、ボイスチェンジャー併用でさぁ。
あと、魔王はベルぐらいしか知らないので投票はパスで。
その【かりそめの姿】はこの街の裏社会を仕切る若き顔役。その【魔の姿】
は齢四千歳を数える竜“誇り高き龍”リュウ。
深謀遠慮を巡らせる端正な表情で窓の外を眺めやる、彼の広い執務室に、気
遣わしげなノック音のあと、自動人形“無垢なる人形”ドリィが静かに入室し
た。
「ご主人様。件のBBSにて、同盟組織の長>366より、『ロウ攻め・レン受け
エロパロ』作成許可の要請を受信いたしました」
「うむ」
「返信はいかがなさいますか」
「『貴公の申し出を歓迎する』と伝えよ」
「かしこまりました」
「かしこまるなーっ! てか、勝手に歓迎してんじゃねぇーっ!」
廊下につながる扉がばーん! と蹴り開けられて、ドカドカ押し入ってきた
のは人狼“法の番犬”ロウ。
リュウは微塵も動じずに、
「山野の獣に連なる者よ。入室を許可した憶えはない」
「こっちじゃって『ロウ×レンSS』なんぞ許可した憶えはねぇっ!」
「あら〜? じゃあ『ユメコ×レンSS』なんてどう?」
唐突に現れた夢蝕み“月夜の夢魔”ユメコ。
「おねーさんレズおっけーだゾ?」
「なーにが『おねーさんレズおっけーだゾ』だバカ。
ああ、俺は『ロウ×レンSS』に1票だ。レンの奴にはあの空間跳躍で何度
も何度もプライバシーを侵害されてるからな、それも往々にしてロウの差し金
で! 今度はこっちが侵害してやらにゃあ気が済まんっ!」
続いて現れたのは魔剣持ちの吸血鬼“宵闇の探偵”ヤイバ。
怒り心頭で声も出ないロウを尻目に、
「ふむ。では他の者の意見を聞いてみるとしよう」
リュウの無言の意を受けて、ドリィが別室につながる扉を開けた。そこから
1歩2歩と室内へ足を踏み入れながら、
「わたくしは賛成いたしかねます。ロウはレンが16歳になるまでそのような
ことはしないという誓いを立てているのですから」
「おお、アンジェ、お前さんいいこと言う!」
降りた天使“守護天使”アンジェは静かに告げる、
「しかし、今から13年後をシミュレーションしてみるという状況設定の下で
あれば何らの問題もないかと」
「問題大有りじゃーっ! お前さんもかアンジェ、この裏切り者ー!」
喚き散らす狼男に対し、天使はあくまで冷静に、
「あの子の可愛らしい姿を見たいのは貴方だけではないということをお忘れな
く」
「あいつぁ普通にしてても可愛らしいじゃろうがっ」
「では訂正いたします。あの子のエロ可愛らしい姿を見たいのは貴方だけでは
ないということをお忘れなく」
「そ、それでも神の御使いかっ!」
「俺には魔物同士の話なんて関係ない。帰らせてもらう」
「えーっ、ダメだよぅマコトセンパイ〜」
冷たく言い切る高校生異能者“真魔の血脈”マコトを、中学生魔女“きらめ
きの魔法使い”マホがじゃれつくように諭す。
「魔物同士じゃなくて、半魔同士のお話でしょ? あたし達にも他人事じゃな
いんだよ?」
「俺は人間だ! 半魔なんかじゃない!」
「そーんな斜に構えたよーな台詞とか吐いてるとぉ〜。某NWの魔剣使いとか
某DX2の氷使いみたいないじられキャラになっちゃいますよぉ〜?」
「知ったことか」
「じゃあもっとわかりやすい喩えで。
外伝1話目のヤイバさんみたいになっちゃいますよぉ?」
「お、俺は『ロウ×レンSS』に賛成だ! 是非頑張ってくれ>366!」
「マコト! 勝手なこと言うちょるなっ!」
「てゆーかお前ら、今なんか俺ンこと力の限りバカにしてなかったか!?」
人狼と吸血鬼が口々に怒鳴る。
マホがニコニコと挙手をして、
「はいはーい、あたしも『ロウ×レンSS』大賛成〜。あと、ちらっとでもい
いから、あたしのことも出して欲しーなって>366にお願いして〜ぇ?」
ロウが噛み付くように睨み付ける、
「お前さんもなんかヤラしーことされたいのか中ガキ生っ」
だがしかし。
「えー? あたしは人間出身だから人間の法律が適用されるもーん。死霊課の
刑事さんが、まさかそんなことはしませんよねー?」
戦闘における防御は“法の番犬”に劣っても、舌戦における切り返しは“き
らめきの魔法使い”が上手であった。
「くぅ〜っ、最近の子供は口が達者でいかんっ」
「あんたはどう思っているんだ?」
自分に矛先を向けられる前にと、マコトが執行者“鋼の戦士”ハガネに水を
向ける。
「そうだな、正しき愛と絆の物語は、書くのも読むのも善いことだと思うぞ!」
元気いっぱい答えるハガネに対し、暗い表情でマコトは呟く。
「・・・エロなんて。罪とエゴの塊じゃないか」
そんな彼の肩をポンと叩き、励ますようにハガネは言った。
「そんなことはない。俺だって君だって、御両親のエロのお陰でこの世に生を
受けたんだ」
「そ、そーゆー生々しい話を明朗快活に、あんたっ」
思春期の少年、赤くなる。
たとえシリアス系の主人公であろうとも、捻くれた考えを正義のヒーローに
押し付けることは不可能なのである。
「そもそも、何故レンが16歳になるまで、そういうことをなさらないのです
か?」
アンジェの尤もな質問に対して、ロウは照れくさげに答えた。
「いやぁ、本当は20歳になるまではと思っちょったんじゃが、あんまり俺が
お預け喰いすぎて、折角の初夜に満月の狼男みたくなっても困ると思っての」
「「「てかあんた狼男だから」」」
一斉のツッコミ。それを完全に黙殺して続ける、
「20歳まで我慢するつもりで、16歳の誕生日からちょっとずつ調理し始め
て、完全にできあがったところを美味しくいただこうかと」
「4年を費やす開発計画ってわけか。まあ、女は挿入に慣れるまで1年、中で
イケるようになるまで最低で3年というから、その点は理に適っているな」
ヤイバがうんうん頷いている。
「それにしたところで16歳まで手を付けんという理由にはなっていないが」
「ね〜ぇロウ? 貴方、レンと種族が違うから躊躇っているってところ、ある
んじゃない?」
しなだれかかるように夢蝕みが訊ね、蝕まれてたまるかと警戒しながら人狼
が答える。
「確かに、そんなこと考えたこともないっちゅうたら嘘になるがのう」
「そーよねー、わかるわぁ。人狼の貴方はバックスタイルでガンガン犯りたい
でしょうけど、まだ初心者の伝説の住人に、いきなり後からっていうのは可哀
相だものねぇ」
「い、いや、そーゆー悩みっぷりではのうてじゃなぁ」
「種族間の性差を埋めることはできないけれど、外見だけなら何とかすること
はできるのよ? さ、レン、出てらっしゃい?」
ユメコの台詞の意味をロウが問う前に、ぽん! といった感じで空間跳躍、
伝説の住人“混沌の監視者”レンが登場。
ブッ。何か変な音が聞こえたような気がしたが、ロウはとりあえず無視する
ことにして、
「レン! お前さん、なんつーカッコをしとるんじゃ!」
「ロウは狼男だから、レンがこういう格好をしてあげるとすっごく喜ぶわよ、
とユメコが言ったのだ。似合うか、ロウ?」
「に、似合うも何も・・・っ!」
そこに立つレンの格好は、二足歩行な狼の顔出し着ぐるみ。そのもこもこさ
加減は『だめっこどうぶつ』のうる野の如く。
「かっ・・・可愛いっ・・・・・!」
どこぞの天使がクラクラ来て、よろけたところを執行者に支えられる。
「や〜ん、ぬいぐるみみたーい。あたしこのまま持って帰りたーい」
どこぞも魔女にも大好評だ。
「是非お屋敷の床の間に」
どこぞの自動人形が持って出ようとするのを、どこぞの夢蝕みが独占禁止と
押しとどめる。
「ユメコー! 俺の娘に妙なカッコをさせんじゃねぇーっ!」
ユメコを怒鳴りつけるロウに、レンが小首をかしげて、
「ダメなのか?」
「ダメに決まっちょろう! いいから脱げっ、そんなモン!」
「そうか、ロウにはウケないのか・・・・・」
がっかり。レンは渋々背中のジッパーを下ろして、ポイとばかりに着ぐるみ
を脱ぎ捨てた。
「じゃあ、この格好ならウケるか?」
ブッ。何か変な音に対し、ドリィが淡々と、
「報告します。“真魔の血脈”マコトが鼻血を噴きました」
「あーもーセンパイ、だらしないなぁ。ほらティッシュティッシュ。あっちで
休んでようよ」
“きらめきの魔法使い”マホがマコトを別室へ引きずっていく。
「ウフフ、流石にウブなオトコノコには刺激が強すぎたかなぁ?」
ユメコが高らかな勝利宣言の如くにレンを指し示し、
「ま、無理もないわね。見て、この犯罪的なまでの可愛らしさ!」
狼ミミ型アタマかざり、狼手袋、狼足ブーツ、狼型シッポ。そして、かろう
じて胸と腰とを覆うだけの毛皮。そのきわどさ加減は、『アリアンロッド』の
ベネットにも勝る。
「レンー! ああもう、なんちゅう格好をー! てゆーかどこから持ってきた
こんなもんー!」
「最近はこーゆーの注文生産で作ってくれるのよ」
「ちなみに費用はわたくしが提供いたしました」
自慢げなユメコに加え、小さく挙手してアンジェ。
「でもユメコ、まだロウにはウケないぞ?」
不満げなレンの頭をなでなでしつつ、
「うーん、おねーさんちょっと読み違え。百歳のおっさんには刺激が弱すぎる
ようだわね」
「誰がおっさんじゃ誰が」
ロウの台詞を聞かないフリしてユメコの演技指導が始まる、
「それじゃあね、レン、正座の足を崩して床にお尻を落とす感じで、そこにペ
タンと座ってみて?」
「こうか?」
「ついでにお目々が潤む程度に目薬をちょぼちょぼと差して」
「うん」
「片手は床について、もう片手はちょびっとだけ口にくわえて、『おなかすい
たぁ・・・』って上目遣いに見上げてごらん?」
「おなかすいたぁ・・・」
ブッ。何か変な音に対し、ドリィが淡々と、
「報告します。“鋼の戦士”ハガネが鼻血を噴きました」
「仕方ありませんわ、こうまでコケティッシュな萌えポーズを見せ付けられて
は。正義の味方とはいえ、ハガネさんも健全な男の方ですもの。はい、ティッ
シュ。あちらで少し休みましょうか」
“守護天使”アンジェがハガネを別室へ引きずっていく。
「ユメコー! 俺の娘に妙なポーズを取らすなーっ!」
「チッ、まだ落ちないか。しぶといわねー」
「何が『チッ』じゃ、この淫魔っ。
レンもレンじゃ、バカやっちょらんでいつもの服に着替えんかっ」
レンは、しかし、きっぱりと首を横に振った。
「嫌だ」
「な、何じゃと!?」
「伝説の住人のプライドに懸けて、ロウにウケるまでやるっ! ユメコ、次は
どうしたらいいっ!?」
ウケることこそ至上の命題。レンのレジェンド魂に火がついてしまった!
「それじゃあねー、こうやって後ろを向いて、」
「こうか?」
「四つん這いになって、そのまま頭だけ振り向いて」
「うん」
「お尻をふりふりして『遊んで〜』ってやってごらん?」
「遊んで〜」
ブッ。何か変な音に対し、ドリィが淡々と、
「報告します。“宵闇の探偵”ヤイバが鼻血を噴きました」
「や〜ね、この程度の媚びポーズに貴方が先にヤラれてどーするの。ったく、
ティッシュでも詰めてなさいよ、向こうの部屋でっ」
“月夜の夢魔”ユメコがヤイバを別室へ引きずっていく。
悔しげに指を鳴らしてレンは、
「あとはロウだけなのにっ。これ以上、何をすればいいんだ!?」
「あとは俺だけって、おい、リュウはどうしたリュウは!?」
ロウの問いに、ドリィが淡々と、
「ご主人様は、あちらです」
そこには、自らが流した鼻血の海に沈み、じったんばったんのたうち回って
萌え苦しんでいる四千歳の“誇り高き龍”リュウが。
「リュウ!? いつの間に!」
「レンが着ぐるみ姿で出て来たときに」
そーいえば、あのとき変な音がしていた、と今更ながらに思い出すロウ。そ
うか、こいつは着ぐるみフェチか。などと感心し、ふいに我に返って、
「てゆーかドリィ、何でリュウの奴を介抱してやらん!?」
「そのような命令は受けておりませんでしたので」
「ええから、介抱しちゃれ!」
“無垢なる人形”ドリィがリュウを別室へ引きずっていく。
「ほら、レンも。せめてこれ着よし。目の毒じゃ」
ロウは自分の背広をレンの肩から掛けてやる。
レンは、あれ? というような顔になって、
「目の毒というのは、見苦しいという意味か、扇情的で困るという意味か?」
「そりゃ勿論、扇情的で困るという意味じゃ」
「なんだ、ではちゃんとウケていたのではないか」
レンは、ぱふ、と狼手袋の嵌った両手を合わせて。
「何のことじゃ?」
頭の上にクエスチョンマークが浮かぶロウ。
「ユメコが言っていた、ロウが『ロウ攻めレン受けなお話』を凄く嫌がってい
の、と」
「ああ、そうじゃ。ンなもん誰にも書かれたかねぇし、読まれたくもねぇよ」
「そこで狼コスプレなのだ」
くるんと1回転してみせる。ロウの頭上に更なるクエスチョンマークが。
「はあ? どういうこっちゃ?」
「つまり、『ロウ攻めレン受けなお話』でなく、『レン攻めロウ受けなお話』
ならOK!」
「何ぃ!?」
狼服の伝説の住人が楽しげに、
「襲ってやるー。がおー」
「うわあああ!?」
微妙に嬉しそうな本物の人狼に飛びついて。
この町の半魔どもは今日も平和だ。
・・・・・おしまい。
以上、>366、『貴公の申し出を歓迎する』なお話でした。
あたしゃトレンディドラマなんて観やしませんので、うちのアンジェとハガ
ネがトレンディドラマな関係かどうかは、さて。トラックの前かなんかに飛び
出して、「僕は死にましぇ〜ん」とかやればトレンディなのかな? てか、マ
ジ死なんけどな。半魔じゃし。
539 :
366:2005/06/07(火) 00:22:21 ID:FVUTQBPV
>366です、近いうちに鳥付ける事になるかもしれません…
…いいんですか?本当に…
…てか、何やっているんだ、お前ら…
…ま、面白かったからいいか…
さて、本当にどうしよう…
GJ>524!!
ええもん読ませて頂きました〜。
レンちゃんかぁいいですな。
笑いましたwwwww
BB、このまま各カップルのイチャつきっぷりが見られるのかなぁ?(上目遣い)
なるほどなるほど、ここで言う休む、というのはファッションホテルに於ける「ご休憩」と同意であると。
543 :
481:2005/06/07(火) 05:02:45 ID:peXRhw7i
>>482 むう。もう満足か。君と
>>156用にプロットを作ってあったのだが、そうか、もう無用の長物か。
ちぇ。どっかでネタだけ再利用しよう。或いはプロットだけ流すか。
>>484 家事やらないくせにエプロンだけつけてシュチュエーション追求するユメコ萌え。
ヤイバはきっちり尻に敷かれてますな。それでも、とねだられたって言っちまったら終わりだぜ。そして子供泣かすなよ。
しかし俺は断じてカレーにレーズンは許せん。この件については、レンを賭けて勝負だロ(重機関銃音)。
>>501 そりゃあ駄目だよ捕まるよ。知らない素振りでいなきゃいけないのに、声かけちまうんだもの。
そう素直に思わせる導入と締めが上手いな、と。さらりと混ぜる旧約新約取り混ぜての台詞とかも大好きだ。
じゃあ次は「夏休み怪奇シリーズ 都営プールの怪! 恐怖の異形半魚人!!」でハガネ×アンジェですね。ですね?
