読子さんが尻穴を真綿のように柔らかくなるまでほぐされて
メロメロになるSSをキボンしながら即死回避支援。
4 :
名無しさん@ピンキー:04/11/29 07:48:31 ID:+ZJeonKE
期待上げ
即死回避
1乙
7 :
749:04/11/29 12:54:13 ID:boJ0oUP4
ヤタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ ━━━!!!!
>>1 さん、乙です。ありがとう。気を付けます。
ねねねが二人きりの時に幼児退行気味に読子に甘えまくってイチャイチャベタベタするSSをキボンしつつ即死回避。
同上保守
久ちゃん受けの百合きぼんぬ。
漫画版は久ちゃんとアニタちゃんのフラグが立った記念だし。
でもアニタ受けの方がいいかも。久ちゃんの方が熱心だし。
保守
13 :
名無しさん@ピンキー:04/11/30 13:01:30 ID:tneaK1CQ
保守
14 :
名無しさん@ピンキー:04/12/01 00:50:51 ID:hVnKLpKB
保守
保守
16 :
名無しさん@ピンキー:04/12/01 22:32:09 ID:hVnKLpKB
保守
17 :
名無しさん@ピンキー:04/12/02 15:09:30 ID:JrE/Xk3c
保守
18 :
名無しさん@ピンキー:04/12/03 14:26:01 ID:R7+JiU5x
保守
19 :
名無しさん@ピンキー:04/12/04 01:09:38 ID:ann7BqQG
もう誰もいないのか?
ノシ ここにいるぞ
漏れも毎日読子さんに劣情をたぎらせているぜ。
22 :
名無しさん@ピンキー:04/12/05 00:16:49 ID:GYHdW3rR
誰か…
23 :
名無しさん@ピンキー:04/12/05 00:50:07 ID:jqIjBETG
呼んで。。。ないな
神田のコスプレ居酒屋、まだやってるのかどうか知らないが、
読子コスプレの店員とか居たらやばいなハァハァ
なぜか客だったりしてな。って本物ってことか!?
本物は本屋のはしごに忙しくて寄り道はしないような
28 :
名無しさん@ピンキー:04/12/07 22:45:11 ID:o47IfJDp
ほしゅ
過剰な保守は荒らし扱いになるぞ。
もう少し
保守
本屋で出来るプレイとかを考えないといけないのか……?
読子を、艶書しかない部屋に監禁すると……
3冊目くらいから、作者ごとの個性とか
発行年代ごとのプレイ内容の趨勢に興味が移って
普通に興味深く読んでしまう気も。
大英図書館にも
そういう「秘密室」って名前の部屋があるとか、
澁澤龍彦が書いてたなぁ……
蔵書は二万冊ぐらいだとか。
国会図書館は、複数印刷された冊子携帯のものや電子出版物は、個人の製作物でも内容を問わずなんでも収蔵するので、
無料で寄贈するならエロ同人誌でもちゃんとひきとってくれる。
ていうかエロワードでぐぐっていたら、同人エロCD-ROMのタイトルが国会図書館藍のサイト内にあってびびった。
「読子ちゃ〜ん、おもしろそうな本がいっぱいあったよ〜」
「こ……これはちょっと、いけないほんですね………ナンシーさんは読んじゃダメです。」
「あ〜、読子ちゃんひとりで読むのずるい〜〜〜!!」
37 :
名無しさん@ピンキー:04/12/15 01:05:58 ID:yeNIKXF2
続きをお願いします。
待て、しかして希望せよ保守
またクリスマスがやってきますた。
普通の人みたいに・・・・クリスマスに楽しい思い出をつくるには
・・・・どうしたらいいんだろう?
と今年も尋ねようと思ったら本スレがいつの間にか無くなってますた
(´・ω・`)
愛に恵まれないすべての人へ
メリークリスマス
42 :
749:05/01/01 02:24:34 ID:baO/0Ibe
幕間劇 帰ってきた恋愛小説家
蔵前のマンション、居間。
ミシェール:「それでは!せんせい、あけまして〜」
三姉妹:「おめでとうございま〜す!」
ねねね:「うむ、おめでとう!」
ミシェール:「ささ、どうぞどうぞ」(酌をする
ねねね:「ん、ありがと……ぷは〜」(盃をちび、となめてから飲み干す
ミシェール:「まあ、おみごと。ささ、もひとつ」(ぺちぺちと手を叩いて酌をする
ねねね:「ありがと……あんたたちも飲みなさいよ。おーい、アニタ、飲んでるかー」
アニタ:「うーい」
ねねね:「何それ牛乳じゃんよ。お屠蘇を飲め!お屠蘇を!」
マギー:「……こ、こちらも……どうぞ……」(ぱか、とお重のフタをあける
ねねね:「……ぉお!やるじゃん!」
マギー:「……ハッスルしました……」(顔を赤らめて
ねねね:「……おお、うまいうまい」(黒豆の煮物をつまんで
ミシェール:「わたしもすこ〜し手伝ったんですよ〜」
アニタ:「ミー姉、おもち焼いただけじゃん」
(おほほ、と笑ってコタツの下でアニタと暗闘するミシェール
ねねね:「ああ、そうだ……アニタ、こっちおいで」(手招きして
アニタ:「……なに?」
ねねね:「はい……お年玉」
アニタ:「ありがと……おおぉ!スッゲー。五千円じゃん!……ホントにいいの?」(ねねね、
笑いながらアニタをぐりぐりして
ねねね:「ま、正月くらい、ね……」
43 :
749:05/01/01 02:25:45 ID:baO/0Ibe
アニタ:「ありがと!よーし、これで久ちゃんの新作とカエルくんを……」
ねねね:「ちょっと!たまにはわたしの本も買いなさいよ」
アニタ:「わかってるってー!」
(ミシェールに目配せするマギー、うなずくミシェール
ミシェール:「あのー」
ねねね:「なに?……」
ミシェール:「わたしたちにもお年玉を……」
ねねね:「……あんたたち、いくつになった?」(ぎろ、とふたりをにらむねねね
マギー:「…………ムヒャ」
(あさっての方を向いてほほをつまむミシェール、ねねね、酒をあおる
ミシェール:「……そういえばせんせ、お体はだいじょうぶですか?」
ねねね:「?……元気だけど」
ミシェール:「そうですか?……なんだかうなされているみたいですけど……真夜中に『せんせ
い』、『せんせい』って、イイ声で」
(ぶ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。酒を吹くねねね
ねねね:「な、な、な、な、なにを!……」(ねねね、くちを拭って
ミシェール:「きっとあの人も心配しますわ……本当にご存知ないんですか?」
ねねね:「…………知らんな……」
ミシェール:「アニタちゃーん!お部屋のラジカセを持ってきてちょうだい。ちょっとこのテープを再
生……」
ねねね:「分かった!分かった!分かった!分かった!分かった!分かった!分かった!…
…いくらだ……」
(ねねね、懐からサイフをだす
44 :
749:05/01/01 02:26:30 ID:baO/0Ibe
あけましておめでとう、今年もよろしく <(_ _)>
とりあえず、保守がわりに。
あけましておめでとう
なかなか良かった GJ
ももも漏れにこっそりそのテープを聴かせてみ?
ていうかマーもミーもぬぬぬファンなんだから、テープで脅すならお金より
ぬぬぬが夢の中で読子さんとどんな濃厚プレイを貪ったか
繊細かつ長大なレポートにまとめてもらった方がいいような。
47 :
749:05/01/01 11:22:55 ID:baO/0Ibe
>>46 ( ´∀`)ちなみに裏設定としてねねねは黒いズラをつけて鏡をみてオナーニしていることになっています
アニタの初オナーニSS読みたい
文才のある人書いて!
ヽ( `Д´)ノ
50 :
名無しさん@ピンキー:05/01/12 13:18:18 ID:g0fTSExh
眼鏡はそのためだったのか!
そういえば、伊達らしいね>ぬぬぬ
おお、両スレはっけん
54 :
名無しさん@ピンキー:05/01/23 00:36:45 ID:BS5KPoUr
age
(´・ω・`)
hosyu
多忙につき取得し損ねていた前スレ投下作品、
『わたしは夜、星をみる』を遅まきながらたった今、保管庫経由で読了しました。
良いですな、相変わらず。
小説・旧作漫画からのエピソードの絶妙な引っ張り方、
またドニーとミシェールが歩く神保町というのが何とも言えず。
テグジュペリ、芥川龍之介と文学ネタも充分。
奇妙な少女との淡い邂逅、というのも良かったですが
その一方で描かれてある、物語の背景を低い韻律で流れるドニーの苦悩、
距離を置こうとして諦めきれないもう一人の少女への思慕、切望、絶望みたいなものが
私は好みですな。
あえて避けてあるのは解りますが
その少女への切望が触発されて堰を切って溢れ出し、横浜のホテルの一夜、
意志に反して獣のように目の前の別の少女にそれをぶつけてしまうドニー
そしてドニーを誘い、それを承知の上で受け容れるミシェールの姿、
というのも読んでみたい気がしました。中国4千年の閨房技併用で。
今回も本ネタ挙げるとするならば
ギブソンの「クローム襲撃」の中の短編のひとつ、「ニュー・ローズ・ホテル」でしょうか。
切望と絶望というあたりで。
また神保町参りをしようかなと思わせられますた。
まあ、あずき色のジャージを着た少女には出会えないとは思いますが。
ともかく次の幕が開くのを待っておりますので宜しくお願いします。
58 :
749:05/02/09 05:24:40 ID:pQLBuqnk
>>57 ありがとうございます
『わたしは夜、星をみる』ですが、今月中には(遅くとも来月の初め頃には)最終回をうpでき
ると思います。
うpできると思いますなんて……なんか偉そうで恐縮です。
エロくない話をこんな長々と書いてしまって、内心怒られやしまいかとビクビクしております。
本当はドニーとミシェールが、横浜のホテルで『えっち、です』のハズでしたが、ボツにしてしま
いました。ダブルベッドはその名残であります。
えっちの後であんなクサいこと言う話、俺には書けませんorz
本をめぐるペーパーアクションを書いて、あわよくばエロも……と思って書き始めたんですが、ど
うも物語にはベクトルというものがあるようで、エロいものを書くなら最初からそのつもりで書か
ないと、決してエロくはならないことがよく分かりました。
ここはエロパロスレである以上、これではいけません。
皆さま、次作は必ずエロを書きますのでどうか勘弁してくださいませ <(_ _)>
59 :
名無しさん@ピンキー:05/02/14 16:46:39 ID:uIwLfDVH
保守
マギーに
あんな事やこんな事をしたい……
(´・ω・`)
読子さんに
あんな事やこんな事をした(脳内で)
詳しく
64 :
749:05/03/01 01:02:52 ID:kGRmhDfa
やっとオワタ。
(・ω・)ノシ それでは送ります。
65 :
749:05/03/01 01:05:19 ID:kGRmhDfa
わたしは夜、星をみる ♯3
『――具合がよくなった!」と彼が叫んで言った。
しかし彼の声は発動機の響きに消され、わずかに微笑だけが相手に通じた。「僕らはもう
助かりっこないはずだというのに、笑うなんて、僕は確かに正気じゃないぞ」
そのくせ今、これまで彼をつかまえていた千百の暗黒の腕が、彼を解放するらしかった。縄
を解いてしばらくのあいだ、自由に花のあいだを歩かせてやる罪人のように、彼のいましめが
解かれていた。
「あんまり具合がよすぎるぞ」とファビアンは思った。彼は徘徊した、宝物のようにたっぷり集め
られた星に交じって、彼ファビアンとその同僚以外には誰ひとり生きた人間のいない世界の
中を。お伽話の中の盗賊どもと同じように、永久に出ることのできないはずの宝物庫に閉じ
こめられて。冷たい宝石のあいだを、いとも富んで、しかも死刑を宣告されて、さまよっている
彼らであった。』 サン=テグジュペリ 「夜間飛行」
――『武闘(ゲヴァルト)』。
ここでぼくが言うところの武闘とは、暴力の行使であるところのあの戦争のことではない。
より本質的な世界との闘争――生存のためのそれである。
世界に放り出された我われは独りで。
それゆえに世界とのコミュニケーションを必要とする。
なによりまず我われは、喰うために世界とコミュニケートしなければならない。
我われはその行為をさして『仕事』と呼んでいる。
それは生きるために必要なことだ。
だが、それはまだ人生ではない。
そう呼ぶには値しないのだ。
では何のために?何のためにひとは闘うのか。
賃金のために?断じて、否だ!
あの賃金という奴は、実はただの紙きれにすぎない。
『金』は我われの生活を支えるものと交換されるかぎり、価値があるように見え続けるだろ
う。
66 :
749:05/03/01 01:07:32 ID:kGRmhDfa
……ただそれだけの事なのだ。
ならば何のためにひとは闘うのか?
世界に放り出された我われは独りで。
それゆえに世界とのコミュニケーションを渇望する。
喰うためだけに生きることも勿論できるだろう。
だが、それはまだ人生ではない。
そう呼ぶには値しないのだ。
我われは大切な『何か』を渇望する。
より大切な『何か』を獲得するために、より大切な『誰か』を守るためにこそ、我われは絶
望的な勇気をふるって世界と闘うことができるのだ。
我われは大切な『何か』、大切な『誰か』のために生きている。
我われにとって実はそれこそが人生で、そして我われにとって実はそれこそが世界なのだ。
つまり我われは、『我われ自身の世界』をもって、全世界と対峙しているのである。
そして――。
そして、ぼくは横浜港大黒埠頭の、とある保税倉庫のまえに立つ。
初更から吹きだした風は夜半に至って大風となった。
だしぬけに搬入口の扉のところで鋭い嫌な音がひびくと、厚い扉には三角形の、丁度ひと
が通れるほどの穴があく。
その切片が床にぱたりと倒れて、月明かりが辺りを照らした。
そこにはひとの影が差し、やがてドニーが現れる。
腰をかがめて倉庫に入ると、辺りにはパレットやコンテナが整然とならんでいる。
……暗いので、奥は見えない。
四囲の壁の天井付近には採光窓があり、そこから月明かりが漏れた。
あとは漆黒の闇――。
ドニーは右手をまえにかざして左右に振りながら、なにかを確かめるように歩きだす。
通路は細かく区切られていて、ドニーはそのなかを縫うように歩いた。
67 :
749:05/03/01 01:08:47 ID:kGRmhDfa
やがて彼の足はとまり、ふり向いていま来た路を引きかえす。
とあるコンテナのまえでドニーは立ちどまり、そのスチールの肌にひたひたと手を触れる。
すると突然、ドニーは二方向から銃撃をうけた。
三点バーストによる十字射撃――。
ドニーは左肩と右足に弾をくらってその場に倒れた。
倉庫に足音がコツコツと響く。
そこに誰かが向かっているらしい……。
幾度か立とうとしてあきらめたのか、ドニーは腹ばいのまま逃げようとする。
彼の右足はひざを砕かれ、妙な具合にまがっている。
ドニーは身体をくねらせながら、通路を右ひじだけで這いもどる。
だがMP-5を構えた男がドニーに駆け寄り、かかとで彼の頭を踏みつけた。
ドニーの頭は床に踏みつけられてひどい音をたてる。
男はドニーになにか言おうとして、そしておどろいて静かになった。
ドニーは彼の足元でみるみる平らになり、やがて無くなってしまう――。
そこには、ただ紙が……沢山の紙があるばかりだ……。
――『ペーェェ、パーァア!!』
ふいに気がついて、男は叫んだ。
シュル!とムチのようなものが足に巻きついて彼を引き倒す。
そのムチはまるで蛇のようにきりきりと彼を締めつけ、そして長い、見上げるほど長い鎌首を
もたげた。
男はかすれた悲鳴をあげながら、その『蛇』の鎌首に向かってMP-5を乱射する。
仲間たちは彼を助けたいのだが、いま撃てば彼にもあたってしまう。
その『蛇』はやがて胴体にも巻きついて、彼は身動きが取れなくなった。
『蛇』の尻尾がその口をふさいだので、彼の悲鳴は聞こえなくなった。
高くもたげたその『蛇』の頭は、ふいに膨らんで、そして破裂した――。
そこから紙片が放射状にうなりをあげて飛び、ところ構わずに突き刺さる。
見れば木のパレットはもとより、金属性のコンテナ、樹脂材の床にも紙片は深々と突き立
っている。
68 :
749:05/03/01 01:10:26 ID:kGRmhDfa
彼らがそのさまに戦慄する間もなく、ガラガラとキャリーバッグを引きながら――『ぼく』は倉
庫のなかに現われる。
……どうやら、こいつ等はぼくに『宝探し』をさせようという魂胆だったらしい。
――せこいな……。
声に出して、ぼくはつぶやいた。
それにしても、こいつ等が『それ』の在りかを知らないというのは……妙だな。
……だが、まあいいか。
おしまいの鐘がなる――。
最終章の始まりだ。
ぼくはアキレウスなのか?
それともヘクターなのか?
それはまだ分からない。
――まあ、結局は同じことなんだけどね……。
寂しそうに、ぼくは笑った。
――さあ、愛し合おう!
お馴染みのM-16の連射音が響くなか、ぼくは狭い通路を疾走する。
頭を下げ、腰をおとしてただひたすらに速く、速く、速く――……。
……やれやれ。
こればかりは何度経験しても慣れないな……。
弾に当たりたくなければ、ぼくは走るしかない。
銃弾がぼくの足元をなめ、耳元をかすめて飛び去る。
厄介だ……。
どうやら連中はミニミ(M-249 分隊支援火器)を持ち込んでいるらしい。
息をはずませてコンテナの隙間に滑りこみ、急いで手元の『紙』を投げうつ。
紙は生き物のように空中に弧をえがいて飛び、しばし射撃が途切れた。
69 :
749:05/03/01 01:12:05 ID:kGRmhDfa
すかさずぼくは通路に飛びだして走る。
ぼくは速く走るしかない……。
犬のように、ぼくは走る――。
……敵は十人前後、一個分隊といったところか。
彼らは二手に分かれて互いに連携しながら、絶えず側面に廻ろうとする。
貨物の隙間、通路の交差点のクリアリング(制圧)の速度とスタミナは驚くほどで、ライト付
きのMP-5を揺らしながら、決して足を止めることなくクリアゴーを繰りかえす。
ぼくは幾度もキルゾーンに踏みこみ、紙の楯で射弾を避けた。
……なんとか勝負になっているのはここが遮蔽物の多いインドアだからだ。
室外でアンブッシュを仕掛けられて、いきなり狙撃されていたらぼくはそれっきりだったろう。
横から受けた連射を紙で受ける。
駆け出そうとして正面を向くと、いきなり顔を斬りつけられた。
見れば目のまえに、ナイフを――マチェット(山刀)を持った黒人がいてにやりと笑う。
……大きい。
二メートルはあるだろうか。
手足の長いその身体は、猫科の猛獣を彷彿させる圧倒的な存在感を持っている。
それにしてもこいつの格好は……。
黒人はハンチング帽をかぶり、ポロシャツにカーディガンをはおってスラックスを穿いている。
……ゴルフなんだろうな、きっと。
ゴルフウエアを着た黒人が真夜中の埠頭をうろついているとは思わないが、目だし帽の特
殊部隊が東横線に乗るわけにもいかないだろう……。
睨みあう。
愛嬌があるように見えたその目は、いまは別人のように細くなり、ぼくを見つめる――。
黒人は腰をおとしてガードポジションに構え、ぼくに向かってにじり寄る。
左手を不自然に下げている。
あるいはもう一本ナイフを隠し持っているのかもしれない。
なんの予備動作もなく男は一歩を踏み出した。
70 :
749:05/03/01 01:14:17 ID:kGRmhDfa
――疾。
右手のマチェットがすごい勢いで突きだされ、ぼくはそれをスゥエーでかわす。
……やはり次が来た。
そのまま黒人は左手を横に薙いだ。
腰をかがめると、金属の光芒が頭上を走り抜けていった。
床に手をついて、中足で黒人の左足を払う。
……しかし、彼の足はもうそこにはない。
黒人は大きくうしろに跳び、ふたたび腰をおとしてにじり寄る。
誰も撃ってこない。
弾を使いすぎたのか、それとも追いかけっこに飽きたのか……。
……まあ、それもいいだろう。
贅沢は、言えない。
決して歓声を上げない観客のまえで、ぼくたちは殺しあう――。
……右で薙いで、左で突き、それを避けると膝めがけてローキックが飛んでくる。
ぼくは左足を浮かせ、膝を上げてそのローを受ける。
きちんと受けたつもりだが、よこに飛ばされぼくはパレットの山に突っ込んだ。
「……くそ!」
体力が違いすぎる。
素手で勝てる相手ではない。
あお向けのぼくに向かって黒人は悠然と近づき、マチェットを振り下ろす。
「ふしゅっ!」
かつん、と音がして、その一撃はぼくの頭上で止まった。
突きあげたぼくの両手には紙製の棒が握られている。
黒人はおどろいてうしろに下がり、ぼくの様子をうかがう……。
ぼくは起き上がるとその棒を青眼に構え、黒人に向かってすり足で近づく。
すると、彼は不用意に左手のナイフを伸ばしてきた。
ぼくはそのナイフを避けながら半身に入り、踏み込んで黒人ののどを諸手で突いた。
71 :
749:05/03/01 01:15:49 ID:kGRmhDfa
のけ反って黒人はうしろに倒れ、床に手をついて目を白黒させる。
ぼくが上段に構えて近づくと、あわてて彼は立ちあがった。
……彼の足はまだふらついている。
しかし効いてるふりをしているのかもしれない……。
それも技術のうちだ。
それに、こうなれば彼は組み付いて寝技に持ち込もうとするかもしれない。
……うかつには近づけない。
ふいに黒人は左手のナイフを、ぼくの顔めがけて投げつけた。
ぼくは手元でそのナイフを弾く。
その刹那、黒人はすごい疾さでタックルに来た。
ぼくはよこに跳んで、からくもその胴タックルを避ける。
左側に跳んだぼくののど元を、黒人のマチェットがかすめる。
全身の毛がそそけ立った。
血が、首を伝って胸元へ――。
のどに痛みがある。
……いまのは、危なかった。
口元に嫌な笑みを浮かべて、黒人はぼくを見つめる。
彼はマチェットを逆手に持ちかえ、ボクシングでいうオーソドックススタイルに構えてステップを
踏む。
「おい日本人、面白いな……」
黒人はステップを踏みながら言った。
冗談じゃない……なにが面白いものか。
心のなかで毒づいて、ぼくはもう一度上段に構える。
……先は長い。
いつまでもこいつにつき合っていられない。
悪いがすこし卑怯な手を使わせてもらおう。
振りあげたぼくの手がぴくりと動くと、黒人はするりと間合をはずす。
通路の幅が狭いので、彼は前後にしかフットワークを使えない。
72 :
749:05/03/01 01:17:25 ID:kGRmhDfa
黒人はゆっくりと近づき、ぼくの手がぴくりと動くとまた後方に下がる。
その繰り返し――。
そこに緊張がある。
やがて黒人は間合をつかみ、そのぎりぎりの距離でステップを踏む。
ぼくの手が、ぴくりと動かない距離――……。
たまらない緊張があった。
瞬きひとつ、呼吸の乱れひとつで始まってしまうだろう。
だが、ぼくは突然間合をはずしてうしろに下がる。
ぼくはそのまま足を止めずに、うしろに数歩――。
遁走すると思ったのだろう。
ぼくを追いかけて、黒人は足をまえに踏みだした。
「しゃっ!」
渾身の力を込めて棒を振り下ろす。
棒は吸い込まれるように、彼の頭に――ほら、入った……。
黒人はその場に昏倒する。
――なぜ棒がとどくのか?
