>>エスプレッソ氏
僕自身は学生ではないです。…ニートでもないです。
ホームビジネスなんで、ある意味引きこもりですけどね…。
ほしゅ
ほしゅ
しっかし、ヒダリはなんなんだろうなぁ
池田もなんだかなぁ
ハネムーンサラダのような主人公でもないし
読んでいて歯がゆいな
アニマルが男性読者で成り立っている雑誌とわかっているのかな
「汚くなんか、ないよ…加賀見…。」
「…やだ、ひだ、り…。…すみか…って、呼んで…」
…そっちなんだ、と思ったけれど、野暮だろうし、言わないでおこう。
「ごめん…スミカ」
代わりに、耳元で、できる限りの低い声で呼んであげようと思った。
ベタかもしれないけど、例えば、少女漫画とかで、相手の女の人に
『…そんなこと言うけど、体は正直みたいだよ?』っていう男の人のように。
「…んっ…左…。」
「…んっ…んちゅ…スミカ…。」
紀君とも、したことのない深いキス。
スミカと二人だけの時くらい…紀君のことも忘れなくちゃ。
そう思い、求めるまま啄み、舌でスミカを感じて…。
―どれだけそうしていただろう。
息が苦しくなったのか、惜しみつつ離れるスミカ。
つぅと唇から零れるてらてら光る雫が、なんだかエッチだなぁなんて思った。
196 :
エスプレッソ:2005/12/14(水) 02:14:31 ID:ekhxW31U
190発言は「風の中〜」→「風を追うようなもの」の間違いでした
>>ハルさん
本スレで声かけてもらったけれど、原作者ともちかタンの変態係数は
もはや模倣も追随も許さないレベルにまで来ている
それに実際、私の本領はグロと暴力だったりするわけで…
(かわりといってはアレですが、以下に今後の展開についての考察を)
197 :
エスプレッソ:2005/12/14(水) 02:16:00 ID:ekhxW31U
@左についての考察
ユングの心理学で、人間の中にはアニマ(女性的魂)とアニムス(男性的魂)の
二つの側面があるという考え方がある。大雑把に言ってアニマは他者を受け
入れる包容力、アニムスは自立を目指す決断力くらいに考えていいと思う。
さて河合隼雄が『魂にメスはいらない』で書いていたことなのだが、女性は
一般にアニマが主導的なのだけれども、思春期の少女の場合アニムスが前面に
でることがあるとのこと。
しかしアニムスは自立を促す反面、他者を切り捨ててしまう危険にも
つながっている。アニマ・アニムスは双方が成長してはじめてバランスがとれる
ものなので、片方だけが突出すると人格の破綻を招く。
(これは女性に限らず男性でも同じことである。超人思想を語ったニーチェ
の発狂を考えてみればよい。さらに例を挙げれば修行に明け暮れる騎士が発狂
してしまう物語をこのアニムスの暴走の考え方で読み解いた学者もいる)
現在、左が由紀と距離を置いて自立しようとした結果、由紀との間に溝ができ
て半狂乱になったのはこういったケースに近いと思う。
しかし私はこれをせいぜい一時的なアンバランスに過ぎないと考える。加賀見
とのやりとりを見れば分かるとおり左は決して、他者を受け入れるアニマが欠落
しているわけではない。おそらく左は作品中、もっともバランスの良い成長を
遂げてきているキャラクターだといえよう。
A由紀と水面の現状
現在、由紀と水面のフラグが立っている。この現状について。
水面は左と異なり、アニマ全開の典型的な女性的キャラクターだと思う。
彼女は由紀に一端は愛想を尽かしながらも振り切ることができない。つまり
アニムス(=決断力)が欠如しており、アニマが包容力というよりは他者への依存
という形で現れてきている。ゆえに水面は遅かれ早かれ自滅するだろう
(左とは逆の意味でより深刻なアンバランスに陥っているが自覚していない)。
