まほらば〜鳴滝荘での一時〜

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437419ことリンゴ入り
前置き天国-Intoroduction Heavne-

沙夜子「こんにちは…私は前置き親子の母、ブラックマザー…略してブラマザ…」
朝美「こんにちは!私は前置き親子の娘、ブラックチャイルド。略してブラチャ!」
沙夜子「今日は私達が司会をすることになったんだけど…なぜかしら?」
朝美「桃乃さんが、自分の昔を語るのは恥ずかしいって言って逃げちゃったからだよ、お母さん」
沙夜子「そう…」

朝美「じゃあ諸注意だよ。このお話はデジタルコミック「ヒカリ」の、紫羽さんって人が出てるから、
「ヒカリ」を見たこと無い人にはあまり楽しめないと思の」
沙夜子「そうね…」
朝美「なので先に、「ヒカリ」を見たことの無い人のために、
過去のまほらばスレにあった「ヒカリ」を微妙に書き加えて載せておくね♪」
沙夜子「そうなの…?」
朝美「既に「ヒカリ」を見たことのある人は飛ばしてもかまわないよ」

朝美「まずは「ヒカリ」だよ♪」
438リンゴ入り ◆Borr/IL/SA :05/03/13 02:19:32 ID:uhQRKOm+
中3の主人公、紫羽は、戦前から建っていて、あと一月で取り壊される旧校舎に興味を持ち、
放課後、紫羽は立ち入り禁止の札を破って旧校舎の中に入っていき、古ぼけた教室を見つけ入ってみた。
「木造だとこんなにも雰囲気が違うもんなんだ…。」
と思っていると、後ろから物音がして、ここにはアレが出るという噂を思い出す。
「だ、誰かいるのか?」と、後ろを振り返るとタバコを吸っているピンクの髪の女を見つけた。
女は自分が幽霊と言って紫羽をからかい、フィルターなしのキツいタバコを吸う。
「これを吸ってるとさ、頭がボーッとしてさ、嫌なことも辛いことも、考えないですむんだよ…。」
どこか寂しげな彼女に紫羽は興味を持っていった…。
439リンゴ入り ◆Borr/IL/SA :05/03/13 02:20:35 ID:uhQRKOm+
その後も旧校舎に通うようになった紫羽は少しずつ女と打ち解けあう。

6月になり、進路を決めなければならない時期になった。
紫羽は女に聞かれ、自分が映画を作る仕事に就きたいと話す。
それにつられてか、女が自分の昔話を始める。
女はピアノが上手く、なんどかコンクールで賞を取った程らしい。
しかし、それだけ上手いと周りからのプレッシャーも大きく、
結局、女はそのプレッシャーに勝てず、手首を切り、自殺をはかった。
それでピアノはやめられたが、親は愛想を尽かし口もきかず、友達も離れていった。
そして、女は居場所を無くし、この旧校舎にいつも居た、ということだった。
雨が降り、けっこう強くなってきたころ、女は紫羽に傘を持っているか聞く。
紫羽は無いと答え、女は自分の傘を貸すと言う。
紫羽はお前はどうする、と聞き、女は今日が最後だからここに泊まると答えた。
そして、紫羽と会えるのも今日が最後だとも言った、
紫羽は、その言葉を聞き、女が死ぬと勘違いでもしたのだろう、必死に問い詰める。
440リンゴ入り ◆Borr/IL/SA :05/03/13 02:21:43 ID:uhQRKOm+
「俺は、またお前に会いたい!!」
「う、嘘だ…。」
「嘘じゃない!!」
「嘘だよ!!こんななにもないあたしに、会いたいなんていうやつがいるもんか!!」
「…お前、馬鹿か?」
「なっ…。」
「なんで俺がこんなところに毎日毎日通ってるとおもうんだ!?」
「そ、それは…。ここの雰囲気がすきだからって前に…。」
「やっぱり馬鹿だ!!」
「…バカバカって〜…。」
「こんなかび臭い所に通う奴がいるかよ!!俺は!!お前に会いに来てたんだ!!」


「…俺じゃ、だめか?」
「え…?」
「俺じゃ、お前の居場所にはなれないのか?」
「………あ…。や、やっぱあたし家帰るわ…。」
「え…?」
「ほ、ほら!傘!!」
「あ、お、おい!!待てよ!!明日も来るよな!?来るよな!?」
「…。」
「俺、待ってるから!!絶対!絶対来いよ!!」
…女はそれには答えず、走り去っていった…。
441リンゴ入り ◆Borr/IL/SA :05/03/13 02:22:45 ID:uhQRKOm+

翌日…。
旧校舎は取り壊されている最中だった…。
「そっか…。今日が取り壊しの日だったっけ…。」
紫羽は立ち入り禁止の文字がぶらさがっている鎖をまたいで、
壊された元旧校舎の資材を踏みながら一番高い所まで歩いた。
「…本当に、幽霊だったのかもな…。」

「コラー!!立ち入り禁止の文字が見えんのかバカモーン!!」
「あっ、す、すいま…。」
442リンゴ入り ◆Borr/IL/SA :05/03/13 02:23:51 ID:uhQRKOm+
「なんて…ね…。」
「あっ!?」
工事の作業員の声だと思ったのは女だった。
「やれやれ…。なんで本当に来てるかなー…。」
「お、お前だって来たじゃないか…。」
「…あたしは確かめに来たんだ。、もし本当にあんたが待ってたら…ちゃんと聞こうと思ってさ…。
あんた、本当にあたしの居場所になってくれるの?」
「そりゃもちろ…。」
「よく考えて答えなよ?簡単に「うん」なんて言ってあとであたしに飽きて捨てたりしたら
あたしは、こんどこそ本当に死ぬよ?そして、あんたが死ぬまで呪ってやる。
あたしはこういうイカレたやつなんだ。それでもあんたは…。」
「いいよ。…俺はそんなお前も含めて、お前が好きなんだから。それに、お前は死なないよ。
俺がそんなことさせない。俺でよければ居場所にでもなんにでもしろよ。」
「…………あたし…手首に傷あるよ…?」
「構わない!」
「あたし…ダブってるから年上だよ…?」
「構わない!!」
443リンゴ入り ◆Borr/IL/SA :05/03/13 02:25:17 ID:uhQRKOm+
「あ…あたし…あたし…あたし…あたし…。」
「…もういいだろ。お前が泣くと俺も悲しいからさ。笑ってくれよ…。」
「……桃乃恵…。」
「え?」
「あたしの名前!あなたは?」
「俺の名前は―――」

それは―――
君の心に差し込んだ
―――希望のヒカリ……だったらいいな