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GJ!!!&乙
630 :
メリー:2005/05/23(月) 00:06:14 ID:toptQe14
>>621-624/626-629様
感想dクス。
受けがいいと次が書きたくなるものです。
ネタ自体はまだ考えてませんが、地価うちに載せられいいなぁって
思ってます。
それから
>>629様
魚子ちゃんGJ!
そういってもらえると待ってる身としても嬉しい。次も期待してますよ
仕事帰りにこういうのあるとホント嬉しい
>>620乙&GJ!!!
633 :
メリー:2005/05/23(月) 00:48:58 ID:toptQe14
>>632様
びっくりマークみっつ分の価値があったかどうか。
でも喜んでいただけでよかったデス。
>>620氏
お疲れさまッス&GJッス。
ちょっと本文おかしいところあったような気もしますが、その辺は解るからスルーの方向で(w
次回作を期待しております。
635 :
メリー:2005/05/23(月) 05:12:37 ID:78O6WZ5v
>>634様
スルーしてくれてありがとうッス。
期待されすぎても困りますが、がんばるっすよ!
・・・全員にレスしなくてもイインダヨ?とりあえずぐじょぶー
637 :
梢の四人の人格が出てきた@隆士:2005/05/23(月) 17:38:39 ID:jGi1aukq
僕は朝目が覚めるといつもの自分の部屋に居た。
「ん、もうこんな時間か朝ごはん食べに行かなくちゃ」そう言って自分が入っている布団からモソモソと這い出てそのまま食堂に向かった。
食堂に向かう途中このアパートの大家さん、青葉梢ちゃんが居たので声を掛けた。
「やぁ、おはよう梢ちゃん」僕がそう言うと梢ちゃんがいきなり僕の背中を叩いてきた。
「おぉ!おっス白鳥!今日も天気が良いな!」
僕は「へ?」となりながらその言動を聞いてすぐに思い出したように言った。
一応ここまでです。次は他の三人が出る予定です。
638 :
梢の四人の人格が出てきた@隆士:2005/05/23(月) 20:13:34 ID:m644oVv9
「もしかして…沙紀ちゃん?」
僕が尋ねると「あったりまえよ!久しぶりだな白鳥」
なぜか沙紀ちゃんは顔を背けながら返事をした。
(?なんで顔を背けるんだろう?なんか顔が赤いし)
「そっそれより速く食堂に行こうぜ腹が減って今にも倒れそうだ!」
そう言うと沙紀ちゃんは僕に促し先に歩いていった。
(ん?今のは…棗ちゃん?)僕がそう思っていると急に近くから声が聞こえた
「隆士…君…沙紀…ちゃん…こんにちわ…」棗ちゃんは珍しく自分から声を掛けてきた
「おう!棗、おっす!」「こんにちわ棗ちゃん、珍しく積極だね」
僕と沙紀ちゃんが挨拶すると「早く…朝…ご飯…を食べに…行こう…よ」
・梢ちゃんの苗字は『蒼』葉。
・沙紀ちゃんでは無く『早』紀ちゃん。
・
>>638下から二行目、『積極』には『的』を付ける。『積極』だけでは使わない。
・sageろ。
…本当に21歳以上?
・
>>638上から五行目、>それより速く食堂に この場合は早くが正しい。
勝手に追加
これは無いな
643 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/23(月) 21:39:50 ID:LK0EhCOH
まほらばの愛は伝わったがどうも厨房の文にしかみえん。
まぁ、最初はこんなもんだって
気を落とすな
>>637、コレをバネに精進してくれ
>>637-638 色々言われてるけどみんな期待してのアドヴァイスだ
これからガンガレ
646 :
それから:2005/05/23(月) 22:28:06 ID:n+aRKoSS
僕の鳴滝荘入居から6年が経った。
元々課題をやる時間を増やすために上京したのだが、結局居ついてしまった。
まあ、この場所が好きだからなのだけど。
この7年間、あまり変わった事は少ない。
桃乃さんの彼氏がやってきたりとか、朝美ちゃんが高校を卒業して就職したとか、
珠実ちゃんの写真展が開かれたりとか、灰原さんがジョニーなしで話したりとか、
まあ実際色々あったけど、みんな6年前と変わらない暮らしをしている。
まるで、家族のように。
実際、家族のような付き合いだけど。
僕は、専門学校にいた頃に応募したコンクールに入賞したおかげで、絵本作家の道を順調に進んでいる。
あまり聞かないが、どうも至る所で僕の絵本が売れているとか。
たくさんの子供達に僕の絵本が読まれるのなら、それは本望だ。
そして、梢ちゃんはというと、今も僕の恋人だ。
いつ見ても、梢ちゃんはほんわかとしている。
それは昔から変わらないようだ。
多重人格の賜物である早紀ちゃん達も相変わらずだが、最近気になることもある。
どうも、他の人格が出る頻度が減っているのだ。
ショックに対する耐性がついたのか、あるいは―――――――
僕は、そんな梢ちゃんが大好きだ。
出来るなら、これからもずっと側にいたい。
でも、それは果たして叶う夢なのだろうか……………?