また、由紀もまた道に迷い、打ち込むべきことを見出せていない。
そして女装による自己陶酔という自己完結した世界に閉じこもっている。
恋愛感情というものは自分の中の異性の魂を他者に投げかけることで生まれる
ものである。
つまり由紀は自分の分身であるユキ(由記自身のアニマ)を水面の中に見ている。
由紀と水面の現状は、未成熟で自立できない人間同士が傷を舐めあっている状況
だといえよう。
198 :
エスプレッソ:2005/12/14(水) 02:16:58 ID:ekhxW31U
B今後の展開について
由記の姉の未記が今後の展開を読む鍵となると私は考える。
彼女はおそらくこの物語の中で最も完成した人間である。自立した
キャリアウーマンであるのみならず、由紀の母親代わりとしての役割さえ
果たしている。
由紀はこの姉のことを非常に尊敬しており、彼女のようになりたいと心の底で
願っている。そのことがおそらくは由記の成長を促すと思われる。
そうなってくると由記のアニマ(=ユキ)の投影は水面から未記にシフトして
いかざるを得ない。おそらく近いうちに水面と未記の対決がある。
しかし未記は由紀の実の姉であり、物語の結末が近親相姦で終わるとも考え
にくい。
ここで私は左エンドを予見せざるを得ない。由記が理想とする未記の在り方に
近づいていっているのは左であり、彼女はある意味で由紀の願望
(未記のようになりたい)を実践している。
だとすれば今後、ユキ(由記のアニマ的な意味での分身)が左に重なってきても
不条理はない(加えて左は未記推奨の「許婚」でもある)。
C備考:加賀見と亘
この二人のサブキャラクターについても存在する必然性があると思う。
偶然に登場してきたキャラクターではなく、むしろ必然的なキャラクターである。
加賀見は左のアニマ(女性的側面)の分身であり、アニムスの急激な成長で不安定
になった左を支える役目を担っている。
亘もまた、自己の女性的な側面(ユキ)に浸りきっている由紀の抑圧された
アニムスの化身であり、今後の由記の成長を促すことだろう。
D物語の概観
この物語は由紀と左が主人公だと思う。
これまでの話では由紀が自らの男性性を拒絶して女性的な側面に逃げ場
を求めてきた。左は不安定になりつつも強く成長する代償として、由紀を
水面に奪われてしまった。
今後に描かれる主要な点は二つあると考えられる。
・由紀の成長(水面との決別もあるだろう)
・由紀と左の再結合、あるいは絆の回復
『ゆびさきミルクティー』という一見目新しさと変態性だけが売りに
見える作品には、これまで数知れぬ作家・アーティストが問題にしてきた
普遍的なテーマ心理的なサーガが内在しているのだと思う。
以上、チラシの裏でしたw
>>エスプレッソ氏
(結末は)左エンドを予見せざるを得ないという意見、ほぼ同意です。
…原作の展開から、紆余曲折の余地はまだまだあるかもとは思いますけども。
変態さも確かにそうですが…禁断的、背徳的なものの方が強く感じられます。
(故・左智さんと未記さんに対する恋慕も未だ窺える由紀といい、
加賀見の左に対する思いの強さといい…。)
僕のSSには反映されてると思います。あくまで個人的意見ですが…。
あくまで二次制作やパロディといってしまえばそれで終わりですけども…。
僕としては、できる限り原作準拠路線でいきたいと思うだけですので。
それと、SSに作者自身の作品の傾向が出るのはやむを得ないと思います。
…氏の次の作品に期待しつつ、僕の個人的考察も混ぜてみました。
挨拶兼ねての投下予告になってしまった例の件、すみませんでしたm(_ _)m
…意見や考察と言うよりも見解に近いですね。