…というかその執筆の速度はどういう事かと。
ちなみにシナリオはキャンペーンがメインだから、キャラとストーリーラインさえ決まってしまえば書くのは楽だったりす
るのです。だがオンセと内輪で2本キャンペーン平行作業ってのはどうなんだ。
>>524 小学生柊…つまり名探て
(しばらくお待ち下さい)
いやいや、今度はどんな紅茶を飲まされたんでしょうねぇ。そしてどう有名なのかを深く追究しちゃ駄目だと思った。
魔王リクエスト。私的には名前だけであんまり出てないルー=サイファーとか言ってみたいけれど、書き難いの指定しちま
うとあれなので俺もノーカンっつー事で。すまん。
>>527 >>541と同じ気持ちで上目遣い。
休みに行った先では、皆鼻血も出なくなってるんだね。
マコト×マホ推進委員会を発足させようかと思いました。
BBNTEVA買ったんですよ、土曜日に。あれの付属シナリオ「朱く染まる夜に」のシーン6で何故か笑っちまったのは、
間違いなくこのスレのせい。
とまれ続きが出来たら、という前言を翻して沸きました。ちょっと眺めに来たら、BBNTが大変に楽しそうだったので。
下は鋼の戦士×混沌の監視者。ハガネとレンではなく、別物としてご理解の上お読みください。
…俺は悪くないよ。ものすごく楽しそうにBBNTを書きまくってるどこかの誰かが悪いんだよ。俺は悪くないよっ。
【馬鹿は遠くで責任転嫁した】
「行けば、深みに嵌まるよ」
彼に彼女はそう告げた。彼女は概念。不幸の象徴。不吉の別名。不運と名づけられた死。
様々な者の死に対する様々なイメージ。その印象の統合が彼女であった。即ち告死天使である。
彼女がいつから存在するのか。それは誰も知らない。彼女自身にも判らない。
死という概念が生まれたから彼女が現れたのか。彼女が生まれたから死という概念が存在するようになったのか。それは
鶏と卵、どちらが先かを問うようなものだろう。
ただ確かなのは、彼女が幾億の死と歴史とを眺めてきた事だけ。
それは死の先触れ。行き会った者を総毛立たせる死神。混沌の監視者のふたつ名で知られる魔物であった。
「それがどうした」
彼は彼女にそう応えた。深みに嵌まってどうなる。
悪党に命をつけ狙われるのか。深手を負って病院で呻くのか。魂をすり減らして奈落へ落ちかけるのか。
「――いつもの事だ」
彼はヒーローである。自ら以てそう任じている。
活躍を知る者は殆どいない。ファンレターも感謝状も届かない。だが構うものかと思っている。
取材も来ない。金一封だって手に入らない。だからどうした。
そんな事はヒーローとは一切関わりがない。
ヒーローの条件とはただひとつ。弱きを助け強気を挫く。それだけだ。
だから。
顔馴染みの不幸宅配人に出くわそうと、眼前の状況を見逃す訳には行かなかった。
深夜の駅。東西を繋ぐ地下道。小汚い壁を背に立ち竦む少女と、彼女を追い詰めた数名の男。
詳細は判らない。事情は知らない。だが十分だった。少女は怯えていて、ならば取り囲むのは悪党に違いなかった。
その上、彼らはひとではなかった。夜目にも蒼白すぎる肌。不気味なほどに赤い唇から覗のは二本の牙。
「そう、あれは不死なるしもべ。つまり彼らの親が糸を引いているという訳さ」
歌うように、彼女が告げる。
レンフィールド。ブラム・ストーカーの小説に登場した、吸血鬼の賛美者にして信奉者。それがかの一族の眷属、生ける死
者の通称となったのはいつの頃からだろう。
これはただの暴力沙汰じゃない。裏がある。上がいる。だが、知った事か。
拳を眼前に掲げる。
これは己が生き様。この身は弱きを助く為に。この力は涙を止める為に。
瞬間武装。界面下からせり上がって実体化した武装が彼の身を包む。
然り。ならば然り。この拳は、史上最強の拳骨である。
それは鋼鉄。全身を覆う鎧と、信念を握り込んだ拳。
鋼の戦士。彼は一部にそう通称されている。馬鹿だが、ただの馬鹿ではないと。尊敬すべき馬鹿であると。
「そこまでだっ!! お前らの好きなようにはさせん」
いつもの台詞で飛び込んでく彼の背中を、彼女は呆れたように見送った。
彼女に出会った時、大抵の者は最初にこう訊く。何者だ、と。
しかし彼は違った。今とあまり変わらぬような多勢に無勢、人質まで取られた劣勢において、些かの弱気もなく言ってのけ
たのだ。
「丁度いい、手を貸してくれ。あの子を助けたい」
以来彼には、他の者の死よりも少しだけ、余計に興味を抱いている。
「あるじさまはお前の顔を知った。いずれ我らの仇を…」
憎憎しく言いかけた顔が爆ぜた。鉄拳ならぬ鋼拳を叩き込まれたのだ。それが最後の一体だった。
ふう、とひとつ息を吐いて、彼は戦闘体勢を解除した。少女は気絶しているだけで、外傷は見当たらない。
「ありがとよ」
不死なるしもべの頭数は些かどころでなく多かった。彼一人で駆逐するには、もっと時間がかかっただろう。
「それはボクに言っているのかな?」
「他に誰が居るよ」
「何の事だか判らない、と言っているのさ」
ひょい、と肩を竦めて見せる混沌の監視者。
ひねくれ者め、と毒づきつつも、彼は辺りを見回した。打ち倒されたレンフィールド塵に帰って、既に静寂が満ちている。
「厄介な事になってきやがったな」
だがいつも通りだ。心の中で彼は付け足す。
「言ったろう? 深みに嵌まる、と」
「うるせぇ。ほっとけ。呼ばれて飛び出るのはどこぞの魔王だ。呼んでもいないのにやってきて、親切の押し売りをするのが
正義の味方だ。本分に外れちゃいない以上、オレは間違ってねぇ」
後悔先に立たず。彼の辞書によれば、それは「まず動かなければ後で悔やむ事すらできない」という意味である。
心底おかしそうにくすくすと笑う彼女。その横顔が、不意に冷たい印象に切り替わった。
「君の顔を憶えたと言ったね」
神懸かっているのだと、彼は瞬間に気付いた。付き合いはそれなりに長い。
時折彼女は切り替わる。若干ひねくれてはいるが人間っぽさのある“ボク”から、伝説的存在、概念神としての“私”に。
「ああ」
おそらくしもべの目を通してこの場を知覚していたのだろうと、彼は推測していた。
「ではこうも言える。その者はしかし、私にも会った。ならば不運は降りかかるだろう。平等に」
「…そりゃ、心強い話だな。ありがたくて涙が出る」
かなり嫌がっているニュアンスを込めてみたが、さて皮肉として効いたのかどうか。
「しかし損な性格だね、君は。有体に言うならば馬鹿で愚か救いようがない」
「救ってもらうつもりはないさ。それにな」
彼の瞳がじっと彼女を見た。だがその目はここでないどこか、遠い何かを見据えていた。
「覆いて後に即ち定まる、だ。俺の死に様を見届けてからそれを言え」
彼女は微笑む。やはり随分と監視し甲斐のある相手だ。
すいと近付いて、顔を寄せた。
「では、また」
「お、おいっ!?」
呼び止めようにも、既に彼女は影も形もなかった。神出鬼没。正に伝説の面目躍如といったところだ。
「…ったく、どういう気まぐれだよ…?」
くちづけられた頬を押さえて、彼はしばし立ち竦み、それから我に返って少女を抱き上げた。
場所は幸い高田馬場。腕のいい魔法医には、心当たりがある。
549 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 15:02:25 ID:b70CSSXJ
ミーニャータン思い出した
断片だけ投下。
「ん……ふぁっ……おねぇちゃんのアソコ、ぐちょぐちょになってる……ピンク色で、パカッて開いて、花みたいにきれいだよ……」
翼の幼い舌が、充血した聖の一番恥ずかしいところを執拗にまさぐる。
生まれて初めてのクンニリングスはお世辞にも上手とは言えなかったが、聖のヴァギナから放たれる性フェロモンに吸い寄せられた
ショタっ子の細い舌は、仔犬がミルクをむさぼるように、激しく、そしてあきらめを知らなかった。
「や、やめてぇっ……翼、そんなところ汚いよぉっ……」
「きたなくないよ……おねぇちゃんだもん……んっ……白いジュース出てきた……」
とろっとしたクリームのような本気汁が、秘洞の奥から分泌されてきた。
「だ、だめぇっ! そ、そんなの、なめちゃだめっ!」
「でも、これすっごくいい匂いがするよ……ぺろっ……あは、美味しい……」
まごうことなき発情の証を義弟になめられ、少女の肌が比喩でなく羞恥で輝く。
「ね、おねぇちゃん、ボクもう……」
犬のような姿で快感に震える義姉の秘口を指でいじりながら、少年はなめらかな背中の上に覆い被さった。
「ひっ、これ……」
「うん……ボクのここ、ちゃんとオトナになってるんだよ?」
ゆるやかなカーブを描く背中に押しつけられたのは、トウガラシのように愛らしい少年のそれではなく、青黒い血管を浮き立たせ、
カリが大きく張り出した、女を陵辱するための道具だった。
「いいよね? 聖おねぇちゃん?」
「だ、だめぇ! あ、あたしたち、姉弟なんだよ!?」
>>545-548 GJだが、だからと言ってエロネタなしで通すのはいかがなものかと思う今日この頃。
つまりその、なんだ。
これは俺の右脇腹にある浪漫回路をぎゅんぎゅん回して混沌の監視者タソが
ボクと私を切り替えつつ鋼の戦士に責めたり責められたりするのを
妄想の拡大再生産して補完しろということかそういうことかこん畜生。
【莫迦は妄想が止まらないらしい】
>>550 カゼSSSネタは人を選ぶぞ
素敵にエロいが
553 :
520:2005/06/08(水) 07:15:10 ID:KHXjjzpb
……と思ったけど、ここってひょっとして公式キャラオンリー?
いやまあ、イメージ掴みやすいのがあるんだろうけど。
良いのでは?
前にはそう言うのもあったことだし。
そのキャラがちゃんと動ければOKじゃね?
ただ公式の方が記号として分かりやすく受け入れやすいってだけで
他に意見が無さそうなので、ルー=サイファーで書いてみようと思います。
……今回はエロ無しで……
☆★☆
柊達は夜の学校を調査中。
時々、現れるエミュレーターをいなしつつ、月匣の奥へ奥へと進んでいく。
「怪我とかとくにありませんか?」
「ああ、大丈夫だ」
そう言って、ひらひらと手を振る。
「ここか……」
豪華そうな、扉を前に柊達は警戒する。
「罠は特に無いようです」
そう言って、少年が扉を調べてから報告する。
「わかった、下がってろ」
そう言って、柊が扉の取っ手を掴み、そのまま慎重に開ける。
次の瞬間、柊の足元に大きめの穴が出来た。
「うをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
悲鳴と共に落ちていく柊。やがて赤いプラーナが穴の中で開放された。
「……すいません、罠を見落としていたようです」
少年はすまなさそうにそう言った。
奥の部屋では3人の女性が待っていた。
「…………」
「どうやらウィザード達のお出ましのようです」
巨大な本を持った無口な黒髪女性と、うさぎ耳の女性がそう言って立ち上がる。
「『魔王女』イコ=スーに『秘密侯爵』リオン=グンタ!となると中央にいるのは……
『金色の魔王』ルー=サイファー!!」
そう言って、少年が恐怖に怯える。
「へっ…今回は盛大な歓迎だな」
そう言って不敵に笑う柊。
「柊さん!ここは一旦下がりましょう!二対三では不利です!」
「そうはいかないのです」
そう言って、ウサギ耳の女性……イコ=スーが後ろに回りこむ。
「敵さんはこちらに逃げてもらいたくないようだな」
そう言って、柊がにやりと笑う。
「奴について何か知らんか?リオン」
そう言ってルー=サイファーが横に控えてる黒髪の女性……リオン=グンタに聞く。
「柊蓮司……『魔剣使い』にして、『ロンギヌス』イレギュラーナンバー」
「後半はちげーよ!」
突っ込みを無視してリオンは話を続ける。
「ウィザードとしての実力は決して低くは無いが、一時的に特殊な毒で能力封印される時がある」
「誰がそんなことするんですか?」
後ろからイコが聞いてくる。
「……『真昼の月』アンゼロット……」
………全員、一時沈黙。なんで世界を守るウィザードのレベルをもどさにゃならんのか……。
「……本来は高校生だが、任務の為小学生まで逆成長させられていると思われる」
「しくしくしく………」
柊は秘密を明かされて涙を流す。
「『蝿の女王』ベール=ゼファーと少なからず関係があり、何度か戦った事あり」
「餓鬼の姿をしてるが、侮れぬ相手と言う事か」
ルーはそう言って、柊を睨む。圧倒的威圧感に柊は押しつぶされず、剣をしっかりと握り構える。
少年は只おろおろしている。「どどどどうしましょう柊さん!」
柊はそれに答えず、只前を見据えながら、魔剣を構えてルーを睨む。
「このルー=サイファーを見て一歩も引かぬとは……その精神力だけは敬意に値するな」
そうして、強大な魔力がルーの左手に現れる。柊も剣を正眼に構えルーに向き合う。
ルーの魔法が一瞬早く放たれる、柊は渦を巻くようにそれを避けて、次の瞬間にはルーに切りかかっていた。
「私に障るな!」
そう言って、ルーは防御魔法を唱えるが、凄まじいまでの威力を持った剣撃は、
あっさり防御魔法を貫き、ルーの体へと刺さる。
「不遜な!」
そう言って、ルーは次の魔法の準備をする。
二発目の魔法をあっさりと受ける柊。だが止まる事無く剣を振り上げる。
「おっ………うをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
気合一閃の三撃目…これはルーの頬をかすり、そこから血が流れ出す。
「よくも……このルー=サイファーの顔を………」
怒りで、魔法を連射する。何度も、何度も攻撃を受け、柊が倒れる。
このまま、殺してやる。そう思って、ふと思いとどまる。
この男を利用した悪巧みを思いついたのだ。
上手く動けば、あのアンゼロットを出し抜く事ができるだろう。
そして、自分が傷つけたこの男が悔しがるところを見てみたい。
「イコ!リオン!この男をつれて城までもどるわよ」
「はいです」「………」
そう言って、月匣の中から三人の魔王と一人のウィザードの姿が消えた。
「………(ポカン)………大変だああああぁぁぁぁぁぁっ!柊さんがさらわれたぁぁぁぁっ!」
崩れ行く月匣の中、少年の叫び声が響いていた。
リアルタイムきたわぁー
魔王3人を呆れさせるとはやるな柊?!
556の最後の2行を読んだ時脳内で
「異常無し、と」
そう、爽やかな笑みを浮かべながら去ろうとする少年の笑顔が、妙に記憶に残った
と変換されちまった、何故だw
◇彼氏彼女の二乗
一人でも狭い部屋。二人ならもっと狭いベッド。
それでも彼女は、ここが一番落ち着くと言う。
シャワーを浴び、先にベッドに腰掛けて待っている彼女は藍紫色のバスロー
ブ姿。風呂上がりの彼は、腰にタオル一つを巻いたなり。どうせすぐに脱いで
しまうのだ、ローブを羽織る手間すら勿体無い。が、まさか真っ裸でうろつく
わけにもいくまい。妥協案として、この格好なのだ。
何も言わずに彼女に近づき、彼女がこちらに向けて顔を上げたところで彼は
彼女にキスを落とす。始まりの合図。いつもの儀式だ。
「今日は“ボク”のままか?」
「“私”の方がいいか?」
「いいや。何度か言ったと思うが・・・俺は、されるよりする方がいい」
もう一度、キスを。・・・そのとき、ふいに彼女の表情が変わった。
神懸かり。
「・・・・・来る」
「何がだ?」
彼女を護るように彼は身構える。一体どこから。そして何が。
ぽんっ。
どさどさっ!
「ふぎゃっ!」
「っつ〜。何とか無事に着いた、のか?」
「苦しい〜早く私の上からどけ〜っ」
「あ、悪い」
・・・・・落ちてきた。
天井から。
穴もないのに唐突に。
「ぽんっ」っていって、出て来たのだ!
