1 :
名無しさん@ピンキー:
大ワル・小わる・真田さん・ハイドラ・秋菜etc
様々な女性が登場するワるきゅーレでエロを書いてみよう!
2 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/17(日) 20:41:42 ID:fwgGd/49
2get
3get
4 :
霧羽:2005/04/17(日) 21:02:35 ID:NH/d6iKm
マジでまてました!
誰かいて
5 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/18(月) 12:36:50 ID:vZQNRimB
とりあえず和人×秋菜キボン
気が向いたら駄作やりますわ
秋菜はいつも、和人を想っていた。秋菜が子供だった頃も、秋菜は和人一筋で生きてきたのだ。
しかし和人はその事に気付いてくれない。
――でも、和人の傍にいられるなら――
そう思ったこともあった。しかし、その甘い考えは一人の来訪者によって粉々に打ち砕かれた。
……ワルキューレ並びにわるきゅーれである。その存在が秋菜の焦りを高めていった。
一時的に記憶をなくした和人が秋菜を恋人だと勘違いした時もあった。しかし結局は元鞘に納まってしまった。
――和人との、証――
せめてそれだけでも欲しかった。欲しくて欲しくてたまらなかった。
貴方が、欲しい――。
そして保守 一人だと空しいよ〜
続き書いてくれというならそう書いといてくれ
9 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/18(月) 17:52:53 ID:8cZ3sNU9
前はたいしたことなくて落ちたんだよな
10 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/18(月) 21:12:08 ID:ivY4929X
ライネので良かったら書くけど?
11 :
霧羽:2005/04/18(月) 22:56:19 ID:eefKqPE0
頼む書いて書いて書いてくださいまし。潤いを………………°Д°ライネ大好き
>>11メル欄に半角小文字でsageと入力。こんな事ぐらい解ってから書き込め。
13 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/19(火) 18:11:47 ID:QAuGpApb
>8
激しくキボンヌ
コーラス好きはいませんか?
ワルたんハァハァ
>13
反応ありがとさん。
書き込む時に考えて書いてるから、遅いけど勘弁してくれ
秋菜はいつも苛立っていた。その理由は今更語る必要もないが、わるきゅーれが時の湯に住んでいる事だ。
そして認めたくない事だが、和人は既にワルキューレに惹かれ始めている。ワルキューレの魂を半分持っているのも要因として考えられるが、それは秋菜が半ば苦し紛れに考え出した事だ。
その苛立ちは、和人の前でこそ表れないが、神社にいるときにハイドラに度々目撃されていた。
彼の事を想うあまり――
彼を想いながら、夜ごと行為に耽る。
『あぁ、……ぁぁん…っ』
柱の影から困惑するように秋菜の姿を見ている――ハイドラ。
『秋菜……おめぇ……』
何かを話し掛けられるはずもなく、ハイドラはそれを戸惑いながらも見ているしかなかった。
『そんなに辛いなら……伝えればいいじゃねえか。……それができれば苦労はない……けどな』
ハイドラはワルキューレを母星に連れて帰るために来ていた。だから、和人とくっつかれては困る。
――だが今は、純粋に秋菜の幸福を願うようになっていた。
毎日更新したいなぁ。
……落ちなければ
保守してしんぜよう
半角のハイドラに萎え
でも超頑張れ
落ちませんように
22 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/20(水) 20:53:44 ID:N+iMtfRO
秋菜かわいいよ秋菜
いつの間にか復活してたんだね。
頑張れ職人さん、オイラもネタを思いついたら投稿するよ。
24 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/22(金) 19:10:51 ID:9WzU+kPU
漫画もアニメもそろそろ終わりそうだしマジキボンヌだな
25 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/23(土) 12:40:14 ID:0F551hvr
秋菜たんマダー?
26 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/23(土) 14:29:59 ID:c9wL4vYP
書く気はなくもないんだが時間が
27 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/25(月) 02:14:28 ID:jh4dU13C
支援age
落ちるのは円盤だけにしてくれ・・・ってそれも嫌だけど
長くてもいい?
戦闘シーン入れてもいい?
姫様の魂回復させてもいい?
エッチシーンかなり後だけどいい?
エッチに行くまでにデートとかのイベント入れてもいい?
というか、王道少年漫画的展開+エロゲ的展開でもいい?
どうぞ、思いのままにお書きになって下せぇ
俺はエロよりもエロまでの過程を楽しむタイプだからそういうのは大歓迎
32 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/27(水) 23:46:21 ID:xJRe7Em4
支援age
そのうち全員分のSS出るといいよね
自分もネスティーのやつ考えたけどまだ時期早かな…
age
35 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 19:13:31 ID:ImUTbrua
秋菜の続きマダー?
age
妹きぼん
38 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/08(日) 02:43:45 ID:kTyQu07I
保守
39 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/10(火) 12:43:22 ID:+oPV/SI4
秋菜キボン
40 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/15(日) 20:00:47 ID:nlvV8GWD
死守
(,,゚Д゚)∩前のスレはどこいったんでしょうか?
42 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/17(火) 01:34:12 ID:y6h586o5
885 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2005/05/16(月) 18:06:36 ID:IfNnfbBl
ベッドの上に寝かされたワルキューレの体が和人の突き込みにあわせて揺すられる。
和人の顔に似合ぬ日本人離れした巨根で、18年間一度も異物を受け入れた事のない産道をぐちゅぐちゅと拡張されるたびに、
ワルキューレは 破瓜の痛みと愛する和人に抱かれる喜びの入り混じった甘い声を上げる。
ゆっくりと優しく腰を動かし続けていた和人が、揺すられる度にふるふると震えるワルキューレの双乳を両手ですくう。
柔和な白い肉をやんわりと手のひらでこね回しながら、白い肉肌の頂上でぴんと硬くなって自己主張をしている薄桜色の乳首を親指と人差し指で優しく摘む。
「ひあぁっ・・・そ・・・そんなに、えっちな触り方、しないで、ください・・・」
両目に涙を浮かべながら未知の快楽に耐えつつ、ワルキューレが弱弱しい声で呟く。
和人はそんなワルキューレにふっと優しい表情で笑いかけると、彼女の目尻に溜まった涙をそっと指の背で拭ってやった。
和人の優しい行為に幸せな気持ちが膨らんだワルキューレ。
目を閉じるとまた、涙が溢れ出してきた。
もちろん、今感じている幸せに対する涙だ。
和人はぽろぽろと涙を零すワルキューレの頭をそっと撫でてやると彼女の唇に何度目かのキスをした・・・。
43 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/21(土) 00:47:18 ID:bNp/f7Qm
age
44 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/22(日) 02:47:51 ID:mM1VgW0M
保守
45 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/23(月) 08:06:06 ID:b+fKAE1Y
46 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/24(火) 00:09:48 ID:32E+5bDE
>45本スレからの天才
俺が一分で考えて三分で書き込んだレスを転載すんなよ。
このスレで続き書いてくれ
49 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/31(火) 07:39:29 ID:dTDJLNOZ
上げ
いつまで子供のままでいるつもりなのか。
遂にメームの堪忍袋の緒が切れた。
ワるきゅーレは生まれたままの姿にされ、両手首を後ろ手に縛られM字開脚で神輿のようにメーム直属の侍女達に抱えられている。
和人もまた、生まれたままの姿にされて猿轡を噛まされ、大の字で布団の上に拘束されていた。
「さあ、始めなさい」
メームの命令が下り、侍女達はワるきゅーレをM字開脚のまま、和人の上に降ろしていく。
ぴとっ。
ワるきゅーレの性器に和人のそそり立った亀頭が当たる。
「ひいっ、やだやだやだーっ!!」
ワるきゅーレは涙を流しながら懇願する。
すでにワるきゅーレの性器も和人の性器も侍女達の手によってお互いを受け入れられるようにされている。
ワるきゅーレは初めてのセックスをこんな形で迎える事に激しく抵抗するが、子供の姿の為抗えない。
侍女達はワるきゅーレの抵抗に顔色ひとつ変えず、着々とメームの命令を実行していく。
メリメリメリメリッ・・・ブチィッ!!
和人のモノはワるきゅーレの幼い産道をむりやり押し広げ、純潔の証を無残に引き裂いていく。
「いたあぁぁぁぁぁぁぁぁぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
ワるきゅーレの絶叫が木霊した。
「ひぃぁぐぅぅぅぅっ!!痛い、痛いよう・・・」
「助けて、真田さあぁぁんっ、シローっ!!」
泣き叫ぶワるきゅーレに笑みを浮かべながらメームは言う。
「あらあら。貴女の大好きな和人殿とようやく結ばれたというのに何がそんなに不満なの?」
「ああ。せっかくの初体験なのに、婿殿にキスしてもらえなかったから拗ねてるのね」
「さあ、婿殿。ワるきゅーレに口付けを」
メームの傍に控えていた侍女が和人の猿轡を外すと、ワるきゅーレを抱えている侍女達が和人とワるきゅーレに無理矢理キスをさせる。
ぽうっ。
幼いワるきゅーレの体が18歳の少女の体へと変身を遂げる。
侍女達は変身したワルキューレを再び、上下左右に揺り動かし和人のモノに刺激を与えつづける。
「あぁぁっ、も、もうっ・・・」
猿轡を外された和人の呻きが漏れた矢先、ワルキューレの胎内に熱いほとばしりが炸裂した。
「ひっ、やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
胎内を埋め尽くす和人の精液にワルキューレが絶叫する。
「・・・ひぐっ、うぅぅぅぅ・・・」
あまりに無残な初体験にワルキューレは和人のモノを銜え込んだまま嗚咽を漏らす。
「まだ、終わりじゃありませんよ?」
メームがそう言って指を鳴らすと、侍女達は再びワルキューレの体を揺り動かし始めた。
和人のモノは出したばかりだというのにまた、熱く硬くなってゆく。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!もう、もういやあぁぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレの悲痛な叫びにメームは薄笑いを浮かべたまま宣告する。
「ワルキューレ、貴女が子を孕むまで終わりはありませんよ?」
「婿殿も若いのですから、これからあと十回はがんばってくださいね」
メームの宣告に和人とワルキューレは絶望の表情を浮かべ、絶句するのだった・・・。
不人気キャラをタノム
>50-51
どこかで見たような・・・
メーム×深見 キボン
55 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 03:01:53 ID:MrBacKas
和×秋キボン
和×リ
なら用意してあるゾ
>56 うpうp(゚∀゚;)
58 :
56:2005/06/09(木) 23:22:32 ID:lmyM/4FR
「リカのヤツ、また徹夜してるだろうな・・・コーヒーでも持ってこ、っと」
和人はリカのよく使うカップにコーヒーを注いで、リカの部屋に向かった。
「リカぁ〜入るよ?」
疲れていたのか、モチベーションが低下していたのか、リカは机に突っ伏したまま寝ていた。
「・・・寝てるのね・・・」
仕方なく、コーヒーを机に置き、リカを起こさないように抱きかかえた。
「・・・リカ・・・」
和人は普段あまり近くで見ることの無い妹の寝顔に見とれていた。
リカをベッドに寝かせ、着ているドテラを脱がせ、寝ていて割れない様にそっと眼鏡を外した。
「眼鏡外すとこあまり、見ないから結構可愛く見える・・・」
和人はドテラを脱がせた際の何かの感情が起き、リカのパジャマに手をかけた。
「妹だからって、好きになったらいけない訳じゃないよね・・・」
優しく語り掛けても返事をする者はおらず、和人はリカの上半身をあらわにしていた。
「うぅ〜んッ」
震える手で脱がせていたため、リカが起きてしまった。
比較的気の弱い和人は軽いパニックになった。
「ンンッ、お兄・・・ちゃん?」
寝起きなのでリカは自分の状態がまだわからなかった。
「えッ!?」
59 :
56:2005/06/09(木) 23:23:09 ID:lmyM/4FR
自分の着衣の乱れに気付いたリカは掛け布団を抱きかかえ、下を向いた。
「お兄ちゃん・・・何したの・・・?」
震えるような泣き声が発せられた。
「その・・、えっと、コーヒー入れてきてその・・・ゴメン・・・」
和人は自分のした行為がひどくリカを傷つけたことにやっと気付いた。
「お兄・・ちゃん・・・なんで、こんな事したの・・・?」
「リカに見とれてたらつい・・・」
リカは下を向いたまま黙っていた。
「ゴメンよ・・・。僕にできることがあったら何でもいいから言ってね・・・。いつまでも・・・リカの気が済むまで・・・」
言い終えると、和人は部屋から出ようとした。
「・・・待って」
呼び止められて、振り返ると何かを閃いた時の顔のリカが居た。
「今夜はずっとそばにいて・・・」
「そばにって・・・?」
誰であっても自体が飲み込めない。
「一緒に寝て欲しいの・・・」
「でも・・・」
「言ったことくらい守ってッ!」
自分で宣言した言葉が和人に突き刺さった。
60 :
56:2005/06/09(木) 23:23:50 ID:lmyM/4FR
仕方なく、リカのいるベッドに座った。
「フフ〜ンッ!お兄ちゃん♪」
後ろからリカが飛びついた。
『何だろう・・・突然、雰囲気が変わった?』
「コーヒー飲ませて」
「えっ?あ、うん」
机に置きっぱなしだったコーヒーを取って渡そうとしたが遮られる。
「違うのッ!口うつしでッ!」
「リカ・・・いくら何でもそれは・・・」
「イヤなの?」
和人はいつに無く真剣な目で見られた。リカが眼鏡を掛けてない分、目で攻められると迫力十分だった。
「わかったよ・・・」
和人は少しぬるくなったコーヒーを口に含むと口付けを待つリカの唇に触れ、コーヒーを流し込んだ。
「んんぅッ・・!」
リカは和人にしがみ付いた。
口に含んだ分を全て、口移ししてもリカが頭を抑えつけて離れないので、和人は手にしていたカップを床に置いた。
和人は必死になってキスをしつづけるリカの目には涙が流れているのを認めた。
『リカ・・・なんで・・・こんな・・・』
『お兄ちゃんには・・・私の気持ち・・・わからないんだろうなぁ・・・』
61 :
56:2005/06/09(木) 23:24:30 ID:lmyM/4FR
和人が、突き放したので2人に距離が開いた。
「どうして・・・こんなことしたいんだよ・・・」
声に力が入らない。
「私にはお兄ちゃんしかいないのッッ!」
リカは和人の胸に抱きついた。
「世間じゃ、ガリ勉な娘って思われてるけど・・・お兄ちゃんなら私のこと、ちゃんとわかってくれるし好きだから・・・」
妹リカの純粋な思いが兄和人を試す。
「リカ。僕はいつまでもリカと暮らせたらいいって思ってたけど、リカはそれで良いのかい?」
「お兄ちゃんのそばにいられるなら・・・」
2人は兄妹でありながら一線を超えることを決意した。
「今までこんな風にリカのこと強く思ったことないよ」
「・・・お兄ちゃんッ」
2人は全裸でベッドの中で戯れていた。
「子供の頃、よく風呂場でこうやって体の擦り合いしたよね?」
「うん・・・今、すごくお兄ちゃんのこと意識してる・・・」
和人がリカを後ろから抱く形で触れ合っていた。
2人の下半身は互いに異性に対しての反応を示していた。
リカを仰向けにすると、和人は胸にしゃぶりついた。
「うぅ〜んッ、お兄ちゃん・・・」
62 :
56:2005/06/09(木) 23:25:06 ID:lmyM/4FR
兄に『イタズラされてる』わけではなく『愛されてる』ことがリカにとってさらなる興奮を与えていた。
『妹相手だけど・・・ずっと気になってた人でもあるんだよなぁ・・・』
和人の舌は胸から徐々に下がり、ヘソを経由してリカの秘部へ迫った。
薄暗い部屋の中で、少しでもリカの体を知りたい和人は処女穴を舌で探った。
「あッ……ぅく…ん……!…っ!」
秘部の突起に舌が当たり、リカはビクッと体を振るわせた。
和人の唾液と、リカの愛液でベッドのシーツに染みを作った。
「えッ!・・・ダメッ!・・・イヤぁーッ!」
和人の舌がリカの体内に侵入したのだ。
奥へ、奥へと進入する舌が柔肉に締め付けられる。
『リカの味がする・・・』
妹・・・自分の傍にいて、自分だけの女の子・・・。
兄妹が一緒に暮らしているからこそ有る思い出が和人をリカを独占していた。
「ハァ、き、きも、きもちいい、ん・・・」
「うぐゥッ、く、苦じ・・・い・・・リ・・くァ・・」
快感に耐え切れず、リカの両足が和人の頭に組み付き顔を性器に釘付けにしていた。
「ゴ、ゴメン・・・」
「うん・・・大丈夫だよ」
「今度はお兄ちゃんが寝て・・・」
63 :
56:2005/06/09(木) 23:25:49 ID:lmyM/4FR
和人が仰向けになり、リカがその上にのってきた。
メスの存在に激しく反り返る肉棒が淫裂に擦り始めた。
「リカぁ・・・好きになってもいいよね・・・?」
「うん・・・お兄ちゃんなら安心できるから・・・」
リカは腰を浮かし、兄の性器との擦りあいに感情を高ぶらせた。
「お兄ちゃん・・・挿れたいよぉ・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・ダメだよ・・・兄妹なんだから・・・」
「お兄ちゃんじゃなきゃイヤなのッ・・・!!」
ほぼ和人に自由度の無い騎上位からリカは和人の杭を股に差し込んだ。
「あぁッ!!ッ痛!!」
勢いよく腰を落としたため、徐々に伝わる痛みが一瞬にしてリカに襲い掛かった。
「リカッ・・・なんで・・・?」
「初めてだけは・・・お兄ちゃんとしたかったの・・・」
座位では痛みに耐え切れずに寝そべり、和人に体を密着させた。
抱きつく爪が和人の背中に食い込む。少しでも痛みを和らげようと和人は語りかける。
「僕も・・・初めてなんだ・・・」
妹と重なるなど思ってもいなかった和人は言葉に迷った。
「お兄ちゃんと・・・初めて同士・・・嬉しいな・・・」
微力ながら強く柔肉が硬い肉棒を締め付けた
64 :
56:2005/06/09(木) 23:26:41 ID:lmyM/4FR
「無理しなくていいから・・・もうやめよう・・・?」
限界が近づいてる和人は妹の体内で果てまいと必死になり始めていた。
「最後まで・・・このままでいて・・・?」
和人の顔を胸元に抱き寄せてリカは懇願した。
「・・・!?ダメだよ・・・リカのこと好きだけど・・・そんな・・・」
和人の前髪がリカの鼻に触れた。
「・・・ふぇ、ふぇ、くシュんッ!!」
「あぁ、あぁ・・・リカぁッ!!」
「えッ?あぅ・・・うぅーんッ!!」
一気に締め上げるリカの肉壁に和人は耐え切れずに妹の生殖器を自分の遺伝子でいっぱいにした。
「リカぁ・・・大丈夫・・・?」
「うん・・・大丈夫だよ・・・ねぇ・・・お兄ちゃん?」
「何?リカ・・・」
「膣に出すの嫌がってのに最後・・・抱きしめてくれたね・・・」
今も抱き続けていることに気付いた和人は困惑する。
「妊娠したらどうしようか?」
「リカ・・・?」
「妊娠したらお兄ちゃんに犯されたって言うからね」
「そんな・・・」
「私のこと、ずっと思い続けてもらうために・・・」
65 :
56:2005/06/09(木) 23:28:44 ID:lmyM/4FR
>>57 番台で苦しむ兄を妹が支える、家族円満な銭湯なのら。
66 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/10(金) 18:18:08 ID:qcF9fcgo
(*´Д`)ハァハァ
67 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/13(月) 05:14:39 ID:cHQxwuwC
和人×リカ萌えた
68 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/13(月) 15:37:36 ID:rn9hWkjc
短篇喜劇全集にあったカズト・ゴースト×大ワルをキボン!
あれはエロかった
69 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 23:03:40 ID:ngPJmkgk
あげ
70 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 05:44:13 ID:NyBQ4WtR
保守
71 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 09:52:26 ID:rg1CwP0L
人いないな
72 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/14(木) 08:12:55 ID:4qRwcDo0
あげ
73 :
56:2005/07/17(日) 18:13:16 ID:33URfLwo
ある日、和人の心に葛藤が生じていた。
『誰かを可愛がりたい』
その一心で今日は身内を可愛がってみようと思う。
「なぁ…リカ…」
「お互いそんな歳じゃないでしょ」
( ゚д゚)ポカーン
妹は仮にも思春期だから僕に気があるかと思えば毛嫌いされていた…
めげずに次なる標的わるきゅーれを探しに家中を探し回っているうちにあることを思い出す。
「七狐神社でお泊りだったけ…」
夕暮れ時の今となっては押しかけるみたいなので神社へ向かうのをやめた和人は居間で茶をすすることにした。
「……………」
「……………」
新聞を手にした真田さんはわるきゅーれを心配するあまりページを捲るたびに破いている。
「真田さん…」
「……………」
返事が無いただのネコ耳のようだ。
「夜中に僕が見てきますからネ?」
「…婿殿は夜這いなさるおつもりで?」
「違いますヨ〜」
74 :
56:2005/07/17(日) 18:13:45 ID:33URfLwo
そんなこんなで出遅れた和人が七狐神社に向けて家を出たのは深夜であった。
いつもの和人であればこの時間にわるきゅーれの様子を見に行くのは異常であると判断するのだが今日に限って欲望が支配していた。
人気(にんき)の無い七狐神社は深夜にアオ缶する者もいないスポットだ。
誰もいないであろうと敷地に歩を進めるが…
「誰だテメェは!」
聞き覚えのある幼い怒鳴り声が静寂な時を乱した。
「ハイドラか…」
「なんだ、和人じゃねェか。どした?こんな時間に」
「わるきゅーれが迷惑掛けてないかと思って…」
半分は本当の気持ちであるが残りの半分は━━
「迷惑掛けすぎでオレは寝れねェよ、って、おい、何だヨ?」
突然、和人に背後から抱きつかれたハイドラはワケがわからなくなる。
「ハイドラは誰かにこうやってギュッ、ってされたことあるかい…?」
「ハァ(゚д゚)?何言ってんだおま…ッ!」
言い切る前に和人はハイドラの唇に唇を重ねた。
「ん…ッハぁ…何スンだよオメェは!」
激怒するハイドラの声も和人の耳には届かない。
「キスしても大きくならないってイイよネ…」
75 :
56:2005/07/17(日) 18:14:44 ID:33URfLwo
「和人…オメェ…」
震えるハイドラの頭を優しく撫でる和人は何を思うか?
「うぅ……やめろぉ…」
抱えられ、茂みに連れ込まれたハイドラには事態を打開する能力は無い。
秋菜を呼び、本来の力を発揮するのも良いが、この状況下で秋菜がどのような行動に打って出るかわかったものではない。
「オメェ…やっぱロリコンなのか…?」
「僕はただ、ハイドラと仲良くないたいだけだヨ…」
「ウソだぁ!うぐぅ…」
猿ぐつわをされ、衣服を剥ぎ取られていくハイドラは抵抗することもままならずに和人に裸身をさらけ出す。
幼い体、汚れを知らぬ天女の肌に舌で触れる和人。
勝気な性格のハイドラが脅えた目で訴える━
こうして誰にも言えぬ一夜が過ぎてゆく━
終
76 :
56:2005/07/17(日) 18:15:57 ID:33URfLwo
気が向いたのら
カズト・ゴースト×大ワルはCD無いから書けんカッタ
>>68 スマソ
和人のキャラが違う・・
和人ゴースト?
78 :
56:2005/07/19(火) 20:26:11 ID:d2tvnTyD
>>77 人から聞いた状態で書いたからどっちつかずになってしまいますた。
次のキボンヌを待ってみるでつ。
和×秋の純愛キボンヌ
80 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 02:24:48 ID:hG21Ray/
保守
81 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/26(火) 00:23:20 ID:DUixxugg
期待age
82 :
56:2005/07/27(水) 15:40:30 ID:lqzle4JJ
「かずとぉ!!」
「どうしたんだい、わるきゅーれ━━?」
幼いわるきゅーれと時を過ごすとたまに自分の幼い頃を思い出す━━
秋菜とリカと遊んだ記憶が懐かしく、また、今となっては昔のように接していけないのではないかと感じる。
幼少時代、3人で遊んだ内容を思い出せば……おままごとを真っ先に思い出す━
僕を取り合うことが多かった2人はきっと互いに嫉妬の対象だったに違いない。
『リカちゃんは、かずとときょうだいで“けっこん”できないんだから、あたしがおよめさんやるのっ!』
大抵はこの秋菜のキマリ文句が出てリカが泣き出して一晩中慰めたこともあったな…
今はあの頃と比べるとリカはもう、僕から離れはじめてしまい、どこかさびしい━━
今の秋菜は僕をどう見ているんだろう━━?
時折、そんな思いが過ぎる中、突然メームさんが結婚をけし掛けに来る━━
83 :
56:2005/07/27(水) 15:41:06 ID:lqzle4JJ
いつからだろう━━
和人と昔のように話せなくなったのは━
幼い頃は今よりもハッキリとモノを言っていたはずである。
自分でも度胸はあるほうだと思っているものの、本人の前では怖気づいてしまう…
あたしはどうすればいいのだろう……?
幼馴染を今でも想っていることは周囲に知られていても相談できる人はいない…
唯一、手を貸すと言っているハイドラに頼ればワルキューレの手から和人は離れる━
自分の力で立ち向かわねばならないことぐらいわかっている…
そうしなければ、私に幸福は訪れない…そんな気がするの…
登校時間……いつものように2人は顔を会わせる。
過ぎ去っていく学校生活も終わりを告げる日が来る…
和人は進学するのか━ 銭湯一筋に生きるのか━
好きな相手の進路が気になる。
アオイ中坊みたいと思うけど…それでもあたしは和人が好き…なんだと思う…
ファム先生の点呼に答える和人の横顔は悩みの無い満足した生活を送っていることがうかがい知れる。
学校にもヴァルハラ星関係者がいることで秋菜は、ますます状況が悪化していくことは目に見えている━
この関係者達が持ち出す騒動で必死に和人に対してアピールしているのだが、強烈すぎる個性を発揮するヴァルハラ星関係者には劣っている…
護符の能力で一喝入れるのも良いが、恋愛に神道を持ち込むことはご先祖様に申し訳ない…
84 :
56:2005/07/27(水) 15:42:33 ID:lqzle4JJ
全ての授業で和人を視界に入れないと不安になる━
和人に取り憑かれた━━
私の心は和人に縛り付けられている━━
幾度となく、友達との帰りの誘いを断り和人に声を掛けようとした━
でも、いつも勇気を出せなかった…
だから、時乃湯に行って和人に肌を晒すことであたしは少なからず“快感”を得ていた。
周りに他のお客さんが居なければ、裸で和人に迫れたかも知れない━
そう思って一番風呂を何度もモノにしたけれど、そんな時に限ってリカちゃんが番台に座っている…
そして、勝ち誇ったような目線で私を見ているような気がする……
そんな日々を打開すべく、あたしは行動にでる…
学校からの帰り道━━
普段は友達と帰る道のりを途中で別れ、和人の進路上で待ち伏せる。
悲しいことに恋愛に疎いあたしにはコレ以上の策が無い…
公園のベンチに座り、和人を待つ。
夕時の公園には砂場で小さな女の子が2人遊んでいる。
自分の幼い頃の思い出が脳裏に浮かぶ━
“あの頃は良かった”
そう思うのは、やはり“現在”の自分が満たされていないから━
85 :
56:2005/07/27(水) 15:43:16 ID:lqzle4JJ
和人の替わりなんていない━
和人が欲しい━
自分のモノにしてしまえ━
解決できない欲求が不安を募らせ、焦りを感じさせる…
“今日で決める”
この決意も思いが満たされず、顔を合わせるだけの日常が怖くて行動に移せなかった━
そして今日もこの恐怖に打ち勝つ事ができないのであろうか…
ふと、視線をあげると和人は既に公園前を通過し切ろうとしていた。
「あ、待ってぇ、和人っ!」
「…?あぁ、秋菜、どうしたの?先に学校出たのに?」
何から話そう…
既に幼馴染との日常会話も困難なほどに意識してしまう。
オドオドする自分を不思議そうに見つめている(ような気がする)和人…
こんな自分を見せるくらいなら逃げ出したいが、それもできないほど固まってしまう。
「ねぇ、顔赤いよ?ちょっと公園で休んだほうがいいんじゃ…」
和人に促され、公園のベンチに腰掛けた高校生2人。
世間はこういう光景を見たらどのような間柄と解釈するのだろう━
秋菜の考えなど一切関知できていない和人は唐突に話しかけてくる。
「昔はよくこの公園でリカと3人で良く遊んだよね」
86 :
56:2005/07/27(水) 15:43:55 ID:lqzle4JJ
「……………………」
「最近、幼い頃のことばかり思い出すんだ……今より昔の頃が良かったって。モチロン環境とかは今のほうがいいけど、なんか幼いころのほうが良いって思うんだ━━」
秋菜は和人の口調がいつもと違う━
それとなく、諦めというか、悩みを持っていることが秋菜にはわかる。
「……何かあったの?」
「メームさんがワルキューレとの結婚をけし掛けるペースが最近、すごく早いんだ━」
和人の顔に疲れが見える。
リカと2人きりで銭湯経営をしていても決して顔に疲れなど見せなかった和人が━
「もう、限界かな━ いつもは騒動とかで曖昧に終わって帰ってくれるんだけど、もう疲れたよ…」
「和人…」
「ワルキューレと結婚したら、やっぱり銭湯なんて続けられないだろうしさ━」
おかしい━ いつもの和人なら“銭湯なんて”等と言うはずが無い━
精神的に病んでいる━
あたしの母性がそういっている━
「ねぇ、和人…あたしも幼い頃が良いと思う…今も全てが昔のようにすんなり行けば良いと思ってる…だから、あたしは和人のことが……」
「あぁ!かずとだぁ〜♪」
秋菜のセリフは、わるきゅーれによって掻き消されてしまった。
高ぶった状態で言い出そうとした言葉は、そう簡単には言い出せない━
「ダメだよ、わるきゅーれこんな時間に遊びに来たのかい?」
87 :
56:2005/07/27(水) 15:44:35 ID:lqzle4JJ
「ちがうモンッ、わるちゃん、和人を迎えに来たンだモンッ!」
わるきゅーれの手に持つシロは普段と様子の違う秋菜を観察している。
だが、当人は言葉を遮られた挙句に固まってしまい、動けずにいた。
「ゴメン、秋菜、そろそろ銭湯開けたりするから行かなきゃ、お大事にネ!」
わるきゅーれと手を繋ぎ、秋菜に背を向ける和人━
その姿を見る限り秋菜には、二度と振り向かない和人にしか映らない。
行かないで欲しい━
自分のもとに居て欲しい━
自分の欲求を告げれぬまま、和人は去っていく。
花嫁と称される少女と共に━
「ただいまぁー」
帰宅を告げると居間から真田さんがやってきた
「おかえりなさいませ、婿殿。早速、番台になさいますか?それともボイラーになさいますか?」
「う〜んと…番台で」
もちろん、あえて苦手な番台を選んだのには理由がある。
ボイラー室では、時野家の住人(?)に話しかけられることが多いので息抜きができないのだ(番台で気を抜くこともできないが)
「……………」
88 :
56:2005/07/27(水) 15:46:50 ID:lqzle4JJ
開店直後━
この時乃湯のピークは大体が夜である。そのため開店直後の時間に客入りがあるのは珍しい。
だが、リカが言うには珍しくないので、和人本人が場数を踏んでいないための錯覚に過ぎない。
「…いらっしゃいませ」
「おいおい、何だその気合のヘェってネェ声は!もっとシャキッとしろシャキッと!」
本日のお客さん第一号のマルドゥークが渇を入れるが効果は薄いようだ。
今日は一日中、番台に座っていたが、秋菜は来なかった。
具合が悪かったのだろうと済まそうとするものの、何か引っかかる。
夕飯時に幼いわるきゅーれを見て過去を思い出し、成長したリカを見つめる。
妹から煙たそうな視線を返されるも気にならない。
深夜帯━
寝付けない和人━
自分の求めるモノを見出せずにいた和人は悩んでいた。
幼い頃の何かを気にしていることだけは自覚している。
話したい━ 幼い頃の自分を知っている人と━ 今の自分を導いてくれる答えが知りたい━
思い立ったら吉日と言わんばかりに布団から起き上がった和人は幼少期を共にしたリカのもとへ向かう。
ドアをノックする返事は無い、でも入る。
部屋にはベッドで眠るリカと寝てるかどうか不明のコーラスがいる、ハズ。
この際なのでコーラスの事は考えない━
89 :
56:2005/07/27(水) 15:48:08 ID:lqzle4JJ
スヤスヤと眠る妹の頬に手を触れる。
ちょっと汗ばんでいた所為か、リカの表情が渋面に変化した。
「……ん……?……お兄ちゃん…?何なのよ人が寝てるときに━━」
「ゴメンな……でも、リカとどうしても話したいことがあって…」
「で、何なの…?」
起き上がったリカは、和人にベッドに腰掛けるよう促す。
自分の眠る領域に兄が座ることが嫌なのか、機嫌が悪い(起こされたのだから(ry
「リカは幼い頃が今より良いって思うことあるかい?」
「……そりゃあ……無いことも無いわよ。銭湯手伝わなくてすんだ頃とか」
「そういうんじゃなくて、子供の頃遊んだ時とか、今と違って良かったこととか無い?」
「子供の頃……?秋菜ちゃんと3人で良く遊んだね。おままごとなんかでよく、お兄ちゃんの取り合いしたなぁ…」
雰囲気が急に暗くなったリカは俯く。
「その頃は、私も“秋菜ちゃんも”お兄ちゃんのこと好きだったからね…」
「リカ……」
「あぁ!でも私は今はお兄ちゃんのことそんな風に思ってないからねッ!でも…秋菜ちゃんはお兄ちゃんのこと…今どう思っているんだろうネ…」
「……ッ!」
「お兄ちゃん…秋菜ちゃんと同じクラスでしょ…?そういうの考えたこと無い?」
和人は心の迷いが何であったのか気付き、立ち上がった。
「ホントにこんな時間に起こしてゴメンな、自分の気持ちがハッキリとわかったよ!ありがとな!」
90 :
56:2005/07/27(水) 15:48:52 ID:lqzle4JJ
リカの返事も待たずに、和人はリカの部屋を飛び出していった。
「……お兄ちゃん………」
『リカは兄が自分から離れて行く事を深く後悔した━
今でも心のどこかで側に居て欲しい━
銭湯を更地にし、マンションでも建設して用意したお金で近親婚のできる星へ移住しよう━
この言葉を兄に告げられずに時が過ぎて、やがて要らぬ来訪者や幼馴染が……』
「ちょっと、コーラス…」
「はい。なんでしょう」
押入れの戸を開け、コーラスが顔覗かせる。その表情はキョトンとしている。
「なんであんたが私の考え知ってンのよ!」
「ボクはただ、アテレコしただけで(ry」
こうして時野家の一夜は過ぎていく━━
━翌日、土曜日早朝
和人は幼い頃の懐かしさに取り付かれていた原因が秋菜とわかり、一睡もできずに七狐神社を訪れていた。
しかし、会って何を伝えよう━
秋菜が自分に好意を持っていてくれるとしても、自分の気持ちがハッキリとしない。
ワルキューレ━
彼女の存在が今の僕を形成する上で必要不可欠な人だ━
91 :
56:2005/07/27(水) 15:49:52 ID:lqzle4JJ
その彼女を気にかけている自分は彼女と結婚式を挙げる手前までいった━
そんな自分を良く知る秋菜が僕を求めているのだろうか?
リカは秋菜の気持ちを知っていそうだったのでもっと聞いておけば良かったと後悔するが、秋菜と話をすると決めた。
何から言えば良いかわからないけど…
そんなことを考えていると、肩をポンポンっと叩かれ振り返ると秋菜がいた。
「…秋菜ッ!」
「どうしたの?こんな朝早くから神社に来るなんて」
「いや、そのぉ、秋菜こそどうしたのさ、こんな朝早くからさ?」
普段とは違ったあわってぷりなのだが、秋菜は不審には思わなかったらしく、手にした箒を見せた。
「私は境内の掃除。平日は学校あるからハイドラにやらせたりするけど、休みの日くらい自分でやらなきゃと思ってネ」
幼い頃は見ることの無かった秋菜の巫女姿。初めてその姿を目にした時、秋菜がスゴク大人びて見えた。今ではそんな風に思わないのに━━
「━━ねぇってば!」
「ッ!」
「ホント、どうしたの?調子悪いの?」
「秋菜ッ!」
「えっ、ちょ、ちょっとぉ!?」
突然、両肩をつかまれた秋菜は箒を地面に取り落とした。
「秋菜には……好きな人とか…いるの?」
オールナイトでナチュラルハイの今の和人は核心に迫ることをためらわない。
92 :
56:2005/07/27(水) 15:50:54 ID:lqzle4JJ
「と、突然なんなのヨ、ほんとに…」
「答えて…」
「……いるよ……和人はどうなの?」
「僕は…迷っているんだ……幼かった頃の女の子……突然舞い降りた天女…僕は2人の間で彷徨っている…」
「それって……」
「秋菜……僕はどうしたらいいんだい…?」
和人は力尽きたように両膝を地面に突き、秋菜の腹部に顔を埋める。
「……………」
秋菜はしゃがむと和人を胸元に引き寄せた。
「幼い頃よく遊んだよね……あたし……“和人のお嫁さん”になってもいいカナ……?」
「秋菜ァ…」
和人は秋菜の胸の中で頷いた。
「うちに来て…」
秋菜は和人を自宅に招くと玄関先で和人を待たせ、しばらくして迎えに来た。
「お待たせ、来て…」
「…うん」
秋菜は自室に和人を招いた。それが何を意味するのか、又、何をするのかさえ2人はわからない━
僅かな距離をおいて床に座り込む二人。
「……私は和人のことが好き…子供の頃からずっと想ってた━」
93 :
56:2005/07/27(水) 15:51:53 ID:lqzle4JJ
「僕も…その…秋菜のことスゴク気になるんだ…この気持ちが好きっていうのかはわからないけど…」
「和人はズルいヨ……私の気持ちに気付いてなかった時と同じだヨ……」
震える声に気付いた和人は秋菜の決意の強さを知った。
「秋菜…」
「少しの間でもいい……私を愛して…」
和人は秋菜の肩を引き寄せ唇を重ねる……
「お願い脱がせて…」
「でも…」
「一度だけで良いから…一番好きな人が私を愛したいって気持ちを見たいの…」
秋菜は和人を試した。男としての欲望で女を見るその瞬間を━
「秋菜……巫女装束の脱がし方わからないよぅ……」
服の構造がイマイチ理解できてないためなのか、素で言っているのかわからないが、秋菜は少し気分を害した。
「しょうがないわねぇ……じゃあ、脱ぐから見ててネ……」
「…う、うん」
番台にいる和人の視線に肌を晒しても僅かに心拍数が上がるだけだったのに今では胸が張り裂けそうなくらい恥ずかしい。
「あたしの体…見たい……?」
「……うん」
「胸小さくても……?」
「胸の大きさなんて問題じゃないよ!……秋菜が秋菜であり続ける限り、僕は秋菜のことが好きだから!」
94 :
56:2005/07/27(水) 15:53:34 ID:lqzle4JJ
「和人ぉッ!!」
秋菜は和人に抱きつこうとするもの、脱ぎかけの巫女装束に足を取られ、和人の体上に転倒してしまう。
「和人となら……Hしたいな……」
「……秋菜…」
「私じゃ…ダメ?」
再び和人は秋菜に唇を重ねる━
そして自らも裸身を晒し、秋菜の下着を剥ぎ取っていく━
「明るいから、恥ずかしい……」
日が昇り始めているので部屋はカーテン越しでも薄明るくなっている。
そのため、羞恥心が勝る秋菜はベッドに潜り込み身を隠す。
「……秋菜ッ!」
互いの想いを知った今、和人に躊躇いは無い。性欲が勝っただけなのかもしれないが、秋菜はそれでも十分嬉しかった。
「来てぇ……和人ぉ」
ベッドの中で、二人は肌を擦り合わせた。幼き頃にも少なからず触れ合った記憶もあるが、今はそれの比ではない。
完全に異性として体は反応する。しばしの間2人には幼馴染みよりも、異性が裸身で側にいるという意識しかない。
「初めての男の人に……なってくれる…?」
「僕で良いのなら……でも僕も初めて…だよ?」
「いいの…初めて同士ならずっと仲良しでいようネ……」
「……うん」
95 :
56:2005/07/27(水) 15:54:49 ID:lqzle4JJ
互いの意思を確認し、和人は秋菜の乳首を吸い始める。
「……あうぅぅ……和人ぉ………あたし、おっぱい………なんて…でないよぉ……」
「……秋菜…胸大きくなくたって僕は幸せだよ……秋菜が感じてくれるならそれで……」
「…和人ぉ………和人ぉ…」
和人の舌先は秋菜の上半身を十分に味わうと、下半身に興味を持っていた━
「あうぅぅ……ダメぇ…見ないでぇ……」
言葉では拒否するものの、秋菜の両足は自然と開き、和人の顔を受け入れる。
「これが女の子の……性器……」
和人は良く見て確かめずに、割れ目を味を堪能し始める。
「ひゃぅッ!ソコは……いやぁッ…!」
秋菜の身を反らす程に感じていると思った和人は舌先で小さな穴を見つけ、舌で進入を試みる。
『ここ…赤ちゃんが出てくるところだよネ……』
和人が産道に通ずる穴と思っていた場所は尿道であった。
「あぅッ!和人ぉ……ちょっ…離れて…うあ…、んぁ…、はぅう…」
割れ目から白濁の液が噴出し、和人の口内を満たす━
和人は驚きながらも、愛撫を続ける。
「やめぇ……もう……あたし……」
続けて尿を和人の口に流し込む、和人は嫌がる素振りも無く、ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み込んでいく━
「ウゲェッホ!ゲホッ、ゴフォ、あふぅ…愛してるよ…秋菜……」
96 :
56:2005/07/27(水) 15:56:25 ID:lqzle4JJ
「和人……“あたしのなか”に……おいで……」
秋菜は両手で恥穴をよく見えるように広げ、和人を誘い、和人は本能のまま秋菜に体を重ねる。
「い……たっいぃ!」
痛がる秋菜に構わず、和人は身を乗せて、揺り動く━
「ひぃぐぅ……和人ぉ……もっと、愛してぇ!!」
2人しかいない部屋には荒い息遣いと、液体がぶつかり混ざり合う音が響いた。
すぐに和人は秋菜の中で果てた━
初めての快感━
ロクに自慰もできなかった家庭環境にいた和人には耐え切れなかったのだ。
「あぅ……和人ぉ……」
秋菜の膣内で剛直は衰えること無く、突き刺さっている。
「秋菜ぁ……もっとしたいよぉ……」
「いいよ……好きなだけ…注いで……」
そして、どれだけの時が過ぎただろうか━
破瓜の痛みが薄れてきたのか、秋菜は動きを増し、和人を十二分に刺激し、体内に精子を受け入れ続けた。
「ねぇ……ヘンよ…」
「僕もそう思う……」
和人の怒張は衰えることなく、何度“逝って”も最初と変わらぬ張り具合を保っていた。
これもワルキューレとの魂の共有によるものであろうか?
97 :
56:2005/07/27(水) 15:57:46 ID:lqzle4JJ
しかし、2人は気にも留めず、快楽に浸った。
結局、和人の怒張が治まるまで土日を要して体を重ねた結果、秋菜の下腹部は和人の遺伝子で満たされ、膣口からあふれ出ていた。
「秋菜…ありがとう……」
「……幸せになろうね…」
和人の不死身の影響は和人の精子にまで及んでいた━
秋菜の体内に侵入した和人の精子はひとつも死滅せずに残留し、秋菜の卵子を求め続けていた。
その頃ハイドラは━
「………………」
強力な封印の御札を貼られて、身動き一つせずにベランダに放置されていた。
98 :
56:2005/07/27(水) 16:02:44 ID:lqzle4JJ
>>79 できますた。
次回は━━━
何にしましょ?
神キター
妊娠発覚続編あるのか?
100 :
56:2005/07/27(水) 16:08:30 ID:lqzle4JJ
>>99 特に続かないのでつ。続いても妊娠、早産の繰り返しで秋菜が氏んでしまう気がしてコワイ;
スマソ
変わりにお題を振ってください。
101 :
79:2005/07/27(水) 23:44:58 ID:qdvQmtN7
超GJ!
リクに答えていただきありがとうございます。
秋菜エロかったです。
GJ!!
楽しませて貰いまつた。
次は是非、ゴーストを・・・。
103 :
56:2005/07/28(木) 15:08:29 ID:4r/AMMjr
>>102 和人×ワルキューレ・ゴースト
でヨロシ?
104 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/28(木) 16:14:08 ID:j0EtMEkk
105 :
56:2005/07/28(木) 16:57:12 ID:4r/AMMjr
>>104 前スレって“円盤皇女ワるきゅーレのエロ小説”ですよね?
それならワタクシ
>>403ですヨ。
和×リはスレ活発化の起爆剤ってことで再掲する形になってしまいましたネ;
ここのスレでイロイロ書くから許してネ;;
106 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 02:13:54 ID:z/b45Egj
前スレの著者様が再降臨されたとあれば、さらなる活躍を期待しまふ。
>>103 お願いします
かなり期待して待ってますね
コーラスに笑った
次も期待してますよ
109 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/06(土) 07:37:00 ID:ySer21k/
age
110 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/06(土) 12:01:19 ID:iX+bxY2s
和人×ハイドラ(大)を誰かに求む
111 :
56:2005/08/10(水) 15:49:05 ID:/uiiGX3s
リアルに忙しいので滞ってましゅ。
もうちょい待ってネ;
保守
113 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 03:57:33 ID:QMdXEFbp
期待age
114 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 06:00:10 ID:qPcIWha0
age
旧スレのログ持ってる人いない?
どこかにUPして欲しい
116 :
115:2005/08/30(火) 08:29:58 ID:rxu2/R74
て、SS保管庫にありましたね
スマソ
117 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 19:17:12 ID:N0sgbPuE
保守
保守&
ワるきゅーレの変身シーンの動画希望
119 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 08:06:22 ID:zTXoisn0
age
120 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 01:05:49 ID:6iRTys1i
age
ヒマが出来たので現在SS作成中。
けっこう長くなりそう。
できたらまとめて投下するよ。
基本的にラブコメ。
ただし強姦あり。
期待しつつ保守
とりあえず一話は出来たよ。
17KBほど。
この分だとかなり長くなりそ・・・。
もしかしたらこのスレ潰すくらい長くなるかもしれない・・・。
一話だけで糞長くなった……。
まとめて投下するとこのスレが一気に埋まりそうだから、一週間に1〜2話くらいのペースで投下します。
アニメ2板の本スレで以前書いたネタで偽第3期です。
基本的に和人×大ワルです。
エロはとりあえず3話になります。
シリアス有り、バトル有り、ギャグ有り、エロス有りです。
プロローグ
−−人生は、何が起こるか判らない。
昨日までは特に変わり映えのない、普通の人生を歩んできたのに。
ある日突然、これからの人生が180℃変わってしまう出来事が起こる事だってある。
『……ごめんなさい。 お詫びに私の魂の半分を貴方に……』
それがいい事なのか、悪い事なのか……。
それは、誰にも判らない……。
だけど……。
「和人ーっ」
「見て見てーわるちゃん、こんなに沢山桜の花びら拾ったんだよー」
沢山の桜の花びらを持ち上げたスカートの上に乗せて、お日様のような笑顔を見せる少女。
そして、一番大きな桜の木の下で楽しそうにしている僕の家族と友人達。
……僕は、今が気に入っている。
もしかしたら、出会う事さえなかったかもしれない人達とのかけがえのない時間。
……本当に、人生は何が起こるか判らない。
第1章
「ただいまーっ、真田さーんおやつー」
三月ももうすぐ終わりのある日。
遊びから帰ってきたワるきゅーレが、シロの耳を掴んで前後に振りながら、元気に時野家の玄関を駆け上がる。
「真田さーん、あれ?」
真田さんの名前を呼びながら居間へと向かうと、聞き覚えのある声がワるきゅーレの耳に飛び込んでくる。
「いったい、何時になったらワルキューレと婿殿の縁談は進むのですか!?」
「それはわかっています。 ですが今はまだワルキューレの魂も回復していない以上、仕方がないでしょう」
「メーム、貴女がそんなだから何時まで経っても話が纏らないのです!!」
「……メームおねえさま達が来てるんだ」
時々、他の皇女達は時野家にワルキューレの様子を見にやってくる。
どうりで真田さんが出てこないわけだ。 おそらくどこかに非難しているのだろう。
ワるきゅーレは居間で口論をしているメーム達に見つからないようにそっとその場を離れようとする。
見つかったらまた、遊んでばかりいないで家の手伝いくらいしろ、などのお小言を言われるかもしれない。
「シロ、しーっだよ」
愛犬にそう小声で話しかけ、そろりそろりと玄関へ向かおうとする。
すると不意に、メームとイナルバではない若い少女の声がワるきゅーレの耳に飛び込んできた。
「あのぅ、お姉様方あたくし思うんですけれど」
(ライネもいるんだ……)
ワルキューレは息を潜めて耳を傾ける。
「和人様とワルキューレお姉様の縁談が進まないのは、和人様にその気がないからでは?」
「何を言い出すのライネ」
「いえ、和人様が本当にワルキューレお姉様の事を好きなら、魂がどうのなんて大した問題じゃないと思うんですの」
「……何が言いたいの、貴女は」
ライネの発言にイナルバが真意を問う。
「つまりぃ、本当は和人様はそんなにお姉様の事を好きじゃないんじゃないかなーと」
「ほら、和人様はあの性格でしょう。 お姉様達に迫られたら嫌な事も嫌と言えないんじゃないかなーって」
「……確かに、和人さんは優柔不断な所があるよね」
今ままで黙っていたコーラスが口を挟む。
「何を馬鹿馬鹿しい。 嫌いな相手ならわざわざヴァルハラ星に乗り込んで、結婚を控えたワルキューレに会いに来たりする物ですか」
メームがライネの発言を一言で切り捨てる。
「………」
ワるきゅーレはそんなやりとりを聞いて、呆然と立ち尽くす。
和人が結婚する気がない?
いつか和人の花嫁になる事を夢見ているワるきゅーレにとって、ライネの発言はとてもショックが大きかった。
「……おい、大丈夫か?」
呆然としているワるきゅーレを気遣ってシロが話しかける。
「……うん」
だが、ワるきゅーレは生返事を返すだけだった。
(……ちがうもん。 和人はワルちゃんの事が好きなんだもん……)
(和人が結婚したくないなんて、そんな事……ないもん……)
ワるきゅーレは小さな手をぎゅっと握り締めて、心の中でそう呟くのだった……。
第2章
「リカ、そろそろ店を開けるよ」
「はーい」
学校から帰宅した和人は急いでいつもの服に着替えると、リカに銭湯を開ける事を告げ、のれんを時乃湯の入り口にかける。
「おう、若旦那、今日も精が出るねぇ」
「あ、どうも、いらっしゃい」
「こんばんは」
「こんばんは、いらっしゃい」
常連客が次々とやって来てはそれぞれ男湯と女湯に入ってゆく。
「さてと、ボイラーの様子でも見に行くか」
一通り常連客が来店したのを見届け、和人はボイラー室へと向かう。
「……うん、こんなところかな」
「かーずとー」
和人が一通りの作業を終えた所へ、ワるきゅーレがぱたぱたと小走りでやってくる。
「ん? どうしたんだい、ワるきゅーレ」
「あのね、和人ぉ、今度のお休みワルちゃんとデートしてぇ」
「デート?」
「うん! 一緒に映画見て、イチゴパフェ食べてぇ、それからぁ、公園とか行くの!」
「そうだなあ……」
「ねえ、いいでしょぉ〜。 それとも、ワルちゃんとデートするの……イヤ?」
上目遣いで和人を見つめるワるきゅーレ。
(そういえば最近、ワるきゅーレと遊びに行ってないしなぁ……)
(それにたしか、今度上映開始するアニメ映画で見たいのがあるって、リカに駄々こねてたっけ)
(リカはどうせ後でレンタルピデオになるんだから、それ借りて見れば安く済むなんて言ってたけど……)
「うーん、そうだなぁ。 最近忙しくて、ワるきゅーレと遊びに行ったりしてないし、今度の休みの日に一緒に出かけようか」
「和人、本当?」
「ああ」
「わーい、和人とデートだー」
無邪気に喜ぶワるきゅーレを微笑ましく見つめる和人。
こうして、和人とワるきゅーレは次の土曜日に一緒に街へ遊びに出かける事となった。
第3章
一方その頃、地球から遠く離れた銀河の彼方。
ワルキューレとハイドラによって壊滅寸前に追い込まれた宇宙海賊の宇宙戦艦と、ヴァルハラ八大皇女の一人ネスティー率いる
ヴァルハラ艦隊との戦闘が繰り広げられていた。
「くそっ!! ヴァルハラの魔女め!!」
次々と落とされていく味方をブリッジで確認しつつ、宇宙海賊のボスは忌々しげに吐き捨てる。
ワルキューレとハイドラによって甚大な被害を受けた彼らは、各地に散っていた仲間を集め組織の建て直しを図っていた。
だが、その情報をキャッチしたネスティーのヴァルハラ艦隊に包囲され今、最後の時を迎えようとしていた。
「船長!! このままじゃヤベェです!!」
部下が悲痛な叫びを上げる。
「クソッ!! ここはひとまず逃げるぞ!!」
「ラ、ラジャー!!」
所々被弾した海賊船を反転させ、戦線離脱を試みる宇宙海賊。
「絶対に逃がすな!! 全砲門をあの船に集中しろ!!」
ネスティーの命令により、艦隊の全砲門が海賊船に向けられる。
「マズイ!! マズイマズイマズイ!!」
「船長!! ど、どうしゃしょう!?」
「ワープだ!! 今すぐワープ装置を作動させろ!!」
「ざ、座標軸の設定は!?」
「そんなもんやってるヒマがあるか!! ランダムワープだ!!」
「そ、そんな事したらどこに出るかわかりま……」
「バカ野郎!! このまま死にてぇのか!!」
「ラ、ラジャー!!」
海賊船が光に包まれ、一瞬の閃光の後、消え去る。
「なにぃっ、ランダムワープ……だと!?」
一歩間違えば、惑星の重力圏や太陽、ブラックホールなど即、死に繋がる危険な場所へワープする可能性もあるのに、宇宙海賊は
一か八かの賭けに出た。
「くっ、関係各所に伝えろ!! 絶対に奴等を探し出せ!!」
破壊された海賊船の残骸が漂う宙域で、ネスティーの怒声が艦内に響いた……。
第4章
「かーずとー、こっちこっちー」
待ち合わせの商店街入り口で、ワるきゅーレが手を振って和人を呼ぶ。
「もー和人、遅いよー」
「ごめんごめん、ちょっと映画のチケットをチケットショップで買ってきたんだ」
「ぶー、前もって買っておけば良かったのにー」
「だからごめんって」
「……うん、いいよもう。 それより早くいこっ」
そう言って和人の手を取って引っ張るワるきゅーレ。
「そうだね、それじゃ行こうか」
「それより和人、このお洋服どう?」
そう言って、今日のために真田さんに作ってもらったよそ行きの洋服をくるっと身を捻らせて見せる。
「ああ、似合ってるよ」
「えへへ」
「でもさ、一緒に家を出ればよかったのに、今日はなんでわざわざ待ち合わせなんだい?」
和人の何気ない疑問に、さっきの笑顔をぷーっと膨れ面に変えて答えるワるきゅーレ。
「もーっ、デートなんだから待ち合わせするのは基本なんだよーっ」
「……そんなもんなのかい?」
「そんなもんなのーっ」
(……また、漫画かテレビの影響なのかな)
そんなやり取りをしながら歩いていると、やがて最初の目的地である映画館へと到着した。
「とうちゃーくっ。 ねえねえ、今日はどの映画見るの?」
「ん、今日はワるきゅーレが見たい奴だよ」
「本当!? うれしいなー」
(デートって言ったらやっぱり恋愛映画だよねっ!!)
『……ぐす、あの二人かわいそう』
『すっとハンカチを差し出す和人』
『……ありがとう、和人』
(えへへ、楽しみー)
「ほら、そろそろ始まりそうだから中に入ろう」
「うんっ」
妄想に耽るワるきゅーレを連れて映画館の中へ向かう和人。
「ふたりはプ○キュア子供一枚と大人一枚」
そう言って窓口に安く買ってきたチケットを差し出す和人に、ワるきゅーレが驚いた声を上げる。
「……えええぇーっ!!」
「あれ、この前この映画が見たいって言ってたじゃないか」
「うぅー、そりゃ見たいけどー」
「良かった、映画を間違えたかと思ったよ。 あ、もうそろそろ始まるよ」
「ううぅぅーっ」
ワるきゅーレの手を引いて急いでホールの中へと入る和人。
(えーん、デートなのにアニメ映画なのーっ)
「……あぁ、子供でいっぱいだなぁ」
ホールの中は劇場版ふたりはプ○キュアを見に来た子供達とその親、極わずかな大きなお友達でいっぱいだった。
「席はまだ空いてるかな……あ、あそこが空いてるな」
満員のホール内を移動して空いてる席に座ろうとするが……。
「ねぇ和人ぉ、座れる所1個しか空いてないよー。 どうするのー?」
席は一人分しか空いていなかった。
「うーん……しょうがないな」
腕を組んで少し考え、和人は席に座るとワるきゅーレの腰を持って自分の膝の上に乗せる。
「えぇっ?」
「席が空いてないからね、これで我慢して」
「えぇぇっ」
ブー。
「あ、始まるよ」
スクリーンに次々と新作のCMが映り、やがて劇場版ふたりはプ○キュアが始まった。
まーっくすはぁーと♪
(えーん、デートなのにぃー)
隣の席で父親の膝に乗せられた幼女が騒ぐのを横目に、ワるきゅーレは鬱な気分になるのだった……。
第5章
「ワるきゅーレ、映画は面白かったかい?」
「………」
映画が終わって帰る他の客に混じって、手を繋いだ二人が映画館の外へと歩いていく。
「……ワるきゅーレ、もしかしてつまらなかった?」
「……ううん、面白かったよ」
「そうかい? なら連れてきてあげた甲斐があったよ」
(……ふえーん、全然デートっぽくないよー)
両親や兄弟に手を引かれて帰っていくよその子供達と、はぐれないように和人に手を引かれている自分を見て、ワるきゅーレは
更に鬱になった。
「さてと、これからどうしようか?」
「喫茶店!! デートの定番コースだよっ!!」
「ははは、イチゴパフェ食べるんだっけ。 それじゃ喫茶店に行こうか」
なんとかデートの体裁を取り繕うと、内心躍起になっているワるきゅーレに和人はいつもどうりの態度で答えた。
(……なんかデートっぽくない)
ワるきゅーレは口には出さず心の中でそう思うのだった。
「うわあ、おいしーい♪」
たまたま目に付いた個人経営の小さな喫茶店に入った和人とワるきゅーレ。
ワるきゅーレは美味しいイチゴパフェを食べて幸せそうだった。
「おいしいかい? ワるきゅーレ」
「うん♪ 和人もちょっと食べる? はい、あーんして」
笑顔で答えて、和人にスプーンを向けるワるきゅーレ。
「はは、僕はいいよ。 ワるきゅーレが全部食べなよ」
「そうぉ? おいしいのにー」
そう言ってまた幸せそうにパフェを食べるワるきゅーレ。
「ああ、少しこぼれたよ」
溶けたアイスがワるきゅーレのあごに垂れた。
それを和人は紙ナプキンで拭ってやる。
「仲が良ろしいですねぇ。 妹さんですか?」
和人の頼んだコーヒーのおかわりを注ぎに来た喫茶店のマスターが尋ねる。
「いや、僕らは兄弟じゃなくて……」
「違うよーっ!! 和人はワルちゃんの恋人なの!!」
「こ、恋人ですか?」
「いや、まあその」
「そうだよ、ワルちゃん和人のお嫁さんになるんだから!!」
「……はあ」
喫茶店のマスターは冷ややかな視線で和人をちらりと見ると、コーヒーを空のカップに注いでさっさとカウンターへと戻っていった。
「……ワるきゅーレ、そろそろ行こうか」
居たたまれなくなった和人は、ワるきゅーレがイチゴパフェを食べ終わるとそう切り出した。
「えー、まだ全然おしゃべりとかしてないよ。 それに、和人のコーヒーまだ残ってるし」
「いいから、おしゃべりなら外でしよう。 ほら、行くよ」
和人はそう言って席を立ち上がると、さっさとレジへ歩いていく。
「あっ、待ってよ和人ー」
第6章
「ねぇ和人、どうしてお店出ちゃったの?」
「いや、コーヒーとパフェだけで何時までも居座ったらお店の人に悪いだろ?」
「でも他にお客さんいなかったよ」
「それでもだよ。 それにまだ行きたい所があるんだろ?」
「あ、うん。 ワルちゃんね、公園行きたい。 それで和人と一緒にボート乗るの」
「ボートかい? よし、乗りに行こうか」
「うんっ」
そんなやり取りの後、二人は公園に向けて歩き出した。
「わーいボートだボートー」
「ははは……」
公園のアヒル型ボートに乗ってはしゃぐワるきゅーレ。
和人はそんなワるきゅーレを微笑ましく見守る。
その後も公園の遊具で遊んだりして過ごすうちに、やがて空が赤くなり始めた。
「……さてと、そろそろ帰って銭湯の用意をしないと」
「えーっ、今日お休みじゃないの?」
「いや、夜はお客さんが来るから店開けないと」
「えーっ、今日はデートなんだよ?」
「うん、だから今日のデートはここまで。 また今度デートしよう」
和人はそう言って帰宅を促す。
「……やだ」
「ワるきゅーレ?」
「こんな終わり方じゃデートじゃないようっ!!」
「ワるきゅーレ、わがまま言わないでくれよ。 お店開けないとみんなが困るんだよ」
「やだやだやだやだ!!」
「ワるきゅーレ!!」
駄々をこねるワるきゅーレを叱咤する和人。
「うぅぅ……」
涙目で和人の顔を見上げるワるきゅーレの頭に、優しく手を乗せ和人は諭す。
「今度一日休みが取れたら、その時は一日付き合うから……」
「……ホント?」
「本当だよ、さ、いい子だから、ね」
「……いい子」
和人のいい子という言葉にワるきゅーレが俯く。
「……ワるきゅーレ、どうしたんだい?」
「……ねぇ和人」
「ん?」
「和人、ワルちゃんの事……好き?」
「な、何突然……」
「答えて!!」
「……ワるきゅーレ」
「ワルちゃんは和人の事大好きだよ。 和人のお嫁さんになりたいと思ってるよ……」
「和人は……ワルちゃんの事、どう思ってるの?」
「それは……」
「恋人? それとも……妹?」
「な、なんで急にそんな事……」
「映画館の事とか……さっきの喫茶店の事とか……あれ、恥ずかしかっただけだよね?」
「……え?」
「今のワルちゃん、ちっちゃいし、和人は恥ずかしがりやさんだから」
「喫茶店の事は恥ずかしかっただけだよね?」
「………」
「ねえ、そうだよね? ワルちゃんが元の姿だったら、ちゃんと恋人だって……言ってくれたよね?」
「ワるきゅーレ、ちょ、ちょっと落ち着いて」
「和人、和人の気持ち聞かせて」
「ワルちゃん、和人の気持ち聞いた事ないよ、好きだって言われた事ないよ」
「和人、ワルちゃん、和人の気持ち知りたいよ。 和人はワルちゃんの事、お嫁さんにしてくれるのか聞きたいよ」
「……ワるきゅーレ」
「ちっちゃいワルちゃんじゃ言えない? 誰かに見られたら恥ずかしい?」
「そんなこと……」
「おっきいワルちゃんだったら言ってくれる? 和人の気持ち言ってくれる?」
「ねえ、和人……」
そう言ってワるきゅーレは上を向き目を閉じる。
「……ワるきゅーレ」
(……何してんだ、僕は)
(……ここまでワるきゅーレに言わせてしまうなんて)
和人はワるきゅーレの悲痛な問いに自分の事を恥じた。
小さくなったワるきゅーレは子供と変わらない。
そんな風に思っていた。
だが、小さくなっていてもワるきゅーレはやっぱり女の子だった。
好きな相手が言葉にして気持ちを伝えてくれなければ不安にだってなる。
現に今も、小さな体を震わせて不安な気持ちに耐えている。
ましてや、昼間の態度はどう贔屓目に見ても恋人にする対応ではなかった。
もし、今ここで逃げたらきっと、ワるきゅーレを傷つけてしまうだろう。
(僕の言葉でワるきゅーレの不安がなくなるなら)
和人は震えているワるきゅーレのちいさな肩に手を添えると、ゆっくり自分の顔を近づけていく。
近づく唇と唇。
……だがその時、聞き覚えのある声が和人の耳に入った。
「ちょっと、あれ時野君じゃない?」
「うそ!? あんな小さな女の子に!!」
よく秋菜と一緒にいるクラスメートの女子達だ。
「!?」
反射的にワるきゅーレから離れてしまう和人。
「あ……」
「………」
ワるきゅーレが目に涙を溜めて悲しそうな顔で和人を見つめていた。
「……和人は、ワルちゃんの事、好きでもなんでもなかったんだね」
ワるきゅーレの瞳から涙が一滴零れ落ちる。
「ちが……」
「違わないよ!!」
それは悲痛な叫びだった。
「誰かに一緒にいるのを見られるの恥ずかしいんでしょ!!」
「ワルちゃんと一緒にいるの見られるの恥ずかしいんでしょ!!」
「そんな事はない!!」
「嘘だ!!」
「嘘じゃない!!」
「……だったら、なんで……避けたの?」
「それは……!」
「ねぇ、和人。 ちっちゃいわるちゃんだって、ワルキューレなんだよ?」
「ちっちゃくたって、おっきくたって、ワルちゃんの和人への気持ちは変わらないんだよ?」
「それなのに……ひどいよ」
「………」
「結婚の事とかも、本当はどうでもよかったんだよね……」
「メームお姉様達に言われたから、ただ成り行きに任せてこうなっただけなんだよね……」
「……もう、いいよ」
「ワるきゅーレ、僕は……」
「……ワルちゃんだけが和人の事好きだったなんて馬鹿みたい」
「ワルちゃんの事好きじゃないなら、ヴァルハラ星に連れ戻されたあの時、会いに来てくれなきゃよかったのに」
「……ばいばい和人」
ワるきゅーレはそれだけ言うと背を向けて立ち去ろうとする。
「ワるきゅーレ、待ってくれ!!」
引きとめようとする和人を涙で濡れた顔でワるきゅーレはにらみ、一言言い放つ。
「……和人なんて、だいっきらい」
そう言うと振り返りもせず走り去ってしまう。
「……ワるきゅーレ」
和人は情けない自分に無性に腹が立った。
固く握り締めた拳にぎりぎりと爪が食い込む。
そんな和人の様子を見て、クラスメートの女子達はそそくさと逃げていった。
夕暮れの中、一人残された和人は暗くなるまでひとり佇むだけだった……。
第7章
「……ただいま」
すっかり夜になった頃、ただ一人帰宅した和人。
「おかえりなさいませ婿殿。 あら? 姫様はどちらに?」
「……帰ってきてないんですか?」
「え? だって今日は婿殿とデートだったんじゃ……」
真田の返事もそこそこに和人は玄関を飛び出した。
「なんだなんだぁ?」
「和人?」
風呂に入りに来たハイドラと秋菜が、血相を変えて飛び足していく和人をぽかんと見送る。
「くそっ、くそくそくそっ!!」
(なんてバカなんだ、僕は!!)