投下準備してきます。連投&長文失礼しました。
<3-1 栖サイド>
しばらくした後、左も気が済んだのか、キスが優しくなってきた。
…だから、つい意地悪したくなってしまった。
私が唇を離したことをいぶかしんだのだろうか?左は眉を顰めた。
「…んっ…すみ、か…」
まだ慣れないのか、もじもじとしている左が、愛しくてたまらない。
「…はぁ…ぁ…左が、意地悪、だから…仕返し…」
―紀君もまだ、ココには辿り着いていない。あの時はまだ、未遂だったから。
そう思うとまた、嬉しくなった。少なくとも今だけは、左を独占できるから。
叔父さんとの関係で、すっかりオンナになってしまった私に比べれば、左は、とても綺麗…いや、純粋だと思う。
自分の仕草が紀君にどう受け止められてるのか気付いていないのがその証拠。
あの時は、左が悪い、なんて言ってしまったけれど、本当は、左は悪くない。
…寧ろ、あの時までああいうことにならなかった事の方が不思議だった。
紀君にとっての左が大きく変わり始めたのはいつ頃だったのかということも。
…左のこと、できることなら独占したい。結婚したいと思った事もある。
親友としてなら気楽に接していける一方、同性だから叶わない、そんな願望。
…オンナである事に慣れてしまったけがれた自分も、男の人も嫌い。
紀君は…もっと嫌い…好きになれそうにない。
なんか面白い
なぜか、ハネムーンサラダの名前が出てるしw
いい作者さんだよね
巻末であなたがたの為に書きました!!
なんて書いてるしさ
それはそうとSSグッジョブです
毎回楽しく読んでますm(__)m
hosyu
1月27日コミックス6巻発売予定
205 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:10:49 ID:p1UU3vWz
保守
保守
hosyu
保守
保守
sage
保守
213 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 08:27:47 ID:Of4OMWMZ
シンカン デタノニー
本編であれだけやられたらエロパロの出る幕はないぜ
でも女装してオナーニするSS待ってます
保守
保守
ノリにオナヌーさせてくださいよ。
亘に女体化ユキが陵辱されるの想像させながら。
218 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 23:54:36 ID:KjkPrQbH
保守
>>217 今回まさにそれだったな、相手はにゃもだけど
これ、本編が変態大行進なだけに、パロでは逆を行った方が映えるのではなかろうか……
彼女はそこにいた。たしかにそこにいた。"キックボクサー"と呼ばれた彼女は自分の居場所を求め、今日も夜の街に降り立つ。
「左ィ! それ以上やったら・・・殺しちゃうッス!!」
しかし左はさらに拳を振り上げた。
「男なんて!!」
ぐしゃっと潰れたような、少し湿った音。
加賀見は左を背後から羽交い絞めにする。
「ダメ! 左!」
呼吸を荒げた左はようやく血にまみれた拳を下ろした。
目の前のさっき狩られた男は鼻を押さえて蹲っている。
遠くからサイレンが聞こえてくる。どこか物悲しい、すすり泣くような音を立ててパトカーが近づいてきている。
「逃げるッスよ、左!」
加賀見が袖を引くが左は動こうとしない。ただあの冷たい眼差しで目の前の男を見つめている。男は全身打撲の状態ですでに完全に戦意を失っている。
左は嘲るような声で、蔑むように告げた。
「無様ね」
その肩がかすかに揺れていたのは小さな笑い声をかみ殺していたからだろうか? …それとも泣いていたのだろうか?
