1 :
名無しさん@ピンキー:
大海千夜子
健一のクラスメイトで現在の彼女。
いちおうつき合っているが、いまだにHなし。
桑畑綾
謎の芸術家、健一とのH回数いまだに5回。
胸を揉んだり、一緒にお風呂に入ったり、
一緒に下着を買ったりする仲。
有馬冴子
H依存症なのか?
しないと眠ることができない少女。
健一とのH回数は∞回?暗闇でしかHはしない。
絹川蛍子
なんと、弟である健一とが初Hであったことが判明!?
ぶっきらぼうだけに、何考えているかよくわからない?
窪塚佳奈・日奈姉妹
姉の佳奈と妹のシーナ。
健一との姉妹ドンブリはあるのか、本当?
本スレ
新井輝ROOM NO.1301他 鈴璃さまは撲殺チック
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1103040332/
ナンバー1風俗嬢の私が
>>2ゲットさせていただきますっ♪
__、-'''^~~~^`''ー、
_、'~-i/~^~^~^''ヽ:::ヽ、 >1 童貞なの? 私にすべて任せてネ♪(アーマンドクセー!)
/''~"::i~~^^`''`:::、:;;;;ヽ、;ヽ. >3 お仕事は? そう、フリーターなの。(定職につけよ!)
i;;/;i''~'i、ヽ:ヽ;:::ヽ;ヽ:ヽ;ヽ;;ヽ >4 ア、ゴメンねー。マンコに指入れないでねー(これだから童貞は…)
i:i:i::i: ヽ::ヽー、--、、;ヽ:ヽ;;;ヽ >5 この時間だけは私はあなたの恋人よ♪(今だけな。ププッ)
i;、;、i_、-‐ヽ`'^ '、_;`ヽ;;ヽ、;;;ー-‐'ノ >6 わぁースゴク大きいのね!(ケッ、短小がぁ)
i;;;;ヽ i'`、; , ´ i;;:;`i''''ー''"´ >7 えっ? もう出ちゃったの?(しかも早漏かよ)
i::;;;::ヽ." `__ i::;::/::|::|::|、 >8 あ、大丈夫よ、まだまだイケるわよね?(皮ブ厚いな、コイツ…)
i:: ::: iヽヽ、_ ,/';/:;:;::i::;i::;、i、 >9 ほら、もう勃っちゃたよ!(節操ネーナ。ププッ)
,,i::;;::;;;:i i''ヽ;i~"´ ,/"/i;;:::;;:;iヽi、 >10 趣味は何?えっ?萌えアニメ? フーン…
/´~ i ヽ、|'i、 iヽ、 __、-~ヽ'、_//i: ヽ
i ;i ノ;; ;iヽ;ヽ i''ノ 、'~/; ~^'ー_ >11-1000 けっ、キモヲタは萌え絵でオナってろよ!カス!
| /;i i、 ;;;i、ヽ,,、-''~´ i ; / `'ー、
| _/;;;-‐‐i:::i‐''~''`´ ::/" i´ ヽ
ラノベエロパロスレで出るのを期待してたけど出なかったなあ・・・
単独スレは相当厳しいと思うが。
しかし、ホタルはエロイ。
せめて、新井輝総合にでもすればそれなりに生き残れるだろうに・・・
作品自体非常に良くて、もちろんエロ妄想も喚起される内容なんだが。。
知名度がorz
妄想?
作品そのものがエロのような・・・
8 :
名無しさん@ピンキー:05/03/01 00:42:06 ID:QOylWdmy
ぬるいエロゲ風ではあるな
>>6 >口コミでいまや大人気! 喪失した愛の探求の物語、早くも第5弾!!
だそうだ。
地道な布教をすれば、知名度は上がるようだぞ?50万部は無理だろうけどさ。
というか、富士ミス自身を扱っていない本屋が多いのが致命的な気がするが...
この口コミって2CHとかラノベ書評サイトとかだろうなー
読んだらエロさがわかるのに読まれないのが富士ミスクオリティ
読んで判るのが面白さじゃなくてエロさ。
それがROOM NO.1301クオリティ。
しかし、親に見つからずに日々バカップル状態の絹川姉弟が見てみたい。
同感だ。
直後でばっさりというのは、そら話の展開上では必要かもしらんけどもったいないったら……!
でもバカップルと言うよりは肉欲の奴隷状態な気がするのはワシだけかの?
>>13 今まで我慢していたホタルがはじけちゃって、奴隷になる健一。
でも、手をつないで近所を歩くようなベタベタなカップル生活を
望んでいる気がするが>ホタル。
とりあえず地道にリクをあげていくか‥
・冴子との「明るいのは恥ずかしいから」プレイ
・つばめとの「親友の彼氏だけど‥」
・窪塚姉妹ドンブリ
>>14 夜には補正のかかる健ちゃんに勝てる女はいないと思うが…
健ちゃんは絶倫
保守
冴子で書いてくれませんかい
健ちゃんになりたいとです
健ちゃんカコイイ
健一だけがなぜもてる
冴子イイ
実は四発が健一の限界だ
25 :
名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:27:27 ID:knUFRXDV
新刊age
新刊あんまりエロくなかった
新刊出たのか…
やっぱり、ホタルの抜けた穴はでかい。
エロはシーナしだいだな。
今回はえっちいらなかったと思うがどうか?
なんか無理やり入れたっぽいよね。
というか健一くんも無理やり入れさせられた訳ですが。
ワラタ
タワラ
うん
え?
ほ
しゅ
ほ
し
ゅ
ほ
し
作者本人が痴漢プレイを書いてしまった件について
激しく保守
冴子分が足りない
;
>>44 そうだ!そうだ!
2巻以降、えっちな冴子が描かれていないぞ。
どこぞの年増は言いから、冴子を出せ。
23
保守
激しく保守
50 :
パタリロ:2005/05/08(日) 16:00:03 ID:NDshM8l9
50ゲット
あー、冴子が乱れているシーンを読んでみたい。
最近,冴子の影が薄いよ。千夜子の方が目立っているよ。
hosyu
ひょっとして最下層?
ageたほうが良いのかしら。
sage
最下層記念禿
保守
保守
保守
保守
お前らそんなに保守が好きなら保守と結婚してしまえー!!
ついに保守を擬人萌化するときがきたというわけか
>61
残念だが、保守萌えネタは既に別スレで実現済みだ。
23
dy
づlt
djty
冴子×健一でお願いします。
冴子最高
健一が目を覚ました時、外はまだ暗かった。
視線を隣に移したが、そこにいる冴子はまだ寝ている。
(そりゃそうか……)
スズメの鳴き声が聞こえるから、多分もう朝が近いのだろう。
が、陽が昇っていないことに変わりは無い。ならば普通は寝ていて当然だ。
なのに何故自分はこんな時間に起きたのかと言えば……
「疲れてたからよく眠れたんだろうな」
我ながら情けない呟きである。
昨夜、またもや綾とシーナに襲われた。
正確に言うならばいつも通りの綾の行動にシーナが悪ノリしただけで、
初めて二人がかりで襲われた時――と言っても、冴子のおかげで未遂に終わった――に比べれば軽いものだった。
とは言え自分の性格では軽く流せるわけもなく。
結果として、健一は必死で二人の魔の手から逃れるべくエネルギーを消費するハメになった。
…………本当に情けない。
「……絹川君?」
冴子の声で我に帰る。今の呟きで目を覚ましてしまったらしい。
「あ、ごめんなさい。起こしちゃいましたね」
「……気にしないで。それより、お腹空いてる?
ちょっと早いけど、せっかく起きたんだから朝ご飯作ろうと思ってるの。……絹川君の分も作っていいかしら?」
「あ、僕がやりますよ。有馬さんまだ眠そうじゃないですか」
「いいの。このくらいだと体を動かして目を覚ました方がいいし」
言うが早いか立ち上がり、冴子はそのまま行ってしまった。
彼女の言うことはまったくだとも思ったが、顔色を見るにこちらを気遣ってくれただけだろう。
(とりあえず追いかけよう)
そして立ち上がった。全裸で。
(…………その前に、とりあえず服を着よう)
冴子は台所にはいなかった。手前のソファーでぐったりしている。
――くれぐれも言っておくが、健一と違って彼女は最初から服を着ていた。裸エプロンなんてマニアックなことは断じて無い。
コンロの火がついているところを見るに、お湯が沸騰するのを待っているのだろう。
「有馬さん、やっぱりもう少し寝た方がいいですよ」
「大丈夫よ。眠気が尾を引いてるだけだから……」
(……おかしいな?)
なんだか違和感がある。
こちらの申し出を拒否するところはいつも通りと言えばいつも通りなのだが、断り方がおかしい。
普段の冴子ならもう少し違う断り方をするはずだが、今日は何と言うか――態度があからさまだ。
「すいませんけど、調子が悪いのは見てわかりますよ。
もしかして風邪か何か引いたんじゃないですか?」
「そういうわけじゃないわ。自覚する限りでだけど、風邪なんか引いてない」
「じゃあやっぱり眠いんですか?」
「さっきそう言ったじゃない」
「あ……すいません」
昨夜といい今朝といい、どうにも情けないというか間が抜けている。
しかも今ので口を開くタイミングを失ってしまい、仕方なく冴子の発言を待つ。
「起きた時はね、大丈夫だったの。
まだ眠かったけど、起きたって言うほど覚醒してたわけでもないから寝なおせたはずなの」
「……え?」
「けど、その、絹川君が……あんなこと言うから、ね…………」
突然冴子が口篭る。
――あんなこと?
記憶の糸を辿ってみた。と言っても、起きてから口にした言葉と言えば……
『疲れてたからよく眠れたんだろうな』
――疲れてたから よく 眠れたんだろうな
――疲れてた から 眠れた
――疲れてた から
――疲れてた
――疲れて
――疲れ…………
「その……疲れてた、って言うから……」
冴子が言わんとしていることを理解するのに約5秒。
それと同時にご本人が恥ずかしそうに説明を添えてくれてしまったのでこちらとしても恥ずかしい。
(昨夜から僕は何か呪いでも受けてるんだろうか?)
情けなくなったり間抜けな立場に立つのは今に始まったことではないが、ここまで密度が高いのは久々だ。
「…………」
首を伸ばして覗き見た冴子の頬は赤かった。
完璧に誤解なのだが、今はそれを口にすべきではないと思った。
冴子が寝足りないことに変わりはないしそれを解消する方法が増えるわけでもなし。
というか言ったところで何も解決にならないと判断した。
判断して――とりあえずこれが最良と判断して――まともじゃなくなった。
後ろから冴子を抱きしめてこちらを向かせる。
「あ……」
ほんのわずかの間冴子の体が硬くなるが、こうなることを望んでいたのか予想していたのかそのまま身を委ねてきた。
軽いキス。
赤くてやわらかく、それでいて冷たい唇を味わった後、舌を滑り込ませる。
「んン……ちゅ…………」
「っ、はぁ……れぅ」
少しだけ荒くなってきた息遣いのまま互いに舌を絡めあい、そのままの体勢で冴子が右腕を首に絡めてくる。
それが固定されると同時に今度はこちらの両腕を離し、冴子の服の中に潜り込ませる。
「ん……あ、はぅっ」
ぴくぴくと身体を震わせる冴子の頬は高揚し、眼はすっかり潤んでいた。
それを見てどうしようもない興奮を覚え、愛撫を強くする。
「あふっ!?んぁっ、ひゃ、ちょっ……!
絹があぅっ!絹川く……ンッ」
何か言おうとする冴子の口を唇と舌で封じ、彼女の弱いところをより重点的にかつ激しく愛撫する。
強く瞑った両目から溢れる涙がさらなる興奮を呼び、片手を下の方へ動かそうとして――やめた。
(今日は舌と胸だけで徹底的にやろう)
冴子の表情を見るうちにそんな決定を自分に下す。
ここまでそれで通してきたので、他の攻めを使うのはなんとなくもったいない気がしたのだ。
それに少ない箇所を重点的に攻めた方が、行為が終わった後の冴子が眠りやすいんじゃないかと思った。
平時ならこういう時だけ変に冷静になる自分に情けなくなるのだろうが、今の自分はまともじゃない。
よって知ったこっちゃない。
「――っ!はっ、んぅ――っ!!」
そうして攻め続けているうちに、冴子が軽く達した。けどまだ休ませない。
一度愛撫を止め、冴子が呼吸を整えようとしたところで再び舌と指を動かす。
「っ!?ゃふっ……ふぁ――はあんっ……!!」
「やっぱり間抜けだな僕……」
冴子を布団に寝かせた後、げんなりした表情で呟く。
視線は自分の股間に向いており、ソレは見事なまでに自己主張……というかもはやSOSを主張していた。
冴子をイかせることにばかり集中し過ぎたせいで、自分の方の処理を完全に忘れていたのである。
気付いた時には冴子は熟睡しており、おかげで健一は一回も射精出来ず、脈打つたびに鈍痛に襲われていた。
行為に熱中し過ぎてテンションが昂りすぎたせいか自慰行為程度ではおさまらず、先ほどからずっと悶え続けている。
「そりゃ確かに主目的は有馬さんを眠らせることで、それは果たせたわけだけど……これはきついよな…………」
呪いというのはあながちはずれてもいないのではないだろうか?
綾とシーナに追いかけられ、それが理由で早起きして、それに関する呟きで冴子が勘違いして、
そのため冴子の目が冴えて、眠らせるために行為に及び、そして今ではS・O・S。
すべては昨夜の騒動で繋がっていた。
「考えてみたらこれってかなりまずい状況なんじゃないか?」
自分ひとりではどうしようもないのだが、助けを求められそうな13階の住人は……
綾:論外
シーナ:無理
冴子:熟睡中
刻也:この上なく相談しにくいし、したところでどうにかなるとは思えない
誰もアテに出来ない。
しかも股間の救難者は興奮状態が鎮まりそうにない。
とは言え、いくらなんでも熟睡している冴子を叩き起こして襲ったり、眠らせたまま挿入するなどということが出来るはずもない。
もしも今、綾やシーナに襲われたら間違いなく屈してしまうだろう。
というかこんな状態じゃ欲望に耐えれたとしても逃げられない。
「どうしよう……」
昇ってきた朝日が慰めるように健一を照らした。
哀愁を引き立てただけだったが文句を言う気にもなれなかった。
終了。じゃ逃げる。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
どうか続きを‥
この調子で増えていけば最高ですな
G・J
またよろしく
81 :
69:2005/07/08(金) 22:22:00 ID:iTe27Vex
今さら気付いたがなんつーレス番から貼ってたんだオレ…… イヤ、ネラッタワケジャナイヨ?
続きをとか言われても、2chで小説投下すんのも本気で小説描写するのも(しかもエロ描写まで)初めてなモンで
勝手とか書き方とかわからんのだよなー……あんな感じでもいいのか?
続きは適当に考えてるがどうにもエロに持っていけない。
期待はしないでくれ。つーかお前さん方も書こうぜ!
そもそも原作の雰囲気のせいか、本編設定を捻じ曲げるのに抵抗があって冴子以外との絡み浮かばないんだが……オレだけか?
もうこの際エロなくてもいいよ、うん
>>81 別に設定を捻じ曲げなくても、本編で書かれていない濡れ場を補完すればいいのではないかと。
という訳で半泣きで「もっとゆっくり」と懇願する#3〜#4間の蛍など妄想してみたり。
書き上げられるかどうかは不明ですが。
男キャラが健一くらいしかいないのが難点だな。
大海兄なんてどうでもいいし‥
ツバメ陵辱、なんてどうでしょ?
ただ健一ではムリがある。
むしろツバメ痴漢とかならOKなんじゃないかね。
綾さんが、思い出しただけで吐く程の痴漢ってどんな凄い事されたのかも気になるなぁ。
>ツバメ痴漢
ソレダ( ・∀・)9m
痴漢にあったつばめが必死に耐えるのがいい
ほしゅ
89 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:36:29 ID:dPaAR2SQ
という訳で夏コミ用原稿からの現実逃避に書いたツバメ痴漢SSを投下します。
ツバメに思い入れのある方は、スルーしてください。
90 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:38:23 ID:dPaAR2SQ
やだ、これって痴漢?
ぎゅうぎゅうのすし詰めになった満員電車の中、押し潰されそうな身体を人と人の隙間になんとか滑り込ませて駅に着くまでの時間を我慢する。
鍵原ツバメにとって、それは慣れてしまえば毎日の事で今更その事に文句を付けるつもりはない。
目の前の壁みたいな大人の男の人の背中。そこへ胸を押しつけてしまうのは流石にためらわれるから、両腕を前に鞄と肘で密着しない様に気を使っている。
今日は場所が悪かったのだろうか。
後ろから押し潰されそうになりながら混雑への罵倒を心の中で並べ立てていた時に、後ろの誰かが動いた気配がした。
初めは、ただ鞄か何かがお尻に当たっただけだろう、と楽観した。
こんな風にお尻に当たるそれが動いているのは、きっと何かの間違いで、それにもうしばらくすれば電車は駅に着く。
何回か痴漢に遭った事はあっても、ただ触られるだけでこんなあからさまに動かれる事は今までに無かったから、怖くなってしまった。
お尻のラインをなぞっていく掌。
丸みを確認している様なねちっこい動き。背筋に鳥肌が立った様な悪寒がする。
『う、が、我慢すれば、その内に駅に着くん、だし』
スカートと下着、シャツの端布。たった三枚の布地の上からお尻を撫で回される。
静まりかえった電車の中、話し声などなく、誰も彼もが不機嫌そうな顔をしながら黙ってこの苦行に耐えている。
ガタンゴトンと電車の走る音だけがうるさい。空調の音も大きい。
だけどその中で大声を上げて、後ろの痴漢を撃退しようとするのは、かなり勇気が必要だ。何より、私は痴漢をされる様な人間ですと大声を出すのは、かなり恥ずかしい。
「ぁっ、ゃ」
喉から声を出そうとして、掠れた様な小さな声しか出ない。
91 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:39:02 ID:dPaAR2SQ
身体が強張る。
お尻の割れ目に指を差し込まれる。たぷたぷと柔らかい肉を弄ばれる。
それでも、まだスカートの上からだから我慢できた。
心の中で沸き上がる憤りと裏腹に、身体に力が入らない。
いや、力が入りすぎて動かせない。
『ひゃっ?!』
声は出なかったと思う。
スカートをめくりあげられて、その下の太腿に直に触られる。
ザラザラした、大きな手が素肌に貼り付く。
そのまま内股の方に潜り込んでくる。
『え、え、え、え?』
そのまま、何の遠慮もなく股の間まで到達し、下着の上から触られる。
『嘘』
思考が停止する。
膨らみ始めた怒りは一気に萎んで、代わりに恐怖が沸き上がる。
掌全体で左の方のお尻を撫でられる。右手、なのだろう。スカートに差し込まれた腕が静かに動き始めている。
小さな下着の薄い布の上から、まだ誰にも触らせた事のない場所を硬い指がなぞっていく。
何か別の生き物が蠢いている様な、生理的な嫌悪感。
見ず知らずの痴漢に、身体の一番デリケートな部分をまさぐられている。
『や、やだ、やだよう』
逃げようと思っても、ぎゅうぎゅうに押し込められた車内は逃げ込めるスペースなどどこにもない。
周りには見知らぬ人間ばかり。
せめてその手から逃げようと腰を動かしてみても、ぴったりと貼り付いて離れない。
「ふぁっ?」
下着の上から、閉じた唇みたいに柔らかい其処を指先で撫でられた。
上から下へ、下から上へ、単調でしつこい動きは変わらないのに、指が割れ目の上の方まで来た時、それまでとは全く違う感覚が弾ける。
92 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:42:21 ID:dPaAR2SQ
『やだ、そこ、ちが』
クリトリスが女性の気持ちいいトコだというのは知識として知ってはいたけれど、実際
に試してみた事はなかった。
強くはなく、優しいとさえ言える手付きで同じ所を何度も弄られる。
「……っ」
声が漏れない様に唇を噛みしめる。
気持ち良くはない。ただ怖くて気持ち悪いだけなのに、下着の底が湿ってきている。
汗とは違う。
それは下着に染み込んで、動く指でにちゃにちゃと音を立てられてしまう。
もう、頭が上手く働かない。
現実感が消え去り、自分が何をされているのかもわからなくなってくる。
段々と電車のスピードが落ちている。
空調の音がうるさく、電車の走る音が小さくなっていく。
『あ、駅、だ。終わるんだ』
呆っとした頭で日常の感覚が戻ってくる。
いつもより時間の進み方が遅いような早いようなあやふやな頭で、濡れた下着の感触と
、まだ股間で蠢いている指を意識してしまう。
『早く、早く着いて、そうすれば』
「ただいま、○○駅での人身事故により、しばし停車させて頂きます。お客様にはご迷惑
をおかけしますが、もうしばらくお待ち下さい」
「ぇ?」
そんなアナウンスに、周りのお客がざわざわと静かにどよめいている。
そして私は一気に顔から血の気が引くのを感じていた。
膝がガクガクと震えている。
『あ、れ?』
そして意外にも股間に宛がわれていた手が抜かれていく。
ぬるりと内腿に残った感触が、その痴漢の指が濡れていたのを教えてくれる。
93 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:43:18 ID:dPaAR2SQ
まだぴったりと肌に貼り付いている下着は残っているけれど、もう痴漢行為は終わった
んだと、安心してしまった。
それがいけなかったのか、足下がふらついて後ろに倒れかけた。
満員電車だから、実際に倒れられる程のスペースなんて欠片もない。だから、私は真後
ろに居る痴漢の胸の中に体重をかけてしまう体勢になってしまった。
いけない、と思っても足に力が入らない。
最悪な事に、スカートはまくり上げられたまま。そして腰の後ろに男の腰が当たり、異
様に熱いソレが存在を主張している。
ズボン越しでもそれが男の性器だと、わかってしまった。
『嫌っ』
今度はその長い腕が腰を伝わって前へと回ってくる。
とっさに鞄を持っていない方の手でその左手を押さえる。
「ゃ、めてくださぃ」
自分でも信じられない様な掠れた小さな声しか出ない。
ゴツゴツとした痴漢の腕は恐ろしい位に太く、力も全然叶わない。
逆に自分の右手首を掴まれて、抱き寄せられてしまう。
『千夜子ぉ、助けてよぅ』
今度は痴漢の右腕が前に回ってきて、腰骨を伝ってスカートの中に滑り込む。
下着の裾を指で確かめながら、ゴムの端を指で引っかける。
ぬちゃり、と音を立てて下着が引きずり下ろされる。
「ゃっ……ぁ!」
声を出そうとすると、捕まえられた右手がみしりと強い力で握られる。
跡が残りそうな程に強く、そのまま骨が折れてしまうんじゃないかと怖かった。
スカートも下着もなくなってしまったお尻に、ズボン越しとはいえ男の性器が押し当て
られる。
逃げようと身じろぎした所で前に回された掌が股間へと潜り込んでくる。
下着越しではなく、直接に弄られる。
開きかけた女性器を指の腹が撫でていく。ゴツゴツとした指は硬くて痛い。
それでも濡れてしまっているそこを掻き回されると、くちゃくちゃと汚い音を立てられ
てしまう。
身体の奥にその水音が響いてしまう。
94 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:44:02 ID:dPaAR2SQ
はぁはぁ、と頭の上から荒い息が耳にうるさい。
スカートの下で、視線が通らないからか、触られる感触がやけに敏感に感じられてしまう。
むき出しにされたお尻に押しつけられる熱くて硬い塊。
クリトリスと膣口の間を執拗に往復している指は、時々滑って後ろの穴にまで伸ばされる。
粘液が絡まり滑りの良くなったそこを念入りにほぐされていく。
襞の一枚一枚を捲り擦られて、下腹部に押し当てられた掌はまだ薄い痴毛をゆるゆると
撫で回している。
痛みとは別の何かを掻き出されてしまいそうで、怖い。
『早く、終わってよぅ』
その祈りが届いたのか。
がくんっ、と電車が動き出す。
その衝撃で、ぬる、と膣口に指先が引っかかる。
「っ!」
私の指より長くて太くて、処女膜が傷つけられないか怖くて、身体が竦む。
男が覆い被さってくる。
背中がより大きく密着する。
「う……っ!」
ドクドクっとお尻の辺りで熱い何かが弾けている。
射精しているんだと気付いて、涙が出そうになった。
緊張が途切れた様な痴漢のため息が耳許でうるさい。
お尻が濡れていそうで、早く離れて欲しいのに、何もできない。
95 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:45:16 ID:dPaAR2SQ
その痴漢は、それから私の濡れた下着をそのまま穿かせると、何事もなかったかの様に
電車から降りていった。
情けない事に、私は怖くて痴漢の顔を確認する事もできなかった。
惨めな想いを堪えながら、駅の女子トイレで股間を拭う。
処女膜は無事だったけれど、自分が酷く汚れてしまった気がして、少し吐いた。
『下着、どうしよう』
この夏は本当に、最悪だと思った。
96 :
ツバメ痴漢SS:2005/07/20(水) 04:46:41 ID:dPaAR2SQ
最初の方でちょっと読みにくくて申し訳ない。
でわでわ。
_、_
( ,_ノ` ) n
 ̄ \ ( E) グッジョブ!!