「ワるきゅーレーっ!!」
和人の絶叫が夜の闇に響いて消えた……。
第1話END
第2話へつづきます。
次回は家出した姫様を説得して連れ戻そうとする和人達の前に、恐ろしい存在が立ちふさがります。
138 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 04:47:28 ID:j0HeOoUg
超GJ!
イイヨイイヨー
GJ!
神キターーーー 続きキボンヌ!
ああ、読んでくれる人いるのですね。
ありがとうございます。
とりあえず週一で1〜2話投下できるようにがんばります。
(ハアハアスレで書いて以来なのでちとペース配分がうまくいきませんが)
シリアスパートとバトルパートでは、介錯先生のマンガや月村先生の脚本では絶対ありえない展開やこのSS独自のオリジナル設定があるので、そういった要素を受け入れられない人には辛いかもしれませんが。
(基本的にラブコメパートとエロスパートを引き立たせる為とそこまでに持ってく為の調味料です)
とりあえず、何でもかんでも絶対無敵の姫様が解決とか、平成ウルトラマン最終回のように姫様が金色になったりだとか、最後に皇女全員もしくは12の黒い月の力を借りてパワーアップだとかはやりません。
ですが、必ず主人公である時野和人と真ヒロインであるワルキューレメインで展開させます。
ですので、完全に和人と姫様のカップルが好きで、二人の活躍やラブコメが見たい人向けになります。
まあ、買わないと読めない同人誌や同人ゲームとちがってタダですし、皆さんの暇つぶし程度になれば幸いです。
ただ、エロは必ず書くのでもう少し待ってくださいね。
過程を省いたエロはエロ同人誌だけで十分なので、それまでの過程を丁寧に書きたいと思います。
>142 ガンバレ!!
144 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 10:49:23 ID:UXu1bbj6
ウチ近所のレンタルビデオ屋にワるQがどこにもない
145 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 12:23:50 ID:Oj70Fh7J
レンタルビデオ屋自体が近くにない(潰れた)俺はどうしたら
146 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 12:24:38 ID:cQ6Fues6
3期より面白いかも
第1章
「ワるきゅーレーっ!!」
羽衣町の夜の闇に和人の声が鳴り響く。
「ワるきゅーレーっ!!」
だが、和人の求める人物の返事はない。
「ワるきゅーレ、どこにいるんだ……」
いつの間にか降り出した雨に打たれながら、和人はその場に膝をついた……。
第2章
「和人、いったいどうしたのかしら?」
「さあな、真田さん達も何があったのか聞いてないって言ってたしな」
時乃湯からの帰り道、リカから借りた傘を差して帰路に着く秋菜とハイドラは、夜の町へ飛び出していった和人の事を推測する。
「そういえば、ワるきゅーレの姿も見えなかったわよね。 それと関係あるのかしら?」
「そういやそうだな。 いっつもうざったいくらいじゃれついて来やがるのに、今日はこなかったし」
そんな事を話しながら歩いていると、やがて二人は空き地の前に差し掛かる。
……ぐすっぐすっ。
「おい、今変な声が聞こえなかったか?」
「えっ? 変な声?」
ハイドラの言葉に秋菜は耳を澄ませてみる。
……ひっくひっく。
女の子がすすり泣くような声が秋菜とハイドラの耳に入る。
「お、おい、誰もいないのに泣き声がするぞ」
そう言って辺りを見回しながらハイドラが秋菜の腰にしがみつく。
実はハイドラはホラー物や怪奇現象が苦手なのだ。
「ん……別に霊とかそういうのは感じないけど」
……ぐすっぐすっ。
「だってほらまた!!」
ハイドラがひびりまくりながら秋菜の腰にしがみつく。
「んー、この辺から聞こえたような」
秋菜はそんなハイドラを引き剥がすと、空き地に積まれている土管の方へと近づいていく。
「お、おい、待ってくれよ秋菜ーっ!!」
慌てて秋菜の後を追いかけるハイドラ。
「お、おい、何かいるのか?」
秋菜に追いついて、土管の中を覗き込んでいる秋菜に問いかけるハイドラ。
秋菜はハイドラの問いには答えず、土管の中の人物に声をかけた。
「……ワるきゅーレ、あんた、こんな所でなんで泣いてるのよ?」
第3章
「……ただいま」
とうとうワるきゅーレを見つけられなかった和人は、一旦家へと帰宅した。
「うわ、お兄ちゃんびしょ濡れじゃない!」
雨でずぶ濡れの和人を見て、リカが慌ててタオルを取りに行こうとする。
「リカ…ワるきゅーレは戻ってきてないか?」
「ワルQ? さっき秋菜ちゃんから電話があって家で預かってるって」
リカの答えを聞いて和人はまた家を飛び出そうとする。
「お待ちなさい!」
家を飛び出そうとする和人を、凛とした女性の声が呼び止める。
「!? ……メームさん」
振り返った和人の前には、厳しい顔をしたメームが立っていた。
「……それで、いったい何があったんですか?」
時野家の居間でちゃぶ台を挟んでメームと対峙する和人。
真田さんとシロ、リカが二人のやり取りを見守る。
「実は……」
和人はワるきゅーレを傷つけてしまった事を包み隠さず話す。
「……そうですか」
メームがため息をひとつついて和人を見据える。
「それで、婿殿はワるきゅーレにちゃんと謝る気があるのですか?」
「……はい」
「……そうですか。 それではワるきゅーレのことはお任せします」
「ちゃんと話し合って、和解してくださいね」
「……はい、分かってます」
それだけ話すとメームは居間を出て行ってしまった。
「ああああああ、姫様が姫様が家出なんて!!」
「ちょっと真田さん、落ち着いて」
パニックを起こしている真田さんをなだめるリカを横目に、シロが俯いたままの和人の傍らへ歩いてゆく。
「……それでこれからどうする気なんだ?」
「……今から迎えに行くよ」
「……とりあえず今日はやめといたほうがいい」
「………」
「ワるきゅーレのほうが落ち着いてからでないと、お互いちゃんと話も出来ないだろう」
「……それでも、行って来るよ。 今行かないと、僕の気が済まない」
「そうか」
シロはそれ以上何も言わず、家を出て行く和人の後姿を見送るのだった。
第4章
「ぐすっ…ぐすっ…」
「おい、いいかげん泣き止めよ」
「そんなに泣くほど、いったい何があったのよ」
とりあえず空き地から自宅に連れてきたワるきゅーレを、ハイドラの部屋で問い詰めるハイドラと秋菜。
だが、ワるきゅーレは泣きじゃくるだけで何も答えなかった。
ピンポーン……。
七村家のチャイムが鳴る。
「ちょっとハイドラ、ワルQお願い」
秋菜はそう言って玄関へ向かう。
「はーい、どちら様ですか?」
そう言って秋菜が玄関を開けると、息を切らせた和人が立っていた。
「和人……」
「秋菜、ワるきゅーレを迎えに来たんだ。 ここにいるんだよね?」
「あ、うん。 ワるきゅーレならハイドラの部屋にいるけど」
「悪いけど、ワるきゅーレを呼んで来てくれないかな」
「わかったわ。 ちょっと待ってて」
秋菜は和人にそう答え、家の中へと戻っていく。
「ワるきゅーレ、和人が迎えに来たわよ」
秋菜がそう声をかけると、ワるきゅーレは顔を横に振りながら答える。
「……やだ。 帰りたくない」
「帰りたくないって……」
「和人の顔なんて見たくないの!!」
はっきりと拒絶の意思を示すと、ワるきゅーレはまた泣き出してしまう。
「……おい、秋菜ぁ。 どうするよ」
「……しょうがないわね、今晩は家に泊めるわ」
ハイドラにそう答え、秋菜は和人の所に戻ると事情を話す。
「……そう」
「ごめん、秋菜。 今日は一度帰るよ。 悪いけどワるきゅーレの事頼むよ」
和人はそう言って背を向けとぼとぼと帰っていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「……ねえ和人、ワるきゅーレといったい何があったの?」
七弧神社の社で、二人は腰を下ろして話をする。
「……それは」
和人は俯いたまま言葉を濁す。
「ワるきゅーレも泣いてるだけで何も言わないし、それに……」
「今の落ち込んでる和人見てるの……正直見てられないの」
「ねぇ、何かあったんなら言ってよ。 私達幼馴染でしょ」
「……実は」
和人はワるきゅーレを泣かせてしまった経緯を秋菜に話した。
第5章
「……そんな事があったの」
内心複雑な思いを抱きながら、秋菜はそう呟く。
「……僕が自分の気持ちをはっきりさせなかったから」
「……和人」
「僕とワるきゅーレは魂を共有してる。 ……だから、言わなくても気持ちは通じ合ってると思ってたのに」
「っ!! そんな訳ないじゃない!!」
和人の言葉に秋菜は思わず立ち上がって叫んでいた。
「……秋菜?」
「想いっていうのは言葉にしなきゃ意味がないの!! 想ってるだけじゃ意味なんてないのよ!!」
「………」
「……ごめん、ちょっと感情的になっちゃって」
言いたい事を言って、我に返った秋菜はそう呟くように言うと腰を下ろす。
「いや……そのとおりだよ……」
「和人……」
「ありがとう、秋菜。 おかげで吹っ切れたよ」
「明日ワるきゅーレに会って、今度はちゃんと僕の気持ちを伝えて見せる」
「……そう」
「秋菜、ありがとう」
そう言って秋菜に頭を下げる和人。
「ちょ、やめてよ」
「今日は家でワるきゅーレの面倒見るから、和人は早く帰りなさいよ」
秋菜はそう言って和人の頭を上げさせると、和人に帰宅を促す。
「もうこんな時間だし、それにリカちゃん達も心配してるんじゃないの」
「……そうだね」
「ほら、元気出せ男の子!!」
そう言って秋菜は和人の背中をぱしっと叩く。
「……ありがとう、秋菜」
和人はそう言って笑ってみせる。
「ふふ、どういたしまして」
秋菜もそう答え笑い返す。
「それじゃ、また明日来るから」
「うん」
「おやすみ、秋菜。 ワるきゅーレの事、よろしく頼むよ」
「任せて。 おやすみ和人」
そんなやり取りの後、和人は時乃湯へ帰っていった。
「……想いっていうのは、言葉にしなきゃ意味がない、か」
秋菜はそう呟くと自嘲気味に一人笑うのだった……。
第6章
「いやっ!! 和人と話す事なんて何もないもん!!」
次の日、和人はワるきゅーレを説得し家に連れて帰るため、再び秋菜の家を訪ねた。
しかし、ワるきゅーレはハイドラの部屋に閉じこもり、和人と会うのを拒む。
「ワるきゅーレ、僕の話を聞いてくれ!!」
「いや!! 和人なんかだいっきらい!!」
「あぁぅ、姫様ぁ〜」
ワるきゅーレを心配して、和人について来た真田さんが泣きながら二人のやりとりを見ている。
「……やれやれ、ワるきゅーレの強情にも困ったもんだな」
シロがそう言ってため息をつく。
「まったく、あの子は皆に心配ばかりかけて」
リカが愚痴る。
「まったくだぜ、さっさと仲直りして俺の部屋から出てって欲しいぜ」
ハイドラが愚痴る。
「………」
秋菜は複雑な心境で社の柱にもたれかかっている。
「……これは、時間がかかりそうですね」
和人たちのやり取りを七村家の外で聞き、メームがため息をひとつつく。
「……ねえコーラス。 このまま、和人様とお姉様は破局してしまうのかしら?」
「どうかな? 和人さんがちゃんとワるきゅーレを説得出来ればいいんだけど」
ワるきゅーレが和人とケンカして時野家に帰ってこないと聞き、ライネとコーラスも七弧神社へとやって来ていた。
「……それで、ヴァルハラ星との定時連絡はどうなったのですか?」
「それがまだ、通信が……」
「……イナルバ。 何かあったのですか?」
御付の侍女から報告を受けていたイナルバにメームが問いかける。
「……それが、一昨日の夜からヴァルハラ星と連絡がつかないのです」
「……それはおかしいですね。 今まで地球からの連絡がつかなかったことなんてなかったはずなのに」
メームとイナルバは二人で考え込む。
ワるきゅーレと和人の事も心配だが、ヴァルハラ星と連絡が付かないのもおかしい。
「ふんふふーん♪ 地球もなかなかいい感じですわ♪」
鼻歌を口ずさみながら、ファムが七弧神社を訪れる。
「あら? お姉様方。 ごきげんよう。 こんな所で会うなんて奇遇ですわね」
のんきに挨拶をするファム。
「……ファム? あなた、どうして地球に?」
「実は、四月から羽衣高校の教師として赴任する事が決まったんです。 それで、今日はこれから住む町を見て回ってたんです」
メームの問いにそう答えるファム。 すると、今度はイナルバがファムに質問をする。
「ちょうど良かった。 実は昨夜からヴァルハラ星と連絡がとれないの。 ファム、貴女何か知らないかしら?」
「ヴァルハラ星と連絡がとれない? 変ですねぇ、私が出発したのは地球時間に変換して一昨日の朝でしたけど、別段何も変わりあ
りませんでしたが」
「……そうすると、一昨日の夜に何かあったという事なのかしら」
「あのー、皆さんお揃いで何かあったんですか?」
腕を組んで考え込むイナルバにファムが質問する。
「実は……」
考え込んでいるイナルバの代わりにメームが事情を説明しようとした所、不意に辺りが暗くなった。
「何?」
メームが頭上を見上げるとそこには、宇宙海賊の戦艦が浮いていた。
「!? 宇宙海賊!?」
考え込んでいたイナルバが驚愕の声を上げると同時に、海賊船から二人の人影が地上に降りてくる。
「!?」
その時外にいた全員が思わず身構える。
やがて、全員が視認出来る距離まで降りてきた二人の人物を見て、メーム達は驚愕の声を上げた。
『ネスティー!?』
その内の一人は皆が見知った顔だった。
全身がぼろぼろに汚れ、額や袖口から赤い血が流れている。
全身に酷い切り傷や殴打、火傷の跡があり、ぐったりしているネスティーの襟首をもう一人の人物が片手で掴んでいる。
もう一人の人物は石で出来た仮面を付けており、顔は判らないが鍛え抜かれた屈強な体格をしており、黒いマントと金属製の装飾が
施された黒いレザーのスーツを着ている男だ。
ぶんっ。
メーム達の上空で制止し、謎の黒ずくめの男はネスティーの体を片手で、上空からメーム達めがけて無造作に投げつけた。
「ネスティー!!」
駆けつけたシロが小さな体からは信じられない力で、両手を上げて傷ついた戦友を受け止める。
「何者です!!」
あのネスティーをボロボロにしたと思わしき相手に、メームが身構えながら凛とした声で問いかける。
「……我が名はリョーエツ」
「ヴァルハラのヴァルキリー達よ、貴様らの命貰い受ける」
男はそう答えると、左手をかざす。
ドンッ!!
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
一瞬の出来事だった。
ファムの体が宙を舞い、激しく地面に叩きつけられた。
第7章
「……げほっげほっ」
ファムの口から血が吐き出される。
「ファム!?」
「おのれ!!」
イナルバが地を蹴って上空のリョーエツと名乗った男に飛び掛る。
ドガァっ!!
「うああぁっ!!」
無造作に放たれた裏拳がイナルバの頬を殴り、イナルバを地面に叩きつける。
「イナルバ!!」
「ぐっ……」
ふらつきながら、何とか立ち上がるイナルバ。
イナルバを援護すべく、メームがリョーエツに攻撃を仕掛けようとしたその時、気を失っていたネスティーが目を覚ました。
「に、逃げろ……」
「ネスティー!? 貴女気がついて……」
「……奴は、2000、年前、時の、12人の皇女、が、封じ込めた、最強の魔人だ……」
「魔人?」
「聞いた事が……ある、だろう。 闇の、錬金術師にして、最強の戦士……」
「命を、弄ぶ、黒い……悪魔」
「そんな、あれは皇家に伝わるただの伝説じゃ……」
「……ふん。 2000年前の皇女どもに比べ、大分今の皇女はレベルが落ちてるらしいな」
「……なんですって」
「白の皇女はどこだ」
「え?」
「白の皇女はどこかと聞いている」
「……何故、白の皇女を」
「2000年前、我を封じ込めたのが白の皇女だからだ」
「あの時の屈辱は忘れん……。 白の皇女を差し出せば命だけは助けてやる……」
「ハイドラ、白の皇女って……」
「ああ、ワルキューレの事だ」
御札を手に構える秋菜の問いに冷や汗を掻きながら、ハイドラが答える。
(……くそっ、何なんだよあの化け物は!? あのネスティーの姉貴やイナルバがやられるなんて!!)
「秋菜、早く俺の封印を解いてくれ!! あいつは全員でかからないと勝てねぇ!!」
「わかったわ!! 封印解除!!」
ハイドラの封印が解かれ、本来の大人の姿に戻る。
「ハイドラ、秋菜さん、イナルバ、全員で戦いますよ!!」
「おうっ!!」
「はいっ!!」
「ええっ!!」
メームの指示と共に、今この場で戦う力を持った女性達が魔人を取り囲み、身構える。
「ライネ、コーラス、真田さん!! リカちゃんとファム達を連れて逃げなさい!!」
「は、はいぃぃぃっ!!」
突然の敵襲にひびりまくってるライネがコーラスとファム、ネスティーを引っつかんで脱兎のごとく逃げ出す。
「……ふん」
魔人は逃げるライネ達に向けて左手をかざす。
「てめぇの相手は俺達だ!!」
ハイドラがプラズマソードを顕現させ、地を蹴って上空の魔人に斬りかかる。
ガキィッ。
「なにぃっ!?」
魔神は無造作にプラズマソードを片手で受け止めると、そのままハイドラを地面に叩きつける。
「ぐわぁっ!!」
クレーターを地面に作り、ハイドラが叩きつけられた。
「ハイドラ!! こんのぉっ!!」
秋菜が御札を投げつけると魔人の周囲に展開する。
「オン!!」
呪縛結界が発動する。
……だが、魔人は結界の中で顔色ひとつ変えずに右手を突き出すと、火炎弾を作り出し秋菜に向けて打ち出した。
呪縛結界を突き破り、焼き尽くして秋菜に向けて火炎弾がものすごい速度で飛んでいく。
「くっ!!」
咄嗟に護符を展開して防御するが、一瞬で護符が燃え尽きて、火炎弾が秋菜の眼前に迫る。
「秋菜ぁっ!!」
ハイドラが咄嗟に飛びついて間一髪、難を逃れる。
「秋菜、無事か!?」
「何とか!!」
「くそっ、なんてバケモンだよ!!」
ハイドラは悪態を付く。
「ハイドラ、合体するわよ!!」
「おう!!」
秋菜とハイドラはアキドラへと合体すべく、お互いの友情にヒビを入れ始めた……。
「はああっ!!」
メームは秋菜達が合体する間をフォローすべく光弾を放つが、魔人は無造作に突き出した右手であっさりと受け止め、メームに
跳ね返す。
「……返すぞ」
ドゴォンっ!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
メームに跳ね返された光弾が直撃し、吹き飛ばされる。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
イナルバが右手を光らせて魔人に飛び掛るが……。
「くっ!?」
イナルバの手刀を受け止めるとそのまま、メームめがけて投げつけた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ドガァっ!!
ふたりの体がはげしくぶつかりあい、そのまま地面に倒れる。
「死ね」
魔人は右手を天に掲げ巨大な光弾を作り出すと、倒れているメームとイナルバ目掛けて振り下ろした。
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァン!!
悲鳴すら上げる間もなく光弾の直撃を喰らい、メームとイナルバは完全に戦闘不能に陥った。
「……ほう、2000年経ってもヴァルハラ星人は生き汚いな」
まだかすかに呼吸をしているふたりを冷徹に見下す魔人。
「あ、あわわわわ……」
信じられない光景を見て、リカは腰を抜かしていた。
「リ、リカ様、はやく逃げないと殺されてしまいます!!」
腰を抜かしているリカの手を引っ張りながら真田さんが急かす。
「……ゴミが」
魔人は抗う術さえ持たない哀れな子羊にさえ、非常にもその魔の手を伸ばしてきた。
ゴッ!!
魔人が片手を振り下ろすと、何も見えないのに、轟音だけがリカに迫る。
「くそったれぇーっ!!」
シロがリカを突き飛ばすと同時にシロの体が爆発を起こし、シロが血まみれになって地面に落ちる。
「シ、シロ!?」
リカが慌ててシロに駆け寄る。
「ぐ、早く、ワるきゅーレと和人に知らせて、皆でここから逃げろ!!」
シロが血をぺっと吐き出し、立ち上がる。
「で、でもそんなに血が……」
「さっさとしねえか!! 足手まといだ!!」
シロの叱咤にリカと真田さんは、七村家へと走り出した。
第8章
「お兄ちゃん、ワるきゅーレ!!」
息を切らせてリカが七村家に駆け込む。
「リカ? いったいどうしたんだ? さっきから外が騒がしいけど」
「お、お兄ちゃん、早く、早くワるきゅーレを連れて逃げよう!!」
「お、おい逃げるって何から……」
「早く、早く逃げないと、殺される!!」
いつも気丈なリカが涙を流して震えながら、必死に兄に縋りつく。
「リカ、秋菜は? みんなはどうした!?」
泣きじゃくる妹の両肩を掴んで和人は問い詰める。
「み、皆様はま、魔人と戦っておられます」
泣いて震えるリカに代わり、真田さんが事情を説明する。
「……魔人?」
「2000年前に12人の皇女様に封印された魔神です!! 何者かに封印を解かれて、この地球に現れたんです!!」
「その魔人は白の皇女であらせられる姫様の命を狙っています!! このまま、ここにいると姫様が!!」
「なんだって!?」
ドガアァァァァァァァァァァァァァァン!!
激しい爆発音と共に家が揺れる。
「秋菜!! 真田さん、ワるきゅーレ達を連れて逃げてください!!」
嫌な予感がした和人はそれだけ言うと、爆発音のした方へ飛び出していく。
「お兄ちゃん、言っちゃ駄目!!」
リカの悲痛な叫びが聞こえたが、秋菜達を見捨てて逃げるなんて事は和人には出来なかった。
第9章
「なっ……」
神社に辿り着いた和人の目に映った物はとても信じられない光景だった。
地面に倒れたまま、ぴくりとも動かないメームとイナルバ。
全身を赤く染めて動かないシロ。
そして、黒ずくめの男に片手で首を絞められ、宙吊りにされている秋菜とハイドラ。
「あ、秋菜とハイドラを離せぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
和人は反射的に魔人に飛び掛るが、魔人は秋菜とハイドラを後方へ放り出し、和人の鳩尾に強烈なパンチを叩き込んだ。
バキベキボキィっ!!
骨が砕けるいやな音を立て、和人は殴り飛ばされる。
ずしゃあぁぁぁぁぁぁ……。
地面に無様に転がり、血反吐を吐く和人。
「ぐ、ぐぁっ、がはっがはっ……」
魔人はゴミを見るような目で和人を見ながら、口を開く。
「……白の皇女はどこだ」
「がはっ、し、知るもんか」
「……なら、死ね」
魔人が倒れている和人に近づいてくる。
「……あんたの、相手はあたし達よ!!」
秋菜とハイドラが魔人に向けて御札とプラズマ弾を放つ。
「……ザコが」
魔人の注意が秋菜とハイドラへ向く。
「あ、秋菜……ハイドラ……」
ワるきゅーレの魂の力で、少しずつ回復を始めた体を必死に起こして立ち上がろうとする和人。
「和人ーっ!!」
「ワるきゅーレ!?」
「姫様ーっ、お戻り下さい!!」
真田さんの手を振り払って、ワるきゅーレが駆け寄ってくる。
「和人、大丈夫!?」
「ああ、だけど、みんなが……」
「あ……秋菜ちゃん!! ハイちゃん!!」
ワるきゅーレの視線の先で、秋菜とハイドラが魔人に蹂躙されている。
ふたりとも頬を殴られ、口の端から血を流して地面に倒れる。
「和人!!」
地面に倒れて動かなくなったふたりを見て、ワるきゅーレが怒りに燃える瞳で和人を見つめる。
「ワるきゅーレ!!」
……そして、ふたりはキスを交わす。
ワるきゅーレを本来の姿、刻の鍵の継承者である白の皇女ワルキューレの姿に戻す為に。
だが……。
「変身……出来ない……」
ワるきゅーレが戸惑った表情で力なく呟いた……。
第2話END
第3話へ続きます。
魔人の容姿は介錯先生のマンガによく出てくるタイプの美形の悪役が石で出来た仮面(種のラウ・ル・クルーゼの仮面みたいなタイプ)を着けてる感じです。
今更やけどワるきゅーレじゃなくてわるきゅーれね
小さいときは
162 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 16:37:50 ID:QmTPr+1o
石仮面かょw吸血鬼でつか?www
>>161 ご指摘どうり、マンガだと小さい姫様はセリフとかでわるきゅーれと書かれてますが、公式サイト
ttp://www.tokinoyu.net/ やアニメのEDクレジットだとワるきゅーレだったりします。
一応アニメ寄りなので、小さい姫様はワるきゅーレで統一してます。
いちいち打つのに長すぎる名前なので全部コピペで済ませてます。
>>162 ジョジョの奇妙な冒険に出たようなのじゃなくて、宝石とかみたいに加工された仮面です。
一応、魔術とか呪術関係の石で出来てます。
あと、吸血鬼なんかよりもっと性質が悪い相手です。
また、この敵は大きい姫様をずっと出しっぱなしにする為に設定した奴なので、そのうち消えます。
というか、ただのかませ犬。
それとかませ犬のデザインなんざどうでもいいです。名前も適当につけたし。
ただ単に昔の人なので、現在は失われた技術や装飾を持っているという事で。
読んでくれる方に恐ろしく強くて凶悪で残忍な敵という認識がされればソレで良いです。
尚、この敵絡みの件が片付いてから、エロやラブコメ展開が開始されます。
ちなみに評判が悪ければいつでもSS投下をやめますが。
それと、同人が嫌いならここを見ないほうが幸せだと思いますよ。
続き書いていいですか?
姫様徹底的にボコるけど。
期待してますよ。
最後には和人とラブラブになるならボコってもいいよ
最後に和人とラブラブにならなくてもいいから陵辱してください
保守
>>165 ご期待に添える物を書きたいと思います。
序盤は大きい姫様完全回復の為のイベント&全然少年漫画の主人公らしくない和人の為の話ですが。
>>166 もちろん中盤からラブラブですよ。
今回の敵は、ウルトラマンの天敵ゼットンやマジンガーZを破壊した戦闘獣、デスティニーを簡単に破壊したインフィニットジャスティスのような、姫様にとってもっとも相性の悪い天敵です。
だから徹底的にボコります。
>>167 一応一回だけ陵辱ありますが、一番やりたいのは大きい姫様とのバカップル生活なので。
いいもの見せてもらいました
age
保守
ホッシュ
第1章
「変身……出来ない……」
「そんな……なんで……」
ワるきゅーレが本来の大人の姿に戻れない。
和人とワるきゅーレは呆然とお互いの顔を見る。
お互いに戸惑う表情を浮かべ、呆然と立ち尽くしていると、忌むべき声が二人の意識を引き戻す。
「……今生の別れは済んだか」
魔人が冷たい眼差しで和人達を見据え、ゆっくりと右手を和人達へと向ける。
「くっ!!」
和人は咄嗟にワるきゅーレを抱き上げると、そのまま魔人に背を向けて走り出す。
「……ふん」
魔人の右手からバレーボール位の大きさの炎の球が打ち出され、ワるきゅーレを胸に抱きしめて走る和人の目の前に着弾する。
ドゴォンっ!! ゴオォォォォォォォォォォォォ……。
「うわあっ!!」
地面に着弾した炎の球から炎が大地を伝う蛇のように伸び、炎の壁を作り出す。
「くそっ!!」
行く手を炎の壁で遮られ、和人は舌打ちをする。
「和人ぉ……」
和人の腕の中で、ワるきゅーレが不安な表情を浮かべて和人の顔を見つめている。
(ワるきゅーレは変身出来ない、戦える人間は誰もいない、僕が、僕がワるきゅーレを守らなきゃ……!!)
「……大丈夫。 ワるきゅーレは僕が守るから」
和人はワるきゅーレを安心させようと、引き締めた表情を緩めて優しく言ったつもりだった。
だが、実際には無理に作った表情である事がワるきゅーレには簡単に判ってしまっていた。
(和人、無理してる……)
何も出来ない自分が歯痒くて、ワるきゅーレは和人の腕の中で彼のシャツをぎゅっと握り締める事しか出来なかった。
「……どうした、もう逃げないのか?」
魔人はじりじりと二人に近づいてくる。
(後ろは炎、前は魔人、どうしたらいい?)
和人はこの絶対絶命の状況を何とかしようと思考を巡らせる。
……だが。
和人の考えがまとまるまで待っててくれるほど、魔人は甘くはなかった。
びっ。
魔人が親指に引っ掛けた人差し指を弾く仕草をした瞬間、和人の左右の太ももに風穴が開いていた。
第2章
「っぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!!」
「和人!!」
ワるきゅーレを抱き締めたまま、和人はその場に崩れ落ちる。
「和人、和人っ!!」
苦悶の表情で激痛に苦しむ和人にワるきゅーレは必死に声をかける。
「うっ、ぐぅぅ……」
魔人は右手にまた炎の球を出現させ、それを無造作に和人とワるきゅーレに向けて放った。
「っ!?」
和人は無我夢中でワるきゅーレを抱き締めたまま、魔人に背を向ける。
ドオォォォォォォォォッ!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
和人の背中に炎の球が直撃し、爆発した。
「……あ、ぐ」
苦しげなうめき声を上げ、和人がゆっくりとワるきゅーレの上に覆いかぶさるように倒れる。
「和人、和人、大丈夫!?」
「……う……ぐ」
ワるきゅーレの涙交じりの問い掛けに対し、和人はうめき声を上げるだけだ。
「和人ぉしっかりしてぇ……」
ワるきゅーレは泣きながら和人に語りかけるが、和人は苦しそうなうめき声をあげるだけだった。
「和人ぉ……」
ワるきゅーレの手が和人の背に触れる。
ぬるり。
ワるきゅーレの手に和人の流している血がべっとりと付く。
「ああぁ……っ」
(ワルちゃんのせいだ……)
(無理に和人の気持ち聞こうとしたりして、和人とケンカして……)
(だから、変身できなくて、和人をこんな目にあわせて……)
「……つまらん。 二人まとめて死ね」
(やだ、和人をもう酷い目に遭わせたくない……!!)
ワるきゅーレの魂の力で、和人が死ぬ事はない。
だが、相手は今までワルキューレが戦った事のある相手とはまるで格が違う。
この敵に今までの常識は通用しない。
この敵は本物の悪魔だ。
ワるきゅーレは本能的にそう悟った。
「……そうか。 そのゴミには貴様の魂が宿っているのか」
極わずかではあるが、徐々に和人の背中の大やけどが回復しようとしている兆しを見て、魔人はそう呟く。
「なら、魂を引き抜いて潰してやろう」
「仲良くあの世へ行くがいい」
ワるきゅーレにとっての死刑宣告。
この恐ろしい悪魔は和人を殺せる。
その気になれば今すぐに。
「……やだ」
「……何?」
「和人は絶対殺させないんだから!!」
「和人は絶対ワルちゃんが守るんだから!!」
ワるきゅーレはそう叫び、息も絶え絶えの和人の顔を両手で包み込むように挟む。
「……ワる、きゅー、レ」
「……和人、ワルちゃん和人の事大好きだよ」
「たとえ和人がワルちゃんの事、好きじゃなくったって」
「和人の事、大好き」
「だから、和人の事守りたい」
「和人の大切な人達も守りたい」
「……だから、もう一度、ワルちゃんに力を貸して」
ワるきゅーレはそう和人に伝えると、そっと和人にキスをした。
ぽうっ。
ワるきゅーレの体が光に包まれ、短い手足がすらりと伸び、薄い胸が豊かに膨らむ。
見る者に神々しささえ感じさせるほどの光の中で、8歳の少女ワるきゅーレが白の皇女ワルキューレへとその姿を変えた。
ワルキューレは胸元に浮かばせている和人をそっと地面に横たわらせると、右手に持った刻の鍵を振るい周囲の炎を消し去る。
「それが貴様の真の姿か。 白の皇女よ」
魔人の問いに対し、ワルキューレは刻の鍵を魔人に突きつけ凛とした声で宣言する。
「私の大切な人達を傷つけたあなたを絶対に許さない!!」
第3章
「許さなければどうする? 我を封じてみるか、過去の皇女達のように」
「黙りなさい!!」
もう、この男の声を聞くのが嫌だった。
姿を見るのも嫌だった。
今まで相対した敵に対してすら抱いた事さえないほどの嫌悪と憎しみに囚われたワルキューレは、負傷して倒れている和人達を
巻き込まないように上空へ飛ぶ。
「……ふん」
余裕なのか遊んでいるのか、魔人は和人達を巻き込むまいとするワルキューレの誘導にあっさりと引っかかって上空へと飛ぶ。
「刻の鍵よ……」
刻の鍵の力を開放すべく、いつもの詠唱を行うワルキューレ。
……だが。
「……かはっ」
いつのまに近づいたのか。
ワルキューレが視認する間もなく、懐に飛び込んできた魔人の強烈なボディブローがワルキューレの腹部に突き刺さり、詠唱が
途切れる。
ドゴォっ。
魔人はくの字に体を折り曲げたワルキューレの背中に肘鉄を叩き込み、ワルキューレを地面に落とす。
「あ、ぐっ!!」
ものすごい勢いで地面に叩きつけられるワルキューレ。
「がっ、かはっ、かはっ!!」
呼吸が出来ない。
苦しい。
ワルキューレは肺に酸素を取り込むべく必死に呼吸を繰り返す。
「かはっ、かはっ……!!」
どうにか呼吸が落ち着いたのを見計らったのか、魔人が上空から光球をワルキューレ目掛けて放つ。
「くっ!!」
ワルキューレは刻の鍵を両手で構えて鏡のようなバリアを張る。
だがパキィィィィィィィィィンっとガラスの割れるような音を立て、簡単にワルキューレのバリアを粉々に粉砕した光球が直撃し、
ワルキューレは吹き飛ばされる。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ずざあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
空中で1回転し、両腕を地面に擦りつけながら着地する。
「あぐっ……!?」
打撲と擦り傷の痛みを堪えながら、嫌な予感がして振り向いたワルキューレの顔に、魔人が右手に掴んだ大型の剣が振り下ろされる。
「くぅぅぅっ!!」
がきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ。
咄嗟に刻の鍵で受け止めるが、魔人はぎりぎりと剣を押し込んでくる。
「うっ、くっ……」
必死に両手で魔人の剣を受け止めるワルキューレの胸に、剣を持ってないほうの魔人の手がかざされた。
次の瞬間、ワルキューレはまた激しい衝撃を受け吹き飛ばされる。
「あぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
ワルキューレの胸元の生地が破れ、きわどい形で肌が露出する。
ワルキューレの白い胸元が赤く変色し、骨が折れたかと思うほどの激痛がワルキューレを苦しめる。
「っぐ……」
あまりの痛さに胸元に左手をやろうとした瞬間、魔人が目の前に迫ってきて剣を振り下ろす。
「くぅっ!!」
ガキィィィィン!!。
咄嗟に片手で刻の鍵を振るい剣を受け止める。
ワルキューレの刻の鍵を握る右手に鈍い痛みが走る。
ブォンっ!!
「ぐぅぅっ!!」
ガキィィィィンっ!!
二撃目の斬撃もなんとか受け止めるが、刻の鍵を握る指が千切れそうなほど痛む。
ブォンっ!!
ガッ、キィィィィィィィィィン……。
あまりに速く、そして重い斬撃に耐え切れず、刻の鍵がワルキューレの手から弾き飛ばされる。
「うっぁぁぁっ!!」
刻の鍵を弾き飛ばされた際に、ワルキューレの右手の指が数本、ありえない方向に曲がった。
「う、あああああ、ぐっ……」
指の激痛に思わず、無事な左手で右手を包むワルキューレ。
ガッ。
「がっ!!」
隙だらけのワルキューレの襟元を左手で掴み、自分のほうへと引き寄せると、魔人は剣をワルキューレの鼻先に近づける。
「あ……」
ワルキューレの鼻先に近づけた剣を、無造作に背後に放り投げると魔人はこう呟いた。
「……簡単に殺してもつまらんな」
パーンっ!!
「うあっ!!」
魔人の平手がワルキューレの左頬を打つ。
ワルキューレの口の中が切れ、血の味が口内を満たす。
「ふんっ」
頬を打った平手を握り拳に変え、今度は右頬に裏拳を放つ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
拳の一部が鼻に当たり、鼻血が出た。
幸い、鼻の骨は折れずに済んだようだが。
「姫様!! 姫様から離れなさい!!」
ボロボロにされたワルキューレの姿を見て、激怒した真田さんがバズーカを魔人に向けて発射する。
「失せろ」
だが、バズーカから発射された弾頭ごと魔人は真田さんを衝撃波で吹き飛ばす。
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
弾頭が爆発し、真田さんが爆発に巻き込まれた……。
「真田さん!!」
「他人の心配をしてるヒマがあるのか?」
ブオンッ。
そう言ってゴミを投げ捨てるように、ワルキューレを地面に叩きつける。
ドカァァァンッ。
「が、はあぁぁぁっ!!」
「がはっがはっ!!」
背中を強打し、激しく咳き込むワルキューレ。
「ふんっ」
魔人は咳き込むワルキューレに近づくと、下腹部から肩口にかけて蹴り上げる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!)
蹴られた所の生地が避け、巨大なミミズ腫れになってるのが確認できた。
体中が痛い。 鼻血も出ている。 顔を殴られて、口の中も鉄錆びの味がする。
ワルキューレが今まで生きてきた中で、こんな痛みを味わった事などなかった。
彼女が今まで経験してきた戦いは、いつももっとスマートな物だった。
全身に打撲を負い、血を流した事なんて一度もない。
どんな相手だって刻の鍵の力で一撃で倒してきた。
それなのに。
この相手には、今までの戦いの経験が通用しない。
満足に刻の鍵の力を使わせてもらえず、圧倒的な速さと重い攻撃で一方的に嬲られる。
まるで大人と子供。
いや、大人と赤子ほどの実力差がある。
「あぐっ、うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
いつのまにかワルキューレは泣いていた。
体中に感じるあまりの痛みに、涙が勝手に溢れて流れる。
それでも、気丈に魔人に立ち向かおうとするが……。
ドゴっ!!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人のつま先が腹にめり込む。
「う、うぐっ……」
口の中にこみ上げてくる物を必死に嚥下する。
「うっ、ぅぅぅ……」
涙を流しながらこみ上げてきた物を必死に嚥下し終えると、魔人がワルキューレの羽を無造作に掴で上を向かせ、顔を近づけて言う。
「どうした? もう終わりか?」
魔人は冷酷に口元を歪めてにやっと笑う。
「ひっ……」
(こ、怖いっ!!)
「い、いや……」
ワルキューレは泣きながら、力なくいやいやと顔を振る。
(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いっ!!)
「もう、終わりか? なら、そろそろ死ぬか?」
「……や、やだ」
(勝てない、こんな相手勝てない!!)
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
あまりの恐怖に半狂乱で泣き叫ぶワルキューレ。
「黙れ」
パァンっ。
魔人の平手で頬を打たれると、止まった鼻血がまた流れてくる。
……もう既に、ワルキューレには抵抗する気力すらなかった。
ただ、がたがたと震えて、泣きながら理不尽な暴力に耐える事しか出来なかった……。
第4章
「どうした、さっきの勢いは? 我を許さないんじゃなかったのか?」
魔人は戦闘不能になったワルキューレを蹴りつける。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
悲鳴を上げてサッカーボールのように宙を舞い、地面に叩きつけられる。
「あぐっ、ひっく……」
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!)
あまりの痛みにとうとう嗚咽すら出てきた。
「……ふん。 戦いの最中に泣くとは」
「貴様、それでも白の皇女か。 もっと抗ってみせろ」
「……どう、して」
「なんだ?」
「どうして、こんな事するんですか……」
「……なに?」
「私も……皆も……貴方に何も、してないのに……」
あまりの力の差に、とうとうワルキューレは弱音を吐いてしまう。
絶望的な状況下で、理不尽すぎる暴力にワルキューレの皇女としてのプライドも何もかもが、音を立てて崩れていく。
「どうして……ですか!?」
「どうして、だと?」
「理由など、お前達がヴァルハラの皇女である、ただそれだけで十分だ」
「そんな……」
ドゴっ。
「あぐぅっ!!」
「……これ以上痛めつけるだけなのもつまらんな」
ワルキューレの腹に蹴りを入れて魔人はそう呟く。
「そうだな、貴様を醜い化け物にでもしてやろうか?」
「げほっげほっ……!?」
「これを見ろ」
魔人はそう言って腰から魔術の道具である、見た事もない生き物の死骸を腰の道具入れから取り出して見せる。
そして、ワルキューレの目の前で死骸を変質させた。
ボコボコボコっ。
音を立てて、死骸の体中に目玉や触覚や言葉では説明出来ないような器官が発生し、まったく異質の化け物の死骸へと変貌する。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
目の前で起きたおぞましい変化に悲鳴を上げる。
「それとも、こういう化け物を生み出すだけの生命体にでもしてやろうか?」
手のひらの死骸を握りつぶして燃やしながら、冷酷な声でワルキューレに問いかける。
「いや、そんなのいや……」
がたがたと震えながら、首を振って怯えるワルキューレ。
「……情けないな。 貴様の祖先はもっと気丈だったぞ」
魔人はそう言うとワルキューレに向けて掌をかざす。
「生かしておく価値もない……もう死ね」
魔人の掌に灼熱の炎が発生する。
(こ、殺される……っ!!)
ワルキューレは何も出来ずに殺される自分の不甲斐なさに涙しながら、目を閉じた。
死ぬ瞬間まで自分を殺してしまう、目の前のこわいものを見ていたくなかったから。
……ドスッ。
死を覚悟して目を閉じたワルキューレの耳に鈍い音が聞こえたのは、目を閉じてすぐの事だった。
「……女の子を甚振って、喜んでるんじゃ、ない……ゲスめ!!」
第5章
「がっ……」
魔人の呻くような声。
ワルキューレが固く閉じていた瞼を開くと、目の前の魔人の腹から、刻の鍵の剣先が生えていた。
「き、さま……」
魔人が腹の底から響くような声で背後を振り返ると、はあはあと荒い息を吐きながら、魔人を刻の鍵を両手で突き刺している
血まみれの和人が立っていた。
「ぐっ……」
魔人はその場に膝を付くとそのまま動かなくなる。
「はあ、はあっ……。 ワルキューレ、大丈夫かい?」
「……和人……様?」
「遅くなって、ごめん」
「……か、和人様ぁっ!!」
和人の顔を確認し、ワルキューレの顔に笑顔が浮かぶ。
体中が痛かったが、今はただ和人に抱き締めて欲しかった。
それだけで、この悪夢が終わった事を実感出来るから。
ワルキューレは和人の胸に飛び込もうとする。
「えっ!?」
和人が呆けた様な声を上げた瞬間、和人の腹から刻の鍵がその刀身を覗かせていた。
どさっ。
和人が前のめりに地面に倒れる。
ワルキューレの涙を浮かべた笑顔が凍りつく。
「……少し痛かったぞ」
地面に倒れて腹から血を流している和人と、腰を浮かせたまま固まっているワルキューレを睨みつけながら、魔人が刻の鍵を片手に
立っていた。
第6章
「和人様!? 和人様!?」
我に返ったワルキューレが倒れている和人に駆け寄る。
「和人様、しっかりしてください!!」
「ワル……キューレ……」
「ど、どうして……」
ワルキューレに抱えられた和人が血を吐きながら、魔人を睨む。
「あのくらいの傷で我が死ぬものか」
「くっ……」
「白の皇女に気を取られていたとはいえ、ゴミが我に傷をつけるとはな……」
「分を弁えろゴミが」
魔人はそう言って刻の鍵を和人の胸に突き刺す。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「和人様!?」
「このまま精神が壊れるまで甚振ってから、貴様の中にある皇女の魂を引きずり出して殺してやる」
冷酷な声でそう告げ、和人の胸に突き刺した刻の鍵で和人の胸を抉る。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「和人様!! お願いです、やめてください!!」
和人を抱えたワルキューレが魔人に懇願する。
「だまれ」
ドンッ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人の左手から放たれた衝撃波が、和人からワルキューレを引き剥がして吹き飛ばす。
「貴様に刺された傷がまだ癒えぬ……傷が癒えるまで数倍の苦しみを与えてやろう」
魔人は右足を上げると一気に和人の右足を踏み抜いた。
バキボキバキィっ!!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
嫌な音を立てて、和人の右足がふとももから粉砕される。
「ふんっ」
バキボキバキィっ!!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
続けて左足も粉砕される。
「……もっと苦しめ」
ドスっ。
魔人の手刀が和人の左目を抉る。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
和人の絶叫が木霊する。
「和人様!! お願いします!! なんでもしますからこれ以上和人様を苦しめないで下さい!!」
ワルキューレが暴虐の限りを尽くす魔人に必死に懇願する。
「……何でも、だと?」
魔人の動きが止まる。
「ばか、言う、な……逃げ……ろ」
息も絶え絶えに和人はワルキューレに言うが、ワルキューレは大地を這いつくばりながら、和人のほうへと近づいていく。
「私は、どうなっても、かまいませんから……」
「和人様だけは、私の大切な人だけは……っ」
「……ふん」
魔人は這いつくばって来たワルキューレの頭を踏みつけると、ぐりぐりと踏みにじる。
「お願いします……お願いします……」
「和人様を、殺さないで下さい……」
頭を踏みつけられるという屈辱を甘んじて受けながら、ワルキューレは必死に和人の命を救う為、憎むべき相手に懇願する。
「ワル、キューレ……」
動く事さえ出来ない和人は、無力な自分に涙しながらワルキューレの名前を呼ぶ。
「……いいだろう」
魔人はワルキューレの頭から足をどかすと、ワルキューレのあごを右足のつま先で跳ね上げ、前髪を掴んで無理矢理立たせる。
「貴様が自分の身を差し出すというなら、このゴミの命だけは助けてやる」
「……はい」
「ふん」
魔人はワルキューレの首に一瞬で錬成した鎖の付いた首輪を装着すると、鎖を引っ張ってワルキューレを地面に倒す。
「貴様はもう皇女ではない。 ただの実験動物だ」
「……はい」
ワルキューレは消え入りそうな声で魔人に答える。
「ワルキューレ!!」
和人は必死に立ち上がろうとするが、立ち上がることが出来ない。
「一週間だ」
「なに?」
「一週間後、この女はこの世から消える」
「なんだと……」
「これからの一週間、力のない自分自身を呪って過ごすがいい」
「大切な女一人守ることの出来ない、情けない自分自身をな」
魔人とワルキューレの上空から、宇宙海賊の戦艦から回収用の光が降りてくる。
「だめだ!! ワルキューレ逃げるんだ!!」
和人は必死にワルキューレに訴えかける。
「和人様……今まで、ありがとうございました」
ワルキューレが涙を浮かべながら、和人に深く頭を下げる。
「……ワルキューレ?」
「和人様の中の私の魂はもう、ほとんど和人様の肉体に定着しています……」
「だから……もし私が死んでしまっても、和人様は大丈夫ですから……」
「な、何言ってるんだよ……」
ワルキューレの体が光に包まれ、小さな少女へとその姿を変える。
「さよなら、和人……」
「今まで……本当にありがとう。 ワルちゃん、和人の事大好きだったよ……」
ワるきゅーレの瞳から涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。
「ワるきゅ……」
魔人とワるきゅーレの姿が光に包まれ、和人の前からその姿を消した。
「ワる、きゅーレ……」
「ワるきゅーレーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
和人は宇宙へと去っていく海賊船を見つめ涙を流しながら、大切な少女の名を絶叫するのだった……。
第3話END
次回、姫様陵辱します。
GJ!
次回が激しく気になる。
187 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 01:56:19 ID:zZ0wixsq
GJ!
漫画メインな俺には和人のピンチでもギャグにしか見えない
殺しても死なないし
>>188 ギャグマンガからシリアスな話にするとドンナもんでもそーなるって。
保守
191 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 21:33:39 ID:QTHjDKtj
面白い。続き期待してますよ。
保守
ヴァルハラの戦神伝説の続きちょこちょこと作成中です。
楽しんでくれる人が一人でもいれば幸いです。
ところでコテキライなんだけど、コテつけた方がいいですか?
>>186-187 現在続き作成中です。
所詮素人の妄想なので、あまり期待せずお待ち下さい。
>>188 アニメ一期でトリアムの変な機械であっさり魂を抜かれたり、小説で記憶喪失の姫様が無意識に和人から魂を取り返そうとしたりする描写があるので、和人の不死身はしょせん仮初の不死として描いてるつもりですが、マンガメインの人にはやはりギャグにしか見えませんよね。
>>189 シリアスなのは今だけです。
アニメでもマンガでもシリアスな時があるのでそんな感じにしたいのですが……。
>>191 ご期待に添えるといいんですが……。
月村脚本と介錯マンガのセオリーを壊したいので、ちょっと違う感じの展開になると思います。
保守
千羽ちゃん×雛子まーだー???
保守
とりあえず出来てる分だけ投下します。
夜に残りを投下予定です。
第1章
「いや……来ないで……」
ヴァルハラ皇宮にある、ワルキューレの自室。
ベッドの上でワルキューレが目に涙を浮かべて、顔を振りながら拒絶の言葉を弱弱しく絞り出すように吐く。
「……ふん」
怯えるワルキューレの腕を掴み乱暴に引き寄せると、魔人はワルキューレの胸倉を掴み彼女の服を引きちぎった。
ビリイィィィィィィィィィィっ。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレの白くて形の良い双乳が、裂かれた服の間から、ぷるんとその姿を現す。
「きゃあぁぁっ!!」
魔人は乱暴にワルキューレをベッドの上に突き飛ばすと、彼女から奪った刻の鍵を突きつける。
「忘れたか? 貴様はもうただのモノだということを」
「………」
ワルキューレは胸を両腕で隠しながら、怯えた表情で魔人を見つめる。
「隠すな。 貴様のすべてを見せろ」
「そ、そんな事……」
「己の身を差し出すという約束を守れぬなら、もう一度地球に行ってあの男を殺す」
「!? わ、わかりました……」
ワルキューレは目に涙を浮かべたまま、両腕を下ろす。
「……ふん」
「うぅ……」
和人以外の異性に裸身を晒す事に、ワルキューレは耐え切れなかった。
ワルキューレの閉じた瞳から、涙がぽろぽろと溢れ頬を濡らす。
「……ひっ!!」
魔人がワルキューレの胸を掴み、乱暴に揉みしだく。
「い、いやぁ……!!」
魔人への嫌悪感と、男に胸を揉まれる事に、ワルキューレは泣き声を上げて顔を左右に振る。
「……あの男を殺されたいのか?」
「っ!?」
魔人の冷徹な言葉にワルキューレは俯むき、黙る。
「ふん」
魔人は一通りワルキューレの胸の感触を楽しんだ後、羞恥と恐怖で泣きながら震えている彼女に残酷な命令を下す。
「服を脱いで股を開け」
「っ!? そ、そんな事……」
ワルキューレは顔を真っ赤に染めて、わなわなと震える。
「命令だ」
「……は……い」
ワルキューレはおずおずと己の着ている衣服に手をかけようとする。
「待て」
「え……?」
「やはり下半身だけ裸になって股を開け」
「か、下半身だけ……?」
唐突な魔人の要求にワルキューレは戸惑う。
「早くしろ」
「わ、わかりました……」
ワルキューレは下半身だけ裸になると股間を両手で隠しながら、俯く。
「さっさとしろ」
「……はい」
「う、うぅぅ……」
ワルキューレはベッドの上に座ると両足をおずおずと開いてゆく。
「ハハハハハハ、見るがいい。 今の自分の姿を」
「憎い相手に股を広げて許しを請う、情けない自分の姿をな!!」
魔人はそう言ってワルキューレの前に大きな鏡を作り出して、彼女の姿を映して見せる。
「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
破れた服から胸だけをはだけさせ、下半身には何も履かず、誰にも見せた事のない性器を両足を広げて曝け出している。
あまりに惨めな自分の姿に、ワルキューレはとうとう顔を両手で覆って、ベッドの上で丸くなって号泣する。
「黙れ」
「うぅぅ、ひっく……」
ワルキューレは魔人の命令に必死に嗚咽を堪える。
「白の皇女よ、貴様は生娘か?」
「うぅ……」
「答えろ」
「は、はい……」
「男がいるのに生娘だと?」
「……私と和人様はまだ、そこまでの関係には……」
ワルキューレは涙を堪えながら魔人の問いに答える。
「そんな言葉を信じると思うか?」
「……」
「……ふん、まあいい。 調べて見ればすぐにわかる」
「……えっ?」
それは、一瞬の事だった。
ワルキューレが反応するよりも速く、魔人は彼女の左足を掴んで股を広げさせる。
そして手にした刻の鍵の刀身を掴み、柄をワルキューレの性器に押し当て、一気に押し込んだ。
メリメリメリっ……。
「ひっ、いやあっ……!!」
異物を受け入れる準備の出来ていない性器に、むりやり刻の鍵の柄を押し込まれる痛みにワルキューレが絶叫する。
……ブチィっ。
「ひあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレの純潔の証が、刻の鍵の柄で無残に引き裂かれていく。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、痛い、痛い……っ」
目を見開いて涙を流しながら、魚のように口をぱくぱくとさせる。
刻の鍵の柄をぶち込まれた秘唇から、真っ赤な鮮血が滴り落ちてベッドのシーツを赤く染めていく。
「……ほう、本当に生娘だったのか」
「あう……うあぁぁぁぁ……」
「どんな気分だ? 自分の武器でオンナになった気分は?」
「あぐ、あぁぁぁぁ……」
「答えろ」
魔人はワルキューレの股間に突き刺さっている刻の鍵を、乱暴に抜き差ししはじめる。
ずっちゅずっちゅ……。
破瓜の鮮血を潤滑油の代わりにして抜き差しされる刻の鍵が、今まで一度も異物を受け入れたことのない産道をぐちぐちと拡張する。
「ひいゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 痛いっ痛いっ痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
ワルキューレは股間の激痛に大声で泣き叫ぶ。
「そらそら!!」
ずちゅっ、ずちゅっ、ぐちゅうぅぅっ。
ぐりぐりと刻の鍵で円を描くように狭い産道を拡張していく。
「いたあいぃぃっ!! いたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぃっ!! お願い!! やめてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
両手でベッドを這うように逃げようとするが、魔人は容赦なく股間を責め続ける。
「いたいっ、いたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!」
あまりの激痛に大声で泣き叫ぶワルキューレ。
ぷしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……。
ついに失禁さえしてしまう。
「いや、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ふん、とうとう小便までもらすとはな……。 どこまでも情けない皇女だ」
魔人は小便まみれになった刻の鍵を引き抜き、ワルキューレをなじる。
「う、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレはベッドに顔を伏せ、子供のように大声で泣き出す。
「黙れ」
魔人はそう言ってベッドの上に乗ると、ベッドの上でうつ伏せになって号泣するワルキューレの左足を持ち上げる。
そして、堅くそそり立った己のペニスを破瓜の血と小便で濡れたワルキューレの秘唇にあてがい、一気に貫いた。
「ひぐぅぅぅぅっ!!」
「あ……いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
生まれて初めて男根を胎内に受け入れさせられ、喉が枯れんばかりの絶叫を上げる。
「そらそらそらっ、貴様が所詮ただのメスだという事を思い知らせてくれる!!」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!! 抜いてっ!! 抜いてくださいぃぃぃぃっ」
ワルキューレは長い髪を振り乱して魔人から逃れようとする。
だが、魔人はワルキューレの左足を掴んだまま、何度も何度も己の腰を彼女の股間に叩きつける。
「ひあぁぁぁっ!! いたいっいたいっ!! やめてぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人が己の腰を付き込むたびに、亀頭の先がワルキューレの子宮口をごつごつと突き上げる。
「いたい、いたいぃぃ……」
魔人に突き上げられるたびに、ワルキューレは嗚咽をあげる。
前戯もなしに異物を挿入され、休むまもなく男根を受け入れさせられる。
あまりに非人道的な責めに、ワルキューレはただ泣くだけだった。
「ククク、大分具合が良くなってきたぞ」
産道の痛みを少しでも和らげようと、ワルキューレの意思とは関係なく愛液が分泌され、魔人の男根がスムーズに抽送されはじめる。
「憎い男に犯されているというのに、貴様の性器は我を受け入れようとしているぞ!!」
「ち、ちがう…ちがいます……」
「何が違うものか。 貴様の肉管はこうしている今も、我の精を必死に搾り取ろうとしているぞ」
ぐちゅぐちゅぐちゅっ!!
激しく抽送を繰り返しながら、円を描くように秘唇を広げるように刺激を与える。
「いやあぁぁぁっ!! もう、もうやめてぇぇぇぇぇぇっ!!」
「何が嫌だ。 貴様の肉管はこうしている今も我の物を締め付けているというのに」
「そら!! 今も貴様のここは粘膜細胞全てを使って亀頭を舐め、陰茎を締め付けて子宮に精を吐き出させようとしている!!」
「ふん!! 皇女と言っても所詮はただのメスか!!」
「ちがう、ちがうの……」
「憎い男に犯されてるというのに、こうして憎い男に媚を売る性器を持つメスが皇女とは片腹痛いわ!!」
「ちがう、ちがう……っ」
「そうら、そろそろ我が精を注ぎ込んでくれる!!」
「!?」
ワルキューレの胎内の男根が膨張し、更に堅くなる。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! お願いです!! 胎内にだけは出さないで!!」
「黙れ」
魔人は反狂乱のワルキューレの口元を掴むと、彼女の頭をベッドに押し付ける。
「んーっ、んぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
泣きながらワルキューレは顔を振る。
だが、魔人は容赦なく腰の動きを早める。
そして、彼女の子宮口をむりやりこじ開けようと亀頭をねじ込もうとする。
(いっ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!)