そして二人の少女は手を取り合い、息を弾ませて夜の街を駆けていった。
(コメント)
何度も言うようですが、漏れの本領は暴力小説でつ
森居左・・・高校生。テコンドーとサッカーで鍛えられた蹴り技は強力。慕っていた幼馴染の裏切りによるトラウマから暴力を覚え、夜も街にいる。本編の主人公。
加賀見栖・・・左の中学校時代からの同級生で親友。叔父の仲介で占い師のアルバイトをやっている。
黒川水面・・・某有名大学の心理学部に在籍。左の家庭教師をつとめたこともあったが、良紀をめぐる確執から複雑な心境を抱いている。独自に良紀を探索するも、左同様のトラウマから大学生とキャバクラ嬢の二重生活を送っている。
池田良紀・・・左と水面の人生を狂わせた張本人。女装という特殊な嗜好を持つ。実際かなりの美人であるため、一種のナルシズムに陥り二人を裏切った。理想の少女「ユキ」を求めて姿を消した。
由紀だったきが
「あなた…どうしたの?」
水面は大きく目を見開き、尋ねた。
彼女はキャバ嬢バイトの帰り道、ゲームセンター近くの路地裏で顔見知りに出くわした。高校生にしてすでに、カツアゲで得た金を使いいかがわしい場所に出入りしているほどの不良。少しは腕が立つことで知られている。
しかしそのとき彼の頬には痣があった。表情からして勝ったとも思えない。普段の肩で風を切るような威勢もなかった。
「うるせーよ」
少年は血の混じった唾を吐く。そして小さく呟く。
「あの小娘…」
その単語は水面に怪訝な思いを抱かせる。とりあえず彼女はポケットからハンカチを取り出した。
「ちょっと待ってて」
そう優しげに告げると、ちょうど見えるところにあった蛇口でハンカチを濡らす。
「どうしたの」
ハンカチを頬にあてがってやりながら尋ねる。
しばらく少年は口ごもっていた。しかし水面が頭を撫で、瞳を覗き込んでいると素直に口を割った。根が優しい水面に演技は必要ない。
ナンパしようとした少女にやられたのだという。
「あの女…俺がせっかく…」
なおも愚痴る少年を水面はそっと抱きしめてやる。少年が心の底で愛に飢えていることを知っていたからだ。
そうしながらも、水面は怪訝な感情を消すことができない。この少年を痛めつけることができる少女などざらにはいない。
「あんまりやんちゃしたらダメだよ」
水面は別れ際、少年の額にキスしてやり忠告する。少年は格好にも似ず小さく頷き、家路に着いた。
水面もまた、早足に帰りを急ぐ。
「まさかね」
ふとそんな言葉が口を突く。
あのいかがわしい夜の街で、あの少年以外の知り合いを見かけた気がしたからだ。
ジーンズにキャップというボーイッシュな姿だったが、あれは確かに少女だった。そして隣にいた少女は…。
水面はそこまで考えて思考を止める。
(左ちゃんがあんな場所にいるはずない…)
理屈で言えばそのはずなのに、妙な胸騒ぎがする。
水面はしばし立ち止まり、眉間に皺を寄せる。どうにも頭の端にひっかかってしまうのだ。
そしていつしか、自分が失踪した池田由紀のことを想っていることに気が付いて頭を振った。
「ごめんね、加賀見」
左は視線を伏せてそう詫びた。
「そんなことないッスけど…」
加賀見はやや当惑気味に答える。
そこは加賀見の占い部屋。もうそろそろ叔父さんが迎えに来る時間だったが今日は遅い。
左は夕方ごろに覗きにやってきたのだが、叔父さんが来るまでゲームでもしようということになり、二人して近くのゲームセンターに行ったわけだ。
そして事件は起こった。ナンパしてきた不良風の少年を左がやっつけてしまったのである。
「左、手は大丈夫?」
加賀見は左の手を取り、その擦りむけた拳頭に視線を注ぐ。
「いいんだよ、加賀見」