外見年齢的には、彼らと大差ないような男女。
その二人に向かって、彼は怒鳴った。
「何なんだお前達は、どこから現れた!?」
女の方が答えた。
「とりあえずこの部屋の天井付近から」
「そんなことは訊いてねぇっ」
“私”から再び“ボク”に切り替わって、彼女が言った。
「ふむ。どうやらこの地球ドミニオンとは異なる地球ドミニオンからの来訪者
のようだが。空間跳躍で時空の壁を越えてきたのだな?」
女の方がすっくと立ち上がって言う、
「その通り。君がこの地球ドミニオンにおける混沌の監視者か」
「そうだ」
「お噂はかねがねインターネットで伺っている。私はあちらの地球ドミニオン
における“混沌の監視者”レン。お目にかかれて光栄だ」
差し出された手を握り返して、
「こちらこそ、君に会えて嬉しく思う」
「何を普通に挨拶してるんだお前は! それに何だ? 時空の壁を越えてきた
だと!?」
彼の疑念に、レンと名乗った女が屈託なく、
「うん。ちなみに成功確率は0%だったが」
更に男の方が継いで元気いっぱいに応じる、
「足りない100%を勇気で補って成功させた!」
「無茶苦茶言ってやがるっ。
大体、異なる地球ドミニオンの噂が聞けるインターネットなんてものがある
のか!?」
「ワールド・ワイドというくらいだから、異なる地球ドミニオンでもOK!」
「流石にその理屈はどうなんだレン。この場合、インターワールド・ワイドと
かワールズ・ワイドとかでないと、違う世界までカバーできるという根拠には
ならないだろう?」
「そうか、ならないのか。それは残念」
こ、こいつらと話していると気が狂いそうだっ。怒りのやり場がなく、彼は
自分の頭をぐしゃぐしゃと掻き毟る。
彼女がレンの連れに声を掛ける、
「君は?」
「俺はあちらの地球の“鋼の戦士”ハガネだ。今日はレンのつきそいで来た。
一人であんまり遠くまで行かせるのはどうかと思ったんでな」
「遠くだろうと近くだろうと、歴史の監視者につきそいなぞ不要だろうに。随
分と過保護なのだな?」
「こう見えてもこいつは3歳児なんだ」
「3歳児ゆーなっ、自分だって半魔歴3年のくせにっ」
それこそ子供みたいにぽかぽかと殴りかかるレンの拳を、ハガネは笑いなが
ら掌で受け止める。まるで兄弟みたいに馴れ親しんだやりとり。
鋼の戦士と混沌の監視者にも色々いるもんだ。彼は、どこか諦念にも似た感
情が自分の胸に湧き起こるのを覚えた。が、ぼんやりしている暇はない。
「百歩譲ってお前達が別の地球から来た連中だと認めよう、しかし、夜の夜中
に他人様の寝所に押しかけてくる理由にはならんだろうがっ」
レンが立て板に水と弁明する、
「実のところ、こちらの世界の混沌の監視者に用があって来たのだが、何しろ
押しなべて混沌の監視者は神出鬼没。仕方がないから、最も現れる確率の高い
場所、即ちこちらの鋼の戦士の側、をターゲットに選んで跳躍したのだ。そう
したら、たまたまこちらの時間の夜中、こちらの鋼の戦士の寝所だったという
次第だ」
彼女が頷く、
「なるほど、不可抗力というやつだな」
「ふ、不可抗力なのか、それ?」
彼は全然納得のいかない顔だ。
「ところで、自分の状況を顧みる余裕すらないほど大ウケしてくれたのは、伝
説の住人冥利に尽きるのだが、」
レンに見据えられて彼は少し焦る、
「な、何だ?」
別世界の“混沌の監視者”は言った。
「前が見えている」
「うわったたた!」
いつの間にか落ちていたタオルを拾い上げて巻き直す。
やれやれ、と言いたげな風情でレンは両腕を広げて頭を横に振った。
「道理でこちらの混沌の監視者が、マジックローブではなくバスローブを着て
いると思った。こちらの鋼の戦士とイチャイチャしている真っ最中だったとは
ね」
彼女が訂正、
「正確にはこれからイチャイチャしようというところだった」
「何でお前はそんなに冷静なんだっ」
「慌てたところで状況は変わらん」
気分は四面楚歌。こんなやりとりを続けるぐらいなら、奈落の魔物どもと命
懸けのしばきあいをしている方がなんぼか幸せだ。と彼は思った。
しかし、『こんなやりとり』はまだ終わる気配を見せなかった。
「でもハガネ、よかったな」
「何がだ?」
「君の方がちょっとだけ大きいようだぞ」
「こらこら、そういうことを本人の目の前で言うもんじゃない」
「勝手にサイズを比べるなーっ! てゆーかそっちの“混沌の監視者”はまだ
3歳なんだろうが、そういう関係なのかお前達っ!?」
彼のツッコミに、ハガネは急に疲労したように壁に手をついて、
「いやその・・・こいつ、事件とあらば、俺が風呂に入っていようがナニして
いようが、いつでもどこでも呼びに来るから・・・」
「ど、どこの監視者も傍迷惑さでは似たようなものか。お前も苦労してるんだ
な」
「あまつさえ・・・くっ・・・」
握り拳をふるふる震わせて悔しさをあらわにし、
「清潔にしてさえいれば仮性は性行為に支障ないぞとか日本人の70%は仮性
人仲間だぞとか毎度毎度からかいやがって・・・」
容赦なし。子供ゆえの残酷。流石の彼も顔面蒼白。
「それを俺に言わないだけのデリカシーは、うちの混沌の監視者にはあるな」
「ほう、君もそうだったのか」
彼女の声にギクリとなる。
「ボクは今の今までその事実を知らなかったのだが。何しろボクが君のモノを
目にするとき、君のモノは戦闘形態なのでね」
「・・・なんかあんた、語るに落ちたんじゃないか?」
「・・・言うな。今、自己嫌悪に陥っているところだ」
自分の額を手で押さえてヘコむ彼。その肩をハガネがぽんぽんと叩く。
彼はハガネに言った。
「しかしお前、そんなに気になるなら手術をすればいいじゃねぇか」
「いや、機能的に問題がないのに親からもらった大事な身体を傷物にするのは
どうかと思って、今一つ踏ん切りが」
「お前もか。わかるわかる」
男二人が何となく意気投合している間に、
「それで、肝心の要件というのは何なのだ?」
彼女に水を向けられて、レンは持って来た荷物をごそごそ探った。
「ええとね・・・あった、これこれ」
パッと取り出し彼女に差し出す、
「サインくださいっ」
色紙とフェルトペン。
「はあ!?」
彼は呆気に取られたが、彼女は頷き、
「お安い御用だ」
さらさらっとな。
「平然と色紙にサインしてんじゃねぇよ!」
彼のツッコミは無視された。
「別の地球ドミニオンくんだりから、時空の壁まで越えて、何をしに来たかと
思えば『サインください』だとぉ?」
「うちのレンはあんたとこの混沌の監視者の大ファンなんだ」
「それでわざわざ成功確率0%のドミニオン間跳躍を?」
「敢えて困難に挑戦するのがヒーローってもんだろう?」
その定義は、あながち間違ってはいない。
ただし、無意味な困難に挑戦するのはヒーローではなく馬鹿である。
尤も、馬鹿もここまで極まるといっそ天晴であった。
「日付と、それから『レンへ』って書いてね」
「今日の日付、・・・それから『レンへ』、と」
「あと、歴史の監視者として任務に当たる際の、座右の銘なんかあれば」
「歴史の監視者としての座右の銘。『出たトコ勝負』、と」
「わあ、私と同じだぁ」
「そ、そんなんで務まるのか歴史の監視者って職は!?」
彼のツッコミは徹頭徹尾無視された。
「これでいいのか?」
「うん、どうもありがとう!」
見ているこちらまで嬉しくなるような喜びの笑顔。いそいそと色紙を荷物に
片付けて、大事そうに背負う。
「終わったよハガネ、帰ろう?」
「ああ、帰ろう。
んじゃ、こっちの鋼の戦士。縁があったらまたな」
「冗談じゃねぇ、二度と来るな!」
その言葉が聞こえたかどうか。またね、と可愛らしく彼女に手を振るレンは、
残る片手でハガネの手を取り、空間跳躍。二人とも消えた。
「やれやれ、つむじ風みたいな連中だったな」
立ち上がり、ベッドから離れる彼女に、彼が声を掛ける。
「おい、どこへ行く?」
「流石にこんな大騒ぎのあとで、続きをしようという気にもなるまい?」
待て、と言ったときには、あざやかな退場のあと。
彼は不貞腐れてドサリとベッドに転がった。
「ったく。どこの混沌の監視者も勝手な奴らばっかだぜ」
それでも好きなくせに、と誰かの声が囁いたような気がした。
・・・・・おしまい。
以上、たたみの上でクロールするほど萌え転がしてくれたことに対する>544
への意趣返しのお話でした。細かい感想は後日の予定で。
スペシャルサンクス>551。君の一言がなくば、この話は完成しなかった。
おやすみなさい。
GJ!
リアルタイムでみた…
どうしてそんなに創作できるんですか…
…すごいよ…マジで…
【阿呆は尊敬の目で見た】
容赦ねーなー、いろんな意味でw
裏界……決して人が入れぬ領域……
ルー=サイファーの居城に柊は一人捕らえられていた。
暗く湿った漢字とカビとコケの匂いに柊は生きてる事を実感しつつ、
ここから逃げる方法を考える。
「起きてるなら返事をするのです」
目隠しをされてるが、その声がイコ=スーの物であるのに気づく。
「あと一人の少年は逃がしたのです。あんな小物どーでもいいのですから」
(そうか……あいつは無事だったか)
心の中で安堵する柊。だがそれをおくびにも出さず話を聞き続ける。
「とりあえず、しばらくここでゆっくり休むのです」
「休めるかよ!」
とりあえずのツッコミを入れてから、そのままがくりと倒れこむ柊。
しかし自分を捕まえた理由が思いつかない。
(なにかしら理由があるんだろうがなあ………)
まさか、相手に聞くわけにいくまいし、聞いたところで正直に答えまい。
だらりと横になってこれからの事を考える。
魔剣はどうやら奪われてるらしく、反応が無い。
まずはここから逃げる算段をしたいが、このまま行ってもすぐにつかまるのがおちだ。
ふと、眠気が襲ってきた。今は無理をしても仕方ない。ゆっくりとまどろみの中に落ちていく事にした。
起きた時柊は豪華なベッドの上に素っ裸で大の字に寝かされていた。
「目が覚めたか」
そう言って、近くのイスに座っていたルー=サイファーが声をかけてきた。
「これが寝言で無ければな」
そう言い返す柊。
「戯言を……まあ良い、貴様に対する用件は一つだ。我が配下になれ」
「は?」
言われた事がわからず、柊は声を返してくる。
「貴様のような、強い戦士を只殺すのはおしい。配下になれば貴様の実力を発揮できる戦場をいくらでも与えよう」
……そうか、勧誘か……柊はようやく理解した。こいつ等は戦力を集めようとしているのだ。
「金銀財宝が良いか?それとも数百の後宮が良いか?それとも永遠に弱くならぬ力が欲しいか?」
最後の提案に少し心動かされる。だが思い浮かぶのは幼馴染の泣き顔。
「断る」
そうきっぱり断言してから、寝るように目をつぶる。
「ほう……この私の欲求をあっさりと蹴るとはな」
そう言って、ベッドの上に載って、柊の顔をゆっくりとなでる。さらりとした感覚の黒い絹の感覚が、柊の頬をなでる。
「一瞬のうちに焼き殺しても構わんが……それではつまらん」
わなわなと震えてる手で柊を撫でながら、ルーはゆっくりと言葉を紡ぐ。
「我に謝り続けるようになるまで苛め抜いてやる。あのベールに貴様が私に跪くところを見せてやろう!」
そう言って、ルーは体中からプラーナを放出して柊を威圧した。
脇腹に腕を突っ込まれこしょぐられる。
「ぶっ……はははははははははぅ!」
何しやがるんだと言いかけた柊は笑い出し、そのまま止まらず笑い続ける。
げほげほと笑いながら柊は抗議しようとするがそのまま笑い転げながら柊は暴れる。
四肢の拘束を取ろうとするが、さすがにそう簡単に壊れるほど簡単ではない。
しばらくするとくすぐりを止めてから、柊のこわばった体をゆっくりと撫で始める。
「で、次は何をするんだい?」
バグゥン!弱めの魔法衝撃波が柊の胸で爆発する。イノセンスなら即死するほどの威力だろう。
「黙れ!小僧!」
言われて自分が小学生の姿であることに気づく。
「はたから見ると、弟をいじめてるお姉さんって感じだな」
「黙れと言っている!」
顔を赤らめルーは柊の体を撫で続ける。
「ふふふ……ウィザードとはいえ立派な男……快楽を感じてるようだな」
何時の間にか大きくなっているそれを見てルーはふふふと笑う。
柊は顔を赤くして抗議の視線を送るがそれに付き合うほどルーもお人よしではない。
「なにを恥かしがっている?快楽は生きているものに与えられる権利だぞ。それを得て何が悪い?」
そう言って、玉の転がるような笑いをあげるルー。なおも柊の体を撫で続けるルー。
「どうした?耐えるのは体に悪いぞ。それとも……」
次の瞬間、柊の股間から勢い良く白い液体が噴出し、ルーの服を濡らす。
「……」
屈辱。その表情がルーの顔に表れる。そして怒り。
「……ぷっ……ぷはははははははははははっ!」
そう言って柊は突如として笑い出した。魔王と呼ばれる物の顔色を変える姿を見ておかしくなったのだ。
「貴様っ……」
屈辱のあまり、怒りをあらわにするが、ここで殺してしまえば、自分のプライドを傷つけたままである。
そう、せめてせめてこの男の屈服する姿が見たい。自分に傅かせ、心の底から這い作らばせるこいつが見たい。
とりあえず柊を魔法で半死半生の状態にしておき、ルーは寝室から外へと出た。
☆▼☆
今日はここまでです。……次はくれは編のつもりだったり
「閨房夜話」が消されてて無念。
誰か保存してたりしない?
困ったちゃんスレの弟を女装させた話でハァハァしてしまい、女装ものを考えてしまったんだが…。
これも卓上スレに載せていいんだろうか?しかも実話を元にしているから本人に悪いかな?
く、くれはァァァーーーーーーー!(壊)
>>572氏
GJ.
そんなわけで、くれは編をハァハァしながら待ってますね。
ところで話は変わるのだけれど、
エロオンセってやってる人どれくらいいるの?