その顔にはおどろきがあった。
やがて黒人の頭から、たらたらと大量の血が這いでてきた。
しかし、まだ終わらない……。
彼はゆっくりと上体を起こす。
ぼくを見て、黒人は血まみれのすごい顔で笑った。
振りかぶり、もう一撃――。
それで黒人は静かになった。
ぼくの手には丈余の棒が握られている。
とん、と床を突くと、その棒は縮んでみじかくなった。
……敵に自分の武器を十分印象づけた後で、その武器の特性を変化させる。
単純だが、効果的な手だ。
黒人の手足を縛って立ちあがると、倉庫にはふたたび銃声が響き渡る。
73 :
749:05/03/01 01:18:36 ID:kGRmhDfa
ぼくはうでを振り、連射を紙で受けきってみせた。
……ぼくに弾丸は当たらない。
ふたたび、ぼくは犬のように走りだす――。
弾雨のなかを。
ぼくはただひたすら走り。
物蔭にひそんで息をつく。
紙で銃弾を受け、紙を投げうつ。
敵と闘い、また犬のように走りだす。
繰り返し、繰り返し、繰り返し――。
……これで何人目だったろう?
倒れた男を縛り上げると、銃弾が側壁を乱打して割れ鐘のような音をたてた。
右手をまえにかざして紙で障壁をつくり、射弾を避ける。
――と、一弾が障壁を突き破り、頭をかすめて飛び去った。
左手をまえに振り、障壁を二重にする。
9パラや223NATO弾に耐えてきた障壁をかるがると……。
……50BMG(12.7ミリ弾)か?
狙撃銃だな……たしか、バーレット(M-82 対物狙撃銃)とかいう……。
……これがM-2重機なら死んでいたな。
それにしても、連中――いよいよぼくを人間扱いしなくなったようだ。
妙な飛翔音が聞こえて、ぼくは全身の毛がそそけ立った。
あわててぼくは『丸く』なる。
爆発――。
紙製の『繭』のなかで、ぼくは攪拌される。
その振動。
ぼくは嘔吐する。
――くそ!
74 :
749:05/03/01 01:20:19 ID:kGRmhDfa
グレネードランチャーか……。
どうやら『生死問わず』という事になったらしい。
……それにしても、こいつ等なにを考えてるんだ?
これじゃ『呪いの書』もなくなっちまうぞ。
絶望的な状況のなか、ぼくは口元をゆがめて笑う――。
――戦場。
『…………聞いてるの、ドニー?』
――あ?ああ、聞いてるよ。
ぼくは苦笑して本を閉じ、彼女を見つめる。
『だからぁ、本が読めればどこでもいいのよっ。やっぱり聞いてなかったんじゃない!』
――……本は、どこでも読めるよ。
ぼくは言う。
『なるべくいっぱい読みたいのっ!』
――どうしてだい?
『どうして?ドニー、周りを見てみなさいよっ。こんなにたくさんの本があるのよ。しかも、これ
は全世界で出版されてる本のごくごくごくごく一部!』
彼女は芝居がかった素振りで棚にならんだ本を差し示す。
『こうしている今も、本は次々に発行されてるの!』
――つまり、全ての本を読むことは不可能なわけだ。
ぼくは意地悪く言った。
これは、大学の図書館だ……いつこんな事を言ったんだっけ?
爆発――。
どん、とすさまじい音がして紙の繭が弾け飛び、その繭のなかで、ぼくは攪拌される。
――……ぬふう。
75 :
749:05/03/01 01:22:07 ID:kGRmhDfa
気味の悪い震動が内臓をいためつける。
耳鳴りがひどい――。
まずいな……。
このままでは、まずい。
繭殻を銃弾がぴしぴしとたたく。
雪隠詰めだ。
……あの40ミリグレネードを何とかしないといけない。
飛んでくる方向は分かっている。
次に来たら……来た――!!
飛翔音――爆発。
また紙の繭が弾け飛ぶ。
爆煙がおさまると、紙の繭は細かな紙片となって辺りをただよう。
紙はくるくるとらせんをえがいて舞い、その紙片で辺りは見えなくなった。
ぼくはただよう無数の紙にかくれて突貫する――。
……ぼくの生死は走る速度しだいだ。
犬のように、ぼくは走る――。
『決めたわ!私もそこに行く!』
紅潮した顔で、彼女はそう宣言した。
……あのときは困ったな。
とんでもないことだと思った。
あのとき、彼女を止めておけばよかったのに。
……ぼくはそうしなかった。
どうしてできなかったのか……――。
……あらかた片づけたと思ったが、しぶといのが数人いる――。
そう思っていたが……どうやらひとりらしい。
つまり、先程からこいつは……こいつはひとりで複数の狙点をとり、口径の違う数丁の銃を
76 :
749:05/03/01 01:23:49 ID:kGRmhDfa
さげて飛び回っていることになる。
……化け物か?
試しに紙を飛ばしてみる。
すると、その男は紙を引きつけて――二発。
……紙は落とされてしまう。
そしてこちらの位置をすばやく把握し、M-16のショートカービンを小気味よく鳴らしてくる。
ぼくは頭を上げることもできない……。
射撃が途切れると、男はもういない。
そして思いもしない方向から射撃を受ける。
――くうっ!
ぼくは床にころがり、男に向けて紙を投げうつ。
紙はまた落とされる……。
……なら、三枚ならどうだ!
そら!……紙はそれぞれ弧を描き、飛んでいく。
点射――。
一枚の紙が落ちた――だが、どうだ!
……当たっただろう!?
よし、もう一度――痛っ!
――くそ!……。
なんて奴だ!
今度は投げるまえを狙ってきやがった。
ぼくはコンテナの隙間にすべり込み、えりをくつろげて傷をみる。
……弾は右肩を削っていった。
うでの曲げ伸ばしをしてみる……骨に問題はない。
――……長い夜になりそうだ。
苦痛に顔をしかめて、ぼくはそうひとりごちた――。
77 :
749:05/03/01 01:25:30 ID:kGRmhDfa
『……ずいぶん、つまらない本を読んでますね』
――女の子が話しかけてきた。
見覚えのない女の子だった。
去り際に彼女は名前を教えてくれた。
変な名前の、変わった女の子だった。
だけど、ぼくは彼女の笑った顔を見てみたいと思った……――。
――投。
くそ 疲れ はおしゃべり
で
おとうさんは? おかあさんはどこ
死んだよ。
ふたりとも
――投。
哭くな。
お人好しだな
音。
……たとえぼくが死んでも
君がぼくを知ってる。
それでいい
ぼくは、本が好きだ。
そろそろ
――打。
78 :
749:05/03/01 01:27:13 ID:kGRmhDfa
――読子、きみは強い。
ぼくがいなくても立派にいきていける。
きみにはすばらしい日々を過ごしてほしい。
つらくてもどうか笑顔で希望を捨てずに。
そしてぼくからのキスを――。
撃たれたわき腹の傷が痛む。
血が止まらない。
……痛い――。
呼吸をすると猛烈に痛む。
……モルヒネを持っているが、打つわけにはいかない。
打ったらなにも出来なくなってしまう……。
ならば痛みのほうがましだ。
……だが時どき気が遠くなる。
これで気絶したら笑い話だな……。
のどが渇く――。
……弾は外にぬけたようだ。
内臓を、傷つけていなければいいのだが……。
…………妙だな。
コンテナの側壁に背を向けて、通路をちら、と見てすぐに頭をもどす。
……やつは撃ってこない。
男の気配がきえた……。
ぼくは混濁する意識をふるい立たせて集中する。
……やはりおかしい。
男は通路をへだてた斜向かいの区画にいたはずだった。
……そこから動いてはいないはずだ。
だがそこに男の気配はない……。
いやな予感を抱いて、ぼくはきょろきょろと周りをみまわす――……。
79 :
749:05/03/01 01:28:55 ID:kGRmhDfa
四囲の壁の天井付近には採光窓があり、そこから月明かりが漏れた。
その窓にそって壁面をつたう狭い鋼製の通路のうえで、おれはM-40(狙撃銃)を構える。
……プローン(伏射)では俯角がとれないので、座り込んでうでにスリングを巻きつけ、銃床
を肩にひきつける。
銃床に頬をつけてスコープを覗くと、十字線が大きく上下に波うつ。
……はやく呼吸を整えなければ。
『ザ・ペーパー』を照準内にとらえて倍率をあげ、十字線のやや下に……頭を。
太股の傷が痛む……。
……それにしても、名うての戦争屋をそろえてこのザマとはな……。
やっぱり化け物だな、こいつは……。
…………もう気がついたか……さすがだ。
……はやく呼吸を…………やつが上を見るまえに……整えなければ。
――『……エホバはわが巌、わが要害、我を救ふ者……。
わが磐の神なり、われ彼に倚頼む、エホバはわが盾、わが救の角、わが高櫓、わが逃躱
處、わが救主なり……爾われをすくひて、暴き事を免れしめ給ふ。
我ほめまつるべきエホバに呼はりて…………わが敵より救わる……』――。
……静かな深い呼吸ができるようになった。
おれはゆっくりと息を吸い、呼吸を止めて引き金に、指を……――。
『……ドニイイィィー―!!危ないっ!上えぇー―――っ!!』
「!?」
ぼくは彼女の叫び声を聞いた。
その意味を理解するための長い数瞬が過ぎ、ぼくはあわてて床に転がる。
ぼくの頭を削って銃弾が飛び去り、そして激痛――。
「……ぐむっ!!」
80 :
749:05/03/01 01:30:40 ID:kGRmhDfa
鮮烈な痛み。
わき腹をおさえて、ぼくは床をのたうつ。
……はやく……遮蔽物のかげに、かくれなければ……。
唇をかみしめ、ひたいに玉の汗を浮かべてよつん這いでコンテナの隙間にもぐる。
……いまグレネードランチャーを使われたら、お終いだな……。
天井付近の通路がおちた。
その音を、ぼくはどこか遠くの出来事のように感じる――……。
……遠くで女の声が聞こえた。
「くうっ!」
その声と同時に殴られたような衝撃が左肩をはしり、おれは引き金をひいてしまう。
……くそ!銃弾は床にふせたやつの頭をかすめて飛び去り、おれは姿勢を低くして辺りを
うかがう。
左肩に違和感がある……手を肩にやると、そこに根を生やしたものがあった。
ふれると悪寒のような痛みがはしる……。
「……矢か!?」
ひょう、と一矢が頭をかすめ、おれのうしろの壁に突き立つ。
その矢のふるえがおさまる間もなく、天井をふくめて通路がおちた――。
おれはみぞおちの辺りをひやりとさせながら落下する。
……下をみると、そこには白い奇妙な格好をした少女がいる――……。
ミシェールは天井を見上げて紙を投げうつ。
彼女がうでを振り下ろすと天井には穴が開き、通路がおちた。
かるく周りをみまわしながら、ミシェールはぼくに向かって歩みよる。
「これで貸し借りなしですわね……」
彼女はぼくを見おろして言った。
「……やっぱり来たのか……馬鹿だな」
彼女がにこ、と微笑むと頬に可愛らしいえくぼができる。
81 :
749:05/03/01 01:32:24 ID:kGRmhDfa
「ええ……仕事ですもの」
ミシェールは白い中国服に袴をつけた格好で、手には紙袋をさげている。
紙袋のなかには昼間買いあさった本が詰まっている……。
「……勿体ないな」
「仕方ありませんわ……事情が事情ですもの」
動けないぼくを見つめてミシェールは言った。
「では行ってきますわ……ドニーさん」
「ミシェール……やめろ!きみの敵う相手じゃない……」
彼女はにこ、と微笑んでウインクをする。
「『呪いの書』はいただきますわ……それじゃ!」
ミシェールはぼくに背を向けた。
彼女は遠ざかり、どこかで風の音がする。
屋根が飛んでしまったので星空がみえる。
辺りを見わたせば、そこはまさに戦場という有様。
あちこちで火の手があがり、そのゆらめきと共に辺りは明滅を繰りかえす。
ただ足音だけをたよりに、わたしは仄暗い倉庫のなかを奥に向けて進む――。
ごうごうと風の音がして、火の粉が勢いよくぱちぱちと流れる。
……足音が近い。
四つ辻で顔をだして左右をみると、走る男の背中が見えた。
わたしは胸を張り、矢をつがえてきりきりと弓を引く。
そして会(狙うこと)を深く――。
……男はふいに左に折れてみえなくなった。
わたしは舌打ちをして、男のまがったかどに向かって走る。
ちら、と顔をだして通路を覗くと、そこに男はいなかった。
……たしかにここを曲がったはずだ。
ふと気配がしてふり向くと、男はコンテナの上にいた。
……目が合った――。
82 :
749:05/03/01 01:34:09 ID:kGRmhDfa
男は左肩をおさえてわたしを見おろし、小さく舌打ちをする。
わたしはおどろいて左手を振った。
よくしなる紙のやいばがコンテナの側壁を切り裂いて、鋭い嫌な音をたてた。
身体をひるがえし、男はコンテナの向こうに消える――。
心臓が早鐘をうつ……。
……危なかった。
いまので死んでいても、おかしくはなかった。
……コンテナの裏にまわると男はもういない。
しかし妙だ……。
先程から男が一発も撃ってこないのはなぜか?
もう弾がないのか、それともなにか魂胆があるのか……。
数分が過ぎて、辺りを静寂が支配する――。
…………おかしい。
男の気配がきえた。
わたしはきょろきょろと周りをみまわす。
先程までときおり聞こえた足音も、いまはまったく聞こえない。
矢をつがえてわたしは深呼吸する。
――……来た!
……先程、わたしは見ていた。
ロープの先に重しがあるのか、それともなにか仕掛けがあるのか。
あの天井付近の通路に向かって、男はすごい勢いで上っていった。
胸を張り、わたしは満月のように弓を引く。
まだ……。
まだ……。
……いまだ!
私はひょう、と射る。
83 :
749:05/03/01 01:35:51 ID:kGRmhDfa
――……仕留めた!
……通路の手すりに当たって、木製のパレットがすごい音をたてた。
外枠がはずれ、その真んなかに突き立った矢がふるえる。
「……………………」
わたしはおどろいて目を瞠る。
すると、まるであいさつをするような気安さで、わたしの肩にぶつかってきたものがある。
ふり向くと、ピンを抜いた手榴弾が床にころがり、からからと音をたてた。
――しまっ……。
爆発、音と閃光――……。
わたしは盲いて、なにも聞こえなくなった。
地に伏して、わたしは丸くなる――……。
――……いけない!
絶望的な勇気をふるって、わたしは顔をあげる――……。
漂白された視界がゆっくりともどる。
すると、手のとどかない遠くにふたりが見えた。
ミシェールはひざ立ちで、まるで告解をするように顔をあげた。
男はミシェールに手を差しのべ、その手には銃がある。
――耳鳴りのせいで、ぼくは自分の悲鳴が聞こえない。
低いくぐもった音がすると、ミシェールが後ろに弾け飛ぶ――……。
――ミシェエエー―ル!!……貴様あっ!!
……もう手加減はなしだ!!
殺してやる!殺してやる!殺してやるぞ!!
歯をむき出してぼくは叫ぶ――。
84 :
749:05/03/01 01:37:37 ID:kGRmhDfa
男の消えた方に向かってうでをひと振りすると、紙が殺到してそこはなくなってしまう。
辺りに気を配りながら、絶望的な予感を抱いてぼくは彼女のところに向かう。
……本当はそこに行きたくないのに、ぼくは、彼女のところに向かう。
「…………ミシェール……」
あお向けに横たわる彼女の姿を見て、ぼくは身体がつめたい石になったように感じる。
ぼくは跪き、汗ばむ手で震えながら彼女の頭にふれる。
「!?」
…………生きてる?
手首をつかんで脈をとり、ぼくは太い息を吐いた。
間違いない……生きてる。
前髪をたくし上げると、彼女の額には異様なほど大きなコブがある。
……出血は見られないようだ。
これは……これはゴム弾か?
スタングレネード(音響閃光弾)にゴム弾……。
……なるほど、そういうことか……。
うかつだった。
すこし考えれば分かることだった。
こんな化け物はそうそういるものではない。
もっと早く気がついていれば、他にやりようもあったのに。
娼婦についで歴史ある職業に従事するもの。
――……化け物、か!ふん!
まあ、いまからでも遅くはないか……。
ぼくは息を吸い、虚空に向かって叫ぶ。
「ドォレ――ェェエエイク!!」
火の粉を吐きながら、紅蓮の炎は天に沖してもえる。
「ドォレ――ェェイク!!……聞こえるか、ドレイク!」
85 :
749:05/03/01 01:39:19 ID:kGRmhDfa
――聞こえてるんだろう!?どうだ……ひとまず休戦にしないか!!
きみは……『それ』が――『呪いの書』が何なのか知らないだろう!?
受けてくれるなら、『それ』が何なのかを教えてやろう。
どうだ!……聞いてるか?ドレイク!