ワルキューレの瞳から、より沢山の涙が溢れ出す。
ごりっ。
「!? んぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
胎内の肉口が、むりやりこじ開けられる音が聞こえたような気がした。
破瓜の時のような激痛が、体の中心から走る。
ワルキューレは体を仰け反らせて、声にならない絶叫を上げる。
どぷっどぷとぷどぷっ……。
熱い迸りが体の中心に向けて放たれる。
「んうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
涙を流し続ける目を大きく見開き、声にならない絶叫を上げ続ける。
ワルキューレの女性としての性が、完全に汚された瞬間だった。
「くくくくく、良い具合だったぞ」
ワルキューレの秘所から、破瓜の血と自らの精液でピンク色に染まった男根を引き抜いて魔人は言う。
「うあぁぁぁぁぁぁ、やだ、やだ、こんなの嘘、こんなの嘘……」
ワルキューレはぽっかりと口を開けたままの膣口から、魔人の精液をだらだらと垂れ流しながら、うわ言のように呟き続ける。
「ふん、これが現実だ」
魔人はぶつぶつと呟き続けるワルキューレにそう吐き捨てると、身繕いを終えて部屋を出て行こうとするが。
「明日もまた、貴様を使ってやる。 ありがたく思え」
ドアの前でワルキューレに向かってそう言うと、魔人は部屋を出て行った。
「う、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
一人残されたワルキューレは声を上げて泣いた……・
「……もう、やだ……」
魔人が出て行った後、泣きつくしたワルキューレは股間からドロドロと精液を垂れ流したまま、部屋に飾られている花瓶を手に取る。
そして、花瓶をベッドの柱に叩きつけて割ると破片を手に取る。
「……ごめんなさい、和人様……」
「……私、汚されてしまいました……」
「……こんな目に遭うのだったら、もっと早くに死ねばよかった……」
そう呟いて、ワルキューレは花瓶の破片で手首を切った……。
第2章
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ベッドの上に寝かされていた和人が絶叫とともに跳ね起きる。
「はあっ、はあっ……なんて、夢だよ……」
和人は憔悴しきった顔で呟く。
「お兄ちゃん良かった! 気がついたのね」
上半身を起こして和人が拳を握り締めていると、冷水の入った洗面器を持ったリカが部屋の中に入ってきた。
「リカ……」
「お兄ちゃん、あれから丸一日寝てたのよ……」
リカがそう言って、目尻に溜まった涙を拭う。
「リカ、ここは?」
見慣れぬ光景にそう尋ねると、リカはここはメームの円盤の中だと答えた。
傷ついた皆を治療するため、メームが呼び寄せて今は皆、治療用ポッドの中で眠っているとも言った。
そして今、この円盤は宇宙を航行中で軍事協定を結んでいる星と連絡を取り、ヴァルハラ星系へ向かっている所だと付け加える。
「……そうか、メームさんの円盤の中か……」
「……そうだ。 リカ、ワるきゅーレは……」
和人の言葉を聞き、リカは顔を曇らせる。
「……ワルQは……」
「……そう、か」
突如として現れた魔人にワルキューレが敗北し、連れ去られた現実。
和人は改めて非情な現実を突きつけられ、固く拳を握り締める。
「お兄ちゃん、何してるのよ!?」
リカが和人の手を掴んで声を荒げる。
和人がリカの言葉にふと我に返り自分の手を見ると、爪が手のひらに食い込んで血が流れていた。
「……こんなもの、どうってことないよ」
和人はそう言ってリカの手をを振り払うと、ベッドの上から立ち上がり部屋を出て行こうとする。
「お兄ちゃん、どこへ行くの?」
リカの問いかけに和人は振り向くことなく答えた。
「……ワるきゅーレを助けに行く」
「な、何言ってるのよ!! みんなあの魔人に勝てなかったのに!!」
リカは和人の腕を掴んで引き止める。
「……リカ、手を離して」
「いやよ!! 大体どうやってワルQの所に行く気なのよ!!」
「……ライネに頼んで円盤を借りる」
「無茶言わないで!! 一人で助けに行く気なの!?」
「……離してくれよ」
「いやっ!! せっかく助かったのにおにいちゃん、今度は本当に殺されちゃう!!」
「……僕は死なないよ。 僕の中のワルキューレの魂が」
「ウソ!!」
「秋菜ちゃん達が聞いてたのよ。 あの魔人はお兄ちゃんからワルキューレの魂を引きずり出せるって」
「………」
「せっかく命が助かったのに、それを捨てに行くなんて、そんなの行かせられるわけないじゃない!!」
リカは必死に和人を説得しようとする。
「……僕の命なんて、どうだっていい」
「お兄ちゃん!?」
「今こうしてる間にもワるきゅーレが酷い目にあってるかもしれないんだ。 だから助けに行く」
「バカな事言わないで!!」
リカが声を荒げる。
「……バカな事?」
「バカな事って何だよ!! ワるきゅーレは僕を守る為にさらわれたんだぞ!!」
「今、こうしてる間にもワるきゅーレが殺されてしまうかもしれないのに!!」
「よくもそんな薄情な事が言えるな!!」
和人はリカの腕を振り払って怒鳴る。
「お、お兄ちゃん……」
「何と言われようと、僕はワるきゅーレを助けに行く」
「駄目よ……お兄ちゃん、殺されちゃう……」
リカは目に涙を溜めながら、和人の腕を弱弱しく掴む。
「……リカ、その手を離すんだ」
「いや……!!」
リカはいやいやと顔を振りながら和人の腕を掴む力を強める。
「……リカ、その手を離せ……」
「いやよ!!」
「離せ!!」
和人は無理矢理リカの腕を振り払う。
「あっ……」
リカの瞳から、涙が流れる。
「……っ!!」
和人はリカから顔を逸らし、背を向ける。
背を向けて逸らした顔を正面に向けると、そこに秋菜が立っていた。
パアンっ!!
乾いた音が響く。
「あ……」
和人の左頬が熱を持って痛む。
「和人のバカっ!!」
秋菜を和人の頬を打った右手を下ろし、叫ぶ。
「ワルQの事を心配してるのは和人だけじゃないのよ!!」
「それなのに、自分だけが心配してるみたいに……っ!!」
「秋菜……」
「ワルキューレは和人を守る為にあいつに自分から捕まったのにっ!!」
「何の策も立てないで一人で行こうなんてっ……!!」
「それにもし和人までいなくなったら、リカちゃんはどうなるのよ!!」
「秋、菜……」
「リカちゃんだけじゃない……。 あたしだって……」
「あたしだって、和人の事が心配なのよ!!」
秋菜はいつの間にか泣いていた。
和人は妹と幼馴染を泣かせた事に自己嫌悪する。
「……ごめん。 リカ、秋菜……」
和人は俯いて、ふたりに謝った。
「お兄ちゃん、助けに行くならみんなで策を練ろう?」
「そうよ。 みんなでやればきっと何とかなるわ」
涙を拭って、リカと秋菜が優しい声で和人を諭す。
「……っ」
和人の瞳から涙が流れる。
「ごめん……。 ふたりとも、ありがとう……」
「そうだな。 皆でやれば何とかなるさ」
「……シロ」
いつの間にか、全身に包帯を巻いたシロが廊下に立っていた。
「いよう、今回は大変だったみたいだな」
「今回の件は宇宙海賊の連中が絡んでるそうだな。 俺も手を貸すぜ」
シロの背後で、壁にもたれかかった妙とマルが和人に不敵な笑みを見せる。
「二人とも、手を貸してくれるのかい」
「ああ」
「まあ……友の為、だしな」
「……ありがとう、みんな」
和人は心から感謝するのだった。
とりあえずここまで。
続きはまた夜に。
和人も周りのみんなもかっこいい!
続きに期待してますよ!
もっといろんな手法で攻められる姫様をじっくりキボン。
助けに行くまでまだまだ時間はあるぜ!
魔人てオリキャラ?
211 :
〜ヴァルハラの戦神伝説〜第4話 裂かれた絆:2005/11/14(月) 01:12:04 ID:mr49bXH9
第3章
「婿殿、もう身体は大丈夫なのですか?」
和人達がブリッジへ向かうと、既にメーム達7人の皇女が集まっていた。
「はい。 ワルキューレの魂のおかげで……」
メームの問いに和人はそう答える。
「……そうですか」
和人の答えを聞いて、彼の心境を思いそれきりメームは黙ってしまう。
「……それで、状況はどうなってるんだ?」
しばらくの沈黙の後、シロがそう切り出すと、包帯を巻いたネスティーが車椅子の上から答える。
「……現在、ヴァルハラ星は魔人に制圧されている」
「ヴァルハラ艦隊もすべて奴に奪われた。 我々に残されているのは、この宇宙船を含めた数隻しかない」
「……最悪だな」
「おいおい、そりゃ何の冗談だい。 おまえさんがいながら、たった一人の相手に制圧されちまったってぇのかい?」
妙がネスティーにそう疑問を投げかける。
ネスティーは、皆が一目置くほどの存在である。
妙の疑問ももっともだったと言えよう。
「……奴は、本物の悪魔だ」
悔しげに拳を握り締め、ネスティーは答える。
「……奴は、私の率いるヴァルハラ艦隊の前に突然現れた」
ネスティーは魔人に襲われたときの事を語りだす。
「……私は宇宙海賊の残党を殲滅する為、奴等を追っていた」
「だが、あと一歩という所まで追い詰めたその時、奴等はランダムワープで逃亡した」
「……ランダムワープ?」
聞きなれない言葉に秋菜が首を傾げる。
「通常、円盤や戦艦がワープを行う場合は、ワープ先の座標軸等を設定してワープを行うんだ」
「だけど、ランダムワープというのはその設定を行わずにするワープなんだ。 行き先を決めずにワープするからどこに出るか判らない」
「運が悪いと惑星の重力圏に捕まったり、ブラックホールや太陽などの危険な場所に出る場合もある」
「連中、そんな危険な事をしたの?」
コーラスの説明を聞いてリカが驚きの声を上げる。
「……まあ、ネスティーに追い詰められて、奴等それくらいしないと逃げられない思ったんだろうな」
マルが腕を組んでそう呟く。
「……そのとおりだ。 私はすぐに全軍に指示を出した。 奴等を必ず探し出せと」
「だが、奴等は見つからなかった。 戦艦の補給もしなければならなかったし、仕方なく一度ヴァルハラ星に戻った」
「そして、ヴァルハラ星に戻った私が見た物は、破壊されたヴァルハラ宮殿と、消えたはずの宇宙海賊の戦艦だった」
「私の艦隊を見た海賊船は攻撃を仕掛けてきた。 私はすぐに応戦しようとした。 その時だった」
「何者かが、私の戦艦の外壁を破壊して侵入したのだ」
「侵入者は艦内の防衛システムを物ともせず、ブリッジに侵攻してきた」
「それが、あのリョーエツと名乗る魔人だった」
「私は奴を排除するべく戦いを仕掛けた。 だが、奴の力は私よりも遥かに上だった……」
そこまで言って、ネスティーはぎりっと歯軋りをする。
そして悔しげに屈辱的な事実を告げる。
「……私は奴に一方的にやられ、負けてしまった」
「奴は満足に戦えなくなった私を戦艦の外へ投げ捨てた」
「大地に叩きつけられる寸前、私は気力を振り絞ってなんとか上空へと駆け上った」
「そこで私が見た物は、おぞましい化け物の群れが私の艦隊を攻撃している光景だった……」
「戦艦のブリッジに侵入し、中の乗組員を外へと放り出す化け物」
「武器庫の中に進入し、内部から破壊してまわる化け物」
「そんな光景だった……」
「私は全乗組員に船を捨てて逃げろと叫んだ。 だが、逃げる事の出来た者はほとんどいなかった」
「化け物から別れてきた何か……何かとしか言えないようなおぞましいモノが乗組員に張り付いた瞬間、彼らは襲ってきた化け物と同じ
モノになってしまった」
「次々と化け物が増えていく中で、魔人は私の元へと再びやってきてこう言い放った」
「この星は既に手中に収めた。 だが白の皇女の姿が見つからない。 白の皇女はどこにいる、と」
「もちろん私は答えなかった。 だが、奴は私を捕らえ私の記憶を魔術のような物で調べた」
「そして気が付いた時には、化け物で溢れた宇宙海賊の戦艦に、私は捕らえられていた……」
「……そんなとんでもない相手が、今回の敵なのか……」
マルがそう呟く。
「連中もそんなとんでもない奴を復活させるなんて、何考えてんだか」
妙のぼやく言葉にネスティーが答える。
「……いや、おそらく奴等も自ら望んで、あの魔人を復活させた訳ではないだろう」
「……どういう事だ?」
シロがネスティーに言葉の意味を尋ねる。
「化け物の身体の一部から、宇宙海賊のボスの姿が見えた。 おそらく、魔人に化け物にされたんだろう」
「……それに、本来あの魔人は、ヴァルハラ星に伝わる昔話にしか出てこない存在だった」
「……昔話?」
和人がそう尋ねるとネスティーはうんと頷く。
「昔からヴァルハラ星で、親達が自分の子供達に聞かせてきた昔話だ。 悪い子の元には悪い魔法使いがやって来て、怪物に変えて連れ
去ってしまうというな」
「そんなヴァルハラ星の昔話にしか出てこない存在が実在するなんて、誰も思わないし、奴等がそれを知ってたとも思えない」
「……多分、奴等の宇宙戦艦が魔人の封印されていた場所に、ランダムワープで突っ込んで封印を壊したのだろう」
「そして、魔人に忠実な僕である化け物にされた。 おそらくそんな所だろう」
「それに、奴に乗っ取られた戦艦にまともな姿を保っている人物はいなかった。 多分、この仮説は当たっているはずだ」
「また、奴の身に着けている物も宇宙海賊から奪った物だろう。 以前、奴と同じ格好をしていた相手と戦った事がある」
ネスティーはそれだけ説明すると、ふうとため息をついた。
「……昔話の悪い魔法使い……」
「……一体、どんな昔話なんですか? もしかしたら、その昔話に魔人を倒す手立てがあるかも……」
和人がそう言うと、メームがその口を開いた。
第4章
「……むかしむかしの事です」
「とても大きな戦いがありました。 とてもとても長い戦いでした」
「緑豊かなヴァルハラ星を、自分達の物にしようという、悪い異星人とヴァルハラ星人との戦いでした」
「長く苦しい戦いの末、ヴァルハラ星人達は異星人を倒す事に成功し、戦いは終わり平和な日々が戻ってきました」
「そして平和な世になって十数年が経ちました。 戦いを生き残った人々にも子供が生まれ、皆が幸せに暮らしていました」
「そんなある日の事です。 親の言いつけを守らず、行ってはいけないと言われていた森で遊んでいた子供達が帰ってこなくなりました」
「大人達は帰ってこない子供達を心配して、森の中を探して回りました」
「そしてやっと子供達を見つけたその時、親達が見たことのない一人の男が子供達に命令しました。 おまえ達の親を殺せと」
「男に命令された子供達は親達の目の前で、醜悪な怪物へと姿を変えて親達を殺してしまいました」
「親達が動かなくなったその時、怪物にされた子供は泣き叫びました。 そして動かない親達を必死に揺すって起こそうとしました」
「ですが怪物にされた子供達はもう、自分の意思で自らの肉体を動かす事さえ出来ませんでした」
「やがて男は泣き叫ぶ子供達を連れて、森の奥深くへと去って行きました」
「ちょ、ちょっと待ってメームお姉様」
「あたくしが昔ばあやから聞いた話だと、戦争がどうなんて描写はありませんでしたけど……」
「……それに確か、親のいう事を聞かずに森の中で遊んでて、悪い魔法使いにおばけにされた子供達が、親達の目の前で連れ去られてお
しまい、だったかと」
ライネとコーラスがメームにそう問いかける。
「……この昔話は、小さい子供相手には残酷すぎるから、内容を変えて話すのよ」
「大抵の小さな子はコーラス、貴女が今言った内容で、親の言う事を聞かない子は駄目というお話だと理解するから」
「本当は怖いグリム童話、みたいな物ですか?」
リカがそう尋ねると、メームは頷いて話の続きをする。
「ですが、本当に恐ろしい事が起こったのは、それから数日後の事でした」
「ある日、宮殿の庭園で白の皇女が遊んでいる幼い妹姫の面倒を見ていた時の事です」
「突然、街から爆発音と共に火の手が上がりました」
「白の皇女は慌てて妹姫を抱きかかえ、両親や他の姉妹に報告に向かったその時、森の中で子供達を怪物に変えた男が目の前に現れま
した」
「男の放つ異様な雰囲気に、幼い妹姫が怯えて泣き出します」
「白の皇女が男に問いかけます。 あなたは一体誰と」
「男は白の皇女に向かって言いました」
「我はおまえ達に滅ぼされた一族の生き残りだ。 一族を滅ぼされた恨みを今、晴らしてやると」
「男はそう言って、泣き叫ぶ妹姫を白の皇女の腕から奪い取ると、白の皇女の目の前で妹姫を怪物に変えてしまいました」
「そして、怪物に変えた妹姫に姉である白の皇女を襲わせました」
「白の皇女は必死に妹姫に語りかけますが、怪物にされた妹姫は泣きながら襲い掛かってきます」
「白の皇女が妹姫に殺されそうになったその時、駆けつけた兵士の槍が妹姫を貫きました」
「槍で心臓を貫かれた妹姫は、床の上に倒れると元の小さな少女の姿へと戻りました」
「可愛がっていた妹姫が無残な死を迎え、白の皇女は泣き叫びました」
「騒ぎを聞いて駆けつけた他の皇女達が見た光景は、とても残酷な光景でした」
「妹姫の亡骸を抱えて泣きじゃくる白の皇女に、妹姫を怪物に変えた魔人が剣を突きつけたその時、妹姫を殺されて怒った皇女達が、
剣や槍を手に取って、魔人に立ち向かっていきました」
「けれど、魔人はとても強く、皇女達は皆倒されてしまいました」
「残された白の皇女を魔人は片手で捕らえると、皇女の首を折ろうと力を込めて首を絞めました」
「意識が朦朧とする中、白の皇女は殺された妹姫の事を想いながら、最後の力を振り絞って、護身用に父王から貰って携帯していた短剣
を魔人の顔に突き立てました」
「すると、短剣が光り輝き、魔人を柄の中央にはめ込まれた宝玉の中へと吸い込んでしまいました」
「白の皇女が持っていた短剣には、刺した相手を短剣の中に封じ込めるという、罪悪人を捕らえる為の魔術がかけられていたのです」
「魔人が自らの力を過信していた事が、明暗を分けたのでした……」
「それから、それからどうなったんですの?」
白の皇女の妹姫が殺されたと聞いて、ライネが続きを聞かせて欲しいとねだる。
「魔人が消え去ると同時に、街を襲っていた怪物の姿は溶けて消えてしまいました。 そして、怪物の消えた後には子供達が倒れていま
した」
「子供達は魔人が消え去った事で、元の姿に戻れたのです」
「……ですが、死んでしまった妹姫は生き返る事が出来ませんでした」
「白の皇女は何度も何度も、妹姫に自分の魂を分け与えようとしました」
「けれど、怪物にされた上に心臓を貫かれて死んだ妹姫の身体は、姉の魂を受け入れることすら出来ない状態だったのです」
「それでも、白の皇女はあきらめませんでした」
「まだかすかに身体に残っていた妹姫の魂を、自らの内に取り込んだのです」
「……そして数年後、成長し婿を取った白の皇女は一人の女の子を出産しました」
「……その女の子は、妹姫の生まれ変わりでした」
「生まれ変わった妹姫は、妹姫だった時に元々生まれ持っていた白の皇女の力に加え、姉の子として生まれ変わった事で、更に母親から
受け継いだ力を加えた二人分の皇女の力を持った皇女として育ちました」
「そうして大人になった頃には、類まれなる力を持った白の皇女として、民を守り、導きました」
「そして、二度と魔人が現れる事のない様に、母親が魔人を封じた短剣を、誰も近寄る事のない死の惑星へと二重に封印しました……」
「……これが、魔人に関わる昔話の全文です」
「……なんか、思いっきり昔話って感じ」
「うん、最後なんか特に」
秋菜とリカが感想を口にする。
「……生まれ変わりって、もしあたくしの魂をお姉様が取り込んだら、あたくしはお姉様の子に生まれ変われるのかしら……」
ライネは赤ん坊になった自分がワルキューレに抱かれている姿を想像する。
「……いいかも」
「……魔人の弱点になりそうな描写はないな」
「……ああ、封印も相手が油断してたから出来たようだしな」
「……それに相手も馬鹿じゃないだろう。 多分二度同じ手は通じねえわな」
妄想に耽るライネをスルーし、シロ達がそう呟く。
「……それにその短剣も今はないし。 一体どうすれば……」
和人も腕を組んで考え込む。
「……いや、手は……ある」
皆がどうしたものかと考えあぐねていたその時、ネスティーが口を開いた。
「確かに、当時の白の皇女が封印に使った短剣はもうない」
「だが、その後にヴァルハラ星に起こった『時のブリザード』の際、4人の失われた皇女が残した刻の鍵がある」
「……でも、ワルキューレは刻の鍵を使おうとしたけど、相手の攻撃が速すぎてまともに使わせてもらえなったんですよ?」
またワルキューレだけを戦わせようというのか? そんな懸念を抱きながら和人はネスティーにそう告げる。
「……確かにワルキューレ一人では、詠唱する間も無くまた倒されてしまうだろう」
「だが、この場にいる戦える者全員で、ワルキューレの詠唱する時間を稼げばどうだ?」
「……そうか!! その手があった!!」
イナルバがそう声を上げる。
「刻の鍵はその力を最大限に引き出せば、惑星さえも破壊できると言う。 その力を奴にぶつける事が出来れば……!!」
「……だが、その為にはワルキューレを救出し、刻の鍵を奪還しなければならない」
「しかも相手はあの魔人だ。 救出は簡単には行かないだろう」
ネスティーがそう言って俯く。
「……ここは、俺達の出番だな」
シロ達が力強く宣言する。
「……友よ、行ってくれるのか?」
「……こういう事は、俺達のほうが慣れてる。 そうだろ?」
「……そうだったな。 友よ、貴方達に任せる」
「ああ」
「任せとけ」
マルと妙がネスティーに向けて力強く、胸をどんと叩いてみせる。
「よーし、それじゃすぐに円盤の準備をするぞ、ミョーレンバッハ」
「おうよ!!」
マルと妙が格納庫へと向かう。
「……秋菜、ワるきゅーレの居場所の詳細を霊力で探れるか」
シロが秋菜にそう尋ねる。
「アキドラになれば多分出来ると思う」
「頼む。 それと、出来れば円盤にステルス機能を付けたい。 今回の作戦は敵に気づかれず侵入し、ワるきゅーレを救うという大変
厄介な物だ。 出来るだけ魔人に気づかれないような工夫をしておくべきだ」
「それなら、私がセッティングとチューンナップをします」
ファムが名乗りを上げる。
「……まだ、ワルキューレには眼鏡をかけてもらってないし……」
ぼそっとそんな事を呟く。
「頼む」
「あのー、やっぱりあたくしの円盤を使うんですの?」
「……ライネの円盤が、一番小さくて潜入には向いてるし」
ライネの問いにコーラスが答える。
「……やっぱり」
がくっと首を垂れるライネ。
「……よし、早速準備を始めよう」
「シロ」
「何だ」
「僕も連れてって欲しい」
和人はシロの目を見て、はっきりと言い切る。
「……ああ」
シロは和人にそう言って頷いた。
第5章
「……姫様、お食事をお持ちしました」
ヴァルハラ宮殿の一室に監禁されているワるきゅーレの元にただ一人、人の姿を保っているネコミミ侍女が食事を持ってやってくる。
ワるきゅーレの世話をさせる為だけに、たった一人残された最後の人間だった。
「……食べたくない」
「……姫様、せめて少しだけでもお食べください」
「……いらない。 もうすぐ……死んじゃうんだから」
「姫様、じきに他の皇女様達が軍事同盟を結んでいる星に協力を申し出て、助けにきてくださいますから……」
「……無理だよ。 あんな相手に誰も勝てる訳ないもん」
「姫様……」
「……だって、あのネスティーもイナルバもメームお姉様も勝てなかったんだよ」
「それに、ワルちゃんだって、勝てなかった……」
「父上も、先代の皇女様達もみんな勝てなかったのに、どうにかなる訳ないよ!!」
ワるきゅーレはあまりの絶望に、侍女へ八つ当たりをしてしまう。
ヴァルハラ星へ連れ去られ、彼女が見た物はまるで悪夢以外の何物でもなかった。
宮殿の周囲や宮殿の内部を醜悪な怪物が徘徊し、逃げ惑う人々を襲っていた。
怪物の身体から分離した何かが逃げ惑う人々に取り付くと、捕らえた人々を内包して新たな怪物が現れる。
魔人が言うには、怪物は取り込んだ人々を取り込み栄養源にし、完全な怪物へと変化するそうだ。
怪物にされた人々を元に戻す方法は二つ。
魔人を倒して、未完成の怪物への魔力供給を経つか、未完成状態の時に怪物の頭のみを再生出来ないように破壊する事のみ。
魔人はご丁寧に捕らえたワるきゅーレにそう説明した。
「貴様にまだ抗う気があるならやってみるがいい。 もっともその時は、死ぬよりも恐ろしい目にあわせてやるがな」
そう言って脅す魔人に、ワるきゅーレはただ怯えるだけだった。
そして彼女は見てしまった。
ヴァルハラ宮殿の一室へ鎖を引かれて監禁されようとしていたその時、生き残りの兵士を引き連れて魔人に強襲を仕掛けた父親が
敗北し、怪物にされる瞬間を。
目の前で肉親が魔人に倒され怪物にされる瞬間を見たその時、ワるきゅーレの中から抵抗しようという気は一切無くなってしまった。
「う、うぅ……ぐす……」
ワるきゅーレの瞳が悲しみに染まり、涙を流して嗚咽を漏らし始める。
「……姫様」
「……食事が要らぬなら、世話をする者も必要ないな」
「!? ……あ」
唐突に声をかけられたワるきゅーレが涙に濡れた瞳を向けた先に、魔人が立っていた。
魔人は侍女の首を片手で掴んで宙吊りにしている。
「ネーヤ!!」
侍女の名前をワるきゅーレが叫んだ瞬間、侍女の姿が怪物へと変わる。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ワるきゅーレの絶叫を聞き、魔人は愉快そうに口元を歪めると言い放った。
「どうした。 貴様が食事を要らぬと言ったから、世話係を処分してやったのだぞ」
「酷い酷い酷いっ!!」
ワるきゅーレは魔人を睨み付けて泣き喚く。
「ふん。 悔しければかかってきたらどうだ?」
「う……」
「恨むなら自分を恨むのだな。 貴様が世話を拒否したからこの女は怪物にされたのだ」
「忘れるな。 貴様は実験動物だ」
「貴様の生死は我が決める。 勝手に衰弱したり、死のうとしたりしたら……」
「他の生き残りもこの女と同じ目に遭わせる」
「分かったな。 白の皇女よ」
そう言い残して、怪物にされた侍女を引き連れ魔人は立ち去った。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
魔人が去った後、ワるきゅーレは心の中で怪物にされた侍女に詫びながら、ベッドに縋りついて泣き続けるのだった……。
第6章
「六角レンチとプライヤーお願いします」
「はい」
円盤の改造を行うファムを手伝う和人。
体を動かしていないと、不安で押しつぶされそうになる。
作戦を立てるシロ達に和人は何も手伝う事が出来なかった。
プロの傭兵としてその名を轟かせた歴戦の勇士達に、作戦の全てを任せ、自分はファムの手伝いをする。
和人にはそれしか出来なかった。
シロ達の立てた作戦とは、ヴァルハラ宮殿にライネの円盤で突入し、魔人に気づかれぬ様にワるきゅーレと刻の鍵を奪還する。
そして、メーム達が要請した他星の艦隊に合流し、奪われた艦隊と交戦しつつ、メーム、ネスティー、イナルバ、ファム、ハイドラ、
秋菜で魔人を牽制し、ワルキューレに刻の鍵の力を最大限に開放させ魔人を葬り去るという物だった。
一対一で戦える人間がいない以上、逆転の目はこれしか残されていなかった。
シロ達はこうしている今も、作戦のシミュレーションを何度も繰り返している。
今回の作戦の失敗は、全宇宙の最後だという事を皆が口にこそ出さなかったが、理解していた。
(僕にみんなみたいな戦う力があれば……)
和人はただの凡人に生まれてきた事に苛立つ。
どうして、自分は皆の力になれないのか。
どうして、大切な人さえ守れないのか。
そんな事ばかり考え、気が付くと噛み締めた唇から血を流している。
(……いや。 戦う力がなくたって、今度こそワるきゅーレを助けてみせる!!)
「……さん、マイナスドライバー」
「……あ、すみません、はい」
ファムのドライバーを寄越せという言葉で我に返った和人は、慌ててファムにマイナスドライバーを手渡す。
「あの……和人、ちょっといい?」
「秋菜? 何か用?」
「……うん。 ちょっといいかな……」
「あ、でも……」
和人はちらりとファムのほうを見る。
「いいですよ、少し休憩してきて」
「でも……」
「さっきから、ぼんやりする事が多いですよ。 お茶でも飲んで落ち着いたら、また手伝ってください」
円盤の改造をしながら、ファムはそう言って微笑んでみせる。
「……すみません。 それじゃ、少しだけお言葉に甘えて」
和人はファムにぺこりと頭を下げると、秋菜に連れられて秋菜にあてがわれた部屋へと向かう。
「それで、何の用なんだい?」
「和人、今更こんな事言うのもどうかと思ったんだけど……」
「どうしても聞きたかったの……」
「本当に、シロ達と一緒にヴァルハラ星に乗り込む気なの?」
秋菜は和人の目をじっと見つめて、そんな事を言い出す。
「……ああ」
「僕は、ワるきゅーレを助けに行く」
和人は目を逸らすことなく、秋菜をじっと見つめて決意を告げた。
「……そう」
「……用件はそれだけかい?」
「………」
和人の問いに秋菜は答えない。
「……用がもう済んだなら、僕はもう行くよ」
そう告げて、和人が背を向けて立ち去ろうとしたその時、秋菜が和人の背に縋りついて引き止める。
「……和人、今度は本当に死ぬかもしれないのよ……」
「……それでも、行かなきゃ。 僕が行けば最悪、ワるきゅーレを大人に戻して一人で逃がす事が出来る」
「……ワルQは、和人を見捨てて逃げたりなんかしないわよ」
「……そうだろうね……」
「それでも行くの」
「僕は彼女を傷つけた。 守る事が出来なかった。 だから……」
「……そんなに、ワルキューレの事が好きなの?」
「……秋菜」
「自分の命を捨ててでも、守りたいほど好きなの?」
「……ああ」
「……そう」
秋菜の息を吸う音が和人の耳に届く。
そして、彼女は今まで胸に秘めてきた想いを彼にぶつける。
「……和人」
「あたし、今までずっと言えなかったけど……」
「あたしは、和人の事が好き」
「幼馴染じゃなくて、一人の男の子としての和人が大好き」
「……秋菜」
「……あたし、和人に死んで欲しくないの……」
「……ありがとう、秋菜。 でも、僕は……」
「……ワルキューレの事が好き、なんでしょ」
そう言って、秋菜は涙を浮かべた微笑をして言葉を紡ぐ。
「……あたし、和人に死んで欲しくない」
「でも、大切な人を失って苦しむ和人も見たくない」
「……だから、約束して」
「絶対に、ワるきゅーレと二人で生きて帰ってくるって……」
「そして、あたしに和人の事、諦めさせて……」
「……もし、和人が死んじゃったら……。 あたし、一生和人の事引きずっちゃって前に進めないから……」
「……だから、絶対に生きて帰ってきて……」
「……約束するよ。 僕は絶対に、ワルキューレを連れて生きて帰ってくる」
「絶対、だからね……」
「……ああ」
「うぅ……ひっく……」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……っ」
秋菜は和人の背に縋りついて泣き声をあげる。
和人は泣きじゃくる秋菜を抱き締めてあげたい衝動に駆られる。
だが、和人にそれは出来なかった。
振られる事を覚悟して想いを告げてくれた幼馴染に。
心の底から自分の心配をしてくれる少女の気持ちに対して、それだけはしてはいけない事のような気がしたから。
諦めると告げた少女に、気のあるような素振りを見せるのは残酷なだけだから。
和人はただ、黙って秋菜が泣き止むまで、彼女が縋りつく背中を貸す事しか出来なかった……。
第7章
……ここに監禁されてから、いったいどれくらいの時が経ったのだろうか。
ワるきゅーレはぼんやりと天井を見つめながら思う。
監禁されてから一度、魔人に血液と爪や皮膚の一部、髪の毛を採取されただけで、その後はただこの部屋で何をするでもなく監禁され
ている。
時々、怪物にされた侍女の代わりに、街からさらわれて来た娘が食事を持ってくるだけだ。
食欲なんてなかったが、食べないとまた、食事を持ってくる娘が怪物にされてしまうかもしれない。
ワるきゅーレはもそもそと食事を食べ、ただ椅子に座って窓の外を見つめ続ける。
……どうして、こんな事になってしまったのだろう。
ほんの少し前までは大切な人達と幸せに暮らしていたのに。
ワるきゅーレは楽しかった頃の事を思い出す。
地球に来てからの日々を。
自分のそっくりさんに出会った宇宙旅行の事。。
ヴァルハラ星へと連れ戻された時、和人が会いに来てくれた事。
花嫁修業で失敗ばかりした自分を和人が優しく抱き締めてくれた時の事。
突如現れたワルキューレ・ゴーストとの事件で、より一層和人とお互いの気持ちを深めた事を。
「……帰りたい」
「……楽しかった頃に帰りたいよ」
「……ワルちゃん、こんなの嫌だよぅ……」
「和人、和人……」
初めて好きになった少年の優しい笑顔が涙で濡れた瞳に映る。
「和人、会いたいよ……。 和人に会いたいよ……」
「和人に会いたい……。 和人にぎゅってして欲しい……」
「和人……。 和人……」
「和人に……会いたい……」
ワるきゅーレはベッドに縋りつき、ただ泣き続ける。
もう二度と会えない愛しい少年の名を呼び続けて……。
「……ワるきゅーレ」
とうとう幻聴まで聞こえるようになったのか。
もしかしたら、自分はもう狂ってしまったのかもしれない。
幼くなった精神でそんな事を考え、自嘲する。
「……こんな事なら、せめて和人とケンカなんかしなきゃ良かったな……」
そう呟く。
「……僕はもう、気にしてないよ」
……まただ。
耳元からまた、和人の優しい声が聞こえる。
どうせ、振り向いたって和人はここに居やしないのに。
振り向いたって、ただの幻聴だったと落胆するだけだ。
だけど、たとえ幻覚でも見えれば、少しは元気になれるかもしれない。
見えなくたって、和人はここに居なくて当たり前なのだから。
もう失う物なんてないんだ。
ワるきゅーレは涙で滲んだ視線を背後に向ける。
滲んだ視界を確保する為、両手で涙をごしごしと擦る。
「ワるきゅーレ、助けに来たよ」
目の前の和人はそう言って優しく微笑むと、ワるきゅーレの瞳に溜まった涙を優しく親指の腹で拭ってくれた。
顔に感じる暖かい感触。
「……和人!!」
全てに絶望していた少女にたったひとつの希望が与えられた瞬間だった。
大好きな和人が、危険を犯して助けに来てくれた。
ワるキューレは数日ぶりの笑顔を浮かべ、和人に抱きついて泣きじゃくるのだった……。
第8章
「マルドゥーク、ミョーレンバッハ。 そっちの首尾はどうだ」
「任せろ。 刻の鍵ならもう確保したぜ」
「わかった。 円盤で落ち合おう」
ヴァルハラ宮殿内部に非常時の為に作られた、皇族用の脱出用隠し通路の中を和人とワるきゅーレを連れて急ぎながら、シロはマル達
との通信を切る。
「刻の鍵はマルドゥーク達が確保した。 後は円盤に乗って、ヴァルハラ星軌道上の艦隊に合流するだけだ」
シロが後方の和人達にそう告げる。
「わかった。 ワるきゅーレ、もうすぐ帰れるから」
和人は背中に背負ったワるきゅーレに優しくそう告げる。
「うん」
和人は背中に感じる温かさを二度と離すまいと、円盤の元へと急ぐ。
しばらく歩き続け、隠し通路の出口付近で和人達はマル達と合流する。
「やったな」
マルが和人に親指を立てて見せる。
「ありがとう。 みんなのお陰だよ」
「まだ逃げ切った訳じゃない。 気を緩めるな」
シロが厳しい口調で咎める。
「まあいいじゃないか。 それにしてもあの巫女の姉ちゃんの霊視だっけか? たいしたもんだ」
「ああ、まったくだ。 今日昨日と魔人の動向を含め、刻の鍵のある場所だけでなく、お嬢ちゃんが捕まってる場所までぴたりとあてや
がった」
「お陰で、こっちの仕事も随分楽に進んだぜ」
妙とマルが秋菜の事を褒める。
救出作戦を決行するに当たり、秋菜とハイドラはアキドラへと合体し、パワーアップした霊視で魔人の動向、刻の鍵のある場所、ワる
きゅーレの監禁場所を探り当てたのだ。
アキドラが言うには、魔人は昨日から、ヴァルハラ宮殿の研究室に篭り、何か良からぬ事をしているらしい。
シロ達はそれを好機とばかりに、ステルス機能とミラージュコロイド機能を搭載したライネの円盤で、宙に浮いているヴァルハラ宮殿
の裏側にある皇族専用脱出経路の出口に乗りつけ、ヴァルハラ宮殿内部へと侵入したのだ。
この脱出経路はかなり古い物で、ワるきゅーレはおろか、他の皇女達もその存在を知らない。
それは、平和な時代が続いた事で、脱出経路の必要性が薄れてしまった為だった。
そもそも、今回の事件のように皇女全員が倒されるなど、異例中の異例なのだが。
シロはワルキューレの護衛として、ヴァルハラ星に雇われているため(ワルキューレに借りがあるので、雇われているだけだが)、常に
独自の脱出経路の研究などをしていた。
その時、この脱出経路を見つけたのだった。
やがて、円盤の元に辿り着くと、シロはリモコンを操作して透明のまま、形だけが判る状態にする。
「よし、全員乗り込め。 脱出するぞ」
全員が頷いて、円盤に乗り込む。
「行くぞ」
シロはステルス機能とミラージュコロイド機能を発動させ、円盤を大気圏外へ向けて発進させる。
「ふう、案外楽に事が進んだな」
「まだ、魔人が残ってる。 全てはこれからだ」
マルの軽口にシロがそう答える。
「……和人」
「どうしたんだい、ワるきゅーレ?」
「これ、夢じゃないよね?」
「……ああ。 夢じゃないよ」
「……和人ーっ」
ずっと堪えていた涙を流して、和人に抱きつくワるきゅーレ。
和人は泣きじゃくるワるきゅーレをただ、優しく抱き締めてやる。
「へへ、感動の再開か。 泣かせるねぇ」
妙がそう呟いたその時だった。
ガクンっ!!
突然円盤に衝撃が走り、次の瞬間円盤の天井が引き剥がされ、大地へと落下していく。
「……何だと!?」
シロが驚愕の声をあげる。
「あ、あぁぁ……」
ワるきゅーレがブルブルと震える。
「……人の実験動物をどこに連れて行くつもりだ?」
円盤のフロント部分に魔人が立って、そう言い放った。
「貴様!!」
マルと妙が銃を神速の速さで取り出し、魔人に向けて発砲する。
『ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
次の瞬間、マルと妙の肩に風穴が開いていた。
「マルドゥーク、ミョーレンバッハ!!」
シロが叫ぶ。
「返してもらうぞ」
ひゅんっ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人がそう言った瞬間、ワるきゅーレの首にシロが外した筈の鎖つきの首輪が装着され、魔人の元へと引き寄せられる。
「和人ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ワるきゅーレ!! くそっ!! ワるきゅーレを返せ!!」
和人は後先考えず、魔人に飛び掛る。
「ふん」
魔人はワるきゅーレをぶんっと飛び掛る和人の後方へと投げ飛ばす。
「ワるきゅーレっ!!」
和人が振り向いた先で、化け物が投げ飛ばされたワるきゅーレを、そのおぞましい腕でキャッチする。
「和人、和人ーっ!!」
泣き叫ぶワるきゅーレ。
「ワるきゅー、がはっ!!」
和人の鳩尾の辺りに熱をもった激しい痛みが走る。
「あ……が……」
「和人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ワるきゅーレの絶叫が響く。
魔人の右腕が、和人の腹を突き破り、背中から手首が飛び出していた。
「白の皇女よ、貴様は言ったな。 自分はどうなってもいいから、この男の命を助けて欲しいと」
「だが、貴様は約束を破って逃亡した。 よって、この男を処刑する」
和人の背中から飛び出している魔人の手が、光り輝く何かを掴んでいる。
「あ、あ、あ、それ、は……」
ワるきゅーレの顔が青ざめる。
「ワるきゅーレの魂か!!」
シロが叫ぶ。
「ふん」
魔人は和人の体を貫いたまま、円盤から飛び立つと空中で静止し、そして……。
ワるきゅーレの魂を掴んだまま、和人の腹から右手を勢いよく引き抜いた。
生気を失った和人が大量の血を撒き散らして、大地へと落下していく。
「かずとっ、かずとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「くそーっ!!」
シロが叫びながら落下していく和人を救おうと円盤を急降下させる。
ドゴオォォォォン!!
だが、和人に近づいた寸前で魔人の放った光弾が円盤を直撃し、加速用後部ノズルが粉砕される。
和人はどんどん小さくなっていき、やがて、その場にいる全員が視認できなくなった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
喉が枯れんばかりの絶叫を上げ、ワるきゅーレは気を失ってしまった。
「貴様、よくも和人を!!」
シロが拳銃を魔人に向けて発砲する。
だが、魔人は弾丸をあっさりと受け止めると、弾丸を錬成してニードルにしシロを串刺しにしてしまった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「シロッケンハイム!!」
マルが叫ぶ。
魔人の持つニードルに串刺しにされたシロはそれでも拳銃を離さない。
ニードルを掴み、一気により深く自分の体を刺し貫くと、魔人の顔面目掛けて発砲する。
「……この距離ならかわせねぇだろぅがっ!!」
ガアァァァァァァァァァァァァン!!
弾丸が魔人の石仮面を粉々に粉砕する。
「……やった、か?」
「……貴様」
バリバリバリバリバリっ!!
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ニードルに電撃を流され、シロが動かなくなる。
『シロッケンハイム!!』
マルと妙が叫ぶ。
「仲間の所に戻って伝えておけ!!」
「貴様らの命運もあと3日だとな!!」
「もっとも、戻れればだがな!!」
激怒した魔人が片手で巨大な光弾をつくり、マルと妙を乗せた円盤に向けて放った。
閃光に包まれる中で、マルと妙が見た物は、左目を醜く抉られた魔人の素顔だった……。
第9章
「お姉様!! 円盤が戻ってきました!!」
ブリッジでレーダーを見ていたファムがメーム達に叫ぶ。
「ファム、本当ですか!!」
「友よ、無事ワるきゅーレを助け出してくれたか……」
メームとネスティーが安堵する。
「……え」
「どうしたのファム?」
イナルバが尋ねる。
「ワるきゅーレ達が……いない……」
ぷしゅー。
格納庫に何とか辿り着いた円盤は、本体から分離した非常艇だった。
ハッチの中から、血まみれのマルと妙が這い出て、そのまま倒れてしまう。
「友よ、しっかりしろ!!」
「ワるきゅーレは、婿殿はどうしたのです!?」
「すま……ねぇ……。 救、出は、失敗、した……」
それだけ告げると妙は気を失って動かなくなる。
「和、人もころ、され……た……」
「そん……な……」
リカがふっと気を失って倒れる。
「リカ様!!」
真田さんが慌ててリカを支える。
「嬢、ちゃん、も、また、つかまっ……げほっげほっ……」
「すま、ね……ぇ」
マルが吐血して気を失う。
「秋菜!? おい秋菜!!しっかりしろ!!」
ハイドラが呆然として突っ立てる秋菜を気遣い彼女の体を揺する。
「和人が死ん……だ……」
秋菜は呆然と信じられない現実を呟く。
「和人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
秋菜の絶叫が格納庫内に響いた……。
第4話END
続きます。
自分で書いといてなんですけど、糞なげぇ。
エロくねぇ。
このぶんだといつバカップル生活に突入できるのか……。
>>208 ご期待にて添えるといいんですが……。
>>209 陵辱関係はこのくらいで勘弁してください。
あまり鬼畜やると他の人に引かれそうですし。
エロ自体は和姦がこの後何度かある予定です。
>>210 オリキャラです。
単なるかませ犬です。
マンガやアニメでは絶対、姫様達を一方的にボコる敵は出そうもないので出してみました。
外見は介錯マンガの美形悪役を足したような感じです。
性格は最悪ですが。
姫様陵辱は……夢オチ?
うす。
マジでやったらハッピーエンドに持ってけません。
これ完結したら単発陵辱モノやります。
234 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 01:37:44 ID:wmQysWQ6
保守
あと2話で一旦けりをつけます。
出来たらまとめて投下します。
この漫画で最萌えはユリアーヌさん。和人をヤるSSが読みてえ。
保守age
1巻ではパンチラしてもなんともないぜって感じだったのに巻が進むごとにエロが減ってる希ガス
3巻あたりからはずっと微妙なエロ主体だからなあ。
和人の間接キスネタ(3回)とかわりと好きだが。
ホしゅ
これからまとめて投下します。
苦情は最後まで読んでくれた人ののみ受け付けます(笑
あえて、介錯漫画と月村アニメのセオリーを壊してます。
介錯漫画と月村アニメの展開が好きな人には苦痛かもしれません。
評判が悪ければセオリー通りの展開も簡単に書きます。
では逝きます。
第1章
和人が落ちていく。
腹部に風穴を開けられ、真っ赤な鮮血を宙に撒き散らしながら落ちていく。
「和人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ワるきゅーレは森林の広がる大地へと落ちていく和人に、届かない手を必死に伸ばして絶叫する。
「かずとっ、かずとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ワるきゅーレの目の前で、どんどん生気を失っていく和人の姿が小さくなっていく。
和人の姿が眼下に広がる森の中へと落ちていき、ワるきゅーレの視界から消えてしまう。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
がばぁっ。
「あ、あれ?」
「ワるきゅーレ、大丈夫?」
「……和、人?」
「大分うなされてたみたいだけど、何か怖い夢でも見たのかい?」
「……夢?」
「うん。 ずいぶんうなされてたよ」
ワるきゅーレは自分の周囲を見渡してみる。
ぬいぐるみなど沢山のおもちゃや少女マンガが転がっている自分の部屋だ。
自分自身も見てみる。
いつもの皇族の衣装で、ベッドの上で上半身だけを起こしている。
「……夢」
「……そっか、夢だったんだ……」
ワるきゅーレは安堵のため息をつく。
……そうだ。
あんな悪夢が現実に起こるはずなんてない。
自分自身の魂を分け与える事で、結ばれた和人との絆。
それがあんな簡単に断ち切られるなんて、ある訳がない。
「……良かった」
ワるきゅーレの大きな瞳から涙が流れる。
「和人ーっ!!」
ワるきゅーレは和人の胸に飛び込む。
「和人、ワルちゃんとっても怖い夢を見たの」
「和人が殺されちゃって、離れ離れになっちゃう夢……」
「ぐす、すごく怖い夢だったよーっ。 和人ーっ」
和人の背に小さな手を回して泣き出す。
「………」
「ぐすっぐすっ……和、人?」
ワるきゅーレは和人の胸の中で和人の顔を見上げる。
「………」
ワるきゅーレの見上げた視線の先には、生気を失った和人の顔があった。
「和人!? 和人、しっかりして!!」
生気のない和人を見て、ワるきゅーレは慌てて背中に回していた自らの手を和人の胸元に持ってくると、和人の胸元を掴んで必死に
揺する。
「……あっ!?」
前後に揺られる和人の胸元を掴む自分の手が、真っ赤に濡れているのに気づく。
「あぁぁぁ……!?」
思わず和人から離れてしまうワるきゅーレ。
ぐらり。
ワるきゅーレが離れた途端、和人の体が背後に倒れベッドの上から落ちていく。
「和人!!」
和人を引き寄せようと、慌ててベッドから身を乗り出して、手を伸ばす。
「和人ーっ!!」
だが、ワるきゅーレの伸ばした手は和人に届かない。
和人はワるきゅーレの乗っているベッドの真下に広がる、底の見えない暗闇へと落ちていく。
「和人、和人っ!!」
ワるきゅーレは必死に落下していく和人に手を伸ばす。
だが、届かない。
「和人ーッ!!」
ワるきゅーレはベッドの上から和人の落ちていく暗闇へ飛び込もうとする。
じゃらっ。
「うぐっ!!」
いつの間にか、鎖の付いた首輪がワるきゅーレをその場に繋いでいた。
和人はどんどん小さくなっていき、そして消えた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
喉が枯れんばかりの絶叫。
その場に手をついて、嗚咽を漏らし続ける。
そして、気づく。
自分がまた、監禁されていた部屋の中にいる事を。
「和人……」
目の前で殺された愛しい人の名を呟く。
「和人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ワるきゅーレは永遠に失ってしまった愛しい人の名を呼びながら、狂ったように泣き続けた……。
泣いて、泣いて、泣き続けた。
……ドガアァァァァァァァァァァァァンっ!!
突然、何かの爆発するような轟音が響く。
生き残りの兵達が魔人に挑んだのだろうか?
「………」
だが、ワるきゅーレは何の反応も示さない。
暗い部屋の中で、ただ呆然と虚ろな顔をしてベッドの上に横たわっている。
今、ワるきゅーレの瞳は何の意思の光も映していなかった……。
第2章
「……う、ぐ……っ」
「友よ、気がついたか!」
治療ポッドの中でマルが意識を取り戻すと、ネスティーが安堵の表情を浮かべていた。
「く……」
マルが体を起こそうとすると、ネスティーがそれを押し留める。
「無理をしないほうがいい。 あれから丸二日も意識が戻らなかったんだからな」
「……そうか。 ……ミョーレンバッハは?」
「……彼はまだ、意識が戻らない」
「……そうか」
マルは命からがら、ヴァルハラ星から逃げ出してきた時の事を思い出す。
魔人の一撃で円盤の上部ユニットが吹き飛ばされ、円盤共々墜落してしまい、一人残された相棒共々重傷を負った事。
なんとか残った円盤下部の非常艇に乗り込み、飛びそうな意識を気合で引きとめながら、なんとかメームの円盤へと舞い戻った事を。
「……ミョーレンバッハは、こんな事くらいじゃ死なねぇ」
マルは拳を握り締めながら呟く。
「……ああ、そうだな」
ネスティーもそう呟いた。
「あ……た、ぼう、よ……」
「!?」
「ミョ、ミョーレンバッハ!?」
マルと同じく意識不明の重体だった妙が、マルの隣の治療ポッドの中から、にやりと不敵な笑みを浮かべてみせる。
「友よ、意識が戻ったか!!」
ネスティーが妙の回復を喜ぶ。
「……へっ、悪運の強い野郎だ」
「……お互いに、な」
マルと妙はお互いに軽口を叩いてみせた。
「……それで、今の状況は?」
そんなやり取りの後、マルがそう切り出すとネスティーは渋い顔をしながら答える。
「……あれから、ヴァルハラ星の軌道上には奪われたヴァルハラ艦隊が常駐している」
「……それ以外にヴァルハラ艦隊も魔人のほうも動きはない。 ……だが」
「……どうした?」
「……こちらももう、手詰まりだ」
「ワるきゅーレと刻の鍵の奪還に失敗した今、魔人を倒す術がない……」
「軍事協定を結んでいる他星の艦隊もすでに集まってはいるが……。 正直、あの魔人相手に勝てる見込みはほとんどないだろう……」
「……奴には奪取したヴァルハラ艦隊と、人質としてヴァルハラ星の民というカードがある」
「……最悪の方法として、全艦隊のミサイルでヴァルハラ星ごと魔人を討つという案が出たが、そんな事が出来る訳がない……」
ネスティーはそれだけ言うと、壁をだんっと叩く。
「……ネスティー」
マルと妙は苛立つネスティーに、なんと声をかけたものかと思案する。
重苦しい雰囲気がただようその中、それを打ち破ったのは血相を変えて集中治療室に飛び込んできたハイドラだった。
「ネ、ネスティーの姉貴!! た、大変だ!!」
「どうした!?」
「いいい今、銀河中継ネットワークがま、ままま魔人に乗っ取られた!!」
「何だって!?」
ネスティー達がブリッジに向かうと、前面のモニターに魔人の姿が映されていた。
「……どうやら、ヴァルハラ星の式典中継用システムを利用しているようです」
メームが遅れてやって来たネスティー達に事の経緯を説明する。
全員がモニターに注目する中、魔人が不敵な笑みを浮かべて宣言する。
「……我が名はリョーエツ」
「貴様等、下等な虫けらどもを支配する物なり」
「これより、全宇宙に生きるもの全て我が支配下に置く」
「もっとも、愚かな貴様達には我が力を見極める事も困難であろう」
「よって、今よりヴァルハラ星皇女ワルキューレの処刑を持って、我が力を示す」
魔人の姿がモニターから消えたかと思うと、ヴァルハラ星の競技場に場面が切り替わる。
『ワるきゅーレ!!』
「姫様!!」
『嬢ちゃん!!』
モニターを見ていた全員が叫ぶ。
皆の見つめるモニターの先には、さんざん泣き尽くしてやつれた顔をしたワるきゅーレが呆然と立っていた……。
第3章
……どうして、こんなところにいるんだろう。
ワるきゅーレは競技場に立ち尽くしながらそんな事を思う。
……和人。
二度と会えない愛しい人の名を心の中で呼ぶ。
「白の皇女よ、貴様にはこれから我が作成した怪物と戦ってもらう」
目の前の魔人がそんな事を言っていた。
……正直、どうでも良かった。
和人のいないこの世界で、生きいくのは辛すぎる。
だから、どうでもよかった。
ワるきゅーレはただ呆然と立ち尽くす。
「……白の皇女よ」
立ち尽くすワるきゅーレにいつの間に近づいてきたのか、魔人が呼びかける。
「………」
すっかり意思の光を失った瞳で、目の前の悪魔を見上げる。
「これは、あの男から摘出した貴様の魂だ」
魔人の掲げた右手の中に光り輝く球が現れる。
「今、これを貴様の中に戻す。 何の制約もない本来の力を取り戻し、我が配下と戦え」
魔人はそう告げると、ワるきゅーレの魂を彼女の胸に押し込んだ。
ぽうっ……。
ワるきゅーレの小さな体が光り輝き、小さな手足がすらりと伸び、薄い胸が豊かに膨らむ。
そして、本来の18歳の姿へとワルキューレはその姿を変える。
「………」
和人へ分け与えた魂を取り込み、元の姿へと戻ったワルキューレ。
だが、ワルキューレは元の姿に戻っても、相変わらずただ呆然と立っているだけだった。
「白の皇女よ、周囲を見ろ」
魔人の言葉に光を失った瞳で視線を周囲に向ける。
すると、競技場のいたる所に恐怖に怯える表情でカメラを回している複数の人間が目に入った。
「……人?」
「奴等は、この星の報道関係者だ」
「これから、貴様と我が配下の戦いを全宇宙に中継するための道具だ」
「………」
「何の制約もない今、全力を持って我が配下と戦って見せろ」
「………」
魔人の言葉にワルキューレは何も答えない。
興味なさそうに視線を外すとぼそりと呟く。
「……殺したいなら、今すぐあなたの手で殺せばいいのに」
「……何?」
魔人がワルキューレの胸倉を掴む。
「……もう、どうでもいいです」
ワルキューレは抵抗する事無く、されるがままそう呟く。
「……そうはいかんな」
魔人はワルキューレを突き飛ばすと、地面に倒れ横たわるワルキューレの目の前に刻の鍵を放り投げる。
「我が自信作のテストも兼ねている。 貴様には全力で戦ってもらう」
「………」
「貴様が戦わぬというなら、あの下等生物どもを代わりに戦わせてもいいのだぞ?」
そう言って、びくびくと怯えながらカメラを回している人々に視線を向ける。
「どうする? 戦う力すら持たぬ民を戦わせるのか?」
「そしてあの男のように、ただ殺されていく様を見るのか? 白の皇女ともあろう者が?」
「………っ!!」
魔人の言葉に、和人が殺された時の事が脳裏によぎる。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
気が付くとワルキューレは刻の鍵で魔人に斬りかかっていた。
「……ふん」
渾身の力を込めたワルキューレの一撃を、魔人はあっさりと片手で受け止める。
そして、片手で受け止めた刻の鍵ごと、ワルキューレを競技場の中央へと投げ飛ばす。
「……くっ!!」
空中で一回転し、片手と片膝を付いて地面に着地する。
そして魔人を憎しみのこもった瞳で睨みつける。
「くくくくっ、そうだ。 それでいい」
「我が自信作と戦い勝利できたなら、我が自ら相手をしてやろう」
魔人はそう言って、空に浮かぶと観客席へと向かい、ヴァルハラ星の民に用意させた玉座に腰を下ろす。
そして、ぱちんと指を鳴らした。
ワルキューレの視線の先、魔人の座っている観客席の下にある入場用のゲートが開き、ふらふらと裸の女が歩いてくる。
「……あれは?」
刻の鍵を構えたまま、近づいてくる女の顔を視認する。
「……私!?」
ふらふらと近づいてきた裸の女は、ワルキューレにそっくりな容姿をしていた。
腰の下まで伸びた長い金髪。
歩くたびに揺れる豊かな双乳。
その左手には銀色に鈍く輝く剣が握られており、ずるずると地面を剣先で削りながら歩いてくる。
「あー、うー」
女はだらしなく半開きにした口元から、赤子のように言葉にならない声を上げながら、ワルキューレの目前へふらふらと歩いてきた。
そして、ワルキューレの目前で立ち止まると、突然膝を付いて四つんばいになる。
「うー、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ばきっ、ばきばきばきばきぃぃぃぃぃぃぃぃぃ………っ!!
ワルキューレそっくりの女の全身から嫌な音が鳴り響く。
全身が隆起し、白い肌が土色に変化し両肩から骨のような材質の棘が生える。
続けて膝からも棘が生え、左手が中指と人差し指の間から肘まで裂け、指と同じくらいの太さの触手が何本も伸びる。
女は涙を流しながら、ワルキューレを見つめたかと思うと、大きな口を開ける。
そして、大きく開けた口が唇の端から耳元まで裂ける。
裂けた口の中には、巨大な目玉のような物が発生しており、呼吸をする為の穴が首筋にぽっかりと開く。
「あふ、があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
異形の怪物へと姿を変えた女がおぞましい雄叫びを上げる。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
目の前で起こったおぞましい光景に、ワルキューレは堪らず悲鳴を上げた。
「くくくくく、自分の分身に出会った気分はどうだ?」
玉座の上から愉快そうに魔人がワルキューレに声をかける。
「……私の分、身?」
「そうだ。 貴様から採取した血液や皮膚を元に、コピー人間を作り出した」
「私の、コピー人間!?」
「ただのコピーではないぞ。 我が作り出した怪物と合成してやったからな」
「更に、貴様の武器のレプリカも持たせてある」
「!? 何ですって!?」
「我が自信作が白の皇女として名を馳せた貴様を殺した時、我は貴様の亡骸から新たなコピーを作り出す」
「そして、貴様のコピーが我と共に全宇宙の力なき者達を殺戮するのだ」
「……そんな事、させる物ですか!!」
「くくく、我を止めたければまずは、目の前のコピーを倒して見せるがいい」
「もっとも、貴様にそんな事が出来ればだがな」
「さあ行け、我が自信作ヴァルキューレよ!! 」
魔人の命令に従い、怪物がワルキューレに驚異的な速度で襲い掛かる。
「まずい!! もしワルキューレまで失ったら我らにはもう、勝機はないぞ!!」
モニター越しに怪物と交戦するワルキューレの姿を見てネスティーが叫ぶ。
「いいいいいい、一刻も早く姫様をお助けに行かなくてはぁぁぁぁぁぁっ!!」
真田さんがうろたえる。
「……行くしかねぇ」
「姉貴!! 俺達もヴァルハラ星に行ってワルキューレと共闘しよう!!」
ハイドラが叫ぶ。
「……それしかもう手はありませんね」
メームがハイドラの意見に同意して頷き、秋菜、イナルバ、ファム、ネスティーの顔を見る。
それぞれがこくっと頷く。
「……よし。 ヴァルハラ星に乗り込んでワルキューレと合流するぞ」
ネスティーがそう口にした瞬間、轟音と共にブリッジが激しい振動に見舞われる。
「な、なんなのよ一体!!」
秋菜が悪態を付くと、コーラスが答える。
「……ヴァルハラ艦隊が当艦と同盟艦に向けて砲撃してきました」
「なっ!! お姉様だけでなくあたくし達まで殺そうっていう事ですの!?」
ライネがパニックを起こす。
「くっ!! あれにはおそらく、魔人に洗脳された部下達が乗ってるハズだ!!」
「ヴァルハラ艦隊を討つという事は同胞を討つ事になる!!」
ネスティーが叫ぶ。
「いったい、どうすれば……!!」
メームがそう呟いたその時、通信が入った。
『ヴァルハラ艦隊は私達で食い止めます』
「……先代!!」
ネスティーが叫ぶ。
ブリッジのモニターに映し出された映像には、先代の皇女達の姿が映し出されていた。
軍事同盟を結んでいる星に嫁いだ先代達が、現在のヴァルハラ八大皇女達に指示を出す。
『貴女達はワルキューレの所に』
「ありがてぇ!! これでヴァルハラ星に乗り込める!!」
ハイドラが歓喜の声を上げる。
「でもハイドラ、あの砲撃の雨をどうやって掻い潜って行くのよ?」
秋菜の疑問に、マルと妙が答えた。
「……俺達に任せな。 全員無事に嬢ちゃんの元に送り届けてやる」
第4章
「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人の命令と共に、大地を蹴って怪物がワルキューレに飛び掛ってきた。
空中で一回転し、鍵爪の生えた両足でワルキューレに蹴りを叩き込もうとする。
「くっ!!」
ワルキューレは咄嗟に刻の鍵を両手で構え、バリアを張って受け止める。
ぴしぴしぴしぃっ。
バリアにヒビが入る。
「はあぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレはバリアごと怪物を弾き飛ばす。
弾き飛ばされた怪物は空中で体勢を立て直し、手にした刻の鍵のレプリカで斬りかかって来る。
「くぅっ!!」
がきぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!
速く、そして重い一撃をでたらめに打ち込んで来る怪物。
まともに受けてたらまずい。 ワルキューレはそう判断し、でたらめな斬撃の力を逸らすように受ける。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
何度か斬撃を受け流し、怪物に隙を見つけたワルキューレは刻の鍵で怪物の腹を横薙ぎに切り裂いた。
「なっ!?」
切り裂いた感触がない。
驚愕の声を上げた瞬間、背後に強烈な衝撃を受ける。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
地面に前のめりに倒れる。
だがすぐに上空に殺気を感じてその場を飛び退くと、上半身だけになった怪物が宙に浮かびながら、口の中に発生した目玉から怪光線
を発射した。
ドガァァァァァァァァァァァァァァン!!
さっきまでワルキューレがいた場所が深く抉られ、周囲に飛び散った土の山が出来る。
「上半身だけ!? っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
上空の怪物に気を取られたその時、ワルキューレの右足に強烈な痛みが走った。
慌てて足元を見ると、巨大な口を開けた何かが自分の脛に噛み付いている。
「なっ!?」
その怪物は、上半身から切り離された下半身だった。
腹の断面が牙を生やした巨大な口になっており、わき腹だった部分からカエルの前足のような物が生えている。
両足だった部分は関節がありえない向きに折れ曲がって、カエルの後ろ足のように変形している。
しかも、その怪物に目は存在せず、背骨の部分に触覚のような物が生えていた。
「くっ、このぉっ!!」
痛みを堪えながら、ワルキューレは右足に食いついている怪物に刻の鍵を突き立てる。
がきいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ。
「…・・・うそっ!?」
だが、刻の鍵は怪物の強靭な皮膚に弾かれてしまう。
ぶおんっ!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
怪物がワルキューレの右足に噛み付いたまま、ワルキューレを振り回す。
ぶしゅっ。
噛み付かれた右足から鮮血が飛び散る。
ブオンッ!!