興味はあるのだが、どうしてよいか分からず…。
578 :
441:2005/06/11(土) 01:11:31 ID:xjInEenF
蝶遅くなりました。御免なさい。『ろんぎぬす★cherry』の続きです。
と言っても少しですが……
579 :
441:2005/06/11(土) 01:12:30 ID:xjInEenF
そして今。
リューナの勢いに乗せられて思わず頷いてしまったポーリィであったが……
「さあ、恥ずかしがっている場合ではありません。とっとと脱いでください。そしてその柔肌を白日の下に晒す
のです。ハリーハリーハリー」
「えっと、ほ、本当にやるんですか?」
「当然。アンゼロット嘘吐かない。ポーリィさん、貴女は全裸の上に立体映像の服の幻影のみを纏い、そのまま
所定の場所で撮影していただきます。もちろん屋外です」
「は、はわっ」
要するに全裸で野外撮影を行うらしい。
「ちなみにウィザードも目及びカメラには裸で写ります。しかしそれ以外に露見する事はありえません」
「あ、あまり救いにならないような……」
「さらにその後、ありえないほど露出度の高い水着で屋内プールに。リモコン操作のバイブを前後に挿れ、最低
一時間はそこで泳いで貰います」
「ちょ、ちょっと待って。何でそんなマニアックなプレイばっかり?」
初っ端から普通のエロ本の域を飛び越えた内容にポーリィは戦慄した。
「普通のプレイではとてもウィザードの気を引く事は出来ないからです」
「そうなの!? ウィザードって変態ばっか?」
「そうです。例えばある人造人間は年端も行かない吸血鬼に放尿を強いたという記録があります。別の魔物使い
(♀)は同姓の人狼を押し倒し、その肢体を思うがままに蹂躙したと言います。同性愛の例をさらに挙げると、
聖職者(♂)の一人は法王(♂)と恋仲とか……」
止めろよ世界の守護者。
それとも個人の趣味には口出ししない主義なのだろうか。
580 :
441:2005/06/11(土) 01:13:37 ID:xjInEenF
そんな連中滅んでしまえ。
心の底からそう思った。
「ちなみにリューナさんは生まれたばかりの人造人間の性教育の教材も引き受けていただきました」
「ガーネットは?」
「肉欲に飢えたレズっ娘の群れ(ふたなりも含む)の中に縛って放り込みます。あらかじめ彼女の体には指向性のフェロモンに似た物質を塗っておきます。カメラは常にさまざまなアングルから……」
アンゼロットの熱っぽい演説はその後数十分に及んだ。
……合掌。
都心の森林公園に一台のマイクロバスが止まる。
そこから現れるのはアンゼロットと数人の女性。手に手にカメラやマイクを携えている。
最後にポーリィ。何の変哲も無いワンピースと白い帽子と言う姿だが、その顔は俯き加減で、表情は羞恥心に支配されきっていた。
先に告げられたとおりポーリィの服は只の立体映像であり、実際は全裸である。体には服の重みは一切感じられず、さらに悪い事にポーリィ自身もその服は見えないのであった。
善意の第三者にはわからないとはいえ、全裸で屋外を歩かなければならない事は曲げられない事実である。
「ポーリィさん、良く似合ってますよ?」
「そん、あ……ふぁ」
アンゼロットの言った冗談に応えられなかった。
なぜならその瞬間、横なぎに吹いた風がポーリィの下腹部を撫ぜて行ったからだ。
普段ありえない状況を意識して過敏になった彼女の肌は既に熱を帯びており、わずかな風の冷たささえ驚くほどの刺激となって感じられた。
「さあ行きましょう。この時間はちょうど昼休みのサラリーマンがお弁当食べてます」
「な、何でそんな時間選んだんですかっ」
「いやだって見られなきゃ面白くないじゃないですか? ほら、さっさと行く行く」
アンゼロットの手のひらがポーリィの背中を押した。そして直に伝わる皮膚同士の感触。
「ひゃっ、わかっ、行きます、行きますから触らないで下さい!」
「あら珍しい……もしかして背中が弱いんですか?」
言いながら指で背筋をなぞってみる。
かくしてアンゼロットの予想通り……
「そんな事、あっ、だからやめっ」
……という感じの反応が帰ってきた。
581 :
441:2005/06/11(土) 01:20:11 ID:xjInEenF
御免なさい短いです。出来れば土日で完結……
改行の変なところはこちらの手違いです。これについても申し訳ないです。
あと露出羞恥系のプレイは趣味です。不快だったらほんとゴメン。
ちなみに裏ではリューナが人造人間達を全員筆おろししてしまったり、
ガーネットが責めの途中で「何か」に目覚めてしまいレズっ子全員を思うまま蹂躙するとか。
駄目か。
旦那が「本日の書き出しは『今一発終えたところです。腰の方を充実させた
ところで本日の1作目』か?」と言うので、マジで書いてみました。これで満
足か!? >旦那
◇感想のこと
>545
ああ、ようやっと冷静に感想が書けるぐらい気持ちが落ち着いた。鋼の戦士
と混沌の監視者とが萌えカッコよすぎて、もうどうしてくれようって感じで。
その勢いで書いたのが外伝3話目。キャラ流用の許可も取らずに情け容赦のな
いこと色々書いて申し訳ないw
いいなぁ、こういうお話。まさに魔獣の絆。シリアスで、そのくせちょろっ
とハクション大魔王に言及されている辺りがキュートで。
ルルブの混沌の監視者の一人称が統一されていない点、それから各キャラク
ターの台詞を上手く使っていて、その手があったかと膝を叩くことしきり。一
番感心したのが「私に会ったな」の応用。うっわー、そー来るかー。
このお話の時点では、二人の関係は互いにエゴなんでしょうな。最後の最後
に、監視者の方だけ絆判定に成功して、鋼の方は失敗したっぽい。二人ともが
絆の関係になる続編はあるのでしょうか?
>551
デッドコピーで構わないんで、そのステキな浪漫回路を分けてください。
>579
思わず爆笑。横で旦那が寝てるのに、カンベンして〜w
◇EVAのこと
木曜日、BBNTEVAゲット。週末ぐらいに買いに行こうかと思っていた
ところが、>544を読んですぐに欲しくなり、ちょうど買い物に出ていた旦那に
イエサブまで行かせたという。そーいやルルブの発売時も旦那に買いに行かせ
たっけなぁw
でもって問題のシーン。
・・・・・>371。みんな君のせいだ。
【馬鹿は全責任を人様に押し付けた!】
◇たくさん創作すること
>570
あたしゃ何年かに一度、こーゆーおサルみたいにカキまくる時期が来るんで
すよ。その分、払っている犠牲(むしろ他人に強いている犠牲)も大きいんで、
あんまり尊敬されても、その、なんだ、困る。一種のビョーキと思って、治る
まで生ぬるく見守ってやってください。
◇でもって本日の投下
リアルエロ→エロパロ板のスペシャルコースは流石に疲労困憊。だから臨時
休業。
おやすみなさい。
584 :
544:2005/06/11(土) 07:31:17 ID:8ISdVIUS
>>551 「よし俺様BBNTの話を書くぜひゃっほう」ぐらいの勢いで自分の楽しい事だけ追っかけてた。他は何も考えてなかった。
すまん。真面目にちょっと反省した。ちょっとかよ。
つまりあれだろ、この話がエロに繋がっていけばいいんだろ。OK、俺に少しの時間をくれ。
>>556 結局リクを拾っていただいたようで、多謝。
魔王にも呆れられるはツッコむべきところは断固とツッコむはで、流石だな柊。
くれはがどう絡んでくるのか、展開を楽しみにしているですよ。
>>561 とても素晴らしい旦那様ををお持ちのようで。そんな素敵夫婦をスタンディングオベーションで讃える俺。Hell yeah!
外伝3。そんなトコまで鎧われてんのかよ!? とまずツッコミを入れずにはいられない。容赦ないな三歳児。
そして「出たトコ勝負」が大好きだ。やるべき事は決まっていて、為すべき相手は目の前にいるらしいから、あながち間違い
じゃないのだろうけれど。
絆とエゴ。鋼の戦士は絆:混沌の監視者(信頼)、混沌の監視者はエゴ:鋼の戦士(執着)なイメージ。どっちかっていうと、
鋼の戦士の方が振り回されてる感じです。続きは長くならないように書いてみようと数十秒前に決めました。
>>579 写真集というよりも、DVDつき雑誌な気がして仕方ありません。
そしてアンゼロット様にひとつ質問が。どうしてそんなにマニアックな撮影シュチュエーションばかりですか。ひょっとして
そういうのがご趣味ですか。え、ちょっと待って、その素敵な笑顔は何? いやそれは痛いから。危ないから。尖ってるから。
せめて紅茶にし(手記はここで途切れている)
再び落ちる、むず痒いような沈黙。
「あ、でも。今後はできるだけ、あなたにシナリオを振るのは控えます。安心してください」
何か決心をするようにゆっくりと瞬きをして、彼女はそう言った。
いきなり何を、と問うより先に、彼女が勢いよく頭を下げた。動きに連られて長い髪がふわりと舞った。
「あの、ごめんなさい。見てしまいました。本当に偶然なんですけれど…その、今日の放課後のこと…」
「ああ」
思い至った。きっと俺が告白を受けた時の事だろう。
「あれは断ったよ。俺、好きな娘がいるから」
「…」
意表を突かれたように、彼女が顔を上げた。視線がぶつかる。
俺はその目が好きだと思う。全てを見通しているのに、決して見下さないその瞳。
「…そうですか。それはよかったですね。ではあなたの日常だけ守ってください。あなたの好きな子だけ見ていてください。
今日の事は本当に嬉しかったですけれど、でももう私にまで手を回さなくても結構です」
拗ねたような、傷ついたような表情。いつも冷静で、思慮深くて、大人のような雰囲気の彼女が、まるで子供めいて見え
た。しかし、何に立腹しているんだろう?
「…えっと、何か怒ってる?」
「怒ってません」
「じゃあ拗ねてる?」
「拗ねてませんっ」
言いながらぷいと横を向く。
「それなら、もう少し俺の話に付き合ってもらっていい?」
「え? あ、はい」
慌てて居佇まいを正し、きちんとこちらへ向き直る彼女。そんなに畏まられても、逆にやりにくい。深呼吸。
「どうしても言いたい事が、もうひとつあるんだ」
また言いがかりか何かをつけられると思ったのだろう。少し彼女が身を固くするのが判った。
誤解は早く解きたいけれど、酸素が足りない。呼吸が苦しい。視界が狭い。心臓がやたらと早く鼓動している。
それでも。
あの子の事を考えた。きちんと想いを伝える事は大切だと思った。決めた事を貫こうと思った。
「日常を守れ、自分の事はもう構うな、って言うけどさ」
勇気が後押しして、言葉が滑り出た。後は一気呵成だった。ずっとせき止めていたものがそのまま口をつく。
「俺が守りたい、俺の日常の中には…とっくに、支部長も含まれてる」
彼女の反応を見るのが怖くて、怯懦にも俺は一瞬目をそらす。唾を飲み込んだ。それから、視線を戻した。
「その、だからさ。――俺、支部長が好きだよ」
いつも。いつも気付けば目で追っていた。
負い目があったから。そしてそれだけじゃなくて、恋をしていたから。
あ、と言って彼女は口元を押さえる。真っ赤になっていた。比喩ではなくて本当に耳まで、首まで薄桃色に上気している。
無論俺も様子としてはさして変わらないだろう。顔が熱いのが自分で判る。
「…」
「…」
「…やっぱ、いきなり言われても困るよな」
また双方言葉がなくて自嘲気味に俺が口にすると、彼女はぶんぶんと首を振った。それから小さな蚊の鳴くような声で、
「――あのっ、あの、私…からかわれていませんよね?」
ひどく不安げなその表情は、今にもまた泣き出してしまいそうに見えた。
「冗談でこんな事は言わない。それに」
俺は自分自身を指し示す。
「俺、真っ赤じゃないか? そういう演技が出来るほど、人生には長けてない」
「ご、ごめんなさい。でも、あの、嘘みたいに私に都合がよくて、だから…、だから…」
思いがけない言葉を聞いたと思った。
「私も…本当は私も、ずっとあなたを見ていました。あの日、あなたに叱られた時から」
彼女が俺をじっと見ている。濡れたような黒い瞳が、俺を捕らえて離さない。
「親しいひとを、とても大切にしているのと判りました。いつか私も、そんなふうに想われたいと思っていました。必要とさ
れたいって、考えてました。私も、あなたの事――」
そこまで言って彼女は俯く。後の言葉は、聞かないでも判った。快哉を叫びたい気分だった。
「ありがとう」
「あ、いえ」
我が事ながらも随分と不器用な言いに応え、それから彼女はふっと顔を上げた。
「あの、もう一度だけ聞かせてください。あんまり幸せで、とても不安だから。――嘘じゃ、ないんですよね?」
俺が強く頷いて見せると、また彼女の瞳から雫がぽろりと零れた。
呼吸を止めて、膝を詰める。レネゲイドは他人を想う事はできない。それをするのはひとの心だ。
「支部長ってさ。泣き虫だよな、意外と」
そっと指で涙を拭った。そのまま頬に手を添える。
「泣くなよ。もう、泣くな」
見上げると目と目があった。彼女がそっとまぶたを閉じる。そうして、キスをした。
強い磁力で吸い寄せられたようだった。世界でただひとりだけしか見えなくなる時があるのだなと、変に冷静な頭の隅で思
った。
触れ合わせていた唇が離れる。くちづけが終わる。
ちいさなため息。
ぼおっと酔った様な表情の彼女。きっと向こうから見たら、俺も同じような顔をしているのだろう。
永遠にも思える数秒の後、俺たちは必死に言葉を捜していた。
けれど思いつく前に彼女がまた顔を赤くして、俺も真っ赤になった。
そして。
そっと手が伸びてきて、俺の服の二の腕の辺りに触れた。とん、と彼女の額が俺の胸に押し当てられた。静かな動きで俺に
もたれる。長い髪がさらりと揺れた。
ゆっくり体が預けられて、彼女の腕が背中に回る。初めて抱き締めたその肩は、思っていたよりもずっとずっと華奢だった。
それは静電気で羽毛がぴたりとくっつくような。
不思議なくらい穏やかで、けれど強い抱擁だった。
とく、とく、とく、とく。
彼の鼓動が聞こえる。ふたりの心音が重なっている。
緊張しているのに。ひどく気恥ずかしいのに。けれどとても安らいで、穏やかな気持ち。
――俺、支部長が好きだよ
そう言われて、嘘だと思った。まるで夢想のようで。あんまり私に都合が良くて。でも。
あの日。彼に叱責されたあの日。一度だけ見たあの瞳が、まっすぐに私を見ていた。とても強くて、優しいまなざし。
それで、本当なのだと判った。
嬉しかった。
気付いたら感情を抑えられなくて、私は泣き出してしまっていた。
――泣くなよ。もう、泣くな。
彼の指が目元を拭って、てのひらが私の頬に触れて。
キスを、した。
思い出すだけでかっと頭が痺れるよう。細かい所作や感触なんて、とても憶えてはいない。ただ愛されているという感触が、
その実感だけが確かに残って、それは私の背骨をぞくぞくと震わせる。
私は初めてだったのだけれど、彼はどうなのだろう? いつの間にか、彼の事を全部知りたいと思っていた。
手を伸ばす。心臓は早鐘のようで、息が出来なくなりそうだった。でも、私と彼との間に、もう距離はあって欲しくなかった。
ふたりの間の隙間を埋めてしまいたかった。
額を彼の胸に押し当てる。膝立ちのまま、互いの背に腕を回す。そっと力を入れると、ぎゅっと抱き締められた。
初めて縋った彼の胸は、思ったよりもずっと大きくて、頼もしくて、暖かかった。
「…少し、苦しいです」
「ご、ごめん」
急いで緩められた腕の中で首を振る。
「でも、嫌じゃありませんから」
少し体勢が変わる。彼は背中を壁に預けるようにして、私はその胸に完全にもたれてしまう格好になる。守られているという
安心感。恋しい人の温度。髪を撫でる手が心地良い。このまま、時間が停まってしまえばいいのに。
「俺、そろそろ帰るよ」
どれくらいそうしていただろう。不意に、彼がそう囁いた。
「…え?」
「俺も男だし、好きな娘と一緒だし、支部長は一人暮らしだし…その、ここのまま居たら、自制が利かなくなりそうだ」
見上げた私を見返して、照れたように。そう言われて、私は初めて腹部に当たるその感触に気付いた。彼がバツが悪そうな顔
をする。
「その、つまりそういう訳だから」
私の肩にそっと手を置いて立ち上がった。ふたりの間に、また距離が出来る。
「――っ」
気付いたら、その手をぎゅっと捉えていた。
「…らないでください」
嫌だった。このひとが離れてしまうのが。このひとがどこかへ行ってしまうのが。このひとが傍に居てくれないのが。
一度縋ってしまったから。もう頼ってしまったから。独りでは立っていられないと思った。とても歩けないと思った。
驚いたような彼を両の手で捕まえたまま、私はもう一度繰り返した。
「帰らないで、ください」
意味は、判っているつもりだった。
ようやくこのスレ的メイン部分にたどり着きそうな具合です。遅。
努力をしない訳じゃあないが、しかしあまり期待はするな。…胸張って言う台詞ではないな。がっくり。
んじゃ、続きが出来たら、また。
>>579 なんでそんなにマニアックなんだアンゼロット軍曹。
素晴らしいじゃないですか!(ぇ
ハイル・アンゼロット!