…………ドォレ――ェェエエイク!!――。
ふと気配がして、思いもしないところからひとりの男が現われた。
いつからそこに居たのか。
まるで、はじめからそこに居て気配を殺して、いま分かるように気配を放ったというふうに、
男はふいに現われた。
「やっと気がついたか……お見限りとはさみしいかぎりだ」
逞しい身体をした男は、犬歯をむきだしてにやりと笑う。
「やあ、久しぶりだな…………ふふ、なんだその格好は」
ゴム長こそ履いていないが、ドレイクはそれこそ釣りか魚河岸にでも行くような格好でブロー
ニングHPを両手保持で構えている。
「ひとのことが言えるのか?どこのサラリーマンだ、おまえ……」
左肩から矢を生やして、ドレイクの顔は苦痛にゆがむ。
それでも彼は獰猛に笑った。
見れば右太股にも深い傷を負っている。
……それで、よくあれだけ動けたものだ。
「大丈夫なのか?……」
いざりのように足を引きずり、ドレイクは歩みよる。
「……おまえがやったんだろうが」
彼は苦笑してつぶやいた。
「それはお互いさまだろう…………しかしきみは受けないと思ったが、言ってみるもんだな」
「ふん、確認したくなったんでな……『大英図書館』の紙使い、『ザ・ペーパー』の名を冠した
伝説の男、ドニー・ナカジマを相手に、おれがどれだけやれたのか確認したくなったのさ……
以前はしてやられたが、どうやらおれも成長したというわけだ……」
86 :
749:05/03/01 01:41:02 ID:kGRmhDfa
セフティをロックして、彼はブローニングを腰のホルスターにをおさめた。
木箱に腰掛けて、ドレイクは真っ青な顔をして歯を喰いしばり、ささった矢を力まかせにひ
き抜いた。
彼の表情は苦痛にゆがみ、ひたいには玉の汗が浮かぶ。
ヤッケを脱ぎ、シャツの袖をナイフでさいて、片手で器用に包帯を巻きながら、彼は足元の
ミシェールをあごで示して言った。
「……そいつは、おまえの敵だろう?」
「……ああ」
「手練だ……だが戦場に出るには早すぎる」
「…………」
足元のミシェールを見つめて、ぼくはドレイクに訊いた。
「……それで、きみたちは何人いたんだ?」
「十一人……おれを含めれば十二人だ」
「そうか……誰かさんが、ひとりでがんばっていたから分からなかったよ…………きみは傭兵
稼業をやめたんじゃなかったのかい?」
「……そのつもりだったが、金が必要になってな……家庭の事情ってやつだ。そこへCIAがや
って来やがって、タフガイを捜してるというんだ……『CIDG(民間不正規防衛集団)』だとさ
……」
「…………それを、きみは受けたのか?」
ぼくは眉をひそめ、まるで科白の棒読みのようにつぶやいた。
「仕方ないんだ……マギーに――娘に会うために、おれには金が要るんだ……それにおれ
にはこれしかできないんでな」
――それより、話しがあるんだろ?……はやくしてくれ。
とにかく聞くだけは聞いてやるさ……。
あとはそれからのことだ――。
87 :
749:05/03/01 01:42:44 ID:kGRmhDfa
包帯をまきおえたドレイクは、左うでの曲げ伸ばしをして顔をしかめた。
「ドレイク、そのことだが……このまま帰るわけにはいかないのかい?」
すると彼は正気か?というふうに、怖い顔をしてぼくをにらんだ。
「……おれの身体でも心配してくれてるのか?余裕だな……ずいぶん自信家じゃないか」
「いや、別にそういうわけじゃない……気に障ったならあやまるよ」
「ならどういう意味だ!確かに手の内はだいぶ知られたが、まだやれる!……ここで引いたら
おれは飯の喰いあげだ。悪いが神かけて、ここは引くわけにはいかないな!」
「それだよ、ドレイク」
「…………なんだと?」
――だから、『神さま』だよ。
ぼくは言う――。
倉庫の屋根は飛んでしまい、見上げれば星空がみえた。
辺りを見わたせば、そこはまさに戦場という有様。
紅蓮の炎は天に沖してもえ、そのゆらめきと共に辺りは明滅を繰りかえす。
『ミスター・ピーナッツ』の砂糖菓子のびんを蹴とばすと、それはからからと音をたてた。
――……これで『それ』が無事なら、僥倖というヤツだな。
「M-79(榴弾発射器)を使ったのはおれじゃない……こっちも吹っとぶところだった」
手のひらをかざして歩くぼくのうしろで、ドレイクが言った。
「……それにしても、なぜきみたちは『呪いの書』の在りかを知らないんだい?」
「ツーロンから船が出港した日に死んだ船荷取扱業者がいただろう……そいつが保険のつ
もりでどこか別の場所に隠したらしい。それを知らずに口封じをしちまったんだとさ……馬鹿
な話しだ……アンクル・サムのやる事ってのは、いつもどこかが抜けていやがる……」
炎がドレイクの顔を照らすと、彼は笑っているように見えた。
倉庫の中ほどには、大型の貨物コンテナが並んでいる。
そのひとつのまえでぼくは立ち止まる。
……間違いない。
88 :
749:05/03/01 01:44:26 ID:kGRmhDfa
スチールの肌にひたひたと触れながら、ぼくはその周りを扉を探してぐるりとまわる。
「……このなかに『それ』があるのか?」
ドレイクはコンテナを見上げて言った。
ぼくは彼を一瞥して、それから手のひらを扉のほうに向ける。
すると、なかから扉を叩く音がした。
不規則に、遠慮がちに『それ』は扉を叩く。
やがてその音は大きくなり、それを聞くと、なんだかぼくたちは気忙しく感じる……。
ドレイクは思わず腰のブローニングを抜いて、なんだこれは?とぼくに訊く。
――これかい!?これはね……ドレイク、きみは知っているだろう!?荒野で、主が試み
に遭われたことを!……。
不規則に、無茶苦茶に扉を叩くその音は、もはや耳を聾せんばかりになり、お互いに怒
鳴らなければ会話をすることも困難だ――。
「……『聖書』の!?」
だから、ドレイクは叫ぶように言った。
「そうだ!」
「……荒野の四十日か!?……」
――ああ、そうだ!
……『悪魔またイエスを最高き山につれゆき、世のもろもろの國と、その榮華とを示して言
ふ、「汝もし平伏して我を拝せば、此等を皆なんぢに與へん」』……。
誰が記したのか……その悪魔の言葉が『それ』に――『呪いの書』に記されているというん
だ!……なにかの方法なのか、それとも呪文なのか……。
……『それ』を手に入れて、合衆国はいったいなにをするつもりなんだろうね?――。
扉はみるみる変形して、そこからいまにも『何か』が飛びだしてくるようだ。
「……もう、止めてくれ!!」
89 :
749:05/03/01 01:46:07 ID:kGRmhDfa
ドレイクは大声でそう言った。
ぼくが手を降ろすと、『それ』は静かになった。
ぱちぱちと、もののもえる音が響くなか、ぼくたちはおし黙る。
でこぼこになったコンテナの扉を見つめて、ドレイクはつぶやく。
「……おまえは、これをどうするつもりなんだ?」
「さあね……じつはどうするか、まだ迷ってるんだ……」
ぼくが正直にそう答えると、ドレイクは肩をゆすって笑う。
「ふふふ、おかしな奴だな。おまえは……」
「ひとのことは言えないさ、ドレイク……外でぼくは見たよ。見張りにつけたうちのスタッフと倉
庫の守衛が『静かに』なっていた……あれじゃ、叫び声もあげられなかっただろう……ずいぶ
ん手際がいいじゃないか」
「…………なにが言いたい?」
「なに、それで『女子供は殺さない』のはどういうわけなのかと思ってね……きみは偽善者な
のか?ドレイク」
炎がドレイクの顔を照らすと、彼は笑っているように見えた。
「……おれは帰る。こう見えて信心深いんでな……たとえ消毒済のサオをもたされても、そ
んなものには触りたくない……」
「そうか、それはよかった……だがいいのか?」
「ひとりでがんばったんだ。すこしは分を呉れるだろう……ふん、嫌ならぶん殴ってやるさ!な
にしろ奴ら、『楽な仕事』だと言ってやがったんだからな……」
ドレイクは奥歯をぎりと噛みしめ、口の端をゆがめて笑った。
いま彼の念頭にあるのは、CIAの担当官だろうか?
……可哀そうに。
その男に、ぼくは同情を禁じえない。
「…………むかし、ある紛争に米軍が介入してな」
「え、なんだって?」
勢いよく火の粉を吐きながら、紅蓮の炎は天に沖してもえる。
ぼくに語るでもなく、ドレイクはおもむろに喋りだす――。
90 :
749:05/03/01 01:47:47 ID:kGRmhDfa
――おれはそこにいたんだよ……国民の支持をなくした政府側について米軍は介入。
合衆国は見返りにレアメタルの採掘権を得る……それでおれたちは、都市ゲリラを相手に
掃討戦だ。
クソ仕事だったよ……。
……村落を包囲して殲滅、あるいはスレッジ・ハンマー(ヘリボーン)で打撃……。
おれは殺した……毎日毎日……女も、子供も、老人も……老若男女容赦なしだ。
……ゲリラ相手の戦争は、敵性地域をマークしての皆殺ししかない……それは分かって
る……だが、それは人間の仕事じゃなかった。
…………おれは、その品性のかけらもないルーティンワークが心底嫌になってな――。
――そして、おれは捕虜になった……。
炎がゆらめいて影をつくると、彼は泣いているように見えた。
「……そいつはすごいな。そのやり方を是非教わりたいものだね」
――そいつ等は正確にはゲリラとは言えない……まあ、頭のいい素人だな。
ガキばかりでな……おれの身柄と引きかえに、国連統治地域への亡命を要求した。
栗毛の若い女がリーダーで……名前をヒルダといった。
美人だが、両足がなかった……義足をして、車椅子に乗っていてな。
……彼女は元陸上選手で、じぶんで言うには、それなりの選手だったらしい。
……努力をして、いい記録を出し、そして国際大会に招聘されたら、そのときに亡命す
る……お笑いぐさだが、それしかチャンスはなかったと言うんだ……。
だが、彼女は足を失った……市議会員の車を狙ったロケット弾が外れて、彼女の教室に
飛びこんで来てな……。
……そうして、彼女の希望はなくなってしまった……――。
話し自体は、よくある話だ。
適度に不幸で、適度に残酷な物語……――。
91 :
749:05/03/01 01:49:31 ID:kGRmhDfa
…………それで、そのお話しはどうなったんだい?――と、ぼくは訊く。
――……ヒルダの学校の廃校舎に、おれは監禁された。
その教室には盗んできた2.5ポンド(約1.1kg)のC4(プラスチック爆薬)が仕掛けてあ
ってな……信管をつけたC4を四隅に仕掛けて、病院でナースコールに使うような押しボタ
ンを、彼女がつねに押しているんだ……。
手を放したら爆発するという……まあ、シンプル・イズ・ベストという奴だな。
……数日が過ぎて、米軍はガキども全員の亡命を受けいれた。
そして具体的な方法について協議していたときに米軍が……仲間がおれを助けに来た。
……ドアの鍵とヒンジがいっぺんに吹っ飛んでな……窓からも兵隊がラペリング(懸垂下降
)で飛びこんできたよ……一斉射で教室にいたガキどもはほとんどが倒れた……あわてて武
器をすてた奴も顔を撃ち抜かれて……おれは『やめろ!』と叫んだ……――。
ドレイクが沈黙すると、辺りは静かになった。
ぱちぱちと、もののもえる音が響くなか、それでどうした?――と、ぼくが言う。
――……ヒルダも数発、弾をくらって倒れた……床は彼女の血溜まりで赤くなった。
縛られた椅子ごと、おれは外につれ出された。
おれは彼女の名前を叫んだ…………ヒルダは笑っていたよ……。
…………どうして彼女は笑ったのか……。
おれが校舎の外につれ出されると教室のC4が爆発した……校舎が半分吹っ飛んだよ。
……そうしておれは救出された。そして原隊に復帰して、めでたしめでたし……とはならな
かったんだ……。
あのとき、ヒルダは笑っていた……おれは命令をうけた……だが、おれは断わった――。
――『もう、クソ仕事はまっぴらだ!』……おれは上官に言ったのさ。
……中指を立ててやったよ――。
口元をゆがめて、ドレイクは笑った。
92 :
749:05/03/01 01:51:17 ID:kGRmhDfa
――……本来なら抗命罪で懲罰のところ、これまでの功績と前後の事情に鑑みてお咎
めなし……そして、おれは除隊になった。
その後は知っての通りさ……おれは傭兵だ……おれは戦争を戦う。
国のために戦う誇りのかわりに、おれは自由を得た……おれたち傭兵は契約によって戦
う……そして、どの契約を取るかはおれたちの自由なんだ……。
……おれたち傭兵は、クソったれの政治家が『撃て』という相手を撃たない……。
『始めろ』と言われて始めず、『やめろ』と言われてもやめない……金に転ばず……理想に
だまされず……ふふ、格好つけすぎかな?……すくなくとも、これからはあのガキどものため
に戦争をしたいと思ったんだ……――。
――…………それなら、なぜ引退したんだい?
――……ザイールでな、十二歳のガキに撃たれたんだ。
そのとき、おれは撃てなかった。引き金が引けなかったんだ……ヒルダの顔が脳裡にうかん
で身体が固まってしまってな……どうしても撃つことができないんだ……。
おれは、そのときに気がついた……今後、もし女子供が銃をもっておれのまえに立つ事が
あれば、そのときおれは死ぬだろう……。
――おれは、もう兵隊としてはかたわなんだ……。
ドレイクは、口元をゆがめて笑った。
ぱちぱちと勢いよく火の粉を吐きながら、紅蓮の炎は天に沖してもえる。
――……きみは、わざと捕まったのか?
ぼくは訊く――。
――彼女たちを……子供たちを助けるために、きみは捕虜になったのか?
炎がドレイクの顔を照らしたので、彼は笑っているように見えた。
そして炎がゆらめいて影をつくると、彼は泣いているように見えた。
93 :
749:05/03/01 01:52:57 ID:kGRmhDfa
彼はなにも言わない。
その彼の顔が、ぼくには恐ろしかった――。
彼はおし黙る……彼はなにも言わない――。
「……これからきみはどうするんだ?」
「帰るさ……違うのか?そうだな……もう一度、この稼業をやってもいいと思っているよ……
久しぶりにあのときの事を思い出したんでな……覚悟ができた……おれは娘と仕事のため
に生きる……子供に撃たれて死ぬのも悪くない。ふふ、そのときは口笛で『スパニッシュ・ハー
レム』でも吹くさ……」
「……マギーといったか?娘さんは可愛いかい」
「ああ、おれの天使だ!……月に一度しか会えないがな」
いっそ晴れやかに、ドレイクは笑った。
「……きみの娘と、子供たちのために……」
彼に向かって、ぼくは十字をきる。
――『紙』が、きみと共にあらんことを……。
するとドレイクは、ぼくをみて照れくさそうに言った。
「……ふん、おまえも元気でな……縁があったらまた会おう……じゃあな!」
彼は片手をあげて、外に向かって歩きだす。
だが彼はふと立ちどまり、ぼくの足元のミシェールを見つめる言った。
「……その娘はおまえのなんなんだ?……そいつが現われてから、おまえの動きはあきらかに
おかしくなった……」
「ああ、この娘か……じつはぼくの大事な知りあいに、よく似ているんだよ……」
――……ふふふ……ふふふふ……はっはっはっはっ……。
ぼくが正直にそう答えると、ドレイクは肩をゆすって笑う。
おかしいので、ぼくも笑った――……。
94 :
749:05/03/01 01:54:38 ID:kGRmhDfa
風が巻いたのかごうごうと音がして、火の粉はうずを巻いて流れる。
もえさかる炎のなかで目を覚ますと、ミシェールには星空がみえた。
――……痛っ!
状況がのみ込めずにからだを起こすと、するどい痛みが額に走る。
そのあまりの痛さに涙をうかべて、彼女はここがどこなのかを思いだす。
彼女には黒い男物の上着が掛けられていて。
その上着に気がついた彼女は辺りを見まわす。
するとミシェールの傍らではドニーが泣いている。
『呪いの書』をひらつかせて読みながら、ドニーは泣く。
なぜドニーが泣いているのかミシェールには分からない。
傷が痛むので泣いているのか。
それとも、『それ』が悲しいから泣いているのか……。
分からないので彼女はドニーに訊いた。
「……なぜ泣いていらっしゃるんですか?」
「ん、ああ……起きたのか、ミシェール……」
メガネのリムに指をくぐらせ、ぼくはあわてて涙をぬぐう。
「ええ……大丈夫ですの?身体中ひどいケガですわ……」
「……モルヒネのおかげで痛みはだいぶマシになったよ。大丈夫とはいえないが……おかげさ
まで命に別状はないようだ。なんとかね……それより、きみは大丈夫なのかい。耳は……聞
こえるのか?」
「……耳鳴りはひどいですけど、なんとか……」
スタングレネードをまともに喰らって。
……そんなハズはないんだが。
ぼくは首をかしげる。
……まあいいか。
「ありがとう……おかげで助かったよ」
ミシェールを見つめて、ぼくは目を細めて笑う。
95 :
749:05/03/01 01:56:24 ID:kGRmhDfa
そんなぼくを見て彼女はふう、とため息をついた。
「……あなたがたを闘わせて、わたしは漁夫の利を占めようと思っていましたのに……なん
でこんな事になったのやら……」
――……それもこれも。
彼女は怖い顔をして、ぼくを罵る。
「あなたがだらしないからですわ!まったく……伝説の男、『ザ・ペーパー』も大したことありま
せんわね!」
「…………酷いな」
彼女の言葉に、ぼくはいたく傷ついて苦笑する。
「……ところであの男は?」
「帰ったよ……」
「帰った?」
「ああ、事情を話したら納得してくれてね。実は古い知り合いなんだよ……」
ミシェールはぼくを見て、疑わしそうに首をかしげる。
「……あの男は、なんですの?」
「ドレイク・アンダーソン、世界でも指折りの傭兵だ……どうだいミシェール、この世界にはあ
んなのがごろごろしているんだよ……怖くなったかい?」
彼女は挑戦的な目つきをして、ふるふると首を振る。
「いいえ、すこしも!……かえって先の楽しみがふえましたわ」
「それは結構……ならば、きみはもう一人前だな……ところで、どうしてここが分かったんだ
い?……狸寝入りでもしていたのかい……ふふ、寝言はよかったな……寝言は、いい手か
もしれないね」
ぼくは目を細めて、笑う。
「またそんな……本当に眠っていましたわ!わたしはそんな計算高い女じゃありませんよう」
「冗談はともかく、なぜここが分かったんだい?ぼくもプロだ……尾行はなかった……たとえ
情報のリークがあったとしても、広い埠頭でこの倉庫を特定するには時間がかかるはずだ…
…なぜだい?ミシェール」
ミシェールはぼくを見て妖しく笑うと、手をあげて星空を指した。
96 :
749:05/03/01 01:58:09 ID:kGRmhDfa
天井は炎によって照らしだされ、そこに開いた陥穽には二、三の星がかがやいた。
目を凝らして、ぼくは星をみる。
……鳥?……いや、鳩か。
――わたしは便宜上、ジョン・ウーと呼んでいます。
ジョン・ウー……ジョン・ウーね、なるほど……。
――なるほど……面白いな。
星空を眺めて、ぼくはつぶやく。
「最後にひとつだけ……狸寝入りじゃないなら、なぜ分かったんだい?」
「……時間ですか?簡単ですわ……あなたがシャワーを浴びたときには、枕元にある時計
はアラームが午前零時に鳴るようにセットしてありました……おフロからあがるとあなたはアラ
ームのスイッチを操作しましたね……あれは、あきらかに無駄な行為でしたので」
「…………参った。きみにはかなわないよ」
――脱帽だ。
ぼくは立ちあがり、おどけてミシェールにお辞儀をする。
「……ならばわたしは、あなたの手にしている『それ』がほしうございますわ」
彼女はそう言って妖しく笑う。
勢いよくぱちぱちと音をたてて、紅蓮の炎は天に沖してもえる。
ぼくはもえさかる炎のなかで、なにも言わずに首を振る。
言葉が途切れたので、ぼくたちは見つめあう。
長い沈黙は会話を終わらせる暗黙の了解だった。
「…………なぜ泣いていらっしゃったんですか?……」
空気が変わったころを見計らって、ミシェールが口を開く。
「いや、恥ずかしいな。ここにね……悲しいことが書いてあるので、つい泣いてしまったんだ
よ……」
「そこには……いったいなにが書いてあるんですか?」
「…………『これ』をもやしてほしいと、頼まれてしまったよ……」
「……誰に?」
「『これ』を書いたひとにさ……『これを読んだかたに、どうかお願いしたい』と……ここにそう書
いてあるんだよ……」
97 :
749:05/03/01 01:59:50 ID:kGRmhDfa
「…………ならば、最初から書かなければいい」
「そうはいかないんだ、ミシェール……知ったことは残さなければならないんだ。たとえそれがな
んであれ、ね」
「馬鹿々々しい!ならば、じぶんでもやせばいいでしょうに!」
――そうだな、ほんとうにそうだ……。
悲しいので、ぼくは笑う。
――だけどね、ミシェール……。
困ったな……。
うまく言えないので、ぼくは笑う。
――誰かがあやまちをおかしたら、それを、なんとかしてあげるのは他の誰かなんだよ。
……どうやら、この世界はそのようにできているらしい――。
ぼくはドレイクから譲りうけたジッポーを取りだす。
――……ドニーさん。本気ですか?
ミシェールは青ざめた顔をしてぼくをにらむ。
にらむことで、彼女はこの場に均衡をつくろうとする。
しかし、均衡はつねにやぶれる。
たとえそれを留めようと努めても、いずれ必ず均衡はやぶれる。
均衡がやぶれるときには多くのものが失われる。
あたらしい秩序が須臾の間に生まれるとしても、失われるものはやはり悲しい。
だが、ぼくはジッポーを擦り『呪いの書』に火をつけた――。
……ぼくには、きっと罰があたるに違いない。
すそをひらつかせて『呪いの書』はめらめらともえる。
『きみ』は悲しいかい?……それとも嬉しいのかな?
手を放すと『それ』はもえながら舞いあがり、やがて静止する。
――『汝、塵にかえれ』。
ぼくが低く呪すると、『それ』は橙色のあかるいひかりとなってきえた。
98 :
749:05/03/01 02:01:32 ID:kGRmhDfa
――……『汝、塵より生れたなればなり』。
ミシェールは青ざめた顔をして、やがて感にたえぬというふうに。
「……まさか本当になさるとは思いませんでしたわ」
勢いよく火の粉を吐きながら、紅蓮の炎は天に沖してもえる。
言葉が途切れたので、ぼくたちは見つめあう。
長い沈黙は会話を終わらせる暗黙の了解だった。
「あなたは……書かないのですか?」
ぼくに向かって、ためらいがちに彼女は訊いた。
「…………なんだって?」
質問の意味が分からずに、ぼくは怪訝な顔をする。
「うまく言えませんわ……あなたは、ようするに『それ』知ってしまいました。『知ったことは残さ
なければならない』……ならばあなたは……」
――あなたは書かないのですか?