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
ワルキューレを振り回していた怪物がその口を開き、枷の無くなったワルキューレが地面に叩きつけられる。
「くっ、ぅぅぅぅぅぅ……」
右足の痛みに耐えながら立ち上がると、二体の怪物がワルキューレ目掛けて飛び掛ってくる。
「……くっ」
ワルキューレは上空へと飛び上がり、二体の突進から逃れる。
そして、上空で刻の鍵を構えると、刻の鍵の力を引き出すべく詠唱を始める。
「万物の根源たる光の粒子よ その流れよ この刻の鍵を持って命ずる 邪なる生命を光の粒子へと還せ」
ワルキューレの詠唱と共に刻の鍵の刀身が光り輝く。
「光のーっ!!」
ワルキューレが両手で掴んだ刻の鍵を腰に構える。
「洗礼ーっ!!」
そして、光り輝く刻の鍵を振るうと、聖なる光が二体の怪物に降り注ぐ。
「ぐぎゃおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
刻の鍵の力を喰らい、二体の怪物がもがき苦しむ。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレは渾身の力で聖なる光を放ち続ける。
「ぐおぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
体中から煙を噴出し、皮膚をどろどろに溶かされながら怪物が手に持った刻の鍵のレプリカを逆手に構える。
ぼこぉっと音を立て、レプリカ刻の鍵を持つ手が三倍ほどの太さに膨れ上がる。
そして、怪物は上空のワルキューレ目掛けて投擲した。
ひゅんっ。
怪物の投擲したレプリカ刻の鍵が、大地に降り注ぐ聖なる光を引き裂いてどんどん上空へと打ち上げられていく。
「なっ!?」
刻の鍵から放たれる光を引き裂いて、レプリカ刻の鍵が目の前に現れた。
……ドッ。
鈍い音が聞こえた。
続いて、右肩に焼けるような激痛が走る。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
レプリカ刻の鍵が柄の根元まで、ワルキューレの右肩に突き刺さっていた。
怪物に降り注いでいた聖なる光が消え去る。
ごっ。
風を切る音と共に上半身の怪物が現れ、左手の触手を伸ばすとワルキューレの身体を絡めとり自らの傍らへと引き寄せる。
にやり。
ワルキューレには一瞬、怪物が笑ったように見えた。
そして次の瞬間、怪物の体が輝き、爆発を起こした。
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンっ!!
爆発の中から、ワルキューレが現れ大地へと落下する。
……ドンッ。
「あ……ぐ……」
ワルキューレは競技場の地面に倒れたまま、何度も口から血を吐く。
爆炎の消えた後、体の半分が吹き飛んだ怪物が現れる。
体の大半が吹き飛んだ怪物がぶるぶると体を揺らすと、吹き飛んだ部位に肉が盛り上がり、やがてまた元のおぞましい姿を取り戻す。
ワルキューレは全身の痛みで立ち上がる事が出来ない。
上空の怪物が触手を伸ばし、刻の鍵のレプリカをワルキューレの肩から引き抜く。
「あぐぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
下半身の怪物が口内から、背骨を打ち出す。
ドガアァン!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
腹に直撃した背骨が爆発し、ワルキューレは吹き飛ばされる。
上半身の怪物が血を吐いているワルキューレを上空から触手で絡めとり、ワルキューレの体をぐるぐると振り回して地面に叩きつける。
「がはっ!!」
背中から叩きつけられ、息が詰まる。
「う、く……」
刻の鍵を杖代わりにして、なんとか立ち上がろうとするが……。
「……うあっ!!」
ワルキューレは無様に倒れこんでしまう。
「……どうした白の皇女よ? もう少し楽しませて見せろ」
倒れ伏したワルキューレに魔人がそう言ってのける。
「……どうした? 一人ではその程度か?」
「う、うぅ……」
ワルキューレは倒れたまま嗚咽をもらす。
(……和人様)
(私は……弱い人間です……)
(魔人の挑発に乗って、むきになって戦ったけれど……)
(こんな……無様を晒して……)
(……もう、立てません……)
ワルキューレの戦う意思がどんどん無くなっていく。
「どうした? もう諦めるのか白の皇女よ?」
(……だって、もう、動けない……)
(それに……)
(勝てたとしても、もう和人様はいないのだから……)
ワルキューレは殺される覚悟を決める。
(和人様……私も、貴方の元へ行きます……)
ワルキューレは覚悟を決めて目を閉じる。
「ワルキューレっ!! この馬鹿野郎ーっ!!」
「ワルキューレっ!! あんたこんな所で諦めるんじゃないわよ!!」
第5章
「……っ?」
突然の怒鳴り声にワルキューレは必死に顔を上げて視線を向ける。
「ハイ、ドラ……。 秋菜、様……」
「みん、な……」
上空からアキドラを先頭にネスティー、メーム、イナルバ、ファムが、マルと妙の操縦する二機の戦闘機から飛び出し、競技場へと降
り立ってくる。
「あんたがここで諦めて殺されるなんて、そんな事許さない!!」
アキドラが秋菜の声で叫ぶ。
「和人はあんたを助けるために命を賭けたのよ!! 和人はあんたに生きてて欲しくて!!」
「だから、諦めないで!! あんたはひとりじゃ……ないんだから!!」
「秋、菜、様……」
「くくく、自分達から死にに来たか」
「死ぬのはてめえだーっ!!」
ハイドラの叫び声と共に魔人に向けて巨大なプラズマを放つアキドラ。
「ふん」
魔人はプラズマをあっさり受け止めると、アキドラに向けて光球を放つ。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
光弾の直撃を喰らい、アキドラは魔人のいる観客席と反対側の観客席に吹き飛ばされる。
「俺は……あきらめねぇぞ……」
「あたしだって……」
ハイドラと秋菜の言葉と共にアキドラが再び立ち上がる。
「よく言いました二人とも!!」
「我らもいる事を忘れるな魔人!!」
「あの時の借りを今返してやる!!」
「よくもワルキューレを痛めつけてくれましたね!! 顔に傷が付いたらどうするんですか!!」
メーム達がそれぞれ魔人と怪物に攻撃を仕掛ける。
「雑魚が粋がるな!!」
魔人の咆哮とともに、メームとネスティーが弾き飛ばされる。
二体の怪物がイナルバとファムを怪光線と生体ミサイルで吹き飛ばす。
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
「このおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
アキドラが魔人と怪物に御札を投げつけるが、魔人と怪物はまったく意に介さず、アキドラを光弾と怪光線、生体ミサイルで吹き飛
ばす。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
競技場の壁に叩きつけられ、二人の合体が解ける。
「く、うぅぅぅぅぅ……」
ワルキューレは刻の鍵を杖代わりにして必死に立ち上がろうとする。
(……私、何を諦めていたの)
(和人様が今の私を見たら、きっと失望される……)
(諦めない……っ)
「うぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ」
ワルキューレは必死に立ち上がろうとする。
ドンっ!!
カランカランカラン……っ。
「あうっ!!」
刻の鍵が怪物の怪光線で弾き飛ばされ、ワルキューレは無様に倒れる。
「あき……らめ、るもん、か……」
「和人様に、笑、われ、るような、事、出来、ない……」
全身に走る激痛を堪えながら、ワルキューレは立ち上がる。
「あき……らめ……な、い……」
……そして、一歩を踏み出すと同時に倒れてしまう。
倒れると同時に、ワルキューレの帽子が取れて前方へと飛ぶ。
ワルキューレの頭から飛んだ帽子は、前方の地面の隆起に当たり、そのまま地面へと落ちる。
「……あ……う……」
(和人……様……)
動けない体を必死に起こそうとするが、どうしても動けない。
ワルキューレの瞳から涙が流れる。
「くくく、これで終わりか」
魔人の嘲笑う耳障りな声。
ワルキューレはただ、悔し涙を流す。
「さあ、白の皇女にとどめを刺せ」
魔人の命令に従い、二体の怪物が再び一体の怪物へと合体し、倒れているワルキューレに近づいていく。
そして、怪物は手にした刻の鍵のレプリカを振り上げ、ワルキューレの首を刎ねようとした。
ワルキューレはぎゅっと目をつぶって最後の時を覚悟する。
(和人様、ごめんなさい……)
自分のために命を落とした愛しい少年に詫びながら、ワルキューレは涙を流す。
「……うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
……少年の声が聞こえた気がした。
どがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
何かが激突する音と、怪物の悲鳴。
「……大丈夫か!?」
誰かが、自分を抱きかかえて揺する。
「……う、あ……」
誰?と尋ねようとしたが、声が出ない。
「薬だよ。 飲めるかい?」
何か小さな瓶の口のような物が唇に当たる。
ワルキューレは唇を小さく開ける。
……こくっ。
甘いような、苦いような、不思議な味のする液体が舌の上を通って、喉の奥へと落ちていく。
……どくん。
体が熱い。
体の内から力が湧き上がるような感じに、ワルキューレは閉じていた目を開く。
「大丈夫かい?」
ワルキューレを抱きかかえて、彼女の顔を覗き込む青年。
「あ……」
彼女が会いたくてたまらなかった、たった一人の愛しい少年。
以前より少し、精悍になったその顔を見て、ワルキューレは叫ぶ。
「……和人様!!」
第6章
……時は、少し前に遡る。
「……うぐ……っ」
和人が目を覚ますと、其処は見た事もない場所だった。
和人が辺りを見回すと、和人は石造りの部屋の中で、ベッドの上に上半身裸で横たわっている。
「……僕は」
魔人の手刀が自らの腹部を貫通し、ワルキューレの魂を引きずり出されたことを思い出す。
「っ!!」
慌てて自分の腹部を見てみると、魔人に空けられた腹部の穴が塞がっていた。
そして、自分の体に光り輝く粒子のような物が次々と吸い込まれている。
「う、うわあっ!! なんだこれ!!」
「心配せんでもいい。 それは星の命じゃ」
不意に横から老人の声が聞こえる。
「……星の命」
和人は自分の中にどんどん吸い込まれていく光の粒子を見つめる。
「お前さん、魂がほとんどなくて死にかけだったんでな、星が持つ生命を生み出す力をちぃとばかし借りて足りない分を補ってるんじゃ」
和人は声の主を探そうと辺りを見回すと、すぐ右側に老人が立っていた。
「……じいちゃん?」
思わずそう尋ねてしまう。
「だーれがじいちゃんじゃ!! ワシゃ天涯孤独の身。 お前さんのようなでかい孫を持った覚えなんぞないわい!!」
和人の死んだ祖父にそっくりなその老人は、和人にそう答えた。
「す、すみません。 死んだ祖父にあんまり似てたのでつい」
「……ふん。 まあいいわい」
老人の返答に苦笑いを浮かべつつ、和人は自分自身の身に起こった事を思い出す。
「……僕、ワルキューレの魂を抜かれたはずなのに……」
「・・・・・・なんじゃ、お前さん気づいてないのか?」
「え?」
「お前さんの中にある、誰かの魂の事じゃよ」
「……え? でも、僕の中のワルキューレの魂は魔人に引きずり出されたはず……」
「いや。 ほんのわずかじゃが、お前さんの中にお前さんでない、誰かの魂がほんのちょっとだけ残っとる」
「……え?」
「本当に、ほんの少ーしじゃがな。 お前さんの魂の波長に変質しかけちゃあいるが……」
「その、ほんの少しの魂の欠片が、お前さんをこの世に引き止めたんじゃ」
「……まあ、ここに落ちてきた時には、ほとんど死にかけだったんじゃがの」
「そのまま放っといて、わしのねぐらでくたばられても困るしの」
「………」
「……まあ、そういうわけでわしがお前さんの傷を塞いで、生きていくのに足りない魂の分のエネルギーを星から少し分けてもらって、
お前さんの体に今、充填しとるんじゃよ」
「お前さん、地球人じゃろ? とりあえず充填が済めば、今後は地球人の平均寿命くらいは生きられるぞい」
老人は和人にそう説明する。
「こら小僧。 聞いとるのか?」
和人は自分の左胸に右手を当てて、魂の鼓動を感じながら呟く。
「……そうか」
「……ワルキューレ、僕と君の絆はまだ、絶たれてないんだ」
和人はそう呟いてから、老人に礼を言う。
「僕、時野和人といいます。 助けてくださってありがとうございます」
「ん。 若いのに礼儀正しい小僧じゃな。 うむ。 感心感心」
老人はそう言って腕を組み、かっかっかと笑ってみせる。
「それで、おじいさんのお名前は?」
和人がそう尋ねると、老人は不機嫌そうに答える。
「わしゃあ、おまえのじいさんじゃないわい!!」
「す、すみません!!」
慌てて謝ると、老人は改めて和人に名乗る。
「わしの名は、オーディン」
「……オーディン」
「今後、わしの事を呼ぶ時はオーディンと呼ぶように」
「……はあ」
「わしはまだ若い。 じいさん呼ばわりなど失礼ぢゃろうが!!」
そう言ってオーディンは両腕を組んでぷりぷりと怒る。
(……へ、変なじいさん)
和人は目の前の老人の事をそう思った。
更に、なんとなく目の前の老人を心情的におじいさんと呼ぶ気も失せたのだった。
「それで、時野和人よ、なんであんな死にかけになって、ここに落ちてきたんじゃ?」
オーディンが床の上にあぐらをかいて、和人に事情の説明を求める。
「……それは」
和人は目の前の老人に、事のあらましを話していい物かと考える。
「もしかしたら、お前さんの力になってやれるかもしれんぞ」
「………」
「それに、命の恩人の質問にくらい答えても罰は当たるまい」
「……わかりました。 ・・・・・でも、ちょっと長くなりますよ」
和人はオーディンに、ワルキューレとの出会いから、魔人にやられるまでの事を話す。
「……ふむふむ」
魔人の事を話す時も、和人はワルキューレが今どうしているのか考える。
……早く、早く助けに行かないと……。
和人は今だに完治しない自分の体を見つめながら、オーディンに全てを打ち明ける。
「……キャ・クン・ホー星人の生き残りか」
「……え?」
「おそらく間違いなかろう。 生き残りがいたのか」
「あの……」
「時野和人」
「は、はい」
「ヴァルハラの男達はどうした?」
「は?」
「皇室に使える騎士達くらいいただろう。 そいつらはどうなったんじゃ?」
「……僕もよく知らないんですが、多分みんなやられたんじゃないかと」
「……はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
オーディンがため息をつく。
「……まったく、相変わらずヴァルハラの男達は女達の尻に敷かれとるのか」
「……それで、皇女達全員でかかっても勝てなかったと。 そういう訳じゃな」
「……はい」
和人はくやしさに拳を握り締めながら、オーディンの問いに答える。
「……でも」
「でも、なんじゃ?」
「ワルキューレと刻の鍵を取り返して、全員でかかれば……!!」
「無理じゃな」
オーディンは和人の希望を一言で切り捨てる。
「っ!! そんな事ないです!!」
「お前さんは、キャ・クン・ホー星人の事を知らんからな」
「……アレはもともと、対ヴァルハラ星人用に進化させられた物じゃからの」
「……進化させられた?」
和人は気になった所を尋ねるが、オーディンはその問いには答えず話を進める。
「奴等は力も体力も速さも魔力も、あらゆる点でヴァルハラ星人より勝っとる」
「それに、その魔人とやらと戦う皇女達というのは女じゃろ?」
「女の体は本来、子供を産んで育てる為の物。 女子供を守る為に出来てる男とは基本体力からして違う」
「今まではその基本能力の高さゆえに、他の星の男達も女の身でありながら倒してきたのだろうが……」
「自分達の種族と同レベル、いやそれ以上のレベルの男。 しかも、魔人と呼ばれるほどの鍛錬をしてきた相手に、女の身で立ち向かう
のは正直無謀すぎるわい」
「……僕だって、ワルキューレやみんなに戦わせたくなんてありませんよ」
「でも、戦えるのが彼女達しかいない以上、彼女達にすべて託すしかないんです……」
「……本当に、情けない話ですけどね」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・僕は、この怪我が治ったらまた、ワルキューレを助けに行きます」
「……お前さん、今度は本当に死ぬぞ」
「……僕は一度死んだ身です。 それに、僕は彼女を助けたい」
「……僕にだって、何か出来る事があるんだ。 僕は、そう信じたい」
「……だから、もう一度助けに行きます」
「死ぬ気か」
「……僕は、彼女の為なら死ねます」
「そうか」
「……ようし、わかった!!」
オーディンが自分のももを手で叩いて言う。
「お前、ちょっと行ってそのリョーエツとか言う奴をブチ殺してこい」
「……は?」
「この際お前でいいや。 最近周りが五月蝿くてよく眠れんかったんじゃ」
「ここ最近のやかましさが、その偉そうに魔人などと名乗っちょる糞野郎の所為だったとはの」
オーディンは両腕を組んでひとりうんうんと頷く。
「……は? あの……?」
「ようし、女のために死ぬ気があるのなら、善は急げじゃ!!」
「次元結界発動!!」
オーディンが軽いノリでそう叫ぶと同時に、周囲の景色が石造りの部屋から、赤い空の広がる森の入り口へと変わる。
「……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
和人が驚いていると、オーディンはごそごそと左手に着けていた手甲を外し、和人に放り投げる。
和人はそれを思わずキャッチする。
キャッチした物をよく見てみる。
肘まで覆える長さの何かの皮のグローブに、金属製のプロテクターが貼り付けられている。
プロテクターの中心は少し盛り上がっており、赤い宝石のはめ込まれ装飾された棒のような物が、手首から肘の方向へ差し込んである。
「それを着けてみよ」
「えっ、えと……」
「早くせんか!!」
「は、はい!!」
あたふたしながら、手甲を装着する。
……どくん。
「……え」
どくん、どくん……っ。
手甲が脈動するような感じが、装着した左腕を通じて走る。
そして、手甲の中央に装着された剣の柄の様な物にはめ込まれた青い石が光を放つと、全身を包むように光の膜が体を覆っていく。
「な、なんだよコレ?」
和人が動揺していると、オーディンが足元の石を拾い、和人に向けて全力で投げつける。
光線銃の光線よりも速いスピードで、和人の顔面へと迫る。
「うわぁ!!」
和人は咄嗟に顔面を両腕でガードする。
バガァァァァァァァァァァン。
両腕に当たった石が粉々に砕け散る。
「あ、あれ? 痛くない……。 それに、あんな速く飛んでくる石に反応出来た?」
「ふーむ。 どうやらわしの武器と波長も合うようじゃの」
「波長?」
「うむ。 今お前さんが着け取る手甲に収納されとる剣じゃが……」
「……剣?」
和人は手甲をよく見てみる。
「確かに剣の柄みたいなのがありますけど……」
「わしの話を遮るでない!!」
「す、すみません!!」
「こほん、わしの剣はな、時空剣(クロノ・ブレード)と言って、剣の放つ波長と魂の波長の合う選ばれし者のみが装備する事で、なん
と!!」
「装備した者の腕力、体力、素早さ、魔力といったあらゆる能力をパワーアップ出来るのじゃ!!」
「はあ」
「しかも、この剣は空中はもちろん、水中や宇宙といった本来人類が活動できないような所でも活動出来るようにしてくれる上、呪術や
魔術といった霊的脅威からも守ってくれるという、宇宙最高の武器なのじゃよ!!」
「しかも!! 完全にその力を引き出せればこの銀河さえ切り裂けるのじゃ!!」
「……はあ」
「なんじゃい!! その冷めた反応は!! わしの話を信じとらんのか!!」
「……いや、なんて都合がいい武器なんだろうって思って」
「な、なんて冷めた対応!! 普通、そこはもっと驚くべきところじゃろうが!!」
「……いや、驚いてますよ」
「……本当か?」
「本当ですよ。 ……でも」
「……でも、なんじゃい?」
「そんなすごい武器、僕なんかが扱えるわけがないですよ」
「んなこたあわかっとる!!」
「だったら!!」
「だから、このわしがお前を最強の騎士にしてやると言っとるんじゃろうが!!」
「は?」
「何、心配するな。 この結界の中は外と時間の流れが違うのでな」
「外の時間にして1時間が、この結界の中では3年間!!」
「お前が眠っとった時間が2日と23時間じゃ。 これから3年間お前を鍛えてやる」
「そして、おまえが魔人の糞野郎をブッ殺す。 完璧じゃろう?」
「……あの、僕ただの一般人なんですが」
「んな事見りゃ判るわい」
「まあ、このわしに任せておけ。 地を這う蟻んこのようなお前を狼レベル位にはしてやる」
「……はあ」
「ふふふ感謝しろよ、小僧。 戦神と呼ばれたこのわしが、おまえのようなひよっこを鍛えてやるのだからな。 かっかっかっかっ」
「……よ、よろしくお願いします……」
(……本当に大丈夫なんだろうか……)
目の前のあまりにノリの軽すぎる老人に、和人は不安を抱くのだった……。
第7章
「ほれ、もっときりきり走らんかい!!」
「ぜえ、ぜえ・・・・・・っ」
「そら、腕立てあと千回きりきりやらんか!!」
「う、おぉぉぉぉ・・・・・・」
「ぜはあーっ、ぜはあーっ」
「そら、休んどるヒマはないぞ!!」
散々基礎体力の訓練をさせられ、へばった和人にオーディンが右手をかざす。
ぽう・・・・・・っ。
「ぜはぁ・・・・・・アレ?」
「体力が戻った?」
「ほれ、わざわざ回復させてやったんじゃ。 さっさと訓練を続けろ」
「は、はい」
和人はまた、基礎体力を上げる為の訓練を再開する。
動けなくなるまで訓練を続け、動けなくなったら魔法で強制回復。
これの繰り返しが延々と続く。
……そして、修行を始めて半年後のある日の夜。
「そら、メシじゃ」
一時間ほど、どこかへと行っていたオーディンが、塩と胡椒を振りかけて焼いただけの肉を和人に放り投げてよこす。
「……いただきます」
肉をかじる。
「……固くて、噛み千切れない」
「なんじゃ、若いのに情けない」
オーディンはそう言って、肉を噛み千切ってくちゃくちゃと咀嚼して飲み込む。
「これ、何の肉なんですか?」
「毒じゃないから心配するな」
何度目かの和人の質問にオーディンはそう答える。
ここ最近、いつもこの肉が食事に出る。
「……大丈夫なのかな」
「噛み千切れないなら、飲み込め。 とりあえず、今は腹が膨れればよい」
オーディンはどこからか取り出したナイフで、和人の肉を一瞬で一口サイズに切り裂く。
「あ、ありがとうございます」
小さくカットされた噛み千切れない肉を少し噛んで、そのまま飲み込む。
「あの、オーディン。 質問してもいいですか?」
「何じゃ?」
「この半年間、ずっと基礎体力の訓練ばかりなんですけど、戦闘技術の修行とかはしないんですか」
「ああ。 あと一年半はずっと基礎体力の訓練をするぞ」
和人の疑問にあっさりと答える。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!」
「この半年間でしてきた事って、全部基礎体力を上げる為だけの訓練じゃないですか!!」
「そうじゃが、それが何か?」
「体力の続く限り訓練を続けて、動けなくなったら魔法で回復してまた訓練訓練。 こんな事で魔人に勝てるんですか!?」
「今は無理じゃな」
「今どころか3年経っても無理ですよ!! 全然戦闘技術の修行をしてくれないんだから!!」
「だって、お前素質ないし」
和人の疑問に、鼻くそをほじりながら答えるオーディン。
「なっ!?」
「そんな!! だったらこんな訓練意味ないじゃないですか!!」
「……小僧。 お前、たった3年の修行でわしの技、全部覚えきれると本気で思ってんの?」
「なっ!? だって僕を強くしてくれるって……!!」
「ああ、確かにそう言ったな」
「だったら技の修行も!!」
「やだよ。 素質のない奴にいちいち教えるのめんどくさいし」
「オーディン!!」
あまりの態度に和人がキレる。
「なんじゃ怒ったのか? カルシウムが足りんか? 明日からは肉だけじゃなく骨も食うか?」
「あ、あ、あ、あんたって人はーっ!!」
和人が立ち上がって激怒する。
「……はあ、しょうがない小僧じゃの……」
オーディンが和人の頭を掴み、押さえつける。
「何するんですか!! 離して下さい!!」
「ええい!! ちょっと黙らんか!!」
「あんた、何を……!?」
和人が驚愕の表情を浮かべる。
「な、何だよ……コレ?」
「あ、頭の中に何か入り込んでくる……っ!!」
「ふむ。 とりあえずこれくらいでいいか」
オーディンは和人の頭から手を離すと、バックステップで30メートルほど離れる。
「おい」
「……え?」
オーディンの声に我に返り振り向くと、オーディンが何時の間に手にしたのか、6本の短剣を和人に神速の速さで投げつける。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
シュバっ!!
キンキンキンキンキンキンっ!!
「あ、あれ……?」
気が付くと、和人は左手の手甲から剣を引き抜いて、6本の短剣を全てオーディンにはじき返していた。
「どうじゃ? 今の気分は」
オーディンが弾き返された短剣を全て素手で受け止めて、和人に問いかける。
「今、僕何を……」
「わしの技で短剣を弾き返したんじゃよ」
「……僕が?」
「そう、そのとおり!!」
「今、少しだけわしの技をお前の頭の中に記憶(インストール)させた」
「記憶(インストール)?」
「これがわしの秘策。 先代から引き継いだ伝承の秘術なり」
「悪を断ち、正義を貫く為の技。 それを次代の継承者に寸分違わず継承させる秘術じゃ」
「今、ほんの少しだけわしの技をお前に記憶させた。 だからお前は今、その剣を抜いて反応する事が出来たのじゃ」
「……今まで、手甲から引き抜いても刀身がなかったのに」
時空剣の金色の刀身を見つめながら呟く。
「今までは魔力の制御を知らんかったからの」
「時空剣は刀身を普段、分子分解した状態で柄の中央にある宝玉に収納させてある」
「お前自身に魔力はほとんどないが、皇女の魂のかけらのお陰でなんとか刃を生成する程度の魔力はある。 だが、それを発動させる
方法を知らなかったじゃろ?」
「う、うん」
「つまり、わしの技を覚えた事で、刃を生成できるようになったわけじゃよ」
「……なるほど」
「前にも言ったよな。 その剣は装着者を強化すると」
「じゃが、何の鍛錬もしてない人間が、人の限界を超える為の強化に耐えられる訳なかろう?」
「ろくな鍛錬もせずに強化なんかしたら、全身粉砕骨折した挙句、内臓破裂で死ぬぞ」
「それにな、装着者自身が強ければ強いほど、強化の度合いも強くなる」
「わしはな、お前を剣の力による強化に耐えられるよう鍛え抜いてから、わしの技をすべて先ほどの秘術で受け継がせるつもりじゃ」
「………」
「2年間で徹底的に心も体も鍛えぬく。 そして最後の1年で、受け継いだわしの技をすべて自由に扱えるようにする」
「糞真面目に修行してたら、ただでさえ才能がないんじゃ。 何十年もかかっちまうからの。 これが一番手っ取り早いんじゃ」
「この修行を3年間続けて初めて、おまえはわしの技を受け継いた最強の騎士になれるというわけじゃ。 わかったか小僧」
「……オーディン、あの……すみませんでした」
和人は素直にオーディンに謝る。
「うむ。 納得したなら早く寝ろ。 明日も早いぞ」
「はい!!」
第8章
……それから、瞬く間に時は過ぎていった。
「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
「オーディン!! 何なんですかこの怪物は!!」
尻尾のない竜のような生き物が襲い掛かってくる。
「わしらのメシじゃよ」
「ま、まさか……」
「うむ。 毎日喰ってたアレな、この宇宙ドラゴンの尻尾」
「な、なんだってーっ!!」
「こいつの肉は滋養強壮に加え、内臓や体を強化してくれるんじゃ」
「貧弱な坊やだったお前も、最近すっかりタフになってきたじゃろ?」
「最初は10倍の重力を加えたら血を吐いて動かなくなったが、最近は平気で動けるのもこいつの肉のおかげじゃよ」
「こ、こんな時にそんな説明しなくていいから!!」
「ほれ、とりあえずこいつを1人で倒してみせろ」
オーディンはそう言うと、一人でさっさと逃げていく。
「む、無茶言わないでくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
ゴウッ。
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!
ドラゴンの炎が大地を抉り大爆発を起こす。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
丸こげになった和人が爆風で宙を舞う。
「ありゃ、まだ無理だったかの?」
崖の上で鼻くそをほじりながら、絶体絶命の和人を見てオーディンはそう呟いた。
……時はどんどん過ぎていく。
「……はあっ、はあっ」
「ほれ、隙有り」
ドガァ!!
「ぐはあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「この場面でそんな技を出してどうする。 こういう時はどの技を出せばいいかよく考えんか」
オーディンが再び同じ技を繰り出す。
「こん、ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
一瞬の攻防の後、和人の剣先がオーディンの鼻先に突きつけられる。
「……よし」
オーディンが和人に満足気に笑って頷く。
……和人は日々必死に死に物狂いで修行を続ける。
「はあっ、はあっ……」
「そらそら、もうすぐ3年が経つぞ。 それなのに、こんな老いぼれに勝てんでどうする?」
「はあはあっ、も、もう一本!!」
「よし、かかってこい!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
神速の斬撃と斬撃が交差し、二人の間で火花が飛び散る。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
強化され腕力と速度の増している和人の突きが、オーディンの胸を貫こうとする。
「甘いわ!!」
オーディンは突き出された剣の腹を、拳で上に殴りつけ軌道を変えると、すかさず神速の蹴りを放つ。
「っ!! 臨界強化!!」
限界を超えた強化を行い、和人の身体能力が地球人の限界を超える。
和人はオーディンの蹴りを左手で掴み、踏み台にして飛び上がる。
そして空中で回転しながら、オーディンの頭部へ時空剣を振るう。
どさっ。
オーディンの頭頂部に剣を突きつけたまま、背後に着地する。
「……よくやった、和人」
「……はあ、はあ、10回やって、2回しか、勝てませんでしたけどね」
「ふん、全盛期の力を出せない老いぼれ相手とはいえ、たった3年でこれだけ上達したんじゃ。 上出来じゃよ」
「あとは修行を怠らず、これからも自分を鍛えていけば、もっともっと強くなれるだろうよ」
「……どんなに修行しても、大した魔力がないから魔法は使えませんけどね」
「まったく、出来の悪い継承者じゃよ。 せっかく魔法も伝承してやったのに、剣技と格闘術しか満足に使えないんじゃからな」
「すみませんね、出来が悪くて」
「まったくじゃ。 あれだけ鍛えてやったのに、なーんでムキムキのマッスルボディにならんのじゃ!!」
「そんな事言われたってこういう体質だし!! それにムキムキのマッチョなんか嫌ですよ!!」
3年間の修行で、和人の身長が185cmに伸びた。
厳しい修行にも関わらず、特にムキムキの筋肉になったわけでもない。
だが、3年間の酷使でボロボロになって何度も縫い直した服の下には、徹底的に鍛えぬいた引き締まった肉体がある。
「ふん。 まあいいわい。 おまえで妥協したのはわしじゃからの」
二人はお互いそんな軽口を叩き合う。
3年間ふたりだけの異空間での修行暮らしをしてきて、彼らにはそれなりに師弟の絆のような物が生まれていた。
「……さてと、いいかげんお前の顔も見飽きたわい」
「それはこっちのセリフですよ」
「これ、もってけ」
そう言って小さな小瓶を投げて渡す。
「何ですか、これ?」
「わしが修行の合間に暇を見つけて調合しといた霊薬じゃよ。 今のお前の臨界強化は1分しか持たんじゃろ?」
「限界を超えた力を発揮できる代わりに、1分を過ぎれば筋肉が爆ぜ、骨が粉々になってしまい二度と立ち上がれなくなるという諸刃の
刃」
「もしも体の調子がまずいと思ったら、すぐにそれを飲め。 たちどころにどんな怪我も治してしまう薬じゃ」
「ただ、材料が貴重な上、調合にとんでもなく時間がかかるんでな。 一本しか用意出来んかった。 大事に使え」
「それとこの服をやる。 わしが若い頃に着てた物じゃ」
そう言って、動きを疎外しない程度の必要最小限の防具とヴァルハラ星の騎士の衣装を手渡す。
「出会ってからの3年で大分背も伸びたようじゃし、今なら多分ぴったり着れるじゃろ」
「……ありがとう」
和人はそれを受け取って心からの礼を述べる。
「さて、そろそろお別れじゃ」
「お別れって、オーディン……」
「ここから南西のほうに邪悪な気配を感じる。 ここを出たらすぐに向かうが良い」
南西の方角を指差して言う。
「お前の、大切な人を守る為に」
「……オーディン」
「さらばじゃ。 もう、二度と会う事もあるまい」
「ちょ、ちょっと待って!!」
「がんばれ。 時野和人」
オーディンはそう言って笑うと、ふっとその姿を和人の前から消してしまった。
「オーディン!!」
周囲の景色が歪む。
「っ!?」
一瞬の閃光の後、目を開く。
「……ここは……」
ぽっかりと穴の開いた天井から、僅かな光の射す狭い洞窟の中で、和人はただひとりそこに立っていた。
「オーディン?」
和人は周囲を見渡して見る。
「!?」
和人の振り返った先に、壁にもたれかかった姿勢のまま、朽ち果てている骸骨があった。
いったい、どれくらい昔の骸骨なのか。
和人には判別がつかなかった。
「!? ……オー、ディン……」
和人が驚愕の声を上げる。
骸骨の着ている服は……オーディンが着ていた物だった。
「オーディン……」
和人は骸骨に近づく。
……びゅうっ。
天井の穴から風が入り洞窟の中を流れていく。
「……あっ!!」
着ている服もろとも、骸骨がさらさらと砂になって崩れていき、風に流されて跡形もなくその存在が消え去る。
「……オーディン」
和人は骸骨があった場所に頭を下げて、黙祷を捧げる。
そして、オーディンから受け取った衣装に着替えると、もう一度その場に頭を下げる。
「……ありがとう、オーディン」
「……僕は今度こそ、貴方からもらったこの力で、大切な人を守ってみせる」
和人はそう言って踵を返すと、天井に開いた穴を見上げる。
手甲を左腕に嵌める。
全身に流れる、大切な人を守る為にオーディンから授かった力。
もしかしたら、彼はヴァルハラ星が存亡の危機に瀕しているのを食い止めるために、遥か昔に死んだ身でありながら、現在に現れたの
かもしれない。
和人はそう思った。
3年間共に過ごした英霊の事を思いながら、意識を両足に込める。
そして、思い切り上空へ向けて飛び立つ。
「……今行くよ、ワルキューレ!!」
オーディンとの別れを心の中で済ませ、大切な人をその腕の中に取り戻す為、和人は飛ぶ。
第9章
全身に漲る力。
オーディンから受け継いだ、大切な人を守る為の力。
和人は全速力で空を飛ぶ。
(もっとだ、もっと速く!!)
和人は飛行速度をどんどん上げていく。
「っ!? ワルキューレ!!」
時空剣によって和人の強化された視力が、眼下の競技場で怪物に傷つけられ倒れているワルキューレの姿を見つける。
醜い怪物がワルキューレに剣を振るおうとする。
「ちぃっ!? させるかあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
和人は競技場目掛けて急降下する。
どんどん大地が目前に迫る。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「このバケモノめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!! 人の彼女に手を出すなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
頭に血が上った和人は、普段なら絶対口にすることの無い言葉を口走りながら、急降下する猛スピードもそのままに、今にも剣を振り
下ろそうとする怪物にとび蹴りをかます。
ぐしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
徹底的に鍛えぬかれた肉体を時空剣で強化し、更に猛スピードの加速を加えた蹴りを喰らい、怪物の頭がぐちゃぐちゃのミンチになる。
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンっ。
和人に頭を蹴り潰された怪物は競技場の壁に叩きつけられ、全身から血を吹き出して動かなくなる。
そしてそのまま、がらがらと崩れる瓦礫に埋もれてしまう。
「ワルキューレ!!」
和人は倒れているワルキューレを抱きかかえる。
「ワルキューレ、大丈夫か!!」
「……うぅ……」
「よかった!! まだ息がある!!」
和人はオーディンからもらった霊薬を何のためらいもなく懐から取り出すと、片手に持って親指で瓶の栓を外す。
「薬だよ。 飲めるかい?」
瓶の口をワルキューレの口元へ押し当てて、中の薬を飲ませる。
「……う……」
小さなうめき声をあげて、ワルキューレが閉じていた目を開く。
「大丈夫かい?」
ワルキューレを抱きかかえたまま、優しい顔で彼女の顔を覗き込む。
「あ……」
ワルキューレの焦点が和人の顔へと定まる。
和人の存在を確認すると、とたんにワルキューレの瞳に涙が溜まる。
「……和人様!!」
ワルキューレが驚愕と歓喜の入り混じった表情で叫ぶ。
「助けに来たよ」
「和人様!! 生きて、生きてらしたんですね!!」
「ああ。 僕の中に、ほんの少しだけ君の魂が残ってたおかげさ」
「え?」
「ほとんど、僕自身の魂へと変質しかけてるけど……。 僕をこの世に繋ぎ止めてくれたのは、紛れもなく君の魂だ」
「……私の魂が……」
「つまり、僕達の絆は決して誰にも断ち切れないってことさ」
「か、和人様ぁ!!」
ワルキューレは歓喜の涙を流して和人に抱きつく。
「良かった、本当に良かった! 和人様が生きてる……」
「ワルキューレ……」
「……なかなかしぶといな地球人」
「リョーエツ!!」
感動の再開に無粋な声で水を差す、憎むべき悪魔を和人は睨みつける。
「確かにこの手で白の皇女の魂を引きずり出したはずなのだがな。 ほんの残りカス程度の魂でも生き延びるとは、まるでゴキブリのよ
うな生命力だな」
「なんですって!!」
和人を侮辱され、ワルキューレが憤慨する。
「ワルキューレ」
和人はワルキューレの手を離させて立ち上がらせると、自らの背後へ退かせ彼女を庇う様に一歩を踏み出す。
「これから見せてやる。 貴様が虫けらと馬鹿にする者達の力を」
「……ふ、はははははははははははははっ!! これは傑作だ!!」
「何の力も持たない地球人ごときが戯けた事を!!」
「せっかく助かった命をもう一度捨てにくるとは、救いようのない馬鹿だな!!」
「くくくく、久しぶりに笑わせてもらった礼だ。 今度は二度と生き返れないように殺してやろう」
「ヴァルキューレ!! あの地球人を殺せ!!」
魔人の命令と共に、怪物が瓦礫の下からその異形の姿を現すと、ものすごい速度で飛びかかってくる。
「ヴガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!」
和人の目前で二体に分離し、上半身は刻の鍵のレプリカで斬撃を、下半身は牙を剥いて噛み付こうとする。
「………」
「和人様!!」
ワルキューレの悲鳴が響く。
「なにぃっ!?」
魔人の驚愕の声が響く。
和人は上半身の斬撃を左腕の手甲で簡単に受け止めていた。
そして、大口を開けて噛み付こうと飛び掛る下半身を思い切り蹴り上げる。
「ぐぎゃぁっ!!」
蹴り上げられた下半身と、空中の上半身が激突して、はるか上空へと舞い上げられる。
「はあっ!!」
和人は手甲から剣の柄を掴むと、気合のかけ声と共に引き抜く。
刀身が一瞬で構成されると、まばゆい光を放ち始め、刀身が天まで届く勢いで伸びる。
「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
一閃。
上半身が刻の鍵のレプリカで防御しようとする。
だが光り輝く刀身は落下してくる怪物を刻の鍵のレプリカごと二体まとめてまっぷたつに切断した。
「〜〜〜〜っ」
声にならない悲鳴を上げ、4つの塊になった怪物はドオンっと爆発音を立てて、肉片一つ残さず光の粒子になって完全消滅する。
「……す、すげぇ」
ダメージを喰らい満足に動けない体を鞭打って、和人達のやり取りを見ていたハイドラ達は、呆然と目の前の光景を見つめ続ける。
「次は貴様の番だ。 降りて来い!!」
和人は魔人に時空剣を突きつけて宣戦布告をする。
「ヴァルハラの戦神オーディンから、受け継いだこの力で僕が貴様を倒してやる!!」
第5話END
第1章
「ヴァルハラの戦神オーディンから、受け継いだこの力で僕が貴様を倒してやる!!」
和人の宣戦布告に、魔人は一瞬だけ驚いた様子を見せる。
「……くくくくくく、そうか……。 そういう事か……」
「12人のヴァルキリー達と共に、我が一族を滅ぼしただけに飽き足らず、この未来に措いても、脆弱な地球人を使ってまで我に滅びを
与えようというのか」
「……よかろう。 オーディンよ、あの時の我はまだ幼く貴様に怯えるだけだったが……」
魔人の脳裏に、自分の一族がたった一人の騎士によって、一人残らず倒されていく光景がフラッシュバックする。
「今は違うぞ……!! 貴様の後継者を殺す事で、我が貴様を超えた事を証明してくれる!!」
魔人は和人に戦う術を託した今はいない天敵に向かって叫ぶ。
「行くぞ、小童!!」
魔人が玉座から飛び立ち、和人目掛けて猛スピードで突っ込んでくる。
「ワルキューレ!! 下がってるんだ!!」
和人は背後のワルキューレにそう叫ぶと、上空から襲い掛かってくる魔人を迎え撃つ。
「死ねえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人が両手から光弾を和人目掛けて連続で放つ。
ひゅんっ、ひゅんひゅんひゅんっ……!!
和人が時空剣を抜き放ち、神速の速さで飛来する光弾すべてを切り裂く。
切り裂かれた光弾は次々に音もなく消滅していく。
「おのれ!!」
魔人は懐から小さな金属片を取り出すと、それを錬成して高速回転する輪を作り出す。
「喰らえ!!」
触れる物全てを切り裂く死の鉄輪が和人に迫る。
「でぇいっ!!」
和人の振るう剣が鉄輪を複数の金属片へ変える。
「返すぞ!!」
和人は複数の金属片へと切り裂いた鉄輪を魔人へ剣の腹で打ち返した。
「……ぬぅ!!」
複数の金属片が魔人の防御した左腕へと突き刺さる。
「おのれ……!!」
「……僕に、貴様のつまらない手品は通用しない」
和人はわざと魔人を挑発してみせる。
「……餓鬼がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
和人の挑発にキレた魔人がその手に大剣を錬成して、和人へと上空から斬りかかる。
「はあぁぁぁっ!!」
一撃一撃が必殺の威力を誇る上、神速の速さで繰り出される魔人の連撃を、和人は時空剣ですべて受け止める。
「おのれ!! おのれぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
小馬鹿にしていた地球人に、鍛えぬいた自分の攻撃が簡単に防がれる。
「何故だ!? 何故当たらぬ!?」
魔人はいらだちの雄叫びを上げながら、休む間も無く和人へ連続攻撃を繰り出す。
「……ふぅっ!! ……はぁっ!!」
魔人の連続攻撃を和人はすべて受け流す。
「おのれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「……ふっ!!」
魔人の一撃を受け流し、体勢を崩し一瞬の隙を作らせる。
「……はあっ!!」
ズドオンっ!!
「がはっ!!」
魔人が体勢を立て直すよりも早く、和人の繰り出した鋼鉄並に強化された左拳が魔人の顔面を捕らえる。
びし、びしびしぃっ……バアンっ……。
魔人の仮面にヒビが入り、次の瞬間には粉々に砕け散る。
「っぐぅ……っ!! があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
顔面を殴られて片目を抉られた素顔を晒された怒りに、魔人は我を忘れて力任せに剣を振るう。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ズバアァァァァァァァァァァっ!!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
怒りに任せて振るった剣ごと、魔人の右手首を和人が切断した。
切断された手首が空中で光の粒子になって消え失せる。
「ぐおぉぉぉ……っ」
右手首を失った魔人が左腕で右腕を押さえる。
ひゅんっ!!
和人の放った神速の突きが苦しむ魔人目掛けて飛ぶ。
「ぐぞおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
魔人は咄嗟に背後へ飛ぶが、和人の放った突きが腹部に突き刺さる。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!! 馬鹿な!! 馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!」
「こんなはずはない!! この俺がたかが地球人ごときにこんな……!!」
「……1人じゃない」
魔人の驚愕の声を遮って、和人が口を開く。
「今こうして僕がここにいるのは、助けてくれる仲間がいるからだ」
「困った時、辛い時に手を差し伸べてくれる仲間がいるからだ」
「そして……」
和人はちらりと戦いを見守っているワルキューレを見て、視線を魔人へと戻し宣言する。
「どうしても守りたい、大切な人がいるからだ!!」
「だから、僕は強くなれる!!」
「ふ、ふ、ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「戦いはいつも1人だ!! 仲間だの守る者だの、そんな物ごときで強くなどなれるものかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人は激怒の雄叫びを上げながら和人に光弾を連射する。
チュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ……!!
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
飛んでくる破壊の光を全て斬り捨てる。
「……言っただろう。 僕にそんな物は通じない」
「おのれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人はむきになって光弾を連射し続けるが、和人は全ての光弾を切り捨てた。
第2章
「す、すげえ……!!」
「あれが和人なの? あの強さ、まるで別人じゃない!!」
「婿殿のほうが、あの魔人より強いなんて……!!」
「すごい!! 和人さんって、あんなに強かったんですね!!」
「……ネスティー」
「……ああ」
「……勝てる。 勝てるぞ……」
「少年、いや……婿殿の力がこれほどとは……!!」
和人の戦いぶりにそれぞれが感嘆の声を上げる。
……あの和人が、誰も勝てなかった最悪の敵を圧倒的な強さで追い詰めている。
目の前で繰り広げられる、最悪の絶望的状況からの逆転劇に皆が興奮を隠せない。
「……すごい」
ワルキューレも秋菜達と同じく、和人の戦いを感嘆の声を漏らしながら見守る。
「……すごいです、和人様……」
……いったい、彼に何があったのだろう?
目の前で繰り広げられる光景にワルキューレは思わずそう思う。
(……オーディン。 ヴァルハラ八大皇家にも記録すら残っていない、本当にいたかどうかも定かではない英雄)
(おとぎ話の魔人以上に、正体不明の伝説の戦神)
(いったいどこから来たかもわからない、神話の中にのみ出てくる仮想の英雄)
(神話として伝わってきたのは、12人の戦乙女達と共に、ヴァルハラ星に平和をもたらしたという事だけ……)
(そんな空想の産物のように伝えられてきた戦神が、本当に存在していて、和人様にあんな力を与えたというの?)
和人の超人的な戦いぶりに、ワルキューレは本当に存在した神話の英雄を思い描く。
「……グングニル」
和人がそう呟くと、時空剣の柄の中央にはめ込まれている宝玉から光の棒が伸びる。
和人はそれを左手で掴むと一気に引き抜く。
引き抜かれた光の棒は3メートルくらいの長さにまで伸びて更に光り輝く槍へと変化する。
「……でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぃっ!!」
和人は左手に持った光の槍を魔人目掛けて投擲した。
ゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!
ザンっ!!
轟音を立てながら投擲された光の槍が、魔人の左腕を掌から肩口にかけて刺し貫く。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人の絶叫が響く。
「……終わりだ」
和人がトドメの体勢に入る。
腰を落とし、時空剣を両手で中段に構える。
時空剣の刀身が邪悪を討ち滅ぼす破邪の光を放ち始め、どんどん放つ光の量を増していく。
「……かっこいい……」
圧倒的な強さで魔人を追い詰めた和人を、ワルキューレは瞳を輝かせながら見つめる。
ワルキューレだけでなく、秋菜達も、魔人に強制されて映像を全宇宙に送っている人々も、テレビを見ている宇宙中の人々も、誰もが
皆、和人に注目する。
これですべて終わる。
皆の心に安堵が広がっていく。
その時だった。
「舐めるな小僧ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
魔人の体がぼこぼこと音を立て、膨張を始めた……。
第3章
「なっ!?」
一瞬の出来事だった。
魔人の姿が膨張を始め、3倍程の巨体になったかと思うと、物凄い速度で和人にショルダータックルをかます。
「くっ!!」
バチバチっと音を立て、和人の身体を覆う防護結界が軋む。
和人は魔人のタックルから逃れようと左に跳ぶが、魔人は和人の左足首を掴んで和人を捕まえる。
「死ねぇっ!!」
魔人が和人を地面に叩き付ける。
「がはっ!!」
地面がクレーター状に罅割れ、陥没する。
時空剣の刀身から光が霧散する。
「ふんっ!!」
魔人が和人を巨大化した右足で踏みつけようとする。
「くっ!!」
和人は咄嗟に起き上がってその場を飛び退く。
ズドオォォォォォォォン!!
魔人の右足が大量の土を撒き散らして、和人の叩きつけられた場所を踏み抜く。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
和人は体勢を立て直し、剣を両手で構えて魔人へ突進し、ジャンプして魔人の頭へ斬りかかる。
「ふん!!」
「なにっ!?」
和人の頭部を狙った上段斬りを、いきなりこめかみに生えてきたツノが防御する。
「そおらっ!!」
頭のツノで斬撃を防ぐとそのまま、ツノで和人の喉を刺し貫こうとする。
「……くっ!!」
和人は空中で上体を反らしてツノをかわすと、ツノを左手で掴みくるりと空中で180℃回転して体勢を変える、
そして魔人のこめかみに剣を突きたてた。
ガキィィィィィィィィィィンっ!!
「なっ!!」
和人の突きが強靭に変化した魔人の額に弾き返される。
「効かんなぁ」
魔人はそう言ってにやりと笑うと、和人のがら空きの胴に強力なアッパーカットを叩き込む。
「がっ!!」
防御結界越しに和人の内臓に強烈なダメージが伝わる。
「そおらっ!!」
上空へ舞い上げられた和人に高速飛行で追いつくと、今度は和人の背中に肘撃ちを叩き込む。
「がはっ!!」
呼吸が止まる。
「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人の強烈な回し蹴りが和人を大地へ叩き付ける。
ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!!
「和人様!!」
より凶悪な姿に変化した魔人が和人をいいように痛めつける。
その悪夢のような光景に、ワルキューレは咄嗟に刻の鍵を拾い上げ、倒れた和人の傍へ近づこうとする。
……だが。
「ジャマだ!!」
魔人が両目から生体レーザーを撃ち出した。
「!?」
ワルキューレの反応速度を遥かに超える速度で、彼女の額を撃ちぬこうとレーザーが迫る。
ヒュッ!!
キィィィィィンっ!!
「……させるか!!」
両足を強化した超加速でレーザーに追いついた和人が剣でレーザーを跳ね返す。
「……ほう、まだ動けるか」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ワルキューレを庇った和人は再び魔人へと突進していく。
「ふん!!」
魔人の拳が和人を殴り倒す。
「……ぐっ!!」
「くくく、所詮地球人だな!!」
「オーディンの剣でいくら肉体を強化しても、所詮は脆弱な地球人。 我が本気を出せばろくに反応も出来ぬとはな!!」
「く……」
和人がぺっと口から血を吐き捨てる。
「簡単には殺さぬぞ。 貴様に斬られた手首が再生出来ぬ。 その借りをたっぷり返してやる」
魔人がずしんずしんと音を立てて、にじみ寄る。
「やべぇ!!」
ハイドラが叫ぶ。
「和人!!」
秋菜が悲痛な叫びを上げる。
「和人様!!」
ワルキューレが駆け寄ろうとする。
「………」
す……と和人は左手を横に伸ばし、今にも駆け寄ろうとするワルキューレ達を静止させる。
「大丈夫だから」
「和人様!!」
ワルキューレの悲痛な叫びを背に、魔人へと向き直る。
「……ほう、まだ抗うか? 貴様如きでは我には勝てぬぞ?」
「………」
「くくくくくく、もう最初のように油断はしない。 貴様のまぐれもここまでだ」
勝利を確信した魔人が和人を嘲笑う。
だが和人は顔色ひとつ変えず、ワルキューレ達が今までに見たことのない、冷徹な表情と視線で魔人を睨みつけて言い放つ。
「……1分だ」
「……何?」
「貴様の余命の時間さ」
「貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!」
魔人が激怒して襲い掛かってくる。
「……臨界強化」
その言葉と共に、和人の全身が限界を超えたパワーアップを果たす。
ヒュ……。
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンっ!!
魔人の左拳が何もない空間を引き裂き、地面を陥没させる。
「……はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ズドォっ!!
限界を超えた強化による超高速移動で和人は魔人の背後に回りこむと、魔人の側頭部に強烈な蹴りを放った。
ドガアッ!!
にぶい音と共に魔人のツノが粉砕され、側頭部が蹴りつけられる。
蹴りの衝撃とあまりの威力に、頭部全体が首から引きちぎられそうになる。
「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
……ヒュンっ。
空中で一回転し、下側から背中を剣で切り裂く。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
背中から光の粒子になった鮮血が飛び散る。
「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
ひゅっ!!
「……がっ!?」
魔人の左足が膝から切断され、魔人がバランスを失い背中から大地へ倒れる。
「はあぁぁぁぁっ!!」
超高速で駆け抜けながら魔人の左足を一閃した和人は、魔人の足元を駆け抜けるとすかさずターンし、グングニルを時空剣から引き
抜いて倒れる魔人の胸に投げつける。
ドッ!! ぶしゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ!!
魔人の胸から真っ赤な鮮血が噴水のように噴き出す。
「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「……くっ」
和人の全身に激しい痛みが熱を持って急激に伝わる。
(……そろそろ1分か)
和人の脳裏にオーディンの忠告がよぎる。
『今のお前の臨界強化は1分しか持たんじゃろ?』
『限界を超えた力を発揮できる代わりに、1分を過ぎれば筋肉が爆ぜ、骨が粉々になってしまい二度と立ち上がれなくなるという諸刃の
刃』
……ぶしゅっ、ぶしゅっ……。
地球人の限界を超えた動きに耐え切れず、和人の右腕上腕部、左右の太もも、ふくらはぎの皮膚が裂け、鮮血が飛び散る。
(くっ……限界が近い……)
(だけど!!)
和人は上空へ飛ぶと大地へ向かって超高速飛行する。
倒れた魔人の心臓目掛けて、刀身に破邪の力をチャージさせながら。
「これで終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人ですら視認出来ない速度で心臓を貫こうとする和人。
和人の声だけが魔人の耳に先に届く。
「地球人!! これを見ろ!!」
和人が心臓を貫こうとしたその瞬間、魔人の体の上に鋼鉄の檻が出現した。
「なっ!?」
和人は慌てて空中で急停止する。
魔人の体の上に突如出現した鋼鉄の檻。
その中に捉えられていたのは……。
「シロ!!」
和人がその名を叫ぶ。
「く、くくくくく、惜しかったな」
「あと少しで、自らの友を殺せた物を」
シロを捕らえた檻を左手に持って、魔人がその身を起こして空中浮遊をしながら和人と対峙する。
「……貴様!!」
「おっと、動くなよ? 貴様の仲間が死ぬぞ?」
そう言って檻を持ち上げてみせる。
腹部と背中を血で真っ赤に染めたシロはピクリとも動かない。
ただかすかに、身体を上下させているだけだった。
『シロッケンハイム!!』
戦闘機を乗り捨てて、ネスティー達の元に合流したマルと妙が叫ぶ。
「……くっ」
「褒めてやろう。 素晴らしい強さだったぞ、地球人」
「己の命と肉体を限界に晒してまで放つその力。 実に素晴らしい」
「だが、最後に笑うのはこの俺だったようだな」
「……シロを離せ!!」
「力ずくで奪い返してみたらどうだ?」
「もっとも、いくら貴様が速くても俺がこいつを殺すほうが速いがな!!」
「くっ!!」
「くくく、動くなよ?」
魔人はそう言って笑うと目から生体レーザーを放つ。
「ぐあぁっ!!」
生体レーザーが和人の両太ももを貫く。
「これで、もうちょこまかと動く事は出来まい……」
そう言って魔人は高速で飛行しながら和人の腹に強烈なパンチを放つ。
バキベキボキィっ!!
「ぐはぁっ!!」
和人の肋骨が数本、粉砕骨折した。
和人は衝撃で背後に殴り飛ばされる。
「くうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
和人は何とか貫かれた両足で倒れまいと踏ん張る。
ずざざざざざざざ……。
「くくく、そらそらそらっ!!」
魔人が手首のない右腕から光弾を連射する。
「くっ!!」
和人は咄嗟に剣で弾き返そうとするが。
「ぐあぁっ!!」
右腕の半分ほどの皮膚と筋肉が裂け、真っ赤な鮮血が飛び散る。
チュドドドドドドドっ!!
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
光弾が和人の身体に炸裂する。
「く、うぅぅ……」
「和人様!!」
いてもたってもいられず、ワルキューレが駆け寄ろうとする。
「来るんじゃない!! 足手まといだ!!」
和人が駆け寄ろうとするワルキューレに一喝する。
「くくくくくく、どうやら限界を超えた代償は大きすぎたようだな」
もう満足に剣を振るう事すら出来ない和人を魔人は嘲笑う。
「言っただろう。 仲間だの守るべき者だので強くなどなれぬとな」
「こいつごと俺を貫けば、そんな無様を晒す事もなかったのになぁ」
そう言ってにやにやと笑う。
「……黙れ!! 友を見捨てた勝利なんか意味はない!!」
和人が叫ぶ。
「バカが。 こんな足手まといの為に、せっかくの勝利をドブに捨てた事を後悔して死ね!!」
第4章
魔人は再び光弾を放とうとする。
その時だった。
「……ふ、ざけるな……」
「……この、俺が……足手まといになどなれるかぁぁぁっ!!」
苦しそうに目を開いたシロが四つんばいの姿勢になり、全身に力を込める。
バキベキバキィっ!!
シロの小さな白い体が膨張し、一匹の巨大な獣に姿を変える。
普段のぬいぐるみのような姿から、見る者すべてを引き裂くような凶暴な姿へと。
「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
戦闘形態へ変身し、魔人の手にした檻を破壊したシロは、神速の速さで魔人の右腕を上腕から喰い千切り、魔人の手の内から離脱する。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
喰い千切った魔人の腕を吐き捨ててシロは叫ぶ。
「すまねえ和人!!」
「……シロ」
「ケダモノ風情がよくも俺の腕をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
怒り狂った魔人の光弾が重傷を負って弱っているシロを吹き飛ばす。
「ぐはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
競技場の壁に叩きつけられて、シロの変身が解ける。
「……ぐ、和人……立ってくれ……」
シロは息も絶え絶えに和人にそう告げる。
「シロ!!」
ネスティー達がボロボロの身体を引きずって、シロの元へ駆け寄っていくのが和人の目に入る。
「……そうだ」
「ここで負ける訳には……行かない……っ!!」
限界を超えた肉体に鞭打ち、和人は再び立ち上がると剣を構える。
「馬鹿め!! 精神論だけで俺に勝てるかよ!!」
魔人が左手から光弾を連射する。
「くぅっ!!」
ぶしゅっ……。
和人の全身から鮮血が飛び散る。
魔人の光弾がオーディンの防具をすべて破壊し、和人の肉体に新たな傷を付けていく。
だが、和人は魔人に向かって歩いていく。
「はははははははははははははははははははははははっ!! 死ねっ!! 死ね死ね死ねぇっ!!」
魔人が左手から光弾を連射する。
和人の身体に何発も何発も直撃して爆音を立てる。
「……ぐ」
和人が膝を付いて荒い息を吐く。
「死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人がかざした左手の掌に巨大な光弾を作り出す。
圧倒的な破壊力を秘めたソレはどんどんどんどん大きくなっていく。
「し……っ!?」
荒い息を吐いて跪いていた和人が、魔人を睨みつけていた。
絶対に諦めないという、強靭な意志を瞳に宿して。
「〜〜〜っ!!」
魔人の背筋に悪寒が走る。
(馬鹿な!? この俺が恐怖を覚えるなど!!)
和人は再び立ち上がると、剣を構えて近づいてくる。
「っ!! 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人の左手から圧倒的な破壊の光が、瀕死の和人めがけて降り注ぐ。
「和人様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
和人が破壊の光に飲み込まれる瞬間、ワルキューレが和人と破壊の光の間に割って入った。
「くうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
刻の鍵を両手で構えて、必死にバリアを張る。
ぴしっぴしぴしぴしぃ……。
ワルキューレは簡単に削られて割れていくバリアを、必死に何度も何度も何重に何重に張り替え続ける。
「馬鹿……。 なんで来たんだよ……」
「……もうこれ以上、あなたが傷つくのがいやだったんです」
「私が、あなたを守ります」
ワルキューレはそう言って、和人ににこりと微笑んで見せる。
「……ワルキューレ」
「しぶとい!!いつまでも生意気に耐えてるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」
和人を早くこの世から消し去ろうと、魔人が破壊の光を更に強力にする。
ぴしぴしぴしぴしぃ……っ!!
バリアの割れる早さがどんどん早くなる。
バリアの張り替えが追いつかなくなり始める。
「ワルキューレ逃げろ!!」
「出来ません!!」
「君だけでも逃げるんだ!!」
「嫌です!!」
「ワルキューレ!! 逃げてくれ頼む!!」
「絶対に嫌です!! だって……」
「あなたがいない世界で生きてくなんて、耐えられません……」
ワルキューレの瞳から涙がこぼれる。
「だから、絶対逃げません。 ……もう、あなたを失いたくないから!!」
バリアの張り替えが追い付かない。
ワルキューレが破壊の光に飲み込まれそうになる。
「……お願い」
「お願い刻の鍵!! 私に力を!! 大切な人を守れる力を貸して!!」
「お願い!!」
ワルキューレの絶叫が木霊する。
……どくん。
刻の鍵が生き物のように脈動した気がした。
ワルキューレの脳裏に12の黒い月の姿が浮かぶ。
12の黒い月が光を放ったかと思った瞬間。
失われた4皇女とワルキューレ・ゴーストの姿が一瞬フラッシュバックした。
ワルキューレの瞬きするほんの一瞬。
彼女達が笑顔で手を差し伸べてくれたように見えた。
キュドッ!! ギュルルルルッ!! ドゴォォォォォォォォォォォォォォォッ!!
「なにぃっ!?」
ありえない事が魔人の目の前で起こった。
自らの放った破壊の光が、ぐるぐるとヴァルハラ皇家の紋様を描くように軌跡を描いたかと思うと、自分目掛けて数倍の破壊力に膨
れ上がって跳ね返されたのだ。
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
自らの放った破壊光線を数倍の威力で跳ね返され、魔人の体がほろぼろに焼け焦げ、全身から流血する。
右足と右腕残った部位が付け根から千切れかけている。
先の方は既に炭化していた。
「……今のは……? 彼女達が、力を貸してくれたの……?」
ワルキューレは呆然と、自分のした事が信じられないという風に呟く。
「貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!」
ビィッ!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人の放った生体レーザーが刻の鍵をワルキューレの手から弾き飛ばす。
「しまっ……!?」
慌てて拾おうとするが、魔人が左腕を振るうと刻の鍵の周囲に業火が撒き上がり、近づけなくなってしまう。
「くたばれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人が再び破壊光線を発射する。
刻の鍵が手元にないワルキューレはどうする事もできない。
思わず目を閉じてしまう。
だが。
ぐいっ。
「えっ!?」
和人は咄嗟にワルキューレを左手で抱き寄せて、自らの背後へ庇うと、右手に持った時空剣で防御結界を張った。
「く……」
バリバリバリバリバリバリバリバリィっ……!!
防御結界を突き破ろうと破壊の光が勢いを増す。
和人は全力で結界を維持しようとする。
ぶしゅぅっ……。
和人の剣を握る右腕から血が噴き出す。
「和人様!!」
「……大丈夫」
「僕が、絶対に君を守るから」
「!!」
ワルキューレを庇いながら、和人はとっくに限界を超えた体で暴虐の光に耐え続ける。
「……ぐ」
和人の身体がまた、裂けて鮮血が噴き出す。
「和人様!! もうやめてください!!」
「これ以上はもう無理です!! もういいです!!」
ワルキューレは目の前で和人が傷ついていくのに耐えられなかった。
こんな言葉を吐く事は、今までの和人の頑張りを全部無駄にしてしまう事なのに。
頭では理解してるはずなのに、どうしても耐えられなかった。
彼女はもう、彼が傷つくのは見たくなかった。
二人一緒に死ぬのなら、もうこれ以上彼だけが傷つく必要なんてない。
抵抗をやめてしまえば、一瞬で二人とも死ねるだろう。
ワルキューレはもう抗う事に諦めかけていた。
「……良くない」
……だが、彼はそう答えた。
「ワルキューレ、言っただろ?」
「僕のいない世界で、生きてくなんて耐えられないって」
「僕も君のいない世界なんて、耐えられない。 だから、抗い続ける」
「和人様……」
「諦めなければ、絶対に未来は切り開けるんだ!!」
和人はそう叫んで防御結界に更に力を込める。
「……諦めなければ……」
ワルキューレは和人の言葉を反芻する。
……あの魔人が怖い。
生まれて初めて、心の底から怖いと思った。
何度も何度も、あの悪魔から逃げたいと思った。
プライドも何もかも捨ててさえ、和人と一緒に逃げたいと思った。
だけど。
和人は違った。
敵わないとわかってる相手に対して、何度も何度も立ち向かっていく。
もう一度、皆で過ごしたあの幸せな日々を取り戻す為に。
大切な人を守る為に。
「……和人様!!」
ボロボロの身体で全身から流血しながら、生き残ったとしても廃人同様になってしまうほどの傷を負いながら。
和人はじわじわと魔人に向かって近づいていく。
大切な人を、大切な家族を、大切な友人達を傷つける敵を討ち滅ぼす為に。
(どうすれば……)
(どうすればいいの!?)