フ /ヽ ヽ_//
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ぜひとも続きを‥
99 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 05:15:23 ID:UBUOG9Tn
下がりすぎ、age
というか淡々としてて良いな。
保守
もしかして、ここ、住人は4人位しか居なかったりするんだろうか、と悩んでしまう。
4人「も」いるのか?
誰も点呼を取らないというのは、まさか真実を恐れてのことではあるまいな。
ノシ
えーと、ツバメSS書いた本人っす。
夏コミ原稿は無事終了。ジャンルも作品も違うので見つかる事はないと思う。
男性向けの小説というのは同じだけれども。
にしても毎日やって飽きさせない健一くんはどんなテクニシャンなんだろうなぁ。
冴子は健ちゃんと肌を重ねるだけで満足なんですよ?
なんと言っても寝れるし。
まさか、ホントに二人しか居ない、とか?
一日三回は最低でも発射するって、どんな体力なんだろう。
絶倫って言葉が相応しいやねぇ。
過去10レス中2回カキコしているが...3人かな?
108 :
69:2005/08/12(金) 09:33:53 ID:w8bMoEek
」´ ̄`l
T¨L |
>>104 `レ ̄ヽ 原稿うpよろ
| i__1
___r'⌒ヽ_ _ /_ノ |
/ l、__,/}:: L__j | イ
(T´ | ゝ_ィ>};;_.」. |. ノ
! `''ァ、. \__} | . |
〈`^`¬ノ . :〔 |ーi |
,... -- |__イ-、_j|_: . ヽ、 __〉 { --.,,__
´ rニト, フ ,ゝ__ 〉 'ー‐┘ `
└-'´ '.-”
とまあ半分冗談半分本気な戯言はさて置き、ここにも一人いる(なんか規制に巻き込まれたらしく書き込めなかった)
前回の続き考えてたら笑えないスチャラカ話になってしまったので一時断念
別の話考え中。
そこで質問。
セリフとセリフ、セリフとナレーションの間の改行ってなくした方がいいかね?
>>108 改行は自分が読みやすいと思う形が一番かと。
ツバメSSの中の人っす。
>>原稿うp 2chで晒せる程の勇気はなかったりw
というか夏コミ新刊は鬼畜色が全くない内容なのでアレを期待するとがっかりするんじゃないかと。
>恋愛十八禁小説だし。
三日目の参加でとあるジャンルで、
個人で文庫本サイズの小説同人誌なんて出してるのはかなり少ないんじゃないかと思うからこれ以上は勘弁。
ほしゅー
冴子とやるときは、電気を落とすけど、部屋はホントに真っ暗で
何も見えないのかな?それとも外灯や月光で少しは見えるのかなぁ?
目隠しプレイ?
113 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 22:56:45 ID:wqb+Iwbm
暗闇じゃ視覚は使えないだろうから触覚で冴子を認識していたから
健ちゃんは、終クロの尊秋多学園の生徒会長のごとく、手で空中に
冴子の体を描けるに違いない。
スマン。ageちゃった。
流石だぜ健ちゃん
冴子に目隠しをして、こっそりと部屋を明るくしてからやる、みたいな健ちゃんを見てみたいな。
>116
……そんな慣れた健ちゃんは偽物だと思う。
わざわざ目隠ししなくても、寝てしまった冴子を視姦する、位ならできそうな気が。
うわ、眠ってる冴子に悪戯するなんてどんな鬼畜な健ちゃんだ?
眠ってる冴子を三つ編みにしたりポニーテールにしたりする
鬼畜外道極まりない健ちゃん
健ちゃんは今のところ誰も好きになっていないんだよなぁ。
そのうち
「僕は、有馬さんを追いかけずにはいられない。有馬さんを失えない。
あなたのことも好きだけど、有馬さんと決着をつけないうちは、あなたに
恋することはできない。」
とか言う展開になるだろうか?
121 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 21:09:51 ID:tWBu9ktw
age
なに、そのわたしたちの健ちゃん
捕手
新刊発売間近期待保守。
窪塚姉妹との3p展開をやらかしてくれるかなぁ。
ところで綾さんのひとりえっちってどんな風なんだろうね?
SS投下するぜ、本当
エロ要素なんて一切ないぜ、本当
本当に期待するなよ、本当
126 :
プロローグ:2005/10/01(土) 21:09:38 ID:FKOGEJwi
『僕に文学は向いてない』
作家、新井輝は相変わらずだった。
けれど、どういうわけか世間では自分の作品の評価がうなぎのぼりで、自覚はなくても今や
日本を代表する文豪の一人として祭り上げられているらしい。先日も『裏切り』という題名の
作品で直木賞を受賞したばかりで、今日はそのお祝いをしたいからと九条鈴璃に呼び出された
のだ。
「直木賞、おめでとう。それと久しぶりね」
九条鈴璃もあの頃とちっとも変わっていなかった。『ROOM NO.1301』を書いていたときか
ら時間が止まってしまったかのように。
「ありがとう。でも皆のおかげだし」
「そういうとこ、相変わらずね。でも凄いよね。文学史上に不滅の光を放つ歴史的傑作だって。
私、読んでて鳥肌が立っちゃったわよ。人はこんなにも残酷に仲間を裏切ることができるのか
って。あれ、実体験を基にしているんでしょ?」
鈴璃は読んだときの興奮が蘇ったみたいに手振りを交えて話し出した。そんな彼女の仕草に
新井は懐かしい思いに浸らずにはいられなかった。
「私、たまに自慢しちゃうこともあるんだよ。私はあの新井輝の書いた作品に出てたんだぞっ
て。あとがきで作者を撲殺しておいて、なにを今更って思うかもしれないけど。私は『ROOM
NO.1301』に出ていたことを誇りに思っているんだよ」
遠い昔を慈しむように鈴璃は遠い目をする。外見はあの頃と全く変わらないくせに、そんな
表情をみせる彼女がとても不思議に思える。
「だけど直木賞をとってから身に沁みて分かったことが一つあるんだ。僕に文学は向いてない」
「えっ、それってどういうこと?」
「結局、良くも悪くもラノベ作家ってことかな。僕には『ROOM NO.1301』を書いていた頃が
一番楽しかったんだ。だからもう、文学はやらない」
固い決意の込められた新井輝の言葉を聞いて、鈴璃は微かに蒼褪めたみたいだった。
「あんなに素晴らしい作品が書けるのに。『裏切り』を読んだ後、私は一晩中震えが止まらな
かったんだよ。どうしてこんな凄い小説が書けるんだろうって何度思ったことか」
「あれは、私怨で書いたから」
未練など全くない表情で、いや、正確にはあるのだろうけれど、少なくともその未練は文学
を書くことへの未練ではなく、ライトノベルを書きたいという気持ちによるものだ。
そのことを感じ取ったのか鈴璃はかえって清々しい表情で微笑んでくれた。
「そっか、書きたいものを書くのが一番だよね。でも、がっかりする人もいるんじゃないの。
私の周りでもあんたのファンは結構いたんだから」
「やっぱりこれも裏切りってことなのかな。でもま、ライトノベル作家としての新井輝を
待っていてくれる人もきっといると思うんだ」
「そこまで決心が固いなら私はもう何もいわない。ううん、むしろ応援させてもらうわ。
それで、次はどんな作品を書くの?」
「うん。『ROOM NO.1302』っていうマンションの一室を舞台にしたちょっとHな話」
「数字変えただけだしっ!」
128 :
プロローグ:2005/10/01(土) 21:11:39 ID:FKOGEJwi
「一応前作と舞台はほとんど一緒なんで健一とか、綾さんとかも出る予定だから」
「あ、それじゃ私にも出番があるってこと?」
「八雲とかシーナも出そうと思ってるんだ、もちろん有馬冴子も」
「ねえねえ、私は?」
「あとは千夜子にホタルに、ツバメ」
「ちょっと私・・・・・・」
「それからもちろん九条さんにも出番ありますから」
「ほんと!? やっぱ当然よね!」
「うん、あのあとがき、結構人気あったから九条さんはそこだけ登場します」
「そこだけ?」
「うん。そこだけ」
「それはつまりあれか? 本編には一切出せませんってことかぁああ?」
「・・・・・・そうなるんですかね、あはは」
「きええーーー」
「ぐぎゃー!」
新井は痛恨の一撃を喰らった。新井は死んでしまった。
担当K「これ、ぷろろーぐって書いてあるんですが」
新井輝「ま、たまにはあとがき風のぷろろーぐなんてのも斬新で良いんじゃないかなと」
何よりもシーナのことを応援しようと心に決めておきながら、千夜子に贈る曲の相談を
シーナに持ちかけるというのも何だかあつかましい感じがした。
しかし、自分ひとりの力でどうにかなるわけでもないので健一はハーモニカ片手に1305を
訪れる。前回の過ちを繰り返さないように扉を開ける前にきちんとノックをし、返事を待つ。
幸い着替え中ではなかったらしく、返事はすぐに返ってきた。
「おう、健一か」
シーナは相変わらずヤクザの事務所みたいな部屋ですっかり寛いでいた。
足を組み、ソファの背もたれに腕を回した姿勢で首だけをこちらに向けている。
柄の悪い大男がそういった格好を気取るならともかく、小柄なシーナがそれを真似ても
今ひとつ似合っていない。
それはそうと、健一はここに来た用事を思い出し、気を取り直した。
「実は相談があってきたんだけどさ」
健一はシーナの向かい側のソファに腰掛けて、千夜子に曲を贈るという約束したことを話し
始めた。
「それで、何かいい曲がないものかと思って相談に来たんだけどさ」
「くわー!」
シーナが仰け反って絶叫した。
「な、なに」
「それはあれか、君のために曲を作ったんだよ、なんて言って一気に彼女をその気にさせて
やろうってあれか」
「その気ってのがなんなのか分からないけど、たぶん違うと思う」
「いいや、違わないね。ちくしょう、のろけやがってっ」
まあ、のろけ話に聞こえてしまうのは仕方がないのかもしれない。それにやっぱりシーナに
頼ろうとするのは無神経だったと反省する。本当に千夜子のために曲を贈ろうというので
あれば、自分の力だけでするべきなんだろう。人を頼って事を済ませようとするのは真剣さが
足りていないせいだと思えた。
やっぱり僕に恋愛は向いていない。
健一は肩を落として力なく立ち上がった。
「どこ行くんだよ、健一」
「どこって、綾さんのとこだけど。綾さんがせっかく水着買ったんでプール行こうって
言い出して。今日はシーナに相談があったからプールに行くのは明日にしようと思ってたけど
今日の予定が空いちゃったし別に今からでもいいかなあと思って」
「プ、プ、プール!」
「なんでそこまで過剰反応するんだかわかんないんだけど」
「だってプールだろ、綾さんの肢体が拝めちゃうんだろ。健一、頼むから俺も連れてってくれ」
シーナは驚きのあまりソファから転げ落ちて、そのまま健一の脚に縋りついて来た。
「どうしようかな」
なにせ前回、綾さんと風呂に入ったときは悲鳴を上げて逃げ出してしまった。
まあ、綾さんにはシーナの胸を触らないようにと注意しておけば良いだろうけど。
「頼むぜ健一」
シーナは震える子犬のような目をしてじっと健一を見上げていた。
「プールに連れてったら相談に乗ってくれる?」
「むっ、取引か」
「まあ、そうとってもらっても構わないけど」
こういう言い方をすると八雲さんみたいだなあと思いつつ、健一はシーナの反応を窺って
みる。シーナは顎に手を当てて数秒考え込む素振りを見せたが、考えるまでもなく答えは
出ていたようだった。
「分かった、最高の一曲を提供してやろう。だからプールに連れて行ってくれ」
こうして、健一は明日、綾とシーナを連れてプールに行くことに決まった。
「それじゃあ明日、学校が終わってから1301に集合ってことで」
「ちょっと待った。俺、水着持ってないんだけど」
「家に取りに帰れば良いんじゃないの」
学校でもプールの授業はあるし、日奈だって水着の一つや二つ持っているんじゃないだろうか
と思う。
「持っているわけないだろう」
「佳奈に借りるってのは?」
「なんでそこで佳奈ちゃんの名前が出て来るんだよ。男と女じゃ体型が全然違うし、
水着の貸し借りなんてできないだろ」
ああ、そういうことか。健一はようやく合点がいった。つまり家に日奈の水着はあっても、
シーナの水着はないということだ。そうとなるとシーナの水着を買いに行かなければならない。
「ようし、決めた。今から俺の勝負水着を買いに行くぞ!」
シーナが拳を振り上げ叫ぶ。それに対して健一は自分でもなんだかよく分からない
テンションで応えた。
駅前でストリートライブをやるにはまだ時間がある。健一は一応ハーモニカとバケツを
持っていくことにし、二人で神宿のデパートまで水着を買いに出かけた。
ライブの時間には充分間に合うはずだ。
デパートの水着売り場に着くと先頭をシーナに譲る。シーナが男物と女物の水着のどちらを
買うか分からないからだ。
そうは言っても結局は女物の水着を買うしかないのだろう。それではただの窪塚日奈に
なってしまうかもしれないが、そういうことを実際口にしてはいけないと思う。
意外にもシーナは男物の水着売り場に向かった。
「やっぱ男の海パンったらコレだろう」
シーナが広げて見せたのは布面積の少ない逆三角形の海パンだった。さすがにそれはどうか
と思う。隠すべきものは隠してもらわないと色々な意味でまずい。
「トランクス型のほうが、ごまかしが効くんじゃないの」
「ごまかしってなんだよ。俺は正真正銘の男だぞ」
「そうだね、ごめん」
「本当、健一って時々変なこと言うよな」
シーナはむくれた口調でそっぽを向くが、忠告を聞いて気が変わったようだった。
さっきの水着を戻して今度はトランクス型のものを手に取る。しかし、しばらく眺めてみて
納得がいかなかったのか今度は別の水着を選ぶ。シーナの水着選びを黙って見守っているうち
、健一はシーナが段々と女性水着売り場に近寄って行ってるのが分かった。
さっきから目線もチラチラとそっちに向いている。だが、いざ女性水着売り場に突入すると
なると踏み込むのに躊躇してしまうようだ。健一はそんなシーナのために助け舟を出す。
「シーナ、こっちにも水着が売ってるよ」
率先して女性水着売り場に乗り込み、何気ない調子で呼びかける。
女性用とはいえ、ビキニと短パンを合わせたようなのもあり、シーナでも着れなくは
なさそうだった。
「そ、そっか。こっちにも水着が売ってたなんて気付かなかったぜ」
シーナが少し赤らんだ表情で女性水着を手に取る。パーカーとビキニが一緒になっているタイ
プでこれなら胸を隠すことができる。
「こっちのはどうかな」
健一はベストと一体になった水着を差し出す。ライフセーバーが着用するようなやつで
ベストを着たままでも泳げるタイプだ。
「そっちもいいな。よし、試着してみる」
そう言うとシーナは水着を両方手に持って試着室に向かった。
程なくして、シーナが水着に着替えて試着室のカーテンを開けた。野球帽を被ったままで
上には白のパーカー、下半身は橙色のビキニタイプの水着を穿いている。まあ、上半身に
目を向ければ普段どおりのシーナに見えなくもない。
「良いんじゃないかな。似合うよ」
健一が素直にそう褒めるとシーナは真っ赤に染まった顔を慌てて隠し、
再びカーテンを閉めた。
その後はレジで会計を済ませ、ライブの時間までカフェで暇を潰し、地元の公園で
ストリートライブを披露して幽霊マンションに戻った。
次の日、健一は学校から帰ると一旦家に水着を取りに帰り、それから1301へ向かった。
部屋に居たのは私服に着替えた刻也だけだった。
「ごきげんよう、絹川君」
「あ、こんにちは、八雲さん」
健一は普段どおりに挨拶を返すが、刻也は続けて質問をしてきた。
「ところで君が手に持っているのは何かね?」
「あ、これですか。実は綾さんたちとプールに行くことになりまして・・・・・・」
そう答えながらも、次第に声が小さくなってしまう。刻也は生活費を稼ぐために毎日のように
労働をし、さらには司法試験のために寸暇を惜しんで勉強をしているのだ。
そんな刻也の前で遊びに行くとは面と向かって言いにくい。
「どうかしたのかね?」
刻也は健一が言葉を濁したので気になったらしい。心配そうな表情が眉に表れている。
「いえ、八雲さんが勉強しているのに、僕はなんだか遊んでばっかりで情けないなと思いまして
」
「君は自分が今していることが悪いことと認識しているのかね?」
無表情な目で刻也が健一を見る。
「良くないですよね、やっぱり」
「そういうことではない。私は決して君を責めるつもりで言ったのではない。すまない。
君が誤解を受けたのならきっと私の言い方が悪かったのだ。私が言いたかったのはつまり
価値観についてだよ」
健一がわずかに肩を落としたのを見たからか、刻也はやや早口になって言葉を補った。
「価値観、ですか」
「そうだ。私個人の価値観では君のような生き方が羨ましく思える」
突然にそんなことを打ち明けられた健一は、驚きのあまり二の句が継げなくなってしまう。
「もちろん、君は君なりに深い悩みを抱えていることも知っている。ここの住民である以上、
皆それなりの理由があるのだろう。そうした日々を送りつつも、君はきちんと実りある生活を
送っているように私には見えるのだよ」
「そうでしょうか。それを言うなら八雲さんのほうが・・・・・・」
言いかけて、健一は口を噤んだ。刻也は初めから価値観という言葉を口にしていた。
要するに刻也にとっては、自分よりも健一のほうが充実した生活を送っているように思えると
いうことだろう。
「私がバイトをしているからといって、それは生活費を稼ぐためで大した貯蓄にはならない。
そして前にも少し話した通り、私が司法試験に向けて取り組んでいる勉強というのも他人から
見れば無意味なものと映るだろう」
この間のお祭りのときも刻也は試験勉強を前倒ししてまで遊ぶ時間を作っていた。
逆に言えばそうでもしないことには、刻也が彼女と一緒に居られる時間は本当にごくわずか
しかないのだろう。現在、健一は千代子と付き合っている。それが将来的にどれほど価値の
あるものになるかは分からないが、刻也は健一のこうした日常を素直に羨ましいと認めている
のだ。それでも試験勉強を疎かにせず、彼女のことも大切にしている刻也はやっぱり立派だと
思う。
「敵いませんね、八雲さんには」
お互いの価値観を尊重しあった結果、ひとまず話が落ち着き、刻也はバイトに出掛けた。
それと入れ替わるようにして入ってきたのは綾だった。
「あ、健ちゃん帰ってきた」
健一を目に留めるなり、嬉しそうに手のひらを合わせる。
「さっそくレースクィーンに着替えてくるね」
「いえ、別にここで着替える必要はないですし、出かけるんですからまともな服装をして