「……なるほどね。いや、ぼくには才能がないのでね……それに、ぼくは書いてはいけないん
だよ。ミシェール……」
「…………どうしてですの?」
「いまのような本を、ぼくは数知れず読んだ……知ってはいけない事を、ぼくは知ってしまった
んだよ……だから、ぼくは書いてはいけないんだ」
――ぼくは受けものなんだ。
……容器なんだよ、ミシェール――。
ただ受容するのみで、能動しないもの。
まるで――まるでぼくは女のように受ける。
ぼくたちはずっとそうだった……。
99 :
749:05/03/01 02:03:13 ID:kGRmhDfa
「あなたはそれで……幸せなのですか?」
「……………………」
ぼくは答えない。
ぼくにも、それは分からないのだから。
すると彼女はふん、と鼻をならしてぼくを罵る。
「……お答えにはならないのですね……つまらないひと!……優柔不断で、ひとりで分かっ
たような顔をして……わたしには、あなたがさっぱり分かりませんわ!」
恐ろしい顔をして、ミシェールは言った――。
――……いったい、あなたはなんでこの仕事をしているんですか!?
ミシェールの剣幕にぼくは少しおどろいた。
ぼくにはなぜ彼女が怒るのか分からない。
分からないが、おそらく仕事の邪魔をしたからではないのだろう。
……そのぐらいはぼくにも分かる。
「きみは……分からなくていいんだ」
かろうじてぼくはそう答える。
教えたくないし、分かって欲しくもない。
それは――それは、ぼくだけでたくさんだから。
「……つれないですわね。一夜をともにした仲ですのに……」
「よしてくれ……そんないいものじゃなかったよ」
ぼくが満更でもない複雑な気分でそう言うと、彼女は立ちあがりぼくに向かって歩みよる。
瓦礫のなかをふらつきながら、口元に笑みをうかべて、だがすこしこわばった顔をして……
――。
「わたしの初仕事でしたのに……おかげでしくじってしまいましたわ」
彼女はぼくのまえを通りすぎ、ふり向くと腰をかがめて妖しく笑う。
100 :
749:05/03/01 02:05:03 ID:kGRmhDfa
「そうか……そいつは知らなかったよ。悪かったね……おわびと言ってはなんだが、きみの願
いをなにかひとつ、ぼくが適えてあげよう……どうだい?それで貸し借りなしだ」
――もちろん時は貸せない、この場限りのことだ……。
それで良ければなんでもいいよ。
……どうだい?ミシェール――。
彼女はあきれた顔をして口をぽかんと開ける。
「……よろしいんですか?そんなことをおっしゃって」
「なに、黙っていれば分からないさ。それにぼくの上司は冗談が好きだからね……」
ぼくを見てミシェールはくすりと笑う。
「へんなひとですね、あなたは……ひとのことは言えませんわ……でも、面白いですわね、そ
れ……」
ミシェールは手を組み合わせ、ぼくのまえにひざまずいて顔をあげた。
――『本当に、ほしいものはなんでもと、王様?』
彼女は芝居がかった口調でそう言った。
だから、ぼくも苦笑して答えて言う。
――結構でございます、王女さま。何なりと……。
ぼくは目を細めて笑う。
――もちろんこの場でできる事だけだよ、ミシェール。分かっていると……。
――ならば、『ヨナカーンの首を』。
辺りの火がゆらめいて、彼女の目は黒曜石のようにかがやいた。
おどろいて、ぼくは目を瞠る。
――『私はヨナカーンの首がほしうございます』。
ぼくを見て、ミシェールは妖しく笑う。
「……ドニーさん、あなたはお誓いになりましてよ」
101 :
749:05/03/01 02:06:45 ID:kGRmhDfa
「………………………………」
「冗談ですわ……ですが、『バプテスマのヨハネ』は首をきられましたわ……あなたもお気を
つけあそばせ……」
口調こそ芝居がかっていたが、彼女の目は真剣だった。
だから、ぼくは彼女を見て、目を細めて笑う。
「分かった……気をつけるよ……」
「…………安心しましたわ……」
――痛っ!
ミシェールは顔をしかめて頭のコブに恐る恐る触れた。
「……大丈夫なんですかねえ、これ……なんだか、どんどん大きくなってきましたけど」
さあ……どうだろうね。
悪いけど、ぼくには分からないよ。
そういえば、ぼくは彼女にあげるものがあった。
……いま思い出した。
「…………これをきみにあげるよ。甲斐性なしからの……プレゼントだ」
ぼくはキャリーバッグから一冊のハードカバーをぬき取ると、彼女に向けて放りなげた。
彼女はそれを受けとると空色の表紙を見つめてつぶやく。
「…………『君が僕を知ってる』 菫川ねねね……これは、あのときの」
「そうだ、何度読んでも泣ける。きみも読みたまえ……きっと、気に入るに違いない」
――……これが『呪いの書』の代わりというわけですか?
本を両手で抱えて、ミシェールは悪戯っぽく笑う。
「そうはいきませんわ……これだけではまだ足りませんわ。ドニーさん……さきほどの約束、あ
れはまだ生きているのでしょう?」
「…………まあね……」
『君が僕を知ってる』を胸に、ミシェールはぼくを見て妖しく笑う。
その気持ち悪い笑みを見て、ぼくは悪寒をおぼえた。
もし蛇が笑うなら、きっとこのように笑うに違いない。
メガネのブリッジを、ぼくはくい、と押しあげる。
102 :
749:05/03/01 02:08:44 ID:kGRmhDfa
……なにを考えているのか知らないが。
おそらく碌なことではあるまい。
ぱちぱちと物のはぜる音が辺りにひびき、ぼくは黒煙を吸って咳きこんだ。
「……そろそろ潮時のようだ。やるなら早くしてくれ……」
「そうですわね……大きいほうはともかく、この小さいほうのお返しはしたいですわね……よろ
しいでしょう?ドニーさん……なにしろ、わたし命の恩人ですものね」
ミシェールは右手を握り、拳をつくってにやりと笑う。
ぼくはむしろ、その提案にほっとして。
「痛いのは苦手だが……きみがそう言うならしかたないね……」
「それならここに来てください……目をつむって……それでは手が届きませんわ」
ぼくは目をつむり、彼女のまえに跪く。
「王女さま、これで……」
不意に、やわらかくてあたたかいものが、ぼくのくちびるにふれた。
せつなげに、いきをもらして。
ぼくのくちをやわらかくてあついものがくぐり。
かのじょはぼくをだきしめ、ぼくたちはキスをする――……。
おどろいて目をあけると、彼女はもういない。
――……ドニーさん!……あなた、頭が悪いと言われたことはありませんか!?
それではごきげんよう!……さようなら!!
外には怖いひとたちがたくさんいますわ!……お気をつけあそばせ!!……――。
きょろきょろと辺りを見まわしてぼくは苦笑する。
ぼくは苦笑して、虚空に向かって叫ぶ。
「……良い本だ!!ミシェール!良い本を、読むんだ!!」
ぼくの声はむなしく響く。
もう、彼女は行ってしまった。
103 :
749:05/03/01 02:10:26 ID:kGRmhDfa
「あの餓鬼……舌まで入れていきやがった」
おかしいので、ぼくは声をあげて笑う。
外では彼女の言葉どおり、スピーカーが大音量でなにやら時宜に合わないことを叫んでい
る。
……ああ、うるさいな、聞こえてるよ……すこしボリュームを下げたらどうだい?
どん、どん、という音がして、ガス弾が屋根からのぞく星空に幾条も尾をひいて流れた。
神奈川県警が、どうやらようやく重い腰をあげたらしい。
……やれやれ。
ぼくはため息をつくと、動くほうのうでを振りあげて横にはらう。
すると辺りには、無数の紙がらせんをえがいて舞いあがり、やがて静止する。
――さて、そろそろ幕を引こうか……。
目を細めて、ぼくは不敵に笑う。
――ぼくたちは本を読む。
読むことで、物語は受け継がれ。
……君がぼくを知っている。
少年は本を読む……。
少年と少女は本を読み――。
そして――。
そして青年は、荒野をゆく。
ぼくは、外に向かって、叫ぶ――……。
104 :
749:05/03/01 02:12:08 ID:kGRmhDfa
夜になり、霧が晴れた。
辺りには川のせせらぎの音がきこえ。
見上げれば満天の星。
これほどの星空には、なかなかお目にかかれない。
岩山の頂には焚き火というにはすこし大きすぎる火がもえていて。
その祭壇を背に、ひとりの少女が星を眺める。
手をうしろに組んで、空を仰ぐ少女の年のころは七、八歳といったところか。
ぶかぶかの服を着た銀髪の少女は、まるで人形のように愛らしい。
「……『今私の一番好きな仕事といえば、夜星空を眺めることです。なぜといって、この地
上から、また人生から眼をそらすのに、これほど良い方法があるでしょうか』……お帰り、ミシ
ェールや……案外早かったね。外はどうだったえ?」
少女はミシェールをかえりみて、妖艶に――少女にそんな顔ができるなら――笑う。
祭壇のそばにあらわれたミシェールは、少女に頓首して叩頭する。
「……お久しゅうございます。『太媼』さま……ただいまもどりましてございます」
少女は苦笑して、ひらひらと手を振った。
「いやだねえ……よしとくれよ、そんな呼び方……ああ、なにかもっと良い呼び名はないもの
かねえ……」
「ならば『金母元君』でよろしゅうございましょう……わたしどもも、その方がよほど呼びやすう
ございますわ」
ちら、と顔をあげて、ミシェールはそう言った。
「……事々しい」
祭壇の火に照らされて、ふたりの影は長くのびて揺らめく。
その火に手をかざして暖をとりながら、ほっほっと少女は笑う。
「それで、首尾はどうだえ」
「…………申しわけございません。不首尾でございました」
ミシェールは、いま一度頓首して叩頭する。
「ふむ、此度は『大英図書館』にしてやられたか……まあ、立ちなさいミシェールや。こちらに
おいで……なんだいその顔は……でこぼこじゃないか」
105 :
749:05/03/01 02:13:56 ID:kGRmhDfa
さも可笑しそうに少女は笑う。
「まあ!『太媼』さまったら、わたくし死ぬ思いでしたのに……」
ミシェールが膨れっ面をすると、少女は無邪気に笑いながら。
「おや、すまないね。おうおう……それは『ザ・ペーパー』に――ドニー・ナカジマにやられたの
かい?女子に手をあげる男とは思えないがね……」
「こちらは確かにそうですけど、その大きい方は別口でございますわ…………そうだ!思い
出しましたわ……ホテルの部屋!あれは『太媼』さまでございましょう?」
「…………なんのことだえ」
「やっぱり……もう!あのベッドを見たときに、わたくし、顔から火がでるかと思いましたわ」
「……それで、首尾はどうだえ」
少女が興味津々といったふうに訊くと、ミシェールは真っ赤な顔をして。
「知りませんわ!!このコブはそのときについたんですのよ!」
「おやおや……それでは完敗という訳だね」
「…………それがそうでもありませんの……」
頭のコブをさすりながら、ミシェールはそう言った。
「おや、なにか面目をほどこしたのかい?詳しく聞かせておくれな……」
少女がそう言うと、もえる火のなかでたき木がぱち、と音をたてた。
「ほうほう……もやしてしまったのかい……ドニーが……『呪いの書』をねえ……」
少女はほっほっと笑う。しかし、ミシェールにはなにがそれほど愉快なのか分からない。
「……………………申しわけございません」
「なに、それでいいのさ……わたしもね、おまえが『それ』を持ち帰ったら、それ……その火にく
べようと思っていたんだよ」
――『あの男』は十字架のうえで身罷るときに、『呪いの書』のことは心残りだったかもしれ
ないと思ったからね……。
少女はそう言うと無邪気に笑う。
「…………それは誰のことでございますの?」
106 :
749:05/03/01 02:15:38 ID:kGRmhDfa
「誰って……『聖書』に出てくる『あの男』のことさね。知ってるだろう?……『あの男』も『そ
れ』を残したものかどうか、なやんだに違いないよ。けれどもそれがなんであれ、知ったことは
後世に残さなければならないからね。たとえそれがなんであれ、ね……そこが『呪い』というの
だろうよ……だとするならば、ドニー奴は『あの男』の意を汲んで仕事をしたことになるね…
…」
「………………………………」
「それにしても面白い男だて……おまえの婿にどうかと思ったんだがね……」
「……あんなひと嫌いですわ……なんだかだらしない恰好をして、似合わないメガネを掛け
て……いいえ、似合わないというより、まるでメガネと話しているみたいなんです。それに話す
ことといえば本のことばかりで……まるで……」
――……まるで子供みたい。
口元は自然にほころび、ミシェールは目を細めて笑う。
すると少女はおや、という顔をして。
「……そんな顔で笑えるんだねえ……いや、いいのさ……いつものひねこびたような笑いか
たよりずっといいよ……ふむ、近ごろはさすがに寒くなったね……ミシェールや、あのときのこと
を憶えているかい?……めずらしく香港に雪が降ったじゃないか」
「もちろん忘れませんわ……忘れるはずがありませんわ」
「街頭で虚ろな目をして毛布にくるまっていた女の子が……やせて目ばかり大きくてね……
まちが真っ白になっちまったその日の午後に、青ざめた真剣な顔をして……わたしはははあ
、と思ったものさ」
「…………わたくし、身体を売ろうと思ったんですわ……」
「それを悪いことだとは言わないよ。なにより、まず喰わなければならないからね……だけどお
まえは媚びも売らずに、男衆にいきなりしがみついて……ふふ、みんなさぞびっくりしただろう
よ」
ほっほっと少女がさも可笑しそうに笑うと、ミシェールは怒った顔をして。
「やめてくださいな、もう……結局、お客はとれませんでしたわ」
「そうさ、あの裏通りを仕きっていたちんぴらがやって来て……間が悪かったね。髪をつかんで
おまえを持ち上げると道路に叩きつけて、『誰にことわって商売していやがる』って……はらは
らしながら見ていたが、つい我慢ができなくなってね」
107 :
749:05/03/01 02:17:19 ID:kGRmhDfa
「あのときはびっくりしましたわ……女の子があらわれたと思ったら、もう奴らは倒れていて…
…ふたりとも顔のかたちが変わっていましたわ」
「あいつらはたちがわるくてねえ……ことにあの兄貴分のほうは懐にいつも刃物をしのばせて
いてね。口実を作ってさんざ楽しんだ挙句、それを使って女たちにそれはそれは酷いことをす
るんだよ……『塩賊』や『郷幇』といった連中なら、まんざら知らぬ仲でもない。だがいままち
で大きな顔をしている奴らときた日にゃ、もう駄目さ……口をきく気にもならないよ」
――人間の屑さ。
星を眺めながら、吐きすてるように少女は言った。
「……ミシェールや、何度も言うが……わたしはそれを恩に着せるつもりはないよ。仕事がい
やになったらいつでもここを出ておいき……もっとも……」
――誰かのように、仕事を途中で放りだされたら困るがね。
言葉が途切れたので、ふたりは星をみる。
ミシェールはそれほど星に興味はなかったが、少女とこうしている時間は好きだった。
「…………『太媼』さま」
「なにかえ?」
「…………もとの姿におもどりになる気はございませんか?」
星を眺めながら、ミシェールは少女に訊いた。
「……またその話しかえ」
少女は眉をひそめて言う。
「王炎兄さまや連蓮姉さまたちが心配なさっています」
「言ったであろ、わたしは、この姿が気に入っているのさ……それに、近いうちに『あのジジイ』
とまみえる事があろうよ……そのときには、これで――この姿でのうては遅れをとるからね…
…むろん長くはいけないが」
「……わたしたちがおりますわ!」
「ありがとうよ……そうだね。長くなるようなら、そのときはおまえたちにもお願いするとしようか」
少女が悲しそうに笑うと、もえる火のなかでたき木がぱちぱち、と音をたてた。
「…………星がきれいだねえ……」
108 :
749:05/03/01 02:18:59 ID:kGRmhDfa
星が本当にきれいだったので、ミシェールはこくり、とうなずいた。
「今じゃわたしの話し相手は、お星さまだけになってしまったよ……想像できるかい?ミシェ
ールや……子供や孫たちがじぶんを追いこしていってしまうんだよ……時は過ぎゆくと皆が
いうが、まるでわたしだけがそこにとどまっているようだよ……したが、わたしも死を得る……」
――ようやく死ぬことができそうだよ。
いっそ晴れやかに少女は笑う。
「……『太媼』さまは、世界に必要なひとです」
眉をひそめ、口元をゆがめてミシェールは言う。
すると少女はかぶりを振り、ミシェールをちら、と見る。
――……『天何をか言わんや。四時行われ、百物生ず。天何をか言わんや』。
星空のもとで、少女は詠うようにつぶやいた。
「ふふ、わたしがいなくとも世界はまわるよ……『世界に必要なひと』なぞ、いっそいないがよ
い」
星を眺めながら、にこやかに少女は言った。
「ひとはもう『わたしたち』がいなくても立派にやっていけるよ……子が親を離れたのだから、
親も子を離れなければならない。それが道理さね……ところが、『あのジジイ』にはそれが分
からないのさ……『エホバ神、土の塵(アダマ)を以て人(アダム)を造り、生氣を其鼻にふき
入れ給へり。人即ち生けるものとなりぬ』……」
「……………………」
「『死ぬるべき時節には死ぬがよく候』、だよ。分かるかい?ミシェールや……長いこと、わた
しはそれを分からせようと努力したが……無理なのかもしれないね。わたしたち女は抱くが、
男は背負うものだからね……」
――『あのジジイ』はね、『神』さまになろうとしたんだよ。
じぶんがそんなものではないと、知っているのにね……――。
109 :
749:05/03/01 02:20:42 ID:kGRmhDfa
星を眺めながら、少女は言う。
「星は変わらないよ、ミシェールや。わたしたちはうつろうが、星は変わらない……『神』さまは
ね、あそこにおわすのさ……」
星をみる少女の脳裏にどんな景色があるのか、ミシェールには分からない。
……理解をこえたものは分からないのだ。
「わたしは、もう十分に生きたよ……わたしは十分に、生きた……そりゃ、後悔するようなこ
ともあるにはあるが……まずは満足のいく人生さね。思い残すことはない……」
――『あのジジイ』とのことを除けばね。
少女はそう言って無邪気に笑う。
あどけないその笑みは、まるで人形のように愛らしい。
ふと、なにを思ったのか少女は空を指さして声をあげた。
「ミシェールや、見やれ!」
少女は小熊座のあたりを示して言う。
「あれが中華の星よ!わたしは、もうすぐあそこにもどって生まれかわるのさ……」
「……あれは北極星ですわ」
苦笑してミシェールが困ったように言うと、少女は掲げた手のやり場に困って。
「つまらぬのう、こういうときは調子を合わせるものぞ。ふふ……やれやれ」
「すみません……」
ふたりが沈黙したので、辺りは川のせせらぎの音で満ちる。
空気が変わったころを見計らって、ミシェールが口を開いた。
「…………あのひとと――『ザ・ペーパー』と話していて思いだしたことがあるんです」
ミシェールは空を仰いで、星を見つめながら言う。
「わたしはこの世界が嫌いでした……いまでもあまり好きではありません。だって、地下水道
の汚水ばかり見て育ったんですもの、仕方がありませんわ……だけど……」
――だけど、雪が降ったんです。
空を仰いで、ミシェールは言う。
「……考えられますか?香港に雪ですよ……目が覚めたら景色が変わっていて……きれい
だった……わたしはその雪で凍えそうなのに、不思議と腹が立たなかったんです」
110 :
749:05/03/01 02:22:25 ID:kGRmhDfa
「…………ふむ……」
「ああ……世界はこんなにもきれいなんだって……生きたいな、と思ったんです。もう少しだ
け生きたいな、って……」
「ふむ……ひもじくてまちに立ったわけではないんだね……面白いね。いや、そんなことを言っ
ては失礼だね……ふふ、それは気が付かなかったよ」
――……世界がきれいだから?