(刻の鍵がない今の私に、一体何が出来るの!?)
(私に、今の私に残された力は……!!)
(和人様のお役に立てる力は……!!)
ワルキューレは必死に今の状況を打破すべく思考を巡らせる。
「くっ……」
和人は苦しそうに膝をつくが、再び立ち上がる。
「無駄なあがきはもうよすんだな!! 体力を失い、それだけの怪我を負った貴様が俺に勝てる見込みなんてもうないんだよ!!」
魔人が破壊光線の威力を更に上げる。
「貴様は本当に馬鹿だ!! 仲間を見捨てて俺にトドメを刺していれば、こんな目に遭わずに済んだものを!!」
「挙句の果てがそのザマだ!! せっかくの霊薬も後先考えずに白の皇女に飲ませて、今も尚その女を庇ってダメージを受け続ける!!」
「ククククククククク、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハっ!!」
「何もかも手に入れようなんて甘いんだよ!! 何かを手に入れようと思ったら、何かを切り捨てるのが当たり前なんだよ!!」
「俺はな、てめえらみたいになんでもかんでも、手に入れようとする奴らが嫌いなんだよ!!」
「いつもいつでも上手く行くなんて思うな!!」
「二匹まとめて消し炭になりやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
暴虐の光が結界を打ち砕き、和人達を飲み込もうとする。
「……和人様!!」
ワルキューレは暴虐の光に飲み込まれようとする和人の懐に飛び込む。
そして和人の頬に、両手を添えると口付けををする。
(ワル、キューレ?)
唇を通して伝わるワルキューレの暖かさ。
唇を通して体の中心に流れ込んでくる暖かい物。
それは唇を通して体の中心に流れ込んできたかと思うと、全身に染み渡るように拡散していく。
(痛みが消えた? それに暖かい何かが体中を駆け巡ってる!!)
(身体が動く!! 力が湧く!!)
……ドパアァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
爆発音を立てて、暴虐の光が消え去る。
「くくくくく、やっとくたばったか」
魔人はひとり高笑いをする。
爆発によって巻き起こった土煙が風に流され消えていく。
……そして。
「な、何故だ!?」
「何故生きている!?」
時空剣を構えた和人が。
その傍らにワルキューレが爆発の跡に無傷で立っていた。
「……ありがとう。 ワルキューレ」
魔人に対して剣を構えたまま、和人は傍らに寄り添うように立つワルキューレに礼を言う。
「……そんな、和人様」
「ワルキューレ、全部片付いたら話したい事が沢山あるんだ」
「はい……」
「全部終わったら、聞いてくれるかい?」
「はい!」
「約束だよ」
「はい!! 和人様、勝ってください!!」
「ああ!!」
第5章
「何故だぁ!! 何故貴様がまだ立っている!!」
魔人が喚き散らす。
「……僕には、勝利の女神がついてるのさ」
「訳わかんねぇ事ほざいてんじゃねぇ!!」
和人がそう答えると、魔人は激怒して襲い掛かってきた。
「……臨界強化」
和人の全身に力が漲る。
誰も傷つけさせず、目の前の悪魔を討ち滅ぼすための力が。
ごっ。
事の成り行きを見守る人々の目の前から、和人の姿が一瞬消える。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
魔人が巨大化した左拳を目の前の大地目掛けて振り下ろす。
シュバっ!!
魔人の左腕が真ん中から裂け、左右に斬り飛ばされて、空中で光の粒子になって消滅する。
「がっ!?」
ゴシャっ!!
魔人の左腕を切断した和人が誰にも視認出来ない速さで上空へ飛び上がり、魔人のあごを超加速した左の膝蹴りで粉砕する。
悲鳴を上げる事も出来ず、魔人の頭が後ろに仰け反る。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
膝蹴りを喰らわせて、天高く飛び上がった和人が右足を高く上げて急降下する。
ドグワシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
「!!!!!!!!!!!!!!!」
魔人の脳天に強烈無比な踵落としを叩き込む。
魔人の脳天が叩き割られる。 頭蓋骨が割れ、脳の一部が裂けた皮膚の間から見える。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
踵落としを決めたまま、踵に力を込めて背中から倒れようとする魔人の頭を支点に、背後へ回り込む。
頭を地面に向けたまま、和人は破邪の光を込めた時空剣を横薙ぎに振るう。
斬っ!!
そして、空中で一回転して体勢を立て直し着地する。
「……フィニッシュ!!」
剣を手甲に収めて、指を鳴らす。
「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔人の絶叫が響く。
次の瞬間、左肩から右わき腹の肋骨の部分まで断ち切られた魔人の身体が大爆発を起こし、光の粒子となって消え失せる。
頭と左胸だけになった魔人が爆発に吹き飛ばされ、競技場の壁にぶつかって無様に地面へと落ちる。
和人の大勝利だ。
『……や』
『やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
和人の勝利に、戦いを見守っていた人々全員が歓喜の歓声を上げた。
第6章
「和人様!!」
「終わったよ、ワルキューレ」
和人がワルキューレの傍へと歩み寄る。
「……和人様ぁ!!」
ワルキューレが和人の腕の中に飛び込む。
「ありがとう、君のお陰でなんとかなった」
ワルキューレを優しく抱き止めて、和人は礼を言う。
「そんな、全部和人様のお陰です!」
ワルキューレは和人の顔を見上げながら答える。
「ううん、僕じゃない。 この勝利は君とみんなのお陰さ」
「……和人様」
「でも、君にキスされたあの時はちょっと驚いたよ」
「あ、あれは……」
「正直言うと、もうあの時、ふたりまとめて死ぬのかって思ったんだ」
「そうしたら、突然君にキスされて……。 ああ、君に最後の覚悟をさせてしまったのかって思ったよ」
「そしたら、突然君の唇を通じて身体の中に暖かい物が流れ込んできて……」
「身体の中からすーっと、暖かい物が体中に染み渡って、僕のケガも疲労も全部きれいに回復してた」
「あれは一体、なんだったんだい? 刻の鍵を使ったんじゃなかったみたいだけど」
「えと、あれは……」
「私自身の……能力です」
和人の問いにワルキューレはそう答える。
「君の能力?」
「……はい。 皇女は皆、それぞれ個別の能力を持ってるんですけど……」
「ライネの変身やハイドラのプラズマみたいな?」
「はい。 私の能力は癒し、なんです」
「……初耳だよ」
「え、と、その……実は、私この力をあまりうまく使えないんです」
「え?」
「白の皇女は代々、癒しの能力を持っていて、それとは別に刻の鍵を継承する巫女の役目も持ってるんですけど……」
「私の場合、長い間現れなかった待望の白の皇女として、刻の鍵を使えるようになる為の修行とかばかりしてきて……」
「それで、あの……癒しの能力の方はあんまり鍛えてなかったんです。 大抵のケガとか病気なら刻の鍵で癒せますし……」
「……ふむふむ」
「それに今までは小さくなってたし、自分自身のケガは治せませんし……」
「そのせいか、癒しの力を使おうとしても、手をかざして癒しの光を出して、ある程度の外傷を治すくらいしか出来ないんです……」
ワルキューレはそれだけ口にすると、恥ずかしそうに下を向く。
「……あの、何度も言いますけど、大抵の事は刻の鍵で何とか出来ますから……」
「あ? もしかして、僕が今までどんな目にあっても死ななかったのも?」
「は、はい。 私の癒しの能力が魂の中にもあって、何かあるたびに自己防衛で発動して、和人様を癒してたからです」
「……なるほど」
「今回は、もう和人様の中に和人様を回復できるだけの魂がありませんでしたし、手からの癒しじゃ外傷しか治せないですし……」
「……それで、やった事はなかったんですけど、一か八か唇を通して和人様の身体の中から癒せないかと……」
「一か八かって……確証があってしたんじゃないのかい?」
「え、えと、魂を半分差し上げた時みたいにやれば、う、うまく行くかなー、と……その、ごめんなさい……」
しょんぼりと視線を落とすワルキューレ。
「あ、いや、別に君が謝るようなことはないけどさ……ただ……」
「……ただ、なんですか?」
「唇越しの癒しをやった事がないって聞いて、ホッとしたよ」
「私、和人様以外の人にあんな事しません!!」
ワルキューレが拗ねる。
「ご、ごめん!!」
慌てて和人が謝ると、ワルキューレはくすりと笑って答える。
「……知ってました? 私のファーストキスの相手、貴方なんですよ」
「え……あ、その、ありがとう」
(バカか!! 何口走ってんだ僕は!!)
とんちんかんな受け応えをしてしまい、和人は罰が悪そうに頬で人指し指で掻く。
「……うふふふ」
「……はははは」
お互いの顔を見やって、和人とワルキューレはどちらからともなく笑う。
離れ離れになってから、数日振りにお互いの心が安らいだ瞬間だった。
「あー、やれやれ。 見てる方が恥ずかしくなるぜ」
「こっちはみんな、ボロボロでろくに動けねぇってのに、よ」
ハイドラが二人のやり取りを見ながら悪態をつく。 が、顔は笑っていた。
メーム達も微笑を浮かべて二人を見ている。
「……良かったね、和人……」
秋菜もまた、どこか吹っ切れた表情でそう呟いて和人達を見守るのだった。
「……これで、勝ったと思うな……!!」
地の底から響くような声。
全員が声のした方を振り向く。
「……まだ生きていたのか」
和人が呟く。
「この俺を倒してハッピーエンド、になんてさせるか……」
頭と左胸だけになった魔人が呪詛のように呟く。
「……来い!! 来い!! 我が僕たちよ!!」
魔人が血を吐きながら叫ぶ。
ヴァルハラ星の軌道上の戦艦から、ヴァルハラ皇宮から、一般のヴァルハラ星人達の住む街から、怪物にされた人々が次々と競技場
へ飛来する。
「奴等を殺せ!!」
魔人が叫ぶ。
「!!」
和人がワルキューレの前に彼女を庇うように立ちはだかる。
「ハハハハハハハハハハ……!! お、俺はもう死ぬ!! だがなぁっ!!」
「貴様達の目論見どうり、誰も傷つかずにハッピーエンドになんて、させねぇ!!」
和人が剣を引き抜いて構える。
「おっと、我が僕達は元は何の罪もないヴァルハラ星人達だぜ!?」
「俺のような目に遭わせたら、奴等、死ぬぜ!?」
「ひゃははははははははははははははははははははははははははははははははっ!! てめえは自分の仲間を守る為に何の罪もない人間
どもを殺さなきゃならんのだ!!」
「それとも、300を超える我が僕達にやられるか、ひとつにふたつだ!!」
「どっちにしてもてめえには苦い記憶が刻まれるのさ!! ははははははははははははははははははははははは!! 後悔しやがれ!!」
魔人はそう叫んで高笑いする。
「……だまれ、三下」
和人が魔人を軽蔑の眼差しで睨みつけて言い放つ。
「魔人を名乗るなら、最後まで大物らしくして滅びろ。 卑怯な真似ばかりするゲスめ」
「……っ!! 殺せ!! 絶対にあの野郎をブチ殺せ!!」
魔人が激怒して怪物たちに命令を下す。
「ワルキューレ、悪いけど君の力を貸してくれるかい」
和人は刻の鍵を拾い上げて、ワルキューレに手渡しながら言う。
「和人様」
「僕と一緒に、怪物にされた人達を助けよう。 その為には君の力が必要なんだ」
「……私の力が……」
「一緒に戦ってくれるかい?」
「……はい!!」
和人にワルキューレは力強く頷く。
「白の皇女と貴様のふたりだけで何が出来る!! くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「……出来るさ」
「ワルキューレと一緒なら、僕はどこまでも強くなれる!!」
複数の怪物が恐ろしい速さで和人達に迫る。
「行くよ、ワルキューレ!! 僕が怪物達の動きを止める!! 君は刻の鍵で怪物の体内に取り込まれた人々を助けるんだ!!」
「はい!!」
「ここまで来たんだ。 絶対にハッピーエンドで終わらせよう!!」
「はい!!」
和人の頼もしい言葉にワルキューレは笑みを浮かべて返事をする。
(絶対に勝てる!! 今の私には和人様が付いていてくれるから!!)
第7章
「そうなんでもかんでも思い通りに行くと思うなァァァァァァァァァァァァァァっ!!」
魔人の叫びに応じて怪物達が凶悪なツメを、人だった時に手にしていた武器を持って襲い掛かる。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
和人の蹴りが、拳が、振るう剣が怪物達を叩きのめし、まとめて大地へ叩き付ける。
『グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!』
腕や足、翼をへし折られ戦闘不能になった怪物達が、動けない体を必死に起こそうとする。
「万物の根源たる光の粒子よ その流れよ この刻の鍵を持って命ずる」
「邪なる生命を光の粒子へと還し、その身に取り込まれし者達を開放せよ!!」
詠唱を終え、ワルキューレが刻の鍵を振るう。
聖なる光が降り注ぎ、怪物の身体を光へと変えていく。
そして、完全に怪物の細胞が消え去り、体内で生体エネルギーを吸収されていた人々が解放される。
「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!! 白の皇女を先に狙え!! あの武器を使わせるな!!」
怪物達の体が膨張し、全身から血管が浮き出る。
限界を超えた速度でワルキューレに迫る。
「!!」
刻の鍵を構えるが、ワルキューレの反応速度よりも怪物達のほうが速い。
一体の怪物が大口を開けて、破壊光弾を発射する。
「くっ!!」
咄嗟にバリアを張ろうとするが間に合わない。
魔人の顔に笑みが浮かぶ。
その時。
「させるか!!」
和人が間に割って入り、破壊光弾を切り捨てる。
そして怪物達の群れに飛び込み、先ほどと同じように和人の蹴りが、拳が、振るう剣が怪物達を叩きのめし、まとめて大地へ叩き付
ける。
「和人様!!」
「君には指一本触れさせない!! 君は僕が守る!!」
「だから、君は刻の鍵でみんなを元の姿に戻す事だけに集中するんだ!!」
「僕を信じて!!」
「はい!! 信じてます!! あなたとふたりなら、どんな事も出来ます!!」
「ありがとう!! 行くよ!!」
「はい!!」
次々とヴァルハラ星のいたる所から、怪物にされた人々が魔人の命令で飛来する。
和人は殺さないように、怪物達を叩きのめして戦闘不能にしていく。
「万物の根源たる光の粒子よ その流れよ この刻の鍵を持って命ずる」
「邪なる生命を光の粒子へと還し、その身に取り込まれし者達を開放せよ!!」
詠唱を終え、ワルキューレが刻の鍵を振るう。
聖なる光が降り注ぎ、怪物の身体を光へと変えていく。
「何故だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! たった二人に何故傷ひとつ付けられぬ!!」
魔人が悔しさと憎しみを込めた呪詛を吐く。
その瞬間にも、戦闘不能になった怪物が元の人間の姿へと浄化されていく。
和人が前衛でワルキューレを守りながら、相手を戦闘不能にする。
ワルキューレが戦闘不能になった怪物を後方から刻の鍵で浄化する。
誰もが皆、二人の戦いに惹きつけられていた。
「……すごい」
「……どうやら、ワルキューレは最高のパートナーに巡り合えたようだな」
ネスティーがそう呟く。
「……あのふたりは比翼の鳥だったという事?」
メームがそう呟く。
「……ああ。 翼は一枚じゃ飛べない。 だけど……」
「二枚揃えばどんな所にも飛んでいける。 ……そう、どんな所にも……」
「ええ。 本当にその通りね。 あの二人の戦い方は正にその例えに相応しいと思うわ」
「二人とも、のんきに観戦してるヒマはありません!! あの二人が元に戻した人々を今度は私達で守らないと!!」
イナルバが叫ぶ。
「……ああ、そうだな!! 我らも負けていられない。 行くぞ、メーム!!」
「ええ!!」
和人達が浄化した人達を皆がそれぞれの能力を駆使して、戦いに巻き込まれないようにする。
和人とワルキューレはお互いをフォローしあいながら、次々と休む間も無く飛来する怪物達を浄化していく。
「ワルキューレ!! こいつで終わりだ!!」
和人が最後の一匹を戦闘不能にして救出活動に励むシロ達の近くに墜落させる。
「……その身に取り込まれし者を開放せよ!!」
ワルキューレの力が最後の一体を浄化する。
「……父上!!」
最後の一体からワルキューレの父親がその姿を現す。
「安心しろ!! 大丈夫だ!!」
駆けつけたシロがワルキューレにそう叫ぶ。
「良かった……」
ワルキューレが安堵の息を吐く。
「バカな!! こんなはずはない!! こんなはずが……!!」
魔人が半狂乱になって叫ぶ。
「……残念だったな。 貴様のくだらない企みはこれでもう、全部潰した」
和人が魔人に冷徹にそう告げる。
「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「もうすぐ貴様の命の火も消える。 貴様は今まで犯した罪の重さを噛み締めながら、そこで死んでいくんだ」
和人はそう言って魔人に背を向け、ワルキューレの傍へと歩いていく。
「……地球人、貴様、これで満足か?」
「……何?」
「自らの手を血で汚した事が満足かと言っている」
「貴様を滅ぼす事に、罪悪感などない!」
「……それでは、白の皇女よ。 貴様はどうだ?」
「えっ?」
「自分の力が足りなかったばかりに、何の力もなかった恋人の手を血で汚させた気分は?」
「!?」
「貴様!! 何を言ってる!!」
「地球人よ、思えば貴様もあわれな奴だな」
「なんだと!!」
「考えてもみろ。 その女の為に、貴様がその手を血で汚す必要があったのか?」
「その女が貴様に何をした? 貴様を自分の運命に巻き込んだだけではないか」
「何を言ってるんだ!! 黙れ!!」
「その女にそこまでしてやる価値があるのか?」
「俺は全部知っている。 その女を捕らえた後、戯れにその記憶を覗いてやったからな」
「その女は政略結婚が嫌で、自分の運命から逃げ出した卑怯者だ」
「そして貴様を円盤事故に巻き込んで殺した」
「その後は魂を分け与えた事を口実に、貴様を己が逃げる為の逃げ道にした」
「黙れ!!」
「その後もひどい物だよな。 その女のせいで、貴様はどれだけの迷惑を被った?」
「ジジイから受け継いだ建物に無様に円盤を突き立てられ、いつもその女のわがままにつき合わされ、挙句の果てに何度も死に掛けた」
「その女と出会わなければ、普通に生きていけたのになぁ」
「黙れ黙れ黙れ!! 貴様にそんな事を言われる筋合いはない!!」
「あ……あ……」
ワルキューレは魔人の言葉に顔を青くして、がたがたと震える。
「 お ま え が こ の 男 を 巻 き 込 ん だ の だ 」
「 そ の 手 を 血 で 汚 さ せ た の も お ま え 」
「 そ の 身 を 傷 つ け さ せ た の も お ま え 」
「どんな気分だ? 一方的に自分の都合に巻き込んで、一方的に好意を持って馬鹿な男を舞い上がらせて、その平凡だが普通に幸せだっ
た人生を狂わせてやった気分は?」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレの心を魔人の心ない言葉が抉る。
「そうやって泣き叫べば、その男が抱き締めて慰めてくれるってか? まったく、女というのは便利な生き物だよなぁ」
「ちょっと涙を見せて弱い所を見せてやれば、それだけで勝手に馬鹿な男が庇護欲を掻きたてて守ってくれるんだからな」
「男なんてよぉ、馬鹿な物だぜ。 大して好きでもない女が相手でも、好意を持って接してくれば、勝手に自分もその女の事を好きだと
思い込むようになるからなぁ」
「まあ、せいぜいその地球人の同情心に付け込んで、今後も骨の髄まで利用してやるんだな」
「 今 ま で が そ う だ っ た よ う に な 」
「黙れ!!」
和人がグングニルを放って魔人の心臓を刺し貫く。
「ぐふっ!!」
「貴様に何がわかる!! 貴様なんかに僕らの関係をとやかく言われる筋合いはない!!」
「わたし、わたし……」
ワルキューレがその身を抱いてがたがたと震える。
「……ぐは……このままでは終わらぬ」
「貴様も道連れだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
首だけになった魔人が頭部に鋭いツノを生やし、最後の力でワルキューレ目掛けて突っ込んでくる。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
斬っ!!
ワルキューレの前に立ち塞がった和人が、魔人の頭を真っ二つに切断した。
「……虚無に帰れ」
真っ二つにされた魔人の頭部が光の粒子になって髪一本残さず完全消滅する。
和人の放ったそれは、魔人の魂さえも討ち滅ぼす怒りの一撃だった……。
「あ……ああ……」
魔人に最後のトドメを刺した和人の顔は、怒りと憎しみに囚われた恐ろしい表情だった。
ワルキューレの心を今まで見たことのない和人の憎悪を顕にした表情と、魔人の最後の言葉が責め苛む。
ブンっ!!
和人は剣を一振りして、刀身に残った熱を吹き飛ばすと手甲に収納し、ワルキューレのほうへと向き直る。
「……ワルキューレ、これで全部終わったよ。 もう大丈夫だから」
和人はワルキューレに穏やかな表情で優しく声をかける。
「………」
ワルキューレの脳裏に、魔人の残した言葉がリフレインする。
『 お ま え が こ の 男 を 巻 き 込 ん だ の だ 』
『 そ の 手 を 血 で 汚 さ せ た の も お ま え 』
『 そ の 身 を 傷 つ け さ せ た の も お ま え 』
『、どんな気分だ? 一方的に自分の都合に巻き込んで、一方的に好意を持って、馬鹿な男を舞い上がらせて、その平凡だが普通に
幸せだった人生を狂わせてやった気分は?』
魔人の言葉はワルキューレの心を深く深く抉り、底無しの闇へと突き落としていく。
「ワルキューレ? だ、大丈夫か!? しっかりしてくれ!」
和人が呆然と立ったまま俯いているワルキューレに駆け寄ろうとする。
「……来ないで下さい」
「……え?」
「……私に、和人様に心配してもらえる資格なんてありません……」
ワルキューレの拒絶の言葉に、傍へと駆け寄ろうとした和人が固まる。
最悪の魔人は、最後の瞬間まで最悪の行為を行って滅びていったのだった。
ワルキューレの心に、深く暗い傷を負わせて行くという最悪の行為を……。
第7章
「……ワ、ワルキューレ、何を言ってるんだよ……」
思わぬ拒絶の言葉を受け、固まっていた和人が聞き間違った言葉を指摘するように尋ねる。
「………」
ワルキューレは答えない。
「まさか、あんな奴の残した言葉を気にしてるのかい? もしそうなら気にする必要なんてないんだよ」
「あんな最低男の言葉なんて、関係ないんだから」
和人はそう優しく告げてワルキューレの傍へ近づこうとする。
「……あの魔人の言うとうりです……」
俯いたままだったワルキューレが顔を上げて、和人の顔を見つめる。
「ワル、キューレ……」
和人を見つめるその表情は悲しみに染まっていた。
悲しみに染まった表情でワルキューレは言葉を紡ぐ。
「私の事情に和人様を巻き込んで、いつもいつも迷惑ばかりかけて……」
「今回はとうとう、あなたの手を……」
そこまで口にして、彼女は涙を流し嗚咽を漏らす。
「……私が、あの魔人を最初に封印する事が出来ていたら……」
「あなたを傷つけさせずに済んだのに……っ」
「私の力がいたらないばかりに、あなたの手を血で汚させて……っ」
「ごめんなさい、和人様ごめんなさい……!!」
ワルキューレは涙を流しながら、和人に謝る。
「どうして君が謝る必要があるんだよ。 これは僕が選んだ……」
「だって!!」
和人の言葉を遮って悲痛な叫びを上げる。
「あなたを巻き込んだのは私なんですもの!!」
「いつだってそう。 和人様は私がどんなに迷惑をかけても、いつも最後に笑って許してくれて……」
「それなのにいつもいつも、こんな私に優しくして下さる和人様に迷惑ばかり……!!」
「こんな、こんな私に和人様に抱き締めてもらう資格なんてないんです!!」
泣きながら、ワルキューレは背後へ後ずさる。
「ごめんなさい、今まで迷惑ばかりかけて、本当にごめんなさい……っ」
ワルキューレは和人に背を向けて逃げ出した。
和人へ今までかけた迷惑を謝りながら、泣いて逃げた。
「ワルキューレ!!」
和人が逃げるワルキューレの手首を掴んで、その身体を自分の腕の中へと引き寄せる。
そして、泣きじゃくるワルキューレをぎゅっと力強く抱き締める。
「そんな事言わないでくれ。 迷惑ばかりかけてごめんなさいなんて、悲しい事言わないでくれよ」
「っ……だ、だって……」
「僕は一度も君の事を迷惑だなんて思った事はないよ」
「っ!!」
和人の言葉にワルキューレがぴくんと身体を震わせる。
「……和人様はお優しいから」
弱弱しい声で呟くように言う。
「……ワルキューレ、確かに僕と君の出会いは本当にただの偶然だったね……」
「墜落してきた君の宇宙船に潰されて、君の命を半分もらったあの日から……」
「本当に、色んな事があった……」
「君がかくれんぼをするんだと言って、いなくなったのをみんなで探し回ったり……」
「君の事を追ってきたハイドラから、二人で逃げた事もあったね……」
「宇宙旅行に行った時、小さい君のいたずらで知らない惑星に不時着したり……」
「異世界に行った事もあったっけ……」
「……ごめんなさい……」
「謝らないでくれよ。 僕にとっては全部、かけがえのない思い出なんだ」
「……君と僕とのね……」
「……和人様」
「……君は迷惑をかけたと思ってるみたいだけど……」
「僕は、一度だって君の事を迷惑だと思った事はない」
「それにいつだって、君はトラブルを起こしても自分自身で解決して、反省してきたじゃないか」
「でも、私が傍にいるとまた和人様に……」
「……いいよ」
「迷惑かけてもいいよ」
「僕は迷惑だなんて思った事はないけどさ……」
「僕は君に傍にいて欲しいんだ」
「っ!!」
和人の言葉を聞いて、ワルキューレの身体がびくんと震える。
「……君が僕の前からいなくなったあの日、リカに八つ当たりしてしまったんだ」
「駄目な兄貴だよね。 自分の力が足りなくて君を守れなかったのにさ……」
「……でも」
「その時気づいたんだ。 僕は君の事を必要としてるんだって……」
「初めて出会ったその日から、今日までの間ずっと君と過ごしてきて……」
「月日が経つにつれて、君の存在が僕の中でどんどん大きくなっていったんだ」
「もう、君のいない生活なんて考えられない。 君は、僕の大切な人だから」
「だから、僕の元に帰ってきて欲しい」
「……でも、でも私!!」
「ワルキューレ」
和人はワルキューレの両肩に手を置いて、涙で濡れた彼女の顔を見つめて言う。
「僕は君が好きだ」
「……っ!?」
「今まで一度も口にした事がなかったよね。 ごめんよ……」
「今まで心のどこかで、僕は銭湯の経営者としても男としても、まだまだ半人前の小市民で、君はヴァルハラ星の皇女だからとか……」
「魂を共有しているんだからわざわざ言葉にしなくても、お互いの気持ちは通じ合ってるとか……」
「そんな事を思ってたのかもしれない……。 だから、言葉に出来なかった……」
「そのせいで、僕に好意を寄せてくれる君を傷つけたりもしたけど……」
「……でも、もう逃げない。 僕は君の事が好きだから」
「だから、僕の言葉を信じて欲しい。 僕には君が必要なんだ」
「いつだって僕の傍で笑っていて欲しいんだ。 君の泣いている姿は見たくないんだ」
「僕は、君の事が好きだから」
「……和人様!」
ワルキューレの瞳から、次々と新しい涙が溢れ出す。
「でも私、またなにかトラブルを起こすかもしれません……」
「その時は僕がフォローする」
「また、すごく強い敵が私を狙ってくるかもしれません……」
「僕がそいつをやっつけて君を守る」
「私、家事とか全然出来ませんし……」
「やる気があるなら大丈夫。 僕も手伝うし、真田さんもリカもいる」
「私、本当は皆が言うほど強くなんて、全然なくて、それに、泣き虫だし、弱虫だし……っ」
「そういう一面も僕の前でだけ、初めて見せてくれたんだよね」
「やきもち焼きで、和人様が他の女の人と楽しそうに話してるの見ただけで、嫌な気持ちになるし……っ」
「いつだって、私の事だけ見ていて欲しいなんて思ったりする嫌な女だし……っ」
「それだけ君に好かれてるって事だよね。 僕は嬉しいけどな」
「それに、それに、また、いつ小さくなるかわかりません! そうしたら、和人様また私の事知らない人達に変な目で見られるかも!!」
「他人の目なんて気にしないよ」
「でも、でもっ!!」
ワルキューレはもう既に自分が何を口走っているのかもわからなかった。
ただ次々と言葉が出てくる。
「ワルキューレ」
和人はワルキューレを抱き締める。
そして、はっきりと彼女に告げる。
「皆が知ってる強くて賢くて凛々しい君も」
「僕の前でだけ見せてくれる弱い君も」
「いつも僕の傍にいて甘えてくる小さな君も」
「今、こうして僕の腕の中で泣いてる君も、全部ひっくるめて」
「僕は君を、ワルキューレという名の女の子の事を」
「この宇宙で一番愛してる」
和人の嘘偽りのない、誠心誠意のこもった告白がワルキューレの傷ついた心を癒していく。
「……っ、和人様ぁぁぁぁっ!!」
「私も、私も和人様の事が好きです!!」
「和人様の事を、誰よりも愛してます!!」
泣きながら、和人の胸に縋りついてワルキューレは自分の気持ちを叫ぶ。
「和人様の傍にいたいです!! ずっと、ずっと、一緒にいたいです!!」
「ああ!! 僕達はずっと一緒だ!!」
「もう絶対、君の手を離したりしない!!」
「君のいる場所は僕の傍だけだから!!」
和人もワルキューレを抱き締めながら、自分の気持ちを叫ぶ。
「和人様、和人様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ワルキューレは涙を流しながら、和人の胸で泣き続けた。
そしてひとしきり泣いたワルキューレは、和人の顔を和人の腕の中から見上げる。
いつの間にか、自分の背の高さを追い越した宇宙で一番愛する青年の顔を涙で潤んだ瞳で見つめる。
和人はワルキューレの目尻に溜まった涙をそっと親指で拭ってあげる。
ワルキューレがそっと目を閉じる。
和人はそんな彼女の唇にそっと優しく自分の唇を重ねる。
唇を通して感じる愛しい人のぬくもり。
(……もう二度と泣かせたりするもんか)
和人は心の中で誓う。
『……わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!』
いつの間にか目を覚まして、二人のやり取りを見ていた人々が、二人の恋の成就に歓声を上げる。
和人とワルキューレはどちらからともなく、触れ合った唇を離すと満ち足りた表情でお互いに微笑む。
「一緒に帰ろう。 地球に。 僕らの家に」
「……はい!」
ワルキューレはとびっきりの笑顔で、愛しい恋人に微笑んで見せるのだった。
エピローグ
宇宙の危機が去って2週間後。
和人は時乃湯の入り口付近を竹箒で掃除していた。
「よう、ヒーロー」
洗面器を持ってマルと妙が和人に声をかける。
「……ヒーローはやめてくれよ」
和人はうんざりした顔で挨拶に答える。
「いや、でもみんなおまえさんの事、ヒーローヒーローって呼んでるしなぁ」
「新聞だのニュースだのもみんな、おめぇの特集が組まれてたぜ」
「………」
マル達のからかう言葉に和人ははあぁぁぁと、ため息をつく。
「全宇宙の危機に颯爽と現れ、悪の魔人を倒した正義のヒーロー!!ってな」
「ま、騒がれるのもしょうがないわな。 魔人の討伐から、嬢ちゃんへの愛の告白まで、全部宇宙中に生放送されちまったもんなぁ」
「……うぅぅ」
「ワルキューレ」
「皆が知ってる強くて賢くて凛々しい君も」
「僕の前でだけ見せてくれる弱い君も」
「いつも僕の傍にいて甘えてくる小さな君も」
「今、こうして僕の腕の中で泣いてる君も、全部ひっくるめて」
「僕は君を、ワルキューレという名の女の子の事を」
「この宇宙で一番愛してるってか。 くぅーっ、若いっていいねぇ!!」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
和人の一世一代の愛の告白を妙が真似すると、和人はその場でごろごろと転がりながら悶えて嫌がる。
「おいおい、こんなとこで悶えてると服が汚れるぞ」
「……ううう。 何でテレビ中継されてるって教えてくれなかったんだよ……」
恨めしそうに和人はマル達をにらむ。
「んな事言ったってなあ、あの状況でんな細かい事いちいち教えられるかよ」
「うぅぅぅぅー」
「まあ、諦めな。 あんなべっぴんの嬢ちゃんをゲット出来たんだ。 それでいいじゃねぇか」
「諦めろって人事だと思って……」
「んな事言われても実際人事だしなぁ」
「うんうん」
「……はあぁぁぁぁぁぁ」
和人は久しぶりに登校した学校の事を思い出す。
3年生に進級して初めての登校。
新しいクラスメート達がひそひそと話しながら、席に座った和人をじっと見つめる。
チャイムが鳴って、新しい担任が教室に入ってくる。
「皆さん、おはようございます」
「ファムさん!? なんでこんな所にいるんですか!!」
和人は驚いて立ち上がる。
「それは、私がこのクラスの担任だからです」
「担任!?」
「はい、そうですよー」
「な、なんで……」
「以前からこの学校に教師として赴任する事が決まってたんですよ。 時野君」
「時野君って……」
「まあいずれあなたがワルキューレと結婚すれば名実共に親戚ですけれど、学校では教師と担任ですからね。 わかったら、これからは
ファム先生と呼んでくださいね」
「は、はあ……わかりました。 ファム先生」
(ヴァルハラ星じゃ、メームさん達復興の為に大忙しなのに、この人だけ教師なんてしてていいのかな……)
療養という事でヴァルハラ星に滞在していた時、メーム達が忙しそうにしてたのを思い出す。
もっとも、役に立たないライネとコーラスは皆にスルーされ、ハイドラはイナルバにこき使われていたが。
「はい。 では出席を……って、皆さん時野君に注目してて私の話全然聞いてませんねー」
「はーい、皆さん。 出席を取りますよー。 時野君にはこの後、休んでて出来なかった自己紹介をしてもらいますからねー」
「なっ!? ちょっ!!」
「質問攻めはその時にしましょうねー。 それじゃ出席を取りますよー」
ファムは歓声を上げる生徒達をうまくまとめると、続けて出席を取り始める。
(……な、なんでこうなるんだよ……)
和人は頭を抱えるのだった。
「……はあ、なんでこうなるのかな……」
和人は学校での出来事と一緒に、ここ数日の事を更に思い出して憂鬱になる。
魔人を滅ぼした次の日から、元に戻った侍女達に会うたびに勇者様と呼ばれ恭しく挨拶された。
八大皇女の両親達や祖父母達など、皇室関係者達全員の待つ部屋にも呼び出された。
オーディンの事とか根掘り葉掘り聞かれもした。
いろいろあってやっと地球に帰ってきてみれば、大勢のマスコミに追い掛け回された。
久しぶりに銭湯を営業したら、町内の知り合い全員がやって来て色々と聞かれた。
挙句、次の日には総理大臣までやってきて、国民栄誉賞をやるとまで言われた。
和人は今や全宇宙を救ったヒーローとして、知らない人のいない有名人になっていたのだった。
本人の知らないところで英雄だの、勇者だの、ヒーローだのと呼ばれ、やれ伝説の勇者の生まれ変わりだの、先祖が英雄だっただのと
尾ひれの付きまくった噂まで出回っている。
あまりに騒ぎが大きくなりすぎて、長い間和人とリカを放任してた両親ですら、仕事を休んでまで会いに来たのだった。
「僕はただ、好きな子を守りたくて戦っただけなのに……」
地面にのの字を書きながらぶつぶつと呟く。
「あー、ちぃとばかしからかいすぎたかな」
「おーい、戻ってこいよ」
マルと妙が和人に声をかけるが、和人はまだぶつぶつと呟いている。
「はあ、しょうがねぇ。 このままほっとくか」
マル達はそう言って建物の中に入っていった。
「……なんで僕、こんな目に遭うのかな……」
「隙ありぃっ!!」
ガツンっ!!
「ぐあぁぁぁぁっ!!」
地面にのの字を書いてた和人の頭にハイドラの木刀が直撃する。
「い、いきなり何するんだよ!!」
「何って、一度おめえと手合わせしたかったからだって、つーか、なんであっさり俺の攻撃喰らってんだよ!!」
「いきなり人の頭を木刀で殴って逆切れかよ!!」
珍しく和人が突っ込みを入れる。
「なあ、一度俺と本気で戦ってくれよ。 強い奴と戦って経験を積みてえんだよ」
ハイドラが和人に頼む。
ヴァルハラ星でも何度か頼まれたが、和人はその度にはぐらかして逃げた。
「やめてくれよ。 君が本気を出したら僕が勝てるわけないだろ」
「ふざけんなーっ!! あの魔人に勝ったヴァルハラの英雄・時野和人が俺より弱い訳ねぇだろうがーっ!!」
「いや、本当だって。 時空剣がないと僕、ただの地球人だから」
「ほら、テレビの戦隊物とかでも変身ブレスが使えないとまともに戦えないじゃないか。 あれと同じなんだよ」
オーディンから授かった武器は今、和人の机の引き出しの中にしまってある。
和人は戦いの後、時空剣をどうするかメーム達に相談した。
その結果、和人がオーディンから授かった武器なんだから和人が持ってろとメームは告げたのだった。
ちなみにその後、時空剣を和人以外が装備したらどうなるかをワルキューレを除く仲間達で試した結果、全員剣の波動に弾き飛ばされ
たので盗まれて悪用される心配はない。
「ほら、こんなとこで騒いでたら他のお客さんに迷惑でしょ。 行くわよ、ハイドラ」
秋菜がハイドラの耳を掴んで引きずっていく。
「うわあぁぁぁぁぁ、いてぇ!! いてえよ秋菜!!」
「ほら、さっさと来る!!」
「わかった!! わかったから離してくれよーっ!!」
和人はそんなやりとりをしながら歩いていく秋菜達を見送る。
あれから、秋菜は今までと同じように接してくれる。
秋菜はもう、和人の事を吹っ切っていた。
和人は今までどうりに接してくれる秋菜に感謝し、もし彼女に困った事が起きたら、今度は自分が助ける番だと心に決めたのだった。
とりあえず、後でフルーツ牛乳を奢ってあげよう。
「和人様ぁーっ!」
ちりとりと竹箒を両手で腰の下に抱えながら、ワルキューレが駆け寄ってくる。
「ゴミ、全部捨ててきましたーっ!」
「……あっ!?」
ワルキューレが自分の持ってたちりとりを地面に引っ掛けてしまい、それに足をひっかけて転びそうになる。
「危ない!!」
和人は鍛えぬいた神速の速さで、今にも大地へキスしようとしているワルキューレの傍へ駆け寄ると、彼女の背中から、正面に手を
回して体を支える。
「……ふう、間に合ってよかった。 ワルキューレ、大丈夫かい?」
「は、はい……」
「君にケガがなくて良かったよ」
「あの……和人様」
何故かワルキューレは顔を赤らめている。
「ん? 何?」
「あの、和人様の……その……手が……」
和人は話をしながら、両手でワルキューレを起こしてあげる。
ふよん。
右手に暖かく、張りのある弾力を持った感触が。
「えっ?」
和人の左手がワルキューレの右わき腹を。
右手はしっかりと彼女の豊かな乳房を服越しに鷲づかみにしていた。
しかも、人指し指と中指の間に乳首があり、指で挟んでしまってるという絶妙なポジジョンだった。
「うわあっ!! ご、ごめん!!」
慌ててワルキューレの胸から手を離して、彼女から距離を取る。
「……い、いえ。 和人様……だから……」
「別に……嫌じゃ……ないです……」
そう言ってワルキューレは顔を真っ赤にして俯く。
「あ、あーその……」
(困ったな。 こういう時はなんて言えばいいのか……)
和人は顔を赤くしながら、頬を人指し指で掻くのだった……。
時乃湯の番台に座りながら、リカがひとり愚痴る。
「あーあ、お兄ちゃんたら、せっかく王様になれたのに断っちゃうなんてもったいない」
「……婿殿の決断は立派でしたよ」
カウンターに小銭を置いてメームが言う。
「うわ!! びっくりした!! 来てたんですかおばさま」
「リカちゃん」
「来てらしたんですか。 お姉様」
「ええ、明日日本の総理大臣と会う予定があるので」
「はあ」
和人の活躍は、ヴァルハラ星と日本の外交にも影響を与えていた。
「それで、お兄ちゃんの決断が立派だったって言いましたけど、あの時どんな話をしたんですか?」
リカがメームに3日前の事を尋ねる。
数日前のヴァルハラ星。
「こんな格好で、いったい誰と会わないといけないんだろう?」
式典用の騎士の格好をさせられた和人が、ネコミミ侍女に連れられて、謁見の間へと歩いていく。
戦いの後、傷を癒すという名目で、和人達は既に10日ほどヴァルハラ星に滞在していた。
メーム、ネスティー、イナルバの3人は忙しそうにしていたが、他の皇女達は特に何をするでもなくゆっくりと過ごしていた。
ファムはいつの間にか姿を見せなくなったが、和人はあれからずっと、ワルキューレと二人で過ごした。
ふたりでいるだけで幸せだった。
メーム達の仕事が一段落付いたら、地球に送ってもらう約束だったが、この日はいきなり侍女達がやってきて、半ば無理矢理この衣装
を着せられたのだった。
「こちらで皇族の方々がお待ちです」
侍女がそう言って扉を開く。
和人は扉をくぐって謁見の間に入ると、そこには八大皇女の両親達や祖父母達など、皇室関係者達全員とメーム、ネスティー、イナル
バとワルキューレが待っていた。
「よく来てくださいました。 時野和人殿」
皇族の衣装を着ている老婆が、見た目の年齢を感じさせないよく通る声で話しかけてくる。
彼女は昔のかつての八大皇女のひとりで、ヴァルハラ星の皇族をまとめる長だった。
政治の類はほぼすべてメーム達に受け継がれているが、八大皇女の親達も遊んでいるわけではない。
彼女を長に据え、色々と他の惑星との交流等をしている。
現役の皇女達と違いあまり公の場には出てこない人々が今、この場に全員集まっていた。
「本日、貴殿に来ていただいたのは他でもない、ワルキューレとの今後についてです」
長が用件を切り出す。
「和人殿、ワルキューレと夫婦になり、八大皇家の王の一人としてヴァルハラ星を導いてくださいませんか?」
「僕が……ですか?」
「ええ。 あなたには王となる資格があります。 伝説の戦神の後継者として、ヴァルハラ星の未来を守ったのですから」
「……申し訳ありませんが、王様なんて柄じゃないので、謹んで辞退させて頂きたいと思います」
和人は即答で断る。
「それに、僕は自分の大切な人を……ワルキューレ皇女をこの手に取り戻すためだけに戦ったんです」
「結果として、勇者や英雄なんて呼ばれるようになる結果が出ましたけれど」
「そんな僕が王様なんて務まりません」
「……そうですか。 やはりワルキューレの言った通り断られてしまいましたね」
「え? ワルキューレが?」
「ええ。 和人様は欲のない方だから、今回の話はきっと断ります、と」
「……ワルキューレ」
和人はワルキューレが自分の事を理解して、予め皆に伝えていた事を嬉しく思った。
ワルキューレに視線を送ると、彼女はにこっと微笑んで見せる。
「もうこの話はこれで終わりにしましょう。 それで話は変わりますが、今回の貴方の活躍に何か褒美をと思ってるのですが」
「え? いや、ですから僕はワルキューレを……」
「これは私達からのお礼です。 ヴァルハラ星と民を救ってくれた貴方への」
「どんな事でも物でも構いません。 あなたの望む物を褒美として差し上げましょう」
「いや、しかし……」
「遠慮は要りません。 何でも貴方の望みをひとつ言ってください」
「……僕の望み」
和人はワルキューレをちらりと見る。
「わかりました。 僕の望む事を言います」
「僕に……ワルキューレ皇女をください」
ざわ……っ。
和人の言葉に皆がざわめく。
「貴方とワルキューレの関係は、既に婚約者という形になっていますよ?」
「はい。 ですが僕が欲しいのは彼女だけです」
「それはつまり、ワルキューレを嫁に欲しいという事ですか?」
「はい。 彼女を僕の花嫁、時野ワルキューレにしたいんです」
「彼女とずっと一緒にいたい。 彼女と一緒に祖父の残した時乃湯を守って生きたい」
「それが僕の望みです」
「……和人様!!」
両手で口元を覆って、ワルキューレが潤んだ瞳で和人を見つめる。
「……貴公はよろしくて?」
長がワルキューレの父親に尋ねる。
「……娘の事をよろしく頼む」
彼は和人にそれだけ伝えると頭を下げた。
「父上!」
「良い相手に出会えたな、ワルキューレ」
「はい!」
父と娘がお互いに笑顔で言葉を交わす。
「それでは、式の日取りを……」
長がそう切り出す。
「あの、結婚式はもう少し後にしたいんですが」
和人がそう言って言葉を遮る。
「……何故ですか?」
「僕は一応、まだ高校生ですし、それに……」
「ワルキューレとはもう少し、恋人同士でいたいな、と」
「実はまだ、彼女とまともにデートとかした事もないですし」
「もっと色々恋人らしい事とか教えてあげたいし、思い出とかも作ってあげたいんです」
「和人様、私、私、嬉しいです……」
ワルキューレは感動のあまり泣きそうになる。
「……ふふふ。 わかりました」
「それでは、結婚式はもう少し先、という事にしておきましょうか」
「はい。 時期が来たら、ちゃんと彼女にプロポーズしますので」
「ええ。 その日が来るのを楽しみにしていますよ」
和人は長に頭を下げると謁見の間を出て行こうとする。
「あの、ワルキューレも連れて行っていいですか?」
「ワルキューレにはまだ少しだけ話す事があるので、貴方だけ先に退席していてください」
「わかりました」
和人はそう返事をすると、ワルキューレに噴水の所で待ってると告げて退席していった。
「ワルキューレ、貴女は実に良い殿方と出会えましたね」
「はい。 本当に……」
「で、ここからが本題なのですが……」
「 絶 対 に 彼 を 手 放 す 事 の な い よ う に 」
「 な ん だ っ た ら 既 成 事 実 を 作 っ て も か ま い ま せ ん 」
「……え? あの、それはどういう意味でしょうか?」
「……こほん、つまり」
「 未 婚 の 母 に な っ て も い い か ら 絶 対 に 彼 と 手 放 さ な い よ う に 」
「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「 わ か り ま し た ね 」
「は、はい!!」
「よろしい。 それではもう行ってもいいですよ。 彼が待っているのでしょう?」
「は、はい。 それでは失礼します」
ワルキューレは長のあまりの迫力に恐れをなして、そそくさと謁見の間を出て行くのだった……。
「ハ、ハクション!!」
「うぅぅ、何だろ今一瞬悪寒が走ったぞ……」
「風邪でも引いたかな……?」
一方その頃。
ワルキューレとの待ち合わせ場所で、和人は何も知らずに鼻をすするのだった……。
夕暮れ時の時乃湯の敷地内。
和人とワルキューレは時乃湯の敷地内の掃除を終えて、竹箒とちりとりを片付ける。
「別に走ってこなくても良かったんだよ?」
掃除道具を片付けながら、和人はワルキューレに言う。
「だって……」
「和人様と……ちょっとでも長く、一緒にいたかったから……」
「……あー、そう、なんだ……」
和人は照れて赤くなる。
「さ、さてと、今度はボイラーの様子を見に行くか」
二人で一緒に時乃湯へ歩き出す。
夕焼けが二つ並んだ影を長く伸ばす。
「和人様、今度私に番台とかも教えてくださいね」
ワルキューレが銭湯の仕事を教えて欲しいとねだる。
「これからも手伝ってくれるのかい?」
「はい! もちろんです!」
「だって、私……」
「絶対、和人様のお嫁さんになるんですから!!」
そう言って、少女は大好きな恋人に、年相応の少女らしい、とびっきりの笑顔を見せたのだった……。
第6話エンド
第1部FIN
とりあえずこれで一旦終了です。
次回からイチャイチャバカップル話になります。
魂が回復したので、これからはずっと大きい姫様のままです。(一時的に小さくなる事はありますが)
ついでに超ときめき状態なので、和人がどんな事をしても絶対嫌われません。
和人もまた、体力が付いたのでアクロバティクな体位が出来るようになりました。
本人はまだ気づいてませんが、オーディンのエロ知識も受け継いでたりします。(原作やアニメのままだと正常位くらいしかしなさそうだし)
次回は「姫様奮戦記」
魂の回復した姫様が、花嫁修業を本格的に始めようとするお話です。
その次の回で大きい姫様と本格的に初めてのデートをします。
姫様の初体験はさらにその次の回の予定です。
神乙&GJ!!
ちょっと待てよw
エロなしでこんなにレス使うんじゃねーよw(褒め言葉)
さっさとエロ寄こしてくれないさい
超GJ!
和人が強いのもよかったが、ワルキューレ・ゴーストが大好きな私としても終盤で力を貸してくれたところで喜びました。
本当、GJでした!!
312 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 13:31:34 ID:pNRMJTGX
おお・・・GJ!!
皆様感想ありがとうございます。
ストーリー長すぎ&超展開すぎるかなと思いましたが、感想を頂けた方々には割と好評だったようでほっとしました。
このスレにあまり人はいないようですが、たとえ一人だけでも読んでくれる人とがいるとやはり書く甲斐もあります。
結構あまり重要でない描写を削ったりして短くしたのですが、それでも長くなりすぎてしまいました……。
それから、いつの間にか魂が回復してたなんてどうか、と思ったせいでエロパロでありながらシリアスな話が糞長くなった事をお詫びします。
話は変わりますが、自分が読んだり見たことのある作品限定での話になりますが、介錯先生の漫画や月村先生の脚本だと、ヒロイン等がさらわれたり捕まったりした場合、尺の問題や作品のカラーなどの制約で、敵に囚われたヒロインを救出する時は必ず一回で成功しますよね。
↓
んで、逃げる時に敵に見つかりそのまま戦闘に突入。
↓
助けに来てくれた相手をヒロインが精神的支えにしていつもより強力なパワー発動。
もしくは仲間の力をひとつに合わせて強力なパワー発動。
↓
あれだけ苦労させられた敵を一撃でアボーン。
というのが大抵のセオリーなんで、今回のSSみたいに、いつまでもネチネチ嫌な敵にでしゃばられるのは嫌われるかなーと心配しました。
和人の戦闘シーンとかも人によっては受け入れられないでしょうし。
(和人が戦うシーンを入れたのは一応少年ガンガン連載作品の主人公なんだから、個人的にSSでくらい男らしい所を見せて欲しかっただけなんです)
でも原作やアニメの雰囲気を重視するなら、セオリーどうり助けに来た和人を精神的支えにし、更に秋菜やハイドラ達七人の皇女の力を借りて、ワルキューレが魔人をやっつける展開にするべきだったと……。
正直、最後の2話は叩かれるの覚悟で投下したので、4レスだけでも好意的に受け止めてもらえて良かったです。
それと、長くなりすぎたせいで、一部日本語のおかしい所や誤字等があります。
修正したいけど2ちゃんねるでは修正しようがないので、申し訳ありませんが各自で脳内変換をお願いします。
いちゃいちゃエッチラブコメはヒマを見つけて書いていくので、その時はまた暇つぶしに読んでやってください。
完結したのか。まだ読んでる途中だけど激乙でした。
これからじっくり読ませてもらいます。
まだ完結してないよ
第一部完、みたいな
素晴らしかったです。
ハッピーエンドになって良かった。
>>315 マジカ。結構長そうなのにまだ続いてくれるのかw
これからも楽しみにしてます。
「強い和人」に始めは馴染めなかったが
ワるの和人の中の人の声を、マクロスプラスや種死の中のひとの声に脳内補完したら
凄くハマった、ワるの頃は弱弱しかった中のひとだって成長するんだから
和人だって成長するさ、そこまで思いを馳せる事が出来たこの作品に心からGJ!
脳内補正に一番役立ったのは、中のひとと岩田兄ィのラジオと、司令のラジオなんだが
魔人の中のひとは岩田が似合いそう、キレると見苦しくなるあたりとか
それともワル/ワルゴーストの向こうを張って鈴村の二役とか
いや〜GJ!!!!
つづきキボンヌ
いや〜GJ!!!!
つづきキボンヌ
321 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 08:35:34 ID:Tm9r368+
GJ!
シリアス展開が好きだから、楽しく読ませてもらった。
続きも期待している
322 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 00:31:16 ID:HOpW18mF
GJ!!!!
でもあんたそんな生き方でいいの?
皆様感想ありがとうございます。
GJと言われると書いた甲斐もあります。
それに自分の書き方で、読みやすい小説として受け入れられるかどうか、不安だったのですが特に文章に批判もないようですし・・・。
続きも早めに書きたいのですが、実は車の免許証をうっかり失効してしまい、今自動車学校に通ってるのでちょっとすぐには時間がとれないかもしれません。(今月中に免許再取得して時間作ってSS執筆再開予定です)
チラシの裏ですみません。
話は変わりますがワルQほど同人の作りやすい作品はないと思うのですが、なんで同人とか少ないんでしょうね?
個人的にはキャラの設定とか素材が最高なので、いくらでも妄想が膨らみます。
例えば、姫様と父親の関係だけでも妄想が膨らむので話が2〜3個作れます。
以下チラシの裏
妄想1個目
ヴァルハラ皇家は子供を産む際、女の子を作るのを皆に望まれる。(日本の天皇一族と逆)
男より女、大人より子供のほうが魔力(霊力)が高いので皇女は黒い月の加護を受ける事が出来る。
その為、生まれてくる子供は女の子が望まれる。
姫様の父親は能力こそ高かった物の、男子だったため刻の鍵を受け継ぐ事が出来ず、周りに「女子だったら良かったのに」と言われまくりひねくれて育つ。
やがて成長し他星から姫様の母親になる女性を嫁にもらう。
捻くれて育ったため、ぶっきらぼうで怖い人という印象を皆に持たれているが、姫様の母親は父親の事を理解して愛してくれる。
んで、姫様が産まれるのだけど、母親が他界。
周りはようやく産まれた待望の白の皇女として姫様に期待しまくる。
男だった為、周りに必要とされなかった父親は愛する妻との間に生まれた愛娘を立派な白の皇女に育てようとする事を決意。
皆に信頼され必要とされる立派な白の皇女になれば、きっと娘が幸せになれると信じて。
その為にあえて厳しく育てた結果、皆に一目おかれる白の皇女として育ったものの、幼い時ですら抱っこしてやったり遊んであげたりなどのコミュニケーションをまったく取らず厳しく育てたため、何でも腹の底に溜め込んで我慢してしまう子に育ってしまった。
そしてある日とうとう溜め込んでいた物が爆発し家出してしまう姫様。
家出した娘の事が心配なのだけど、どうしたらいいのかわからず悩む父親。
父親に甘えたくても甘える事が許されずに育てられた少女と、不器用すぎる愛ゆえに娘をその手に抱く事の出来ない父親のお話。
最後は小さい姫様とふたりで過ごし、18年経ってはじめて娘を抱っこしてあげる事で和解。
問題点はギャグマンガなのにこんなヘビーな展開はどうかと言う点です。
妄想2個目
ある日姫様の所に手紙と一緒に新しい円盤が届けられる。
娘と和解した父親からのプレゼントで、手紙にはたまには顔を見せに帰ってくるようにと書かれている。
早速運転しようとした所、円盤の運転免許が期限切れ。
小さくなっていたため姫様は気づかなかったのです。
そのため、ライネの円盤をタクシー代わりにして宇宙警察に免許更新に行こうとする。
宇宙警察署で更新をしようとした所、留置場に拘束中の凶悪犯が脱獄。
トラブルに巻き込まれる。
妄想3個目
免許更新を行い、新しい円盤を運転する姫様。
軽く地球の周囲を回って大気圏突入をするが誤ってまた墜落。
今度は人こそ撥ねなかったものの、墜落のショックで本人が記憶喪失になってしまう。
妄想3個目バージョン2
免許更新を行い、新しい円盤を運転する姫様。
軽く地球の周囲を回って大気圏突入をするが誤ってまた墜落。
和人を再び撥ねる。
撥ねられた和人は記憶喪失に。
姫様の事を恋人だと真田さんに言われてそれを信じるが、すでに肉体関係まで行ってるに違いないと勝手に誤解。
まだバージンの姫様とエッチしようとあらゆる手段を取る和人。
ロマンチックな初体験が望みの姫様は果たしてバージンを守りつつ、和人の記憶を取り戻せるか?
……ああ妄想が膨らむ。 まだまだ戦える……!!
>322
>でもあんたそんな生き方でいいの?
質問の意味がよくわかりません。
SS内の和人やワルへの言葉という風に解釈していいですか?
更にチラシの裏
戦神伝説のストーリーの流れ
ドラマCD&原作 「刻の鍵継承」
↓
テレビアニメ第一期&小説版4作
↓
OVAの花嫁修業
↓
テレビアニメ第二期&アニメと内容、設定等の被らない原作の和人の死ぬ話数本
↓
三期第二話 (ファムの描写はカット。 季節は二月ごろに変更)
↓
ヴァルハラの戦神伝説第一部
↓
つづく
おまけ
●魔人のフルネームは「リョーエツ・キィム・ラシィ」
●魔人との最終決戦時、和人達の会話はヴァルハラ報道局が誇る超高性能集音マイクと超高性能カメラですべてはっきりと全宇宙に生放送。
●キャ・クン・ホー星人にとって自分達の種族以外、どんな知的生命体であっても家畜や野生動物と同じ。
決して性欲の対象にはならない為、ワルキューレは純潔を汚されずに済んだ。
ただし、和人が現れないか敗北していた場合、ワルキューレのその後は死ぬより悲惨な事に……。
●和人はオーディンとの修行時もずっと同じ服を着ていた。 破れた場合は和人が泥のように眠っている隣でオーディンが適当に繕っていた。
飲み水とか風呂は主に修行に使用してた所の近くにある川で済ませてた。
日々の食事はオーディンが取ってきた山菜や果物、魚、宇宙ドラゴンや野うさぎの肉。
●和人が修行した場所は様々な時間と空間の交じり合った異世界。 宇宙ドラゴンは異世界の生物で知能はライオンくらい。
●オーディンのくれた防具は宇宙ドラゴンの鱗を削って作った物。 魔人によりすべて破壊された。
●オーディンの手甲には特に名前はない。
宇宙ドラゴンの皮で出来たグローブ(肘から指の第二関節まで覆える)にレアメタル製の籠手とメリケンサックが貼り付けてある。
時空剣の鞘であり、戦闘時は小型の盾兼メリケンサックとしても使用可能。
●和人が死にそうになると、ワルキューレの魂は自己防衛本能で宿主である和人を癒そうとする。 その為和人は決して死なない。
ただし、その癒しの力も自分自身を癒す事は出来ない為、ワルキューレの危機の場合は発動しない。
癒しの力が発動するのは、ワルキューレの魂を半分もらった和人の危機の場合だけである。
現在、和人の中にはほんの欠片程度しかワルキューレの魂が残っていない上、和人自身の魂へと完全に変質しかけているので、和人が死にかけても、もう癒しの力は発動しない。
●宇宙海賊は怪物にされたヴァルハラ星人達と共に浄化された際、改心しました。 現在はヴァルハラ星で復興作業に励んでる。
(今後この辺の描写も描きます)
●魔人の使っていた怪物はかつて少数民族のキャ・クン・ホー星人が手駒として使用していた人造生命体の改良品種。
最初は蛭(ヒル)ほどのサイズで蛭(ヒル)そっくりだが、様々な宇宙人に取り付く事で一気に生体エネルギーを吸収して巨大化し、取り付いた宇宙人を腹の中に内包し人型へ変化。
細胞分裂で新たな蛭(ヒル)を生み出し、襲った宇宙人を仲間に変える。
怪物の名前は「モリトクマノツ」
内包した宇宙人によってその強さが変わる。
●ワルキューレのコピーである「ヴァルキューレ」は理性のない完全な怪物。
じつはふたなりなので、女性を犯して孕ませる事が出来ます。
325 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/13(火) 02:26:40 ID:nMwvDMJK
保守
保守
保守
328 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 19:37:54 ID:in/U6U6S
大ワルがコピーに負けるシーン、マジンガーZ最終回のパクリかよ!(W
329 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 14:35:34 ID:C1z9OyM8
大きい姫様のオナニーキボン
ほ
保守
第二部まーだー?チンチン
∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ _ , --、
< > __ 〈.`ーヽ ヽ'ーヽ
< はーっはっは!! > , ‐、 〈⌒ヽ ヽ ーヽ { '''|
< しっとマスク参上!! > | | | | | | / |
< > | | | 、_, | | ,,,,,.|ノ _,,,,/
< ___ > |`'' ヽ_,! ヽノ 〉 //⌒)
∨∨/L, | \/∨ ヽ '′ /´ /
./ ト、└L, | jJヽ | / / ノ ,/
ハ | \ しlv┘/|! | //
| 'ゝ\__> l / ノ| ヽ /´
/| '⌒〜-イl、`ー ´(| ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧
/ .| ,' `¨⌒/ < >
/ |ヽ. ,' ∠-―- 、 < 何がクリスマスだアベックども!! >
/ ||\__,/__, <__ >ー< アベックどもに天罰を!!! >
//| ! /  ̄` / < アベックどもにすやかなる死を!! >
/,,/ | | / < 皆の者わしの前にひれ伏せい!!!>
/⌒、 人,. -‐ /、,,,__ < >
` _r''"_, \_,/::::::::::::::::::........ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
>>333 あらゆるガンガン関連スレに出張してるのかw
ご無沙汰しております。
うまくいけばあと3日でまたヒマが出来るので、そしたらまた続きを投稿したいと思います。
免許の学科勉強の合間に、第一部の誤字脱字等をちょこちょこ修正しました。
ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/index.html 2chエロパロ板SS保管庫のアップロード掲示板を借りて、昔他作品のSSを書いてた時に使ってたHNで第1部の全6話投稿を投稿してあります。
とりあえず、 ―― ←これの使い方や、複数の人物が声をそろえて喋る描写等がよくわからないので、人様に読んで頂く小説として果たしてこの書き方でいいのか不安ですが・・・。
例えば、下の文章は秋菜とハイドラが同時に驚きの声を上げた場合のセリフです。
例 『なっ!?』
こういう時、「」はどれを使えばいいのかとか、良くわかってないので・・・。
複数人のセリフがハモる場合は 『』
心の声は ()
にしてあります。
今後、より読みやすい文章で続きを書いていきたいので、物好きな方がいらっしゃいましたら、ここはこうしたほうがいい等のアドバイスをよろしくお願いします。
保守ぅ
保守age
338 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 02:14:03 ID:LrPzDRpv
保守
第二部まだー?
只今作成中・・・。
341 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 01:34:33 ID:Se1PEzUt
保守
342 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 10:16:06 ID:E+ZcTByT
保守
詩人&56よ、カムバック!!