12月のある日。
段々と寒くなる中、珍しく暖かい、晴れた日だった。
その日、鳴滝荘にいたのは、僕と梢ちゃんだけだった。
他のみんなはと言うと、みんな年末に向けた買出しに行ったようだ。
特に黒埼親子は、年末の特売セールに気合を入れていた。
この貧乏性も昔と変わらない。収入が増えたと言うのに…(泣き
そんなわけで、僕達はお留守番だった。
次に発売する絵本のプロットが大体まとまったので、気分転換に中庭に出てみた。
梢ちゃんがいた。
「あ、白鳥さん」
「こんにちは、梢ちゃん」
「今日は暖かいね…部屋にこもっているのが勿体無いくらいだ」
「あ、お茶淹れてきますね」
「うん、ありがと」
縁側でお茶を頂く。梢ちゃんのお茶は格別だ。
「あー…まったり」
「本当ですね…」
本当に、こうしていると気分がいい。仕事の事も忘れられる。
こんなやりとりも、もはや日常の一部だ。
「…………もう5年か」
「はい?」
「僕達が付き合いだして」
「…もう、そんなになりますか」
「うん」
なんと言うか…長かったような短かったような。
でも、それが大切な日々だった事には違いない。
「…いつまでも、こんな日々が続くのでしょうか…」
「え?」
「白鳥さんと…皆さんと一緒に過ごす日々が続くのでしょうか…」
「梢ちゃん…?」
「私は、所詮アパートの大家だから…
皆さんがここを出ると言ったら、止める事は出来ません…。
でも、私は…好きな人とは…一緒にいたいんです…いつまでも…」
梢ちゃんの寂しそうな顔。
涙。
僕は―――そんな顔を見たくない。
梢ちゃんの涙を見たくない。
梢ちゃんが悲しいと…僕も悲しくなってしまう。
だから―――梢ちゃんには、悲しい思いは、させたくない。
一生、させたくない。だから―――
「好きな人とは一緒にいたい…でも、それは、私のわがままだって―――」
「―――梢ちゃん!もう言わないでいい!」
「…白鳥さん…」
僕をじっと見つめる、梢ちゃんの瞳。
その瞳は、蒼い。
どこまでも、どこまでも―――深い、蒼。
「梢ちゃん―――――――結婚、しよう」
「―――白鳥さん―――!」
「結婚して…この、鳴滝荘という<大切な場所>で、いつまでも暮らそう。一緒に」
言った。
伝えた。
僕が、この五年間抱いていた想い。
それを今、梢ちゃんに伝えた。
「―――はい、こちらこそ…宜しくお願いします」
12月21日。
梢ちゃんの、23回目の誕生日。
僕達は、籍を入れた。
六年たっても白鳥さんか・・・進展ないなぁ〜
チューぐらいしたのか( ´3`)
梢ちゃんは―――蒼葉梢から、白鳥梢になった。
結婚したといっても、住居が同じなのだから、変わった点はそれぐらいだった。
僕の部屋は、2号室から管理人室に移ったが。
披露宴は――当然、鳴滝荘で開かれた。
勿論、住人・知人を交えての大宴会となった。
桃乃さんは相変わらず酒盛りを繰り返す。この人も変わらない。彼氏の前だと言うのに…
心配していた珠実ちゃんは、笑って僕達の事を祝福してくれた。
そして、泣いて梢ちゃんを抱きしめた。
梢ちゃんも――また、泣いていた。
今更ながら、二人の友情を感じた瞬間だった。
しかし、変わったことが一つ。
梢ちゃんの―――他の人格が、結婚を境にぴたりと出てこなくなった。
どんなに激しいショックが起きても、梢ちゃんは梢ちゃんであり続けた。
まるで、計ったように。
珠実ちゃんは「病気が治ったんだ」と喜んでいたが…
僕は、手放しには喜べなかった。恐らく、珠実ちゃんも。
乱暴で心優しい彼女。子供の想影が残る彼女。服に凝る彼女。手品が上手い彼女。
彼女達に―――もう、二度と会えない。
僕の心に、まるで大きな穴が出来たようだった。
652 :
メリー:2005/05/23(月) 23:28:56 ID:sZzcUD+m
いい感じで面白いです。未来を考えるのは難しいのに、
ここまでちゃんと考えられるのは簡単ではないでしょうし。
GJ!