少女は訊く。
――ええ、世界がきれいだから……。
それを思いだしたんです――。
ミシェールは答える。
言葉が途切れたので、ふたりは沈黙をする。
長い沈黙は会話を終わらせる暗黙の了解だった。
「…………分からないことがあるんです……」
長い沈黙のあとで、ミシェールが口を開く。
「ドニー・ナカジマは――『ザ・ペーパー』はなぜそんなことをするんでしょうか?……『大切な
ひと』――あのひとは泣いていましたわ……『大切なひと』のことを案じながら、仕事のために
命の危険をおかして……そしてようやく手にした獲物を自ら擲って……それがどうしても分
からないんです」
「やれやれ、ミシェールや……それが分からなければ、世の中は決して分かるまいよ」
少女はうつくしい眉をひそめて言う。
「世の中はみんなそうしたものさ、そうしてこの世はできているんだよ……ならばおまえに訊く
が……」
不意にミシェールをみる少女の目がすさまじい光をやどした。
「危険をかえりみずに家族のため、仕事におもむく男は愚かなのかえ?」
目のくらむような怖ろしい顔をして、少女はミシェールに問う。
「そして朝なにも言わずに、ただ挨拶をして、男を送りだす女は愚かなのかえ?……おまえ
の話を聞いていると、世の中は馬鹿ばかりということになるよ……そんなはずがあろうか!」
111 :
749:05/03/01 02:24:08 ID:kGRmhDfa
少女はいまや威をあらわし。
その声は天地の声となった。
――みんな『誰か』のために生きているのさ。
……この世はそうしてできているんだよ――。
少女は目をつむりにこ、と笑う。
憤怒を、少女がそのように表したのははじめてだった。
その形相があまりに恐ろしかったので、ミシェールの身体は冷たくなった。
ミシェールは震えながら、それでも声を励まして少女に訊いた。
「……仕事というならば『それ』を――『呪いの書』を持ち帰れば良いではないですか。なぜ
燃やさなければならないのか……それが分からないと申しあげているのです」
『大英図書館特殊工作部』――。
そこがどんなところなのか、もうミシェールは知っている。
そこは、少なくとも冗談の通じるところでは、ない。
――……それは『みんな』のためだろうさ。
少女はそう言って無邪気に笑う。
あどけないその笑みは、まるで人形のように愛らしい。
――……おまえは本当に分からないのかい?
――本当のところは。
ドニー奴に訊かなければ分からないよ。
……だが想像することはできる――。
少女はミシェールを見つめて無邪気に笑う。
――本当は、おまえもそう思ったんじゃないのかい?
「……………………わたしには分かりませんわ……」
112 :
749:05/03/01 02:25:48 ID:kGRmhDfa
ミシェールは消え入りそうな声でそう言うと、頭を垂れてうつむいた。
「そうさ、わたしにも本当のところは、分からない……『呪いの書』にしたって、もしかしたらた
だの『日記』なのかもしれないよ……悪魔がどうしたなんて話しではなくてね」
「……………………」
「本当は『あの男』も、『救世主(メシア)』なんかになりたくはなかったかもしれないじゃないか
……わたしが長生きしたくなかったようにね……だから、本当のことを『日記』にしたためただ
けなのかもしれないよ……わたしがそうしたようにね……」
――本当のところは分からないよ。
わたしにもね……。
だが想像することはできる――。
もえる火のなかでたき木がぱちぱち、と音をたてた。
――……今年も蝉が鳴いたよ、ミシェールや。
今年もひと夏、蝉は鳴いた……――。
ミシェールの足元には、地に落ちてうごかぬ蝉がいる。
もう蝉は鳴かない。
あの、さかんなときにはうっとうしい蝉の声が。
いまはひどくなつかしく思われた。
――なぜ蝉は地上に出てくるんだろうね?
わたしは蝉に訊いたことがあるんだよ。
……そしたら、蝉はなにも言わなかったけれど。
わたしには蝉の気持ちが分かったように思えたんだよ。
『だって、世界はこんなに輝いているのに、それを見ない法はないじゃないか!』
……そう胸を張って言うような気がしてね。
113 :
749:05/03/01 02:27:30 ID:kGRmhDfa
だから蝉は。
だから蝉は鳴くんだよ……。
『ぼくはここにいる!ここにいるんだよ!ぼくはここにいるんだよ!』――ってね。
……そうでないと、本当に生きたとは言えないのさ――。
ミシェールの耳の奥には、あのなつかしい蝉の声がある。
足元のうごかぬ蝉が、少女の――『太媼』の寿ぎによって。
誇らしげに、胸を反らすかと思われた。
――ドニーという男……。
まるで『星の王子さま』みたようじゃないか。
……ミシェールや、そうは思わないかい?――。
その言葉を聞いて、不意に悲しくなったのでミシェールの目は潤む。
……悲しい!
いや、嬉しいのか……?
わけの分からぬ感情のかたまりを胸に、ミシェールは泣く。
涙がつう、と頬をつたって。
ぽたりぽたりと足元におちた。
もう蝉は見えない。
ミシェールは泣く。
ドニーさん、ドニーさん……。
わけの分からぬ感情のかたまりを抱いて。
わあわあと。
ミシェールは泣く。
まるで、子供のように。
これを滂沱というのだろう……。
114 :
749:05/03/01 02:29:14 ID:kGRmhDfa
「ミシェールや……悲しいのかい?…………なんだい、嬉しいのかい。ふふ、おかしな娘だ
よ……おや、くさめをしたね?……そろそろ部屋にもどるとしようか……」
――遠い遠い。
むかしむかし。
その少女は『西王母』と呼ばれていた。
それは遠い遠い。
むかしむかしの物語――……。
隅田川の水面はまちの灯りをうつして揺らめき。
台東区蔵前にある、とあるマンションの一室では、少女がひとり夜ふかしをする。
両親は早く寝ろと言うが、少女は聞かない。
ただひたすらに少女は書く。
彼女に白いノートを与えてみたまえ。
推敲によってそのノートはみるみる黒く変じて、我われには読めなくなるだろう。
先日、少女はじぶんの稼ぎで一台のノートパソコンを買った。
これから作家としてやっていくためには、それは必要なものだ。
だが少女はまだそれを使いこなすことができない。
少女はそのノートパソコンを一瞥してむう、と呻吟をもらす。
いまは無様な一本打ちで、手書きのほうがまだ早い、しかし少女は自信家だ。
――見てなさいよ!
ノートパソコンを人差し指でずびし、と指さして少女は宣言する。
――必ずアンタを手足のように使いこなしてみせるからね!
もっとらくに書けばいいと、担当編集者も両親も言うが少女は聞かない。
うまく言えないが、じぶんの書くものは良いものでなければならないのだ。
この脳裏にうかんで溢れてくる言葉をうまく捕まえなければ。
115 :
749:05/03/01 02:30:58 ID:kGRmhDfa
うまく言えないが、じぶんは知ってしまった。
気がつけば『世界』は色づき、『ものごと』は意味をなす。
知ってしまった以上、じぶんは書かなければならない。
書くならば良いものを、そして泣くならば滂沱の涙を!
悲しくて泣くなんてまっぴら!泣くことは心地よいのだ。
その涙を通して、わたしたちは世界が新鮮に、かがやいて見えるのだから。
…………うまく言えないが。
それを口で伝えられないことがもどかしい。
だから、ただひたすらに少女は書く。
ノートが黒くなるまで推敲をくりかえし、少女の手はとまらない。
明け方近くなって、ようやく少女の手がとまる。
……一息入れようかな……。
少女は体を背もたれに預けて、ひとつ伸びをすると立ちあがり、からりと窓をあける。
すると思ったより風が寒かったので、少女は身ぶるいをする。
――……寒い。
やがて冬が来るのだろう。
しかし、少女は自信家だ。
「……だけど、冬のつぎには春が来るのよ……」
東の空には金星がかがやき、やがて朝が来る。
≪おわり≫
>>749 一時間半、お疲れさまです。
本はそれを求める人の元に必ず届く、というか
最初の投下からリアルタイムで読んでおりました。
感想はまた後日。
117 :
749:05/03/01 03:42:48 ID:kGRmhDfa
が ん ば り ま し た 。
疲れた……。
いや、なんというか……ありがとうございます。
(補記 貨物船の名前であるロゼッタは、小説版TRAIN+TRAINA巻で主人公たちを
追いかけた巨岩の名前。またドレイクの回想に登場するヒルダという女性は、漫画版
TRAIN+TRAINC巻から拝借いたしました。
ドレイクに関しては、勝手に話をつくるんじゃねえ!と皆さまの怒声が聞こえてきそう
ですが、いずれ似たような経験をしていると考えております。
また読み返してみて銃器類の解説が正直ウザいと感じましたが、興味のない方のことを
考え、あえて残しました。
さあ、次は宿題だ!
(`・ω・´)ゞ すべてのHを英国に!
いまさらですが……。
乙です!
全宇宙60該の読子さんファンのにっくき恋敵、ドニー・ナカジマを
かっこよく描くなんて、まったく罪なお方でつ。
長編キターーーーーーーー
作者様、乙!
でもごめん、出かける直前なので、感想はまたー;;
120 :
名無しさん@ピンキー:05/03/02 00:21:19 ID:2EuLOxh5
age
保守
保守
マギーの、アノ時の声が
「むひゃ」
だったらどうしよう……
124 :
名無しさん@ピンキー:05/03/14 09:33:55 ID:abLSPdy2
まず大柄の彼女をつくる。
↓
マギーの髪型にしてもらう。
↓
アノ時に「むひゃっ」とか言ってもらう。
↓
ハァハァ
保守
捕手
オーイッ!!L(゜□゜o)オーー(゜|□|゜)ーーイ!!(o゜□゜)」オーイッ!!
保守
触手
醸造酒
131 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/10(日) 14:50:11 ID:j7gF5pv1
(ノ・∀・)ノ
アニタが大好きな蛙のカッコウ
をしてベッドの上で待機している久ちゃんを
俺が優しく性の手ほどき
したと思ったら実はミラーマン
136 :
749:2005/04/12(火) 01:10:39 ID:ETuyeSpf
>>135 男:「な……、なんだー―ッ!?」
ミラーマン:「おどろくことはない、わたしの変身能力だ。
……この一夜を過ごすにあたって、誰でもおまえの好きな女性になってやろう」
男:「い……いや、しかし……!元はアレじゃねーか!!そんな手にはー―――……」
(読子に変身するミラーマン
読子(偽:「先生、わたしとじゃ…………イヤですか……?」(目を潤ませながら、悲しげに
男:「うゎああぁぁぁー―ッ!!いッ、いやっ、正気を保ておれッ!!
ああッ!でも、もうわからないっ!!なにが現実でなにが虚像なんだー―――ッ!?」
読子(偽:「……考えることはありません。ただ心の命じるままにすればいいんです……」
(読子、震えながらブラウスのボタンを外してはかなげに笑う
( し ば ら く お 待 ち く だ さ い )
(翌朝、さめざめと泣く男の横で満足そうにタバコを吸うミラーマン
ミラーマン:「……もう桜も終わりか」(ふと呟いて
最高だw
お前ら最高のバカww
朝焼けっの光の中に勃つ影はあ〜 ミラ〜マ〜ン〜♪
っと。
>ミラーマン:「おどろくことはない、
無茶言うなw
毒手
吟醸酒
造物主
原作3巻表紙のウェンディが好きっ! ヽ( `Д´)ノ
保守
一級酒
(ノ・∀・)ノ
147 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/05(木) 23:23:11 ID:pPaWjVAG
もう一度!(ノ・∀・)ノ
捕手
捕手
投手
野手
亜種
射手
射精
ふッvv、はひッvv こくまろおちんぽみるくがんばるぅ!
みー姉まー姉あにたん
「やれやれ」と僕は言った。やれやれ。
犯れ犯れ。
(ノ・∀・)ノ age age
160 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/04(土) 11:01:39 ID:ixX8oAaV
(ノ・∀・)ノ age忘れ。
161 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 15:34:31 ID:fSgS54CC
↑不覚にもワロタ。
そろそろ投下してくれるネ申いないんかなぁ
162 :
749:2005/06/08(水) 22:59:23 ID:W4axQjMW
読者イタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ ━━━!!!!
>>161 途中まで書いて放置したアニタネタがあります。
それでよければ書き上げて近日うPしますがよろしいですか?
163 :
161:2005/06/09(木) 13:22:53 ID:xr6m+1KE
ネ申イタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ ━━━!!!!
>>162 おながいしまつ、ぜひ!
ワクワクテカテカ
神稲荷町。全裸で。
にわかに活気が・・・!!
連載終わっちゃったけどウルトラジャンプの綾永先生版ネタってありなの?
リリーに捕まったアニタが○○な目にとか。
168 :
749:2005/06/18(土) 23:39:16 ID:tQfiQJXD
とりあえずリリーのアニタ調教、少しづつ執筆中です。
あと自分で振っといてあれなんだけど、参考までに質問。
アニタって例えば衣服を切り裂かれた時何て言うと思います?
キャア!とかイヤー!!なんてのはあり得ないだろうから、
やめろこの!!とか、何すんだバカ!!くらいが妥当ですかね?
「ギャー!」
とみせかけて、「一緒にポルノビデオを観よう」のときみたく、
マジ虐待には声も出せないくらい怯える可能性も。
なんにせよ百合なら大期待
172 :
749:2005/06/29(水) 01:42:34 ID:fT26h81I
そういえば、かみちゅ今夜からですね、楽しみ。
(・ω・)ノシ それでは送ります。
173 :
749:2005/06/29(水) 01:43:26 ID:fT26h81I
わたしは 彼が断わりきれない申し出をするつもりだ ♯1
『ギルバートは通路ごしに手をのばしてアンの長い赤い髪の毛のはしをとらえ、腕をのばした
まま、低い声ではっきり聞こえるように「にんじん!にんじん!」と言った。
すると効果てきめん、アンは彼のほうを見た。
見ただけでなく、とびあがった。輝かしい空想は無残にくずれおち、怒りにもえた目でギル
バートをにらみつけたが、たちまちその目にはくやし涙があふれてきた。
「卑怯な、いやな奴!よくもそんなまねをしたわね!」とアンは、激しくなじった。
そして――パシンと自分の石盤をギルバートの頭にうちおろして砕いてしまった――頭で
はない、石盤を真っ二つにしたのである。
アヴォンリーの学校ではいかなる場合にも活劇を歓迎したが、ことにこれはすてきなので、
おそれをなしながらも一同はうれしそうに「おお」と言った。』 モンゴメリ 「赤毛のアン」
――きっと夢をみているのだ。
おれはベッド際でひざを立てて、手と口を動かしている。
おれは一生懸命だし、黙りこくっている。……今日はクリスマスだ。
頭のうえではアニタが切迫した声を上げていて、おれはふと窓越しにそとを見た。
……そこから誰かが覗いていやしないかと思ったから。
するとそこにはあの鳩が止まっていて、じっとこちらを見ていたので少し怖くなった。
……胸のどきどきが止まらない。
心臓がこんなに一時に動いてしまって、はたして大丈夫なんだろうか?
哀願するのを無視してあそこのでっぱりを舌先で弾き続けると、おしりのあながひくひくと動
いて、アニタは首を左右に振った。
174 :
749:2005/06/29(水) 01:44:12 ID:fT26h81I
舌先でもわかるくらい硬くなっているそこを刺激すると、彼女が声を上げることがわかったの
で、執拗にそこだけを舌の先で刺激する。
舌先で弾くくらい強く……、弾いて……、弾いて……、弾いて……。
ときおり、その周囲にまるく円をえがくようにする。
するとアニタの腰が、ぶるぶる震えながら持ち上がった。
そのおしりを両手で下からささえて、おれはいよいよ冷静にアニタのそこを刺激する。
あごのあたりは、あそこから出たぬるぬるで一杯で――。
おれは両手でそこをひろげて、そのでっぱりに鼻の先があたるように、ゆっくりと下から上に
舐めあげた。
彼女の腰が、びくりと跳ねる。
……そのぬるぬるは透明で、かすかにあまい。
だからおれは、その凄くきれいなピンク色のそこを、何度も……何度も舐めあげた。
するとがくがくと腰が震えて、アニタは声を上げた――。
――やッ…… あッ あッ あー―ッ なっ ちゃうー―ッ なっちゃうよおー―ッ。
おかしくー―ッ なっ ちゃうー―ッ。
175 :
749:2005/06/29(水) 01:45:03 ID:fT26h81I
下から上に、下から上に、下から上に、下から上に、下から上に、下から上に、下から上
に、下から上に、下から上に、下から上に、下から上に、下から上に、下から上に……。
……泣き声が、止まらない。
――お 岡原あ…… あー―ッ あー―ッ。
い いいよ…… あッ もう……。
あー―ッ あー―ッ お願い だからぁ……。
あー―ッ あー―ッ そっ…… そこにぃ。
あー―ッ あたしの そこ にッ いれてよー―ッ…… いれてー―ッ……。
その言葉を聞いて、おれの心臓はとまる――。
……なんだか恐くなった。
きっと――きっと、夢をみているのだ。
176 :
749:2005/06/29(水) 01:46:01 ID:fT26h81I
放課後という事もあり、もう野次馬はいなくなり始めた。
もはやクラスの風物詩になったこいつとの勝負だが。
……やっぱり止めておけばよかったかな?
それにしても、冗談がキツ過ぎる――。
100mを走った後に、踏み切りで幅を跳びながら砲丸を投げて、110mのハードルと高跳
びのバーを跳んだあとに、400mの助走をつけて円盤をほうって、棒を使って高を跳びしたあ
とに、その棒を槍の如く投げて1500m走ってゴールする――。
……汗が目に入り、前がよく見えない。
負け惜しみでなく、今日は体調が悪かった……。
だけどそんなこと、いまさら格好悪くて言えない。
……とにかくせめてゴールまでは走ろう。
アニタのやつは、もう走り終えて屈伸を始めている。
……終わった。
歓声のない、淋しいゴール。
いや、それどころかまばらな怒声すら聞こえてくる。
……くそ、なんとでも言え!
この勝負は西園の馬鹿が胴元になって、公然と賭けが行われている。
……楽しいクラスだよな、本当に。
息が、きれる――。
おれが下を向き、手をひざについて喘いでいると、後ろからアニタのやつが声をかけてきた。
「どうしたのよ、体調でも悪いの?……まあ、アンタいつも遅いけどね」
……バレたかな?
カンの鋭いやつだ。
だけど、こいつには心配されたくないな。
……あれ、
目がまわる――。
177 :
749:2005/06/29(水) 01:47:07 ID:fT26h81I
「ちょっと!どうし た アン タ 大 丈夫? いま保 健 室に」
……早く。
早く部活に行かなくちゃ――。
あいつの顔が、みょうに近くにあった。
――うん。
悪くない……。
こういうのも、悪くないな。
あいつに肩を抱かれながらおれはそう考えた――。
ストーブの上で薬缶がしゅんしゅんと音をたてている。
保健室はみょうに明るくて、なんだか寒い。
ベッドの端にほおづえをついて、わたしは岡原に言った。
「校医の先生、風邪だって言ってた。……そんなんで、なんであたしと勝負なんかするの
よ!馬鹿みたい!……試合、近いんでしょ?」
「……関係ないだろ、お前には」
「あー―!ムカつく、こいつ……心配して損しちゃった。それじゃ、わたしもう行くね。図書
室、開けなくちゃいけないから」
「……なあ、菱石のやつどうしてるんだよ……もう一週間も学校に出てこないじゃねえか」
わたしはふり向いて岡原に言った。
「執筆で忙しいんだって、そう言ってたよ。……仕方ないじゃん」
「お前等、……会ってないのかよ?」
「だから仕方ないじゃない!悪いでしょ、邪魔しちゃ!アンタこそどうなのよ。……好きなん
でしょ?久ちゃんのこと」
興奮して聞きたくもないことをつい聞いてしまう――。
胸がどきどきして、……わたしはたぶん真っ赤な顔をしているに違いない。
178 :
749:2005/06/29(水) 01:48:18 ID:fT26h81I
「…………関係ないだろ、お前には」
「そうだね、……そうだよね。関係ないよね、わたしには――」
くちびるが震える。
……胸のどきどきが止まらない。
なんだか腹がたったから、わたしは岡原に顔を近づけて訊いた。
「アンタ、……なんでわたしにちょっかい出してくるのよ!」
「…………お前はなんでかわいくねえんだよ」
岡原は熱で真っ赤な顔をしていて、……わたしのくちびるをじっと見つめる。
だからわたしも岡原のくちびるを見つめた。
「アンタ、……わたしのこと、嫌いなんでしょ?」
「ああ、……大嫌いだ」
わたしと岡原の額がこつんと当たる。
……岡原の額は熱かった。
だからきっと――。
……きっと、どきどきしてる心臓の音が、バレてしまったに違いない。
「…………………………………………」
目をつむり、わたしたちはキスをする――。
長くてみじかい時間が過ぎ去り、わたしのくちびるが岡原のくちを離れると、よだれが糸をひ
いてシーツに落ちた。
トレーナーの袖でくちをぬぐって、岡原は困ったような顔をする。
身体をおこすと、ベッドがぎしりと音をたてた。
「…………なんで?どうしてお前――」
わたしはなにも言わずに保健室を後にする。
廊下に出ると、風で窓ガラスがかたかたと鳴った。
……胸のどきどきは、まだ止まらない。
179 :
749:2005/06/29(水) 01:49:36 ID:fT26h81I
……あつい。
うだるようにあつい――。
冬の十二月がなぜあついのかといえば。
それはつまりわたしがおフロに浸かって、……いや沈んでいるからで――。
ということは、それはつまり暑いのではなく、熱いということで。
……お湯に沈んだまま、ゆらゆらゆれる天井を見て意味もなく笑ってみる。
意味もなく怒ってみる。
あー―と叫んでみる。
ゆらゆらと、あぶくが上に昇っていった。
……なんの意味もない。
ばしゃり。ぷはー―……、ふー―……。
湯ぶねから勢いよく顔を出す。
……どうしよう。
キスしちゃった――。
どんな顔をして、明日からあいつに会えばいいんだろう。
……顔がみるみる赤くなるのがわかる。
くちびるに触れてみる。
舌で指先をなめてみる。
……えっちな気分になる。
「……ふぅッ」
両方の手のひらで、乳首をころがすようにする。
すると乳首がかたくなって……とてもきもちがいい。
せなかにぞくぞくと、……ぞくぞくとでんきがはしる。
おかはらのかおをおもいうかべながら、ちくびをこすったり、……つまんだりする。
…………とてもきもちがいい。
ひだりてのゆびさきでちくびをまるくなぞりながら、みぎてのなかゆびとひとさしゆびで、あそこ
のうえのほうの、でっぱって……、
でっぱって、いるところを――。
180 :
749:2005/06/29(水) 01:50:45 ID:fT26h81I
――あッ あッ あー―ッ…… んッ あッ あー―ッ……
……でっぱっているところを、ゆびさきで、……ゆびさきでなでながら、もうかたほうのてで、
そのでっぱりの、ねもとのあたりをにほんのゆびで、つまむ……。
すると……ふともものうちがわがぶるぶるふるえて、
ぶるぶるして……、ぶるぶるして……、とても……とてもきもちがいい。
――はッ はぁ ふぁー―ッ…… あッ あー―ッ あー―ッ……
わたしのこしはすいめんからうきあがり、ゆぶねからつきだされる……。
すいめんが、なみのようにちくびのあたりをいったりきたりして、……とてもきもちがいい。
こしをつきだしているので、わたしのあそこは、ぴちゃぴちゃといういやらしいおとをたてる。
あそこの、でっぱって……いるところを、……なでながら、なかゆびを、なかゆびを、……な
かゆびをだしたり、いれたり……、だしたり、いれたり……、だしたり、いれたり……、だし、た
り……いれ……たり……いれ……たり……いれ…………たり……。
――こッ こわい…… よおッ いッ いつもなら も もうッ とッ とっくにッ
とッ とっくに ふわあ……って ふわあって なるの に っ……
ひッ ひあうぅぅッ あッ…… ひッ ひッ ひあ……ッ あッ あッ
あっ あそこ とっ…… とけちゃううっ いいッ…… いいッ…… いいッ……
あー―ッ…… あー―ッ…… こわれるぅ…… わッ わたし こわれちゃううっ
あああッあッ あッ あッ…… あー―……ッ あ……ッ はぁ はぁ はぁ……
181 :
749:2005/06/29(水) 01:51:39 ID:fT26h81I
はぁ、はぁ、はぁ……はぁ。
イっちゃった……。
わたしはぬるぬると糸をひく指先を見つめる。
……いけない。
もう上がらなきゃ。
……わたし最近こんなことばっかりしてる。
したあとで、いつもすごくいやな気持ちになるのに。
湯ぶねからでて、シャワーを使う。
「……ひあッ」
あそこを存分に広げてシャワーを当てると、背中に電気がはしる。
気持ちいいよう――。
……だけどもう止めなきゃ。
もう上がらなきゃ、明日の朝起きられないよ……。
わたしはよろよろとおフロ場のイスから立ち上がる。
182 :
749:2005/06/29(水) 01:52:45 ID:fT26h81I
……鏡を見るのが、なんだかとても恥かしい。
のばした髪が、もう肩までのびた。
……わたしはこれからどうなって行くんだろう?