ください」
加えてもう一つ、あの水着はレースクィーンの衣装に似ているというだけで、アレを着た
からといってレースクィーンになれるわけではないというツッコミも入れようとしたが、
台詞が長すぎてどう言えばいいのか良く分からなかった。
「うん、それじゃ健ちゃんと前に買いに行った服でいいよね」
「はい、それとシーナも来るんで、三人で行きましょう」
「わかったー」
綾は嬉しそうに頷いて1304に戻る。健一も着替えるために1303に戻ることにした。
「ただいま」
扉を開けて中に入っても人の気配はしなかった。まだ冴子は帰ってきていないらしい。
健一は自分の部屋に入って私服に着替え、1303に戻ろうとする。すると、ドアノブに
手を掛ける直前、向こうから扉が開き、玄関の前で冴子とばったり出くわした。
「あ、おかえりなさい、有馬さん」
「ただいま、絹川君」
健一は一歩後ろに下がって冴子のために通路を空ける。
「絹川君、今日どこか行くの?」
「あ、はい。綾さんとシーナと三人でプールに」
「そう。楽しんできてね」
健一は冴子と一緒に外を出歩くことはできないので、プールに行くということも
まだ話していなかった。話をする機会はいくらでもあったがそれを話題にしたら冴子に
気を使わせると思い、話さずにいたのだ。
「それじゃあ、私は着替えてくるから」
もしかして自分に何か用事でもあったのだろうかと健一は思ったが、冴子が部屋に行って
しまったため何も聞けなかった。
仕方なくそのまま1303を出ると、階段を上る足音が微かに響いてきた。階段を上ってくると
いうことはきっと日奈だろう。
案の定、程なくして制服姿の日奈が廊下に現れ、二人して会釈を交わす。
「こ、こんにちは」
「こんにちは、窪塚さん」
長い階段を上ってきたばかりだからか、日奈は息を切らしていた。制服のブラウスが汗で
ほんのり湿っている。
「暑いですね、汗掻いてるならシャワーでも浴びていきますか?」
自分と日奈はそんな会話ができる関係なのかなと疑問を感じつつ、汗びっしょりな日奈を
見かねて尋ねてみる。
「あ、大丈夫です。どうせすぐプールに入りますし」
どうせプールまでの道程でも汗は掻くだろうから、健一もすぐに納得した。
そういえば、さっき冴子ともあったが彼女はほとんど汗を掻いていなかった。そういう体質
なのかもしれないなあとも思ったが、エッチのときは肌が汗でしっとりと潤っていたから、
どこかで涼んでからここへ来たというだけかもしれない。
「わかりました。それじゃ1301で待ってますから」
健一が1301に戻ってきたすぐ後に着替えた綾がやってきた。
「健ちゃん、それじゃあプールへGO! だねっ」
健一の顔を見るなり、綾は無邪気な微笑を浮かべて拳を突き上げる。
なんだかいつも以上ににこやかに振舞っているが、レースクィーン水着を健一に披露できるの
がその理由だというからなんだかなあと思う。
「もうすぐシーナも来るんで待っててください」
「うん、健ちゃんがそういうなら待つよ」
日奈もどうせすぐに着替え終わるだろうから、健一も綾も一足先に廊下に出ていることに
した。忘れ物がないか確認してシーナを待っていると1305の扉が勢い良く開かれ、パーカー姿
のシーナが姿を現した。良く見るとそれは昨日買った水着で、下には短パンを穿いている。
更衣室で着替える手間を省くため、予め下に水着を着込んでいるのだろう。手には着替えと
思しきバックを持っている。
「じゃあ、皆揃ったことですし、行きましょうか」
「おう!」
三人が向かったプールは市民プールのような安っぽいところではなく、ウォータースライダ
ーや飛び込み台のある大きなプール施設だった。
値段も高いので健一は市民プールで済ませようと思ったのだが、シーナが荒波のあるプール
で泳いでみたいと言い出したので、そちらに向かうことにしたのだ。途中、綾が街の電柱とか
に気をとられて到着が遅れたが、幸い目を惹くものが少なかったのか、さほど遅くはならなか
った。
入場料は市民プールの五倍もするのだが、遅くなったお詫びといって綾が入場料を出して
くれた。厚意に甘えるのも多少気が引けたが、遅れたことを気にして綾が楽しめなくなるよう
では意味がないと思い、素直に申し出を受けることにした。
一旦、更衣室の手前で別れて水着に着替え、それから集合場所に向かう。
集合場所に指定したパラソルの下では他にも何人か待ち合わせをしている人がいた。自分と
同じ年頃の人が多い。
五分ほど待った頃、女子更衣室から綾が姿を現した。その後にシーナも続いている。
シーナは下に水着を着ていたので着替えにそれほど時間は掛からなかったはずだが、綾が
着替え終わるのを待っていたのだろう。そのせいかどうか知らないが、かなり目つきが怪しい。
「健ちゃん、お待たせ!」
綾がこちらに向かって手を振ってくる。水着に押し込められた胸が弾けるように揺れ、
周囲から軽いどよめきが起こる。
綾が着ているのは胸元がハート型に開いたレースクィーンぽい水着だ。
だからかどうか知らないが、レースクィーンという単語が周囲で囁かれる。
「綾さん、思いっきり注目を浴びてますね」
後ろを歩いていたシーナが視線に気付き、綾に耳打ちする。
「『茶髪レースクィーンにブッカケまくれっ!』だね」
「意味が全然違いますし、『茶髪家庭教師にブッカケまくれ!』と『ブッカケGPクィーン』
を混同してます」
健一はさりげなくツッコミを入れたが綾は気にしていないようだった。
「このレースクィーンの水着、胸がきついんだけど健ちゃんのために我慢する」
「えっと、それじゃまずはどれから試しますか」
入場料が高いせいかプールは広々とした割に人が少なかった。施設をざっと見渡すとまず
目に付くのは高い飛び込み台だ。
「健ちゃん、あれやってみようよ」
綾は飛び込み台を指差して健一の手を引く。
「飛び込みは危険ですから別のものにしましょう。シーナはどれにする?」
「男はウォータースライダーだろ!」
シーナは拳を突き上げ、力説する。というか、シーナがプールに来たのは今日が初めてなん
じゃないかと思ったが、それは言わないことにする。
「綾さんはそれでいいですか?」
「私はなんでもいいよ」
話がまとまったので三人でスライダーの順番待ちをする。シーナ、綾、健一の順番だ。
まずはシーナが歓声を挙げて滑り落ち、数秒後に盛大な水飛沫が上がる。
「それじゃあ、健ちゃん。私も行ってくるね」
「はい、気をつけてくださいね」
綾一人だとなんだか危なっかしいが下にはシーナが待っているので大丈夫だろうと考え直す。
綾が滑り降りたのを確認して、健一もそれに続く。前回、海に行ったときには千夜子にも
ホタルにも悪いことをしてしまった。それが分かっていながら、なんでまた別の女性とプール
で泳いでいるんだろうと思いながら健一は水の中に潜った。
プールの水は温かくて、三十分くらい水に浸かっていても体が冷えることはなかった。
ウォータースライダーを楽しんだ後は競泳プールでシーナと競い、綾はその横で
レースクィーンよろしくチェッカーフラッグを振り下ろす真似をしていた。
改めて思い返しても抜群に注目を浴びていたように思う。
さすがに泳ぎ疲れてきたので健一はひとまずプールからあがることにした。綾のことは
シーナがついていれば心配要らないだろう。
健一がトイレで用を足して、再びプールサイドに戻ってくるとシーナが見知らぬ男に
話しかけられているのを目撃した。なんだか言い争っているように見えたので声を掛ける
ことにする。
「シーナ、何かあったの?」
「?」
帽子を被っていない時点でもうちょっと頭を働かせるべきだった。振り返ったのはシーナ
ではなく、窪塚日奈の双子の姉、窪塚佳奈だった。
「あっ、えっと、窪塚さん?」
「絹川君がどうしてここにいるわけ?」
佳奈は言い争っていた男を無視して健一に突っかかってきた。お陰で健一がその男に
睨まれてしまう。
「えっと、僕はただ泳ぎに来ただけですけど」
「この人は絹川君の仲間ってわけじゃないのね」
佳奈は見知らぬ男を指差して言う。男の額に青筋が浮いているような気がするが気のせいと
思うことにしよう。
「ところで、この人は誰ですか。窪塚さんの知り合いでもなさそうですし、僕の知り合いでも
ないみたいですけど」
「私だって知らないわよ、いきなり馴れ馴れしく声を掛けてきたんだもの」
そうこうしている内に、佳奈の連れらしき少女が監視員を呼んできたらしかった。
男はかなり険悪な目つきでこちらを睨んでいたが、監視員に指導されて更衣室のほうに
歩いていく。どうやらもう帰るみたいだ。
「じゃあ、そういうことで」
「待って!」
事態の収拾を悟ってさりげなく退散しようとした健一だが、佳奈の制止にあって敢え無く
歩みを止める。
「えっと、なんでしょう」
「絹川君がなんでこんなところに来ているのか、まだ答えを聞いてないわよ。言っとくけど、
泳ぎに来たなんて質問の答えになってないからね」
佳奈に詰め寄られて、健一は考えてしまう。ここに来た理由自体はなんらやましいことなど
ないが、シーナと同一人物である窪塚日奈と一緒に来ているのが知れたらタダじゃ済まない
予感がする。かといって綾と来ていたこともあまり言い訳にできない。自分は大海千夜子と
付き合っているし、祭りのときに佳奈と千夜子はお互い顔見知りになっているので下手な
ごまかしは利かない。それにシーナと佳奈をこのまま出会わせるのもまずい気がした。
「今、なにか考えてるでしょ?」
目が宙を彷徨っていてせいか、佳奈の厳しい追及が飛んでくる。
「いえ、そういうわけじゃないんですけど、この状況をどう説明すればいいか困っていまして」
「どういうこと?」
「つまり、僕は姉と姉の友人とで来ているわけです」
結局、苦し紛れにホタルの名前を出す。それに綾はホタルの同級生だし、全くの嘘という
わけでもない。
「お姉さんはどこにいるのよ」
「それが、遊んでいるうちにはぐれちゃいまして」
「嘘臭いわね。説明に困るってほどの理由でもないし」
佳奈の疑いはなかなか晴れない。
「えっとですね、この歳で姉と一緒にプールに来て、しかも迷子になったというのはなかなか
格好悪い状況だと思うんですが」
「ふん?」
「と、それより窪塚さんは日奈さんと一緒じゃないんですか」
「どうして、絹川君が日奈のことを気にするわけ?」
「あ、その、姿が見当たらないのでなんとなく」
「学校の帰りに日奈も誘おうとしたけど、今日は一人で先に帰っちゃったから一緒じゃないわ。
というより、日奈は絹川君と一緒に来ているんじゃないかと私は疑っているんだけど」
ほぼ図星といったところだ。ここまで洞察力が鋭いと、ばれるのも時間の問題だろう。
けれどシーナの覚悟がままならないうちに事情を明かすわけにはいかない。
再び言い訳に困って健一が視線を宙に浮かせていると、知らぬ間にニアミスしていたシーナ
とばったり目があった。互いの間には佳奈の友達が立ち塞がっていて、シーナにはきっと佳奈
のことが見えていない。次第に近づいてくるシーナに警告を発することもできず、いよいよ
進退窮まった健一は派手に宙に躍りあがってレミングの如く水面に飛び込んだ。
盛大な水飛沫をあげ、バタフライ泳法で佳奈からぐんぐん遠ざかっていく。
「あ、待ちなさい、逃がさないわよ!」
鋭い声が耳に届いた直後、後方で水飛沫が上がったのがわかった。佳奈が健一を追って
飛び込んだらしいが、そのスピードが尋常じゃない。シャーク窪塚の異名は伊達じゃなかった!
健一の顔は恐怖で蒼白に染まり、必死に逃げようとする。もう駄目だ、追いつかれる。
そう思った次の瞬間には水中でがっちりヘッドロックをかまされていた。
「どうして逃げたのか、きっちり説明してもらうわよ」
水から上がった佳奈は相当いきり立っていた。健一はプールサイドにぐったりと横たわり、
今は反論する気力も失っている。
「何とか言ったらどうなの!」
口も利けないくらい疲弊しているのだが、佳奈は健一が隠し事をして黙っているのだと
思い込んでいるのだろう。そんなぐったりした健一の耳に懐かしい声が響いてきた。
「やれやれ、全く世話の焼ける奴だな」
一瞬、幻聴かと思った。薄目を開けるとプールサイドに蛍子と綾、それと確か
一度だけ会った覚えのある姉の友人が佳奈の背後に立っていた。
「誰ですか?」
佳奈が突然の声に驚いて振り返る。
「絹川蛍子。そこに寝ている奴の姉だよ」
蛍子が以前と変わらぬ、けれどほんの少しだけ涙を滲ませた表情でそこに立っていた。
わずかな一言を発したのみで口を噤む蛍子の様子が、健一には再会の喜びに浸っているように
も感じられる。
「え、それじゃあ絹川君の言ってたことは本当なの?」
「何を揉めてたんだか知らないけどな、そいつが私とここに来たって言うのは本当だろうぜ」
「あ・・・・・・そうだったの」
蛍子の言葉に佳奈は言葉を失う。
「ごめんなさいね、絹川君」
佳奈が全然済まなさそうに言う。健一もようやく立ち上がるだけの体力が回復して、佳奈の
謝罪を制止する。
「いえ、そんな謝られるようなことじゃないです。誤解させるような行動をとった僕のほう
こそ謝らなくちゃ」
「私は謝るって言ってるの!」
「えっと、あの、すいません」
キレながら謝っている人に謝罪するというのも奇妙な関係だなあと思いつつ、今度は蛍子に
目を奪われる。聞きたいことはあるけれど、佳奈の前では迂闊に話すことも出来ない。
佳奈はなんとなく自分が入っていけそうにない空気を感じ取ったのか、別れの挨拶を残して
その場を去っていく。
「健一、元気にしてたか」
佳奈が完全に立ち去ったのを見送って、ホタルが素っ気無く言う。
「うん、まあね。ホタルのほうは?」
「ま、いつもどおりだ」
「そうか、良かった」
何が良かったのか、自分でもちっとも分からないが蛍子は確かに以前とそう変わらない。
黒の水着に身を包んだそのスタイルはあの時、記憶に焼きついたままの姿だ。
「不思議そうだな、私がここにいることが」
「うん、まあね」
本当に、どうして蛍子がこの場にいるのか。嬉しいけれど、一緒にいることが許されない
ような罪の意識が心を繋ぎ止めている。
「私がここに来たのは本当に偶然だ。宇美がせっかく水着を買ったんでプールに行こうと
言い出して」
「そうなんだ。でも、助かったよ。ありがとう、ホタル」
健一が素直に喜びの言葉を口にすると蛍子は赤く染まった頬を隠すようにそっぽを向いた。
それがいつものホタルらしくて、ようやく実感が湧く。ホタルと再びこうして話すことの
できる当たり前のようでいて、とても深い感動。
帰りの電車内で健一はホタルと隣り合って座っていた。シーナと綾は寝こけている。
蛍子の連れて来た友人は別の電車で帰った。
話したいことはいくらでもあったが、二人でいられる時間はあまりに短すぎる。
「その、なんだ。健一はPHS欲しくないか」
だから、蛍子がそんな話題を真っ先に口にしたことが、なんだか勿体無いような気がした。
互いの気持ちを見つめ合って、語り尽くしたいのに。
「えっと、PHS?」
「そうだ、私は二台持っているから、欲しければ健一にひとつやる」
蛍子はこれまでPHSなんて持っていなかったはずなのに、どうして二台もあるのか
不思議に思ったが、蛍子の言わんとしていることは伝わった。
PHSでなら二人きりで、繋がっていられる。健一はもう一度、蛍子の瞳をじっと見つめた。
この瞳を、この表情をしっかりと目に焼き付けておくために。
「うん、俺もホタルと繋がっていたい」
健一は蛍子を見つめながら、蛍子の耳元でそう囁く。健一の目に蛍子の澄んだ瞳が映る。
透き通る白い首筋と、幾度も重ね合わせた唇も。
健一は思い出すだろう。
声だけで繋がっているときも。
蛍子の美しい眼差しを。
FIN
SS投下完了だぜ、本当。
新井輝先生は天性に満ち溢れてるぜ、本当。
他の似たり寄ったりな作家と比べて物語を語り紡ぐ才能は抜群に飛びぬけてるぜ、本当。
俺には真似できないぜ、本当。
うまく表現できないんだが、その、結構面白い。
うん、エロパロ板としてはスレ違いの感があるにせよ、かなり良い出来。
ハァハァはしなかったけど、普通に面白かったです。
153 :
150:2005/10/03(月) 00:18:07 ID:AEV0KhMi
151、152、感想ありがと。スルーされなくて良かったぜ、本当。
新刊発売されたら今度こそエロを書こうと思うが、本編の展開次第だぜ、本当。
明後日には新刊が手に入る・・・・・・
一応、明日秋葉に行って早めに手に入らないか探してみるが。
155 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/08(土) 16:38:40 ID:u3k/SIxb
新刊発売記念age
今日からこのスレの住人になろうと思う。
最近友人に布教しまくってるぜ、本当。
同志は歓迎するがこのスレの投下頻度は……
こちらも話を考えている身だがどーにもいいネタが浮かばん
エロい原作なのにエロパロ作りにくいとは魔境だぜ……
156の歓迎会でも開きたいところだけど、SSはまだ準備もしていない状態だし、
誰か投下できる人いないかなあと期待してる他力本願な俺。
ほしゅ
160 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 23:11:56 ID:GGlosz3I
あげてみる
職人さん来てくれないかな。
シーナと健一で和姦キボン
162 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 17:20:59 ID:MGJylaC4
あげ
鈴璃君に恥ずかしい格好をさせたい。
不釣合いに大きな乳房を衆人環視の下、揉みまくりたい。
164 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 15:37:16 ID:EgM1kkTl
やっぱり冴子タソがイイ( ゚Д゚)ンジャネーノ?
なにいってんの?…ホタルで決まりでしょう!!
166 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 21:32:00 ID:YKx3CDZJ
まぁ、とりあえず挙げ
しかしあれだな、あんなプロローグを見せられた後だとツバメ派の俺であっても
冴子に傾きかねないな。読んでるだけで涙でそうになる。
シーナに足コキされたい!
シーナ「おいおい、息が荒いな。興奮しすぎだって、本当。そんなに気持ちいいのか?
変態だな、本当」
ダメだ、相手が想像できない。佳奈と健一なら想像できるんだがなあ。
ムキー!だ、か、ら、今回は入れ替わりものなワケよ。だから苦手な人はスルー
しなさいって言ってんの!
いい? 特にこのスレは過疎ってるから、にぎやかしにSS投下してみるけど、
エロはほんのちょっとだからね!