まだ寒いが、段々と暖かくなってきた2月。
出版社で絵本の打ち合わせをして、僕は自宅である鳴滝荘に帰って来た。
玄関を開けると、そこに梢ちゃんがいた。
「あ―――」
「お帰りなさい、隆士さん!」
どーん、と、ボディアタック。
あまりの不意打ちに真正面で食らってしまい、地面に頭をぶつけてしまった。
「いたた……」
あれ?
この感覚。
昔、どこかで…
痛いけど、とても、懐かしい―――
「あ、ごめんなさい隆士さん。大丈夫ですか?」
「うん…ただいま。にしても、今までで一番痛い出迎えだね」
「ええ…なんか、嬉しくなっちゃって」
頬に人差し指を当てる梢ちゃん。
その仕草が、何故か魚子ちゃんに見えた―――
まさか―――そんなことが有り得るのだろうか…
いや…もしかしたら―――
僕の予感は、当たっていた。
二人で買い物をしていると、可愛い服を見つけては、梢ちゃんは「Correct!」と口走っていた。
子供同士の喧嘩を見かけては、割り入って喧嘩の仲裁をする。
さらには、どこで学んだのか僕にトランプマジックまで披露してくれた。
そう―――彼女達は―――梢ちゃんの中で、生き続けていたのだ。
赤坂早紀。金沢魚子。緑川千百合。紺野棗。
梢ちゃんから生まれた彼女達は―――ちゃんと、梢ちゃんの中にいたのだ。
蒼葉梢―――白鳥梢は、5人で、初めて1人なのだ。
そのことを確信した瞬間、僕は涙を流した。
ああ―――みんながいる、と。
彼女達が、全員揃っている、と。
それは、久々に故郷に帰って来たような感覚だった。
大切な彼女――否、彼女達が、僕の側にいる―――
僕にとって、かけがえのない彼女達が―――
心に空いた穴が、ようやく埋まった瞬間だった。
春がやってきた。
それは、今までと違う、新しい春。
ずっと変わらないけど、毎年毎年、かけがえのない春。
鳴滝荘もまた、変わらない。
今日は、花見を兼ねた宴会だ。
「ちょっと白鳥クーン、急ぎなさいよー。ご馳走が冷めちゃうわよ〜、ヒック」
「おい恵、もう酔っているのか…」
「桃さん早すぎです〜」
「オイ、俺達を待たせる気か?」
「お兄ちゃん早く〜」
「…水ようかん持ってきて…」
「隆士さーん、皆さんお待ちかねですよ〜」
「うん!今すぐ行くよ!」
この6年間、変わらない事実。
それは、みんなが鳴滝荘を愛している、という事。
この古いアパートが、僕達の<大切な場所>である、という事。
それは、これからも、変わらない―――
例えここを出ることになっても、僕達はまたここに集うだろう。
「ごめんくださーい、空き部屋があると聞いてきたんですが〜…」
この物語は、これからも続く。
僕の、家族以上に大切な人達がいる限り―――
そして、この鳴滝荘という場所が―――
僕達の<まほらば>が、ある限り。
<<Heartful Place>>is Happy Happy End...
キターーー(゜∀゜)ーーー!! GJ(ゴッドジョブ)!!
初めて二次創作を書きました…
なんか「まほらば」最終回テイストになってしまいました。
少し足りない部分や不満もあるかもしれませんが、そこはご容赦を。
想像よりも長編になってしまいました。
二人の関係と鳴滝荘をもっと描いていたらもっと長くなっていたかも…
まあ、楽しんでいただけたら幸いです。
それでは。
いい最終回だった
660 :
メリー:2005/05/24(火) 00:18:00 ID:NDtjcNX9
>>658 GJ!