ボタンを留めながら、あのメガネ女のことを思い出す。
あの女を、ねね姉は五年間待った。
……強いな。
だけど、ねね姉は幸せなんだろうか?
あの女がこの家に泊まりに来たことがある――。
そのときあいつは夜中に大声をだして泣いた。
びっくりしてねね姉のところに行くと、あいつはねね姉のひざに縋って、昔の恋人の名前を呼
びながら泣いていた。
……誰かを好きになるという事は、良い事ばかりではないらしい。
だけど、そのときあいつの頭をなでながら、わたしたちに向かって『何でもないのよ』と言った
ねね姉は、まるで……まるであのとき教会で見た――……。
183 :
749:2005/06/29(水) 01:53:38 ID:fT26h81I
おフロ場の戸をからりと開けて、タオルで頭をごしごし拭きながら居間に入ると、ねね姉が
付箋をはさんだ本をコタツに積み上げて調べものをしている。
冷蔵庫から『ハッピー牛乳』を取りだして飲んだ。
時計を見ると、もう午前一時を回っている。
「……まだやるの?」
「ああ、うん。……年末進行だからねー―」
「ねね姉、あのさ……」
「んー―?……なによ」
「……いや、やっぱいいよ。……それじゃ、がんばってね」
「おう、あんたもほどほどにね」
「うん、おやすみ……」
部屋に入り、みー姉の寝言を聞きながら仕切りのカーテンをくぐると、うつ伏せにベッドの上
に倒れこむ。
「…………どういう意味だよ」
ひんやりとした掛け布団の感触を、気持ちいいと感じながらわたしはつぶやいた。
184 :
749:2005/06/29(水) 01:54:28 ID:fT26h81I
あれから三日、岡原は学校を休んでいる。
……明日からはもう冬休みだ。
聞けば、あいつは小学校のころから学校を休んだことがないらしい。
ということは、つまり……きっと、わたしのせいだ。
……ひとつ気がついた事がある。
それは授業中に、わたしがあいつのことばかり見ていたという事だ。
わたしがあいつを見ていると、そのうちあいつもわたしを見つめて、ふん、と言って目をそらし
たり、……あかんべえをしたりする。
今日も岡原は居ない。
わたしはあいつの机を見つめる。
わたしたちがおかしくなってしまったのは、……たぶん、久ちゃんが居ないからだ。
わたしたちの間には、いつも久ちゃんが居た。
だけど久ちゃんが居なくなってから、わたしたちはお互いを見るようになった。
だからわたしたちはおかしくなってしまったんだろう。
今日も久ちゃんは居ない――。
岡原も居ない――。
明日からはもう冬休みだ――。
わたしは岡原の机を見つめる……。
185 :
749:2005/06/29(水) 01:55:24 ID:fT26h81I
けほ、けほ、けほ。
頭が痛い――。
わたしは咳をして鼻をすする。
どうやら風邪をひいたらしい……。
「雪……降ってきたね。まー姉」
「38度7分……本当に大丈夫か?……アニタ」
「うん、薬飲んだし……大丈夫。だから行ってきなって。せっかくのクリスマスパーティーなんだ
しさ……。そりゃ、久ちゃんのスピーチは聞きたいけどさ……仕方がないよ」
ドアががちゃりと開いてねね姉とみー姉が顔を出す。
「そろそろ行くわよ、マギー。今日は中華で立食だってさ。……残念ね、アニタ」
「……つめた」
「……お料理をいっぱいもらって来るわね。アニタちゃん」
わたしの頭に氷嚢を当てながら、みー姉は言った。
「いいよ……食欲ないし」
「ありゃー重症だね……大丈夫かね、こりゃ」
「大丈夫だって!……わたしおとなしく寝てるし、心配いらないから」
「……じゃなるべく早く帰るから、しっかり寝てなさいよ!」
「……安静にしてるんだぞ……」
手をひらひらと振りながら、わたしは無理に、にししと笑う。
みんなが部屋を出ていくと、わたしは倒れるように横になった。
……あ〜〜〜〜しんど。
「……足を引っ張りたくないもんね。……せっかくみんな楽しみにしてたんだから……」
窓のそとには雪が降る。
水銀灯の灯りは、その雪を通して青白い光の輪のように見えた。
……鉛色の空からあのきれいな雪が降ってくるのは、どう考えても妙だ。
186 :
749:2005/06/29(水) 01:56:19 ID:fT26h81I
……少し眠ろう。
眠ればきっと元気になる。
「……わたしは眠る」
目を閉じて、わたしは眠る。
明日は心からお祈りができますように……――。
部屋の床に横臥して、テレビをつけるとクリスマスだった。
全くどこをつけても、非のうちどころがないクリスマスで……。
おれは背中に手を回して尻をかいた。
「……奇跡なんて、どこで起こってるんだよ」
『……徹〜〜っ!電話〜〜!久ちゃんからだよ!……徹〜〜っ!』
「!?」
おれはむくリと起き上がり、電話のほうに向かって走る。
「……そう、偉いわね〜〜。でもたまには学校のほうにも出てきなさいよ。ウチの徹が寂しが
ってるから。……そうね……また昔みたいに家に遊びにいらっしゃいな――」
「母ちゃん余計なこというなよ!……早くよこせよ!早く!……もしもし、菱石か?――」
187 :
749:2005/06/29(水) 01:57:02 ID:fT26h81I
――わたしはいま教会にいる。
わかっている。
これは夢だ――。
夢を見ているのだ――。
夢なのに教会の中はとても寒くて。
耳や爪先がじんじんと痛む。
はあはあと白い息を吐いて、わたしは両手をあたためた。
……今夜はとても眠れないだろう。
いや、眠ってしまったら凍えて二度と目が覚めないんじゃないだろうか?
焚き火がひとりでに消えてゆくさまを連想して、なんだか恐くなった。
……あのとき、『将来』と盗賊は言った。
『将来』――。
わたしの『将来』。
……あの盗賊はもう戻らない。
「将来なんて、……ないよ」
マリア像を見上げて、わたしはつぶやく。
すると、まるでわたしの言葉を悲しむかのように、マリア像は灯をさえぎり影となった。
……ほんとうは知っている。
世界は――。
世界はそういうふうにはできていない。
逢いたいひとに逢えるように、……世界はできていない。
188 :
749:2005/06/29(水) 01:57:51 ID:fT26h81I
里親の家にあった本箱――そのガラス扉に映ったじぶんの姿。
その姿を友達だと考えて、いままで生きてきたのだ。
『……ケティ、ケティ、あなた今日は元気ないわね』
『あらアニタ、そんなことはないわ……』
……馬鹿馬鹿しい!
本当にお笑い種だ!
……いっそ世界中に、わたししかいなければいいのに。
そうすれば、……諦めもつくのに。
涙がつう、と頬をつたって。
ぽたりぽたりと足元におちた。
神さまなんか居ない。
神さまなんか居ない。
わたしは一人ぼっちだ――。
……夢なのに。
夢だと知っているのに。
声をあげて。
わたしは泣いた――。
わたしが泣いた――。
189 :
749:2005/06/29(水) 01:58:50 ID:fT26h81I
暗い部屋で、わたしは目を覚ます。
雪が降っているので、戸外は妙に明るい――。
けほ、けほ、けほ。
う〜〜〜〜…………。
…………頭痛い。
しかしだいぶ楽になった――。
「薬が効いたのかな……?」
……ひさしぶりにあのころの夢をみた。
こんな時は、決まってこの夢を見る。
……わたしはこの夢が大嫌いだ。
わたしは結局、誰にも必要とされていないのかもしれない。
誰も信じていないのかもしれない――。
……そう思って自己嫌悪に陥るから。
けほん、けほん。
……ほんとうは神さまなんか、居ない。
だけどあのとき、奇跡は起きた――。
190 :
749:2005/06/29(水) 01:59:43 ID:fT26h81I
窓のそとでこん、こん、と音がする。
窓のほうを見ると、ウーさんが『窓を開けろ』と言っている。
わたしはひとつため息をついて立ち上がり、からりと窓を開ける。
う〜〜さむ……。
「どうしたの、ウーさん。……寒いの?」
ウーさんは足元から羽ばたいてベランダの手すりに止まり、つい、と首を振った。
……だから寒いって言うのに。
どてらを羽織って外にでる。
「何よ、……誰かいるの?」
真綿のような雪は、ただ音もなくしんしんと降る。
わたしはベランダの手すりから身体を乗りだして下を見た――。
はあはあと白い息を吐いて、おれは両手をあたためる。
……顔が圧迫されるような寒さだ。
部屋の電気が消えているのだから、あいつはきっと寝ているのだろう。
ならば病人を起こすことはない。
ポストにこれを投込んで早く帰ろう。
それに、……逢ってなにを話せばいいんだよ――。
おれはくしゃみをして鼻をすすり、傘に積もった雪を払う。
保健室では本当に驚いた。
……はたしてあれは本当のことなんだろうか?
初めてのキスがあいつとだなんて、考えてもみなかった。
いつも笑ってるか怒ってるかのどちらかなのに、あのときあいつは泣きそうな顔をしていて、お
れは、……「ああこいつ、こんな顔もするんだ」って――。
最近自分の気持ちが分からない――。
あいつは男みたいで、生意気で可愛げがなくて……おれは大嫌いだった。
なのに、最近あいつのことばかり考えてる。
……おれはいったい誰が好きだったんだろうか?
191 :
749:2005/06/29(水) 02:00:40 ID:fT26h81I
「そこで何してるのよ。アンタ……」
驚いて上を見ると、そこにアニタがいる――。
「……よ、よう」
「よう、じゃないでしょ!アンタ、また風邪ひいたらどうするのよ。……ほんとに馬鹿みたい!」
「元気そうだな。……すこし安心したよ」
「元気なワケないでしょ!なに言ってんのよ!……何しに来たのよ」
「いや、また来るよ。……それじゃあな!」
「こら、逃げるな!……上がっていきなさいよ!」
「お、大声を出すなよ。馬鹿!……わかったよ、わかったから!」
「よろしい!……いま開けるからはやく来なさいよ。一六〇二号室だからね!」
192 :
749:2005/06/29(水) 02:01:32 ID:fT26h81I
――呼び鈴を押すと、向こうで人の気配がする。
だからおれは深呼吸をして、このドアが開くのを待つ。
がちゃり――。
「いらっしゃい……上がりなさいよ」
アニタはなんだか熱っぽい顔をしていて、かるく咳をした。
おれは何も言わずに頭やダッフルの雪を払うと、クツを脱いで家に上がりこんだ。
「……すげえな」
居間の本を見て、おれは驚嘆する。
……図書館だな、まるで。
「な、なんか飲む?いまコーヒーでも淹れるからさ……」
「いいって……病人が気を使うなよ。すぐ帰るからさ、……それよりこっちに来いよ」
ダッフルのポケットから封筒を取りだしてアニタに渡す――。
アニタがその封筒を開けると、そこには一枚のCDが入っている。
「……『Little trouble in small forest』。……小さな森の、小さな出来事……?」
「本当はパーティ会場でお前に渡すつもりだったらしい。……プレゼントだ、菱石から。……
最初にお前に読んで欲しかったんだとさ。……あとであいつに感想を聞かせてやってくれ」
アニタはうつむいて、封筒ごとそれを抱きしめた。
「うん……うん、ありがとう。……だけど、どうしてアンタなのよ?」
「ああ、西園の馬鹿が姉妹で会場に来たんだってさ……あいつ、最近なんかの賞をとっただ
ろ?それで西園のやつが、おれとお前がケンカしてるって菱石に言ったらしくて……仲直りし
ろって、菱石がさ――」
193 :
749:2005/06/29(水) 02:02:22 ID:fT26h81I
「……あいつうう!」
「だけど西園のやつ、いったいどんな話を書くんだろうな。……たぶん俗受けのする、下らな
い話なんだろうな、きっと」
「……アンタには言われたくないと思うよ」
「ひでえな」
「だって、ねね姉の『君僕』読んで『ありきたりのクサイ話だ』なんて言うやつは、なにを読んで
も一緒だと思うもん」
「ああ、まえにお前が貸してくれたやつか……。『君が僕を知ってる』だったっけ?いい話だよ
な、あれ……。おれ感動して、すげー泣いたもん」
「何それ……言ってることがぜんぜん違うじゃん」
「いや、なんだか照れくさくってさ……そういや、そのときお前に殴られたんだよな、おれ。…
…何だよ、その顔は」
「や、やっぱりなにか飲む?……そうだ!おフロに入っていきなよ。そと寒かったでしょ?用意
してあるみたいだからさ」
「いいって、病人が気を使うなよ。じゃ、そろそろ帰るな。……はやく治せよ!」
玄関で長靴をはき、そとに出る。
だけど、あいつはおれのそでに縋り付いてきて――。
「手……つめたいよ……」
おれの手をにぎりしめてアニタは言った。
びっくりしてふり返ると、あいつはいまにも泣きそうな顔をしていて――。
「……もう少しだけ居てよ。……いま帰られたらあたし……ねえ、理由はどうあれ心配して
来てくれたんでしょ?……だったらわたしのために、もう少しだけそばに居てよ」
涙があいつの頬をつたって。
ぽたりぽたりと足元におちた。
194 :
749:2005/06/29(水) 02:03:24 ID:fT26h81I
――……ねえ、いいでしょう?……岡原あ……。
ただまっすぐに、おれを見つめて。
……おれだけを見つめて。
アニタは泣いた――。
アニタが泣いた――。
ぱしゃ。
ふうー―…………。
……妙なことになったな。
だいたい何なんだよ、このバスルーム!
おれの部屋より広いじゃねえか。
ブルジョワジー許すまじ!
…………ふうー―……。
何なんだよ、あいつ。
なんで泣くんだよ……。
あいつ、あんなに泣き虫だったっけ?
……ああそうか、……そうだよ。
思い出した――。
あいつが香港に帰るときに、おれが菱石のやつを公園から連れて来たんだ。
そしたらあいつ等、お互いに抱き合って声を上げて泣いてたっけ。
……泣き虫だよな、あいつも。
あいつ――。
――……あいつ、あんなに可愛かったかな?
195 :
749:2005/06/29(水) 02:04:10 ID:fT26h81I
……あー―いかんいかん。
だめだ!
おれは拳骨を自分の頭に振り下ろす。
……何やってるんだよ、おれ。
もう上がろう――。
ざぶりと湯ぶねから立ち上がり、フロ場の戸をからりと開けて、そこに用意してあるバスタオ
ルを使いながら、おれは鏡を睨みつける。
何もない!
何事も起きない!
あいさつをして、早く帰る!
……この状況は明らかに危険なんだ。
おれが自分をしっかりと持たないといけない。
洗面台でざぶざぶと顔を洗ってから携帯を見る。
着信ナシ――。
時刻はもう、午後九時を回った――。
196 :
749:2005/06/29(水) 02:04:58 ID:fT26h81I
階段を上がって、おれは咳ばらいをする。
こん、こん――。
……返事がない。
「おい、入るぞ……」
がちゃり――。
……アニタの部屋はみょうに暗くて、なんだか寒い。
「おい、……居ないのかよ?」
返事がないので仕切りのカーテンをしゃっと開けると、部屋のなかを雪明かりが照らした。
……ふり向くと、おれの心臓は止まる――。
「馬鹿!……な、何してんだよ!」
風邪をひいているのに、アニタのやつはなにも着ていなくて……。
薄明に照らされて、あいつの身体はなんだかとても青白く見えた。
「……来てくれたんだね。もしかしたら、そのまま……帰っちゃうんじゃないかって、思ったん
だ。……だから、いますごくどきどきしてるの……ね?聞こえるでしょ」
アニタはおれの手をにぎり、自分の胸におし当てた。
目をそらして窓のそとを見ると、そこには一羽の鳩が止まっている――。
「……止めろよ!……止めてくれよ!」
くちびるが、震える――。
「なんでだよ!……なんでこんな事するんだよ!」
あいつの胸はとても熱くて、……なんだかすごくどきどきしていて――。
「か、考えたんだけどさ……もう、こんな事ないと思うんだよね……だから……だからさ」
――だから、岡原。……わたしをいま、……ここで、抱いてよ……。
≪つづく≫
ひさびさの乙。また良いところで^^;
198 :
749:2005/06/29(水) 02:41:37 ID:fT26h81I
>>171さん、すみません。
『赤毛のアン』がやりたかったので、久×アニではなくアニ×岡になりました。
二回にわけてうPする予定でいます。
できれば七月中に次回をお送りしたいと思っています。
ですから、
>>169さん。
もしよかったら、遠慮なくうPなさってください。
期待しております。
がんばりますので、どうか温かく見守ってくださいませ。
P.S.ご意見&感想をお待ちしております。
ええいアニタめ! すっかりかわいくなりよってハァハァ
アニタは久ちゃんだけのモノなんです〜
犯 れ ! 犯 る ん だ 岡 原 !
それぞれ読子さんとレズ関係を持っているが、
まだ乱交には至っていないアニタ、ねねね、ナンシーさん。
今日も読子さん同席のもと茶飲み話に興じていたら、
いつのまにやら話題がベッドでの読子さんの痴態、性感帯、次はこんな風に可愛がりたい、に集中。
独り赤面して止めにかかる読子さんをよそに、際限無くヒートアップし
読子さん逝かせ自慢、読子さんの恥ずかしいおねだり見聞録、
読子さんの恥ずかしいイキっぷり目撃譚 に及ぶに至り、
危うく第二の大英図書館炎上事件を引き起こしそうになったものの、
カタストロフを防ぐべく…
もとい、という名目がついたことで、トーク中限界まで滾っていた肉欲のタガが外れた三人の
初のコンビネーションレズプレイによって錯乱する読子さんはあっさり陥落。
後日、三人が楽しかったからもう一度4pしたいと持ちかけると、
読子さんは即座に失禁&幼児退行&めそめそコンボをくりだし、
一晩つきっきりで全集を朗読しないと還ってきてくれなかったそうな。
203 :
749:2005/07/06(水) 15:36:23 ID:wPBL5a7R
GJ!