比良井駅でストリートライブを終え、幽霊マンションの十三階へと上っている途中、
健一たちは重そうな荷物を抱えた刻也に出くわした。
「こんばんは。八雲さん」
「その声は、絹川君かね。ごきげんよう」
刻也は結構疲れた声で振り向きもせずに答える。十三階まであと少しだが、それまでは
刻也一人でこの荷物を抱えてきたはずだ。見たところ木製の本棚のようで多少傷がついている
ところから、おそらく「沼」で拾ってきたものだと分かる。
「えっと、シーナも一緒ですけど、良かったら手伝いますよ」
刻也が両手に抱えた本棚はわりと幅のあるタイプで階段を塞いでしまっている。刻也も
自分が通行を阻害していることに気付いたらしく、踊り場まで来たところで本棚を床に降ろし
肩を休めた。そして刻也が何か言いかけようとした矢先、シーナが面倒くさそうに口を開いた
。
「放っとけって。別に健一がその本棚を使うわけじゃないだろ」
「む……言われなくてもそうするつもりだった」
また厄介なことを、刻也とシーナのやりとりを聞いていて真っ先に思い浮かんだ感想は
それだった。協力すればすぐ終わることなのに、仲が悪いからなのかシーナは手を貸そうと
はしない。
「別にシーナは手伝わなくたっていいよ。俺が好きでやることなんだし」
「いや、これは私一人で運ぶ。君も先に上りたまえ。私は邪魔だろうからな」
刻也もすっかりムキになってしまったようだ。こうなったら意地でも一人で運ぼうとする
だろう。
先に階段を上ろうとしていたシーナが健一を急かすが、健一だってこのまま刻也を置いて
先にいくつもりはなかった。健一は黙って本棚を抱え上げると一人でそれを運ぼうとし、
それを見た刻也が慌てて手を貸す。
「健一君、私は一人で大丈夫だといったはずだ。手伝われる義理はない」
「別に、八雲さんのためとかそういうんじゃないです。僕はなにか人の役に立てるのが
嬉しいだけだって前にもそう言いましたよね」
「なんか俺一人が悪者みたいじゃんかよ」
シーナが両腕を胸の前で組んだままむくれる。態度はともかく、重い荷物を運ぶのに
シーナの力を借りるつもりはなかった。シーナが先に行こうとしないので健一が先頭に
なって階段を上る。そして本棚の一方を支えながら刻也が続き、最後尾がシーナという
順番で狭い階段を上っていく。以前洗濯機を運んだときは二人がかりでもしんどかったが、
今回はちょっと持ちにくいだけでそれほど重くはなかった。とはいえ、手を引っ掛ける
ところがない分、余計に腕の筋肉を使うので階を一つ上るたびに結構体力を消耗する。
ようやく残り一階となったところで健一は本棚越しに、怪しい目つきをしているシーナを
見た。あれは絶対よくないことを考えている眼だ。健一は思わず制動をかけてしまい刻也が
つんのめる形になる。その隙を突いて、両手の人差し指を合わせたシーナが勢いよく腕を
突き出した。
「とりゃっ、必殺七年殺しっ!」
健一からは死角になっていてその瞬間は見えなかったが、シーナの咆哮と刻也の
短い呻き声が聞こえた瞬間もう駄目だなと目を瞑った。シーナの浣腸が狙い定めた場所に
勢いよく突き刺さったらしく、刻也はバランスを崩し落下する。それに引っ張られ健一も
階段から転落。一番下にいたシーナはもちろん下敷きになり、三人一辺に階段から
転げ落ちた。
「あいたたた……」
落ちた拍子にどこかで頭を打ったらしい。頭を擦りながら顔をあげると、外れて床に
落ちた眼鏡を掛け直す刻也の姿が視界に映った。俯いているし、眼鏡が反射しているので
表情が窺えない。しかし怒っているのは間違いないだろう。やや間があって廊下に低い声が
響き始めた。
「窪塚君、人にはやって良いことと悪いことがある……」
眼鏡を手で押さえながらなぜか刻也は健一の方に顔を向けている。だが、なんだかその
様子に違和感がある。眼鏡がずれているとはいえ、刻也の顔立ちがいつもと違う気がする。
「えっと、八雲さん?」
自分の口から出てきたのは、あまり聞きなれない高い声、一瞬遅れてそれが日奈の声だと
気がつく。
「いてて、なにも落っこってくることはねーだろ、本当」
皆より少し遅れてシーナらしき人物が身を起こす。床に落ちた野球帽を目深に被り直すが
、なんだかいつもと違って似合ってない。そしてふと、何かに気付いたように健一の方を
指差す。
「くわーーーーー!」
「おわっ」
突然、シーナが奇声を上げたので何事かと思う。
「どうしたの、シーナ?」
「お、おお、俺がいる!?」
「?」
健一は首を傾げるが、シーナのその言葉で唐突に違和感の正体が解ける。
目の前の野球帽を被った人物はシーナだとばかり思っていたが、よく見ればそれは眼鏡を
外し、野球帽を被った刻也だったのだ。どうりで似合ってないはずだなと納得する。
そして、その横を見れば眼鏡を掛けた健一の姿がある。
「あれ?」
つまり、自分の目の前に健一の姿がある。眼鏡を掛けてはいるが普段から鏡で
見慣れている自分の顔を今更見間違えるはずがない。
「えっと、つまりどういうことでしょう?」
「お前は一体誰だっ!」
野球帽を被った刻也が叫ぶ。それは何だかシーナが言いそうな台詞に聞こえる。
「えっと、絹川健一だけど」
質問の意味がいまいち理解できないながらも、聞かれればつい答えてしまう。そこに
刻也のものらしき台詞が続く。
「君は、どう見ても窪塚君だが」
「えっ?」
「なんとなく状況が掴めてきたが、だとすれば厄介なことになったものだ。まったく、
君があんなことをするからだ」
そう言って眼鏡を掛けた健一が抗議の言葉を向けたのは、他ならぬ野球帽を被った
刻也自身だった。
「それで、いったい何がどうなってんだよ?」
1301のソファに腰掛け、全員で顔を見合わせる。健一たちのほかに綾と冴子もその場に
揃っていた。刻也が十三階の住人全員に声を掛けたのだ。そしておもむろに健一の姿を
借りた刻也が自分たちの身に起こった出来事を話し始める。
「つまりだ、我々は階段を落ちた拍子にお互いの記憶や人格といったものが入れ替わって
しまったらしい。以前にも綾さんの人格が全くの別人になってしまったことがあったが、
今回はそれに輪をかけてややこしい」
「はいっ、質問」
綾が元気良く挙手をする。
「……なにかね」
溜息混じりの声で発言を許可されると綾は言った。
「管理人さんみたいな喋り方をする健ちゃんも新鮮でいいねっ」
「さて、状況の説明を続けるが……」
「無視されたっ」
綾はショックを受けたような仕草をするが、まあ今の発言は無視されても仕方がないと
思う。
「改めて自己紹介をせざるを得ないようだね。私は八雲刻也だ。皆には絹川君に見える
だろうがね。さて、君も名乗ってみたまえ」
「えっと、絹川健一です……けど」
皆が興味津々といった表情で、健一の顔を覗き込む。なんだかいつもと目の高さが違う
せいで自然と上目遣いになる。身体はシーナだが、野球帽は被らず手元に置いてあるので、
外見だけで言えば日奈に近いのかもしれない。
「俺はシーナだ。謎のミュージシャンってことでヨロシク」
最後にシーナが自分の名を告げるが、実際には刻也が喋っているように見えた。
「分かりやすくまとめると、私が絹川君の身体になり、絹川君は窪塚君の身体に、そして
窪塚君はよりによって私の身体に入ってしまったわけだ」
「なんだ、俺のときだけやけに不満そうじゃねえか」
シーナが八雲の声で文句を言う。今は野球帽を脱ぎ、眼鏡をかけている。そうしていると
、いつもどおりの刻也に見える。
「ねえねえ、冴ちゃんは分かった?」
「はい。何となくですけど」
綾の問いかけに冴子は控えめに頷く。そういう綾もすでに相対関係を把握しているよう
だった。外から見れば意外と分かりやすいのかもしれない。健一としてはいまだに良く
分からなかったりするのだが、とりあえず自分自身の姿に向かって呼びかけてみる。
鏡に向かって話しかけているような不思議な気持ちだった。
「えっと、八雲さん……ですよね。元に戻るにはどうすればいいんでしょうか」
「私に分かると思うかね?」
いつだったか前にも聞いたことのある台詞だなと思った。そういえば刻也はこの十三階の
存在も深く追求することなく受け入れていたし、綾が記憶喪失になったときもわりと動じる
ことなく受け入れていたような気がする。長く十三階に住んでいるせいもあって意外と
順応性が高いのかもしれない。
「他に何か質問はあるかね?」
刻也がそう言うと今度は冴子が手を挙げた。
「三人とも、学校やアルバイトはどうするつもりなの?」
少し間を置いて、刻也が深刻な表情で話し始めた。
「問題はそこなのだよ。実は明日、バイトが入っているのだが、この間バイトの人間が
辞めたばかりでね、どうしても休むことができないのだ」
刻也にしては珍しく途方に暮れた様子で額に手を当てて俯く。なんせ今刻也の身体に
入っているのはシーナなのだ。もともと事故のきっかけを作ったのもシーナだし、普段の
行動からして頼りになりそうもないと判断したのだろう。
「それで提案なのだが、バイトには代役を用意したということにして私が行こうかと思って
いる。これはもともと私の都合だし、それが筋だろう。問題は絹川君に明日用事があるか
どうかなのだが」
話が自分に振られてしまったので健一としてはどうしたものかと考えてしまう。健一も
明日は外せない用事がある。かなり前から千夜子とデートをする約束をしてしまっている
のだ。そのためにストリートライブを休むという告知も出してあるし、千代子も明日の
お弁当を用意するといって張り切っていた。
「でも、まあ僕の場合は本当に個人的な用件ですし、千夜子ちゃんには申し訳ないけど
デートはキャンセルしても構いませんけど」
刻也が本当に困っているようだったので健一はそう提案してみたが、これには刻也が
断固として首を振った。
「いや、そういうことは絶対にやめて欲しい。君は個人的な用件といったが、
事情を知らない大海君からしてみれば一方的に約束を破られたと感じるだろう。
それは君にとっても彼女にとっても気の毒なことだと思う。妥協することはない。
君は行くべきだ」
なぜだか刻也はムキになって喋っている感じだった。いつだったか彼女関係のことで
綾たちにからかわれたときと雰囲気が似ている。
しかし、確かに刻也の言うことは筋が通っている。自分は千夜子との約束を軽く考えすぎ
ていたのだろう。千夜子の一途さに甘えて、シーナや冴子のことばかり考えてしまっている。
千代子とは直接関係のない刻也でさえあんなにも真剣に考えてくれているというのに。
僕に恋愛は向いてない―――健一は改めてそう痛感せずにはいられなかった。
健一が黙り込んでしまったことで、場には気まずい沈黙が取り残された。
ややあって刻也が思い出したように言う。
「まあ、さっきはああ言ったが、現在君の身体を所有しているのは私だから、結局行くのは
私ということになってしまうな」
「要するにそれはあれか、俺にはバイトの身代わりさせておいて、自分だけデートを
楽しもうって魂胆かチクショー!」
刻也の姿を借りたシーナが立ち上がって叫ぶ。そのリアクションは周囲の状況からかなり
浮いていたが、それでもさっきまでの沈黙はなかったように皆が言葉を取り戻した。
「そんなつもりは断じてない。それより君はどうなんだね。君にはなにか用事などは
ないのかね」
「俺は特にないけど、家に帰らないと佳奈ちゃんが心配する」
シーナは掛け慣れない眼鏡なんて掛けているせいか、さっきからしょっちゅう眼鏡を
抑えたり、ずらしたりしている。お陰でレンズには指紋が沢山ついていた。
「なるほど、家族が心配しているとなると、帰らないわけにはいかないな」
それが一番の問題かもしれなかった。健一や刻也は十三階で暮らしているが、日奈には
帰る家がある。それはつまり待っていてくれる家族がいるということだった。他人なら
いざ知らず、肉親ともなると日奈の様子の変化には気付くだろう。正直に事情を打ち明けた
ところで人格が入れ替わったなんて話は受け入れがたいだろうし、そもそも十三階の
存在自体、他の人間には理解できないだろう。
「あれ、そうすると僕は日奈さんの家に行かないと駄目ってことですよね」
時刻はすでに十一時近い。急いで帰らないと前のように佳奈が心配して日奈のことを
探し回っているかもしれない。事態が呑み込めるようになると同時に、大変なことになって
しまったという意識がようやく芽生えてきた。
「落ち着きたまえ。とりあえず絹川君、君は着替えてくるといい。明日、学校が終わったら
もう一度ここへ来て話し合おう」
「えっと、それじゃあ今日は失礼します」
できることなら元に戻る方法を最優先に模索したいところだが、その方法が分からない
以上は次善の策をとるしかない。それつまり周囲に変化を悟られないように日奈として
振舞わなければいけないということだ。
健一は1305のドアを開けた。ヤクザの事務所のような一室に日奈の今日着てきた衣服が
畳んで置かれている。そこで健一ははたと動きを止める。着替えをするとなると一旦は
サラシを解いて裸にならなければならない。それにブラジャーだって身につけなければ
ならないだろう。その行為は男として問題があるという以前に、日奈の裸を目にしてしまう
ということでもあった。家族にばれないようにするというのも結構ハードルが高い。
改めて考えてみると、三人が三人とも結構な災難に見舞われている気がする。
「健一、入るぜ」
着替えるのを躊躇っていると、外から1305の扉が開けられた。入ってきたのはシーナだ。
「なんだ、まだ着替えてなかったのか。早くしろよ、本当」
「そんなこといわれても、女物の服を着るのなんて初めてだし」
以前、蛍子に服を借りたときに「女装癖でも持ったか」というようなことを言われたが、
まさか自分が本当に女装する日が来るとは思っても見なかった。
「服なんて男も女も大して変わらねえよ。手伝ってやるからとりあえず脱げって」
シーナがそれを言ってしまっては終わりだとも思うが、健一は仕方なく目を瞑って服を
脱ぎ始めた。意識してはいけないと思いつつも、背後に立たれ衣服を脱いでいるところを
じっと見つめられていると思うと、鼓動が高まってくる。上着を脱ぎ、胸に巻いていた
サラシをぎこちなく解いていくと、布地が淡く色づいた敏感な部分に擦れて思わず溜息を
漏らしてしまいそうになる。ズボンも脱ぎ、下着一枚の姿になったところでシーナがすぐ
近くに立ち、両腕を頭の上に上げさせられた。なんだか一段と無防備になったような気が
して、心臓の音がドキドキと破裂しそうなくらいに大きくなっていくのを実感する。
細い紐が二の腕の辺りをくすぐり、シーナの手が後ろから胸をぐいぐいと掴んで押し上げて
くる。我慢できなくなって思わず健一は声を上げた。
「ちょ、シーナ。何を……」
「なにってブラジャーを着けてやってんだよ。知らないわけじゃないだろ。それとも自分は
外すほう専門ってことなのか?」
ずいぶんな偏見と誤解に満ちている台詞だが、声を出したときに目も開けてしまったため、
もろに日奈の胸を見てしまい言葉が出なくなった。
「ほら、ホックも留めてやったぜ。さっさと着替えなきゃダメだぜ」
「あ、ああ」
健一は自分でも何だか良く分からない頷きを返しながら、半ばやけになって折り畳まれた
スカートを引っ掴んだ。後は足を通して履くだけだ。ここまでくれば後はひどく簡単なこと
だった。普段どおりに上着を着て振り向く。
「終わったよ」
「そんじゃ送ってくぜ、もう夜も遅いからな」
シーナの言うとおり、時刻はもうすぐ夜中の十二時になろうとしていた。
辺りはごく一般的な一戸建て住宅の立ち並ぶ住宅街だった。夜中なので人通りはほとんど
ないが大体どの家にも明かりが灯っている。
健一は自分の帰る先が幽霊マンションではないということに、ひどく不安を感じていた。
いつぞや千代子の家族と食卓を共にしたときに感じた温もりの格差。ホタルとの関係が
両親に発覚して以来、絹川家は完全に崩壊してしまっている。日奈として家に帰れば当然、
そこには家族が待っているわけで、両親や双子の姉に当たり前のように温かく
迎え入れられたとき、自分は思わず泣き出してしまうかもしれない。それは自分とホタルが
関係を持つよりもっと昔の、1303のもととなった家で暮らしていたときの自分の姿と
重なってしまい、そうしたとき自分はきっと泣くだろうし、相当凹むよなあと思う。
「えっと、シーナの家ってこっちだったんだ」
気分を紛らわせるつもりで健一は呟いた。
「別に俺の家っつうかなんつうか」
独り言の延長みたいな健一の言葉に、シーナは曖昧な返事をする。どうもシーナの中では
この先はあくまで日奈の家であり、自分の家ではないというふうになっているらしかった。
シーナだって1305という居場所を必要としている以上、なんらかの事情はあるはずだ。
健一はそれを詮索しないと決めていたが、このまま先へ進めばきっと色々なことが分かって
しまうんじゃないかという不安がある。そう思うと何だか余計に落ち込んでしまう。
「まあ、母さんはあんまり細かいこと気にしないだろうけど、佳奈ちゃんに会ったら
遅くなってごめんって謝っておいてくれよな」
シーナが本気で心配そうにしているので、健一は大きく頷いてみせる。
自分と接しているときの佳奈はおっかない印象だが、日奈に対してはきっと優しいのだろう。
シーナがあんなにも恋焦がれている相手なのだ。怒るのはきっと心配している気持ちの表れ
で、そう考えるとシーナと佳奈はお互いにもっと距離を縮めても良いような気もする。
佳奈はシーナのことを知らない。シーナは今一歩踏み出せずにいる、そんな感じだ。
だからその橋渡しをするのは、きっと自分の役目だ。
「心配しなくても大丈夫だって、我が家に帰ったつもりで振舞うからさ。前にも言ったけど
、シーナのこと応援するから。だから俺も頑張ってみるよ」
「健一ってテンション低いけどいい奴だな。それにしたって佳奈ちゃんと一つ屋根の下で
過ごせるなんてすげえ役得だよなあ。おっと家はここだ」
シーナが足を止めた。そこはこれといって特徴のない普通の民家だった。玄関先には
明かりが灯っていて、なんだか近づくのを躊躇ってしまう。
「んじゃ、また明日な」
シーナはそれだけ言ってさっと踵を返す。シーナとしてもこの場に長く留まっているのは
辛いことのようだった。
遠ざかるその背を見送って、健一は玄関に向かって一歩を踏み出す。 今の健一が
帰るべき場所は1303でも、本当の自分の家でもなく、目の前の此処にしかない。せめて
覚悟はしておこうと気持ちを引き締めながら、健一は日奈から預かった鍵を鍵穴に
差し込んだ。
「た、ただいま」
初めて訪れた場所でそんな台詞を吐くのは妙な感じがした。しかし、奥の部屋から
佳奈が姿を現したので、ぼんやりともしていられない。
「お帰り。ずいぶん遅かったじゃない?」
佳奈は怒ってますと言わんばかりの口調で詰め寄ってくる。半ば予想していたことだが、
雰囲気に気圧され健一はしどろもどろになってしまう。
「う、うん。たまたま友達と会っちゃって。ついでにそこまで送ってもらったの」
あらかじめ考えていた言い訳とはちょっと違ってしまった。佳奈は全然納得してない
様子で言い訳の続きを促す。
「あ、えっと遅くなっちゃってごめんね」
日奈だったら恐らくこう言うだろうと意識して、用意していた台詞を押し出す。素直に
謝ったことで佳奈はようやく怒りを和らげ、健一を重圧から解放する。
「まあ、無事に帰ってきたんだからいいけど。それでその友達って男?」
「えっと、男みたいな人」
うっかりそう答えてしまってから、自分でもなんだそれは、と心の中でツッコミを入れる。
けれども佳奈は笑って納得してくれ、それ以上追及はされなかった。
「なるほど、男みたいに逞しい女の子なわけね」
「う、うん」
「でもダメだよ。日奈ちゃんは可愛いんだから、こんな時間まで出歩いていたらどんな目に遭
うか分かんないんだよ?」
どうやら日奈の中身と外見が入れ替わってしまったことについては、今のところ気付く様子
もなさそうだ。健一は幾分自信を回復して、堂々と返事をする。
「うん、気をつけるよ」
「本当に?」
「う、うん」
しつこく念押しする佳奈に健一としても頷くしかない。
「なら、いいよ。ただし、今度からはもっと早く帰ってくること。約束だからね」
言いたいことを言って気が済んだのか、佳奈は踵を返して階段を上っていく。
佳奈の姿が完全に見えなくなってから、健一は靴を脱いで家にあがり母親がいるらしい
リビングに顔を出した。
「ただいま」
帰宅を告げるとたった今テレビを見終わったらしい母親がこちらに振り向いた。
思っていた以上に若くて綺麗なお母さんだった。とても高校生の娘がいるようには見えない。
「どうしたの、ぼーっとしちゃって。早く着替えてお風呂に入ってきなさい」
「は、はいっ」
健一は慌ててその場を離れ日奈の部屋に向かう。お風呂に入るのは正直抵抗があるが
ストリートライブの後なので結構汗を掻いてしまっている。このままだと肌がべとべとして
気持ちが悪いので心の中で日奈に謝罪しつつ、二階の階段を上がる。
「あれ?」
階段を上りきったところで健一は足を止める。家の間取りはシーナに聞いてきたのだが
どうやら忘れてしまったらしい。
家の構造は廊下を挟んで左右対称になっており、そっくりな扉が左右についている。
日奈の部屋は右だったか左だったか。
一か八か、健一は思い切って右側のドアを開けた。
ベッドの上で寝巻き姿の佳奈がCDを聞いていた。こちらに背を向けていたが、かすかな
物音に気付いたのかぱっと顔を上げる。健一は慌てて佳奈が振り向くより早くドアを閉め、
左側の部屋に入る。
「あー、びっくりした。気付かれたかな」
しばらくドアに顔を寄せて耳を済ませてみたが、CDの音楽が鳴り響いてくる以外は特に
何の物音もしない。気を取り直して、改めて日奈の部屋を観察してみる。そこはとても
女の子らしい部屋だった。よく言えば周囲の人間が抱いている日奈のイメージそのままの
内装。こぢんまりとしたベッドの上にはクマのぬいぐるみやハート柄のクッションが
置かれている。棚には少女コミックや参考書があって1305とは似ても似つかない。
日奈の部屋なのに、ぜんぜん日奈らしくない。見かけだけ装った寂しい部屋。
「だから1305が必要だったんだろうな」
部屋を眺めていても、罪悪感が増すばかりなので健一はさっさと着替えを用意し、
風呂場に向かうことにする。
窪塚家の風呂場は狭かった、というより絹川家のそれが広すぎたのだろう。やっぱり
これくらいが普通の大きさなんだなと確信すると同時に、悔しいと思う気持ちが込み上げて
くる。結局、父が特別に造らせたという広い浴槽は希望通りに使われることなど無かったと
いってもいい。これくらいの広さで充分だったはずなのに、父は一体何がしたかったん
だろう。あの風呂に入ったのはホタルと一緒に使ったのが最後で、もう使われることは
ないんじゃないかと思う。
健一はシャワーの蛇口を捻り、冷たい水に身を打たせる。冷たいはずの雨が熱い。
「きっついよなあ、本当」
誰にも使われることのなくなった広い浴槽を思い出し、健一は一人静かに泣いた。
風呂から上がった健一は自分がひどく体力を消耗していることに気がついた。
この入れ替わり生活がいつ終わるか知らないが、なんだか全てがどうでも良くなって
しまって、不貞腐れた気分でベッドに沈み込む。
「なんだか胸が苦しいな」
胸板にクッションを挟んだような息苦しさがある。たしかに日奈の胸は人より大きいほう
だが、こんなに邪魔なものだとは思っていなかった。やがて健一はその息苦しさが
ブラジャーを締めていることからくるものだと気付く。
「そういえば寝るときにブラジャーは外すんだったかな」
その話を聞いたのは綾さんだったか、千代子だったか。
「有馬さんだ……」
胸の大きい順に思い浮かべた後で、その話は冴子から聞いたものだったと思い出す。
冴子は眠れているのだろうか。シーナには1305があるけれど、まさか冴子とHしてたり
しないよな、と疑ってしまう。
「なんせシーナだしな」
一旦考え始めると不安で堪らなくなってしまう。なんだかムラムラと気分が昂ぶってきて
芯が疼いてくる。指先で自分の唇の感触を確かめると、それはしっとりと柔らかく、
いけないと思いつつも、自然に乳房に手が伸びてしまう。視覚は暗闇に塞がれている。
闇の中で撫でるマシュマロのような肌の感触が、冴子との行為を思い起こさせる。
「熱くなってる……」
吸い付くような肌だな、と思いながら誘惑がむくむくと鎌首をもたげてきて、
健一はさらに強く日奈の乳房を揉みしだく。ジンとした疼きが官能を昂ぶらせる。
シーナを裏切っていると自覚しているが、今更手を止めることもできない。
中指の先端に固い感触が当たる。乳首が固く張り詰めて感度が高まってきている。
指先でくりくりと弄くりながら、健一は寝巻きのズボンを引きずり降ろし、もう一方の手で
ショーツの中を探り、股間の茂みを掻き分ける。日奈にはあまり生えていないようで、
さわさわとした感触が手のひらをくすぐり、指先にはしっとりと汗を掻き小さく勃起した
肉芽があたる。健一は指を折り曲げ、細く開いた秘所をそっとなぞってみる。
「あっ、んっ」
思っても見なかったほど深いところまで指先が到達してしまい、健一は思わず声を上げて
しまう。誰もいないはずの部屋に聞き慣れない日奈の嬌声が響いたことで健一はなんだか
日奈といけないことをしているような感覚に襲われる。声を押し殺し、きつく目を閉じる。
思い浮かぶのは暗闇に映える冴子の艶姿でもあり、頬を染めた日奈の俯き顔でもある。
いつの間にか、くちゃくちゃと卑猥な熱音を響いかせているのが聞こえ、指の動きが
ますます滑脱になる。指を引き抜くとちゅぽんっと栓の抜けるような音がして、陰唇が
収縮する。恥丘の盛り上がりを指で突いたり、割り開いたりしているうちに、脚が
開いてきて腰が浮いてしまう。秘所を突き出すようなみだらな姿勢になっているのを、
熱に浮かされた頭で自覚し興奮が高まる。生まれて初めて味わい陶然とした麻薬的な
快感に頭がおかしくなりそうだ。これ以上、触っていられらない。心はギブアップを
叫ぶが、指の動きは貪欲に甘い蜜を啜る。クリトリスを爪でくにくにと弄り、摘み上げる。
溢れ出る潤滑液がたおやかな指先に纏わりついて膣に潜りこむ。肉襞が指をきつく
締め付け、引き抜かれるたびに抑えられない嬌声が響く。
「んぁぁっ!」
温かい液体が伝うように、痺れるほどの快感が下半身を中心に広がってく。
全身が汗で湿り、部屋中に甘酸っぱい匂いが充満する。行為が終わって荒い呼吸が余韻と
なって残響する。
「……うぅ」
数十分後、健一は日奈のベッドの上で、そんな押し殺した泣き声を上げていた。
全身を気だるい疲労感が覆っている。肌の火照りはいまだ冷めておらず、その気があれば
まだまだ続けられそうだったが健一は後悔に責め苛まれてそんな気は起こらない。
いつものときと違って声を掛けてくれる優しい相手もおらず、今にして思えば自分は
ずいぶんと女性の厚意に甘えていたのだと気付かされる。
こんなことをしてしまって、明日からシーナにどんな顔して会えばいいのだろう。
事後処理をした後も、下着の一部が濡れていて気持ちが悪い。健一は枕に顔を押し当てて、
ジタバタともがいた。
とにかく今日したことは日奈には黙っていよう。健一はそう結論付けてもう余計なことは
考えないようにしようと決めた。それでも目が覚めたときに、どうか全てが元通りになって
いますようにと願わずにはいられなかった。
続く
とりあえずはここで一旦区切っておくけど、まだ続くんだからね。
本当にエロくなるのはもう少し先の話だけど、まだ書いてないから確定じゃないわけ!