職人2,3人は最低いないとな
戦闘サボったwwww
346 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 12:12:18 ID:sLRNlR33
保守
348 :
343 :2006/01/16(月) 17:36:29 ID:uYOSGYUb
おk
349 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 20:01:44 ID:g2VrpIl/
職人さん、Come on!
保守
第二部まだー?
保守。
この作品に燃え尽き症候群が発生しており、だらだら進行中。
353 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 00:29:59 ID:hpX5vXzg
保守
354 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 12:10:02 ID:nIaS7t52
保守
保守
和人×真田さんって無いのか?
姫様を満足させられるだけのテクの持ち主か真田さんがテストする話ならあった
358 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 00:23:35 ID:AEWxkh8J
姫様は、和人が相手ならちょっと触れられただけで感じてしまう程、全身が敏感になりそうだな
(にゃ、にゃ、にゃんぱらり〜ん)
ほっかむり姿の真田さんが、和人の部屋に向かっていた。
不本意ながら当局に拘束される間、2人は結ばれたのだった。
(ああっ! 何と言う不覚。姫様の… その…… 姿を撮り損ねてしまうなんて。大きい姫様。お美くしゅうございます。えっちな姫様もさぞかし……)
想像だけで気絶しそうになり真田さんは2人の行為をフィルムに収める事にしたのだった。
昼間、和人が学校に行ってる間にカメラをセットしタイマーを深夜に合わせる。
夕食時も落ち着かずワルキューレに
「どうしたの? 真田さん」
と声をかけられた時はシッポまで震える感じがした。
・・・
時の湯も閉め、和人、ワルキューレ、リカに挨拶をして部屋に戻る。
布団に入るも眠れるはずもなく、悶々とした気分で耳に神経を集中する。
(あの、物音は間違い無く… 姫様と婿殿は…… その… いたしてるはず)
釈放された真田さんが時野家に戻った時、いつものワるきゅーレでは無くワルキューレの姿が出迎えてくれた。
星霊節まではこのままでいると言う。
しかもワルキューレの
「あの… 真田さん。あ、あの…… 私…… 和人様と… その、あの… 一緒に寝ますので……」
耳まで真っ赤にしたワルキューレの言葉を聞いた瞬間、真田さんは頭を殴られた感覚を覚えた。
(ひっ姫様! まさか、もう婿殿と!!! にゃ〜ん(が〜ん)。)
その夜から真田さんの眠れない日々が続いた。
2階からの物音に耳を澄ませる。わずかにベッドのきしむ音。
幼い頃より聞いてるはずのワルキューレの声。だけど、かつて自分には、いや、他の誰にも聞かせた事が無いはずの声。
押し殺しているものの、嬉しさと快感の嬌声はおぼろげながら耳に入って来る。
物音とかすかに聞こえてくる声だけで、あれこれと想像するものの、やはり物足りない。
(やはりお姿を。えっちな姫様、さぞお美しゅうございましょう。是非とも記録しておかねば。いやいや、これは侍女長としての責務であり・・・)
自らの想像に言い訳までしてしまう程、真田さんには余裕がなくなっていた。
夜、和人のベッドの中での声。そして朝の何も無かったようなワルキューレの声。
このギャップを知ってしまった自分を抑える事は出来なくなっていた。
・・・・・・・・・・
なんて話を考えたんだが、続きを書いていいかな?
GODJOB!!
361 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 17:43:01 ID:0iXkzalF
続きキボンヌ!!
・・・だが和人の部屋にベッドはない。
奴は布団派。
あちゃ〜。ベッドがあるのはワるちゃんの部屋でしたか。
まあ、今回は大目に見ていただくと言う事で。
では続きをば。
学校に行ってるので部屋の主は不在なのだが、真田さんは忍び込むように和人の部屋に入った。
昨日セットしたカメラを回収し、自分が入り込んだ形跡を残さぬよう慎重に動かした物を元に戻す。
そして、音をたてずに扉を閉め、自分の部屋に戻った。
階段を下りる時もカメラを持った手は震え、足もガクガクする。心臓の鼓動がハッキリ感じられる程興奮してるのが自覚できた。
(こっこの中に姫様が。えっちな姫様が)
部屋に戻った真田さんは机にカメラを置くと、カラカラに渇いた口を潤す為、また落ち着かせるように台所に行き、お茶を煎れた。煎餅を用意し臨戦体制を整えると、カメラの内容を編集する為PCに接続する。
フィルムに残すのも悪くないが、永久保存したいのだ。
ケーブルを接続し、全ての準備が終わった。
後は、再生ボタンを押すだけ。
動悸を鎮めるつもりでお茶を一口飲むも、口の渇きは治まらない。
1つ深呼吸をして再生ボタンを押した。
PCの液晶画面に感情の無い目撃者の記憶が再生され出した。
3分程して部屋の明かりが灯る。
2人が部屋に入って来た。
既にパジャマ姿の2人が映し出される。
「今日のご飯はおいしかったね。」
「ええ。そうですね。リカ様も真田さんもお料理が上手で。… それにくらべて私は……」
和人と結婚するにあたり、自分の家事能力が低い事には殊更気にしてる様子でだったが、和人はそんな事は気にしてない。
それが解ってるだけに、なおさら気にするワルキューレだった。
「ボクはワルキューレがいてくれればくれれば良いんだから。気にしないで。」
「和人様…」
見つめあう2人の距離が縮まりキスを交わす。
(いよいよ。いよいよなのでしょうか? 姫様?)
しかし、キスを終えた2人の行動は真田さんの期待を裏切ってしまった。
「それじゃぁ。おやすみ。ワルキューレ」
一瞬、(えっ?)と言う表情をしたが、すぐに普段の表情に戻ったワルキューレが正座しそっと手をついて
「おやすみなさいませ。和人様」
と挨拶を2人は布団に入った。
(にゃ? にゃんと!)
少しガクッっと来た真田さんは煎餅を一枚出して食べ出した。
煎餅の音で気付かなかったが来客があった。
バリッ!
煎餅がかじられる音と同時に部屋の扉が開いた。
「真田さん」
聞き覚えのある声に体が一気に緊張する。
「あわわわわ。そのお声は……」
恐る恐る振り返ると、真田さんの恐れるメームの姿が。
さらにメームの後ろには、さらに恐れるイナルバの姿も。
「メーム様、イナルバ様も…… お迎えもせず、も〜し訳ございません。これには・・・・」
「そんな事はよろしいのです。」
さえぎるようにイナルバが口を開く。
あまりの恐ろしさに、無条件で控える真田さん。
「ビデオを見てらっしゃるのね」
メームの冷静な声が真田さんを我に返した。
(ビデオ。ビデオ止めなくては。こんなビデオをお2人に見られたら)
慌ててビデオのストップボタンを押そうとする手をメームが押さえる。
「何のビデオですの?」
「ひっひひぃ〜。いや… あの…… その・・・・」
「まあ、見れば解るでしょう」
イナルバの凍りつくような声が真田さんの体を凍りつかせた。
・・・・・・・・・
ここで一端CMです。
「いや、あの。これは…… お二方に御見せするのは…」
「わたくし達が見てはまずい物なんですか?」
上から見下ろす様なメームの声に威圧されシッポの先まで震えた。
部屋の明かりが消され、暗視モードに入った映像が液晶画面に暫く流れる。
暗視モードが機能し、窓から入り込む月明かりでも部屋の様子がハッキリと解った。
「これは。婿殿とワルキューレの部屋・・・・ですね?」
イナルバが分析するように言う。
メームが続いて
「真田さん」
「はっはひぃ!」
「あなた、もしかして………」
流石のメームも少し顔を上気させて確認するように訊ねる。
イナルバも事を理解したのは顔を染め
「真田さん。これは不敬罪にあたります。侍女長のあなたが…」
言いかけた所でメームがさえぎる。真田さんは数珠を握り締めて「にゃんまんだぶ〜」と唱えている。
「まあまあ。真田さんとて、ただ、興味本位でした訳ではないでしょうに。ねぇ?」
(たっ助かった。・・・・・のでしょうか?)
「ともかく一通り見てみましょう。それで判断すればよろしいでしょ? イナルバ」
「まあ、メームがそう言うなら」
(ホッ。助かった)
絶体絶命のピンチから生還した真田さんはメームとイナルバのお茶を用意し再び画面に視線を戻した。
「これはいつの記録ですか?」
「夕べでございます。」
「2人はいつから、一緒に床を共にしてるのですか?」
「儀式(星霊石集め)のあとからでございますが、あの… その男女の行為は最近で・・・・」
「いつからかは、貴方も把握してないのですか?」
暗い部屋が映し出されるだけで、変化に乏しい展開に2人は退屈なのか、質問をしてくる。
「申し訳ございません。お2人の・・・・その… 初めての時はわたくし、席を外しておりまして」
まさか、警察のご厄介になってたとは言えないし、2人もそんな事はどうでもいいだろう。
「メーム、真田さん!」
画面を見つめていたイナルバが声を潜めて言う。
ビデオなのに、しかもワルキューレも和人も、リカも居ないのだが、なぜか声を潜めてしまったが、そんな考えを打ち消すように、画面が動き出す。
ワルキューレが寝返りをうつ。が、眠れないようだ。
「あの夜」以来、この時間は和人に組みしかれ、愛情を注がれているのだ。
めくるめく、かつて味わった事の無い快感と幸福感。
(毎日、毎日求めるのははしたない)
と感情では理解出来ても、体は貪欲に、あの快感を求める。
体の「渇き」は清楚で慎ましやかに育ったワルキューレにも抑えられなかった。
「和人様…」
つぶやいて、和人の背中に顔をうずめる。
布団の盛り上がりがもぞもぞと動く。
「なっなっなっ! 姫様」
「黙って」
続く
「か、和人様。……んっ………んんっ。・・・・うんっ、んんっ〜。あふ」
布団がはだけ、ワルキューレの体が月明かりに晒される。
カメラの位置からは後姿しか見えないが、体を屈め自分の手で体をまさぐる様子が良く解る。
ワルキューレがあお向けになった為、右手で細身な体に似合わない大きな胸をまさぐり、左手が股間に伸びてるのが3人にも確認出来た。
「和人様ぁ。わたくしは… わたくしは……」
右手がパジャマの中でせわしなく動き回ってる。円を描くように。時には上下に。小動物が中に入って暴れまわってるように止まる事無く動き続ける。
左手も絶えず快楽を求め、跳ね回る。
でも悲しいかな。隣りで眠ってる最愛の人がしてくれるように手を動かしても、同じ快感は得られない。
気持ちは良くても、和人にしてもらうのとは全く違うのだ。
「和人様、和人様ぁ〜」
ワルキューレの顔がカメラの方を向く。
バレた訳でもないのだが、3人が同時にビクッと体を反応させた。
カメラに映ったワルキューレの目からは涙が一筋。
………
ワルキューレが手を止める。
「ダメ。やっぱり……和人様でないと、わたくし…」
「お〜い。おいおい。おいたわしや姫様。婿殿も婿殿です。あれじゃ姫様がぁ」
「少し落ち着きなさい。」
メームが諭すように言う。
イナルバは画面を凝視したままだ。
ワルキューレは自分の手についた愛液をティッシュでぬぐう。
でも匂いまでは拭えない。
満たされないのは体だけだったが、心まで満たされない気分になって来た。
隣りでごそごそ動かれた和人が寝ぼけながら声をかける。
「う…ん…… どうしたのワルキューレ?」
「かっ和人様。起こしてしまいましたか? ごめんなさい」
ハッとする。
(そうだ。和人様に… いやいや、昨日もおねだりしてしまったし。今日もなんて。はしたない女と思われるかしら? でも…でも……)
「和人様!」
「うん…?」
まだ寝ぼけ加減の和人がけだるそうに答える。
上体を起こしたワルキューレが意を決したように口を開く
「あっあの。和人様。わたくし。どうしても眠れなくて……あの…その……」
最後は消え入るようになってしまったが、和人に懇願するようにしなだれかかった。
「ワルキューレ!」
「和人様ぁ。お願いです。…その……」
言いかけた口を和人の人差し指がさえぎる。
「ごめんね。ワルキューレ。ボクから。」
「ワルキューレ、今日も良いかな?」
「か、和人様ぁ」
和人の心遣いに感動を覚え、また涙が頬を伝う。
月明かりの下、2人はキスをしてベッドに身をうずめた。
・・・・・・・・・・・・
前フリが長すぎましたかね?
ちょっと、反省。
仕事の手直しが入ったので、続きは…2時頃にでも。
見てはいけないと思いつつ目が離せないイナルバの仕草がいい。g,j!
和人がぎこちなくワルキューレのパジャマを脱がせる。
再び、口づけをする。
互いの舌を絡めあい、唾液を啜るように激しく。
しかし、和人の手がやさしく、むしろ恐る恐ると言った感じで、小さいワるきゅーレの顔くらいはあろう胸に触り出す。
手のひらに余り、指の間から白く柔らかくも張りのある肉がはみ出してしまう。
だらしなく大きいのでは無く、張りがあり、脂肪の少ない胸は和人の指を弾くような弾力に富んでいた。
「んんっ・・・和人様ぁ。」
白い乳房に薄いさくら色の乳輪、同色の頂きに和人の指が達した時、キスをしてた口が離れ思わず声をあげてしまう。
和人は顔をズラし金色に輝く髪に鼻をうずめる。
甘い匂いが和人の脳を刺激し、甘い声が普段は大人しい和人を雄に変貌させる。
うっすらと汗ばんだ肌から放たれるフェロモン臭に眩暈をしそうになる。
乳房から離れた手は柔肌をすべり降り、柔らかな茂みを探索しはじめる。
「んはうんっ…」
鼻を鳴らして身体をよじらせ、脚を僅かに開く。
茂みを掻き分けて指を潜らせると、もう和人の指が滑るほどヌメヌメとした分泌液をほとばしらせていた。
「ワルキューレ… もうこんなに……」
少し驚いた和人だったがワルキューレは羞恥にかられ
「ああっ。和人様。言わないで…。 わたくし……」
和人はワルキューレの耳をあまがみし、首筋を舌で撫でながら這い下がり、大きな胸の頂でさすかに震えるさくら色の乳首を含んだ。
「あああっ、和人様。」
ワルキューレの両手が和人の頭を押さえ込む。
やがて、左手を離し、曲げた人差し指を噛む。
さっき処理した自分の匂いが鼻をつくが、もはや、そんな事まで思考が回らなかった。
乳首がコリコリとしこってくる。唇ではさみ、舌で弾き、密着させて吸う。
「はうぅっ」
「んふうっ」
「あはぁぁっ!」
各動作ごとに違う反応を示すワルキューレを本当に愛しく思った。
この女神のような美貌の女体を自分は自由に出来るのだ。
自分のつたない愛撫でこの女神が感じてくれる。
そう考えるだけで和人は幸福感でいっぱいになるのであった。
・・・・・・
画面を凝視する3人は煎餅を食べる手を休め、喉が渇いてるにも関わらずお茶に手を出す事もない。
「ごくり」
3人が同時になけなしの唾を飲み込んで、目が合ってしまい、少し気まずくなったが、画面から映し出される映像がそんな思考すら遮断してしまった。
和人の顔がゆっくりと下がり始める。
魅力的な乳房には未練はあるが、それ以上に魅惑的な部分が和人の指だけでは不満であると訴えかけてるようだったのだ。
「!!!」
画面を注視してる3人も、そしてワルキューレさえも思いもしなかった所が和人の舌が襲う。
「ひゃうっ・・・和人様?」
夢心地から引き戻されたようなワルキューレが不安そうに和人の頭を見つめる。
和人は一気に降下し、すべすべの脚、しなやかな筋肉をまとった脹脛を通り越して足の指を口に含み、ペロペロと指を1本1本舐め始める。
和人が目覚める前にオナニーし、はしたない程ヌメっている股間を舐められる覚悟は出来ていたが、風呂は入ったものの、そこから家の中を歩き、僅かではあるが汗ばんでる足の指をしゃぶられるのは、全てを捧げた和人であっても、いや、和人だけによけいに羞恥心を煽られた。
「ああっ、いけません。和人様。」
羞恥に喘ぎながらワルキューレの空いた両手がシーツを激しく掴む。
指の股に差し込まれた和人の舌をキュッと締め付けてしまった。
「和人様ぁ、お願いです。ゆるして下さい……」
女神の弱々しい懇願は、かえって和人を興奮させるだけしか効果がなかった。
・・・・・・・・
「こ、コホン」
やり場がないのかイナルバが咳払いをする。
「あんな場所まで愛撫するなんて…」
上気し目を潤ませたイナルバが、あるかないかのような溜息とともに呟く
声には出さなかったがメームも同様の感想ももっていた。
同時に複雑な心境でもあった。
メームもイナルバもワルキューレより年上であり、姉である。
だが、立場・職務から歳に見合ったロマンスも無い。
全く無かった訳では無いのだが、画面に展開されてるような燃え上がるような情熱的な恋愛、そしてセックスには無縁であった。
チリチリと胸が焦がされる感じは嫉妬なのか? 複雑な心境だった。
真田さんはもはや固まるだけだった。
・・・・・・・・
女神の脚を堪能した和人がゆっくりと脹脛、太腿を舌で舐め上げながらゴールを目指す。
しかし、太腿をかぷっっとあまがみし、焦らす。
来るべき所に刺激が来ない。期待を裏切られた身体が脳の感情を無視し口を開かせる
「かっ和人様。和人様ぁ。… 早く、もうイジワルなさらないで。お願いします。早く…」
ワルキューレが大きく開脚し身悶え、いつもの慎ましやかな姿からは想像も出来ない様な淫語を吐きせがんだ。
太腿を舐め上がりながら感じる湿度を含んだ熱気、さらに濃いフェロモン臭、左右の太腿が心地よく和人の顔を挟んだ時、鼻先に髪の毛と同じ美しい金色の恥毛が触れた。
目標を確認したように和人が女神の最も秘められた部分に顔を押し付けた。
まだ続けて良いですかね?
OKでしたら、今日は仕事の続きをして寝たいと思いますので、夜にでも。
370 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 03:30:51 ID:nUIkN4GI
GJ!
続き激しくキボン
GJ!
もちろん、頼むぜ。
GJ!
続き期待しまくり。
おっ! 人大杉から復活してますね。
続き、行かさせて頂きます。
「はあうっ……!」
ワルキューレが声を上げ、同時に和人の顔を挟んでいる太腿がビクッっと反応する。
・・・・・・
画面を見つめる3人が同時にモニターの上から覗き込む様な態勢になる。
「こっ、声は聞こえますが…」
「布団が………」
「ジャマですわね。何とかならないのかしら?」
つい本音を口にしてしまったイナルバが慌ててお茶をすする。
ワルキューレが掛け布団をハネ上げたせいで、カメラから和人の顔、つまり今一番肝心な部分が隠れている。
画面を上から見ても見えないのは当然なのだが、ついそうしてしまうのであった。
「ホントに何とかならないのかしら?」
と真田さんを睨むメームであったが、こればかりは真田さんにもどうしようもない。
さらにもは、画面は昨夜の出来事なのだ。
「こ、こればかりは… 姫様か婿殿に何とかしてもらうしか・・・・」
悪くはないのだが、真田さんは控えるだけしかなかった。
(ああっ 姫様。婿殿。何卒、この真田をお救い下さいませ)
・・・・・・
金色の恥毛は愛液に濡れ、一部は真っ白な肌に張り付いている。
月明かりに照らしだされた秘部はぷっくらと肉付きの良い縦長の唇が口を開けようとしていた。
凸レンズの断面を2つ並べたような大陰唇からピンク色の小陰唇がちょっぴりはみ出していた。
和人は指を当てて左右に開く。
内部は湿り気の豊富な粘膜で蜜を溢れさせ、まるで息遣いを思わせるようだった。
上部に見える包皮から少しだけはみ出てる肉芽に舌を這わせる。
「ああうっ… あっ… そこはぁ……」
・・・・・・
「いったい、「そこ」とはドコなのです?」
業を煮やしたイナルバが声を上げる。
メームと真田さんがメームを見る。
ハッっと我に返ったイナルバはまたまた「コホン」と咳払いをし
「わっわたくしは、あくまで2人の愛の証拠をですね…婿殿がこれ以上、婚約を反故にしない為の……」
「ふ〜ん」
「そうでございますか」
メームと真田さんのジト目にさらされ、立場がマズくなったイナルバだったが、画面の中では起死回生の状況が起こっていた。
「ふっ、2人共!」
激しく身をよじったワルキューレが掛け布団をベッドの下に落としてしまい、3人のストレスも一気に解消された。
(さっさすがですわ。姫様。)
ワルキューレの両手が和人の頭を押える。
「いいです。気持ち良いですぅ。和人さまぁ。」
包皮を指でつまみ、肉芽を舌先でチョン、チョンと突くとそれに合わせてワルキューレの身体が電気ショックを浴びたように痙攣する。
細かい襞が複雑に入り組んでる入り口からは、さっきまでのサラサラの液では無く、粘り気を増した汁が溢れ出している。
和人は指を入り口にあてがい、揉み解すようにしてから差し込んだ。
「あうっ…!」
指は飲み込まれるように入って行き、粘液がヌルヌルと溢れ、四方の粘膜がさらに中へ咥え込むように動く。
掌を返し、内の上部を探る。
少し進んだ所にコリっとした部分が認められた。
指に力を入れしこりを押すとワルキューレが一段と激しい反応を示した。
「んんむっ… あはぁっ 和人様っ!」
それ程経験のある2人ではなかったが、初めて見る反応に不安を覚えた和人が
「大丈夫? 痛いの? ワルキューレ?」
「ああっ、いえ… でもぉ……」
どうやら気持ち良いと思えたので、さらに刺激し続ける。
指の周りからは先程よりさらに粘度を増し、さらに少し酸味の強い白濁した汁が溢れ出した。
口は少し酸味のある汁と包皮を剥いてムキ出しの肉芽を交互に舐める。
「ああっっ! ダメです。だめですぅ。和人様ぁ。それ以上はぁ……! おやめ下さい。わたくし… もう……」
あまりの反応に不安になった和人が口を離そうと顔を上へずらそうとした。
しかし、ワルキューレも足に力を入れ和人の口を逃すまいとするかのように腰を浮かせた。
和人の指と口がワルキューレの下半身を持ち上げるような格好になる。
舌と指の動きを早めると、顔を抑える太腿にさらに力が入り、脱出が困難になってしまった。
脱出を諦めた和人は覚悟を決め、さらに刺激を強く、速くする事にした。
「ああっ、ダメ。ホントにダメですぅ……・・・・・んんんっ〜!」
一瞬緩んだ太腿から顔を離した和人の目の前で、ワルキューレの膣口とクリトリスの間のポツンとした穴はプクっと膨らみ、次の瞬間・・・・
ふしゅっ! しゅうぅぅぅ!
黄金色の噴出があった。
「いあやぁ〜。止まらなぃ。…… 見ないで下さい。和人様。お願いします。お願い……」
両手で顔を覆いながら懇願する。
見るなと言われたが、美しい女神の体から出る神秘的な光景から目が離せなかった。
・・・・・・
(わっ私は見てしまった!)
真田さんは両手の拳を握り締め、口の前に当てている。
メームは扇子で口元を隠し、イナルバはワルキューレと同様、両手で顔を覆う。
但し、ワルキューレと決定的に違うのは広げた指の間からしっかり見ている事だった。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
画面を見つめる3人も画面の中の和人も凍りついたように無言だった。
それだけに、ワルキューレの身体から発せられる、彼女にとって最も恥ずかしい、和人にだけは聞かれたくない音だけが余計に目立った。
「…… アレは放尿ですわね。」
イナルバが口を開く
「あっ、あの。イナルバ様?」
「まだ。深い絶頂の経験が少ないワルキューレですから、潮を噴くのは確率的に少ないでしょうから・・・・」
「よくご存知で…」
2人の視線にまた
(しまった!)
と言う表情を浮かべたイナルバが自らをフォローするように
「い、いや。ファムの蔵書の中に医学書があったので、そっそれで… 覚えていたのです。・・・そんあ記述があったと。なっ何ですか?」
「い〜え。別に」
「そうでございますか」
目元がニヤついてるメームと流し目をしつつ控える真田さん。
「ホッホントですからね!」
「解っておりますとも。」
「そうでございますか」
「うくっ。ううっ……」
顔を覆った手から涙が流れすすり泣くワルキューレ。
「あ…あの。ワルキューレ?」
「和人様ぁ。ひくっ 和人様のイジワル! お止めくださいと ひくっ お願いしたのに…」
「ごめんね。ワルキューレが気持ち良さそうだったから…つい……」
「あんな姿をお見せするなんて… 恥ずかしいです。 おもらししちゃうなんて…」
顔を手で覆いながらイヤイヤするワルキューレを(可愛い)と思いつつも困ったのも事実
「でも、とてもキレイだったよ」
とフォローつもりの言葉をかけたが、かえってワルキューレの羞恥を増幅させただけだった。
「いやっ。」
本格的に泣き出しそうなワルキューレを治めるべく、和人は彼女の両手を解き、やさしく口づけをした。
口が離れると、二人の口と口に唾液の糸が橋をかける。
「ごめんね。」
「和人様がお悪いわけでは… でも……」
「うん。 じゃあ、次からはもうしないからそれで許してよ」
「えっ! いや、わたくしそんなつもりでは……」
頬どころか顔中、耳まで真っ赤にしてそう呟くと恥ずかしさのあまり顔をそむけてしまった。
・・・・・・
(ポカ〜ン)×3人
「もう。なんですか! 何か見てるのがバカバカしくなって来ましたわ」
イナルバがお茶を一気に飲み干し、湯のみを叩きつけるようにして言う。
「じゃあ、先に帰れば?」
メームが突き放すと
「いっいえ、そうは行きません。 わたくしは司法局の責任者としてですね。 2人の婚礼がつつがなく執り行われるよう、婿殿もワルキューレも婚約を反故にしない為の確固たる証拠の為に・・・・」
「はいはい。」
「そうでございますか」
……
「ホントにですわよ。決して野次馬根性で…」
メームが遮る
「解ってますよ。ね?真田さん?」
「はい。そうでございますね」
「………」
「真田さん!」
やり込められたイナルバの矛先は真田さんに向けられた
「はっはひぃ〜」
ひたすら土下座の真田さん。
「お茶が無くなりましてよ。メームのお茶もすっかり冷めてしまってますよ。」
「はっはい! 只今」
とんだとばっちりだった。
・・・・・・・・・・・・・・・
最後のは少しハシ休めの感じです。
続きは今日の夜にでも。
378 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 12:12:46 ID:q1Ja2t1R
GJ!
何気にイナルバが面白い
続きを期待している
>>377 「そうでございますか。それはありがとうございます。このわたくし、真田も苦労した甲斐がございました。」
>>378 「わっわたくしは別に喜劇をしてる訳ではございません。ほっホントにですわ! ワタクシはただ…… うっんん…コホン。それより職人より伝言を預かっております。」
「「只今、仕事の締め切りの追われてるので確約は出来ませんが、今日の夜、または今日と同じ時間くらいには…」と申しておりました。」
「さらに「多分、次あたりで終わらせると思うので、次作のリクエスト等がございましたら、感想と共にお書き下さい」とも申しておりました。」
「改めて言う事も無いとは思いますが。わたくしは喜劇をしている訳ではございません。そこはご理解されてますね? でないと(お仕置き時空)ですわよ!」
行かせていただきます。
顔をそらせてるワルキューレを自分の方に向かせてあらためて口を合わせる。
その間も和人の手は寝ても形が崩れない豊満な胸をまさぐる。
「いくよ。ワルキューレ」
「……はい。」
和人の身体が少し下方に潜り込み、ややして浮かせた腰が沈み込む。
「あうっ!」
ワルキューレが上体を仰け反らせ、さらに顔を反らせた。
和人はムダな脂肪の無いものの、しなやかな弾力のある身体に身を重ね、さらにワルキューレの奥へ根元まで潜り込ませた。
挿入する時の膣内のあやしいまでの心地よさ、襞の摩擦と締め付けに暴発しそうな感じを何とかおさえた。
湿り気が豊富でヌメる粘膜が四方から吸付き、複雑なヒダヒダがさらに奥へと咥え込むような蠕動をする。
「ああっ。気持ち良いよ。ワルキューレ」
身体に感じるままにつぶやくように和人が言う。
「わたしも…… あうっ! 気持ち良いです。」
目を閉じ、感覚を集中して味わうようにワルキューレも和人にこたえる。
お互いが感触を味わって後、和人がゆっくりと腰を動かす。
だんだんリズミカルに2人の身体が上下する。
引き抜く時は入り口がキュッと絞まり和人を放すまいとし、押し込む時は暖かいヌメりのある粘膜ににゅるん!と飲み込むようだった。
さらに心地良い内部のザラザラが陰茎を擦り付け、ワルキューレが喘ぐたびに前後左右の肉が盛り上がったり蠕動して陰茎を舐めるように、時にはもぐもぐと噛締めるような動きをする。
ワルューレより小柄な和人は挿入時にはワルキューレの白く大きな胸が目の前で揺れている。
片方の乳房を手で愛撫し、もう片方を口に含み、すっかり突き立ってる乳首を舐め、舌で弾き、時には少し歯を立てる。
「あううぅっ! かっ和人様ぁ…」
両手で和人の頭を抱え込み、下からぎこちなく腰を使い出す。
大きな胸に押し付けられ、息が出来なくなった和人だったが、指と舌の動きを激しくすると和人の頭を抑える腕の力が緩んだ。
「ワルキューレ・・・・」
そう言って体の態勢をかえようとする和人の意思を察してか、ワルキューレも態勢を変え、和人の上のワルキューレが跨ぐ格好になった。
「んはぁっ。ダメ。深い……あくぅ!」
和人の胸に両手をつき、腰を上下動させる。
見上げると美しい顔は苦しげに歪み、甘い声と吐息を発する口からは収まりきらずヨダレがだらしなく出てる。
巨大な双乳はまるで別々の生き物のように上下、時には左右に、さらには円を描くように弾んでいる。
手を伸ばして、2つの乳房を掴み揉みしだく。
「かはぁっ… かっ… かず……」
もはや、愛する人の名前すら呼べないくらいに自分を失い乱れるワルキューレ。
無意識の内に和人の陰茎を膣粘膜と柔襞がさらに妖しく締め付ける。
2人を結び付けてる結合部からはクチャクチャと湿った摩擦音を絶えず立てている。
「っっっ!」
一瞬の痙攣の後、ワルキューレが崩れるように和人にのしかかる。
「うんんっ…! かっ和人様。わたし、もう…ダメ……です。・・・・和人様が上に…」
それだけ言うと再び、小刻みに痙攣がワルキューレの身体を襲った。
崩れ落ちたワルキューレから身体をズラした和人はそのままワルキューレの背後にまわり、肉付きの良いお尻を引き上げる。
さっきまで2人が繋がっていた秘口は濃いピンクに色づき、ぱくぱくと開いたり閉じたりを繰り返している。
和人は狙いを定めて、再び女神の秘口に押し込んだ。
「ふあうぅっ! うんっ!!!」
内部を圧迫されて、強制的に出た声らしき声と同時に口に溜まった唾液がヨダレとなってシーツを濡らした。
「うっ! うんっ! ううんっ!!!」
和人が腰を注送するごとに、うめきにも似た声が月明かりしかない、薄暗い室内に響く。
やがて、女神の声に合わせて、結合部の音が加わる。
ぱちゅ、ぱちゅっ!
和人の太腿とワルキューレの尻肉、そして2人の粘膜のぶつかり合う音。
その音は時を追うごとに
つぱんっ! ずぱんっ!
とより湿った卑猥な音に変わる。
和人が結合部に目をやると、そのやや上に呼吸するように妖しく開いたり閉じる肛門が目に入った。
腰を動かしつつ、女神のさらに秘められた部分に指を当てる。
「あっ!!!!!」
ワルキューレが拒絶の言葉を発する前に和人は指を中に入れ、女神に残された最後の秘所を蹂躙する。
「ダメですぅ。 そこ… そこはぁ……」
和人の指を拒絶してるのか、さらに奥へと咥え込もうとしてるのか、あくまで控えめな肛門が和人の指を締め付け、同時に膣口も和人の陰茎を強烈に絞り込んだ。
「お願いです。おやめくだ…あうっ! …さい。……和人様。ゆるして下さいぃぃ」
さらなる刺激に和人もそろそろ限界が近づいて来た。
「ワルキューレ……っ行きそうだよっ!」
ワルキューレの尻肉を掴む手に力が入る。
「まっ待って下さい。最後は和人様の顔が……」
繋がったまま正常位になり、和人はフィニッシュに向けて腰の動きを速める。
「ああっ! あああっ〜。 もう…ダメ……ホントに…だめですぅ。 わたくし・・・!」
下から両手と両足で和人を抱きかかえる。
和人も背骨に電気が流れたように痺れる感覚が限界を知らせる。
「行くよ。ワルキューレっっ!!!」
「あぐぅ! ああっ〜」
ついに限界をこえてしまった和人がワルキューレの身体奥深くに迸りを打ち付けるように放出した。
2人の身体が同時に一瞬、大きく痙攣し、やがてリズミカルに小刻みな痙攣。
後は、激しい呼吸によって上下する2つの身体。
やがて呼吸も落ち着きつつある中で、和人がワルキューレの身体から離れ、その横に寝転がる。
・・・!
「冷たっ!」
ワルキューレの放尿によって濡れた部分に和人が乗ってしまった。
「あっ!」
状況を理解し、羞恥に体中を染めるワルキューレ。
「あ、あの和人様…申し訳ありません…わたくし……」
「ううん。いいよ。ワルキューレの身体から出たものだし。」
「ワルキューレ。とっても良かったよ。」
和人の手がワルキューレの頬を撫でながらささやく。
「! 嬉しいです。和人様に喜んでいただいて。……わたくしも……その…とっても……あの…気持ちよかったです。」
和人の手を包み込むように手を重ねる。
「和人様。わたくし和人様の花嫁になれますよね?……… いえ、和人様の花嫁になります!」
(付録です)
・・・・・・
「以上でございましょうか?」
「そうでしょうね」
「・・・・・」
画面では2人が見つめあい、時折、口づけをしたりしながら愛にふける様子が流れている。
何か言いたげなイナルバにメームが声をかける
「どうかして?」
「………」
しばらく黙り込むイナルバが重々しく口を開く。
「まったく、ワルキューレはなってません!」
「???」
「ひぃっ!」
「夫婦の…いえ、男女の…その行為と言うのは互いに求め合い、与え合ってこそ成り立つものなのです」
「はぁ? 恐れながら先程のお2人は、それはそれは…」
要領を得ない真田さんが不思議そうな顔をして訊ねる
「確かに婿殿はワルキューレに全ての愛情を注いでおりました。ですが、ワルキューレはされるだけで、婿殿を愛撫してさしあげておりません。」
「そんなものなのですか?」
メームも少し不思議そうである。
グビッっとお茶を飲んだイナルバがまくし立てる。
「ワルキューレは婿殿を気持ちよくなってもらう為の努力をしなくてはならない。と言う事です」
「あっあのう。」
あまりの迫力に恐る恐る真田さんが口を開く
返事の変わりにキッっと真田さんを睨むイナルバ
「恐れながら、婿殿は姫様に「気持ちよかった」と申しておりましたが…」
バリッ… ゴクッ!
煎餅をかじり、お茶を飲んだイナルバが一転して静かに答える。
「それは最終的にそうなっただけの事。そのに辿り付くまでの過程を言ってるのです。」
「はぁ」
「婿殿がワルキューレにしたように、ワルキューレも婿殿の…その……アレと言いますか…ナニをですね。 口で愛撫してさしあげるとか。乳房を使って……とか…そのいろいろあるでしょう?」
「「あるでしょう?」と言われてもわたくしには……」
メームは知らんフリをする。
「やっ、しかし、姫様はそんな事ご存知ないのではないでしょうかと…」
「真田さん!」
今度はずいっと身を乗り出して真田さんの間近に迫ってきた。
「はっはひぃ」
「もうすぐ嫁入りするワルキューレにそう言った事を教育するのが貴方の役目でしょう」
「わっわたくしがでございますか?」
「他に誰がいると言うのです?」
「いっいや、あの…しかし……」
「出来ないとでも・・・・」
イナルバの右手が怪しく光る。
「ひぃぃぃ〜。イナルバ様、そっそれだけは……」
ひたすら恐れおののき、控える真田さん。
「ではよろしいですね。次はその成果を記録して下さい。その時は今日同様見させていただきますからね。」
「ええ。それがよろしいですわね。真田さん。ワルキューレをしっかり教育して下さいね」
とうとうメームが真田さんのハシゴを外してしまった。
「あのぅ…姫様を教育と……」
「ワルキューレに直接言うのが憚られるのでしたら、婿殿からワルキューレに言うようにしてもらえばよろしいでしょう」
「ですが、姫様も婿殿もわたくし達がお2人の行為を見たとは知らない訳ですし…」
「そこを上手くするのが、貴方の役目です」
(はぁ〜。困りましたわ。婿殿、姫様。度々で申し訳ございませんが、この真田をお救い下さい)
心の声が天に届いたのか、窮地を救う映像が・・・・
甘い時間を過ごしていた2人。
だが、一仕事終えて力なくだらりとしてた和人の陰茎が気になったのか、和人がティッシュを取り拭おうとしていた。
その時
「あっ待って。和人様。わたくしにさせて下さい。」
ワルキューレが和人の下半身に屈み込む。
自分の粘液をたっぷりと纏った陰茎、先からは絶頂の名残りがだらりと溢れていた。
和人の精液を舐めたり飲んだりするのには全くの抵抗を感じないつもりであったが、自分の身体から出た液体には抵抗があった。
でも、この器官が自分を悦びの極みに連れて行ってくれたモノだと思ったら、全てが愛しく思えるのだった。
ゆっくりと口を開くワルキューレ。
開いた唇のには上下に唾が糸を引いている。
下をだして、恐る恐る舐め出した。
「ワっワルキューレ?」
「和人様もわたくしのをして下さいました。とても気持ち良かったです。だからわたくしも和人様のを…」
そう言うと舌でまんべんなく清め。開いた口でスッポリと咥えてしまった。
「ああっ〜気持ちいいよ。…ワルキューレ」
・・・・・・
「メーム様、イナルバ様。ご覧になられましたか? 姫様が。姫様がぁ〜。 わたくし真田なんぞがお教えしなくとも、姫様はぁ。これこそ愛の力でございましょう」
「姫様。真田はうれしゅうございます。お〜い。おいおい」
感涙にむせぶ真田さんであったが、世の中、そこまでは甘くなかった。
・・・・・・
「痛たたっ。ちょっと待って」
ワルキューレが驚いて、和人の陰茎を口から開放する。
全くの初めての行為にワルキューレも要領がつかめて無く、つい歯を立ててしまったのだ。
「もっもうし訳ありません。和人様。わたくし…… 今度は上手くしますから…」
痛さのあまりすっかりしょげかえった陰茎と同様、落ち込むワルキューレ。
「うん。 また今度ね。」
でも、当初の予定の後処理は済ませた形になった。
今度こそ2人は寄り添い。また、ワルキューレのおもらしの跡を避ける為に、ベッドの半分以下の部分にぴったりと身をくっつけて眠りについたようだった。
・・・・・・
「あ〜…」×3
「惜しかったですわね。」
メームがお茶を啜りながら言う。
「真田さん。しっかりお願いしますね」
イナルバが複雑な表情を浮かべて言う。
(そうですか、今朝の婿殿のぎこちない歩き方はコレが原因だったのですね。)
(それと、姫様が朝からシーツを洗濯しお布団をお干しになってたのは、この為だったのですねぇ。姫様も婿殿もおいたわしや〜)
察した訳ではなかろうが、イナルバが庭を見て言った。
「あの布団、一組だけ干してあるのは2人の布団なんですね」
メームはなぜか、少し微笑みをたたえながら布団を見た。
「ただいま。帰りましたぁ」
ワルキューレが帰ってきた。真田さんは慌ててビデオとPCを落として出迎えた。
「お帰りなさいませ姫様。」
部屋に入って来たワルキューレが2人の姉の姿を見て、少し驚いたように挨拶した。
「あら。お姉様達。如何なされたの?」
メームとイナルバは一瞬顔を合わせ
「いえ、ファムから貴方がマリッジブルーになったと聞いて心配でここまで来たのですが…」
「もう、大丈夫みたいですね。婿殿とは仲良くしてますか?」
(ひぃぃ〜。きっキワドイ!)
ワルキューレの後ろで怯える真田さん。
「ええ。わたくしは和人様の花嫁、妻になります」
力強く答えるワルキューレ。
「そうですか。それは何より。 ところで、こんな時間まで布団が干してありますね。真田さん。取り込まないと」
力強かったワルキューレが一気にあせりの色に覆われる。
「おっお姉様。真田さん。お布団はわたくしが取り込みます。」
ワルキューレは当然ながら、3人は布団を干した理由を知らないと思っているからだ。
あわてて庭に出て布団と取り込むワルキューレを微笑みながら見つめる2人と固まっている真田さん。
星霊節まで、もう日が無いある1日のお話でした。
え〜。長々と失礼したしました。
頭の中で思いついた話はもっと簡潔だったのですが、書き込む時に
「よ〜しアレも入れよう」
とかなる内に長くなってしまいました。
下書きとか一切してないのでとりとめの無い文章になってしまったのも反省点であります。
このワルキューレだけで無く、くるみや今放映中のアリスにも言えるのですが、介錯作品の女性キャラと言うのは極めて希薄な印象を受けます。
美形で、大きい胸。でも、それが単なる「記号」として描かれてるだけ。としか思えない事が時々あります。
食事シーンや入浴シーン。眠っている姿も見られますが、今ひとつ生き物としての質感が欲しいと感じる時がありましたので、今回はワルキューレの汗を感じさせる描写(足への愛撫)とかおもらしをしていただきました。
より人間(?)っぽい生々しさを入れてみたかったので、SSとかライトノベルよりエロ小説っぽい描写になってしまった感があり、少し行き過ぎた気もします。
二次元の中で記号として存在するワルキューレを何とか現実に近づける手段として↑のような表現になってしまったのは、ひとえに作品、キャラに対する当方の愛情と受け取ってくだされば幸いであります。
さて、三人組(?)ですが、当初はイナルバは出番が無かったのですが、この後、帰宅したワルキューレが取り込んだ布団に寝転がり、和人のパジャマを見つけて匂いをかぐうちに切なくなっておなぬーをしてしまい。
その現場を三人組に見られて、イナルバに(お仕置き時空)に叩き込まれる。
って展開が追加された故、登場と相成った訳ですが、単なる盛り上げ要員になってしまったのが残念ではあります。
さて、このお話はこれにて一応お終いです。
ここまで付き合ってくださった方々にお礼と、お目汚しをお詫びします。
またの機会がございましたら、その時はよろしくお願いします。
また、次作をリクエストされます方がおられましたら、その旨いただければ勉強させていただきます。
それではまた。
GJ
確かに介錯作品のはあまり人間らしさというものは感じないけどうまくそういう部分を昇華できてたと思う
続編はこの続きで真田さんが和人にパイズリなどでの奉仕の快感を覚えさせるといった感じのが見たい
389 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 09:45:04 ID:oqaYJKwT
職人様GJ!
やっぱイナルバいいキャラしてるね
次回作は、若メーム様×深見君キボン
若メームの話は気に入ってるんで、この機会に是非お願いします
>>388 感想・リクエストありがとうございます。
真田さん×和人
ですか。
いや〜、実を申せば、真田さんは大好きなんで
「待ってました!」
と言いたいのですが…… あれは3年ほど前ですか、夏コミだったかでそのような同人誌がありました。
初詣に言ったら婿殿のおみくじが凶で「子宝恵まれず」とか「下半身の病気に注意」とか書かれてて、それを見た真田さんが文字通り一肌脱ぐ。
と言った内容だったと記憶しております。
さておき、
>この続き
とありますので、書けと言われれば直ぐにでも書けるのですが。現在の仕事の締め切りが明日なので、それ以降に他の職人さんが来られないようでしたら、行かせていただきたいと思います。
>>389 感想・リクエストありがとうございます。
え〜。
>若メーム様×深見君
とありますが、入浴剤の副作用で若返る話でしょうか?
第二期の「メーム夜間飛行」で合ってますよね?
カラオケの話の前後だったとは思いますが。
一通り見てから、また、他の職人さんが来られなければ書かせていただきたいと思います。
その前提でお聞きしたいのは、
>>359〜のように、放映時の設定・世界観、時系列とかの素材を極力変えないのを希望されるのか、先の作品にあったように新解釈・オリジナル要素を加えるのが良いのかをいただければ助かります。
今の時点でいただいた2つは、他の職人さんが来られなければ順次行かせていただきたいと思います。
その他、感想・リクエスト等ございましたら、是非。
リカ×和人をリクエストします。
ワル和の営みでオナ→切ない思い
→和人の寝て間に1回だけ・・(初めて)
→妊娠しちゃって悩む
・・・・・・みたいな。
>>390 できれば原作の設定や世界観、雰囲気を活かした作品にして頂きたいです。
「真田でございます。
>>388様、この度は真田のお話をご所望された模様。」
「憚りながら、不肖、この真田が語らせて頂きます。」
「そして、
>>389様、メーム様のお話をご所望でございますが、メーム様は只今、ご多忙ゆえ、今しばらくはこの真田のお話にお付き合いくださますようお願い申し上げます。」
「さらには
>>391様、これまたディープでヘヴィなお話をご所望で…… 生憎、リカ様もご多忙ゆえ、真田の話、メーム様のお話の後にでも。」
「また、よろしければ、ハッピーエンドかどん底エンドをご所望なのかをかいていただけたら幸いでございます。」
「はてさて、今回、真田がお話させていただくお話。それはもう語るも涙、聞くも涙のお話でございますので、よろしければお手元にハンカチ等を用意されますよう。それでは・・・・・」
慌てて、庭に降り布団を取り込もうとするワルキューレ。
シーツを取り込み、布団に手をかけた時、昨夜の事がふっと頭を過った。
(和人様に…あんな恥ずかしい姿を見せてしまうなんて…… でも… 次もこうなってしまうかも…… きゃっ! どうしましょう)
(そうなっても良いように… いやいや、良くはないけど、和人様は望まれるなら…… ああっ! わたくしったら、何を… )
(でもでも、そうなってしまっても困らないように、今度からはバスタオルでも下に敷いておくとか…… いえ、バスタオルじゃ足りないかも…… 恥ずかしい…)
(そっそうだわ! バスタオルを2枚重ねにして二つ折りにすれば大丈夫かも… きゃあ〜! わたくしったら何を考えてるのかしら…… どうしましょう…!)
「大丈夫かも… きゃあ〜! わたくしったら何を考えてるのかしら…… どうしましょう…!」
布団に前で両手を頬に当てて恥ずかしげにクネクネと身を捩るワルキューレ。
「………」×3
「最後の方は口に出されてなっておられますね。」
「「何を考えてるのかしら」って… 何を考えてるか、大凡の察しはつきますが……」
「「どうしましょう」って、見てるこちらのセリフですわ!」
後姿を見つめる3人の素直な感想だった。
「それでは、真田さん。ワルキューレの教育、改めてお願いしますね。」
メームの言葉を聞き終わると胸の前で拳を握り締めて真田さんが決意したように答える。
「かしこまりました。この真田にお任せ下さいませ。」
「あら、先程とは打って変わって心強い返事ですね。」
イナルバが少々驚いた表情を見せた。
「ハイ。あの姫様を見て、この真田。ハッキリと解りました。姫様の幸せこそ、真田の幸せ。この計画を必ずや成就させましょう。ええ、しますとも!」
「………」
「………」
「それはまた、頼もしい… お願いしますね。」
メームが真田さんからワルキューレの方に視線を変えながら静かに言う
「これを置いておきます。」
「これは、地球の電話? それと王宮でも使われてる警備カメラでそざいますか?」
「そうです。メームとわたくしは、職務があるので、事の経緯を窺い知る事が出来ません。だから、これをワルキューレを教育する場所に、なるべく目立たないように設置するのです。電話は緊急の時の連絡をする為に使用します。」
とことんぬかりのないイナルバであった。
「あの… 恐れながら。こんなモノがございましたら、このカメラを婿殿の部屋に設置すれば良いのでは?」
(だから貴方は…)と言う表情をしてイナルバが説明する
「これは王宮で使用してるのと同じです。ワルキューレは一目見れば解るでしょう。婿殿も見てるハズです。見つかってしまう訳にはいきませんし…… 何より、そんな事をしてしまったら、このお話自体が無かった事になってしまいます!」
(が〜ん!)
「おみそれいたしました。さすがはイナルバ様。この真田など足元にも及びません。」
ははーっ!と控える真田さんであった。
「ワルキューレをくれぐれもよろしくお願いしますよ。」
イナルバが片膝をつき真田さんの手を取って懇願するようにカメラと携帯電話を手渡す。
「では、ワルキューレ。わたくし達は帰ります。」
姉の言葉で我に返ったワルキューレが挨拶をする。
そして、2人の皇女は時乃湯を後にした。
夕方になり和人、リカが帰宅し、夕食をとる。
ピンクのエプロン姿はサマになって来たワルキューレだが、料理の腕はそれ程上がってはいない。
しかし、そこは愛情がカバーし、皆が複雑な味の料理を複雑な表情をして食べる中、和人だけは
「うん。おいしいよ。ワルキューレ」
頬を染めて照れるワルキューレにリカが呆れた視線を送り、シロと真田さんは微笑ましく見るのだった。
夕食が終わり、後片付けを終えると真田さんはボイラー室の隣りの自室に戻った。
カメラをなるべく目立たない所に設置し、作業を開始する。
明日から開始する「姫様・夫婦生活充実計画」(仮)の準備だった。
ボイラーを焚く薪から目ぼしいのを集め、何やら削ったり、貼り付けたり…
そして、何やら書き込んだ原稿をガリ版で刷る。
「ふふふ…… 姫様。参りますわよ……」
・・・・・・
この様子を街の郊外の宇宙港に停泊してるメームのUFO。その中の執務室で2人の皇女が見ていた。
メームより、執務が溜まっているイナルバが執務用の机に座り、船の主・メームはソファに座っている。
前のテーブルには紅茶が湯気をたてていた。
「随分と張り切ってますわね。真田さん。」
「そおうですね。ある意味、わたくし達よりワルキューレの事を理解している真田さんですから、成果を期待しましょう。」
かくして夜は深けて、朝が来た。
「じゃあ、行ってくるよ。」
和人とリカが学校に向かおうとした。
「あっ、和人様!」
(何か忘れてませんか?)という表情をしたワルキューレが両手を胸の前で握る。
「…! あっ!」
思い出したようにワルキューレの方に引き返す和人。
2人がキスをする。
ワルキューレが和人の首に腕を巻きつけより身体を密着させる。
とても挨拶のキスとは思えない長いキスにリカが業を煮やしたように急かす。
「お兄ちゃん。行くよ」
腕が解かれ2人が離れ、和人がリカの方を向き歩き出した。
「行ってらっしゃいませ」
エプロン姿も美しいワルキューレが手を振り、真田さんは黙って頭を垂れる。
頭を上げた時、ワルキューレはまだ、和人の歩いて行った方を見ている。
(今日は「無かった」方でしょうか?)
例の家出騒ぎの後、2人の秘め事があるのを確認したのだが、それ以来、今までとは明らかに違ったワルキューレを感じられた。
美しいのは前々からであるが、以前にも増して美しさに磨きがかかっている。
一緒に入浴時には、ハッキリと解る変化が認められた。
神が創り出したとしか思えない身体の曲線はその丸みを増し、胸は張り、腰周りは細くなり、その分はお尻に回ったようであった。
真田さんも色白の美しい肌をしているが、その肌は真田さんが見ても惚れ惚れするような輝くような美しさを放ち、背中を流す時はお湯を弾くようだった。
さらに、2人の秘め事の有った次の朝は、真田さんが直視出来ない程輝きが増してる感じがあり、鈴が転がるような声も一段と弾んでるのが解った。
和人が学校のある平日はワルキューレが遠慮するのか、「無い」と感じる日が多かったが、週末や休日の朝は「有った」と感じる日が殆どで、自分のカンの正しさを理解した。
和人の姿が見えなくなったのを確認して家の中に戻ろうとするワルキューレを真田さんは決意したように引き止めた。
「姫様!」
「なあに。真田さん?」
少し驚いた表情で小首を傾げたワルキューレが無邪気に振り返った。
「姫様に改めてお話がございます。後ほど、わたくしの部屋までご足労いただきたいのですが」
ただならぬ覚悟を感じたワルキューレだったが、ニッコリ微笑んで
「はい。解りました」
と明るく返事をする。
(いよいよですわ。メーム様、イナルバ様。真田、参ります!!!)
>>392殿
「メームでございます。わたくしのお話をご希望された
>>390殿でいらっしゃいますか?」
「了承しました。真田さんのお話の後にでもお話いたしましょう。」
「ここで、しばしの中断のようでございます。「続きは2時頃にでも」と真田さんが申しておりました。」
「真田さんに代わりましてお願いいたします。」
いい仕事してますねぇ
「え〜。真田でございます。 所用によりしばしお時間を頂きましたが、再開させたいと存じます。」
「なお、今回でわたくしと婿殿の、その… 何と申しましょうか…… アレまでは到達しないと思われますので、その辺りはどうかご容赦の程」
「
>>397様。過分なお言葉、恐縮いたします。それでは・・・・・」
「あの、真田さん」
ワルキューレが部屋の外に来たようだ。
目を閉じていた真田さんが、カッっと目を開き、1つ呼吸をしてから
「どうぞ、お入りくださいまし」
主を迎え入れる。
ワルキューレに座布団と出し、自分は部屋の端に行く。
何時の間に準備したのか、ホワイトボードまで用意してあり、その側らにはいつもの唐草模様の風呂敷に何やら入っており、その時を待っていた。
「姫様」
「はい。何でしょう。真田さん?」
「姫様、姫様は星霊節が来たれば婿殿と夫婦になられます。
「ええ。」
ワルキューレは要領を得ないまま答える。
「夫婦と言うものは、単に愛し合うもの同士が所帯を構えるだけではございません。その辺りをご理解されてますでしょうか?」
「えっ!?」
・・・・・・
この様子をリアルタイムで見ていたメームとイナルバ。
「ここまでの首尾は上々ですね。」
イナルバが意外そうに、しかし満足そうに言う。
公務が溜まり、あまり寝ていないイナルバだったが
(コレは期待できますわ)
と眠気が飛んだようだった。
執務用の机で公務をしながらの視聴だったが、しばし、その手を止めて画面を見やった。
「あの年齢で侍女長になるのですから、基本的には優秀なはずですからね。真田さんは」
メームも満足そうである。
・・・・・・
「夫婦たるもの、相手の愛情に甘えているだけではいけません。互いに高め合ってこそ夫婦のあるべき姿なのです。」
「………」
「そこで姫様には婿殿とより充実したご夫婦になって頂く為、不肖、この真田が妻、ひいては良妻賢母の心構えを教授いたしたくご足労願った次第でございます。」
「真田さん。」
(ありがとう真田さん。いたらないわたくしを見かねて、和人様に相応しい妻になれるよう教えてくれるのね。)
意味を理解したワルキューレは、そこまで自分の事を想ってくれる真田さんに感激し、感謝した。
・・・・・・
モニターを見つめる2人も言葉こそ交わさなかったが
(素晴らしい!)
と称賛いや、絶賛した。
イナルバは公務を中断し、テーブルを挟んでメームの反対側に座った。
・・・・・・
「と言う訳ですので、わたくしは姫様の臣でございますが、この場では「真田せんせい」とお呼び下さいますよう。よろしいですか?」
「はいっ! 真田せんせい」
「・・・・・・・っ!!!」
(じ〜ん! ああっ産まれて来て良かったぁ〜)
ただ感動の真田さん。シッポの先まで痺れが走った。
「ひっ姫様。あの… もう一度……」
「えっ! あっはい! 真田せんせい」
(ああ〜〜〜っ! もうこのまま死んでも悔いはありません。姫様!)
感動して硬直してるワルキューレとモニター越しに見る2人の皇女。
「何か、雲行きが怪しくなって来たのでは?」
思わず不安を口にしたメームだが
「まあ、これ位は…」
イナルバの信頼は揺らいでいなかった。
歓喜から帰還した真田さんが、いそいそと準備していた風呂敷から何やら出す。
一枚のプリントをワルキューレの前に裏返しに置く。
昨夜、ガリ版で作ったテキストであった。
「?」
ワルキューレがプリントに手をかける
「あ〜。まだですよ。まだ開いてはいけませんよ。」
真田さんが注意し、風呂敷から別の教材(?)を出す。
これも昨日、薪を見繕って造ったのであったが、そこにクレヨンが絵具で彩色した紙を嵌め込む。
(わっ! 紙芝居?)
とはワルキューレの感想。
(紙芝居……ですか)
が2人の感想。ワルキューレとは微妙な温度差が見られた。
そんな事は解ろうハズもない真田さんは紙芝居をセットし終わると、ワルキューレに向って
「ハイ。姫様。テキストを開いて下さいよ〜」
ワルキューレがテキストをめくると、何やら漫画? らしいものが数点描かれていた。
(何かしら…?)
生徒の姉2人には残念ながら見えなかったが、やがてそれもすぐ解消した。
「え〜。ヴァルハラ星でお産まれ姫様。片や地球は日本産まれの婿殿。」
「産まれた世界も遠く離れた御2人が、より理解を深める為には、姫様が地球について理解していただくのが一番でございます。」
説明を聞いても、(なる程)と思った以外は今ひとつ理解は出来ない。
真田さんが紙芝居の表紙をめくる。
川に桃が浮いてる。
テキストの左上のイラストと同じである。
「え〜。婿殿がお産まれになった、地球・日本には言い伝えがございます。」
「川から流れてきた桃から玉のような男の子が………」
いまだ状況を理解出来ない生徒。
しかし、生徒の姉達はは違った。
ガシャンッ! ティーソーサーが割れそうな勢いでティーカップを叩きつけるように置いたイナルバ。
メームは額に手を当て、親指と残り4本の指で両側のコメカミ付近を押え、2度3度首を横に振った。
「続きまして、これまた、ご当地・日本でございます。」
「ああ〜。光る竹を割りました所、それは見目麗しい女の子がぁ……」
(昔話?、伝説かしら?)
ますます状況を把握出来ない生徒。
「そして海を隔てた異国の地にも……」
紙をめくるとコウノトリがくちばしに袋をぶら下げてる絵が…
得意満面で説明を続ける真田さん。
さらに紙をめくれば、何やらキャベツやレタスの畑に子供の絵が……
・・・・・・
最早、これまで! とメームがテーブルの側らに置いてあった携帯電話に手をかけた。
イナルバは眉をつりあげ、呼吸は大きく乱れていた。
・・・・・・
「…… ですからぁ、姫様には・・・・・」
いよいよ乗って来たと真田先生の説明にも力が入った時、ポケットの携帯電話の呼び出し音が鳴った。
(あっあら? 何でしょう? せっかく乗って来ましたのに)
「姫様、少々お待ちを…」
おもむろに通話ボタンを押す
「ハイ もしもし。こちらチェックメイト・キング・ツー 感度良好ナリ」
「・・・・・」
「あの… もしもし、こちらチェックメ……」
「何ですか、そのコードネームは?」
「あっいや、失礼いたしました。気分を盛り上げようと… 」
部屋の隅に移動し、通話口を手を覆いながらヒソヒソ声で喋る。
「ところで、何か御用でございますか? 只今、姫様の……」
言いかけた所でメームが遮る。
「真田さん。今すぐわたくしの母船まで来て下さい。」
えっ、あ、あの… ですからわたくしは只今、姫様の……」
「だから直ぐきて欲しいのです。よろしいですね!」
一方的に通話が切られてしまった。
授業は大切だが、2人には逆らえない。
「え〜。姫様。申し訳ございませんが、わたくし急用が出来てしまいまして。 本日は自習と言う事で」
「???」
真田さんは急いで外に向った。
(何だったのかしら。今の授業。地球の文化・風習に慣れる為の授業だったのかしら?)
プリントを見直す。しかし当然と言えば当然だが、教師の熱意は生徒には伝わっていないようであった。
・・・・・・
メームはコメカミを押えたままで、イナルバは腕を組み、目を閉じている。
が、その瞼、眉毛はピクピクと痙攣している。
しばらくして、ホーンから声がした。
「真田でござます」
メームは手を離し、イナルバは目を開く。
「お入りになって」
メームが言うと、音も無く扉が開いた。
頭を下げ、しずしずと入って来る真田さん。
「あ、あのう… お呼び出しに際しはせ参じましたが…」
「・・・・」
「・・・・」
「あ、あのう…・・・・」
「真田先生。」
「はっはい?」
「ワルキューレに対する教育。お役目ご苦労様です。」
労い?の言葉をかけられ、我が意を得たりとばかりと
「いえいえ、とんでもございません。わたくし真田にとっては・・・・」
「あの授業は?」
イナルバが重く口を開く
「あれは、わたくしが昨夜、苦労して創り上げた。いえいえ、姫様の事を思えば、あんなのは苦労とは……」
「真田さん。星霊節までもう時間がありません。」
「さようでございます」
「星霊節はワルキューレと婿殿との婚礼の儀式も執り行われます」
「さようでございます」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・?」
「その時間が無い時にあの授業内容はどうなのか? と聞いているのです」
カリキュラムには自信満々の真田さんだっただけに、やや訝しげに
「はい。あれは子宝。つまりは夫婦の営みの基礎と言う事で……」
ピンと跳ね上がったイナルバの眉毛を見て言葉が詰まる。
「性教育に「桃から子供」?、「竹から女の子」? はぁ? コウノトリにキャベツ畑ですって! 今時の子供ですら、そんな話は…・・・・」
いきり立つイナルバに手を挙げて制するメーム。
「あ、あの。畏れながら… 物には順序と言う物が…… 姫様は純真ゆえ、やや初心な所もございまして……」
「順序があるのは解りました。ですが、その順序を辿るにはいささか時間が不足してますし、ワルキューレも理解はしているでしょう。」
「はっ! さようでございます。この真田。認識が甘うございました。も〜し訳ござません!」
ひれ臥す真田さん。
「真田さん、順序も大切ですが、時間を考えて、もう少し先を教えてあげてくれないかしら?」
メームはこれ以上無い位、優しく、説き伏せるように話。
「はは〜。! かしこまりました。明日は姫様も驚かれるようなツッ込んだ内容でビシバシ行かせていただきます。」
イナルバは不安を隠そうとせず、しかし
「よろしく、お願いします。真田さん。ワルキューレはこう言う方面には少々疎い所がありますから、ビシバシやって下さい。」
「はは〜。!!! この真田にお任せ下さいませ。 大船に乗った気持ちを持たれますよう。」
真田さんが退室する。
「はぁ〜っ」×2
同時に溜息が出る二人。
「大丈夫かしら?」×2
「まあ、真田さんの様子からして期待しましょう。」
メームが自分の不安を打ち消すように力なく言い、イナルバは祈る気持ちで頷くのであった。
「にゃにゃにゃにゃにゃ〜〜〜っ!」
昨日より激しく準備をする真田さん。
深夜になって2階の2人の部屋から物音が漏れ出した。
そして、ワルキューレのやや湿った感じの甘えた声。
押し殺してるが、時折高い声がする………
(姫様。)
そしてまた夜が深け朝がやって来た。
「行ってらっしゃいませ。和人様。」
「行ってくるよ。」
今日は忘れずにキスをする2人。
しかし、昨日と違うのは和人の首に回した腕は昨日ほどギュっという感じではない。
そっと絡めているだけで、口を合わせている時間も昨日より短い。
とは言え、挨拶のキスと呼ぶには長過ぎるキスではあったが・・・・・・
顔を上げてワルキューレを見ると、やはり昨日とは全く違うように思えた。
朝日を浴びてその輝きがさらに眩しい。
(伝説の女神が今、存在するなら、恐らくこんな感じなんだろ)
と考えながら、真田さんが口を開いた。
「姫様。今日もご足労を願いたいのですが」
「はいっ! よろしくお願いします。真田せんせい」
(メーム様、イナルバ様、真田の手際をとくとご覧あられませ。真田参ります!!!)