この血の滾りをしずめるために走るよ ウワァァァン!!
) ) )
( ( (
┌───┐
│ │
├───┤ ヘ( `Д)ノ センセノバカー
│ │ ≡ ( ┐ノ
└───┘ :。; /
─────
>>202 続きをぜひ!!
>749
マギーちゃんはどこ?
もとい!
204のレス先は >202 です。ご免!
読子さん 倫敦で爆弾テロですよ!
読子さん 出番ですよ! 読子さん 読子さん 読子(ry
本屋が狙われた訳じゃないし…
208 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 07:41:11 ID:BOKVednN
(ノ・∀・)ノ age?
ノ(・∀・ノ) sage?
|д゚)
(〜・∀・)〜<<<<<<買え 買いましょう 買うのです (゚Д゚;)
212 :
749:2005/07/14(木) 06:35:48 ID:NPblFlK2
w
漏れ:「百合姉妹が見たいんですが」
749 :「それはわたしが何とかしよう」
ということでどうかひとつ
214 :
749:2005/07/15(金) 08:46:31 ID:4zEN/pRA
(;´∀`) ……考えておきます
漏れ:「でもそれじゃウェンディ好きが収まらないよ」
214 :「それはわたしが何とかするわっ!」
ということでどうかひとつ
ノ(・∀・ノ) sage?
(ノ・∀・)ノ age?
ノ(・∀・ノ) hoshu?
(ノ・∀・)ノ shuho?
(ノ・∀・)ノ mangasure doko?
(ノ・∀・)ノ ima naiyo?
(ノ・∀・)ノ な〜つか〜しい〜
ノ(・∀・ノ) 風のにおい
(ノ・∀・)ノ どこかさみしくて〜
225 :
749:2005/07/28(木) 09:48:00 ID:6dgW5qkg
よしオワタ。
(・ω・)ノシ それでは送ります。
226 :
749:2005/07/28(木) 09:49:20 ID:6dgW5qkg
わたしは 彼が断わりきれない申し出をするつもりだ ♯2
『アンが台所にはいってくるのを、マリラはふしぎそうにながめていた。
「小径をあんたときたのは、だれかい?アン」
「ギルバート・ブライスよ」と答えたアンはわれにもなく頬を染めた。「バーリーの丘で会ったの」
「あんたとギルバートが、門のところで三十分も立話をするような仲よしだとは思わなかったが
ね」とマリラはひやかすようにほほえんだ。
「いままではそうだったけど――あたしたち、いままでは敵同士だったのよ。でもこれからは、よ
い友達同士になったほうがいいって二人とも気がついたの。ほんとうに三十分も立ってたかし
ら?ほんの五分ぐらいにしか思えなかったけれど。でも五年間のうめあわせをしなくちゃなら
ないんですもの、マリラ」』 モンゴメリ 「赤毛のアン」
「寒いな……」
おれはベンチに座ってつぶやいた。
風が公園の遊具のすき間を通りぬけて、笛のような音をたてる。
「虎落笛というの――」
「なにが?」
「冬の北風は強いでしょう?……その風を受けて、竹垣やよしずが鳴らす笛のような音を
虎落笛というの……」
前を見つめて、菱石はそう言った。
227 :
749:2005/07/28(木) 09:50:55 ID:6dgW5qkg
……どこかで雀が鳴いている。
そのさえずりを聞いて、おれはあの白い鳩を捜した。
「どうしたの?」
「――いや、なんでもない。悪かったな、無理言って……仕事、忙しいんだろ?」
「そうでもないよ……お正月だもの。仕事はもう、お休み……」
手袋をしているので、菱石は缶のプルがうまく引けないらしい。
「貸してみろよ――ほら」
「……遅いね、アニタちゃん」
「…………そうだな……」
――…………二連敗かな……?。
おれは携帯を見てつぶやいた。
すると菱石は悪戯っぽく笑いながら、『そうかもね』と言った。
今日は砂場であそぶ子供の姿もなく、公園のあちこちにはまだ雪のなごりがあった。
「――だけど、徹ちゃんがそんな事するなんて思わなかったな。らしくないっていうか……うう
ん、やっぱり徹ちゃんらしいのかな?……わたしの気持ちを知ってるくせに、ひどいよ――」
『ひどいよ』と言うわりに菱石のやつは笑っていて、おれはなんだかその顔に違和感を覚え
た。
――……ねえ、いっそのこと、……わたしたちもしちゃおうか?――。
『や〜いお茶』を間違えて気管に入れてしまい、おれは激しく咳き込んだ。
「…………冗談言うなよ」
おれはダッフルの袖でくちもとをぬぐうと、情けない声で菱石にそう言った――。
228 :
749:2005/07/28(木) 09:51:51 ID:6dgW5qkg
「――な、なに言ってんだよ……止めろよ、や、め……」
わたしは岡原を抱きしめてキスをした。
舌をさしいれてくちびるの内側をなぞると、岡原はくちを開いた。
舌先が、ふれる……。
目を開けると、あいつは目をつむっていた。
だからわたしも目をつむる。
……んっ……んっ……んっ……。
わたしたちは心ゆくまでお互いの舌をからめ、唾液を交換しあった。
あいつが舌を突きだしてきたので、わたしはくちをすぼめてその舌を吸った。
突きだしたその岡原の舌をわたしがなめると、あたりにぴちゃ、ぴちゃという音が響く。
岡原のジーンズの前を、下から右手でなぞる――。
「……んふぅッ……」
すると岡原はぶるっと震えた。
そこはとてもかたくて、そして暖かかった。
岡原のくちをちゅうと吸ってから、わたしはその場にひざをついた。
「……駄目だ……駄目だよ……」
ベルトの金具を外して、ジッパーを下げる。
……それを引っ張りだすのは下着に引っかかって少し大変だった。
「熱いんだね……」
……お風呂のせいか、あまり匂いはしなかった。
「お、おい!……ちょっと待っ、て」
わたしがそれをはむ、とくわえると、岡原は声をあげた。
229 :
749:2005/07/28(木) 09:52:53 ID:6dgW5qkg
岡原は、なんだかくすぐったさに懸命に耐えている子供のようだった。
「…………ろお、ひもひいい?」
くちに含んだまま、それにちろちろと舌を這わす。
……さきのほうにある、かさのようなでっぱりが舌先にふれる。
「や……め……」
岡原の腰が、ぶるぶると震えた。
岡原はわたしの頭を両手でつかんで……そしてどうすればよいのか困っているようすだった。
わたしはそれをくちから放して、そのさきをちろちろとなめまわした。
――ちょうどアイスをなめる要領で。
ちろちろ……ちろちろ……ちろちろ。
……あそこがなんだかあつくなって、ひくひくする。
するとふともものうちがわを、あついものがひとすじつうとたれた。
「っあ……も、う出ちゃうってっ……」
身体をくねらせながら、岡原の腰はぶるぶると震える。
わたしはそれをもう一度くちに含み、全体をなめまわした……。
手をさしいれて、指先でくすぐるように下のふくろをやわやわともむ――。
うずらの卵のようなものが指先にふれる……。
「もう……駄目っ、んあッ、あー―ッ……あ、あっ……」
岡原の身体がきゅうに弛緩したと思ったら、熱いものがびゅるびゅるとくちのなかに飛びだして
きた……。
のどの奥までそのにがいものが満ちたので、わたしはむせて咳きこんだ。
「けほ、けほ……けほ、――うえ、飲んじゃった。……不味いね」
「……馬鹿やろ、不味いってどんな味なんだよ……」
くちもとや肩甲骨のあたりにのこった飛沫を手のひらにすくってなめてみる。
「青臭くて……卵の白身みたいかな」
――へへー―っ、ごちそうさま……。
わたしは笑う。
岡原はわたしを抱きしめて、そしてキスをする。
「……本当にいいのか?……おれで」
わたしがうなずくと、岡原の額がこつんと当たった――。
230 :
749:2005/07/28(木) 09:53:48 ID:6dgW5qkg
「まだ生えてないんだな……ここ」
ベッドにあお向けになって、わたしは岡原の前であそこをひろげて見せた。
「あ……その、うえのッ、ほうのポツンとふくらんでいる、のがあッ……クリ、トリスっていう、のッ」
岡原のゆびが、わたしの敏感なところをかるくなぞる。
わたしのあそこは熱いお湯でとろとろだった……。
「その下の、ちいさなあなが……おしっこの、んうッ、あ、な……あとはァ、ほ、ら……そお、その
あながッ、あー―ッ……、おちん、ちんのあ、あッ……、あー―ッ……、あー―ッ……」
岡原はなかゆびをわたしのそこに出し入れした。
「あ……ご、ごめん……痛かったか?」
「……ううん、大丈夫……うッ――」
岡原はわたしの両手を除けて、自分であそこを押しひろげた。
にちっといういやらしい音がして、――わたしは心臓がどきどきした。
恥かしいな……。
……熱があるのかもしれない、なんだか頭がぽー―っとする。
岡原はそこをしばらく見つめて、やがてわたしのあそこに舌先を押しあてた。
「あ……ッ」
わたしのこしはひとりでに浮きあがった。
――あッあッ あッ あッ…… あー―ッ あー―ッ あー―ッ……
きれいにしたけど……大丈夫かな。
なま暖かい舌先があそこを這いまわる感触に、わたしはわれを忘れて叫ぶ。
すごい……すごいよう――。
自分でするのなんか、問題じゃない――。
おかはらぁ……いいよう……そこ……いいよう……。
岡原は黙々と、わたしのあそこに舌を泳がせつづける……。
231 :
749:2005/07/28(木) 09:54:52 ID:6dgW5qkg
――やー―ッ あー―ッ あー―ッ いいッ いい ようッ いッ…… いいッ……
岡原の舌先は、おちんちんのあなから溢れてくるお湯をたんねんになめ取って……やがてあ
そこの敏感なところを舌先で弾いた。
するとせなかに電気がはしって、わたしはなにもわからなくなった。
頭のなかがまっ白になってくらくらする。
わたしのこしがひとりでにおどる。
くねくね、くねくね。
わたしは、こしを、ふりつづける。
おかはらの、あたまをつかんで、わたしはくびを、さゆうにふった。
――あー―ッ あー―ッ そ こ そこぉ もっとぉ お お願い ひッ ひあー―ッ……
おかはらは執拗にそこだけを舌のさきで刺激する。
舌さきではじくくらいに強く……、はじいて……、はじいて……、はじいて……。
ときおり、その周囲にまるく円をえがくようにする。
するとわたしのこしが、ぶるぶる震えながら持ちあがった。
わたしのしりを両手で下からささえて、おかはらはいよいよ冷静にわたしのそこを刺激する。
わたしのくちもとから、よだれがひとすじ糸をひいてたれた――。
おかはらは両手でそこをひろげて、その敏感なところに鼻の先があたるようにして、ゆっくりと
下から上になめあげた。
わたしのこしが、びくりと跳ねる。
……まるで、下半身がとろけるようだ。
だからわたしはおおきくのけ反り、なんども……なんども叫びごえをあげた。
ぶるぶるとこしが震えて、わたしはおかはらのなまえを呼んだ――。
232 :
749:2005/07/28(木) 09:56:03 ID:6dgW5qkg
――やッ…… あッ あッ あー―ッ なっ ちゃうー―ッ なっちゃうよおー―ッ。
おかしくー―ッ なっ ちゃうー―ッ。
あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、
あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ、あー―ッ……。
……わたしは叫ぶ。
――お 岡原あ…… あー―ッ あー―ッ。
い いいよ…… あッ もう……。
あー―ッ あー―ッ お願い だからぁ……。
あー―ッ あー―ッ そっ…… そこにぃ。
あー―ッ あたしの そこ にッ いれてよー―ッ…… いれてー―ッ……。
わたしがそう叫ぶと、おかはらの動きはとまる――。
……こわくはなかった。
だって――ずっと、夢みていたのだから。
233 :
749:2005/07/28(木) 10:04:40 ID:6dgW5qkg
……岡原は『後悔しないか?』とわたしに聞いた。
「しないよ。……わたしが勝手にあげたいんだから、貰ってよ……」
すると岡原は、『おれのことが、好きなのか?』と聞いた。
「……大ッ嫌い!!」
わたしがそういうと岡原は困ったように笑った。
「――馬鹿……そういう科白は久ちゃんに言いなさいよ。ホラ、来てよ……岡原」
あいつの太ももは脱力していて、とても柔らかかった。
そこをゆっくり両手でひろげると、その奥にあるあそこがひくひくと震えた。
下腹部があいつのあそこに密着する――。
おれはあいつのあそこにその先をあてがい、その落ち着く先を探った。
……アニタのそこは、まるでおもらしをしたようだった。
おれはゆっくりと腰を進めた……。
「んー―……はぁ、はぁ――大丈夫か?おい……大丈夫なら、動きたいんだけど……」
アニタのなかは、思っていたよりもずっと熱くて……。
痛いのか、あいつはきゅうとあそこを窄めて、おれを絞めつけてきた。
「……うん、ちょっと痺れるけど平気……岡原の『はじめて』はわたしが奪っちゃったんだね」
「馬鹿……つまらねえこと言うな……――動くぞ」
234 :
749:2005/07/28(木) 10:06:23 ID:6dgW5qkg
――はあッ…… ん んんッ ああ あ あ あ あ あ あッ あ あッ あッ……
とろけてしまいそうな快美感が下半身にひろがる。
……『――もっとゆっくり動いて』とアニタがうわごとのように言った。
しりのあなが窄まって……どうしても腰がはやく動いてしまう。
……だめ、……だめ、……だめ、とアニタが泣き声を、あげた。
おれの下でアニタは、苦痛に、堪える、ように、眉を、しかめて、首を、左右に、振った、腰
を、くねらせ、ながら、おれを、絞り、あげて、きて、絞って、絞って、あいつも、腰を、使った。
熱い、まとわり、つく、アニタの、裂け目の、おくに、おれの、さきが、なんども、おくに、当たっ
た、おくに、なんども、おくに、当たる、当たる、当たる、当たる、当たる、当たる……。
――はぁ はッ あぁ はぁ ぁッ は あ は いッ いッ いいッ あ あ そッ そ こッ そッ
射精しそうになるのを、必死にこらえながらアニタのくちびるを吸う。
あいつの暖かい唾液の味を、顔に吹きかかる、息の熱さを……間近に感じながら……あい
つの赤い頬と……潤んだひとみを見つめ……ながらおれは……だっ だめ だ でッ…… で
…… でちゃ っ た……。
射精する――。
235 :
749:2005/07/28(木) 10:08:13 ID:6dgW5qkg
――はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ……。
『……気持ち、よく、なれた、か?』
『うん……っ、いっ、ちゃった……』
おれたちはキスをする――。
アニタは枕元から一枚の紙を取り出し、紙の蝶を手ばやく折ると両手でふわりと押しだし
た。
すると、その紙の蝶はまるで生命あるもののように、部屋のなかをぱたぱたと羽ばたいた。
「…………紙使い?」
「そう……運命なんだね、きっと……」
――だから、わたしたちは本を読むの。
……本を読み……本を愛し……本と共に生きる。
……まるで、気の利いたおとぎ話だ。
いや、気が利かないのかな――。
「……それで、お前は幸せなのか?」
「わかんない……正直、いやで堪らないころもあったけど、いまはお姉たちがいるし……」
「そうか……おれ、そろそろ帰らなくちゃ」
おれは携帯を見てつぶやいた。
「そろそろ……?」
「ああ、そろそろ」
「お姉たちも帰ってくるし……」
「おれは母ちゃんに怒られるしな……お前もはやく服を着ろよ」
服を着て階段をおりると、アニタも一緒について来る。
お前は寝ていろ、とは言わなかった。
アニタのやつに……送り出して貰いたかったから。
236 :
749:2005/07/28(木) 10:09:51 ID:6dgW5qkg
「これで最後なのか?」
「そうだね……久ちゃんもいるし」
「おれは、菱石とは……」
「わかってるよ……でも、好きなんでしょう?」
「ああ……」
「それに、わたしヘンだしさ。――だから駄目なんだよ、わたしたち」
それは違うと思った――。
……だけど、おれは何も言えなかった。
「だからさ……せめて、いままでみたいにケンカできる仲でいようよ。それならいいでしょう?」
黙っておれはうなずいた。
「それじゃ、さよなら!!」
「ああ、それじゃな――」
ドアが閉まると、アニタの顔は見えなくなった。
……そのドアを、おれはじっと見つめる――。
部屋にもどって、わたしはベッドに倒れこみ、ひたいを押さえて長いうめき声を上げた。
う〜〜〜〜…………。
…………頭がくらくらするよ。
でも大丈夫……。
だって、こんなに嬉しいんだもの。
壁に止まっている紙の蝶を見つけて、わたしはふと微笑んだ。
「お疲れさま。……こちらにおいで」
わたしがそうつぶやくと、蝶は一枚の紙になり、わたしの手元にはらりと落ちた。
……箒、箒、お前は箒だったのだ――。
237 :
749:2005/07/28(木) 10:11:36 ID:6dgW5qkg
『……やってみるんだ』
昼食のあとでマギーさんは、わたしを近くの空き地に連れ出して、『紙技』の練習をさせた。
『……いいか、≪鳥になる≫とほんとうに思うんだ。……この上なしの、突きつめた気持ちでそ
う思うんだ。……ほかの雑念はみんな捨てて……いいか、本気にだぞ。……この上なしの、
とことんの、本気にだ……』
『――はい!』
わたしは目を閉じて、手元の紙に≪鳥になれ≫と命じた。
ところが現われたのは、身体ばかり大きくて、みょうに羽の小さな鳥だった。
『それじゃ駄目だ……』
地面に落ちてもがくだけのかわいそうな鳥は消えうせて、地面にはただ紙だけが残った。
『すみません……だけど、どこがいけないんでしょうか?』
『それはお前の気持ちが凝らないからだ。……もう一度やってごらん?いいかい……真剣に、
かけ値なしの真剣になって……≪鳥になる、鳥になる≫と思うんだ。≪鳥になる≫という気
持ちだけになって……≪自分≫というものが消えてしまえばいいんだ。――……どうした、ア
ニタ……?』
わたしはふうとため息をついて、マギーさんに訊いた。
『……マギーさん。悲しいときは、どうすればいいんでしょうか?』
するとマギーさんは、こちらが心配するくらい考えてからひと言、『泣けばいいんだ』と言った。
『悲しいときには泣けばいいし……嬉しいときは笑えばいい』
『……単純ですね』
『……駄目かな?』
マギーさんは困ったような顔をした。
わたしはその顔を見て、『――ああ、この人はいい人だ』と思った。
……だから、わたしは嬉しくて泣きそうになった。
238 :
749:2005/07/28(木) 10:13:21 ID:6dgW5qkg
「――全く、こんなに歩くとは思わなかったわ……あ〜〜疲れた」
「……ずいぶん積もりましたねえ。せっかく出版社の方がホテルを用意をしてくれたんですか
ら、先生だけでもお泊りになればよかったのに――」
「いーのよ、あんなとこに独りでいても仕様がないでしょ。……わたしはウチが一番落ち着くわ
――アニタの様子どうだった?」
「熱下がってないです……」
「あちゃー―……じゃあ、夜間診療かねえ……でもこの雪でやってるかな?」
「そうですねえ……先に電話して確認したほうがいいかもしれませんね」
「あ、あのー―……でも大丈夫じゃないかと……」
「何でよ?」
「……なんだか寝顔が、すごく嬉しそうですから……」
気持ちよかったな……。
なんというか、こうして一人で部屋にいても、言葉では言い表せない充実感がある。
さきほど起こったことを、おれはベッドの上で回想する。
あいつの身体は柔らかくて、とてもいい匂いがした。
あいつの中は熱くて、おれの下半身はとろけそうだった。
そのことを思い出すと、おれは恥かしいやら嬉しいやらで――。
……だけど、帰りぎわにあいつが言ったことが、なんだか少しだけ気になった。
時間が経つにつれ、その違和感がおれのなかで少しずつ大きくなっていった。
ベッドの上で、おれは寝返りを繰り返した。
……目が冴えてしまって眠れない。
おれはそのとき、違うと思ったんだ。
だけどそれが言えなかった。
……どうして言えなかったのか。
239 :
749:2005/07/28(木) 10:15:03 ID:6dgW5qkg
おれはベッドからがばと跳び起きて、机の上の携帯を開いた。
携帯を持つ手が震える――。
やはり電話をするのはためらわれる。
だけどやっぱり、これはしなくちゃいけないことだ。
……おれはふうと深呼吸をした。
「…………もしもし、菱石か…………」
朝の公園にはまだ誰も居ない。
う〜〜さむ……。
……なんだよ、あいつ来てないじゃん。
『すぐ来い』って言ったクセに、――全く。
風邪がぶり返したらどうするんだよ。
自転車の音がしたと思ったら、金網の向こう側で岡原がすごい勢いですっ転んだ。
……馬鹿。
まっすぐ走れないのかよ。
道路がすっかり凍ってしまって、徒歩でも危ないというのに、自転車では自殺行為だろう。
やがて岡原は起き上がり、存外たしかな足どりでこっちに向かって歩いてきた。
あいつがいつになく真剣な顔をしているので、わたしはおもわず笑ってしまった。
「ふふ、何よ……痛い顔ができないんでしょ。……バカ原、こんな日に自転車なんか使うから
よ……」
岡原は真剣な顔でわたしを見つめて、なにやらぶつぶつとつぶやいた。
「…………そういうふうにできてるんだよ」
「あんだって……?」
「……世界はそういうふうにできている、って言ったんだ」
240 :
749:2005/07/28(木) 10:16:39 ID:6dgW5qkg
……頭でも打ったかな。
「大丈夫?……どこかぶつけなかった?」
「――昨日のことを、菱石に話した」
「!?……なっ、何でっ!!」
「そうしなきゃいけないんだよ……おれたちは」
「馬鹿ッ!!何で、何でそんな……ひどいよッ!!わたし、もう……久ちゃんに逢えないじゃ
ない!!」
わたしは岡原の胸ぐらをつかんで引き寄せた。
「……何でよっ!!……何でそんなことするのよ!!」
岡原を殴った――。
わたしは泣いていた。
「……言わなくちゃ駄目なんだよ」
「……ひどいよ!!……ひどいよ!!」
わたしは泣きながら岡原の顔を殴った――殴り続けた。
……やがて岡原は、わたしの両手をつかむと、大声で言った。
「言わなくっちゃ、駄目なんだ!!」
岡原はわたしを睨んで、深呼吸をした。
「いいか、一度しか言わねえぞ!!おれは、お前のことが
「…………で?」
イスを回して、わたしはアニタに聞いた。
241 :
749:2005/07/28(木) 10:18:25 ID:6dgW5qkg
「どうすんのよ返事……時間、もう過ぎてるわよ。――待ってるんでしょ?公園で」
見ればアニタはトマトのような面をして、犬のような弱々しいうなり声を上げている。
「……………………つったろ……」
「?……あんだって?」
「ヽ(`Д´)ノ 書くなっつったろぉぉぉおお゛お゛ー―っ!!相談に乗って欲しいとは言ったけどっ!