>>585 あと、こちらには萌えた。
初々しい二人、遂にこー、一線を踏み越えますか。
どうも、一時的にパソコンの調子がおかしくなりましたが、どうやら元に戻ったみたいですんで書かせていただきます。
○◎○
くれはの心はずんと沈んでいた柊は帰ってこず、そのまま雨の中を一人で歩いている。
「…………絶対帰ってくるよね………」
その言葉でさえ、絶対の確証は無く只赤の傘をさして一人ポツポツと歩いている。
(柊と一緒だったら寂しくないのにな)
何時も隣にいてくれる幼馴染。それがいない事だけでこれほどつらいなんて………。
ふと、柊の家の方に足を向ける。もしかすれば帰ってきているのかもしれない。
淡い期待を抱きながら、そのままドアをノックする。返事は無い。
「寝てるのかな」
言い訳だ。淡い期待を胸に抱いてくれははそっとドアノブに手をかける。
ガチャリと小気味良い音を立ててドアが開く。
柊がいる!心臓がバクバクする。体中が熱くなる。目から涙がこぼれそうになる。
「蓮司!」
「あら、遅かったじゃない」
少女の声がする。体中を冷気が貫く。一体何が起きたのかわからずくれはは驚愕する。
大魔王ベール=ゼファー。本当なら1対1で戦うべき相手ではない。
「もっと早くここに来ると思ってたんだけどね」
何処からともなく準備したコーヒーを優雅に飲むベル。
「いっ一体人の家で何してるのよ!」
「見ての通りコーヒーを飲んでるの。あっ安心して自分で持ってきた分だから」
そう言ってコーヒーカップを皿の上に置きくれはの方へと向き直る。
「今日はね、貴方を奪いに来たの」
そう言ってベルはくれはの方に無造作に近寄ってくる。
「《ヴォーテクス!》」
呪文を唱え黒い魔力がベルの方に飛ぶはずだった。
魔力の塊は空間に消え去る。
「言ったでしょう、貴方を奪いに来たって、貴方が来るまで時間があったからね。少し罠を仕掛けておいたの」
そう言ってベルはにこりと笑う。
「この場所では魔力はそれほど力を発揮しないわ。貴方の素敵な彼氏がいてくれたら話は別だったでしょうけどね」
「……………」
確かにそうだ、魔法が封印された陰陽師など誰が恐れようか。
「それにね、この家に入った時点で貴方は籠の中の鳥なの」
そう言ってベルは怪しくくれはの頬を撫で始める。
「ふざけないで!」
至近距離からの二発目の魔法。だがそれもむなしく中空に消える。
「そんなに魔法を使って良いと思ってるのかしら?」
「何を言って……るの!」
三発目、四発目も中空に消えるが五発目はベルのお腹へとあたり服を破け去る。
「ふうん、それなりに強くなってるんだ」
感心してベルがくれはに言う。
「でも、罠に気づかなかったのはうかつね」
「魔法減衰の罠だったら…気合でなんとか……」
「命令する、赤羽くれは『これ以上の攻撃を禁ずる』」
ベルがそう言って呪文のように言葉をつむぐ。くれはは月衣から小刀を取り出そうとして凍りつく。
「罠『術者拘束』。この空間内で呪文を唱えたのなら、術者は呪文を唱えた相手に従ってしまうようになる」
そう言ってベルはくれはに命令を下す。
「服を脱ぎなさい」
「はわっ?」
突如として体が動き出し自らの意思とは反対に巫女服を脱ぎだすくれはを悠然と眺めながらベルはくすりと笑う。
「なんで!なんでそんな結界が柊の家に張ってあるのよ!」
「だって私が張ったから、貴方を捕まえるためにね」
そう言ってベルはくすりと笑う。確かに陰陽師なら敵と戦う時に魔法を使うことは用意に予想できる。
「ううあっ柊ぃ……柊ぃ……」
服を脱ぎながらくれはは幼馴染の名前をしきりに呼ぶ。
「今回は助けに来ないわよ彼は」
そう絶望を増すようにベルはくれはに言い放ち、家の冷蔵庫から飲みかけのオレンジジュースのペットボトルを取り出す。
「彼って、こういうのラッパのみしてるみたい」
そう言ってベルは根拠もなく言い放ち、ペットボトルの口を開ける。
「ここにキスをしたら彼と間接キスになるのかしら?」
そう言ってベルはペットボトルに口付けをしようとする。
「あら、不満?彼のファーストキスはまだいただいてないの?それとも……私が奪えるの」
そう言ってベルはくれはにクスリと笑いを上げる。くれはは顔を真っ赤にして
「もう、もらった」
と答えた。
「あら、そう……だったら間接キスぐらいなら譲ってくれても良いじゃない」
そう言ってペットボトルの口に軽くキスをする。
「貴方にも間接キスをさせてあげるわ」
そう言ってベルはペットボトルを持ってくれはの方に近づいてくる。
やがてくれはの後ろの方に回って命令する。
「そのまま俯けになりなさい」
命令に従ってしまい、そのまま床に引っ付くように倒れるくれは。
そっとくれはのお尻を撫で、ベルはくれはのアナルに指を入れる。
「そこはっそこはっ……」
「静かにしなさい」
そう言ってペットボトルの先端をお尻にくっつける。
少し力をこめてペットボトルがポコンと変形し、続いて小気味よい音を立てて元に戻る。
「はうっ!」
「彼の残り物を飲んでるんだから、吐いたりはしないわよね」
そう言ってベルはオレンジジュースを全てくれはの中に押し込む。
「はうっ!」
顔は真っ赤になり、くれはは立ち上がろうとするがお尻の中にあるオレンジジュースが彼女を中から溶かそうと蠢動する。
「うふふ、きれいよ赤羽くれは」
そう言ってベルはくれはのお尻に何かを突き刺す。
基本的には何かの栓に見えるそれはくれはのお尻をぴったりと塞ぎ、そのまま彼女がオレンジジュースを下から吐くのを押さえる。
「さて、続きは彼の部屋でしましょうか、ついてきなさい」
言われるまま歩くくれは。お尻の中から溶けそうな感覚を我慢してベルに付いて行く。
柊の部屋は意外と整然としており、勉強机と簡易ベッド、参考書とかが置かれた本棚とタンスが整然と置かれていた。
「じゃあ、まずは……彼のベッドで寝て」
そう言って、ベルはくれはに命令する。
「何をするの?」
「写真撮影」
そう説明してから玉が転がるように笑うベル。
「そしたら、ここにあった彼のアルバムに入れてあげるから」
そう言って、ベルはくれはに一つのアルバムを見せる。
「いやっ!!」
「そんな事言わないの……それとも彼の記憶ごとこのアルバムを消してあげようか?」
ベルはこう言ってるのだ。写真を撮られるか、柊蓮司の存在をこの世から完全に抹消するか。
「はうっ!」
「選ぶのは貴方よ。私はそれに従うだけ」
「写真撮影します!だから柊の記憶を消さないで!」
涙目になってくれはは懇願する。彼とのつながりを消したくないその気持ちだけでくれはは叫んだ。
「だったら、そこで寝てて」
カシャ、1枚目の写真を撮る。羞恥でくれはの顔が赤くなる。
「後で印刷しておくから」
違うポーズを取らせて2枚目、3枚目を撮る。そのたびに白磁の肌が赤く湿り気を帯びてくる。
「じゃあ次はこれを着て」
タンスのなかから柊のシャツを取り出すとくれはに無理矢理着せる。
カシャ、カシャ、カシャ。シャツは湿り気を帯びていき、透けていく。
「じゃあ次は私も一緒に移るからね」
そう言ってカメラを机の上に置きタイマーをセットする。
「ここに立って」
ベルがそう言ってくれはをカメラの前に立たせる。
「あら、濡れ濡れじゃないここ」
カシャ、ベルに秘所を触られるくれはの写真が撮られる。
「彼の事ばっかり考えてたんでしょう?」
「はうっ!」
カシャ、秘所に指を入れられる写真が撮られる。
「それとも、貴方は写真を撮られると濡れるほどの痴女なの?」
「……違う」
カシャ、顔をうつむけたくれはの写真がとられる。
「うふふ、我慢しないで良いのよ」
カシャカシャカシャカシャ。次々と写真が撮られる。
「はうっ!はわっ!」
どんどんと写真を撮る感覚が短くなっていくようにくれはには感じられる。
「ここのアルバムを見るのは彼だけなんだから、思いっきり貴方の色っぽいところ見せてあげなさい」
くれはの吐息が桃色に変わり始めていく。
ジョジョジョと唐突に黄色い液体がくれはの股間を流れ足を濡らしていく。
「彼のオレンジジュースじゃないわね。気持ちよすぎてもらしちゃった?」
なおも写真はくれはの痴態を写し続ける。黄色い液体が彼女の足を濡らすところも、彼女が泣き崩れそうになるところも全て。
「うふふ…ここではこれぐらいにしとこうかしら」
そう言ってベルがくれはを見る。
「安心して、貴方には彼をおびき寄せるおとりになってもらうだけだから」
「はうわっ?」
「あの忌々しいルーの計略を妨害するためにもね」
そう言ってベルはしてやったりといった笑顔を浮かべた。
■▲■
今回はかなりの陵辱です。最後はベル×柊×くれはの3Pを目指してたり
ではでは〜〜。
>585
きゃ〜〜〜〜〜!!!!!
来ました来ました来ました来ました!
ひゃっほう! 頑張れ! あと1歩!
でもほらアレだ。今日(昨日?)は瞳ちゃん、敵に襲われて恐い目に遭って
るから、切り札くんが上になろうとすると、どうしてもビクッて怯えちゃうん
だ! で、しょうがないからとか言って、瞳ちゃんの方が上になるっつー至極
自然な流れに! やっほう! 初めてさんは上になる方が入れるの楽だぜ!
経験者が言ってるんだから間違いないぜ! ぎゃお〜!
【誰かこいつを止めろ】
>584
BBNT余話の続き、首を長〜くしてお待ちしております。
嗚呼、また萌え転がされちゃうのか私!? うっひゃほう!
コトが済みましたら『後始末』要員としてウェットティッシュのお徳用プラ
ケースを持った我が家の“混沌の監視者”レンを派遣予定で。あ、でも風呂場
でヤるならウェットティッシュは要らんよなぁ。その辺はどうなんだろう。
そうだ、ヤッてるトコを監視する要員ということで、どないだ!? 何でし
たらビデオ撮影もさせますぜ! 二人の記念に! 是非!
【だからこいつを止めろというにっ】
◇本日の、投下〜
えー。
BBNT1本作成完了〜。EVAの新キャラ“西風の語り部”登場で〜。
原稿用紙換算で80頁超〜。丸一日消費〜。てか長いのでどうしてくれよう
かと〜。
ちなみにもう1本作成中〜。
でもまあ、以前に書いたやつから順に投稿していきます。
では適当にご笑覧ください。
「ねぇねぇ」
「あ〜?」
「『黒皇子』でさぁ、未来から来たばっかりの気絶していたソルトにグィード
が剣を抜いて『チャンスだ』っていうシーンあるじゃない?」
「ああ」
「あれってやっぱりソルトがまだ寝てる間にバッサリ殺っちゃおー、って魂胆
だったんだろーね」
「有り得ない。グィード神父は滅茶苦茶な奴だが、世界を救う妨げとなるよう
なことはしない。
あの時点でグィードは、未来から来た天使が世界を救う鍵となることを認識
していた。女神から受けた任務も天使に対する協力だ。つまり、ソルトを殺せ
ば神の意志に背くことになり、ひいては世界が滅びる。少なくともその可能性
は格段に高まる。そんな危険をわざわざ冒すような男ではないだろう」
「そっかぁ。じゃあ、何がチャンスだったんだろうね?」
「愛を分かち合うチャンスだ」
「はい?」
「聖職者の本懐とは何だ? 迷える者に神の愛を示し、多くの人々と神の愛を
分かち合うことだ」
「そうかも知れないけど」
「いいか? 魔神に敗れ、仲間と別れて、一人、世界の命運を背負って過去へ
とやってきた天使。しかも彼女はまだ幼い。さぞ寂しかろう、つらかろう。
ここで少女の悲しみを癒し、愛で満たしてやらずして、何のための聖職者か。
何が神の使徒かよ」
「はあ。それで?」
「如何にグィードが筋肉ダルマとはいえ、また、相手が小柄な女の子であって
も、気を失っている人間の身体を動かすのは容易なことではない。しかも場は
荒れ果てたクレーター。たとえグィードの上着を敷物にしたとしても、地面に
彼女を横たえておくのは気の毒だ。
とすると、彼女をあまり移動させることなく、また、意識のない彼女の身体
を支えつつ、更に、グィードの両手が自由に使える体勢。
背面座位が最適な体位だろう」
「ちょっと待てー! 何をする気だ何を!?」
「端的に言えば、寝てる間に手込めにするのだが」
「そ、それが聖職者のすることかっ!?」
「グィード=ボルジアのすることだ!」
「納得しました。
あ、いや、納得してる場合じゃなくてっ」
「その詳細を想像するに、まず、愛剣グローリアを地面に突き立てておく。
ソルトの上半身を抱き起こし、その身体を自分の両足の間に挟むようにして、
グィード自身も座る。ここで、グィードの足でソルトの足を絡め取り、動けな
くした上でM字に開脚させる。更に、地面に突き立てられたグローリアがソル
トの足の間に来るようにする」
「何それ、危ないじゃないっ」
「グローリアは、愛を拒む頑なな心の鎧を打ち砕く剣として、そこにある」
「要するに、ソルトの目が覚めたときに、暴れると怪我するぞ、って脅すんだ
な?」
「下手に動けば剣で怪我をする、という緊張感を伴うプレイなのだよ」
「そんなわけあるかっ」
「ともあれ、ソルトの背中をグィードの胸板に凭れさせ、左右から腕を回せば
彼女の上半身を支えるのは容易である。また、この体勢ならグィードは自由に
両手を使える。
ソルトの服は、首のところの紐をほどけば簡単に胸が露出するだろうし、ス
カートも短いから捲り上げただけでも邪魔にはならない。
半裸に剥かれたソルトの身体を妖しく這い回るグィード神父の厚い掌、太い
指先。
荒涼たるクレーターの底で、ひっそりとほころび始める秘密の赤い花びら。
それが満開になったところで、聖王をも虜にする肉の雄しべが可憐な雌しべ
に愛を伝えるのだ」
「よーするに、無理矢理濡れさせて突っ込むってことでしょ。ひっどい話」
「なに、これも愛ゆえだ。例えばグィード神父は、『なんて寂しい目をしてい
る』とソルトを慈しんでいる。しかも寝ているソルトの目をこじあけてまで、
だ。グィード神父のあふれださんばかりの愛は、手段や過程を選ぶことなどし
ないのだよ」
「愛とか言えば何でも許されると思うなっ」
「ふむ、ではこう言おう。
グィード神父もソルトも、ウィザード、つまり非常識な存在だから何をして
もOK!」
「そ、そーゆー考え方が既に非常識だよっ」
「で、事情がよくわかっていないままに目覚めたソルトが『変質者!?』とか
『敵!?』などと悲鳴を上げるわけだが」
「変質者どころか強姦魔だよぅ。確かに敵には違いないけど。女の敵!」
「そんなソルトにグィードは告げる。『もう逃げ場は、なぁい』『キミの味方
だ、仲間だ、言うならば、カンパぁニャ!』
両足を取られ、身体の中心部に心棒を挿し込まれ、あまつさえグローリアの
刃が眼前にあるソルトにしてみれば、確かに逃げ場は全くない。
あまつさえ肉体的につながった今となっては、二人はもう“他人ではない”
のだからな。
間違ってはいない」
「間違ってる、もう最初っから最後まで徹頭徹尾間違ってる!」
「こうしてグィードはソルトと愛を分かち合うのだが、」
「分かち合ってない! 一方的に貪ってるだけ!」
「最終的にソルトが自爆する」
「正当防衛だよっ」
「いいや、ここでいう自爆とは、比喩だ」
「比喩、って、何の?」
「いいか、ソルトの自爆後、グィードは一転してソルトに従順になった。自分
のことをイヌと呼べ、と言うほどにな」
「うん、そうだね」
「また、爆発という言葉は、18禁の作品でも、よく射精や絶頂の比喩として
使用される」
「う、うん、まあそうだね」
「山の形が変わるほど巨大なクレーターを穿ち、周囲の砂をガラス化させるほ
どの熱量を発する自爆。この自爆とは、自らの身体を張って相手に与える、そ
ういった凄まじい爆発力を連想させるほどの快楽、その比喩だ!」
「そ、そんな強引な!?」
「ここから導き出される結論はただ一つ!
ソルトを愛し癒すべく、彼女を抱いたグィードは、逆にソルトにイかされた!