「今日こそ大丈夫でしょうね」
あまり寝てないのか、イナルバの機嫌が今ひとつよろしくない。
職務をこなす為に執務用の机で決済済みの書類にサインをしながら呟く。
「まあ、昨日の今日ですから……」
どちらともとれるメームの返事にイヤな感じがしたが、今の自分はモニター越しに、若くして侍女長になったネコミミ族の女性を信頼するしかなかった。
・・・・・・
「真田せんせい。 ワルキューレです」
夕べ和人との情事があったせいか、その声は普段より一段と弾んでいる。
「どうぞ、お入りくださいませ。」
ガララ・・・
音をたてて美しい生徒が入って来た。
「今日もよろしくお願いします。真田せんせい。」
(じ〜ん! となりたかったのだが、昨日の生徒の姉達による厳しい叱咤があったので素直には感動出来なかった。
「え〜。コホン。姫様。今日からはビシビシ、少々厳しく参る所存でございますので、お覚悟を」
キリッとした表情で言う真田さんにワルキューレの背筋もピンと張るのであった。
「お願いします。真田せんせい!」
・・・・・・
昨日の事があったものの、まずまずの首尾にウンウンと頷くメーム。
(きっと大丈夫)と思い込みたい自分に言い聞かせてると解釈するイナルバだが、書類にサインをし続けた。
・・・・・・
「え〜。姫様。現在ヴァルハラ皇家の8大皇女の中で、御結婚されてる方はおられません。」
「したがって、この度、ご結婚される姫様は他の皇女殿下の方々に先駆けられる訳でございます。」
(そうだ。わたくしは、皆より早く結婚するんだわ。しっかりしなくちゃ!)
「そう言う事情もございまして、姫様と婿殿には並々ならぬ期待が寄せられるのです。」
先にネコ手がついた伸びるボールペンでパシパシとホワイトボートを叩きながら力説する真田先生。
「「期待」と申すのはお世継ぎの事でございます。」
「!!!」
(真田さん…… わたくしに… その…… 性教育をしようとしてるんじゃ?)
ようやく気付いた生徒。
(もしかして。 和人様との… その…… 気付かれたんじゃ・・・・・)
ハタから見ればバレ無い方が不思議な位だが、本人同士はバレていないと思っている。
まあ、そんなものであるが。
ここまでの授業内容は生徒の姉達から見ても申し分無い物だった。
「今日は、期待できそうね。」
イナルバがサインをしながらメームに同意を求めるように言った。
「そうですね。」
メームも一安心と思ったのか、ティーカップに口をつけた。
・・・・・・
「そこでっ! 姫様には子宝。つまりは赤ちゃんが産まれるプロセスを学んでいただきます」
説明を聞いたワルキューレ。
(えっ。プロセス? って事はまだ真田さんは知らないのかしら? 和人様とわたくしの事…… ポッ)
真田さんの説明ではなく、自分の想像に顔を赤らめたのだが、真田先生は
「ハイ、そこ! 恥ずかしがらない!!! これは恥ずかしい事ではありませんよ。 神聖な事なのです。」
教師は昨日同様、生徒の前にテキストを置き、紙芝居を準備した。
・・・・・・
「またですか…」
今まで大いに頷いてた生徒の姉達に不安の色が拡がり始める。
(大丈夫。絶対、大丈夫・・・・・なハズです)
・・・・・・
「ハイ、テキストを開いて!」
ゴクリを唾を飲んだワルキューレがプリントをめくると、何やら植物の絵が・・・・・
教師が紙芝居の表紙をめくると、やはり彩色されたプリントと同じ絵が・・・・
「あ〜。姫様。姫様は「おしべ」と「めしべ」はご存知でしょうか?」
教師が語りかけるように優しく生徒に尋ねる。
・・・・・・
バキィッ!!!
書類にサインしてたイナルバの羽ペンは途中で折れ、ペン先が勢い良く飛び、メームの足元まで転がった。
「・・・・・!」
イナルバがワナワナ震えながら、メームのテーブルまで来ると、携帯電話を取り、通話ボタンを押す。
・・・・・・
「え〜。この「おしべ」と「めしべ」にあたるのがぁ・・・・・」
けたたましく呼び出し音が鳴る。
「コホン。ちょっと失礼おば…」
通話ボタンを押し
「あ〜。こちらチェックメイト・キン…… 」
「真田先生今すぐ、来て下さい」
コードネームを言い終わる前にイナルバの声が遮った。
また、部屋の隅に移動し、通話口を手で遮りながらヒソヒソ喋る
「畏れながら、只今、姫様の……」
「いいから、すぐいらっしゃい。よろしいですね!」
声が穏やかだが只ならぬ雰囲気は電話越しでも解った。
「ひっ姫様。」
「?」
「誠に恐縮でございますが、またまた、急用が入りまして…… 今日も自習と言う事で」
「はぁ」
「あっそうそう。今日のは重要ですからね。ちゃんと復習を・・・・」
それだけ言うと全速力で宇宙港に向ったのであった。
(そうかぁ。やっぱり結婚するにあたっては、侍女長の真田さんはわたくしに性教育をするのね。 でも… わたくしは…… もう… )
・・・・・・
メームはソファにもたれかかるようにして、額に手を当てている。
イナルバはどすどすと音がしそうな位、強い足取りで歩き回る。
時折、腕を組んで、タップダンスをおどるように足で床を蹴っていた。
………
「真田でございます」
「お入りなさい」
イナルバが深呼吸してから答え、またもや、音も無く扉が開いた。
誠に残念ながら、今宵はここまででございます。
ああ〜っ ワタクシを待ち受ける運命やいかに。
わたくしはあまり期待しないのですが… 続きはまた夜にでも…… ああっ!
う〜ん、素敵な展開♪
>>391です。
リカは誰にも言えず思いっきり悩みそうなのと、
和人はハーレムキャラではないと思うので、
バッドエンドを・・・・・
う〜ん、面白い!
真田せんせいと呼ばせる所で吹き出してしまった。
>>406様
さようでござますかぁ?
わたくしにとっては、それはもう……
>>407様
かしこまりました。しかし、バッドエンドは場が暗くなってしまいますので、その後に何かパ〜っと明るいお話がひかえていれば良いのですが。
>>408様
またまた過分なお言葉。恐縮いたします。
「さて、職人めは、月曜で仕事が一段落した模様で、オフの今日、厳密に言えば昨日でございますか。」
「朝から、回胴遊技機なるものへフラフラと遊びに行ったようでございます。」
「「バカみたいに出たんで、ツレとラーメン屋をハシゴしておった。がはは!」などと申して、只今帰ってきた次第でございます。」
「と言う訳で、しばしお待ちいただきますよう、お願い申し上げます。」
頭を下げているので中の様子は窺い知れないが、扉が開いた瞬間、重い空気が外にまでたれこめてきたのがハッキリ解った。
(ああっ! 入りたくない。 しかし、入らないワケには…… わたくしは貝になりとうございます!!!)
諦めたようにしずしずと中に入る。
「あ、あの… 真田、お召しにより・・・・」
「真田先生」
「はひぃっ!」
口上も遮り、迫力あるイナルバの声に縮こまる真田さん。
「・・・・」
「・・・・」
「あ、あのう…・・・・」
昨日と同じ展開であるが、昨日よりははるかに空気が重い。
エアコンの効き過ぎではなかろうか? と思える程、暑く感じられ、ノドもカラカラに渇いた。
「真田さん。」
「はひぃ!」
「授業の様子、拝見させていただきました。」
「さ、さようでございますか」
頭を下げているので、額の汗が床にポタっと落ちる。
「真田さん。わたくし達は貴方がワルキューレも事を真剣に想ってると信じてお願いしたのです。」
「そうれはもう。 わたくしは……」
「しかしっ! 今日の内容は何ですか?」
相手の言葉を遮るなんて無礼は普段は絶対にしない皇女も、怒りのあまり律しきれない様子だった。
「い、いや、あの… 昨日の反省から踏み込んだ内容で…」
「………」×2
「………」(ビクビク)
「真田さん。昔の子供ではあるまいし、「おしべ」と「めしべ」はないでしょう」
一転して穏やかな口調で言うのだが、それがかえって危機感を駆り立てる。
シッポが「危険注意報」を発令するとうに緊張し、全身の筋肉が硬直する。
それでも、声を振り絞るように弁明の言葉を発した。
「おっ畏れながら… わたくしが初等部の折りには、あの説明を受けたので…」
「それはわたくし達もそうでした。ワルキューレの頃、さらに下のライネの頃は違うかもしれませんね。しかし、そんな事は問題ではありません」
初めて、メームが口を開いた。
思ったよりおだやかなので、ほんの少しだけ安心した。
とは言え、危機的状況には違いない。
「ともあれ、真田さん。顔をお上げなさいな。・・・・そこで、真田さん何か忘れてませんか?」
頭を上げた真田さん。
(はて…?)
頭の中を読み取ったようにイナルバが再び声を荒げて
「貴方、忘れた訳ではございませんでしょう。ワルキューレはもう既に…… その… 婿殿と…… とっとにかく済ませているのですよ!」
「今更、コウノトリやら「おしべ」やら「めしべ」の説明などせずとも知ってるはずなのですよ!」
(が〜〜ん!!!)
「そっその通りでございました。この真田、一生の不覚!」
「そもそも、その… とっとにかく、…ですから…… 行為の… 何と言いましょうか …その…… バリエーションと言いましょうか・・・・」
「とにかく、充実させる為に真田さんのお任せしたのです」
「はあ、ですので……」
バンっ! とテーブルを叩く音が執務室に響く。
「順序があるのは、解っております。ですが、同時に時間もないのです。それを貴方ったら・・・・」
イナルバの右手が怪しく光る。
「イっイナルバ様。そっそれだけはぁ〜」
「… おしおき時空……!」
「ああ〜〜れぇぇ〜〜〜!」
白い霧の中に佇む真田さん。
「ここは。 おしおき時空!」
(以前にも来た事があります。自分も失わなければ大丈夫! そうですわたくしがしっかりすれば、良いのです)
(んで、最初は小さい姫様で、次が大きい姫様、そして最後は黒い姫様が…)
気配がしてワるきゅーレが登場する。
「真田さ〜ん」
(ほっほら。小さい姫様が出ましたわ。しっしかし…小さい姫様。暫く見てなかったせいか……)
「かわいい〜! 小さい姫様ぁ」
「真田さん。あたし、真田さんの紙芝居……キライ!」
「が〜ん!!!」
「紙芝居なのにお菓子もないから、ワるちゃんつまんない〜!」
「ひっ姫様ぁ。 ちっちゃい姫様ぁ…」
気配を背中に感じて振り返ろうとした時、真田さんにフェイントをかけたのか出て来たのはワルキューレ・ゴーストだった。
「ひっ! く、黒い姫様?」
ゴーストは虚を突かれた真田さんの後ろエリをつかみ持ち上げる。
まるでネコが首を捕まれて持ち上げられているような態勢になった。
「フッ… 性教育に紙芝居? 「おしべ」と「めしべ」ですって? ホントに使えないネコ。フフフ」
「あわわわ。そんにゃぁ〜!!!」
追い討ちをかける様にワルキューレが摘み上げられている真田さんの前にしゃがんだ姿勢で現れる。
「ひっ姫様ぁ!」
助けを求めるように呼びかける。
が、以前のワルキューレでは無く、ゴーストのようにうっすら笑みをたたえている。
そして、ワルキューレが発した言葉が地獄の底に叩き落したのだった。
「真田さん。知ってる? 私、もう殿方を知ってるの。」
しゃがんだまま、服の下半身、股間も部分を開き秘部を見せつけるように、指をあて、ぱっくりと開いた。
「姫様!」
本物のワルキューレの女の部分を見た事は無いのだが、目の前のワルキューレのその部分はその容姿に似合わぬ醜悪な色、形をしていた。
赤黒く色づいた陰唇がビラビラとはみ出して、ツツーっと糸を引いて淫水が床に落ちる。
金色の茂みは肛門までびっしりと生えている。
(姫様のアソコが、あんな色? 形? いやぁぁ〜!)
そして、開いた秘部を晒しながら、清楚で慎ましやかなワルキューレが、恐らく一生口にする事は無いであろう言葉を冷酷に浴びせ掛けた。
「ふふっ。真田さん。私、毎日和人様のおチ○ポをここにねじ込まれてるの。ヌプヌプ、ジュポジュポっていやらしい音を立てて。」
「!!!」
「和人様のおチ○ポをぺろぺろ舐めて、おしゃぶりして… 上手に出来たらココにもご褒美をもらうの・・・・」
四つんばいになり、ヒクついてる肛門を自らの指で開く。
(っっっっ!!!)
ワルキューレの有り得ない姿、言葉に真田さんの意識がケシ飛んだ。
((おしおき時空))から生還した真田さん。
だが、いつもとは違う様子に2人の皇女も驚きを隠せなかった。
普通なら、どんな猛者でも涙を流して許しを乞う。以前の真田さんもそうであった。
しかし、目の前の真田さんは、目から輝きが消え、瞳孔が開き気味、視界には何も見えてない様子である。
だらしなく開いた口からはよだれが漏れている。
「ふふふっ… ハハハハッ……」
「ひめ… 姫様が… ふふふっ おチ○ポ… ヌプヌプ…… ジュポジュポ…… あはっ! アハハ!!!」
・・・
「何か様子が変じゃありませんこと? イナルバ、やり過ぎでは?」
「やり過ぎも何も、((おしおき時空))は本人が今現在、潜在的に一番恐れている事を具現化させるモノ。こちらが加減出来るモノじゃないわ。」
心配そうに見つめる2人の目の前で真田さんが気が触れたように絶叫する。
「あはは …姫様が ……姫様がぁ〜・・・・おチ○ポヌプヌプぅ… ああああ〜っ 姫様ぁ〜・・・かはぁっ!」
叫びながら、失禁し、痙攣しながらそのまま白目を剥き、崩れ落ちた。
精神が崩壊する寸前で脳が自らの意識を閉じたようだ。
「さっ真田さん。」
「しっかりなさい……」
メームが執務机の電話のボタンを押す。
「私です。執務室にお医者様を・・・」
時間を置かず、船に常駐してる医師が白衣をたなびかせながら駆けつける。
「メーム様」
扉の前で来た事を告げる医師を
「よろしいから、早く!」
イナルバが急かせる。
ドアが開き、医師が入室して、真田さんを診る。
「がはぁ〜。がはぁ〜!」
獣の様な荒々しい呼吸が彼女がまだ生きている事を証明はしている。
見開いていた目は今は閉じられているが、苦しげな表情のままであった。
医師が腕に何かを注射し、2人に向って診断結果を語る。
「生命には別状はございません。 ただ、瞳孔にショック状態が見られますので、鎮静剤を投与しました。しばらく安静にすれば大丈夫でございましょう。」
「…… そうですか。ご苦労様でした。」
安堵の様子を隠そうとせずメームが言い、医師は頭を下げて退出した。
代わって、侍女が数人入室し、真田さんを着替えさせる。
ソファの上でエプロンが外され、服を脱がせる。
白のブラジャーを外すと白く大きい形良い胸が露になる。
自分達より一回り、いや、二回りは大きいだろう胸に、こんな状況なのに少し嫉妬を覚えた。
ブラジャーと同じ白いショーツが脱がされ、ぬるま湯で湿らせた柔らかそうなタオルで下半身を拭き、手早く替わりのショーツを穿かせ、毛布をかけた。
「ご苦労様です。」
メームが言うと侍女達は頭を下げ退出した。
「・・・・・」
「真田さん。」
イナルバが、真田さんの手を握ったまま、心配そうに声をかけた。
「さっき、「((おしおき時空))は本人の潜在的に恐れている物を具現化する」と言いましたね。」
「ええ。」
「つまり、真田さんにとっては、ワルキューレが下品になってしまう。真田さんの描いてるイメージが崩れるのを恐れているって事なのかしら?」
「真田さんが見たワルキューレがどんな姿だったのかは解らないけど、恐らくそうでしょうね。」
………
「それにしても、その… 「おチ○ポ」と言うのは…… やはり… アレの事よね?」
「まぁっ! … 「おチ○ポ」!」
イナルバが手の平で口元を隠し、うろたえた。
「ええまぁ。 あくまで本人の記憶にある事柄・言葉しか出てこない訳だから、真田さんの頭には … その…… 殿方の… アレが「おチ○ポ」と呼称されてる事を知ってると言う事ですわね。」
「……」
「……」
「どこで覚えたのかしら?」
「・・・・・」×2
「ところで…… イナルバ、貴方まで何故知ってるのですか?」
「ええっ! いっいや、わたくしは…… ホラ。あっそうだ! そうそう。 ファムの蔵書で見たと……!」
「医学書で「おチ○ポ」ですか・・・・」
言い終わった瞬間、メームの口はニヤっとしたのは気のせいだろうか?
「メームこそ、何故知ってるの?」
切り返した。
「うっ! コホン! わたくしはヴァルハラ王家、8大皇女の長ですから……」
「理由になってませんわよ。 !!! 貴方、まさかあの時に?」
「さあ、どうかしら?」
呼吸も整い、穏やかな表情に戻った真田さんの姿に安心したのか、他の者が聞いたら卒倒しような会話をする姉妹だった。
414 :
真田でございます:2006/02/01(水) 04:47:04 ID:vx/xEg78
え〜。今回はここまででございます。
しかし、まあ、この真田に何の恨みがございますのか、えらい扱かわれようでございます。
しかも、(おしおき時空)の出来事とは言え、姫様まで…
ともあれ、次回からは展開が進むようでございます。
場合によっては午後、あるいは夜、遅くても今回と同じ頃に、また真田の話にお付き合いしてもらいたく存じます。
それでは、また。
なお、一度、上げさせていただきます。
415 :
真田でございます:2006/02/02(木) 02:38:08 ID:d+5gzr3d
職人より伝言がございますれば、まずはそちらを
・・・・・・・・・・・・・・・
便宜上、各話にタイトルをいなさらながら、付けました。
>>359〜は
「侍女長は見た!!! 〜わたくし和人様の花嫁になります〜」
>>385〜
>>386は、
>>359〜のエピローグとして書かせていただきましたが、現在のお話のプロローグでもあるとさせていただきます。
>>388さんリクエスト作品
>>394〜は現在進行中のお話ですが、
「真田におまかせ! 〜全ては姫様のために〜」
とさせていただきます。なお、
>>389さんのリクエスト作品は、
「失われた時間、取り戻した心 〜愛しいかけら〜」
すでに、話は出来上がりましたので、その内。
>>391さんからリクエストいただきました作品は、
「リカ、心の絆血の絆 〜そして………〜」
で、お話はほぼ出来上がりました。最初に決めたラストを変えるかどうか悩んでます。
こちらも、その内に。
・・・・・・・・・・・・・・・・
との事でございます。
この真田が知る所では、「侍女長は見た!!! 〜わたくし和人様の花嫁になります〜」の前半は、やはりと言うべきか。
某人気ドラマシリーズのタイトルをパクッ… いや、インスパイヤしたそうです。
後半は、OVA、〜星霊節の花嫁〜の第5話。姫様の最後のセリフを、これまた、インスパイヤしたそうでございます。
>>384のラスト。姫様のセリフの前半は、OVAのセリフをそのまま使い、後半は「もう迷わないという決意の表れを表した」と申しておりました。
しかも、この職人。
「「侍女長は見た!!! 〜姉もね〜」にする予定だった」
と言っておりました。
しかし、それでは、あまりにもイナルバ様に対して失礼だと言う事でボツにされたようでございます。
まあ、当然でしょう。
そして、只今、披露させております。この真田のお話のタイトルは、な〜んのヒネリもございません。
しかし「真田におまかせ!」は決めてたみたいですが、後半は「〜そして伝説へ〜」とか「〜forever with you〜」にしようか悩んだそうでございます。
まさに神も恐れぬ暴挙。わたくしには信じられない事でございます。
メーム様のタイトルは主題歌からの、引用だそうで…
ですが、リカ様のタイトル同様、まだ話を書き出して無いから変わるかも? とか申しておりますが、どうなりますやら。
なお、諸事情により今回はお休みを頂きたく、お話の続きは今日の午後、ないし夜にでも。
も〜し訳ございません!
行かせていただきますが、何分にも平日の昼間。
お読みになられる方がどれほどおられるのか、いささか心配ではありますが。
それでは、参ります。
外はすっかり暗くなり、時野家では夕食の準備が出来ていた。
普段なら、文字通り花嫁修業中のワルキューレに真田さんがついて準備するのだが、今日は真田さんがいない。
また、当のワルキューレも考え事をしてるのか、時折ボ〜っとするので、その都度リカがフォローし、たのだった。
「全く、真田さんったら、どこに行ったのよ。もう。 あっ……そろそろお兄ちゃんを呼んで来て」
「おうよ」
シロが番台に向った。
侍女の1人に番台を任せ、和人がリビングに戻って来た。
「あれっ? 真田さんは?」
「また戻って来てないのよ。ワルQ。あんた知らないの」
ボ〜っとしてたワルキューレがハッと顔を上げ
「えっ? 何ですか? リカ様?」
(ダメだこりゃ!)
とばかりにタメ息をついた。
………
時が経ち、リカがしびれを切らしたように
「ねえ、もう食べない? 真田さん。前にもお泊りした事あったし」
「う〜ん。どうしよう?」
冴えなく言う和人にワルキューレが
「そうですね。先にいただきましょう。」
いつもより、一人少ない時野家の夕餉がはじまった。
食事を終えて、リカとワルキューレが洗物を済ませても真田さんは帰って来なかった。
シロは横になりながらTVを見、リカは自室に戻って勉強を始め、和人は番台に…
ワルキューレはリビングに残ったがTVに視線は向けない。
ずっと考え事をしていた。
(真田さんに、わたしに性教育… 真田さんの考えかしら?…… それともお姉様達の… でもわたしは、もう、和人様と…… )
時々漏らす溜息にシロが振り返る事があったが、
(ふふんっ。 まあ、いろいろあるよな。)
と理解し、声はかけなかった。
やがて時乃湯も閉める時間が来た。
「おう、そろそろ閉める時間だな。」
独り言のように言ったシロの言葉に顔をあげ、
(あっ!)
と掃除の為に銭湯に向った。
既に和人がデッキブラシでゴシゴシこすっている所にワルキューレが来た。
「あっあの… 和人様。ごめんなさい。遅くなってしまって…」
ブラシをこする先を見ながら
「んっ、別に、良いよ。 それより、ワルキューレ。どこか体の具合でもっ、悪いのっ。だったらっ、先に休んでて」
取れにくい汚れがあるのか、時折力を込めながらワルキューレを心配するように言う。
「いっいえ、大丈夫です。お手伝いさせて下さい。」
掃除も終わり、2人は和人の部屋に戻って来た。
しかし、沈黙が2人を包む。
「何かあったの?」
「いえ…」
「ボクにも言えない事かな? ワルキューレが辛そうにしてるのって、見てて悲しくなるんだ」
和人の言葉に感激し、思わず涙が白い頬を伝う。
「和人様。 ……わたし、昨日から真田さんに「花嫁の心得」と言う講義を受けてます。」
(えっ!)
やや驚きの表情を浮かべる和人に言葉を続ける。
「それで… 今日は…… その… 性教育の……」
ここまで言った所で顔を真っ赤に染めて下を向いてしまった。
「・・・・・」
「でも、わたしは… もう、和人様と… その……」
「………」
「真田さんが、気を利かせてくれたのか、お姉様達が真田さんに頼んだのかは解りませんけど」
「どちらにせよ、わたしをまだ純潔だと思ってる方達を裏切ったような気がして……」
両手を顔に当ててすすり泣いてしまった。
ワルキューレの肩を抱いて、ベッドに座らせ、自分もその横に座った。
「わたしは… わたしは…… 自らの快楽に溺れて… 毎晩のように和人様に甘えて… 和人様を求めて… おねだりして……」
「わたしは、ワルキューレは…… はしたない女なのでしょうか?・・・・ううっ」
言葉に詰り、和人の胸に顔を埋め、両手で和人の服を掴み本格的に泣き出してしまった。
和人は美しい髪をやさしくなで、そして強くワルキューレの頭を抱きしめる。
「そんなに自分で責めないで。 ワルキューレが悪いならボクも悪いよ。 ボクもワルキューレが… 」
ワルキューレも顔を上に向かせて口を合わせる。
(和人様ぁ…)
「ボクはヴァルハラ皇家のしきたりはよく解らない。 でもボクは、皇女としてで無く、1人の女性としてワルキューレを愛してる。」
「和人様」
「だから、もし、ワルキューレが罰せられるなら、ボクも一緒に… 僕達、夫婦になるんだから…」
再び、口を合わせ、和人がワルキューレの身体を静かにベッドに押し倒した。
おずおずと胸に手を這わせ、ゆっくりと揉み、和人の刺激により固くなり始めた乳首を人差し指と中指で挟む。
「和人様ぁ…」
「ワルキューレ。いいね?」
目を閉じると、涙が溢れ新たな一筋がシーツにこぼれた。
黙って頷くワルキューレ
和人はワルキューレの服に手をかけ、脱がせ始める。
やがて一糸まとわぬ美しい裸体が和人の目を釘付けにする。
「あっ あの…… 灯りを… その・・・・」
2人が関係をもって、しばらくになるが、満月の月明かりの中で愛に耽る事はあったが、電気のついた状態で行った事はない。
輝くように白い肌、寝ても形が崩れない大きな胸。その頂きに達する手前には全体の大きさにしてはやや小さめの周り肌色と紛うほどの薄い桜色の乳輪があり、その頂きには同じく桜色の乳首が胸全体にあわせて、ふるふると震えていた。
緩やかな曲線を描き腰のくびれを際立たせ、その反動のように充実したヒップライン。
ムチムチとした太腿からすらり伸びた長い脚。
両足の付根には髪の毛と同じ色の恥毛は控え目に生え揃っている。
美しき身体を何度も味わってる和人だったが、改めて照明にもとに晒された完璧な美しさに和人の喉がゴクリと鳴った。
今、この瞬間のワルキューレに勝てる美貌の持ち主は、恐らく宇宙中を探してもそうは見つからないだろう。
「ああっ!… はっ恥ずかしい… です」
両手で顔を隠しながら、わずかに身体をよじった。
最愛の和人が惚れ惚れするような、神が創り上げた最高傑作の肉体を持つワルキューレだったが、彼女は自分の身体にコンプレックスを持っていた。
いつだったか
「わたしの胸、おかしくありませんか?」
消え入るような声で訊ねた事があった。
「わたしの胸、なんだか、はしたない位大きくて…… 」
リカや秋菜だけじゃ無く、世の女性が聞いたら
「ふざけるなっ!!!」
と怒りをぶつけられる事は間違い無い贅沢な悩みではあったが、彼女は真剣に悩んでたようであった。
しかし、
「ううん。そんな事無いよ。とっても素敵だよ。ワルキューレの胸。」
と和人に囁かれ、不安が解消した事があった。
「ダメ。 ワルキューレの全てが見たい。 全てが欲しいよ…」
いつになく情熱的な和人に喜びに打ち震えるワルキューレだったが、羞恥心までは抑え切れない。
和人が胸を揉み、乳輪、乳首へと舌を這わせる。
口に含み、舌で弾く。
悩ましい、声も漏らし身悶えるワルキューレ。
顔を下げて行き、和人の手がムッチリとした太腿に触れた。
力を入れ拡げようとした時、上から切なげな声がした。
「あの… やっぱり明かりを……」
返事の代わりに太腿に当てた手を外側に少しだけ力を入れた。
ゆっくりと開かれて、ワルキューレの羞恥の中心が和人の目に晒された。
「ああっ! ぜ、全部見えちゃいますぅ…」
再び、両手で顔を覆って羞恥に耐えるワルキューレ。
和人は美しい女神に対する好奇心を満たす為、顔を近づけた。
果実のような形をした秘部の中心に縦に割れ目が見え、そこからピンク色の唇がちょっぴりはみ出していた。
ぷっくらと肉づきの良い陰唇に指をあて、中を覗う。
和人の気配を感じて、ワルキューレが思い出したように慌てて和人の顔を抑え待ったをかけた。
「まっ待って下さい和人様。今日は、まだお風呂に入ってないから… その…… あうっ!」
言い終わる前に和人がピッタリと顔を押し付けた。
温い湿気と共に、ふんわりと柔らかい匂いがする。一日中歩き回った汗と、シャワートイレの無い時野家でした為、洗い流せなかったおしっこの乾いた匂いだろうか?
少し、顔を離すと女神の様なワルキューレでもやはり歩き回り擦れたせいなのか、白い恥垢が見られ、そこから発せられるやや強い匂いが感じられる。
それらが合わさった匂いは絶妙にいやらしい匂いとなって、和人の興奮を一気に高めた。
再び、顔を寄せ、舌で拡げた粘膜を舐める。
入浴前だけにいつもより、少ししょっぱい味がし、和人を受け入れる重なり合った襞がゆっくりと開き、中からさらに艶かしい匂いが拡がった。
「いや…! おやめ下さい和人様。 ダメです! だっダ… あうっ!」
和人の顔を何とか引き離そうと手に力を入れるが、離れない。
さらに舐められ、その手はシーツを掴み放射線状のシワを刻んだ。
「ダメですぅ。 汚いですから… お願いします。 ゆるして…… ください・・・」
懇願するワルキューレに和人の言葉が追い討ちをかける。
「汚くなんかないよ… それにいやらしい匂いがして…… おいしいよ」
気絶しそうな位に羞恥心が増す。
「いっいやっ! 言わないでください!」
シーツから手を離し、顔を手で覆い首を左右に振る。
しかし、中からはさらに新しい蜜が溢れ出し、匂いも濃くなり和人の顔を挟む太腿の力が強まった。
入浴前だけに匂いなどが気になるのだろうか、その興奮による悶え方は今までとは比べ物にならない位激しかった。
「ああっッ! 和人様ぁっ! ああっっ!!!」
恥丘が充血し、ぽってりと盛り上がり、鞘の中に収まっていたクリトリスが顔を出す。
鞘の上から刺激し、顔を出した突起を舌で刺激すると、体全体がピクンっと震えた。
「うくっ! ああっ〜〜。 きっ気持ち良いぃ〜!」
とうとう羞恥が快感の前に陥落し、気高い皇女は女に、いや牝に変貌してしまった。
「全く、何だってのよ! こんな時間からっ!!! 嫁入り前の受験生には耳の毒よ!」
情事が行われている下の階にあるリカに部屋には時折、喘ぎ声が漏れ聞こえてくる。
(「気持ち良い」って言うけど… そんなに気持ち良いのかな? それとも相手がお兄ちゃんだから?)
(えっ! 何考えてるのよ! 何でお兄ちゃんなのよぅ! いっ今のウソウソ。ありえないっ!!!)
互いにこなれてきたのか、ワルキューレの嬌声が大きく、眠っているリカを起こす事も度々あった。
悶々とし、ワルキューレの声につられるようにヘンな気分になる時があった。
そんな時、手が偶然、2階で喘いでいる、近いうちに兄の妻となるであろう女性には遠く及ばない、まだツボミのような胸に触れた時、身体中に電気が走った。
(なっ何? 今の???)
確認するように胸に触れると、やはりビクッと身体が反応した。
股間がむずむずする感じがして、恐る恐る手をショーツの中に入れると、そこはヌルヌルに濡れていた。
まだ、成長途上のワレメを指でなぞり、上部の突起に触れた時、さらに強い刺激がリカを襲った。
(何??? さっきより… あっ!)
まだ快感と自覚出来ない15歳の脳裏に一抹の不安がよぎる。
しかし、胸と股間をまさぐる手を止める事が出来なかった。
(ああっ! 何か ヘン! 気持ち…良い…… んだよね? ワルQもこんな感じなのかな?)
(ううんっ! ダメ止まらないよぉ。 いやっ! 助けて。お兄ちゃん!!!)
学校でクラスメートがその手の話をしてても、その輪に入らない。
いや、まだ興味を持たなかった。
保健体育の授業である程度の事は知っていたものの、それがどんな物かは想像もしなかった。
頭で理解する前に身体が覚えてしまった神秘。リカが生まれて初めてのオナニーだった。
それ以来、リカは時々、その忘れられない快感も求めオナニーをした。
兄と恋人の情事に合わせて、時には静まり返った部屋で。
どうしても出てしまう声を隠す為か、自らの羞恥心を隠す為か、はたまたその両方なのか、布団を頭から被って指を動かした。
しかし、兄とやがて義姉になる女の嬌声、愛を育んでいる証のベッドの軋む音は深夜に聞こえるのが常で、今日はまだいつもよりはるかに早い時間である。
(何なのよ。ホントに)
身体が火照ってくるのがわかる。
そうなると、もう自分では止められない事はリカ自身が、最近自覚した。
シャープペンシルをノートの上に放り出すと、胸に手を這わせ、股間にも・・・・
(「うっうくっ!!!」)
愛の行為の真っ最中である2階の兄達には聞こえるはずもないのだが、声を押し殺して自分を慰める。
呼吸が荒くなり、手を指を動かすピッチが上がる。
(お兄ちゃん、お兄ちゃん……おにいちゃぁん!)
・・・・
(はぁっはぁっ… っはぁっ!)
若鮎のような身体がビクッと弾け、ぐったりとなる。
少し呼吸が落ち着き始めた頃、ティッシュを取り出し指と濡れた股間を拭う。
湿ったティッシュを丸めてクズ籠に投げ込む。
だが、指に付いた匂いは消えない。
リカはこの匂いを嗅いだ時、これ以上無い空しさをおぼえるのだった。
落ち着きを取り戻したリカは
(だからぁっ! 何でお兄ちゃんなのよ!)
さっき、自分の脳裏に出てきた想像をふりはらった。
2階からは、いつもに無く激しく愛を交わす行為が続いている。
(私、何やってるんだろ…)
「お風呂入ろ」
着替えを持って、浴場に向った。
・・・・・
風呂から上がり、部屋に戻ると、2階も静かになっていた。
(終わったのかな?)
思っていたら、また声がした。
(「和人様ぁ。 もっと… もっと下さい。 全てを忘れるように…… もっと… 」)
(うげげっ! まだやるのぉ。 ワるQじゃあるまいし。 あのワルQが… あんなに……)
物静かで清楚で控え目なワルキューレが、あんなに乱れるなんて・・・・・
(そんなに気持ち良いのかな?)
今回はここまででございます。
えっ? わたくし真田のエロが無い?
そっそれは、今しばらくお待ち下さいませ。
それではまた、後ほど。
たまらないぜぇ!
GJ!ちんこおっきなった。
GJ!
え〜。
皆様にお聞きしたい事がございまして。
わたくしが語るペースはいかがでございましょうか?
速いと感じられる事はございませんでしょうか?
もし、そうでございましたら、ペースを落とさせていただきますが…
あと連絡でございます。
>>389様
この真田のお話の後はご所望のメーム様のお話「失われた時間、取り戻した心 〜愛しいかけら〜」を予定してございましたが、
>>391様、ご所望のリカ様のお話「リカ、心の絆血の絆 〜そして………〜」を先にしてよろしゅうございますでしょうか?
リカ様のお話は「この辺りで」「トコトン」と二種類のラストを用意した様子でございますが、
どちらにせよ、とんでもなくヘヴィなお話になってしまった為、フォローの為、純愛話のメーム様のお話をその後に持って来たいと考えておるようですので。
お話の方は2つ共出来上がったようですので、必ずメーム様よりご紹介いただけるとの事ですので、何卒。
時間のご都合がつきましたら、ご連絡のほどを職人に代りまして真田からお願い申し上げます。
ペースの話をさせていただきましたので、今回はお休みさせていただきます。
それでは皆様。おやすみなさいませ。
天が呼ぶ、地が呼ぶ、ネコが呼ぶ〜!
ヴァルハラ皇家とは一切関係無い猫耳頭巾。只今、参上!
>>423 姫様… もとい、ワルキューレ皇女殿下の愛の営みとリカ様の切ない指戯を
「たまらないぜぇ!」
とは… 感想が時代劇か、60年代の東宝や日活映画の悪役みたいな感想を持つとは・・・・
ネコミミパ〜ンチ!
>>424 う〜ん。これまた
「GJ!ちんこおっきなった。」
とは… まあ、普段からエッチな姿の姫様… もといワルキューレ皇女殿下も責任はあるかもしれませんが…
ネコミミキ〜ック!
>>425 おのれ〜〜!
「GJ!」
なんて…… ネコミミ・・・・ あっあら?
「GJ!」でございましたか。
ありがとうございます・・・・・じゃ無かった。
真田さんも「次も頑張らせていただきます」とか喜んでるでしょう。
御三方、感想ありがとうございます。
…って、いっいや、だから私は真田さんではありません。
ホントに違いますからね!
ではさらば!
ワるきゅーレという作品に対する愛が感じられてすごく良いです。
自分のペースで無理せず頑張ってください。
出ずっぱりの真田さんにつカツオブシ
>>428様
ご配慮ありがとうございます。
現在、わたくし真田に語らせている職人。
実はパソコンで人様に読んでいただく作品を創ったのが
>>359が初めてでございまして、まだ、読む方々の流れやペースが掴めておりません故。
お伺いを立てた次第でございます。
とりあえず、今回のお話をつづけさせていただきます。
それと、カツオブシ。姫様、婿殿やリカ様、シロ殿と共に、本日の朝食にでも有難く頂戴させていただきます。
速過ぎるとお考えの方はその旨ご意見いただきとうございます。
それでは。
「和人様ぁ。 もっと… もっと下さい。 全てを忘れるように…… もっと… 」
和人に対する想いと、姉達・真田さんに対する思い。
その葛藤を心の中から消し去ろうとするように、ワルキューレが和人の名を呼び、求め続ける。
皇女である自分と、1人の女のしての自分。
今まで、周囲の期待に応えるべく、極力、自分を出さず良い子でいようとして来た。
だが、ついに限界に達し、逃避した先の地球での出会い。
愛しいかけらが、かけらでなくなり今や2人の愛は完全なものとなったのだが、不安だけは募る。
(何も考えたくない。和人様だけを見つめていたい。和人様の事だけを考えていたい・・・ せめて、今だけは…)
感情が理性の垣根を通り越したワルキューレの精一杯のワガママだった。
「ワルキューレ……」
愛しい女性の苦悩を共にしたいと真剣に想う、心やさしい地球の若者は既に3度、熱い想いをワルキューレの体内に注ぎ込んだ。
(1つになりたい。もっと1つに)
互いが口にこそ出さないものの、同じ考えであり、言葉の替わりに和人は、自分の精液とワルキューレの愛液が混ざった汁が溢れ出る彼女の中心に向けて陰茎を進ませた。
「うんっっ! かっかずとぉ〜!…」
上になってる和人に腕を絡みつかせ、貪るように口を求める。
和人も想いの強さを見せる様に腰の注送を強めた。
ぐずっ! ぐじゅっ!
突き入れるごとに結合部からは白濁した汁が溢れ、勢い良く飛び出し、その音が湿った音をたてる。
「あああっ! … ああっ!!!」
苦しさのあまり口を離したワルキューレからはもう言葉らしい言葉は出なかった。
ワルキューレの身体を反転させ、後ろから挿入し、叩きつける腰に大きな桃のようなお尻が波打つ。
ぶるん!ぶるん! と音を立てそうに揺れる乳房を、脇から手を廻して掴むと荒々しく揉みあげた。
「んあっ うんんっっ!」
2人は声にならない声を、結合が深まる度に漏らす。
………
(和人様、今、私達1つになっているのですね?)
(うん。そしてこれからも、ずっと… )
遠ざかる意識の中で二人の頭に過った想いだった。
2人の身体が溶けて、魂まで溶けて、それが混ざり合い、再び自分と言う存在が構築される。
そんな感覚を愛し合う2人が同時に覚えた時、
「んああうっっっ〜! ああ〜〜〜!」
獣のような叫び声を出してワルキューレの意識が飛び身体が痙攣する。
同時に和人も4度目の迸りを彼女の一番奥に注ぎ込んだ。
膣内ではザラザラした表面の粘膜が和人の陰茎に巻きつくように絡み、前後が不規則に動いてさらに奥へ導こうとするようだった。
一番奥の狭くなった所では上下の粘膜が、精液を出し続ける尿道口を舌で舐めるようにチロチロと刺激するのだった。
一瞬の硬直のあと規則的な痙攣が小さくなり、全てを出し切った和人がワルキューレの背中にもたれかかるような姿勢になった。
自分の呼吸を自覚出来るようになった和人が、ワルキューレから陰茎を引き抜く。
突っ伏しているものの、腰だけは浮かせた結合部から陰茎を引き抜くと二人の熱い想いが溢れ出した。
まだ少し、ぱくぱくと開いたり閉じたりしているので、溢れ出すのが断続的に続く。
ワルキューレの太腿を伝って流れ落ちる汁、そのままシーツに零れ落ちる汁の処理をするだけの気力も体力も2人には残されておらず、荒い呼吸も静まる頃、2人は眠りについた。
一方、職務・公務が忙しく普段はなかなか顔を合わせられないメームとイナルバは真田さんが眠る傍らで話し込んでいた。
子供の頃の事、学園惑星での事、妹達の事。
そして、いわゆるコイバナも。
皇女と言う身分から解き放たれた普通の姉妹の会話が終わる事なく続いていた。
「あら…!」
真田さんにかけられた毛布がごそごそ動き、閉じられていた目がゆっくりと開く。
「・・・・」
「目が覚めましたか? 真田さん」
「ここは? ……… っ!」
状況が理解出来たのか目を見開く。
「メーム様、イナルバ様。 わたくし……」
下着姿の自分にかけられた毛布の端を握る。
呼吸しやすくする為にブラジャーが外されており、乳首が毛布にこすれて、少し違和感がった。
「そっその… 申し訳ございません。 とんだ醜態を……」
ソファから飛び起き控え様とする真田さんをメームが押えるように手をかけやさしく声をかける。
「よろしいのです。それより大丈夫ですか? 真田さん。 まだ寝てなくて良いのですか?」
(ああっ! 何とおやさしい御二方。コレは夢? いやいや、天使のようにおやさしい姫様のお姉様方達ですから、やはり…)
まだ少しボ〜っとする頭の中で思うが、夢で無い事が判明する言葉が耳に入って来た。
「ところで、真田さん。((おしおき時空))の中で貴方が見た事について聞きたいのだけど?」
「!!!」
「((おしおき時空))の中でワルキューレが出てきたみたいなので、その事が聞きたいのよ」
(ひいぃっ!)
「ね。話してくれるわね?」
口調は優しいが、追い詰めるイナルバ。
真田さんの顔が青ざめる。
今度こそ、毛布から出て、床に控える真田さん。
「お許し下さいませ。その事は・・・・」
「思い出すのも嫌な事?」
「はいっ! それに、仮にも姫様の事を、あんな風に……」
「それを聞きたいのです。」
メームまでも詰め寄る。
「申せません! 申せません! 何卒、お許し下さませ。」
床に頭を擦りつける真田さん。
「別にそれで貴方をどうこうしようと言う訳じゃないのよ。 今後の事とか… だから。ね。」
2人が真田さんの手をとり、顔を上げさせ、ずいっっと顔を寄せて言う。
(逃がさないわよ)
というような感じに
(ああっ! 鬼でございます。御二方は鬼にございます)
と背筋に冷たいものが走る感覚を覚えた真田さんであった。
諦めて、事の顛末を涙ながらに語る真田さん。
「………」
「わたくしは… 真田は姫様のあんなお姿は見とうございません。 姫様は、姫様は……」
「ありがとう、真田さん。貴方がそこまでワルキューレの事を想ってくださって、あの子は何て幸せなのでしょうね。」
メームが手をとって告げる。
「((おしおき時空))はその人物が理想とする世界を反転させたもの。理想に対する心が純粋であればある程、その人にはつらい試練になるのでしょう」
イナルバも手をとりながら言い、さらに続けた。
「つまり貴方は、ワルキューレが例え婿殿が相手でも、… その…… 何ですか。 …パックリ開いて…… と言うのはイヤな訳ですね?」
「さようにございます。」
「しかし、2人の間がさらに進めば、やがてはそうなるかもしれませんよ。愛し合う2人の間にタブーは存在しないのですし、ワルキューレもいつまでも清楚な娘ではいないでしょうし。」
当然の話ではある。
が、それで素直に「ハイ、そうでございますか」とも言えない。
「さようでございます。が、姫様が自らの意思でそうなさるには、この真田も何も申す事がございません。」
「ですが、この真田が姫様をそう仕向けるのは、正直申しまして辛ろうございます。」
「………」×2
「そうですか、私達は貴方に随分ムリをさせてしまったようですね。」
「イナルバ様!」
(解っていただけましたか!) と言う表情でイナルバの方を向いた。
「では方針を変えましょう」
メームが手をポンと叩いて言う。
(はへっ?)
「そうですわね。だったら真田さん。ワルキューレでは無く、婿殿を教育して下さいな。」
「えっ…っと… あの…」
「そうですわね。 それがよろしいでしょう。 やはりこう言う事は殿方がリードするのが筋でしょうし。」
イナルバも同調する。
「あ、あの… 畏れながら… 」
戸惑う真田さんを遮るように
「お願いしますわね。真田さん」×2
(ああっ! やはり鬼でございます。御二方は鬼にございます)
(でも、婿殿との情事があった次の日の姫様を拝見いたしますれば、それもアリのような気も… )
とも考えたのであった。
メームが、執務室へ真田さんの着替えと食事を持って来させた。
真田さんは服を着る。2人の前で食事をするのは無礼だと別室に食事を持って行こうとしたが、2人が
「気をつかわなくても結構ですよ」
と引き止めた。
しかし、真田さんからすれば、2人から解放された方が食事は美味しかったであろうが、ともあれ、お腹が減っていたのが平らげてしまった。
夜と言う事でメームのUFOの一室で再び眠る事となった。
・・・・・
「真田様、真田侍女長様」
メーム付きの若い侍女に起こされ、部屋の中に入って来る眩しい日差しが朝である事を告げていた。
「あっ… はい!」
少し遅れて返事をした。
「メーム様からお召しでございます。」
そう言って、侍女が部屋から下がる。
身支度を整えメームの執務室の前に着く。
1つ呼吸をして
「真田でございます」
自分が来た事を告げる。
「お入りになって」
中から声がし、扉が音も無く開いた。
しかし、昨日や一昨日のような、重い空気は感じられず。それだけは安心できた。
メームはソファに座り、イナルバは今日も執務机に山積みされた書類にテキパキとサインをしている。
「真田さんもどうかしら?」
メームが紅茶を勧めようとする。
「いえ、滅相もございません。お心遣いだけ有難く頂戴いたします。」
臣下としての礼をとる真田さんであったが、
「まあ、よろしいではありませんか」
とティーカップに紅茶を注ぎ、テーブルの自分の対面に置いた。
しかし、そこで「では、いただきます」と飲んでしまっては侍女長失格である。
若くして侍女長になっただけに優秀な真田さんは、そのあたりは充分心得ている。
手でソファを指され、改めて一礼して腰をかけた。
しかしティーカップには手をかけない
「どうぞ、熱いうちに…」
メームが即しても、黙って頭を下げ、手はつけない。
「さあ」
さらに即して、そこで初めて
「はい、有難く頂戴いたします。」
と口にした。
ワルキューレの前、時野家では普段はそこまでの事はしていない。
それは真田さんがワルキューレを軽く見ているのでは無く、ワルキューレに頼まれての事だった。
幼少の頃より、姉妹達とは同じ皇宮内でもあまり顔を合わせる事もなく、年長の侍女達に囲まれ寂しい思いをしていた。
ある日、そこに姉と同じ歳位のネコミミ族の女の子が紹介された。
名前は真田と言い、自分に仕えると言う。
姉にも両親にも甘える事が出来なかったワルキューレにとって、真田さんは姉の替わりでもあった。
それだけに、彼女の前では特に回りくどく窮屈な臣下の礼はとらないで欲しいと懇願されたのだった。
まあ、このお話は、また別に機会に。
・・・・・・
熱い紅茶を口にするも、やはりネコ舌の真田さんは、殆ど飲めず、ティーカップを静かに置いた。
そこへ、メームが口を開く
「それでは、真田さん。今日からは婿殿の教育をお願いしますね」
(やっぱりそうでございますか。)
しかし、ワルキューレにするよりは楽と考え
「はい。この真田の手並みをとくとご覧あれ」
と答えたが、そこ直後
(しまった。そこまで言うのはまずかったかな?)
と少し後悔しかけた時に
「それは、頼もしい。よろしくお願いします」
とイナルバが満足そうに言ってしまった為、後悔すら出来なくなってしまった。
UFOを出て、歩き出す真田さんを朝日が眩しく照らす。
(はぁ〜! 大ミエ切ってしまいましたが、どうしましょう?)
考える姿が街並みに消えて行った。
435 :
真田でございます:2006/02/04(土) 08:05:39 ID:62MTwLF+
今回はここまでにいたしとうございます。
本日の夜にでもまた、この真田のお話にお付き合いいただければ幸いでございます。
一度、上げさせていただきます。
436 :
真田でございます:2006/02/05(日) 09:45:37 ID:NsZ/6QLs
夜の予定が朝になってしまいましたが、続きを語らせていただきます。
それではまた、後ほど。
和人の顔を朝日が照らし、夢の世界から覚まさせる。
「んっ…!」
目を少し開くと、視界一杯に美しい女神の寝顔が拡がった。
昨夜、突っ伏すようにうつ伏せで気絶したのか眠りについたのか解らなかったが、大きい胸を下にすると肺を圧迫して苦しくなるのだろう。
無意識にあお向けになったようだ。
しかし、あお向けでもやはり大きな胸は重く、息苦しくなるらようでワルキューレの寝姿は横向きになる事が多かった。
「うっ うんんっ……」
閉じている瞼が一瞬動き、ワルキューレがうっすら目を開けた。
「…… 和人様ぁ」
「!」
「あっ! 和人様。おはようございます。」
優しい目で自分を見つめる和人の顔がまどろみを吹き飛ばせ、顔を赤くしながら言う。
自分の寝顔を見られていたのが凄く恥ずかしく、和人の顔を直視出来なかった。
「おはよう。ワルキューレ」
最愛の人は、あくまで優しく包み込むような笑顔と声で語り掛ける。
ベッドの中で、この一言を聞く時、ワルキューレは体中の細胞が一気に元気になる気がした。
自分が先に起きて、リビングで聞くのも悪くはないが、ベッドで寝起きと同時に聞く時が一番だった。
そして、幸せを感じられる瞬間だった。
「・・・・」
和人がワルキューレも髪に手をかける。
それに応えるように顔を上げ、2人の距離が縮まり口づけをする。
言葉にしなくても、互いの意思が確認出来る。1日のスタートをそんな口づけで始められる事が嬉しかった。
キス終え、顔が離れた時に布団に隙間が出来た。
中から、和人の唾の匂いは立ち込める。
「…!」
和人がむしゃぶりついた自分の胸。そこについた和人の唾が乾き独特の匂いを発している。
ワルキューレはその匂いが嫌いではなかった。
むしろ、和人が自分の匂いを擦りつけ、存在をアピールし、
(「ワルキューレはボクのものだ!」)
と宣言されている気がする。そう考える自分がとことん幸せなのだ。と最近思うようになった。
(そう… わたしは和人様。いえ、和人だけのワルキューレ……)
身を捩った時、下半身に注意が移った。
昨夜の痕に触れる。
2枚重ねのバスタオルをさらに二つ折りにした部分に自分と和人の愛情の副産物。
いつもは、乾いてる部分が多かったが、今日はまだ、湿っている部分が多い。
そして、太腿に伝った部分は乾いて固まってるが、和人を受け入れた部分からは、ドロリと流れ出るのが自覚出来た。
同時に昨夜の行為が鮮明に思い出された。
今までに無い激しい情事。
そして、今まで味わえなかった感覚。
身体だけで無く魂まで溶け、混ざり合い、そこからまた2つに分かれて自分と和人になってしまったような感覚。
これまでも何度が快感に耐え切れず気を失う事もあったが、昨夜が一番濃密な経験だった。
和人に全てを捧げ、女として生れ変った初めての夜もそんな思いがしたが、昨日のは、それとはまた別の意味で、また、それ以上の感覚を通り越した感覚。
(夕べが本当の意味での、私達の初めてだったのかもしれない……)
そう考えると、なおさら和人の顔を直視出来なくなる。
「ん? どうしたの?」
耳よりも脳に響く声に、身体が反応し、体温が上昇する気さえした。
「いっいえ… 」
恐る恐る、顔を上げ、目があった時、和人も同じ思いだったのか、2人は顔を赤く染め、目をそむけてしまったのだった。
布団の中で手と手を取り合い、再びキス。
しばらく時間が止まったかのようなキスを終えた時、和人が恥ずかしがりならが
「このままでは… ちょっと…… 何だから、シャワーでも浴びようか?」
「……… はい」
そんな2人のときめきなどなど、全く知らない真田さんは時乃湯に向かいつつ、ひらすら考える。
(安請け合いだったのでしょうか? そもそもイナルバ様の申した「口でホニャララ」とか「胸でホニャララ」と言う行為)
(まあ、わたくしも全く知らない訳ではないのですが… そもそも地球では何と呼称してる行為なのでしょうか?)
(しかも、それを婿殿に教えて、姫様に… ん? そう言えば姫様も婿殿のアレを口でホニャララしてましたわ)
(姫様はご存知なのでしょうか?)
(あ〜っ! この際、そんな事はど〜でもよろしいのです。 わたくしが婿殿にお教えするのですから。 どうすれば……)
考える内に時乃湯に戻ってしまった。
建て付けをシロが修理した扉をガラガラと開ける。
「あっ! 真田さん。お帰りなさい」
シャワーを浴び、身繕いを終えたワルキューレが、出迎える。
「姫様!!!」
今日のワルキューレは言葉で形容し切れない程の美しさを放っている。
「あった」のは間違い無いのは一目で解る。だが、それ以上の「何か」があったと直感した。
「あっ。はい。只今もどりました」
挨拶も程々にただ見とれる真田さんに
「さなださん。どうしたの。わたくし何かヘンですか?」
笑顔で訊ねる主人にロクに返事も出来なかった。
「真田さん。お泊りする時は連絡してよね。結構大変だったんだから」
リカが朝食の準備をしながらボヤく。
「はい。申し訳ございません」
真田さんの「お泊り」は当局に拘束された時や昨日のような、連絡が不可能な事ばかりなのであるが、事情を語る訳にもいかず、黙っていた。
その方が楽でもあったが。
朝食になり真田さんはワルキューレと和人の変化に気付く。
いつもは、ワルキューレが和人にしなだれかかるように身を寄せているのに、今日はしていない。
むしろ、微妙に体が離れている。
「?」
しかも、楽しそうにする会話も今日は殆ど無い。
「??」(ケンカでのなさったのかしら? いや、昨夜は「あった」はず。?)
2人の視線が一瞬合うと、互いに照れたように顔を背ける。
「???」
(う〜ん。何かあったのは間違いございますまい。あ〜っ! 知りとうございます。)
(しかし、姫様に聞く訳にはまいりませんし、婿殿とて同様でございましょう。)
(あ〜。もう。 わたくしは何故、昨夜ここに居なかったのでございましょうか。この真田一生の不覚にござます)
和人を見送る時も目が合っては、はにかみ合う2人だった。
後日の話であるが、イナルバが手配した結婚式場・天空閣にネスティーが宇宙海賊から取り戻した古代ヴァルハラ族の壁画が設置され、その様子を下見に行った時も回廊で2人は一瞬目が合ったものの。直ぐに頬を染め俯いてしまった。
「真田せんせい」
ワルキューレが笑顔で呼ぶ
「はっはい!」
考え事を中断されて慌てて応えた。
「今日は何を教えていただけるのですか?」
(はっ! そうですわ。今日からは婿殿に… )
「あの〜。姫様。申し訳ございませんが、諸事情により、姫様のご教育はまたの機会にとなりました」
昨夜の行為で和人との結びつきがさらに強まった気がしたワルキューレは、一層和人に相応しい女になるよう決意した矢先だっただけに本気でがっかりとし
「… そうですか」
と答えた時の表情は今にも泣き出しそうな表情をした。
真田さんは心に痛みを覚え
「申し訳ございません」
と答えるのが精一杯だった。
しかし、今は全てが前向きに考えられるワルキューレは
(そうよ。真田さんに頼らず、自分で努力しなさい。って事なのかも。・・・・頑張らなくっちゃ!)
とか、側らで重く悩む真田さんに気付かないように考え、左手の拳を力強く握り締めるのだった。
TVを見ながらも中身は全く入らない。
(まず調べようにも行為の呼び方も存じ上げません。どうすれば……)
(!)
侍女部隊の誰かに聞こう! あの娘達の誰かなら知ってる者はいるはず。
とか考えたが
(いえいえ、いけません。そのような話をあの者達にするなんて… )
(「え〜っ! 侍女長。恋人でも出来たんですかぁ」「誰?誰ですかぁ〜?」とか間延びした言い方でチャカされるのがオチです)
(まあ、別にわたくしが、そうされるのは結構でございますが、万一、姫様と婿殿との事であると知られた日には……)
(ああ〜っ! いけません)
・・・・
(何やってんだ? 侍女長は?)
様子を見ていたシロも理解に苦しんだ。
真田さんがTVを消し
「シロ殿。わたくしこれから外出いたしますので、留守をよろしくお願いします」
と出かける準備をした。
「おう」
そこへ、
「よう、今ヒマかい兄弟?」
「いいもん持って来たぜ」
丸と妙が一升瓶と肴を持って来た。
「朝から酒盛りかよ」
「い〜じゃね〜か。」
元・エース三人組の酒盛りの場になってしまった。
アテも無く、街中をウロウロ歩き回る真田さん。
(ヴァルハラ皇家の事でもありますから、地球の方に聞く訳にも参りません)
(う〜ん…… !!!)
(そうだ! 八つ橋を… ・・・・いえいえ、あの方なら!)
何かの光明を見出したのか、走り出した。
やがて、和人が通う学校に来た。
(ファム様なら、何かご存知でしょう。イナルバ様もファム様が云々と申しておりましたし)
放課後になるのを、ファムの円盤の前で待つ。
チャイムがなり、薄いピンクの白衣を身に纏ったファムが戻って来た。
「あら、真田さん。どうしたの? まあ、お入りなさいな」
意外な客に少々驚きながら招き入れた。
「で、どうしたの?」
真田さんの分も紅茶を入れ勧め、一口飲んで質問する。
絶対、ご内密に! と断ってから
「実は…」
と事情を話した。
「……… 全く、お姉様達にも困ったモンねぇ。そんなのワルキューレと時野君の問題でしょう。2人の」
「放っておけばいいのよ。真田さんもそう思わない?」
少し呆れたように言う。
(さようでございます)
と心の中で思ったのも事実だが、相手は皇女で、目の前にいるのはその妹である。
言えるハズもなかった。
「だから、オバさま臭いとか姑っぽいとか言われるのよね」
(全くもってその通りにございます)
「・・・! ところで、何でそんな話になったの? 2人にそんな事があったとか?」
目をキラキラさせて、真田さんを見るファム
「いっいえ、わたくしは存じませんが…」
と答えた所をずいっと迫る。
「ウソおっしゃい。まあ、結婚間近の2人が1つ屋根の下に住んでるんだから「何か」あっても不思議じゃないわ」
「ねぇねぇ、どんな風なの。でも以外ねぇ。ワルキューレは時野君にメロメロだけど、時野君って結構、そういう方面には疎いと思ってたんだけど…」
「やっぱり男なのねぇ。 ちょっと可愛かったのに残念」
それを聞いて驚く
「ファム様!」
「冗談よ。ワルキューレに恨まれるのはイヤだし、そもそもワルキューレから彼を引き離す事なんで出来ないわよ。」
「さようでございますが」
「それにわたしは女の子にしか興味ないしぃ」
そこまで言うとファムが真田さんの隣りに移ってきた。
普段の会話から一転して粘りつくような声でネコミミに囁く、
「前みたいにぃ、大人のメガネ同士しっぽりと…… なんてどう?」
肩を抱きながらシッポを撫でる。
以前、星霊石を集める儀式の時、和人の窮地を救う為、怪傑・猫耳頭巾となってファムの生贄になった事がった。
身体中にキスマークをつけられ濃厚な愛撫を受けた恐怖が思い出された。
ばばっ! と距離を置き
「おっお戯れを… 」
慌てる真田さんを見て、すこしイケナイ気分を満足させたファム。
「ふふふ。冗談よ」
「さようにございますかぁ?」
「あら、冗談でない方が良かった?」
「いえいえ、とんでもございません。 して…」
身の危険も感じ始めたのでを用件を済まそうとする。
「そうね。口でするのがフェラチオって呼ばれてるわ。胸でするのがパイズリ」
(ふぇら? ぱいずり? アップルパイか何かの親戚でしょうか?)
心を読み取ったように補足を加える
「フェラチオってのは地球の言語の1つフランス語ね。パイズリってのは、造語」
「胸の事、おっぱいとも呼称するけど、そのおっぱいで男の人のアレを擦るから「ぱい」で「こする」(ずる)からパイズリって言うみたいよ」
「大きい胸の人限定の行為みたいだから、ワルキューレや真田さん向きかもね」
「はぁ…? ところで、その…具体的な仕方とかは……… 教えて頂けると幸いなのですが」
(何言ってるのよ!)
と言う表情をし、メガネを直しながら言う
「そこまでは知らないわ。 やった事ないし。第一、わたしが男の子相手にそんな事すると思う?」
「さようでございますね」
ともあれ、言い方は解った。これで調べるのが楽になる。
そう思うとファムの円盤を辞した。
呼び方は解っても、やり方が解らなければどうしようもない。
(う〜ん。またまた困りました。どなたか…)
(お若いライネ様とコーラス様は戦力外でしょうし、メーム様、イナルバ様もダメ…)
(そうなると…… ハイドラ様ですが・・・・・ ハイドラ様なら胸も大きいですが、男女の話は姫様以上に…)
しかし、他にアテも無いので、藁にすがる思いで七弧神社に向った。
「どうしたんだ?」
「な〜に。真田さん。」
ハイドラと秋菜が境内の掃除を終わり、中に入ろうといていた時、真田さんの姿を見つけた。
中に通された真田さんは、単刀直入に切り出した。
無論、事情は伏せてである。
「はぁ? 何だそりゃ〜 パイ… 何だっけ? アップルパイの親戚か何かかよ」
(は〜っ! やっぱり!)
しかし、秋菜は顔を真っ赤にして下を向いてる。
「ん? どうしたんだ秋菜? …! あ〜っ! おめぇ知ってるのかよ?」
「・・・・」
「秋菜様、ご存知なんですね?」
秋菜も今時の高校生である。知識としては知っていた。
「オイ。知ってるなら教えてやれよ」
爆発したように答えた
「出来るかぁ〜っ!」
驚く二人。
「そこを何とか…」
縋るように訊ねる。
「な、何がパイズリよ〜!!! あんた、ちょっと自分の胸が大きいからってバカにしてない?」
立ち上がって怒鳴りつける。
「そうそう。胸らしいのですが…」
とにかく回答を得ようとする真田さん。
しかし、ハイドラの一言がフイにしてしまった。
「何言ってやがる、真田さんとおめぇじゃ「ちょっと」じゃ済まねぇだろ。大人と子供だぜ」
「・・・・・・」
「まあ、ハイドラ様。そんな事、おっしゃては…」
「・・・・・・」
「ん?」
大爆発!