新井輝って本当に神よね!
_、_
( ,_ノ` ) n
 ̄ \ ( E) グッジョブ!!
フ /ヽ ヽ_//
なんつーきっかけなんだよワロタ
GJ
一番得するのは、男の身体を手に入れたシーナじゃないかと思ったり。
ho(ry
195 :
188の続き:2005/11/25(金) 16:24:21 ID:NUQvM+HK
「いいの、私は」
「こんな過疎スレでもSSを投下できる場所があるってだけで幸せだから。
時々、こうしてレスをもらえるだけでも罰があたるかもしれない。そう思ってるから」
「あら、日奈ちゃん。今朝は早起きなのね」
日奈の母親に掛けられた何気ない挨拶に、健一は思わず涙ぐみそうになる。
今朝、涼しい朝の空気で目を覚ました健一はまだ自分の体が元に戻っていないことに
落胆し、それでも気を取り直して階下に降りてきたのだが、その時に掛けられた第一声が
これだった。
瞳を潤ませる日奈の姿を見て彼女は欠伸かなにかと勘違いしたのだろう。「顔を洗って
らっしゃい」という言葉に従って、健一は洗面所に向かうことにした。
洗面台に備え付けの大きな鏡に上半身を映し、健一は改めて自分の境遇を思い返す。
昨晩、ストリートライブを終えた健一とシーナは十三階の階段を昇っている途中で荷物を
抱えた刻也に会い、その際に仕掛けたシーナの悪戯によって三人とも階段から転落し、
その弾みで三人の人格が一遍に入れ替わるという事態に見舞われたのだ。
普通ならちょっと信じられないような話なのだが、以前にも隣人の綾が記憶喪失というか
別人格になってしまったことがある。
鏡の中の日奈が腕組みをして頭を悩ませている。学校でも評判の双子の美少女、
窪塚日奈の滅多にお目にかかれない仕草だ。
「でも、よく見ると本当に可愛いよな」
健一は鏡をまじまじと覗いて呟く。別に日奈が可愛いということを否定していたわけでは
ないけれど、健一にとっては日奈のもう一つの人格、シーナこそが彼女の素顔だと
感じているので、日奈のことを可愛い女の子として見たことはこれまでなかった。
ツバメが言っていた絶望的なまでに可愛いという褒め言葉も、こうしてみるとなんとなく
分かる気がする。
健一は冷たい水で顔を洗い、口を濯ぐ。居間に戻ると日奈の母親の姿は消えていて、
代わりに台所から何か物音がしてくる。朝食を作る準備だろう。さっき聞こえたのは
ガスコンロを点火するときのカチカチという音だったようだ。
人に朝食を用意させておいて黙ってみているだけというのも悪いと思い、健一は何か
手伝おうか迷った。しかし、健一は躊躇する。
「日奈ちゃん、もうすぐ朝ごはんの準備ができるから佳奈ちゃんを起こして」
母親が振り向きもせず、話しかける。家族としての距離感が
しっかり定まっているからこそ、こうした会話のやりとりができるのだろう。
声の大きさがぴったりこの距離にはまっている、そんな感じだ。
健一は返事をして佳奈の部屋に向かうことにした。起こしてきてと言われた以上、
そうしなければならない。寝ている佳奈の部屋に入るなんて緊張するが、日奈も
同じなんだろうか。
ドアをノックし、返事がないことを確かめてから、健一はいよいよ
ドアノブに手をかける。ドアを押し開けると、なんだか違う匂いがする。
カーテンの隙間から陽のひかりが入り込み、その光に射られるようにして眠っている
佳奈の姿がある。学校で見るのとは違う、こぢんまりとした愛らしい寝姿。
心臓が痛いくらいにドキドキしている。
健一の頭は冷静なのに、体が我慢できないくらい熱くなっている。佳奈のベッドに一歩
近づくたびに、鼓動が高鳴り、居ても立ってもいられなくなる。
日奈の身体が条件反射しているのだ、と健一は思い至った。
日奈の手がすっと佳奈のベッドの中へ潜り込む。毛布の膨らみを下からそっと撫でていき、
優雅な曲線を描く佳奈の肢体を舐めるように手を這わせる。佳奈は左手を下にして横に
なって眠っているから、今は自分に背を向けている。肢のあいだに手を差し込み、
内腿を撫でて柔らかい尻に辿り着く。温もりが違った。薄いパジャマの布地に包まれた、
蒸れるような温かい感触。健一は我慢できなくなって毛布の中に頭を潜り込ませた。昨夜、
日奈の身体でオナニーをしてしまったことを激しく後悔したはずなのに、身体が
ちっとも言うことを聞いてくれない。日奈は本当に佳奈が好きなのだ。好きで好きで
堪らないから、いつかきっと襲ってしまう。だから日奈には1305が必要なんだ。
これが、これまで日奈が耐えてきた想い。
健一は佳奈の尻の匂いを嗅ぐ。甘酸っぱい肌の匂いがする。官能的な痺れが鼻腔から
全身へ伝わっていく。
健一はめいっぱい空気を吸い込むと、佳奈を力強く揺り起こした。
佳奈がゆっくりと薄目を開けて、身を起こすまで何度も。
「ふぁあぁぁ……おはよ、日奈ちゃん」
「早く起きないと遅刻しちゃうよ。先、下に降りてるから」
健一はそれだけ告げて素早く佳奈の部屋を退散し、トイレに駆け込んだ。鍵を閉め、
ズボンとショーツをまとめて膝まで降ろし、中指と薬指を折り曲げる。秘所に差し込むと
吸い込まれるように奥まで入った。膣が窄まって指を根元から挟みこむ。きゅうきゅうに
締め付けて動かすたびに吐息が漏れる。喉を震わせないように必死で声を留める。口が
半開きになり、擦れる度にハッハッと息が乱れる。
湿った空気がトイレの中に充満していき、口から垂れた涎が喉を伝っていく。
何度も何度も吸い込んだ佳奈の匂いを反芻する。踵が浮き、両膝が興奮で小刻みに
揺れている。
ぷしゃぁぁぁ―――
熱く濃い匂いが密室に漂う。
抑えた指の間から日奈のおしっこが溢れ出してくる。熱い尿の温もりを掌で受け止める。
手がびしょ濡れになってしまったが、それでも自慰を留めることが出来ない。便器の中の
水が尿に攪拌されて泡沫が浮かび、黄色く濁る。発情した女の子の匂いが立ち込める。
長い放尿の勢いが弱まり、糸を引いて最後の雫が落ちる。くちゃくちゃに掻き回した
粘液混じりに尿がべっとりと手を濡れ光らせている。自分でも気付かぬ内に絶頂して
しまった。
「うぅ……」
数分後、健一はトイレの中で押し殺した泣き声をあげていた。本当に自分が情けない。
昨日の誓いをあっさりと破った上に他人の、しかも女の子の家のトイレで朝からナニを
してしまった。
その日の朝ごはんは濃厚な尿の臭いを吸い込んだせいか、ちっとも食欲が湧かなかった。
第二話 八雲刻也の事情
八雲刻也は1303のドアを叩いた。まだ早朝といってよい時間だ。
もしかしたら冴子はまだ寝ているかもしれないと思ったが、今の刻也は健一の身体を
借りている身だ。健一の制服でなければサイズが合わない。
ノックから間もなくドアノブが回り、中から冴子が姿を現した。
「起きていたのかね」
刻也の目から見た有馬冴子は青白い顔をしていて、あまり元気そうには見えなかった。
それでも冴子は明るく笑って刻也を部屋に招いてくれた。
「絹川君の部屋はこっちです」
冴子に案内され、刻也は1303の中に初めて足を踏み入れる。そこは平均的な
一般家庭らしい室内だった。そしてなんとなく心が落ち着く。とはいえ、それ以上の感想は
持てず、刻也は部屋を眺めるのもそこそこに、窓際のハンガーに掛けられた健一の制服を
手に取る。
「ふむ」
シャツを広げて無言になっている刻也を見て、不思議に思ったのだろう。冴子が尋ねる。
「どうかしましたか?」
「いや、大したことではないのだが……」
刻也はそれでもやはり気になる、といった表情で冴子に向き直った。
「この部屋にアイロンはあるかね?」
数分後、1303の居間でアイロンを掛けている刻也の姿があった。
小さいアイロン台の前に正座して、丁寧に皺を伸ばしている。そしてパリッと糊の利いた襟元を確かめると小さく頷いた。
「うむ」
右横で冴子がくすくすと笑う。
「なにかおかしいかね?」
刻也が困った表情で振り向くと、冴子は微笑を絶やさないまま、笑みの理由を説明する。
「そういうことではないんです。いつもと違う八雲さんの姿が見れたから、
なんだか可愛いと思って」
「か、可愛いのかね……」
思いがけない冴子の感想に刻也はすっかり面食らってしまう。
「ええ、可愛いですよ。そんな風に思われるのは嫌ですか?」
「私のことをどう思おうと君の自由だが、その、可愛いというのは止してくれたまえ」
「わかりました。でも、誰が見ても可愛いっていうと思いますよ」
「そんなことはないと思うが……」
刻也はそこで一旦言葉を切る。明るく楽しそうに笑っている冴子を見つめ、尋ねてみる。
「君は今、楽しいかね?」
「え?」
一瞬、冴子の目が大きく開かれ、一転して表情が頑なになる。視線は俯き、
細められた瞳はどこか遠くを見つめているようにも見える。
「私はただ……」
「君はもっと幸せになって良いと思う。そして、そのために君が誰かの力を必要とするなら
我々は躊躇なく君の力になろう。それとも君は、それすら望まないのかね?」
冴子からの返事はなかった。
「私は君に幸せになって欲しいと思っている。それだけは信じてもらいたい」
刻也は几帳面にアイロン掛けされたシャツとズボンを手に、1303を後にした。
扉を閉めた後で、刻也は思い返す。やはり、口に出すべきではなかっただろうか。
現状に満足していると言う言葉を口にする人間に、もっと幸せになって欲しいと
請うのは不適切だったのではないか。
まさか自分は彼女の相談役にでもなろうとしたのだろうか。刻也は自嘲気味に首を振る。
私は相談に乗るのが苦手だ、と。
制服に着替えた刻也は1301に足を踏み入れた。
今朝は健一が不在のため、代わりに自分が朝食を作ろうと思ってきたのだが、
どうやら冴子に先を越されたようだった。
「ごきげんよう、有馬君」
「おはようございます。八雲さん」
冴子は学校で見せるのとは違う、普段どおりの笑顔で答えた。1301には冴子と自分の
ほかに誰も来ていない。
「窪塚君はまだ寝ているのかね。そろそろ起きなければいけない時間だが……」
「起こしたほうがいいんでしょうか?」
「どういう意味かね?」
「あんなことがあったばかりだから、学校にちゃんと行けるのかなあと思ったんですけど」
「行ってもらわないと困る。しかし余計なことをしないように釘を刺しておかなければ
ならないだろうな」
「でも、そうなると八雲さんも大変ですね。絹川君には彼女もいますし」
冴子が焼いていた目玉焼きをフライパンから皿に盛りつける。ちょうど四人分ある。
「二人を起こしてこよう」
刻也はそう言って席を立った。普段ならそんなことしないが、今の刻也は健一の役割も
兼ねている。間もなくして1301に健一以外の全員が顔をそろえたが人数の多さにも
関わらず、会話の弾まないどこか侘しさを感じさせる食卓だった。
学校の教室に辿り着くとなぜかスリーパーチョークホールドをかけられた。
自分は詳しく知らないのだが、鈴璃が以前そんな台詞を叫びながらレストランに来た客の
首を締め上げていたのを思い出す。
あの時は彼女曰く、客がいやらしい目で鈴璃を見ていたからだったと記憶しているが、
なぜ今自分がクラスメイトの鍵原ツバメに首を絞められているのか理解しかねる。
「ちょっとツバメ、健一さんが苦しそうだから放してあげてよ。
私はちょっと心配だっただけで、別に怒ってないんだから」
そろそろ止めたほうがいいと思ったのだろう。千夜子がツバメを宥めたことで
ようやく刻也は解放される。
「いきなり何をするのかね、鍵原君」
刻也は苦しげに咳きこみながら言った。口調が普段のものに戻っているがツバメは
気に留めていないようだった。
「トボける気? 昨日、千夜子はずっとアンタからの電話を待ってたのよ!
千夜子から掛けようとしてもちっとも繋がらなかったっていうし、昨晩はライブの後
どこに行ってたわけ?」
すぐには事情が呑み込めなかったが、どうやら健一は千夜子に電話をする約束を
していたらしい。それが昨日の騒ぎですっかり忘れられてしまったのだろうが、
自分がとばっちりを受ける羽目になるとは思っても見なかった。
「どうせファンの中に可愛い娘がいたから、誘われてホイホイついてったんでしょ」
「自分はそんなふしだらな男ではない!」
「な、なに逆ギレしてんのよ」
思わず激昂してしまってから、それが自分ではなく健一に向けて発せられた言葉だと
思い直す。それにしたって、健一もふしだらな人間とは思えなかったが。
「すまない。あんまりな評価だったのでついムキになってしまった。確かに電話をする
約束を一方的に破ったのは私に非がある。謝って済む問題ではないが、許して欲しい」
実際に約束を交わした覚えはないのだが、それでも今は健一として振舞わなければ
ならない。刻也は深く頭を下げて陳謝した。
「あ、いえ。怒ってるわけじゃなくて、ただ電話が繋がらないから心配だっただけなんです」
刻也が深刻な顔をして謝罪したので千夜子も慌ててしまったらしい。
ばたばた手を振って刻也の顔を上げようとする。
「それでも君に無用な心配をかけてしまったのは、良くないことだったと思っている」
「本当に気にしないで下さい。私が勝手に心配しただけですし、そんなに謝られると
かえって困っちゃいます」
千夜子がずいぶん恐縮しているようなので刻也もようやく顔を上げることにする。
それで事態は丸く収まったと思ったのだが。
「それにしてもさ、今日の絹川っていつもとキャラ変わってない」
突然、ツバメがそんなことを言い出した。
「そ、そんなことはないと思うが」
言葉では否定しつつも図星を指され刻也はうろたえる。
「絶対変だって。私のことを鍵原君なんて呼んでるし、千夜子に対しても妙に
よそよそしいし」
「それは……」
刻也は言葉に詰まり、目を泳がせる。窓際の席には冴子がいたが、助け舟を
出してくれそうにはない。さて、どうしたものか。刻也はこうした状況に慣れていない
せいで対処の言葉が浮かんでこない。
「その、仮にそうだとしてだ。大海……いや、千夜子君には何か不都合があるかね?」
「えっ、私は別にいつもどおりの健一さんだと思いますけど」
「ムキー! なんで千夜子はそこで絹川を庇うの? いい、千夜子は経験が
足りてないんだから教えてあげるけど、男の態度がいつもと違ったら浮気していると見て
間違いないんだからね!」
洞察力が鋭いかと思えば、まるで見当違いなことを言っている。ツバメの思い込みの
激しさに刻也は嘆息とも安堵ともいえない吐息を漏らした。
「君の想像力もたいしたものだな」
「認めたわね!」
「呆れているのだよ」
そう言って刻也はさっさと話題を終わらせる。その後はなおも自説を曲げようとしない
ツバメとの押し問答が続いたが、千夜子がツバメの思い込みをさりげなく正す形でようやく
疑惑が晴れた。
第三話 シーナは意馬心猿
学校が終わり、佳奈と一緒に帰宅した健一は鞄を置いてすぐさま1301へ向かった。
入れ替わった三人の身体を元に戻す方法を皆で考えるためだ。
「すみません。遅くなりました」
健一は制服姿のまま、遅れたことを詫び1301に顔を出した。
ソファには刻也と自分の姿があるが、今は中身が入れ替わっている。健一が空いた席に
腰掛けると待ちかねていたように刻也が言った。
「ふむ、時間もないし早速本題から入るが、我々が入れ替わった原因はやはりあの階段が
関係しているんじゃないかと私は考えている」
「言われてみればそうですね。綾さんのときもそうでしたし」
刻也の推測を聞いて健一は一人でプリンを食べている綾に目を向けた。
「私、あのときのことはよく覚えてないから分かんないんだけど」
「階段が怪しいったって、具体的にはどうすりゃいいんだよ」とシーナ。
「う〜ん、もう一度あのときの状況を再現してみるとか?」
健一は思いつきで提案してみるが、刻也は眉間に皺を寄せ、難色を示す。。
「あの階段をもう一度落下してみるということかね? 危険過ぎないだろうか。
昨日は幸い軽症で済んだが、打ち所が悪ければ大怪我をするところだった。
解決を急ぐあまり無謀なことをするのは良くないことだと私は考えている」
「でも他に思い当たる原因なんてないんでしょ?」
綾に尋ねられて三人ともそれぞれ心当たりを探すが、あの日は階段から落ちた以外に
特別な出来事などなかった気がする。
「仕方がないな。気は進まないが、あのときの状況を再現してみるより他になさそうだ」
刻也がしぶしぶ頷いたことにより、三人はもう一度階段から落ちることに決めた。
1301を出て階段の前に立つ。健一は思わず息を呑んだ。ここから転落するとなると
身の危険を感じずにはいられない。
「やはり止したほうが良くないかね?」
目の前の階段を見下ろして刻也は二人に思い留まるよう進言する。
「なんだよ、怖気づいたのか。ここで引いたら男じゃねーぜ」
そういうシーナもちょっと腰が引けている。もちろん健一もいざとなると足が
竦んでしまってあと一歩が踏み出せずにいる。そこで健一は、後方で見物している綾に
声を掛けた。
「すみませんが、綾さん。僕は目を瞑ってますから思いっきり背中を押してくれませんか」
「健ちゃんっていうかシーナ君のの背中を押せばいいの?」
「はい、一思いにやっちゃってください」
「よーし、それじゃ行くね」
「はい」
健一は覚悟を決め、固く目を閉じる。三人一緒に落っこちるために右手を刻也が握り、
反対側の手はシーナと繋がれている。そろそろと気配が近づいてくる。
「えいっ」
日奈の背中が綾の手によって突き飛ばされる。瞬間、しっかりと握られていたはずの
両手が解放された。一人だけ転落していく健一は宙に浮きながら背後を振り返った。
三人で同時に落ちるはずだったのに、二人とも身の危険を感じて
咄嗟に踏み止まったらしい。スロー再生の映像を見ているように、気まずい面持ちで
目を逸らす刻也の姿が視界の片隅に映る。
そしてシーナも階段を落下していく自分の身体をたそがれた瞳で見つめている。
千分の一秒にも満たない刹那、健一の脳裏にあの言葉が過ぎる。
あの、うらぎりものめ
色んな意味で痛かった階段落ちの実演の後に日奈、こと健一が二人を見上げて言う。
「……ひどいですよ、二人とも。僕だけ突き落とすなんて」
「……悪かったよ」
「すまなかった。それで絹川君、なにか変化はあったかね?」
あれほど激しく転落したのに、見たところ変わったところは何もない。健一も自分の体を
眺め回してから結論を告げる。
「いえ、なにもないようです」
「そうか、やはり階段から落ちても何も起こらないということか。それが分かっただけでも
よしとしよう」
「なにげにひどい扱われようですね」
健一はかなり激しいショックに見舞われつつ、自分の落ちてきた階段を重い足取りで
上り始めた。
再び1301に戻って作戦会議。刻也が再び口火を切った。
「さて、今度の議題は『窪塚君の暴走をいかに食い止めるか』だが、なにか案はあるかね?」
「待て待て、なんで俺だけ危険人物みたいな扱いなんだよ」
「事の発端はそもそも君にある。バイト先で君が何かをやらかすと私の沽券に関わるのだ」
「なんか納得いかねえよな、そういうの!」
シーナが腕組みしたまま拗ねてそっぽを向く。
「う〜ん、一つだけ提案があるんですけど」
健一が控えめに手を挙げる。その仕草はどこからみても日奈そのものだ。
数分後。
「ど、どうですか?」
目の前に八雲刻也の姿をした日奈が立っていた。中身が日奈であれば真面目で
大人しいし、なにか騒ぎをやらかすといった心配はまずない。しかし、刻也は怒りに
喉を震わせながら言った。
「却下だな」
「……ですね」
スカートを履いた格好の八雲刻也(日奈)が、がっくり肩を落とす。健一の提案は
シーナから日奈に戻れば無茶はしないのではというものだったのだが、試行錯誤の結果、
スカートを履いたときだけシーナから日奈に変わるということが分かった。その辺の
線引きは結構アバウトだと思ったのだが、どうやら違ったらしい。
「無駄なことをやっているうちにだいぶ時間が経ってしまったようだ。絹川君は大海君との
約束があるんだったな。確か、待ち合わせは四時からだったと記憶しているが?」
刻也は時計を見上げて待ち合わせ時刻を確認する。健一は今日、千夜子とデートの約束が
あったのだが、今は日奈の身体に入れ替わってしまっているせいで代わりに健一の身体に
入っている刻也に身代わりを頼むことにしたのだ。デートの代役は依頼するほうも、
引き受けるほうも気まずいものがあるが、今回は事情が事情だけに仕方がない。
「場所はもう決まっているのかね」
「はい。一応お代場のテーマパークに行くことになっているんですが、もしそういう所が
苦手なら八雲さんの行きたいところで構いませんから」
本当なら刻也は試験勉強で忙しいはずだ。もともとは刻也がそうするべきだと
言ったのだが、やはりこんなことを頼んでよかったのかなあと健一は思ってしまう。
「私のことを気遣ってくれるのはありがたいが、君は大海君のことを一番に考えるべきだと
思うよ」
「ですかね。やっぱり」
「それでは時間がないようなのでこれで失礼する」
そう言うと刻也は部屋を出て行ってしまったので後に残された健一は1301を見渡す。
今、この場に残っているのはソファに寝そべった綾と日奈だけだ。
冴子はまだ帰ってきていない。
「えっと、とにかく窪塚さんも着替えようか。いつまでのその格好だと、
ちょっと不味いですし」
健一は日奈に着替えを勧める。なんせ外見は女装した刻也のままだから、
冴子が見たらきっとびっくりしてしまうんじゃないだろうか。
健一は日奈を伴って1305へ場所を移動する。
「えっと、着替えるので申し訳ないですけど」
