【妖怪】人間以外の女の子とのお話12【幽霊】

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91妖魔夜行世界でオリジナル
「ん…」
真紀はスルスルと手馴れた仕草で、哲晴の学ランとワイシャツのボタンを外す。
無数の刺し傷のある肩がスルリとあらわになると、ギュッと抱きつき、アーンと口をあけてカプッと噛みつき、牙を突き立てる。
「っつ…」
すっかりお馴染みになったチクッとした痛みに、哲晴はちょっと眉をしかめる。
真紀はそのまま口を離さずに牙を引き抜き、ジワリとにじみ出る血を舐める。
柔らかな舌にチロチロとくすぐられて、哲晴の身体の芯にゾクゾクとした感じが呼び起こされる。
幸か不幸か、そのままグングンと高まりそうな感覚は、ときどきおこるズキッと傷口を舐める感触で押し下げられる。
と、今度は別の感覚に注意が行く。
「んくっ…、ちゅっ…、んくっ…」
牙の跡からにじみ出る血をペロペロと舐め、ベットリと唾で湿らせ、チュクチュクと啜り、ンクンクと飲み下す。そして時折、フッと息をついく。
その音が、なんか妙にイヤらしい。
耳から意識を引き剥がすと、今度は鼻に意識が行く。
サラッとしたセミロングの髪から立ち上る香が、フッと鼻をくすぐる。
鼻の次は肌だ。
スレンダーなはずなのに、服越しに押しつけられた真紀の身体は、妙にフニャフニャと柔らかい。
彼女のホワホワとしたぬくもりまで伝わってきて、そろそろ身体が我慢の限界に近づいてくる。
このままだと、反応してしまう、そんな微妙なタイミングで真紀はようやく口を離した。
92妖魔夜行世界でオリジナル:2005/04/29(金) 01:25:22 ID:or3RqS28
「ぷはぁっ…。ふう、ご馳走さま」
チョコンと牙ののぞく血色の唇、それを濡らす命の滴をチロリと舌で拭う。
そして紅玉の瞳の猫のような吊り目を細めて、ニッコリと微笑む。
「ん〜。やっぱ哲晴の血が一番甘い」
ジットリと唾液で濡れた肩口を、ハンカチでそっと拭いながらふと感想を漏らす。
「甘いのか? 普通しょっぱいと思うけど」
彼女の身体から意識を逸らそうとして、どうでも良い事を話題にしてみる。
「甘いよ。ボクがそう言うんだから、間違いない」
いつもの、『ポーの一族』の影響を受けた少年っぽい口調で、真紀は断言する。
「ふーん。やっぱ吸血鬼の味覚ってそうなんだ」
「違うよ。キミの血だから甘いんだよ」
真紀は即座に答えて、同じ背丈で哲晴を、至近距離からジッと見据える。
ドキリと哲晴の心臓が跳ね上がり、身体がカチンと硬直する。
心の中でくすぶっていた、さっきの残り火が、ボッと燃え上がる。
「試して、みる?」
そのまま、グイッと怪力で引っぱられ、いたずらっぽい笑みを浮かべた真紀の顔が、グッと視界一杯に広がる。
そして、唇にフワリと柔らかく、シットリと濡れた感触がした。
濡れた感触は、口の中に素早くそっと侵入して、じかに血の味を伝える。
永遠の様にしっかりと、一瞬のように儚い感触が唇に残る。
「ね。甘い、でしょ?」
吸血鬼のそれとは違う魅了の魔法を使って、彼女は微笑んだ。