左は加賀見の心配そうな顔を見てややあきらめたように言う。少し遠い瞳をして。
「膝とかあちこち慣れてるから…」
加賀見は左の拳を両手でそっと持ち上げ、顔を近づけた。一回しか殴らなかったのだから痛めたのは片方だけのはずだった。
彼女はその擦りむけた部分にそっと舌を這わせる。
(少ししょっぱい…ナミダの味がする)
彼女はそんなことを思ったが、あえて口にはしなかった。
「おーい」
その呼びかけに彼女は紫煙をくゆらせながらソファー越しに振り返った。
「何さ」
彼女は吸いかけのガラムを口から離して応じる。その整った顔立ちと違い、ぞんざいな口調だった。もっともそこは不良少年の溜まり場だったから「ですます調」でしゃべったら余計浮いたかもしれないが。
「お前って、拳法やってんだろ?」
学ラン姿の少年…左をナンパしようとして殴られたあの少年だった…が耳のピアスを光らせて問いかける。
「だったら?」
気のない返事をしてふうっと煙を吐く。
「お前にシメてもらいたい奴がいるんだよ」
やや間があって、少女が甲高い笑い声を上げた。
「あんたみたいなのが女を用心棒に? 負けたんだ?」
その揶揄に少年は顔をしかめた。しかし気を取り直して言葉を続ける。
「相手は女のキックボクサーなんだが…頼むよ、ミオ。お前だって男に振られてイライラしてんだろ?」
ミオ、あのユキにそっくりな少女は能面のような無表情で立ち上がると少年の腕を取る。そして腰をひねるようにして体重をかけ、少年を瞬く間に地面に引きずり倒してしまう。
ドン! そんな鈍い音が響いた。彼女のかかとが倒れた少年の顔面のすぐ横に打ち込まれたのだった。八極拳の踏み込みは鋭い。
「つまらないこと言ってると、次は頭つぶすよ?」
調子こそ穏やかだったが、むしろ感情を押し殺したような声。そう、実際このところミオはずっと不機嫌だった。
そして由紀に人生を狂わされた、三人目の少女が動き出す。
「いいよ?」
左は三白眼であっさりそう答えた。
「どんな人か知らないけど、ずたずたにしてあげる」
ゲームセンターでの突然のタイマンの申し入れ。左はあっさりとそれを受け入れた。
「左、冗談は止めるッス」
加賀見はおびえた表情で止めようとする。幸い、その場に申し入れに来たのは先日の不良少年一人だけ。逃げようと思えば逃げられたわけだ。しかし左は聞く耳を持たなかった。
「加賀見はここで待ってて」
「そんなこと…」
加賀見はこのごろの左の変貌に戸惑っていた。
思い出すだけで鬱になる。
ミオは煙草をアスファルトに投げ捨てて踏みにじる。まるでそれが由紀であるかのように。
恋の目覚めは最悪に気持ちが悪い。想いが深ければ深いほど「なぜあんな奴に」という思いがいや増すものである。
だれでもいいから傷つけてやりたい気分だった。
タンクトップのシャツからはみ出した肩に夜風が快い。路地裏の袋小路に吹き付ける風はぬるかったが、ゆるいミリタリーのズボンの下に汗ばんだ足をすそから滑り込んだ風が撫でる。
声が聞こえる。顔を上げるとあの不良少年に連れられた二人の少女がやってきたところだった。
「一人じゃなかったの? ま、どっちでもいいけどね」
ミオは少し小バカにしたようにそう告げた。
「勘違いしないで」
少年の返事を待つまもなくキャップにジーンズの少女がそう答える。
「加賀見は関係ないから。相手になるのは私ひとり」
凛とした声だった。
「へえ、いい目してるじゃん」
ミオは瞳を炯々と光らせてやや満足げな様子を示す。
「左、止めるッス!」
加賀見は左の腕に取りすがった。しかし、左は少年にこう尋ねただけだ。
「あなたの狙いは私一人でしょ? 加賀見は関係ないからね」
左の眼光に気おされたかのように少年が頷く。
「ひだり!」