!文章に起こす必要があるのかっ!?――だいたい何なんだ、その科白ッ!!そんな恥か
しい声、わたしゼッタイ出してないからっ!!」
「いやまあ小説家の性というか……中途ハンパは嫌いだ」
「消してやる!!消去してやるっ!!――ソコ退けえっ!!」
「おおっ?やる気か、ちびっ子!?――世帯主に手を上げて、ただで済むと――」
するとドアが勢いよく開いてミシェールが――あきらかに発情したミシェールが部屋に入ってき
た。
「ア、アニタちゃん、人という字はお互いが支えあって、ハァハァ……あひぃいん!!」
ハイキック一閃。
美しい蹴りであった――。
その蹴りは、わたしがこれまでに見たもののなかで最も美しい弧を描き、ミシェールのこめか
みへと吸い寄せられていった。
……闘いのなかに、こういう光景があるのだ。
めったに見られるものではない。
「聞いてたのか!?――聞いてたんだろー―ッ!!……殺す……全員殺すッ!!全員
殺して、わたしも死ぬぅうう゛ー―っ!!」
「…………ムヒャ……」
「あんたはあんたでなに泣いてるのよ?」
「……アニタに、先を……越された……」
「……アンタ等……ホントおもしろ姉妹だねえ……」
「殺すぅうー―っ!!殺しきるぅうう゛ー―っ!!」
そのときドアの隙間から、ジュニアの顔がちらりとのぞいた。
「おや、いらっしゃいジュニアくん。……帰ってきたの?」
「こんにちは……あ、あのー―お取り込み中ですか?」
242 :
749:2005/07/28(木) 10:20:21 ID:6dgW5qkg
ジュニアは床に昏倒しているミシェールと、マギーにはがい締めにされているアニタを、おそるお
そるながめて言った。
「あー―大丈夫よ、気にしないで」
「そうですか……これ、お土産です。ナンシーさんが……母がよろしくって」
ジュニアはわたしのところに来ると、おずおずと紅葉屋の『五家寶』を差し出した。
「ありがとう。いや、ちょうどよかったわ……お正月はこっちに居るの?」
「はい……そのつもりです。母は……読子さんの処にご挨拶に……」
「ああ、そうなの……それでさ、ジュニアくん。アニタがね……いま、そこの公園で岡原くんたちと
待ち合わせしてるんだけど、いっしょに行ってあげてくれるかな?」
「え、ええ……いいですよ……」
ジュニアは頬をあからめて言った。
「……わたしヤダっ!!絶対に行かないからね!!」
「ならどうすんのよ。学校にも行かず、引き篭もりにでもなる?……それもいいかもね。決める
のはアンタの自由よ……」
「…………そんなの、分かんないよ……」
「べつに分かる必要もないわ。問題はあんたがどうしたいのか、よ。……ひとつだけ言わせても
らえばね、たとえそれが『Yes』であれ、『No』であれ、人生には必ず答えをださなきゃならない
場面があるのよ」
「……………………」
「もちろん態度保留も立派な答えよ。……だけど、やっぱりアンタの口から直接、相手に伝え
なければならないわ。……でないとアンタ、一生引き篭もりよ」
「……………………」
「――さあ、どうするちびっ子!?」
「…………分かったよ!!……行けばいいんだろっ!!」
「よっしゃ!!それじゃアニタ、さっさと着替えなさい……そうね、わたしを篭絡しようとしたとき
の、あの格好なんていいかもね……」
わたしは邪悪に、にやりと笑う。
243 :
749:2005/07/28(木) 10:22:13 ID:6dgW5qkg
――…………先生……鬼だ。
身をくねらせて抵抗するアニタを押さえ込みながら、マギーがそうつぶやいた。
けほん、けほん、けほん、けほ、けほ……。
おれは肺が痛くなるほど咳き込んだ。
公園のどこかで雀がちち、と鳴いている。
……なんだか目眩がする。
――…………冗談言うなよ。
おれは熱に浮かされたようにつぶやいた。
我ながら情けない声だ。
「そう?――責任を……いろいろな意味で責任を取らなきゃいけないと思うんだけど……
徹ちゃん……男の子なんだし」
おれは背中にいやな汗をかいて、ふと思ったことを口にした。
「菱石、もしかしてお前……こうなると分かってて、おれを行かせたんじゃないのか?」
菱石は答えなかった――。
「……来たみたいよ」
244 :
749:2005/07/28(木) 10:24:07 ID:6dgW5qkg
公園の入り口を見ると、ジュニアがこちらに手を振っていた。
アニタのやつは、なんだか似合わない格好をしてその後ろに佇んでいる。
ひらひらの付いた白いブラウスに、黒のワンピ−ス。
頭の上には、赤い大きなリボンを付けて――。
――似合わねえな。
全然似合っていないのに、……だけどおれは笑わなかった。
あいつはうつむきがちに、目を潤ませて、耳まで真っ赤な顔をしていて――。
……これが、あいつかよ――。
「……神は天にあり、世はすべてよし」
ベンチに腰掛けたまま、おれの横で菱石はそうつぶやいた。
≪おわり≫
245 :
749:2005/07/28(木) 10:25:43 ID:6dgW5qkg
てなワケで、人生初の本格エロパロです(^_^;A
エロ部分が若干少ないですが、書きたいモノはあくまでアニタの初恋でしたので
こういう仕儀とあい成りました。
カップリングに他の選択肢もありましたが、上記の通り『赤毛のアン』と致しました。
(他には久美×アニタ、アニタ×ジュニアなどがありました)
これで749、ネタは全て終了。
三姉妹それぞれのSSを書くという、己自身の大目標をクリアいたしました。
これもひとえに暖かく見守ってくれた住人の皆さまのお蔭であります。
>>1さん、応援してくれた方がた、このスレを保守してくれた皆さま、ありがとう。
まあ、また気が向いたら書いてみたいと思っております、それでは……。
場面転換や主観転換がちょっとした嫌がらせのような難解さだな
247 :
749:2005/07/28(木) 10:49:05 ID:6dgW5qkg
素マンコ
でも(・∀・)イイ!!
>>749 乙です。
>これで749、ネタは全て終了。
本スレから一本釣りしたのが去年の10月。
10ヶ月位経ってますか・・・・
本当に乙でした。
ネタが出来ましたらどぞまた。
250 :
749:2005/08/06(土) 00:34:07 ID:ZdOuNc6c
幕間劇 狩りの時 1/2
風は少しあるが、問題ない。
私はじぶんにそう言い聞かせて窓を閉めた。
場所はこの公共住宅しか考えられない。
ここ一ヶ月ほど、狙点を確保するための調査に費やした。
それにしても笑える。
私は訪問販売員として一ヶ月の間、この住宅に日参を繰り返した。
契約など、むろん取れはしなかったが。
それはそうだ……取れたらそれこそ困るではないか。
私は声をあげて笑う。
……ここから標的まで250m、正面からはやや右にずれる。
最良とは言えないが仕方ない。
階下にならんだポストから、予備のキーを見つけた結果なのだから。
それは幸運だが、僥倖ではない。
捜したから見つけた、それだけの話だ。
腕時計を見る。
……あと一時間。
少し指をほぐした方がいいだろうか?
風はあるが、問題はないだろう。
私がこの距離で外したことはないのだから。
……この仕事に依頼人はいない。
私はじぶん自身のために、この仕事をする。
私は愛するものを、その毒手から守るために仕事をする。
……あと三〇分。
目的のために、手段は常に正当化される。
……私は冷静だ。
冷静だと確約できる。
窓を開けてバルコニーに出て、外の空気をすう。
……時はきた。
251 :
749:2005/08/06(土) 00:35:51 ID:ZdOuNc6c
……時はきた。
まばらな人影のなかに標的の姿を認めて、私は身震いをする。
左肩を壁にもたせて、スタンディングで得物をかまえる。
私は弓を満月のように引き絞る。
まだ……。
まだ……。
……いまだ。
私はひょう、と射る。
校門の前では、岡原が倒れている。
ミシェールは、すばやく目撃者の有無を確認して居間にもどる。
全く問題ない。
うでをひと振りすると弓は消えうせ、あたりには紙が舞う。
瞬くうちに彼女はいつもの白い戦闘服から、この住宅ではもうすっかりお馴染みになった、
どこかぬけている訪問販売員の姿に変わる。
いつもの笑顔をつくって、ミシェールは外へ出た。
黄昏時、階上からはピアノの音がもれる。
≪後日談≫
アニタ:「ミー姉だ……」
マギー:「……絶対だ……」
ミシェール:「何のことかしら〜〜」
ほほほのほ〜〜
本スレからの転載ですが、上のSSの後日談であります。
また、これは以前に書いたSS『わたしは夜、星をみる』の習作でもあります。
保守がわりにどうぞ。
252 :
749:2005/08/06(土) 00:37:33 ID:ZdOuNc6c
『まだまだ 全然書きたりないのよ おしまいになんかさせないんだから』
>>248-249 その歴史のはじめ、本はまず手紙であったに違いありません。
読子は垣根坂高校を去るにあたって、ねねねに手紙を残していきました。
その手紙は『字が下手なら、文章もひどい』ものでした。
まるで、子供の手紙がそうであるように(子供の手紙が、人の心をうつように)。
……読んでわたしは不覚にも泣いてしまいました。
そして、その泪は心地よいものだったのです。
その泪を通して、わたしには世界が新鮮に輝いて見えたのですから。
そのとき抱いた感情を(妄想かもしれませんが……)何とかカタチに残しておきたいと
考えました。
今にして思えば、なにが良くてそんなに感動したのかサッパリ分かりませんw
そのような、手前勝手な妄想につきあっていただいて、皆さまには本当に申し訳なく
思っています。
いずれ、またお目に掛かりたいと思っております。
それでは、また――
(ノ・∀・)ノ age!!
ノ(・∀・ノ) hoshu!!
255 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 23:39:56 ID:99+PPkeB
(ノ・∀・)ノ 祝・R.O.D最終巻発売記念age!!
ほしゅ
☆湯
(ノ・∀・)ノ hoshu?
259 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 11:14:00 ID:rDMprujj
最終巻でたの?????
>最終巻
綾永版のマンガ
どうりで小説11巻探しても無い訳だ。
(ノ∀`)カワイソウ…
263 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 23:09:34 ID:djTyLx0Q
11巻まだかなぁ…
ていうか何で10巻は番外編なんだよォォォォ!!!
(ノ∀`)泣きながら保守
hoshu
266 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/16(金) 00:19:14 ID:tdnHQ0tX
保守
268 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 16:50:25 ID:1ZnVM+DE
11月以降…
ヽ(`Д´)ノ hoshu!!
270 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 01:30:18 ID:RsMhGufD
うう…DVDジャケット改造の
久ちゃんのエロい画像がどこかへ逝ってしまった
週末には来ると言われる圧縮スレ落ちを防止しるっヽ(`Д´)ノ !
というかこんな時にまあた引越しで1ヶ月以上アクセスできないっヽ(`Д´)ノ !
それじゃ保守
ヽ(`Д´)ノ圧縮回避sage!!
(ノ・∀・)ノ hoshu!!
保守
もひとつ保守
279 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 19:58:39 ID:w7VP2Jpt
(ノ・∀・)ノ hoshu age!!
(ノ・∀・)ノ hoshu!!
捕手
282 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 03:02:05 ID:cn0XAvWF
もとネタのワンダーガールズの話が読みたい。
誰かどっかで書いてくれんかなぁ。
ノ(・∀・ノ) 期待sage!!
(ノ・∀・)ノ hoshu!!
285 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 19:37:27 ID:ykdo9rXv
a
286 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 02:30:40 ID:fbX7kSIg
読子さん・・・・
ミシェールさん・・・・
ああ、いけません読子さん・・・
この状況は相当イケてないっヽ( `Д´)ノ
.| ̄ ̄|
ノノノ・_・) 。・゜・⌒)
/ o━ヽニニフ)) 私はチャーハンミシェール…
しー-J
hoshu
292 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 01:07:48 ID:fgdPp2he
293 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 01:14:42 ID:2r17LLOL
コミケに行く時R.O.Dのサントラを聞くといいらしいぞ〜
(;´Д`) テンションは上がるかもな
いいなコミケ… 仕事でもう何年も行ってないよ
その場で新刊の焚書大会とかしたら
火の周りでうろたえまくるダメ人間が大量に見れるヽ( `Д´)ノ
296 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 01:12:35 ID:M1C9DYpq
・・・・ぁ・・・あああ・・・・や、やめてくださいぃ・・・
今年もクリスマスがきますた。
外の世界は3連休でクリスマスだっていうのに
連日無給で明日も休日出勤の上、終電まで深夜残業……
一人きりの凍えた部屋でR.O.D-TV-を見ようと思ったら
録画なんてとっくの前に消してしまっていて見れない……
神様なんてどこに居るっていうの?
……ヽ( `Д´)ノ
神は死んだよ
でもその耐えがたい天の座の空白ももう終わるよ
これからは私が天に立つからね
安心汁
DVDを買わなかった罰だろう。
たーりら りら りら ら〜ら〜ら〜
たーりら りら りら ら〜ら〜ら〜
R.O.Dのサントラを口ずさみながら
ヘリ墜落炎上後に洗脳支配されかけた神保町に帰ってきた読子さんの気分で
カップルだらけのクリスマスの夜の街を歩いてみますた。
黒猫も現れずフタの取れたマンホールも見つからず
何も起こりませんですた。
ハゲを撲殺したい気分になりますた……ヽ( `Д´)ノ
あけましておめでとう、今年もよろしく <(_ _)>
303 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 12:47:59 ID:df/F5kB5
(ノ・∀・)ノ hoshu!!
hoshu
いまだウェンディのエロい秘書姿の妄想が
漏れの頭から抜けない件について
…………ヽ( `Д´)ノ
306 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 00:34:17 ID:0H/MRhiI
死守
ジュニア×アニタキボン
o-o、
('A`) メガネメガネ
ノ ノ)_
310 :
308:2006/02/02(木) 00:13:27 ID:rMJ/9bXi
10体セットが30分前に届いたが金髪ぢゃなかたっ!…………ヽ( `Д´)ノ
311 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 00:59:27 ID:lv+Gyhsk
ノベルが完結するまでは死守
小説版が止まったのって、いつだったっけ?
中国で原人が夫婦喧嘩してるところに読子が巻き込まれてて
そこにハゲが核ミサイルを撃ち込んで話が終わるとか終わらないとか
良く覚えていないが相当非道い話になっていた気が。
アレは駄目だ。
自分で書くしかない。
お前らあと10日で11巻発売ですよ
315 :
名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 20:54:05 ID:LYrlMEOP
11巻発売記念age
読子さん非処女確定…orz
いや、ただ裸で寝ただけかも知れんぞ…orz
ふふふ、諦めの悪いやつらめ…orz
319 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 23:01:04 ID:4kG5GjPe
age
hoshu
アニタのAA欲しいアニタのAA ていうかむしろアニタ欲しいアニタ
322 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 21:11:48 ID:ez6GzX6g
age
捕手
保守
アニタ×久を
アニタ×俺を
327 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 22:30:01 ID:FrY+3m8V
(ノ・∀・)ノ age!!
ヽ( `Д´)ノ
ヽ( `Д´)ノ ヽ( `Д´)ノ
330 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 19:54:23 ID:qJx6CP0S
保守
ヽ( `Д´)ノ ヽ( `Д´)ノ ヽ( `Д´)ノ
ヽ( `Д´)ノ
334 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 12:08:29 ID:CPzvEWVN
ヽ( `Д´)ノ hoshu!!
335 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 19:08:29 ID:8FHZxSgP
あげ
保守
337 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 18:21:48 ID:NsJNU0Ff
誰かアニタ×ジュニア書いて
保守
保守
保守
341 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 16:01:59 ID:Zdxb1u5+
ヽ( `Д´)ノ age!!
捕手
343 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:37:17 ID:Wr3m8//W
hosyu
2006年8月15日
新刊予告から「R.O.D 12巻」が消え、2006年9月25日に発売延期。
2006年9月15日
新刊予告から「R.O.D 12巻」が消え、「11月以降発売予定の本」に移動。
2006年12月15日
2007年1月25日発売の新刊予告に「R.O.D 12巻」登場!
しかし「編集長も言いたい!」で最終刊ではなく、外伝であることが暴露される。
知ってるか、みんな? orz
保守
346 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 01:32:53 ID:avLoz5qD
hosyu
保守
エレペーパアクションって?
350 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 23:06:56 ID:DxsJXpTR
ほっしゅほっしゅ
せめて新刊はまだか…
一番エロいキャラは誰か
353 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 20:58:58 ID:utaq/GlE
ほし
ほしゅ
ヽ( `Д´)ノ
356 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 18:56:49 ID:8xi4FVUz
ヽ( `Д´)ノ ヽ( `Д´)ノ age!!
357 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 01:05:23 ID:O28sCbu/
hosyu
保守
359 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 21:16:59 ID:dJgk0Iy1
ほしゅ
保守
保守
保守
ボッシュ
364 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 00:29:15 ID:26nsfhoe
age
ほす
保守
保守
もうそろそろ落とすべきなのか…?
まだだ。まだ終わらんよ。
と思ったが、もうまともなのは1年以上書かれてないんだよなぁ。
落とした方がいいのかねぇ。
370 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 17:19:53 ID:zYWD3gRo
保管庫で過去のSS読んだが、749氏は小説家として食っていけると思う
371 :
749:2007/02/07(水) 22:31:03 ID:o0sGJbb+
書くことは、趣味です。
頼まれもしないのに、つい書いてしまいます。
このスレがまだ在ることが嬉しいです。
保守してくれた皆様、ありがとう。
ヽ( `Д´)ノ
ノ(・∀・ノ) ちゃ〜ららっ♪
ちゃ〜らっちゃちゃっちゃちゃっちゃっちゃ(ノ・∀・)ノ♪
ノ(・∀・ノ) ちゃ〜ららっ♪
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ゚д゚ ) ハッ!
週末また見かえしてしまいましたが1から14話。
379 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 13:06:25 ID:rJngv8XO
何回見てもおもろいからな〜☆
さあ、あと20回見返そう!!!
♪あ〜 あの日 愛した人の〜
♪墓に〜 花をたむける 明日〜
♪あ〜 昨日 恋して燃えて〜
♪今日は〜 敵と味方の 二人〜
♪恋も〜夢も希望も 捨てて〜
♪命賭ける 非情の掟〜
♪ああ〜だから〜 ああ〜もっと〜
♪もっと〜 愛して〜
…………
つたたか つたたか♪
ちゃ〜ららっ(ノ・∀・)ノ♪
ちゃ〜らっちゃちゃっちゃちゃっちゃっちゃ(ノ・∀・)ノ♪
ノ(・∀・ノ) ちゃ〜ららっ♪
(・∀・)ホシュ
♪懐かしい 風の匂い どこか寂しくて〜
♪戻れない 日々を人は 愛しく思うよ〜
今週18話告白まで再視聴。
( `Д´)ノ ウェンディに投票しますた
ウェンディ君、
あなたジャン・ヘンリー=ファーブルと2票差しかありませんね。
こうまで使えない奴と見られていたとは意外です。
これはちょっと考え直した方が良いような気がしてきました。
ほしゅ
388 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:39:46 ID:By3qSx3E
保守!!
アニタ×久を