「あ、そうですね。じゃあ、僕は部屋の外で待っているんで着替えが終わったら声を
掛けて下さい」
他人の身体であっても着替えを見られるのは恥ずかしいらしい。もっともそれは健一も
同じ気持ちだ。健一は1305を出て、廊下でシーナを待つことにする。程なくして、
部屋のドアが開き刻也の姿をしたシーナが顔を出す。
「待たせたな、健一。入っていいぜ」
1305は相変わらず、だった。まるでヤクザの事務所にあるような黒革のソファが部屋の
中央に陣取っていて、置物代わりの模造刀が壁に掛かっている。
「健一、実は折り入って頼みがあるんだ」
突然、シーナが改まって頭を下げる。人に聞かれたくない話なのか、わざわざ鍵を
閉めるために立ち上がり、錠の落ちる音を響かせた後、もう一度ソファに腰を降ろす。
「それで、話って何?」
健一はいつになく真剣そうなシーナにあわせて、自分の表情も固く張り詰める。
「実は昨日、一人Hしてみたんだ」
直後の爆弾発言に健一は慌てた。
「ちょ、ちょっと待ったっ」
「なんだよ、どうせ健一だってやったんだろ。それとも健一はセックスマッスィーンだから
2Pの方か。膣出しは止めとけよ、本当」
「いや、そんなことやってないし」
一応、否定はするが半分図星なので後ろめたい。
「まあ、それで俺は目覚めたわけだ。男の身体になった以上、やんなきゃ損だ」
「えっと、つまり何がしたいわけ」
「ぶっちゃけるとセックスがしたい」
なんだかもう、シーナは色々なところが壊れてしまったらしかった。しかも外見上は
刻也が真顔で喋っているように見えるので笑うに笑えない。
「う〜ん、そうは言ってもすぐには無理じゃないかな。相手の娘だって八雲さんとは
親しくないはずだし」
シーナが好きなのは佳奈のはずだが、残念ながら刻也と佳奈には接点がない。
今から仲良くなったとしてもさすがに恋仲にまで発展するとは思えないし、
この入れ替わり現象がいつまで続くのかも分からない。でも、ひょっとするとこの現状は
シーナが望んだとおりのものなのかもしれない。佳奈と両想いになるためには二重の
ハードル、つまり姉妹という関係と、同性という問題を双方克服しなければいけないのだ。
シーナが刻也の身体に入った今、そのハードルはなくなり、シーナの努力次第で佳奈と
恋人同士になることだってできる。でも、シーナは所詮シーナだった。
「もっとぶっちゃけると相手は女なら誰でもいいんだ。とにかく俺はセックスを
経験してみたい」
「本命の娘じゃなくても?」
「この際、贅沢は言わない」
「贅沢とかそういう問題じゃないと思うけどなあ」
刻也の彼女となら、どうにかなるのかもしれないが、刻也に知れたら
かなりヤバイんじゃないかと思う。
「さらにぶっちゃけると相手にはもう狙いをつけてる」
「えっ、そうなの?」
まさか綾さんを狙っているんだろうか。それとも冴子だろうか。
健一があれこれ考えてるうちにシーナが身を乗り出してきた。というかもう、
目つきがかなり怪しいし、息も荒い。
「シーナ、なんか目つきがヤバイんだけど」
「健一、頼む。一発ヤラせてくれ!」
「そんなバカな!」
「お願い、先っぽだけでいいから」
「無理、絶対無理!」
叫んだときにはシーナに唇をふさがれていた。
第四章 それぞれのセックス
制服のスカーフが解かれ、日奈の両手が拘束される。太腿の間にシーナの膝が割って
入ってきてスカートの裾が捲り上げられる。
「シーナ、待っ……」
制止の言葉さえ届かず、胸が激しく揉みしだかれる。指が食い込んで乳房に鋭い痛みが
走る。息苦しいまでに口腔が蹂躙され、嚥下しつつも飲みきれない口移しされた唾液が
口元から零れ落ち、喉を伝う。
自由を奪われた身体はただ震えるばかりだった。健一の理性は働いているが、
日奈の身体は怯えるばかりでなにもしてくれない。シーナも相手の抵抗がないのを
感じ取ったのか、一旦唇を離し、細められた眼差しで怯える日奈の姿を視姦する。
不安げに寄せられた眉、熱っぽく潤む瞳、濡れて光る唇、タイの解かれた胸元から
真っ白な乳房の膨らみがシーナの瞳に映し出される。
「やめ……」
膝裏を手で抱え込まれ、M字に膝を立てさせられる。きわどい部分を隠していた
スカートは今やショーツに覆われた股間を露わにし、シーナの滾った視線がその一箇所に
注がれる。匂いさえ貪欲にむさぼるかのように、シーナが肢の狭間に顔を埋め、
息を吸い込む。柔らかい布地で包まれた小高い膨らみが鼻先で撫でられ、吸われる度に
ぞくぞくと悪寒が背筋を駆け上る。
シーナは顔を上げるとまるでショーツを見透かすかのように、もっとも敏感な小さく
勃起した箇所を指で啄ばみ、執拗に下着の上からこねくり回す。
「やっ……んはぁ、くっ……やめろぉ」
日奈のかかとで精一杯シーナの背を叩く。
健一も必死に抗おうとするが、身体は意思に反して勝手な反応を示す。
シーナが指を引き戻せば、それにつられるように腰が浮き、秘唇の真下から
指を突き立てればそれを咥え込もうとするかのように腰が落ち、下着越しにずぶずぶ
指先が沈んでいく。最早、下着の内側はしとどに濡れそぼっており、股布の両端から
愛液が溢れそうなまでに快感が高まっていた。シーナは興奮に身を任せた手つきで
荒い息を吐きながらズボンのベルトを緩めると、手に余るほどの大きすぎる肉棒を
日奈の眼の前にさらけ出した。
むっとした臭気と見慣れたはずの形状に、健一は生理的嫌悪を隠せなかった。
背けた日奈の顔をシーナが強引に振り向かせ、唇に触れそうなほど間近に肉棒を
引き寄せる。健一は唇を引き結び、息さえも吸うまいとした。
その抵抗をシーナはむしろ楽しむように、下着の内側に溜まった愛液を指で掬い取り、
己の肉棒の先端に塗りたくり日奈の唇に亀頭を押し付けた。
「んっ、むっー……くはぁっ、ぁおごっ……むぁぉぇ……」
引き結んだ口元などお構いなしにシーナは無理やり、日奈の口腔に亀頭を押し込める。
強引に侵入してくる醜悪な剛直に抗いきれず、わずかに開いた唇から一気に喉奥まで
押し込み、日奈は声にならない悲鳴を上げる。
息苦しさで涙が滲み、友人のひどい裏切りによるショックで瞳孔が力を失う。
日奈の口腔は小さく、膨張した先端を呑みこむには代わりのものを吐き出さねば
ならなかった。唇の端から唾液が溢れ出し、涙と共に伝い落ちる。喉もとは激しく上下し、
必死に押し込まれた肉棒を吐き戻そうとするが、こみ上げてくるのは嗚咽とお腹の中の
濁流だけで、それすらも喉を塞ぐ亀頭でせき止められてしまっている。
「ぅぅひぃ……ふぁ、ひぃっぐ……ぉぇぇ」
日奈の身体は涙を流して懇願するが、本来の持ち主であったシーナは理性を失ったまま
腰を突き上げる。口腔を犯すように浅く引いては奥深くまで侵入し、苦しんで吐き出そうと
すると再び奥まで戻される。喉奥を蹂躙する勃起物を必死に押し出そうと舌を絡ませるが、
それが口唇愛撫となって鈴口から薄味の粘液が滲み出てくる。
「はぁっ……―――はぁっ……―――うっ」
口を塞がれ、呼吸は狭い穴を通ってしか行き来できない。しかし鼻腔から吸い込むのは
新鮮な空気ではなく蒸れて発酵したような精液の淫臭。それでも仕方なく吸い込むが、
だんだん思考は痺れてきて、抵抗よりも服従の意志が勝ってくる。
健一はシーナに奉仕をしながら、引き抜いてくれることを懇願する。
シーナの手が健一の頭の上に置かれ、根元まで一気に突き出された。
陰茎が脈打ち、熱いゼリーの塊が噴出する兆候を健一は舌で感じる。
「んんっむっ、んふぃっ!」
精液特有の粘っこい塊が喉に絡みつく。甘苦い味が舌の上で躍り、口から溢れ出す。
舌の上だけでなく下にも横にも精子が溜まり、それらを嚥下しつつ吐き戻しては何度も
精液の反芻を行い、身体の内側から白濁されていく悪寒を覚える。ドロドロに汚された
口元を拭うと精液が糸を引いて垂れ下がった。
続く
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
! i レ1.,' / .i ./ i / ,..<__ .il i ! ! ',
i l ! レi フー-.、 レ ' _,.ィ/⌒i;;;;;',ヽil | |- 、 ',
| i li/ //i⌒i;;ヽ ヘr';;;;;;;;;;l } | | i .} .i
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', レ^ヽ .レ' ヽ ! l ,' , ' ' ` ``ー-‐ '"// , ' , `} !
', / /r‐if´.l .〉、ヽi,'/ ,. -- ..,,_ _//, ' l / , ' l i
GJ!!!
うらぎりものワロタ
キャラの特徴もちゃんと出てるし、普通に番外編として本に掲載しても使えるんじゃないかこのノリ?
206ですけど、感想ありがとうございます。
それから本題はこっちのほうなんですけど、SS書いている方がいたら
僕に構わずどんどん投下しちゃってください。その、雑談でもOKですから。
なんていうか、このスレが盛り上がってくれるなら、それに越したことはないと
僕は思ってるんです。
GJ!!!!!!!
てか自分の体なのにいいのかなシーナ?
生クリームの匂いが残っている。
照明の落ちた閉店後のモン・サン・ミシェール。
しかし、調理場からは橙色の光が煌々と灯っている。
小さな店だが厨房は広く、どの機材も丁寧に磨かれ、清潔を保っている。
狭霧は制服のスカートに手を入れ、履いている下着を引きずりおろす。
絹の光沢を放つ純白のパンティは革靴のヒールに引っかかりながら、
足から抜けて男の目の高さに吊り下げられる。
餌のように吊り下げられたそれは、甘酸っぱい官能的な匂いを放っていた。
モン・サン・ミシェールの創設者、辻堂幹久は躾けられた犬のように
白いパンティの前でペニスを勃起させながなら餌が与えられるのを待っていた。
脱ぎたての下着が揺れている。
狭霧のパンティは女子中学生の標準からは程遠い高級な素材で、
凝った刺繍が施されている。
絹特有の肌触り、狭霧の汗と尿の雫をたっぷりと吸い込んだそれは
蟲惑的な魅力を放ち、辻堂に誘いをかける。
「くすっ、いいわよ幹久。好きにしなさい」
「ああ、お嬢様……」
狭霧が摘んでいたパンティを辻堂の上に落す。
顔面で下着を受け止めた辻堂はそれを掴むや否や、己の勃起した肉竿に
擦りつけ扱き始めた。
獣の咆哮を放ちながら、辻堂は雄の本性を剥き出しにマスターベーションする。
狭霧が小馬鹿にした目つきで辻堂の自慰行為を見下ろし、凍てつく声で命令する。
「イッてはダメよ、幹久。そこで止めなさい」
「お、お嬢様……どうか、どうかお許しを……もう、もう我慢できそうに……」
「私の命令が聞けないの?」
蔑んだ声で狭霧が睨みつける。
革靴の底で辻堂の射精穴を踏みつけ、尿道を押さえつける。
掴んだ手ごと強く踏みしだかれ、辻堂はくぐもった声を上げる。
犬のチンチンの姿勢で屈する辻堂の目の前には、
制服を着た狭霧の白い太腿が露わになっており、眩しく輝いている。
パンティを脱いだ狭霧はキッチン台に腰掛けると両膝を立て、
茂みに覆われた陰唇を辻堂に魅せつける。
「幹久、喉が渇いているわよね? ほら、大好きなんでしょう、私のおしっこが」
狭霧が陰部に右手を添え、陰唇を淫靡に割り開く。
ナメクジのようにぬらぬらと光るそこには二つの小さな窪みが窺える。
大きな窪みは太いペニスを受け入れるための膣穴。
小さく狭い窪みは排泄するための尿道口だ。
橙色の照明を背にして、狭霧は温かい檸檬色の雫を迸らせる。
芳しい尿臭は庶民の排泄物では絶対にあり得ない高貴なものだ。
ブラックパールという名の最高級品種の紅茶を愛用する狭霧の尿は、
その芳香、味わいともに麗しい。
尿は幹久の顔面にしたたかに降りかかり、アンモニア臭の湯気を立ち昇らせる。
「あらあら、残さず飲んでしまうつもり? 新作ケーキの生地に練りこむのでしょう?」
モン・サン・ミシェールの人気作品には時折、狭霧の尿が用いられる。
先日、狭霧が店を訪れたときに連れの少女に差し出したのも、その内の一つだ。
狭霧は好みの美少女をこの店に連れてきては
、自分の尿を混入させたケーキを少女達に食べさせている。
何も知らずに他人の尿を口にする彼女達の姿に激しく興奮するのだという。
「ふふっ、結局全部飲んでしまったのね。まあ、いいわ。
代わりにこっちのジュースを使わせてやるから。
うふふ、もう一度先輩を連れてこなくてはいけないかもね。んふふ」
そういうと狭霧は辻堂の見ている前で自らの陰唇を愛撫し始めた。
モン・サン・ミシェール。女子高生の間で評判の美味しいお店。
ここを訪れる少女達は誰一人として、ここのケーキの秘密を知らない。
FIN
最近、友達に勧められてハマったんだが、しょーとすとーりーずを読んで
こんな妄想を下のはきっと俺だけじゃないはず。
そんなことより、誰かシーナの足コキSS書いて!!!
これが・・・・・・!!!
スルーか!!!
なんと恐ろしい・・・・・・!!!
orz
どうしてコテハンが無関係、なの?
いや、リリカルなのはは面白いとは思いますけど、スレ違いますよ?
ちょっと辛口のコメントすると、アレだ、キャラの性格が基と全然別物だな。
ネタがSMだから仕方ないとしても、作品の雰囲気が違いすぎて
キャラの名前変えたら何の二次創作か分かんなくなっちまうぜ、本当。
しかし、エロかった。GJ。シーナの足コキSSは自分で書こうな。待ってるぜ、本当。
それとコテハンは変えたほうが良いと思うんだ、本当。
気付いてなかっただけか? まあ、俺は気にしないけどね、本当。
そうか……orz
原作の雰囲気を再現するのって難しいモンだな。SSなんて書き始めたのつい最近でさ。
無関係なコテハンはもうしない。
しばらくROMに徹する。またネタ思いついたら書かせてもらっていいかな。
バッチコーイщ(゚Д゚щ)
古田捕手ww
えっと、ゴメン、読み直した方が早いかもしれないんだが
モン・サン・ミシェールって何?
そんなの出てきたっけ?
次の刊って何時出るんだっけ?
たしか今月出ると思ったんだが…
12月10日。
多分、ホテルから始まるんだろうなあ。
>>224 待ちきれないないから明日、早売り買いに行ってくる。
無かったら完全に無駄足になるがな。
>>226 ( ´∀`)σ)Д`) ウリウリ…早漏めw
228 :
226:2005/12/08(木) 16:32:43 ID:EIVwVxcr
疲れた・・・・・・完全に無駄足だった。
明日こそはきっと・・・・・・
実はbk1では昨日の夜の時点で24hになってたり・・・
アマゾンやセブンではまだなのに何故だろうか?
もちろん、既に注文している。
携帯よりカキコ
今日、地元の駅の本屋で売ってたから買った。
電車の中で読んだが、ホタルが可愛くて切ないよ…
こらえきれずカキコしてしまった。
反省はしていない。
窪塚家征服EDとか考えた。
保守
コレでホタルの子供は…でFAか…?
それにしても、窪塚母エロいな…(*´Д`)ハァハァ
思うんだが、このスレはいっそのこと落として【ROOM】新井輝総合【DEAR】で
新スレ立てないか?
む?
DEARが書きたいならここに書いても良いんじゃないか?
無理に落とす事はないと思うんだが。
236 :
234:2005/12/29(木) 00:53:10 ID:XqMfpv61
>>235 いや、すまない。書きたいのではなく読みたいだけだ。
それにDEARのSSが投下されても、今のスレタイでは検索に引っかからないと思ったんだ。
落す必要はないかもしれないが、このままだと自然に落ちるような気がして、
だったら落ちた後に新スレでも立てようかと思っていただけなんだ。
しかし、よく考えたらスレ立てしてくれた1に悪いし、提案は棄却しよう。
ほしゅ
238 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 20:25:34 ID:M8g7EHkd
新刊出たのに過疎ってんなwwww
てか下がりすぎww
239 :
レナ:2006/01/10(火) 05:51:28 ID:LCS3Zw5C
初めまして。今回、私の初めてのSSを投下させて頂きます。
健一×冴子モノです。
初めてなのでエロの部分の表現が微妙です。
その点はお許しくださいm(__)m
何分全て携帯で書いたものですから・・・。
タイトルは「夜」です。
それと、携帯から投下となります。
でわ投下開始。
240 :
レナ:2006/01/10(火) 05:54:33 ID:LCS3Zw5C
部屋の照明のスイッチを消す。
明るいまましてみたい、そう思うこともあるが冴子が嫌がるのを無理にしようとはまでは思わない。
シュル・・・シュルと布の擦れる音が聞こえる。
パサッと地面に冴子の服が床に落ちる。
「絹川くん・・・」
暗闇に薄らと見える彼女の体を抱き寄せてキスをする。
冴子が「絹川くんってキスすると人格が変わるみたいだから・・・・」と言っていたがこれは本当だと思う。
キスをすると頭の中で何かが外れ、
何も考えずに目の前の女の子を求めたい、という衝動に捉われる。
いつもその衝動に身を任せて快楽に溺れる。
241 :
レナ:2006/01/10(火) 05:56:53 ID:LCS3Zw5C
「ん・・・ふぅ、ん・・・・む」
冴子が可愛く声をあげる。
その声に更に快楽を求めて冴子の口内に舌を差し込む。
「ん・・・・・・んんっ!」
突然舌を入れられたことに冴子が驚きの声をあげる。
健一は舌を絡ませながら冴子の背中に手を延ばし、服をブラのホックを外す。
「ん!んん!!・・・・んふぅ、はぁ・・・はぁ・・・」
冴子が健一から離れる。唇が離れると冴子は少し苦しそうに呼吸をした。
「大丈夫ですか?」
苦しかったのかな?と思い健一が冴子に言う。
「平気よ。ちょっとびっくりしただけだから。だって急に私のブラを取ろうとするんだもん。」
健一の手によって締め付けを失ったブラは床に落ちている。
「たまにはいいじゃないですか。僕に脱がさせてくれても・・・・嫌ですか?」
「嫌ではないけど・・・恥ずかしいわ・・・」
そういって冴子は俯く。
242 :
レナ:2006/01/10(火) 06:00:08 ID:LCS3Zw5C
「そうですか・・・・」
少し残念だな、と思いながらも気を取り直して冴子をベットに軽く押し倒す。
もう一度唇に短くキスをして冴子の胸へと手を延ばす。
「んっ・・・・!」
冴子の体がビクッと震える。
「あ・・・んっ、ふっ、く・・・ん」
優しく乳房への愛撫を繰り返す。
しばらく乳房への愛撫を繰り返してから、健一は愛撫によって大きくなり始めた胸の突起を軽くつまむ。
「あんっ・・・やぁ」
冴子が可愛く嬌声をあげる。
その声に更に興奮が高まった健一は冴子の胸の突起にしゃぶりついた。
「あんっ・・・・ぁ・・・・やだ・・・・絹川君赤ちゃんみたい・・・」
そういって冴子は健一の頭を優しく撫でる。
冴子の胸を存分に味わった健一は突起から口を離した。
243 :
レナ:2006/01/10(火) 06:03:57 ID:LCS3Zw5C
「そろそろいいですか?」「ええ・・・」
冴子が下着を脱ぐ。
健一もあわててズボンとトランクスを脱ぎ捨てる。
冴子がベットに横たわる。健一は先程の愛撫によって十分に濡れてる冴子の秘唇に自分のモノの先端を当てがう。
「きて・・・・絹川君」
「・・・・・・・・・・・・」
健一は腰に力を込め、少しずつ冴子の中へと押し入っていく。
「あん・・・・ん・・・・絹川君が入ってきてる・・・」
「奥まで入りましたよ。」
「うん・・・・動いて、絹川君・・・」
はいっと短く返事をし、健一は腰を動かし始める。
「ふ・・・あああっ、ん・・・・・・ああっ!」
腰を動かす度に冴子が声を上げる。
その声に脳が痺れていくのを感じ、健一は更に激しく冴子を突く。
「はんっ、ん!あぁ・・・・あふうぅ・・・・んぐっ!」
健一が冴子にキスをする。獣のように舌を絡ませ、冴子の口内を犯してゆく。
「ふ、んっ、んぅ・・・!はぁ・・・・ああっ!」
「有馬さん僕そろそろ・・・」
唇を離し絶頂が近いことを伝える。
「わ・・・・私ももうイッちゃいそう・・・あっ!あああっ・・・一緒・・・・に」
「有馬さん!」
最後に激しく腰を動かし、射精寸前に自分のモノを冴子から引き抜く。
「絹川君っ、ああっ、はあああっ・・・・・!」
引き抜く際の最後の動きで冴子も絶頂に達する。
健一は冴子のお腹辺りに全ての精液を放出した。
244 :
レナ:2006/01/10(火) 06:06:43 ID:LCS3Zw5C
「寝ちゃったな」
精液などの処理をした後、冴子はすぐに眠ってしまった。
「・・・・有馬さん」
いけないとは思ったが健一は眠っている冴子の唇にもう一度キスをした。
「さて、僕も寝ようかな。」
部屋を出ようと立ち上がる。
「お休み、有馬さん」
そういってドアを開けて部屋をでる。
冴子と性行為をした後はいつも思う。
僕に恋愛は向いていない――と。
245 :
レナ:2006/01/10(火) 06:14:04 ID:LCS3Zw5C
以上です。
至らない所ばかりで済みませんm(__)m
思い付きで書き始めたのですがやはりは難しいものですね。
懲りずに次回は健一×蛍子を書こうかなって考えています。
次回作はもう少し勉強してきますね。
それではまた。
オチは綺麗で良いから導入部に凝ってくれたらもっと良かったと思う
スムーズ過ぎるというか何というか
次回作に期待してる
オチ綺麗かな?