「出てけ〜〜〜っ!!!」
逃げるように七弧神社を飛び出した真田さん。
(ああ〜っ。 ハイドラ様ったら。せっかくのチャンスを…)
途方にくれながら、すっかり夜になってしまった街中をトボトボと歩く。
その姿をコンビニから出てきた二人が見つける。
「あ〜ら、真田さんじゃございませんこと?」
「ホントだ。お〜い、真田さ〜ん」
ライネとコーラスが駆け寄って来た。
(ああ〜。ココに来て戦力外のお2人とは…)
しかし、以外な展開が待っていた。
コーラスのアパートに着くと、
「で、何?」
とコーラス。
(もう、ヤケでございます)
とばかり用件を言う
「………」×2
(やはりムリでございましたか)
とその時
「あ〜ら、どうなされましたの真田さん。パイズリなんて、恋人にでもして差し上げますの?」
「えっ?」
「ホント? 真田さん。恋人出来たんだ。うん。真田さんがパイズリなんかしたら、萌えるだろうね。」
「・・・・」
「いかがなされましたの?」
「あ、あの… 御二方はご存知で?」
驚愕の表情で2人を見やる。
「ええまあ。これも淑女の嗜みですてよ」
「ははは。嗜みじゃ無く、萌えだよ、魂の爆発! みたいな感性かな。ライネはその辺を理解してないよ」
「ん〜ま、失礼な。」
あっけらかんと会話する2人をボ〜然と見つめる真田さん。
「どうなされましたの?」
ライネの可憐な顔が向く。
「えっ。いや、少々以外でして。 ところでライネ様。その方法をご存知なのですか?」
「ええまぁ。美容院での待ち時間などに雑誌などで…」
「女性誌だろ。それとあとはコンビニでの立ち読みとかね」
「ん〜ま失礼な!」
これには驚いた。戦力外として真っ先に切り捨てた2人が文字通り「秘密兵器」だった。
「ところで、その、やり方と言うのは…」
コーラスと言い合ってたライネが真田さんの方を向き答える。
「コホン。それはですね。殿方のナニを女性の胸に挟んで愛撫する行為ですのよ。」
「はぁ」
「何か、手本を……」
願ってもない展開だった。
「あっ、コレがよろしいですわね」
バナナを手に取ったライネが
「コレを殿方のナニとしましょう。それを… こうやって……」
ライネのベビーフェイス、小柄な身体に似合わぬ大きな二つの膨らみの間にバナナを挟みこんだ。
「それを、こうですわ」
胸を両脇から抱え上下に動かす。
服を着てて、しかもバナナを相手にしてるのだが、もの凄く卑猥に見えた。
ライネの外見とのギャップもあるだろう。
しばらく呆気にとられてると。
「ご理解いただけまして?」
とけれまたあっけらかんと言う。
「あのライネ様。実際にどなたかにしてさしあげたとか……」
「いえ、生憎とわたくし、実戦は不得手でして」
「そもそも相手もいないしね」
「ん〜ま。失礼な! わたくしは由緒あるヴァルハラ星の由緒あるヴァルハラ皇家の由緒ある八代皇国の1つのライネですわよ。」
「勝手に殿方と恋愛をするなんて出来ませんの。相手がいらっしゃるワルキューレお姉様じゃあるまいし」
ワルキューレの名前が出てビクッとしたが二人は気付いてなかった。
「んで、いかがですの。真田さん? ご理解していただけまして?」
「えっ、ええ、おおよそは…」
「あっそう。では、次はフェラチオですわね。」
バナナの皮を向いてから説明する
「この殿方のナニを、こう……」
舌でペロペロ舐め始め、やがては大きく開いた口にすっぽりと咥えこんでしまった。
バナナを持った手を動かさず、スポスポと言う感じで顔を上下させる。
目を閉じ、亜麻色の髪の毛を揺らしながらピストン運動する様子は、女の真田さんが見ても息を飲むようだった。
可憐な外見と大きな胸。すごくモテる要素はあるのだが、そのオッサン臭いメンタリティーと言動がそれをさせなかった。
やはり、天は二物は与えても、それ以上はなかなか与えないようだった。
すぽんと口を離し
「お解りになりまして? この時、歯は立ててはいけません事よ。」
「はあ」
歯を立てるな! と言われても実感が湧かない。
「あのぅ。 歯を立てるな。と申されても、今ひとつ…」
「う〜ん。こまりましたわねぇ。わたくし、こういう感覚の説明は不得手でして…」
口の中の出来事を、しかも感覚の話を言葉にするのは難しい。
「コーラス、何か良い方法はなくて?」
「そうだなぁ。アニメでも見れば。」
「はぁ?」
「アダルトアニメだよ。実写じゃ出来ない、口の中の動きの表現してるのもあるからね」
こちらも、幼い顔をして平気な顔をして言う
(やはり御二方も「今時のお子様」なのでしょうか?)
「じゃあ、ボク、今からビデオ屋に行くから真田さんも来る?」
もう完全に渡りに船。
「はい。是非お供させていだたきます」
「わたくしはお留守番してますわ」
ライネはバナナを食べきり、おっさんみたいに横になってTVを見始め、いってらっしゃい。と言わんばかりに手をヒラヒラさせた。
アパートから暫く歩くとコーラス行きつけのビデオ屋についた。
「アダルトはあっちだからね。そこにあるアニメをみてくれば良いよ。」
「パイズリも知りたいなら、胸の大きな女の子のパッケージやつ。ボクは返却してるから」
「かしこまりました。」
コーラスは返却の手続きをしている。
常連なのか、店員とも親しそうに話し込んでいた。
「そうそう、コーラスさん。良いのが入りましたよ。」
店員がカウンターの下から1本のブラックパッケージ、つまりは海賊版を取り出した。
「何?」
店員が声を潜めて
「ウル○ラセ○ンの…」
言いかけた時、コーラスが驚きの表情を見せ
「まっまさか、幻の12話。「遊○より愛を○めて」???」
「しかも、タケダ・バージョンとドラキュラ・バージョン両方入ってますよ」
「!!!」
「是非、貸してください。会員カードを出すコーラスを店員が
「それが、海賊版だから、貸し出しは出来ないんですよで、コーラスさんには内緒でお売りします」
「いっいくら?」
「お金もマズいんでポイントで決算で…」
「ええ。それで結構です。」
そんな会話をしてるうち、真田さんもそれっぽいのを3本ほど、みつくろって来た。
「コーラスさんのお姉さんですか?」
バーコードをチェックしながら言う店員に
「まあ、そんな所です。」
お宝物のDVDをゲット出来て上機嫌のコーラスが答えた。
アパートに戻った二人がアニメを見ようとすると、興味の無いライネが寝る準備をした。
「それではわたくし、先にお休みさせていただきますわ」
襖をしめたライネだったが、内容が内容だけに興味をそそられたのか、しばらくして出てきた。
(…… まあ! あんな事。 ひぃ… そんな事まで…… むふ〜っ!)
高まる興奮を押えながら、必死に内容を覚える真田さんの横で
「んまぁ〜! いやらしいですわね! ちょっ!ちょっと真田さんご覧になられまして?」
近所のオバさんのように問い掛けるライネの姿がった。
借りて来た全てを視聴し終わり、お宝DVDを熱心に視聴するコーラスの横で
ライネがコーチとなりバナナで練習した真田さんであった。
夜が明ける直前、東の空が明るくなりかけた頃、ライネコーチから免許皆伝を言い渡された。
「それじゃせいぜい頑張って下さいましね。わたくしはお休みさせていただきますわ。睡眠不足は美容の大敵ですから」
TVをつけたまま、眠ってしまったコーラスと、再び襖の向こうに消えたライネに頭を下げると。時乃湯に向った。
(いけます。これでいけますわ。婿殿!)
一気に話し込んでしまいまして、皆様にはご負担をおかけしたかもしれません。
この真田、お詫び申しあげます。
さて、
>>388様。いささか長くなってしまいましたが、次回からはご所望いただきました
真田さん×和人
つまりは、婿殿とこの真田の、ナニと申しますか、アレの予定でございます。
それでは、またその時に真田のお話にお付き合い下さりますれば幸いにございます。
>>448 秋菜やライネ、コーラスまで登場して嬉しい限り。
続きも期待してます。
>>448 オールスター作品乙。
濡れ場描写に官能小説のテイストが入っているのが逆に新鮮ですな。
ところでここの板の容量制限って500だっけ?
今442KBだけど、480KBあたりで次スレ立てた方がいいかな。
451 :
森永凍らす:2006/02/06(月) 02:27:26 ID:tkMvpOz8
昔の名前で出てみました。真田さんはお休みです。
>>449さん
ボクの登場を喜んでくれてありがとう。
秋菜さんもライネもお礼を言ってました。
>>450さん
飛翔する心の躍動というか、リアルな現代性。エロに魂を入れ過ぎたらこうなったと職人が言ってました。
キャラ的にメームの話はライトに行く予定とも。
>容量制限
が〜ん。それじゃボクの最新詩集4GBは入りきらないんだぁ。
それはやっぱりボクがアララギ派だから?
しかし、1レスの長さをもっと短くすれば、1000まで行けるんだね。
今度からは直します。ご迷惑をかけて申し訳ありません。って言ってました。
次スレはお願いします。
では突然でございますが、続きを語らせていただきます。
コーラスとライネの所から帰って来た時、和人とリカを見送ったエプロン姿のワルキューレが家の中に戻ろうとした時、真田さんを見つけ声をかけた。
「あっ 真田さ〜ん。」
手を振って迎えてくれる主人に感動したが、任務を思い出すと、やや疲れた笑顔を見せるのが精一杯だった。
(全ての準備は整いました。あとは実行あるのみ!)
(しかし、それにはまず姫様、リカ様に出かけていただくか、婿殿を何処かへ…)
布団を干しながら、とりとめもなく考えるものの良いアイデアは浮かばない。
夕方になり2人が帰ってきて、夕食になっても考え事をしてる真田さん。
夜になり、自室で布団に入っても、考えがまとまらず、眠れずにいた。
今日は2階から物音が聞こえてこない。
(明日はお休みですのに今夜は… まあ、そういう日もありますわよね。)
つられたように、真田さんにも睡魔が襲ってくる。
昨日は徹夜だったし、とにかく疲れたのであった。
朝になり、朝食の準備をしていると、眠そうに目をこすりながらリカが
「真田さん。あたし、今日はご飯いらない。」
「あら? どこかお出かけでしょうか?」
リカが、コップに水を入れて、飲む。
「うん。友達の所で勉強。模試もあるし、お兄ちゃんの結婚式やらなにかで忙しくなると勉強どころじゃないしね。」
「さようでございますか」
(こっこれは、微妙にチャンスなのでは?)
やがて、ワルキューレと和人が仲良く寄り添うように降りてきた。
「あっ、おはよう真田さん。」×2
息もピッタリでデュエットのように挨拶をする。
「おはようございます。姫様、婿殿」
2人の間に余程の事があったのだろう。昨日は「無かった」のにワルキューレの表情は素晴らしく充実している。
そこへ、ファムが訊ねてきた。
「ワルキューレ。買い物に付き合ってくれない?」
「えっ、うん、いいわ。それより、今から朝食だけど、ファムも一緒にどう?」
家に中に招き入れた。
既に外出したリカを除く4人での朝食をとる。
「いよいよ結婚なのね。…… このご飯。貴方が用意したの? ダンナ様への愛の手料理かな。」
困らせようとした訳では無かったファムだったが
「いえ…… 私、家事が全然ダメで… 和人様に申し訳なくて……」
泣きそうな顔をするワルキューレにフォローを入れる。
「まあ、徐々に練習して行けば… ね。 時野君も解ってくれるわよね?」
「うっうん。 ボクはワルキューレが作ってくれるものであれば…」
赤くなりつつ答える和人にワルキューレの顔がぱぁっ! と明るくなった。
頬を染めるワルキューレを見て少し心が痛む真田さんであったが、千載一遇のチャンスである。
「それじゃ、和人様。真田さん。行ってまいります。」
「姫様、本当にわたくしめがお供しなくてよろしいですか?」
「ええ。大丈夫よ。」
食事後、一息ついたところでワルキューレが外出した。
(いっ今です。今しか… 姫様。わたくし真田は只今から鬼になります!)
部屋に戻ろうとする和人を呼び止め、自室に来るように頼んだ。
しばらくして和人が入って来る。
「どうしたの真田さん?」
「・・・・・」
決意したように口を開く、
「婿殿。」
「はっはい」
「いよいよ挙式の日も近づき、僭越ながら私、姫様に花嫁教育をさせていただいております」
「!」
ワルキューレが言ってた事を、改めて言われ、結婚が間近に迫ってる事を痛感する。
「その何と… 申しましょうか、お2人の夜の生活についても、些か不十分とは存じますが、ご教授させていただきました」
全く、役には立たなかったが。
「………」
話し振りからして、どうやら真田さんは自分達の行為に気付いて無いと感じられ、少し安心した。
しかし、その矢先
「やはりこう言う事は殿方が婦人をリードするのがよろしいかと存じまして、ご足労願った次第でございます」
「???」
今ひとつピンと来ない和人だったが
「これまた僭越ながら、この真田が、取り急ぎ実戦で婿殿に教育させていただきます」
最後の方は興奮のせいか、やや上ずった声になったが、言い終わると和人の方へにじり寄った。
「さっ真田さん!」
慌てる和人に真田さんはつとめて冷静さを装って
「大丈夫でございます。この真田にお任せ下さいませ。」
囁くように言うと口で、和人のズボンのファスナーを下げた。
「わわっ! 真田さん…」
「それでは、婿殿… ご奉仕させていただきますわ・・・」
驚きと緊張のあまり元気の無い和人の陰茎を真田さんが、やわやわと握り、同時に和人の服を脱がせ舌を這わせる。
「あっ、ちょっと… 真田さん……」
露にさせた上半身に真田さんの舌が這い回る。
「だめですってば…」
ワルキューレに対する後ろめたさもあり、拒否の言葉を口にするが、押し寄せる快感に身体が反応する。
にぎにぎしてた陰茎がムクムクとその容積を増してきた。
ベルトを外して、ズボンも脱がせる。
その間も猫耳族の女性は舌をナメクジのように這いまわせる。
乳首や脇腹を舐められ、くすぐったいような、ムズ痒いような感じ…
ワルキューレとの行為では互いに、深い知識がある訳でもないので、そんな事は無かった。
だが、自分がワルキューレの身体をあちこち舐めると、気持ち良さそうに甘い声を上げるのを思い出し、男の自分も気持ちいいんだ。などと頭を過った。
ムダ肉の少ない、華奢な身体を這いまわっていた舌が、最近、女を知ったばかりの陰茎を捕らえようとしていた。
「真田さん。ダメだよぅ…」
華奢な少年の弱々しい拒否が、真田さんの脳。メスの部分を刺激した。
自覚出来なかったが、同時に身体も…
指で、根元を握る。
決して大きくない口を開き、舌舐めずりし、根元の方から舐め出した。
「ああうっ!」
「んふふ。いかがですか、婿殿?」
上目遣いに和人の表情を確認するようにささやく。
たっぷりと唾液をまとわりつかせながら、陰茎の表、そして裏へ…
やがて、既にビクビクと不満を漏らし始めている先に舌が到達する。
「あくぅっ! 」
猫耳族特有のザラザラした舌が、まだ、それ程女を味わっていない陰茎を蹂躙する。
時々、ワルキューレも愛情の全てを込めて愛撫してくれるのだが、愛情だけではカバーしきれない技量の差があった。
ザラザラした表面とヌルヌルした裏面で交互に刺激すると、先からは透明な汁が滲んできた。
少し、しょっぱい味の汁を舐め取るように舌を弾かせると、ガマンの限界が近づいて来たのか、微妙な痙攣が始まる。
その絶妙なタイミングで真田さんは顔を離した。
「……?」
刺激を失った陰茎はビクンビクンと獲物を探すように痙攣を続ける。
「さ、真田さん…」
「どうしました。婿殿? 続きが欲しくございませんか?」
舌なめずりしながら、少しからかう感じで見つめられる。
「続きが欲しければ、婿殿からおっしゃって下さいな。」
「「真田。満足させろ」と、「続きをせよ」と。それによって女も喜びを感じる事もございますから…」
今までに見た事の無い表情で、聞いた事も無い妖しい声で誘う。
その間も指が絶えず根元から幹を刺激し続けている。
だが、決して一番敏感な先には触れない。
「………っ!」
とにかく、身体は刺激を求めている。
ガマンの限界を迎え、和人が切羽詰った様子で叫んだ
「さっ真田さん。 お願いだから… あうっ!」
顔を赤くして、頼む和人。
でも、じくじくと滲む汁を掬い取った指をぺろりと舐めながら真田さんが突き放す。
「いけませんわ。「お願いだから」じゃございませんでしょ?」
「で、でも…」
「さあ… おっしゃって下さいまし」
「・・・・・」
「つっ、続きをしてくれっ 真田さん」
「「真田」ですよ…婿殿・・・・」
「続きをしてくれ! 真田。」
生来の性格が優しいせいか、言葉の内容とは裏腹にだいぶやさしい言い方だったが
(んふふ。よろしい)
と満足そうな表情を浮かべ自分のメイド服を脱いだ。
白いブラジャーを外すと、色白の大きな胸がぶるんっ! と飛び出した。
ワルキューレと遜色無い大きさだが、ワルキューレと比べてやや大きめで、やや濃く色づいた乳輪。
その頂きで、やはりワルキューレより濃いもののピンクの乳首が自分の存在を主張するように上を向いていた。
ショーツを脱ぐと、太腿の間には髪の毛と同じ黒い茂みがこんもりと、しかし清楚さを残しつつ生えていた。
「では、続きの前に別のやり方で、婿殿を満足させてさしあげますわ。」
そういって、爆発寸前の陰茎に、再びたっぷりと唾液を絡めてから大きな胸で挟みこんだ。
「・・・・!」
経験の浅いワルキューレと自分では考えもつかなかった行為をされ、驚きと共に未知の快感が和人の身体に刻み込まれる。
「んふっ んっ」
胸を両脇から抱え、扱くように胸を上下させる。
「いかがですか。 婿殿?」
柔らかく張りのある乳房が和人を責め立てる。
胸の谷間から露出している亀頭を舌がさらに追い討ちをかける。
シャンプーの匂いだろうか? ふんわりと、甘い女性特有の匂いが和人の鼻腔をくすぐる。
「あううっ、ぐっ!」
下半身から脊髄が痺れる感じがし、絶頂のマグマが出口を求めて尿道口に押し寄せた。
「さ、真田さん、もう…っ!」
真田さんが、さらに激しく胸を揺らし、舌の動きを早める。
「さあ、いらして下さいな。婿喉」
閉じた瞼の裏側にパチパチと光が飛び交い、和人は真田さんの胸の中で爆ぜた。
真田さんとて、さして経験がある訳でも無く、最初の一撃は顔にかけてしまった。
慌てて、口でくわえ込み、口に溜め込む。
口一杯に精液の匂いが拡がり、真田さんの頭もボ〜っとなってしまうが、口の中では舌が休まず動き続け、いまだに精液を放出している尿道口を舐め続ける。
胸の動きも、搾り出すように止めなかった。
ワルキューレとの行為でも無上の快感を得ている和人だったが、美しい侍女との未知の体験も、また格別だった。
咥えた陰茎が治まり始めた頃、改めて舌で裏側を舐め上げ、亀頭を掬い上げてから口を離した。
和人が荒い息をしながら、その美しい顔についた自分の精液を指で拭い、それをペロッと舐める真田さんを見つめていた。
「…… いかがでしたか? 婿殿。気持ちようございましたか?」
「……うん。」
「それは何より。この真田も婿殿… 和人様の…… おいしゅういただきました。」
今回はここまでにいたしとうございます。
続きはまた。
>>464 ダークな真田さんも萌え!
大変な任務を終えたご褒美ですつマタタビ
>>464 乙でした!つ〜かエロいなぁもう
一仕事終えた真田さんに俺もご褒美つ鰹節
真田真田真田〜♪
真田を食べ〜ると〜♪
>>465様
まっマタタビ……!
>>465様はこれ以上、わたくしに一体、何をせよと。
まっまさか、職人と同じ事を考えているのでは・・・・ ああ〜っ! にゃっまんだぶ、にゃんまんだぶ〜!
ともあれ、ありがたく頂戴させていただきます。まっマタタビ!!! むふ〜っ!
>>466様
労いのお言葉。ありがとうございます。
ですが、まだ、この真田には仕事(?)がございまして…
鰹節ありがたく頂戴させていただきます。
冷蔵庫に入ってますアスパラのおひたしに使わせていただきます。
>>467 ああ〜っ 姫様一筋のわたくしの身体は、婿殿の青い性の餌食となってパックリと食べられて… ああっ!
ともあれ、続きを語らせていただきます。
(さて、これで婿殿も…)
トクン!
(あっあら?)
トクン!
(ああ〜っ、婿殿が… 姫様との行為をした…が……・・・・・欲しい)
真田さんの様子をボ〜っと見つめていた和人の意識も同様の変化が起っていた。
吸い寄せられるように2人の距離が縮まった。
(いけません! これ以上は…… 姫様を… でも……ああっ!)
口を開き、舌舐めずりしたと思うと、萎えかけている和人の陰茎を刺激し始めた。
一方、ワルキューレとファムは、目当ての買い物をしてカフェで一休みしていた。
「ところでぇ。 どうなの時野君とは?」
イジワルそうな視線をメガネの奥から向ける。
「えっ… どうって・・・・」
とぼけるものの、顔は既に赤く染まっている。
「ふふ。その顔が答えになってるわね。 そうかぁ。ワルキューレももう「女」なんだ」
ワザといやらしい言い方をされ、ワルキューレの顔は耳まで真っ赤になり、俯くしかなかった。
ドンドンドン!
窓を叩く、音にファムが外を向くとライネとコーラスがいた。
2人の姿を見つけて、姉達に紅茶でも奢ってもらおうとしたのか、来たようだ。
ファムが、いらっしゃいな。というふうに手招きをすると、2人は回り込んで店内に入って来た。
「ごきげんよう、ワルキューレお姉様、ファムお姉様」
「こんにちは。」
挨拶を済ませると、2人はワルキューレとファムの横に座る。
「あら、いかがなされたのワルキューレお姉様? あっすみません。こちらにミルクティーをいただけません事」
真っ赤になって俯いてるワルキューレを「?」と思いながらも、ちゃかり注文をする。
「コーラス。貴方も何なりと注文なさいな。せっかくお姉様方も好意をムダにしては・・・」
「…… 貴方、私達に払わせるつもりだったの?」
「んまぁお姉様。そうおっしゃらずに。結構じゃありませんこと」
「結構じゃないわよ。」
「あの。ボクにはカフェオレを」
2人のやりとりを無視するようにコーラスが注文した。
「貴方達……」
呆れた表情を見せるファムだったが、内心は少し嬉しかった。
皇宮では滅多に顔を合わせる事もなく、妹達にこうして甘えられる事もなかった。
ヴァルハラ星を遠く離れた地球で、初めての姉妹らしいふれあいをした気がした。
2人の注文した物が来て、改めて会話に加わる。
「んで、何のお話をしてらっしゃいましたの?」
上品そうにミルクティーを飲むライネが訊ねる。
「ワルキューレが女になったってお話」
隠さず離すファムにワルキューレが慌てる。
「ちょ、ちょっとファム!」
姉にとってはいつまで経っても妹は小さいイメージを持っており、ワルキューレも例外では無かった。
「まだ、2人は子供なのに…」
言いかけた所にライネが手をビシっと出し制する。
「お言葉ですが、お姉様。わたくしももう大人でございますわよ。」
「で、でも…」
自分の秘め事の話題だけによけいに困った。
「そういえば、ワルキューレ。真田さんからは授業は受けたの? 充実した夫婦生活の?」
「えっ!」×3
(ファムが「しまった!」という表情をして、手で口をおさえたが手遅れだった。)
「どうして、知ってるの?」
驚愕の様子のワルキューレ
(仕方無い)と言う表情に替わり、語りだした。
「だからね。地球では何と言うのか、聞きに来たのよ。だから口でするのが「フェラチオ」で、胸でするのが「パイズリ」ってね」
「???」
言われても、その辺りの知識の無いワルキューレにはさっぱりである。
「えっ? パイ…… なに? アップルパイの仲間かしら?」
3人が顔を見合わせる。
しかし、その後のライネの言葉が問題を引き起こす。
「しかし、アレは真田さんに恋人が出来たってお話だったのではなくて? ねえコーラス?」
「う〜ん。そうだったのかなぁ」
(・・・・!)
「貴方達の所にも行ったの真田さん?」
「ええっ。おいでになりましてよ。やり方が解らないようですので、あたくしとコーラスで教えてさしあげましたわ」
ワルキューレはショックだった。
今でも小さい妹達と思っていたのに、性に関する知識は自分よりもある事に。
(わたくしは、もう、和人様の女なのに)
チリチリと胸に来る物がった。
「でもヘンよねぇ。」
ファムが切り出す
「だって、具体的なやり方まで聞いておいて、ワルキューレには教えていないなんて。」
「ですからぁ、真田さんに恋人で出来たんじゃございませんこと」
「いいえ、違うわ。わたしには、教育の一環と言ってましたもの。」
(う〜ん?)
「まさか、時野君に教えてるなんて事はないわよね」
(!!!)
「まさかぁ。和人様に教えてどうするつもりですの?」
「それもそうねぇ。」
(真田さんが和人様に… そっそんな…)
ガタっと席を立つワルキューレ。
一目散に店を出た。
「あっちょっと待ちなさいよ。」
3人が後を追う。
(和人様、真田さん。違いますよね。お願い。和人様……)
ワルキューレを追う3人。
わっせわっせわっせ! ファムとコーラスは以外と足がはやかったのだが、ライネは
「はへっ はへっ はひぃ〜。 ちょっと…はひっ 待って下さいまし〜」
聞いたコーラスはその場で足踏みしながら
「早く、早く!」
「そう… はひっ そう… 申され… はへっ! ましても… わたくし…… 走るのは… はへっ 不得手でして」
「もう、先行くからね」
コーラスはワルキューレ、ファムの後を追った。
「はひっ はひっ。 はっ! そうですわ!」
ライネは反対方向に走り出した。
コーラスのアパートに着くと、止めてあるスクーターに飛び乗り時乃湯に向った。
「んっ ふっ うふっ!」
真田さんが、口の奥まで和人の陰茎を飲み込んでいる。
中では右に左に絶えず舌が這いまわっていた。
「おおうっ!」
言葉の途絶えた2人が野生の獣のように互いの身体を貪りあっている。
真田さんの尻肉を鷲掴みし、開いた秘部に舌をねじ込み、時折、その排泄の為だけの器官にも…
「あにゃ〜ん!」
シッポを硬直させた真田さんが、顔を仰け反らせて喘ぐ。
二人の身体が一瞬離れたかと思うと、真田さんが四つんばいになり、自ら秘部を開き、和人の前にピンク色の内部の粘膜を晒す。
和人は言葉なく、にじり寄ると、いきり立った陰茎をズブズブと押し込める。
「あおおっ!」
入り口がキュッっと締まり、さらに中、奥が同時に締め付ける。
和人が腰を引くと、粘膜が外まで追いかけるようにせり出し、押し込む時は精一杯の抵抗をする。
ぐちゅ! ぐずっ! ぞぼぉっ!
ピストン運動をするごとに、白濁した粘液をばら撒きながら2人の結合が繰り返される。
和人の手が真田さんの胸に回り、荒々しく掴み、揉みしだく。
「ふうんんっ!」
咆哮のような声をあげ、真田さんの膣内は収縮を強めた。
膣内の痙攣が全身にまわり、ぶるっ! と奮えたと思うと、和人の身体も痙攣し、柔らかい粘膜を蹂躙している陰茎が断末魔の痙攣をし、二度目とは思えない大量の精液をその膣内にぶちまけた。
「ああっ、あッにゃ〜ん!!!」
真田さんの身体が崩れ落ち、和人はその背中に身を委ね、ぐったりとした。
この様子を途中からであるが、メームとイナルバも見ていた。
「様子がおかしいですわね。何かあったのかしら?」
不思議がるメームの横でイナルバが顔をしかめ
「あっ!」
「どうしたのです?」
「まさか、誘導物質。 真田さんも婿殿も猫耳族の性フェロモンにあてられたのでは?」
「婿殿、地球の方にも作用するのでしょうか? まあ、ともあれ、時乃湯に向いましょう」
2人は用意も適当に円盤を出て、走りだした。
走るのがまどろっしくなったのかイナルバは空を飛び始めた。
心のかけらを失ったメームは飛ぶ事が出来ず走るものの、その走りは遅い。
「はぁはぁはぁ… ちょっと… イナルバ。お待ちなさいな」
(仕方無いわねぇ)と表情をして降りて来る。
そこへ、ライネの乗ったスクーターが近づいて来た。
「あらぁ。お姉様方。いかがなされましたの?」
「・・・! ライネ! ちょっと借りますわよ。」
イナルバがライネを押しのける。
「メーム乗って!」
アクセルを開く
「あ〜っちょっとお姉様ったら〜」
「後で、時乃湯まで取りにいらっしゃい。今、大変なのよ。」
2人のスクーターはライネを置いて行ってしまった。
「んもう! わたくしも時乃湯に向う所でしたのに…」
行為を終え、ノロノロとさらに身体を寄せ合い、擦りあう2人。
「お〜い。誰かいねぇかぁ?」
ハイドラが来たようだった。
かすかな匂い? 気配? を感じてボイラー室の隣りの真田さんの部屋に来る。
ガラっと開けると、そこには裸でもつれ合う真田さんと和人の姿があった。
「なっ何だぁ!?」
しかし、ハイドラの叫びが耳に入らないのか、2人はキスをし、身体を絡め合っている。
真田さんのシッポが和人の足に巻きつく。
「あにゃ〜ん」
ボ〜然とするハイドラのもとに
「和人様。 和人様ぁ」
ワルキューレが駆けつける。
中を見ると、そこには信じられない光景が…
「和人様! 真田さん!」
今回はここまでで、ございます。
ああ〜っ! 修羅場の予感がいたします。
この真田の大ピンチの予感がいたします!
さて、おそらく、次回が最後になるかと思われます。
最後まで、真田のお話にお付き合いくださいますよう。お願い申し上げます。
ああっ〜!
ドキドキ、侍女長のの命運やいかに・・。
我ら猫耳侍女部隊も固唾を飲んで見守っております。
うあ、確かにこりゃ鰹節あげてる場合じゃなかった!
真田さん、御武運を…。
>>480達
あなた達、いつの間に……
まさか、姫様と婿殿の… アレも見てたんじゃ……
いいですね。他言無用ですからね。 いいですね!
>>481様
鰹節は、鰹節削り器でかいて、スーパーで半額で買ったアスパラのおひたしにふりかけて、おいしくいただきました。
さて、今回で長々と続いた真田のお話も最後になります。
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
では最後のお話を続けさせていただきます。
「ワルキューレ!」
ハイドラが声の方を向く
(おい。どうなってるんだ? こいつら!)
とでも言いたげに。
(和人様、真田さん。…どうして?)
2人の間に割って入ろうとするが、
「ふにゃ〜っ!」
警戒の様子を見せ真田さんが抵抗する。
「・・・・! 真田さん?」
そこでファムとコーラスが駆けつけた。
ファムが部屋の中の異常さを察知したのか、叫ぶように言う
「時野君と真田さんをこの部屋から出すのよ。早く! ハイドラとコーラスは真田さんをお願い。」
にゃ〜、にゃ〜と抵抗する真田さんを引き離し、ハイドラとコーラスが居間に運ぶ。
ファムはワルキューレと和人を運ぼうと手をかけ様とした。
しかし、その手をワルキューレがはねのける。
「ダメ。和人様に触らないで… 和人様に触れて良いのは私だけなんだからぁっ!」
キッ!
涙を流しつつも厳しい目でファムを睨みつける。
「解ったわよ。」
2人の衣服を持って居間に行った。
「和人様…… どうして?」
和人を抱きかかえると、居間に向った。
「うんっ… えっ? 姫様!」
真田さんが正気に戻った。
ワルキューレにファム、ハイドラとコーラスの姿が確認出来た。
そして、裸の自分と主の夫になるべき少年の姿も……
和人の目にも光が戻り、正気を取り戻したようだ。
「・・・ワルキューレ…ボク……」
「和人様ぁっ」
和人の胸の顔を埋め、泣きじゃくる。
「ひっ姫様… 申し訳ございません姫様。 この真田が・・・・」
「どうして?」
ワルキューレが言葉を遮り、返答に詰ってしまった。
「どうして、真田さん。 なぜ、真田さんが和人様と… わたくしの和人様と……」
真田さんが控えながら謝罪の言葉を口にする。
「申し訳ございません。全てはこの真田に責任がございます。」
「・・・・・」
重苦しい沈黙が流れ、それを断ち切るようにファムが
「とにかく、2人共、服を着なさいな。」
言われてハッっとしたのか、のそのそと服を着る2人。
「いってぇ、どうしちまったんだ? おめぇら?」
ハイドラも困惑の色を隠さない。
服を着終わるのを見届けて、ファムが腕組みしながら問い質すように言う。
「真田さん。何もここまで…」
その時、和人が言った言葉がワルキューレを凍りつかせる。
「まっまって、真田さんだけじゃ悪いわけじゃ…」
胸にすがり付いてたワルキューレがバッっと離れ、和人の顔を見る
「和人様!」
同時に真田さんが改めて
「いえ、婿殿に責任はございません。全ては真田の責任でございます。そうですね。婿殿」
「姫様。婿殿をそそのかしたのは、この真田でございます。」
「ちょっちょっと真田さん」
ワルキューレはひたすら腹立たしかった。
ウソでも良いから(自分は悪く無い)と言って欲しかったのだ。
「やさしいのね。時野君は」
「まあ、和人君らしいといえばらしいけどね。」
姉妹の言葉にさらに感情的になる
「イヤです。ダメです! 私は和人様のもの。和人だけのワルキューレ。だから和人様も私だけの和人じゃなければイヤ!」
「貴方がそう思うのは自由だけど、時野君にそれを押し付けるのは良く無いと思うけど…」
言った後
(しまった!)
と思ったが、後の祭りだった。
感情的になってる相手に正論は通じなかった。
「イヤ。絶対にイヤ。和人は… 和人は私だけのもの。・・・・真田さんどうしてなの?」
「・・・・・申し訳ございません」
明確な答えを出さない、真田さんに業を煮やしたように言い放った。
「出てって……」
「・・・・!」
「出てって。真田さん。もうわたくしと和人様の前に現れないで!」
真田さんの顔が蒼白になる。
同時に4人も驚きの表情は隠せなかった。
「……はい。かしこまりました姫様。」
部屋を辞そうとする時、それを止めるようにファムが語気を強めて言う
「貴方。何を言ってるのか、解ってるの?」
「そうだよ。ワルキューレ。真田さんにも事情があるんだろうし…」
「そうだぜ、おめぇも今まで、どれだけ世話になったか…」
姉妹達の言葉を和人の胸に顔を押し付けたまま聞いたワルキューレだったが、返事はしなかった。
「あっ、あの… ワルキューレ・・・・」
和人が言いかけると
「許さない。絶対に… いくら真田さんでも… 真田さんだから……」
「ワルキューレ!」
「婿殿!」
真田さんが遮り、(よいのですよ)と言わんばかりに首を振った。
静かに一礼して部屋に戻った。
膝をついて、俯くと大粒の涙が畳に落ちる。
「姫様… 姫様。真田は不忠義者でございます。」
身を捩った時、和人の精液が溢れ太腿を伝った。
その時、自分のした事を改めて実感した。
主の夫となる男と不貞をしてしまった…
ワルキューレの今まで、どんな辛い時にも見せなかった表情と声。
全てが胸に突き刺さり、身体を引き裂く思いだった。
大声を出して泣きたかったが、それは後で、時野家を出てから思いっきり泣こうと思った。
唐草模様の風呂敷を拡げ、とりあえず必要な物だけを包み込んだ。
(残りは、姫様が居ない時に取りに来るか、リカ様にでも送ってもらおう)
風呂敷をもって、居間に向った。
居間の敷居の前で控え挨拶をする。
「姫様。長い間、お世話になりました。」
ワルキューレは和人の胸から離れず真田さんの方は見ない。
「ワルキューレ、おめえホントに良いのかよ?」
「・・・・」
ワルキューレの決意の強さを理解したファムが声をかける
「じゃあ、真田さん。わたくしの所に来なさいな。わたくしの侍女のなればよろしいのよ」
しかし、真田さんは控えながらも首を振った。
「お言葉は嬉しゅうございますが、この真田。仕えるのはワルキューレ様だけと決めております」
「その主君の恩を仇で返してしまった以上、わたくしがヴァルハラ皇家の方に仕える事は出来ませんし、許される事でもありません。」
「待って、真田さん。ボクだって…」
「婿殿!」
(それ以上は言うな!)
とばかりに遮り、穏やかに続ける
「よいのです。これで… 」
「姫様。本当に申し訳ございませんでした。そして改めて、今までお世話になりました。」
「姫様にお仕えできて真田は幸せでございました……」
時野家を出るまでは泣くまい。と考えてたが、涙が溢れる。
「今更わたくしが言える事ではないかもしれませんが、婿殿と仲良く、お幸せに……」
ここまで言うと、止まらない涙とは裏腹に言葉が詰まってしまった。
そこにスクーターに乗ったメームとイナルバがやって来た。
「それでは、姫様。これにてお暇させていただきます。」
最後の挨拶をした時
「お待ちなさい」
庭に駆けつけた二人が縁側で控えている真田さんとワルキューレに言葉を投げかける。
「事情は存じております。」
そしてメームとイナルバが顔を合わせ頷くと言葉を続ける。
「ワルキューレ。今回の事はメームとわたくしが真田さんに頼んだ事なのです」
「!!!」
ワルキューレが驚きの表情で姉達を見る。
そして、残りの妹達と和人も。
「いらぬ、お節介だったようですが、真田さんも貴方の為の良かれと思ってした事です。真田さんを恨むなら、わたくし達をお恨みなさい」
ワルキューレは事を理解したのか、声を絞り出すように
「真田さん。どうして、言ってくれなかったの?」
「それは出来ません。姫様。わたくしは姫様付きの侍女でございますが、同時にヴァルハラ皇室侍女長でもございます。」
「わたくしごときのせいで、大事なご婚礼前にお姉妹方が恨み合うなんて事はあってはならない事です……」
真田さんが顔を上げて声にする。
「ワルキューレ、貴方の気持ちも解りますが、ここまでの忠義の者を切り捨てるのはいかがな物でしょう?」
「わたくし達が言えた義理ではないかもしれませんが、真田さんを許してやってもらえないかしら?」
「わたくし達もこの通り、謝ります。婿殿、ワルキューレ、そして真田さん。ごめんなさいね。」
2人は静かに頭を下げた。
「お姉様」
「・・・・」
「ああっ〜。お止めください。もったいないお言葉にございます。」
恐縮する。真田さん。
「いいえ。謝らなくてはならないのは、わたくしの方です。怒りに我を忘れて… 感情に任せて。訳も聞かず真田さんを… 」
「真田さん。ごめんなさい。 ごめんなさい…」
真田さんの手を取って詫びるワルキューレ。
そこへイナルバが、務めて冷たく言い放つ
「今回の件に関しては、ヴァルハラ皇室侍女長・真田に罪はありません。それで良いですね。ワルキューレ?」
「はい。」
「そして、その罪は、わたくしイナルバとメームにあります。」
聞いた全員が耳を疑う。
「おっお姉様!」
「そっそんな。御二方は…」
(反論は許さない)
とばかり言葉が続いた。
「それと、事情も確認せずに長年の忠勤の者を処断したワルキューレ。あなたもです。」
「はい。」
「そんな、姫様は…! 畏れながら申し上げます。姫様には…」
イナルバの目がキラリと光り、睨みつける。
「お黙りなさい!」
「ヴァルハラ皇室典範第25条。皇女は常に慈悲深く… に違反します。」
「待って下さい!」
「お待ち下さい」
和人と真田さんが同時に声を上げる。
「ボクにも責任があるはずです。ワルキューレに説明出来なかった責任が…」
さらに、真田さんが前に進み出て言う
「いいえ。婿殿、姫様を処罰するのはお止め下さい。 それならば、この真田が・・・・」
「代わりにと…?」
「さようにございます。」
しばらく考えるようにして、やがて目を開く。
「解りました。ワルキューレ処罰は真田さん。貴方に被ってもらいましょう。」
「ダメです。お姉様。わたくしが」
「そうです。」
真田さんが2人の方を向き
「よいのですよ。これで。」
決意の眼差しに言葉が出なかった。
「では、処分を言い渡します。ヴァルハラ皇家・侍女部隊・侍女長・真田」
「はい。」
「貴方の皇室侍女部隊・侍女長、及びワルキューレ付き侍女長の任を解きます」
「お姉様。それはあんまりです」
「姉貴、いくら何でも…」
ファムとハイドラが口を挟む、それを無視するように続ける
「その変わり… この度、地球人・時野和人様とワルキューレの婚礼により、地球に誕生する新たな皇家が誕生します。その新皇家付き侍女長に任命いたします。」
「なお、ヴァルハラ皇家侍女長は後任が決まるまで、前任者・真田が代行します。宜しいですね?」
ワルキューレ、真田さん、和人… そして、他の皇女達にいっせいに歓喜の表情が浮かぶ。
「ワルキューレ。貴方も異存はございませんね?」
「はい。はいっ!」
涙が嬉し涙にかわったワルキューレがうんうんと頷く。
「メーム。いえ、メーム様。この決定を認可して頂きたく、裁可頂けますでしょうか?」
「はい。承認いたします。後で書類を回して下さいな。それと、辞令も。」
「かしこまりました。」
2人のやり取りを無視するように3人は肩を抱き合い喜んでいる。
3人の輪にハイドラ、ファム、コーラスも加わる。
「コホン。これは処罰で降格人事なのですから、あまり喜ばないように。まだ終わってませんよ。」
皆がイナルバの方を見る。
「それと、この辞令は、時野和人様とワルキューレの婚礼後に発効します。それまでワルキューレ付き侍女長は前任者・真田が引き続き、その任に着きます。」
「異存はございませんね?」
「はいっ」
喜びの色を隠さない3人。(仕方ないわね)という顔をしながらも、よろしい。という感じで頷き
「引き続いて、メーム、イナルバの処分を申し上げます。メームイナルバは今回の騒ぎを起こした罪により、地球時間で3ヶ月の職務停止処分とします。」
「異存はございませんね?」
「ええ。ございませんわ」
メームがにこやかに答える。
「ではこの件はここまでと言う事で」
言い終わった所でハイドラが
「うわ〜っ ズルいぞ姉貴ぃ。単に仕事休みたいだけじゃね〜か」
イナルバとメームの目がキラリと光る。
「何なら、わたくし達が資格停止の間、貴方が代行しますか?」
「うへぇ! それはお断りだよ!」
ここに来てやっとライネが到着した。
「皆様、いかがなされましたの? どうなりましたの?」
「別にい〜んだよ。おめぇは知らなくても。」
「ん〜ま、失礼な!」
まだまだ日が長いが、辺りは既に茜色の日差しに包まれていた。
歓喜の涙を流し、抱き合って喜ぶワルキューレと真田さん。
それを暖かく見守る和人。
(婿殿。真田さん。ワルキューレをお願いしますね)
「ああ。資格停止になった事で、お仕事をする訳にも参りません。せっかくですから、婿殿の所のお風呂でもいただきましょうか?」
「それは結構ですわね。婿殿、お願い出来ますか?」
「ええ。喜んで」
和人がボイラーに行き準備を始める。
それを見たワルキューレと真田さんは手伝いに向う。
薪をくべる間も和人が、ワルキューレが、やさしい笑顔で真田さんに話し掛ける。
やがて、いい湯加減になり皆揃って入浴する。
「ワルキューレは時野君といっしょに入った方が良かったんじゃない?」
冷やかすファムに更に顔を赤らめるワルキューレ。
姉妹同士の騒がしくも暖かい語り合いを、和人が微笑ましく男湯で聞いていた。
風呂から上がり、皆が帰って行った。
すっかり暗くなった夜空を3人が縁側に座って眺めていた。
「真田さん。」
「はい。何でしょうか婿殿」
和人の方を向く真田さんに反対側のワルキューレが続ける。
「これからもよろしくお願いします。ず〜っと。…… ずっと!」
「はい。はい。」
また、涙が溢れてきた。
(ああっ。今回の事は何だったのでしょう? いえ、今はもうどうだってよろしいのです。)
(この真田の為に姫様も、婿殿も、そして皇女様方もお心を使って下さって・・・・)
(………)
(真田は! この真田は!! 宇宙一の幸せ者でございますっ!!!)
え〜。この真田のお話に長い長い間、おつきあい下さいまして、誠にありがとうございました。
これにて、このお話はお終いにございます。
ご当地・地球は日本の古からの習しにしたがい
「めでたし、めでたし」
しかし、この職人。最後の一行を書き終えた時
「う〜ん。ちょっと良い話にし過ぎたかな?」
とか申しまして
・・・・・・・
「侍女長、侍女長ってば。起きて下さい」
「?」
「そろそろお店、開けますから、番台の方よろしくお願いします」
(??? えっ… まさか・・・・夢〜!)
(そっそんにゃ〜!!!)
・・・・・・・
とか書き加える始末。
とんでもございません。
ヴァルハラ皇家侍女長のこの真田をさんざんひっかき回し、ドン底に叩き落して、
某国営放送のプロ○ェクトX並の奇跡の大逆転を演じさせて持ち上げておいて、夢オチにする事を考えたようでございます。
オニでございます。
そんな事、考えるまでもないのでございますが、モニターの前で5分も真剣に入れるか削除するか悩んでおりました。
… しかし、神様は見てらっしゃいます。
この職人めが小腹が空いたと言うのでカップ麺を食べようとした時、粉末スープが2コ入っていたかわりに、
液体スープが入って無い非常事態に陥ったのであります。
天罰でございます。ざまあみろ。でございます。
かくして夢オチという最悪の事態は回避出来ました。
はぁ〜。めでたし、めでたし。
それではまたの機会がございましたら、この真田のお話にお付き合いくださいますよう。お願い申し上げます。
お目汚し失礼いたしました。
え〜。
>>359でございます。
長々と失礼いたしました。
このお話は、元々「姫様・夫婦生活充実計画(仮) 〜たった一人の決死隊〜」とするつもりでした。
真田さんでは無く
「こんな事もあろうかと」
でお馴染みの本家・真田さんが活躍する某宇宙戦艦で本家・真田さんが活躍する話からタイトルを取りました。
しかし、
>>388さんからリク頂きました時にタイトルを今のにしたんですが、同時に話も長くなってしまいました。
メームとイナルバの会話に
>>389さんからリク頂きましたメームの話の伏線を入れたり。
リカのおなぬ〜話は、
>>391さんからリク頂きましたリカの話の伏線に。
また、これまでの真田さんとワルQの関係をぶち壊す為、ワルQが和人にのめり込ます必要があった為にワルQのエッチ丁寧過ぎになってしまったり。
このせいでワルQがただの色ボケみたいになってしまったのも反省です。
「めでたし、めでたし」
のセリフを言わせる為に紙芝居を使わせ、当初は「おしべ」と「めしべ」だけだった授業を増やしたり。
さらには、ファムだけ登場させる予定が、真田さんの晴れ舞台と言う事でネスティーを除く全員を出してしまったり。
他にもありますが、当初考えてた長さの3〜4倍の長さになってしまいました。
その煽りでメインの真田さん×和人のエッチが軽くなってしまいました。
バランスが崩れたというか。
ひとえに当方の技量不足でございます。申し訳ございませんでした。
次からはコレと比べると短くなりますが、決して他意はございません。
そして、
>>389さん。
次はメームの話の予定でしたが、先に
>>391さんのリカの話を先に行かせていただいてよろしいでしょうか?
尚、次の2作品は容量制限のようですので、次スレに移行してからでよろしいでしょうか?
ご連絡いただければ幸いです。
ではまた。
本当にお疲れ様でした!
最悪の事態も考えてただけに大団円でなによりです。
つ〜か真田さん生還おめ。
…本家真田さんネタに反応してしまった俺はこのスレ的にはアダルトチームなのかな…。
捻くれているオレとしては、修羅場展開を利用してワルキューがゴーストに変化してしまった!
って展開を期待していたが・・・
503 :
359:2006/02/10(金) 02:22:54 ID:urGDxC06
>>501さん。
感想ありがとうございます。
やはり真田さんは好きなキャラなんで、丸く収めました。
なんか、よしもと新喜劇みたいな展開になってしまいましたが。まあそれも真田さんらしいとも。
>アダルトチーム
まあ、この作品自体が対象年齢が高めに設定してあるでしょうから、それ程ではないのでは?
10代の方より30代40代の方の方がニヤッと出来るネタが多い作品ですから。
>>502さん
感想ありがとうございます。
そこまで、拡げてしまうと…
ワルキューレが主役の話なら出来そうですが。
シリーズのゴーストでは無く、ダークな姫様。って話なら行けるかも。とは思います。
暗黒面を引き出す鍵は秋菜じゃ無理っぽいですから、やはり真田さんかライネあたりでしょうか。
機会があれば、ご期待に沿いたいと思います。
それはそうと、今日2月10日は真田さんの誕生日ですので、可能ならば短いのを1本書きたいと思います。
>戦神伝説の作者氏
最近このスレを読み始めたのですが、戦神伝説がめっちゃ良かったです。
熱血、友情、愛と少年漫画に必要な要素は全て加わっていたし(笑)、最後の方はマジで興奮しました!
もうナにこれ3回は読み直してしまいました・・・
後付の補足説明で、さらなる戦神伝説ワールドに入りこめました。
なかなかご多忙との事らしいですが、第2部のデート編と純愛ラブラブH編も楽しみにしております。
書き方等もとても解りやすいですし、妄想もしやすいです。
それでは改めてGJ&乙です!!!!!
505 :
359:2006/02/10(金) 19:34:22 ID:85q288zb
では勝手ながら真田さんバースディ記念SSを行かさせていただきます。
トントントン
今日も長い1日が終わり、そろそろ寝ようと布団に入った時、戸を叩く音と同時にワルキューレの声がした。
「どうぞ、お入りくださいまし」
ガラガラと扉が開くと、パジャマ姿のワルキューレが枕を抱えて入って来た。
「真田さん。今日は一緒に寝てくれる?」
思いがけない一言に驚きの表情を隠さなかった。
今は当然のように和人と寝ているのだから。
「あ、あの。姫様。婿殿とケンカでもなされたとか…?」
恐る恐る聞く。
「いえ。今日は真田さんの誕生日でしょ? その事とか、昔の事を話してたら和人様が気を遣ってくださって… ダメですか?」
主人と和人の心遣いに嬉し涙が出そうになった。
「どんでもございません。狭い所ですが。どうぞ…」
少しはしゃぎ気味にワルキューレが布団に入って来た。
昔話をする2人。子供の頃、時々ワルキューレが甘えてきた事とかの話が盛り上がった。
「なつかしゅうございますねぇ。」
しみじみ言う真田さん。
「じゃあ、今日は昔みたいに「おねえちゃん」って呼んで良いですか?」
(ああっ! 何と言う甘美な響き。真田はぁ……!)
「い、いや、しかし……」
「ね。お願い。」
ヒョコっと布団から顔を出したワルキューレが微笑みながら言うと、もう拒否は出来なかった。
やがて夜も深け眠る事にし、明かりを消した。
「・・・!」
もぞもぞと布団が動きワルキューレが真田さんの胸に顔をうずめる。
「えへっ。おねえちゃんの体、あったか〜い」
「もう…」
しかし、次の行動が脅かせた。
ワルキューレの指が寝巻きの間に滑り込み、やわやわと胸を揉み出した。
「ひっ、姫様!」
ボタンが外され、胸をまびろかせ、指と舌で刺激する。
乳房と乳輪の境目を指で円を描くように撫で、やがて舌も…
しかし、乳輪や乳首には刺激を加えなかった。
いつまで経っても境目をいじるばかり。
(ああ〜っ姫様。 婿殿にされてる愛撫なのでしょうか?)
考える事も出来なくなって来た。
(そこじゃありません。もっと… 姫様、もっと……)
見透かしたようにワルキューレが言う
「どうしたの。おねえちゃん? んふふ」
もう片方の手が既にヌルヌルと蜜を溢れさせ始めている下半身に滑り込んだ。
「姫様!!!」
湿った卑猥な音をワザとさせるように指を動かす。
真田さんからは既に溜息か喘ぎか解らない声しか出なかった。
ワルキューレが手を出し、真田さんのに見せ、指を開くと、愛液が糸を引いた。
「おねえちゃんのエッチ」
「んふふ。でも、今日はおねえちゃんお誕生日ですものね。ちゃんとプレゼントしたげる。」
再び、手が忍び込み、もう片方の指と口がようやく念願の部分を責め立てた。
「ひっ、姫様〜っ!」
「ちょっと。真田さん。何寝ぼけてるのよ。」
「へっ?」
起こしに来たリカに抱きついていたのだった。
「ヘンな夢でも見てたの? うなされてるみたいだったし」
布団に股間を擦りつけていたせいか、ショーツが湿っていて、気持ち悪い。
それで我に返った。
「………はっ、申し訳ございません。」
(こっこれは、夢! そっ、そんにゃぁ〜!!!)
(やはり、世の中、そこまで甘くはございませんわよね。)
「はぁ……」
皆、何も知らないように1日が過ぎ夕方になった。
(期待はしておりませんでしたが…)
一抹の寂しさを覚えつつ、買い物から帰った真田さんを皆が出迎える。
「お誕生日、おめでと〜。真田さ〜ん」
クラッカーが鳴らされ、紙ふぶきが舞う。
「皆様…」
言葉に詰まる真田さんを主賓席に案内してささやかながらパーティーが催された。
(ありがとうございます。皆様。この真田は嬉しゅうございます)
パーティーが終わって寝ようとしても、今日の嬉しさがこみ上げて来て眠れずにいると
トントントン
と扉を叩く音がして、開かれた。
そして、パジャマ姿のワルキューレが枕を抱えて入って来た。
「真田さん。今日は一緒に寝てくれる?」
・・・・・・おしまい。
512 :
359:2006/02/10(金) 19:48:25 ID:85q288zb
え〜。皆様の厳しいご意見・ご感想。お待ちしております。
では。
>>512 GJです。
真田さんの誕生日なんて初めて知りましたよ。
ベリーGJ&乙です。
真田さんエロいです。
これは百合ですね・・・
でも個人的にはやっぱし、和人×ワルキュあたりが大好きです。
とりあえず純愛が一番ですよ!
次に書くときは糖分をもっと多くしてくださると嬉しいです。
それでは改めて自分語りスマソ
515 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 15:47:47 ID:3VnyJiOP
職人様
メーム様の話を希望した者だが、リカの話が先でも構いませんよ
516 :
359:2006/02/11(土) 18:56:55 ID:V066oLLq
>>513さん
感想いただきありがとうございます。
誕生日は公式ページにあります。
22歳だそうで。
実はワルキューレがそれ位で真田さんは27〜8位と思っておりました。
>>514さん
感想いただき、ありがとうございました。
まあ、真田さんの誕生日プレゼントですので(夢ではあるが)
>糖分をもっと
さようでございますか。もっとあまあまをご希望ですか。
とりあえず、リカの話、メームの話が控えてます。
リカの話は糖分が一切無しのビターな話でメームの話はフルーツのようなスッキリした甘さを予定してます。
よろしければお付き合い下さい。
また、その間、その後に他の職人様のお話がなければ勉強させていただきます。
その時は改めてリクエスト下さい。
>>515さん
メームのお話リクエストいただき、改めてお礼申し上げます。
今489KB。500KBで容量制限に引っかかるらしいですので、次スレに移行次第リカの話。その後に他の職人様がおいでにならなければメームに語ってもらいます。
今、しばらくお待ち下さい。
それでは。
517 :
450:2006/02/11(土) 20:47:22 ID:4AeT42Iq
500KBでなく512KBだったかも知れないけど。どっちにしろ制限も近そうなので次スレいっときますか。
>>359氏
文章投下が主旨のスレなんだから、1レスが長くて制限容量に達する分には問題ないと
(私は)思いますよ。短くてもそれはそれで問題ないでしょうけど。
しかし、そうか…真田さんはおねえちゃんだったのか…
よくもまあ、大きい姫様にそう呼ばれて迫られた真田さんが途中で悶え死ななかったもので。
519 :
359:2006/02/11(土) 21:24:58 ID:/4UM2Yzz
>>450 >>517さん
新スレ立て、乙でございます。
1つが長いとだれる気もしますので、最近のような感じで行かさせて行きたいと思います。
と言う事で、
>>391さんからリクエストいただきました、リカの話は新スレで明日からでも。
今日はこちらで埋めの意味で、1本。秋菜の短編(?)を行かせていただきます。
もしかしたら、
>>501さんあたりは気付かれるかもしれないネタですが。
では。
「秋菜で〜す。ヒック!」
「ハイドラだ! っておめぇ飲んでるのかよ?」
「ま〜ったく。ふざけるんじゃないわよ。これが飲まずにいられますかって…ヒック」
「何言ってんだよ。おめぇは」
「良いから聞きなさいよ!」
「へいへい。聞いてやるよ。んじゃ、スタートっつ事だ。あっエロはね〜みたいだぜ」
あたしは、ワルキューレ(ワるきゅーレ)がキライです。
ワるQは無知で、礼儀知らずで、気分屋で、前向きな姿勢と無い物ねだり。
本能とワガママで生きている。
甘やかすと付けあがり、ほったらかさなくとも悪乗りする。
変身後も白い肌、サラサラの長い髪、控え目な性格、その割に自己主張し過ぎな大きい胸の無神経さ。
あたしはハッキリ言って貧乳です。貧乳です。
努力のそぶりも見せない。忍耐のカケラも無い。皇女の優雅さも、しとやかさも何にも持ってない。
そのくせ、変身後の慈悲深そうなあの態度。
見合いがいやで逃走し、和人を轢き殺し、いつも羽衣町の問題児。
そんなお荷物みたいな、そんな宅急便みたいな、そんなワルキューレ(ワるきゅーレ)がキライです。
あたしは思うのです。
この世からワルキューレ(ワるきゅーレ)がいなくなってくれたらと。
あたしと和人だけならどんなに良い事でしょう。
あたしはワルキューレ(ワるきゅーレ)に産まれないで良かったと、薄い胸を撫で下ろしたわよ!
あたっ…! あたしはワルキューレ(ワるきゅーレ)がキライよ。 うん!
ワルキューレ(ワるきゅーレ)が世の中の為に何かしてくた事があるでしょうか?
いいえ! ワルキューレ(特にワるきゅーレ)は常にあたし達の足を引っ張るだけよ!
身勝手で、…む、胸がデカい!
ケーキ、ポテトチップ、モロQ、スパゲッティ、オムライス。好きな物しか食べたがらない。 キライな物には蓋をする!
泣いて済むと思ってる所がズルイ! 家事以外はそつなくこなす変身後もズルイ!
何時の間にやら既成事実ばかり作って、学校にも行かずブラブラして!
自分で問題起こしておいて、最後は変身して解決!
あの世間体を気にしない目がイヤよ。 あの計算しない、悩みを知らない目がイヤよ。 目が不愉快なのよ。
何が天真爛漫よ! 何が無邪気よ! 何が、星目がちのつぶらな瞳で「私は和人様のワルキューレ。(和人だ〜い好き)」よ!
そんなワルキューレ(ワるきゅーレ)の為にあたし達は何もする必要はないのよ!
第一、あたし達がそうした所で、ワルキューレ(特にワるきゅーレ)が役に立った事がある?
だったらいいじゃありませんか! それならそれで結構よ!!!
ありがとう。 ねっ! あたし達だけで刹那的に生きましょう和人。ねっ!
ワルキューレ(ワるきゅーレ)はキライよ。 ワルキューレ(ワるきゅーレ)が大嫌いよ!
はっ離してよ! あたしは和人の幼馴染で全日本巫女選手権・優勝の七村秋菜よ!
誰が何と言おうと、あたしはワルキューレ(ワるきゅーレ)がキライよ。
あたしは! 本当に!! ワルキューレ(ワるきゅーレ)が嫌いよ〜〜〜!!!
522 :
359:2006/02/11(土) 21:49:19 ID:/4UM2Yzz
仕事に使う資料を探してたらカセットテープが見つかったんで、聞いてみたら、↑の元ネタでした。
発作的に作ってしまいました。
すみません。すみません。も〜しません。
と一通り謝ったところで……
このネタはライネか秋菜にしようと思ったんですが、ライネは小ワルはともかく、大ワルにはここまでの感情を抱いてないだろうと思い、秋菜にしました。
皆様の厳しい、ご感想、ご意見。お待ちしております。
乙でございます。
元ネタがわからんのでアレですが、秋菜コエェ…。
まぁ、確かに小ワルは我が儘三昧っすからね(笑)
酒飲んだ時に漏れた本音ブースト状態ってことで…でも納得するには強烈過ぎる…。
真田さんもよかったけど戦神伝説の第二部を待ってる俺ガイル
525 :
359:2006/02/12(日) 20:17:16 ID:Yx8FbXXD
>>523 ありがとうございます。
元ネタは伊武雅刀(当時は雅之。ヤマトのデスラー総統)さんの曲(?)です。
「子供達を責めないで」で検索すれば歌詞とかはお解りになると思います。
音楽ダウンロードサイトだと200円位で落せると思われますので、よろしければ聞いてみてください。
>>524 実は、当方も期待してます。
こちらに文章を書こうとした時、戦神伝説のようなキャラを使ったオリジナルを書こうとしてました。
ここを知って、戦神伝説を読んで、(オリジナルばっかりじゃアレかもしれんから、設定に忠実なのにしよう)
とか思って書いたのが始まりですので、あそこからどう展開するのか是非読みたいですね。
526 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 20:09:56 ID:mtiasDib
死ねぇいアベックども!穢れたバレンタインデーをブチ壊すため、しっとマスク参上!!
/し, / _>.
/ { \レ/,二^ニ′,ハ
|'>`ー',' ヽ._,ノ ヽ|
|^ー'⌒l^へ〜っ_と',!
__ ! u' | /
/´ ̄ `! ヽ | u' , イ
| `にこ匸'_ノ |\_!__.. -'/ /|
ノ u { _.. -―| :{ ,/ / \
. / l | __ / ̄ ̄`>'´ ノ' ´ {、 \
/ |/ {'´ `ヽ. " ̄\ U `ヽ. __,,.. -‐丶 u ヽ
| / ヾ、.. } u' 〉、 } `ー''´ /´ ̄ `ヽ '" ̄\
! :} )「` ノ、 ノ l\"´_,,ニ=-― <´ ヽ{ ノ( `、 |
l 、_,/j `ー一''" }, ノ , '''''"" \ ヽ ⌒ヾ v |
ヽ _ / } {. { l ┌n‐く ヽ/ ``\ ノ
`¨´ `¨¨¨¨´ ̄`{ 0 `'^┴'ー┘|ヾ }、 u' ` --‐r'′
>1 男がしっとに燃えるとき しっとマスクを呼ぶ合図
>2 素顔は誰だか知らないが しっとの心を仮面に隠し
>3 しっとパワーに炸裂だ!しっとビームはアベック倒し!しっとファイヤーはアベック焦がす
>4 行くぞ我らのしっとマスク もてない男の希望の戦士
>5 しっとマスクはしっとの王者
>6 男がしっとに叫ぶとき しっとマスクはやってくる
>7 素顔は誰だか知らないが しっとの心を仮面に隠し
>8 しっとパワーが全開だ!しっとパンチでアベック倒し!しっとビームでアベック壊す
>9 行くぞ我らのしっとマスク もてない男のしっとの味方
>10 しっとマスクはしっとの王者 愛と正義としっとの味方
>11-1000 しっとマスクはしっとの王者 しっとの王者 しっとの王者
埋め