加賀見はなおも止めようと頑張っている。
ミオは「左」という名前に心中で反応した。たしか由紀の話していた幼馴染と同じ名前だ。
だから彼女は鼻で笑ってこう言った。
「大丈夫だよ? 何も命までとらない。あたしはイライラしてて喧嘩の相手がほしいだけ」
同一人物かどうかなど分からない。しかし八つ当たりの理由としてはそれで十分だった。
左はミオのその言葉に小さく呟いた。
「私のほうが十倍もいらいらしてるんだ」
ミオには聞こえなかったけれども…加賀見には聞こえた。加賀見の顔面から血の気が引いていく。
「ひだ…」
その言葉は左には届かない。左は加賀見の腕を振り解くと歩を進めてミオと対峙する。
「怪我しても、知らないよ?」
その声はぞっとするほどに冷たい。左は自分がなぜ、このミオという少女にこんなにも苛立ちを感じるのか自覚していなかった。自分がミオに対して無意識にユキの姿を重ねていると分からないまま、左は拳を上げる。
(空手か何かかな…なんか古風な感じ…)
ミオ(澪)の構えを見た左はそんなことを考える。ミオはスタンスを広く取り、ぐっと腰を落とした姿勢で左を待ち受けていた。
逆に左はフルコンの経験から、サウスポーでキックボクシングに近い構えを取っている。
(華奢だな)
ミオの腕や肩は細い。しかしその構えは異様に整っている。そのギャップが左に怪訝な感情を抱かせる。ひょっとするとこのミオという少女は型を中心にした実戦向けでない訓練をつんでいるのかもしれない。
(いいや、試してみよ)
左は後足ですばやく地面をける。前に出ている足を滑らせるようにして、ミオの出ているほうの足を蹴る。
ローキックを出しやすくするのが狙いだった。前足と前足が近くなれば、当然蹴りやすくなる。
左の靴の甲がミオの膝上を弾く。そして飛びずさるようにして、ミオの死角に距離をとる。
ミオは軽く前足をスライドさせ、再び左に向き合う。
(硬い?)
確かにそれは小手調べに過ぎなかった。しかしズボンのダボつきの奥、脂肪に包まれつつも引き締まった筋肉を感じた。
素人でないことは明らかだった。
八極拳は一種の空気椅子のようなやり方で足腰を鍛える。足腰の力を拳に伝えることで強烈な破壊力を生む。しかし左はそのことを知らず、戸惑ってしまう。
左とミオはしばし、互いを睨み合いながら静止していた。
加賀見は胸騒ぎを覚え、汗ばんだ手のひらで自分の胸元を握り締めている。
仕掛けたのは左だった。
前に出ている拳を2・3度軽く突き出す。
フェイントだった。
次の瞬間、後足を大きく蹴り出す。ひねりこんだ前足に全体重をかけ、こそぐようにして叩きつける。
今度こそ左の脛がミオの腿の外側、肉の薄い場所に打ち込まれる。
(これで!)
決まったと思った。しかし、それは一秒以下の安堵に過ぎなかった。
ミオはその瞬間に体を強引に前に押し出し、前の肘を叩きつける。それは体を浮かせていた左のわき腹にめり込んだ。
「あ!」
その踏み込みは体当たりに近い。わき腹と蹴った足を同時に押し出されて、左は刹那、宙に浮く。
左の軽い体は後方に吹き飛ぶように転がる。
「左ィ!!」
加賀見が悲鳴を上げて駆け寄り、左のそばに膝を付いた。
「ぅ…」
左はうめき声を上げながら身を起こす。転倒した際に頭をぶつけたせいで、鼻の奥がツンとする感じ。
「ひだり、ひだり! 大丈夫?!」
左をかばうように腕を伸ばす加賀見。しかし左は意に介さない。再び立ち上がって構えをとる。
「へぇ? 根性あるじゃん」
ミオは口調と裏腹に鋭い目をしている。
「もうやめてぇ!」
加賀見は目に涙を浮かべて左の首に抱きつく。しかし左と目が合うとびくりとして腕から力が抜ける。
左は加賀見を押しのけるようにする。
「まだやれる」
