クーガーが神妙な顔つきで悩んでいる一方で、ターナは依然として水浴びをしていた。
「…………。」
一言も喋らず、何度か掬い水を体全体にかけた後…。
ターナは突如として、岸の方へと川の中をかき分け歩いていく。
それから両足を川につけたまま、岸に座り込んだ。
小柄な背中をあの道の方へ向けて、足をゆっくりばたつかせる。
パチャパチャと音を立てると同時に水波が生まれるが、その波紋はすぐに消えていく。
「…やっぱり…私から………でも……ひゃっ!」
ぽつりぽつりと呟くターナは、不意に小さな悲鳴をあげる。
足をばたつかせた際に、飛び散った水飛沫が、上半身にかかったのだった。
ほんの少しの間に肌が乾いていて、水打ちに当たったので敏感になってしまっていた。
「…………。」
ふと、自分の胸を見下ろしたターナはそれをじっと見ている。
そして、何を思ったか乳房を包むかのように両手を添える。
その両手を軽く押すと、乳房が弾みを見せて手を押し返す。
「んっ…。」
ちょっとした刺激があったらしく、ターナは声を漏らした。
再び手を添え、今度は手を広げ乳房を掴み……それから優しく揉んでみる。
「は、ぁっ……んんっ。」
またも刺激があり、今度は確かな快感をターナに与えた。
そのまま揉む手を休める事無く、揉みしだいていく。
瑞々しく張りのある柔らかな乳房が、手の中で次々と形を変える。
「ふっ…あ……くぅ…ぁん…。」
僅かな吐息と共に、ターナは身をよじらせ感じていた。
その時…クーガーは、というと頭を抱え本気で真剣に考え込んでいる最中であった。
当然の事ながら、ターナがしている行為の事など気付く由もない。
戦いでは勇猛果敢な者でも恋沙汰となれば、こうなってしまうのはよくある事である。
胸への愛撫に集中していたターナは暫くしてその手の動きを止める。
しかし、それはほんの少しの間だけだった。
左の手で乳房を弄るのを再開し、右の手は乳房から下へ行き下腹を越えていく。
その手が行き着く先にあるのは……薄っすらと生え揃った陰毛に隠れた自身の秘所。
…くちゅ…。
「ん…あんっ!」
割れ目の入り口を指でなぞった途端に来たのは身を震わせる程の快感。
既に愛液が滲み出ていたそこは、微かに水音を立てる。
思わず仰け反りそうになってしまうが、何とかそれを抑えた。
変わらず左の手で乳房を揉み回しながら、入り口で留まっていた指を先に進める。
「ひ…あぁ…うっ…んっ…。」
そっと指を入れたにも拘わらず、さっきよりも強く感じてしまう。
そして、先程からのその最中ターナの脳裏に思い浮かばれる1人の人物…。
その人物がきっかけとなり、この行為に至ったのだが今も尚それは消える事無く残っている。
「うぅん…んぁ……クー…ガー…。」
寧ろ、ますますその想いは募り増すばかり。
ターナの想い人……他ならぬクーガーその人だった。
口から出る喘ぎに混じり、その名がこぼれる。
どうしようもない切なさと愛しさが、行為の続きを促していく。
「くぅ…あぁっ……んぁ…あぁうぅ…。」
そのまま指の出し入れを始めるとちゅくっ…ちゅくっ、という卑猥な音と共にターナが喘ぐ。
そして、指を入れる時…奥へと進め膣内をまさぐり身悶えた。
みるみる内に愛液が溢れ、ターナの指に纏わりついてくる。
更なる快感を求め、無我夢中で膣内に入れた指をかき回す。
「ひぁぁ…あっ!……んんっ!…ふぁ、あぁっ!」
そんなターナの喘ぎは、段々大きくなっていく。
恐らくはもうすぐ限界が訪れるのだろう…それが近づくにつれてその挙動が激しくなる。
「……!」
突然、クーガーは何やら妙な声を聞き取った。
悩んでいた自分を現実に引き戻したその声は何事かと思いながら、ふとターナの様子をこっそりと伺う。
「!?」
そこに映るは、またしても衝撃的なターナの姿。
しかも、あられもない行為に身を委ね乱れている所だった。
いよいよその困惑振りに拍車をかけ、顔を引きつらせる。
「ちょ、ちょっと待て…。これは…どういう…事だ?」
にわかに信じられない光景を目の当たりにして、クーガーは自分が夢の中にでもいるかのような錯覚を覚える。
そして、ターナはクーガーに見られているとも知らず絶頂を迎えようとしていた。
指を動かす度、体がぴくっと反応を見せ生み出した快感を絶えずターナに与える。
「あ、あっ…んん……だ、だ…めぇ……ひうっ!…く、あ…あぁぁぁぁぁぁ!!」
不意に襲った絶頂の反動に身を奪われ、その全身がびくんびくんと痙攣した後…ゆっくりと倒れ込んだ。
「…はっ…はっ……はぁ…クーガー……わた…私…っ…。」
未だ小刻みに震える体を横向きにし、肩で息をするターナ。
その顔は紅潮していて、瞳は何処か虚ろなものだった。
ドッ、ときた脱力感のせいもあってか体を動かせないまま微動だにせずじっとしていた。
「……………姫……。」
結局、見逃せないままに見てしまったクーガーは酷く罪悪感を感じながら俯く。
だが、ターナは自分への想いであのような行為をしていたという事は確かだ。
紛れもない好意を向けられていたという事実に、その身が武者震いする。
「……馬…鹿な…。しかし…。」
その時、草むらから離れていたクーガーの体が…。
………ガササッ。
「…!しまっ…。」
「!誰っ!?」
何たる事か、草むらに体が触れ茂みを震わせ音が立った。
とっさにターナがすぐ近くにあった自分の上着を羽織り、鋭い声を飛ばした。