どのような動きをしているのか皆目分からない。
それが自分の、その、お尻のあたりで行われている。
プリンの蜜だけを吸い取るような感じ
軟膏を体の線に沿って何重にも塗られる感じ
イソギンチャクを手でなでて得られるここちよさ
熱々のフライを口の中で転がす快感
リリスにはそのような表現しかできなかった
一つ最も近いであろう感覚は、まだ少女のころ
ニンジャマスターの砦で仕向けられた罠
その罠に最も似ている
すきまなく押し寄せる得たいのしれない何か
呼吸が大きくなっている
声も大きくなっているかもしれない
でも恥ずかしいという感覚はない
もっと、このうねりがほしい
と、いきなりその動きが止まりリリスはしばらくほうけていた
しだいに呼吸が整えられ、声が出せるようになった
「いや、、、」
口をついて出たのは媚だった
ともすれば誰であろうと手が出ていた自分が媚をふりまいている
否定ではなくまさしく媚であった
その証拠に目の前の男をはねとばすわけでもなく
体の下にある手をどけるわけでもなく
ただ、男が主導権を行使するのを待っているだけではないか
どん、と押された
倒れた体にフィットするように男はのしかかってきた
肌と肌の絶妙な密着
数ミリ先に男の顔がくる
何もいわずまだ薄笑いのまま
そしてわき腹をくすぐるような動きで手がのぼり
やがて衣服をすりぬけて胸の輪郭にたどりつく
ぴったりと添えられた微動だにしない両手
しかしリリス自らの呼吸の上下と震えによってそこに遠い雷鳴のような快感が広がっていた
「きれいだよ、リリス」
男はいつのまにか衣服ははがしナマの体を見ている
(そして、いやらしい)
張りのある胸を見る
自分の手の中で震えている
愛らしい顔からは想像もできない大きさ
もう小一時間ほど胸に手をあてたままでいる
そろそろ次の段階に入るころだ
手のひらに感じる突起をなでる
優しく、優しく、何度も、何度も
目の前でもだえる花嫁
吐息が大きくもれている
そろそろ、か
いったん手を離しうすら赤くなった高みに息をかける
そして親指で乳首を押さえつけ小刻みに揺らす
そして大きく開いた口に舌をさしこんだ