左の瞳の底にはどこか獣じみた光が宿っている。それは殺意に近かったのかもしれない。
二人の美しい少女が殺意の視線を交わしている。その凄絶さに元凶の少年は背筋が寒くなる思いがした。
(ちっ、もう足が…)
ミオは内心に毒づいたが顔には出さない。実のところ、左に蹴られた箇所が内出血を起こして膝の自由が奪われつつある。足の踏み込みで力を生む八極拳使いとしては手痛い打撃である。
長引けば自分のほうが不利なことを察した彼女は勝負に出ることにした。
その長い足を生かし、一気に大きく踏み込んでいく。今度は掌を付き出すようにして。
しかし左はそれを待っていたのだ。
ミオの構え、スタンスを大きく取っている以上蹴りは出しにくい。仮に繰り出すにせよ、動作が大きくなる。だとすれば手の技しかない。先ほどせりあがってきた胃液の残滓を噛み締めながらそんなふうにヤマを張っていたのだ。
左はミオの掌を、前の手で下に引っかくようにして捌く。
同時にスイッチしてミオの突進をかわす。
回し蹴りで頭を狙うことが脳裏をよぎる。しかしそんなことをすれば顔に傷が付くかもしれない。
瞬間的な判断で、スイッチで前に出た後足を上げる。
そのまま膝を伸ばし、ミオの鳩尾を踏み抜いた。
「!!!」
それは悶絶ものの激痛。ミオは腹を抱えてアスファルトに転がった。加賀見は自分が蹴られたわけでもないのに気分が悪くなり、口元を覆う。
左はしばらくの間、苦しむミオを見下ろしていた。しかしすぐに我に変える。
身をかがめてミオを抱き起こした。すでに先ほどまでの殺気はなく、本当に心配そうな表情を浮かべている。
「強いじゃん」
ミオはあっけからんとして微笑み、口元に流れた涎をぬぐった。
「ごめんなさい」
ミオはわびる左の額を指先にピンと弾く。
「お互い様でしょ?」
「まあ、それはそうだけど…」
ミオはユキに負けないほどの満面の笑みを浮かべる。どうやら左のことが気に入ったらしい。
だからあえてこう尋ねる。
「あなた、由紀って知ってる?」
左は唐突な言葉に我を失ったらしく、大きく目を見開いて口ごもってしまう。
<一部完>
ゴメンナサイ、内容的には官能探偵の続きでつが「非エロ」でつ
>>220さんに触発されてやってまいました
「こんなところに呼び出して、何の用?」
左は怪訝そうな表情で問いかけた。そこは学校の屋上。
「それにその格好…?」
加賀見は剣道の防具を身につけ、竹刀を携えていた。
加賀見は竹刀の切っ先を左に向ける。
「左。最近やりすぎッス」
その表情が大マジメなので左はつい噴出してしまう。それを見た加賀見が声を荒げる。
「笑い事じゃないッス! 今みたいなことしてたら、いつかとんでもないことになるッス! …僕と勝負して、負けたらもうケンカを止めるって約束して」
左はこのところ、しょっちゅう夜の街でケンカをしている。その荒れようを見るに見かねての行動らしかった。
「大丈夫だよ、加賀見。私、蹴りには自信があるって知ってるでしょ?」
笑って答える左。
しかし加賀見は「左は女の子ッス」と呟き、竹刀を構える。
一応体操着にブルマの左と剣道の防具を身につけた加賀見。左はやる気なさげに肩をすくめる。
しかし瞬間、左の笑みが固まった。
加賀見の竹刀が左の乳房を弾いたからだ。即座に竹特有の電気に打たれたような衝撃が胸部全体に伝播する。
「いた…何すんの! かが…」
その抗弁むなしく、今度は下段から左の股間を打つ。ちょうど魔女の宅急便のように竹刀に跨った格好になる。
「ちょ…加賀見?!」
加賀見はそのまま摺り足で前に出るようにして、左を背後の壁に押し付ける。そして左を跨がせたまま、竹刀をスライドする。
「!」