全員がうまくまとまっていて、面白かったです。
その日は物凄く遅く目が覚めた。
いつものように夜中まで桃乃さん達に付き合わされていたんだけど、早紀ちゃんがいたのはきつかった。
さぁて起きよう、と思い布団から出ようとした。
したのはいいのだが、布団の中で誰かがしがみついている。
寝起きの状態の僕はわけがわからなかった。
少し強く体を起こそうとした。
するとそのしがみついている人に思いっきり引っ張られ、僕はまた布団の中に入ってしまった。
少し寝ぼけていた僕だったが、ようやく周りの状況がわかってきた。
とりあえず今わかっていること。
早紀ちゃんが思いっきり僕の体に抱きついている。
そして少し酒臭い。
僕が寝た後も飲んでいたのだろうか?
僕は少し笑った。
以前早紀ちゃんはいじめられていた男の子を公園でしかった時があった。
あの時と一緒で、僕は早紀ちゃんの寝顔を見て改めて思った。
早紀ちゃんはとっても優しい女の子なんだということを。
僕は、そっと早紀ちゃんにキスをした。
優しい梢ちゃんも好きだけど、人をうまく導いてくれる早紀ちゃんも僕は好きだから。
そして僕は早紀ちゃんを抱いて、再び眠りについた。
意味不明駄文スマソ
ちょっとなんとなく書きたくなったので。
>>658 乙&GOOD JOB!
_、_
(,_ノ`) n
 ̄ \ ( E)
フ /ヽヽ//
>>658 ぐじょーぶ!
まほらばスレはこういうのが読めるから大好きだよー。
>>661 こっちもぐじょーぶ!
早紀ちゃん……(*´Д`)
職人さん方に触発されて久々に何か書こうとしたら
思っていた以上に腕が鈍っていて愕然とした件について。
そうだ、旅に出よう……(´ノω・`)
>>658 激しくGJ
なんとなくバックに「さくらのうた」流しながら読んだら涙出てきた・・・
アンタ最高や!
666 :
650:2005/05/24(火) 01:18:33 ID:uvfC1KME
>>658 最終回テイスト(・∀・)イイ!!
投稿途中でレス入れてごめんね。
とてもよかったデスよ
>>661 早紀ちゃんの寝顔(;´Д`)ハァハァ
667 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/24(火) 04:17:48 ID:LWkdzK+C
>>658氏
素敵と言うか最高と言うかここはもう他の方々と同じくとりあえずはGJ!!!!
千百合ちゃん風に言うとまさしく「Correct!」な作品です。
>>661氏
GJッス!!
今自分もちょっとしたもの書いてるけど……
他の人達のを見るとドンドン自信を無くしていくなぁ……
時期的にちょっと上げづらいが、そこをあえて上げてみる。
ってなわけで、
エロ無し・ちょっとどころかかなり傲慢展開的棗超リスペクトSS
「終わりの始まり」
始めます。
梅雨も中盤にさしかかったある夜。
隆士は期末課題に手をつけ始めていた。
「…ですよ。隆士さん。」
「うん、分かった。」
からになった夜食の器を手に、梢が白鳥の部屋の前を後にする。
その姿を見送りながら、ふと
(…そういえば、あれからもうどれだけ…)
隆士は考えた。
隆士と梢が恋仲になって、すでに幾月か。
梢は恥ずかしいのを押し切って、ようやく下の名前で隆士を呼ぶ事に慣れてきた。
隆士はといえば、珠実の嫉妬と恵の冷やかしに、ひたすら耐える日々。
でも、することは済ませているし、これから先、余程の事がない限り一緒に居るんだろうなとか思える雰囲気になっていた。
と、ここまでは、若く初々しい「一生やってろおめーらw」的な恋人同士である。
だが、隆士はそう気楽にしてもいられなかった。
(…他の「娘」たちはどうなっちゃったんだろう)
隆士は、梢の病を我が身の如く心配している。といっても、梢自身は病の存在をも知り得ない訳だが。
その病が、ここ数ヶ月でやんわりと激変しているのを、隆士はとても気にかけていた。
(早紀ちゃんは1ヶ月、魚子ちゃんは2ヶ月、千百合ちゃんに至ってはもう3ヶ月半も出てきてないってことか…)
他の人格が現れにくくなったのだ。
今までのように、多少のショックを与えられたとしても、人格が変わる事は少なくなった。
本来、梢の身を案じる上で、これは喜ぶべき事なのかもしれない。
ここまでを見ただけでは、「症状の改善」と取っても良いぐらいだ。