つまりこの一件で、グィードはソルトの性の奴隷になったのだよ!」
「な、なんだってー!?」
「でなければ、たかが物理的な爆発に曝されたぐらいであの倣岸不遜なグィー
ド=ボルジア神父が、おいそれと他人に尻尾を振るわけあるまい?」
「そ、そうかも知れないけど、そうかも知れないけどっ」
「恐らくにゃふぅにも、そういう才能はあるのだろう。人嫌いの皇子が、にゃ
ふぅにだけは心を開く理由。それは、彼が彼女に篭絡されているからなのだ」
「なんだかな、なんだかな、なんだかなーっ。
・・・っと、ちょっと待って?
ソルトは柊蓮司やアンゼロット、魔王の前でも自爆してるよ?
魔王に対する自爆は演出じゃないから別格としても、それ以外の自爆は全部
そーゆーことなわけ?」
「勿論。だからこそ柊蓮司は後輩・神条皇子と同一人物であるところの魔王と
戦い、アンゼロットは神条皇子抹殺の使命を与えるべき柊蓮司を黙って行かせ
た。即ち、どちらもソルトに協力している」
「い、言われてみれば、物語の流れは常にソルトの思うツボ!」
「これこそ、目覚めたばかりでまだそんなに力も高くないソルトを守護天使の
一員となさしめていた理由なのだよ」
「そんな最終天使はイヤだぁぁぁぁ」
・・・・・おしまい。
以上、「チャンスだ」「何がだ」のやりとりに応えるつもりで考えたお話で
した。
>441
サイコーです(ぁ)<露出羞恥
>589
えーと、侵食率に気をつけろといわれた人です。
…前回の書き込みから以後ずっとアク禁で、その間に感想吐き出せなかったせいか、今回ので160%突破。
続きがあることを考えると、どう足掻いても素振りじゃ戻れない世界に脚をどっぷり浸けてしまいました(ぉぃ)
…で、ジャーム化が近づいたせいかふと骨格だけ浮かんだのがあるんですが…例のハヌ/ソラの彼のSSなんて需要ないですよね?(ぁ
ちなみに、以前拾っていただいた部分…最初はこんな感じでした。
それは、いつも見ていた背中だった。
手を伸ばせば届きそうで、けれどどこまでも遠いはずだった…
それは、見慣れた背中のはずだった。
幾度も幾度も…彼はその力を振るっていた。
それを私は見ていた…レポートの中で。
…たったそれだけで、知っているつもりになっていた。
そして今――初めてみる背中が、私の前に在った。
が…長すぎますねぇ(遠い目)
他にも色々感想を言いたい相手は沢山おられますが…既に時期を逸した気分。…アク禁の馬鹿 orz
>605
読みたいです。カイてください。もとい書いてください。>ハヌ/ソラSS
あと、書き手としての見解なんですが、たとえ100レス後でも100スレ
後でも、感想をもらって喜ばない書き手はいません(断言)ので、遠慮せずに
感想を言ってよいのではないでしょうか。それがまたSSの呼び水となって、
スレの活性化につながるのです。きっと。
今次の話の内容を悩んでます。
魔王に次々と誘惑される柊か、ベルや他の魔王にいじめられるくれはか……。
とりあえず感想です。
>>484 そのままユメコを食っちまえヤイバ!(変人は普通の事を言ったつもりだった)
>>513 ロウさん何教えてるんですか!
>>561 …すげー混沌な状況。
>>441 うぉー露出羞恥かー。最後に一回書いてみようかな……。
>>585 初々しいですな。やはり純愛はこうでないと。
>>599 なるほど、魔王だけでなく天使からも誘惑される柊……本気で呪われてますな。
後グィードの変態性がよーくわかりました。
それでは続きがんばりますか……。
「報告書の提出なんて、メールでもいいですのにねー?」
「文句を言うんじゃないのよぅ。これも規則よ、き・そ・く」
UGNのT市支部は、全く無関係な雑居ビル群、のフリをした一連の建物全
体だ。ビル全体をつなぐ地下ショッピング街の更に下、地下2Fには大規模な
訓練場があって、オーヴァード同士が多少大暴れしても大丈夫な造りになって
いる。訓練場には、シャワー室、仮眠室、資料室、軽食堂、飲食物持ち込み可
の談話室等も併設してあり、その快適な環境から、T市のUNG系オーヴァー
ド達の恰好の溜まり場となっていた。要するに、フィットネスクラブ代わりに
利用しているのだ。UGNにしてみれば、正規のエージェントは元よりイリー
ガルズも自分の目の届く範囲に集めておけるのなら、訓練場だの何だの設備を
整えるぐらい安い物だろう。
「どーせ訓練もしておかなきゃなんないんだから、報告書も足で運んだってバ
チはあたんないわよぅ」
「それはそれ、これはこれですー」
レネゲイドはレネゲイドに引かれる。自分の運命に向き合おうとするなら、
他のオーヴァード達を無視することはできない。そのせいかどうか、特に夕方
から夜にかけては、談話室に行けば十中八九誰かオーヴァードに会うことがで
きる。今日もまだ『人間』のままでいてくれている、お互いにコードネームで
呼び合う仲間達が。
「今日は弟くんは?」
「おうちでお仕事してますー」
「それは残念ねぇ、目の保養をしたかったのに」
「“牙”くんは見世物じゃないですよー」
「ウフフ、重度のブラコンお姉さんとしては、弟くんが心配かなぁ?」
艶麗な微笑みを浮かべる、彼女は“朱に染まる薔薇”。あたしと同じくUG
Nエージェントだ。キャリアはあたしより何年も上で、現在は公立高校の保険
医として潜入任務を主に遂行している。現在時刻は放課後、本日は早々に学校
を辞してきたらしい。
「ブラコン・・・ブラコンですかねー、あたし?」
「自覚がないのぉ? じゃあ貴方、例えば愛しの弟“誇り高き牙”と、大好き
な恋人“孤独な魂”とが同時にピンチに陥って、」
「“魂”さんは恋人じゃないです。あたしの片想いですよー」
「あら失礼。で、二人の内のどちらか一方しか助けられず、助けられなかった
方は死ぬ、なんていうとき、どちらを助ける?」
「“魂”さんー」
「へ〜え、意外と即答ねぇ? 無理しなくていいのよぅ、助けたいのは弟くん
の方でしょう?」
「だって“魂”さんが死んじゃったら悲しいですもん。“魂”さんには長生き
して幸せになってもらいたいですー」
「愛のこもった台詞ねぇ、“魂”が羨ましいわぁ」
「だけど“牙”くんが死んじゃったって寂しくないですよー」
「ええっ? どうして?」
「すぐにあたしも死んじゃいますからー」
何故か、“朱に染まる薔薇”が自分の額に手を当ててフラついた。
「御免なさい、確かに貴方は重度のブラコンじゃないわ。・・・極度のブラコ
ンよぉ!」
語尾が微妙に悲鳴だ。
「そんなことないですよー。きょうだいなんて、多かれ少なかれそんなふうに
思っているもんじゃないですか?」
「仮にそうだとしても、貴方達は常軌を逸しているわ。・・・あら、“鋼”。
お久しぶりぃ」
「お久しぶりです、“薔薇”さん、“氷”ちゃん」
談話室の扉を開けるなり“朱に染まる薔薇”が声を掛け、それに応えて室内
の先客、これまたUGNのエージェント、表の顔は警察官、の“鋼の乙女”が
片手を上げた。
あのね、“朱に染まる薔薇”はあたしと同い年です。そりゃあ勤続年数は桁
違いだけど、だからってどーして前者はさん付けで、あたしはちゃん付けなの
でしょう。年下のはずの“鋼の乙女”に問いたい。小一時間問い詰めたい。
「お仕事の方は大丈夫なのぅ、公僕さん?」
「貴方こそ」
“朱に染まる薔薇”と“鋼の乙女”、二人が世間話を始めたので、あたしは
適当な椅子を引いてきて座り、テーブルの上でノートパソコンを広げた。無線
で支部内LANに接続し、そこから世界をブラウジングする。
談話室にはセルフサービスのコーヒーサーバがあり、無料で飲めるけれど、
あたしはコーヒーが好きではない。喉が渇いたので、自動販売機でお茶のペッ
トボトルを買い、一口だけ飲んで、ノートパソコンの脇に置いた。
あちらでは、イリーガルズの“不確定な切り札”が、予習か復習か、英語の
辞書を片手に何事かを呟いていた。制服姿だから、学校帰りに直接ここに立ち
寄ったに違いない。家に帰ればTVとかマンガとか誘惑物がいっぱいある。ま
た、人が少なくて静かな資料室は飲食禁止だ。談話室で勉強するというのは、
なかなか上手い選択だった。
彼の後ろ、背中合わせに座って、黙々と銃の手入れをしているUGチルドレ
ンは、“黒い天使”。そんなに丁寧にやらなくたって完璧に整備できてるだろ
うに、恐らくはその場に座っている言い訳のためだけに、同じ作業を繰り返し
繰り返し・・・。
「あー! ダメだクソ、わかんねー!」
“不確定な切り札”が叫びながら大きく仰け反った。あ、チャンスですよ、
“黒”ちゃん!
「ヤベーな、全然進まねーよ、どーすんだよ」
私が教えるって、私が教えてあげるって、ほら、一言、一言でいいから!
・・・・・うー。“黒”ちゃん動きませんー。もどかしいですー。
仕方がないので、あたしは助け船を出すことにした。まずは“不確定な切り
札”に話しかける。
「何を騒いでるんですー、“切り札”くん?」
「あー。“氷”さん。英語、わかりますかね?」
「あたしなんかより現役の子に訊くのがいいですよー。“黒”ちゃん、英語、
得意でしょう?」
あたしに促されて、ようやくポソリと呟く、
「・・・私。・・・わかるかもしれない」
「そうか? 助かった、教えてくれ」
「・・・・・うん」
は〜。ヤキモキさせられましたー。
“黒い天使”は“不確定な切り札”の隣に席を移して、英文和訳を始めた。
目的はともあれ、寄り添う二人のツーショット。可愛いですー。ほのぼのしま
すー。
でもねー“黒”ちゃん。“切り札”くんには学校にも気になる女の子がいる
んですよー。幼なじみで委員長でおさげでメガネで気が強くてお節介で、普段
は真面目な優等生って外見なんだけど、髪を下ろしてメガネを外すと華やかな
美少女になるという、どこの世界のファンタジー生物だ、ってぐらいパーフェ
クトな女の子が。
でも! おねーさんは全力で“黒”ちゃんを応援します! だって可愛いも
ん、“白”ちゃんの次に可愛いもん! 無表情なとこ、ミステリアスなとこ、
自分の意志などなさそうで、そのくせ、自我に目覚めて内心必死でもがいてる
とこ、全部が全部きゃーって感じですよきゃーって感じ! 何よりこないだの
戦いで“切り札”くんが死んだかと思われたときの、あの取り乱しっぷりった
らもー!
ああ、どーしてあたし、あのときビデオを持っていなかったんだろう。あの
姿を“切り札”くんに見せてあげれば、どれほどポイントが稼げたことか!
って、人一人生きるか死ぬかの瀬戸際に、そんなシーン撮影してたらマジで
鬼畜だ。
ややあって、談話室のドアがまた開いた。約束の時間5分きっかり前に、颯
爽と入室してきたのは、“白”ちゃん、ことイリーガルズの“白の乗り手”。
彼女にくっついて、
「なーなー、チューだけ、チューするだけ、な?」
真っ昼間、ってほどじゃない、もう夕方だけど、ともあれ日のある内から公
衆の面前で恋人にキスをねだっているのが、ついこの間まで敵対勢力ファルス
ハーツのエージェントで、現在はUGNの要監視人物扱いになっている“燃え
る鉄拳”。戦闘中の、疾風を纏った炎竜の如き戦いっぷりが微塵も感じられな
いデレデレさ加減は、呆れて目を覆わんばかりの惨状だ。
その一方で、
「ダメ」
きっぱりはっきりにべもなく却下する“白の乗り手”。
「え〜。さみしーなー俺〜」
捨てられた仔犬みたいな目で、じ〜っと彼女を見つめる。ついつい情にほだ
されたくなる表情。
「ダメったらダメ」
が、やっぱり彼女はにべもなかった。
「ぐっじょぶ、“白”ちゃん。いい女ってな、そうでなくちゃねー」
あたしが親指を立ててみせると、まじめくさった表情で、彼女もピシッと親
指を立て返した。
“燃える鉄拳”と付き合い出してから、“白の乗り手”は随分と明るくなっ
た。上手く言えないけど、懐に余裕が出来たっていうか、人心地ついたってい
うか、そんな感じ。
かつては心が壊れそうになるたび、声なき悲鳴を上げていた。誰にも預けよ
うのない心の預け場所を求めて、近くの男に身体を預けていた。自分の考えを
しっかり持っているつもりで、無自覚な自暴自棄に囚われていた。あの危うさ
は、もう、彼女のどこにも見られない。UGNエージェントとしての初仕事が
彼女の保護だった関係もあって、あたしはずっと“白の乗り手”のチューター
を務めてきたが、どうやらその荷はおろしてよさそうだ。あたしが彼女を救っ
てあげられなかったのは少し残念だけど、・・・本当に、よかった。
「はい、これ頼まれてたヤツ」
「ありがとう」
文字ばっかりの書面をプリントアウトした3枚のA4用紙を“白の乗り手”
に手渡す。この子も割かしアナクロで、今時分、ケータイ一つ持っていないの
だ。勢い、情報交換はオフラインで行うことになる。
“白の乗り手”が中身に目を通している間に、
「“氷”の姐さん、“白”にあんまし変な入れ知恵せんでくださいよ〜」
“燃える鉄拳”が寄って来た。
「で。調べてくれはりました? 例の件」
辺りを憚って、“白の乗り手”にも聞こえないように、コソコソと。あたし
もつられてヒソヒソ声で、
「だからー、“白”ちゃんに直接聞きなさいって言ったでしょー」
「いやマジ、これっぱかしも教えてくれんのですわ」
そうでしょうともそうでしょうとも。昔の男のことなんて、今の男に訊かれ
てホイホイ答えるものですか。
ちなみに、口が裂けても教えないようにと“白の乗り手”にアドバイスした
のはあたしです。
「そもそもキミねー、自分の彼女の過去を、それも彼女に隠れてアレコレ調べ
なさんなって何回も」
「いや、わかってますがな、わかってますから、せめて“白”の最初の男だけ
でも。頼んます」
両手を合わせて拝む真似。
どーしてもぶん殴りたいですかキミは。彼女の昔の男を。すっかり切れてる
相手を。どーしてわかんないのかな、今の“白”ちゃんはキミにベタ惚れなん
だってば。キミが彼女にベタ惚れしているくらいにはね。そんな二人に、過去
なんて必要ないでしょうに。
『昔』にこだわるのは、案外、女よりも男の方なのかも知れない。ほら、丁
度もう一人、昔にこだわり続ける男が談話室に入ってきた。
「チッす」
“燃える鉄拳”が愛想良く挨拶するのを、その男は、ああ、と無愛想に頷く
だけで返した。“燃える鉄拳”は、しかし気にした様子もない。あいかーらず
暗いおっさんやな、程度。
イリーガルエージェント、本業は探偵屋さんの“孤独な魂”。眼光鋭く、一
見してカタギの衆には見えない、実のところは元・傭兵さん。背は高く、首は
太く、胸板も厚く、肩幅も広く、声は低く。平均的な体格のあたしと彼とでは
大人と子供だ。
最初に“孤独な魂”を見掛けたのは、T市の情報屋で彼を知らない奴はモグ
リ、と言われるその道の顔役に面通しに行ったときのこと。その顔役はバーの
マスターで、彼はバーの常連さんだった。それは、呑む方の常連でもあり、探
偵として情報を売り買いする方の常連でもあり。
そりゃもうびっくり仰天した。カウンターの隅っこ、たった一人で来てるの
に、バーボンのロックを2つ頼んで、あまつさえ、
「・・・・・友よ」
と来た日には!