左は奇妙な感覚に思わず内股で竹刀を挟み込む。しかし竹刀の律動は止まらない。すりあげては撫で下ろす、まるで生きているかのような動き。それはどこか卑猥でエロティックでさえある。そしてそれはチェロの弓のように優雅に弾かれ続ける。
奏者・加賀見栖(すみか)は、手ごたえの変化をその手に確かめながら竹刀を繰り続ける。「弦」たる左が潤いを帯び、こなれてきていることは傍目にも明らかだ。巧者加賀見の手の業はイタリアのマエストロ・カサノバにさえ劣りはすまい。
「か、がみ、ちょ…ンッ! ぅ、かぁ…がみ…?」
左は瞳を潤ませて抗おうとするも、それは竹の節が秘部をブルマ越しに引っかくごとに寸断される。
中国武術には「武器は四肢の延長」という考え方がある。
つまり今の左は業師・加賀見栖に秘所を手で鷲づかみにされたに等しい。
「あ、やめぇ…」
左の弱々しい声が温かく湿った息とともに搾り出される。その視線は加賀見の肩越しに、青空の一点を凝視しつつ震えていた。
「これで分かったッスか?」
そんな加賀見の言葉に左は小さく首を振る。すくめた肩を不自然に揺らしながら。
栖は竹刀の角度を立て、押し付けるようにして摩り下ろす。少しぬめるような感触とともに沈んでいく竹刀。左は眉間に皺を寄せる。
「ぅ……ぁ…ん……」
左の大腿は加賀見の細長い「延長」を咥えこみ、そのむき出しの膝頭は互いに揉み合わされている。
「左? もう、わかったでしょ?」
竹刀を股間に挟んだまま脚をもじもじさせている左に加賀見は呟くように諭す。
「左は女の子なんッスから、ケンカなんて…」
そのとき、左の両腕が加賀見の胴にかけられる。
え? と驚く間もなく、二人はタイルの上にくず折れるようにして倒れた。
「加賀見」
左はやや頬を上気させながら呼びかける。
「いったでしょ? 私は男になんか負けないって?」
左は後ろから、四つんばいになった加賀見の腰を捕らえる。そして腰の帯びに手をかける。しゅるり、と音がして加賀見の赤い袴(はかま)の紐が垂れる。
その意図を察した栖の顔色が変わる。
「左、止めるッス!!」
しかし言葉の甲斐もなく袴は引き下ろされ、白く華奢な尻が露になる。
「加賀見? 強いんだよ、わたし?」
下半身を露出した栖に背後から挑む左。股間に挟んだ竹刀の、前に突き出した柄はさながら屹立した男根のようだった。
柄の先、革製の石突が加賀見の陰裂の襞を割る。
「慣れてるよね、加賀見は?」
左の声はどこか冷たい。そしてその表情には暴力的な高揚の兆しさえ窺える。
「止めてェ!」
加賀見は叫んだ。しかし竹刀の柄は肉を割り、貫入を開始する。
「ぅ!」
小さく鋭い悲鳴を飲み込んで加賀見はそれを受け入れる。おそらく、それは相手が左だったからに違いない。
左は挿入が深くなりすぎないように注意しつつ、小刻みに腰を振り続けた。加賀見は道着に覆われた背中を震わせながら、歯をかみ締めて陵辱に耐える。こね回すように埋まった柄が栖の秘奥をかき回していた。
やがて加賀見の目から涙が零れているのに気が付くと、左はゆっくりと竹刀をはずす。竹刀はふた筋の糸を引いて屋上のタイルに転がった。
「ごめんね」
左は加賀見の恥部に視線を注ぐ。血は出ていなかった。しかし身をかがめてそこを舐める。栖はタイルに腰を下ろし、膝を開いてされるがままになっている。その瞳に映る空はかすかな茜色を帯び始めていた。
そして左の空高く突き出されたブルマに染みが浮かんでいたことを見ていたのは空だけだった。
<第三話完>
やってまいました。三話目はエロでした。
hos
239 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 16:57:23 ID:Xb0xyqJW
いい感じ
240 :
名無しさん@ピンキー:
ほす