でも、隆士は逆に心配の度合いが濃くなっていった。
他の人格に会えない事を、憂いでいる訳ではない…。
数十分経って、
「…隆士くん、いる…、かも?」
隆士の部屋を、誰かがノックする。
「…棗ちゃん?」
隆士がドアーを開けると、そこには棗(梢)の姿があった。
(…まただ)と、隆士は心の中で呟いた。
梢の病は悪化していると取らざるを得なかった。
早紀たちが現れなくなった代わりに、棗がかなり頻繁に現れるようになったのだ。
それも、ショックを与えられることなく突然に、だ。
しかし、棗の元々の性格なのか、鳴滝荘の外ではそういうことはあまり無い。
その分、鳴滝荘の中では、むしろ棗の人格で居る方が、多いような気もする。
先日などは、鳴滝荘の玄関を閉めた瞬間に、棗の人格に変わってしまうということもあった。
それくらい、梢の病は急変しているのである。
「棗ちゃん、どうしたの?」
隆士は、できるだけいつもの笑顔を見せた。
「(ぽんっ)…なんでもない…、かも……」
一本だけ花を咲かせて、棗はうつむいた。
「…中、入る?」
「うん…。」
棗は、少しだけ顔をあげて、頷いた。
棗を部屋の中に招き入れる。ほんのりと梅の香りがした。
部屋に入ってもうつむき加減のままでいる棗が、
「棗ちゃん?どうかした?」
「…」
「黙ってちゃ分かんないよ…。ね、どうしたの?」
「うん…」
棗は少しづつ話し始めた。
674 :
「終わりの始まり」:2005/05/24(火) 05:27:26 ID:LWkdzK+C
「あのね。…。また、変な夢みたの。男の人と女の人が、喧嘩をする夢。それを見てると、何だか悲しくなるの…」
「…いつも見る夢?」
「うん…」
棗の顔が、どんどん下を向いて行く。
「…大丈夫?」
「だ……じょう……う…、か……」(大丈夫、かも…)
言っている事とは裏腹に、棗は下降状態にある。
「でも…、ね。なんか、見てると、悲しくなるし…、なんか、「ごめんなさい」って…、気持ちになるの…。」
今にも棗は泣き出しそうな顔をしていた。そんな顔を、隆士に見せまいと、棗は顔を背けた。
だから隆士は、棗にいつもしてあげてる事をした。後ろから、身体を左手で抱きしめ、右手で頭を撫でてやる。
「はぅ…、隆士…くん…」
「こうして欲しいんでしょ?ね?」
「…隆士くん…(ほう」
棗はほっとしたのか、頭を隆士に預けた。
「隆士くん…」
「なに?」
「しばらく…、こうしてて…、良い…かも?」
「いいよ」
「……………(ほう」
675 :
「終わりの始まり」:2005/05/24(火) 05:29:03 ID:LWkdzK+C
病状が悪化しているのだとしても、棗が頻繁に現れる事自体を、隆士は悪く思ってはいない。
棗が頻繁に現れてくれる事で、棗とのコミュニケーションの取り方も分かってきた。
棗も隆士を恋人ととして受け入れる事ができた。正面向いて話す事に支障もなくなり、棗自身、隆士を信頼している。
隆士に対してなら、会話する事も苦ではなくなり、少しづつではあるが、すらすらと話すようになった。
肌と肌が触れあう事も許容できるようになり、実際に棗の状態で何度か肌を重ねてもいる。
でも、隆士には気になる事があった。
棗の人格が現れるたび、棗は決まって「いつもの夢」の話をする。それを話す棗は、何だか今にも折れてしまいそうな感じなのだった。
その夢が一体何を意味するのか、どんな意味を持つのか、隆士には分からないし、棗は他の誰にもこの事を話していないため、他の住人に相談する事も躊躇われる。
隆士は、一人で悩んでいる状態だった。
つづく
676 :
つづく。:2005/05/24(火) 05:29:22 ID:LWkdzK+C
ここまでッス…。
…すいません。「脇役天国」ならぬ「能書き地獄」になってしまいました…。
とりあえず、こんな感じで書いていきます。
…来週までに続き書けるかなぁ…。臨時の夜勤が入らぬ事を願い、今朝の一限目を諦めて就寝します。では。
>>658 GJ!やばい、二次創作のSSよんではじめて涙でたかも・・・。もう最高すぎ!
>>661 GJ!早紀ちゃん(*´Д`)ハァハァ
>>676 GJ!続きが気になる・・・。棗ちゃん可愛い(*´Д`)ハァハァ
>>658 電車の中だけど思わず涙ぐんだ。
良い物を読ませて貰ったよ。ありがとう。