なんだか冴子としたことを後悔してるみたいで、微妙に違和感があるようなないような。
でも尺はちょうどいい気がする。ROOMの雰囲気も味わえるし。
そして次回作は鈴璃キボンぬ
「SSを書いて欲しいということであれば書いてもいいのだが、
私には期待はしない方がいいと思う」
「……なんでですか?」
「私はどうも昔からスレを盛り上げるのが苦手でね。SSを投下したばかりに過疎ってきた
スレばかり見てきた」
「……まあ、そういうこともあるかもしれませんけど」
「そういうこともあるという話ではないのだ。例外なくそうなってきたのだ。
だから私はずっと感じてきたのだ。私はSSが苦手だ、とね」
長引く射精がようやく終わり、溜まった精液を搾りだしたシーナが震える声で
感動を露わにした。
「スゲー、マジスゲーよ、ヤバイくらい気持ちいいぜ、本当」
あまりの快感に腰が抜けたのか、シーナはどっかりソファに沈み込んだ。
「何つーか、自分でするだけじゃ味わえない感動があるよな。エロイなんてもんじゃねー
俺は一瞬、天国を垣間見たね」
シーナはすっかり饒舌になっていたが、健一は完全に放心状態だった。
自分が何をされたのかも実感が湧かない。口腔に溢れた生臭い粘液は、噛むと不気味な
弾力が跳ね返ってきた。
健一は足を広げてソファに腰掛けているシーナを見上げる。目の前にはすももの実に
酷似した赤く熟れた果実。健一は霞がかった思考回路のまま、その赤い実にかぶりつく。
「ちょ、健一。まさか第二ラウンドなのか!? ぅをっ!!」
果実をしゃぶり、舌を這わせてくすぐると、シーナのそれはすぐに屹立し固さを
取り戻した。健一はシーナに寄りかかりながら、ゆっくり膝の上に跨っていく。
精液の絡みついた手のひらで擦ってやると、熱く滾る肉棒はくちゃくちゃ音を
漏らしながらねっとり精液に塗れて激しく脈打ち、シーナは苦しそうに乱れた息を吐き出し
始めた。シーナの首を左腕で抱きながら、右手の指で下部の唇を広げる。
小さな挿入口に充血した亀頭をあてがうと、熱湯からもわっと立ち昇る湯気に
包まれたように熱い触感が下腹部を侵食していく。
「ぁ……ぁぁああぁあァァァ……ぁぁうぅ……」
胸の奥から声にならない嬌声があがる。今にも射精しそうな鈴口が、処女膜と
強烈な接吻を交わしながら膣内に潜り込もうとしている。痛みはあるが、嫌にならない。
本能的に快楽を求めて腰が自然と落ちていく。日奈の身体はソファに腰掛けるシーナに
寄りかかったまま、上体をスライドさせるように腰を沈めていく。
その直下にそそり立つ半身が赤い秘裂に頭をめり込ませている。
えらの大きく張り出した雁首が丸呑みにされ、膣口の中に埋まっていく。
日奈の下腹部に手を添えると、潜り込んだ肉棒の感触が確かにある。
「はあぁぁァ……ひぐぃ……挿入ってるぅぅ」
日奈の声帯から発せられる紛れもない喘ぎ声。揺蕩うリズムで腰がゆっくり上下される。
零れ落ちる破瓜の血が鮮やかに発色する。
処女を喪失する痛みは涙を生む。しかし、喘ぎ声と重なって漏れる声ははぁはぁと乱れる
吐息にわずかな苦悶が混じる程度。健一は今までに体感したことのない処女喪失の刺激に
紛れもなく興奮しきっていた。M的快楽と言い換えて良いかも知れない。
健一はこれまで痛みに気持ちよさを感じたことなど一度もない。この性癖は日奈の身体が
もたらした恩恵だろうか。
「うお、マジでやべぇって。さっき射精ったばっかなのに、
すげぇ締め付けてきやがる……! ぐっちゃぐちゃの膣肉にマジ扱かれてるよ。
うはぁーたまんねえよ、本当」
シーナがあまりの快楽に飛んでうわ言を呟く。声を抑えて喘ぐ健一よりも、
シーナの快感に溺れる悲鳴のほうが大きく室内に響く。
火照った身体が熱い。性行為によるものだけではないような気がした。
二人が交わしあう毎に室温が上がっているのでないかと、そう錯覚してしまう。
二種類の喘ぎ声が反響して部屋で乱交パーティーが開催されているような姦しさ。
黒革張りのソファは沈み込んだ部分に淫液が溜り、濃密な匂いを醸しだしている。
綺麗に磨かれた木目調の机、その上に置かれたガラス製の大きな灰皿が二人の行為を
映し出している中で、健一はシーナに濃厚な接吻を与える。
経験のないシーナは戸惑いつつも、搾り取られるような求めに応じ、
健一の唇を啜り返した。お互いの美蕾を擦り合わせると甘く感じられ、唾液を貪るように
嚥下していく。シーナが日奈の細い肩に手を這わせ、乳房を揉みしだいていく。
肉棒が挿入されたままの膣が卑猥な音で鳴いている。
長く震える息を吐き、健一が腰を持ち上げる。シーナの顔の高さまで乳房を持ち上げると
、顔面を日奈の双乳で挟み込む。刻也の掛けていた眼鏡が外れ、健一は邪魔なそれを
机の上に投げ捨てた。
温かい乳房に抱き包まれて、シーナはこのまま昇天してしまうんじゃないかと思えるほど
至福の表情を浮かべている。
結合部はシーナの逸物が鼻先だけ膣に潜り込んでいる状態だが、射精寸前に激しく
脈打っている。浅く出たり入ったりするだけの刺激がかえって亀頭を締め弄り、
焦れったい興奮を昂ぶらせる。咥えられた亀頭から、発情した雌雄の匂いが薫る。
フェラチオで精液塗れにされた肉棒は何度も何度もくちゃくちゃ音を立て、膣口でずぷずぷ
抜き差しされ粘液が泡立つ。まるでクリームを絡めたかのような外見、精液の匂いだけは
眩暈を催すほど強烈に充満している。
「シーナ、もうイキそう?」
甘える声で囁きながら、シーナの肉棒を再び深く沈めていく。脈打つ肉茎が根元まで
ひと呑みにされ、ぬぷぬぷとゆっくり吐き出されていく。
「佳奈……ちゃん」
シーナの口からそんな呟きが零れる。
「佳奈ちゃん、佳奈ちゃんの膣に思いっきりぶっかけていい? 私、佳奈ちゃんの子宮に
ごくごく精液ミルク飲ませて、孕ませたい。ああ、佳奈ちゃん、イキそうだよぉ。
イク、イクッ!」
シーナが興奮に耐え切れず、人格崩壊を起こしながら佳奈の名を叫んだ。
律動が日奈の膣を激しく掻き回し、凝縮された濃厚な精液プリンを排泄する。
「あぐぅっ! んひっ……くっ……すごっ、ぐちゃぐちゃ、んぁぁああ!」
大量の精液を膣肉で咀嚼しながら、日奈が嬌声を上げる。日奈と一体になった健一も
また、人格が崩れ落ちていく。尿道を迸る精液が逆戻りして、管で暴れまわってるかの
ような、ぐちゃぐちゃの快感が健一を襲う。
―――ぶぴゅる、どっぴゅ、どぷっ―――
信じられないほど濃厚で多量の精液が膣内に埋没していく。
日奈の蓄えてきた想いのたけが質感となって感じられるほど熱い塊り。
日奈の身体はシーナに跨ったまま、だらしなく失禁してイッた。
「はぁ、はぁ、なんて恐ろしいセックスマッ―スィーンだ。連続で四発も抜かれるなんて。はぁ―――、はぁ―――、動け、動くんだ俺の足、今逃げないと枯れるまで逆レイプ地獄……」
シーナは必死に床を這って1305のドアまで辿り着く。気持ちよかったけど、
死ぬほど気持ちよかったけど、片想いのまま腹上死するのは本望ではない。
もはや魔窟と化した1305は普通の人間ならあまりの臭気に立ち入れないほど強烈な、
汗と精液と愛液がアンモニア臭と混じり風呂場で発酵したような臭いが充満している。
このまま此処に居ては腹上死よりなお悲惨な窒息死が待っている、そんな悪寒さえする。
1305のドアを開ける。数時間ぶりに嗅ぐノーマルな空気。
そして、シーナはちらりと後ろを振り返る。佳奈そっくりの少女がすやすやと
寝息を立てていた。また後で来よう、そう心に決める懲りないシーナであった。
253 :
刻也編:2006/01/14(土) 12:25:45 ID:eTFAK7dB
大海千夜子は時計を見つめていた。
待ち合わせの時刻の一分前。いつもの健一ならもう姿をみせていてもおかしくない
時間である。別に待ち合わせ時間よりも前なのだから、心配するほどのことでは
ないかもしれない。けれど、時間ギリギリに来ることが珍しいのは確かである。
千夜子は今日のコーディネイトを改めてチェックする。短く裾がカットされた
暗灰色のワイシャツに紅色のネクタイ、深緑色のプリーツスカート。
最初は大人っぽくていいかなとも思ったのだけれど、色調が暗すぎたかもしれない。
千代子が自分のスカートの裾を見つめると、真正面から声が掛けられた。
「……千夜子君?」
ちょっと自信なさ気に聞こえるその声に、千夜子はぱっと顔を上げる。
「待ったかね? 時間は正確だと思ったのだが」
健一が自分の腕時計を見て時刻を確認している。
「あ、大丈夫ですよ。時間ピッタリです」
「……」
健一が自分を見て声を失っている。呆然、というほどでもないが何か呆気に
とられたようなそんな表情だ。どうしたのだろう、と千夜子は首を傾げる。
「あの、健一さん?」
「ん、ああ、すまない。少し意外に思っただけだ」
「意外、でしたか?」
それはどの辺りだろう、と千夜子は首を傾げる。もしかしたら、今日の服装のこと
だろうか。やっぱり暗色系じゃなくて明るい色合いにしたほうが良かったかもしれない。
兄の悟が千夜子の格好を子供っぽいというから思い切ってコーディネイトを
変えてみたのだけれど。けれど健一は少し戸惑った口調で言った。
「いや、なんでもない。……今日のような格好も、その、良く似合っていると思う」
「そ、そうですか。嬉しいです」
「では、行こうか」
なぜだか健一は居心地が悪そうにしてさっさと駅に向かって歩いてしまう。
電車に揺られること一時間。車両内は微妙に混んでいてあまり話せなかった。
ポケットの中にはアミューズメントパークの入場チケットが二枚入っている。
今までそうした施設に入った経験はないが、チケットの裏に地図があるし駅から
巨大観覧車が見えているので道を迷うことはない。目的の駅を降りて千夜子は健一と並んで
歩き始める。今日の健一はなんだか直線的な歩き方でスタスタ先へ行ってしまう。
駅から五分ほど歩いた辺りで、健一は何か思い出したように突然後ろを振り返った。
「どうかしました?」
「いや、声が聞こえなかったので、君がちゃんとついて来ているか少々不安になったのだ」
「そうだったんですか。えっと……やっぱり手、繋いで歩いたほうがいいかもですね」
千代子はおずおずと手を差し出す。しかし、健一はなんだかうろたえるように差し出した手を掴む。その握り方がいつもと違う感じがしたので、千夜子はつい手を強張らせてしまう。
「あ、すみません」
千夜子は慌てて手の力を抜く。
「いや……」
健一は黙って千夜子の手を引きながら、アミューズメントパークに入場する。
パークでは屋内外のアトラクションが両方楽しめるようになっていて、特に夕日が美しく
見えるこの時間帯は観覧車やフリーフォールなど高いところに昇れるアトラクションに
人気が集中している。辺りがもっと暗くなれば、ライトアップされた綺麗な夜景が
見えるはずだ。
「えっと、何に乗りましょうか」
「千夜子君に任せるよ」
健一はあまり興味もなさそうに海浜公園の向こうに沈んでいく夕日を眺めている。
「えっと、健一さんはジェットコースターとか大丈夫なほうですか?」
「乗ったことがないので答えようがないな。君が好きというのであれば乗っても構わないが」
「そ、そうなんですか。ひょっとして遊園地とかって嫌いでした」
「嫌いということはないが、自分には不似合いな場所だろうという予想はしていた」
ここまでくると千夜子もさすがに今日の健一はいつもと様子が違うと気付く。しかし、
それがどうしてなのかまではさすがに分からない。なんだか話しづらい雰囲気のまま、
二人で乗り物系のアトラクションのひとつに乗り込む。
健一の横顔を窺うが、無表情で前を見つめているだけでちっとも楽しそうに見えない。
ゆっくりした乗り物はつまらなかっただろうか。千夜子は健一の楽しんでくれそうな
乗り物を探しながら園内を回るが、健一はどのアトラクションに乗っても大して
反応がなかった。時々、話しかけてはくれるが、それもひどく事務的な感じがして、
ひょっとして健一はこういうアトラクション全般が嫌いだったのだろうかという気が
してくる。だったら先にそうと言ってくれればよかったのに。
だから千夜子は勇気を振り絞ってジェットコースターに乗り込んだ。健一は隣の席に
座り、自分の眉間の辺りに手を当てている。今日だけでその仕草を何度か見かけているが、
健一にそんな癖があっただろうか。まるで眼鏡を押し上げているような仕草だ。
かすかに疑問を感じたものの、ジェットコースターがゆっくり上昇し始めると、
そんなことを考えている余裕は吹き飛んでしまった。
長い一周が終わった後、千代子はひどく青褪めた表情でベンチにへたり込んでいた。
隣に立つ健一が心配そうな眼差しをしながらも厳しく叱責してくる。
「なぜ、無理をして乗ったのかね。君に万が一のことでもあれば申し訳が立たない」
健一が差し出してきた飲み物を手に取り、千夜子は一息ついてそれを飲む。
「……私のせいかね?」
唐突に、健一がそんなことを言い出した。
「いや、それ以外に理由が考えられないのだから、きっとそうなのだろう。
だとしたこの結果は私がもたらしたものに他ならない」
健一が何かを早口で喋っているが、ジェットコースターの後遺症で頭がぼうっとしている
千夜子には健一の言っていることが理解できない。
「私とでは、やはり楽しくないのだろうな。自分でも分かってはいるつもりなのだ」
「あ、あの! そうじゃないんです」
「では、どういうわけだね」
「健一さんといられるのは、それだけですごく嬉しいことなんです。一緒にいるだけで
ドキドキして、わくわくして、でもそれじゃダメなんです。健一さんが楽しんでくれないと
私的には意味がないって言うか、上手く言えないんですけど、そうしないと釣り合いが
取れないって感じなんです」
「釣り合いが取れないということは、決してないと思う。君と絹川健一はきっと、
他人の目にも似合っていると映っているはずだ。それとも私は過去に君に誤解させるような
ことを言ったのだろうか?」
健一の顔には、今まで見たことがないくらいに真剣な表情が浮かんでいた。
「しかし、今日のことは全面的に私に非がある。君が楽しめればそれで良いと思っていた。
しかし、それではいけなかったのだな」
反省した様子で健一が力なく笑う。そうさせてしまったことが申し訳なくて、
千夜子は思わず宣言していた。
「あの、今日はなんとしても健一さんを楽しませて見せますから」
「千夜子君?」
「健一さんに何があったかは知らないけど、嫌なことがあったならきっと忘れさせてみせ
ます。だから健一さんは私のことなんて気を遣わずに思いっきり楽しんじゃってください」
「健一さんも結構負けず嫌いですよね」
一通り遊び尽くした後、千夜子たちはレストランで遅めの夕食をとっていた。
健一は口に運んだ魚介のパスタを飲み込んでから、千夜子の言ったことに反論する。
「そんなことはないと思うが」
「そうですよ。エアホッケーのときも負けるとすごく悔しそうな表情してましたし、
ボーリングのときも真剣すぎて恐いくらいでした」
「勝負事に熱くなる性格ではないと自負しているのだがな、指摘されてみるまで
気付かなかったが確かに私には負けず嫌いな一面があるようだ」
「これじゃ負けず嫌いスパイラルですね」
「負けず嫌いスパイラルか……その言葉はとても面白いな」
健一はそう言って笑う。それを見て、千夜子はホッとした気分になる。
「君は今、楽しめているかね?」
健一がそう尋ねる。自分にも笑顔が伝染ったのかもしれない。千夜子は弾んだ声で
健一の質問に答えた。
「はい、とっても幸せです」
「そうか……私も、そう思っていたところだ」
健一の口からその言葉を聞いたとき、千夜子の胸には空も飛べそうなほど嬉しさが
こみ上げてきた。
「えっと、それで健一さん。この後の予定なんですけど」
千夜子はちょっとばかり大胆になっていた。ツバメからその策を伝授されたとき、
自分には絶対できないと思っていたものだが、今の雰囲気なら行けるかもしれない。
自分たちは付き合ってもう三ヶ月も経つのだ。お父さんもお母さんも、兄だって
健一のことは気に入ってくれている。最近は日奈や佳奈という強力なライバルが
でてきたし、ここらで一発決めておかないと大海千夜子の名が廃る。
千夜子は覚悟を決めて、口にした。
「ホテル……予約してあるんです」
おかしなことになった。八雲刻也は激しく後悔していた。
元はといえば自分が悪い。デートの代役を買って出て、友人の彼女といい雰囲気に
なってしまい、そろそろ彼女を家に送っていこうかと思っていた矢先、千夜子の爆弾発言が
飛び出し、頭の中が真っ白になった。我に返った時にはもう引き返せないところまできて
いて、今まさにホテルの浴室からシャワーを浴び終えた千夜子が出てくるところだった。
「鈴璃君に本当のことを話したら、私は撲殺されてしまうのだろうか」
半透明なドアが開き、中から千夜子がバスローブ姿で現れる。しっとり濡れた裸身が
スタンドライトの光を浴びて、その輪郭を輝かせている。案外、胸が大きいのだなと刻也は
思う。鈴璃や綾さんに比べれば小さいのだが、冴子や狭霧よりは大きい。そこまで考えて、
自分は意外と女性のそういった部分に関してよく見ていたのかもしれないと気付く。
刻也は気を紛らわすためにラジオのスイッチをいれた。スピーカーから
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴーという軽快なメロディーが流れてくる。刻也は慌てて
チャンネルを変えた。
その時ふと、軽く毛布の沈み込む音がして、刻也は顔を横に向ける。ベッドに腰掛ける
刻也の隣に千夜子が身を寄せてきていた。ほんのり湯気の昇る髪から良い香りがして、
刻也は興奮を抑えきれなくなるのを感じていた。髪を下ろした千夜子はいつもよりずっと
大人びて見える。彼女の巻いたバスローブが自然に解けた。
「健一さん」
千夜子の唇が動く。自分は今、健一と身体が入れ替わっている。
だから千夜子は気付いていない。微かに残った刻也の理性が千夜子の身体を押し留める。
「健一さん?」
「千夜子君……うっ!」
解けたバスローブの合間から白桃のような濡れた乳房が露わになる。形の良い乳房の下に
続くなだらかな腰の曲線。スッと縦線を引いたようなヘソのさらに下、小さな蔭りから
匂ってくるエロスに刻也は眩暈を覚えた。
DNAが囃し立てる。目の前の女を犯せと轟き叫ぶ。健一の肉体が意思に反して
動き出すのを刻也は抑えることができなかった。
種がはじけて健一の肉体が覚醒した。
「あっ健一さん、私まだ初めてで……んっ……ちゅぱっ、んっ」
千夜子の唇をこじ開け、舌で口腔を蹂躙する。熱く柔らかい粘膜が擦れ合い、
唾液が口の端から零れ、顎を伝う。千夜子の乳房が刻也の胸板に押し潰され、
固くなった乳首が動きに合わせて揺れる。
シャワーを浴びて石鹸の匂いのする肌から珠のような汗が流れ出て、千夜子のヘソを
伝って陰部の繁みに降りていく。千夜子の肢に腕を押し込み両脚を次第に開かせていく。
「健一さん、恥ずかしいです。ああぁ、そんなとこ……いやぁ、そんな奥まで開いて…」
刻也はなにも言葉を発せなかった。肉体が精神を支配しているのを感じ、下腹部の中枢が
発情し猛り狂っている。
恥丘の膨らみを鷲掴みにし、あたかも乳房を愛撫するように荒々しくぎゅうっと千夜子の
恥部を揉みしだく。指が膣内に潜りこみ、押し広げていく。愛液を垂らしてシーツに
ぽたぽたと染みをつくりながら、千夜子は悶え乱れていく。のたうつように腰を浮かし、
肢を泳がせ、乳房が弾む。
刻也は千夜子の腰に手を回し、尻肉をぎゅっと掴むと己の肉棒で濡れる秘唇をずぶずぶと
貫いた。千夜子が悲鳴を上げ、弓なり背を反らせる。しかし腰に手を回されて千夜子は
逃れることもできないまま、ずぶずぶと膣奥までめり込む肉茎を受け入れる。
「んあぁぁぁ、健い…っ、ひぐっ……熱い、健一さんの、こんな奥まで……」
苦しげに喘ぎながらも、千夜子は激しい抵抗をしなかった。最後まで続けられるかは
不安だが、徐々に唇からとろけるような吐息が漏れだしてきている。
「はぁっ、健一さん……んぁ、んんっ」
初めて性器を膣内に挿入されたというのに、千夜子のそこは熱くぬめり、くちゃくちゃと
水音を立てていた。千夜子が感じやすいというだけではないはずだ。健一の肉体は
どうやれば女を絶頂に達せられるか熟知している、遠慮なく千夜子の反応する箇所を
責めてて止むことのない快楽の波にたぷたぷ浸らせ、処女の性感を翻弄している。
千夜子が一際高い声を上げた。潮を吹いてイッたのが刻也にも感じられた。
259 :
エピローグ:2006/01/14(土) 12:29:47 ID:eTFAK7dB
その世界は上空から見ると緑色をしたジグソーパズルの一片のようだった。
しかし近づいてみると、それが健一の良く知る公園の広い敷地だということがわかり、
さらに近づくにつれて、中心にある小さい点が次第に見覚えのあるオブジェの形を
成していく。『時の番人』という名のオブジェ。自分はこれを飽きもせず、
ずっと眺めていたという。最初はひとりで、途中からはハルナという少女と。
「健一君、目は覚めましたか」
「えっと君は?」
健一の目の前には天使のような姿をした一人の少女が舞い降りてきていた。
少女は小さく唇を動かす。
「私はハルナ」
「ハルナ?」
健一はその名をどこかで聞いた覚えがして、すぐにそれが幼い頃に出会った少女と
同じ名前だと気付く。良く見れば彼女の顔立ちはあの頃とほとんど変わっていないように
見える。幼く、あどけない。しかしどこか澄ましたような透明な雰囲気をもった少女。
「健一君は事故で一時的に身体が他の人と入れ替わってしまったんだよ。
でも、これは事故だから、もう元に戻る時間なの」
言われて健一は自分がさっきまで日奈の身体のなかに入っていたことを思い出し、
本当の自分の身体は千夜子とデートをしているはずだと思い至る。
「というわけで、本当は話したいことがたくさんあったけど、そろそろお別れの時間。
彼を責めないであげてね、健一君」
「彼って?」
「すぐに分かるよ。それと彼女と仲良くね」
「それもすぐに分かる?」
健一はハルナに尋ねる。ハルナは答えとなる表情を形作った。そして彼女の指が天を
指し示し、振り下ろされた瞬間。大地は三角形の細かい破片となり、健一は落ちていくのを
感じた。
「健一さん?」
随分と長い間、自分の名前を呼んでいてくれてたらしい。耳元で千夜子の囁く声がする。
「千夜子ちゃん? わわっ、なんで裸なの?」
「やだ、恥ずかしいから言わせないで下さい」
健一はいきなり目に飛び込んできた千夜子の姿に驚いて、すっとんきょうな声を
あげてしまった。千夜子は裸になっている理由を聞かれ、頬を染めて俯いている。
「えっと私と健一さんが初めて……その、Hしちゃいましたから」
「えっ、そうなの?」
「健一さんのってなんだか凄くって、初めてだと痛いって聞いてたんですけど、
なんだか頭が真っ白になっちゃって……」
健一は全く見に覚えがないのだが、自分は千夜子とセックスをしてしまったらしい。
けれど、健一はそれに納得のいかないものを感じる。
「えっと、千夜子ちゃん。嫌だったら嫌といってくれて構わないんだけど」
「なんですか?」
千夜子が顔を上げて健一と目を合わせる。健一は真剣に千夜子の瞳を見て言った。
「その、もう一回いい?」
千夜子が恥ずかしそうにしながら頷くのを見て、健一は千夜子にくちづけた。
自分は恋愛に向いてない、そう根拠もなく思い続けていた自分自身に別れを告げて―――
FIN
SSは以上です。DEARをまだ読んだことのない人は是非読んでみてくれ、面白いぜ、本当。
今日、ファンレター出しに行こうと思ってる。
>>245 次回作期待してるぜ、本当。
「ねえ、お兄ちゃん。今日SS投下したでしょ?」
「な、なんで知ってるんだよ。絵美瑠」
「私はお兄ちゃんのことなら何でも知ってるもん。クスクス、お兄ちゃん、
さっきからリロードしまくってるけど、スルーされちゃってかわいそう」
「よ、よせ! 兄をそんな風に見るなぁっ」
「あはは、かっこわる〜い。三ヶ月かけて書いた長編をようやく完結させたのに、あっさり
スルーされちゃって、お兄ちゃん才能ないんじゃないの?」
「やめろ、やめてくれ、ひぎぃ!」
というプレイを是非体験してみたい。
誤爆した・・・・・・orz
それは本当に誤爆なのかな?w
なんてタイムリーに絶妙な内容のを誤爆してるんだw
それは兎も角GJ!!