あれは引いた。ひょっとしたら実際に5mほど後ずさってたかも知れない。
なんたるハードボイルドぶりっこ、カビの生えた固ゆで玉子かと思った。
“孤独な魂”は、そういうことを、毎月、同じ日(当然、亡き親友の命日)
に繰り返しているのだという。これはもう、カビの生えた固ゆで玉子なんても
のじゃない。
固ゆで玉子の化石だ。
とりあえず、その『固ゆで玉子の化石』が彼女の初めての男です、とは、当
事者達以外、あたしだけが知っていればいいことで。
“燃える鉄拳”は、“白の乗り手”に向き直った。
「ところで“白”、姐さんに何を調べてもろてん?」
「ファルスハーツが“鉄拳”に刺客を送って来ないかどうか」
あたしは横から口を添えてあげた。
「“鉄拳”くんの場合、ファルスハーツに在籍してたといっても、ほんの半月
あまりのことだし、何らかのプロジェクトに参画していたわけでもない。そん
な、言ってしまえば小雑魚のために、刺客の山を差し向けるほど奴らも暇じゃ
ないってことです。注意点はそこに書いてある通りで、後は神経質になる必要
もなさそうですね。ああ勿論、油断していいってことではないですけど」
「よかった」
心底ホッとした笑み。この子がキミ以外のことで、こんな笑顔を浮かべるな
んて無いんですからね、そこんとこわかってますか、“鉄拳”くん?
“燃える鉄拳”は“白の乗り手”の肩に手を置いた。
「そんなこと、心配せんでええんやで。俺は別に、刺客の山が来てくれたかて
構わんのやし」
「余計なことだったか?」
「いや。心配してくれて嬉しい。けど、俺は大丈夫やから、あんまし心配ばっ
かりせんでくれ。な?」
「ん。わかった」
深い慈しみと、厚い信頼と。見交わす恋人達、パステルカラーに彩られた光
景。きゃ〜、可愛い可愛い可愛い可愛い。おねーさん萌え萌えのあまりにじた
ばたしたくなるですよー。
「何をじたばたしてるんです?」
へ?
ぽん、と頭を叩かれて我に返る。
自分では理性を保っていたつもりだったけれど、思わず知らず、本当にじた
ばたしていたようだ。・・・ちょっと恥ずかしい。
いつまでも目の前でキックオフしている(我ながら表現が古い)お二人さん
から声の主の方へと視線を向けると、オーヴァード研究者でありUGNイリー
ガルズの“歩く危険物”が、あたしに1枚のディスクを差し出していた。主に
情報屋として活動している手前、様々な人間が、あたしに情報を求めて、ある
いは情報を持ち込んでくる。
「これは?」
「例の実験結果ですよ、活性化したレネゲイドウィルスを急激に沈静化させた
場合の各器官への影響に係る。適当にデータの加工をお願いします」
「データの加工? あたしが加工してどうするんですかー。そういうのこそ、
研究者の役目でしょう?」
「いや、分析は終わってるんで、その線に沿って資料用に見やすく整えてくだ
さいって意味です。バイト代はお支払いしますし、勿論、データをコピーして
持っててくださっても結構ですよ」
「そういうことでしたらー」
ディスクを受け取って、念のため、ノートパソコンに読み込ませてみる。
「前みたいに、えっちな画像と間違ってる、なんてことないですー?」
「ハハ、流石に今回はちゃんと確かめましたよ」
いかにもお人好しそうな笑顔。つられてこちらも笑顔を返す、その笑顔がピ
シッと凍り付いた。
「・・・今回はハメ撮り物ですかー・・・」
「え? やあ、どうしたんだろう? ちゃんと確認したんだけどなぁ?」
間違いは誰にでもある、とはいえ、2回もやったらセクハラで訴えられたっ
て文句は言えまい。ま、この程度のエロ画像なら、あたしはネットで見慣れて
いるから別に平気。
「ところでこれ、一応ボカしてはありますけど、写っているのはラ」
「あ! いや! ハハハ! 明日、明日はちゃんとしたの持って来ますんで、
はい!」
“輝きを呼ぶ者(ライト・ブリンガー)”。地方局限定とはいえ、それなり
に人気のアナウンサー。兼、UGNのイリーガルズ。彼女は夕べ、うちの弟に
平手打ちを喰らわせた女の子でもある。
「そうですかー。じゃ、お話は明日、ディスクをいただくときに、ゆ〜っくり
と聞かせていただきますねー」
焦りまくる“歩く危険物”に間違いディスクを返して、あたしはしてやった
りとばかりに笑った。彼は気付かなかったようだが、実は画像の起ち上げどき
に、バックグラウンドでファイルのコピーも同時に実行したのだ。我がノート
パソコンのハードディスクには、“輝きを呼ぶ者”のセクシーショットがばっ
ちりと。後で何かの役に立つといいな。
“歩く危険物”があたふたと談話室を出ていき、“朱に染まる薔薇”と“鋼
の乙女”も、食事にでも行ったか、既に姿はない。
「いやホンマ、湾岸線とか夜に走ったら綺麗やねんて。ボロで悪いけど、車も
ようやく手に入れたし」
ふと、“燃える鉄拳”の声が耳に入った。どうやらこれからドライブに行こ
うとか行かないとかいう話をしているようだ。“燃える鉄拳”はまだ高校生だ
が、もう18歳で、免許もちゃんと取っている。その意味では、別におかしな
話ではない。ただ、“白の乗り手”はドライブに乗り気じゃないらしく、何度
も嫌だと断っている。なのに、“燃える鉄拳”がしつこく誘っている状況。
あたしはちょっと考えてから、そこに割り込んだ。
「カーセックスはいけませんよカーセックスは。おねーさん大反対」
「え?」
「“氷”の姐さん!?」
「あれって誰かに覗かれても文句言えないしー、むしろ猥褻物陳列罪に問われ
かねないしー、狭いからあちこちぶつけるしー、シート類を汚すと掃除が大変
だしー、そうそう、動くとアンテナが不自然に揺れるから、遠くからでも何を
してるか一目瞭然でー」
「・・・・・“鉄拳”?」
“白の乗り手”が、じと〜、っと恋人を上目遣いに睨み付ける。
「いや、俺、マジそんなつもりで言うたわけやのうて、むしろ“氷”の姐さん
に言われて、その手もあったか、て気ィついたくらいで」
焦りまくった言い訳は、しかし、むしろ絶大なる墓穴。面白いから、あたし
はトドメをさしてやった。
「そうだったんですかー、御免なさいねー、変なこと言って。ただね、ほら、
この前“鉄拳”くんが、“白”ちゃんのバイクに二人乗りしていて、信号待ち
のときに後ろから“白”ちゃんの胸を揉んだっていうから、そのぐらい考えて
るかなーと思ったんですよ。そうそう、あのときの壮絶な痴話喧嘩、いつの間
に仲直りしたんですー?」
とか言いつつ、そんなこと、あたしが知らないわけがない。二人が喧嘩中に
ジャームに襲われるという出来事があり、うやむやになったのである。
「姐さん、そんな! せっかく“白”が忘れてくれとったのに! “白”、誤
解せんといてくれや、俺は」
「知らないっ」
ぷいと横向く“白の乗り手”。サラリと流れる長い黒髪が綺麗。でも“燃え
る鉄拳”を残してさっさと出ていくようなことはしない。そこが彼女の惚れた
弱み。
「ああ、あンときは済まんかった、だから!」
どうしていいかわからずおろおろする“燃える鉄拳”。横から要らないこと
を言ったあたしに喰ってかからず、彼女に謝るのが彼のいいところ。
この二人、仲が良くても喧嘩してても、なんて可愛らしいんだろう。見てい
て飽きない。楽しすぎる。まったくも〜ってぐらい楽しすぎる。
ところで、痴話喧嘩を煽った手前、あたしには取りなしてあげる義務もある
だろう。いやむしろ是非仲裁させてください。さてこの状況下で、どんな手を
使おうか・・・?
「うるさい!」
唐突にバン! と机を叩いて立ち上がる“不確定な切り札”。
「こっちは勉強してるんだ、くだらない話で騒いでないで、少しは静かにしろ
よ!」
カッ、と“燃える鉄拳”の頭に血が昇った、
「ンやとぉ、談話室で喋って何が悪い!」
しかも主に喋っていたのはあたしです。まあ、声が大きかったのは“鉄拳”
くんだけども。
「俺は喋るななんて言ってない、くだらない話で騒ぐなって言ったんだ!」
「くだらない話? 何がや、ええ? 自分なんぞにくだらないの何のと言われ
る筋合いはあらへん!」
今やこの二人が一番うるさいのだが。
そういえばこの二人、初対面から仲が悪かったと聞く。談話室で挨拶を交わ
して、直後、殴り合いになったそうだ。あたしは残念ながらその顛末を知らな
い、まだ出張中だったから。多分、とんがりたい年頃同士、どうしてもウマが
合わないんだろう。
「二人とも」
一触即発の“不確定な切り札”と“燃える鉄拳”に、深みのあるバリトンの
声が、鋭く、諭すように掛かった。
「喧嘩をするなら訓練場へ行け。そこなら誰も文句は言わん」
「おお、“切り札”! 表へ出ろ! じゃねぇ、訓練場へ出ろ!」
「望むところだ、“鉄拳”!」
肩をいからせて、二人の少年が談話室を飛び出していく。彼らに続いて女の
子達も。英語の勉強は中途で放棄。痴話喧嘩は、またぞろうやむやになった。
あたしはノートパソコンを閉じて立ち上がった。
「放っておけ」
再びバリトンの声が、今度はあたしに飛んでくる。あたしは眉をひそめた。
「どうしてですー? 彼らはオーヴァードだし、それにまだ子供ですー。UG
Nの人間として、大人として、最悪の事態だけは防がなくては」
「それをお前が言うのか? 喧嘩の原因を作った張本人が」
あたしは両手を広げて天を仰ぎ、カタン、ともう一度椅子に座った。
談話室にはあたしと、バリトンの声の主、“孤独な魂”が、机と通路を挟ん
で座っているのみ。
「訓練場には“猟犬”が来ていた、場合によっては奴が止めに入るだろう」
“危険な猟犬”。“鋼の乙女”の同僚にあたる刑事。UGNのイリーガルズ
だ。
「“猟犬”さんですかー? それこそ殴り合いを煽るかも知れませんよー?
もしかしたら、三つ巴のバトルになるかも」
「それにしたところで、奴も刑事だ、良識は期待できる」
「あたしには良識がないーって聞こえますけど」
「今日の一連の行動を見ている限り、少なくとも今のお前には、大人としての
良識を期待できそうにない」
言って、コーヒーを飲む。・・・あたしもお茶を飲む。
暫く、無言。室内は静かだ。自動販売機の唸り声をBGMに、壁時計の秒針
の音がはっきりと聞こえる。
「先程の話もそうだが、」
「先程の話?」
「カーセックスだの何だのいう話だ」
「ああ、はいー」
「“鉄拳”も“白”も、側にいた“切り札”や“黒”も、全員未成年だ。迂闊
な話を聞かせていい相手じゃないだろう」
年上ぶった説教、未成年者達のことをダシに、あたしのことを子供扱いして
いる。そんなふうに聞こえた。実際、“孤独な魂”の方が一回り年上で、あた
しのことなんて小娘にしか見えていないのだろうけど。
ちょっとムッとしたので、しれっとした顔で反撃してみた。
「未成年で初めてさんの女の子に、実地で余計な知恵を付けた人に言われたく
はないですねー」
“孤独な魂”は黙った。フ、勝った。
・・・あんまり嬉しくない。
「確かに、俺が言うことではなかったな」
自嘲げな苦笑。
あれこれ委細あったとはいえ、まだ少女で、しかも処女であった“白の乗り
手”を抱いたことは、彼の人生でも屈指のトップシークレットだろう。それを
偶然あたしに知られたのは、最大級の誤算だったに違いない。一生の不覚とい
うやつだ。
「あの・・・ちょっと混ぜっ返すだけのつもりだったんです、気に障ったのな
ら済みません」
「いや」
コーヒーを飲む。お茶を飲む。話はそこで途切れた。
壁時計の針がチッチッと時を刻んでいく。19時を過ぎている。朝御飯から
12時間。どうせお昼はロクなものを食べていないに違いない弟が、おなかを
空かせてヘバっている頃だ。晩御飯は何にしよう? タマネギがあったからオ
ニオンスープがいいか。レタスとトマトと玉子とツナでサラダを作って、メイ
ンディッシュは、鶏肉があったから、チキンカレー、はスープに合わない、唐
揚げ、うん、それにしよう。
無言の時間に耐えかねて、頭の中で生活に逃避していると、“孤独な魂”が
話題を変えた。
「言い遅れたが、“氷”。今朝の情報提供は助かった。礼を言う」
今朝の? ああ、あの“ディアボルス”がらみのやつね。はいはい。
「どういたしまして」
ちょっとおすましした感じで応じておきながら、表情には出さないようにし
て、あたしは心の中でえへへーと笑う。お礼なんていいのにー。でも嬉しー。
「あたし、そろそろ帰りますねー」
「ああ」
あたしは今度こそ立ち上がった。まだ半分お茶が残っているペットボトルと
ノートパソコンとをキャリーバッグに詰め込む。
あたしはテーブルを回って、“孤独な魂”の横に立った。座ったまま、“孤
独な魂”が身体をこちらに向けて、あたしの方を見上げる。何か用かと問いた
げな表情。
あたしはサングラスを外して、嫌味や社交辞令に取られないよう、素直な気
持ちが伝わるよう、祈りながら笑顔を作った。
「叱ってくださって、ありがとうございました。もう少し自重するようにしま
す」
「ああ」
無愛想な返事。無愛想な表情。“孤独な魂”はいつだって無愛想だ。
あたしは周囲を再確認。誰もいない。談話室に近づいてくる気配もなし。決
意を固めて、よし、言うぞっ。
少しだけ、顔を“孤独な魂”に近づけて。声のトーンを落として。
「先程の話ですけどー」
「先程の話?」
「実地で余計な知恵を付けるだの付けないだのいう話ですー」
「ああ。何だ?」
「あたしは未成年じゃありませんからー、そのうち、実地で余計な知恵を付け
てくれませんか?」
「何?」
眉を跳ね上げる“孤独な魂”。
あたしはスイッと身を引いて、サングラスをきちんと掛け直した。
「どういう意味だ?」
「えー? 解説しないとわかりませんー?」
「いや、言い直そう、何故、俺にそういうことを言う?」
「何度も言ったじゃないですかー、あたしは“孤独な魂”さんのことが好きだ
からです、って」
「確かに、それは何度も聞いた。だが、何故俺なんだ?」
「そんなこと言われましてもー」
うー、困ったですー。
平気で『“魂”さん好き好き攻撃』する奴だ、みたいに思われているだろう
けれど、こういうことを言うのは、あたしにだって相当勇気が要る。できれば
とっととこの場を去って、心臓のドキドキを治めたい。
「どう答えればいいんでしょう? “孤独な魂”さんのどこが好きか、とか、
答えればいいですかー?」
「そうだな」
他の人に“孤独な魂”のどこが好きかと訊かれたときは、好きだから好き、
みたいな答えになっていない答えを返していたが、今回はそうはいかない。き
ちんと返事をしないと。
「えーっとですね、固ゆで玉子の化石みたいなとこが好きですー」
“孤独な魂”は微妙に複雑な顔。ちょっとわかりにくい喩えだったかな。
「最初は、カビの生えた固ゆで玉子みたいな人だなー、と思ったんですけど、
そのうち、固ゆで玉子の化石みたいな人だなー、って」
「褒められているようには聞こえないんだが」
「そんなことないですよー。カビの生えた固ゆで玉子は食べられませんけど、
化石は情報の宝庫ですからー」
「・・・・・」
「貴重ですよー」
「・・・・・・・・・・」
“孤独な魂”が、片手を自分の顔に当てた。大きな掌。なんだか肩が震えて
いる、と思ったら、そのうち、膝を叩いて大きな声で笑い出した。おなかの底
から大爆笑、といった感じだ。いつもの無愛想な顔からは想像も付かない笑顔
で、逆に、この笑顔からはいつもの無愛想な顔が想像できない。
可愛い、と言ったら気を悪くするだろうか。でも、可愛い・・・嬉しくなる
ぐらい可愛い・・・・・。“白”ちゃん達や“黒”ちゃんの、きゃーってなる
ような可愛さとは違う、何だろう、胸が甘酸っぱくなるような、はにゃ〜って
なるような可愛さだ。
「“魂”さんがそんな風に笑ってるの、初めて見ましたー」
「そう、そうだろうな、俺も何年ぶりかわからん、こんなに大笑いしたのは」
「笑うのは健康にいいんですよー。もっと笑うといいですー」
「ああ。お前といると、笑いのタネには困ることがなさそうだ」
うわー、なんだかいい雰囲気ー。この流れなら、とあたしはデートに誘って
みる、
「来週の日曜、お暇でしたら一緒に映画に行きませんかー? リヴァイバル物
ですけど、笑えるって評判のコメディホラーが掛かってるんですー」
「来週か。今週の日曜なら今のところ空いているが」
嘘ぉ! 初めて、初めて色好い返事がもらえましたー!