>>260 最後のDEARネタに吹いたw
これで日奈が妊娠してたら偉く面白いコトになりそうだと思った俺は鬼畜かもしれん。
ntrかよ
体が女でも底無しなのなw
267 :
レナ:2006/01/19(木) 05:40:28 ID:pBRtNGA5
どうも。レナです。
前回の予告通り、健一×蛍子モノを書きました。
本編の7巻での健一と蛍子がホテルに行った時の話になっています。
勉強してくるとは言ったものの、書き上げてみてまだまだダメだなって思います。
タイトルは「絆」です。
投下開始。
268 :
レナ:2006/01/19(木) 05:42:11 ID:pBRtNGA5
都内某所にあるホテルの1201号室の浴室。そこで二人の男女が湯槽の中で抱き合い、キスをしていた。
二人の男女、絹川健一と絹川蛍子は約束を果たす為にこの場所へ来た。
健一は肩書きだけであるが結婚する、という蛍子の決断を受け入れた。
形だけであれ蛍子が他の男の妻になることなど受け入れたくなかった。
だけど今まで一人で苦しんで決めた蛍子の決意を無駄にはできない。これ以上蛍子を苦しませたくない。
受け入れたのはそんな想いからだった。
269 :
レナ:2006/01/19(木) 05:45:07 ID:pBRtNGA5
「んん・・・・ぷは」
健一が唇を離すと蛍子はトロンとした表情を浮かべていた。
「ホタル・・・・・」
抑えが利かなくなった健一は蛍子の胸に手を伸ばして触れようとする。
が、
「ちょっと待て健一」
蛍子が胸に触れようとする健一の手を掴む。
「ここではダメだ」
「・・・・なんで?」
「察しろ」
「いや察しろって言われても・・・・前にも風呂場でやったことあるだろ」
「それはそうだが・・・ああっ!もう!!とにかくここではダメなんだ!先に出てベットで待ってろ!」
と半ば強引に浴室を追い出される。
健一はわけがわからなかったが、とりあえず脱衣所にあったタオルを腰に巻いてベットに向かう。
(お預けか・・・・・)
健一は少し悲しかった。
§
270 :
レナ:2006/01/19(木) 05:47:15 ID:pBRtNGA5
「やっぱ広いよな、この部屋」
蛍子を待ちながらそんなことを思って部屋を見回す。もっと狭いと思っていたからこの部屋の広さには少し驚いた。
「おい健一」
声のした方向に顔を向けるとバスタオルを付けた蛍子がいた。
「まったく何キョロキョロと部屋を見渡してるんだ、変だぞ。」
「だってこんなに広いとは思わなかったからさ。」
そうか、と言って蛍子は健一の隣に座る。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
お互いの気恥ずかしさからだろうか、それっきり会話が止まる。
(何か話さないと・・・)
健一がそう思い始めた時、先に蛍子が沈黙を破って話し始めた。
「健一」
突然の蛍子の真剣な声に健一は蛍子の顔見る。
「こんなことになってすまない。だが私はお前を好きになったことを後悔していない。」
もっとも、他の奴を好きなったことなどないしこれから好きになることもないが、と蛍子は続ける。
「他の男と結婚してもお前を想う気持ちは変わらない、こんなことになってしまったから子供が欲しいと言うわけじゃない、私はお前を愛しているから・・・・だからお前との絆が欲しいんだ。たとえ・・・たとえそれが許されないことであるとしても・・・・」
蛍子は目に涙を浮かべて想いを口にする。
「ホタル・・・・・・」
健一は蛍子を優しく抱き寄せる。
「俺もホタルを愛してる。形とかじゃなくてホタルを愛したい、ホタルとの子が欲しい」
自分の想いを蛍子に告げ、蛍子にそっとキスをする。
「ん・・・・・」
蛍子も目を閉じてそれを受けとめた。
§
271 :
レナ:2006/01/19(木) 05:51:38 ID:pBRtNGA5
「ん・・・んふ・・・んぅ・・・・・」
健一の舌が蛍子の頬の内側をなぞり、唾液を絡め取る。そして舌を絡めてお互いの唾液を混ぜ合わせる。
「ん・・・・・ん、はぁ」
蛍子が唇を離す。互いの唇から唾液で糸が引いた。
「ホタル・・・・」
健一が蛍子をベットに押し倒す。押し倒した勢いで蛍子のバスタオルがはだけて蛍子の肢体が表わになった。
「・・・あんまり見るんじゃない」
羞恥心からか蛍子が言う。
「綺麗だよ、ホタル」
健一が素直な感想を述べると蛍子は顔を更に赤くした。
健一はそんな蛍子を愛おしく思い、もう一度キスをし、そのまま首筋やうなじにも舌を這わせる。
「ん・・・・・・ふぁ・・・・・・・はぁ」
首筋やうなじへの愛撫をしながら健一は蛍子の胸に手を伸ばし、優しく絞り込むように揉みあげる。
「んぁ・・・・ぅん」
健一は蛍子が感じていることを確かめながら首筋から唇を離し、胸に顔を近付けて蛍子の乳首にしゃぶりつく。
「あっ!ん・・・はぁん」
健一は乳首を重点的に責め、空いている手はもう片方の乳房を愛撫する。
「・・・はぁ、んっ・・・」
「ホタル、気持ちいい?」乳首から口を離してそんなことを聞くと蛍子は顔を真っ赤にして健一を睨んだ。
「さらっと恥ずかしいことを聞くな!」
「・・・すみません」
健一は素直に謝る。
272 :
レナ:2006/01/19(木) 05:55:21 ID:pBRtNGA5
「・・・まあいい。さっきから私ばっかりして貰っているから次は私がする」
「えっ!」
健一は蛍子からの予想外の言葉に驚く。体を重ねることは何度もあったがこういったことはまだしたことはなかったからだ。
「なにか文句あるのか?」
「いえ・・・ないです」
健一は素直に行為を受けることにした。
健一が腰に掛けていたタオルを外すと、蛍子の姿によって興奮して既に十分な硬さを持った男のモノが姿を表した。
蛍子は怖ず怖ずとモノに触れた。男根の胴の辺りを指で掴み、そっと撫でる。そして上下に動かす愛撫を始める。
「うっ・・・・」
健一はそれだけでイッてしまいそうになったがそれをなんとか堪える。
「気持ち良いか健一?」
「うん、気持ち良いよ。でももうちょっと強くしてくれないかな?」
蛍子は健一の言われた通りに愛撫を強くする。
「んっ・・・気持ちいいよ、ホタル。そう、カリの段差の所を重点的に撫でて・・・」
初めての行為で動きはぎこちないが、蛍子から自分を気持ち良くさせたいと言う気持ちが伝わってきて健一を更に興奮させた。
273 :
レナ:2006/01/19(木) 05:58:52 ID:pBRtNGA5
「ホタル・・・次は口でしてくれないかな?」
健一の言葉に蛍子は少し驚いた顔をしたが、恐る恐る健一のモノに口付けた。
“ちゅ・・・”
未知の刺激に、健一の男根がビクっと痙攣したが、蛍子は怯まずに陰茎に舌を這わせ、根元からカリの部分まで一気に舐めあげた。
「うっ・・・・」
そのままモノ全体を丹念舐める。カリの段差を舐め上げ、亀頭の割れ目なホタルの舌が這う。
「ホタル上手だよ・・・・」
そう健一が言うと蛍子はまた健一を睨んだ。
「だから恥ずかしいことを言うなって言っただろうが!」
「すいません・・・」
健一はまた謝る。
「まったく・・・・」
そう言ってまた行為に戻ろうとする。しかし健一がそれを止めた。
274 :
レナ:2006/01/19(木) 06:03:30 ID:pBRtNGA5
健一は蛍子をベットに押し倒す。
「もう濡れてるね、俺のをしながら感じてたの?」
「ばっ・・・んっ!」
反論しようとする蛍子の口をキスで塞ぐ。
「んー!んん・・・ん、んぅ・・・」
しばらく蛍子の唇を味わい健一が口を離す。
「馬鹿・・・」
蛍子が少し拗ねたように言った。
「じゃあ入れるよ」
健一は自分のモノを蛍子へとあてがい、ゆっくりと蛍子の中へと沈めていった。
“ずぷ・・・ずちゅ”
「あっ!・・・くふぅ・・・はぁん・・・・・」
「ホタルの中、温かくて気持ち良いよ」
「そうか・・・。健一、動いてもいいぞ・・・」
「わかった。じゃあ動かすよ・・・」
健一はゆっくりと腰を動かし始める。
“ぐちゅ・・・・ぴちゅ・・・ぐしゅ・・・くちゅ”
健一が腰を動かす度に淫らな音が部屋に響く。
「んぁ・・・あん・・・・ふぁあ・・・けんい・・・ち・・・んん・・・もっと・・・」
蛍子の嬌声に興奮し、健一が腰の動きを激しくする。
“ずっ・・・ずちゅ・・・くちゅ・・・ずっ・・・ずちゅ・・・”
「あん!・・・・ふあぁ・・・けん・・・い・・・ちぃ・・・・私・・・・もう・・・」
「俺ももう・・・・」
「来てくれ健一・・・・私に子供を・・・お前との絆をくれ・・・・」
「ホタル!ホタル!!」
最後に蛍子の名を叫び健一は蛍子の中で果てた。
ドクドクと精液が蛍子の中に注がれる。全てを出し終えてから健一はモノを引き抜いた。
「健一・・・・」
「ホタル・・・・」
そして二人はもう一度長いキスをした。
§
275 :
レナ:2006/01/19(木) 06:09:41 ID:pBRtNGA5
それから二人は後始末をして、衣服を整えてから部屋を出た。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
二人共会話は無い。
行為の後、健一は蛍子から
「会っても平気だと思えるまでは、もう会わないようにしよう」
と言われた。そしてそれがもう二度と会わないという意味なのだと言うこともわかっていた。
エレベーターを待っている間、不意に蛍子が健一の手を握って来た。
「・・・・・・・」
健一は黙って蛍子の手を握り返す。
(温かいな)
お互いの気持ちが通じ合っているんだとわかる。そしてきっと蛍子もそうなのだろうと思う。
そう思っている間にエレベーターが到着した。
手を繋いだまま二人で乗り込む。
扉が閉まると同時に健一は蛍子を抱き寄せ、キスをした。
エレベーターが一階に着くまでの間の最後のキスを・・・。
276 :
レナ:2006/01/19(木) 06:16:27 ID:pBRtNGA5
以上です。
蛍子の話はこれが最初で最後になると思います。
ちなみに次回は九条家の、日奈、佳奈、波奈の三人を攻略!って話を書きたいなって思ってます。
書き上がるのがいつになるかはわかりませんが、気長に待ってくれると有り難いです。
それでわまた。
277 :
レナ:2006/01/19(木) 11:38:31 ID:pBRtNGA5
間違えました。276は九条家ではなくて窪塚家です。失礼しましたm(__)m
レナ氏GJ。
あれこれ言うべきではないのかもしれないけど、心理描写がほとんどないのが気になる。
文章がキャラの行動を追うだけになっていて、ちょっと物足りない。
健一の視点で書かれている以上、健一がホタルを見て何を意識しているのかを
常に意識して具体的に書かないといけないと思う。
それと心に思ったことを()で表現するのは、よくない。
本編では綾さんの出番が結構少ないよな。
序盤に活躍したせいで作者に飽きられたのかな。
明らかに下がりすぎている。しかし、ageないのが真の勇者。
人はそれを蛮勇と呼ぶ。
新刊発売age
283 :
Die:2006/03/11(土) 23:02:21 ID:6rxrx9q0
投下します。
健一×冴子モノです。
冴子の口調が変だと思うところもあると思いますが、スルーしていただけると有り難いです。
タイトルは「私の絹川君の連続プレイ」です。
でわ投下開始。
284 :
Die:2006/03/11(土) 23:03:54 ID:6rxrx9q0
男にはどうしても我慢ができなくなくなることがある
今の健一はまさにそんな状況であった。
冴子の不在の為エッチを二日も我慢した上に綾から「エッチしよう」と迫られたのだ。
なんとか綾からは逃げ出したものの、未遂に終わった物足りなさを体が訴えていた。
1303へと逃げ込んでから十二時間、健一は綾の唇、体温の感触を思い出しながら納まらない性欲を一人で我慢していた。
そんな時に冴子が帰宅したのだ。これ以上我慢しろと言う方が酷である。
285 :
Die:2006/03/11(土) 23:05:33 ID:6rxrx9q0
〜ここからは冴子視点〜
エッチの始めはキスから。
私と絹川君の間にはそんな暗黙の了解事項があった。でも今日は・・・・・
「んっ・・・んちゅ、くちゅくちゅ・・・・んぅ・・・んーーれろ、んぅ・・・・」
絹川君のキス、いつもより激しい・・・やっぱり二日も我慢させたのが良くなかったのかな・・・・・?
「ぷは・・・・はぁはぁ」
唇が離れると二人共息が上がってた。・・・ずいぶんと長いキスだったからね。
「有馬さん・・・」
絹川君の声が興奮してる・・・・。二日間しなかった分いっぱい溜まっちゃったのかな?
絹川君に我慢させちゃったのは私なんだし今日は私が頑張らないと!
「絹川君、ベットに座って」
「?、どうしてですか?」
「我慢させちゃったお詫びに今日はサービスしてあげる」
私はそう言って絹川君をベットに座らせます。
286 :
Die:2006/03/11(土) 23:10:14 ID:6rxrx9q0
絹川君をベットに座らせると私はズボンのファスナーをゆっくりと降ろします。
ファスナーを開けてその中に手を入れてトランクスも一気に降ろしちゃいました。
すると半勃ちになった絹川君のおちんちんが出てきたの・・・・
「・・・・・ちゅ」
絹川君のおちんちんを見てるだけで私も興奮が高まっていきます・・・・・
我慢できなくて絹川君のおちんちんにキスしちゃいました。
「うっ!!」
絹川君がくぐもった声をあげます・・・・くすっ、なんだか可愛い♪
「ぺろ、んくぅ・・・・・くちゅ・・・、んちゅっ、ちゅ・・・・・」
私のキスですっかり固くなったおちんちんを舐めたり、くわえたりして愛撫します。
「はぁ、ちゅぷ・・・ちゅるるっ・・・・くちゅ、はふぅ・・・・・ん・・・・・ちゅ」
くちゅ・・・
やだ・・・絹川君のをしてるだけで私も濡れてきちゃった・・・・
「ん・・・・・はふぅ」
私は絹川君のおちんちんから口を離します。
「ねぇ絹川君・・・・・私、もう我慢できないの・・・・」
287 :
Die:2006/03/11(土) 23:13:58 ID:6rxrx9q0
私はエッチが好きなわけじゃない。ただしないと眠れないだけ。ずっとそう思ってた。
だけど絹川君とエッチをするようになってから私は自分から絹川くんを求めるようになったの・・・・
私、エッチな女の子になっちゃったのかな・・・・・?
絹川君がちょっと乱暴に私をベットに押し倒します。絹川君も我慢の限界なんだね・・・・
「有馬さん、入れるよ」
「うん、来て・・・絹川君」
あん・・・・絹川君のおちんちんが私のアソコにあたってる・・・・
ずちゅうゅ・・・・・・・・
「んぁぁ・・・絹川君のが入ってきてる・・・・・」
気持ちいい・・・・。機械的にエッチをするだけだった私だけど、今は素直に気持ちいいと思えるようになったの。
・・・・絹川君が悪いんだからね。私をこんなエッチな女の子にしちゃったんだから。
288 :
Die:2006/03/11(土) 23:16:58 ID:6rxrx9q0
「奥まで入りましたよ」
「うん・・・・動いてもいいよ」
ずちゅ・・・ぐちゅぐちゅ・・・・・ずぶぅ・・・
「んぅ・・・・はぁん、あぁ・・・・・ふあぁ・・・・・ん」
絹川君が動くたびに私はいやらしい声をあげます。
私も二日ぶりだったせいかな、何だかいつもより感じやすいみたい・・・・・・
「あん・・・・・はぁ、んあっ、あふぅ・・・・・・んくぅ!」
「有馬さん、僕そろそろ・・・・」
絹川君イッちゃうんだ・・・・・私ももうイッちゃいそう・・・・・・
「んん・・・・・いいよ、中に・・・出して・・・・も」
「えっ!でも・・・・・」
「今日は・・・・んっ、大丈夫な日なの・・・だから中に出して・・・・・」
わかりました、って言って絹川君は最後のスパートをかけてきました。
ずちゅっずぶぅ!ぐちゅぐちゅ!!
「あぅ!んぅ、あっ、あっ、ふぁ、はぁっ・・・・はああぁあんんっぅぅぅーーー!!」
ドクドクって絹川君の精液が私の中に入ってきたとき、私もイッちゃいました。
そういえばいっぱいエッチしてきたけど中に出されちゃったのってこれが初めてかも・・・・・。
いけない、この感覚が好きになっちゃいそう・・・・・。
289 :
Die:2006/03/11(土) 23:19:45 ID:6rxrx9q0
「有馬さん!またイきますね!」
「あん!あっ、あっ、ふぁ!あうぅ、はあぁぁぁーーーーー!!!」
ドクドクッ!!
それから私たちはそのままおちんちんを抜かないでエッチを続けました。
その結果がこれです。抜かずに六回だなんて・・・・・・
今までは四回が最高だったのに・・・・・記録更新しちゃったね・・・・・
もうお腹の奥が絹川君の精液でいっぱいだよ。熱いけど気持ちいい・・・・・。
ちゅるん・・・・
絹川君のおちんちんが私の中から抜けます。その途端に精液が私の中から溢れてきました。
「あん・・・・やだ」
こんなに出されたら安全日だけど妊娠しちゃいそうかも・・・・・
「わっ私、シャワー浴びてくるね!」
なんだか恥ずかしくなって私は浴室へ向かいました。
歩いてるだけでもアソコから精液が足に流れてきます。
「うぅ・・・恥ずかしい、だけど気持ち良かったな・・・・・・・・・・いけないいけない、こんなこと考えてないで洗わないと!」
シャワーをひねると熱いお湯がでてきて私の体を叩きました。お湯によって精液が流されていきます。
・・・・・ちょっと名残惜しいな。また明日するときもまた中に出してもらおうかな・・・・・・
でもホントに妊娠しちゃうから程々にしないと。
そんなことを思う冴子であった。
〔END〕
290 :
Die:2006/03/11(土) 23:26:20 ID:6rxrx9q0
以上です。
新刊を読んで殴り書きしました。駄文ですみませんm(__)m
一つ訂正を、タイトルは「私の〜」、ではなく「私と〜」です。
また気が向いたら書きますのでその時は良ければみてやってください。
GJ
またネットリしたやつヨロ
中だしエロいな。GJ
ほ
なぜ3/32なんだ?
よくわからないがあげとく
310回捕手
ほ
age
299 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 13:21:26 ID:ht4OvTho
ほ
保守
>しかしホタルとの間のことが親バレしなかったら
>7巻ぐらいではいったいどうなっていたのかなぁ
>などと考える午後
本スレでこんなんあったんだけどな?
いや、いっそこれを
「冴子死亡せずホタル親バレせず千夜子と進展して誰も鍵がなくならず綾さんを受け入れた」
というsneg状態になった一週間とか、誰かかかへんかな、と思ったりした訳なんだが。
ストーリーの根幹部分を幾つも無視してるので妄想以外何物でもないんだが、誰しも一度は考えたことがあるんではなかろうか。
302 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 16:41:49 ID:1v0OTPcO
保守
ほす
僕
に
愛
を
下
克
上
彼
女
は
僕
な
ん
て
く
る