あ、でも。
「えっと、今週の日曜日は“牙”くんと古本市に行くんでー、他に空いてる日
はありませんか? あたしも自由業みたいなものですし、土曜日でも平日でも
比較的簡単に都合は付けられますからー」
その途端、ふ、と“孤独な魂”から笑顔が消えた。
空気が、冷えたような気がした。
え・・・何? あたし、何か悪いこと言った?
「ダメ、ですかー?」
少し、声が震えた。
いつもの無愛想な顔で、“孤独な魂”は立ち上がった。
「予定が合わないのなら、仕方がないな」
・・・・・元の木阿弥・・・・・・。
あるいは元の、永久氷河。春の雪解け、かと思いきや、あたしは真冬のブリ
ザードの中。
「帰るのだろう? 訓練場の方は、俺が見に行っておく」
何だろう。怒っているのかな? 怒らせちゃったのかな? でもどうして?
「ひょっとして、あたし、何か変なこと言いました?」
「何がだ?」
「だって、その、“魂”さん、急に機嫌が悪くなったみたいで・・・・・」
「個人的なことだ、お前のせいではないから気に病むな」
この状況で気に病むなと言われても無理な相談である。困ったな、どうすれ
ばいいんだろう。一緒に映画を見に行ってもらえなくたっていいから、どうか
機嫌を治して欲しい。さっきまで舞い上がるほど浮かれていただけに、急激に
突き落とされた感じがして、うー、なんだか泣きそうな気分。
「そんな顔をするな」
どこか苦々しげに“孤独な魂”が。あうー、御免なさいー、どんな変な顔を
しているのか自分でもよくわかりませんー。
と、とりあえず、笑えばいいだろうか、笑えば。何とか笑おうとして、笑え
ないでいるうちに、
「どうしていいか、わからなくなる」
あたしは、広くて大きな胸の中に包み込まれていた。
・・・・・あれ?
あたしの背中に逞しい両腕が回っている感触。黒いスーツのゴワゴワした生
地とぬくもり。汗の匂い。耳に熱く響くバリトンの声。
「今だけ、お前の弟を・・・“牙”のことを忘れてくれ」
頬に手を添えられ、顔を上に向けられて、あたしに口づけが降ってきた。
あたしの手から床へ、音を立ててキャリーバッグが落ちた。
息が詰まる。心臓が壊れそう。どうしよう、どうしよう、あたし・・・!
「済まん。俺も度し難い男だ」
一旦、少しだけ顔を離して、あたしの唇に吐息を吹き込むように囁いて、も
う一度、口づけが降ってきた。
世界が熱くなる。地面が消えていく。誰か助けて。でも。もう。
死んでもいい。
どやどやと近づいてくるうるさいくらいの足音。談話室のドアが乱暴に開け
られる音とともに、聞こえてくる声。
「いいかお前ら、今度喧嘩するときゃ限度ってモンを、をぉ!?」
「うげ!?」
「うわ!」
「あっ」
「・・・・・!」
“危険な猟犬”、“燃える鉄拳”、“不確定な切り札”、“白の乗り手”、
息を呑む気配は、多分“黒い天使”。
「な、何やってんだ“魂”、“氷”っ!? てゆーかお前ら、見るな出て行け
未成年!」
「い、いたた、“猟犬”さん、ちょっと待っ、待ってくださいよ!」
「・・・押さないで・・・危ない」
「おい、俺の“白”に触ンじゃねェ!」
「また『俺の』とか所有格を・・・って、御免“黒”、足、踏んだかも」
どこか遠くがやけに賑やかだ。
口づけが済んだとき、あたしはその場にぺたんと座り込んでしまった。
ああ。あたし。まだ生きてる。
「大丈夫か?」
優しくいたわってくれる“孤独な魂”に、たはは笑いをあたしは返した。
「なんか、腰が抜けたみたいですー。足に力が入りませんー」
いやもう、だって、笑うしかなくて。同じ不意打ちでも、もっとこう、もっ
とスマートに、対応できなかったのか、あたし。恥ずかしいやら口惜しいやら
照れくさいやら・・・・・。
とりあえず、あたしは発電細胞を起動し、こっそりと自分自身に火花を散ら
せてみた。痛っ。
よかったー、夢じゃないー。
談話室の外に少年少女を追い出した“危険な猟犬”は、あたしたちに喰って
掛かった。
「あのなー二人とも、イチャイチャするなら場所柄を考えてからにしろよ!」
「誤解をするな“猟犬”。俺が無理強いしたんだ、“氷”に非はない」
あたしが何か言おうとする、その口を肉厚の人差し指が塞ぐ。
「後で相応の処罰は受ける」
「いや、俺はUGNの正規エージェントじゃないから処罰とかはアレだけど」
「何の騒ぎなのぉ?」
談話室内を覗き込もうとする少年少女達を背景に、“朱に染まる薔薇”が、
のんびりとドアのところに立っていた。
「ああ、“薔薇”。なんか“魂”が“氷”を襲ったらしくて」
“危険な猟犬”の大雑把で誤った説明に、“朱に染まる薔薇”は余裕の笑顔
でヒラヒラと、あっちへ行けとばかりに片掌を振った。
「あらそうなの。見なかったことにしておいてあげるから、“魂”、とっとと
“氷”を家まで送ってってあげなさいよぅ。いつまでもそんなところに座らせ
てたら、冷えちゃって大変でしょ」
「恩に着る」
そう言って“孤独な魂”は自分の鞄とあたしの鞄を片手で掴み、あたしを横
抱きに抱きあげた。そのまま、唖然としている“危険な猟犬”の横を過ぎ、訳
知り顔で笑っている“朱に染まる薔薇”に会釈して、“不確定な切り札”達の
間を突っ切り、UGN関係者以外は知らない階段を上がって、UGNとは無関
係の地下駐車場まであたしを運んだ。
・・・なんでこんなことになったのか、実はまだ、あんまりよく理解できて
いないのだが。
し、しあわせだ。幸せすぎるー!
機能性以外には何も望んでいないかのように無骨なライトバン。固めのシー
トの助手席に、“孤独な魂”はあたしを座らせた。そこでピロリロと電子音。
あたしの携帯電話機がメールの着信を告げる。ぱくっと開いてディスプレイの
表示を見ると、
「“牙”からか?」
ドアを開けたまま、車の外であたしを見下ろしている“孤独な魂”が、いつ
もの無愛想な声でそう言った。
「どうしてわかったんです?」
「お前の顔にな。そう書いてあった」
「ふーん?」
どんな顔をしていたんだろう、あたし。
弟からのメール、サブジェクトは『腹減った死ぬ』。本文はなし。
ははーん、さてはお昼御飯を食べなかったな?
返信はどうしよう、電話しようか、もうすぐ帰るから別にいいかな? それ
とも短くメールを打っておこうか、文面は、『弟よ、暫く死んでなさい。帰っ
たら美味しい晩御飯を作ってあげるから』。
テンキーに指を走らせようとすると、ゆっくりとバリトンの声が掛かった。
「“氷”」
「はい?」
「順番が前後して済まないが、正式に俺と付き合ってはもらえまいか」
わ。
ほんの今朝、脈があるとかないとかいう話を弟としていたばかりなのに。あ
まりの急展開に、なんかもう、思考も感情も現実に追いついてくれない。もっ
と気の利いた台詞を考えつく前に、反射的に返事をしていた。
「はい、是非、よろしくお願いします!」
大きく頭を下げてから、あたしは携帯電話機を握り締める。このことを早く
知らせたい、弟に、まずは電話で一報したい。その衝動を抑えるのに必死だ。
「お前は本当に、“牙”のことが好きなんだな」
静かな問い、と言うより、それは念を押すような確認。“孤独な魂”を話す
のが嬉しくて、うきうきしながらあたしは応えた。
「別に好きとか嫌いとか無いですよー。“牙”くんは普通に“牙”くんですか
らー」
「好きでもないのに、メール一つでそんな顔をするのか?」
「え、そんな変な顔をしてました?」
「何かとても大切な物を見つけたような顔だった」
「大切なもの、ですかー?」
あたしはちょっと考えて、言った。
「そうですねー、大切ですね。だって“牙”くんは、あたしの命の半分ですも
ん」
「そうか」
何かを諦めたような切ない感じで、“孤独な魂”が小さく笑った。ちょっと
気になったけど、・・・今は、この幸せをかみしめていたい。
“孤独な魂”が車のドアを閉めるさなかに、こんな台詞が聞こえたような気
がした。
「やれやれ、妬けるのも度を越すと、腹を立てる気にもなれん」
ライトバンがブルンと震え、意外に軽快な加速で発進した。
以上、DX無印“氷の戦士”&“誇り高き牙”の続きのお話でした。
ちなみに“孤独な魂”から“氷の戦士”へ、好意/不信感。“氷の戦士”か
ら“孤独な魂”へ、幸福感/隔意ってイメージ。
“白”ちゃんを義妹にし損ねた“氷”は、“魂”を介して“白”ちゃんと棒
姉妹になるのかー。と考えてしまった自分に爆死。
珍しくスレの進みがゆっくりなので、どかどか投下しました。ではまた。
某所の絵を見た。
あの後、柊が水着のくれはを隠す妄想をした。
柊「あまりそんな姿、人に見せるな!」
くれは「柊だから見せたんだよ」
>>ID:vrOl688u
(*゚∀゚)=3 ムッハァ
わりこみすいません。
GJ!
しヴいな、魂のおっさん!
マイペースでいいな、氷のおねーさん。
あと初々しくていいぞ黒ちゃん。
切り札君はあっちとはちょっと印象違っててそこが面白い。
他の皆もいい味出してますなー。
・・・・・・ユエルって需要ある?
キミがスレ住人を魅了して需要を作り出せばいい!
643 :
441:2005/06/18(土) 02:16:36 ID:Ev5IPNje
大変遅くなりました。続けます。
今でも待っててくれる人がいるのかは分かりませんが……
書き始めた以上終わらせる努力はします。絶対。
644 :
441:2005/06/18(土) 02:18:48 ID:Ev5IPNje
面白がったアンゼロットが我に返るまで続いた悪戯――息を吹きかけたり、頬をすり寄せたり、脊髄に沿って舌を這わせてみたり――が終わるまで、ポーリィの口からは絶えず悲鳴とも嬌声とも取れる声が漏れた。
「とまあ遊んでいる暇は無いのですよ。本当に危ないようでしたら私が責任もってフォローします。ウィザードが通りかかった時に記憶がなくなるまで殴るとか」
「はわっ、それは止める……かも」
「では行きましょうか」
「う、うん……」
「駄目ですよ、前を隠しては。イノセントには服を着ているように見えるのですから、逆に人目を引いてしまいますよ?」
「あうぅ……」
急かされてゆっくりと左手を下ろしていく。決して小さくない女性特有の膨らみが(ウィザードの目にのみ)露わになる。
「って下も駄目ですってば」
「あ、やだっ、見えちゃ……」
下腹部を押さえていた右手をアンゼロットが強引にどける。今度は髪の毛と同じ、しかし少し淡い色合いの紫の柔毛。密度は薄く、視力がよければシースルーの布地のように透けて見える。
それでもなお隠そうとするポーリィの両腕をしっかり押さえる。
「服着て股間押さえてちゃ変な人ですよ?」
説得され、しぶしぶ腕の力を抜く。
体の前面が完全に外気に晒される。10メートルほど向こうのベンチには中学生ほどの女の子二人が仲良くお弁当を食べていた。
日課なのだろう、公園のコース内をジョギングしている人もいる。
外回りをサボって居眠りしているサラリーマン。
意識するとすぐに体が火照ってしまう。白い肌がピンク色に上気してくる。
「何か……服着てないはずなのに、体が凄く熱い……」
「すぐに慣れます。さ、こっちですよ」
645 :
441:2005/06/18(土) 02:19:51 ID:Ev5IPNje
手をとって歩き出す。
足は人気の多いところへ向かっていく。木と植え込みの影からアスファルトの道に出る。
心臓は早鐘のように鼓動し、送り出される血液がさらに体温を上げる。
行きかう人々はポーリィたちを特別注視はしない。しかし美少女二人が腕を組んで恋人同士のように仲睦まじく歩いていれば、やはり予想以上の視線を集めるものだ。
「ふふっ、結構見られてますよ」
「あの……ほんとに、服着てるように見えるんですよね?」
「勿論です。この可愛らしいおっぱいも」
「……っ」
アンゼロットの手が乳房を包むようにポーリィの胸に添えられる。
整いかけていた息使いがわずかに乱れる。
「この綺麗な茂みも、誰も見てませんよ」
手は愛撫する様に下腹部へ移動。周囲の人々に分からないようにさり気なく、太ももの間へ滑り込む。
中指は若干曲げ、柔毛の奥、秘所の割れ目に合わせるように触れる。
その指に伝わってきたのは産毛の柔らかさ、肌理細やかな極上の肌の感触。
またもわずかな嬌声がアンゼロットの耳に届いた。
「やっ、あ……あぁっ!」
「……あら?」
急にアンゼロットの視線が動き出した。
その先には公園の芝生に四つんばいになっている若い女性の姿があった。
「ポーリィさん。あの方……何か困ってらっしゃるのではないでしょうか?」
「……そ、それが?」
「困っている人を見たならやはり何かしてあげるべきでしょう」
「はわっ」
「行きましょう」
646 :
441:2005/06/18(土) 02:21:24 ID:Ev5IPNje
言うや否やポーリィの腕を取って走り出すアンゼロット。
先程まで内股気味で歩いていたポーリィは、そこで大股で走る事を余儀なくされてしまった。
芝生地帯へはすぐに着いた。近くで見ると分かるのだが、彼女の動作は明らかに何かを探しているものだった。
「あの、もし……何かお困りでしょうか?」
女性は鮮やかな緋(あか)い髪を持った、女性と言うより女子高生ぐらいの少女だった。
少女は地面から目を離さずに、
「失くし物」
とだけ答えた。
「何か落とされたのですか?」
「……キーホルダー。ライオンのぬいぐるみが付いてる」
「大事なものなのですか?」
「命(みこと)に貰った」
命と言うのが誰だか知らないが、少なくともそのキーホルダーが人からのプレゼントで、大事にしていると言うのは理解できた。
「なるほど……命さんというのは彼氏ですね」
「……違う」
少女の顔が髪のそれのように真っ赤に変わった。
否定はしたが、表情からはそうでないことがはっきり分かった。
そしてポーリィは少し嫌な予感がした。
「でわポーリィさん」
「はい?」
「ぜひ一緒に探して差し上げましょう!」
予感的中。ポーリィは少しめまいを感じた。
何故なら目の前の少女を見れば分かるように、地面に四つんばいになる必要があるのだ。
くどいようだが、全裸である。
「コレは人助けですよ。何もやましい事はありませんて」
嘘だ。
今もどこからかスタッフがカメラを携えて、そのファインダー越しにこちらを捉えている。
647 :
441:2005/06/18(土) 02:29:11 ID:Ev5IPNje
「じゃあ、ちゃっちゃと見つけましょう」
「……いいの?」
「良いんです。ねぁ、ポーリィさん」
アンゼロットが問いかける。緋色の少女も視線で尋ねる。
こちらを見たとき、一寸驚いたような顔をしていたのが気になるが。
「う、うん」
「……有難う。でも貴女」
「あ、え?」
「涼しそう……」
思考が、止まった。
この少女が言っているのは間違いなく……
「え、あ、え……………まさか」
「ああ、ご紹介遅れました」
アンゼロットがにっこりと微笑んで、
訂正。
アンゼロットがニヤりと笑って、こう続けた。
「こちら、緋室灯さん。《絶滅社》に所属する強化人間……勿論ウィザードです」
赤毛の少女が頭を下げた。
その間表情一つ変わらなかったが、心なしか顔が赤く見えた。
その赤面は恐らく、先程のものと性質が違うものなのだろう……白くなった頭の片隅でそう考えていた。
648 :
441:
まだ終わらない……
場面自体があまりエロくありませんが、コレでも精一杯エロく感じるように書いたつもりです。
しかし露出モノは難しい……プール公開調教編はもう少しスラスラ書けるかな。